第7号 平成28年11月25日(金曜日)
平成二十八年十一月二十五日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 秋元 司君
理事 谷川 弥一君 理事 平井たくや君
理事 ふくだ峰之君 理事 牧島かれん君
理事 松本 文明君 理事 緒方林太郎君
理事 神山 洋介君 理事 佐藤 茂樹君
青山 周平君 池田 佳隆君
石崎 徹君 岩田 和親君
大岡 敏孝君 大隈 和英君
大西 英男君 大西 宏幸君
岡下 昌平君 神谷 昇君
木内 均君 國場幸之助君
今野 智博君 田畑 毅君
武部 新君 武村 展英君
中山 展宏君 鳩山 二郎君
務台 俊介君 宗清 皇一君
和田 義明君 井出 庸生君
泉 健太君 岡田 克也君
金子 恵美君 高井 崇志君
辻元 清美君 原口 一博君
角田 秀穂君 濱村 進君
池内さおり君 島津 幸広君
浦野 靖人君
…………………………………
内閣府大臣政務官 武村 展英君
内閣府大臣政務官 務台 俊介君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 三角 育生君
政府参考人
(個人情報保護委員会事務局長) 其田 真理君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 堀江 宏之君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 猿渡 知之君
内閣委員会専門員 室井 純子君
―――――――――――――
委員の異動
十一月十八日
辞任 補欠選任
長坂 康正君 鳩山 二郎君
長島 忠美君 田畑 毅君
同月二十五日
辞任 補欠選任
務台 俊介君 大西 英男君
和田 義明君 宗清 皇一君
大串 博志君 原口 一博君
同日
辞任 補欠選任
大西 英男君 務台 俊介君
宗清 皇一君 和田 義明君
原口 一博君 大串 博志君
―――――――――――――
十一月十八日
マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)の撤回と対象拡大の中止に関する請願(志位和夫君紹介)(第五六〇号)
同(畑野君枝君紹介)(第六二一号)
同月二十四日
韓国・朝鮮人元BC級戦犯者と遺族に対する立法措置に関する請願(岩屋毅君紹介)(第七六〇号)
同(岸本周平君紹介)(第七七三号)
同(辻元清美君紹介)(第七七四号)
同(大畠章宏君紹介)(第八〇八号)
同(笠井亮君紹介)(第八〇九号)
同(佐々木隆博君紹介)(第八一〇号)
同(階猛君紹介)(第八一一号)
同(中川正春君紹介)(第八一二号)
同(近藤昭一君紹介)(第八六四号)
同(田村貴昭君紹介)(第八六五号)
同(初鹿明博君紹介)(第八六六号)
同(横路孝弘君紹介)(第八六七号)
同(池内さおり君紹介)(第九九四号)
同(斉藤和子君紹介)(第九九五号)
同(郡和子君紹介)(第一〇四三号)
同(阿部知子君紹介)(第一三一四号)
同(泉健太君紹介)(第一三一五号)
特定秘密の保護に関する法律の撤廃に関する請願(池内さおり君紹介)(第一〇四一号)
特定秘密保護法の撤廃に関する請願(斉藤和子君紹介)(第一〇四二号)
同(畠山和也君紹介)(第一三一六号)
マイナンバー制度の中止・廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二九二号)
同(池内さおり君紹介)(第一二九三号)
同(梅村さえこ君紹介)(第一二九四号)
同(大平喜信君紹介)(第一二九五号)
同(笠井亮君紹介)(第一二九六号)
同(穀田恵二君紹介)(第一二九七号)
同(斉藤和子君紹介)(第一二九八号)
同(志位和夫君紹介)(第一二九九号)
同(清水忠史君紹介)(第一三〇〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一三〇一号)
同(島津幸広君紹介)(第一三〇二号)
同(田村貴昭君紹介)(第一三〇三号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一三〇四号)
同(畑野君枝君紹介)(第一三〇五号)
同(畠山和也君紹介)(第一三〇六号)
同(藤野保史君紹介)(第一三〇七号)
同(堀内照文君紹介)(第一三〇八号)
同(真島省三君紹介)(第一三〇九号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三一〇号)
同(宮本徹君紹介)(第一三一一号)
同(本村伸子君紹介)(第一三一二号)
マイナンバーの中止に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一三一三号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
官民データ活用推進基本法案起草の件
――――◇―――――
○秋元委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官三角育生君、個人情報保護委員会事務局長其田真理君、総務省大臣官房審議官堀江宏之君、総務省大臣官房審議官猿渡知之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○秋元委員長 官民データ活用推進基本法案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、平井たくや君外三名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの官民データ活用推進基本法案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。平井たくや君。
○平井委員 官民データ活用推進基本法案の起草案につきまして、提案者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
本案は、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて流通する多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することにより、急速な少子高齢化の進展への対応等の我が国が直面する課題の解決に資する環境をより一層整備することが重要であることに鑑み、官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、官民データ活用の推進に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体及び事業者の責務を明らかにし、並びに官民データ活用推進基本計画の策定その他、官民データ活用の推進に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、官民データ活用推進戦略会議を設置するもので、起草案の主な内容は、次のとおりであります。
第一に、この法律において、官民データとは、電磁的記録に記録された情報であって、国もしくは地方公共団体または独立行政法人もしくはその他の事業者により、その事務または事業の遂行に当たり、管理され、利用され、または提供されるものをいうこととしております。
第二に、基本理念として、官民データ活用の推進は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法等による施策と相まって、個人及び法人の権利利益を保護しつつ情報の円滑な流通の確保を図ることを旨として行われなければならないこと等を規定することとしております。
第三に、国、地方公共団体及び事業者の責務を規定することとしております。
第四に、政府は、官民データ活用の推進に関する施策を実施するため必要な法制上または財政上の措置その他の措置を講じなければならないこととしております。
第五に、政府は、官民データ活用の推進に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、官民データ活用推進基本計画を定めなければならないこととするとともに、都道府県による都道府県官民データ活用推進計画の策定及び市町村による市町村官民データ活用推進計画の策定努力について規定を置くこととしております。
第六に、基本的施策として、行政手続等における情報通信の技術の利用、国及び地方公共団体等が保有する官民データの容易な利用、国の施策と地方公共団体の施策との整合性の確保等について必要な措置を講ずるもの等とすることとしております。
第七に、官民データ活用の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部に、内閣総理大臣を議長とする官民データ活用推進戦略会議を置くこととしております。
第八に、この法律は、公布の日から施行することとしております。
以上が、本起草案の趣旨及び概要であります。
何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
