第9号 平成28年12月2日(金曜日)
平成二十八年十二月二日(金曜日)午前九時十九分開議
出席委員
委員長 秋元 司君
理事 谷川 弥一君 理事 平井たくや君
理事 ふくだ峰之君 理事 牧島かれん君
理事 松本 文明君 理事 緒方林太郎君
理事 神山 洋介君 理事 佐藤 茂樹君
青山 周平君 池田 佳隆君
石崎 徹君 岩田 和親君
大岡 敏孝君 大隈 和英君
大西 宏幸君 岡下 昌平君
神谷 昇君 木内 均君
國場幸之助君 今野 智博君
田畑 毅君 武部 新君
武村 展英君 中谷 真一君
中山 展宏君 鳩山 二郎君
務台 俊介君 和田 義明君
若狭 勝君 井出 庸生君
泉 健太君 大串 博志君
岡田 克也君 金子 恵美君
高井 崇志君 辻元 清美君
高木美智代君 角田 秀穂君
濱村 進君 池内さおり君
清水 忠史君 島津 幸広君
浦野 靖人君
…………………………………
議員 岩屋 毅君
議員 西村 康稔君
議員 細田 博之君
議員 小沢 鋭仁君
議員 松浪 健太君
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
法務副大臣 盛山 正仁君
厚生労働副大臣 古屋 範子君
内閣府大臣政務官 武村 展英君
内閣府大臣政務官 務台 俊介君
法務大臣政務官 井野 俊郎君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 種谷 良二君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 中村 格君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 堀江 裕君
内閣委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
十二月二日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 中谷 真一君
神谷 昇君 若狭 勝君
角田 秀穂君 高木美智代君
池内さおり君 清水 忠史君
同日
辞任 補欠選任
中谷 真一君 岩田 和親君
若狭 勝君 神谷 昇君
高木美智代君 角田 秀穂君
清水 忠史君 池内さおり君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(細田博之君外七名提出、第百八十九回国会衆法第二〇号)
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○秋元委員長 これより会議を開きます。
第百八十九回国会、細田博之君外七名提出、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長種谷良二君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長中村格君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長堀江裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○秋元委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平井たくや君。
○平井委員 おはようございます。自由民主党の平井たくやです。
きょうは、このIR法案につきまして、急遽質問に立つということになりました。
質問に立つに当たって、岩屋先生のこの本を全部読んでまいりました。それと、私が内閣委員会に結構長くいるもので、二年前ですかね、二十六年十一月のこの調査報告書、これは現場で、シンガポールで、両方のカジノ、読み返すと、相当細かいところまで突っ込んで聞いているんですね。社会家庭振興省、カジノ規制庁及びシンガポール警察カジノ犯罪捜査部門との意見交換、また、マリーナ・ベイ・サンズ、ゲンティン・シンガポール社。これを読み返してみて、私は、シンガポールというのは、我々が懸念しているような問題に対して相当いろいろなアイデアを使ってつくったんだなというふうに思いました。
このシンガポールの事例と、岩屋先生の本の中にあったスイスの話、年金の財源が不足する、そして、カジノでスイスの今までのイメージと変わるんじゃないかというようなことで、どこも最初はそういう心配を持つ傾向にあるということもよくわかりました。
しかしながら、現行はもう百四十カ国でそういう施設があり、OECDの国の中で日本だけがないとも聞いています。そうなると、日本は最後発ですよね。一番後から、こういうIRといいますか、カジノ施設を含む複合観光施設をつくっていこうということになるわけです。ですから、各国の事例とかいろいろなものを見た中で、やはりいいものをつくらなきゃいけないというふうに思うんです。
先ほど、この委員会の理事会でも、やはり各党からいろいろな心配等々があります。私は、聞いていて、その心配があるという問題点は十分理解はするものであるんですが、一方で、これは将来に対する一つの選択肢であって、この法律が、要するに基本法が通るというのは、私流に言えば、つくることができる選択肢を用意するということではないかというふうに思うんです。
このつくることができる選択肢を用意して、それにあわせて実施法をつくるのみならず、その後いろいろな方々が、自治体が手を挙げて、国がそれを認めた上で、では本当に採算をとれる事業者がそこにいるのか。つまり、幾つものハードルは、実は物すごくあるんですよね。
ある意味、これから地方自治体の活性化とか次世代の方々のサービス産業の活性化とかいろいろな面を考えたときに、やはり将来の、未来のそういう選択肢を我々の手で潰すわけにはいかぬというふうに思います。つくるつくらないという判断は、またいろいろな方々、マルチステークホルダーで、最終的には仕上げていくものだと思います。
そういう意味で、今回のこの基本法の議論というものは、まさにその入り口に立って次の世代に対しての責任を果たしていくということなんだなというふうに、私流に理解をさせていただきました。
そこで、岩屋先生はこれをもう十五年以上おやりですよね。超党派の議連でずっと頑張っておられますし、そういう意味で、今回のIRを推進する本当の思いといいますか、目的について、ぜひもう一度お話をいただければと思います。
○岩屋議員 御質問ありがとうございます。
今、平井先生がおっしゃったように、今回の推進法が成立をした段階でカジノというゲーミングが合法化されるわけではありません。その後、政府がつくる実施法をもう一度国会に提出していただいて、国民的な議論も含めて慎重に審議していただいた上で成立をしたときに初めて、一部にカジノ施設を含むIRというものが合法化されるということでございますので、この段階では、つくることができる選択肢を設けるという今の平井先生の御指摘は、おっしゃるとおりだと思います。
私どもが長きにわたってこの構想を推進してまいりましたのは、最大の目的はやはり日本の観光立国化でございます。
残念ながら、我が国は今、人口減少の時代に突入をしております。日本の優位性は物づくりにあるということはもうそのとおりでございまして、その優位性を決して失うことがあってはならないというふうに私ども考えておりますが、一方で、観光業を中核とするサービス産業を一層成熟させていかなければいけないと考えてまいりました。
政府も、観光立国ということを成長戦略の柱に今据えております。目標も先般、上方修正されました、オリンピックまでにインバウンドを四千万人、その十年後に六千万人にしていくと。そのためには、我が国にありとあらゆる観光のためのメニューがそろっていなければならないと思います。
日本の観光の最大の強みは、言うまでもなく、我が国の歴史、伝統、文化、美しい自然にあるわけですけれども、やはり世界じゅうから六千万人もの人を招いていこうというのであれば、さまざまなメニュー、さまざまなエンターテインメントが用意されていなければならない。そして、国際会議や国際展示場についても、さらに、施設的に見劣りのしないものをつくっていかなくちゃいけない。しかし、それを公共事業で今つくるというわけにもなかなかいかない、単体でやれば採算がとれないことが多いですから。
したがって、諸外国の例を参考にさせていただいて、施設のごく一部に収益性の高いカジノというゲーミングを含む、あくまでも統合型、複合型の観光施設を極めて限定された数だけ認めることによって、我が国の観光振興、観光立国化へ向けての起爆剤とさせていただきたい、そういう思いで立案をし、提案をさせていただいたところでございます。
○平井委員 先ほど、サービス産業というお話をされました。この本の中では、製造業以外のものというくくりをされていたように思いますが、今ざっくり日本のGDP五百兆の中で、サービス産業というのはその約七割、雇用も七割ですよね。ですから、本当に景気回復の実感というのが国民に届くためには、このサービス産業部分の生産性を上げるのみならず、そこをやはり引き上げていくということだと思います。その中心的な役割を担うのが、観光を含む今回のIRという位置づけだと思うんですね。サービス産業というのは、これから、時代に合わせて、時代の要請に応えるような形でいろいろ変化していくんだと思います。
この本の中で、ちょっと本ばかり引用して申しわけないんですけれども、シンガポールと同じようなものをつくったってしようがないという書き方もされていました。
そして、結局、この特定複合観光施設というのは、定義はありますけれども、はっきり言って、ではどういうものなのかと考えたときに、普通ぱっとイメージするものが人によって違うんですね。それで、恐らく、いろいろな時代の流れもあるし、二〇二〇年以降の社会の中で成立するIRというふうになると、今あるIRからは大分進化するのかどうなるのか、基本コンセプトは変わらないにしても、やはり少し変わってきて、そこで最後発の日本が世界に新しい提案をしていくというようなイメージを私は持っているんですね。
そういう意味で、この特定複合観光施設という言葉、これは一体何かということについて、もう一度お聞きしたいと思います。
○岩屋議員 法案におきましては、特定複合観光施設とは、会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与する施設及びカジノ施設が一体となっている施設を指すと定めているわけでございます。
今、平井先生が言われたように、将来の観光サービス業の姿がどうあるべきかということからいえば、この例示してある施設のほかに、その他の観光の振興に寄与する施設というのはさまざまなバリエーションが出てくるんだろうというふうに思っておりますが、大事なことは、幅広い客層を誘客するための総合エンターテインメント施設であるということだと思います。
ビジネス客はもとより、ファミリー層のデスティネーションとなり得る施設、決してギャンブラーのデスティネーションではなくて、今、世界の先進事例がそうでありますように、幅広い客層のデスティネーションになっていくべき施設でなければならないと我々は思っております。
その中に、平井先生が言われたように、我が国の最新の技術であるとか、日本の歴史、伝統、文化であるとか、さまざまな要素が盛り込まれた、日本でなければできない、そういう統合型の観光施設というものでなければ、到底、国際競争力を持つには至らないというふうに考えているところでございます。
○平井委員 まさにそのとおりで、世界で初めて日本が新しい提案をしていくようなIRにしてもらいたいなという思いがあります。
ギャンブル依存症とかいろいろな話もあるんですが、不思議なことに、シンガポールでも、このIRを導入して減っているんですね、ギャンブル依存というものが。そのかわり、家族とのかかわり、コミュニティーとのかかわり、いろいろなものがあって、これはうまいシステムだと思います。自分で自分のことをちゃんとデクレアして決めて、それを守るようにする、このようなこととか、ここらあたりでもまた日本ならではの細やかなシステムをつくっていけばいいんだなというふうに思うんですね。
それで、私は、これから先いろいろな方々が質問をする中で、やはり何度も何度も確認をしようとすることは、実施法において賭博罪の違法性を阻却するためにどのような事項に考慮して制度設計をするのか、多分そのことをいろいろな形で委員の方々がお聞きするんだと思います。このことについて、できれば丁寧に答えていただきたいと思います。
○西村(康)議員 お答えを申し上げます。
平井委員御指摘のとおり、本来、賭博行為とか、いわゆる富くじ販売行為、これは刑法で禁じられているところでありますけれども、特別な法令によって正当行為として認められる、これは刑法三十五条に規定がございますが、これによって違法性が阻却されるというふうに認識をいたしております。
過去の法務大臣あるいは法務大臣政務官の答弁なども参考にいたしますと、そういう違法性が阻却する要件として考慮すべき事項として八点挙げられております。
一つは目的の公益性、二点目が運営主体の性格、三点目が収益の扱い、四点目が射幸性の程度、五点目に運営主体の廉潔性、六点目、その運営主体の公的管理監督、七点目に運営主体の財政的健全性、八点目に副次的弊害の防止、こういった点をしっかりと実施法の中で規定を設けていただいて、まさに賭博罪等が設けられた趣旨に反しない制度が構築されて、そして初めて、実施法に基づいて、刑法上違法でない、違法性が阻却をされるというふうに考えております。
○平井委員 それは大変重要なポイントだと思いますので、何度も何度も各委員が確認するところだと思います。
それでは、私の質問は終わらせていただきます。
○秋元委員長 次に、ふくだ峰之君。
○ふくだ委員 おはようございます。よろしくお願いします。
今、平井委員がるる述べておりましたが、本当にこのIRというのが、まだまだ国民の皆さんにとっての理解は、どうしてもカジノが前面に前面に出てきてしまって、複合的な施設でカジノもその中の一つだよということがなかなか伝わらないことが、この議論がある意味では深まっていかない、あるいは、ある意味ではねじ曲がってしまったところに向かっていっているという気がして私はなりません。そこは本当に残念だなと実は思っています。
私も岩屋先生の本を読ませていただいて、この法案が審議をされる過程の中で、自民党の議員は多分これを全員が読んでいるんだと思うんですね。やはり、それを読ませてもらうと、なるほどなと。私はIR議連に入っていたわけではございませんので、読ませていただいて、なるほどなと思うところが実はたくさんあったんですね。そうした点が、こうした議論を通じて、できるだけ多くの国民の皆さんにまず伝わっていくということが極めて、本当に大切だなということを改めて感じました。
さりとて、このIRの施設は、先ほど言いましたように、カジノもその一つのメーンの施設であることは間違いないんだろうというふうに私は思います。
カジノは、やはり一番最後発ということもありますから、安心、安全とか、安全の確保だとか、もちろん犯罪の防止だとかマネロン対策だとか、世界で一番安心、安全な施設の日本のIRであり、カジノでありということが世界に伝わっていくということが本当に重要だなと思うんですね。そうなりますと、幾つか考えていかなければならないことがあるのではないかなと思います。
特に、これは人が来るわけですから、入場される人がどういう人なのかというのが大変大切な話だと思うんですね。そうなりますと、やはり、例えば私が入るのなら私は誰なのかとか、Aさんが入るのならAさんとは本当は誰なのかとか、そういうことはきっちりと確認をしていくということが大切だと考えています。
そこで、入場に当たっての本人の厳格な確認ということが求められると思うんですが、日本ではマイナンバー制度というのがスタートいたしまして、まさに平井委員が委員長の時代にできた法案でございますが、このマイナンバー制度に基づくマイナンバーカードというのは、本人の確認機能というのがきっちりついておりますし、ある意味では、日本人、居住者、日本にいる居住者の本人確認のトラストアンカーという位置づけになっているわけですね。
そうしますと、日本にまず住んでいる人にとっては、それは日本人でもそうでありますし、外国の方で日本に住んでいる方もそうですが、本人を確認するという手だてで、このマイナンバーカードを使わない手はないんじゃないかというふうに思います。
まず、そこで、カジノの施設の入場に当たりましては、マイナンバーカードを使って本人を確認する、あるいは年齢を確認するということも考えられると思うんですが、この点、どう考えているのか、発議者にお答えいただきたいと思います。
○西村(康)議員 ふくだ委員におかれましては、マイナンバーカード導入に当たりまして、私も一緒に取り組ませていただきまして、大変貴重な御指摘をいただいたというふうに思っております。
まず、御指摘のカジノ施設への入場者の制限について、これは、青少年の健全な育成、あるいは暴力団員等の関与の排除、ギャンブル依存症等への対策のためにも必要ではないかと考えておりまして、法案でも、第十条二項に「入場に関し必要な措置を講ずるものとする。」というように規定をさせていただいたところでございます。
少なくとも、未成年者がカジノ施設に入場することは禁止をして、入場に当たっては、写真つきの身分証明書によって年齢確認を行うことを考えております。そして、まさに御指摘のありました、その確認の際に利用する身分証明書として御指摘のマイナンバーカードを利用することも十分に想定されるというふうに認識しております。
いずれにしましても、具体的な入場制限のあり方あるいは身分確認のあり方については、政府において策定される実施法の中でしっかりと検討され規定をされるものであるというふうに考えております。
○ふくだ委員 せっかくつくった制度でありますし、国民の皆さんが持っていることで利用できるという意味においては、こうした本人確認の方法というのは極めて重要だと私は思います。
あるいは、先ほど言いましたように、日本に住んでいる外国人の方も、住民票が出ていればマイナンバーカードをもらえますし、将来的には、自民党のマイナンバー委員会そしてIT戦略特命委員会のロードマップ上では、非居住者用、つまり、外国人が日本に来る、日本が大好きで何度も何度も来る、こういう方々にも非居住者用のマイナンバーカードというものもつくって、日本に来やすい、そして日本で経済行為を行いやすい環境をつくろう、こうした計画もございます。
ぜひ、外国人に対しての本人確認のやり方も、もちろんパスポートということはあるかもしれませんが、日本ならではの形があってもよいのではないかと思います。これは先ほど西村先生おっしゃったように実施法の部分だと思いますが、ぜひこうしたことも念頭に置いていただきたいなということを思います。
そして、この本人確認をしっかり行うことが入場するということのスタートだと思うんですが、一方では、本人が、私が誰だということの確認がとれれば、年齢の確認がとれればそれだけでよいということではないんじゃないかなというふうに私は思うんですね。
事情は人によって、家族によってさまざまだと思いますけれども、例えば、入場する家族がいたときに、この入場者の家族がカジノに行くということをいろいろな事情で反対している場合ももちろんあるんじゃないかと思うんですね。
これは、一方では、子供じゃあるまいし、本人が行きたいと言えば行けばいいんじゃないかという考えももちろんあるかもしれません。しかし、私は、このIRというものを多くの国民の皆さんに御理解いただく、そのためには、カジノに行く人も行かない人も、IR自体の理解と賛同を得ていくということは極めて重要だと思うんですね。
そのときに、ではどうするんだという方法論も考えておく必要があるんじゃないかというふうに思っています。
