第5号 令和8年3月5日(木曜日)
令和八年三月五日(木曜日)―――――――――――――
議事日程 第五号
令和八年三月五日
午後一時開議
一 財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)、所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
二 国務大臣の演説(令和八年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
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○本日の会議に付した案件
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)、所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
林総務大臣の令和八年度地方財政計画についての演説並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明並びに質疑
午後一時二分開議
○議長(森英介君) これより会議を開きます。
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財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)、所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○議長(森英介君) この際、内閣提出、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。財務大臣片山さつき君。
〔国務大臣片山さつき君登壇〕
○国務大臣(片山さつき君) ただいま議題となりました財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
まず、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
政府は、責任ある積極財政の考え方の下、危機管理投資、成長投資といった投資すべき分野に大胆に投資するなど強い経済の実現に取り組むとともに、予算全体のめり張りづけ等を通じて、令和八年度予算では、国の一般会計において、新規国債発行額を二年連続で三十兆円未満に抑え、国債依存度も低下させたほか、二十八年ぶりにプライマリーバランス黒字化を達成するなど、財政の持続可能性にも十分配慮してきました。しかしながら、日本の財政は、依然として歳出が税収を大きく上回る状況が続いており、今後も、特例公債の発行が必要な状況が続くことが見込まれます。
この法律案は、こうした国の財政状況に鑑み、令和八年度から令和十二年度までの間の財政運営に必要な財源の確保を図るため、これらの年度における公債発行の特例に関する措置を定めるものであります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
令和八年度から令和十二年度までの間の各年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、当該各年度の予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行することができることとするとともに、経済・財政一体改革を推進する中で、行財政改革を徹底するものとする等の規定を整備することとしております。
政府としては、引き続き、責任ある積極財政の考え方に基づき経済財政運営を行い、経済・財政新生計画の期間を通じて経済・財政一体改革の取組を進め、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保してまいります。
次に、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
この法律案は、第二期復興・創生期間以降における東日本大震災からの復興の基本方針を踏まえ、必要な法律上の手当てを講ずるものであります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
東日本大震災からの復興を図ることを目的として実施する施策に必要な財源の確保に関し、財源確保の対象となる復興施策の期間及び復興債の発行期間を令和十二年度まで延長する等の措置を講ずることとしております。
次に、所得税法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
本法律案は、物価高への対応、強い経済の実現等の観点から、国税に関し、所要の改正を一体として行うものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、物価高への対応の観点から、所得税の基礎控除の額等を引き上げるとともに、就業調整への対応及び中低所得者への配慮の観点から、所得税の基礎控除の特例の見直し等を行うこととしております。
第二に、強い経済の実現に向けた対応として、大胆な設備投資の促進に向けた税制措置の創設を行うとともに、賃上げ促進税制の見直し、研究開発税制の強化、住宅ローン控除制度の拡充等の租税特別措置の見直しを行うこととしております。
第三に、税負担の公平性を確保する観点から、極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直しを行うこととしております。
第四に、防衛特別所得税の創設を行うこととしております。
このほか、土地の売買等に係る登録免許税の特例等について、その適用期限の延長や整理合理化等を行うこととしております。
次に、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
本法律案は、最近における内外の経済情勢等に対応するため、関税率等について所要の改正を行うものであります。
以下、その大要を申し上げます。
第一に、令和八年三月末に適用期限が到来する暫定税率等について、その適用期限の延長等を行うこととしております。
第二に、保税蔵置場の許可を受けた者等に対し、法令を遵守するために必要な業務の手順及び体制に係る規則の策定を義務づけるとともに、当該者等に対する業務改善命令等に係る規定を整備することとしております。
第三に、輸入取引が小売取引の段階による貨物等であって、輸入者の個人的な使用に供されるものについて、その課税価格を当該貨物の輸入が通常の卸取引の段階でされたとした場合の価格とする特例を廃止することとしております。
第四に、不当廉売関税の課税の回避のために同関税の対象貨物の品目や供給国を変える迂回行為が行われる輸入貨物に対し、同等の割増し関税の課税を可能とするため所要の規定を整備することとしております。
その他、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上、四法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
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財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)、所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○議長(森英介君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。高村正大君。
〔高村正大君登壇〕
○高村正大君 自由民主党の高村正大です。
自由民主党・無所属の会、日本維新の会を代表して、ただいま議題となりました四法案について質問をいたします。(拍手)
まず、特例公債法について伺います。
特例公債法は、我が国財政の規範の特例を定めるものであります。責任ある積極財政の動向に世界が注目する中、責任と積極の二つのせめぎ合いが、この改正法案において財政法の規範と特例の関係性としてどう投影されるのかという点は、責任ある積極財政の具体化の一例として、世界中に対して極めて強いメッセージとなるとともに、今後の日本財政の信認をつなぐ上での重要な試金石となります。
そこで、特例公債法の改正法案において責任の在り方がどのように表されているのか、財務大臣から御説明ください。
本改正法案は、現行法と同様、特例公債の発行について、今後五年間の授権を求めるものとなっています。具体的な予算の形がまだない来年以降の予算についても授権を求めるのであれば、財政運営における未来への不安は明確に打ち消さなければなりません。
本改正法案における授権期間の考え方とその間の政府の財政運営の方針について、財務大臣の考えをお聞かせください。
本改正法案においては、新たに第五条を設け、経済・財政一体改革の中で行財政改革を徹底することとしています。また、行財政改革の一環として、租税特別措置、補助金の適正化を行うこととされていますが、有権者の皆様の期待感も非常に高く、この取組を着実に進め、授権期間の間、毎年度実績を重ねていくことが責任の一つの形になるのではないでしょうか。
今回新たに設けた第五条における行財政改革に関して、特に租税特別措置、補助金の適正化について、特例公債発行の授権期間を通じて取組を進める決意について、財務大臣から御説明ください。
次に、復興財源確保法について伺います。
先日、総理から、福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なしとのお言葉がありました。東日本大震災から十五年となりますが、復興はいまだ道半ばです。今後、南海トラフ地震や首都直下型地震も発生する可能性がある中、東日本大震災からの復興を早期に実現することが次の災害への備えにもなります。
復興への歩みを止める一刻の猶予もない中、本改正法案を年度内に成立させ、確かな財源の裏づけの下、新年度から迅速かつ力強く復興施策を推進していく必要があると考えますが、財務大臣の考えをお聞かせください。
次に、所得税法等の一部を改正する法律案について伺います。
喫緊の課題である物価高対策や強い経済の実現に向けては、あらゆる政策を果断に動員していかなければならず、税制面でも思い切った具体策が必要であります。
物価高対策については、まずガソリン価格への対応があります。イラン情勢の先行きには注視する必要がありますが、既に高市内閣ではガソリン暫定税率の廃止を行い、成果を上げてまいりました。その上で、今般の改正では、国民の皆様の手取りに直結する所得税の基礎控除等について、しっかりとした対応が行われるものと承知しております。
物価上昇局面における基礎控除等の対応の狙いと概要について、財務大臣に伺います。
強い経済の実現のためには、企業が大胆に設備投資を行い、生産性を高め、それが賃上げにつながる好循環を生み出していくことが必要であります。近年、国内設備投資は上向いている傾向にありますが、更にこの流れを加速していかなければなりません。
こうした観点から、どのような措置が講じられているか、その内容と意義について、財務大臣の考えを伺います。
研究開発投資は、イノベーションの中核を成すものであり、特に戦略的に重要な分野に対して集中的かつ質の高い投資を促し、我が国の成長の基盤を確固たるものにしていかなければなりません。また、研究開発税制を含む租税特別措置は、企業などの行動変容のインセンティブとなるものである一方、責任ある積極財政の方針の下で、野方図なものであってはならず、真に効果の高いものとするためのたゆまぬ工夫が求められます。
今回の税制改正の中で、研究開発税制についてどのようなめり張りづけを行ったかについて、財務大臣から御説明ください。
次に、関税定率法等の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。
我が国は、自由経済を推進しつつ、ダンピングなどの不公正な貿易には割増し関税で対抗し、生産者の方々が世界で活躍できる環境を整えてきました。
近年、この割増し関税を回避する迂回が疑われる事例があると伺っておりますが、この迂回の問題にどのように取り組まれるのか、財務大臣のお考えをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございます。(拍手)
〔国務大臣片山さつき君登壇〕
○国務大臣(片山さつき君) 高村正大議員の御質問にお答えいたします。
特例公債法における責任の在り方についてお尋ねがありました。
今般の特例公債法改正法案においては、同法のこれまでの枠組みを引き継ぎ、令和八年度から令和十二年度までの五年間の発行を可能としているところですが、この授権期間中、政府は、経済・財政一体改革を推進し、中長期的に持続可能な財政構造を確立することを旨として、公債発行額の抑制に努めることとした上で、毎年度の特例公債の発行額については、各年度の予算をもって国会において議決いただくこととしています。
さらに、今般の改正に当たっては、市場の信認を確保するため、授権期間における改革の姿勢を明確に示す観点から、経済・財政一体改革を推進する中で行財政改革を徹底する旨の新たな条文を設けることとしております。
こうして財政規律への配慮などを通じて、高市内閣の責任ある積極財政を進めてまいります。
次に、特例公債の授権期間と財政運営の方針についてお尋ねがありました。
授権期間については、同法のこれまでの考え方を引き継ぎ、令和十二年度までの経済・財政新生計画の期間を通じて、経済・財政一体改革に取り組み、公債発行額の抑制に努めることを前提として、安定的な財政運営を確保する観点から、複数年度の発行根拠を設けるという考え方の下、令和八年度から令和十二年度までの五年間としております。
その間の財政運営については、責任ある積極財政の考え方の下、引き続きワイズスペンディングを徹底しながら、成長率を高めていくことと相まって、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げ、財政の持続可能性とマーケットからの信認を確保してまいります。
次に、租税特別措置、補助金の適正化の取組についてお尋ねがありました。
今般の特例公債法の改正に当たっては、行財政改革を徹底する旨を定めた第五条を新たに設け、その一環として、租税特別措置、補助金の適正化に取り組むこととしております。
本取組については、租税特別措置や補助金について総点検を行い、政策効果の低いものは廃止するとの考え方に基づき、既に開始しております。具体的には、昨年十二月に、官房長官や関係大臣、各府省庁の副大臣に参加をいただき、租税特別措置・補助金見直しに関する関係閣僚等及び副大臣会議を開催したほか、令和八年度予算、税制改正では直ちに見直し可能なものから早速見直しを行い、昨年末に見直し内容を公表するなど、担当大臣である私が中心となって取組を進めています。
また、本年一月初めから二月末にかけて、国民の皆様から見直しの提案を募集いたしました。精査前の単純集計ではありますが、計三万六千件以上の御提案がありました。少しお時間をいただいて、御提案を分析、整理の上、概要をまとめてお示ししたいと考えております。
次の令和九年度予算編成、税制改正プロセスでは、こうした御提案も見直しの検討に当たり参考とさせていただきつつ、各府省庁にも御尽力をいただきながら、要求、要望段階から一貫して取り組んでいくこととしております。さらに、令和十年度以降についても、特例公債発行の授権期間を通じて行財政改革を徹底していく観点から、それまでの成果も踏まえ、取組を継続していく考えです。
次に、所得税の基礎控除等についてお尋ねがありました。
基礎控除等の額が定額であることにより、物価が上昇すると控除の実質的な価値が減少し、結果として実質的な税負担が増額するという課題への対応として、令和八年度税制改正では、基礎控除及び給与所得控除の最低保障額について、今後、二年ごとに物価の上昇率に連動して見直すことを基本とするというルールを定めた上で、直近二年間の物価上昇率を踏まえ、四万円ずつ引き上げることとしております。
これにより、足下の物価上昇に応じて適切に負担軽減を図ることができると考えております。
さらに、昨年十二月の国民民主党と自由民主党との党首間合意を踏まえ、物価上昇を先取りした特例的な対応として、働き控えへの対応と中低所得者の手取りの増加を図る観点から、課税最低限を百七十八万円まで引き上げるほか、給与所得者の全納税者のうち約八割が対象になるよう、中間層まで基礎控除の特例の上乗せを行うこととしております。
次に、設備投資の促進についてお尋ねがありました。
令和八年度税制改正では、既存の税制では対象とならないような大規模かつ高付加価値の投資を後押しするため、大胆な設備投資促進税制を創設することとしております。
