第11号 令和7年3月25日(火曜日)
令和七年三月二十五日(火曜日)―――――――――――――
議事日程 第十号
令和七年三月二十五日
午後一時開議
一 情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
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○本日の会議に付した案件
永年在職の議員赤嶺政賢君、阿部知子君、梶山弘志君、松原仁君、大島敦君、平井卓也君、松本剛明君、長妻昭君、金子恭之君、塩川鉄也君、山井和則君、松野博一君、細野豪志君及び小渕優子君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)
会計検査院情報公開・個人情報保護審査会委員任命につき同意を求めるの件
公益認定等委員会委員任命につき同意を求めるの件
公正取引委員会委員長任命につき同意を求めるの件
国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件
公認会計士・監査審査会会長及び同委員任命につき同意を求めるの件
行政不服審査会委員任命につき同意を求めるの件
情報公開・個人情報保護審査会委員任命につき同意を求めるの件
中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件
公害健康被害補償不服審査会委員任命につき同意を求めるの件
情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後一時二分開議
○議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。
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永年在職議員の表彰の件
○議長(額賀福志郎君) お諮りいたします。
本院議員として在職二十五年に達せられました赤嶺政賢君、阿部知子君、梶山弘志君、松原仁君、大島敦君、平井卓也君、松本剛明君、長妻昭君、金子恭之君、塩川鉄也君、山井和則君、松野博一君、細野豪志君及び小渕優子君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。
表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
これより表彰文を順次朗読いたします。
議員赤嶺政賢君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員阿部知子君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員梶山弘志君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員松原仁君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員大島敦君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員平井卓也君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員松本剛明君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員長妻昭君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員金子恭之君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員塩川鉄也君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員山井和則君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員松野博一君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員細野豪志君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
…………………………………
議員小渕優子君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
〔拍手〕
この贈呈方は議長において取り計らいます。
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○議長(額賀福志郎君) この際、ただいま表彰を受けられました議員諸君の登壇を求めます。
〔被表彰議員登壇、拍手〕
○議長(額賀福志郎君) 表彰を受けられました議員諸君を代表して、赤嶺政賢君から発言を求められております。これを許します。赤嶺政賢君。
○赤嶺政賢君 ただいま私たち十四名に対し、院議をもって在職二十五年の表彰をしていただき、誠にありがとうございました。心からお礼の言葉を申し上げます。(拍手)
私は、まず、二〇〇〇年の初当選以来、四半世紀にわたって私を国会に押し上げていただいた九州、沖縄の皆さんに心からお礼を申し上げます。
私の原点は、基地のない平和で豊かな沖縄を建設することです。
私は、一九四七年、米軍の直接統治下の沖縄で生まれました。悲惨な沖縄戦の傷痕が残る中でした。父親の畑仕事を手伝うようになると、戦没者の遺骨の断片を畑の四隅に積み上げるのが私の役割でした。米兵による強姦事件などが処罰されないことに大きな怒りを抱きながら育ちました。
沖縄戦を生き残った人々は、「いくさーならんどー、なーいくさーならんどー」と口癖のようにつぶやいておりました。戦争は嫌だ、戦争はもう絶対に繰り返してはならないという気持ちが込められていました。憲法九条を守れの決意は、私自身の生い立ちに根差しているものであります。
私は、大学に進学するときに、パスポートを持って上京しました。この屈辱は生涯忘れません。当時の沖縄は、サンフランシスコ講和条約第三条によって、日本から切り離されていたのであります。
日本国憲法の下への復帰を願った祖国復帰闘争は、沖縄と本土の連帯した闘いで、沖縄の施政権返還をかち取ることができました。ところが、その後、日米安保条約が沖縄に適用され、広大な米軍基地は復帰前と変わらず存在し続けています。
私は、当選以来、普天間基地の無条件返還を求め、辺野古新基地建設を押しつける政府と論戦を重ねてきました。
米軍基地あるがゆえの事件、事故が繰り返され、憲法の上に安保条約、地位協定があり、県民の人権がじゅうりんされる軍事優先の異常な社会は変えなければなりません。
ところが、政府は、繰り返し示してきた民意も、地方自治も、法律さえも踏みにじり、新基地建設を強行しています。これに対して県民は、保守、革新を超えた団結で翁長県政を誕生させ、私を四回連続で小選挙区沖縄一区からオール沖縄の代表として国会に送り出してきたのであります。
オール沖縄の団結は、沖縄戦や米軍統治、その後も続く米軍支配にあらがう沖縄の平和の心が一つに結ばれたものです。
私は、命(ぬち)どぅ宝の平和の心を掲げ、辺野古新基地建設、南西諸島の軍事要塞化を許さず、基地のない平和で豊かな沖縄を目指し、県民とともにこれからも闘い続ける決意であります。
以上を表明し、謝辞といたします。
ありがとうございました。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) 本日表彰を受けられました他の議員諸君の挨拶につきましては、これを会議録に掲載することといたします。
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阿部 知子君の挨拶
二〇〇〇年六月の初当選から二十五年、この度、永年在職の表彰を頂きましたこと、厚くお礼申し上げます。
徳洲会の勤務医であった私に社会民主党から立候補のお誘いがあった時、その背を押して下さったのは、今は亡き徳田虎雄理事長でした。弱い立場の患者さんに接する医師には、身を低くして相手の思いを聞く選挙の経験は大事だから頑張りなさい、と忙しい臨床の場から送り出して下さいました。
地元の皆様の変わらぬご支援は勿論のこと、今日もこの本会議場で固唾を飲んで私を見守って下さっている後援会の皆様の温かな励ましや、事務局スタッフ、そして夫や家族の支えによって、以降連続九期にわたり国会に身を置くこととなりました。
最初の四期十二年は社会民主党の南関東比例区で議席を頂きました。そもそも同党とのご縁は一九七八年一月二十四日の深夜、都内七カ所の病院をたらい回しにされた末に亡くなった母のことがありました。当時、救急医療体制の不備は大きな社会問題にもなっており、日本社会党の山本政弘衆議院議員が母の事案を国会で取り上げ、搬送体制の改善が急がれるようになりました。母の命は帰らずとも、救急搬送で助かる人が少しでも増えればと、その時、改めて政治の意味を思いました。
さらに国会議員になる前々年に兄を医療事故で亡くしたこともあって、当選後は厚生労働委員会に所属し、ひたすら医療の充実を願って仕事をしてきました。
二〇一一年の東日本大震災に続く東京電力福島第一原発事故以降は、放射能から環境や住民を守る事にも力を注ぎ、事故収束に働く作業員の被曝や労災問題にも取り組み、再生エネルギーの主力化とエネルギー政策の転換を図っています。
近年少子化が著しいスピードで進み政治課題となる中、女性が子を産み育てやすく、子ども達が守られる社会となるよう、超党派の議員のお力をお借りして母子保健法を改正、産後ケアセンターが生まれた事は、小児科医として何よりの喜びです。
他方、世界各地の戦禍の拡大によって無抵抗の民間人、とりわけ女性や子どもの命が大量に奪われていることを傍観せず、平和人道外交を推し進めねばと思います。
戦争を経験しない世代が政治家の大半となり、人々の命や平和が軽んじられることを強く懸念しておられた野中広務さんや土井たか子さんから頂いたご指導、そして武力によらない紛争の解決を誓った平和憲法を胸に、これからも努力して参ります。皆様の一層のご指導をお願い申し上げます。
…………………………………
梶山 弘志君の挨拶
この度、院議をもって永年在職表彰の栄誉を賜りましたこと心より厚く御礼を申し上げます。
初当選は二〇〇〇年の総選挙、爾来二十五年間私の活動を支えてくれた郷土茨城の後援会や支持者の皆様、歴代の事務所のスタッフに心より感謝申し上げます。
この間、国土交通大臣政務官、国土交通副大臣、国土交通委員長、災害対策特別委員長、地方創生担当大臣、経済産業大臣を経験させていただき、大きな変化と不確実な時代の多様な課題に、「最善の選択は何か」と考えながらそれぞれの職務に全力で取り組んできました。特に記憶に残るのは、野党時代に発生した東日本大震災、そして経済産業大臣時代のコロナ感染症のパンデミックです。いずれも多くの尊い命が失われ、人流、物流が止まりました。「危機管理のあり方」「災害への備え」というものを強く意識させられ、防災・減災への国土強靭化、サプライチェーンの多重化、日本を支える中小企業、地域経済への迅速な支援等にこれからも取り組んで参ります。
私の政治信条は「愛郷無限」。故郷を想う心なくして国を愛することはできない、国の発展なくして故郷が豊かになるはずもない。この志を持ち続け自らの役割を果たして参ります。
最後に、大病を患い、手術を経て療養をしながら私の活動を身近で支えてくれた妻由可子と家族には言葉に尽くせぬ感謝の気持ちでいっぱいです。
改めて多くの皆様のこれまでのご支援に深く感謝申し上げ、今後とも変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。ありがとうございました。
…………………………………
松原 仁君の挨拶
日本国の衆議院議員として二十五年間、活動を続けてこられましたことに、国民の皆様に深く感謝いたします。
私の国政における活動の原点は、日本を再び自己主張できる主権国家として確立するということでありました。それは先達が継承してきた歴史や伝統、文化に誇りを持つ国家を取り戻し、自信みなぎる国民としての日本人の復活です。日本国が経済、安全保障、文化面において世界で主要な役割を果たすためには、国民の誇りや自信、活力が欠かせません。
近年行われた若者に対する世論調査(第六十二回「国や社会に対する意識(六カ国調査)」、日本財団、二〇二四)の結果に、私は愕然としました。同調査では、日本人は他の国民に比べて「人に誇れる個性がある」「自分は他人から必要とされている」という自信や自己肯定感につながる回答が極めて少なく、また、「自国の将来」について「良くなる」という回答においては一五%しかないという結果が出ています。
政治の大きな目的は、主権者たる国民に自信を持たせ、永続的に共に歩む社会をつくるということだと思っています。誇り高き国家が自信ある国民を産み、自国に誇りを持つ国民が自信のある国家をつくる。現在の日本国を自信ある国家と見なす人はどれほどおられるでしょうか。