―――――――――――――
官民データ活用推進基本法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○秋元委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。ふくだ峰之君。
○ふくだ委員 おはようございます。
まず、本日、こうした官民データ活用推進基本法案の審議が行われることに、各党会派の皆さん、本当に感謝申し上げたいというふうに思います。
私は、自民党のこの法案のPTの事務局長といたしまして、法案提出者でもあります平井たくや委員長とともに、まさにこの二年間、官民データの活用を、個人の情報の保護をしっかりと念頭にしつつ、どうやってこれを活用していくのかということを二年間温めて、ようやくここにたどり着きました。
それはなぜかと申し上げれば、二〇三〇年、ちょうど、私の娘は今六歳なんですが、二十になったときにも、日本の経済が力強さを持って、世界にイノベーションを提供できるような国であるためには、まさにこれからの時代、デジタルエコノミー、あるいはデジタルガバメント、あるいはデジタルデモクラシー、こうしたことを、いかにデータを使いながら、IoTを使いながら確立をしていくことが重要だというふうに考えると、この官民データ活用推進基本法という法律が本当に将来大切だという思いがあったからでございます。その思いにふけって昨日の夜はよく寝られなかったんですが、大変に、ある意味では思い出深い法案でもございます。
そして、まず、これからまさに日本の課題は超少子高齢化社会を迎えていくわけですが、この法案によって、日本の経済の成長とか、あるいはもう一つ、地域の課題、これはまだまだ残されているものもございますので、この解決についてこの官民データ活用推進基本法がどのように貢献するのかということから伺いたいと思います。
○平井委員 質問ありがとうございます。
ふくだ先生がお話しになったとおり、この法律が四党の共同提出になったということを非常に私はうれしく思っておりますし、まさに今、立法府として、今、インターネット前提社会の中で新たな国民の権利みたいなものをつくるためには、やはりいろいろ知恵をこれから出さなきゃいけないというふうに思っています。
今、第四次産業革命というふうに言われていますけれども、この第四次産業革命というのがインターネットを使うことによって起きているということを考えると、実はまだ、インターネットが使われ始めて八千日しかたっていないんですね。ところが、全てのものは、全て今インターネットの上に乗っていると言っても過言ではないんです。ですから、このスピード感というのは、今までの産業革命とはちょっと比べ物にならないスピードだなと。
その意味で、立法府にいる我々は、IT基本法は二〇〇一年に施行されたんですが、それを補完するような形で、きょうおいでの原口先生なんかと一緒にサイバーセキュリティ基本法も議員立法で出させていただきましたし、この法案も同じです。
つまり、変わり行く状況の中でどのような法律がこれから必要になるか。十年たったら、またどうなるかわかりません。しかし、このタイミングでこの法律を立法府の意思として定めることの意味は非常に大きいというふうに思っています。
誰もが認めているのが、新たな付加価値の源泉としてのデータの重要性です。一方、ネット、ほとんどの国会議員の皆さんもお使いでしょうが、グーグルやアマゾンといった米国の巨大企業、いわゆるGAFAと言われるものですね、フェイスブック、アップルが入るのかな、そういうところに皆さん、同意のもとに自分の情報はどんどん吸い上げられているわけですね。いわばデータを囲い込む企業というのがあらわれてきている。
我々の思いとしては、そういう状況の中で、データ活用のイニシアチブを取り戻したい、それが私の狙いの一つでもあります。データを使わないと、イノベーションというものも生まれてこないというふうに思うんですね。
また、今後は、AI、IoTの進展ということがあります。そうなりますと、大量に発生する現実空間のデータをめぐり、本当にこのデータ獲得、活用の競争に突入するというふうに考えられています。
今回の法案は、データ獲得、活用競争を勝ち抜くことで、本当の意味でデータ立国日本へと国の形を改革して、そして、GDP六百兆円という目標の中で、超少子高齢化社会における地域課題の解決に資するものと考えています。
例えば、今回、原則ITによる行政事務等の効率化、生成、流通、共有、活用されるデータ量の飛躍的拡大を通じた新しいビジネスとイノベーションの創出、データに基づく農業、医療、介護、観光、金融、教育等の改革などによって、実現できることは多いと考えています。特に、市町村と住民がデータを共有、活用することにより、防災や介護を初め、また、住民生活の向上につなげることによって、その地域が持つさまざまな課題の解決に資すると期待をしているところであります。
ですから、日本経済の成長やさまざまな地域課題の解決のためには官民データの活用はまさに待ったなしの状況であり、速やかに取り組む必要があると、この国会での制定をお願いしているところでございます。
○ふくだ委員 法律はもちろん重要でございまして、法律ができたからといって、はい、それでいいというわけではもちろんございません。法律に基づいていかに実効性を担保していくのかということが重要で、まさにこれは仏つくって魂入れて、そして、それを動かすということが重要でございます。
そこで、法律で明記をいたしました官民データ活用推進戦略会議、ここがリーダーシップをとって国全体の取り組みを牽引することが重要だと考えています。
そこで、この会議の推進体制ということがすごく重要になってくると思いますが、これをいかに運営されるのか、お願いいたします。
○平井委員 官民データ活用推進戦略会議は、議長に総理をもって充て、全ての国務大臣や政府CIO、民間有識者をメンバーとして、総理の強力なリーダーシップのもと、政府一丸となって官民データの活用を推進する体制を整備することとしています。
会議が官民データ活用の司令塔となって各種施策を確実に進めるためには、官民データ活用推進基本計画の内容を着実に実施することが重要です。計画の策定やその実施に当たっては各省のいろいろな問題も想定されますが、本案については、各省の施策の進捗状況の評価や議長である総理の関係行政機関の長に対する勧告権を規定しており、これらの規定により計画の実効性を担保することにしております。
また、各党各会派の部会等においても、計画の策定段階からしっかり精査していくことで、より実効性を高められるものと考えています。
自民党の場合はIT戦略特命委員会の方で今までいろいろな議論もしてきておりましたし、本当にこの技術の進歩が速いので、こういうものは常に問題意識を持ってそういう議論をしていかなきゃいけないし、こういう問題は恐らく超党派で取り組むべき問題ではないかと考えているところでございます。
○ふくだ委員 新聞や雑誌、あるいはテレビとか、人工知能だとかあるいはビッグデータとか、こうした言葉が毎日のように出てきています。確かに、新しい時代をつくるには重要なファクターでありますし、経済、あるいは行政の効率化、こうしたことを各種考えても本当に重要だと思うんですが、しかし、残念ながら言葉がひとり歩きしているのではないかなという感が、実は私は否めないんですね。
それは、まずはデータがあって、なおかつそのデータが横串を刺せて、そしてそれがいろいろな形で見出されることが前提にならないと、これは使い物にはならない。それぞれ、公やあるいは民間やいろいろなところがデータを持っていても、それはただ持っているだけでは意味がないし、あるいはばらばらであったら横串は刺せませんし、こうしたものを整理してからこそ、AIだったりあるいはビッグデータの解析だったり、こうしたものが大きな意味をもたらしてくるのではないかなというふうに考えます。
そこで、特にAIだとかビッグデータの推進にかかわる政府の方針と、そして本法案の関係をいかに考えるか、お答えいただきたいと思います。
○平井委員 AI、ビッグデータとかそういう言葉はまかり間違うとバズワードみたいになってしまうのがこの国なので、その本当の本質というものを常に我々はきっちり捉えておく必要があると思います。
今後、社会基盤として活用が期待されるAIについては、政府としても、その技術開発や活用等を推進しております。AI関連技術の発展に当たっては、AIに投入するデータを質、量ともに向上、増大させて流通させることが必要だと思っています。データを円滑に流通させるためには、各システムで使用する用語や単位などを標準化する必要があり、そのためにも、官民挙げて利活用できるプラットホームをつくることで、新サービスの創出や商品の付加価値化を実現するものと期待しています。
