衆議院

メインへスキップ



第2号 平成29年3月8日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十九年三月八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 秋元  司君

   理事 谷川 弥一君 理事 平井たくや君

   理事 ふくだ峰之君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 文明君 理事 緒方林太郎君

   理事 神山 洋介君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    秋本 真利君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      岩田 和親君    大岡 敏孝君

      大隈 和英君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    神谷  昇君

      木内  均君    熊田 裕通君

      國場幸之助君    今野 智博君

      田畑  毅君    武部  新君

      武村 展英君    中谷 真一君

      中山 展宏君    鳩山 二郎君

      堀井  学君    務台 俊介君

      和田 義明君    井出 庸生君

      泉  健太君    大串 博志君

      岡田 克也君    金子 恵美君

      高井 崇志君    辻元 清美君

      角田 秀穂君    濱村  進君

      池内さおり君    島津 幸広君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣         石井 啓一君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当) 菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (海洋政策・領土問題担当)

   (消費者及び食品安全担当)            松本  純君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (社会保障・税一体改革担当)

   (経済財政政策担当)   石原 伸晃君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)

   (働き方改革担当)

   (女性活躍担当)

   (再チャレンジ担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   加藤 勝信君

   国務大臣

   (規制改革担当)

   (行政改革担当)

   (国家公務員制度担当)  山本 幸三君

   法務副大臣

   兼内閣府副大臣      盛山 正仁君

   内閣府大臣政務官     武村 展英君

   内閣府大臣政務官     務台 俊介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  横田 真二君

   政府参考人

   (内閣官房特定複合観光施設区域整備推進本部設立準備室内閣審議官)     中川  真君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室内閣審議官)       田中 勝也君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           山本 茂樹君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山下 史雄君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    吉田 尚正君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    井上 剛志君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    松本 光弘君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    吉井  巧君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           保坂  伸君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            島  雅之君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月八日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     堀井  学君

  大岡 敏孝君     今枝宗一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     大岡 敏孝君

  堀井  学君     中谷 真一君

同日

 辞任         補欠選任

  中谷 真一君     秋本 真利君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     熊田 裕通君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     池田 佳隆君

    ―――――――――――――

二月二十四日

 マイナンバー制度の中止・廃止に関する請願(逢坂誠二君紹介)(第一五一号)

 同(真島省三君紹介)(第二六八号)

 マイナンバーの中止に関する請願(藤野保史君紹介)(第一五七号)

 同(堀内照文君紹介)(第一五八号)

 同(真島省三君紹介)(第一五九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一六〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第一六一号)

 同(本村伸子君紹介)(第一六二号)

 特定秘密保護法を速やかに撤廃することに関する請願(篠原孝君紹介)(第二一九号)

 同(真島省三君紹介)(第二九六号)

 特定秘密の保護に関する法律の撤廃に関する請願(真島省三君紹介)(第二六七号)

三月八日

 児童福祉としての保育制度の拡充に関する請願(野田毅君紹介)(第三七一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

秋元委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官横田真二君、内閣官房特定複合観光施設区域整備推進本部設立準備室内閣審議官中川真君、内閣官房内閣情報調査室内閣審議官田中勝也君、内閣府北方対策本部審議官山本茂樹君、警察庁生活安全局長山下史雄君、警察庁刑事局長吉田尚正君、警察庁交通局長井上剛志君、警察庁警備局長松本光弘君、消費者庁審議官吉井巧君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、法務省刑事局長林眞琴君、外務省大臣官房審議官滝崎成樹君、厚生労働省大臣官房審議官橋本泰宏君、経済産業省大臣官房審議官保坂伸君、国土交通省自動車局次長島雅之君、防衛省防衛政策局次長岡真臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田克也君。

岡田委員 まず、官房長官に、天皇陛下の御退位の問題などについて政府の見解を確認したいと思います。

 まず、官房長官は、二月十七日の当委員会での所信表明におきまして、「天皇陛下の御公務の負担軽減等については、国会における御議論をしっかりと受けとめ、国民的な理解のもとに成案を得る考えであります。」というふうに述べられました。

 ここで「成案を得る」ということの意味ですが、これは、内閣として法案を出す、そういう意味なんでしょうか。

菅国務大臣 私が当時申し上げたことでありますけれども、今、現実、どうなっているかということでありますが、立法府の中で、正副、衆参の議長、副議長を中心に、各党各会派の皆さんからさまざまな意見聴取をいただいているところであります。

 政府としては、そうした立法府の皆さんの御議論をまず見守っていくということが、ここは極めて大事だというふうに思っております。

 そうした中で結論が出されれば、それをしっかり受けとめて、検討を進めていきたいという趣旨の発言であります。

岡田委員 実は、予算委員会、これは一月二十六日ですが、ここで総理は、国会の議論をしっかりとまずは見守りながら、その結論を受けて私たちは法案を取りまとめていくということを考えていますという答弁があるんですね。

 これを見ると、閣法前提のようにも聞こえるわけですが、私は、今、閣法でなければならないという理由はない、むしろ、国会でしっかりまとまるのであれば、議員立法の方が立法府としてふさわしいのではないかという意見を持っております。少なくとも、閣法でなければならないというのは、私は立法府に対する行政の越権ではないかというふうに思うわけですが、この点についての御見解をお聞きしたいと思います。

菅国務大臣 私が申し上げたことも総理が発言をされたことも、ここはまさに一緒のことであります。

 天皇陛下は、昨年の八月、国民に向けてお言葉を発せられました。そのお言葉を、政府としては重く受けとめているところであります。

 その中で、議員立法という、今委員からお話がありました。議員立法について、そのよしあしについては、政府としての立場でここは申し上げることではないというふうに思っております。

 ただ、私ども政府とすれば、負担軽減に対しての陛下のお言葉というのは、やはり重く受けとめる責務が政府にはあるというふうに思っています。

 そして、現在は、先ほど申し上げましたけれども、正副の、両議長、両副議長、これは衆参で、今、各党会派からさまざまな意見についてお話を伺っていただいておるわけでありますので、静かな環境で行われているそうしたものについて、政府としては、しっかり見守っていくというのが政府の立場であります。

岡田委員 私は、閣法というものが、例えば行政府、総務省とか経済産業省とか、その行政について閣法で提案されるということは、それは当然あっていいし、何ら問題はないと思うわけですけれども、こういう国の仕組みの骨格にかかわることについて閣法で出てくるというのはよくわからないわけであります。

 やはり、基本的には各党がきちんと法案を出す、それは私は、主要政党が合意して出す、一本化して出すことが望ましいというふうに考えておりますが、余り内閣が閣法ということで前面に出過ぎることは三権分立のあり方からいっても根本的に疑問があるのではないか、そういうふうに思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 先ほど私が申し上げましたように、政府としては、天皇陛下が昨年八月に国民に向けてお言葉を発せられました。その言葉を重く受けとめて、有識者会議を開いて、現在においては公務の負担軽減のためにどのようなことができるのか、予断を持たずに御議論をいただいて、一月の二十三日に、さまざまな皆さんから御議論をいただいて、その論点整理というものを取りまとめていただいたわけであります。

 また、国会においては、それよりも以前に、私が申し上げましたけれども、衆参の両議長、副議長の間において検討の場が設けられておりましたので、政府として、そうした天皇陛下の退位等に行われている、まさにこの立法府の議論を見守って、そしてそこで御議論の結論が出ればしっかり受けとめていくというのは、それは政府の当然の役割であるというふうに思ってもおります。

岡田委員 政府がお言葉を受けていろいろ検討されることは当然だというふうに思いますが、閣法でなければならないというふうにしてしまうと、私は非常に問題があるんじゃないか。

 国会できちんとした合意ができることが前提ですが、議員立法という選択肢もあるというふうに私は考えておりますが、この点について、閣法でなければならないというふうにお考えなのか、そこを確認したいと思います。

菅国務大臣 議員立法について、私ども政府の立場で発言することは控えるべきだというふうに思っています。それはあくまでも立法府を中心とする議員の皆さんの考えることだというふうに思います。

 ただ、それと同時に、政府としては、天皇の発せられた、国民に向けて発せられたお言葉に対してやはり責任を持たなきゃならないということも、そこも御理解をいただきたいというふうに思います。

岡田委員 閣法前提ではないというふうに受けとめさせていただきました。

 そこで、いや、そうじゃないというなら言っていただきたいんですが、閣法でなければならないという趣旨ではないというふうに私は理解しましたが、いいですか。

菅国務大臣 議員立法を提出するしないということに対して、私の立場でそこは、申し上げることは控えるべきだというふうに思います。

岡田委員 それでは、特例法か皇室典範の改正かということが、議長のもとでも、もう議論されております。議長のもとで議論されていますので、余り深入りすることは避けたいと思いますが、私は、特例法か皇室典範の改正かという法形式の問題ではなくて、今回の一代限りの特例として御退位を認めるのか、それとも恒久的な制度とすべきかということが物事の本質であるというふうに考えます。

 政府の行われた有識者会議のヒアリングでも、ここは意見が分かれたところであります。政府としては、この点についてどうお考えなのでしょうか。一代限りの特例でないといけないというふうにお考えなのでしょうか。

菅国務大臣 政府として一代限りの退位ということを軸に検討している事実はありません。

 政府としては、現在国会において、先ほど来申し上げていますけれども、衆参の両院の議長、副議長を中心に、今、各党会派の間で議論が進んでいるものと承知しておりまして、その議論を見守って、その結論が出れば、しっかり受けとめて、さらに検討をしていくべきだというふうに思っていますし、現時点において予断を許すような答えは、ここは控えさせていただきたいというふうに思います。

 いずれにしろ、今進められている正副議長の中の議論というものを見守っていきたいというふうに思います。

岡田委員 政府としては一代限りということを前提に考えているわけではない、国会の議論を見守っている状況である、こういうお話だったと理解をします。

 そこで一つ確認なんですが、もし特例法で一代限りということになった場合であっても、退位後の天皇陛下の御身分、例えば皇族にするという規定は、今の規定からは出てこないと思うんですね。退位された天皇陛下が皇族であるということですね。それから、秋篠宮殿下のために皇太弟という身分をつくらなければならないとか、そういったことが当然必要になってくると思います。

 特例法でこういうことを規定するということになると、非常におかしいのではないか。本来、そういう新しい立場をつくるのであれば、ここの部分は皇室典範の改正で対応せざるを得ないのではないか、こういうふうに思うわけです。

 政府の中で法律もいろいろ御議論されていると思いますが、ここのところはどういうふうに整理されるんでしょうか。

菅国務大臣 まだ方向性が出る前のことについて、私がこの場で申し上げることは、そこは控えるべきだろうというふうに思っておりますが、さまざまな問題が出てくる、対応しなきゃならないということは、私どもも承知をしております。

岡田委員 特例的に、退位された後の陛下が皇族であるということを決めたり、あるいは皇太弟という地位を認めるというのは、私は極めて違和感を感じるわけであります。そういうものは恒久的に設けなきゃいけない。恒久的に設けるとしたら、この部分は少なくとも皇室典範に書かざるを得ないというふうに思うわけですね。

 そういう意味で、特例法で対応するということになったとしても、かなり皇室典範そのものの改正ということも同時に行わなければならなくなる、こういうふうに思うわけであります。やはり本則に返って、恒久制度にし、皇室典範を改正するということが私は望ましいというふうに考えているところであります。

 次に、今回の議論の視野には直接入っておりませんが、女性宮家の話についてお聞きをしたいと思います。

 官房長官は二月二十七日の記者会見で女性宮家の創設について問われて、皇族の減少に今後どのように対応していくかについては、内閣官房の皇室典範改正準備室において検討を行っていますというふうにお答えになりました。

 皇族の減少の問題に対応するために女性宮家の創設は不可欠であるというふうに認識しておられるのか、あるいはそうではないのか、官房長官の、あるいは政府のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

菅国務大臣 いわゆる女性宮家の創設など、皇室典範に関して各種の議論があるということは政府としても承知をしておりますし、皇族の減少についてどのように対応していくか、このことについて、政府でも極めて重要な課題だというふうに思っています。

 そういう中で、内閣官房皇室典範改正準備室において、これまでのさまざまな議論の経緯というものを十分検証するなど、政府部内でこれは検討を行ってきたところであります。

 そういう中で、私、さきの記者会見でも申し上げましたけれども、検討を先延ばしすべきものではないということを記者会見では申し上げました。

 現時点において、それ以上のことは控えさせていただきたいと思います。

岡田委員 それ以上のことは控えさせていただきたいということですが、どういうタイムスケジュールで、この準備室での議論を行っておられるのか。

 これは、野田内閣で論点整理は一旦なされました。何が論点かということはかなり明らかになっているわけで、準備室で議論するといっても、もう安倍内閣スタート後、四年たっているわけですから、長々と議論するような、そういう話ではないわけであります。いつごろまでにこの問題の結論を出されるのか。

 それから、私は、これもやはり国会でちゃんと議論すべき話だと思いますので、今回の御退位等の問題が法律できちんと成立した後に、国会においても引き続き女性宮家の問題を取り上げて議論していくべきだと考えますが、政府においても有識者会議での議論などを行われるべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 まず、今私が申し上げましたように、内閣官房にそういう準備室を設けて、過去のさまざまな経緯等について、ここは調査をさせていただきました。

 ただ、そういう中で、今上天皇のお言葉がありました。最優先すべきは、まさに高齢化時代における天皇陛下の負担軽減、こうしたことが、ここは極めて重要だというふうに思っています。そういう中で、現在、ここに全力を尽くして、政府として今取り組んでいるところでありますので、いつまでということを現時点において申し上げることは控えたいというふうに思っています。

岡田委員 官房長官も御指摘のように、これは余りゆっくりできる話ではないということは事実であります。そういう意味では、しっかりと政府の中でも御議論いただき、もちろん国会でも何らかの形で議論して、早急に対応すべきではないか、そういうふうに思っています。

 この女性宮家の創設の問題を安定的な皇位継承の問題というふうに捉えるのは私は誤りで、これは公務の負担軽減の問題だというふうに思うわけですね。

 別に、今の男系男子という原則を変えるという議論をここでするわけではございません。それはその先の話として、そういう議論もやがては必要になると私は思いますけれども、女性宮家の創設の問題自身は、今の男系男子を前提にして、御結婚後も皇族の身分を保たれるということでありますので、ここはきちっと整理をして、安定的な皇位継承の問題ではなくて公務の負担軽減の問題であると。つまり、皇族が減ってしまうと、天皇陛下の公的行為とかそういったことを行う際の、かわりに行う人の数が減ってしまうということが、結局、陛下の負担を増すことになる、そういう整理で議論すべきだというふうに考えますが、この点はいかがですか。

菅国務大臣 政府としても、いろいろな議論がある中で、どのように対応していくかということを、先ほど申し上げましたけれども、皇室典範改正準備室というところで、増員もして、そこは検討を行ってきているということも、これは事実です。

 ただ、そういう中で、昨年、陛下が国民の皆さんにお言葉を発せられました。その陛下のお言葉を政府は重く受けとめて、最優先で、適切に対応することができるように、今総力を挙げて取り組んでいるところでありますので、私は、皇族の減少については、そんなに時間をかけてやるべきじゃないということも申し上げています。

 ただ、まず順番として、負担軽減、陛下のお言葉を私どもは真摯に今受けとめているところでありますので、そこから先のことについて現時点で申し上げることは控えさせていただきたいというのが私の思いです。

岡田委員 一部に、この女性宮家の問題が女系天皇や女性天皇につながるのではないか、こういう議論があることも事実だと思います。ただ、それは直接つながる話ではない、それはそれでまた議論すべき別の課題である、そういう整理でこれは進めていかないと、結局タイミングを失してしまうということになりかねませんので、そこはぜひ整理の上で御検討をお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。

 官房長官は、以上で結構です。

 石原大臣、財政健全化の問題で議論したいと思いますが、ちょっと順番を変えまして、まず、二〇二〇年PB黒字化という目標があるわけですが、その後の話について議論したいと思います。

 二〇二五年問題というのがよく言われるわけですね。団塊の世代が全員七十五歳を超えると社会保障費は飛躍的にふえる。そのことと、将来の金利上昇の問題、この二つのファクターをどう考えていくかということが、仮に二〇二〇年、PB黒字化できたとしても、私は非常に厳しいと思いますが、それはまた後で議論しますが、仮にPB黒字化できたとしても、極めて大きな重い課題だというふうに考えるわけです。

 予算委員会で我が党の前原委員が、二〇二三年以降、名目長期金利が上昇し、名目成長率を上回るという、内閣府で大臣がおつくりになった中長期の経済財政に関する試算について問題提起をしました。結局、二〇二六年以降、国、地方の債務の対GDP比は下がり続けるのではなくて、発散するのではないかと。確かに、公式に基づけば、そういう計算になりかねない。

 それについて、二〇二六年度以降の試算を国会に出すということで御検討いただいているはずですが、そもそもこれは当委員会の問題でもあると私は思いますので、いつ国会にお出しになる予定か、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

石原国務大臣 ただいま岡田委員がおっしゃられましたとおり、二〇二五年というのは、団塊の世代の方々が全て後期高齢者の域に入っていらっしゃる、それに伴いまして医療費の増大あるいは介護費の増大等々が予測されるわけでございます。

 そんな中で、安倍内閣のこれまでの取り組みの中で、経済成長をして税収をふやさない限りは、対GDP比の赤字というものを削減していくことはなかなかできないということも明らかになってきた。そんな中で、私ども、十年間の前提を置いて数値をお示しさせていただいているわけでございますけれども、それはあくまでも、前提値というものをどう置くかによってその数字というものは変わってくる。

 しかしながら、今、二〇一七年になりましたので、そこから先、二〇二六年、二七年とか、一年、二年先がどういうふうになるかということは出せないかということで前原議員との間では議論をさせていただきまして、今検討させていただいているところでございます。同じような議論が、当内閣委員会あるいは財政金融委員会でもあったと承知をしております。

 その姿、これはもう委員御承知で御質問されていると思いますけれども、経済成長率と、それに伴いまして、経済が成長していけば必ず金利を、要するに、金利を上げて経済の過熱を抑えるという事態も、過去の経験の中から私どもは承知している。

 ですから、そこの前提値をどう置くかによって数字というものは大きく変わってまいりますけれども、今、労働問題が非常にタイトになってきて、宅配便という日本独特のサービスが維持できない、できる、こういうところに来ているわけでございます。

 そういうことを考え合わせますと、ここにまたイノベーションが入ることによって、そこの部分も変わってくる。すなわち、どういう経済をつくってどういう社会になるか、この前提値によって、将来の数字というものは大きく変わってくる。それで、新たな、何というんでしょうか、前提値によって将来像が大きく変わってくる中で、今委員が御質問されました点について、ニュートラルに近いものでどうやって出していけばということを今検討させていただいているところでございますので、もうしばらくお時間を頂戴できればと思います。

岡田委員 まず、これは、二五年以降、二六年、二七年ということではなくて、中長期試算ですから、やはり二五年以降、三〇年、三五年と、これは当然、モデルを動かせば機械的に出てくる話だというふうに思います。なぜ時間がかかっているのか、全くよくわからないんですね。

 前提というのは、そういう前提を置いて、経済再生ケースと、そうでない、経済再生がうまくいかないベースラインケースというものを、数字をそういう前提で置いているわけですから、そのときに財政はどうなるか。金利が上がったときに結局財政健全化はできないんじゃないか、こういう根本的な疑問が呈されているわけですから、それに対してきちんと試算結果を示す必要がある。そして、そういうことが起こらないためには、じゃ、どうしたらいいのかということも、政府として御検討いただく必要があると思うんですね。

 そういう議論の前提としての数字を示すということですから、いつまでかということをきちんと述べていただけませんか。

石原国務大臣 これも委員御承知のことだと思いますが、あくまでも、財政健全化、二〇二〇年にPBの黒字化を目指す。二〇一五年には半減という目標は達成させていただきました。安倍内閣になって二十二兆円の税収がふえた。また、経済も拡大していった、歳出も効率化している、削減している。伸びる社会保障費の部分も、かつて一兆円のところを五千億に抑えている。こういうさまざまな努力を行うことによって、中期計画の中で目標達成をしていく。

 今その中期計画の中でございますので、そこから先の試算、すなわち、先ほど若干イノベーションの話を、物流に関して話をさせていただきましたけれども、どういう社会に、それから先の社会を、日本を持っていくのかというところの青写真、すなわち、どういう社会になるのかということは、その前提値をどう置くかによって大きく変わってくる。

 今、政府として、十年間というものをつくらせていただきまして、そこから先のものは、実はつくっていないというか、具体的にどういう経済社会になるのか、どういう社会構造になるのか、イノベーションのスピードが非常に速いもので、そこのところをかっちりとしたものができていない以上は、今ある中期計画の中で、もちろん金利水準が経済成長よりも、一般論ですけれども高くなってしまえば財政は大変厳しいことになるというのはイロハのイだと、委員の御指摘のとおりだと思いますけれども、じゃ、そういうふうにならないような経済成長モデルはどういうものか、モデルをどう置くのかというところは、やはり議論にさまざまな時間を要するという点は御理解いただきたい。

