第21号 令和4年4月19日(火曜日)
令和四年四月十九日(火曜日)―――――――――――――
議事日程 第十六号
令和四年四月十九日
午後一時開議
第一 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
第二 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案(中島克仁君外十六名提出)
第三 新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案(中島克仁君外十六名提出)
第四 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(中島克仁君外十六名提出)
第五 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
議員辞職の件
日程第一 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
日程第二 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案(中島克仁君外十六名提出)
日程第三 新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案(中島克仁君外十六名提出)
日程第四 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(中島克仁君外十六名提出)
日程第五 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
こども家庭庁設置法案(内閣提出)及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)並びにこども基本法案(加藤勝信君外十名提出)、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(城井崇君外十一名提出)及び子ども育成基本法案(三木圭恵君外二名提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時二分開議
○議長(細田博之君) これより会議を開きます。
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議員辞職の件
○議長(細田博之君) 去る十五日、議員山本太郎君から、今般、一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願いたい旨の辞表が提出されております。
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辞職願
今般 一身上の都合により衆議院議員を辞職いたしたく御許可願います。
令和四年四月十五日
衆議院議員 山本 太郎
衆議院議長 細田 博之殿
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○議長(細田博之君) これにつきお諮りいたしたいと思います。
山本太郎君の辞職を許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、辞職を許可することに決まりました。
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日程第一 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
○議長(細田博之君) 日程第一、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
委員長の報告を求めます。内閣委員長上野賢一郎君。
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道路交通法の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔上野賢一郎君登壇〕
○上野賢一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
本案は、特定自動運行に係る許可制度を創設するとともに、特定小型原動機付自転車及び遠隔操作型小型車の交通方法等に関する規定並びに特定免許情報の個人番号カードへの記録に関する規定の整備等を行うものであります。
本案は、参議院先議に係るもので、去る四月十三日本委員会に付託され、同日二之湯国家公安委員会委員長から趣旨の説明を聴取いたしました。また、同日電動キックボードの試乗及び自動配送ロボットの展示の視察を行いました。次いで、十五日に質疑を行い、質疑終局後、討論を行い、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、本案に対し附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(細田博之君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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日程第二 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案(中島克仁君外十六名提出)
日程第三 新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案(中島克仁君外十六名提出)
日程第四 新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案(中島克仁君外十六名提出)
日程第五 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(細田博之君) 日程第二、中島克仁君外十六名提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案、日程第三、中島克仁君外十六名提出、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案、日程第四、中島克仁君外十六名提出、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案、日程第五、内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。
委員長の報告を求めます。厚生労働委員長橋本岳君。
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感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案及び同報告書
新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案及び同報告書
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案及び同報告書
〔本号末尾に掲載〕
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〔橋本岳君登壇〕
○橋本岳君 ただいま議題となりました各案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
まず、内閣提出の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病の蔓延等の事態における健康被害の拡大を防止するため、緊急時に新たな医薬品等を速やかに薬事承認する仕組みを創設するとともに、医師等が電子処方箋を提供できる仕組みを創設しようとするものであります。
次に、中島克仁君外十六名提出の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、緊急時の医療提供体制の確保のための都道府県等と医療機関の協定の締結、医療機関の管理者に対する要請又は指示、都道府県知事に対する医療の提供に係る要請等について定めようとするものであります。
次に、中島克仁君外十六名提出の新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案について申し上げます。
本案は、新型コロナウイルス感染症に係るハイリスク者等が必要な医療を確実に受けることができるよう、新型コロナウイルス感染症登録かかりつけ医制度を導入するために必要な措置等を講じようとするものであります。
次に、中島克仁君外十六名提出の新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案について申し上げます。
本案は、新型インフルエンザ等の治療に有用な医薬品について厚生労働大臣による指定制度を導入し、当該医薬品の買取り、増産要請等の確保の措置等を講じようとするものであります。
各案は、去る三月三十一日の本会議において趣旨説明が行われた後、同日本委員会に付託されました。
本委員会におきましては、翌四月一日後藤厚生労働大臣及び提出者中島克仁君からそれぞれ趣旨の説明を聴取し、六日から質疑に入り、十二日には参考人から意見を聴取したほか、十五日には岸田内閣総理大臣に対する質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。次いで、討論、採決を行った結果、議員提出の三法律案はいずれも賛成少数をもって否決すべきものと議決し、内閣提出の法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
なお、内閣提出の法律案に対し附帯決議を付することに決しました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(細田博之君) 四案につき討論の通告があります。これを許します。谷田川元君。
〔谷田川元君登壇〕
○谷田川元君 立憲民主党の谷田川元でございます。(拍手)
討論に入る前に、一言申し上げます。
先々週、日本政府が八億八千二百万回分のコロナワクチンを確保していることが明らかになりました。これに要した予算は約二兆四千億円で、全て予備費で賄われています。日本の人口は一億二千万人で、全ての国民が四回接種したとしても、四億八千万回です。どうして四億回分余計に確保したのか。それに対して納得できる説明がされておりません。
米国を始めとする世界各国ではワクチン単価が公になっているにもかかわらず、日本が購入した各メーカーのワクチン単価を聞いても、秘密保持契約があるから言えないの一点張り。
また、アストラゼネカ製ワクチン四千万回分のキャンセルも明らかとなりました。製薬メーカーとのキャンセル料の取決めはどうなっているのかと質問しても、やはり秘密保持契約があるから言えないと繰り返す。
こんなことが全てまかり通ったら、都合の悪い情報は全て秘密保持契約にしてしまおうとの悪知恵が最初から働いてしまうことが危惧されます。そう思われないようにするためにも、政府はできるだけ情報開示に努めるべきです。そのことを強く要望し、討論に入ります。
私は、立憲民主党・無所属を代表し、ただいま議題となりました、政府提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案、立憲民主党・無所属提出三法案について、賛成の立場で討論を行います。
一時は収束に向かうかと思われた全国のコロナ新規感染者数が再び増加傾向を見せております。全国の新規感染者数の増加傾向に伴い、療養者数も増え続けております。第六波の死者数は、これまでの最大であった第四波の約五千五百人のほぼ二倍である約一万五百人を超える状況です。
そして、何より深刻なのは、患者が自宅療養中に、医療にかかることができないままお亡くなりになる、いわゆる自宅放置死が後を絶たないことです。高齢者施設における死亡者も続出し、関係者も疲弊しておられます。
立憲民主党・無所属が提出したオミクロン・感染症対策支援法案、コロナかかりつけ医法案及び日本版EUA、緊急使用許可ですね、特定医薬品特措法案は、患者の命を守り、自宅放置死を根絶するため、有用な医薬品を迅速に実用化することを目的としています。そして、高齢者や基礎疾患を有する方などのハイリスク者を中心に、事前に登録したコロナかかりつけ医が迅速的確な医療提供を実施し、都道府県と医療機関との協定締結により病床を確保して、自宅療養者等の容体急変時には確実に入院を可能とする法案となっています。
いつでも誰でも医療にかかれる、世界に冠たる制度であったはずの医療制度が、コロナ禍により、その脆弱さを露呈しました。国民の命を守るための医療制度に問題があるならば、その命を守るために、国民本位の医療制度につくり変えるのが政治家の使命です。
三法案の内容は、コロナ自宅放置死された方々の無念の思い、行き場のない憤りを抱えながらも失った命を無駄にさせないという自宅放置死遺族会の皆様の思いのこもった内容でもあります。さらに、コロナかかりつけ医制度をきっかけに、将来の我が国の医療基盤再構築に進むものであります。
我々は、数百人とも言われる自宅放置死に対し、何ら打つ手もなく立ち往生する政府・与党の姿勢では、また同じことを繰り返すことになると何度も指摘しました。そして、その解決策を法案の形で提示いたしました。
仮に法案が成立しなくとも、高齢者や基礎疾患を有する方等の重症化リスクの高い方と、健康観察、診療医療機関等のコロナ医療に対応する医療機関を事前登録等により結びつけ、いざ感染した場合や濃厚接触者となった場合に備えることは運用でも可能であります。後藤厚生労働大臣も、委員会答弁で、あらかじめしっかりと結びつけていくことの重要性については認識をしながら、そうした対応を全体像の見直しという中で進めているということにおいては、考え方において、そこは違うものではないと述べられました。国民の命を守るために、もう一歩踏み込んで対応していただけると確信いたしております。
そして、我々は、今回のコロナの教訓を生かして、プライマリーケアを評価する仕組みを整え、時代に合わなくなった医療制度を抜本的に見直し、社会保障制度の改革の本丸である日本版家庭医制度創設に全力を挙げて取り組む所存であります。
なお、政府提出法案には、薬事承認手続の枠組みの下、製薬企業の申請が前提となるという問題や、通常よりも少ない臨床試験結果による安全性の確認という課題があります。しかし、有用な医薬品等の迅速な実用化が重要な課題となっている現状に鑑みると、一歩でも二歩でも対策を進めることが必要であると考え、政府提出法案にも賛成することといたします。
以上で討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(細田博之君) これにて討論は終局いたしました。
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○議長(細田博之君) これより採決に入ります。
まず、日程第二、中島克仁君外十六名提出、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(細田博之君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
次に、日程第三、中島克仁君外十六名提出、新型コロナウイルス感染症に係る健康管理等の実施体制の確保に関する法律案及び日程第四、中島克仁君外十六名提出、新型インフルエンザ等治療用特定医薬品の指定及び使用に関する特別措置法案の両案を一括して採決いたします。
両案の委員長の報告はいずれも否決であります。この際、両案の原案について採決いたします。
両案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(細田博之君) 起立少数。よって、両案とも否決されました。
次に、日程第五、内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案につき採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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こども家庭庁設置法案(内閣提出)及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)並びにこども基本法案(加藤勝信君外十名提出)、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(城井崇君外十一名提出)及び子ども育成基本法案(三木圭恵君外二名提出)の趣旨説明
○議長(細田博之君) この際、内閣提出、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに加藤勝信君外十名提出、こども基本法案、城井崇君外十一名提出、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案及び三木圭恵君外二名提出、子ども育成基本法案について、順次趣旨の説明を求めます。国務大臣野田聖子君。
〔国務大臣野田聖子君登壇〕
