衆議院

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第3号 平成29年3月10日(金曜日)

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平成二十九年三月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 秋元  司君

   理事 谷川 弥一君 理事 平井たくや君

   理事 ふくだ峰之君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 文明君 理事 緒方林太郎君

   理事 神山 洋介君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      大岡 敏孝君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      鬼木  誠君    神谷  昇君

      木内  均君    國場幸之助君

      今野 智博君    笹川 博義君

      田畑  毅君    武部  新君

      武村 展英君    中山 展宏君

      長坂 康正君    鳩山 二郎君

      藤原  崇君    山田 賢司君

      和田 義明君    若狭  勝君

      井出 庸生君    泉  健太君

      大串 博志君    岡田 克也君

      奥野総一郎君    金子 恵美君

      田島 一成君    高井 崇志君

      辻元 清美君    角田 秀穂君

      濱村  進君    池内さおり君

      島津 幸広君    浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当) 菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (海洋政策・領土問題担当)

   (消費者及び食品安全担当)            松本  純君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)

   (働き方改革担当)

   (女性活躍担当)

   (再チャレンジ担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      古屋 範子君

   内閣府大臣政務官     武村 展英君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   最高裁判所事務総局家庭局長            村田 斉志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  土生 栄二君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   加藤 久喜君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        西崎 文平君

   政府参考人

   (宮内庁長官官房審議官) 野村 善史君

   政府参考人

   (宮内庁管理部長)    坪田 眞明君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    吉田 尚正君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         中村  格君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    松本 光弘君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤江 陽子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           松尾 泰樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大西 康之君

   政府参考人

   (観光庁次長)      蝦名 邦晴君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     山田 賢司君

  石崎  徹君     藤原  崇君

  岩田 和親君     鬼木  誠君

  務台 俊介君     長坂 康正君

  和田 義明君     若狭  勝君

  大串 博志君     田島 一成君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     岩田 和親君

  藤原  崇君     石崎  徹君

  山田 賢司君     笹川 博義君

  若狭  勝君     和田 義明君

  田島 一成君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     池田 佳隆君

  奥野総一郎君     大串 博志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

秋元委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官土生栄二君、内閣府政策統括官加藤久喜君、内閣府子ども・子育て本部統括官西崎文平君、宮内庁長官官房審議官野村善史君、宮内庁管理部長坪田眞明君、警察庁刑事局長吉田尚正君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長中村格君、警察庁警備局長松本光弘君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、文部科学省大臣官房審議官藤江陽子君、文部科学省大臣官房審議官松尾泰樹君、厚生労働省大臣官房審議官吉本明子君、厚生労働省大臣官房審議官坂口卓君、厚生労働省職業安定局次長大西康之君、観光庁次長蝦名邦晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局村田家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋元委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋元委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 民進党の泉健太でございます。

 まず、本日は三月十日でありますけれども、東日本大震災からあすで六年ということで、改めて心より御冥福をお祈りしたいと思いますし、また、復興が一日でも早く進みますように、政府にもお願いしたいというふうに思います。

 冒頭、大変恐縮ですが、今、私は、務台政務官が来ないという話を伺いました。きょうの八時の閣議で辞任の決定になった、辞任というか、おやめになられたということであろうと思いますけれども、委員長、これは問題だと思います。質疑者は、この委員会に務台政務官が来ないということを聞いておりません。今、ここに来て初めて、線が引かれているのを見ました。これはおかしいんじゃないですか、対応として。

秋元委員長 実は、我々も、委員会が始まる冒頭の理事会で政府から正式に報告を受けたという次第でございまして、先ほど理事会の場では、その旨、政府の説明を聞き、きょうの運びになったということでございます。

 その点、事前に質疑者に対してそのことが伝えられなかったということは、これはもう大変遺憾に思わざるを得ないところもあると思います。

 ただ、各会派の中で、ぜひそこは少し連絡をしていただければなという思いもございますけれども、ただ……(泉委員「会派じゃないでしょう、それは。それは違うよ」と呼ぶ)最後まで聞いてください。

 いずれにしましても、理事会の場での、我々も初めての話でございましたから、そこは我々理事会としてもしっかりと整理をさせていただいて、この時点、今、この時期にいらっしゃらないということと、そして、事実としては、今、政務官の職にないということでございますので、その点だけは御理解いただきながら、後はしっかり、また理事会としても受けとめて、今後の委員会の運びを、しっかり運営させていただきたいと思います。

泉委員 いいですか、私は防災政務官を呼んでいるんですよ。今、いないんですか、防災政務官は。

 政府、どうですか。今、防災政務官はいるんですか、いないんですか、どちらですか。政府、答えてください。

菅国務大臣 いずれにしろ、先般の務台前政務官の発言については、国民の皆さんに心からおわびを申し上げたいというふうに思います。

 実は、きょうの八時の閣議に本人からの辞任願が提出されましたので、それを閣議で決定をし、閣議の中で長坂氏を政務官に任命することを決定いたし、閣議が終わった後に総理から辞令を交付したところであります。

 いずれにしろ、いろいろな意味合いにおいて委員会の皆さんにも御迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げたいと思います。

泉委員 委員長、何か勘違いされていないですかね、これは。今、防災政務官はおられるんですよね。そうしたら、何で委員会に呼んでいないんですか。おかしいでしょう。私は防災政務官を呼んでいるんですよ。

 長靴を履いておらず、おんぶされて、しかも問題発言でやめていった人など、どうでもいいんですよ。今の防災政務官を呼んで、委員会で質疑をするんでしょう。いないじゃないですか。何を勝手に削除しているんですか。これはおかしいですよ。ぜひちょっと理事会で協議してください。

秋元委員長 ただいまの件につきましては、しっかり理事会として再度協議させていただきます。

泉委員 これはちょっと、政府も重大ですよ。国会で防災政務官を呼んでいるんです、こちらは。務台氏はやめたかもしれない。でも、勝手に、次の人間が任命されたからといって、来なくていいんですか。むしろ、初めての任務じゃないんですか、これは。初めての任務をどうしてすっぽかすんですか。あり得ますか、こんなもの。誰の判断ですか。何で来ていないんですか。

菅国務大臣 どういう経緯で、後任の政務官が、今ここにいないということは事実でありますので、誰が判断をしたかということも、私も正直言って今わかっておりませんので、ぜひ詳細に調べた上で、また御報告させていただきたいと思います。

泉委員 官房長官、これは問題だと思いませんか。国会で防災の政務官を呼んでいるんです。

 私はきのう、政府からも、これは政府の方ですよ、内閣府の方から、防災担当の方から、十七時五十三分のファクスで、内閣府大臣政務官務台俊介さんと防災の政策統括官加藤さんの登録をいたします、こういう紙が来ているわけです。それ以降、何の連絡もないわけです。当然、この人たちが来るだろうと思っている。しかし、八時に残念ながら辞職をされたということであれば、それは理解しないではない。しかし、穴をあけていいということじゃないでしょう。

 これは、政府そして与党、国会、重大な連絡ミスですよ。これはサボっているに等しいですからね、長坂政務官、早速の不祥事になりかねないですよ。

 ちょっと協議してもらえますか、今、もう一度。これは、委員会、こんな状態では進められないですよ。ちょっと理事会で協議してください。

秋元委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

秋元委員長 では、速記を起こしてください。

 泉君。

泉委員 今、理事で御協議をいただいて、新しい政務官が向かっているやに伺いました。

 これはやはり、委員会で答弁者が空白になるということはあり得ないというふうに思っておりますし、ましてや後任がいる話でございますので、これは、政府そして国会、やはり連携のミスであると私は認識をいたします。

 大変な問題だと思いますし、質疑者としては非常に迷惑をしております。本来は九時から九時半まで官房長官を中心に質疑をさせていただくこととしておりましたので、ぜひこの時間は改めて確保していただきたいというふうに思います。

 今向かっているということでありますので、改めて、残りの時間、官房長官には質問させていただきたいというふうに思います。

 きょうは、今いろいろと森友学園の問題で、総理夫人の公務ということについても少し話題が集まっているところであります。私が言いたいのは、あげつらってどうこうということではなくて、あくまで建設的に、そして基準やルールは一定でなければいけないという観点から指摘を申し上げたいというふうに思います。

 もっと先に種明かしというか、私の思いを言えば、SPはついていいんじゃないかというふうに思うんです。総理夫人というのは、もちろん御希望によってでよいかもしれません、御家庭からほとんど出られないタイプのファーストレディーなんかもおられれば、それは、ずっとSPを常駐させておく必要性というのは、また別な観点があるかもしれませんが、基本的に、総理夫人の側や総理の側から警備の要請があれば、やはりしっかりと、他の大臣や党首と同様ぐらいな、目に見えた形でのSPというものはついた方がいいだろう、やはり国家にとっての重要な人物であるというふうに認識をしている、これがまず第一点であります。

 もう一つは、今話題となっている、政府の職員がどこまで総理夫人をサポートするのかということの問題点であります。

 政府の職員が総理夫人をサポートするということは、私はこれはあっていいとは思うんです。しかし、それはあくまで、政府の見解の中では、総理大臣の公務を補助する夫人としての、その夫人に対するサポートであって、夫人への直接なサポートではない、こういうふうな認識だというふうに私も説明を受けております。

 改めてですが、総理夫人については、政府の見解としては、公人ではない、そして、夫人には公務は存在しないということでよろしいですね。

菅国務大臣 まず、公人でありますけれども、公人とは、一般に、公職にある人を意味するものであるというふうに承知をしています。

 内閣総理大臣夫人は、現に内閣総理大臣の職にある者の配偶者を指す一般的な呼称であって、国家公務員としての発令を要するものではありませんので、公人ではないという見解であります。

 また他方で、内閣総理大臣の配偶者であることに鑑みて、必要に応じて、サミットへの同行や要人の接遇、また重要政策に関する会議等への単独での出席など、内閣総理大臣の公務の遂行の補助に係る活動も行っているところであります。

泉委員 そうなんです。今お話のあったサミットやさまざまな接遇ということで、総理の公務の補助を行うという意味での夫人の存在があるということは確認できました。

 やはり、そこで思うのは、今、例えば、もちろん首相公邸は使っていただいているということもあるでしょうし、今問題になっている、政府の職員を置くという話もあるかもしれない。

 この政府の職員を置くということは、私のイメージからすれば、政府の職員が、首相夫人側、私人である首相夫人側とやりとりをするための担当者として、政府に置くということはまだ理解できるんです。これは、例えば、私が政務官であったときもそうでした。私が政務官としての活動以外のときには、政府から派遣されている秘書官は同行しないわけですね。でも、役所には勤務しておりますし、その秘書官から連絡をうちの秘書に、私設秘書、事務所秘書にもらうことはあるわけです。これはよくわかる。

 ただ、今回問題になっているのは、総理の夫人、私人である総理の夫人に政府の職員が同行しているということが明らかになっているから、私は問題視をしているわけですね。

 冒頭お話をしましたように、SPはついてもよいのではないかと私は思っております。これは、重要人物、国家としての、定義上は公人ではないかもしれない、いわゆる公務として雇われてはいないから、公人ではないかもしれないけれども、公的重要人物として、それはお守りをされていいのではないかと思っていますから、SPはついてもいいんじゃないか。

 しかし、政府の職員ということで、その首相の夫人にまつわるさまざまな事務のサポートのために旅費が発生したり、出張が伴ったりするというところまでの行為を行ってよいのかどうかということを官房長官はぜひ考えていただきたいんです。

 これは、先ほど私がお話をしたように、自分が政務官のときも、恐らく今の自民党の政権でも、やはりそこは一定の線引きがあると思うんですよ。松本先生が政務三役だったときも、やはり何でも秘書官がついてきていいということにはならなかったはずだと思いますよ。(発言する者あり)そうですね。

 そこで、私人である、幾ら総理夫人であっても、政府の職員がそこに何人でも同行できる、今はもしかしたら、実質、その都度その都度の同行者は一人かもしれないけれども、これは基準も何もないですね、今。何にも基準がないんじゃないかと思うんです。人数についての考え方や線引き、そういうものの基準がない中で、事実上、あの森友学園に行った際に、なぜか政府の職員が同行している。

 これは、過去の答弁では、例えば今週も幾つかの委員会でありました。答弁では、日程調整に必要だからというんです。官房長官、でも本当にそうでしょうかね。

 日程調整をするのに、今の時代、対面でやらなければならない理由はないですね。政府の職員が、もちろん首相夫人の日程をさまざま聞かなければならないとすれば、それは政府の中で勤務をしながら、首相の夫人と同行している安倍事務所のスタッフか、あるいは夫人がつけたスタッフと連絡をとり合うというのが、これは公と私の区別じゃないかというふうに私は思うわけです。恐らく、政務三役を経験された皆さんであれば、みんなそういう線引きでここまでやってきているんだというふうに思うんです。

 その政務三役の線引きも今回は関係ない、総理夫人だから同行させるんだということになると、これは、出張費やあるいは宿泊費、旅費含めて、私的な活動、もしかしたら私的な活動だって、これは線引きがいまいちないわけですから、およそ総理の公務の補助とは思えないような私的な領域にまで政府の職員が同行するということになってしまう。

 私は、これはぜひ改めなければならないのではないか、むしろこれは、今勤めている政府の職員にも迷惑をかける行為ではないかというふうに思うので、きょう指摘をさせていただきたいと思いました。

 官房長官、このことについていかがでしょうか。

菅国務大臣 まず、総理夫人、そこは総理の公務の遂行の補助にかかわる活動ということになっております。その全体が、これは国内外とも飛躍的に多くなっているということはまず御理解をいただきたいというふうに思います。

 具体的に明らかにさせていただきたいと思いますけれども、安倍総理が就任してから、総理夫人が同行する海外出張というのは、四年間で二十五回です。さらに、我が国に来訪する外国の要人、この方たちに総理が接遇するのが百四十七回です、これは四年間ですけれども。さらに、そのほかに、これはなかなか表に出ていないんですけれども、在東京の外交団が催す多数のイベント、これは、公務多忙のため出席のない総理大臣にかわって、総理夫人が出席をいたしております。

 このように、総理夫人の活動が飛躍的に増大をしておる中で、公務の遂行を補助するための活動に対しまして、常時、夫人とのスケジュール調整や次期出張に向けての日程、活動内容の調整等を行いつつ、交代で随行を行うなど、現在、二名が必要と判断をされて、二名常駐がおります。また、この常駐は経済産業省出身です。

 そして、ほかに三名、外交活動の調整、随行、これは海外に行くときとか海外から要人が来られたとき、そこは外務省で担当する者が三人おります。

 そうした中で、やはり総理夫人をサポートする職員の体制について、円滑に行うためには、状況を見て、現在、常駐二名そして随時三名、その中で、交代で行ったり分野ごとに行ったりしているのが状況であります。

 ですから、公人ではないですけれども、その役割を明快に分けることがなかなか難しいということも御理解をいただきたいというふうに思います。

泉委員 官房長官はもう、この質問でやりとりは最後にしますけれども、官房長官、忙しさは私も十分に理解をしておりますし、大したものだなというか、それはもう本当にすごい神経、また体力だというふうに思います。しかしながら、忙しいからつけるということでは、なし崩しになるんだと思いますよ。

 ですから、先ほど話をしましたように、政務官や副大臣も、忙しいと言われれば忙しいんです、みんな。みんな、秘書官がずっといてくれたら、それはいいと思いますよ。だけれども、そこは公私をしっかり分けて、やはり私的活動であれば、そこは秘書官を同行させないというルールでやってきているのにですよ、そこは自費で雇っているスタッフ、あるいは、公費という意味で公設秘書もそうかもしれませんが、少なくとも、みずからの事務所のスタッフを配置して私的活動を行うというルールで、我々国会じゅう、皆やっているんじゃないですか。

 そういう中で、幾ら総理夫人だからといって、公職につく政府の職員が、そうした、事実上という形で、どんどんどんどん総理夫人のスタッフになっていく。これは本来、私は、総理夫人側あるいは総理側が負担をすべき費用じゃないかというふうに思うんですよ。

