第2号 令和7年1月27日(月曜日)
令和七年一月二十七日(月曜日)―――――――――――――
議事日程 第二号
令和七年一月二十七日
午後一時開議
一 国務大臣の演説に対する質疑
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○本日の会議に付した案件
国務大臣の演説に対する質疑
午後一時二分開議
○議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。
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国務大臣の演説に対する質疑
○議長(額賀福志郎君) 国務大臣の演説に対する質疑に入ります。野田佳彦君。
〔野田佳彦君登壇〕
○野田佳彦君 立憲民主党の野田佳彦であります。
今日は、同僚の亀井亜紀子代議士と共々に、党を代表して、石破内閣総理大臣を始めとする政府四演説に対して質問を行いたいと思います。(拍手)
今、世界中で残念ながら分断と対立が生まれています。その時代背景の中で、極論と、そして極端なポピュリズムも残念ながら横行しています。極論とポピュリズムの先に正解はありません。デモクラシーの危機かもしれません。まさに、民主主義の底力を発揮しなければいけないときであります。
我が国においては、昨年の総選挙を経て、与野党が伯仲する国会が生まれました。当初は、何も決まらない国会になるんじゃないか、国政が停滞するのではないか、こういう御懸念もあったというふうに思います。
我々も、熟議と公開を基本方針とする、こうした基本方針の下で臨時国会に臨ませていただきました。手探りではありましたけれども、何とか二十八年ぶりに政府提案の予算を修正することができました。数字を入れた予算修正は六十九年ぶりだったと聞いています。加えて、多くの野党の御賛同を得て政策活動費の禁止を訴え、与党の御理解もいただく中で、これも政治改革を一歩進めることができたというふうに思います。
一定の成果を上げることはできたと思いますけれども、真価が問われるのはこの通常国会だというふうに思います。民主主義の真価が問われる、熟議の真価が問われる国会だと思います。その百五十日間の審議の、今日はまさにスタートの日であります。最初の国会審議となりますので、どうぞ、石破総理大臣においては、かみ合う議論ができるように期待をしたいと思います。どうぞ、明快かつ前向きな御答弁を心からお願いをしたいと思います。
まずは、日米関係について五点質問をさせていただきたいと思います。
第二次トランプ政権が発足をいたしました。日米同盟は日本にとって最も重要な外交、安全保障の基軸でありますので、早く首脳会談を行い、早く個人的な信頼関係を結んでほしいと思います。その上で、幾つか懸念がございますので、総理にお尋ねをしたいというふうに思います。
一つは、立て続けに大統領令に初日に署名をされましたが、その中に、世界保健機構、WHOからの撤退がございました。世界一のWHOへの拠出国が脱退をするということは、これは世界の公衆衛生の大きな後退につながりかねません。コロナ禍において世界最大級の死者を出したのは、アメリカでございました。まさにパンデミックの危機があったときに大きな穴が空いてしまう、ネットワークに大きな穴が空くということは、これは世界中にとって不幸なことであります。
また、気候変動対策の国際的な枠組みであるパリ協定からも離脱をするということになりました。今は地球沸騰化時代です。地球沸騰化時代。我が国においても、線状降水帯の集中豪雨などが多発するようになりました。去年の七月には、気温が四十度、猛暑日となる日、酷暑日となる日が生まれました。気温四十度というと、我が家のお風呂の設定温度と同じです。人体に悪影響を与えることは間違いありません。アメリカにおいても、大型のハリケーン、大型の竜巻がしょっちゅう発生するようになりましたし、先般のロス近郊の山火事だって、これは異常気象のなせる業じゃありませんか。米国のパリ協定からの離脱は、極めてゆゆしき問題だと私は思います。
こうした中で、米国のWHOやパリ協定からの離脱の影響を総理はどのようにお考えなのか、お示しをいただきたいと思いますし、日本はどのように対応するのかのお考えをお示しをいただきたいというふうに思います。
北朝鮮の核開発、ミサイル開発は、世界中が反対をしていますけれども、残念ながら継続中だと思います。特に、最近心配なのは、ロシアによる技術協力であります。北朝鮮が核保有国として、地位を認めるべきではありません。断じて認めるべきではありません。北朝鮮を一度核保有国として認めた場合、非核化を実現することはより一層難しくなるのではないでしょうか。トランプ大統領が北朝鮮を核保有国と発言をいたしましたけれども、その真意は何だとお考えでしょうか。
二〇一八年、一九年と、米朝首脳会談が行われました。三回目の首脳会談が行われる可能性が十分高まっていると私は思います。その際には、日本や韓国を頭越しにした首脳会談ではなく、十分に事前に協議をしながらの会談が実現をされることが望ましいと思います。特に、日本の場合は拉致問題を抱えていますが、トランプ大統領の場合は、拉致問題については極めてよき理解者だと思いますので、そうしたことも含めて、緊密な連携を是非していただきたいというふうに思います。
二月の一日からは、カナダ、メキシコに対し関税を二五%かけるという予定と聞いていますし、中国にも一〇%の追加関税がかかるというような報道もあります。カナダ、メキシコには、自動車の工場を始め、日本の企業がたくさん進出をしています。日本経済にも大きな影響があると思われます。
そして、このように保護主義が台頭することは、報復合戦になって、世界でインフレが起こり、助長され、そして併せて景気が後退をする、スタグフレーションの懸念も強まってくるというふうに思います。タリフマンを翻意することは難しいかもしれません。だとするならば、むしろ、日本が自由貿易の旗手として国際的なルール作りに先導的な役割を果たしていくべきではないでしょうか。
今、日本は、TPP12のリーダー国であります。加えて、日中韓、ASEANが入っているRCEPのメンバーでもありますので、この両方の自由貿易圏づくりの結節点になり得ると思います。加えて、日・EU経済連携協定もありますので、WTOが機能不全に陥っている中、日本が自由貿易圏づくりを拡大をしていく主導的な役割を私は果たしていかなければならないし、その使命があるというふうに思います。
第二次トランプ政権が発足し、保護主義が台頭する中、日本は、CPTPPの拡大や、TPPとRCEPの融合を見据えたRCEPの高度化など、自由貿易を旗印に戦略的に経済外交を推進すべきではないでしょうか。総理のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
そのTPPには、中国、台湾、あるいはウクライナ、ウルグアイ、そしてインドネシアなど、次々と加盟申請をするに至っています。こうした加盟手続や協定内容の見直しなど、事務負担が増大をしています。今は議長国が持ち回りでこの事務的な負担を担当していますけれども、そろそろ常設の事務局を置くべきときだと思います。CPTPP事務局は日本に設置するのはいかがでしょうか。自由貿易体制の発展のために、その拠点を日本に置く、私は望ましい方向だと思いますが、総理のお考えをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
バイデン前大統領は、日本製鉄によるUSスチール買収計画の中止を命じました。私は理不尽な政治判断だと思います。対米直接投資五年連続世界一位の日本の歴史と伝統のある有力企業が、合法的に、相手の理解も得ながら進めるこの計画を、なぜストップさせるのでしょう。経済合理性の正論が通じない国になってしまうのでしょうか。それでは世界からの投資も減っていくでしょう。安全保障上の懸念と説明をする向きもありますけれども、日本はアメリカの同盟国じゃありませんか。これまた極めて理不尽だと思います。
バイデン前大統領がUSスチール買収禁止決定したことは極めて遺憾であり、トランプ大統領には率直に懸念を伝え、再考を求めるべきではありませんか。トランプ大統領は、選挙期間中はバイデン大統領と同じような考えを示していたというふうに思います。でも、今、バイデン当時の大統領の方針を全て覆す方向に切り替えておりますので、もしかするとチャンスがあるような気がしております。
いずれにしても、日鉄とUSスチールの両者の利益となり、日米の関係が強化をされるという枠組みの中で、最善の判断を求めていかなければいけないのではないでしょうか。
排他的経済水域、EEZについて、三問質問をいたします。
トランプ大統領の就任や、あるいは自国経済の低迷も相まって、中国の日本に対する姿勢がやや軟化してきているように思います。戦略的互恵関係という大きな方針の下で、この際、日中間にまたがる懸案を一つ一つ解決していくチャンスと受け止めなければいけないのではないでしょうか。
その観点から今日お聞きしたいのは、日本のEEZ内に設置をする中国のブイの問題であります。
おととしの七月以降、中国のブイが日本の排他的経済水域内に設置されるようになってまいりましたが、最新では、昨年の十二月に沖縄県の与那国島南方でこのブイが発見をされました。国連海洋法条約違反ではないかと思います。昨年末の日中外相会談で、岩屋毅外務大臣は、日本のEEZ内で見つかった中国語の記載のある海上ブイの撤去を求めたそうでありますが、中国側はどのように説明をし、その後どのような対応をしたのでしょうか。しっかりとお答えをいただきたいと思います。
これは排他的経済水域内ではありませんけれども、日本の最東端の島、南鳥島の近くの公海で、中国の国営企業がマンガンノジュールの採掘をしようという動きがあります。この南鳥島、日本の排他的経済水域の海底には、数百年分のレアアースもあると言われております。なぜ中国が日本の近海で活発な活動をするかというと、日本の近海は、お宝の山じゃなくてお宝の海だからだと思います。
だとすると、日本もこのEEZ内の開発にもっと力を入れるべきであります。南鳥島の海底のまさにレアアースの開発は、今商業ベースで行われておりますけれども、国としてもっと力を入れるべきではありませんか。そうすれば、希少資源の日本は大国になる可能性が出てまいりますし、それを使って、外交カードとして活用することも可能になってくると思います。
南鳥島沖の海底資源開発にもっと力を入れるべきではないでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
日本は島国です。一九八八年以来、日本の島の数は、今までは六千八百五十二という公式発表がありましたが、おととしの二月に、間違っていた、修正をされました。何と、一万四千百二十五だったそうであります。随分と大きな間違いだと思いますが、増える分にはいいんですが、減ってはならないものが減りました。領海やEEZの基点となる国境離島です。よく調べたら、四百八十四から四百七十三になったそうです。ぼうっとしてんじゃねえよというのは、こういうときに使うんじゃないですか。
国境離島の維持管理を強化すべきではないでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
負担を減らす物価高対策について、四問お伺いをしたいと思います。
二〇二二年の一月からガソリン補助金制度が導入をされ、既に八兆円の国費が投入をされているというふうに思います。この補助金は縮小する方向であり、一月十六日にも縮小されましたが、これを契機としてガソリン代が急騰をし、地域によっては、リッターがレギュラーで二百円を超えるような地域が出てまいりました。地方の人にとっては、これは極めて重大な問題になっております。
石油の元売会社に対して補助金を出すというやり方ではなくて、直接国民負担を減らすために、ガソリン価格の大幅な値上がりが家計を直撃し悲鳴が上がっている状況を鑑み、直ちにガソリン税の上乗せ税率は廃止すべきではないでしょうか。
中小企業は、今、物価高と人手不足で本当に苦闘をされています。その中小企業、雇用を増やしたい、あるいは賃上げをしたいと思っても、その妨げとなっているのが社会保険料の負担感だと思います。中小企業は、法人税よりも社会保険料の方が負担感が大きいと思います。
立憲民主党は、新たに正規労働者を雇用した中小事業者には、長期間にわたり社会保険料の事業主負担を軽減する法案を取りまとめています。総理のこれについての御見解をお伺いをしたいと思います。
総理は、今月の初め、インドネシアを訪問をされました。そのインドネシアでは、一月六日から無料給食が始まりました。それは、離島の貧困問題の解消のために、格差を是正をするために、そして若い世代を育成するための投資として位置づけられております。本格実施をされる二〇二九年には、対象は八千万人、予算は四兆四千億円になるそうです。壮大な、まさに志を感じます。
日本でも、貧しくて十分に食べられない子供たちがいます。そして、給食費を払えない家庭も増えてまいりました。学校給食の無償化は、保護者の負担を減らし、可処分所得を増やす効果があると思います。野党三党が提出をした学校給食無償化法案をどのように評価をしているのか、お尋ねをしたいと思います。
二〇二四年度から、東京都において高校授業料の無償化がスタートいたしました。この高校授業料の無償化に際しては、立憲民主党の都議会の会派が所得制限の撤廃を訴え、それが実現をされました。所得制限なしで高校授業料の無償化、これは、かつて民主党政権がチャレンジをしたテーマでもありました。こうした動きが出てくることは、私は歓迎をしたいというふうに思いますし、それを全国展開をしなければいけないと思います。
総理は、東京都方式の、私立を含む高校授業料の無償化をどのように評価をされていますか。全国展開するお考えはありませんか。お尋ねをしたいと思います。
次に、財政問題について四点御質問させていただきます。
国と地方を合わせたプライマリーバランスの黒字化、これを財政健全化の目標とすることは、二〇〇一年の小泉政権からずっと続いておりますが、一度も目標を達成したことがなく、常に先送りをされ続けてきている四半世紀となります。
今般も、国と地方の基礎的財政収支が、内閣府の発表によると、二〇二五年度に四・五兆円程度赤字になる見通しとなりました。政府が目標と掲げている以上、それを達成できないということは、私はこれは失態だというふうに思います。政府への信頼を大きく損なうことになるのではありませんか。総理のお考えをお聞かせをいただきたいと思います。
昨年の七月、内閣府は二〇二五年度のPBの黒字化は可能であると見通しを立てていたのに、半年もたたないうちにそれができないと変わった。その理由は、明らかに、昨年の暮れの補正予算の編成、これが大きく関わっているんじゃないですか。規模ありきで十三・九兆円の補正予算を組み、成立をさせました。その結果がプライマリーバランス黒字化の目標達成を阻んだと私は思います。総理の御見解をお伺いをいたします。
このように、補正予算の常態化は改めるべきではないかと思います。(発言する者あり)無駄な予算を言ってみろという御指摘ですが、御指摘をして、我々は減額修正を要求したじゃありませんか。忘れたんですか。
ボストン大学のユトリコフ教授は、かつて、財政的幼児虐待という言葉をつくったことがあります。おぎゃあと生まれたときには借金の山だらけ、まさに財政的な幼児虐待、一番進んでいるのは日本じゃありませんか。
そんな中、新年度予算が十五兆五千億という史上最大の規模となります。立憲民主党は……(発言する者あり)失礼をいたしました。百十五・五兆円です。ありがとうございました。よく聞いていただいているおかげです。ありがとうございます。その巨額予算について、本気の歳出改革チームをつくりまして、今厳しく精査をし、それを国会審議に生かそうと思っております。
総理におかれましても、財政健全化の旗を掲げるだけではなくて、それを実践をし、そして結果を出さなければいけないのではないでしょうか。総理は、財政健全化の旗は降ろさないと語りましたが、そのための道筋と戦略をどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
一つの具体的な提案をさせていただきたいと思います。
経済財政の推計は今内閣府が行っておりますが、いつも甘い見通しになりがちであります。OECDの大半の国が取り入れている独立した財政機関を日本もつくるべきではないでしょうか。経済団体も有識者もこうした提言をしていますし、多分、私の記憶では、林官房長官もそういう論者であったと思います。
経済財政に関する見通しは、政府から独立した中立的、専門的な機関が担うべきであると考えます。独立財政機関を国会に設置すべきではないでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
政治改革について、五問お尋ねをいたします。
一九九四年に政党交付金が導入をされることになりました。それと併せて、政治家個人への企業・団体献金は禁止をされ、政党等への企業・団体献金の禁止については五年後に見直すという規定が設けられました。しかし、政党支部が存続をし、それが企業・団体献金の受皿となり、加えて、政治資金パーティーもそれを代替するものとなり、それが裏金づくりの温床となりました。原点に立ち返り、当時の細川総理と当時の自民党総裁河野洋平先生が交わした合意に基づいて、企業・団体献金は禁止の方向で結論を出すときではありませんか。
自民党は、企業・団体献金の透明性を高める法案をまとめたようでありますが、私たちが主張する企業・団体献金の禁止とは隔たりが大きいように思います。三十年前の宿題を年度内に片づける決意を、本当に総理はお持ちでしょうか。お考えをお聞かせをいただきたいと思います。
総理は、施政方針演説で選挙制度改革に触れました。党派を超えた議論が必要ということであります。
確かに、選挙制度、現行制度は三十年たちますし、三十年前まで行われていた中選挙区制を経験をしている人は、多分、この議場の一番後ろに座っていらっしゃるような方と、この壇上でも限られたメンバーですので、そういう議論を落ち着いた環境の中でしていくことは否定するものではありません。
ただ、議論には順番というものがあるというふうに私は思います。最近、余りにも選挙制度改革を言及するので気になっておるんですけれども、今は政治資金規正法の再改正に集中し、議論の拡散は避けるべきではないでしょうか。
政治改革の制度改正とともに忘れてはならないのは、政治と金をめぐる実態の解明であります。
衆参で政倫審が行われて、だんだんと安倍派の元会計責任者の責任というものが非常に重かったことが明らかになってまいりました。野党の全てがこの元会計責任者の参考人招致を求めております。予算案審議の前に、是非、旧安倍派会計責任者の参考人招致を行おうではありませんか。総理の御決断を求めたいというふうに思います。
次は、この政治資金パーティーをめぐる裏金の問題は、自民党の派閥だけに限らずに、どうやら自民党の地方組織にも蔓延しているのではないかという疑いがだんだんと高まってきております。
都議会自民党パーティー収入不記載問題が明らかになりましたが、不記載議員二十六名のうち幹事長経験者は公認をされず、その他は公認する方針のようでありますけれども、その理由を明確にしていただきたいと思います。
自民党は各都道府県連を調査し、都議会自民党以外は不記載はなかったと報道されてはいますけれども、各都道府県連の収支に関連した政治団体についてもしっかりと再調査すべきではないでしょうか。地方組織への聞き取りが僅か一週間足らずの間に行われている、おざなりの調査だったと指摘せざるを得ません。
さて、私がとても今違和感を持っていることをお話ししたいと思いますのは、参議院選挙の投開票日が七月二十日になる可能性が高いということであります。