○国務大臣(野田聖子君) この度政府から提出をしたこども家庭庁設置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、子供政策を我が国社会の真ん中に据え、子供を取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、子供を誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押ししていくため、強い司令塔機能を有し、子供の最善の利益を第一に考え、常に子供の視点に立った政策を推進するこども家庭庁を設置しようとするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、こども家庭庁の設置、任務、所掌事務について定めるものであります。
こども家庭庁は、こども家庭庁長官を長として、内閣府の外局として設置され、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向け、子供及び子供のある家庭の福祉の増進及び保健の向上その他の子供の健やかな成長及び子供のある家庭における子育てに対する支援並びに子供の権利利益の擁護に関する事務を行うことを任務としております。
その任務を達成するため、内閣府や厚生労働省で所管している子ども・子育て支援給付に関することや子供の保育、虐待の防止に関することなど、子供の福祉や保健、子育て支援等に関する事務を移管するとともに、小学校就学前の子供の健やかな成長のための環境の確保及び小学校就学前の子供のある家庭における子育て支援に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、地域における子供の適切な遊び及び生活の場の確保、子供の安全で安心な生活環境の整備に関する基本的な政策の企画及び立案並びに推進、いじめの防止等に関する相談の体制その他の地域における体制の整備、子供の権利利益の擁護等をつかさどるほか、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向けた基本的な政策に関する事項や結婚、出産又は育児に希望を持つことができる社会環境の整備等少子化の克服に向けた基本的な政策に関する事項等の企画及び立案並びに総合調整をつかさどることとしております。
また、こども家庭庁長官は、所掌事務を遂行するために必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料の提出、説明その他必要な協力を求めることができるとしております。
第二に、こども家庭庁に置かれる機関について定めるものであります。
こども家庭庁に、こども家庭審議会等を置くほか、特別の機関として、少子化社会対策会議、子ども・若者育成支援推進本部及び子どもの貧困対策会議を置くこととしております。
この法律は、令和五年四月一日から施行することとしております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
次に、こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この法律案は、子供政策について、こども家庭庁の下で一元的に推進し、子供及び子供のある家庭に対する支援を効果的に図ることができるようにするため、子供の福祉の増進や保健の向上、子育てに対する支援等を行う法律を移管する等関係法律について所要の整備を行うものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、児童福祉法その他の関係法律について、内閣総理大臣及びこども家庭庁長官の権限を定める等関係規定の整備を行うものであります。
第二に、内閣府設置法その他の行政組織に関する法律について、任務、所掌事務の変更等関係規定の整備を行うものであります。
第三に、所要の経過措置等を定めようとするものであります。
以上が、この法律案の趣旨であります。(拍手)
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○議長(細田博之君) 提出者木原稔君。
〔木原稔君登壇〕
○木原稔君 ただいま議題となりましたこども基本法案につきまして、提出者を代表しまして、その趣旨を御説明申し上げます。
子供に関する施策については、これまでも、待機児童対策や幼児教育、保育の無償化、児童虐待防止対策の強化など各般の施策の充実に取り組んできましたが、残念ながら、少子化の進行、人口減少に歯止めがかかっておりません。
また、児童虐待相談や不登校の件数が過去最多になるなど子供を取り巻く状況は深刻で、コロナ禍がそうした状況に拍車をかけています。このような危機的な状況を踏まえると、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組や政策を我が国社会の真ん中に据えて、強力に進めていくことが急務です。
このため、政府においては、子供政策の司令塔としてこども家庭庁を設置する法案を提出されておりますが、このような組織法と相まって、従来、諸法律に基づいて国の関係省庁、地方自治体において進められてきた子供に関する様々な取組を講ずるに当たっての共通の基盤となるものとして、子供施策の基本理念や基本となる事項を明らかにすることにより、子供施策を社会全体で総合的かつ強力に実施していくための包括的な基本法が必要であると考え、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律は、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、次代の社会を担う全ての子供が、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会を目指すことを明示し、それに向けて子供施策を総合的に推進することを目的としております。
第二に、こども家庭庁設置法案と同様に、心身の発達の過程にある者を子供と定義しております。また、子供施策を子供に関する施策及びこれと一体的に講ずべき施策と定義しています。
第三に、子供施策の基本理念として、一号から四号においては、児童の権利に関する条約のいわゆる四原則である、差別の禁止、生命、生存及び発達に対する権利、児童の意見の尊重及び児童の最善の利益に相当する内容を規定しております。五号では子供の養育について、六号では子育てについての基本理念をそれぞれ定めております。
第四に、年次報告及びこども大綱の規定を設けております。なお、この法律によって、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、子どもの貧困対策の推進に関する法律における国会報告や大綱等を束ねることにより、関係する施策に横串を通すとともに、行政の事務負担の軽減を図ることとしております。
第五に、閣僚会議として、こども政策推進会議を設けることとしております。この会議につきましても、先ほど申し上げました三つの法律における会議等を統合することとしております。
第六に、国の責務等を規定し、また、基本的施策として、子供施策に対する子供等の意見の反映、支援の総合的かつ一体的な提供のための体制の整備、関係者相互の有機的な連携の確保、子供施策の充実及び財政上の措置等を規定しております。
最後に、この法律は、こども家庭庁設置法案の施行に合わせ、令和五年四月一日から施行することとしております。また、検討条項として、子供施策が基本理念にのっとって実施されているかどうか等の観点からその実態を把握し及び公正かつ適切に評価する仕組みの整備を含め、基本理念にのっとった子供施策の一層の推進のために必要な方策について検討する旨を定めております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
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○議長(細田博之君) 提出者城井崇君。
〔城井崇君登壇〕
○城井崇君 立憲民主党の城井崇です。
ただいま議題となりました子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案、通称子ども総合基本法案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。
まず、この法律案の趣旨について御説明申し上げます。
この法律案は、子供の最善の利益が図られ、その人権が保障され、及び社会全体で子供の成長を支援する社会を実現するため、児童の権利に関する条約の理念にのっとり、子供施策に関し、基本理念を定め、国等の責務を明らかにするとともに、子ども施策基本計画等の策定、子供施策の基本となる事項、子どもの権利擁護委員会及び都道府県等における合議制の機関等並びに子ども省の設置についての法制上の措置等に関する事項について定めることにより、子供施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項を定めるものであります。
次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
第一に、子供施策とは、子育て、教育、福祉、保健、医療、雇用、少子化対策その他の分野における子供に関する施策をいい、当該施策の性質上、子供のほか若者を対象とすることが適当である場合にあっては、若者に関する施策も含むものとしております。
第二に、基本理念として、子供施策の推進は、全ての子供の最善の利益が図られ、その人権を保障すること等を旨として行われなければならないことや、子供の意見表明権など、いわゆる子どもの権利条約、児童の権利に関する条約の四つの原則を余すところなく盛り込んでおります。
第三に、国、地方公共団体及び国民の責務等を規定することとしております。
第四に、政府は、基本理念にのっとり、子ども施策基本計画を定め、また、都道府県は、子ども施策基本計画を勘案して、都道府県子ども施策基本計画を定めることとしております。
第五に、子供施策の基本となる事項として、子供施策のための予算の確保、すなわち家族関係社会支出を倍増してGDP比三%以上とすること、子供の意見の反映、子供施策の実施状況に関する評価等について定めるほか、子供の生活を経済的に安定させるための施策として、児童手当を高校卒業相当年齢までの全ての子供について支給すること、子供の貧困率の低下についての具体的な数値目標の設定などを盛り込んでおります。また、希望する者が安心して子供を産み育てることができる社会の実現のための施策として、妊娠、出産、育児及び子供の成長に関する切れ目のない支援等を、子供の生存と安全を保障するための施策として、虐待の防止等を、教育を受ける権利等を保障するための施策として、小学校就学前の子供に対する教育及び保育の充実等を、特別の支援を必要とする子供に関する施策として、ヤングケアラーの負担の軽減、修学及び就業のいずれもしていない子供等の支援、特別の支援を必要とする子供が学び、成長するための支援及び環境の整備等を定めることとしております。
第六に、内閣府の外局として、子どもの権利擁護委員会、いわゆる子供コミッショナーを設置し、その任務、所掌事務、組織等について定めるとともに、同委員会による関係行政機関の長等に対する資料提出その他の協力の要求、子供の権利侵害が疑われる場合の調査等及び関係行政機関の長等に対する勧告について定めることとしております。また、都道府県等に、子供の権利侵害に関する救済の申立てを受けてその解決を図ること等を所掌事務とする合議制の機関を置くこととしております。
第七に、政府は、子供施策の総合的な推進を図るため、文部科学省の初等中等教育、幼児教育を含めた事務を一元的につかさどる子ども省の設置について、必要な法制上の措置等を講ずることとしております。
第八に、子どもの権利擁護委員会の委員等の秘密保持義務違反並びに同委員会の調査に対する虚偽報告及び検査忌避等に対して所要の罰則を設けることとしております。
なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。
以上が、この法律案の趣旨及び内容であります。
何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
―――――――――――――
○議長(細田博之君) 提出者三木圭恵君。
〔三木圭恵君登壇〕
○三木圭恵君 日本維新の会の三木圭恵です。
ただいま議題となりました子ども育成基本法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
本法案は、子供が抱えている多種多様な問題に適切かつ臨機応変に対応するために、これまで分野ごとに分かれていた各省庁の取組を一体化し、教育と福祉が一緒になって、力を合わせ、子供を育む環境を整備し、もって、いじめ、虐待、貧困など諸課題の解決を進めるとともに、全ての子供たちの幸福な未来を保障するため、また、子供の保護者が安心して子供を育てることができるためのものです。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
第一に、この法律案は、次代の社会を担う子供の育成への支援は日本社会の未来への投資であるとの認識の下、子供の教育、福祉等に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去し、子供の教育、福祉等に係る施策を一体のものとして実施することにより子供の育成を支援する社会を実現するため、子供の育成に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的としております。
第二に、子供の育成に関する施策の実施に当たっての基本理念として、子供の育成に関する施策は、教育を基軸として、これと子供の福祉に係る施策とを適切に組み合わせて一体的に行われなければならないこと等を定めております。
第三に、国の責務、年次報告、子供の育成に関する基本的な計画等について定めるとともに、子供の育成に関する重要事項の審議や施策の実施の推進を行う機関として、内閣府に、子ども育成会議を置くこととしております。
第四に、子供の教育と福祉に係る施策とを適切に組み合わせて一体的に行うべき子供の育成に関する施策等に係る事務をつかさどる行政組織である、教育子ども福祉省の設置に関する基本方針を定めております。
なお、この法律案は、一部の規定を除き、公布の日から施行することとしております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。(拍手)
――――◇―――――
こども家庭庁設置法案(内閣提出)及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出)並びにこども基本法案(加藤勝信君外十名提出)、子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案(城井崇君外十一名提出)及び子ども育成基本法案(三木圭恵君外二名提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(細田博之君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。伊東良孝君。
〔伊東良孝君登壇〕
○伊東良孝君 自由民主党の伊東良孝でございます。
ただいま議題となりました、内閣提出のこども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案と議員立法のこども基本法について、会派を代表して質問いたします。(拍手)
今日、こうして我が国の子供の幸せを目指して法案の審議が始まりました。
しかし、二か月前から始まりましたロシアによるウクライナ侵略はとどまるところを知らず、無辜の一般市民や子供も巻き込み、日々戦況が拡大し、犠牲者も増え続けております。水や食料、医療品などの必要物資が届かない中で、子供を含む多くの命が危機に瀕しております。
改めて最大限の怒りと声でロシアを非難し、西側諸国の結束とウクライナへの更なる支援と支持を表明するものであります。
また、ウクライナ避難民の日本への受入れにつきましても、日本政府や心ある自治体や企業の理解と協力が必要です。皆さん、どうか御支援をよろしくお願いいたします。
子供に関する政策は、これまで、少子化社会対策基本法や子ども・若者育成支援推進法等に基づき、様々な取組が着実に前に進められてきたものの、昨年の出生数は八十四・三万人と過去最少になり、令和二年度の児童虐待の相談対応件数は過去最多となるなど、子供を取り巻く状況は深刻になっております。さらに、コロナ禍が子供や若者、家庭に負の影響を与えています。
子供政策を強力に推進し、少子化を食い止めるとともに、一人一人の子供のウェルビーイングを高め、社会の持続的発展を確保できるか、今がまさに分岐点であります。
岸田政権において、野田聖子大臣が初のこども政策担当大臣に任命されました。野田大臣がおっしゃっているように、子供を社会の真ん中に据えて、国家戦略として子供政策を推進していく必要があります。
そこで、総理にお伺いいたします。
子供政策を推進していくに当たっての基本的な総理の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