具体的には、一定の規模や利益率の要件を満たす投資について、即時償却又は高い水準の税額控除ができるようにするほか、さらに、事業環境の急激な変化による影響があった場合には、対応する計画について認定を受けた企業は、最大三年間の繰越税額控除ができるようになります。
こうした税制面の対応により、新たな付加価値の創出と生産性向上による果実が賃上げにつながるという好循環をより強固なものとしてまいります。
次に、研究開発税制についてお尋ねがありました。
令和八年度税制改正では、租税特別措置である研究開発税制について、的を絞り、めり張りづけとインセンティブ強化を図る形で見直しを行っております。
具体的には、AI、量子、バイオなど、国家戦略として重要な分野における企業の研究開発を促すため、新たに戦略技術領域型を創設し、より高い控除率等を新たに設定するほか、これまでの効果検証などを踏まえ、試験研究費を増加させるインセンティブを強化する観点から、一般型の控除率カーブの見直しを行うなど、制度を抜本的に強化することとしております。
こうした見直しを通じて、研究開発投資の規模拡大や質の向上を後押しし、強い経済の実現につなげてまいります。
最後に、輸入貨物のダンピングに対して課している不当廉売関税の迂回についてお尋ねがありました。
我が国が不当廉売関税を課している貨物について、対象国以外からの輸入の増加が見られるなど、供給国や品目を変更し、課税を免れる迂回行為が疑われる事例が近年出てきております。
こうした迂回の問題に対しては、今般の法改正において、適用中の不当廉売関税と同等の割増し関税の賦課を可能とする、迅速な救済及び抑止を図る制度を創設することとしております。
このような取組を通じて、不公正な貿易取引から、ルールに基づく自由貿易と我が国産業を守ってまいる所存です。(拍手)
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○議長(森英介君) 大森江里子君。
〔大森江里子君登壇〕
○大森江里子君 中道改革連合の大森江里子でございます。
本日議題となりました政府提出の財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律案、東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案、関税定率法等の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問をさせていただきます。(拍手)
私は、このほど、高市総理が平成元年に出版された「アズ・ア・タックスペイヤー」を読ませていただきました。その中で印象に残りましたのは、アメリカでは、住民が国会議員に質問や意見を述べたり手紙などを送る際に、必ず冒頭に、アズ・ア・タックスペイヤー、納税者としてとつけ加えたりすることを紹介しておられたことです。そして、その言葉によって、おのずと議員も襟を正して耳を傾けている、そのことがとても新鮮で感銘を受け、記憶に残っていると書いておられます。
日本国憲法第八十四条には、租税法律主義が明記されております。租税制度は政治そのものと言えます。
私は、これまで税理士として、納税者の申告納税のお手伝いをするだけでなく、日々の税務相談を通じて、納税者の皆様と苦楽を共にし、現場の声を間近で聞いてまいりました。納税者からお預かりした貴重な税金、いわば血税の使い道を決めることもまた政治の極めて重要な役割であり、だからこそ、今国会では真摯かつ丁寧な議論を推し進めていくことが必要不可欠です。
であるにもかかわらず、本日の本会議ではなぜ四本もの法案を束ねて審議入りする必要があるのでしょうか。いずれの法案も重要な法案であり、本来は一つ一つ丁寧に審議すべきではありませんか。
高市内閣の一員として、国民の税金をお預かりする側に立たれた片山財務大臣の、国会における税制の議論、そしてその使い方の予算の審議に対して、真摯かつ丁寧な議論を進めるとの御決意をまずお聞かせいただきたいと思います。
次に、各法案の具体的な論点について、片山財務大臣に質問いたします。
まず、所得税法等の一部を改正する法律案に関連して、所得税のいわゆる年収の壁の引上げについてお伺いいたします。
本法案では、中低所得者への配慮と物価高への対応の観点から、課税最低限を現在の百六十万円から特例的に百七十八万円まで引き上げるとされています。
現在の課税最低限が百三万円から百六十万円に引き上げられた経緯は、まず、一昨年末の与党税制調査会において、物価高に苦しむ国民生活への支援として、近年の物価動向を踏まえ、課税最低限を百三万円から百二十三万円に引き上げ、さらに、昨年二月、課税最低限は生活保護基準額を下回るべきではないとの考え方から、当時、公明党が制度設計を行い、令和七年の課税最低限を百六十万円へ引き上げ、それ以降は物価動向にスライドさせて引き上げることを決定いたしました。
本法案では、具体的に二年ごとに物価上昇率に応じて控除額を自動的に見直す物価スライドの仕組みが導入されており、この枠組みに基づけば、令和八年の課税最低限は百六十八万円となるものと承知しております。しかしながら、本法案では、特例として、先取りして百七十八万円まで引き上げるとされています。
財務大臣にお伺いいたします。
百七十八万円という水準の具体的な算定根拠は何でしょうか。生活保護基準額、物価動向、自公国の三党合意との関係を含め、制度設計上どのような考え方でこの水準を設定されたのか、明確にお示しください。
課税最低限は物価動向にスライドさせるとの恒久的な見直し枠組みを設けたにもかかわらず、なぜ今回あえて先取りして引き上げる必要があるのでしょうか。就業調整対策や中低所得者支援との関係、また制度の整合性や持続可能性をどのように整理しておられるのか、財務大臣の御見解をお伺いいたします。
これまでの税制改正で確立されてきた生活保護基準額を勘案する仕組み及び物価連動の自動見直し制度という基本理念は、政治的な思惑や政権の枠組みの変化などにかかわらず、尊重されるべき原則であると考えます。政府として、今後もこの枠組みを維持し、発展させていくお考えに変わりはないでしょうか。財務大臣に明確な御答弁を求めます。
課税最低限の百七十八万円への引上げによる減税額をどの程度と見込んでおられるのでしょうか。また、その財源をどのように確保されるお考えでしょうか。責任ある積極財政を掲げている高市内閣の財務大臣として、その具体的な財源確保策を明確にお示しください。
消費税のインボイス制度導入に係る経過措置の見直しについてお伺いいたします。
今回の改正案で、免税事業者等からの課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置、いわゆる八割控除について、最終的な適用期限を二年延長した上で、控除できる割合の引下げペースや引下げ幅を見直すこととしております。
特例措置の延長は、免税事業者が取引から排除されないよう配慮する観点から評価いたします。しかし、引下げペースや引下げ幅が当初よりも短期で細かくなっているため、現場では、経理が煩雑になると心配の声もあります。
私はこれまで、改正のたびにますます複雑になっていく昨今の税制に経理担当の方たちが苦労しながら対応している姿を見てきました。どうか、そのような現場の声も拾い上げていただき、更なる措置を御検討いただきたいと思いますが、財務大臣の御見解をお伺いいたします。
NISAの拡充についてお伺いいたします。
ゼロ歳から十七歳までを対象として、つみたて投資枠が年間投資枠六十万円、非課税保有限度額六百万円と拡充されます。そして、十二歳以降は、資金の使途が子のためのものであり、子の同意を得た場合のみ、親権者等による払出しを可能とする制度となっております。
しかし、今回拡充される投資枠に拠出するのは、実質的に資力のある親や祖父母であり、結果的に格差の固定化につながるのではないかとの懸念もあります。与党の令和八年度税制改正大綱では、格差の固定化につながらないよう配慮しつつと書かれていますが、具体的にはどのような方策をお考えか、財務大臣にお伺いいたします。
賃上げ促進税制の抜本的見直しについてお伺いいたします。
法人の賃上げ促進税制については、大企業向けの措置を前倒しで令和七年度末をもって廃止し、中小企業を中心とした支援へと重点化することとされています。今回の見直しでは、従業員二千人以下の中堅企業向けの措置についても、令和八年度末で、延長せず予定どおり終了することとされております。
中堅企業は、地方経済や地域雇用の中核を担う極めて重要な存在です。こうした中で、今回あえて中堅企業向けの賃上げ促進税制を打ち切るに至った理由について、財務大臣の御見解をお伺いいたします。
特定生産性向上設備等投資促進税制の創設についてお伺いいたします。
産業競争力強化法案における認定国際経済事情激変事業適応計画を提出し、認定を受けた事業者は、税額控除限度超過額を三年間繰越控除できますが、現時点でその詳細は明示されておりません。企業の予見可能性に配慮して、詳細を早く示すべきではありませんか。どのようにして、いつ頃、全体像が明らかにされるのか、赤澤経済産業大臣にお伺いをいたします。
次に、特例公債法案についてお伺いいたします。
今回の改正案で、特例公債の発行可能期間は令和十二年度まで五年間延長されますが、国会のチェックを適時適切に受ける方が、我が国の財政へのマーケットの信認が高まるのではないかとの考えもあります。
新設される行財政改革の徹底についてお伺いいたします。
改正案第五条の第一項として、政府は、経済・財政一体化計画を推進する中で、歳出及び歳入の改革、持続可能な社会保障制度を構築するための改革その他の行財政改革を徹底するものとするという条文を新たに追加することとされています。これは、高市総理の掲げる責任ある積極財政を意識したものと思いますが、その具体的な中身について、財務大臣にお伺いをいたします。
これに関連して、同条第二項で、政府は、前項に規定する行財政改革の一環として、租税特別措置及び補助金等の適正化について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするという条文を新たに追加することとしています。
政府は、昨年十一月二十五日、内閣官房行政改革・効率化推進事務局に租税特別措置・補助金見直し担当室、日本版DOGEを設置し、租税特別措置や補助金等の適正化を進めていると聞いております。
こうした取組について、具体的にどのような適正化を進めようとしているのか、財務大臣にお伺いいたします。
最後に、関税定率法等の一部を改正する法律案についてお伺いいたします。
いわゆる越境電子商取引の拡大で、我が国における令和六年の輸入許可件数は約一億九千万件となっており、コロナ禍前の約四・一倍と急激に増加している現状があります。さらに、訪日外国人旅客数は四千二百万人を突破し過去最多を記録するなど、円滑な人流、物流へのニーズが高まっております。
その一方で、昨年、水際での押収量が三トンを超えた不正薬物を始め、金、知的財産侵害物品等の流入、密輸リスクも増大していると認識しております。
国民の皆様の安全と安心を守るため、こうしたリスクに対応し、水際取締り能力の強化に取り組む観点から、税関の体制強化は必要不可欠な課題と考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、財務大臣の方針をお聞かせください。
関連して、もう一点お伺いいたします。
アメリカの連邦最高裁判所は、二月二十日、国際緊急経済権限法に基づいて大統領が関税を課すことはできないとの判決を下しました。ただ、輸入者が既に支払い済みの関税の還付方法や、トランプ政権がこれまでの交渉で合意した各国、地域で異なる関税率の取扱いについては触れておらず、この判決を受けてトランプ政権は新たな関税措置を発表するなど、当面、予見可能性が低い状態が続く可能性があります。
総理は、二月二十五日の本会議代表質問において、関税の還付に関しては、今後、米国の下級裁判所において改めて審理されることとなると承知をしております、政府として、米国と意思疎通を継続してまいりますと述べられておられましたが、我が国として、対象企業と綿密に連携を図りながら、主体的に対応を図るべきと思いますが、政府の対応について、城内日本成長戦略担当大臣にお伺いいたします。
以上、今回の法案に関連して、様々な論点を提示してまいりました。言うまでもなく、税制は国家の根幹を成す制度であり、その法案の審議は、形式的な手続にとどまることなく、与党も含めた徹底した質疑と十分な説明責任の下、慎重かつ丁寧に行われるべきです。それは、お預かりした税金の使い道を決める予算の審議においても同じであります。
国民並びに納税者の皆様への関係大臣の真摯かつ誠実な御答弁を期待して、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣片山さつき君登壇〕
○国務大臣(片山さつき君) 先ほどの高村正大議員への答弁の中で答弁漏れがございましたので、追加で答弁させていただきます。
東日本大震災からの復興、創生は日本の未来に向けた挑戦であり、第三期復興・創生期間の五年間も、被災地の復興に向け、政府としての総力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
本改正法案が年度内に成立せず、財源確保の対象となる復興施策の期間が延長されない場合は、本年四月から、復興事業に対し支出を行うことができなくなってしまいます。
こうした事態を避け、令和八年度以降も力強く復興を推進していくため、本法案の年度内成立をお願いしたいと考えております。
大森江里子議員の質問にお答えいたします。
財務省提出の四法案や予算の審議についてお尋ねがありました。
趣旨説明、質疑における法案の取扱いなど、国会の運営に関することについては、国会でお決めいただくものと承知しております。
その上で、この度の四法案は、歳入予算の主要部分を規律するものであり、令和八年度予算と一体不可分のものであること、また、年度末までに成立しなければ国民生活に影響が生じることから、速やかな成立をお願いをしております。
財務大臣として、令和八年度予算及び各法案について、国民の皆様の御理解が得られるよう、国会審議の場で丁寧な説明に努めてまいります。
次に、所得税の課税最低限についてお尋ねがありました。
所得税の課税最低限につきましては、令和六年十二月の自由民主党、公明党、国民民主党による三党合意の趣旨を踏まえ、百七十八万円まで引き上げることとしております。
その際、生活保護基準額である百六十万円から、物価上昇に応じて百六十八万円まで引き上げてもなお不足する十万円については、令和八年度与党税制改正大綱等において、物価上昇を先取りした特例的な対応として、給与収入二百万円相当までの納税者に対する基礎控除の上乗せ特例を更に五万円引き上げるとともに、給与所得控除の最低保障額について五万円の上乗せ特例を創設することとしており、政府としても、こうした方針を踏まえ対応することとしたものです。
次に、基礎控除等の引上げの考え方についてお尋ねがありました。
令和八年度税制改正における所得税の基礎控除の引上げのうち、物価上昇を先取りした引上げについては、昨年十二月の公党間の合意を踏まえ、働き控えへの対応と中低所得者の手取りの増加を図る観点から、課税最低限を百七十八万円まで引き上げるほか、給与所得者の全納税者のうち約八割が対象になるよう、中間層まで基礎控除の特例の上乗せを行うこととしたものです。
なお、令和八年度与党税制改正大綱では、基礎控除等について、今後、二年ごとに物価上昇率に連動して見直すことを基本とするというルールを定めた上で、こうした物価連動による基礎控除等の引上げに応じて、その額を、今回、物価上昇を先取りして行った基礎控除等の上乗せから振り替えていくこととされております。
次に、今後の基礎控除等の見直しの枠組みについてお尋ねがありました。
基礎控除等の在り方については、令和八年度与党税制改正大綱において、先ほど申し上げたとおり、今後、二年ごとに物価上昇率に連動して見直すことを基本とするというルールを定めた上で、令和七年度税制改正において恒久的な制度として措置された基礎控除の上乗せ特例については、今後も生活保護基準額を勘案して見直していくことを基本とするとされており、政府としても、こうした考え方に沿って対応をしてまいります。
次に、基礎控除等の引上げによる減収額等についてお尋ねがありました。
令和八年度税制改正における基礎控除等の引上げによる所得税の減収額は、平年度で〇・七兆円程度と見込んでおります。
この財源に関し、まず、物価上昇率に応じた基礎控除等の引上げの部分は、令和八年度与党税制改正大綱において、基礎控除等の額が定額であることに対して物価調整を行うものであることを踏まえ、特段の財源確保措置を要しないことと整理されております。
また、物価上昇率以上に基礎控除等の上乗せを行う部分については、二年間の時限措置であり、令和八年度予算においては、国の一般会計において、新規国債発行額を二年連続で三十兆円未満に抑えるとともに、公債依存度も、二十七年ぶりに三〇%を下回った前年度当初予算より更に低下したほか、二十八年ぶりに一般会計のプライマリーバランス黒字化を達成するなど、予算全体として、財政規律にも十分配慮した取組を進める中で対応をしております。
