衆議院

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第2号 令和4年10月5日(水曜日)

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令和四年十月五日(水曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第二号

  令和四年十月五日

    午後一時開議

 一 国務大臣の演説に対する質疑

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本日の会議に付した案件

 北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議案(山口俊一君外十二名提出)

 国務大臣の演説に対する質疑


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    午後一時二分開議

議長(細田博之君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

佐々木紀君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。

 山口俊一君外十二名提出、北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略してこれを上程し、その審議を進められることを望みます。

議長(細田博之君) 佐々木紀君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、日程に先立ち追加されました。

    ―――――――――――――

 北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議案(山口俊一君外十二名提出)

議長(細田博之君) 北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議案を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。山口俊一君。

    ―――――――――――――

 北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔山口俊一君登壇〕

山口俊一君 私は、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ、日本共産党、有志の会を代表いたしまして、ただいま議題となりました北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議案につきまして、提案の趣旨を御説明申し上げます。(拍手)

 北朝鮮が例を見ない頻度で弾道ミサイルを発射し、挑発行動を繰り返していることに加え、昨四日、およそ五年ぶりに我が国上空を通過する形で弾道ミサイルを発射したことは、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体に対しても明白かつ深刻な脅威であり、断じて容認することはできません。

 以下、案文の朗読をもちまして趣旨の説明に代えさせていただきます。

    北朝鮮による弾道ミサイル発射に抗議する決議案

  十月四日、北朝鮮は、弾道ミサイルを発射し、青森県付近の我が国上空を通過する形で太平洋上に落下したとみられる。

  北朝鮮は、今年に入ってからも弾道ミサイルを計二十回にわたって発射しており、これらの高い頻度で続く一連の挑発行動は、国際社会に対する深刻な挑戦である。このような中で、平成二十九年九月十五日以来、およそ五年ぶりに我が国上空を通過する弾道ミサイルを発射した。これらは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものである。このような北朝鮮の行為は、関連国連安保理決議及び日朝平壌宣言への違反であり、断じて容認できない。

  本院は北朝鮮に対し厳重に抗議し、最も強い表現で非難する。さらに、挑発行動を中止し、核・弾道ミサイル開発計画を直ちに放棄するよう強く求める。

  国際社会は、国連安保理決議等を踏まえ、結束した外交努力を展開し、平和的な解決を模索すべきである。政府においては、国連加盟国に対し、これまでの国連安保理決議に基づく制裁措置の完全な履行を実現するよう働きかけを一層強化しつつ、米国、韓国等関係各国と緊密に連携し、北朝鮮に対する一層厳格で実効的な措置を取るよう求めるべきである。

  北朝鮮の核・ミサイル問題のみならず、拉致問題も我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる最も重大な問題であり、国際社会が結束して北朝鮮による核、ミサイル、そして、最重要課題である拉致問題の包括的かつ早急な解決を図るべく、政府の総力を挙げた努力を傾注し、もって国民の負託に応えるべきである。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(細田博之君) 採決いたします。

 本案を可決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(細田博之君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。(拍手)

 この際、内閣総理大臣から発言を求められております。これを許します。内閣総理大臣岸田文雄君。

    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

内閣総理大臣(岸田文雄君) ただいまの御決議への所信を申し述べます。

 十月四日、北朝鮮が再び国連安保理決議違反である弾道ミサイルを発射、それも、我が国の上空を通過させる形での発射を強行したことは、極めて遺憾であり、我が国として断じて容認できません。

 北朝鮮は、今年に入ってからも弾道ミサイルを二十回にわたって発射しており、かつてない高い頻度で続く一連の挑発行動は国際社会に対する深刻な挑戦です。このような中で行われた今般の我が国上空を通過する弾道ミサイルの発射は、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものです。このような北朝鮮の行為は、関連する国連安保理決議及び日朝平壌宣言に違反するものであり、我が国は、直ちに、北朝鮮に対し厳重に抗議をし、最も強い表現で非難いたしました。

 我が国としては、北朝鮮に対し、改めて、関連する国連安保理決議を即時かつ完全に履行するとともに、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向け具体的な行動を取るよう、強く求めます。

 私は、バイデン大統領と電話会談を行い、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化に向け、安保理における更なる対応等について、引き続き、日米、日米韓で緊密に連携していくことを確認いたしました。

 米国、韓国を含む関係国とも緊密に連携しながら、国連安保理決議の完全な履行等を全ての国連加盟国に強く働きかけてまいります。

 政府としては、発射後、危機管理に万全の態勢を取りました。引き続き、強固な日米同盟の下、高度の警戒態勢を維持するとともに、国民に適時適切な情報提供を行い、我が国の平和と安全の確保、国民の安全、安心の確保に一層万全を期すべく、防衛力の抜本的強化にも取り組んでまいります。

 最重要課題である拉致問題について、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組みます。私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。

 ただいまの御決議の趣旨を体し、核、ミサイル、そして最重要課題である拉致問題の包括的かつ早急な解決に向けて全力を尽くしてまいります。(拍手)

     ――――◇―――――

 国務大臣の演説に対する質疑

議長(細田博之君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。泉健太君。

    〔泉健太君登壇〕

泉健太君 立憲民主党代表の泉健太です。

 会派を代表し、総理に質問をいたします。(拍手)

 まず、台風など自然災害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。

 また、ロシアによるウクライナ侵攻、そして四州の併合を非難し、ロシアの全面撤退を求めます。ウクライナ国民に連帯の意を表明します。

 そして、北朝鮮のミサイル発射に断固抗議します。事前通告もなく我が国上空を通過させる行為は、危険極まりなく、断じて許されません。

 総理、北への経済制裁は機能していますか。私なら、国際社会と協力をし、経済制裁の総点検を実施します。いかがでしょうか、総理。

 Jアラートの不具合や発信のタイミングも問題です。改善を求めます。

 拉致問題について、今ほども総理が、毎度、条件をつけず向き合うと繰り返しておりますが、同じ原稿を読むだけの状態を遺憾に思います。拉致問題については、次の新潟選出の西村智奈美議員の質問で、我々から具体的に触れさせていただきます。後ほど御答弁をお願いします。

 さて、臨時国会がようやく開かれました。随分待たされました。

 野党各党が憲法五十三条に基づき臨時国会の開会を要求したにもかかわらず、それが八月十八日、政府・与党は黙殺をしました。その間、物価は上がり、コロナの死者数は増加し、総理は国民の声と国会を無視し国葬を強行し、自民党は統一教会との関係を明らかにできず、内閣は改造したが余計におかしくなっています。

 今日の代表質問は、そうした深刻な状況を呈す岸田政権を問います。

 日本の進路を選択するべきとき、惰性的にこの岸田政権を続けるのか、それとも新しい政治を生み出していくのか。総理は、おととい、厳しい声にも真摯に謙虚に丁寧にと演説をしました。国民の皆様、是非、このやり取りで御判断をいただきたいと思います。我々立憲民主党は、真剣に、忖度なく、率直に質問をいたします。

 この国会では、日本維新の会を始め他の野党や良識のある政治家と共闘し、新たな選択肢を示してまいります。立憲民主党は、岸田政権、自公政権に代わり国家国民を守る政権をつくる、そのために最大限の努力を続けます。

 今ほど申し上げましたが、立憲民主党と日本維新の会は、共産、社民、れいわ、有志の会とともに、憲法五十三条に基づき議員の四分の一の署名で臨時国会を要求した場合は二十日以内に召集せねばならないと定めた法案をおととい提出いたしました。自民党の憲法改正草案でも同様の規定はございます。この野党提案、賛成いただけますね。

 安倍元総理の死を悼み、心より御冥福をお祈り申し上げます。

 私も、奈良の現場、そして家族葬も参列をし、弔意をささげました。しかし、国葬へは参列しませんでした。

 弔意はあれども、余りに国の儀式として決め方に理がない、法がない、基準がないんです。国会の関与なく、内閣の独断で政治家を国葬にできてしまう国でよいはずがありません。さきの国会審議でも総理に修正を促しましたが、総理は、結局、何を変えるのでもなく、国葬を強行しました。今後、このような分断と混乱を繰り返すべきではありません。私が総理なら、超党派で今後のルールを決定する場を国会に設置いたします。総理、いかがでしょうか。

 統一教会問題について問います。

 多くの被害者が今も苦しんでいます。安倍元総理と統一教会との密接な関係は親子三代にわたり、自民党内では、特に、安倍派、細田派と言われる清和会が深く関係を築いてきた。総理、違いますか。

 細田議長、あなた自身、その中心人物として、四つの会合への出席、関連団体の名誉会長就任、選挙の支持を得ていた、これを認めましたね。今、うなずいていただきました。しかし、あなたが示した一枚紙では全く説明不足であります。もっと真相を語るべきです。

 議長、答弁していただけませんか。答弁できぬようでしたら、しぐさでお答えいただきたいと思います。

 寄附金を受け取ったり、パーティー券の購入はありませんか。お答えいただいていないようです。

 関連イベントの挨拶で、安倍総理に早速報告したい、議長はこのように発言をされていましたね。その後の報告はなされましたか、議長。

 お答えいただけないようですが、最後にお伺いしたいと思います。改めて、今、議院運営委員会の場で質疑に応じていただくよう要求をしています。議長、それには応じていただけますでしょうか。多少、今、態度を示していただいたようにも見えます。

 改めてしっかりと御答弁をいただきたいと思います。

 総理、約束どおり、厳しい声に真摯に丁寧に答えてください。

 統一教会の最高指導者と面会をしながら、その事実をひた隠し、判明したら弁明を繰り返す閣僚がいます。総理、山際大臣の辞任を求める声が高まっています。更迭はしないのですか。

 次に、自民党は、点検の結果、関係が判明したにもかかわらず、多くの国会議員名を非公表にしています。また、自治体議員を点検対象から外したままです。総理、国会議員名を公表しませんか。そして、自治体議員も点検をすべきじゃないですか。再発を防ぐために他党は公表をしています。国民の厳しい声に向き合って、是非、総理、お答えください。

 今月も値上げが相次ぎ、実質賃金は四か月連続マイナス。収入が物価高に追いついていません。一世帯当たり約八万円の年間負担増になるとの試算もある中、政府の対策は、トゥーリトル・トゥーレート、小さ過ぎ、遅過ぎるであります。

 まず、小さ過ぎるでいいますと、五万円給付の範囲が住民税非課税世帯に限定をされています。これでは恩恵は届きません。せめて、生活が厳しいワーキングプア世帯にもこの五万円給付をするべきではないですか。お答えください。

 次に、遅過ぎるということです。立憲民主党が経済対策を出した今年四月に本格的な補正予算を編成していれば、今頃は国民に支援策が届いていたはずです。岸田政権は、九月に予備費を使い、臨時国会で補正予算を出すとのこと。余りに遅過ぎます。

 立憲民主党は、最低賃金の引上げ、雇用の正社員化、介護、保育職員などの処遇改善とともに、適正な価格転嫁を行うことで賃上げを実現する経済を目指します。物価高と低賃金やコロナに対応する、生活氷河期を乗り越える緊急経済対策を来週発表いたします。国民の皆様にも、私たち立憲民主党の考え方をお伝えしたいと思います。

 第二次安倍政権以降の政府と日銀の共同声明、アコードには、二%の物価安定の目標の下、金融緩和を推進するとありますが、物価は既に五か月連続で二%以上の上昇ですよね。にもかかわらず、黒田総裁は、物価高騰を一時的なものだと強弁し、目標を上回ったと認めません。総理、これでは目標の意味がないんじゃないでしょうか。アコードの達成条件を明確に示してください。そうじゃなければ、意味がないということになってしまいます。

 そして、総理は、演説で、円安メリットを最大限引き出すと述べました。これには驚きました。今の円安水準が日本経済にプラスだということですか。そして、工場立地や企業の国内回帰に取り組むということは、この円安を長期的に想定している、その表明だということですね。確認をしたいと思います。

 今は、コロナと物価高で経営有事と言えます。事業者救済策を実施するべきだと提案します。

 来年十月に迫るインボイス制度は、このまま強行すれば、取引排除や事務費負担増に苦しむ事業者が多数発生します。インボイスを廃止か、せめて延期すべきではないですか。

 そして、債務の返済計画に不安を抱える企業も増えております。私たちは、コロナ無利子無担保融資の減免法案を四月に提出しています。減免についての考え方を総理にお答えいただきたいと思います。

 世界的な干ばつ、ウクライナ情勢、そして急激な円安で農業生産関連品目も高騰をしています。政府は、米や木材など国内産品の消費促進、そして輸入肥料、餌の国産化、農業者戸別所得補償制度の復活、直接支払制度の見直しなどで農林漁業の支援を強化すべきではないでしょうか。

 また、年金は減り、物価と医療費は上がっています。今月から、後期高齢者の医療費窓口負担が一割から二割へ引き上げられました。立憲民主党は、国費と高所得の後期高齢者の負担金で財源を確保する対案を提案しています。総理、この立憲民主党の提案を採用していただけませんか。お答えください。

 続いて、新型コロナ対策です。

 安倍、菅政権の一年半でのコロナの死者は一万八千人弱。ですが、岸田政権の一年で、死者は何と二万七千人です。第七波だけで一万二千以上の方が亡くなられております。

 総理は、なのに、おとといの演説で、今年の夏を乗り切れたと言いました。これは何でしょうか。一万二千人もの方が亡くなられているのに、この夏を乗り切れたとは暴言ではないでしょうか。私は、謙虚におわびをするべきだと思います。