例えば、では、家族が行ってはいけない、行っていいと言っているかどうか、紙を持ってきて証明しろとか、それは非現実的な話だと思いますし、世界最先端のIT国家を目指すという日本の姿勢としても、そういうアナログっぽいやり方は決していいと私は思っていません。そうなりますと、日本ならではの、ITを使ったいろいろな証明の仕方があるんじゃないかなというふうに思います。
その意味では、カジノの利用に関する家族の同意だったりとか、あるいは依存症ではないよというようなことに関して、マイナンバーカードをうまく使ってこうしたことをうまく証明していくという利活用も私は想定できるのではないかなというふうに思いますが、提案者にお願いします。
○西村(康)議員 大変重要な御指摘をいただいたというふうに思っております。
委員もよく御存じのとおり、IRは、国際観光の振興、地域経済の振興あるいは文化振興にも寄与するものでありますけれども、一方で、ギャンブル依存症など、カジノ施設が社会に与えるマイナスの影響も懸念をされているところであります。IRの推進に当たっては、こうした社会問題をしっかりと排除して最小限に抑制するということが最重要の課題というふうに考えております。
まさに、カジノ導入に際しては、さまざまな諸外国の事例とか最新の知見を踏まえて、社会に与えるマイナスの影響に万全の対策を講じるということを進めていくべきだと思いますし、ギャンブル依存症の減少にも寄与することができるというふうに考えております。
御指摘のように、シンガポールでは、ギャンブル依存症対策として、いわゆる排除プログラム、これは、自分自身の自己申告あるいは家族の申告によって、登録された人物について入場制限を行う仕組みが導入されております。
私ども、こうしたシンガポールの取り組みも大変参考になるというふうに思っておりまして、日本においてカジノを導入するに当たっては、こうしたプログラムもぜひ検討してもらいたいというふうに思っております。
その際に、具体的な入場制限のあり方については実施法でしっかりと政府に検討してもらうことになりますけれども、御指摘のように、入場規制対象者の本人確認等についてマイナンバーを利用するというのは大変貴重な御指摘だというふうに思いますし、私もマイナンバー制度を利用するのは非常に有意義であるというふうに思いますので、政府においてもマイナンバーカードの活用、利用をしっかりと検討していただきたいというふうに思っております。
念のために、もちろん個人情報の保護というものがございますので、そうしたものにも留意しながらではありますけれども、マイナンバーカードを利用していくということは大変大事な御指摘だというふうに認識しております。
○ふくだ委員 IRのスタイルもカジノのスタイルも、時代によってやはり大きく変わってくるんだと思うんですね。歴史を見れば、いろいろなやり方があって今に到達をしているわけであります。
そうなりますと、今、現事態を踏まえると、インターネットが生み出される前と後では、社会自体も大きく変わっておりますし、あるいは余暇の使い方だとか娯楽のあり方だとか、そういうものも随分と変わってきているんじゃないかなというふうに思うんですね。
IRに代表されるような複合施設に、これは観光ですから、行ってリアルにカジノを体験するという施設ももちろんあれば、あるいは、リアルなカジノを映像で流す、例えばバーチャルで流すカジノみたいなスタイルももちろんあるのかもしれません。あるいは、インターネット空間自体にいわゆるカジノというものが存在している場合も、もちろん今でもあるわけであります。
そこで、インターネットを開いてみると、インターネットのカジノのサイトが結構あるんですね。このインターネットカジノの取り扱いはどういう現況になっているのかということをちょっとお答えいただきたいと思います。
○種谷政府参考人 お答えいたします。
いわゆるインターネットカジノとは、国内外のカジノ経営者が、専用のサイトを設け、インターネット上で世界じゅうの客を対象にカジノを運営するものと承知しております。
客は、営業所や自宅のパソコン等からインターネットカジノのサイトにアクセスした上、バカラやポーカー等のさまざまな種類の賭博を選択し、クレジットカード決済等によって掛金を支払い、賭博で勝った分は銀行振り込みなどにより払い戻しを受けているものと承知しております。
警察といたしまして、必ずしもインターネットカジノのサイト数等の実態を把握しているわけではございませんけれども、本年一月から十一月末までの間において、インターネットカジノに係る賭博事件として、暫定値でございますけれども、常習賭博十一件、単純賭博二件を検挙しているところでございます。
○ふくだ委員 いろいろなスタイルが出てきているわけだと思うんですね。
私は、今回こうしてIRそしてカジノの話が逆に表に出てきたことによって、依存症もそうですけれども、例えば依存症の対策をきっちりやろうとか、こうしたインターネットも含めてカジノのあり方も、何が違法性があって、どうやって振興していくのか、あるいは、マネロンにしても何にしても、どうやってマイナス面に対処していくのかという、表でちゃんと議論ができる機会になったことは間違いないんだと思うんですね。
その意味では、私は、こうした法案審議を通じて、今まで、どっちなのかなとか、これはいけないんだけれどもどうなのかなとか、そういうことを改めて表側で議論した上で、長所と短所をわかった上で前に進めていくということが極めて重要じゃないかなというふうに思います。
一方で、先ほど岩屋先生もおっしゃっていましたけれども、やはりこれは新しいサービス産業としてしっかりと日本国の経済行為に対して便益をもたらしてくれないと、やる意味がそもそもなくなってしまうわけですね。
そうなりますと、やり方、施設の組み上げ方あるいは考え方も、時代によって変わってくるんだとやはり思います。時代に逆らって経済を活性化するというのはなかなか困難な話で、常に新しいビジネスモデルを探し続ける旅というのは終わらないんだと思うんですね。とまってしまったら、もう全てが終わってしまう。
そうなりますと、東京オリンピック・パラリンピックまでは、これだけ日本も世界じゅうでアピールしているわけですし、観光客の人もたくさんいらっしゃると思います。そして、一度来た人が二度も三度も四度も来たいと思ってもらわないわけにはいきませんので、一度来て、一回二千万人、三千万人来たけれども、もう二度と来たくないというんじゃ困ってしまうわけですから、リピーターをふやしていかなければならない。そうなりますと、ますます日本の魅力というものを表出ししていかなければならないんだと思いますね。
その意味においては、二〇二〇年以降の日本の経済というのは、大概の場合は二〇二〇年までに何をやろうとか、あるいは二〇二〇年を目指して何だということはありますけれども、ポスト二〇二〇年、つまり、それ以降の日本の経済をどうするんだということはなかなか議論が深まっていないのではないかなというふうに思います。
その意味では、これから新しいテクノロジーを使って、例えばインターネットカジノがだめだとかいうことではなくて、では、どうやってやったらいいんだとか、今でいえばブロックチェーンの仕組みであったりだとか、あるいはビットコインを使った決済の仕組みだとかを透明化していこうだとか、いろいろなテクノロジーを使って新しい形というものが見出せるのではないかと私は思いますし、そういうことを無視して始めるわけにもいかないのではないかなというふうに思います。
そこで、二〇二〇年以降、さらに日本のデジタル化社会、あるいは世界のデジタル社会というのは進んでいると思いますが、こうした時代におけるカジノのあり方、IRのあり方について、本法案では、先を読むという意味においては、どう読み込んで次の時代を考えていくのかということについてお聞かせいただきたいと思います。
○西村(康)議員 これもまた大変大事な御指摘をいただいたというふうに思っております。
二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを目指してさまざまな経済活動が活発化していくことをまず期待しつつ、その前後の切れ目ない経済活性化策としてこのIR施設というものが整備をされていくことは大きな意味があるというふうに思っておりますし、その際に、先ほど来議論がありますように、日本の持っている技術、あるいは日本の持っている魅力、クールジャパン、こうしたものの発信、技術でいえばロボットとか人工知能とか、そしてまたドローンとか自動運転とか、いろいろなものが将来生まれてくる、もう既に実用化されつつあるものもありますし、そうしたことも期待したいと思います。その意味で、このIRが一つのイノベーションの大きな機会となっていくことも期待をしたいというふうに思っているところであります。
一方で、日本全国どこでも、例えばネット上でカジノのような賭博行為があちこちへ広がっていくというようなことは想定をしておりませんで、現時点で、この法案では一定の区域の中で特別法によってこうした賭博行為の違法性が阻却をされるというふうに認識いたしておりますので、一定の区域内、しかも、それは十幾つも、日本全国幾つもできるということではなくて、まずは二つ三つから始めて、そして地域の特性を生かしながら、幾つかもう少し、段階的にふやしていこうというふうに想定をいたしているところであります。
そして、デジタルの時代でありますので、いろいろな手法がまた生み出されていくでしょうし、ゲームのあり方、あるいは電子チップのようなものも考えられていくと思いますし、いろいろなことが想定されますので、私どもは、この実施法が一年以内を目途に制定されますけれども、その後も、検討条項とかあるいは見直しの規定なども盛り込んでもらいながら、IR施設というものも、日本ならではの形、技術や、クールジャパンのそうしたものを生かしながら進化していくということも期待したいというふうに思っているところであります。
○ふくだ委員 ある意味では最後発で始まるわけですから、世界の国々のいいところと悪いところをしっかり結んで日本らしいものをやっていく、そして、日本のテクノロジーを使えば、例えば依存症対策であったりマネロン対策であったりとか、マイナス面もテクノロジーによって克服できるというものを世界に示していく、そういうシステムのビジネスモデルも売る、こういうことも考えられるのではないかなと思いますので、これからまた実施法の議論に入っていくと思いますが、しっかりと議論を、私たちもそうでありますし、提案者の皆さんも、これからもしっかりと先に進む努力を一緒にしていきたいなと思います。
以上です。
○秋元委員長 次に、高木美智代君。
○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。
久しぶりに内閣委員会で質問に立たせていただきます。機会をいただきまして、感謝申し上げます。
早速ですが、二十分という短い時間ですので、簡潔に御答弁を求めてまいりたいと思います。
IRをめぐりましては、国民の中にさまざまな意見があります。IRの整備によって経済効果や地方創生への寄与が期待できるという肯定的な意見のほか、IR収益が減少もしくは横ばいという海外の傾向もあり、促進する必要があるのか、また、かつてのリゾート法の失敗例のように廃墟が残るだけになるのではないか、また、ギャンブル等依存症対策が足りないなどの慎重意見もあります。
我が国が初めて導入する話でありますので、IRに行ったことがあるかどうか、またどこのIRに行ったのかによっても意見が分かれるところでございます。私は、平井委員長の時代に、シンガポールに行かせていただきました。しかしながら、こうした疑念に応えるためにも、国民にわかりやすく説明し、理解を求める努力が求められると思っております。引き続きの努力を強く求めてまいりたいと思います。
まず最初にお伺いいたします。
これまでも議論があるところですが、カジノは、刑法第百八十五条、第百八十六条で禁止されている賭博であり、賭博罪また賭博場開張等図利罪が成立し得るわけです。にもかかわらず、その違法性の阻却、いわゆる違法性がないとすることについてどう説明をするのか、ここで決め手となる明快な答弁をお願いしたいと思います。
○西村(康)議員 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、カジノ施設は刑法上違法である賭博行為の場を提供するものでありますので、このカジノ施設を含むIRを実現するためには、新たな立法措置によってこのカジノを合法化する必要がございます。
今回の推進法案は、IR推進の基本理念、方向性を定めるものでありまして、今回の推進法案によってカジノが合法化されるものではございません。
現行法制においては、幾つかの事例で、例えば競馬や宝くじ等の公営競技はいわゆる刑法の富くじ販売行為に該当しますけれども、競馬法とか当せん金付証票法等によって、いわゆる刑法三十五条の法令による正当行為として違法性が阻却されているというふうに承知をいたしております。
そうした観点からいいますと、カジノに係る行為はいわゆる刑法の賭博罪とかに当たるわけでありますけれども、特別な立法、これは一年以内を目途に私どもが求めておりますいわゆる実施法案、これが制定されることによって、賭博罪等に設けられた趣旨に反しない制度が構築をされて、そして違法性が阻却をされるというふうに認識をいたしております。
その際、これまでの法務大臣政務官あるいは法務大臣の答弁等に明らかにされておりますけれども、こうした違法性を阻却するということを判断する際の考慮すべき事項として、目的の公益性とか、運営主体の性格、あるいは収益の扱い、射幸性の程度、それから運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止、こういうことが判断されて、賭博罪等が設けられた趣旨に反しないという制度が立法上しっかりと規定をされて初めて違法性が阻却をされるというふうに理解をしているところでございます。
○高木(美)委員 次に、IR法案の第三条ですが、整備の基本理念として、地域の創意工夫や民間活力を生かした国際競争力のある魅力的な滞在型観光の実現をうたっていますが、そのためには、先ほど来議論があります日本らしさや日本ならではのおもてなし、すなわち文化芸術、さらにはスポーツを生かしていくことが大事だと考えます。
本来、こうした文化芸術、スポーツということを法文に書いていただきたかったという思いが実は私にはございます。事業運営に当たりましては、この次の段階になりますが、文化芸術、スポーツを生かして取り組んでいくこと、そのためのノウハウや人材を活用していく計画を立てることなどを基本方針策定時にしっかりと明記すべきと考えますが、立案者のお考えを伺います。
○岩屋議員 高木先生にお答えをいたします。
先生おっしゃるように、我が国でつくられるIRは、我が国でなくてはできないものでなければならないと私ども考えております。そうでなければ、国際競争力を持つには至らないわけでございます。
そのために、先生御指摘のように、事業運営に当たって、文化芸術、スポーツ等を生かして取り組んでいくということは当然に行われなければならないと思っておりまして、それは、この法案が成立した後、政府に推進本部ができ、また有識者会議を設けられるということが規定されておりますので、そこらで幅広い知見を集約していただいて、政府が策定をする方針の中にそういうものがしっかりと盛り込まれていくということを想定いたしております。
我が国にはさまざまな、我が国にしかないエンターテインメントもございます。最近はラスベガスで歌舞伎が上演をされたりしているようでありますが、本場は我が国でございます。また、世界遺産となった和食という文化もございます。美しく精緻な伝統工芸品もございます。また、日本ならではのロボット技術あるいは自動運転などもこれからも開発されていくでしょう。あるいは、日本の環境技術、省エネ技術、そういうものが集約された施設となるように、政府が示していく方針の中にそういったものが盛り込まれていくということを想定しているところでございます。
○高木(美)委員 次に、カジノ管理委員会について質問をいたします。
このカジノ管理委員会が私は一番重要な肝であると考えております。その役割と組織、規模についてどのようにお考えか、伺います。
○岩屋議員 カジノ管理委員会は、カジノ施設の設置、運営に関する秩序の維持や安全の確保を図るために、カジノ施設関係者全般に対する規制を設け、規制を行うということが役割とされております。
具体的な組織、規模については今後子細に検討されることになるわけですけれども、例えばシンガポールにおいては、先生もお行きになられたと思いますが、二カ所しかこのIR施設がないわけですけれども、規制を行っているカジノ規制庁の規模は百五十七名程度になっております。いずれにしても、我が国におけるカジノ施設、IR施設の適正な管理を行うに足りる十分な規模でなければならないというふうに考えているところでございます。
○高木(美)委員 それでは具体的に、この第十条のところに第一項第一から第八までございますが、この中で、カジノ管理委員会が実施する業務というのはどれになりますでしょうか。
○岩屋議員 第十条は、カジノ施設における不正行為の防止並びにカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行う観点から、講ずべき必要な事項を定めるものでございまして、同条第一項に掲げられておりますように、八つの事項に関する事務を基本的にカジノ管理委員会が所掌することになります。
ゲームの公正性の確保、チップその他の金銭の代替物の適正な利用、暴力団員その他カジノ施設に対する関与が不適当な者の排除、犯罪の発生を予防するための体制の整備、風俗環境の保持等のための規制、広告及び宣伝の規制、青少年の保護のための必要な措置、そしてカジノ施設の入場者が悪影響を受けることを防止するための措置、これらのことを所掌することになります。
その上で、警察庁、厚生労働省等の関係省庁と連携して適切に実施することになるというふうに考えております。
○高木(美)委員 私は、この管理委員会は、いずれにしても、強い権限を持つ独立した三条委員会にすべきと考えております。その点についても確認をさせていただきたい。
それから、今業務の内容がありましたが、私は、この規制に関する事項一から六、それと七と八、青少年の健全育成であるとか、またこうした悪影響に対する対策であるとか、ここは、むしろ別の委員会でもいいのではないか。
シンガポールにおいては、カジノ規制庁が規制をする。その車の両輪として、また別途の、これは問題ギャンブル国家評議会、NCPGと言われておりますが、こうしたところで要するに幅広く、これは次の質問にもかかわってくる話ですが、青少年の保護とかギャンブル等依存症対策とか、国民への意識啓発、調査研究、相談業務、また定期的なセミナーとか、そうしたことを地域を巻き込みながら展開していく。
果たしてこれだけの、一から八までのものが管理委員会の中で全部おさまるのか。もしくは、管理委員会の中にそうした別途の委員会をぶら下げる形で置けるのであれば、むしろそこは本当に専門的にそれに集中する、こういう形もあるのではないかと思います。
また、ここは御検討いただきたいところですが、このような強い権限を持つ三条委員会にすることを望むところですが、その点についてはいかがでしょうか。
○西村(康)議員 まず私から、三条委員会にすべきではないかという点についてお答えを申し上げたいと思います。
全く御指摘のとおり、カジノに関する規制を行う機関としては、監督、規制を適切に実施するため、既存の行政機関から独立した新たな行政機関で実施することが適切であり、御指摘のとおりだというふうに考えております。