次に、免税事業者からの仕入れに係る経過措置についてお尋ねがありました。
免税事業者からの仕入れに関するいわゆる八割控除は、インボイス制度導入によって小規模な国内事業者が受ける影響を緩和するための経過措置であり、引き続き適切な配慮が必要である一方、グローバル企業グループ等の租税回避にも利用されている実態が確認されたことや、消費者が日々の買物で消費税相当分として支払ったものが、この特例によって、全てが納税されず、事業者の手元に一部残る場合があることについて、消費者の方々の理解が得られるかという課題があったところです。
このため、与党税制改正大綱を踏まえ、小規模事業者に配慮しつつ着実に縮減を図るため、最終的な適用期限を二年延長した上、本年十月以降は控除割合が八割から五割へ引き下げられる予定だったものを、七割、五割、三割と段階を踏んで引き下げる形に見直すこととしています。
その上で、御指摘の、事業者の方々の心配の声に関しては、国税当局等において事業者からの相談を丁寧に受けるなど、政府全体として引き続き丁寧に対応をしてまいります。
次に、NISAについてお尋ねがありました。
NISAのつみたて投資枠につきましては、従来十八歳以上とされていた対象年齢の要件を撤廃し、ゼロ歳から口座開設を可能とすることとしております。
この際、大学進学等の成人後のライフイベントに伴う必要資金を備えられるようにするという観点を踏まえつつ、御指摘のとおり、今回の見直しが格差の固定化につながらないよう配慮し、口座保有者である子がゼロから十七歳の間については、年間投資枠は六十万円、非課税保有限度額は六百万円という、十八歳以上よりも低い限度額を設定をしております。
次に、賃上げ促進税制についてお尋ねがありました。
令和八年度税制改正では、大企業向け措置を令和七年度末で廃止するとともに、中堅企業向け措置は、要件を強化した上で、適用期限の令和八年度末をもって廃止することとしています。
この見直しの背景としては、まず、足下の賃金上昇率がバブル期以来の水準となる高い伸び率を示しており、本措置の要件となる賃上げ率を大きく超えているという点があります。
また、賃上げは、企業収益の動向や雇用情勢等、税制以外の要因による影響を受けるため、税制の効果だけを取り出すことは困難ではありますが、それを踏まえても、適用企業の賃上げ率と本措置の賃上げ要件との間に必ずしも関連性が見られず、本措置がインセンティブ措置として十分に機能していないおそれが見受けられました。
このため、今般の税制改正において、与党の御議論を経て、先ほど申し上げた賃上げ促進税制の見直しを行うこととしたところです。
次に、特例公債法改正案における行財政改革の徹底についてお尋ねがありました。
今般の改正に当たっては、授権期間における改革の姿勢を明確に示し、市場の信認を確保する観点から、行財政改革を徹底する旨を定めた第五条を設けることとしております。
具体的には、経済・財政一体改革を引き続き推進する中で、骨太の方針等に定める歳出歳入改革や社会保障制度改革に加え、私が担当大臣である、租税特別措置、補助金の見直しの取組等を進めることで、財政規律にも十分配慮した責任ある積極財政を進めていくことを内容としております。
次に、租税特別措置、補助金見直しの取組についてお尋ねがありました。
本取組については、先ほど高村議員からの御質問でもお答えしましたが、昨年十二月に関係閣僚等及び副大臣会議を開催したほか、令和八年度予算、税制改正では可能なものから早速見直しを行い、公表するなど、担当大臣である私が中心となって取組を進めております。
また、国民の皆様から見直しの提案を募集したところ、単純集計で計三万六千件以上の御提案がありました。
次の令和九年度予算編成、税制改正プロセスでは、こうした御提案も見直しの検討に当たり参考とさせていただきつつ、各府省庁にも御尽力をいただきながら、要求、要望段階から一貫して取り組んでいくこととしております。さらに、令和十年度以降についても、特例公債発行の授権期間を通じて行財政改革を徹底していく観点から、それまでの成果も踏まえ、取組を継続していく考えです。
最後に、税関の体制強化についてお尋ねがありました。
輸入許可件数や入国者数が急増する中、不正薬物や金などの密輸リスクは一段と高まっており、我が国の安全、安心を揺るがしかねない状況となっております。
こうした中、税関において、円滑な物流、人流を確保しつつ、厳格な水際取締りを遂行することは、我が国の経済社会の基盤を支える上で極めて重要な責務となっております。
内外の急激な変化に的確に対応し、税関の責務を確実に果たしていくためには、高性能な取締り検査機器の整備、税関職員の増員及び専門性向上が重要と考えており、今後とも質と量の両面で税関の体制強化に取り組んでまいります。(拍手)
〔国務大臣赤澤亮正君登壇〕
○国務大臣(赤澤亮正君) 大森江里子議員から、特定生産性向上設備等投資促進税制における税額控除の繰越しについてお尋ねがありました。
本税制の税額控除の繰越しについては、産業競争力強化法を改正をし、対象となる投資に関する計画認定制度を新たに設ける方向で、現在、政府内で調整を行っているところでございます。
新たな計画認定制度を含む全体像については、早急に調整を行い、今後、政府として詳細をお示ししたいと考えております。(拍手)
〔国務大臣城内実君登壇〕
○国務大臣(城内実君) ただいま大森江里子議員から、米国の関税措置に関し、米国最高裁による判決を受けた対応についてお尋ねがございました。
我が国としては、今般の判決の内容及び措置の影響等を十分に精査しつつ、米国政府の対応を含む関連の動向等について、引き続き高い関心を持って注視しているところでございます。
今般の判決を受けまして、米国政府に対して、通関等の現場の混乱により、日本企業を含む輸入者に悪影響が生じないようにしてほしい旨を速やかに伝達いたしました。
その上で、関税の還付に関しましては、米国の下級裁判所において審理されているものと承知しており、政府として、米国と意思疎通を継続してまいります。
いずれにいたしましても、令和七年度補正予算や令和八年度当初予算案に盛り込まれた対策も活用しつつ、影響緩和に取り組むとともに、引き続き、米国関税が我が国の産業や雇用に与える影響を把握、分析し、対応に万全を期してまいります。(拍手)
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○議長(森英介君) 田中健君。
〔田中健君登壇〕
○田中健君 国民民主党・無所属クラブの田中健です。
会派を代表して、ただいま議題となりました特例公債法改正法案、復興財源確保法改正法案、所得税法等改正法案、関税定率法等改正法案について質問をいたします。(拍手)
冒頭、大塚耕平元参議院議員が御逝去されましたことに、謹んで御冥福をお祈りをいたします。
国民民主党の結党宣言には、大塚耕平さんの思いが込められています。「国民の良識と判断力を信じ、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治を追求していく。」「何が「正しい」か、何が「正義」か。価値判断は人によってまちまちである。だからこそ、議論の前提となる事実を公開・共有し、熟議を尽くし、決まったことを遵守し、権力を抑制的に運用する、それが民主主義の基本である。」この言葉を胸に質問に入らせていただきます。
我が国は今、二つの課題に直面をしています。一つは、物価高が続く中で、賃金が十分に追いついていない現実。もう一つは、国と地方を合わせて一千兆円を超える債務残高という財政の健全性への不安です。給料は上がっても手取りが増えない、将来の税や社会保険料はどうなるのか、この国の財政は本当に大丈夫なのか。国民は今の生活と将来の双方に不安を抱えています。本日の法案は、その両方に関わる重要な法案であります。
国民民主党は、対決よりも解決、批判よりも提案、この姿勢をこれからも貫きます。将来世代に責任を持つ立場から、建設的に問い、具体的な対案を示していきたいと思います。
まず、特例公債法改正案について伺います。
本法案は、令和八年度から令和十二年度までの五年間、特例公債の発行を可能とするものです。言い換えれば、赤字国債依存の枠組みを更に五年間、制度的に認めるということです。
そこで、片山大臣に伺います。今回、なぜ五年間という期間設定なのでしょうか。一年に戻しませんか。
そもそも特例公債法は、半世紀前の一九七五年に、赤字国債発行を迫られた大平正芳当時大蔵大臣が導入し、国会の承認が毎年必要な一年限りの特例法でありました。安倍政権で五年間にその後延ばされた経緯があります。責任ある積極財政を掲げる高市政権だからこそ、毎年国会の承認を得て、財政への責任を明確に示すべきではありませんか。
また、この期間中でどの水準まで公債依存度を下げるのか、具体的な数値目標をお示しください。プライマリーバランスの黒字化目標との整合性はどのように確保されるおつもりかも、併せてお伺いします。
法案では、特例公債の発行額の抑制に努めるとあります。しかし、これは努力義務です。上限規律や自動的な是正措置は設けられていません。これで、市場や国民に対し、財政規律のメッセージが本当に伝わるでしょうか。私たちは、単なる努力義務ではなく、発行年限構成などの国債管理政策を透明化する必要があると考えます。
そこで、国民民主党は、アメリカの財務省に設けられている国債発行諮問委員会のような、専門的な助言機関を創設することを提案しています。独立した第三者機関等の必要性について、片山大臣の考えをお伺いします。
財政健全化を歳出抑制だけで実現することは困難です。名目GDPが成長しなければ、政府の掲げる政府債務残高対GDP比は改善しません。今回の中期財政見通しは、名目成長率を何%前提に試算しているのか、その成長を実現する具体案は何なのか、城内大臣にお示しをいただきたいと思います。
私たちは、成長による税収増を柱とする財政再建を掲げています。人への投資、教育、科学技術、スタートアップ支援、エネルギー自立への投資地域の産業競争力強化、こうした分野には戦略的に財源を振り向けるべきです。財政規律と成長戦略は対立するものではありません。両立こそが責任ある政治と考えますが、片山大臣の考えをお伺いいたします。
所得税法改正案について伺います。
今回、課税最低限を百七十八万円まで引き上げる特例措置が盛り込まれました。私たち国民民主党が訴え続けてきた政策であり、現役世代の手取りを増やすための大きな第一歩となりました。
しかし、これは特例的、先取り措置にとどまっています。なぜ恒久化をしないのでしょうか。国民は、毎年の特例ではなく、将来を見通せる税制を求めています。百七十八万円の恒久化、基礎控除の所得制限六百六十五万の壁と八百五十万の壁の撤廃を提案します。働けば働くほどしっかりと手取りが増える、これが税制の基本原則であるべきです。片山大臣の見解を伺います。
基礎控除の物価連動を二年ごととする仕組みも一歩前進です。しかし、急激な物価上昇局面では、実質負担増が先行をいたします。年次見直し、あるいは一定の物価上昇率を超えた場合の自動改定を検討すべきではありませんか。これも片山大臣の考えを伺いたいと思います。
住宅ローン控除の拡充が盛り込まれました。しかし、足下では金利上昇の動きがあります。仮に変動金利が一%上昇した場合、四千万円の借入れでは年間負担は約四十万円増加します。一方で、基礎控除の引上げによる減税効果は、年収水準によっては数万円規模にとどまります。ここで問われるのは、純効果はプラスなのか、マイナスなのかということであります。
政府として、想定金利の上昇シナリオや家計負担増額の試算、今回の減税措置と純効果の比較を行っているのでしょうか。減税をしましたと言いながら、金利上昇の効果で家計負担が増える一方であるならば、手取りを増やすという政策の整合性が問われます。是非とも明確な試算をお示しをください。
また、NISAの拡充、これには賛同いたします。資産形成の支援は重要です。つみたて投資枠について、ゼロ歳から十七歳の未成年でも口座開設が可能になり、教育資金掛ける資産形成という考え方が制度として正式に認められる形となります。一方、NISAの資金の相当部分が海外株式型の投資信託に流れています。つまり、日本の家計資金が海外市場に向かっている構造が今なお続いています。
NISAの拡充が国内企業へのリスクマネー供給にどれだけつながっているのか、具体的なデータはありますでしょうか。国内投資を促す制度設計、例えば国内成長投資枠の強化など、検討すべきではありませんか。片山大臣の見解を伺います。
今回、極めて高い所得への負担適正化措置の見直しが盛り込まれました。現在の所得税は累進税率を採用していますが、株式などの譲渡益は分離課税であるため、超富裕層となるとかえって税負担が下がってしまう逆転現象が課題とされてきました。長年指摘されてきたいわゆる一億円の壁問題でありますが、今回の改正でどこまで改善されるのでしょうか。金融所得分離課税との関係を含め、実効税率の分布はどう変わり、構造問題は解決するのか。片山大臣から明確な分析結果をお示しいただきたいと思います。
設備投資促進税制の改正について伺います。地域経済の観点から伺いたいと思います。
今回の改正では、生産性の高い設備に対し即時償却又は税額控除を認める措置が、そして、我が党が強く求めた三年間の繰越控除が創設をされます。戦略技術への重点化という方向性自体は理解します。しかし、この制度が地域の経済の活性化につながる設計になっているのかという点について伺いたいと思います。
我が国の雇用の約七割は中小企業が担っています。地方においては、製造業、建設業、運輸業、観光業、農林水産関連産業など、地域の中小企業こそが経済の土台です。ところが、現実には、税額控除中心の制度設計、また計画認定を要する複雑な手続、利益計上を前提とする仕組みでは、資金余力や専門人材を持つ大企業ほど使いやすく、地方の中小企業ほど使いにくい制度になる懸念があります。
そこで、赤澤大臣に伺います。今回の設備投資税制について、地方の中小企業による利用をどの程度想定をされているのか、地域別の利用見込みを試算をされているのか、制度が大都市圏や大企業に偏在するリスクをどう認識しているのか、具体的にお答えをください。
地方創生ということを本気で進めるのであれば、地域の中小企業が設備更新や省力化投資を進められる環境整備こそが鍵であります。地方の中小企業では、省人化設備、デジタル化投資、脱炭素の対応設備、地域の資源を生かす加工設備が必要であるという声が、地域を歩いていると多く聞かれます。こうした投資が広がることで、生産性が上がり、賃上げ余力が生まれ、若者も地元で働き続けることができる。これこそが地方創生の本道ではないでしょうか。しかし、黒字企業中心の税額控除型制度では、利益の薄い地方企業には十分届かない可能性があります。
そこで、伺います。即時償却の対象拡大、また繰越控除期間の延長、さらに手続の簡素化など、今後、地方の中小企業が実際に活用できる制度へ見直していくという考えはありますでしょうか。設備投資税制が成長企業支援策にとどまるのか、それとも、地域の底上げ政策につながっていくのか。その方向性次第では、日本の地域経済の未来は大きく変わると思っています。是非答弁をお願いいたします。政府が地方創生を掲げる以上、設備投資税制を地域の中小企業が使える制度へと再設計も新たにしていくべきと考えますが、片山大臣の見解を伺います。
賃上げ促進税制の実効性について伺います。
今回の改正では、大企業向け措置の廃止、中堅企業向けの見直しが行われます。しかし、重要なのは、制度の有無ではなく実効性です。賃上げが本当に恒常的なベースアップにつながっているのか。政府として、どのような検証指標を持っているのか。赤字企業や価格転嫁が困難な業種への支援策はどうするのか。中小企業の生産性向上支援とセットで進めなければ、持続的な賃上げは実現しません。片山大臣の考えをお伺いいたします。
防衛特別所得税についても伺います。
防衛力強化の必要性は理解します。しかし、所得税額に関して一%の付加税を課す以上、国民負担は生じます。復興特別所得税を一%引き下げるとのことですが、将来的な延長を含め、実質負担は本当に増えないのでしょうか。防衛費の歳出構造改革はどこまで進めるのか。まず、無駄の排除、装備調達の改革、効率化を徹底していく。その上で、国民に説明責任を果たすべきと考えますが、片山大臣のお考えをお伺いいたします。
財政規模拡大だけのばらまきには私たち国民民主党は反対です。しかし、成長なき緊縮にも賛成することはありません。
片山大臣に最後に伺います。増税なき成長とまた持続可能な財政というのを、具体的にどの道筋で両立させていこうと考えているのか。国民に分かる言葉で、是非明確にお答えをいただきたいと思います。
公平、中立、簡素の租税原則に照らし、いかなる事態に対しても納税者の納得が得られる公平な税務行政を貫徹することが税務当局に対する信頼の要諦であるということを申し上げまして、国民民主党としての代表質問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣片山さつき君登壇〕