 そこを変にけち臭くなってはいけないというか、やはり、公私の区別がしっかり明確であれば、政府側からさまざまな情報は受け取ったり、必要な資料はもらうけれども、それをもらうのはやはり、私的活動であれば事務所側というか、政府の人間ではない人間が行うべきことではないかということをまずはお伝えさせていただいて、官房長官には、もう三十分過ぎましたので、ここで退場いただければと思います。関係の役人さんもおられたら、出ていって構いません。

 今のやりとりは極めて不十分でございますので、大変恐縮ですけれども、改めて、質問時間がばらばらになるということも非常に、やりとりとしてはやりにくい話でありますので、合意の上でであればわかるんですが、合意のない中でのこういった質問時間の分裂になっていますので、改めて私は、三十分の時間の確保、官房長官とのやりとりをお願いしたいと思います。

秋元委員長 後ほど理事会でしっかり協議させていただきます。

泉委員 はい。ありがとうございます。

 まだ来られないんですかね、今到着していると伺っていますが。

秋元委員長 速記をとめておいてください。

    〔速記中止〕

秋元委員長 では、速記を再開してください。

 泉君。

泉委員 冒頭、恐縮ですが、私の質問時間は何分までになるのでしょうか。

秋元委員長 本来ですと九時四十七分ということでございましたけれども、十分間速記がとまっておりましたので、五十七分までということになっております。

泉委員 改めて、それでは質問を再開させていただきます。

 今、長坂新防災担当政務官がお越しになられました。服装を見られますと礼装に近いお姿かなというふうに思いますけれども、きょう、委員会で防災担当政務官が呼ばれていたというのは御存じでしょうか。

長坂大臣政務官 恐れ入ります。このたび内閣府大臣政務官を拝命いたしました長坂康正でございます。

 このたびは、前任者が泉先生から内閣府大臣政務官としての質問を通告されていながら、委員会に出席が、私がおくれたことをおわびを申し上げます。存じ上げておりませんでした。

泉委員 新政務官は、委員会に呼ばれていたことを御存じなかったということでありますので、今おわびの言葉がございましたけれども、御存じなかったということであれば、私は今、新政務官をこれ以上責めるものではないというふうに思っております。むしろ、前政務官のような認識や行動は絶対に持っていただきたくないという思いでございます。

 私も、防災担当政務官を短期間でありますが拝命をしておりましたので、恐らく、長坂政務官のお部屋には、いわゆる衛星通信の電話も置かれるでしょうし、さまざまに東京滞在もふえると思います。地元にお戻りになれないときもあると思います。極めて責任も重く、また、政務三役の中で最も瞬発力やあるいは被災者に対する思いというものを持たねばならない、そういう職務だと思いますので、ぜひとも立派にその職務を果たしていただきたいと思います。

 改めて、決意をお願いいたします。

長坂大臣政務官 ただいま泉委員からお言葉をいただきまして、本当に身の引き締まる思いでございます。

 あす三月十一日を目前に控えた今日、拝命をいたしましたことをしっかり肝に銘じまして、松本大臣、山本幸三大臣を補佐し、職務遂行に全力を尽くしてまいる決意でございますので、どうぞ御指導のほど、また、秋元委員長初め理事、委員各位の皆様の御指導、御協力を心からお願い申し上げます。

泉委員 新政務官につきましては、また今後さまざまなやりとりもさせていただきたいと思いますし、きょうはもう、ある意味、新政務官に対してこれ以上お伺いすることはございませんし、ただ一方では、残念でありますが、私も個々人に何の恨みもございませんけれども、きょうのやりとりについては、防災的な観点からいっても非常によろしくないやりとりでございました。

 やはりこういった場合にどういうことを想像し、どう行動すべきかということでいえば、政府と国会が、与党の国会が連携がとれていなかったということの象徴的出来事が今起こってしまって、私は、長坂新政務官の就任に大きく傷をつけてしまったことになるというふうに思っておりますので、ぜひそういったことなきようにこれから気をつけていただきたいということをお伝えして、政務官、御退場いただいて結構でございます。

 松本公安委員長は防災担当の大臣でもあろうかと思います。改めてですが、現在、今ここで起こってしまった一件についての御見解をいただきたいと思います。

松本国務大臣 連携がきちっととれていなくて、お話をつなぐことができなかったということについて、もっと緊密な連携をとってしっかりと対応していくということを今後注意していきたいと思います。

泉委員 わかりました。

 これは、今後しっかりと経過、経緯の説明をいただきたいと思いますので、また後ほどよろしくお願いいたします。

 さて、松本国家公安委員長にお越しいただいておりますけれども、私、いろいろと警察問題、きょうは本当は交通安全の問題についてお伺いするべく、質問通告はもう二日前ほどに終わっていたわけですが、急遽、務台政務官の問題と、そして総理大臣夫人の公務の問題についてということで、質問項目を切りかえて行ったわけですけれども、さまざまなこういった質問のさらなる事情の変更もございましたので、あらかじめ用意をしていた暴力団対策についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 今、実は、私の地元京都でも、暴力団の抗争が、少し飛び火が来ているようでありまして、山口組の分裂に伴う、京都に本部を置く会津小鉄、こちらがどうやら分裂の様相を呈してきているということで、その点についてさまざま、地元の住民も不安を感じておられるという状況がございます。

 警察の皆様にも、各所で配置をしていただいて、警備もしていただいて、通学路等々で安全の確保に努力をしていただいておりますが、警察というのはある意味、暴力団に直接対応することのできる唯一の組織でもありますので、恐らく、組と言うとあれですが、暴力団とも直接のやりとりもされる機会があると思っております。

 もちろん、間接的に市民を守るということについて、警備を配置するということはもちろんのことなのでありますが、当然ながらではありますが、暴力団そのものに対してもしっかりとアクセスをして、そして、暴発を起こさぬよう徹底して、鎮静化に向かうように、やはり国家公安委員会そして京都府警、一丸となって取り組んでいただきたい。抗争が起きたからそれをとめるということではなく、抗争を起こさぬように徹底した取り組みを行っていただきたいというふうに思います。

 ぜひ、そこに対する公安委員長の御決意をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 京都に拠点を置きます指定暴力団が後継人事をめぐって部内対立の状況にあることは承知をしているところでございます。

 この動向を把握して以降、警察では、一般市民の巻き添えを防止するための警戒を徹底するとともに、当該指定暴力団に対する強力な取り締まりや暴力団排除活動を推進しているところでございます。

 現在、いわゆる対立抗争事件の発生には至っておりませんが、引き続き、市民生活の安全に万全を期すよう、警察を指導してまいりたいと存じます。

泉委員 ありがとうございます。万全を期すということでございました。

 九州でも抗争というものが起こっているわけでありますけれども、もちろん、兵庫あるいは名古屋、全国各地、やはり今回の分裂に関連するもの、しないものを含めて、さまざまに、特に危険な地域というものは存在するわけでありますので、ぜひ国家公安委員会としても、そういった都道府県警に対する支援、協力、これを存分にしていただきたいというふうに思いますが、改めて御決意をお願いいたします。

松本国務大臣 国家公安委員会の中では、全国の警察を指導するという立場にありますが、当然、議論はこの委員会の中で行われてくるところでありまして、この組織犯罪については注目をしているところでありまして、その推移、経過、また起き得るべき事件に対しての対応が適切に行えるよう、今後も意見交換をしっかりしながら、各都道府県警察を指導してまいりたいと思います。

泉委員 ありがとうございます。ぜひ京都府警に対しても御支援をよろしくお願いいたします。

 さて、いろいろと時代の進展に伴って、新しい業というものも発生する時代、それは、インターネットを使った犯罪や、あるいは携帯電話を使ったオレオレ詐欺集団みたいなものも出てくる。さまざまにありますけれども、新しい市場というのは、ある意味未整備なために、業としてもフロンティアでありますが、犯罪者にとってもフロンティアになりかねないというような状況がやはり生まれるわけでございます。

 私は、そういった点から、今、一つ先行してちょっと取り上げていきたいのは民泊の問題でございまして、きょうたまたま厚生労働副大臣もお越しいただいておりますが、副大臣にきょうお伺いすることになっておりませんけれども、旅館業法というのがございます。

 この旅館業法の五条の中には、基本的には宿泊を拒否することができないというような条項がございます。これは、旅館では、当然ながら、暴力団の排除のために約款をつくって、国際観光旅館とかそういったところでは約款をつくって、そして暴力団排除を促すというふうにはなっているんですが、なかなか省庁ごとに見解が微妙に違うところがありまして、やはりそこまで全ての宿泊施設に強制できない。この約款というのも任意でございますので、警察の暴追運動の中で一生懸命取り組んでいただいておりますということが仮に言えたとしても、強制力がないわけですね。

 ですから、そういった意味でのやはりもう少し強化というか、整備が必要ではないかという観点を持っておりまして、私としては、旅館業法の五条の中でも、二号のところで、暴力団の利用をとめることができるんだというふうに厚生労働省の見解もあるわけですが、少しその辺、気になっているところもございます。

 そういった意味で、例えば観光庁さん、今、実態として、全ての旅館が約款を定めて、全てにおいて暴力団を排除し切れているのかどうかということについて、現状も含めて御回答いただければと思います。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 旅館業法の第五条第二号におきまして、旅館業法は厚生労働省の御所管の法律ではございますけれども、厚生労働省から、宿泊を拒否できる対象として暴力団も含まれ得るという御説明を受けております。

 現在、約款で暴力団の排除条項を盛り込むなどの取り組みを行っておりまして、そういった排除条項をもとに、暴力団の方の行為が及ぶことがないように取り組んでおられるものというふうに承知をいたしているところでございます。

泉委員 改めてですが、全ての旅館においてその約款が定められているということを認識されているということでよろしいですか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 全てということではございません。モデル約款みたいなもので、約款としてそういうことを決めるということを推奨申し上げているということでございます。

泉委員 ありがとうございます。

 旅館業の世界では全てではないという状況で、私はそこにも多少弱さは感じますけれども、しかしながら、そういった取り組みを懸命に進めているところだと。

 とはいえで、どうやら、インターネットなんかでいろいろと情報を見てみますと、金融業者を名乗って宴会の予約が来るだとか、土木業者を名乗って宴会の予約が来て、いざ到着してみたらいわゆるそういう方だったということで、事実上いろいろな宴会が強行されてしまったような事例があったというふうにも聞いておって、やはり大量にそういった方々が来られることは、特に、恐らく宿泊者も含めて恐怖心を持たれるでしょうし、経営者の側としても非常に不安な気持ちを持たれると思いますので、各都道府県警と連絡を密にしていただきながら、観光庁も、そういった旅館業にまつわるさまざまな苦情や相談がございましたら、ぜひ警察庁と連絡をとって、連携をして、やはり情報共有に努めていただきたいというふうに思います。

 公安委員長、その点、いかがでしょうか。

松本国務大臣 こういったことを念頭に置いて、やはり、民泊の利用者から暴力団排除については、民泊にかかわる……(泉委員「まだ旅館の話です」と呼ぶ)約款だけの問題じゃなくて、関係省庁との連携というのは極めて重要でございますので、それに向けて取り組んでまいりたいと思います。

泉委員 少し先の御答弁がいただけたかもしれませんが、今から民泊の話をさせていただきたいと思います。

 旅館業でも任意でそういう状況だというところで、民泊が今急速に広がりつつある。この民泊については、今国会に法案が出るということで、まだ出ていない状況でありますが、私はこの民泊についても、幾ら小規模、幾ら個人事業主が経営するにしても、やはり宿泊者が誰であってもよいのかということについてはいかがでしょうかという気がいたすわけであります。

 旅館でも、パンデミック、感染症の方についてはやはり適切な対応をとるということがあるように、先ほど話があった暴力団の方々に対する対応もあるということでありましたので、ある意味、民泊についても、宿泊者が誰でも、どなたでも、何の約款もなくていいですよということに私はならないのではないか。やはり、小さな個人事業主であっても、しっかりと約款を整備していただいて、宿泊拒否規定というものはあるべきではないか。

 そうでなければ、今回の民泊、どうでしょう、皆さん、特徴としては、住宅街で営業できるという大きな特徴がありますね。この大きな特徴がある民泊において、感染症の人も来るかもしれない、いやいや、犯罪者も来るかもしれない、いやいや、警察からマークされている方も、民泊でフロントもないから、インターネットで予約をして出入りするかもしれないとなれば、やはり多くの不安がそこに生じるのじゃないでしょうか。

 地域住民の観点からすれば、やはりそこはぜひ、宿泊についてお断りをできるというような流れを、法案が出る前だからこそ私はつくっていただきたいと思いますが、観光庁、いかがでしょうか。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 民泊につきましても、そのような暴力団の宿泊などについて、近隣の住民の方に不安を与えるといったようなことがないようにしていく必要があるだろうと思っております。

 今先生からも御指摘がございましたように、約款といいますか、そういったことなどにつきましても、関係省庁とよく連携をとりながら、どのような対策がとれるかということを考えてまいりたいというふうに思います。

泉委員 警察庁も、お願いいたします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘なされましたように、この民泊につきましても、暴力団を宿泊させるということによって近隣住民に不安感を与える、あるいは客室において違法行為に及ぶのではないかという懸念があることは容易に考えられるところでございます。

 これまでも警察におきましては、旅館、ホテル等における、先ほど御指摘ございました宿泊約款等に暴力団排除条項を盛り込むといったことについて、都道府県警察を中心に取り組んでおるところでございますけれども、この民泊につきましても、しっかりと暴力団排除条項が宿泊約款に盛り込まれることとなるように、関係省庁と連携を図りながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

泉委員 ありがとうございます。

 前向きな御答弁もいただいたというふうに認識をしておりますが、いつも警察に暴力団関係の統計を見せていただくと、それなりの実数で組員というものを把握されているわけでありますので、そういった意味では、やはり日常的に監視もされていることであると思います。

 そういった意味では、民泊が拡大すると、さまざまな活動においてやはり顔が割れにくい宿泊施設を使うという行動様式というか、これは十分考えられることでありますので、やはりそういったところを警察としても注視をしていただいて、そして、例えば宿泊を警察が確認したといったときに、そこの民泊の事業者ともやはりやりとりをしていただいて、約款がどうなっているかということも含めて、いわゆる後追いもしなければいけませんし、防止もしていかなくてはいけない。

 これは、新たに始まる民泊というものが住宅街にも及ぶというのは、非常にそういった意味で、多くの住民に危険や不安を与える可能性があるということ、これをぜひ御認識いただいた上で、しっかりとした体制をつくっていただきたいというふうに思っております。

 今、観光庁そして警察庁ともに、前向きに、連携をして検討していただくというふうに言っていただきましたので、改めて、公安委員長についても御答弁をお願いしたいと思います。

松本国務大臣 今の御趣旨、まさにそのとおりで、住まわれている一般の方が大変心配をされるという状況をつくってはなりません。この民泊の状況、実態というものを十分に把握した上で、民泊に係る宿泊約款、これに暴力団排除条項を盛り込むことについて、その普及促進ということに努力をしていきたいと思います。

泉委員 ありがとうございます。

 それでは、最後の質問で、きょう、資料をお配りしております。

 古屋副大臣にお伺いしたいんですけれども、放課後児童クラブにおけるICT化の推進ということで、学童保育等々で、子供が来たとき、帰るときにしっかりと保護者に連絡をとれるようにしよう、それをメール化していこうというような補助金が、二次補正で六千万円ついております。

 しかし、下の表にあるように、今の時代、これは私も私の妻も、また周辺もそうなんですが、いわゆるメールのやりとり以上にSNSを使ってやりとりするというのがやはり非常に一般化して、むしろ、そちらの方がインフラとして強い力を持っているというのが、ここに書いてあるような、まさにグラフにあらわれているように、十代においても二十代においても、メール使用よりもソーシャルメディア利用の方がふえているというような状況がございます。要は、見る機会が頻繁だということですね。

