衆議院

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第4号 平成28年10月26日(水曜日)

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平成二十八年十月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 秋元  司君

   理事 谷川 弥一君 理事 平井たくや君

   理事 ふくだ峰之君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 文明君 理事 緒方林太郎君

   理事 神山 洋介君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      大岡 敏孝君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      神谷  昇君    木内  均君

      國場幸之助君    今野 智博君

      武村 展英君    中山 展宏君

      長坂 康正君    長島 忠美君

      福田 達夫君    藤原  崇君

      務台 俊介君    和田 義明君

      阿部 知子君    井出 庸生君

      泉  健太君    大串 博志君

      岡田 克也君    金子 恵美君

      高井 崇志君    辻元 清美君

      角田 秀穂君    濱村  進君

      池内さおり君    島津 幸広君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (宇宙政策担当)     鶴保 庸介君

   内閣府副大臣       石原 宏高君

   内閣府大臣政務官     武村 展英君

   内閣府大臣政務官     豊田 俊郎君

   内閣府大臣政務官     務台 俊介君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   防衛大臣政務官      小林 鷹之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  佐々木俊一君

   政府参考人

   (内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室次長)  二宮 清治君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       甲斐 正彰君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長)            塩川実喜夫君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局長)        高田 修三君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官)      佐伯 浩治君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         渡辺 克也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小泉  勉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          柳瀬 唯夫君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        田中  聡君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     藤原  崇君

  辻元 清美君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  藤原  崇君     福田 達夫君

  阿部 知子君     辻元 清美君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     武部  新君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案(内閣提出、第百九十回国会閣法第四一号)

 衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案(内閣提出、第百九十回国会閣法第四二号)


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     ――――◇―――――

秋元委員長 これより会議を開きます。

 第百九十回国会、内閣提出、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案及び衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案につきましては、第百九十回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取いたしておりますので、これを省略するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案

 衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

秋元委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官佐々木俊一君、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室次長二宮清治君、内閣官房総合海洋政策本部事務局長甲斐正彰君、内閣官房内閣情報調査室内閣衛星情報センター次長塩川実喜夫君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局長高田修三君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官佐伯浩治君、総務省総合通信基盤局電波部長渡辺克也君、外務省大臣官房審議官水嶋光一君、外務省大臣官房参事官小泉勉君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、経済産業省経済産業政策局長柳瀬唯夫君、防衛省防衛政策局次長岡真臣君、防衛装備庁プロジェクト管理部長田中聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧島かれん君。

牧島委員 皆様、おはようございます。自民党の牧島かれんです。

 本日は、通称宇宙活動法、そして衛星リモセン法について質問させていただきます。

 まず、日本の宇宙開発の歴史について、少し振り返ってみたいと思います。

 一九五五年の糸川博士のペンシルロケットに始まり、日本は一九七〇年、ソ連、アメリカ、フランスに続いて、世界で四番目に、日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功しました。その後も、静止気象衛星「ひまわり」や小惑星探査機「はやぶさ」など、日本の宇宙開発技術は進化を続け、国際宇宙ステーションでは多くの日本宇宙飛行士が活躍をしています。また、若田光一宇宙飛行士は、日本人初のISS船長として、長期滞在を指揮するまでになりました。

 このように、日本は、宇宙の技術の革新が進み、なおかつ、世界に対しても大きな貢献をしていると私は考えております。

 そこで、大臣にお尋ねさせていただきます。

 日本の宇宙政策の方向性について、ぜひその指針を教えてください。

鶴保国務大臣 本年四月に閣議決定をされました宇宙基本計画、ここにおきましては、宇宙安全保障の確保、民生分野における宇宙利用の推進、宇宙産業及び科学技術の基盤の維持強化の三つを、今後十年間の宇宙政策の目標と定めております。この目標に従いまして、我が国も産業振興としての宇宙政策を重点的に行いたい。

 特に、委員御指摘のとおり、昨今の宇宙産業をめぐる地平は大きく変化をしております。世界じゅうが宇宙産業の振興にしのぎを削っている中で、我が国としても、海外展開に積極的に取り組むことが重要であると考えております。

 準天頂衛星を初めとした各種の宇宙システムを整備するとともに、宇宙を利用した新事業、新サービスの創出など、宇宙開発利用戦略を強力に推進してまいりたいというふうに考えております。

牧島委員 ありがとうございます。

 今大臣がお話をしてくださいましたとおり、宇宙基本法の理念にのっとって宇宙の基本計画が指針として示され、また、宇宙産業へ日本の多くの事業者も期待をしているというのが現状ではないかと思います。このような背景のもとで、このたび宇宙活動法が提出をされたというふうに理解しています。

 昨今では、民間企業の宇宙活動が期待できる状況になってきています。だからこそ必要な法律なわけでございますが、民間企業の活動の現況について、ぜひ副大臣からお伝えいただければと思います。

石原副大臣 お答え申し上げます。

 我が国の宇宙産業が置かれている国際環境は大変厳しいものがあるというふうに認識しております。各国が厳しい国際競争の中で懸命に頑張っている状況であります。また、国際的には、人工衛星から得られる情報を用いたベンチャーの動きもあり、我が国もおくれをとらないように、ベンチャー育成に取り組んでいかなければいけないというふうに考えているところであります。

 これまでも政府としては、今後二十年を見据えて十年間の宇宙基本計画を策定し、宇宙産業にかかわる事業の予見性を高めることなどに努めてまいりました。しかしながら、宇宙を用いた新たな産業や衛星データの活用、サービスの掘り起こしはまだまだ余地があるというふうに考えているところであります。

 このような観点から、宇宙二法の制定は、審査基準の明確化等により、事業の予見性を高め、新規事業者の参入を促すものとして期待しているところであります。

牧島委員 今、副大臣の方からベンチャーの育成というお話がありました。

 宇宙条約第六条では、自国の非政府団体、ここにはベンチャーも含まれると思います、の宇宙活動に対しては、国の許可及び継続的監督が必要とされています。これに対応した担保法というものは世界各国でつくられているのでしょうか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 米国、フランスのほか、オーストラリア、韓国など、人工衛星の打ち上げや人工衛星の運用など何らかの宇宙活動を実施している国を中心に、これまで二十二カ国が自国の宇宙活動に関する法律を整備していると承知しております。

牧島委員 既に二十二カ国が整備をされているということでありますので、日本においても、民間企業の宇宙活動が進展している中、諸外国と同様に担保法を制定することは必須だと考えます。その際、安全の確保が重要でありまして、万が一の事故についても制度を整えていかなければなりません。

 人工衛星などの打ち上げや管理は許可制とされていますが、どのような点を事前審査するのでしょうか。また、ロケットの落下などで損害を賠償しなければならなくなった場合、政府はどの程度補償することになっているのか、教えてください。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の目的として、宇宙の開発及び利用に関する諸条約を的確かつ円滑に実施すること、また、公共の安全を確保することとしております。

 このため、今法案におきましては、人工衛星打ち上げ用のロケットの設計が周辺の安全を確保するものだということ、人工衛星の構造が部品の飛散を防ぐ仕組みを講じられていることなどを規定しており、内閣府令においてその基準を設けることとしております。

 具体的な基準につきましては今後検討していくこととなりますが、人工衛星打ち上げ用ロケットの打ち上げ、あるいは人工衛星の管理において、基準を満たす設計、構造になっているか、そのための運用を行う能力があるかといった点について審査することになると考えております。

 また、お尋ねの賠償制度につきましてお答え申し上げます。

 ロケットの落下などによる第三者損害に対しましては、民間保険契約などを義務づけるため、実際に政府補償などが支払われる可能性は低い。しかしながら、民間事業者による人工衛星の打ち上げサービスへの参入を促進するためには、リスクの上限を設定することが必要であります。

 同様の政府補償制度を導入している米国などでは、約二十九億ドルを上限に政府補償額を設定しており、本法における政府補償の上限額は諸外国の制度とも遜色のない水準になるよう、今後検討を進めてまいりたいと考えております。

牧島委員 しっかりとした規定、そして運用を求めてまいりたいと思います。

 続いて、衛星リモセン法について質問します。

 近年の衛星リモセン記録は、空間においても、また時間においても、分解能力は大変上がってきています。また、コストも下がってきておりますので、衛星リモセン記録を活用する分野も広がってきています。

 例えば、農業分野であれば、衛星リモセン記録を分析することで米の生育状況を把握することができます。効率的に農作業を進めることができる、また農業の生産性向上にも寄与できるようになっていると考えています。さらに、防災、減災、鉱物資源、社会インフラの整備、維持といった分野でも衛星リモセン記録が活用できると考えます。

 こうした新サービス、さらには新産業へのニーズが高まるにつれて、新規に参入をしようと思うリモセン事業者がふえていくのではないかと思うのです。

 一方で、衛星リモセン記録が悪用されることも懸念しなければなりません。万が一にもテロリストの手に渡るようなことがあったら、安全保障上の大きな問題に結びかねません。だからこそ、こうした懸念への対応が重要だと思いますが、どのような対処が予定されているのでしょうか。

石原副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、衛星リモートセンシング記録が悪用の懸念のある国やテロリスト等の手に渡ると、国際社会の平和等に支障を生ずるおそれがあります。このため、民間事業者が衛星リモートセンシング装置を使用する能力を持つ米国、カナダ、ドイツ、フランスの四カ国では、衛星リモートセンシング記録を適切に管理するための法整備がなされているところであります。

 我が国においても、衛星リモートセンシング記録の悪用を防ぐため、法案の中において、一に、衛星リモートセンシング装置の使用にかかわる許可制度を設けて、いわば情報の入り口から管理するとともに、二番目に、衛星リモートセンシング記録保有者の義務及び衛星リモートセンシング記録を適正に取り扱う者の認定等を定めることにより、衛星リモートセンシング記録がテロリストの手に渡ることのないように取り扱いを確保していきたいというふうに考えているところであります。

牧島委員 今、副大臣の方から、悪用を防ぐ、入り口から管理をしていくという心強い御答弁をいただきました。

 また、同時に進めなければならないのは宇宙安全保障の確保だと思います。現在、宇宙ごみ、スペースデブリは増加を続けておりますし、宇宙空間は混雑してきている、混んできているとも言われています。各国の宇宙空間の安定的利用が難しくなっていくのではないかと指摘する専門家の声も聞こえてきています。

 そこで、日本の宇宙状況監視の体制の確立と能力向上を図る必要があると考えますが、防衛省が進めるSSAの現在の取り組み、また、さらに対策を強化するに当たって重要と考えている点について、お答えをお願いします。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 宇宙状況監視、いわゆるSSAの現在の取り組み状況でございますけれども、防衛省におきましては、米国及び国内関係機関との連携に基づく宇宙状況監視体制を構築するために、今年度は、宇宙監視システムに係るシステムの全体設計を実施しているところでございます。

 来年度でございますけれども、こうした今年度の取り組みを踏まえまして、防衛省といたしましては、運用システムに加えて、我が国の衛星、スペースデブリ、不審な衛星等に対して常時監視可能なセンサーを整備することを目指し、二十九年度概算要求でも関連の経費を計上しているところでございます。

 こうした宇宙状況監視体制の構築に当たりましては、文部科学省やJAXAといった関係政府機関が一体となった運用体制を構築することが必要と考えておりまして、引き続き政府横断的な取り組みを進めてまいりたいと考えているところでございます。

 また、御質問がありました、宇宙ごみやスペースデブリ等に対するSSAの能力を強化するに当たって重要な点ということでございますが、私ども防衛省といたしましては、米軍との連携が不可欠であるというふうに認識をしておりまして、宇宙協力にかかわります日米間の協議の場を通じ、情報共有でございますとか、あるいは要員の養成でありますとか、そういったことも含めまして、日米間の具体的な連携のあり方についてさらに検討を進めていきたいと考えているところでございます。

牧島委員 今、御答弁の中にありましたとおり、SSA全体の設計をさらに進めていただきまして、日米連携も重要だというふうに思います。

 このように、二国間また多国間を通じた政策調整、協力関係の検討も進んでいると思いますが、さらに信頼を醸成する体制を整えるためには、COPUOS、国連宇宙平和利用委員会などの場も活用しながら、国際的なルールづくりにも日本は積極的に参画すべきだと考えています。

 この点、外務省の御見解をお聞かせください。

水嶋政府参考人 先ほど委員からも御指摘ございましたが、近年、宇宙利用の多様化及び活動国の増加に伴いまして、宇宙空間の混雑化が進んでおります。宇宙ごみ、スペースデブリの増加によります人工衛星の衝突可能性の高まりなどによりまして、持続的かつ安定的な宇宙利用に関するリスクが増大をしていると認識してございます。

 このような状況に対応するために、御指摘の国連宇宙空間平和利用委員会、COPUOSでございますが、を初めとする多国間の枠組み、また、さまざまな各国との対話や協議の場を通じて、宇宙空間の持続可能な利用の確保に向けた議論が進められております。

 我が国は、こうした宇宙空間におけます国際的な規範づくりに関する議論に積極的に参画をし、宇宙空間における安全の確保に向けた取り組みに貢献をしているところでございますが、今後、官民を問わず、宇宙空間の利用の拡大、宇宙空間を利用したサービスが、国民生活にとっても一層重要になっていくことが見込まれますので、各国との対話や協議、国際会議の場を通じて、諸外国と緊密に連携をし、宇宙空間における法の支配の実現及び安全の確保に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

牧島委員 ぜひ国際的な規範づくりにかかわっていただきますよう、期待をしたいと思います。

 日本の安全保障にとって重要なもう一つの案件、MDA、海洋状況把握についても質問させていただきます。

 MDAは、国の防衛、安全、経済、環境に影響を与える可能性のある海洋に関する事象を効果的に把握するものとされています。シーレーンにおける海賊行為、我が国の領海及び排他的経済水域内での外国漁船による違法操業といった脅威への対応は、喫緊の課題となっています。

 そこで、宇宙の技術をMDAの能力の強化に活用すべく、海洋関連情報の集約そして共有のあり方について検討、整理が始まっていると理解していますが、総合海洋政策本部における現在の状況について教えてください。

甲斐政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、昨年十月に、衛星情報の活用を含めた我が国の海洋状況把握、いわゆるMDAに関するコンセプトを関係省庁間で取りまとめましたが、本年七月には、我が国のMDAの能力の強化を図るために、総合海洋政策本部決定を行っております。

 その内容は、簡単に申し上げますと、関係府省及び政府関係機関が連携協力をしまして、第一に、衛星情報を含む海洋情報の効果的な集約、共有などのための体制を整備すること。第二に、MDAの基礎となる海洋情報の収集、取得及び海洋観測などに関する基盤を強化すること。そして第三に、海洋観測、調査などに関します国際協力の推進に取り組むことでございます。

 現在、同本部決定に基づきまして、平成二十九年度から整備に着手いたします海上保安庁の海洋状況表示システムに対しまして、内閣情報調査室やJAXAなどで保有されておられます衛星情報の活用などにつきまして、検討を進めているところでございます。

牧島委員 ぜひ関係府省、機関の連携、そして国際協力の推進をお願い申し上げます。

 また、防衛省が進める陸海空の統合運用においても、それを支える通信基盤の整備をしていかなければならないという御指摘が出ているかと思います。この点、御所見を教えてください。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、防衛省で整備を進めておりますXバンド通信衛星、これは、統合機動防衛力の構築に向けまして、将来の通信所要、機能に見合うよう、次の三点におきまして能力の向上を図ることといたしています。

 まず一点目は、陸海空自衛隊の各部隊間で円滑な通信を確保すること、二点目は、より大容量の画像、映像データ、こういったものの伝送を可能とする通信容量の拡充、三点目といたしましては、海外で各自衛隊が活動しておりますけれども、こうした海外で活動する部隊へ必要十分な通信所要を確保すること、こういったことを図っていきたいというふうに考えているところでございます。

 このため、平成二十四年度以降、衛星二基の整備を進めておりまして、本年度末までに一基目を種子島から打ち上げる予定というふうにいたしております。また、本衛星は三基体制を目指しておりまして、三基目の整備等に必要な経費といたしまして、来年度の概算要求におきまして約一千億円の要求を行っているところでございます。