今年は、普通選挙法が公布されて百周年です。一九二五年に、加藤高明内閣の下で普通選挙法が公布されました。スタートは制限選挙でした。一定額以上の納税者じゃなければいけない、男性でなくてはいけない。でも、その後、百年の歴史の歩みの中でその制限を解いて、婦人参政権が確立をされ、今、投票権は十八歳まで引き下げられ、投票権拡充は、たゆまない努力でずっと前進をしてきたんです。期日前投票も便利になりました。在外投票制度もつくられました。イオンで投票できるようにもなりました。
こうした……(発言する者あり)特定の企業を挙げてもしようがないですね。百年たって、懸命に努力をしてきたこの歩みに対して、参院選の投開票日を三連休の中日。投票率が下がるというふうに私は思います。普選法が公布されてから百周年の節目に、なぜこのような判断をしたのでしょうか。参院選の投開票日は通常国会の召集日と連動しますので、この召集日の決定に私は間違った判断があったと思います。
さて、震災復興についても三問質問したいと思います。
一月十七日の阪神・淡路大震災の三十周年追悼式典に私も出席をさせていただきました。過去の教訓が本当によみがえってまいりましたけれども、その中でも、阪神・淡路大震災の場合には、倒壊した建物が多く、そして、火災によって建物が焼失をしたりしましたので、公的支援によって被災者の生活再建を支援しようという機運が高まり、法律が作られました。そのこと自体は三十年前の大きな前進だったと思いますけれども、今の能登の地震や、あるいは豪雨による災害を見ると、このときに決められた、定められた支援金では、とても家を建て直したり修理することは困難であるということが明確になってきたように思います。
阪神・淡路大震災をきっかけとして被災者生活再建支援法が制定をされましたが、支援金の最高額を三百万円から六百万円に倍増するなどの法案を昨年末に野党三党で共同提出をいたしました。これについての総理の評価をお伺いをしたいと思います。
去年の十二月二十二日には、私は、福島県の帰還困難区域の視察をさせていただきました。改めて、まだまだ様々な課題があることを目の当たりにしました。
福島の再生なくして、日本の再生はありません。総理も同じ時期に視察をされていると思いますけれども、本年夏頃をめどに、第二期復興・創生期間後の当面の五年間の復旧復興事業の実施に十分な財源フレームを示すお考えはおありでしょうか。お考えをお示しをいただきたいと思います。
なお、能登の復旧復興に係る予備費一千億円、去年の補正予算の修正でかち取ることができましたけれども、近藤和也議員を中心に、我々も様々な提案を行いました。これらの提案を踏まえていただけるのでしょうか。そして、いつまでにこの予備費一千億円の使い道は決まるのでしょうか。お考えをお示しをいただきたいと思います。
皇位の安定的継承についてもお尋ねをいたします。
二〇一七年六月、国会の総意をもって皇室典範特例法が定められました。その附帯決議に、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家などが検討課題として挙げられ、早期に結論を得るように附帯決議で示されております。既に八年目になろうとしています。
一月三十一日から衆参正副議長の下で与野党協議が再開をされますが、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案と旧宮家から養子を迎える案について、総理はどのようなお考えをお持ちなのか、御所見をお伺いをしたいと思います。
選択的夫婦別姓について、三問御質問させていただきたいと思います。
法制審の答申があってから二十九年になります。政府は、ずっと重い腰を上げませんでした。この間に、衆議院で九回、参議院で十五回、議員立法を提案をしましたけれども、ずっと議論の俎上にのることはありませんでした。今は、経団連も早期の導入を求めております。
総理御自身は、この選択的夫婦別姓賛成論者であったと承知をしていますけれども、そのお立場から、党内の意見集約にリーダーシップを発揮したらいかがでしょうか。先ほど、トランプ大統領のいろいろな提案あるいは方針というもの、質問で見解を聞きましたけれども、トランプ大統領は選挙期間中に言ったことをどんどんどんどん実施をしようとしています。総理も、たまには、総裁選期間中で言ったことの実現に一歩踏み出してはいかがでしょうか。
鈴木法務大臣にもお尋ねをしたいと思います。
鈴木大臣は、報道機関のアンケートにおいて、選択的夫婦別姓に賛成の立場を取ってきておられます。どのようなプロセスを経て実現をさせるおつもりでしょうか。お尋ねをいたします。
次に、三原大臣にもお考えをお聞かせいただきたいと思います。
選択的夫婦別姓は、強制するものでもなく、あくまで選択肢を増やすことであると発言をして、経団連との懇談で導入に前向きな姿勢を示されたようでありますけれども、閣僚としての御決意をお伺いをしたいというふうに思います。
最後に、先週の金曜日、総理の施政方針演説を聞かせていただきましたけれども、とても違和感のあった言葉が楽しい日本です。内外のこの厳しい情勢から鑑みると、明らかに上滑りしていると私は思いました。
今日、質問で取り上げさせていただきましたけれども、トランプ第二次政権ともっと真剣に向き合わなければならないときであります。深刻化している物価高対策についても、これも真剣に向き合わなければいけないときであります。厳しい厳しい財政状況についても、向き合わなければいけないときだと思います。そして、被災地の声にも真剣に耳を傾け、向き合わなければいけないときだと思います。加えて、三十年来の宿題である企業・団体献金の禁止、三十年来の懸案である選択的夫婦別姓、これについては、向き合うのではなくて立ち向かわなければいけないときだというふうに思います。総理におかれましては、どうぞ、今申し上げたような観点からしっかりと受け止めていただいて、前向き、かつ、そして明快な答弁を求めたいと思います。
かつて、総理とは様々な場面で議論をしてまいりました。度々一致することがありました。かみ合った議論が、何回もやった経験があります。最近、少なくて寂しいんです。是非、明快な答弁をお願いをして、マイクを置きたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 野田佳彦議員の御質問にお答えをいたします。
米国のWHOやパリ協定からの離脱の影響とそれへの対応についてお尋ねをいただきました。
政府といたしましては、国際社会が協力して保健に関する課題や気候変動問題に対応することが重要であると考えております。
今般の米国の決定の影響につきましては、今後の米国の動向を含め、慎重に分析、評価していく必要があり、現時点で拙速にお答えをすることは差し控えますが、我が国としては、引き続き、米国を含む各国と連携し、これらの諸課題に取り組んでまいります。
北朝鮮の非核化についてでありますが、北朝鮮による核・ミサイル開発は、我が国及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認はできません。
我が国としては、米韓を始めとする国際社会とも協力しながら、関連国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めていく考えであります。
他国の首脳の発言について説明する立場にはなく、また、そうした発言の一つ一つにコメントすることは控えますが、いずれにせよ、私とトランプ大統領の間を始め、トランプ政権との間で強固な信頼、協力関係を構築し、北朝鮮への対応に当たっても緊密に意思疎通を図ってまいります。
戦略的な経済外交についてであります。
ルールに基づく自由貿易体制の維持拡大は我が国の経済外交の柱であり、日本経済を含む世界経済の成長に不可欠な基盤を提供してまいりました。世界で保護主義や内向き志向が強まる中、我が国が自由貿易の旗振り役としてリーダーシップを発揮することは、ますます重要となっております。
このような観点から、御指摘のCPTPPの加入拡大への対応は重要であり、戦略的観点や国民の理解も踏まえつつ進めてまいります。RCEPにつきましても、透明性のある協定の履行確保等にしっかりと取り組む考えであります。
CPTPPの事務局についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
CPTPPにおける事務局の設置の可能性につきましては、毎年の議長国の事務負担を軽減するなどの観点から、締約国間で議論が行われているところであります。
現時点では常設の事務局を設置するか否かは決定しておりませんが、CPTPPに至る交渉をリードした我が国の経験等も生かしつつ、各国と議論を続けてまいりたいと存じます。
USスチールの買収についてでありますが、バイデン前大統領の判断につきましては、日米双方の経済界から今後の投資の予見可能性について強い懸念の声が上がっており、政府としてもこれを重く受け止めておるところであります。
強固な経済関係は二国間関係の土台を成すものであり、企業が安心して投資できる環境が整えられることが重要であります。
揺るぎない日米関係の下で企業が安心して投資を行うことができるよう、政府としても取り組んでまいります。
南鳥島沖の海底資源開発についてお尋ねがありました。
鉱物資源のほぼ全量を海外に依存している我が国にとって、排他的経済水域等に存在する海洋資源は、商業化がなされれば、我が国の自給率の向上に資する貴重な国産資源であります。
政府といたしましては、海洋基本計画に基づき、南鳥島沖の排他的経済水域内に存在するレアアース泥やコバルトリッチクラスト等の海洋資源開発を進めております。今後も、深海六千メートル海域でのレアアース泥の採鉱実証試験を行うなど、取組を拡充してまいりたいと存じます。
国境離島の維持管理の強化についてであります。
国境離島は、我が国の領海や排他的経済水域の外縁を根拠づける離島であり、その保全、維持管理を適切に実施することが重要であります。
国境離島の数が減少した原因については、例えば、新たな低潮高地の把握等により、これまで国境離島と位置づけられていた島が国境離島ではなくなったことなどが挙げられますが、我が国の領海及び排他的経済水域の面積につきましては、約四百四十七万平方キロメートルで変更はなかったところであります。
今後とも、昨年四月に決定した海洋開発等重点戦略に基づき、空中写真撮影の頻度向上や航空レーザー測量の新規導入などにより、国境離島の保全、管理の強化に取り組んでまいります。
ガソリン税についてのお尋ねを頂戴いたしました。
昨年十二月、自民、公明、国民民主の三党ではありますが、幹事長間におきまして、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止する、具体的な実施方法等については引き続き関係者間で誠実に協議を進めるとの合意がなされております。
令和七年度与党税制改正大綱におきましても、引き続き政党間で真摯に協議を行うとされており、政府といたしましては、その結果を踏まえた上で、適切に対応いたしてまいります。
中小企業の社会保険料についてであります。
中小企業に対して社会保険料の事業主負担を助成すべきとの御提案につきましては、社会保険料が医療や年金の給付に充てられ、労働者を支えるための事業主の責任であることなどから、慎重な検討が必要であると考えております。
また、非正規雇用労働者を正社員に転換した事業主には、キャリアアップ助成金による支援など、中小企業への支援を行っております。
大切なことは、賃上げが実現できるよう、中小企業に利益を上げていただくための適切な価格転嫁や生産性向上を支援しながら、社会保険につきましては、年齢にかかわらず適切に支え合うことを目指す改革を着実に行うことであり、これらを実行しながら、多くの御賛同が得られますよう、説明を尽くしてまいります。
学校給食費についてのお尋ねをいただきました。
現在の物価高などの状況を踏まえ、地域の実情に応じた保護者負担の軽減の観点から、学校給食費の支援も行えるよう、令和六年度補正予算において重点支援地方交付金を追加しております。
低所得世帯では既に無償となっており、その割合は児童生徒の約一四%となっております。昨年末に整理、公表した課題もございます。こども未来戦略の加速化プランに基づき、児童手当の抜本的拡充や高等教育費の負担軽減などを進めているところであり、家計を支援する様々な施策を総合的に考慮する必要もあると考えております。
現在進めております子供、子育て政策について効果検証を丁寧に行った上で、今後の対応を検討いたしてまいります。
高校授業料無償化についてお尋ねをいただきました。
高校進学率が九九%に達する現状におきまして、どこまで家計の負担軽減を図るべきかということにつきましては、子供、子育て加速化プランにおいて児童手当の抜本的拡充や高等教育費の負担軽減を進めているところであるなど、家計を支援する様々な施策を総合的に考える必要があります。
さらに、教育の質の向上や、基盤としての国の制度、地域の実情を踏まえて地方自治体が独自に実施する支援とのバランス、安定的な財源の確保といった論点も考える必要があります。
各党の御主張も十分に拝聴し、今後、議論を重ねてまいりたいと存じます。
基礎的財政収支についてでありますが、今回の内閣府の試算では、二〇二五年度の基礎的財政収支は黒字化しない見込みが示されたものの、二〇〇一年度に目標を掲げて以降、最も赤字幅が縮小する見通しとなっております。これまでの経済財政運営の成果もあって、着実に財政状況は改善しているものと考えております。
引き続き、経済あっての財政の考え方の下、成長率の引上げに重点を置いた政策運営を行うとともに、歳出歳入両面の改革を継続し、早期の基礎的財政収支の黒字化を実現することにより、我が国財政に対する市場の信認を確保いたしてまいります。
令和六年度補正予算は、賃上げと投資が牽引する成長型経済への移行を確実なものとするため、経済あっての財政の考え方の下、必要な施策を積み上げたものであり、規模ありきで策定したものではございません。
補正予算については、これまでも、財政法第二十九条の規定にのっとり、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費の支出に充てるために編成してきたところでありますが、歳出歳入両面の改革を継続する中で、補正予算も含め、引き続き真に必要な政策対応を行ってまいります。
財政健全化についてでありますが、金利のある世界となります中、大災害や有事に備えた財政余力を確保する観点も踏まえ、経済・財政新生計画の枠組みの下、本年の骨太方針において、早期の基礎的財政収支の黒字化実現を含め、今後の財政健全化に向けた取組を示します。
独立財政機関の設置についてのお尋ねをいただきました。
これを国会に設置すべきとの御提案でありますが、国会の在り方につきましては国会において御議論いただくべきものと考えております。
その上で申し上げれば、政府といたしましては、経済財政諮問会議におきまして、専門的、中立的な知見を有する学識経験者なども参画する形で、経済財政の見通しを含めて経済財政運営について議論を行っており、引き続き、この体制の下で適切に政策運営を行ってまいります。
企業・団体献金の禁止についてお尋ねをいただきました。
いわゆる企業・団体献金禁止法案につきましては、衆議院の政治改革特別委員会において令和六年度末までに結論を得ることとされており、我が党としても、各党各会派との真摯な議論を続けてまいります。
その上で、自民党の基本的な考え方をあえて申し上げれば、我が党としては、平成元年の政治改革大綱でも述べたとおり、自由主義経済によって国家、社会の存立と国民の福祉向上を実現している我が国において重要な役割を担う法人などの寄附を禁止する理由はないとの立場で一貫しております。また、献金によって政策がゆがめられることを防がなければならないという点におきましては、企業・団体献金も個人献金も違いはなく、企業・団体献金自体が不適切とは考えておりません。
企業・団体献金の規制の強化につきましては、憲法と最高裁判例で保障されました企業等の政治活動の自由にも関わることから、その必要性や相当性をよく議論する必要があるものと考えております。
我が党といたしましては、禁止より公開との考え方により、企業・団体献金も含めた政治資金の透明性を確保する取組を進めております。昨年十二月には、我が党議員の提案により政治資金規正法が改正され、国会議員関係政治団体等の収支報告書について、検索可能なデータベースを公表する旨の規定が設けられました。また、透明性を更に向上させるための法案について、党内での議論を進めております。
引き続き、この課題について率先して議論を進めてまいります。
選挙制度改革について論じる時期についてのお尋ねを頂戴しました。
選挙制度の在り方は、議会政治の根幹に関わる問題でありますことから、各党各会派において御議論いただくべき事柄であると承知をいたしておりますが、有権者に判断材料が正しく提供され、それに基づき、より幅広い世代のより多くの民意が適切に反映されることは、民主主義において極めて重要であります。
自民党総裁としてあえて申し上げれば、選挙活動についてこれまで想定されなかったことが起きていること、現行の小選挙区比例代表並立制の導入後、約三十年間で社会が変化したことなどを踏まえ、改めて、党派を超えてあるべき選挙制度を議論していただきたいと考えております。
昨年十二月には、衆議院議長の下に全ての会派で構成される衆議院選挙制度に関する協議会が設置されるなど、国会内でも選挙制度見直しの機運が醸成されてきておると承知をいたしており、各党各会派における積極的な議論が行われることを期待いたしております。
清和政策研究会の元会計責任者の参考人招致についてでありますが、お尋ねにつきましては、国会において御議論、御判断いただくべき事柄であると考えてはおりますが、現在御審議をお願いしております予算は国民生活に関わる重要な議案でありますことから、政府といたしましては、その円滑な御審議を是非ともお願いしたいと考えております。
政治団体、都議会自民党の不記載事案等についてでございますが、お尋ねの東京都議会議員選挙における公認につきましては自由民主党東京都連において判断するものでありますが、今回の事案を受け、不記載のあった政党支部の支部長のうち一定の職責を有していた者につきまして、政治不信を招いた政治的な責任を重く捉え、非公認とすることとしたものと承知をいたしております。
党本部といたしましては、今回の事案を受け、各都道府県連等において同様の問題が生じていないか必要な調査を行ったところですが、現時点においてほかの不記載事案は把握されておらず、再調査について今は考えておりません。
選挙の日程についてのお尋ねをいただきました。
参議院議員通常選挙は、公職選挙法により、議員の任期満了日と国会の閉会日に応じて、これを行うべき期間が定まることとなります。その上で、当該期間中の特定の日が選挙の期日として閣議決定を経て公示されることとなるのは、御承知のとおりであります。
このように、本年予定されております参議院通常選挙の日程は、今国会の会期に関わることであり、まだ決定をされてはおりません。
被災者生活再建支援金についてであります。
能登半島地震の被災者の生活再建につきましては、引き続き、被災者生活再建支援金と地域福祉推進支援臨時特例交付金、さらには、復興基金を活用した事業という総合的な枠組みにより支援してまいります。
御党提出の法案の取扱いにつきましては、国会で御議論いただくべきものと考えておりますが、被災者生活再建支援金は、災害による財産の損失を補填するものとしてではなく、いわゆる見舞金的な性格のものとして、被災者を側面的に支援するものと位置づけられております。
この拡充等につきましては、都道府県の基金を活用しており、その財源の半分を全国の都道府県が負担していること、東日本大震災等の過去の震災や現在も支給が継続されておりますほかの災害における被災者との公平の確保といった点について、よくよく考えなければならない課題であると考えておるところでございます。