そこで、本法案の十一条でありますけれども、カジノ管理委員会は、内閣府に外局として置かれるものというふうに規定をしておりまして、カジノの設置、運営に関する秩序の維持、安全の確保を図ることがその任務とされているところでございます。
それで、これは法制上の整理なんですけれども、内閣府以外のものの組織について定める国家行政組織法において、いわゆる三条委員会というものが置かれておりまして、これは中央労働委員会とか原子力規制委員会とかでありまして、内閣府の外局として置かれるものは、内閣府設置法上、四十九条機関。四十九条に規定がございまして、ここには、御案内のとおり、公正取引委員会とか国家公安委員会、あるいは個人情報保護委員会がございます。
ですので、内閣府外局に置かれる四十九条機関も含めていわゆる三条委員会というふうに一般的には言われておるんですけれども、法制上は、内閣府設置法上、四十九条の機関というふうに、独立した機関となるものと思いますが、いずれにしましても、こうしたいわゆる三条委員会として、同等の独立性、機能を有する、こうした新たな行政機関で実施することが適切だというふうに考えております。
○岩屋議員 先生の後段の御指摘でございます。
シンガポールには、おっしゃったとおり、問題ギャンブル対策委員会、NCPGといった組織ができております。
私ども、依存症対策は極めて重要だと思っておりまして、IRというものを生み出すに際して、それが強化される体制が必ず構築されなければならないというふうに考えております。
それについては、既存の公営競技や風俗適正化法上の遊技も含めたものに対して総合的に対策を講ずる必要があるというふうに思っておりまして、諸外国の、シンガポール等の事例も十分に政府において研究をしていただいて、我が国にふさわしい体制をつくってもらわなければいけないというふうに考えているところでございます。
○高木(美)委員 ここはちょっと細かい話になりますので、また御検討いただきたいのですが、私は、このギャンブル問題等、ギャンブル等だけではなくて、いわゆるパチンコとかそうした遊技も含めて、青少年への影響とかこうしたことも、依存症をトータル、いわゆるギャンブル等に関するもの、そこをやはりトータルで見ていく委員会にしていった方がいいのではないか。それをこの管理委員会でやってくれるのであればそれで構いませんが、そうでなければ、やはりそれはちょっと足りなくなるのではないかと思っております。その点だけ申し述べさせていただきたいと思います。
きょうは、ちょっと厚労省にギャンブル依存症等対策の現状と今後の取り組みについてというところで答弁にいらしていただいたのですが、一分ぐらいで簡潔にお願いいたします。
○堀江政府参考人 お答え申し上げます。
ギャンブル依存症の方の適切な治療、支援というのが重要でございますので、平成二十六年度から五府県で、モデルとなる治療拠点医療機関を指定して、相談支援それから医療機関などの間の調整、連絡ということをやっておりますが、それを二十九年度には全国に広げるような形で進めていきたいというふうに考えております。また、全国の拠点病院というのを久里浜センターに置いておりますけれども、そこで人材育成ですとか、また、厚生労働省といたしましても、依存症に関します正しい理解を広めるための普及啓発を行いますので、その中で、ギャンブルについてもきちっと焦点を当ててやっていきたいと考えてございます。
○高木(美)委員 今まで行われてこなかったギャンブル等依存症対策でございますので、実に、我が国においては非常に厳しいものがあるというのは共通認識だと思っております。治療の病院も大変少ないという状況ですし、専門医の育成、治療体制の整備、また地域連携のあり方など、抜本的に強化する必要があると考えます。
したがって、収益を使ってそれを進めていくということでよろしいでしょうか。
○西村(康)議員 御指摘のとおり、ギャンブル依存症などのこうした問題を排除して最小限に抑制することは、もう最重要の課題と認識いたしております。
ギャンブル依存症については、これまでも厚労省も含めていろいろな調査を行っているところでございますが、こうしたことを踏まえて具体的に対策を検討していくということになりますし、その際に、納付金なり入場料なりいろいろな形での収益が上がってまいりますので、そうしたものを活用して、カウンセリングの体制とか教育上の取り組みの整備、あるいは、カジノにとどまらず既存の依存症対策も含めて、総合的、包括的な取り組みをぜひ強化していく必要があるというふうに認識をいたしております。
○高木(美)委員 ぜひとも抜本的に強化していただきますことを重ねてお願いいたします。
シンガポールの依存症患者が減ってきたのは、これだけのやはり厳しい対策、特にシンガポールは個人個人をもうきっちりと管理している、そういう社会ですので、我が国のように、相談があれば受け皿をつくります、またそこを支援しますという待つ支援ではなくて、要するにとりに行くという、見つけて、もうそこに手を伸ばして支援をしていくという大変強い体制をしいているというのを痛感いたしました。そこまでやっているので患者数が半減、また減っているという状況ですが、これを徹底して実施しなければ、逆に、今までの諸外国の例にあるように、依存症患者が増加するおそれがあると考えております。
ぜひともこの管理委員会としっかりと連携をとりながら、これを各省庁をしっかりと取りまとめて前に進めていく、こうした中枢の機能を持つものが管理委員会なのか、もしくはまた別途の委員会をつくっていくのか、どちらにしても強い権限を持たせていただきたいと思います。
そこで、最後の質問ですが、この第十条の第一項の第七には「青少年の保護のために必要な知識の普及その他の青少年の健全育成のために必要な措置に関する事項」についてということがありますが、今、文科省の学習指導要領には、ギャンブル等についての記載はありません。あるのは、喫煙、飲酒、薬物乱用それから契約などの消費生活への注意。したがいまして、この学習指導要領の中に、今検討中でもありますので、ギャンブル等についての注意を明確に記入しまして、それを子供たちに教えていく、そして国民への普及啓発活動等にも取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
○岩屋議員 先生御指摘のとおりだと思います。
ギャンブル依存症対策の第一は教育であり、予防であるというふうに思っておりまして、今回の推進法案においては、政府に対して、青少年に対する悪影響を防止するために必要な措置を講ぜよというふうに命じております。
先生がおっしゃったように、賭博による悪影響について学校教育の場で取り上げられ、児童生徒が学ぶ機会を持つことが重要だというふうに思っております。
これまでも、既存の公営競技あるいは風適法の中の遊技というものがあったにもかかわらず、そこの教育、予防というところが必ずしも十分ではなかったというふうに認識しておりますので、これを機にそういった措置をしっかりと講ずるようにしなければいけないと考えています。
○高木(美)委員 もう時間かと思いますが、まだ少し何秒かあるようです。
この法律が成立した後、一年以内を目途として法制上の措置をとるという大変短い期限が切られております。間に合うのかという懸念の声も聞かれます。
時間をかけて国民の理解を得ながら堅実に進めていく、そして、二、三カ所承認されたならば、その効果を十分に検証した上でその先の認定のあり方を考えていくという、このような堅実な進め方でお願いをしたいことを最後に申し述べまして、質問を終わらせて……(細田(博)議員「答えはいいですか」と呼ぶ)
○秋元委員長 時間が経過しておりますので、では、簡潔によろしくお願いします。
○細田(博)議員 最初に我々が提案させていただいてから、内閣委員会も実態を調査されたりしておりますが、政府の中でも、どういう問題があり、世界的にもどういう対策が行われているという勉強も、この二年有余の間に進んでいるわけでございます。
したがって、実施法の際におきましては、国民の理解を得ていくことはもとよりでございますが、しっかりとした措置を講ずるべきである、そういうふうに考えております。
○高木(美)委員 ありがとうございました。
○秋元委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
本日は、IR法について論点整理をさせていただければというふうに思っております。
よく言われますのが、IRというのが一体何なのかよくわからないという話なんですね。複合施設と言っている。ところが、IRは、この法案の二条にもあるとおり、カジノ施設及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光振興に寄与する施設。これは文化施設であったりスポーツ施設も含まれるんであろうと理解しておりますが、いわば、IRイコールカジノプラスアルファだというような形になっているんだろうと思うんです。
私は、実は、ここの、カジノが絶対に入っているんだよね、プラスアルファだけではこの公式は成り立たないんですねというところに疑問を持っていたんですね。なので、ぜひこの点について理解を深めたいなというふうに思っているところでございます。
その上で、IRの誘致で、海外から海外の事業者が日本に投資をするということであるならば、対内直接投資として見れば非常にインパクトがあるんであろうというふうにも思うわけでございます。一方で、それはそれとして、経済的な効果として認められ得るかもしれません。さらに言うと、日本は、ナイトライフにおいては楽しめる場所がちょっと少ないねというような話もあるわけでございます。
私は、もっと日本においてもナイトライフを充実させるべきだという思いを持っている人間でありますので、そういう意味におきましては、秋元委員長とともに、先般お亡くなりになられた小坂会長のもと、ダンス議連の中で風適法改正にも力を尽くさせていただいたわけでございます。
そういう指摘を受けるならば、カジノというのは選択肢としてふえてもいいのかという議論はあろうかと思うんですね。とはいえ、カジノというものが功罪両面あるがゆえに、今、大変大きな議論を巻き起こしているのであろうというふうに思うわけでございます。
先ほど来、カジノがIRにおいて必要だというところ、あるいは、それはどうやれば許容できるのか、そういう必要性と許容性の話がされるわけでございまして、許容性については先ほど高木委員からもございました。ですので、私からは必要性の部分についてお話をしたいなというふうに思うんですが、カジノで一体、収益が本当に上がるのかどうかというところですね。
今、ネバダ州においては、カジノあるいはゲーミングによる収益というものが四割程度にまで落ちてきているというふうに聞いております。一方で、シンガポールは八割程度カジノによって収益を占めていると。この違いは一体何なのか、これをまず確認したいと思います。
○岩屋議員 先生御指摘のように、ネバダ州においては、年々、ゲーミングによる売り上げが占める割合は低下してきておるようでございます。一九九〇年ごろにはゲーミング収入が五八%、二〇〇〇年には四六%、そして二〇一三年には三七%。したがって、ネバダでのIRというのは、もうノンゲーミング、ゲーミング以外の収入が六割を占める収益構造になってきているようでございます。
シンガポールは、二〇一〇年に開業したばかりでございまして、私どもの予測では、徐々にノンゲーミングの収益部分がふえていくんだろう、こう考えておりますし、例えばマカオという地域においても、施設のIR化が急速に進んでおりまして、ノンゲーミングの収益の割合がふえてきているというふうに承知をいたしております。
やはり、そういった事例を参考にして、本法が目指していくべきは、できるだけ幅広い客層を誘客することのできる、できるだけノンゲーミングの収益を多く望めるタイプのIRというものを目指していくべきではないかというふうに考えているところです。
○濱村委員 ノンゲーミングに収益構造を移していくためには、ゲーミングによって得た収益を再投資するようなことが必要なんであろう。まだシンガポールはそこまで至っていないというようなことかと思います。
そういう意味でいうと、マカオでも、成功している例もあれば失敗している例もあります。アメリカでもそういう状況です。シンガポールは比較的成功しているのかもしれません。こうした成功している例、そしてまた失敗している例、さまざま、両面あるというわけでございますが、何が理由であるのか。これは、何で成功して、あるいは何で失敗するのか、成功のためには何が必要であるとお考えなのか、お答えいただけますでしょうか。
○西村(康)議員 お答え申し上げたいと思います。
最近の傾向として、今も岩屋提案者の方からも御説明がありましたけれども、IR、統合リゾートとして、総合的なエンターテインメント施設として整備をし、シンガポールの例でいえば水族館があったり劇場があったり、そうしたファミリー層も含めて幅広く観光客を引きつける、こうしたものが非常にいい集客をしているというふうに認識をいたしております。一方で、カジノに特化したようなところは少し厳しい状況にあるのかなというのが一般的な認識であろうかと思います。
さらに、特性をどう出すのか。あのシンガポールの奇抜なホテルの上にプールがあるような、ああいう非常に特徴のある施設を含めて、やはり統合リゾートとして、さらにそうした特色をどう出せるのかというところが鍵になるのかなというふうに思います。
一方、アトランティックシティー、アメリカですけれども、これは、カジノ施設、IRが乱立をして過当競争に陥って、経営が苦しいところも出たということも認識をいたしております。
こうした全体的な世界の傾向も認識をしながら、踏まえながら、日本におけるIRの整備に当たっては、まず、その区域数を、最初はやはり二、三カ所からスタートをして、そして、その効果や課題を十分に認識して検証しながら着実に施行していく、段階的に、希望する自治体が出てくれば数をふやしていくという方向性を考えておりまして、さすがに、十も二十も日本のあちこちにできて、そして過当競争になるというようなことを想定しているわけではございません。二、三カ所からスタートをして、段階的に検証しながら進めていくということを想定しているわけでございます。
さらに、やはり我が国ならでは、日本ならではのクールジャパンの発信であったり、日本の伝統文化、こうしたものの発信であったり、あるいは、地方で地域の特色を生かしたIRであったり、外国人観光客にも日本の魅力を十分に伝えることができる、そうした施設を期待したいというふうに思っております。
もちろん、大都市のみならず、地方においても特色のあるIRが整備されることを期待したいというふうに思っております。
○濱村委員 やはり、今、西村先生からあったのは、総合的な施設とカジノだけに特化した場合とで成否が分かれているというようなお話があったんですが、カジノだけに特化していると言いながら、カジノは収益があると言っておられるので、カジノで収益があるのに、そこは収益性がなくて事業として成り立たなくなったんですかということを考えると、少し、単純に考えたら矛盾しているのかなというふうにも思ったりするんですね。恐らく、そこには集客力がないんだろうということをおっしゃっておられるのかなというふうに捉えました。
要は、総合的なものでない限り、カジノをやるためにだけ行くという人以外の方も呼ばなければいけませんよねということなんだろうということで理解をいたしました。
そういう意味でいいますと、先ほど私が申し上げたような、ナイトライフを充実させるためにカジノを導入するというのは、積極的なカジノを導入する理由に当たると思うんですけれども、複合施設、例えばプールであったりとかレジャー施設、あるいは観劇であるとかそういう施設、ホテル、会議場、レクリエーション、そういったものだけを充実させるというわけにはいかないのか。それをするためには収益源が必要、その収益源をカジノとして設けますよということであるならば、これは、カジノを導入するのは消極的理由といいますか付随的な理由なのであろうかというふうに思っております。
そういう意味でいうと、カジノを導入する理由というところが、皆さんどうしてもカジノを好き嫌いで判断してしまうのであろうかと思いますが、理由について、積極的に導入する理由はこうで、消極的な、付随的な理由としてはこうなんだということをやはり明らかにしていかないと、なかなか国民の皆様の御理解は得られないのではないだろうかということで、今のような御質問をさせていただいた次第でございます。
その上で、カジノで収益を上げるならば、しっかりと上客、いわゆるハイローラーと言われるような方々に来てもらわなければいけません。そういう意味でいいますと、今、総合的、複合的と言っているような、カジノ以外の、会議とかホテルとかショッピングとかレストランとかそういうところについては、幅広い層、ビジネス層であるとかファミリー層であるとか、そういう方々をお迎えするというための施設になっているわけでございまして、これはターゲットが明らかに違うのであろうというふうに思うわけでございます。
カジノで収益を上げないと、こうした施設の維持管理あるいは再投資というものもできないのであろうかというふうに思うわけでございますが、収益を上げるためには、今比較的アジアにはカジノがたくさんできているという状況でありますので、市場としては飽和しているんじゃないかしらというふうにも思ったりするわけでございます。
多少飽和ぎみなのかなと言われているアジアにおいて、ハイローラーの人たちが来る理由とすれば、それはどういう人たちが来る、ヨーロッパなのか中国なのかも含めて。そしてまた、それはどういう理由が考えられるのか、確認をしたいと思います。
○岩屋議員 まず、先生が最初に指摘をされた、なぜ複合型観光施設にカジノが必要なのかということですが、私ども想定しておりますのは、MICEという機能を十分に備えた統合型施設というものを想定しております。
そうなりますと、大型の国際会議場ですとか展示場ですとか大型の劇場でありますとか、そういうものを付設した施設を想定しているわけですが、それらの施設単体ではなかなか採算性がとれにくい。したがって、面積はたとえ小さくても収益力の非常に高い、そしてまた、カジノそのものもある意味エンターテインメントの一つでもあるわけですけれども、集客力のある施設というものをあわせ持つことによってその施設全体を円滑に運営できる一つのモデルなんだというふうに考えております。
それから、我々が目指しているのは、あくまでも幅広いビジネス層あるいはファミリー層が楽しむことのできる総合エンターテインメントとしての施設を目指しておるわけでございまして、必ずしもハイローラーと呼ばれる多額のかけを行うVIP客のみをターゲットとしたものを想定しているわけではございません。
最近、マカオなどが、中国当局の政策の変更によって、いわゆるハイローラーという人たちの数が減ってきているという話も聞いておりますが、むしろそれは健全化してきているのではないか。マカオは二年連続観光客三千万人というのを達成しております。ホテルの宿泊もどんどんふえております。それは、ファミリー層あるいは幅広いビジネス層が訪れる町に変わってきているということだと思いますので、当然、お客様の中にはそういうハイローラーと呼ばれる人たちも含まれてくるんでしょうけれども、そこが主たるターゲットではなくて、幅広い層の誘客を目指すIRというものを構築していくべきだと考えているところです。
○濱村委員 恐らく、岩屋先生がおっしゃる、幅広い層を誘導できる、そういう施設にしていくべきだ、その考え方には当然私も賛同いたすわけですが、どうしてもこれは地方からの手挙げ方式で、その事業計画自体がどういうものかによって変わってくるのであろうかと思います。