 防衛省といたしましては、引き続き本衛星の着実な整備に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。よろしくお願いいたします。

牧島委員 通信基盤の体制を整えていくということは大変重要なことであるというふうに改めて認識をさせていただきました。

 宇宙空間の平和的そして安定的利用の確保は社会の要請が高まってきています。また、宇宙活動に参入を目指す新規企業にとっては、速やかに明確な基準が示されることが重要です。また、リモセン記録についても、解像度の高い商用の衛星画像が既に存在をしている中で、安定した事業環境を整えていく必要があります。

 だからこそ、宇宙の可能性、安全保障上の重要性を鑑みたとき、この両面において宇宙活動法と衛星リモセン法は速やかに成立させる必要があるということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋元委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、いわゆる宇宙二法に対しての質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 私は、今から八年前、議員立法で宇宙基本法をつくりましたときに、自由民主党は河村建夫元官房長官、民進党は野田佳彦現幹事長とともに、議員立法に携わらせていただいた一人として、その宇宙基本法を受けての二法案が今回出されるということに対しまして、非常に感慨深いものがあります。

 宇宙基本法も、目的に始まって六つの基本理念、三十五条全てに対して、一つ一つ我々もチェックをしたわけでございますが、その宇宙基本法の三十五条に「政府は、宇宙活動に係る規制その他の宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束を実施するために必要な事項等に関する法制の整備を総合的、計画的かつ速やかに実施しなければならない。」という規定があるわけですね。

 当時、衆参ともに内閣委員会で決議が行われまして、本法の施行後二年以内をめどに、今の三十五条で書かれたさまざまな規制などに関する法制を整備するべきである、こういう決議がなされているんです。少し時間はかかりましたけれども、今の宇宙を取り巻く状況、民間企業がこれから宇宙活動を進展させ参入していくに当たりましては、活動に関する基準を明確にして予見可能性を向上させる、さらには、打ち上げに伴うリスクに対する公共の安全の確保、さらに、万が一の損害が発生した場合に被害者の保護を図ることというのは大変重要なことでありまして、今回の法整備というのは、私は、少し時間はかかりましたけれども、ようやくここまで来たのか、これをしっかりと早期に成立させて環境を整えなければいけない、そのように考えているところでございます。

 それで、まず一本目の人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案につきましてお尋ねをしたいわけでございますが、宇宙基本計画の最新の第三次計画におきまして、この法律について触れている部分があります。

 それは、「四 我が国の宇宙政策に関する具体的アプローチ」の中に「新規参入を促進し宇宙利用を拡大するための総合的取組」、こういうことが最新の宇宙基本計画で決定をされているわけです。その中に、少し長いんですが、「超小型衛星の活用、衛星データの利用等の新たなビジネスモデルで勝負する民間事業者の新規参入を後押しする制度的な枠組みや、後述する「宇宙活動法」やリモートセンシング関連法に関する取組を含め、平成二十八年度末までに必要となる制度等を包括的に整備することを目指す。」こうなっているわけであります。

 この後段の部分は、今回二法案が提出されて、可決、成立すれば整備されることになるんですが、今のこの決定事項の中の前段の、超小型衛星の活用、衛星データの利用等の新たなビジネスモデルで勝負する民間事業者の新規参入を後押しする制度的な枠組みを整備することを目指す、そういうふうになっているわけですね。

 今回、新たなビジネスモデルで勝負する民間事業者の新規参入を後押しする制度的な枠組みというのは、この二法案に含まれているということなのか、それとも、別途そういう制度的な枠組みを整備されていくのか。整備するとすれば、どのような制度的な枠組みを検討し、この新規参入を促進されようと考えておられるのか。まず鶴保宇宙政策担当大臣にお尋ねしたいと思います。

鶴保国務大臣 佐藤委員が宇宙基本法の策定に多大な御尽力をされたこと、改めて敬意と感謝を申し上げたいというふうに思います。そうした宇宙基本法を受けての今回の二法案でございます。

 もう委員御承知のとおり、今回の二法案につきましては、これらの基本法の理念を踏まえ、民間事業者におけるロケットの打ち上げや、衛星リモートセンシング記録の適切な取り扱いに際し、必要となる環境を整備し、そして事業の予見可能性を高めるものであるということは御承知のとおりであります。

 これと加えて、法案以外の枠組みでありますが、宇宙基本計画工程表におきまして、宇宙機器・利用産業の将来動向や政府の関与のあり方等について検討することとさせていただいております。

 本年六月、宇宙政策委員会のもとに宇宙産業振興小委員会を設置いたしまして、宇宙産業ビジョンの検討を始めさせていただき、これまでの小委員会では、宇宙機器産業や利用産業の現状と課題等について議論させていただいております。

 今後、具体的な支援のあり方も含め、来年春ごろに宇宙産業ビジョンを取りまとめる予定であります。

 政府として、宇宙産業の振興に向け、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

佐藤(茂)委員 ぜひ、その宇宙産業ビジョン、ただのビジョンで終わるのではなくて、しっかりと実効性のあるものにしてもらいたいと思うわけでございます。

 そこで、今ございました産業の振興というのが、私どもも、宇宙基本法をつくりましたときの六つの基本理念の中で、三つ目に掲げさせていただいたわけでございます。今回この法律、この後、残り時間、もう多分、宇宙に関連する法案というのは何年かに一回ぐらいしか出てこないと思うので、その解釈をしっかりと政府側として、何点か確認させていただきたいと思うんです。

 一つは、第一条の「目的」、ここについて確認をさせていただきたいんです。

 先ほど言いましたように、産業の振興という観点は非常に大事なんですが、少し懸念があるのは、昨年六月二十四日の宇宙政策委員会の中間取りまとめの中の宇宙活動法に対する基本的な考え方の中で、宇宙活動法を制定する意義として三つ挙げられているわけであります。その一つが「民間宇宙活動の時代に対応した宇宙諸条約の誠実な履行」、二つ目が「公共の安全の確保」、そして三つ目が「産業振興の制度インフラとしての法制」、こういうことが掲げられて、今回のこの法律に結びついているわけですね。

 ところが、今回の法律第一条の「目的」の中には、一つ目の宇宙諸条約の誠実な履行ということは書かれております。二番目の公共の安全の確保ということも条文上明確にされているわけですが、三番目の産業の制度インフラとしての法制という意義が、条文上、第一条を読む限り明記されていないようにも受け取れるわけですが、何ゆえ、産業振興の制度インフラ、そういう目的を条文上明記されなかったのか、お伺いをしたいと思います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、その目的において、宇宙基本法の基本理念に基づくこととしております。同基本理念には、産業の振興に努めるべき旨が定められていることから、本法案の目的には、産業振興が一つの柱として含まれているというふうに解しております。

 また、法第三条におきまして、この法律の施行に当たっては、我が国の人工衛星等の打ち上げ及び人工衛星の管理に関する産業の技術力及び国際競争力の強化を図るよう適切な配慮をすることとしており、本法の施行を通じた産業振興に努めてまいる所存でございます。

佐藤(茂)委員 ぜひ産業の振興という観点、我々が宇宙基本法をつくったときにも、それまではやはり、どちらかというとJAXA、文科省を中心とした研究に特化していた、そういう宇宙開発というものを、もう少し視野を広げよう、そういう観点の一つに産業の振興というものもあったわけですので、そこには、これから行政として施策を進めていただく皆さんにもぜひ関心を持っていただきたいと思うわけであります。

 もう一つお聞きをしたいのは、第六条の「許可の基準」というところであります。

 最近も、中国が宇宙開発を進めて、神舟第十一号というのを十月十七日に打ち上げまして、天宮二号という中国独自の国際宇宙ステーション計画を進めているというように言われているわけでございますが、中国は、これによって六度目の有人宇宙船の打ち上げを行っているわけであります。

 日本の場合は、国際宇宙ステーションで、先日も、大西飛行士がロボットアームを使って民間輸送船を、シグナス六号機をキャッチするという極めて歴史的な任務を成功させたわけですが、国際宇宙ステーションまでの有人宇宙船の打ち上げというのは、現在ではロシアのソユーズに頼っている、そういう状況であります。

 そこで、この今回の法律の第六条の「許可の基準」で、内閣総理大臣が行う人工衛星等の打ち上げに係る許可の基準が条文化されているんですけれども、そのことに関連して、昨年六月二十四日の宇宙政策委員会の宇宙活動法に関する基本的な考え方において、有人宇宙輸送機の打ち上げは、当面、許可を行わないとする考え方が示されているわけですが、その理由は何ゆえなのかということと、あわせてもう一つ、政府としての考え方をお聞きしたいのが一つと、もう一つは、本法律案では有人宇宙輸送機の打ち上げの許可申請について想定されているのかどうか。仮に有人宇宙輸送機への許可申請が出されてきた場合に、宇宙政策委員会の先ほどの政策判断に沿って、打ち上げを却下することは本法律案ではできるのかどうか、そのことについての見解を伺いたいと思います。これは、大臣、ぜひ御答弁いただきたい。

鶴保国務大臣 有人宇宙輸送機の打ち上げについて、当面、許可を行わないこととさせていただきましたのは、現時点で、国内にそれを実現に導く技術基盤もなく、また、規制の対象となり得る立法事実としての具体的な計画も現在のところ承知をしておりません。そのためであります。

 また、本法案の条文におきまして、有人宇宙輸送機の打ち上げについて対象に含まれてはおります。ただし、具体的な計画を承知しておりませんので、その許可についても現時点では想定はしておりません。

佐藤(茂)委員 そうすると、追加で、そういうことはないんだけれども、当面が解消され、許可を行うような状況というのは、どういう状況になれば許可が行われるというように考えておられるのか、あわせて大臣に御答弁いただければありがたいと思います。

鶴保国務大臣 有人宇宙輸送機の打ち上げにつきまして、それを実現に導く技術基盤が確立をし、国内に所在する打ち上げ施設等を用いて行われることが見込まれることになった時点であります。

 したがいまして、先ほど、現時点ではそれが想定されていませんと申し上げましたが、それができ得る時点ということになろうかと思います。

 したがいまして、現実に即しまして、この法案においては、附則第五条において、この法律の施行後五年を経過した時点で、法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づき所要の措置を講ずるものとさせていただいております。

佐藤(茂)委員 それでは、続いて、二つ目に確認しておきたいのは、第九条「損害賠償担保措置を講ずべき義務」という条文がございます。打ち上げ実施者は、損害賠償担保措置を講じていなければ打ち上げを行ってはならないとなっているわけであります。

 民間の企業の皆さんがやはり参入していくのに、予見可能性という点では、これは極めて大事な点であります。具体的には「内閣府令で定める金額」、これを賠償措置額というそうですが、この賠償措置額を「ロケット落下等損害の賠償に充てることができるものとして内閣総理大臣の承認を受けたもの又はこれらに相当する措置であって内閣総理大臣の承認を受けたもの」、これを相当措置というように条文上書いていますが、というそうですが、この九条について二点まとめて伺いたいと思うんです。

 まず一点目に、この賠償措置額の目安として、事前に私どもの党でも政府側で御説明をいただいたときに、現在JAXAがH2AやH2Bロケット等を打ち上げる際の保険金額は約二百億円、そのように伺っておりますが、この法律案では、内閣府令で定める賠償措置額の目安はその程度と考えておられるのかどうか。

 二点目には、この九条の中にある相当措置、すなわち、「これらに相当する措置であって内閣総理大臣の承認を受けたもの」というのは具体的にどのような措置を想定されておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 人工衛星等の打ち上げに伴い発生し得る損害の規模は、ロケットの大きさや打ち上げる場所の周辺環境などによって異なってまいります。そのため、本法では、人工衛星の打ち上げ用ロケットの設計、打ち上げ施設の場所、その他の事情を勘案した上で、個別に保険額を算定することとしております。

 具体的な額につきましては、今後内閣府令で定めることとしておりますが、特にベンチャー企業等の新たな小型ロケットに対しましては、そのロケットの規模に応じた合理的な額となりますように検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、お尋ねのございました相当措置につきましては、例えば外国政府によるロケット落下等損害を賠償する旨の補償や、銀行による補償などが想定されているところでございます。

佐藤(茂)委員 ぜひ、法律が通ったら、しっかりと、ある程度の基準を明確に公表していただきたいと思うんですね。大体この程度の規模ならこのぐらいの額であるということを、ぜひはっきりさせていただきたいと思うわけであります。

 続いて、時間も限りがありますので、二本目の衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案について、まず条文の中身のことで一点確認しておきたいと思います。

 第十九条でございます。「衛星リモートセンシング記録の提供の禁止の命令」というところですが、「内閣総理大臣は、衛星リモートセンシング記録の利用が国際社会の平和の確保等に支障を及ぼすおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときは、」範囲及び期間を定めて記録の提供の禁止を命ずることができる、こういう条文であります。

 ここで言う「国際社会の平和の確保等に支障を及ぼすおそれがあると認めるに足りる十分な理由」というのは具体的にどのような事態や理由を想定されているのか、できるだけ明確にお示しをいただきたいと思います。

鶴保国務大臣 一般論といたしましては、この提供禁止命令の発動につきましては、個別具体的な状況に応じて総合的に判断をする必要があり、具体的な状況を一概に定めることはできないとは思っております。

 その上で、あえて申し上げるとするならば、例えば、衛星リモートセンシング記録が紛争当事国やテロ組織等によって利用され、武力紛争やテロ行為等が助長されるおそれがある場合、また、政治的、軍事的な情報収集手段として利用され、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれがある場合などには提供禁止命令が発動される可能性があると考えております。

 なお、提供禁止命令につきましては、衛星リモートセンシング記録を保有する者の経済活動を制約するものであることから、国際社会の平和の確保等に支障を及ぼすおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときに限って発動するものであり、その内容も必要最小限のものでなければならないと考えております。

佐藤(茂)委員 最後、残り時間二分ほどありますので、もう一つは、この衛星リモートセンシング政策というのは、先ほど質問された牧島先生もおっしゃいましたように、さまざまな分野でこの衛星リモートセンシングというのは活用できる余地があるわけですね。ただ、民生と安全保障の両分野における利用促進と、今回の法案で整備される管理強化のバランスをいかにとっていくかということが今後の課題だと思っております。

 やはり、この衛星リモートセンシングデータの利活用を促進する一方で、我が国の国益を阻害するような形でデータが利用されることのないように、政府が衛星画像データを適切に管理する。そのために必要となる法制度を整備することは今回できるかと思うんですけれども、あとは、この民生、安全保障の両分野で、衛星リモートセンシングの利用促進について、いかなる方針を決めて推進していくかということが問われてこようかと思うわけであります。

 最新の宇宙基本計画工程表でも、「我が国の安全保障上の利益とリモートセンシング衛星の利用・市場の拡大についてのバランスに配慮すべく、衛星リモートセンシング関連政策に関する方針を平成二十八年度末までに策定する。」というように明記されているわけですが、この工程表のとおり、リモートセンシング関連政策に関する方針をしっかりと検討してつくっていただきたいと思うんですが、大臣の見解を伺いたいと思います。

鶴保国務大臣 委員御指摘のとおり、産業の振興と規制のバランスを踏まえることは大変重要だと理解をしております。

 この方針、リモートセンシング関連政策に関する方針の検討に当たりましては、当法律案の制度の詳細を踏まえる必要があると考えておりまして、両者のバランスを勘案しながら、総合的に検討を進めさせていただきます。

 リモートセンシング衛星の利活用を一層推進していくため、リモートセンシング関連政策に関する指針の策定に向けて積極的に取り組ませていただきます。

 以上でございます。

佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

秋元委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民進党、緒方林太郎でございます。

 本日、宇宙関係二法の審議ということで、鶴保大臣、そして武井政務官、小林政務官、よろしくお願いを申し上げます。

 宇宙法に入ります前に、まず大臣に幾つか御質問させていただきたいと思います。

 大臣はスピードが大好きなようでございまして、七月中旬、大臣は四十キロ以上の速度オーバーで検挙されまして、反則金ではなくて、略式起訴の上、罰金を払っておられるというふうにお伺いをいたしております。これについての認識をまずお伺いしたいのと、あと、今は免許停止の状態でしょうか、大臣。