 ただ機械的に今の延長線上で数字を出しても、それは私は意味のないことだと思っております。

岡田委員 私、何を言っておられるかよくわからないんですが。

 結局、名目金利と名目成長率、この二つで、その関係の問題ですから、どういう経済になるかとかそういう話は、それは経済成長がさらに望めるとかそういう議論にはなったとしても、まあ私は非常に非現実的だと思いますが、そういう議論にはなったとしても、公式上、名目金利と名目成長率があれば発散するか収束するかというのは当然出てくるわけですから、私は大臣の言っておられることはよく理解できないんです。

 わかるように説明してもらえますか。

石原国務大臣 私が申しておりますのは、すなわち、名目成長率をどの数字に置くか、名目金利をどういうふうに置くのか。当然、経済が成長していって経済が過熱すれば、金利を高めて経済に、インフレにブレーキをかけるということが起こってきます。そういうものを含んで、私たちは十年間の中で計画を立てさせていただいたわけでございます。

 中長期試算というものは、この目標に向けて改革の進捗状況を点検するということを目的としておりまして、この目的に沿った範囲で、委員御指摘のとおり、二〇二〇年代前半までの十年間程度を試算として示させていただいた、あくまで試算であります。

 ですから、そこから先の社会を、イノベーションが起こることによってどういうふうになるのかということをどう前提値を置くのか、すなわち、成長率と名目金利の上昇をどう置くのかということによって、あらわれてくる姿というものは全然違ってくるわけでございます。

 そこのところを今検討させていただいておりますので、ただ単純に今あるものを延長線上でお示しするということは私は意味のないことだということは、前原議員との御議論の中でもお示しをさせていただいたところでございます。

岡田委員 答えは一つしかないんだと思うんですね。名目成長率は伸びても名目金利がそれを上回ることはない、人為的にそういうことが可能であるという前提をとらない限り、発散するということは明らかだと思うんです。

 もし、名目金利が低いままこれから二〇二五年、三〇年とやっていけるというなら、どうやってそれが実現可能なのかということもあわせ説明しないと、結局は発散しますねということに私はなるんだと思いますが、名目金利が名目成長率よりも下がる、そこについて石原大臣は確信をお持ちなんですか。

石原国務大臣 何度も申しますとおり、十年間程度の期間で試算としてお示しをさせていただいているものが今議論の俎上に上っているわけでございます。

 そして、先ほどイノベーションの例をさせていただきましたけれども、ここから二〇二五年以降の社会においてどういうような経済成長になるのかという確固たるものというものは、どういう数値を置くかによって全然変わるわけでございます。この範囲以上の期間、委員は機械的に二〇二五以降のものを今の試算のままで出す意味があるというお話をされているわけですけれども、その試算に用いさせていただいております経済財政モデルというものが、二〇二五年までの十年間程度の推定期間を念頭に作成されている、この十年間であるならばこういう経済成長、こういうことが予見できるだろうということでつくられているわけでございます。

 ですから、ここから先のものをつくるのであるならば、推計に必要な前提条件をどう置くか、あるいは、推計値について、先の話になりますから不確実性が当然高まってくる、そういうことであるものをただ単純な数字としてお示しすることに意味があるのかといえば、私は意味がない。当然、これから先、内閣がいろいろな形で、新しい内閣がまたできることもあるでしょう、そういうときにまた新しいモデルをどうつくるのか、その内閣の経済政策によって将来像というものは大きく変わってくる、そのように御理解をいただければと思います。

岡田委員 名目成長率が上がる上がらないということはあっても、そのことと金利の関係というのはこれは公式上明らかなわけですから、私は大臣の言っていることは全くよくわからないし、それから、新しい内閣がと言われますが、新しい内閣がスタートしたときにもう手おくれであるということになりかねないから、危機感を持って申し上げているわけです。

 二〇二〇年PB黒字化の話は後ほど申し上げますが、もう一つ、二〇二六年度以降を待たなくても、お示しになった中長期の財政試算の中でも、もう既に危機的状況があらわれているわけですね。

 例えば、GDP比で見た場合に、基礎的財政収支は、二〇二〇年マイナス一・四。これが、二〇二五年にはプラス〇・二ということで、二〇二五年にはめでたくPBは黒字化するという試算になっていますね。しかし、国債費を含めた財政収支で見ると、二〇二〇年マイナス三が、二〇二五年はマイナス三・六ということで、PBは、基礎的財政収支は改善しているけれども、財政収支はGDP比でも悪化をしているという計算結果になっております。

 なぜそうなっているかというと、結局、税収の伸びが、例えば一般会計で見ると六十七・一兆、二〇二〇年ですね。それが二〇二五年には、十四兆ふえて、八十一兆になるという計算ですけれども、国債費の方は、同じ期間に二十兆ふえる。つまり、税収の伸びを国債費の伸びが上回るということになっているから、PBは改善しても、財政収支そのものは悪化する。これが、既に示された中長期の経済財政試算の中でもあらわれているということです。

 このことについては、どういうふうにお考えですか。

石原国務大臣 今委員が財政収支のお話をされましたけれども、そこは非常に重要な点であると私も認識をしております。すなわち、税収を上回って国債費の利払いがふえていけば、当然、財政収支は悪化していく。そういうものをこれからどうやって抑えていくか。幸いにも、今は低金利でございます。今、非常に余裕があるときに将来の姿を考えていくということが肝要である、私はこのように考えています。

 そんな中で、現に、この安倍内閣になりまして、二十二兆円の増収を図り、国債発行額も十兆円減額できている。このラインで、イノベーションを起こすことによって、さらなる経済の成長、すなわち、潜在成長率が今〇・八でございますけれども、これをさらに高めていくということが肝要で、その経済政策というものを、未来投資会議を中心に、新しいソサエティー五・〇という社会をつくっていく形の中で実現していくべく、今検討しているところでございます。

岡田委員 私は、所管大臣としてもっと危機感を持って、しっかり対応すべきだというふうに思います。

 今、二〇二〇年以降の話をしましたが、では、二〇二〇年PB黒字化というのは果たして可能なのかということについて少し、残された時間で議論したいと思います。

 まず、石原大臣は、二月十七日の所信の中で、「名目GDP六百兆円経済の実現と二〇二〇年度の財政健全化目標の達成の双方の実現を目指します。」というふうに言われました。昨年秋の臨時国会での所信では、「財政健全化については、消費税率一〇%への引き上げが延期された中にあっても、二〇二〇年度の目標を堅持します。」、財政健全化目標は堅持すると言われたんです。今回は、両立を目指しますというふうに言われました。

 後退したかのような印象を与えるわけですが、堅持をするという考え方は変わっていないんでしょうか。

石原国務大臣 日本にとりまして大切なことは、先ほど財政収支のお話をされましたけれども、対GDP比債務というものをしっかりと減らしていくということが一つ肝要であること、そしてまた、税収をふやす努力を必ず行っていくということ、そして、財政の方では効率化を図る、無駄を省いていく、特に社会保障費の部分で、安倍内閣は、一兆円自然増のところを五千億に抑えておりますけれども、この考え方はできる限り堅持していく。

 もちろん、先ほど二〇二五問題を委員が御言及されておりますけれども、高齢者の方がふえたときの対応というものはしっかりと、どういうものになるかということは予見できませんけれども、健康年齢を高くしていくことによって医療費を抑制するなどの努力を行っていかなければならない。

 そういう意味において、私は、財政健全化をしっかりと堅持していく、こういうことを、財政政策を担当する者の一人として言い続けること、また、実現していくことにこの国の将来というものがかかっている、そのぐらいの危機感を持って取り組ませていただいているところでございます。

岡田委員 今、GDP比の債務残高の話、これを改善するということを言われましたが、PB黒字化二〇二〇年、これについて言及されなかったんですが、これが一番大事じゃないんですか。

石原国務大臣 もちろん、この間、中期試算を改定したものをお示しさせていただいた中で、現実的な数字はといえば、二〇二〇年度における国、地方合わせた基礎的財政収支は五・五兆円から八・三兆円と、大変厳しい数字になっております。

 それは、ある意味では、二〇一六のときの円高によりまして、世界経済の不確実性もその当時高まっておりましたし、さらに株価がそれによって下がったり、それによって企業収益が下がる、配当が下がる、キャピタルゲインが減ったということによって、予想していたよりも税収が下がってしまった。

 すなわち、やはり税収がしっかりと上がっていく経済再生なくして、今御議論をいただいているPBの黒字化も財政再建ということもできないということも、この四年間で明らかになったわけであります。

 それであるならば、やはり、経済を成長させて税収をふやして、そしてもちろん財政の部分はしっかりと抑制的な態度をとって、委員御指摘のとおり、PBの黒字化と、一番重要なのは、やはり先ほどの発散論になるんですけれども、債務が、要するにGDP比でふえていかない、こういう姿を定着させることが肝要であると考えております。

岡田委員 今、石原大臣の答弁は、一番大事なことは債務残高がGDP比で発散しないようにすることだと言われましたが、まず一番大事なことは、PBを二〇二〇年、黒字化するということじゃないんですか。あわせて債務残高を減らしていくということであって、PB黒字化二〇二〇年というのはどこかに行ってしまっているわけですか、石原大臣の頭の中では。

石原国務大臣 決してどこかに行っているということはございません。

 当内閣委員会での所信の表明の中で、この二〇二〇年のPB黒字化をしっかりと目指していくということには変わりませんし、債務残高対GDP比を着実に下げていく、これはもう委員のこれまでの御議論と全く私は同じだと思っています。それを目指しているということは全く変わっておりません。

 そして、これを緩めてしまいますと、実は財政は膨張圧力が高まってくるということも過去の歴史の中で示されているわけでございます。そういう事態になりますと、将来世代に対する責任というものが私は発生してしまうと。

 そういうことで、二〇二〇年度のPBの黒字化と財政再建、こういうものを目指していくということに何ら変わりはございませんし、昨年とことしの中で言い回しの言葉が違うという御指摘ではございますけれども、気持ちは全く変わっていないというふうに御理解をいただければと思います。

岡田委員 私はここは非常に気になっているんですが、総理の代表質問に対する答弁でも、PB黒字化ということを強調されるというよりは、債務残高のGDP比の話を常にされている。

 私は、きわめつけは麻生財務大臣だと思います。財務大臣というのは財政健全化に最も責任を持つ、そういう立場だと思いますが、例えば二月二十二日の衆議院の財務金融委員会では、ちゃんと八兆円なんて埋まるかと言われれば、我々としては、立てた目標に向かって努力するという以上に今の段階で申し上げる段階ではございませんと。

 単なる努力目標である、八兆円、何とかするということ。これは、財政健全化についての重い責任を負う財務大臣の発言として、石原大臣はどう思いますか。

石原国務大臣 ただいま委員が御指摘されました財金委員会での財務大臣の答弁というものは今ちょっと持ち合わせておりませんので、その真意というものははかりかねますけれども、財務大臣も私とやはり同じように、特に現場で財政を預かる、また国の税収というものを一番身近に見ている方でございますので、財政再建への取り組み、あるいは総理が掲げられております現内閣としての目指すべき姿について、私の考え方と相違があるとは考えておりません。

岡田委員 二〇二〇年PB黒字化という目標をだんだん下げて、そしてGDP比残高、そちらにスイッチしようとしているかのように思いますが、スイッチしたとしても、先ほどの名目金利との関係でいうと、非常に厳しいということはむしろ増すばかりではないかと私は思います。

 最後に、石原大臣もいろいろ御努力されていると思いますが、所信の中で、経済・財政再生計画や経済・財政再生アクション・プログラム二〇一六にのっとって、歳出全般にわたって聖域なく徹底した見直しを推進していきますとお答えになりました。初年度である二〇一六年度の財政健全化効果、両計画に基づく財政健全化効果というのはどれだけ、金額でいうとあったというふうにお考えですか。(石原国務大臣「二〇一六ですか」と呼ぶ)二〇一六、はい。

石原国務大臣 歳出の面で数字をお示しさせていただきますと、先ほど申させていただきましたとおり、社会保障費の一兆円増のところを五千億円以下に抑える、そういう形で推移しているということが成果ではないかと考えているところでございます。

岡田委員 大臣が言及された二つの再生計画とアクション・プログラム二〇一六は、いろいろなことが細かく書いてありますね、効率化するための。そういうものの効果というのは金額でいうと幾らになるか。一兆円を五千億にしましたというのは、これはその外の話だと私は思うんですね。

 いろいろな制度改革をして、そういうことをつじつまを合わせたということですけれども、効率化に伴ってどれだけ金額が浮いてきたのか。それを全部足したものが八兆円にならなきゃいけないんですね、二〇二〇年。そうすると、毎年二兆円ぐらい、社会保障の五千億を除いたとしても一・五兆円ぐらいは必要になってくるということなんです。そのことについてきちんと説明されるべきじゃありませんか。

石原国務大臣 それはまさに、二〇二〇年のPB黒字化というものが当初の予定よりも、今回お示しさせていただいたもので、すき間が八・三兆円と大きくなった、それを単純に割っていくと今委員の御指摘の数字になるわけでございますけれども、それに向かって、大変厳しい状態ではありますけれども、私は財政政策をつかさどる人間の一人として、財政再建にしっかりと努めていきたい。

 そして、今、どういう形でどういう政策を行い、政策効果によってどれだけのものが出たという数字をちょっと持ち合わせておりませんので、またお示しできるようなことなら、させていただければと思います。

岡田委員 終わります。

秋元委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうから内閣委員会も大臣所信に対する質疑、約十時間、始まりまして、きょうは野党の皆さんがほとんどの中で、早い段階で与党の一人として質問の機会をいただきましたことにまず感謝を申し上げたいと思います。

 私は、きょう官房長官に来ていただきましたので、まずは、一昨日、三月六日の北朝鮮による弾道ミサイル発射につきまして、政府の見解を何点かお伺いしたいと思うわけでございます。

 三月六日午前中でございますけれども、七時三十四分ごろ、北朝鮮の東倉里付近から日本海に向けて四発の弾道ミサイルをほぼ同時に北朝鮮が発射いたしまして、いずれも約千キロ東方向に飛行して、秋田県男鹿半島から約三百から三百五十キロ沖の日本海上に着弾した。特に大事なのは、この三発が日本海上の我が国の排他的経済水域内に落下したものと推定される、そのように政府も発表されております。

 北朝鮮による弾道ミサイルというのは、ことし、日米首脳会談直後の二月十二日以来で、北朝鮮が発射したミサイルの弾頭部分が日本のEEZ内に落下したのは、昨年の九月以来で三回目でございます。

 やはり、こういう北朝鮮の暴挙というのは我が国の安全保障への脅威でありまして、累次の国連安保理決議に対する明白な違反でもございます。断じて容認することはできません。

 また、事前通報もなしに発射するということは、漁船などに被害が出かねない極めて危険な挑発であると断固抗議をしたいと思うわけでございますが、政府は、三月六日当日、直ちに北京の大使館ルートを通じて厳重な抗議を行うとともに、最も強い表現で非難をされました。そして、菅官房長官も緊急に記者会見をされまして、国連安保理決議への明白な違反だ、たび重なる挑発行為を断じて容認できないと語られ、さらに、北朝鮮に対する制裁強化について、国連としてさらなる厳しい対応をとるのは当然の方向だと、制裁強化の必要性に言及されました。

 私も、昨年一年間見たときにも、北朝鮮は二十発以上の弾道ミサイルを発射いたしまして、四回目、五回目の核実験を実施したわけでございます。たび重なる安保理決議と制裁が科せられているにもかかわらず、しかしながら、全くそのような決議を無視する形で挑発行動を続けているのが北朝鮮でございます。

 二月十二日の発射に際しては、二月十四日に安保理で緊急会合が開かれまして、北朝鮮を強く非難するとともに、北朝鮮がさらなる安保理決議違反を控え、決議の義務を完全に履行すべきことを再確認するプレスステートメントを出したわけでございますが、国連安保理では、今回、やはり、このとき以上のメッセージが発出されるように、私は日本政府としても働きかけるべきだ、そのように考えます。

 今まで、今回の件でも何度か国家安全保障会議の四大臣会合も行われて、情報を共有され、対応策も検討されていると思うんですけれども、改めて、今回の北朝鮮の弾道ミサイル発射に対する政府の見解を伺い、特に、最初の会見のときに官房長官がおっしゃっておりましたが、新たな国連安保理決議も含め、制裁強化の必要性について、菅官房長官の御所見を最初にお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 まず、今回の北朝鮮の核・ミサイルは新たな段階の脅威であるというふうに政府は捉えております。政府として、この発射があってすぐに北朝鮮に対して厳重な抗議を行うとともに、最も強い表現で非難をいたしました。政府内では、直ちに総理から指示を受けて体制を整えると同時に、いわゆる国家安全保障会議、これを三回開催し、情報の収集、分析、これに全力を挙げて取り組んできました。そして、翌日には日米首脳会談、電話での会談を行いまして、日米、日米韓でしっかり連携して行っていくことを確認いたしました。引き続いて、国民の生命そして財産を守るべく、高度な警戒監視体制を維持し、いかなる事態にも対応することができるような万全の体制をしいているところであります。

 そして、これはつい先ほどでありますけれども、国連安保理において、北朝鮮を非難する内容の安保理プレスステートメントが発出をされました。各国も、まさに北朝鮮のこうした暴挙に対しては厳しい対応をしているところでありますので、この安保理を中心に、さらに一層の経済制裁というものを、ここは我が国としては、関係諸国、特にこれは議長がイギリスでありますので、そこに求めていきたいというふうに思っています。

 それと、今日までも安保理決議が行われ、またそれぞれの国で独自制裁も発表されていますけれども、それが、実行しているかどうかということを、安保理の中の、北朝鮮制裁に対しての委員会がありますので、そこに政府としては働きかけをしていきたい、こういうふうに思っています。

佐藤(茂)委員 私はやはり、北朝鮮に対しては、国際社会の中では中国が一つ大きなポイントを握ってくるというのは、もう皆さん共通した認識だと思うんですね。今回、中国の国会に当たる全国人民代表大会が開かれているさなかに発射したことも、我々は注目していかなければいけないと思うんです。

 やはり、アメリカや韓国などと連携して、北朝鮮の最大の貿易相手国で強い影響力を持つ中国に、しっかりとこの決議を遵守させていく、そのことを求めていくことは何よりも肝要だと思うんですが、今回の発射の前に、二月の十八日に、中国が、中国商務省でございますが、国連安保理決議第二千三百二十一号を踏まえ、二〇一七年、ことし年末までの間、北朝鮮産の石炭の輸入を暫定的に停止する旨を中国として発表いたしました。

 日本政府として、この中国の発表についてどう評価されているのか、官房長官にお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 安保理決議の実効性を高めるために、中国の役割というのは極めて重要であるということは、各国これを認めているところであります。

 そういう中で、今中国が、石炭の輸入を暫定的に停止するということを発表しました。このことは極めて重要で、北朝鮮に対して影響力が最も強いというふうに考えておりますので、そうしたことについて、政府としては歓迎を申し上げたいというふうに思います。

 そして、先ほども申し上げましたけれども、安保理の中に北朝鮮制裁委員会というのがありますので、そこに対して、中国の安保理決議の履行状況というものを、その委員会を活用して、そこの状況をしっかりと注視していくと当時に、アメリカ、韓国とはもちろんですけれども、中国、ロシアも含めて、北朝鮮に影響力のある国々に対して、そうした安保理の中で、政府としては全力で取り組んでいきたいというふうに思います。

佐藤(茂)委員 もう一点、ぜひ官房長官にお伺いしたいのは、先ほど冒頭も政府としての見解を述べられた中で、安倍総理も、三月の六日の当日、北朝鮮が新たな段階の脅威であることを明確に示すものであるという認識を、今回の弾道ミサイル発射を受けて述べられておりました。私も、今回までの一連の北朝鮮の弾道ミサイルの技術と運用能力の向上というのは、我々、本当に目をみはるものがあって、注視していかなければいけない、そのように認識しております。

 例えば今回の、四発ほぼ同時に発射するという、この発射技術の安定性、また二つ目には、アメリカ本土にまで到達することを目指しての射程の長射程化、三つ目には、命中精度の高さ、正確性、四つ目には、移動式発射台などを使う、事前の兆候がつかみづらい、秘匿性の向上ということもありますし、五つ目には、潜水艦型も含めたミサイルの多様化、さらには、撃ち方についてもロフテッド軌道なんかで飛ばすというような、そういう多様化も進んでおりますし、さらに、弾頭の小型化の努力というのも続けているわけでございます。

