衆議院

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第18号 令和7年4月10日(木曜日)

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令和七年四月十日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第十六号

  令和七年四月十日

    午後一時開議

 第一 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 第二 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件

 第三 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件

 第四 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 第五 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 第六 情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

    …………………………………

  一 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日程第一 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 日程第二 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件

 日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件

 日程第四 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 日程第五 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

 日程第六 情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑


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    午後一時二分開議

議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第一、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。環境委員長近藤昭一君。

    ―――――――――――――

 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔近藤昭一君登壇〕

近藤昭一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。

 本案は、近年、熊やイノシシが人の日常生活圏に出没し、人身被害が発生するなど、生活環境の保全上の支障が生じる事例が増加していること等を踏まえ、熊等の危険鳥獣の銃猟に関する制度を見直し、人の日常生活圏に熊等が出没した場合に、地域住民の安全の確保の下で銃猟を可能とする措置を講じようとするものであります。

 本案は、去る三月十七日本委員会に付託され、翌十八日浅尾環境大臣から趣旨の説明を聴取した後、二十五日から質疑に入り、四月八日に質疑を終局いたしました。

 質疑終局後、本案に対しまして、立憲民主党・無所属、日本維新の会及び参政党の共同提案による修正案が提出され、趣旨の説明を聴取しました。

 次いで、採決いたしましたところ、修正案は賛成少数をもって否決され、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。

 なお、本案に対し附帯決議が付されましたことを申し添えます。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 日程第二 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件

 日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件

 日程第四 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件

 日程第五 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件

議長(額賀福志郎君) 日程第二、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、日程第三、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件、日程第四、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、日程第五、経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、右四件を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。外務委員長堀内詔子君。

    ―――――――――――――

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とトルクメニスタンとの間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルメニア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書

 経済上の連携に関する日本国とインドネシア共和国との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔堀内詔子君登壇〕

堀内詔子君 ただいま議題となりました四件につきまして、外務委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 まず、日・ウクライナ租税条約は、令和六年二月十九日に、日・トルクメニスタン租税条約は、同年十二月十六日に、日・アルメニア租税条約は、同年十二月二十六日に、それぞれ署名されたもので、我が国と相手国との間の二重課税の除去及び脱税等の防止に関する法的枠組みについて定めるものであります。

 次に、日・インドネシア経済連携協定改正議定書は、令和六年八月八日に署名されたもので、現行の協定を改め、物品及びサービスの貿易に関する市場アクセスを改善し、並びに自然人の移動、電子商取引、知的財産等に関するルール面での改善に関する規定を追加すること等について定めるものであります。

 以上四件は、去る三月二十七日外務委員会に付託され、翌二十八日岩屋外務大臣から趣旨の説明を聴取し、四月二日に質疑を行い、同日質疑を終局いたしました。九日に順次採決を行いました結果、日・ウクライナ租税条約、日・トルクメニスタン租税条約及び日・アルメニア租税条約はそれぞれ全会一致をもって、日・インドネシア経済連携協定改正議定書は賛成多数をもって、いずれも承認すべきものと議決した次第であります。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) これより採決に入ります。

 まず、日程第二から第四までの三件を一括して採決いたします。

 三件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、三件とも委員長報告のとおり承認することに決まりました。

 次に、日程第五につき採決いたします。

 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認することに決まりました。

     ――――◇―――――

 日程第六 情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第六、情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 委員長の報告を求めます。経済産業委員長宮崎政久君。

    ―――――――――――――

 情報処理の促進に関する法律及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔宮崎政久君登壇〕

宮崎政久君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。

 本案は、人工知能関連技術等による情報処理の高度化を推進するための環境の整備を図るため、指定高速情報処理用半導体の生産を安定的に行うために必要な取組及び高度な情報処理の性能を有する設備の導入に対する支援措置を講ずるとともに、これらの支援措置を含む先端的な半導体の安定的な生産の確保等の施策に係る措置に必要な財源を確保するための措置等を講ずるものであります。

 本案は、去る三月二十五日、本会議において趣旨説明及び質疑が行われた後、本委員会に付託されました。

 本委員会においては、二十六日に武藤経済産業大臣から趣旨の説明を聴取し、二十八日に参考人に対する質疑を、四月二日から政府に対する質疑を行い、九日に質疑を終局いたしました。質疑終局後、討論、採決を行った結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、本案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 採決いたします。

 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明

議長(額賀福志郎君) この際、内閣提出、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。文部科学大臣あべ俊子君。

    〔国務大臣あべ俊子君登壇〕

国務大臣(あべ俊子君) 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。

 学校教育の質を高め、全ての子供たちへのよりよい教育を実現するためには、教師に優れた人材を確保することが極めて重要です。しかしながら、教員採用選考試験の倍率が過去最低を更新するなど、教師の人材確保に困難を生じている状況があることから、教職の魅力を高め、教師を取り巻く環境を整備することが必要です。

 この法律案は、このような教師に優れた人材を確保する必要性に鑑み、学校における働き方改革の一層の推進、組織的な学校運営及び指導の促進並びに教師の処遇の改善を図るため、教育委員会に対する業務量管理・健康確保措置実施計画の策定及び公表等の義務付け、主務教諭の職の新設、教職調整額の基準となる額の引上げ、義務教育等教員特別手当の内容に関する規定の整備等の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、学校における働き方改革の一層の推進を図るため、教育委員会に対し、教師の業務量の適切な管理その他健康及び福祉を確保するための措置の実施に関する計画の策定、公表や、計画の実施状況の公表、総合教育会議への報告を義務付けるとともに、計画の策定及び実施に関して、都道府県教育委員会が市町村教育委員会に指導助言等を行うことを努力義務とすることとしております。また、公立学校に対し、学校評価の結果に基づき講ずる学校運営の改善を図るための措置が、先に述べた計画に適合するものとなるよう義務付けるとともに、校長が学校運営協議会の承認を得ることとなっている学校運営の基本的な方針に、業務量管理・健康確保措置の実施に関する内容を含めることとしております。

 第二に、組織的な学校運営及び指導の促進を図るため、児童の教育等をつかさどるとともに、学校の教育活動に関し教職員間の総合的な調整を行う主務教諭を置くことができることとしております。

 第三に、高度専門職である教師にふさわしい処遇の実現を図るため、教職調整額の基準となる額を給料月額の四%から一〇%まで毎年一%ずつ段階的に引き上げることとしております。また、義務教育等教員特別手当について、教師が分掌する校務類型に応じて支給することとし、その困難性等を考慮して条例で支給額を定めることとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)

     ――――◇―――――

 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

議長(額賀福志郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。今枝宗一郎君。

    〔今枝宗一郎君登壇〕

今枝宗一郎君 自由民主党・無所属の会の今枝宗一郎です。

 会派を代表して、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案について、まずは、あべ文科大臣、加藤財務大臣に質問させていただき、最後に、石破総理に総括的な質問をさせていただきます。(拍手)

 AI、ビッグデータ、ロボティクスなど、先端技術が高度化し、あらゆる産業や社会生活に取り入れられたソサエティー五・〇時代が到来しつつあります。これまで失われた三十年と言われた日本は、これらイノベーションをいち早く起こして、経済社会を発展させねばなりません。

 また、少子高齢化が進行し、生産年齢人口が減少していく我が国において、国民一人一人が社会の劇的な変化に対応しつつ、自らの潜在能力を最大限発揮できる社会をつくり、人的資本による国づくりを行っていくことが必要不可欠です。

 人づくりに最も重要なことは、教育の質であります。教育の質の向上なくして我が国の発展はありません。そして、教育の質の向上を支えるのは紛れもなく教師です。教師は、我が国の未来を開く子供たちを育てるという崇高な使命を有する、かけがえのない職業であります。

 そこで、あべ文部科学大臣にお伺いをいたします。今回の法案により、教師の勤務環境の改善を図ることとされておりますが、教育の質の向上には、どのようにつなげていくおつもりでしょうか。

 次に、働き方改革についてお伺いをいたします。

 教員勤務実態調査によれば、教師の時間外在校等時間の推計値は、平成二十八年度調査で、月当たり、小学校で五十九時間、中学校で八十一時間でした。令和四年度調査では、それぞれ、四十一時間、五十八時間ですが、減少してきているものの、依然として厳しい勤務環境であります。教師が心身とも充実した状態で、日々、生き生きと子供たちに接することができて初めてよい教育が実現できます。

 昨年十二月の文部科学大臣、財務大臣の合意では、今後五年間で教師の平均の時間外在校等時間を約三割縮減し、月三十時間程度にすることを目標としております。

 あべ文科大臣にお伺いをいたします。この目標の実現に向けて、今回の法案を通して、文科省として、学校における働き方改革をどのように進めていくお考えでしょうか。

 現在、子供をめぐる課題が多様化、複雑化している中で、これまで学校、教師が担ってきた業務の役割を見直していく必要がございます。そして、それを進める鍵は地域です。

 コミュニティースクールは、現在、公立学校の約六割で設置されておりますが、学校と地域住民などが力を合わせて学校の運営に取り組む、地域に開かれた学校です。私は、高校時代、県下の各学校の生徒が集まり、教育の未来について考え、提言する活動をしておりましたが、地域に開かれた学校の重要性を主張し、コミュニティースクールを生徒の立場ながら推進してまいりました。

 あべ文部科学大臣に伺います。コミュニティースクールを推進し、教育環境整備に取り組む必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいくお考えでしょうか。

 続いて、教師の処遇改善についてお伺いします。

 自民党として教職調整額の引上げを提言しておりましたが、本法案において、一〇%への段階的な引上げが盛り込まれました。

 また、昨年末の文部科学大臣、財務大臣合意の中で、教職員定数の計画的な改善や中学校三十五人学級も併せて実施することが盛り込まれており、教師の勤務環境が継続的に改善していく希望を持てる内容であると考えております。

 加藤財務大臣にお伺いをいたします。大臣合意で定められたこれら施策について、財務省としても確実に実行することを求めますが、加藤大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

 最後に、石破総理にお伺いをいたします。

 五十年ぶりの教職調整額の引上げを含む今回の改正案は、給料、賃金を上げる大きな効果があります。教育は、公務サービスとして、国が給料アップを直接的に推進できる分野であります。

 私は、物価高、エネルギー高を超える給料、賃金のアップが最重要であるとの考えに立っており、国全体の経済の好循環を考えたときも、その意味が非常に大きいと考えております。石破総理も経済あっての財政という方針でいらっしゃると思いますが、私は、更に踏み込んで、まずは歳出を増やして経済成長を促し、賃上げを含む名目GDPの成長こそが財政健全化に資するという、責任ある積極財政の立場に立っております。

