衆議院

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第34号 令和7年6月12日(木曜日)

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令和七年六月十二日(木曜日)

    ―――――――――――――

 議事日程 第三十二号

  令和七年六月十二日

    午後一時開議

 第一 独立行政法人男女共同参画機構法案(内閣提出)

 第二 独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

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本日の会議に付した案件

 日程第一 独立行政法人男女共同参画機構法案(内閣提出)

 日程第二 独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)


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    午後一時二分開議

議長(額賀福志郎君) これより会議を開きます。

     ――――◇―――――

 日程第一 独立行政法人男女共同参画機構法案(内閣提出)

 日程第二 独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出)

議長(額賀福志郎君) 日程第一、独立行政法人男女共同参画機構法案、日程第二、独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。

 委員長の報告を求めます。内閣委員長大岡敏孝君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人男女共同参画機構法案及び同報告書

 独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び同報告書

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

    〔大岡敏孝君登壇〕

大岡敏孝君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過及び結果を御報告します。

 まず、独立行政法人男女共同参画機構法案は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に係る関係者相互間の連携及び協働の促進等を行うことにより、当該施策の推進を図り、もって男女共同参画社会の形成の促進に寄与することを目的とする独立行政法人男女共同参画機構を設立するものです。

 次に、独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴い、男女共同参画社会基本法において男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を推進するための機関としての独立行政法人男女共同参画機構の役割を定めるほか、関係法律の規定の整備等を行うものです。

 両法律案は、去る六月五日本委員会に付託され、翌六日三原国務大臣から趣旨の説明を聴取しました。次いで、十一日に質疑を行い、質疑終局後、討論を行い、採決しましたところ、両案はいずれも賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。

 なお、両法律案に対し附帯決議が付されました。

 以上、御報告します。(拍手)

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。市村浩一郎君。

    〔市村浩一郎君登壇〕

市村浩一郎君 日本維新の会の市村浩一郎です。

 会派を代表し、独立行政法人男女共同参画機構法及び独立行政法人男女共同参画機構法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に反対の立場から討論いたします。(拍手)

 まず申し上げますが、日本維新の会は、男女共同参画社会の形成は非常に重要であると考えております。男女共同参画社会の実現は、我が国の潜在能力を引き出し、地方を再生させ、ひいては持続的な経済成長を実現するための最重要戦略であり、男女共同参画社会の実現に向け、単なる理念としてではなく、真に実効性のある政策を実現していくべきであると考えています。

 その上でなお、両法案に反対する三つの理由を述べます。

 まず第一に、独立行政法人国立女性教育会館、略称はNWECといいますが、NWECの成果や反省点について、政府は十分に評価を行えていません。その上、新しく設置する法人についても、明確な目標設定はなされていないという点です。

 政府として、NWECがそのコストに見合う十分な成果を上げてきたか、また、新たな法人には具体的にどのような成果を求め、それをどのように評価するのか、客観的に評価できるような数値目標を設定しているのか。こうしたことについて、我々は委員会等で質疑をしてきましたが、納得できるような答弁はいただけませんでした。

 日本維新の会は、従前より、無駄な独立行政法人は廃止すべきと考えています。投入するコストに見合う成果を上げられない、求められる役割を果たせないような独法であれば、存続させる意味はありません。そうした点について十分な説明ができないようであれば、その在り方を見直し、廃止や民営化も視野に検討すべきです。

 NWEC及び新法人については、投入するコストに対する目標設定もできておらず、その成果についても評価する枠組みがありません。こうした法人に公金を投入し続けるのは、国民負担をいたずらに増大させるものだと言わざるを得ません。

 第二に、NWECを廃止し、新機構を設立する合理的な根拠は乏しいという点です。特に、新機構が行う業務は、独立行政法人でなければ行えないというものではありません。

 条文上は、NWECは女性教育の振興を図るものであり、新たな機構は男女共同参画施策の推進を図るものという違いがあるとされています。しかしながら、現在のNWECは、女性教育にとどまらず、男性や若年層も対象に幅広い事業を展開しています。また、国、地方公共団体、関係者との連携強化を図りつつ、国内外のネットワーク形成を推進し、男女共同参画社会の実現を目指しています。

 そうであれば、わざわざ新しい独法として設置する必要性はどこにあるのでしょうか。現行の国立女性教育会館法を改正するのではなく、新法人を設立しようとしている理由は、NWECを廃止し、新法人への資産の継承の中で、NWECの負債を国が負担することにほかなりません。事業の失敗によって発生した負債を国につけ替え、税金で返済することは、国民負担を増大することにつながるわけでありまして、この物価高の中、そのような事態を決して容認することはできません。