 医療関係者への感染拡大で病院が人員不足となり、緊急の患者も搬送できず、八月の救急搬送困難事案は過去最多でした。行動制限を出さなかっただけであって、総理が掲げた医療難民ゼロは崩壊をしていたと思います。いかがでしょうか。

 そして、コロナ後遺症に苦しむ方も今多くおられます。後遺症患者の診療相談体制の整備、そして就労や福祉施策の相談など、後遺症患者の支援部局を設置するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 立憲民主党は、医療体制を拡充する感染症法の改正案を既に二月に提出しております。重い疾患を有する患者の医療アクセスを確保する、かかりつけ医法案も既に提出しています。しかし、野党の手柄にしたくないからなのか、成立していません。なぜかというと、今回政府提出予定の感染症法改正案は、ほぼ同様の内容が含まれているからです。なぜ立憲案に反対をしたのでしょうか。

 こういう遅れや茶番、これこそ無駄だと思います。命の軽視であり、古い与党の象徴ではないでしょうか。与党のメンツで立憲民主党の議員立法を潰す、こういう古い政治を改革し、よいものは成立させる、そんな国会にするべきではないでしょうか。総理、建設的に、政府の感染症法等改正案の修正協議を呼びかけたいと思います。是非、見解を伺いたいと思います。

 続いて、エネルギー政策です。

 電力逼迫が続く中、今後は、当面、化石燃料の確保と火力発電の整備が必要です。同時に、私は、もっと再生可能エネルギーの普及、省エネ機器や蓄電池、住宅断熱の普及を補助金などで後押しするべきだと考えますが、総理、いかがでしょうか。

 ただ、原子力発電は、電力逼迫だからと、テロ対策が万全でない段階の再稼働や、安全に関する手続を緩和するべきではないと考えます。総理、いかがでしょうか。

 今、岸田総理は、原子力発電に戻ろうとしております。しかし、やはり、省エネ技術を向上させ、再生可能エネルギーを複合的に進める電力改革、これこそが世界の流れであり、この日本が獲得すべき世界市場ではないでしょうか。

 今、国内電力の再エネ比率、イギリスやドイツは四〇%を超えています。デンマークに至っては八〇%を超えています。日本はいまだ二〇%。この十年の伸び率はたった一〇%です。

 福島第一原発の教訓、ウクライナの原発の現状、そして昨日の北朝鮮のミサイル発射、こうしたことを考えても、原子力発電のリスクを真剣に考えねばなりません。総理、原子力発電は、高コストであり、かつ自然災害や攻撃を受けたときの影響が他の電源に比べ大きいかどうか、お答えください。

 これまで、政府は、新増設や建て替えは想定していないと答弁してきました。総理、原発について二点伺います。設置変更許可済み七基の再稼働はいつの時期の再稼働を目指すのか。また、次世代革新炉で示された革新軽水炉、小型軽水炉は新増設や建て替えに該当しないのか。お答えください。

 私たち立憲民主党は、地球温暖化に対応すべく、田嶋要調査会長の下で、省エネ、再エネの現実的なプランを策定いたしました。今後、民間投資を合わせ、環境分野に十年間で二百兆円規模の投資を行う、それによって省エネ、再エネ市場を拡大させれば、二〇三〇年までに原発三十基分の省エネを実現できます。再生可能エネルギー比率五〇%、二〇一三年比三〇%の省エネ、そして温室効果ガスの五五%以上の削減が可能なのです。私たちは、専門家を交え、この実現可能なプランを策定いたしました。

 総理、グリーントランスフォーメーションを進めるならば、立憲民主党のプランを是非参考にしていただきたいと思います。分散型で低リスク、クリーンな再エネの電力改革を優先しませんか。お答えください。

 立憲民主党は、子供、若者応援政党を宣言します。子は宝、我が国の希望です。

 まずもって、総理に強く抗議をします。なぜ児童手当の特例給付を廃止したんですか。今月から六十一万人分の児童手当を削減するなど、子育て支援に全く逆行しています。当事者の怒りの声は届いていますか。児童手当の所得制限はなくすべきです。まずは、この特例給付廃止を撤回してください。お答えください。

 立憲民主党は、教育の無償化を目指しています。先日、兵庫県明石市を視察しました。民主党の仲間だった泉房穂市長は、給食費や医療費など子育て関連の五つの無償化を実現することで、子供の数を増やし、自治体の税収を増やし、その税収分を認知症対策など高齢者サービスの充実に充てるという好循環を実現しています。子育て支援を進めれば国が伸びるのです。

 自民党政権が克服できていない少子化は、最近の調査で、コロナ禍と物価高の影響によって更に七年前倒しで進んでいると言われています。私が総理ならば、最優先でこの少子化傾向の反転に取り組みます。総理、どんな環境でも、妊娠をしたら、生活も仕事も子育ても教育も不安にさせぬよう十分な公的支援を行う、そう約束していただけませんか。

 総理、若年妊娠を御存じでしょうか。私は、かつて、高校生の妊娠退学はおかしい、学びと生活を支えるべきだと国会で質問をしました。若年であるがゆえに社会とつながれず、サポートが不足しています。若年妊娠の女性を支えている民間団体もあります。こうした団体への財政支援を是非お願いしたいと思います。

 総理、これに関連するのは、学校での性教育の重要性でもあります。必要なことを正しく教えることで、児童生徒の性被害や予期せぬ妊娠を防げる。また、将来の妊娠や出産への向き合い方を学ぶことができます。

 しかし、西暦二〇〇〇年頃から、一部の政治家や宗教団体関係者から性教育やジェンダー教育への強力なバッシングが始まり、二〇〇五年には、自民党に、安倍晋三議員を座長とする、過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチームが発足をしました。ここが批判を強め、その結果、今も学習指導要領の歯止め規定が立ちはだかり、授業で、性交とは何かや母体の守り方も教えられなくなっています。それが性被害や望まぬ若年妊娠などにもつながっているというのです。

 総理、この件は、今、統一教会が自民党に強い影響力を行使したのではないかと報道もされています。本年八月、日本財団も、この性教育の惨状を見かね、学習指導要領の歯止め規定の見直しと包括的性教育の導入を提言しています。総理、自民党PTによる性教育バッシングは間違っていた、そして統一教会の影響を受けていたとの認識はありますか。性教育の歯止め規定を撤廃すべきではないですか。お答えください。

 「みんなちがって、みんないい。」これは、詩人、金子みすゞさんの言葉です。家族の在り方は、若年妊娠、若年出産、シングルマザー、性的マイノリティーの方々の出産など、多様なはずです。その全てを平等に認め、支援する、それでよいと思いませんか。総理、お答えください。

 立憲民主党は、既に、教育、子育て予算の倍増法案を提出し、無償化のメニューもそろえております。そして、党に子ども・若者応援本部を設置し、子供の育ちを応援してまいります。子供、若者なくして国家なしなのであります。

 日中は国交正常化五十周年を迎えました。私は総理にこれまでも日中首脳会談が重要だと進言してきましたが、まだ実現していません。台湾、ロシア、経済安全保障など、アジアと世界のために日中の首脳会談が重要です。今年中に行うか、是非お答えください。

 そして、沖縄県知事選では民意が示されました。米兵によるコロナ感染拡大、基地からの有害物質の流出など、せめて、感染症や環境の分野に関しては日米地位協定の改定を行いませんか。総理、お答えください。

 続いて、防衛問題です。

 宇宙、サイバー、電磁波、ミサイルなど、新たな対処のために、防衛予算の増額は当然あり得ます。立憲民主党は、防衛政策を重視します。ただ、国会で十分に質疑もせず、国民理解もないままに急激に予算を増額させることは、防衛政策をゆがめる可能性もあります。冷静で現実的な議論をしようじゃありませんか。

 今日は、懸念点を確認したいと思います。

 まず、日本とNATOでは、安全保障政策も歴史的経緯も防衛費の算定範囲も異なります。NATOを目安にGDP二%とすることに意味があるとも思えませんが、いかがでしょうか。

 そして、防衛費増額の財源です。増税ですか。国債発行ですか。それとも他の歳出削減ですか。鈴木財務大臣は、防衛費は恒常的経費、安定財源の確保が重要と述べており、これが正論であります。まずは、防衛費を国債で賄うことはない、その明言を求めたいと思います。

 さらに、金額を示していない予算要求が防衛費で約百項目、これでは誰も判断しようがありません。金額を示した資料を早期に国会に提出すべきではないでしょうか。また、今国会でも、各項目の予算の規模感や優先順位ぐらいは示していただけないでしょうか。お答えください。

 台湾問題は冷静な対処が必要です。総理、台湾有事が即日本有事なのでしょうか。お答えください。

 台湾への武力侵攻が起きた場合に、日本政府から武器供与や軍事情報の提供は可能ですか。そして、アメリカが参戦していない場合、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生していない、存立危機事態ではないという認識でよいのか、お答えください。

 反撃能力。これは、反撃能力といっても、その保有には巨額の防衛費を要します。遠隔地を攻撃する大量のミサイル、攻撃対象の状況を正確に把握する衛星監視システム、そして相手から更なる大規模反撃を受けることを想定した防衛システムも必要。今、その規模も額も示さず、概念だけで、あたかも敵を撃退し国を守れるかのように語る与党議員を防衛の専門家はさめた目で見ています。

 総理、私が総理ならば、防衛三文書を取りまとめる前に、実際の反撃能力が何たるか、負担可能なのか、現実的な議論を国会で行います。そうするべきではないですか。三文書に中途半端な絵空事が書かれ、防衛予算が無駄になるなんて冗談じゃない。政府の防衛力の抜本的強化に向けた有識者会議の議事要旨も是非公開してください。いかがですか。

 最後に。

 岸田総理、先月の国葬に関する国会質疑での総理の答弁は、何も進展がなく、大変失望いたしました。

 今懸念しているのは、総理の国会軽視です。国葬を決定したときも、臨時国会の要求でも、国会を無視しています。国会は、国民の代表が集い、開かれた議論が行われる貴重な場です。立憲民主党は、次の内閣を発足させました。論戦の準備はできています。総理、どうか嫌がらずに積極的にこの国会に出席をしてください。

 おとといの、厳しい意見にも向き合うという言葉が本物か、今からの答弁を聞きたいと思います。質問と答弁がかみ合っていると国民が感じ取れるような真摯で謙虚で丁寧な答弁をお願いいたします。

 冒頭、私は、真剣に、忖度なく、率直に質問すると申し上げました。これは我々立憲民主党の政治姿勢でもあります。約百四十名の国会議員と、そして約千二百名の地域で頑張る自治体議員が、全国で真剣に課題に向き合い、忖度なく議論を行い、率直に訴え、行動しております。

 野党の皆様、そして国民の皆様、岸田政権に代わり、私たちの力で、日本の未来のために新しい政治を生み出そうではありませんか。共に生産的な議論を重ね、新たな政権を構想してまいりたいと思います。立憲民主党は、その礎となってまいります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

内閣総理大臣(岸田文雄君) 泉健太議員の御質問にお答えいたします。

 まず、北朝鮮への経済制裁についてお尋ねがありました。

 我が国としては、国連安保理決議に基づく特定品目の輸出入禁止措置や資金移転防止措置等に加え、我が国自身の措置として、北朝鮮との間で全ての品目の輸出入禁止等の措置を取っており、北朝鮮への人、物、金の流れを厳しく規制する措置を実施してきています。

 こうした対北朝鮮措置の効果を一概に申し上げることは困難ですが、北朝鮮の厳しい経済状況と併せて考えた場合、一定の効果を上げていると考えております。

 引き続き、関連安保理決議の実効性を確保するとともに、我が国として取っている措置の実施を徹底していきます。

 また、今般の北朝鮮のミサイル発射を踏まえ、米国を始めとする国際社会と協力しながら、北朝鮮に対し、安保理決議の下での全ての義務に従うことを求めていくとともに、更なる対応の在り方についても、状況を把握し、検証した上で議論を進めてまいります。

 臨時国会召集に関する議員立法についてお尋ねがありました。

 御指摘の法案の内容については、これまでも様々な議論があったことを承知しております。ただ、議員立法でありますので、これはまず国会において御議論いただくべきであると考えております。

 そして、国葬儀のルール決定の場についてお尋ねがありました。

 政府としては、今回の安倍元総理の国葬儀について検証を行うこととしています。まずは、幅広い有識者の方々から御意見を伺い、国葬儀について論点と意見を整理することから始めます。できる限り早期にこの整理をお示ししたいと思っています。

 その上で、お尋ねは、超党派で今後のルールを決定する場を国会に設置すべきというものでありますが、国会に設置すべきかは国会でお決めいただかなければなりません。

 そして、旧統一教会との関係等についてお尋ねがありました。

 まず、私の政権においては、各閣僚等それぞれが旧統一教会との過去の関係を調査、説明し、新たな接点が判明した場合には、その都度、追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底すること、これを方針としております。

 各議員は、それぞれ政治家として、多くの方々と接し、意見に耳を傾け、また自分自身の考えを説明し、御理解いただく活動をしております。各議員と旧統一教会との関係は個々の議員によって異なり、自民党内の特定のグループが旧統一教会とどのような関係を有したかについて、一概にお答えすることは困難であると考えております。

 山際大臣については、過去、旧統一教会関係の接点があったこと、また、接点を点検した後も新たな過去の接点が報じられていることについて、できる限りの調査を行い、その結果を説明するとともに、これまでの反省に立って、今後は一切関係を持たないと述べていると承知をしています。理解を得られていないというのであれば、引き続き、政治家として自らの責任において丁寧に説明を尽くす必要があると考えております。

