第2号 平成29年11月24日(金曜日)
平成二十九年十一月二十四日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 山際大志郎君
理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君
理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君
理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君
理事 後藤 祐一君 理事 佐藤 茂樹君
池田 佳隆君 泉田 裕彦君
上杉謙太郎君 大隈 和英君
大西 宏幸君 岡下 昌平君
加藤 鮎子君 金子 俊平君
神谷 昇君 亀岡 偉民君
工藤 彰三君 熊田 裕通君
小寺 裕雄君 古賀 篤君
杉田 水脈君 高木 啓君
武井 俊輔君 長坂 康正君
西田 昭二君 百武 公親君
藤井比早之君 松本 洋平君
三谷 英弘君 宗清 皇一君
村井 英樹君 大河原雅子君
篠原 豪君 森山 浩行君
山崎 誠君 稲富 修二君
柿沢 未途君 佐藤 公治君
山井 和則君 浜地 雅一君
濱村 進君 中川 正春君
塩川 鉄也君 浦野 靖人君
玉城デニー君
…………………………………
国務大臣
(女性活躍担当)
(男女共同参画担当)
(マイナンバー制度担当) 野田 聖子君
国務大臣
(内閣官房長官)
(沖縄基地負担軽減担当) 菅 義偉君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(防災担当) 小此木八郎君
国務大臣
(消費者及び食品安全担当)
(海洋政策担当)
(領土問題担当) 江崎 鐵磨君
国務大臣
(一億総活躍担当)
(少子化対策担当)
(クールジャパン戦略担当)
(科学技術政策担当) 松山 政司君
国務大臣
(経済再生担当)
(人づくり革命担当)
(社会保障・税一体改革担当)
(経済財政政策担当) 茂木 敏充君
国務大臣
(地方創生担当)
(規制改革担当)
(行政改革担当)
(国家公務員制度担当) 梶山 弘志君
内閣官房副長官 西村 康稔君
内閣府副大臣 あかま二郎君
財務副大臣 うえの賢一郎君
厚生労働副大臣 牧原 秀樹君
国土交通副大臣 あきもと司君
内閣府大臣政務官 村井 英樹君
内閣府大臣政務官 山下 雄平君
内閣府大臣政務官 長坂 康正君
法務大臣政務官 山下 貴司君
外務大臣政務官 堀井 巌君
会計検査院事務総局第三局長 戸田 直行君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 平川 薫君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 中川 真君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 鎌田 光明君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 彦谷 直克君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 和栗 博君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 植田 浩君
政府参考人
(人事院事務総局人材局長) 福田 紀夫君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 米澤 健君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 村上 敬亮君
政府参考人
(内閣府子ども・子育て本部統括官) 小野田 壮君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局長) 羽尾 一郎君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 三浦 正充君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 小島 隆雄君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 山下 史雄君
政府参考人
(警察庁交通局長) 桝田 好一君
政府参考人
(警察庁警備局長) 松本 光弘君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 杉本 達治君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 志水 史雄君
政府参考人
(財務省大臣官房長) 矢野 康治君
政府参考人
(財務省理財局次長) 富山 一成君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 白間竜一郎君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 下間 康行君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 土屋 喜久君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 成田 裕紀君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 八神 敦雄君
政府参考人
(林野庁森林整備部長) 織田 央君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局次長) 清瀬 和彦君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局砂防部長) 栗原 淳一君
政府参考人
(観光庁審議官) 瓦林 康人君
政府参考人
(海上保安庁警備救難部長) 奥島 高弘君
政府参考人
(防衛省地方協力局長) 深山 延暁君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
―――――――――――――
委員の異動
十一月二十四日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 宗清 皇一君
神谷 昇君 松本 洋平君
亀岡 偉民君 上杉謙太郎君
柿沢 未途君 山井 和則君
同日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 藤井比早之君
松本 洋平君 百武 公親君
宗清 皇一君 熊田 裕通君
山井 和則君 柿沢 未途君
同日
辞任 補欠選任
熊田 裕通君 工藤 彰三君
百武 公親君 神谷 昇君
藤井比早之君 亀岡 偉民君
同日
辞任 補欠選任
工藤 彰三君 池田 佳隆君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)
国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○山際委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官平川薫君、内閣官房内閣審議官中川真君、内閣官房内閣審議官鎌田光明君、内閣官房内閣参事官彦谷直克君、内閣官房内閣参事官和栗博君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官植田浩君、人事院事務総局人材局長福田紀夫君、内閣府大臣官房審議官米澤健君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、内閣府総合海洋政策推進事務局長羽尾一郎君、警察庁長官官房長三浦正充君、警察庁長官官房審議官小島隆雄君、警察庁生活安全局長山下史雄君、警察庁交通局長桝田好一君、警察庁警備局長松本光弘君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、外務省大臣官房参事官志水史雄君、財務省大臣官房長矢野康治君、財務省理財局次長富山一成君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、文部科学省大臣官房審議官下間康行君、厚生労働省大臣官房審議官土屋喜久君、厚生労働省大臣官房審議官成田裕紀君、厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君、林野庁森林整備部長織田央君、国土交通省水管理・国土保全局次長清瀬和彦君、国土交通省水管理・国土保全局砂防部長栗原淳一君、観光庁審議官瓦林康人君、海上保安庁警備救難部長奥島高弘君、防衛省地方協力局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長戸田直行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山際委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大隈和英君。
○大隈委員 自由民主党の大隈和英でございます。
質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。けさは、最初から私ども大阪の同期選出が四名続きまして、有意義な質問ができますように、ひとつどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、最初にクールジャパンの政策について御質問、お伺いしたいと思います。
年々増加いたします外国からのインバウンドは、ことしの九月で累計値で約二千百二十万人と、地方の活性や観光収入の増加などの面でも大変貢献しているというふうに考えております。
政府は、二〇二〇年の四千万人の目標に向けて、さらなる観光の振興、訪日外国人旅行客の増加を目指すべきところでありますが、そこで、私たちも京都に近い町でございますので、見ておりますと、訪日観光客の真のニーズに当たっているのか、突き刺さっているのか、やはり定期的な調査あるいは省庁横断的な検証が求められているところだというふうに考えております。
例えば、訪日観光客の人数は増加しているわけですが、一人当たりどれだけお金を使ってくれているか。消費額という点では、国連の世界観光機関、UNWTOという機関がありますが、これで見ますと世界で四十四位と、トップからすると三倍から四倍近くのまだ差が開いているということがございます。
滞在日数の差が、ほかの国と差があるとしても、この世界のトップとの差を埋めていくということもやはり次なる課題かというふうに考えております。
そういう点でも、訪日観光客のニーズに合った消費を喚起していく対策、さらなる創意工夫がまだまだ望まれるところだというふうには考えております。
一つには、私が聞いたところでもありますが、レンタルサイクルやレンタカー、あるいはオートバイでもそうですが、外国人が自分で国内を旅行したい、移動したいというときの交通標識の表記の問題ですとか、あるいは、最近、ナイトタイムエコノミーという言葉を私も知りましたが、地方の観光地に行きましても、あるいは東京でもそうですが、やはり公共の観光施設が閉まるのが早いという指摘もございます。
また、旅館などに行きますと、部屋での夕食が最初からついているわけですから、町での外食が楽しめない。ゆっくりその町で夜、御飯を食べてお酒を飲んでお金を落とすにも、なかなか早く旅館で食事が始まって、夜眠ってしまうということがあって、そういう点の指摘がなされております。
まず、観光庁にお尋ねしますが、今までの観光促進、その成果を踏まえた現時点での自己評価と、次のターゲットとして何が必要と考えているか、お尋ねしたいと思います。
○瓦林政府参考人 お答え申し上げます。
インバウンド消費の現状につきましては、観光庁が実施しております訪日外国人消費動向調査におきまして、二〇一六年の訪日外国人旅行消費額は、前年に比べて七・八%増の三兆七千四百七十六億円、本年一月から九月の累計では、前年比一四・七%の三・三兆円となっております。また、本年七月から九月期の訪日外国人一人当たり旅行支出は十六万五千四百十二円、前年同期比六・六%増加となっております。
このように、訪日外国人による旅行消費額は堅調に増加しているところでございますが、昨年の三月に策定いたしました明日の日本を支える観光ビジョン、ここに掲げました二〇二〇年の消費額八兆円の目標を確実に達成するためには、外国人による旅行消費額をさらに伸ばしていく必要がございます。
このため、観光庁におきましては、訪日外国人の滞在期間を長期化させる、そして、体験や経験に対して支出する事消費を拡大させていくことなどを重要な課題として位置づけておりまして、海外プロモーションの改革、宿泊施設、交通施設も含めた受け入れ環境の改善などに政府一丸の体制で取り組んでいるところでございます。
○大隈委員 一人当たり支出が十六万円ということですけれども、やはり、日本人が海外に行ったときに使う額と比べてみても、まだまだ改善の余地があろうかというふうに考えております。そういう点では、やはり旅行の、交通手段は日本はまだまだ高いわけですが、大切なのはその中身になってこようかと思います。
そういう点で、ソフトコンテンツの開発、あるいはその魅力を磨いていく、まだまだ見出されていない魅力を創出していく、そういう点での政府のクールジャパンの取り組みというものが重要になってこようかと思います。
クールジャパンとして、やはりせっかくのこれは大きく育てていくプロジェクトでありますので、さらなる役割として、地方の魅力創出ですとか産業の活性化などなど、どのように取り組んでいかれるのか、ぜひその役割をお尋ねしたいと思います。
○あかま副大臣 大隈委員にお答えをいたします。
クールジャパン戦略における地域の魅力の発信、展開というものは大事な点だというふうに認識をしております。
その点にあって、昨年五月にクールジャパン拠点構築検討会というものを立ち上げました。関係省庁や有識者を構成員として、クールジャパンの拠点となるところが連携をして、地域の魅力を発信するノウハウや方策などを検討し、本年五月に取りまとめを行ったところでございます。
例えばでございますけれども、アニメツーリズムというものがございますが、アニメのイメージとなったいわゆるアニメ聖地、それ以外の温泉などの周辺の観光地への誘客であるとか、新たな魅力として、権利者と連携しての、お土産物屋さんにおけるアニメ関連グッズの展開であるとか、さらには、外国人ブロガーなどのいわゆるインフルエンサーによる海外ファンの開拓などなど、アニメ聖地を活用した地域の活性化方策について提言を行ったところでございます。
現在、地域でのセミナー等も行っております。こうしたノウハウの全国への展開を図っているところでございますが、先ほど大隈委員が御指摘ありましたように、訪日観光客のニーズ、これに的確に応える、またニーズを掘り起こすといった意味では、我々、クールジャパンにおいて大変重要な視点だというふうなことを考えておりまして、地域の魅力の創出、発信、海外展開、これら多角的なアプローチによって、地域活性化に各省連携をして取り組んでまいりたい、そう思っております。
以上です。
○大隈委員 御丁寧な答弁、ありがとうございます。
私の地元でも、世界で有名になりましたサントリーの山崎ウイスキーの工場がありまして、今まで本当に地元で細々とされていたうどん屋さんが、突然外国人でいっぱいになっちゃって、日本人が僕だけだったということがあったり、やはり地方のいろいろな動きというのが出てきているんだと思います。それをさらに加速していくためにも、ぜひとも、クールジャパン戦略あるいは省庁の横断的な取り組みをお願いしたいと思います。
日本のきめ細やかな、献身的な医療や介護サービスというのも、エンターテインメントではありませんが、ある面ではやはり日本らしいおもてなしの心、クールジャパンとも言え、医療ツーリズムによる訪日観光客の新たな開拓という点でも、ぜひとも注目していただきたいというふうに考えております。
次の質問に移らせていただきます。海洋政策についてでございます。
国境離島の過疎化というものは、地方の、今東京一極集中のひずみの中で、例外なく過疎化の解決というものは大きな課題になってきていると思います。
例えば、長崎県の対馬、それを初めとして、今や北海道でも外国資本による土地の買収が進んでいる事実がございます。過去にも何度も、国会での質疑を通して、与野党ともにその問題と規制の必要性が語られているわけですが、なかなか大きく状況が改善しているとは言えないところでございます。
私の母も長崎県の五島の出身でございますし、それから、同じ九州で、きょうお越しの山下大臣政務官も、国境離島は佐賀県はないというふうに考えておりますが、同じ玄界灘に面したところで、対馬、壱岐、さまざまな国境離島がございます。そういう点で同じ思いを共有していただいているかと思うんですが、国境離島の定義として、領海の外縁を根拠づける基線を有する島というふうになっております。
きょうお配りいたしました資料をごらんいただきたいんですが、下の方を見ていただきますと、国境離島の方は五百二十五の島がございます。そのうち有人の離島が六十島、無人の離島が四百六十五もあるということなんですね。その中で所有者がわかっているのが四百二十二ということなんですが、そういう点で、言うまでもなく、海洋国日本の領海保全の観点からも、やはりしっかりと国境離島を保全管理していくのは最重要の課題でありまして、これを何とか進めていかなければいけないというふうに考えております。
そこで、これまで国はどのような取り組みを、国境離島の保全管理を行ってこられたのか、お尋ねしたいと思います。
○羽尾政府参考人 お答えいたします。
国境離島は、先生お話しのとおり、我が国の領海、排他的経済水域等の外縁を画する根拠となるものでございます。対象となる国境離島の数も、先生配付の御資料にありますとおり、五百二十五。その内訳は、有人国境離島が六十、無人国境離島が四百六十五となってございます。
これら国境離島の保全管理は、我が国の領海保全及び海洋権益確保の観点から重要な施策と位置づけております。これを政府の方針に位置づけ、所要の取り組みを行ってきたところでございます。
具体的には、例えば、持ち主のいない無人の国境離島を国が適切に管理することを目的としまして国有財産化を進め、本年三月末までに、二百七十三島の国有財産台帳の登載を完了させました。これによりまして、持ち主のいない無人国境離島の存在は解消いたし、国が適切に管理することとしております。
そのほか、低潮線保全法に基づきまして、排他的経済水域等の根拠となります低潮線を変更させるような掘削などを規制するなど、適切な保全に取り組んでおります。
また、本年四月に施行いただきました有人国境離島法に基づき、有人国境離島地域の保全及び地域社会の維持に関する施策を強力に推進しているところでございます。
○大隈委員 これまでの政府の取り組みを今御説明いただきまして、持ち主のいない無人の国境離島がなくなったという点に関しては、高く評価できると思います。
しかし、やはり民有地については、例えば、直接的や間接的にも、外国人なども自由に売買の商取引としてできるわけですから、そこのところを、領海保全、あるいは資源、そして安全保障の観点からも、支障を来す場合も想定可能かというふうに考えます。
これに対して、国はどう認識して、今後どのような取り組みをされていかれるのか、お尋ねしたいと思います。
○山下(雄)大臣政務官 お答えさせていただきます。
大隈委員の触れていただいたように、私も玄界灘に面したところに住んでおりますので、国境離島の土地の管理に関する施策については、領海保全の観点から強化すべきであるというふうに認識しております。
政府としては、平成二十五年に決定した国家安全保障戦略で、国境離島の土地の所有の状況把握に努め、土地利用等のあり方について検討するというふうに定めております。
今後の取り組みとしましては、国境離島の私有地について、所有状況を把握することとしております。さらに、我が国の領海保全及び海洋権益確保の観点から、どのような問題があるかを分析して、いかなる施策が必要なのかなどについて、内閣府において、関係府省協力のもと、有識者の意見を聞きながら検討したいというふうに考えております。
○大隈委員 今お話しいただきました、所有者不明の土地というのが結構やはり全国でも大きな問題になってきておりまして、これも一旦外国人に所有されてしまった場合の問題でありますとか、さまざまな問題に関しまして、国民の意識の喚起、共有をやはり高めていかなきゃいけないなというふうに考えております。今後、引き続きの政府のお取り組みをお願いしたいというふうに考えております。
さて、質問時間が最後になってまいりました。最後に、国家公安の方にお尋ねしたいと思います。
先般の神奈川県での連続殺人事件がございました。全容解明はまだまだこれからではございますが、報道される内容から、その犯行の残忍さ、無慈悲さ、私自身も個人として本当に無力感を感ずるほど、無念でなりません。被害者の方々には、心より哀悼の意を表したいと思います。
多感な思春期の自殺願望、SNSを通じて吸い寄せられるようにつながった被害少女たちと犯人、犯行に必要な知識や情報をネットで容易に入手した等々、現代社会の有しているさまざまなひずみや影の部分をある意味顕在化させたものとして、さまざまな問題提起を我々に与えているものだというふうに考えております。そういう点では、立法府として沈黙するわけにはいきませんし、短い時間ですが、少し触れさせていただきたいと思います。
この凶悪事件の萌芽を摘む予防策として、捜査はまだ始まったばかりで、今後まだまだ全容解明や検証が必要になってこようかと思いますが、今回の事件の一つの側面を形成している被害防止の面で考えていきますと、自殺対策というものがやはりクローズアップされるべきかというふうに考えております。
そういう点で、今までもサイバーパトロールなど行われていると認識しておりますが、これまでの対策、どのようなものがあるか、自殺予防としての厚生労働省のお取り組み、あるいは、多感な学生や青少年の対策として文科省の取り組み、また、サイバーパトロールなど警察庁からのお取り組みなど、お伺いしたいと思います。
○八神政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省では、九月の自殺予防週間などに合わせまして、パソコンやスマートフォンで自殺に関する用語を検索したユーザーを対象に、検索結果のページ上にバナー広告を掲載して相談窓口に誘導するなどの取り組みをしております。こうした対策をさらに進めて、相談窓口に関する情報を提供して、支援につなぐための取り組みを強化してまいりたい。
また、若者が日常的に利用するコミュニケーション手段であるSNSを利用した相談機会の確保、また、悩みを気軽に話し、相談のできる居場所づくり等々、自殺対策にかかわる民間団体ですとか情報通信事業者等からも広く御意見を伺い、必要な対策について検討してまいりたいと考えております。
厚生労働省は、自殺対策に関しまして、政府における総合調整を担う立場でございます。自殺総合対策大綱に基づいて、関係省庁と連携をしながら、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して取り組みを進めてまいりたいと考えております。
○下間政府参考人 お答えを申し上げます。
文部科学省といたしましては、特に、学校における児童生徒の自殺予防の取り組みが積極的に実施されますよう、本年六月にも通知を発出いたしまして、夏休み前から夏休み中、夏休み明けの時期にかけて、学校における悩みを抱える児童生徒の早期発見に向けた取り組みや、学校から保護者に対して家庭における見守りを依頼するなど、学校が保護者や地域の皆様、関係機関等と連携の上、集中的に取り組みを実施することを依頼したところでございます。
また、文部科学省が作成した教職員向け手引等も活用しながら、教職員等を対象とした自殺予防の研修会を実施いたしましたり、児童生徒が通話料無料で電話できる二十四時間子供SOSダイヤルを初めとする相談窓口の周知などの取り組みを行っているところでございます。
さらに、近年、若年層の多くがSNSを主なコミュニケーション手段として用いているという状況を踏まえまして、有識者による、SNSを活用した相談体制の構築に関する当面の考え方を取りまとめますとともに、新たに、平成三十年度概算要求において、SNSを活用した相談体制の構築に向けた調査研究に係る経費を計上したところでございます。
引き続き、関係省庁と連携して、自殺予防の取り組みに取り組んでまいります。
以上でございます。
○山下政府参考人 警察では、現在、人命保護の観点から緊急に対処する必要があるインターネット上の自殺予告事案を認知した場合に、プロバイダー等に対して協力を依頼し、発信者を特定して人命救助等の措置を講じているところでございまして、昨年中は四十八名の命を救っており、今後とも、こういった自殺予告事案にしっかりと対処してまいる所存でございます。
座間市における事件の再発防止策に関しましては、SNSを含むインターネット上の自殺に関する書き込みのうち、自殺を勧誘、誘引するような不適切な書き込みへの対策、若者に対する啓発活動、インターネット上の受け皿の整備等につきまして、警察を含め、関係機関、団体等が緊密に連携をし、社会全体で検討していく必要があると認識をしております。
このため、本件の再発防止策につきまして、警察庁としても、関係省庁と緊密に連携して検討を進めているところであり、しっかりと取り組んでまいります。
○大隈委員 時間が参りました。
二度とこのような事件を再発させないためにも、断固とした社会の意思表示とともに、立法府としても、やるべきことは総動員してやるということを私自身もお誓いして、質問を終わらせていただこうと思います。
ありがとうございました。
○山際委員長 次に、大西宏幸君。
○大西(宏)委員 おはようございます。自由民主党・無所属の会、大西宏幸です。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。今、大隈委員が質問をいたしましたけれども、私を入れて四名、大阪の議員の質問が続くということでございまして、二番バッターでございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
まず初めに、天皇陛下の御退位に関しての質問をいたします。
天皇陛下の退位の日程を検討する皇室会議について、十二月一日午前九時から開催すると政府の正式な発表がありました。報道でも随分取り上げられまして、国民の関心の高さを感じるわけでございますけれども、近代、明治以降初めて、御譲位をされての退位でございます。
日本では、いわゆる和暦、明治、大正、昭和、平成が生活の中に息づいておるわけでございます。私も、昭和天皇陛下の御崩御の深い悲しみとともに、新しい御代が始まることを感慨深く思った記憶がございます。印刷物などの事務的な問題とは別に、大喪の礼など、はっきりとした、いわゆるわかりやすい区切りがない中で御代がかわる、この際に、我々国民の心の持ちようが大切だろうと考えております。
即位の礼を区切りとするかもしれませんが、現在政府が想定している退位までのスケジュール及び工程をお聞かせいただきたいと思います。
○平川政府参考人 お答えいたします。
天皇の退位等に関する皇室典範特例法は、天皇陛下の御退位日となる同法の施行日について、公布の日から三年を超えない範囲で、皇室会議の意見を聞いた上で政令で定めることとしております。
十二月一日に開催される皇室会議では、特例法の施行日に関する意見について御議論が行われるものと承知しております。政府といたしましては、皇室会議から意見をいただいた上で、それを踏まえて、速やかに特例法の施行日を決定したいと考えております。
天皇陛下の御退位に向けて準備が必要となる事項は、御退位後の補佐組織、それにお住まい、元号の改正など、多岐にわたることになっております。これらの事項につきましては、現在、宮内庁を中心に関係省庁が連携して検討を進めているところでございまして、御退位日の確定後は、所要の予算、組織等に関する具体的な準備を着実に進めてまいりたいと考えております。
いずれにしましても、政府といたしましては、国民がこぞってことほぐ中で、天皇陛下の御退位と皇太子殿下の御即位がつつがなく行われますよう、最善を尽くしてまいります。
○大西(宏)委員 ありがとうございます。
国民全体でも、今上陛下の安寧と長寿を祈り、新天皇陛下の御即位をことほぐ機運を成就したいと思いますので、その観点からも御配慮をいただいて、つつがなく工程を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
さて、このたびの退位に関して、報道の自由はあると思います、実際。既に確定しているかのような報道が、情報が流れてきたことも多々、今回ありました。私は大変このことについて気にかかります。