戦後八十年を数えるにもかかわらず、いまだに自国の国益を傍らに置き、他国の顔色や意見を尊重しながら生きていく国家。こうした日本政治の振る舞いに強い義憤を覚えるとともに、大きな問題意識を持ちながら活動してまいりました。
北朝鮮による日本人拉致問題という残酷な現実は、私の国家観、安全保障観、倫理観に大きな衝撃を与えました。憲法九条により武力の行使と戦力の保持を否定する我が国は、自国民を取り戻すという正当な目的のために、どのように「力」を行使できるかという、高い壁に直面していました。
上陸しての奪還作戦など武力行使が許されない中、被害者奪還交渉の裏付けとして、ほぼ唯一の手段は経済制裁による圧力でした。しかし、従来、我が国ではG7主導の有志国もしくは国連安全保障理事会で決定された経済制裁以外は行えないという、主体性のない戦後の日本外交を漫然と継承し、主権にかかわる問題に対する危機感が極めて浅薄な状況でした。
そもそも、拉致問題は我が国と北朝鮮間の問題であり、主権国家として主体性を持って取り組まなければならない問題です。与野党の多くの議員に説明、説得を尽くし、また大きなご協力を賜り、日本政府が単独で経済制裁を行使することが可能になったということは、戦後の日本外交における画期的な一里塚となったと自負しております。
拉致問題担当の国務大臣としての取り組みは、公に語れることは多くはありません。ご家族やご関係者からの信頼を得ながら、なお未だ多数の日本人拉致被害者の帰国を実現できていない現状に、国民を守るべき政治家として、誰よりも責任を感じております。
政府の役職として初めて拝命した国土交通副大臣の任に当たり、壁は極めて高いといわれた首都高地下化の実現に向けて、三宅久之氏、岩見隆夫氏らの協力を取り付け、「首都高速の再生に関する有識者会議」を立ち上げ、日本国のシンボルでもある「日本橋」復活に、実質的な目途をつけたことは大きな成果であったと誇りに思います。未来の東京において、青空を仰ぎながら日本橋を渡る老若男女の姿を思い浮かべ、我が国の復活、国民の精神的高揚の一助になればと心から願うばかりです。
また、それまで存在感が薄いとされてきた消費者担当大臣に就任した際には、消費者庁一丸となって、目に見える成果を出すことを大きな目標としました。社会問題となったオンラインゲームのコンプガチャへの過剰な課金問題の解決のために、何より職員の皆さんのご尽力により、「『懸賞による景品類の提供に関する事項の制限』の運用基準」の改正を実現することができました。
さらに、過度な国民負担の上昇について、常に国民生活に寄り添う立場でその改善に取り組み、未曽有の大災害であった平成二十三年東日本大震災時の原発事故、それに伴う電気料金の値上げ問題にあたっては、結果として、料金の値上げ幅を、当初案から三〇%縮小しました。電力会社、経済産業省との困難でお互い一歩も引かぬ交渉の末、社会保険料負担割合の変更など、関係者には痛みの伴う改革を受け入れていただきました。
国家公安委員長の職を務めるにあたり、多くの警察職員の皆様に献身的にお支え頂いたことに感謝は尽きません。自動車運転免許証における準中型区分の新設は、人材不足に苦しむ流通業界の苦境を打破する大きな一手を打つことができました。また東日本大震災の被災地視察において、厳しい環境に派遣された警察官の皆様の、献身的に職務に励む崇高な姿に心を打たれ、「東北は、そして日本は必ず復活できる」と確信したことを今でもよく覚えています。
在職二十五年を務めさせていただきましたが、日本の復活再生はまだ道半ばです。昭和二十年に一敗地に塗れたわが国ではありますが、祖国のために命を捧げた多くのご英霊に思いをいたす時、愛する日本国のために、私に何ができるのかを改めて沈思黙考する日々でもあります。これからの活動は政治家として集大成となることを肝に銘じ、主体性のある国家と自信と誇りに満ちた国民を取り戻し、日本の更なる飛躍のために身を粉にして取り組むことを、今、ここに誓います。
…………………………………
大島 敦君の挨拶
二十五年もの長きにわたって衆議院議員として活動できたこと、そして、連続して当選できたことは、私の実力ではなく、応援して下さっている方々の信用や信頼で、ご支援の輪が広がったからなのです。
平成十一年、通勤する電車の中で、「民主党が候補者募集を始めた」との記事を読んで、応募したことが選挙に挑戦するきっかけでした。当時、四十二歳、衆議院議員を目指すというよりも、「自分が何者かを試したい」という思いから応募しました。候補者への選考過程で、地元の市議会議員、町議会議員の方々全員が賛同してくださり、平成十二年一月二十九日に公認となりました。当選が見えない私を市議会議員、町議会議員の方々は、二月の寒い朝、駅でのレポート配布から始まり、全力でお支え頂きました。事務所にもずっと詰めて下さいました。そのお力と地元で暮らす皆さまのご賛同で初当選できたのでした。選挙の最終日、午後八時の選挙戦が終わろうとする時に、「地元で生まれ、地元に骨を埋める」と叫んでいました。その思いは今も変わりません。
当時、県連幹事長だった山根隆治先生からは、公認候補者になった際には、「ほんの少しでも応援してもらえたら、心の底からありがたいと思いなさい」、選挙直前には、「公党の公認は天命と思いなさい」と、お言葉をいただきました。公の仕事に臨む心構えは、そうした皆さまとの出会いから培われたのです。雇用対策を訴えましたので、最初の委員会は「労働委員会」に所属しました。国の「求職者支援制度」は、その時の公約なのです。山根先生は、その後、参議院議員に当選され、私は、先生の選対本部長を務めさせていただきました。
私の地元活動は、地元に日本のすべてがあるという考えのもと、暮らす方々を体現し、政策課題を見つけ出し、国会で提言し、政府を動かし、解決することに尽きます。新型感染症が流行した期間は、暮らす皆さまの「生活の安定」と「事業の継続」を念頭に、一人ひとりに連絡するとともに、事業を営まれている方へも徹底的にサポートさせていただきました。国会議員として、誰よりも取り組んだ一人だと思います。
二十五年間、九回の選挙で、どのような時でもご支援くださった皆さまに、あらためて心より感謝申し上げます。私が国会に臨んで、目立つことなく信頼を積み重ねることができたことは、敦友会をはじめ後援会や団体の皆さま、陰ながらお支えくださった多くの方々の賜物なのです。
最後に、政治とは土着であり、我が郷土、我が国を愛する議員として、国会に臨んでまいります。
…………………………………
平井 卓也君の挨拶
このような栄誉ある表彰をいただき、心より感謝申し上げます。この場を借りて、私を支えてくださった方々に、深い感謝の意を表したいと思います。
まず、私を信頼し、選び続けてくださった有権者の皆様に、心から感謝申し上げます。皆様のご支援があってこそ、私はこの責任ある職務を全うすることができました。皆様の日々のご意見やご要望を大切に受け止め、それを政策に反映させることが私の使命でした。皆様の声が私の原動力であり、励みでした。これからも皆様の期待に応えるべく、誠心誠意努力を続けてまいります。
次に、私の活動を日々支えてくれた家族やスタッフに、深い感謝の意を表します。長い間、私の公務に対する理解と協力を惜しまず、支えてくれました。特に、家族の存在は私にとって心の支えであり、どんな困難な状況でも前に進む勇気を与えてくれました。
また、同僚や官僚の皆様にも、心から感謝いたします。これまでの二十五年間、多くの挑戦と成果がありました。政策立案や法案作成、議員外交から地域振興に至るまで、様々な分野で活動させていただきました。その中でも特に私が注力してきたのは、デジタル化推進に関する取り組みです。サイバーセキュリティ基本法を始め、デジタル関連の議員立法は私が誇れる成果です。また、デジタル庁の創設という大きな仕事を成し遂げることができたのも、皆様の理解と協力、そして熱意があったからこそです。菅義偉総理のバックアップと官僚や同僚議員とのチームワークなしでは実現しませんでした。
日本は二〇〇〇年以降経済成長が停滞し、GDPもドイツに抜かれ四位となり、一人当たりのGDPは二十二位、労働生産性も三十位以下に低迷しています。これらの最大の原因は、デジタル化と構造改革が他国に比べ進まなかったことです。今年は昭和一〇〇年という節目の年です。昭和ノスタルジーから脱却し、新しい国家像を目指さなければなりません。社会課題を新しいテクノロジーやデジタルの力で乗り越え、活力ある誰一人取り残されないデジタル化社会の実現に向けて、これからも全力を尽くします。
最後に、これまでの道のりを支えてくださった全ての方々に、改めて感謝申し上げます。皆様の支えがあってこそ、私はこの二十五年間、衆議院議員としての職務を全うすることができました。これからも皆様のご期待に応えるべく、誠心誠意努力を続けてまいります。今後ともよろしくお願い申し上げます。
…………………………………
松本 剛明君の挨拶
この度、院議をもって永年在職議員表彰の栄誉を賜りましたこと、誠に身に余る光栄で、深甚なる感謝の意を表します。
平成十二年の第四十二回総選挙で、初当選させていただいて以来、連続九期、二十五年にわたって衆議院議員を務めることができました。偏に兵庫十一区、姫路市の有権者をはじめとして、ご支援、ご協力くださってきた皆様のおかげです。加えて、多くの諸先輩方、同僚議員の皆様方からも温かくご指導いただきました。心から厚く御礼申し上げます。
またここまで、政治政策面でも地元活動でも事務所運営でも助けてくれた妻をはじめ家族・亡き両親、事務所スタッフに、日々大きな力をもらってきました。このような支えなくして今の自分はありません。誠にありがとうございます。
私の政治への志は、国政に参画していた父の求めで大臣秘書官を務めることとなったことから始まりました。時代は、我が国に人口構造の変化により経済社会の大きな転機がきており、世界も冷戦が終わって激動の時代を迎えており、そのことを直視すると、政治の使命はたいへん重大であると感じました。伊藤博文公は「我々の歴史は、今ここからはじまる」との気概を持って明治の国創りを進めてこられました。国政に縁がある者として、一生をかけて全力で取り組むやりがいを感じ、国政への挑戦を決意しました。
この間、限りなく多くの出会いを頂戴しました。街頭でお会いした方々から、政治への課題と期待の声に、応援の力もいただきました。また、学びを重ねる中で、すばらしい方々と語り合う機会を得られました。ほんとうに出会いはありがたいです。歴史を学び、根幹を見据え、未来を洞察して、具体的に仕事していこうと思い、政党において、国の根幹である、経済・財政、外交・安全保障、未来のための子ども子育て・教育の分野をはじめ、広く政策形成・実現に携わってきました。衆議院においては、議院運営委員長、外務委員長も務めました。政府においては、外務大臣、総務大臣二回など、いろいろ役職を拝命いたしました。
然るべき職務にあっては、立場を超えた徹底的な議論を仲間に求めた上で、責任は自らとる覚悟で、決めて実行するとの姿勢で臨みました。総務大臣在任中は、人々の、日本の、世界のために、AIのルール形成を我が国が主導すべきと考えてG7やOECDの国際的な枠組を活かし、広島AIプロセスを立ち上げて世界に拡げることができました。他にも、重職にあって、多くの力を賜り、幾つも明日への道を拓くことができました。在職中の出会いと学びを通して、日本の国がすばらしく、世界に認められていることを実感してきました。日本人が、誇りをもって強く豊かに幸せに明日へ進めるようさらに力を尽くす決意を新たにするとともに、これまで得られたものを次の世代に受け継いでいくように、前へ進んでまいります。
重ねて、これまでご縁を賜った方々に心からの謝意を表します。誠にありがとうございます。
…………………………………
長妻 昭君の挨拶
本日、衆議院議員在職二十五年を迎え、永年在職表彰をいただきました。すべての皆さまに感謝申し上げます。
当選までは、山あり谷ありでした。
足元が一気に崩れ落ちた。こんな気持ちでした。一九九六年、初の小選挙区制の下、民主党公認で挑戦したものの惨敗した後、公認争いが起こり、私の公認が外されたのです。目の前が真っ暗になりました。その後、胃が痛むほどのつらい紆余曲折があり、選挙直前にお国替え、つまり選挙区を変更し、二〇〇〇年六月に初当選しました。以来、今日に至っています。
何よりも、応援いただいた支援者の皆さまに心より感謝申し上げます。しがらみを振り切って応援をいただいた方、党が逆風のなか怒鳴られてもビラ配りを続けてくれた方、少ない年金の中から献金をしていただいた方。数えきれない涙が出るありがたいご支援は決して忘れません。
落選中は収入がほぼゼロとなり、幼い息子三人を抱え、妻には大変つらい思いをさせてしまいました。また、無理難題をお願いしても応えてくれた秘書・事務所スタッフにも支えられました。議員や党スタッフにも大いに助けられました。
昭和三十五年六月十四日、私は祖父、父とも警察官の家に生まれました。当時、父は国会の廊下に寝泊まりしながら、安保闘争の警備に当たっており、私が生まれた日も国会にいたそうです。
母は高田馬場の鮮魚店の娘で、ぜいたくを極度に嫌い、質素と謙虚こそが最も大切と教えてくれました。
「お父さんは警察官なのだから、昭が少しでも悪いことをするとお父さんは警察に居られなくなるの」と子どもの時から厳しく言われました。