 自民党の点検や公表の方法については、今、自民党において検討を続けておりますが、今後、国民の信頼を回復するため、また、旧統一教会との関係を持たないことを徹底するため、地方議員も含めて対応を徹底してまいります。

 生活が厳しい世帯への給付金、金融緩和、そして円安についてお尋ねがありました。

 まず、給付金の対象範囲についての御質問でありましたが、約一千六百万世帯と、全世帯数の約四分の一程度をカバーできるようにしており、家計への影響が大きい低所得世帯向けにプッシュ型で迅速に支援をお届けする、このようにした次第であります。

 金融政策については、金融緩和の出口の考え方を含め、具体的な手法は日銀に委ねられるべきであり、日銀は、需給ギャップがプラスに転化をし、そして賃金が上がっていく中で物価が上がっていく形になれば、持続的、安定的に二%を達成できることになる、このように説明をしていると承知をしております。

 また、為替レートの見通しについてコメントすることは控えなければなりませんが、足下の円安に対しては、インバウンドの回復や企業の国内回帰などにより、経済の活性化につなげることが重要だと考えております。

 インボイス制度、無利子無担保融資の減免、農林漁業の支援の強化についてお尋ねがありました。

 インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、その円滑な移行を図る観点から、十分な経過措置を設けるとともに、円滑な実施に向けて、事業者の負担を軽減する支援や取引環境の整備を引き続き政府一体で連携して取り組んでいきます。

 また、無利子無担保融資を含む債務の減免については、債務者間の公平性やモラルハザード等に配慮する必要があり、個別の事案に応じて、事業者の返済負担を軽減できる取組を活用しながら、適切に支援していきます。

 穀物などの価格高騰に対しては、国産小麦の生産拡大や国産材への転換支援、高騰する燃料、肥料、飼料の対策などを実施してきており、今後、化学肥料への依存度引下げ、農産物や肥料、飼料の国内生産を通じた食料安全保障の確保などに取り組みます。

 また、旧戸別所得補償制度については、米への助成を基本にするならば、需要ある作物への転換が進まないなどの問題があると考えており、今後も日本型直接支払い等を適切に実施してまいります。

 後期高齢者の窓口負担についてお尋ねがありました。

 二〇二五年にかけて団塊世代が後期高齢者となる中、負担能力に応じて、全世代で、増加する医療費を公平に支え合う仕組みの構築は待ったなしの課題です。

 今回の見直しは、現役世代の負担上昇を抑える観点から、負担能力や家計への影響を考慮した上で、一定の収入以上の方々についてのみ、必要な配慮措置を設けつつ、その窓口負担を二割とするものです。

 御党の対案にあった保険料の賦課限度額の引上げについては、国会の附帯決議でも、これを含めた総合的な議論を行うこととされており、全世代型社会保障構築会議を受け、厚生労働省の関係審議会において、高齢者の保険料賦課限度額や高齢者医療制度への支援金の在り方について総合的に議論してまいります。

 そして、新型コロナ対策についてお尋ねがありました。

 今年の夏は、国民お一人お一人が基本的な感染対策を徹底してくださったおかげで、三年ぶりに緊急事態宣言等の行動制限を行わずに過ごすことができました。

 一方で、オミクロン株が主流となった本年七月から九月までの感染拡大に際しては、約一千百万人が感染し、一万人以上の方がお亡くなりになられました。御家族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げます。引き続き、国民の安心、安全のために努力を続け、責任を果たしてまいりたいと思います。

 医療提供体制については、最大確保病床約五万床のフル稼働に向けた対応など、病床や救急医療の逼迫の回避に向けて累次にわたる対策を行った結果、第七波における確保病床使用率は、療養状況調査によれば、全国平均で重症病床において最大三五%、コロナ病床全体でも最大六二%と、必要な入院医療を提供することができたと考えております。

 いわゆる後遺症についても、まずは、かかりつけ医につなぐことが重要であり、リーフレットなどにより周知を行ってまいりました。また、診療の手引により職場復帰の支援についてお示ししているほか、患者の状態に応じて必要な就労、福祉施策につなげてまいります。

 御党の感染症法等の改正案については、国会での御審議の結果、否決されたものであると承知をしております。政府としては、次の感染症危機に備え、法律に基づき機動的かつ効果的な緊急時対応が可能となるよう、感染症法等の改正案を今国会に提出することとしており、国会で御議論をいただきたいと考えております。

 エネルギー政策についてお尋ねがありました。

 資源が乏しく、周囲を海で囲まれた我が国において、単一の完璧なエネルギー源がない現状では、多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要です。二〇五〇年カーボンニュートラルに向けては、再エネ、省エネ、原子力、水素、アンモニア、CCUSなど、あらゆる選択肢を追求していきます。

 まずは、再エネについて、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入に取り組むとともに、省エネについては、規制・支援一体型で、高効率機器の導入や住宅の断熱改修等を進めていきます。

 原子力については、いかなる事情よりも安全性が最優先であり、自然災害への対応も含め、今後とも、独立性の高い原子力規制委員会が厳格に規制を行っていく方針に変わりはありません。

 我が国に対する武力攻撃が発生するという事態は、原発の規制の問題ではなく、我が国自身の防衛の問題です。原発へのミサイルによる武力攻撃に対して、イージス艦やPAC3など我が国の防衛力により対応するほか、日米で共同して対処してまいります。

 また、原子力発電所の再稼働により、電力需給逼迫が緩和されるとともに、電力価格上昇が抑制されると考えており、設置変更許可済みの七基の再稼働については、来年以降、できるだけ早期に目指してまいります。また、革新軽水炉、小型軽水炉等の次世代革新炉の開発、建設を含むあらゆる選択肢については、年末に向け、専門家による議論の加速を指示したところであります。

 少子化対策についてお尋ねがありました。

 児童手当の年収一千二百万円以上の方に対する特例給付の見直しについては、様々な意見があることは承知しておりますが、長年の課題である待機児童問題の解決を図ることと併せて、子育て支援全体のバランスとニーズを踏まえた中での対応であると承知をしております。

 妊娠、出産支援、子育て支援については、これまでも、保育の受皿整備や幼児教育、保育の無償化、また不妊治療の保険適用など様々な施策を進めてきたところであり、今後、全世代型社会保障構築会議において、年末に向けて議論を進めてまいります。

 若年妊娠については、自治体がSNSやアウトリーチによる若年妊婦への相談支援などを民間団体に委託する場合に、その費用を補助しております。

 性教育については、自民党において、国民や専門家などの様々な意見を聞き、丁寧な議論が積み重ねられてきたと承知をしております。学校における性に関する指導については、個々の生徒間で発達段階の差異も大きいこと等から、全ての子供に共通に指導するべき事項ではないという趣旨の規定が学習指導要領に設けられておりますが、一人一人の児童生徒の発達段階を踏まえつつ、教育活動全体を通じて指導の充実に努めてまいります。

 家族の在り方が多様化している中で、子供政策を実施していくには、子供を中心に考えることが重要であり、子供の健やかな育ちを支える観点を踏まえながら政策に取り組んでまいります。

 日中外交、日米外交についてお尋ねがありました。

 日中両国間には、様々な可能性とともに、数多くの課題や懸案が存在します。同時に、日中両国は、地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を有しています。

 日中首脳会談については現時点で決まっていることはありませんが、中国とは、主張すべきは主張し、責任ある行動を求めつつ、諸懸案も含め、対話をしっかりと積み重ね、共通の課題について協力するという建設的かつ安定的な日中関係を日中双方の努力で構築してまいります。

 日米地位協定については、これまで、手当てすべき事項の性格に応じて、効果的かつ機敏に対応するにはいかなる方法が最も適切かという観点から対応してきましたし、これからもそうしてまいります。

 例えば、御指摘の感染症分野については、既存の日米合同委員会合意に加え、本年一月には日米合同委員会の下に検疫・保健分科委員会を新たに設置し、日米間で緊密にやり取りを行っています。

 また、環境分野については、日米地位協定の環境補足協定を二〇一五年に締結し、環境基準や立入りについて、法的拘束力のある国際約束という形で規定を設けました。

 政府としては、引き続き、感染症や環境分野の問題を含め、日米で緊密に連携し、一つ一つの具体的な問題に適切に対応してまいります。

 防衛費に対し、対GDP比、財源、規模、内容についてお尋ねがありました。

 安全保障環境を維持するためには、NATOを含めた各国が経済力に応じた相応の防衛費を支出しており、我が国としても、国際社会の中で安全保障環境の変化を踏まえた防衛力の強化を図る上で、GDP比で見ることは指標として一定の意味があると考えています。

 我が国防衛力の五年以内の抜本的強化に必要となる防衛力の内容の検討、そのための予算規模の把握及び財源の確保、これらを一体的かつ強力に進め、予算編成過程で結論を出します。国会でこうした数字を示すということについては、こうした議論を踏まえた上で、来年度予算としてお示しをしていきたいと思っております。

 台湾有事についてお尋ねがありました。

 我が国の対応は個別具体的な事態の状況によって決まるものであり、現時点で断定的にお答えすることは控えなければならないと思いますが、いずれにせよ、憲法、国際法、平和安全法制を始めとする国内法令に従い、具体的な対応を考えていきます。

 その上で、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要です。台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが我が国の従来からの一貫した立場であります。

 いわゆる反撃能力についてお尋ねがありました。

 国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速しています。この検討は、これまでるる申し上げてきたとおり、憲法、国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ進めることには変わりはありません。

 また、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議については、会議の議事要旨を公表すると座長の決定がなされており、できるだけ速やかに議事要旨を公表したいと考えております。(拍手)

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議長(細田博之君) 上川陽子君。

    〔上川陽子君登壇〕

上川陽子君 自由民主党の上川陽子です。

 私は、自由民主党を代表し、岸田文雄内閣総理大臣の内外諸課題に対する基本姿勢についてお伺いします。(拍手)

 初めに、昨日、北朝鮮が中距離弾道ミサイルを発射し、我が国の東北上空を通過して太平洋上に落下しました。我が国にとって極めて深刻な脅威であると同時に、地域、国際社会の平和と安全を脅かし、関連する安保理決議にも違反するものであり、断じて容認できません。

 北朝鮮は、先月下旬から昨日までに、五回にわたり、八発の弾道ミサイルを発射するなど、異例の高い頻度で発射を繰り返し、挑発を続けています。

 岸田総理は、こうした北朝鮮の暴挙にどのように対応し、国民の命や暮らしを守っていくのか、御所見を願います。

 昨年十月、岸田内閣は、唯一の原爆被爆国の、そして被爆地広島出身の総理大臣による内閣として、国際社会の平和と安全の確保に向けた国内外の大きな期待を背負って発足しました。

 しかし、それから一年が経過した今年の国連総会では、ロシアによるウクライナ侵略により国際社会の安全保障環境が急激に悪化し、エネルギーや食料等の安定供給が厳しさを増す中、各国間の分断と対立が強く印象づけられるなど、まさに国際社会は戦後最大級の難局に対峙しています。

 先々週、総理が国連総会へ出張されたのと同じ時期に、私は、ニューヨークに本部のある国際平和研究所、IPIが主催するシンポジウムにパネリストとして招聘され、WPS、世界平和と安全保障に対する女性リーダーの役割について議論をしてまいりました。その際、世界の紛争地域において、女性への暴力や人身取引などへの対応等あらゆる政策に女性の視点を取り入れる、女性リーダーシップの主流化の動きが急速に高まっていることを実感しました。

 さらに、私が強く感じたのは、本年二月のロシアによるウクライナ侵略を契機に、国際社会の分断と各国における一国中心主義台頭の波が世界を覆い、これまでの国際協調による平和構築の努力と成果が一気に灰じんに帰してしまいかねない不穏なムードでした。それだけに、多極主義、マルチラテラリズムを標榜する日本がこれからの国際社会において果たすべき役割の大きさ、責任の重さをひしひしと肌で感じてきたところです。

 岸田総理は国連総会ウィークに精力的にトップ外交を展開されましたが、その成果について御報告を願います。

 あわせて、日本は、WPS計画に日本独自の政策として防災分野の女性の活躍を国際公約していますが、さらに、防衛三文書への織り込みや、十二月のWAW!、さらに来年のG7の開催に向けてどう取り組むべきとお考えか、岸田総理の御所見をお伺いします。

 さて、岸田総理は、我が国が取り組むべき諸課題、それに対する政府の諸施策を、所信表明演説として国民の前に明らかにされました。それを基に、以下、ポイントとなる幾つかの論点を明らかにしていきたいと存じますが、その前に、今、日本が置かれている状況についての私自身の基本認識を明らかにしておきたいと思います。

 一言で言えば、日本にとって最大の危機は、少子高齢化が極限に至り、人口が急減し、社会保障制度が危殆に瀕するおそれのある二〇四〇年頃に到来するのではないかということです。

 今我々の前にある様々な困難はそれへ向けての前哨戦という位置づけです。そのため私たちに求められているのは、二〇四〇年までの二十年足らずの時間をどのように有効に生かし、来るべき危機にどう備えるかであり、短期的及び中長期的な対策をうまく組み合わせる形で、計画的に準備を進めなくてはならないということです。