政府や宮内庁の正式発表より前に報道がなされた経緯などを政府は確認しておるのでしょうか、お聞かせください。また、確認したとすれば、今後再発を防ぐ対策は検討されておられますでしょうか。
○平川政府参考人 お答えいたします。
天皇陛下の御退位をめぐりましてさまざまな報道がなされておりますことは承知しておりますが、こうした個々の報道の一つ一つにつきまして、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○大西(宏)委員 そういう答弁だろうと思っておりますけれども、それでもなお、今上陛下、新天皇陛下のことほぐ内容でございますので、精密かつ、そして適切に国民にお伝えできるように、報道各社もよろしくお願いする次第でございます。
続きまして、IR実施法案が、いよいよ提出に向けて、時期の調整などの段階にあると今思っておりますけれども、そこで、多くの国民が関心を寄せているギャンブル依存症についての質問をさせていただきます。
私の地元大阪は、カジノ誘致を今推進しております。しかし、府民、市民からはやはり心配の声があるんですよね。不安に応えるために、IR実施法案の策定の前提として、やはり、ギャンブル等依存症対策基本法案、これは議員立法でございますけれども、ギャンブル依存症対策基本法案の成立があると承知しております。自民党、公明党両党のギャンブル依存症対策検討作業チームでも、法案の早期成立を目指す方針を確認しております。
政府においては、菅義偉内閣官房長官を議長として、ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議が設置をされました。二〇一七年八月に、ギャンブル等依存症対策の強化対策を決定、公表されたと承知しております。これは、依存症の予防、防止の観点はもとより、依存症になってしまった場合の医療・回復支援策も盛り込まれております。
そこで、この議論の概要と、発表された強化対策のポイントを改めてお聞かせいただきたいと思います。
○中川政府参考人 御答弁申し上げます。
ギャンブル等依存症対策につきましては、昨年年末の当委員会におけますIR推進法に関する御議論も受けまして、また、それに関する附帯決議も受けまして、政府といたしましては、昨年十二月末に、御紹介のありましたとおり、官房長官を主宰者とする関係閣僚会議を立ち上げ、本年の八月末には、ギャンブル等依存症対策の強化について取りまとめたところでございます。
強化策のポイントといたしましては、まず、安易にギャンブルなどに依存することを防止するため、本人、家族申告によるアクセス制限措置や、簡単にお金をかけられるインターネット投票における取り組みの強化、あるいは遊技機の射幸性の抑制などに取り組んでいくこととしております。
また、ギャンブル等依存症患者が必要なときに早期に相談や治療が受けられるような環境を整備すべく、全国における相談、治療体制の整備、お医者さんなどの、医師等の人材育成、自助グループなど民間団体への支援を推進していくこととしております。
さらに、学校教育における指導、啓発を推進するとともに、また、多重債務等における相談体制の強化も進めていくこととしております。
政府といたしましては、今後も、国会と協力いたしまして、ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る人をなくすための対策をしっかりと実施していかなくてはならないと考えております。健全な社会を構築するため、不断に取り組みを強化してまいりたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。
○大西(宏)委員 ありがとうございます。
改めてお聞きしますと、多角的にしっかりと対策の検討をしていただいていることがわかります。これは大切なことでございますけれども、それに従ってきちんと実行してもらい、我々は常にその状況を確認していくことが大切ではないかと思っております。
ところで、日本においては、ギャンブルの中でも特にパチンコについて、射幸性が高く、依存性が高いにもかかわらず、駅前や繁華街に立地し、他の公営ギャンブルにも増して、性別、世代を問わずアクセスしやすいなど、依存症防止の観点からは課題が多いと現在思っております。実質そうですよね。支給されたばかりの生活保護費や年金を握り締めてパチンコ店に向かうなどの話は以前から知られております。
これまでもパチンコ依存症を防ぐ取り組みはあったわけでございますけれども、実際にどれくらいの効果があったかというと、これははてなですよね。私は、残念ながら不十分であったと思います。具体的にどのような支援策があったのか、私は認識不足なのかもしれませんが、正確には把握しておりません。
今回の強化策でも、パチンコ依存症を防止する取り組み、また回復へのさらなる支援などが盛り込まれておりますが、その内容についてやはり広く国民に周知しなければ十分な効果が期待できないのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
まずは、安心パチンコ・パチスロアドバイザーの新設について取り上げたいと思っております。
安心パチンコ・パチスロアドバイザーを、全営業所へ配置を目指すとあります。アドバイザーの養成方法、活動内容や現在の活動状況についてお聞かせください。よろしくお願いします。
○山下政府参考人 安心パチンコ・パチスロアドバイザーにつきましては、本年四月から業界において開始をした、パチンコへの依存防止対策の専門員を営業所に配置する取り組みでございまして、業界団体が開催する講習会を受講した営業所の従業員等が、営業所においてパチンコへの依存問題への対応を行うこととしております。
講習会におきましては、パチンコへの依存の予防と対策、依存問題に関する相談の対応方法などについて専門家等による講義を行い、本年十一月二十日までに約一万二千五百人が講習を修了したものと承知をしてございます。
現在、各営業所において、パチンコへの依存問題を抱える人等に対して、相談機関であるリカバリーサポート・ネットワークの情報提供や、客自身からの遊技使用上限金額の申告に基づき過度な遊技を予防する仕組みの紹介などの依存問題対策を行っているところでございますが、今後、こうした取り組みにおいて、安心パチンコ・パチスロアドバイザーが中心的な役割を果たすこととなると承知をしております。
○大西(宏)委員 ありがとうございます。
今の答弁にもありましたが、営業所の管理者の義務として依存症対策を義務づけるということです。一万五千人いらっしゃるこのアドバイザーがどういう形で功を奏するか、我々は見ていかないけないんですけれども、現在でも依存症対策には取り組まれていると承知していますが、そこで、今回の強化策はこれまでとどう違うのか、例えば前述のアドバイザー設置など、具体的な内容をお聞かせいただきたいと思います。
○山下政府参考人 現在、営業所によって依存防止対策の取り組み状況がさまざまであるところ、全ての営業所において適切な依存防止対策を組織的に行わせるため、風営適正化法施行規則に規定する営業所の管理者の業務に依存防止対策を追加する、こういう内容とする改正規則が、本年八月、制定されたところでございます。
現在、業界におきましては、御指摘の安心パチンコ・パチスロアドバイザーの配置のほか、ポスター等の営業所内での掲示、営業所の広告への掲載等による依存防止に関する相談窓口等の情報提供や、過度な遊技を行わせないよう客に対して注意喚起することなどの取り組みが進められているところでございます。
今回の改正によりまして、現在営業所で行われている各種の自主的な取り組みが管理者の業務として位置づけられますことから、こうした取り組みが一層推進されるものと考えております。
○大西(宏)委員 しっかりと実施していただき、IRが本来の意義で日本が観光立国としてさらに発展するために一助となるよう、負の側面であるギャンブル依存症の予防、防止に取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、海洋政策に質問を移させていただきます。特に、我が国の重要な領土である離島に関する政策について質問をさせていただきます。
本年は、一例を挙げると韓国資本に進出されている対馬などでありますが、有人国境離島元年として、政府、地方が一体となりまして、保全と地域社会の維持に関する施策を強力に推進しております。大変重要な取り組みだと思いますけれども、そこで、具体的な取り組みと現状についてお聞かせいただきたいと思います。
○江崎国務大臣 お答えいたします。
委員言われるように、国境離島は我が国の領海等の外縁を画する根拠となるものであり、その保全管理は領海保全等の観点から重要な施策であります。とりわけ有人国境離島地域は、継続的に人が居住することにより、領海保全等の活動拠点としての機能の維持を図ることが最重要であります。
このため、本年四月に、いわゆる有人国境離島法が施行されたところであります。この法律に基づき、有人国境離島地域の保全策と国の行政機関の施設の設置のほか、離島であるゆえの不利な条件を緩和するため、地域社会維持推進交付金を新たに創設して、離島住民向けの航路、航空路運賃の引き下げや雇用機会拡充の取り組みなどの施策を講じております。
引き続き、有人国境離島地域が有する活動拠点としての機能を維持するとともに、特定有人国境離島地域で転入が転出を上回るような、関係省庁と連携して、効果的な施策を講じてまいります。
○大西(宏)委員 ありがとうございます。
今の質問に関しますが、対馬において、仏像が盗まれた事件がありました。
この仏像は、現在韓国に持ち込まれており、いまだ返ってきておりません。政府としては経緯は掌握していると思いますけれども、これはやはり仏像返還に向けた取り組みをしていただきたいと思っております。これは、質問しようと思っているんですけれども、あと五分なので、ちょっとはしょらさせていただきます。
この窃盗事件はニュースなどで大分と報道されましたけれども、背景にある韓国資本の離島への進出などの情報が国民全体に対して周知されていないというのも、これは問題だと思います。大切な領土に関する問題ですから、このあたりは国民全体の重要な問題意識として、もう少し広報に力を入れていただくように、これは要望をさせていただきます。
領土・主権対策の観点から見ますと、竹島や尖閣諸島をめぐる昨今の情勢は厳しさを増しております。もはや猶予のない状況です。既成事実をつくった方が勝ちであるかのような周辺諸国の動きがありますけれども、これは日本として今後も対抗していかなきゃならないことだと私自身思っております。どうぞ、大臣にもよろしくお願いする次第でございます。
ちょっと時間がありませんので、済みません、はしょらさせていただきます。
もう一つ、国益を守ることから、我々の使命はございますけれども、そのことに関連いたしまして、これは一昨日からずっとニュースで流れております、特に私の地元である大阪市では大変注目を集めている、サンフランシスコ市議会がいわゆる従軍慰安婦像と碑文の民間からの寄贈を受け入れる決議を可決した問題について質問をさせていただきます。
サンフランシスコ市議会が中国系の民間団体から像の寄贈受け入れを決議し、同市リー市長が二十二日に承認いたしました。悲しいことでございます。
いわゆる慰安婦像は、米国のみならず、オーストラリアやヨーロッパにも設置されているわけですけれども、今回は、問題となっている米国について、米国全土で慰安婦像はどのくらいの数が設置されているのでしょうか。お聞かせください。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
慰安婦像ないし碑に関しましては、その件数について網羅的に把握することは困難でありますけれども、アメリカにおきましては約十の像及び碑が設置されていると承知しております。
○大西(宏)委員 ありがとうございます。
さて、大阪市とサンフランシスコ市の姉妹都市は六十年の歴史があります。一昨日の本会議で、大阪市議会での自民党の行動が国益を損ねかねないものだという趣旨の発言がありました。私は、大阪市会議員を十六年務めさせていただき、大阪の自民党の一員として、今回、印象操作された内容に、非常に悔しい思いで議場におりました。国益を守ることが議員の一番の使命であり、私を含め大阪の自民党は、そのことを曲げた行動を決してしておりません。
大阪市議会においては、本年五月と九月に、サンフランシスコ市議会に対していわゆる慰安婦像設置撤回を求める議決が否決となりました。言うまでもなく、自民党と公明党両党の反対のためです。自民党大阪市議団も、当然でありますが、いわゆる慰安婦像の設置は断固反対です。では、なぜ決議に反対したのか。
これは本来、政府が外交問題として解決すべき問題です。政府は、国家外交として、サンフランシスコ市に対し、二〇一七年度、市議会関係者などにアプローチして、今回もサンフランシスコ市長に対して拒否権を行使するように申し入れたということを承知しております。政府が解決に向けて取り組んでいる最中に地方議会が決議などの重要行動をとれば、それは国益を損ねると、自民党、公明党が判断した結果なんです。
この行動について、政府として見解をお聞かせください。
○堀井(巌)大臣政務官 お答え申し上げます。
まず、地方議会における各会派の活動について、政府としてコメントをすることは差し控えたいと存じます。
その上で、今回の慰安婦像のサンフランシスコ市への寄贈は、我が国の政府の立場と相入れない、極めて遺憾なことだというふうに考えております。
そういった観点から、我々としては、政府としては、サンフランシスコ市長に対して、二十四日までに拒否権を行使するよう申し入れを行ったところであります。
承認されたという報道は接しております。その点は大変遺憾に存じているところでございます。
○大西(宏)委員 予測どおりの回答で、大阪市に限らず、一般的に、地方議会の行動については承知しないということでございます。
余談ですが、釜山港は大阪市の姉妹港、上海は姉妹都市、南京市は覚書締結都市ということです。大阪市が今回の像の設置だけを取り上げて姉妹都市を解消するというのも、何か変な感じであります。
さらに言えば、国際行政間交流といえども、市長が出す公文書というのは、言葉遣い一つ一つが、表現などを大変慎重に選ばなければならないはずなんですね。今回、大阪市の吉村市長が送った文書、本当に大丈夫だったんでしょうか。
さて、関連して、もう一つお聞きします。
東大阪市は、米国カリフォルニア州のグレンデール市と姉妹都市を結んでいます。グレンデール市には、いわゆる慰安婦像が設置されています。「正論」の十一号でも取り上げられましたけれども、大阪市が姉妹都市を解消したように、他の地方自治体へのこうした動きが広がっていくことがあるかもしれません。
もちろん、地方議会が地方議会としての意思の表示をすることを否定するものではありません。しかし、外交政策として国益上非常に重要な分野において、国の外交に弊害があるような行動をする場合、どうなのでしょうか。
私は、問題提起の意味でも今回の問題を質問させていただいているわけでございますけれども、さて、他の地方議会へ大阪市のこのような、広がっていった場合、これは外交上、影響は出ないのでしょうか。外交は、一国の政府が多角的な観点から国を守るための行動。こうした繊細な判断が求められているような問題に関して、国の外交の頭ごなしに地方自治体がそれぞれの主張を行動に移すことは外交上に影響が出ないか、これを問題視させていただいています。どうでしょうか。
○堀井(巌)大臣政務官 お答え申し上げます。
まず、今後仮にこういったケースが生じればということについては、仮定の質問については、大変恐縮ながら、お答えすることは差し控えたいと存じます。
また、地方公共団体間の個々の姉妹都市関係について、私も直接コメントをすることは差し控えたいと存じます。
その上でありますが、一般論として申し上げましたら、地方公共団体が外国の地方公共団体と姉妹都市などの枠組みのもとで交流を深め、さまざまな意見交換や、そして相互理解、草の根交流が行われるということは大変有意義なことだと考えております。
いずれにいたしましても、政府といたしましては、この慰安婦問題を政治問題、外交問題化させるべきではないという基本的な認識を踏まえまして、現地の大使館や総領事館を通じて重層的に情報収集を行うとともに、引き続き、関係者に対して適切な対応を求めてまいりたいと存じます。
○大西(宏)委員 我々は、都市間同士の友好を深めるために関係のある姉妹都市の問題、国家間の外交を混同してはいけないことが、今の答弁でわかると思います。
自民党大阪市議団、大阪の自民党、公明党の判断、行動は、国益を守るためであり、政府の立場と同じものであります。最後にはっきりと申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
済みません、ありがとうございました。以上です。
○山際委員長 次に、岡下昌平君。
○岡下委員 自由民主党の岡下昌平でございます。
本日、内閣委員会、自由民主党、四名が質問に立たせていただきまして、三番バッターでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日は、第四次安倍内閣発足から初めての内閣委員会ということで、まずは、内閣の重要政策の一つになっております人づくり革命について、御担当の茂木大臣に現時点での基本的な考え方を質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
人づくり革命というのは非常に漠然とした言葉で、人によって捉えるイメージはまちまちでございます。何をすれば人づくりになるのか、何のために人づくりをするのか、私も含めてそうなんですが、まだまだ一般には余り理解されていないと思います。
人づくり革命は、安倍総理大臣がことしの通常国会が閉会した翌日の記者会見で述べられたということから始まりました。ここで、その内容をいま一度確認させていただきたいと存じます。
総理は記者会見で、この国会では、長年実現してこなかった返還不要、給付型の奨学金制度を新しく創設する法律も成立しました。どんなに貧しい家庭に育っても、希望すれば高校にも、専修学校、大学にも進学できる。子供たちの誰もが夢に向かって頑張ることができる日本でなければなりません。
そして、若者も、お年寄りも、女性も、男性も、障害や難病のある方も、一度失敗を経験した人も、誰もが生きがいを感じ、その能力を思う存分発揮することができる一億総活躍の日本をつくり上げていかなければなりません。
家庭の経済事情にかかわらず、高等教育を全ての子供たちに真に開かれたものにしていく。リカレント教育を抜本的に拡充し、生涯にわたって学び直しと新しいチャレンジの機会を確保する。これらに応えるため、当然、大学のあり方も変わらなければなりません。
画一的な発想にとらわれない人づくり革命を断行し、日本を誰にでもチャンスあふれる国へと変えていく。こう述べられました。
そこで、大臣にお尋ねをいたしますけれども、人づくり革命のスタート、これは当初は、教育の機会均衡といいますか、経済的に恵まれない方々にも、支援を行って、高校、大学などの高等教育あるいは幼児教育を受ける機会、チャンスを持ってもらうということが発端だったのではないかと思います。まずは、大臣のお考えになられております人づくり革命のコンセプトというものをお聞かせいただきたいと存じます。
○茂木国務大臣 岡下委員の方から、六月十九日のあの総理の会見、改めて御紹介いただいたところであります。
確かに、人づくり革命、まだ耳なれないといいますか、なかなかその具体像までよくおわかりでない国民の方もいらっしゃるんだと思います。
せっかくこういったいい質問をいただきましたので、改めて説明させていただきますと、日本は長寿化社会が進んでいるわけでありますが、一体、日本人の寿命はどこまで伸びていくか。ある海外の研究によりますと、今十歳の日本人、大体二人に一人が百七歳まで生きる、こういう推計もなされているところであります。
百七年の人生モデル、こういったことを考えますと、これまでの、まずは教育を受け、そして仕事をして、老後を迎える。三つのステージの単線型のモデル、こういったことで考えますと、例えば、大学を二十二歳で卒業する、そして、新卒で卒業して六十五歳まで仕事をする、四十三年間。そして、六十五歳で引退をして老後を迎えるわけでありますけれども、百七歳ですから、四十三年働いた後に四十二年の老後が待っている。何となくイメージできない世界になっていくんじゃないかな。
こういった超長寿社会、世界に先駆けて日本が迎えるわけでありますが、そこにおいて、個々人がどのように、これまで以上に長い人生を再設計して、活力を持って生きていくのか。そのためには、個々人の問題だけではなくて、教育をどうするのか、そして雇用制度をどうするのか、さらには社会保障制度のあり方、国の制度、さらには経済社会システム、これがどうあるべきなのか。こういった、教育だけにとどまらない幅広いテーマについて考えていく、これが人生百年時代、人づくり革命の根底にある大きなテーマであると考えております。
これまで、人生百年時代構想会議、総理を議長にこの九月に立ち上げて、さまざまな議論も進めてまいりました。そこの中で、三歳から五歳までの子供を中心にした幼児教育の無償化、そして、真に支援が必要な所得が低い家庭の子供たちに対する高等教育の無償化、さらには、いつでも、何歳になっても学び直しが可能になるようなリカレント教育、専門教育の充実、こういったことを内容とする政策パッケージ、来月上旬に策定して、その具体策をお示ししたいと思っております。
こういったものを通じて、これまで人生が三つのステージだった、そこの中で、高齢者給付が中心になっていた社会保障制度も全世代型へ転換をしていきたい、このように考えております。
○岡下委員 ありがとうございます。
すばらしいコンセプトで、非常に我が国の将来を的確に捉えられたお考えだと感銘を受けております。
本年九月十一日に、内閣総理大臣を議長として、今大臣からも御紹介がございましたが、第一回人生百年時代の構想会議というものが開催されました。
今大臣の御答弁にもございましたけれども、日本の子供たちに至っては百七歳まで生きる。私は、安田財閥の安田善次郎さんの言葉で、五十、六十ははな垂れ小僧、男盛りは八十、九十、そういった言葉を思い出したんですね。百年前は非現実的な言葉であっても、今ではそれが現実的になってきていると、改めての気づきと驚きもございます。
この構想会議のメンバーの方々も非常に年齢層が幅広いと伺っておりまして、十九歳から八十二歳のさまざまな方で構成されている。
私は、その中でお二人に関心、目がとまったんですが、まず若宮正子さん。この方が八十二歳、ゲームアプリの開発者。テレビの特集で若宮さんのことをやっておりましたけれども、この若宮さん、そもそも機械音痴だったにもかかわらず、八十歳からプログラミングの勉強を始められて、おひな様のヒナダンというゲームをおつくりになられました。高齢者の方でも楽しめるように、おひな様をスクロールで移動してひな壇を完成させるのではなくて、とんとタップしてひな壇を完成させるというものなんですが、ことしの、アップルがサンノゼで開催されましたイベント、そこにサプライズゲストとしても御招待されておられまして、アップルのCEOの方と楽しげに、生き生きと話をされているこの若宮さん、とても印象に残りました。
自分が八十歳になったときに新しいことを始めることが果たしてできるのか、改めて考えさせられたと思います。
もう一方は、十九歳の三上洋一郎さん。中学二年生で学生団体GNEXを結成されまして、二〇一三年三月にこのGNEXを法人化されて、現在は企業向けのデジタルマーケティング支援システムの提供を中心に複数の事業を展開されている。社長業の傍ら慶応大学の二年生ということでございまして、私の十代を振り返ると大変信じられない、すばらしい方だなと思っております。
そこで、大臣は、この会議の席上、お二方にお会いされていると思うんですが、このお二方の印象、率直に受けられた印象、あるいは、例えば若宮さんの、八十歳から勉強されたというその原動力がどこから来ているのか、バイタリティーというんでしょうか、あるいは三上さんの発想力の源、そういったところはどういったところから来ているのか、大臣が受けた率直な印象を少しお聞かせいただけたらと思います。
○茂木国務大臣 ありがとうございます。
この九月に立ち上げました人生百年時代構想会議、委員御指摘のように、若い方、十代から、年配の方、八十代、若宮さんまで、幅広い年齢層。しかも、政府の会議では珍しいと思うんですけれども、海外の研究者、人材資源論の権威でありますリンダ・グラットン教授にも入っていただいたり、こういった中でさまざまな角度から御意見をいただいております。
御指摘の若宮正子議員、高校を卒業して銀行に勤めるわけでありますけれども、定年退職後、ソフトウエアの開発をする、六十歳でパソコンを買うということで、初めてそのときに操作をして、勉強を重ね、ゲームアプリ、ヒナダン等を開発されたわけでありまして、それが、委員お話しのように、アップルからも非常に評価をされ、そして世界最高齢のアプリ開発者と紹介をされた。
印象から申し上げると、非常に好奇心が旺盛でいらっしゃる、そういったことを感じました。新たにチャレンジを続ける、こういう気持ちを常にお持ちでありまして、声も非常に若いんですね。人生を楽しんでいる、こういう印象を受けたところであります。
一方、一番若い三上洋一郎さん、株式会社GNEXの代表取締役CEOであり、また慶応の二年生ということなんですけれども、中学二年で起業する、自分でビジネスを起こすんですが、高校一年のときに、その事業に専念するために高校を中退する、そして、高校認定試験を受験して大学の受験資格を取って、二〇一四年の四月から慶応大学で勉強し、同時に経営者としても活躍をしている。
率直に申し上げて、これまでの単線型の、大学なりを卒業したらそのまま新卒一括採用でどこかの企業に勤める、こういう形ではない、まさに人生を再設計する、新しいタイプの人材なんだなと。非常に若い視点から、しかも、極めて堂々としているんですね。官邸のあの会議室に入ってきて、総理もいる前でも堂々と意見を言う、十九歳で。恐らく三上さんは普通の就職はされないんじゃないかなと思いますけれども、普通に新卒でどこかの会社の面接に行っても、面接官は合格と言うことになるんじゃないかなと思います。
○岡下委員 ぜひ、そういったすばらしい方をこの内閣委員会にもお招きいただいて、今後の本当に人づくり革命を中身の濃いものにしていくためにも御意見を伺う機会を設けていただけたらと思いますので、委員長におかれましてはぜひ御検討いただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終えさせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
―――――――――――――
○山際委員長 この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として消防庁国民保護・防災部長杉本達治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山際委員長 次に、神谷昇君。
○神谷(昇)委員 自由民主党、神谷昇でございます。
質問の機会を賜りまして、心から感謝を申し上げます。
台風二十一号が、泉州を初めとする各地で大きな被害を起こしたわけであります。泉州では、台風が来ても被害が起こらない、そういうふうに皆が思っておったんですけれども、今回はかなりの被害が出ております。
その原因は、見ますと、私の地元でございます和泉市の北田中町の雨量観測所では、何と十月二十一日の午後から十月二十二日日曜日の深夜までに五百ミリ以上の雨が降ったという、これは観測史上初めてでございますから、ひょっとしたら五十年あるいは百年に一度の雨があったかもしれません。それで大きな事故が発生し、そしてまた、大阪府に甚大な被害を与えたということでございます。
それで、まずお尋ねしたいのは、この二十一号の台風による大阪府下での土砂災害に関する被害箇所と被害状況、そしてまた今後の対応についてお聞かせを願いたいと思っております。
○栗原政府参考人 お答え申し上げます。
今般の台風二十一号により、大阪府では、土石流一件、地すべり一件、崖崩れ四件の土砂災害が発生しております。
国土交通省では、上空からのヘリ調査を実施するとともに現地調査を行いまして、二次被害の可能性や対応方針について、関係自治体へ技術的助言を行いました。
特に、今後の降雨等により被害の拡大するおそれが高い和泉市国分町の地すべりにおいては、和泉市が既にブルーシートの設置等応急対策を行うとともに、大阪府が伸縮計を設置し、監視を行っております。
今後、地すべり防止工事等について大阪府が現在検討しているところであり、これを踏まえて、国土交通省としても技術的、財政的支援に努めてまいります。
○神谷(昇)委員 ありがとうございます。