もともと政治家になるつもりはなく、大学卒業後、NECを経て日経ビジネス誌の記者となりました。
「金利をゼロにしてミニバブルを作る。そうすれば不良債権はすぐに片付く。マスコミは騒ぐな」。バブル崩壊を取材するなかで、官僚はこう言い放ちました。がくぜんとしました。この衝撃が政治家になるきっかけです。この失政こそが、その後の失われた三十年と続くのです。
さらに、取材をした衆議院議員の菅直人さんからの「ジバン、カンバン、カバンがないほうがいい政治家になる」という言葉も親が政治家ではない私の背中を押しました。
初当選直後は安全保障委員会に所属し、日本の守りを固めるための自衛隊法改正等に取り組みました。その後は、銀行の不良債権問題や政府の税金の無駄使い体質を追及。結果として天下りあっせん禁止や道路・ダムなどの特別会計廃止を実現しました。
その後、年金保険料の無駄使いの温床であるグリーンピアを廃止。年金記録が消えた問題、「消えた年金」についても初めて実態を明らかにして追及。毎年誕生月に年金記録と年金見込み額を全国民にお知らせする年金定期便を開始させました。
厚生労働大臣に就任してからは、消えた年金対策に徹底的に取り組み、今では一千六百万人の年金記録が回復、生涯年金額約二・九兆円を取り戻すことができました。同時に低年金の方への上乗せ年金制度「年金生活者支援給付金」を創設しました。
さらに日本初の中学生までの「子ども手当」も創設、相対的貧困率を初めて公表させ子どもの貧困の実態を明らかにしました。また、求職者支援制度の創設、医療レセプトの患者への交付を初めてスタートさせるなど、厚生労働大臣として懸命に取り組みました。
戦後処理については、長年の懸案だったシベリア抑留者への補償法案を成立させ、国の責任を認めたうえで、六万人以上の元抑留者の皆様に特別給付金をお支払いしました。
これまで特に、国家の礎である二つの保障、「社会保障」と「安全保障」に取り組んできたつもりです。
議会では、衆議院厚生労働委員長を務め、国会提出した議員立法は六十二本。本会議や委員会での質問は三百回を越え、厚生労働大臣として答弁した本会議や委員会は約百二十にのぼりました。予算、厚生労働、国土交通、平和安全法制特の各衆議院委員会でそれぞれ筆頭理事を務めました。
党務では最近のものだけでも、立憲民主党代表代行、政調会長、選対委員長など務め、全力を尽くしました。多くのスタッフに恵まれ感謝しかありません。
生かされているこの命。誰でも初めは、自分の持ち味を活かしたい、人の役に立ちたいと思うのではないでしょうか。しかし、多くの壁に阻まれ、そのやる気が失せてしまう。こんな社会は発展しません。
政治の力で壁をできるだけ取り払って、どんな環境にあっても一人一人の持ち味が活きる社会を作りたい。私が目指す社会は、すべての人に「居場所」と「出番」のある社会です。国のために一人一人がいるのではなく、一人一人のために国はあるのです。
人権、格差、多様性を軽んじる政治を反転させれば日本はもっと良くなります。これからも、これまで同様、できる限りの力を尽くし精進してまいります。
本当に、ありがとうございました。
…………………………………
金子 恭之君の挨拶
この度、院議をもって永年在職議員の表彰を賜りました。身に余る光栄であり、心より御礼申し上げます。
私は、熊本県の人口二千人の旧・深田村(現・あさぎり町)で生まれ育ちました。政治家を志して以来、「地域の繁栄なくして、国の繁栄なし」という信条のもと、徹底した現場主義を貫いて参りました。地域の皆様の生の声、本音の声を国政に届け、課題解決につなげる事が私の最大の使命であるという思いは、平成十二年の初当選から今日に至るまで変わりません。
四半世紀にわたる議員生活で多くの課題に取り組んで参りましたが、まず思い起こされるのは災害対策です。我が国は自然災害と常に隣り合わせで、地元熊本でも熊本地震、令和二年七月豪雨災害など多くの災害に見舞われて参りました。被災地の復旧・復興と被災者支援に全力で取り組んで参りましたが、令和二年九月に就任した災害対策特別委員長として与野党委員の皆様の審議を経て、支援金の支給対象世帯を拡大する「被災者生活再建支援法」を全会一致で改正する事が出来ました。豪雨災害で多くの方々が困難な生活を強いられましたが、改正が被災者の方々の生活再建の一助となった事で、政治の果たすべき役割を改めて実感いたしました。
また、私はハンセン病問題の解決にも長年尽力しており、現在は超党派のハンセン病対策議員懇談会の会長を務めております。特に忘れ難いのは、平成二十年、同懇談会の事務局長として、「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」の制定に取り組んだ事です。法律で基本理念を定め、国の責務を明確にする事で、その後の諸施策の実施につなげることが出来ました。これからも、元患者の方々やその御家族の声に耳を傾け、ハンセン病問題の最終的な解決に向け努力を重ねていく所存です。
政府においては農林水産大臣政務官、国土交通副大臣を務め、令和三年から四年にかけては、岸田内閣において総務大臣を拝命いたしました。大変な重責でありましたが、地方、そして被災地の出身である私がなすべき事は何かを常に自問し、一日一日、懸命に職務に励んで参りました。与野党を超えた多くの先生方からの御指導、御示唆もいただきながら、「地域の繁栄なくして、国の繁栄なし」中央と地方の格差を解消し、まだ道半ばでありますが地方創生の実現に取り組むなど、職責を全うする事が出来ました。
今日の私があるのも、多くの人々に支え、育てていただいたからにほかなりません。愛する郷土・熊本の皆様、同僚議員の皆様、役所や党の職員の皆様、事務所スタッフの皆んなに心より感謝申し上げます。そして、どんな時も苦楽を共にしてくれた妻・由紀子と子どもたち、家族、親族にもこの場を借りて感謝の気持ちを伝えたいと思います。
結びに、これからも、地域と国の繁栄を礎に、誰もが安心して暮らせる社会の構築と次世代への継承に全身全霊で取り組む事をお誓い申し上げ、私の御礼の言葉といたします。
…………………………………
塩川 鉄也君の挨拶
このたび、在職二十五年の表彰をいただいたことに、謝意を申し述べます。二〇〇〇年以来、日本共産党を応援いただいた全国、そして群馬・栃木・茨城・埼玉の北関東の皆さんに厚くお礼申し上げます。また、いつも励ましの言葉をかけてくれた妻と家族にも感謝します。
私の政治活動の原点は、日本と世界から戦争と貧困をなくすことであり、日本共産党と出会ったことが転機となりました。学生時代、米軍が日本に核兵器を持ち込もうとしたことが大問題となったとき、強い憤りを覚えました。なぜ被爆国の日本に核兵器が持ち込まれようとしているのか知りたいと思うとともに、自分ひとり声を上げても政治は変わらないという気持ちもありました。その時に、安保条約の下で米国言いなりの仕組みがつくられていることが大本にあり、対等平等の日米関係を実現する展望を示してくれたのが日本共産党の先輩でした。そして、みんなと一緒に政治を変えようと、一歩足を踏み出す勇気を与えてくれました。
今や国際社会では、核兵器禁止条約が実現し、日本被爆者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したように、被爆者を先頭にした日本と世界の世論と運動が大きな力を発揮しています。「核抑止」の呪縛を解き放ち、「核兵器のない世界」の実現のために力を尽くすものです。
この間国会では、カネで動く政治を終わらせようと、企業・団体献金禁止の取り組みに全力を挙げてきました。政府が、物価高騰対策として最も効果のある消費税減税に踏み出そうとしないのは、財界・大企業が消費税増税、社会保障抑制、法人税減税を要求し、そのために多額の企業・団体献金を政権党に行ってきたからです。
以前は企業・団体献金禁止と言えば、日本共産党だけの訴えだったものが、今では他の野党からも禁止法案が提出されるようになり、大きな変化が生まれています。国民生活を守り、支えるためにも、賄賂であり国民の参政権を侵害する企業・団体献金の禁止をぜひとも実現したいと決意しています。
長らく国会の運営全般に関わる議院運営委員会の一員として活動してきました。憲法に基づく国民主権の議会制民主主義において、政府行政を監視監督する国会の責務は重大です。平和・くらし・人権のあらゆる分野で、憲法が生きる政治の実現のために全力を尽くすことを申し述べ、謝辞といたします。ありがとうございました。
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山井 和則君の挨拶
この度、衆議院議員在職二十五年の表彰を賜りました。私が衆議院議員に初当選させて頂いたのは二〇〇〇年六月二十五日です。
何よりも、九期二十五年間、落選中も含め三十年間、ご指導頂き、支えて頂いた、京都六区、京都南部の地元の方々に心より御礼申し上げます。特に、私の活動を支えて下さっている支持者、ボランティアやスタッフの方々の並々ならぬご尽力と、私を応援して頂き、ご指導頂いている方々に、重ねて、厚く御礼申し上げます。
私の座右の銘は、「社会のぞうきんになれ!社会のぞうきんになって、社会をきれいにしなさい!」という仏教精神の洛南高校で、三浦俊良学校長や担任の虎頭祐正先生から頂いた言葉です。この言葉を肝に銘じ、「福祉の山井」として、福祉を中心に国会で取り組んできました。
私が政治を志した原点は、学生時代に児童福祉施設で六年間、ボランティアをし、また、私の祖母が長年の寝たきりの末に亡くなったことです。貧困や虐待に苦しむ子どもたち、また、寝たきりや認知症の高齢者、その介護者やご家族の方々の「声なき声」を、誰かが国会に届けないと、世の中は良くならない!と、政治を志しました。
民主党政権の時には、二〇〇九年、二〇一〇年、長妻昭厚生労働大臣のもと、厚生労働大臣政務官を務めさせて頂き、児童手当の中学三年までの延長や、「消えた年金」の被害者救済、障害者自立支援法の廃止と障害者総合支援法の成立などを実現できたことは、大きな思い出です。
また、議員立法による福祉の充実などに力を入れ、二十五年間に四百九十四回の国会質問などをすると共に、百四十五本の議員立法を作成して国会に提出し、介護職員・障がい福祉職員処遇改善法、子ども貧困対策法や過労死防止法などを成立させることができました。昨年は、児童手当の高校三年までの延長を実現させ、今年は、がん患者の方々などの高額療養費引上げの凍結を実現することができました。
特に、被害者やご遺族、ご病気の方々、障がいのある方々、介護を必要とする方々など、当事者や弱い立場の「声なき声」を、国会で代弁し、与野党協力し、法案を成立させたり、予算を獲得することに力を入れてきました。これらの実現は、私の力だけでは到底無理であり、超党派の素晴らしい同志の議員、党職員、法制局や調査局を始めとする衆議院事務局のスタッフの方々、各府省の官僚の方々のおかげです。
さらに、地元については、「お茶振興法」の成立や、宇治茶や京野菜の振興、新名神高速道路の推進など、京都南部の活性化に取り組んできました。
これからも、「福祉の山井」として、弱い立場の方々や京都南部の住民の代弁者、僕(しもべ)として、全力で働かせて頂きます。
以上、心からの御礼と決意とさせて頂きます。
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松野 博一君の挨拶
この度、院議をもって永年在職議員の表彰を受けましたことは、誠に光栄の至りであり、お世話になったすべての皆様に深甚なる謝意を申し上げます。
私の政治活動は、平成七年自由民主党千葉県支部連合会が実施をした候補者公募制度に応募し、始まりました。ゼロからの挑戦でありましたが、多くの皆様に支えられ当時千葉市若葉区、緑区、市原市の千葉県第三区にて政治活動を開始しました。街頭演説のためJR五井駅に初めて立った日の緊張感を今も忘れることはありません。
一年半後の平成八年に実施された第四十一回衆議院総選挙に初挑戦をいたしましたが私の力不足で敗退、浪人生活にはいりました。その間も変わらぬご支援をいただき、平成十二年の第四十二回衆議院総選挙にて初当選、議会活動をスタートしました。
教育分野と労働雇用分野を政策の二つの柱とし、教育分野においては、文部科学大臣在任時に「どんな家庭環境に生まれ育っても本人の意欲があれば学習の機会を与えられなければならない」という信念のもと、日本で初めての返還の必要がない給付型奨学金制度を実現することができました。労働雇用分野においては「働き方を考えることは生き方を考えること」を掲げ、自民党の雇用問題調査会長として政策提言を続けました。
加えて東日本大震災発災時、私は野党として国政に携わっておりましたが、被災地の復興を最大の政治課題の一つとして今も取り組んでおります。
当選七期目、岸田内閣において内閣官房長官に就任いたしました。官房長官として内閣の総合調整を進めると共に沖縄基地負担軽減担当大臣、拉致問題担当大臣、ワクチン接種担当大臣を兼職し、アイヌ問題、国民保護計画にも取り組みました。
本日、当選九回在職二十五年を迎えるにあたり、改めて日本国民の生命・財産を守り、国際平和のため、そして郷土千葉県の発展のために全力を尽くす決意であります。