 日本にとって残された時間も体力も限られているのです。将来不安を抱え、国民の多くは、過去の踏襲ではなく、今こそ、危機克服のための革新を岸田総理に望んでいるのです。

 以上のような長期的展望を意識しつつ、以下、当面する課題について質問させていただきます。

 初めに、岸田内閣の経済政策についてお伺いします。

 岸田総理は、日本経済の再生を内閣の最優先課題として位置づけ、新しい資本主義の旗印の下で、物価高、円安への対応、構造的な賃上げ、成長のための投資の三つを重点分野として取り組む考えを示されました。

 まず、新しい資本主義についてお伺いします。

 岸田総理は、御就任以来、成長と分配の好循環による新しい資本主義によって国民一人一人が豊かで生き生きと暮らせる社会をつくっていくとのお考えを示されました。すなわち、これまでの財政金融政策を主軸とした経済成長を目指す経済から、人が中心、人への投資を基軸とする新しい資本主義の在り方へと方向を大きく転換し、新たな考え方で経済政策運営に取り組んでこられました。

 現下の物価高、円安に対応し、円安メリットを生かした戦略的な経済構造の強靱化に取り組みつつ、女性の社会参画を徹底し、グリーンやデジタルといった新しい分野に予算や資源を集中的に投資し、経済、社会、産業の大変革を目指す。そして、そこから生み出される新たな分配の原資を、構造的な賃上げ、さらには、成長分野に移動するための学び直し、リスキリングを始めとした人への投資へとつなげていく。

 新しい資本主義の実現によって、こうした成長と分配の好循環を生み出し、必ずや日本経済の再生を実現できると私は確信しておりますが、改めて、新しい資本主義に対する岸田総理のお考えについて伺います。

 次に、物価高、円安への対応についてお伺いします。

 コロナ禍の対応やウクライナ情勢の緊迫化、米国のインフレ率の上昇やその抑制措置などにより、世界的な物価高や先行きの景気後退懸念など、国内外に大きな波紋が広がっています。岸田総理は、こうした変化に迅速に対応し、日本経済の底割れを回避すべく、昨年以来、切れ目のない対策を講じ続けてこられました。

 物価の高騰による国民生活や経済活動への悪影響を最小化するため、原油価格の高騰については、政府・与党が一体となって、燃料油価格の激変緩和事業を本年一月から実施し、現在、一リットル当たり三十五円を超える支給を行うことで、本来であればレギュラーガソリンの全国平均価格が二百円を超えるところを約百七十円程度に抑制しています。

 食料品については、輸入小麦の政府売渡価格を十月以降も据え置き、秋以降のパンや麺などの値上がりの抑制を目指しています。

 さらに、配合飼料の価格についても、畜産農家が支払う飼料代負担を十月からの第三・四半期も現在と同程度の水準に据え置くよう支援を拡充し、卵、牛肉、豚肉などの価格への影響を最小限にするよう取り組んでおられます。

 また、本年九月には、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金を創設し、エネルギー、食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、それぞれの地域の実情に即したきめ細かな対策を実現しました。

 この間、円安対策についても、過度な円安の加速についてはこれをしっかりと注視して対応しつつ、インバウンド旅客の誘致や国内農産品の輸出拡大、また海外からの企業誘致や投資の拡大など、円安メリットを生かした新たな取組に果敢に挑戦していく考えを示しておられます。

 さらに、先週九月三十日には、岸田総理から、新たな総合経済対策の策定について指示が出されました。現在策定中の総合経済対策においては、現下の円安、そして物価高騰に十分に対処するため、景気の先行き不透明感を払拭する思い切った措置が必要と考えますが、日本経済をめぐる現状認識、並びに現下の円安、物価高にどう取り組まれるのか、岸田総理の御所見をお願いします。

 次に、構造的な賃上げについてお伺いします。

 賃上げの実現は、当面の緊急課題であると同時に、長い目で見た新しい資本主義の最大の眼目でもあります。特に、足下においては物価上昇が国民不安の大きな要因になっているだけに、これを上回る賃上げの速やかな実現が強く求められています。総理は、新たな総合経済対策として、構造的な賃上げの実現に向け、現下の物価上昇に見合う賃上げの実現を目指すとともに、労働移動円滑化に向けた指針を来年六月までに取りまとめること、スタートアップ企業など成長分野で働くための学び直しなどの支援に五年間で一兆円を投入することなどを表明されました。

 人への分配は、コストではなく、未来への投資です。官と民が共に役割を果たすことで成長の果実をしっかりと分配し、消費を喚起することで次の成長につなげる。そのためには、賃上げ、労働移動の円滑化、人への投資という三つの課題の一体的改革を進め、賃上げによる好循環を加速させていくべきと考えますが、改めて、構造的な賃上げの実現に向けた総理の御決意についてお伺いします。

 次に、成長への投資についてお伺いします。

 地球規模の課題である気候変動対策は、新たな成長分野の重要な種でもあります。岸田総理が主導するGX、グリーントランスフォーメーションは、気候変動の危機対応に向けて脱炭素を推進すると同時に、そのための投資を通じて経済、社会、産業の構造を転換し、新たな経済成長と国民生活の向上を実現するものと理解しています。激動する国際社会の中で日本経済が再び力強い競争力を取り戻すためには、我が国の政府、企業、国民がGXという目標に向けて一致結束し、それぞれの機能を最大限に発揮していくと同時に、人材育成も含む大規模かつ的確な投資に官民が総力を挙げて取り組んでいくことが必要です。

 年末に向けてGX推進のためのロードマップを検討するとのことですが、その際、ウクライナ危機がもたらしている厳しい現実も踏まえたエネルギー安定供給の再構築や、産業競争力の強化、地方創生と国民生活向上、海外マーケットの獲得などを俯瞰的に視野に入れつつ、脱炭素化と同時に進めていくことが重要であると考えますが、総理のお考えをお伺いします。

 デジタル田園都市国家構想についてお伺いします。

 岸田総理は、成長戦略の柱としてデジタルを活用した地方の活性化を掲げ、デジタル田園都市国家構想を強力に推進しておられます。具体的には、デジタル技術を活用して、教育、仕事、医療、介護などを包括的なサービスとして連携させ、一人一人の暮らし方に根差した新たな地域社会の創造を目指しておられます。

 そうした中で、私は、それぞれの地域の風土や歴史、あるいは海洋国家日本としての魅力や特徴を生かした地方創生を実現し、それを全国へと展開しながら、経済成長を実現するため、各地域におけるデジタル基盤をデジタル庁が主導して一元的に整備し、デジタル改革、規制改革を一体的に進めていくことが重要であると考えます。

 また、我が国のDXの着実な推進のため、デジタル庁の権限、体制強化、デジタル人材の確保、マイナンバーカードの更なる普及や利便性向上への取組を強化すべきと考えます。これらの点について、総理のお考えを伺います。

 観光立国の復活についてお伺いします。

 今月から全国旅行支援が開始されるとともに、個人旅行の解禁、査証免除の再開など、水際対策も大幅に緩和されることから、観光を取り巻く環境にも明るい兆しが見え始めています。

 コロナ禍で日常生活が制限される中にあって、新たな経験、新たな出会い、そして新たな思い出を生み出す観光が豊かな日常生活に必要不可欠であることが再認識され、旅を希求する国民の思いが更に明確になったと思います。ウィズコロナ時代の観光立国の復活を目指し、国内の環境整備を計画的に進めるためにも、円安メリットを生かせるインバウンドの本格的な回復に向けた集中的な対応を行うとともに、観光地、観光産業の再生、高付加価値化の取組を戦略的、継続的に推進していくことが重要であると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。

 また、その際、我が国が世界に誇る社寺や伝統芸能、美術品などの数多くの文化的資産を有していることも重要です。文化芸術立国を目指す日本にとって、それらの保護、保全はもちろん、アート作品を生み出すアーティストの支援、新たな時代に即した育成の仕組みは、日本のアート振興の重要な基盤であり、国力の源泉であると考えますが、総理のお考えをお伺いします。

 中小・小規模企業対策についてお伺いします。

 新型コロナにより、日本の中小・小規模企業は極めて大きな打撃を受け、いまだに多くの企業が回復に向けた努力を強いられています。事業者の皆様にあっては、国や自治体からの様々な要請に、さらには現下の物価高、円安にも機動的に対応をいただきながら、必死に日本の雇用と産業を守り抜いていただいております。

 政府は、これまで、新型コロナで影響を受けた事業者に対し、資金繰り対策や経営環境整備など、きめ細かな支援に取り組んでまいりました。しかしながら、依然として厳しい経営環境にある中で、物価高、円安対策のための十分な価格転嫁や、コロナ対応融資を受けた企業の返済期限、借換えへの対応など、現下の事業環境の変化に対する更なる支援が必要であると考えますが、中小・小規模企業への支援について、総理のお考えを伺います。

 子供政策について伺います。

 今年の上半期の出生数は、対前年比五%減の約三十八・五万人まで落ち込むなど、少子化の進行や人口減少に歯止めがかかっておりません。また、児童虐待の相談対応件数や不登校の件数は過去最高となるなど、子供を取り巻く環境は厳しさを増しています。

 こうした中で、さきの通常国会では、子供政策の司令塔としてのこども家庭庁設置法と、子供施策の基本理念を定めるこども基本法が成立をし、来年四月からその施行がなされます。こどもまんなか社会の実現を目指し、基本法に掲げられた基本理念の具体化を進めるためにも、子供の将来に負担を強いることなく、恒久財源によって予算を拡充し、持続可能な少子化対策、子供対策として未来への投資に取り組んでいくべきと考えますが、総理の御認識をお伺いします。

 新型コロナウイルス感染症対策についてお伺いします。

 感染症対策にしっかりと取り組みながら、ウィズコロナに向けた取組を一歩ずつ進める中で、基本的な感染症対策の徹底やワクチン接種の促進など、国民の皆様に御協力をいただき、今年は三年ぶりに蔓延防止等重点措置や緊急事態宣言のない夏休みを迎え、地域のイベントなども再開されるなど、少しずつ日常生活が取り戻されつつあります。

 そうした中で、総理は、先月六日、保健医療体制の強化、重点化や自宅療養体制の整備、全数届出の見直し、オミクロン株に対応した新型ワクチンの接種開始の前倒し、そして陽性者の自宅療養期間の短縮といった、ウィズコロナに向けた感染症対策に関する新たな考え方を表明されました。

 今後、冬のインフルエンザとの同時流行の懸念もあり、引き続き感染症対策に万全を期すとともに、常に新たな感染の拡大あるいは新たな感染症の発生リスクを見据えた体制の強靱化に取り組み続けることが重要です。国民の不安に寄り添い、感染拡大を防ぎながら社会経済活動を更に回復させるために、そして新型コロナを踏まえた新たな感染症対策にも対応するために、ウィズコロナに向けた取組を着実に進める必要があると考えますが、総理の御所見を伺います。

 災害対策についてお伺いします。

 先月発生した台風十五号の大雨により、私の地元静岡県においても、集落の孤立や浸水、停電や断水など、日常生活に甚大な影響が発生いたしました。近年、全国各地で自然災害の頻発化、激甚化が進んでいますが、改めて、地震や津波、豪雨や豪雪、竜巻や噴火など、災害対策に取り組む岸田総理の御決意をお願いします。

 次に、旧統一教会との関係、被害者の救済についてお伺いします。

 岸田総理は、党所属国会議員が当該団体との関係を絶つことを党の基本方針として、これを徹底すること、また、今後、社会的に問題が指摘される団体と関係を持つことがないよう、党におけるチェック体制を強化することを明確にしておられます。今後は、さらに、党と政府が一体となって、霊感商法等の被害者の救済や悪質商法への対策について多角的な取組を進めていくことが重要であると考え、党においては、消費者問題調査会の下に小委員会を設けて具体的な検討を進めるとともに、党改革実行本部において、社会的に問題が指摘される団体と関係を持たないことを党のガバナンスコードに盛り込む手続も進めております。

 改めて、政府として、旧統一教会との関係、被害者の救済に関する総理の御認識をお伺いします。

 最後に、日本を取り巻く外交、安全保障についてお伺いします。

 さきに行われた安倍元総理の国葬儀の際の弔問外交で、岸田総理は、三十八回、計四十二人の国や地域、国際機関の方々と会談されました。総理は、かねてより、今回の弔問外交によって、安倍元総理が培われた外交的遺産を我が国としてしっかり受け継ぎ、発展させるという意思を内外に示すとともに、相手から我が国に示された敬意にしっかりとお応えしたいとおっしゃっておられましたが、今回の弔問外交の成果と、今後どのように岸田政権の掲げる新時代リアリズム外交を展開していくのか、総理の御所見をそれぞれ伺います。

 なお、今回の国葬儀では、海外だけでなく、国内においても全国各地で、安倍元総理に対する感謝の念と不慮の死を悼む真心が広く示され、多くの、数多くの一般の方々からの献花も行われました。

 多くの国民の皆様に今回の国葬儀を実施してよかったという思いを共有いただけた一方で、様々な御意見や御批判があったことも事実であり、今回の国葬儀をめぐり、日本という国家の分断があらわになったとの海外の報道も見られました。このような指摘がなされることは国家として決して望ましいことではなく、今後、同様の事態を避けるためには、国葬儀の実施について何らかのルールを設けるべきと考えますが、総理の御見解について併せてお伺いします。

 ロシアによるウクライナ侵略が始まって七か月以上が経過しましたが、依然として予断を許さない状況が続いています。今回のロシアの行為は、世界の平和と秩序を踏みにじるものであり、断じて許されるものではありません。