この発災以来、いわば地元の岸和田警察、そしてまた岸和田消防署、大臣が御視察をいただいた岸和田の大沢地区でございますけれども、岸和田警察そして消防署、そしてまた機動隊、そしてまた自衛隊等々、迅速な行動をしていただいて被害が最小に抑えられた、これは高く評価をしておるところであります。
今回の二十一号台風によって破損をいたしました自治体が管理する道路とか河川等の災害復旧に当たりましては、国の国庫補助基準がいろいろとあろうと思うんですけれども、激甚災害も認定されたと聞いておりますけれども、その辺についてお聞かせを願いたいと思います。
○清瀬政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、台風第二十一号によりまして、地方自治体が管理する道路、河川等の公共土木施設についても大きな被害が生じてございます。
一般的に、自然災害によりまして自治体が管理する道路、河川等の公共土木施設が被災した場合には、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づきまして、国として復旧の支援を行うことが可能となってございます。
この災害復旧事業の国庫費用負担の考え方でございますけれども、地方自治体が施行する事業費のうち、当該自治体の標準税収入に応じまして国が三分の二以上を負担するとともに、地方自治体の負担分につきましては、地方債による起債と交付税による措置がなされておりまして、さらに自治体の負担を軽減する仕組みとなってございます。
今後とも、被災自治体の負担軽減を図りつつ、できる限り早期に被災地が復旧できるよう、全力で取り組んでまいります。
○神谷(昇)委員 被害がもう数十カ所にも及びますので、ひとつその辺の手厚い対応をお願いしたいと思います。
最近、台風二十一号を初めとして、いろいろな台風、そういう台風によって災害が甚大であるということで、いわば激甚災害の認定を受けております。
こうして、次々と続いてくる。数年前もそうでした。線状降水帯によって広島のあの土砂災害が一気に起こってきた。大規模の、大きな河川が線状降水帯であっという間にあふれてくる、こういうことがもう毎年のように続いているわけですから、これはこれから政府の対応というのが非常に重要となってくると思うんですが、その辺の対応についてのお考えをお示しいただきたいと思います。
○米澤政府参考人 委員御指摘のとおり、これまで何十年に一度とされてきました大規模な災害が近年は全国各地で毎年のように発生しており、今後も、気候変動の影響により、自然災害のさらなる激甚化が懸念されております。
このような事態を踏まえ、社会全体で水害に備える水防災意識社会を再構築すべく、河川の氾濫を防ぐ対策とともに、氾濫した場合にも被害を軽減する対策や、地域住民への水害リスクやとるべき避難行動の周知等の総合的な取り組みを関係省庁や地方自治体と連携して推進しているところでございます。
今後とも、ハード、ソフト一体となった総合的な防災・減災対策に政府一丸となって取り組んでまいります。
○神谷(昇)委員 ありがとうございます。
国土強靱化計画と相まって、しっかりとその対策を進めていただきたいというふうに思っております。
きょうは、小此木大臣、ありがとうございました。
この十月の二十二日に発災後、二十七日金曜日に大臣が岸和田市の大沢地区を御視察賜りまして、本当にありがとうございました。
この崩落を考えてまいりますと、ある建設業者さんが、建設残土をあちらこちらから、大沢地区の谷に埋めた。近所の方のお話を聞きますと、一日百台、十トンダンプで百台、その騒音と振動というのはもうすごかったみたいであります。延べ一万台以上を埋めたというふうに聞いておりまして、それで、地元では、これだけ埋めて大丈夫なのかな、一年前でもちょっと崩落したところがあったとかで、大丈夫かなというふうに思っておりました。
ところが、先ほど申し上げましたように、この泉州地区では未曽有の大雨が降ったわけでありまして、これが引き金となって一部が崩落して、そして、崩落をして、小さな川を埋めて、対岸の道路も埋めて、山にどおんと当たって、ダムのようになったわけであります。それが十月二十二日の午後五時ごろであります。そのときに軽自動車が二台通っておりまして、一台につきましては水没して溺死されたわけでありまして、一台の方は辛うじて、車が手であいたものですから脱出できた、そういうことであります。
日ごろから地元の人については、大丈夫かなというふうなことがあって、こういうふうに悲しい事故が起こって、大臣は、あの軽自動車に向かって手を合わせていただきました。それが私は非常に印象にございまして、大臣のその手の合わせ方も真剣そのものでありまして、すごい方だなというふうに私は感心をいたしました。
そして、いわば崩落原因、地元の人は、また崩落するのと違うかと、これを大変心配しておりまして、それにつきましては国土交通省の専門官がさらに精査をしていただきたいと思っている。また、崩落原因の法的責任については、これは私が言うべきことではありません。また捜査当局が厳正にしていただけるというふうに思っております。
それで、大臣、あのとき、軽自動車がございましたね。あれをきのう私は見てまいりました。やはり、きょう大臣に来ていただくのに、きのうの、最近の情報はどうかと見てまいりました。道路がまだ半分ぐらい残っていましたけれども、これが、道路がちょっとずつ削られて、軽自動車が落ちているんですね。
大阪府も一生懸命やっていただいておりまして、河川の臨時的なのをつくって先に水路を確保して、そして大規模な復旧作業に入るというふうに、国、府、そして市を挙げて頑張っている姿については私は心から敬意を表し、また感謝をし、そして、地元の皆さんとともに、一日も早い復旧を目指して頑張らせていただきたいと思っておりますが、大臣、わざわざ岸和田市の大沢まで来ていただきまして、その御感想でもあればお聞かせを願いたいというふうに思っております。
○小此木国務大臣 おはようございます。御質問ありがとうございます。
十月二十七日に委員の御地元の岸和田・大沢地区にお邪魔いたしまして、知事や地元の市長さん、そして委員初め御選出の議員の皆さんにも御案内をいただいて、牛滝川の水没、府道の水没で軽自動車が巻き込まれて、その中に女性が一人おられ、その方がお亡くなりになったというところでございました。ことしは特に、事務方がお答えしましたとおり、大雨、台風、地震も含めまして非常に災害が多い近年でありまして、多くの方々がお亡くなりになり、人の命がなくなるということでありますから、大変なことであります。
その現場にお邪魔をいたしまして、思わず手を合わせましたが、これにつきましては、きちんと国が地元としっかりと意識を共有して、災害の重さ、命の重さ、あるいは、防災という観点からは、皮肉なことに災害が多いですから、それに伴って多くの国民の皆さんの災害に対する防災の意識というものも高まってきたかなということも皮肉ながら感じますけれども、そういった会議等々、国も積極的に地方自治体や個人の皆さんに発信をしながら、きょうも全国の知事さんが集まっていただいての会議がございますが、防災担当といたしましては、そのことの意見交換も改めてさせていただきたいと思っております。しっかりと万全を期してこのことについては当たってまいりたいと存じます。
○神谷(昇)委員 大臣、どうもありがとうございます。
大臣、もう一カ所御視察いただきました、南海本線の橋脚が沈んだ。あれも、きのう修理ができて、もう上下線が開通したようでございまして、本当に御尽力まことにありがとうございました。
先ほど申し上げました、広島での線状降水帯による土砂崩れ。今、日本の森は健康状態であるかどうかと考えてまいりますと、非常に不健康である。それはなぜかといいますと、いわば木が密集しておりまして、やはり、林道だけと違って、路網を整備して、そして、路網整備しながら、いわば奥から間伐なりしながら、太陽が地面まで照るようにして、森の健全化を図っていかなければいけない。これがやはり防災面を考えると基本であるというふうに私は考えておりますが、この点について農水省のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○織田政府参考人 お答えいたします。
森林は、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止など、多面的機能を有し、国民生活や国民経済の安定のために不可欠な役割を果たしておりまして、これらの機能が十全に発揮されるよう、森林の整備、保全を適切に進めていく必要がございます。
一方、近年、集中豪雨等による大規模な山腹崩壊など激甚な山地災害が頻発しておりまして、林野庁といたしましては、樹木の根や下草の発達を促す間伐等の森林整備、あるいは土砂の崩壊、流出や流木の発生を抑えるための治山施設の整備などにより、健全な森林の整備、保全を推進しているところでございます。
今後とも、地域の安全、安心の確保のため、国土強靱化に向けた事前防災、減災の観点から、森林の維持造成にしっかり取り組んでまいる考えでございます。
○神谷(昇)委員 ありがとうございます。一層進めていただきたいと思います。
東北の大震災でも、テレビでも見ておりましてまたわかったことですが、災害時に、みずからの命を顧みず避難勧告をふれ回ったり、またあるいは土のうを積んだり堤防を閉めに行って、そしてそのときに被災をされてとうとい命を落とされた、そういうケースが多々ございます。
その中で多数の公務員の方が命を落とされているわけでございますが、その際、公務員災害補償制度が適用されているということは承知しておりますけれども、警察官が災害に巻き込まれて殉職した場合、一般の公務員とは違った補償制度はあるのかどうか、これが一つです。
それと、やはり東北の大震災でもそうでございましたけれども、民間の消防団の方とかいろいろな方が水門を閉めに行って被災されたとか、いろいろなケースがございました。その民間の方々に対しての補償制度はどうなっているのか。
この二点についてお聞かせ願いたいと思います。
○三浦政府参考人 警察官の場合についてお答えを申し上げたいと思いますけれども、都道府県警察の警察官が災害への対応に際し死亡した場合においては、御質問にもございました公務災害補償制度による公的補償のほか、国家公安委員会規則及び都道府県の条例等に基づいて、その危険性や功労に応じ、賞じゅつ金の支給が行われているところでございます。
ちなみに、国が支給する賞じゅつ金については最高額が三千万円とされておりまして、都道府県から支給される賞じゅつ金については、各都道府県によって異なりますけれども、その最高額は約五千万円から六千万円とされているところでございます。この範囲内でそれぞれ支給されることとなります。
また、積極果敢な職務執行に対して、警察庁長官や警察本部長による表彰を行うとともに、昇任の特例として二階級上位の階級に昇任することができるといった規定に基づいて、階級の昇任等の措置が講じられているところでございます。
○杉本政府参考人 私からは、民間の方、特に消防団員の関係についてお答えを申し上げます。
消防団員の方が公務上の災害によって損害をこうむった場合につきましては、消防組織法によりまして、市町村は政令に定める基準に従ってその損害を補償するということにされております。この場合、ほかの公務災害補償制度に準じまして、例えば、亡くなられた場合であれば、遺族補償及び葬祭補償などの一時金ですとか年金が支払われるということになっております。
これに加えまして、今警察官の方のお話もございましたが、殉職した消防団員に対しましては、消防表彰規程に基づきまして殉職者特別賞じゅつ金などの支給がされるとともに、都道府県、市町村からも、各団体の条例に基づきまして賞じゅつ金が支払われるということになっているところでございます。
以上でございます。
○神谷(昇)委員 ありがとうございました。
時代に即応して、その賞じゅつ金も御勘案をいただければ幸いでございます。
時間が参りました。最後、お聞きしたかったんですが、要望をさせていただきたいと思います。
こうして、災害がたびたびやってくるようになりました。それも激甚災害であります。そうしますと、避難勧告はたびたび出るわけです。避難勧告をしますと、その地には誰もおらなくなります。非常に物騒であります。悲しいことでございますが、その不幸を喜んで、そこに泥棒に入る方がいる。それは絶対防いでいかなければいけないというふうに思っております。その対策について極めて重要と考えますので、それについての十分な対応策をこれからお願いしたいと思います。
きょうは、小此木大臣も出席していただいて、本当にありがとうございました。そして、先ほど申し上げましたように、亡くなった方に、本当に心を込めて御冥福をお祈りしていただきました。ありがとうございました。私も、そこの地は六回寄せていただいて、行くたびに御冥福をお祈りし、そして被災された方の御意見を聞いて、そしてまた、これからの対応をこの国政に、一生懸命頑張らせていただきたいと思っております。
きょうは、貴重な時間を賜りまして、まことにありがとうございました。
これで質問を終わらせていただきます。
○山際委員長 次に、佐藤茂樹君。
○佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。
きょうは、新内閣発足後の所信に対する質疑、こういう質問の機会をいただきまして、大変ありがたく思っております。
自民党の先生方が先ほどお話しされておりましたように、偶然でしょうけれども、四人、大阪の方が続いたんですが、私も、党は違いますけれども大阪の人間でございまして、五人目でございますので、よろしくお願い申し上げます。
きょうは、小此木国家公安委員会委員長に来ていただいておりますので、特に警察関係に関しての質問をこの機会にさせていただきたいと思うんです。
一つは、先日の委員長の所信的挨拶の中で、小此木国家公安委員長は、第五に、世界一安全な道路交通を実現するとの目標の達成に向け、高齢運転者対策、悪質、危険な違反の取り締まり等、総合的な交通事故防止対策を各界各層と連携して推進する、そのように発言をされました。
特にこの二、三年、私も与党の政策責任者の一人として、高齢運転者の交通事故防止対策については政府の取り組みを支援してまいりましたし、またこれからも後押しをしてまいりたいと思いますし、またこれは別の機会をいただきましたらしっかりと議論をさせていただきたいと思っているんですけれども、その上で、世界一安全な道路交通を実現するとの目標の達成に向けて、今しっかりと対策を打たなければならない問題として、あおり運転という危険な運転に対する対策が必要ではないか、そのように考えております。
今週の報道でも、警視庁の西新井署が十一月二十日、千葉県の電気設備業の男を、脅迫と、自動車運転処罰法違反、危険運転致死傷で、道路交通法違反、ひき逃げの容疑で逮捕した、そのように発表されておりますように、いわゆるあおり運転の横行している問題が、今社会的に大きな問題となっているわけでございます。
特に、今回このあおり運転のことをあえて取り上げようと思いましたのは、ことし六月に神奈川県内の東名高速道路で起きた事故を契機に、あおり運転の危険性が改めてクローズアップされているんですけれども、まず、ことしの六月五日に神奈川県大井町の東名高速道路で起きました事故の概要について、政府の答弁を求めたいと思います。
○桝田政府参考人 まず冒頭、今回の事故でお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の皆様方に心からお悔やみを申し上げたいと思います。
御質問にございました今回の事故は、本年六月五日、神奈川県内の東名高速道路で普通乗用車がトラックに追突され、御夫婦の方が死亡した事故でございますが、その後の捜査によりまして、神奈川県警察は、その乗用車を追跡して進路を塞ぐなどの妨害行為を繰り返し、追い越し車線上で停止させた被疑者を、十月十日、過失運転致死傷罪等で通常逮捕したものでございます。
その後、本件につきましては、同十月の三十一日に横浜地方検察庁により、危険運転致死傷罪等で起訴されたものと承知しております。
○佐藤(茂)委員 内容を割愛されたんですけれども、この被害に遭われた御家族四人が乗ったワゴン車に対しまして、逮捕された建設業の男の車が、あおり運転を数キロにわたって繰り返した末に、前方に割り込んでワゴン車の進路を遮り、追い越し車線に無理やり停車させた。男は、さらに、そこで車をおりて、ワゴン車内の家族連れを引きずり出そうと、そういう暴行に出ていたわけでございます。そこへ、後続のトラックが追突し、ワゴン車の夫婦が死亡して、娘さん二人らも負傷したという、大変凶悪な事故といいますか、事件だったわけでございます。
そこで、いわゆるあおり運転について明確な定義はないと言われております。道交法を調べても、そういう言葉は出てきていないわけでございますが、ただ、社会的には、あおり運転の主な例としては、一般に、例えば一つは、車間距離を極端に詰め、接近して執拗に追い回す、追跡する、二つ目には、幅寄せをする、三つ目には、接近してハイビームやパッシングを浴びせる、四つ目には、クラクションを執拗に鳴らすなどの威嚇行為をすることが挙げられているんですけれども、警察庁として、あおり運転というのはどのような行為であると認識されているのか、御答弁をいただきたいと思います。
○桝田政府参考人 お答えいたします。
今御質問にもございましたように、道路交通法におきましては、あおり運転といったものの定義はないわけでございますけれども、私どもといたしましては、いわゆるあおり運転というものは、一般のドライバーに危険を感じさせる悪質、危険な運転の一つであるというぐあいに認識しているところでございます。
○佐藤(茂)委員 そこで、深刻なのは、ドライバーの方々がふだん運転しながらどういうことを感じておられるか、こういうことが極めて大事でございまして、日本自動車連盟、JAFが、昨年の六月に、全国のドライバー六万四千六百七十七人を対象にしたインターネットによる調査をされております。
交通マナーに関するアンケート調査結果、そういう結果が出ているわけですが、その八番目の問いに、「あなたは普段運転中に、後方から他のドライバーに煽(あお)られることはありますか?」、こういう質問に対しまして、各都道府県別に出ているんですけれども、今は細々とやる時間もありませんので、全国の数字として、あおられた経験が時々あるというのが四六・六%、よくあるというのが七・九%。これを合わせると五四・五%と、半数を超えた方々がドライバーにあおり運転の被害を受けた経験がある、そういうことが判明しているわけでございまして、ふだんからあおり運転に直面しかねない、そういう今のドライバーの実態が浮き彫りになっているわけでございます。
このJAFの調査結果を警察庁としてどのように受けとめておられるのか、警察の御答弁をいただきたいと思います。
○桝田政府参考人 お答えいたします。
いわゆるあおり運転は、一般のドライバーに危険を感じさせる悪質、危険な運転の一つでございますけれども、このような悪質、危険な運転につきましては、引き続きしっかりと取り締まっていくとともに、広報啓発でありますとか交通安全教育といったものを行ってまいりたいと考えているところでございます。
○佐藤(茂)委員 済みません、警察も、手を打っておられないわけじゃなくて、悪質なものは摘発されているんですね。そういう摘発の状況から、あおり運転の実態というのはどういうように分析されているのかというのをぜひお聞かせいただきたいと思うんですけれども。
例えば、警察庁のまとめで、全国の警察が昨年一年間に、前方の車をあおって走行するなど道路交通法違反の車間距離不保持で摘発したのは七千六百二十五件でありまして、このうち特に多かったのがやはり高速道路での違反、その摘発が六千六百九十件と九割近くを占めているということが発表されております。
これは警察庁が発表されているんですが、この数字のうち、あおり運転の割合がどれだけあるのでしょうか。もし数字として把握されていないのであれば、これだけあおり運転のことが社会問題化している中で、あおり運転の実態調査というものを、警察庁としても一度、腰を据えてされてはどうか、そう提案をしたいと思うんですけれども、政府の見解を伺いたいと思います。
○桝田政府参考人 お答えいたします。
車間距離保持義務違反についての平成二十八年中の検挙状況は、今お尋ねにあったとおりでございます。
いわゆるあおり運転につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、道路交通法上特段の定義もなされていないことから、この昨年の検挙件数七千六百二十五件のうち、いわゆるあおり運転による違反がどれくらいあるのかということにつきましては、把握していないところでございます。
私どもといたしましては、一般のドライバーに危険を感じさせる悪質、危険な運転につきましては、まずはこれを抑止していくということが重要であると認識しておりまして、警察官がこれらの行為を現認した場合でございますとか一一〇番通報がなされた場合等におきましては、それぞれの違反の態様に応じましてしっかりと取り締まっていくということがまず先決ではないかと考えているところでございます。
○佐藤(茂)委員 もうこちらもわかっていて質問しておるんですけれども、道交法では、冒頭から言っておりますように、あおり運転ということに対して、直接ということは、現在の法律では確かに定義もされておりませんし、取り締まる、そういう法的なものというと、今言いましたように、車間距離不保持、こういう容疑で摘発する、そういうことしかできない限界があるんですけれども、しかし、やはり悪質、危険な行為というように感じられるものに対してはもっと厳しく警察としても取り締まる必要があるんじゃないか、そのような問題意識から今回質問させていただいているわけでございます。
重大事故につながりかねないような、あおり運転のような、そういう悪質、危険な違反は徹底して取り締まるんだ、そういう意思をぜひ警察の方でも示していただきたいし、取り締まりの強化に警察を挙げて取り組むんだ、そういう決意というものを、やはり今の、現在、社会が抱えているこの状況の中でしっかりと示していただく必要があるんじゃないかと思うんですが、国家公安委員長の見解を伺いたいと思います。
○小此木国務大臣 例えば、交通事故の死者が一万人を切らなかった年月があった中で、さまざまな皆様の努力によって今その数が減少してきているということは、事実としてあります。
その中で、今あおり運転のことについて言われましたけれども、これはもうとんでもない話であって、安全運転を心がけるドライバーに対して危険な思いをさせる、怖い思いをさせる。特に、高速道路の上でその事件があったということは、私の地元の神奈川県で起きたことでありますので、なおさら、これはひどいものであるということを感じています。
あおり運転という定義をするのはなかなか難しいので、法律上のことしか事務方も私も答えられませんけれども、この危険な運転については、車間距離保持義務違反、進路変更禁止違反、追い越しの方法違反、これによって取り締まりを行っているのが現実であって、あるいは、危険性の高いものとしては暴行罪を適用している例もあるということであります。
引き続き、重大事故につながりやすい悪質、危険な運転の取り締まりを強化するように、私といたしましては、しっかりと警察に訴えて指導していきたいと思っております。委員と同じ気持ちでございますので、また御指導いただければと思います。
○佐藤(茂)委員 もう一つは、既に今警察の答弁の中でありましたけれども、きちっとした取り締まりの強化とともに、やはり日ごろからの、安全運転に努められるように、ドライバーの皆さんに対しての教育また啓発ということが非常に私は大事じゃないかと思うんですね。
特に、今多くの人がやはりストレスを抱えているわけでございまして、あおり運転が横行する背景に、人はハンドルを握ると攻撃性が強まる、そういうドライバーの意識を指摘する声もあるわけですね。
そこで、やはりドライバー一人一人が思いやりを持って、交通マナーを意識して運転してもらう、また、譲り合いで安全運転に努められるように、免許更新時は当然のこととして、さまざまな機会を通して講習や啓発をしっかりとしていただく、その中で、あおり運転の危険性というのをしっかりと教育していただく、こういうことが、社会から危険な行為を排除するための啓発活動として必要ではないか。
これは、警察だけではなくて、ぜひ関係機関ともしっかりと連携して、社会からそういう危険な運転がなくなるような、そういう運動というものをしっかりと起こしていただくことはできないのかと考えますが、警察庁の見解を伺いたいと思います。
○桝田政府参考人 お答えいたします。
交通ルールを守り、相手の立場に思いやりを持って運転するということは、運転者の基本的な心構えでありまして、運転免許証の更新時の講習を初め、さまざまな機会に教育でありますとか啓発を行っているところでございます。
最近の情勢を踏まえまして、あおり運転等の危険な行為を行わないことでありますとか、これらの行為は厳しく取り締まられるということを運転免許証の更新時の講習におきまして改めて説明するよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
また、違反をした者の運転免許証の更新時の講習でありますとか、違反を繰り返して運転免許の停止処分等を受けた者に対する講習におきましては、攻撃性、自己顕示性などの運転適性につきまして検査を行い、指導を行っているところでありますが、こうした取り組みが適切に行われるよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○佐藤(茂)委員 もう一つは、事前のやりとりの中で、公判中なのでなかなかお答えしにくいという話がありました。
今回は、この六月の事故に対して、神奈川県警は最初、いろいろ重い罪の危険運転致死傷容疑で何とか逮捕したいと考えておられたようですが、運転中の妨害行為で事故に至ったケースというのが危険運転致死傷罪が想定しているケースだったんですね。今回の事故は停車後に起きた、そういうこともあってそれを断念された、そういう経緯も報道されております。まあ、公判中なので。
ところが、横浜地検は、そうじゃなくて危険運転致死傷罪を適用して今回起訴されたわけですが、これから、やはり議論としては、危険運転致死傷罪も、運転中だけではなくて、今回のように、容疑者が車をとめて、被害に遭われた方々のワゴン車を無理やりとめさせる、そういう行為に対しても、やはり危険な行為であることは間違いないので、適用できるような、そういう法改正も視野に入れた検討もぜひ進めていただきたいとお訴えして、二番目の議題に移りたいと思います。
一つは、北朝鮮の寄港船への対応について、警察及び海上保安庁の対応についてお尋ねをしたいと思います。
千葉港に十一月三日から十一月十三日まで停泊しておりました香港籍の貨物船オーシャンスキッパー号の船員から、千葉県警の警察官が、一月と二月に北朝鮮に寄港したと聞きながら、県警として対応せず、十三日に出港を許していたことが明らかになりました。
今、御存じのとおり、日本政府は、北朝鮮への制裁として、特定船舶入港禁止特別措置法案に基づきまして、北朝鮮に寄港した全船舶の日本への入港を禁止しております。
十一月十二日に警察官が船を巡回した際、船長及び船員から、一月と二月に北朝鮮の羅津港に寄港した旨の発言があり、船内には北朝鮮に寄港したことを記載した関係書類があったということでございます。
今、やはり特定船舶入港禁止法案以降も、御存じのとおり、今の政権としても、とにかく政府を挙げて、圧力を強化して、何とか北朝鮮の政策を改めさせよう、そういう段階において、断じてあってはならない失態ではないかと私は思っているんですね。
十二日の夜に水上警察隊員が当該船舶を巡回した、訪れたときに本来とるべき措置というのはどうあるべきだったのか。何を怠ったのか。あるいは、この隊員が特措法を熟知されていないのであれば、今後、全国の港の警察に特措法の内容等について再度徹底を図る等、今回の北朝鮮寄港船への対応の概要と反省点、さらに再発防止策について、ぜひこれは国家公安委員長に御答弁をいただきたいと思います。
○小此木国務大臣 十一月十二日に起きました事案につきましては、委員のおっしゃるとおりでございまして、本件については、警察部内での連絡が適切にまず行われていなかったというふうに思っております。海上保安庁等の関係機関への連絡等がなされなかったところに問題があると認識をしています。
我が国政府として、国際社会と連携して、特に北朝鮮に対し圧力を強化している中であります。このようなことが起こったことはまことに遺憾であり、私といたしましても、警察に対して、再発防止に万全を期すよう強く、既に指導をいたしました。
具体的には、既に警察庁から全国警察に対し、部内の関係部門間の迅速な連絡や海上保安庁等の関係機関との緊密な連携を徹底するよう指示したとの報告を受けているところでありますが、今後このようなことがないように、引き続きしっかりと見てまいりたい、監視をしてまいりたい、指導してまいりたいと思っております。