最後に、長年にわたり私の活動を支えてきた家族、事務所職員の皆さんに感謝をするとともに、何よりも永年にわたる地元後援者の皆様のご指導、ご支援に御礼を申し上げ、永年勤続表彰にあたりご挨拶とさせていただきます。
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細野 豪志君の挨拶
この度、院議をもって永年勤続議員表彰を賜りました。厚く御礼申し上げます。
私の政治家としての原点は、学生時代の阪神淡路大震災のボランティア経験です。社会人になる前の二カ月、被災地である神戸で、厳しい環境にありながら秩序を失わない被災者の方々、懸命に使命を果たす自衛官や行政官の方々、共に汗を流すボランティアとの出会いを通じて、国民のために働く政治家になることを決意しました。
五年間の三和総研の研究員を経て、政権交代可能な保守二大政党という理念に共鳴して、設立直後の民主党の門を叩きました。二〇〇〇年当時、政治経験はゼロ、選挙の条件と言われた「地盤・看板・カバン」も皆無な中での挑戦は無謀と言われましたが、幸運に恵まれて二十八歳で初当選しました。伊豆半島の皆さんによって私は政治家として生み出されました。区割りの変更後、浮き沈みの激しい政治活動を続けてきた私を静岡五区から一貫して国政に送り続けてくださった地元の皆さんに、厚く御礼申し上げます。
二〇一一年、総理補佐官として東日本大震災に向き合うことになりました。菅直人総理の指名を受け、政府の責任者として原発事故対応に当たりました。原発作業員や自衛官の命がけの作業がなければ、あの国家的危機は乗り越えることができませんでした。その後、原発事故担当相と環境相を兼務し、被災地のがれき処理や除染に取り組みました。除染土の再生利用など残された課題については、福島の復興のためにやり遂げなければなりません。
民主党で閣僚や役員を経験しながら、安全保障政策の違いから希望の党、無所属を経て自民党に入党を認めていただきました。このことで与野党を問わず多くの同僚議員の皆様に多大なるご迷惑をお掛けいたしました。ここに深くお詫び申し上げます。
私自身は、初当選から
1安全保障は現実主義
2内政は弱い立場の人のために
3地元の代表として「ことを為す」
この三つの政治理念を大切にしてきました。
2の中で、特に子供の貧困、教育格差、児童虐待などは与野党を超えて取り組むべき課題です。子供たちがどのような環境で育ったとしてもチャンスをつかむことができる、すなわち「ジャパニーズドリーム」を実現できる日本社会をつくるために、残された政治家人生で全力を尽くす決意です。
最後に、二十五年間支えてくれた妻と家族、事務所スタッフに感謝し、謝辞といたします。
…………………………………
小渕 優子君の挨拶
本日院議を持って永年在職議員の表彰を賜り、額賀議長はじめ皆様に心より感謝申し上げます。
私が初めて議席を頂きましたのは、二〇〇〇年六月の第四十二回総選挙であります。同年四月、首相を務めていた先代の父、小渕恵三が病に倒れ緊急入院。留学先からリュック一つで帰国した私を待っていたのは、意識が戻らない父と、選挙を間近に控えての後継問題でした。
あの日から私の人生が一変しました。
五月十四日、父は帰らぬ人となり、その後は葬儀と選挙の目まぐるしい日々を越え、六月二十五日、弱冠二十六歳で初当選を果たしたその日は、奇しくも父の六十三回目の誕生日でした。
あれから二十五年。ただただ目の前のことに全力を尽くし、いただいたお役を誠意を持って務めていく、その繰り返しでした。振り返ってこのような栄誉を前に、私に何が成せたかと力不足を恥じるばかりです。
今の私があるのは、偏にふるさと群馬の皆様の献身的なご支援と、多くの方々のご指導のお陰です。雨の日も風の日も変わらず応援してくださった地元後援会はじめ、先輩各位、同志の皆様、そして事務所スタッフに改めて心から感謝申し上げます。
私自身、柱として取り組んできたのは、財政政策、アジア外交と人間の安全保障、そして沖縄振興です。かつて私が所属した政策集団は、たとえそれが耳の痛いことであっても、票につながらなくとも、将来の日本の責任と矜持を持って決断を下してきた先人達がいました。その背中から多くのことを学ばせていただく中、私に課せられた使命は、持続可能で平和な日本を次の世代に引き継いでいくことだと考えています。
政治活動と子育て、家庭の両立という綱渡りの日々も忘れられない事の一つです。当時は女性議員の出産は稀で、前例もない中、まさに手探りの連続でした。突然の深夜国会に、寝ている赤ん坊を抱きかかえながら駆けつけたこと、臨月になっての解散総選挙も今となっては良い思い出です。女性議員として、多くの先輩方に助けていただいたように、少しでも後輩たちに道を作っていけるようこれからも努めて参ります。
苦楽を共にしてきた同期の故竹下亘先生、本来であれば先生と共にこの日を迎えたかったです。今あなたのお姿がここにないことが残念でなりません。
結びに、歳をとりましたが今なお変わらず娘を心配してくれている母と、政治家、妻、母である私を受け入れ、支えてくれている夫と子どもたちに心から感謝し、御礼のご挨拶と致します。ありがとうございました。
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会計検査院情報公開・個人情報保護審査会委員任命につき同意を求めるの件
公益認定等委員会委員任命につき同意を求めるの件
公正取引委員会委員長任命につき同意を求めるの件
国家公安委員会委員任命につき同意を求めるの件
公認会計士・監査審査会会長及び同委員任命につき同意を求めるの件
行政不服審査会委員任命につき同意を求めるの件
情報公開・個人情報保護審査会委員任命につき同意を求めるの件
中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件
公害健康被害補償不服審査会委員任命につき同意を求めるの件
○議長(額賀福志郎君) お諮りいたします。
内閣から、
会計検査院情報公開・個人情報保護審査会委員
公益認定等委員会委員
公正取引委員会委員長
国家公安委員会委員
公認会計士・監査審査会会長及び同委員
行政不服審査会委員
情報公開・個人情報保護審査会委員
中央更生保護審査会委員
及び
公害健康被害補償不服審査会委員に
次の諸君を任命することについて、それぞれ本院の同意を得たいとの申出があります。
内閣からの申出中、
まず、
会計検査院情報公開・個人情報保護審査会委員に杉山治樹君を、
公認会計士・監査審査会委員に井野貴章君を、
情報公開・個人情報保護審査会委員に稲山文男君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
次に、
会計検査院情報公開・個人情報保護審査会委員に福重さと子君を、
公益認定等委員会委員に生野考司君、黒田かをり君、湯浅信好君、原田大樹君及び北村聡子君を、
公認会計士・監査審査会会長に青木雅明君を、
同委員に蟹江章君、上田亮子君、古布薫君、玉井裕子君、川村義則君及び塩谷公朗君を、
行政不服審査会委員に八木一洋君、田澤奈津子君、羽田淳一君、福本美苗君、中原茂樹君及び野口貴公美君を、
情報公開・個人情報保護審査会委員に中里智美君、武藤京子君、芳仲美惠子君、寺田麻佑君、中村真由美君及び久末弥生君を、
中央更生保護審査会委員に辻惠介君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(額賀福志郎君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
次に、
会計検査院情報公開・個人情報保護審査会委員に堀江正之君を、
国家公安委員会委員に相星孝一君を、
公認会計士・監査審査会委員に千葉通子君を、
情報公開・個人情報保護審査会委員に木村琢麿君及び佐藤郁美君を、
公害健康被害補償不服審査会委員に八木貴美子君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
次に、
公益認定等委員会委員に清水新一郎君及び石津寿惠君を、
公害健康被害補償不服審査会委員に山田広樹君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えることに決まりました。
次に、
公正取引委員会委員長に茶谷栄治君を
任命することについて、申出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、同意を与えることに決まりました。
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情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(額賀福志郎君) この際、内閣提出、情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。経済産業大臣武藤容治君。
〔国務大臣武藤容治君登壇〕
○国務大臣(武藤容治君) ただいま議題となりました情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
生成AIは、我が国の産業が革新的な製品、サービスを創出し、経済成長を実現するとともに、人口減少による構造的な人手不足等の社会課題を解決するために不可欠な技術であります。また、生成AIの利活用の急速な拡大に伴う計算需要の大幅な増加に対応し、生成AIの社会実装に関する他国への依存を低減するためには、国内において、半導体、データセンター等のハードウェアと生成AI等のソフトウェアが相互に連携の上、高度化していくエコシステムを構築するとともに、生成AI等のデジタル技術の利活用促進を牽引するデジタル人材の育成を進めることが急務であります。
加えて、半導体産業は、世界需要がこの十年で大きく増大する成長産業であり、経済効果も極めて大きく、既に投資、雇用、賃上げを通じた地域経済の大きな牽引役となっております。
諸外国においては、半導体、AI産業を基幹産業とすべく、必要な財源を確保しながら大胆な支援策を展開しているところ、我が国においても半導体、AI分野の大規模な官民投資を誘発することで、その成長需要を取り込むとともに、各産業の国際競争力の強化につなげていくことが必要です。こうした状況を踏まえ、情報処理の高度化を推進するための環境整備を図るため、本法律案を提出した次第であります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず、情報処理の促進に関する法律の一部改正です。
第一に、指定高速情報処理用半導体の生産を安定的に行うために必要な取組について、その実施に必要な資金の出資や施設設備の現物出資、必要な資金の借入れに関する債務の保証等の支援措置を講じます。また、これらの支援措置の対象となる者は、公募により選定し、これらの支援措置に関する業務は、独立行政法人情報処理推進機構が行います。
第二に、独立行政法人情報処理推進機構の業務に、情報処理サービス業を営む会社が大量の情報につき高速度での処理を行うことができる性能を有する設備の導入を行うために必要な資金に関する債務を保証することを追加します。
第三に、独立行政法人情報処理推進機構の業務に、情報処理に関する業務を行うために必要な専門の知識及び技能を有する者を養成し、及びその資質の向上を図ることを追加します。
第四に、政府は、令和七年度から令和十二年度まで、先端的な半導体の安定的な生産の確保等の施策に関する措置に必要な財源について、エネルギー対策特別会計の負担において、公債を発行することができるものとし、その償還等に必要な財源に充てるため、財政投融資特別会計の投資勘定から、エネルギー対策特別会計において今般創設する勘定へ繰り入れることができるものとします。
次に、特別会計に関する法律の一部改正です。
第一に、エネルギー対策特別会計に、先端半導体・人工知能関連技術対策を追加し、先端半導体・人工知能関連技術勘定を創設した上で、独立行政法人情報処理推進機構に対する出資金等の歳入歳出項目を規定します。
第二に、今般追加する対策に必要な財源に充てるため、エネルギー需給勘定及び一般会計から今般創設する勘定へ繰り入れることができるものとします。
以上が、本法律案の趣旨であります。(拍手)
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情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(額賀福志郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。池田真紀君。
〔池田真紀君登壇〕
○池田真紀君 立憲民主党の池田真紀です。
ただいま議題となりました情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表して質問いたします。(拍手)
冒頭、一言申し上げます。
