衆議院

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第20号 令和6年4月11日(木曜日)

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令和六年四月十一日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十四号

  令和六年四月十一日

    午後一時開議

 第一 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第三 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 さきに設置した政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会については、その目的を政治改革に関する調査を行うためとし、その名称を政治改革に関する特別委員会とし、その員数を四十人とするの件(議長発議)

 日程第一 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第三 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 特別委員会の設置目的、名称及び員数変更の件

議長(額賀福志郎君) お諮りいたします。

 さきに設置いたしました政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会につきましては、その目的を政治改革に関する調査を行うためとし、その名称を政治改革に関する特別委員会として、その員数は四十人といたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。

 増加の特別委員は追って指名いたします。

     ――――◇―――――

 日程第一 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第一、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。財務金融委員長津島淳君。

    ―――――――――――――

 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔津島淳君登壇〕

津島淳君 ただいま議題となりました法律案につきまして、財務金融委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、国家公務員等の旅費制度について、国内外の経済社会情勢の変化に対応するとともに、事務負担軽減を図るため、旅費の計算等に係る規定の簡素化及び支給対象の見直しを行うほか、国費の適正な支出を図るための規定を整備する等の措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る四月五日当委員会に付託され、同日鈴木財務大臣から趣旨の説明を聴取し、九日、質疑を行い、質疑を終局いたしました。次いで、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第二、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。国土交通委員長長坂康正君。

    ―――――――――――――

 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔長坂康正君登壇〕

長坂康正君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、物資の流通の効率化等を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、荷主や物流事業者等に対し、トラックドライバーの荷待ち時間等の短縮、トラックの積載率の向上等に資する取組を行う努力義務を課すとともに、一定規模以上の事業者に対して、計画の作成やその取組状況の報告等を義務づけること、

 第二に、元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務づけるとともに、荷主及びトラック事業者等に対し、運送契約締結時の書面交付等を義務づけること

などであります。

 本案は、去る三月二十一日の本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託され、二十七日斉藤国土交通大臣から趣旨の説明を聴取しました。四月三日質疑に入り、五日参考人から意見を聴取し、昨十日質疑を終了いたしました。

 質疑終了後、本案に対し、日本共産党から修正案が提出され、趣旨説明を聴取いたしました。

 その後、採決いたしました結果、修正案は否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第三 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第三、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長新谷正義君。

    ―――――――――――――

 雇用保険法等の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔新谷正義君登壇〕

新谷正義君 ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティーネットを構築するとともに、労働者の学び直しの支援強化による雇用の安定及び就業の促進を図るため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は、

 第一に、雇用保険の適用対象者を一週間の所定労働時間が十時間以上の者へ拡大すること、

 第二に、失業等給付の基本手当について、自己都合離職者が雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な教育訓練を受けた場合に給付制限を解除すること、

 第三に、教育訓練給付金の給付率を引き上げるとともに、被保険者が教育訓練のための休暇を取得した場合に支給する新たな給付金を創設すること、

 第四に、育児休業給付の国庫負担の暫定的引下げ措置を廃止し、国庫は育児休業給付に要する費用の八分の一を負担するものとすること

等であります。

 本案は、去る三月二十九日の本会議において趣旨説明が行われた後、同日本委員会に付託されました。

 本委員会におきましては、四月三日武見厚生労働大臣から趣旨の説明を聴取し、五日から質疑に入り、九日には参考人から意見を聴取し、昨日質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、日本共産党より、本案に対し、国庫は育児休業給付に要する費用の四分の一を負担するものとすること等を内容とする修正案が提出され、趣旨の説明を聴取いたしました。

 次いで、修正案について内閣の意見を聴取した後、原案及び修正案について討論、採決を行った結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(額賀福志郎君) この際、内閣提出、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。厚生労働大臣武見敬三君。

    〔国務大臣武見敬三君登壇〕

国務大臣(武見敬三君) ただいま議題となりました育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を説明いたします。

 少子高齢化が進展し、人口減少が加速している中で、男女ともに仕事と育児、介護を両立し、誰もが活躍できる社会を実現することが重要な課題となっています。こうした状況を踏まえ、子の年齢に応じ柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進、強化、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度に関する周知の強化等を通じて、男女ともに仕事と育児、介護を両立できる職場環境を整備するため、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、三歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を二つ以上講じ、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付けることとしています。また、所定外労働の制限の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子を養育する労働者に拡大することとしています。併せて、子の看護休暇を感染症に伴う学級閉鎖等の場合も取得可能とし、対象となる労働者の範囲を小学校第三学年修了までの子を養育する労働者に拡大することとしています。

 第二に、妊娠、出産等の申出をした時や、子が三歳に達する前の時期に、仕事と育児の両立に関する労働者の意向を個別に確認するとともに、確認した意向に配慮することを事業主に義務付けることとしています。

 第三に、育児休業の取得状況の公表を義務付ける事業主の範囲を、常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主まで拡大するとともに、次世代育成支援対策推進法の行動計画を策定する際、育児休業の取得状況や労働時間の状況に関する数値目標を設定すること等を事業主に義務付けることとしています。

 第四に、仕事と介護の両立支援制度等に関する個別の周知等を事業主に義務付けるとともに、仕事と介護の両立支援制度等に関する雇用環境の整備を事業主に義務付けることとしています。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和七年四月一日としています。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(額賀福志郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。吉田統彦君。

    〔吉田統彦君登壇〕

吉田統彦君 立憲民主党の吉田統彦です。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案に対して質問いたします。(拍手)