○佐藤(茂)委員 ぜひしっかりと再発防止に努めていただきたいと思うんですが、この件、もう少し考えると、警察の方の味方をするわけじゃないんですが、そもそも日本の港に寄港しちゃいけない船が入っているということ自体をやはり問題に、入港しているということ自体を問題にしないといけないと思うんですね。ですから、想定もしていなかった船が実は千葉港に入港していた、そういう問題でございます。
これは、今、ルールの問題が一つあるんじゃないのかというように私自身も考えました。というのは、海上保安庁は、外国船舶の船長が提出した直近十カ所の寄港場所を確認して入港許可を出すことになっているんですね。
これは国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律に基づいた、それに関する法律施行規則で、第七十五条で、本邦の港に入港する直前の寄港までの過去十回の寄港、こういうことをしっかりと報告させる。それを義務づけさせて、それで、例えば十カ所の寄港場所に北朝鮮というものがなければ入港を許可していた、そういう今までのルールがあったわけでございますが、今回の事案では、過去十回の中には、貨物船の寄港地に北朝鮮あるいは北朝鮮の羅津港という名前は含まれていなかった、それで入港を許可してしまった、そういうように伺っているわけですね。
要するに、今のルールのままだと、現在の仕組み、今回発覚したのはほんの一角でございまして、今までもあったかもわからない、もしかしたら。また、今のルールのままだと、これからも、直近の寄港先十港に入っていないけれども、もっと古い過去に北朝鮮の港に入港していた、そういうものについてはチェックできない、そういう仕組みになっているんですね。
やはりこのようなことをこのまま放置しておいたらいけないんじゃないのか、入港手続の改正に向けた検討を行うという必要があるんではないかと思うんですが、海上保安庁の見解を伺いたいと思います。
○奥島政府参考人 委員御指摘の船舶につきましては、テロ対策を目的といたしました国際船舶港湾保安法に基づきまして、海上保安庁が直近で寄港した港十港の情報を確認してございますけれども、その限りでは北朝鮮への寄港歴は確認されなかったという、御指摘のとおりでございます。
ただ、本事案を受けまして、海上保安庁におきましては、この国際船舶港湾保安法に基づく、船舶保安情報と呼んでございますが、これのみではなく、代理店を通じるなどいたしまして、過去のさらなる寄港歴情報の確認を徹底するよう、現場に対して指示を行ったところでございます。
海上保安庁といたしましては、関係機関との連携をさらに一層強化し、同種事案の再発防止に万全を期してまいりたいと考えてございます。
○佐藤(茂)委員 ぜひ、これは全船舶というように言っているわけですから、過去の、今回の場合ですと、もう十カ月前とか十一カ月前の事例まで含めてしっかりと情報が収集できる、そしてそういう船については入港を認めない、そういう厳格な施行が行われるような、そういうことを関係省庁、連携をとって図っていただきたい、そのようにお訴えをしておきたいと思います。
もう一問、最後に。
実は、あしたから、十一月二十五日から十二月一日金曜日まで、この一週間が犯罪被害者週間でございます。
そのことを踏まえて最後にもう一問お聞きしたいのが、平成二十八年四月一日、去年閣議決定された第三次犯罪被害者等基本計画を踏まえた犯罪被害給付制度に関する有識者検討会の提言が七月十四日に取りまとめられました。
これは、八一年施行のこの制度開始以来の大幅な見直しが提言をされているわけでございます。例えば、親族間犯罪の支給要件の見直しであるとか、あるいは幼い遺児に対する遺族給付金の増額も、遺児が十八歳になるまでの年数分を満たすような遺族給付金の増額をするなど、犯罪被害者等給付金の支給対象範囲の拡大、支給額の引き上げの見直しが提言されております。
犯罪被害者支援をより一層充実させて救済の実効性を確保するためには極めて大事な提言をされているのではないかと私は思うんですけれども、これの制度の改正に必要な予算や税制上の措置を、ぜひ警察庁、踏ん張っていただいて確保していただきたいと思いますし、今回行おうとされている犯罪被害者給付制度の見直しの考え方と内容、さらに、新しい制度を速やかに実現していただく決意を、国家公安委員長の方から御答弁いただきたいと思います。
○小此木国務大臣 本年七月に警察庁で開催いたしました犯罪被害給付制度に関する有識者検討会におきまして、今おっしゃいましたように、犯罪により重い傷病を患った方に支給する重傷病給付金の給付期間を一年から三年に延長すること、そして、遺族に幼い遺児が含まれている場合には御遺族に支給する遺族給付金をより手厚いものとすること、このことが内容として提言をされました。
これは、犯罪の被害に遭われた方や御遺族の切実な要望を踏まえ、犯罪被害者の御遺族、民間の犯罪被害者支援団体及び法律専門家である有識者の方々に熱心に御議論いただいたものであります。
この提言を踏まえ、長期の療養における重傷者や犯罪で父母を亡くした幼い子供たち、犯罪で苦しむ方々の支援がより充実するよう、現在、関係機関と鋭意調整中でありますが、いずれにせよ、来年度の可能な限り早い段階の施行に向け、制度の見直しを図ってまいりたいと存じます。
○佐藤(茂)委員 あの四本柱はどれもこれも大事な提言がなされておりますので、しっかりと早急に制度を開始し、予算また税制面の確保もお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○山際委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
きょうは、働き方改革について伺いたいと思っておりますが、同時間に厚生労働委員会も行われているということなので、働き方改革担当大臣は厚労委員会でということになりましたので、きょうは牧原厚労副大臣にも来ていただいております。ありがとうございます。
厚労委では、どちらかというと、長時間労働の是正とか、あるいは同一労働同一賃金とか、しっかりと議論をされているであろうと思うわけですが、私、この内閣委員会でぜひとも取り上げていかなければいけないなと思っておりますのは、成長に資する働き方改革、このようなことをしっかりと議論していかなければいけないんじゃないか、このように思っております。
そういう趣旨できょうは伺いたいと思っておるわけですが、今回のきょうの質問も、選挙が終わった後の、私にとっても最初の質問でございますが、選挙で回る中でいろいろなお話を聞いてまいりました。その話を含めて、きょう質問をさせていただければと思います。
まず、大臣の所信の中には、働き方改革とは働く方の視点に立って行う改革とあります。この働く方という中には個人事業主は入るのかどうか、まずこの点を確認したいと思います。
○牧原副大臣 働き方改革というのは、女性、高齢者等の誰もが生きがいを感じられる一億総活躍社会実現の最大の鍵でございまして、一人一人の意思や能力、置かれた個々の事情に応じた、柔軟で多様な働き方を選択可能とするものでございます。
こうした考え方に沿って策定した働き方改革実行計画では、働く人の視点に立った改革を進めるというふうにしておりまして、個人事業主も含めた働き手を念頭に置いているものでございます。
○濱村委員 個人事業主さんというのは、大体、経営実態的には同族会社の方と同じような経営をされておられます。この同族会社の社長さんについては役員報酬の支払いが認められておりますが、個人事業主にはこの勤労性所得というものが税制上認められるような仕組みはございません。これは今、働く方々という意味ではフリーランスの方も非常にふえている、そういう中で、個人事業主の皆様の勤労もしっかり含めて検討していかなければ働き方改革というのはなし遂げられないというふうに思っております。
税制をここで論ずるつもりはございませんが、個人事業主の所得に対する勤労性、どのように考えるのか、伺いたいと思います。
○牧原副大臣 御指摘の雇用契約を結ばずに仕事を請け負う請負や自営などの雇用類似の働き方全般については、働き方改革実行計画で、保護等のあり方について、有識者会議において実態を把握し、法的保護の必要性も含めた中長期的な検討がなされるというふうにされております。
このため、厚生労働省では、本年十月に雇用類似の働き方に関する検討会を立ち上げ、まずはその実態等を把握、分析し、そして課題の整理を行っているところでございます。検討会での整理も含めて、雇用類似の働き方に関する保護等のあり方については引き続き検討をしてまいりたいと思っております。
○濱村委員 引き続き検討していただくということでありますので、しっかりと御検討いただければと思います。
そういう中で、議論の論点として大事なのが、少しこれは時間の話になりますけれども、長時間労働の是正とか、それはすごい大事なことで、やらなければいけないことなんですけれども、労働時間の適切な把握こそが、長時間労働に当たるのかどうかという意味では非常に大前提になってくるわけです。
労働時間の適切な把握という意味では、労働時間から外される控除時間、この控除時間もしっかりと、何が控除時間に当たるのかというのを見きわめていかなければなりません。
この控除時間の定義について、まず確認をしたいと思います。
○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
労働時間の適正な把握を徹底するために、厚生労働省におきましては、企業向けに、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインを策定しております。
このガイドラインにおきましては「労働時間の考え方」という形で「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。」ということを示しておるところでございます。
したがいまして、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていないと評価できる時間については労働時間に該当しないというふうに考えております。
○濱村委員 では、続けてお伺いしたいのが、長距離トラックのドライバーさん、このトラックのドライバーさんは車の中で寝たりされます。これは労働時間に当たるのか、控除されるのか、どちらでしょうか。確認したいと思います。
○土屋政府参考人 お尋ねの件でございますが、睡眠中においても、使用者の指示があった場合に即時に業務に従事することを求められていて、労働から離れることを保障されていないという場合には、いわゆる手待ち時間というものでございまして、労働時間に該当するというふうに考えております。
そうでない場合には労働時間には該当しないというふうに考えております。
○濱村委員 では、もう一つ確認したいのが、美容師さんとか理容師さん、まだ見習い中、修行中の方であれば、営業時間が終わった後とかにお店の中で練習したりします、カットの練習とか。これは労働時間に当たるのかどうか、確認したいと思います。
○土屋政府参考人 お尋ねの件につきまして、カットの練習を行うことが業務上義務づけられていたり、使用者の指示によりカットの練習を行っているという場合には労働時間に該当いたしますが、そうでない場合には労働時間には該当しないと考えております。
○濱村委員 労働時間に入るかどうかでいうと、恐らく、これは適切にやっていかなければいけないし、大事なことではあるんですが、早く修行を積んで一人前になりたい、こういう意思を尊重する必要もあろうかと思います。その上で、長時間の勤務あるいは拘束になるのは避けたいというのもまた働いておられる皆様のお気持ちでしょうから、これもしっかり両立をしていかなければいけないんだろうと私は思っております。ぜひとも、そうした点も考慮していただいた上で議論を進めていただきたいと思っております。
最後に、大臣、お待たせいたしましたが、公務員の皆様の働き方改革についてもお話をさせていただきたいと思います。
今回、大臣所信の中にも、国家公務員制度の改革として働き方改革を進めるということでおっしゃっておられるわけですが、大事なこととして、公務員の皆さんが行政サービスをやるに当たって、その質が高くなるということが重要であろうと思っておるんですが、公務員の方々、副業は許されておりません。国家公務員法、地方公務員法で副業を制限されているわけですけれども、実は、私の地元は兵庫県ですが、神戸市が、神戸市さんの職員がNPOとかそうした公益の目的にあっては副業を認め、推進しているという状況がございます。
国家公務員の皆様においても、NPOとか、公益の目的のための法人であれば副業を認めてもよいのではないかというふうに思いますが、大臣のお考えをお伺いします。
○梶山国務大臣 民間において働き方改革が進められ、イノベーションの推進の観点から、兼業、副業を認める方向で検討が進められているものと承知をしております。
公務部門におきましても、働き方改革を進めていくことが重要であり、神戸市の事例のように、公務以外の時間を社会貢献や自己実現に資するように有効に活用していくことも有意義であると考えております。
国家公務員法におきましては、NPOなどの公益団体について、勤務時間外に報酬を伴わずにその職を兼ねることが可能であります。また、報酬を伴う場合であっても、公正な職務の遂行の維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持に支障がないと認めるときには、兼業を許可いたしてきたところであります。
国家公務員の兼業、副業の取り扱いにつきまして、引き続き、公務に支障のない範囲で適切に対応してまいりたいと思っておりますし、個別で判断をさせていただければと思っております。
○濱村委員 個別で判断されるということでありますが、やはり機運をつくっていくことも非常に重要であろうかと思っておりますし、そして、外部での経験が自分の公務に生かせるのであれば、これは国民の皆様に資することになるわけでありますので、ぜひとも私はこれを進めていただきたいというふうに思っております。
神戸市でも、さまざまな要件を設けて、社会性、公益性が高いとか、市が補助金を出しているような特定の団体の利益供与には当たらないとか、勤務時間外であること、そして常識的な報酬額であること、このようなことを定めながらやっておられるようでありますが、こうした具体の取り決めもしっかりと提示しながら、オープンイノベーションの促進にもつながるわけでございますので、ぜひともお取り組みをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○山際委員長 次に、大河原雅子君。
○大河原委員 立憲民主党の大河原雅子でございます。
このたびの総選挙で、四年ぶりに国政に戻らせていただきました。
立憲民主党は五十五人の小さな党でございますが、女性議員が十三人、そういう比率になりました。
今、野田大臣の所信表明を伺い、男女共同参画を一丁目一番地と考えてくださるということで、非常に多くの女性たち、市民が期待をしております。
そこで、きょうは男女共同参画を中心に伺っていきたいと思っております。
ぜひ、大臣には、第四次安倍内閣、大臣は、残念ながら女性大臣はお二人でございますので、力を込めてこの政策を推進していただくトップリーダーだと思っております。
ところが、残念ながら、先日発表されました国際経済フォーラムのジェンダーギャップ指数、今年度、またぐっと下がってしまいました。下がり続けていて、下げどまらないんじゃないかと大きく危惧をしておりますけれども、その点について、まず感想、どのような思いでいらっしゃるか伺いたいと思います。
○野田国務大臣 大河原委員にお答えしたいと思います。
今お話があったジェンダーギャップ指数、百四十四カ国中の百十四位ということになりまして、昨年は百十一位ということで、三ランクダウンということになりました。
私も大変気になりまして、きちっと調べてみたところ、下がった理由というのは、やはり、経済分野における管理職の少なさ、そして、私たち政治分野における女性の割合の低さが日本の順位に反映されたというふうに理解いたしております。
非常に残念なので、しっかり取り組まなければならないなと思います。
○大河原委員 委員の皆様にも、お手元に朝日新聞の記事を配付させていただきました。日本の男女格差が百十四位。先進国と言われながら、大変寂しい思いのこの順位でございます。
今、大臣、お答えいただきましたように、女性の政治分野での推進というのが非常におくれております。
そういう意味では、もう七年前に、クオータの会、政治分野において女性の議員をふやしていく、フランスなどではパリテ、同数法なども通っているというところがありますけれども、これが、ことしの通常国会で成立するか、あるいは臨時国会冒頭かというふうにも言われていましたが、結局、総選挙になって、廃案になっております。
政治分野で、もちろん、リーダーシップをとれる、政策の決定に参画できる人をふやすというのは第一だと思うんですが、もう一つ、下がった理由の中には、この記事の中ではちょっと上がっているんですけれども、経済分野、ここはやはり、女性の職業生活における活躍推進を掲げているということもあって、非常に悩ましいところではないか。上がったけれども、先ほどおっしゃったように、少し管理職の方たちがふえているということはあると思うんですが、依然として、実は、女性の労働問題として非正規の労働者が多い。働く人の約半分が非正規、その非正規の七割が女性、そして、独身の非正規労働者でいえば半分が貧困、こういう状況なんですね。ですから、非正規労働者の問題も大きいというふうに私は思っています。
女性活躍推進法は、大臣もみずからこれは成長戦略のかなめだというふうにおっしゃっているわけなんですけれども、その辺、この女性活躍推進法自体に非正規労働に対する目配りというのが少し薄いんじゃないかというふうに思うんですが、いかがお考えでしょうか。
○野田国務大臣 まず、政治分野においては、大河原先生がお戻りになったことに意を強くしています。
なぜなれば、私自身がその超党派の議員連盟の幹事長を務めていて、本当にあとわずかというところで、国会の都合で廃案になった経緯がございます。これは超党派の議員連盟でございますので、また多くの男女、関心ある議員に集っていただきまして、一日も早く、これは勘違いされている方がいるんですが、クオータ法ではなくて、やはり努力目標として、国の有権者の半分は女性である、そういう、国民が五分五分のところ、政策決定に至ってはバランスが九、一、男九の一になってしまうと政策決定の場でそごが生じるんじゃないかということは当然のことなので、ぜひとも積極的に取り組んでいただければと思っています。
なお、私の前の大臣の加藤大臣も、熱心にやはり各政党に女性の候補者をぜひ出していただくようにというようなお願いがあったわけですね。私も引き続き、政界再編がございましたので、それぞれの皆様方と膝を交えて、女性の活躍の一番おくれている部分の政治が改善されるように、御理解いただけるよう頑張っていきたいと思います。
非正規のお話が出ました。先ほど私が申し上げたのは管理職の割合の低さということだったんですけれども、安倍内閣になって四年間の成果で、プラスマイナスいろいろ論じられる中で、如実にプラスが出ているのはやはり女性の就業なんですね。そもそもが悪過ぎたと言われてしまえばそれまでですけれども、数で言うだけでも百五十万人ですから、相当数仕事ができるようになった。
また、うれしいことに、一番問題であった、母になり、子供を出産するとまた途端にいわゆるM字カーブと言われるところでひっかかる、これも大分改善されまして、就業継続率というのがよくなってきているということで、徐々にではありますけれども、期待に沿うような形で、まず、働けなかった女性に仕事の場がしっかり与えられるようになった。かつ、母になることによってキャリアが中断されなきゃいけないことに関しても改善されつつあるということなんですが、それでもまだまだやはり、大河原委員御指摘のとおり、もっともっとやれることはあるんだろうと思います。そして、やらなければいけないんだと思います。
その中で、そうはいっても女性活躍推進法はやっていないんじゃないかという御心配もあったと思うので、ちゃんと調べさせていただいたところ、実はもう推進法の中には、ちょっとかたい言葉になりますけれども、各事業者が、非正規雇用の状況など雇用管理区分ごとに現状を把握して、課題分析を行った上で行動計画を策定し、取り組みを実施してもらう。そして、その際には、必要に応じて、男性の非正規もいらっしゃいますし、男女それぞれの職種または雇用形態の転換実績、つまり非正規から正規にかわるといったような実績、さらには男女別の非正規雇用のキャリアアップに向けた研修の受講の状況等の現状を把握していただくこととなっているわけですね。
つまり、やっていないわけではなくて、各事業者に対してしっかりとこういうことはお願いしてあるということは事実です。それが足りないと言えばそれまでですけれども、きちっとやっている。そして、雇用された方に対しても、策定された行動計画というのは非正規の方も含めてしっかり全ての労働者に周知をすることとしていることになっています。
御心配もありますけれども、しっかり取り組んでいるところは取り組んでいるということで御了解をいただきたいなと思います。
○大河原委員 二つの構造が邪魔していると思うんですね。
今、非正規労働者のことを触れていただきましたけれども、就業機会がふえていても、やはりM字カーブがなかなか戻らないし、正社員に戻るということは本当に難しいです。
そして、ここでは、非正規に追いやられて、その非正規労働というのはやはり男女格差もあり、貧困という先ほどの問題もありますから、不合理な待遇を是正するという機能が非常に薄いんじゃないかという意味では、確かに、働くという、この働き方改革、会議も設けられていますけれども、そこにやはり、女性のエンパワーメントと同時に、これまでどおり、女性が、人が人をお世話する仕事というのは、家庭で多くやられてきた保育とか介護とか、もともと無償だったじゃないかというようなことまで、まだ払拭されていないですね。プロフェッショナルになっても、まだまだそこで大きなギャップがある。
そういう意味で、これは男女平等の問題だというふうに私は思っています。
例えば、この働き方改革実現会議に、総理大臣が議長ですけれども、議長代理に、三番目の議長代理として野田大臣が入られるというようなこと、実は、職業生活におけるというタイトルがついている女性活躍推進法ですから、非常に大きなことじゃないかと思っています。
この二つの構造、格差をなくすということをきちんとやっていかなくてはならないというふうに思いますが、その点についてはいかがですか。
○野田国務大臣 大河原委員も私もずっと国会議員として取り組んできたライフワークの一つがこの女性政策だと思うので、思うところは一緒だと思います。
今、この間の解散・総選挙で、安倍総理みずから、この国難は少子化、高齢化であると。
それで、もともとをたどれば、やはり、かつては、子供というのは働かない女性が産んで家庭で育てるというのが前提だったけれども、今や時代の趨勢で、女性も働く主体として、本人もさることながら、国が望んでいる、イノベーションもしかり、数だけじゃないんですね、量だけじゃないんです。
そういう中で、それが進みながら、でも、相変わらず子供はワンオペレーション育児というわけにはいかないということを、若干遅きに失した感もあるかもしれないけれども、軌道修正して、パラダイムシフトだということで、少子化、高齢化対策、とりわけ女性がコミットしてきたものをしっかりやるということは大きな一歩だったと思っています。
今、大河原委員から指摘があった、そもそも女性は働くことはないというところから派生している問題を、それぞれが男女共同参画のもとで、働きたいと望む者はちゃんと働くことができる、そして、それは結果として社会に貢献できて、結果として多くの人たちを幸せにできるということを、もう一度こういう場で改めて分かち合わなければならないと思っています。
女性の活躍推進法というのは、できる前はいろいろ議論がありまして、なぜ女性だけという声も上がったやに聞いていますが、男女共同参画でもやっていかなきゃいけない中、やはり、数の上では、非正規の割合、そして賃金の低さというのは確実に女性がおくれをとっているということが明らかだったので、あえて女性活躍をして初めて男女共同参画という形ができてくるんだろうということで法律ができたんだと思っています。
ですから、今のことは本当に大切なことなので、今後とも引き続き取り組んでいくことは当たり前のことでありますけれども、ただ、必ずしも法律が何もやっていないわけではなくて、いろいろと、働き方改革実行計画においても、総理もよくおっしゃっている同一労働同一賃金への実現に向けて動き出していますし、また、非正規の労働者に対しての待遇改善とか、今おっしゃった正社員転換などの取り組みを強力に推進していく、助成金などで応援することによってしていくことにしているわけです。
また、もう少しこれも知名度が上がらなきゃいけないんですけれども、えるぼしというのがあります。これは、女性活躍推進法に基づいて、一生懸命、女性の非正規を正社員にしてくれた事業主がいるところにはえるぼし認定という評価を差し上げることで、そういう事業主の人たちが取り組んでいただけるようなインセンティブはつくっておりますので、もっともっと、このえるぼしというのを取ることがすごく名誉なんだというような、キャンペーンというか広報もしていかなきゃいけないなということは感じています。
○大河原委員 今、えるぼしの話もしてくださったので、それこそ、女性のエンパワーメント、企業にとっても、自分のところの企業がエンパワーメントをする、女性が活躍できる、そういうことでいえば、WEPs、女性のエンパワーメント原則というのがありますよね。これは、地域に根差した女性の活躍を応援していくこととか、もちろん、もう一つは国際的な視点から、企業のCSRにも資するものということで非常に期待をされますし、企業にとってもプラスになる。こういう観点でいくと、エンパワーメントというのはすごく大事な言葉なんですね。
実は、総理が、女性活躍というときに、エンパワーメント・オブ・ウイメンと言っているんだと思うんです、女性の。エンパワーメント自体は、もちろん女性に対するというのもあるんですが、大臣がおっしゃったように、ジェンダーということ、男性も女性もともにということが含まれている言葉からいえば、やはりジェンダーイクオリティー、こっちの方じゃないかと。
私は、だから、男女共同参画といったときに、これは何かを一緒に男女がするということではなくて、同じ待遇、同じ権利、そうしたことをしっかりと推進していく、国連言葉で言ったらジェンダーメーンストリーミング、こういうことなんだと思うんですが、その点はどうでしょう。
ジェンダーイクオリティーということでいえば、その最先端に立たれる大臣だと思いますので、その点でもぜひ、不合理な待遇のギャップを埋めていくということも、もちろん女性だけの問題じゃありません、そういうところをぜひ心にきっちりおさめていただきたいなと。そして、男性閣僚が多いので、それはあらゆる場面を捉えて、国際的な日本の価値を高めていくためにも、適切な言葉を使うということは必要なんじゃないかと思っています。
何か感想はございますか。
○野田国務大臣 事前に質問通告をいただいていたので、私も改めて男女共同参画という言葉を、もう聞きなれてしまっていて、法律ができたのが平成十一年ですから小渕内閣のときだったと思いますが、相当年数もたっていて、当たり前のように聞いている言葉に限って意味がちょっと曖昧になったりするので、確認させていただいて、せっかくですから正確に読み上げると、法律の定義では、男女が、社会の対等な構成員として、みずからの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、均等に利益を享受し、ともに責任を担うこととあります。
まさに委員のおっしゃっていることだと思うんですけれども、英語に関して、やはり私たちは母国語が日本語なので、英語への置きかえに対して、もう少し私も精緻に調べて、いろいろと誤解がないような言葉で、皆さん共通に理解していただけるように取り組まなきゃいけないなと思っています。
○大河原委員 ありがとうございます。
男女共同参画基本法の二条とか三条とか四条とか、定義からきっちりお話をいただいているわけですけれども、やはり国際社会に行きますと、国連のスピーチでも、また経済会議でもそういう言葉を使われて、例えば女性のエンパワーメントということを日本はしっかりやっているなともちろん思いたいわけですけれども、さっきのジェンダーギャップでいけば百十四位になっているというこのギャップ、こっちの方のギャップをやはりカバーしていかなきゃいけないというふうに思います。