多くの国民の皆さんが、総理が当選一期生に十万円分の商品券を配付したことは問題だと、これまでの総理の説明には納得できないと言っています。しかも、歴代の総理などにも同様の手土産の事例があると自民党内から証言が出ているのは異常ではないですか。この実態を重く受け止め、石破総理は党総裁としてきちんと党に再調査を指示し、改めて自ら説明責任を果たすことを強く求めて、質問に入ります。
世界各国では、産業政策や経済安全保障の観点から、自国内での半導体の製造基盤を確保するための支援策が講じられています。日本国内でも、安定的な半導体の開発、量産による社会経済の発展に向けて、予見性を高めつつ大規模な官民投資を誘発し、そのための必要な財源を国として確保し支援を行っていくこと、それが本法案の狙いだと思っています。
私は、今回の半導体分野の国家プロジェクトが日本の産業政策にとって必要であるということを踏まえながらも、解決していくべき論点を含め、以下、質問してまいります。
日本の半導体産業は、一九八八年には世界シェアの実に五〇・三%も占め、世界を席巻していました。しかし、その後の著しい凋落の末、二〇二四年のシェアは七・四%程度にも落ち込んでいます。二〇二一年に政府がまとめた半導体戦略によれば、日の丸半導体の凋落の主な要因として、日米貿易摩擦によるメモリー敗戦、設計と製造の水平分離の失敗、デジタル産業化の遅れ、日の丸自前主義、国内企業の投資縮小と韓国、台湾、中国の国家的事業育成の五点を指摘しました。
過去の半導体政策の反省を踏まえ、今後の半導体政策についてどう臨もうとしているのでしょうか。武藤大臣にお聞きいたします。
本年二月七日の予算委員会において、我が党の本庄知史委員が、エルピーダメモリ経営破綻に関し、国の支援がなく孤軍奮闘していたと指摘した中で、武藤大臣は、政府として適切な投資をしてこなかったという反省があるという趣旨の答弁をされました。当時のような無責任な対応を繰り返すことは許されないと思います。武藤大臣が予算委員会で述べた適切な投資とは、今後どのように具体的な形で行うのか、所見を求めます。
二〇二三年度までに、少なくとも米国では十四兆円、中国では十七兆円もの規模で財政、税制支援等を進めてきたとされています。日本はその半分程度の規模の支援と承知しています。こうした中で、昨年十一月二十二日に閣議決定したAI・半導体産業基盤強化フレームでは、二〇三〇年度までの七年間で十兆円以上の支援を行うこととしました。
ところで、その十兆円は、補助、委託等で六兆円程度、出資、債務保証等の金融支援で四兆円以上としています。そもそも、国民の生活及び経済安全保障として、民間ではリスクが大き過ぎてできない政策だからこそ国家プロジェクトでするのであり、補助のみならず、国が大型出資者となれば国の責任が明確になると考えますが、政府の考えを経産大臣に伺います。
補助、委託等の六兆円程度のうち二・二兆円は、財政投融資特別会計の投資勘定からエネルギー対策特別会計に繰入れすることになっていますが、財投特会は投資による出資と回収が本来の趣旨、目的と考えますが、なぜ繰入れして補助に使えるようにするのでしょうか。経産大臣に伺います。
エネルギー対策特別会計の負担において公債を発行できるとしていますが、なぜ財投特会投資勘定から繰り入れるのでしょうか。また、この公債はAI、半導体施策に限定されるのでしょうか。伺います。
次に、一・六兆円は既存の基金から活用するとしていますが、我が党は、経産省所管の基金に限らず全ての基金について三年ルールに当てはめて、七・八兆円の無駄な積み上げ額を見つけて予算修正の財源としました。余った予算を使うことは妥当と考えますが、経産省は、所管する既存基金から国庫返納金を新たな勘定に繰り入れて、AI・半導体産業基盤強化フレームのスキームに充てようとしています。経産省所管の既存基金に限定するような仕組みにしているのはなぜでしょうか。
また、二・二兆円については、既存の基金見直しのほかに、GX経済移行債を活用することとしています。デジタル産業の代表格である半導体事業に関し、脱炭素を目的とした財源を活用する理由をお示しください。
基盤強化フレームの複雑さにより、資金の流れが不透明になるおそれはないのでしょうか。国策とはいえ、国民の皆様の税金がその原資となることを思えば、国の支出はより透明性が求められることになります。本事業のモニタリングは、経済産業省自身が行うことはもちろんですが、国民や国会に対しても十分な説明が必要です。どのように事業の透明性を確保するのか、大臣に伺います。
次に、法案による金融支援、税制措置の対象になる二ナノ半導体などの情報処理の高度化になるための特に必要な指定高速情報処理用半導体の指定と事業者公募についてお聞きします。
法案では、経済産業大臣が、半導体を指定し、公募の指針を定めて事業者を選定するとしています。5G促進法でも似たような要件でロジック半導体やメモリー半導体が支援対象となっていますが、これとはどのように区別するのでしょうか。また、重複するようなことはあるのでしょうか。また、公募で選定される事業者は複数になるのでしょうか。さらに、選定する段階や選定後の実施計画の評価などについて、国が事業者の出資者である場合、選定、評価を国以外の第三者的立場にある者が客観的にやらなければならないと考えますが、どのようにやるのでしょうか。大臣にお聞きします。
本法案では、独立行政法人情報処理推進機構、IPAの業務として、デジタル人材の養成や資質向上に係る規定を追加していますが、具体的に、IPAはどのような役割を果たしていく機関となるのでしょうか。また、IPAや企業による育成はもちろんのこと、大学、高専、高校の役割も重要です。長期にわたる半導体人材の育成、資質向上に向け、どのような政策を進めるのか、大臣の所見を伺います。
現在、二〇二三年から政府が主導してきた次世代半導体製造工場が建設中の北海道千歳市では、交通渋滞を避けるためにパークライド方式で、建設ラッシュ時においては多いときでは一日三千人以上、量産体制後はおよそ二千人のオペレーターやエンジニアが通勤する予定です。熊本県菊陽町では、TSMCの事例を見ても、交通渋滞は大きな課題にもなっています。
政府は、現在のところ、国家プロジェクト産業拠点整備等に必要となる関連インフラ整備への支援のため、地域産業構造転換インフラ整備推進交付金を創設し、地域を選定しています。具体的なこれらの進捗状況をチェックすると同時に、その交付金の使途の範囲を、駅の建設、教育環境、医療環境の整備等にも活用できるようにするという考えはありませんか。大臣の所見を伺います。
工場隣接地に駅の設置を望む声も出ていますが、政府は把握されていますか。駅の設置等は鉄道会社や自治体等で検討すべきことですが、インフラ整備推進交付金の対象にならないとしたら、国はどのように解決を図っていくべきものと考えますか。国交大臣に伺います。
同時に、半導体は、前工程、後工程など関連事業が多数あり、関連産業の集積が重要ですが、政府はどのような施策をもって集積を進めるか、所見を伺います。
半導体製造拠点の地域住民の不安の声にも向き合っていかなければなりません。
一般論として、半導体製造などに代表される、大量の水と化学物質を使う工場において、その排水処理が適正に行われているのかどうか、住民生活にも関わることです。
現在建設中のラピダス社における次世代半導体の製造後の排水において、千歳川に排水される水にはPFASはどの程度が含まれることになりますか。科学的な知見に基づいたとき、その水準に対してどの程度の量が想定されますか。そして、地域住民の不安を取り除くためにどのような対応を行うのですか。経済産業大臣と環境大臣に伺います。
世界はPFASを使わない方向です。日本でもPFASを使わない半導体材料の研究が進められていることも伝えられています。ラピダス社が最先端の技術とともにグリーンな環境を経営方針とするならば、日本でも大きなビジョンを持って、大切な水、安心な水と半導体テクノロジーを共に深化させる、何かを犠牲にすることから卒業し、北海道、日本がその第一歩になる、こうした新たな技術の活用も重要だと考えますが、所見を伺います。
本事業は、国家プロジェクトだと、ただ旗を振れば成功するというものではありません。多額の財政支出と長期にわたるプロジェクトの推進には、国民からの政権に対する信用と、総理大臣のリーダーシップが何よりも求められます。
高額療養費の自己負担引上げをめぐる問題でも、総理の決断が遅れ、議会を大きく混乱させました。秋までにということだけを決め、いまだに検討の方法も示されておらず、当事者の不安はもとより、国民の不信感は募るばかりです。
本件の最大のリスクは、こういう石破政権の信頼とリーダーシップが失われていることではないでしょうか。そのことを申し添えて、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣武藤容治君登壇〕
○国務大臣(武藤容治君) 池田真紀議員の御質問にお答えをします。
過去の半導体政策の反省及び今後の適切な投資の方針についてお尋ねがありました。
過去の政府支援については、例えば、国内企業の再編や日の丸自前主義の技術開発に注力する傾向にあり、技術開発や販路開拓の面での海外との連携やグローバルな技術動向への対応が不十分であったこと、機動的かつ適切な投資支援策を講ずることができなかったことなどの反省点があると認識しておるところであります。
現在の半導体政策は、こうした過去の反省を踏まえた上で、例えば、ラピダスプロジェクトにおいて、米国のIBMやベルギーのimecといった海外トップクラスの機関との密接な連携を進めるとともに、顧客開拓にもつながる設計開発支援を行っています。また、機動的に適切な規模の支援を実施できるよう、本法案により、AI、半導体分野へ七年間で十兆円以上の公的支援を行う財源フレームを措置いたします。これらを通じて、適切な投資支援を講じてまいります。
次に、国家プロジェクトにおいて、補助のみならず、国が大型出資者となれば国の責任が明確になるとの考えについてお尋ねいただきました。
補助や出資といった政策手段が異なる場合であっても、政府が支援を行った主体として責任を負っていることに変わりはありません。
その上で、AI・半導体産業基盤強化フレームでは、支援対象となるプロジェクトによって、研究開発や設備投資といった事業フェーズ等が異なることが想定されています。適切な政策手段は個々のプロジェクトの事業フェーズに応じて変わり得るため、一概に国の出資が適切であるとは考えていません。
個々のプロジェクトの事業フェーズ等を丁寧に見極めた上で、国による出資を含めて、適切な政策手段を講じてまいります。
財投特会投資勘定から繰り入れる理由と公債の使途についてお尋ねがありました。
財投特会投資勘定からの出資は、収益性の見込める事業を対象としています。今回の法案では、補助や委託等を通じて、次世代半導体の生産を行う産業の育成等を支援し、将来の投資勘定からの出資や収益確保につなげていくことを目的としています。そのため、補助や委託等の実績が豊富なエネルギー対策特別会計に新たな勘定を設け、財投特会投資勘定から資金を繰り入れることとしました。
また、新たに発行する公債の使途は、半導体、AI施策に限定します。
次に、既存基金からの国庫納付金の活用について、経産省所管の既存基金に限定する理由についてお尋ねがありました。
AI、半導体分野への支援は、中小企業を含めた我が国の各産業の競争力強化や、それに向けた経済基盤の維持につながるものです。
既存基金からの国庫納付金の活用については、AI、半導体分野への支援と同じ目的で措置された基金を活用することが適当です。
そのため、産業競争力の強化やそれに向けた経済基盤の維持を目的に予算措置を行ってきた経済産業省所管の既存基金に限定することとしました。
GX経済移行債を活用する理由についてもお尋ねがありました。
GX経済移行債を活用した先行投資支援は、基本原則として、民間のみでは投資判断が真に困難で、産業競争力強化、経済成長及び排出削減のいずれの実現にも貢献する分野を対象としています。
今後、AI、半導体の活用を通じ、DXの加速がGXの効果を最大化すると想定をされます。また、今後増大するデータセンターの電力需要への対応には半導体の高度化が不可欠です。このような点が基本原則に一致すると考えられることから、GX経済移行債を活用することとしました。
これまでも、パワー半導体や関連部材の設備投資、AI半導体の設計等への支援に関する予算措置では、基本原則に合致するものとしてGX経済移行債を活用しており、これらとも整合的と考えています。
AI・半導体産業基盤強化フレームの支援事業の透明性確保についてお尋ねがありました。
AI、半導体関連予算については、財政当局の査定や国会の審議を経て、必要な予算措置を講じた上で、外部有識者の審査等を経て採択決定を行います。
また、事業のモニタリングについては、行政事業レビューなどに加えて、大規模な支援事業は、第三者の評価の下で、事業計画の策定と併せてマイルストーンを設定し、その達成状況を確認しつつ、事業計画の見直し等を判断する枠組みを構築し、支援を講じてまいります。
こうしたモニタリングの結果については、事業者の営業上の機密事項にも配意しつつ、可能な限り公表することで透明性を確保してまいります。