 政府におかれては、これまでの対ロシア政策を大きく転換し、G7を始めとする国際社会と協力し、厳しい対ロシア制裁を科すとともに、ウクライナ等への支援に全力を挙げているものと承知をしております。そのために、引き続き、国際社会が一致して、毅然とした対応を取るべきです。今般のウクライナ情勢の現状認識と今後の対応について、総理の御所見を伺います。

 平和で安定した国際社会を実現するためには、日米同盟を基軸とし、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々との連携を深めることが何より重要です。その上で、在外公館の機能を質と量の両面で強化し、多様な地域協力の枠組みを活用するとともに、司法外交の推進や国際裁判への対応能力の向上を図ることなどにより、日本の総合的な外交力強化に向けて不断の取組を続けていくことが重要であると考えます。これらの点について、総理の御認識をお伺いします。

 さらに、今、ロシアによるウクライナ侵略によって、核兵器の惨禍が再び繰り返されるのではないかとの懸念が世界で高まっています。我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向け、現実的な歩みを着実に進めるべく、国際社会の取組をしっかりとリードしていくべきだと思います。

 総理は、今年八月、日本の首相として初めてNPT運用検討会議に出席し、核軍縮に向けたヒロシマ・アクション・プランを表明されるなど、核兵器廃絶に向け積極的な努力を続けておられますが、改めて、核廃絶に対する総理の思いについて伺います。

 また、何より、拉致問題の早期解決は最重要課題です。

 拉致被害者全員の即時帰国の実現に向け、国際社会との結束をより一層強め、国民の理解と関心の深化を図り、あらゆる手段を尽くして取り組んでいくべきと考えますが、拉致問題解決に向けた総理の覚悟についてお伺いします。

 近年、中国は、海洋進出を活発化し、尖閣諸島付近での領海侵入や台湾への威嚇を繰り返すなど、国際法に違反し、力による一方的な現状変更の試みを重ねてきていますが、こうした試みは世界のどこであれ認めることはできません。

 自由で開かれたインド太平洋を着実に進め、ルールに基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化を実現することが重要です。我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増し、国際秩序の根幹が揺らいでいる現下の情勢の中、岸田総理はインド太平洋の平和と安定に向けどのように取り組むお考えか、お伺いします。

 我が国が直面する安全保障上の課題が深刻化し、軍事技術が急速なスピードで変化、進化している中で、国民の命や暮らしを守り抜くための十分な備えができているのか、本格的な検討が必要です。総理は、防衛力を五年以内に抜本的に強化していくことを表明されており、国家安全保障戦略など、いわゆる三文書改定に向けた検討が進められていると承知しています。

 総理は、かねてより、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に進めるとおっしゃっておられますが、検討に当たっては、必要となる防衛力の検討、予算規模の把握、財源の確保を一体的かつ強力に進めていくべきです。年末までの最重要課題の一つである防衛力の抜本強化をどのように進めていくお考えか、お伺いします。

 以上、日本が直面する様々な課題について、岸田総理の所信表明演説の内容を踏まえながら、るる質問をいたしました。

 最初に申し上げたように、最も重要なことは、長期的展望を常に意識しつつ、今から覚悟を据えて準備しなければならないということであります。その際、日本が先々直面する困難が容易に乗り越え難いものであることを思えば、過去の踏襲ではなく、危機克服のための革新に向けて今こそ大きくかじを切らなければならないということを重ねて申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほどの泉議員の御質問に追加でお答えをさせていただきます。

 自民党PTにおける性教育をめぐる議論に関する質問がありましたが、自民党においては、政策決定に当たって、幅広い地域また立場の国民の皆さんの声を聞き、また、多くの専門家の意見を聞きながら、多くの議員が参加する形で丁寧に議論を積み重ねております。性教育の議論においても、幅広い丁寧な議論の積み重ねを行ったと承知をしております。よって、御指摘は当たらないと考えております。

 その上で、上川陽子議員の御質問にお答えをいたします。

 北朝鮮による弾道ミサイル発射についてお尋ねがありました。

 北朝鮮は、今年に入ってからも弾道ミサイルを計二十回にわたって発射しています。これらの極めて高い頻度で続く一連の挑発行動に加え、昨日、我が国上空を通過する形で弾道ミサイルを発射したことは、我が国の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かす深刻な挑戦であります。

 政府としては、北朝鮮の今後の動向を含めた情報収集、分析に徹底を期すとともに、警戒監視に万全を期し、関係各国と緊密に連携しながら、日本国民の生命、そして平和な暮らしを断固守り抜く決意です。

 また、そのために、本年末までに策定する新たな国家安全保障戦略等の検討過程で、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的な検討を加速し、防衛力を抜本的に強化してまいります。

 昨晩の電話会談でバイデン大統領と確認したように、今後とも、日米、日米韓で緊密に連携するとともに、国際社会と協力をしながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化を目指してまいります。

 国連総会出席の成果、防災を含む平和、安全保障分野の女性の活躍についての取組についてお尋ねがありました。

 国連総会においては、一般討論演説を行い、国連の機能強化、国際社会における法の支配の推進、人間の安全保障の推進を主要メッセージとして呼びかけを行いました。また、各種二国間会談及び多国間会合において、国際社会の諸課題への日本の積極的な貢献を発信いたしました。また、ニューヨーク証券取引所において、新しい資本主義を始めとする経済政策を紹介し、米国経済界に日本への積極的な投資を訴えました。

 議員御指摘のとおり、我が国の女性・平和・安全保障、WPS行動計画は、紛争解決に加え、日本を含むアジア太平洋地域が災害の頻発地域であり、その観点からも、防災、災害対応を含むのが特徴です。防災を含む平和、安全保障分野における女性の活躍は不可欠であると考えております。新たな国家安全保障戦略等を策定するに当たっては、こうした点も念頭に検討を進めてまいります。

 十二月開催の国際女性会議WAW!では、平和、安全保障、さらには防災政策における女性参画についても議論する予定です。WAW!の議論を、日本が来年議長を務めるG7での女性活躍に関する議論につなげたいと考えます。

 新しい資本主義についてお尋ねがありました。

 新しい資本主義は、日本経済を再び成長させるための包括的なパッケージです。従来コストとされてきた人やGX等への投資を未来への投資と再定義し、気候変動などの社会的課題の解決を通じて新たに市場をつくることで、成長と持続可能性の二兎を実現いたします。

 このため、六月の実行計画で掲げた人への投資、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、GX、DXへの投資の四分野に投資を集中し、社会課題を成長のエンジンとしてまいります。また、成長の果実を分配し、更なる成長へつなげていくべく、予算、税制、規制改革といったあらゆる政策を総動員してまいります。

 日本経済の現状認識、円安、物価高への取組についてお尋ねがありました。

 我が国経済は、コロナ禍から社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかに持ち直しています。しかし、足下では、ロシアによるウクライナ侵略と円安によるエネルギー、食料価格の高騰、世界の景気後退懸念が日本経済の大きなリスク要因となっています。

 物価高に対しては、特に急激な値上がりリスクのある電力料金について、家計、企業の電力料金負担の増加を直接的に緩和する、前例のない思い切った対策を講じます。また、エネルギー、食料品について、危機に強い経済構造への転換を図ります。

 円安に対しては、インバウンド観光の復活など円安のメリットを最大限引き出すとともに、企業投資の国内回帰や農林水産物の輸出拡大など、経済構造の強靱化を進めます。

 今月中にこれらの施策を盛り込んだ総合経済対策を策定し、この物価高から国民生活と事業活動を守り抜きます。

 構造的な賃上げについてお尋ねがありました。

 新しい資本主義の実現のためには、人への投資の成果を社会課題の解決による成長につなげ、更なる人への投資や賃上げにつなげていく好循環を実現することが不可欠です。

 このため、短期的には、来春の賃金交渉において、物価上昇をカバーする賃上げを目標に、転嫁対策や中小企業の支援に取り組みます。

 また、中長期的に必要となる構造的賃上げに向けた三つの課題の一体的改革を実現するため、労働移動円滑化に向けた指針の来年六月までの取りまとめ、リスキリングを始めとした人への投資の支援の抜本強化を断行してまいります。

 GX推進についてお尋ねがありました。

 GXは、単なる化石エネルギーからの脱却にとどまるものではなく、エネルギー、全産業、ひいては経済社会の大変革を実行していくものです。

 エネルギーの安定供給は、その大前提です。ロシアのウクライナ侵略によるエネルギー危機を踏まえ、原子力発電の問題にも正面から向き合い、エネルギー安定供給の確保を進めます。

 また、成長志向型カーボンプライシングの具体化や規制・制度一体型の大胆な資金支援により、官民一体で脱炭素投資を促進し、気候変動という社会課題を成長のエンジンとするとともに、アジア・ゼロエミッション共同体構想などの国際戦略についても検討を加速していきます。

 DXの推進についてお尋ねがありました。

 DXの推進に向け、勧告権を含む強力な総合調整機能、予算を含む政府全体の情報システムの統括、監理等、デジタル庁の権限を最大限活用するべく、自治体、民間からも積極的に人材を受け入れるなど、必要な体制を確保してまいります。

 また、オンラインによる幅広いデジタル教育コンテンツの提供等により、デジタルによる地域課題解決を牽引するデジタル推進人材を二〇二二年度から五年間で二百三十万人育成し、デジタル田園都市国家構想を加速してまいります。

 マイナンバーカードについては、令和四年度末までにほぼ全ての国民に取得していただくという目標に向けて、健康保険証との一体化を始め、便利で持ちたいと思ってもらえるような、カードの利便性を高める取組を進めてまいります。

 観光立国の復活、文化芸術立国についてお尋ねがありました。

 新型コロナにより観光関連産業は甚大な影響を受けていますが、観光は、我が国の成長戦略の柱、地域活性化の切り札として期待されています。

 今月十一日からビザなし渡航、個人旅行再開など、インバウンド観光を復活させ、円安のメリットを最大限引き出すべく、本格的な回復に向けた集中的な取組を実施し、訪日外国人旅行消費額の年間五兆円超の達成を目指します。

 さらに、全国旅行支援を再開するとともに、観光地や観光産業の再生、高付加価値化を計画的、継続的に推進し、観光立国の復活に向けて取り組んでまいります。

 また、我が国の文化資産やアート作品は、我が国に対する世界の憧れを生むソフトパワーの源泉です。このため、日本の美と心を国内外に発信する日本博二・〇を開始したほか、次代の文化を創造する新進芸術家等の育成支援などを実施してまいります。

 中小・小規模事業者に対する支援についてお尋ねがありました。

 新型コロナの影響の長期化に加え、ロシアによるウクライナ侵略と円安によるエネルギー価格等の高騰など、中小・小規模事業者は厳しい事業環境にあると考えています。

 こうした中小・小規模事業者を支援するため、生産性向上を後押しするとともに、取引適正化を進める公正取引委員会等の執行体制を強化し、価格転嫁対策を徹底いたします。

 また、先月拡充した日本公庫による低利融資に加え、コロナ融資の返済本格化に向けた借換え保証の創設の検討など、資金繰り支援に万全を期してまいります。

 子供政策についてお尋ねがありました。

 少子化は危機的な状況にあり、また、児童虐待、いじめ、子供の貧困など、子供をめぐる課題は一層複雑化しています。常に子供の視点に立ち、その最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会を実現するための新たな司令塔としてこども家庭庁を来年四月に創設し、子供政策を強力に推進いたします。

 今後の子供政策に関する予算については、こども家庭庁の下で、子供の視点に立って、必要な子供政策が何かをしっかり議論した上で、体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討をすることと併せて、子供政策の充実に取り組んでまいります。

 新型コロナ対策についてお尋ねがありました。

 この一年、専門家の意見を聞きながら、国民の命と健康を守ること、社会経済活動を止めないこと、この両立に全精力を傾けてまいりました。

 また、先月には、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行の全体像をお示ししました。科学的知見に基づきながら、できるだけ平時に近い社会経済活動が可能となるよう取り組んでまいります。

 こうした取組に加え、次の感染症危機に備え、法律に基づき機動的かつ効果的な緊急時対応が可能となるよう、感染症法等の改正案を今国会に提出いたします。さらに、司令塔機能の強化、日本版CDCの創設にも取り組んでまいります。

 災害対策に取り組む決意についてお尋ねがありました。

 本年も、三月の福島県沖を震源とする震度六強の地震、七月の桜島の噴火、七月以降の相次ぐ大雨や台風など、全国各地で様々な災害が発生しています。

 これらの災害でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表し申し上げるとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 近年、災害が激甚化、頻発化する中、地震や津波、風水害、噴火などの大規模災害から国民の生命財産を守ることは政府の最も重要な責務です。

 本年六月に開始した線状降水帯の予測の精度向上に向けた取組を強化、加速化するなど、不断の見直しを行いながら、防災・減災、国土強靱化に中長期的かつ継続的に取り組み、災害対策に引き続き全力を挙げてまいります。

 統一教会との関係、被害者の救済についてお尋ねがありました。

 まず、私の政権においては、各閣僚がそれぞれの統一教会との過去の関係を調査、説明し、新たな接点が判明した場合には、その都度、追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底すること、これを方針としております。

 また、被害者の救済に関する私からの指示を受け、消費者庁の有識者検討会において、消費者被害の発生及び拡大の防止を図るための対策等について議論をするとともに、九月五日から、関係省庁による合同電話相談窓口を設け、集中的に相談を受け付けています。

 こうした消費者庁の検討会の議論や合同電話相談窓口に寄せられた相談内容も踏まえつつ、霊感商法等に関して、不当な勧誘があった場合の取消し事由の拡大や取消権の行使期間の延長など、消費者契約に関する法令等の見直しの検討を加速し、早急に結論を出すよう、河野担当大臣に指示をしたところであります。