 そういった意味では、それぞれ、SNSにもメール機能というのは当然、メッセージ機能がついてありますので、そういったところでのやりとりということも踏まえて、この事業を推進していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

古屋副大臣 泉委員御指摘のように、平成二十八年度補正予算におきまして、子供にICカードを持たせて、子供の出退管理や保護者へのメールなどによる連絡を行います放課後児童クラブ入退室管理モデル事業を計上したところでございます。

 御指摘の、メール送信以外のSNSを利用した取り組みにつきましても、本事業の対象になると考えております。

 SNSの活用も含めまして、放課後児童クラブのICT化により、クラブを利用する子供たちの安全や保護者の利便性の向上、クラブ職員の業務負担軽減に取り組んでまいりたいと考えております。

泉委員 これは、対象になるというのが、補助単価、一カ所二百万円と書いてありますが、要は、私が言いたいのは、それぞれのクラブでやってくださいねと厚労省からお願いをして、結局全てメールでの事業になりましたということでは困るので、ある意味、ちゃんと、SNSの方でもこういうふうにモデルを幾つかやりました、メールの方でもやりました、それぞれのよさがしっかりわかるような、問題点も含めて、そういった実績がちゃんと出るようなモデル事業にしていただきたいというふうに思います。

 そういう理解でよろしいですか。

古屋副大臣 ただいまも答弁申し上げたとおりでございますけれども、このSNSを利用した取り組みについても今後検討してまいります。

泉委員 では、終わります。ありがとうございました。

秋元委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。

 きょうは、初めに成年後見制度についてお聞きしたいと思います。

 初めに加藤大臣にお聞きしますが、所信で大臣は、成年後見制度の利用促進をお述べになりました。なぜこれは促進なのか、成年後見制度の利用促進の意義は何なのか、簡潔にお答えください。

加藤国務大臣 成年後見制度は、認知症、知的障害その他の精神上の障害がある方の財産管理、身上監護についての本人の意思を尊重しつつ支援する仕組みであります。高齢化社会への対応、また知的障害者、精神障害者等の福祉の充実の観点から大変重要だというふうに位置づけております。

 他方で、我が国の成年後見制度の利用の現状というのを見ますと、認知症高齢者等の数などと比較しても、その利用が残念ながら進んでいない、こういう指摘をいただいているところでございます。また、今後、認知症高齢者が増加をしていくことが見込まれる上に、例えば知的障害者等についても、親御さんが亡くなってしまう、こういった問題等もございます。したがって、成年後見制度に対するニーズは今後ますます増大するものと思っております。

 このため、成年後見制度の利用者がよりメリットを実感できる必要な運用の見直しを行いつつその利用促進を図る、これが大変重要だというふうに考えております。

島津委員 今お答えがありましたように、判断能力が不十分な高齢者や障害者の皆さん、これは虐待を受けていたり、あるいは財産管理の被害、守っていく、こういう権利を守る上で、この制度というのはこれまで役割を果たしてきたと思うんです。

 そこで、この制度を利用している件数についてお答えください。

村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 成年後見制度の利用者につきましては、近年増加を続けておりまして、後見、保佐、補助、任意後見の各類型の利用者の合計は、平成二十七年十二月末日時点で合計十九万一千三百三十五人となっております。

島津委員 先ほど大臣もお答えがありましたように、今後もふえていくわけです。いわゆる団塊世代が後期高齢者になっていく。二〇二五年には認知症有病者数が約七百万人という推計もされています。成年後見制度の利用は今後ますます増加していくと予想されているわけなんですけれども、役割はますます大きくなってくる。それだけに、この制度が本来の趣旨、目的に沿って被後見人等の権利をしっかり守っていけるのか、これが大事なわけです。

 昨年、成年後見制度の利用促進の法案が当委員会で可決された際、私は、現行制度のもとで生じているさまざまな問題を示して、そうしたことが解決されないままこの利用促進だけを進めていくのは拙速じゃないか、こういう御指摘をしました。この検証がやはり必要だと思うんです。

 そこで、後見等監督処分事件の現状についてお聞きしたいと思うんです。

 後見人の事務を監督するのは後見監督人ですけれども、監督人がいない場合は、家庭裁判所は、いつでも後見人に対して後見事務の報告や財産目録の提出、財産状況の調査をすることができる、こうされています。これは民法です。

 事前に最高裁判所からお聞きしているので紹介しますと、後見等監督処分事件と報酬の当否の審査を合わせると、後見制度が実施された二〇〇〇年当時は三千九百三件だったのが、直近の二〇一五年では二十一万三百三十七件、急増しています。昨年の内閣委員会のときにお聞きしたら、二〇一四年の件数は十七万七十八件でしたから、一年間で四万件もふえているわけです。これは配付資料でふえている数を示しました。

 この背景には、高齢者人口の増加、これに伴う認知症の増加などがあるわけですけれども、この中で明らかになった不正事件、この件数、直近の五年間でいいですので、数字だけで構いませんから、お示しください。

村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 平成二十三年から二十七年までの五年間についてお答えを申し上げますが、平成二十三年一月から十二月までの一年間に成年後見人等の不正について対応を終えたとして全国の家庭裁判所から最高裁判所が報告を受けた件数は三百十一件、被害総額約三十三億四千万円でございました。平成二十四年は、不正の件数は六百二十四件、被害総額約四十八億一千万円、平成二十五年は、不正の件数が六百六十二件、被害総額は約四十四億九千万円、平成二十六年は、不正件数が八百三十一件、被害総額は約五十六億七千万円でございまして、平成二十七年は、件数、被害総額ともに減少いたしまして、不正の件数は五百二十一件、被害総額は約二十九億七千万円でございました。

島津委員 そのうち、専門職はどうでしょうか。

村田最高裁判所長官代理者 今お答えいたしました不正件数及び被害総額のうち、専門職による五年分の件数、総額を申し上げますと、平成二十三年は、不正件数は六件、被害総額は約一億三千万円、平成二十四年は、不正件数が十八件、被害総額約三億一千万円、平成二十五年は、不正件数は十四件、被害総額は約九千万円、平成二十六年は、不正件数は二十二件、被害総額約五億六千万円、平成二十七年は、不正の件数は三十七件、被害総額は約一億一千万円でございました。

島津委員 専門職、被害額は減ったとはいえ、件数は二〇一四年の二十二件から三十七件とふえています。いろいろな原因があるんですけれども。

 そこで、冒頭指摘したように、後見人の本来のあり方に照らして、現状のままでいいのかというのがやはり今問われていると思うんです。

 後見事務の内容、つまり後見人の仕事というのは、大きく分けて、一つは財産管理、二つは身上監護、こう言われています。

 ある家庭裁判所の調査官経験者は、次のように述べています。後見人の仕事は実に労力を要するという印象が強い。認知症高齢者の後見人は、まず財産の保全、活用に神経を使う。不動産会社、銀行、証券会社等との交渉には緻密さ、粘り強さが要求される。不動産や先祖の墓が遠方にあって、争い事があればその地まで出向いて関係者と折衝する必要も出てくる。そして、何よりも高齢者の福祉を考えて、資産、収入に見合った、より快適な環境を整備することが主要な業務である。このように話しています。

 通告していませんけれども、最高裁に確認したいんですけれども、今紹介した調査官経験者の方の話、これは一般的な後見人の仕事、業務だと思いますけれども、どうでしょうか。

村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 後見人は、財産管理とともに、被後見人の身上監護についても配慮するということが民法にも規定をされておるとおりでございますので、今御紹介のありましたような努力を各後見人の方がされている例は非常に多いものと思います。

島津委員 後見人の仕事は、今紹介したように非常に多岐にわたり、何よりも労力が必要だと。多くの後見人の方は、このように御苦労されていると思うんですけれども、一方で、先ほど統計的に紹介していただきましたけれども、不正がある、トラブルも少なくない、改善しなければならない問題点、たくさんあるのも事実です。

 私が聞いた中でもさまざまなことを訴えられました。

 例えば、親が元気なうちに、生活費は出すからと言われて同居した。ところが、制度を利用した途端に、生活費は全て半分ずつ、こういうふうに後見人から請求される。介護が必要になって収入が減っていたのにそういう請求をされて本当に困っている。こういう話です。

 また、被後見人が毎年取り寄せていた正月のお節、これを買ったら、財産を管理している後見人から、そんなものは払えない、こういうふうに言われた。この後見人は、裁判所から選任されて、最初に一回面接に来ただけで、事情を知らないのでこういうことになるんじゃないかということで非常に憤っている。家族が、現金、通帳を見せてほしいと言っても応じてくれない。

 また、被後見人となった親が、後見人によって施設に入ることになった。これは、自宅にいると悪徳商法などにひっかかるのが心配だ、こういう理由で施設に入る。しかし、家族が会いに行っても会えない。会っても五分ぐらいしか会えない。なぜかといって調べてみたら、後見人が面接させないように施設に指示をしていた。本人が会いたくないと言っている、こういう理由だというんです。ところが、実際に本人は、その後、あんなところ、施設はもう二度と嫌だと話している。いろいろ、症状によっても、まだらの状況もあると思うんですけれども。

 この後見人は、被後見人が自宅に戻った途端にみずから後見人を辞任したといいます。自宅にいると、さまざまな生活面での実務が生じます。施設に入ってもらえば、月々の利用料だけで済む。施設に入ってもらえば楽だし、報酬の単価、時給も高くなるわけです。こういう不信の声が家族から上がっている。

 一人の後見人が五十人も受け持っている、こういう例も聞きました。後見人が被後見人にほとんど会わない、月に一度、二月に一度、それも本当に短時間、中には、十年間一度も会っていない、こういう話も聞きました。これでは、身上監護というのは名ばかりだと思うんです。こういう話は切りがありません。

 大臣、制度はつくっても、本来の理念、目的から見ると、現状はこのようにほど遠いわけです。こういうことを改善するためには何が必要なんでしょうか。

加藤国務大臣 今、一つ一つ具体的な事例がありましたけれども、昨年施行されました利用促進法に基づき、内閣府に利用促進委員会が設置され、成年後見制度を利用する当事者の関係者、また、成年後見人として活動する士業の方、学識経験者等により構成されているわけでありますけれども、同委員会から意見をいただいております。

 その中でも、利用者にとってメリットを実感できる、本当に利用価値があるということですね、そういった制度にするためには、財産管理のみならず、成年後見人の、意思決定の支援や身上の保護、その被後見人の方がよりよい暮らしができる、そういったことを重視した運用とすべきであるという御指摘をいただいているところでございまして、こうした指摘を踏まえて、この成年後見制度の、今、御指摘も含めた課題も含めて、その解決に取り組んでいきたいと思っております。

島津委員 これから解決していくということなんですけれども、具体的に幾つか聞きたいと思うんです。

 例えば、後見人の事務の報告について、これは東京家庭裁判所の運用なんですけれども、収支報告書を撤廃して、十万円以下の領収書の添付は不要だ、こういうふうになっている。ですから、これでは私的流用などを見抜けないんじゃないか、こういう声が上がっているんです。

 これは事実なんでしょうか。事実だとしたら、どのように改善する必要があるんでしょうか。

村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 東京家庭裁判所におきましては、成年後見人の方に対して、原則として年に一回、あらかじめ定められた時期に、一年間の後見事務について報告するよう求めておりますが、その際には、毎年御報告いただく成年後見人の御負担という観点と、不正の実効的な防止という観点の二つ、これを考慮いたしまして、全ての後見人に対して一律に提出していただく資料、これは必要なものに絞りつつも、その資料から不正がうかがわれるようなものがあれば、追加書類の提出を指示したり、裁判官による審問を行ったりしてさらなる調査を行う、こうした運用が行われているものと承知をしております。

 具体的に申し上げますと、全ての後見人に対して求めるものとしては、本人の生活状況や収支状況の変動を含む財産状況について記載していただく後見事務報告書、それから御本人の財産目録、これを提出していただきますが、その裏づけとして、報告していただく期間に対応した取引履歴の記載された通帳の写しを提出していただき、加えて、十万円を超える臨時支出等がある場合には、領収書などの支出のあったことの裏づけとなる資料もあわせて提出していただくようお願いしているものと承知しております。

 したがいまして、委員の御指摘のありました収支状況報告書というような形ですとか、あるいは十万円以下の支出に関する領収書を全ての後見人について一律に求めるという運用はしておらないというふうに承知をしておりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、提出を求めている資料の中から仮に不審な点がうかがわれれば、裁判官の判断によって必要な調査をさらに実施し、事案によっては、追加的に収支状況報告書や十万円以下の支出に関する領収書についても提出を求める場合もあるというふうに承知をしておりまして、今後も、後見監督事件の運用の確保に向けた家庭裁判所の取り組みを、最高裁としても支援してまいりたいと思っております。

島津委員 先ほども紹介しましたけれども、無理やり施設に入れられてしまう、こういう事例を私は聞いているんですけれども、こうしたことを掌握しているんでしょうか。掌握しているなら、どういう対策をとるか、これをお聞きしたいと思うんです。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしましては、個々の事案の、議員おっしゃったような詳細についてまでは把握はできておりませんけれども、ただやはり、意思決定支援が十分になされていないものがあるとの御指摘は承知をしております。

 そういったことで、私どもとしましても、認知症高齢者などの判断能力が不十分な方につきましても、成年後見人や家族の方が本人の意思をできるだけ丁寧に酌み取って、その生活を守り、権利を擁護していくという取り組みが重要だと思っておりますので、そういった取り組みを続けてまいりたいと思っております。

 そういった形への対策という御質問もあわせてございましたので、お答えさせていただきますけれども、やはり、そういった問題への対応ということになりますと、成年後見人制度の利活用を進めていくこと、そしてその際には、やはり、後見人の方が、ノーマライゼーションや自己決定権の尊重を図りながら、身上の保護を重視して後見事務を行うということが求められると考えております。

 そういったことから、私どもとしましては、そのような事務を遂行できる人材ということを育成してきておりまして、例えば、権利擁護人材育成事業というようなものにおいて、市民後見人等の養成研修を行ったり、あるいは、そういった市民後見人の方への適切な助言指導を行ったり、専門職との連絡会議を開催して、そういった方の事案解決能力を向上させるというような取り組みを実施してきているところでございます。

 また、先ほど加藤大臣の方からもありましたけれども、成年後見人の利用促進委員会の取りまとめでも、地域のネットワークを構築するというようなことに努めるべしという御意見もいただいておりますので、そういったことも踏まえて、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

島津委員 いろいろ問題を挙げれば切りがないので、時間の関係でもうやめますけれども、この制度というのは、開始決定されれば、期間の制限や定期的な見直しもされない、基本的には死ぬまで継続する、こういう問題点もあります。

 二〇〇〇年の施行当時は、自己決定権の尊重を重要な趣旨とした点では時宜にかなったものと評価されたんですけれども、その後、どのように本人の意思決定を尊重するのかについて、基準や指針が示されていない。実際には、後見人の裁量に委ねられているというのが現状になっているわけです。だから、いろいろな事例、トラブルなんかが続出しているわけです。

 大臣に改めてお聞きします。

 日本も批准した障害者権利条約、その第十二条で、精神上の障害があることをもって一律に行為能力を制限してはならない、誰もがみずからの意思を決定することができるよう必要な支援をすることを求めている。この精神に基づいて、直ちに運用の問題点を解決するとともに、認知症や障害のある人の自己決定権の実現を目指して、制度そのものの抜本的な改善、これに足を踏み出すべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。

加藤国務大臣 まず一つは、先ほどちょっと申し上げましたけれども、成年後見制度利用促進委員会の意見を本年一月にいただきました。それを踏まえまして、今年度末を目途に、成年後見制度利用促進基本計画、これは法律によって求められているものでございます、これをしっかり策定していきたいというふうに考えております。