 先ほど倫選特から改組された政治改革に関する特別委員会では、政治資金規正法の抜本的な改正を審議していくこととなりますが、その前に、岸田総理に御出席いただき、裏金問題に関して、なぜ岸田総理自身と二階俊博議員は処分対象外なのか、処分の基準は何なのか、森元総理の関与はあったのかなどを、まず国民に説明するよう強く求めます。

 今回の法案の趣旨は、男女共に仕事と育児、介護を両立できるようにするため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大や、次世代育成支援対策の推進、強化、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等の措置を講ずるとのことですが、実態と乖離しているのではないでしょうか。

 まず、全体を通じて感じる問題点を指摘いたします。

 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充は結構ですが、エッセンシャルワーカーやいわゆる成果型の仕事については、実際のところ、運用が困難です。

 本法案は、子育てをしながら働く労働者にとって大きなメリットがある一方で、エッセンシャルワーカーの場合、そもそも取得が困難であったり、事業主、事業体に多大な負荷をかける可能性が高いと考えます。特に、四月から施行される医師の働き方改革で医師不足が深刻となり、中核病院を中心に医療崩壊の可能性がある状況では、労使共に負荷がかからないように、医療、介護分野を中心に応分の対応をした上で、相当丁寧かつ慎重に適用すべきではないですか。厚労大臣にお聞きします。

 PhD等の特に理系の研究者の多くは、そもそも待遇が悪く、さらに、休めば休むほど成果が出せず、結局、休みたくても休めないというのが現状です。同様に、大学院に通いながら仕事をする社会人大学生や就職氷河期世代の方々、非正規等、労働条件の悪い仕事に従事している方も同様に、育児・介護休暇を取得することがそもそも困難であり、今回の政策では置き去りになるおそれがあります。

 つまり、今回の法改正では、正規と非正規等、労働条件の差で、ないしは研究職のように成果を求められるか否かで、育児・介護休暇の取得のしやすさに格差が生じるものではありませんか。どのようにして本改正の効果を、こういった、そもそも介護・育児休暇の取得が困難な方たちに及ぼしていこうと考えていますか。厚生労働大臣にお聞きします。

 同様に、医師等のエッセンシャルワーカーも育児・介護休暇が非常に取りづらい状況にありますが、それらの方々に対してはどのような対策を取られるのですか。エッセンシャルワーカーが本休暇を取得する場合、代替人員の確保等に対する支援はどうされますか。厚労大臣にお聞きします。

 また、同様に、中小企業への対策も必要ですが、どのような対策をお考えですか。厚労大臣にお聞きします。

 次に、三歳以上小学校就学前の措置の新設についてお聞きします。

 本法改正では、三歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して利用できるようにすることを義務づける等としています。

 しかし、一律に三歳で区切るよりも、事業主や労働者にとって分かりやすく、利用しやすい制度設計が望ましく、年齢で利用できる制度を区切らず、連続性のある一気通貫の制度にすべきとの意見が審議会で出されましたが、厚労大臣の見解をお聞きします。

 子の看護休暇制度の見直しについてお聞きします。

 本改正案では、子の看護休暇を、感染症に伴う学級閉鎖、入園、卒園、入学式といった行事参加等の場合も取得可能とし、対象の範囲を小学三年生まで拡大しています。

 しかし、審議会では、対象年齢について、看護の必要性は小学校高学年でも認められることから、中学校就学前までとすべきとの意見が出されました。また、子の看護のために年次有給休暇を使用する労働者が多いことや、育児中の労働者の多くは、子の突然の体調不良に備えて、自身の年次有給休暇の取得を控える傾向であることから、看護休暇の取得可能日数を拡大し、看護休暇を有給にすべきとの意見も出されました。これらの意見について、厚労大臣の見解をお聞きします。

 レスパイト入院についてお聞きします。

 レスパイトとは、休息、息抜きという意味で、医療管理が必要な方が在宅で療養されており、介護者の疲労により休息を取る場合や、御家族の事情で一時的に介護が困難になった場合に利用できる入院の仕組みで、我が国では全く利用できず、進める必要があると考えますが、大臣のお考えをお聞きします。

 同様に、育児・介護休暇を取得しなくても短時間の時間調整で対応可能となるように、都市部で働く方のため、未活用の都会の一等地にある統廃合した小学校等を活用し、誰でも利用できる、三百六十五日二十四時間利用可能な保育施設、一般、病児、病後児、学童保育や、介護等に積極的に利用しませんか。大臣にお聞きします。

 一方、SNS上で、子供の発熱で仕事を度々休む同僚への苦言と見られる投稿があり、休む人は要らない、会社の体制の問題等と賛否両論の議論を巻き起こしました。もちろん、業務の偏りが生じてしまう企業の構造の問題、看護休暇等に対する周知啓発活動の不足等もありますが、根本的な問題は、子育て側のみに配慮がされ、不公平感が生じていることです。

 例えば、ある企業は、育児休暇を取得した社員の同僚全員に最大十万円の一時金を支給するという取組を行ったようですが、不公平感を生まないために、政府として何らかの取組をすべきと考えますが、どのような取組を行うのか、厚労大臣にお聞きします。

 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等についてお聞きします。

 本改正案では、介護休業制度の内容についての見直しは行われないことになりました。しかし、介護の必要性に直面してから、介護休業の九十三日間の期間内に施設やサービスを見つけることは容易ではありません。このような実態から、介護休業期間を現行の九十三日から延長するとともに、分割回数も三回以上に増やすべきではありませんか。大臣の見解をお聞きします。

 この介護休業についても、エッセンシャルワーカーや建築関係等現場仕事の方は、長期の取得が難しく、テレワーク等に向いていない仕事であることに加え、慢性的な人手不足ということで、格差が生じています。本当に介護休暇を取っていただくことができるよう、何か方策を検討しているのですか。大臣にお伺いします。

