第3号 令和7年1月28日(火曜日)
令和七年一月二十八日(火曜日)―――――――――――――
議事日程 第三号
令和七年一月二十八日
午後一時開議
一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
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○本日の会議に付した案件
国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続)
午後一時二分開議
○議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。
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国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
○議長(額賀福志郎君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。重徳和彦君。
〔重徳和彦君登壇〕
○重徳和彦君 立憲民主党政務調査会長の重徳和彦です。
会派を代表し、政府四演説に対して質問いたします。(拍手)
本論に入る前に、昨日行われたフジテレビの記者会見に関連して質問いたします。
会見は十時間以上にわたりましたが、人権侵害が行われた可能性のある事案に対し、港社長が、人権への認識が不足していたとの発言はありましたが、説明が十分だったとは思えません。識者からは、経営陣の体質、人権意識の欠如という根本から出直す決意表明がなければ、スポンサーも視聴者も納得できないという声も出ています。
総理は、この会見で、公共メディアとしてのフジテレビが十分に説明責任を果たしたとお考えですか。
また、会見では、今回のトラブルが同社のコンプライアンス推進室へ共有されていないことが明らかになりました。厚生労働省の定めるコンプライアンス指針が守られていない可能性があります。
総理は、昨日、放送業界全体で人権に関わる問題が起きてこなかったか把握するべきではないかとの我が党の亀井亜紀子議員の指摘に対し、放送事業者で構成される民放連の取組を注視すると答弁されましたが、セクシュアルハラスメントについての指針が守られているかどうか、業界に任せるのではなく、政府として調査し、必要があれば改善を求める必要があるのではないでしょうか。
もう一点、豪雪地域の被害について要望があります。
昨年末から記録的な大雪による甚大な被害を受けている地域の皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、政府に対し、豪雪地域への支援を強く要望いたします。
除雪作業中の死亡事故等の人的被害が発生したほか、交通障害や農業施設への被害が発生するなど、住民生活に多大な被害が生じています。青森県では災害救助法が適用されました。
例年、雪本番はこれからです。豪雪地域からの強い要望に応え、国と県、市町村が連携した道路除排雪の継続的な実施や、農業被害への対応を含む特別交付税の増額など、更なる財政支援に特段の配慮が必要です。石破総理の見解を伺います。
さて、当初予算は政権の姿そのものです。
立憲民主党は、政権奪取を目指す野党第一党として、国民の皆様からの信頼を基盤とする安定した政権運営、そして、自民党が置き去りにしてきた様々な課題に真摯に取り組む姿勢をお示しし、自民党との違いを明確にして、政権交代の意義を国民の皆様に明確に示す責務があります。今、国民の皆様が直面する物価高にどう対処すべきか、経済と財政をどう両立させるのか、そして、いかにして失われた三十年に終止符を打つのか。立憲民主党の考え方をお示しします。
初めに、物価高対策についてです。
立憲民主党は、国民の皆様の負担を減らすこと、収入を増やすこと、この二つの側面から物価高対策を強力に進めてまいります。
まず、負担を減らす政策です。
昨日、我が党の野田佳彦代表が提案したように、政府の補助金政策の失策により高止まりするガソリン、軽油価格に係る上乗せ税率を廃止すべきです。そのための法案を準備しております。
また、次世代を担う子供たちには思い切った投資を行い、若い子育て世代の負担を減らすべきです。学校給食の無償化、高校授業料の無償化については、昨日、野田代表から提案させていただきました。学校給食無償化は、日本維新の会、国民民主党とともに法案を共同提出し、他の野党の皆様にも賛同いただけるよう呼びかけています。
学校給食においては、併せて地産地消で地元農業の振興、オーガニック給食の普及を進めるべきと考えますが、石破総理はいかがお考えでしょうか。
私たちは、ほかにも、次世代への投資、教育無償化の実現を目指しています。
政府は、今年四月から多子世帯の大学授業料無償化を実現するようですが、対象者は、扶養される子供が三人以上いる場合のみであり、非常に限定されています。大学進学の希望者や大学に進学した方の何%が無償化の対象となるのですか。所得や子供の数にかかわらず、国公立大学の授業料を無償化し、私立大学生や専門学校生に対しても国公立大学と同程度の負担軽減を行うべきではありませんか。
また、幼児教育、保育のうち、ゼロ歳から二歳の年齢区分は、現行では、住民税非課税世帯では無償化されていますが、それ以外の世帯は自治体の独自施策に委ねられており、地域格差が生じております。ゼロ歳から二歳の幼児教育、保育は、所得によらず、全国一律に無償化すべきではないでしょうか。石破総理のお考えを伺います。
次に、収入を増やす政策です。
物価以上に賃金を上げることが不可欠です。その主役は民間企業であり、具体的な賃上げの幅や内容は労使交渉に委ねられます。公務員給与は民間に準じて改定されます。
しかしながら、政府が定める公定賃金でありながら、全産業の平均賃金に比べて月額七、八万円低い水準に置かれた職種があります。介護、障害福祉、幼稚園、保育といった分野の職種です。国民の暮らしを支えるベーシックサービスであるだけでなく、介護職にあっては、今後増え続ける高齢者の暮らしを支えるため、二〇四〇年までに約六十万人増やさなければならず、人材確保が必須です。
長らく続いてきたこの処遇の問題に終止符を打つため、立憲民主党は、他の野党とともに法案を提出する予定です。介護、障害福祉、幼稚園、保育といった重要な職種を担う方々の処遇改善について、石破総理の見解を求めます。
収入を増やすため、私たち国民は働きます。働いて収入が増えた分の一部を税金や社会保険料として応分の負担をするのは当然のことです。
ところが、今の社会保険料の仕組みでは、年収が百三十万円を超えた途端に、社会保険料が一気に三十万円程度かかり、手取りが大幅に減るのです。いわゆる年収百三十万円の崖の問題です。壁ではなく、崖です。年収百三十万円の手前でそれ以上働くのを控えたくなる、この制度の理不尽をなくすのが政治の仕事ではないでしょうか。
立憲民主党は、年収が百三十万円を超え二百万円に至るまで、給付で収入を補うことによって、手取りを減らさず働き続けられるようにします。そのための法案を提出しております。百三十万円の崖を解消すべきと考えますが、石破総理、いかがでしょうか。
なお、社会保険料については、事業者側の負担軽減も、昨日、野田代表が提案しており、立憲民主党はそのための法案提出の準備も進めているところでございます。
立憲民主党は、昨年十月に発表した緊急総合対策において、中低所得世帯の所得に応じて物価高手当を支給する仕組みを提案しました。物価高は全ての国民の暮らしに影響しますが、所得の低い人ほど家計に占める生活必需品に係る経費の比率が高いことに着目し、中低所得世帯の方々の所得に応じた手当を支給し、生活に必要な可処分所得を底上げするものです。
そこでお尋ねしますが、政府として、物価高の所得層ごとへの影響をどう分析しているのか、いかに対策を講じるのか、石破総理の見解を求めます。
物価高の中で、国民の皆様の負担を減らし、収入を増やす。立憲民主党は、政策実現のために当初予算の修正を求めるとともに、責任ある政党として、そのための財源も確保いたします。
先週、国会開会前日、国会議員七十人規模の本気の歳出改革作業チームを編成しました。国民の皆様からお預かりする税金の無駄遣いを一円たりとも許さない姿勢で、各省庁ごとの予算を厳しくチェックし、基金や特別会計、予備費などの使途や在り方を検証いたします。今国会では、国会改革の一環として、与野党が合意し、予算委員会に省庁別審査を新たに設けることになりました。この省庁別審査の場でも、作業チームの検証結果に基づく事業内容の見直しを求める方針です。
また、かねてより指摘してきた金融所得課税、租税特別措置の見直しなどの税制改革に着手し、恒久財源の確保にも取り組みます。
石破総理に伺います。当初予算には、立憲民主党を始めとした野党各党の修正要求を取り入れて、より多くの国民の意見を反映させるべきと考えますが、いかがでしょうか。
さて、失われた三十年に終止符を打つ、そのための重要テーマの一つはジェンダー平等です。
私は、立憲民主党政調会長として、本格的なジェンダー平等の時代をつくりたい。性別にとらわれず、誰もが自分らしく生き、活躍することのできる社会をつくりたい。
当たり前ですが、日本の政治や経済の担い手は、男性だけではありません。日本社会は長らく男性優位の社会と言われ、国際的にも、世界経済フォーラム発表のジェンダーギャップ指数は百四十六か国中百十八位と低迷し続け、いつまでたっても上位に浮上できません。とりわけ政治分野と経済分野の順位は低いです。
それでも政治分野は、昨年の総選挙で、女性が史上最多の七十三人、うち立憲民主党が最多の三十人当選を果たすなど、国会の議席に占める女性の割合は、若干ではありますが、改善の兆しがあります。有権者の意識も着実に変化していると言えましょう。
一方、経済分野については、進展しているようには見えません。三十年前、共働き世帯が専業主婦世帯の数を上回るようになりました。そして、今や二・五倍となりました。しかし、働く女性のうち非正規雇用の割合は五割強と多くを占め、収入は男性の水準の七割台にとどまります。
非正規雇用で働く人が希望すれば正規雇用で働けるよう、派遣労働を真に労働者の専門性を発揮できる職種に限定したり、契約社員を臨時的な雇用等に限定するなど、雇用制度の抜本改革が必要と考えますが、政府の取組を伺います。
誰もが多様なライフスタイルを選択できるジェンダー平等社会の実現には、例えば子育て支援において、育児休業や保育所、学童、不登校などに関し、制度やハード面を整備するだけでなく、その運用に当たって、周囲の理解を得るためのきめ細かな配慮が欠かせません。
最近では、育児休業を取る若い社員が増えています。とてもいいことです。しかし、育児休業中の仕事を補完する周りの社員への適切な配慮や、臨時的な雇用、育休社員の職場復帰を円滑にするための支援が必要となります。政府の取組をお伺いします。
次に、エネルギーについてです。
政府から第七次エネルギー基本計画案が示されました。
立憲民主党は、国民生活と経済活動の礎であるエネルギー、とりわけ電力の需要が増加する見通しの中、その安定供給が最優先と考えております。将来的な脱炭素社会を見通すとともに、貿易赤字の一因ともなる化石燃料にできるだけ依存をせず、エネルギー自給率を高めることが国家安全保障上も緊要であります。
一方、原発については、福島原発事故の教訓を踏まえ、地震大国の我が国においては、立地周辺地域の安全を第一に考え、厳しい条件をクリアすることなくして原発の再稼働を認めることはできません。
政府は、これまでのエネルギー基本計画で明記してきた、可能な限り原発依存度を低減するという文言については今回の案では削除し、再生可能エネルギーと原子力を共に最大限活用していくという文言を新たに記述しています。これまでの低減するという方針を転換したのですか。御答弁願います。
与党を構成する公明党は、従来より、原発依存度を低減する姿勢だと認識していますが、今回の文言削除を了とされるのでしょうか。国交大臣として福島復興にも注力しておられる中野洋昌大臣にお伺いいたします。
立憲民主党は、再生可能エネルギーを最大限活用し、地域分散型エネルギー供給の仕組みを構築していく中で、電力の安定供給を前提に脱炭素化を目指していくことが、我が国のあるべきエネルギー政策と考えています。しかし、今回の計画で示された電源構成の政府目標では、前回記載していた再エネ最優先の原則が削除され、二〇四〇年に再エネ四割から五割とされています。
国内の再エネ技術は、ここ数年で急速に開発が進んでいます。熱エネルギーを活用するヒートポンプは既に世界市場を席巻し、地熱発電では強化地熱システム、これは高温の岩盤に水を人工的に注入する方式でありますが、といったシステム、風力発電では浮体式洋上風力、そして太陽光発電ではペロブスカイト。日本国内に本拠地を持つメーカーの製品をそれぞれ国内各地に普及させるのはもちろん、世界に向けて輸出する野心的な目標を掲げ、更なる技術開発や生産体制の構築を強力に支援し、日本の再エネ産業の基盤を確立させていくための戦略を組み立てるべきと考えますが、いかがでしょうか。
脱炭素化によるエネルギーの構造転換は、日本最大の基幹産業である自動車産業、そして多くの関連産業に影響を与えます。EVを始めとした電動化に加え、自動運転技術の実装、慢性的な人手不足、米国トランプ大統領の関税引上げリスクなどにさらされる自動車産業が進む道について、石破総理の見通しを伺います。
次は、デジタル化についてです。
日本でデジタル産業が伸び悩んでいるのも、失われた三十年の象徴です。
三十年前、デジタル化が日本でスタートし、電話やファクスがメールに置き換わりました。ワープロがパソコンとプリンターに置き換わりました。金融機関にはネットバンキングが導入されました。
当時の基幹系システムの構築は外部事業者に丸投げのケースが多く、今や八割の企業が老朽化、ブラックボックス化したシステムを抱えますが、システム改革を担うIT人材は退職、高齢化で四十三万人不足し、二〇二五年以降、毎年最大十二兆円の経済損失が発生すると言われています。いわゆる二〇二五年の崖と言われる問題です。
今や製造業でも、有形の製品を作り上げるだけでなく、完成後も無形のデジタル領域がクラウドサービスやアプリによって更新し続ける姿に変化しています。こうしたビジネスモデルへの対応には、多額の投資と、デジタル人材への社員のキャリアチェンジも必要です。
現在、ほとんどの国民が扱うスマートフォンやパソコンも二〇五〇年には消え去り、スマート眼鏡やスマートコンタクトレンズに置き換わるとも言われ、デジタル分野は永遠の学び直しが必要です。国を挙げて、リカレント教育、リスキリングによるデジタル人材、ITエンジニアの育成が急務と考えますが、いかがでしょうか。
他方、行政が所管するデジタル情報が国民生活の利便性向上などに十分活用されているかといえば、まだまだ実感がありません。
そこでお尋ねしますが、まず、デジタル庁自体、民間人の登用や、縦割り行政の打破をして、各省庁のデジタル部門の従来の予算や事業の寄せ集めでなく、それらを統合し効率化した効果がどのぐらい出ているのか、効率的で新しい行政モデルへどんな進化を果たしたのか、お尋ねいたします。また、マイナンバーカードやマイナ保険証の普及策において、費用対効果が疑われるデジタル政策も多いことをどう考えているのか、お尋ねします。
これまで、行政が扱う個人情報の保護の概念は広く国民に浸透した一方、所得や金融資産の把握といった国家統制的な色彩の強い分野でのデジタル情報の活用には国民からの拒絶感が強いと感じます。
本来、行政DXは、デジタル情報の活用のメリットを国民に理解いただき、デジタルのインパクトを医療や教育といった身近な分野にもブレークスルーすることであるはずです。現に、立憲民主党は、インターネット投票を導入するための法案を提出するなど、民主主義の最重要基盤のデジタル化に取り組んでいます。医療における電子カルテの共通化や、学校教育における一人一台のタブレット端末を活用した個別最適な学びなど、DXが各分野に浸透することは、ひいては日本の経済活性化につながると考えます。
ただ、根本的には、こうした情報の活用は、それを取り扱う政府が国民から全幅の信頼を置かれていなければ実行できません。そのためにも、立憲民主党は、政治改革を断行し、政権交代によって、クリーンで公正かつ透明な政府をつくり、国民からの信頼を基盤とする政権をつくりたいのです。
デジタル情報の公共分野における活用をどう進めていくのか、方針をお尋ねします。また、その前提として、行政分野のDXへの国民からの信頼を得るため、石破政権として、政治改革を含め、どう取り組んでいくのか、答弁をお願いいたします。
さて、次は社会保障です。
日本人の平均寿命は、この三十年で男女とも五年延びました。ただ、人生百年時代と言われて久しいですが、若い方々から百歳まで生きたいという声は余り聞きません。百年、健康で生きられる気がしないのだと思います。私たちは、今こそ、健康百年、健康長寿のための制度をつくらなければなりません。
日本人の死因の上位は、半世紀前、今の医療制度ができた頃は結核などの感染症が多くを占めましたが、昨今では生活習慣病が圧倒的に増えました。この疾病構造の変化に伴い、時代に合った医療制度に改革する必要があります。
かかりつけの家庭医制度を導入し、治療から予防へと制度の主眼を転換すべきです。平時から家庭医を登録し、医師の仕事は、病気になってから治療するのではなく、人が病気にならないようにすることを目標とします。食事、運動など各分野との協力体制も必要です。フリーアクセスを維持しつつも、総合診療医として日常的な観察や相談を行い、高度医療にもつなげる仕組みです。ふだんから本人の病歴や家族、仕事の環境も知る家庭医ならば、対面でない遠隔診療でも適切な診断が可能となります。いざというときに身近に相談できる医師がいれば、救急車の頻回利用や搬送先の勤務医の過重労働も緩和されるでしょう。
かかりつけ医を登録する家庭医制度の法制化について、石破総理の御見解はいかがでしょうか。
政府は、患者の窓口負担を一定額までに抑える高額療養費の上限額引上げを決定しました。当事者のがん患者の方々からのヒアリングも一切行われなかったと聞きます。当事者の方々からは、今回の引上げが実現したら、経済的な理由から、今受けている投薬やがん治療を断念せざるを得なくなる、命を奪われかねない自己負担引上げはやめていただきたいとの切実な反対意見が続出をしております。
高額療養費の自己負担引上げについては、令和七年度は今年八月から始まり国の予算削減効果は二百億円とのことですが、来年度は一旦凍結し、がん患者などの方々の御意見をよく聞いた上で、その対象や方法を含め再検討すべきではありませんか。
昨今、医薬品不足が医療現場に深刻な影響を与えています。その根本原因の一つが、薬価の過度な削減です。
薬価の見直しは、従来、診療報酬改定と合わせ、二年に一回行われてきました。しかし、二〇一六年の四大臣決定を契機として、その中間年にも薬価が改定されるようになりました。その結果、薬価は毎年引き下げられ、医薬品産業が予見性を持った投資判断や十分な収益を確保できず、賃金の低下、離職者の増加といった事態まで招いています。
立憲民主党は、国民民主党と共同で法案を提出し、医薬品不足を解消するため、中間年改定を廃止し、原則どおり二年ごとの改定とすることを求めています。石破総理の見解を求めます。
三十年前の阪神・淡路大震災は、ボランティア元年と呼ばれ、災害時の日本人の底力が示されました。そして、それまで公の仕事は行政が担うものとされていた常識が、志を持った市民が集い、行動し、お互いに助け合って地域社会をつくるという新たな常識に塗り替えられました。その流れが、一九九八年のNPO法の制定、そして二〇〇九年に民主党政権が打ち出した新しい公共という政策につながっていきました。
石破総理は、ボランティア元年以来のこうした社会の変化や、民主党政権が進めた新しい公共の政策をどう評価されていますでしょうか。
日本は、経済は発展しましたが、夏の異常な気温、少子高齢化社会、地方の再生、多文化共生など、数多くの社会的課題を抱える課題先進国でもあります。
これからの時代は、資本主義経済の中にあって、経済成長と社会的課題の解決との両立が求められます。企業経営者は、経済的リターンのみでなく、社会貢献的な影響、社会インパクトを重視する経営が求められます。これを促すのが、投資家によるインパクト投資です。いわば経済版の新しい公共です。若い起業家は、経済的利益と併せ、必ずと言っていいほど社会貢献を経営目標としています。若い世代は社会ニーズに敏感なんです。
インパクト投資を促進するための市場環境づくりが必要と考えますが、石破総理はいかがお考えでしょうか。
最後に、外交、安全保障について質問します。
五年間で四十三兆円に上る防衛費は、規模ありきで極めて問題があります。来年度当初予算案でも、過去最高の八兆四千七百四十八億円の防衛費が計上されています。今後、米国トランプ大統領が我が国の防衛費の更なる上乗せを求めてくる可能性もある中、国会での丁寧な説明もなく防衛費を際限なく増やし続ける政府の姿勢は、到底、国民の納得が得られるものではありません。まして、予算執行段階において、防衛産業と防衛省との不適切な関係など、納税者が疑念を抱く事態が発生をしています。
厳しい安全保障環境に置かれる我が国の現状において、防衛費増額の方向性は理解します。理解しておりますが、その原資は国民の税金であります。予算規模ありきではなく、必要経費の積み上げについて十分な理解が得られるだけの説明責任が伴います。石破総理の答弁を求めます。
まして、東日本大震災の復興を支えるために国民の皆様に御負担をお願いしたはずの復興特別所得税を防衛増税に流用するなどということは言語道断です。今回政府が先延ばしにした二千億円の所得税増税は撤回すべきと考えますが、いかがでしょうか。
今国会に能動的サイバー防御に関する法案が提出される予定です。
立憲民主党が一昨年末まとめた「外交・安全保障戦略の方向性」では、能動的サイバー防御の重要性に触れ、国民の権利を最大限に保障しながら、包括的な立法を早急に検討すべきとしています。
企業や官庁などに対する外国勢力と見られるサイバー攻撃は年々増加しています。社会混乱や経済損失だけでなく、ハイブリッド戦などと称される、平時と有事の境目のない安全保障の観点が必要とされることからも、法整備の必要性は十分理解しています。
他方、憲法の通信の秘密との関係や、アトリビューション、攻撃元の特定の法的根拠、目的外利用の禁止、国会又は第三者機関による監視など、多くの懸念される論点があり、丁寧な国会審議が必要です。