こども家庭庁は、子供政策全般について、各省庁より一段高い立場から、総合調整を行う権限を持つことが重要であります。こども家庭庁は内閣府の外局に設置することとなりますが、どういった行政組織と位置づけるかは、その行政組織の持つ権限に大きく関わると考えます。
なぜ、子供省のような省ではなく、内閣府の外局であるこども家庭庁とするのでありましょうか。野田大臣にお伺いをいたします。
現在、例えば、児童虐待、貧困、いじめ、不登校、高校中退、非行といった困難の種類や、制度ごとの縦割りによって生ずる弊害や、教育、福祉、保健、医療、雇用といった各関連分野あるいはまた関係府省庁の縦割りによって生ずる弊害、児童福祉法や要保護児童対策地域協議会の対象年齢が十八歳未満であるなど支援対象年齢を区切っていることで支援が途切れがちになる年齢の壁の弊害などが指摘をされています。
こども家庭庁ができることで、今後、どのような取組が充実強化されるのか、野田大臣にお伺いいたします。
子供の声に耳を傾けることは、子供を大切にする第一歩です。子供の最善の利益を実現するに際しては、子供の意見が年齢や発達の程度に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるようにすべきであります。こども家庭庁は、子供の意見の反映についてどのように対応するお考えでありますか。野田大臣にお伺いをいたします。
各種の研究で明らかにされているように、小学校就学前の子供の成長を支援することは極めて重要であります。
幼稚園、保育所、認定こども園のどの施設に通っていても、共通の教育、保育を受けることができ、子供の健やかな成長が支えられるようにしなければなりません。また、いずれの施設にも通っていない子供、いわゆる未就園の子供の育ちもしっかりと保障していく必要があります。
未就園児も含めた就学前の全ての子供の健やかな成長のため、また、幼稚園、保育所、認定こども園のいずれに通っていても同じ教育、保育を受けられるようにするため、こども家庭庁はどのように取り組み、また、取組を主導していくのでありましょうか。野田大臣にお伺いをいたします。
教育はこれまでどおり文部科学省が所掌することになりますが、学校は、子供が長い時間を過ごす場所であり、子供に関わる政策の重要な部分であります。こども家庭庁が政策を進めていくに当たって、教育行政との緊密な連携を確保する必要がありますが、どのように連携を図るおつもりでしょうか。野田大臣にお伺いします。
与党では、子供政策全体の基本理念を示すものとしてこども基本法案を取りまとめ、今国会に提出しています。与党が提出したこども基本法の意義についてどのようにお考えか、提出者にお伺いをいたします。
こども家庭庁は、こどもまんなか社会を目指すための新たな司令塔ということでありますが、こども家庭庁が単なる既存の府省の寄せ集めでは、新しい役所をつくる意味はありません。こども家庭庁が果たすべき役割についてはどのようにお考えか、岸田総理の決意をお聞かせいただきたいと思います。
両大臣並びに提案者の明快な御答弁をお願い申し上げ、私の質問といたします。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 伊東良孝議員の御質問にお答えいたします。
子供政策を推進していくに当たっての基本的な考え方についてお尋ねがありました。
これからの子供政策の推進に当たっては、子供の視点に立って、社会が保護すべきところは保護しつつ、子供の意見表明と自己決定を年齢や発達段階に応じて尊重し、子供の最善の利益を第一に考えて自立を支援するとともに、家庭における子育てニーズに応じて柔軟に支えていくことが重要であると考えます。
このため、こども家庭庁を創設し、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策が我が国社会の真ん中に据えられる社会を実現してまいります。
こども家庭庁が果たすべき役割についてお尋ねがありました。
こども家庭庁は、強い司令塔機能を持って、全ての子供に対して必要な支援や教育等が抜け落ちることがないよう、子供や子育て世代の視点に立った子供政策を総合的かつ包括的に推進することができる体制を実現していくものです。
こども家庭庁が主導し、強い司令塔機能を発揮することで、縦割り行政の中で進まなかった、子供を性犯罪から守るため、性犯罪歴等についての証明を求める日本版DBSの導入に向けた検討や、幼稚園、保育所、認定こども園の教育、保育内容の共通化、子供を総合的に支援するこども家庭センターの全国的な展開などを進めていきたいと考えております。
こども家庭庁の下、子供政策を我が国社会の真ん中に据え、子供をめぐる様々な課題に、一元的に、中長期的な視点を持って進めてまいります。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣野田聖子君登壇〕
○国務大臣(野田聖子君) こども家庭庁を省ではなく内閣府の外局である庁とする理由についてお尋ねがありました。
子供や若者に関する施策は、文部科学省だけではなく、警察庁、総務省、法務省、厚生労働省、経済産業省など様々な省庁が関わっています。
このため、政府を挙げて政策を強力に推進するためには、自ら事務を実施するだけではなく、子供の視点に立ち、各省庁より一段高い立場から、総理のイニシアチブの下、政府部内の総合調整を行う権限がなければなりません。
国家行政組織法に基づき設置される省は、法令上の固有な権限としては、自ら所管する事務を行うことができるにすぎません。
政府部内の総合調整を自ら実施する事務と併せて恒常的な事務として実施することができるのは、内閣総理大臣の直属の機関だけです。このため、こども家庭庁は内閣府の外局として置くこととしています。
次に、こども家庭庁設置後における子供政策の充実、取組強化についてお尋ねがありました。
こども家庭庁は、これまで各府省において別々に担われていた子供政策に関する総合調整権限を一元化し、子供や子育て当事者、現場の視点に立った強い司令塔機能を発揮することとしています。
また、就学前の全ての子供の育ちや子供の居場所づくり等についても、自ら事務を実施し、関係省庁と連携しながら政府全体における取組を主導することとしており、これまで省庁間、制度間のはざまに陥っていた課題や新規の政策課題も含め、子供や子育て当事者に対する支援を一元的に担ってまいります。
さらに、大人として円滑な社会生活を送ることができるようになるまでの成長の過程は子供によって様々であることから、こども家庭庁の対象とする子供は、特定の年齢で区切らず、心身の発達の過程にある者としています。
このように、制度ごとの縦割りや年齢の壁を排し、子供政策を更に充実強化してまいります。
次に、子供の意見の反映についてお尋ねがありました。
昨年末に閣議決定した基本方針において、今後の子供政策の基本理念として、子供の意見が年齢や発達段階に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるよう取り組むことを掲げています。
こども家庭庁においては、子供や若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取など、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについても検討していくこととしており、こども家庭庁の創設を待たずに、令和四年度において、子供の意見の政策への反映に関する調査研究を行うこととしています。
子供の声に耳を傾けることは、子供を大切にする第一歩であります。こうした基本姿勢の下、こども家庭庁において、子供や若者から意見を聞く様々な取組を行い、子供政策の企画立案、総合調整を行ってまいりたいと考えています。
次に、小学校就学前の子供に関する取組についてお尋ねがありました。
乳幼児期の教育及び保育は、子供の健全な心身の発達を図りつつ、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものです。このため、幼稚園、保育所、認定こども園に通う子供はもとより、いずれの施設にも通っていない未就園児も含め、小学校就学前の全ての子供の成長を支えることが必要です。
こども家庭庁においては、子供の育ちを支える際に留意すべき事項等を就学前の子供の育ちに係る基本的な指針として閣議決定し、政府内の取組を主導し、認可外施設を含む全ての施設や保護者に周知、普及を図るとともに、未就園児の実態把握を進め、市町村等と連携し、子育て支援サービスや幼稚園、保育所などへの就園につながるプッシュ型の支援などを進めてまいります。
また、幼稚園、保育所といった施設類型を問わず、共通の教育、保育を受けることが可能となるよう、学校教育法及び児童福祉法に、文部科学省と相互に協議を行って、幼稚園における教育内容、保育所における保育内容を定める旨の規定を新たに設けることとしております。これにより、幼稚園、保育所、認定こども園の教育、保育内容の基準の整合性が制度的に担保され、教育、保育の質の一元化が図られると考えています。
これらを通じて、小学校就学前の全ての子供の健やかな成長が保障されるよう取り組んでまいります。
次に、教育行政との連携についてのお尋ねがありました。
こども家庭庁は、子供政策を我が国社会の真ん中に据えたこどもまんなか社会の実現に向けて、子供政策の司令塔機能を一本化し、各省庁より一段高い立場から、子供政策について一元的に総合調整を行うとともに、子供の権利利益の擁護や児童福祉等に関する事務を自らの任務として実施することとしております。
また、教育など文部科学省が担う学びに係る行政と、児童福祉など育ちに係る行政は、相互に近接する側面があるものの、それぞれの目的を追求する中で専門性を高めつつ、必要な場面でしっかりと調整し、密接に連携することにより、政府全体としての施策の充実、質の向上を図ってまいりたいと考えています。
政府案では、こども家庭庁は、総合調整機能の発揮、就学前の全ての子供の育ちの保障、いじめ、不登校等についての個別法に基づく関与等を通じて、児童福祉など、子供の育ちの観点から、教育行政を担う文部科学省との緊密な連携を図ってまいります。(拍手)
〔木原稔君登壇〕
○木原稔君 伊東良孝議員からは、こども基本法案の意義について御質問をいただきました。
子供に関する施策は、少子化社会対策基本法や子ども・若者育成支援推進法に基づくものなど、多種多様なものが既にあり、これまでも政府を挙げて取り組まれてきたところではありますが、各施策については必ずしも統一が取れていたとは言い難い面もございました。
また、昨今、児童虐待や不登校、いじめ、子供の自殺など、子供をめぐる様々な事件や問題が深刻化している状況にもあります。
このような状況を踏まえますと、子供のことを第一に考える観点からは、子供に関する施策に横串を通す基本法の制定が喫緊の課題であると言えます。
本法案は、目的規定で、目指す社会像を掲げております。それは、次代の社会を担う全ての子供が、生涯にわたる人格形成の基礎を築き、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができる社会であり、また、全ての子供が、心身の状況、置かれている環境等にかかわらず、その権利の擁護が図られ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会であります。
このような社会を目指して、本法案により、これまで以上に総合的かつ一体的に子供施策が推進されることが期待されます。
以上が、本法案の意義でございます。(拍手)
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○議長(細田博之君) 森山浩行君。
〔森山浩行君登壇〕
○森山浩行君 立憲民主党の森山浩行です。(拍手)
冒頭、細田議長に一言申し上げます。
議長は、衆議院選挙区における一票の格差を是正するための十増十減案について重ねて否定的な見解を示したことにつき、議院運営委員会に、持論は持論としてあるが気をつけるとお伝えになりましたが、自民党の伊吹元議長は、これを受け、議長が議会が決めた法律を公然と批判したら国会の権威は丸潰れだと苦言を呈したと報じられました。
議長におかれましては、事態を真摯に受け止め、御自身で真意を説明されるとともに、一層中立な議会運営に当たられるよう、強く求めます。
私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました政府提出のこども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに立憲民主党提出の子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案について質問いたします。
子供たちの笑顔と未来のために。
次の世代に胸を張ってこの国を、世界を譲り渡すこと。そのために世界平和を構築することは人類共通の目標であり、現在のロシアのウクライナ侵攻については、一刻も早く平和を取り戻すために、国際社会と歩調を合わせ、日本ができるあらゆる手段を講じること、まずは、そのための努力を惜しまぬことをお訴えいたします。
その上で、子供らがどんな家庭や環境で生まれ育っても、御飯を食べ、病気のときは医療を受け、勉強もできて、自分の思う道を切り開いていける、そんな社会をつくり、親ガチャや子育て罰といった言葉で表される切実で深刻な状況を変えるため、私自身、九九年の堺市議会初当選以来二十三年余り、政治活動を続けてまいりました。その思いを胸に、質問に入ります。
今回の法案は、昨年の四月に菅前総理がこども庁の創設に向け検討の指示を出したことがスタートでした。私たち立憲民主党は、旧民主党時代から、チルドレンファーストの理念を掲げ、子供、子育て政策を一元的に立案、遂行する子ども省の創設を訴えてきており、ようやく私たちの考えが浸透してきたことを歓迎いたしますけれども、理念や実効性において、まだまだ懸念があります。
例えば、少子化に対して、子育て環境を整えるより、産めよ増やせよと号令をかける、あるいは、様々な家庭事情のある中で、三歳までは母親が自宅で面倒を見るべきという三歳児神話を押しつけることなどがあってはなりません。
昨年十二月に閣議決定をされました基本方針から使われているこどもまんなか社会とは、具体的にどんな社会で、立憲民主党の掲げるチルドレンファーストと同じものなのか、そして、どのように実現を目指すのか、岸田総理にお伺いをいたします。
検討当初のこども庁という名称が、最終的にはこども家庭庁として提案されました。また、設置法案の中には家庭という言葉が四十七回出てきます。第三条には、「子育てにおける家庭の役割の重要性を踏まえつつ、」と書かれています。子育てにおいて家庭はもちろん大切なものですが、家庭だけで抱え切れない課題も数多くあります。また、核家族や一人親家庭などを始め多様な家庭環境があり、さらに、増え続ける家庭内での児童虐待といった状況も考えなければなりません。
立憲民主党は、あらゆる状況に置かれている子供たちを社会全体で支援すべきとの考え方ですが、わざわざ家庭を追加した理由を野田大臣にお伺いいたします。
こども家庭庁の平仮名で書くこどもという概念には困難を抱える十八歳、十九歳も含まれるため、この四月一日からの成人年齢の十八歳への引下げにより事実上解禁された十八歳の高校生のAVが急増しており、子供を性暴力や性犯罪から守るためのこども家庭庁の審議をする四月から逆に被害が増えることは看過できません。
ついては、全年代、特に高校三年生を含む十八歳、十九歳のAV出演被害者を、今後、今よりも減らすとお約束をいただけませんか。このままAV出演被害者が増えた場合、岸田総理、どのように責任を取られますか。
まずは、未成年者取消権と同等以上の効果、つまり、撮影後でも被害者が申立てをすれば、無条件に契約を解除できるだけではなく、同時にAVの販売中止、回収、削除ができるという立法措置が必要と考えますが、総理の見解をお伺いします。
また、撮影後、契約の解除が可能な期間については、未成年取消権の時効が最短で五年間であったことから、五年間にすべきと考えますが、総理の見解をお伺いします。
この問題に対応するため、立憲民主党や与党プロジェクトチームが議員立法を作成し、与野党で協議を行っています。AV出演被害を防ぐためには一日も早く今の国会で超党派で議員立法を成立させるべきと考えますが、いかがでしょうか。また、これを機に、今年をAV出演被害根絶元年とすべきと考えますが、岸田総理の御見解をお伺いします。
縦割り行政を打破するための新組織には、内閣府、文科省、厚労省の一部が移管されますが、今回、幼稚園や学校教育など文科省所管の子供政策は移管されません。この理由と、こども家庭庁と文部科学省は今後どのように連携していくのか、岸田総理にお伺いします。また、省ではなく内閣府の外局である庁にした合理的な理由と併せて明確にお答えください。
また、当初は、幼稚園、保育所、認定こども園をこども家庭庁が一体的に所管する案も検討されていたものの、文部科学省の反発により、幼稚園は文部科学省所管のままになったとも言われています。このような事実はあったのか、岸田総理、御答弁ください。
さらに、法治国家である日本では法律で政府の行動を縛ることが大前提ですが、先日の経済安全保障法案も、カジノを誘致するIR整備法、デジタル庁設置法など、これまでの自公政権と同じく、法律に具体を書き込まず、政府の裁量が大きいまま提案されています。大き過ぎる政府の裁量権を抑制することについての政府の姿勢を岸田総理にお伺いいたします。