それで、言葉の問題、使いなれてしまった男女共同参画ということなんですが、報道もございましたけれども、実は文部科学省が組織改編で、男女共同参画主管課である男女共同参画学習課というのが、今度、共生社会学習課というふうに名称を変更するということが出てまいりました。先週、議員会館の中でも集会が持たれまして、女性問題にかかわる方たち、市民団体の皆さんも、一体、この男女共同参画社会が実現していない段階で課を室に変えてしまう、これは格下げじゃないかというふうに大きく危惧をしておりまして、その点では、国がこういうふうな形で格下げをしてしまうこと、これは実は自治体でも男女共同参画という言葉がどんどん消えているんです。
例えば、東京都北区では男女いきいき推進課とか、文京区では総務課がダイバーシティ推進担当とか、滋賀県では商工観光労働局が女性活躍推進課、これは国のあれを受けていますが、これもちょっと限定的ですよね、職業生活におけるということがありますし。そういう意味で、岐阜県は子ども・女性局とか、それぞれ自治体の推進方針にもよるんでしょうけれども、やはり憲法に書かれている男女平等を実現していく、そういう意味での発想が字面からしても見えなくなってきているんじゃないかというふうに思って、懸念しております。
大臣は男女共同参画推進の担当でもおられるので、この点についてどんな御感想をお持ちか、伺いたいと思います。
○野田国務大臣 文部科学省にもぜひ、今おっしゃったような懸念を持たれないように、格下げだと言われないように、しっかりと取り組んでいただかなきゃいけないんですけれども、大切なことは、もう男女共同参画というのは、この国のやるべきありようなんですね。全ての政策においてその理念が浸透しなければならない。
大河原委員はよく御存じなのであれですけれども、一応、五つの理念というのがございまして、その五つの理念というのは、男女の人権の尊重、二つ目が社会における制度または慣行についての配慮、政策等の立案及び決定への共同参画、家庭生活における活動と他の活動の両立、国際的協調というのが掲げられているわけですね。
ですから、文部科学省の取り組みはさておき、この五つの理念がしっかりと、どの省であれ、大前提として、これからつくっていく政策には反映されていかなければならないという大変重大なことなので、林大臣には多分御理解いただいていると思いますけれども、改めて私の方からもしっかり、そういう御懸念に対して、文部科学省がそうではないということをおっしゃっていただけるように声かけをしたいなと思っています。
とにかく大切であることには間違いありませんし、そういう格下げという意識は私は持っておりません。ただ、やはり地方自治体によっては、男女共同参画というのを長年使ってきて、そして女性活躍ということに変わる、上書きをされるような形もあるけれども、それは、中身が変わるのではなくて、それまでに培ったものに、やはりまだまだ女性の活躍がおくれをとっているからという意味での、強調させる意味での取り組みであるかもしれないと私は思っているので、いずれにしても、御心配を払拭するような取り組みを私たちはしっかりやっていきたい、大臣としてやっていきますので、御安心いただければと思います。
○大河原委員 ありがとうございます。
大臣から心強いお言葉をいただいておりますけれども、とにかくこの男女活躍推進法で、今おっしゃったように、地方自治体の計画が上書きをされてしまうという懸念は非常にあります。この法律ができたことで、自治体の戸惑いというのもあるんですね。もう何次にもわたって計画を更新してきて、リニューアルしてきている。そういうものにとって、この男女活躍推進法がどういうものになっていくんだろうかというのは、自治体の職員と、それからこれを議論する審議会とか、そういうところでもなかなか具体的な話が出てきていないんじゃないかというふうに思います。
大臣は、この男女活躍推進をやはり成長戦略のかなめだというふうにおっしゃっているわけで、もちろん女性も自分の能力を発揮して、そして可能な限り安定した収入も得ていきたい、そういうところにいるんですが、現実はやはり、さっきの非正規労働者が半分、七割が非正規労働だというところからいえば、このジェンダーギャップ指数のところで、実は教育のところはちょっと上がっていますけれども、ほかの国に比べると、私も改めて驚きましたが、女性の高等教育にアクセスする、それは弱まっているんですね、ほかの国に比べて高いわけではありません。
なので、文科省を含めて国全体が、女性のエンパワーメント、そして、男性にとっても生きづらさのない暮らしやすい国にしていくというジェンダーイクオリティーについては総力を挙げて取り組んでいただきたい、そのことによってGDPにも影響を大きく及ぼすものだというふうに思っています。
そういう意味では、女性活躍推進は、もちろんその手段であるかもしれませんけれども、最終目標のところで、やはり、エンパワーメントだけではない、イクオリティーの方もしっかりと捉えていただきたいんですが、もう一度御発言いただけますでしょうか。
○野田国務大臣 女性活躍がなければ、そもそもの男女共同参画という理念を実現することは非常に難しいわけですね。日本は特に、委員御指摘のように、諸外国に比べて相当おくれているところがある。それで、とにかく女性活躍と男女共同参画というのは、密接不可分というか、もう一体のものなんですね。ただ、とりわけ、男女ともにという中で女性の方が制度的におくれているところを挽回するためには、今、急ぎ、最重要課題として取り組まなきゃいけないということで、上書きというと誤解をされるんだけれども、ある中でとりわけそこを強調していきたいということなんだと思います。
私もしっかり、あえてこの大臣を望みましたし、二十五年ライフワークでやってきた政策ですので、御期待に沿うよう頑張ってまいりますので、ぜひ超党派でお力添えいただければと思います。
○大河原委員 女性活躍推進法、対象がやはり大きなところなんですよね、三百人以上の事業所。日本は中小企業で成り立っているということもありますし、女性たちが働いている場所は特に大きな場所というわけではありません。ですから、そういった職場環境の中ではさまざまなことが起こります。
男性の意識が変わらなければ、女性たちがこういうふうに主張してきてもそれが受けとめられない、そういうこともありますし、男性も、子育ても介護も担いたいと思ってもそれも十分にはできない、そういう土壌をやはり変えていくというところに野田大臣の期待されている部分があると思います。
この女性活躍推進法は確かにポジティブアクション法だというふうに思っていますから、このことがより多くの方々に、きちんとしたジェンダーイクオリティーと、そして女性のエンパワーメントが必要だという、国際社会にしっかりと位置づけられるような発想を誰もが持てること、小さいときから持てること、それは男女ともに持てること、そういうことをやはり推進していっていただきたいというふうに思います。
職場の中ではセクハラあり、パワハラあり、家庭の中ではDVあり、ストーカーあり。男女共同参画基本法の中でも、あらゆる暴力から女性も、そして男性も守る、このことが重要になってきます。スタートラインにも立てない、立ったけれどもまた後ずさりしなければならない、こんな状況がありますが、ちょっときょうは時間がなくて、この暴力の問題に触れることができませんでした。ぜひ、私も力を合わせて、この国、男女平等、男女共同参画、しっかりと生きる国にしたいと思いますので、今後ともどうぞ邁進していただきますようお願いいたします。
それから、クオータ法ですね、男女均等を求める法律。廃案になりましたので、早急に成立ができますよう、ぜひお力添えもいただきたいというふうに思っております。
それでは、質問時間が終わりますので。どうもありがとうございました。
○山際委員長 次に、篠原豪君。
○篠原(豪)委員 立憲民主党の篠原豪でございます。
本日はお伺いしたいことがたくさんございますので、御答弁される皆様方、先輩方におかれましては、できるだけ的確に、かつわかりやすく簡潔にお答えいただければ大変ありがたいと思っております。それでは、よろしくお願いいたします。
さて、一昨日の夕方、十一月二十二日でございます。大阪市の森友学園の国有地の売却について、会計検査院さんから検査報告が提出をされました。この手続が適正に行われたかどうかを調べるために、本年の三月六日、参議院から、これは要請されたものであり、検査の対象は、売買の経緯、そして売却価格と算定手続の適正性、行政文書の管理状況の適切性などが対象です。
なぜこの検査を行わなければいけなくなったかといえば、昨年の六月六日に国が国有地を森友学園側に大幅に安く売却したのではないか、これが本年の二月に、問題である疑いが強い事案であるとして発覚をしたということに端を発しています。そして、その値引き額の正当性、契約に至るまでの経緯、そして証拠書類の有無などをめぐっては、その後、国会ではたびたび議論が紛糾をし、残念ながら多くの時間が費やされてきた、そういったものであります。
国民やメディアの皆さんも、八億円もの値引き、これは根拠、ごみが実在したものだったのか、本当は総理や総理御夫人へのそんたくで値引きされたのではないか、そして次々と噴出する疑問があって、それに対して、第三者によるフェアで十分調査できる体制で調べた方がいいんではないかという声が上がったわけでもありますけれども、安倍総理御自身が、会計検査院が調査をする、その結果が出るのを待ちたいと話してきたというものがありました。その結果がいよいよ出たんだということであります。
しかし、その肝いりの会計検査院の報告の結果は、残念ながら、内容を見てみると、驚くものでありました。全国紙も翌日に全面で、それぞれの見出しを見れば、森友ごみ最大七割減、過大推計、ずさん算定、森友に特例指摘次々、国の値引き根拠揺らぐと大々的に報じ、多くの国民の皆さんに大変な衝撃を与える結果になったんだというふうに思います。
検査結果の報告を見てみますと、結局のところ、政府がこれまで適正にやってきたとした部分を決定づける証拠はなかなか見つからなかった。そして、この間の担当者の交渉の経緯、証明できるはずの記録を適切に残していたのかどうかということについても誰一人、本当に、それは大丈夫でしたと言ったら、そうしたらこういう報告にならないわけですから、それが見当たらないという、何とも不思議な印象を与える不可解な検査報告書であったというふうに捉えられても仕方ないんじゃないかと思います。
一体全体、これは何なんだということが、謎が明らかになるはずのものがなっていないということは何なんだろうということであります。
そこで、まず、きょうは、この検査結果を受け、国会における最初の質疑となりますので、具体的に少し伺っていきたいと思います。
初めに、会計検査院さんにお伺いいたします。
通常、会計検査は、行政文書やデータが適切に管理されることが当たり前のことだというふうに理解をしています。しかし、今回の報道等を見ますと、今回のこんなケースは極めて異例だというようなお話をされたというふうにも伝わっています。これは一体どういうことなんでしょうかということです。
ならば、初めに思うのはやはり、そもそも検査に当たっては一番重要となる検査材料が十分に残っていたのか、それとも不十分だったのか、この点についてお伺いいたします。
○戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
本件土地に係る決裁文書等の行政文書においては、売却に至る森友学園側との具体的なやりとりなどの内容や地下埋設物の撤去、処分費の単価の詳細な内容が確認できず、会計経理の妥当性について検証を十分に行えない状況となっておりました。
○篠原(豪)委員 つまり、今のお答えは、検査が十分できなかった、そのための書類がなかったということでありますし、聞き取り調査も恐らくやられていると思います。その中でも、きちっとした内容のものが出てこなかったんだろうということは何なのかなというふうに思います。
こんなことが会計検査上許されていいのかということでありまして、証拠が不十分な理由は、本来検査に必要とされるべき行政文書、電磁的記録、これが、多くが不在だったということであります。
この点について、会計検査院さんとしては、このこと自体、法令ガイドラインの観点にのっとってみれば、皆さんいつもいろいろな検査をされています。この点について、ふだんの検査をされていますから、今回と比べて考えたら、いろいろと思うことはあると思うんですけれども、まず法令、そしてガイドラインにのっとって、この観点からはどういうふうに結論を出されたのか、教えていただければと思います。
○戸田会計検査院当局者 お答えいたします。
財務省及び国土交通省は、公文書管理法の目的及び行政文書ガイドラインを踏まえるとともに、業務内容や取り扱う文書の性格、組織体制等を考慮した、各省における文書管理規則を定め、行政文書の管理を行っていると承知しております。
公文書管理法上の解釈につきましては、一義的には、公文書管理法を所管する機関または文書管理規則を定める各省各省においてなされるべきものと考えております。
本報告書では、会計経理の妥当性を判断する会計検査院の立場といたしまして、残されている行政文書では、売却に至る具体的なやりとりの内容等が確認できず、会計経理の妥当性について検証を十分に行えない状況が見受けられたことを記述しております。
今後、公文書管理委員会における議論の内容等を踏まえまして、国有地の売却等に関する会計経理の妥当性の検証が十分に行えるよう、必要な措置を講ずることが必要であると考えております。
○篠原(豪)委員 法令にのっとって、ガイドラインにのっとってやっているかということは、これは大臣のところで考えられていくことだ、梶山大臣のところでお考えになることだと思っていましたけれども、検査結果を見れば、ガイドラインにのっとって考えれば、それはなされていないということはしっかり書かれているわけでありまして、これはやはり違うんだろうというふうに思っています。
報告では、価格算定については、合規性、経済性の面から必ずしも適切とは認められない事態ということが指摘されています。
この適切とは認められない事態というのが一体何を指すのか、具体的にどういった事態だったのかをお伝えいただければと思います。
○戸田会計検査院当局者 お答えいたします。
お尋ねの事態としては、報告書におきまして、本件土地の貸付契約に係る有益費の確認及び支払いに当たり、国が森友学園に返還する有益費の額が適切に算定されていない事態や、国有財産評価基準で求められている評価調書の作成を失念し、評定価格を定められておらず、評価内容が明らかになっていない事態を記載しているところでございます。
○篠原(豪)委員 もう一点、その中でも、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態ともありますけれども、この事態は具体的には何を指し示しているのですか。教えていただければと思います。
○戸田会計検査院当局者 お答えいたします。
お尋ねの事態としては、報告書において、地下埋設物の撤去、処分費用の算定に当たり、深度、混入率等について十分な根拠を確認できないものとなっているなどの事態を記載しているところでございます。
○篠原(豪)委員 わかりやすく、今の御説明を私なりに理解してお話をしますと、これは、鑑定価格が九億五千万円、普通は第三者がやるべきところであったという指摘がずっとされていますけれども、大阪航空局がやった鑑定も不十分で、厚いものを出されていますけれども、積算の根拠たり得ないということであります。
ごみの撤去費用の八億一千九百万円、この損失の根拠も、全く具体的に、なぜそうなったのかということが、その金額が明らかになっていないということであります。
この御指摘を受けて、国土交通省さんは、このことを受けて、なぜごみの量が三割から七割で、違うんじゃないかみたいな報道が国民の皆さんに伝わって、では具体的にどうだったんだという話があるんですけれども、この報告を受けて、今一体どういうふうに考えていらっしゃるか、これを伺いたいと思います。
○あきもと副大臣 お答えをさせていただきます。
この件に関しましては、まず、会計検査院に対しまして、国交省として、十分に検査体制の中で協力をさせていただいたということを我々として思っております。
ただ、今回会計検査院から御指摘された点につきましては、しっかりと重く受けとめさせていただき、今後、より丁寧な事務の遂行に努めてまいりたい、この思いでございます。
○篠原(豪)委員 十分な説明をしてきて、ヒアリングもしていますから、わかれば、こんなに違うような、三割と七割じゃ全然違うんです。全然違うんですね。それがそういうふうにちゃんとなっているかといえば、それは誰も納得する人はいないと思いますよ。
証拠書類もなければ、その積算の鑑定も、そういったことも根拠たり得ない。そのごみの撤去費用が根拠も明らかにならなかったということなので、結局出ていないわけですから。やはり真摯に受けとめてやっていくというのであれば、それはやらなきゃいけないし、今の御答弁を聞いていて、では、航空局、国土交通省さんは、全然やっていたんですよ、大丈夫でした、だけれどもちょっと足らなかったんですよ、でも次はやりますみたいな話で、到底許される話ではないと思います。
私、思うんですけれども、今回の所見を見ていましても、別に今後どうしてくれという話はしていないんですよ。今後どうしてくれという話もありますよ、それは、ガイドラインを改定する、こういう事態があって、やらなければいけないというのはまさにそのとおりだと思います。その話は後ほどさせていただきますけれども。
そうでなくて、私が伺いたいのは、今まだ明らかにならない、こういった事実がいっぱいあるんです。このことについて、いや、私たちはやりましたから、後はまた違うところから頑張っていきますという話は通用しないと思うので、これを受けて、今回の事案に対してどう対応していくつもりかということをもう一度お話しいただければと思います。
○あきもと副大臣 お答えをさせていただきます。
先ほど御答弁をさせていただきましたように、これまでも、国交省としては、御指摘の点、全て、できる限りの誠意を持ってお答えをさせていただいたという思いでございまして、会計検査院のこの調査につきましても十分に協力をさせていただいていたと思います。
ですから、今回の件、さらにさまざまな質問等があればこれからも丁寧に対応させていただきたいという思いでございますけれども、会計検査院から指摘をされたようなことはしっかり、当然十分踏まえた上で、今後はより丁寧にやらせていただきたい、そしてまた公文書管理につきましてもしっかりと丁寧にさせていただきたい、この思いでございます。
以上です。
○篠原(豪)委員 済みません、今後の話はしていなくて、この事案に対してどうするのかという話で、今後は、今まで探していたのが足りなかったり不明な部分があるから、この事案に対してしっかりやっていきます、探します、そして指摘された事項を説明していきますというんだったらわかるんです。そういう御理解でよろしいですか。
○あきもと副大臣 御指摘のとおりでございます。
○篠原(豪)委員 では、今回の事案に対して足りないところをぜひ。
次に、財務省の方にもお伺いします。
今の質問と同じでありますけれども、この報告を受けてどう考えているか、どのように対応するかについてお伺いいたします。
○うえの副大臣 今回の報告につきましては、国会からの要請によって実施された、独立した行政機関である会計検査院によるものであります。
財務省としても、その結果については十分重く受けとめなければいけないと考えています。
○篠原(豪)委員 受けとめてどうするかと聞いているんですよ。
財務省さんは、今回、国会の中で、あるべき証拠書類であるとか会計検査院に本来送らなきゃいけないようなものを捨てた、破棄したと言って、一切説明してこなかったんです。
今回の事案の見えない闇の部分は、どうして値引きがされたのか。その八億円の値引きの中で、明らかになっていない値引きの部分があるんです。そのことがなぜ行われたのかということが、会計検査院さんも、はっきり言って、証拠書類がないから、そう言われたから、何々としているという報告書なんですよ、これは。皆さんから聞いて、財務省さんはこういうふうにしたとしている、こういうふうに言ったとしていると言っているんです。
これが本当にそうなのかどうかということを再調査するということが大事なんじゃないかということで、どう対応されるのかということを伺っているんです。
国土交通省さんは先ほどおっしゃいました。なので、財務省さんにもしっかりとお答えいただきたいと思います。
○うえの副大臣 今回の事案につきましても、当然、国会等で御質疑があれば丁寧に御説明をしていきたいと思います。
○篠原(豪)委員 もう一度言いますけれども、ちょっと私、思い出したんですよ。私が四月三日に決算行政監視委員会で実は質疑していまして、そのときには麻生財務大臣が、この件に関して、裁判やらそういうことになったときに資料というのは残っているんですよ、忘れないでくださいねと言われたのを思い出しました。忘れないでくれと言われたので。
これは、そういう資料が残っているんですよというんですが、会計検査院さんから見たら、ないという。ないじゃないですか、どこに残っているんですか。証明書類、証拠資料、きちんと残っていなければいけない、うそじゃないですかということになるんですよ。
そして、もう一つ、このときに、当時の責任者であった理財局長の佐川さん、この方は今、国税庁長官をやられています。この方が私に言ったのは、短期間でそこは自動的に消去されて復元できないようなシステムになっているので、電子データもなくなっちゃいました、データは残っていません。
もう一度言いますけれども、会計検査院さんの所見を読むと、電子ファイルは削除したとしている。財務省さんいわく、しているという報告なんです。なくなっていたという話じゃないんです。復元できない、データは復元できないとしているという話になっているんです。チェックできないんです。
会計検査院さんのこの七月の会計実地検査時点において、財務本省さんが物理的に破壊することを実施するとしたハードディスク等があったというふうに書いてありました。これは、五月まで使っていた職員さんのパソコンまで含めて、六月からこれを全部かえて、それで、そのパソコンがどこか行っちゃって、七月までには全部物理的にこれを破壊するということを言っていたんですが、これは執行するとなっているんですが、今このパソコンはどうなっているんですか。お答えください。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の財務省行政情報化LANシステムでございますけれども、本年六月頭にシステム更新を行いました。(篠原(豪)委員「いいです、短くて」と呼ぶ)済みません。システム更新に伴います旧システムの機器の撤去及びデータの消去は、もとの契約上、七月末までに行うこととなってはおりましたけれども、森友学園に関しまして関係機関による調査が行われていることを踏まえまして、機器の撤去及びデータ消去の作業は期限を延長しております。
○篠原(豪)委員 つまり、あるんですよ。なので、再調査してくださいとお願いしているんです。
○矢野政府参考人 システムの機器の撤去及びデータの消去については行っておらないで期限を延長しておるわけでございますけれども、その復元ができるかという話に突っ込んでまいりますと、これは専門家によりますと、十四日を超えますと復元ができないということでございます。
○篠原(豪)委員 システムも何も全部明らかにしていただいて、あるパソコン、とっているというのは理由があるんです。復元できるかもしれないからとっているんですよ。捨てたらほかの何かが問題になるから、説明してきたことと違うことになるから、公文書管理法上違うことになるかもしれない、なのでいけない。それを、間違って捨てるのであれば、まだそういう法令の違反かもしれないけれども、これは後ほどお話ししますが、それは決していいことじゃないということは多分お気づきになられていると思うので、多分そういうふうになっていると思うので、それはしっかりと説明していただければと思います。
あるのであれば、何でできないのか、専門家は誰ですかという話でありますし、これは大事な話なんですよ。国会で二月から、証拠がない、証拠がない、捨てた、捨てたと言って、ない証拠の、国民の皆さん、ないものを聞くのは、悪魔の証明でできないんですよと。それを捨てるのは誰ですか、その責任者は誰ですかという話です。総理大臣ですよ。自分で捨てておいてそんなことを言っている。
あるかもしれないんですから、しっかりと、これは大事なことだというので、ちょっとお願いをしたいと思います。まあ、この件はまだこれから始まっていく話だと思いますので。
ちょっとお伺いしたいんですけれども、こんなにパソコンも破棄して証拠を隠そうとしてやろうとするから、わけのわからない値引きの根拠の、ごみの部分、さっき言った三割から七割、実はこれはそんたくの価格分じゃないかというふうに言われているわけです。この疑問が生まれるのは、証明しないから。あるんですよ、あると思いますよ、データ、パソコンは残っているんですよ。パソコンは残っているんです。これだけは言っておきます。
では、いいです、ないのであれば、絶対にこの値引きはそんたく分、価格分がない、なかったというふうに言えますか。
もう一度申し上げますが、今ごみの量が実際の値引き額との差額がある、その差額がそんたくの価格だったんじゃないか。そんたくがどこで行われたかわからない、そんなことはなくて、ちゃんと全部しっかりと残っていればそういうことは起きなかった。しかし、会計検査院さんの指摘では価格が合わないという話になっている、値引きと実際のごみの量が。そうなると、その部分というのは、もしかしたらそんたくされて、そんたくかわかりませんよ、でも、そのところが、本当にこういったことがそんたくで行われたことはなかったかどうか、このことについて財務省さん、どういうふうにお考えになるのか。
○うえの副大臣 そうした点につきましても、これからもしっかり丁寧に説明責任を果たしていきたいと思います。
○篠原(豪)委員 いや、私は、なかったのか、あったのか、その価格で合っているのかという話を聞いていまして、ないというのであれば、その根拠は何ですかという質問です。
○うえの副大臣 これまでも答弁をさせていただいてきたと思いますが、しっかりと、具体的なお話があれば丁寧に説明をしていきたいと思います。
○篠原(豪)委員 極めて具体的に申し上げていまして、会計検査院が指摘をしている幅の、値引きが合わない部分があって、その部分の金額がなぜ行われたのか、それが何に基づいて、誰がどういうふうにその値引きをしたのか。その具体的な内容について、国民の皆さんが、新聞が一面でこれはそんたくじゃないかと書いてあるわけです、きのうも朝刊を見れば、一面でですよ。
そういったことを、やはり皆さんの声としてあるわけなので、その部分がそうでないというのであればないと言っていただきたいですし、ないと言えるのであれば根拠として示してほしい。そして、それが示せないのであれば、やはりこれは再調査してくださいという話であります。
○富山政府参考人 お答えいたします。
今回の検査院の報告におきましても、先生今御指摘の部分につきまして、いわゆるごみの撤去量についての一定の仮定を置いた試算が複数ございます。仮定の仕方によってはその処分量の推定値は大きく変動する状況だったということで、撤去処分費用を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていたと。
また、先生先ほどからおっしゃられている、その資料の関係の保存といった点についても御指摘があるところでございまして、財務省としましては、こういった点を重く受けとめて、今後、この御指摘も踏まえて、改めてそういった点についての検証をしていきたいというふうに思っております。
○篠原(豪)委員 ぜひしっかりと検証と再調査、これをやっていただきたいと思います。多分私だけじゃなくて多くの方がこれから求めていくことになると思いますが、きょうは深い話はする時間もないですし、初めてですので、私もいたしませんけれども、ぜひしっかりとやっていただきたいと思います。
今のお話を聞いていただいて、梶山国務大臣はここの担当であります、公文書の担当でありますので、あり方はいいとしても、それはしっかりととっておいて、国民の皆さんの民主主義のため、資するためにやっていくというのは当たり前の話であって、それは次の時代で検証できるようにしようという話だと思いますので、あり方はそれでいいと思いますけれども、このことを、今のお話を聞いていて、そして今回の指摘をして、指摘が出てきている、検査院の結果が出てきた中で、所掌する内閣府として、各省庁の今のこの取り扱い方が、これは適切に行われてきたというふうにいまだに考えていらっしゃるかどうか、ちょっと短目にお願いしたいと思います。
○梶山国務大臣 全体としては、公文書管理法そしてガイドラインに基づいて各府省で文書取り扱いの基準をつくっているわけでありますけれども、全体像としては適切に扱われてきたと思っておりますけれども、今、会計検査院からの御指摘も含めてさまざまな御指摘をいただいていることは事実であります。