能動的サイバー防御に関する法案の審議における政府の姿勢を問います。
国交正常化六十周年を迎える韓国の政界が揺れていますが、北東アジアの安全保障環境への対応のため、良好な日韓関係は何としてでも継続しなければなりません。
今月十七日、私は、立憲民主党の党外交として、大西健介議員、源馬謙太郎議員とともにソウルを訪れ、数年来親交のある与野党の主要な議員と面会してきました。朱豪英副議長や与党議員とも両国の友好関係を確認しましたが、尹大統領と対立する野党議員も、これまで日本に対して厳しい一面がありましたが、最近の韓国の国民世論の動向も踏まえ、対日関係の重要性を強く意識している感触を得てまいりました。訪日者数が年間八百万人に上る韓国国民が日本に好意的な印象を持つようになってきた、その世論も与野党双方の認識を支えていると感じました。
先日訪韓された岩屋外務大臣や、同副議長の訪問を受けた石破総理も、同様の感触を得たのではないでしょうか。石破総理と岩屋外務大臣に御答弁をお願いします。
また、六十周年の今年、日韓の信頼関係を強化するため、何かの事業を検討していますか。特に、日本における韓国国民の入国手続を円滑化する措置の検討を行っていると承知しています。私からは、飛行機の待ち時間を利用して指紋や顔写真による本人確認など一部手続を済ませるプレクリアランスの実施を提案いたしますが、いかがでしょうか。また、日本から韓国への渡航者にも適用すべきではないでしょうか。
以上、内政と外交について質問させていただきました。
特に内政については、政権交代によって、失われた三十年に終止符を打ち、多くの国民が希望を持てる長期的、大局的な国家ビジョンを示すことこそ、政治家の仕事です。
現在、物価高の中、日々の生活や事業運営の窮状を訴える声を聞く一方、コロナ以来続く巨額の歳出予算に対して、財政が心配という声も聞こえてまいります。昨年夏に岸田内閣が行った大規模な経済対策に対しても、どうせ後で増税が待ち受けているのだろうと、冷めた声も少なくありませんでした。有権者は黙ったままです。でも、よく見ておられます。
失われた三十年は、事ほどさように、次世代への責任と長期的視点に欠けた政治の結末だと考えます。
立憲民主党は、政権を担う責任ある政党として、次世代への投資を積極的に行うと同時に、次世代へのツケ、すなわち次世代からの搾取は厳に慎む姿勢で今後の審議に臨む決意です。国民の皆様、とりわけ、将来を担う若い世代からの信頼と負託をいただきながら、この国を立て直してまいります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 立憲民主党政務調査会長重徳和彦議員の御質問にお答えを申し上げます。
放送事業者における対応についてお尋ねを頂戴をいたしました。
御指摘の事案につきましては、一月二十三日、総務省からフジテレビに対し、第三者委員会において早期に調査を進め、結果を踏まえた適切な対応を行うよう、既に要請をいたしておるところでございます。
こうした対応を通じまして、同社が説明責任を十分に果たすことが重要である、このように考えております。
放送業界におけるセクハラ問題についてでございますが、職場におけるセクシュアルハラスメントは、働く方の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させるものであり、断じて許されない行為である、このように考えております。
ハラスメントを防止し、労働者が安心して働くことができる職場環境を整備するため、男女雇用機会均等法に基づき、事業主は雇用管理上の措置を講じることが義務づけられているところでございます。御承知のとおりであります。
一般論として、ハラスメント防止措置義務違反が疑われる場合には、都道府県労働局において報告徴収を実施し、是正指導を行うなどの必要な対応を行っており、引き続き、法の適切な履行を確保いたしてまいります。
豪雪地域の支援につきましてお尋ねを頂戴をいたしました。
議員は、青森県勤務の御経験もお持ちですので、よく実情を御案内のことかと存じます。青森市を始めといたします青森県内各地で例年を大きく上回る積雪があり、自治体からの要望を踏まえ、市道から国道に掃き出した雪を国が一斉に運搬排雪するなど、国と自治体が連携した道路除排雪の支援に取り組んでおるところでございます。豪雪はこれからであるというのは、同じ日本海側で育った私としてもよく認識をしておるところでございますが、国による道路除排雪経費の補助や特別交付税の交付につきましては、積雪状況などを踏まえて適切に対応いたしてまいります。
農業分野では、農業用ハウスの倒壊などの被害報告があり、こうした被害に対しましては、農業共済の共済金の早期支払い、長期、低利の災害関連融資などにより、支援を行ってまいりたいと考えております。
学校給食におきまして、地産地消を進めることや、有機農産物、いわゆるオーガニック農産物を活用することにつきましては、食育の推進や安定的な販路の確保を通じた地域農業の振興を図るとの観点から、給食現場と生産現場の連携体制の構築などへの支援を行っているところでございます。地方創生交付金の活用といったことも考えられるもの、このように思っておるところでございます。
高等教育及び幼児教育、保育の無償化についてでございますが、大学の授業料など高等教育費につきましては、本年度から、授業料などの減額等の対象を多子世帯の中間層などに拡充、令和七年度から、無償化の対象となる多子世帯の所得制限をなくすことといたしており、まずはこうした拡充を着実に実施に移し、その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見定めつつ取り組んでまいります。
なお、令和七年度以降の多子世帯における大学等の授業料等の無償化につきましては、対象となる学生等の割合は一五%程度と見込んでおるところでございます。
幼児教育、保育の利用料につきましては、消費税の引上げという安定財源を得た際に、三歳から五歳児は広く幼稚園や保育所等を利用していることから全員を無償化しつつ、ゼロ歳から二歳児では保育所等を利用している子供が約四割にとどまっていることなどから、低所得世帯について無償化したものでございます。
この対象の拡大につきましては、通園されていない方との公平性や、更なる必要な財源をどこに求めるのかといった点について検討が必要であると考えております。
ゼロ歳児から二歳児も含めました子育て世帯への支援策としては、こども未来戦略の加速化プランに基づき、児童手当の抜本的拡充、これは第三子以降三万円などでございますが、こども誰でも通園制度の創設などの大規模な改革を進めており、現在進めている子供、子育て政策について効果検証を丁寧に行った上で、今後の対応を検討いたすこととしております。
介護、障害福祉、幼稚園、保育分野における処遇改善についてでございます。
これら対人支援を担われる方々の処遇改善について、賃金水準や賃上げに向けた費用負担の仕組みなどの状況は異なるものの、いずれも重要な課題であるということは認識をしておるところでございます。
介護、障害福祉分野につきましては、令和六年度の報酬改定で措置した処遇改善加算の更なる取得促進に向けた要件の弾力化や、先般の補正予算に盛り込みました生産性の向上や職場環境の改善など更なる賃上げに向けた支援を通じて、賃上げを進めてまいります。
幼児教育、保育分野につきましては、令和七年度予算におきまして、幼稚園教諭、保育士などにつきまして一〇%を上回る大幅な処遇改善を行うことといたしており、引き続き、こども未来戦略に基づき、民間給与動向等を踏まえた更なる処遇改善に取り組んでまいります。
いわゆる百三十万円の壁、議員のお言葉をおかりすれば崖ということになりますが、いわゆる百三十万円の壁への対応についてでございます。
百三十万円を超えた者に対して給付で収入を補うという御党提出の法案の取扱いにつきましては、国会で御議論いただくべきことではございますが、御提案は、保険料を公費で補填するものであり、賃金以外の収入も含めた所得をどのようにきめ細かく迅速に把握するのかなど、実務上の負担が大きいといった課題がございます。よって、慎重に検討する必要がある、このように理解をいたしておるところでございます。
政府といたしましては、いわゆる百三十万円の壁への対応につきまして、当面の対応として年収の壁・支援強化パッケージの活用に取り組みますとともに、働き方に中立的な制度を構築する観点から、被用者保険の更なる適用拡大など、制度的な対応を含めた年金法改正案を取りまとめてまいります。
物価高の所得階層ごとへの影響とその対策についてのお尋ねをいただきました。
消費支出に占めます食料品やエネルギーの割合は収入が低い世帯ほど高い傾向にあり、食料品などの価格上昇の影響を受けやすいと認識をいたしております。
物価上昇に負けない賃上げの実現に向けて、日本全体で賃金が上がっていく環境をつくっていくことが基本でありますが、こうした賃上げの効果が出るまでの間にも物価高対策を講じてまいります。
具体的には、地域の実情に応じて、エネルギーや食料品価格の高騰に苦しむ方々、価格転嫁が困難な中小企業、学校給食費への支援などを行う重点支援地方交付金、低所得者世帯の方々に対する、世帯当たり三万円、子供一人当たり二万円を加算する給付金など、総合経済対策で決定した施策を迅速に執行をいたします。
令和七年度予算についてお尋ねをいただきました。
令和七年度予算は、コストカット型経済から高付加価値創出型経済への確実な移行とともに、我が国が直面する構造的な変化への的確な対応や、国民の皆様の安心、安全の確保のためのものでございます。政府といたしましては、多くの御賛同が得られますよう、予算に盛り込んだ各施策について丁寧に説明を尽くしてまいります。
党派を超えた合意形成を図るためには、与党、野党共に責任ある立場で熟議し、国民の皆様方の納得と共感を得られるように努めることが必要であります。御党の御主張も十分に拝聴し、真摯に議論をいたしてまいる所存でございます。
非正規雇用に関する政府の取組についてでございます。
二〇一五年以降、正規雇用労働者の数は九年連続で増加をいたしており、特に女性でその傾向が見られます。また、いわゆる不本意非正規の割合は減ってきております。一方、若年層では不本意非正規の割合が高い等の課題がございまして、引き続き、誰もが希望する働き方の実現に向け取り組むことが重要であると考えております。
このため、政府といたしましては、これまで、労働者の多様な雇用機会を確保しつつ労働者保護を図る観点から、例えば、派遣労働者の雇用の安定のための措置、有期契約労働者の無期転換ルールの導入など、必要な制度整備を行ってきたところでございます。
引き続き、こうした制度の履行確保を図るとともに、望まない非正規雇用を減らすための正社員への転換の支援や同一労働同一賃金の推進などに取り組んでまいります。
育児休業の取得支援についてでございますが、男女共に気兼ねなく育児休業を取得でき、円滑に復職できるようにするためには、周りの社員の方々を含めた職場環境の整備を進めていくことが重要でございます。
このため、中小企業に対する労務管理の専門家による個別の相談支援に加えまして、育休社員の業務をカバーする同僚の方にいわゆる同僚手当を支給する場合に、育休関係者お一人につき最大百四十万円、育休中の代替要員の新規雇用を行った場合に最大六十七・五万円を支給する助成金を設けておりまして、引き続き、職場環境の整備を促すとともに、制度の活用、普及促進に努めてまいります。
第七次エネルギー基本計画案における原子力の方針についてでございますが、これまでのエネルギー基本計画では、可能な限り原発依存度を低減する、また、必要な規模を持続的に活用すると記載されておりました。これは、原発依存度が東日本大震災前の約三割から下がり、一方で必要な原発は活用していくという趣旨であり、この考えは第七次エネルギー基本計画等においても変わるものではございません。
今回、再エネを最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようバランスの取れた電源構成を目指すという考え方が明記されました。この考え方の下で、二〇四〇年のエネルギーミックスとしては、原子力の比率は二割程度を示しておるところでございます。
再エネ産業についてでございますが、我が国の再エネ産業の成長に向け、世界をリードし得る技術について、研究開発やサプライチェーン構築、初期需要の創出等を支援し、早期の社会実装、普及拡大を進めることは極めて重要であります。
既に、例えば、日本発の技術で、国内で調達可能なヨウ素を主な原料とする、議員御指摘のように、薄くて軽いペロブスカイト太陽電池につきまして、産官学で検討を深め、量産技術の確立、生産体制の整備、初期需要の創出に取り組み、二〇四〇年には二十ギガワットの導入を目指す戦略を策定したところでございます。
御指摘の浮体式洋上風力や地熱発電などを含めまして、我が国の再エネ産業の基盤を確立すべく、戦略的に取り組んでまいります。
我が国の基幹産業であります自動車産業が引き続き国際競争を勝ち抜くためには、GXとDX、さらにはサプライチェーンに関する諸課題に的確に対応していく必要がございます。
このため、GXにつきましては、EVや合成燃料、水素など多様な選択肢を可能とするイノベーションの推進、DXにつきましては、自動運転等を可能とするAI、半導体や、サイバーセキュリティーの開発加速と社会実装を進める制度整備、地政学的な環境変化に対しましては、強靱なサプライチェーンの構築を官民連携して進めていくことが重要である、このように考えております。
デジタル人材育成についてのお尋ねをいただいております。
御指摘のとおり、国を挙げてのデジタル人材、ITエンジニアの育成は急務であると考えております。
二〇二二年度から二〇二六年度末までの五年間に合計二百三十万人のデジタル人材の育成を目指すという目標を設定し、政府一丸となりまして、リカレント教育、リスキリングの支援に取り組んでおるところでございます。
これまで、年度目標を上回る人数を育成しておりまして、今後とも、目標達成に向け着実に取り組んでまいりたいと考えております。
デジタル庁の効果でございますが、デジタル庁は、民間の専門人材も活用することで、従来ばらばらでありました各府省システムを統合、効率化するなどの取組を進めておるところでございます。例えば、各府省に対し共通のIT環境を提供することで、オンライン会議や電子文書の共同編集を容易にするなど、デジタル技術を活用した業務効率化が進んでおります。
マイナンバーカードやマイナ保険証は、安全、便利で効率的なデジタル社会の実現や、よりよい医療の提供に当たり、重要なものであります。その普及に当たって必要な予算を計上してきたものでございますが、より一層、費用対効果が発揮されますよう、利活用できるサービスを拡大する等の取組を進めてまいります。
デジタル情報の公共分野における活用についてお尋ねを頂戴をいたしました。
デジタル化の推進に当たりましては、個人情報の保護など、国民の皆様の不安を払拭しつつ、そのメリットが実感できる分野を着実に増やしていくことが重要であると考えております。
デジタル社会の実現に向けた重点計画では、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会の実現を目指すことといたしております。例えば、御指摘の医療や教育の分野におきましても、個人情報保護等を確保しつつ、データ連携を進める実証等を行い、その具体的な効果を示し、行政分野のDXへの信頼を得るべく、政治改革の実現と併せまして取組を進めてまいりたいと考えております。
家庭医制度についてお尋ねを頂戴いたしました。
生活習慣病の増加など、近年の疾病構造の変化等を踏まえますれば、予防医療の推進も重要な課題であり、地域の身近な医療機関におきまして日常的な診療などのかかりつけ医機能を担うことは重要でございます。
こうした考えの下、令和五年の医療法改正において、医療機関から、かかりつけ医機能の有無について報告を求めた上で、地域の関係者で協議をし、必要な機能を確保する仕組みを創設したところでございます。これは、議員御指摘の家庭医の登録制度とは異なりますが、フリーアクセスを維持しつつ、かかりつけ医機能が適切に発揮されますよう、来年度からの実施に向けて取り組んでまいります。
高額療養費制度の見直しについてでございます。
高額療養費制度は、医療費の自己負担に上限額を設ける重要なセーフティーネットですが、高齢化や高額薬剤の急速な普及などによりその総額が年々増加する中で、現役世代を中心に保険料負担は大きな課題となっております。
こうした状況を踏まえ、制度のセーフティーネットとしての役割を将来にわたって維持しつつ、保険料負担の抑制にもつなげますため、見直しを行うことといたしました。
その際、負担能力に応じて引上げ率を緩和するなどの、低所得の方や長期にわたって医療を受けておられる方の経済的負担に十分配慮をいたしております。
見直しに当たりましては、様々な立場の有識者で構成される専門の審議会において複数回の御議論をいただくなど丁寧なプロセスを経ており、引き続き、見直しの趣旨、内容について説明を尽くしてまいります。
医薬品の供給不足、薬価制度の見直しについてお尋ねをいただきました。
高齢化などにより医療費が増加する中、薬価改定につきましては、国民皆保険の持続性を考慮し、適時適切に実施することが重要でございますが、同時に、暮らしに欠かせない薬の安定供給確保の要請や、革新的な新薬の開発力を強化していく要請などにも応えていく必要がございます。
今回の改定でも、医薬品の安定供給の観点から、最低薬価の引上げや不採算品の薬価の引上げを行うことといたしておりますが、仮に改定を実施しない場合には、こうした対応も適時に行えなくなるといった課題もございます。
こうした点も含めまして、診療報酬改定がない年の薬価改定につきましては、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給の確保、国民負担の軽減といった要請についてバランスよく対応する中で、その在り方について検討いたしてまいります。
新しい公共及びインパクト投資についてでございますが、重徳議員御指摘のとおり、災害対応の分野を始め、ボランティアの活動の重要性は一層高まっていると認識をいたしております。民主党政権下におきましても、新しい公共として、全ての人々に居場所と出番があり、様々な主体が積極的に公に参加する社会づくりを促進してこられたと承知をいたしております。
自民党政権といたしましても、これまで、認定NPO法人に対する税制優遇措置の拡充等を通じ、NPO法人の活動促進に取り組んできたところであり、これらは、重徳議員御指摘の新しい公共にもつながるものと考えております。
また、近年、一定の投資収益を確保しつつ社会、環境的効果の実現を目指すインパクト投資が注目を集めており、政府としても、基本的な考え方をまとめた指針を公表するなど、その促進に向けて取り組んできたところでございます。
今後も、先般閣議決定された経済対策に沿いまして、官民の幅広い関係者が参画する協議の場において、本年六月までに、地域の取組事例や投資手法のポイントを取りまとめるなど、インパクト投資の更なる普及、浸透に向けた取組を進めてまいります。
防衛力の強化及び財源確保についてお尋ねをいただきました。
防衛力整備計画の四十三兆円程度という規模は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、防衛力の抜本的強化に必要な水準として積み上げたものでございまして、規模ありきではございません。
引き続き、国家安全保障戦略などに基づきまして、防衛力の抜本的強化を着実に進めていく考えであり、国民の皆様方の御理解が得られますよう、今後とも丁寧な説明に努めてまいります。
なお、防衛力強化に係る財源確保に関しましては、復興財源の総額を確実に確保することといたしており、流用との御指摘は全く当たりません。
また、防衛力の強化は、国民の命、暮らしを守るためのものであり、個人に広く裨益するものであることを踏まえまして、そのための税制措置につきましては、所得税につきましても対象とされたものでございます。こうした考え方は現時点でも当てはまるものであり、令和五年度税制改正大綱等の基本的方向性を踏まえつつ、引き続き検討されるもの、このように考えております。
能動的サイバー防御に関する法案の審議における政府の姿勢についてでございますが、我が国のサイバー対応能力の向上は、現在の安全保障環境に鑑みますと、ますます急を要する課題でございます。国、重要インフラなどに対するサイバー攻撃を排除するため、能動的サイバー防御を可能とする法案を今国会に提出をいたします。
法案の提出及び審議に当たりましては、与野党の皆様及び国民の皆様方から広く御理解がいただけますよう、政府の考え方を丁寧に説明をいたしてまいります。
日韓関係についてお尋ねを頂戴をいたしました。
日本と韓国は、互いに、国際社会における様々な課題への対応にパートナーとして協力していくべき重要な隣国でございます。韓国には内政上の動きがあり、また、日韓両国には隣国であるがゆえに難しい問題もございますが、現下の戦略環境の下、日韓関係の重要性は変わるものではございません。
日韓国交正常化六十周年における交流事業などにつきましては、両国国民や両国の未来にとって重要であるとの観点から、準備を進めていくことを日韓間で確認をいたしており、特に、日韓関係の未来を担う若者の交流を更に後押ししていこうということで一致をいたしております。韓国側とは、引き続き緊密に意思疎通をいたしてまいります。
日韓双方における相手国国民の自国への入国手続の円滑化のための措置につきましては、そうした国民間の交流を後押しする取組の一つとして、どのような対応が可能なのか、韓国側とも意思疎通をしつつ、検討を続けているところでございます。
残余の御質問につきましては、関係大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
〔国務大臣中野洋昌君登壇〕
○国務大臣(中野洋昌君) 重徳和彦議員から、第七次エネルギー基本計画案に対する公明党の見解についてお尋ねがありました。
お尋ねの点につきましては、国土交通大臣としてこの場に立っており、公明党としての見解を申し上げる立場にはございませんので、答弁は控えさせていただきます。(拍手)
〔国務大臣岩屋毅君登壇〕