そういう意味でいうと、やはり収益性の観点から見ると、ハイローラーのような人たちにどうしても収益上頼らざるを得ないという部分は当初はあるのであろうかと思いますし、私はそういうところの議論もあえてしっかりとやるべきで、そういう方々がいわゆるジャンケットという方々を必要としている、日本としてもジャンケットを用意してそういう体制を整えなければいけないということであろうかと思っております。これも実施法の中でもさまざまな議論をしていくのであろうかというふうには思いますので、きょうはちょっと、質問を用意していましたが、そこは割愛させていただきます。
その上で、納付金についてお話をさせていただきたいと思います。
十二条に、国及び地公体は、「別に法律で定めるところにより、カジノ施設の設置及び運営をする者から納付金を徴収することができるものとする。」と。これは実は、先ほど私も少し申し上げたような消極的理由に当たるのかなと思っているんです。つまり、地公体あるいは国庫として、税収といいますかそういうものとして徴収していくということになろうかと思うんですが、これは基本的には実施法で定めるということでよいのか、まず確認したいと思います。
○西村(康)議員 御指摘のとおり、納付金の徴収についての具体的な仕組みは実施法の中で定められていくことになります。
○濱村委員 徴収した納付金の使途についてはどこでどのように定められるのか、これも確認させていただきます。
○西村(康)議員 納付金の具体的な使途についても実施法の中で定められることになるというふうに考えております。ただ、今回の推進法案の目的の中には、IR整備の推進に伴う国際観光や地域経済の振興、こうしたものが掲げられておりますし、広く財政の改善に資するものとされておりますので、納付金の使途としては、国民生活の安定向上につながる社会福祉、あるいは青少年の育成、例えば学生の奨学金、こうしたもの、あるいは文化芸術の振興など広く公益に還元されることを想定いたしております。
そしてまた、治安や風紀の問題、依存症対策など、負の側面についての対策費用にも充当されることを想定いたしております。
○濱村委員 今のような趣旨であるならば、そこはメリットとして考え得るところもあると思うんですね。
つまり、IRを誘致して、納付金を得て、その納付金を広く公益に資するために使う。恐らく、首長さんがIRを誘致すると決めれば、その使途についてもしっかりと、使途としては広くこういうことで誘致を行おうと思うということで、議会等を巻き込んで地元の合意形成をなされるんだと思いますが、非常にこれも苦労があるんじゃないかというふうに思っておるところでございます。
一年以内に実施法を定めて、合意形成をしながら適切に運営しなければいけないということを私も感じるわけでございますが、いずれにしても、国民の皆様にしっかりと理解を得ていただけるように推進していくのが要点であるということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。(発言する者あり)
○秋元委員長 ちょっと一旦速記をとめてください。
〔速記中止〕
○秋元委員長 では、速記を起こしていただいて。
提出者松浪君は、もう間もなく戻られるということでございますので、質問を……(発言する者あり)
では、速記をとめてもらって。
〔速記中止〕
○秋元委員長 では、速記を起こしてください。
次に、緒方林太郎君。
○緒方委員 民進党、緒方林太郎でございます。
きょう、IR法の審議ということで、四十分質問をさせていただきます。
まず、この委員会を開くに至った経緯について述べさせていただきますと、火曜日の本会議の間に理事懇の設定がありました。そして本会議散会後、理事懇を開きたいという話がありまして、我々としてそれを受け入れられないと言ったところ、委員長の職権で理事懇が立ち、そして次の日、水曜日、理事会が立ち、委員会が行われ、質疑が行われた。そして、昨日の理事懇についても、我々として決して同意をしているわけではないにもかかわらず、そして、きょうの委員会立てについても、委員長が御自身の判断でやられたということでございます。
まず、委員長にお伺いしたいと思います。なぜこんな強引な委員会運営をしているんですか。
○秋元委員長 理事会でも申し上げましたけれども、それぞれ与野党の筆頭間協議、それをする中において、本来は円満な委員会運営ということも私も心がけてきたことでございますが、国会延長がなされたとはいえ限られた会期であるということと、そして、我が委員会には既に、このIR法、そしてもう一つ、ストーカー規制法、いずれの法案が付託をされていたということもございますので、委員会として定例日であったということの中で、委員長判断として、委員会というものを開催させていただいたという経緯であります。
○緒方委員 けさの各紙を見ておりましたら、十分な審議もせずに採決するのは国会の責任放棄だとか、まともな議論もせず採決することなど論外だとか、いろいろなことが書かれております。
誰がこんな強引な委員会運営を主導しているんですか。安倍総理大臣ですか。菅官房長官ですか。竹下国対委員長ですか。それとも提案者の、細田提案者ですか。誰ですか、委員長。
○秋元委員長 私に聞かれても答えようがありませんので、もし提出者の方で何か回答があれば指名しますけれども、ありませんね。
質問を続けてください。
○緒方委員 一度この法案を第百八十六回国会で審議した際、理事会で、与野党間で合意をしたことがございます。国家公安委員長が出席大臣だ、そして内閣委所管大臣は要求ベースで出席だ、そして、参考人質疑、地方公聴会、国土交通委員会、さらには法務委員会との連合審査、ここまでが当時の内閣委員会で与野党合意をされています。
まず、委員長に確認いただきたいと思います。これでよろしいですね。
○秋元委員長 今の件につきまして、後ほどまた理事会で協議をさせていただきます。
○緒方委員 だめです。まず、この委員会として、この委員会の理事会で一旦確認した合意なんですから、これは委員長として確認する義務があると思います。
こういったラインで合意をしたことについて確認ください、委員長。
○秋元委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○秋元委員長 では、速記を上げていただいて。
今の御質問でございますけれども、今緒方君からお話があった件につきましては前の法案のことでございまして、今回は新しい法案だという、そういった判断であります。
○緒方委員 しかし、ほとんど修正がないわけですよね。
当時、平成二十六年、なぜこんな合意をしたかというと、まさに警察行政に携わる国家公安委員長、さらには、今回でいいますと、その後、IR整備担当大臣が指名をされているということもありまして、国土交通大臣とか、そういった方が出席して答弁していただくことが必要だとか、さらには、内閣委員会所管の大臣が要求ベースで来ていただくことが必要だとか、さらには参考人質疑、これは重要だと思いますね。多くの関係者の意見を聞くということはとても重要なことでありまして、そして地方公聴会、さらには観光分野で関係が深い国交、さらには賭博罪との関係で法務、こういったところとの連合審査が必要だというのは、これは与野党間で、こういう法律を議論するのであれば当然こういうことがやられるべきだと、みんながそう思ったわけですよ。
なぜそれを覆しているんですか、委員長。
○秋元委員長 余り委員長からお答えするのはいかがなものかと思いますが、先ほどの理事会でもそういった御議論がある中に、私の整理として、今回の、今議論となっていますこのIR法につきましては、いわゆる基本法であるという判断の中で、今後、細かい具体的な実施については、後日、実施法の中でもう一度深い審議がされるものと理解しておりますので、ぜひその実施法の中で、今緒方君からお話がありましたことは議論していただいて、次の判断にお任せするという、そういった整理をさせていただいたところであります。
○緒方委員 こういった合意が全てほごにされて、きょう、先ほどの理事会で採決の提案まであっているわけですよ。我々として、この採決そのものを受け入れることができないということについては、強く理事会の場でも申し上げさせていただきましたが、再度この場で申し上げさせていただきたいというふうに思います。
そして、この法案、賭博罪との違法性阻却の関係がございます。政府がこれまでどういう答弁をしてきたかというと、賭博罪というのはいろいろな、賭博というのはこういうことだという答弁があるわけですが、その中に、勤労の美風を害するおそれがあることから、その違法性阻却とかについても、それは慎重にやらなきゃいけないということでありました。
こういう勤労の美風を害するような法律を、このような形で拙速に進めていることに、厚生労働副大臣、懸念を持ちませんか、副大臣。
○古屋副大臣 厚生労働省といたしましては、その対策、ギャンブル依存症の対策につきまして取り組んでいるところでございます。
○緒方委員 私は、賭博というのは、その性質として勤労の美風を害するおそれがある、これは政府の答弁ですよ。まさに厚生労働行政に携わっておられる古屋副大臣として、こういう勤労の美風を損なうおそれがあるというものについて、慎重に審議をしていくべきじゃないかと思うし、そこに懸念をお持ちになりませんかということを聞いているんです、副大臣。
○古屋副大臣 審議におきましては、国会においてお決めをいただくということだと思っております。
○緒方委員 残念ですね。本来、厚生労働行政に携わる方からすれば、まさに勤労の美風を害するおそれがあるということを言っているわけですから、やはり懸念は大きいという答弁が当然返ってくるんだろうと思いましたら、それは国会で考えることだと。非常に冷たい答弁だったと思います。
それでは、提案者全員にお伺いをいたしたいと思います、参考までに、議論に入る前提として。
カジノ業界とか業界団体、さらには遊技産業関係業者、業界団体からの政治資金パーティー券の購入、さらには政治団体への寄附、それぞれ、ございますでしょうか。
○西村(康)議員 私は、政治資金規正法にのっとって、適正に処理をいたしておるところでございます。
○細田(博)議員 私についても同様でございます。
○岩屋議員 同様でございます。
○小沢(鋭)議員 同様でございます。
○松浪議員 同様であります。
○緒方委員 処理をしているかどうかなんて聞いていないんです。あるかどうかということを聞いているんです。もう一度。
○西村(康)議員 通告もなく言われましても、今の段階でお答えすることはできません。
○緒方委員 それでは、それぞれ、各提案者が、そういった政治資金パーティー券の購入、さらには政治団体への寄附、そういったものがあるかどうかというものの資料要求をしたいと思います。
○秋元委員長 ただいまの件につきまして、理事会で協議いたします。
○緒方委員 それでは、先ほどから何度か議論になっております賭博罪の違法性阻却のことについてお伺いをいたしたいと思います。
先ほど西村提案者の方からもありましたが、平成二十五年十一月二十日、衆議院内閣委員会におきまして、当時の平口法務大臣政務官が、刑法の賭博罪の違法性阻却の着目点として、八つ挙げられました。もう一度私から申し上げますと、目的の公益性、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止と述べています。
これは恐らく皆様方も共有しておられると思います。この法律のどこに反映されていますか。
○西村(康)議員 私ども、こうした答弁を踏まえて、この法案を策定するに当たって、あるいは今回の質疑の中でも答弁をしておりますけれども、カジノ管理委員会を設置して、しっかりとした規制をしてもらう、あるいは、答弁でも申し上げておりますけれども、例えばシンガポールにおいては、カジノ施設の面積がIR全体の、統合リゾート施設の中の三%以下であるとか、こうしたことを答弁申し上げて、我々は、提案者の意思として、立法者の意思として申し上げて、実施法の中で的確に反映をしてもらうように、そのようにされることを考えているわけでございます。
○緒方委員 そんなこと聞いていません。どこに書いてありますかと聞いています。もう一度。
○西村(康)議員 カジノ管理委員会の設置規定であるとか、こうしたことの中で、実施法の中で適切に規定をしてもらうことを考えております。
○緒方委員 この法律は、実施法をつくる際の、役所に対するマンデートを与えるものであって、そのマンデートに書き込まないというのは明らかな法律の不備であります。一番重要な違法性阻却のところで法務省が挙げているこの八要件について、今、実施法でやっていくと言った。しかし、それはやはりこの法律にしっかりと、こういったことをやるんだということが読み込めるように書かないと、これは法律の不備じゃないですか。
そういったことを、単に、提出者の意思としてやっていますとか、そんな書いていないことをいろいろ言われても、我々、だめなんです。法律がどうなっているかということを今我々は議論しているわけであって、提出者の祈りを聞いて、ああそうですかというものじゃないんです。
この八要件が、それぞれ、どこに書き込まれているかということについて答弁をお願いします。
○西村(康)議員 一条の「目的」を見ていただきますと、観光、地域経済の振興、財政の改善に資する、これは明らかに公益の目的のものでございます。そして、運営主体の性格、廉潔性、それから公的管理監督、財政的健全性、こうしたものについては、カジノ管理委員会の設置によって、ここでしっかりと規定をされるものというふうに思いますし、それから副次的弊害の防止につきましても、第十条に項目を挙げて、それぞれの項目、カジノの施設を利用したことに伴い悪影響を受けることを防止するためのさまざまな措置、こうしたものを規定しているところでございます。
○緒方委員 最後は、さまざまなと言われました。
つまり、再度、確認でありますが、この八項目については、満遍なくこの法律の中でしっかりと、違法性を阻却するに際して、これらに対して対応が行われることを担保するように読み込めるようには書かれていないということですね。
○西村(康)議員 十条の規定を読んでいただけるとわかりますが、まさに、「政府は、カジノ施設の設置及び運営に関し、カジノ施設における不正行為の防止並びにカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行う観点から、次に掲げる事項について必要な措置を講ずるものとする。」というふうに、明確に規定をしているところでございます。
○緒方委員 今言った答弁で、全てこの八項目はカバーされているという理解でよろしいですか。
○西村(康)議員 私が申し上げたのは、副次的弊害の防止という項目については、ここで、第十条でしっかりと規定をしているということでございます。
○緒方委員 それでは、もう一度、何度も同じことを聞いているんです、八項目全てについて対応されている、そういう理解ですか、提案者。
○西村(康)議員 繰り返しになりますけれども、目的の公益性については、先ほど申し上げましたとおり、第一条の「目的」に明確に規定をいたしております。これは、「観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものである」ということで、明確に規定をさせていただいているところでございます。
そして、運営主体に係るものにつきましては、第九条に「カジノ施設関係者に対する規制」として、「カジノ管理委員会の行う規制に従わなければならない。」ということで、明確に書かせていただいているところでございます。
○緒方委員 つまり、今いろいろ説明されましたけれども、例えば、今、最後に運営主体の話を今されましたけれども、別に主体がどうかということなんて一言も今言われませんでした。委員会によってきちんと規制するというだけであって、その主体がどうであるかということなんかは、答弁が全くなかったですよ。
つまり、この法務省が挙げている違法性阻却のための八項目について、この法律においては、きちっと、この議員立法が役所に与えるマンデートとして、十分にこれを対応しろとは書いていないんですよ。書き切れていないんだと思います。これが肝じゃないですか。
こういったことを一つ一つ、この後、聞いていきたいと思います。
一つ明らかになったことはそういったことでありまして、違法性阻却の一番重要なところについてこの中で十分な対応がなされていないということについては重大な問題だというふうに言わせていただきます。
それでは、さっき公益性という話がありました。先ほどいろいろ答弁されましたが、この法律におけるカジノの公益性とは何ですか。
○西村(康)議員 第二条にありますけれども、カジノ施設を含む特定複合観光施設というものを整備していくのがこの法律の推進する方向性でございますので、それについて、この法律はまさに、特定複合観光施設の整備推進が観光、地域経済の振興に寄与し、財政の改善に資する、これは明らかに公益の目的に資するものというふうに考えております。
○緒方委員 財政に貢献すると書いてあります。しかしながら、入場料と納付金の規定は、できる規定であります。取っても取らなくてもいいんです。しないかもしれないじゃないですか。必ずしも徴収するということになっていません。徴収できなければ貢献できないじゃないですか。財政への貢献というのは、できるかできないかが必ずしもこの法律では担保できないということだと思いますが、提案者、いかがですか。
○西村(康)議員 民間企業による投資を想定いたしておりますので、当然、そこから上がる法人税収入、あるいは働く方々の所得税収入、あるいは地域においては固定資産税収入、こういったものも期待できるところでございます。
○緒方委員 そんなことを言ったら、税金を上げるビジネスをやっている人はみんな公益性がありますよ。おかしいじゃないですか。
○岩屋議員 納付金、入場料については、取ることができるというふうに書いておりますが、取るということが前提でございます。
○緒方委員 では、取らなくてはならないと書くべきでしょう。取ることを前提にしているなんて、それは単なる岩屋さんの個人的な祈りですよ、思いですよ。
法律を我々は議論しているわけですから、そこはきちっと書かないと、できる規定というのは、法律では取っても取らなくてもいいとなっているから、できる規定なんです。そこが穴があいているにもかかわらず、財政に貢献するなんてことは絶対に言い切れないじゃないですか。おかしいでしょう。
○岩屋議員 これまでも我が国は立法によって、刑法三十五条によって違法性を阻却して幾つかの公営ギャンブルそれから宝くじ、totoなどを認めてきておりますが、それらの仕組みは、当然そこから納付金を取って公益に資するという仕組みをつくってきているわけでございます。
したがって、我々の構想も、当然そこから納付金並びに入場料をいただいて、それを公益を促進するために使っていくということが前提になっているわけでございます。
○緒方委員 今、公営競技の話をされましたね。公営競技は、公益性のある事業に出すと法律に書き込まれているじゃないですか。それと一緒にしちゃいけないですよ。
この法律で書いてあることは、納付金を徴収することができるとしか書いていないわけであって、徴収することができるという規定は、法律用語でどう解釈されるかといえば、取っても取らなくてもいいわけですよ、できるだけですから。
それが財政に貢献するというのはおかしいじゃないかと言ったら、税収が上がるじゃないかという話をされた。しかし、税収が上がるだけで公益性があるのであれば、全ての株式会社は公益性のある事業をやっていますよ。そんなばかな話はないでしょう。