 また、介護を業として行えば介護報酬は支払われ、その中から賃金が支払われることになります。しかし、実際に介護離職に至った結果、家庭内介護となった場合は、国や自治体から何ら支援を受けられません。もちろん、家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支えるという社会的介護の目的はすばらしいと思いますが、家庭内介護、家族介護との格差が大き過ぎるのではないでしょうか。自宅で家族や親族を介護する方への支援を行うことを検討すべきと考えますが、大臣の見解をお聞きします。

 次に、介護施設における人件費の問題についてお聞きします。

 四月六日、共同通信社が、「保育士給与、施設別に公開方針 こども家庭庁、二〇二五年度から」との記事を配信しています。保育所や認定こども園に対し、保育士の給与水準を都道府県へ報告するよう義務づけ、施設別に公開する方針とのことです。

 今回の報道を受け、介護施設についても、人件費割合の公表その他、補助金等による適正な賃上げ等の義務化等を行うつもりはありませんか。厚生労働大臣の見解をお伺いします。

 政府による訪問介護の基本報酬の引下げは、小規模な訪問介護事業者の倒産や人手不足に拍車をかけ、在宅介護が受けられなくなる要介護者や家族が増加するおそれがあり、その結果、介護離職せざるを得ない人が増加し、政府提出法案が目指す介護離職防止と真逆の結果を招いてしまうおそれがあります。

 立憲民主党が九日に提出した訪問介護緊急支援法案では、訪問介護の基本報酬引下げによって在宅介護が受けられなくなる要介護者や介護離職が増加することを防ぐため、まずは、訪問介護事業者に対して、訪問介護事業支援金をできるだけ速やかに支給することとしています。

 一方で、武見厚生労働大臣は、今年九月を目途に実施予定の調査において介護現場の実態を総合的に調査する予定と答弁していますが、そんな悠長な対応でよいのでしょうか。政府は、立憲民主党の提案を受け入れて、速やかに訪問介護事業者に支援金を支給すべきです。厚労大臣の見解をお聞きします。

 また、立憲民主党の法案には、次回の令和九年度の介護報酬改定を待たずに、できる限り早い時期に訪問介護の介護報酬の基準を改定することを盛り込んでいます。訪問介護事業者の事業規模によって収支の状況にばらつきがあることを踏まえ、事業規模ごとの収支の状況を踏まえた改定とすることを想定しています。

 次回、三年後の介護報酬の改定を待つことなく、訪問介護の介護報酬引上げの期中改定を行うこと、それも、事業規模ごとの収支の状況を踏まえた改定とすることについて、厚労大臣の見解をお聞きします。

 また、立憲民主党は、九日に介護・障害福祉事業者処遇改善法案を再提出しました。この法案には、政府の新たな処遇改善策の上乗せ措置として、全ての介護、障害福祉事業者で働く全ての職員に対し月額一万円の処遇改善を行うことを盛り込むとともに、介護、障害福祉事業者等の賃金水準を全産業平均と同程度のものにするための方策について検討することを盛り込んでいます。

 令和五年賃金構造基本統計調査によれば、全産業平均との月額給与格差は、訪問介護事業者で約六万円、介護職員で約八万円となっています。政府も、令和六年度の介護報酬改定による処遇改善で終わりとするのではなく、更なる処遇改善を行うと約束していただけますか。厚労大臣の見解をお聞きします。

 立憲民主党は、保育、介護を必要とする方をお支えするとともに、それぞれの持ち場で頑張っている方々の思いを実現してまいります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣武見敬三君登壇〕

国務大臣(武見敬三君) 吉田統彦議員の御質問にお答えいたします。

 医療、介護等の分野で働く方々への仕事と育児の両立支援についてお尋ねがありました。

 医療、介護等の分野で働く方々の業務を効率化し、休暇を取得しやすい環境整備の取組を進めることが重要であり、各医療機関が行うタスクシフトやタスクシェアの推進等の取組に対する助成措置や、各都道府県に設置された医療勤務環境改善支援センターによる好事例の紹介などの相談支援などを実施しています。

 このほか、業種、職種にかかわらず、中小企業事業主に対して、育児休業等を取得している間の業務を代替する周囲の労働者に手当を支給した場合などに支給する助成金や、労務管理の専門家から個別の相談支援等を無料で受けられる事業も実施しています。

 これらの取組により、医療、介護等の分野で働く方々の育児休業等を取得しやすい環境整備を進めてまいります。

 正規、非正規等の労働条件や職種によって育児・介護休業の取得のしやすさに格差が生じることについてお尋ねがありました。

 有期雇用労働者については、令和三年の改正育児・介護休業法により、引き続き雇用された期間が一年以上の要件を廃止し、取得の要件を緩和することで、育児休業等をより取得しやすくすることとしました。

 また、両立支援等の助成金により、育児休業を取得しやすい環境整備に取り組む事業主への支援などを行っています。

 このような取組により、雇用形態や職種等にかかわらず、仕事と育児、介護を両立しやすい職場環境の整備を目指してまいります。

 医師が育児休業等を取得する場合や、中小企業における体制整備等への支援についてお尋ねがありました。

 医師等の育児・介護休業の取得に必要となる勤務環境の改善に向けては、複数主治医制の導入やチーム医療の推進、必要な医師を確保するための医師派遣に対する支援や、各都道府県に設置された医療勤務環境改善支援センターによる好事例の紹介などの相談支援等の様々な取組を行っており、引き続き、こうした取組をしっかりと進めてまいります。

 また、中小企業事業主における体制整備等への支援としては、育児休業等を利用している間、その業務を行う代替要員の新規雇用を行った場合などに支給する助成金や、労務管理の専門家から個別の相談支援等を無料で受けられる事業を実施しています。