○国務大臣(岩屋毅君) 重徳和彦議員にお答えいたします。
日韓関係についてのお尋ねがございました。
日韓関係についての認識は、先刻、総理からお答えいただいたとおりでございますが、先般の私の韓国訪問におきましては、日韓外相会談、大統領権限代行への表敬、また、野党から選出されておられる国会議長との面談などを通じまして、核・ミサイル活動やロシアとの軍事協力を進める北朝鮮への対応を含めて、日韓、そして日韓米が緊密に連携していくことの重要性を改めて確認をしたところでございます。
このような認識に立ちまして、今年の日韓国交正常化六十周年の諸事業を、日韓関係改善のモメンタムを維持発展させていくべく、引き続きしっかりと実施をし、また、外相間でも緊密に意思疎通を図っていきたいと考えております。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 西岡秀子君。
〔西岡秀子君登壇〕
○西岡秀子君 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子です。
ただいま議題となりました石破総理大臣の施政方針演説に対して、会派を代表して質問いたします。(拍手)
元日の能登半島地震から一年が経過し、十七日には阪神・淡路大震災から三十年目を迎えました。能登半島においては九月にも豪雨災害に見舞われ、深刻な被害をもたらしました。昨年は、全国各地において自然災害が多発し、多くの貴い命が失われました。改めて、犠牲になられた皆様の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。一日も早い復興復旧に向けて取り組んでまいります。
まず、手取りを増やす政策について質問いたします。
さきの総選挙で、国民民主党は、手取りを増やす政策を訴え、多くの国民の皆様から御支援をいただき、議席を増やすことができました。昨年は、大企業を中心に五%を超える高水準の賃上げが実現し、今まさに賃金デフレを脱却できるかどうかの瀬戸際です。
昨年十二月、百三万円の壁は、百七十八万円を目指して来年から引き上げることが自民党、公明党との三党幹事長の間で合意されました。しかし、自民、公明党からの提案は百二十三万円への引上げで、到底受け入れられず、税制改正大綱には、政府案として、基礎控除、給与所得控除それぞれ十万円ずつ、合わせて二十万円の引上げ、百二十三万円とすることが明記されました。
大綱を見ると、二十万円の引上げによる減収は平年度ベースで六千五百八十億円となっており、大綱には、この改正は基礎控除や給与所得控除の最低額が定額であることに対しての物価調整を行うことであることを踏まえて、特別の財政措置を要しないと記されております。一方で、国民民主党が引上げを主張すれば、新たな財源が必要だという判断となる。これでは御都合主義ではないでしょうか。果たして幾らまでの引上げなら新たな財源措置が不要であるのか、総理に明快な御答弁を求めます。
施政方針演説では、百三万円の壁の引上げについて全く言及がありませんでした。一方、百五十万円程度への更なる引上げを政府・与党が検討しているとの報道もあります。これは事実でしょうか。百七十八万円を目指すとの公党同士の三党合意は極めて重いものです。百二十三万円以上の高水準に引き上げる必要が当然あると考えますが、総理自身のお考えを明確にお示しください。
政府・与党は、百七十八万円まで引き上げると七兆円を超える減収となると言いますが、そもそも、本年度当初予算の税収と来年度当初予算の税収を比べると、十二兆円の増収となっています。消費税率に換算すると五%弱に当たる大幅な税収増です。納税者の立場からすると、一年間で十二兆もの税負担が増えることとなります。この増収は、明らかに税金の取り過ぎです。だからこそ、国民民主党は、百三万円の壁を百七十八万円まで引き上げて、七兆円程度、国民の税負担を軽くすることを提案しています。
来年度も過去最高の税収となることが見込まれ、今こそ、インフレ等で増え過ぎた税負担を適正な水準に抑制し、物価高騰で苦しむ国民生活を守るべきであると考えますが、総理の基本的な認識を伺います。
みずほリサーチ&テクノロジーズの調査によると、二〇二四年の家計負担の増加は年間九万円と見込まれています。国民民主党が掲げる百七十八万円への引上げによる減税効果と合致する数字です。百二十三万円では、年収二百万円から六百万円の世帯で年間五千円から一万円程度の減税効果しかなく、物価高騰対策としても、消費の活性化策にも極めて不十分です。
総理は、最低賃金を二〇二〇年代に全国平均千五百円まで上げるという高い目標を掲げておられます。そうであれば、労働力確保の観点からも必要な施策であるはずです。総理の見解をお伺いいたします。
総理は、トラス・ショックのことを引き合いに百七十八万円への引上げを牽制されていますが、トラス・ショック時、英国の財政赤字の対GDP比は約六・四%で、前年比、三・九%から二・五%悪化していた状態でした。これに対し、日本における二〇二五年度の国の財政赤字の対GDP比率は約二・七%で、前年比、二〇二四年の四・五%から大きく改善しています。したがって、トラス・ショック当時の英国と比較するのは、過度に不安をあおるもので不適切と考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
国民民主党は、他党に先駆け、二〇二一年の衆議院選挙の公約として、トリガー条項凍結解除を訴え、また、五十年以上据え置かれたままの暫定税率廃止、二重課税廃止を一貫して主張してきました。今回、三党幹事長間でガソリンの暫定税率廃止を合意したことは大きな前進です。
ガソリン、軽油、灯油、重油を対象油種として、その高騰対策として、政府は、二〇二二年一月から石油元売への補助金の延長を繰り返してきました。現在、価格抑制の補助金が暫時縮小されており、今後、ガソリンの店頭価格が百八十五円を超えて高騰することが予想されています。離島地域においては既に二百円を優に超えています。国民生活、特に地方の暮らしに車は必需品です。家計の負担増に直結します。速やかに、ガソリン価格の高騰対策の出口戦略としても実現すべきです。総理の看板政策である地方創生にも最も効果があるのではないでしょうか。総理のお考えをお伺いいたします。
能登半島災害対策について御質問いたします。
昨年成立した補正予算等に我が党が被災地の現場からお預かりした声を盛り込むことができましたが、今なお、元の生活に戻ることができず、多くの方々が苦難の中におられます。今後も、現地の声をしっかり受け止め、被災者の皆様に寄り添い、復旧復興に万全を期していただくことを政府に求めます。
また、野党三党で被災者生活再建支援法改正案を提出していますが、現下の物価高騰を受けて、支援金を現行の最大三百万円から六百万円に倍増することなどが盛り込まれています。二十一年間この金額が変わっておらず、この改正案を成立させるべきです。総理の見解をお伺いいたします。
能登半島においても、災害から守られた大切な命が避難を続ける中で失われる災害関連死が、災害で亡くなられた方を上回る事態となっています。調査によると、七十代以上が九割を占め、体調悪化の主な場所として避難所が多く、寒さや断水などライフラインの途絶による生活環境の悪化、避難場所を移動することによる負担などが指摘されています。過去の災害でも繰り返し課題とされ、今回の教訓も含めて、避難所等の環境整備は待ったなしの課題です。避難所のスフィア基準に合致した質の向上のために、予算措置も含めて、徹底した政府の取組が必要です。
衆院選後、自民、公明両党との三党協議の中で、全国の避難所となる公立小中学校体育館の空調設備の早期導入とランニングコスト支援を我が党からも要望し、補正予算等に盛り込むことができました。昨年九月時点で設置率は僅か一八・九%、年間平均の進捗率も三・四%にとどまっており、令和十七年度までに九五%整備するという現在の目標では対応が遅過ぎます。児童生徒を熱中症のリスクから守る意味でも、設置の加速化が必要です。総理の見解をお伺いいたします。
能登半島災害では、交通網の寸断による集落の孤立や、広範囲そして長期間にわたる断水など、ライフラインの復旧に長期間を要するなど、半島という地形特有に起因する脆弱性が明確となりました。この教訓を防災対策に生かし、改善していく今後の方向性について、総理にお伺いいたします。
また、早急な被災者の救助や支援のためにも、過酷な状況の中での救助や、被災地に入りライフラインの復旧に当たる方々、応援の自治体職員、ボランティアなど、必要な支援に従事していただく方々への支援体制の強化も重要です。今後の対応を総理にお伺いいたします。
先日、南海トラフ巨大地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の一部でも発生率が引き上げられ、首都直下地震も含めて万全の備えが急務です。令和八年度中に、防災庁の設置によって、我が国の防災体制がどのように変わり、どのように強化されるのか、内閣府防災との役割、また、地方創生二・〇の中で、防災庁など政府機関の地方移転、国内最適立地を推進しますと記されておりますが、その全体像について、総理にお伺いいたします。
次に、政治改革についてお伺いいたします。
昨年、民主主義の土台である政治の信頼が大きく失墜しました。いまだその原因究明もなされておらず、国民の信頼は回復されていません。昨年、政策活動費の廃止、旧文通費の公開と残金返納、第三者機関の設置を含む政治改革関連三法案が成立し、企業・団体献金についても、三月を目途に議論し成案を得ることになっております。議論を加速する必要があります。法律は成立しましたが、これからがスタートです。今後いかに法律を実効性のあるものにしていくのか、今国会での議論、取組を国民が注視しています。
従来、度々政治とお金にまつわる事件が繰り返されてきたその悪循環を断ち切るためにも、特に第三者機関の在り方が極めて重要です。これまでの政治行動で金権政治に厳しく対峙し、政治改革に取り組んでこられた総理として、先頭に立って取り組む責任があると考えますが、総理の決意をお伺いいたします。
持続的な賃上げが中小・小規模事業者、非正規で働く皆さんにも波及するための環境づくりについては、商慣行の見直しとともに、適正な価格転嫁を徹底し、適正な価格設定をサプライチェーン全体に定着させることが不可欠です。これまで、下請Gメンの増員や、一昨年、労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針が示されましたが、ガイドラインの遵守と周知の徹底、不適切な取引の改善等の更なる対策強化が必要です。
下請法の改正案を提出される方針ですが、執行強化も含めて、今後、価格転嫁の実効性をどのように高めていく方針であるのか、総理にお伺いいたします。
人づくりこそ国づくり、これまで国民民主党が政策の柱として掲げてきた理念です。しかし、他国が教育費や科学技術に係る予算を倍増している一方で、我が国は横ばい、微増にとどまっており、過去二十年間、人への投資を怠ってきたことが、現在の教育現場が抱える課題や国際競争力低下の大きな要因と言えます。資源のない我が国にとって、人が財産であり、未来に向けて、今、人への投資を倍増していかなくては、我が国の未来は描けません。
一方で、現状、硬直した予算の中でのつけ替えでは、必要な予算を確保することは困難です。国民民主党は、借金の先送りではなく、教育や人づくりに対する支出は将来の成長や税収増につながる投資的経費と捉え、財政法を改正し、これらの支出を公債発行対象経費とする教育国債を提案し続けています。総理御自身の見解をお伺いいたします。
幼児教育、保育の無償化、高校の無償化等、いずれも所得制限が付されています。我が党は従来から、子供に係る給付金、政策に関しては所得制限を撤廃することを訴えてきました。児童手当の所得制限撤廃と高校生までの拡充が実現したことは大きな一歩です。
一方で、年少扶養控除の復活については、今回も税制改正に盛り込まれませんでした。人口減少、少子高齢化の急速な進展の下で、子供に対する支援を強化し、子供を社会全体で育む方向性を明確にすべきです。一人親世帯の児童扶養手当の所得制限も、物価高騰が長期化する中で、より深刻な課題です。総理の見解をお伺いいたします。
高校までの授業料完全無償化を進めるとともに、野党三党で法律を提出した、公立小中学校の給食費無償化は国が進めるべきです。
給食は子供たちの健やかな成長に極めて重要な役割を果たしており、近年は、子供の貧困問題が深刻となり、給食が唯一栄養を摂取する貴重な機会となっている児童が増加していることや、自治体間競争、自治体間格差が生じていることは問題です。重点支援地方交付金の迅速な執行がうたわれておりますが、住んでいる場所にかかわらず、子供たちが安心して給食が食べられる環境整備、あわせて、みどり食料システム戦略のオーガニック事業の中で、有機食材を使った給食、食育への支援が位置づけられており、無償化の制度設計の中で、地産地消、有機食材の活用も盛り込んで進めるべきです。総理の見解をお伺いいたします。
教員を取り巻く環境整備について伺います。
危機的な状況にある教員を取り巻く状況を改善すべく、教職調整額の率を令和十二年度までに段階的に一〇%へ引上げを行うための給特法改正、また、学校における働き方改革を強力に進め、本来業務以外の時間の抜本的削減、中学校の三十五人学級推進、教職員定数の改善、平均時間外在校時間を月二十時間、短縮することなど、大臣折衝で六項目が合意されました。
残業代の代わりに教職調整額を上乗せされたとしても、働き方改革を確実に進めていかなければ、今教育現場が抱えている課題を解決することはできません。教員のウェルビーイングの観点からのアプローチも重要です。同時に、教職員定数の改善を着実に進めることが重要で、教員が本来業務に専念できる環境をつくっていかなければ、教員のなり手不足は改善しません。専門人材の確保、育成も急務です。
教員を取り巻く環境整備は、まさに次世代を担う子供たちの成長に直結する極めて重要な課題です。今後の方針を総理にお伺いいたします。
公定価格が給料決定に影響する介護職、看護職、保育職等の方々に、他産業と比べて遜色のない賃上げが行われることは急務です。
保育士、幼稚園教諭の方々の給与については、昨年取りまとめられた総合経済対策に一〇・七%引き上げられる改善策が盛り込まれましたが、一層の改善が求められます。
一方、人手不足が深刻で、極めて厳しい現実と向き合っている介護等の現場からは切実な声が上がっています。介護職の方々に対しても、次期改定を待つことなく、報酬を引き上げることが急務です。
東京商工リサーチの調査によると、昨年の介護事業者の倒産、休廃業、解散が百七十二件と過去最多で、中でも、休廃業は訪問介護事業者が七割を占めています。基本報酬額のマイナス改定や人手不足がその要因となっています。移動時間が多いという業務上の特殊性や、小規模事業者や地方の過疎地域の事業者の厳しい状況に対して、きめ細やかな支援が必要なことは明らかです。基礎報酬引下げの撤回も含めて、報酬体系の見直しを早急に取り組むべきです。総理の御見解をお伺いいたします。
食料・農業・農村基本法が改正され、食料安保の概念が盛り込まれました。食料自給率の低下、国際的な食料供給の不安定化、農地及び担い手の減少、価格形成の課題など、農業を取り巻く困難な課題が山積しています。燃料油の高騰、生産資材、肥料等の高騰が長期化する一方で、価格転嫁が進まない現状は深刻です。
国民民主党は、もうかる農業への転換を図るために、農業の多面的な役割に着目し、営農継続が可能となる、農業全般が対象の直接支払い制度、食料安全保障基礎支払いの創設を提案しています。また、水田活用直接支払交付金の五年に一度の水張り要件については、離農と耕作放棄地が増える要因となるため、地域の事情に応じて柔軟に緩和すべきです。総理の見解をお伺いいたします。
また、持続的な水産業の発展は、海洋国日本の安全保障上も極めて重要です。漁業者の収益性の向上、競争力の強化、漁業施設の整備、養殖業の支援強化等の取組が急務です。総理の御見解をお伺いいたします。
地域公共交通について伺います。
少子高齢化、人口減少が進展する中で、人手不足が深刻化し、地域公共交通が大変厳しい状況です。物価高騰の長期化も深刻な影響を及ぼしています。
一昨年施行された改正地域交通法において、自治体、公共交通事業者、地域の多様な主体など、多様な関係者の共創による地域のリデザインの取組が盛り込まれました。地域住民の移動をどのように守っていくか、チーム公共交通としての総合的な取組が重要です。また、観光振興、インバウンドの推進、二拠点居住の推進においても、地域公共交通の果たす役割は重要です。これまでの、事業者、自治体任せから、国がしっかりと支援していくべきです。採算だけで地域公共交通は語ることができない、重要なインフラと言えます。
また、災害が頻発化、激甚化する中で、鉄道事業の大規模災害時の復旧については、公共性の高さを鑑み、道路、河川等の公共土木施設等と同等の支援が必要であると考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
就職氷河期世代への支援強化について伺います。
連日、大企業の初任給が三十万円以上に引き上げられることが報道される中で、氷河期世代の皆さんからは悲鳴に似た声が上がっています。氷河期世代の就職率は、二〇〇三年に過去最低の五五・一%。千七百万人が厳しい雇用の中でたまたま就職の時期を迎えたために、現在も多くの皆さんが安定した職に就くことができなかった世代です。自己責任では到底論じてはならず、国がしっかり現状を踏まえて対策を強化していく必要があります。
国民民主党は、昨年、党内にプロジェクトチームをつくり、提言をまとめました。実態調査とこれまでの政府施策の検証、厚生年金の過去遡及給付と最低保障年金制度構築、公務員採用の拡大、求職者ベーシックインカムの導入、親介護世代に直面する世代となっている現状を踏まえて、ビジネスケアラー支援策の充実等を盛り込みました。
この問題に対して、総理は本気で取り組む意思をお持ちでしょうか。今後の方針をお伺いいたします。
次に、デジタル民主主義についてお伺いします。
台湾には、六十日で五千人以上の賛同が得られたものについては、政府は二か月以内に検討し、書面によって回答することが義務づけられている、Joinという政策提言プラットフォームがあります。
国民民主党は、これまでも、SNS上で寄せられた多くの国民の皆様の声を政策に反映し、活動に生かしてきましたが、一月十六日、これら台湾の仕組みを参考に、AI等デジタル技術を活用して、党に寄せられた意見を可視化し、二十四日に公表しました。
総理、AI、デジタル技術をフル活用し、国民の声を速やかに集約して政策に生かす新たなデジタル民主主義の可能性について、総理の御所見を伺います。
地方創生についてお伺いいたします。
総理が施政方針演説の中で一番多く時間を割かれたテーマが地方創生二・〇です。石破政権の最も重要な柱であり、令和の日本列島改造を進めていくとされています。これまでも歴代政権がいろいろなスローガンを掲げて地方創生に取り組んでこられましたが、残念ながら、これまで十分な成果が得られているとは言い難い状況です。コロナ禍で地方回帰の流れが出てきたものの、再び東京一極集中が進展しています。
総理自身も初代の地方創生大臣として取り組んでこられましたが、これまでの政府の取組をどのように評価、検証されているのでしょうか。総理が取り組まれる地方創生は、これまでの施策と何が違うのでしょうか。令和の日本列島改造、その核となる施策は何であるのか、総理にお伺いいたします。
次に、総合安全保障についてお伺いいたします。
新型コロナの世界的な流行によって、デジタル化の遅れ、サプライチェーンの過度な他国依存、ワクチンが自国で作れないなど、我が国の脆弱性が明確になりました。それを踏まえて経済安全保障推進法が成立しましたが、一方で、エネルギー自給率は僅か一〇%、食料自給率は四〇%に満たない現状では、新たなパンデミックや大規模な自然災害の頻発、また、国際社会における紛争激化や極端な自国第一主義の国家が台頭する中で、いろいろなリスクに対応することは大変難しいと思います。
経済も含め、食料、エネルギー、医薬品、医療機器、人材、人権、文化など、幅広い広義の総合安全保障の重要性を国民民主党はこれまでも訴え、法案も提出してきました。総合安全保障の視点に立った国家戦略を明確に立案し、取組を進めることが急務であると考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
外国人の土地取得規制の強化について伺います。
我が国における土地等の取得、利用、管理をめぐる最近の現状を踏まえて、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれのある土地取得、利用、管理の規制に関する施策について、総合的に推進していくことが必要です。令和三年に重要土地等調査法が成立しましたが、安全保障上重要な施設の周辺等に限られており、更なる法整備が必要です。
国民民主党は、土地だけではなく、建物又は水源地等の国土保全分野に係る土地等の規制、国の責務、事前届出に基づく取引の事前審査等の立入り審査権限の付与等を内容とする外国人土地取得規制法案を共同提出しています。早急な対応が必要であると考えますが、石破総理の見解をお伺いいたします。
施政方針演説で、能動的サイバー防御を可能とする法案を提出する方向が明言されました。国民民主党は、既に法律案を提出し、議論を先取りしてきました。近年、国内外において、国家の関与が疑われるサイバー攻撃、その脅威が深刻となっています。重要インフラに対するサイバー攻撃によって、国家を揺るがす懸念が増大しています。
今まさに、サイバー安全保障を確保するための能動的サイバー防御等に係る体制整備を総合的に推進するための法整備が必要です。今国会で十分な議論を行い、法整備を急ぐ必要があると考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
第二期トランプ政権がスタートいたしました。トランプ大統領との日米首脳会談開催の見通しと、今後、信頼関係をいかに築いていくのか、総理にお伺いいたします。
また、トランプ政権の訴える関税引上げや米国第一主義の結果、インフレが再燃し、日米の金利差が再び開き、円安になる可能性があります。つまり、アメリカのインフレが我が国に輸出され、更なる物価高につながりかねません。この対策は、手取りを増やすことで国民生活を支えるしかないと国民民主党は考えます。総理のお考えをお伺いいたします。