○西村(康)議員 法律の第二条第二項あるいは第三条とあわせてお読みいただければと思いますが、第二条第二項に、特定複合観光施設区域については、地方公共団体の申請に基づき国の認定を受けた区域ということで、国が認定をする仕組みになっております。
そして、第三条「基本理念」のところですけれども、まさに、魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視、管理のもとで運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとするというふうに書いてありますので、先ほどの、納付金を取ることができるという規定とあわせて、これは、地域が出してくる申請の中で、しっかりと収益を上げ、そして納付金を取ることも含めて、そうした規定の中で、社会に還元されるということを基本として国が認定をしていくという仕組みになっていると思います。
○緒方委員 それはただの祈りでありまして、国の認定がどうかということなんて、そんなのはどうなるかわからないです。役所に対するマンデートとして、取ることができるとしか書いていないものであれば、国の認定がどうなるかなんて、現在で予断を抱くことはできないですよ。それを、必ず国の認定でやらせますというのであれば、それを法律に書き込むべきですよ。
そして、社会に還元されると言いますが、カジノ収益を国が徴収して社会に還元するとはどこにも書いていないです。それは、まさに納付金を取ることができるということとの関係でいうと、非常にここは、財政に貢献するとかそういうことが言えるような内容になっていないと思いますけれども、どうですか。
○西村(康)議員 第五条には、政府がこのために必要な措置を講じるということで、必要となる法制上の措置について、この施行後一年以内を目途に講じなければならないということで、この推進法に基づいて一年以内を目途に政府が実施法案を出してくる、そのときの方向性が、まさに今申し上げた、国が認定をするスキーム、それから第三条の、カジノ施設の収益が社会に還元されるということであります。
その中の一つの例として、納付金を取ることができるということで、それも含めて、地方が的確な計画を出して国が認定をするということで、これは法律で明確に規定をしているところでございます。
○緒方委員 では、お伺いします。
納付金を取らないことも可能ですね。
○西村(康)議員 この法律上はできますが、今申し上げたとおり、カジノ収益を的確に社会に還元してもらうことが基本でございます。
○緒方委員 法律上は納付金を取らなくても全く構わないということ、ただ、その後に、提案者の祈りとして、できれば還元できるようにあってほしいなということだというふうに思いました。
そうすると、この公益性の話で、八項目の中で収益の話がありました。
法務副大臣にお伺いいたします。
違法性阻却の事由として収益の扱いということがありますが、収益がどうならば違法性が阻却されるんですか、副大臣。(発言する者あり)
○秋元委員長 では、速記をとめてください。
〔速記中止〕
○秋元委員長 では、速記を起こしてください。
盛山副大臣。
○盛山副大臣 今の御質問でございますけれども、賭博罪の構成要件そのものについて、具体的なケースに従って判断をする、こういうことになろうかと思います。
○緒方委員 先ほど、納付金については取らないという可能性もあり得るという答弁がございましたが、収益が一切社会に還元されないケースでも違法性が阻却されるということはあり得ると思いますか、副大臣。
○盛山副大臣 収益も含めまして、賭博罪を構成する要件を先ほど先生も八つ御指摘されましたけれども、そういった具体的な案件に応じて、実際にそれが賭博罪を構成するに当たるかどうかをその時点で判断していくことになると思います。
○緒方委員 私はそんなこと聞いていません。
結局、納付金を取らないことによって収益が社会に還元されることがないというケースが、この法律では想定されるわけです。収益が一切社会に還元されないケースでも違法性は阻却されることがありますかというふうに聞いています、副大臣。
○盛山副大臣 収益が還元される還元されない、それのみではなく、そのほかの部分も含めての違法性、こういう判断になろうかと思います。
○緒方委員 いや、それはだめですよ。八項目、一つ一つを挙げていて、それぞれをクリアしていかなきゃいけない。収益の扱いというふうに書いてあるわけですから、収益の還元がゼロであるケースであっても違法性は阻却されるんですかというふうに聞いているんです、副大臣。
○盛山副大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、総合的な判断ということになろうかと思いますし、仮定の問題ということになりますので、それは具体的ケースに応じて我々は判断する、こういうことになります。
○緒方委員 これはむちゃくちゃですよ。収益がゼロであったとしても、それでも違法性が阻却されるケースがあるんですかというふうに聞いたところで、個別具体的に判断するとか総合的な判断とか、あり得ない答弁ですよ、これは。
副大臣、もう一言言いたいことがあれば、どうぞ。
○秋元委員長 ないそうですけれども、提出者が何かあるそうですが、いかがですか。
では、細田君。
○細田(博)議員 前例もひもといてみますと、スポーツ振興投票の実施等に関する法律がありまして、これは基本法はないんです。実施法というのが法律として成立するわけですが、その中の「国庫納付金」という二十二条の規定に、「センターは、センター法第二十二条第一項で定めるところにより、スポーツ振興投票に係る収益金の一部を国庫に納付しなければならない。」という規定がありますが、我々は、基本法と二段構えにした関係もあって、ややソフトな表現を基本法にはしておりますが、当然、実施法の段階ではこういう規定が置かれるものということを前提にして考えております。
○緒方委員 我々は、法律を審議しています。
今、細田提出者はそういうふうになると思いますと言いましたけれども、それは細田提案者の祈りでありまして、そんなものが通用するわけないんです。
まさに今ここにある法律をマンデートとして、役所に法律をつくるようにと指示を出すわけですから、そこにきちっと書き込まれていなければ意味がないわけですよ。それは単なる提出者の方々の祈りじゃないですか。おかしいでしょう。
○西村(康)議員 祈り祈りとおっしゃいますけれども、これまで数々の議員立法がなされてくる中で、提案者、立法者の意思というものは非常に重視をされて、役所がそれを運用するに当たっても、立法者の答弁をしっかり踏まえて運用されるというのがこれまでの慣行でありますし、当然のこれまでの我々の立法国家としての成り立ちだというふうに思っております。
その中で、第十二条には、先ほど私が申し上げたとおり、確かに最後の規定は、「納付金を徴収することができるものとする。」という規定であります。しかし、よく読んでいただきますと、まさに、国及び地方公共団体は、別に法律に定めるところにより、こうしたカジノ施設の設置、運営をする者から納付金を徴収することができるものとするということでありますので、私どもは、しっかりと納付金を取って、そしてその収益を社会に還元してもらうということを立法者の意思として強く持っておりますので、政府に対しては、一年以内を目途につくられる実施法において、まさに、別の法律に定めるところにより納付金を徴収するということをしっかり規定していただきたいというふうに思っております。
○緒方委員 それならば、徴収しなければならないと書けばいいんです。
法律によって義務を書けるわけですから、法律で、まさにそういう思いがあるのであれば、この法律において、しなければならないと書くのが筋じゃないですか。それがそうなっていないというのは何かよくわからないですけれども、いずれにせよ、この収益の扱いの部分とか公益性の部分のところについて、必ず違法性阻却を行うことができる要件が満たされていないということについては、よくわかりました。
それでは、テーマをかえたいと思います。次は、射幸性の問題であります。
射幸性の問題についてお伺いいたしたいと思います。
風俗営業法には、風俗営業の一形態として、「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」と規定されています。
一方で、政府の賭博に対する考え方というのは、刑法上賭博が犯罪とされておりますのは、賭博行為が、勤労その他の正当な原因によらず、単なる偶然の事情により財物を獲得しようと他人と相争うものであり、その他いろいろありますけれども、国民の射幸心を助長しと、助長するおそれがあることから、だから賭博罪は犯罪だと言っている。
つまり、風営法においては、射幸心をそそるおそれがあるのであれば、そのおそれを排除すれば、そもそも賭博に当たらない。しかし、賭博罪というのは、射幸心を助長する。そそると助長という言葉がそれぞれ出てきます。
法務副大臣にお伺いいたします。そそると助長の違いは何ですか。
○盛山副大臣 私ども法務省は、風営法を所管しておりませんので、そういう点で、我々の方でお答えをする立場にはございません。
パチンコにつきましては、賭博罪に当たらないのか、そういう点を我々法務省の観点からお答えいたしますと、犯罪の成否につきましては個別の事案において収集された証拠に基づいて判断されるので、一概に答えることはできません。
しかし、一般論としてお答えをすれば、当該パチンコが刑法百八十五条の賭博に該当するとしても、同条ただし書きの「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるとき」に該当する場合には、賭博罪には当たらないと我々は考えております。
○種谷政府参考人 お答えいたします。
御指摘の、射幸心を助長という言葉と、それから射幸心をそそるという言葉でございますけれども、それぞれ性格の異なる文脈で使われているものでございまして、一概に違いを述べることは困難でございます。
○緒方委員 射幸心をそそるおそれがあるのであれば、風俗営業法の規定に従えば合法だ、賭博にそもそも当たらないというのは、これは私、質問主意書で聞いて、返ってきています。
そして、賭博の定義については、それが、射幸心を助長するものであるというふうに定義をされていて、私、しかも、これは質問主意書で、ここで使われている二つの射幸心というのは同じ意味ですかというふうに聞いたら、同様のものであるという答弁が返ってきています。
だから、私はちゃんと、きちっと順番を追って、この質疑をさせていただいています。
同様のものである風営法におけるところの射幸心と、賭博行為を定義するところの射幸心、これが同様であるのであれば、並べて比較することができるじゃないですか。そして、並べて比較したときに、そそると助長の間に、違法と合法の太い線が引かれるわけですよ。そんないいかげんな答弁はだめですよ、警察庁。
○種谷政府参考人 お答えいたします。
射幸心という言葉につきましては、御指摘のように、同様の内容であると考えているということでございますけれども、助長とそそるという言葉につきましては、どちらが上でどちらが下だということは一概に申し述べることは困難であるというふうにお答えをさせていただいております。
○緒方委員 それはおかしいですね。
私が役所に質問主意書で聞いたところ、そそるけれども助長に至らないものがあり得ると考えている、そういう答弁が役所からありました。
今の答弁は虚偽答弁ですよ、警察庁。
○種谷政府参考人 お答えいたします。
射幸心の助長と射幸心をそそるおそれとの間の上下関係について御説明したものであって、助長とそそるの違いを述べたものではないというふうに認識をしております。
○緒方委員 いや、皆さん笑っておられますけれども、この間に合法と違法の差が引かれるわけですよ。まさに、今回皆様方がやろうとしているものというのは、射幸心を助長するものをやろうとしているんです。それはそうですね、賭博の定義ですから。射幸心を助長するおそれがあるというものをやろうとしている。そして、射幸心をそそるおそれがあるというレベルであれば、風営法に従えば合法だという定義になっている以上、ここを、今みたいに不分明な答弁では、これは、何が賭博で何が賭博でないのかということについての考え方が全く安定しないわけですよ。そんな答弁はだめですよ、警察庁。
○種谷政府参考人 お答えいたします。
風俗営業法におきましては、パチンコについてさまざまな規制が定められております。それらの規制の範囲内で行われる限りにおいては、射幸心をそそるおそれがあるということはなくて、刑法の百八十五条の賭博罪の適用はないということでございます。(緒方委員「そんなこと聞いていないです。だめだ。全然答えていない。もう一回。全然答えになっていないです」と呼ぶ)
○秋元委員長 では、もう一度、種谷生活安全局長、答弁をしてください。
○種谷政府参考人 お答えいたします。
風俗営業法におきましては、パチンコは、射幸心をそそるおそれがあるものとして一般的な許可に係らしめられております。その中で、許可を得て、風営法のさまざまな規制、これに適合しているものについては、刑法の賭博罪の適用はないということでございます。
○緒方委員 では、助長とそそるおそれの違いを言ってください。
○種谷政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、助長とそそるの違いについては、一概に違いを述べることは困難でございます。
射幸心を助長という言葉は法律用語ではございませんで、射幸心をそそるおそれというのは風俗営業法に規定をされている言葉でございます。それで、射幸心をそそるおそれがあるものについては、先ほど申し上げましたように、一般的な許可に係らしめられておって、さまざまな規制をクリアすれば賭博罪の適用がないということでございます。
○緒方委員 はっきり言って、何を言っているかわからないですね。もう、これはひどい答弁ですね。
これは本当に賭博罪を検討する際の肝のところなんです、パチンコとの関係も含めて。非常に重要なところでありまして、今のような答弁で、国民の人が、賭博罪というのはこういうもので、そして賭博に当たらない遊技というものはこういうものだということについて、はっきりとしたイメージを描けたと思いますか。何がどう違うのかということについて、今理解できましたか、岩屋さん。
○岩屋議員 パチンコがいわゆる刑法上の賭博に当たらないという整理を行ってきたのは今に始まった話ではなくて、長年にわたってそういう整理をしてきたわけでございますから、この風適法の中の遊技というものが将来どういう姿であるべきかということについては、また別のトラックでしっかり議論を進めるべき問題ではないかな、そう思っております。
○緒方委員 それでは、賭博の定義のところで言われていることの中に、先ほども申し上げましたが、国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがある、これが賭博について政府も共通の見解として得ている評価であります。
今回の法律によって、このおそれは一〇〇%解消されるというふうに判断しておられますか、提案者。
○西村(康)議員 先ほど来御議論になっております第十条のところに、「有害な影響の排除を適切に行う観点から、次に掲げる事項について必要な措置を講ずるものとする。」という中に、第五項に「風俗環境の保持等のために必要な規制に関する事項」と明記をしておりますので、この法案にのっとって、一年以内を目途に政府から提出される実施法案において、適切にそこは判断をされて規定をされるというふうに理解をしております。
○緒方委員 そういうことを聞いておりませんで、一〇〇%払拭されると思いますかと聞いているんです。
○西村(康)議員 賭博罪の違法性が阻却されるよう政府の実施法案において的確に規定をされるという意味では、賭博罪にはならない、そういう規定がなされるものというふうに理解をしています。
○緒方委員 もう一度聞きます。おそれはなくなりますか。
○西村(康)議員 私どもとしては、この法案で、必要な措置を講ずるものとするということで政府に求めておりますので、これは政府において適切に、的確に規制をされるというふうに思っております。
○緒方委員 そのようなおそれが絶対になくなるということについて、言及がありませんでした。
国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれが残るものを導入することについて、労働行政を担当しておられる古屋副大臣、いかがお考えですか。
○古屋副大臣 議員立法の内容につきまして、厚生労働副大臣として、その内容についてお答えをすることは適当でないと考えております。
○緒方委員 私は今、法律の内容を聞いていません。国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な影響を与えるおそれが生じ、そういう可能性が残存するものを導入することについて、労働行政を担当する副大臣としていかがお考えですかということを聞いているんです、副大臣。
○古屋副大臣 労働の美風を害するということに関しましては、厚生労働省としても、ギャンブル依存症に対する適切な治療、支援が必要だと思っておりますので、このギャンブル依存症の方々において必要な、また適切な治療が受けられる、その環境を整備していくこと、それが必要だと考えております。
○緒方委員 もう一度だけ、お伺いをいたします。
今、しっかりいろいろギャンブル依存症等々はやりますと言われましたが、私は、そういうことを聞いているんではなくて、今言ったようなおそれが残るものを導入することについて問題だと思いませんかということを聞いているんです、副大臣。
○古屋副大臣 先ほどお答えしたとおりなんですが、法律の内容そのものに関しましてこちらからお答えすることは差し控えたいというふうに思っております。
その対策において、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○緒方委員 私がいろいろ今、きょう質問させていただきましたが、これで不安が払拭されたと思った方は恐らくいないと思います。
こういった状態で、最後、採決に至ろうというのは、これは明らかにおかしい、採決そのものを受け入れることはできないということを強く申し上げさせていただきまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○秋元委員長 次に、清水忠史君。
○清水委員 日本共産党の清水忠史です。
最初に、強引な委員会運営に厳しく抗議したいと思います。
カジノ解禁推進法案につきましては、二日前、与野党の合意なしに、委員長の職権で立てられました。全ての会派が出席しないもとで質疑が行われました。続いて、本日の委員会においても同様に、委員長職権で強行されました。しかも、質疑を終局し、たった二日間で採決をすると。会期延長のどさくさに紛れてこのような、国のあり方を変えてしまうような重要法案を強行するということは、断じて許されないことだと言わなければなりません。
きょう、各紙社説を、カジノについて出しております。毎日新聞は、「唐突な採決に反対する」との見出し、「まともな議論もせず採決することなど論外だ。」。朝日新聞、「危うい賭博への暴走」という見出し、「わずか二週間の延長国会で成立をめざすという。異常な状況である。」。読売新聞、「人の不幸を踏み台にするのか」という見出し、「カジノの合法化は、多くの重大な副作用が指摘されている。十分な審議もせずに採決するのは、国会の責任放棄だ。」と、厳しく指摘をしております。