 そういうことを考えると、北朝鮮の核・ミサイルの脅威というのは、まさに私も、新たな段階に入った、これは私の感覚でいうと現実的な脅威になりつつあるのではないか、そういう実感がしているわけでございますが、NSC、今回、三回も開かれた中で、北朝鮮が新たな段階の脅威であることを明確に示すものだと言われたこの総理の認識、また日本政府の認識の意味するところについて、官房長官に見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 まず、今回は、四発同時刻に発射をして、ほぼ我が国の排他的経済水域、同じような地点に三発、そしてもう一発は、排他的経済水域外でありますけれども、ほぼ同じようなところに着弾をさせたわけであります。

 これは、今イージス艦等で、あるいはパトリオットミサイルという形で体制を日米連携のもとで私ども行っていますけれども、四発同時ということは初めてですから、ここはやはり極めて大きな脅威であるということ、これは当然のことだというふうに思います。

 それと、実は北朝鮮は、核実験というのは三年から四年に今まで一回だったんですけれども、昨年は八カ月の間に二回やったんです。ですから、かなり核開発の精度が上がっているんだろうというふうに思いますし、ミサイルも二十発以上発射をしています。そうしたことを考えたときに、まさに北朝鮮の脅威というのは極めて現実的な問題に捉えなきゃならないというふうに政府としては思っています。

 今回、千キロ飛翔していますけれども、これを円を描いてみますと、西日本は入っていますから、政府としては、国民の生命、そしてまさに財産、平和な暮らしを守る、そういう観点からしても、総理が申し上げましたように、新たな脅威の段階だ、そういうことは現実的だというふうに思っています。

 引き続いて、米国そして韓国を中心に、私ども、しっかりとした体制を整えはしますけれども、まさに北朝鮮に対して、国連を中心に、自制を求める、こうした動きもしっかりと働きかけをすると同時に、やはり高度な警戒監視体制、ここはしっかり行って、国民の皆さんの平和な暮らしをしっかり守っていかなきゃならないという、国家安全保障会議等で総理からの強い指示もあったということです。

佐藤(茂)委員 それで、今官房長官が最後におっしゃいましたように、この弾道ミサイル発射であるとかあるいは核実験、北朝鮮に対しては、まずはやはりセオリーからいうと外交で、きのうも日米の首脳の電話会談をされたそうですが、日米韓の連携の強化を初め、あらゆる外交上の手段を用いて北朝鮮を自制させる、暴挙をやめさせる、こういうことが何よりも大事だと思うんですけれども、その上で、もう一つは、新たな段階の脅威に対して抑止力、対処力を強化することもやはり必要である、そのように考えます。

 北朝鮮の弾道ミサイルの技術、能力向上への対応というのは、私は、日本の防衛力についても喫緊の課題である、どう対処していくのか、そういうことになってきているのではないかと思います。

 既に成立いたしましたけれども、平成二十八年度補正予算では、ここで計上されたイージスシステム搭載護衛艦の能力向上として、「あたご」型護衛艦のBMD艦化改修や、能力向上型迎撃ミサイル、PAC3MSEの導入の加速化を、これは加速化して早くしていただくとともに、やはり来年度は、日米共同開発のBMD用能力向上型ミサイル、SM3ブロック2Aと言われているものですが、これの開発と取得を推進していただきたいと思うわけでございます。

 これは、既存の、今まで立てていた計画を予定どおり進めていただくものなんですけれども、それに加えて、北朝鮮の新たな段階の脅威に対して、果たしてこれで十分と言えるのか。

 具体的に言うと、今の弾道ミサイル防衛というのは日本は二段構えの現在の体制でございますけれども、これで果たして、今回は四発同時なんですけれども、こういう同時に多数のミサイルが発射されれば、全てを迎撃するのは、四発以上さらに発射してきた場合には困難ではないかという指摘もあるわけでございまして、そういう課題も含めて、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上、強化のための検討を、政府・与党連携して検討していかなければいけないのではないか、そのように考えますが、政府の考え方をぜひ伺っておきたいと思います。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の弾道ミサイル対処能力の強化に関する御質問でございますけれども、我が国全体を多層的かつ持続的に防護する体制の強化ということに向けまして、ただいま御指摘もございましたけれども、本年一月に成立をした平成二十八年度第三次補正予算におきましては、PAC3MSEの導入、イージスシステム搭載護衛艦の能力向上等に必要な経費を計上し、また、現在国会で審議中の平成二十九年度予算案では、SM3ブロック2Aの取得といった所要の経費を計上しているところでございます。

 その上で、我が国の防衛力の指針であります防衛計画の大綱におきましては、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図ることとされておりまして、現在、防衛省において、将来の弾道ミサイル防衛体制の調査研究を行うなど、種々の検討を行っているところでございます。

 現在、北朝鮮は、先ほど来の御指摘もございましたけれども、弾道ミサイル能力の増強を急速に進めておると考えておりまして、防衛省・自衛隊といたしましては、我が国の平和と安全の確保、国民の安全、安心の確保に万全を期すという観点から、政府・与党とも連携をしながら、不断に検討を行っていきたいと考えているところでございます。

佐藤(茂)委員 もう一点、国民への情報提供と国民保護ということについて、官房長官に確認をしておきたいと思うんですけれども、今回の発射で、国内にやはり衝撃が広がり、怒りと不安の声が上がっているわけでございますが、国民の不安感を払拭するためには、政府は国民に対して、例えばJアラートとかエムネット等による緊急情報、あるいは船舶や航空機に対する警報を含め、迅速的確な情報提供を行っていただくのはもちろんでございますが、もう一つ、やはり国民保護を図る観点から、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を実施するということも大事になってこようかと思うわけでございます。

 三月の十七日に、秋田沖へのミサイル着弾を想定した初の住民避難訓練を男鹿市で予定されているそうですけれども、国民保護を図るためには、この初の住民避難訓練を踏まえて、他の自治体でも計画的に住民避難訓練を行っていくべきではないかと私は考えるんですが、官房長官の見解を伺っておきたいと思います。

菅国務大臣 まず、この秋田県の男鹿市での訓練でありますけれども、国からJアラートを使った男鹿市への情報伝達、さらに、男鹿市の防災行政無線や登録制メールを利用した住民への情報伝達、住民による公民館、小学校での屋内避難訓練など、こうしたことを行うことになっております。

 政府としては、発射情報が伝達された場合の対処の仕方に国民の皆さんの理解を進める必要があるということの中で、今回の訓練というのは極めて重要だというふうに思っています。そして、今委員から御指摘がありましたように、こうしたことは他の自治体においても働きかけを行っていきたいというふうに思います。

 いずれにしろ、北朝鮮の脅威が現実のものになっていますので、国民の皆さんにもそうした訓練を通じて、Jアラート時の対応とか、そうしたものも理解をしていただければというふうに思います。

佐藤(茂)委員 引き続き、北朝鮮の軍事的挑発に対応するために、警戒監視を政府としてぜひ怠らないようにお願いを申し上げまして、官房長官、ここで結構ですので、ありがとうございました。

 続いて、交通安全対策について、関係大臣に来ていただいておりますので、お聞きしたいと思います。

 幾つか用意していたんですが、高齢運転者による交通事故防止対策に絞ってお聞きをしたいと思います。

 平成二十八年十月二十八日、横浜市で発生した小学生男児の交通死亡事故を初めとして、高齢運転者による死亡事故が相次いで発生をいたしました。時期は前後いたしますけれども、平成二十九年一月十六日また二月二十二日と、警察庁の有識者会議で、平成二十七年あるいは二十八年までの数字の入った改訂版の事故分析というものが高齢運転者に限って行われたわけでございます。

 きょう資料をつけさせていただいておりますけれども、はっきり申し上げると、例えば、最新の平成二十八年の数字では四百五十九件で、運転免許保有者当たりの死亡事故件数というのは八・九件、七十五歳未満の三・八件の二倍を超えていたことがわかっているわけでございます。それで、二十七年の数字では、事故の要因では、四百五十八件中、ハンドル操作やブレーキ、アクセルの踏み間違いなどの操作不適というのが百三十四件、二九・三%で、一番の要因であったということも報告されているわけでございます。

 昨年十一月十五日に、高齢運転者による交通事故防止対策に関する閣僚会議には安倍総理も事の重大性から出席をされて、開催されたと伺っているんですが、高齢運転者による交通事故防止対策というのは喫緊の課題でございまして、とり得る対策を早急に講じるなど、スピード感を持って進めていただきたいと考えているんですが、交通対策本部を担当される加藤大臣から、政府全体の取り組みと体制及びスケジュールについて所見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 佐藤委員御指摘のように、最近において特に高齢者運転による交通事故が相次いで発生をしているところであります。

 これを受けまして、昨年の十一月十五日に、高齢運転者による交通事故防止対策に関する関係閣僚会議が開催され、総理から三つの指示がございました。一つが、改正道路交通法の円滑な施行、二つ目が、社会全体で高齢者の生活を支える体制の整備、三つ目が、一連の事故を踏まえたさらなる対策の必要性の検討であります。

 これを受けて、私が本部長を務める交通対策本部のもとに、関係省庁の局長級を構成員とする、高齢運転者交通事故防止対策ワーキングチームを設置いたしまして、昨年の十一月二十四日に、発足に当たりましては、担当省庁を中心にスピード感を持って鋭意検討を進め、とり得る対策は早急に講じるよう指示をしているところであります。

 また、並行して、高木経済産業副大臣等をメンバーとする「安全運転サポート車」の普及啓発に関する関係省庁副大臣等会議が設けられ、また、警察庁においても、高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者が設けられ、それぞれ検討を進めているところでございます。

 こうした検討結果を踏まえて、本年の六月を目途に、関係省庁における検討及び対策の実施状況について全体的な取りまとめを行っていきたいと思っておりますが、そのタイミングを待つことなく、早急に実施できるものについては直ちに実施をすることによって対策の一層の充実を図っていきたい、こういうふうに考えております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、今、大変社会的に関心の高い問題として続いておりますので、早急に対策を打てるところからやっていただきたいと思うわけであります。

 それで、きょうは松本国家公安委員長に来ていただいておりますが、いよいよ三月十二日、改正道路交通法が施行となるわけでございます。ぜひ、自治体や医療、福祉等の関係機関、団体と連携をとり、その円滑な施行に万全を期していただきたいと思うわけでございます。

 その上で、あえてきょう確認しておきたいのは、新制度によりまして、臨時適性検査等の対象者の大幅な増加が想定されるわけであります。法改正後、大体年間四万から五万人の方が医師の診断を受けるのではないかと見込まれる中、全国の認知症の専門医は約千五百人という状態だと伺っております。認知症を担当するような医学界の皆さんからは、本当に現場の実態をわかってやろうとしているのかという声も、きょう資料にはつけておりませんが、書類でも警察庁の方にも上げられているのはよく伺っております。

 現実に、専門医の皆さんの質、量の不足や偏在、地域によっても医師の数は違うわけで、偏在等の問題が指摘されているわけですが、医師の数が少ない地域の検査体制の整備に不安があるとも言われているわけでございますけれども、改正法の検査体制の整備を含めた運用体制の整備の状況について、松本国家公安委員長に御答弁をいただきたいと思います。

松本国務大臣 高齢運転者の交通事故防止を目的とする改正道路交通法の施行を目前に控え、その施行に万全を期すよう、警察において鋭意準備を進めているところでございます。

 改正法施行後は、医師の診断を受ける方の大幅な増加が見込まれることから、医師の協力が不可欠であります。警察においては、医師会等、関係団体に働きかけを行い、診断体制の確保を図ってきたところであります。

 その結果、診断を必要とする方に紹介することを御了承いただいた医師だけでも、本年二月末現在でございますが、約五万人の受診対象者に対して、約三千百人に上っているものと承知をしておりまして、医師の数には地域的な偏りが見られるなどの課題もあることから、警察におきましては、医師の確保に向けた取り組みをさらに進めてまいる所存でございます。

 医師の方々の御協力や高齢運転者を初めとする国民の皆様の御理解をお願いしたいと存じます。

佐藤(茂)委員 もう一つは、先ほど加藤大臣の答弁に述べられました国土交通省の取り組み、他省とも連携して、いわゆる安全サポート車について今検討されているというふうに伺っているんですが、私は、これから高齢化社会の中で安全な社会を築く一つの大きな鍵を握るんではないかと考えております。

 そのためにも、今、技術を向上させているのはわかった上で、もし製品ができたとしても、年金生活者が多い高齢者に、長年乗りなれた車から高価な安全運転サポート車に買いかえていただくためには、インセンティブというか買いかえを誘導するための例えば減税や補助金などの施策を工夫して、普及を図っていく必要があると思うんですけれども、現在の安全サポート車の性能向上と普及促進のための対策の検討状況について、国交省の答弁を求めたいと思います。

島政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省におきましては、高齢運転者の安全運転を支援する先進安全技術を搭載しました自動車の性能向上と普及啓発を図るべく、関係省庁とともに副大臣等会議を設置しまして、検討を進めております。

 この第二回会合、二月二十八日に開催されたわけでございますが、この中で、自動ブレーキ、ペダル踏み間違い時の加速抑制装置などを搭載しました自動車を安全運転サポート車と位置づけること、また、三月二日から十三日までの間、安全運転サポート車の愛称を募集しました上で、平成二十九年度から三十年度までを重点期間と位置づけまして、官民挙げてその普及啓発のための取り組みを推進すること等について議論が行われたわけでございます。

 国土交通省におきましては、引き続き、この会議を通じまして、安全運転サポート車の性能向上と普及啓発、導入促進のための方策について幅広く検討を進め、先進安全技術を搭載した自動車の普及を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。

佐藤(茂)委員 ぜひ、これからも引き続き熱心な議論をしていただいて、性能向上と普及促進を進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

秋元委員長 次に、神山洋介君。

神山(洋)委員 おはようございます。神山洋介でございます。

 きょうは大臣所信に対しての質疑ということでして、石井大臣にお越しをいただきました。早朝からありがとうございます。

 きょうは、昨年末に成立をしたIR推進法ですか、関連をしてということで、大臣と、IRに関連をしての議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 改めて、ここで一点だけ申し上げれば、昨年末のIR推進法をめぐる審議の運びについては非常に残念なことがあったということは思っておりますし、委員長にも、ぜひそこは、今後もそういうことがないように配慮をいただきたいということを、改めてこの場でお願い申し上げておきます。

 さて、その上で、まず大臣にお伺いをさせていただきたいのは、昨年末のその成立を受けて、さまざまな準備であるとか体制づくりであるとかということが進みつつあるというお話は伺っております。昨年末のその推進法でいえば、一年後をめどにというような、そういう期限などもありましたが、そのスケジュール感も含めて、今どういう検討状況及び体制づくりの状況にあるかということを、あらあらお聞かせをいただければと思います。

石井国務大臣 今委員御紹介いただいたとおり、IR推進法第五条では、政府は、必要となる法制上の措置について、法施行後一年以内をめどとして講じなければならないこととされております。

 そのため、昨年十二月二十六日のIR推進法の施行を受けまして、全閣僚から構成される本部の設立準備を進めるために、一月の六日に、内閣官房に特定複合観光施設区域整備推進本部設立準備室を設置したところでございます。

 今後設置されることとなります本部におきまして、実施法案の検討、策定を行っていくことになりますが、その際には、これまでの国会での御議論を十分に受けとめまして、必要な措置についてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 その内容についてはこれからも詳細な議論をしていかなければなりませんが、適宜、必要な情報も含めて御開示をいただければということをお願いさせていただきます。

 まず、特にIRに関連をしての議論は、昨年末の審議では、我々はほとんど議論もできておりませんので、基本的なことも確認をさせていただきながらやりたいということと同時に、晴れてこのたび石井大臣が担当大臣になられたということでありますので、その点も含めて、大臣の御所見もいろいろお伺いをしていきたいというふうに思っております。

 その意味で、まず最初にお伺いをしたいのは、先日、こちらで所信をいただきました。非常に端的な、A4一枚の所信ではありましたが、一つ確認をさせていただきたい点があります。

 先日お話しをいただいた所信の中で、特定複合観光施設については、「観光や地域振興、雇用創出といった効果が非常に大きいと期待される」という表現がございました。

 大臣は、この表現も含めてですが、このIRというものについて、一体どういう認識をお持ちでしょうか。

石井国務大臣 IR、統合型リゾート施設につきましては、カジノ施設のみならず、会議場施設、特に国際会議場というような非常に大きな会議場の施設もありますし、またレクリエーション施設、展示施設それから宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている総合型リゾートということでありまして、したがって、観光振興ですとか地域振興、また地域の雇用の創出といった効果が非常に大きいというふうに考えております。

神山(洋)委員 観光という観点から大臣は前向きに捉えられているということだろうというふうに受けとめさせていただきました。

 この後、それについての議論も少し突っ込んでさせていただきたいと思いますが、まずは前提としての話で、日本は今、観光立国日本を目指そうということで、これは、大臣は別のお立場で、国土交通大臣という立場からもお仕事をされているというふうに伺っていますし、私も、それは非常に大事なことであるとは思っております。

 この観光ということ、これは、この議会のみならず、一般の方々、観光に携わる仕事をされている方々の中でも、やはり共通しているのは、我が国にあるさまざまなリソースをできるだけうまく活用して、これはインバウンドのみならず、国内も含めてだと思いますけれども、それをできるだけ多くの方々に価値あるものとして認めていただくという形がやはり大事だよねというのは、ほとんど共通認識なんだろうと私は思っています。

 その意味で、まさに今大臣からも言及があったわけですが、このIR、プラスの評価ももちろんできるわけですが、一番懸念をされているのは、そこの中核がカジノであるということでありました。

 我が国が誇る、例えば、それは自然であるとか文化であるとか歴史、その地域にあるさまざまななりわい、そこにあるホスピタリティー、こういったものを観点に日本の観光立国としてのバリューを上げていこう、これは誰も反対はしないと思います。しかし、その観点から考えたときに、なぜそこにカジノなのだという議論は、これはいまだ残存している議論ではないかなというふうにも思うわけです。

 観光立国日本を目指していこうという観点の中に、カジノを含む、ある意味ではカジノを中核とするIRというものは果たしてマッチするだろうか。大臣はこの点、どうお考えでしょうか。

石井国務大臣 昨年三月に、委員がおっしゃっていただいた、観光立国といいますか、最近では観光先進国というふうに申し上げていますけれども、観光先進国を目指すために、明日の日本を支える観光ビジョンを政府として取りまとめたところであります。

 この中には三つの視点を設けておりまして、一つは「観光資源の魅力を極め、地方創生の礎に」、二点目には「観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に」、三つ目には「すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に」ということで、これは政府一丸となって、また官民一体となって観光先進国を目指していこう、こういうビジョンを取りまとめまして、今これに向けて進んでいるところでございます。

 IRにつきましては、先ほど申し上げたとおり、カジノ施設のみならず、さまざまな観光施設がここに一緒になっておりますので、そういう総合的なリゾート施設でありますから、観光振興、地域振興といった効果は大きいというふうに考えております。

 また、昨年成立をいたしました特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律の第六条におきましても、「政府は、特定複合観光施設区域が地域の特性を生かしつつ真に国際競争力の高い魅力ある観光地の形成の中核としての機能を備えたものとなるよう、必要な措置を講ずるものとする。」、こういうふうにされているところでございまして、このIRについても、魅力ある観光地の形成の中核としての機能を備えていく、そういう制度設計をこれからやっていかなければならない、このように考えているところでございます。

神山(洋)委員 ちょうど私の手元にも、今大臣に言及いただいた、昨年三月三十日、明日の日本を支える観光ビジョン、私も手持ちで持っておりまして、きのう一通り、頭から全部読ませていただきました。

 時系列の問題でやむを得ない点はあると思うんですが、この文書の中に、このビジョンの中に、例えば、カジノという言葉は当然でありますし、IRという言葉も、もしくはそれを類推させるような言葉もありません。せいぜい、今大臣からの口頭のところも含めて言えば、MICEという言葉は確かにありました。

 時系列の問題で入っていないのだということは、理屈上あり得るのかもしれません。しかし、今大臣がおっしゃっていただいたように、もしくはこれから政府を挙げての取り組みになるのであれば、やはりこういった文書も含めて、入っていなきゃおかしいと思いますし、時系列の問題で入っていないのであれば、これから入れるということなのかなとも思いますが、大臣、この点はいかがですか。

石井国務大臣 委員御指摘いただいたとおり、この明日の日本を支える観光ビジョンは昨年の三月に取りまとめたものでございますから、その時点では、IR推進法についてはまだ国会の審議も十分進んでいない状況でございましたので、明日の日本を支える観光ビジョンの中ではIRを前提とした施策は盛り込んでいないということでございます。

 ただ、先ほども申し上げましたように、IRはもともと、カジノのみならず、さまざまな観光施設を組み合わせた総合的なリゾート施設でございますので、IRができることによって、この観光ビジョンを実現するためのプラスになるであろうというふうに考えております。