特に、行政機関におけるデータ流通を円滑化するためには、国と地方が連携し、システムやデータの共通化や互換性の確保を図ることが必要であり、本法案では、行政機関におけるシステムに係る規格の整備や互換性の確保等についても規定をしています。また、本法案では、国や地方公共団体など行政機関がみずから保有するビッグデータを民間に開放する、いわゆるオープンデータについても規定しており、IT総合戦略本部を中心にして推進しているオープンデータの取り組みを強力に後押しするものと考えており、政府の方針をさらに進めるために必要な法律だと考えています。
○ふくだ委員 まさにこれから新しい時代を迎えるためには、必要なのは、先ほども述べましたけれども、デジタルガバメントというものだと思います。その中で、個人やあるいは企業が役所に提出する書類だとか、あるいは国と地方の自治体とのやりとりの書類、こうしたものは今は紙が中心で、あるものはデジタルでもよいという取り扱いになっている状況であります。これを逆転して、これからの時代、デジタルファーストということにすることによって、国民のいわゆる利便性の向上であったりだとか、あるいは行政の効率化であったりだとか、こうしたことに寄与することになっていくんだろうというふうに思います。
そこで、本法案が掲げているこのデジタルファーストの推進ということが社会にどのような影響を与えるか、この課題について、ぜひ教えてください。
○平井委員 このデジタルファーストというのは、非常に私は重要だと考えています。
私は何度か、この面で一番進んでいるエストニア、ふくだ先生とも一緒に行かせていただきましたけれども、このデジタル化によるメリットというのは非常に大きい。あそこの行政の効率化や国民の利便性というのは本当にまさに世界最先端だと思いますし、最近だと、競争力の面で日本を追い抜いてしまった、人口百三十五万の国がというのも一つの参考事例になると思うんですね。
そこで、デジタルファーストという前に、では、アナログファーストでやった場合に一体どんなメリットがあるのか。
かつて、国会議員の年金記録がいろいろ漏れたりした場合も、あれは紙でありますから、誰が見てどう漏らしたかはトレースできないんです。いろいろなそういう事案を考えますと、アナログだと、情報のやりとりというものは、国民は知る由がありません。役人同士の間で、それがファクスなのか、目で見るのか、どうやるのか、そういうところまではわからない。
しかし、デジタル化させていただくと、誰が、いつ、何の目的で見たかということもわかるし、トレーサビリティーは格段に上がると思います。一方で、サイバーというような新しいリスクもありますが、どう考えてみても、要するに、マイナス面よりプラス面の方が多いし、また、少子高齢化という問題を抱える日本にとっては、もうこれは取り組まざるを得ない一つの方向性だと思います。
本法案では、法令上、対面や書面といったアナログによる行政手続に加えて、オンラインもできるとされている行政手続について、オンラインにより行うことを原則とするというふうに規定をさせていただきました。
例えば、行政手続を原則IT化することによって、行政の業務効率化と、これに伴う民間の生産性を飛躍的に向上させることができる。これは既にいろいろな国で証明されていることであります。また、民間も含めた各種手続のオンライン化が進むことで、例えば子育てや引っ越しに係る各種手続のワンストップ化など、住民の生活も一段と向上すると思います。
そして、こういうことを実現していくためには、この法案で、この原則ITというのは一つの大きな方向性で、これから具体的なことを、幾つか進めていかなきゃいけないことを関係各省にお願いしなければなりません。
例えば、法改正が必要になるだろうというふうに想定されるのは、行政手続のオンライン化法、これも変えていかなきゃいけないでしょうし、電子署名法も変えなければならないというふうに思います。その他、法律だけではなくて、ガイドラインその他、必要ないろいろな措置を関係各省にお願いしなければならないと考えています。
○ふくだ委員 限られた予算でありますので、行政が効率的に執行される、生産性が上がる、これは極めて重要なことだというふうに思います。
一方で、この限られた予算の中で税を有効に使っていくという視点は、予算だとか、あるいは政策だとかの優先順位を決めていくこと、これもデータに基づいて判断するということが重要じゃないかなというふうに思います。
これは、昔、大先輩方が大きな声を出したら政策の優先順位が変わっちゃったり、あるいはまた何かエピソードが起きると急に何かが変わっていったりだとか、そういう時代ではなくて、しっかりとデータに基づいて物が決まっていくという仕組みも重要なんだろうというふうに思います。
自民党の行政改革推進本部から、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングという考え方を、こうしたデータを使う中に入れ込んでおくべきではないかという提案もございまして、今回、この官民データ活用推進基本法の中にも、こうしたEBPMという考え方が中に入れ込まれていると思います。
そして、この官民データの活用の推進が行政改革にどう資するものなのかということについて、最後に伺いたいと思います。
○平井委員 ふくだ先生が一生懸命やっておられます行革本部の御提言の中に、このEBPMというものがあります。
多額の財政赤字を抱える我が国では、政策の企画立案や評価に際して、効率性や有用性に関する説明責任というものが非常に重要だと考えています。しかし、正直なところ、これまでの日本の政策決定過程は、データやデータから導かれる知見に準拠した議論が軽視され、勘や経験、思い込みや、あと、声が大きいとかいろいろあると思いますが、こうしたデータ軽視の政策立案というものがなかったと我々は言い切れないと思っています。
そのために、今回の法律において、官民データ活用によって得られた情報を根拠とする、いわゆる根拠に基づく政策立案、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングを基本理念として明記させていただきました。EBPMへの転換を求める本法案によって、限られた予算のもとで政策効果を最大化できるのではないか、また、それは行政改革に資するのではないかと考えております。
○ふくだ委員 まさに、今まではこうしたデータが整理できなかったから、やろうと思っても私はできなかったんだというふうに思っています。
これから、まさに、政治が求められている姿勢あるいは能力というのは、こうしたデータをいかに解析して、そして結果に基づいて予算あるいは政策の優先順位が定まっていくということを、これは与野党全ての国会議員にかかわることだと思いますが、そうした政治が行われるベースになることを期待申し上げたいと思います。
以上で終わらせていただきます。
○秋元委員長 次に、角田秀穂君。
○角田委員 公明党の角田秀穂でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私の方からは、今後データの活用を推進していく上で課題と思われる点について、幾つかお尋ねをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
情報通信技術の活用による世界的な変化に対応するため、IT基本法が制定されたのが平成十二年のことでありますが、当時を振り返ってみますと、まだインターネットの一般世帯での利用率というものは二割に満たない程度で、二十代の方を中心に急速にそうした利用が進んでいる一方で、五十代以降の世代では男女ともに一割もない、数%程度という状況であって、そうした状況を改善するため、全ての国民がIT革命の恩恵を享受できるようにということで、このデジタルデバイドの解消を目的に、国としても、補正予算でIT講習会の特別交付金というものを創設して、全国の市町村で、公民館であるとか民間のパソコン教室、中学校などを会場にしたIT講習会というものが開催をされたのがこの年でありました。
このとき、全国で五百五十万人の受講を見込んでいたと記憶しておりますが、募集に対して応募が殺到して、追加で実施をするといったケースも目立ったことを覚えております。
まさに、今の世の中を見渡してみると隔世の感を抱くわけでございますが、考えてみれば、そのときからわずか十五年ほどのことであります。この間、通信のための回線もISDNとかADSL、さらには光と、高速通信網の整備と相まって、今やインターネットは私たちの生活に不可欠なものとして定着をしている状況でございます。
官民問わずITの活用というものは着実に進んでいる中で、まず、今この法律を制定しなければならない理由について確認をさせていただければと思います。
○濱村委員 御質問ありがとうございます。
委員御指摘のとおりでございまして、十五年前にIT基本法が制定されました。そして、今どういう状況かといいますと、第四次産業革命というようなことが叫ばれており、経済成長に資するためにデータが利活用できるということがまず一点。そしてまた、日本は世界に先駆けて少子高齢化が進んでいる国でございます。そういう意味におきましても、この我が国が直面する課題を解決していくために、AI、IoT、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、そうした先端技術の活用が必要不可欠であろうというふうに思うわけでございます。