全ての拉致被害者の即時一括帰国は、我が国にとって最重要課題です。御家族そして拉致被害者御本人も御高齢となる中で、一刻の猶予もありません。
これまで総理の発言からは、この問題を何としても解決する不退転の決意が伝わってきません。初めて米朝首脳会談に挑んだトランプ大統領の再任を踏まえて、拉致問題に対する米国との連携強化を図り、総理がリーダーシップを持って取り組むことが極めて重要です。総理の決意をお伺いいたします。
薬価中間改定の廃止についてお伺いいたします。
四年間にわたり、適時適切に国民や患者が医薬品にアクセスができない状況が続いています。日常的な薬から手術等で使う薬剤、慢性疾患の治療薬まで多岐にわたり、国民の生命が脅かされています。
医薬品の供給不足を解消するために、診療報酬改定がない年の薬価改定、いわゆる中間年薬価改定を廃止し、薬価制度の見直しに取り組む必要性について、既に我が党から総理に申入れを行っています。総理の御見解と今後の取組を伺います。
昨年、日本被団協の皆様がノーベル平和賞を受賞されました。被爆という筆舌に尽くし難い被害を受けながらも、国内外に自らの体験を語り、被爆の実相、核兵器の非人道性、核兵器廃絶を訴えてこられた長年の御活動に、ただただ心からの賛意と敬意を表します。
長崎で被爆された九十二歳の田中熙巳様は、オスロの授賞式ですばらしいスピーチをされました。核兵器と人類を共存させてはいけない、核のタブーが崩壊しつつある現状へ、自らの経験に基づいた警告とともに、これまでの運動を未来に継承してほしいという強い思いを発信されました。
ちょうど四年前、被爆者の思いが国際社会を動かして発効したのが核兵器禁止条約です。政府は一貫して、米国の傘の下にあること、条約に核兵器国が参加していないことから、署名、批准、締約国会議へのオブザーバー参加にも慎重な立場を取り続けてきました。
被爆から八十年の大きな節目の今年、日本被団協のノーベル平和賞受賞を契機として、三月に行われる第三回締約国会議へオブザーバー参加をした上で、唯一の戦争被爆国として被爆の実相を伝え、核兵器の使用は人道上絶対に許されないというメッセージを国際社会に発信し、日本にしかできない貢献をすべきです。
被爆者の平均年齢は八十五歳を超え、被爆の実相を直接聞くことができない時代がすぐそこまで来ています。多くの関係者からの要請にもかかわらず、二十六日には、政府は締約国会議のオブザーバー参加を見送り、締約国会議に自民、公明の議員を派遣する方向で調整に入ったとの極めて残念な報道がありました。
総理、オブザーバー参加は見送られるのでしょうか。オブザーバー参加すべきであると考えますが、この報道の事実関係について明確にお答えください。
旧長崎市の行政区域を基本につくられた国の援護区域外で被爆したために、今なお被爆者と認められない被爆体験者の救済について、被爆体験者が求めていることはただ一つ、被爆者として認めてほしいということです。広島の黒い雨訴訟の上告断念により政府が示した新しい被爆者認定の基準が、同じ被爆地長崎に適用されないのは大きな問題です。被爆八十年の今年、総理に解決へ向けての政治決断を心から求めたいと思います。見解をお伺いいたします。
国民民主党は、今後も、二〇二〇年九月に衆参十五名、志を同じくする地方議員と立ち上げた結党の理念、政策をぶれることなく、新しく議席をお預かりした多くの議員の仲間とともに、今後も地道に、真摯に国民の皆様の声をお聞きしながら、真面目に働けば給料が上がる、そんな当たり前の社会実現のために、皆様とお約束した公約実現に邁進してまいる決意です。この決意を申し上げ、質問を終わります。
最後に、被爆八十年の節目の今年、一人でも多くの世界のリーダーに被爆地長崎、広島に来ていただき、原爆資料館の訪問や被爆者の話を直接お聞きいただいて、この被爆の実相に触れていただく機会を是非つくっていただくことを切に願い、そして、本日議場におられる石破総理を始めとした各議員にも是非その機会をつくっていただくことを心からお願い申し上げ、私の質問を終わります。
御清聴いただき、誠にありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 西岡秀子議員の御質問にお答えを申し上げます。
いわゆる百三万円の壁の引上げの財源についてでございますが、今回の基礎控除の額や給与所得控除の最低保障額をそれぞれ十万円ずつ引き上げることにつきましては、与党税制改正大綱におきまして、物価調整を行うものであることから、特段の財源確保措置を要しない、このように整理したものでございます。
仮に今後、これを超える恒久的な見直しが行われる場合の財政影響分につきましては、与党税制改正大綱において、歳入歳出両面の取組により、必要な安定財源を追加的に確保するための措置を講ずるもの、そのようにされているものと承知をいたしております。
いわゆる百三万円の壁の更なる引上げについてでございますが、昨年十二月二十七日に閣議決定いたしました令和七年度税制改正の大綱を踏まえ、法案提出に向けた作業を進めており、政府として、御指摘のような百五十万円程度への更なる引上げを検討しているとは認識をいたしておりません。
昨年十二月二十日、三党の幹事長間で、十二月十一日に合意をした内容の実現に向け、引き続き関係者間で誠実に協議を進めることが確認をされ、合意を踏まえた対応につきましては、引き続き政党間で協議が進められているもの、このように承知をいたしております。
いわゆる百三万円の壁の引上げによる税負担の適正化についてでございますが、税収が過去最高となることが見込まれることは御指摘のとおりでございます。現下の厳しい財政事情等を踏まえた議論が併せて必要であると考えております。
今般の基礎控除等の引上げは、所得税の基礎控除の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるという課題に対応するため、基礎控除の額と給与所得控除の最低保障額を十万円ずつ引き上げるものでございます。
この引上げ幅は、最後の基礎控除の引上げ以降の消費者物価の動向を直近の動きなども含めて踏まえたものでございまして、また、生活必需品を含む基礎的支出項目の消費者物価が二〇%程度上昇していることを勘案すれば、生活実感も踏まえた調整になっている、このように考えております。
いわゆる百三万円の壁の物価高対策及び労働力確保の観点からの引上げについてでございますが、先ほども申し上げましたとおり、今般の引上げ幅は、消費者物価の動向を直近の動きなども踏まえて考えたものでございまして、物価調整を行うものでございます。物価高対策という観点からは、賃上げこそが成長戦略の要との認識の下、物価上昇に負けない賃上げを起点として、国民の皆様の所得と経済全体の生産性の向上を図るための施策などを講じることといたしております。
労働力確保の観点からは、就業調整を行っておられる労働者が希望に応じて働くことができるよう、特定扶養控除の年収要件を引き上げるとともに、社会保険につきましては年収の壁・支援強化パッケージの一層の活用に取り組むことといたしております。
物価高対策、労働力確保につきましては、このように総合的に対応いたしてまいります。
トラス・ショックについてのお尋ねをいただいておりますが、これは、一たび経済財政運営に対する信認が損なわれますと市場が鋭く反応しかねないという点で、一つの教訓として受け止めております。
当時の英国と現在の日本の財政状況を比較してみますと、日本の債務残高対GDP比は英国の二倍以上の水準であるほかに、主要格付会社の日本国債の格付は英国より低い水準にあるなど、我が国の財政は厳しい状況にございます。財政の持続可能性に対する信認が失われた場合、金利の急上昇や過度なインフレが生じ、日本経済、日本社会に多大な影響を与える可能性があることを念頭に置きながら財政健全化に努める必要があるもの、このように考えております。
ガソリン税についてのお尋ねを頂戴いたしました。
昨年十二月、自民、公明、国民民主の三党の幹事長間におきまして、いわゆるガソリンの暫定税率は廃止する、具体的な実施方法などにつきましては引き続き関係者間で誠実に協議を進めるとの合意がなされておるのは、御承知のとおりでございます。
令和七年度与党税制改正大綱におきましても、引き続き政党間で真摯に協議を行うとされており、政府といたしましては、その結果を踏まえた上で適切に対応いたしてまいります。
被災者生活再建支援金についてでございますが、能登半島地震の被災者の皆様方の生活再建につきましては、引き続き、被災者生活再建支援金と地域福祉推進支援臨時特例交付金、さらには復興基金を活用した事業という総合的な枠組みにより支援をいたしてまいります。
御党御提出の法案の取扱いにつきましては国会で御議論いただくべきものでございますけれども、被災者生活再建支援金は、災害による財産の損失を補填するものとしてではなく、いわゆる見舞金的な性格のものとして、被災者の皆様を側面的に支援するものと位置づけられております。
この拡充等につきましては、これは都道府県の基金を活用しており、その財源の半分を全国の都道府県が負担をしていること、東日本大震災などの過去の震災や、現在も支給が継続されておりますほかの災害における被災者との公平性の確保といった点について、よくよく考えなければならない課題であるというように認識をいたしておるところでございます。
学校体育館への空調設備の整備につきましてでございますが、避難所となります公立小中学校の体育館への空調設備につきましては、令和六年度補正予算におきまして、新たに臨時特例交付金を創設し、整備のペースを二倍に加速することといたしております。あわせて、補助要件となります断熱性の確保につきまして柔軟な運用を行うことで、地域の実情に応じた整備が可能になるよう取り組んでまいりたいと思っております。
防災対策の強化につきましてですが、能登半島地震では、半島という地理的制約などが一連の災害対応に大きな影響を与えましたが、いかなる地域で災害が発生したとしても、被災者の方々を苦難の中に置き続けるということがあっては断じてなりません。
今回の能登半島地震の経験、教訓を踏まえまして、政府といたしましても、避難所で温かい食事やシャワー、清潔なトイレ、プライバシーが確保されたベッドなどを迅速に提供するための計画的な備蓄、空路や海路で搬送するための車両や資機材の小型化、軽量化、道路や上下水道などのインフラ、ライフラインの強靱化、耐震化などに取り組んでいるところでございます。
また、ほかの自治体職員やボランティアの方々による支援を円滑に進めるため、ボランティア団体などの登録制度の創設や交通費の支援、内閣府に新たに設置いたします都道府県ごとのカウンターパートとなる職員による支援の受入れ計画や防災訓練の指導、支援なども進めているところでございます。
引き続き、大規模災害への備えを着実に進めてまいります。
防災省の設置についてでございますが、令和七年度に、内閣府防災担当の機能を予算、人員の両面から、それぞれ二倍という、抜本的に強化をする施策を講ずることといたしております。その上で、令和八年度中に内閣府防災担当を発展的に改組し防災庁を設置すべく、準備を加速いたしてまいります。
防災庁は、専任の大臣を置き、十分な数のエキスパートをそろえた、平時、発災時の災害対応の司令塔といたします。これにより、災害対応を通じて得られる経験や教訓を着実に蓄積しながら、事前防災の徹底により被害の最小化を図りますとともに、発災直後から被災者の方々が避難所において尊厳ある生活を営んでいただける環境を整備いたしてまいります。
今月から防災分野の専門家から成ります有識者会議を開催することといたしておりまして、防災庁の具体的な機能や発災時の業務継続性を念頭に置いた拠点の位置などにつきましても、様々な御意見、御提案を賜りながら検討し、結論を得ることといたします。
政治資金監視委員会等についてのお尋ねでございます。
昨年の臨時会におきまして、政治資金監視委員会等の設置その他の政治資金の透明性を確保するための措置等に関する法律が成立し、国会議員関係政治団体の収支報告書の記載の正確性に関する監視や政治資金の制度に関する提言などを行う機関として、別に法律で定めるところにより、国会に政治資金監視委員会を置くこととされました。
西岡議員御指摘のとおり、さきの臨時会で成立をいたしました政治改革関連の法律を実効ある形で施行し、政治への信頼を確保いたしますためには、政治資金監視委員会の在り方は極めて重要であります。我が党といたしましても、この委員会の在り方につきましての考え方を整理し、御党を含む各党各会派と検討を進めてまいります。
また、自由民主党といたしましては、禁止より公開との考え方により、企業・団体献金も含めた政治資金の透明性を確保する取組を進めております。現在、透明性を更に向上させるための法案について自民党内での議論を進めているところでございまして、引き続き、この課題につきまして、率先して議論を進めてまいります。
価格転嫁の実効性を向上させる方策についてでございますが、多くの中小企業が賃上げができますよう、利益を上げていただくために、取引の上流から下流まで適切な価格転嫁を実現することは極めて重要であります。
このため、下請法の改正法案を今国会に提出し、協議に応じない一方的な価格決定は禁止をいたします。公正取引委員会や中小企業庁に加えまして、事業所管省庁が連携を一層強める法改正を行うことで、執行力を強化し、下請法違反行為に対して厳正に対処いたしてまいります。
教育国債の創設についてでございますが、これまで、例えば、こども未来戦略の加速化プランでは、前例のない規模で子供、子育て支援を強化しておりますが、それを支える安定財源につきましても、徹底した歳出改革などを通じて確保することといたしております。
一方で、教育国債につきましては、安定財源の確保や財政の信認確保の観点から、慎重に検討する必要があると考えております。
年少扶養控除及び児童扶養手当につきましてお尋ねをいただきました。
十六歳未満を対象といたしましたいわゆる年少扶養控除につきましては、所得控除から手当へという考え方の下、子ども手当の創設に伴い、平成二十二年度税制改正におきまして廃止された経緯があり、こうした経緯も踏まえる必要があると考えております。
児童扶養手当につきましては、令和五年十二月に策定した加速化プランにより、昨年十一月分から一部支給の対象となる所得限度額を二十二年ぶりに引き上げ、また、多子家庭への加算額を拡充いたしましたほか、あわせまして、一人親の就業支援、養育費確保策などの強化も行ったところでございます。政府といたしましては、こうした多面的な施策により、一人親家庭の生活と自立を支えてまいります。
高校無償化と教育費無償化についてでございますが、高校無償化につきましては、高校進学率が九九%に達する現状におきまして、子供、子育て加速プランに基づき家計支援のための様々な施策が講じられておりますことや、教育の質の向上、基盤としての国の制度と地域の実情を踏まえて地方自治体が独自に実施する支援とのバランス、そして安定的な財源の確保といった論点も総合的に考える必要がございます。
給食費につきましては、低所得世帯では既に無償となっておりまして、その割合は児童生徒の約一四%となっておるのも御承知のとおりでございます。昨年末に整理、公表いたしました課題もございます。これも累次申し上げておるとおりでございます。子供、子育て加速化プランに基づきまして家計支援のための様々な施策が講じられていることを総合的に考慮する必要があるものと考えておるところでございます。
学校給食におきます地場産品あるいは有機農産物の利用につきましては、安定的な販路の確保や食育の観点から、自治体と生産団体、給食事業者などの連携体制の構築等への支援も行っておるところでございます。地方創生交付金の活用といったことも考えられるものというふうに認識をいたしておるところでございます。
教員についてでございますが、御指摘いただきましたように、教師の働き方改革を確実に進めることが求められております。業務の仕分を行った、学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直しや、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化を進めますとともに、学校の指導、運営体制の充実により、教師の時間外在校等の時間を削減をいたします。
訪問介護につきましては、人材不足や燃料代等の高騰などにより、厳しい状況にあるというふうに認識をいたしております。御指摘のとおりであります。
政府といたしましては、令和六年度の介護報酬改定の影響の丁寧な把握に努めますとともに、改定で措置をいたしました処遇改善加算の更なる取得促進に向けた要件の弾力化、先般の補正予算によります賃上げに向けた支援や経験年数が短いヘルパーへの同行支援の強化、重点支援地方交付金によります燃料代等の支援等々、地域の特性や事業者の規模などに応じたきめ細かい対策を講じており、これらを着実に進めてまいりたいと考えております。
食料安全保障を確保いたしますため、水田を始め、農業をもうかる産業としていくことが重要であります。今後、新たな食料・農業・農村基本計画の策定や、令和九年度に向けた水田政策の在り方の検討の中で、農業者への支援の在り方や、御指摘のいわゆる水張りルールにつきましても、現場の様々な御意見を考慮して議論を深めてまいります。
水産業につきましては、その発展に向け、スマート化や高性能漁船の導入などによります生産性の向上、輸出拡大も視野に入れた養殖業の成長産業化、物流機能の強化などに向けました共同利用施設の整備、海業の全国展開を支援をいたしてまいります。
地域流通と鉄道事業についてでございますが、地域交通は地方創生の基盤であります。その再構築を図りますため、令和五年度に法改正と予算拡充を行い、ローカル鉄道の再構築に向けた地域の関係者の合意形成に国が積極的に関与する仕組みを設けますとともに、デジタル技術を活用した省力化などによりまして生産性向上を図る措置を講じております。昨年七月には、国土交通省に「交通空白」解消本部を設置し、国が主導的に地域交通の再構築を進めており、その対策も含め、支援を充実いたしております。
鉄道につきましては、運賃収入を基本として整備、運営することを原則といたしてはおりますが、運賃収入が十分に得られない赤字ローカル路線に対しましては、その公共性に鑑み、被災規模などに応じまして、災害復旧の補助対象の拡大や補助率のかさ上げなどの支援の充実に取り組んできておるところでございます。
就職氷河期世代への支援についてでございますが、御党の提言内容の一つ一つに言及はいたしませんが、就職氷河期世代の方々に対しまして、政府といたしましては、令和元年から、関係府省が一体となり、集中的に取り組んでまいりました。
具体的には、支援ニーズを把握いたしました上で、ハローワークの専用の窓口におきます就職から職場定着支援までの一貫した支援、非正規雇用労働者を正社員化した企業に対する助成、引きこもり状態の方々への相談対応など、きめ細かい支援を実施してきておるところでございます。その実施に当たりましては、取組の進捗、実績を毎年点検をいたしました上、随時運用の改善を図っており、着実に成果が得られてきておるものと認識をいたしております。
来年度以降は、就職氷河期世代を含め、幅広い中高年層を対象に効果的な支援を行うことといたしており、引き続き、相談、リスキリングから就職、定着まで切れ目のない支援に取り組んでまいります。
国民のお声を政策に生かす上でのデジタル技術の活用についてでございますが、AI、デジタル技術の活用で、より多くの情報を効率的に利用でき、高度な情報処理を行うことができるようになる可能性がございます。
一方で、セキュリティーを確保した上でAIなどを活用するに当たりましては、費用面やデータの取扱い、また、AIを政府自身が独自に開発することが適当かどうかなどについて整理すべき点もありますことから、その活用の進め方について今後検討を深めてまいることといたしております。
地方創生二・〇についてでございます。
私が初代担当大臣として十年前に地方創生の交付金創設などに取り組んで以降、全国各地で様々な好事例が生まれたことは大きな成果と考えておりますが、一方、地方創生一・〇では、優良事例が点の取組で終わり、面的な広がりにつながる化学変化は十分には起きなかったという反省も持っておるところでございます。
そのため、地方創生二・〇は、令和の日本列島改造として、若者や女性にも選ばれる地方、産官学の地方移転と創生、地方イノベーション創生構想、新時代のインフラ整備、広域リージョン連携といった五つの柱を核として、日本全体の活力を取り戻すべく、強力にこれを進めてまいります。
総合安全保障の重要性につきまして、御党は、これまでも、総合的経済安全保障施策推進法案を提出してこられたと承知をいたしております。総合的な国力が重要であるとされております点につきましては、私も全く同じ認識を持っております。
政府といたしましては、外交、防衛に加え、経済、エネルギーや食料なども含めた総合的な観点から安全保障政策を進めていくことが重要であると認識しておりまして、国家安全保障戦略を踏まえ、政府一丸となって取組を進めてまいります。
外国人の土地取得の規制につきまして、御党の所属議員などから提出されました法案につきましては国会において御議論いただくべきものと考えており、政府として発言をすることは差し控えますが、御指摘の水源地として想定される森林などにつきましては、重要土地等調査法の立案に先立ち、有識者会議から、森林法により土地取得時の届出などの枠組みがあることなどから、現行制度の運用状況、効果などを見極めました上で慎重に検討していくべきという提言をいただき、重要土地等調査法の対象とすることは見送られたものと承知をいたしております。
令和四年に施行されました重要土地等調査法には、施行後五年を経過した時点での見直しの規定も置かれておりますことから、政府といたしましては、法の執行状況や安全保障をめぐる国内外の情勢などを見極めた上で、更なる対応の在り方について検討してまいりたいと考えております。
我が国のサイバー対応能力の向上は、現在の安全保障環境に鑑みますと、ますます急を要する課題でございます。御指摘のとおりであります。
国、重要インフラなどに対しますサイバー攻撃を排除するため、サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織を設置いたしますとともに、能動的サイバー防御の実施を可能とするための法案を今国会に提出をいたします。