 弔問外交の成果並びに今後の新時代のリアリズム外交の展開についてお尋ねがありました。

 今回の国葬儀には、二百十七の国、地域、国際機関等から七百人を超える来賓をお迎えし、御指摘のとおり、私自身、三十八回、計四十二人の海外要人と個別会談を行うとともに、世界各国から示された弔意に対して礼節を持ってお応えいたしました。

 会談では、多くの国から、安倍元総理が残した、自由で開かれたインド太平洋、自由、民主主義、基本的人権といった普遍的な価値や、法の支配に基づく国際秩序の維持強化などの取組への評価とともに、これらを受け継いでいきたいとの意思が示されました。改めて、安倍元総理の外交的遺産の重みを感じるとともに、私からは、日本外交の基軸をぶれずに貫いていくことを強調いたしました。あわせて、最近の国際情勢など、多角的な意見交換も行えたことは外交上の成果と考えています。

 来年、我が国は、安保理非常任理事国となり、五月にはG7議長国として広島でサミットを主催します。先ほど述べた成果も踏まえ、引き続き、私自身が先頭に立ち、普遍的価値に立脚をした規範や原則の維持強化、地球規模課題への取組、そして国民の命と暮らしを断固として守り抜く、新時代リアリズム外交を着実に推進してまいります。

 国葬儀の実施に関するルールの策定についてお尋ねがありました。

 今回の安倍元総理の国葬儀に対して、国民の皆様や各党各会派から様々な御意見、御批判をいただいたことは真摯に受け止めなければならないと考えております。

 今後、国民のより幅広い理解を得て国葬儀を実施することができるよう、政府としては、今回の国葬儀について検証を行うこととしております。まずは、幅広い有識者の方々から御意見を伺い、国葬儀について論点と意見を整理することから始めます。できる限り早期にその整理をお示しした上で、今後、内閣総理大臣経験者の国葬儀の実施については、国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか、一定のルールを設けることを目指します。

 その際、政府のお示しする整理を素材として、与党はもちろん、国会においても党派を超えて御議論いただき、国民各層の幅広い御理解を得ることができるよう努めてまいります。

 今般のウクライナ情勢の現状認識と今後の対応、そして日本の外交力強化、核兵器のない世界に向けた取組についてお尋ねがありました。

 ウクライナ国内における住民投票及び編入と称する行為は、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害し、国際法に違反する行為であり、決して認められてはならず、強く非難をいたします。そのような試みは、国際社会における法の支配の原則に正面から反するものであり、無効です。

 我が国は、力による一方的な現状変更の試みを決して看過せず、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携しつつ、強力な対ロ制裁及びウクライナ支援の二つの柱にしっかりと取り組んでいきます。

 日本の外交力強化については、同盟国、同志国とこれまで以上に連携しつつ、ロシアによるウクライナ侵略への対応や、法の支配に基づく国際秩序、自由と民主主義を守り抜くことを始めとする国際社会の様々な課題に取り組んでいきます。あわせて、在外公館の整備を含む外交実施体制を抜本的に強化するとともに、地域協力の枠組みを活用しつつ、御指摘のあった司法外交の推進等にも取り組み、国際社会における法の支配を強化してまいります。

 ロシアは核をめぐる威嚇的な行動を行っていますが、我が国は唯一の戦争被爆国として、そのような核兵器による威嚇も、ましてや使用も決して認めることはできません。

 核兵器のない世界に向けた取組について、先般のNPT運用検討会議において、ロシアの反対により成果文書が採択されなかったことは極めて遺憾ですが、核軍縮に向けた新たな議論の土台が示されるとともに、NPTの重要性が再確認されました。同盟国である米国との信頼関係を基礎としつつ、年内に広島で開催予定の国際賢人会議も活用しながら、ヒロシマ・アクション・プランに沿って、核兵器のない世界に向けた現実的かつ実践的な歩みを進めてまいります。

 拉致問題についてお尋ねがありました。

 我が国としては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を目指す考えです。

 その上で、北朝鮮による拉致が発生して長い年月がたちましたが、二〇〇二年に五名の拉致被害者の方々が帰国されて以来、一人の拉致被害者の帰国も実現していないことは痛恨の極みであります。御家族がお年を重ねる中で、解決に向けて一刻の猶予もないという切迫感を私としても共有いたします。

 最重要課題である拉致問題については、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組みます。私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意です。

 インド太平洋地域の平和と安定の確保に向けた取組についてお尋ねがありました。

 我が国を取り巻く安全保障環境は、中国による東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試み、軍事バランスの変化による緊張の高まり、北朝鮮による核・ミサイル開発など、厳しさと不確実性を増しています。

 また、今回のロシアによるウクライナ侵略は、明白な国際法違反であるとともに、力による一方的な現状変更であり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為です。今回のウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更を、インド太平洋、とりわけ東アジアで許してはなりません。

 このような現実に直面する中、平和と繁栄を確保するため、日本の外交・安全保障面での役割を強化してまいります。その中で、本年末までに新たな国家安全保障戦略等を策定し、我が国自身の防衛力の抜本的強化に取り組みます。同時に、日米同盟の抑止力、対処力の強化をしっかりと図っていくとともに、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を、関係国や地域のパートナーと連携しつつ、推進してまいります。

 防衛力の抜本的強化についてお尋ねがありました。

 安全保障環境が急速に厳しさを増す中、抑止力、対処力の強化は最優先の使命です。新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた議論を加速し、先般開始した、国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議において議論を進めるとともに、与党とも十分連携しながら、予算編成過程で結論を出します。

 検討に当たっては、必要となる防衛力の内容の検討、予算規模の把握、財源の確保、これらを一体的かつ強力に進め、その過程で、国民の皆さんに丁寧に説明をし、理解を得てまいります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(海江田万里君) 西村智奈美君。

    〔西村智奈美君登壇〕

西村智奈美君 立憲民主党代表代行の西村智奈美です。

 会派を代表し、質問いたします。(拍手)

 旧統一教会の問題について質問します。

 第一点は、深刻な被害の実態把握と救済についてです。

 この問題が明らかになった一九八〇年代以降、我が党の有田芳生前参議院議員など一部の方々を除き、私も含め、政治の取組がこの間不十分であったことを申し訳なく思っています。

 旧統一教会の悪質な献金強要等による本人や御家族の悲惨な実態が次々と明らかになっています。全国霊感商法対策弁護士連絡会では、三十五年にわたる活動の中で、把握されるだけで千二百億円を超える献金被害が生じたとされます。現時点で政府は被害総額などをどう把握しているのか、今後どう把握するつもりなのか、お答えください。

 我々は、元信者、信者の二世など御家族と家族会、支援に携わってきた弁護団の皆さんや社会福祉士、宗教学者や憲法学者を始め有識者の皆さんからのヒアリングを重ね、議員立法として、いわゆるマインドコントロール下に置かれた人に高額な献金等を求める行為について規制し、そのような財産被害は救済できるとする悪質献金被害救済法案を今国会に提出する予定です。総理は、所信で、消費者契約に関する法令等について見直しの検討をするとのことですが、それで本当に被害の救済はできるのでしょうか。お答えください。

 経済的な被害だけでなく、家族崩壊、婚姻や信教の自由の侵害、教育機会の喪失など、重大な個人の権利侵害が発生しています。政府はこうした被害をどう認識していますか。あわせて、どう救済していくのか、お尋ねします。

 第二点は、違法、反社会的な行為を繰り返す団体自体をどうすべきかという課題です。

 信教の自由は憲法上も侵してはならない権利ですが、旧統一教会等の違法行為と組織的な責任を認める司法判断は、少なくとも十一の刑事判決、二十八の民事判決があり、十分に積み上がっており、その反社会性は明白だと考えますが、総理の認識をお聞かせください。

 宗教法人法第八十一条によれば、政府は裁判所に対して解散命令請求を行うことができます。この解散命令は、あくまで税制優遇などを受けられる法律上の宗教法人格を剥奪するもので、団体そのものを解体するものではなく、信教の自由を阻害するものではありません。解散命令請求を行った場合に、実際に命令を出すかどうか判断するのは裁判所です。総理、旧統一教会に関して、まずは解散命令請求を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 第三点は、旧統一教会と政治のつながりです。

 八月十日の内閣改造は、旧統一教会問題に大きく焦点が当たる中で行われました。特に関係の深い山際大臣は、改造前には旧統一教会との関係を明らかにせず、留任しました。山際大臣は、これまで、二〇一三年に資金管理団体が関係団体に会費一万円を支出したほか、二〇一八年にイベント参加、二〇一九年の東京都内のホテルでの会合、関係団体が二〇一六年にネパールで開催した国際会議、二〇一一年のナイジェリアでの関連団体会合への参加など、旧統一教会との極めて深い関係が明らかになっています。山際大臣は、記者会見で、行った記憶はあるが会議出席は覚えていないなど、到底理解し難い回答を繰り返しました。

 山際大臣にお尋ねします。旧統一教会の反社会性を認識していますか。認識していたとすれば、繰り返し、また海外でまで団体の会合に出席しているのはなぜですか。お答えください。

 総理御自身も、後援会長と関連団体との関係が報道で指摘されています。事実関係と総理の認識をお聞かせください。

 政治家や政党だけでなく、政府との関係も指摘されています。ジャーナリスト、鈴木エイト氏によれば、二〇一六年六月に、安倍元総理が世界平和統一家庭連合の徳野英治日本会長と李海玉全国祝福家庭総連合総会長夫人を首相官邸に招待したとのことです。また、二〇一七年五月には、金起勲北米大陸会長兼世界副会長一行が自民党本部を訪問、菅官房長官から首相官邸に招待を受けたとビデオで全世界に向けて配信したとのことです。この二件に関して、事実関係をお答えください。

 旧統一教会と政治との関係は、旧統一教会が選択的夫婦別姓反対、同性婚反対など、政策決定に影響を与えてきた可能性も指摘されています。一般に、宗教団体が政策などを政治に働きかけること自体に問題はありませんが、反社会的な団体が長年にわたり政権与党の政策に影響を与えていたとしたら、やはり問題です。こうしたことがなかったのか、検証するお考えはありますか。お答えください。

 また、今回の所信表明では、説明責任を果たしながら各般の取組を進めてまいりますと総理は述べられました。説明責任をどのように果たしますか。また、各般の取組とは何でしょうか。具体的にお答えください。

 特に、二〇一五年の旧統一教会の名称変更に際し、教団との関係が深い当時の下村博文文部科学大臣の関与があったとすれば、名称変更を隠れみのに被害の拡大に手をかしたことになる極めて深刻な問題です。文科省は名称変更の申請を受け付けてこなかったのに、大きな方針の変更を政治の判断なく官僚が事務的に判断したとは信じられません。政治家、大臣の関与はなかったのか、明確にお答えください。

 政党などの内部調査などのみでは、政治と旧統一教会の関係の実態把握には限界があります。国会が主体的に、旧統一教会及び関連団体による被害の実態把握、行政による必要な支援の内容の検討、そして政治との関係など、徹底した調査を行うべきだと考えます。

 これまでにも、福島原発事故の際に、いわゆる国会事故調が国会に設置されたことがあります。当時の野党の提案を与党民主党が受け入れ、全会一致で関連法案が成立したものです。この例に倣い、与党自民党が野党の提案を受け、強力な調査権限を持つ調査委員会を設置することが国民の疑念を払拭するために不可欠だと考え、立憲民主党から申入れを行いましたが、自民党は受取すら拒否しました。

 政治家については共通の基準に基づいて第三者による強制力を持った調査と、被害の実態把握、行政による支援の検討を行うべきだと考えますが、総理の所見を伺います。

 新しい資本主義について質問します。

 岸田総理が最初に新しい資本主義という言葉を使ったときに、私は、新自由主義と決別し、格差是正にかじを切るのではと期待しました。昨年十月八日、就任直後の所信表明演説には、富める者と富まざる者との深刻な分断、中間層を守る、分配なくして次の成長なし、働き方に中立的な社会保障や税制といった言葉が盛り込まれました。十二月の所信表明演説、本年一月の施政方針演説でも、格差や貧困が拡大、分厚い中間層の衰退という言葉は残りました。

 しかし、鳴り物入りだった新しい資本主義が決定的に逆走したのは、六月七日の新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画です。令和版所得倍増計画、これは資産所得倍増へとすり替わり、格差と貧困が切り離され、貧困は課題とすらされなくなりました。そして、今国会の所信表明演説には、とうとう格差という言葉も含まれなくなりました。貧困は言うに及びません。分配という言葉も消えています。

 過去三回、この本会議場で述べられた格差、貧困との言葉が所信表明演説から消えたのはなぜですか。明確にお答えください。

 六月七日からの逆走は総理の判断ですか。資産を持っている人の所得倍増よりも、まずは格差の是正を図るべきではありませんか。また、金融所得課税の見直しを進めるべきではありませんか。内閣発足当初の総理の思いが大きく変質している理由をお聞かせください。

 所信表明で、賃金を上げることを引き続き重要な柱と位置づけていることは評価しますが、「なぜ日本では長年にわたり大きな賃上げが実現しないのか。」と大上段に疑問を発せられたのにはあきれました。安倍、菅長期政権の下で格差拡大を放置し、分配政策をなおざりにしてきた自民党政権の政策こそがその原因だからです。