今回の法案についても、基本方針にある子供政策に関連する大綱の策定や、就学前の子供の育ちに係る基本的な指針、子供の居場所づくりに関する指針については法律に示されていませんが、それはなぜでしょうか。野田大臣より理由を教えてください。
立憲民主党案の提出者に伺います。
子ども総合基本法案で設置が明記された子ども省と、政府が提案しているこども家庭庁の異なる点は何でしょうか。文部科学省所管の初等中等教育まで移管させるべきと考える理由と併せて御答弁ください。
現在、日本には、子供をめぐる問題で客観的な第三者として間に立つ機関がありません。いじめや自殺など大きな問題があったときに、文科省や教育委員会の下に第三者委員会が設置されることがあるだけで、その第三者性や透明性に課題があります。
与党内では反対の声も多いとの話も聞こえますが、自民党総裁選の公開討論会で、岸田総理から、いじめ問題について検証を行う第三者委員会の公正性、独立性を高めていく必要性を感じた旨の発言がありました。
子供コミッショナーの設置に向けた御所見を総理に伺います。
また、こども家庭審議会では子供の権利擁護機能が想定をされていますが、教育委員会、社会福祉法人、学校法人等に対する調査権限は十分に発揮できますか。野田大臣にお伺いをいたします。
立憲民主党案に明記された子供コミッショナーを設置する意義、政府からの独立性担保の方法、そして子ども省との連携、役割の違いについて、提出者にお伺いをいたします。
さらに、立憲民主党案では、子供の意見を聞く機会と子供が自ら意見を述べる機会が子供の意見表明権として明記されていますが、子供の意見表明支援の仕組みづくりについてどのようにお考えか、総理の見解をお伺いします。
立憲民主党は、低過ぎる日本の子供、子育て予算について、昨年の衆議院選挙公約においても、子供、子育て予算の倍増を訴えてきました。
岸田総理も、昨年の総裁選公開討論会において、子供に関する予算、家族関係支出を思い切って倍増すべきと語り、予算委員会でも、城井崇議員の質問に対し、子供政策に関する予算は将来的にはしっかり倍増を目指すと発言されています。
予算確保の方法と具体的な施策の進め方、現在の日本の子供、子育て予算に対する政府の認識及び予算の倍増について、岸田総理より答弁をお願いいたします。
立憲案では、三%以上と財政上の措置を具体的に明記しています。それだけ子供に確実な投資が必要だという意思の表れだと思いますが、具体的な予算措置の内容とその必要性についてお答えください。
政府・与党が昨年児童手当法を変えたことで、今年の十月から約六十一万人の子供たちが児童手当の特例給付である月額五千円を受け取ることができなくなります。
今回、所得制限で支給の対象外となる世帯は、ゼロ歳から二歳の幼児教育の無償化、高校の無償化、昨年の子育て世帯への十万円給付など、子育てに関する国のあらゆる支援から外れている世帯であり、本当に子供を真ん中に据えた社会を目指すのであれば、せめて児童手当の特例給付を復活するとともに、改めて児童手当は所得制限をなくし、さらには高校卒業まで延長すべきではないでしょうか。岸田総理のお考えをお伺いします。
さらに、長引くコロナ禍の影響により、子育て世帯の生活は厳しさを増すばかりです。一人親の貧困率は、G7で最も高くなっています。苦しい生活環境の子育て世帯を支えるためには、児童扶養手当は一万円加算し、さらに二人親低所得世帯にも月一万円を支給することで、低所得世帯を支えるべきと考えますが、いかがですか。
野田大臣に伺います。
一九八九年に国連総会で十八歳未満の子供の基本的人権を保障するための子どもの権利条約が採択され、日本も一九九四年に批准をしていますが、近年、いじめや不登校、自殺、虐待、貧困、ヤングケアラーなど子供の問題が深刻化する中、日本では、子供の権利保障という観点がまだまだ浸透していません。
また、令和二年度、自殺した児童や生徒は初めて四百人を超え、小中学生の不登校は十九万人以上と、いずれも過去最多となりました。ユニセフの調査によると、日本の子供の精神的幸福度はワーストツーです。政府として、この現状の受け止めと、今後どのような対策を進めるべきと考えているか、お伺いをいたします。
今回も、本来であれば、こども家庭庁の設置と同時に、子供政策の内容を定めた子供基本法案が政府から提案されてしかるべきです。政府が国会に提出をされなかった理由を教えてください。
立憲民主党は、チルドレンファーストを子供、子育て政策の基本に据え、政策立案を進めてきました。私たちは、子供の最善の利益を図ることを理念の中心として掲げ、一人一人の子供を大切にする社会を実現することをお誓い申し上げます。
子供たちの笑顔と未来のために。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 森山浩行議員の御質問にお答えいたします。
こどもまんなか社会についてお尋ねがありました。
こどもまんなか社会とは、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策が我が国社会の真ん中に据えられる社会のことであり、御党の考えとも基本的には同じ方向にあると考えております。
これからの子供政策の推進に当たっては、子供の視点に立って、社会が保護すべきところは保護しつつ、子供の意見表明と自己決定を年齢や発達段階に応じて尊重し、子供の最善の利益を第一に考えて自立を支援するとともに、家庭における子育てニーズに応じて柔軟に支えていくことが重要であると考えます。
このため、こども家庭庁を創設し、司令塔機能を発揮して、子供に関する取組、政策が我が国社会の真ん中に据えられる社会を実現してまいります。
AV出演被害への対応についてお尋ねがありました。
議員御指摘の問題意識は、私自身も共有いたします。新たに成人となる十八歳、十九歳の方々が未成年取消しの保護対象でなくなるということにつけ入り、性的搾取をするような行いは決して許してはなりません。
この観点から、三月三十一日に「アダルトビデオ」出演強要問題緊急対策パッケージを決定し、こうした対策を政府内に徹底するよう指示いたしました。性的搾取をするような行いは見逃さない、許さない、この姿勢でしっかりと関係法令の施行に努め、被害の防止、被害に遭った方の救済を図ってまいります。
また、与党において、AV出演被害防止に関するPTが立ち上げられ、立法措置の基本的考え方が公表されたと承知をしております。このように、現在、各党の皆様の間での御議論の動きがあると承知をしており、契約解除可能期間など御指摘のような点も含め、御議論の内容や状況をよく見守るとともに、早期に結論が得られることを期待いたします。
文部科学省所管の政策、こども家庭庁と文部科学省の連携、省ではなく庁とした理由等についてお尋ねがありました。
文部科学省所管の教育など学びに関する行政については、児童福祉など育ちに係る行政と相互に関連する側面があるものの、それぞれの目的を追求する中で専門性を高めつつ、相互にしっかり調整し、密接に連携する方が、政府全体としての施策の充実、質の向上になると考えております。
幼稚園の所管についても幅広く検討を行い、就学前の子供にとって一番大切なことは、施設類型を問わず、しっかりとした教育、保育がなされることであると考え、今般の政府案としたところであります。
その上で、こども家庭庁は、子供政策について、総合調整機能を発揮しつつ、就学前の全ての子供の育ちの保障、いじめ、不登校等についての個別法に基づく関与等を通じて、文部科学省との緊密な連携を図ってまいります。
また、政府を挙げて政策を強力に推進するためには、各省庁より一段高い立場から、総理大臣のイニシアチブの下、政府部内の総合調整を行う権限が重要であり、それを恒常的に実施できるのは総理大臣直属の機関だけであることから、こども家庭庁は内閣府の外局である庁と位置づけることといたしました。
また、こども家庭庁設置法案においては、こども家庭庁の具体的な権限の範囲を所掌事務として列挙しているなど、必要十分な規定になっていると考えております。
いわゆる子供コミッショナーについてお尋ねがありました。
いわゆる子供コミッショナーについては、与野党において様々な議論や提案がなされていると承知をしており、その議論を注視してまいります。
政府としては、昨年十二月に閣議決定した基本方針に基づき、子供の権利利益の擁護を任務とするこども家庭庁を創設することとしております。
このこども家庭庁が、子供の視点に立って、こども家庭審議会等で有識者等の意見も聞くことにより、公平性、透明性を確保しつつ、その権利利益の擁護を図り、その最善の利益を実現できるよう、各省庁より一段高い立場から、子供政策にしっかりと取り組んでまいります。
子供の意見表明支援の仕組みづくりについてお尋ねがありました。
昨年末に閣議決定した基本方針では、今後の子供政策の基本理念として、子供の意見が年齢や発達段階に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるように取り組むことを掲げています。
子供の声に耳を傾けることは、子供を大切にする第一歩であり、こども家庭庁では、子供や若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取など、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについて検討していくこととしております。
政府としては、こども家庭庁の発足を待つことなく、令和四年度から、必要な調査研究を行うなど、子供や若者の意見の政策への反映に関する様々な取組を行い、子供政策をしっかりと進めてまいります。
子供政策に関する予算についてお尋ねがありました。
子供政策に関する予算については、これまでも、安定財源を確保しつつ、様々な子育て、教育支援を充実させてきたところです。引き続き、こども家庭庁が司令塔となって、子供の視点に立って真に必要な子供政策を考え、政策の充実にしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。
その際、財源については、国民各層の理解を得つつ、社会全体でどのように負担していくのかという観点から幅広く検討していくことが重要であり、今後、こども家庭庁の下、子供政策に関する予算を体系的に取りまとめ、その上で、将来的に予算の倍増を目指してまいりたいと考えております。
児童手当については、従来から、多子世帯や子供の年齢に応じた拡充、重点化が必要との指摘があり、昨年の改正法の検討規定に沿って、子供政策全体の中で検討を行っていくべき事項であると考えております。
また、コロナ禍で厳しい状況にある子育て世帯には、子供一人当たり十万円の給付金の支給を含め重層的な支援を実施してきたところであり、さらに、足下の物価高騰等に直面し困窮する方々の生活を守るための支援にも取り組んでまいります。なお、児童扶養手当については、これまで累次の改善等を実施してきたところですが、更なる拡充については、安定財源と併せて、その必要性を含め、慎重な検討が必要であると考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣野田聖子君登壇〕
○国務大臣(野田聖子君) こども家庭庁の名称に家庭を追加した理由についてお尋ねがありました。
新たな行政組織の名称については、これまでの議論を踏まえ、昨年十二月に閣議決定したこども政策の新たな推進体制に関する基本方針において、こども家庭庁としました。
児童の権利に関する条約の前文の考え方においても、子供は、家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきとされています。
こども家庭庁という名称は、子供の健やかな成長にとって、家庭における子育てを社会全体でしっかりと支えることが子供の幸せにつながるという趣旨であります。
次に、子供政策に関する大綱や就学前の子供の育ちに係る基本的な指針、子供の居場所づくりに関する指針についてのお尋ねがありました。
子供政策に関する大綱として、少子化社会対策基本法、子ども・若者育成支援推進法、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく大綱の作成などについては、それぞれ、こども家庭庁設置法第四条第一項第十九号、同項第二十号、同項第二十二号に規定しています。
これらの大綱については、昨年末に閣議決定した基本方針において、一体的に作成、推進することとしています。
また、就学前の子供の育ちに係る基本的な指針、子供の居場所づくりに関する指針については、それぞれ、こども家庭庁設置法案第四条第一項第一号、同項第五号に基づき作成、推進され、これらの指針により、関係する政府内の取組を主導し、これを強力に推進することとしています。
次に、こども家庭審議会では子供の権利擁護機能が想定されているが、教育委員会、社会福祉法人、学校法人等に対する調査権限は十分に発揮できるのかについてお尋ねがありました。
こども家庭審議会は、いわゆる国家行政組織法第八条に当たる機関として、内閣府設置法第五十四条に基づき設置され、内閣総理大臣、関係大臣又はこども家庭庁長官の諮問に応じて、法律に定められた重要事項に関して調査審議し、意見を述べるとともに、児童福祉法等によりその権限に属された事項を処理することとされています。
このため、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現に向けた基本的な政策に関する重要事項などについて、必要に応じ、教育委員会、社会福祉法人、学校法人等に関係する政策についても調査審議等を行うことはありますが、教育委員会なども含め、個別の法人等の活動を調査する機関ではありません。
次に、子供の権利保障についてお尋ねがありました。
ユニセフの調査において、我が国の子供の精神的幸福度が三十八か国中三十七位であることは承知しております。令和二年度には、児童虐待の相談対応件数や不登校、いわゆるネットいじめの件数が過去最多となり、大変痛ましいことに、令和二年は約八百人もの十九歳以下の子供が自殺するなど、子供を取り巻く状況は深刻です。さらに、コロナ禍が子供や若者、家庭に負の影響を与えていると認識しています。
昨年末に閣議決定した基本方針においては、今後の子供政策の基本理念として、全ての子供が、安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会に接することができ、自己肯定感や自己有用感を高め、幸せな状態で成長できるようにすることが重要であること、このため、家庭、学校、職域、地域などの社会のあらゆる分野の全ての人々が、相互に協力しながら、一体的に取り組んでいくことを掲げています。
こども家庭庁において、こどもまんなかの考え方の下で、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供の視点で、子供を取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、子供の権利を保障し、子供を誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押ししてまいります。
次に、子供基本法についてお尋ねがありました。
子供基本法については、与野党において検討の動きもあったことなどから、その動きを注視しつつ、政府としては、昨年末に閣議決定した基本方針において、子供の視点に立った政策立案など、今後の子供政策の基本理念を取りまとめるとともに、子供政策の新たな司令塔となるこども家庭庁設置法案を提出したところです。
今国会において、与野党からそれぞれ基本法案が提出されていると承知しており、子供政策の一層の充実に向けた御審議を行っていただきたいと考えております。(拍手)
〔城井崇君登壇〕
○城井崇君 森山浩行議員から、子ども省とこども家庭庁の相違点、文部科学省所管の初等中等教育まで移管させるべきと考える理由についてお尋ねがありました。
今般、立憲民主党が提案している子ども省と政府提案のこども家庭庁の違いは、大きく二つあります。
一つ目は、こども家庭庁が内閣府の外局として設置されるのに対して、子ども省は、各省と横に並ぶ立場の省としたということです。その上で、各省庁から一段高い立場で、子供施策の企画立案、総合調整を行う機能も有するとしております。
二つ目は、文部科学省所管のうち、幼児教育と初等中等教育に関する事務を子ども省に移管するとしたことです。子供施策の中心となる教育行政は、子供政策を一元的に担う子ども省こそが担当すべきであり、子ども省において、おおむね十八歳までの教育に係る施策を一元的に行うことが重要であるとの考えによるものです。
こうすることで、例えば、幼稚園と保育所、こども園それぞれの積み重ねとよさを生かしながらの役所としての所管の一本化、あるいは、いじめ、不登校といった学校現場を中心に発生する様々な問題に対して国として一元的に取り組むことが可能になります。その結果、責任の所在が不明確であるといった、所管の違いによって生ずる問題を可能な限り排除することができ、対象の子供に対して、より綿密で効果的な施策を切れ目なく提供できるようになると考えます。(拍手)
〔岡本あき子君登壇〕
○岡本あき子君 初めに、子供に関する法律について、政府そして与野党でそれぞれ法案を出し合い、本気で子供の議論ができるこの度の機会に感謝を申し上げます。