 その内容においても、利用促進委員会の意見を踏まえて、一つは、先ほど申しましたが、利用者がメリットを実感できる制度、運用の改善を図るため、財産管理のみならず、意思決定支援や身上保護も重視をしていく、二点目として、市町村が中心となり、権利擁護支援のための地域連携ネットワークを構築していく、三番目として、不正防止のための新たな方策を検討する、こういったことが具体的に提言されているわけでございますので、これを踏まえて、委員からも御指摘がありました、本人の意思決定を支援していく、また、身上保護、これを重視して、利用者に寄り添った成年後見制度への見直しが進められるよう、実効性のある基本計画をまずは策定していきたいと思っております。

島津委員 ぜひ、そうした方向で改善していっていただきたいと思います。

 残りの時間で、雇用促進住宅に関連して質問をさせていただきます。

 昨年十月、国は、雇用促進住宅を東日本と西日本の二ブロックに分けて一括で売却する一般競争入札を行いました。結果、西ブロックは三百六十六億二千二百万円で落札され、ことし四月から、落札したアタミ合同会社、その後名前が変わって全国民間賃貸サービス合同会社となったんですけれども、ここが住宅の運営を行っていくと聞いています。

 雇用促進住宅というのは、もともと国民の雇用保険を財源として、住宅の目的も、国の住宅政策の中で長年公的住宅とされてきました。それを国が民間に売却するということは、国民の貴重な財産を手放すことになるわけです。

 今、全国に千百八十一住宅、十万八千八百六十七戸の住宅があります。入居者は、今後の生活がどうなるのか、こういう不安と心配の声が絶えません。

 そこでお聞きしたいんですけれども、これまで公的住宅として、国と独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、これが管理運営等に責任を持っていたわけですけれども、民間会社が住宅の運営を行うことになれば、国やこの機構の責任というのはこれからどうなるんでしょうか。

古屋副大臣 お答えいたします。

 今回の売却におきましては、十年間の転売禁止や賃貸条件変更の禁止などの条件をつけておりまして、それらについては、売買契約書上で交わされた契約内容であるため、契約違反があれば、売却先の民間会社が独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に違約金を支払うこととしております。

 売買契約上の条件につきまして、売却先の民間会社が契約違反をした場合には、売り主である機構で適切に対応するとともに、厚生労働省といたしましても、入居者の不安を招かないよう、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、松本(文)委員長代理着席〕

島津委員 入居者の不安の要因の一つに、民間への移行後どうなるのか、その説明がない、これは私もいろいろなところから聞いています。

 現在、入居者には、所有者変更に伴う賃貸契約の継承のお知らせという一枚のペーパーが入っているだけです。住宅によっては、それが張り出されているだけ、こういうこともお聞きします。これは、なぜきちんと説明しないんでしょうか。

大西政府参考人 今回の売却条件につきましては、入居者の皆様に対しましては、平成二十七年度に各住宅において説明会を実施したところでございます。

 その後、委員御指摘のとおり、高齢・障害・求職者雇用支援機構が民間業者と契約を締結して売却したわけでございますが、その内容につきましては、平成二十七年度に既に御説明したものと同様であったわけでございます。

 その後の取り扱いにつきましては、先ほど委員御指摘のとおり、売却先につきましては各住宅に掲示をしているとともに、各入居者につきまして、売却後も現在の契約条件を引き継ぐということについては御連絡を差し上げている、そういうような取り扱いをしているところでございます。

島津委員 既に説明会を終えたということなんですけれども、では、その説明会に入居者の何割の方が出席したのか。私が聞いているところによりますと、説明会の情報さえ知らされていなかった、こういう例があったり、あるいは、自治会があるところでは一部の代表だけに説明が行われた、こんな話も聞きました。情報がきちんと共有できたのか、ここが一番大事なわけです。

 しかも、国会答弁では、丁寧な説明を行うと繰り返し述べてきました。昨年の当委員会の私の質問に対しても、職業安定局次長は、丁寧にやる、こう答弁しています。

 入居者の多くが、不安でたまらないと私どもの事務所に頻繁に電話がかかってきます。この丁寧に説明を行う、これは責任を持つ必要があるんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

大西政府参考人 私どもといたしましては、まず、平成二十七年度に行われた説明会におきましては、先ほど申し上げたとおり、住宅ごとに説明を実施するとともに、入居者の皆様にはパンフレットをお配りしたところでございます。

 また、今回、先ほども申し上げましたが、各入居者の皆様に、売却後も現在の契約条件等を引き継ぐ旨の御連絡をしたところでございますが、その中には新会社の連絡先のフリーダイヤル等もお知らせして、お問い合わせいただければ、当然のことですが丁寧に対応させていただきたいと考えておるところでございます。

島津委員 ぜひ、皆さんが納得いくように説明を尽くしていただきたいと思うんです。

 十年間は家賃等の変更はない、こういう保障です。十年は住み続けられる。では、十年が過ぎたらどうなるのか。今の入居者の皆さんは、十年後も住み続けたい、この願いは当然あるわけです。これはどのように担保されるんでしょうか、この願い。

大西政府参考人 今回、御指摘のとおり、十年間ということで賃貸条件について維持することとしておるところでございます。売却後十年経過後の入居につきましては、基本的には売却先の民間会社と入居者との間で決められるというようなことと認識しております。

 なお、機構といたしましては、賃貸条件の維持ということで、この十年間というのは相当長い期間をこういった入居者の方々の保護を強める観点から設定させていただいたということで、何とぞ御理解いただきたいと思います。

島津委員 十年後は借地借家法の世界に入っていくわけなんですけれども、この借地借家法の精神というのは、居住者の権利をいかに守るのか、つまり居住権の保障にあります。普通契約者に適用されている借地借家法では、正当な事由がなければ家主による立ち退き請求は認められていない、こうありますから、十年後にもこの権利関係は生きているわけですから、これは十年先の保障も国としてもしっかり見守っていくことが必要だというふうに指摘したいと思うんです。

 次に、保証人の問題についてお聞きしたいんですけれども、雇用促進住宅を賃貸物件として買って紹介しているビレッジハウス、そこでは物件案内を出しているんですけれども、その中で、次のことを売りにしています。

 ビレッジハウスは、UR、公社、市町村が運営する公営住宅とは異なる低価格賃貸住宅です、その上で、抽せん、礼金、保証人不要、こうアピールしています。また別のところでも、礼金、手数料、更新料もゼロ、保証人も不要、このように繰り返しているんですけれども、この保証人不要というのは確かなことですね。

大西政府参考人 民間会社の募集条件につきましては、一応、私どもとしては直接お答えする立場にはないということを御理解いただきたいと思うんですが、私どもとしまして、売り主である高齢・障害・求職者支援機構からは、売却先の民間会社が保証人不要という形で入居者の募集を開始していると聞いておるところでございます。

島津委員 しっかり書いてありますから、そこのところは確認したいと思うんですけれども。

 今最も心配されているのが、定期契約で入居している人たちです。私の事務所にも、定期契約の人が、次の契約更新のとき保証人を求められる、そうすると保証人が確保できない、こういう方が、たくさん心配の声が上がっています。

 定期契約の人たち、家賃はきちんと払っている、しかし保証人の確保ができない、こういう場合にはどうなるのか。これは新しい家主との相談というふうになってしまうんでしょうか。

大西政府参考人 現在の入居されている方につきましては、十年間を契約内容維持ということでお願いしておるところでございますので、今回の売買契約の条件となっておりますので、引き続き保証人については必要ということになっておるところでございます。

 なお、委員御指摘のように、入居者の方と新しい家主の方が保証人を立てないで契約できるか、こういった条件の変更につきましては、やはり売却先の民間会社と御相談していただくことになると認識しているところでございます。

 その際でございますが、先ほど、賃貸の契約内容の変更はできないというぐあいに申し上げましたが、契約の更新の際に、入居者に有利となる契約の変更は可能であるというようなこととなっておるところでございます。

島津委員 新しい家主との交渉でそういう道も開かれる、保証人なしでもいいということで。実際に、募集のときには保証人なしでやっているわけですから、開かれるということだと思うんです。

 一九九九年に、この雇用促進住宅問題の発端になったのが、雇用・能力開発機構法案の審議の際、このとき、我が党議員は次のように指摘しています。

 居住する人たちは約三十八万人、生活そのものがかかる、同時に、資産としても、簿価だけでいっても土地で百数十億円、実勢価格でいえば数千億円、それ以上の資産になる。これは、中小企業を含む事業主の負担等によってそういうものが形成されてきたという性格から、間違っても、こういう土地が民間ディベロッパーなどの利潤追求に使われてはならない。これは、一九九九年三月の衆議院労働委員会での質問です。

 今回、西日本ブロックは大手不動産投資会社に売却され、東日本ブロックの住宅も再度入札にかけられようとしています。

 繰り返し言うまでもありませんけれども、雇用促進住宅は国民の大事な資産です。しかも、入居者ともども売却しようというなら、今後何十年たとうと、入居者の居住権を侵害するようなことは決してやってはならない。これは本当に、この経過からいっても国の責任だと思うんです。このことを強く指摘して、質問を終わりたいと思うんです。

 ちょっと時間が余りましたので池内議員の方に譲りますので、よろしくお願いします。

松本(文)委員長代理 次に、池内さおりさん。

池内委員 日本共産党の池内さおりです。

 きょうは、待機児童の解消と乳幼児の死亡事故について質問をさせていただきます。

 安倍総理が二月十七日の衆議院の予算委員会で、平成二十九年度末までに待機児童をゼロにすることは厳しい状況になったという旨を答弁されていました。しかし、あくまでも目標は堅持をするということも述べられています。

 報道によると、六月に次なる待機児童解消プランを設定するということも表明されている。

 この待機児童解消ということを称して行われてきたことというのは、私は率直に言って、保育の量を確保するため質を軽視する規制緩和だったのではないかと。

 子ども・子育て支援法に基づく基本指針には、おのおのの子供や子育て家庭の置かれた状況や地域の実情を踏まえて、幼児期の学校教育、保育、そして地域における多様な子ども・子育て支援の量的拡充と質的改善を図るということが必要である、このように、量とともに質の改善が明記をされています。

 まず、大臣にお伺いいたしますが、六月にも明らかにされるという次なる待機児童解消プラン、これが、規制緩和で量を確保し質を犠牲にする、このような対策であってはならないと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 現時点では、その新たなプラン、具体的にどんな内容にするのか、カバーする期間をどうするかというのは決まっておりません。四月以降に明らかになる各自治体における待機児童の改善状況、実態を見きわめた上で、新たなプランを六月までに決定するということでございます。

 その際、私も子ども・子育て支援を担当しているという立場でございます。保育の質がしっかり担保されるよう、厚生労働省ともよく連携して対応していきたいと考えております。

    〔松本(文)委員長代理退席、委員長着席〕

池内委員 率直に言って、私は、この間、政府が行っている待機児童解消の対策というのは、本当に規制緩和が相次いできたということを感じています。

 例えば、ちょっと振り返るだけでも、短時間勤務の保育士の導入とか、定員超過入所の規制緩和、その拡大、保育所設置主体の規制の撤廃、さらには児童福祉施設の最低基準の緩和など、本当に枚挙にいとまがない。そして今度、去年ですけれども、二月十八日に、保育所等における保育士配置に係る特例というのが出され、通知ですけれども、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長名でこれを出されました。

 保育士の配置について、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第三十三条二項はどのように規定していますか。

吉本政府参考人 御指摘の条項でございますが、「保育士の数は、乳児おおむね三人につき一人以上、満一歳以上満三歳に満たない幼児おおむね六人につき一人以上、満三歳以上満四歳に満たない幼児おおむね二十人につき一人以上、満四歳以上の幼児おおむね三十人につき一人以上とする。ただし、保育所一につき二人を下ることはできない。」と定められているところでございます。

池内委員 この通知で、今御答弁いただきました規定のただし書きの部分を適用の除外として、二人目は保育士と同等の知識及び経験を有すると認める者で構わないというふうになりました。保育士のかわりに、幼稚園、小学校教諭また養護教諭で構わない。一日八時間を超えて開所する保育所の場合には、利用定員に係る配置基準よりも多くの職員配置が必要となるけれども、これも、基準を超えて配置した職員は、保育士資格がなくても構わないと。

 構わない、構わない、構わない、皆さんこのようにおっしゃるわけですけれども、この配置というのが、一応は特例だ、特例的運用だというふうになっていて、しかし、当分の間というのは一体いつまでなのかが全く見えない。特例というのであるから、当分の間というのはいつまでのことでしょうか。

吉本政府参考人 待機児童の解消に向けましては、待機児童解消加速化プランに基づきまして、保育の受け皿拡大を進めているところでございますが、御指摘の特例につきましては、待機児童を解消し、保育士確保が困難な状況の背景にある受け皿拡大が一段落するまでの緊急的、時限的な対応というふうに考えております。

池内委員 全然終期も見えない。これでは、まさに認可保育園の保育士の配置基準にさえ風穴をあけたこの特例が、特例なんかじゃなくて、常態化してしまう危険があるというふうに思います。

 学校の教員や病院の医師、看護師などの場合に、それにかわって、その資格がない職員がその不足部分を埋めるなんということは、私は考えられないと思うんですよ。保育士は国家資格です。相手が子供だからと甘く見ているのではないかと勘ぐりたくなる。幾ら緊急的、時限的対応とはいえ、政府自身が国家資格だと言っている保育士の専門性をおとしめていると言わざるを得ない現状が進んでいると思います。

 子ども・子育て新制度のもとで、地域型保育事業の小規模保育所B型などに至っては、職員の半分は保育士でなくてもよいなどといって最低基準を切り下げてきたし、しかも、規制緩和はこれにとどまりませんよね。本日閣議決定をされました国家戦略特別区域法改正案、これでは、原則三歳未満児を対象としている小規模保育事業について、特区内であれば小学校就学前の子供も対象とできるというふうにする中身であると聞いています。これで保育の質を大切にしていると言えるのか。私は、このような法改定というのは絶対に許してはならないというふうに思います。

 二月の二十四日には、院内で、保護者や保育士の皆さん、二百人を超える皆さんが国会に集まったことは大臣も御存じだと思いますが、私もその現場に行き、ぜひ大臣にも来ていただきたかったんですけれども、私も行きました。そして、百八十万人を超える署名を受け取りました。

 私が規制緩和を今問題にしているのは、こうしたお母さんたちの叫びがあるからなわけです。お母さん、お父さん、保護者の皆さんは、どんな保育園でも預けることができればいいとは思っていないことはわかっていると思います。安心して預けられる認可保育所こそふやしてほしい、このことを皆さん口々に語られた集会だった。

 私は、この切実な、けれども本当に当たり前の願いですけれども、この願いを保護者が持たざるを得ない背景に何があるかといえば、保育施設における死亡事故だと。あってはならない現実が毎年のように繰り返されている現状があるということが、皆さんの願いの根本だと思います。

 保育園に預けたら子供が死んでしまう、こんなことを想定して子供を手放す親は一人もいないと思う。せめて子供が死なない保育を、このように私は訴えられましたけれども、この声は本当に切実だと思います。

 たった一件でもあってはならない事故、内閣府の資料でも、平成十六年以降、六件から十五件で毎年推移している。毎年毎年、それもうつ伏せ寝などの粗雑な扱いを受けた結果、命が失われている。本当に私はいたたまれないと思うんです。ことしも来年度も続けていいのか、こんな現状を。何か、命が失われることに鈍感になっているのではないかと思わざるを得ません。

 大臣にお伺いいたしますけれども、内閣府の資料で、平成十六年から二十七年の保育施設等における死亡事故の件数、これは百七十四件あります。そのうちの認可外が百二十件、六八・九%を占めています。直近の平成二十七年でも十四件中十件と、既に七一%、認可外で起きている。この理由を、大臣、どのようにお考えになりますか。

加藤国務大臣 御指摘のように、認可保育園等に比べ認可外保育園における死亡事故が多いというのは、そのとおりだというふうに思いますし、また、本当に大事な子供さんを預ける、そうした親御さんの立場からして、預けた子供さんのしっかりとした保育、その前提として、やはり安全というのがしっかり確保される、これは当然のことだというふうに思います。