東日本大震災からの復興に関する財源の確保についてでありますが、現時点で、福島国際研究教育機構、F―REIと申しますが、この本格稼働や、特定帰還居住区域におきます除染の進展などにより、次の五年間における復旧復興事業の規模は一兆円台後半と見込まれております。これにより、福島県につきましては、県や市町村が進めている事業を十分に確保した上で、次の五年間の全体の事業規模が今の五年間を十分に超えるものになると見込まれております。
御指摘のように、本年夏頃をめどに、次の五年間において必要な事業や事業実施に必要な財源をお示しできますよう、今後、検討を進めてまいります。
能登地域の復旧復興に係る予備費の支出についてお尋ねをいただきました。
令和六年度予算の予備費につきましては、さきの臨時国会における令和六年度補正予算案の修正を経て、その残額のうち一千億円を能登地域の地震、豪雨被害からの復旧復興に充てることが予算総則に明記をされました。
国会での御議論を踏まえて明確化されました予備費の活用につきましては、今後、被災地のお声をよく聞いた上で、具体的な内容を検討いたしてまいります。
安定的な皇位継承等についてのお尋ねをいただきました。
天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に関する有識者会議が取りまとめた報告書におきましては、皇族数確保の具体的方策について、一点目として、内親王、女王が婚姻後も皇族の身分を保持すること、二点目として、皇族の養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とすること、三点目として、皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とすることという三つの方策が示されました。また、一点目と二点目の方策について、具体的な制度の検討を進めていくべきではないか、三点目の方策は、一点目と二点目の方策では十分な皇族数を確保をすることができない場合に検討する事柄と考えるべきではないかとの考えも示されたところであります。
政府といたしましては、これを尊重することとし、令和四年一月に国会に報告したところであり、私としても、引き続きこれを踏まえて対応していく考えでございます。
現在、衆参両院議長の下で検討が行われているものと承知をいたしており、立法府の総意が早期に取りまとめられるよう、国会において積極的な議論が行われることを期待しております。
選択的夫婦別氏制度についてお尋ねを頂戴いたしました。
夫婦の氏の在り方につきましては、内閣府が行った令和三年の世論調査を見ても、国民の御意見が分かれているところでございます。また、選択的夫婦別氏制度の導入を求める立場の中にも、制度の具体化に当たっては、例えば、子供の氏をどのように定めるのかといった点を含め、様々な考え方があるものと認識をいたしております。
政府といたしましては、家族の形態や国民意識の変化、家族の一体感や子供への影響など、様々な点を考慮の上、国会において建設的な議論が行われ、より幅広い国民の理解が形成されることは重要であると考えております。
その上で、自民党総裁としてあえて申し上げれば、選択的夫婦別氏制度の是非は、国民の御関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしてよい問題とは考えておりません。党としての考え方を明らかにすべく、議論の頻度を上げ、その熟度を高めてまいりたいと存じます。
残余の御質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣岩屋毅君登壇〕
○国務大臣(岩屋毅君) 野田佳彦議員にお答えいたします。
ブイについてのお尋ねがありました。
中国側に対しましては、これまで、東シナ海の我が国EEZ内に中国が設置したブイについて、首脳レベル、外相レベルを始め、様々なレベルで即時撤去を強く求めてきたところでございます。
そうした中で、昨年十二月、与那国島南方の我が国EEZ内で新たにブイが確認されたことは極めて遺憾であります。
これも踏まえまして、昨年十二月の王毅外交部長との会談におきまして、私から、これら二つのブイの即時撤去を求めたところです。
中国側からは、中国独自の主張に基づく発言がありましたけれども、政府としては、現場海域での情報収集を始め様々な角度から調査、分析を行うとともに、我が国EEZ内に設置されているブイの即時撤去を、あらゆるレベルで、引き続き中国側に対し強く求めてまいります。(拍手)
〔国務大臣鈴木馨祐君登壇〕
○国務大臣(鈴木馨祐君) 野田佳彦議員にお答え申し上げます。
選択的夫婦別氏制度についてのお尋ねがございました。
夫婦の氏の在り方につきましては、現行制度では解決が困難な課題があるとの御指摘があることを承知をしております。一方で、現在でも国民の皆様の間に様々な御意見があり、また、制度の導入を求める立場の中にも、その具体化に当たっては、例えば、子供の氏をどのように定めるのかといった点を含め、様々な考え方があるものと承知をしております。
そのため、今後とも、国民各層の御意見や国会における御議論の動向等を注視していく必要があると考えておりまして、法務省といたしましては、国民の間はもちろん、国民の代表者である国会議員の間でもしっかりと議論をいただき、より幅広い理解を得ていただくため、引き続き積極的に情報提供を行ってまいりたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣三原じゅん子君登壇〕
○国務大臣(三原じゅん子君) 選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
選択的夫婦別氏制度については、国民の皆様の間に様々な議論、様々な立場からの御意見があり、より幅広い国民の皆様の理解を得る必要があると考えております。
このため、関係省庁と協力して、引き続き、旧姓の通称使用の拡大やその周知に取り組み、運用面での対応などを検討するとともに、不便や不都合を感じておられる方の具体例をお示ししつつ、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方について国民の皆様の理解が深まるよう取り組んでまいります。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 森山裕君。
〔森山裕君登壇〕
○森山裕君 自由民主党の森山裕です。
私は、自由民主党・無所属の会を代表し、石破総理の施政方針演説に対して質問をいたします。(拍手)
今、厳しさを増す安全保障環境や激甚化する自然災害、急速に進む人口減少など、我々は大きな時代の転換点にいます。様々なリスクが増え、先行きの見えない不確かな時代とも言われています。
しかし、未来は与えられるものではなく、自らつくっていくものだと思います。今の時代を生きる我々が、その不確かさを可能性に変え、国民一人一人がそれぞれの未来を自らの手で描くことのできる、可能性に満ちた社会をつくっていくべきです。
石破総理は、楽しい日本の実現を掲げておられます。これまで、強さや豊かさから楽しさへと価値観を大きく転換をする、全く新しい国の在り方だと思います。なぜ今、楽しさという価値観が重要であり、楽しい日本を目指すべきなのか、まず、総理の思いを伺います。
その上で、我々はこれまで、安倍政権、菅政権、岸田政権と、政権の基本姿勢を継承しながら政策を進めてきました。石破政権においてもその姿勢は全く変わらないものだと理解をしておりますが、石破政権の基本姿勢についても改めて伺います。
我々が政権に復帰して以降、一貫をして目指してきたのは、日本経済における成長と分配の好循環の実現です。昨年、株価はバブル期以来の高値となり、三十年ぶりとなる大幅な賃上げや過去最高となる設備投資など、好循環は間違いなく生まれています。
今、最も重要なのは、経済の好循環を国民生活に実感としてつなげていくことです。日本経済を新たなステージへと移行させ、好循環社会を実現をする正念場を迎える中で、経済再生に向けた総理の決意を伺います。
好循環を実現するに当たって欠かせないのが、持続的な賃上げです。これまで政労使が一体となって賃上げを進め、二年連続で大幅な賃上げを達成をしました。また、基本給に当たる所定内給与は平成四年以来の高い伸びとなり、最低賃金も全国平均で初めて千円台に引き上げられるなど、賃上げは確実に加速しています。他方、足下では物価高騰が国民生活に大きな影響を及ぼしています。
経済の要は、物価と賃金が循環することです。物価高が悪いのではなく、物価に賃金が追いついていない現状であることがそもそもの課題であり、物価高に負けない賃金をつくっていくことで、経済の好循環を国民に実感をしていただかなければなりません。
手取りを増やすことも重要ですが、真に好循環を実現するためには、持続的な経済成長によって所得が増え続ける社会をつくっていくことが求められると思います。国民が暮らしの安心とゆとりを感じられる経済の実現に向けてどのように取り組んでいかれるのか、総理のお考えを伺います。
経済の好循環を国民一人一人に感じていただくためには、中小企業、小規模事業における賃上げなど、賃金上昇の裾野を広げていくことが不可欠です。しかしながら、いまだ、中小企業、小規模事業の賃上げ率は大企業に比べて低い水準となっています。
賃上げ原資の確保には適切な価格転嫁が求められますが、中小企業、小規模事業の価格転嫁率は四割にとどまり、全くできない企業も二割に上るなど、燃料費や人件費の増加分を価格に転嫁できていない厳しい状況が続いています。
我が国企業の九九・七%を占め、国の経済の根幹を支える中小企業、小規模事業の賃上げは必要不可欠です。今後、中小企業、小規模事業者においても力強い賃上げを実現をしていくことが重要と考えますが、環境整備に向けた総理の御所見を伺います。
成長型の経済へ移行し、好循環を実現させるためには、積極的な投資も不可欠であります。我が国では、国内投資が三十年ぶりに百兆円を超えるなど、高い投資意欲が醸成されてきています。この流れを更に加速させるため、一層の官民連携を進め、特にAIや半導体、量子や宇宙といった成長分野や戦略分野における投資の拡大を図っていくべきです。
石破政権は、AIや半導体分野に十兆円を超える公的支援を行い、今後十年間で五十兆円の官民投資につなげる方針を掲げておられます。
スマホや家電など、産業や生活のあらゆる分野で使われているAIや半導体は、デジタル社会に欠かすことのできない重要な物資であり、国内での生産基盤強化はまさに喫緊の課題です。現在、北海道では、国産の次世代半導体の生産に向け、ラピダスの工場建設が進んでいます。九州では、熊本県へのTSMCの進出を契機に多くの半導体関連企業の進出や拡大が進んでおり、九州全体への経済波及効果は十年間で二十兆円を超えるとも言われています。
社会課題を解決し、人々に安心とゆとりをもたらすことが盾でもあり、また、経済の拠点として、活力ある地域づくりの糧でもある成長分野や戦略分野について、政府の強力な後押しの下、官民が連携しながら付加価値の創出に積極的に取り組んでいくべきだと考えますが、総理の御所見を伺います。
次に、安全保障政策について伺います。
安全保障とは、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために、有事に備え、あらゆるリスクから国民の生命や財産を守り抜くことです。いつ起こるか分からないからこそ、平時から万全の準備を進めておかなければなりません。
まず、防衛力の強化についてです。
我が国を取り巻く安全保障環境が戦後最も厳しく複雑な状況にある中で、防衛力の抜本的強化を真に実現するためには、その担い手である自衛官が国家の防衛という任務に専念できるように、必要な体制整備を速やかに進めていかなければなりません。
石破政権において、昨年、自衛官の処遇や勤務環境の改善、新たな生涯設計の確立に向けた基本方針が策定されました。今後、自衛官が国の安全を保つという任務に誇りと名誉を感じられる処遇の確立に向けて、具体的にどのように取り組んでいかれるお考えか、総理の御所見を伺います。
安全保障を揺るがす事案は、近年、ますます巧妙化しています。本年は、経済安全保障推進法の三年見直しやセキュリティークリアランス制度の運用開始が予定されていますが、国際情勢が目まぐるしく変化する中で、我が国の経済安全保障を確保し、国民の安心、安全を守り抜くためには、常に先手で対応していかなければなりません。経済安全保障の更なる強化について、経済安全保障担当大臣に伺います。
通信、情報技術の発展により、我々の社会は、いつでも、どこでも、誰とでもつながることができる便利性の高いものとなる一方、偽情報の拡散やサイバー攻撃など、デジタル技術が生活を脅かすリスクにもなるという課題が生じています。
特に、重要インフラの機能停止や破壊などを目的とした重大なサイバー攻撃は、国家を背景とした形でも既に日常的に行われており、我が国の安全保障の大きな懸念となっています。社会全体がデジタル技術の恩恵を受ける中で、国民の安心、安全を確保するためには、サイバー安全保障の強化が急務であります。
近年、巧妙化や高度化が進むサイバーの脅威から国民の生命や財産を守り抜くためには、官民や国際社会とも連携をしながら、受けた攻撃に対処するだけではなく、脅威そのものを未然に排除する体制も備えていくべきだと考えますが、いわゆる能動的サイバー防御に向けた体制整備を今後どのように進めていかれるお考えなのか、総理に伺います。
また、急速な技術革新が進む生成AIの適正かつ透明な利用に向けた環境整備への取組について、併せて伺います。
世界的な人口増加による需要の増大、国際情勢や気候変動による生産の不安定化など、農林水産業を取り巻く環境は今大きく変化しています。さらに、国内では、今後二十年で農業者が九十万人近く減少するなど、農業の担い手不足も深刻になっており、食料の安定供給に対する国民の不安は一段と高まっています。
政府は、昨年の食料・農業・農村基本法の改正を受けて、今後五年間で集中的に施策を実行し、農業の構造転換を図っていく方針であると承知しています。
我が党でも、食料安全保障強化本部を新たに設置をし、現場の声にも耳を傾けながら、食料安全保障の強化に向けた議論を行っています。
我が国の食料安全保障を確保するためには、持続可能な農業の実現に向けた十分な予算の確保と、関連施策を充実させることが不可欠です。そして、そのためには、国土強靱化のための五か年加速化対策のように、必要な事業量や予算額について中長期的な見通しを持って取り組む必要があります。
持続可能な農業と食料の安定供給のために特に重要なのは、農産物や食品の合理的な価格の形成であります。農産物や食品は、市場原理のみに価格形成を任せていては、農業者の収入が安定せず、生産基盤の弱体化につながる懸念があります。
特に肥料や燃料の価格が高騰する中、持続可能な食料システムを実現するためには、消費者の理解も深めながら、生産から消費までの各段階の関係者が協調することで、合理的な費用を考慮した価格形成を進めていくべきであり、政府においても責任を持ってこれを実現をしていく必要があると考えます。農林水産大臣の御所見を伺います。
エネルギーは、国民生活や経済活動の基盤となるものです。近年、デジタル化によって我が国の電力需要は増加に転じており、二〇五〇年までに更に四〇%増えると見込まれています。また、AIや半導体といった将来の成長産業や、鉄鋼や化学といった素材産業は、いずれも大きなエネルギーを必要としており、安定供給は急務であります。
一方、我が国のエネルギー自給率は一三%と先進国で最も低く、資源国のロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の不安定化を受け、エネルギーに対する国民の不安が高まっています。さらに、世界では脱炭素に向けた機運が急速に高まっており、脱炭素電源の確保も不可欠であります。
こうした中、我が国のエネルギー安全保障を確保するためには、再生可能エネルギーや原子力などを最大限活用し、特定のエネルギー源に過度に依存しない分散型の取組を進めることで、有事にもしっかりと機能する万全のエネルギー供給体制を整えていくことが重要であります。
国民の安心、安全に資するエネルギーの安定供給に向けて、今後どのように取り組んでいかれるお考えか、経済産業大臣に伺います。
阪神・淡路大震災の発生から三十年を迎えました。災害対応は災害が起こる前が最も重要であり、平時からの備えを万全にすることで、被害を最小限にとどめることができます。そのためには、防災インフラの整備といったハード面と、新たな技術を活用した情報の分析や発信といったソフト面の両面で、事前防災の体制を十分に整えておかなければなりません。本年は、国土強靱化五か年加速化計画の最終年となりますが、加速化計画に盛り込まれた取組を着実に実施するとともに、その後も切れ目なく、中長期的な見通しの下で、必要な施策を計画的かつ着実に推進をしていくことが重要です。
事前防災の大きな取組の一つとして、石破総理が進めておられる防災庁の設置です。災害対応の司令塔として期待される一方で、新たな機関を設置しなくても、今ある組織体制を活用することでも十分足りるのではないかとの声も聞かれます。
しかしながら、激甚化する自然災害が次々と発生をし、南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模災害の発生も懸念される中、平時からの備えと、有事の際にどこが責任を持って対応に当たるのか明確にしておくことは、国民の混乱を避けるためにも極めて重要なことだと思います。
改めて、防災庁設置の必要性について、国民の皆さんに分かりやすい形で総理から御説明をお願いいたします。
我が国の人口は、平成二十三年以降、十三年連続で減少し、その減少幅は年々拡大しています。また、出生率は過去最低になる一方、高齢化率は世界で最も高く、少子高齢化が急速に進んでいる状況です。さらに、三十一の道府県で人口の流出が拡大をし、東京圏への転入が強まるなど、都市部への一極集中も深刻な課題となっています。二一〇〇年には、我が国の総人口は現在の三分の二になるとも言われており、今後、我々は、規模の大小ではなく、少ない人口でも多様性に富んだ、成長力のある社会を目指していかなければなりません。
石破総理は、地方創生の初代担当大臣として、これまで地方創生の推進に尽力してこられました。そして、昨年、都市と地方が結びつくことで社会の在り方を大きく変える日本創生の実現を目指し、今後十年間の基本構想の策定や地方創生の交付金を倍増するなど、新しい地方創生の取組を進めておられます。
東京であれ地方であれ、各地域がそれぞれの特徴を生かし、自律的で持続的な社会を創生するためには、安心して暮らせる環境と活力ある地域づくりが必要であります。
私の地元で、十年以上にわたってリサイクル日本一を達成をしている鹿児島県大崎町では、町の取組を発展させ、民間企業や学校、メディアとも連携しながら、SDGsの達成や地域の課題解決に向けた様々なプロジェクトを展開しています。企業からは企業版ふるさと納税を活用して三億円以上の寄附が集まり、今では大崎モデルとして世界からも大きな注目を集めています。
また、曽於市では、鹿児島大学と連携をし、地方が抱える人口減少と大学が抱える実習先不足という双方の課題を解決するために、全国で初めて獣医学の実習先拠点が整備されました。企業からは二億円以上の寄附が集まり、県からは県立高校の跡地を無償で譲渡されるなど、国、県、市、企業や大学などとも連携しながら進められ、全国の獣医学生の実習先拠点にとどまらず、地域活性化や畜産の振興の拠点として大きな期待が寄せられています。
地方こそ成長の主役であるゆえんは、地方を最も理解しているのはその地域に携わる方々だからであります。地域を構成する様々な分野の人たちが連携しながら、それぞれの魅力を最大限に生かしながら地方創生の取組を進めていくことが重要であり、国の力強い後押しによって、あらゆる自治体や民間も巻き込みながら、全ての人が希望と幸せを実感できる社会を日本全体でつくっていくべきだと考えますが、新たな地方創生の推進に向けた総理の御所見を伺います。