 賃金引上げの入口としての公的分野の賃上げについて、所信表明では、「公的価格においても、制度に応じて民間給与の伸びを踏まえた改善等を図る」と述べられました。しかし、介護職員や保育士等の賃金は全産業平均よりも月額八万円程度も低く、政府の処遇改善では全く不十分です。民間給与の伸びを踏まえた改善では、全産業平均とのギャップはいつまでたっても埋まりません。

 政府として、介護職員や保育士等の賃金を全産業平均の給与に近づけるつもりはないということなのか、総理の見解を伺います。

 総理は、所信で、賃上げと労働移動の円滑化、人への投資の一体的改革を進めると述べられました。労働移動の円滑化が唐突に入ったことには不安があります。労働移動自体を否定はしませんが、自民党政権が政策の柱として唱える場合、時に経営側に有利で労働側に不利な雇用の不安定化を意味することがあり得るからです。労働移動の円滑化とは具体的にどのような政策なのか、雇用の不安定化につながるものではないのか、御説明ください。

 雇用に関して我々の反対を押し切り導入された高度プロフェッショナル制度について、この制度の導入当時、対象者は高い交渉力を有する高度専門職に限ると答弁をされました。

 しかし、今年初めの厚労省所管の研究機関の調査によると、対象業務に従事して三年未満という方が高度プロフェッショナル制度適用者の四四・九%を占めています。また、本人の同意がなければ適用できないとされているにもかかわらず、実際には、制度適用者の一三・四%が制度を希望していないと回答しており、政府の言う建前は有名無実と化しています。また、厚労省の調査によれば、高プロ制度適用者の健康管理時間が一般労働者の過労死ラインを上回るケースが続出しています。

 働き方改革関連法によって創設された高度プロフェッショナル制度は廃止すべきです。総理の答弁を求めます。

 昨年の私の代表質問で、長時間労働による過労死、自殺などをなくすためにも、監督すべき労働基準監督署の人員、体制の確保について質問し、総理は、「必要となる労働基準監督官の人員、体制確保をしっかりと進めてまいります。」と答弁されました。ところが、昨年度も今年度も、労働基準監督官の定員は全く同じ三千四十二名です。一名の増員もないということは、現状で十分だという御認識でしょうか。お答えください。

 子供の命に関わる問題をお伺いします。

 保育園、幼稚園の通園バス内の置き去りにより、昨年七月、福岡で五歳児が亡くなった事件に続き、先月五日、静岡県で同様の事件が繰り返され、三歳の女の子が命を落としました。亡くなられたお子さんの御冥福をお祈りし、御家族にお悔やみを申し上げます。

 非常に痛ましい事案が二年連続で発生しましたが、保育園を所管する厚労省保育所保育指針、幼稚園を所管する文科省の教育要領、施設整備指針などには何の基準もありません。昨年の事件を受け、内閣府を含む三府省は何らかの検討を行ったのか、お答えください。

 昨年八月、安全管理の徹底を周知するよう都道府県に通知したそうですが、実際に指針を策定した都道府県は幾つですか。対策の都道府県への安易な丸投げによって事故が繰り返されたのではないですか。お答えください。

 マニュアルの策定だけでは人間のミスを完全に防ぐことはできません。我が党は、他の野党と共同で、通園バスの置き去り防止装置の設置の義務づけと全額国庫補助、認定こども園等の人的体制の充実などを内容とする法案の提出を検討しています。御賛同いただけるか、お聞かせください。

 また、悲惨な置き去り死の背景に、保育、幼児教育の現場の待遇の低さ、人員不足などの構造問題もあると考えますが、いかがでしょうか。

 子供の安全に関して、もう一問質問します。

 去る九月十八日、北海道でのモータースポーツ体験イベントで、十一歳の女の子が運転するゴーカートがコースを外れ、見物していた二歳の男の子が亡くなる痛ましい事件が発生しました。亡くなられたお子さんの御冥福をお祈りし、御家族にもお悔やみを申し上げます。運転していた子供さんのことも気がかりです。

 事故の運営者の責任などについては警察などの捜査を待ちたいと思いますが、私が驚いたのは、一般車と同様のスピードが出るゴーカートに何の規制もないということです。公道外なのでシートベルトの義務や速度規制の対象外、建築基準法で安全管理基準を定めるジェットコースターなど遊戯施設にも該当せず、観客との分離の在り方なども業者任せとなっています。これまで何らの規制を行ってこなかった責任をどうお考えですか。

 また、再発防止のため、何らかの法規制を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 そもそも、事故が起こり、人命が失われてから規制を考えるのでは遅過ぎます。どの分野に同様の法規制の漏れがあるか分かりません。命に関わる危険があるにもかかわらず、省庁間の隙間で法規制のないものがないか、省庁横断の機能が期待される消費者庁などで総ざらいで点検すべきと考えます。いかがでしょうか。

 包摂社会の実現について伺います。

 総理の所信表明で、新しい資本主義を支える基盤は、老若男女、障害のある方もない方も、全ての人が生きがいを感じられる多様性のある社会であると述べています。ここで多様性の全てを例示することは困難だとは思いますが、例示が極めて限定的で、多様性への認識が全く感じられません。例えば、性的指向や性自認にかかわらずなどの例示がない理由をお聞かせください。仮にまた所信表明の機会があるとすれば、少なくともこうした例示を入れていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 昨年の代表質問でも、選択的夫婦別姓、同性婚の実現など、多様な生き方を可能とする制度の導入を求めましたが、先送りとの回答でした。これらの政策に強く反対してきたのが旧統一教会です。こうした政策判断の背景に旧統一教会と自民党の関係が影響していなかったか、お聞かせください。

 旧統一教会との関係を絶つというのであれば、これらの政策課題についても改めて政府・与党内で議論、検討を進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 知床観光船事故についてお伺いします。

 改めて、亡くなられた皆様の御冥福をお祈りします。

 船会社の責任は我々から見ても明らかであり、司法の場での厳しい判断を待ちたいと思いますが、行政にも大きな責任があったと考えます。

 観光船は昨年も二度事故を起こし、北海道運輸局の特別監査や立入検査を受けています。提出された運航記録簿には、昨年七月の十五日間、風速、波高、視程が全て同じ数値になっていて、社長と船長の認め印がありました。あり得ないずさんさです。ところが、十月に作成された運輸局の書類には、記録簿関係はきちんと整理されている、以前より安全と法令遵守意識が向上したなどと記載されていました。監査をした運輸局は、いいかげんな数字を見なかったのか、又は、見た上で先ほど申し上げた判断をしたのか、この監査について何らかの処分が行われたのか、お答えください。

 また、事故の三日前、国土交通省所管の日本小型船舶検査機構の検査もありました。船長は、事務所との連絡手段について、衛星携帯電話から普通の携帯電話に変更すると申請。機構は、船長に通話可能であることを確認して了承したとされます。実際は、航路の大半は通話エリア外でした。この検査が適切だったとは到底思えませんが、何らかの処分が行われたのか、お答えください。

 今後、こうしたずさんな検査が行われないよう、どのような再発防止策を取るのか、お答えください。

 また、海難救助に当たる海上保安庁の体制強化も急務です。我が党は、領域警備・海上保安体制強化法案を昨年提出し、海上保安庁の強化を提案してきました。政府も海上保安庁の体制強化を図っていますが、海難救助など基盤業務への予算不足も指摘されています。海難救助空白地帯の解消など、海上保安庁の体制強化への政府の方針をお聞かせください。

 沖縄県辺野古新基地移設についてお尋ねします。

 九月十一日の沖縄県知事選挙では、玉城デニー知事が大差で再選され、改めて辺野古新基地建設に反対する沖縄県民の民意が示されたと考えます。県民の思いをどう受け止めているか、お聞きします。

 数度にわたって示された沖縄の民意、軟弱地盤による工事の困難化、加えて、米国の戦略が部隊の小型化、分散化にシフトする中、米国海兵隊の運用の実績などから考えても、大規模な辺野古の新基地建設によらずとも抑止力を維持することが十分可能であると考えます。改めて、現実的検討、米国との協議の開始を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

 基地建設反対への制裁かのごとく沖縄振興予算が減らされ続け、ついに本年度は三千億円を割り込みました。特に、自治体が使い道を決める一括交付金が、最大の一千七百五十九億円から七百六十二億円へと大きく削減されてきました。一方、県を通さず直接市町村に交付する予算枠が二〇一九年度に創設され、増額された経緯もあります。これは、県と市町村など地域の分断につながるとの指摘もあります。基地への賛否と予算による振興策を絡める、あめとむちのような手法は取るべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

 安倍元総理の国葬については泉代表から質問しましたが、岸田総理の手続を軽視した国葬の決定が世論を分断し、結果として故人や御遺族にとってもあるべき形にならなかったのではと、安倍元総理と政治的な立場を異にする私から見ても大変残念な気持ちです。今回の国葬の決定を改めてどうお考えなのか、お聞きします。

 七月に行われた安倍元総理の家族葬には、陸上自衛隊の儀仗隊が参列しました。戦後、首相経験者の家族葬に儀仗隊が参列したのは初めてで、前例がありません。こうした前例のない私的な行事への自衛隊の参加を誰がどのように決定したのか、改めて御説明ください。

 拉致問題について質問します。

 二〇一八年、共同通信は、日本政府が拉致被害者に認定している元ラーメン店員の田中実さんについて、さらに、政府が拉致の可能性を排除できないとしている、田中さんと同じラーメン店の店員だった金田龍光さんについても、北朝鮮が二〇一四年、日本側との接触で、入国していたと伝えていたことを日本政府関係者が明らかにしたと報じました。

 また、二〇一九年、共同通信は、この生存情報を非公表にすると決めた、当時の安倍総理も了承していたと報じました。当時の菅官房長官は、今後の対応に支障を来すおそれがあることから具体的内容について答えることは差し控えるとコメントしたと報じられました。

 ところが、先月十七日、この問題の報道を続けてきた共同通信が、二〇一四年から一五年頃、この二人の一時帰国の提案を受けていた、提案に応じれば拉致問題の幕引きを狙う北朝鮮のペースにはまりかねないと警戒し拒否していた、複数の交渉関係者が明らかにしたと報じました。

 ここに至っては、さすがに交渉への悪影響を云々ということを理由とした回答拒否は通用しません。北朝鮮がうそをつく可能性、様々な謀略、思惑の可能性は当然あります。とはいえ、御本人の意思の確認もなく一時帰国の可能性を政治判断で封じたことが事実ならば、余りに冷酷な判断であり、人道的にも許されません。まして、お二人に日本に身寄りがないことが判断の背景にあるとすれば、言語道断です。一時帰国が幕引きに手をかすなどとの判断も理解できません。横田めぐみさんなど全ての被害者の救出が最終目標であることは国民の共通の認識であり、国民が幕引きなど許すはずはありません。

 交渉の過程を全て明らかにせよと言うつもりはありませんが、帰国の可能性がこのまま封じられてよいとは到底思えません。

 当時の外務大臣でもある総理が、この際、事実を認め、改めて御本人への意思確認を含め、帰国に向けて全力を尽くすべきと考えますが、いかがですか。

 最後に、簡潔に質問いたします。

 昨日、岸田総理は、御自身の長男を政務担当の総理秘書官に起用されました。一般論として、肉親の登用は周辺の士気の低下につながりかねず、また、総理には直言しにくいことなどを聞く役割を期待される秘書官が御子息であっては、その役割も果たしにくいのではないかと考えます。公私混同との批判も招きかねず、余計なお世話ですが、支持率低下のさなかの人事として理解できません。起用の理由をお伺いします。

 以上で私の質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕

内閣総理大臣(岸田文雄君) 西村智奈美議員の御質問にお答えいたします。

 旧統一教会の問題についてお尋ねがありました。

 「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議が設けた合同電話相談窓口には、金銭トラブルについて約九百件の相談が寄せられました。その金額についてはあくまで自己申告によるものであること、被害金額を認識していない方や重複して相談されている方もいると考えられることから、その総額について確定はしておりませんが、相談件数の多さなどを考慮し、まずは、相談集中強化期間を延長し、合同電話相談窓口を継続いたします。

 また、相談内容は金銭的トラブルが多数を占め、これらは法的に複雑な問題であるため、法律の専門家による支援につなげる相談窓口を法テラスに新設するとともに、家庭崩壊などの被害者の様々な相談に対応できるよう、法テラスと消費生活センターを中心に、各相談機関が連携してネットワークをつくり、総合的な相談体制を構築いたします。

 その上で、今後、同様の被害の発生を防ぐため、消費者庁の有識者検討会議の議論や合同電話相談窓口に寄せられた相談内容も踏まえつつ、霊感商法等に関して、不当な勧誘があった場合の取消し事由の拡大、取消権の行使期間の延長など、消費者契約に関する法令等の見直しの検討を加速し、早急に結論を得るよう、河野担当大臣に指示をしたところであります。

 旧統一教会に対する政府の認識と解散命令の請求についてお尋ねがありました。

 いわゆる旧統一教会については、悪質商法に関する問題、親族の入信に起因する家族の困窮の問題等、様々な問題が指摘されていると承知をしており、このような状況を踏まえて、社会的に問題が指摘されている団体であると認識をしております。

 このため、政府としては、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議を設置し、悪徳商法などの不法行為の相談や被害者の救済を目的として、合同電話相談窓口を設けるなどして、悩みを抱えている方々から幅広く相談を受け付けているところです。

 また、社会的に問題が指摘されている団体に関して、政府としては、関係法令との関係を改めて確認しながら、厳正に対応していくこととしております。

 その際、信教の自由を保障する観点から、宗教法人の法人格を剥奪するという極めて重い対応である解散命令の請求については、判例も踏まえて慎重に判断する必要があると考えております。

