衆議院

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第32号 令和4年6月9日(木曜日)

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令和四年六月九日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二十七号

  令和四年六月九日

    午後一時開議

 第一 自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

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本日の会議に付した案件

 衆議院議長細田博之君不信任決議案(馬淵澄夫君外二名提出)

 岸田内閣不信任決議案(西村智奈美君外二名提出)

 情報監視審査会会長の情報監視審査会令和三年年次報告書についての発言

 日程第一 自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)


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    午後一時二分開議

副議長(海江田万里君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

山田賢司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 馬淵澄夫君外二名提出、衆議院議長細田博之君不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

副議長(海江田万里君) 山田賢司君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(海江田万里君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 衆議院議長細田博之君不信任決議案(馬淵澄夫君外二名提出)

副議長(海江田万里君) 衆議院議長細田博之君不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。岡本あき子さん。

    ―――――――――――――

 衆議院議長細田博之君不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔岡本あき子君登壇〕

岡本あき子君 立憲民主党・無所属の岡本あき子です。(拍手)

 初めに、ロシアのウクライナ侵略に対し、犠牲になられた方々に哀悼の誠をささげます。

 ロシアによる深刻な人権侵害を強く非難するとともに、必要な制裁を強化し、武力攻撃のいっときも早い停止を求めます。

 また、国内外で頻繁に発生する自然災害、事故、事件や感染症により命を失った全ての方の御冥福をお祈り申し上げます。

 さて、私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました細田博之衆議院議長不信任決議案について、提案理由を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

  本院は、衆議院議長細田博之君を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

 以下、その理由を申し述べます。

 言うまでもなく、憲法第四十一条に定めるとおり、国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関です。また、議長は、その最高責任者として、国会法第十九条に定めるとおり、議院の秩序を保持し、議事を整理し、議院の事務を監督し、議院を代表する立場にあります。

 細田博之議長は、昨年十一月十日、議長就任に際して、「その職責の重大さを痛感しております。」「議会制民主主義の本旨にのっとり、議院の公正円満な運営に全力を傾注いたしますとともに、国民の皆様の期待と信頼に応えるべく最善の努力をいたす所存であります。」と決意を述べました。

 しかし、細田議長は、その言葉とは裏腹に、国権の最高機関たる衆議院議長として、民主主義の根幹を揺るがす言動を度々繰り返しており、議長に最も不適切な人物です。

 具体的に理由を申し述べます。

 理由の第一は、衆議院議長は立法府を代表する立場にありながら、民主主義の根幹たる一票の格差是正の意義を全く理解していないことです。

 報道によれば、細田議長は、就任して一か月もたたない昨年十一月三十日、自民党の高木国対委員長に、十増十減の増減規模縮小を含めた議論を始めるように求め、その後も、自民党衆議院議員の政治資金パーティーで、地方を減らして都会を増やすだけが能じゃない、地方いじめだと批判したといいます。

 与党がアダムズ方式の採用に踏み切ったのは、最高裁判所が当時の衆議院小選挙区間の人口格差について三度にわたり違憲状態との大法廷判決を出したことから、違憲状態の解消に向けて、一票の格差是正措置を講ずることが喫緊の課題になっていたための決断だったと考えます。また、この違憲状態解消に向けて、二〇一四年、平成二十六年六月十九日の衆議院議院運営委員会の議決に基づいて議長の下に設置された諮問機関、衆議院選挙制度に関する調査会の答申がこのアダムズ方式の導入を提唱したからです。しかも、与党が提出した改正法案の筆頭提出者は、ほかでもない、細田博之議員御本人なのです。

 こうした衆議院での真摯な議論の積み重ねの上に導入されたアダムズ方式に基づく一票の格差是正の取組について、あろうことか、地方いじめと歪曲し、自らが旗振りしてきたにもかかわらず、この期に及んで、区割り変更を心ない政治と放言する有様です。

 国会が国権の最高機関たることを憲法によって定められているのは、国民が投ずるその一票が全て平等の価値を有するがゆえであることは論をまちません。議長という要職にありながら、これを阻止しようとするその姿勢は、まさに投票価値の不平等を意図的に放置することを意味します。今回の細田議長の発言や姿勢は、党利党略で選挙区を改悪せしめる米国のゲリマンダーならぬ令和日本の細マンダーであり、一票を軽んじる者は民主主義国家全体を軽んじる者であります。

 そのような人物が衆議院議長でいることは、まさに民主主義の危機です。

 理由の第二は、選挙制度、議員定数に関する不適切な発言です。

 細田議長は、五月十日にあった自民党議員の政治資金パーティーで、議長になっても毎月もらう歳費は百万円しかない、百万円未満の議員を多少増やしても罰は当たらない、上場会社の社長は必ず一億円もらうなどと述べて、国会議員の定数増を主張したと報道されているものです。

 歳費百万円未満だから議員定数を多少増やしても罰は当たらないなどというような感覚は、コロナ禍や物価高に苦しむ庶民の生活感覚からは、全く受け入れ難いものと言わなければなりません。このような細田議員に、この先、衆議院議長として、国民の信頼を得ながら公正公平な議会運営を任せることは到底できません。

 くしくも、日銀の黒田総裁も、家計の値上げ許容度も高まっていると発言をし、庶民感覚とのずれから、多くの批判を浴びています。値段が上がっても必需品は買わざるを得ず、許容ではなく諦めなのです。平均貯蓄額以下の世帯は三分の二です。勤労世代の負債現在高も増えていることや、貯蓄がない家庭が依然として一番高い層となっていることに目を配ることもせず、物価上昇を好機と捉えるとは、国民生活実感と全くかけ離れた、一部の分析を支持する無神経な発言でした。

 国会は、生活者の立場に立ち、このような国民生活の実態とずれた課題認識を指摘し、先を見据えた政策の必要性や修正、立法をするのが使命です。そのトップに議長は位置しているのです。

 一方で、三十六万円の政治資金を受け取ったにもかかわらず政治資金収支報告書に記載していないことが明るみに出ており、これは政治資金規正法違反の疑いもあり、国民の更なる失望を買うなど、立法府の長として、その金銭感覚は余りにもお粗末です。

 現下の終わらないコロナ禍、ロシアによるウクライナ侵略に発する急激な資源高、物価高により、国民生活は急速に厳しくなっています。議長の発言や政治資金の不適切な処理は、これら窮乏する一般国民の現状を顧みず、その心を踏みつけるものです。

 議長が今なすべきことは、議員の歳費が少ないと触れ回るよりも、御自身が自ら常に国民生活の実態に敏感であるよう心がけることです。

 理由の第三は、まさに本日報道されている細田議長の公職選挙法違反の疑いです。

 細田氏は、島根一区に在住する市議と町議十一名に、衆議院選挙の公示日だった十月十九日付で、計六万七千五百円の労務費を払っていた、地方議員の方が、報道では、選挙運動に関わっていながら、労務費も受け取っていたという内容です。

 公職選挙法を所管する総務省に伺ったところ、選挙関係実例判例集によると、選挙運動に従事する者が同日内に労務や車上運動した場合、報酬を支給することはできないとのことです。

 今回の報道では、ポスター貼りの対価を受け取る一方で、まさにこの日に選挙運動をしていたことも記事となっています。これが事実であれば、公選法違反、買収の可能性が極めて高いと言わざるを得ません。

 また、労務費支給対象の中に地方議員が含まれていることも問題になっています。地方議員は、国政選挙などの際は、所属政党の候補者のための選挙運動の先頭に立つことは当然です。選挙体制の中で、総括主宰者や地域主宰者、組織的選挙運動管理者等になることも十分あり得ますし、そうでなくても、一般的に、初日から投票箱の蓋が閉まるまで、全力で選挙運動することを前提としているのではありませんか。

 我が党の所属議員で、選挙期間中に、この日は選挙運動をしませんなどということなど許されるはずがありません。自民党の場合は、公示日午前中にポスター貼りをして労務費をもらい、午後からは運動をしないということを認める党であるということなんでしょうか。

 日本国憲法の前文にも、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」とあり、まさに、正当な選挙が行われることが、日本の政治の大前提である民主主義の根幹です。

 今回の報道が事実で、一日の中でも、特例で、報酬を得て労務する時間と無償で選挙運動する時間を分けることが法的にも認められるのならば、あえて労務を頼み、労務費を支払いつつ、選挙運動もしていただくことが可能となり、選挙の在り方そのものを根底から覆す衝撃となります。

 民主主義の根幹たる選挙においても不正を働いていたとなれば、議長どころか議員の職を辞するべき事態です。

 理由の最後は、細田議長のセクハラ疑惑問題です。

 五月十九日に、細田議長のセクハラ問題が報じられました。女性記者が細田議長に、添い寝したら教えてあげると言われたり、深夜に電話で今から来ないかと誘われたりしたと、驚くべき報道がされたのです。議院を代表する者として議院の秩序と品位を保持していただく議長が、数々のセクハラ行為を行い、圧力もかけたと報じられることは前代未聞です。

 事の重大さを鑑みて、最初に報道された五月十九日に、野党四党の国対委員長、具体的には、立憲民主党の馬淵委員長、日本維新の会の遠藤委員長、日本共産党の穀田委員長、国民民主党の古川委員長が、自由民主党の高木国対委員長に対して、このような報道に対する説明、真偽も含めた説明を細田議長から議運の場で行っていただきたいと申し入れるため、与野党国対委員長会談の開催を求めました。しかし、高木委員長からは、開催は難しいと受け入れていただけず、その代わりに、高木委員長から議運の山口委員長に伝えるという返事でした。自民党の高木委員長が主導して議長が説明できる場をつくることをこの日以来待ち続けましたが、細田議長と与党が拒否しているために、議長による説明がいまだなされていません。

 議運での説明だけでなく、記者会見も開かず、説明責任を一切果たしておりません。たった二つの文書を提示しただけです。細田博之事務所又は個人名で出しただけです。しかし、セクハラを報じた週刊誌は、その日のうちに、記事は、セクハラに関する多数の当事者の証言や証拠に基づくもので十分自信を持っています、細田議長は、国権の最高機関の長として、自らの言動を検証し、真摯に説明されることを期待しておりますと反論しました。

 やはり、細田議長は、逃げたり隠蔽したりせず、国会や記者会見という公の場で、御本人の口からきちんと説明をしていただくことが問題を解決する一番の近道だと思いますが、いかがでしょうか。

 本来、議長がなすべきは、自分の不都合を隠蔽するのではなく、時の総理や閣僚、政府が行ってきた政府資料の隠蔽や改ざん、破棄、虚偽答弁などに対して、三権分立の一つ、立法府の長として、矜持を持って政府、内閣に向き合うことであり、疑念のある者へは、説明責任を求めるなり、事実を明らかにするよう求めるなど、行政監視機能の役割を果たす国会の機能強化を率先して進めることです。ましてや、自らに課せられた、疑念に対する説明責任を果たさず、時が過ぎるのを待つだけの議長は、立法府の矜持、品格をおとしめるほかありません。

 私は、立憲民主党でジェンダー平等推進本部長代行を務めております。このような事態に発展するに至り、看過することができず、細田議長御本人に会って申入れをしました。六月三日に、立憲民主党、日本共産党、社会民主党のジェンダー担当の連名で、衆議院議長公邸において、細田議長に対して、「細田博之衆議院議長のセクハラ発言問題に対する申し入れ」という文書を手渡して、会期中速やかに事実関係を明らかにするよう求めました。

 内容は、主に、「昨年、「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」においてセクハラ防止を追加改正するなど、与野党の垣根を超えてジェンダー平等推進にさらに取り組むなか、三権の長にもかかわらず、セクハラ疑惑報道により立法府の権威を貶め、政治への不信を招いたことは誠に遺憾である。 セクシャルハラスメントは、人権を傷つけ、個人の尊厳の侵害となる決して許されない行為であり、疑惑を持たれている細田議長には報道について、速やかに事実関係を明らかにするとともに、自らの言動についての責任を明確にするよう求める。」というものです。

 加えて、私たちは、会期中に事実を明らかにしていただきたいと再三説明を求めましたが、これについても回答がございませんでした。

 やはり議長の資質に対しても疑念を抱かざるを得ない結果になり、本当に残念でなりません。

 さて、この異常な事態を解決する方法は三つあると思います。

 一つは、再三申し上げているとおり、細田議長御自身が公の場で身の潔白を証明することでした。議院運営委員会理事会においても、我が党の青柳陽一郎野党筆頭理事が、馬淵国対委員長と同様に何度も求めましたが、議長、議運委員長、自民党理事らは、全く聞く耳を持たず、一切応じてきませんでした。

 二つ目の解決方法として、今回のように議長不信任案を提出し、賛成多数で可決することです。

 三つ目の解決方法は、自由民主党が自浄作用を発揮することです。

 三つ目の自民党の自浄作用について、五月二十七日に開かれた予算委員会の場において、我が党の大串博志予算委員会野党筆頭理事が、自由民主党総裁の岸田首相に質問しました。

 「総理としてではなくて自民党の総裁として、自民党の議院運営委員会の皆さんに、細田議長からきちんとその場で事実関係を説明していただくよう指導、指示をしていただきたい。いかがでしょうか。」これに対し、岸田総理の答弁は、「私は行政府の長という立場でもありますので、その立場から立法府の在り方について、立法府の議長の発言についてコメントすることは控えなければならないと思います。」と。

 また、党内でセクハラの疑念が生じているにもかかわらず、自民党内では調査もせず、総裁に対して報告は全く行っていないことも岸田首相の答弁で明らかになりました。

 無責任極まりない答弁です。細田議長本人がこの問題を議員個人の問題として対応しているなら、なおさら、自民党に所属する国会議員として、その組織のトップである岸田総裁が責任を負い行動するべきです。

 自民党は、五月三十一日、このタイミングで党のガバナンスコードを発表いたしました。党として、社会に対する透明性と説明責任を担保し、国民の信頼を確保、増進していくためだそうです。

 このガバナンスコードのうち、原則二―三で、世代、ジェンダーにかかわらず、その能力や属性に応じて活躍できる組織風土を醸成、深化するとうたいました。セクハラの疑念解決はど真ん中です。早速実行してください。

 原則五―三で、政治資金の取扱い等に関するコンプライアンス上の疑義があった場合には、政治資金規正法及び政党助成法等の趣旨にのっとり、疑念を持たれた議員は、国民に対して丁寧な説明を行うと明記されております。その中に、選挙運動収支報告書、政治資金収支報告書も含まれるのではないですか。

 今まさに、これを遵守して、疑念を持たれている細田議員に国民に対する丁寧な説明を促す、そのときではないでしょうか。自民党がガバナンスコードを公表して十日もたたないうちに、まさか絵に描いた餅になることがないよう願います。

 国会においては、細田議長も大いに関係していますが、先月、議院運営委員会において、衆議院議員全員を対象に、IPU、列国議会同盟ジェンダー自己評価のアンケートが実施されました。議会運営におけるジェンダー平等を点検するものです。

 立憲民主党会派所属の九十七名の議員は九十七名全員がアンケート回答を提出し、回答率は一〇〇%です。後半、自民党さんの提出率も伸ばしていただき、全衆議院議員で、合計約八〇%の回答率となりました。細田議長は、御自身が過去に男女共同参画担当大臣も務め、ジェンダーの課題を十分知っていると私たちにおっしゃってくださっているのですから、間違いなく御回答いただいたものと信じております。