さて、森山浩行議員から、本法案で対GDP比が三%以上となるよう子供、子育て予算を確保することとしていること、そして、想定している具体的な予算措置について、その内容と必要性についてお尋ねがありました。
立憲民主党案の提出者としては、子供の育ちや子育てを支援するためには、まさに未来への投資である子供、子育てに関する予算全体を大胆に増やしていくことは重要かつ必要不可欠です。
現在、我が国の子育て支援を中心とする家族関係社会支出の対GDP比は、二〇一九年度で約一・七%であり、OECD諸国と比べて依然として低水準にありますが、これを欧州諸国並みに引き上げるため、三%という具体的な数値目標を設定し、先ほど総理は将来的に倍増とおっしゃいましたが、言葉だけではなく、未来に投資するために子供に関する予算を確実に増やしていく、その確保を約束することを法律上明確化しました。
この目標の下で、具体的にどのように子供、子育て施策を実施するかについてですが、まさに子供たち自身の声を反映させた取組を実施します。
まず、児童手当について、親の所得制限をなくし、高校卒業相当年齢までの全ての子供に拡大します。また、児童扶養手当を児童一人当たり月一万円加算し、二人親低所得世帯も月一万円の加算の支給対象とします。
ほかに、大学、高等専門学校、専門課程を置く専修学校等の授業料等の負担の軽減を図るための措置、大学等の学生又は生徒に対する学資の支給の拡充、所得連動返還型無利息奨学金制度の拡充等による修学の支援を行います。
加えて、義務教育諸学校における学校給食を無償化する措置を講じます。
これらの施策以外にも、立憲民主党案では、子供の貧困率を十年間で半減させることを目標に、子供の貧困対策に取り組むこと等の様々な具体的施策を講ずることとしており、これらの具体的施策を通じ、社会全体で子供の成長を支援し、未来に投資するチルドレンファーストの社会を実現することとしています。
以上です。(拍手)
―――――――――――――
○議長(細田博之君) 堀場幸子君。
〔堀場幸子君登壇〕
○堀場幸子君 日本維新の会、堀場幸子です。
会派を代表して、こども家庭庁設置法案並びにこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案について、総理並びに関係大臣に、日本維新の会提出の子ども育成基本法案について、提出者に質問をいたします。(拍手)
岸田総理は、新しい資本主義、分配と格差の問題にも正面から向き合い、次の成長につなげる、成長と分配の両面から経済を動かし、好循環を生み出し、持続可能な経済をつくると高らかに宣言されました。しかし、その実像はいまだベールに包まれております。もしかしたらベールの向こう側には何もないかもしれないという一抹の不安を抱くのは、私だけではないと思います。
誰もが変わらなければならないと分かっている転換期にある今の日本。私たちが生きるこの時代は、前例踏襲や小手先だけの改革では、もう変わることはできません。だからこそ、日本大改革が必要だと考えております。
子供政策も同じです。コロナ禍を経験し、様々な不安を感じている子供たちが増えています。今こそ、必要な支援の手が届く仕組みづくりが求められています。
総理にお伺いいたします。
子供たちに明るい未来を保障しなければ、国の成長も未来もありません。総理は新しい資本主義の中で子供の問題をどのように位置づけていますか。明確にお答えください。
新しい資本主義とともに総理が目玉政策に掲げたのが、このこども家庭庁の設立です。
これまでの子供に関する国の施策は、教育、福祉、保健、医療など多岐にわたる様々な分野に対し、文部科学省、厚生労働省、内閣府を始めとする多くの行政機関がそれぞれに取り組んでまいりました。その結果、管轄の行政機関ごとの連携がうまくいかず、いわゆる縦割り行政の弊害が子供を中心とした一体的な取組を阻害していると大きな問題となっております。
今回、岸田政権は、その縦割り行政の弊害を克服し、こどもまんなか社会を実現する法案を提出するとして、国民から大きな期待を寄せられていました。しかし、実際に出された法案は、この期待を全く裏切るものだったと言わざるを得ません。
政府提案のこども家庭庁は、内閣府の子供関連担当部局に厚生労働省の子ども家庭局をくっつけ、それを内閣府の外局にするという、ただそれだけの組織改編にすぎません。どういうわけか、子供にとって大切な、教育という分野が切り離されているのです。今まで子供に関する様々な問題は文部科学省と厚生労働省との縦割り行政のせいで起きてきたにもかかわらず、今回の政府提出法案では、文部科学省の行政組織には全く手がつけられていません。
総理にお伺いいたします。
なぜ、文部科学省の行政に手をつけず、組織を見直さなかったのですか。政府案では、文部科学省と厚生労働省の間の壁が残されたままになり、総理が主張してきた縦割り弊害の解消も実現できないのではありませんか。なぜ、両省の壁を取り払うような抜本的な改革を行わなかったのですか。明確な答弁を求めます。
また、総理のおっしゃる縦割りの弊害とはどのようなものですか。具体的に教えてください。
次に、文部科学大臣にお伺いします。
こども家庭庁の創設によって、文部科学省の施策は何がどのように変化するのでしょうか。具体的にお示しください。
また、こども家庭庁ができることによって、縦割り行政の弊害がなくなるとお考えでしょうか。今まで連携ができなかったから問題が発生していたにもかかわらず、今回の政府提出法案においては教育と福祉の一体化の方向へ進んでいない理由を教えてください。
縦割り行政の弊害の最も顕著な例は、幼児期の施策が文部科学省所管の幼稚園と厚生労働省所管の保育園に分かれてしまっていることです。
これを一体のものとする、いわゆる幼保一元化の議論が長らく行われてきました。幼稚園、保育園それぞれの長所を生かし、保護者の就労形態にかかわらず、保育と教育をひとしく受けることができるのが幼保一元化です。待機児童解消の効果が期待され、保護者のニーズも高まっております。そして、何より、子供たちにとって、就学前の不安を取り除く一助になると考えております。
これに対し、政府・与党が出した答えは、内閣府所管の認定こども園を新たにつくるというものでした。これは、結果的に、一つにしようとして三つに分かれたというおかしな事態となりました。
また、切れ目のない支援のためには、幼保と小学校の連携が重要です。その小学校が文部科学省所管であることは言うまでもありません。
こんなにも複雑な状況の中で、一体どうやってこどもまんなか社会をつくるのでしょうか。幼保一元化を阻んでいるのは、大人の事情ではないですか。
縦割りの弊害をなくすというならば、義務教育年齢の引下げに係る議論と併せて、これまで縦割り行政の弊害の象徴の一つと目されてきた幼保一元化に真っ先に着手するべきではありませんか。総理の御所見をお聞かせください。
総理は、こども家庭庁は司令塔機能を一体化するものであり、各府省の総合調整を行うものだと説明し、そのために、新たに特命担当大臣を置き、その大臣に関係行政機関の長に対する資料請求権や勧告権を持たせることとしています。
しかし、総合調整の対象となる子供政策に係る行政分野は特に広範多岐にわたり、しかも、それぞれの分野はいずれも高い専門性が求められ、かつ各現場固有の事情も抱えております。
行政分野を縦割りにしている壁、中でも文部科学省が権限を持つ教育行政と子供に関する福祉行政の間の壁を残したままに、新たに置かれる特命大臣に資料請求権や勧告権を持たせ、こども家庭庁を司令塔機能として立たせたところで、司令塔機能が本当に発揮されるのでしょうか。ふだんから教育の現場との接点を持たない大臣からの勧告は、日々子供と向き合い、問題解決に奔走している教育現場の皆様の理解を得ることなどできず、乖離が起こるだけではないでしょうか。
こども政策担当大臣にお聞きします。
司令塔や総合調整の機能として、関係行政機関の長に対する勧告権や必要な資料の提出、説明を求めることができる権限を強調していますが、各分野の現場は高度な専門性と深い知識と経験の蓄積の上に成り立っていると思います。特命担当大臣による資料請求や勧告は現場の負担を増やし、上意下達の仕組みは現場との乖離を生む可能性もあります。大臣は、この点についていかがお考えですか。
また、真に司令塔としての機能を果たそうとするならば、文部科学省をそのままにしておくのではなく、文部科学省が持つ権限と組織にも大胆にメスを入れた、より抜本的な改革が必要ではありませんか。併せて答弁を求めます。
いじめ問題についてお尋ねします。
北海道旭川市で中学二年の女子生徒が凍死した状態で発見された事件について、事実関係を調査してきた第三者委員会が、先月二十七日、亡くなった生徒へのいじめの事実があったと認定し、御遺族に報告しました。報告を受けた御遺族は、いじめがあったと訴え続け、認められるまで三年かかった、娘が生きている間であればよかったと思うと話されています。
寒さと絶望の中、凍えながら亡くなったお子様の無念と御家族の悲しみを思うと、一人の大人として、政治家として、この責任を痛感せずにはいられません。
改めて、御冥福をお祈りするとともに、二度とこのような悲劇を繰り返さないと心に誓うところでございます。
この問題で重要な点は、御家族が我が子のいじめ被害を早くから何度も学校や教育委員会へ訴えてきたにもかかわらず、真摯な対応が取られることなく、救えるはずの命が救えなかったという点です。
深刻ないじめは子供の命と未来を奪う、本当に重要な問題です。総理のいじめ根絶に向けての決意をお聞かせください。
また、文部科学大臣にお尋ねいたします。
この旭川の事案について、なぜ、学校は最初からいじめの被害の事実を認めようとしなかったのですか。また、なぜ、認定まで三年もの月日を要したのですか。そして、その間にいじめを受けていた子供の命、命だけは救えたのではないですか。この最悪の結果をもたらした根本的な原因についての見解を求めます。
さらに、今後、こども家庭庁がいじめ重大事案に係る情報共有と対策の一体的検討を文部科学省とともに行うとのことですが、学校内のいじめの訴えを学校側がなかなか認めようとしないという、これまで何度となく繰り返されてきたこの問題を、こども家庭庁が設置されたからといって解決できるようになるとお考えですか。むしろ、更に状況を複雑にするおそれはないですか。
また、SNSやオンラインゲーム、塾、スポーツクラブ等の学校外のいじめについては、こども家庭庁の設置に併せ、どのように発見し、どのように対応されていくのですか。具体案をお示しください。併せてこども政策担当大臣にも答弁を求めます。
子供の生活の中で、学校はとても重要です。学校で過ごす時間は長く、生活、学習、そして様々な人間関係の中で、子供の異変を発見することができます。
私は、短い期間でしたが、小学校や中学校の現場で子供たちや先生方と多くの時間を過ごしてきました。
教員の働き方改革が語られておりますが、根本的な解決はいまだできていません。教員の業務をよく見てみると、教育的な業務と福祉的な業務が混在しております。生活指導や生徒指導と言われる教育と福祉の支援の線引きは難しく、福祉行政の支援が必要とまでは言えないけれども一定の支援が必要な場合、多くは教員がその業務を担っております。また、個に合わせた教育や保護者の生活の不安定さからくる新たな課題もあります。
今の学校には、福祉的なニーズが高まっているにもかかわらず、その人材が余りにもいません。福祉的な業務を担うスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置は限定的です。足りません。これまで厚生労働省が担ってきた福祉の視点から子供や家庭を見守る専門家が学校内に必要とされているにもかかわらず、学校という聖域に入り込むのができないのが現状です。
私は、学校という現場に、教育の専門家である教員と福祉の専門家がチームとなって子供たちの学びと育ちを構築していく仕組みが必要だと考えています。言い換えれば、文部科学省の学校行政の中に厚生労働省の福祉行政を取り込むということです。いじめ問題や虐待、健康や心身の障害や特性、小さな変化を早期に発見し、適切な対応を効果的に実施することができます。そして、その仕組みこそが教員の働き方改革だと確信しております。
こどもまんなか社会に必要なのは、その周りにいる大人たちの温かなまなざしと、いつでも握り返せる支援の手です。子供たちが手を伸ばしたとき、しっかりと握り返してあげられる、手が伸ばせない子供にはゆっくり肩をたたいてあげる、これこそが求められる改革だと思います。
そのためには、子供たちのすぐそばにある学校を中心に、教育行政と福祉行政の壁を取り払い、一つの組織としていく改革が必要なのではないでしょうか。そして、登校が難しい子供たちには別の環境を整備する、そのときも教育と福祉を同時に提供することができることを前提とするというシステムです。総理の御見解をお示しください。
人こそ国の宝であり、教育こそ国の要です。子供たちへの投資は未来への投資であり、惜しむべきものでもありません。
予算委員会にて、日本維新の会、三木圭恵議員の質問に対し、総理は、是非、将来的に子供の予算倍増を目指していきたいと御答弁されました。
総理に改めてお尋ねいたします。
予算倍増のお約束はいつまでにどうやって果たすのか、財源も含めてお聞かせください。日本中の子供たちに向けて、明快な答弁を求めます。
次に、日本維新の会提出の子ども育成基本法について質問します。
これまで本質疑を通して指摘してきたとおり、政府案では、縦割り行政の弊害打破、とりわけ教育と福祉の一体的推進は到底実現できるとは思えません。それどころか、現場に無用な混乱を招き、関係行政機関や教育現場にかえって新たな負担を強いかねない事態を招くことになるのではないかと危惧されています。
日本維新の会が提出する子ども育成基本法案は、単なる厚生労働省の子ども家庭局の引っ越し法案ではなく、真にこどもまんなか社会を実現するべく、教育と福祉の一体的促進に向けた抜本的な組織改革と、そのための検討を求めるものです。
一度組織改編がされてしまうと、再度見直すことは並大抵のことではありません。拙速な議論により現場に混乱を招き、子供たち、保護者の皆さん、関係者の皆さんが困惑することのないよう、国として、国会として十分な議論を行い、その責任を全うする必要があると考えます。
こうした中、提出された、日本維新の会提出法案の一番の眼目はどこにあるとお考えでしょうか。
そして、この法案には、国、地方公共団体の責務のみならず、国民の責務も明記されていますが、国民の努力義務を求めるのはなぜですか。また、教育、福祉関係者を始めとした国民の多くが期待している幼保一元化は、この法案との関係でどのように位置づけられているのでしょうか。併せて明快な説明をお願いいたします。
私は、全ての子供たちに、君たちの未来は明るいよと胸を張って言える社会を実現したいと思い、政治を目指し、今、ここに立っています。
○議長(細田博之君) 申合せの時間が過ぎましたから、簡潔に願います。
○堀場幸子君(続) 子供たちにとって明るい未来とはどのような社会なのか、何を目指すべきなのか、大人たちが真剣に議論していくことこそが今の時代に求められると思います。
真摯に真っすぐに子供たちのために邁進していくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 堀場幸子議員の御質問にお答えいたします。
新しい資本主義と子供の問題の関係についてお尋ねがありました。
新しい資本主義を支える基盤となるのは、子供たちを含め全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会であると考えています。
新型コロナの中で、少子化は更に深刻化し、また、児童虐待、いじめ、子供の貧困など、子供をめぐる課題は一段と複雑化しています。コロナ禍を克服し、新しい資本主義を実現していくため、子供政策、少子化対策を積極的に進めていくことは喫緊の課題であると認識をしています。
こうした様々な課題に子供の視点に立って対応していくための司令塔としてこども家庭庁を創設し、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策が我が国社会の真ん中に据えられる社会を実現してまいります。
文部科学省と厚生労働省の間の縦割りの弊害等についてお尋ねがありました。
子供に関する施策は、文部科学省、厚生労働省の所管に関わるものだけではなく、例えば、人権擁護の関係では法務省、少年非行の関係では警察庁、通学路の安全確保の関係では国土交通省など、様々な省庁が関わっており、子供に関する施策の所管や組織全てを一元化することは合理的ではありません。
また、教育など学びに係る行政については、児童福祉など育ちに係る行政と相互に近接する側面があるものの、それぞれの目的を追求する中で専門性を高めつつ、相互にしっかり調整し、密接に連携する方が、政府全体としての施策の充実、質の向上になると考えています。
今後、こども家庭庁が主導し、政府全体の中で強い司令塔機能を発揮することで、縦割り行政の中で進まなかった、例えば、子供を性犯罪から守るため、性犯罪歴等について証明を求める日本版DBSの導入に向けた検討、また、幼稚園、保育所、認定こども園の教育、保育内容の共通化、子供を総合的に支援するこども家庭センターの全国的な展開などを政府一丸となって進めていきたいと考えております。
いわゆる幼保一元化等についてお尋ねがありました。