 ただ、この観光ビジョンを昨年三月につくったばかりでありますから、まだこれを改定していこうという動きにはございませんが、いずれにしましても、今後、この観光ビジョンを、しっかりと取り組んでいく中で、いずれかの時点でまた見直していこうという動きは出てくるかと思っております。

神山(洋)委員 これ以上突っ込んだ話は別の委員会でまたやらせていただきますので、申し上げるだけにしておきますが、ここに入っていないことが問題なんだと言っているつもりは、私は実はありません。要は、我が国が目指そうとしていく観光先進国という価値観の中に、このIRでありカジノでありというのがきちっと本当に体系づけられるとお思いなんですかという、ここが大事だと思うんです。価値の問題です。

 そこは、これからの検討状況の進捗もあると思いますので、そういう観点からの検証もぜひしていただきたいなということをこの場では申し上げさせていただきます。

 大臣、後ほどまた数点お伺いをしますが、一旦ここで。

 きょう、法務省にお越しをいただいていると思います。

 IRというよりカジノですね、カジノをめぐっての一つの大きな論点は、いわゆる違法性阻却の話であります。当然のごとく、日本においては、まあ日本においては以外もそうですが、いわゆる賭博というものは刑法でだめですよということにされているわけです。当然です。しかし、一部、これは競馬であるとか競艇であるとかということも含めて、一定の要件のもとで違法性が阻却をされて、特別法の中でオーケーですという形にされています。

 では、一体それは、今後のIR、カジノをめぐったときに、どういう観点でオーケーだということを担保するのかということが、まさにこれから極めて重要なところだと私は思っています。

 では、過去、これまで違法性阻却をしてきた中で、どういう観点でそこが検証されて、何をもって担保してきたのかということの中で、私、今ここに、手元に持っていますのは、平成二十五年十一月、当内閣委員会での議事録を持っているわけです。いわゆる違法性阻却の八要件というふうにちまたで言われている案件、少しその該当部分だけ読ませていただきますが、目的の公益性、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止、こういったような点に着目をし、賭博に関する立法について意見を申し述べてきたところですということをおっしゃっているわけです。

 ここが引かれて、ちまたではいわゆる八要件ということを言われていると思いますが、今後のIRにおけるカジノ、ある意味での合法化に向けてのポイントはこの観点から検討される、検証されるということでまずよろしいでしょうか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま御指摘のあった賭博に当たり得る行為がなぜ正当化されるのかという点でございますが、これは、今御指摘の八要素を満たすから合法化される、あるいは正当化されるというわけではなくて、法律に従って行われる行為であれば、賭博罪の構成要件に該当する行為であっても、刑法三十五条の法令による行為として違法性が阻却されるという理屈でございます。

 もっとも、基本法であります刑法が賭博を犯罪としている、そういう趣旨を没却するような立法がなされますれば、それは法秩序全体の整合性を害するということになります。そのような観点から、カジノに関する特別法については、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却しないような制度上の配慮がなされるのが望ましいと考えられるわけであります。

 御指摘の答弁については、特別法において賭博に当たる行為を許容する場合に、刑法との整合性を害することがないよう考慮されるべき主な事項について、刑法を所管する法務省の立場からお示しをしたものでございます。

神山(洋)委員 とすると、もう一度、ここは確認なんですが、いわゆる巷間言われている違法性阻却の八要件的な言葉がよく使われています。これは、法務省の見解からするとちょっと違いますという理解でよろしいですか。

加藤政府参考人 お尋ねの趣旨を正解しているかどうか恐れるところでございますが、八つの要素と申しますのは、ただいま申し上げましたように、その特別法が立案される際に、刑法との整合性を害しないように考慮されるべき主な事項であるというふうに理解しております。

神山(洋)委員 つまり、今回の、これから行われるIRにおけるカジノの合法化を図っていく特別法に関しては、必ずしもこの八要件であるとは限らない、こういう理解でよろしいですか。

加藤政府参考人 失礼いたします、お答えを申し上げます。

 今後行われる立法につきましては、いわゆるその実施法について、特定複合観光施設区域の整備に関する法律上、内閣に置かれます特定複合観光施設区域整備推進本部において立案、検討がなされるというふうに承知しております。

 その検討に際しましては、当然、法務省におきましても、政府の一員として、附帯決議の趣旨でございますとか等を踏まえて、必要な協力をしてまいりたいと存じます。

 その際に、ただいま御指摘の八要素というのは、従前申し上げてまいりましたように、刑法との整合性を保つという観点からの着目点として有益であるというふうに考えてはおりますが、それに限られるものではないというふうに考えております。

神山(洋)委員 今の話からすれば、今までのある種の例示的な観点からいえば八つに着目をしていますということですが、これからのことを考えると、ふえる場合もあるかもしれませんし、減る場合もあるかもしれないし、入れかえもあるかもしれない、こういうことで理解をさせていただきましたが、そういうことですよね。違いますか。違うのなら違うと言ってください。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 おおむね御指摘のとおりでございますけれども、これまで申し上げてまいりました八つの要素というのは、刑法と特別法との整合性を考える上で、それは必要な着目点であろうというふうには考えております。

 ただ、それでは、それに限られるものであるかということになりますと、具体的な案ができました段階では、あるいは、その立案の検討の過程では、それ以外の考慮要素を考慮する必要があるかもしれませんし、あるいは、その八つの要素のうちの、例えば一つでも欠ければ、新しくできる特別法が不適当なものになるという関係にあるものでもないというふうには考えております。

神山(洋)委員 今までの競馬であるとか競艇であるとかといういわゆる公営競技の違法性を阻却してくる中で、この八つの着目点ですか、着目をして検証してきたということであるとしたときに、今後想定をされるIRにおけるカジノにおいては、私はそのことを是と全くしませんが、民間事業主、事業主体によってこの事業が営まれる、カジノが営まれるということが前提となっているわけです。

 そうすると、今までであれば、公営競技だから割り引いてやれとかそういう話ではないにせよ、ここまでの着目点、八つ例示があった中でいえば、八つのうち四つは主体の話なわけですね。そういう意味では、主体はすごく大事な要素なんだということだけは間違いないんだろうと思うわけです。

 今回は、肝心かなめの主体そのものが、公的団体ではなくて民間事業主ですという形になる。常識的に考えれば、今までの八つの要件、八つの点に着目をしてきましたということよりは、はるかに厳しい観点から検証しない限り、この違法性を阻却する、賭博をある種合法化する、例外化する、ここは実現できないんじゃないかというふうに思っているわけですが、その点はいかがですか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいまの御指摘は、法務省がこれまで申し上げてきました八つの要素に照らすと推進法に定められているカジノというものができないのではないかという御指摘であったように承りましたが、法務省といたしましては、これまでお示ししてまいりました八つの要素というものについても、これが、例えば一つでも欠けていれば全く特別法としての許容範囲を超えているということを申し上げているわけではなくて、これらの考慮要素を含めて総合的に制度全体を観察して、考察して、刑法との整合性が保たれているかどうかということを判断するというふうに考えております。

 また、法務省といたしまして、運営主体の性格として民間の運営主体というものはおよそ許されないものだという見解を申し上げたことはないと考えております。

神山(洋)委員 この違法性阻却の話は、この件に関して言えば、肝なわけですよ。

 それで、先ほど来のお話を総合すれば、そもそも特別法さえつくれば違法性は阻却できるんだ、そこまでシンプルに言い切っていいかは別として、そういうことであって、では、その特別法をつくるに当たって着目すべき点が一、二、三、四、五、六、七、八とあります、場合によっては今回ふえるかもしれない、減るかもしれないという構成になっているわけです。果たしてこれでいいのかということを私はここで思うわけですね。

 そもそもを言えば、今回のこのIR云々の件が出る前の段階から今の構造そのものは変わっていないわけですから、そこはやはり問題があったんだと思うんです。

 仮にも賭博という刑法で禁止をしていることに法で穴をあけるという行為が、そうそう簡単にできていいと私は思いませんし、そこには厳格な条件であり厳格な規制でありというものがあってしかるべきだと思いますし、それは、その都度その都度組めばいいものではなくて、原則としてやはりあらかじめ持っておくべきものではないかというふうにも思うわけです。

 その意味からしたら、やや遅しではありますが、今回のIR法案を今後年末に向けて検討していく中でも、もちろんここは考えていくんでしょうけれども、ここは、法案ができるまでの同時並行で考えればいいという話ではなくて、恐らく前提として、この議論をきちっと詰め切らないといけないんじゃないかと思うわけです。

 裏を返せば、そこの話がきちんと詰まらないと、では、最終的にIRの法案をつくろうとしたけれども、そもそもの骨格の違法性の阻却ができません、してはならないですということになった上で、法案なんかつくれっこないわけですよ。

 そもそも、この違法性阻却に関して改めてここできちんと整理をし、あらかじめ、この法案と同時ではなくて、前段の前提として、このことを法務省として見解をきちっと明らかにすべきじゃありませんか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆる実施法の策定は、推進法によって定められている、政府に対して義務づけられている作業でございます。

 法務省といたしましては、その法案の策定作業を所管される推進本部に対して必要な協力をいたしてまいる立場でございます。今後とも、刑法を所管する立場から必要な協力は行ってまいる所存でございます。

神山(洋)委員 お立場上、突っ込んだことは言えないのはわかっていますが、そこはこれからも少し、この場も含めて、適宜議論を深めさせていただきたいと思っています。

 最後に大臣、まだ少し時間がありますので、数点、戻りながら、関連の議論をさせていただきたいと思います。

 まず伺いたいのは、経済効果の話です。

 昨年の議論なり、これはメディアを含めたちまたの議論の中でも、経済効果がすごく大きいんだ、平たく言えばすごくもうかるんだという話がたくさんありました。先ほど私が読み上げた先日の大臣の所信の中にも、「観光や地域振興、雇用創出といった効果が非常に大きいと期待される」という表現があります。

 ただ、私は、これは昨年も実は何回か、とある場所で申し上げていたんですけれども、まともな数字をちゃんと見たことはありません。一体このことによって本当にどれだけの経済効果があるのかないのか、全く見たことはありません。ふわっとした数字しかないわけです。

 先日、大臣はまさにここで、「非常に大きいと期待される」という表現を使ったわけです。これは一体何を根拠におっしゃったんでしょう、この経済効果に関して。ここをまずお伺いさせていただきたいと思います。

石井国務大臣 今後、法制度を検討する中で、日本にふさわしい統合型リゾートの制度設計を詰めていくことが必要であります。その中で経済効果についても検討していく必要があると考えております。

 なぜ所信で効果が大きいというふうに申し上げたかといいますと、経済効果がというより、これは釈迦に説法かと思いますが、いわゆるフローの効果とストックの効果があるわけですよね。フローの効果でいえば、これまでの事例からすると、一つのIR施設で数千億ぐらいの投資が行われる。そういうフローの効果はあるかと思いますが、ストックの効果として考えられるのは、当然、雇用が伴いますから、地域の雇用といいますか、そういった意味での所得が上がるということがありましょうし、また、さまざまな観光施設を統合した統合型リゾートですから、そういう観光施設に誘客、お客さんがたくさんお見えになるということで、地域にとっては、観光消費、お客様がそこで使っていただく、これはカジノで使うだけでなく、ホテルやあるいはいろいろなレクリエーション施設等でもお使いになる、そういった観光消費等々がございます。それに付随する効果等を考えると、かなり大きいだろう。

 実際に、海外の事例を見ても、大きな効果がある。シンガポールの例で申し上げますと、まあシンガポールは日本と比べると面積も小さいし人口も小さいですから、直接的な比較はなかなか難しいと思いますけれども、シンガポールの例でいいますと、開業後四年で国全体の観光客数が六割増、観光収入が九割増となったというふうに聞いております。

 そういったさまざまな点から申し上げて、効果が大きいというふうに申し上げたところであります。

神山(洋)委員 大臣、今、数字については今後検討していくという御答弁がありましたが、これはもう一回事務方に確認していただきたいんですが、数字は出していると言っていますよ。大臣、その数字を見られて私はこの発言があったのかなと思ったんですが、違いますか。

石井国務大臣 民間で試算された事例はあるというふうに聞いておりますが、国として出したというふうには、ちょっと私、報告は受けてございません。

神山(洋)委員 出していなければ、これは出すべきだということでいいんですが、その際に、まさに大臣からいろいろ今御説明もあったその点が、こういうプラスがありそうです、これだけの建設で投資がありそうですというのは、これは単純計算でわかります。

 ここでぜひお考えをいただきたいんですが、プラスの効果というのはもちろんあるわけですが、物事の効果というものは費用によって生ずるわけです。必ずそれは、何らかの投資をする、何らかのプロジェクトを進めるには費用があるわけです。この政策的な案件からいえば、経済効果という意味でこれだけの効果があるというからには、当然そこには費用も発生するわけです。

 昨年末も、この場でも議論をされたと承知をしていますが、いろいろな依存症の話もあるでしょうし、マネロン対策もやらなければいけない。今、日本にはないこのことに対応する、さまざまな観点での対応ということの費用も当然かかるわけです。

 本来の政策的なプラスマイナスというのは、そのトータルのパッケージの中で、プラスがどれだけあるのか、マイナスがどれだけあるのか、その上で、さらに言えば、数字だけではない中で、どこまでやるべきなのかという判断があってしかるべきだと私は思うんですが、そもそも、その積算がない中でここまで進んできているということは、私自身は極めて問題だと思っていますので、そういう意味でいえば、まさにこれから検討されるということですが、費用の部分、どれだけのコストがかかるのか、社会コスト、ここもぜひ算出対象にしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

石井国務大臣 IR推進法に係る国会の審議の中で、IRの整備により、雇用創出効果や経済波及効果といったプラスの効果だけでなく、委員御指摘のように、負の側面に対する懸念もさまざま御指摘がございます。そういったことも踏まえて、附帯決議がつけられたものと承知をしております。

 政府としても、こうした御議論も十分に受けとめながら、今後、必要となる法制上の措置を検討する中で、御指摘のようなマイナスの側面への対応にも万全を期していきたいというふうに考えているところでございます。

神山(洋)委員 あらかじめそこを、今すぐぱっと出せるような話ではないということはわかっていますけれども、できるだけ早い段階からやはりそれは公表していただきたいと思うんです。

 効果があるのかないのかわかりません、どれだけ大きいのかわかりません、コストがどれだけかかるかわかりません、でもやりましょう、これはまずいと思うんですね。それは、地域の商店を営んでいる方であっても、家庭で、例えば今夜の食料をどうしようと考えている方であっても同じだと思うんですが、持てるお金があって、どれだけの効果があるだろうというところの対比の中で、どれだけお金を使おうか、買うか買わないかということも含めて決めている、これは常識のレベルだと思うわけです。

 ここの議論を曖昧にしたまま、これまでずっと来てしまっているということは、私は極めて問題だと思っていますので、ぜひ大臣、これから担当にもなられたということでありますので、御所管の観光そのものの向上ということも含めて、こちらもきちっと誠実に、これからも御対応いただきたいということをお願い申し上げまして、本日の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋元委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志です。

 私も、IR推進法、カジノ法の成立を受けて、特に去年の審議のときからギャンブル依存症対策、これについて、しかも、今回はパチンコ、パチスロの依存症対策ということについてお伺いしたいと思います。

 今、ギャンブル依存症というのは、我が国で、厚労省の推計で五百三十六万人と言われていますが、その内訳はなかなかわからないんですが、警察庁が、去年一年間に全国で摘発された刑法犯のうちで、パチンコが原因である件数が千三百二十六件という数字を発表しました。実は、競輪、競馬などのギャンブルが動機なものは九百九十九件と、約一・三倍以上パチンコ由来が大きい。ギャンブル依存症対策に取り組んでいる方と私もいろいろ話しますが、やはりこのパチンコ、パチスロが大きな原因であるというふうに言う方が多いです。

 しかし、これまで、パチンコは遊技である、ギャンブルではない、そういう建前論のもとで、なかなかパチンコ、パチスロ業界も巻き込んでの依存症対策というのは行われてきませんでしたけれども、今回これだけ注目されるようになって、改めて、大臣のリーダーシップでこれはどのような対策を行っていくのか、まずはお聞きをいたします。

松本国務大臣 客にパチンコや回胴式遊技機、いわゆるパチスロをさせる営業については、その態様によっては客の射幸心を著しくそそるおそれがあることから、風営適正化法に基づき、必要な規制が行われております。

 しかし、パチンコ等への依存問題に関しましては、IR推進法の審議において問題として指摘されたほか、同法の附帯決議におきまして、パチンコ等を含めたギャンブル依存症への対策について言及されたところでございます。

 昨年十二月にギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議が開催されまして、幅広くギャンブル等依存症全般につきまして、政府一体となって包括的な対策を推進することとされているところでございまして、警察といたしましても、パチンコ等への依存問題について、さまざまな御意見を踏まえつつ関係省庁とも連携をして、必要な対策に、より一層しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

高井委員 パチンコのギャンブル依存症対策の、最大の原因の一つとなっているのが、実は射幸性の高い不正な改造機が出回っていた、この問題を去年の四月二十七日の当委員会で私は質問をいたしました。

 実は、警察庁が行ったサンプル調査で、百六十一店舗、二百五十八台をサンプルで抜き出したら、何とその全てが、不正に、検定のときのくぎと、出荷されてホールにあるものが違っていた、これは本当に驚くべき数字をここで紹介したところ、当時、河野大臣でしたけれども、大変これは遺憾だ、すぐに対応すると、本当に私の予想以上の前向きな答弁をいただいて、その後も撤去を進めていただいた。これは本当に政治が決断をできたいい例だと私は思っているんです。

 しかし、去年の十一月二十四日に、委員会は違うんですが、科学技術・イノベーション特別委員会で、私の、この不正改造機をどうするかという質問に対して、警察庁の審議官でしたけれども、業界において確実に対象遊技機の撤去、回収がなされるようしっかり指導する、そういう答弁でありました。

 こういう答弁でありますが、これは警察庁として、今、もうパチンコホールからこの不正改造機は一切なくなったというふうに考えておりますでしょうか、あるいは、それはまたどのように確認しているんでしょうか。

山下政府参考人 平成二十七年十一月でございますが、パチンコメーカー団体から、風営適正化法に基づき検定を受けた型式の遊技機と異なる性能の遊技機がパチンコメーカーから出荷されている可能性があるとの報告を受けたところ、昨年末を期限として、業界を挙げてこれらの遊技機の撤去、回収が進められたものと承知をいたしております。

 パチンコメーカー団体によれば、これまでに撤去、回収の対象となった遊技機約七十三万台のうち、約九九・九%以上が撤去、回収をされ、いまだパチンコ店に設置をされている対象遊技機については、引き続き撤去、回収に全力を挙げているとの報告を受けているところでございます。

 また、警察といたしましては、各パチンコ店に対して立ち入りを実施しているところであり、立ち入りにおいて対象遊技機を設置して営業していることを確認した場合には、撤去を指導することとなります。

 いずれにいたしましても、警察としては、適正な遊技機による営業がなされるよう指導を徹底するなど、引き続きパチンコ営業の適正化を進めてまいりたいと考えております。

高井委員 今局長から答弁があったとおり、実は去年の十一月の科技特で私が質問したところ、今、同じような答えでありました。昨年十一月、去年の時点でそういう答弁でしたから、これは一昨年ですよね、つまり二〇一五年の十一月段階でそういう報告を警察は受けているんですね。

 ところが、その翌年の二〇一六年の三月三日に私が出した質問主意書では、政府の答弁は、パチンコメーカーに対して不正改造に関する検査や調査を行うかどうかは、「都道府県公安委員会において個別具体の事案に即して適切に判断されるものである。」と、問題の対応を都道府県警に丸投げしている回答をしています。

 そして、昨年の十一月二十四日の私の質問に対しては、警察庁としてなぜパチンコメーカーに対して検査をしないのかと私が質問したところ、パチンコメーカー団体によれば、該当する遊技機については既に製造、出荷を終了しており、現在、パチンコメーカーは出荷された遊技機と同様の遊技機を保有していないから検査できないんだ、出荷が終わっているから検査できないんだという説明でした。

 しかしこれは、二〇一五年の十一月段階で、もう既に業界ぐるみで不正が行われていた可能性があるということを警察庁は把握をしておきながら、一年間何も検査をしてこなかった。都道府県警に丸投げをしていた結果、結局、その出荷が終わったから、対象機がなくなってしまったという検査ができない状況を警察庁がつくり出してしまったのではないか。これは、私はパチンコメーカーと警察庁の癒着じゃないかと思います。

 なぜ、二〇一五年の十一月段階でパチンコメーカーが不正を行った可能性があることを知っていたのに、こういった具体的な検査を行わない、あるいは取り消しが法で定められた処分だと思いますが、こういったことを行わなかった理由は何でしょうか。