 子の年齢で区切らない両立支援制度についてお尋ねがありました。

 子の年齢が上がると、柔軟な働き方を活用しながらフルタイムで働くことに対するニーズが増していくことから、労働政策審議会での議論も踏まえ、今回の法案では、労働者の希望に応じた働き方を可能とするため、三歳から小学校就学前までの子を養育する労働者を対象として、柔軟な働き方を実現するための措置を新設することとしております。

 一方、現行の三歳になるまでの子を養育する労働者に関する短時間勤務制度については、女性労働者の継続就業率の向上に資する効果が見られたことや、労働者のニーズを踏まえ、現行の仕組みを維持することとしております。

 子の看護休暇の対象年齢の引上げや取得日数の拡大、有給化についてお尋ねがありました。

 今回の法案においては、労働政策審議会での議論を踏まえ、男女共に仕事と育児を両立できるようにするため、子の看護休暇の見直しを行うこととしています。子の看護休暇の対象年齢については、十歳以降の子と九歳までの子が診療を受けた日数の状況等を勘案して、小学校三年生修了までとしています。

 また、取得日数については、子の病気のために利用した各種休暇制度の取得日数等の状況や、その男女差等を踏まえ、現行の日数を維持した上で、男女共に取得されるよう促進することが必要であると考えております。

 さらに、子の看護休暇は、労働者が希望する日の取得を、業務の都合等を理由に事業主が拒むことができない強い権利であり、有給化を義務づけることについては慎重な検討が必要と考えております。

 レスパイト入院についてお尋ねがありました。

 在宅で療養されている方々を介護施設等が一時的に預かることなどにより、介護する家族の負担を軽減することは重要です。

 在宅で療養される方々について、御家族のレスパイトの要否にかかわらず、御本人の医療ニーズに応じて、医療機関が入院の受入れを適切に行うことが必要です。また、介護保険制度においては、在宅で一定の医学的な管理が必要な要介護の方々も利用できるショートステイなどの仕組みがあり、レスパイトを目的とした利用についても可能であるため、こうしたサービスの整備に努めてまいります。

 休業せずに時間調整しながら育児、介護を行う働き方や、誰でも利用できる施設への活用についてお尋ねがありました。

 御指摘の廃校施設を活用した施設整備に関しては、例えば、地域医療介護総合確保基金を活用して介護施設等を整備する場合に財政的支援を行うことなどにより、育児や介護などで利用できる場所として廃校施設の活用がなされています。

 一方で、今回の法案は、個々の労働者の状況に応じた柔軟な働き方を実現し、男女が共に希望に応じて仕事と育児、介護を両立できるようにするものであり、引き続き、共働き、共育ての実現等に向けて取り組んでいきます。

 周囲の労働者の不公平感についてお尋ねがありました。

 仕事と育児、介護の両立支援制度の充実に当たっては、周囲の労働者との公平感に配慮しながら進めていくことや、職場全体として、仕事と生活が両立しやすい職場環境を整備していくことが重要です。

 そのため、育児休業等を利用する労働者の業務を代替する周囲の社員に応援手当を支給する中小企業事業主に対する助成を拡充するなど、職場環境の整備を進めることとしています。

 また、今回の法案では、次世代育成支援対策推進法の改正により、事業主が一般事業主行動計画を策定する際、労働時間の状況に関する数値目標の設定を義務づけることとしており、職場環境の整備に向けた取組を一層促進してまいります。

 介護休業制度の拡充についてお尋ねがありました。

 介護休業は、介護の体制を構築して、働きながら対応できるようにするための休業であり、家族介護の必要性と事業主の雇用管理等の負担を考慮して、対象家族一人につき九十三日の範囲内で三回までの取得が認められているものです。

 現状において介護休業制度の利用割合自体が低く、まだ、実態を見ても制度の理解が浸透していないこと、復職した方の介護休業期間は一週間未満の割合が最も高いことなどから、今回の法案では、両立支援制度に関する情報を労働者に個別に周知し、利用の意向を確認することなどを事業主に義務づけることとしています。これにより、介護休業制度の理解促進を図り、効果的な利用を促してまいりたいと考えます。

 エッセンシャルワーカーなどの介護休業を取得しやすい環境整備に向けた取組についてお尋ねがありました。

 業種や職種ごとに労働者の勤務形態等の事情は様々であり、それぞれの状況に応じたきめ細かな対応を行っていくことが重要であると考えています。

 例えば、医療分野で働く方々については、各医療機関が行うタスクシフトやタスクシェアの推進等に対する助成措置や、各都道府県に設置された医療勤務環境改善支援センターによる好事例の紹介などの相談支援等を行っています。

 このほか、業種、職種にかかわらず、中小企業事業主に対して、介護休業等を利用している間の業務を代替する周囲の労働者に手当を支給した場合などに支給する助成金や、労務管理の専門家から個別の相談支援等を無料で受けられる事業も実施しています。

 家族介護者への支援についてお尋ねがありました。

 家族が抱える課題が多様化する中、高齢者が住み慣れた地域で安心した暮らしを続けていくために、家族介護者を含めて社会全体で支えていくことが必要です。

 仕事と介護の両立支援については、通院の付添いなどに活用できる介護休暇や、勤務時間等について柔軟な働き方を可能とする短時間勤務等の措置を事業主が選択して講ずる仕組みを設けています。

 また、家族介護者への支援として、地域包括支援センターが中心となり、自治体や関係団体等と連携した研修会等を実施しているところであり、今後とも、家族介護者を支えていくための必要な取組を進めてまいります。