日米首脳会談及びトランプ新政権の経済政策の我が国への影響についてお尋ねをいただきました。
申し上げておりますとおり、日米同盟は我が国の外交、安全保障政策の基軸であり、トランプ新政権との間では、できるだけ早い時期に日米首脳会談を実現し、率直に議論を行い、強固な信頼、協力関係を構築し、日米同盟を更なる高みに引き上げていきたい、そのように考えております。
御指摘いただきました関税などをめぐる米国新政権による政策につきましては、今後の米国の動向も含めまして、慎重に分析、評価していく必要があり、現時点で拙速にお答えすることは差し控えますが、まずは今後明らかになってまいります措置の具体的な内容及び我が国への影響を十分に精査いたしました上で、適切に対応してまいります。
拉致被害者やその御家族も御高齢となられます中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、この本質は国家主権の侵害であり、政権の最重要課題であるということは前も申し上げておるとおりでございます。
この解決のためには、我が国の取組に加えまして、米国との緊密な連携も重要であります。トランプ大統領には、第一次政権におきまして、二度にわたり拉致被害者御家族と面会をしていただきました。また、当時の米朝首脳会談におきまして、拉致問題に関する日本の考え方を金正恩委員長に伝えていただいたのは大きな成果であった、このように認識をいたしております。
私とトランプ大統領との間を始めといたしまして、トランプ政権との間で強固な信頼、協力関係を構築し、北朝鮮への対応に当たりましても、米国と緊密に意思疎通を図ってまいりたいと思っております。
全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現するとともに、北朝鮮との諸課題を解決いたしますため、私自身の強い決意の下、総力を挙げて最も有効な手だてを講ずることといたします。
医薬品の供給不足と薬価制度の見直しについてでございますが、高齢化などにより医療費が増加する中、薬価改定につきましては、国民皆保険の持続性を考慮し、適時適切に実施することが重要ですが、同時に、暮らしに欠かせない薬の安定供給確保の要請や革新的な新薬の開発力を強化していく要請などにも応えていく必要がございます。
今回の改定に当たりましても、医薬品の安定供給の観点から、最低薬価の引上げや不採算品の薬価の引上げを行うことといたしておりますが、仮に改定を実施しない場合には、こうした対応も適時に行えなくなるといった課題もございます。
こうした点も含めまして、診療報酬改定がない年の薬価改定につきましては、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給の確保、国民負担の軽減といった要請についてバランスよく対応する中で、その在り方について検討をいたしてまいります。
核兵器禁止条約及びいわゆる黒い雨訴訟についてでございます。
三月に行われます核兵器禁止条約の締約国会合に関する政府の対応ぶりについて、これまでオブザーバー参加をした国々の状況も踏まえながら検証を続けておるところでございまして、結論には至っておりません。
広島のいわゆる黒い雨訴訟につきましては、令和三年の高裁判決を受けまして、原爆投下後の黒い雨に遭われたことなどの基準を策定し、被爆者として認定をしておるところでございますが、長崎のいわゆる被爆体験者の方々につきましては、過去に最高裁判所まで争いがあり、原子爆弾投下後、間もなく雨が降ったとする客観的な記録はないことから、被爆者と認定できない旨の判示がなされておるところでございます。
こうした中におきまして、被爆体験者の方々は、平均年齢も八十五歳を超えられ、多くの方々が身体的健康度の低下に伴う様々な疾病を抱えられて長期療養を要しておられることから、昨年十二月一日から、幅広い一般的な疾病について被爆者と同等の医療費助成を行っておるところであり、引き続き、こうした対策を着実に実施をいたしてまいります。
被爆地長崎を訪問し、その悲惨な実態、そしてまた過去の厳しい状況というものを認識するということの必要性につきましては、委員御指摘のとおりでございます。私もよく心がけてまいります。
以上でございます。(拍手)
――――◇―――――
○議長(額賀福志郎君) この際、十分間休憩いたします。
午後三時十四分休憩
――――◇―――――
午後三時二十七分開議
○副議長(玄葉光一郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
――――◇―――――
○副議長(玄葉光一郎君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。斉藤鉄夫君。
〔斉藤鉄夫君登壇〕
○斉藤鉄夫君 公明党の斉藤鉄夫です。
私は、公明党を代表して、石破総理の施政方針演説に対し、石破総理そして国土交通大臣に質問をいたします。(拍手)
国際社会における対立が深刻化し、また、国内においても分断と対立が激化している多くの国が存在します。我が国が、分断による不信と憎悪をエネルギー源とするような政治ではなく、議会制民主主義の本旨である熟議と合意形成の政治が行われ、世界の範となることができるかどうか、日本の民主主義の真価が問われる国会になると思います。
公明党は、どこまでも生活者目線で、合意形成の要役、政策実現の推進力として、国民の期待にお応えする政治の実現に全力を挙げてまいります。
以下、具体的に質問いたします。
まず、経済の好循環の実現について三点質問いたします。
まず、いわゆる年収の壁への対応について伺います。
所得税がかかり始める百三万円の壁については、昨年末、与党として、百二十三万円に引き上げる案を示しました。これは、食品など生活必需品を多く含む基礎的支出項目の物価が二〇%程度上昇していることを根拠としています。
その上で、物価上昇が今後も続いていく中で持続的な経済成長を実現するためには、家計所得の持続的な向上が不可欠です。こうした観点から、就業調整を招いている年収の壁は取り除くべきであり、所得税の課税最低限についても更なる引上げへ議論を続けていきたいと考えています。その議論の大前提は、引上げの根拠と財源が明確であることであると強調しておきたいと思います。
就業調整という意味では、本当の壁は社会保険の壁であると言えます。厚生労働省の令和三年の調査によると、配偶者がいる女性で就業調整を行っている方の五七・三%が百三十万円の壁を理由に挙げており、百三万円の壁を意識していると回答した方の割合を上回っています。
社会保険の壁の対策については、以前から公明党も主張しており、年収の壁・支援強化パッケージが実施されています。就業調整をしている方の割合に、しかしながら、大きな変化は見られず、十分な効果が出ていないとの指摘もあります。
今後、最低賃金の上昇や被用者保険の適用拡大に伴って新たに被用者保険の対象になる方が発生することも踏まえ、この支援強化パッケージの更なる周知と利用促進を行うとともに、誰もが壁を意識せずに働くことが可能となるような制度設計を行うべきです。
また、年収の壁が解消されたとしても、育児、介護などで働きたくても働けない方々の悩みは解決されません。年収の壁対策とともに、仕事と家庭の両立支援など、働きたい方が持てる力を十分に発揮して働くことができる環境整備も喫緊の課題です。
家計の所得向上に向けた年収の壁への対応について、総理の答弁を求めます。
経済についての二点目の質問です。
働く人の七割、約三千三百万人が働く中小企業において持続的な賃上げが定着できるかどうかが経済の好循環を実現する鍵であり、その原資を確保するためのあらゆる支援が求められています。
公明党が発表した中小企業等の賃上げ応援トータルプランで、労務費の適切な価格転嫁のための指針の作成、公表、徹底を提案したのを受けて、公正取引委員会が重点的なフォローアップ調査を行っています。
昨年の調査では、全体として前年より労務費等の価格転嫁率は上がっています。ところが、道路貨物運送業や、映像、音声、文字情報制作業、ビルメンテナンス業、警備業、放送業といった取引価格が上がっていない業種の回答を見ますと、同じ業種間の取引で価格転嫁ができていないという回答が多くなっています。つまり、これらのサプライチェーンには、多重委託構造、多重下請構造と言ってもいいかと思います、が存在し、かつ価格転嫁が円滑に進んでいないことが明らかになったのです。
こうした課題を解決し、中小企業の構造的な価格転嫁を実現するためには、委託を二次、三次までに制限するなどの措置や、事業所管省庁の警告、勧告等の執行権限の拡充や、受注側が発注側の横暴を告発しやすい環境整備が重要だと考えます。
多重委託構造業種の価格転嫁など、中小企業の賃上げ支援について、総理の答弁を求めます。
経済について三点目です。
我が国の成長戦略の柱である科学技術、イノベーションについて伺います。
私は、高校の授業で自然現象が単純な数式で表現される物理の美しい世界に感動し、科学者を目指しました。しかし、大学の先生からは君の成績では無理だと言われ、諦めました。その代わり、科学技術を目指す若い人たちをサポートする側で頑張る決意をいたしました。
日本の科学技術の裾野を広げるためには、小中学校の段階からあらゆる生徒が科学技術、イノベーションの面白さを体験する機会を得られ、若者や女性、障害者など多様な人材が活躍する流れを産官学でつなげていかなければならないと強く実感しています。学生や若者は、本来、可能性に満ちた、創造性豊かなイノベーション人材であります。我が国の思い切った人材育成の施策として、産学官による奨学金等の教育費の支援や博士人材の研究費の支援など、諸外国に負けない支援体制の構築を提案します。
現在、第七期科学技術・イノベーション計画が検討されていますが、日本の科学技術、イノベーションの基盤構築には、研究力の高い研究大学群の形成や人材育成、研究環境の整備、若者が挑戦できるスタートアップ支援など、世界に負けない投資が重要だと考えます。また、産学官に開かれた人材の交流、就職、キャリアアップの仕組みなど、若者が安心して飛び込める、そういう世界にしなければなりません。
科学技術、イノベーションによって経済の好循環をいかに生み出し、世界に負けない日本の勝ち筋を伸ばしていくためにどのような取組をしていくのか、総理のお考えを伺います。
次に、防災立国の実現について三点伺います。
まず、能登半島から一年が経過し、私は、一月五日に石川県かほく市、珠洲市に入り、被災者の方々からお話を伺ってまいりました。中でも、深刻な液状化被害に見舞われているかほく市では、対策工事に最短でも五年程度かかるとの声を聞き、本格復旧に向け、国による全面的な支援が必要だと改めて感じました。地震と豪雨により度重なる被害を受けた珠洲市では、家が土砂で埋まり、もう住めないとの痛切な訴えを聞き、なお一層、被災者に寄り添った支援をしていかなくてはならないと深く感じたところです。
総理、是非とも、いつまでに能登の復興を成し遂げるという強いメッセージと、生活再建がイメージできる具体的な道筋を示し、不安を抱える皆様に希望を届けていただきたい。
公明党は、これまで、被災自治体ごとに担当の国会議員を配置し、多い議員では四十回以上その担当自治体に入り、首長や地域住民の方々から直接お話を伺い、現地の課題に対応してまいりました。引き続き、被災地の皆様と心を通わせながら、復旧復興に全力で取り組んでまいります。
能登半島地震の復興加速に向けた総理の決意を伺います。
今年は、阪神・淡路大震災から三十年の節目を迎えました。この三十年間に我が国を襲った大災害の教訓を踏まえ、今こそ、防災立国を築き上げなければなりません。そのためには、災害関連死を防ぐ取組が極めて重要だと考えます。能登半島地震では、災害関連死が約三百人に上り、直接的な災害死を上回る状況となっています。特に、災害時に取り残されることの多い高齢者や障害者等の要配慮者への対応が重要であり、個々の状況に応じたきめ細かい支援体制の確立が求められています。
しかしながら、現行の災害救助法では、避難所の供与や物資の提供といった救助の種類が列挙され、その範囲で福祉的支援も実施されているものの、まだまだ不十分です。また、在宅避難等の要配慮者の方々への福祉的支援に関する規定はありません。さらに、災害対策基本法にも、医療に関する文言はありますが、福祉という視点は明記されていません。災害関連死を防ぐため、災害関連法制に福祉の視点を取り入れ、あらかじめ支援体制を整備することが必要不可欠です。
災害関連法制における福祉的視点の導入について、総理の御見解を伺います。
三点目です。
防災・減災、国土強靱化については、これまでの継続的な取組により、その効果が全国各地で発揮されてきました。一方、激甚化、頻発化する台風や豪雨などの自然災害や、切迫する南海トラフ地震等の対応に万全を期すため、更なる推進が急務です。残り一年となる五か年加速化対策を着実に推進するとともに、五か年加速化対策後については、近年の資材価格の高騰の影響等を考慮しながら、必要十分な予算を確保し、取組を最大限加速すべきです。
改正法に基づく実施中期計画を早期に策定するとともに、次の五か年対策では、これまでの規模を上回る二十兆円規模の予算確保を求めます。総理、いかがでしょうか。
次に、国際社会の平和と安定について四点伺います。
本年は、広島、長崎への原爆投下から八十年の節目の年ですが、昨年、日本被団協の皆様がノーベル平和賞を受賞されたことは、人類の希望であります。
唯一、核兵器の悲惨さ、被爆の実相を知っている日本は、核兵器のない世界の実現に向けて、特別な使命を負っています。この被爆八十年の意義ある年に、日本がいかにその使命を果たし、核兵器のない世界に向けた取組を主導していくかが問われています。
総理は、昨年十二月の衆議院本会議において、核兵器のない世界に向けた現実的で実践的な取組を継続、強化していくと答弁されました。核戦争のリスクが高まっている今、重要なことは、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約と位置づける核兵器禁止条約への関与を核保有国にも広げていくことです。
そこで、政府がこれまで進めてきた核軍縮、核廃絶への取組を新たなステージに高めるためにも、まずは日本自身が、三月に開催される第三回締約国会合にオブザーバー参加し、核保有国と非保有国の双方との対話を通じて、橋渡しの役割を果たしていくべきです。このオブザーバー参加が日米安保や米国の拡大抑止を否定するものではないことを明確にしつつ、主体的に判断すべきと考えます。
公明党は、核兵器禁止条約締約国会議にはこれまで第一回、第二回共に国会議員を派遣してきました。第三回会議にも参加することを申し添えます。
また、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している今こそ、紛争を未然に防止するため、アジアにおいて多国間で安全保障を話し合う枠組みが必要ではないでしょうか。欧州の安全保障協力機構、OSCEのように、大使級が毎週顔を合わせて対話できる地域機構の創設を、日本が主導してアジアにつくるべきだと考えます。
核兵器禁止条約締約国会合へのオブザーバー参加について、また、アジア版OSCEの創設について、総理の御見解を伺います。
二点目です。
米国では、一月二十日にトランプ大統領が就任しました。かつてなく強固になった日米関係を新たな高みに引き上げるべく、首脳会談の早期の実現を期待いたします。
日米両国の経済的な結びつき、安全保障政策、人的交流が日米同盟を支える要素となっており、どれも必要不可欠です。今後、石破総理、政府には、日米同盟があってこそ米国にもメリットになるのだということを、具体的かつ丁寧に説明していくことをお願いしたい。
また、首脳レベルでの関係強化はもちろんのこと、トランプ新政権との間でも幅広いレベルでの意思疎通を行っていくことが重要であり、例えば議員外交についても促進していくべきと考えます。
さらに、アジアや欧州地域を含む米国の同盟国や他のパートナー国との間でも連携し、国際秩序を維持していく努力を絶え間なく行っていくことが肝要であると考えます。
今後の日米関係について、総理の見解を伺います。
日中関係についてです。
今月、六年三か月ぶりに日中与党交流協議会が再開され、公明党から参加した西田幹事長は、中国共産党の要人との会談で、日中に横たわる懸案の一つとして邦人拘束問題を取り上げました。これまでに何度も中国を訪問していたビジネスマンや学術関係者から訪中するのが怖いという声をよく耳にするとして、どういう言動が中国の法律に抵触するのか明確なガイドラインを示してほしいと求めました。これに対して、中国側からは、この問題を重視するとの発言があったと聞いています。
国の交わりは民の相親しむにありとの言葉のとおり、これまでの日中関係は国民同士の交流に支えられてきました。民間交流を活発にしていくことは両国の国民感情の改善につながり、そうした基盤の上に首脳同士の往来が実現していくと思います。
世界経済や東アジアの安全保障という観点からも、日中関係は極めて重要です。建設的で安定的な日中関係に向けて、邦人拘束問題も含めた両国の懸案解決について、総理の見解を求めます。
四点目です。
ガザ情勢に関して、米国、エジプト、カタールの仲介によって、先般、人質の解放と停戦に関する合意が発効されました。今回の合意を双方が誠実かつ着実に履行することが重要であり、恒久的な停戦、和平につなげなければならないと思います。
この合意では、軍事活動の停止や人質の解放のみならず、人道支援活動の増加なども定められています。停戦後の復旧復興支援が大きな課題の一つです。
日本政府には、人道状況の改善に向け、関係国、国際機関等と緊密に連携しつつ、ガザ地区の人々への必要な支援を力強く進めていただきたいと考えます。ガザ地区における人道、復興支援等での日本の役割について、総理のお考えを伺います。
全世代型社会保障について、二点伺います。
まず、医療提供体制の強化についてです。
社会保障の一つの節目となる二〇二五年を迎えました。これまで公明党は、住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、団塊の世代が全て後期高齢者に入る二〇二五年に向けて、地域医療構想や地域包括ケアシステムの構築を進めてきました。
今後、二〇四〇年に向け、現役世代は急速に減少し、高齢者人口はピークを迎えていきます。少子高齢化、人口減少といった大きな変革期にあっても、国民一人一人が安心して医療、介護サービスを受けられる環境を構築しなければなりません。
そこで、まず医療制度改革について伺います。
二〇四〇年に向け、高齢者の救急搬送の増加や在宅医療ニーズの高まりが見込まれます。患者のニーズは複合化、多様化していきます。今国会では地域医療構想の見直しなども含めた法改正も検討されていますが、医療機関において、必要な病床数を確保するだけでなく、入院早期からのリハビリテーションを充実させたり、介護との連携や在宅医療を強化し、退院後の生活に安心して移行できる体制を整備するなど、地域の医療提供体制の課題を解決するための法改正とすべきです。その際、地域ごとに異なる医療需要に対応できる医療従事者を確保することも重要です。
医療提供体制の強化について、総理の答弁を求めます。
介護保険制度について伺います。
要介護認定に要する平均日数について、原則である三十日を上回る自治体が九割を超えるとの調査結果が昨年末に発表されました。高齢化の進展により今後も申請件数の増加が見込まれることを踏まえると、要介護認定の簡素化や効率化は不可欠です。認定期間の短縮に向けた具体策を国が責任を持って示し、迅速に認定結果を受けられる環境を整備すべきです。
また、要介護認定を受けてもケアマネが見つからず、すぐに介護サービスが受けられないとの声も伺います。現在のケアマネの年齢構成を考えますと、十年以内にケアマネが急減するとの指摘もあり、介護保険制度の要であるケアマネの確保や負担軽減は喫緊の課題です。法定研修の見直しを含めたケアマネの負担軽減を図るとともに、他産業に見劣りしない処遇改善を進めるべきです。
一方で、介護保険制度創設以来増え続けていた介護職員数が、令和五年に初めて減少したとの調査結果も公表されました。多くの人が不安を感じており、介護現場で働く人材の確保は待ったなしです。最重要課題として政府を挙げて取り組んでいただきたい。
安心の介護保険制度の構築に向けて、総理の答弁を求めます。
活力ある地域づくりについて、三点お伺いします。
地方には、歴史や伝統、豊かな自然があります。私は、郷土を守り、人を生かし、地域の潜在力を引き出すことが政治の役割であり、地方創生であると考えます。
一方、地方では過疎化が進み、女性や若者の地方離れは深刻な課題となっています。政府は、女性や若者に選ばれる地方をテーマに掲げて、交付金の予算も倍増し、大規模な地方創生策を進めるとしています。しかし、当事者から聞こえてくるのは、地方には働く場所がない、女性の役割を求められるといった言葉です。まずは、こうした声に真摯に耳を傾けることが、女性や若者に選ばれる地方となるための大きな一歩です。
女性や若者の働き方、生き方はますます多様化しています。やりがいのある仕事、楽しい地域をつくるために何が必要なのか。職場や地域などにおけるジェンダーギャップ、男女間賃金格差をどのように解消していくのか。職場や地域などにおけるジェンダーギャップなどの問題に適切に対応する必要がありますし、成功事例を持つ自治体の取組等も参考にしながら、徹底した検証が必要です。これまでの地方創生に足りなかった効果的な対策が進むよう、女性や若者の声が反映できる仕組みを取り入れるなど、国がしっかりとサポートしていただきたい。
女性や若者に選ばれる地方の実現について、総理の答弁を求めます。
二〇二四年の訪日外国人旅行者数は約三千七百万人と過去最多を大きく更新し、訪日外国人消費額も八・一兆円と過去最高となりました。二〇三〇年の旅行者数六千万人、消費額十五兆円という政府目標に向けて、更に推進すべきと考えます。
一方、目標達成は困難であるという見方もあります。その理由の一つが、外国人延べ宿泊者数の約七割が三大都市圏に集中していることです。
インバウンドの経済効果を全国に波及させるためには、地方誘客を促進することが重要です。そのためにも、日本固有の文化など地域資源を生かした観光コンテンツの造成に対して、地方への支援を強化すべきと考えます。また、地方航空便の回復、地方空港のグランドハンドリングや保安体制の強化など、受入れ環境の整備も進める必要があります。加えて、オーバーツーリズムを未然に防止する取組も求められています。