○国務大臣(片山さつき君) 田中健議員の御質問にお答えいたします。
特例公債法における授権期間や財政目標等についてお尋ねがありました。
今般の改正案においては、複数年度の授権というこれまでの同法の枠組みを引き継ぎつつ、政府は、特例公債を発行する経済・財政新生計画の期間を通じて、経済・財政一体改革を推進し、公債発行額の抑制に努める、毎年度の特例公債の発行額については、各年度の予算をもって国会において議決いただくこととしております。加えて、今般、授権期間における改革の姿勢を明確に示し、市場の信認を確保する観点から、政府において行財政改革を徹底する旨の新たな規定を設けております。
このように財政規律に十分配慮することとした上で、安定的な財政運営を確保する観点から、令和十二年度までの五年間の発行を可能としております。
また、責任ある積極財政の考え方の下、経済・財政新生計画の期間を通じて経済・財政一体改革の取組を進め、債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく考えですが、その際、これまでの取組の進捗、成果を後戻りさせることなく、成長率を高め、併せて金利上昇に目配りすることで、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を確実に抑えていくことが重要であり、このような考え方の下、これまでの単年度ごとのPB黒字化目標の達成状況を見ていく方針を、数年単位でバランスを確認する方向に見直していく方針です。
次に、国債管理政策における専門的な助言機関の創設についてお尋ねがありました。
米国においては、債券の売手、買手双方の代表者で構成されるTBACと呼ばれる諮問委員会が、債務管理における技術的な論点等に関する提言を行っていると承知しております。
この点、日本においても同様に、主に売手となる証券会社を始めとしたプライマリーディーラーとの意見交換を行う国債市場特別参加者会合や、買手となる銀行や生命保険会社等の機関投資家との意見交換の場である国債投資家懇談会の開催、さらに、中長期的な視点から今後の国の債務管理政策について高い識見を有する方々から御意見や御助言をいただく、国の債務管理に関する研究会の開催などを通じて、市場関係者との緊密な対話に努めているところです。
我が国のこのような枠組みは、透明性の確保や市場のニーズを踏まえるという点で十分機能していると考えており、引き続き、このような枠組みを有効に活用し、市場参加者との丁寧な対話を行いながら、国債管理政策に万全を期してまいります。
次に、財政規律と成長戦略の両立についてお尋ねがありました。
高市内閣では、危機管理投資やAI・半導体、造船等への成長投資を始めとして、積極的な国内投資を通じて日本の成長につなげていく考えです。
同時に、責任ある積極財政の考え方の下、租税特別措置、補助金の見直しなどの取組も含め、行財政改革を徹底しながら、政府債務残高の対GDP比を安定的に引き下げ、財政の持続可能性を確保してまいります。
次に、基礎控除の特例についてお尋ねがありました。
令和八年度税制改正における所得税の基礎控除の引上げのうち、物価上昇を超える特例的な引上げについては、昨年十二月の国民民主党と自由民主党との党首合意や、令和八年度与党税制改正大綱において、物価高で厳しい状況にある中低所得者に配慮したものであることや、給付つき税額控除の議論の中で中低所得者層の給付、負担の在り方を検討していくことを踏まえ、二年間の時限措置として講ずることとされております。
また、働き控えへの対応と中低所得者の手取りの増加を図る観点から、一定の所得制限を設けた上で、給与所得者の全納税者のうち約八割が対象となるよう、中間層まで負担軽減を行うこととされております。
政府としては、こうした政党間合意や与党税制改正大綱を踏まえ、対応することとしたものです。
次に、基礎控除の物価連動についてお尋ねがありました。
所得税の基礎控除等については、令和八年度与党税制改正大綱において、今後、二年ごとに物価の上昇率に連動して見直すことを基本とするルールを定めておりますが、この二年という頻度は、物価上昇の動向をできるだけ早期に反映させることが望ましい一方で、源泉徴収義務者等の事務負担に配慮する必要があり、これらのバランスを踏まえ設定したものです。
御提案の急激な物価上昇局面における対応については、こうした事務負担の観点も踏まえる必要があるものと考えております。
次に、住宅ローン控除や住宅ローン金利についてお尋ねがありました。
政府としては、住宅ローンに係る特定の金利シナリオを想定しているわけではありませんが、例えば、住宅ローン金利が〇・五%ポイント上昇した場合の家計負担増加額については、二〇二四年の家計調査のデータを用いて機械的に試算すると、住宅ローンの返済がある世帯では平均で年間約九万円から十万円程度の金利負担増になると考えられます。
なお、例えば、令和七年度、八年度税制改正における所得税の基礎控除等の引上げによる納税者一人当たりの減税額は、収入階級によって多少のばらつきはあるものの、約三万円から六万円となっております。
その上で、金利上昇が家計に与える影響については、一般論として、御指摘の住宅ローンの支払い利子の増加だけではなく、預貯金利子の増加などもございます。また、実際の住宅ローンの返済期間、金利タイプ、借入残高等の違いや、世帯当たりの納税者数の違いなどを踏まえれば、先ほど申し上げた機械的試算のベースで比較して妥当な結論が得られるかという論点もございます。
いずれにしましても、引き続き、個人の住宅ローンを含め、金利上昇が国民生活等に与える影響も注視しつつ、経済財政運営に万全を期してまいります。
次に、NISAについてお尋ねがありました。
御指摘のNISA拡充が国内企業へのリスクマネー供給にどれだけつながっているのかについては、正確なデータは持ち合わせていませんが、二〇二四年の抜本的拡充以降の二年間において、大手証券会社十社を通じたNISAにおける国内株式の買い付け額を日本証券業協会の調査を基に機械的に計算すると、約十兆円となります。
これに加え、具体的な数字の把握は困難ではあるものの、国内企業等を投資対象に含む投資信託の買い付けを通じて国内への投資が行われているものと承知しております。
NISAの在り方については、引き続き幅広い御意見をいただき検討していきたいと考えておりますが、その上で、御指摘の国内投資に対する優遇措置については、家計の安定的な資産形成の観点からは国や地域も含む投資対象の分散が有効であることを踏まえる必要があり、むしろ、国内投資を活性化させるためには、コーポレートガバナンス改革等の中長期的な企業価値の向上を後押しする取組を通じ、日本企業自身の魅力を高めていくことも重要かと考えております。
次に、いわゆる一億円の壁についてお尋ねがありました。
今般の法改正では、金融所得を含め極めて高い水準の所得に対し、負担の適正化を図る観点から、特別控除額を現行の三・三億円から一・六五億円に引き下げるとともに、税率を現行の二二・五%から三〇%に引き上げることとしております。
この見直しにより平均して約六億円以上の所得について追加負担が生じると見ており、税負担の公平性確保に向けて一定の効果が見込まれますが、その具体的な影響度合いにつきましては、本措置の対象となる方々の所得のうち分離課税対象がどの程度であるかなど、個々の納税者の所得の内訳等によっても変わってくるため、今後ともよくフォローしてまいりたいと考えております。
次に、設備投資促進税制についてお尋ねがありました。
令和八年度税制改正では、既存の税制では対象とならないような大規模かつ高付加価値の投資を後押しするため、一定の規模や利益率の要件を満たす投資について、即時償却又は高い水準の税額控除率を認める大胆な設備投資促進税制を創設することとしています。
その際、特に中小企業については投資規模の要件を大企業よりも低く設定しており、地域の中小企業を含め、幅広い御利用を促す仕組みとしております。
また、中小企業向けの投資減税としては、中小企業経営強化税制や中小企業投資促進税制も措置しており、中小企業においてこうした様々な税制を活用していただくことで、地域経済の活性化にもつなげてまいります。
次に、賃上げ促進税制についてお尋ねがありました。
足下の賃金上昇率がバブル期以来の水準となる高い伸び率を示している中、令和八年度税制改正では、賃上げ促進税制について、大企業向けの措置を令和七年度末で廃止するとともに、中堅企業向け措置は、要件を強化した上で、適用期限の令和八年度末をもって廃止することとしています。
この点、賃上げは、企業収益の動向や雇用情勢等、税制以外の要因による影響を受けるため、税制の効果だけを取り出すことは困難ではありますが、それを踏まえても、適用企業の賃上げ率と本措置の賃上げ要件との間に必ずしも関連性が見られず、本措置がインセンティブ措置として十分に機能していないおそれが見受けられました。
このため、今般の税制改正において、与党の御議論を経て、先ほど申し上げた賃上げ促進税制の見直しを行うこととしたところです。
政府としては、継続的に賃上げできる環境を整えていく必要があると考えており、引き続き、価格転嫁対策の徹底、中小企業等の稼ぐ力の強化や省力化投資の支援など、中小企業、小規模事業者を始めとする賃上げ環境の整備を推進してまいります。
次に、防衛特別所得税についてお尋ねがありました。
令和八年度税制改正では、防衛特別所得税の創設に合わせ、足下で家計負担が増加しないよう、復興特別所得税の税率を引き下げるとともに、復興財源の総額を確実に確保する観点から、復興特別所得税の課税期間を延長することとしております。
この点、復興特別所得税の負担額は、収入階級に応じて様々ですが、例えば年収五百万円の単身世帯では年間千円程度となりますが、こうした負担については、その必要性を含め、今後も丁寧に説明を尽くしてまいります。
また、防衛費については、これまでも毎年度の予算編成において合理化、効率化に取り組んできているところであり、引き続きこうした取組を徹底してまいります。
最後に、増税なき成長と持続可能な財政の両立についてお尋ねがありました。
高市内閣では、国内投資の促進に徹底的なてこ入れをし、日本の成長につなげていきます。そして、所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収が自然増に向かう好循環を実現していきたいと考えております。
その際、国民生活の下支えや経済成長に資することが期待される施策には大胆に重点化する一方で、見込まれる効果が乏しい施策については見直しを行うなど、歳出歳入両面の改革を推進し、強い経済の実現と財政の持続可能性を両立させてまいります。(拍手)
〔国務大臣城内実君登壇〕
○国務大臣(城内実君) 田中健議員より、成長を実現する具体策についてお尋ねがございました。
本年一月に内閣府が公表した中長期の経済財政に関する試算における中長期的な名目成長率につきましては、過去投影ケースにおいては一%程度、成長に向けた投資拡大と生産性向上を伴う成長型経済に移行する成長移行ケースにおいては三%程度で推移する姿となっております。
成長率を高めるためには、長年続いてきた過度な緊縮志向、未来への投資不足の流れを断ち切ることが重要だと考えております。
高市内閣では、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障などの様々なリスクを最小化する危機管理投資、AI・半導体、造船などの先端技術を花開かせる成長投資により、世界共通の課題解決に資する製品、サービス、インフラを開発し、国内外に提供することによって、日本の成長につなげてまいります。
このため、十七の戦略分野について、複数年度予算や長期的基金による大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、研究開発、産学連携、国際標準化、防衛調達を含む官公庁による調達、規制・制度改革といった、供給及び需要の両面にアプローチする多角的な観点からの総合支援策を講じてまいります。
また、強い経済を構築するための基盤的な取組として、新技術立国・競争力強化、人材育成といった八つの横断的課題の解決策を取りまとめます。
この夏に取りまとめる日本成長戦略では、こうした施策を盛り込み、国内投資促進に徹底的なてこ入れをしてまいります。(拍手)
〔国務大臣赤澤亮正君登壇〕
○国務大臣(赤澤亮正君) 田中健議員から、設備投資促進税制の中小企業による利用についてお尋ねがありました。
今回の大胆な投資促進税制は、投資規模五億円以上であれば中小企業も活用が可能でございます。また、基本的に投資規模などの要件がなく、即時償却などを措置した中小企業経営強化税制の選択も可能となっております。どの税制を活用するかは中小企業のニーズによるため、それぞれの税制措置について、地域別の企業の利用見込みの試算は困難であるというふうに考えております。
税制の申請等の要件は全国で同じであり、地方の中小企業ほど使いにくいといった事態にはならず、制度の利用が大都市圏や大企業に偏在するリスクは高くないと考えています。その上で、地域の中小企業に新たな投資促進税制をより活用していただくためには、中小企業の制度理解や申請手続の円滑化が極めて重要だと考えており、今後、丁寧に制度設計や周知を行ってまいりたいと考えてございます。(拍手)
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○議長(森英介君) 峰島侑也君。
〔峰島侑也君登壇〕
○峰島侑也君 チームみらいの峰島侑也です。
会派を代表して、今回の税制改正について三点質問いたします。(拍手)
EBPMの実践という観点から質問いたします。
高市総理が掲げる成長のスイッチを押しまくっていくという基本姿勢、これには大いに賛同いたします。だからこそ、限られた財源をより効果的に使うために、政策効果の測定とそれに基づく見直しが今まさに必要だと考えます。
具体例として、令和八年度税制改正に盛り込まれた設備投資促進税制を取り上げます。
平年度ベースの税収減少額は約四千百億円です。過去の設備投資を国内に呼び戻し、日本経済を成長軌道に乗せるという政策の方向性には賛同します。
しかし、委員会答弁を踏まえると、税制措置のみを取り出した際の効果検証には一定の困難が伴います。税制措置と実際の投資増加、生産性向上との因果関係を明確に示すことは、制度の性質上、容易ではありません。
同じ四千百億円であれば、より検証可能な政策手段、例えば、官民投資プロジェクトへの直接予算配分に振り分けることで、説明責任を果たしながら成長投資を加速するという選択肢はないでしょうか。
官民投資であれば、プロジェクト単位で投資額、雇用、生産性指標を追うことができ、PDCAを回しやすくなります。さらに、選択と集中を図ることで、財源の効率化にとどまらず、個々の政策に割ける行政の人員も増え、より丁寧なフォローアップが可能になります。
効果検証が可能な政策に集中的に投資することへの大臣のお考えをお伺いいたします。
次に、ひとり親控除についてお伺いします。
ひとり親控除は、令和二年度に創設された重要な制度であり、その意義は高く評価しています。しかし、一人親であるという事実は、収入の多寡にかかわらず、子育ての負担が一人の肩にかかっているという現実を意味します。その負担を認める控除に所得制限を設けることには、合理的な根拠があるのでしょうか。
現行制度では、合計所得五百万円以下という要件があります。令和六年度税制改正の要望項目には上限を一千万円へ引き上げることが盛り込まれていたにもかかわらず、今回の改正でも見送られています。なぜ見送られたのか、お聞きしたいと思います。
また、配偶者控除の年収上限は、納税者本人で一千万円です。二人親家庭の配偶者は一千万円まで控除の対象となる一方、一人で子育てをする一人親は五百万円を超えると控除が受けられない。この非対称性は制度として均衡を欠いており、少なくとも配偶者控除と同水準への引上げは、整合性の観点から当然の措置ではないでしょうか。
加えて、児童扶養手当も、お子さんが一人の場合、年収三百六十五万円超で支給が停止されます。税制でも、現金給付でも、収入が増えるほど支援から外れる支援の崖が生じており、一人親家庭が働く意欲をそぐ構造になっています。
一人親家庭の相対的貧困率は依然高く、子供の貧困問題とも深く結びついています。年収要件の撤廃又は大幅引上げを含む抜本的な強化を政府として検討する意思があるのか、明確なお答えをお願いいたします。
以上三点について、政府の明快な御答弁をお願いし、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣片山さつき君登壇〕
○国務大臣(片山さつき君) 峰島侑也議員の御質問にお答えいたします。
政策の効果検証についてお尋ねがありました。