本年は戦後八十年の節目を迎えます。我が国は、一貫して平和国家として歩みを進めてきました。世界の安定と繁栄に力を尽くしてきました。しかし、今、ウクライナや中東情勢に加え、先進国でも政治体制が不安定となるなど、世界各地で対立と分断が生じてきています。
日米同盟は、我が国外交、安全保障の基軸であり、インド太平洋地域における平和と繁栄の基盤であります。しかし、そのアメリカで誕生したトランプ政権は、これまでの政策を大きく転換をし、自国第一の姿勢を強めています。
世界は今、エネルギーや気候変動といった複合的な危機に直面をしており、体制や価値観を超えた協調が一段と求められています。特に、欧州や中東で戦火が上がっている現状を鑑みれば、東アジアを含むインド太平洋地域の安定はかつてないほど重要なことは明らかであります。これまで以上に日米の協力関係を更に強化をし、自由で開かれた国際秩序を共に守り抜いていかなければならないと考えますが、総理にトランプ政権との向き合い方について伺います。
我が国周辺では、軍事力拡大を推し進める中国や、弾道ミサイル発射を強行し続ける北朝鮮など、国際秩序の根幹を揺るがしかねない事態が数多く発生しています。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序は平和と繁栄の礎であり、世界のどこであれ、力による一方的な現状変更の試みは許されません。
私は今月、中国を訪問をし、六年三か月ぶりの開催となる日中与党交流協議会において、世界情勢が変動する中、国際法に基づく国際秩序を維持するため、両国が担うべき責任と役割について、率直な意見交換を行ってまいりました。
日中関係においても重要なのは、対話を欠かさず、お互いに知恵を出し合いながら、課題や懸案を減らし、協力と連携を増やしていくことだと思います。我が国として守るべきものはしっかり守りつつ、建設的かつ安定的な日中関係の構築に取り組んでいくべきだと考えますが、総理の御所見を伺います。
憲法は、国のあるべき姿を示す国家の基本法であり、社会構造や国民意識の変化に応じて、必要な改正を行っていかなければなりません。時代環境が大きく変わる中、新たな時代にふさわしい憲法の在り方について広く議論をし、国民とともに改正の早期実現に取り組んでいくべきだと考えますが、総理の御見解を伺います。
また、民主政治を進める上で重要な役割を担う政党について、いわゆる政党法を含め、政党や政治団体としての規律の在り方をどのように考えていくべきか、併せて伺います。
本年は、四月から大阪・関西万博が開幕します。私も先週、現地を視察をしてまいりましたが、夢あふれる未来の日本を世界中の人たちに味わってもらう絶好の機会だと強く感じました。成功に向けてどのように取り組まれるのか、総理に伺います。
大阪・関西万博では、メインテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」とともに、「多様でありながら、ひとつ」という理念が掲げられています。
多様であるがゆえに衝突や摩擦も起こりやすい世の中ではありますが、だからこそ、一人一人が多様な未来を追求できる可能性にあふれた社会をつくり、令和の時代にふさわしい、美しい調和をみんなで目指すべきであります。
明治維新の際、私の郷里の偉人、西郷南洲翁は、厚き徳をもって新しい政をなすべきであるという新政厚徳の四文字を掲げました。多くの変化を伴う不確かな時代を生きる我々は、これまで以上に謙虚に丁寧に政治に臨んでいかなければなりません。このことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 森山幹事長の御質問にお答えを申し上げます。
楽しい日本についてお尋ねをいただきました。
我が国は、これまで、明治維新の中央集権国家体制において強い日本を目指し、戦後の復興や高度経済成長の下で豊かな日本を目指してまいりました。
一方で、我が国は急速な人口減少に直面し、かつての活力を維持できなくなってきております。今こそ、こうした状況を反転させ、活力を取り戻す必要があります。
そのためには、全ての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し、今日より明日はよくなると実感できることが不可欠であります。その結果、多様な価値観を持つ一人一人が、互いに尊重し合い、自己実現を図っていけるようになると考えております。
私は、楽しい日本とは、こうした活力ある国家であると考えておりまして、その実現に向け、地方創生二・〇を令和の日本列島改造として強力に進めてまいります。
安倍政権以来の基本姿勢の継承についてお尋ねをいただきました。
安倍政権、菅政権、岸田政権と継承されてまいりました基本姿勢につきましては、これまでの政権と同様、継承し、これを更に発展させてまいりたいと考えております。
経済再生に向けた決意についてでございますが、議員御指摘のように、我が国経済は、現在、六百兆円超の名目GDP、三十三年ぶりの高い水準となった賃上げが実現するなど、成長と分配の好循環が動き始めており、賃上げと投資が牽引する成長型経済へと移行できるか否かの分岐点にあると考えております。
このチャンスをつかみ、コストカット型経済から高付加価値創出型経済へ移行することで、今日より明日はよくなると実感できる楽しい日本を実現してまいりたいと考えております。
所得が増え続け、暮らしにゆとりを感じられる経済の実現についてのお尋ねをいただきました。
我が国の持続的な成長のためには、賃金が上がり、家計の購買力が上がることで消費が増え、その結果、物価が適度に上昇する、それが企業の売上げ、業績につながり、新たな投資を呼び込み、企業が次の成長段階に入り、また賃金が上がるという好循環が必要であります。
こうした好循環の実現に向け、賃上げこそが成長戦略の要との認識の下、物価上昇に負けない賃上げを起点として、国民の皆様の所得と経済全体の生産性の向上を図ってまいります。
中小企業の賃上げについてでありますが、多くの中小企業に利益を上げていただき、物価上昇に負けない賃上げを実現していただくためには、取引の上流から下流まで、適切な価格転嫁や生産性向上を実現することが極めて重要であります。
協議に応じない一方的な価格決定の禁止などを盛り込んだ下請法改正法案の提出や、各業種の実態に即した省力化投資計画の実行、人材、経営基盤を強化する事業承継やMアンドAの後押しなど、日本全体で賃金が上がっていく環境をつくり出してまいります。
官民連携による付加価値の創出に関してであります。
科学技術・イノベーション基本計画の改定を進め、AI、量子、バイオ、宇宙、フュージョンなどの戦略分野での投資を促してまいります。
本日、経済界の皆様方とともに、国内投資拡大のための官民連携フォーラムを開催し、新たな国内投資目標を示します。規制改革の検討を進め、大胆な国内投資促進策を具体化することを通じ、投資立国の取組を強化いたします。
自衛官の処遇改善についてでありますが、自衛官が十分に充足されていないことは極めて深刻な課題であります。昨年、関係閣僚会議で取りまとめました基本方針に基づき、三十を超えます手当等の新設、金額の引上げなど、過去に例のない取組を令和七年度から実現いたします。自衛官の処遇の魅力向上、若くして定年退職を迎える自衛官が退職後も活躍できる環境構築などを内容とする法案を提出いたします。
基本方針で取りまとめた各施策の実効性を確保することが重要であり、引き続き、関係閣僚会議の場で効果を検証し、施策の深化に向けた検討を行ってまいります。
能動的サイバー防御の実現に向けた取組及び生成AIの適正利用についてのお尋ねを頂戴いたしました。
我が国のサイバー対応能力の向上は、現在の安全保障環境に鑑みますと、ますます急を要する課題であります。国、重要インフラなどに対するサイバー攻撃を排除するため、能動的サイバー防御を可能とする法案を今国会に提出をいたします。
この法案におきましては、我が国のサイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織を設置する方向で現在検討を進めているところであり、サイバー安全保障を強化するための人員や予算につきましても、併せて措置をいたしてまいります。
生成AIをめぐる技術革新は、生産性の向上や労働力不足の解消などのメリットをもたらす一方で、偽・誤情報の拡散、犯罪の巧妙化などのリスクも存在するところであり、適正性、透明性の確保が重要であります。
このため、イノベーションの加速とリスクへの対応を両立させる法案を今国会に提出する方針であり、安全、安心で信頼できる、世界のモデルとなるようなAI制度の構築に向けて取り組んでまいります。
防災庁設置の必要性についてであります。
我が国は世界有数の災害発生国であり、風水害が頻発化、激甚化しておりますほか、南海トラフ地震や首都直下型地震につきましては、いつか来るではなく、いつ来るかという意識が求められているところであります。
いかなる地域で災害が発生したといたしましても、被災者の方々を苦難の中に置き続けるということがあってはなりません。平時の備えにより被害の最小化を図りますとともに、被災者の方々が避難所において発災直後から尊厳ある生活を営める環境を整備することは、国家の重要な責務であると考えております。
この責務を全うするためには、平時、発災時の司令塔となります強力な体制が必要であります。専任の大臣を置き、十分な数の災害対応のエキスパートをそろえた防災庁を令和八年度中に設置すべく、準備を加速いたしてまいります。
防災庁の設置により、人命、人権最優先の防災立国を構築し、我が国を世界一の防災大国にすべく取り組んでまいります。
新たな地方創生の推進についてのお尋ねをいただきました。
楽しい日本を実現するための政策の核心は、地方創生二・〇であります。
地方創生二・〇は、官民が連携して地域の拠点をつくり、地域の持つ潜在力を最大限に引き出し、ハードだけではないソフトの魅力が新たな人材の流れを生み出す。新技術を徹底的に活用し、一極集中を是正し、多極分散型の多様な経済社会を構築していくというものであります。
これを令和の日本列島改造として、厳しい国際競争の中、日本全体の活力を取り戻すべく、強力に進めてまいります。
トランプ政権との関係についてでありますが、日米同盟は、我が国の外交、安全保障政策の基軸であります。
当然のことながら、米国には米国の国益があり、我が国には我が国の国益がございます。だからこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高め合うことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができる、このように考えております。
トランプ政権との間では、できるだけ早い時期に日米首脳会談を実現し、率直に議論を行い、強固な信頼、協力関係を構築し、日米同盟を更なる高みに引き上げていきたいと考えております。
その際、日米両国が、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け共に手を携えて努力をしていくことが、地域、そして世界の平和と安定に大きく寄与するものであること、我が国は同盟国として責任を共有し、応分の役割を果たす用意があることを米新政権に伝えてまいりたいと考えております。
日中関係についてでありますが、日中両国間には、様々な可能性とともに、数多くの課題や懸案がございます。両国は、地域と国際社会の平和と繁栄にとって共に重要な責任を有しております。
価値を共有する同盟国、同志国との連携を前提としつつ、中国との間では、習近平国家主席とも確認した戦略的互恵関係を包括的に推進いたしますとともに、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていくというのが日本政府の方針であります。
中国との間では、この大きな方向性の下で、首脳レベルや、先日、森山議員も出席されました日中与党交流協議会のような政党間のものも含めまして、あらゆるレベルで幅広い分野において意思疎通をより一層強化し、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくべく、共に取り組んでまいりたいと考えております。
憲法改正についてでありますが、森山議員御指摘のとおり、憲法は、あるべき国の形を示す国家の基本法であり、社会情勢や国民意識が大きく変化する中にあって、現行憲法が今の時代にふさわしいものであり続けているかどうかを考えることは、大変に重要なことであります。
憲法改正は、最終的には主権者である国民の皆様方が国民投票でお決めになるものであり、憲法のあるべき姿について国民の皆様方に案をお示しすることは、我々国会議員の責務であります。
内閣総理大臣の立場からは、憲法改正についての議論の進め方などについて直接申し上げることは差し控えますが、憲法改正を党是とする自民党の総裁としてあえて申し上げれば、これまでの様々な議論の積み重ねを踏まえ、各党各会派とも更に建設的な議論を行い、国会による発議と憲法改正の早期実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
政党や政治団体の規律の在り方についてお尋ねを頂戴をいたしました。
御指摘のとおり、政党や政治団体は民意を適切に反映した政治を行う上で重要な役割を果たしており、それゆえに政党助成制度も設けられております。政党などが透明性を持ちながら社会に対する説明責任を果たし、国民の信頼を得ていくためには、ガバナンスの強化が重要であります。
自由民主党では、令和四年、他党に先駆けてガバナンスコードを自主的に制定し、運用してまいりました。また、平成元年に我が党が決定した政治改革大綱では、政党法の検討に入ると明記されておるところであり、その後も政党法の制定を求める様々な声が聞かれるところであります。
政党などの規律の在り方を法で定めることにつきましては、政治活動の自由を尊重する観点から、慎重な御意見も存在することは重々承知をいたしておりますが、自由民主党総裁としてあえて申し上げれば、政治に対する国民の信頼を確保するため、規律と担保方策、そのための法制度の在り方について議論を深めてまいりたいと存じます。
大阪・関西万博の成功に向けた取組についてお尋ねをいただきました。
今月、私自身、大阪・関西万博の名誉会長に就任いたしますとともに、万博会場である夢洲を視察いたしました。
より多くの方々に万博に行ってみたいなと思っていただけますよう、万博で何が見られるか、どのような体験ができるかを効果的に発信をし、伝えていく取組を、博覧会協会を始めとして関係者が一丸となって、更に強化する必要があるものと考えております。
あわせまして、万博へおいでになった方々が日本各地へと足を延ばしていただけますような取組を官民で進め、地方創生につなげることも重要であります。
万博の成功に向け、政府も、国際博覧会条約に基づく招請国政府として、最大限の力を尽くしてまいります。
残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁をさせていただきます。(拍手)
〔国務大臣城内実君登壇〕
○国務大臣(城内実君) 森山裕議員から、経済安全保障の更なる強化についてお尋ねがありました。
我が国及び国際社会を取り巻く安全保障環境が、現在、大変厳しさを増しております。こうした中、安全保障の裾野が、外交や防衛の分野のみならず、経済分野へ急速に拡大しており、自由かつ公正な経済活動にも十分に配慮しつつ、国家及び国民の皆様の安全を経済面から早急に確保することが極めて重要な課題であります。
このため、まずは昨年五月に成立した重要経済安保情報保護活用法の円滑な施行とともに、サプライチェーンの強靱化など、経済安全保障推進法の着実な実施と不断の見直しを進めてまいります。
さらに、経済安全保障上の課題は多岐にわたるものであり、国民の皆様の生活や経済活動を支える重要な産業が抱えるリスクの点検、いわゆる研究セキュリティー・インテグリティーの確保等の技術流出対策、さらには、経済インテリジェンス機能を含む政府の経済安全保障の推進体制の強化など、国家安全保障戦略等に掲げられたものについても不断の検討が必要と考えております。
引き続き、一部の国による特定の重要物資のサプライチェーンや技術を過度に依存することなく、我が国の自律性の向上、さらには優位性、不可欠性の確保等に向け、同盟国、同志国等との連携を図ることが重要であります。民間企業とも協調しながら、国家のみならず国民の皆様の命と暮らしの安全を確保するとともに、我が国の経済成長も確実なものとするよう、しっかりと経済安全保障の強化に取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣江藤拓君登壇〕
○国務大臣(江藤拓君) 森山裕議員の御質問にお答えさせていただきます。
農産物や食品の価格形成についてお尋ねがありました。
近年、生産資材等のコストが高止まりする中で、国民の皆様に食料を持続的かつ安定的に供給していくためには、生産から消費に至る食料システム全体で、消費者の理解を得ながら、合理的な費用を考慮した価格形成を進めていく必要があります。
合理的な価格形成については、今取り組まなければ、議員御指摘のとおり、農業者が劇的に減少し、持続可能な農業と食料の安定供給が困難になってしまう、そういった危機感を持って今国会に法案を提出いたします。
今まさに、日本の農政の大転換が求められています。この価格形成の法案を始めとして、今後五年間で集中的に施策を推し進めることで、食料安全保障の強化に努めてまいります。(拍手)
〔国務大臣武藤容治君登壇〕
○国務大臣(武藤容治君) 森山裕議員から、エネルギー安定供給についてお尋ねがありました。
エネルギーは国民生活や経済活動の基盤でありながら、我が国のエネルギー自給率は二〇二二年度時点で約一三%と、エネルギー安定供給上の脆弱性を抱えています。
一方で、化石燃料への過度な依存から脱却をし、エネルギー危機にも耐え得る需給構造を実現するため、SプラススリーEの原則の下、あらゆる選択肢を確保していく必要があります。
加えて、DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中、それに見合った脱炭素電源の確保が国力を左右する状況にあります。
こうした中で、特定の電源や燃料源に過度に依存しないよう、バランスの取れた電源構成を目指します。また、徹底した省エネに加え、再エネと原子力を最大限活用するとともに、化石燃料の安定的な調達など、エネルギー安定供給の確保に万全を期してまいります。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) この際、十分間休憩いたします。
午後三時一分休憩
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午後三時十四分開議
○副議長(玄葉光一郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
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○副議長(玄葉光一郎君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。亀井亜紀子君。
〔亀井亜紀子君登壇〕
○亀井亜紀子君 立憲民主党の亀井亜紀子です。
私は、会派を代表し、政府四演説に対して質問いたします。(拍手)
まず、地方創生二・〇について伺います。
これまでの地方創生と地方創生二・〇は何が違うのでしょうか。十年間で成果を上げた政策、更に発展させたい事業はありますか。