インバウンドの地方誘客及び持続可能な観光立国の推進について、国土交通大臣の見解を伺います。
三点目、農業支援について伺います。
私は、先日、兵庫県を訪ね、中小農家では国の支援がなかなか受けられない、助言機関が十分に整備されていないなど、数多くの声を伺ってきました。
日本の食と農業を支えているのは個人経営体であり、少ない農地でも生産、販売に取り組む中小・家族農家の皆様です。こうした農家の皆様に対して国の施策が届くよう、プッシュ型の情報提供や相談体制の整備、申請手続の簡素化など、各種補助制度の柔軟な運用を取り組むべきです。
また、六十五歳以上の個人経営体の約七割が後継者を確保できていないなど、人手不足も深刻な課題です。未来を担う若い世代が農業に参入できるよう、経営承継の円滑化や農機具の購入、新規就農者への継続的な支援など、所得向上に向けた施策を抜本的に拡充すべきです。
食料安全保障の確立に向けた農家支援について、総理の答弁を求めます。
政治改革についてお伺いします。
昨年末、公明党が一丁目一番地として進めてきた、政治資金を厳しくチェックする第三者機関の設置法が成立しました。今国会では、実効性を担保する制度設計について議論を深め、合意を目指したい。
政治と金の問題は、物価高騰が直撃し、苦しい生活を余儀なくされている国民から見れば、議員だけが甘い汁を吸っているとの怒りや不信につながっており、信頼回復は容易ではありません。引き続き、議員自らが範を示し、最後まで改革を成し遂げなければなりません。
私の地元広島では、国会議員の有罪が確定し当選が無効となったものの、数千万円にも上る歳費を受け取っていたことに対して、住民から返還を求める訴えが上がりましたが、国が歳費の返還を請求できる規定がなく、政治不信を深める一因となりました。
当選無効の場合、歳費等の返納義務化や一時的に支給を停止できるような法改正も急ぎ進める必要があると思いますが、総理のお考えを伺います。
公明党は、個人の尊厳を守るため、選択的夫婦別姓制度の導入を訴え続けてきました。
結婚して姓を変えることで、多くの方が何らかの不便や不利益を感じています。国際的にも、夫婦同姓を義務化しているのは日本だけです。国連の女性差別撤廃委員会は、昨年、我が国に四回目の勧告を行いました。経済界からも導入を望む声が相次いでいます。
一方、制度を導入するに当たっては、複数の兄弟がいたときの姓の決め方や、戸籍制度の改革を伴うため、細部について具体的に詰めていく必要があります。そのため、私は、昨年十二月、総理に、与党における協議の場を設けることを提案いたしました。こういう国の根幹、制度に関わることについては、基本的に閣法ですし、まず与党が案を決め、そして野党の皆さんに相談する、これが筋だと思います。総理は、自民党内で検討すると前向きな姿勢を示していただきました。自民党内でも検討が始まったものと認識しております。
選択的夫婦別姓制度の実現に向けてどのように取り組んでいくのか、総理の答弁を求めます。
最後になりますが、少数与党において様々な政策課題を解決するには、与野党が共に責任を持ち、幅広い民意を集約して合意をつくり出すプロセスが極めて重要です。冒頭にも申し上げましたが、今、世界で分断と対立が激化している中、まさに熟議と合意形成の国会にしていかなければなりません。
長期に及ぶ物価高で生活が大変な世帯が増える中、公明党は、これまで以上に生活現場の声を聞き、一つ一つ政策に反映することで政治の信頼を取り戻し、国民本位のよりよい政治へと不断の改革を進めていくことをお誓いし、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 公明党代表斉藤鉄夫議員の御質問にお答えをいたします。
いわゆる年収の壁についてお尋ねをいただきました。
いわゆる年収の壁につきましては、当面の対応として取りまとめました年収の壁・支援強化パッケージにおける支援策の更なる活用拡大に取り組むとともに、働き方に中立的な制度を構築する観点から、被用者保険の更なる適用拡大など、制度的な対応も含めた年金法改正案を取りまとめてまいります。
また、本年四月より順次施行されます改正育児・介護休業法の円滑な施行や、育児休業の取得及び職場復帰の支援のために計六十万円支給されます両立支援等助成金の活用などを通じまして、男女共に仕事と家庭を両立しつつ働き続けることができる雇用環境の整備を進めてまいります。
多重委託構造業種の価格転嫁など、中小企業の賃上げ支援についてお尋ねを頂戴をいたしました。
賃上げができますよう多くの中小企業に利益を上げていただくためには、取引の上流から下流まで適切な価格転嫁を実現することが極めて重要であります。
御指摘いただきましたように、多重委託構造が存在するなど、取引の実態は業界によって大きく異なっておりますため、サプライチェーンの構造や商慣習を踏まえ、業界ごとにきめ細かな対応が必要であります。
このため、下請法の改正法案の今国会への提出に加え、先日、私から関係大臣に対して、価格転嫁を阻害する商慣習の一掃に向けて取り組むよう指示をいたしたところでございます。
具体的には、下請法違反がないか業界ごとに自主点検を行い、違反があった場合には、不利益の補償が行われる方策を考えていかなければなりません。サプライチェーンの頂点となります企業や業界には、直接の取引先の更に先まで価格転嫁が可能となるような価格設定や、それが隅々まで伝わる情報発信を行ってもらわなければなりません。労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針の遵守が徹底されますことも必要であります。これらにつきまして、関係省庁一丸となって取り組んでまいります。
科学技術・イノベーション政策につきまして、斉藤代表の貴重な御経験を踏まえたお尋ねを頂戴をいたしたところであります。
科学技術、イノベーションは、経済成長や社会課題解決の原動力であります。
世界に負けない日本の勝ち筋を伸ばしていくため、研究力の強化、人材育成などを軸に、科学技術・イノベーション基本計画の改定を進め、五年間の研究開発投資目標を新たに設定し、AI、量子、バイオ、宇宙、フュージョンなどの戦略分野での投資を促してまいります。代表の御指摘を真摯に受け止め、今後、対応いたしてまいります。
能登半島地震の復興についてお尋ねを頂戴をいたしました。
私自身、元日の追悼式に出席をいたしますとともに、御遺族の代表の方から被災当時の状況などにつきまして直接お話をお伺いし、被災地の復旧復興への決意を更に強くいたしたところでございます。
復旧復興を可能な限り早く成し遂げることこそが、犠牲となられた方々のみたまに報いる道でございます。石川県が被災住民の声を踏まえて作成した石川県創造的復興プランにおきまして、応急復旧は令和七年度まで、本復旧は令和十年度まで、震災前以上のよりよい状態への復興は令和十四年度までとされている目標に基づきまして、被災前の活気ある町並みと人々の笑顔を取り戻すため、被災者お一人お一人のお気持ちを真摯に受け止め、生活となりわいの再建、被災地の創造的復興に政府一丸となって取り組んでまいる決意でございます。
災害関連法制におけます福祉の視点の導入についてでございますが、災害時における福祉サービスの充実は、被災者の生活環境の向上、災害関連死の防止のために極めて重要であります。
現在も、障害者などの方々が災害時に滞在できる福祉避難所の設置や、災害派遣福祉チーム、DWATの避難所への派遣について、必要な費用を国庫が負担するなど、災害時の福祉的支援に取り組んでおるところでございますが、被災者の皆様方の中には在宅や車中泊で生活を送られる方々もおられますことから、こうした方々に対しましても十分な支援を行っていく必要があります。御指摘のとおりでございます。
現在、政府におきましては、災害時における福祉的支援の充実を図りますため、災害対策基本法を改正し、地方公共団体の長などの責務に避難所内外での被災者への福祉サービスの提供を加えること、災害救助法を改正し、救助活動の種類として福祉サービスの提供を加え、国庫負担の対象とすることなどにつきまして検討を行っているところでございます。今国会に改正法案を提出する方針といたしております。在宅や車中泊の被災者の方々を含め、高齢者の皆様、障害をお持ちの方々などへの、要配慮者への支援が着実に行われますよう、取組を進めてまいります。
防災・減災、国土強靱化についてでございますが、御指摘のように、激甚化、頻発化する自然災害や切迫する大規模災害への対応に万全を期す必要がございます。令和八年度からの実施中期計画につきましては、施策の評価や資材価格の高騰等を勘案し、おおむね十五兆円程度の事業規模で実施中の五か年加速化対策を上回る水準が適切との考え方に立ち、本年六月をめどに策定をいたしてまいります。
核兵器禁止条約及びアジアの多国間外交についてのお尋ねを頂戴いたしました。
核兵器禁止条約に関する対応につきましては、これまでオブザーバー参加をした国々の状況も踏まえながら、注意深く検証を進めております。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の下、我が国は、その周辺において、質的、量的な核軍拡に直面をいたしております。拡大抑止は、我が国の独立と平和を守り抜くために不可欠のものであり、オブザーバー参加により、その信頼性の確保を含む我が国の安全保障にいかなる影響があるかを熟慮する必要があるものと考えております。
同時に、核兵器のない世界に向けて、唯一の戦争被爆国として、核軍縮において実質的な進展を得るためにいかなる取組が真に効果的なのかも熟慮する必要があるものと考えております。
このような様々な要素やこれまでの経緯の検証の結果を総合的かつ注意深く考慮しつつ、第三回締約国会合への対応につき適切に判断をする考えでございます。
アジア諸国との間で安全保障や経済を含め幅広い分野において重層的な関係を構築していくことは極めて重要であります。
アジアにおきます多国間の安全保障につきましては、私自身、かねて強い問題意識を持っております。斉藤代表御提案のアジア版OSCEにつきましても、是非ともそのお考えを拝聴いたしたいと考えております。そして、今後の糧といたしたいと思っておるところでございます。我が党の中におきましても、アジアにおける安全保障の在り方につき、私がこれまでに示してまいりました問題意識も踏まえ、議論が行われております。今後、与党内でも議論を深め、それを踏まえ、政府として地域外交をより一層強力に推進していくことが有益と考えております。
日米同盟は、我が国の外交、安全保障政策の基軸でございます。
米国には米国の国益があり、我が国には我が国の国益がございます。だからこそ、率直に意見を交わし、両国の国益を相乗的に高め合うことで、自由で開かれたインド太平洋の実現に資することができるものと考えております。
トランプ新政権との間では、できるだけ早い時期に日米首脳会談を実現をし、率直に議論を行い、強固な信頼、協力関係を構築し、日米同盟を更なる高みに引き上げていきたいと考えております。
御指摘の議員間によるものも含めまして、引き続き、日米間の友好、信頼関係の一層の強化につき、あらゆる機会を用いてこれを図ってまいります。
あわせまして、価値を共有するほかの同志国との連携につきましても、引き続き、その強化に努めてまいります。
日中両国間には、様々な可能性とともに、御指摘のような邦人拘束事案を含む数多くの課題や懸案がございますが、両国は、地域と国際社会の平和と繁栄にとって共に重要な責任を有しております。
価値を共有する同盟国、同志国との連携を前提としつつ、中国との間では、習近平国家主席とも確認をいたしました戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていくというのが日本政府の方針でございます。
中国との間では、この大きな方向性の下で、首脳レベルを含め、あらゆるレベルで幅広い分野において意思疎通をより一層強化し、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくべく、共に取り組んでいく考えでございます。先般の森山幹事長そして御党の西田幹事長の訪中の成果も踏まえて、今後とも努力を重ねてまいります。
ガザ地区の人道状況についてお尋ねを頂戴をいたしました。
ガザ地区で壊滅的な人道状況が継続しておることを深刻に懸念をいたしております。
人質の解放と停戦に関する合意の成立は重要な一歩でありますが、その誠実かつ着実な履行を通じ、人道状況の改善と事態の鎮静化につなげていくことが必要であります。
そのためにも、我が国は、引き続き当事者に対する働きかけを行いますとともに、関係国、関係機関とも緊密に連携しながら、喫緊の人道支援に加え、中長期的な復旧復興支援におきましても積極的な役割を果たす決意でございます。
ガザ傷病者への医療支援、いわゆるメディカルエバキュエーションにつきましても、これを早期に実現すべく、関係国等との調整を進めてまいります。
医療提供体制の強化についてでございますが、二〇四〇年頃を見据えますと、医療と介護の複合ニーズを抱える八十五歳以上の高齢者の方々の増加や人口減少が更に進むことが見込まれており、限りある医療資源の中で、地域の実情に応じて、高齢者救急や在宅医療の需要に対応する持続可能な医療提供体制を確保することが必要であります。
そのため、地域医療構想について、入院だけでなく、外来、在宅医療、介護との連携や、人材確保なども含めました地域の医療提供体制全体の課題解決を図るものとして位置づけました上で、医療機関の役割分担や連携を更に推進いたしてまいります。あわせて、医師偏在対策を総合的に推進するために必要な法案を提出をいたしてまいります。
介護保険制度についてお尋ねを頂戴をいたしました。
高齢者の方々が住み慣れた地域で暮らし続けられますよう、介護体制の整備を進めていくことが重要であります。
御指摘の要介護認定につきましては、事務の電子化などを通じまして、迅速化に向けた取組を今年度から順次進めてまいります。在宅サービスの要でありますケアマネジャーにつきましては、研修の見直し及び業務負担の軽減、職責にふさわしい処遇の在り方などにつきまして、次期制度改正及び報酬改定に向けまして、総合的に検討を進めてまいります。
さらに、介護人材確保に向けましては、累次にわたります処遇改善を始め、ICT等のテクノロジーを活用した現場の負担軽減などを進めてきておりまして、総合的な取組を推進いたしてまいります。
女性や若者に選ばれる地方の実現についてでございますが、地方創生二・〇におきまして、若者や女性にも選ばれる地方の実現を第一の柱として強力に進めてまいります。
具体的には、若者や女性にとりまして魅力ある働き方、職場づくりの観点から、地域間、男女間の賃金格差の是正、女性のL字カーブの解消、男性の育児休業の取得促進、アンコンシャスバイアス、すなわち無意識の思い込みの解消に取り組んでまいります。
このため、地方自治体や地域の経済団体の皆様方とも連携しつつ、働き方や職場の改革に取り組もうとする意欲的な企業を支援するため、地域働き方・職場改革サポートチームを今月十五日に設置いたしたところでございます。女性や若者の立場に立った助言ができる有識者の方々にも御参加いただき、複数回にわたりましてワークショップと職場での実践を繰り返すことなどを通じまして、先行的な取組の実践を促進し、その普遍化を図ってまいります。
女性や若者に選ばれる地方の実現についてでございますが、先ほど申し上げましたように、その実現に向けて、若者や女性にも選ばれる地方の実現を第一の柱として強力に進めるということを繰り返して申し上げたいと存じます。
農家支援についてのお尋ねについて申し上げます。
農業者が国の施策を円滑に利用できますよう、農業施策などに関する情報を積極的に提供し、質問や相談に応じる農林水産省の地方参事官を全国五十三か所に配置いたしますとともに、オンライン化による各種申請手続の簡素化などに努めてまいります。
若い世代の農業参入を促進するためには農業所得の向上が重要であり、経営継承の円滑化を促進いたしますとともに、支援対象者が就農後の早い段階で所得を確保できますよう、資金支援を最長三年間継続しつつ、機械、施設導入の支援や技術サポートを含む総合的な支援を行ってまいります。
当選無効となった国会議員の歳費返納等の義務づけについてでございます。
昨年十一月、私と代表との間で自公連立政権合意を結ばせていただきましたが、その中に、当選無効となった議員の歳費返納等を義務づける法改正の実現を図ると明記されておるところでございます。我が自由民主党として、御党とも緊密に連携しながら、衆参の議院運営委員会などでの議論を呼びかけるとともに、可能な限り早期の実現に向け、議論を加速させていきたいと考えております。
選択的夫婦別氏制度についてお尋ねを頂戴いたしました。
夫婦の氏の在り方につきましては、内閣府が行いました令和三年の世論調査を見ましても、国民の皆様方の意見が分かれております。また、選択的夫婦別氏制度の導入を求める立場の中にも、制度の具体化に当たっては、例えば、子供の氏をどのように定めるのかといった点を含めて様々な考え方があるもの、このように認識をいたしております。
政府といたしましては、家族の形態や国民意識の変化、家族の一体感や子供への影響など、様々な点を考慮の上、国会において建設的な議論が行われ、より幅広い国民の御理解が形成されることが重要であると考えております。
その上で、自民党総裁として申し上げれば、選択的夫婦別氏制度の是非は、国民の御関心が極めて高いテーマでもあり、いつまでも結論を先延ばしていい問題だとは全く考えておりません。党としての考え方を明らかにすべく、議論の頻度を上げ、その熟度を高めますとともに、御党とも十分に意見交換をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
残余の質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。(拍手)
〔国務大臣中野洋昌君登壇〕
○国務大臣(中野洋昌君) 斉藤鉄夫議員から、インバウンドの地方誘客及び持続可能な観光立国の推進についてお尋ねがありました。
観光は、成長戦略の柱、地方創生の切り札であり、国民生活の安定、向上や国際相互理解の増進にも寄与するなど、極めて重要なものと考えております。
二〇二四年のインバウンドは、旅行者数、消費額が共に過去最高となり、非常に好調である一方、インバウンドの三大都市圏への偏在傾向などの課題があると認識しております。
このため、国土交通省としては、地方部の魅力を生かし、地方部での滞在を促進するためのコンテンツ造成、グランドハンドリングや保安検査の人材確保や業務効率化等の受入れ環境の整備への支援、オーバーツーリズムの未然防止、抑制に向けた取組の支援などを進め、インバウンドの地方誘客及び持続可能な観光立国の推進に向けて、全力で取り組んでまいります。(拍手)
―――――――――――――
○副議長(玄葉光一郎君) 大石あきこ君。
〔大石あきこ君登壇〕
○大石あきこ君 れいわ新選組、大石あきこです。(拍手)
先日、一月二十四日に行われた施政方針演説で、楽しい日本を目指すべきだといきなり言い出した石破総理。国民からすれば、失われた三十年という、大量の国民の人生を盗んだあなた方自民党に、突如、楽しい日本にしようぜと言われても、どん引きしかありません。それが理解できないのですね。石破総理、ちょっと言いにくいんですけれども、さっさと辞めてもらっていいですか。いつ辞めるんですか。
昨年、二〇二四年十二月の倒産件数は、三十二か月連続で前年同月を上回りました。不況型倒産も、三十二か月連続で前年同月を上回っています。
昨年、二〇二四年は、全体で一万件の倒産が出ました。この十一年で最悪の数字です。介護事業者や放課後等デイサービス等の児童福祉事業、農業の倒産は過去最多。コロナ禍に実質無利子無担保の特別融資を受けたゼロゼロ融資後倒産も、四年連続で過去最多を更新。そして、物価高倒産は過去最多を大幅に更新しています。
三十年にもわたる失策による不況とコロナ、物価高に苦しみながら、必死に地域の経済と雇用を支えた零細企業に、元凶である与党自民党は、おわびするでもなく、自らで償うわけでもなく、逆に、零細企業に対して、ゾンビ企業は市場から退場です、改善しないゾンビ企業を支援しても効果はないと攻撃。一体何様なんですか。裏金自民の方がゾンビじゃないか。
石破総理の施政方針演説での言葉。日本全国に約九千社存在する中堅企業や成長志向の中小企業は地方経済を支える存在です、この言葉にもその思想は見え隠れしています。何らかの成長志向のと選別をした上で、こうした企業の支援をうたっている。成長志向がない、つまり、あなた方の言うゾンビ企業、それは潰すための諸政策を行う宣言でもある。何がゾンビ企業なんですか。一生懸命働いている零細事業者じゃないですか。具体的には、六十代が主力となっている介護事業者とか農家じゃないですか。
本当なめていますよ。その自民党が三十年、裏で何をやってきたのか。裏金や。裏金問題を何十年も隠して、問題発覚から一年以上たってなお真相究明さえせずに、裏金自民の自首、辞職もなし。しっかりと自首してくださいね。去年十月には勝手に解散。自民は選挙で過半数割れしたものの、いまだに裏金議員の四割が生き残った。汚い金で我が世の春を謳歌。政策はゆがめられ、国民生活は壊れた。そんな戦犯自民党と楽しい日本を目指せるわけないだろう。
今やるべきことは、全ての人の手取りを大幅に増やすこと。一番シンプルでスピーディーなのが消費税廃止と一律給付金。三十年の不況で全く貯蓄がないまま、必要なものすら買えなくなっている人が膨大にいる。これは歴代政権の失策のツケであり、政治の責任です。この状況に終止符を打つ国会でないと意味がありません。財政規律という裏金たちのたわ言はもう終わりにして、責任ある積極財政への転換が必要です。
れいわ新選組は、昨十二月の補正予算成立過程で組替え動議として主に次のような項目を求めました。今も必要性は何ら変わっていません。一、消費税ゼロ、インボイス廃止。二、春夏秋冬、年四回、国民一律十万円給付。三、社会保険料引下げ。四、過労死レベルの学校現場、教員一・五倍増員。介護、保育労働者の月給十万円の賃上げ。農家と酪農家を潰すな、直接支援と経営安定支援。七、能登半島地震、奥能登豪雨被災地の復旧復興に向けた緊急支援策。