限られた財源をより効果的に活用するには、どのような政策であっても、データに基づき、政策の実効性を検証するEBPMの視点を持つことや、事業の性質に応じて必要な見直しを随時行っていくことなどが重要であると考えております。
この点、これまでの行政事業レビューでの指摘や決算結果の反映に加え、新たに開始した租税特別措置、補助金見直しの取組等も踏まえ、予算編成のPDCAサイクルを今後もしっかりと回していく考えです。
こうした取組を通じ、国民生活の下支えや経済成長に資すると期待される施策には大胆に重点化する一方、そうした効果が乏しい場合には大幅に見直すなど、歳出歳入両面から改革を推進してまいります。
次に、所得税のひとり親控除についてお尋ねがありました。
ひとり親控除の所得要件の引上げの方針については、令和六年度税制改正の大綱において盛り込まれておりましたが、予算面を含めたほかの一人親への支援策とのバランス等も踏まえる必要があるため、引き続き検討していくこととしております。
最後に、ひとり親控除及び児童扶養手当についてお尋ねがありました。
一人親家庭への経済的支援に関して、まず、ひとり親控除の所得要件については、先ほど申し上げたとおり、ほかの一人親への支援策とのバランス等も踏まえる必要があると考えております。また、児童扶養手当の所得制限については、こども未来戦略の加速化プランに基づき、その限度額の引上げを行っているところであります。
一人親家庭への支援に当たっては、各家庭に応じたきめ細かな支援が重要であり、経済的支援に加えて、相談支援や生活支援などを含めて、多面的な観点から必要な対応を図ってまいります。(拍手)
○議長(森英介君) これにて質疑は終了いたしました。
〔議長退席、副議長着席〕
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国務大臣の演説(令和八年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○副議長(石井啓一君) この際、令和八年度地方財政計画についての発言並びに内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。総務大臣林芳正君。
〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 令和八年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
まず、令和八年度地方財政計画の概要について御説明を申し上げます。
本計画の策定に際しては、通常収支分については、官公需の価格転嫁やいわゆる教育無償化への対応等に必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費や人件費の増加を適切に反映しております。
これらの結果、地方の一般財源総額について、交付団体ベースで、令和七年度の地方財政計画を大幅に上回る額を確保するとともに、地方交付税総額を増額して確保しております。
また、東日本大震災分については、所要の震災復興特別交付税を確保することとしております。
次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
現下の経済情勢等を踏まえ、個人住民税のひとり親控除の額の引上げを行うほか、軽油引取税の当分の間税率及び自動車税等の環境性能割を廃止することとしております。
また、道府県民税利子割に係る清算制度の導入等を行うほか、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。
次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
令和八年度分の通常収支に係る地方交付税の総額について、二十兆千八百四十八億円を確保するとともに、令和八年度に限り、地域未来基金費及び臨時財政対策債償還基金費を設けるほか、普通交付税の算定に用いる単位費用の改正等を行うこととしております。
また、当分の間税率及び環境性能割の廃止による地方公共団体の減収額を埋めるため、軽油引取税減収補填特例交付金及び自動車税減収補填特例交付金等を創設することとしております。
さらに、サービスの提供の在り方の見直し等による公営企業の廃止に伴って必要となる一定の経費に充てるための地方債の特例を創設することとしております。
以上が、令和八年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
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国務大臣の演説(令和八年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(石井啓一君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。神谷裕君。
〔神谷裕君登壇〕
○神谷裕君 中道改革連合・無所属の神谷裕です。
私は、会派を代表し、令和八年度地方財政計画及び地方税法等の一部を改正する法律案並びに地方交付税法等の一部を改正する法律案について、林総務大臣に質問をいたします。(拍手)
この冬、雪国では災害級の大雪に見舞われました。そのような中での急な解散・総選挙で、自治体には準備に大きな負担をかけました。解散表明から投票まで極めて短期で行われ、在外投票や洋上投票など、投票したくても物理的にできなかった有権者が出たのではないかと危惧をしております。国が投票する権利を実質的に奪うこととなれば、大きな問題です。こういった事象がなかったのか、総務大臣に伺います。
雪という物理的障害が投票機会を制約した可能性も否定できません。現に、投票所の数を減らした自治体を聞いています。準備期間の短い厳冬期の選挙が有権者の投票に影響がなかったのか、大臣の所感をお伺いします。
選挙では、積雪による掲示板設置への影響や暖房設備の追加など、かかり増し経費が生じました。こうした実費を全額措置するなど、選挙にかかった費用について責任を持って対応していただきたいと思いますが、併せて伺います。
また、雪国では除排雪に多額の財政負担も生じています。特別交付税の前倒し交付が行われていますが、雪国では、結果として降雪がなくとも、除排雪の準備体制そのものにも多額の経費が必要です。大雪被害を受けた自治体は当然にして、結果として降らずとも除雪体制準備が必要な地域の財政支援についても万全を期すべきと考えますが、いかがでしょうか。
さて、来年度の地方財政は財源不足が縮小し、地方の一般財源総額について、水準超経費を除く交付団体ベースで前年度を大幅に上回る三・七兆円増の六十七・五兆円となりました。また、地方交付税総額についても、前年度を大幅に上回る一・二兆円増の二十・二兆円となり、かつ、臨時財政対策債は昨年度に引き続き新規発行額が計上されない上、臨時財政対策債償還基金費が創設されることに加え、交付税特別会計借入金残高が二・九兆円縮減されるなど、地方財政の健全化が図られるものと受け止めます。令和八年度地方財政計画では、国、地方折半ルールや臨時財政対策債の発行可能期間の延長が行われないなど、これまでの財源不足を前提としたものとは異なる内容となりました。
そこで、折半ルールの期間及び臨時財政対策債の発行可能期間を延長しなかった理由を伺います。また、臨時財政対策債は事実上廃止されたと理解してよいでしょうか。あわせて、平成十三年度から二十四年間発行されてきた臨時財政対策債について、その意義やメリット、デメリットをどのように評価しておられるか。仮に、今後、巨額の財源不足額が生じた場合についてはどのように対応するお考えなのか、伺います。
総務省は、概算要求時に交付税率の引上げを事項要求しています。私も、必要な財源が不足する場合や財政収支に大幅な不足が生じる場合には、地方交付税の法定率の引上げを行い、安定的に交付税総額の確保を図る必要があると考えます。交付税率の引上げについて、林大臣の見解を伺います。
交付税特別会計についてお尋ねします。
今回、交付税特別会計の借入金〇・七兆円を国の一般会計が引き受ける代わりに、一般会計から交付税特別会計への必要な支出を特例で同額減らし、国債による手当てを不要としました。
一方、交付税特会は、令和七年度末時点で一般会計に対し、国税減額補正精算分や国税決算精算分として二兆円の未精算額があります。これらのうち〇・七兆円を前倒しで返済すれば、財政投融資特別会計に対する一般会計の借入金が増加することはなかったと考えられます。
国債の大幅な増発を避け、財政規律への配慮を演出した奇策とも言われていますが、国税減額補正精算分等の精算前倒しではなく、交付税特会借入金を一般会計の借入金に振り替える方策を取ったのはなぜなのか伺います。
交付税特会の既存債務の縮減に二・九兆円を活用し、また、単年度限りの措置として、臨時財政対策債償還基金費〇・八兆円が創設されています。こうした一部を活用すれば、令和八年度の財源不足額一兆円を解消できたのではと思われます。財源不足額を解消するよりも、既存債務の縮減を優先した理由についてお答えください。
交付税特会の借入金は、毎年度借換えを行う必要があることから、金利上昇の影響を受けやすく、借入金残高が減少しているにもかかわらず、支払い利子予算額は増加しています。金利上昇の影響を考慮し、今後も可能な限り交付税特別会計借入金の償還を前倒ししていくべきと考えます。大臣の見解を求めます。
地方公務員の給与改定について、人事委員会勧告に伴う給与改定に要する経費として六千八百億円が確保され、また、一般行政経費に給与改善費として四千億円が計上されました。
また、会計年度任用職員の給与等については取扱いを変更し、一般行政経費から給与関係経費に移し替えられ、一兆九千六百億円が計上されました。より会計年度任用職員の処遇改善に係る財源が明示された措置として評価します。
今回、会計年度任用職員の給与等を給与関係経費に計上することとした理由、積算方法の変更の有無、会計年度任用職員の更なる処遇改善の考え方について、林大臣に伺います。
一方、公営企業、公立病院、一部事務組合等の会計年度任用職員については明らかではありません。公営企業繰り出し金の七百五十八億円に盛り込まれているとすれば、その内数を示していただきたいと思います。
公立病院の令和六年度の赤字病院の割合は八三・三%、経常収支赤字は三千九百五十二億円となっています。
今回、持続可能な地域医療提供体制の確保に向け、物価高騰を踏まえた病院事業繰り出し金の増額や、不採算地域における医療提供体制の確保についての支援が行われます。一定評価できるものの、厳しい状況にある医療機関の経営改善や賃上げ原資としては不十分です。不採算地区病院等への特別交付税措置の基準額の更なる引上げも必要だと考えます。持続可能な地域医療提供体制の確保に向けた支援について、大臣のお考えを伺います。
物価高、官公需の価格転嫁への対応として、委託料や維持補修費などについて〇・六兆円の増額を計上するとともに、価格転嫁に積極的に取り組む自治体の財政需要を交付税の算定に反映させるとしています。十分な支援となるよう引き続き精査し、令和九年度以降の地方財政計画においても、必要かつ十分な規模で継続的に計上し、物価高等の対応に万全を期すべきと考えますが、大臣の所感を伺います。
地方税制の改正で、軽油引取税の当分の間税率の廃止や自動車関連税の環境性能割の廃止が行われます。ガソリン暫定税率と併せ、自民党多数の国会では絶対に実現しなかった政策の大転換と言えると思います。大変に画期的なことと考えますが、これらの減収分については地方特例交付金で全額を補填することになりました。
しかし、軽油に関する安定財源の確保については、令和九年度税制改正に結論が先送りされ、自動車関係は期限のないまま国の責任で手当てするとしています。今後、どのようにしてこれらの代替となる安定財源を確保していくおつもりなのか、伺います。
所得税制では、いわゆる年収の壁を百七十八万円に引き上げることになりました。約〇・七兆円の減税となりますが、地方交付税への影響について、どのように対応されるか、伺います。
また、議論を本格化させる食品消費税の減税によって、一年間で約五兆円の減収が見込まれます。消費税の減税に伴う地方税財政への影響額がどの程度か、お聞きします。あわせて、地方の財政運営に支障がないようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
いわゆる教育無償化に係る地方負担三千五百五十二億円の財源としては、租税特別措置の見直しによる交付税の増分及び公庫債権金利変動準備金の活用分が充てられることとされています。その財源の内訳について明らかにしてください。公庫債権金利変動準備金についてはワンショットであり、安定財源についてはどう確保するおつもりなのでしょうか。
いわゆる学校給食費の無償化については、負担軽減のための給食費負担軽減交付金が創設され、国から都道府県に交付するとともに、地方負担分については地方交付税の基準財政需要額に算入することとなりました。しかし、不交付団体は持ち出しになりますが、この点については、大臣はいかがお考えなのか、伺います。
自動車税等の環境性能割を廃止することとしています。
自動車産業は、日本の経済と雇用を支える重要な産業ですが、自動運転等、百年に一度の大転換期を迎えています。加えて、トランプ関税や国内新車販売台数の減少の中、自動車関連の税負担の軽減は必要なことと考えます。かつて自動車が奢侈品と捉えられた時代は既に終わり、公共交通が脆弱な地方では生活の必需品です。
そこで、来年度以降の自動車関係諸税の総合的な見直しについてどのように検討を進めていくのか、総務大臣の答弁を求めます。
個人住民税については、給与所得控除の最低保障額の引上げを行うこととされています。
平成三十年度税制改正においては、働き方の多様化を踏まえ、給与所得控除や公的年金等控除を十万円引き下げるとともに、基礎控除を十万円引き上げることとされました。給与所得控除の最低保障額の引上げと平成三十年度税制改正における考え方との整合性についてどのようにお考えなのか、伺います。
ふるさと納税制度については、高所得者ほど控除限度額が高いため返礼品で得られる利益が大きく有利な制度となっており、金持ち優遇との指摘もあります。
今回、住民税控除額に百九十三万円の上限を設けるとともに、事務費等の募集費用を段階的に引き下げることとなりました。社会課題の解決や災害支援といった返礼品を目的としないふるさと納税については、特例控除額の上限を設定しないことなどについては検討されなかったのでしょうか。そもそも、ふるさと納税については、居住地課税の原則などの基本的問題も解決されておらず、この際、抜本的に見直すべきと考えますが、総務大臣の見解を伺います。
一極集中や税源の偏在によって、地方の財政力の格差が拡大しています。その点で、今回、都道府県民税利子割に係る清算制度の導入が盛り込まれたことは一定評価をいたします。
与党の税制改革大綱では、偏在性の小さな地方税体系の構築については令和九年度の税制改正で結論を出すとしておりますが、税源偏在による地域間の税収格差の拡大に対し、財政力の格差の是正や偏在是正は必要だと考えますが、東京都の税収の一部を更に国税化して地方に配分するとしても、地方税の総額そのものを増やすこととはなりません。
財政調整制度である地方交付税の充実、改革や、偏在性が少ない税目について国税から地方税へ税源移譲することも併せて検討すべきと考えます。偏在性の小さな地方税体系の構築について、総務大臣の見解を伺います。
最後に、人件費、施設やインフラの整備費、維持補修費、エネルギー価格、金利など、デフレ時代には潜在的だった財政負担要因が顕在化しています。地方分権、地方自治を徹底し、地域と住民の暮らしに係る問題を地域自らが決定できる仕組みに変えていくためにも、人口減少とインフレに対応した地方税財政の在り方にしっかりと向き合っていく必要があると考えます。
最後に、林総務大臣の地方税財政改革についての決意をお伺いし、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 神谷議員からの御質問にお答えをいたします。
まず、今回の総選挙について、在外投票や洋上投票などにおいて、国が投票権を奪う事象はなかったのかという御質問がありました。
お尋ねの在外投票については、できるだけ多くの在外選挙人に参加いただけるよう、周知啓発の実施や投票用紙の迅速な送付に努めるなどの取組が行われたと承知をしております。
洋上投票についても、船員は時期を問わず投票の申出ができるものであり、事前に総選挙の日程が分からない場合でも手続は可能であることから、洋上投票制度を有効に活用していただけるよう周知啓発を行ってまいりました。
このように、総務省といたしましては、各選挙管理委員会と連携し、有権者の投票機会の確保に努めたところでございます。
次に、準備期間の短い厳冬期の選挙により有権者の投票に影響がなかったのかという御質問がございました。
今回の総選挙に際し、各選挙管理委員会においては、選挙物資の調達や投票所の確保など、選挙の管理、執行に必要な準備を迅速に行っていただきました。