 また、新たな機構が果たす役割は独法という形でなければ果たせないものなのか、十分な検討がなされたとは思えません。例えば、内閣府男女共同参画室の中の部局として、全国の男女共同参画センターへの司令塔機能を果たすことも十分に可能なのではないのでしょうか。

 第三に、宿泊研修機能を持たなくなるのであれば、法人を交通の便の悪い埼玉県嵐山町に存置する必要はないということであります。

 NWECは、都会の喧騒から離れて落ち着いて学習できるとして嵐山町に開設されました。しかし、宿泊施設、レストランの利用提供は、この四月で既に終了しています。また、整備方針の中では、宿泊施設を撤去すべく、新法人設立後速やかに関連工事に着手することを目指すとされています。宿もない、食事もないという状況で、なお新たな独法を嵐山町に存置する必要性は全くございません。

 収蔵資料の利用者にとっても、新機構から全国に派遣される職員にとっても、交通アクセスが決してよいとは言えないこの地が適当とは思えません。せめて飛行機や新幹線によるアクセスが容易な場所、すなわち、全国から来やすく、全国に行きやすいような場所に設置すべきではないでしょうか。

 なお、我々は両法律案に反対の立場ですが、現在のNWECをそのまま存続させるべきとは全く考えていません。例えば、資料の大学等研究機関への移管、施設や土地の処分など、数年間かけてNWECの廃止に向けた実務を行い、内閣府男女共同参画室の中の部局として、全国の男女共同参画センターへの司令塔機能を果たしていくのが望ましいのではないかと考えています。

 以上三点が反対の理由となりますが、我々は、男女共同参画社会の形成は非常に重要であると考えております。多様な人材が活躍するためには女性の視点が重要で、特に、意思決定の場面で女性の参画は必要不可欠です。

 しかしながら、ジェンダー平等という言葉は飛び交いますが、現にこの政治の分野で女性の割合がなかなか変わらないことが、まだまだ日本社会に問題が残っていることを物語っています。女性の社会活躍のための課題を取り払い、性別にかかわらず、誰もが自由に能力を発揮し、選択できる機会を保障することにしっかり取り組むべきであり、政治は最大限に後押しする必要がありますし、そのために真に必要な法人を本気でつくるんだという覚悟が分かれば、我々は全力で協力する所存でございます。

 今回の法案の提出に当たって、当然、政府で長い時間をかけて議論をしてきたことでしょう。しかしながら、今回のように、知恵を絞らず、利権を守るとも捉えかねない拙速な組織改編は、協力に値するものではありません。結果として、内容が、過去の総括も不十分、将来の目標も不十分なものとなっている以上、政府で行ってきた準備は不十分なものと言わざるを得ません。

 せっかく新たな法人として設置するのであれば、効率的に機能し、国民負担をいたずらに増大させないものでなければなりません。そのためには、まずは目指すべき男女共同参画社会のビジョンを確立し、その実現のために、新たな組織に何を求めるのか、どういった目標を立て、それをどのように評価するのか。また、コストに見合う成果を上げられない、求められる役割を果たせないような法人となった場合は、他の機関との統合、業務の民間委託や組織の民営化も含めた検討をするのか。そうした道筋まで含めた組織の在り方について議論をし、ビジョンを共有した上で、抜本的な見直しをすべきと考えます。

 そして、そのような見直しを一つ一つ積み重ね、一円でも多く無駄に使われる国費を減らし、それらを次世代に投資することが、国民の代表たる我々国会議員が実現すべき責務であります。

 進めるべきことは進める、見直すべきことはとことん見直す。日本維新の会は徹底的な行財政改革を有言実行する政党であることをいま一度皆様にお伝えし、反対討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 上村英明君。

    〔上村英明君登壇〕

上村英明君 れいわ新選組の上村英明です。

 私は、男女共同参画機構法案及び同整備法案につき、反対の立場から討論いたします。(拍手)

 昨今、この衆議院で通過する法案には共通の特徴があります。対象となる組織の機能強化を図るという表看板と裏腹に、その組織の弱体化が図られ、それが日本の民主主義や人権の後退に拍車をかけています。本二法案もその特徴を共有する法案で、女性活躍や男女共同参画政策の充実強化を図るものとは残念ながら思えません。

 本日、二〇二五年度のGGI、ジェンダーギャップ指数、これは男女の平等、参加度を測る指標ですけれども、が発表されました。日本は百四十八か国中百十八位でしたが、一点を満点とする四つの指標のうち、政治参画、いわゆる政治分野における女性の参加度を測る指数は、去年の〇・一一八から後退して〇・〇八五でした。更に悪化しています。こうした致命的な数字が国際評価を下げ、また、国内でも様々な分野に連動する形で男女共同参画推進の障害に重なっています。