これらをやろうとすると、年間で百兆円ほどの予算規模が追加で必要になります。私たちも、幾らでも政府にお金を刷っていいとは言っていないし、インフレ制約があるという考えです。しかし、実際にこれらの政策は、まず、やる必要があるし、いまだ国内の需要は低く、供給の天井である完全雇用に達していないことを考えれば、十分に政府支出の余地があり、積極財政と、大企業、金持ちへの増税、法人税増税、累進課税の復活など組み合わせることを提案しているのです。
ところが、今回の石破内閣の売国棄民予算はどうか。過去最大、百十五兆円などと言われますが、それは税収が過去最高に達しているから。つまりは、物価高騰で生活が苦しい人たちから消費税でお金を搾り取っているのです。金返せという話なんですよ。あり得ないんですよ。一方、公債依存度は十七年ぶりに三〇%を切っている。つまり、緊縮財政。
そんな状況下で、肝腎の野党第一党立憲民主党は、円安がの一点張りで、正しい処方箋も見据えようとせず、二〇二五年予算案の無駄遣いチェックで予算減額を主張し、消費税減税にも反対。野田代表に至っては、減税を未来世代からの搾取だと言いました。何を言っているのだ。
現在世代が被ったツケの損害賠償なしに、未来世代の存続、存在条件はありません。そして、政府支出が伸びている国ほど経済成長率も高い。現在の世代に財政出動で償い、生き延びてもらわないと、未来世代は生まれてきません。十年後には、誰一人産まなくなります。
石破総理は、かねてより消費税の逆進性について触れています。二〇二二年の「異論正論」とかで、消費税に逆進性があって、格差が拡大して問題があるんだと。総理、その疑問はどうなりましたか。考えは変わったんですか。石破総理は問題を認識しつつ、消費税減税するつもりはないと言っている。やはりさっさと辞めていただきたい。
次に、物価上昇に負けない賃上げと生産性の向上は、控えめに言って関係ないという話です。
石破総理は、二十四日の施政方針演説で、物価上昇に負けない賃上げを表明。そして、こう言いました、賃上げの原資となる生産性の向上と。賃上げの原資が生産性の向上なんだと言っているんですね。石破総理以前から政権はそればかり言っていて、それは間違い、経済音痴です。
まず、今の日本において、生産性の向上は賃金の原資になっていない。厚生労働省、厚労省も私と同じ認識で、令和五年九月に出した労働経済白書、令和五年版労働経済の分析では、我が国の賃金がこの四半世紀において伸び悩んだ理由が書いてあります。
そこでは、過去二十五年、労働生産性は日本とイギリスは同じように上昇したんだと。しかし、実質賃金は、日本ははいつくばっているが、イギリスは労働生産性を超えて跳ね上がっている。つまりは、イギリスでは労働分配率が高まったことによって実質賃金が上がっているのに対して、日本は、労働分配率、労働者の取り分ですね、取り分が減ったことによって実質賃金が下がっているのです。生産性向上が原資とはなっていない。この三十年、非正規が増えて労働分配率が減った結果、生産性向上は賃上げにならなかった。
付加価値生産性、高校の教科書にも書いてあります。分子は付加価値ですね。分子が付加価値、分母は労働の量、人件費とかです。幾ら人件費をカットしても、実際に商品が売れないと、分子、付加価値の数は増えません。つまり、生産性は増えません。むしろ、社会全体が人件費をカットして、物が売れない状況がつくられた。
先ほどの厚労省の白書にこう書いてあります。一%賃上げすると二・二兆円の経済効果があり、十六万人の雇用が創出され、雇用者報酬も増える。そして、こうも書いてあります。賃上げは消費を増加させ、更なる賃金の増加につながり得ると。まず、賃上げファーストやろということを厚労省が言っているわけなんですね。
石破総理に伺います。
賃上げには、生産性向上ではなくて、労働者の取り分、つまり、労働分配率を高める政策こそ必要という指摘をどう受け止めますか。総理がどういう答弁をするのか分かりませんが、結論は厚労省すら認めているのですから、国会の中で、賃上げのためには生産性向上が必要だなどと間違ったことを言う総理や議員は辞めさせましょう。
ところで、維新を名のった前原さんが、昨日ここで本会議質疑、登壇を行っておられましたよね。維新を名のった前原さんもどういうわけか同じことを、生産性の向上が、過去二十五年間、賃金につながらなかった、賃上げにつながらなかったと前原さんもおっしゃっていたんですね。
でも、維新というのは、生産性の向上、分子と分母、特に分母の方ですね、これはコストカット、人件費のカットは正義だと。身を切る改革、分母の方です。民営化、非正規雇用の推進というのをやって大阪を破壊したのが維新ですので、前原さんはその設定を分かっていないのではないんですか。
それから、前原さんは、大阪万博のバの字も出していなかったですよね。四月に開幕予定なんですけれども、ひょっとして、前原さん、万博に反対ですか。私も反対なんです。まあ、自覚か無自覚かは分かりませんけれども、引き続きクラッシュ、頑張ってください。
戻ります。
そして、物価上昇に負けない賃上げのために、公的部門の大幅賃上げと人員増を行うことは極めて有効です。これは、政府が造ったお金によってお給料が発生するので、社会全体の購買力を増やすことでもあり、経済波及効果もあります。教員の大幅増員と賃金改善は、その大きなモデルとなる。しかし、石破内閣は、余りにもしょぼい予算と教員減を、教員増と称しながら進行させている。皆さんに知っていただきたい。
まず、学校現場の悲惨な実態について共有します。
昨十二月の報道でも、教員の残業を月換算すると、過労死ラインの月八十時間を大きく超えているとされます。精神疾患は増え、二〇二三年度は、一か月の病気休職者は一・三万人。公立学校の教員数は約八十万人とされ、そのうち一・三万人が一か月以上の病気休職。精神的に追い詰められている人は、これの何倍もいるでしょう。
さらには、教員の未配置ですね。配置予定だったけれども欠員になっている数は、文科省の調べで二千五百人を超えている。これによって、学校内で待機児童、待機生徒が続々と生まれている。先生が足りないから、体育の先生が数学を教えたり、美術の先生が英語を教えるのが当たり前になっている。異常ですね。教員を計画的に採用して増やすしかないんです。このタイミングで増やさないと、教育現場は崩壊します。
今、一部報道などで教員を約六千人増員するなど言われていますが、とんでもないフェイク。教員は減っています。文科省発表資料で、その六千人増員という報道の背景として、定数改善、プラス五千八百二十七人として、一方で、子供が減ったから、それに合わせて自然減というのをやっていて、その数がマイナス八千八百三人あり、それを合わせると、マイナス二千九百七十六人の大幅減の予算案なんです。教職員定数の改善とプラスの数だけ報道して教員不足から世間の目をそらすのでは、まるで大本営発表ではないですか。
今年だけではなくて、過去二十五年で教員は約四万人減少しているんですね、その自然減というルールで。少子化の時期こそチャンスであって、前年度並みの予算額を維持していたら、逆に四万人の定数増を実現できたはずなんです。子供が減ったから、それに合わせて自然減、そういう時代錯誤のルールを今すぐに改めて、教員の数を安定的に増やし、少人数学級と教育の質を確保することが必要。
また、根本的に残業実態を改善するために、教員を現行から一・五倍にすることをれいわ新選組は提案します。少なくとも、小学校は教員一・五倍、中学校は一・二倍が必要です。これを国のお金でやるんです。例えば、教員定数を一・二倍にしたとき、どのくらいの教員を増やすことになるのか。計算上、九万九千人、国のお金でやるのですから、年間六千六百億円となるんですけれども、自然減というのをやめることを考慮すれば、もっと少ない教員増で対応可能なはずです。
なお、今年度予算案にもありますけれども、文科省、財務省が目玉にアピールしている教員の処遇改善予算、最初言っていたのと全然違う二十二億円なんですよ。当初、九%賃上げすると言っていたのが、この年は一%だと。しかも、一年間じゃなくて三か月しか措置していないので、三十六分の一になっているんですね。しょぼ過ぎて話にならないことを付言しておきます。
そういう遅滞行為、サボタージュというのは現場の教員を絶望させますので、やめてください。
石破総理に伺います。
現在、担任の先生の担当授業こま数がいっぱいいっぱいであって、それを減らすことしか出口がない。担任外教員を増やすために、義務標準法により算定される乗ずる数を改善するのが必要。しかし、文科省は、乗ずる数の改善に応じて、じゃ、どの程度教員の担当こま数が減るのか、そういうシミュレーションをちゃんとやっていないんです。いまだなされていないので、総理から文科大臣に算出を指示していただけますか。
そして、石破総理、教員を実際には減らすのに、六千人増やすかのような大本営発表について、事実を認め、謝罪し、訂正してください。学校の子供や教員が気の毒過ぎます。
そして、最後に、害悪になりかねない野党の財政規律発想についてです。
政権が、消費税減税も公的な大幅賃上げもせずに財政規律にとらわれている。それが元凶であるにもかかわらず、今回の国会でも、野党の動きで、政権と呼吸を合わせているとしか思えない間違った流れがあるので、くぎを刺しておきたい。有権者の皆さんにもこれは見ておいていただきたいんですよ、変な流れを止めるために。
例えば、どの党も今回、教育分野への言及は熱心なんですね。だったらば、教員増員、処遇大幅改善、大きなチャンスなんですよ。しかし、財政規律の思い込みが、教員を地獄に押しとどめる危険性があります。
何となく嫌な予感がしているのは、あえて、国にお金がかかる教員増員、ここ、本丸には力点を置かずに、学校給食費を一部無償化にした、万歳、野党はやりました、そういうアピールで終わるのは茶番なので絶対にやめてください。給食無償化はやって当たり前です。むしろ、給食の義務化、給食がしょぼい、時間が短いという質の改善を現場の子供や教員は望んでいます。しょぼいゴールで、私たちはやりましたと総括するのは絶対にやめてほしい。
これは、介護と保育の予算も同じです。政府も、どの政党も、全産業平均と比べて介護や保育のお給料が年間百万円低いんだ、それは言及するんですけれども、では、それをカバーする予算増ではなくて、月一万円アップ。これは一桁足りないんですけれども、危機打開できないんですけれども、そのゴールで、私たちはやりました、そういうアピールは本当にやめてほしい。
ちなみに、石破総理は、介護職の一万円賃上げという政策は、介護の人手不足の解消対策として十分と思いますか。もっと大胆な賃上げの措置を検討しますか。それとも、その案以下でいきますか。
私たちが、この現場の絶望に向き合い、国会の中で心ある闘い、聞き分けのない抵抗をしなければいけないし、つくられた笑顔で、しっかりとこれからも取組を進めてまいります、そういう、集会で御挨拶だけは立派という職業政治家みたいなのをやめて、私たちは、しっかりとなんてできていないんだ、自分を見詰め直していかなければいけません。自戒も込めてです。
私は、その観点から、現場を生きる人々に最も責任ある態度が積極財政であると確信しております。だからこそ、売国棄民予算の撤回を求めます。
それから、最後に、私は、この本会議での、議会ですね、運用改善を求めたいんです。
今も集まっておられるじゃないですか、理事の方々が。この集まるとき、私たちれいわ新選組もオブ理事というのがいるんですけれども、今も、さっき出ていったのを御覧になりましたか。あそこで、れいわの山川さんが、最短ルート、こっちを通れば早いのに、いつも後ろを通るんですよ、この廊下の後ろを。最短ルートで通ればいいんじゃないですかと言ったら、いや、違うんだと。れいわはこの前を通るなと言われているんですよ。さっきも後ろを通って、雑巾がけしながら参集してこいみたいな話になっていて。そんな徒弟制度おかしいじゃないですか。そういうところですよ。
議長、これについて運用改善を求めます。
○副議長(玄葉光一郎君) 時間です。
○大石あきこ君(続) 議長、運用改善を求めます。後刻理事会で。
○副議長(玄葉光一郎君) 大石君、時間です。
○大石あきこ君(続) 終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 大石議員にお答えいたします。
楽しい日本についてでございますが、我が国は、これまで、明治維新の中央集権国家体制におきまして強い日本を目指し、戦後の復興や高度経済成長の下で豊かな日本を目指してまいりました。
一方で、我が国は急速な人口減少に直面し、かつての活力を維持できなくなっております。今こそ、こうした状況を反転させ、活力を取り戻す必要があるものと考えておりますが、そのためには、全ての人が安心と安全を感じ、自分の夢に挑戦し、今日より明日はよくなると実感できることが不可欠でございます。その結果、多様な価値観を持つ一人一人が、互いに尊重し合い、自己実現を図っていけるようになると考えております。
私は、楽しい日本とは、こうした活力ある国家である、これが本質だと考えておりまして、その実現に向け、私自身、先頭に立ちまして、令和の日本列島改造として地方創生二・〇を進めてまいります。
御指摘の「異論正論」におきます消費税についての指摘でございますが、コロナ禍の景気対策として消費税減税が話題になっておりました頃に書いたものでございます。
負担面だけを見ますと、低所得者の方ほど収入に占める税負担の割合が高いことから、逆に減税の場合には低所得者の方々に効果があるのではないかという趣旨で論点を提起しております。一方、消費税財源が充当されるほど、社会保障給付などによる受益は低所得者の方々ほど手厚いのでございまして、所得の再分配につながる面はございます。そうした受益面と併せて評価する場合のことを述べようとしたものではございません。
急速な高齢化等に伴いまして社会保障給付費が大きく増加する中、消費税は全世代型社会保障制度を支える重要な財源である、このように位置づけられておりまして、引下げを行うことは適当ではないという考え方に変わりはございません。
令和五年の労働経済白書では、賃金を持続的に上げていくためには、生産性を持続的に上昇させていくことが重要であるとしております。
政府といたしましては、労働分配率の向上にも資する、賃上げの原資となります生産性の向上への支援を強化するため、各業種の実態に即した省力化投資を進めるための計画を策定し、現場での支援体制を整備をいたしてまいります。
取引の上流から下流まで適切な価格転嫁を実現するため、下請法の改正法案を提出するとともに、自治体等の官公需での価格転嫁を促進いたしてまいります。加えまして、人材、経営基盤を強化する事業承継やMアンドAを後押しをいたしてまいります。
教師の皆様方の負担軽減を図る観点からは、業務の仕分を行いました、学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直しや、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化を進めるとともに、学校の指導、運営体制の充実により、教師の時間外在校等時間を削減することといたしております。
教職員定数は、法律に基づきまして、主に児童生徒数や学級数に応じて算定が行われる仕組みとなっておることは御存じのとおりでございます。七年度予算の資料におきましては、政策的な増を明らかにする一方で、少子化に伴う自然減も明らかにしており、透明性には配慮をしておるところでございます。
介護の賃上げについてでございますが、介護分野における人手不足は厳しい状況であり、政府といたしまして、処遇改善は引き続き喫緊の課題であると認識をいたしております。このため、令和六年度の介護報酬改定で措置した処遇改善加算の更なる取得促進に向けた要件の弾力化や、先般の補正予算に盛り込みました生産性の向上や職場環境の改善など、更なる賃上げに向けた支援を通じて、介護分野における賃上げを進めてまいります。
その上で、令和八年度以降の対応につきましては、処遇改善の実施状況や財源などと併せて検討する必要がございまして、現時点で金額について申し上げるものではありませんが、賃上げで先行する他産業と人材の引き合いとなっておりますことも踏まえ、適切に対処をいたしてまいります。
以上でございます。(拍手)
―――――――――――――
○副議長(玄葉光一郎君) 田村智子君。
〔田村智子君登壇〕
○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、石破首相の施政方針演説に対して質問いたします。(拍手)
まず、昨年の臨時国会からの宿題、政治改革です。
総理、自民党の裏金は終わったことなのでしょうか。与党過半数割れの最大の要因は、裏金への国民の審判です。ところが、総理の施政方針演説に一言もなかったのはなぜですか。
この間、政治倫理審査会が相次いで行われましたが、自民党議員の弁明は、事務局や秘書がやったことという開き直りに終始し、安倍派会計責任者の裁判での証言とも矛盾したままです。世論調査を見ても、事実は明らかになっていない、真相究明すべきというのが多くの国民の思いです。
総理、裏金づくりがいつから誰の指示で始まったのか、何も明らかにならないまま幕引きすることは許されないと考えますが、いかがですか。関係者の証人喚問による真相解明を強く求めます。
しんぶん赤旗日曜版のスクープが契機となり、都議会自民党の裏金に捜査が入り、会計担当職員が立件されました。日本共産党都議団が入手した自民党の内部文書には、二〇一九年の政治資金パーティーについて、都議会議員一人当たり百枚のパーティー券を配付、納入は五十枚分、百万円と書いてあります。あらかじめキックバックがシステム化されていたのではありませんか。また、都連所属衆参議員四十六名、一人三十枚配付とあり、東京選出の自民党国会議員がどう対応したのか、都議会自民党の違法行為を知らなかったのかなど、新たな疑惑も浮上しています。
都議会自民党の裏金についても徹底的に調査し、裏金の全容を明らかにすることなしに国民の信頼回復はあり得ません。総理、お答えください。
政治改革の根幹は、企業・団体献金の全面禁止です。そもそも、企業献金は本質的に賄賂性を持つと我が党は繰り返し示してきました。
日本経団連は、二〇〇四年度から、自民党の野党時代を除いて今日まで、政策要望と一体に自民党の政策評価を事細かに行い、企業献金のあっせん、呼びかけを行ってきました。例えば、法人税の実効税率引下げ、租税負担と社会保障負担を合わせた企業の公的負担を抑制する、これと併せて消費税の引上げを検証すること。この要望は二〇〇四年度から繰り返し行われ、自民党がどこまで応えているか、毎年評価し、自民党への企業献金が行われてきたのです。
法人実効税率は、四〇・八七%から、今や二九・七四%にまで引き下げられました。消費税は五%から一〇%へと引き上げられ、社会保障予算は必要額が削減され、医療、介護の国民負担が大幅に増えました。まさに消費税増税と一体で、租税負担と社会保障負担を合わせた企業の公的負担を抑制する政策が、国民の反対の声を聞かず、日本経団連の要望のとおりに進められた、これが事実ではありませんか。
今や、国民多数が企業献金禁止を求めています。それでもまだ自民党だけが企業献金にしがみつくのですか。それは、国民の声よりも財界、大企業の声を聞くと宣言するに等しいではありませんか。答弁を求めます。
総選挙での民意に応え、今国会で企業・団体献金全面禁止を必ず実現しようではありませんか。全ての政党会派の皆さんに呼びかけるものです。
お米も白菜やキャベツも驚くほどの値上げで、毎日の買物に行くのが怖い、こうした声が町の中にあふれています。今の暮らしの苦しさの根底には、失われた三十年が続いているという大問題があります。三十年間賃金が上がらず、年金は目減りし、消費税と医療、介護の負担が繰り返し増やされ、大学や専門学校の学費負担が重くのしかかり、そこに物価高騰が襲ってきた。全ては自民党政治が引き起こした人災です。この暮らしの困難を打開するには、シングルイシューの部分的改良ではとても足りず、暮らしに関わる政策全体の転換が求められていると考えますが、総理、いかがですか。
日本共産党は、暮らしの困難を打開し、安心とゆとりのために五つの改革を提案します。
第一は、大幅賃上げと労働時間の短縮を一体に進める改革です。
総理は、大幅賃上げが実現したと繰り返しますが、長期にわたり実質賃金が大きく落ち込んだ上、足下でも実質賃金がマイナス傾向から脱していないという事実を直視すべきではありませんか。まずはアベノミクス以降のマイナス分を取り戻す、年三十三万円以上の賃上げを最低限の目標として、正真正銘の大幅賃上げを政府の方針とすべきと考えますが、いかがですか。
大企業の史上最高の利益が賃上げにも取引企業の単価引上げにも回らずに、ただただ内部留保が膨張を続ける。総理、このゆがみを正すことが大幅賃上げに不可欠ではありませんか。内部留保の一部に時限的に課税して、中小企業の賃上げへの直接支援に充てるなど、たまり過ぎた内部留保を賃上げに回すなどの仕組みを政治の責任でつくることこそ必要ではありませんか。
大幅賃上げと一体で労働時間を短縮する、つまり、収入も自分の時間も増える働き方へ改革してこそ、本当に豊かな暮らしと言えます。総理、現在の長時間労働が働く人の健康を壊し、子育てにも大きな困難をもたらしているという認識はありますか。残業規制の強化で長時間労働をなくすとともに、労働時間短縮へと進んでこそ、ジェンダー平等が実現すると考えますが、総理の認識をお聞きします。
第二は、不公正な税制を抜本的に正す改革です。
毎日の生活のための最低限の費用には課税しない、この生計費非課税の原則に立つことが、暮らしの応援にも、公正な税制のためにも必要ではありませんか。明確にお答えください。
課税最低限の引上げは当然ですが、百三万円に届かない三千万人には何の恩恵もありません。最も困っている人に届く政策として、消費税こそ廃止を目指し直ちに減税し、インボイスを廃止すべきです。大企業の法人税をアベノミクス以前の税率に戻し、大企業、富裕層への税優遇を正せば十四・六兆円の税収が見込まれ、消費税五%への引下げは十分に可能です。これこそ、公正な税制により暮らしを応援する確かな改革ではありませんか。答弁を求めます。
第三は、全ての世代を支える社会保障への改革です。