このために、官民が保有するデータを共有あるいは活用していかなければいけないわけでございますが、現状を見てみますと、行政の保有するデータの公開が不十分でありますし、また、企業によるデータの囲い込み等によって、データの共有、活用が進んでおらないというのが現状であろうかというふうに思うわけでございます。
経済成長と、そしてまた我が国を取り巻く社会課題、こうしたところを解決していくことが急務であるというわけでございまして、こうした本法案のような基本法の制定が必要であろうということで、提出を提案させていただいている次第でございます。
○角田委員 この法律が制定されることによってどのようなメリットがあるのかということについて、一点。
法律の目的について、官民データの活用によって、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現というものをうたっております。これは非常に重要な点であると思っておりまして、高度情報化の進展の中で個人のプライバシーが守られるのかという不安も存在する中で、国民の理解を得ていくためにも、官民データ活用のメリットというものを丁寧に説明していくことが求められると思いますので、ここで一つ伺っておきたいと思います。
データの活用によって具体的にどのように安全、安心の社会というものが実現をするというのか、具体的にちょっと例を示してお伺いできればと思います。
○濱村委員 今、安全、安心な社会の実現についてどのように資するのかという御質問でございました。
もちろん、そうしたところに対して具体的にどういう手を打てるのかということが重要でございますので、何点か例示をさせていただきたいというふうに思いますが、例えば、医療・健康分野におきまして、今、市民の方、広島県の呉市でございますが、国保の被保険者のレセプトとか健診データについて情報を収集しながら、糖尿病の重症化リスクの高い層や生活習慣病の予備軍の方々について抽出をしております。その方々に集中指導することによって、健康寿命の延伸あるいは医療費の抑制、削減に取り組んでいる、こうした事例がございます。
また、安心、安全という意味においては、災害あるいは防災の分野におきましても重要な取り組みがございまして、大規模災害発生時に、複数の民間事業者が保有しております自動車の位置情報、あるいは走行履歴などを指し示しますプローブ情報、こうしたものと、政府が保有する交通規制情報を公開することによって、迅速な救援活動に役立てた例もございます。これは、東日本大震災であったり、広島市の平成二十六年度の大雨土砂災害、そしてまた、二十六年度の長野県の北部地震、二十八年の熊本地震においても活用されているわけでございまして、こうした防災、災害の分野でも活用される。
そして、さらに申し上げるならば、防犯に活用されている例もございまして、これは私の地元兵庫県にある明石高専が開発したものでございますが、この活用自体は名古屋市で行われているわけですけれども、自治体が保有する街路灯、この街路灯は当然コンピューター制御されているわけでございますけれども、このコンピューター制御されている情報をもとに、どの街路灯が明るく、スイッチが入っているかということがわかるようになっておりまして、どこかからどこかまで行きたい、その道筋において、明るい道を明示するというような、そういう機能がございます。それは、特に女性におかれましては防犯に活用できるのではないか、このようなふうに思っているわけでございます。
以上、幾つか例示をさせていただきましたが、健康、医療、あるいは防災、防犯、そうした分野、さらには農業であったり教育であったり地域活性化、さまざまな課題に対応できるのではないか、このように思っている次第でございます。
○角田委員 ありがとうございます。
ITの分野は短時間で目覚ましく技術が進歩した。これと裏腹の関係になるのだと思いますけれども、さまざまな面でやはり格差というものが生まれていると思います。今後、官民データの活用を促進して法律の目的を達成していくためには、そうした格差、そうしたものを底上げして、ならしていく取り組み、支援というものも必要だろうと考えております。
一つには、官の中でも、特に地方の持つ情報を活用できる環境の整備が求められるのではないかと考えます。
市町村自身が保有するデータを活用して、住民福祉向上のために政策の企画立案までできているかといえば、現状、特に小規模の団体ではなかなかそこまでもいっていないのではないか。縦割り的なシステムのために、効果的な連携がとれない。この点は、システムの調達の問題であるとか、また、職員定数を削減している中でITを利用した新しい技術等に対応していくことは困難といったような意見もあります。
また、利活用を進めるために、公開するデータの内容や形式の選定の基準であるとか方法、オープンデータに関する市民からの質問への対応方法であったりとか、オープンデータ導入に当たってかかったコストなど、こうした現状取り組んでいる各自治体の先進的な取り組み全般についても、ぜひ知りたいといった意見もあります。
ただいま申し上げたことはあくまでも一例でありますが、法の目的を達成するために解決すべき課題ではないかと思いますが、今後、データの利活用を全国的に推進していく上で、現状、特にこうした点を改善していかなければいけないとお考えなのか、お伺いできればと思います。
○濱村委員 今御指摘のとおり、官民データ活用を推進するためには、地公体が保有する情報をしっかりと流通させる必要があろうかというふうに思っておるわけでございます。
委員からも御指摘があったとおり、オープンデータについては、まだまだ取り組む地公体が少ないという状況でございまして、今、現状千七百八十八団体のうち二百三十三団体。あるいは、地公体ごとにシステムがばらばらということで、調達においても非常にデメリットもあるということで、互換性がない点についても御指摘がございました。そしてまた、さらに申し上げますと、個人情報保護条例というものが各地公体によって定められているわけでございますが、これがいわゆる二千個問題を引き起こしているわけでございます。こうしたところを鑑みますと、データの公開において非常に支障があるという状況でございます。
本法案では、十九条において、この二千個問題をしっかりと解決しなければいけないねということを、国あるいは地方公共団体が協力して進められるように条文を設けさせていただいているところでございます。そしてまた、先ほど申し上げたような課題につきましては、都道府県官民データ活用推進計画及び市町村官民データ活用推進計画の策定について定められておりましたり、地方公共団体におけるオープンデータの推進、これも十一条に規定されており、さらには、地方公共団体における情報システムの規格の整備、標準化でございますね、及び互換性の確保、業務の見直し、これが十五条に規定されているわけでございます。
こうした取り組みをする中で、地方における官民データの活用推進が図られることを期待しているというわけでございます。
○角田委員 法律案にうたわれている基本理念のうち、官民データ活用の推進は、地域経済の活性化及び地域における就業の機会の創出を通じて活力ある社会の実現ということがうたわれておりますけれども、これは地方創生の観点からも極めて重要だと考えます。地方創生への取り組みは、ようやく本格化の段階を迎えようとしておりますが、データの利活用によってもたらされる恩恵というものは、地方の活力を増進させる大きな原動力になり得ると考えますし、そうした方向が一つには目指されなければならないと思います。
一方で、過疎化に直面する地方の自治体ほど、費用や人材の問題で体制を整えることが難しいといった事情を抱えており、こうした地域は、また不採算地域として、ブロードバンドなどIT基盤の整備も、民間だけに頼っていては後回しになってしまう懸念というものもあって、国としても特にこうした小規模な自治体に対する支援の充実を今後重点的に図っていくことが求められると考えますが、この点について御見解をお伺いします。
あわせて、法案には、地方公共団体の区域の経済的条件等に応じた施策を策定し、実施する責務を有するとありますが、そうしたためにも、地方創生の観点から国としてどのような支援が必要とお考えなのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
○濱村委員 今、官民データ活用は地方創生にも非常に資するというお話がございました。
当然、もう既に地方創生の取り組みは始まっているわけでございまして、その中で、インフラ整備を行い、データ通信等を活性化することによって町おこしをしてきている、そうした地公体もあるというのは御指摘のとおりであろうかと思いますが、本法案におきましては、第二十七条におきまして、地公体は官民データ活用推進戦略会議に対して協力を求めることができるということで、国に対して支援を求めることができるようになっているわけでございます。