 責任ある積極財政の発想で、先日開催された全国政調会長会議でも意見がありました、賃上げ、減税などを通して国民の可処分所得の増加を強力に推進していくことへの総理の決意をお聞かせいただきたいと思います。

 教育は国家百年の計。まさに、今後、我が国の未来は、人に、そして人を育てる教育に懸かっております。皆で、子供たちとこの国の未来を開いていこうではありませんか。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

内閣総理大臣(石破茂君) 今枝宗一郎議員の御質問にお答えいたします。

 可処分所得の増加に向けた決意についてのお尋ねをいただきました。

 そのためには、物価上昇に負けない賃上げの実現に向け、日本全体で賃金が上がる環境をつくっていくことが急務であり、かつ、基本であると考えております。

 賃上げの効果が出るまでの間にも物価高への対応を進めてまいりますが、令和六年度補正予算で措置した物価高に対応する重点支援交付金は、まだこれから自治体に行き渡るところであるなど、こうした施策を迅速かつ効果的に実施いたしますとともに、令和七年度予算や税制改正に盛り込まれた一・二兆円の所得税の減税や高校無償化の先行措置など、物価高対策に資する措置を実施に移してまいります。

 引き続き、賃上げこそが成長戦略の要との認識の下、物価上昇に負けない賃上げを起点として、国民の皆様の所得と経済全体の生産性の向上を図ってまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。(拍手)

    〔国務大臣あべ俊子君登壇〕

国務大臣(あべ俊子君) 今枝議員にお答えいたします。

 まず、本法案と教育の質の向上との関係についてお尋ねがありました。

 本法案に掲げる施策等により、教師を取り巻く環境整備を進めた先に目指すのは、学校教育の質の向上を通じた、全ての子供たちへのよりよい教育の実現です。

 具体的には、働き方改革により創出した時間を活用し、教師が自らの人間性や創造性を高め、高い専門性を最大限に発揮して教育活動を行うことができるようにするものと考えています。

 また、働き方改革や処遇改善を通じて、教師に多様な人材を確保し、質の高い教職員集団の実現を図ることにもつながるものと考えております。

 これらにより、学校教育の質の向上を図り、全ての子供たちへのよりよい教育を実現してまいります。

 次に、学校における働き方改革の取組についてお尋ねがありました。

 教師の時間外在校等時間の縮減に向けては、学校における働き方改革の更なる加速化と教職員定数の改善など、学校の指導、運営体制の充実を一体的に進めることとしています。

 このため、今般の給特法等の改正を通じて、全ての教育委員会に対し、学校における働き方改革に係る実施計画の策定や当該計画の実施状況の公表を行っていただくこととするとともに、学校、教師が担う業務の精選や役割分担の見直し、校務DXの加速化、標準を大きく上回る授業時間数の見直しや教育課程の柔軟化などの取組を進めてまいります。

 次に、コミュニティースクールの推進についてお尋ねがありました。

 学校や地域、子供たちを取り巻く様々な課題の解決や、教職員の負担軽減のためには、地域と学校との連携、協働が重要であるというふうに考えております。

 このため、文部科学省では、コミュニティースクールと地域学校協働活動の一体的な取組を推進をしており、具体的には、コミュニティースクールと多様な地域関係者をつなぐ地域学校協働活動推進員の配置推進、また、豊富な知見を有する専門家の自治体への派遣、全国フォーラムや説明会を通じた好事例の周知などに取り組んでおります。

 今後とも、これらの施策を一層進め、子供たちを地域全体で育む学校づくりを推進してまいります。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 今枝議員から、教師を取り巻く環境整備に関する大臣合意の確実な実行についてお尋ねがございました。

 昨年末の文部科学大臣との大臣合意において、教職調整額の率を令和十二年度までに一〇%へ引き上げること、令和七年度における教職員定数の改善に加え、財源確保と併せ、令和八年度から中学校三十五人学級への定数改善を行うこと、学校の働き方改革を通じて、教師の時間外在校等時間を縮減することなどについて合意をしております。

 教師の処遇や定数の改善については、学校の働き方改革と一体的に、かつ、財源確保と併せて進めていくことが重要と考えております。財政当局としても、こうした課題について継続的に取り組んでいく必要があると考えており、今般の大臣合意に基づき、所管である文部科学省と連携して、着実な対応を図ってまいります。(拍手)

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議長(額賀福志郎君) 坂本祐之輔君。

    〔坂本祐之輔君登壇〕

坂本祐之輔君 立憲民主党の坂本祐之輔です。

 ただいま議題となりました公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案、いわゆる給特法改正案について、会派を代表して質問をいたします。(拍手)

 OECD国際教員指導環境調査二〇一八年報告書によりますと、中学校教員の一週間の仕事時間の参加国平均は三十八・三時間であるにもかかわらず、日本は五十六時間と、参加国四十八か国中、最長との結果でした。そして、その最大の原因が、労働条件の最低基準を定める労働基準法の第三十七条を適用除外とした給特法であることは明らかです。

 教員の長時間労働の厳しい労働環境により、教員採用選考試験の受験者は年々減少しています。また、採用されたとしても、早期に退職する教員も多く、精神疾患による休職者は過去最高を更新する状況にあります。さらに、教員不足による業務過多な状況が長時間勤務を助長させています。教員の現状の劣悪な労働環境は、教員自身の労働問題であるだけではなく、子供たちの教育を受ける権利の侵害にも当たる重大な問題です。そして、教職員の命と健康を守ることもできません。学校の持続性がもたないという危機的状況にあります。

 このような状況下でも、学校の先生方は必死で職務を全うしようとしています。総理は、長時間勤務を強いられている今の現場の状況をどう認識されているのでしょうか。また、子供たちと日々向き合い、奮闘する教職員の姿をどのように思っているでしょうか。石破総理の答弁を求めます。

 そもそも、給特法ができる前には全国で時間外手当等請求訴訟が提起され、労働者側勝訴、自治体側敗訴の判決が続々と出されてまいりました。また、一九六三年に、人事院は、教員の超過勤務については労働基準法に従って残業時間に応じて超過勤務手当を支払うべきであるとの見解を示していたのです。ところが、教師は一般労働者と違うから超勤を支給することに問題があるとの議論が与党から起こり、結局、一九七一年に給特法が成立しました。

 その後、当時の時間外勤務八時間に相当する教職調整額四%のみで、時間外勤務に従事しても、自主的、自発的勤務とされ、労働基準法が定める三六協定や残業代支払いによる時間外勤務への抑止が機能せず、正確な勤務時間が記録されない、いわゆる定額働かせ放題とされる状況が生まれました。

 同じ教員でも、私立学校や国立大学附属校の教員については、時間外勤務等も労働時間として管理され、当該時間に応じて、労働基準法第三十七条に基づく割増し賃金が支払われています。

 二〇一九年の給特法改正の際の議論では、当時の萩生田文部科学大臣自らが、給特法などの法制的な枠組みについて根本から見直しをします、その際、現在の給特法が昭和四十六年の制定当初に想定されたとおりには機能していないことや、労働基準法の考え方とのずれがあるとの認識は見直しの基本となる課題であると受け止めており、これらの課題を整理できる見直しをしてまいりますと答弁しています。

 大臣の答弁は非常に重いものと受け止めていますが、今回の改正法案では、萩生田大臣の言うこれらの課題がどのように根本的に見直されたのでしょうか。総理の明快な答弁を求めます。

 昨年の自民党総裁選挙における石破総理の政策集の中に、「教員給与の早急な引き上げや教師の働き方改革など公教育の立て直しに全力を挙げます。」と記載されています。

 総理は、田中角栄元総理を政治の師と仰いでいらっしゃると報道等を通じて聞いておりますが、その田中内閣のときに成立、施行されたのが、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法、いわゆる人確法です。自民党のホームページにも、「義務教育職員給与を一般公務員より二五パーセント引き上げることを内容とする「義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法」をさだめたことも、画期的な文教政策であり、田中内閣の功績として見逃すことはできません。」と記載されています。

 このような人確法の理念について、どのように考えているのでしょうか。今回の給特法改正案にはどのように反映されているのでしょうか。総理の見解を伺います。

 昨年末の予算折衝における大臣合意は、前回の法改正での萩生田文科大臣の先ほど示した答弁からは後退したものとなってしまっており、極めて遺憾です。

 合意では、将来的に教師の平均時間外在校等時間を月二十時間程度に縮減することを目指して、まずは今後五年間で平均の時間外在校等時間を約三割縮減し、月三十時間程度に縮減することを目標とするとしていますが、文部科学省の調査によると、二〇二三年度に、残業時間に相当する一か月の時間外在校等時間が四十五時間を超える中学校教員が四二・五%、八十時間を超える中学校教員が一割もいるというのが実態です。本法案では、その実態から何をどれだけ削減して月三十時間になるのかの工程表は何も示されていません。

 総理が今国会冒頭の代表質問で答弁されているように、時間外在校等時間を削減するために、授業時数の見直しや校務DXなども進めるべきですが、月三十時間に向けて、具体的にどういった業務を削減し、どのように教職員を増やしていくのでしょうか。総理の答弁を求めます。

 また、経済財政運営と改革の基本方針二〇二四、いわゆる骨太の方針二〇二四では、教職の特殊性や人材確保法の趣旨、教師不足解消の必要性等に鑑み、教職調整額の水準を少なくとも一〇%以上に引き上げることが必要などとした中央教育審議会提言を踏まえることが明記されていたにもかかわらず、結果は、文部科学省と財務省の大臣合意により、年一%の増額にとどまったのはなぜでしょうか。少なくとも、二〇三〇年度までに一〇%に引き上げることを約束していただけるでしょうか。それ以上の引上げ、若しくは早期の引上げもあり得るとお考えでしょうか。総理の答弁を求めます。

 子供の不登校、いじめの認知件数が最多を更新、また、子供の自死も過去最多となっています。子供の貧困、外国ルーツの子供、特別支援学校、学級に在籍する子供も増えています。これら複雑化、多様化する子供の課題に教職員が真摯に向き合ってきていることも、多忙化の大きな要因となっています。

 一方で、教育の内容についても、道徳の教科化、小学校からの英語教育、プログラミング教育やがん教育など、教える内容は増えるばかりで、減ることはありません。学校に課せられるものが積み重なって、子供にとってもカリキュラムオーバーロードの状態にあります。また、国連子どもの権利委員会からは、日本の競争的なシステムの是正が指摘されています。