5G促進法の支援対象との区別、重複についてお尋ねがありました。
本法案で公募対象となる半導体については、極めて大量の情報を極めて高速度で処理することを可能とする半導体であること等の要件に該当するものを指定するため、5G促進法の対象と比較して、対象範囲をより先端的なものに絞ることを想定しています。
また、本法案における金融支援については、民間からの資金調達を促す観点から、出資による財務基盤の強化等が有効であると判断し、措置するものです。
一方、5G促進法等による補助金支援は事業コストを低減するために有効な措置であるところ、支援の目的や内容は異なるもので重複しておりません。
いずれにしても、必要な予算については、毎年度、予算案を国会に提出し、御審議いただくことになります。
公募により選定される事業者の数、選定、評価の方法についてお尋ねがありました。
次世代半導体の量産に向けた金融支援を行うに当たっては、政策資源を集中的に投下し、次世代半導体の量産を迅速かつ確実に実現させるため、指定した半導体に対して、最も適切な事業者を公募により一者のみ選定し、支援を講じることとします。
また、客観性を担保するために、事業者の選定に当たっては、産業構造審議会に設置した次世代半導体等小委員会において、半導体の技術、経営、金融等に関して高い知見や経験を有する外部有識者の意見を踏まえ、事業計画等を精査した上で決定することとします。
デジタル人材と半導体人材の養成についてお尋ねがありました。
IPAは、現行法の規定の範囲で、情報処理技術者試験の実施や運営、デジタル人材育成に関する指針の策定等の取組を行ってきました。
今回の法改正でデジタル人材の育成を業務追加することにより、例えば、IPA独自の人材育成コンテンツの作成や提供等を新たに行うことができるようになります。
また、半導体の人材育成については、大学、高専、高校といった地域の教育機関と協働することも重要です。経済産業省では、各地域で半導体人材育成等を担うコンソーシアムを設立しており、今後も、これらの教育機関を含む地域の産学官と連携しながら、地域の実情に応じた人材育成、確保の取組を推進してまいります。
地域産業構造転換インフラ整備推進交付金の進捗状況と使途の範囲についてお尋ねがありました。
地域産業構造転換インフラ整備推進交付金は、内閣府の下、関係省庁が連携して支援を行うものであり、令和六年度補正予算においても、北海道、岩手、広島、熊本の四つのプロジェクトを対象として所要額が配分されたところです。
このうち、経済産業省としては、工業用水道整備事業として、令和五年度補正予算及び令和六年度補正予算において約十九億円を執行しており、これまでも、地方公共団体から提出のあった実施計画に沿って進捗状況の確認を行っているところであります。
また、お尋ねの交付金の使途の範囲については、交付金の趣旨を踏まえ、必要に応じて、それぞれの分野を所管する関係省庁と連携をして、その要否を含めて検討してまいります。
半導体関連産業の集積についてお尋ねがありました。
半導体への大規模投資は、地方経済に広範な波及効果をもたらします。例えば、TSMCが進出をしている熊本県では、TSMCの進出決定以降、公表されている情報だけでも八十六社の企業が熊本県への進出又は設備拡張を決定しています。
経済産業省としても、国内外の関連企業に近隣への進出を呼びかけており、例えば北海道では、海外のASMLやアプライドマテリアルズなどが新たに拠点を設置しています。
また、関連インフラの不足が集積を阻害することとならないよう、関係省庁や地元自治体と連携をし、TSMCやラピダス等の拠点整備に必要な工業用水や道路等の整備を支援しています。これらの取組を通じて、関連産業の集積を進めてまいります。
ラピダスの排水に含まれるPFASとその対応についてお尋ねがありました。
ラピダスでは、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律により使用が禁止されているPFOS、PFOA、PFHxSについては使用しておりません。
また、取引先にPFOSとPFOAが含まれる場合に備え、ラピダス社と北海道庁との間で、これらの合算値について、水道水の暫定目標値の一リットル当たり五十ナノグラム以下で排水する協定が締結されています。
経済産業省としても、ラピダスが本協定を含め関係法令等をしっかり遵守するとともに、地域住民に丁寧な説明を行っていくよう、引き続き指導してまいります。
また、今年度から、PFASの代替技術等に関する最新動向、社会実装に向けた課題等の調査、分析を実施しています。こうした取組を通じて、民間の研究開発を促してまいります。PFASの代替材料が開発された際には、ラピダスが品質等を評価した上で活用を検討すると認識しており、経済産業省としても必要に応じて対応策を検討してまいります。
以上であります。(拍手)
〔国務大臣中野洋昌君登壇〕
○国務大臣(中野洋昌君) 池田真紀議員から、新駅の設置についてお尋ねがありました。
新駅の設置につきましては、鉄道事業者と地方自治体を始めとする関係者との間で、需要の見通しや費用負担の在り方などについて協議を行っていただくことが必要でございます。
御指摘の北海道千歳市に建設されているラピダス工場隣接地への新駅設置につきましても、まずは、JR北海道と北海道庁や沿線自治体との間で様々な検討を進めていただくことが重要であると考えております。
国土交通省としては、地域における検討状況を踏まえつつ、JR北海道に対して必要な助言等を行ってまいります。(拍手)
〔国務大臣浅尾慶一郎君登壇〕
○国務大臣(浅尾慶一郎君) 池田真紀議員から、現在建設中の半導体工場から河川に排出されるPFASについてのお尋ねがありました。
PFAS対策については、地域の方々の不安の声を真摯に受け止め、国民の安全、安心のための取組を進めています。
PFASのうち、健康影響が懸念されるPFOS、PFOA等については、既に製造、輸入等を原則禁止しており、ラピダス社においても使用しないものと承知をしております。
その上で、協定に基づき、同社において排水中のPFOS、PFOA等を毎月測定し、北海道に報告するものと承知しています。
いずれにせよ、PFOS等による健康リスクは飲み水や食品などを経由した摂取が主な要因と考えられるため、環境省としては、飲み水からの健康リスクを減らすことを第一に、水道水質基準への引上げ等の取組を進めてまいります。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 斉木武志君。
〔斉木武志君登壇〕
○斉木武志君 斉木武志です。
日本維新の会を代表して質問いたします。(拍手)
半導体やAIをめぐっては、各国が激しい開発競争を繰り広げており、アメリカや欧州、中国などは巨額の資金援助を行っています。本法案は、ラピダス法案とも呼ばれており、次世代半導体の国産化を目指すラピダスを支援するため、政府が株主となって出資するほか、民間金融機関からの融資を対象に債務保証を行うものです。政府の関与を強めることで民間から出資を呼び込み、ラピダスの事業を支えていく内容となっています。
まず、これまで投入した公的資金の効果について伺います。
半導体産業の支援のため、令和三年度から昨年度までに四兆円以上の公的資金を投入していますが、その結果、投資回収の可能性は明確になっていません。例えば、熊本県にTSMCを誘致して、税収はどの程度増えたのか、雇用はどの程度増えたのか、公的資金のこれまでの投入額と効果、また、今後どれぐらいの額を投入していく考えなのか、お答えください。
さらに、二〇三〇年度までに十兆円以上としている投入金額の内訳はどうなっているのでしょうか。線幅二ナノに代表されるロジック半導体やメモリーばかりが支援対象とは思えません。現在の日本の強みである原料、部素材、製造装置などの半導体サプライチェーンの強靱化支援の方が、日本の稼ぎを増やす観点では重要ではないでしょうか。十兆円の投入先の大半が、ラピダスやTSMC、JASM、またマイクロンになるのでしょうか。さらに、パワー半導体、ディスクリート半導体、オプト半導体、センサー半導体、MEMSなどの各種半導体に対する技術開発戦略と十兆円の配分はどのように考えているのでしょうか。二〇三〇年度までに十兆円以上としている公的資金投入の詳細な内訳についてお答えください。
また、多額の公的資金を投じるラピダスプロジェクトの成功の判断基準は、二ナノロジック半導体の量産化実現でよろしいでしょうか。お答えください。
ラピダスの小池淳義社長は、二〇二七年から量産を始める計画について、一日の遅れもないと、計画が順調であると発言していますが、内容には不明確なところがあります。一般のロジック半導体の商業ベースでの歩留りは九割程度、最低でも八割以上と言われています。二ナノ半導体の量産は一般の半導体より困難ですが、成功の判断基準は、二〇二七年時点で八割以上の歩留りでの量産化を実現することとお考えでしょうか。そして、八割以上の歩留りを保った上での一日当たりの製造数量は、三百ミリウェハーで何枚程度製造できるのか、巨額の公的資金を投入することを踏まえ、具体的にお答えください。
今しかけていくべき半導体は、日本に優位性のある次世代パワー半導体の開発と考えます。EVや高速鉄道の開発で最も重要な次世代パワー半導体の開発支援はどうなっているのでしょうか。お答えください。
さらに、これだけの公的資金を民間企業に投資するのですから、それに見合った地元雇用の拡大と維持を保障する仕組みは当然であると考えます。安定した地元雇用の拡大と維持をどのように担保する計画なのか、お答えください。
このラピダスという会社は、アメリカのIBMが持つ二ナノ半導体の製造レシピ、ゲート・オール・アラウンド方式の知財を、関係者の間では数千億円とうわさをされる巨額のライセンス料を支払い買っています。しかし、先端半導体において我が国より高い技術を持ち、はるかに先行している韓国のサムスンは、今回ラピダスが買ったものと同じIBM製造レシピを使って三ナノ半導体の開発を進めましたが、二割程度しか歩留りが取れず、開発に失敗して撤退しています。
八割から九割の歩留りがないと量産化は失敗ですが、八割以上の歩留りを技術的にどのように改良して実現させるのでしょうか。既にサムスンが失敗をしたIBMレシピを用いて、ラピダスなら成功するという裏づけは何なのでしょうか。それとも、期待値にとどまるのでしょうか。お答えください。
トランプ政権は、アリゾナ州に台湾TSMCの最先端半導体の開発、量産化の拠点を誘致しています。二〇二七年に二ナノ量産化を掲げるラピダスですが、既にTSMCは二ナノ量産化のめどが立ったと報道されており、二〇二七年には、更に高性能な一・四ナノや一ナノの量産化が実現している状況も想定されます。我が国も、TSMCの後を追って、一・四ナノや一ナノを目指して、将来更に数兆円をラピダスに投入していくことにはならないでしょうか。見解をお示しください。
ラピダスが二〇二七年に二ナノロジック半導体の量産化に成功する保証はありません。二〇二七年に二ナノロジック半導体の量産化が実現しなかった場合の対応について、どのように考えているのか、お答えください。
続いて、先端半導体の技術開発戦略とマーケティング戦略について伺います。
日本では、政治、行政やメーカー、メディアも、二ナノの微細化は実現するのかといった技術論に気を取られていますが、半導体は電気で動く機械を動作させるための部品にすぎません。エンドユーザーたるマーケットを持たない国、アプリケーションを持たない国は、半導体関連産業においては勝ち抜けません。今から日本の半導体産業を再生させるためには、製造だけではなく、設計から最終製品、アプリケーションまでの全体を俯瞰した、マーケティング戦略を伴ったアプローチが必要と考えます。これまでの日本の戦略に大きく欠けていた点です。今後、どのような戦略で最先端半導体の市場開拓を進めていく考えなのか、お答えください。
米国インテル社の最先端ファウンドリーの顧客は、アマゾンなどのシステムアプリケーション企業です。日本のラピダスから見れば、AI半導体の大手顧客候補のアマゾンをビジネスロストしたと報道されていますが、トランプ政権下でどのように挽回し取り込むのでしょうか。インテルは、ファウンドリー事業を分離して子会社化し、事業を強化していますが、トランプ政権と関係が近いインテルに勝てるのでしょうか。お答えください。
直近では、中国のAI企業、ディープシークが現在の最先端半導体を使わずにエヌビディア製を使ったAIと同等以上の性能を実現し、ビジネスモデルを揺るがしました。今、経済産業省の職員と話をしていても、二ナノの最先端の微細化が実現するかといった技術論に目を奪われているように感じます。最先端の半導体であっても、売れなければ価値はありません。エヌビディアも、GPUだけではなく、AI開発支援のシステム全体を売って巨額の利益を実現しています。アプリケーション志向の先端半導体開発へと戦略を再考するべきではないでしょうか。お答えください。
次に、ラピダスへの公的資金の投入の在り方についてです。