物価が上がれば増える年金への改革、医療、介護の基盤崩壊を止める、ケア労働者の抜本的な処遇改善を求めます。現役世代の負担軽減といって、年金、医療、介護の制度改悪を繰り返せば、現役世代にも負担と不安を広げることになります。事実、来年度予算案では、高額療養費の負担上限を引き上げて保険料負担の抑制につなげるとしていますが、がん患者など重症患者に負担増をもたらすことが、どうして社会保障への負担の解消につながるのでしょうか。直ちに撤回することを求めます。
今対立しているのは、高齢者と現役世代では決してありません。企業献金をてこに、企業の税と社会保障の負担軽減を求めてきた財界、大企業、それに唯々諾々と従ってきた自民党政治と国民こそが対立しているのではありませんか。税と社会保障の応分の負担を大企業に求め、医療、介護、年金への公的支出を増やしてこそ、全ての世代にとって安心の社会保障を実現できると考えますが、総理、いかがですか。
特に、訪問介護を始め介護の基盤崩壊は、人口の少ない地域ほど深刻です。総理、地方創生というのなら、直ちに訪問介護の基本報酬を引き上げるとともに、介護保険に対する国の負担割合を増やすべきではありませんか。
第四は、学費、教育費負担ゼロへの改革です。
国公私立大学の四割が来年度の授業料値上げを実施あるいは検討中、日経新聞の報道に衝撃が走っています。総理、今でも大学の学費は、学生と保護者にとって重い負担であり、子育て世代の強い不安となっている、このことを認めますか。
驚いたのは、来年度予算案で国立大学運営費交付金を据え置いていることです。国立、私立共に、経常経費への交付金、補助金は長期にわたって削減され、そこに物価高騰が襲いかかっているのです。これでは学費値上げを促進するに等しいではありませんか。
来年度の大学授業料値上げを止めるために一千億円の緊急助成、そして、OECDで最低水準の教育予算を抜本的に増額し、値下げ、学費ゼロへと向かうべきではありませんか。学校給食の無償化、高校の学費ゼロを含め教育費負担ゼロへ、また、教員の長時間労働を解決する大幅増員へ、教育予算の思い切った拡充を求めるものです。
第五に、食料の安定供給、持続可能な農業への転換です。
総理、三八%にまで落ち込んだ食料自給率の目標をどうするのですか。まず、五〇%への引上げを目標として、その達成へ責任ある政策を示すべきではありませんか。
これまでの大規模化一本やりでは、農家、農地の急速な減少も酪農家の廃業も止めることはできません。家族的経営を含め、全ての農業、酪農、畜産の従事者の所得を増やす政策に転換する、これは地方創生にとっても、国民への食料安定供給にとっても喫緊の課題だと考えますが、いかがですか。
日本共産党は、以上述べた暮らしの全体を応援する政策を財源とともに提案しています。大企業、富裕層への応分の負担によって税収を確保し、大軍拡の中止、大企業の利益最優先の事業の見直しにより、消費税減税、社会保障、教育など恒常的な予算を確保する。災害、物価高騰対策など、一時的に国民のために必要な場合には国債発行を行う。これらで四十兆円規模の財源を暮らしに充てることが可能です。
政策は財源の裏づけと一体で議論する、これは国民に対する責任だと私たちは考えますが、総理の認識をお示しください。
この点で、来年度予算案はどうでしょうか。軍事費は八・七兆円、補正予算を含め、この三年間、毎年一兆円を超えて増え続ける。総理、一体、財源をどうするのですか。庶民増税、暮らしの予算の切捨て、国債の大量増発しかなくなるのではありませんか。
その中身も、米軍と一体に外国を攻撃するための長射程ミサイルの実戦配備など、戦争の準備そのものです。総理は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面していると繰り返し述べていますが、長射程ミサイルを大量に配備すれば戦争の心配はなくなるのでしょうか。むしろ、軍事対軍事の悪循環をエスカレートさせるのではありませんか。ASEANと協力して、東アジアの全ての国を包摂する対話、外交によって戦争の心配のない東アジアを構築する、日本共産党の東アジア平和提言について、総理の見解をお聞かせください。
来年度予算案は、個別の半導体企業に補正と合わせて一・三兆円もの公費を投入するなど、大企業への大盤振る舞いも目に余ります。能登の災害に対して被災者生活再建支援金の増額も対象拡大もやらない、中小企業への賃上げ直接支援もやらない、しかし、個別大企業には惜しみなく資金を投じる。余りにもゆがんだ予算案ではありませんか。
日本共産党は、大軍拡と大企業への放漫財政に切り込み、暮らしを積極的に応援する財政へと予算案の抜本的組替えを求めて奮闘することを表明するものです。
戦後八十年、日米同盟でよいのか。三点お聞きしたい。
一つは、二月に行われるとされる日米首脳会談についてです。
トランプ米大統領は、就任直後から、米国第一を最優先とし、パナマ運河を取り戻すと発言したり、気候危機打開のパリ協定からの離脱など、国連憲章、国際法に基づく平和の秩序にも、国際協調にも背を向ける言動を繰り返しています。総理、日米首脳会談で、このようなトランプ大統領の言動に対してきっぱりと批判し、国際秩序、国際協調を尊重するよう求めるべきではありませんか。
二つ目は、核兵器についてです。
被爆八十年、唯一の戦争被爆国として日本が何をなすのかが問われる下で、政府は核兵器禁止条約第三回締約国会議に参加しないと報道され、被爆者の皆さんから落胆と怒りの声が起きています。総理、オブザーバー参加すべきではないですか。参加できない理由があるならば示していただきたい。
核兵器禁止条約は、被爆者が核兵器の非人道性を訴え抜いたことが力となって誕生しました。総理も、核兵器の非人道性を批判しておられる。ならばお聞きしたい。総理は、いかなる状況の下でも核兵器の使用は許されない、この立場に立ちますか。核抑止は、いざというときには核兵器を使用することを前提としたものであり、核兵器の非人道性への批判と根本的に矛盾するのではありませんか。明確な答弁を求めます。
三つ目は、いつまで沖縄を米軍基地の島にしておくのかということです。
占領軍によって奪われた土地に米軍基地が造られ、米兵による性暴力にどれだけの女性、少女そして子供が犠牲になってきたか。重大事故、騒音被害など、沖縄は八十年間、平穏な暮らしが奪われています。その上、県民の民意を踏みにじる米軍辺野古新基地建設を強行することは、断じて許されません。やるべきは、危険な普天間基地の即時閉鎖、撤去、日米地位協定の抜本的見直し、沖縄を平和で豊かな島にする政治への転換ではありませんか。総理の答弁を求めます。
最後に、選択的夫婦別姓について端的にお聞きします。
総理は、党内の議論を丁寧にと言いますが、自民党は、三十年にわたって党内協議がまとまらない、それを理由に選択的夫婦別姓の法案審議を妨げてきたのではありませんか。もう妨害をやめるべきです。私たちを踏みつけているその足をどけてほしい、運動を続けてきた皆さんの思いに応えて、今国会で、民法改正の法案審議に踏み出し、選択的夫婦別姓を実現することを強く求めるものです。
日本共産党は、国民の皆さんの要求の側に立ち、国民の皆さんの声で国会を動かし、自民党政治を終わらせるために全力を尽くす、その決意を表明し、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕
○内閣総理大臣(石破茂君) 日本共産党、田村智子議員の御質問にお答えを申し上げます。
自由民主党におきます旧派閥の政治資金収支報告書の不記載事案についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
私の施政方針演説の中で不記載事案に触れていないとの御指摘がございましたが、施政方針演説では、これまでの事実確認の結果や昨年実現した政治改革の様々な施策などを前提として、今後取り組むべき政治改革の内容を述べているところでございます。
御指摘の事案をめぐりましては、第三者である検察により厳正な捜査が行われ、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものは立件されてきたものと認識をいたしております。
また、我が党におきましても、可能な限りの調査を行い、その結果を国民の皆様方に御説明をいたしてまいりました。
大切なことは、二度と同様の事案を繰り返さないということであり、改正された政治資金規正法を遵守いたしますとともに、引き続き、党として政治改革の議論を率先して行ってまいります。これで幕引きが終わったなぞとは考えておりません。
政治団体都議会自由民主党の不記載事案についてでございますが、御指摘の事案につきましては、第三者である検察により厳正な捜査が行われ、法と証拠に基づき、刑事事件として取り上げるべきものは立件されたものとこれも認識をいたしております。
都議会自由民主党におきましても、必要な調査を行った上、会見を開いて説明を行ったところでございます。
今回の事案を受けまして、都議会自由民主党や自民党東京都連におきましては、政治不信を招いた政治的な責任を重く捉え、不記載のあった政党支部の支部長につきまして、その職責などに応じまして、都議会等における役職停止処分や都議会議員選挙における非公認を決定いたしたところでございます。
我々自由民主党の国会議員といたしましても、今回の事案を踏まえ、改めて襟を正し、仕事で一つ一つ成果を積み上げることで信頼回復に努めてまいります。党といたしましても、正面からこの事案に真摯に対応いたしてまいりたいと考えております。
企業・団体献金についてでございますが、政府の政策は、国民各界各層からいただく様々な御意見を踏まえ、必要性や優先度なども十分に検討した上で、国会での御議論も経て決定しているものであり、企業・団体献金を受けていることを理由として決定しているものではございません。
我が党といたしましては、企業・団体献金自体が不適切であるとは考えておらず、禁止よりも公開という考え方により、企業・団体献金も含めました政治資金の透明性を確保する取組を進めておるところでございます。このような考え方につきましては、世論調査を見ましても、国民の皆様方からも御理解をいただきつつあるのではないかと感じております。
現在、透明性を更に向上させるための法案について党内での議論を進めているところでございまして、引き続き、この課題について率先して議論を進めてまいります。
失われた三十年についてでございますが、バブル崩壊以降、金融システム問題やリーマン・ショックなど、我が国は様々な困難に見舞われてまいりました。この間、企業は、短期的な収益を確保しますため、賃金や成長の源泉である投資を抑制するコストカット型経営を行い、結果として、消費の停滞や物価の低迷、さらには成長の抑制がもたらされました。この低物価、低賃金、低成長というデフレの悪循環が、過去三十年間の基本的な構造であったと認識をいたしております。
ようやく、六百兆円超の名目GDP、三十三年ぶりの高い水準となった賃上げが実現するなど、明るい兆しが表われておりますが、このチャンスを逃すことなく、コストカット型経済から高付加価値創出型経済へ移行することで、生活が豊かになったことを多くの国民の皆様方に実感していただける社会を実現をいたしてまいります。
賃上げと長時間労働の是正についてでございます。
賃上げこそが成長戦略の要との認識の下、物価上昇を上回る賃上げを起点といたしまして、国民の皆様方の所得と経済全体の生産性の向上を図っていく必要がございます。
そのためには、企業が過度に内部留保を現預金として保有するのではなく、賃上げ、人への投資、設備投資などに効果的に活用することが重要であります。
御指摘のような内部留保への課税につきましては、二重課税に当たるとの指摘もあることから、慎重な検討が必要であると考えておりますが、昨年十一月の政労使の意見交換におきまして、約三十年ぶりの高い水準となりました昨年の勢いで、今年の春季労使交渉におきましても大幅な賃上げを行うことへの協力を私から要請をし、最低賃金を引き上げていくための対応策の策定を関係閣僚に指示したところでございます。
働く方々の生命と健康を守り、安心して子育てできる社会を実現するため、短時間勤務の活用や、生活時間、睡眠時間を確保する勤務間インターバル制度の導入促進など、働き方改革を着実に実施し、労働時間の短縮にも取り組んでまいります。
公正な税制の在り方についてでございますが、個人所得課税の課税最低限は、生計費だけではなく、公的サービスを賄う費用を広く分かち合う必要性などを総合的に考える必要がございます。
消費税は、急速な高齢化などに伴い社会保障給付費が大きく増加する中におきまして、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられておりまして、その引下げは適当ではないと考えております。
インボイス制度は、複数税率の下で課税の適正性を確保するために必要であり、廃止は考えておりません。事業者の御不安等に対しましては、事業者からの相談を丁寧に受けるなど、引き続き真摯に対応いたしてまいります。
法人税につきましては、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくという与党税制改正大綱で示された考え方などを踏まえながら、適切に考えてまいります。
社会保障への不安解消や訪問介護報酬についてお尋ねを頂戴をいたしました。
社会保障制度への不安には、少子高齢化に対する将来不安、保険料負担の上昇に対する不安があるものと考えております。このため、誰もが年齢にかかわらず能力や個性を生かして支え合う全世代型社会保障の構築を、改革工程に沿って着実に進めてまいります。
高額療養費制度につきましては、高齢化や高額薬剤の急速な普及などによりましてその総額が年々増加する中で、セーフティーネットとしての役割を維持しつつ、低所得者の方々の経済負担にも十分に配慮をしながら保険料負担の抑制にもつなげるための見直しを行うことといたしております。
企業における税と社会保障の負担につきましては、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、めり張りのある法人税体系を構築していくという与党税制大綱の考え方を踏まえて検討してまいります。社会保険料につきましては、医療や年金の給付を通じまして労働者を支えるための責任として、事業主に応分の御負担を求めていることを考慮する必要があると考えております。
訪問介護につきましては、令和六年度の介護報酬改定の影響の丁寧な把握に努めますとともに、先般の補正予算によります、地域の特性や事業者の規模などに応じましたきめ細かい対策を着実に進めてまいります。
なお、介護保険制度につきましては、社会保険方式の下、保険料、公費でそれぞれ五割を負担する仕組みといたしており、公費負担割合を引き上げることには慎重であるべきと考えております。
大学の授業料についてでありますが、これまで、関係法令などに基づきまして、各大学の設置者において適切に設定いただいてきたと認識をいたしております。本年度から、授業料等の減額などの対象を多子世帯の中間層などに拡充をし、令和七年度から、無償化の対象となります多子世帯の所得制限をなくすことといたしており、支援拡充の趣旨に反するような学費値上げが行われることがないよう、文科省から各大学に通知をいたしたところでございます。
大学の授業料などの負担軽減につきましては、まずこうした拡充を着実に実施に移し、その上で、教育の機会均等や少子化対策の観点から、その効果を見定めつつ取り組んでまいります。
食料自給率や自給力などの観点から我が国の食料安全保障を確保しつつ、農業所得を増やしてまいりますために、スマート技術の導入や農地の集積、集約などによります生産性の向上、農産物のブランド化などによります徹底的な付加価値の向上、世界市場に向けた輸出の促進などにより、農業をもうかる産業といたしてまいります。
防衛財源、長射程ミサイル配備の効果及びASEANと協力した東アジア外交についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
強化されました防衛力を維持していくために確保すべき安定財源の約四分の三は、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入の確保など、あらゆる工夫を行うことにより賄うことといたしておりますが、それでも足りない約四分の一は、税制措置での御協力をお願いすることといたしております。
各種スタンドオフミサイルの導入は、我が国の様々な地域から重層的に相手方の艦艇や上陸部隊等を阻止、排除できる能力を強化するものであり、こうした取組により、自衛隊の抑止力、対処力を向上させることで、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができる、このように考えております。
アジアにおきましては、ASEANが地域協力の中心として重要な役割を担っており、米中ロも参加する多層的な地域協力枠組みがございます。我が国といたしましては、引き続き、こうした枠組みへの積極的な参画及びその強化に取り組み、地域の安全と安定を一層確保するための取組を主導してまいりたいと考えております。
七年度予算についてでございますが、令和七年度予算は、累次申し上げておりますとおり、コストカット型経済から高付加価値創出型経済への確実な移行とともに、我が国が直面する構造的な変化への的確な対応や国民の皆様方の安心、安全の確保のためのものでございます。
御指摘のAI、半導体分野の投資促進は、これを官民連携の下で着実に進めることで、我が国の成長力を強化し、賃上げの原資となります企業の稼ぐ力を引き出すためのものでございます。
能登半島地震などの災害対応という観点で、キッチンカーなどの登録制度の創設など災害対応力の強化や、こども未来戦略に基づく子供、子育て支援の本格実施を盛り込むなど、国民の皆様方の暮らしも重視した内容になっておる、このようなものであると考えております。
日米首脳会談についてのお尋ねを頂戴をいたしました。
トランプ大統領の外交手法や気候変動などに係る発信の一つ一つにコメントすることや、日米首脳会談での扱いにつき予断をすることは差し控えますが、その上で、来るべき首脳会談におきましては、トランプ大統領との間で、率直な意見交換を通じ、信頼関係を構築いたしますとともに、安全保障や経済などの諸課題につき、認識の共有を図り、一層の協力を確認し、日米同盟を更なる高みに引き上げたいと考えておるところでございます。
核兵器禁止条約及び核兵器の非人道性についてでございますが、御指摘の核兵器禁止条約への対応につきましては、様々な要素を考慮して検討を続けているところでございます。
世界に被爆の実相をしっかりと伝えていくことは、核軍縮に向けたあらゆる取組の原点でございます。政府といたしましては、引き続き、唯一の戦争被爆国として、被爆の実相の正確な理解を、世代と国境を越えて促進をいたしてまいります。
その一方で、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の下、我が国は、その周辺におきまして、質的、量的な核軍拡に直面をしております。御存じのとおりです。
現実に核兵器などの日本に対する脅威が存在する中で、それに対応し、我が国の独立と平和を守り抜くためには、米国が提供する核を含みます拡大抑止が不可欠でございます。
我が国の安全保障を確保しつつ、同時に核兵器のない世界という目標に向かって努力していくことは決して矛盾するものではなく、共に取り組んでまいります。
普天間飛行場の返還や日米地位協定の改定等についてでございますが、普天間飛行場につきましては、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づきまして着実に工事を進めていくことが、その一日も早い全面返還を実現し、危険性を除去することにつながるものと考えております。引き続き、基地負担の軽減に全力で取り組みますとともに、沖縄経済の構造改革に向けて支援を継続をいたしてまいります。
地位協定につきましては、自民党で、アジアにおける安全保障のあり方特命委員会が設置をされ、議論が行われております。引き続き我が自由民主党におきまして議論を重ねていくものと承知をいたしておりますが、党における議論を踏まえつつ、日米同盟の抑止力、対処力を強化するとともに、在日米軍の信頼性、同盟の強靱性、持続性を高めていくという観点から検討し、適切に判断をいたしてまいります。
選択的夫婦別氏制度についてでございます。
これまで、選択的夫婦別氏制度に係る法案が一部の議員の皆様方から提出されてまいりましたことは承知をいたしておりますが、国会における法案審議の経緯について、政府として発言することは差し控えたいと存じます。
夫婦の氏の在り方につきましては、内閣府が行いました令和三年の世論調査を見ましても、国民の皆様方の御意見が分かれております。また、選択的夫婦別氏制度の導入を求める立場の中にも、制度の具体化に当たりましては、例えば子供の氏をどのように定めるか、そういった点を含めまして、様々なお考えがあるものと認識をいたしております。
政府といたしましては、家族の形態や国民意識の変化、家族の一体感や子供への影響など、様々な点を考慮の上、国会において建設的な議論が行われ、より幅広い国民の御理解が形成されることが重要である、このように考えておるところでございます。
以上であります。(拍手)
○副議長(玄葉光一郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
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○副議長(玄葉光一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後五時二十八分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 石破 茂君
総務大臣 村上誠一郎君
法務大臣 鈴木 馨祐君
外務大臣 岩屋 毅君
財務大臣 加藤 勝信君
文部科学大臣 あべ 俊子君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
農林水産大臣 江藤 拓君
経済産業大臣 武藤 容治君
国土交通大臣 中野 洋昌君
環境大臣 浅尾慶一郎君
防衛大臣 中谷 元君
国務大臣 赤澤 亮正君
国務大臣 伊藤 忠彦君
国務大臣 伊東 良孝君
国務大臣 城内 実君
国務大臣 坂井 学君
国務大臣 平 将明君
国務大臣 林 芳正君
国務大臣 三原じゅん子君
出席内閣官房副長官
内閣官房副長官 橘 慶一郎君
出席政府特別補佐人
内閣法制局長官 岩尾 信行君