 介護施設の人件費割合の公表等についてお尋ねがありました。

 介護施設等の情報については、介護サービス情報公表制度において、原則、人件費などを含めた事業所などの財務状況の公表を求めるとともに、事業所の判断により、職員の賃金を公表できることとしています。こうした取組等を通じて、介護分野における経営情勢の見える化を進めてまいります。

 また、介護報酬における処遇改善加算は、その全額を賃上げに充てることとされており、強力に加算の取得促進を図るとともに、その状況の把握等を行いながら、確実な賃上げにつなげてまいります。

 訪問介護の支援金についてお尋ねがありました。

 一般の介護報酬改定においては、訪問介護の基本報酬は見直すものの、処遇改善加算や各種加算の充実を行ったところです。

 その上で、他の介護サービスより高い加算率を設定した処遇改善加算について、小規模な事業者を含め、その取得促進に全力を尽くすとともに、取得状況をまず四月分より調査するなど、各種調査等を通じて速やかに状況の把握を行うこととしており、地域で必要な介護サービスが安心して受けられるよう取り組んでまいります。

 介護報酬の期中改定についてお尋ねがありました。

 今般の介護報酬改定は、地域区分や訪問回数などの影響を踏まえた収支差率を審議会にお示しし、議論を行い、決定したものです。今般の介護報酬改定の影響等について、まずは、介護事業経営実態調査を始め各種調査等を通じて、事業者の規模別の実態を含めて、状況の把握を行っていくことが重要と考えます。

 その上で、今般の介護報酬改定では処遇改善分の二年分を措置しており、三年目の対応については、処遇改善の実施状況や財源と併せて、令和八年度予算編成過程で検討することとしております。

 介護職員の処遇改善についてお尋ねがありました。

 介護職員の賃金が全産業平均より低いという点に取り組むべき課題があると考えており、こうした中で、これまで累次の処遇改善を講じ、その成果により、全産業平均との差は確実に縮小してきたところです。

 今般の介護報酬改定における対応を通じて、まずは物価高に負けない賃上げとし、令和六年度二・五%のベースアップを実現するため、処遇改善加算の取得促進に全力を尽くしてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 伊佐進一君。

    〔伊佐進一君登壇〕

伊佐進一君 公明党の伊佐進一です。

 公明党を代表し、育児・介護休業法について質問をいたします。(拍手)

 育児・介護休業法は、現在審議をされております子ども・子育て支援法同様、昨年取りまとめられたこども未来戦略方針の中身を反映させたものであり、二つはいわば双子の法案です。両法案の中身を総合すると、どういった支援を充実させるかという給付と、それをどう支えるかという負担から成り立っています。

 私がこれまでの議論を伺う限り、給付についてはまだまだ不十分という御意見はあるものの、その方向性については、多くの同僚議員も賛成されていると思います。

 一方で、その支援に必要な負担は、文字どおり負担であり、どういう負担の形であれ、様々な角度からの御批判があることは当然だと思います。しかし、負担の在り方がどうあるべきかは、どういった社会を目指すのかそのものであり、各党が、負担についても恐れずに対案を出し合って議論するべきだと考えます。

 その点において、立憲民主党や日本維新の会からも財源も含めた対案が示されると伺っており、評価をいたします。各党がそれぞれ考える負担の在り方を提示し、それがどういう意味を持つのかを説明し議論し合うことが、国民の皆さんにとっても分かりやすい審議につながると思います。

 政府に伺います。

 これからの社会の在り方として、子供、子育て支援充実のため、どのような負担の在り方を考えて今回の法案を作成されているのか、その基本理念を改めて伺います。

 財源を医療保険に合わせて徴収する子供支援金については、委員会においても様々な御指摘をいただいております。子育て世代を支援するために、保険負担が重くのしかかる現役世代への更なる負担は問題ではないかという指摘、また、リスクを皆で分かち合う保険制度の観点からすれば、受益と負担が対応しない支援金はその趣旨に合わないのではないかという指摘などです。

 しかし、今回の支援金制度は、現役世代のみならず、経済界や高齢世代も併せて、社会全体で負担を分かち合う制度となっています。子供が高校を卒業するまでの支援金の加入者一人当たり負担増が約十万円に対して、支援金による新たな給付は約百四十六万円であり、子育て世代にとっては圧倒的にお得な制度になっています。

 また、保険にはそもそも社会連帯の趣旨があり、いずれ誰もが医療や介護のお世話になり受益を得るのであれば、社会保障の機能を強化する子供、子育て支援は、全ての国民、経済界が受益者たり得ます。保険制度の趣旨にそぐわないとは必ずしも言えません。

 財源として子供支援金を始めるのは拙速であり、もう少し社会保障全体の議論を進めてから財源を決めるべきだとの御意見もあります。

 しかし、少子化対策は待ったなしです。対策が遅れれば遅れるほど、その効果は限られたものになってしまいます。新しい徴収の仕組みを構築するには時間や社会的コストがかかるため、まずは支援をスタートさせ、中長期的に、PDCAを通じて改良を重ねていくことは合理的です。

 こうした考え方については、国会での審議はなされているものの、そもそもの保険制度自体が複雑であり、広く共有されているとは思えません。政府は、今回の審議を通じて指摘された事項などについて、国民の皆様の御理解を得られるため、丁寧な周知を図るべきだと考えますが、大臣の答弁を求めます。