 子供にとって、現在の授業時間数は多過ぎて大きな負担になっているという認識はあるでしょうか。また、教職員が子供と向き合う時間の確保の観点からも、業務を減らす、例えば、学力調査の在り方や部活動の地域移行、学習指導要領の内容の見直しや授業時数そのものを減らすことなどが必要と考えますが、総理の答弁を求めます。

 地方公務員災害補償基金が取りまとめた過労死等の公務災害補償状況についてによると、二〇一九年からの五年間では、公務災害認定者の職種別構成比で、脳・心臓疾患は地方公務員等の中で義務教育学校職員が一番多く、精神疾患等では義務教育学校職員が二番目に多い状況となっています。過労死等の防止のための対策に関する大綱では、過労死防止のためのポイントとして、時間外労働の上限規制の遵守徹底、過労死等の再発防止指導が挙げられています。

 公立学校は、教員に対して、給特法によって、校外実習や職員会議に関する業務などの超勤四項目を時間外勤務として命じることができる一方、それ以外の勤務は自主的、自発的勤務と整理され、持ち帰り業務の時間も計測されないことから、実際に勤務に従事している時間の把握、計測が難しく、過労死等の認定は非常にハードルが高くなっています。

 公務員の労働基準監督機能は、自治体においては人事委員会、人事委員会を置かない自治体においては首長とされています。公立学校の教員の時間外労働の上限規制を遵守させるためには監督機能が不十分と考えますが、総理の答弁を求めます。

 給特法下においても、管理職、設置者に安全配慮義務はあり、前回の法改正後、長時間労働の要因である業務過重等について管理職、設置者の安全配慮義務違反が問われている判例が出されています。過労死等の防止には、しっかりと健康確保措置、安全配慮義務が履行されることが必要と考えます。罰則等を管理職、設置者に科す必要があるのではないかと考えますが、この点について総理の答弁を求めます。

 学校の働き方改革が進まない最大の原因は、労働基準法の第三十七条を適用除外とした給特法であることは明らかです。今回、改正では、働き方改革や労働時間短縮の視点も欠如しており、改正内容は余りにも不十分なものです。少なくとも、業務削減や働き方改革を具体的に進めるための修正を行うべきです。労働基準法とのずれを早期に是正し、将来的には給特法を廃止すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

 我々が政権を預かった際には、速やかに給特法を廃止し、公立学校の職員が労働者としてしっかりと守られること、教員の超過勤務を解消し、労働環境を改善して、子供たちのための豊かな学びを保障することをお約束申し上げ、私の質問とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

内閣総理大臣(石破茂君) 坂本祐之輔議員の御質問にお答えいたします。

 教職員の勤務状況についてお尋ねをいただきました。

 令和四年度の勤務実態調査の結果では、依然として時間外在校時間が長い教師も多い状況にあると認識をしております。負担を感じる業務の見直しなど、徹底した働き方改革を確実に進め、教師が、授業など教師でなければできない業務に集中できるようにしていく必要がある、このように考えておるところでございます。

 給特法の課題についてのお尋ねであります。

 御指摘の答弁当時は、給特法の仕組みが教師の長時間勤務の歯止めになっていなかった状況を課題として議論を行ったものと認識をいたしております。

 その後、法制的な枠組みを含めて総合的に検討いたしました結果、今回の法案に、計画の策定、公表、計画に基づく実施など、教育委員会や学校が教師の業務量を管理する措置を講ずる旨の規定を新たに盛り込むなど、働き方改革の更なる加速化のための仕組みを構築することといたしたものでございます。

 人材確保法の理念と今回の法案への反映についてのお尋ねです。

 御指摘の人材確保法は、教師の給与を一般の公務員よりも優遇することにより、教師に優れた人材を確保し、もって学校教育の水準の維持向上に資することを目的として、半世紀前の昭和四十九年に田中角栄内閣で制定されたものでございます。

 今回の改正法では、人材確保法の理念を踏まえ、教職調整額の一〇%への引上げなどの改善を図ることといたしております。令和の時代に給与水準だけで優れた人材が確保できるかという検証は必要ですが、仕事と家庭のバランスを重視する若者の就職観を踏まえた働き方改革の徹底や、人口減少が進み、人的資源に限りがある中で、既存の教師の質を高める育成方法の不断の見直しが重要になってくるものと考えております。

 教員の業務削減と教職員定数の改善についてであります。

 教師の時間外在校等時間の削減のため、業務の仕分を行った学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直し、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化による事務作業等の更なる縮減を進めてまいります。

 教職員定数につきましては、昨年末の大臣合意に基づき、指導、運営体制の充実を四年間で計画的に実施するとともに、財源確保と併せ、令和八年度からの中学校三十五人学級への定数改善を行うこととしており、必要な取組を進めてまいります。

 教職調整額の引上げについてのお尋ねです。

 教職調整額の引上げにつきましては、働き方改革の取組などと一体的に進めていく必要がありますため、令和十二年度、二〇三〇年度までに段階的に一〇%とすることとし、毎年一%ずつ引き上げることといたしております。

 本法案の附則第三条で、令和十年一月以降をめどとして、働き方改革や財源確保の状況等を勘案し、教員の勤務条件の更なる改善のための措置について検討を行い、教職調整額に係る率の変更を行うことを含め、必要な措置を講ずるものとする旨の規定に基づき、適切に対応いたしてまいります。

 児童生徒の授業時間数についてお尋ねがありました。

 学校での授業時間については、文部科学省の調査において、小中学生の約六割がちょうどよい又は少ない、それ以外は多いと回答しており、必ずしも全ての子供にとって過度な負担になっているとは認識をいたしておりません。主要先進国との比較でも、例えば、日本の小学校は一学年平均で年七百七十八時間ですが、ドイツは七百二十四時間、フランスは八百六十四時間、アメリカは九百七十四時間であり、日本が多いわけではございません。

 他方、教師の負担軽減を図る観点から、先ほども申し上げましたが、業務の仕分を行った学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる精選、見直し、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化、部活動の地域移行の促進などを進め、教師の時間外在校時間を削減をいたしてまいります。

 教師の過労死防止についてであります。

 教師の業務量の適切な管理や健康、福祉の確保につきましては、政府として、教育委員会に対し、人事委員会への実施状況の報告や専門的な助言を求めることなど、連携を図るよう求めており、引き続き取組を進めてまいります。

 本来、校長や教育委員会は、教師の健康を確保し、安全に配慮する義務を有するものであります。今回の改正案におきましては、ほかの公務員の例も踏まえ、罰則を設けることとはしておりませんが、計画の策定、公表、計画に基づく実施など、教育委員会や学校が健康を確保する措置を講ずる旨を規定しており、これらの取組を通じて、教師の健康や安全の確保に取り組んでまいります。

 給特法の廃止についてであります。

 今回の法案は、教育委員会や学校が教師の業務量を管理する措置を講ずる旨の規定を盛り込むなど、働き方改革の更なる加速化のための仕組みを構築するものであります。

 給特法につきましては、様々な議論があることは承知をいたしておりますが、まずは、時間外在校等時間が月二十時間程度に達するまでに幅広い観点から諸課題の整理を行うことといたしております。

 以上でございます。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 高橋英明君。

    〔高橋英明君登壇〕

高橋英明君 日本維新の会の高橋英明です。

 会派を代表し、ただいま議題に上がっております公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案について、全て石破総理にお聞きいたします。(拍手)

 我々日本維新の会は、結党より、子供たちが経済的な負担がなく、子供たちの適性に応じた多様で質の高い教育を受ける機会が十分に確保される教育の無償化を求めてきました。教育の無償化を通じて子供たちの無限の可能性を伸ばすことこそが、日本の国際的な競争力を高め、持続可能な成長を実現する原動力になるということは、これまで様々な場面で何度も申し上げてきたとおりでございます。

 子供たちの力を伸ばす教育には、学校現場で働く教職員の方々一人一人が児童生徒と向き合う十分な時間を取ることが必要不可欠ですが、今、教員は非常に忙しく、大変不人気。定額働かせ放題、ブラックな仕事の代表例に挙げられ、各地で教員採用倍率が過去最低を更新したというニュースが飛び交っており、早急な改善が求められていることはここにいる誰もが理解しており、我々維新の会も、昨年十月に、教員の労務管理徹底を軸にした働き方改革の法案を提出しましたが、これまで、各党様々な視点から教員の働き方改革は議論されてきました。

 今回、政府・与党が提出した改正案は、これら課題を抜本的に解決することが求められています。しかし、この改正案では、何度内容を読んでも、とても解決するとは思えません。

 まず、石破総理に伺います。総理は、今回の法改正が学校現場における課題を抜本的に解決できる、又はその道筋が見えたと自信を持って言える改正でしょうか。もっと踏み込んでお聞きするならば、現在ほとんど学校現場で意識されていない労務管理、この感覚を、忙しい現場で負担や混乱が起きないよう徐々に、段階的に導入し、確実に定着することが、働き方改革の筋道であると考えられませんか。

 学校には子供たちがおり、混乱が生じますので一気には実施できませんが、やらねばなりません。私立では既に労務管理はできております。総理は、この法案で労務管理の意識が定着すると本気で思っているのでしょうか。民間企業で活躍された御経験のある総理の率直な考えをお話しください。

 これまでの改革の振り返りについてお聞きします。

 文科省がこれまで教員の働き方改革、処遇改善に対し様々な対策と検討を重ねてきたことは、一定の評価はいたします。しかし、いまだに持ち帰り残業であったり拘束時間の長さは変わらず、現場の負担感は高いままです。

 石破総理は、これまでの改革による成果をどのように評価されていますでしょうか。そして、その上で、今一番解決すべきポイントはどこと考えておりますか。教員実態調査に数字があるならば、どこまで改善すべきなのか、具体的に教えてください。

 今回の法改正では、各地方自治体の教育委員会による業務量管理・健康確保措置実施計画の策定と公表、そして実行状況の公表が義務づけられました。しかし、これらの義務事項に関しては、その有効性に疑念しか生じません。

 計画は実施状況の公表が義務づけられていますが、公表することによって、少しでも進んでいる、うまくいっていると見せるため、数値改ざん、隠蔽につながり、更なるブラック化を招くおそれがありますが、そうした懸念はどう払拭するのでしょうか。なぜこのようなことを聞くかというと、これまでの学校現場を見ていると、例えば、いじめの隠蔽等が実際にあり、とても開かれているとは思えないからです。計画の実行状況がよろしくない際にされる都道府県教育委員会の指導助言は努力義務であり、実行できなければそれまでといった仕組みですが、罰則規定はないのでしょうか。