若者の地方からの流出を抑えるため、産官学が連携して地方大学を強化する、地(知)の拠点大学による地方創生事業がありました。地域産業や雇用創出につながるような有望な事例は出てきましたか。これからどのようにフォローアップするのかも含めてお答えください。
私は以前から、地方創生について、国会での議論の方向性が、人口減少を止めることより、当面進行する人口減少社会をデジタルでどう補うかという経済産業の方に向いていると感じています。
デジタル社会を推進する際、個人情報やプライバシーを配慮する必要があります。今、顔認証や位置情報の提供が進んでいますが、私は、スーパーシティー法案の審議のとき、監視社会につながるという視点から海外で計画が頓挫した例を紹介しました。行政が導入したシステムに住民全体が管理されるということではなく、利用したい人が利用できるように利便性を高める、選択肢を増やすという視点が大事だと思いますが、総理の御所見を伺います。
総理の施政方針演説では、楽しい日本を実現するための政策の核心は地方創生二・〇ですと述べておられますが、若者が地方に帰らない理由は、仕事がないからだけではなく、地方はつまらないから帰りたくないという声は確かにあります。
では、つまらなくない町をどうつくるのかというとき、私は文化が大事だと考えています。健康で文化的な生活を地方でも享受できること。映画、演劇、音楽、美術等に親しむ場があること。そこで偶然の出会いも生まれるでしょう。行政主導の婚活イベントより、文化予算を増やす方が健全で住民全体の利益に資すると思うのですが、総理の見解を伺います。
この度、二千億円に倍増するという地方創生交付金は、国の総合戦略に基づき、自治体にも数値目標を入れた地方版戦略を求め、自治体の計画を国が認定審査する交付金であり、自由に使途を決められる交付金ではありません。私は、地方創生こそ、地域が自ら考え、使途制限なく使えるお金にすべきだと思います。
かつて竹下総理の時代に、全国の市町村に一億円を交付したことがありました。この事業の評価は様々ですが、ユニークな使い方をした自治体もあります。島根県益田市は、重要文化財である雪舟筆益田兼堯像を購入し、これを「中世日本の傑作 益田を味わう」というストーリーにして、二〇二〇年、日本遺産に認定されました。
総理、地方創生交付金は自治体が自由に使途を決められる交付金にするべきだと考えますが、御賛同いただけませんか。
選択的夫婦別姓制度について伺います。
選択的夫婦別姓は、女性の社会進出に伴い、大半の女性が改姓せざるを得ないことによる弊害が指摘されてきましたが、氏を変えることによる女性のアイデンティティーの喪失と、結婚に際しては男性ではなく女性が姓を変えるのが一般的であるとする固定観念が対立することもあり、長年議論が進んできませんでした。
不本意な改姓を強いられることが多い女性のキャリアの断絶などを防ぐとともに、私は、夫婦の氏を共に次世代に残すためにも必要ではないかと考えています。実際、子供が女の子だけの家庭の場合、氏を残そうとすると女性の結婚が難しくなります。少子化の原因として晩婚化、未婚化が指摘されていることを鑑みれば、選択的夫婦別姓制度を時代が求めていると私は思うのです。法務省の調査では、夫婦同姓を義務化している国は日本しかありません。選択的ですから、現行の夫婦同姓を選択することに問題は生じないはずです。
選択的夫婦別姓制度について、総理は公明党代表に対し、できるだけ早く自民党としての考え方をまとめ、協議を行いたいとの考え方を示したとの報道がありますが、今国会中盤ぐらいから議論できるよう、できれば賛成の方向で早くまとめていただけませんか。総理の御決意を伺います。
タレントの中居正広さんと女性のトラブルにフジテレビ社員が関与したとの週刊誌報道をめぐり、フジテレビへのCM差止めを決めた企業が七十社以上に上ると伝えられています。中居さんは芸能界引退を表明しましたが、事態が収まる気配はありません。これは、女性の人権問題であり、企業統治の問題だからです。フジテレビ幹部が関わるとされる別の会食の問題も報道されています。
これらについて徹底的な調査を行い、再発を防止する必要があります。当初否定していた日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会の設置が先週ようやく決まりましたが、調査期間は僅か二か月。調査が十分にできるのか、不安が残ります。
総理に伺います。
フジテレビが二三年六月に問題を把握しながら番組を続けたことは、放送法に定める編集責任に関わる問題ではありませんか。政府としても、資料提出など、放送法に基づく一定の措置は取り得ると思いますが、いかがですか。放送業界全体としてこうした人権に関わる問題が起きてこなかったのか把握をして、問題があれば、放送業を所管する総務省を通じて改善させる必要があると考えますが、いかがですか。
中小企業支援について伺います。
物価高を上回る賃上げが必要であることは現在の物価高を乗り切るためにも明らかですが、現実には実質賃金が下がっています。日本の屋台骨を支える中小企業の賃上げは、大企業の賃上げ水準に及んでいないのが現状です。先日、丸山島根県知事と意見交換をしたところ、都市と地方の格差とは、すなわち、大企業が立地する都市と中小企業で働く人が大半を占める地方との賃金格差であり、この差が埋まらない限り地方の人口流出は止まらないし、少子化も止まらないと指摘されました。
中小企業が賃上げの原資を確保するためには、下請法の改正が必要です。下請という表現をやめる、協議を適切に行わない代金の額の決定を禁止するといった法改正と、買いたたきなど不適切な行為に対しては公正取引委員会の取締りを強化することは必要だと私たちも考えますが、総理の御所見を伺います。
インボイス制度が始まって一年が過ぎました。想定されたとおり、事務負担も納税額も増加し、中小零細事業者の経営を圧迫しています。特に食料の生産者は、肥料や梱包材等、生産コストの上昇も重なって追い詰められています。
こうした現状に鑑み、インボイス制度は今からでも速やかに廃止すべきと考えます。中小企業者からは、少なくとも、来年十月まで免税事業者からの仕入れでも八割を控除できるようにしている経過措置などを延長、できれば恒久化してほしいという切実な要望が寄せられていますが、対応していただけませんか。
国鉄分割・民営化から三十年以上が経過しました。公的役割を持つ企業が民営化されるとき、不採算地域に対するサービスをどこまで維持するのか、株主が存在し、収益性が求められる企業の公的責任とは何かという究極的な問題に突き当たります。
今、全国のJR赤字ローカル線が存続の危機にあります。改正地域交通法により、自治体、公共交通事業者、地域の関係者が話し合う再構築協議会を設置することができますが、これは鉄道の存続を前提としていないので、沿線自治体や関係者は警戒しています。山陰でも、JR西日本が木次線を議論の俎上にのせようとしており、山陰本線も一部区間の輸送密度の低さが指摘されています。
そこで、鉄道ファンとして知られる石破総理に伺います。
SL、トロッコ列車、スイッチバック方式等、鉄道は文化的な価値があると思うのですが、例えば、鉄道遺産という認定制度をつくり、地域活性化を国が支援する、海外と姉妹鉄道を結んでインバウンドにつなげるなど、積極的に活用するべきではないでしょうか。また、海外では、鉄道の運行とインフラの管理組織を分ける上下分離方式など、行政が公共交通を支える仕組みがあります。ローカル線が消える前に国の支援を求めたいのですが、是非見解をお聞かせください。
次に、郵政事業についてお伺いします。
二〇二四年十月から郵便料金が大幅に上がりました。郵政が民営化された二〇〇七年は、封書八十円、はがき五十円でしたが、現在は、封書百十円、はがき八十五円です。今年から年賀状じまいをした人も一気に増えたように思います。大幅な値上げは、デジタル化による郵便物の減少や人件費、輸送コストの上昇が原因だと言われますが、それだけでしょうか。
全国津々浦々、およそ二万四千局ある郵便局を維持し、全国一律、いわゆるユニバーサルサービスを提供する郵便事業は、日本郵政公社の時代には、貯金と保険事業の収益で支えられ、税金を一円も使わずに三事業一体で成り立っていました。つまり、郵便事業を単体の会社組織にしたら不採算になることは初めから明らかであり、実際に、民営化されてから郵便事業の赤字が膨れ上がっています。
現在は、日本郵政がゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を保有することで郵便事業の赤字が補われていますが、日本郵政が将来、金融二社の株を放出すれば、小学校の統廃合のように郵便局の統廃合が進み、農協やコンビニもない全国の過疎地が唯一の金融機関を失うことになります。年金を引き出すこともできなければ、その場所での生活は続けられません。
郵政民営化の是非をここで問うことはしませんが、今後もユニバーサルサービスが担保されるよう、日本郵政がやがて金融二社の株を放出することになっている現行法を改正する必要があるのではないでしょうか。総理の見解を伺います。
今、バスもタクシーもトラックも、運送業全般で運転士が不足しています。そのため、地方では、バス路線の廃止や減便が始まっています。タクシーも見つからない時間帯があり、免許を持たない高齢者や学生の通学の足を確保することが自治体の喫緊の課題です。先ほど鉄道の話をしましたが、バスに転換するのも運転士不足で難しいのが地方の現状です。原因として、長時間労働、低賃金など労働条件の悪さや、宅配便の増加が指摘されています。
運送業の時間外労働を規制した二〇二四年問題もあり、今二〇二五年を迎えていますが、二〇二四年問題の影響をどう分析しているか、また、運転士不足を解消するための施策についてお答えください。
いわゆるライドシェアについては、韓国、トルコ、台湾などの諸外国等でも禁止されており、一旦認めた国でも、諸問題や裁判の判決等により禁止や再規制を行う傾向にある国が、OECD加盟三十八か国中で八割に及びます。持続可能な地域公共交通の実現とも矛盾する政策であると考えます。
これまでの政府見解である、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保、利用者保護等の観点から問題がある、特区でも認めないという見解と、私たちは同じ立場です。そして、その議論に際しては、都市部や地方部、さらには過疎地域の実情を鑑み、それぞれに応じた対策が必要であると考えております。
そこで、総理にお伺いします。
タクシー事業者の管理の下で運送サービスを提供する日本版ライドシェアが令和六年四月から開始されていますが、タクシー事業者以外の者が行うライドシェアの導入について、政府としてはどのような方向性を考えておられるのか、お答えください。
好きな言葉は関税というトランプ氏がアメリカ大統領に就任しました。言うまでもなく、関税は自国の産業を保護するための価格政策ですが、自由貿易協定や経済連携協定が広がる中、農業については、関税の引下げに伴い、所得補償制度が各国で採用されています。
日本においても、主食の米農家を守るため、民主党政権は農業者戸別所得補償制度を導入しましたが、自公政権により廃止されました。立憲民主党は、かつて実施された農業者戸別所得補償制度を農地に着目した新たな直接支払いに転換し、我が国農業の中心である家族経営や集落営農等を積極的に支えるべきだと訴えてきました。
昨年の臨時国会の本会議で、所得を補償する政策は、農業者の創意工夫や日々の努力にブレーキをかけ、農地の集積、集約化が進まなくなるおそれがある等の指摘もございますという石破総理の御答弁がありましたが、むしろ、私は、集約化できない中山間地の農業をどう守るのかということが、食料自給率を支え、これ以上、地方を衰退させないために重要だと考えます。現行の中山間地直接支払い制度では足りません。
私たちの主食を生産する米農家の所得補償がなぜ問題なのか、中山間地の農業をどう守るのか、総理に伺います。
昨年は、令和の米騒動がありました。昨年の夏以降現在まで、値上がり期待から売惜しみの動きがあると思われ、米の流通量が不足し、米価が上がり続けています。どこかにたまっている米を消費者に届けるために、一時的に備蓄米を放出すれば、価格が頭打ちし、高値で売り抜けたい業者が在庫を放出し、流通が増え、米価が落ち着く可能性があるのではないでしょうか。また、今後もインバウンド需要は増え続け、米の供給増が進まない場合には、今後継続的に米不足となる可能性があるのではないでしょうか。総理の御所見を伺います。
そもそも、高い米価で米農家を支えるというやり方は、米の需給と価格の適正化を図る上で限界を迎えているのではないでしょうか。価格は市場に任せ、立憲民主党が訴えてきているように、米農家は所得補償で支えるべきではないでしょうか。併せて総理にお聞きします。
食料安全保障と種は直結しており、農家は種を購入して生産するので、種の高騰や供給システムが崩れると、私たちは食料危機に陥ります。種を制する者は世界を制すとも言われており、世界の種苗業界は今、遺伝子組み換え、ゲノム編集といったバイオ技術を持つ巨大産業による再編が進んでいます。
まず、日本のカロリーベースの食料自給率と主要農作物である米、麦、大豆の種の国内自給率をそれぞれお答えください。今回の施政方針演説で総理は食料自給力という言葉を使われていますが、緊急時に学校の校庭など、そこら中に芋を植えるような自給力ならば自慢できる政策ではないと思いますので、あくまでも食料自給率でお答えください。
米、麦、大豆など、主要農産物の種の生産や試験を都道府県に義務づけていた主要農産物種子法が、二〇一八年に廃止されました。根拠法はなくなりましたが、公共の種を安定的に供給すること、気候変動に耐える品種開発を国の予算で行うこと、在来種を守ること、種の国内自給率を上げることは、食料安全保障の観点から重要であると考えます。国が推奨した民間の米品種みつひかりは、異品種を混入させ発芽率を偽ったことで農家に甚大な被害を与え、これを供給した企業は刑事告発され、その後、起訴されています。
種を守り、国内自給率を上げることは国の責務であり、食料安全保障の根幹だと考えますが、総理の認識を伺います。
肥料や飼料等、農業生産資材の上昇により生産費は増加する一方、農産物への価格転嫁ができず、生産者の経営が悪化しています。
肥料については、為替の影響に加えて、ウクライナ戦争や中国が原料の輸出規制を行ったこと等、外的要因で争奪戦になっています。米の価格が上がっても肥料の高騰で経営が厳しいとの声が農家から聞こえます。肥料の価格高騰と品薄に対する農業者への支援をどのように行いますか。
配合飼料の価格も高騰しています。酪農家の六割が赤字で離農が進み、昨年十月、日本の酪農家戸数は初めて一万戸を割りました。生乳の価格形成において、買手の大手企業と交渉ができるほど酪農家の立場は強くありません。このまま放置すれば、国産の新鮮な牛乳がスーパーやコンビニで手に入る今の環境が当たり前ではなくなるでしょう。酪農家への支援を国はどのように行いますか。お答えください。
二〇二〇年に七十年ぶりの漁業法大改正がありました。国際的に採用されている資源管理の仕組みが導入され、漁獲可能量が個別の漁船に設定されるようになりました。漁船の大型化を規制するトン数制限もなくなりました。漁業には、沖合に出て大きな網で魚群を囲い込むまき網漁や沿岸の定置網漁、一本釣りなど、様々な形態があります。漁獲可能量について、当初から、大型船に有利ではないか、沿岸漁業に魚が回ってくるのかといった不安の声がありましたが、現在、どのように評価していますか。
また、昨今、資源管理以前に、そもそも魚がいない、捕れなくなったという声が聞こえてきます。特に、一本釣りなど小規模漁業者や沿岸漁業者への影響が大きいようですが、気候変動や乱獲等、考えられる要因について、政府の見解と対策、漁業者への支援策についてお聞かせください。
医師に二年以上の臨床研修が必修化された新医師臨床研修制度の導入から二十年がたちました。この制度は、様々な診療科の研修を受ける総合診療方式、スーパーローテートを採用するとともに、研修先で疲弊する医師の働き方改革でもありました。一方、弊害として、研修制度が充実した一部の病院に医師が集中し、大学医局による地方病院への医師供給システムが崩壊したと指摘されています。
今、地方の医師不足が深刻です。県が主体となり、医師の確保やキャリア形成支援などを行う地域医療支援センターが国の予算で設立されました。大学医学部に地域枠をつくり、地域医療に従事する学生を選抜し養成する仕組みもできました。それでもなお、地方の医師不足は深刻です。県任せにせず、国が医師の確保に積極的に関わるべきだと考えますが、総理の見解を伺います。
また、二〇二四年の医療機関の倒産は六十四件、休廃業、解散は七百二十二件となり、それぞれ過去最高を更新しました。診療所の経営者の高齢化と後継者不足、医療材料費、人件費の増大に対して診療報酬が低過ぎる等、医療現場の状況は深刻です。国の支援策を求める声が高まっていますが、総理の回答を求めます。
政府は、令和六年度介護報酬改定で、訪問介護の基本報酬をおよそ二・四%引き下げました。二〇二四年の訪問介護事業者の倒産は、東京商工リサーチの調査によると過去最多となっており、その要因の一つに、訪問介護の基本報酬部分の引下げの影響が指摘されています。特に地方においては、ガソリン代を使って広い範囲を訪問するので、採算が取れません。サービスつき高齢者住宅で次々に部屋を回るのとは条件が違うのです。
立憲民主党は、他の野党とともに、訪問介護事業者に支援金を支給すること、その上で、次回の介護報酬の改定を待たずに訪問介護の介護報酬の改定を行うことを盛り込んだ、訪問介護緊急支援法案の再提出を準備しています。これ以上の訪問介護事業者の倒産を食い止めるためには、一刻も早く実行すべきです。立憲民主党などの提案に応えていただけますか。総理の回答を求めます。
保育士の処遇改善も急務です。全国的に保育サービスの需要は高まっているものの、保育士人材が不足しており、供給体制に課題があります。潜在保育士と言われる、保育士の資格を持っていても保育士として働いていない方の数も多く、厚労省の調査によれば、百万人を超えます。
立憲民主党は、保育所や幼稚園、放課後児童クラブや児童養護施設等で働く全ての職員に対し、まずは緊急的な措置として月額一万円、年額十二万円の処遇改善を行う、保育士・幼稚園教諭等処遇改善法案の再提出を準備しています。まずは政府に、この法案の内容に関する見解を伺います。
能登半島地震から一年が過ぎました。地震に加えて昨年九月の集中豪雨も重なり、復興は遅れていると言わざるを得ません。元々、半島地域は離島と同様に条件不利地とされ、半島振興法によって支援が行われてきました。能登半島は、能越自動車道や能登空港等、半島地域の中でも比較的交通インフラの整備が進められてきた地域ですが、それでも今般の地震では、道路や港湾等の大規模な損壊、ライフラインの寸断、途絶等、甚大な被害と集落の孤立が発生しました。
昭和六十年に制定された半島振興法は、令和六年度末に期限を迎えます。半島振興法を延長するとともに、半島防災の理念を明確に規定し、災害対策に必要な予算と財源を十分に確保すること、半島地域の税制優遇措置についても延長を行うこと等、地域から要望が寄せられています。総理の回答を求めます。
今回はたまたま停止中であった志賀原子力発電所は、地震によって、変圧器の油漏れなど、施設の一部が損傷しました。志賀町が定める原子力災害避難計画では、「避難にあたっては、災害の状況に応じ、自家用車をはじめ、自衛隊車両や国、県、町の保有する車両、民間車両、海上交通手段などあらゆる手段を活用する。」とされています。他の自治体もほぼ同様の規定となっていますが、万が一、志賀原子力発電所で事故が発生した場合に、自動車中心の避難が本当に可能なのでしょうか。避難計画をしっかりと検証し、実効性のある避難計画がないのであれば原子力発電所を動かすべきではないと考えますが、答弁を求めます。