 この死亡事故の原因はいろいろなものがありまして、施設類型との因果関係をなかなか分析するのも難しいところではありますけれども、一つの考え方、背景としては、子ども・子育て支援制度の対象である認可保育園等では、一定の基準を満たすことを条件に公的助成や公的関与が行われているわけでありますが、一方、地方自治体が独自に支援している保育施設や企業主導型保育施設以外の認可外保育施設では公的助成が行われていない、そして基準についても最低限の指導監督基準にとどまっている。こういったことも死亡事故件数の多さの背景にあるのではないかというふうに考えております。

池内委員 まさにその基準の、やはりしっかりと最低限を上回るような保育施設が全国に広がるような対応というのが本当に必要だというふうに思うんです。その点で、やはり認可外というのは余りにもいろいろな規制の枠の外に置かれているということを私は痛感しています。

 指導監督基準に基づく指導監督がなされるというふうになっているわけですけれども、では、実態はどうなっているのか。

 東京都に幾つの認可外保育所があるか。私、数を聞いて、もう本当に驚くほどだったんですけれども、ことし三月一日現在で、認証保育所、事業所内保育所含めて千六百九十六施設ある。そして認可施設は二千四十二施設もある。あわせて三千七百三十八施設があるわけですよね。大臣も御存じだと思うんですけれども。この三千七百三十八施設をたった十八人の職員で今、見ているということなんですよ。不可能ですよね。

 国は、届け出対象施設には年一回立入調査を実施せよ、これが原則だと言っている。届け出対象外の施設は、できる限り立入調査をやれと言っている。この東京都の認可外保育施設への立入調査の実施率というのは一体、今、どうなっていますか。

吉本政府参考人 東京都からの報告によりますと、平成二十六年度の認可外保育施設の立入調査の実施率でございますが、千四百二十施設中百三十九件、割合にして一〇%となっております。そのうち、ベビーホテルにつきましては、五百二十施設中百十八施設、二三%となっているところでございます。

池内委員 本当にもう目を覆いたくなる現状ですよね。これで保育事故が防げるのかと。

 認可保育園に子供を入園させることができなかった保護者にとっては、もう背に腹はかえられないという思いで認可外を利用せざるを得ない状況が広がっています。保育の看板を掲げている施設なのに、ふたをあけてみたら、こんなに保育の質に違いがあったと。外形上の保育士基準の配置などは満たしていても、預けたら子供が亡くなりました、骨折しました、けがをしましたなどという事態があってはならないと思うんですよね。

 私は、死亡事故発生の割合が大きいと政府自身が統計でも認めている認可外をわざわざふやすのではなくて、認可保育園を抜本的に拡充することこそ進むべき道じゃないか。

 ところが、政府は、認可外の企業主導型保育事業、始まりましてもうすぐ一年たちますけれども、今以上にこの認可外をふやそうとしているのが実態です。

 企業主導型保育事業というのは、本当にこれも驚くべきシステムですけれども、認可並みの補助金を、税金を支出するにもかかわらず、自治体の審査も受けずに届け出だけで設置ができてしまうという代物で、認可施設並みの補助金というインセンティブまでつけて、行政とのかかわりの弱い保育を今後促進していこう、そうした魂胆を私、ひしひしと感じているわけです。しかも、保育士配置の有資格者というのは半分でいい。まさに保育の大安売り、大盤振る舞い、このような施しを企業主導型にしている。

 こうした認可外施設というのは、死亡事故が起こっても、報告義務さえないですよね。指導監督基準では、事故発生時に臨時の報告を上げさせることにはなっているけれども、決して法的義務が課されているわけではありません。

 先日の厚生労働委員会でも指摘をされていましたけれども、加藤大臣、内閣府の担当大臣として、企業型を初め、こうした認可外施設に、死亡事故発生に係る報告を義務づけるべきではないでしょうか。

加藤国務大臣 認可外保育施設において発生した事故については、国に設置された有識者による検討会の中間取りまとめを受けまして、平成二十七年の四月から、これは課長通知ということでありますけれども、報告を求めているところであります。

 また、今御指摘ありました先日の衆議院の厚生労働委員会の質疑において、厚生労働大臣が認可外保育施設についても事故報告を義務づける意向を示されたということは承知をしておりまして、私としても、そうした対応を注視していきたいと思っております。

 いずれにしても、現状、事故報告がしっかり徹底されるよう、まず、今の事後報告の仕組みについて周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。

 それと、企業主導型保育のお話もありましたけれども、これについても、来年度から運営が本格化するところでございます。現在、どういう形で指導を行うか検討しているところでありますが、児童育成協会、これは委託している先でありますけれども、原則として、年一回の計画的な立入調査、必要に応じて抜き打ち調査を行うことなどを前提に、必要な体制整備を図っていきたいと思っておりますし、それについては、来年度予算にもその旨を計上しているところでございます。

池内委員 努力方向は、ぜひ、もう本当にやらないといけないことだらけだと思います。

 ただ、先ほども指摘したように、やはり、昨年、認可保育園の保育士の配置基準さえ政府は緩和をした。国による累次の保育に係る規制の緩和のみならず、二〇〇〇年の設置主体の規制撤廃によって、民間企業が保育事業に参入が可能となっている。つまり、私は、今この国の子供たちというのは、営利追求の企業の参入で、まさに資本の利潤追求のやいばにもさらされている。これが今、どれほど保育の質の低下を招き、無抵抗な子供たちに保育環境の劣化となって襲いかかっているのかという、この現状の認識が私は大事だというふうに思うんです。

 現実の保育事故が、そのことを如実に示しています。

 東京都教育・保育施設等における重大事故の発生防止のための事後的検証委員会の報告書が三月八日に公表されました。この報告書は、昨年三月十一日に一歳二カ月の男の子が、株式会社アルファコーポレーションが運営する事業所内保育所で亡くなったことをまさに検証している報告書になっています。

 これを私は読むと、その当日のお父さん、お母さん、そのときのことがリアルに報告されていて、何度も涙が出る思いでした。とりわけ、この子は、泣いてしまうからと別のところに移されて、一人で寝かされていた、うつ伏せ寝をさせられていた。

 お父さんの手記があります。誰にも見守ってもらえずに、一人別室で苦しんで亡くなった。死後は、警察署の冷たい霊安所で二日間を過ごしたそうです。解剖されて切り刻まれて、亡くなってなおぼろぼろになって子供が戻ってきた。霊安所では、遺族は一日四回しか子供に会えず、ひたすら警察署の一室で、二日間、待ち続けたそうです。お母さんは、子供に会えないとわかっていても、解剖に向かう子供を、その後を追って、タクシーに乗って一人で追いかけたそうです。病院の外から、解剖されるその部屋を見詰めながら、子供の帰りを祈っていたと。この御夫婦のもとに生まれたお子さんは、本当に待望のお子さんで、もう二度と命は授かれないのではないかというふうな状況があるわけですよね。この子も帰ってこないし。

 私は、一件もあってはならないという保育事故にいつ政府が真面目に向き合うのかということ、本当に重大なことが続いているということを指摘したいと思います。

 この報告書の中では、意見書がいろいろありまして、私が注目するのは、契約はあくまでも個人とアルファコーポレーションのものとして、委託元企業が当事者としてかかわることはなかったと保護者が述べていることです。さらに、事業所内保育所といえど、企業は社員へ保育施設の利用枠を確保しているだけだ、この姿勢で、謝罪や補償については遺族とアルファコーポレーションでどうぞやってください、こういう姿勢だった。

 報告書の中でも指摘されていますけれども、委託元企業においても、委託先保育事業者と同様に、保育所が子供の健全なその発達の場となるように責任を負うべきだと私は求めたいと思います。

 このアルファコーポレーションは、保育事故を起こしておきながら、今も手広く事業を展開しています。検証委員会からの報告もやっと最近上がったばかりなのに、この業者による事業拡大など、もってのほかだ、保育事故を起こしたような事業はだめだと言わないといけない。

 当時の、まさに一年前の三月十一日ですけれども、その当時の保育士の配置基準というのは、認可外施設の指導監督基準に抵触はしていなかったと言われていますけれども、有資格者の四人のうち、園長はたった一年三カ月、ほかの三人も一年から四年の保育経験しかなかった人物だと言っている。

 また、非正規の保育士というのは、この数カ所の系列園を日常的にかけ持ちする勤務形態で、日常的に子供に接しているというわけではなかったわけですね、一つの園で。日がわりの保育士さんだった。本当に、その方もつらいと思います。外形上、保育士配置基準を満たしていても、保育の質という点で重大な疑問が残る。目先の利益のために、保育士の人件費にしわ寄せをしていたのじゃないか。

 私は、認可外が全て悪いと言うつもりはないんです。しかし、事実、認可外施設での死亡事故が多くて、これは政府の統計でも出ている。そこへ来て、さらに政府は企業主導型という認可外をふやしていく構えだから、私は問題にしている。

 私、大臣にお伺いしたいんですけれども、この保育という、子供が育つ、人間としての力を基礎の部分でつけていく大事な時期、この保育がもうけの対象にされることはあってはならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、保育においては、社会福祉法人を初めとして、さまざまな形態によって、それが運営されているというわけであります。民間事業だからこそ、もうけをしているから、そこに預かる子供さんの命がどうでもいいということでは当然全くないというふうに思います。

 それぞれの形態の中で、まず、保育の事業を行うのであれば、その事業の目的にしっかり対応してやっていくというのは当然のことだというふうに思います。

池内委員 命を守っていくというのは当然のことだとおっしゃった。私は、ぜひその認識で保育をやっていただきたいと思っているし、私もそれを願っているんです。

 だけれども、この問題というのは、子ども・子育て新制度の仕組みそのものにあるというふうに私は思うんです。この新制度こそ保育の質の確保を困難にしているし、企業経営の保育所でその傾向というのが顕著にならざるを得ないシステムになっている。

 保育所運営費に当たる公費負担分の給付費というのがありますけれども、人件費、事業費、管理費という内訳で、人件費にどれだけを充てるかということは事業者の裁量に任されています。そのため、国家公務員の給与水準並みとはいえ、月額二十万円程度、給付費、しかも、全てが人件費に充てられるというわけではない。その上に、今、保育業界全体が低賃金となっていて、そうすると、保育経験の浅い若手とか非正規雇用をふやせば、幾らでもこの給付金の金額を下回る給与で保育士を働かせることができる仕組みだ、こうなっているというわけですね、事実の問題として。つまり、子ども・子育て支援新制度というのが、賃金水準を下げて、企業のもうけをより大きくふやすことのできる仕組みとなっている。

 私は、政府が今、処遇改善、五%だとおっしゃっているけれども、全然胸を張れないと思います。たかだか一万円だし、しかも、保育の質が低下するのは、今述べてきたように認可外。これについては、結局は知らぬ存ぜぬということですよね、保育士の処遇改善について。こういう状態では、保育の質が低下するというのは、大臣、当然ではないでしょうか。

加藤国務大臣 当然、認可外ということですから、そこには公的助成が基本的にはされていないというのは、それは委員のそのとおりだというふうに思います。

 また、今の公定価格のあり方でありますけれども、委員のお話のように、それぞれ、人件費、事業費等について積み上げをして設定をしているところでございます。

 ただ、保育所における支出については、それぞれの保育所によって、保育士の方々の経験年数等が違う、あるいは独自に保育士を加配している、あるいは、私立の保育所においては、給与水準や給与体系についてはそれぞれの保育所の経営判断に委ねざるを得ない、また管理費や事業費も多様性があるということで、それぞれの施設において柔軟に支出することを可能にしているのは事実でございます。

 そうした中で、他方で、保育所における賃金水準や人件費を含めた収支の実態を把握していくことが重要だというふうに考えておりまして、昨年十二月にも、賃金水準については、その実態を公表させていただきました。

 今後とも、機会を捉えて、賃金やそうした経営の内容、収支の実態、こうした把握には努めていきたいと思っております。

池内委員 実態把握というのはぜひやっていただきたいんですけれども、そうした観点でも、ただ漫然と実態ということではなくて、私、二〇一三年八月に情報開示請求によって明らかにされた、横浜市の企業立保育所の運営費がどうなっているのかという、このデータはとても重要だと思うんですね。これは、二〇一一年度における人件費の割合なんですけれども、横浜市で企業立の保育所の人件費というのは平均で五三・二%だったわけです。一般的に保育所運営費における人件費の割合というのは七〇から八〇%である中で、極めて異常な安さとなっていた。

 なぜ、こんなことが起きてしまうのか。やはり、ちゃんと人件費にどれだけ当たっているのか、そして、国が定めている最低基準、保育士の配置基準が、外形上は満たされていても、先ほどのようにアルファの例もありますので、やはり勤続年数とか、そういう実態を丸ごとつかむような実態調査が必要じゃないでしょうか。

加藤国務大臣 今の数字については、ちょっと私、手元で承知をしていないので何とも申し上げられませんけれども、当時であれば、例えば医療法人であれば施設に対する補助がない、そうすると、その部分を減価償却で落とさざるを得ない等々、いろいろな事情があるんだろうというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、先ほど申し上げた経営の実態、収支の実態、これをしっかり把握していくことは当然必要だというふうに考えております。

池内委員 これまで私、再三指摘してきましたが、専門性をやはりおとしめるような規制緩和はやめるべきだと思うんですよね。専門性をおとしめる、質をおとしめるような規制緩和が続く限り、保育士のなり手など、やはり誰も手が挙がらないだろうと思うんです。事実、厚労省の調査では、二〇一三年で潜在保育士の数が約七十六万人ある。資格があるのに就業を希望しない理由のトップというのは、賃金が希望と合わない、これが四七・五%だった。

 私は、この点で、とても注目すべき出来事が東京都北区であったので御紹介したいと思うんですけれども、公立保育園の保育士を八十名募集したところ、五百人を超える方々が応募された。区の常勤の正規の職員として募集をしたそうです。そうすると、こんなに手が挙がったということなわけです。聞けば、私立の認可園に勤めていた保育士さんたちも応募している。

 やはり、この北区の例を見ると、国が何をしなければならないか、どういう道を進めば保育士をちゃんと確保できるかというのは明白だというふうに思うんです。

 大臣にお伺いいたしますが、来年度予算案には保育士等の処遇改善等予算が計上されているわけですけれども、全産業の平均並みの賃金を保障する抜本的な処遇改善で保育士を確保すべきじゃないでしょうか。

加藤国務大臣 今御審議をいただいております来年度の予算において、まず、保育所の整備を進めていく中において、保育士の確保というのは大変大きな課題となっておりますし、その上において、保育士の処遇の改善を図っていく必要がある。こういう認識の中で、ニッポン一億総活躍プランにも書いてありますけれども、まずは、保育士としての技能、経験を積んだ職員について、現在四万円程度ある全産業の女性労働者との賃金差がなくなるよう追加的な処遇改善を、二%の平均的な質的な改善に加えて対応することにしております。

 また、その上において、保育士についても必要に応じてさらなる処遇改善を行うとしておりまして、こうした方針に基づいて今後とも対応していきたいと考えております。

池内委員 やはり私は、全産業の平均並みの賃金と、高い目標をちゃんと掲げて、規制緩和のやり方じゃなくて、王道を切り開くという点で、処遇改善の道を進めるべきだということは重ねて主張したいと思います。

 こうした中で、まさに遅きに失したと言わざるを得ない状況ですけれども、前向きな動きも進んでいます。

 一昨年、教育・保育施設等における重大事故の再発防止策に関する検討会というのが最終取りまとめを行い、地方自治体に事故の検証を実施するように通知を出しました。政府は、昨年四月に、教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議というのも設置をした。

 川口市の検証委員会の報告書が二月に出されました。その中の総括として、保育の質が十分に確保されているとは言えない状況があった、このように指摘をしている。認可外のベビーホテルでの事故ではありますが、施設長が保育資格を持っていなかった、保育士は、有資格者も含めて全員が非正規だった。配置基準にこれは触れるものではないですけれども、保育指導を行う主たる立場の者が確立していなかった可能性があるとも、この報告書が指摘をしています。