就学前の子供にとって一番大切なのは、施設類型を問わず、しっかりとした保育と教育がなされることであると考えています。
このため、政府案では、学校教育法及び児童福祉法において、幼稚園における教育内容、保育所における保育内容について両省庁が相互に協議を行い、教育、保育内容の基準を共同告示で定めることとしており、これにより、施設類型を問わず、共通の教育、保育を制度上担保し、質の一元化が図られると考えております。
なお、義務教育年齢の引下げについては、様々な観点から多角的かつ慎重な検討を必要とする問題であり、今回のこども家庭庁の設置と併せた検討は行ってはおりません。
いじめ根絶への決意についてお尋ねがありました。
いじめを背景に子供が亡くなる、未来が奪われてしまうという事態は大変痛ましく、決して起こしてはならないことです。そして、どの子供にも、どの学校にもいじめが起こり得るものであるという認識を、学校のみならず、社会全体で共有し、一つ一つの事案に真摯に対応していくことが重要であると考えます。
いじめの中には、家庭環境などを背景として、教育委員会や学校のみでは根本的な解決が難しいものもあり、こうした事案には、教育委員会や学校はもとより、警察や児童相談所などの関係機関が、その強みを生かして、一体となって対応することが重要であると考えております。
このため、いじめ問題についても、今後、こども家庭庁が司令塔機能を発揮し、関係省庁が協力、連携し、子供の視点に立ったいじめ防止対策が効果的に実施されるよう、しっかり取り組んでまいります。
教育行政と福祉行政の組織改革の必要性等についてお尋ねがありました。
全ての子供の健やかな成長を保障するために、教育など学びに係る行政と児童福祉など育ちに係る行政とが、それぞれの目的を追求する中で専門性を高めつつ、相互にしっかり調整し、緊密に連携することが極めて重要です。
子供政策の具体の実施を担う地方自治体においても、首長部局と教育委員会の連携が重要であり、行政の混乱を生じさせないよう留意しつつ、相互の連携等を強化していくことが重要です。
こうした観点から、子供政策に関する強い司令塔機能を有するこども家庭庁を創設するとともに、地方自治体において、こども家庭センターの全国展開を進め、不登校など相談の内容等に応じ、子供が安心できる居場所の確保など適切な支援につないでまいります。
あわせて、学校現場等の教育に関するデータや福祉等に関するデータを連携させ、子供のニーズに応じてプッシュ型の支援を届ける取組を推進してまいります。
こうした取組により、全ての子供の健やかな成長を、学びと育ちの両面から、教育と福祉の連携により支援できる体制を構築してまいります。
子供政策を充実していくための予算についてお尋ねがありました。
子供政策に関する予算については、まずは、子供の視点に立って真に必要な子供政策を考えるべきものであり、こども家庭庁が司令塔となって政策の充実にしっかり取り組んでまいります。
その際、財源については、国民各層の理解を得つつ、社会全体でどのように負担をしていくのか、こうした観点から幅広く検討していくことが重要であり、今後、こども家庭庁の下、子供政策に関する予算を体系的に取りまとめ、その上で、将来的に予算の倍増を目指してまいりたいと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣末松信介君登壇〕
○国務大臣(末松信介君) 堀場議員にお答え申し上げます。
まず、こども家庭庁の創設による文部科学省の施策の変化と、教育と福祉の関係についてお尋ねがございました。
子供をめぐる課題は、児童虐待、いじめ、貧困、少子化等、複雑化し、多岐にわたっており、多くの省庁が関わっております。このため、各省庁より一段高い立場から子供政策を推進する司令塔機能が重要となります。
児童福祉など育ちに係る行政と教育など学びに係る行政につきましては、相互に近接する側面があるものの、それぞれの目的を追求する中で専門性を更に高めつつ、子供政策の司令塔となるこども家庭庁の下で、必要な場面でしっかり調整し、密接に連携する方が、政府全体としての施策の充実、質の向上に資すると考えてございます。
こども家庭庁の発足後は、例えば文部科学省とこども家庭庁が共同して幼稚園教育要領や保育所保育指針を策定するなど、どの施設に行っても質の高い教育、保育が受けられるように、取組の充実を図ります。
また、いじめにつきましても、学校による教育的支援だけでなく、こども家庭庁を通じ、警察や児童相談所等との連携の強化を図ることで、いじめ対策が一層充実されることとなります。
さらには、総理からも御答弁ございましたが、人権擁護の観点からは法務省、少年非行の関係では警察庁、通学路の安全確保の観点では国土交通省など、子供施策についてはこのように多くの省庁が関わっているため、こども家庭庁の下、その内容に応じて所管省庁としっかり連携すること等によりまして、子供の健やかな成長を保障してまいりたいと存じます。
次に、旭川市の女子中学生が亡くなられた事案についてお尋ねがございました。
この大変痛ましい事案につきましては、現在、学校や教育委員会の対応を含め、旭川市が設置した第三者委員会による調査が進められております。
先般出された中間報告におきましては、六項目のいじめが認定されましたが、その原因や背景につきましては継続して調査を進めるとしております。詳しい分析は最終報告を待ちたいと思いますが、いずれにせよ、貴い子供の命が失われてしまったことは痛恨の極みであります。
いじめの対応に当たっては、ささいな兆候であっても、いじめではないかとの疑いを持って早い段階から積極的に認知するとともに、いじめの重大事態の対応に当たっては可能な限り速やかに対応することが重要です。
文部科学省では、重大事態調査の初期対応の改善や、いじめに対応する体制整備の更なる充実を図り、いじめ防止対策推進法などに基づく対応の徹底に全力を挙げてまいります。(拍手)
〔国務大臣野田聖子君登壇〕
○国務大臣(野田聖子君) こども家庭庁の総合調整及び文部科学省との関係についてお尋ねがありました。
政府提出法案においては、こども家庭庁を担当する内閣府特命担当大臣を必ず置くこととし、担当大臣が子供の成長に関わる基本的な政策全般について総合調整を行うことにしています。
総合調整に当たっては、関係省庁に必要な説明等を求めるとともに、子供や若者、現場の方々から直接意見を聞く様々な取組を通じて、実態把握や情報収集を行うこととしています。現場との乖離を生むとは考えておりません。
また、文部科学省との関係については、子供の権利利益の擁護等を任務とするこども家庭庁と教育の振興を任務とする文部科学省とが、それぞれの目的を追求する中で専門性を高めつつ、密接に連携する方が、政府全体としての施策の充実、質の向上に資するものと考えています。政府提出法案においては、学校教育法等の個別作用法に、こども家庭庁の主任の大臣である内閣総理大臣の権限を新たに規定するとともに、総合調整の観点から、教育政策に関与することにしており、これらを通じて施策の充実、質の向上に取り組んでまいります。
次に、いじめ対策についてお尋ねがありました。
いじめ防止等の対策については、いじめ防止対策推進法等に基づき、主として学校や教育委員会、文部科学省による取組が進められている一方、こども家庭庁においても、子供の権利利益の擁護等を担う観点から、子供のいじめ防止等の対策を担うこととしています。
具体的には、いじめ防止対策推進法に基づく基本方針を文部科学省が策定、変更する際に協議を受けるほか、自らも子供のいじめの防止等を担い、事案の把握、地方自治体における具体的な取組や相談体制などの体制づくり等を推進することとしています。
学校外のいじめの問題については、学校の把握や適切な対応が難しい場合もあります。こども家庭庁は、自らの所掌事務として、学校外のいじめも含めた学校内外のいじめの防止に資する取組、体制構築を推進するとともに、必要に応じて、警察等の関係機関との連携も図ってまいりたいと考えております。(拍手)
〔三木圭恵君登壇〕
○三木圭恵君 日本維新の会が提出した法案の一番の眼目について御質問をいただきました。
日本維新の会は、ゼロ歳児からの子供に関わる行政について、教育を基軸として、福祉施策と適切に組み合わせて一体的に行われることを確保すること、つまり、教育と福祉が互いに協力し合い、教育現場が問題を抱え込み、結果、いじめを隠蔽するというような最悪の結果を招くことを避けるため、日常的に教育現場に福祉の専門家を配置すること、また、担当部局を一元化することで教育と福祉の施策を融合し担っていくことが、次代の社会を担う子供の育成において最重要事項であると考えます。
日本維新の会が提出した子ども育成基本法案では、このような基本理念の下、子供の育ちを一貫してサポートする組織の創設に向けて、法案の第四章で、教育子ども福祉省の設置に関する基本方針について定めております。
すなわち、政府提案のこども家庭庁のような小規模な組織再編にとどまらず、文部科学省全体とこども家庭庁の機能を併せ持つものとして再編した組織である教育子ども福祉省をできるだけ早期に設置することとし、政府は、可能な限り早い時期に法制上の措置を講ずるものとしております。
教育子ども福祉省の設置により、行政組織の事務の効率化と円滑化が図られるだけでなく、何よりも重視すべき、子供一人一人の学びと育ちをしっかりと保障していくことが可能になると考えております。
国民の努力義務についてお尋ねがございました。
法案の第一条にありますように、私たちは、次代の社会を担う子供の育成への支援は日本社会の未来への投資であるとの認識の下、子供の育成を支援する社会を実現することを目指しています。このような子供の育成を支援する社会は、国や地方公共団体の施策だけで実現できるものではなく、家庭、学校、地域、職域そのほかの社会のあらゆる分野において、様々な立場にある国民の皆様が行う取組の果たす役割が大きいものです。
そこで、法案の第六条では、国民の努力として、「国民は、家庭、学校、地域、職域その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、子どもの育成に寄与するように努めなければならない。」と定めております。
幼保一元化のこの法案における位置づけについてお尋ねがございました。
就学前の幼児期における教育は、人格の形成において非常に重要な意義を有しております。子供たちが親の職業などに関わりなく、ひとしく質の高い学びの環境と育ちの環境を享受できるようにすることは長年にわたる重要な課題でありましたが、教育施設を出発点とする幼稚園と福祉施設を出発点とする保育所とを一元化する取組は、いまだ実現しておりません。
このような縦割り行政の弊害を除去し、子供の教育、福祉等に係る施策を一体のものとして実施することは、目的規定にもうたわれておりますとおり、日本維新の会の法案の一丁目一番地であり、その筆頭が幼保一元化であります。教育子ども福祉省の下、幼保一元化が速やかに実現し、子供が小学校に入学するまでの期間において、より充実した学びと育ちの環境が確保されるものと考えます。(拍手)
〔議長退席、副議長着席〕
―――――――――――――
○副議長(海江田万里君) 中野洋昌君。
〔中野洋昌君登壇〕
○中野洋昌君 公明党の中野洋昌です。
私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました、こども家庭庁設置法案及びこども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案につきまして質問いたします。(拍手)
公明党は、子育て、教育を国家戦略にと訴え、一貫して子供の幸せを最優先する社会の実現を目指し、幼児教育、保育の無償化を始めとした教育負担の軽減や妊娠、出産への支援の充実などを図ってまいりました。
現在、新型コロナ禍の中で、想定以上のスピードで少子化が加速するとともに、様々な課題を抱えた子供と家庭をめぐる社会的孤立の深刻化が進んでいます。子供と家庭を社会全体で支えるための取組を今こそ強化していかなければなりません。
あわせて、子供政策の基本的な方向性として、児童の権利に関する条約のいわゆる四原則である、生命、生存、発達の権利、差別の禁止、子供の意見の尊重、子供の最善の利益が全ての子供に保障され、全ての子供が豊かな社会生活を送るに当たっての確かなスタートを切ることができる社会とすることを目指していく必要があります。
今般、私ども公明党は、自由民主党とともに、こうした子供政策の基本理念を明記し、我が国で初めて子供の権利を包括的に規定した、こども基本法案を提出させていただいており、是非、皆様の御理解の下、成立させていただきたいと考えております。
今後の子供政策はこうした基本理念の下進めていく必要があると考えますが、今後の子供政策の基本姿勢について、岸田総理の御見解を伺います。
就学前までの時期の成長発達は著しく、就学前教育がその後の人生に大きな影響を与えることが指摘されております。
しかし、妊娠、出産から子育て期においては、母子保健、児童福祉、地域子育て支援などの施策が縦割りとなっており、支援を切れ目なく一体的に実施することが求められています。また、幼稚園、保育所、認定こども園といった施設の類型にかかわらず、質の高い幼児教育、保育を受けることができる仕組みとしていくことが重要です。
就学前の子供の育ちと幼児教育、保育の質の向上についてこども家庭庁がどのような役割を果たすのか、野田大臣の答弁を求めます。
これまで、様々な課題を抱えた子供への支援を行う現場を回らせていただき、また、関係者の声も聞いてまいりました。
貧困、児童虐待、いじめ、不登校、自殺、障害、疾病などといった様々な課題を抱える子供と家庭については、ライフステージに応じて、就学期以降も切れ目なく支援していくことが求められています。
他方で、これは、学校だけあるいは福祉だけで対応することは難しく、特に、現場である地方自治体において、教育委員会と福祉部局とが必要な情報を共有し、連携を強化していくことが非常に重要です。
各自治体は既に様々な取組を行っており、首長部局中心に連携するケースもあれば、教育委員会中心の場合もあり、また、私の地元の兵庫県尼崎市のように、子供や子育て家庭のために必要な情報を統合し、プッシュ型の支援を検討されている自治体もあります。
地方自治体における教育と福祉の連携の強化をこども家庭庁が具体的にどのように推進するのか、野田大臣の答弁を求めます。
困難な課題を抱えた子供への支援に当たっては、アウトリーチや伴走型の継続的な支援が必要な場合も多く、行政だけでは対応できないこともあります。このため、それぞれの地域で活動していただいているNPOなどの民間団体との連携の強化が必要です。また、身近な地域において、子供や家庭が安心して過ごせ、様々な地域の関係者と自然につながりを持つことができる居場所があることも非常に重要な課題です。
地方自治体などの現場における民間団体との連携や、地域における子供の居場所づくりの推進を今後どのように進めていくのか、野田大臣の答弁を求めます。
こども家庭庁ができることで、今後の子供政策において、子供や子育て当事者の視点に立った政策立案がなされることが必要です。
私ども公明党も、今回、こども基本法案の議論に当たり、直接子供の声を聞く取組を行い、今までの政策立案のプロセスにおいて、いかにこうした視点が欠けていたかを痛感したところであります。
このため、私どもが提出させていただいたこども基本法案においては、国と地方自治体が子供政策を策定するに当たって、子供の意見を反映するために必要な措置を講じることを規定させていただいているところです。
子供の声を聞き、子供の視点に立った政策立案を具体的にどう進めていくのか、野田大臣の答弁を求めます。
子供政策は様々な関係省庁が関わっており、こども家庭庁の設置が求められている大きな理由が、その司令塔機能の強化であります。
全ての子供の発達を保障するため、年齢による切れ目や省庁間の縦割りを排し、子供と家庭を総合的に支えていくための司令塔機能を担う新しい行政組織がこども家庭庁であり、それを制度的には勧告権で担保しているものと理解をしています。
しかし、真に子供の視点に立ち、子供の利益を最善に考えた政策を実行するためには、様々な現場の情報の収集や調査、政策の分析を行えるだけの体制が必要です。この勧告権や司令塔機能を実効性のあるものにするためには、単に今ある組織を組み替えるだけではなく、充実した人員体制でその機能を強化していくことが不可欠であります。
こども家庭庁の組織体制の強化と司令塔機能の発揮につきまして、総理の答弁を求めます。
最後に、財源の確保について質問をさせていただきます。
私どものこども基本法案においては、政府がこども大綱を策定することとしており、この中で、当該子供政策の具体的な目標及びその達成の期間を定めることになっております。また、こども大綱の定める政策の実施に必要な財政上の措置を講ずる努力義務を政府に課すこととしております。
昨年政府が取りまとめたこども政策の推進に係る有識者会議の報告書では、少子高齢化の進行はまさに有事ともいうべき危機的な状況とされており、これに対処していくためには、安定的な財源の確保と中長期的な子供政策の充実が必要不可欠であります。
今後の子供政策の充実とその財源確保につきまして、改めて総理の御決意をお伺いし、私の質問とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 中野洋昌議員の御質問にお答えいたします。