 育児・介護休業法について質問いたします。

 今回の法案では、一昨年末、公明党が取りまとめた子育て応援トータルプランにおける提案の多くを取り入れていただいており、感謝を申し上げます。

 具体的な制度論に入る前に、大きな政府の方針について伺います。

 我が党のトータルプランにおいて、我々が柱の一つに掲げたのが、男女間の不平等の解消、性別役割分担意識の是正です。いわゆるアンコンシャスバイアスに基づく慣習等の見える化を図り、その思い込みが当たり前ではないと気づく機会の提供が必要です。仕事と育児、介護の両立を実現する様々な諸制度の前提として、この意識改革が重要な基盤になると思います。

 政府は、こうした男女間の不平等の解消や性別役割分担意識の是正に向けて、どのような取組を進めるのかを伺います。

 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置について伺います。

 子育て中の短時間勤務については、三歳になるまでは一日六時間を基準として設定することが事業主の義務となっています。しかし、三歳以上のお子さんがいても短時間勤務を求める声は大きく、同制度の就学前までの拡充について、これまでも、私も含め我が党同僚議員から、国会の場において幾度となく訴えてまいりました。

 しかし、例えば直近の昨年二月の予算委員会において、短時間勤務を利用している労働者の多くは女性のため、まずは男性の育児への関わりを促進することが先であり、引き続き検討するという答弁でした。

 今回の法改正においては、三歳以上についても、事業主に対して短時間勤務制度を含めた選択肢に関する新たな義務が課せられることになりました。どのような形で、子育て世代の幅広いニーズに応える制度となったのかを伺います。

 労働者に対する意向の聴取、配慮について伺います。

 現行においては、労働者からの妊娠、出産の申出によって、事業主は、育児休業制度を個別に周知すること、また、その取得等について意向を確認することが義務づけられております。

 今回の法改正では、育休のみならず、勤務時間帯や勤務地などの意向についても確認すること、出産後も、三歳以降で使える様々な制度の周知や意向確認をすることが事業主に新たに義務づけられることになります。

 しかし、こうした制度の周知や意向確認については、書面の交付のみをもって形式的に義務を果たしたとすることが重要なのではなく、希望する労働者を制度の利用につなげることが重要です。新しい制度がそれぞれの職場でしっかりと定着していくよう、政府としての取組を求めます。

 介護離職防止のための支援制度について伺います。

 家族の介護や看護による離職者は、依然約十万人近くで推移しています。仕事と介護の両立支援には、現在においても様々な制度が用意されています。しかし、例えば、三回に分けて通算九十三日まで利用可能な介護休業制度を利用した方は、介護をしている雇用者の一・六%にとどまるなど、制度の多くは利用が進んでおりません。

 その理由の一つに、そもそも労働者がこうした支援制度を知らないことが挙げられます。また、事業主からすれば、労働者が家族のどんな介護に直面しているかが分からないことなどが挙げられております。

 労働者が利用できる両立支援制度について、丁寧な周知と意向確認が重要であり、同時に、事業主が労働者の置かれている環境を把握することも重要だと思いますが、政府の対応を伺います。

 以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣武見敬三君登壇〕

国務大臣(武見敬三君) 伊佐進一議員の御質問にお答えいたします。

 男女間の不平等の解消や性別役割分担意識の是正についてお尋ねがありました。

 男女共に育児等の家庭責任を果たしながら職場においても貢献していく方向へ、社会、職場双方における意識改革を進めていくことが求められています。

 そのため、性別役割分担意識を背景とするアンコンシャスバイアスの解消が重要であり、厚生労働省においても、意識改革に向けた周知啓発をしております。

 引き続き、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法等の施行を通じて、仕事と家庭の両立に対する職場風土の改革を進め、急務である男女間の不平等の解消や性別役割分担意識の是正を図ってまいります。

 三歳以上の子を養育する労働者に関する制度の拡充についてお尋ねがありました。

 育児期の働き方の希望について、正社員の女性は、子が三歳以降は短時間勤務を希望する方もいる一方で、フルタイムで残業をしない働き方や、出社や退社時間の調整、テレワークなどの柔軟な働き方を希望する割合が高くなり、正社員の男性も、残業をしない働き方や柔軟な働き方に対する希望が見られます。

 このようなことから、男女とも希望に応じて仕事と育児を両立できるよう、今回の法案では、育児期に出社や退社時間の調整、テレワーク、短時間勤務などの働き方を選べるようにする制度の創設を行うこととしております。

 育児期の労働者に対する両立支援制度に対する個別の周知、意向確認等についてお尋ねがありました。

 共働き、共育ての推進に当たって、両立支援制度があるにもかかわらず、その利用が十分に図られていないことが課題の一つと考えています。今回の法案により新設される柔軟な働き方を実現するための措置等が、対象となる労働者にしっかりと周知されるよう、事業主が面談や書面の交付などにより制度の個別周知と利用に関する意向確認を行うことを事業主に義務づけることとしています。

 この面談等が実効性のあるものとなるよう、分かりやすいリーフレットの作成や、専門サイト、SNSの活用なども含めて、様々な手段を通じて、丁寧な周知や支援にしっかりと取り組んでまいります。

 仕事と介護の両立支援制度の丁寧な周知と意向確認の促進についてお尋ねがありました。

 介護離職の要因には、勤務先や家族、サービスに起因するものなど、様々なものがあると考えられますが、介護休業や介護休暇の利用が低水準にとどまっていることから、介護離職の要因の一つに、両立支援制度が整っているにもかかわらず利用が進んでいないといった課題があると考えております。

 このため、今回の法案では、介護に直面した労働者に対して両立支援制度に関する情報を個別に周知し、その利用の意向を確認することなどを事業主に義務づけることなどを通じて、仕事と介護を両立できる環境の整備を目指してまいります。(拍手)