 次に、教育委員会改革についてお尋ねします。

 今回、各地方自治体の教育委員会に対して計画の策定を義務づけし、指導も都道府県の教育委員会から行われるものとなりました。実際の働き方改革の責任の所在を明らかにしているわけで、教育委員会は、首長や議会といったものとは別の、独立した存在であります。このように責任も所管もそもそも独立した組織であるならば、各地方自治体がそれぞれに教育委員会を持つことは負担でしかありませんが、教育委員会を例えば三十万人程度の人口単位で広域化し、人材確保や管理コストを効率化することはできないのでしょうか。改革の可否を教えてください。

 次に、教員の処遇改善における新たな職階と学級担任への加算についてお聞きします。

 今回、新たに主務教諭という役職が新設されます。また、学級担任に対して、新たに給与の加算がなされます。学級担任の負担が重いことは理解できますし、主務教諭が特別な手当が必要であることも理解できます。しかし、これら役職に手当を施すことが、現場で求められている、頑張っている人を評価してほしいというニーズに応えるものなのでしょうか。

 例えば、病気や急な休暇による欠員のフォローは、空き時間のある先生が代わりに授業する補教といった形で、学校にいる全ての先生が少しずつ負担するわけで、例えば、この補教について、実施分だけ追加ボーナス等で特別加算するような配慮はできないのでしょうか。

 補教については具体的に時給が発生しないとしても、組織のために汗を流しているわけで、これらのちょっとずつの負担が現場を何とか回すことができています。自分さえ我慢すれば何とかうまくいくといったこの状況こそが、教員はブラックと呼ばれるゆえんではないのでしょうか。この点が非常に重要ですので、しっかりとお答えください。

 主務教諭や学級担任ではない方法で評価することができないか、その可能性と、固定の役職では納得が得られない現場の不満について、総理自らの見解をお答えください。

 これら問題の解決のために人員拡充が図られていることは理解しています。ただ、満足できるまで人員拡充できる財源があればよいのですが、それにも限界があります。今や、どの業界でも直面している日本の課題でもあります。人手不足の世の中で必要なのは、分業、適材適所による専門化、そして、新たななり手の開拓です。

 そのために、四つ御提案をします。

 一つ目は、分業です。例えば、教員にとって特に大きな心理的負担となっているのは保護者対応です。一人の怪物のような保護者対応で疲弊すれば、業務全体が滞ってしまうようなことも考えられます。そこで、保護者対応の分業として、地域にいる元校長、元教員といった人材を活用し、学校内に専門的な対応をする人材チームを設立したり、スクールローヤーの助言をもらいながら保護者対応を充実させる取組を行ってはいかがでしょうか。

 二つ目は、インセンティブです。部活動を地域展開するといった形で教員の負担を軽減させる取組を進めているのは存じていますが、適材適所や処遇改善の意味では、部活動を進んで引き受ける教員には副業的にしっかりと対価を支払い、インセンティブが働く仕組みを創設するのはいかがでしょうか。

 三つ目は、機会の拡大です。教員採用試験においても、海外大学のスケジュールも考慮して、春と秋の二期制を広く一般化するのはいかがでしょうか。

 最後、四つ目に、新たな免許制度の創設です。現状の教員免許は持っていないが専門的な知識を持つ人材が新たに教員免許を取得できる制度や、教員として先に採用し、その後、研修、経験を積み、実務経験にて教員資格を得る制度等、緩和した形の新たな教員免許制度を創設するような工夫はできないでしょうか。

 世の中の実情に応じた臨機応変な仕組みが人手不足を解消する糸口となりますので、是非、自治体の裁量を拡大するといった前向きな回答を求めます。

 るる申してまいりましたが、最後に、この給特法の冒頭、教員に優れた人材を確保する必要性に鑑みと始まる記述について申し上げます。

 この記述では、優れた人材に教員になってもらうと、優れた人材を探すように解釈できます。しかし、社会経験のない新人にそれを求めるのは無理です。仮にいたとしても、そのような人材は現況では教員になりません。

 この記載、元々優れた人材を探すのではなく、優れた教員を育てる必要性に鑑みという形で、人材を育てていくという思考に変えることはできないでしょうか。たくさん応募があるから面接で落として、優秀な人が教員になればいいという状況ではございません。

 人づくりなくして国づくりなし、これは子供たちにも教員にも言えることです。どんな仕事でも、余幅がなければ仕事はできません。余幅のある教育環境をつくることこそが大切です。国家百年の大計は教育にあり。今年は戦後八十年。今こそ、我が国の教育を見直し、美しき誇り高き国日本、これを世界に示すときです。総理のお考えをお聞かせください。

 そして、これは質問ではございませんが、今年は十年に一度の学習指導要領改訂の年です。しっかりと見直しをお願いしたいと思います。

 この法改正が次世代のために真に必要な制度改正となるよう、しっかりと議論をすることをお約束し、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

内閣総理大臣(石破茂君) 高橋英明議員の御質問にお答えいたします。

 教師の労務管理についてお尋ねをいただきました。

 教師の負担軽減を図る観点から、業務の仕分を行った学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直し、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化を進めるとともに、学校の指導、運営体制の充実により、教師の時間外在校等時間を削減をいたしてまいります。

 今回の法案におきましては、計画の策定、公表、計画に基づく実施など、教育委員会や学校が教師の業務量を管理する措置を講ずる旨の規定を盛り込むなど、働き方改革の更なる加速化のための仕組みを構築いたしてまいります。

 教師の働き方改革についてであります。

 令和四年度の勤務実態調査の結果では、依然として時間外在校等時間が長い教師も多い状況にあると認識をいたしております。負担を感じる業務の見直しなど、徹底した働き方改革を着実に進め、教師が、授業など教師でなければできない業務に集中できるようにしていく必要があると考えております。

 将来的には教師の平均時間外在校等時間を月二十時間程度に縮減することを目指して、まずは今後五年間で月三十時間程度に縮減することを目標といたしてまいります。

 本法案で策定等を義務づける計画についてのお尋ねであります。

 学校が虚偽の勤務実態を記録するようなことがあってはなりません。政府としても、教育委員会等に対して引き続き指導を徹底いたしてまいります。本法案では、計画の実施状況が不十分な場合の罰則は設けておりませんが、各教育委員会が自ら定めた計画の実施状況の公表及び首長が設置する総合教育会議への報告を規定いたしており、こうした仕組みを通じて、教育委員会による計画の着実な実施を促してまいります。

 教育委員会の広域化についてのお尋ねをいただいております。

 教育委員会は、学校教育などに関する事務を担当する執行機関であり、各地方公共団体に設置することとされております。

 例えば、近隣の市町村と共同で教育委員会を設置することも可能ではありますが、各地方公共団体において適切に御判断をいただくべきものと考えております。

 教師の処遇についてのお尋ねです。

 今回の改正案では、学級担任への手当の加算や主務教諭を創設することで、教師の職務や勤務の困難性に応じた処遇の実現を図ることといたしております。

 その上で、御指摘のような頑張っている教師の処遇につきましては、地方公務員法に基づく人事評価制度を通じて、一人一人の教師の業績などを適正に評価し、勤勉手当などに適切に反映すべきもの、このように考えております。

 人手不足の解消についてのお尋ねです。

 保護者への対応については、学校だけでは解決が難しい事案について、経験豊かな学校管理職OBなど、様々な専門家と連携した行政による支援体制の構築を進めてまいります。

 部活動については、部活動指導員の活用を図るとともに、部活動の地域移行を促進するなど、地域の実情を踏まえた部活動改革の全国的な実施を推進してまいります。

 教員採用選考につきましては、複数回実施などの工夫改善を進めてまいります。

 教員免許制度につきましては、中央教育審議会において、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成の観点から、その在り方の検討を行っておるところであり、政府として、その結果も踏まえ、関係法令の見直しを含めた取組を進めてまいります。

 教師の人材育成と児童生徒の教育についてのお尋ねです。

 本法案におきましては、教育委員会や学校における徹底した働き方改革の実施を確保するための措置等を盛り込んでおり、これらを確実に実施していくことで、教師が、授業など教師でなければできない業務に集中できるようにするとともに、そうした教師と自治体や地域の人々が一体となって考え、子供たちを、知識や能力だけではなく、歴史や文化、地域や周りの人々を大切にし、行動する力を有した人材に育てていくことが重要である、かように考えておる次第でございます。

 以上であります。(拍手)

    〔議長退席、副議長着席〕

    ―――――――――――――

副議長(玄葉光一郎君) 西岡義高君。

    〔西岡義高君登壇〕

西岡義高君 国民民主党・無所属クラブの西岡義高です。

 ただいま議題となりました公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問いたします。(拍手)

 まず、総理に対して、我が国の教育をどのように導いていくのかを問います。

 昨年十二月に公表された令和五年度における精神疾患で病気休職となった教職員の数は、七千人を超え、三年連続で過去最多を更新いたしました。子供たちにおいては、不登校の児童生徒数が過去最多、いじめの認知件数が過去最多、児童生徒の自殺者数が過去最多となっています。現在の教育現場は、大人も子供も疲弊し切っていると言わざるを得ません。

 明治に学制ができ、近代国家として富国強兵をなし、強い日本を目指しました。戦後には、この学制をよりスリム化して、六・三・三・四の単線型の学校制度となり、高度経済成長を支え、豊かな日本をつくりました。

 確かに、これまでのそろえる教育によって日本は成長してまいりました。しかし、明治の学制制定から百五十年がたち、戦後八十年にもなります。教育現場の現状を鑑みるに、学校制度自体が制度疲労を起こしているのではないでしょうか。教育現場で起こっている様々な課題を解決するには、抜本的な教育改革が必要な時期に来ていると思われます。

 そこで、楽しい日本を目指していく上で、教育をどのように導いていくのか、具体的なビジョンを総理大臣に伺います。

 今回の法改正において、若干ながらも教員の処遇が改善されることは評価しますが、まだまだ不十分であり、現状の根本的な改善にはほど遠い内容であると考えます。

 今回の法律案は、学校教育に質の高い人材を確保することが狙いです。昨年六月に閣議決定された骨太の方針二〇二四においては、質の高い教師の確保、育成に向け、働き方改革の更なる加速化、処遇改善、指導、運営体制の充実、育成支援を一体的に進めるとし、教師の処遇を抜本的に改善するとされています。