また、降雪の時期に当たっていることから、総務省としては、関係省庁と連携して、各選挙管理委員会の取組を支援をしました。
各選挙管理委員会においては、大雪となった地域もある中、ポスター掲示場や投票所周辺の除排雪など、選挙の管理、執行に万全を期していただいたものと承知をしております。
有権者の皆様には、気象の見通しも踏まえ、期日前投票も活用するなどして、積極的に投票に参加をいただきました。
こうした関係者の皆様、国民の皆様の御尽力により、適正に選挙を実施することができたと考えておりまして、深く感謝を申し上げます。
次に、今回の選挙において、除排雪など選挙に要した経費の国費措置についての御質問がありました。
総務省としては、今回の総選挙に係る執行経費について、前回を約四十億円上回る八百五十一億円の予備費を措置したところであります。
その上で、除排雪経費等については、選挙の管理、執行を確保するために必要な経費であれば、国費の対象となるということを通知をしているところでございます。
選挙に要した経費については、除排雪経費等を始め、それぞれの地域の実情をお聞きしながら、適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、除排雪に係る財政措置について御質問がありました。
地方団体の除排雪経費については、普通交付税の算定において標準的な所要額を措置するとともに、一般財源の所要見込額が普通交付税の措置額を超える場合には、特別交付税により更に対応することとしております。
措置対象となる経費としては、待機時間に対する支払いなど、準備体制の確保に要する経費も含め、幅広く対象として算定をしております。
今後とも、除排雪経費の実態を丁寧にお伺いしながら、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、適切に対応してまいります。
次に、折半ルールの延長及び臨時財政対策債の廃止について御質問がありました。
いわゆる折半ルールについては、令和七年度及び令和八年度において大幅な財源不足が生じず、地方交付税法第六条の三第二項に該当しない状態であることから、今回、延長しないことといたしました。
臨時財政対策債についても、令和七年度に引き続き、新規発行債をゼロとし、地方財政法上、発行年度を延長しないこととしております。
次に、臨時財政対策債の評価や、巨額の財源不足額が生じた場合の対応について御質問がありました。
臨時財政対策債は、国、地方共に極めて厳しい財政状況の中で、住民サービスを安定的に提供するために特例的に発行してきたものですが、地方財政の健全化のためには、臨時財政対策債に頼らない財務体質を確立することが重要と考えております。
今後、巨額の財源不足が生じた場合の対応については、その時点での国、地方の財政状況等を踏まえ、地方の財政運営に支障が生じないよう、政府部内で議論をいたします。
次に、法定率の引上げについて御質問がありました。
交付税率の引上げについては、臨時財政対策債に頼らない財政運営が可能となっている状況等を踏まえつつ、今後も地方財政収支の状況等を見極めながら、政府部内で必要に応じて議論してまいります。
今後とも、地方交付税を含め、必要な一般財源総額の確保に取り組んでまいります。
次に、交付税特別会計借入金の一般会計への振替について御質問がありました。
この措置は、令和七年十一月五日の当分の間税率廃止に係る与野党合意において、安定財源を確保するまでの間も、安易に国債発行に頼らず、一般財源を確保するとされたこと等を踏まえまして、地方特例交付金相当額の地方交付税の減額を行うとともに、地方財政に配慮して、交付税特別会計の借入金を一般会計に承継することとしたものでございます。
この措置は、将来の交付税総額を確保するための精算の前倒しとは趣旨が異なるものであります。
次に、財源不足の解消よりも既存債務の縮減を優先した理由について御質問がありました。
地方財政は、巨額の特例的な債務残高を抱えるなど引き続き厳しい状況にあることから、その健全化を進めることは重要です。
令和八年度地方財政計画では、財源不足額は引き続き生じるものの、地方交付税総額について、前年度を一・二兆円上回る二十・二兆円を確保する一方、交付税特別会計借入金の残高も大幅に縮減することとしました。
地方六団体からは、地方交付税の総額を確保しつつ、地方財政の健全化が図られている点について御評価をいただいているところでございます。
次に、交付税特別会計借入金の償還の前倒しについて御質問がありました。
令和八年度の地方財政計画においては、交付税特別会計の借入金について、二・九兆円の残高縮減を行うこととしております。
これは、償還計画で予定していた〇・七兆円に加えて、地方財政の健全化を図る観点から、二・二兆円を前倒しして残高を縮減することとしたものです。
今後とも、必要な地方財源を確保した上で、交付税特別会計借入金の償還に努め、地方財政の健全化に取り組んでまいります。
次に、会計年度任用職員の給与等について御質問がありました。
会計年度任用職員の給与等については、処遇改善の取組が進んでいることを踏まえ、令和八年度地方財政計画において、一般行政経費から給与関係経費に移し替えて計上をしております。
その積算については、これまで同様、全国の自治体に対して実施した給与支給見込額に関する調査結果等に基づき、令和七年人事委員会勧告の影響を反映し、所要額を見込んでいるところでございます。
会計年度任用職員がその力を十分発揮できるよう、今後とも、環境整備に取り組んでまいります。
次に、公営企業繰り出し金に含まれる会計年度任用職員の給与について御質問がありました。
公営企業繰り出し金は、料金等の収入のみをもって充てることが客観的に困難である経費等について、一般会計が負担するものとして地方財政計画に計上しております。
公営企業繰り出し金については、繰り出し基準における繰り出し事由ごとに決算等に基づいて所要額を積算しており、会計年度任用職員の給与費を用いた積算は行っておりません。
次に、地域医療提供体制の確保について御質問がありました。
公立病院は、診療報酬等による独立採算が原則です。その上で、不採算医療など地域医療にとって重要な役割を担っていることを踏まえ、総務省では、必要な地方財政措置を講じてきたところでございます。
令和八年度地方財政計画においては、公立病院が地域に必要な救急医療等を引き続き提供できるよう、病院事業繰り出し金について六%増額計上するとともに、交付税措置を拡充することとしております。
今後とも、関係省庁と連携し、公立病院の状況を踏まえつつ、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、必要な地方財政措置を講じてまいります。
次に、物価高の対応について御質問がありました。
令和八年度地方財政計画においては、物価高対応として、官公需の価格転嫁を促進する観点から、委託料、維持補修費、投資的経費などを〇・六兆円増額計上することとしました。
引き続き、物価動向を注視しつつ、自治体の財政運営に支障が生じないよう、万全を期してまいります。
次に、安定財源の確保について御質問がありました。
軽油引取税の当分の間税率の廃止及び自動車税、軽自動車税の環境性能割の廃止に伴う地方団体の税収減につきましては、議員が御指摘されましたとおり、令和八年度においては、地方特例交付金によって全額を補填することとしているところでございます。
その上で、今後の安定財源の確保に向け、軽油引取税の当分の間税率の廃止に係る安定財源の確保については、令和七年十一月五日の与野党六党合意を踏まえ、令和八年度与党税制改正大綱において、租税特別措置の見直し等による地方増収分を活用するほか、具体的な方策を引き続き検討し、令和九年度税制改正において結論を得るとされております。
また、環境性能割の廃止に係る安定財源の確保については、同大綱におきまして、安定財源を確保するための具体的な方策を検討するとされております。
総務省といたしましては、こうした大綱の記載を踏まえ、地方の安定財源の確保に向け、適切に対応してまいります。
次に、いわゆる年収の壁の地方交付税への影響について御質問がありました。
いわゆる年収の壁の見直しに伴う令和八年度の法定率分の影響額は、〇・二兆円となっております。
これらの減収を踏まえても、令和八年度の地方交付税総額は対前年度比で一・二兆円増の二十・二兆円となっており、適切に地方財源を確保することができたと認識をしております。
次に、食料品の消費税減税の実現による地方財政への影響について御質問がありました。
地方消費税を含む消費税は、約四割が自治体の貴重な税財源となっております。
仮に軽減税率八%をゼロ%とした場合の地方の減収見込額を機械的に計算をいたしますと、地方消費税分が一・一兆円、地方交付税分が〇・八兆円となり、合計で約二兆円程度となります。
御指摘の地方財政への影響などの諸課題については、今後、国民会議において御議論いただくものと承知をしております。
次に、いわゆる教育無償化の財源について御質問がございました。
いわゆる教育無償化のために新たに必要となる財源について、令和八年度においては、租税特別措置の見直し等による交付税法定率分の増〇・二兆円、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金〇・一兆円を活用することとしております。
令和九年度以降の財源については、令和八年度与党税制改正大綱におきまして、租税特別措置の見直し等による地方増収分を活用するほか、具体的な方策を引き続き検討し、令和九年度税制改正において結論を得ることとされております。
次に、学校給食費の抜本的な負担軽減に係る不交付団体への対応について御質問がありました。
学校給食費の抜本的な負担軽減については、子育て支援を図るとの制度趣旨等から、国と都道府県が二分の一ずつ負担する仕組みとされました。
不交付団体も含め、都道府県における学校給食費の抜本的な負担軽減に係る地方負担分の全額につきまして、地方交付税の基準財政需要額に算入し、その財源を保障をしております。
このため、不交付団体である東京都においても、地方税収等により学校給食費の抜本的な負担軽減に必要な財源は確保されているものでございます。
次に、自動車関係諸税の総合的な見直しについて御質問がありました。
令和八年度与党税制改正大綱において、自動車関係諸税については、日本の自動車戦略、インフラ整備の長期展望、カーボンニュートラル目標実現等の観点を踏まえ、国、地方を通じた安定的な財源確保を前提に、中長期的な視点から検討するとされております。
こうしたことも踏まえて、与党税制調査会でも御議論いただきまして、政府としては、その結果を踏まえて適切に対応してまいります。
次に、給与所得控除の最低保障額の引上げについて御質問がありました。
令和八年度税制改正において、物価上昇局面における対応として、所得税については、給与所得控除の最低保障額を現行六十五万円から七十四万円に九万円引き上げることとされ、個人住民税においても同様の対応としております。
他方、平成三十年度税制改正においては、働き方の多様化を踏まえ、働き方に中立な税制を実現する観点から、最低保障額のみならず、給与所得控除全体を見直した上で、基礎控除へ振り替える見直しを行ったところであり、物価上昇局面における対応とは異なるものと認識をしております。
次に、ふるさと納税の見直しについて御質問がありました。
ふるさと納税は、個人住民税の一部を実質的に自治体間で移転させる仕組みでございますが、地域社会の会費という個人住民税の性格を踏まえ、住所地の自治体に納付される個人住民税額が大きく減少することがないよう、ふるさと納税の特例控除額は個人住民税所得割額の二割を上限としてきたところでございます。
また、現行の特例控除額は、所得に応じて上限なく増加することから、高所得者優遇ではないかとの御指摘があったことも踏まえまして、今回の地方税法の改正案において特例控除額に定額の上限を設けることとしており、必要な見直しを行っているところでございます。
仮に、返礼品の有無に応じて上限額を設定する場合、寄附金控除の手続において返礼品の有無を個々に確認する必要があり、寄附を受け入れる自治体のみならず、住民税が減少する住所地の自治体でも大きな事務負担が生じることとなります。
そのため、今回の見直しにおいては、返礼品を受け取ったか否かにかかわらず、特例控除額に定額の上限を設定することとしております。
今後とも、ふるさと納税の趣旨に沿って、制度が適正に運用されるよう取り組んでまいります。
次に、偏在性の小さな地方税体系の構築について御質問がありました。
地方税の偏在是正につきましては、与党大綱において、法人事業税資本割などの措置を検討するとともに、東京都が課税する特別区の土地に係る固定資産税に関する必要な措置を検討するとされております。
総務省としては、これを踏まえ、地方税の充実確保とともに、都市も地方もお互いに支え合うという基本的考えに立ち、偏在性の小さい地方税体系の構築に向けて具体的に検討を進めてまいります。
最後に、地方税財政改革に対する決意について御質問がありました。
総務省といたしましては、どのような地域でも、一定水準の行政サービスを提供できるよう財源を保障するということが国の責務であると考えております。
今後とも、人口減少など社会構造の変化によって生じる新たな行政課題に対応しつつ、経済、物価動向等も適切に反映し、地方税や地方交付税などの一般財源総額の確保に努めてまいります。(拍手)
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○副議長(石井啓一君) 岩谷良平君。
〔岩谷良平君登壇〕
○岩谷良平君 日本維新の会の岩谷良平です。
与党を代表して、地方税法等の一部を改正する法律案等について質問をいたします。(拍手)
自民党と日本維新の会による新たな連立の枠組みの下で初めて策定された令和八年度税制改正大綱の中では、軽油引取税等の当分の間税率の廃止や、租税特別措置が適用された企業名の公表に向けた前向きな検討など、従来の枠組みでは踏み込めなかった施策が数多く盛り込まれたことを評価いたします。
その上で、令和八年度の地方財政計画では、一般財源総額が交付団体ベースで六十七・五兆円と前年度を三・七兆円上回り、地方交付税総額も二十・二兆円と二十兆円の大台を突破しました。これらを踏まえ、これからの地方の改革を更に前に進めるという観点から、総務大臣に計九問お伺いします。
まず、暫定税率等の廃止に伴う地方財源の確保と税源移譲について伺います。
軽油を含めた当分の間税率の完全な廃止に加え、自動車税等の環境性能割の廃止が今回の税制改正で実現しようとしています。しかし、軽油引取税の当分の間税率廃止で四千二百九十七億円、地方揮発油譲与税の減少分二百九十六億円、環境性能割の廃止分一千八百九十二億円、これらを合計すると、地方全体で六千四百億円を超える減収が生じることとなります。
令和八年度には地方特例交付金により全額が補填されることは高く評価いたしますが、一方で、今後もこのような措置を繰り返せば、地方を国からの財源に一層依存させるリスクがあるとも思われます。総務大臣の御認識はいかがでしょうか。
地方が真に自立した財政運営を行い、自治体間で切磋琢磨をすることが地域の発展と税収増のサイクルを実現することにつながると考えますが、併せてお伺いいたします。
我が党は長く、地方への税源移譲の必要性を訴えてきました。事実、小泉純一郎政権での三位一体の改革以降、大規模な税源移譲は一度も実現しておりません。令和八年度末の普通国債残高の見通しは約一千百四十五兆円まで膨らむなど、確かに国の財政は極めて厳しい状況にあります。しかし、このことが地方への税源移譲を行わないことを正当化する理由にはなりません。
暫定税率等の廃止に伴う恒久的な安定財源の確保を令和九年度税制改正で結論を得るとの方針の下、速やかに進めるべきです。税源移譲も含め、地方の自主財源の充実という大きな方向性をしっかり共有しながら検討を進めていくことが重要と考えますが、総務大臣の御所見を伺います。
次に、臨時財政対策債、いわゆる臨財債と地方財政の健全化について伺います。
臨財債は、平成十三年度に当初三か年限定の措置として導入されたにもかかわらず、度重なる延長を経て、残高は一時五十兆円を超えるまで膨らみました。来年度の地方財政計画では、本年度に引き続き臨財債の発行額をゼロとした上で、新たに臨時財政対策債償還基金費として八千三百七十六億円が創設され、また、残高は四十二・二兆円から三十八・八兆円へと三・四兆円縮減されます。交付税特別会計の借入金についても二・九兆円の残高縮減が実現し、年度末残高は二十二・六兆円となります。臨財債と交付税特会の借入金が同時に大幅縮減されることは、地方財政の健全化に向けた成果と言えます。
今後も、臨財債の新規発行ゼロを堅持し、残高の着実な縮減を進めていくべきですが、地方財政の健全化に向けた総務大臣のお考えを伺います。
次に、いわゆる教育無償化に伴う地方負担の財源について伺います。