鶴保国務大臣 まず、免許停止の状態は抜けました。めでたくも返ってまいりました。

 あと、それに対する所感については、記者会見等で申し上げたとおり、襟を正して頑張ってまいりたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、スピード狂ではありません。しかし、仕事はしっかりスピード感を持ってやっていきたいというふうに考えております。

緒方委員 大臣は、十年前の二〇〇六年年末にも、三十五キロの速度オーバーで検挙されて罰金となっています。その際、大臣は自分のホームページに、反省、反省、それにしてもどこからこんな情報が出るんですかね、数年ぶりの交通違反、また襟を正さねばと書いておられます。

 情報が漏れるかどうかという話ではないというふうに思いますが、大臣、いかがですか。

鶴保国務大臣 それはそのとおりだと思います。その当時、私は率直にそう思って書いたものであります。

 今回の違反につきましても、余り申し上げておりませんけれども、十年ぶりの違反でありましたので、今回もそれは同じ思いでございます。

緒方委員 これで最後にしますが、十年前の時点で数年ぶり、そして、また襟を正さねばと書いています。ということは、これ以外にも、その前にもまた交通違反があるということですが、略式起訴による罰金を支払ったのは二〇〇六年と今回と二回だけですか。

鶴保国務大臣 若いころは、どうですかね、スピード違反であったかどうかわかりませんが、あったかもしれません。ただ、交通違反だけではなくて、さまざまな点で私は襟を正さねばならないと思うことはあります。

 したがいまして、今回も、その折々において襟を正さねばならない、そういう思い、所感を述べたものであると理解をいただければというふうに思います。

緒方委員 それでは、宇宙の法案に入っていきたいと思います。

 今回、宇宙関係二法ということでありますが、皆さん、ここまでの審議でも宇宙、宇宙という言葉を使っておられますけれども、そもそも宇宙というのは何ぞやという議論というのが根本的なところにあるのではないかと思います。地上からずっと高さが上がっていって、あるところまでは領空です。そして、どこからかが宇宙であります。

 かつて、昭和六十一年の参議院の内閣委員会で、外務省の政府委員がこのように答えております。「まだ合意がございませんけれども、大体上空九十キロとかあるいは百十キロとか、そういうところが討議の中心になっているようでございます。したがいまして、メートルで申しますと十万メートルでございましょうか、そのぐらいの高さのところで引くというのが大体のアイデアのようでございます。」というのが、今から三十年前の答弁としてございます。

 現在、宇宙というのはどのあたりからが宇宙だというふうにお考えでしょうか。これは武井政務官でよろしいですか、政務官。

武井大臣政務官 お答えいたします。

 過去の御質問等もあったわけでございますけれども、現在におきまして、宇宙諸条約、四つの条約があるわけでございますが、この中に、宇宙空間の定義というものについては明確な規定は存在しておりません。また、国連の宇宙空間平和利用委員会法律小委員会、こちらの方でも、長年にわたってこの議論はしておるところでございますけれども、現時点におきましても結論は得られていないというふうに承知をいたしております。

 宇宙空間の範囲に関する考え方にはさまざまなものがあるわけでございますけれども、例えば、宇宙物体の通常の衛星軌道飛行が大気の摩擦によって不可能になる高度、これが百キロメートル前後というふうに言われておりますが、以上からが宇宙の空間であるというような考え方もあると承知をしております。

 いずれにいたしましても、宇宙空間の定義や範囲は今定まっておりませんで、また、領空と宇宙空間の境界についても明確な境目というものが成っていないというのが現状であります。

 以上であります。

緒方委員 最後の、明確な境目がないという言葉がちょっとひっかかったんですけれども、考え方として、どこかまでが日本の主権を主張することができる領空であって、これは日本の主権を主張することができる場所ですので、どこからかが人類共有の財産というか、誰でも使っていいとされている、宇宙条約にあるような宇宙だということなんですが、外務省としてどういうふうに考えているかというのをお伺いしたいんです。

 領空があって、そこから、領空か何かはよくわからないけれどもちょっと不分明な空域があって、そして宇宙があるというふうに考えているのか、それとも、宇宙と領空というのは明確に切り分けられ、明確に切り分けられるんだけれどもその境がわからないという考え方なのか、いずれでございますでしょうか。

武井大臣政務官 領空の上限というものは、かねてより議論をしておるところでございますが、先ほども申し上げましたけれども、国際法上に明確に定まっているわけではないわけでございます。

 例えば、先ほど申し上げましたが、人工衛星軌道の一番低いところの高さ、これが高度八十キロから百六十キロというふうに言われております。また、空気力学上、いわゆる浮揚力、浮く力がなくなるのが高度約九十キロというふうにも言われております。他方で、空気の反作用によって飛行機が飛べる高度というのが高度約三十キロというふうに言われております。

 ですから、いずれにいたしましても、それぞれ見解が分かれているところでございまして、現段階において、ここから先が宇宙空間、ここから下をもって領空となすという定義は定まっていないというのが現状であります。

 以上です。

緒方委員 今お話を聞いておりますと、例えば低高度衛星を飛ばすときなどは、大気が存在をしていると、高速で行くときに非常に衛星が傷むとかそういう話があって、大体百キロから百十キロぐらいだということなんですが。

 もう一回だけお伺いいたしますが、少なくとも大気が存在しているところについては領空だというふうに認識をされる、そこから先がわからないということなのか、そのあたりはどうでしょうか、政務官。

武井大臣政務官 ありがとうございます。

 先ほど来申し上げておりますが、上限については現段階においては明確になっていないというふうに申し上げるに尽きるということでございます。

緒方委員 ここからは小林政務官にお伺いをいたしますが、弾道ミサイルとの関係でこの問題が出てくると思います。弾道ミサイルがどのあたりを飛んでいるかということによって、結構考え方が違うんだろうなと思います。

 今、自衛隊法の第八十二条の三では、防衛大臣は、弾道ミサイルが我が国に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命または財産に対する被害を防止するため必要があると認めるときは、我が国領域または公海の上空において破壊する措置をとるべき旨を命ずることができるということで、必ずしも領空概念とかそういうことと関係なく、よく定義のわからない上空という言葉が使われて、そこで破壊命令を出すことができるということなんです。

 よくよく考えてみると、すごく低高度というか数十キロぐらいのところを飛んでいるときというのは、我が国に飛来するおそれがあるとかないとか、その落下によって我が国領域における人命または財産に対する被害を防止する必要があるとかないとか以前の問題として、そもそも主権が侵害されているということになるんじゃないかと思うんですよね。

 このあたりの、自衛隊法における弾道ミサイル等に対する破壊措置と、そもそもの、主権がある地域を弾道ミサイルがばっと抜けていくということの関係についてどうお考えでしょうか、小林政務官。

小林大臣政務官 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘いただきました弾道ミサイルへの破壊措置につきましては、御指摘いただいた自衛隊法第八十二条の三に規定しておりまして、我が国領域または我が国周辺の公海の上空において破壊するものとされております。

 法理上は、委員おっしゃったとおり、弾道ミサイル等の高度、軌道にかかわらず、我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等であれば、自衛隊はこの条文に基づき対処できるということとされております。

 それで、例えばそれが外国に向かうような弾道ミサイルであった場合につきましては、仮に我が国の上空を横切るような、そういう場合に、このことだけをもって武力行使のいわゆる三要件を満たすということはありません。

 ただし、その時点における状況を全体的に評価した結果、これがその三要件を満たすような場合には、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るための自衛の措置として、我が国が当該弾道ミサイルを迎撃することも可能となる場合があるというふうに考えております。

緒方委員 そうすると、我が国の、例えば三要件を満たす云々と、自衛権の概念を今いろいろ言われましたけれども、それ以前の問題として、例えば高度二十キロぐらいのところをミサイルがぶわっと他国に向いて飛んでいるときというのは、そもそも、私は主権が侵害されているんじゃないかというふうに思うんですよね、それが日本に落ちるかどうかということと関係なく。そういうふうには防衛省は考えていないということですか、政務官。

小林大臣政務官 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただきました点につきましては、繰り返しになりますけれども、法理上、その高度、軌道にかかわらず、我が国に向けて現に飛来するミサイル等であれば、八十二条の三に基づいて対応することになると思いますし、また、それがその他の外国に向けて通過していく場合については、先ほど御答弁させていただいたとおりでございます。

緒方委員 答弁がなかなか難しいということはよくわかりました。

 これは事務方にお伺いをいたしたいと思いますが、弾道ミサイルに対する破壊措置のところで、「我が国領域又は公海の上空において破壊する措置をとるべき旨を命ずることができる。」とありますが、この上空というのはどこまでを指すというふうにお考えでしょうか、防衛省。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問がありましたとおり、自衛隊法第八十二条の三におきまして、我が国領域または我が国周辺の公海の上空において破壊するものと規定されているところで、今の上空というところについて御質問だったというふうに認識いたしましたが、これにつきましては、この法律上の規定にもございますとおり、具体的に何キロまでということが規定されているわけでは必ずしもないと思っております。他方、そこはもちろん能力の問題としてどこまでできるかという、そういう意味での限界はあろうかと思いますが。

 いずれにいたしましても、この法律の趣旨は、我が国に飛来する弾道ミサイルについて、これが我が国領域における人命または財産に対する被害を防止するためという目的に合致する形で迎撃をするということになろうかと思います。

緒方委員 能力の話がありました。そうです。何万キロというところに、撃ち落とせるわけでもないですし、対応できるわけでもないわけであります。

 ただ、法律用語で上空という言葉というのは余り聞かないのかなという気がするんですね。領空とか宇宙とかいう言葉はよくありますが、単に上空という言葉というのは、よく調べていないですけれども、法律用語として余りよく聞かないわけでありまして、空をどこか遠くまで見ていけば、どこかで必ず宇宙条約に当たるわけでして、この上空というのは、いずれにせよ、今言った領空の概念と宇宙の概念の境目のところがどこであるかという議論と重なってくるところがあるわけですが、大体答弁で政府の方針はわかりましたので、この話はここで終えさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 次に、宇宙開発に関する総論なんですけれども、宇宙産業の振興を図るために、日本も、例えば人工衛星であるとかいろいろなものを調達するとき、いろいろなところから調達できるようにすべきだと思うんですけれども、現在、日米構造協議のときだと思いますけれども、日米衛星調達合意というのが存在をしていて、基本的に、日本が人工衛星等々を調達する際、アメリカから優先的に調達をしているという実態がございます。

 別にアメリカから輸入すること自体が悪いと言うつもりはありませんが、アメリカから優先的に輸入するということになるときに、宇宙産業の振興の阻害要因になっているんじゃないかと思えるところもございます。これについて、鶴保大臣、いかがお考えでしょうか。

鶴保国務大臣 御指摘の日米衛星調達合意とは、非研究開発衛星の調達手続を指すと考えますけれども、この手続につきまして、平成二年、非研究開発衛星を調達するための、透明、公開、かつ無差別を原則とした競争的手続を我が国の自主的措置として決定し、書簡をもって米国に通報したものであります。

 したがいまして、米国政府も本書簡において同様の措置をとることとしておりまして、一方的な内容であるとの御指摘は当たらないというふうに考えております。

緒方委員 では、実際の調達の実態についてお伺いをいたしたいと思います。

 この合意に基づいて調達をされる人工衛星等々の宇宙に関する機材というのは、アメリカからかなり優先的に輸入しているんじゃないかと思いますが、では、これは事務方でお願いいたします。

小泉政府参考人 お答え申し上げます。

 事実の問題としてお答えをさせていただきます。

 今言及のございました書簡が交わされて以降、計十七基の非研究開発衛星の受注がなされております。うち十四基が米国メーカーからのもの、残り三基は国産のものでございます。(緒方委員「残り三基は何」と呼ぶ)国産のものでございます。

緒方委員 結局、先ほど大臣は、一方的なものだという指摘は当たらないということでありましたが、十七基あって、そのうちの十四基はアメリカから輸入をして、そして三基は国産だということで、一方的だという指摘は当たらないというその指摘が当たらないんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。

鶴保国務大臣 十四基と三基がどう評価をされるかは、またいろいろあるところだと思います。

 書簡におきましても、無差別を原則とした競争的手続を行うということになっておりますので、この存在が日本の宇宙産業の足かせになっているというふうには考えておりません。

緒方委員 では、認識をもう一度だけお伺いいたします。

 無差別でやったんだけれども、アメリカからの輸入が、結果として、十七基あったうちの十四基はアメリカで、日本の国産が三基で、例えばヨーロッパとかそういったところからの輸入がなかったことは、あくまでもマーケットメカニズムとか無差別の原則とかで行われた結果であり、何ら神の手が働いているとかそういうことはないという理解でよろしいですか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 日米衛星調達合意が結ばれた当時、我が国は大変大きな貿易黒字がございました。米国側は、日本が幼稚産業を保護しているだろう、日本の衛星の技術力は弱い、アメリカは強いはずだ、なのに日本の国内調達は日本の衛星ばかりを買う、これは何か不透明な貿易阻害措置があるんじゃないか、そういうことで、日米調達合意の中では透明な手続をとるという合意になったわけであります。

 そうして見ますと、これは率直に申し上げますが、やはり、米国は戦後一貫して宇宙開発を行っておりまして、それに比べまして、日本は一生懸命やってきましたが、実力面におきましては彼我の差がある。こういうことで、我が国の民間通信事業者なども、例えば、コスト、デリバリー、クオリティー、こういったものでいいものだったらもちろん日本のものを買いますと言いながら、なかなか、米国製などを買っているような状態にありまして、そういう意味で、我が国の衛星産業の力をもう一段強めていかなければいけないという状況は認めなければならないと考えております。

緒方委員 そのお気持ちはよくわかりました。

 単に私が聞きたかったのは、現在において、アメリカのものを積極的に買うとか、先ほど無差別という話がありましたので、マーケットメカニズムとかそういったものに基づいて調達をした結果、あくまでも結果として、アメリカのものが十四であり、日本が三だということなんですねということをお伺いいたしております、局長。

高田政府参考人 そのとおりでございます。

緒方委員 この件は、やり始めると、どこまで神の手が働いて、働いていないのかというのは水かけ論になりますので、今後の実行をよく見せていただきたいと思います。

 それでは、質疑を移りたいと思います。

 人工衛星によるさまざまな打ち上げのときの被害が生じるときに、どこまでどの主体が責任を持つかということについては、これは宇宙条約にもあるとおり、民間事業体でカバーできないものについては国がカバーをしていく、打ち上げ国にその責任を集約させる。これはもう昔から、私が大学時代、国際法を勉強していたときからずっとそうでありまして、これがようやく民間事業体にも導入されるようになったのかという思いがございます。

 まず最初にお伺いをいたしますが、資料等々に、この法律は宇宙条約の国内担保法であるというお話がございました。

 普通、条約を締結する際には、必ず国内担保法というのを定めます。けれども、今回、宇宙条約の国内担保法だということは、宇宙条約を締結した際に担保法に漏れがあったということなのか、それとも、世の中の移り変わりがあってそういう需要が出たということなのか。

 条約の担保法を条約が締結された何十年後にやるというのは、若干、違和感とまで言いませんが、余り普通の慣行ではないというふうに思いますが、これは外務省ですか。では、政務官。

武井大臣政務官 お答えをいたします。

 先ほど御質問がございました宇宙諸条約、これは宇宙条約以下、四つの条約を指すわけでございますが、この締結当時は、我が国における宇宙開発の実施の主体は、国の機関でございますとか、また、旧宇宙開発事業団、NASDAでございますが、こういったような、国と特別な関係を持つもの以外に存在というか想定をし得なかったということがございました。したがいまして、その当時においては、締結に伴い新規に立法措置をする必要性が認められなかったところでございます。

 しかし一方、もう御案内のとおり、近年は人工衛星及びロケットの小型化、また低価格化等の進展もいたしておるところでございまして、いわゆる宇宙産業への参入障壁が非常に下がっているといったような状況にあるわけでございます。かつ、民間の宇宙活動というものがこれだけ進展をしているという状況を踏まえまして、かかる現状に対応可能な立法措置が必要になっているといったような現状でございます。