山下政府参考人 警察といたしましては、まずは検定機と性能の異なる可能性がある遊技機がパチンコ店から速やかに撤去、回収されることが必要であると判断をいたしまして、対象遊技機の撤去、回収を優先したものでございます。

 現在、この対象遊技機の撤去、回収に、先ほど御答弁申し上げましたように、めどがついたことから、各パチンコメーカーから報告を求めるなど、検定機と性能の異なる可能性がある遊技機が出荷された原因等の調査を改めて行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、この調査の結果を踏まえて、引き続きパチンコ営業の適正化を進めてまいりたいと考えております。

高井委員 二〇一五年のパチンコ遊技機の設置台数は二百九十一万台です。先ほど申し上げたとおり、サンプル調査で全てが、一台たりとも、全部不正改造だったということは、全て不正の可能性がある。そうしますと、パチンコ遊技機の一台の値段はおおむね三十万円から四十万円です。ということは、計算すると一兆円規模の不正が行われていたという計算になるわけです。このような大規模な不正を裁量行政で見逃すなど、私は、これは法治国家として到底認められるものではないと思います。

 大臣、これはぜひ政治決断で、今からでも調査できますよ。パチンコメーカーに立入検査に入って従業員からヒアリングをするとか、そういった形で、なぜ不正が行われたのか、そして、それを摘発するということを、ぜひ政治家の決断として、大臣から御答弁ください。

松本国務大臣 現在、警察では、各パチンコメーカーから報告を求めるなど、検定機と性能の異なる可能性のある遊技機が出荷された原因等の調査を行っているところでございまして、その結果につきましては、国家公安委員会委員長としても、しっかり確認してまいります。

 いずれにいたしましても、警察としては、適正な遊技機による営業がなされるよう、指導を徹底していくなど、引き続きパチンコ営業の適正化を進めてまいりたいと存じます。

高井委員 大臣は、今初めてというか、ここまで詳しい実態は知らなかったかもしれませんので、ぜひ、きょう私から申し上げた点をもう一度部下の皆さんに確認をして、決して癒着と疑われることがないように、しっかりこれはけじめをつけていただきたいというふうに思います。

 それではお聞きをいたしますが、今回、パチンコメーカーが、検定を通過して、しかし、それを不正に改造してパチンコホールに出荷をしたということと、それからパチンコホールが、その不正改造機を用いて営業をしていた、この両方の責任があると思うんですが、それぞれ、どのような罰則がかかるんでしょうか。

山下政府参考人 パチンコメーカーが検定を受けた型式に属さない遊技機を検定を受けた型式に属する遊技機として販売をした場合等は、検定取り消しの対象となるものの、風営適正化法では罰則の対象となるものではございません。

 それから、パチンコ店において営業の用に供している遊技機が検定機と異なり、著しく射幸性をそそるおそれのある遊技機に該当するものであれば、これは風営適正化法に違反することとなり、行政処分の対象となるものの、風営適正化法上の罰則の対象となるものではございません。

 いずれにいたしましても、先ほど御答弁申し上げましたように、現在、警察といたしましては、各パチンコ店に対して立ち入りを実施し、対象遊技機の設置の有無を確認することとしているほか、各パチンコメーカーから報告を求めるなど、検定機と異なる可能性のある遊技機が出荷された原因等の調査を行っているところでございまして、これらの結果を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

高井委員 検定取り消しとか営業停止というのは重い処分ですが、しかし、それに至っていないから、今も無罪放免になっているということなんです。

 実は、諸外国の例、きょう、内閣官房に来てもらいましたが、もう、ちょっと時間が押しているので、私が内閣官房の調査報告書を読んだところ、全て当てはまるかわかりませんが、シンガポールのカジノがこういうマシンを改造して営業していたらどういうことになるかというと、軽い場合で八千万円程度の課徴金、それから重い場合だと売り上げの一〇%の課徴金、こういう罰則がシンガポールではある。

 こういったものと比較すると、やはり今罰則がないということは、他国と比較しても、相対的に規制がそもそも緩いし、しかも、その適用すら、先ほど申し上げましたように、私は癒着じゃないかと思いますが、そういうことで進まない。

 これでは、特に今回のこの件は、メーカー側が全く無罪放免になっていて、しかも、その撤去も、パチンコホールの方がかなり多くの費用を持ち出して撤去をさせられている。私はメーカー側に大きな責任があると思いますが、その点、非常に不公平だというふうに思っています。

 ぜひ、大臣、ギャンブル依存症の先ほど申し上げた問題も含めて、やはり、パチンコメーカーに対してしっかり指導をして、この問題も取り組んでいくべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。

松本国務大臣 先ほども申し上げましたが、パチンコ等への依存問題に関しましては、IR推進法の審議において問題として指摘されたほか、同法の附帯決議におきまして、パチンコ等を含めたギャンブル等依存症への対策について言及されたところでございます。

 本年一月、パチンコメーカー団体を含むパチンコ業界十四団体は、パチンコへの依存防止対策について最優先課題として取り組んでいく旨を表明したところでございます。パチンコメーカーにあっても、責任を持って取り組んでいただけるものと受けとめているところでございます。

 いずれにいたしましても、警察としても、パチンコ等への依存防止対策について、より一層しっかり取り組んでまいりたいと思います。

高井委員 大臣のその厳しい姿勢というのが、この業界は、本当に、大臣が何を言ったかとか、局長が何を言ったかというのをよくよく見て、この委員会の答弁なんかも皆さんよく聞いていると思いますので、ぜひそこは厳格に行っていただきたいと思います。

 それでは、再発防止という観点から次の質問に入ります。

 パチンコ遊技機の性能を確認する方法、これが甘いんじゃないか。このことも、昨年の四月の当委員会で私が提案をいたしましたのは、風営法の、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準に違反しているかどうかというのが、遊技機の性能の、外から見ても判断できないという問題。ですから、メーカーが中で勝手にやれてしまうという問題がありますが、それを簡単に判別する方法があるんですね。モニタリング装置、業界では役比モニターと言っていますが、この設置を私は義務づけるべきではないかと思います。

 この点も、私が質問したからかどうかわかりませんけれども、警察庁からも必要性を業界に指導されたというふうにも聞いております。

 これは、パチスロについては、実は、もう既に業界が自主基準として、このモニタリング装置を遊技機につけるということを決めたというふうにも聞いておりますが、一方、パチンコについては、この装置を装着する予定というのはないというふうに聞いているんですが、これは、警察、これも大臣、ぜひ、私が一年前の委員会で大臣からもお答えいただきましたので、これはどういう指導を行っていくのか。また、これは業界の自主基準に任せるのではなくて、しっかり法律上に位置づける、制度改正も行っていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、松本(文)委員長代理着席〕

松本国務大臣 パチンコ等への依存問題に関して、警察においては、問題として指摘されていることを踏まえ、業界団体に対して依存防止対策等の指導をしているところでございます。

 御指摘のパチンコ等の性能表示機能にありましても、射幸性の抑制の観点から、出玉の性能が容易に確認でき、射幸性が過度に高まることを防止することができる遊技機等の開発普及を進めるよう、業界団体に指導しているところでございます。

 現在、パチンコメーカー等の業界団体にありましても、その実現に向けて取り組みが進められていることから、警察としては、その状況をしっかりと確認してまいりたいと存じます。

高井委員 これは、本当にパチスロ業界ではもう自主的にやっている話でありますから、これも大臣のリーダーシップでぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、今度はパチスロの方の問題になるんですが、だんだんちょっと具体的なことになってくるんですが、パチスロでも、検定の基準よりも射幸性の高い遊技機が出回っているという現実があります。

 その原因は、出玉の制御を、規則では、主基板という制御装置で行うことになって、そこが検定の対象になっているんですが、実は、その主基板でないサブ基板で実際には行われているというふうに言われています。

 現在、パチスロ業界においても、サブ基板で出玉を制御している遊技機を高射幸性遊技機と指定して、自主的な撤去を順次進めているとは聞いています。

 しかし、そもそも考えますと、このサブ基板というのは密封されていないんですね。だから、容易に変えることができる。そういうサブ基板で出玉制御をするという手法は、風営法の施行規則の八条に定める、「容易に不正な改造その他の変更が加えられるおそれのある遊技機であること。」という基準に抵触しているのではないかと思います。

 このサブ基板で制御されているパチスロ遊技機は、主基板のみしか性能を確認できない検定制度をいわば脱法的に通過して射幸性が高められてしまっている。しかも、三年間という検定終了後もホールはさらに三年間設置しよう、そういう動きがあるようにも聞いています。サブ基板で性能を制御されているパチスロ遊技機については、そもそもこの認定を認めるべきではないのではないでしょうか。

 また、あわせて、ちょっと二つまとめて聞きますが、業界で自主撤去すると言っていますが、それにとらわれずに迅速にこれは撤去するように、全国的に、都道府県警に警察庁として指導すべきではないかと考えますが、いかがですか。

山下政府参考人 遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則におきましては、遊技機の、結果に影響を及ぼし、または及ぼすおそれのある機能を有する基板を主基板とし、これを密封することとされています。他方、主基板でない周辺基板は、遊技機の、結果に影響を及ぼし、または及ぼすおそれがある機能が設けられていないものでございます。

 このため、遊技機の周辺基板が遊技の結果に影響を及ぼす機能を有するものについては、風営適正化法施行規則第八条に定める、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準に該当することから、同基準に該当しない旨の都道府県公安委員会の認定を受けることはできないと考えられるところでございます。

 それから、先生お尋ねの、高射幸性の遊技機についての撤去のお尋ねでございます。

 これにつきましては、平成二十七年の六月に、パチンコ営業者団体は、高い射幸性を有するとしたパチスロ遊技機につきまして、設置比率を引き下げる目標を定めて、撤去することとしたところでございます。

 パチンコ営業者団体におきましては、平成二十八年十二月一日時点で当該遊技機の比率が設置台数の全体の五〇%以下になることを目標としておりましたところ、同日時点において、その比率は三九・八%であったとの報告を受けているところでございます。

 警察といたしましては、こうした遊技機の撤去が確実に進むよう、引き続き指導をしてまいりたいと考えております。

高井委員 今の御答弁は、サブ基板というものはそもそも認定の対象ではないということですね。それでいいですか。

山下政府参考人 先ほど御答弁を申し上げましたように、周辺基板がその遊技の結果に影響を及ぼす機能を有しているというものにつきましては、風営適正化法施行規則に定める、著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機の基準に該当するということで、これは都道府県公安委員会の認定を受けることはできないというものでございます。

高井委員 業界の方、これは結構、公の場でも、サブ基板で制御しているというのはもう広く一般に知られている話で、ちょっとそのあたりのところも建前論なのかなという気はいたしますが、いずれにしても、そこの部分をしっかりしていかないといけないということはぜひ御認識をいただきたいと思います。

 それでは、最後に、次の問題に入りますが、検定規則と特許制度との関係についてお聞きをいたします。

 パチンコ、パチスロメーカーが遊技機を大量に製造、販売するに当たっては、検定規則に定める技術基準を満たした遊技機を開発し、そして型式に関する検定を取得しなければなりません。しかし一方で、検定規則の技術基準を満たした遊技機を開発、製造しようとすると、どうしても回避することが非常に難しい特許権というのが多数存在するそうです。

 このような特許に関しては、損害賠償とか差しとめ請求訴訟を避けるための対策として、メーカー同士が集まってパテントプールを構成して、会員相互にライセンスして、一括して特許料を徴収して分配する仕組みを構築していると聞いております。

 このライセンス料の水準は、例えば、パチンコ遊技機ならば一台八千円程度。これは、年間百五十万台出荷されるとすれば、百二十億円という巨額のライセンス料が毎年発生するということになります。

 しかし、そもそも行政としてこういう特定の特許権を使用するように促す規則をつくるということ自体が、特定の企業に特許権が入るように優遇するようにも見えるんですが、これは警察庁としてはどういう見解ですか。

    〔松本(文)委員長代理退席、委員長着席〕

山下政府参考人 パチンコ店の営業者は、その営業所に、著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして風営適正化法施行規則第八条において定める基準に該当する遊技機を設置して営業を営んではならないとされ、同基準への該当性を判断するために必要な技術上の規格が、遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則において定められているところでございます。

 同規格は、施行規則第八条の基準に該当しない規格を明らかにするために規定をされているものであり、特定の特許を前提としている、そういうものではございません。仮に、規格を満たすために特定の特許が利用されているとしても、企業が特定の特許を利用することや、また一定の特許権の設定登録をすることについては、当庁としてはコメントをさせていただく立場ではございません。

 警察は、これら規則により、善良の風俗と清浄な風俗環境の保持等を図っているものでございまして、特定企業の優遇等を図っているものではございません。

高井委員 それでは、きょう、経産省に来ていただいていますが、経済産業省では、日本工業標準調査会、JISにおいてさまざまな規格を定めて、そこで定められた技術標準が電力保安行政などに利用されていますけれども、その際、特定の技術標準と特許権をめぐるトラブルが起きるんじゃないかと思いますが、こういった場合、どのような対策をとられておりますか。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、情報通信分野など技術革新の著しい分野におきまして、特許権を含む工業標準を日本工業規格、いわゆるJISでございますけれども、JISとして制定することが必要な場合がございます。そのため、工業標準化法の運用におきましては、特許権を含むJISを利用した者が後々に高額なライセンス料を請求されるなど不利益をこうむることがないよう、必要な措置を実施してございます。

 具体的には、経済産業大臣が、JISを策定する前提としまして、当該規格に含まれる特許権の権利者が、非差別的かつ無償あるいは非差別的かつ廉価であるなど、合理的な条件で実施許諾する旨の声明書を提出することを求めるとともに、策定したJISの前書きの部分に、当該特許権者の氏名と住所の情報を記載することとしてございます。

 こうした措置の結果、これまでのところ、JISと特許権との関係で問題が起こったケースは承知してございません。

高井委員 ぜひ、この警察の問題と経済産業省とも似た話だと思いますので、ちょっとお互い参考にしていただけたらと思いますが。

 もう一つ、ちょっと御提案申し上げたいのは、こういった規制の事情で強制的に使わざるを得ない特許権のライセンス料、先ほど百二十億円という、かなり大きな額でありますけれども、その全てが特許を持っている民間企業の利益に帰属するというのは私は不適当ではないかと。やはり、そのうちの一定の割合を、例えば、ギャンブル依存症対策、のめり込み対策などに活用してもいいのではないかと考えますが、警察庁、いかがですか。

山下政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、企業が特定の特許を利用することや、また一定の特許権の設定登録をすることにつきまして、当庁としてはコメントをする立場にはございません。

 現在、業界におきましては、パチンコ等への依存防止対策のためにさまざまな取り組みが進められているものと承知をしておりますが、当該取り組みに要する費用につきましては、これは業界において自主的に判断されるものと承知をしております。

高井委員 もうそろそろ時間でございますので質問はやめますが、大臣、ぜひ、この問題を去年の四月に私が質問して、河野大臣からかなり前向きな答弁をいただいて、かなり進んだ。もちろん、業界で痛みを伴った方もいらっしゃると思いますが、やはり、業界の中でも、いや、やってよかったという声もたくさんあります。何よりもやはり、利用者、あるいはギャンブル依存症に苦しむ方々に、これは大きな、ギャンブル依存症対策の中のかなりの比重を占める重要なテーマだと思いますので、関係閣僚会議なども開かれておりますから、大臣のリーダーシップでしっかりこれを解決することが本当にギャンブル依存症対策になると思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

秋元委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 本日は、五十分いただいておりますので、ゆっくりと質問をしていきたいと思います。

 きょうは五問ほどお伺いをするわけですけれども、今は国会全体が森友学園さんの話一色で、その前にいろいろと問題のあったことについてなかなか最近報道もされなくなりつつあるという、非常に残念なこともありますけれども、それは何かといいますと、天下りの問題でありますね。

 これは、今、もちろん担当省庁である文部科学省がしっかりと調査をされているところでありますけれども、具体的ないろいろな答弁を求めても、今実態調査をしているところなので、その結果を踏まえてどうこうということに恐らくなってしまうんだろうとは思うんですけれどもね。

 私は、この天下り問題を、きょうは国家公務員制度担当大臣の山本大臣に御答弁をいただくんですけれども、三月は、公務員の皆さん、退職される方はもちろんたくさんいらっしゃいますよね。まさか、ことしに限っては、いわゆる天下りじゃないかと疑われるような事例は、ことしに限っては多分ゼロだろうと思っているんですね。ここまで国会でクローズアップされて議論されている中で、まさかそういうことが行われないだろうとは思っているんです。

 ただ、今までの議論の中でも明らかなのは、事前にこの天下りを防げるかどうかというと、今の制度では防げないというのはもう明らかなんですね。

 松野文科大臣もおっしゃっていますけれども、ただ、この制度があったからこそ天下りが発覚したんだ、それは確かにそうかもしれません。でも、やった後に見つかっても仕方がないわけなんですね。やはりそれをいかに全くなしにするかということが重要なのであって、天下りしたことが制度によって発覚するのが大事なのではなくて、天下り自体を防止する制度が必要だということなんですね。

 私は、実際にこの天下り問題が発覚してから、では、どういう対応をこれからしていこう、例えば法律を出していくのか、それともいろいろな仕組みを内規で定めていくのか、それはいろいろ検討されているとは思うんですけれども、今その天下り問題対策について、山本大臣の方でどういった議論、どういうことがなされているのかというのをちょっとお聞きさせてください。

山本(幸)国務大臣 今回の文部科学省の再就職規制違反事案は、まさに国民の信頼を揺るがすもので、あってはならないものであります。

 それで、この国民の疑念を払拭するために、安倍内閣総理大臣から私に対して、同様の事案がないかどうか全府省について徹底的な調査を行うよう指示がありました。今現在、内閣人事局で立ち上げた再就職徹底調査チームにおいて、全力を挙げて調査を行っているところであります。

 その中で、御指摘のようなものをいろいろ考えていかなきゃいけないと思っておりますが、いずれにしても、やはり結果をしっかりと踏まえた上で、どうしたら有効な実効が上がるか、それを検討していくことになると思いますので、その点は十分考えながらやっていきたいと思っております。

浦野委員 今のお話だと、具体的なことはまだ全く検討できていないということだと思うんです。三月末で退職される方が一番多いとは思うんですけれども、今までの中でも、タイミング的に違う時期に退職される方もたくさんいらっしゃいますね。そう考えると、やはり防止するためにはなるべく早くそういう仕組みをつくらないとだめだと思うんですね。

 今までの質疑の中でも、我々、大阪府と大阪市は、そもそも国がつくった、安倍第一次内閣でつくられたこの制度を参考に、それをもっと厳しくつくり直して、大阪ではやっているわけですね。だから、絶対厳しくはできるんですよ、必ずね。我々は大阪でそれをやって、あるテレビ番組ででも、元共産党の国会議員の方に非常によくできているというお褒めの言葉をいただいたぐらい、その制度は割としっかりしているんですね。だから、その制度を参考にしていただいて、国でもその制度をつくり直したらいいと思うんですね。

 これは、今すぐにでも、大阪の事例をちゃんと調べたら、その制度はつくり変えられると思うんですけれども、そういうお考えはありますか。

山本(幸)国務大臣 私どもも、大阪府、大阪市の再就職規制についても勉強しております。御指摘の大阪府、大阪市で、勤続二十年以上の職員あるいはまた管理職職員については再就職禁止法人への再就職の原則禁止ということをうたっておられます。

 あとは、あっせん禁止とか働きかけ禁止は国と同じようなものでありますが、ただ、この実績を見てみますと、我々の現在のものとそう変わらない、そこまで言ってはあれですが、結局、届け出公表の実績を見ますと、例えば平成二十七年度は、再就職の届け出が二百十一名から出ているんですが、再就職禁止法人に百十四名就職しています。あるいは、二十八年は、二百十名のうち九十七名。つまり、半分ぐらいはやはり禁止法人と言われるところに再就職しているんですね。

 それはどうしてできるのかということで、ここはまさに特例が設けられているわけでありまして、適用除外、申請を受けて、知事が人事監察委員会の意見を聞いて、承認する場合にはよろしいと。そのうち、指定出資法人とか職員派遣団体については、人材バンクを使えということになっていますけれども。

 そうすると、そこのところの基準がどういう基準になっていて、それだけ多くの人がいわゆる再就職禁止法人と言われるところに再就職しているのか、これはやはりちょっとよく我々はわかりませんので、その辺をよく勉強しないと、原則禁止というふうに表向きは言っているんですが、実態はそうなっていないということでありまして、その辺は今勉強をしっかりとしているところであります。

浦野委員 大阪の場合は、今回の国の天下り問題のように、OBが仲介をして、そこを紹介して、就職をしているというものではないんですね。皆さん、もちろん職業選択の自由がありますから、自分たちで再就職先を探してきて、実力で再就職を決められた方々に対して、いや、それはだめですよという話ではありません。