提出者の方、代表して答えていただきたいんですが、このような指摘をどう受けとめられますか。カジノ法案に対する国民の理解が今十分深まっているという認識は、まさかお持ちでしょうか。岩屋議員、お答えください。
○岩屋議員 先生も御案内だと思いますが、この法案は、かつて、その原型が国会の内閣委員会で審議をしていただいたこともございます。その後、ごく一部の修正を加えて国会に提出をして、私ども、一日も早い審議をお願いしてまいりました。残念ながら、数次にわたって継続審議ということになってきたわけですけれども、この間、最初に法案を提出したのは民主党政権時代でございますが、そこから数えても数年間になるわけですけれども、さまざまなレベルで、このIR構想の是非について議論が行われてきたところだと思います。先生とも一度テレビでも御一緒させていただきました。
そういう中にあって、ぜひ今般はこの推進法を成立させていただいて、このことによって刑法上の違法性が阻却されるわけではありませんので、政府がこれから提出をしてくる制度設計を含む実施法を、しっかりまた、国民的な議論とともに国会で審議をしていただいて御判断をしていただく、こういうことでございますので、そこは、これからもしっかりと国民的な議論を深めていかなければいけないテーマであるというふうに考えております。
○清水委員 まだ理解は深まっていない、これから議論して深めていこうというふうに伺いました。だったら、採決なんということはもうとんでもないと言わなければなりません。
関係する大臣への質疑、そして参考人招致を広く行い、国民の声を聞くことを含めて、徹底審議を行うことを改めて委員長にお願いしたいと思います。
○秋元委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○清水委員 後刻といいましても、きょう採決するというんですから、これはもうやめてもらわなければなりませんし、採決の前に理事会で協議をしていただくということを強く求めておきたいと思います。
それで、法務省に伺いたいんですが、そもそもこのカジノというものは、刑法百八十五条及び百八十六条に違反する賭博として禁じられてきたわけですよね。なぜこのカジノ賭博が禁じられてきたのか、教えていただけますか。
○井野大臣政務官 お答え申し上げます。
カジノというか賭博について、刑法第百八十五条、百八十六条に規定されており、現在も禁止されております。
賭博自体は、もともと明治十五年一月一日より施行されました旧刑法においても禁じられているところでございますけれども、その理由としては、賭博行為が、勤労その他の正当な原因によらず、単なる偶然の事情により財物を獲得しようと他人と相争うものであり、国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害すること、副次的な犯罪を誘発する、さらには国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあることなどから、社会の風俗を害する行為として処罰しておるというふうに考えております。
○清水委員 今明快に御答弁いただきましたように、さまざまな害悪、副作用といいますか、こういうものがあるから禁じられてきたわけですよね。国民の射幸心を助長、勤労の美風を害する。二宮尊徳も草葉の陰で泣いていると思いますけれども。
この禁じられた賭博の中で、岩屋議員、なぜカジノだけを例外にこれを合法化しようとするんですか。なぜカジノだけが、これをこの規定から外してもいいと。カジノは賭博でしょう、今。なぜ賭博、禁じられているものを禁じないように、いわゆる合法化しようということですから、その根拠をわかりやすく教えてください。
○岩屋議員 私どもの構想、またこの推進法で規定をしておりますのは、カジノというゲーミング場単体という施設ではございません。それは法案に明記しているとおりでございまして、あくまでも施設の一部にカジノというゲーミングを含む統合型の施設のみを認めるということでございますので、そのまず最初の前提が違っているんだと思います。
そして、刑法で禁止をしているのは、例えば本来の、競馬、競輪、あるいは競艇、オートレース、宝くじ、totoもみんなそうなんですね。しかし、先ほど西村提出者からも説明をさせていただいたような要件を満たすものに限って違法性を阻却して認めてきているわけで、今般、カジノというゲーミングをあくまでも統合型施設の一部として認めるということは、そこには妥当性があるんだろう。それは、日本の観光振興、観光立国、地域振興あるいは財政への寄与という公益への貢献という観点から、これは認められてしかるべきなのではないかというのが私どもの考え方です。
○清水委員 いや、それはおかしいでしょう。
統合型リゾートの中に設ける場合は合法だと。では、カジノだけ単体でつくる、仮にそういった場合は、これは違法だということですか。必ずIR、いわゆる統合型、あなた方の言う統合型リゾートの中の一部だから合法であり、単体では違法だということになるんじゃないですか。そんな根拠でいいんですか。
○岩屋議員 まさに先生がおっしゃったとおりだと思います。カジノというゲーミング場単体だと刑法の違法性を阻却するに当たらないという判断になるんだと思います。
○清水委員 これは全く理解できません。
だったら、IRの中に、例えばパチンコ、パチスロ、こういうものを設置する、現在は、店内で直接換金することができません。景品卸業者、そして景品買い取り業者、そしてパチンコ事業者のもとで、三店方式でやっているから、あなた方が言うところの風営法の範囲で違法性が阻却されている、こういうふうに言うんだけれども、では、IRの中に今のパチンコやパチスロ店ができたとすれば、これは違法性が阻却され、合法となるということですか。そういう理論じゃないですか。
○岩屋議員 先生がおっしゃるパチンコ、パチスロというのは、あくまでも遊技でございますから、質問の前提が適切ではないんじゃないでしょうか。
○清水委員 遊技じゃありませんよ、賭博ですよ。だから三店方式をやっているということで、仮にこれが店内で直接換金されるとしたら、それは賭博だということで今まで言われてきたわけです。
ちょっと議論をかえていくんですけれども、いずれにしても、経済振興とか経済成長というふうにおっしゃったんだけれども、これはやはり、ゆがんだ発想だと思いますよ。賭博を合法化して、そして経済をよくする地域振興というのは、他人の不幸の上に富を築くものであり、その原資はどこから出てくるんですか。誰かが賭博で負けて不幸になって、そのお金を原資に奪い合いをし、配分をする。全てではないかもしれませんよ、IR全ての売り上げがカジノではないわけですから。でも、ほとんどはそういうことになるんじゃありませんか。
私は、この賭博の持つ副次的な問題について警察庁に伺いたいと思います。被疑者の犯行の動機について、罪種別統計から、ギャンブル依存、パチンコ依存による刑法犯総数、これは幾らありますか。いわゆる罪種別のパチンコ依存、ギャンブル依存、この件数。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
犯罪がいかなる要因によって発生したかについて、これを一概に申し上げることは困難ではございますけれども、警察庁の犯罪統計で確認できる範囲では、平成二十七年中に検挙した刑法犯、これは三十四万件ございます。そのうち、主たる被疑者の犯行の動機、原因が、賭博をするための金欲しさであるなど賭博をすることへの欲求であるものの件数でございますけれども、これについては、殺人等の凶悪犯については九件、窃盗犯については四百六十九件、知能犯については百七十五件ということでございます。
○清水委員 その合計件数を聞いています。
○中村政府参考人 合計で七百七件でございます。
○清水委員 七百七件というのはギャンブル依存でしょう。パチンコ依存についての合計件数を教えてください。
○中村政府参考人 パチンコ遊技をするための金欲しさ等、パチンコ遊技をすることへの欲求であるものについてでございますけれども、これにつきましては、凶悪犯については八件、窃盗犯については八百四件……(清水委員「総数」と呼ぶ)失礼いたしました。総数は九百九十五件でございます。
○清水委員 いわゆる二十七年の統計で、犯罪の要因は、パチンコ依存が九百九十五件、それからギャンブル依存は七百七件、これは警察庁の答弁です。一年間で合わせて千七百二件あった、これは事実です。
資料の一をごらんください。これはギャンブル依存症問題を考える会が作成しました、ギャンブル等の理由で起こった事件簿の最新版の一部をコピーしたものであります。やはり、パチンコだとか競馬、競艇、こういうものを要因とした凶悪な事件、横領、詐欺事件、あるいは児童虐待、ネグレクトというのが多発しているんですよね。
一部を紹介しますと、兵庫県警巡査一万円着服ですよ、わずか一万円着服して懲戒になる。パチンコなどで浪費し、生活費に窮していたと。五十番のところを見ていただきますと、大阪一億五千万円着服。その下は、滋賀JA職員七百七十五万円着服。大阪府巡査部長パチンコ店で財布置き引き疑い。大阪生野区でもコンビニ強盗。こういうことで、いわゆるギャンブル、パチンコ、こういうものを要因とした社会的害悪は極めて深刻だということなんですよ。だから賭博は禁止しているんです。わかりますか。
パチンコは、いわゆる三店方式ということで違法性が阻却されているという、この間、政府の答弁なんですが、こうした、射幸性をあおり、犯罪の温床となっている要因の一つとなっているということは、警察庁の統計でも明らかになりましたし、今お示しした資料のとおりであります。
要するに、こういうカジノという新たな賭博を解禁すれば、ギャンブル依存を原因とする犯罪、これを一層ふやすことになるんじゃないですか。
小沢議員、どうぞ。
○小沢(鋭)議員 お答えしたいと思います。
ただいま委員が御指摘いただいた、ギャンブル依存症問題を考える会のこの資料でございますが、こういったギャンブル依存に伴う、ある意味では犯罪ということで、大変ゆゆしき問題だと思っております。
ただし、この会は、今回のこのIR法案によって、まさにそういった依存症の問題に的確に対応していく、それがきっかけになって、例えば、先ほど来出ておりますシンガポールのように、きちんとした対応によって、いわゆる依存症が減っていくということを大変期待しているというふうに、きのうの記者会見でも言っているわけでありまして、そういった意味では、我々は、まさにこのIR法案をきっかけに、そういった問題にしっかりと対応していくことが重要だ、既存の依存症対策も、それから各省またがったそういった問題も、統一的にしっかりとやっていくことが重要だということを考えておりまして、政府にも強く申し上げていきたいと思っているわけでございます。
○清水委員 シンガポールは何か依存症が減ったみたいにおっしゃっておられますが、それは相談窓口に行く人が減っているだけで、いわゆる自己排除、家族排除、入場規制は二十五万人です。低所得者の自己破産もふえております。
私が申し上げたいのは、今、ギャンブル依存症を考える会の記者会見のお話をされましたけれども、この団体が何とおっしゃっているか。既存のギャンブル依存に対する的確な対応がなければ、この法案には賛成できないともおっしゃっておられますよ。
改めて小沢議員にお伺いしますが、既存ギャンブル、この方たちの言うところの競馬、競艇、ボート、オートレース、そしてパチンコ、パチスロも含むということですが、既存ギャンブルに対する依存症対策、これは何をやられるんですか、具体的にお答えください。
○小沢(鋭)議員 これまでも、何度も依存症対策に対する対応は話が出ておりますけれども、まず依存症対策としては、諸外国の事例や最新の知見を踏まえて、正確な実態を把握した上で、依存症に関する普及啓発あるいはカウンセリング、治療等の体制整備、事業における配慮義務、排除プログラム、ギャンブルのリスクに関する教育の検討など、依存症を抑制するための予防、応急処置、そういったものをしっかりと考えていきたいと思っております。
○清水委員 考えていきたいというのは小沢議員の思いであって、このカジノ法案でそうした既存ギャンブルへの規制という文言はあるんですか。この法案が通ることによって、競馬、競艇、パチンコ、パチスロ、ボート、オートレース、宝くじも含めて、どんな規制をするんですか。
既存ギャンブルへの規制が盛り込まれなければだめだ、修正を求めたい、それでなければ反対だ、ここまで言っているんですよ。ギャンブル依存症対策の記者会見のお話を出されたんだったら、そこまで責任を持って答弁していただかないと困りますが、いかがですか。
○小沢(鋭)議員 具体的な条文に関しては、十条の八あるいは十条の二項等で読み込める、こう思っております。
そして、具体的な対策に関しては、基本方針を示すことによって、さらに、細かい実施法の段階で各省庁、関係するところと統一的な対応策を考えていく、こういう構成になっているわけでありまして、これはしっかりと行っていくということでございます。
○清水委員 今、小沢議員がおっしゃられたのは、カジノに対する対応としての条文で言われたと思うんですね。私がさっきから聞いているのは、既存ギャンブルに対する依存症対策が盛り込まれているんですかと。ですから、もういいんです。盛り込まれているんだったら答弁してください。そうでなければ結構です。
結局、この法案には、既存ギャンブルに対する依存症対策というのは盛り込まれておりません。あくまでも、カジノに対する依存症対策という点では、実施法に委ねるということで、カジノ管理委員会が政府に対して求めるんですか。結局、丸投げ、白紙委任なんですけれども、そういうことであるということははっきりしましたから、私は、ギャンブル依存症を考える会の方々の思いからしても、とても現時点で採決していいとか賛成していいとか、そういうふうに思えるものではないということがはっきりしたと思います。
ギャンブル依存症は五百三十六万人もいるわけですよね。多重債務、失業、自殺、犯罪を誘発し、社会的コストを大きく損ねています。だから刑法で禁じられているんです。このような犯罪が多発しているんですよ。
いわゆる成長戦略の犠牲の上に国民生活に社会的害悪をもたらすようなカジノ賭博を解禁するというのは、ゆがんだ発想ですよ。これは美しい国ではなくて恥ずかしい国だということを厳しく指摘しておきたいと思います。
それで、大阪の問題をちょっとお話ししたいと思うんですけれども、先ほど紹介しましたきょうの社説にも大阪のことが書いてあります。朝日新聞、二〇「二五年大阪万博誘致構想を掲げる維新は、万博候補地の人工島にIRも、と夢を描く。」。それから、毎日、「特に日本維新の会は、二〇二五年の大阪万博の誘致を目指す立場から、IRを推進している。」ということで、私も大阪出身ですので、松浪議員に質問したいというふうに思うんです。
私は、大阪だけではなく国民全体のカジノに対する不安、懸念、こうした声にもっとしっかりと耳を傾けるべきだと思うんですよ。拙速な採決なんてとんでもないというふうに思うんです。
松浪議員は、一昨日の我が党、島津議員の質疑に対してこのように答弁されました。「日本で最初に相乗効果を持ったIR施設をつくろうということは、これは大阪府民の中でも、私は、ふだんの感覚で、非常に皆さんの理解を得られていることかなというふうに思います。」と述べたんですね。
私も、先ほど言いましたけれども、大阪ですけれども、それは何を根拠に大阪で非常に皆さんの理解を得られているというふうにおっしゃったんですか。その根拠について教えてください。
○松浪議員 まずもって、一昨日も傍聴席からずっと徹頭徹尾議論を聞いておられた清水先生の誠実な政治姿勢に心より敬意を申し上げてお答えするわけでありますけれども、確かに私も大阪の議員で、清水先生も大阪の議員であります。我々、それぞれ、もしかしてふだん密接にお話をする支持者の層が少し違うのかもしれませんけれども、私の支持者の間では、やはり大阪を元気にするにはIRをはよやってもらわなあかんでという声が余りにも多いというところから、こうした御答弁を申し上げました。
○清水委員 それは松浪議員の支持者の話であって、大阪全体の感覚としてお話ししていただくということは少し困ると思うんですね。
それで、資料の二枚目をごらんいただけますか。これは、十一月十六日付、読売新聞の大阪版の記事なんですね。
大阪におけるカジノ誘致について、読売新聞がアンケート、世論調査を行いました。「カジノ誘致 強い拒否感」ということで、そこを抜き出して添付しておりますが、「大阪府と大阪市は、万博会場の予定地の近くに、カジノを含む統合型リゾートを誘致することを検討しています。こうした施設を誘致することに、賛成ですか、反対ですか。」、賛成三三%、反対五二%。反対が圧倒していると思うんですね。
これは、松浪議員の支持者の感覚と違い、大阪府民はカジノについて強い拒否感を持っている、少なくとも大半が賛成しているということではない、こういうお立場に立たれませんか。
○松浪議員 これが、先ほど支持者の層ということも申し上げましたけれども、また、新聞社等によっても、その社論によってこの数字が大体一〇ポイントぐらい変わるのは、私も新聞記者出身でありますので、聞き方によってもこれは大きく変わるかなとは思いますけれども、御懸念があることは私も重々、そこは留意するために、依存症も、今回のこのIR法案が通れば、カジノと言われるものに対してだけではなくて、広くギャンブル一般に、IR導入を機にさらに依存症対策が広がるような、こうした動きにしないと、我々も意味がないと思っているところです。
○清水委員 いやいや、産経新聞も本日の社説で、このカジノ法案については苦言を呈しておられるということをお伝えしておきたいと思うんですね。
やはり、ふだんの感覚で、それが何か大阪府民がみんな喜んで賛成しているというふうに考えられるのはちょっと違う。確かに大阪は維新の会の支持率は高いですよ、選挙でも強いです、それは認めさせていただきます。しかし、そのことと、カジノ誘致、IRを大阪につくるということの政策的な是非とは違うんですよ。ここにしっかり敏感にならないと、見誤るというふうに私は思います。
新聞によって違うんだというふうにおっしゃいましたけれども、おおむね反対の方が圧倒していますね。昨年六月、日本世論調査会が全国を対象に行った世論調査でも、カジノ設置反対が六五%、賛成三割です。カジノ法案に対する国民の意思というのは明確だと思うんですよね。
提出者の皆さんはもちろんカジノ推進論者ということで提出されたんでしょうけれども……(発言する者あり)IR、カジノを含むということでしょう。カジノを含むIRでしょう。つまり、カジノを解禁するためにこの法案を出されているわけだから、これを推進しようというのであれば、このことに反対している国民の声が多数である、岩屋議員、これが現実ではありませんか。お認めになりませんか。
○岩屋議員 残念ながら、IRという概念が必ずしもまだ人口に十分膾炙していないということはあるんだろうと思います。また、マスコミのアンケートも、アンケートの聞き方にもよるんですが、あたかもカジノ単体をどこにでも、誰にでも、数限りなく認めるかのようなニュアンスを持たせた聞き方というのも散見されるわけでありまして、私はやはり、正確にこのIRの構想の概念を知らしめていくための努力はこれからもしていかなくちゃいけないと思っています。
ただ、この数年間、世界各地のIR等を旅行されている日本人の方も大変ふえてきておりますので、国民の中の理解は私は徐々に進んできていただいているものと思います。
○清水委員 それは、国民の声をしっかりと受けとめようとする姿勢ではないと思いますよ。私が資料につけましたように、「カジノを含む統合型リゾートを誘致する」、こう丁寧に書いた上での反対圧倒ですから、それは真摯に受けとめるべきですよ。