 その意味では、女性政策は極めて重要であります。

 今回、国立女性教育会館に代わって新設される男女共同参画機構を拠点に、全国の男女共同参画センターをネットワーク化し、特にオンラインやテレワークを使ってその施策を中央から地方に拡散する政策の構造は、コロナ時代をほうふつとさせる時代錯誤的なものであります。GGI指標に象徴されるように、女性の課題は依然としてナショナル、つまり国の規模で議論しなければいけないものが多く、こうした課題に向き合うには、ソフトばかりではなく、様々な関係者が対面で活発に議論を交わす宿泊研修施設、いわゆるハードも不可欠です。

 しかし、本法案には、財政事情を理由に、大規模な宿泊研修施設の一方的な撤去が盛り込まれました。これは、国が様々な公共施設を解体してきた構造と同じです。

 他方、財政支援の面でも同じことが言えます。NWECに対する交付金は、二〇〇一年以来削減されてきました。二〇二四年度の交付金は、二〇〇一年の交付金の六六%しかありません。こうした財政的な支出が不十分なことが、今回の財政問題を議論する前提となってきました。

 法案の目的は男女共同参画施策の機能強化を図ることですが、この法案は、むしろ、女性に対する言論や表現の場を奪う人権侵害を起こすことが懸念されます。

議長(額賀福志郎君) 申合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単にお願いします。

上村英明君(続) よって、本法案には賛成できないことを表明し、れいわ新選組を代表して、反対討論といたします。(拍手)

議長(額賀福志郎君) 塩川鉄也君。

    〔塩川鉄也君登壇〕

塩川鉄也君 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人男女共同参画機構二法案に反対の討論を行います。(拍手)

 本法案は、政府が二〇二四年七月、国立女性教育会館の研修棟、宿泊棟、体育施設の撤去を目指すと表明したことを具体化するものです。現行の国立女性教育会館法を廃止し、新たに設置する男女共同参画機構には研修施設の設置を義務づけないこととしています。法案は、新たな機構を男女共同参画社会の形成を促進する中核的な機関、ナショナルセンターと規定し、自治体が設置する男女共同参画センターを初めて法律上に位置づけるなどの積極面が盛り込まれていますが、研修施設をなくすことは容認できません。

 国立女性教育会館は、一九七七年、国立としては唯一の女性教育を担う施設として埼玉県嵐山町に設置されました。その契機となったのは、国連が女性の地位向上を目指して提唱した国際婦人年である七五年に第一回世界女性会議が開催され、各国が取るべきガイドラインとなる世界行動計画が採択されたことです。女性の権利拡充を求める歴史的な市民運動の盛り上がりに押され、長年にわたる婦人団体や婦人教育関係者の要望を受けて設置されたのが国立女性教育会館です。

 この会館の研修棟、宿泊棟は、会館が主催する対面での研修の会場として、また市民運動の活動の場として、全国からジェンダー平等に携わる者が集い、共に学び合う貴重な交流の場となってきました。二〇〇一年に独立行政法人化した後、何度も廃止や統廃合の議論が行われてきましたが、そのたびに運動によって守ってきたものです。

 研修棟を設置する法的義務を廃止することは、市民運動と行政活動の両面からジェンダー平等を進めるという機構の機能を後退させるものです。市民団体やジェンダー問題に取り組む有識者から出されている強い批判の声を無視して推し進めるなど許されません。

 政府は、施設の維持管理に予算がかかることを廃止の理由に挙げていますが、国からの運営費交付金は、二〇〇一年度の七億二千四百万円から二四年度には四億七千九百万円まで、三割も削減されています。会館の役割を軽視し、予算を削減してきた政府の姿勢こそ改めるべきであります。

 本日、世界経済フォーラムが発表した二〇二五年版ジェンダーギャップ報告によれば、日本の男女平等度は、百四十八か国中百十八位という極めて低い水準です。政府の姿勢の反映ではありませんか。

 憲法と女性差別撤廃条約に基づいてジェンダー平等を進める国立女性教育会館は、拡充こそ必要であり、ジェンダー平等を進めるナショナルセンターとしての機能を発揮できるよう、十分な財政措置を行うことこそ国の責任だということを指摘をし、反対討論を終わります。(拍手)

議長(額賀福志郎君) これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

議長(額賀福志郎君) 両案を一括して採決いたします。

 両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

議長(額賀福志郎君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。

     ――――◇―――――

議長(額賀福志郎君) 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時二十三分散会

     ――――◇―――――

 出席国務大臣

       国務大臣 三原じゅん子君


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