同じく半島に位置する松江市の島根原子力発電所二号機は、昨年十二月二十三日に再稼働し、今月十日から営業運転が再開されました。島根原子力発電所は、全国で唯一、県庁所在地に立地しており、県庁までの距離は十キロ以内、三十キロ圏内には隣の鳥取県民も含めておよそ四十五万人が生活しています。能登半島とは異なり、島根半島には高規格道路もありません。原子力発電が国策である以上、少なくとも避難道路の整備については国が直轄事業で行うべきではありませんか。
財政力の乏しい自治体に原子力発電所を次々に建設し、実効性のない避難計画で住民の安全は二の次にするこの国のエネルギー政策を、地域住民は怒りと諦めの気持ちで見ていることを、総理、是非認識していただきたいのですが、御所見をお聞かせください。
以上、地方が抱える課題、中小企業や農林水産業など、日本の産業や食料を支える方の立場に立って質問をしました。
楽しい日本と言われましても、今述べてまいりましたとおり、それどころではないというのが地方の状況です。明らかに地方が衰退しており、人口減少の影響を受けております。
例えば、島根県におきましても、昨年の一月に県唯一の百貨店が閉店をし、その跡地の活用についてまだ全く決まっておりません。目に見えて県庁所在地の駅前が衰退していることを地域住民は実感をし、心を痛めております。ですので、なかなか、楽しい日本と言われましても気持ちがついてこないというのが、私たち地域に住む者の実感でございます。
中小企業や農林水産業など、日本の産業や食料を支える方の立場に立って質問をいたしました。
中小企業の従業員も給料が上がり、一次産業の従事者が本業で生計を立てることができれば、地方からの人口流出は止まります。
ですから、私たちが今抱えている目の前の問題、公共交通に誰が責任を持つのか、この先、郵便局がそこにあり続けるのかどうか、農林水産業に携わる方々が赤字をつくりながらも使命感でなりわいを続けておられる、その状況にもっと振り向いていただきたいと切に願います。そして、もうからなくても生活に必要なサービスは税金で行うこと、それが公の役割であり、私は政治だと思います。
地方こそ成長の主役と公言されている石破総理、全国で一番人口の少ない鳥取県を代表される石破総理の前向きな答弁を期待して、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 亀井亜紀子議員の御質問にお答えを申し上げます。
地方創生二・〇についてお尋ねをいただきました。
私が初代地方創生担当大臣として十年前に地方創生の交付金創設などに取り組んで以降、全国各地で様々な好事例が生まれたことは大きな成果であったと考えております。
一方、地方創生一・〇では、優良事例が点の取組で終わり、面的な広がりにつながる化学反応は十分には起きなかったところであります。そのため、地方創生二・〇は、令和の日本列島改造として、五本の柱で日本全体の活力を取り戻すべく、強力に進めてまいります。
御指摘の地(知)の拠点大学、これは知恵の知と地方の地と両方の字を当てますが、地(知)の拠点大学による地方創生推進事業につきましては、例えば、島根大学、島根県立大学、松江工業高専と島根県、地元経済界などが協力し、歴史や文化などの地域資源を活用した新たな地域づくりに向けた教育などに取り組み、卒業生の地元定着などにつながっております。今後、こうした好事例の普遍化に一層力を入れてまいりたいと考えております。
行政システムの利便性向上などについてでありますが、政府といたしましても、デジタル社会形成基本法に基づき閣議決定をいたしました重点計画に記載のとおり、デジタル社会の推進において、個人情報やプライバシーに配慮する必要があると考えております。
その上で、行政のシステムについて、利用者の方々の目線に立ち利便性を高めていくことが重要である、このように考えております。
楽しい日本を実現するための政策の核心は地方創生二・〇であり、都市も地方もその魅力を高めていくため、新たな重点として、官民連携により文化芸術の振興を図ってまいります。
令和七年度予算案におきまして、御指摘をいただきましたような、舞台芸術、映画、漫画、アニメなどのメディア芸術、アートなどの芸術文化の振興、地域における特色ある文化芸術拠点の形成や伝統行事の継承などへの支援による地域文化の振興などの施策も盛り込んでおるところでございます。
地方創生交付金についてでありますが、この交付金を用いまして、全国各地で様々な取組が行われております。ドローンを活用した買物支援サービス、高齢者向けオンデマンド乗り合いタクシーなどが生まれておるところでございます。
一方、ソフト事業とハード事業が別々に実施されているといった課題もございまして、新しい地方創生交付金につきましては、政策目的を効果的に実現できることを前提として、地域の意欲的な取組を柔軟に後押しできるようにいたしてまいります。
選択的夫婦別氏制度についてでございますが、夫婦の氏の在り方につきましては、内閣府が行いました令和三年の世論調査を見ましても、国民の皆様方の御意見が分かれております。また、選択的夫婦別氏制度の導入を求める立場の中にも、制度の具体化に当たりましては、例えば、お子さんの氏をどのように定めるのかといった点を含めまして、様々なお考えがあるものと認識をいたしております。
政府といたしましては、家族の形態や国民意識の変化、家族の一体感や子供さんへの影響など、様々な点を考慮の上、国会において建設的な議論が行われ、より幅広い国民の御理解が形成されることが重要であると考えております。
その上で、自民党総裁として申し上げれば、選択的夫婦別氏制度の是非は、国民の関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばししてよい問題とは考えておりません。党としての考え方を明らかにすべく、議論の頻度を上げ、その熟度を高めてまいりたい、このように思っております。
放送事業者に対する対応、放送業界全体の人権問題の把握についてのお尋ねをいただいております。
御指摘の事案につきましては、一月二十三日、総務省からフジテレビに対し、第三者委員会において早期に調査を進め、結果を踏まえた適切な対応を行うよう要請しておるところでございます。
御指摘の人権に関わる問題の把握につきましては、放送事業者から構成される日本民間放送連盟において、共通の課題が見つかれば委員会の設置などを検討することなどが確認された、このように承知をいたしております。この取組を注視してまいりたいと考えております。
下請法の改正についてお尋ねを頂戴しました。
中小企業の皆様方が、利益を上げていただき、物価上昇に負けない賃上げを実現していくためには、取引の上流から下流まで、サプライチェーン全体での適切な価格転嫁などを実現することが重要でございます。
協議に応じない一方的な価格決定の禁止や、下請という用語の変更などを盛り込んだ下請法の改正法案を今国会に提出をいたします。
買いたたきなど下請法違反行為に対しましては、公正取引委員会や中小企業庁におきまして、引き続き、執行力の強化を図り、厳正に対処いたしてまいります。
インボイス制度についてでございますが、複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要な制度であり、これを廃止することは考えておりません。
御指摘の経過措置などにつきましては、あくまでインボイス制度の円滑な導入や定着を図るために設けられているものであり、その延長などにつきましては、こうした目的なども踏まえて、慎重に検討する必要があると考えております。
インボイス制度に対する御不安、御懸念を抱かれておられる方もおられますので、事業者からの御相談に引き続き丁寧に対応いたしてまいります。
鉄道によります地域活性化、ローカル鉄道に対する国の支援についてお尋ねをいただきました。
議員が御提案をなさいました鉄道遺産認定制度によります地域活性化の趣旨に近いものといたしまして、地域の観光コンテンツと連携した企画列車の運行や観光列車の導入などへの支援を行っておるところでございます。
ローカル鉄道を維持してまいりますためには、地域の方々に積極的に御利用いただくことも重要であります。令和五年度に、地域交通法を改正するとともに、予算措置を拡充いたしました。これによりまして、社会資本整備総合交付金のメニューとして、ローカル鉄道を上下分離し、線路などの施設、整備などを、保有する自治体によるハード整備を支援することを含めるなど、地域交通の再構築を推進してまいりたい、このように考えておるところでございます。
郵便局のユニバーサルサービスの担保についてのお尋ねをいただいております。
郵政民営化法等では、日本郵政及び日本郵便に対してユニバーサルサービス提供の責務を課すとともに、亀井議員御指摘の金融二社の株式処分に当たりましても、この責務の履行への影響などを勘案するよう規定されており、ユニバーサルサービスの維持を前提としておるところでございます。
政府といたしましては、日本郵政、郵便を適切に監督することなどを通じまして、郵政事業のユニバーサルサービスの安定的かつ継続的な提供の確保に努めてまいります。
自動車運送業の二〇二四年問題及び運転者不足対策についてであります。
二〇二四年問題につきましては、物流革新に向けた政策パッケージに基づきます、積載率の向上などに向けた官民での取組が成果を上げており、懸念された物流の深刻な停滞は起きておりません。
今後懸念されます運送業のドライバー不足の問題に対しましては、運賃改定や価格転嫁の促進と省力化支援、荷主などへの規制などを導入した改正物流効率化法の円滑な施行、日本版ライドシェアなどによります一般ドライバーの活用、外国人ドライバーの早期受入れなどの生産性向上と賃上げ、働き方改革に総合的に取り組んでまいりたいと考えております。
ライドシェアについてでありますが、全国での交通空白の解消に向け、骨太方針に従い、日本版ライドシェアや公共ライドシェアの施策の実施効果を検証しつつ、地域交通の担い手や移動の足の確保の取組を強力に進めてまいる所存でございます。
中山間地の農業と米農家の所得補償についてであります。
中山間地の農業につきましては、生産条件の不利を補正する中山間地域等直接支払いによる下支えに加え、農産物の高付加価値化、六次産業化、スマート化による生産性の向上、農泊、ジビエなど地域資源の活用を図り、農業所得の向上と地域の活性化につなげてまいります。
米政策や直接支払いの在り方につきましては、今後、新たな食料・農業・農村基本計画の策定や、令和九年度に向けた水田政策の在り方の検討の中で議論を深めてまいりたいと考えております。
米価等への対応や農業者への支援の在り方についてでございますが、消費者の皆様方に米を安定的に供給し、価格を落ち着かせるため、一定期間後に買い戻すことを条件といたしますが、政府備蓄米を集荷業者に売り渡すことができる仕組みを導入いたします。
あわせまして、販売状況や在庫量などに関する流通、販売事業者への調査について、昨年夏より頻度を上げて実施し、需給情報を消費者に分かりやすく発信するとともに、産地に対し、需給、価格などに関する情報を丁寧に発信し、産地自らの判断の下、状況に応じた的確な生産を行えるよう後押しをいたしてまいります。
農業者への支援の在り方につきましても、今後、新たな食料・農業・農村基本計画の策定や、令和九年度に向けた水田政策の在り方の検討の中で議論を深めることといたします。
食料自給率と種子の安定供給についてでありますが、我が国のカロリーベースの食料自給率は三八%であります。種子の国内自給率につきましては、稲は一〇〇%、麦類及び大豆は九九%を超えておるのは御承知のとおりでございます。
種子の安定供給のため、気候変動に対応した品種や多収性の品種など新規品種の導入に向けた栽培実証の支援などを行い、食料安全保障を強化いたしてまいります。
肥料に関しましては、本年の春用肥料の製造に必要な原料は、無事、海外からの調達を終えていると承知をいたしております。国際情勢の変化を受けづらい構造に転換できますよう、原料を海外に依存する化学肥料の使用低減に向けた適正施肥や有機質肥料の活用、原料の備蓄、国産化に向けた製造施設の整備を進めてまいります。
酪農経営に関しましては、余剰乳製品の在庫削減対策による需給改善を通じ、累次にわたり生乳取引価格の引上げがなされていると承知をいたしておりますが、引き続き、状況を注視をいたしてまいります。肥料同様、国際情勢の影響を受けづらい構造への転換に向け、国産飼料の生産、利用拡大を進めてまいります。
また、令和六年度補正予算では、農業生産資材を含む物価高対策として重点支援地方交付金を措置しており、地方自治体に積極活用を働きかけておるところでございます。
漁獲可能量や不漁の要因、対応についてお尋ねをいただきました。
漁獲可能量をベースとする資源管理につきましては、漁業現場から不安のお声をいただくこともある中、科学的な根拠に基づく資源評価を踏まえ、今後とも、現場から丁寧に御意見を承りながら進めてまいることといたしております。
資源管理の推進により乱獲を防止する一方、海水温や海流などの海洋環境の変化を主な要因として、スルメイカの不漁やブリの分布域の北上などの水産資源の変化が生じているものと認識をいたしておるところでございます。我が国水産業の発展に向け、スマート化や海業の全国展開を進めますとともに、海洋環境の変化に対応した魚種、漁法の追加、転換や養殖業への転換などを支援いたしてまいります。
医師の確保や医療機関への支援についてでありますが、医学部に地域枠を設けるなどのこれまでの医師確保の取組に加えまして、今後、都道府県と連携した実効性のある医師偏在対策を総合的に推進する法案を提出いたしてまいります。
また、物価高騰などの急激な変化の中でも必要な医療提供体制を確保するため、先般の補正予算におきまして、重点支援地方交付金を積み増したところでございます。更なる賃上げなどに向けた支援や診療所の承継、開業支援も補正予算に盛り込んでおり、これを着実に執行しながら、経営状況なども丁寧に把握をし、適切に対応いたしてまいります。
訪問介護につきましては、人手不足や燃料代などの高騰などにより、厳しい状況にあると認識をしております。御指摘のとおりでございます。
御党の御提案が提出されました際には、御意見を十分に拝聴させていただきます。政府といたしましては、令和六年度の介護報酬改定で措置した処遇改善加算の更なる取得促進に向けた要件の弾力化、先般の補正予算によります賃上げに向けた支援や経験年数が短いヘルパーへの同行支援の強化、重点支援地方交付金によります燃料代などの支援等、地域の特性や事業者の規模などに応じたきめ細かい対策を講じており、これを着実に進めてまいります。
保育士などの処遇改善についてでございます。
御党の御提案が提出されました際には、これも御意見を十分に拝聴させていただきます。保育士などの処遇改善が重要である、そのような考え方は共有をいたしておりまして、政府といたしましては、令和七年度予算におきまして、保育士などについて、一〇%を上回る大幅な処遇改善を行うことといたしております。また、放課後児童クラブの支援員なども、処遇改善の支援を継続的に行っておるところでございます。
引き続き、こども未来戦略などに基づきまして、民間給与動向を踏まえた更なる処遇改善に取り組んでまいります。
半島振興法についてのお尋ねを頂戴をいたしております。
議員立法であります半島振興法の延長に向けましては、これまで与党におきまして能登半島地震などの教訓を踏まえた議論を精力的に重ねられておりましたが、近く与野党合同での検討が開始される、このように承知をいたしております。
政府におきましても、これらの御議論を踏まえ、道路、港湾、空港、上下水道などの防災対策、井戸や再生可能エネルギーの活用など、自立分散型の地域づくり、半島地域の税制措置の延長などを通じまして、安心して暮らし続けられる災害に強い半島地域を実現をいたしてまいります。
原子力災害時の避難計画についてのお尋ねでございますが、原子力発電所の立地地域におきましては、地域の実情を踏まえ、自然災害と原子力災害との複合災害を想定して、道路が寸断した場合の避難経路を含め、緊急時対応を取りまとめ、あるいは取りまとめに向けた検討を進めておるところでございます。
お尋ねの避難道の整備促進につきましては、内閣府、国交省、経産省など関係省庁連携の下、地元ニーズを踏まえ、必要な支援を検討いたしてまいります。
原子力発電所につきましては、安全性の確保を大前提としつつ、地元の御理解を得た上で再稼働してまいるのが政府の方針であり、原子力防災体制の充実強化を図りながら、エネルギー政策を進めてまいります。
以上でございます。(拍手)
―――――――――――――
○副議長(玄葉光一郎君) 前原誠司君。
〔前原誠司君登壇〕
○前原誠司君 日本維新の会の前原誠司です。
会派を代表して、石破総理の施政方針演説について、全て総理に質問いたします。(拍手)
初めに、教育政策について伺います。
人を育てることが国家経営の要諦であることは、いにしえの時代から変わりはありません。
一年の計画は穀物を育てるのに勝るものはなく、十年の計画は木を育てるのに勝るものはなく、終生の計画は人を育てるのに勝るものはない。紀元前の中国の書物、管子にこうあります。人を育てるには長い年月を必要とするが、逆に、一度育てれば、人は何よりも多くの価値を継続的に生み出し、貢献できる存在であるため、教育こそが国家経営において最も重要だと説かれています。ほかには、長岡藩の米百俵もしかり。教育や人材育成の重要性を説く逸話や教えに事欠くことはありません。
しかし、翻って、近年の自公政権が教育の重要性を真に理解して政策遂行を行ってきたとは到底思えません。このことこそが、今日の日本政治の最大の問題点であり、失われた三十年の主因だと考えます。
日本のGDPに対する教育機関への公的支出は二・九%と、OECD三十五か国中三十四位。OECD平均の四・二%を大きく下回る水準です。このような状況が長年続いているから、国際競争力が低下しているのではないでしょうか。総理も、人づくりこそ国づくりと述べておられます。であれば、より一層、教育に対する財政支出が必要だと考えますが、総理の見解を求めます。
所得制限をなくすことは、ばらまきだ、金持ち優遇だという意見があります。しかし、所得の多い人ほど、多くの税金を納めています。その人たちがサービスを受けられなくなると、その制度自体に批判の目を向け、せっかくの支援制度に理解が得られなくなってしまいます。社会の分断をなくし、実効性のある支援策とするためには、所得や居住地域にかかわらず、全ての子供にひとしく教育、子育て支援を国は行うべきだと考えますが、いかがですか。
子供は、親にとって宝であるだけでなく、国家においても宝なんです。子供たちの無限の可能性を伸ばす。政府は教育への公的支出を増やし、家庭の負担を減らす。日本の競争力を高め、持続可能な成長を実現するためにも、教育の量と質を向上させる政策を推し進めなければなりません。
以下、具体的な提案を幾つか行います。
まず、高校の無償化です。
日本の高校進学率は九八%、うち約三五%が私立高校に通っています。私立高校の年間学費は平均で約百万円を超え、子育て世帯の大きな経済的負担となっています。このため、私立高校を含めた無償化は、教育の公平性を確保し、全ての子供たちが平等に学ぶ機会を持つために不可欠です。
大阪府や東京都は既に、私立高校も含めた高校無償化に取り組んでいます。本来であれば、国全体で高校の無償化を進め、全国一律で教育水準を引き上げ、教育、子育ての大幅な負担軽減を実現するべきではないでしょうか。来年から、私立を含めた所得制限のない高校無償化を実現すべきだと考えます。総理の決断を求めます。
次に、幼児保育や給食費の速やかな無償化を求めます。
近年の少子化の進行はすさまじく、まさに国家存亡の危機です。昨年の出生数は七十万人を下回り、六十八・五万人程度になると見込まれています。二〇一六年に出生数が百万人割れしたあの衝撃から、まだ十年もたっていません。十年足らずで、出生数が三割以上も減ってしまいました。もはや、次元の異なる少子化対策などという言葉遊びのスローガンのみを振りかざし、中途半端な施策を小出しにしている時間的な余裕はありません。