維新の会と自民党との連立政権合意書に基づく、いわゆる教育無償化に伴う地方負担三千五百五十二億円の全額が地方財政計画の歳出に計上される方針です。国が制度を創設しながら、地方に負担だけが押しつけられる事態が生じないよう手当てをすることは当然です。
加えて、公立高校の魅力向上を図る高等学校教育改革等推進事業費として一千億円が新たに計上されたことも、公立高校を魅力あるものに変えるために必要な予算であり、高く評価いたします。これらの取組が単年度で終わることがあってはなりません。
教育無償化という連立政権の成果を守るため、財政面から今後も確実に取組を支えていくべきですが、総務大臣のお考えをお伺いいたします。
次に、ふるさと納税制度の見直しについて伺います。
ふるさと納税の寄附受入額は年間一・二兆円を超え、制度は国民に広く浸透する一方、ポータルサイト事業者への費用が寄附受入額の一三%にも達するなど、大きな課題があります。今回の大綱では、地域で活用が可能な額の割合を段階的に六〇%以上とする基準の追加、特例控除額の上限の設定、指定取消し期間の延長など、踏み込んだ措置が講じられました。
これらの改革は制度本来の理念に立ち返る措置として評価できる一方、制度の厳格化により、制度の趣旨にかなった寄附や取組まで萎縮させられることがあってはなりません。制度の健全化と地域の活性化の両立について、総務大臣の御認識を伺います。
次に、物価高における地方財政の対応と官公需の価格転嫁についてお伺いします。
令和八年度の地方財政計画では、自治体のコスト増への対応として、五千八百五十億円が増額計上されました。加えて、普通交付税の地域の元気創造事業費に価格転嫁分として約一千億円が設けられ、低入札価格調査制度の導入率やスライド条項の導入率などの指標に基づき、価格転嫁に積極的に取り組む自治体の財政需要が普通交付税算定に反映されることとなります。
中小企業が行政との契約で適正な利益を得られなければ、賃上げは地方に波及しません。地方自治体における価格転嫁の推進をどのように後押ししていくか、総務大臣にお伺いします。
次に、上下水道の老朽化対策と公営企業の広域化について伺います。
昨年、埼玉県八潮市で発生した下水道陥没事故は、インフラの老朽化の深刻さを改めて示しました。今回の地方財政計画では、公営企業経営改善特例債が創設され、広域化に伴う特別会計廃止時の一般会計負担を平準化する制度的基盤が整いました。
全国的に進行する上下水道を始めとしたインフラの老朽化に対応し、効率的な経営体制を構築するために、公営企業の広域化を全国的に推進する必要があると考えますが、総務大臣のビジョンをお聞かせください。
次に、外国人との秩序ある共生社会について伺います。
在留外国人は三百九十五万人を超え、地方への流入も加速しています。この状況に鑑み、我が党は、外国人比率の上限設定を含む量的マネジメントの確立を求めるとともに、社会統合を重視した外国人受入れの観点から、段階的な日本語能力の習得の義務づけや、日本社会への理解と適応に向けた支援を提言しています。
今般、在留外国人への対応に必要な環境整備に係る特別交付税措置に地域社会のルール等の習熟の取組や日本語の指導等を盛り込んだことは、時宜を得た施策であると評価します。しかし、国の側で外国人比率の上限設定の検討を含む国家戦略が確立されなければ、現場の実態によっては自治体の負担が過剰となることも想定されます。
外国人住民の増加に伴う地方の財政需要を今後どのように把握し、地方財政に反映するか、総務大臣のお考えを伺います。
最後に、我が党は、大規模災害発生時の首都機能のバックアップのため、また、成長のエンジンを複数化し、日本の経済成長を実現するため、副首都の設置を提案しています。これは、一極集中型の日本から多極成長型の日本に切り替えていく大改革であるとともに、衰退が止まらない地方の未来を切り開くものでもあります。
日本維新の会は、この副首都を何が何でも必ず実現していくとの断固たる決意と、各党各会派への御協力のお願いを表明し、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 岩谷議員の質問にお答えする前に、先ほどの神谷議員への答弁の中で、交付税特別会計借入金の一般会計への振替についての御質問に対する答弁の中で、安易に国債発行に頼らず、一般財源を確保と発言いたしましたが、正しくは一般財源ではなくて一時財源でございましたので、おわびして訂正させていただきます。
岩谷議員からの御質問にお答えをいたします。
まず、暫定税率等の廃止に伴う地方財源の確保について御質問がありました。
軽油引取税等の当分の間税率の廃止、自動車税、軽自動車税の環境性能割の廃止に伴う地方団体の税収減については、議員御指摘のとおり、令和八年度においては、地方特例交付金によって全額を補填することとしているところであります。
その上で、今後の安定財源の確保に向け、軽油引取税等の当分の間税率の廃止に係る安定財源の確保については、令和七年十一月五日の与野党六党合意を踏まえ、令和八年度与党税制改正大綱において、租税特別措置の見直し等による地方増収分を活用するほか、具体的な方策を引き続き検討し、令和九年度税制改正において結論を得るとされております。
また、環境性能割の廃止に係る安定財源の確保については、同大綱において、安定財源を確保するための具体的な方策を検討するとされております。
総務省としては、こうした大綱の記載を踏まえ、地方の安定財源の確保に向け、適切に対応してまいります。
次に、地方の自立した財政運営及び国から地方への税源移譲について御質問がありました。
議員御指摘のとおり、地方団体が地域の実情に即した行政サービスを提供し、自立した自治体運営を行うためには、地方団体が自らの財源により財政運営を行うということが理想であり、その基盤となる地方税の充実確保は不可欠であります。
他方で、国から地方への税源移譲については、国、地方とも厳しい財政状況にあることなども踏まえて検討することが必要です。
先ほどの当分の間税率の廃止等に伴う安定財源確保を含め、今後も、総務省としては、地方税の充実確保及び税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組んでまいります。
次に、地方財政の健全化に向けた決意について御質問がありました。
令和八年度地方財政計画においては、臨時財政対策債について、昨年度に引き続き新規発行額をゼロとするとともに、交付税特別会計借入金について、二・九兆円の残高の縮減を行うなど、地方財政の健全化に取り組んでおります。
今後とも、必要な地方財源を確保した上で、特例的な債務残高の縮減など、地方財政の健全化に取り組んでまいります。
次に、いわゆる教育無償化の財政面での支えについて御質問がありました。
令和九年度以降のいわゆる教育無償化の財源については、令和八年度与党税制改正大綱において、租税特別措置の見直し等による地方増収分を活用するほか、具体的な方策を引き続き検討し、令和九年度税制改正において結論を得るとされております。
また、高等学校教育改革等推進事業債については、自治体が計画的な取組を進められるよう、令和十三年度までの措置としております。
次に、ふるさと納税の健全化と地域の活性化の両立について御質問がありました。
ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった自治体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものとして創設された制度でございます。
今回の地方税法の改正案においては、高所得者について、特例控除額に定額の上限額を設けるとともに、自治体が活用できる寄附金の割合を高めるなどにより、制度の健全化と地域の活性化を両立させることとしております。
今後とも、全国の自治体と納税者の皆様の御理解をいただきながら、制度の趣旨に沿って適正に運用されるよう取り組んでまいります。
次に、地方の官公需における価格転嫁の推進について御質問がありました。
総務省においては、自治体における入札に関し、実勢価格を踏まえた適切な予定価格の作成や、低入札価格調査制度等の原則導入などの取組を促しているところでありまして、今後も継続してフォローアップや助言を行ってまいります。
また、財政面では、委託料の増加などを踏まえ、令和八年度地方財政計画に〇・六兆円を増額計上するとともに、自治体における価格転嫁の取組状況を普通交付税の算定に反映することとしております。
今後も、地方の官公需における適切な価格転嫁の取組を強力に推進してまいります。
次に、公営企業の広域化について御質問がありました。
人口減少や施設の老朽化に加え、人件費の増加や物価高騰などにより、公営企業を取り巻く経営環境は厳しさを増しております。
こうした中、上下水道事業の広域化などを進めるため地方財政措置を講じてまいりました。また、持続的な経営基盤の確保を図るため、公営企業経営改善特例債を創設することとしております。
引き続き、それぞれの公営企業の特性を踏まえつつ、広域化に取り組んでまいります。
最後に、外国人住民の増加に伴う地方の財政需要の把握と地方財政への反映について御質問がありました。
外国人住民の増加に伴う地方の財政需要については、地方自治体の声を聞きながら、外国人からの相談への対応に必要な取組など、地域の国際化に係る標準的な財政需要については普通交付税で捕捉し、在留外国人へのコミュニケーション支援や、災害時における外国人被災者への情報提供などの特別な財政需要につきましては特別交付税措置を講じてきました。
今般、これに加えて、地方自治体からの要望や、本年一月に取りまとめられた外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策を踏まえまして、議員から御指摘がありましたとおり、地域社会のルール等の習熟や、そのために必要な日本語指導に要する経費などについて、令和八年度から特別交付税措置を講じることとしたところでございます。
今後も、地方自治体の声を丁寧にお伺いしながら、地方の財政需要をしっかり把握し、関係省庁と連携して適切に対応してまいります。(拍手)
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○副議長(石井啓一君) 許斐亮太郎君。
〔許斐亮太郎君登壇〕
○許斐亮太郎君 国民民主党・無所属クラブの許斐亮太郎です。
会派を代表いたしまして、地方税法等及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)
まず、現下の国民生活の状況について、政府の認識を伺います。
物価上昇が続く中で、賃金は上昇していると言われながらも、実質的な消費は伸びておらず、国民生活は厳しさを増しています。食料やエネルギー価格の高騰が家計を圧迫し、日々の生活をやりくりしている実態が各種調査からも指摘されています。こうした状況は国民の手取りが増えていないことの表れであり、個人消費の回復なくして経済の持続的な成長は望めません。政府として、現在の家計の実態をどのように受け止めているのか、また、国民負担の在り方を含めた今後の政策の方向性について伺っていきたいと思います。
最初に、地方税法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
まず、ひとり親控除及び一人親世帯に対する支援の方向性について質問いたします。
私は母子家庭で育ちました。私が生まれて二か月で父を膵臓がんで亡くしました。死別です。それ以来、母は再婚をせず、幼稚園で働きながら、一人親として頑張って私を育ててくれました。
従来の寡婦控除制度は、戦後の経緯の中で対象が拡大されてきた結果、未婚の一人親に適用されないなど、制度上の不公平が存在していました。この控除は、所得税や住民税の軽減にとどまらず、公営住宅、医療、保育、教育など様々な支援制度と関係しており、適用の有無が生活全体に影響してきました。未婚の一人親は、平均収入が低いにもかかわらず、支援が届きにくい状況が指摘されてきました。
令和二年度の制度改正により、ひとり親控除として、未婚、離婚、死別の区別をなくし、男女差も解消されたことは、重要な前進であったと考えます。今回の改正案には、ひとり親控除の控除額を三万円引き上げることが盛り込まれており評価できますが、一人親に対する支援は今なお十分とは言えません。
ひとり親控除だけでなく、年少扶養控除の復活や養育費の確保、児童扶養手当の水準引上げなども含めた包括的な対策が必要と考えますが、今後、一人親世帯への支援を税制と社会保障の両面からどのように進めていくのか、政府の方針を伺います。
そんな母も、今、父と同じ膵臓がんになり、緩和病棟で最後の時間を穏やかに過ごしています。先週末も一緒に過ごしましたが、母は自分の人生を振り返って、何度も、幸せだったと言葉を絞り出していました。
全国の一人親家庭の皆さん、大丈夫です。この議場の四百六十五人がしっかりと支えていきます。この議場のみんなで一人親の世帯を支えてまいります。頑張れば報われる日本をつくります。頑張れる環境をつくっていきます。
次に、個人住民税の控除について伺います。
国民民主党は、二〇二〇年の結党以来、政策本位、対決より解決の旗を掲げて、あらゆる壁に挑んできました。三十年変わらなかった百三万円の壁を動かし、現役世代、働く納税者、生活者のために戦ってきました。
その結果、今回の改正で、所得税のいわゆる百三万円の壁は、所得制限はあるものの、給与所得控除と基礎控除の引上げにより、百七十八万円まで引き上げられることとなりました。
一方で、個人住民税は、地域社会の費用の負担を住民が広く分かち合う地域社会の会費的な性格を有するとして、住民税の基礎控除は据え置かれました。
昨年末に公表された与党の税制改正大綱では、所得税について、基礎控除の額が定額であることにより、物価が上昇すると控除の実質的な価値が減少し、結果として、実質的な税負担が増加するという課題があると指摘をしていますが、これは住民税でも同じではないでしょうか。
インフレで増えた国の税収をインフレで困っている国民に還元する。国民民主党は、減税一辺倒ではなく、インフレによる増税効果、すなわち、経済の伸び以上に取り過ぎた税を納税者にお返しするとの立場です。住民税についても、地方財政に十分配慮することを前提に控除額を引き上げ、国民の手取りを増やしていくべきだと考えますが、政府の考えをお伺いいたします。
次に、自動車関係諸税についてお伺いします。
国民民主党の主張が大きく取り入れられ、今回の改正案では、軽油引取税の当分の間税率の廃止、自動車税及び軽自動車税の環境性能割の廃止などの減税を実施することとしていますが、今回の減税策について、国民の生活への効果について政府の評価を伺います。
続いて、地方財政への影響についてお尋ねします。
政府は、減税による地方税収の減少が地方行政サービスに影響を与えるとの懸念を示していますが、地方財政の仕組みとしては、税収減は交付税措置等によって一定程度補填される制度となっています。行政サービスの低下を前提とした議論は、住民の不安を過度にあおる可能性があります。
私も地元で、許斐さん、軽油やガソリンの暫定税率なくしたら道路がぼこぼこになってしまうっちゃないと、街灯も消えるかもしれんって言われとるけど、その辺りはどげんなっとうととやはり聞かれます。
令和八年度に関しては地方特例交付金により全額補填されますが、その後、令和九年度から、地方財政の持続可能性を確保しつつ、国民生活の負担軽減を図るための具体的な財源の考え方について、改めて政府の見解をお伺いいたします。
加えて、自動車は地方において生活に不可欠な移動手段であり、地域の産業や日常生活を支える基盤です。しかし、取得、保有、使用の各段階でいまだに多くの税が課され、制度は複雑で負担が重いとの指摘があります。
国民民主党としては、地方の実情や地域経済への影響を十分に考慮すると、今後の抜本的な自動車税制改革、すなわち減税を行うべきだと考えますが、政府の考えをお聞かせください。
また、減税の財源として、いわゆる走行距離課税やモーター出力課税については、車が必需品である地方のユーザーや物流事業者への影響が懸念されるとともに、脱炭素化に逆行することとなるなど、経済への悪影響も含めて多くの課題があり、議論の俎上にのせるべきではないと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
次に、令和八年度の地方財政対策の策定における考え方について伺います。
令和八年度地方財政対策は、地方税や地方交付税法定率分の大幅な増加などを背景として、物価高への対応、いわゆる教育無償化への対応、地域未来基金費の創設など、自治体が直面する諸課題に対処するための財源を確保しつつ、交付税特別会計借入金の残高の縮減や臨時財政対策債償還基金費の創設など、地方財政の健全化の取組を進めています。
これにより、一般財源総額は交付団体ベースで前年比三・七兆円増の六十七・五兆円、地方交付税総額は前年度比一・二兆円増の二十・二兆円を確保し、赤字地方債である臨時財政対策債は、令和七年度に引き続き二年連続で新規発行額がゼロとなっています。