 以上であります。

緒方委員 ありがとうございました。

 このロケット落下等損害賠償補償契約というものを国との間で交わして、最終的に国が補償する部分、事業者負担の分とか、そもそも契約して保険を掛けている、そして国が面倒を見るところ、そして事業者の負担ということであります。先ほど牧島議員の質問がございましたが、我が国としてどういうふうな財政措置を考えているかということについては、明確な答弁が必ずしもなかったのではないか。

 アメリカでは二十九億ドルという話で、遜色がないという表現をされたというふうに記憶をいたしておりますが、そもそも財政措置として、こういった、本来あってはならないことですけれども、ロケットが落下した際の損害賠償補償契約、日本としてどのような財政措置を想定しておられるか、そして上限額はどれぐらいなのかということは、いかがでございますでしょうか。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の損害賠償制度においては、民間保険契約等では補うことができないリスクを政府補償により引き受けることとしてございます。しかし、財政上の制約もございますので、一定の条件を設けることとしてございます。

 ただ、いずれにしましても、この上限等につきましては今後検討を進めてまいることになってございまして、その一つの考え方といたしましては、同様の政府補償制度を導入している米国、こちらの、先ほど先生からお話もありました二十九億ドルを上限にして補償額を設定しているということも参考にしながら、検討を進めてまいりたいと思っております。

緒方委員 済みません、答弁が少し後ろに行っちゃいまして、先ほど、遜色がないと言ったのを、参考にしたいと言ったんですが、どの程度を想定しておられますか。

佐伯政府参考人 失礼いたしました。言葉が足りませんでした。

 参考にしながら、遜色のない制度をつくっていきたいという趣旨でございます。

 失礼いたしました。

緒方委員 この法律には「会計年度ごとに国会の議決を経た金額」というふうに書いてあるわけですが、毎年の一般会計予算書にどういうふうに書き込まれるのかなというのが非常に関心があるんですけれども、これはどのように予算書上措置をとられるつもりでしょうか、内閣府。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 政府が補償契約を締結する金額につきましては、その年度内に契約が予定されるロケット落下等損害賠償補償契約、こちらの本数につきまして政府補償の額を乗じた金額を、当該年度の一般会計予算書における限度額として記載することを想定してございます。

緒方委員 確認でありますけれども、その上限額をこれから定めた上で、打ち上げるロケットの本数を掛け合わせた、結構大きな数字になりますよね。さっき言ったように、二十九億ドルということになると三千億円を超えるわけでありまして、例えば、将来的に、五本打ち上げますということになると、一兆五千億円という数字が書き込まれたりすることになるのかなと今聞きながら思ったんですが、具体的な数字はともかくとして、今の理解でよろしいですか。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御理解のとおりでございまして、一本ごとの上限額とそれからその本数ということになります。

 ただ、いずれにいたしましても、これはあくまで、そういう補償契約を結ぶことができるという趣旨となっております。

緒方委員 今、最後に答弁が少し気になったんですけれども、補償契約を結ぶことができると言われましたけれども、これは結ばなきゃいけないんじゃないんですか、審議官。

佐伯政府参考人 補償契約につきましては、これは事業者側との契約行為でございますので、その補償契約自体について、必ず結ぶというものではございませんということでございます。

緒方委員 それはちょっと心配になる答弁でありまして、宇宙条約上も、まず民間の保険契約を結んで、その後政府が補償する形でやっているというので、それはなぜそういう制度になっているかというと、一旦事故が起こるとすごいことが起こるから、だから政府が補償しましょうということでやっているわけですけれども、これが任意だということになると、民間で契約している部分だけで果敢にも打ち上げに行く人の存在を許容するということでありまして、損害を事業者で負担できないのがある意味放置されるという状態になるんじゃないかと思うわけですけれども、これは、できるという規定が気になりますが、いかがですか。

高田政府参考人 規定の書きぶりは審議官が申したとおりなんですが、先生が御指摘のとおり、これは事業の予見性を高めていくという趣旨なので、審査基準に合致したものについてはきっちり賠償の対象にさせていただきたいと考えております。

 また、金額の計上の仕方で、例えば二十九億ドル相当掛ける本数というのは多大な金になるのではないかということでありましたけれども、この場合は、言ってみれば予備費の枠の計上と同じようなことでありまして、財投におきましても、こういうものにつきましてもこのぐらいの幅を持った計上の仕方をするというのは、予算書においてはよくあることであると理解しています。

緒方委員 もっと質問をたくさん用意しているので、いろいろ聞きたいことがあるんですけれども、少し気になっているのが、事業者がコストを抑えたいと思って、ロケット落下等損害賠償補償契約をやるのはできるでしょう、いや、私は安く上げたいからそんなものは締結したくないですというふうに、そんな不届きな事業者は本当にけしからぬと思いますけれども、そういう事業者が仮に出てきたときに、それをとめる手法というのがないということなんですか、審議官。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 少し説明が不十分なところがございましたが、先ほど、契約につきましては、確かに任意、法案上は義務づけるものではございませんが、実際の契約に当たりまして特に保険料の徴収等はございませんので、これは民間事業者から見れば、極めて安心して契約でき、またその補償が得られるという趣旨のものでございます。

緒方委員 最初からその答弁があれば、長くならなかったなと思ったんですが。

 ただ、もう一つお伺いしたいのが、日本の民間事業者が日本から打ち上げた人工衛星、ロケット、余り具体的に想定することはないんだろうと思いますけれども、日本にとどまらず、どこでこの事故が起ころうとも、この補償契約は発動されるということでよろしいですか。日本の領土、領海のみならず、例えば、本当にこれは想定したくないですけれども、日本の主権が及ばない地域に行ってもそれは適用されるということでよろしいですか。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の損害賠償制度につきましては、場所のいかんを問わず、国内の打ち上げ施設から行われた人工衛星等の打ち上げで生じた損害に対して適用されるものでございます。

緒方委員 わかりました。

 ここからは、もう少し思いをめぐらせていって、日本の民間事業者が、費用の安い外国から人工衛星等々を打ち上げると仮定します。確かに、条約上は打ち上げ国に責任を集約するということでありますが、誰がどう見ても、打ち上げの事業主体というか、表に出てやっているのは日本の企業であるということになるときに、それで仮に事故が起こるとしたときに、何だかんだ言ったって、それは日本の事業体がやっているじゃないかということで、日本の方に国家として責任をとれ、そして、事業体がそれほど強くないときは、もう本当に国家で責任をとれというような話になってくることが実態上あり得るんじゃないかなと思うわけです。

 場合によっては、打ち上げ費用の安さからとか、もっと言うと、打ち上げ国が損害への負担を免責するとの条件で、それで値段を下げて打っていいからというようなことを言ってくるような国が出ないとも限らないかなと思うんですね。うちは割安で打ち上げていいですよ、ただ、うちの国として、その打ち上げたときに事故が生じたことの責任は国家として全く持ちませんというような国が出てくることが、ないことを願いますけれども、世界にはいろいろなビジネスモデルがありますので、あり得るかなと思っていて。

 そういう、日本で打ち上げていない、外国で日本の民間事業体が主となって打ち上げるものについては、少なくともこの法律の枠組みでは何らの対応もないということで、レクのときはそういうふうに言っておられましたが、それでよろしいですか。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 海外のロケットを用いまして人工衛星などの打ち上げを行った場合に、当該打ち上げに伴い生じました第三者損害の賠償責任は、一義的には海外の打ち上げ事業者が負うことになりますが、日本の事業者が賠償を求められる可能性も完全には排除し切れないものでございます。

 このような懸念に対しまして、海外のロケットで人工衛星等の打ち上げを行ったとしても、本法案に基づく人工衛星の管理については許可を得ることになってございます。その審査の際に、打ち上げを予定している海外のロケット事業者、こちらの保険について確認をしていくということは可能でございます。

緒方委員 少し極端なケースを挙げているように思われた方もいるかもしれませんが、何となく、これからの世の流れによってあり得るんじゃないかなと思いますので、あえて、少し極端なケースですけれどもお伺いをさせていただきました。

 続きまして、衛星リモートセンシングの法律についてお伺いします。

 装置の定義で、対象物判別精度が車両、船舶、航空機その他の移動施設の移動を把握するに足りるものとして内閣府令で定める基準に該当するとあります。対象物判別、つまり、どれぐらい精度が高いかというのでリモートセンシング装置の定義に入るか入らないかを分けるということでありますが、これはおおむね何メートルぐらいを想定しておられますでしょうか、内閣府。

高田政府参考人 委員の御指摘のとおり、分解能の性能などに応じて規制を講じていくことになると考えておりますが、その規制値につきましては、諸外国の事例を見ますと、例えば光学衛星の分解能の場合に、二メーターのものがあったり五十センチのものがあったりなど、まだばらつきがございます。いろいろな関係者の御意見を踏まえながら、今後、内閣府令において整えていく予定でございます。

緒方委員 これは、法律の施行期日が一年でしたか。何か、これはある程度数字が出てくるものだと期待をしていたんですけれども、現時点ではまだ何ら決まっていないということですか。ちょっと驚きました。ただ、これは決まっていないということなので、これ以上幾ら押しても出てこないと思いますので、質問を移したいと思います。

 日本から打ち上げた衛星で、実際に、管理をしているのも日本から管理をしています、ただ、そこで撮られた映像、撮像データが、外国にある通信設備に配信されることというのは、これは普通にあり得ることであります。その通信設備から、保有する者から認定ユーザーという方々に販売されていったりするということなんですが、その外国の通信施設とか、保有している方とか、そこからさらに認定されたユーザーというのは、これは全て日本の管轄権にないところにいる方々であります。

 これを御質問したいんですけれども、それらの方々が変なことをしない、そして、ちょっと安全保障にかかわるような情報がとれたときに、変な漏えいをしないぞ、してはいけないよというような規制をかけるのは、あくまでも、それらの方々に対する日本の側からの認定行為だけにとどまるというふうに私は法律を読んでいて理解したんですが、それでよろしいですか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 少し幾つか事例を整理して、まず、衛星の管理をする操作用無線設備が国内に所在するような方が、その記録を海外において流出したような場合と、それから、管理は国内にしていて、管理するものがなくて違うところで、海外における方がデータをもらって記録保有者になっているケースと、これはまず二通りございます。

 国内に所在する操作用無線設備を用いた衛星リモートセンシング装置の使用により取得した記録について、当該記録を受信した場所にかかわらず、これは規制の対象になります。この場合には、リモートセンシング装置の使用により、外国で衛星リモートセンシング記録を直接受信する場合、内閣総理大臣の認定を受けた者以外には提供できないこととしておりまして、当該記録が不適正に提供されたときは、認定の取り消し、罰則の適用や必要な規制が実施できることとしております。

 多分、委員は次のケース、まさに、衛星管制装置が日本にある場合ではなくて、海外において受信して記録を保有しているような事業者の方を念頭に置いた御質問かと思いますが、まず、本法案では、外国において衛星リモートセンシング記録を保有する者が記録の漏えいなど不正な提供行為を行う場合、衛星リモートセンシング記録を取り扱う者の認定の取り消し、法第三十六条の国外犯規定により適用される罰則に基づき、三年以下の懲役または百万円以下の罰金に処すことができるとなっています。ただし、実際の処罰については、当該行為を行った者が入国した際に行うことが想定される、こういうことでありますので、そもそも、外国において衛星リモートセンシング記録を保有する者の適格性の認定のときに、よく心して法を運用していかなければならないと考えてございます。

緒方委員 そのとおりなんです。今いろいろ御答弁がありましたが、仮に安全保障にかかわるものとかを漏えいした海外の保有者とか認定ユーザーとかいう方々についてとれることというのは、日本側から認定をばしっと切られる、取り消しがあるということプラス、国外犯規定で、その人が日本に入ってきて、日本の管轄権のところに入ってきたら御用だということで逮捕されるということだけなんですが、そういうことをやる方々というのは、見つかったら認定を取り消されるんだろうなと思いながら覚悟してやるわけでして、国外犯で刑罰が決まっている方々については、そもそも日本にやってこないだろうということがあるので、ここがやはり、日本の管轄権にないところにある方々なので、これしかできないということはわかっているんです。

 ただし、やはり、とれたものの中には、先ほど佐藤委員からの質問の中にもありましたように、日本の安全保障、平和の確保に影響するおそれがあるものについてはいろいろ規制を課しているんですが、海外においてこれがどうしても緩くなってしまうというか限界がある。

 これは、限界があることはしようがないんです、しようがないんですけれども、この点については、実際の保有者であるとか認定ユーザー、そういった方々の認定に細心の注意を払っていただきたいというふうに思います。

 では、これは鶴保大臣に御決意を伺いたいと思います。

鶴保国務大臣 委員御指摘のとおり、この件につきましては、細心の注意を払って、今後内閣府令を定める際に検討させていただきたいというふうに思っております。

緒方委員 例えば、日本が打ち上げた衛星について、さまざまなデータがあるわけですが、その中には、先ほど安全保障にかかわるものについて、空からリモートセンシングで映像を撮ってみたら、気がついたら戦争の準備をしていましたみたいなケースがあると思うんですね。

 これについて、日本から打ち上げたものについては、この法律によってさまざまな規制をかけることができるというふうになっておりますが、逆に、外国から打ち上げた衛星で、受信設備は日本にありますと。日本で保有している方がいて、けれども、その中にはとてつもなく安全保障にかかわる機微なものが存在しているというとき、外国から打ち上げて、恐らく、だから準拠法は基本的には外国だと思います、ただ、先ほどの逆のケースでして、受信設備から保有者から認定ユーザーから全部日本ですというときに、何らかの規制を課せるようにしておくことが必要ではないかなと思うんですね。

 それは、それらの者が全て日本という国の管轄権の中にあるわけですから、この法律のいわば逆ですよね。逆のケースについて、何らかの措置を私は講じるべきではないかというふうに思いますが、これは局長、いかがですか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘のとおりでございまして、本法案においては、国内に所在する操作用無線設備を用いた衛星リモートセンシング装置の使用により取得した記録を規制対象としている。海外に所在する操作用無線設備を用いた衛星リモートセンシング装置の使用により取得した記録は規制の対象になりません。

 ただ一方、民間事業者が衛星リモートセンシング装置を使用する能力を持つ国では、衛星リモートセンシング記録を適切に管理するための法制度が整備されています。具体的に申しますと、アメリカ、カナダ、ドイツ、フランス、こうしたところの衛星リモートセンシング記録のことでございますので、こうした国々と緊密に連携することにより、衛星リモートセンシング記録の適正な取り扱いの実効性を確保していくということかと思います。

緒方委員 最後に一問だけ。

 日本が打ち上げた衛星で受信設備が海外にあるケースというのはたくさんあると思うんですけれども、受信設備を置ける国について何らかの規制をかけるべきだというふうに私は思います。誰でも彼でも映像を受け取れますというふうにすることについては一定の懸念が。仮に受信設備や保有者、認定ユーザーに全て日本の国からの認定という行為がかかるとしても、そもそもこういう国についてはやらないとか、そういうものがあっていいのではないかというふうに思いますが、局長、いかがですか。

高田政府参考人 これは委員に御安心いただけるかと思いますが、本法案第六条におきまして、受信設備の所在する場所などが国際社会の平和の確保などに支障を及ぼすおそれがないものであることを基準の一つとする、こうなっております。

緒方委員 質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

秋元委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。きょうは質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 きょうは、宇宙関係、人工衛星の関連の二法ということで、まず早速大臣にお聞きをしたいと思います。

 宇宙基本法が平成二十年の五月に成立をしたということですが、そのときに、衆議院、参議院ともに附帯決議で、二年以内を目途に宇宙に係る法制を整備するということが書かれておりますが、それ以降、もう八年たっているわけでございます。ようやく今回出てきたということでありますが、この法案が、附帯決議で二年以内となっていたにもかかわらず、ここまで出てこなかった理由は何でしょうか。

鶴保国務大臣 先ほど御答弁を申し上げたかと思いますが、当時、この宇宙基本法の成立を受けて、二十二年三月にも報告書を取りまとめさせていただいておりました。

 ただ、当時の状況といたしまして、民間による宇宙活動がなく、立法事実がないこと等から、政府内で法制化を検討はさせていただきましたが、今後の課題ということでおくれておったというふうに承知をしております。