 むしろ、細田議長自ら、このIPUのアンケート結果を速やかに分析し、昨年改正した政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の、政治家のセクハラやパワハラを防止する環境整備や、雇用関係におけるセクハラ防止に努めること、政策立案にもジェンダー視点を取り入れることなど、衆議院の運営、制度、法案審議などにジェンダー平等の視点で改革を行うリーダーシップを示すべきですが、その意欲も全く見えない点も議長の資質に疑問を抱かざるを得ません。

 新聞各紙も、細田議長の問題について説明責任を果たすよう、社説で主張しています。幾つか御紹介します。

 五月二十八日の朝日新聞。「細田氏の言動 衆院議長の資質欠く」というタイトルで、「説明責任を果たそうとしない。これでは、議長の資質に欠けるというほかなく、国会に対する国民の信頼をも損ないかねない。」「疑惑をもたれた国会議員は、国民の前で、自ら進んで丁寧に答える責務がある。議長として、範を示すことなく、あと二週間余りで会期末を迎える今国会を、このままやり過ごそうというのなら不誠実だ。」「公正中立な議会運営の要である、議長への信頼が揺らいでいる現状は放置できない。立法府全体として、細田氏に責任ある対応を求めねばならない。とりわけ自民党の責任は重い。」

 続いて、五月三十日の産経新聞。「セクハラ疑惑 議長は身の処し方考えよ」とのタイトルで、「三権の長であり、議事運営に最高の責任を持つ衆院議長としての資質を疑わざるを得ない。 女性記者らへのセクハラ疑惑が浮上した細田博之氏のことだ。事実ならその立場を顧みない振る舞いにあきれる。 ことは女性の尊厳に関わる問題だ。事実関係をうやむやにしたままの幕引きは許されない。やましいところがないのであれば、まずは記者会見を開き、公人として当然の説明責任を果たすべきである。」「国会議員の進退は自らが決めることである。だが、説明責任を果たせず潔白を証明できないというのであれば、細田氏は身の処し方を考えるべきではないか。」産経新聞です。

 さらに、六月四日の東京新聞。「細田氏の言動 議長としての資質疑う」として、「細田氏が一連の発言を撤回せず、セクハラ報道についても説明を拒んでいる以上、立憲民主党が議長不信任決議案を提出する方針を固めたのは当然だ。自民、公明の与党が数の力で決議案を否決すれば、細田氏の言動を容認することになると心得るべきだ。」などです。

 このように、各紙からそろって、議長の資質が疑われているのです。議長は記者会見などで説明責任を果たすべきであり、そうさせない首相や自民党にも責任があると論じています。

 国会は、諸外国との国際協調や危機管理などの協力、議会間交流や外交を通じて、相互理解と協力を深める役割を担っており、衆議院議長はその責任者でもあります。国会会期が終わるまで、説明責任を果たさず、疑念から逃げる姿勢の議長を、国際社会からはどう評価されるでしょうか。

 議場内にいる全ての皆さんに問いたいです。これだけ疑念が残り、事実関係の確認も、説明責任も果たさず、反省も改善もないままでよいのでしょうか。疑念を残したまま、見て見ぬふりをし、議院を代表する立場を続けていただいてもよいのでしょうか。

 セクハラ問題は人権問題でもあります。弱い立場にありながら、セクハラを受けながら、頑張って取材をしている女性記者を助けてください。

 私も周りの記者に聞いたところ、報道されていることはおおむね事実だと教えてくれました。取材は、さしになってこそ評価される世界。そのため、無理を言われても我慢せざるを得ない状況が実際にある。特に政治は、圧倒的に力関係があるため、名のりも社名も難しい。でも、これからの後輩女性記者に、理不尽だけれども我慢しろと伝えないとならないと思うとつらいと話してくれました。

 今、この女性記者たちの環境を改善することが、日本中でセクハラを始めとするあらゆるハラスメントを受けている弱い立場の方々を救うことにつながります。日本は、セクハラ、パワハラ問題を始めとする人権問題を放置せず、きちんと対処する国であると諸外国に対して示すことができる機会です。

 各党の皆さんは、党の縛りがあるでしょう。反対票を投じるように言われているかもしれません。でも、特に、日頃からジェンダー問題に取り組んでおられる議員の方に、個人の良心に従って、この不信任決議案に賛成票を投じてくださいと改めてお願いします。

 国政を担う者としての品格と矜持を全国会議員が持っています。そのトップである議長たるものが、民主主義の一票の格差を軽んじ、経済困窮に苦しむ国民の気持ちを軽んじ、人権を軽んじ、説明責任を果たさず、民主主義の根幹を揺るがせている今、国会の権威は地に落ちています。党派を超えて、私たち一人一人が国民の信託を受けている自負と誇りを持ち、不信任決議案に賛成の御判断をいただくよう求めるものです。

 これが、衆議院議長細田博之君を信任せずの決議案を提出する理由です。

 重ねて、御賛同をよろしくお願い申し上げます。

 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

副議長(海江田万里君) 討論の通告があります。順次これを許します。丹羽秀樹君。

    〔丹羽秀樹君登壇〕

丹羽秀樹君 自由民主党の丹羽秀樹です。

 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました衆議院議長細田博之君の不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)

 細田議長は、これまで、各党各会派の主張に誠心誠意耳を傾け、公正かつ円満な国会運営を行うべく、最大限の努力を続けてこられました。国民の負託に応える立法府の在り方を念頭に、丁寧で充実した法案審査を進められるよう心血を注いできた姿勢は、多くの同僚議員諸君の認めるところであります。

 しかるに、この度の週刊誌報道に便乗した不信任決議案は、全く理解に苦しみます。決議案を提出するには、誰もがそうだと認めるような著しく適正を欠いた議会運営を行うなど、明確な理由が必要でありますが、果たして、議長は、不信任に値するほど逸脱したような議会運営をなされたでしょうか。

 決議案が単独会派での提出ということから見ても、全く賛同を得られていないことが明らかではありますが、むしろ非難されるべきは、会期末が迫る今頃になって、貴重な時間を法案審査よりも不信任に費やそうとする立憲民主党の皆さんの対応なのであります。

 週刊誌報道については、議長御自身が明確に、事実無根であると断言しています。選挙制度をめぐる発言については、議院運営委員会理事会において、更に気をつけるとの話が議長からあったことを山口議院運営委員長が報告しておられます。いずれも議長御本人の言葉が伝えられたもので、説明責任を果たしていないとする野党の主張は当たりません。

 もとより、立法府は、後世の歴史の評価に堪え得るべく真摯な議論を繰り返し、間違いのない決断を下すことで国民の負託に応えていくという大切な使命を帯びております。しかし、決議案の提出によって議論を寸断する一部野党諸君の残念な行為によって、立法府としての責務を放棄していると国民から指弾されかねないような議会の停滞が生み出されているわけであります。

 御承知のとおり、今、世界は未曽有の危機にあります。我が国にとって、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した国際情勢の急激な変化、原油や穀物等の価格や供給の不安定化による物価高、新型コロナウイルス感染症による国民生活への影響など、的確かつ速やかに対処すべき諸課題は山積しております。

 かかる状況において、多くの課題に適時適切に取り組んでいかなければならないとき、週刊誌情報を基にして議会の機能を止めている場合でありましょうか。我々に課せられた役割は、立法府という言葉が示すとおり、国家国民のために政策を議論し、より適切な法律を作っていくことであります。限りある時間は、もっと有益に使うべきです。

 このような状況において、良識を持ち、人格高潔にして温厚と言われている細田議長に対し不信任決議案を突きつけるのみならず、議会を停滞に陥れる行為は言語道断であり、我々は、決してこれを容認することはできません。

 常に中立公平な立場から職責を果たしている細田議長の議会運営を高く評価し、本決議案が直ちに否決されるべきであると申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)

副議長(海江田万里君) 吉田はるみさん。

    〔吉田はるみ君登壇〕

吉田はるみ君 立憲民主党の吉田はるみです。

 私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました衆議院議長細田博之君不信任決議案について、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 国会は国権の最高機関であって、また、議長は、その最高責任者として、国会法第十九条に定めるとおり、議院の秩序を保持し、議事を整理し、議院の事務を監督し、議院を代表する立場にあります。

 しかし……(発言する者あり)はい、繰り返します。

 細田議長は、議院の秩序を保持するどころか、度重なる失言、うんざりするほどの疑惑報道の連続で、秩序を乱し、そして、自らの議長不信任決議案が提出されたことにより議事を整理する役割もままならず、議長自らが憲法や国会法を軽んじる愚行を重ねております。

 我々の院の威厳を回復するため、ここに議長不信任決議案に賛成する理由を述べたいと思います。

 まず第一に、議会が決めた法案を議長として公然と批判し、国会の権威を著しくおとしめる点です。

 二〇一六年に国会で成立したいわゆる衆議院小選挙区定数の十増十減について、細田議長は反対意見を公言し続けてきました。これらの議長の発言の問題点については、この院に集う誰しもが痛感しているものと思いますが、ここはあえて歴代議長からの言葉を紹介することで指摘に代えたいと思います。

 まず、伊吹文明元衆議院議長は、本件に関し、議会が決めた法案を公然と批判してしまったら国会の権威は丸潰れだと述べられております。

 また、大島理森前衆議院議長は、アダムズ方式は与野党で真摯な議論を経て結論を出したものと強調した上で、深く考え、是非尊重してほしいと述べられています。

 大島前議長が述べられている歴史的な経緯を全く御存じない方ならいざ知らず、細田議長は、当時の法案の筆頭提出者であり、議論をリードしてきた当事者であります。この結論に至るまでの経緯をお忘れになったのかもしれませんが、この点一つを取ってみても、このまま議長を任せ続けることは適当ではなく、立法府の長としてはふさわしくないことは明らかです。

 第二の理由は、議長の感覚が国民感情から著しくかけ離れている点です。

 細田議長は、十増十減発言の余韻冷めやらぬうちに、今度は以下のような発言をしました。議員を減らせばよいかどうか考えた方がいい、一人当たり月額百万円未満であるような手取りだ、多少増やしても罰は当たらない。

 この発言は、迫りくる物価高に雇用や年金の不安が重なり、生活不安を抱えながら一生懸命に生活している国民の現状をまるで理解しておりません。大企業の社長を引き合いに出して持論を続けたようですが、何ら説得力もなく、ただひたすらに国民を失望させる結果となりました。このような発言をした方が引き続き議長の座にとどまることは、院全体でこの発言を容認していると捉えられかねず、細田議長の解任を求めるものです。

 第三の理由は、自らが長たる衆議院に対し正面から向き合わない、不誠実な点です。

 週刊誌が細田議長からセクハラを受けた女性たちの告発を次々と報じましたが、それら一つ一つはおよそ聞くに堪えないものです。ここでその実例を挙げたいところですが、それもはばかられるような言葉です。

 単なる失言、セクハラ問題と片づけないでください。この問題の本質は、人権や尊厳の問題であり、同時に、日本の議会の在り方であり、権力や地位の高い人が弱い立場にある人の声をかき消してしまう社会の問題です。

 疑惑が本当だとしたら、女性記者は本当に苦悩されたと思います。地位の高い人からの再三の電話のお誘い、どう断ろうかと悩み、電話の着信音が恐怖だったと思います。会社や同僚に迷惑をおかけしてしまうだろうか、それなら自分一人が我慢すればいいのかと苦しかったと思います。自民党職員の女性も、触られたくらいで一々騒いで、冗談の通じない女だくらいのことを言われているんでしょうか。同じ女性として、無念です。看過できません。

 もちろん、これらの週刊誌報道をもって、直ちにセクハラ行為があったと断定するものではありません。ただ、このような報道が続くことについて、議長が説明責任を果たすべきは当然のことではないでしょうか。しかし、細田議長は、いまだ説明責任を全く果たしておりません。このような不誠実な対応を続けてきた細田議長は、これ以上、議長にとどまるべきではないと考えます。

 第四の理由は、議長の資質どころか、国会議員としての資質が問われる事態を招いている点です。

 もはや常設コーナーでも設けられているかのように、毎週新たな疑惑が報じられている細田議長ですが、とうとう選挙違反、運動員買収という、議長はおろか、議員であることの正当性すら疑われる報道がなされました。

 細田議長は、昨年行われた総選挙に際し、地方議員にお金を配ったことや、受け取った地方議員が選挙運動をしていたことなどが、いつ、どこで、誰が、どういった、事実関係を基に詳細が報じられました。運動員買収という公職選挙法違反は、過去に議員辞職に至った例が複数あるなど、選挙という民主主義の根幹を揺るがす重大な問題です。

 参議院選挙が間近に迫る中、細田議長が疑惑について身の潔白を早期に説明することができなければ、公明適正な選挙をゆがめることにもなりかねず、議長の職はおろか、議員としてもその職にとどまることの是非が問われます。

 もし、今後、具体的に指摘されたこれらの疑惑について司法から責任を問われることになれば、我々の院の権威と信任は地に落ちます。この点も、細田議長がこれ以上議長にとどまるべきではない大きな理由となっています。

 最後に、細田議長に対し議長不信任案を提出することは政治的なパフォーマンスだと批判する声があります。その批判は、逆に、今行われた討論をした方にこそ向けられるべきものだと考えます。なぜなら、その討論は、ただ単に与党であるから議長を守らなければならないという、恐らく、自ら志願したわけでもなく、役回りとして押しつけられ、一見威勢よくも、内心渋々述べられているものと予想されるからです。その意味で、討論させられる討論者にはかすかな同情すら抱きます。

 これから日本維新の会も反対討論を行うようですが、幻滅です。是々非々の党、民主主義を大切にする党ではなかったのでしょうか。

 たとえ乾いた雑巾を絞るかのように細田議長の正当性を訴えようにも、この議会で決めたことを公然と批判し、議会の権威をおとしめ、国民感覚から大きくずれた金銭感覚をさらけ出し、耳を塞ぎたくなるようなセクハラや強制わいせつの疑いが報じられ、挙げ句の果てに運動員買収の疑惑まで持ち出された細田議長の前では、何ら効力を持ちません。

 以上述べてきたとおり、歴史上、今まで提出されてきた議長不信任案の中においても、最も議長としての資質が問われる細田議長に対する不信任案への賛成理由を述べさせていただきました。

副議長(海江田万里君) 吉田はるみさん、申合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡略にお願いいたします。

吉田はるみ君(続) この場に集う国民の代表たる議員の皆様が、これから選挙区に戻って、何があっても細田議長は議長にふさわしい人だと一点の曇りもなく有権者や支援団体の方に伝えられるのであれば、反対票を投じてください。

副議長(海江田万里君) 吉田はるみさん、申合せの時間が過ぎています。

吉田はるみ君(続) 良心と責任に従って賛成してくださることを願い、討論を終わります。(拍手)

副議長(海江田万里君) 山本剛正君。

    〔山本剛正君登壇〕

山本剛正君 日本維新の会の山本剛正です。

 衆議院議長細田博之君不信任決議案に対して、会派を代表して討論いたします。(拍手)

 全会一致の慣例により、我々日本維新の会も、さきの衆議院議長選挙において、投票用紙に細田博之と記入いたしました。すなわち、我々も、細田博之議長に投票した会派でございます。残念ながら、その我々の期待は裏切られ、細田議長の一連の発言には、その資質に疑問がつくだけにとどまらず、本当に投票してもよかったのかと後悔すら覚える次第であります。

 細田議長は、議長という立場にありながら、自民党所属議員の政治資金パーティーにおいて、自民党主導で、すなわち御自身も賛成して成立させた議員定数十増十減法案を否定する、極めて政治的な発言をされました。それだけでは飽き足らず、逆に議員定数を増やすべきだと、議長自らが決まったことをひっくり返そうとする、常識では全く考えられない主張をされました。