これまで実績がない資本金七十三億円のラピダスに対して、投入する公的資金が大き過ぎるのではないか。実績や実態がなく、ビジネスモデルも実現していないのに、なぜ巨額の投資をするのかという声を多く聞きます。ラピダスの出資者である大企業がまず投資すべき案件ですが、なぜ政府と並ぶような大規模投資に踏み切らないのか、追加出資にも及び腰なのか、お答えください。
あわせて、ビジネスの成功を考えるなら、AI半導体のユーザーであるアマゾンやグーグルなどの企業からの出資が、製品の売り先を確保していくためにも必要です。トヨタやソニーなど既存の出資者や米国のテック企業などから追加投資の計画があるのであれば、いつまでに、幾ら追加投資してもらう計画なのか、概要をお答えください。
また、これだけ巨額の公的資金を投入するためには透明性が重要です。東会長、小池社長以外に十二名いるとされるラピダスの個人株主を情報開示すべきではないでしょうか。今回の巨額出資により、ラピダスの企業価値は大きく高まり、将来IPOされた際には十二名の個人株主は巨額の利益を手にすることになります。公的資金を投入する以上、政治と金のような癒着がないかどうか、国民に明示する必要があります。ラピダスに個人株主開示を求める、支援の条件とする考えはあるのか、お答えください。
また、政策決定を政治献金が左右することがあってはなりません。ラピダスとその出資者であるトヨタ自動車、ソニー、ソフトバンク、デンソー、NEC、NTT、キオクシア、三菱UFJ、及び製造ラインを納入する東京エレクトロンから、自民党の政治献金窓口である国民政治協会に対して、直近三か年でそれぞれ合計幾らの献金があったのか、総務大臣、お答えください。
また、令和三年、四年、五年に在職していた歴代の経済産業大臣が代表を務める自民党の選挙区支部への政治献金の各社ごとの合計金額、また、それぞれの資金管理団体の収支報告書に記載されたパーティー券購入の各社ごとの合計金額について、総務大臣よりお答えください。
また、経済産業省は、自民党の半導体議員連盟からの提案、要望も受けてこのスキームをつくったと説明しています。この議連の前会長である甘利元経済産業大臣と、現会長の山際大志郎元経済再生担当大臣が支部長を務める自民党選挙区支部への各社の献金額の合計、また、それぞれの資金管理団体の収支報告書に記載されているパーティー券購入の各社ごとの合計購入金額について、令和三年、四年、五年分について、総務大臣よりお答えください。
次に、財務大臣にお聞きをいたします。
バイデン政権下で半導体産業支援が強化された一方で、現在の第二期トランプ政権は、前政権が作った半導体の国内製造を支援するCHIPS・科学法を廃止するのではないかと指摘されています。また、神田真人前財務官は、役人が成長分野を選定して、補助金などを通じて投資を誘導することは、非効率な投資を助長するリスクもあり、謙虚に、慎重に考えるべきだと指摘をしています。政府が特定の産業を成長領域と定め、個別企業を特出しして支援することには慎重であるべきだと考えますが、財務大臣、お答えください。
また、政府は、今回の公的支援でかかる費用について、将来ラピダスをIPOさせて株式の売却益を得ることで回収をしていくとしていますが、半導体産業の株式は典型的なシクリカル株、景気循環銘柄とされており、その価格は大きく変動します。半導体が足りないと言われると各社が大規模な設備投資を始め、数年後、完成品が出荷される頃には商品が市場にあふれて価格が大きく値下がりするというサイクルを延々と繰り返してきました。
今から政治が旗を振って設備投資を始めても、ラピダスから製品が出荷される頃には市況がだぶついて、製品価格、株式価格とも大きく値下がりする、期待をしていた投資の回収額に達しないという事態も、これまでの半導体をめぐる市況変動を見れば想定をしておく必要があります。市況変動が激しい半導体産業へ投資を行うに当たって、その回収の確実性と担保をどのように考えているのか、経済産業大臣、お答えください。
この半導体産業への中長期的な支援は極めて大切です。しかし、トヨタやソニーなどの既存出資者が大規模な追加投資には及び腰であることは、半導体産業のリスクが高いことを表しています。そこにあえて政府が、一民間企業を特出しして巨額の支援を行うのは異例であり、損失が出れば全て国民負担となります。民間と政府の間で責任の所在が不明確となり、経営判断を誤る事態にもつながっていきます。政府には、リスク管理の徹底、外部からの監視、民間感覚、市場感覚を強く求め、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣武藤容治君登壇〕
○国務大臣(武藤容治君) 斉木議員にお答えする前に、先ほど池田議員から、PFASについてお答えする中で、取水先と言うべきところを取引先と申し上げました。大変失礼しました。取水先に訂正をさせていただきます。
それでは、斉木議員の質問にお答えをさせていただきます。
半導体産業へのこれまでの公的支援の投入額や効果、今後の投入額やその内訳についてお尋ねがございました。
半導体産業等に関しましては、半導体・デジタル産業戦略を策定をした二〇二一年六月以降、これまでに、特定半導体基金、経済安全保障基金、ポスト5G基金を通じて、合計約五・二兆円の予算を措置してきたところであります。
こうした支援を通じて、例えば熊本ではTSMCが先端ロジック半導体の量産を開始しており、我が国におけるミッシングピースの一つを埋めることができたと評価しています。また、九州地域では昨年度の設備投資額の伸びが過去最高を記録したほか、熊本県では十年間で関連産業全体で一万人以上の雇用効果が見込まれるとの試算もあるなど、大きな経済波及効果が表れています。
今後については、昨年の経済対策で策定したAI・半導体産業基盤強化フレームに基づき、半導体、AI分野に対して、七年間で十兆円以上の公的支援を行い、十年間で五十兆円を超える官民投資を誘発してまいります。
このフレームの支援対象には、次世代半導体からレガシー半導体、製造装置、部素材、AI等が含まれますが、個別案件の選定は、産業競争力や経済成長につながること、そして、経済安全保障上の重要性、公的支援がなければ投資が行えないこと等の観点に基づき、優先順位をつけた上で実施します。その上で、毎年度、支援に要する予算について国会で御審議いただくことを想定しています。
このため、現時点で、いずれの対象に幾らの支援額といった内訳をお示しすることは困難であることを御理解ください。
次世代半導体の開発の成功とは何を意味するのか、量産化の成功とみなす際の具体的な判断基準、そして、その際の製造能力についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、国からの委託研究開発としてのラピダスプロジェクトの成功は、二〇二七年に二ナノ世代の次世代半導体の量産化を実現することです。
一方で、ラピダスが量産事業で成功するために、どのタイミングでどれだけの歩留りや製造能力を達成すべきかについては、企業の競争上の機微情報に当たり、他社の状況や市場の状況等を踏まえた判断が必要となるため、現時点でお答えは差し控えさせていただきたいと思います。なお、これらの製造情報は、TSMC等の海外トップ企業も開示していないものであります。
経済産業省としては、今般の法案に基づく公募、選定プロセスの中で、歩留りを含めた進捗状況の確認方法や支援継続に関する判断方法について、今後、外部有識者の意見も踏まえながら検討を行ってまいります。
次世代パワー半導体の開発支援についてお尋ねがありました。
パワー半導体は、電動車や鉄道、電力インフラなどに必要な部品です。このため、経済産業省では、炭化ケイ素や窒化ガリウムなどによる次世代パワー半導体についても、高性能化や低コスト化を目指した研究開発の支援を行っています。
また、足下で必要となるパワー半導体の量産設備投資についても支援を行っており、引き続き、サプライチェーンの強靱化に取り組んでまいります。
安定した地元雇用の拡大と維持についてお尋ねがありました。
半導体の大規模投資は、関連企業の進出や雇用創出など、地方経済に波及効果をもたらします。例えば、TSMCの進出を契機に、昨年度の九州における設備投資額の伸びは過去最高を記録しており、十年間で、関連産業全体で一万人以上の雇用効果が見込まれるとの試算もあります。
地元経済への波及効果を拡大するため、政府としても、地元企業と半導体関連企業とのマッチング支援や、人材育成、確保支援を実施しているところです。
また、今般の法案においても、支援対象事業者に対し、地方公共団体等との連携や地域経済活性化への寄与を求めることとしており、政府として、こうした観点からも事業者から提出される計画を審査してまいります。
ラピダスが成功する裏づけ、技術開発における見極め、二〇二七年に量産化が実現しなかった場合の対応についてお尋ねがありました。
ラピダスプロジェクトでは、高い歩留りの実現が重要になります。このため、ラピダスから約百五十名の技術者が米国IBMの拠点に派遣され、現地の技術者とともに二ナノ半導体の製造技術開発に取り組んできたところです。
こうした製造技術の開発状況等については外部有識者による委員会で評価することとしており、昨年十月に実施した委員会では、順調に進捗していると評価されております。
また、顧客獲得には継続的な技術開発が重要であり、同社においても、二ナノ以降も、一・四ナノや一ナノの半導体について研究開発を実施する方針ですが、これは民間資金を活用しながら実施していくものと承知をしております。
他方で、二ナノを含めた次世代半導体については、海外のトップ企業も含めてどの事業者もいまだ量産に至っていない野心的な取組でもあり、二〇二七年より開発が遅延するリスクも存在するものと認識しています。
経済産業省としては、半導体の技術や経営などの外部専門家等を交えて事業計画等を精査し、適切なマイルストーンを設定した上で事業の進捗を確認することとしており、開発が遅延した場合には、こうした見極めも踏まえつつ、必要な対応を行ってまいります。
最先端半導体の市場開拓、アプリケーション志向の先端半導体開発、競合他社との競争優位性についてお尋ねがありました。
経済産業省としても、半導体を活用する需要側の市場開拓やアプリケーション志向の開発は重要と考えています。このため、例えば、需要側の先端半導体の活用を促す取組を支援しています。具体的には、自動車用先端半導体など、アプリケーション志向の半導体の設計開発に対する複数の支援を実施しており、令和六年度補正予算と令和七年度当初予算案に関連予算を計上しています。
競合他社との競争に際しては、半導体需要の多様化が進むと見込まれる中で、短納期製造の需要を機動的に確保することが重要になります。ラピダスは、新たな生産方式等による短納期製造を目指しており、この点でインテル等の競合他社との差別化を図り、競争優位を確保する方針です。
大企業がラピダスへの追加出資に踏み切らない理由と既存出資者等による追加投資の計画についてお尋ねがありました。
ラピダスが開発する二ナノの次世代半導体の量産は、海外のトップ企業もまだ実現に至っていない野心的な取組です。
これまでは、まだ研究開発の初期段階にあることや、量産を開始し売上げや利益を上げるまでに相応の時間がかかる状況であることもあり、現時点では、トヨタ等による民間企業からの出資は合計七十三億円となっています。
しかし、現在は、量産準備の開始が近づいており、既存株主等の企業とラピダスとの間で一千億円規模の追加出資に関する調整が本格化していると認識しているところです。
ラピダスの個人株主に関する情報開示についてお尋ねがありました。
個人株主の情報開示については、プライバシー保護の観点を踏まえて慎重に対応する必要があります。
一方、ラピダスに対する支援については、これまでも、毎年度、外部有識者による厳格な審査を踏まえて決定しており、今後も同様に外部有識者の確認を経ることを想定しています。そのため、政策決定過程がゆがめられることはないと考えます。
投資回収の確実性と担保についてお尋ねがありました。
本法案に基づき、公募を通じて選定された事業者への支援については、外部有識者に確認いただきつつ、適切なマイルストーンを設定し、事業計画等を精査した上で実施していきます。また、必要となる予算については毎年度国会に提出し、御審議いただきます。
その上で、事業者に出資を行った場合の株主については、市場の動向や事業者の経営、財務状況等を注視し勘案しながら、適切なタイミングで売却していくこと等により、公的資金の回収を最大限図っていくことを想定しております。
以上です。(拍手)
〔国務大臣加藤勝信君登壇〕
○国務大臣(加藤勝信君) 斉木議員から、特定の産業分野に対する支援の在り方についてお尋ねがありました。
一般論として申し上げれば、特定の産業分野に対して一定の支援を行う場合には、政府が支援する目的や妥当性、また、支援のために必要な制度的対応がなされているかなどを踏まえて、支援が正当化されるか否か、十分に検討することが重要と考えております。