現に、日本の教育費に占める私費負担割合は六三・五%。OECD平均が二八%ですから、日本では親や子供の自己負担がいかに重いかは明らかです。しかも、実質賃金は下がり続けているのです。一般的な子育てにかかる費用は社会が見てくれるのだと若い世代が感じられるような支援パッケージを可及的速やかに行うべきではないでしょうか。
ゼロ歳から二歳の保育料については一人目の子供から所得制限のない無償化を、併せて給食費の無償化を、遅くとも来年四月、可能であれば来年度から実施すべきです。総理の決断を求めます。
次に、高等教育に関して申し上げます。
大学などの高等教育への投資は、経済成長や国力の向上に必要不可欠です。一人当たりの高等教育費用を増やせば増やすほど、労働生産性が上がると言われ、また、高等教育を受けた人材の生涯賃金は、未修了者に比べて約七千五百万円高くなるとの調査結果もあります。国が積極的に高等教育を支援し、質の高い人材を育成することは、日本の将来に対する投資であると位置づけるべきです。
また、今日の大学や専門学校などの高等教育課程への進学率は七五%程度まで上昇しており、今の子育て世代は、子供が高等教育課程まで進学をすることを想定するのが一般的です。であれば、幾つかの前提の下、教育の無償化に高等教育を含めるべきだと考えます。
まず一つ。勉強もろくにしない、遊びやアルバイト三昧、こういった学生が無償化の対象になることは、納税者の理解が得られるとは到底思えません。大学の門戸は広く、卒業は厳しく。真面目に勉強した学生のみが無償化の対象となる仕組みが不可欠です。
また、淘汰されるような大学が生き残ることも、あってはなりません。無償化は学生への支援であって、大学への支援でないことを明確にすべきです。
三人以上の多子世帯のみ、所得制限のない大学の無償化が来年度から始まります。大学教育の質や競争環境を抜本的に強化することを前提としつつ、子供一人からの無償化を実施すべきです。また、国際卓越研究大学の設置目標を、数校程度ではなく、十校程度にすべきだとも考えます。併せて総理の決断を求めます。
次に、社会保障改革について伺います。
今、本来は豊かな社会をつくるはずの社会保障が、若者に過度な負担となってのしかかっています。例えば、年収三百五十万円の単身世帯を想定すると、所得税は年間約七万円である一方、社会保険料は年間五十万円にも上ります。支え合いだといいながら、これだけの負担を負わせては、結婚や子育てをする自信も同時に奪ってしまうでしょう。
若者だけではありません。今、いわゆる就職氷河期世代が五十歳代に突入しています。大学受験や就職、キャリア構築など、人生のあらゆる場面で苦難を受けてきた世代であり、ある調査によると、五十歳代一人世帯の貯蓄額の中央値は三十万だそうです。
総理は、この社会保険料こそが、現役世代の生活を圧迫し、前向きな人生設計を阻んでいる大きな要因であると思いませんか。彼らの活力を奪うことは、我が国全体にとっても不幸なことです。現役世代に過重な負担を負わせる制度は、たとえ制度として持続できたとしても、我が国の国力を先食いしているだけではないでしょうか。今こそ、社会保障制度の負担と給付の在り方に抜本的な改革が必要ではありませんか。
次世代のための党を標榜する日本維新の会は、日本を支える屋台骨である現役世代の社会保険料負担を引き下げることを目指します。
現役世代に改革の効果を実感していただくには、医療の質を高めつつ、数兆円単位で社会保障給付費を削減しなければなりません。もちろん、これは緻密に編まれた既得権益を解きほぐす作業であり、非常に困難な道のりと言わざるを得ません。しかし、若者や子育て世帯、働く人々の負担を下げるため、この取組に我が党は全力を傾注してまいります。
この改革に当たっては、受益と負担の明確化がセンターピンになると我々は考えています。
保険は緻密な数理計算の上に成り立っており、給付の裏には誰かの負担があります。自立した個人が自分の意思で選択するという民主主義の根本に立ち戻れば、各個人が社会保障に係る負担をどれだけ負い、どの程度受益してきたか、政府は国民一人一人に伝える必要があるのではないですか。我が党としては、これまで提案してきたデジタル歳入給付庁の設置による抜本的な改革が必要だと考えますが、今すぐにできる方策として、社会保険の事業主負担分を給与明細等に記載し、社会保険負担の全体像を国民にお伝えすることも効果的と考えます。総理のお考えをお聞かせください。
受益と負担の観点からは、応能負担についても検討すべきです。
そもそも、社会保険は強制加入であり、その保険料の水準には個々人の負担能力も考慮されています。しかし、資産額が異なれば、負担能力も当然異なるのではないでしょうか。総務省の資料によれば、世帯主が七十代の金融資産残高は平均で千七百万円ほどある一方、三十代はその三分の一以下にすぎません。医療にかかる際の窓口負担にこれら金融資産の額を考慮するというアイデアについて、どのようにお考えですか。
もちろん、資産額の把握はすぐにはできません。一方で、平成二十八年一月以降、証券会社における新規口座開設や住所変更等の手続にはマイナンバーの提出が必要となっています。これを全ての売買取引に拡大すれば、証券口座を通じた取引による金融所得の全数把握が可能となります。個人の負担能力を適切に評価するため、これを実現するおつもりはありますか。
医療サービスの提供体制も、当然、検討の俎上にのせるべきです。例えば、シンクタンクや団体等の提言でしばしば指摘されるのが、OTC類似薬の取扱いです。
リスクの高低という観点からはOTC医薬品と同程度であるにもかかわらず、医療用医薬品として区分され保険が適用されてしまうOTC類似薬は、年間一兆円に上るとする試算があります。加えて、セルフメディケーションを阻害することにもなり、これを公的医療保険で支弁するのは、公正さに欠けるのではないでしょうか。OTC類似薬について、保険適用を除外する方向で議論すべきではありませんか。
効率性の点から申し上げれば、我が国で急ぎ進めなければならないのが、医療に関するビッグデータの活用です。
そもそも、医療費は、介護費と合わせて日本のGDPの約一割を占め、規模でいえば自動車産業と同等ですが、その内実は、価格が公定され、大半が税と社会保険で賄われるいわば官製市場であり、自由市場の価格調整メカニズムは働きません。経済学やデータサイエンスなどの知見を活用しつつ、政府が資源配分や効率性の問題に目を光らせる必要があります。しかし、その判断を行うためには、根拠となるデータがなければなりません。
貴重な医療情報であるカルテデータの共有は、順調とは言い難い状況にあります。我が国における電子カルテの導入率は五割程度であり、また、電子カルテの標準化も始まったばかりです。既に一〇〇%に近いイギリス、約八割であるフランスから、大きく水を空けられています。
パーソナル・ヘルス・レコードを整備し、いわば一国民一カルテ体制を構築することは、医療の効率性を向上させるのみならず、国民がどこにいても地元と同等の医療を継続的に受けられることで、医療の質を飛躍的に向上させることにつながります。これを速やかに実現すべきではないでしょうか。総理のお考えを伺います。
社会保険制度が抱えているもう一つの大きな問題が、年収の壁の問題です。
日本の経済を成長させるためには、働ける人を増やし、元気にすることが必要であり、働き控えを助長するような今の制度は本末転倒です。百三万円の壁への対処は税負担の軽減策として重要ですが、加えて、年収が増えているのに社会保険料負担によって逆に手取りが減る百六万円、百三十万円の社会保険料の壁を解消することは絶対に必要です。
中長期的には、そもそも壁が生まれないような税、社会保険料の抜本改革が必要です。一方、当面の対応としては、第三号被保険者の方が百六万円、百三十万円の壁を越えても手取りが減らないような対策が必要です。
その際、今の政府が実施している年収の壁対策は、企業への補助金であり、労働者に直接給付されるものではありません。そのため、実際に手続を行って活用するところまでに至っていないケースが多いと思われます。より実効性の高いマイナンバーを活用した上で、労働者への直接給付により、百六万円、百三十万円の壁によって手取りが減る分について穴埋めを行うとともに、別途、事業者負担も措置する方策を取るべきだと考えますが、総理の決意を伺います。
次に、賃上げについてお伺いします。
総理は、施政方針演説で、賃上げの原資となる生産性の向上と述べられました。そもそも、現状認識が間違っているのではありませんか。過去四半世紀で時間当たりの生産性は三割上昇しましたが、実質賃金はほぼ横ばいです。生産性を上げる必要性はもちろん否定しません。しかし、生産性が上がっても賃金は上がっていないのです。
同じく、過去四半世紀で企業の利益は約五倍増えましたが、設備投資は一・二八倍、人件費に至っては一・〇九倍にとどまっています。片や、配当金は八・一五倍。そして、内部留保は六百兆円を超えました。賃金の原資は、企業の利益であり、過大に積み上がった内部留保ではないでしょうか。賃金を上げるために、企業の利益、内部留保を賃上げに回すような仕組み、分配政策が必要だと考えますが、総理の見解を伺います。
政府は、近年、二度にわたって法人税減税を行ってきましたが、潜在成長率は低下の一途をたどっています。また、設備投資促進税制や賃上げ促進税制は、現状を見る限り、効果があったとは到底考えられません。設備投資や賃上げにつながるような好循環を生み出してこなかった過去の政策をどう総括しますか。今後、今までの反省に基づいて、賃上げと設備投資の好循環をいかに実現させるか、具体的な施策についての答弁を求めます。
日本維新の会は、規制改革を進め、様々な産業分野で新たな主体が事業に参画することを促し、経済の新陳代謝を進めていくことが特に重要だと考えています。
例えば、ライドシェアは、地方の交通の担い手不足や移動手段の不足を補う役割も期待されており、一層の活用に向けた制度改正が求められます。ライドシェアを導入している国の先行事例もよく研究しながら、また、既存のタクシー事業者との競争環境がどちらか一方に不公平にならないように注意をしながら、本格的なライドシェアの解禁など、様々な分野での規制改革について推し進めていくことが重要だと考えますが、見解を伺います。
また、規制改革とは、官僚や政府、東京といった中央が周辺に対して物事を差配する力を弱めることで、個人や地域、新興企業といったあらゆるアクターが創造性を発揮し、活動の幅を広げるための土壌を整えることにほかなりません。規制改革の一環として地方創生を考えると、単に補助金を増額するだけのやり方が、地方に抜本的な転換をもたらすとは到底思えません。石破総理の持論の楽しい日本をつくるためには、地方創生は更なる分権と税源移譲とセットでなされるべきではないでしょうか。
次に、外交、安全保障政策について伺います。
ドナルド・トランプ氏が、第四十七代アメリカ合衆国大統領に就任されました。心から祝意を表します。
ただ、世界中の多くの人々がトランプ政権の行く末に懸念を抱えているのではないでしょうか。他国に関税をかけてディールを求めるというやり方を、総理はどのように評価されますか。パリ協定やWHOからの脱退表明について、日米首脳会談では翻意を促すべきではありませんか。
トランプ大統領は、北朝鮮を核保有国だと明言しました。外務省は、核拡散防止条約で核保有を認める核兵器国とは違うとの見解のようですが、言葉遊びにすぎません。北朝鮮の核保有は絶対認めない、朝鮮半島の非核化を目指すのだと日米首脳会談で確認すべきだと考えますが、いかがですか。
総理は、施政方針演説で、対ウクライナ支援、対ロ制裁を今後とも強力に推し進めますと述べておられます。トランプ大統領はロシアに戦争終結を強く求めていますが、現時点で停戦になれば、ロシアは、ウクライナの占領した地域からは撤退しないでしょう。日本政府は、クリミアを含め、現在ロシアが占領している地域もウクライナの領土と考えるのか、答弁を求めます。
石破総理は、自民党総裁選の際に、日米地位協定の改定に言及されました。まずは、トランプ大統領と会談を重ね、信頼関係を築くことが大切だと考えますが、総理は、自らの信念として、いつかは日米地位協定の改定を行うべきだと考えておられるのか、考えておられるならどこを見直すべきだと考えておられるのか、見解をお示しください。
いずれにしても、自由、民主主義、人権、法の支配といった共通の普遍的な価値観の下、手を携えてきた日米同盟は、アジア太平洋地域はもとより、世界の平和と安全に貢献し、経済的な繁栄を築く上で死活的に重要な二国間関係です。どのようにトランプ米大統領との関係を築いていくおつもりか、見解をお聞かせください。
日本やアジア太平洋地域の平和と安全を維持していくために日米同盟は死活的に重要とはいえ、いついかなるときでも自分の国は自分で守るという根本的な考え方に基づき、防衛力、抑止力の強化を不断に行っていかなければなりません。
しかし、円安や物価高により、令和四年に策定した総額約四十三兆円の防衛力整備計画で目指している防衛力の整備は未達に終わり、自衛官の処遇改善も十分に実現できないのではないかと懸念されています。五か年の防衛力整備計画は、何があってもやり切ると明言していただきたい。総理の答弁を求めます。
北朝鮮による日本人拉致被害者の御家族は高齢化が進み、被害者はもちろん、多くの方が心身共に厳しい状況に置かれています。拉致被害者の救出を切に願う声は日に日に大きくなっており、解決に向け、あらゆる外交手段を尽くすことが国民共通の願いです。言葉だけではなく、これまでの反省を踏まえ、総理は拉致問題の解決に向けてどのような取組を具体的に進めるおつもりか、答弁を求めます。
企業・団体献金の禁止など、政治改革についてお尋ねします。
昨年十月の衆議院選挙で与党過半数割れとなった最大の要因は、紛れもなく自民党の裏金問題です。有権者の過半数以上が政治と金の問題を片づけてほしいと願っていることは、この選挙結果からも明らかです。
昨年末の臨時国会では、政策活動費の全廃や旧文通費の使途公開など、法制化が実現し、政治資金の透明化に向けて一定の成果を得ることができました。しかし、積み残しとなっている政治改革の課題がたくさんあります。
特に重要な残されたテーマの一つが、企業・団体献金の問題です。総理は、全ての企業・団体献金が悪とは限らないといった理屈で、企業・団体献金の禁止に背を向け続けています。確かに、企業、団体にも政治活動の自由があり、彼らが望む政策、予算の在り方の実現を求めて政治に関与することは当然の権利です。しかし、お金の力を使ってまで企業、団体が政治に影響を及ぼすことを、主権者たる国民は求めているとお考えですか。
そもそも、リクルート事件に端を発した一九九四年の平成の政治改革において、企業・団体献金の禁止は政党交付金の創設とセットであると与野党で合意していたことを、当時の総理と自民党総裁が今でも繰り返し証言されています。それでも合意がなかったと強弁する石破総理の姿勢は極めて不誠実であり、石破内閣もこれまでの自民党政権と変わらず、政治改革に全く後ろ向きだと断ぜざるを得ません。
国民全体の利益にかなった最善の政策を行うために、三十年間放置されてきた企業・団体献金の禁止は、今国会で必ず合意しなければなりません。できなければ、政治と金をめぐる問題が今後も繰り返し生起することは火を見るよりも明らかです。政治の信頼回復に向けた企業・団体献金禁止に対し、今国会で石破内閣がどのように取り組んでいかれるのか、お答えください。
あわせて、政治団体の代表者の名義を変えたり、政治団体間で資金を移したりすれば、相続税や贈与税を払わず政治資金を親族などに引き継ぐことができる、世襲議員に特に有利に働く特権的な取扱いを廃止すること、また、議員定数の削減を行い、幅広く有権者、納税者から信頼を取り戻すための改革を行っていくべきだと考えますが、答弁を求めます。
最後に、憲法改正について伺います。
今年は終戦八十年の節目を迎えます。
現行憲法は、GHQの強い影響力の下、一九四七年五月三日に施行されました。日本の再軍備阻止を目指し、第九条が作られたのは間違いありません。しかし、米ソ冷戦の顕在化、熾烈化とともに、アメリカの考え方にも変化が生じます。日本防衛を担っていた米軍の日本駐留部隊が朝鮮半島に出動することになり、警察予備隊がまず組織化され、一九五四年七月一日に防衛庁・自衛隊が発足します。つまり、日本国憲法施行後、七年余り後にようやく自衛隊が生まれているのです。
つまり、日本国憲法は、自衛隊という実力組織を全く想定していません。だからこそ、自衛隊は軍隊ではない、戦力ではないという詭弁を政府は発信し続けているのです。
石破総理に問いたいと思います。
日本国憲法で最も実態に即していない条文は第九条ではありませんか。本来なら、自衛隊が発足したときに憲法改正をしておくべきだったとも思いませんか。個人の自然的権利である基本的人権の尊重が憲法には書かれていますが、自衛権は国家の自然的権利であると考えますが、憲法には書かれていません。自衛権の明記の是非を含め、石破総理の憲法九条に対するお考えをお示しください。
本院の憲法審査会では、緊急事態条項の創設について五会派の方向性はおおむね一致しており、改正原案の策定など、歩みを着実に進めるべきです。
しかるに、自民党総裁たる石破総理は、十月、臨時国会の所信表明演説で、国会発議の目標について総理在任中と明言されましたが、以後の国会での発言等からは目標期限が一切なくなりました。これはなぜですか。
日本維新の会には、時代の変化に即して機能する政府を実現するための憲法改正を目指し、結党以来、積極的な憲法論議を行ってきた自負があります。石破総理には、自民党総裁として、憲法改正議論の結論を得るために指導力を発揮するとの決意を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
失われた三十年。国民の多くは将来に不安を抱えています。目先のことだけではなく、すぐに結果が出なくても、やり続けることが将来を大きく変えるという胆力と大局観を政治は持たなくてはなりません。国家百年の大計は教育にあり、人づくりは国づくりを単なるお題目にしてはなりません。教育、研究開発予算を大幅に増やし、人への投資を行い続ける。教育無償化が目的ではなく、教育の質を、大学の在り方を大きく変えていく。
日本維新の会は、次世代への責任を担う政党です。教育無償化とともに、社会保険料を引き下げ、持続可能な社会保障制度の実現に特に力を入れて取り組むことを国民の皆様方にお誓いを申し上げ、質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 前原誠司議員の御質問にお答えを申し上げます。
教育、子育て支援についてのお尋ねであります。
政府といたしましても、こども未来戦略の加速化プランにおきまして、三・六兆円と前例のない規模で安定的な財源を確保しながら、高等教育費の負担軽減も含め、子供、子育て支援を強化したところでございます。
所得による格差や地域の実情を踏まえた支援も重要であると考えておりますが、議員御指摘のように、全ての子供に必要な教育、子育て支援を行うための制度の在り方につきましても、真摯に議論をいたしてまいります。
高校進学率が九九%に達する現状におきまして、どこまで家計の負担軽減を図るべきかということにつきましては、子供、子育て加速化プランにおきまして児童手当の抜本的拡充や高等教育費の負担軽減を進めているところであるなど、家計を支援する様々な施策を総合的に考える必要があります。
さらに、教育の質の向上や、基盤としての国の制度と地域の実情を踏まえて地方自治体が独自に実施する支援とのバランス、安定的な財源の確保といった論点も考える必要がございます。
自民党、公明党と維新の会との間で実務者によります協議を行っているもの、このように承知をいたしておりまして、そのような論点も含めまして政党間で協議が進められる、このように考えておるところでございます。
ゼロ歳から二歳児の保育料及び給食費の無償化についてのお尋ねでございました。