 さらに、一人当たり月給で手取り百万未満の議員を多少増やしても罰が当たらないとか、議長になっても毎月もらう歳費は百万円しかないとか、国民感覚からかけ離れた発言を連発しています。

 細田議長御自身のホームページには、私たちはもっと国民の声を肌で感じるよう努力をしなければなりませんと書かれています。しかし、国民の声を肌で感じる努力を本当にしているならば、一連の発言が口から出てくるはずがありません。

 国会では、相変わらず、いわゆる文通費、旧文書通信交通滞在費の領収書公開すら決断されず、議員特権にあぐらをかいている状態です。そんな中で放たれた、細田議長の、国会議員はもっと増やすべき、国会議員の給料は安いという趣旨の一連の発言は、議長という立場にふさわしくないのはもちろんのこと、コロナ禍と不景気に苦しむ多くの国民にとって到底受け入れ難いものであります。

 このような一連の議長の態度に、我が党は、説明責任があると再三申し上げてきましたが、今に至るまで、十分な説明がされておりません。なぜ御本人からしかるべき説明、釈明をされないのでしょうか。

 細田議長の一連の発言は、人口減少や過疎化が叫ばれる今日、一国会議員として、やむにやまれぬ思いで発せられたのかもしれません。しかし、議長は、一国会議員の立場のみならず、三権の長、衆議院議長であられます。その立場は、国民の負託を得た、衆議院に議席を置く我々が満場一致で推挙した、これ以上ない重たい立場であられることは十分御承知いただいていることと存じます。ならば、やはり顧みて自らの発言を猛省すべきであると改めて強く申し上げます。

 一方で、セクハラ疑惑や選挙買収等、昨今の週刊誌の報道については、現時点で真偽のほどが定かではなく、今後、細田議長本人より真実が語られることを期待する所存であり、それらを踏まえ、本日時点では、不信任案に対する態度は留保いたします。

 しかしながら、本日の不信任案を提出されるという極めて重い事態をもってしても、なお細田議長がしかるべき責任を果たさないのであれば、我々日本維新の会も、細田議長の資質と、そして事実上の人事権者である自由民主党の責任を厳しく追及せざるを得ないということを強く申し上げます。

 皆さん、我々は何のために国会に来ているんですか。会期末に儀式のように不信任案を出すためですか。あらを探して批判するためですか。そんなことのために、苦しい選挙を戦い、ここに来ているんですか。

 あの苦しい選挙を戦うのは、唯一の立法府である国会で法律を作ることで、よりよい社会をつくるためじゃないんですか。社会を変える手段は幾らでもありますが、その中で、我々は、法律を作ること、その政策を闘わせてよりよいものをつくる道を選んでいるのではないんでしょうか。

 政治課題が山積している今日、こんなことに時間を費やしている場合ではありません。我々は、議会ではもとより、参議院選挙が控えている中で、正々堂々と政策で競い合おうではないですか。私たち日本維新の会は、新たなこの国の形を既にお示ししています。こんな手段ではなく、是非、正々堂々と選挙でやりましょうよ。

 我々日本維新の会は、こんな茶番のようなやり方ではなく、来る参議院議員選挙で正々堂々と政策論争を繰り広げ、我々こそが未来への責任を果たす改革を進めていけることを国民の皆様にお示しすることをお誓い申し上げ、私の討論とさせていただきます。(拍手)

副議長(海江田万里君) 高橋千鶴子君。

    〔高橋千鶴子君登壇〕

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました細田博之議長不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 憲法第四十一条、国会は、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関であります。この国会を代表する衆議院議長は、三権の長として特別な職責を担っているのであり、国民から疑念を持たれるようなことが決してあってはなりません。しかし、細田議長の言動には、その自覚のかけらも見られません。

 今般、細田議長のセクハラ疑惑について、週刊誌報道がありました。複数の女性記者や自民党本部の女性職員などへの取材、証言に基づくものであり、事実無根の一言で終わらせるわけにはいきません。国民を代表する立場にある議長がセクハラ疑惑を指摘された時点で、議長の資格が鋭く問われているのです。

 ところが、議長は、六月三日、立憲民主党、日本共産党などの議員らが説明責任を果たすよう申し入れた際には、国会が終わった後に訴訟で明らかにすると答えるのみでした。自らにかけられたセクハラ疑惑を晴らすことなしにその職にとどまることは、決して許されません。

 二〇一九年のILO総会で、ハラスメント禁止条約が採択されました。日本も条約に賛成し、批准に向けた対応が迫られる中、日本共産党はハラスメントの禁止を法律に明記するよう修正案を提案しましたが、禁止規定は盛り込まれず、かつ、日本政府は批准もしていません。

 今年五月、IPU、列国議会同盟が提唱する点検手法を用いての議会のジェンダー配慮への評価に関するアンケートが全衆議院議員に対して実施されました。超党派の、政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟の中川正春会長が、二月に細田議長と面会し、実施を要請したものです。その中には、国会には差別や性差別、ハラスメントがない職場を保証する行為規範や方針として明文化されたものがないが必要だと思うか、国会議員を対象としたハラスメント防止方針及びハラスメントや差別の苦情処理の仕組みはないが設ける必要があるかなどの問いが並んでいます。国際基準に照らしても日本の国会が大きく立ち遅れていることを認め、国会も変わるときではないでしょうか。

 更に言えば、細田議長は、被害を受けた当事者が名のり出てくることはないとたかをくくっているのではありませんか。まして、記者は取材源を秘匿することが鉄則であり、被害者若しくは事実を知る同僚記者などが名のり出ることは困難であります。

 四年前の財務省事務次官のセクハラ問題もありました。取材を通じてのハラスメントから記者たちを守るため、マスコミ各社ができること、やらなければならないことがあるのではないでしょうか。この際、マスコミ各社の皆さんにも心から呼びかけたいと思います。

 加えて、細田議長は小選挙区十増十減の見直しを訴えていますが、この法改正の趣旨説明を行い、現行の小選挙区制を温存させた本人が、実施する段になって反対を訴えるとは、余りにも無責任です。中立公正でなければならない議長が、特定の法案について賛否を表明し、立法府が決めたことを尊重しないとは、議長の資質に欠けると言わざるを得ません。

 さらには、細田議長の選挙買収疑惑も浮上しています。民主主義の根幹である選挙において、金の力で選挙をねじ曲げることは、決してあってはならないことです。選挙において不正を働いていたと疑われること自体、国会を代表する議長の任にある者として許されません。ましてや、河井夫妻の大規模買収事件が記憶に新しい中、何の反省もなく、同様の疑惑が指摘されたことは看過できません。事実であれば、そもそも議員の資格がないと言えるのではないでしょうか。

 終わりに、議長は、慣例として、第一党が推薦した人物を選んできました。細田氏を議長に推薦した自民党が真相究明の立場を投げ捨てていることを厳しく批判し、その責任は免れないことを指摘して、討論を終わります。(拍手)

副議長(海江田万里君) これにて討論は終局いたしました。

 ただいまから十分後に記名投票をもって採決いたしますので、しばらくお待ちください。

    ―――――――――――――

副議長(海江田万里君) 衆議院議長細田博之君不信任決議案について採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。

 なお、今回の投票につきましては、順次間隔を空けて登壇していただくため、通常より時間をかけて氏名点呼を行わせます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

副議長(海江田万里君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

副議長(海江田万里君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 三百九十三

  可とする者(白票)         百五

  否とする者(青票)      二百八十八

副議長(海江田万里君) 右の結果、衆議院議長細田博之君不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

馬淵澄夫君外二名提出衆議院議長細田博之君不信任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君   青山  大人君

荒井   優君   新垣  邦男君   井坂  信彦君   伊藤  俊輔君

石川  香織君   泉   健太君   稲富  修二君   梅谷   守君

江田  憲司君   枝野  幸男君   おおつき紅葉君   小川  淳也君

小熊  慎司君   大河原まさこ君   大串  博志君   大島   敦君

大西  健介君   逢坂  誠二君   岡田  克也君   岡本 あき子君

奥野 総一郎君   落合  貴之君   金子  恵美君   鎌田 さゆり君

神谷   裕君   菅   直人君   城井   崇君   菊田 真紀子君

玄葉 光一郎君   源馬 謙太郎君   小宮山 泰子君   小山  展弘君

後藤  祐一君   神津 たけし君   近藤  和也君   近藤  昭一君

佐藤  公治君   坂本 祐之輔君   櫻井   周君   重徳  和彦君

階    猛君   篠原   豪君   篠原   孝君   下条  みつ君

白石  洋一君   末次  精一君   末松  義規君   鈴木  庸介君

田嶋   要君   堤  かなめ君   手塚  仁雄君   寺田   学君

徳永  久志君   中川  正春君   中島  克仁君   中谷  一馬君

中村 喜四郎君   長妻   昭君   西村 智奈美君   野田  佳彦君

野間   健君   馬場  雄基君   原口  一博君   伴野   豊君

福田  昭夫君   藤岡  隆雄君   太   栄志君   本庄  知史君

馬淵  澄夫君   牧   義夫君   松原   仁君   道下  大樹君

緑川  貴士君   森田  俊和君   森山  浩行君   谷田川  元君

山岡  達丸君   山岸  一生君   山崎   誠君   山田  勝彦君

山井  和則君   柚木  道義君   湯原  俊二君   吉川   元君

吉田  統彦君   吉田 はるみ君   米山  隆一君   笠   浩史君

早稲田 ゆき君   渡辺   周君   渡辺   創君   赤嶺  政賢君

笠井   亮君   穀田  恵二君   志位  和夫君   塩川  鉄也君

田村  貴昭君   高橋 千鶴子君   宮本  岳志君   宮本   徹君

本村  伸子君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あべ  俊子君   安倍  晋三君   逢沢  一郎君

青山  周平君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   秋本  真利君

東   国幹君   畦元  将吾君   麻生  太郎君   甘利   明君

五十嵐  清君   井出  庸生君   井野  俊郎君   井上  信治君

井上  貴博君   井林  辰憲君   井原   巧君   伊東  良孝君

伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君   伊藤  達也君   池田  佳隆君

石井   拓君   石川  昭政君   石田  真敏君   石破   茂君

石橋 林太郎君   石原  宏高君   石原  正敬君   泉田  裕彦君

稲田  朋美君   今枝 宗一郎君   今村  雅弘君   岩田  和親君

岩屋   毅君   上杉 謙太郎君   上田  英俊君   上野 賢一郎君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君   遠藤  利明君

小倉  將信君   小里  泰弘君   小野寺 五典君   小渕  優子君

尾崎  正直君   尾身  朝子君   越智  隆雄君   大岡  敏孝君

大串  正樹君   大塚   拓君   大西  英男君   大野 敬太郎君

奥野  信亮君   鬼木   誠君   加藤  鮎子君   加藤  勝信君

加藤  竜祥君   柿沢  未途君   梶山  弘志君   勝俣  孝明君

勝目   康君   門山  宏哲君   金子  俊平君   金子  恭之君

金田  勝年君   上川  陽子君   亀岡  偉民君   川崎 ひでと君

神田  潤一君   菅家  一郎君   木原  誠二君   木原   稔君

木村  次郎君   城内   実君   黄川田 仁志君   岸   信夫君

岸田  文雄君   工藤  彰三君   国定  勇人君   国光 あやの君

熊田  裕通君   小泉 進次郎君   小泉  龍司君   小島  敏文君

小寺  裕雄君   小林  茂樹君   小林  鷹之君   小林  史明君

小森  卓郎君   古賀   篤君   後藤  茂之君   後藤田 正純君

河野  太郎君   高村  正大君   國場 幸之助君   佐々木  紀君

佐藤   勉君   齋藤   健君   斎藤  洋明君   坂井   学君

坂本  哲志君   櫻田  義孝君   笹川  博義君   塩崎  彰久君

塩谷   立君   柴山  昌彦君   島尻 安伊子君   下村  博文君

新谷  正義君   新藤  義孝君   菅   義偉君   杉田  水脈君

鈴木  英敬君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君   鈴木  淳司君

鈴木  貴子君   鈴木  憲和君   鈴木  隼人君   関   芳弘君

薗浦 健太郎君   田所  嘉徳君   田中  和徳君   田中  英之君

田中  良生君   田野瀬 太道君   田畑  裕明君   田村  憲久君

平   将明君   高市  早苗君   高階 恵美子君   高木   啓君

高木   毅君   高木  宏壽君   高鳥  修一君   高見  康裕君

武井  俊輔君   武田  良太君   武部   新君   武村  展英君

橘  慶一郎君   棚橋  泰文君   谷   公一君   谷川  とむ君

谷川  弥一君   津島   淳君   塚田  一郎君   辻   清人君

土田   慎君   土屋  品子君   寺田   稔君   冨樫  博之君

渡海 紀三朗君   土井   亨君   中川  貴元君   中川  郁子君

中曽根 康隆君   中谷   元君   中谷  真一君   中西  健治君

中根  一幸君   中野  英幸君   中村  裕之君   中山  展宏君

永岡  桂子君   長坂  康正君   長島  昭久君   二階  俊博君

丹羽  秀樹君   西田  昭二君   西野  太亮君   西村  明宏君

西村  康稔君   西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君   根本   匠君

根本  幸典君   野田  聖子君   野中   厚君   葉梨  康弘君

萩生田 光一君   橋本   岳君   長谷川 淳二君   鳩山  二郎君

浜田  靖一君   林   幹雄君   平井  卓也君   平口   洋君

平沢  勝栄君   平沼 正二郎君   深澤  陽一君   福田  達夫君

藤井 比早之君   藤丸   敏君   藤原   崇君   船田   元君

古川  直季君   古川   康君   古川  禎久君   古屋  圭司君

穂坂   泰君   星野  剛士君   細田  健一君   細野  豪志君

堀井   学君   堀内  詔子君   牧島 かれん君   牧原  秀樹君

松島 みどり君   松野  博一君   松本  剛明君   松本   尚君

松本  洋平君   三谷  英弘君   三ッ林 裕巳君   御法川 信英君

宮内  秀樹君   宮崎  政久君   宮澤  博行君   宮下  一郎君

武藤  容治君   務台  俊介君   宗清  皇一君   村井  英樹君

村上 誠一郎君   茂木  敏充君   盛山  正仁君   森   英介君

森山   裕君   八木  哲也君   保岡  宏武君   簗   和生君

柳本   顕君   山口  俊一君   山口   晋君   山口   壯君

山下  貴司君   山田  賢司君   山田  美樹君   山本  左近君

山本ともひろ君   山本  有二君   吉川   赳君   吉野  正芳君

義家  弘介君   和田  義明君   若林  健太君   若宮  健嗣君

鷲尾 英一郎君   渡辺  孝一君   渡辺  博道君   赤羽  一嘉君

伊佐  進一君   伊藤   渉君   石井  啓一君   稲津   久君

浮島  智子君   大口  善徳君   岡本  三成君   河西  宏一君

北側  一雄君   金城  泰邦君   日下  正喜君   國重   徹君

輿水  恵一君   佐藤  茂樹君   佐藤  英道君   斉藤  鉄夫君

庄子  賢一君   高木  陽介君   竹内   譲君   角田  秀穂君

中川  宏昌君   中川  康洋君   中野  洋昌君   浜地  雅一君

平林   晃君   福重  隆浩君   古屋  範子君   山崎  正恭君

吉田 久美子君   吉田  宣弘君   鰐淵  洋子君   三反園  訓君

    ―――――――――――――

副議長(海江田万里君) この際、議長に本席を譲ります。(拍手)