 現在、全国各地で教員不足が問題となる中、これから社会に出る若者や民間企業等の経験者に教員を志してもらうためには、教員という職業を魅力あるものにしていかなければなりません。しかし、その内容は、教員の業務の削減に直接つながる内容はなく、給特法の枠組みは維持されたままです。教職調整額を引き上げるといっても、年に一%ずつ、六年かけて一〇%まで引き上げるというのは、余りにも時間がかかり過ぎではないでしょうか。そして、一〇%という数字も、制定当時の時間換算で二十時間相当であり、余りにもしょぼい数字ではないでしょうか。

 今は、少子高齢化によって、あらゆる業界で人手不足が叫ばれています。この過酷な人材の獲得競争に勝ち抜いていかなければならない状況において、これで、教員の処遇を抜本的に改善し、人材が集まる魅力ある職場になると言えるのか、総理大臣、文部科学大臣の見解を伺います。

 昨今の定額働かせ放題と言われるような教員の長時間勤務の元凶は給特法であるという声も耳にします。しかしながら、給特法は、原則として時間外勤務を命じないこと、そして、時間外勤務を命じる場合も、超勤四項目と呼ばれる特定の業務について、しかも、臨時又は緊急のやむを得ない必要がある場合に限定することを目的としており、本来的には、教員の無定量な時間外勤務に歯止めをかけることを目的とした法律です。

 それにもかかわらず、給特法が悪法であるかのように言われるようになったのは、業務が繁忙なため、やむを得ず時間外に行っている超勤四項目以外の業務、例えばテスト問題の作成などが教員の任意の自発的行為であるとして黙認され続けてきたからであり、給特法の本来の目的と実態が乖離しているからであります。

 本来は教員を無定量の時間外勤務から守るための給特法が、教員を守ることができていないばかりか、むしろ、無定量な時間外勤務を容認するような運営がなされている現状について、文部科学大臣の見解を伺います。

 令和元年の給特法の改正により、教員の任意の自発的行為とされてきた時間外勤務も含めて在校等時間として把握することとし、時間外の在校等時間の上限が月四十五時間、年三百六十時間と定められました。在校等時間という考え方が導入されたこと自体は、長時間勤務を是正するという観点では一歩前進でした。しかしながら、労働基準法に従えば時間外勤務に対しては超過勤務手当が措置されるところ、給特法の在校等時間の考え方では、その時間外勤務に対して超過勤務手当が措置されず、給特法の仕組みと労働基準法の考え方の間にそごが生じていることになっています。

 今回の法律案によっても、このそごは残ることとなりますが、このままで差し支えないのでしょうか。給特法上の在校等時間と労働基準法上の労働時間の間でずれが生じている現状について、文部科学大臣の見解を伺います。

 給特法の、教員に無定量な時間外勤務をさせないという目的が達成されているか否かを判断するためには、教員の勤務実態を絶えず確認していく必要があります。それにもかかわらず、国による教員の勤務実態調査は、給特法が制定される前の昭和四十一年、制定から四十年経過した平成十八年、そして平成二十八年、令和四年と、実に四回しか実施されておりません。

 本来ならば、給特法の目的が達成されているか、教員に長時間の時間外勤務が生じていないか、常に確認が必要でありますが、国による教員の勤務実態調査がこれまでに四回しか、給特法制定後に限っては三回しか実施されていない理由について、文部科学大臣に伺います。

 また、今回の法律案による長時間勤務の是正の効果を確認するためには、この先も国による教員の勤務実態調査が必要だと考えますが、次なる教員の勤務実態調査の実施の有無、またその時期について、文部科学大臣に伺います。

 給特法は、教員の職務と勤務態様の特殊性を理由として、教員の給与と勤務条件の特例を定めるために制定された法律です。この特殊性とは、教員が、特に教員の自発的、創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことや、夏休みのように長期間の学校休業期間があることなどを意味します。確かに、職務の複雑性や困難性、専門的な知識や技能が必要とされることなど、今日でもその特殊性を否定するものではありませんが、給特法が制定されたのは五十年以上も前であり、制定当時と同様の職務と勤務態様の特殊性があるとは言い切れない状況ではないでしょうか。

 その例が、国立学校の教員です。国立学校の教員は、元々給特法が適用されていましたが、平成十六年の国立大学法人法の施行に伴い身分が非公務員化されたことにより、教員の職務内容や勤務態様には何ら変化がないにもかかわらず、給特法の適用から外れ、労働基準法の適用を受けるようになり、時間外勤務には相応の時間外勤務手当が支給されるようになりました。

 この国立学校の教員の例に鑑みれば、教員の職務と勤務態様の特殊性を、公立学校の教員にのみ給特法を適用することの論拠とすることには説得力が欠けると思いますが、文部科学大臣の見解を伺います。

 給特法のほかにも、教員の給与について定める法律が幾つかあります。その一つが人材確保法です。

 人材確保法は、給特法が制定された三年後、昭和四十九年に制定されたもので、教員に優れた人材を確保するため、一般の公務員の給与水準と比較して優遇措置を講じなければならないことが定められています。この人材確保法の制定を受け、本給の引上げと、教員にのみ支給される義務教育等教員特別手当が新設されたことにより、一般行政職と比べ、教員の給与の優遇分は七%を超えるまでに改善されました。しかし、それ以降は公務員の総人件費の削減の一環として優遇措置も縮減され、現在ではごく僅かとなっています。

 今回の法律案では、教員の処遇を改善するため、教職調整額を現在の四%から段階的に一〇%まで引き上げることとしていますが、この一〇%の論拠として、人材確保法による処遇改善後の教師の優遇分の水準を確保するための水準としています。人材確保法制定の経緯等を踏まえれば、人材確保法による優遇分の回復は、人材確保法制定時と同様、本給の引上げか、若しくは義務教育等教員特別手当によるべきと考えます。今回の法律案において教職調整額の引上げにより教員の処遇改善を図ることとした理由について、文部科学大臣に伺います。

 学校における働き方改革を実効性あるものとし、教員の長時間勤務を是正するためには、業務を減らすことと人を増やすことを同時に進めなければなりません。既に学校や教職員の努力だけでは限界であり、これ以上どうすればいいのかという声も聞こえてきます。

 今回の法律案は、このような学校現場の切実な声に応え、教員という職業の魅力を向上するものでなくてはならないと考えますが、残念ながら、教員の長時間勤務の是正に直結する教員の業務量の削減や教職員定数の改善に関する改正内容は含まれておりません。

 そもそも、いわゆるゆとり教育とも呼ばれる平成十年、十一年の学習指導要領改訂以降は、授業時間数が増加し、準備に時間のかかるアクティブラーニング等が導入されるなどしてきたにもかかわらず、教職員定数を定める義務標準法の改正等による教員定数の改善が行われてこなかったことが、常態的な教員の長時間勤務の理由の一つだともされています。これを踏まえれば、基礎定数を増やすなど、教職員定数を改善するための改正内容が含まれて当然ではないかと考えますが、今回の法律案に教職員定数の改善に係る改正内容が含まれていない理由について、文部科学大臣に伺います。

 石破総理は、今国会の施政方針演説の中で、人口減少下においては、官民が連携した人づくりや公教育の再生、改革により、一人一人が持つ可能性を最大限引き出すことが必要だとした上で、そのために大事なことは、教育の内容と質であり、子供たちをどのように育てたいかを明確にすることだと言及されました。

 今回の法律案は、直接的には教員の給与や働き方などの勤務環境の改善を図るものですが、子供たちの育ちという観点において、どのようなメッセージが込められているのでしょうか。また、今回の改正内容のどの辺りにそのメッセージが反映されているのでしょうか。総理大臣に伺います。

 これまでも、様々な教育施策についての提案がなされても、財源がないという言葉を繰り返し、課題が先延ばしにされてきました。我が党が訴えている、人づくりこそ国づくり、この言葉を総理も文部科学大臣もおっしゃっておりました。人づくりこそ国づくり、そう言うのであれば、財源を理由に課題を先延ばしにし、教育施策を前に進めないことは、お金を理由に国づくりを、日本の未来を諦めることと同義ではないでしょうか。

 今こそ、教育国債を発行し、次世代に対してしっかりと投資を行うべきです。今発行した国債を物ともしないくらいに国を成長させる人材を育てることが、国家の務めではないでしょうか。教育への投資を拡充し、少なくとも教育への公的負担割合をOECD平均程度まで引き上げるべきと考えますが、これからの教育予算の在り方について、そして国民民主党が提案している教育国債の発行について、総理大臣、財務大臣に見解を伺います。

 現役の中高生と話す中でも、先生の処遇をよくしてあげてほしい、そういう声を様々な場面で耳にします。そんな状況が、教員本人にとっても教わる子供たちにとっても、いいはずがありません。未来を担う人材を育てる最前線である学校現場をよりよいものにしていくためにも、全力で取り組んでまいります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

内閣総理大臣(石破茂君) 西岡義高議員の御質問にお答えをいたします。

 教育に関するビジョンについてのお尋ねです。

 正解のない時代に、自ら問題を探求し、他者と協調しながら、自ら考え、自由に人生を設計し、飛躍していける能力の育成が重要であります。

 知識や能力だけではなく、歴史や文化、地域や周りの人々を大切にし、行動する力を有した人材を、学校だけではなく自治体や地域の人々が一体となって考え、参画して育てていけるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 教師の処遇改善についてであります。

 教師の魅力を高めるためには、負担を感じる業務の見直しが必要であり、業務の仕分を行った学校、教育が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直し、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化を進めるとともに、学校の指導、運営体制の充実により、教師の時間外在校等時間を削減することが重要であると考えております。

 今回の法案におきましても、計画の策定、公表、計画に基づく実施など、教育委員会や学校が教師の業務量を管理する措置を講ずる旨の規定を盛り込んでおり、給与面と併せて徹底した働き方改革を進め、教師の処遇改善を図ってまいります。

 本法案と子供たちの育ちとの関係についてのお尋ねをいただきました。

 先ほど申し上げましたとおり、本法案におきましては、教育委員会や学校における徹底した働き方改革の実施を確保するための措置などを盛り込んでおり、これらを確実に実施していくことで、教師が、授業など教師でなければできない業務に集中できるようにするとともに、自治体や地域の人々が一体となって考え、子供たちを、知識や能力だけではなく、歴史や文化、地域や周りの人々を大切にし、行動する力を有した人材に育てていくことが重要であると考えております。