 近年、技術の進展に伴い、民間宇宙活動が本格化してきたことや、速やかな法整備が必要となっておるために、本年三月に閣議決定を行い、前通常国会に法案を提出させていただいたところであります。

高井委員 それともう一つ、私はちょっと指摘を申し上げたいのは、前通常国会に出てきたけれども、結局成立できなかった。それはやはり、この内閣委員会が、非常に法律がたくさんありまして、なかなか法律が通せないという事情があります。

 私も実は総務省で、役所勤めだったんですけれども、この法律もそうだと思いますけれども、本当に国民にとって必要な法律がなかなか、国会の、ある意味、会期の問題でも通らないということは本当にじくじたる思いがありまして、やはり私は会期そのものをもっと延ばすべきじゃないか、そもそも一年じゅう国会を開いていた方がいいんじゃないかと、ずっと前から思っております。

 実は、韓国はほぼ通年国会だと聞いて、私は韓国まで行ってちょっと状況を聞いてきたんです。しかし、韓国も同じように憲法では会期というのが決まっている。ただし、韓国は、日本とこれは同じなんですけれども、四分の一の議員が要請をすれば会期を延長できるとなっていまして、ほぼ通例のように野党が会期延長を求めて通年国会になっているということであります。

 しかし、我が国も実は憲法上そうなんですけれども、去年、年末、我が党が要求したにもかかわらず開かれなかった。そのまま結局通常国会まで、いつまでに開かなきゃいけないということがないということで、そういうことになってしまったんです。

 ぜひ、こういうことが今後繰り返されないように、私は、やはり国会というのは常に、なるべく開いておいて、必要な法律を、これはもう政府の皆さん、与党の皆さんも、やはり法律を通したいという思いはあると思います。

 正直、本当に、私は霞が関で働いていて、必要な法律が何本も通らない、何年も待たされるということがありましたので、ここはぜひ、国会の中の改革として、ちょっと一つ、一言申し上げておきたいと思います。

 それでは、質問を続けます。

 今回、人工衛星ということでございますので、衛星測位を利用した地理空間情報、これをG空間と称して、G空間活用社会実現を目指すということでありますが、これは非常に関係省庁が多岐にわたっておりまして、正直、一体誰が司令塔なんだ、どこが中心になっているのかということがわかりにくいんですが、このG空間の推進体制、あるいは関係する各省の連携体制というのはどうなっているか、お聞かせください。

佐々木政府参考人 今御質問いただきました、地理空間情報の活用の推進についてどのように進めているかということでございますが、政府といたしましては、確かに、御指摘のとおり関係各省にまたがるテーマでございますので、各省間で緊密な連携を確保しながら総合的に施策を推進する、この必要のために、地理空間情報活用推進会議というものを設置しております。

 この推進会議、具体的には、内閣官房副長官を議長としまして、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省、国土交通省、それぞれ制度なりインフラを持っている主要官庁の協力を得ながら、内閣官房が中心となって施策を推進してきております。

 特に、施策を強力に一体的に進めるために、昨年の秋から五つのテーマ、G空間情報センター、防災システム高度化など五つのテーマに絞って、テーマごとにチームを形成していただいて、各省連携をより緊密にしながら一体的に施策を推進していただいているところでございます。

高井委員 今御答弁いただいたとおり、私もちょっと事前に調べたところ、G空間情報活用推進会議なるものがあって、議長が官房副長官となっているんですが、これは聞いたら、政務、事務、三名、官房副長官はいますけれども、三名とも議長だということなんですね。あと、事務局は官房副長官補室、官房副長官補という方がいますけれども、内政を担当する、この室でやっているんですね。ところが、この内閣官房副長官補室というのは、大変忙しいというか、多岐にわたった内政全般の仕事をやっているわけで、そこの室がこのG空間を専門的に司令塔としてやるというのは、やはりちょっと私は違和感があります。

 実は、これは、同じようにドローンのときも感じていまして、ドローンという非常に今話題になっていることも官房副長官補室がやっているということなんです。

 私はぜひ、きょう鶴保大臣おられますので、IT総合戦略室、これがITの司令塔で、まさに鶴保大臣もその担当大臣であるわけですが、私はここでやった方がいいんじゃないかと思います。

 ただ一方で、このIT総合戦略室も忙しいんですね。きょう二宮次長に来ていただいていますけれども、非常にやはりマンパワーが足りない、人数が少ないということで、ただ、去年は開かれていないですよね、次長。持ち回りで多分一回やっただけでありまして、やはり、私、今、成長戦略の柱にIoT、第四次産業革命が位置づけられている中で、やはりIT総合戦略室、IT戦略本部がもっと人もふやして、それからほかのG空間とかドローンとか、あるいは例えばフィンテック、金融の情報化、これもIT総合戦略室は所掌していないんですね。今、金融庁とか経済産業省とかいろいろな省がやっているんですけれども、やはり総合調整機能、特にIT、ICTはそれが重要でありますので、ぜひそういう体制をつくるべきだと思います。

 ちょっとこれは通告していないんですけれども、鶴保大臣、IT総合戦略室のトップとして、いかがですか。

鶴保国務大臣 おっしゃる趣旨は首肯できるものがたくさんあると思います。さまざまな問題点をもう一度洗い出しながら、今後何ができるかを虚心坦懐に探っていきたいというふうに思います。

 現在のところ会議が開かれていないということでありましたので、早速持ち帰りまして、その開くに当たっての目的、ただ単に開くというわけにいきませんから、どういうことをしていくかということについてもこれから検討させていただきたいというふうに思います。

高井委員 IT業界は見ていますからね。IT総合戦略本部が持ち回りでしか、紙を回すだけで開いていないというのは、この間、竹中平蔵さんが新聞の論説で書いていました、そのことを。やはり成長戦略の柱にするんであれば、しっかりと会議を開いて、決めるべき議題はたくさんあると思いますので、ぜひ。

 それからやはり人をふやすことだと思います。これは前にこの内閣委員会で菅官房長官にもお願いして、菅長官もうなずいておられましたけれども、ぜひ、ちょっと連携していただいて、IT総合戦略室、人をふやして、仕事もふやしてということで頑張っていただきたいと思います。

 それでは、もう一つお聞きいたしますが、G空間関連で、今、各省庁でいろいろ実証事業をやっておられます。私は総務省の実証事業にちょっとかかわっていたことがあるんですけれども、このG空間の実証事業はどのような成果があったんでしょうか。

佐々木政府参考人 G空間関連の実証事業についてのお尋ねをいただきました。

 地理空間情報の活用を実際に進めていくために、全国各地で、それぞれの地域の課題に応じて検証的なモデル事業を行ったり、あるいは技術開発の適用を行っております。それを社会実証事業といたしまして、平成二十七年度二十二件、二十八年度、ことしは計画最終年度ですので、刈り取りの時期でもありますので、モデル的な事業は九件と減少しておりますが、それぞれ進めてきております。

 例えば北海道の岩見沢市におきましては、総務省と農林水産省が連携しまして、衛星情報を活用した農作業の効率化、具体的にはトラクターの自動運転、こういうものに取り組んでおります。

 その中から、実用化に向けての課題、例えば耕作地の形状であるとか、あるいは衛星情報を取り入れる端末が大き過ぎる、あるいはコストが高過ぎる、そういう課題を抽出して、さらに事業を進める中で、それらの改善をモデル的に進めてきております。

 これらのモデル事業の成果を踏まえまして、先ほど申し上げたチームごとで実際の施策を実用化する段階に溶け込ませながら、水平展開を図っていっておるところでございます。

高井委員 私がかかわったのは長野県で、山岳遭難する方で死者の方というのは、実は年間七、八十人いると。これは長野県の交通事故死と同じくらいの数、いらっしゃる。GPS機能を持ったビーコンという発信機を持っていけば、もし万が一遭難したときに、これを準天頂衛星、今一基飛んでいますけれども、この準天頂衛星で捕捉しようという取り組みだったんです。

 非常に有効なことだと私は思いますので、こういった実証事業は予算がなかなか厳しいみたいですけれども、ぜひ頑張って予算をとっていただいて、引き続きやっていただきたいと思います。

 ただ一方で、今、準天頂衛星という話をしましたが、我が国はまだ、今一基しか上がっていません。間もなく、来年度には四基体制、それから平成三十五年、二〇二三年には七基体制になると、かなり精度の高い位置測位ができるということでありますが、現状はまだ一基でありまして、一基だと、季節とか、あと一日の中でも八時間しか捕捉できない、だから使えないんですね。

 ということで、今、GPS。GPSは皆さん聞いたことがあると思いますけれども、これはアメリカの軍事衛星を活用して、三十基ほどアメリカが飛ばしているものを使って、さまざまな位置測位のサービスをやっているわけです。ただ、GPSに頼っているということになりますと、アメリカの衛星、あるいは受信機側もチップがもう全部アメリカ、クアルコムとかインテルとか、そういう会社でありまして、日本じゅうの人の位置情報が全て、こういったアメリカの軍事衛星であったり民間企業に頼らなきゃいけないというのは、これは私は問題じゃないかというふうに思いますけれども、いかがですか。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 米国GPSに代表される衛星測位システムは、カーナビ、携帯電話などに幅広く、おっしゃるとおり、利用されています。

 GPSの位置精度は十メーター程度。上空からの視界が限られた都市部、山間部ではその電波が行き届きづらく、ITSやスマート農業などの高度な利用には課題があります。そういう意味で、便利でありますけれども、まだ弱点もある。しかも、今、私どもの生活は大分それを用いた方向になっている。

 これに対しまして、準天頂衛星、これが二年後に四基体制、二〇二三年から七基体制になりますれば、米国GPSに依存せずとも、二十四時間、どこにいても、センチメーター級単位の測位精度が得られるという、世界最先端のところまでたどり着くことができるかと思います。

 そういう意味で、宇宙基本計画では平成三十五年度をめどに七基体制を確立するということが決定されていますので、こういう体制が一日も早く実現できるように努力してまいりたいと考えております。

高井委員 それはそのとおりだし、私もぜひ応援したいと思いますが、ただ、それまでの間、二〇二三年、七基体制になるまでの間、アメリカのGPSに頼らなきゃいけないということを今お聞きしているわけです。

 実は、同じような問題意識で、経済産業省が研究会をやっています。第四次産業革命に向けた横断的制度研究会、その報告書を読みますと、実は、デジタル市場で急成長を遂げたGAFA、GAFAというのは聞きなれない言葉なんですけれども、実はアルファベットの頭文字をとっていまして、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、この頭文字がG、A、F、Aなんですね。これをGAFAと。結構、業界では大分GAFAという言い方をするようになったんですけれども、このGAFAのようなプラットホーマーは、その競争優位が固定され、支配的地位となっている可能性が懸念されるというふうに書かれております。

 もうちょっと読むと、このGAFAに、今は大きく我が国は水をあけられている、しかし、これからのリアルデータをめぐる第二幕では日本でも競争優位を生み出すことが必要であると。

 では、なぜそんな独占になるかというと、その要因が幾つか書いてあって、例えば、オンラインの市場ではネットワーク効果がより働くため独占が進みやすいとか、デジタル経済におけるプラットホームは拡大が容易であるため急速な独占化が達成されやすい、個人情報の蓄積がプラットホーマーの交渉力の源泉となっているというようなことが書いてあるわけでございます。

 私も、やはりこうした、先ほどのGPSの話とも通ずることだと思います、位置情報を初め、さまざまな情報がこういった米国の企業に独占されてしまうということに問題があると思いますけれども、経済産業省はどのようにお考えでしょうか。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど高井先生が御指摘になった産業構造審議会の新産業構造ビジョンを受けまして、専門家の、有識者の方々に集まっていただきまして、第四次産業革命に向けた横断的制度研究会というので、かなり専門家の方に議論をしていただきました。

 先生もちょっと御指摘いただきましたけれども、やはり、デジタル経済時代のプラットホームによって、ネットワーク効果が大きいので独占化が進みやすい、それから拡大が容易なものですから急速な市場の独占化が達成されやすい、それから情報が蓄積しやすいので交渉力の源泉をプラットホーマーが持ちやすい、それから先行する者が大きな力を持ちやすい、それによって新規参入者が入りづらくなるという可能性があるというのが専門家の見方でございます。

 あわせまして、経済産業省と公正取引委員会で共同して、実態はどうなっているのかというのを、スマホ向けのアプリケーション市場について、いろいろ事例の調査も行いました。

 そうしますと、OS事業者でもありますアプリストアの運営事業者が、みずからを経由しない決済手段を事実上制限する、あるいは売り上げの三〇%の手数料を取るとか、そういうことも見られるわけでございます。

 ただ、これが、独占禁止法上問題があるのかどうかとか、実際にイノベーションを阻害しているのかとかというところまでは、この分析では判断がまだつかない、そういう状態でございますので、今後さらに分析を深めて適切に対応していきたいというふうに思ってございます。

高井委員 今おっしゃっていただきましたけれども、まさにスマートフォンのOSというのは、アップルのiOSが七割、それからグーグルのアンドロイドが三割と、ほぼ一〇〇%、この二社で占められているということであります。

 このアプリストアは、アップルはアップストア、それからグーグルはグーグルプレー、これが最初からプリインストールされているわけでありまして、さまざまなアプリを提供しようという方々は、このアプリストア事業者と契約を結ばざるを得ない。しかもそれは、内容も一律で、そして交渉の余地もないということがこの報告書に書かれております。

 この辺は、私は、スマートフォンですから総務省ももっと真剣に考えなきゃいけないんじゃないかと思いますが、いずれにしても、GAFAの問題は、実は我が国だけじゃありません。世界じゅうが同じようにGAFAに占められていまして、そして、ヨーロッパでは既に動き出しています。ヨーロッパの競争当局は、このプラットホーマーに対する審査とか調査を行っているということでありますので、経済産業省、もう一度、何か分析するとかおっしゃっていますけれども、分析している場合ではないのではないか。

 私は、もちろん公正取引委員会、あるいは携帯と密接ですから総務省ともよく連携をして、ヨーロッパ、あるいはヨーロッパだけじゃないですよ、アメリカの競争当局も問題視して、GAFA、グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、この四社の市場支配力を問題にしているわけですが、我が国はもっと前向きにやるおつもりはないですか。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 我々も、先生御指摘のような問題意識を持ちまして、公正取引委員会さんと共同で、これは全く歴史上画期的なことだと思いますけれども、経済産業省と公正取引委員会が共同して実態調査に踏み出したということで、大きな一歩を踏み出したと思ってございます。

 他方、この分野は、アプリ事業者とプラットホーマーの間に機密保持契約が、かなり厳しい契約がございます。これは、任意で、匿名でインタビューに応じていただいているような形でございまして、法律に基づく、強制的権限に基づく調査でございませんので、なかなかそこには限界もあるというふうに感じてございます。この先、法律上の権限をもってさらに強制的ないろいろ調査に入るかどうか、これは、公正取引委員会さんが独禁法に基づいて持った権限の行使でございますので、公正取引委員会さんの方の御判断だと思ってございます。

 他方、イノベーションがこれで起きにくくなるということ、これは産業政策上の課題もございます。そういうことで、私どもとしましては、データの利活用に阻害がないか、あるいは、このデータ自体に、知的所有権と申しましょうか、そこに価値をどこまで見て、どこまで保護したらいいのかというのが、やり過ぎると逆にイノベーションが起きなくなるし、そこを何もしないと、それはそれで、価値がないとイノベーションが起こりづらいということがございます。この産業政策上の観点から、次の一歩を考えようというふうに考えてございます。

高井委員 なかなか、確かに、おっしゃるように、規制という点でいうと難しい。特に、経済産業省がその規制権限を持っているわけではないと思います。しかし一方で、公取となると、これまた発動までに非常に時間がかかるという、非常に悩ましい問題だと思います。

 そういう意味では、やはり総務省が、携帯電話の規制というのは電気通信事業法上あるわけですから、そういった観点からやるということも一つでしょうし、あと、実は、さらにもっと私は前から総務省には指摘しているんですけれども、電気通信事業法が、要するに今言ったGAFA四社には適用されないという問題があるんですね。

 例えば、通信の秘密保護の条文は、この四社には適用されず、日本の国内の、例えばヤフーとか、そういう会社には適用されて、その結果、むしろ国内企業の方が競争上不利になるという問題が起こっている。