このように、今回の地方財政対策については、地方の財源確保と地方財政の健全化を両立したものとして理解しておりますが、改めて、策定する上での考え方や重視した点について、政府の見解をお伺いいたします。
次に、交付団体の一般財源総額が増加した要因について伺います。
令和八年度の交付団体ベースの一般財源総額は、先ほど述べたように、前年度比三・七兆円増という大幅な増加となりました。
一般財源総額実質同水準ルールが設定された平成二十三年以降、交付団体ベースの一般財源総額が前年度比で一兆円以上増加したのは令和二年と令和七年の二年のみであり、いずれも増加額は一・一兆円でした。今回の三兆円の増加がいかに大きいものかが分かります。この異例とも言える増額が実現したのはなぜか、政府の見解を伺います。
次に、交付税特別会計借入金の残高縮減について伺います。
令和八年度において、地方の一般財源総額及び地方交付税総額について、前年度を上回る額を確保しつつ、赤字地方債である臨時財政対策債を発行せず、交付税特別会計借入金の残高を縮減するなど、地方財政の健全化が図られています。
地方交付税総額について、前年度を一・二兆円上回る二十・二兆円を確保したことは評価しますが、その一方で、貴重な交付税財源を交付税特別会計借入金の残高縮減に二・九兆円も充てたことには疑問があります。高市政権が積極財政をうたうのであれば、交付税特別会計借入金の残高縮減に充てる額の一部は、地方交付税として地方に交付すべきではないかと考えます。
特に、地方においては、例えば、公立高校の魅力向上等に向けたソフト事業や、地域の活性化、発展に向けた独自の事業など、やりたくても財源がないためにできないことが数多くあります。このような、地方が独自の施策を行うための財源を確保するため、借入金残高の縮減ではなく、地方交付税の総額を更に積み増した方がよかったのではないか、政府の見解を伺います。
地方は、従来から、臨時財政対策債の廃止を要望してきました。今回、臨時財政対策債の根拠規定を延長しなかったことで、臨時財政対策債は廃止されたと考えていいのでしょうか。空文化しているとはいえ、規定自体は残っているため、今後、財源不足が増加した場合には、また臨時財政対策債を発行することもあり得るのか、政府の答弁を求めます。
地方が、物価高への対応、地域経済の活性化、子育て施策の充実など、様々な課題に対処しながらも、安定的に行政サービスを提供できるようにするためには、臨時財政対策債の発行に依存しない、持続可能な地方財政制度の確立が求められています。今後、持続可能な地方財政制度の確立のため、地方交付税の法定率の引上げも含め、どのように制度改革を進めていくのか、政府の見解を伺います。
物価高になり、国民の暮らしは大変厳しいものです。特に、地方は、人口減少も相まって厳しい環境に置かれています。一人親家庭の相対的貧困率が四四・五%になり、全国の子供食堂の数は一万二千か所を超えています。親ガチャという言葉が表すように、親の所得によっては子供が進学を諦める、夢を諦めざるを得ない国になってしまいました。
加えて、最近は、地域ガチャという言葉で、生まれた地域をやゆすることもあります。地方は疲弊し、近くには金融機関も商店街もなくなり、学校や医療にもアクセスしづらい国になってしまいました。こういう国を次の世代に押しつけてはなりません。
国民民主党は、対決より解決の姿勢で、国民生活と地方の暮らしを守る政策の実現に取り組んでまいります。
国民の声に真摯に向き合った、誠意ある答弁を求め、私の質問を終わります。
御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 許斐議員からの御質問にお答えいたします。
まず、一人親世帯への支援について御質問がありました。
一人親家庭では、子育てと生計の担い手という二重の役割を一人親の方が一人で担われており、多様な困難に直面し得ることから、これらの困難を乗り越えるための支援を行っていくことが重要でございます。
そのため、経済的な支援を充実する観点から、税制面ではひとり親控除の控除額を引き上げるとともに、給付面では、こども未来戦略の加速化プランに基づき、こども家庭庁において児童扶養手当の拡充を行っているものと承知をしております。
こうした支援をお届けしていくことが重要と考えており、引き続き、こども家庭庁を始めとする関係省庁と連携して取り組んでまいります。
次に、住民税の控除額の引上げについて御質問がありました。
個人住民税の基礎控除等については、令和八年度与党税制改正大綱において、地域社会の会費的な性格や、地方税財源への影響等を総合的に勘案し、自治体の皆様の意見を踏まえつつ、必要な対応を検討することとされております。
令和八年度改正におきましては、所得税と同様の措置として、給与所得控除の見直しについて対応する一方で、基礎控除額は据え置くこととされたところですが、政府としても、大綱を踏まえ、検討してまいります。
次に、軽油引取税の当分の間税率の廃止と、自動車税及び軽自動車税の環境性能割の廃止の国民生活への効果に対する評価について御質問がありました。
まず、軽油引取税の当分の間税率の廃止については、トラック等の営業用車両一台当たり年間平均約七万三千円程度の税負担軽減効果があると推計をされます。
環境性能割の廃止については、平均的な取得価額三百万円の自家用乗用車一台当たり最大九万円程度、取得時の税負担が軽減をされます。
このように、これらの措置は、運輸事業者や一般の自動車ユーザーの負担軽減に資するものと考えております。
次に、安定財源の確保について御質問がありました。
軽油引取税の当分の間税率の廃止及び自動車税、軽自動車税の環境性能割の廃止に伴う地方団体の税収減については、議員から御指摘がありましたとおり、令和八年度においては、地方特例交付金によって全額を補填することとしているところでございます。
その上で、今後の安定財源の確保に向け、軽油引取税の当分の間税率の廃止に係る安定財源の確保については、令和七年十一月五日の与野党六党合意を踏まえ、令和八年度与党税制改正大綱において、租税特別措置の見直し等による地方増収分を活用するほか、具体的な方策を引き続き検討し、令和九年度税制改正において結論を得るとされております。
また、環境性能割の廃止に係る安定財源の確保については、同大綱において、安定財源を確保するための具体的な方策を検討するとされております。
総務省といたしましては、こうした大綱の記載を踏まえ、地方の安定財源の確保に向け、適切に対応してまいります。
次に、今後の自動車税制改革に対する政府の考え方について御質問がありました。
令和八年度与党税制改正大綱において、自動車関係諸税については、日本の自動車戦略、インフラ整備の長期展望、カーボンニュートラル目標実現等の観点を踏まえ、国、地方を通じた安定的な財源確保を前提に、中長期的な視点から検討するとされております。
こうしたことも踏まえて、与党税制調査会でも御議論いただきまして、政府としては、その結果を踏まえて適切に対応してまいります。
次に、走行距離課税や出力課税について議論すべきではないかと御質問がありました。
御指摘のいわゆる走行距離課税や出力課税につきましては、政府として具体的に検討しているわけではございません。
次に、地方財政対策で重視した点について御質問がありました。
令和八年度の地方財政対策では、地方自治体の皆様から強い要望のあった一般財源総額の確保について、交付団体ベースで前年度を大幅に上回る六十七・五兆円を確保するとともに、地方交付税総額について、前年度を一・二兆円上回る二十・二兆円を確保しました。
また、臨時財政対策債の新規発行額をゼロとするなど地方財政の健全化に配慮しながら、官公需の価格転嫁を推進する観点から〇・六兆円を増額計上するなど、地方自治体が重要課題に対応しつつ行政サービスを安定的に提供できるよう、最大限の対応ができたと考えております。
次に、一般財源総額の増について御質問がありました。
令和八年度地方財政計画においては、骨太方針二〇二五において、経済、物価動向等を適切に反映するとされたこと等を踏まえまして、物価高の中での官公需の価格転嫁、いわゆる教育無償化への対応、人件費や社会保障関係費の増などの歳出を適切に計上をし、それに対応する財源を確保することといたしました。
その結果、交付団体ベースの一般財源総額について、昨年度を三・七兆円上回る六十七・五兆円となったものでございます。
次に、地方交付税総額の更なる積み増しについて御質問がありました。
令和八年度地方財政計画においては、経済、物価動向等を適切に反映するなど、必要な歳出を適切に計上し、結果として、地方交付税総額について前年度を一・二兆上回る二十・二兆円を確保しました。
一方で、地方財政は巨額の特例的な債務残高を抱えるなど、引き続き厳しい状況にあることから、その健全化を進めることも重要でございます。
地方六団体からは、地方交付税の総額を確保しつつ、地方財政の健全化が図られている点について評価をいただいているところでございます。
次に、今後の臨時財政対策債の在り方について御質問がありました。
臨時財政対策債の規定については、過去に特例的に設けた地方債の規定の取扱いに鑑み、規定を削除せず残しているものでございまして、新規発行を想定しているものではありません。
地方財政の健全化のため、今後とも、臨時財政対策債に頼らない財政運営を目指してまいります。
最後に、持続可能な地方財政制度について御質問がありました。
地方自治体が行政サービスを安定的に提供するためには、地方が自由に使える財源をしっかりと確保することが重要です。
今後とも、地方交付税を含め、必要な一般財源総額の確保に取り組んでまいります。
なお、交付税率の引上げについては、臨時財政対策債に頼らない財政運営が可能となっている状況等を踏まえつつ、今後も地方財政収支の状況等を見極めながら、政府部内で必要に応じて議論をしてまいります。(拍手)
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○副議長(石井啓一君) 武藤かず子さん。
〔武藤かず子君登壇〕
○武藤かず子君 チームみらいの武藤かず子です。
本日は、地方税に関する法律案について質問の機会をいただきました。会派を代表して質問してまいります。(拍手)
ふるさと納税制度の見直しと納税証明書等のデジタル化という二点について、お伺いしてまいります。
ふるさと納税に関してです。
寄附金の活用可能額の割合を六〇%と設定し、令和八年度から段階的に目標を定め、令和十一年度に六〇%を目指すとあります。
この数値は、寄附総額に対して、返礼品や事務経費を除いた後、実際に地域振興のために活用できる割合の下限を定めるものと理解をしておりますが、なぜ六〇%を基準として設定されたのでしょうか。
返礼品の送付に係る物流費が近年高騰している中、物流費の上昇分を返礼品の調達費用削減や寄附金額の見直しで吸収することを自治体に求めることになれば、返礼品の質、量の低下、地場産業への影響を懸念するところでございます。
この寄附金の活用可能金額の割合の基準値について、その政策的、財政的な根拠を林大臣に御説明いただきたいと思います。
次に、本制度の根本的な趣旨についてお伺いいたします。
個人住民税は、本来、住民がその居住地において受ける行政サービスの対価として負担するものでございます。言うなれば、住んでいる自治体を支えるための税であり、応益性、また地域社会の会費という性格を有するものでもございます。
しかし、ふるさと納税制度は、居住地以外の自治体へ寄附することで個人住民税が実質的に控除される仕組みであり、居住自治体の税収が減少するという構造を持っています。
政府は、この制度が住民税の本来の趣旨と整合しているとお考えでしょうか。あるいは、整合しない側面があることを認識された上で、政策目的として許容されているのか。制度の本質に関わる問いとして、明確に御見解をお聞かせいただきたいと思います。
続いて、納税証明書等のデジタル化についてお伺いいたします。
与党の税制改定大綱においては、納税証明書等のデジタル化の仕組みの導入に向けた取組を進める旨の文言があったと承知をしております。しかしながら、今回の地方税改正の法案においてはその文言が盛り込まれておりませんでした。
納税証明書等のデジタル化といった国民の利便性向上に係る重要な取組について今後どのように進めていくのか、御説明いただきたいと思っております。
また、デジタル化の仕組みを実際に運用するためには、eLTAX、マイナポータルの更改また改修も想定されますが、実装時期の見通しが立っているのかをお伺いいたします。
また、この仕組みが実際に利用可能とするための、そのシステムの改修に係る費用は、国と地方でどのように分担するお考えでしょうか。地方自治体に過度な負担が生じないよう、明確な枠組みを示していただく必要があると考えております。
以上、ふるさと納税の健全な発展と地方税務手続のデジタル化は、地域の持続可能な未来を支えるための基盤となるものです。制度の整合性を高め、実装の見通しを明確にすることが地方行政への信頼につながると考えております。林大臣の明確な御答弁をお願い申し上げます。(拍手)
〔国務大臣林芳正君登壇〕
○国務大臣(林芳正君) 武藤議員からの御質問にお答えいたします。
まず、ふるさと納税の寄附金活用可能額に係る基準について御質問がありました。
令和六年度におけるふるさと納税の受入額は一兆二千七百二十八億円にまで拡大している一方、ポータルサイト運営事業者への手数料等は千六百五十六億円と、ふるさと納税の受入額の一三%にも達しております。
受け入れた寄附金については、ふるさと納税制度の趣旨に即して、自治体における行政サービスの充実や地域振興のために活用されるべきであり、区域外に流出するポータルサイト事業者などに支払う手数料等については、できる限り縮減をしていく必要があると考えております。
このため、今回の地方税法の改正案において、自治体が実施する事業に活用できる寄附金の割合を引き上げていくこととし、その割合は、直近の実績が五三・六%であること、返礼品の調達費や事務費等に一定の費用をかけている実態があることなどを総合的に勘案して、六割と設定したところでございます。
次に、個人住民税の会費的性格とふるさと納税について御質問がありました。
ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものとして創設された制度です。
ふるさと納税における特例控除額は、地域社会の会費という個人住民税の性格を踏まえ、住所地の自治体に納付される個人住民税額が大きく減少することがないよう、個人住民税所得割額の二割を上限としてきたところでございます。
また、今回の地方税法の改正案においては、個人住民税所得割の額の二割の上限に加えて、百九十三万円の定額の上限を設けることとしております。
今後とも、個人住民税の本来の性格も踏まえつつ、ふるさと納税の趣旨に沿って、制度が適正に運用されるよう取り組んでまいります。
次に、納税証明書等のデジタル化に関して、今後の進め方について御質問がありました。
令和八年度与党税制改正大綱においては、中期的な検討課題として、更なる税務手続のデジタル化に向け、地方税関係通知のうち納税証明書等の各種証明書について、eLTAX及びマイナポータルの更改、改修スケジュール等を考慮しつつ、電子的に送付する仕組みの導入に向けた取組を進めると記載されているものと承知をしております。
納税証明書等のデジタル化に関しては、地方税共同機構に設置されている地方税における電子化の推進に関する検討会において、今後、実装に向けた具体的な検討を進めていくこととしております。
最後に、納税証明書等のデジタル化の実装時期及びシステム改修に係る費用負担についての御質問がございました。
納税証明書等のデジタル化の実装時期につきましては、今年度開催されました検討会では、システム構成等が固まって初めて決定するものとしておりまして、今後、諸課題を踏まえて、具体的に検討してまいります。
また、システム改修に係る費用負担につきましては、eLTAXを管理運営する地方税共同機構は地方団体が共同して運営する組織であり、その費用は地方団体が負担することとされていることから、仮にeLTAXの改修を通じて証明書の電子的送付を実現する場合、地方団体がその費用を負担することを想定をしております。(拍手)
○副議長(石井啓一君) これにて質疑は終了いたしました。
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○副議長(石井啓一君) 本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十七分散会
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出席国務大臣
総務大臣 林 芳正君
財務大臣
国務大臣 片山さつき君
経済産業大臣 赤澤 亮正君
国務大臣 城内 実君
出席副大臣
総務副大臣 高橋 克法君
財務副大臣 中谷 真一君