今後の子供政策の基本姿勢についてお尋ねがありました。
これからの子供政策の推進に当たっては、子供の視点に立って、社会が保護すべきところは保護しつつ、子供の意見表明と自己決定を年齢や発達段階に応じて尊重し、子供の最善の利益を第一に考えて自立を支援するとともに、家庭における子育てニーズに応じて柔軟に支えていくことが重要であると考えております。
このため、こども家庭庁を創設し、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策が我が国社会の真ん中に据えられるこどもまんなか社会を実現していくこととしており、こういった基本姿勢は、児童の権利に関する条約の四原則、そしてこども基本法案が掲げる基本理念と軌を一にするものであると認識をしております。
こども家庭庁の組織体制の強化と司令塔機能の発揮についてお尋ねがありました。
こども家庭庁の定員については、法律、事務の移管に伴う内閣府や厚生労働省の内部部局の従前の定員約二百人を大幅に上回る三百人以上の体制を目指し、情報集約や調査の体制を含め、機能を十分に発揮するために必要な人員体制をしっかりと確保してまいります。
この体制の下、こども家庭庁では、これまで各府省において別々に担われていた子供、子育て支援、少子化対策、児童虐待対策などの子供政策に関する総合調整権限を一元化し、子供の視点に立った強い司令塔機能を発揮することとしております。
こども家庭庁の強力な司令塔機能の下、全ての子供に対して必要な支援や教育等が抜け落ちることがないよう、子供の視点に立った子供政策を総合的かつ包括的に推進してまいります。
今後の子供政策の充実とその財源確保についてお尋ねがありました。
子供政策については、こども家庭庁が司令塔となって、子供の視点に立って真に必要な子供政策を考え、その充実にしっかりと取り組んでまいります。
その際、財源については、国民各層の理解を得つつ、社会全体でどのように負担していくのかという観点から幅広く検討していくことが重要であり、今後、こども家庭庁の下、子供政策に関する予算を体系的に取りまとめ、その上で、将来的に予算の倍増を目指してまいりたいと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣野田聖子君登壇〕
○国務大臣(野田聖子君) 小学校就学前の子供に関する役割についてお尋ねがありました。
乳幼児期の教育及び保育は、子供の健全な心身の発達を図りつつ、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものです。このため、幼稚園、保育所、認定こども園に通う子供はもとより、いずれの施設にも通っていない未就園児も含め、小学校就学前の全ての子供の成長を支えることが必要です。
こども家庭庁においては、子供の育ちを支える際に留意すべき事項等を就学前の子供の育ちに係る基本的な指針として閣議決定し、政府内の取組を主導し、認可外施設を含む全ての施設や保護者に周知、普及を図るとともに、未就園児の実態把握を進め、市町村等と連携し、子育て支援サービスや、幼稚園、保育所などへの就園につながるプッシュ型の支援などを進めてまいります。
また、幼稚園、保育所といった施設類型を問わず、共通の教育、保育を受けることが可能となるよう、学校教育法及び児童福祉法に、文部科学省と相互に協議を行って、幼稚園における教育内容、保育所における保育内容を定める旨の規定を新たに設けることとしております。これにより、幼稚園、保育所、認定こども園の教育、保育内容の基準の整合性が制度的に担保され、教育、保育の質の一元化が図られると考えています。
これらを通じて、小学校就学前の全ての子供の健やかな成長が保障されるよう取り組んでまいります。
次に、地方自治体における教育と福祉の連携強化についてお尋ねがありました。
子供政策の具体の実施は、地方自治体が中心的に担っています。その体制は自治体の判断となりますが、いずれにしても、子供政策に関連する部局同士が連携を図ることが重要と認識しています。
また、こども家庭庁は、教育行政を担う文部科学省との緊密な連携を図っていくこととしており、地方自治体においても、首長部局と教育委員会の連携が極めて重要であると考えています。
今後、例えば、教育や福祉等に関するデータを連携させ、真に支援が必要な子供、家庭を発見し、ニーズに応じてプッシュ型の支援を届ける取組を推進してまいります。
また、現在、地方自治体における関係部局の連携体制の事例を把握するための調査を実施しているところであり、今後、各自治体における取組を情報共有することなどを通じて、自治体におけるこどもまんなかの考え方に基づく体制の検討が進むよう取り組んでまいります。
次に、民間団体との連携や子供の居場所づくりについてお尋ねがありました。
民間団体との連携については、子供や若者、子育て家庭に対し地域で支援を行っているNPOを始めとする様々な民間団体とのネットワークを強化し、市民団体との積極的な対話、連携、協働を図っていくこととしています。
地方自治体などの現場においても、民間団体との連携を進めることは重要と考えており、さきに述べた地方自治体に対する調査においても、民間との連携や人材交流の状況を把握することとしています。今後、各地方自治体の取組状況に関する情報共有などに努めてまいります。
子供の居場所づくりについては、こども家庭庁の創設を待たず、今年度、調査研究を行うことにしています。
今後、こども家庭庁においては、調査研究の結果も踏まえ、子供の居場所づくりに関する指針を策定し、政府全体の取組を強力に推進するとともに、NPO等と連携し、児童館、放課後児童クラブ、子供食堂など、子供の視点に立った様々な居場所づくりを進めてまいります。
次に、子供の視点に立った政策立案についてお尋ねがありました。
公明党におかれましては、子供の声を直接聞く機会を設け、党内の議論に生かしていらっしゃると伺っており、大変すばらしい取組であると受け止めております。
政府においては、昨年末に閣議決定した基本方針において、今後の子供政策の基本理念として、子供の意見が年齢や発達段階に応じて積極的かつ適切に子供政策に反映されるように取り組むことを掲げています。
こども家庭庁においては、子供や若者にとって身近なSNSを活用した意見聴取など、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについても検討していくこととしており、こども家庭庁の創設を待たずに、令和四年度において、子供の意見の政策への反映に関する調査研究を行うことにしています。
子供の声に耳を傾けることは、子供を大切にする第一歩であります。こうした基本姿勢の下、こども家庭庁において、子供や若者から意見を聞く様々な取組を行い、子供政策の企画立案、総合調整を行ってまいりたいと考えております。(拍手)
―――――――――――――
○副議長(海江田万里君) 浅野哲君。
〔浅野哲君登壇〕
○浅野哲君 国民民主党・無所属クラブの浅野哲です。
私は、ただいま議題となりましたこども家庭庁設置法案などに対し質問をいたします。(拍手)
まず、総理に伺います。
二〇二一年の出生数は八十四万二千八百九十七人、六年連続過去最少を記録しました。令和二年の合計特殊出生率も一・三三と、五年連続低下をしております。平成元年に合計特殊出生率が一・五八を下回って以降、少子化対策が叫ばれ続けてきましたが、いまだに改善されない原因は何とお考えになりますでしょうか。
昨年十一月二十九日に提出されたこども政策の推進に係る有識者会議報告書の中では、今後の子供政策の基本理念等を定める「こども基本法(仮称)」の制定について、政府に検討を求める内容でした。しかし、その約三週間後、政府は、基本法ではなく、こども家庭庁を設置する方針を発表しています。
なぜ、政府として、基本法を整備せず、省庁再編で対応することにしたのでしょうか。政府としては、基本法を制定する必要はなしと判断したということでしょうか。お聞かせください。
ユニセフが昨年発表したレポートによれば、日本の子供の幸福度は三十八か国中二十位という結果でした。内訳を見ていくと、身体的健康は一位である一方で、精神的幸福度は三十七位、下から二番目でした。また、数学、読解力などの学力面では五位でありながら、すぐに友達ができると答えた子供の割合が低く、社会的スキルは三十七位という結果だったそうです。
本法案でも子供のウェルビーイングの向上をうたっておりますが、子供のウェルビーイングの定義を総理はどのように捉えておられますか。
また、この指標をどのように評価、測定するのか、加えて、子供のウェルビーイングの向上に向けた野田大臣のお考えを伺います。
本法案の基本方針では、子供たちの視点に立った政策立案を行うとされており、具体的には、子供や若者から意見を聞くユース政策モニターの実施や、審議会委員などへの子供、若者の参画促進、SNSを活用した意見聴取などが検討されています。一方で、児童虐待や不登校、ヤングケアラー問題などは、人前でなかなか言い出せない場合や子供自身に自覚がない場合など、問題が顕在化しづらいことも課題となっています。
子供たちから意見を聞く仕組みだけでなく、子供たちが抱える見えない課題を捉える取組が必要だと思いますが、政府の御認識を伺います。
様々な困難に直面する子供たちをサポートするスクールソーシャルワーカーに期待が集まっています。
スクールソーシャルワーカーの役割は、教育機関内外を問わず様々な機関と連携し、子供の福祉向上に取り組むことであり、所管省庁は、文部科学省よりも、省庁横断的に対応できるこども家庭庁の方がよいのではないでしょうか。こども家庭庁に移管せず文部科学省に残す理由を文部科学大臣にお伺いいたします。
続いて、子供政策に関し国民民主党から何点か提案をさせていただきますので、総理を始め各大臣の御見解をお聞かせください。
まずは、子供政策に関する予算についてです。
我が国の家族関係社会支出は対GDP比で一・六五%で、スウェーデンの三・四二%、英国の三・一九%などの欧州諸国と比較すると大きく見劣りする水準となっており、我が国の将来に関わる重大な問題だと認識をしております。
岸田総理も、今年一月二十五日の予算委員会の中で、「将来的には倍増、これはしっかり目指していきたい」と明言されております。
国民民主党は、年間五兆円の教育国債を発行し、我が国の教育基盤を根本的に強化していくことを三年前から提案しています。
教育国債について、政府内でも教育国債の実現に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
続いて、所得制限の撤廃について伺います。
高等学校等就学支援金制度には所得制限があり、子供が複数いる不支給世帯などにとっては、実質的に進学可能な選択肢を狭めている現状があります。これはほんの一例で、児童手当や障害児福祉手当などについても所得制限があり、課題があります。
子供を育成する基本的な責任は保護者にありますが、子供は育ちの場を選ぶことはできません。子供の最善の利益を重視するのであれば、子供に関する社会手当や現物給付は子供自身に対する給付と位置づけ、世帯の所得によらず全ての子供を平等に取り扱うためにも所得制限の撤廃を検討すべきと考えますが、総理のお考えを伺います。
現在、消費税財源の一部が子供、子育て支援に充てられており、保育所や放課後児童クラブなどの充実が図られています。一方、障害児施策には消費税財源が充てられておらず、例えば、医療的ケア児向けの日中一時支援事業などは、自治体による支援のばらつきも大きく、支援の少ない自治体に住む御家庭には大きな負担となっています。
今後は、障害児施策にも消費税財源を充てるなど安定財源を確保し、地域格差の是正と支援内容の拡充を図るべきと考えますが、野田大臣の御見解をお伺いいたします。
出産費用の負担は重要な問題です。
現在の制度では出産育児一時金として四十二万円を受け取れますが、国民健康保険中央会によれば、出産費用の平均値はおよそ五十一万円となっています。さらに、コロナ禍によって医療現場では経費が増大し、近年は出産費用が更に高額になる傾向があります。
全ての子育て世帯がどこに住んでいても不安なく出産できるよう、出産育児一時金の引上げをすべきと思いますが、後藤大臣の御見解を伺います。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 浅野哲議員の御質問にお答えいたします。
少子化の原因についてお尋ねがありました。
少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていると認識をしています。
その中でも、子育てや教育に係る費用負担の重さや仕事と子育ての両立の難しさがその大きな課題として挙げられており、こうした観点から、保育の受皿整備や幼児教育、保育の無償化などの支援を充実させてきたところです。また、本年四月からは、不妊治療の保険適用を開始し、妊娠、出産への支援を強化したところです。
今後、こども家庭庁の下、子供政策を我が国社会の真ん中に据えていく中で、少子化の実態把握に努め、少子化対策を効果的に進めてまいります。
子供基本法についてお尋ねがありました。
子供基本法については、与野党において検討の動きがあったことなどから、その動きを注視しつつ、政府としては、昨年末に閣議決定した基本方針において、今後の子供政策の基本理念を取りまとめるとともに、子供政策の新たな司令塔となるこども家庭庁を設置するための法案を提出することといたしました。
与野党のそれぞれの基本法案について、政府提出のこども家庭庁設置に係る法案と一括で審議されると承知をしており、子供政策の一層の充実に向け、充実した御審議を行っていただきたいと考えております。
子供のウェルビーイングの定義についてお尋ねがありました。
ウェルビーイングについては様々な定義がありますが、昨年末に閣議決定した基本方針では、全ての子供が、安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会に接することができ、自己肯定感や自己有用感を高め、幸せな状態であると捉えています。
教育国債についてお尋ねがありました。
自公政権において、これまでも、子育て世帯への支援について、安定財源を確保しつつ、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化、高等教育の無償化など様々な支援を充実させてきたところです。
子供政策に関する予算については、こども家庭庁が司令塔となって、子供の視点に立って真に必要な子供政策を考え、政策の充実にしっかりと取り組んでまいります。その際、財源については、国民各層の理解を得つつ、社会全体でどのように負担していくのかという観点から幅広く検討していくことが重要ですが、教育国債との御指摘については、安定財源の確保や財政の信認確保の観点から慎重に検討する必要があると考えております。
子供政策における所得制限の撤廃についてお尋ねがありました。
これまでも、保育の受皿整備、幼児教育、保育の無償化など、ニーズを踏まえ、優先順位をつけながら、安定財源を確保しつつ、様々な子供、子育て支援を充実させてきたところです。
その際、御指摘の高等学校等就学支援金を始めとする各制度において、所得制限を設けるかどうかは、個々の制度の目的や支援方法などに応じてそれぞれ判断されるものであると考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
〔国務大臣野田聖子君登壇〕
○国務大臣(野田聖子君) 子供のウェルビーイングの指標をどのように評価、測定するのか、加えて、子供のウェルビーイングの向上に向けた考えについてお尋ねがありました。
子供のウェルビーイングの評価、測定に当たっての観点は様々であり、その基準も必ずしも一義的に決まらないことから、一律に評価、測定することは困難であると考えています。
昨年末に閣議決定した基本方針では、今後の子供政策の基本理念として、全ての子供が、安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや、社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会に接することができ、自己肯定感や自己有用感を高め、幸せな状態で成長できるようにすることが重要であることなどを掲げています。
今後、全ての子供の健やかな成長やウェルビーイングの向上という基本理念の下、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供の視点で、子供を取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、子供の権利を保障し、子供を誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押ししてまいります。
次に、見えない課題を捉える取組についてお尋ねがありました。
昨年末に閣議決定した基本方針において、今後の子供政策の基本理念として、誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援を掲げています。
こども家庭庁では、子供や若者から直接意見を聞く仕組みや場づくりについて検討していくこととしていますが、様々な手法を組み合わせて、多様な声を聞くよう努めてまいります。
また、子供たちから意見を聞くだけでなく、子供たちの支援に直接関わる民間団体や自治体との連携強化などを通じて、潜在的な課題についてもしっかり把握し、きめ細かく対応してまいります。