 OBが仲介したりとか、誰かが仲介をして便宜を図っているから問題なのであって、そこは大臣の認識、ちょっと違うかなとは思いますけれども、しっかりと、もちろんこれから、このままで済むという話ではないと思うので、大臣も恐らくいろいろな対策を考えられると思いますので、ぜひ参考にしていただいて、そういった部分、どうなっているんだということがあれば、大阪でもいろいろ聞いていただいたら、ちゃんと答えがあると思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 天下りの問題もそうなんですけれども、行革、山本大臣は行革担当大臣ということで、いろいろと今までやってこられたと思うんですけれども、では一体どういう成果があったのかというのは、なかなか我々自身もそういうことが見えてこないというか、そういうことが、例えば、行政事業レビューとか調達改善の取り組みというのを進められておりますけれども、なかなか我々の中では、一体どういう行革をしてきたのかというのがわからないという部分もありますので、ちょっと具体的なものを、成果をおっしゃっていただけたらと思います。

山本(幸)国務大臣 御指摘のように、なかなか、行革で実績が上がっているというようなことを発表しても、いいところは余り新聞が取り上げてくれないというような感じもありまして、まさに大変残念な気持ちであります。しかし、しっかりやっているというつもりでいます。

 政府に対する国民の信頼を得る観点から、社会の変化に的確に対応し、行政のあり方を不断に見直す行政改革の取り組みは極めて重要だと認識しております。

 このために、行政事業レビュー、これはよく御存じかと思いますけれども、行政事業レビューによる事業の見直しや調達改善の取り組み等を通じて、行政を効果的、効率的に実施するための見直しに取り組んでいるところであります。

 具体的には、第二次安倍政権発足直後の平成二十五年一月に、行政改革推進本部を設置する閣議決定を行いまして、次のような取り組みを進めております。

 まず、行政レビューにつきましては、基金シートの作成と公表、行政改革推進会議が行う秋のレビューの地方開催など、毎年度新たな改善を加えながら、政府の全事業、約五千事業ございますが、これを計画的に検証してきております。

 その結果、毎年の秋のレビュー等の取り組みによりまして、これまでに、予算概算要求から累計八千億円を超える予算の削減を行うとともに、基金についても、継続的に余剰資金等の点検に取り組み、総額七千億円を超える国庫返納予定額を確保したところであります。

 また、調達改善につきましては、平成二十五年四月の行政改革推進本部決定で、各府省が年度ごとに改善計画を策定するとともに自己評価を実施し、行政改革推進会議が各府省の自己評価結果を点検する枠組みを構築し、政府全体として不断に取り組んできているところであります。

 例えば、随意契約については厳正に審査を行い、随意契約によらざるを得ない場合にはその理由を公表しており、仕様の見直しにより入札に移行した例等があります。また、一者応札についても、実績要件の緩和により複数応札となり、費用の削減につながった例等がございます。さらに、平成二十八年度の行政事業レビューでは、初めて、随意契約、一者応札を重点的に点検し、外部有識者からの指摘を踏まえ、各府省において改善に向けて取り組んでいるところであります。

 このほかに、これは私が言い出したことでありますけれども、政府一体の統計改革と、根拠に基づく政策立案、EBPM、いわゆるエビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングの推進に取り組んでいるところであります。

 私の提案を踏まえて、本年二月、関係閣僚及び有識者から成る統計改革推進会議が立ち上がり、現在、今夏の骨太方針に向けて具体的な方針を取りまとめるべく、鋭意検討を深めているところであります。

 EBPMの推進は、ユーザー視点から統計やデータの利活用を推進し、我が国の政策立案のあり方を大きく変える新しい取り組みであり、行政改革担当大臣として、関係大臣と協力し、精力的に取り組んでまいりたいと思っております。

 実は、この統計改革、EBPMに行くための統計改革は、極めて大きな大改革だと私は思っているんですけれども、ほとんどマスコミは注目してくれないということで、大変残念に思っているところであります。戦後五十年かけて日本の統計は大変悲惨な状況になっておりまして、よく中国の統計が当てにならないなんて言っていますが、日本も笑えたものじゃありません。そういう意味で、しっかりと統計を本格的にやり直して、そして根拠に基づく政策立案につなげていくことが大きな行政改革だと私は思っております。

 こうした行政改革の取り組みを通じて、今後とも、個々の事業や行政の仕組みについて、効果や効率性、透明性の向上を図り、国民の皆様が納めた税金が有効に活用されるようにしてまいりたいと思っております。

浦野委員 最後の、大臣が主導されたEBPMですか、私も統計は本当に大事だと思うんですね。

 この間、予算委員会の分科会で、私、経済産業省の皆さんに、保育政策でいろいろ、待機児童の解消だとかいうことで今一生懸命やっているけれども、経済活動的に見てどういう効果があるのかというのを数字で出せますかという話をしたんですね。経済産業省さんは、府省では持っていない、ただ、民間でそういうことを調べた数字はあるので、それを参考に、政策的には間違いはないということをおっしゃっていたんです。

 私は、やはりそこは各省庁がしっかりとした数字によるエビデンスを持ってもらわないと、本当に待機児童解消というのを、ある党が、全国の問題だ、全国の問題だときのうも言っていましたけれども、あれは都市部だけの問題なので、全国の問題でも何でもないんですね。待機児童なんていてない市町村は幾らでもありますから。というか、どっちかというと、ない市町村の方が多いですから、全国の問題でも何でもないんですね。都市部だけの問題なんですよ。

 ああいうことも、本当に解決するためにどういう政策が必要かというのは、やはり数字から導き出されることもあると思うんですね。私は、そこはしっかりと、本当に政策がこの方向で正しいのかどうかというのを見るためには、やはりそういう数字の根拠というのは重要だと思っているので、ぜひ大臣、マスコミに注目されなくても続けていただけたらと、そこは思います。これは本当に大事なことだと思いますので、しっかりよろしくお願いをしたいと思います。

 三つ目に移ります。

 私、国会議員になってすぐぐらいだったんですけれども、北海道の、北方領土、北方四島の視察に行かせていただきました。四島には行っていないですよ、行けないので。北海道に行かせていただいて、標津町の北方領土資料館を訪ねさせていただきました。

 私、国会議員になってすぐだった、そんなに時間もたっていなかったので、ちょっとびっくりしたんですけれども、お話を聞きますと、北方領土資料館というのは複数あって、国が主体的にやっているのが一つ、大きなところがあります。私が行った標津町の北方領土資料館というのは、地元の市町村さんが運営主体でやっておられるということか何かで、できた当初は結構立派だったんだろうなと。ところが、そのときの感想をそのまま申し述べますと、非常に汚い、非常にぐちゃぐちゃ、ほんまに大丈夫かというような資料館だったんですね。

 今、安倍政権が北方領土についてもいろいろと、ロシアと交渉をする中で大事な政策の一つでありますけれども、北方領土資料館、こんなのでええんかという思いがあったんですけれども、このことについてちょっと、国はどういった活動をしているのかというのをお聞かせいただきたいと思います。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 啓発施設のことでお答えする方がよろしいですか。浦野先生がごらんになったところは、今お名前が出てしまったのであれですけれども、特に老朽化しているものをたまたまごらんになってしまったんですが、おっしゃったように、国としても、ほかにも啓発施設がございまして、いろいろ力を入れて今後も取り組んでいきたいと思っております。

 二十九年度予算で、納沙布岬の公園内の施設等につきまして、経年劣化とか塩害でちょっと老朽化している面もありますので、そうしたところの状況調査をすることにしているなど、今後もしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

浦野委員 たまたまそこを見てしまったんだとは思うんですけれども、やはり資料館と銘打ってやっている以上は、もうちょっとちゃんとやってもらえたらなと。それはまた、地元の市町村に任せきりじゃなくて、これは国策として北方領土の問題に相対しているわけですから、ここはやはりちょっと。

 国がつくっている施設はもちろん結構立派な施設になっていますので、主体的にかかわっているところはそうなっていますので、ぜひ、ほかにもあるのであれば、それなりに、誰が来ても、どの施設に行っても、いや、国はちゃんとやっているんやで、ちゃんと北方領土を忘れていないんやでという態度を示すためにも、そこはしっかりとやっていただけたらなと思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 これはぜひ、資料館、別に建てかえろとか、そういうつもりはありませんので。ただ、誰が来ても、ちゃんと国は見ているんやなというふうにしていただけたらと思います。

 続いて、四つ目なんです。

 四つ目、先ほど皆さんに配られた資料、これは何の写真やと思われた方もたくさんいらっしゃると思うんですけれども、これは見てのとおり卵なんですね。詳しく言いますと、ゆで卵です。

 きょう、これは何の質問かといいますと、今までずっと、消費期限、賞味期限、これはややこしいという話を延々と、今までも、議論が出ては忘れ去られ、また議論が出てきては忘れ去られというのを繰り返してやっているんですね。

 一消費者として正直に、今すぐに賞味期限と消費期限の違いは何かということを答えられる消費者なんて、多分ほとんどいてないんですね。

 私も、資料をいただいて、その資料を見て、ああ、なるほどな、確かに違うもんやというふうには理解はしています、今は。

 でも、ふだん、食品を町で買われる消費者の皆さん、主婦の方々とかが明確にそういった賞味期限と消費期限の違いを認識しているかと言われるとちょっと違うし、恐らく、どっちもこれより後は食べたらあかんやろなと思っている人が大半だと思うんですね。そういう認識しかないと思うんですね。

 この問題のゆで卵の画像なんですけれども、実はきのう、同僚の、うちの党の一番背の高い議員が国会内でモーニングを頼んで、この卵が来たんです。もちろん国会内のお店なんですけれども、きのうです、三月七日です。三月七日のモーニングで頼んだ卵の刻印が、賞味期限、一七年の二月二十日なんですね。これは、卵に印字できる、こういうメーカーも、多分大手になると思うんですけれども、卵に直接印字する技術も今ありますので、そういうふうにやっているメーカーのうちの一つだと思うんですね。

 二月二十日が賞味期限だということは、多分、食べぬ方がええんちゃうかとみんな思うと思うんですね。特に卵はあたったら危ないですから、恐らく普通の人やったら、二月二十日やったらまずいんちゃうかと思うんですけれども、卵は、実はめちゃくちゃ長もちするんですよね、生卵の場合。

 これは出してええもんなんかというのを、まずちょっとお聞かせいただけたらなと思います。

吉井政府参考人 お答えいたします。

 食品の表示でございます。食品表示基準上、賞味期限といいますのは、長期保存ができるような食品に対しまして、定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限ということでございます。

 簡単に申し上げますと、おいしく食べることができる期限ということでございまして、これを超えたからといって直ちに食べられなくなるというものではございません。

 また、容器包装された生食用の鶏卵、卵を販売する場合には、その表示事項といたしまして、生食用である旨、賞味期限、それから賞味期限経過後は十分に加熱調理する必要がある旨等々につきまして表示することとなっております。

 なお、先生御指摘の、加熱調理をされたゆで卵でございますけれども、これは加工食品という形に分類をされます。容器包装された加工食品を販売する場合には、一般的に、保存の方法、あるいは消費期限または賞味期限、あるいは原材料等々を表示することとなっております。そういう状況でございますけれども、飲食店で、つまり喫茶店等の飲食店で提供される場合には、表示の対象にはしてございません。

 それから、先生御指摘の、二月二十日という表示がこのゆで卵にされているということでございますが、実態といたしまして、あくまでこれは生食用としての賞味期限がこの卵の殻に印字をされたといった卵、鶏卵であったと思います。これは調理をしたということ、その店で調理をしたということが考えられるわけでございますが、当該お店で、その事業者が独自に安全と判断をされて、お客様に提供されたということだと思われます。

浦野委員 多分、皆さん、ううむと思ったと思うんですけれども。

 一つ確認しておきますけれども、この場合、別に、特に罪にはならないという認識でいいんですね。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 食品の表示制度の目的でございますけれども、これはあくまでも消費者の選択機会をしっかりと確保していく、そのことによって消費者の安心を確保していく、これが目的でございます。

 一方、食品の安全といった問題につきましては、何か問題が生じた場合には、これは厚生労働省の所管でございますけれども、食品衛生法に基づきましてしっかりチェックをされているというふうに認識をさせていただいております。

浦野委員 要は大丈夫だということだろうと思うんですけれども。

 ただ、これは、皆さんほど専門知識がある方であれば、そういう判断もされるかも、今述べられたようなことを考えるかもしれないですけれども、一般の人たちは頭の中でそんなことを考えませんから、わからないんですね、正直。

 これを頼んだ方も、僕が隣で、いや、大丈夫ですよ、大丈夫ですけれども、でも、卵はあたったら痛いですよと、ずっと横で言ったんですね。ほんなら、結局、塩までかけとったんですけれども、やっぱりやめとくわと言うて、食べなかったんですよ、実はね。きのうは昼から本会議もありましたし、もう本会議、座ってられませんよ、あたったらということを言っていたら、食べるのをやめました。

 今おっしゃった安心と安全、これは今東京で話題というか、もう本当に大議論になりつつある築地と豊洲の問題でもそうですけれども、安心というのと安全というのとは全く実は違うというのもあるんです。

 実際に、では、問題ないとはいうものの、消費者にとっては、いや、皆さんは消費者にとってわかりやすくこれをつけてあるんだという議論かもしれないですけれども、消費者は逆に、これは物すごくわからないですよね。いつのタイミングでゆで卵になったかもわからないんですよ。加工されたのがいつかというのも非常に重要じゃないですか、実際は。

 実は、きょうもモーニングを頼んだら、全く同じ刻印をされたモーニングが届きまして、きょうのゆで卵も、きのうと同じゆで卵なんですよ。皆さんにはお配りしていないですけれども、一応写真はあります、ここに。だから、恐らく、きのうゆでたけれども残ったんだろう、きょうも使っているんだろうということなんです、恐らくね。それはわからないです。

 でも、わからないですけれども、このゆで卵が大丈夫かどうかというのを、まあ、それは店が担保しているんだということだったんですけれども、でも、賞味期限が二月二十日の卵ですよ、ゆで卵にして出してもええのですか、ほんまに。

 いや、自分の家で買った卵でそれぐらい過ぎているもの、約二週間ですね、二週間ぐらい過ぎている卵だったら、生食はしないですけれども、加熱調理はしますよ。それだったら大丈夫やと思って食べますよ、僕でもね。恐らく、卵の鮮度は結構長もちするというのをわかっている人もたくさんいらっしゃいますから、賞味期限が切れていても、ああ、これぐらいだったら大丈夫と言って調理して食べます、実際はね。そういう人もたくさんいてると思います。

 でも、これは、例えば食品ロス問題とかもあるじゃないですか。長もちするのに、こうやって賞味期限、消費期限というのを区切ってやってしまうと、廃棄する人もいらっしゃるわけですね。これは本当に、皆さん説明されましたけれども、きょうはたまたま、卵、ゆで卵の話ですけれども、では、卵の賞味期限をもっと長くしたらいいのちゃうんかと僕は思うんですね。

 そういう食品はいっぱいあると思うんですよ。大手メーカーの食パンなんかも一週間を過ぎても平気で食べられますし、それだったら、一週間賞味期限を延ばしたらええのちゃうと思いますしね。そういうのは結構あるんですね。それを、例えばコンビニなんかでは、賞味期限が切れたから、消費期限が切れたからといって廃棄処分して、それはそれで日本の中でも問題になりつつあるわけじゃないですか。そこは、解決の糸口というか、そういったことは何か考えられていますか。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 まず、卵の場合、これはあくまでも業界団体が賞味期限なりについて設定をさせていただいているんですけれども、私どもも業界団体の方からお伺いをし、またホームページなりを確認させていただきまして、科学的には、生卵の場合は、普通の冷蔵、十度C以下であれば五十七日間もちますというデータがございます。

 一方で、ゆで卵はゆで卵、これは加工するとまた別のデータがあるわけです。ホームページによれば、ゆで方によっても違うんですけれども、普通、かたくゆでた場合は、例えば、五度Cで保存をすれば二、三カ月もつ、十度Cでは三週間ぐらい、常温、二十五度C以上であれば三日から七日ぐらいだということが指摘をされている。あと、ゆで卵の場合、殻をむいた後は、もうその日に食べてくださいというものでございます。

 そうした状況をしっかり判断してお店の方でも提供をしていただくということが、保健衛生上は、安全性の面では重要になってくるのかなというふうに考えております。

 そこで、先生御指摘の、賞味期限が、今の、適切で、さらに長くするような何か課題みたいなのがないのかということだと思うんですけれども、先ほども御説明を申し上げたとおり、賞味期限につきましては、あくまでも生食用としておいしく食べられる期限を表示しているというものでございます。賞味期限は、一般的に、それぞれ食品の特性等を踏まえまして、各食品関連事業者が適切に設定をして表示をされるものと考えております。

 鶏卵につきましても、先ほど申し上げましたように、これは業界団体、パック事業者の団体でございますけれども、そこが自主的にマニュアルを作成しておりまして、そのマニュアルで決められた形で各事業者に指導をなされているというふうにお伺いをしております。そうしたマニュアルに基づきまして、鶏卵の保存、流通実態等に応じて各自が適切に賞味期限を設定されているものというふうに承知をしております。

浦野委員 きのう、議員宿舎の近くの、みんな大好き吉池さんで、卵を見てきました。大体、三月十五日から十八日が賞味期限で売っています。だから、今から大体十日前後ですよね。いつぐらいから棚に置いてあるのかわからないですけれども、卵は常温で販売されていますよね。今おっしゃったように、十度以下ではないところもありますよね、売り場によっては。そういうことも含めたら、やはり十日ぐらいしか賞味期限がないんだという判断なのかもしれないですけれども、それも何か、そんなに厳密に条件が課せられていて、それやったら五十七日間、生卵でも大丈夫やと言われても、消費者の人たちはそんなのはわからないですよね。そこまでみんな覚えておけと言われたら、それまでですけれども。

 ちなみに、この問題になったゆで卵はかたゆでやったので、大分もつというのは判明しましたけれども。

 これはほんまにちょっと、賞味期限やったら賞味期限を延ばすとか、卵についてはちょっと考えたらええんちゃうかなと、今聞いていて、やはり思いますね。

 消費期限の方が、実は大体短いですよね。おいしく食べられるのが賞味期限であれば、この期限を過ぎたら食べられへんというのが消費期限。卵の場合は、おいしく食べられへんようになるのは十日前後ですけれども、それなら消費期限は五十七日間あるということですか。だって、食べられるということはそういうことでしょう。消費期限の方が長いということですか、生卵に関しては。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 生卵の場合は、数少ないんですけれども、賞味期限と消費期限がそれぞれございますけれども、消費期限については、食べられない期間ということでございますので、日配品といいますか、一般的に豆腐や納豆だとか腐りやすいもの、そういったものが対象になっております。

 したがって、ちょうどボーダーライン上にある卵だとか牛乳だとかというのは、これは生鮮なんですけれども、若干日もちがするということで、これは賞味期限の設定をしているというものでございます。

 生卵の場合は賞味期限のみを設定しておりまして、消費期限については設定をしているというものではございません。

浦野委員 そうですね。売り場に売っているのも全部賞味期限のラベルが張られてありましたから、そうなんだろうと思うんですけれども。

 でも、今の話でやったら、消費期限はもっとさらに長いということになりますので、そこら辺は、私は消費者に対してはわかりづらい表示になっちゃったんじゃないかなと正直思いますね。だから、今回は、さっきも言いましたけれども、卵のことだけを言っていますけれども、そういった食品は結構あると思うんですね。

 もちろん、今までこういう議論がいろいろあって、この消費期限、賞味期限というのはなかなか決着がついていないというのもわかるんですけれども、やはり消費者にとって何が重要か。まあ、おいしさが重要だと言われたら賞味期限の方が大事ですけれども、安全に食べられるという意味でいったら、消費期限の方が大事なんですよね。

 だから、消費期限の方をもっとしっかりと食品については定めるべきなんじゃないかなと、僕は今の答弁を聞きながらちょっと思いましたので、これからもいろいろと議論がなされると思いますけれども、しっかりとまた考えていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 卵については、以上です。

 最後になります。実はきのう、報道でも、とうとうその会の存在も公になってしまいました問題が、受動喫煙、たばこの分煙、禁煙、喫煙の話です。

 これは、法律自体は厚生労働省が所管ですけれども、きのう、もくもく会という反対派の圧力団体が国会内に存在するということがとうとうニュースになってしまいまして、もくもく会に所属の先生がこの中にももしかしたら、いてはりますね。今、目が合っちゃいましたけれども、いてはりますけれども、我が党にももちろんいてるんですね。これは自民党さんもいてるし、日本維新の会もいてはるし、多分、公明党さんも、公明党さんはちょっと、ないしょで入ってはるのかどうかよくわからないですけれども、それはちょっと伏せておきます、今はよくわからないので。