 保育体制の不十分さというのが事故の背景にあるという認識を明確に示している。東京都の報告書でも同様の指摘がされている。これら二つの報告を踏まえて、早急に事故防止策について有識者会議を開いて検討すべきではないでしょうか、大臣。

加藤国務大臣 教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議、昨年四月に開催をいたしました。第一回を四月、そして昨年十月に二回目の会議をしたところでありますけれども、まず、検証報告を提出していただいた自治体からヒアリングを実施するなどして、再発防止策を検討していくということでございます。

 一回のヒアリングで大体三件から五件程度取り扱っていただくことを想定しているところでありますが、現時点で川口市、東京都からの検証報告を提出していただいております。また近いうちに、あと数件の報告書が出てくるということも見込まれているところでございますので、年度明け、できるだけ早い時期にこの有識者会議におけるヒアリングを実施していただきたいというふうに考えております。

池内委員 やはり、もう一件二件と報告書が上がっているわけですので、数件上がってくるというのを待たずに、ぜひ一日も早く。

 私は、報告書の事例が幾つか集まってから提言を行うという、このタイムラインのあり方にもちょっと疑問を感じます。たった一件もあってはならないという保育事故、それがもう既に報告書として上がっているのだから、早急に向かわなければならない課題だというふうに思います。

 川口市のこの報告書というのは、国に対して保育士の配置基準の見直しを求めています。私は、この指摘に国は真摯に応える必要があるというふうに思うんですよね。

 また、昨年十月の有識者会議で、御本人が委員でもあって、御自身が被害児童の母親でもあるという方が、教育・保育施設等における重大事故の発生防止に関する検討会、この最終取りまとめで、事後的な検証に係る地方自治体及び国の取り組みについて、現在は法令上の規定はないため、必要と判断される際には、法令等の整備などさらなる実効性ある取り組みを検討していく必要がある、こういうふうに指摘をしています。検討の必要性を、被害児童の母親でもある方がおっしゃっている。

 なので、やはり事故検証に係る国や自治体の取り組みに法令上の規定を与えていく、有識者会議の提言等に一定の法的裏づけを持たせていくということが必要ではないでしょうか。これは大臣にお伺いします。

加藤国務大臣 有識者会議における提言に法的な拘束力を持たせる、ちょっと具体的なイメージが正直湧かないところはございますけれども、まずは現行の仕組みの中で、有識者から今後行われるであろう提言を真摯に受けとめて対応していくことが必要だろうというふうに考えておりまして、それに沿って再発防止をしていく必要があると思います。

 なお、有識者会議の前身の検討会の最終取りまとめに記載されたように、事後的な検証に係る取り組みについての法令等の整備については、現行の仕組みの運用状況を踏まえ、その必要性を判断していくということとされているところであります。

池内委員 川口市のこの報告書を読むと、やはり保育士の配置基準を見直すべきだというような提言もあるわけなんです。やはりこうした声に真摯に向き合っていただきたいということが私の趣旨であり、法的な裏づけをつけていただきたい。単に聞いて終わりではなくて、そうした取り組みを進めていただきたいということです。

 これでそろそろ時間なんですけれども、私は、これまで失われてきたさまざまな子供たちの最期のあり方、どういう状況で死んでしまったかというその事例を読ませていただくと、本当にどれも防げた、守れた命だったということを痛感するわけですよ。

 体の機能がまだ未発達なのに、そういう乳児を炎天下、窓の近くに置いて、極めて高温になるところに放置をした例とか、うつ伏せ寝というのは再三言われている。うるさいからといって、タオルで口を塞いだり。

 私は、こういう事例はもう二度と生み出さない、言語道断な事例だということを、国としてやはり真摯に向き合うべきだというふうに思います。

 待機児童対策を口実にした保育条件の切り下げの常態化、これは直ちに反省をして改めるべきだと思います。背に腹はかえられぬという保護者の状況を政治が無責任にも生み出しておきながら、この切迫した待機児童問題への解消の対応としてはやむを得ないという保護者のこうした状況を奇貨として、さらなる保育条件の切り下げは、規制緩和は許されないということ、全ての子供に政治が責任を持つべきだということを主張いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

秋元委員長 次に、青山周平君。

青山委員 自由民主党の青山周平です。

 本日は、この内閣委員会におきまして質問の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 加藤一億総活躍担当大臣の所信に対して質問をさせていただきたいと思います。

 加藤大臣におかれましては、平成二十七年十月に大臣に就任されて以来、一億総活躍担当、働き方改革担当、女性活躍担当、そして再チャレンジ担当、拉致問題担当、内閣特命少子化担当、男女共同参画担当と、大変多くの担務の中で、国内の重要な諸課題の解決に向けてスピード感を持ってお取り組みいただいておりますことに、心から敬意を表する次第でございます。

 このたびの所信で、冒頭に、大臣の一億総活躍社会の実現に対する決意を聞かせていただきました。特に最大のチャレンジとして、働き方改革を掲げられております。

 働き方改革は、これまでの日本型の労働慣行を変えていく、非常に壮大で困難を伴う改革であると認識をいたしております。しかし、この改革なくしてアベノミクスの成功はないと確信をいたしております。少子化対策、ワーク・ライフ・バランスの改善、労働生産性の向上など、多岐にわたる日本の構造的な問題の解決に向けた改革だと思っております。

 多くの委員会でもたびたび議論されている内容ではありますが、たび重なる議論を通して、いよいよ今月中に実行計画取りまとめということであります。ただし、この後の立法作業も含めてまだまだ道半ばであると思いますが、まずは、これまでの実行会議での議論を含め、改めて働き方改革に対する大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 誰もがその能力を十分に発揮できる、またその夢の実現ができる一億総活躍社会の実現に向けて、最大の鍵であり挑戦は、働き方改革でございます。

 また、働き方というのは、ある意味では日本企業の文化にも基づくものであり、また、それぞれの方のライフスタイル、また日本人の働くということに対する考え方にもつながっていくわけでありまして、なかなかこの改革は容易ではございませんし、これまで長年、数多くの議論は積み重ねられてきたわけでありますけれども、残念ながら結論が出るに至らなかった。

 そういう中で、今回、総理みずからが議長になり、労使のトップそして有識者にも入っていただいた働き方改革実現会議において、働く人の立場、視点に立って今議論を進めているところでございます。そういう中で、お話がありました非正規で働く方の待遇改善、不合理に低くなっている方の待遇の改善を図るため、同一労働同一賃金についての議論も行っております。

 それを実現する中で、自分に合った働き方を選び、その際、不合理な差別を受けることなく、自分の選んだ道がきちんと評価される、それによって、やりがいや生きがいが増し、ひいては労働生産性も上がっていくのではないか。

 また、長時間労働の是正については、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事につきやすくなる、そういった部分。また、経営者にとっては、どのように働いてもらうかということにより強い関心を持つようになり、労働生産性の向上にも資するものと考えております。

 いずれにしても、こうした問題について、三月末の実行計画の取りまとめに向けて、全力で取り組んでいきたいと考えております。

青山委員 ありがとうございます。

 お話にありましたとおり、さまざまな論点でこの会議が進められてきたということは承知をいたしておりますが、特に話題に上がるのは、やはり、同一労働同一賃金ですとか長時間労働の是正、特にこれは今、大詰めといいますか、労使間の協議も進められているところと思います。

 この二つについて特に聞かせていただければというふうに思いますが、私、今回質問に当たって、希望出生率一・八をどういうふうに実現させていくかというところを中心にお話を進めたいと思っておりました。働き方改革というのは、この希望出生率を高めていくのに本当に重要な課題だと私は思っているんです。

 子育て支援というのがいろいろなところで言われますが、日本の子育て支援、先ほど保育園の、この後も私、質問させていただこうと思っていますが、受け皿の確保ということが言われますけれども、大前提として、いかに家族と、親と子供が一緒にいられる時間を長くつくっていくか、これが非常に重要な課題だと思っておりますので、そういった部分で同一労働同一賃金も長時間労働の是正も重要な課題、そういうところで御質問させていただきたいと思っております。

 正規雇用と非正規雇用者の間の不合理な待遇差を解消することを目的として今議論がなされているわけでありますが、同一労働同一賃金については昨年末にガイドライン案がまとめられました。賃金のみならず、福利厚生や教育訓練なども対象とされておりまして、非常に細かな内容、具体例を交えた内容となっております。これもまた労使間で多くの議論があったことと思いますが、一定の方向性がまず示されたということは評価であるというふうに思っております。

 今後の立法作業を含め、政府の取り組みについてお伺いをいたします。

加藤国務大臣 我が国の働いている方の四割が非正規の雇用で働くという、こうした状況の中で、非正規雇用で働く方の待遇改善というのは急務であるというふうに考えております。

 そういう中で、今回、同一労働同一賃金については、今委員からも御指摘がございました詳細なガイドライン案を、昨年末、公表いたしました。

 今後の法改正については、働く人の立場に立ち、不合理な待遇差の是正を求める労働者が裁判で争えることを保障する、実効性ある法制度にしていきたいと考えております。また、働き方改革実現会議等の場でしっかり議論をいただいて、法改正の内容を具体化していきたいというふうに考えております。

青山委員 ありがとうございます。

 ぜひ、実効性のあるということで、実行計画並びにまた法改正に向けてお力をいただきたいというふうに思っております。

 この同一労働同一賃金というのは、結婚を望む若者が経済的な理由でなかなか結婚がしにくいということがありますので、この非正規と正規の解消というのは、そういった部分で、希望の結婚がかなうというところで重要になってくるんだと思っております。

 次に、長時間労働の是正についてお伺いをいたします。

 長年の労政審の議論の中でもなかなか結論を出すことのできなかった大変大きな問題だというふうに思っておりますが、ここまで着実に議論が進んできていると思っております。

 二月には事務局案が提示されました。三六協定でも超えることのできない、罰則つきの時間外労働の限度を法律に具体的に規定するとされております。これまでできなかった罰則つきの時間外労働規制を検討しているわけですから、その議論はなかなか相入れないところもあり、大変な議論だったというふうに思いますが、大きな大きな一歩を踏み出そうとしているという事実はそこにあるというふうに思っております。

 時間外労働の特例について、また、大臣告示の適用外の職種について、さらなる検討、調整が今進められていることと思いますが、今後の政府の取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。

加藤国務大臣 いわゆる長時間労働の是正については、労働者の健康を図る、その上で、女性や高齢者が活躍しやすい社会をつくっていくため、またワーク・ライフ・バランスを改善していくためでもございますし、当然、長時間労働を是正することによって、生活する時間を確保していく、そしてその中には育児や家事を担当する時間もふえていく、そういったことが結果として、子供さんをより育てやすい、産みやすい環境にもつながっていくんだろうというふうに思っております。

 そういう中で、二月十四日に開催した第七回の働き方改革実現会議では、事務局が示した案に基づいて、長時間労働是正の法改正のあり方について、より具体的に議論をいただいたところであります。総理からは、誰に対して何時間の上限とするかは非常に重要な議論であるので、労働側、使用者側にはしっかりと合意を形成していただく必要があると申し上げたところであります。

 労使は、働く人の実態を最もよく知っているわけでありますので、現場に対して、どれくらいの時間外労働時間の上限が実効性があるのか、かつ、ぎりぎり実現可能なのかということを考えていただき、合意形成に努めていただきたいと考えているところでございます。

 三月末に取りまとめる実行計画に向けて、実態を見据えて、より実効性の上がる結論を出していけるよう、政府としても当然努力をしたいというふうに思います。また、今回の実行計画の結論を踏まえて、法案についても対応していきたいと思います。

青山委員 ぜひ、法規制を含めて、何というか、生き方、日本人の仕事に対する価値観だとか、子育てに対する価値観、生きること、ワーク・ライフ・バランス、そういった全てに関連する大改革だと思います。制度の設計は大変重要だと思いますので、引き続きお取り組みをいただきますようにお願いを申し上げます。

 それでは、アベノミクス第二本目の矢である、夢を紡ぐ子育て支援について質問をさせていただきます。

 一億総活躍社会の最も根源的な課題は人口減少問題に立ち向かうこととされており、希望出生率一・八という目標が掲げられております。これは、結婚、出産を国が強制するというものではなくて、結婚、出産、育児の希望をかなえるという前提で目標設定がなされたわけであります。

 希望出生率一・八の目標達成のためには、第一に、結婚の希望がかなえられること、第二に、子供の出産希望がかなえられること、これが前提となってくると思います。そのどちらが欠けても目標達成には届かないということであります。ともに大変厳しい目標設定であると考えておりますが、その実現なくして一億総活躍社会の実現はないというふうに思っております。

 そこで、まず、結婚の希望をかなえるための支援についてお伺いをいたします。

 国立社会保障・人口問題研究所の調査によりますと、結婚できない理由の選択割合、何でできないのかという選択割合は、十八歳から三十四歳まで、これは年齢、男女問わず、一位は、適当な相手とめぐり会わない、出会いの場がないということが、結婚の希望がかなわない大きな理由とされているわけでありますが、その上で、課題解決のために、ニッポン一億総活躍プランの中には、希望どおりの結婚をかなえるための支援として、出会いの場の提供というものがあります。

 そもそも、こういう結婚に関する支援をしていくということは、余り政府として手を出しやすい課題ではないというふうには思いますけれども、反面、意識調査の中では、公的な結婚、婚活支援の取り組みに対する期待の中で最も多いのが、出会いの場の提供なんですね。政府は、これに対して、総活躍プランの中で取り組みを行っていただいていると思いますが、まずは、自治体の取り組みに関して、効果のあった具体例なども交えて、お答えをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 希望出生率一・八というのは、若い方々の、結婚して、そして家庭を持ち、子供を持ちたい、そういう希望が実現できる社会をつくっていこうということでございます。

 そういう中で、一つは、若い方々の職を安定し、賃金が上がり、将来に対する見通しを持てるようにしていくということ、そのためにも、働き方改革あるいは賃金の引き上げ、こういったものが当然必要になってくると思います。

 それと同時に、今委員御指摘のように、めぐり会いですか、出会いの場が余りない、こういうような御指摘もございます。そういったことを踏まえて、地方自治体でもいろいろな取り組みがなされているわけでございますし、政府においても、地域少子化対策重点推進交付金によって、地方自治体が行う結婚に対する取り組み、また結婚、妊娠、出産、乳児期を中心とする子育てに温かい社会づくり、機運の醸成の取り組み、この二分野について支援をしているところでございます。

 実際、それぞれの県において取り組みをいただき、効果も生まれているというふうに認識をしています。

 例えば、愛媛県では、データを活用したマッチングシステムを高度化した結果、高度化された機能を利用した会員のお見合いの実施率が従来よりも一六ポイント増加をした。あるいは、茨城県では、結婚支援を行うボランティアの新規掘り起こしや、研修、情報共有のための広域交流会等を実施した結果、ボランティアの増加やスキルアップが図られ、ボランティアによるお見合いの報告数が六三%増加をした。また、三重県では、職場などで男性の育児参画と仕事の両立の重要性などを積極的に情報発信する人材として、みえの育児男子アドバイザーを養成するなど育児男子プロジェクトを推進した結果、県内で育児休業制度を利用した男性従業員の割合が四%から五割上昇したなどの効果も生まれているところでございます。

 今後とも、交付金の活用により、こうした優良事例を新たに発掘して、そして横展開を支援していくほか、企業、団体など地域全体で連携した結婚支援や、継続的な効果発揮のための体制整備、人材育成に対する取り組みを支援するなど、地域の実情に応じた効果的な取り組みを支援していきたいと考えております。

青山委員 ありがとうございます。

 一時期、これは何というか、官製お見合いパーティーだとかそんなふうに言われたことがあるものでありますが、今大臣お答えいただいたとおり、各自治体において、その地域のニーズに即していろいろな支援がされているということでありますので、引き続きしっかりと御支援をいただいて、希望する結婚というのは男女で大体九割ぐらいでありますので、この達成に向けてお力をいただきたいと思っております。