さらに言うと、まだIRに対する理解が進んでいないと言うのであれば、理解が進む努力をもっとされるべきです、あなた方なりに。拙速に二日間で議論を打ち切って採決する、それが本当に真摯な態度なのかと誰もが思うんじゃありませんか。私は、そのことをちょっと厳しく指摘しておきたいと思います。
そして、松浪議員。
先ほども言いましたけれども、大阪府はことし九月二十九日に「二〇二五日本万国博覧会」基本構想(素案)というものを出されました。ここには、夢洲という人工島に万博会場を誘致するんだと。この構想を見ますと、もう既にIR用地ということで地図で記されているんです。つまり、IR、カジノと万博というのがセットで今、大阪で進められようとしているということは周知の事実だというふうに思うんですね。
今言いましたように、夢洲というのは人工島です。ここを会場にするためには、もちろん、例えば津波対策だとか液状化対策だとか、私自身はふさわしい場所だとは思っていないんですが、アクセス鉄道、アクセス道路、こうしたものを建設するというインフラ整備が必要なんですね。
例えば、鉄道建設等に六百四十億円かかると言われているんですが、これらカジノを含むIR施設へのアクセス道路、インフラ整備の責任、これは誰において行われるべきものだというふうに想定されるんでしょうか。
○松浪議員 この法案におきましては、地方公共団体の果たす役割として、IR、これは、大阪といいましても、まだ大阪が決まったわけでもないので、一般論として申し上げるわけでありますけれども、IRを設置しようとする場合には、国の方針に沿うよう、地域のインフラ整備状況、周辺環境の現況等を総合的に勘案しながら、さまざまな民間事業者の企画提案を検討した上で、最も効果の高いIR施設整備計画を作成して、国に対してIR区域の認定を申請することができる、これをベースにいたしまして、公共インフラの整備は、だから国や地方公共団体が財源を拠出することができるわけであります。
また、我々も、インフラの整備に当たっては、PPPとかPFI等の官民連携の開発手法を採用することも考えているわけであります。
大阪市議の先生にも、釈迦に説法になりますけれども、先月の大阪市議会におきましては、この夢洲のまちづくり構想はまだ完成していないということを前提に、さらには、先生も今おっしゃった額は、三案、大阪では鉄道のアクセスが想定されていて、この額からいえば中央線の延伸に係るものだと思いますけれども、これについては、IRを誘致する大阪市の経済戦略局長は、民間経費については、まあ、市長答弁もしているわけでありますけれども、民間事業に必要なものは基本的に民間事業者に負担を求めるというのが基本姿勢というのが現在の大阪の姿勢であろうというふうに承知をいたしております。
○清水委員 アクセス道路については民間事業者が負担する、今そういうふうにおっしゃられました。吉村市長も三月に本会議でそのように答弁されているんです。
ところが、今申し上げました万国博覧会基本構想、ここには既に、万博会場へのアクセス道路のための予算として、今私が申し上げた鉄道建設の予算が盛り込まれているんですよ。二〇二五年に万博だ、二〇二四年、一年前にカジノ、IRだと。本来ならば今答弁されたようにIRの事業者に負担させるべきものを、その後に万博をやるんだから万博の費用でこの鉄道を引こうではないかという構想に今なっているんですね。
松浪議員も御存じだと思いますけれども、かつて大阪はオリンピック招致に失敗しまして莫大な財政赤字をもたらしまして、それが、住民サービスの低下だとか社会保障切り捨てだとか、非常にさまざまなところが影響を受けたわけですよ。
今回、万博だ、カジノだと構想だけぶち上げて、まだ決まっていないとおっしゃったんだけれども、しかし、どういう形で公共インフラに府や市がお金を出していくのかということは着々と進んでいるんですね。
私が申し上げたいのは、万博が悪いとは言いませんけれども、大型開発前提、そして府民、市民に過大な負担を押しつける、そんな万博だとか、あるいはIRをてこにした、まさしくカジノ万博とやゆされるような、こんなことは絶対に認められないということは厳しく指摘をしておきたいというふうに思います。
まだまだ全然時間が足らないんですけれども、私は、ちょっとギャンブル依存症の問題について議論したいと思います。
それで、公営ギャンブルは約六兆円と言われております、競輪、競馬、競艇合わせて。パチンコ、パチスロは二十三兆円ですよ。この間、消費者特で、今人気のあるオンラインゲームですか、これの市場が一兆一千億、急成長を遂げたという議論がありましたけれども、パチンコ、パチスロは二十三兆ですからね、桁が違います。全国の百貨店の売り上げが約七兆円ですから、その規模たるもの、想像するに余りあります。
パチンコ、パチスロ台は約四百万台あり、世界の三分の二のそうした遊技台がこの日本にあるわけですよ。国民が年間どれだけギャンブルで負けるのかということを調べましたら、五兆六千億。五兆六千億、パチンコ、パチスロを含む賭博で負ける。もうまさしく日本はギャンブル大国ですよ。
この間議論がありましたように、成人全体の四・八%が病的賭博の可能性がある、依存症の疑いがあるというふうに言われております。
私、厚生労働省に改めて確認するんですが、ギャンブル依存症というのは、本人の意思によるものなのか、それとも病気なのか、これはどちらかということと、病気であるとするならば、画一した治療法、とにかくギャンブル依存症といえば、この治療法を当てれば必ず治るという統一、画一された治療法というのがあるのかどうか。この二点について端的にお答えください。
〔委員長退席、松本(文)委員長代理着席〕
○堀江政府参考人 お答えいたします。
ギャンブル依存症は、WHOの診断基準におきまして、病的賭博というものとして分類がされておりますし、また、世界的に使用されます米国精神医学会の作成した診断基準におきましても、ギャンブル障害という分類がございまして、精神疾患として認識してございます。
治療法につきましては、先般も消費者特の方でお尋ねがございましたけれども、認知行動療法、集団療法、内観療法といったものがございまして、いずれの治療法も個々の患者様には一定の効果があるものだというふうに理解してございます。
その上で、患者のどのような症状にはどのような療法が適当かというような意味での標準的な治療法として確立しているものではないということで、そこの部分をとられて、赤旗にもちょっと出ておったわけでございますけれども、現在、そういうものをもう少し精緻化するという意味で、日本医療研究開発機構の方での研究を進めてございます。
○清水委員 ギャンブル依存症が疾病である、疾患である、病気であるということを今明確にお答えになられました。診療報酬も出るわけですからね、当然です。同時に、画一した治療法は、いろいろ言われましたけれども、今のところ研究段階だ、今のところないということも明らかになりました。
我が国は、このギャンブル依存というのは見た目はわからないんですよ。アルコール依存とか、あるいはニコチン依存、さらに薬物依存、こういうものは、生活行動だとか、さまざまなところにおいて、ひょっとしたらそうした依存症になっているのではないかと家族や周りの人が早く気づくんですが、ギャンブル依存は隠す病気なんです。気づくときには、犯罪だとか多重債務に陥って、ここで初めて気づくわけですよね。最悪の場合は、自殺に至って、遺書を読んで初めて賭博依存だったということもわかるわけです。
これは厚生労働省の自殺対策室の統計でも、去年、おととしと、約六百六十人が多重債務の問題で自殺をされておられます。その中に、ギャンブルが要因であったという方もいるということはもう明らかになっているわけなんですね。
私は思うんですけれども、とにかくこの国のギャンブル依存対策というのはおくれているわけです。この間、議論を聞いておりますと、IRを推進することによって、このカジノ法案をつくることによって依存症対策が進むんだという議論をされるんですね。しかし、先ほど小沢議員との間で、カジノに対するさまざまな対策についてはこれから検討すると、中身はともかくですよ、おっしゃるんですが、既存ギャンブルに対する具体的な中身というのは、決してこのカジノ法案と一体のものではないということを私は認識しました。
だったら、私、聞くんですけれども、必ずしもギャンブル依存とそしてカジノ推進法をセットで推進する、セットで進めていくという根拠はないと思うんですよ。
本当に、ギャンブル依存が何をもたらすのか、パチンコやギャンブルによってどのような犯罪や自殺や多重債務が、社会的な損失が行われてきたのかということを私はるる説明しましたけれども、だったら、まずこの既存のギャンブル対策にまず手を打つということが先であって、これからさらに病的賭博をふやすようなカジノを推進するというのは順番が違うのではありませんか。
〔松本(文)委員長代理退席、委員長着席〕
○細田(博)議員 我が国の社会において、このような現象が非常に幅広くあるということは事実であります。
朝早くから、パチンコ店とか競馬場とか競艇場とか、ありとあらゆるところに出かけて一日じゅう過ごして、多くのお金を損して、家庭にも悪い影響を与える、こういう問題に何らかの対応をしなきゃならないじゃないか。これは、与党で我々この法案を考えたときに、特に友党である公明党さんからも、このことが非常に社会的問題になっているんだから、カジノということを考えるときには対応をしっかりすべきであるということがこれまでの協議の中心的課題でありました。
そこで、先ほど言いましたように、病的なものは保険が出る。しかし、DVとかいじめとかいろいろな問題がありますけれども、これに対しては、社会的にさまざまな支援措置を講ずることによって、社会全体がそういう人を助けていくという仕組みができているわけですが、既存のものではなくて、ギャンブル依存症も何らかの境界線の事態に対していろいろな措置を講じなきゃならない。なかなか、予算措置とか医学的措置とか教育的措置とか、多くの必要なことが十分できない。
だから、私どもは、納付金と書いてありますが、納付金は必ず取って、そこから、もちろん文化の振興とか観光の振興とかいろいろなことにも充てるんでございますけれども、充てるべきである、そのことが大事であるけれども、まず、このギャンブル依存症というのは大きな問題であるので必ず対策をとろうじゃないか。これはしかし、我々は議員立法提出者ですから、政府に対しては強くそのことを働きかけ、政府からもそのようなことが必要であるということは回答としては得ておるわけでございます。
○清水委員 いろいろ言われましたけれども、結局その対策については政府に委任する。私は、丸投げだと思うんです。皆さん自身の既存のギャンブルに対する具体的な対策ということは、結局この質疑では私は聞くことはできませんでした。
それで、カジノというものは、そもそも、敗者をつくらないと成り立たない。のめり込み、リピーター、依存症をつくることでしか再生産できない産業なんですよ。これだけ依存症がいるからこそ成り立っているわけであります。
そして、小沢議員は、外国人だけではなくて日本人も入場させなければ憲法における差別になるというふうにおっしゃったけれども、これは憲法における平等原則を履き違えていると私は言わなければなりません。
法のもとの平等というのであれば、このような、国民を不幸に陥れるようなカジノ賭博を解禁する、そのことでもって経済成長をやろうなんていうことは、私はやはり邪道だというふうに思います。
最後に、私は訴えたいんですけれども、日本における賭博の禁止、先ほど、明治以降というふうに井野政務官がおっしゃいましたけれども、日本における賭博の禁止は、持統天皇以来、西暦六八九年のすごろく禁止令に始まるんですよ。千三百二十七年の歴史を誇るんですよ。近代法にも受け継がれている。あなた方はその天皇が決めたことを破るんですか、共産党の私が言うのもおかしいんですけれども。いや、本当ですよ。これは勤労の美徳を損ねる。
私は、賭博がなぜ禁じられてきたのかというのをもっと重く受けとめていただきたい。しかも、この拙速な二日間で審議を打ち切って採決するなんということは、断じて認めることはできません。
百害あって一利なし。カジノ解禁推進法は断固廃案にすることを強く求めて、質疑を終えます。
ありがとうございました。
○秋元委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。
いつも共産党の後の質問はやりにくいんですけれども、我々は、先日の委員会でも言わせていただきましたように、終始、推進、賛成の立場で、このIRの法案に対応してまいりました。
きょうは、議連の中でこれまでもさまざまな議論がなされてきている部分、その部分について、今回の法案にどう反映されているのかということをちょっとお聞きしたい部分がありますので、聞いてまいります。
まず一つ目は、議連の議論の中で、クールジャパンの推進に資するという文言が出てまいります。このクールジャパンの推進に資することというのは、具体的にこの法案の中でどういったところに反映をされているのかというのを少しお聞かせいただきたいと思います。
○小沢(鋭)議員 今、浦野委員の質問に答える前に、先ほどの質問でちょっと申し上げたいことがあるので、委員の了解を得て申し上げたいんです。
先ほど、いわゆるカジノは全ての人たちが不幸になる上で成り立っているというお話がありましたが、そんなことはないわけで、全ての人が依存症になるみたいな話があるわけですけれども、依存症をつくりながらやっていくものだ、こういう話がありましたが、そんなことはないわけでありまして、これはエンターテインメントですから、サービス産業ですから、ある意味ではサービス産業として成り立っているわけです。しかし、付随的にそうした懸念もあるので、そういったことには深く我々も配慮をしながら進めていく、こういうことで、世界百四十カ国の国が既にやっている話で、全ての国でいわゆる依存症がふえ、あるいはまた負けた人たちのもとにおいてこのビジネスが成り立っているという話は、これは到底理解ができないということを、答弁として申し上げておきたいと思います。
それから、浦野議員の質問にお答えしたいと思います。
クールジャパンという話が直接的に出ているわけではありませんけれども、観光、ビジネス、エンターテインメントなど、さまざまな質の高いサービスを顧客に提供するIRの導入を推進することは、まさに日本のすばらしさを紹介していくことの大いなる手段になるというふうに思っておりまして、日本でつくられるIRは、日本でなくてはできないもの、そういった日本独自の歴史、伝統、文化、あるいは地域の特色を反映させ、訪れる外国人観光客に日本の魅力を効果的に伝えることができる施設、それをすなわちクールジャパンの発信基地と言ってもいいと思っておりまして、そういった基地になることを、我々は議論をしながらやらせていただきました。
直接的な言葉はありませんけれども、そういう議論があったことは御紹介をさせていただきたいと思いますし、先ほど来お話が出ている岩屋先生の中には、まさにそういった経緯が出ておりますので、よろしければぜひ御一読いただければと思います。
○浦野委員 私も読ませていただいております。
では、続きまして、もう一つ、これがまさにこの法案の議論の中で一番肝になっている部分だと思いますけれども、国民の懸念を払拭し、国民の理解と支持を得られる制度構築を図るというふうに議連でも書かれてあります。この部分が具体的にどのようなことを想定されているのかというのをお聞かせください。
○小沢(鋭)議員 まず第一点は、推進法と実施法、二段階に分けて十分な議論ができるような、そういう基本方針をとったということが私はあると思っております。同時に、やはり国民の不安、懸念があることは事実でありますから、そういった意味で、今言った二段階において議論を丁寧に進めていくということが必要だということでございます。
そういった推進法では、基本理念、基本方針などIRを実現するための枠組みを定めることとし、カジノ施設のあり方、具体的な規制などの詳細については、政府において、十分な検討を経た上で策定される実施法案の中で定めていくというふうにしたところでございます。
実施法案の策定の過程においては、政府、IR議連、地方公共団体、民間経済団体などが一体となって、IR整備のメリット、カジノ施設の及ぼすリスク、問題、また、それを最小限に抑制する方策などについて、国民の各界各層、各世代を幅広く巻き込んだ議論、例えば全国のブロックごとに説明会を開催したりすることなどが必要だ、こう思っておりますし、また、IRの設置については、これも既に議論が出たところでありますけれども、住民の理解を得て進めていく必要がありますので、地方公共団体の申請に当たり、議会の同意をプランの中に要件とするということもあってもいいと我々は思っております。
○浦野委員 推進派、反対派、その考え方に限らず、カジノ、ギャンブルに対する対策というのは絶対に必要だという認識は同じだと思うんですね。賛成派だからといって、別にそういうのをやらなくていいとか、手抜きをしていいということを言っている人は一人もいてないと思います。
一つ、これはもちろん実施法で決めていくことになるかもしれませんけれども、このIRを民間事業者が行う場合に、その民間事業者自体に、ギャンブル依存症対策に対する何か対応を義務づけることというのは考えられますか。
○松浪議員 お答え申し上げます。
おっしゃるとおり、本法案の第十二条で、先ほどから議論になりました納付金を徴収できるということでありますけれども、先ほど細田議員の方からも必ずという言葉もあって、非常に抑制的に、当時、民主党政権のもとで、民主党の皆さんの議連のもとであった時代から、この法案自体はほとんど変わらない形で、我々はそのときの議論も引き継いでいるわけであります。当然、納付金の使途としては、治安や風紀の問題、依存症などの負の面についての対策費用にも充当されることを想定しているわけであります。
その上で、依存症対策についての義務づけということでありますけれども、この義務づけについては、当然、これから実施法の中でしっかりと書かれるものであります。
議論はいろいろありますように、浦野委員も恐らくラスベガスへ行かれたことがあろうかと思います。ネバダ州のあのような条例では、ほとんど、どんなレートの高いところでも誰でも行けるというのが、私も視察して驚いたんですけれども、非常なフリーアクセスが、逆に条例で、州法というんですかね、義務づけられているんですけれども、我々が目指すものはそういうものではなくて、逆に、シンガポールのようにしっかりとした入場規制、そして先ほどもマイナンバー制度などの活用というようなものもありましたので、我々は日本らしく、本当に高潔な、清廉潔白な仕組みを思料してつくっていくというのが、最後発の我々のIRのあり方であろうというふうに考えております。
○浦野委員 この点に関しては、納付金云々とは別に、やはり民間事業者自体にもこういった義務づけをしていくということを、ぜひ、その法案がもし通った暁には政府に求めていきたいなというふうに私は思っております。
次の質問なんですけれども、やはりマネーロンダリングの手口、この心配も非常にされております。このマネーロンダリングについては国際的な取り組みもしっかりとあって、それを遵守してやっていくんだというふうに書かれてあります。
例えば、具体的な手口について傾向と対策というものはしっかりと考えられているのかというのをお聞かせいただきたいと思います。
○岩屋議員 マネーロンダリングについては、先生おっしゃったように、国際的なルールがございます。OECDのフィナンシャル・アクション・タスク・フォースというものができておりまして、カジノというゲーミング場ができた場合は、それも対象機関になるというふうになっておりますので、本法でそういうことが実現しました暁には、当然、マネロン対策の対象施設になる。