    〔副議長退席、議長着席〕

     ――――◇―――――

山田賢司君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 西村智奈美君外二名提出、岸田内閣不信任決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(細田博之君) 山田賢司君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、日程第一に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 岸田内閣不信任決議案(西村智奈美君外二名提出)

議長(細田博之君) 岸田内閣不信任決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。泉健太君。

    ―――――――――――――

 岸田内閣不信任決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔泉健太君登壇〕

泉健太君 立憲民主党・無所属を代表し、岸田内閣不信任決議案について、提案の趣旨を説明いたします。(拍手)

 まず、決議の案文を朗読します。

  本院は、岸田内閣を信任せず。

   右決議する。

    〔拍手〕

 まず、この不信任決議案の提出に至った大きな理由の一つは、補正予算における岸田内閣の無為無策ぶりにあります。

 三月から円安が大きく進行し、我が国が金融政策を変えない限り、物価高騰が予想される環境が生まれました。そして、現に、企業経営や国民の日常生活、買物に関わる品目の物価上昇は顕著になってきたのです。こうした中で、唯一の頼みの綱であったのが今般の補正予算でありました。

 しかし、岸田内閣が提出してきた補正予算は、これまでのガソリン補助金の延長予算と、何に使うか決まっていない予備費の積み増しのみ。食料品の値上げ対策も年金生活者支援策も何も含まれていない、無為無策の補正予算であったのです。

 岸田総理、あなたは現在進んでいる物価高をどう評価していますか。円安放置の岸田内閣、黒田日銀総裁の下で、円安は更に進行し、現在、二十年ぶりに百三十四円の水準となっています。六月以降の値上げ品目は計一万点を超え、まさに岸田インフレ、黒田円安が起きている、そう思いませんか。

 かつて、狂乱物価と名づけたのは、福田赳夫元総理でありました。岸田総理、あなたはこの物価高を何と名づけますか。それとも、名前をつけるほどの物価高ではないと考えているのですか。

 議場内の皆様、内閣の役割とは何たるか。国民が安心して暮らせる政治を行う、そのために憲法によって行政権を与えられているのが内閣ではないですか。

 岸田内閣は、国民に生活の安心を届けることができず、むしろ、生活の不安、先行きの不安を高めています。安心を届ける重要な機会であった補正予算においても経済無策を続け、国民生活の苦境を放置しているのは許されないのであります。この内閣不信任決議案の提出は、国民生活を物価高から守る、その政治に切り替えるための手段なのです。

 自民党にも、今般の補正予算の時期、内容、規模には首をかしげた議員も多いのではないでしょうか。疑問を持った議員も多いと思います。当然、野党議員の中でも、あの補正予算は不十分であった、そして、骨太の方針は骨細の方針に見える、こういう議員もおられるでしょう。それが素直な判断だと思います。であるならば、声を上げるべきに声を上げるべきなのです。

 立憲民主党は、ただひたすらに国民のために働きたい。上げるべき声を上げ、国民の声を国民のために訴える党であり続けます。だからこそ、この不信任決議案を提出いたしました。

 国民は物価高で苦しんでいます。政府は国民に物価対策を届けていないのです。これにより、消費が低迷し、日本経済に打撃となる可能性があります。その事実を国民に伝え、国民の皆様の意思によって政治を動かせる、数少ない、いや、非常に限られた機会がこの不信任決議案なのです。議場の皆様、この国民のために声を上げるべき局面に、共に真剣に声を上げていただきたい、物価高と戦う議員でいていただきたい、このことを切に願うものであります。

 立憲民主党の議員は、この姿勢を明確にいたします。物価高と戦います。国民生活を守ります。おかしい経済運営には、おかしい経済対策には、声を上げ、それを変える挑戦をいたします。

 どうせ否決されるのだからパフォーマンスだ、結果が分かっているのに無駄だ、こうしたやゆがどんなに恐ろしいことであるかを我々議員は認識すべきです。

 与野党の議席差は確かに明らかです。しかし、採決結果が分かっているからと、少数会派の議員立法も、あるいは政府提出法案の採決も、パフォーマンスだ、無駄だと言ってしまってよいわけはありません。そんな議会が我々の目指す議会のはずはないのです。意見表明の機会を軽んじ、議論をやゆし、単純さや手っ取り早さばかりを求める、これこそ危険な考え方ではないでしょうか。

 どうか、議会という場で、民主主義を守るため、立憲主義を守るために歴史が築き上げてきたルールを軽視しないでいただきたい。慣例行事だとか政局だとかとやゆするのは簡単です。しかし、そうではないんです。国民生活を守りたいと考える政党が、物価対策を講じるべきだと考える政党が、国会が定めている権利を行使して、各党各会派に信を問うています。その行為を軽んじないでください。これを軽んじるということは、自らを軽んじるということになってしまいます。

 立憲民主党は、改めて、物価高と戦い、国民生活と日本経済を発展させていくために、岸田内閣を継続させてはならない、その姿勢でこの不信任決議案を議場の皆様に問いたいと思います。

 総理、先ほど述べたように、価格引上げ品目は一万点を超え、資材、食料、あらゆる品目に及んでいます。タマネギの値段は昨年の二倍、ジャガイモもカレールーも値上がり、ガス代も値上がりしている。カレーライスを作るにもちゅうちょする家庭が相次ぐほどの物価高です。立憲民主党が全国の街頭で行っている物価アンケートにも、次々と声が集まっています。

 他方、日銀黒田総裁は、日本の家計の値上げ許容度は高まってきていると述べ、後に撤回をしました。賃上げ以上に値段が上がったら、我慢して支出を抑える、これが国民の普通の物価感覚です。黒田総裁が国民の物価感覚を分かっていないならば、物価の番人として失格なのではないでしょうか。

 今の物価高は、原油高そして円安によるものです。岸田内閣がアベノミクスを続け、日銀が異次元の金融緩和を続けていることによる、岸田インフレそして黒田円安そのものなのです。

 我々立憲民主党は、国民生活を守り、物価高と戦うための提案を続けてきました。アベノミクスの見直し、具体には政府と日銀の共同声明の見直し、そして消費税の時限的な五%への引下げ、国内消費の九割を占める輸入小麦価格の引下げ、また年金生活者への上乗せ給付など、政府が物価対策を講じるべきなのです。なのに、岸田内閣は、ガソリン補助以外、経済無策なのであります。

 総理の経済無策は、今ほどお話をした小麦価格に対する認識不足にも表れています。総理は、六月一日の予算委員会で、小麦の政府売渡価格の維持をしていると答弁しましたが、これは誤りです。今年四月の輸入小麦の政府売渡価格は、一七・三%上昇をしています。

 総理、二〇〇八年、当時の福田康夫内閣でも政府主導で輸入小麦の値上げ幅を圧縮したのを御存じでしょうか。福田内閣が当時実施したことすら、この物価高で、今、岸田内閣は行おうとしていないのであります。こうした無策が、現在のパンやカップラーメンの値上げにつながっているんです。

 さらに、輸入小麦だけではありません。一部の輸入肥料原料は九割以上の値上げとなっています。打撃を受ける農業、畜産業への対応も遅過ぎます。

 立憲民主党は、ガソリンなど、輸入価格が昨年秋から上昇傾向にあったことから、トリガー条項を発動する、そして補助金を増額するよう求めてきました。しかし、岸田内閣は、令和四年度本予算で数か月分の予算しか確保せず、結果、本予算成立後たった二か月で追加の補正予算を組むこととなりました。当初予算を修正しなかった責任そのものを直視すべきです。

 また、立憲民主党は、進行する円安と物価高と国内の需給ギャップを踏まえて、四月八日に、約二十一兆円の緊急経済対策を発表いたしました。しかし、岸田内閣はどうだったか。補正予算の提出は五月下旬と遅く、その規模は、年金減額対策も食材値上げ対策もない、たった二・七兆円。余りに遅い、小さい、さらに、中身のない補正予算だったのではないでしょうか。これは、他の野党からも指摘がなされております。

 岸田内閣の責任は、それだけではありません。

 岸田内閣は、予備費の使用は、国会開会中はこれは行わないとの閣議決定を明確にほごにしました。議場内の皆様、予備費を国会開会中に支出し、それを補正予算で埋め戻す、議会人の良識として、この行為は財政民主主義の軽視ではありませんか。どうか、この不信任決議案に賛成をしていただきたいと思います。国権の最高機関、この国会の監視力低下につながる行為を簡単に許してはなりません。どうか、自民党の皆さんも、胸に手を当てて考えていただくべきではないでしょうか。

 加えて、補正予算における新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費、これは何なのでしょうか。コロナか物価高に関する支出が国会審議を経ずに可能になる、これは議会軽視と言わずして何と言うか。こうした補正予算を提出した岸田内閣は、まさに不信任に値します。我々国会議員は、異常な予備費に慣れてしまうゆでガエルであってはなりません。財政民主主義を守るために、今こそ、衆議院は、気概と矜持を持って、党派を超えてこの不信任案に賛成しようではありませんか。

 続いて問われるべきは、期待外れの新しい資本主義です。

 昨年の総裁選で総理が最も強調したのが、新しい日本型資本主義でありました。総理は、公約の中で、成長と分配の好循環による新しい日本型資本主義を構築し、全国津々浦々、成長の果実を実感していただくとしました。

 しかし、総理、国民が実感したのは、成長の果実ではなく、物価高ではないでしょうか。まさに岸田インフレによる物価高を国民は実感しているのです。

 それに加え、多くの国民は、格差と分断からの脱却、そして実質賃金低迷を招いたアベノミクスからの脱却を期待したにもかかわらず、総理は、進行する円安に対処せず、アベノミクスからの異次元の金融緩和を放置しています。これではアベノミクスそのものではないでしょうか。総裁選のときの脱アベノミクスは大きく裏切られています。

 総理の口にする倍増の余りの軽さも看過できません。

 まず掲げた令和版所得倍増は、岸田内閣発足の僅か十日後に、山際経済財政担当大臣が、令和版所得倍増というのは所得が二倍になるという意味ではない、文字どおりの所得倍増というものを指し示しているものではなくて、多くの方が所得を上げられるような環境をつくって、そういう社会にしていきたいということを示す言葉だと言下に否定をしました。多くの国民があきれ果てたのではないでしょうか。昭和の所得倍増計画を唱えた宏池会の創設者、池田勇人首相をも汚す看板倒れぶりです。そもそも発足後たった十日で自らの看板政策を骨抜きにさせた内閣であることを我々は認識すべきではないでしょうか。

 その後も、総理の懲りない倍増は繰り返されています。子育て、若者世代の世帯所得に焦点を絞って倍増、子供、子育て予算倍増。もうほとんどの国会議員が、そして国民が、総理の繰り返す倍増論にあきれているのではないでしょうか。議場の皆様、皆様は真剣に予算の倍増だと受け止められていますか。

 表現は稚拙かもしれませんが、倍増という言葉を多用していると。率直ですね。これが総理の答弁です。議場の皆さん、私たちは、このように倍増という言葉を軽々しく使う総理を選出したことを悔いるべきではないでしょうか。

 そしてさらに、先月、岸田総理は、またしても倍増、資産所得倍増を打ち出しました。所得倍増はいつの間にか資産所得倍増に変容し、多くの国民が希望を抱いた所得倍増ではなく、投資資金のある方々のみの資産倍増へと大きく政策を変えました。これでは、多くの国民が希望を抱いたものではありません。分配を軽視し、格差を拡大させ、国民が分断をされる。まさに、アベノミクスの弊害が継続されようとしています。

 格差を縮小させ、中所得層を増やすことで消費を増やし、持続的な経済成長につなげていくというのは、もはや先進国の常識であります。立憲民主党は、そうした方向性の政策として、金融所得課税や所得税の累進性を高める、真の再分配を提案しています。

 当初の、分配なくして次の成長なしが、今回の骨太方針から消えました。逆に、骨太方針には、今後とも、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進める経済財政運営の枠組みを維持。これが何を指すか、皆さんお分かりだと思います。まさにアベノミクス三本の矢と全く一言一句同様の文言が掲載されています。まさにアベノミクスの堅持であります。

 新しい資本主義が国民の想定と大きく異なるものとなったことは明白ではないでしょうか。倍増が言葉本来の意味を失い、看板政策の新しい資本主義には分配政策が乏しく、格差を広げるアベノミクスが継続をされる。内閣不信任に値するのは明白です。

 内閣不信任の理由の三つ目は、これも予算を倍増すると言っていた子供、子育て政策が全く不十分な点であります。

 総理、この三十年をどう総括されますか。失われた三十年、人口減少の三十年、国際競争力を失った三十年。その三十年のほとんどを担ってきたのはどの政権ですか。

 国家の安全保障の一つとも言える人口問題に、自民党はどう向き合ったのでしょうか。若者の不安定雇用を増やし、賃金を上げず、民主党政権の子ども手当には強硬に反対をし、経済格差を広げ、教育格差を広げました。今や、高校卒業時には安定した雇用を得られず、大学卒業時には奨学金という名の多額の借金を抱える若者が多数存在するようになってしまったのです。

 にもかかわらず、総理は、ここでも、一月二十五日の予算委員会で、将来的に子供政策に関する予算倍増を目指すと宣言しながら、後に、質問主意書への返答として、こうした政策に向けて強い意思を示すことが大事と大幅にトーンダウンしました。全く具体的ではないことが明らかになりました。議場の皆様、こういうところが、まさに、この内閣、信任に値しないところではないでしょうか。

 私たち立憲民主党は、教育の無償化を掲げ、給食費無償化、また大学や専門学校における国公立大学授業料分の無償化、また、現在中三までの児童手当を高三まで延長し、月額も一万五千円に増額をする、こうした、提出した法案を中心に、子供、子育て予算の倍増を更に進め、具体的な拡充策を提案しています。

 骨太の方針の本文では、少子化対策、子供政策は人への投資としても重要であり、強力に進めると抽象的な表現で追加されただけであります。他の党の中にも、教育の無償化を目指している政党があるはずです。こうした今の岸田政権の、倍増とは強い意思を示すなどという意味の分からない姿勢で本当によいのか。改めて、皆様にこの不信任案への賛同を強く求める次第です。

 更に許されないことは、今年十月から、児童手当特例給付が廃止され、約六十一万人の子供の児童手当が支給対象から外れるということです。どこがこどもまんなかなのでしょうか。立憲民主党は、所得制限なく全ての子供たちに児童手当を支給すべきだと強く抗議をいたします。

 総理の度重なる政策変更も許容範囲を超えています。

 昨年の臨時国会における十八歳以下を対象とした十万円給付では、岸田総理の打ち出したクーポン支給が、立憲民主党の指摘で、事務費だけで九百六十七億円もかかることが判明をし、二転三転の末に、現金一括給付が大勢を占めるということになりました。また、離婚世帯への未支給問題も、立憲民主党の主張で、全額国費給付にたどり着くことができました。そして、年金生活者への五千円給付も、まさに参院選を意識して突如与党から出された政策でしたが、その後、撤回されました。

 岸田政権は、この物価高の中で、四月から支給が下がる年金生活者に向けて、何か代わりの政策、恒久的な年金生活者に対する対策を出してくるものと思っていた。しかし、結局、補正予算では何の対策も示されることなく、まさに物価に負ける年金となってしまっています。