    〔国務大臣加藤鮎子君登壇〕

国務大臣(加藤鮎子君) 伊佐進一議員の御質問にお答えをいたします。

 子供、子育て政策の抜本的強化に関する負担の在り方の基本理念についてお尋ねがありました。

 今回の三・六兆円の加速化プランを支える財源につきましては、まずは既定予算の最大限の活用等と徹底した歳出改革による公費節減で二・六兆円を捻出し、その上で支援金を構築することとしています。

 子育て世帯を支えるため、国民の皆様に新しい分かち合いとして支援金の拠出をいただきますが、その分の財源は歳出改革を元手にしていきます。

 これは、現下の経済状況や財政状況を踏まえ、増税か国債発行かではなく、歳出改革によることを原則とし、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で子供、子育てに要する支出の財源をいただくものです。こうした財源確保の基本的な考え方について、引き続き説明を尽くしてまいります。

 支援金制度に関して国民の皆様の御理解を得るための周知についてのお尋ねがありました。

 支援金制度は加速化プランの実行を安定的に支えるものであり、その収入は、児童手当の抜本的拡充など、子供、子育て世帯への給付に充てられます。支援金制度を通じた給付の充実は、賃上げ等と相まって、若い世代の所得を増やし、結婚、子育てを確実に応援していくものです。

 また、こうした給付を受けない方にとっても、少子化傾向を反転させることは、我が国の経済社会システムや地域社会を維持することや、国民皆保険制度の持続可能性を高めることにより、社会の一員として受益するものであります。このため、高齢者や子供のいない方も含め、拠出をお願いすることとしています。

 法案審議において御指摘いただいた事項と併せ、こうした支援金制度の意義について国民の皆様に御理解をいただけるよう、引き続き、丁寧に説明をしてまいります。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 田中健君。

    〔田中健君登壇〕

田中健君 国民民主党の田中健です。

 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました育児・介護休業法等の改正法案について質問をいたします。(拍手)

 子ども・子育て支援金の年収別徴収額の試算が示されました。二〇二八年度は年収六百万で月千円、年収一千万なら月千六百五十円との試算です。

 まず、年間一万五千円や二万円を負担する会社員が出てくるという理解でよいのか、伺います。あわせて、共働き家庭のモデルケースを示してください。

 なぜ最初から正直に説明をしなかったのか。小出しにすることで国民の不信は広がるばかりです。現役世代の社会保険料負担はもう限界との声に真摯に向き合ってください。加藤大臣に伺います。

 看護休暇制度の見直しについて伺います。

 改正案では、子の対象年齢を小学校三学年修了前としましたが、不十分です。たとえ小学校高学年であっても、病気の子供が一人で食事の準備をしたり薬の管理をできるはずもなく、日中、子を単独で療養させるなど、あってはなりません。対象年齢を小学校六年生まで引き上げるべきだと考えますが、見解を伺います。

 また、取得可能日数は、子供一人、一年間で五日は短過ぎます。子供がインフルエンザに罹患しただけでも、看護は五日を超えます。今回、さらに、行事でも利用可能になることを加味すれば、子供一人につき十日までとすることが現実的ではないでしょうか。

 また、看護休暇制度は、会社によって有給、無給があり、長期間休むと無給では生活が成り立たない場合も生じます。有給についての考え、また、実現するための財源措置について見解を伺います。

 同じように、残業免除や柔軟な働き方をするための措置についても、対象年齢を小学校就学始期に達するまでとされましたが、始業時間変更やテレワーク、短時間勤務は、まさに小学生の子供を育てる保護者には必須です。どちらの制度も対象を小学校六年生まで引き上げることが必要と考えますが、見解を伺います。

 二二年度の厚労省の調査によると、育休の取得率は女性が八〇・二%であるのに対し、男性は一七・一三%と差は大きく、短時間勤務も、女性は五一・二%であるのに対し、男性は僅か七・六%という調査結果もあります。男性による育児休暇の取得率開示義務が拡大されますが、形だけで終わってはいけません。

 大切なのは、男性が育休を取ると周りに迷惑がかかるという会社中心の思考を変えることです。そして、企業が整備すべきは、人が抜けても職場が回る仕組みづくり、そして、育休に限らず、どんな理由でも遠慮せずに休める環境づくりだと考えます。意識改革と環境整備をどのように推進していくのか、伺います。

 仕事と育児、介護の両立の最大の障壁は長時間労働です。現在の長時間労働による働き方が変わらないままでは、仕事と育児、介護の両立を幾ら掲げても、現実的には、女性が家事を担い、負担を背負い、職場を犠牲にせざるを得ない状況は変わりません。今回の改正案は、長時間労働の是正にまで言及がありませんでしたが、どう改善を図っていくのか、見解を伺います。

 育休制度が拡充され、働く親の環境は少しずつ整ってきましたが、障害児や医療的ケア児を育てる保護者は取り残されています。障害白書によれば、障害を持ち特別支援学校に通う児童生徒は二〇二二年で六十一万八千人、全児童生徒の六・五%です。今回の法改正で、離職防止の観点から、障害や家庭の状況に応じて、可能な範囲での配慮を会社に求めることが盛り込まれましたが、どんな支援が必要と考えているのか、また、会社にどのような配慮を求めていこうと考えているのか、伺います。

 毎日新聞は今年一月、子育て、介護と同時に直面する人が、二〇一七年時点、全国で二十九万三千七百人に上り、三十代、四十代の働く世代が九割を占め、担い手が女性に偏っていることを明らかにしました。

 国民民主党は、昨日、育児と介護の両方を担うダブルケアラーを支援する法案を国会に提出しました。これまでは、育児と介護は厚生労働省が担当していましたが、育児がこども家庭庁に移管され、新たな縦割りが生まれています。超高齢社会や晩婚、晩産化を背景に広がるダブルケアは、社会全体で取り組むべき課題です。どんな課題があるのか、何に苦しんでいるのか、そして、負担軽減策につなげていけるのか。何よりもまず、政府による実態調査が必要だと考えます。ダブルケアラーへの対策について、見解を伺います。