そしてまた、附則の第二項におきましても、国は、地方公共団体の区域の実情を勘案して、必要な情報の提供その他の協力を行うよう努めるものと規定しているところでございます。
具体的な支援として想定されますのは、まず、各地公体が策定する計画のひな形の提示、あるいは、全国の先進的な事例の紹介、さらには、その他官民データ活用推進計画の策定に当たって必要な情報提供は何でもするというところでございますが、これにとどまらずにさまざまな方法によって地公体を支援していく、これが重要であろうかというふうに考えているところでございます。
○角田委員 今後、さまざまな面で格差をならしていく、底上げをしながらならしていくということに関して、これはつまるところ人の問題をどうするかということに帰着するのではないかと思っております。
今後、専門的な知識、スキルを持った人材の育成が何よりも急がれなければならないと考えますが、データの活用を推進するに当たって、個人情報の保護、セキュリティーの確保なども含めて、人材の育成と確保というものを今後どのように進めていかなければならないとお考えか、お伺いをしたいと思います。
○濱村委員 今、専門的な人材の育成というお話がございました。
委員おっしゃるとおり、専門的な人材の育成も非常に重要でございますが、広く一般の方々にもしっかりとデータに対するリテラシーを高めていただきたい、このような思いを持っているわけでございます。
さらに申し上げるならば、例えば経営者であるとかは、サイバーセキュリティーの脅威に経営がさらされているようなことがあってはならないという危機意識を持っていただきたいというようなことも考えているわけでございまして、一部の人に任せておけばいいというものではないということもぜひ御理解をいただきたいというふうに思う次第でございます。
そういう意味におきまして、専門的な人材の育成、そしてまた裾野を広げるような人材育成、こうした二点が非常に重要であろうかというふうに思っておりまして、本法案でも、十七条において人材の育成、確保については言及させていただいております。
そしてまた、今、政府としての取り組みにおいては、初等中等教育段階からのプログラミング教育、情報セキュリティー等のIT教育ですね、こうしたものの推進、そしてまた、情報セキュリティ人材育成プログラムの見直し、社会人等に向けたビッグデータに関する学習サイトやオンライン講座の開設、データの安全な利用方法などを記載した小中高生向けの教材、パンフレットの作成などの取り組みを行いながら、人材育成に取り組んでまいるところでございます。
○角田委員 ありがとうございます。
最後の質問になりますけれども、データの活用推進による国民生活の利便性向上は、共生社会の実現にも資するものでなければならないと考えます。
障害者差別解消法の施行も踏まえ、障害者もデータ活用の恩恵が受けられるよう、まず実態の調査も必要だと思いますが、その上で、機器の開発といったハード面、さらには、必要なサービスはどのようなものがあるのかといったソフト面、この両面での環境の整備もこれからなされていかなければならないと考えます。この法案ではそうした視点も盛り込まれているのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○濱村委員 大変重要な御指摘かと思います。
本法案におきましては、共生社会の実現のために、第十四条におきまして、利用の機会等の格差の是正というものを設けさせていただいているわけでございます。
これは、地理的な制約、年齢、身体的な条件その他の要因に基づく情報通信技術の利用の機会または活用のための能力における格差の是正、いわゆるデジタルデバイドでございますが、こうしたものを解消するために、官民データの活用を通じたサービスの開発及び提供並びに技術の開発及び普及の促進等の必要な措置を国に求めるものでございます。
IT利用の機会や活用の能力に関しては、さまざまな要因から格差が生じやすいというふうに認識しておりますが、この格差を是正しなければ全ての国民が官民データの活用を通じたメリットを享受できないという趣旨から、本条文を規定したものでございます。
IT利用の機会そして活用の能力に関する格差を是正することによって、全ての国民の皆様に官民データの活用を通じたメリットを享受していただけるようになれば、共生社会の実現に資するというふうに考えておるところでございます。
○角田委員 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○秋元委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。
きょうは、質問の機会をいただき、ありがとうございます。そして、きょうこの審議を迎えることができるのは、私にとっても本当に感無量でございます。
思い起こせば、今から七年前、当時、民主党政権でございました。その民主党政権の初代の総務大臣は原口一博総務大臣であったわけでありますが、当時、私も、総務省で働いていた経験がございまして、民主党の情報通信議員連盟の事務局長を務めておりましたが、当時の原口総務大臣は、いろいろなIT、ICTに対する改革を強力に進める方針を打ち出されておりました。
当時、まだビッグデータとかオープンデータという言葉は本当に出始めたぐらいだったような気がしておりますけれども、この法案の骨格であります行政手続のインターネットの原則、デジタルファーストであったり、あるいは、情報システムの互換性を確保していこう、それぞれの自治体や国のシステムがばらばらではだめなんだ、そういうようなことを、実は、韓国は、二〇〇二年に電子政府法というのを成立させて、これを進めた結果、一気に情報化が進んだ。
そういったことも横で見ながら、それをさらに上回る法案を出していこうということを、当時、原口総務大臣のもとで計画しておりましたけれども、残念ながら、原口総務大臣は一年弱で交代をすることになってしまい、また、民主党政権そのものも三年三カ月でかわったということでありますが、その後、政権はかわりましたけれども、自民党の平井先生あるいはふくだ先生が中心になって、さらにバージョンアップした今の法案をつくっていただきました。
私たちも、野党でありますが、民進党の情報通信議員連盟、今、原口先生が会長をしていただいておりますが、私は事務局長を引き続きやらせていただいておりまして、この法案についても議論をさせていただき、我々の意見も申し上げてまいりました。
また、党内でも、情報通信議員連盟、ICTの専門家、詳しい議員とはまた別の、党内全体での意見ということになりますと、さまざま、個人情報保護の観点から大丈夫か、あるいは地方自治体に過度の負担にならないか、そういった御意見もいただき、この点につきましては、野党筆頭理事の緒方理事の御尽力で党内をまとめ、また各党の皆さんとも協議を進めて、修文もさせていただいた。
そういう経緯を踏まえて、加えて、この内閣委員会は大変忙しい委員会でございます、政府提出法案もあるし、それから議員立法で出したいという法律もたくさんあるわけでございますが、そういったものの中で、まさにきょうこの日を迎えることができた。正直、私は、もうこの国会ではだめじゃないかなと諦めかけた時期もあるのでありますが、本当に関係各位の皆様の御努力に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
そこで、質問に入らせていただきます。
今申し上げましたとおり、この法案には、民主党政権当時の原口総務大臣が掲げた原口五原則というのがございました、この原口五原則の精神がしっかりと盛り込まれていると思いますけれども、具体的に、どの部分が原口五原則に該当するかということについて、御答弁をお願いいたします。
○原口委員 おはようございます。お答えさせていただきます。
まず、私からも、委員長初め理事、委員各位に感謝を申し上げ、平井先生初め、今回四党の共同提出となりました。その中で、高井先生に大変御尽力をいただきましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。
御質問に対する答えですが、御指摘の、番号に関する原口五原則というのは、マイナンバー制度、これに関する基本的な考え方を示したもので、権利保障の原則、自己情報コントロール権、その保障の原則、それからプライバシー保護の原則、最大効率化の原則、国、地方協力の原則、この五つの原則から成っておりました。この考え方は、何もマイナンバーだけではなくて、データ活用全般、あるいはICTのこれからの展開についても柱となる原則であるというふうに認識をしています。
具体的には、一番目の権利保障の原則については、官民データ活用推進基本法は、国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与することを目的とする、まず第一条にこの精神を盛り込んでいただきました。