 こうした政策の度重なる混乱を続ける内閣を信任することはできません。

 内閣不信任の理由の五つ目、それは、外交、安全保障の姿勢です。

 総理、総理は誰の意思で外交を行っているのでしょうか。この緊迫した国際情勢の中で、自ら主体的に事態を打開する外交姿勢は残念ながら全く見られません。

 ウクライナ侵攻が起きて以降に、欧米各国や中国、インドが次々とロシアと会談をし、ロシアともアクセスをする中で、一方で、岸田内閣はロシアと直接対話ができておりません。それどころか、ウクライナ侵攻が始まって以降、立憲民主党からも再三指摘をしているにもかかわらず、いまだにロシア経済分野協力担当大臣ポストを存続させているではないですか。

 そもそも、岸田総理は、安倍政権時の外務大臣として、二〇一四年のロシアのクリミア侵攻にアメリカやEUが厳しい態度を示す中で、甘い姿勢に終始をし、安倍総理のプーチン大統領との首脳会談を幾度となく支え、北方領土における経済共同活動を先行させるという甘い考えで領土交渉を進めてきました。旧島民を中心とした返還運動は自粛を迫られる中で、実際には、北方領土の実効支配が進み、北方領土にロシアの地対艦ミサイルや地対空ミサイルが新たに配備されるなど、ロシアによる軍事拠点化は一層進んでいったのではないでしょうか。

 これは取り返しのつかない歴史的大失態ではないでしょうか。今更、共同経済活動や八項目の協力プランを見合わせても、手遅れであります。この間、ロシアは憲法を改正し、領土の割譲を禁止し、ウクライナ侵攻後は日本を非友好国と指定し、北方領土への外国企業誘致を進める税制優遇を設けるなど、実効支配が強まりました。ロシアに対して政府予算二百億円以上を献上しただけでした。こうしたことへの総括も全くできておりません。

 隣国中国についても、総理は、就任直後の儀礼的な電話会談にとどまり、これだけ国際情勢が激変をする中で、直接対話ができておりません。台湾有事を含めた一方的な現状変更を阻止する、三十年間で四十二倍に拡大した中国の軍拡を抑える、経済安全保障を担保しつつ、経済文化交流の安定性を高め、戦略的互恵関係を構築していく、こうした中国との関係は極めて重要でありながら、首脳会談は実現できておりません。

 どんなときにあろうとも対話外交を重視する、これができないのであれば、総理は外交を担うに値しないと考えます。

 同じように、安全保障政策。

 安倍元総理が地方で講演をし、記事になった発言が自民党の政策となり、政府の文書に盛り込まれるということが相次いでおります。敵基地攻撃能力の保有、基地に限定せず指揮統制機能も攻撃をする、防衛費GDP比二%も、全て安倍元総理からの発信であります。

 核共有については、自民党の安全保障調査会において、核を使用すれば核による報復が当然あり、核の配備先になれば真っ先に相手国から狙われるなど、実益が全くないことがはっきりしたということのようでありますが、あくまで防衛費は総額ありきではありません。

 岸田内閣の、具体的に我が国の防衛に何が必要で幾らかかるのかを説明せぬまま、そして反撃能力とは何を指すのかの具体的説明もないまま、防衛費の相当な増額を進める姿勢、これは信任に値いたしません。

 内閣不信任案の理由の一つ、これは、知床観光船事故に関するずさんな監査、また建設統計書換えという国土交通省の不祥事の続出です。

 本年四月に発生した北海道知床半島沖における観光船事故においては、事故に遭われた関係者の皆様に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 このような事故が起きたことは非常に残念であり、現在まだ捜索が進行中ということであり、一刻も早い全員の発見、救助を望んでおります。

 当該観光船会社は昨年五月と六月に二件の事故を起こし、国土交通省は特別監査に入りました。しかし、その監査やフォローについては、ずさんな点が多く、多数の問題点が浮上をしています。

 岸田総理は、予算委員会において、特別監査等を通じて事業者の安全意識の欠如等を把握できなかったことは国土交通省として責任を十分に果たすことができていなかった、責任を感じるからこそ、二度とこのような事故を起こしてはならないと答弁されましたが、昨年の特別監査において厳格な検査や指導、処分が決めたとおりにきちんと実施をされていれば、このような痛ましい事故が起きなかった可能性もあります。

 当該観光船会社の責任は言うまでもありません。しかし、運航を許可する側の役所としての安全意識、再発防止に向けた意識も欠如していたと言わざるを得ません。このようなずさんな監査をしていた内閣の責任も極めて重いのであります。

 GDP算出に使われる重要な基幹統計の一つである国交省の建設工事受注動態統計調査において、同省の指示による書換えが二〇一三年から八年にわたり続けられていたことが発覚しました。

 二〇一八年の毎月勤労統計不正問題発覚後に政府統計の一斉点検が行われたにもかかわらず、このような書換えが続いていたことは極めて残念であります。二〇二〇年十月には、管理職が認識をしていました。にもかかわらず、翌年春まで是正されることもなく、しかも、その理由は、責任追及を避けるためだったということで、まさに言葉もありません。

 国交省が所管する分野は多岐にわたり、当然ながら、扱う統計の種類も多く、それらの統計が信用できないのであれば、予算を組むこともできず、また、政府への、更に言えば日本国の信頼失墜にもつながります。

 昨今は、行政上のミスがあっても、国民への説明を避け、さらに隠蔽、改ざんする問題が相次いでいます。このような内閣に国のかじ取りを任せるわけにはまいりません。

 七つ目の理由は、続出する政治と金の問題です。

 岸田総理は、自民党総裁選に出馬をした際の公約の中で、政治と金の問題については、丁寧に説明し、透明性を確保しますと明確に打ち出しました。

 しかし、大規模な買収事件で有罪判決が確定した河井夫妻、鶏卵業者から賄賂を受け取っていたとして収賄罪で起訴され、東京地裁で有罪を言い渡された吉川元農水大臣、UR口利き疑惑で説明責任を果たさず逃げ続け、小選挙区で落選をした元幹事長、こうした自民党の政治と金の問題は枚挙にいとまがありません。岸田総理は、同じ広島県選出であった河井夫妻の選挙買収に自民党から支給された一億五千万円の資金が充てられたのではないかという疑惑についても、いまだ説得力のある説明をしておりません。さらには、細田議長の選挙運動員買収が報じられています。

 政治と金の問題については、岸田総理は、自民党総裁選で打ち出した公約を明確に破っているのであります。

 以上、七点にわたり、岸田内閣、岸田総理が信任に値しない理由を述べてまいりました。以上を総括し、改めて、最後に申し上げます。

 まず、重要政策に対し無策で、言葉が軽く、責任を感じられていないことです。物価高対策はガソリン補助だけ。所得倍増、子供予算倍増など、極めて重要な言葉が本来の意味を失ってしまっている。これでは、国民は何を信じればいいのでしょうか。

 第二に、特技としていた聞く力は、既に国民の声を聞く力ではなく、アメリカ、日銀、安倍元総理、また輸出企業、こうした声ばかりを聞く力になってしまい、物価高に苦しむ国民の声を聞く力ではなくなってしまっています。

 議場の皆様、岸田内閣は、我が国経済への認識、物価高に対する対応、補正予算、そして人口減少や教育格差など、我が国が直面している重要課題の解決姿勢から見ても、不信任に値することは明確であります。

 改めて、皆様の御賛同を切にお願いし、提案理由の説明を終わります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 討論の通告があります。順次これを許します。上川陽子君。

    〔上川陽子君登壇〕

上川陽子君 自由民主党の上川陽子です。

 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました岸田内閣不信任決議案に対し、断固反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)

 昨年の臨時国会、そして本年の通常国会と、我が国が国難ともいうべき事態に直面する中で、岸田総理は、常に、聞く政治を重視し、国民の皆様の声に耳を傾け、気持ちに寄り添い、その共感と共に歩み続けてこられました。そして、野党の皆様方からの御意見、御批判に対しても真摯に耳を傾けられ、丁寧な国会審議にも取り組んでこられました。

 こうした岸田総理の基本的考えの下で、私どもも、野党の皆様方との信頼関係構築に心を尽くし、幾つかの法案では全会一致で成立にこぎ着け、また、アダルトビデオ出演被害防止・救済法案のように、可及的速やかな施行が求められる法案で、衆議院において全会一致で可決の上、参議院に送付され、あと一歩のところに来ているものもあります。

 しかしながら、本日、そうしたこれまでのお互いの真摯な努力の積み重ねを無視し、余りに唐突に内閣不信任決議案を提出されたことについては、大変残念ながら、立憲民主党、そして社民党の皆様方の見識を疑わざるを得ません。

 以下、岸田内閣がいかに国民の負託に応え、実績を上げられ、それに対する不信任決議案がいかに不誠実なものであるか、申し述べてまいります。

 まず、新型コロナ感染症対策であります。

 岸田総理は、御就任以来、未曽有のウイルスである新型コロナへの対応について、常に、最悪の事態を念頭に、感染状況の変化を機敏に捉え、迅速かつ臨機応変に取り組んでこられました。

 そして、現在を平時への移行期間として位置づけ、保健医療体制の維持強化、三回目のワクチン接種の推進、四回目のワクチン接種の開始など、最大限の警戒感を維持しながらも、少しずつ、社会経済活動の回復に向けて歩み始めております。

 この間、ゼロコロナ戦略を掲げ、政府のコロナ対策を厳しく批判する野党の皆様方の意見にも耳を傾けながら、一歩一歩、着実に、国民生活の安全、安心の確保に取り組んでこられました。

 岸田総理におかれては、コロナの危機を乗り越え、一日も早い景気回復を図るという明確なお考えの下で、引き続き全力でコロナ対策に取り組み続けていただきたいと思います。

 次に、ウクライナ情勢への対応です。

 本年二月二十四日、プーチン大統領は、突然、特別軍事作戦の開始を発表し、ロシアによるウクライナ侵略が開始されました。

 岸田総理は、力による一方的な現状変更、残虐な戦争犯罪を絶対に許さないとの姿勢を示し、国際社会との連携を図りながら、一貫して毅然とした対応を取り続けてこられました。

 そして、日本はウクライナと共にあるという明確なメッセージを発信し、ウクライナ国民に向けた六億ドルの財政支援や、防弾チョッキ、医療用器材などの提供、ロシア政府関係者等への資産凍結、ロシア関係者への日本のビザ発給の停止やウクライナからの避難民の受入れなど、国際社会と連携しながら、迅速かつ大胆に、あらゆる措置を講じてまいりました。

 また、重要法案を抱える国会質疑に精力的に取り組む一方、岸田総理自らが先頭に立って首脳外交を展開し、国際会議への出席や各国首脳との会談を重ねる中で、日本に対する期待感、信頼感を醸成し、国際的な評価を高めてこられました。

 そうした御努力を重ねる中で、先月行われた日米首脳会談においては、力による一方的な現状変更をインド太平洋で許さぬよう、日米同盟の抑止力、対処力を更に強化することを確認するとともに、日米豪印によるクアッド首脳会合においても、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力の進捗を確認し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序への力強いコミットメントを世界に向けて発信されました。

 さらに、今月末には、ドイツのエルマウにおいて、公正な世界に向けた前進をテーマに、G7首脳会合が開催される予定であります。国際社会の秩序の維持、世界経済、気候変動、そして感染症などをめぐる課題が複雑に絡み合い、国連あるいはG20といった国際機関や枠組みがその機能を十分に発揮することができない中で、これまで以上にG7の強固な結束を世界に示し、厳しい事態を乗り越えていくことが求められています。

 国際社会が一致結束して難局に取り組み、各国から岸田総理のリーダーシップに対する期待と信頼が高まりつつあるこの重要な局面の中で、なぜ、今、内閣不信任決議案を提出するのでしょうか。岸田総理の外交努力を無駄にするばかりでなく、混迷する世界情勢の中で、安定の礎、アンカーとしての役割を果たしている日本に対する世界の期待を裏切るものであり、全く理解できません。

 次に、物価高騰対策です。

 ウクライナ情勢の緊迫化により、世界経済に様々な影響が生じています。戦争の長期化リスクが顕在化し、原油価格、原材料価格、そして食料価格の高騰や二十年ぶりとなる円安の加速など、国民生活を取り巻く環境にも不安が広がりつつあります。

 岸田総理は、こうした変化に迅速に対応すべく、昨年の七十九兆円規模の経済対策、本年四月にまとめた十三兆円規模の総合緊急対策、今回の総額二・七兆円の補正予算と、立て続けに対策を講じてこられました。また、今後のあらゆるリスクにも機動的に対応するため、参議院選挙後に、新たな経済対策を具体化する方針も示しておられます。

 こうした一連の経済対策によって、ガソリン価格は、当初の全国平均予測価格よりも二割近く抑制され、二割から四割強の価格上昇に直面する欧米諸国の半分程度の上昇に抑制されています。また、ウクライナ情勢が緊迫化した二月以降の物価上昇を見ても、アメリカなど他の主要国が八%以上の物価上昇に直面する中、日本の上昇幅は、これまでのところ、二%程度にとどまっています。

 不確実性を増す情勢変化の中において、常に、新たな危機を想定し、情勢変化に的確に対応し続けてきた岸田総理の決断力、実行力への期待が高まっております。引き続き、岸田内閣が進める経済対策、物価高騰対策を力強く推し進めるとともに、生活困窮者や低所得者支援を後押しするなど、真に困窮されている方々へのきめ細やかな支援も含め、総合緊急対策に盛り込まれた各施策の着実な実施に取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、国家の危機に際しては、国家国民が一丸となり、一致結束して対処していくことが重要であります。

 国際社会が未曽有の危機に直面する中で、岸田総理は、国民生活の安定、さらには世界の平和と秩序の回復、自由で開かれたアジア太平洋の実現に向け、不断の努力を重ねておられます。

 岸田総理の真摯な姿勢に対し、その歩みを止める内閣不信任決議案を提出することは、極めて不誠実であり、今、我が国が置かれている国際的な立場、状況を全く理解していないと言っても過言ではありません。今、まさに、一意専心、岸田総理の強いリーダーシップの下でこの国家的な危機を乗り越えていくことこそ、政治が取り組むべき責務ではないでしょうか。

 私たち自由民主党は、国民の皆様とともに、暮らしを守り、未来をつくるという強い信念を胸に、参議院選挙の勝利に向けて、総力を挙げて戦い抜いてまいります。

 今般提出された内閣不信任決議案について、これを毅然と否決していただくことを強くお願い申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)

議長(細田博之君) 後藤祐一君。

    〔後藤祐一君登壇〕

後藤祐一君 私は、立憲民主党・無所属を代表し、岸田内閣不信任案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)

 昨日、二十年ぶりに、一ドル百三十四円台まで円安が進みました。輸出大企業にはプラスだが事業者や生活者にはマイナスだと岸田総理も認める円安が止まりません。EUやスイスもマイナス金利政策をやめようとしている中、日銀の黒田総裁は、金融緩和を継続する考えを改めて示しています。これでは、円安は止まりません。物価高も止まりません。総理、一体、どうやって岸田インフレを止めるつもりですか。

 黒田総裁は、日本の家計の値上げ許容度も高まってきているとの発言は撤回したようですが、国民の、異次元の物価高騰に対する怒り、生活感のない黒田日銀総裁に対する怒り、何もしない岸田総理に対する怒りが高まってきているのではないでしょうか。