 きょうはちょっと総務省はその御担当の方に来ていただいていないので、またこれは改めて総務省にお聞きしようと思いますが、こういった問題もありますので、この問題については、まさに経産省、総務省、公正取引委員会、関係するところが、あるいはIT総合戦略本部も、鶴保大臣もぜひちょっと御関心を持っていただいて、私は、非常に重要な問題ではないか、日本の成長戦略上も重要な問題だと思っております。

 それでは、ちょっと話は別な質問に移ります。

 今度はITS、これは高度道路交通システムでございますが、このITSも非常に各省にまたがるんですけれども、これも今どういう推進体制で行われているか、教えてください。

豊田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 ITSは、交通事故の減少や高齢者を含めた地域の新たな移動サービスの実現などに寄与するとともに、我が国の自動車産業が世界をリードする競争力を維持する上で不可欠な技術であると認識をいたしております。

 このため、政府では、IT総合戦略本部のもとに設けた道路交通分科会において、関係省庁の参加のもと、制度面も含めた政府全体の戦略を議論し、本年五月に官民ITS構想・ロードマップ二〇一六として取りまとめたところでございます。

 また、総合科学技術・イノベーション会議では、戦略的イノベーション創造プログラム、SIPのテーマの一つとして自動走行に関する研究開発を進めており、省庁連携による横断的なマネジメントを行っているところでございます。

 今後とも、IT総合戦略本部及びSIPを両輪としつつ、関係省庁との緊密な連携体制のもと、ITSの推進に取り組んでまいりたいと考えております。

高井委員 ITSは、IT総合戦略室が担当して分科会も設けておられますので、まだましだとは思うんですが、ただ、これは今も御説明があったように、SIPという内閣府の、研究開発はそっちがやっているんですよ。つまり、内閣府のSIP部門と内閣官房のIT総合戦略室が両輪でやっている。これも私は、どこかが、責任者はやはり一人にして進めていかないといけないんじゃないかと。

 ただでさえITSは非常に関係省庁にまたがっていて、国土交通省なんかは、旧運輸省と旧建設省でそれぞれ役割が違うんですね。だから両方入っているみたいな、非常に多岐にわたる分野でありますので、ここはぜひ、IT総合戦略室、鶴保大臣のもとで一元的にしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 少し各論に入るんですけれども、ITSに使う電波の周波数が、ちょっと我が国は特殊なんですね。ほかの国、世界各国を見ると、今、五・九ギガ帯という、ここをほぼみんな一致して使おうとしているんですが、我が国だけなぜか七百メガヘルツ帯という別の帯域を使っているんですが、その理由はなぜでしょうか。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の七百メガのITSの関係でございますが、これは、地上テレビジョンのデジタル化に伴いまして生じました空き周波数を使って利用されているものでございます。

 この活用につきましては、平成十八年から十九年にかけまして、情報通信審議会にて、どういった用途で使ったらいいんだろうかという形の御議論をいただいたところでございます。

 この中で、七百メガに関しましては、需要が増大する携帯電話のほかに、より安全な道路交通社会の実現に必要なITSに使用できるようにするということが適当とされたところでございます。

 これは、特に日本のように建物が密集した状況でも、電波がビル陰にも回り込む、こういった七百メガの電波の特性を活用することで、見通し外での交差点等におけます出会い頭の事故防止、こういったもの等に関しまして有効だろうということで、特に安全運転支援にこういったことを活用することが適当ではないかという形で評価いただいたものでございます。

 また、具体的な七百メガヘルツ帯の周波数の関係でございますが、まず、携帯電話の利用に関しましては、携帯電話の端末から基地局に対する電波、これを我々は上りと言っておりますが、それと基地局から携帯電話に来る下り、この二つの周波数帯が必要でございます。

 これらの周波数帯といったものが相互に干渉し混信しないよう、どうしたらいいかということで、これに関しましても詳細な技術的な検討を行ったところでございます。

 その結果、混信を防止するために、いわゆる上りと下りの周波数の間に一定の間隔、これを我々ガードバンドと言っておりますが、こういったものが必要だというふうな結論が得られたところでございます。

 ITSの周波数に関しましては、周波数の有効利用を図るという観点から、携帯電話に利用できないガードバンドの周波数を使うことによってITSの電波の利用にしようということで決定したものでございます。

 なお、昨年十月から、この七百メガヘルツ帯を使いました車同士の通信ですとか、車と道路の通信によってドライバーに注意喚起を行うような、こういったサービスが現在実用化されているところでございます。

高井委員 我が国の事情はわかりましたが、しかし、世界とそこは一緒じゃなくて大丈夫なのかということを非常に心配いたします。

 これは九月二十八日の日経新聞なんですけれども、アウディ、BMW、ダイムラーの三社は、大手半導体、通信機器大手と組んで、第五世代、5Gのサービスの開発で提携すると発表した、そのほかに、インテルとかクアルコムとかエリクソンとかノキアもこの5Gの連合をつくった、世界市場の普及に向けて、標準規格や承認の仕組みも整備を支援するという記事があるんです。

 まさに世界が同じ帯域を使って標準化をしていくという流れの中で、我が国だけが七百メガ、先に割り当てちゃったから、もうサービスインもしている。確かに世界初のサービスが今七百メガでスタートしたわけですけれども、しかし一方で、こういった国際社会の中で孤立しないか、ガラパゴス化しないかということは大変懸念をするんですけれども、その点はいかがなんでしょうか。

渡辺政府参考人 ただいま御指摘いただきました欧米での五・九ギガの周波数の関係でございますが、日本におきましては、これに極めて隣接します五・八ギガヘルツ帯の電波を使いまして、有料道路等において、いわゆる自動支払い、ETC、こういった形で利用されているところでございます。

 一方で、今、欧米等での動きというのも勘案いたしまして、五・八ギガ帯の電波の特性を踏まえて、より多くの情報を伝送することが技術的に可能になるということから、例えば車同士での正確な位置情報ですとか速度情報のやりとり、または道路に設置しました無線局から車への極めて細かい詳細な渋滞情報の提供ですとか、こういったこと等を通じまして、より高度な安全運転支援システムが実現するということが期待されているところでございます。

 こういった状況から、五・八ギガヘルツ帯の周波数につきましては、ETCなどの既存システムに配意しつつ、さらなる高度化に向けました技術的な検討を行っているところでございまして、総務省としては、こういった成果を活用しつつ、関係省庁とも連絡しながら具体化を進めていきたいというふうに思います。

 また、先ほど委員から御指摘の五・九と五・八、周波数が若干ずれているんじゃないかなという関係でございますが、技術的な観点から見ますと、この五・八と五・九は周波数帯が極めて近いということから、例えばアンテナ等を含めた無線機の共用ということは技術的にはかなり可能だろうというふうな認識を持ってございます。

 また、最近のスマートフォンですと、例えば一台の携帯電話から多くの周波数帯に対応できるように、我々、これをマルチデバイスと言っていますけれども、そういった形で、国境等を越えてもいろいろ利活用できるような、むしろ端末側が選択できるような、こういった技術的な仕組みもでき上がっているということでございます。

 こういったことから、ICTの技術革新によりまして、さまざまな周波数帯に対応できる、こういったデバイスが比較的安価に利用できるのが現状でございまして、こういった形の状況も見ながら、先ほどお話もございました五・八の高度化ですとか、そういったことに関しましても、グローバル化ということも勘案しながら進めてまいりたいというふうに思ってございます。

    〔委員長退席、松本(文)委員長代理着席〕

高井委員 五・九と五・八は確かに近くて、多分五・八を使ってもいいんだと思うんです。

 ただ、五・九は今、FPUという、放送会社がテレビ中継用にずっと使っていまして、これをあけるとなると放送局が全部機材を買いかえなきゃいけない、数百億単位になるんじゃないかということで、なかなか現実的ではないのかなとは思うんです。

 そういう意味で、では五・八ギガ帯を使おうと思っても、今確かにITSで使っていますけれども、使い方はETCなんですね。国土交通省や道路公団、高速道路を管理している会社に割り当ててETCとして使っていて、特に、国交省も頑張って、ETC二・〇ということで、全国千六百カ所に通信のアンテナを立てて、渋滞情報を全部拾おうと。そうすると、どこが渋滞しているとか、あるいは、カーナビと連動していますから、例えば東京都心を抜けるよりも外環道をずっと回った方が近くなる、そして、そのときに料金まで割り引くとか、そんなサービスを国交省は検討しているということで、それはそれですばらしいことなんです。

 しかし、この五・八ギガを使わないと、私はまた世界各国の競争に乗りおくれるというか、日本だけがガラパゴス化するおそれがあると思うので、私は、ここは国交省とよく話をして、この五・八ギガ帯をあけてもらうということを総務省は検討すべき、やるべきだと思いますけれども、いかがですか。

    〔松本(文)委員長代理退席、委員長着席〕

渡辺政府参考人 今御指摘のとおり、ETCの電波というのは極めて狭い周波数の帯域を使いながら行っているものでございますが、先ほど私が五・八ギガの高度化ということに関して検討を行っているといいますものは、これまで以上に広い帯域を使う形で、車同士の通信ですとか、そういったことに活用できないかということで技術的な検証を行っているところでございます。

 それに関しましては、既存のETCとの共用がどこまでできるのかとか、そこら辺の共存をどう図るかということも勘案しながら現在進めている状況でございまして、国土交通省等も、そこら辺の部分に関しましては連携しながら、具現化に向けましてこれから検討してまいりたいというふうに思ってございます。

高井委員 これは一般論でも結構ですけれども、今使っている電波をあけてもらうというのは、総務省の権限でできるんでしょうか。周波数の変更というのは、どういう手続で行われるんでしょうか。

渡辺政府参考人 周波数の変更にはいろいろな手法がございます。

 例えば、あらかじめ例えば十年後に、免許の期間が五年でございますので、大体十年ぐらいするとそのシステムといったものがかなり使われてしまうだろうということもございますので、そういったことをタイミングを見ながら、十年後にその周波数帯はこういった用途に使うという形の方針をするというのが一つの方法でございます。

 そういった形で、例えば地デジですとか、ああいったものの導入に関しましては、そういったある程度長期的な移行の計画というのをベースにしながら進めてきているというのが一つの手法でございます。

 さらには、例えば、損失補償と申しまして、国際的な条約等に基づいて、あるときに違った周波数を使わなきゃいけないということに基づきまして、周波数の移行をお願いする場合がございます。これは、ある意味、免許の有効期間中に移行するということもございますので、損失補償という形で、政府からそのための移行費用を出して対応する、こういった幾つかの手法等を用いながら対応しているのが現状でございます。

高井委員 私は、さっき七百メガの話もしたのは、携帯の利用であるとか、この五・八とか五・九も、アメリカや欧州はもうWiFiに使うというようなことも検討しているという話を聞いておりまして、やはり電波というのが今非常に重要な、国民生活にとって、今までもそうだったけれども、より密着した、なくてはならない、しかし限りがある。

 技術開発でどんどんその使用もふやしていきますけれども、しかし、それでもやはり限りがある中で、携帯、スマホの情報量も飛躍的にふえていく中で、やはりどう電波を割り当てるかというか再配置するかというのは非常に重要なテーマで、しかし、私はここは政府がやらないといけない、総務省がやらないといけないことだと思いますので、いろいろな利害関係者がいて大変だとは思いますけれども、ぜひ、今あるからもうできないんだということではなくて、国民生活にとって何が一番ふさわしいのかということを考えて、さっき、放送会社の五・九を使って放送機材を全部買いかえたら百億かかると言いましたけれども、まあ百億以上なんでしょうけれども、でも、それだけかけてもこの電波をあけた方がいいということであれば、地デジもそうでしたけれども、やはり国費を投入してでもやるというのも一つの選択肢だと思いますので、ぜひこの周波数政策というのはしっかりと考えていただきたいと思います。

 それでは、もう時間があと五分、最後の一つぐらいで、今度はビッグデータ、オープンデータの政策について。

 これは今まさに官民でさまざまな情報があるわけでありますが、これがなかなか十分活用できていないんじゃないか。去年、この内閣委員会でも個人情報保護法の大改正があって、匿名加工情報というのができて、匿名化してビッグデータ化して使おうということは、法律は整備されましたけれども、でも、政省令がまだで、十分これが進んでいるというふうには思われないのであります。

 このビッグデータ、オープンデータ、特に国や地方自治体が持っている、公的機関が持っているこのオープンデータ政策について、政府としてはどのような取り組みをしておりますでしょうか。

二宮政府参考人 お答え申し上げます。

 ビッグデータ、オープンデータを含めましたITの利活用につきましては、力強い経済成長や安全、安心、快適な国民生活を実現する上で不可欠だというふうに認識をしているところでございます。

 分野横断的にデータを利活用することで新たなイノベーションや新たなサービスが生み出され、国民生活の質の向上や、超少子高齢社会における諸課題の解決にも貢献することが期待をされているというところでございます。

 このような認識のもとで、先般、IT総合戦略本部のもとにデータ流通環境整備検討会を設置してございまして、事業者や業界を超えて多様なデータが流通、利活用される環境の実現に向けて検討を進めているというところでございます。

 オープンデータにつきましては、これまで公開中心の取り組みを行っておりましたが、データ利活用による課題解決型のオープンデータ、これの実現を目指し、本年五月に、オープンデータ二・〇を定めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、二〇二〇年までを集中取り組み期間といたしまして、一億総活躍社会の実現や二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会といった政策課題を強化分野に設定いたしまして、オープンデータのさらなる深化を図っているというところでございます。

 また、地方におけるオープンデータの取り組みについてでございますけれども、現在、オープンデータに取り組む地方公共団体は二百三十三団体ほどございますけれども、政府といたしましては、オープンデータの推進のためのガイドラインを示すとともに、オープンデータ伝道師といいます、オープンデータに造詣の深い先生方を任命いたしまして、これを地方に派遣するといったことなど、地方公共団体による取り組みを今後とも支援してまいりたいと存じます。

 こうした取り組みを含めまして、ビッグデータ、オープンデータ利活用を促進してまいりたいと考えてございます。

高井委員 大変重要な取り組みだと思っておりますので、これは政府だけに任すのではなくて、我々国会でも、この分野は、私は与野党は関係ない、争う場ではないと思っておりまして、平井筆頭理事とも御相談しながら、議員立法を提出すべく、我が党でも今議論を重ねているところでございます。

 まさにさまざまなデータが、今、特に国や地方自治体がばらばらなベンダーであったり、標準化されていないということが、これを阻害する一因にもなっておりますので、そういった情報システムの標準化をするとか、あるいは、もともと行政手続というのはもうこれはオンラインでやろうよと、これも原則化するとか、こういったことをぜひ前向きに取り組んでいきたいと我々も思っておりますので、ぜひ……(発言する者あり)そうですね。

 ただ、一方で、冒頭申し上げましたとおり、内閣委員会が非常に込んでいる、そういった事情もあって、最初の話に戻りますが、やはり会期をしっかりとっていただいて、かつ、委員会の配置みたいなものももっと柔軟にやっていただけたらということを最後にお願いいたしまして、私からの質問といたします。

 どうもありがとうございました。

秋元委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 今回提出されている両法案は、その趣旨説明で、宇宙基本法の基本理念にのっとりとされています。そこで、まず、宇宙基本法と宇宙基本計画についてお聞きします。

 宇宙基本法に基づき、宇宙基本計画が第三次にわたって立てられています。この宇宙計画を見てみますと、かなり変遷しているのがわかります。例えば、昨年一月に発表された第三次基本計画。この計画には、安全保障という言葉が至るところで出てきます。これまでも使われていたんですけれども、非常に多くなっている。

 例えば、見出しだけを見てみましても、第一章の(二)で「宇宙空間の安全保障上の重要性の増大」、あるいは第二章の(一)でも「宇宙安全保障の確保」、第四章、具体的アプローチの中でも「宇宙安全保障の確保」とあり、ここでは「宇宙協力を通じた日米同盟等の強化」とまで踏み込んでいます。気になるので数えてみました。安全保障という言葉は五十五回出てきました。