また、自己情報コントロールの原則については、基本理念として、個人及び法人の権利利益を保護しつつ、個人に関する官民データの適正な活用を図るために必要な基盤整備について定める第三条第六項、基本的施策として、データ流通における個人の関与の仕組みの構築に努めることについて定める第十二条に盛り込んでいただきました。
また、プライバシー保護の原則については、基本理念として、官民データ活用の推進は、個人情報保護法等の関係法律の施策と相まって、個人の権利利益を保護しつつ情報の円滑な流通の確保を図ることを旨として行われるべき、このことを定める第三条第一項、それから、情報通信技術の利用における安全性及び信頼性が確保されるとともに、個人及び法人の権利利益等が害されないようにしなければならない、このことを定める第三条第四項に。
そして、四番目の最大効率化の原則については、基本理念として、多様な主体の連携を確保するための規格の整備、互換性の確保等の基盤整備を定める第三条第七項、クラウド等の先端技術の活用の促進を定める第三条第八項ほか、基本的な施策として、オンライン利用の原則を定める第十条、先ほどから議論がありました、サービスプラットホームの構築を定める第十五条などに盛り込んでいただきました。
これで最後ですが、国、地方協力の原則については、国及び地方公共団体の施策の整合性の確保について定める第十九条、地方公共団体が施策の策定、実施に当たり官民データ活用推進会議に対して協力を求めた場合の同会議による協力について定める第二十七条、こういったものに反映をされています。
やはり、今、高井先生がおっしゃったように、自治体情報標準化法、これは絶対に要りますね。この基本法をもとにさまざまなまたプログラム法ができていくことを期待しています。
御質問ありがとうございます。
○高井委員 ありがとうございました。
我が党でも、いろいろなITの団体の皆さんにお越しをいただいて、政策の要望をお聞かせいただきましたが、本当にどの団体もそろって、この法案の成立をぜひ期待したいということでございました。
私たちの情報通信議員連盟でもそういう意見がほとんどであったわけでありますが、一方で、やはり、党内全体で見ますと、いろいろな、個人情報保護は本当に大丈夫なんだろうか、先ほど申しましたけれども、地方自治体に過度の負担がかからないだろうか、そういった議論が出まして、なかなかすぐにすんなり了承というわけにはいかず、党内で議論したものをまた与党の皆さんとも調整をして、他党の皆さんとも協議をしながらこの法律をつくっていったわけであります。
今回、私たち民進党が議論をして、さまざま、ちょっと不安じゃないかというような点について原案から修文をしていただいた部分が幾つかあると思いますが、それについてどの箇所であるかということについてもお答えをお願いいたします。
○原口委員 ありがとうございます。これも高井先生に随分頑張っていただいて。平井先生、ありがとうございます。
やはり、地域主権改革とこのプラットホームをきっちりつけることが矛盾するんじゃないのか、地方分権にも矛盾するんじゃないかというような話もありました。しかし、やはり情報のフォーマットがそろっていなければそもそもできないんじゃないか。そういった中で、自民党さんや皆さんとの協議の結果、具体的には、次の六項目について、我が党の主張を高井先生に盛り込んでいただいたと認識しています。
まず、官民データの活用と個人及び法人の権利利益との関係に関してでございますが、第一条などにおいて、官民データの活用は、適正かつ効果的な活用である、この旨を明確化するとともに、基本理念を定める第三条第一項などにおいて、官民データ活用の推進は、個人及び法人の権利利益を保護しつつ情報の円滑な流通を図ることを旨として行わなければならない、こういう規定を置いていただきました。
次に、地方公共団体は負担が重くなるんじゃないか、これを軽減しなきゃいけないんじゃないか、こういう観点から、第五条の地方公共団体の責務規定において、地方公共団体は、経済的条件のみならず、その地方公共団体のさまざまな状況に応じた施策の策定、実施の責務を有する旨を規定することとしました。また、第九条第三項において、市町村は、官民データ活用推進計画を定めるよう努めるものとする旨を規定することといたしました。
加えて、附則第二項を新設して、国は、地方公共団体における官民データ活用の推進に関する施策の円滑な実施が確保されるよう、地方公共団体の区域の実情を勘案して必要があると認める場合には、必要な協力を行うように努めるものとする、この旨も規定していただきました。
その他、第二条第一項において、独立行政法人のデータが官民データに該当する、これも明確化した、これも大きな修正点だったと思います。
ありがとうございます。
○高井委員 我が党はかなり厳しい意見も出たものですから、今御答弁いただいた修文については、正直、私はハードルが高いんじゃないかな、与党の皆さんはもう党内手続も終えられていたと聞いておりましたので、本当に修文できるんだろうかと思いましたけれども、平井先生そして緒方先生、両与野党の筆頭理事の御尽力のおかげでこういった法文にまとまったということについては、本当に私も心から感謝を申し上げたいと思います。
それでは、続いては、官民データ活用推進会議、この会議体ができるということが一つ大きなポイントだと私は思っています。
これは、実は党内でも、なぜ政府の法案じゃないんだ、閣法にならないんだという質問もあったんですが、もちろん閣法でつくってもいいんですけれども、それだと多分時間がかかるんだろう、これだけIT、ICTは、いろいろな省庁にまたがる横串機能であり、各省庁にそれぞれ強力な権限で進めていかなきゃならないときに、なかなか各省の調整というのは大変だと。そういった中で、私は、この議員立法を速やかに通す、サイバーセキュリティ基本法も同じでございますが、これは非常に意義のあることだと思っております。
この官民データ活用推進会議は、IT戦略本部のもとに設けられることになりますので、実質的なその事務局を担うのは、恐らくこのIT戦略本部の事務局であるIT総合戦略室になると思います。
ただ、きのうも実は私、科学技術・イノベーション特別委員会で質問をさせていただいたんですが、このIT総合戦略室が、今大変優秀なスタッフがそろっていますが、人数が少ない。そして、これだけ広範囲にまたがるICTの分野になかなか強力な権限と人員がないために進んでいかないという問題があると思っております。
今のままの、この組織の人員や権限あるいは予算、こういったもので本当に官民データ活用推進会議の事務局を担うことができるのかという点がちょっと不安なのでありますが、いかがでしょうか。
○原口委員 やはり、国権の最高機関である議会が、こういう形で各党協力して、そして理事のリーダーシップ、委員長のリーダーシップのもとで成立する、これはとても大事なことだと思います。何といってもスピードが大事です。
そして、日本だけじゃなくて、世界に対してそれを引っ張っていく、そういうものだと思います。
今御質問のとおり、総理のリーダーシップのもと、副議長、各議員、省庁の協力を得て、政府一体となり遂行することになっていますが、IT総合戦略室がしっかりと対応できるように、政府には、人的、予算的に、また権限について必要な措置を講じるように強く求めていきたい、そのように考えております。
○高井委員 きのうの科学技術・イノベーション特別委員会でも申し上げたんですが、実は、先ほど申し上げましたIT団体からの要望の中で特に多く出たのは、フィンテックそれからシェアリングエコノミー、これからの分野のこういった部分について、もっと強力に進めてほしいということ。これは、各省にまたがる、規制がいろいろな業法にまたがっていますから、やはり内閣官房でやらないとなかなか前に進まない。
ところが、シェアリングエコノミーは、検討会議を設けて内閣官房でも一定の取り組みをやっていますが、フィンテックなどは、余りきちんと組織として位置づけてやっているという印象はなくて、このあたりもIT総合戦略本部が担うべきだ。
そして、人数もやはり少なくて、実はこれも前に質問をしたことがあるんですけれども、総務省はIT部門で八百名いるんです。経済産業省は百五十名ぐらい。IT総合戦略室はたしか五十名ぐらい。ですから、私はここの配分をもっと思い切り見直して、総務省は一局ぐらい、どんと内閣官房に引っ越して、IT総合戦略本部でやったらいいんじゃないか。あるいは、もしあれでしたら、去年、内閣官房、内閣府のスリム化法というのが通りましたので、内閣の機能を総務省なりに移して総合調整をやる。
いずれにしても、ちょっと組織としてアンバランスであるという問題を私は感じておりますので、これもぜひこの国会の中で議論していきたいと思います。
最後に、これはちょっと総論的な話になりますけれども、この法案が通ることによってどういうICT社会というのができるのか。
私は、ITというのは、昔、ITバブルは終わったんだ、ITはもう終わったんだなんと言う人がいましたけれども、とんでもない話で、ICTというのは、成長戦略だけじゃなくて社会経済システム全般の変革である、ありとあらゆる、少子高齢化であったり、防災、減災であったり、さまざまな社会課題を解決する手段であると考えています。