例えば、一定金額以上の換金については、必ず当局に届け出なければならない等の規制がかけられることになると考えております。
○浦野委員 答弁はよろしいですか。しますか。
○中村政府参考人 お答えいたします。
カジノに係るもののマネーロンダリング対策といいますか、まず、手口ということで申し上げますと、FATFの平成二十一年に公表したレポートによりますと、カジノを悪用したマネーロンダリングの手法として、犯罪収益でカジノチップを購入し、それを使うことなく再び現金等に払い戻す、あるいは、犯罪収益をカジノ口座に入金した上で他者の口座等への電信送金を行うといったものが挙げられております。
こういったことを踏まえながら、マネーロンダリングの対策上、必要な措置のあり方について、具体的なカジノのあり方に応じて検討してまいるべきものと考えております。
よろしくお願いいたします。
○浦野委員 恐らくあの手この手でやってきて、そういった対策は日進月歩になるとは思いますけれども、ぜひ、この点は、国民の懸念を払拭するためにも、しっかりと対策をこれからとっていっていただきたいと思います。
その一環で、私は、やはり資金の流れをできるだけ見える化するということが必要だと思うんですね。IR全体の資金の流れを全て対象にするのか、それともカジノの部分だけをそういうふうにしていくのかというのは、それは議論していくべきことだとは思いますけれども、要は、お金の流れがしっかりと誰の目にも明らかであれば、そういったマネーロンダリングだとか、そういう手口はなかなか使いにくいというのが実際だと思うんですね。
どこまでの人たちにそれを見える化するのか、例えばフルオープンでやっていくのかとか、あとはカジノ規制委員会とかそういう委員会みたいなものをつくって、その中で資金の流れは全て把握できるようにしていくのか。どっちにしても、そういった取り組みは必要だと思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○小沢(鋭)議員 大変重要なポイントだというふうに思います。マネーロンダリングを防いだり、あるいはまた収入が反社会勢力に流れたりすることがあっては絶対にいけないわけでありまして、その観点から考えれば、今浦野委員が御指摘の見える化という話が極めて重要だ、こういうことだろうと思います。世界各国もそういった大変厳格な情報開示をカジノ運営者にはしているところでありまして、そういった資金の流れを把握するために、決算や財務諸表の開示を義務づけるなど、資金の流れを見える化することが大変重要なことだ、こういうふうに思っております。
具体的にどのようにするかは実施法の中で検討することとなると思いますけれども、納付金の話に加えて、先ほど来出ている、いわゆる法人税の話、そういったこともあるわけでありまして、そういうことをしっかりと政府の中で詰めた案をつくっていただき、そして、今委員が指摘する見える化を、しっかり国民にわかるようにやっていくことが重要だ、こういうふうに思っております。
○浦野委員 ぜひ、それは第三者の目でしっかりと監視できるような仕組みをお願いしたいと思っております。
東京の方の日経新聞には載っていなかったんですけれども、関西版の方に、実は二十九日の日本経済新聞ですけれども、大阪観光局が、MICEの部分だけに限って、経済効果がどれぐらいあったかということを、これは予想じゃなくて、どれぐらいあったかという実際の経済効果を計算しました。MICEの部分だけでいうと、百六十四億円ほど大阪に経済効果があったという記事が載ってあります。実はそれは、展示会だとかスポーツ、そういったイベントは含んでいない部分の国際会議、いわゆるMICEの部分だけを試算した数字で百六十四億だということでした。総合的に言えば、もっと恐らく経済効果があった。
まあ、中国人のお客さんが減っている、これはもう間違いない事実です。ただ、減っているんですけれども、それをカバーするにあり余る個人客が大阪にはしっかりと来ていただいていて、お金を落としていただいているという結果が日経新聞の方に載っていました。これは関西の人しかその記事を読んでいないので、残念なんですけれども。
我々は、やはり経済効果はもちろんあると思っていますし、先ほど来から、まだ大阪に決まったわけじゃないんですけれども、何か大阪大阪となって、ちょっとあれなんですけれども、我々は、もちろん大阪の人間ですから大阪に誘致したいというふうにはもちろん思っていますし、前回の質疑でも言わせていただいたように、別に大阪だけのことを考えているんじゃないんですね。関西、日本全体のことを考えて我々が頑張りますという話ですので、これからもしっかりと進めていきたいと思います。
依存症対策ですね。これは、やはりしっかりとやっていかないといけないというのはもう共通の認識です。家族会の方も、会見を開いて、審議中の法案では依存症対策がカジノ施設利用者らに限られる、統一的に対策を推進する機関を新たに設ける必要があるというふうにおっしゃっています。これは、私もそのとおりだと思うんですね。
先ほど共産党の方が、順番が逆じゃないかという指摘を最後にしていましたけれども、でも私は、このIR法案の中でこういう指摘があったからこそ、さらに議論が前に進んでいるというふうに思っていますので、ぜひこの点に関してはしっかりと対応していただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○秋元委員長 牧島かれん君。
○牧島委員 動議を提出いたします。(発言する者あり)
本案に対する質疑を終局されることを望みます。
○秋元委員長 牧島かれん君の動議に賛成諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○秋元委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)
―――――――――――――
○秋元委員長 この際、本案に対し、平井たくや君外二名から、自由民主党・無所属の会、日本維新の会の共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。ふくだ峰之君。
―――――――――――――
特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○ふくだ委員 ただいま議題となりました特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
本案は、内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律第六条の規定により総務省設置法が改正されたことに伴い、必要な技術的修正を加えるものであります。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○秋元委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
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○秋元委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。池内さおり君。
○池内委員 これほど日本社会と経済のありようをゆがめる法案を、ほとんど審議しないままに採決することに、断固抗議をいたします。
私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりましたカジノ解禁法案に反対の討論をいたします。
本法案は、特定複合観光施設の整備をうたっていますが、その本質は、日本でこれまで許されてこなかった民間賭博、カジノを解禁しようというものです。
刑法は、刑罰をもって賭博を厳しく禁じています。国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風を害し、国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあるからです。これを覆すカジノ解禁は、断じて許されない暴挙だと言わなければなりません。
カジノ解禁が何をもたらすか。暴力団関係者の関与、マネーロンダリング、周辺地域の治安の悪化、ギャンブル依存症の多発、青少年への悪影響など、まさに社会悪そのものです。
提案者も、このリスクの発生を否定することができませんでした。さまざまな対策を講じると述べましたけれども、そのためには莫大な社会的費用を必要とします。カジノ事業者のもうけのために社会悪を発生させ、そのために莫大な公費を使う、私は、これほどばかばかしい法案というのは聞いたことがありません。
提案者は、カジノによって夢のような経済効果があると言います。しかし、シンガポールの例を繰り返しているだけで、具体的な根拠は何も示していない。
我が党が質問でも明らかにしたように、IR方式の施設の破綻というのは、世界のあちこちでもう既に起きています。経済効果は何の根拠もありません。あるのは、賭博を通じて巨大なお金が右から左へと流れ、カジノの胴元に巨額なテラ銭が転がり込むという、このことだけです。
暴力団など反社会勢力がカジノ利権に食い込みを図ることは、わざわざ証明するまでもなく、火を見るよりも明らかです。マネーロンダリングの場となることも、世界のカジノの実態を見れば、防ぐことなどできないでしょう。
国民にとってより深刻なのは、ギャンブル依存症の拡大です。
既に我が国には五百三十六万人ものギャンブル依存症の患者がいることが審議の中で明らかになりました。ギャンブル依存症というのは、慢性、進行性、難治性で、放置すれば自殺に至るという極めて重篤な疾患です。これらの患者をそのままに、新たなギャンブル依存症患者を生み出すなどということは、到底許されることではありません。
提案者は、カジノ収益から出る納付金でギャンブル依存症対策を講じるなどと述べましたけれども、これこそまさに本末転倒のお手本です。ギャンブル依存症に真剣に取り組むというのであれば、新たな発生源をつくらないことこそ必要だと言わなければなりません。
賭博には、必ず敗者が存在します。大数の法則で、必ず胴元が勝つ、ここにカジノ営業の根拠があります。
日弁連が行った破産調査の結果によると、ギャンブルが原因と見られる破産者は全体の五%にも上っている。カジノは、多重債務者をつくり出さざるを得ません。韓国の江原ランドなどでも、そのことを如実に示しています。この間、官民一体となって行ってきた多重債務者対策にも、これは逆行するものだと言わなければならない。
青少年への影響も深刻なものがあります。とりわけ、提案者が言うように、家族ぐるみで出かけるところがIRというのであったら、そこに公然と賭博場があるということは、青少年に対し、賭博への抵抗感を喪失させてしまうことになる、これは明らかです。
どこからどう見ても、この法案には一かけらも賛成できるところはありません。
政府は、カジノを中核としたIRを成長戦略の目玉に位置づけていますけれども、賭博によるあぶく銭を当てにして経済政策を掲げるなど、余りにも不健全、経済政策の退廃だと断ぜざるを得ません。
日本は、額に汗してこつこつと働く、その勤勉な国民性に支えられて現在の経済水準を獲得してきました。一人一人の日本人の努力によって築き上げられてきた、世界に誇る景観、文化遺産、社会の安全、ここにこそ日本の観光の未来があります。健康で文化的な社会の基礎をなす勤労の美風を害し、怠惰浪費の弊風を生じさせる本法案は、決して成立させてはなりません。
以上、述べて、反対理由といたします。
なお、修正案は、本法案の中身を何ら変えるものでなく、反対いたします。
最後に、こうした重大な法案を、わずかな審議時間で、政府への質疑もなく、国民の声も聞くことなく強行する委員長及び与党、維新の責任を厳しく指摘して、反対討論を終わります。(拍手)
○秋元委員長 これにて討論は終局いたしました。(発言する者、離席する者あり)
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○秋元委員長 これより採決に入ります。
第百八十九回国会、細田博之君外七名提出、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、平井たくや君外二名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○秋元委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○秋元委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
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○秋元委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平井たくや君外二名から、自由民主党・無所属の会、日本維新の会の共同提案による附帯決議を決すべしとの動議が提出されております。
提出者からの趣旨の説明を聴取いたします。牧島かれん君。(発言する者、退場する者あり)
○牧島委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。
一 特定複合観光施設区域の整備を推進するに当たっては、特に、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響を排除する観点、我が国の伝統・文化・芸術を活かした日本らしい国際競争力の高い魅力ある観光資源を整備する観点、並びにそれらを通じた観光及び地域経済の振興に寄与する観点に特に留意すること。
二 政府は、法第五条に基づき必要となる法制上の措置を講じるに当たり、特定複合観光施設区域の整備の推進に係る目的の公益性、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止等の観点から、刑法の賭博に関する法制との整合性が図られるよう十分な検討を行うこと。
三 特定複合観光施設については、国際的・全国的な視点から、真に観光及び地域経済の振興の効果を十分に発揮できる規模のものとすること。
四 特定複合観光施設区域の数については、我が国の特定複合観光施設としての国際的競争力の観点及びギャンブル等依存症予防等の観点から、厳格に少数に限ることとし、区域認定数の上限を法定すること。
五 地方公共団体が特定複合観光施設区域の認定申請を行うに当たっては、公営競技の法制に倣い、地方議会の同意を要件とすること。
六 特定複合観光施設区域の整備が真に観光及び地域経済の振興に寄与するため、また、特定複合観光施設の設置の前提として犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないようにするため、特定複合観光施設区域の整備の推進における地方公共団体の役割を明確化するよう検討すること。
七 カジノ施設の設置及び運営をしようとする者その他カジノ施設関係者については、真に適格な者のみが選定されるよう厳格な要件を設けるとともに、その適合性について徹底した調査を行うことができるよう法制上の措置を講ずること。また、カジノ施設を含む特定複合観光施設全体の健全な運営等を確保するため、事業主体としての一体性及び事業活動の廉潔性が確保されるよう、法制上の措置を講ずること。
八 依存症予防等の観点から、カジノには厳格な入場規制を導入すること。その際、諸外国におけるカジノ入場規制の在り方やその実効性等を十分考慮し、我が国にふさわしい、清廉なカジノ運営に資する法制上の措置を講ずること。
九 入場規制の制度設計に当たっては、個人情報の保護との調整を図りつつ、個人番号カード(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第二条第七項に定める「個人番号カード」をいう。)の活用を検討すること。
十 ギャンブル等依存症患者への対策を抜本的に強化すること。我が国におけるギャンブル等依存症の実態把握のための体制を整備するとともに、ギャンブル等依存症患者の相談体制や臨床医療体制を強化すること。加えて、ギャンブル等依存症に関する教育上の取組を整備すること。また、カジノにとどまらず、他のギャンブル等に起因する依存症を含め、関係省庁が十分連携して包括的な取組を構築し、強化すること。
十一 法第九条及び第十条に定める各種規制等の検討に当たっては、諸外国におけるカジノ規制の現状等を十分踏まえるとともに、犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないよう、世界最高水準の厳格なカジノ営業規制を構築すること。
十二 カジノ管理委員会は、独立した強い権限を持ついわゆる三条委員会として設置し、カジノ管理委員会がカジノ営業規制等を厳格に執行できる体制の構築が不可欠であり、特に、カジノ導入時から厳格な規制を執行できるよう、十分な機構・定員を措置するとともに、適切な人材を配置するほか、厳格なカジノ営業規制等や関係事業者に対する行政処分等の監督を有効に執行できる人材育成の在り方も検討すること。また、特定複合観光施設の設置の前提として犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないようにするため、都道府県警察その他の関係機関の必要な体制を確保するとともに、カジノ管理委員会とこれらの関係機関の連携体制を確保すること。
十三 カジノの運営主体が民間事業者になることに鑑み、カジノ事業者に適用される税制・会計規則等につき、諸外国の制度を十分に勘案の上、検討を行うこと。
十四 法第十二条に定める納付金を徴収することとする場合は、その使途は、法第一条に定める特定複合観光施設区域の整備の推進の目的と整合するものとするとともに、社会福祉、文化芸術の振興等の公益のためにも充てることを検討すること。また、その制度設計に当たっては、依存症対策の実施をはじめ法第十条に定める必要な措置の実施に十分配慮した検討を行うこと。
十五 以上を含め、法第五条に定める必要となる法制上の措置の検討に当たっては、十分に国民的な議論を尽くすこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○秋元委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○秋元委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することと決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。菅内閣官房長官。
○菅国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
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○秋元委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○秋元委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
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○秋元委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十七分散会