 何でこんなに繰り返されているんでしょう。大臣、どうですか。

鶴保国務大臣 急速な技術革新等により宇宙活動国が増加をいたしまして、宇宙空間はかつての米ソ二極構造から多極構造へと転換をいたしました。その結果、宇宙空間におけるパワーバランスに変化が生じたこと、あるいは、宇宙デブリがふえまして、対衛星攻撃の脅威も増大するなど、宇宙空間の安定利用を妨げるリスクが深刻化したことなどが実質的な理由として挙げられるかと思います。

 また、平成二十五年十二月には国家安全保障戦略、NSSが策定をされまして、これに応じた新たな宇宙政策が必要となるなど、宇宙空間の安全保障上の重要性も増大したことなども挙げられるというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、五十五回の安全保障について特段の意味があるというふうに私は考えておりません。

島津委員 特段の意味がない割にはたくさん出てくるんですけれども、宇宙というのはそもそも安全保障のために存在する空間なのか、このことを私はまず問題提起しておきたいと思うんです。

 その上でお聞きしますけれども、宇宙基本法が二〇〇八年に制定されました。そもそも、宇宙基本法とは何のためにつくられたんでしょうか。これは大臣。

鶴保国務大臣 先ほど佐藤委員の御説明にもありましたが、平成二十年五月に宇宙基本法が制定されました当時の背景といたしましては、人工衛星を利用した位置情報サービス等や、宇宙用に開発された技術、素材等がさまざまな分野に活用されるなど、宇宙開発利用は我々の身近な生活においても重要な役割を果たすようになってまいりました。

 また、我が国をめぐる安全保障環境の変化や、中国を初めとするアジアや中東など諸外国における積極的な宇宙開発利用の推進などの国際情勢の変化もあり、宇宙開発利用の重要性はさらに増大していることなどが挙げられるというふうに思います。

 このような背景を踏まえ、我々、宇宙開発利用を国家戦略として位置づけ、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、これを総合的かつ計画的に推進し、国民生活の向上及び経済社会の発展に寄与するとともに、世界の平和、人類の福祉の向上に貢献するよう制定されたものと理解をしております。

島津委員 今お話がありました二〇〇八年五月に、この基本法に基づいて国会の審議があったんですけれども、内閣委員会で我が党の吉井英勝衆議院議員がこの趣旨について質問した際に、こういう答弁だったんです。

 本法案では、宇宙開発利用を我が国の安全保障に資するように行うものと位置づけており、憲法の平和主義の理念にのっとり、専守防衛の範囲内で防衛目的の宇宙開発利用は行うことができるのが本起草案の趣旨だ、こういう答弁がありました。

 それでは、ここで言っていた安全保障に資する宇宙開発、これは一体どういうものなんでしょうか。

鶴保国務大臣 委員御指摘のとおり、平成二十八年四月に閣議決定をいたしました宇宙基本計画においては、安全保障に資する宇宙開発として、我が国における測位、通信、情報収集等のための宇宙システムを強化することとさせていただいております。

 具体的には、準天頂衛星の七基体制の確立による持続測位の実現、Xバンド防衛衛星通信網の拡充による抗堪性、秘匿性の高い衛星通信網等の整備等を例示させていただいておるところであります。

島津委員 一九六九年、国会で、宇宙の開発利用は平和利用に限るとした特別決議が上げられました。日本のこれまでの宇宙科学や開発の歴史を見てみますと、この決議がこれからの日本の宇宙開発にとっても非常に重要だと思っています。

 二〇〇八年の宇宙基本法制定の際にも議論されました。我が党の吉井議員が、改めて、軍事のための宇宙開発はしないというのが政府の考え方ということで理解しておいていいか、こういう質問に対して、当時の町村官房長官は、平和の目的に限りというのは非軍事を意味する、こういう旨の答弁をしています。

 これは再度確認しておきたいんですけれども、この一九六九年の国会決議というのは今日でも生きているんでしょうか、大臣。

鶴保国務大臣 宇宙開発利用につきましては、一九六九年に、衆議院による宇宙の平和利用決議において、宇宙の開発及び利用は平和の目的に限り行うものとすると決議されております。

 二〇〇八年に議員立法により制定された宇宙基本法では、安全保障に資するよう行うものと宇宙開発利用を位置づけておりまして、憲法の平和主義の理念にのっとり、専守防衛の範囲内で防衛目的での宇宙開発利用は行える趣旨であると承知をしております。

 繰り返しになりますが、憲法の平和主義の理念にのっとった上、専守防衛の範囲内で我が国の防衛のために宇宙開発利用を行うことは、決議の文言及びその趣旨に反するものではないと考えております。

島津委員 今の答弁にもありましたように、非軍事ということだったんですけれども、いろいろ考え方が発展して、変わってきているというふうな答弁でした。

 しかし、私は、国会決議というのは非常に重いものだと思うんです。日本は、この国会決議の精神に立って、つまり、日本国憲法の平和原則に立った科学技術の発展、これがこれまであったわけです。だから、この立場で従来は、日本は、スパイ衛星や軍事専用通信への利用も含めて、宇宙の軍事利用を禁止してきたわけです。

 同時に、日本の宇宙開発は関連技術の発展も加速させてきました。世界的にもすぐれた町工場の旋盤は精度の高いものをつくり上げる、また、職人わざなどの加工技術も発展させてきました。これらは日本の宇宙開発における国際貢献とともに、平和原則に立った戦後の日本経済の発展のいい例だと思うんです。

 だから、こうした歴史的にも確立された基本ライン、平和原則に立った科学技術の発展、このことは、立場の違い、党派を超えて今後も守らなきゃいけないものと思うんですけれども、大臣、宇宙担当大臣としての所感はどうでしょう。

鶴保国務大臣 先ほど来委員御指摘をいただきましたとおり、平和利用決議における平和の目的に限りの解釈は、当時の科学技術庁長官の答弁によりますと、非軍事とされております。

 一方、宇宙開発利用関係の諸条約では、平和的利用は、非軍事ではなく非侵略と解されることも多く、防衛目的での利用を行うことが平和的利用の文言の解釈として許容されないものとまでは考えられません。

 また、平和利用決議が採択された当時に比べ、宇宙開発利用の状況は大きく変わっておりまして、我々の日常生活の中でも宇宙の利活用は広く行われております。このように、宇宙開発利用が進展する中においても、安全保障に資する宇宙利用を一切認めないとするのが決議の趣旨とは考えにくいというふうに理解をしております。

 憲法の平和主義の理念にのっとり、専守防衛の範囲内で我が国の防衛のために宇宙開発利用を行うことは、決議の文言及びその趣旨に反するものではないというふうに考えております。

島津委員 非軍事から、そういうところから発展しているわけですけれども、非常に解釈が変わってきている。いろいろ理由は挙げましたけれども、今、安倍政権のもとで、憲法解釈も変えられるという非常に乱暴なやり方がやられているわけですけれども、それと通じるものがあるというふうに、今答弁を聞いて感じました。

 今答弁があったように、また、冒頭見てきたように、宇宙基本法とその後の基本計画は、宇宙の軍事利用の拡大、宇宙の軍事化路線がより鮮明に打ち出されている、こういうものになっているというふうに言わざるを得ません。

 朝日新聞は、当時、この宇宙基本計画、パブコメで発表された素案について社説を出しました。宇宙の軍事化路線がより明確に打ち出されている。この社説では、「安保色が強すぎる」という表題で、中を読みますと、防衛白書と見間違うばかりとも書いています。

 そこで、宇宙活動法についてお聞きします。

 この法案は、ロケットに積む衛星や管理する衛星の利用について許認可によって規制するものだが、その許可の基準は、打ち上げは第六条、衛星管理は二十二条において、いずれも理念に即したものであることを規定しています。

 そこで、お聞きしたいんですけれども、海外で、軍事的な政府ミッション、軍事利用の衛星の打ち上げなどを商用ロケットで打ち上げるケースがあります。仮に我が国の業者、例えば大企業、これが国際的な打ち上げの市場に参入した、こういう場合、我が国の安全保障に資するなら、このような他国の軍事ミッションを我が国の企業が受注することが可能となるのかどうか。外国政府の軍事利用の衛星が我が国の安全保障にかなうなら、このスキームで打ち上げが許可されることになるんじゃないですか。

鶴保国務大臣 委員御指摘のとおり、本法律案では、宇宙基本法の基本理念に即したものであることが、搭載される人工衛星の利用の目的及び方法として許可の基準とさせていただいております。

 したがいまして、この基本理念に即したもの、あるいは宇宙関連諸条約の的確かつ円滑な実施及び公共の安全の確保に支障を及ぼすおそれがないことという厳しい要件のもと、これらを満たすものについてのみ許可をさせていただくという方針で臨みたいというふうに考えております。

島津委員 結局、法律上は、軍事利用のための衛星を積んだ商用ロケットの打ち上げや衛星管理が可能になるというわけです。

 次に、リモセン法案について、関連して幾つかお聞きしたいと思います。

 リモートセンシング衛星は、可視光や赤外線あるいは電波などで地球を上空から観測する地球観測衛星とも呼ばれています。政府直属の情報機関、内閣情報調査室、内閣衛星情報センターで運用されている情報収集衛星もこのリモートセンシング衛星です。

 これまで日本は、この情報収集衛星を何基打ち上げているんでしょうか。

塩川政府参考人 お答えします。

 情報収集衛星につきましては、平成十五年十一月の光学衛星一基、レーダー衛星一基の打ち上げ失敗を含めまして、これまでに光学衛星を八基、レーダー衛星を六基打ち上げております。

島津委員 この打ち上げの目的は何でしょう。

塩川政府参考人 お答えします。

 情報収集衛星は、平成十年十二月の閣議決定におきまして、外交、防衛等の安全保障及び大規模災害等への対応等の危機管理のために必要な情報の収集を行うことを目的とし、その導入が決定されたものであります。

 この閣議決定に基づきまして、現在、内閣衛星情報センターでは、我が国や国民の安全を確保するため、衛星による必要な情報収集に努めているところであります。

島津委員 大規模災害等への対応の危機管理、こういうことも言われたんですけれども、しかし、その撮影画像が東日本大震災のときには非公開でした。情報収集の衛星が解像度を上げるためには、地上から百五十から二百五十キロメートルという低高度で飛行することが必要です。そうすると、大気が厚いためにすぐ高度が下がってしまうことから、頻繁に高度を修正する必要があります。また、地上で何か事件などあると、直ちにその方向に向きを変えなきゃいけません。そのために、衛星に搭載した燃料を短時間で使い切る、こういう寿命が短い特徴を持っている。ですから、大体二年から三年、これが寿命だと言われているんです。

 先ほどお話がありましたように、日本でも情報収集衛星を次々と打ち上げている。これまで、この情報収集衛星にはどのぐらいお金がかかっているんでしょうか。開発から打ち上げまでのこれまでの累計金額を教えていただけますか。

塩川政府参考人 お答えします。

 情報収集衛星の開発、打ち上げ関係の予算は、これまでのところ、累計九千二百四十二億円であります。

島津委員 やはり、次々と打ち上げなきゃいけないということですから、お金も非常にかかっている。しかし、なかなか、それが災害等の危機管理で使われているかというと疑問もあるわけです。

 安倍政権が昨年十二月に策定した第三次宇宙基本計画工程表では、この情報収集衛星の体制を変更することが盛り込まれています。どのような体制にするんでしょうか。

塩川政府参考人 お答えします。

 北朝鮮情勢を初めとする厳しい国際情勢の中での外交、防衛等の安全保障や、大規模災害等への対応等の危機管理のため、衛星情報はますます重要になっているものと認識しております。

 このような情勢に鑑みまして、平成二十七年十二月に宇宙開発戦略本部で決定された宇宙基本計画工程表においては、合計十基の整備計画について、今後、財源確保策をあわせて検討することとされております。

 内閣衛星情報センターといたしましては、宇宙基本計画工程表を踏まえまして、情報収集衛星の体制の継続的強化に向け、引き続き、必要な人員、予算の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

島津委員 情報収集衛星というのは、可視光で地表の写真を撮る光学衛星と、電波で夜間や雲の多いときでも情報が得られるレーダー衛星の二基が一セットで運用されているわけです。しかし、一日に一回しか同じ場所を観測できないので、今、二セット四基で運営されているわけです。それを、今お答えがあったように十基にするというわけです。

 これからまた、これまでも九千億円以上使って、さらに多額の税金を投入してつくり上げる、こういう情報収集衛星の体制なんですけれども、先ほども述べましたように、その撮影画像、大震災のときでも非公開。国民にはどう役に立っているかわからない。そして、その収集した情報についても、開示されるのか、されていない。外交、防衛等の安全保障に活用される。軍事スパイ衛星じゃないか。こういう指摘もいろいろなところから上がっているわけです。平和と国民生活を破壊する衛星の軍事利用、きっぱりやめるべきじゃないんでしょうか。

 続いて、準天頂衛星についてもお聞きします。

 第三次宇宙基本計画では、日本版GPS、全地球測位システムと呼ばれる準天頂衛星を、現在の一基から前倒しして七基体制が掲げられました。先ほども議論があったところです。

 この問題は、参議院の予算委員会で我が党の井上哲士議員も取り上げましたが、日米ガイドライン防衛協力指針に、新たに宇宙に関する協力が盛り込まれました。そして、二〇一三年から開始された宇宙に関する包括的日米対話で、日本の準天頂衛星システムの協力の促進が日米で議論されています。そのもとで、準天頂衛星整備前倒しが行われ、七基体制を目指して当面四基にふやす。これは二千億円強が見込まれているわけです。

 大臣、この準天頂衛星、アメリカの要求に沿って、米軍と協力する、軍事利用するということじゃありませんよね。

鶴保国務大臣 七基体制の確立についての御趣旨でのお尋ねだろうと思いますが、米国GPSと同じ信号を出すことから、米国GPSと連携した衛星測位システムの抗堪性強化につながるということが一番大きな理由だと思います。またあるいは、米国GPSに依存しない我が国独自の持続測位を可能とするという二つの側面から、我が国の安全保障強化には資するものと考えております。

 具体的な安全保障上の有効活用の中身や準天頂衛星の利活用につきましては、繰り返しになって恐縮でありますが、日本国憲法の平和主義の理念に基づき、関係府省とも連携をしながら、これから詳細を詰めていきたいというふうに思います。

島津委員 GPS衛星というのは、カーナビなどに使われていますから、カーナビなどのために打ち上げられたと思われがちなんですけれども、実はそうじゃありません。本来の目的は軍事用なんです。潜水艦が海中からどこへ浮き上がるか、これを決めるのもこのGPS、軍隊が移動する、こういう情報もこれでやるわけです。

 アメリカは、今お話があったように、三十基のGPS衛星を打ち上げています。無人攻撃機の問題が大分問題になっていますけれども、この無人攻撃機の運航も、GPS衛星が遠隔操作のかなめになっているんです。

 今、大臣、お答えがありましたけれども、こういうGPS衛星、日本の準天頂衛星も軍事目的に利用されるんじゃないかと非常に懸念するわけです。それはないということを改めて、今の答弁だとちょっとよくわかりませんでしたけれども、軍事利用はさせないということを約束してほしいと思うんです。

鶴保国務大臣 委員御指摘の軍事というものの内容が必ずしも明らかではありませんが、軍事がいかなるものであるかということに対しての判断は、主体、あるいは相手先、あるいはその環境、状況などにより、その都度確認を要するものというふうに考えております。

 御指摘の軍事利用の有無につきましては、日本国憲法の平和主義の理念に基づき、準天頂衛星の利活用について検討をさせていただきたいというふうに思っております。

島津委員 結局、約束、明言していただけないわけですけれども。

 今まで見てきたように、リモートセンシング衛星というのは、静止気象衛星「ひまわり」など、私たちの暮らしに役立っている衛星がある一方で、上空から、地上や海上での他国の部隊や基地の動きや活動状況を画像情報として探るスパイ衛星の役割を果たすこともできるんです。

 無人攻撃機など、直接の武力行使にも活用されています。平和利用で始まった宇宙開発が、なし崩し的に軍事利用に傾き、それが強まっていく、この懸念、きょうの議論でも拭い切れません。