 ただ、この議論がわあっとなって、法案を何か十日までに出すつもりが、法案を出せなくなったということを聞いております。それはまあ、法案は多分、最後には出てくるんだろうと勝手に思っているんですけれども。

 そこで、議員会館は今、分煙室というのがありますよね。その法案、今の法案の内容に照らし合わせたら、議員会館はどうなるのか、院内、衆議院、参議院、もちろんありますけれども、院内はどうなるのかというのをちょっとお聞かせいただけたらと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 三月一日に私ども厚生労働省の方で公表しました「基本的な考え方の案」というのがございます。この中では、公共の場所、すなわち多数の方が利用する施設を規制対象としつつ、施設や場所の性質を考慮して、喫煙を禁止する場所を設定しております。それで、事務所等の施設というのは、屋内禁煙としつつ、喫煙専用室の設置を認める、こういう整理にしているわけでございます。

 それで、お尋ねの議員会館でございますが、この議員会館は、議員あるいは秘書がそれぞれ個別に政策立案等のために用いる施設でございます。通常のオフィスと同様の性質を持つことから事務所に該当するというふうに考えられまして、屋内禁煙で、喫煙専用室の設置は認められる、こういった整理になるものというふうに考えております。

 また、院内というふうにおっしゃいました、この国会議事堂でございますけれども、国会議事堂は、立法府としての国会の公的な機能を発揮する施設として官公庁施設というものに該当するというふうに考えておりまして、屋内禁煙という整理になるものというふうに考えているところでございます。

 なお、私どもが出しました案におきましては、官公庁施設に該当すると整理される場合でありましても、法施行時点で既に設置されている喫煙室については、一定の基準に合致する限り、既存の喫煙室の経過措置の対象ということで、法施行後五年間は引き続き当該喫煙室で喫煙を行うことができる、そういった内容になっております。

浦野委員 今お聞きいただいて、ほうという声も上がりましたけれども、要は、議場の後ろにあるあそこは五年間は維持されるんだろう、この出たところにある喫煙ルームも五年間は経過措置で残ると。今さっき、質問前にトイレに立ったら、もくもく会の偉いさんがそこで吸ってはったので、おおっと思いながら通ったんですけれども。

 私ももともとたばこを吸っていましたので、たばこを吸っていらっしゃる方々、別に隣でたばこを吸われても、何とも僕は思わないんですけれども、ただ、やはり子供とかがいるところで同じように吸われると、それはちょっとどうかなというふうにも思うので、言い方は悪いですけれども、たばこを吸う人はもうちょっと気を使ってもらえたらなというのが本音なんですね。

 私は、これからももくもく会の皆さんの抵抗がまだまだあるとは思いますけれども、この法案、必ず出していただきたいなと思っています。我が党も、国対委員長等がもくもく会の幹部ですので、もしかしたら、それだけでこの法案、うちの党はどういう態度になるかわからないといううわさも流れていますけれども、そんなことは絶対ありません。我々は是々非々の政党ですから、しっかりと議論して、賛否をちゃんと出したいと思っていますので、厚生労働省の皆さんは、今、いろいろな委員会に呼ばれて同じような質問をされていると思いますけれども、ぜひ、負けぬと頑張って、この法案を出してください。

 以上です。質問を終わります。ありがとうございました。

秋元委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 民進党、信州長野の井出庸生です。

 本日は、特定秘密、また共謀罪、テロ等準備罪、それから通信傍受、会話傍受といった監視的な手法の捜査について伺ってまいりたいと思います。

 最初に、特定秘密について副大臣にお尋ねをしますが、ことしも、また年度が変わりましたら、しかるべきときに年間の特定秘密の国会報告というものがなされると思いますし、私も、国会で昨年などは何度か質問させていただいたのですが、昨年、一昨年、一昨年中心ですかね、の運用状況等を見て、ここまで振り返ってこられて、お話しできることをまずお話しいただきたいと思います。

盛山副大臣 まだスタートして間がないわけでございますけれども、井出委員を初めとする諸先生方、衆参の御意見も伺いながら、我々としては、適切に運用し、開示できるところをできるだけ開示している、そんなつもりでございます。

井出委員 一点、昨年の十月、たしか十九日だったかと思いますが、私が隣の法務委員会の方で取り上げさせていただいた問題がありまして、ここでも少しお話をしましたが、特定秘密というものが平成二十七年末に四百四十三件、それに具体的な情報が記録された文書というものが、四百四十三件に対して二十七万二千二十点ある。その中で、防衛省ですとか警察庁で指定をされた特定秘密に、実際、その具体の情報が記録された文書というものはなかった、検証してもこの後情報が入ってくることはどうも見込めない、そういうことで特定秘密の指定を解除したケースが五件ありました。

 その件について、私は、昨年の十月に、平成二十七年末に四百四十三件ある、指定を解除すべきものは五件だというようなお話があったんですが、その特定秘密の具体のものが記録された文書というものが存在しないものがあるのかないのか、網羅的に確認をしているのか、そういうことをお尋ねしたときに、最終的には、当時の金田大臣の答弁は、正確な数字については改めて精査をする必要がある、そういうお話だったと思います。

 その精査というものについて精査をされたのかどうか、されたのであれば、その件について内容を明らかにしていただきたい。

盛山副大臣 今、井出委員が御指摘であったとおり、昨年十月十九日の衆議院法務委員会におきまして、金田大臣から、現在指定されている特定秘密の大半には具体的な情報が存在していて、そして、現時点では具体的な情報が存在しない特定秘密の件数も若干あると聞いているが、正確な数字については改めて精査する必要があると認識している、そんなふうに答弁をいたしたところでございます。

 その後、我々の方で精査をいたしました結果、平成二十七年末の時点で指定されていました四百四十三件の特定秘密のうち、昨年十一月二十一日時点において具体的な情報が存在しないものは七件であることが確認されました。その旨、衆議院情報監視審査会に報告されたものと承知をしております。

 これら七件の特定秘密につきましては、その後、この類型に該当しなくなる見込みとなったと承知をしております。

 今後とも、情報監視審査会からの指摘、あるいは独立公文書管理監からの意見も踏まえまして、特定秘密の指定や解除を初め、法律の適正かつ円滑な施行に努めてまいりたいと考えております。

井出委員 昨年の十月に法務委員会でそのお話を私がさせていただいたのは、四百四十三件について網羅的に確認をされているかと。それに対して、今お話があったように、大半の特定秘密にはきちっと情報を記録した文書はある、しかし、若干そういうものが存在しないものがあって精査が必要だと。

 今、七件というお話が数字として挙げられましたが、その精査のプロセスですね。私は当時、その若干というところについて、若干という言葉の曖昧さというものを、当時は再質問もしているんですが、若干というものは人によって捉えようだというようなお話で終わっておるのですが、その精査のプロセスというものについて、もう少しお話をいただければと思います。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 衆議院の情報監視審査会からの求めに応じまして、平成二十七年末時点におきまして行政文書が存在しない特定秘密につきまして、件数を御報告申し上げたところでございます。

 その後、これにつきまして精査をいたしまして、ただいま御答弁ございましたような類型のほか、幾つかの類型がございまして、例えば、具体的な情報が職員等の知識として存在するものがあったわけでございますが、これにつきましては、措置をとりまして、このような類型に該当しなくなるものと聞いております。

 このほか、特定秘密を記録する行政文書はないが、特定秘密を記録したり、化体、体現するような物件があるものでありますとか、特定秘密を記録する行政文書が他省庁等にあるものがあるということでございます。

井出委員 時間に限りもありますので、一つだけ伺います。

 特定秘密が、実際記録された具体の文書ではなくて知識であった、今そういうお話があったかと思いますが、特定秘密というものは、指定期間が五年まで延長も可能ですが、そういうくくりの中で指定をされていく。ただ、知識となると、知識は、私みたいに次の日になれば忘れる人もいる、また、記憶力のいい人は十年も二十年も覚えているような方もいる。知識を特定秘密にするということが一体どこまで認められるのかということがまず一点。

 それから、特定秘密を制度上指定を解除する、指定する、指定を延長するとかとしたところで、それは実態上、なかなか知識を、では、五年たったから、井出さん、忘れてくださいというわけにはいかないわけでございます。

 そういうことを考えると、この特定秘密に指定をする文書というものはそうそう簡単に廃棄はできないんじゃないかなと。公文書管理法上、もう廃棄していい文書、そういうものが、特定秘密が記録された文書があった、廃棄しました、しかし、記憶のいい人が残っていて、あるときぽろっとしゃべってしまいました、しゃべってしまったけれども文書はありません、それが確かかどうかわかりませんと。

 そういうことを考えれば、基本的に、特定秘密が記録されている文書というものは、公文書管理法上捨てることが許されるからといって軽々に捨てられないのではないかという問題意識を持っておりますが、その二点についてお答えを求めたいと思います。

田中政府参考人 特定秘密の指定の対象は個々の文書ではなく情報でございますことから、行政文書等が存在しない特定秘密も観念的には否定をされないところでありますが、他方、特定秘密に限らず、行政上重要な情報がある場合には、幹部への報告や関係部局との情報共有が正確に行われるよう、また、後年においても正確な引用ができるよう、文書を作成し組織的に管理することは有益でありまして、実際にそのようにされるのが通例であるというふうに考えているところであります。

 特定秘密も適切に管理される必要がございまして、行政文書等が存在しないのは、口頭で提供を受けて文書に記録するまでの合理的な期間内といったやむを得ない場合を除き、特定秘密の適切な管理に支障が生じない場合に限られる必要があるというふうに考えております。

 それから、指定の有効期間の関係でございますけれども、特定秘密の指定の有効期間は、指定の要件の理由の再検証を適切な時期に行うために設定されるものでありまして、各行政機関におきまして、そのような観点から、特定秘密文書等の存否にかかわらず適切に判断されるべきものというふうに考えております。

 それから、行政文書の保存の関係がございました。

 これにつきましても、公文書管理法に基づきまして、それぞれ行政機関の長におきまして行政文書の保存期間を設定するものでございますけれども、先ほど申し上げましたように、特定秘密を適切に管理するという観点から問題のないように保存すべきものというふうに考えております。

井出委員 今、最後に、特定秘密を適切に管理するというお言葉でまとめられたのですが、その前段で、特定秘密はその文書の存否にかかわらず適切に指定をすると。

 確かに、知識に、あいつの頭の中に特定秘密が入っているからと、何か頭に判こを押すわけにもいきませんし、知識の話からは少し離れますが、何か、ある物そのものが特定秘密であれば、物を文書に写し込むことは難しい。まあ、物の概要ぐらいは文書にできるのかもしれません。必ずしも文書がないということもあるのかと思います。

 ですが、特定秘密の適切な管理というものを考えれば、特に知識というものについては、できるだけ、文書や何か、客観的に後できちっとわかるような形にしていく。そのことについては恐らく、口頭で得た情報を記録するまでの合理的期間とかというところで今お答えをいただいたと思うんですが、やはり、文書の廃棄の問題がどうしてもひっかかるんですね。

 公文書管理の問題で、一年以内に捨てていいとかいろいろあるのかと承知をしておりますが、恐らく、基本的には、特定秘密に一度指定したものというものは、今法制上も何も措置がないのかなと思うんですが、少しやはり文書の保存期間について、もう扱いをちょっと変えていく必要があるんじゃないか。その点についてちょっと伺いたいと思います。

田中政府参考人 まず、行政文書の保存期間の設定というのは、公文書管理法に基づきまして、その保存の必要性の観点から設定をされるということでございます。

 他方、特定秘密につきましては、先ほども申し上げましたように、行政文書が存在しない特定秘密も観念的には否定されませんが、行政文書が存在しないために、特定秘密を適切に管理するという特定秘密保護法の趣旨を損なうようになることは厳に避けなければならない、そのように考えております。

 先ほど申し上げましたように、行政文書等が存在しない特定秘密につきましては、管理上問題が生じない場合に限られる必要があるというふうに認識をしております。

 そして、実際に、特定秘密につきましては、幹部への報告や関係部局との情報共有が正確に行えるよう、また、後年においても正確な引用ができるよう文書を組織的に作成いたしまして、保管して、そのようにして特定秘密を組織的に管理する、そのように措置されることが通例であるというふうに考えているところでございます。

井出委員 この国会では幾つか時事にわたる問題が取り上げられまして、その文書が廃棄をされていたものがあったり、廃棄をされたと言って、実はありましたというものがあったり。それは恐らく、各省庁の文書管理規則によってそういうものを定められていると思います。

 この特定秘密の場合も、公文書管理法上、では、文書の保存期間をどうするのかということは一義的にはその省庁が決めると思うんですが、今お話があったように、特定秘密というものは、漏らせば非常な罰則もかかりますし、あと、それと何よりも、横の横断的な管理、情報共有というものも加味をしますと、特定秘密の文書の保存、管理の年限の設定というものを今までどおり省庁で、今までどおりの判断で果たしてやっていいものなのか。

 特定秘密である以上は、例えば廃棄してから、この類いの文書はこのぐらいはとっておけ、こういうものはきちっと、特定秘密になってさえいなければ歴史公文書にはしなくてもいいけれども、特定秘密にした以上はやはりこれは歴史公文書にした方がいいとか、少し、端的に言えば、基本的には保存する、廃棄が認められるものであっても、廃棄は極力、廃棄までの期間を十分延長していくとか、そういう方向の運用になっていった方がいいんじゃないかと思うんですけれども。

田中政府参考人 先ほど申し上げましたように、行政文書の保存期間は公文書管理法に基づいて設定をされるわけでございますが、公文書管理法に基づいて設定する際には、やはり情報の管理上、この文書が必要かどうかというふうな観点を加味して保存期間が設定されるというふうに認識しております。

井出委員 きょう、あと三時間、四時間やっても変わりそうにないので、少しまた質問の観点を改めてまいりたいと思います。

 それから、次に、共謀罪、テロ等準備罪の関係で国家公安委員長にお尋ねをしたいのです。

 昨日、法務委員会、これまで予算委員会でも言われてきたのですが、共謀罪、テロ等準備罪を導入して、今までの犯罪が、着手、未遂、それから予備、準備、それよりもう少し時間的に前の段階で、この法律は犯罪計画を察知して、合意段階で取り締まっていく、準備行為というものがあった場合、逮捕するというような話であるんですけれども、時間的にはやはり犯罪の実行、着手、未遂よりまたぐっと前のところでやっていくということは、これは与党、野党、政府とも変わらないと思うんです。

 そうすると、予算委員会でも、きのう法務委員会で私も言いましたが、やはり通信傍受ですとか、警察庁がたびたび言及されている会話傍受ですとか、あと、今裁判で問題になっておりますGPSによる捜査ですとか、いわゆる監視的な捜査というものが、やはりその必要性が高まってくるのではないかなと思うんですね。

 きのう、私はこのことを法務委員会で聞いたときに、テロ等準備罪も含めて、通信傍受の対象犯罪を追加する法改正を行うことは予定していない、そういう答弁を予算委員会でもいただいているんですが、ただ、これは法務大臣がこの法案の担当なのできのうそちらで聞いたんですが、捜査を立案していくのはやはり警察である。

 警察の方においては、やはり社会の多様化、犯罪の多様化に応じて、会話傍受ですとか身分仮装捜査ですか、そういったものがいろいろ必要だというようなことは従前から主張されていると思うんですが、そうした監視型の捜査の導入の議論が加速をしていく、もう少しいい言葉で、そちら警察の言葉、サイドに立って言えば、そういう必要性が増していく、そういう可能性というものは私は十分あると思うんですが、その点について伺いたいと思います。

松本国務大臣 基本的なところで、このテロ等準備罪につきましては、現在、政府内で最終的な調整を行っている段階にあること、また、捜査は個別の事実関係に即して行われるものであることから、この捜査方法などについて詳細をお答えするということは困難であるとした上で、あえて申し上げたいと思いますが、このテロ等準備罪の捜査については、ほかの多くのひそかに行われる犯罪の場合と同様の方法で捜査の手がかりを求め、必要かつ適正な捜査を尽くすことになると考えられます。具体的には、協力者等からの情報収集や、計画に参加した者の自首、そのほか、計画がなされたことを聞いた者からの情報提供などを契機として捜査を開始することが考えられるところでございます。

 テロ等準備罪の創設と新たな手法とのかかわりということにつきましては、これは別の事柄であるということから、関連するものではないという受けとめをしているところでございまして、また、お話にもありましたように、通信傍受の対象範囲の拡大、その運用の合理化、効率化等を内容とするということになりますと、改正刑事訴訟法等が昨年成立したばかりでございまして、まずは、この改正刑事訴訟法等の適切な運用に向けて、警察としてはしっかり取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

井出委員 これまでと同様に、いわゆる協力者等からの情報提供を主体にやっていく、それは今までどおりなのかという思いもあれば、一方で、いや、それはちょっと自白とか供述とかそういったものに頼らざるを得なくなるんじゃないかという心配もありますが、新たな捜査手法ですね、会話傍受とか通信傍受の拡大とか、それとテロ等準備罪、共謀罪というものは全く別の事柄と言えるのか。

 地下鉄サリン事件、松本サリン事件、そういうものがあったときに、これは捜査経験者の方のお話で聞いたんですが、当時、あの事件があったからといって、共謀罪があれば防げたのかという議論は当時はなかった、共謀罪ができたからといってあれが防げるかというとちょっと疑問だ、さらには、やはり必要なのは情報なんだと。

 これは、私は非常に大きい議論が、私自身もそれはすぐにこっちがいいねとは言えないんですけれども、大きい事件を防いでいく上では情報が必要である。情報というものは、やはり大きい事件に対して、未然に防ぐのであれば犯罪から前の段階で捉えた方がいいわけでありますから、そうすれば、犯罪から前の段階で立件していく共謀罪、テロ等準備罪というものと別個であるとまでは私はちょっと言い切れぬ、別個であると言い切るのは言い過ぎだと思いますが、もう一度お願いをいたしたい。

松本国務大臣 このテロ等準備罪につきましては、先ほども御説明したとおり、今、最終的な調整を行っている段階でございまして、どのように捜査するかということについて、これは一概にお答えすることは、今、困難な状況にあることは御理解いただけると思います。

 新たなテロ等準備罪の創設と新たな捜査手法の導入ということについては連動するものではないということでのお答えをさせていただいたところでございまして、先ほどお話をさせていただいたように、協力者等からの情報収集、あるいは計画に参加した者の自首、あるいは計画がなされたことを聞いた者からの情報提供といったようなところが最初の取っかかりとなって調べが始まってくるということについては、本来の手法を基本として対応していくということになるんだろうと思います。

井出委員 また改めて、その辺は深く問うてまいりたいと思います。

 一般論に少し立ち返って、監視型の捜査というものを考えたいのですが、通信傍受とか会話傍受の対象となる人、こういうことについて少し考えていただきたいのですが、例えば、国家公安委員長の目の前に十人の方がいる、十人の方は、外形上何か内心がうかがえるものは全くない、ただ、この十人を監視しなければいけない、そういうときに、その十人の中に例えば女性が一人いらっしゃった、そのときに、ほかの九人の男性と同様に、何を考えているのかは全然わからないんですよ、監視ができるのかどうか。その点について伺いたいと思います。

吉田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げたとおりでございますけれども、私ども、犯罪ありと思料するときには捜査をするわけでございますけれども、その捜査の手法というのは、現時点におきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、協力者等からの情報収集でございますとか、あるいは計画等がなされたことを聞いた者からの情報提供、そういったもの……(井出委員「ちょっとテロ等から離れて一般論で」と呼ぶ)はい、一般論で。

 一般論で申しますと、やはり、私どもは、あくまでも、捜査というものにつきましては、刑事訴訟法に基づきまして、犯罪ありと思料するときに、法と証拠に基づいて捜査をするというふうな形で進めておるところでございます。

井出委員 重ねて伺いますが、十人の人を監視する、そのときに、政治家でも何でもいいんですけれども、では、一人だけ政治家がまじっている、政治活動している人がいる、ほかの人は、十人、では全員男性でいいでしょう、一人だけ政治家、政治活動している人がまじっている、それ以外の情報は一切ない、ただ、その十人を監視しなければいけないというときに、政治家とそれ以外の人を区別なく均等に平等に監視というものができるのかどうか。監視捜査に対する一般的な考え方なんですけれども、ちょっと伺いたいと思います。

吉田政府参考人 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、私どもは、あくまで、犯罪ありと思料するときに捜査を開始するということでございまして、その対象の方がどういう方であれ、そういった、犯罪ありと思料するという状況に至った場合には捜査を開始するということでございます。御理解いただきたいと思います。

井出委員 監視型の捜査というものが日本よりも大変進んでいるアメリカを例にとれば、かつて、マーチン・ルーサー・キング・ジュニア、それからジョン・レノン、そういった方が監視の対象になっていたという事実が既に明らかになっております。