 教育予算と教育国債についてのお尋ねであります。

 御指摘のように、日本の公財政教育支出は、対GDP比三・一%となっており、OECD平均の四・五%と比べて低い水準であります。一方で、教育は子供一人一人に対するものであるとの観点から、在学者一人当たりの公財政教育支出で見ればGDP比二一・八%となっており、OECD平均の二二・三%と比べ遜色ない水準にあります。支出額については、様々な見方で比較する必要があるものと考えております。

 教育支出の多寡も重要なことでありますが、効果的に活用され、教育の質の向上につながるものとなっているかを検証し、PDCAサイクルを回していくことも重要なことと考えております。

 教育国債につきましては、安定財源の確保や財政の信認確保の観点から、慎重に検討する必要があるものと考えております。

 残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁をさせていただきます。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣あべ俊子君登壇〕

国務大臣(あべ俊子君) 西岡議員にお答えいたします。

 まず、教師の処遇改善についてお尋ねがありました。

 今回の教職調整額の一〇%への引上げや、その他手当の改善が完成する際、教師の優遇分は、いわゆる人材確保法が制定された昭和五十五年当時と同程度の水準を確保できることとなります。このような教員給与の大幅な引上げについては、約四十五年ぶりとなります。

 また、教師を取り巻く環境の整備に向けては、教職調整額の引上げなど給与面の改善と併せ、様々な施策を総動員して取り組むことが重要です。

 このため、教育委員会ごとの働き方改革に関する計画の策定を制度化するなど、学校における働き方改革の更なる加速化、教職員定数の改善や、支援スタッフの充実などの学校の指導、運営体制の充実なども含め、各般の取組を一体的、総合的に推進してまいります。

 次に、給特法の運用の現状についてお尋ねがありました。

 文部科学省において、令和元年の給特法改正以降、学校における働き方改革を進めてきたところです。

 この結果、以前と比較して教師の時間外在校等時間を減少させることができましたが、現在の教師の長時間勤務の実態は引き続き大変厳しい状況にあり、取組を加速させる必要があると認識しております。

 このため、今回の給特法等の改正案において、より一層、法の理念に沿うことを目指して、時間外在校等の時間を縮減するための様々な仕組みを構築することとしたところです。

 次に、給特法と労働基準法との違いについてお尋ねがありました。

 給特法は、公立学校の教師の給与その他の勤務の条件に関する特別法であり、労働基準法等の勤務時間に関する考え方とは違いがありますが、今回、この給特法等の法制的な枠組みを含め、中央教育審議会においても御審議いただき、検討を重ねた結果、教師の裁量性を尊重する給特法の仕組みは現在でも合理性を有しているとの結論に至ったものです。

 文部科学省としては、今回の法案で導入する仕組みを活用し、働き方改革を更に加速し、時間外在校等時間の縮減を目指してまいります。

 次に、教員勤務実態調査のこれまでの実施回数についてお尋ねがありました。

 教員勤務実態調査は、学校現場への負担も考慮しつつ、その時々の政策上の必要性を踏まえ、これまで計四回実施しております。

 給特法成立前の昭和四十一年度は、教師の勤務の実態を明確にする必要があったため実施したものです。また、平成十八年度は、公務員の総人件費改革を踏まえ、教師の給与の在り方について検討するため、平成二十八年度は、少子化が進む中で、学校の教育環境の改善に向けた検討が必要だったため、令和四年度は、令和元年給特法改正後の働き方改革のフォローアップの必要があったため、それぞれ実施したものです。

 次に、今後の教員勤務実態調査の実施についてお尋ねがありました。

 教員勤務実態調査は、抽出された学校の教師が特定の月において一週間の全ての業務内容を記録するなど、学校現場への負担も大きい調査です。

 他方、昨今、各教育委員会において、教師の在校等時間の客観的な把握が徹底されてきたところです。

 これらの点を踏まえ、今後は、基本的に、毎年度、教育委員会に対して実施する調査を通じて、全国の教師の時間外在校等時間の状況を適切に把握してまいります。

 次に、公立学校の教師への給特法を適用する論拠についてお尋ねがありました。

 職務や勤務態様の特殊性は、公立学校と国立学校の教師に共通的な性質はございますが、非公務員である国立学校の教師は、民間の労働法制の下、その勤務条件が私的契約によって決定されるのに対し、地方公務員の勤務条件は法律及び条例によって決定される中にあって、公立学校の教師については、一般行政職の公務員とは異なる職務と勤務態様の特殊性を有していることから、特別法である給特法とそれに基づく条例等によって定められているものと認識をしています。

 次に、教職調整額の引上げによる処遇改善を図る理由についてお尋ねがありました。

 人材確保法制定時は、本給の引上げや義務教育等教員特別手当の創設など措置が講じられましたが、具体的にどのような手だてによって優遇措置を講ずるべきかは、人材確保法には規定されておりません。

 今回の処遇改善は、教師の職務の重要性にふさわしい処遇を実現するものであり、本給相当である教職調整額を引き上げ、給与の優遇措置を確保することとしたところです。

 次に、教職員定数の改善についてお尋ねがありました。

 学校における働き方改革や、多様化、複雑化する教育課題への対応に向け、教職員定数を改善することは大変重要です。

 このため、令和三年に義務標準法を改正し、基礎定数の改善により、小学校における三十五人学級の計画的な整備を進めるとともに、近年は、教育の質の向上と、教師の持ちこま数の軽減など、政策目的を確実に達成するため、加配定数の改善を行っているところです。

 令和七年度予算においては、基礎定数を含め、この二十年間で最大となる五千八百二十七人の定数改善に必要な経費を計上しており、引き続き、学校の指導、運営体制の充実強化に努めてまいります。(拍手)

    〔国務大臣加藤勝信君登壇〕

国務大臣(加藤勝信君) 西岡議員から、教育予算の規模や教育国債の発行についてお尋ねがありました。

 この国の未来を担う人材を育成するため、教育は重要であり、例えば、教育費の負担軽減についても、これまで、財源を確保しながら、幼少期から高等教育段階まで、切れ目のない形で取り組んでまいりました。

 御指摘の公財政教育支出につきましては、総理より答弁がありましたように、教育は子供一人一人に対するものとの観点から、在学者一人当たりに対する公財政教育支出で見れば、日本はOECD平均と比べ遜色のない水準となっております。

 また、国債発行を教育分野の財源とすることについては、子供たちに負担を先送りすることは適切ではなく、安定財源の確保や財政の信認確保等の観点から、慎重に検討する必要があると考えております。

 引き続き、我が国の人口構成や財政状況なども踏まえながら、教育についての必要な額を確保し、未来を担う人材の育成に取り組んでまいります。(拍手)

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副議長(玄葉光一郎君) 浮島智子君。

    〔浮島智子君登壇〕

浮島智子君 公明党の浮島智子です。

 ただいま議題となりました公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、会派を代表して質問いたします。(拍手)

 子供たちにとって、先生はかけがえのない存在です。先生の一言に救われたとか、人生の重要な選択肢において先生に背中を押してもらったという人は、決して少なくないでしょう。その先生が連日長時間勤務で疲労こんぱいしていては、子供たちにとっても大きなマイナスであることは言うまでもありません。

 そのため、公明党は、一貫して学校の働き方改革を推進し、二〇一七年の義務教育標準法改正による通級による指導や外国人児童生徒等教育に関する教職員の定数の基礎定数化、二〇一九年の働き方改革のための給特法改正、二〇二一年の義務教育標準法改正による小学校三十五人学級の実現などをリードしてまいりました。

 今回の法案について、昨年の五月、七月と当時の岸田首相に申入れを行った上で、秋から、有識者からの四回にわたるヒアリングや戸田市立新曽北小学校の視察、党内での相当数に及ぶ議論を経て、十二月二十三日にあべ文部科学大臣に提言をお渡ししました。

 この提言は、子供たちを取り巻く状況が複雑化、困難化しており、学校や教職員の使命感だけでは対応できないと指摘した上で、働き方改革と処遇改善を両輪で進め、持続可能な働き方を確立していかなければならないと訴えています。

 具体的には、働き方に応じためり張りのある給与体系の構築を提唱し、学級担任や生徒会担当といった職責を正しく評価するため、新たな役職、級の創設、勤務時間内で業務を終えられる環境整備を前提として、やむを得ず勤務時間外に行う業務について、新たな手当の創設を提案いたしました。現場のお声をいただき、対象業務の案として、PTA行事、登校時の見守りなど、約二十項目を例示しております。働き方改革については、緊急改革期間の設定とともに、勤務間インターバルの導入や支援人材の更なる配置、教科担任制の拡大も求めました。

 そこで、石破総理にお聞きいたします。

 今回の法案で盛り込まれた教職調整額の引上げは当然です。しかし、学校の働き方改革の推進と教員の処遇改善、教職員定数の改善をこれで終わりにしてはなりません。

 年末の予算編成過程において、文部科学大臣と財務大臣は、大臣折衝の上、教職調整額の引上げの中間段階、令和九年度以降で、更なるめり張りづけについて検討、措置するとともに、令和八年度からの中学校三十五人学級への定数改善を行う旨の合意文書を交わしました。

 政府として、早急に、新たな役職、級や新たな手当の創設などによる働き方に応じためり張りのある給与体系の構築を検討するとともに、中学校三十五人学級の早急な実現を図るべきと思いますが、お答えを求めます。

 また、教壇に立つ先生方からは、校長が若くてやる気のある教師に様々な業務を集中させてしまい、教員の間に業務の偏りがあっても、相談する相手や窓口がないという不安や不満の声をよく聞きます。

 今回の法案において、教育委員会に対して、業務量管理・健康確保措置実施計画の策定、公表の義務化と公立学校のマネジメントへの反映を定めていることは大事だと思います。同時に重要なのは、教師の目線に立って、過重な負担を特定の教師に課すような状況を改善する具体的な枠組みです。

 そこで、石破総理にお伺いいたします。

 教師は、余りの過重負担で倒れそうになっても、子供たちのため、学校のためと頑張ってしまいます。制度的には、都道府県の人事委員会が企業における労働基準監督署のような役割を果たすことになっておりますが、現実には十分機能しているとは言えません。そこで、地元の社会保険労務士会などと連携して、教師が自ら勤務状態について相談できる窓口を設けるといった取組をモデル的に実施してはいかがでしょうか。学校や教育委員会のみの閉じた仕組みではなく、社会保険労務士や法律家など外部の専門家の目を活用することが適切な人事管理を行う上で効果的だと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。