その上で、半導体分野への支援について申し上げれば、こうした点を十分に検討した結果、先般の経済対策において、産業競争力の強化、経済安全保障及びエネルギー政策上の観点から、二〇三〇年度までに、必要な財源を確保しながら全体として十兆円以上の公的支援を行い、そのために必要な法制上の整備を行う、その際、第三者の外部有識者による評価などの下で、適切なマイルストーンを設定し、その達成状況などを確認しながら支援を行うこととされたものと承知をしております。
特定の産業分野への支援を行う場合には、引き続き、支援の目的や妥当性などを吟味しつつ、真に必要な支援を行っていくことが重要と考えております。(拍手)
〔国務大臣村上誠一郎君登壇〕
○国務大臣(村上誠一郎君) 斉木議員からの質問にお答えいたします。
まず、ラピダスとその出資者等である企業から一般財団法人国民政治協会への寄附額についての御質問がありました。
通告がございましたので、一般財団法人国民政治協会の令和三年分から令和五年分の収支報告書を確認したところ、いずれも三か年の合計で、トヨタ自動車株式会社からは一億五千万円、ソニーグループ株式会社からは五千五百万円、株式会社デンソーからは三千二百四十万円、日本電気株式会社からは五千百万円、株式会社三菱UFJ銀行からは六千万円の寄附の記載がありました。
なお、お尋ねの企業のうち、ラピダス株式会社、ソフトバンク株式会社、日本電信電話株式会社、キオクシア株式会社、東京エレクトロン株式会社からの寄附の記載はありませんでした。
次に、令和三年から令和五年に在職した歴代の経済産業大臣が代表である選挙区支部への寄附額等についての御質問がありました。
通告がございましたので、経済産業大臣に在職していた梶山弘志議員、萩生田光一議員、西村康稔議員及び齋藤健議員が代表者である選挙区支部及び選挙資金管理団体の令和三年分から令和五年分の収支報告書を確認したところ、お尋ねの企業からの寄附及び政治資金パーティーの対価の支払いについての記載はありませんでした。
最後に、議員連盟の会長等である議員が代表者である選挙区支部への寄附額等についての御質問がございました。
通告がございましたので、甘利明元議員及び山際大志郎議員が代表者である選挙区支部及び資金管理団体の令和三年分から令和五年分の収支報告書を確認しましたところ、お尋ねの企業から、寄附及び政治資金パーティーの対価の支払いについては、記載はありませんでした。
以上であります。(拍手)
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○議長(額賀福志郎君) 辰巳孝太郎君。
〔辰巳孝太郎君登壇〕
○辰巳孝太郎君 私は、日本共産党を代表して、いわゆるラピダス・半導体産業支援法案について質問をいたします。(拍手)
法案は、ラピダスやTSMCなど、一握りの半導体企業に十兆円以上もの公的支援を行うものです。
ならば、問いたい。我が国半導体産業の衰退をもたらした日米半導体協定の対米従属、産業空洞化と大リストラによる技術流出などの教訓は、どう生かされているのですか。九九年の産活法以来、投資減税や設備投資、研究開発の補助金で大企業のリストラ、人減らしを支援してきましたが、結局、大企業の内部留保を蓄積させただけで、賃金は上がらず、国内投資を一向に拡大させなかったではありませんか。
その上、事もあろうに、二月十四日の予算委員会で、武藤経済産業大臣は、半導体メーカー、エルピーダメモリが破綻し、公的資金の約二百八十億円が毀損した際、政府、経産省の誰一人として責任を取らなかったことを認めました。驚くべきことです。
今回の法案で政府が出資を想定するラピダスは、一社の取引先も、一円の売上見込みも立っていません。また同じことを繰り返すのですか。赤字で破綻したら、国民負担など断じて容認できません。答弁を求めます。
法案は、回路線幅二ナノメートルの半導体の研究開発のための国の施設設備を、ラピダスの量産のために、そっくり譲渡するものであります。さらに、政府出資、債務保証、税負担の軽減と、至れり尽くせりです。中小企業への補助金の多くには、利益が出た場合に国庫に納付させる収益納付規定がありますが、ラピダスにはありません。どうしてですか。
また、法案は、中小企業支援のための基金からの国庫返納金、商工中金の政府保有株の売却収入を半導体支援に流用しようとしています。中小企業支援に使うべき予算を一握りの半導体大企業のためにむしり取るなど、許されません。
ラピダスと経産省の癒着の問題も重大です。
同社への国費投入、日米連携、量産支援の方向性を決めてきた経産省の半導体・デジタル産業戦略検討会議の座長を二〇二一年以来今日に至るまで務めるのは、同社の東哲郎会長です。その人物が経営する企業に兆円規模の国費を投入し、国有財産を譲渡するために法を改定するなど、あからさまな利益誘導ではありませんか。公共政策をゆがめる癒着がまかり通ることがあってはなりません。答弁を求めます。
なぜ政府はラピダスにこれほどの巨額の支援を行うのか。ラピダスの東哲郎会長は、二〇二三年十月、重要な部分は何かというと、国防の領域、そういう半導体を我々はまずアメリカのお客さんに届けるということをしなければならないと発言しています。仮にラピダスが赤字になっても、アメリカの言うがまま止められず、赤字が国民負担になるのではありませんか。将来にわたって、ラピダスの生産する半導体の軍事利用はさせないと、明確な歯止めが必要です。答弁を求めます。
経済安保の名の下に、米国に従属し、特定の企業に際限なく国税をつぎ込んでいく産業政策では、真の半導体産業支援にはなりません。日本は半導体の製造装置や半導体の素材に世界トップクラスのシェアを誇り、中国を始め諸外国に多く輸出しています。経済安保を振りかざし、特定国を敵視する政策は、日本産業の強みをも危うくするのではありませんか。日本の半導体産業のためにも、米国追随をやめ、日本産業の強みを生かした政策へと転換すべきだということを申し上げて、質問といたします。(拍手)
〔国務大臣武藤容治君登壇〕
○国務大臣(武藤容治君) 辰巳議員の御質問にお答えをさせていただきます。
半導体政策を含めた産業政策や技術流出に関する教訓についてお尋ねがありました。
我が国の半導体産業の凋落と、そのことによる人材、技術の流出については、貿易摩擦の結果として締結した日米半導体協定など、政府の政策にも一定の責任があると考えており、真摯に反省をしております。
現在の半導体政策は、こうした反省を踏まえ、米国を始めとする同志国、地域の政府や民間企業と連携しながら展開しています。
具体的には、TSMC等の海外のトップメーカーと連携して国内での供給体制を強化しているほか、ラピダスプロジェクトにおいては、IBMや世界トップレベルの半導体研究機関、imecと連携して取り組んでいます。
また、支援決定に当たっては、重要な技術にアクセスできる従業員を制限し、賃金等の相応の待遇を確保することを求める等、人材や技術の流出の対策を講じています。
また、御指摘の産活法については、中核的事業への選択と集中を促す事業再編支援を始めとした各種支援策を講じたものであり、企業の生産性向上に寄与してきました。
さらに、企業がコストカットに注力し、設備投資や人への投資を抑制したという課題に対応するため、現在、経済産業省では、DX、GX等の戦略分野における国内投資の促進や、人的資本経営の推進等を通じた人への投資の後押しに取り組んでおります。経団連からも、二〇三〇年度百三十五兆円、二〇四〇年度二百兆円という新たな国内投資目標が示されており、官民でこの実現に向けて取り組んでまいります。
エルピーダメモリの破綻に関する政府の責任やラピダスプロジェクトの失敗の可能性についてお尋ねがありました。
政府の政策は、その時々の社会経済情勢を踏まえ、必要かつ適切と判断したものを組織的に決定、実施しています。
結果として、必ずしも期待された成果が上がっていない政策が存在することは事実であり、重く受け止めなければなりませんが、その要因等をしっかりと検証し、次の政策立案に反省を生かすことが政府の責任であると考えております。
例えば、エルピーダメモリの事例では、国内企業同士の統合を優先した結果、海外の競合他社と差別化ができず、政府としても十分な支援を機動的に実施することができなかった反省がありました。
そこで、ラピダスプロジェクトでは、米国のIBMやベルギーのimecといった海外トップクラスの機関との密な連携や、機動的に適切な規模の支援を実施できるよう、本法案により、AI、半導体分野へ七年間で十兆円以上の公的支援を行う財源フレームを措置するなどの施策を実施しています。
顧客獲得については、国内外の複数の企業がラピダスとの連携を表明するなど、着実に進展しています。また、製造技術の開発状況等については、昨年十月に実施した外部有識者による委員会で順調に進捗していると評価されています。
経済産業省としては、今後も、半導体の技術や経営などの外部専門家等を交えて事業計画等を精査し、事業の進捗を確認する中で、想定外のリスクの兆候なども早期に把握するようにしながら、成功に向けて全力で取り組んでまいります。
ラピダス支援に収益納付規定を設けていない理由と、中小企業関連の基金の国庫納付金や商工中金の株式売却収入を半導体支援に活用する理由についてお尋ねがありました。
ラピダスへの研究開発支援については、補助事業ではなく、国として必要な事業を委託事業の形で実施してきました。委託元であるNEDOが建屋や設備の所有権を有しているため、ラピダスに対して収益納付は求めておりません。
他方で、本法案に基づいて選定された事業者に対し、委託研究開発に基づく設備等について現物出資等を行った場合、適切なタイミングで株式を売却することなどにより、公的資金の回収を最大限図っていくことを想定しています。
また、中小企業が生産性向上と成長を加速する上で、DXの推進が重要になりますが、それを支える基盤が半導体とAIです。半導体やAIの支援によって中小企業にも裨益することから、他の国庫納付金と併せて、中小企業関連の基金の国庫納付金や商工中金の株式売却収入を半導体、AI支援に活用することとしています。
ラピダスの東会長への利益誘導についてのお尋ねがありました。
東氏が座長を務める半導体・デジタル産業戦略検討会議は、半導体産業支援の目標やその達成に向けた全体戦略、技術動向等を踏まえた政策の方向性について、幅広い専門家に情報共有と意見交換をしていただく場でありまして、個別案件の支援内容や予算額等を検討いただく場ではありません。
個別案件については、例えば、御指摘のラピダスプロジェクトであれば、国の研究開発計画に基づき公募し、利害関係のない外部有識者に審査いただいた上で支援を決定をし、あらかじめ設定したマイルストーンの達成状況についても毎年厳正に確認いただくなど、適切に予算執行を行っており、東氏への利益誘導との御指摘は当たらないと考えています。
なお、本法案の制度設計は、産業構造審議会に設置した次世代半導体等小委員会で検討したものであり、支援対象事業者については、本小委員会の意見を踏まえ、事業計画等を精査した上で決定することとしています。
ラピダス社の赤字が国民負担になるのではないか、生産する半導体の軍事利用への歯止めが必要ではないかとのお尋ねがありました。
ラピダスプロジェクトは、半導体の技術や経営などの外部専門家等を交えて事業計画等を精査し、適切なマイルストーンを設定した上で、事業の進捗を確認しながら、必要な対応を行ってまいります。こうした取組を通じて、できる限り国民負担が発生しないよう努めてまいります。
また、ラピダス社からは、現時点では軍事への利用という想定はしていないと聞いています。加えて、政府がラピダスの将来の販売先について制限を課すことは、支援の目的や営業の自由等の観点から慎重であるべきだと考えております。
いずれにせよ、経済産業省としては、ラピダスを含めて、海外への先端半導体の輸出については、国際社会の平和及び安全の維持を期する観点から、引き続き厳格な輸出管理を行ってまいります。
経済安保を振りかざし、特定国を敵視する政策はやめるべきとのお尋ねがありました。
半導体は、チップの設計、製造から、製造装置や部素材、原料に至るまで、多様な産業や技術領域からサプライチェーンが構成されており、一国だけで全てを賄うことは困難です。
このため、経済産業省としては、同盟国、同志国等とのグローバル連携を推進しています。
また、安定供給が特に重要となる半導体や製造装置、部素材等の国内生産基盤の整備を支援し、安定的な供給の確保に取り組んでいますが、特定国を敵視する政策との御指摘には当たりません。
以上でございます。(拍手)
○議長(額賀福志郎君) これにて質疑は終了いたしました。
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○議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十分散会
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出席国務大臣
総務大臣 村上誠一郎君
法務大臣 鈴木 馨祐君
財務大臣
国務大臣 加藤 勝信君
経済産業大臣 武藤 容治君
国土交通大臣 中野 洋昌君
環境大臣 浅尾慶一郎君
国務大臣 坂井 学君
国務大臣 林 芳正君
国務大臣 三原じゅん子君
出席副大臣
内閣府副大臣 鳩山 二郎君
経済産業副大臣 大串 正樹君