 また、私がいろいろこの監視捜査について勉強している中で、今、なぜ十人の中に一人女性がとか政治家がということを申し上げたのは、やはり監視捜査というものは犯罪の疑いがなきゃやらないというのはそのとおりなんですけれども、共謀罪もそうなんですけれども、犯罪の実行からはるか前の段階から共謀罪は立件着手する、監視捜査というものは始まると。ですから、そうすると、監視捜査の本質的な問題として、マイノリティー、アメリカにとっての黒人であるとか、そういうところに目が行きがちであるということがこの監視捜査の大きな危険的な特徴であるということが言われております。

 時間が来ましたのでここにとどめたいと思いますが、また改めて監視捜査について聞いてまいりたいと思います。きょうはありがとうございました。

秋元委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 民進党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 さきの臨時国会でも当委員会で質問させていただきましたが、十九名の方の大切な命が奪われ、そして二十七名の方が負傷いたしました相模原市の障害者施設の殺傷事件について、またお伺いしたいというふうに思います。

 被害に遭われた皆様は、今も拭えない苦しみの中にいらっしゃると思います。そしてまた、御遺族の皆様の悲しみは深まるばかりでございます。二度とこのような事件を起こしてはいけないということで、この事件の再発防止のために、相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チームが立ち上げられました。このチームの報告書が、昨年末、再発防止策の提言としてまとめられ、十二月の八日に発表されているところでございます。

 障害者施策の担当大臣である加藤大臣に、この報告書についてどのようなお考えをお持ちなのか、まずお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 金子委員御指摘のように、相模原市の障害者支援施設における、本当に何と形容しても言いがたい大変悲惨な事案、こういったことは二度と引き起こすことがないように、我々もしっかりと努力をしていかなければならないというふうに思います。

 そういうことを踏まえて、政府では、厚生労働省を中心に事件の検証と再発防止の報告書が取りまとめられまして、昨年の十二月九日、総理出席のもとに開催された関係閣僚会議においても報告がなされたところでございます。

 この報告書の中では、検証を通じて幾つかの課題が指摘をされておりますけれども、その最初に、共生社会の推進に向けた取り組みの重要性、すなわち、偏見や差別意識を払拭し、互いに人格と個性を尊重しながら共生する社会の実現に向けた取り組みを進めることが不可欠であるということが指摘をされ、さらに、今回の事件は、障害者への一方的かつ身勝手な偏見や差別意識が背景となっていることについても指摘がなされているところでございます。

 これを受けて、再発防止施策の方向性も言及をされておりまして、政府は、政府広報や、障害を理由とする差別の解消に向けた地域フォーラム、障害者週間などのあらゆる機会を活用して、改めて、共生社会の構築を目指し、昨年四月に施行された障害者差別解消法の理念などを周知啓発していくことが必要であるというふうにされているところであります。

 内閣府においても、広報啓発活動に取り組んでいるところでありますけれども、今後一層力を入れて取り組んでいきたいと考えております。

金子(恵)委員 今おっしゃっていただきましたように、その報告書に基づいた形で、これからどのように共生社会の推進をしていくかということを述べていただいたわけなんですが、基本は啓発であります。

 ただ、残念ながら、私は、この報告書を見たときに、偏っているなという印象を受けたんです。

 大臣も、所信表明でこの事件についても触れられておりまして、「全ての国民が障害の有無にかかわらず互いの人格と個性を尊重し合いながら共生できる社会を目指し、」というようなこともおっしゃっていただいています。今の御答弁と同じです。

 しかし、この報告書の中身を見ますと、大臣おっしゃっていただいたように、厚生労働省を中心としてとおっしゃいましたけれども、例えば、共生社会の推進と、社会福祉施設等における職場環境の整備、これについては各二ページずつ、そして、視点の二つ目にありました、退院後の医療等の継続的な支援を通じた、地域における孤立の防止、これが九ページということで、そのような構成がなされています。

 今申し上げましたこの視点、共生社会の推進、そして二つ目、退院後の医療等の継続的な支援を通じた、地域における孤立の防止、そして三つ目の、社会福祉施設等における職場環境の整備、この三つの視点に基づいた形でこの報告書がつくり上げられているわけなんですが、今申し上げましたように、大変偏っている内容になっていると思うんです。

 実際に、今おっしゃっていただいたように、共生社会の推進は、啓発、広報が記述されている。でも、学校教育における心のバリアフリーというのも項目として挙げられているだけである。さらに、警察の具体的な対応がどうだったかとか、何ができて、そしてできなかったのか、そもそも措置入院通報ということが適切だったかということなども全く検証されていないというものになっています。

 また、さらに、この三つの視点を踏まえて、五つ、五点に分けて再発防止策の方向性を取りまとめているんですね。

 一つ目は、今おっしゃっていただいた、共生社会の推進に向けた取り組み、そして二つ目、退院後の医療等の継続支援の実施のための必要な対応、三つ目、措置入院中の診療内容の充実、四つ目、関係機関等の協力の推進、そして五つ目に、社会福祉施設等における対応。この五つの点について見ていただいても、殊さら措置入院を取り上げて、退院後のフォローの仕方というものがやはり強調されているというような気がしてならないんです。

 加害者は精神障害者だったのかどうかということも含めて、この報告書がつくられた段階では、しっかりとした精神鑑定というのがまだなされていない状況でもあったと思います。事件が起きた段階での精神状態がどうであったかということも含めて、まだいろいろな結果が出ていない状況の中でこの報告書がつくられたというようなことだったというふうに思います。

 加害者は、障害者はいなくなればよいと言った。その優生思想を持つに至った背景というもの、それこそをしっかりと検証するべきだったというふうに私は思います。共生社会を阻害している社会のあり方を全く問うことがないこの検証チームの報告書を見たときに、大変残念でならないというふうに思いました。

 その件についてはどういうふうにお考えになられますか。

加藤国務大臣 厚生労働省の、先ほど御指摘のあります相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム、ここにおいては、事件の検証を中心に議論がなされていた。特に、中間的取りまとめの中には、「事件の検証を中心として」という副題も出ていたわけでございます。そうしたことから、精神障害者は危険な存在だという偏見、差別というものを助長しかねないという懸念、これは昨年十月二十八日、この内閣委員会で金子委員からも御指摘をいただいて、それについて私も答弁をさせていただきました。

 しかし、この全体のボリューム感というのはいろいろあるかもしれませんけれども、この報告書の中に、先ほど申し上げました幾つか、五つの課題あるいは三つの視点の中でも、最初に共生社会の推進に向けた取り組みの重要性というのをうたっているところでございまして、また、この中において、関係団体からのヒアリングにおいて、精神障害者への偏見を助長しないようにすることの重要性について意見が出されたという指摘もあるところであります。

 こういったことを踏まえて、私どもとしては、政府としての対応も指摘をされているわけでありますし、そうした中で、内閣府では、障害者基本法や障害者差別解消法の理念に沿って、障害及び障害者に対する国民の理解を促進する広報活動、これまでにも取り組んでいるわけでありますけれども、さらに力を入れて、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、互いに人格と個性を尊重し合い、理解し合いながら生きていく共生社会の実現に努めていきたいと考えております。

金子(恵)委員 報告書の終わりに、「本事件の最終的な評価については、容疑者の供述や精神鑑定の結果など、裁判等により明らかになることも踏まえて判断する必要がある。」ということも書かれています。しかし、特に、措置入院者に対する退院後の医療等の継続的な支援ということについて、検討をこれからも進めるような内容で締めくくられているということであります。その結果、精神保健福祉法の改正案が提出されているということを認識しております。

 実は、総理の施政方針演説の中で、この事件について触れられている部分があります。それは、項目でいうと、生活の安心の部分に盛り込まれていました。どのような述べ方をしていらっしゃるかといいますと、「障害者施設で何の罪もない多くの方々の命が奪われました。決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止対策をしっかりと講じてまいります。」というふうに述べられているということであります。

 加藤大臣の先ほどの所信との、ある意味視点の違いというのがあるというふうに思っています。加藤大臣は、この事件があったことによって、反対に共生社会をしっかり進めなきゃいけない。でも、総理は、この事件を恐らく、加害者が前提となっているものというのは、考え方としては、やはり措置入院がなされた患者だというようなことで、であれば、その措置入院自体をしっかりとこれからも強化する、あるいは、患者の方々を支援する仕組み、これはもしかすると監視ということになる可能性もある、そういう議論もしていかなくては、それをしていくということを総理の方では言っている。こういう述べ方をすることによって、やはり、この加害者イコール精神障害のある方々ということで結びついていくのではないかというふうに思うんです。

 実際に、それでは、殺人容疑などで送検されたこの元職員でありますけれども、二月の二十四日に、刑事責任能力があると精神鑑定結果が出たことから起訴されています。ですので、当然これからしっかりと裁判が行われていくということでありますけれども、空想などを症状とする自己愛性パーソナリティー障害などによっての理性的な行動をとることが難しくなっていた可能性を示唆する意見というのもつけられていたとはいえ、やはり責任能力があるというふうに判断された、善悪の判断はできるというふうに精神鑑定の結果が出ているということであります。

 そうすると、やはり、この被告人、今となりましたら被告人ということになりますけれども、この被告人が、どんな経緯を持って、どんな経験の中でこのような思想を持つようになったのかということも含めて、しっかりとそこの部分で検証していく必要があるのではないかと思うんです。やはり、置かれた社会のあり方についても私は検証すべきだったというふうに思っています。

 先ほど、報告書の終わりのところに、最終的な評価というのは、精神鑑定の結果とか、裁判等に明らかになることも踏まえて判断する必要があるということもあるわけですけれども、今後、今の段階でその精神鑑定結果が出されて、そして刑事責任能力もある、起訴されたという今、本件の最終的な評価はどういうふうになっていくのか、そしてまた、この事件の検証をやり直す必要性についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。

加藤国務大臣 総理の所信表明演説のお話もございました。

 これは、一つは、こうした事件が発生をし、そしてこの検証チームで議論されている、それを踏まえた内容になっているんだろうと思います。それと同時に、先ほど申し上げた、政府としては共生社会を実現していくという、これもしっかり進めていかなければいけないことは、私も再三申し上げているところでございます。

 そういう中で、今この事案がまさに裁判の過程に入っていくということでございますから、これは裁判の中で、先ほどお話があった責任能力を含めていろいろな議論が行われていくんだろうと思っております。

 それを踏まえる中で、最終的にどうしたことがさらに追加的に必要なのかどうかを含めて、当然それを踏まえながら我々も議論していかなきゃいけないと思いますが、現時点の中で今やるべきことということについて、先般、厚生労働省のチームがこうした取りまとめをなされた、こういうふうに理解をしております。

金子(恵)委員 それでは、当然、差別を生み出す優生思想というものをなくしていくということをこれからもしっかりと進めていっていただきたいというふうに思いますし、まず、もう一度申し上げさせていただきたいのですけれども、精神障害のある方々イコール犯罪者ではない、そういうレッテル張りをするような社会であってはいけないということだというふうに思いますので、どのような取り組みをなさっていくのか。単なる啓発だけではないというふうに思うんですが、いかがでしょう。

加藤国務大臣 まさに、精神障害者への偏見を助長しないようにすること、これは非常に重要であるということは、もう委員御指摘のとおりだというふうに思います。

 障害者への偏見、差別意識を社会から払拭し、一人一人の命の重さは障害のあるなしによって少しも変わることがないというまさに当たり前の価値観を社会全体で共有していく。

 そういうために、昨年七月のこの事件を受けまして、私どもとしては、障害者基本法また障害者差別解消法の理念に沿って、障害及び障害者に対する国民の理解を促進するための広報啓発活動に取り組んできたところでございまして、例えば、障害を理由とする差別の解消に向けた地域フォーラムを開催する、あるいは、政府広報を活用して主要新聞への意識啓発の広報掲載、そういったことをさまざま取り組ませていただいているところであります。

 また、私自身も、事件後、津久井やまゆり園を訪問したり、先ほど申し上げた地域フォーラムにおいて、神奈川県と共催をしたフォーラムには出席をさせていただいて、命のとうとさや共生社会の実現の重要性についても発信をさせていただいたところであります。

 また加えて、障害者週間、十二月三日から九日の一環として東京で開催した障害者フォーラム二〇一六においては、全ての命と尊厳の尊重について考え、真の共生社会とは何かを改めて問うシンポジウムを実施もしたところでございます。

 全ての国民が、障害の有無にかかわらず、お互いに人格と個性を尊重し合い、理解し合いながら生きていく共生社会の実現に向けて、内閣府においては今後とも広報啓発活動に一層力を入れていきたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。内閣府としての取り組みはよくわかりました。

 差別解消法ですよね、これをしっかりとやはり国民の皆さんに知っていただける、そういう機会というのはもっと設けるべきだというふうに思っているんです。内閣府としての取り組み、みずからがそういうシンポジウム等を開催しているということなんですが、やはり地方、それぞれの地域地域で、このような法律があるということ、そしてその中身についてしっかりと把握していく、そういう機会というのを設けるべきだというふうに思っているんです。

 内閣府としては、しっかりそれを支える仕組みを持っているのか。そしてまた、そのような法律の説明会や、あるいは今おっしゃっていただいたような、障害があるなしにかかわらず、ともに生きる社会づくりについて心を一つにしていけるようなそういう場づくりというものについて、その支える仕組みというのはおありでしょうか。あるいは、そういう取り組みをしている自治体や地域についてしっかりと把握なさっているのでしょうか。お伺いします。

加藤国務大臣 障害者差別のない社会の実現のために、昨年四月に施行されました障害者差別解消法の趣旨、目的について、幅広い国民に理解を深めていただくことは非常に重要であります。

 ただし、昨年一、二月に内閣府で実施した意識調査の結果によりますと、障害者差別解消法をよく知っている、またはどちらかといえば知っていると回答した人はおよそ二三%、四人に一人、こういう状況でございます。そういったことも踏まえながら、しっかり対応していかなければいけないというふうに思っております。

 また、地方公共団体や事業者団体等が独自にもいろいろ開催をしていただいている、これは承知をしております。ただ、個別的な説明会の実績について、網羅的に私どもで承知しているわけではございません。

 内閣府では、地域における障害者差別解消に向けた取り組みの促進と機運の醸成を図るため、地方公共団体の協力を得つつ、先ほど申し上げました、全国各地でフォーラムを開催しているところでありまして、このフォーラムには、障害のある方もない方も分け隔てなく、講演者、パネリスト、一般参加者など、それぞれの立場から御参加いただくようにしておりますし、そのためにも、手話通訳とか、そうした配慮もさせていただいているところであります。

 こうした機会を通じて、障害のある人とない人が相互に理解を深めることが非常に重要だというふうに思っておりまして、それぞれの地域で障害者差別解消に対する理解が進むように期待をするとともに、我々としてもできることをしっかりやらせていただきたい、こう考えております。

金子(恵)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 そして、私も、実は以前ボランティアをやっていたときに、障害のあるお子さんたちをお預かりした、そういうボランティアだったんですけれども、いわゆる居場所づくり、それがもう十数年続いているわけなんですが、そこでお手伝いをしてくださっている皆さんが、やはりこの障害者差別解消法について学びたいということで、独自の勉強会を開催されたりなさって、それで先生をお招きして、しっかりとみずから動いていらっしゃるという様子を拝見すると、何とかこういう方々の輪を広げたいというふうな思いもありました。

 ぜひ、内閣府としても、国としても、この法律に基づいた形で、この国の本当の意味での共生社会をつくるという方向性をつくり上げていただきたいというふうに思っています。よろしくお願いします。

 そして、先ほどもありましたが、障害者基本法や障害者差別解消法などが成立して、我が国では二〇一四年一月に障害者権利条約を批准し、そして同条約の百四十番目の締結国となりました。

 昨年の六月、少しおくれてでありますけれども、発効から二年以内に提出が求められている第一回目の日本政府の報告が提出されたということでございます。この報告についての大臣の考えをお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 障害者権利条約の締約国は、国連に対し、同条約に基づく義務を履行するためにとった措置と、これらの措置によりもたらされた進歩について、定期的に報告を行うことが求められております。

 これを受けて、我が国においては、平成二十六年に障害者権利条約を批准した上で、昨年六月に第一回目の政府報告を国連に提出したところであります。

 この政府報告を取りまとめるに当たっては、障害のある方々の視点を反映させるため、障害当事者や障害者の家族が委員として参画する障害者政策委員会に精力的な議論を行っていただきました。具体的には、政府報告の提出を視野に入れた第三次障害者基本計画の実施状況の監視に関する議論を行い、その結果浮き彫りになった課題を議論の整理として取りまとめ、政府報告の附属書として添付するなどの取り組みを行いました。

 さらに、障害者政策委員会において特に重要なものとして選定された、障害者の意思決定の支援など八つのテーマについては、附属書のみならず、政府報告の本文にも、障害者政策委員会の課題認識として明示的に反映をさせたところであります。

 人権に関連する条約に基づく政府報告で、こうした手法が他にとられたものはないというふうに承知をしております。

 障害者施策を担当する大臣としては、こうした手法によって政府報告をつくっていったということは画期的なものではなかったか、こういうふうに評価をしているところであります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただきました障害者政策委員会ですけれども、前の形は、民主党政権のときにつくり上げました障がい者制度改革推進会議であります。それを法的な根拠を持つ政策委員会にしたということでありまして、障害のある方当事者がしっかりと意見を述べることができて、そしてまた、議論を積み上げながら、その声を制度に反映させるという仕組みであります。それを民主党政権のときにつくり上げたのはいいんですけれども、実はその政策委員会に当事者の方々で参加できていない方々もいるという指摘もあるということは、大臣も御存じだというふうに思います。

 今、政策委員会がしっかり機能した形で、実際はこれはモニタリングの機関として動いているということでありますけれども、でも、やはりその中身だと思うんです。形は恐らくできつつあるんだというふうに思いますけれども、精神障害のある方当事者は、政策委員の中に入っていらっしゃいますか。

加藤国務大臣 当事者御本人は入っていない、たしかその御家族か関係者の方が入っていた、こういうふうに記憶をしております。

金子(恵)委員 知的障害のある方当事者は入っていますか。

加藤国務大臣 知的障害を持っている方御本人の参加もないということでございます。

金子(恵)委員 政権がかわって中身が変わったのではどうしようもないんですよ。せっかくこういう形づくりを、仕組みづくりをしてきたんです。それが今、当事者の方々が、知的障害のある方当事者、そして精神障害のある方当事者が参加していないのであれば、意味がなくなります。

 そして、本来、障害者権利条約というのは、この権利条約自体も、当事者の方々が議論を重ねてつくり上げたものなんです。そしてまた、この批准に向けても同じです。であれば、この報告書づくりにも当事者の方々がしっかりと参加をしていかなくてはいけないんです。ただ単なるパブリックコメントをしたから終わりということではないはずなんです。そしてまた、先ほど言ったように、政策委員会での議論を積み重ねたからこれでよしとするということではないはずです。中身が伴っていないというのが今の答弁でわかり、大変残念でならないんです。

 ぜひ、政策委員のメンバーにも、知的障害のある方、そして精神障害のある方当事者を入れていただきたいと思います。御検討いただけますか。

加藤国務大臣 精神障害や知的障害のある方が政策委員会に入っていない。ただ、さはさりながら、関係者の方も入られて、相当議論してつくった報告書でありますから、中身がないという御評価は、ややもすると、そうかなという感じを受けさせていただきました。

 ただ、そうした方々が今入っていない状況というのが、どうやったらそういった方々の声を反映できるかどうかというところに、正直言ってちょっと超えることのできないものがあると感じているからでありますけれども、しかし、今の時代であります、ICTとかいろいろな手法もあるんだろうと思っております。

 これは、引き続き、そうした方々が直接その声を反映できるということ、これはしっかり考えていかなければならない、こう思っております。

金子(恵)委員 権利条約の報告は、条約の三十五条では「この条約に基づく義務を履行するためにとった措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告」というふうに言っているんですけれども、権利を確保するためにどのような法制度をつくったか、その結果障害者の方々の生活がどう改善されたのかということも報告されていなくてはいけないものだというふうに思います。

 しかし、実際にこの報告書を私は見せていただいたんですけれども、やはり、どのように改善されたのかとか、その中身がどう変わったのかというのは示された報告書になっていないんですね。ですので、ぜひその部分についても積み上げていただきたいというふうに思います。

 次は四年後の報告というふうになるんですが、この政策委員会のあり方自体がやはり問われることになっていくというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 もう時間が来てしまいましたので、残りの質問を残すことになってしまいましたけれども、もうすぐ三・一一ということで、実際に、私も福島県の人間でありますが、被災地の復興再生には女性の視点がとても重要だというふうに思っております。大臣におかれましては、これからも被災地においての男女共同参画の取り組みにも御支援をいただけますよう心から求めまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

秋元委員長 次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.