公文書管理法は、二十三年四月一日に施行されまして、五年たって、もう一度検討するということで公文書管理委員会を開きました。その公文書管理委員会の結果に基づいてガイドラインの見直しというものを行っております。
この中に、一年未満の文書の取り扱いについても、例示を挙げながらガイドラインに反映させていこうということで、十二月末までにこのガイドラインを決めていく予定にしております。
○篠原(豪)委員 今後の話はいいとして、適切であったかどうかということで、それはおおむねやられてきたんだろうという話じゃなくて、これは、これまでも国会の場で、明らかに公文書法の四条に抵触するんじゃないか。最低限、会計検査院の検査にたえ得る資料として残さないといけないわけですよ。残っていないんです。残っていないと説明しているんです。としているんです。
行政文書管理ガイドラインにすれば、これはやはり証拠書類と証拠資料は会計検査に説明するために必要だということで、私は、やはりこれは本当にそういうことでこのままで大丈夫だったのかということを専門家の方に、けさ方もちょっとお話を伺いました。
そうしたら、やはりこれは、その専門家の方の指摘は、公文書管理法の十条の一項に、十五のところに二というのがあって、歳入及び歳出の決算報告書に関する計算書作成その他に関する重要な事項では、これは業務区分中の会計検査に提出されるべき計算書及び証拠書類なわけだから、これがなくて今できていないわけですよ。なので、これは五年の保存期間と示されるものである。
これが、今、告発をされていて、そして、これが意図的に、故意になされたということになれば、これは大変なことになるというわけであります。勝手に文書が廃棄されてはいけないから、故意になされなかったということでないことをきちっとやはり調べないといけないということ、説明責任があるかと思いますよ。
今回の会計検査院さんの報告を受けて、ちゃんとした再調査をする必要があるんじゃないかと思います。
先ほども申しましたけれども、この公文書管理の責任者は、法的にも安倍総理御自身です。悪魔の証明だなんと言って、公文書管理の、廃棄の責任者本人が、この八条の二のところに書いてあるんですけれども、こんなことをやはり言ってきて、ここまで引き延ばしてやってきたので、事がどんどんどんどんとおかしくなってくるんじゃないか、おかしくなって、会計検査も極めてまれなケースだ、そういうコメントが出るような中身であります。
最後に、官房長官にやはりお伺いをしたいんですけれども、このことはそんなに簡単な話じゃなくて、この文書の問題、加計学園の問題とかURの問題とかTPPの問題とか日報の問題、いろいろありました。このことは、やはりこれはしっかりと重く受けとめていただいて、やらなければいけないと思います。そういうときが来たんだと思います。
この検査は大きいものでありますから、このことをどう受けとめているのかということと、もう一つ、やはりしっかりとした、今回のこの事案に関しては、やはり会計検査院の御指摘があるように、まだわからない部分が多いんです。なので、再調査をできる限りやっていただけないかということを最後にお伺いしたいと思います。
○菅国務大臣 まず、今回の報告でありますけれども、国会からの要請によって実施された、独立した行政機関である会計検査院のものでありますから、政府としては、その指摘については真摯に受けとめなきゃならない、このように考えています。
その指摘の中で、特に二点、必ずしも適切とは認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態、また、今後の国有財産の管理、処分を一層適切に行っていくことが必要である、この二点が特に指摘されております。
関係省庁において、今回の報告書の内容、ここは十分精査をさせていただいて、速やかに国有財産処分に関する見直しを行うなど、適切にここはしっかり対応していく必要があるというふうに思っています。
○篠原(豪)委員 速やかに見直しをしていただくというのは、これは、今後の国有財産の処分に当たってはより適切にやることを速やかにやっていただくというのが一点と、やはりもう一度、今ちょっとわからなかったんですけれども、今回の、今指摘されているその二点の事項についてしっかりと、官房長官でございますから、ぜひ調査を、再調査も含めて、わかる形で命じていただきたいと思いますので、もう一度、その点についてお答えいただくことは可能でしょうか。
○菅国務大臣 まず、いずれにしろ、今のようなことが強く指摘をされています。そこをやはり真摯に受けとめて、その内容を十分精査して対応するのが政府だと思っています。
○篠原(豪)委員 ありがとうございます。
国民の皆さんも納得できる形で御対応いただきますことを何とぞよろしくお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○山際委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時一分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山井和則君。
○山井委員 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
特にきょうは、森友問題、加計問題を中心に質問をさせていただきたいと思います。
一言で言いますと、両方とも構図は同じなんですね。安倍総理や安倍昭恵夫人の近しい友達であれば、国有地が大幅に、不当に値下げをしてもらえたり、あるいは五十年ぶりに獣医学部の認可が、十分な必要性が明らかでないままに得られたり。国民の税金の無駄遣いではないか、あるいは、これは政治の私物化ではないか。そして、そのようなことを安倍総理や安倍昭恵夫人がもしやられたとしたならば、その対応のために、霞が関の多くの優秀な官僚の方々がそんたくを強いられ、国会で虚偽の答弁を強いられ、そういう異常な状況が今起こっているのではないか。
その象徴が森友、加計問題であり、また、そういう疑惑を隠すために、もしかしたら解散・総選挙も行われたのかもしれないという声もありますし、もしかしたら、来週から行われる予算委員会でも、今まで与野党で二、八の質問時間が五、九になる、これももしかしたら森友や加計の疑惑隠しではないか、そういうことさえ言われております。
そこで、まず森友問題についてお伺いしますが、一昨日、会計検査院から報告書が出ました。この中身、読ませていただきましたが、驚くべきことに、この二月から国会で答弁を、安倍総理や佐川局長や麻生財務大臣、多くの方々が答弁されてきた、適正な価格、適正な処理であったということが虚偽であった、そのことが会計検査院によって認定をされたわけであって、私たち野党がこれはおかしいんじゃないかといって、私たちが追及してきた中身の方が、会計検査院の調査結果に多くが符合していた。これは私は深刻な問題だと思います。
この十カ月間、国会で虚偽の答弁をし、適正だと言い逃れを続け、何よりも国民にうその説明をしてきた。さらに恐ろしいのは、では、誰をかばうために、何のために、文書を捨て、記憶がないと言い、こんな不当な不公正なことをやることを官僚の方々は強いられたのか。この謎については、会計検査院も、なぜこんな不当なことが行われたのかということについては、そこまで調査は及んでおりません。これは当然、私たち国会議員がやるべきものだと考えております。
例えば、会計検査院の院長は、悪質な部類に入るのか、今回の案件はという質問に対して、こういうケースは極めて異例だと、この森友問題について語っておられます。
今回の概要を見ましても、会計検査院の報告によりますと、十分な根拠が確認できない、詳細な内容等が確認できず、会計経理の妥当性について検証を十分に行えない状況になっている、こういう調査結果でありました。
また、このことについて安倍総理はこういうふうにおっしゃっているんですね。二月十七日、認可や国有地払い下げに私や妻が関係していたら首相も国会議員もやめる。積算の数字が法令違反だ、問題だというのであれば、そこを野党側が立証する責任もあるのでは。そして麻生財務大臣は、法令に基づき、適正な手続、価格で処分されたものであり、問題はない。
でも、実際、会計検査院は、問題があるという報告書を出したわけですね。
菅官房長官にお伺いします。
国民も大きな疑念を受けている、なぜ九億円の国有地が一億円と大幅に値下げされたのか。そのことに関して、今までの国会での説明というものは正しくなかったということを、会計検査院が今回、報告書を出しました。このことについて、菅官房長官、国民に謝罪をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 会計検査院の報告において、役所側の積算について、仮定の仕方によっては処分量の推定値は大きく変動する状況にあることなどを踏まえれば、撤去、処分費用を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていた、このようにされています。
国有財産の処分に当たっては、今回の指摘も踏まえて、より慎重な調査検討を行うなど、ここは適切に対応していく必要があるというふうに思います。
○山井委員 国会で佐川局長や麻生財務大臣や安倍総理が答弁してきたことが違っていたわけですね。適正でなかったということが明らかになったわけです。まずは官房長官、政府として、国民に謝罪をすべきじゃないですか。
○菅国務大臣 今回の報告は、国会からの要請によって実施されたものであります。そして、独立した行政機関である会計検査院によるものであり、政府としては、その指摘については真摯に受けとめなきゃならないと考えています。
今回公表された会計検査院の検査報告において、国有地の売却等に関しては、必ずしも適切と認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態が見受けられる、今後の国有財産の管理、処分を一層適切に行っていくことが必要である、こういう旨が指摘をされています。
政府としては、関係省庁、財務、国土交通省において、今回の報告書を、その内容を十分に精査した上で、速やかに国有財産処分に関する見直しを行うなど、適切に対応していく必要があるというふうに考えています。
○山井委員 答弁の原稿を読み上げられるんじゃなくて、私はごく普通のことを言っているんですよ。二月の予算委員会に始まって、適正だ、適正だ、適正だと十カ月、安倍総理を先頭に、政府は説明してきたわけですよ。ところが、今回、不適切だという結果が出たんですよ。これは、国民にうそをついていたということですからね、適切と言っていたのは。不適切だという結果が出たわけですから。
首を横に振っておられますけれども、では、適切だったんですか。会計検査院の調査結果に対して、何か異議があるんですか。一言、国民におわびの言葉ぐらいあっていいんじゃないですか、菅官房長官。
○菅国務大臣 今、委員はそうした発言をしますけれども、先ほど私が申し上げましたように、会計検査院の指摘というのは、仮定の仕方によって処分量の推定値は大きく変動する状況にある、そうしたことを踏まえれば、撤去、処分費用を算定する際に必要とされる慎重な調査検討を欠いていた、このように実は指摘されている。今後の国有財産の管理、処分を一層適切に行っていくことが必要である、こうしたことが指摘されているんです。
こうしたことを踏まえて、関係省庁の財務省と国土交通省において、今回の報告書の内容を十分に精査した上で、速やかに国有財産処分に関する見直しを行う、さらに適切に対応する、これが政府の考え方です。
○山井委員 三回聞いていますけれども、では、謝罪はされないということでよろしいですか。
これは私は、国民からすると驚くと思いますよ。十カ月間も適正だ、適正だと言っていて、適正でないという結果がやっと出ても、いまだに一言のおわびも、国民に対して、していない。八億円も値引きをして、そしてそれが正しいと言っていたけれども、正しくはなかったということが今回明らかになったのに、いまだに国民に対して一言のおわびもされないということですか。
○菅国務大臣 先ほど来申し上げていますけれども、会計検査院の報告というものは、役所側の行った精算については、仮定の仕方によっては処分量の推定値は大きく変動する状況にあることなどを踏まえれば、撤去、処分費用を算定する際に必要とされる慎重な調査検討に欠けていたとされております。
これまでの答弁と検査報告との関係については、内容を精査した上で関係省庁で対応をしていく、こういうことになります。
○山井委員 全く反省をしていない、驚くべき傲慢な答弁だと思います。
例えば、安倍総理はこうもおっしゃっています。
その土地はディスカウント、ここですね、(パネルを示す)その土地はごみが入っているからそういう価格になっていたということでありまして、至極当然のことであって、ごみがあるからディスカウントしたと。
会計検査院がしっかりと調査をするやに聞いているわけでありまして、いつも皆さんは政府が自前でやるのはおかしいじゃないかということをおっしゃっているわけでありますから、まさに会計検査院というのはしっかりとした独立機関ですから、そこがやる性格のものではないかと。
さらに、佐川局長も、国有地の売却は適正な価格であった、交渉記録は、記録は破棄した、残っていない、このことに関しても、会計検査院は慎重な調査結果を欠いたというふうに指摘をされています。
この総理がおっしゃっていた至極当然にディスカウントされたということは、そうではない、そういう根拠は見つからない、資料も残っていないということを会計検査院が指摘をしているんです。総理が言ってきたことと違うじゃないですか。いかがですか。
○菅国務大臣 政府としては、国会の要請によって実施されて、独立した行政機関である会計検査院によるものであって、その指摘については真摯に受けとめなければならないということを、再三、私は申し上げています。
その検査報告において、この売却に関しては、必ずしも適切と認められない事態や、より慎重な調査検討が必要であったと認められる事態が見受けられたということ、そして、今後の国有財産の管理、処分を一層適切に行っていくことが必要である旨、こうしたことが指摘をされているわけであります。
ですから、今までの国会答弁と今回の指摘、会計検査院の内容を十分精査した上で、財務省、国交省で適切に対応していく、そう考えています。
○山井委員 いや、私は納得できないですね。
麻生財務大臣もおっしゃっていますよ。法令に基づき、適切な手続、価格で処分されたもので問題はない。これは政府の見解だと思いますけれども。
では、菅官房長官にお聞きしますが、今回の値引きは今でも適切であったと菅官房長官は思っておられるんですか。
○富山政府参考人 お答えいたします。
まさに検査院の報告におきまして、今議論になっていますいわゆる撤去、処分費用の積算について、検査院の方からの複数の試算も出た上での御指摘がございました。慎重な調査検討を欠いていたという御指摘もいただいております。
そういった中で、財務省としましては、この御指摘をまず重く受けとめるとともに、こういった地下埋設物が存在する際の特殊な状況において売却価格を算定する際の取り扱いについて、必要な検証を行った上で見直しを行っていきたいと考えているところでございます。
○山井委員 菅官房長官にお伺いします。
今回の森友問題も加計問題も、多くの志ある官僚の方々が被害者なんですよ。そんたくをさせられ、そして誠実な答弁もなかなかできないという状況に追い込まれているわけでね。ですから、政治家として菅官房長官が、この森友問題に関して、ここに書いてあるような、適切な手続、価格で処分されたものであり問題はないと今まで政府が言ってきたわけだけれども、そうじゃなかったわけですから、会計検査院の結果で。そこに関しては、申しわけなかったと国民の皆さんにおわびをする、それが筋じゃないですか。
そして、そのことに関して、もしされないのであれば、では、今までの、適正な手続、価格で処分されたもので問題はなかったという政府の見解は変えられないんですか、この期に及んでも。
○菅国務大臣 私、先ほど来、何回となくお答えをさせていただいておりますけれども、まさにこの会計検査院の報告というのは、処分費用の精算については、仮定の仕方によって処分量の推定量が変動すると考えられる、そういう中で、その例として複数の試算値が示されている、そのように承知いたしております。
ただ、会計検査院から、政府と独立しておりますので、こうした指摘を受けたことは、政府としては真摯に受けとめて、これまでの答弁とこの検査報告との関係については、関係省庁でまずその内容を精査した上で、適切に対応をさせていただきたいということであります。
○山井委員 資料がない、記憶にない、そういうことを続けてきた今までの答弁で問題はないという、そのようなお考えを菅長官が持っておられることに、私はびっくりをいたしました。
菅長官にお伺いします。
今回、不適切だという指摘を受けたわけですけれども、なぜこういう不当な値引きが行われたというふうに菅官房長官は思われますか。
会計検査院は、安倍昭恵夫人のヒアリングなどはできなかった、されていないわけですね、籠池さんへのヒアリングも。なぜ、こういう不当な、適切でない値引きが行われたというふうに菅官房長官は思われますか。
○富山政府参考人 お答えいたします。
まず、先ほど申し上げましたように、今回の検査院の報告におけるさまざまな指摘については、重く受けとめなきゃいけないと思っております。
その上で、本件の国有地の処分につきましては、これまでもまさに国会の場で御説明してきているところでございますが、校舎の建設工事が進む中で新たな地下埋設物が発見され、相手方からの損害賠償請求のおそれもある、こういった切迫した状況の中で行われたものでございまして、瑕疵担保責任を免除する特約条項を付すといったようなことも含めまして、当時の時点としてはぎりぎりの対応であったというふうに考えておりまして、そういった答弁をさせていただいております。
しかしながら、今回、検査院の報告での御指摘が多々ございますので、これについては、必要な手続の明確化、あるいは売却価格の客観性をどう確保するか、さらに行政文書のより適切な管理といったような点を中心にして、今後、検証、検討をして、必要な見直しをしていきたいと考えているところでございます。
○山井委員 理由はそれだけじゃないんじゃないんですか。
例えば、証人喚問で籠池さんは、神風が吹いたのかな、何らかの見えない力が動いたのではないかな、国有地の取得につきましては、政治的な関与という内容について、あったのだろうと認識しておりますと証人喚問で語っておられます。
さらに、あるインタビューで、安くなる中で安倍昭恵夫人の効果はあったのかということを聞かれた籠池さんは、しっかりした方が後ろ盾にいらっしゃるなということはお役人がわかっていらっしゃったんじゃないですかね、それはすごく重要なことでしょうねというふうに答えておられます。
結局、安倍昭恵夫人が名誉校長であったということが影響しているのではないか。これは多くの国民が、そのことはやはり感じていると思いますよ。
さらに、このことに関してテープも発見されております。そのテープの中では、こういうやりとりもあるわけですね。
ここにありますように、価格につきましてはこちらから提示したこともございません、先方から幾らで買いたいといった希望があったこともございませんと、佐川前理財局長、現国税庁長官がこうおっしゃっています。事前の価格協議はしていないと。
しかし、実際に表に出てきた音声テープでは、近畿財務局の池田統括官と森友学園側が二〇一六年五月十八日にやりとりをした録音テープがもう表に出てきているんです。菅官房長官、聞いてくださいよ。提示金額が全てで、見込めること全部見込んだ形で提示させてもらうことを今やっている、一億三千万を下回る金額は御提示できません、それに近い金額まで極力やる。
国会で、価格交渉をやっていないと言っているけれども、価格交渉をやってきたテープが出てきたじゃないですか。明らかにこれは虚偽答弁じゃないですか。
菅官房長官、こういう国民に対してうそをついて押し通してきた、このことについても問題だと思われませんか。菅官房長官。
○菅国務大臣 一方的に決めつける質問はないと思いますよ。財務省から説明させます。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
今御指摘の打ち合わせのテープと思われるものについての報道がなされているということについては承知をしておりますが、森友学園に関しては、現在、大阪地検において捜査が行われておりますので、この場でのお答えをすることは差し控えたいと思います。
○山井委員 もうこれはテープが明らかになっているんですよ。池田統括官に聞けばわかるじゃないですか。一方的じゃありませんよ。テープがテレビでも新聞でも流れていますよ。
菅官房長官、これは虚偽答弁じゃないですか。もしそうじゃないと言うんだったら、菅官房長官が池田統括官にこういう話をしたのかと確認すればいいじゃないですか。確認しないんだったら、国民はそんなもの、これを本当だと信じますよ、それは。テープが出てきているんですから。
菅官房長官、一方的だとおっしゃるんでしたら、池田統括官に、このテープは違う、こんなやりとりはしていないということを、菅官房長官、確認されたんですか。
○菅国務大臣 私が申し上げたのは、テレビの報道だけで、そのことを、必ず事実であるかどうかということさえ、そこは極めて、真実が明らかじゃないのに、一方的にそのことが事実のように決めつけて私は質問をすべきではないということを申し上げたのであります。
○山井委員 では、菅官房長官、そこまでおっしゃるんでしたら、池田統括官にヒアリングしていただけませんか。これは聞けばわかることですから。聞けばわかることですから、それを私たちは池田統括官に聞けないんですから。本当かどうか、菅官房長官の力だったらすぐ確認できるでしょう。ぜひ確認してもらえませんか。いかがですか。
○菅国務大臣 いずれにしろ、テレビのテープですよ。そのことで、相手、一人の言い分だけであります。
ですから、先ほど来、現場のやりとりでありますから、財務省にそれは対応させるようにします。
○山井委員 テレビのテープが出てきてから、もう三カ月もたっているんですよ。私たちは何十回も確認してくれと言っているけれども、一向に確認しないじゃないですか。言いがかりだとおっしゃるんだったら、何で確認されないんですか。
菅官房長官、そこまでおっしゃるんだったら、一方的だとおっしゃるんだったら、はっきりさせましょうよ。はっきりさせられるんですよ。池田統括官に菅官房長官から聞いてください。
菅官房長官と今議論しているんですから、いいですよ。菅官房長官と議論している。菅官房長官がおっしゃっていることですから、お答えください。そこまで一方的だとおっしゃるんだったら、池田統括官と調査してください。
○菅国務大臣 いや、テレビの一方的な報道だと思いますよ。ですから、全体を掌握する中での議論でなくて、あたかもその人が、ビデオ、どれぐらいのテープか知りませんけれども、ですから、現場でのやりとりでありますから、これは財務省に今対応させます。
○富山政府参考人 お答えいたします。
先ほども申しましたとおりでございますが、まず現時点で捜査にどのような影響を与えるか予見ができない、また先生がおっしゃっている確認、本人への確認という点につきましても、財務省として確認あるいは調査、そういったことを行った場合に、その結果を公表するということになりますと、さらにその捜査への影響が予見できない、見通せないということで、現時点においてそういったことは、対応は差し控えたいと考えております。(発言する者あり)
○山井委員 今、後藤理事からも話がありました。ぜひ、それでは、はっきりさせるために、池田統括官、そしてきょうは佐川国税庁長官をお呼びしましたが、来ていただいておりません。佐川国税庁長官、そして何よりも、この真相を知っていると言われている安倍昭恵夫人。安倍昭恵夫人、佐川国税庁長官、池田統括官、国会の場で、菅さんも一方的だと今おっしゃいましたから、国民に白黒はっきりした方がいいと思いますから、この三人の国会への招致をお願いしたいと思います、委員長。
○山際委員長 後ほど理事会で協議いたします。
○山井委員 菅さんも一方的だとおっしゃったので、白黒はっきりつけた方がいいと思いますので、今私は提案しましたけれども、政府としても、安倍昭恵夫人、佐川国税庁長官、池田統括官にしっかりと話を聞いていただきたい、また、記者会見をするようなことをアドバイスしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○菅国務大臣 まず、これまでの国会審議においても、昭恵夫人について、そうしたことは一切ないということを何回も国会の中で説明をしてきたということも事実ですし、また、今回の会計検査院報告書にもそうした指摘は一切なかったんじゃないでしょうか。
○山井委員 会計検査院は安倍昭恵夫人にはヒアリングできないんですよ、背景までは調査できないんですから。さらに、そんなことはないとおっしゃったけれども、安倍昭恵夫人はこの二月以降、公の場でこのことについては一切コメントはされていないんですよ。やましいことがないんだったら、発言されて、身の潔白を証言されたらいいと思います。
多くのマスコミでも書かれていますけれども、会計検査院の調査中だから今は答弁できないとか安倍総理もおっしゃっていましたけれども、この調査結果が出た以上は、次の説明責任は安倍総理にあるんです。
安倍総理の指示でもう一回、今回、不確定な書類しかなかった、記憶しかなかった財務省、国交省に指示をして、全ての資料を出させて、そして安倍昭恵夫人、佐川長官、池田統括官にもヒアリングして、安倍総理からもう一度、会計検査院の手が及ばなかった部分を含めて再調査をさせていただきたいと思います。菅官房長官、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 いずれにしろ、政府としては、会計検査院からの指摘については真摯に受けとめさせていただいて、そこは適切に対応させていただくということを申し上げております。
○山井委員 国民が疑念を持っているのは、なぜこんな八億円もの大幅なディスカウントが不当に行われたのかということなんです。その背景については会計検査院は調査できないんですよ。それを調査できるのは安倍総理しかないじゃないですか。丁寧な説明をするとおっしゃるんでしたら、きっちりと調査をしていただきたいと思います。ぜひ再調査をお願いしたいと思います。
さらに、佐川国税庁長官。残念ながら、テープも出てきましたし、今までの書類がない、記憶がないという答弁、やはり極めて不適切であったと思います。そして今回、そのような書類がない、記憶がないということが不適切だということが会計検査院から認定されたわけですけれども、その当時の佐川理財局長が国税庁長官に出世をされた、このことについて、国民から大きな疑問の声が出ております。
さらに、税務署の現場からも、佐川国税庁長官が長官になられたら、領収書を持ってこいと言っても、いや、領収書はもう捨てました、書類を出せ、いや、もう書類は捨てました、国税庁長官もそうおっしゃっているじゃないですか、そういうふうな声すら税務署の現場で出ているということも言われているんですね。
こういう方を国税庁長官に出世させたということについて、問題だったというふうに思われませんか、菅長官。
○菅国務大臣 いずれにしろ、財務大臣のもとで適切な人事が行われたというふうに思っています。
○山井委員 今は、内閣人事局もできて、官邸主導で人事をされています。
菅長官、今回、不適切だという対応を指摘された、そしてその答弁をされた佐川当時の理財局長が、国税庁長官、国民に納税をお願いする最高責任者になる、それが適切な人事だとおっしゃいましたね。私はそうは思いませんよ。やはり、この会計検査院で、書類がないことも含めて不適切だったという指摘を受けた以上は、やはりその人事、問題だったんじゃないんですか。菅長官、いかがですか。
○菅国務大臣 人事については、基本的には大臣が職員の総体的な力というのは一番よく判断されるわけでありますから、そうした中で判断をした人事であります。
○山井委員 いや、内閣人事局ができてから、官邸主導で多くの人事を動かしておられます。各役所だけの問題じゃないということは、菅さんが一番御存じじゃないですか。
国民から見ると、資料は捨てました、記憶にございませんと言って、そして後でテープが出てきて、虚偽答弁の疑いも高まっている、そういうふうに安倍総理をそんたくして、安倍総理を守って、国民に不誠実な不適切な答弁をしたら出世できる。結局、国民の方じゃなくて、安倍総理ばかりをお役人の方々は見ざるを得なくなっているんじゃないんですか。私は非常に問題だと思いますよ。