 旧統一教会との関係や政策決定への影響等についてお尋ねがありました。

 まず、私個人は、知り得る限り、旧統一教会との関係はありません。その上で、御指摘の後援会長についても、旧統一教会と少しでも関係がある団体に関連しているとの認識はなかったと聞いております。

 また、御指摘の安倍元総理及び菅元官房長官による官邸への招待については、当時の入邸に関する記録は残っておりません。

 政府の政策決定に当たっては、幅広く国民の皆様の意見や要望を聞くとともに、関係省庁、有識者、専門家、議員等の議論など様々なプロセスを経て政策を決定しており、御指摘は当たらないと考えております。

 旧統一教会との関係について果たすべき説明責任や信頼回復のための各般の取組、平成二十七年の旧統一教会の名称変更の経緯についてお尋ねがありました。

 まず、私の政権においては、各閣僚等それぞれが旧統一教会との過去の関係を調査、説明し、新たな接点が判明した場合には、その都度、追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底すること、これを方針としています。自民党においても、それぞれの議員がこの方針遵守を徹底し、これを担保するためのチェック体制を構築してまいります。

 宗教法人法上、名称の変更のための規則変更については、所轄庁の認可ではなく、認証による制度とされています。このため、宗教法人から規則変更の認証申請を受理した場合、所轄庁は、変更しようとする事項が法令に適合しているかなど宗教法人法に定める要件を審査し、その要件を備えていると認めたときは認証する旨の決定を行う必要があります。

 本件規則変更の認証申請についても、所轄庁として、当該申請の内容が法令に規定した要件を備えていることを確認し、認証の決定を行ったものであり、政治家や大臣の政治的な関与はなかったと認識をしております。

 政治家と旧統一教会との関係についての調査や旧統一教会に関する被害についてお尋ねがありました。

 当該団体との関係については、それぞれの議員が政治家の責任において丁寧に説明を尽くす必要があります。その際、当該団体は長年にわたり多様な組織形態や名称の下で様々な活動を展開しており、個々の議員が全ての接点を一義的、網羅的に把握し切れない場合があることも事実です。だからこそ、新たな接点が判明した場合には、速やかに報告、説明するとともに、未来に向かって当該団体と関係を持たないことを徹底することが大切であると考えております。

 旧統一教会に関する被害については、関係省庁連絡会議が設けた合同電話相談窓口等に寄せられた相談内容を踏まえ、相談体制の充実強化を図るなど、行政による支援をしっかりと行ってまいります。

 なお、国会による調査という御質問でありますが、これは国会における取組でありますので、国会で御議論いただくべきものであると考えております。

 新しい資本主義、そして格差の是正についてお尋ねがありました。

 新しい資本主義は、社会課題を成長のエンジンへと転換し、成長を実現するとともに、持続可能性を実現いたします。その成長の果実を分配し、更なる成長へつなげることにより、成長と分配の好循環を推進し、分厚い中間層の形成を目指します。

 このためには賃上げが不可欠であり、所信表明演説においても、新しい資本主義の旗印の下で、構造的な賃上げを重点分野の一つとして掲げ、正面から果断にこの実現を目指すこととしております。

 また、将来を担う子育て、若者世代に焦点を当て、賃上げに加え、男女が希望どおり働ける社会づくり、勤労者皆保険制度などにより、その世帯所得の大幅増を目指しております。

 さらに、中間層の将来の生活の備え等のために、長期投資による資産形成を実現し、分厚い中間層の形成に貢献すべく、本年末までに資産所得倍増プランを策定いたします。

 こうした所得向上の取組に加え、物価高対策においても、低所得者層向けの給付金を措置するなど、格差や貧困について積極的な対応を講じており、逆走しているとの御指摘は当たりません。今後も格差や貧困の課題に取り組んでまいります。

 なお、金融所得に対する課税の在り方については、令和四年度の与党税制改正大綱において、様々な観点を踏まえ、総合的に検討していくこととされております。優先順位を定め、成長と分配の好循環をつくり上げるために、具体的な政策をどう進めていくのか、引き続き議論してまいります。まずは、人への投資や賃上げなどを最優先に政策に取り組むことが重要であると考えております。

 介護職員、保育士等の処遇改善、労働移動の円滑化についてお尋ねがありました。

 介護職員、保育士等の処遇改善に取り組むため、介護や保育の現場で働く方々の給与を本年二月から恒久的に三%程度引き上げるための措置を講じました。今後も、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえ、見える化を行いながら、現場で働く方々の処遇改善や業務の効率化、負担軽減を進めてまいります。

 また、私が述べた労働移動の円滑化とは、労働者が主体的に成長分野の企業、産業への転職を可能とする取組であり、労働者に不利な雇用の不安定化を意図するものでは全くありません。労働者が主体的に安心して労働移動できるよう、リスキリング、すなわち成長分野に移動するための学び直しへの支援策の充実などに取り組んでまいります。

 高度プロフェッショナル制度についてお尋ねがありました。

 高度プロフェッショナル制度は、働き方改革の一環として、高度の専門的知識を有し、職務の範囲が明確で、一定の収入要件を満たす労働者を対象としており、過半数が年収が上がった、八割以上が希望したと回答するなど、意義があったと承知をしております。

 他方、制度が適正に運用されることは重要であり、高度プロフェッショナル制度を導入した全ての事業場に対し、労働基準監督署が監督指導を実施し、健康確保措置の実施状況や労働者の同意が適正に行われたかを含めて確認し、不適正な運用となる場合にはこれを是正させるなど、引き続き、制度の適正な運用を図ってまいります。

 労働基準監督官の定員についてお尋ねがありました。

 労働基準監督官については、厳しい定員事情の中にあっても一定の人員を確保するとともに、効果的かつ効率的な監督指導を通じて長時間労働等の防止に努めてきたところです。

 さらに、同一労働同一賃金の徹底など緊要性の高い行政需要に迅速かつ適切に対応するため、労働基準監督官の役割はますます重要であり、その増員を含め、必要な体制整備を図ってまいります。

 通園バス内の置き去り事故についてお尋ねがありました。

 今回の大変痛ましい事故を踏まえ、政府として、二度とこうした悲劇を繰り返すことがないよう、送迎バスの安全装置の義務化と支援措置を含む緊急対応策を講じてまいります。

 なお、昨年の事故後について、各施設において安全管理を徹底するよう周知が行われ、指針を策定した都道府県もあると承知をしております。数については今現在把握しておりませんが、引き続き、こうした取組を促してまいりたいと思っています。

 また、御指摘の法案については、提出された後、国会で協議いただくものと思われますが、政府としては、できるだけ早く、義務化と支援措置など実効的な対策を実施していくことが重要であると考えております。

 幼児教育、保育人材の確保も重要な課題と考えており、こども政策担当大臣を中心に、関係府省が引き続き連携しつつ取り組んでまいります。

 北海道でのモータースポーツ体験イベントで発生した事故についてお尋ねがありました。

 今回の事故でお亡くなりになられたお子様に対し、心より哀悼の意を表しますとともに、御家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。

 人が死傷する事案については、それが過失により発生したものであったとしても、従前より、刑法の業務上過失致死傷罪等による処罰の対象とすることによりその予防を図ってきたところであり、必要な法制度が設けられているものと考えております。

 いずれにしても、今回の事故については、北海道警察において厳正に捜査を行っているものと承知しており、まずはその捜査を見守ってまいりたいと考えております。

 そして、点検についても御質問がありました。

 私が以前、消費者行政推進担当大臣であった時期に、当時、公園の遊具等、子供の施設の安全について全国で点検を実施した経験があります。今回についても、何ができるか検討していきたいと考えております。

 そして、多様性のある社会についてお尋ねがありました。

 性的指向、性自認を理由とする不当な差別や偏見はあってはならないと考えており、政府としては、多様性が尊重され、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現に向け、引き続き、様々な国民の声を受け止め、しっかりと取り組んでまいります。

 演説において多様性の内容を全てお示しすることが困難であることは御理解いただけるものと思いますが、所信表明演説で述べた多様性の中には、性的指向、性自認の多様性も含まれています。

 また、政府の政策決定に当たっては、幅広く国民の意見や要望を聞くとともに、関係省庁、有識者、専門家、議員等の議論など様々なプロセスを経て政策を決定しており、御指摘は当たらないと考えております。

 選択的夫婦別氏制度の導入については、現在でも国民の間に様々な意見があることから、しっかりと議論をし、より幅広い国民の理解を得る必要があると感じております。

 また、同性婚制度の導入については、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要するものであると考えております。

 知床遊覧船事故についてお尋ねがありました。

 今般の事故を起こした事業者に対しては、昨年の運輸局の監査で、運航記録簿等を確認したにもかかわらず、事業者の安全意識の欠如等を十分把握できていなかった、また、日本小型船舶検査機構の検査で、事業者からの申出に基づいて連絡手段の変更を認めたとの報告を受けています。

 これらの対応は手続上は当時の内規に沿って行われたことから、担当職員等に対する処分などは行われていませんが、当時の内規自体に問題があったとして、当時の内規等については見直しを行っていく必要があると考えております。

 今回のような痛ましい事故を二度と起こさないよう、国土交通省において、有識者から成る検討委員会での検証、検討を踏まえ、内規等の見直しを行うとともに、監査の強化や船舶検査の実効性向上対策等を既に行ったところです。今後、年末に向けて更に検証、検討を進め、総合的な安全対策に取り組んでまいります。

 また、海難救助に関する海上保安庁の体制強化について、より迅速な人命救助を可能とするため、機動救難士が配置されていない航空基地への機動救難士の配置等、今後、適切に体制強化に取り組んでまいります。

 普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。

 世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは、絶対に避けなければなりません。これは、地元の皆様との共通認識であると思います。

 米国とは、閣僚間を含め様々なレベルにおいて、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針について、累次にわたり確認をしてきているところです。

 引き続き、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還の実現に全力で取り組んでいきます。

 なお、具体的な沖縄振興予算の額は、必要な予算を積み上げて決定されるものであり、基地問題とは直接関係してはおりません。いずれにせよ、強い沖縄経済をつくるための取組を着実に進めてまいります。

 安倍元総理の国葬儀の決定や家族葬での自衛隊の儀仗についてお尋ねがありました。

 先週執り行った安倍元総理の国葬儀は、国内外から多数の参列があり、数多くの方々の弔意に応える厳粛かつ心のこもったものとなりました。国葬儀の参列者が約四千二百人、一般献花者も二万五千人を超え、また、海外からは二百十七の国、地域、国際機関から七百三十四人の参列者がありました。海外からお越しになった多くの参列者の方々から寄せられた弔意に対し、礼節を持って丁寧にお応えすることができたと考えております。

 その上で、国葬儀に関しては、国民の皆様や各党各派から様々な御意見、御批判をいただいたことは真摯に受け止めなければならないと考えており、今後、今回の国葬儀について検証を行うこととしております。

 また、安倍元総理の家族葬での儀仗は、法令に基づき、御家族の意向を踏まえ、防衛大臣の定めにより実施されたと承知をしています。なお、例えば鈴木善幸元総理の逝去に際しても、合同葬に加えて、地元でのお別れ会において儀仗が実施されたと承知をしております。

 拉致問題についてお尋ねがありました。

 政府としては、田中さんや金田さんを含む北朝鮮による拉致被害者や拉致の可能性を排除できない方についての情報収集等の具体的な内容については、今後の対応に支障を来すおそれがあることからお答えすることは差し控えてきており、この立場は引き続き維持すべきものであると考えております。

 その上で、最重要課題である拉致問題について、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組みます。私自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意であります。

 そして、内閣総理大臣秘書官の人事についてお尋ねがありました。

 個別の人事について詳細はお答えを差し控えますが、政権発足から一年という節目を捉え、適材適所の観点から総合的に判断をしたものであります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)

    〔国務大臣山際大志郎君登壇〕

国務大臣(山際大志郎君) 旧統一教会の反社会性の認識についてお尋ねがありました。

 当該団体は、悪質商法や悪質な寄附といった社会的な問題が指摘されていることや、被害を受けている方が多数いらっしゃるという認識が不足していました。また、そうした団体のイベントに出席することで、いわば団体にお墨つきを与えてしまうようになったことを真摯に反省しています。

 今後は、当該団体とは一切関係を持たないよう慎重に行動してまいります。(拍手)

     ――――◇―――――

佐々木紀君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明六日午後二時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。

副議長(海江田万里君) 佐々木紀君の動議に御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

副議長(海江田万里君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十六分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  岸田 文雄君

       総務大臣    寺田  稔君

       法務大臣    葉梨 康弘君

       外務大臣    林  芳正君

       財務大臣    鈴木 俊一君

       文部科学大臣  永岡 桂子君

       厚生労働大臣  加藤 勝信君

       農林水産大臣  野村 哲郎君

       経済産業大臣  西村 康稔君

       国土交通大臣  斉藤 鉄夫君

       環境大臣    西村 明宏君

       防衛大臣    浜田 靖一君

       国務大臣    秋葉 賢也君

       国務大臣    小倉 將信君

       国務大臣    岡田 直樹君

       国務大臣    河野 太郎君

       国務大臣    高市 早苗君

       国務大臣    谷  公一君

       国務大臣    松野 博一君

       国務大臣    山際大志郎君

 出席内閣官房副長官

       内閣官房副長官 木原 誠二君

 出席政府特別補佐人

       内閣法制局長官 近藤 正春君


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