次に、障害児への支援の拡充についてお尋ねがありました。
障害のある子供への支援については、地域社会への参加、包容を推進することが重要であり、認定こども園等での受入れ、質の高い障害児通所支援の提供や、認定こども園等への移行支援の強化等を進めているところです。
こうした施策の充実を図っていくためには、安定的な財源の確保が必要であり、障害児への支援を含めた子供政策に関する予算全体について、政府を挙げて、国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進めてまいります。(拍手)
〔国務大臣末松信介君登壇〕
○国務大臣(末松信介君) 浅野哲先生にお答え申し上げます。
スクールソーシャルワーカーの所管についてお尋ねがございました。
様々な課題を抱える児童生徒を早期に発見し、適切な支援につなげるためには、まず第一に、児童生徒と接する学級担任や養護教諭等が、日頃から児童生徒を丁寧に観察し、小さな予兆を捉え、相談につなげることが重要でございます。
その上で、福祉的な支援が必要な児童生徒につきましては、教職員と福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーが緊密に連携を図り、チーム学校として組織的、計画的に対応する必要がございます。
このような、学校が一体となった取組を推進する観点から、スクールソーシャルワーカーについては、学校教育を担う文部科学省が引き続き所管する必要があると考えております。
今後も、教育委員会と福祉部局の密な連携を促しつつ、チーム学校が効果的に機能するよう、教育相談体制の整備に努めてまいりたく存じます。(拍手)
〔国務大臣後藤茂之君登壇〕
○国務大臣(後藤茂之君) 浅野哲議員の御質問にお答えいたします。
出産育児一時金の引上げについてお尋ねがありました。
出産育児一時金の支給額は、公的病院における室料差額等を除いた出産費用等を勘案して定めています。
出産育児一時金の支給額については、令和二年十二月の社会保障審議会医療保険部会の取りまとめにおいて、費用増加要因の調査等により出産費用を詳細に把握した上で検討を行うこととされました。また、令和三年の骨太の方針では、出産費用の実態を踏まえて増額に向けた検討に取り組むこととされました。
このため、現在、出産費用の実態把握に向けた調査研究を実施しており、この調査研究の結果も踏まえ、出産育児一時金の支給額の検討を行ってまいります。(拍手)
―――――――――――――
○副議長(海江田万里君) 塩川鉄也君。
〔塩川鉄也君登壇〕
○塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、政府提出のこども家庭庁設置法案及び与党提出のこども基本法案について質問します。(拍手)
まず、子供の実態をどう見るか。
今、子供の貧困は約七人に一人、一人親世帯の半分が貧困状態です。二〇二〇年度では、虐待の相談件数は二十万件、不登校も二十万件、いじめの認知件数は五十一万件に上り、いずれも大幅に増加しています。十代の死因で自殺が最多を占めるのは、G7で日本だけです。
総理、子供の現状が深刻だという認識はありますか。
国連子どもの権利条約を批准してから約三十年、なぜここまで深刻なのか。政府はこれまで何をしてきたのですか。
子どもの権利委員会からも、日本の子供の社会支出がOECD平均より低いことや貧困率が高いことへの深い懸念が出されています。貧困を根絶するための適切な資源配分を求める勧告とともに、労働の規制緩和等が賃金削減、賃金格差をもたらしていると指摘されています。
また、教育については、高度に競争的な学校環境がいじめ、精神障害、不登校、中途退学、自殺を助長している可能性があるとの懸念とともに、その悪影響を回避するため学校及び教育制度を見直すよう勧告が出されています。
政府がこの勧告を放置してきたのはなぜですか。子供の権利を大きく侵害してきたという認識はありますか。
憲法は基本的人権を保障し、子どもの権利条約は、生命、生存及び発達に関する権利、子供の最善の利益、子供の意見の表明、尊重、差別の禁止の四原則を掲げています。それなのに、自民党政治が教育で行ってきたことは何か。
子供が一番長い時間を過ごす学校で、学習内容の詰め込みを強化。強制的な力によって生徒を服従させることを推奨するような生徒指導の手引を出し、管理教育を推進。子どもの権利条約の批准時には、条約に反するような九四年文部省通知を発出。安倍政権下で、全国一斉学力テストの導入など、競争、管理教育を一層強化。さらに、教育基本法を改悪して、教育への国家介入、愛国心や競争、管理教育を押しつけてきました。
憲法と四原則を放置してきただけでなく、これに逆行してきたのが自民党政治ではありませんか。こうした政治が今の深刻な事態を招いたという反省はあるのですか。
これを改めるというなら、子供の意見表明権を軽視し、理不尽な校則の温床となっている九四年文部省通知は直ちに撤回すべきではありませんか。
今こそ、憲法の基本的人権と子どもの権利条約を実現する政治への大転換が必要です。法案がそうなっているのか問いたい。
まずは、子供の権利に関わる問題です。
政府は、こども家庭庁が、子供の権利を保障し、健やかな成長を社会全体で後押しする、こどもまんなか社会を目指す司令塔としています。
では、こども家庭庁設置法案に、子どもの権利条約という文言や四原則の規定がないのはなぜですか。
こども家庭庁は、子どもの権利条約に基づくものではないのですか。権利委員会の勧告は一元的な組織を求めていますが、なぜ、こども家庭庁には教育が含まれていないのですか。
子供の権利を保障するための独立した監視機関の設置もありません。これでは、新たな縦割りをもたらすだけで、子供の権利侵害を解決することにはならないのではありませんか。
閣法と併せて出された与党提出のこども基本法案について質問します。
子供施策の基本理念に子どもの権利条約の四原則を盛り込むとしています。
それならば、なぜ、基本理念に子供の養育は家庭が基本と書き込むのですか。虐待や貧困など、家庭の中で苦しむ子供たちが少なくありません。この規定は、苦しむ子供や保護者を更に追い詰め、一層孤立させることになります。
子供を守り育てるのは社会の責任であることが憲法と子どもの権利条約の精神であり、強調されるべきは、国の責任で家庭への手厚い支援を行うことではありませんか。
こども基本法は、学校教育も包含するのですか。法案の目的に、幼児教育に関する規定はありますが、初等から高等教育の規定がないのはなぜですか。また、こども大綱に教育が含まれていないのはなぜですか。
さらに、基本理念に、教育基本法の精神にのっとり教育をとあります。この規定について、衆院法制局は、教育は教育基本法が基本であることを示すためと説明しています。子どもの権利条約と矛盾する改定教育基本法が基本ということは、つまり、小学校、中学校、高校、大学の教育では四原則は保障されないということになりはしませんか。
次に、余りに少な過ぎる子供関係予算と子供の権利を支える人の問題です。
国際的に見て最低水準の子供に対する支出を抜本的に増やすことが必要です。
例えば、野党が求めてきた給食費の無償化、医療費の無償化を行うのですか。
また、貧困に苦しむ子供や家庭に対し、児童手当や児童扶養手当の抜本拡充を行うべきではありませんか。
野党が求めてきた保育士や学童保育指導員の大幅な処遇改善を行うのですか。児童福祉の専門職員等の配置基準を改善するのですか。
非正規が増加をしている教職員は正規を基本とするのでしょうか。
予算と人の確保こそが、子供を支える活動をしている方たちの一番の願いです。これに応えず、組織を一本化するだけでは、問題の解決にはならないのではありませんか。
以上、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 塩川鉄也議員の御質問にお答えいたします。
子供の実態の認識などについてお尋ねがありました。
新型コロナの中で、少子化は更に深刻化し、また、児童虐待、いじめ、子供の貧困など、子供をめぐる課題は一段と複雑化していると認識をしております。
御指摘の勧告に関しては、貧困の状況にある子供について、児童扶養手当等の充実を始め、教育の無償化や相談支援など様々な施策を実施するとともに、教育については、学校の人的配置の充実など、多様化する子供たちに対応した個別最適な学びの実現と併せて、学校が全ての子供たちにとって安全、安心な居場所となるように取り組むなど、子供の健やかな成長等のために必要な取組を行ってまいりました。
今後も、こども家庭庁の下、子供の視点に立って、子供の権利利益の擁護を図り、子供の最善の利益を実現できるよう、政府一丸となって取り組んでまいります。
児童の権利に関する条約に関する通知など、教育の在り方についてお尋ねがありました。
平成十八年に改正した教育基本法において、例えば、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うことなどを目標に定めたとおり、政府としては、子供たちが自分自身の力で主体的によりよい社会づくりに取り組むことができるよう、生徒指導や学習指導などの各政策に取り組んできたところです。こうしたことから、競争、管理教育を押しつけてきたという御指摘は当たらないと考えています。
また、御指摘の児童の権利に関する条約に関して当時の文部省が発出した通知は、年齢や成熟の度合いによって相応に意見が考慮されるべき旨を示しているものと承知をしています。
校則の設定など学校の管理運営については、こうした考えを前提に、学校の責任と判断によって行うものであり、今後とも、子供たちの意見も適切に考慮しつつ学校運営がなされるよう、文部科学省において適切に取り組んでまいりたいと考えております。
その上で、今後は、こども家庭庁において、常に子供の視点に立って、その最善の利益を第一に考え、各省庁より一段高い立場から、子供政策を推進してまいります。
子供の権利の保障などに関するお尋ねがありました。
政府法案においては、こども家庭庁の任務において、子供の年齢及び発達の程度に応じ、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮するなど、児童の権利に関する条約やその四原則の趣旨を踏まえた内容としております。
子供政策については、様々な省庁が関わっており、全ての子供に関する施策の所管を一元化することは合理的ではありません。教育など学びに係る行政については、児童福祉など育ちに係る行政と相互に関連する側面があるものの、それぞれの目的を追求する中で専門性を高めつつ、相互にしっかり調整し、密接に連携する方が、政府全体としての施策の充実、質の向上になると考えております。
子供の権利を保障するための独立した監視機関については、与野党において様々な議論や提案がなされていると承知しており、その議論を注視してまいりますが、こども家庭庁が、子供の視点に立って、有識者の意見も踏まえつつ、子供の最善の利益を実現できるよう、各省庁より一段高い立場から、しっかりと取り組んでまいります。
子供政策に関する予算の確保と子供政策の充実等についてお尋ねがありました。
子供政策に関する予算については、これまでも、安定財源を確保しつつ、様々な子育て、教育支援を充実させてきたところですが、今後とも、こども家庭庁において、真に必要な子供政策を充実してまいります。
御指摘の学校給食費の無償化や子供の医療費については、各自治体において、地域の事情に応じて御検討いただくことがふさわしいと考えております。
児童手当については、従来から、多子世帯や子供の年齢に応じた拡充、重点化が必要との指摘があり、昨年の改正法の検討規定に沿って、子供政策全体の中で検討を行っていくべき事項であると考えております。また、児童扶養手当については、これまで累次の改善等を実施してきたところですが、更なる拡充については、安定財源と併せて、その必要性を含め、慎重な検討が必要であると考えております。
保育所や放課後児童クラブなどの現場で働く方々については、収入を三%程度引き上げるための措置を本年二月から実施しているところです。また、児童福祉の専門職員等の配置基準については、児童養護施設の職員配置基準の加算により支援体制を強化するなどの取組を実施しております。
教職員をどのような形態で任用するかは任命権者である教育委員会が判断するものですが、安定的に学校教育を実施していくためには、計画的な正規教員の任用が基本であると考えております。(拍手)
〔木原稔君登壇〕
○木原稔君 塩川議員にお答えいたします。
こども基本法案の基本理念と児童の権利に関する条約との関係について御質問をいただきました。
まず、まさしく、御指摘いただきました児童の権利に関する条約は、その前文において、家族が児童の成長及び福祉のための自然な環境であるとうたっていることをまず確認したいと思います。
こども基本法案においても、これと同様に、子供の養育は家庭を基本として行われるとの認識を明記しております。
そして、この条約では、前文を受けて、十八条一項において、父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有すると定め、二項においては、締約国は、これらの者に対して適当な援助を与えるものとされております。
こども基本法案においても、これと同様に、父母その他の保護者が第一義的責任を有するとの認識の下、これらの者に対して子供の養育に関し十分な支援を行うと定めております。
なお、御指摘の虐待や貧困に苦しむ子供たちについても、条約の二十条一項では、家庭環境を奪われた児童等に対し、国が与える特別の保護を受ける権利を定めています。
法案の基本理念もまた、家庭での養育が困難な子供にはできる限り家庭と同様の養育環境を確保すると定めております。
以上のように、御指摘のこども基本法案三条五号についても、児童の権利に関する条約にのっとったものになっており、この理念の下で国の施策を推進されることになると考えております。
次に、こども基本法案に教育に関する事項が含まれるかについて御質問いただきました。
教育施策も、定義上、子供施策に該当しますが、教育施策は憲法と教育基本法を頂点とする教育法体系の下で行われるものであることから、学校教育の内容に踏み込んだ規定をこども基本法案において設けることはしませんでした。
これは、こども大綱の内容についても同様ですが、既存の子ども・若者育成支援推進大綱に記載のある教育支援策などについては、こども大綱の下でも推進されるものと考えております。
また、目的規定に生涯にわたる人格形成の基礎という文言があり、これは幼児期の教育について定めた教育基本法十一条と共通するものでありますが、この文言は、子供の時期の重要性を定めたものであり、幼児教育についてだけ特別の規定を置いたものではないとの理解であります。
終わります。(拍手)
○副議長(海江田万里君) この際、提出者城井崇君から、森山浩行君の質疑に対する答弁を補足したいとの申出があります。これを許します。提出者城井崇君。
〔城井崇君登壇〕
○城井崇君 森山浩行議員からの質問に対し、子供コミッショナーを設置する意義、そして、子ども省との連携、役割の違いについてのお尋ねへの補充答弁を申し上げます。
立憲民主党案に明記した子どもの権利擁護委員会、いわゆる子供コミッショナーは、子供の権利の擁護について、政府が講じる施策により十分に子供の権利が擁護されないケースを想定し、政府から独立した立場から、子供の権利の擁護の状況を調査、チェックするとともに、必要に応じて政府に対して提言、勧告を行うことができる機関が必要であると考え、設置することとしたものです。
この子供コミッショナーは、その設立の意義を踏まえると、政府からの独立性を有し、特定の思想信条などに影響されないように、客観性、公正性、透明性が確保された組織でなくてはなりません。そのため、子供コミッショナーは、いわゆる三条委員会として内閣府に設置されるとともに、独立性等を担保する規定も設けています。
子ども省との連携については、子ども省がいわば政府の中で子供政策を一元的に担う省として子供施策を総合的に推進していくのに対し、子供コミッショナーは、政府から独立性を有する三条委員会として、いわば政府の外から子供の権利擁護、子供施策の実施状況等についての実態の調査及び情報収集等の事務を行うことで、子供の権利を擁護することが期待されます。
また、子供コミッショナーは、いじめなどの重大な子供の権利侵害事案の発生が疑われる場合には、透明性、中立性、第三者性を確保しながら、教育委員会や学校法人等を含め、その対象を限定することなく、強力な権限を行使して、独自に原因究明のための調査を行い得ることとされています。この調査結果に基づき、同種事案の発生防止のための諸施策について勧告等を行うのも任務に含まれています。
以上でございます。(拍手)
○副議長(海江田万里君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(海江田万里君) 本日は、これにて散会いたします。
午後四時十三分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 岸田 文雄君
文部科学大臣 末松 信介君
厚生労働大臣 後藤 茂之君
国務大臣 二之湯 智君
国務大臣 野田 聖子君
出席内閣官房副長官及び副大臣
内閣官房副長官 木原 誠二君
内閣府副大臣 赤池 誠章君