この点、ICT社会の将来像について、提案者としてどのようにお考えでしょうか。
○原口委員 おっしゃるように、私ども、総務大臣のときは、ICTとIT、経産省はITと言うんですよ、総務省はICTと。ITと言う人間は出ていけ、そんな感じのことをやっていたんじゃいつまでたっても進みません。だから、政府、国会一体となってやらなきゃいけない。まさに高井先生がおっしゃるとおりだと思います。その上で、この法案が通れば、いろいろな道が開けるんだと思います。
この四月に発災をしました熊本の地震、私も益城町へ行ってきました。夜を徹して頑張っておられますけれども、自治体機能がやはり不全になっている。そういったときに、別の自治体、まだ被災をしていない自治体からもたくさんの応援が来ていただきましたけれども、罹災証明でも、そこでもやることができるのであれば、災害の多い日本においてどれだけ助かるかわかりません。
また、農地データバンク、これもつくっていただきました。今、日本の中の農地がいろいろ、所によっては荒れている。しかし、そういったものを、全体で大きなデータとすることによって活用することができる。
今、高井先生がおっしゃったように、この法案は、私たちが、問題解決型の社会、インクルーシブで、共生で、そして共同で、そういったものをつくっていく上での、ICTを通じた基本をつくるものだというふうに考えています。
私のときに未来の学校というものをつくっていただいて、今全国各地に出てきています。これは、単なる電子黒板とか電子教科書じゃないんですね。ノートを共有することによってお互いを支え合うというものでございます。
今回の法案によって、そういう温かい共生社会ができていく、このことを期待しております。
ありがとうございます。
○高井委員 ぜひ、今国会で通ることによって、次の通常国会で、またこれに関連する法案を、今度は政府の方からも出すこともできますので、何としても通していただきたいということを最後にお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○秋元委員長 次に、島津幸広君。
○島津委員 日本共産党の島津幸広です。
民間企業が保有するデータを民間同士で流通することについては、個人情報保護法などの現行法で制度化されています。
本法案の真意は、官民データといいつつも、国、地方公共団体、独立行政法人が保有する個人情報を民間企業が利活用できるようにし、イノベーションを起こし、利益を上げられるようにするところにあります。
確かに、行政機関が保有するデータは膨大で、かつ多様です。適切に活用することで国民が享受するメリットが大きいことは否定しません。
問題は、どれだけ個人情報が守られるかです。
行政機関が保有する個人情報は、行政事務を執行するために収集しており、非常にセンシティブな情報が多い。だからこそ、厳密に管理されています。
内閣府大臣官房広報室が、個人情報保護に関する世論調査をしています。その中で、自分の個人情報が漏れているのではないかと不安に感じることがある、こう答えた方はどのぐらいいるんでしょうか。
○其田政府参考人 お答え申し上げます。
今委員から御紹介をいただきました世論調査は、平成十七年に個人情報保護法が施行された翌年、約十年前になりますが、実施されたものでございます。
この調査におきまして、安全管理が十分でないため、自分の個人情報が漏れているのではないかと不安を感じることがあるかという質問に対しまして、強く感じる、または、ある程度感じると回答した者の割合の合計は七一・一%でございます。
○島津委員 この調査では、それ以外にも、自分の個人情報が自分の予期しない目的で利用されているのではないかと不安に感じることがある、こう答えた方は、強く感じる、ある程度感じる、合わせて六九・六%です。また、自分の個人情報が知らないうちに他人に提供されているんじゃないかと不安に感じることがある、こう答えた方は七二・六%です。
このように、国民の約七割は、企業が保有しているにせよ、行政機関が保有しているにせよ、個人情報の取り扱いで情報漏えいに不安を感じ、自分の知らないところで第三者に提供されているんじゃないかと、目的外使用に不安を感じています。決して積極的に個人情報の利活用を望んでいるとは言いがたいわけです。
個人情報、この保護を厳格に保障し、こうした不安を完全に払拭するだけの具体的な対策と技術的根拠がなければ、官民データが利活用されることに国民は納得できません。
提案者、これはどうお考えなんでしょうか。
○平井委員 今回の法律は、個人情報の保護とデータの利活用のバランスをやはりとっていきたい。
個人情報保護法の改正というのを我々はやりました。匿名加工というような話もそこで規定をさせていただきました。
一方で、今回の法律は、個人や法人の権利を保護しつつデータを使っていこうということで、その戦略をつくるときには、個人情報保護委員会そして内閣官房情報セキュリティセンター、つまり、個人情報保護の観点からと、それと同時に、技術的に、今、いろいろなサイバー攻撃というようなものがいろいろなところで起きているわけで、そういうものを両方あわせて十分に考えた上でそのデータを使っていこうというふうに考えておりますので、世の中、心配事はたくさんありますが、そういうものをできるだけ乗り越えながら、前向きに対応していきたいと考えております。
○島津委員 マイナンバーでは、本人の同意を得て個人の情報を使うことが原則です。
この法案では、自分の個人情報が第三者へ提供されること、目的外使用されることに同意を得ることにしているんでしょうか。
○平井委員 今回我々が規定しているのは、匿名加工の個人情報、また個人情報ではないセンサー情報等々を、まず一番に想定しています。
匿名加工情報というのは、基本的には、個人とは切り離されて、個人に戻ってこれないわけなんですね。ですから、それに関して言えば、匿名加工された情報というものは、社会のために有益に使えるというふうに考えています。
○島津委員 その問題についてはまた聞きますけれども、今回の官民、とりわけ官のデータというのはどのようなものなんでしょうか、生データなんでしょうか。
○平井委員 官民データは、国もしくは地方公共団体または独立行政法人もしくはその他の事業者により、その事務または事業の遂行に当たり、管理、利用、提供される電磁的記録に記録された情報のうち、国の安全を損なうおそれや公の秩序の維持を妨げるおそれ、公衆の安全の保護に支障を来すことになるおそれがあるものを除いたデータという形で定義をされているところでございます。
○島津委員 匿名化、非識別化すれば個人情報ではなくなるということなわけですけれども、しかし、匿名化されたデータが再識別化されたら、それは個人情報になるわけで、匿名化や非識別化されたデータは絶対に再識別化、つまり本人特定されるものはないということで言い切れるんでしょうか、私は心配なんですけれども。
○平井委員 匿名加工ということは、要するに、識別化されるのであれば匿名加工とは言わないということでございます。
委員が問題意識でお持ちなのは、もしかしたら、本人が希望して、匿名加工したものを本人が特定できる可能性を残しておくこと、要するに連結可能匿名化というのを本人が希望する場合は、それはまた別だとして、我々が考えている匿名化というものは本人戻りができませんので、それはもう個人情報ではないというふうに思います。
○島津委員 絶対に戻らないということなんですけれども、技術の開発が進めば、今ある加工技術でもやはり再識別化されるわけですから……(発言する者あり)いや、だけれども、戻る技術がこれから、それは水かけ論になるから、もうやめます。
では、匿名化、非識別化について聞くんですけれども、この処理というのは、技術的、コスト的にできない行政機関も出てきます。そういうところは民間業者に業務を委託することになるんでしょうか。
○堀江政府参考人 お答えいたします。
先般改正されました行政機関個人情報保護法におきまして、先ほどから御指摘の、行政機関非識別加工情報の作成という仕組みが入れられております。
これにおきましては、その作成を外部に委託することも可能でございますけれども、委託を受けました民間事業者につきましても、行政機関同様、個人情報保護委員会規則で定める基準に従いまして、行政機関非識別加工情報等の漏えい防止のために必要な安全確保措置を講ずることが義務づけられております。
また、取り扱いの委託を受けた者については、従事者の義務が定められているほか、個人の秘密に属する事項が記載された個人情報ファイルを他者に提供した場合等には必要な罰則を科すような仕組みが設けられているところでございます。
○島津委員 いろいろ、仕組み、罰則の話がありましたけれども、やはり私、心配なんです。
民間事業者にどう使われるかわからない。同じ企業であればイントラネットがあり、データが流出するということがあり得る心配。同じ企業内だからいいのか。しかも、それを禁止した場合でも、データが流出されないように、個人情報の匿名化を行うサービス事業部門は企業のイントラネットから外すのかどうか、データが流出されていないかどうかは誰がチェックするのか、こういう心配があるんですけれども、これはどうでしょうか、こういう心配は。