 次に、昨年末に、結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会の中で提言がまとめられたというふうに理解をいたしております。取り組みに当たっての留意点として、当初から、特定の価値観を押しつけたりプレッシャーを与えたりすることがあってはならないとした上で、慎重な議論をしたわけですが、やはり踏み込みにくい内容のため、多くの議論があったことは承知をいたしております。

 ただ一方で、積極的に縁結びをして成功している企業だとか自治体も多くあることも、先ほどのお話からも現実であります。

 希望出生率実現のために、この提言を受けてこれからどのように取り組んでいかれるのか、お答えをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 提言においては、国において働き方改革などを進めることを前提としつつ、企業、団体、大学等の自主的な取り組みの例として、仕事と結婚、子育てとの両立支援や多様な交流の機会の提供などを示すとともに、国が取り組むべきこととして、結婚、妊娠、出産、子育てに温かい社会づくり等を示していただいたところであります。

 また、もちろん、今お話がありました、個人の決定に特定の価値観を押しつけるということはあってはならないわけであり、そうした取り組みに当たっての留意点についても御指摘をいただいたところでございます。

 提言を踏まえまして、今後、地域少子化対策重点推進交付金を活用し、地方自治体が、企業、団体、大学等と地域全体で取り組むための仕組みづくりを推進するとともに、ワーク・ライフ・バランスや男性の家事、育児参画等の推進に資する多様な交流の機会の提供など、地方自治体と連携した企業、団体、大学等の自主的な参加によるモデル的な取り組みの支援も進めていきたいと思っております。

青山委員 どうもありがとうございました。

 まずは、大前提、働き方改革を通し、その上で結婚支援施策をぜひお進めいただきたいと思います。

 次に、先ほどは、結婚をどういうふうに実現させていくか、出産を実現するためにはどうしていこうか。毎年この時期、問題になるのが、先ほどもお話ありました待機児童の問題であります。

 政府は、待機児童ゼロを目指して、受け皿確保、人材確保に取り組んでいただいているところでありますが、まずは、平成二十五年度の待機児童解消加速化プランの策定から四年が経過しておりますが、この成果についてお教えいただきたいと思います。

吉本政府参考人 政府におきましては、待機児童解消加速化プランに基づきまして、平成二十九年度末までの五年間に五十万人分の保育の受け皿拡大に向けて進めているところでございます。

 具体的には、各市町村におきまして、将来に向けた潜在的な保育ニーズも踏まえ、整備計画の見直しを行っているところでございまして、平成二十八年の四月時点におきまして、平成二十五年から二十七年度の三年間で三十一万人、平成二十九年度までの五年間では約四十八万人分の拡大を見込んでいるところでございます。

 これは、前年度時点の計画よりもさらに約二・七万人分の上積みということでございまして、さらに、これに加えて、企業主導型保育事業による受け皿拡大見込みが約五万人ということでございまして、合計いたしますと約五十三万人分になるところでございます。

青山委員 ありがとうございます。

 本当に急速なスピードで、さらに目標を上回って整備を進めていただいているというお話をいただきました。

 ただ、それでも、たしか平成二十七年、二十八年と待機児童が、急速なスピードでふえているにもかかわらず、待機児童が上昇しているという現象が起きているわけでありますが、これについて、原因はどんなところにあるか、どういう認識でおられるか、お伺いをいたします。

吉本政府参考人 御指摘ございましたとおり、ただいま申し上げましたとおり、受け皿整備は進めているわけでございますが、依然として二万人を超える待機児童の方がいらっしゃるという状況でございまして、その背景といたしましては、一つは、女性の就業率が急速に上がってきているということ、特に二十五歳から四十四歳の女性の就業率、また、それに伴いまして、一歳、二歳児の保育利用率、これも急速に伸びておりまして、それぞれ二倍近い極めて高い伸びとなっているといったところに要因があるというふうに考えております。

青山委員 今お話しいただきました、まさに女性活躍がどんどん推進していって、その面で受け皿がさらに足りなくなっていると。ある意味では、アベノミクスの成功があって、そのおかげで受け皿の確保がなかなか追いつかないという現状だというふうに認識をいたしております。

 いずれにしましても、難しい目標という総理の発言もありましたが、五十三万人という目標に向かって、引き続きお力をいただきたいというふうに思っております。

 次に、昨年、今お話もありましたが、企業主導型保育所、保育事業についてこの委員会でも議論がなされましたが、今、五万人を目標ということでありますが、二十九年度まで、来年三月までに五万人の目標ということでありますが、制度がスタートして現状はどういうふうになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 企業主導型保育事業につきましては、昨年四月、制度が施行されてから、これまでの間、経済団体を通じた周知、広報の実施、また、経済産業局と連携した企業向けの説明会を行うなど、制度の周知に努めてきているところであります。

 そうした中で、本年度における企業主導型保育事業に係る助成申請については、当初、申請があったんですが、今年度中にはちょっと工事の着工のめどが立たないというような理由で一部取り下げが見られましたところから、実質の数字で申し上げますと、約千カ所、利用定員数で約二万三千人分の申請をいただいているところでございます。

 申請書類の審査が終わった施設から順次助成決定を行っているところでありますけれども、中を見ますと、自分の企業の事業所内だけではなくて、利用する従業員や地域の子供の利便性を考慮して駅近接地に設置するもの、あるいは、中小企業等が共同で設置、利用するものなど、従業員や各企業のニーズに沿った創意工夫のもとに事業が展開されているというふうに見ております。

青山委員 ありがとうございます。

 かなり急速なスピードで伸びてきているというふうに思います。

 ただ、これは、先ほど大臣お話がありましたとおり、制度設計からことしでまだ一年たっていない状況でありまして、二十九年度で締め切りということになりますと、まだ準備が間に合わないというところも多くあると思うんです。ぜひこれは三十年度以降も検討いただけると大変充実した保育施設、企業内保育所ができていくんじゃないかというふうに思っておりますので、どうか、これはお伝えするだけにさせていただきたいと思いますが、検討もいただければというふうに思っております。

 この企業内保育所は、先ほど、親と子が一緒にいられる時間を長くするというのは保育、幼児教育の中ですごく重要だという観点の中でも、同じ場所まで行って同じ場所から帰ってこられますので、本当に親子の時間というところがプラスになるいい政策だというふうに私は思っておりますので、ぜひお力をいただきたいと思います。

 関心も高いんですが、先ほどもこれは池内委員からお話がありましたが、量の拡大だけして、質の充実、要するに保育人材に対する処遇の改善というのが僕はおくれているというふうに思っております。まだまだ足りていないというふうに思っていますが、しかし、厳しい財政の中にあって、血のにじむ努力で少しずつ処遇の改善をいただいていると思います。

 簡潔に、今まで取り組んでこられた処遇の改善についてお話をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 保育所の処遇改善というのは、政権交代直後の平成二十五年度から取り組んでいるところでございます。

 具体的には、平成二十五年度には二・八五%相当の処遇改善、平成二十六年度には人事院勧告に伴う二%の改善、平成二十七年度には新制度施行に伴い二・八五%の処遇改善を三%に拡大するとともに、人事院勧告に伴う一・九%の改善、平成二十八年度には人事院勧告に伴う一・三%の改善を行っております。

 さらに、平成二十九年度予算案において、処遇改善を三%からさらに二%アップして五%に拡大するということで、必要な費用を計上しているところでありまして、これらを全部合計しますと約一〇%、金額にして月平均約三万円の改善が実現されると思いますし、また、これに加えて、今、平成二十九年度予算案において御審議いただいておりますけれども、技能、経験を積んだ職員に対する追加的な処遇改善、経験年数がおおむね七年以上の中堅職員を対象として月額四万円の処遇改善措置、経験年数がおおむね三年以上の職員を対象として月額五千円の処遇改善措置をそれぞれ講ずることとしております。

青山委員 ありがとうございます。

 金額ベースでも処遇改善に必死になって取り組んでいただいているということ、よくわかりました。

 ただ、これは人数にして、先ほどの副主任保育士だとか専門リーダーという四万円の改善は三分の一であり、職務分野別のリーダーだと五分の一ということで、まだまだ充実していく部分はあると思いますので、ぜひお力をいただきたい、今後もしっかりと進めていただきたいと思っております。

 ちょっと時間がなくなってまいりまして、先ほど、保育の受け皿確保で三十一万人、二十五、二十六、二十七年度というお話がありました。二十五年度から二十七年度は、ちょっとこれは聞きませんが、三万人ぐらい保育士の方がふえているということであります。基本的に待機児童が多いのは一歳児、二歳児です。七〇%の待機児童が一歳児、二歳児。ここは、先ほどお話がありましたけれども、一対六の保育になっているんですが、三十万人ふやして三万人しかふえていないということは、十人の受け皿に対して一人の保育士しかふえていないという状況なんだと思うんです。

 引き続き、保育人材の確保、処遇の改善を通して保育人材をしっかりと確保しながら、施設に余裕のあった人材がどんどん担任だとか保育の担当で人が足りなくなっているという状況がこのデータからも見受けられますので、しっかりとお進めいただきたいというふうに思っております。

 ちょっと何点か飛ばします。済みません、参考人の方、来ていただいて大変恐縮でございますが。

 最後に、私は、少子化対策の中で重要だと思うのは、教育費負担の軽減というのがすごく重要だと思っているんです。党としても、幼児教育の無償化、また来年度から前倒しで始まる、大学に関する、高等教育に関する奨学金制度、そういったものも今議論されているところでありますが、まず幼児教育の無償化に関して、どういう取り組みか、特に多子世帯に関してどういう取り組みか、教えていただきたいと思います。

藤江政府参考人 お答え申し上げます。

 幼児教育無償化につきましては、幼児教育無償化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議を毎年開催いたしまして、政府・与党とも一体になって方針を取りまとめて、毎年着実に取り組みを進めてきたところでございます。

 特に、委員御指摘の、多子世帯への負担軽減という観点からは、平成二十六年度において、第二子の保育料を半額、第三子以降を無償とする軽減措置の所得制限の撤廃、二十八年度においては、年収三百六十万円未満相当世帯について、第二子の保育料を半額、第三子以降は無償とする場合の年齢制限の撤廃などの措置を講じてきておりますし、二十九年度予算案におきましても、市町村民税非課税世帯の第二子を無償とするなど、多子世帯への負担軽減をさらに進めていくこととしているところでございます。

 今後とも、幼児教育の段階的無償化に、関係省庁と連携を図りながら、取り組んでまいりたいと考えております。

青山委員 ありがとうございます。

 本当に、ずっと取り組んでいただいていることだと思うんですけれども、無償化に向けては、財源の問題もあり、道のりはまだ大変遠いように感じますが、しっかりと進めていただくことで、希望出生率一・八を実現するのに、僕は大きく前進すると思うんです。

 と申しますのは、将来欲しい子供の数と言われているのが二・一二、これは未婚の方ですね。既婚の方は二・〇七の希望出産を持っているということなんですが、今産んでいる人たちも、子供たち、また大学生、負担が少なくなればもう一人欲しい、そういう希望出産の数がふえていく、ベースがふえていくということに大きく、私は資すると思っております。

 これについて、大臣、最後に一言いただければというふうに思います。

加藤国務大臣 政府の調査結果では、夫婦が理想の子供数を持たない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからというのが最も多いというふうに認識をしております。

 このため、希望出生率一・八の実現に向けて教育費の負担感を軽減するということは非常に重要であり、ニッポン一億総活躍プランにおいても、安定財源を確保しつつ、幼児教育の段階的無償化を進めることや、奨学金制度の拡充を図るということにしております。

 こうしたことで、安心して子供を産み育てることができる社会をつくっていきたいと思っております。また、そうした社会を実現していくことによって、子供を持ちたいという数そのもの、理想そのものも変わってくると思いますし、実際の子供の数もまた理想に近づいていく、そういった流れをつくっていきたいと思っております。

青山委員 どうもありがとうございました。時間超過して、失礼をいたしました。

秋元委員長 次に、大隈和英君。

大隈委員 自由民主党の大隈和英です。

 先ほど、多子世帯の代表の青山先生の御質問に、気迫に押されて、短い時間で御質問をさせていただきたいと思います。

 さて、あしたで三・一一を迎え、私たちも、被災地に忘れることなく寄り添い、向き合っていかなければならないというふうに考えております。また、その三・一一の後から、世界じゅうから多くの温かい支援をいただき、幾多の困難を乗り越えて、今、アベノミクスの成功とともに、インバウンドが増加しているという時代を迎えました。

 我が国に、経済面や文化、芸術面での発信や友好など、大きな影響を与える一方で、また見ていかなければならないのは、来日外国人の増加に伴う犯罪の増加や多様性、あるいは凶悪化など、あるいはテロ対策にも十分に注意する必要があると思います。

 来日や在日問わず、外国人へのいわれなき偏見や差別を防止するためにも、また外国人同士のトラブルを防止するためにも、近年の外国人の犯罪発生状況についてしっかりと検証していく必要があると考えます。

 そこで、ここ近年の外国人による犯罪についてどのように把握、認識しておられるか、お尋ねしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えをいたします。

 来日外国人犯罪の総検挙件数、人員についてでございますけれども、平成二十八年中は一万四千百三十三件、そして人員が一万百九人ということでございます。これは、検挙のピークでございました約十年前と比べますと大幅に減少いたしておりますが、最近の五年間では横ばいで推移をいたしております。ただ、近年の外国人入国者数などの増加傾向を踏まえますと、来日外国人犯罪につきましては、治安対策上考慮すべき課題として引き続き注視していかなければならないと認識をいたしております。

 警察といたしましては、国民に著しい不安を与える悪質、重要な犯罪の検挙、あるいは犯罪組織の実態解明と取り締まり、こういったところに重点を志向しながら、国内関係機関や外国捜査機関とも緊密に連携をいたしまして、諸対策を推進してまいりたいと考えております。

大隈委員 来日外国人が非常にふえているという中で、犯罪がピークと比較して低下してきていると。これはひとえに歓迎すべきことだというふうに思っておりますが、世界じゅうでイスラム過激派の無差別テロが多発する、あるいは安全が脅かされるという中で、我が国でも十分な対策が必要であるということは言うまでもありません。

 一方で、この場の問題提起として私が見過ごせないのは、外国人が日本に意図的に、有名無名に限らず、例えば神社仏閣の建物であったり、あるいは仏像であったり、日本文化のシンボルやかけがえのない文化財を破壊したり、あるいは盗む目的でわざわざ入国して犯行に及ぶという悪質な事件が続発しているということです。

 これらの事件を警察ではどのように認識しているか、お尋ねしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 来日外国人によります宗教施設や文化財に対する損壊事件といたしましては、平成二十七年十一月、東京都内の靖国神社敷地内のトイレに時限式の装置を設置して損壊させるなどした事件、平成二十八年十二月、福島県内の神社等におきまして石像等を損壊させるなどした事件、こういったものがあると承知をいたしております。

 また、来日外国人によります文化財の窃盗事件といたしましては、平成二十四年十月、長崎県対馬市内の神社等から仏像等を盗んだ事件があるというふうに承知をいたしております。

 警察といたしましては、こうした事案に対しまして、被疑者の検挙、あるいは防犯対策の推進、こういったことに努めているところでございます。

大隈委員 今例示された事件のほかにも、私が認識しているだけでも、私の地元の関西でも、兵庫県のお寺であるとか、あるいは愛知県のお寺でも仏画が盗まれたり、それが転売されたり、向こうによって返ってこないという事例もあるというふうに認識しております。

 その中で、豊かな日本の経済力を目当てに犯罪集団が入ってくるというのは、これは一定想定し得ることなんですが、わざわざ日本の国民感情を害する目的なのか何なのかわかりませんが、心のよりどころであるような、例えば神社の狛犬であったり鳥居であったり、あるいはお寺のお地蔵さんであったり、そういうものを破壊するためにわざわざ入ってくるというところが、何とか防止、根絶策を立てていかなければならないというふうに考えております。