国税庁長官として、こういう今までの答弁の不適切さが明らかになって、佐川長官がこれからも国税庁長官として任務を遂行するということは、国税の、国民の納税意識の向上のために適切だと、菅官房長官、思われますか。菅官房長官にお聞きしております。
○菅国務大臣 いずれにしろ、佐川長官の日ごろの勤務というものを大臣が判断する中で、私どもはそうした人事を行ったということです。
○山井委員 その日ごろのお仕事、交渉記録は破棄しました、残っておりません、記憶にございません。それで、事前の価格交渉はしておりませんと言ったけれども、実際、価格交渉していたテープが出てきた。それは、すばらしい仕事をされていて、そして国税庁長官に出世をするということですか。そういう価値判断だということは、私は本当に驚きました。
それで、私、少し脱線するかもしれませんけれども、もう一人の当事者である、つまり、ここにおってあった籠池さんですね、籠池さんは、神風が吹いたのかな、何らかの見えない力が動いたのではないかな、国有地の取得につきましては、政治的な関与という内容について、あったのだろうと認識しておりますと。
そして先ほども、お役人の方が、後ろ盾に誰かがいるということをわかっておられたんじゃないかということも、インタビューで籠池さんはおっしゃっておられます。これは、間接的に安倍昭恵夫人のことや安倍総理のことをおっしゃっているのではないかと思っております。
やはり、そういう意味では、今回の報告書によって、この籠池さんがおっしゃっていた、何らかの力が働いたということは、より可能性が高まったと思わざるを得ないんですね。そうでもなければ、何でこんな大幅な不当な値引きになるのか。
菅官房長官、四カ月間、籠池さん御夫妻は長期勾留をされていて、まだ公判のめども立っておりません。余り出過ぎたことは言いたくないですけれども、これは、もしかして口封じとか、そういうことでなっているのではないかという、そういう国民からの疑問の声が出てきているんです。何でこんな長期に勾留されているのか。
例えば、この会計検査院の調査報告書が出たら、本来だったら、もう一人の当事者である籠池さんもコメントをされたかもしれません。そういう意味では、この籠池さん御夫妻の勾留というのは長過ぎるのではないかという国民からの疑問が出てきておりますが、これについていかが思われますか。
○菅国務大臣 日本は法治国家ですから、法令に基づいて対応しているんだろうと思います。
○山井委員 私は、そこが今揺らいでいるんじゃないかと思うんです。私もそう信じたいですよ。法令に基づいてやったということが虚偽であったということが、今回報告書で明らかになったんですよ。法令に基づいていたら八億円の値引きはできなかったんですよ。
なぜこんなに長期に籠池さん御夫妻が勾留されているのか、国民から疑問の声が出ておりますし、さらに、一部報道でもありますように、今回の会計検査院も、最終案の前までは六億円の値引きという、六億円という数字が入っていた。ところが、最終段階で六億円が削られたのではないか。
ちょっと、京都新聞十一月二十三日、読み上げますよ。
ただ、検査院が検査の過程で撤去費としてさまざまな方法で試算した額は、報告書には盛り込まれなかった。関係者によると、説明できるものは抵抗されても出すと強い姿勢で挑んだ検査院側に対し、財務、国交省両省は、試算額が正しいと思われてしまう、大混乱になるので出さないでほしいと要望を繰り返したという。共同通信が入手した最終段階前の報告書案に記載された撤去費の試算額は、航空局見積もりよりも六億円以上安い。ある検査院職員は、担当部局が作成した案が幹部により修正された、国民の負託に応えるべく、検査院としてはここが踏ん張りどころだったのに、金額が消されたことは残念だと無念さをあらわにしたという報道がございます。
このことに関しても、もしかしたらこの会計検査院の報告も、何らかの力あるいはそんたくで、六億円の過大な見積もりであったという数字が消されたのではないか、そういう疑念すら出てきているんですね。法治国家である日本が、法治じゃなくて安倍総理のそんたくによって動いているんじゃないか、そういう疑念が出てきているわけであります。
菅官房長官、来週からの予算委員会、二、八だったところが五、九になることになりました。それでかつ、この野党の質問時間を削るという最初の話は、安倍総理が萩生田さんに質問時間の配分を変えるようにと指示されたと萩生田さんもおっしゃっておられました。
つまり、これは、加計、森友、今まで言ってきたことのつじつまが合わなくなってきたから、追及をされたくないから、こういうふうな質問時間を短くしよう、そういうことを安倍総理は考えているんじゃないかと勘ぐってしまうんですが、いかがですか。
○菅国務大臣 質問の時間というのは、これは当然、国会で決めることですから、国会に委ねるわけであります。
私も、何か記者会見でいろいろなことを聞かれますけれども、基本的には、国民の選ばれた議員の数で決める、ここについては衆議院の先例集にもそういうことが載っています。そういう中で、国会の中で、与野党の折衝の中で現在の時間が決まってきているんだろうというふうに思います。
ちなみに、私ども政権のときも、二、八とか、かつては四、六とか、いろいろなことがあったということも事実です。
○山井委員 民主党政権で、野党が自民党のときに強く八、二を要求したということは指摘しておきたいと思います。
それで、梶山大臣にもお越しいただいておりますので、同じ構図である加計問題についてもお聞きしたいと思います。この加計問題も、安倍総理のそんたくが働いたのではないか、そういう疑念が国民から持たれております。
ここにありますように、国家戦略特区、加計学園を決める場合に、利害関係を有する議員については、当該事項の審議及び議決に参加させないことができるとするなど、諮問会議における調査審議が公平かつ中立的に行われるよう留意するとなっております。
一般論として、梶山特区担当大臣、お聞きしたいんですけれども、議長が総理大臣ですよね。総理大臣が、特区に指定するかどうかを決める相手の、申請してくる側の人と何回もゴルフや食事をして相談に乗るということは許されるんですか、許されないんですか。
○梶山国務大臣 一般論としてということでしたけれども、友人関係と利害関係はまた別なものだと思っております。現実にそういうものがあったのかどうかということも判然としておりませんので、一般的には、友人関係と利害関係は別。当然、利害関係というのは、利害関係者の、例えば事業体であれば、そこの役員をやっているとか、そういうことがかかわってくると思いますけれども、友人というだけでは利害関係者にはならないと思っております。
○山井委員 友人であって、かつ、議長として、特区で議論している内容について飲食やゴルフの中で話をするということはどうですか。
○梶山国務大臣 それは、現実にされているかどうかということも判然としておりませんし、仮定の話にはお答えするわけにはいきません。
○山井委員 いや、仮定の話じゃないですよ、これは。ルールですよ。特区の諮問会議の議長が、そこに申請してきている特区問題の申請者とゴルフ、飲食をして、その特区申請の中身について話をしていいのか。これはルールの話ですから、仮定の話じゃありませんよ。では、これはやっていいんですか。
○梶山国務大臣 その話があったのであれば、それは別でしょうけれども、今、その判然としない中で私が答えるわけにはいきません。
○山井委員 そうしたら、その話があったんだったら別ですけれどもということは、もし、そうしたら、その特区の具体的な話をしたとしたら、それは利害関係者になるということでよろしいですか。
○梶山国務大臣 あくまでも一般論ということで、先ほどからのやりとりですけれども、その話がないということは総理もおっしゃっていますし……(山井委員「いやいや、加計学園の話をしているんじゃないんです。一般論」と呼ぶ)一般論であれば、その話がないということであれば……(山井委員「ある場合は」と呼ぶ)ある場合は、具体的にどういうことを言ったかということがいろいろな要件になると思います。
それと、立場でもう明確に、外形上、例えばその企業の、関係する企業の役員であるとか、非常勤の役員であるとか、そういった形では、それは除外すべきだと思っております。
○山井委員 関係する企業の役員って、その理事長さんなんですよ、加計学園の場合は。除外すべきって、まさにその方本人と十数回、飲食、食事をされているわけですよね。
それで、安倍総理は、確かに、十数回のゴルフ、飲食の中で獣医学部の話はされていないとおっしゃっていますけれども、国民の多くの方々は、十数回食事して、加計理事長が十数年間の悲願であったという獣医学部の話をしていないはずはない、知らないはずないんじゃないかということをおっしゃっておられるわけです。
ついては、今回、認可ということにも、するとかおっしゃっていますので、ぜひ、加計理事長をやはり呼んで、それで、特区担当大臣が、こういう話を事前に総理としたのかどうか、そういうことも確認をする必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○梶山国務大臣 加計学園は提案者ではございません。その中で、友人関係ということで私どもは今承知をしているということでありまして、この話をしたかしないか、したはずだという断定的な物の言い方をされましたけれども……(山井委員「いや、していませんよ」と呼ぶ)するはずだと言っている方もいるというような言い方をしたと思いますけれども、それはあくまでも推測によるものでして、推測に基づくものにお答えすることはできません。
○山井委員 だから、梶山大臣、推測じゃよくないから、白黒はっきりつけるのが国会ですから、ぜひ加計理事長に、やはり国民の不信感は高いですから、直接確認してもらえませんか。
○梶山国務大臣 これは国会でお決めいただくことですので、委員長へのまた申し入れということでしていただくということだと思いますし、私が聞いて、私は一度も加計さんとはお会いしたことはありませんけれども、新たな形で、話した、話さないという話は出てこないとは思いますけれども、出てこないというか、総理が言っている以上のことは出てこないと思いますし、提案者ではないということなんですね。それで、総理も一月二十日まで知らなかったということですから、それを覆すような前提でお話しするわけにはいきません。
○山井委員 いや、別に覆すとか覆さないじゃなくて、きっちり、国民が疑念を持っていることですから、確認をすべきではないかということを言っているわけですし、国会がお決めになることで、国会に呼ぶのは国会が決めることですけれども、加計理事長の話を聞くかどうかは特区の担当大臣が決められるんですよ。ぜひ聞いてください、関係ありませんから。
○梶山国務大臣 今のところ、そのつもりはございません。
○山井委員 だから、先ほどの、池田統括官の森友学園とのやりとりのテープの確認をしてくれと言っても確認しない、加計理事長と話をしたらどうかと言っても確認をしない。つまり、都合の悪いことは全くしないわけですよ。
それで、安倍総理は、全ての議事録は加計学園に関してオープンになっているということを、公平正大だという、そんな論拠としておっしゃっておられますけれども、加計学園が出席したときのワーキングチームの議事録、加計学園関係者の発言内容、これはオープンになっていません。総理が議事録は全てオープンになっているとおっしゃられたのは、これは虚偽答弁ということになりますよ、加計学園の発言の部分はオープンになっていないんですから。
ぜひ、国民の疑念を晴らすためにも、加計学園の関係者がワーキングチームに出席してどんな発言をしたのか、議事録を公開してください。安倍総理は全て議事録はオープンになっていると国会で何度もおっしゃったんですから。
○梶山国務大臣 これはルールにのっとってオープンにしているということでありまして、加計学園関係者、このときのワーキンググループは提案者のヒアリングということでありました。提案者の説明補助者ということで来ておりまして、説明補助者の発言は、運営要領の中で、八田座長の判断の中で、これは発言者にはならない、あくまでも提案者が説明者であるということの決まりの中での、今までの非公表というか、これが議事録に書かれていないということであります。
○山井委員 言いわけばかりで、梶山大臣が出せと言えば出るんですよ。なぜ隠すんですか。
さらに、この加計学園についてお聞きしたいと思います。
六年後以降、卒業生が出てくるわけですけれども、大体、四国に獣医学部がないからということで、さらに、ペットの獣医はもう余っているけれどもライフサイエンスや公務員獣医師が足りないということで新設するというのが特区の四条件であったわけですけれども、では、卒業生、例えば一年目でいいですよ、大体何割以上が四国に就職する、どれぐらいが、ペットの獣医ではなくて、足りない公務員獣医やライフサイエンスの部分に就職する、大体何割以上だというふうに目指しておられますか。
○梶山国務大臣 一律の線引きはしておりません。ただ、今おっしゃったように、所期の目的は、この地域に獣医師をということでもありますし、水際対策の獣医師をということでありますから、六年後に卒業生が出たときに、どういう形で就職をしているかということをしっかりと評価していきたいと思います。
特区に関しましては、これに限らず、しっかりと評価をしていくということになります。この評価に関しては、やはり卒業生が出ないと評価になりませんので、その上でしっかりとした対策をしてまいります。
○山井委員 その評価の基準を最初に決めておく必要があるんじゃないですか。
では、ほとんどが今余っているペットの獣医になったり、ほとんどが四国以外に就職する、それでも構わないということですか。
○梶山国務大臣 構わないということではありません。
その途中でもさまざまな方策が講じられております。例えば、奨学金の件、そしてさまざまな、カリキュラムもそうですけれども、そして結果としてどういう形で就職をしたかということを見ていくわけであります。
そして、もし万が一それが非常に少ないような形でしたら、是正の勧告もしますし、場合によってはもっと重い対策もしていくことになると思います。
○山井委員 いや、その評価の基準がないのであれば、ほとんどがペットの獣医になって四国以外に就職したって構わないということになるんじゃないですか。
最低限どれぐらいは四国に就職、最低限どれぐらいはライフサイエンスか公務員獣医師になる、その基準をお示しいただかないと評価のしようがないと思います。
○梶山国務大臣 評価については、そのほかの項目についてもしっかりとしているわけでありまして、今、目標を立てて、KPI、例えばそういう事前の目標を立てろとおっしゃるけれども、やはり流れの中で、そういう方策はしているわけであります。ですから、その中で、結果に対して是正の勧告をしたり、場合によっては、制度上できる最も重い対応ということも含めて、できるわけであります。
○山井委員 本当に評価の基準もない。このままいくと、今の答弁を聞いておりますと、ほとんどの人が四国以外に就職して、ペットの獣医師が非常に多くなっても、今のところ明確な縛りはないということであります。
やはり、それでは四条件をクリアしたと言えないわけですから、もう一度、今のカリキュラムが決まった段階で、特区の諮問会議で、獣医学部のこの加計学園の問題について、もう一度再審議、再検証していただきたいと思います。最後の質問、ぜひ再審議をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○梶山国務大臣 どのように評価するかは、毎年の評価書の作成の段階で民間有識者の意見を聞いて取りまとめてまいりたいと思いますし、例えば、この四国に獣医師が就職するようにという形で、誘導策はかなりのものを講じているわけであります。それに対してどう評価されるかということでして、このことに関してはしっかりと厳しい目で見てまいります。
○山井委員 いろいろ言葉は並べられ、でも、明確に、どれぐらいが四国にとどまるべき、どれぐらいがライフサイエンスや公務員獣医師になるべきという縛りはないという、本当に残念な答弁であります。
加計の問題にしても、森友の問題にしても、国民の税金の大切な使い道、安倍政権や安倍総理に近い人が優遇されるようなことであってはならないと思います。
ありがとうございました。
○山際委員長 次に、玉城デニー君。
○玉城委員 自由党の玉城デニーです。
私は、今回、初めて内閣委員会に希望して配置をしていただきましたので、もろもろ、沖縄や我が国の問題に関連することを少し結びつけながら、整理して質問をさせていただきたいと思います。
まず、江崎大臣に先にお話を伺いたいと思います。
大臣は、食品安全、海洋政策、領土問題の担当をしていらっしゃいますが、特に海洋政策についてまずお聞きをしたいと思います。
所信演説でも、次期の海洋基本計画を来春を目途に作成していくということの要件も述べられておりますが、海洋基本法は、平成十九年四月二十日に成立し、七月に施行されています。海洋の開発及び利用と海洋環境の保全との調和、海洋の安全の確保などなど、海洋権益の確保に影響を及ぼしかねない事案の発生なども含めて、さまざまな海の問題が顕在化しています。
そこで、この基本法を成立させて、そして、それに基づいた計画ができています。平成二十年三月策定、それからおおむね五年ごとの見直しということで、平成二十五年四月の海洋基本計画が来春にはまた見直しされるということのようですが、この海洋政策の基本的な理念と目標をどのようにうたっているのか、まずそのことからお伺いしたいと思います。
○江崎国務大臣 お答え申し上げます。
海洋基本計画の根拠となる海洋基本法においては、国際的協調のもとに、海洋の平和的かつ積極的な開発、利用と海洋環境の保全との調和を図る新たな海洋国家の実現を目指すものであります。
これを踏まえて、現行第二期海洋基本計画では、「国際協調と国際社会への貢献」「海洋の開発・利用による富と繁栄」「「海に守られた国」から「海を守る国」へ」「未踏のフロンティアへの挑戦」という四つの取り組み姿勢と目指すべき方向性を掲げている次第であります。これらは海洋政策の基本的な理念及び目標となるものであり、これに従い、海洋に関する諸施策を推進してまいります。
これら現行計画における理念を踏まえて、来春目途の次期海洋基本計画の策定に向けて適切に検討してまいりたいと存じます。
○玉城委員 ありがとうございます。
この海洋政策は非常に多岐にわたるものでして、言わずもがなではありますが、当然そこには我々の領土、領海、領空という区域も含まれるわけでございます。私たちの本邦の領海内には、当然、北方四島、それから竹島、与那国の隣の尖閣などなど、島国であるがゆえに、私たちの本邦の国境はいずれも、海を隔てて隣国や関係国とそのような海洋の国際的な法のもとでの保全、保護、それからもちろんですが共有が図られているわけでございます。
では、本邦周辺の海域における海洋振興と、それに関連する国際協力の取り組みについてお伺いしたいと思います。
○江崎国務大臣 我が国は、御案内のように、周辺海域の海洋資源の開発や海洋産業の振興と創出、将来の我が国の成長による富の創出に大きく寄与するところであります。現行の海洋基本計画に基づき、我が国周辺海域における海洋利用等の振興に努めてまいる所存であります。
その際、国際法上、領海については我が国の主権、及び、また排他的経済水域、大陸棚については天然資源に関する我が国の主権的権利が及ぶところ大であることから、海洋国家たる我が国として、みずから海洋利用の振興を行うことを基本とすべきと考えております。
一方で、海洋環境保全についての国際協力の一例を挙げれば、日本、韓国、中国、ロシアをメンバーとする地域協力の枠組みである北西太平洋地域海行動計画への参画を通じた我が国周辺海域の日本海や黄海等における協力があるので、これからも鋭意努力、取り組んでまいります。
○玉城委員 海洋の権益については、このように幅広いそれぞれの国々との関係が構築されているということですが、この海洋政策で私が個人的に非常に重要視するのは、やはり、領土、領海の問題と、それからそこに含まれる生物の多様性の点があるかと思います。
私は環境委員会にも所属をしておりまして、日本の山、川、里山、里海など、幅広い観点から、この自然の恵沢をいかにして後世に残していくか、伝えていくか、あるいは、世界と協力してできる限り地球の環境破壊、全体的な環境破壊を食いとめていくかということを議論させていただいております。
その中でも、やはり海洋国家である本邦日本にとって、この海洋政策の中での生物多様性に対する取り組みは非常に大きな意味合いを持つと思います。COP10においても生物多様性の基本になる政策をしっかりと策定しているわけですから、その点を踏まえて、ぜひとも海洋政策の中での生物多様性への取り組みをもっと強化していただきたいという思いがあります。
そこで、生物多様性国家戦略との関連性についてお伺いしたいと思います。
○江崎国務大臣 現行の海洋基本計画において、海洋環境の保全にかかわる取り組みとして、生物多様性国家戦略二〇一二―二〇二〇に従い、生物多様性の保全及び持続可能な利用に向けた取り組みを推進してまいります。
具体的には、生物多様性の観点から重要度の高い海域の抽出と海洋保護区の適切な設定、絶滅のおそれのある海洋生物を示したレッドリストの作成、多様な生物を育むサンゴ礁等の保全、造成など、関係府省庁が連携して生物多様性の確保等に取り組んでまいったところであります。
次期海洋基本計画の策定に当たっても、生物多様性国家戦略等も踏まえつつ検討を進めてまいりたいと思っております。
○玉城委員 ありがとうございます。
それからもう一点、これは二つを一つの質問にまとめてお答えいただければと思いますが、領土問題と海洋政策です。
領土問題担当でもいらっしゃる大臣から、李承晩ラインによって国際法上無視をされて占拠され続けている竹島の問題、それから中国の海警の公船がたび重なる領海侵犯を犯している尖閣周辺海域などなど、我が国にとっても、当然、国土、領海、領空も含めて守られなければならないところがたくさんあります。
しかし、正面から領土問題をきょうはお尋ねするのではなく、この領土問題がかかわっている地域における海洋政策、例えば韓国や中国とどのような形でその政策をとっていらっしゃるのか、まとめてお答えいただければと思います。
○江崎国務大臣 まず初めに、竹島、日韓間の海域に関する境界画定問題については、国内外で我が国の立場について正確な理解が浸透するよう、内外発信の強化に努めてまいりたいと思っております。関係省庁とも連絡して、あらゆる努力をしてまいります。
一方、この問題と関係しない日韓両国の周辺海域においては、適切に協力を進めていく考えであります。例えば、日本、韓国、中国、ロシアをメンバーとする地域協力の枠組みである北西太平洋地域海行動計画への参画を通じ、日本海や黄海等における海洋環境保全を図っている、また、海洋ごみ問題については、日中韓三カ国環境大臣でも取り組みを進めている今日であります。
一方、尖閣についてでありますが、尖閣諸島周辺における中国公船の領海侵入に対しては、引き続き、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針のもと、冷静かつ毅然として対応していく所存であります。同時に、東シナ海については、APEC首脳会議の際に行われた今月十一日の日中首脳会談でも、両首脳間で、東シナ海を平和、協力、友好の海とすべく、引き続き意思疎通をしていくことで一致しております。
こうしたことも踏まえ、中国との間では、北西太平洋地域海行動計画、そのほか、日中韓三カ国環境大臣会合において一致した海洋のごみの問題、協力等、地域枠組みのもとでの取り組み、また、二〇一二年以降、日中高級事務レベル海洋協議を通じた対話、交流も積み重ねてまいりました。
引き続き、幅広い分野における協力の可能性を探求してまいります。
○玉城委員 ありがとうございます。
国際社会に、日本が積極的にこのような平和利用についてお互いに胸襟を開いて話し合いを求めている、行っているということをぜひ、全世界のみならず、国民の皆さんにもしっかり理解していただけるように、浸透していただければというふうに願います。
さて、続いては、今度は沖縄の基地負担軽減担当大臣でもある菅官房長官にお伺いしたいと思います。
さて、先日も米海兵隊員による飲酒運転の死亡事故が起こったばかりで、本当に悲しく、悔しい気持ちでなりません。
さらには、ステルス戦闘機F35のAが十二機、六カ月間ではありますが、嘉手納空軍基地に暫定配備されています。さらに、嘉手納基地には、日本周辺海域で米国の空母が、当然ですが、訓練をするときにはその艦載機が飛んできます。つまり、置かれている基地の運用のみならず、それ以外の訓練やさまざまな状況、米軍の運用次第で沖縄は常にその不安にさいなまれていると言っても過言ではないと思います。
ぜひそのことをわかっていただきたいと思いますが、菅官房長官が担当大臣として、この米軍の基地負担軽減、沖縄における負担軽減に対する取り組みをどのように考えていらっしゃるか、行っていらっしゃるかをまずお伺いしたいと思います。
○菅国務大臣 我が国に存在する米軍基地の約七割が沖縄県に所在をいたしております。そういう中で、安倍政権では、まさに沖縄の基地負担軽減を図るために、私、担当大臣として総理から指示を受けているのは、できることは全て行う、そして目に見える形で実現するように、このことが総理からの私への指示であります。私は、その指示を受けて全力で取り組んでいます。
例えば、政権発足をしてから、沖縄の人口の約八割が占める嘉手納以南の米軍基地七〇%、ここを返還することの、日米首脳会談の中で、当時オバマ大統領との間で合意をいたしました。
また、現実問題として、空中給油機は普天間飛行場から十五機、これは全て岩国飛行場へ移駐を完了しています。
また、西普天間住宅地区の返還、さらに環境補足協定及び軍属補足協定の作成、そして昨年は、沖縄県の米軍基地の約二割、本土復帰後から最も広い、最大の返還となる北部訓練場約四千ヘクタール、ここを返還いたしました。
そして、普天間飛行場に配備されたオスプレイ、沖縄県外への訓練移転や、さらには木更津自衛隊の駐屯基地における定期の機体整備、こうしたことの実現をするなど、基地負担軽減のために、私ども、今全力で取り組んでおります。
特に普天間飛行場でありますけれども、固定化は絶対避けなければならない、そして、危険除去のために辺野古移設、こうしたことを実現できるように今取り組んでいるところであります。
特に辺野古につきましては、地元の要望を踏まえて、離陸、着陸、いずれの飛行経路も海上になるように、滑走路を二本としてV字形に配置することによって、市街地の上空から海上へと変更されるわけでありますので、住宅防音が必要な一万戸以上の住宅がゼロになる、こういうことも移転をすることによって実現することができるわけであります。
政府としては、自然環境や生活環境に十分配慮しながら、辺野古移設に向けた工事を進めていくために取り組んでいき、普天間飛行場の一日も早い返還ができるように、基地負担軽減に全力で取り組んでいきたいと思います。
○玉城委員 一九九六年、一九九七年のSACO合意の合意にのっとって返還される基地の返還プログラムが一つずつ、少しずつそれが実現してきている。それが北部訓練場であり、あるいは普天間西地区のハウジングエリアの返還であるということは、これは県民は誰でもわかっているわけです。
ところが、沖縄から基地が減らないんですね。基地機能が減らないんです。それに県民は大きな不安と不満を持っています。
この間、昨年十二月に、名護市安部の海岸にオスプレイが墜落しました。不時着水と言っていますが、あれは水平に推進力を失ったオスプレイが重力でそのまま落ちたという、墜落の状態で横たわっていた写真が新聞でも報道されています。
以降は、一七年一月、うるま市伊計島に米軍攻撃ヘリ不時着。四月、米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が二・三キロの部品を訓練中に落とす。それから、六月、久米島空港でCH53大型ヘリが緊急着陸、伊江島にもオスプレイ一機が緊急着陸。八月、オーストラリア沖で普天間飛行場、普天間基地所属のオスプレイが墜落し、三人が行方不明。九月、石垣空港にオスプレイが緊急着陸。十月、つい最近です、東村高江の民間地にCH53大型ヘリが不時着し、炎上、大破いたしました。そしてさらに、先日十九日、那覇市で米海兵隊員が酒気帯び運転する米軍トラックが軽トラックと衝突し、運転手を死亡させるという事件が起きています。
一年間にこんなに米軍による不安がつきまとうというところが全国どこにありますか。この不安を取り除かないと、本当の意味での、真の意味での負担軽減にならないということを、私は予算委員会でも、それから各委員会でも総理や官房長官にたびたび申し上げてまいりました。
そして、嘉手納の爆音訴訟でも、これまでにも裁判では、この爆音は異常である、違法であるということが断じられています。
ですから、できることを全てやると言うのであれば、そのことをもってアメリカと協議をする、それが最も早い、できることを最大限やるという努力の姿勢だというふうに思うんですね。