 総理が日銀総裁を更迭することは日銀法上できませんが、アベノミクスによる異次元の金融緩和を定めた二〇一三年のアコードを見直すことはできます。総理、一ドル何円になったらアコードを見直し、アベノミクスから脱却するんですか。一ドル百四十円ですか、百五十円ですか。

 賃金アップを伴うよい物価高の形で消費者物価二%以上が一年以上続くと異次元の金融緩和が終わるそうですが、岸田総理がアベノミクスを続ける限り、そんな時代は来ませんよ。つまり、岸田総理は永久にアベノミクスの泥沼から脱却できないまま、一ドル百四十円、百五十円といった円安による超岸田インフレにより、この国は二流国に転落してしまいますよ。総理、責任取れるんですか。

 岸田総理のコロナ対策についても総括する必要があります。

 オミクロン株が主流となった第六波でお亡くなりになった方は、五月二十五日時点で既に一万二千四十三人で、デルタ株が主流だった第五波の四倍に膨れ上がっています。岸田総理は、高齢を理由に家族が入院治療を希望しないからだ、コロナの重症の定義を満たさず基礎疾患の悪化で死亡しているなどと答弁していますが、三回目ワクチン接種が遅れたからじゃないんですか。

 また、第六波の一月から三月に自宅で亡くなった方が少なくとも全国で五百五十五人いたことが明らかになっておりますが、岸田総理が昨年の衆議院選挙で掲げた医療難民ゼロという約束は何だったんでしょうか。

 一方で、これまでにワクチンの調達や接種体制の整備に投入された国費は四・七兆円に上りますが、現在、ワクチンが有効期限切れとなって廃棄されているとの報道が各地で相次いでいます。これは、三回目接種の開始が遅れたことや接種率が伸び悩んでいることが原因ではありませんか。

 その元々の原因は、堀内ワクチン大臣です。菅前総理は、河野太郎氏をワクチン大臣に任命し、一日百万回の実績を上げましたが、岸田総理は、総裁選で争った河野大臣から自らの派閥の堀内大臣に交代させてしまいました。発信力は低下し、メッセージも届かない。ワクチン接種の重要さをなおざりにした、派閥の論功行賞としか思えない人事でありました。年明けからオミクロン株が急拡大する中、堀内大臣がまず取り組んだのは、自らの国会答弁対策だと言われています。結局、堀内ワクチン大臣はいなくなってしまいました。岸田総理の人事の失敗は明らかではないでしょうか。

 岸田総理は、昨年の総裁選で、国、地方を通じた強い司令塔機能を有する健康危機管理庁を創設することを掲げていましたが、実現していません。第六波の前に、国、地方が医療資源確保などのためのより強い権限を持つための法改正をしておけば、感染者数を抑え、自宅死を防げたのではないでしょうか。総裁選で掲げたほとんどのコロナ対策はいまだ実現していません。総理、一体、何をしてきたんでしょうか。

 長年、安倍総理の下で外務大臣を務めた岸田総理は、外交を得意と自負されておられるのではないかと推察します。

 しかし、ここ十年の外交の結果を見ると、日ロは、北方領土が一ミリも動かず、むしろ二島返還論という歴史的失態を犯し、プーチン大統領にだまされただけでした。日中、日韓は、疑心暗鬼を深め、関係が悪化しただけでした。北朝鮮とは、拉致問題について前提条件なしで向き合う決意と言うばかりで、日朝首脳会談どころか事務レベルでさえも北朝鮮とコンタクトが取れなくなって久しく、ミサイルが飛んでくる状況は変わりません。

 外務大臣時代も含め、岸田総理の外交成果って何でしょうか。アベノミクスだけではなく、外交も安倍総理の言いなりだったので仕方ないのかもしれません。

 先月の日米首脳会談は成功だったと言いたいでしょう。確かに、クアッドは有意義だと評価します。しかし、日米間の通商交渉は敗北でしかありませんよ。

 トランプ大統領にTPPから離脱されてしまった後、二〇二〇年一月に発効した第一段階の日米貿易協定、いわゆるTAGでは、日本が農業で妥協し、アメリカの自動車関税引下げは第二段階以降に先送りされたままです。二〇二〇年五月には交渉開始するという約束を二年間ほったらかしにされ、先月の日米首脳会談でもアメリカ側からは全く相手にもされず、アメリカの自動車関税引下げは半永久的に凍結されてしまいました。

 TPPへのアメリカの復帰、あり得ません。TAGの交渉開始、あり得ません。日米通商交渉は負けっ放しじゃないですか。違いますか、総理。どこが外交の岸田なんですか。

 台湾有事などの際に与那国島など離島の島民が避難する必要がある場合に、航空機や船舶による島外避難の計画を国が作るべきではないかと五月二十六日の予算委員会で泉代表が聞いた際、総理は、航空機や船舶等のアセットを総動員する形で退避を考えていくと答弁しましたが、その後、六月一日の予算委員会の答弁では、今の点につきましては、我が国として有事に対してしっかりと対応していく、現地の皆さんとしっかり共有し意思疎通を図っておくことが大事であるということだと思います、是非その点については政府としてもしっかりやっていきたいと思っていますと、しっかりを三回も使って、具体策は答えず、後退した答弁になってしまいました。

 国民の命を守る観点から安全保障の在り方を見直すことが必要なのに、離島からの島民避難の具体的な計画は作らず、しっかりやっていきたいでごまかす。やる気がない、説明責任を放棄する、国会をないがしろにする態度ではないでしょうか。

 岸田総理の今年に入ってからの答弁を我が党の山岸一生議員が調べたところ、検討を二百四回、決断がたった七回だったと指摘しました。私は、岸田総理の答弁にしっかりが多いことが気になっていました。与野党問わず、政治家なら、演説や答弁をしていて皆さんも感じることがあると思いますが、しっかりという言葉を使うときは、具体策はないけれどもしっかりやっているふりをしているという意味ですよね。この通常国会の岸田総理の答弁を調べたところ、何と、検討の二百四回よりはるかに多い、少なくとも千八百五回ものしっかり答弁をしている。しっかりしてくださいよ、総理。具体策がないことがばれていますよ。

 自民党は、昨年の衆議院総選挙で公約とともに並べた自民党政策バンクで、「水田フル活用予算は責任をもって恒久的に確保します。」としていました。しかし、総選挙直後、政府・与党は、水田活用直接支払交付金の交付要件について、今後五年間一度も水を張らない農地は交付対象外などと絞り込みました。突然の見直しに、現場は大混乱です。これこそ、自民党農政に農家が振り回される、二十世紀から続く猫の目農政の象徴ではないでしょうか。

 立憲民主党は、水田活用の直接支払交付金について、主食用米からの転作を行った農家の所得を補償する議員立法を提出しています。農家の不安を払拭するため、法律で明文化し、国としていかに日本の農業を支えていくのかを示すことが必要です。

 岸田総理には、農家を守り、農業を支えていく気概がありますか。岸田総理の農業への思い、全く伝わってきません。

 内閣不信任案を提出することについて様々な意見があるようですが、今の岸田総理では物価高対策は不十分なままで、岸田総理では国民の生活の安全を保障できない、亡国への道であり、替えた方がいいと我々立憲民主党は判断しました。五十一人以上の数でもって不信任案を突きつけることは、国民の代表として当然の責務であります。逆に、支持率の高い総理に対し不信任案を提出すべきでないという方は、プーチン大統領や習近平国家主席、金正恩総書記といった専制主義的なリーダーに対して辞めろと言ってはいけないと言っているのと同じではないでしょうか。

 また、福田総務会長や高木国対委員長が、不信任案を出した場合の衆議院解散の可能性について言及しています。もし解散された場合には、もちろん我々立憲民主党は受けて立ちますよ。しかし、解散した後の六月二十五日までに、十増十減案の区割り審議会の勧告が出ることを御存じですか。勧告内容と異なる、一票の格差が大きい現行の選挙区のままでの総選挙は違憲の可能性が極めて高い、このことをお忘れなんじゃないでしょうか。

 菅総理は、第五波で新型コロナ感染者数が増えて、政権を失いましたが、岸田総理は、感染者数が減るタイミングで衆院選を迎え、ラッキーでした。ここ三か月は、ウクライナ侵略に国民の関心が集まり、その結果、内政の失策から目をそらすことができたのかもしれません。

 しかし、物価高はそうはいきません。値上げの夏を前に、国民の生活の安全を保障する生活安全保障の観点から、立憲民主党は、岸田インフレと戦います。アベノミクスを止め、黒田円安を止め、岸田インフレを止めるため、物価対策に無策の岸田総理には一刻も早くお辞めいただくべきではないでしょうか。

 以上をもって、岸田内閣不信任案への賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(細田博之君) 足立康史君。

    〔足立康史君登壇〕

足立康史君 日本維新の会の足立康史です。

 私は、党を代表し、ただいま議題となりました岸田内閣不信任決議案について、反対の立場から討論します。(拍手)

 ただいま自民党の皆様から拍手を頂戴しましたが、毎度申し上げているように、不信任に反対だからといって、内閣を積極的に信任するわけではありません。少数派である万年野党が内閣不信任決議案を提出し、多数派である万年与党が粛々と否決する、そうした一連のお芝居に何の意味も見出すことができない、そうした茶番、猿芝居に異議を申し立てるという意味で、青票、つまり反対票を投じるものであります。

 私は、今、会期末恒例の不信任騒動を猿芝居と表現しましたが、意味のない不信任決議案を提出して仕事をした気になっている立憲民主党を猿に例えてしまうと、岸田総理を鬼とか犬に例えたれいわ新選組の大石さんと同じになってしまいます。与党と野党はまさに犬猿の仲でありますから、その党首を犬と猿に例えるのは、それはそれで整合的ではありますが、むしろ、日本の実際の国会の現状は、キツネとタヌキ、キツネとタヌキの化かし合いと呼ぶのがふさわしい、惨たんたる状況にあると断じざるを得ません。

 そもそも、内閣不信任決議案というものは、いわば国会審議における最終兵器であります。今、ロシアによるウクライナ侵略を背景に、安全保障に係る世界の秩序が激変をしていますが、最終兵器は、使ってしまえば終わりであります。

 私は、三年前の令和元年六月にも、立憲民主党始め万年野党たちが提出した安倍内閣不信任決議案に対し、この本会議場で反対討論を行いました。当時の不信任決議案提出会派は、立憲民主党始め五会派でした。昨年六月、菅内閣不信任決議案の提出会派は三会派でした。そして、本日の岸田内閣不信任決議案の提出に当たって、立憲民主党はあの共産党にも見放され、とうとう立憲民主党会派単独の提出となってしまいました。

 野党各党と調整もせず、野党各党と調整もできず、最終兵器を乱発する立憲民主党は、野党第一党失格であります。来る参院選、来年の統一地方選、そして次なる総選挙をホップ、ステップ、ジャンプと位置づけながら、日本の繁栄を支える柱になっていけるよう、我が党は地道な努力を重ねてまいる決意です。

 昨年の総選挙で、私たち日本維新の会は、とにかく衆議院に法案を提出できる二十一人の当選をと訴え、選挙戦を戦いました。ありがたいことに、法律案のみならず、単独で共産党などに懲罰動議を出せる四十一議席を衆議院に頂戴しました。

 新体制の下、国会議員団の政調会長を拝命した私は、国民の皆様から頂戴したその力、法律案を国会に提出する力を存分に活用するため、政務調査会の組織を拡充し、衆議院だけでも、委員長提案以外に、文通費に係る歳費法改正案、トリガー条項凍結解除法案、消費減税法案、自衛隊法及び海上保安庁法改正案、特別委員長手当廃止法案、経済安全保障推進法案、日銀法改正案、NHK分割民営化法案、特定土砂管理法案及び土砂等置場確保法案、情報通信行政改革推進法案、子ども育成基本法案、国民負担軽減法案、国民投票法改正案、インターネット誹謗中傷対策推進法案、地方議会オンライン化法案、性暴力被害者支援法案という十七法案を国会に提出。経済安保、盛土、情報通信、そして子どもの四本については、閣法との同時審議入りを果たしました。通常国会において同時審議入りをした法案の数は、憲政史上最多であります。

 さらに、当たり前のことではありますが定例日に毎週開催できるようになった衆院憲法審査会での審議を深め、憲法改正に向けた国民的議論を喚起するため、日本維新の会として、二〇一六年三月に公表した憲法改正三項目に加え、本年三月に憲法九条、五月に緊急事態条項の条文イメージを公表しました。これをもって、三プラス二、つまり五項目の条文案を提示したわけですが、自民党が二〇一八年三月に公表している条文イメージ、たたき台素案の四項目を凌駕する、本格的な憲法改正に向けた独自案を提示できたと自負しています。一、自衛隊の明記、二、憲法裁判所と緊急事態条項、三、統治機構、四、教育無償化、いずれについても、日本維新の会は自民党とがっぷり四つに組んでいつでも日本の未来を懸けた論戦を戦うことができると宣言をしておきたいと存じます。

 以上、私たち日本維新の会が有権者の負託に応えるべくどのように立法府の仕事に取り組んできたのか、その一端を御紹介させていただきましたが、残念なのは、岸田内閣であります。

 先ほど十七本の議員立法を紹介しましたが、野党が議員立法を国会に提出するのは、閣法に対して対案あるいは独自案を示し、閣法の国会修正可決、つまり、国会論戦を通じて修正案を可決するためであります。国会の生産性とは、つまるところ、国会での論戦を通じてどれだけの法案を国会修正できるかという数字に表れると私は考えています。

 過去を振り返ると、八年にわたった安倍政権では、年間平均十本の法案が国会で修正可決されました。年間平均十本です。菅政権では、五本と少し本数は減少しましたが、例えば、私が内閣委員会で提案して実現した、デジタル社会形成基本法案の基本理念三つの一つに公正な給付と負担を追記するなど、本格的な修正に応じてくださいました。さすがであります。

 ところが、聞く力を標榜しているはずの岸田政権は、昨年の第一次内閣発足以来、臨時国会、今通常国会を通じて、政府・与党が国会修正可決に応じたのは、盛土規制法一本だけでした。それも、採決日を一週間延期してのどたばた修正でありました。

 安倍政権は年十本、菅政権は年五本、岸田内閣は一本です。私たち日本維新の会は、既に紹介したように、経済安保推進法案、子ども育成基本法案始め完成度の高い独自案を提出し、現実的で具体的に修正提案をしてきたにもかかわらず、岸田内閣は、全くと言っていいほど聞く力を発揮しなかったのであります。

 五月二十七日の衆院予算委員会、私が、質問の冒頭、いわゆる文通費の改革について今国会中に結論を得るという自民党の約束について、自民党総裁である岸田総理の認識を問うたところ、期限を区切って議論をすることではないとお答えになりました。大変に驚きました。

 与野党の国対委員長が合意して設置した実務レベルの協議会での取りまとめは既に終わっており、あとは政治決断を残すのみとなっています。文通費は国民の税金から支出されています。全ての使途を公開するのは当然です。その文通費改革について、来週に迫った会期末までに結論を得ると約束したのは自民党です。万が一、結論を先延ばしするのであれば、国民の信を得ることは絶対にできない、国民に対する背信行為になると改めて強く指摘しておきたいと存じます。

 内閣の看板政策である新しい資本主義についても、一昨日七日に公表された新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画の冒頭、こんな言葉が披露されていました。「資本主義を超える制度は資本主義でしかあり得ない。新しい資本主義は、もちろん資本主義である。」こういう言葉ですね。