 このような犯罪目的の入国に対して、根絶策はもちろんですが、厳正な刑罰や、日本での犯罪を企図するのに一定の抑止力が必要だと考えております。

 まず、入国管理に、犯罪者や犯罪集団が入国しやすくなるような緩和された点が過去にないのか、あるいは、母国において既に日本への攻撃を表現している集団や人物について、入国時にどの程度が特定可能であって水際で入国を防止できているのか、全て明らかにはできないかもしれませんが、お答えいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 政府におきましては、観光立国推進のため、二〇二〇年に訪日外国人旅行者四千万人の受け入れに向けて、査証緩和等の施策を進めております。

 法務省におきましては、増加する観光客等に対する円滑な入国審査の実施に努めておりますが、それもしっかりとした水際対策を前提としたものでございまして、テロリストや犯罪者等の要注意人物の入国を確実に阻止をするため、指紋等の個人識別情報を活用した入国審査を実施するほか、昨年十月から、要注意人物の入国を未然に防止するため、上陸審査時におけます顔画像照合を実施するなど、厳格な入国審査のためのさまざまな施策を講じておりまして、入国審査が緩くなっているということはございません。

 また、特に、要注意人物の入国を水際で阻止をいたしますためには情報が極めて重要でありまして、入国管理局におきまして、平成二十七年十月に出入国管理インテリジェンス・センターを設立して、国内外の関係機関と緊密な連携を図り、情報収集を推進しているところであります。

 そして、収集した情報を入国管理局が保有するブラックリストに登載をし、APISといいます事前旅客情報システムをも活用して、航空機に乗ってくる人物を事前にチェックをし、水際で要注意人物を確実に把握し、厳格な審査を行った上で入国を阻止することに努めております。

 法務省入国管理局といたしましては、必要な人的、物的基盤の整備や、今申し上げましたような施策をさらに徹底をしていくことに加えまして、警察等関係機関との情報連携を強化し、犯罪者等の要注意人物の入国を阻止するための水際対策をさらに強化してまいります。

大隈委員 過去には、海上保安庁の船に激突を繰り返した中国漁船の船長が、送還されて帰国するや英雄扱いされた事例は記憶に新しいところですが、罪を犯した者を日本の法律もしくは同等の海外の法律で処罰することは、我が国の安全を守る上で不可欠だというふうに考えております。

 先ほど例示された事件は、それぞれ、その面で適正に処罰されているというふうに考えておられるか、お尋ねしたいと思います。

加藤(俊)政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事例の処理の適否といったことについては、この場でお答えするのは適切でない点もございますので、差し控えさせていただきますが、検察当局におきましては、事案に応じて関係諸機関と連携しつつ、事案や組織の全容を解明して、関係者を適切に処罰するなど、厳正な対処に努めておるところでございます。

 引き続き、適切な対応を心がけていくものと承知しております。

大隈委員 ありがとうございます。

 日本文化の破壊行為という犯罪の一方で、先般もありました、竹島の日における来日韓国人による集会や、北京オリンピックの聖火リレーのときにもありましたが、中国人によるデモなど、一歩間違えれば暴動や衝突にエスカレートしかねないというふうに危惧をしております。

 日本は、言論や思想、集会の自由は外国人にもしっかりと保障しながら、我が国の国益や国民感情、世論と対立する主張をわざわざ日本国内で行う外国人の集会や示威行為に対してどのように認識、把握しておられるか、また対応策というものは何かとれるものでしょうか、その点をお尋ねしたいと思います。

松本政府参考人 お答えいたします。

 一般的に申し上げますと、警察では、公共の安全と秩序を維持するという責務を果たすという観点から各種の情報を集めておりまして、その中で、集会あるいはデモ、いわゆる集団示威運動のデモでございますが、こうしたものに際しまして情報を集めて、それを踏まえて、必要があれば警察官を動員して警備措置を講じているところであります。

 その警備措置に当たりましては、その時々の集会の状況などを踏まえまして、現場で安全が確保されること、それから違法行為を起こさせないこと、こういった観点から、必要な体制を構築して対応することとしております。今後とも、適切な警備に努めてまいりたいと考えております。

大隈委員 ありがとうございます。

 入国する外国人が、デモや集会を開くのに、わざわざ我々と同じように届け出をすることはないと思いますし、あるいは、日本に来て、コンビニやスーパーに行って、横断幕を買ってペンキで書くなんてことはないと思うんですね。やはり、入国のときから準備をしているわけで、日の丸ぐらいは日本で買うんでしょうけれども。

 そういう点では、しっかりとしたやはり水際での対策というのも必要となると思いますし、政治制度が違いますので一概には比べることはできませんが、例えば中国の天安門広場で反政府活動を外国人が行うとなれば、もう瞬間にして連れていかれるわけですから、ある一定の抑止力というのはやはりこれから必要になってくるだろう。

 特に、日本人のアイデンティティー、心のよりどころとなるような、文化財にしてもそうですし、国民感情を逆なでしてわざわざ火をつけに来るような行為をしっかりと防いでいくということを共有していきたいというふうに考えております。

 さて、話が随分ととがってまいりましたので、話題をかえさせていただきます。

 現在、地方の活力や魅力を高めるために、国や自治体あるいは民間でも、積極的にお城や歴史的な建造物や町並みの復元、活用を進めているところです。私も歴史遺産が大好きで、それを見て楽しんだり、あるいは、東京におりますと、皇居のお堀端を、ジョギングはできないんですが、歩いて見るときは本当に心が洗われる気がするわけです。

 国内外の観光客を、そういうことを行いまして誘致する。観光収入をふやすだけでなく、国やふるさとのアイデンティティーを深めたり、日本文化のアピールとしても最適なことであるというふうに考えております。

 そういう点では、皇室用財産、これは、いずれも我が国の芸術、文化の最高峰の至宝と言えるものばかりですし、あるいは、首都の玄関口である皇居、昔でいうと江戸城になるわけですが、そのやぐら門や吹上のきれいな緑であったり、お堀端であったり、それに映える美しい白壁を、塀をずっと復元していくような、そういう積極的な復元であったり活用というものに、大いに予算を投じてでも推進すべきではないかなというふうに私は個人的に考えております。

 また、そういう点でも、貴重な皇室用財産の美術品を展示される三の丸尚蔵館の拡充や積極的な広報、あるいは、私どもの地元の関西にたくさんございますが、離宮や御所の復元など、あるいはまた、皇室用財産のすばらしいのはわかるんですが、どうしても、三の丸尚蔵館を初め、東京での展覧会が多いものですから、積極的に地方に貸与して、巡回して展覧会をしていくですとか、そういうさらなる利活用について積極的に進めていただきたいというふうに考えておりますが、その点のお考えをお尋ねしたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 宮内庁では、これまでから、皇室の御活動や伝統、文化について、国民等に深く理解いただくため、皇居や京都御所などといった皇室用財産の公開について、さまざまな取り組みをしてまいりました。

 皇居については、昭和二十九年から通年参観を開始しておりまして、また、昭和四十三年には、現在の宮殿の完成を機に、皇居東御苑の一般開放を始めたという経緯がございます。また、最近では、陛下の御傘寿の記念に、乾通りの一般公開を始めているところでございます。京都御所、桂離宮等についても、比較的早く、昭和三十年から通年で多くの人々に参観いただけるようにしてきたところでございます。

 このように、宮内庁では、国民とともに歩むという両陛下のお気持ちを体して、さまざまな取り組みを重ねてきているところでございまして、これまで、おかげさまで大変多くの皆様に訪れていただいております。

 一方、平成二十八年三月に政府において取りまとめられました、明日の日本を支える観光ビジョンでは、我が国の歴史や伝統にあふれる公的施設を、大胆に、一般向けに公開、開放することが掲げられておりまして、宮内庁においても、皇室関係施設について、皇室の御活動や行事等に支障のない範囲で公開の拡充を行ってきておるところでございます。

 具体的には、皇居については、平成二十八年六月から、土曜日にも参観を実施することとし、事前予約に加え、当日受付も行い、一回当たりの定員も、従来三百人だったんですけれども、これを五百人に増加することといたしております。

 また、京都御所につきましては、事前予約を不要とするとともに、土曜、日曜を含めた一般公開を通年で行うこととし、平成二十八年七月から開始をしております。

 また、桂離宮、修学院離宮及び仙洞御所については、土曜、日曜にも参観を実施することとし、平成二十八年八月より実施をしているところでございます。

 また、積極的復元とのお尋ねをいただいたところでございますけれども、これまでから、皇居や御所、離宮の現存する石垣、建物等の歴史的な施設の文化財的な価値にも十分留意をして維持管理に努めてきているところでございまして、今後とも、施設の美観にも十分意を用いて皇室用財産の公開に取り組んでまいりたい、このように考えております。

 なお、やぐら門の復元等の御指摘をいただきましたけれども、いわば武家の象徴である江戸城の遺構というものを、現在の皇室用財産として用いられている皇居内に復元するということについては、慎重な検討が必要ではないかなというふうに考えております。

 また、三の丸尚蔵館についてお尋ねをいただきました。

 平成五年に皇居東御苑内に開館いたしました三の丸尚蔵館でございますけれども、これまでに七十五回の企画展、十三回の特別展を開催してきておりますけれども、その展覧会の御案内としましては、報道機関への事前発表、これによりまして、一般紙等の美術展案内の欄などに情報は掲載されるわけでございますけれども、こういう取り組みのほかに、各種の広報パンフレットや情報誌等への情報提供を随時行うほか、宮内庁ホームページや観光庁のツイッターで開催のお知らせをしているところでございます。

 こうした取り組みもございまして、近年、三の丸尚蔵館への入館者は増加の基調にございまして、平成二十八年には、過去最高となります四十万五千人余の入館者をお迎えしているところでございます。

 三の丸尚蔵館については、収蔵作品の増加による狭隘な収蔵スペース、大型作品の展示が行えない狭隘な展示スペースなどの課題を解消するため、現在、増築を計画しておりまして、平成二十八年度には基本設計に着手、二十九年度には実施設計をお願いしているところでございます。これによりまして、収蔵スペースを現在の約一・八倍に拡充するとともに、展示室を現在の二倍程度に拡充する予定といたしております。

 以上でございます。

大隈委員 ありがとうございます。

 三の丸尚蔵館、約九千八百点の美術品、有名なところでは、伊藤若冲の動植綵絵なんというのは御存じの方も多いと思いますが、委員の先生方でも、三の丸尚蔵館、行かれたことがない方の方が多いんじゃないかなというふうに、まあ、行かれた方もおられると思いますが、まだまだ広報が、すばらしいものをしているにもかかわらず、なかなか広報がうまくいっていない。

 確かに、入館者は増加の一方だと思いますが、例えば広報の方を大胆に民間の方に任せてみるとか、いろいろなまた方策を立てていただきながら、せっかくの国の至宝ですから、国民広く、海外にも楽しんでいただければというふうに考えております。

 その一方で、やはり何といっても、先ほど、冒頭の質問もそうなんですが、皇室用財産や、あるいは御物、皇室の御意向はもちろん大切でございますので、私も愚見はこの程度に控えさせていただきますが、やはり外国人の犯罪者にとっては大きな標的になり得るものだというふうに考えております。あるいは、皇室の皆様も同じように、それぞれの外国人からの、テロリストであるとかからしっかりと安全を守っていかなければいけないというふうに考えております。

 現在でのセキュリティーに関して、お答えできる範囲で結構ですが、現状と強化策についてお尋ねしたいと思います。

坪田政府参考人 御指摘の皇室関係の施設の管理についてですが、宮内庁では従来から、皇居等の警備をつかさどります皇宮警察本部と緊密に連携をとりながら、遺漏のないように努めているところでございます。

 昨今の内外の諸情勢に鑑みまして、今後とも、警備をつかさどる皇宮警察本部と緊密に連携しつつ、塀や柵など障壁施設の点検整備、職員によるきめ細かな巡視の徹底など、緊張感を持って皇室関連施設の維持管理に当たる所存でございます。

 また、皇室の方々の安全の確保につきましても、警察と連携をしながら万全を期してまいりたいと考えております。

大隈委員 私も京都の大学院で研究をしていたんですが、研究に行き詰まると、ちょっと歩きますと、夜中でも、京都御所、京都御苑の中は自由に入れるんですね。塀の外なんですが、ぐるぐるぐるぐるジョギングしている人もいれば、真夜中でも、皇宮警察の方はおられるんですが、自由に入ることができる。開かれた皇室用財産というのは非常にすばらしいことだとは思うんですが、やはりそういう点でのセキュリティーもしっかりしていかなければならないというふうには考えております。

 さて、質問の最後になりますが、皇室の警備について少しお尋ねしたいと思います。

 特に、昨年秋に秋篠宮家の自動車事故の報道がありました。幸い、おけがはなかったということではありますが、報道では、六名の御乗車で、前の車が急にブレーキを踏んだことで追突をされた、そして、少し霧もかかっていたというふうな報道もございましたが、何かその後に警備体制を強化したり、あるいは自動車移動での対策をとられたことがあるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問いただきました昨年十一月のお召し車両の追突事故でありますけれども、同車両を運転しておりました宮内庁の運転手の前方不注意が原因で発生したものでございまして、交通規制等の警備体制の不備の問題ではないというふうに認識をしております。

 したがいまして、宮内庁運転手による安全運転を徹底するということが喫緊の課題であろうと考えておりまして、交通規制の強化など、国民生活にも影響の及ぶ警備体制の見直しは考えておらないところでございます。

 それで、宮内庁のとっておる具体的な対策ということでございますけれども、関係職員に対しまして安全対策の措置や再発防止対策を講じているところでございまして、また、今年度中に衝突被害軽減ブレーキを備えた車両を調達予定でございまして、秋篠宮家にお使いいただく予定としております。

 いずれにいたしましても、皇族殿下方の御安全の確保につきましては、警察当局とも連携をしまして、万全を期してまいりたいと思います。

大隈委員 私も、その後の宮内庁からの記者会見を拝見いたしまして、警備体制は見直しをしないという旨を報道で見ました。

 それに対して、今、例えば委員の先生方でも、公務で地元でも東京でも運転される方はまずおられないと思いますし、それぞれ運転手の方も細心の注意をして運転、移動されておられるんだと思いますが、やはり事故ですから、防げるものと防げないもの、突発的なものというものが当然出てこようかというふうに考えております。

 その点におきまして、皇太子殿下の徳仁親王家と警備体制が違うということが、私としては少しすとんと落ちないというところがございます。

 例えばイギリスでありましたら、チャールズ皇太子の御長男のウィリアム王子、そしてそのお子さんたちがお二人おられて、王位継承権というのはあるわけですが、イギリスのことは詳しくはございませんが、そこの警備の差というものは余りないのではなかろうかなというふうに考えておるのですが、やはり秋篠宮文仁親王や、あと、第三世代でただお一人の皇統男子の悠仁親王の警備について、これもしっかりと、水も漏らさぬ警備といいますか、今後の警備体制のあり方も含めてしっかりと御検討していただきたいというふうに考えておりますが、その点、最後、御意見をいただければと思います。

松本政府参考人 警察といたしましてでございますけれども、まずは、皇族の皆様方と国民との親和といった観点、あるいは一般交通など国民生活への配慮といったことも配意しながらではございますが、また宮内庁と緊密に連携しながら、今後とも、皇族の皆様方の警衛、警備につきましては、さらに万全を期していく所存でございます。

大隈委員 皇室の警備という点では、やはり、皇室の皆様の余り仰々しいものにしてほしくないという御意向というものもあるということは当然承っておりますが、今、天皇陛下の御健康が、非常に我々国民も心配して見守っている中で、健康と同時に、やはりこれからの皇室の安全性といいますか、しっかりと安全を守っていただくという点についても同じように重要視して、私どもも仕事をしていかなければならないというふうに考えております。

 御答弁いただきましてありがとうございました。御質問は以上でございます。ありがとうございます。

秋元委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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