幼児教育、保育の利用料につきましては、消費税の引上げという安定財源を得た際に、三歳から五歳児は広く幼稚園や保育所等を利用していることから全員を無償化しつつ、ゼロ歳から二歳児では保育所などを利用しているお子さんが約四割にとどまっていることなどから、低所得世帯について無償化したものでございます。
この対象の拡大につきましては、通園されていない方との公平性や、更なる必要な財源をどこに求めるのかといった点について検討が必要であると考えております。
学校給食費につきましては、現在の物価高などの状況を踏まえ、地域の実情に応じた保護者負担の軽減の観点から、学校給食費の支援も行えますよう、令和六年度補正予算におきまして重点支援地方交付金を追加しておるところでございます。
低所得者世帯では既に無償となっており、その割合は児童生徒の約一四%となっております。昨年末に整理、公表した課題もございます。加えまして、こども未来戦略の加速化プランに基づき、児童手当の抜本的拡充や高等教育費の負担軽減などを進めているところであり、家計などを支援する様々な施策を総合的に考慮する必要もあると考えております。
現在進めております子供、子育て政策につきまして、効果検証を丁寧に行った上で、今後の対応を検討いたしてまいります。
高等教育の無償化と国際卓越研究大学についてでございます。
大学の授業料など高等教育費につきましては、本年度から、授業料などの減額などの対象を多子世帯の中間層などに拡充した、令和七年度から、無償化の対象となる多子世帯の所得制限をなくすことといたしており、まずはこうした拡充を着実に実施に移し、その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見定めつつ取り組んでまいります。
大学ファンドによります助成の対象となる国際卓越研究大学は、総合科学技術・イノベーション会議などでの議論を踏まえ、世界最高水準の研究大学の実現を目指し、集中的な支援を行うため、数校程度にすることといたしております。これによりまして、世界最高水準の研究大学の形成を着実に進めてまいります。
社会保障の給付と負担についてのお尋ねをいただきました。
社会保険料は安心のための拠出であり、全て必要な給付として再分配されるものでございます。国民所得に対する社会保険料負担の割合はコロナ禍以前の水準に低下しておりますが、制度への不安が解消しないのは、少子高齢化に対する将来不安があるからだと考えております。
このため、年齢にかかわらず適切に支え合うことを目指す全世代型社会保障の理念にのっとり、改革工程に沿いまして、医療DXによります効率化や医療提供体制の改革、低所得の方に配慮しながら行う高額療養費の見直しなどを行う中で、保険料負担の抑制につなげます。中長期的な政策の方向性や制度の持続可能性につきましても、給付や負担の在り方を含め、真摯に議論をいたしてまいります。
社会保険料の事業主負担についてのお尋ねでございます。
事業主の社会保険料負担は、医療や年金の給付を通じて労働者を支えるための責任であるところ、これと給与との関係につきましては様々な御意見があるところであります。他方、社会保障負担の全体像について国民の皆様方に分かりやすくお示しする努力をしてまいることは、制度への理解を深めていただく観点からも重要であると考えております。
御提案につきましては、現行の法律上、事業主は給与から控除する保険料の額を被保険者に通知しなければならないこととされておりますが、給与明細の様式は事業主が任意で定めており、事業主負担分を記載するか否かは事業主が判断することとなっております。
事業主負担分の記載を政府から求めることにつきましては、事業主の御負担も含め検討する必要がある、このように考えておるところでございます。
金融資産を勘案した医療の窓口負担についてでございます。
御指摘のありました医療に介護も加え、金融資産などの保有状況を負担に反映させますことは、一昨年末に取りまとめられました改革工程におきまして、二〇二八年度までに実施について検討する取組とされておるところでございます。
現在、預貯金口座へのマイナンバーの付番促進に取り組んでおるところでございまして、こうした状況などを踏まえつつ、実務的な課題につきまして、引き続き丁寧に検討を行ってまいります。
市販品類似の医薬品の保険適用の見直しについてでございますが、医療保険制度の効率化、適正化に取り組んでいくべきという問題意識は、議員と共有をいたしておるところでございます。
御指摘の市販品類似の医薬品の保険給付の在り方につきましては、一昨年末に取りまとめられました改革工程におきまして、二〇二八年度までに検討を行うべき項目として掲げられており、患者に対する必要な保障が欠けることのないように留意をしながら、丁寧に検討を進めてまいりたいと考えております。
カルテ情報の共有と医療の質の向上についてお尋ねをいただきました。
一国民一カルテ体制を構築すべきとの御提案でありますが、医療機関が作成するカルテの情報が医療機関の間で電子的に共有をされますれば、効率的かつ良質な医療の提供に資するのは確かでございます。
このため、医療機関などで必要な電子カルテ情報が共有、閲覧できるようにするための法律を整備をいたします。これによりまして、本人も御自身のマイナポータルで必要な医療情報を閲覧できるようになります。今後、医療現場の御負担にも十分配慮をいたしながら、こうした仕組みの整備、普及を進めてまいります。
いわゆる年収の壁への対応についてでございますが、社会保険料は、相互扶助の考え方に基づく安心のための拠出であり、全て必要な給付として再分配されるものであることを踏まえますれば、その負担について、公費で労働者への直接給付や事業主への助成を行うことにより補填することにつきまして、慎重な検討が必要であると考えております。
年収の壁につきましては、当面の対応として取りまとめました年収の壁・支援強化パッケージにおいて、新たに被用者保険を適用するとともに労働者の収入を増加させる取組を行った事業主への支援などに取り組みますとともに、被用者保険の更なる適用拡大など、制度的な対応を含めました年金法改正案を取りまとめてまいります。
内部留保と賃上げについてのお尋ねを頂戴いたしました。
物価上昇に負けない賃上げの実現のためには、企業が過度に内部留保を現預金として保有するのではなく、賃上げ、人への投資、設備投資などに効果的に活用することが重要でございます。
賃金が上がり、家計の購買力が上がることで消費が増え、その結果、物価が適度に上昇する、それが企業の売上げ、業績増につながり、新たな投資を呼び込み、企業が次の成長段階に入り、また賃金が上がるという好循環の実現が重要だと考えております。
昨年十一月の政労使の意見交換におきまして、約三十年ぶりの高い水準となりました昨年の勢いで、今年の春季労使交渉におきましても大幅な賃上げを行うことへの協力を私から要請し、また、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を関係閣僚に指示をいたしたところでございます。
賃上げができますよう、多くの中小企業に利益を上げていただくため、適切な価格転嫁や生産性向上を実現し、人材、経営基盤を強化する事業承継やMアンドAを後押しをいたしてまいります。
賃上げと設備投資についてのお尋ねをいただいております。
我が国では、設備投資や雇用、賃上げの促進などを目的に、累次にわたりまして法人税率を引き下げてきましたが、令和七年度与党税制改正大綱におきまして、意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ないとの指摘がなされておりますように、大企業を中心とした高水準の企業収益の一方で、賃金や投資は伸び悩み、内部留保が増加をしているものと認識をいたしております。
政府といたしましては、賃金が上がり、家計の購買力が上がることで消費が増え、その結果、物価が適度に上昇する、それが企業の売上げ、業績増につながり、新たな投資を呼び込み、企業が次の成長段階に入り、また賃金が上がるという好循環の実現が重要だと考えております。
本日、経済界の皆様方とともに、国内投資拡大のための官民連携フォーラムを開催し、国内投資目標を示します。規制改革の検討を深めるなど、大胆な国内投資促進策を具体化してまいります。
ライドシェアなどの規制改革に関するお尋ねをいただいております。
人口減少、少子高齢化などの課題を克服し、地方の活性化につなげますため、そして、成長型経済を実現いたしますため、利用者目線を徹底し、必要となります規制・制度改革に取り組んでまいります。
ライドシェアの課題に関しましては、全国での交通空白の解消に向け、骨太方針に従い、日本版ライドシェアなどの施策の実施効果を検証しつつ、地域交通の担い手や移動の足の確保の取組を強力に進めてまいります。
更なる分権と税源移譲についてでございますが、議員御指摘のとおり、地方分権の推進と地方税の充実確保は、地方創生を実現する上で極めて重要でございます。
人口減少やデジタル化の推進など社会経済情勢の変化も踏まえ、引き続き、地方が自らの創意工夫を実現し、その潜在力を最大限引き出すことができる環境を整備するため、提案募集を行いながら地方分権改革を進めてまいります。あわせまして、地方公共団体間の税収の偏在や財政力格差の状況について原因、課題の分析を進め、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
トランプ政権の政策及び日米首脳会談につきましてお尋ねをいただきました。
日米同盟は、我が国の外交、安全保障政策の基軸でございます。
トランプ大統領の外交手法や気候変動、感染症対策、北朝鮮の非核化などに係る発信の一つ一つにコメントすることや、日米首脳会談での扱いにつき予断をすることは差し控えたいと思います。
その上で、来るべき首脳会談におきましては、トランプ大統領との間で、率直な意見交換を通じ、個人的関係を構築いたしますとともに、安全保障や経済などの諸課題につき、認識の共有を図り、一層の協力を確認して、日米同盟を更なる高みに引き上げたいと考えております。
ウクライナについてでございますが、我が国は、クリミアを含みますウクライナの主権及び領土一体性を一貫して支持しておるところでございます。
その上で、我が国といたしましては、ロシアによる侵略を終わらせ、一日も早くウクライナにおける公正かつ永続的な平和を実現すべく、引き続き、国際社会と緊密に連携して取り組んでまいる考えでございます。
日米地位協定の改正及びトランプ米大統領との関係構築についてのお尋ねでございます。
日米地位協定につきましては、総裁選の過程などにおいて、私の議員としての考え方を累次述べてまいりました。これまでに示してまいりました問題意識も踏まえまして、私は、自由民主党の中で検討するように指示をいたしまして、自民党内でアジアにおける安全保障のあり方特命委員会が開催をされ、議論が行われておるところでございます。
引き続き自民党内におきまして議論を重ねていくものと承知をいたしておりますが、党におきます議論も踏まえつつ、日米同盟の抑止力、対処力を強化いたしますとともに、在日米軍の信頼性、同盟の強靱性、持続性を高めていくという観点から検討し、適切に判断をいたしてまいります。
議員が御指摘なさいましたとおり、日米同盟はインド太平洋地域の平和と繁栄の礎であります。日米それぞれに国益はありますが、そうであればこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高め合うことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができると考えております。日米首脳会談におきましては、そうした考え方に基づき、トランプ大統領と率直に意見を交わし、信頼関係の構築に努めてまいります。
防衛力の強化についてでございますが、自衛官の処遇改善も含め、我が国の独立と平和、人々の暮らしを守り抜きますため、国家安全保障戦略などに基づき、我が国自身の防衛力の抜本的強化に取り組むべきことは論をまたないところでございます。
防衛力整備計画の四十三兆円程度という規模は、防衛力の抜本的強化に必要な水準として積み上げたものであり、円安を伴う為替レートの変動や国内外の全般的な物価上昇が生じております状況にありましても、一層の効率化、合理化を徹底し、現行の防衛力整備計画に基づいて、防衛力の抜本的強化、これを達成をいたすものでございます。
拉致問題についてのお尋ねをいただきました。
拉致被害者やその御家族も御高齢となられる中、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、その本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題であるということは常に申し上げているとおりでございます。
私といたしましても、就任いたしましてから御家族の皆様方と面会をし、いまだに肉親と再会することができないお苦しみ、拉致被害者の帰国実現まで決して諦めないという切実な思いを伺い、もう時間が残されていないという切迫感を共有しておるところでございます。
北朝鮮に対しましては、私から金正恩委員長への呼びかけを含め、これまでも様々なルートを通じまして様々な働きかけを行っておるところでございます。
日朝平壌宣言の原点に立ち返り、全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現いたしますとともに、北朝鮮との諸課題を解決するため、私自身の強い決意の下、総力を挙げて最も有効な手だてを講じてまいります。
企業・団体献金の禁止についてお尋ねを頂戴をいたしました。
議員が御指摘なさいましたとおり、企業などの政治活動の自由は憲法と最高裁の判例で保障されておりますが、献金によって政策がゆがめられることは避けなければなりません。
企業・団体献金につきましては、各党各会派で考えが様々でございますが、いわゆる企業・団体献金禁止法案につきましては、衆議院の政治改革特別委員会において、令和六年度末までに結論を得ることとされており、我が党といたしましても真摯な議論を続けてまいります。
その上で、我が自由民主党の基本的な考え方を申し上げれば、我が党といたしましては、政治資金規正法の目的及び基本理念に照らし、禁止より公開という考え方により、企業・団体献金を含む政治資金を国民の皆様方の不断の監視と批判の下に置くことによって、国民の信頼を確保していく方針でございます。このような考え方につきましては国民の皆様方からも御理解をいただきつつあるのではないか、このように感じておるところでございます。
昨年十二月には、我が党議員の提案により政治資金規正法が改正され、国会議員関係政治団体などの収支報告書につきまして検索可能なデータベースを公表する旨の規定が設けられました。また、透明性を更に向上させるための法案について、党内での議論を進めておるところでございます。引き続き、この課題について率先して議論を進めてまいります。
いわゆる世襲の議員への政治資金の引継ぎや議員定数の削減についてお尋ねを頂戴いたしました。
政治団体の政治資金は、その代表者ではなく政治団体自体に帰属するものであり、親族間で当然に引き継がれていくものではございません。
政治資金の移動の制限につきましては、政治団体や議員の政治活動の在り方と密接に関わる問題であることから、まずは国会において御議論いただくことが重要である、このように考えております。
その上で、政治家としてふさわしい方々を国民が広く選べる仕組みをつくらなければならないとの問題意識は、私も大いに共感するところでございます。自民党におきましても、公募、予備選挙などの積極的な活用を通じ、有為な人材を広く募集、発掘するように、今後とも努めてまいります。
議員定数につきましては、平成二十五年に衆議院の定数五議席、平成二十八年には衆議院の定数十議席の削減を実現したところでございます。
その後、令和四年の公職選挙法改正に際しましては、議員定数や地域の実情を反映した区割りの在り方などに関し、国会において抜本的な検討を行うものとするとの附帯決議が衆議院において付されました。
お尋ねの更なる議員定数の削減を行うべきかという点を含めまして、あるべき選挙制度につきまして各党各会派における積極的な議論が行われることを期待いたしております。
憲法第九条についてのお尋ねをいただきました。
昭和三十四年のいわゆる砂川事件最高裁判決においても認められておりますとおり、憲法第九条により、我が国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、我が国が自国の平和と安全を維持してその存立を全うするために必要な自衛のための措置を取り得ることは、国家固有の権能の行使として当然のことであると認識をいたしております。
このことも踏まえまして、政府といたしましては、憲法第九条の下で、我が国に対する武力攻撃が発生した場合、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、自衛のための必要最小限度の実力を行使することは認められている、このように考えておりまして、そのための必要最小限度の実力を保持することも認められている、このように考えております。
その上で、自民党総裁としてあえて申し上げますれば、我が党では、いわゆる自衛隊違憲論を解消するため、憲法における自衛隊の明記について活発な議論を行ってきたところであり、私も、総裁として、これまでの議論の積み重ねを引き継ぎ、後戻りさせることなく前に進めてまいる決意でございます。
内閣総理大臣の立場からは、憲法改正についての議論の進め方などについて直接申し上げることは差し控えますが、自民党総裁として申し上げれば、憲法改正は我が自由民主党の党是であります以上、総理・総裁在任中の国会の発議と憲法改正を目指すことは当然のことであり、私の各種演説もそのことを前提として行っているものでございます。
令和七年は、戦後八十年、自民党結党七十年の節目の年でございます。
我が党におきましては、これまでの様々な議論の積み重ねを踏まえ、憲法改正の実現に向けた議論を更に進めるとともに、国民世論の醸成を図るなどの取組を進めてまいります。その上で、各党各会派とも更に建設的な議論を行い、国会による発議と憲法改正の早期実現に向けて取り組んでまいりたい、このように存ずる次第でございます。
以上であります。(拍手)
――――◇―――――
○鈴木隼人君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十八日午後一時から本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されることを望みます。
○副議長(玄葉光一郎君) 鈴木隼人君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(玄葉光一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。
本日は、これにて散会いたします。
午後五時十一分散会
――――◇―――――
出席国務大臣
内閣総理大臣 石破 茂君
総務大臣 村上誠一郎君
法務大臣 鈴木 馨祐君
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣 加藤 勝信君
文部科学大臣 あべ 俊子君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
農林水産大臣 江藤 拓君
経済産業大臣 武藤 容治君
国土交通大臣 中野 洋昌君
環境大臣 浅尾慶一郎君
防衛大臣 中谷 元君
国務大臣 赤澤 亮正君
国務大臣 伊藤 忠彦君
国務大臣 伊東 良孝君
国務大臣 城内 実君
国務大臣 坂井 学君
国務大臣 平 将明君
国務大臣 林 芳正君
国務大臣 三原じゅん子君
出席内閣官房副長官
内閣官房副長官 橘 慶一郎君
出席政府特別補佐人
内閣法制局長官 岩尾 信行君