 最後に、法案について具体的にお聞きします。

 法案は、内閣総理大臣によって、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれがあると認める十分な理由があるときは、画像の提供を一定期間、特定の地域を示して禁止することができるとしています。

 確認したいんですけれども、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれとは客観的にどういう場合なのか、そして、十分な理由とはどのような事態を想定しているのか、これをお答え願います。

高田政府参考人 お答え申し上げます。

 国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれがあるものとは、個別具体的な状況に応じて総合的に判断する必要があり、具体的な状況を一概に申し上げることは困難であります。

 その上で、あえて申し上げるとすれば、例えば、衛星リモートセンシング記録が紛争当事国やテロ組織などによって利用され、武力紛争やテロ行為などが助長されるおそれがある場合、あるいは、政治、軍事的な情報収集手段として利用され、我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれがある場合などがこれに当たる可能性があると考えております。

 また、十分な理由があるときということについてのお尋ねでありますが、このような国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に支障を及ぼすようなおそれがあるときであって、そのように認識するのに十分な資料や客観的、合理的な理由がある場合などがこれに当たる可能性があると考えております。

島津委員 曖昧な点も多々ある答弁でした。国民の知る権利を脅かしかねないと思いました。

 さらに、画像の提供を一定期間、特定の地域を示して禁止するとしているわけですけれども、日本国内で規制をしても、実際問題として、アメリカなどから海外の情報はどんどん入ってくるわけです。特に、アメリカは軍事技術の古くなったものを民間に払い下げして活用しているため、アメリカの民間データが流れ込む、こういうことが今でもあります。

 その意味でも、今回の法案というのは実効性がないんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょう。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案においては、国内に所在する操作用無線設備を用いた衛星リモートセンシング装置の使用により取得した記録を規制対象としており、海外に所在する操作用無線設備を用いた衛星リモートセンシング装置の使用により取得した記録は規制対象とはなりません。その点は御指摘のとおりでございます。

 一方、民間事業者が衛星リモートセンシング装置を使用する能力を持つ国では、衛星リモートセンシング記録を適切に管理するための法制度が整備されてきておりまして、アメリカ、カナダ、ドイツ、フランスといった国でも整備されてございます。

 我が国といたしましても、こうした国々と緊密に連携をすることによりまして、衛星リモートセンシング記録の適正な取り扱いの実効性を確保してまいりたいと考えております。

島津委員 我が国、ほかの国もやっているところもあるわけですけれども、しかし、それで万全とは言えない。ある意味、実効性がないわけです。テロ組織などに渡らなくても、ほかの国は情報を十分に得ているわけで、そういう点では本当に実効性を疑問に思います。

 私は、ある研究者の方からこの法案の審議に当たって話を聞いたんですけれども、今回のリモセン法案は、そうした今述べた実効性がないと同時に、研究者にとって不安と語っていました。研究者にとっては、これが制約になって害悪の方が大きいんじゃないか、制約を加えずに自由に競争した方が宇宙技術の民主的発展にとって有効である、こういう声だったんです。

 こうした研究者の立場からの不安、心配、この声にどう応えるんでしょうか。

佐伯政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案で規制対象となる衛星リモートセンシング記録、こちらを利用するに当たりましては、適正に取り扱うことができる旨の内閣総理大臣の認定を受ける必要がございまして、申請等の一定の手続負担を必要とすることは事実でございます。

 一方、本法案第三条第二項におきましては、「衛星リモートセンシング装置の使用により生み出された価値を利用する諸活動の健全な発達が確保されるよう適切な配慮をするもの」と定められております。

 認定に係る判断基準につきましては、衛星リモートセンシング記録の利用の目的が国際社会の平和の確保等に支障を及ぼすものでないこと、衛星リモートセンシング記録の安全管理措置を適切に実施できることなどが考えられておりますが、詳細な検討に当たりましては、研究者の方々の研究活動が円滑に進むように検討してまいりたいと考えております。

島津委員 ぜひ、こうした研究者の皆さんの心配にきちんと応えていただきたいと思うんです。

 この法案は、テロ対策等を名目に、最新の宇宙技術で得た情報に政治、行政的な規制をかけるものです。国による規制が進むと、画像ユーザーである研究者にとっても大きな制約になるわけです。宇宙科学発展の妨げともなります。

 同時に、画像を商用として取り扱っている民間企業にも支障が生じることになります。基準が不明確なまま、時の政府の判断で禁止措置をとる、こういうことになるわけですけれども、非常に危険だということを指摘したいと思うんです。

 宇宙というのは、ハッブル宇宙望遠鏡で撮られた神秘的な映像に多くの人が魅せられています。木星や火星探査での新発見に心が躍り、小惑星探査機「はやぶさ」の劇的な帰還に多くの人が拍手を送りました。

 こうした宇宙をめぐる話題には夢とロマンがかき立てられます。しかし、それらは宇宙開発の一面でしかありません。そうした華やかな話題の裏で進行しているのが宇宙の軍事利用です。宇宙科学、探査分野や民生分野が後景に押しやられ、軍事利用に莫大なお金がつぎ込まれています。軍事機密に制約されるため、民生用に開発普及されコストダウンを進める阻害にもなります。科学技術の発展の阻害にもなるんです。

 日本の宇宙開発は、一九六九年の全会一致での国会決議以来、非軍事に限られ、自主、民主、公開の原則で進められてきました。改めてこの決議に立ち戻って、日本の宇宙開発を憲法九条に基づき平和目的に限定する、そのためには宇宙基本法の安全保障条項を削除することを求めて、質問を終わります。

秋元委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。

 先ほど共産党の先生も最後におっしゃっていました、宇宙というのは本当にいろいろな夢もたくさんある世界です。個人的には、私は、スター・トレックが大好きで、いつかあんなふうになったらいいなと思っていますけれども、あれはもう完全に軍事が描かれている世界ですので、きょうはそれは触れないでおこうと思います。

 質問に入りますけれども、冒頭からいろいろとお話があったのでかぶるかもしれませんけれども、今回の法整備はもちろん重要なんですけれども、これから宇宙産業の成長にどういうふうに取り組んでいくのかということが、軍事利用しない、平和目的利用しかしない、日本の、もちろん技術的にはたくさん強みがあるとは思うんですけれども、どこに向けて成長させていくかということが重要だと思うんです。その点について考えていることを述べていただきたいと思います。

豊田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 本年四月に閣議決定された宇宙基本計画においては、宇宙安全保障の確保、民生分野における宇宙利用の推進、宇宙産業及び科学技術の基盤の維持強化の三つを、今後十年間の宇宙政策の目標と掲げたところでございます。

 特に、宇宙産業をめぐる地平は大きく変化しております。各国が産業育成にしのぎを削っている中、我が国も産業振興としての宇宙政策を重点的に行う必要がございます。

 このため、我が国の宇宙システムの海外展開に積極的に取り組むことが重要。また、準天頂衛星を初めとした各種の宇宙システムを整備するとともに、宇宙を利用した新事業、新サービスの創出など、宇宙開発利用戦略を強力に推進してまいる所存でございます。

 このような新たな民間事業者による宇宙活動を支えるための基盤づくりが、今回の宇宙二法案制定の理由でございます。

浦野委員 日本では、今よく打ち上げられているH2ロケットというのがあります。あれは世界的に見てもかなり精度の高いロケットですけれども、最近よく宇宙関係で話題になるのはスペースXですね。この間も派手に大爆発を起こしまして、世界各国で非常に大きなニュースになっていましたけれども、日本は今、そのH2ロケットの後継のものを開発していくということになっていると思うんですけれども、H3ですかね、その点の開発について今現状どういうふうになっているのか、お聞かせください。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 H3ロケットについてのお尋ねでございますけれども、H3ロケットにつきましては、宇宙輸送の自立性を継続的に確保する、また、打ち上げサービスの国際競争力の強化をするということを目的といたしまして、一層の運用コストの削減、また、多様な打ち上げニーズへの対応ということを可能としますよう、その開発を官民一体となって現在進めているところでございます。

 現状についてというお尋ねでございますけれども、昨年度、基本設計を完了いたしたところでございまして、ロケットの機体の形態を確定したところでございます。現在、エンジン、機体構造、電気装置、補助ロケットブースター等の詳細設計に着手をしているというところでございます。さらに、本年度中にも、新たに開発をいたします第一段エンジン、それから補助ロケットブースターの燃焼試験等の実施を予定しているという状況でございまして、平成三十二年度の初号機打ち上げを目指しまして、今後とも着実に進めてまいりたいと考えているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 今回、補償する内容のものも入っていますけれども、諸外国において人工衛星打ち上げに対する政府補償を支払った実績というのは実際あるんでしょうか。

豊田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 民間による人工衛星等の打ち上げを行っている先進国であるアメリカ及びフランスにおいては、両国とも政府補償制度を導入しておりますが、制度が導入されて以降、政府補償が支払われた実績はございません。

浦野委員 この間、先ほど言った派手に爆発したスペースXなども、お聞かせいただくと、あれはアメリカ軍が持っていた基地で打ち上げ準備中に大爆発を起こしたということで、周りには民間のそういう施設もない、被害があったのも、思っていたほど被害がなかったということもありましたし、結局はイーロン・マスクさんの個人資産が大分吹っ飛んだというだけのことで終わったみたいですけれども。

 大体この保険額というのはどれぐらいになるかという算定方法があると思うんですけれども、それについてはいかがですか。

豊田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 人工衛星等の打ち上げに伴い発生し得る被害の規模は、ロケットの大きさや打ち上げる場所の周辺環境等によって異なっております。そのため、本法では、人工衛星の打ち上げ用ロケットの設計、打ち上げ施設の場所、その他の事情を勘案した上で、個別に保険額を算定することとしております。

 具体的な額については今後内閣府令で定めることとしておりますが、ベンチャー企業等の新たな小型ロケットに対し、ロケットの規模に応じた合理的な額となるよう検討を進めてまいります。

浦野委員 今いろいろとお答えをいただきましたけれども、日本は技術的には恐らく世界でもトップレベルのさまざまなものを持っていると思うんですね。こういう技術を、宇宙分野でももちろんたくさんいろいろな技術を持っていると思います。こういった強みを生かした宇宙システムをまた、日本の技術を海外にしっかりと売り込んで、日本全体の経済の部分もありますし、底上げをしていくということもあると思います。この海外展開ですね、もちろん、日本だけじゃなくて海外展開に向けた大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。

鶴保国務大臣 私も、先般、この衛星関連の仕事で九月にトルコにも出張させていただきました。その際、ユルドゥルム首相を初め主要大臣と会談を行わせていただき、我が国の宇宙開発、宇宙技術の高さに大変注目をしていただいて、期待をしていただいているということをひしひしと感じました。

 現在、御案内のとおり、世界の宇宙産業というのが年率七%もの高成長を遂げておるということや、各国がこの宇宙産業分野に進出をすべくしのぎを削っている状況でありますから、ここは政府が政治主導をもって、政治も主導的な役割を果たしながら、こうした産業分野にしっかりとコミットしていかねばならないというふうに思います。

 経協インフラ戦略会議というものがございまして、インフラ輸出にも取り組んでおるところでありますので、この宇宙分野はその大きな柱になるというふうに考えております。

浦野委員 これから日本が世界に貢献していける分野の大きな一つだろうと私も考えておりますので、ぜひしっかりとやっていっていただけたらと思っております。

 もう一つ、気になるというか、私は個人的に、皆さんとは意見が違うかもしれませんけれども、この間も大きくニュースになりました、中国が有人飛行をまた成功させています。これで、今有人飛行を行っている国はアメリカとロシアと中国、世界では三カ国だけということです。

 私は、もちろん有人飛行、日本独自でそういう技術をしっかりと確立してできればいいかなとも思っていますけれども、実際は、いろいろお聞きすると、かなりハードルの高い技術だ、また、場所的にも非常に、有人飛行の打ち上げに地理的に余り適していないところもあるということで、なかなか難しいんではないかというふうにはおっしゃっていました。

 私自身は、有人飛行をそんなに無理やり目指すことはないと思っています、残念ですけれども。ただ、私はやはり、世界各国で行われているいろいろな技術発展に寄与できるような部分で、別に有人飛行のみならず、いろいろな貢献できる分野は日本は持っていると思いますので、そういう部分をどんどん前に進めていっていただきたいなと個人的には思っています。

 今現在、日本で、有人飛行に関してどういうふうな方向性で考えられているのかというのをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 有人飛行、有人宇宙活動についてのお尋ねでございましたけれども、私ども、有人宇宙活動につきましては、御例示のございました中国のような独自の有人打ち上げということの計画は持っておらないわけですけれども、一方で、国際協力の枠組みを通じまして、一九九八年から、米国、ロシア、欧州、カナダと協力をいたしまして、国際宇宙ステーション、通称ISSと言っておりますけれども、この計画を推進してきております。そして、昨年の十二月には、我が国として、このISS計画への参加延長を二〇二四年までするということを決定したところでございます。

 この計画でも、ほかでは得ることができない宇宙空間での研究成果の獲得などの非常に貴重な成果を得ているというふうに認識しておりまして、私どもとしましては、引き続き、このISS計画等の国際協力の枠組みを通じまして有人宇宙活動を推進してまいりたい、このように考えているところでございます。

浦野委員 宇宙開発というのは、ロケットだけじゃなくていろいろ、今おっしゃったようにステーションだとかもあります。技術的には可能だと言われている宇宙エレベーターとかもありますよね。私は、その分野は、日本は本当にできるんじゃないかというふうに勝手に思っている一人なんですけれども、この後、この法案の採決に当たりまして、最後に大臣、一言お言葉をいただけたらと思います。

鶴保国務大臣 段々のお話にあったとおり、宇宙開発利用は本当に地平が変わってきております。民間の参入のみならず、各国の科学技術の発展がそれぞれにおいて進んできたおかげで、各国は、この七%以上の経済成長の中で、宇宙分野に参入をしようとしのぎを削っておるところでありますから、我が国としても、この技術の発展、寄与のためにも、そしてまた、先ほど委員から御指摘があったような、スター・トレックとまでは言いませんが、夢と希望を醸成させる宇宙開発利用に大いに私たちも参与し、参画をしていく決意を持って頑張っていきたいというふうに思います。

浦野委員 少し早目ですけれども、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

秋元委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 これより両案について討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。池内さおり君。

池内委員 日本共産党を代表して、ただいま議題となりました宇宙活動法案及び衛星リモートセンシング法案のいずれにも反対の討論を行います。

 宇宙活動法案は、ロケットの打ち上げ、衛星の管理を許認可によって規制するものです。今後、民間企業が宇宙活動に参加することとなれば、これを規律するルールは必要です。しかし、平和の目的に限るものとして進められてきた宇宙の開発利用は、二〇〇八年に成立した宇宙基本法に、安全保障に資することが盛り込まれ、軍事を目的とする宇宙の開発利用に道が開かれました。

 本法案は、ロケットの打ち上げ、衛星管理運営は宇宙基本法の基本理念に即したものであることとしており、軍事目的の打ち上げ、衛星管理は、何ら制約を受けることはありません。

 そうである以上、平和の目的に限ることから逸脱することになるのは明白であり、到底賛成することはできません。

 次に、衛星リモートセンシング法案について反対理由を述べます。

 法案は、テロ対策等を名目に、最新の宇宙技術で得た情報に政治、行政的な規制をかけるものです。本来、宇宙の開発利用においては、自主、民主、公開の原則に立つべきなのに、国による規制が進むと、画像ユーザーである研究者にとっても大きな制約となり、宇宙科学の発展の妨げとなるばかりでなく、画像を商用として取り扱っている民間企業の活動にも支障が生じかねません。

 また、法案は、内閣総理大臣が、国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に支障を及ぼすおそれがあると認める十分な理由があると判断すれば、画像の提供を一定期間、特定の地域を示して禁止することができるとしています。しかし、十分な理由は、これはどのような事態を想定しているのか、基準が不明確なまま、時の政権の判断で禁止措置をとるということは、国民の知る権利を不当に脅かすものです。

 以上、両法案に対する反対の理由を述べて、討論を終わります。(拍手)

秋元委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 これより採決に入ります。

 まず、第百九十回国会、内閣提出、人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

秋元委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、第百九十回国会、内閣提出、衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

秋元委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

秋元委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十九分散会


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