○平井委員 これは、要するに、今回の法案のみならず、政府全体の情報管理のセキュリティーのことを問われているんだと思います。
ついこの間も、年金記録の漏えい問題に対して、この委員会で我々が議員立法で制定したサイバーセキュリティ基本法が初めて適用されて、その後、原因究明等々も行われたわけですが、これは、政府のみならず、常に対策を講じていく必要があると考えています。
ただ、インターネットを使うことが前提となってしまっている社会というのは、実は私、IT基本法を制定する議論に初めて、国会議員として当選して参加したんですが、今の時代は全く想定していませんでした。セキュリティーという概念も、当時、ビッグデータもなければIoTも何にもなかったです。
しかしながら、一気に全てのものがインターネットの上に乗ってしまったら、これはやはり、利便性ということを考えるときに、その脅威は常にある、そこに対応していくということが国も一番重要なところで、NISCを中心とした国のサイバーセキュリティー対策というものは、さらに予算を確保して強化をしていかなければならない時代だというふうに認識しています。
○島津委員 やはり、全てのデータに脅威があるわけですから、そのリスクをさらすという点で非常に問題があるんじゃないかと思うんですけれども、さらにお聞きしたいんですけれども、官民データを活用しようとする企業、これは、どんな手続で、そしてどういう形で提供されるんでしょうか。
○堀江政府参考人 先般改正されました、行政機関非識別加工情報についてのお尋ねとしてお答えさせていただきます。
先般改正された法律におきましては、提案者、提案する民間企業等におきまして、その利用目的等々を書いて申請をし、それを行政機関の側で審査を行った上で適切な加工を施して提供する、そういう仕組みになっております。
○島津委員 申請方式だということなんですけれども、そうしますと、利活用の目的によっては、今審査という話がありましたが、使わせないということもあるわけですね。国民の安全を脅かすのはだめだというのは当然なんですけれども、しかしそれは、誰がどんな基準で判断していくのか、また、選挙や政治活動での利活用なんかもできるんでしょうか。
○堀江政府参考人 非識別加工情報の提供の仕組みは、新規産業の創出あるいは豊かな国民生活の実現のためという目的でございますので、そういった目的に沿ったものであるかどうかという観点からのチェックをするということになります。
○島津委員 次に聞きます。
本法案の第十二条は、「事業者の競争上の地位その他正当な利益の保護に配慮しつつ、」「個人に関する官民データを当該個人の関与の下で適正に活用することができるようにするための基盤の整備その他の必要な措置を講ずる」としています。これは、このまま読みますと、個人の権利や利益よりも事業者の地位や利益を保護することを目的にしているというふうに読めるんですけれども、そういうことなんですか。
○平井委員 今、十二条、要するに、個人に関する官民データに関して当該個人が関与しというところの話ですね。
この法案で活用を推進しようとする官民データについては、基本的には、昨年改正された個人情報保護法に基づく匿名加工情報や、個人に関係しないIoTのセンサーデータといったものを想定しています。
もっとも、本法案の目的である、国民が安全で安心して暮らせる社会及び快適な生活環境の実現に寄与する上で、例えば、医療や介護や防災等を初め、個々人のニーズを踏まえたきめ細かい対応が必要な公益性の高い分野もあると考えています。
第十二条の、個人に関する官民データには、匿名化されていないデータも含まれると考えており、そこで、本法案十二条は、個人がみずからのデータがどこに流通しているのかをトレースできるような仕組みなど、従来の個人情報の保護よりも安全、安心な仕組みを構築することを求めているものであります。
また、個人の関与の仕組みをどのように具体化していくか、どのように基盤を整備していくかについては、本法案成立後、政府において検討が行われ、適切に判断されることになると考えますが、匿名加工されていない個人のデータについては、誰にどの情報を提供するかをみずからが判断し選択する仕組みについても、その検討の中で議論されるのではないか。
これは、EUでも、自分の情報のポータビリティーとかセルフコントロール権というようなことも議論をされておりますし、先ほど私が言いましたけれども、GAFA、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンみたいなところに、皆さん同意をして情報を提供して、勝手に使われているというような状況を考えると、要するに、自分の情報を自分でコントロールするという道を、今回の法案をもとにスタートさせていきたいというふうに考えています。
○島津委員 時間がなくなってきたんですけれども、個人の権利利益を保護するには、本人が自分の個人情報は何に利活用されているのか、誰に提供されるのか、自己情報をコントロールする機会と権利を保障し、個人が関与できるようにすることが不可欠なわけです。
先ほどエストニアの話が出ました。エストニアでは、政府のポータルサイトから自己の情報にいつ誰がアクセスしたかを知ることができ、苦情がある場合には各機関や裁判所に申し立てることができるようになっています。このような措置というのは講じないんでしょうか。
○平井委員 本法案においては、個人情報との関係では、第三条第一項における、官民データ活用の推進は個人情報保護法による施策と相まって行われるものと定めており、また、第二十一条第四項及び第六項において、官民データ活用推進基本計画の案の作成や官民データの活用の推進に関する重要事項について、官民データ活用推進戦略会議は、個人情報保護委員会の意見を聞くとともに、緊密な連携を図ると定めています。
また、第十二条は、個人の関与のもとで多様な主体による官民データの適正な活用について定め、個人がみずからのデータがどこに流通しているのかをトレースできるような仕組みなど、従来の個人情報よりも安全、安心な仕組みの構築について定めているところであります。
また、先ほどお話ししたとおり、この仕組みの具体的な内容については、今後政府に検討していただき、適切に判断されることになると考えています。
また、苦情の申し立てや情報開示などについても、必要があればこの検討の中で議論されることになると考えますし、今、個人情報ということであれば、個人情報保護委員会がそれを守ることに関しては責任を持っていると考えています。
○島津委員 そもそも、国、地方公共団体の保有する個人データは、第三者への提供を前提としていません。そのための本人同意も得ていません。しかも、健康保険、年金、生活保護、投薬、受診、税金、資産などセンシティブな情報も多く、さらに、七割もの国民が、民間企業、行政機関の持つ個人情報の取り扱いに不安を抱いています。
にもかかわらず、本法案は、国民の個人情報についての具体的な対応や施策、安全性をどう確保するのか、国民の知られない権利をどう保障するか、全て今後の実施法や本部に委ねるたてつけになっていて、何も明確にしておらず、曖昧になっています。
また、本法案の十二条の「事業者の競争上の地位その他正当な利益の保護に配慮しつつ、」「個人に関する官民データを当該個人の関与の下で適正に活用することができるようにするための基盤の整備その他の必要な措置を講ずる」という条文からもわかるように、企業利益のためであれば、匿名化され非識別化されているのだから、行政機関が事業者へ官民データを提供していいんだ、本人が関与する仕組みはつくるが、その意思はどうであれ、匿名化しているのだから、そのデータを使っていいんだということになっています。個人の権利や利益の軽視であり、看過できません。ここにこの法律案の本質があります。
経団連は、ことしの七月十九日、「データ利活用推進のための環境整備を求める」という提言を発表し、官民の間での一体的なデータ流通促進や手続の原則電子化、規格統一、省庁横断的なデータ利活用推進本部の設置などを求めています。本法案は、まさにこの産業界の要望に沿ってつくられ、応えようとするものです。
本法案は、国民の個人情報の保護や権利利益を守ることよりも、事業者が利益を上げることを優先し、そのために行政が保有するデータを活用するようにするものであり、余りにも個人の権利や利益をないがしろにしていると言わざるを得ません。国民の多くも納得できるものではありません。
我が党は本法案に反対であることを表明し、終わります。
○秋元委員長 これにて発言は終わりました。
お諮りいたします。
本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○秋元委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時二十八分散会