 まるで小泉進次郎代議士ばりの、とんちの利いたしゃれのようでありますが、新しい資本主義は社会主義ではないのかと市場から総スカンを食らった政権が、いや、何も変わらないのだと言い訳をしているだけであって、岸田内閣の無策無敵ぶりを象徴する言葉ではないでしょうか。我が党の馬場伸幸共同代表が予算委員会でメーテルリンクの童話「青い鳥」を取り上げ指摘したように、新しい資本主義に実体はなく、今の官邸は、現実の日本の経済実態や日本を取り巻く安全保障環境に正面から向き合うことをせず、空想にふけるだけの青い鳥症候群に陥っているのではないでしょうか。

 例えば、予算委員会で我が党の藤田文武幹事長が問い詰めた、岸田内閣のいわゆる勤労者皆保険構想。岸田総理や厚労大臣に幾ら聞いても、被用者保険の適用拡大以上の答弁は出てきませんでした。

 被用者保険の適用拡大であれば、既に安倍内閣が、できる限界まで推進をしてきました。それらを超えて、フリーランス等を本格的に被用者保険に組み入れることなど、論理的にできるわけがないのです。

 被用者保険に……(発言する者あり)ちょっと静かにしてくれる。

 被用者保険に被用者以外を組み入れる、こんな論理破綻した構想を新しい資本主義という空想的キャッチフレーズで包み装って国民の歓心を買っているのが、今の岸田内閣なのであります。

 だからこそ、私たちは、企業ばかりに負担を強いる空想的資本主義ではなく、社会システムとして税制と社会保障、労働市場とを三位一体で改革する日本大改革プランを策定し、そのプランを具体化する作業を続けているのであります。

 私たち日本維新の会は、ウクライナ危機を背景に、日本は戦後最大の危機に直面していると考えています。内政にあっては、際限のない超少子高齢社会の到来、外政にあっては、中ロに加え北朝鮮が核兵器に手をかけて、日本を取り巻いています。今こそ、安定の自民党だけではなく、改革の日本維新の会が野党第一党に躍り出て、日本の繁栄を支えなければなりません。

 先日、ある若手官僚と懇談をしました。彼ら、彼女らは、同期の仲間がどんどん霞が関を辞めていくのだと嘆いていました。私は、当然だと思いました。国の繁栄を支えたいと霞が関にはせ参じた有為な人材は、自分たちの身分にしか関心のない万年野党の意味のない国会質問や質問主意書の対応に忙殺され、無為無策の野党を尻目に安穏と無策無敵を謳歌する、覇気のない政府の作文ばかり手伝わされていたら、私だって辞めたくなります。まあ、私は、二〇一一年、民主党政権にあきれ果て、実際に霞が関を辞したわけでありますが、霞が関も日本の経済社会ももう限界であります。

 日本維新の会は、結党から十年。昨年の総選挙の後、党三役に若手を抜てきし、第二の十年をスタートさせました。来る参院選、来年の統一地方選、そして次なる総選挙を戦い抜いて、新しい政治行政、新しい経済社会、新しい外交安保、そして新しい国の形を実現するために前進していく、そのことを全ての国民の皆様にお誓いし、討論とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(細田博之君) 笠井亮君。

    〔笠井亮君登壇〕

笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、岸田内閣不信任決議案に賛成の討論を行います。(拍手)

 不信任の第一の理由は、ウクライナ危機に乗じて、力対力で対抗する大軍拡を進め、平和に逆行する危険な道を突き進もうとしているからであります。

 岸田総理は、さきの日米首脳会談で、敵基地攻撃能力の保有検討に言及し、防衛費の大幅な増額を約束しました。力対力では平和はつくれません。それは、東アジアと世界に新たな軍事的緊張と軍事対軍事の悪循環、戦争への道にほかなりません。

 これまで、政府は、相手に脅威を与える攻撃型兵器は憲法上保有できないとしてきましたが、敵基地攻撃能力の保有は、この憲法解釈をひっくり返す、無法なものです。歴代政府が曲がりなりにも掲げてきた専守防衛の大原則を投げ捨てるものであり、戦争放棄を内外に宣言した憲法九条の下で許されないことは、火を見るより明らかであります。

 九条改憲は、こうした危険な道を一層進めるものであり、断じて認められません。

 しかも、一昨日閣議決定した骨太方針には、自民党の軍事費GDP二%提言を取り込み、五年以内に防衛力の抜本的強化を盛り込んだのであります。軍事費だけを特別扱いして倍増することを経済財政運営の基本方針としたことは極めて重大です。こんな大軍拡をやろうとすれば、消費税増税や社会保障削減、若しくは国債の大量発行につながることは必至であります。こんな平和も暮らしも破壊する道を決して進んではなりません。

 ロシアのウクライナ侵略は、国連憲章の重大なじゅうりんであり、断じて許されません。今大事なのは、国際世論によるロシア包囲です。侵略やめよ、国連憲章を守れの一点で全世界が一致団結して、一刻も早く侵略を止めることです。

 ところが、総理は、民主主義対専制主義の戦いと主張するバイデン米大統領に同調して、価値観を共有するG7主導の秩序などと、特定の価値観で世界を二分する態度を取っています。こんな力対力の軍事ブロック的対応では、戦争を拡大し、新たな危険をもたらすことを厳しく警告しなければなりません。

 政府の役割は、紛争を絶対に戦争にしないことです。憲法九条を生かして、戦争を起こさないための外交に知恵と力を尽くすことです。東アジアの全ての国を包み込む包摂的な枠組みをつくり、対抗ではなく対話と協力の地域にすることです。その役割を果たさず、外交戦略も持たず、軍事一辺倒にのめり込んでいるのが岸田政権にほかなりません。

 更に重大なのは、沖縄の本土復帰五十年の今、県民の民意を踏みにじって、辺野古に新たな巨大米軍基地の建設を強行していることです。在日米軍の横暴がエスカレートし、沖縄はもちろん、全国各地でも、オスプレイなど米軍機による低空飛行訓練やパラシュート降下訓練の被害が激増しています。ところが、岸田政権は、この無法に抗議一つしようとせず、日米地位協定の改定を拒み続ける、主権国家とは言えない異常な態度は許せません。

 総理が、核兵器廃絶を目指すといいながら、いまだに米国の核の傘にしがみつき、第一回締約国会議が今月に開かれる核兵器禁止条約に背を向け続けていることは重大です。締約国六十一か国以外にも、NATO加盟国を含め二十か国以上がオブザーバー参加するのに、広島、長崎の惨禍を体験した唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶の先頭に立たない岸田内閣を到底信任などできません。

 不信任の第二の理由は、現下の物価高騰に無為無策で、国民の暮らしを顧みない冷たい政治を進めているからです。

 今年四月の消費者物価は二・五%の上昇で、水光熱費や食料品などの生活必需品は四・八%と更に値上がりしています。何もかも値上げラッシュは、家計を直撃し、中小企業、個人事業主、農林漁業者の経営を脅かしています。

 今、政治がなすべきは、物価を引き下げ、賃金を上げることです。そのために、我が党は、消費税を五%に緊急減税、大企業の内部留保を賃上げに、中小企業支援とセットで最低賃金千五百円に、経済力にふさわしく社会保障と教育を拡充し、学費の半減と給食費を無償になどを提案しましたが、総理には全く聞く力、聞く耳がありません。

 それどころか、また六月から年金が削減されました。どこが百年安心か。十月からは、七十五歳以上の医療費窓口負担を二倍化しようとしています。こんな冷たい政治など、断じて認めるわけにはいきません。

 国民生活を苦しめている元凶は、アベノミクスと弱肉強食の新自由主義にあります。総理は、新しい資本主義、新自由主義の弊害を乗り越えるなどと息巻いていましたが、何のことはない、一昨日閣議決定した新しい資本主義実行計画には、反省もなく、アベノミクスの三本の矢の堅持を明記したのであります。所得倍増も、資産所得倍増にすり替わりました。貯蓄や投資に回すお金のない庶民には全く無縁です。これでは、賃金は上がらず、大資産家だけが富を増やすだけです。

 今こそ、新自由主義を終わらせて、冷たく弱い経済から優しく強い経済に転換し、財界、大企業の目先の利益拡大を最優先する政治を根本的に転換するときです。

 この内閣をこれ以上存続させるわけにはいきません。

 米価暴落を放置し、麦や大豆、牧草などへの転作に不可欠な水田活用交付金を削減した岸田内閣の責任は重大です。日本の食料自給率は三七%と、先進国でも異常な水準にまで下がっています。ひたすら食料輸入を拡大し、社会経済の基盤である食料自給率を大幅に引き下げ、地方を疲弊させた、亡国の農政を抜本的に転換しなければなりません。

 世界が待ったなしと真剣に野心的に取り組んでいる気候危機打開に逆行し、岸田内閣が石炭火力と原発に固執し続けていることも決して看過できません。骨太方針は、原発の最大限活用までぶち上げたのであります。東京電力福島第一原発事故から十一年。被害者を置き去りに、あの事故がなかったかのような政策を強行することは断じて許せません。純国産の再生可能エネルギーを大いに普及し、省エネと一体にエネルギー自給率の向上を図ることこそ、真に気候危機を打開し、日本経済を成長させる道であります。

 以上、平和の問題でも、暮らし、経済などあらゆる問題でも、もはやこの岸田内閣に国政を担う資格はありません。

 目前の参議院選挙で岸田内閣に厳しい審判を下し、国民が安心して希望を持って暮らせる政治への転換を図るために全力を尽くす、その決意を表明して、賛成討論といたします。(拍手)

議長(細田博之君) 浜地雅一君。

    〔浜地雅一君登壇〕

浜地雅一君 公明党の浜地雅一です。

 公明党を代表し、岸田内閣不信任決議案に対し、断固反対の討論を行います。(拍手)

 ロシアのウクライナ侵略が続く中、国際社会は、今、一致結束してロシアの暴挙に立ち向かわなければならないときにあります。また、現下の原油高、物価高騰に対し、今こそ国会を機能させ、国民生活を守る施策を着実に実行に移すときにあります。まさに、国政を停滞させる一刻の猶予もありません。このタイミングで内閣不信任案を提出した立憲民主党の行動は、到底理解できるものではなく、まして、国民からの支持も全く得られないものとまず冒頭申し上げます。

 昨年十月に行われた衆議院選挙において国民の皆様から再び信任を得た自公連立政権は、強固な結束の下で、新型コロナ対策や物価高騰対策など、現下の諸課題を克服するための政権運営に万全を期しております。岸田総理は、その先頭に立って、コロナ対策、経済対策、外交交渉を確実に実行されております。岸田内閣が、国民の皆様方の声を大切に、その負託に応えるため、安定的な政権運営を行っていることは、政権発足時よりも高い支持率を得ていることが何よりの証左です。まさに、国政を安定的に着実に運営する岸田内閣は、全く不信任には値しません。

 以下、三点にわたり、反対理由を申し上げます。

 第一に、岸田内閣は、適時適切なコロナ対策により、確実にコロナを収束に向かわせ、国民を安心に導いております。

 感染力の強いオミクロン株に対し、三回目のワクチン接種を前倒しで実施し、重症化リスクの高い高齢者等には四回目のワクチン接種も五月下旬から開始されました。

 新規感染者数はほとんどの地域で減少傾向が続いており、何より、重症化率は、五十歳代以下で〇・〇三%、六十歳以上でも二・四九%と大きく低下、病床使用率も一六・五%、重症病床は七・八%と確実な低下につながっており、医療提供体制を見事に維持しています。

 また、オミクロン株の特性を捉え、感染対策と経済活動の両立を図るべく、緊急事態宣言を出すことなく蔓延防止措置にとどめた結果、経済活動の停滞は最小限に抑えられ、今は、日常に近い生活環境、経済環境を取り戻しつつあります。

 また、内閣提出の改正薬機法は、新たな感染症が流行した場合においても国産の医薬品等を迅速に承認できる緊急承認制度の創設が盛り込まれるなど、非常時の危機管理能力向上につながる重要な法律であり、今後、仮に新たな変異株が蔓延した場合でも、万全な医療体制を整える準備ができております。

 以前、立憲民主党さんが提案した、ゼロコロナ政策といった幻想に近い対策をもし取っていたならば、経済も国民生活もがたがたになっていたことは、海外の例を見ても明らかであります。

 感染対策と経済活動の両立を絶妙に図りながらコロナ対策に邁進する岸田内閣を高く評価いたします。

 第二に、岸田内閣の物価高騰対策や経済対策の成果が着実に表れていることであります。

 世界は、今、コロナ禍における物流の混乱、停滞やウクライナ情勢の影響により、燃料始め食料などの原材料価格が高騰しております。こうした中、本年四月の十三兆円の経済対策、そして先月成立した補正予算を切れ目なく執行していくことが求められます。

 とりわけ、四月に決定した総合緊急対策には、ガソリン価格等の高騰を抑制する対策の拡充、延長や、農家等への燃料代高騰分の補填、食料の値上げ要因となる輸送コスト上昇分に対する支援、低所得の子育て世帯に対する給付金、公共料金や学校給食等にもきめ細かく活用できる地方創生臨時交付金など、国民生活や事業活動を守り抜く対策が数多く盛り込まれました。

 こうした対策により、消費者物価指数の上昇率は、米国の八・三%、欧州の七・四%に比べ、我が国は二・一%と低い水準に抑えられています。また、完全失業率についても、我が国は二・六%にとどまっており、米国の三・六%、欧州の六・八%と比べても低く抑えられております。

 立憲民主党始め一部野党は、総合緊急対策や補正予算について、規模が小さいと批判しますが、こうした経済指標からも分かるとおり、物価高騰の抑制効果、雇用の安定効果がはっきりと表れており、予期せぬ物価高騰に備えて五兆円の予備費も準備されております。岸田インフレ、無為無策なる批判は全く当たりません。

 今後は、物価上昇率以上に賃金が引き上げられる経済構造への転換が重要です。岸田政権下で大幅に拡充された賃上げ促進税制や価格転嫁対策等を強力に推進し、成長と分配の好循環を実現しながら、その恩恵を家計や中小企業、地方にまで波及させる取組を政府・与党一体となって進めてまいります。

 第三点目として、岸田内閣は、日米首脳会談を始め、外交成果が着実に実を結んでいることであります。

 本年五月のバイデン大統領との日米首脳会談では、我が国が提唱した自由で開かれたインド太平洋戦略の実現に向けて、基本的価値を共有する日米両国が国際社会を主導し、台湾海峡の安定も含め、同志国と綿密に連携していくことで一致しました。

 また、拉致被害者の御家族とバイデン大統領との面談も実現をされました。

 核軍縮・不拡散に関する現実的、実効的な取組も進め、核兵器のない世界に向け、日米で共に取り組んでいくことも一致しています。特に、公明党からの要請も踏まえ、来年のG7サミットの開催地が広島に決定したことは、核兵器のない世界に向けた国際的な機運を高める大きな成果であり、高く評価されるべきものであります。

 また、IPEF、インド太平洋経済枠組みという新たな経済連携の立ち上げにも成功。貿易、サプライチェーン強靱化など、経済安全保障の面で重要な取組がマルチで開始されることになります。

 さらに、日米豪印のクアッド首脳会談においても、気候変動対策を推進するなど、地球規模課題の解決に向けた協力が確認されたことは極めて大きな意義があると実感をいたします。

 これらの成果は、長らく外務大臣を務められ国際社会に精通した岸田総理を先頭に、内閣が一致団結して取り組んだ成果であり、我が国の国際社会におけるプレゼンスを大きく高めたことで、岸田内閣の外交成果は高く評価されております。