 公明党文部科学部会は、昨年の七月八日、石破総理の御地元の鳥取県の中高一貫校、青翔開智中学校、高等学校を視察いたしました。

 今年開校十周年を迎えた同校は、自ら課題を見出し、主体的、協働的に解決策を探る探求学習で注目されています。生徒は卒業までに地域課題などについて研究し、論文を作成します。何を学びたいかを大切に、探求型学習で鍛えた好奇心と情熱を自分の進路実現へと結びつけ、自ら進路選択できる生徒を育てていました。

 創造力をスパークさせ、鳥取そして世界の課題解決をチームで実行する力。こうした力を身につけるのが青翔開智の「探究」の授業です。仲間と協力したり、自分でじっくり集中したり、とにかく楽しく夢中になれる時間。答えが一つとは限らない課題を見出し、自分で正解を導いていく新しい学びが始まっている様子を目の当たりにして、わくわくいたしました。

 公明党は、かねてから、子供たちが集団の学びと実体験等の個別学習を行き来する中で、一人一人に光が当たり、子供が生きる喜びに輝いている輝き教育を提唱してまいりました。そのためには、我々が提案した学校業務の三分類を徹底し、教師が教師でなければできない業務に集中できるようにして、教材研究や研修等に取り組む余白を確保することが不可欠です。

 また、昨年末から具体的な審議がスタートした学習指導要領の次期改訂においては、この輝き教育が実現できるように、学習指導要領の構造を、各単元における本質的な問いや重要な概念、知識を軸にしたシンプルなものに転換する必要があります。

 青翔開智の理事長や校長とお話をしていて印象的だったのは、我が校は、我が校で何をやりたいかという意思と専門性が明確な教師を採用するとおっしゃっていたことです。全くそのとおりで、輝き教育の実現のためには、これまでの教員養成課程のように広く薄く知識があることよりも、自分の専門性を生かして子供たちとともにこんな挑戦をしてみたいという教師こそ必要です。視察で感じたのは、教師が生き生きと輝いていることでした。

 そこで、石破総理にお聞きいたします。

 学校の働き方改革の目的は、子供たちの学びの質の充実です。そのためには、一人一人に光が当たる学校への転換のために、多様な専門性を持った方が教壇に立つ必要があります。従来の教員養成にとどまらず、デジタルやサイエンス、アート、スポーツ、発達支援といった多様な専門性を持った方が、改めて教育学部に入り直すことなく普通免許を取得し、教壇に立てるようにするための教員免許法の改正が不可欠です。お答えを求めます。

 公明党は、これからも教育の党として、子供たち一人一人が輝ける学びの転換に全力で取り組むことをお誓い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

    〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

内閣総理大臣(石破茂君) 浮島智子議員の御質問にお答えをいたします。

 学校の働き方改革と教師の処遇改善についてのお尋ねを頂戴をいたしました。

 教師の負担軽減を図る観点から、業務の仕分を行った学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直しや、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化を進め、教師の時間外在校等時間を削減をいたします。

 御党の御提言も踏まえ、給特法等改正案におきましては、教職調整額の率の引上げに加えまして、新たな職である主務教諭の創設や、学級担任への手当の加算を行うための措置を盛り込んだところであり、まずは、これらの措置を着実に実施をいたしてまいります。その上で、昨年末の大臣合意にありますように、将来の給特法の在り方について幅広い観点から諸課題の整理を行うとともに、財源確保と併せて、令和八年度からの中学校三十五人学級への定数改善を行うことといたしており、必要な取組を進めてまいります。

 外部専門家を活用した教師の人事管理についてのお尋ねを頂戴をいたしております。

 教師の人事管理につきましては、一義的には教育委員会が担うものであり、政府といたしましても、これまで、勤務状態等に関する相談窓口を設置し、適切な対応を行うよう促してきたところでございます。その際、御指摘の外部専門家を活用することは、相談機能の強化を図る上で有意義な側面もあると考えられますことから、御党の御意見も拝聴しながら検討し、必要な取組を進めてまいります。

 多様な専門性を持つ方の教員への登用についてお尋ねをいただきました。

 青翔開智高校も御紹介をいただき、恐縮至極に存じます。

 子供たちの主体的な学びの実現に向け、実社会と結びついた学習や専門的、探求的な学習を実施していく上で、多様な専門性を有する人材が教職員に加わっていただくことは意義が極めて大きいと考えておるところでございます。

 現在、中央教育審議会におきまして、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成の観点から、教員免許制度等の在り方について検討が行われておるところであり、政府として、その結果も踏まえ、関係法令の見直しを含めた取組を進めてまいることといたしております。

 以上でございます。(拍手)

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副議長(玄葉光一郎君) 大石あきこ君。

    〔大石あきこ君登壇〕

大石あきこ君 れいわ新選組、大石あきこです。(拍手)

 給特法等の一部を改正する法律案について。

 この改正案は、一見、教員の賃上げを政府が頑張ったと誤解されかねない法案ですが、違法な残業状態に目を伏せる、だまし絵と言えるものです。

 現在、公立学校の教員には残業代が支払われていませんが、給与月額の四%相当の教職調整額が支払われている。それを給特法改正により、教職調整額が四%から一〇%まで、毎年一%ずつ段階的に引き上げられる。こう聞くと、一%でも、上がらないよりましだと思うかもしれませんが、それは間違いです。

 労働基準法は、公立学校の教員にも適用されます。法文上、給特法によって労基法が一部適用除外されますが、適用除外される規定は、労基法上の時間外労働の規定三十七条、超勤手当支給を定める規定のみです。つまりは、公立学校の教員にも労基法三十二条は適用され、つまり、一日八時間以内労働制は適用されます。

 給特法は、公立学校の教員に対し一律給料月額四%の教職調整額を認めつつ、超勤手当を不支給としています。このような給特法が正当化されているのは、あくまで超勤四項目に限って時間外勤務を命じることを認め、それ以外の時間外勤務を禁止するという体裁を取っているからです。

 超勤四項目とは、一つ、校外学習その他生徒の実習に関する業務。二つ、修学旅行その他学校の行事に関する業務。三つ、職員会議に関する業務。四つ、非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務。

 しかし、実態はほど遠く、時間外勤務のうち、この超勤四項目はたった一割程度、本来は労基法上認められていないはずの時間外勤務が残りの九割を占めています。例えば、部活動の指導や授業の準備、保護者対応等が超勤四項目以外です。この現状をそのまま受け入れて、公立学校の教員は残業代は支払われないものだとか、定額働かせ放題だとか言っていていいんでしょうか。

 この現状がまかり通っているのは、文部科学省が無理筋な解釈と運用によってひねり出した在校等時間という概念です。この概念は違法概念というべきもので、公立学校の教員に対する労基法の適用がこれによって不当にゆがめられています。労基法の管轄省庁でもない文科省が、法律の適用を勝手にゆがめてはいけません。文科省は、まず、このゆがみを正すことをやるべきです。

 二〇二二年度の教員勤務実態調査によると、文科省が推定した教諭の月当たりの時間外在校等時間は、小学校は約四十一時間、中学校は約五十八時間でした。

 あべ文科大臣に伺います。

 時間外在校等時間のうち、超勤四項目に該当する業務以外で行っている業務は、一体どういった法的性格の行為でしょうか。労基法が規制する労働時間に該当するのではないでしょうか。また、それについて超勤手当を支払うべきではないでしょうか。

 この問いに対して省庁から聞く答えは、このようなものなんですよ。教員の自発的行為だから公費支給はなじまない。しかし、例えば部活動、これは自発的行為ではありません。子供たちが学校にいる間は、教員には安全配慮義務が発生しておりますので、部活に付き添わざるを得ません。自発的行為ではありません。

 そこで、福岡厚生労働大臣に伺います。

 超勤四項目以外の時間外在校等時間としては、先ほど言ったように、部活動指導、授業準備等がありますが、これらは厚労省の策定したガイドライン、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインの示した基準によると、労働時間と認定できる場合がありますか。あるんじゃないですか、当然。厚労省ガイドラインに従えば、部活動の指導時間は労働時間に当たります。

 ガイドラインによると、こう書いてあります。労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間です。さらに、ガイドラインにはこうあります。客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるとされています。

 このように、部活動時間は、労基法三十二条によって、一日八時間を超えた時点で、その時間外労働に対する対価は現行の給特法の下でも支払わなければなりません。二度言います。現行の給特法の下でも支払わなければなりません。そうしなければ、違法な労働となります。それを、厚労省のガイドラインをねじ曲げ、在校等時間という違法概念で、労働時間でも非労働時間でもないグレーの時間という、労基法違反をこれ以上続けてはいけないんです。労基法では、労働時間か非労働時間、二つの世界しかないんですよ。そのような三つ目のグレーの時間という概念はないんです。これこそ、今回の給特法改正で真っ先に行うことではないですか。

 石破総理、今回の給特法等改正案ではこの違法状態が解消しません。現行の給特法においても、八時間を超える労働時間に対価を支払うべきではないですか。現行の給特法においても、対価を支払うべきではないですか。又は、それがどうしても嫌というならば、さっさと給特法三条二項の削除をする。こうして、しかるべき教育環境の整備のために、総理が、不払い残業、違法な不払い残業の解消を決断しませんか。

 終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

内閣総理大臣(石破茂君) 大石あきこ議員の御質問にお答えいたします。

 給特法の在り方についてのお尋ねをいただきました。

 第一に、教師の働き方改革を確実に進めることが必要であります。業務の仕分を行った学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直し、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化を進めるとともに、学校の指導、運営体制の充実により、教師の時間外在校等時間を削減をいたしてまいります。

 給特法につきましては、様々な御議論があることを承知いたしておりますが、まずは、時間外在校等時間が月二十時間程度に達するまで、幅広い観点から諸課題の整理を行うことといたしておるところでございます。

 残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。(拍手)

    〔国務大臣あべ俊子君登壇〕

国務大臣(あべ俊子君) 大石議員にお答えいたします。

 超勤四項目以外の業務についてお尋ねがありました。

 公立の義務教育諸学校等の教育職員に関する給与その他の勤務条件についての特別法である給特法の仕組みでは、時間外勤務命令によらず所定の勤務時間外に教師が業務を行う時間は、労働基準法上の労働時間とは言えません。

 また、給特法では、教師の職務等の特殊性を踏まえ、勤務時間の内外を問わず包括的に評価するものとして教職調整額を支給することとしており、こうした考え方は現在も合理性を有するものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣福岡資麿君登壇〕