 国民民主党は、縦割り行政の壁の解消を政府に促すとともに、国会審議を通じて国民的な議論につなげていくことを誓い、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔国務大臣武見敬三君登壇〕

国務大臣(武見敬三君) 田中健議員の御質問にお答えいたします。

 子の看護休暇の対象年齢の引上げや取得日数の拡大、有給化についてお尋ねがありました。

 今回の法案においては、労働政策審議会での議論を踏まえ、男女共に仕事と育児を両立できるようにするため、子の看護休暇の見直しを行うこととしています。子の看護休暇の対象年齢については、十歳以降の子と九歳までの子が診療を受けた日数の状況等を勘案して、小学校三学年修了までとしています。

 また、取得日数については、子の病気のために利用した各種休暇制度の取得日数等の状況や、その男女差等を踏まえ、現行の日数を維持し、男女とも取得されるよう促進することが必要であると考えております。

 さらに、子の看護休暇は、労働者が希望する日の取得を、業務の都合等を理由に事業主が拒むことができない強い権利であり、有給化を義務づけることについては慎重な検討が必要と考えております。

 育児期の残業免除や柔軟な働き方を実現するための措置の対象年齢についてお尋ねがありました。

 今回の法案では、三歳以降小学校就学前までの子を養育する労働者が、希望に応じて柔軟な働き方や残業をしない働き方を可能とするための改正を行うこととしております。

 対象となる子の年齢については、育児・介護休業法は企業規模にかかわらず全ての事業主に適用される基準であることや、制度の利用状況が女性に偏っている現状において、制度の利用期間を小学校就学以降にまで延長すると、女性のみの利用が拡大し、女性のキャリア形成に影響するおそれがあることなどを勘案し、小学校就学前までの子を対象としております。

 男性の育児休業の取得促進のための意識変革と環境整備についてお尋ねがありました。

 男性が育児休業を取得しない理由として、職場が育児休業を取りづらい雰囲気であることが挙げられています。

 このため、厚生労働省では、企業の好事例の周知、広報などにより男性の育児休業取得に向けた機運の醸成を図るとともに、育児休業や短時間勤務を利用している間、その業務を代替する周囲の労働者に手当を支給した場合などに事業主への助成を行っているところであり、仕事と育児が両立しやすい環境整備に取り組んでまいります。

 仕事と育児、介護の両立支援に向けた長時間労働の是正についてお尋ねがありました。

 長時間労働の是正は、仕事と育児、介護の両立支援を推進するに当たっても重要と考えています。今回の法案では、次世代育成支援対策推進法の改正により、事業主が一般事業主行動計画を策定する際に時間外労働等の労働時間の状況に関する数値目標の設定を義務づけることとしており、これにより、各職場での労働時間短縮に向けた取組を促進してまいります。

 加えて、労働基準監督署における監督指導の徹底や、労働時間の短縮等に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主への助成金の支給などを通じて、労働時間の短縮を図ってまいります。

 障害児を育てる労働者への配慮についてお尋ねがありました。

 今回の法案では、子に障害がある場合など、子や家庭の様々な事情に対応できるよう、労働者の個別の意向の確認とその意向への配慮を事業主に義務づけることとしています。

 加えて、事業主が個別の意向に配慮する際の望ましい対応として、子に障害がある場合などに、希望に応じて、短時間勤務制度や子の看護休暇制度等の利用期間に配慮することなどを指針で示すこととしており、具体的な内容については、今後、労使の御議論を踏まえて検討してまいります。

 ダブルケアについてお尋ねがありました。

 育児と介護のダブルケアについては、二〇一五年度の内閣府における調査を始めとして、実態把握に努めており、いわゆるダブルケアラーを含めた家族介護者について社会全体で支えていくことが重要です。

 このため、ダブルケアラーのような複雑化、複合化した課題を抱える方々や家庭にも適切に支援できるよう、地域包括支援センターでの総合相談など、包括的な相談体制の整備等に取り組んでいます。

 引き続き、関係省庁とも連携しつつ、家族介護者への支援に取り組んでまいります。(拍手)

    〔国務大臣加藤鮎子君登壇〕

国務大臣(加藤鮎子君) 田中健議員の御質問にお答えいたします。

 子ども・子育て支援金の拠出額についてお尋ねがありました。

 先日、被用者の年収別の支援金額について、機械的な計算を参考としてお示ししましたが、加入者一人当たりの金額は月平均四百五十円程度であることに変わりはありませんし、これまでも繰り返し申し上げてきたとおり、個々人の拠出金額は、所得の多寡、世帯か個人か等によって様々です。

 また、先日お示しした年収別の支援金額は、世帯の合計年収で当てはめることができますので、共働きのケースも既にお示ししていると考えています。さらに、いずれの制度においても、令和十年度の支援金額は、令和三年度の医療保険料額の四から五%程度が目安となることもお示ししてきています。

 支援金額については、少子化対策のため拠出をお願いすることになりますが、歳出改革等により社会保険負担軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築することにより、全体として実質的な負担が生じないものとしております。こうした点についても、引き続き説明してまいります。(拍手)

議長(額賀福志郎君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十二分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       財務大臣       鈴木 俊一君

       厚生労働大臣     武見 敬三君

       国土交通大臣臨時代理

       国務大臣       坂本 哲志君

       国務大臣       加藤 鮎子君

 出席副大臣

       厚生労働副大臣    宮崎 政久君


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