 以上のように、内閣不信任案には何ら正当な理由も説得力もないことは明らかであります。着実に成果を出している岸田政権を追い込もうとする提出会派の姿勢には、内閣不信任案を政局に利用しようという思惑が透けて見えております。まさに、参院選を前に、今国会で全く見せ場のなかった立憲民主党のパフォーマンスにすぎないとしか言いようがありません。

 我々公明党は、責任ある与党の一員として、必要な施策の実現に取り組むとともに、これからも岸田政権をしっかりと支えていきます。

 最後に、この度の極めて理不尽な内閣不信任案に対し、野党各位の皆様方の賛同も得て否決されんことを期待し、私の反対討論を終わります。(拍手)

議長(細田博之君) これにて討論は終局いたしました。

 ただいまから十分後に記名投票をもって採決いたしますので、しばらくお待ちください。

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 岸田内閣不信任決議案について採決いたします。

 この採決は記名投票をもって行います。

 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。

 なお、今回の投票につきましても、順次間隔を空けて登壇していただくため、通常より時間をかけて氏名点呼を行わせます。――議場閉鎖。

 氏名点呼を命じます。

    〔参事氏名を点呼〕

    〔各員投票〕

議長(細田博之君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開票。――議場開鎖。

 投票を計算させます。

    〔参事投票を計算〕

議長(細田博之君) 投票の結果を事務総長から報告させます。

    〔事務総長報告〕

 投票総数 四百五十二

  可とする者(白票)         百六

  否とする者(青票)      三百四十六

議長(細田博之君) 右の結果、岸田内閣不信任決議案は否決されました。(拍手)

    ―――――――――――――

西村智奈美君外二名提出岸田内閣不信任決議案を可とする議員の氏名

安住   淳君   阿部  知子君   青柳 陽一郎君   青山  大人君

荒井   優君   新垣  邦男君   井坂  信彦君   伊藤  俊輔君

石川  香織君   泉   健太君   稲富  修二君   梅谷   守君

江田  憲司君   枝野  幸男君   おおつき紅葉君   小川  淳也君

小熊  慎司君   大河原まさこ君   大串  博志君   大島   敦君

大西  健介君   逢坂  誠二君   岡田  克也君   岡本 あき子君

奥野 総一郎君   落合  貴之君   金子  恵美君   鎌田 さゆり君

神谷   裕君   菅   直人君   城井   崇君   菊田 真紀子君

玄葉 光一郎君   源馬 謙太郎君   小宮山 泰子君   小山  展弘君

後藤  祐一君   神津 たけし君   近藤  和也君   近藤  昭一君

佐藤  公治君   坂本 祐之輔君   櫻井   周君   重徳  和彦君

階    猛君   篠原   豪君   篠原   孝君   下条  みつ君

白石  洋一君   末次  精一君   末松  義規君   鈴木  庸介君

田嶋   要君   堤  かなめ君   手塚  仁雄君   寺田   学君

徳永  久志君   中川  正春君   中島  克仁君   中谷  一馬君

中村 喜四郎君   長妻   昭君   西村 智奈美君   野田  佳彦君

野間   健君   馬場  雄基君   原口  一博君   伴野   豊君

福田  昭夫君   藤岡  隆雄君   太   栄志君   本庄  知史君

馬淵  澄夫君   牧   義夫君   松原   仁君   道下  大樹君

緑川  貴士君   森田  俊和君   森山  浩行君   谷田川  元君

山岡  達丸君   山岸  一生君   山崎   誠君   山田  勝彦君

山井  和則君   柚木  道義君   湯原  俊二君   吉川   元君

吉田  統彦君   吉田 はるみ君   米山  隆一君   笠   浩史君

早稲田 ゆき君   渡辺   周君   渡辺   創君   赤嶺  政賢君

笠井   亮君   穀田  恵二君   志位  和夫君   塩川  鉄也君

田村  貴昭君   高橋 千鶴子君   宮本  岳志君   宮本   徹君

本村  伸子君   海江田 万里君

否とする議員の氏名

あかま 二郎君   あべ  俊子君   安倍  晋三君   逢沢  一郎君

青山  周平君   赤澤  亮正君   秋葉  賢也君   秋本  真利君

東   国幹君   畦元  将吾君   麻生  太郎君   甘利   明君

五十嵐  清君   井出  庸生君   井野  俊郎君   井上  信治君

井上  貴博君   井林  辰憲君   井原   巧君   伊東  良孝君

伊藤 信太郎君   伊藤  忠彦君   伊藤  達也君   池田  佳隆君

石井   拓君   石川  昭政君   石田  真敏君   石破   茂君

石橋 林太郎君   石原  宏高君   石原  正敬君   泉田  裕彦君

稲田  朋美君   今枝 宗一郎君   今村  雅弘君   岩田  和親君

岩屋   毅君   上杉 謙太郎君   上田  英俊君   上野 賢一郎君

江渡  聡徳君   江藤   拓君   衛藤 征士郎君   遠藤  利明君

小倉  將信君   小里  泰弘君   小野寺 五典君   小渕  優子君

尾崎  正直君   尾身  朝子君   越智  隆雄君   大岡  敏孝君

大串  正樹君   大塚   拓君   大西  英男君   大野 敬太郎君

奥野  信亮君   鬼木   誠君   加藤  鮎子君   加藤  勝信君

加藤  竜祥君   柿沢  未途君   梶山  弘志君   勝俣  孝明君

勝目   康君   門山  宏哲君   金子  俊平君   金子  恭之君

金田  勝年君   上川  陽子君   亀岡  偉民君   川崎 ひでと君

神田  憲次君   神田  潤一君   菅家  一郎君   木原  誠二君

木原   稔君   木村  次郎君   城内   実君   黄川田 仁志君

岸   信夫君   岸田  文雄君   工藤  彰三君   国定  勇人君

国光 あやの君   熊田  裕通君   小泉 進次郎君   小泉  龍司君

小島  敏文君   小寺  裕雄君   小林  茂樹君   小林  鷹之君

小林  史明君   小森  卓郎君   古賀   篤君   後藤  茂之君

後藤田 正純君   河野  太郎君   高村  正大君   國場 幸之助君

佐々木  紀君   佐藤   勉君   齋藤   健君   斎藤  洋明君

坂井   学君   坂本  哲志君   櫻田  義孝君   笹川  博義君

塩崎  彰久君   塩谷   立君   柴山  昌彦君   島尻 安伊子君

下村  博文君   新谷  正義君   新藤  義孝君   菅   義偉君

杉田  水脈君   鈴木  英敬君   鈴木  馨祐君   鈴木  俊一君

鈴木  淳司君   鈴木  貴子君   鈴木  憲和君   鈴木  隼人君

関   芳弘君   薗浦 健太郎君   田所  嘉徳君   田中  和徳君

田中  英之君   田中  良生君   田野瀬 太道君   田畑  裕明君

田村  憲久君   平   将明君   高市  早苗君   高階 恵美子君

高木   啓君   高木   毅君   高木  宏壽君   高鳥  修一君

高見  康裕君   武井  俊輔君   武田  良太君   武部   新君

武村  展英君   橘  慶一郎君   棚橋  泰文君   谷   公一君

谷川  とむ君   谷川  弥一君   津島   淳君   塚田  一郎君

辻   清人君   土田   慎君   土屋  品子君   寺田   稔君

冨樫  博之君   渡海 紀三朗君   土井   亨君   中川  貴元君

中川  郁子君   中曽根 康隆君   中谷   元君   中谷  真一君

中西  健治君   中根  一幸君   中野  英幸君   中村  裕之君

中山  展宏君   永岡  桂子君   長坂  康正君   長島  昭久君

二階  俊博君   丹羽  秀樹君   西田  昭二君   西野  太亮君

西村  明宏君   西村  康稔君   西銘 恒三郎君   額賀 福志郎君

根本   匠君   根本  幸典君   野田  聖子君   野中   厚君

葉梨  康弘君   萩生田 光一君   橋本   岳君   長谷川 淳二君

鳩山  二郎君   浜田  靖一君   林   幹雄君   平井  卓也君

平口   洋君   平沢  勝栄君   平沼 正二郎君   深澤  陽一君

福田  達夫君   藤井 比早之君   藤丸   敏君   藤原   崇君

船田   元君   古川  直季君   古川   康君   古川  禎久君

古屋  圭司君   穂坂   泰君   星野  剛士君   細田  健一君

細野  豪志君   堀井   学君   堀内  詔子君   牧島 かれん君

牧原  秀樹君   松島 みどり君   松野  博一君   松本  剛明君

松本   尚君   松本  洋平君   三谷  英弘君   三ッ林 裕巳君

御法川 信英君   宮内  秀樹君   宮崎  政久君   宮澤  博行君

宮路  拓馬君   宮下  一郎君   武藤  容治君   務台  俊介君

宗清  皇一君   村井  英樹君   村上 誠一郎君   茂木  敏充君

盛山  正仁君   森   英介君   森山   裕君   八木  哲也君

保岡  宏武君   簗   和生君   柳本   顕君   山口  俊一君

山口   晋君   山口   壯君   山下  貴司君   山田  賢司君

山田  美樹君   山本  左近君   山本ともひろ君   山本  有二君

吉川   赳君   吉野  正芳君   義家  弘介君   和田  義明君

若林  健太君   若宮  健嗣君   鷲尾 英一郎君   渡辺  孝一君

渡辺  博道君   足立  康史君   阿部   司君   阿部  弘樹君

青柳  仁士君   赤木  正幸君   浅川  義治君   井上  英孝君

伊東  信久君   池下   卓君   池畑 浩太朗君   市村 浩一郎君

岩谷  良平君   浦野  靖人君   漆間  譲司君   遠藤   敬君

遠藤  良太君   小野  泰輔君   奥下  剛光君   金村  龍那君

沢田   良君   杉本  和巳君   住吉  寛紀君   空本  誠喜君

高橋  英明君   中司   宏君   馬場  伸幸君   早坂   敦君

藤田  文武君   藤巻  健太君   堀場  幸子君   掘井  健智君

前川  清成君   三木  圭恵君   美延  映夫君   岬   麻紀君

守島   正君   山本  剛正君   吉田 とも代君   吉田  豊史君

和田 有一朗君   赤羽  一嘉君   伊佐  進一君   伊藤   渉君

石井  啓一君   稲津   久君   浮島  智子君   大口  善徳君

岡本  三成君   河西  宏一君   北側  一雄君   金城  泰邦君

日下  正喜君   國重   徹君   輿水  恵一君   佐藤  茂樹君

佐藤  英道君   斉藤  鉄夫君   庄子  賢一君   高木  陽介君

竹内   譲君   角田  秀穂君   中川  宏昌君   中川  康洋君

中野  洋昌君   浜地  雅一君   平林   晃君   福重  隆浩君

古屋  範子君   山崎  正恭君   吉田 久美子君   吉田  宣弘君

鰐淵  洋子君   浅野   哲君   岸本  周平君   斎藤アレックス君

鈴木   敦君   鈴木  義弘君   田中   健君   玉木 雄一郎君

長友  慎治君   西岡  秀子君   古川  元久君   前原  誠司君

緒方 林太郎君   吉良  州司君   北神  圭朗君   仁木  博文君

福島  伸享君   三反園  訓君

     ――――◇―――――

 情報監視審査会会長の情報監視審査会令和三年年次報告書についての発言

議長(細田博之君) 情報監視審査会会長から、去る七日、議長に提出された情報監視審査会令和三年年次報告書について発言を求められております。これを許します。情報監視審査会会長小野寺五典君。

    ―――――――――――――

    〔報告書は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔小野寺五典君登壇〕

小野寺五典君 情報監視審査会は、特定秘密保護制度の運用状況を常時監視するという重要な活動を行っており、去る七日、衆議院情報監視審査会規程第二十二条第一項の規定により、令和三年年次報告書を取りまとめ、直ちに細田議長に提出いたしました。

 当審査会の活動は原則非公開でありますが、本報告書は、公表できることは公表するとの方針の下、国民に対する情報開示に極力努めたものであります。

 その概要は次のとおりです。

 本報告書の対象期間は、令和三年四月一日から本年三月三十一日までであります。

 まず、この期間における調査の経過について申し上げます。

 昨年六月、政府から令和二年中における特定秘密の指定等、制度の運用状況についての国会報告の提出があり、当時の河野国務大臣から同報告について説明を聴取するとともに、政府に対し、調査に必要な資料の提出を求めました。

 また、今国会においては、特定秘密保護制度の運用や管理の適正確保のための検証・監察等について、内閣情報調査室及び独立公文書管理監から説明を聴取し、質疑を行いました。

 続いて、特定秘密を指定している十二の指定行政機関より、特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況等について説明を聴取し、質疑を行いました。

 なお、今対象期間中、常任委員会等から当審査会に対し、特定秘密の提出要求に係る審査の申出はありませんでした。

 次に、調査の結果としての政府に対する意見について申し上げます。

 今回提示した意見は五項目であり、その主な内容は、

 各行政機関においては、保全教育等を通じ、特定秘密に対する職員の意識及び理解を徹底し、その上で適切な管理がなされているか改めて確認すること。また、引き続き適合事業者等における秘密保全状況の把握に努め、情報管理に万全を期すこと、

 各行政機関においては、特定秘密の管理において重大な事案が生じた場合には、その事実や経緯、再発防止策等について、当審査会に速やかに報告し、丁寧に説明すること。また、国民に対しても可能な限り早期に公表するよう努めること、

 各指定行政機関においては、特定秘密指定書の作成に当たり、指定の理由が特定秘密の指定要件の充足性等の判別が可能となる記述内容となっているかよく精査すること

などであります。

 情報監視審査会といたしましては、当審査会に与えられた特定秘密保護制度の常時監視という使命に深く思いを致し、細田議長、海江田副議長を始め議員各位の御理解と御協力を得ながら、引き続き国民から信頼されるよう、その役割を十分に果たすべく努めてまいる所存であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

 日程第一 自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)

議長(細田博之君) 日程第一、自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長中根一幸君。

    ―――――――――――――

 自動車損害賠償保障法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔中根一幸君登壇〕

中根一幸君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、自動車事故による被害者の保護の増進及び自動車事故の発生の防止を一層図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、被害者支援及び事故防止について恒久的な事業に見直した上で、自動車事故対策事業として創設すること、

 第二に、保険会社等は、同事業に必要な費用に充てるため、自動車事故対策事業賦課金を政府に納付しなければならないものとすること

などであります。

 本案は、参議院先議に係るもので、去る五月二十四日本委員会に付託され、翌二十五日斉藤国土交通大臣から趣旨の説明を聴取しました。六月三日に質疑に入り、同日参考人から意見を聴取し、昨八日質疑を終了しました。質疑終了後、討論を行い、採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(細田博之君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(細田博之君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時八分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣 岸田 文雄君

       総務大臣   金子 恭之君

       法務大臣   古川 禎久君

       財務大臣   鈴木 俊一君

       文部科学大臣 末松 信介君

       厚生労働大臣 後藤 茂之君

       農林水産大臣 金子原二郎君

       経済産業大臣

       国務大臣   萩生田光一君

       国土交通大臣 斉藤 鉄夫君

       環境大臣   山口  壯君

       防衛大臣   岸  信夫君

       国務大臣   小林 鷹之君

       国務大臣   二之湯 智君

       国務大臣   西銘恒三郎君

       国務大臣   野田 聖子君

       国務大臣   牧島かれん君

       国務大臣   松野 博一君

       国務大臣   若宮 健嗣君


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