国務大臣(福岡資麿君) 大石あきこ議員の御質問にお答えいたします。

 超勤四項目以外の時間外在校等時間が労働時間に該当するかについてお尋ねがありました。

 労働基準法における労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の指揮により労働者が業務に従事する時間は労働時間に該当します。

 お尋ねの超勤四項目以外の時間外在校等時間が労働時間に該当するか否かにつきましては、個別具体的に判断されるものですが、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まることとなります。(拍手)

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副議長(玄葉光一郎君) 田村貴昭君。

    〔田村貴昭君登壇〕

田村貴昭君 私は、日本共産党を代表して、公立教員給与特別措置法改定案について質問します。(拍手)

 今、教員の長時間労働は異常な状態にあります。政府の二〇二二年の調査によれば、小中学校の教員は平均で連日十一時間半働き、休憩は僅か数分で、土日の出勤もあります。教員は、授業準備や子供と向き合う時間がないと訴え、子供や親は、先生は忙し過ぎて声をかけにくいと困っています。

 長時間労働は教員の心身をむしばんでいます。精神性疾患による病休者は増加の一途をたどり、二〇二三年に七千人を超え、痛ましい過労死まで起きています。まさに、このままでは学校がもたないという切迫した危機的状況にあります。

 とりわけ深刻なのは、教員不足の広がりです。全日本教職員組合が今年一月に発表した実態調査結果によれば、三十四都道府県十一政令市で四千七百三十九人も先生が足りない、いわば教育に穴が空いている実態が明らかになりました。四月から担任不在で交代で教職員が対応しているため子供が落ち着かない、美術の担任が十月から産休に入るが代替が見つからない、当面、二学期は家庭科の授業はやらず技術の教科を行っている、教頭や校長まで授業を持っているなど、深刻な実態が各地から報告されています。

 さらに、公立学校教員採用試験の採用倍率は、小中高共に過去最低です。私の地元の福岡では、小学校で一・三倍、中学校で二・〇倍という状況です。高知県では、小学校教員二百八十人の合格者のうち、二百四人が採用辞退しています。先生のなり手不足に歯止めがかからない深刻な状態が続いています。

 総理、学校現場が危機的な状況にあるとの認識はありますか。

 学校現場の危機的な状況の背景にある教員の長時間労働の是正は待ったなしです。そのために、国、文部科学省がやることは、教職員の定数を抜本的に増やすこと、年間授業時数そのものを減らすなど、業務量を削減することではありませんか。

 ところが、本法案には、教育委員会に業務量管理・健康確保措置実施計画の策定を義務づけるのみです。総理、文部科学省が進める学校の業務見直しを法定化し、教育委員会に時間短縮の目に見える成果を求めれば、これまで以上に、管理職による退勤の強要や時短ハラスメント、教職員の持ち帰り業務の増加を招くことにはなりませんか。

 授業の量に比べて教員が少な過ぎる、これが現場の実態です。小学校では、一日五こま、六こまが当たり前です。一日に六こまの授業を行い、休憩時間を法律どおりにやれば、授業準備などに充てられる時間は定時の退勤までに僅か二十五分しかありません。中学校や高校でも同じです。これでは長時間の残業は必至です。教員の授業負担を一日四こま以下に抑えるため、教員の基礎定数を増やすべきではありませんか。

 根本的な問題は、給特法が公立学校の教員に時間外勤務手当等を支給しないと定めていることであります。文部科学大臣、なぜ、教員の時間外勤務は自主的、自発的な勤務であり、時間外勤務ではないと言うのですか。なぜ時間外勤務を、生徒の実習に関する業務、学校行事に関する業務、職員会議に関する業務、非常災害等のやむを得ない場合の業務の四つに限定するのですか。

 そもそも、残業代制度は、長時間労働を抑え、人間らしく働くための世界のルールです。ところが、五十年以上前に給特法が当時の全野党の反対を押し切って強行され、公立学校教員は、全ての労働者に適用される労働基準法の残業代制度から外されました。この下で、教員たちは何時間働いているかも測られず、行政はコスト意識ゼロで教員の仕事を次々に増やし、長時間勤務を蔓延させてきたのではありませんか。

 労働基準法の一日八時間労働の趣旨から完全に逸脱しています。多くの教員たちが教員残業代ゼロ制度の廃止を求めています。総理、時間外勤務手当を支給しない、いわば定額働かせ放題の仕組みは著しく不合理です。公立学校教員に残業代を支給することは当然です。なぜやらないんですか。

 本法案は、教員の処遇改善のために、教職調整額を四%から一〇%に引き上げるとしています。しかし、今年度から六年間かけて一%ずつ引き上げる一方で、他の教員手当が削減されます。差引き月千五百円の極めて僅かなものです。これでは長時間労働は何も解決しません。定額働かせ放題の仕組みはそのままです。給料が上がった分、働いてほしいと、長時間労働を助長し、固定化してしまうのではありませんか。

 また、新たな職として主務教諭を創設することも重大です。人事評価や管理を更に強化し、その結果を職種の昇進や昇給に反映させることで、学校現場の階層化が更に進みます。これにより、教員の対等な立場での共同を困難にするのではありませんか。校長など管理職の意向に従うことが求められ、長時間労働が横行する要因になることは明白です。

 今日の学校の危機的な状況を打開するためには、教員にも残業代制度を導入し、授業の量に見合って教員を増やすことが不可欠です。教員の長時間労働を解消し、子供たちとしっかり向き合える諸条件を整備すること、それが政治の責任であることを指摘し、質問を終わります。(拍手)

    〔内閣総理大臣石破茂君登壇〕

内閣総理大臣(石破茂君) 田村貴昭議員の御質問にお答えを申し上げます。

 教師不足についてのお尋ねをいただきました。

 現在の教師不足は、大量の定年退職、大量採用を背景とした産休、育休取得者の増加等により臨時講師の採用が増加する一方、正規採用数の大幅な増加等により、臨時講師のなり手であった既卒者が減少していることが要因である、このように認識をいたしております。

 教師が負担を感じる業務の見直しなど、徹底した働き方改革を確実に進めますとともに、任命権者である各教育委員会において、状況をきめ細かく把握し、現職以外の教員免許保有者向けの研修の実施による年齢構成の多様ななり手の確保や、産休、育休取得者の代替教職員の国庫負担の算定対象として正規職員も七年度から新たに加えることとした制度の活用など、多角的な取組を講じていくことが重要だ、このように考えております。

 教師の業務削減についてのお尋ねです。

 学校における働き方改革において大事なことは、これまで学校、教師が担ってきた業務の仕分などを行い、業務量を削減していくことにあると考えております。

 その際、校長や教育委員会は、教師の在校等時間を目標とする時間の範囲内にすることのみを目的とするのではなく、把握した状況を踏まえて業務の改善のための措置を講ずることが重要であり、政府として、こうした趣旨を徹底いたしてまいります。

 時間外勤務手当の支給についてのお尋ねです。

 第一に、教師の働き方改革を確実に進めることが必要であります。業務の仕分を行った学校、教師が担う業務に係る三分類に基づく業務の更なる厳選、見直し、標準を大きく上回る授業時数の見直し、校務DXの加速化を進めますとともに、学校の指導、運営体制の充実により、教師の時間外在校等時間を削減をいたしてまいります。

 時間外勤務手当を支給しないこととしておる給特法については、様々な議論があることは承知をいたしておりますが、まずは、時間外在校等時間が月二十時間程度に達するまでに幅広い観点から諸課題の整理を行うことといたしております。

 長時間労働の固定化についてのお尋ねです。

 今回の改正案における教職調整額の引上げについては、働き方改革の取組などと一体的に進めていく必要がありますため、令和十二年度までに段階的に一〇%とすることといたしております。

 このほか、計画の策定、公表、計画に基づく実施など、教育委員会や学校が教師の業務量を管理する措置を講ずる旨の規定を盛り込むなど、給与面と併せ徹底した働き方改革を進め、教師の処遇改善を図ってまいります。

 残余の御質問につきましては、関係大臣から答弁を申し上げます。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣あべ俊子君登壇〕

国務大臣(あべ俊子君) 田村議員にお答えいたします。

 まず、教員定数の改善についてお尋ねがありました。

 学校における働き方改革や多様化、複雑化する教育課題への対応に向け、教職員定数を改善することは大変重要です。

 このため、令和三年に義務標準法を改正し、基礎定数の改善により、小学校における三十五人学級の計画的な整備を進めるとともに、近年は、教育の質の向上と教師の持ちこま数の軽減など政策目的を確実に達成するため、加配定数の改善を行っているところです。

 令和七年度予算において、基礎定数を含め、この二十年間で最大となる五千八百二十七人の定数改善に必要な経費を計上しており、引き続き、学校の指導、運営体制の充実強化に努めてまいります。

 次に、教師の時間外勤務の扱いについてお尋ねがありました。

 公立の義務教育諸学校等の教育職員に関する給与その他の勤務条件についての特別法である給特法の仕組みでは、時間外勤務命令によらず所定の勤務時間外に教師が業務を行う時間は、労働基準法上の労働時間とは言えません。

 また、教師に対して時間外勤務を命ずる場合は四つの業務に限定されていますが、これは、給特法制定当時に、教師の超過勤務は原則命じないこととし、命じ得る職務についてはやむを得ないものに限ることが必要とされたことから、四つの項目に限定されたものです。

 次に、主務教諭の創設についてお尋ねがありました。

 今回提出した法案において、教育活動に関し、教職員間の総合的な調整を行う主務教諭の職を新設することとしておりますが、これは、学校が組織としての力を発揮できるようにするためのものであり、学校が抱える課題等に組織的、機動的に対応し、教職員間の連携、協働が進むことにもつながるものと認識しております。

 また、学校のマネジメント体制が充実することで、学校全体の業務をより効率的に行うことが可能になるものと考えております。(拍手)

副議長(玄葉光一郎君) これにて質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

副議長(玄葉光一郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十四分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       内閣総理大臣  石破  茂君

       外務大臣    岩屋  毅君

       財務大臣    加藤 勝信君

       文部科学大臣  あべ 俊子君

       厚生労働大臣  福岡 資麿君

       経済産業大臣  武藤 容治君

       環境大臣    浅尾慶一郎君

 出席内閣官房副長官及び副大臣

       内閣官房副長官 橘 慶一郎君

       文部科学副大臣 武部  新君


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