では、この騒音並びに事件、事故等の軽減に関してどのような目に見える形での申し入れを行っているのか、お伺いします。
○菅国務大臣 この騒音は周辺住民の皆さんにとって極めて深刻な問題であり、その軽減を図っていくことは極めて重要な課題であるというふうに思っています。
そういう中で、政府としては、騒音規制措置の遵守や、休日や地元の重要な行事に配慮するように米国側に申し入れをする、あるいは、オスプレイの県外訓練の実施、嘉手納飛行場の戦闘機の本土、グアム等への訓練移転、こうしたものも着実に実施をいたしております。さらに、住宅の防音工事を実施することによって、環境基準が達成された場合と同等の屋内環境を保持する、こういうことに全力を尽くしてきております。
そしてまた、米軍による、今質問ありました事件、事故、ここは本来あってはならないものであります。政府としては、米側に対して、隊員の教育や綱紀粛正、再発防止、ここの徹底についても、機会あるごとに申し入れを行っております。
さらに、米軍の軍属補足協定の作成、これによって、軍属の範囲の明確化や、沖縄へ新たに着任した全ての軍人軍属等を対象として、米軍の研修資料について、沖縄県等の意見を踏まえた上で改定を行っています。
また、米側に対する抗議、申し入れだけでなくて、我が国として、防犯パトロールの体制の強化として警察官を百名、これはたしか去年、緊急に増員しました。さらには、青い回転灯をつけた沖縄地域安全パトロール隊、このパトロールカー百台による防犯パトロールを実施しており、まさに、防犯カメラの整備、こうしたものと相まって、安全、安心のために懸命に取り組んでいるところであります。
いずれにしろ、日米間の協力を一層促進しながら、米軍人等による事件、事故防止のために全力で取り組んでいきたいというふうに思います。
○玉城委員 今、地域安全パトロール隊の取り組みが紹介されましたが、では、ちょっとどなたか資料を持っていればお伺いしたいと思います。
地域安全パトロール隊員の取り組みの中で、報告もしくは検挙などに至った数字、全体の数字、そして、そのうち米軍関係の数字、何件なのかということをぜひ出していただきたいと思います。先日新聞でも公表されておりましたので、多分その資料はお持ちかと思いますので、数を教えてください。全体の数、それから米軍に起因する件数です。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
今、手元に委員から御指摘のあった数字がございませんので、直ちに本省に確認をさせていただきたいと思います。
○玉城委員 おかしいですね。先日新聞で公表されていましたので、てっきりその数字は、防衛省の予算による地域安全パトロールですから、防衛省の方でしっかりその数字を出しているものだというふうに思っておりますが。
もう一度確認します。今手元にないわけですね。
○深山政府参考人 今、その具体的な数字は手元にございませんので、すぐ確認をいたさせます。
○玉城委員 ありがとうございます。
では、その数字をもとにまた後刻しっかり協議をしたいと思いますが、私が新聞を読んだ限りでは、新聞報道では、一年間で上がった米軍絡みの件数は二件か三件だったと思います。
ですから、米軍犯罪に直接実は寄与していないんです、この地域安全パトロールというのは。ただいわゆる青色ランプを回して巡回していますので、何か車が通っているなとは思っていても、米軍側は、それが自分たちを見張るための取り組みだというふうには思っていないわけですね。そういうところも、私は綱紀粛正に取り組む姿勢が弱いのではないかというふうに思います。
官房長官、ありますか。
○菅国務大臣 今、委員の御指摘もしっかり受けとめさせていただいて、そういう対応もさせていただきたいと思います。
○玉城委員 それから、私は、重ねてこれも申し上げておりますが、普天間基地の辺野古移設には大反対の立場です。
名護市辺野古の新基地建設をめぐって、護岸建設用石材を国頭村の奥港から運んでいるという防衛局の取り組みで、奥集落は区民総会まで港を使用しないでくれと要請したにもかかわらず、ダンプカー約五十台分の石材を台船に強行して運んだというこの事実がありますが、昨日、国頭村奥集落は、区民総会を開き、港の使用反対を全会一致で決議しています。
地元の意思に反したものを進めようとすれば、反対に遭うのは当然ですね。そのことをしっかりと受けとめて、やはりできないものはできないということを根本からゼロベースで議論しなくてはいけないのではないかと思います。そのことを申し上げて、時間ですので終わりたいと思います。
ありがとうございました。ニフェーデービタン。
○山際委員長 次に、中川正春君。
○中川委員 まず、こうして質問の時間をいただいたこと、感謝を申し上げたいというふうに思います。
この委員会に所属をしまして、楽しみにしています。これからさまざまに課題をしっかり議論していきたいと思いますし、我々、三つに割れたことによって質問時間がかえってしっかり回ってくるような、そんな状況でもありますので、そのことも含めて期待をしていきたいというふうに思っております。
ここでまずきょう取り上げていきたいのは、外国人の問題であります。
インバウンドということで、観光客が思った以上に調子よく伸びてきているということ、これはよく指摘をされて、また、それをどう受けとめていくか、またさらに伸ばしていくかという議論はあるんですが、私は、今の日本の状況からいって、中長期的に考えていっても、在留外国人の受け入れ方、我々の社会の中に外国人をどう位置づけていくか、労働ということ、生活ということを含めて。ダイバーシティーとよく言いますけれども、多様性を含んだ社会をつくっていくということの中で一つ大きな要素になっていくんだろうと思うんですが、そういうところにある、それにもかかわらず、余り根本的な議論がなされていない。
根本的と同時に、総合的な戦略といいますか、そこに向けて国策としてどうしていくのか、これをどう受けとめて日本のダイナミズムに変えていくのか。特に、人口が減少する段階に来ているだけに、これは本当に大きな課題になってくるんだと思うんです。真っ向から取り上げていきたい、また、それをしなければならないというふうに思うんです。
まずそこのところを考えていくと、今、内閣府では、松山大臣が担当しておっていただく分野、これは外国人にかかわる問題としてはどの分野でありますか。
○松山国務大臣 中川委員にお答えさせていただきます。
内閣府では、在留外国人のうち、日本人の子孫として我が国と特別な関係にあることに着目してその受け入れが認められて我が国に在留する、いわゆる日系定住外国人に関する施策の推進を担当いたしております。
○中川委員 松山大臣が、定住外国人、これを日本の社会の仕組みとしてどう受け入れて問題の解決をしていくかということをやっていただいている。もう一つは、第三国定住という形で難民を新しく受け入れる枠組みをつくりましたが、それが内閣官房でやっておっていただいて、その二つなんですよね、今、内閣府全体としては。
ところが、これまでの変遷を見てくると、一九八一年に、入管法で外国人研修生としての在留資格というのが創設された。これは法律でやったんじゃなくて、閣議決定でやっていったものだと思うんですが。
それから、一九九三年、技能実習制度というのに書きかえられて、それから、今度は法律に基づいて、先般、この技能実習制度が、入管法の改正ということで、改めていわゆる改正されたということがあります。
さらに、一九九〇年には、これは入管法の改正で、さっき定住外国人の話が出ましたが、日系三世までの外国人とその家族を受け入れるということが制度化されて、今、その三世が、四世も受け入れていいんじゃないかという議論が進んでいるという形になりますね。
さらに、二〇〇八年には、EPAに基づいて、介護士、看護師の受け入れが始まりました。これは、外務省主導によって、貿易交渉のもう一方の条件としてこれを制度化したということ。なかなかうまくいっていませんが、これがあります。
それから、二〇一五年になってきますと、今度は国交大臣、国交省の方で、外国人建設労働者の受け入れを開始していこうと。これは新しい枠組みで、技能実習で一旦来た人たちを、もう一回日本に来てもいいよという、いわゆる在留資格の新しい枠組みをこれでつくったというようなことがあります。
それからさらに、二〇一七年、入管法の改正で、在留資格「介護」、これは介護福祉士を持っているということが前提ですが、この「介護」を創設した。
それから、二〇一九年では、今度は技能実習法の方の改正で、介護職種というのを新たに入れていく。
これが、私が理解しているこれまでの変遷なんですね。
これを見ていると、各省庁が自分の都合で、いろいろな団体に、人が足りないということ、あるいは、よくアンスキルドと言いますけれども、熟練した技能を持っている人たちじゃなくて一般の労働、この分野で各業界が人が足りないからということでそれを各省庁に上げてきて、各省庁がなし崩し的に一つ一つ自分の都合で広げてきたという、この道筋というのが見えるんですよね。
こうした流れで外国人の在留の形態というのがさまざまにふえてきているんですけれども、全体として今、動向はどうなっているか。これは法務省の方でしっかりちょっと説明をしていただけますか。
○山下(貴)大臣政務官 中川委員にお答え申し上げます。
もとより在留資格につきましては法務省が所管しておりまして、その資格に基づいて我が国で活動していただくということを専ら見ているわけでございます。
御指摘の、例えば技能実習につきまして、問題点ということでございますと、これは本来、開発途上国等の人づくりに協力することを目的とする制度でございますが、一部で、この制度の趣旨が労働力の確保策と誤解されるなどの問題が確かに生じております。
また、難民につきましても、例えば、専ら我が国での就労等を目的とした、明らかに条約上の難民と認められないような申し立てを行う者が相当数存在していると認められるほか、我が国のより一層の国際貢献を求める声があるとも承知しております。
また、日系人につきましては、先生御指摘のとおり、日本人の配偶者等または定住者の在留資格で入国、在留を認めているものの、来日後の問題として、地域社会における受け入れが必ずしもスムーズにいかないなどの事例がある。
また、留学につきましても、本来の来日目的が勉学ではなく、専ら就労であると疑われる事案もあると承知しております。
このほか、さまざまな問題があるというふうに承知しております。
○中川委員 茂木大臣、経済という分野で、ぜひ外国人をこれからふやしていこう、特に単純労働の分野でもこれが必要な時代になってきたねというような、審議会なりいろいろな協議会の中で答申が出ていて、それをもっとしっかりやらなきゃいけないねというその問題意識がおありだと思うんですよね。その辺も担当しておられるんだと思うんだけれども、違う分野で来ていただいたんだけれども、せっかくそこに座っていただいているので。
今法務省が指摘したような、そしてもっと深刻な問題が、まあ私も後で議論しますが、これは内包しているんですけれども。今、ただ、経済、各産業界が必要だからといって、これをこれまでのようになし崩し的に各省庁の都合でふやしていくというこのやり方、これで本当に外国人がこの国で生かせる、あるいは彼らの人権、あるいは社会の多様化の中でいわゆる統合施策が成功していくかどうか、そんな観点というのは本当は茂木大臣がしっかり持っていなきゃいけないところだと思うんですが、そこのところを、さっきからの議論を聞いておっていただいて、どのように方向づけられるか。
突然聞いたので、しっかり心の準備ができていないと思うんですけれども、この問題意識をしっかり確認したいんです。
○茂木国務大臣 中川委員、文部科学大臣もお務めになりまして、この分野の専門家でありまして、いろいろこれからも御教示を受けたいと思うんですが。
今、日本そして世界を取り巻いているさまざまな環境、大きく三つの変化があると思っております。
一つは、第四次産業革命に象徴されるようなさまざまな技術革新、イノベーションというのが起こっている。そして二つ目に、経済が圧倒的にグローバル化している。当然、日本に進出する企業、それに伴ってその従業員が日本に来る、こういった状況もあるわけであります。さらには少子高齢化の進展。
こういう大きな流れの中で、委員が御指摘いただいたような問題をどう捉えるかということが必要になってくると思っております。
それぞれ重なる部分はありますが、例えば、労働力人口が減少していく、こういった中で、恐らく一つは、技術によってどこまで補うことができるか。
建設労働者、今不足をしておりますが、ICT建設機械が出てくることによりまして、これまで熟練労働者、建設現場の熟練工を育てるのに相当時間がかかったのが、置きかえることができるようになってきている。
介護の分野でも、センサーの技術が進展をして、あっ、余り長く言うのはやめます。いろいろそういう技術によって置きかえられる部分もありますし、さらにはまた、高齢者、女性が活躍の場を持つことによって置きかえることができる。
ただ、それ以外の分野で外国の方を受け入れる必要というのも出てくるんだと思っております。おっしゃるように、個々の制度を所管する省庁があると思いますが、政府全体として、御指摘のような大きな問題についてしっかり対応していくことが必要だと思っております。
○中川委員 最後のところだけが大事なんです。そこが全くこれまでできてこなかった。
もう一つ言えば、移民という言葉がありますよね。これを避けて避けてしてきたんですよ、使うことを。移民というのはもっと幅広く使う言葉だと思っていて、ただただ日本に出稼ぎに来る、あるいは日本で、いわゆるステータスというか、ブラジル人だとかペルー人の三世、四世のように、たまたまそこに日本の血が流れているからという形で来た人たち、この人たちは移民という形になっていないんですよ。だけれども移民なんですよ。もう日本に定住して、だから定住をどうさせるかという問題点がある。そういうようなことを、本音と建前を分けながら議論を避けてきたという部分がある。ここをしっかり認識することによって、改めて国民に対しても、どうしていこうかと。
私は、移民が好き嫌いにかかわらず、日本に外国人はやってくる、この豊かな国で自分の人生のチャンスを全うしていこうという人たちはこれからもふえてくる、そしてまた、日本の社会もそういう人たちが必要だということ、これがある限りは、やはり外国人は入ってくるんだと思うんです。
その中で、今やっていることというと、一つは、いわゆる日系人や技能実習やEPA、これはいろいろあるんですけれども、日系人の場合は日系という名、あるいは、技能実習というのは、技能修得が目的で、日本が技能を教えてやって、それで国際貢献をしていくんだという大義名分でやっているんですよ。EPAというのは、外務省が貿易交渉の中でしつらえてしまった話。
ところが、日本に来る外国人というのは、そうした目的で本当にやってくるのかというと、そうじゃなくて、実質的には出稼ぎに来ているんだよということであるとか、あるいは日本で生活していきたいんだということであるとか、全く我々が掲げておる目的とは違った、本音のところで生きようとしているんです。
ところが、目的がそういう形なものだから、日本の国内で、その目的に沿った形じゃなくて実態に沿った形で社会の仕組みができているかどうか。例えば、日本語を習得できるような、そういう社会構造になっているのかどうか、あるいは企業で、高度人材と言われる人も含めて、ちゃんと受け入れてその人たちを生かしていくような土壌がちゃんとできているのかどうか。
例えば、留学生が今ふえてきています。三十万、四十万、もっともっとふやそうというような目標を持ってやっていますけれども、何とそのうちの三〇%しか日本の国内で就職しないんです。全部、母国に帰るか、アメリカに行くか、ほかの国に行っちゃうんですよ。というような状況があるんです。
そのところをしっかり受けとめて、本音と建前が違うような、特に単純労働で日本に入ってきている人たちは、このままだと社会の底に張りついていく、いわゆるヨーロッパやアメリカで起きているような、亀裂というか、民族問題を将来惹起するような、そういうような状況が予想されるということ、これに危機感をもっと持たないといけないというふうに思うんです。
その上で改めて聞きますけれども、内閣府の方、あるいは官房でもいいです、この問題に対してトータルで、受け入れる方の入り口の制御をどうしていくかということと、それからもう一つ、受け入れた後の彼らの人権とそれからこの社会の仕組み、これを社会統合していく、そのことの方向性と、この二つをかみ合わせた形で移民の基本法をつくっていくということ、これにぜひ取り組むべきだと私は思うんです、今の段階で。そして、国民のコンセンサスをそこでつくっていくべきだというふうに思うんですが、どっちの大臣でもいいです、私がやりますよ、そこからひとつ出発していきますよという答弁をいただきたいんですけれども、手を挙げてください。
○茂木国務大臣 決して、手を挙げた大臣がやるということではないという御理解でお聞きいただきたいと思うんですが、大変重要な御指摘をいただいたと思っております。
まず、これまでのそれぞれの、法務省であったり、さらには内閣府であったり、そして外務省の取り組み、一旦整理をさせていただいて、恐らく、それだけではこれからの時代の動きに十分対応できない部分というのはあるんだと思います。それに対して、どういった検討の体制であったり、どういった具体化が可能であるか、政府全体として考える必要がある大変重い提言だ、このように受けとめさせていただきます。
○松山国務大臣 お答えします。
先輩の先生の大変重要な御指摘だったというふうに存じます。
日系定住外国人、私の担当以外の在留外国人に関してもさまざまな課題があるというふうに承知をいたしております。今、茂木大臣からもお話がございましたように、内閣府としても、関係省庁と連携して、政府一体となって今後も対応していくことが重要であると考えておりますので、引き続き努力していきたいと思っております。
○中川委員 実は、それが待ち切れなくて、やれるところからやっていこうということで、私のパートナーは馳先生なんですが、超党派で、日本語だけでもしっかりした教育システムが組めるように、日本語教育推進基本法というのを一遍つくってみようと。そこで、いろいろな問題がつくっていく過程で今の制度として出てくる、今そういう状況になっているんですが、そういうことを始めています。ぜひ協力もいただきたいと思うんですが、もっと言えば、さっき申し上げたように、移民の基本法というのを、皆さんの中で問題意識を持ってぜひ取りかかっていただきたいというふうに思います。
次に移ります。
これは茂木大臣の方なんですけれども、奨学金ですね。高等教育機関とあわせて無償化をしていこうということ。これは、授業料の無償化、奨学金の無償化、さまざまにあるんですが、今考えておられる無償化というのはどのように定義しているんですか。一つは、学校の方の授業料を無償化していくという議論があると思います。もう一つは、奨学金を貸与じゃなくて給付型にしていこう、そういう考え方もあるんだろうと思います。今、どのようにそこは整理しているんですか。
○茂木国務大臣 教育の無償化、大きく、幼児教育の無償化、そしてまた高等教育の無償化を進めることにしておりますが、幼児教育、三歳から五歳につきましては、幼稚園、保育園、全ての子供を対象に無償化を実現する予定であります。
一方、高等教育につきましては、どのような家庭環境にあっても、本人の意欲があればそういった機会が与えられるような社会をつくっていくということから、所得の低い世帯については、その教育を支援する。
具体的内容につきましては、まず、学費につきましては授業料免除。そしてもう一つ、生活費も必要になって、ずっとアルバイトをしていないとなかなか生活費が出せないということでは学業に専念できないわけでありますから、返還義務のない給付型の奨学金、これによって、低所得な家庭であっても意欲があれば高等教育が受けられる、こういった環境をつくってまいりたいと考えております。
○中川委員 幼児教育から大学まで無償化をしていくということ、これは何か、我々が言っていたことをいいとこ取りされたような政策なんですが、いずれにしても、それは進めていくべきだというのはもともと私たちの主張だということで、改めて申し上げたいと思うんです。
その中で、我々も実は過去に法案を出していました。この解散で飛んでしまいましたけれども。そのときに議論したのは、高等教育の中で、さっきのように、授業料を無償化する、これは低所得ですよ。恐らく給付型の奨学金、これも所得制限を入れますよということになるんでしょう。そうしたら、その所得の低い層に対しては授業料も奨学金も両方が重ねて行くわけですね。という設計になるんですが。
特に授業料という部分については、これはいろいろな国の例があります。やはり、社会全体でそこの教育というのはやっていこうという部分からいえば、なべて多いんですよね、授業料を無償化していくというのは。
ところが、奨学金の場合はいろいろな議論があって、大学に行く意思がない、行けないんじゃなくて行く意思がなくて働いている人たちもいるわけです。これは生活費なんですよね、さっきの両方でいけば、両方やるということになれば。片方は自分で稼いで自分で生活しているんだけれども、学生であればそこのところは生活費まで出すのかということで、そこに不公平感が出てこないかという議論もあって。
実は、特に私が設計したいと思ったのは出世払い奨学金で、多くの国で、ニュージーランド、オーストラリア、それからイギリス、こういう国々では、学生時代に貸与型の奨学金を得て借金しても、それから一生懸命頑張ってある程度の所得のレベルになったら、そこから返済をする。そこまでは返済免除でしばらく待つよという出世型、出世払い奨学金。実は私が担当していたときにこの名前をつけて、一部やり始めようということでやり始めたんですが、そういう整理をしていくということが公平性から考えてもいいんじゃないかというふうに思って、そういうシステムを前提にした法律を実は議員立法として先年出したんです。
このところの課題というのをよく整理してもらいたいと思いますし、それが両方整理されずにそのままやってしまうと、後、禍根を残す結果になるんじゃないかな、そういう思いもあります。さっきの答弁だとそこのところが整理されなくて、とにかく両方やろうじゃないかというふうな形でしかないので、一度そこは議論をしていただいたらどうでしょうか。
○茂木国務大臣 まず、先ほど答弁申し上げました給付型の奨学金についてでありますが、これは、意欲がある人が大学に行って学びたい、しかし、生活費が全く出ない状況でありますとなかなか学業に専念できないということから、こういった形をとりたい。例えば、高校でその後大学に進学されずに就職をされた方、それは一定の生活費でない収入というのも得ることができるわけでありまして、その選択ができる。自分が高校を卒業して、そのままつきたい仕事につくのか、それとも、大学に行って、その間はある意味貯蓄ができるような収入はならないけれども学業に専念するのか、そういう選択ができるような社会を所得が低い世帯についても提供したい。
その上で、こういった、非常に所得が低い世帯に準ずる家庭、さらには中所得の家庭、これにつきましてはさまざまな支援というのが考えられるのではないかなと思っておりまして、一定の授業料の減免であったりとか、給付型の奨学金、一定の給付と……(中川委員「それを読むんじゃなくて私の問いに答えてください」と呼ぶ)ええ、今行きますから、もうすぐ。待ってください。
その上で、御指摘をいただきました、オーストラリアのHECSを初めとします諸外国の制度、これにつきまして、この低所得の方は、今言ったような形の措置で資金的には面倒が見られるわけでありますから、低所得に準ずる中所得の家庭につきましては、そういった諸外国の例も参考にしながら、今後しっかりと検討してまいりたいと考えております。
○中川委員 ちょっと私の言った意味合いをしっかり受けとめてもらえなかったようですけれども……(茂木国務大臣「理解しています。ちゃんと理解しています」と呼ぶ)ええ。さらにこれは議論しないといけないと思います。
それは、チャンスを取り上げるということじゃなくて、資金は出るんですよ、資金は出るけれども、どういう種類の資金にするかという議論をしっかりしておかないといけないということと、恐らく給付型というのは、民間の奨学金をもっと積み上げることだというふうに思うんです。税でやる奨学金というのはよほど気をつけないといけないというふうに思っておりまして、それでもやはり設計はうまくできるということなんですよね。
そこのところをちょっと指摘して、できることなら、我々が出した法案の道筋に沿って仕組みをつくるということ、これが正しいんじゃないかというふうに指摘をさせていただいて、そしてきょうの質疑を終わりたいというふうに思います。
ありがとうございました。
○山際委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野です。
本日、大阪六番目となりましたけれども、よろしくお願いをいたします。これだけ大阪の人が質問に立つのはなかなかないとは思いますけれども、特にそんなに他意はないということですので、よろしくお願いいたします。
まず冒頭に、小此木大臣は、きょう私、質問がないのでいらっしゃいませんけれども、台風二十一号、きょうは午前中の神谷委員の質問の中にもありました、私の選挙区も非常にたくさんの被害を受けております。それでまた政府一体となって台風二十一号の被害回復に当たられていただいているということで、本当にありがたく思っております。これからもよろしくお願いをいたしたいと思います。と同時に、やはりまだまだこの被害から立ち直られていない方もいらっしゃいますので、引き続き御支援をよろしくお願い申し上げたいと思います。
それでは、一つ目の質問に移りたいと思います。
これもきょう午前中に大西委員の方から質問がありました、サンフランシスコ市議会の慰安婦像の件です。
これは、今報道されていますように、受け入れすることがもう決まってしまいました。残念なことです。
私たち、こういうことがないように、本当にいろいろな場面で訴えかけてこさせていただいた。私どもの代表質問の中でもその件はしっかりと政府にお話をさせていただいて、安倍総理も二十一日に国会で、サンフランシスコ市長に像の寄贈を受け入れないように申し入れたということを明らかにしていただきました。
安倍総理が、慰安婦像のサンフランシスコ市への寄贈は我が国政府の立場と相入れない、極めて遺憾なことというふうに表明をされました。また、菅官房長官も、アメリカでの慰安婦像設置に向けた動きは我が国の立場と相入れない、極めて残念だと思うということで、政府の立場をしっかりと表明していただいております。
ここで、まず一点目なんですけれども、安倍総理はサンフランシスコ市長に申し入れをしたということですけれども、これはどういった形で、大阪の吉村市長は公開書簡という形で申し入れをしていますけれども、政府はどういった形で申し入れをされましたか。
○堀井(巌)大臣政務官 お答え申し上げます。
まず、政府として、サンフランシスコ市長に対し、慰安婦問題に係る我が国の立場を改めて説明の上、二十四日までに拒否権を行使するよう申し入れを行ったことは事実でございます。
なお、外交上の個々の取り組みの詳細についてでございますが、その点につきましては、今後の対応に支障を及ぼすおそれもありますことから、お答えをすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○浦野委員 要は、どういった形で申し入れをして、どういう文章、どういう内容かというのを詳細に我々国民が一般に知ることができないということですけれども、大阪市は、公開書簡という形でホームページに載っています。これは、国民誰もが見ることができるものです。
この後の外交上の云々かんぬんということですけれども、これはもちろん政府対政府ではない話ですし、友好都市間の、都市、シティーとシティーの話でもあります。一概にそのあたりの、日本の制度とアメリカの国のあり方の制度は全く違いますから、それが外交問題に発展する、しないとか、どういう影響があるかというのは、なかなか判断は難しいかもしれません。しれませんけれども、少なくとも、大阪市は、国民にしっかりと、どういった申し入れを行ったのかということを広く知っていただくために公開をしております。
私は、国もぜひ、どういった申し入れを行っているのかということはしっかりと国民の皆さんに理解をしていただいた方がいいんじゃないかというふうに思いますので、今すぐはできないかもしれませんが、これはすべきだと思っております。
例えば、では外交交渉にどんな悪い影響があるのかというのを、一般的なことでもいいですので、何か、どういったものがあるのかというのをちょっと、私は余り想像できなかったので、お答えをいただきたいと思うんですけれども。
○志水政府参考人 お答え申し上げます。
この種の問題につきましては、言うべきことはきちんと言うということが非常に大事かと思います。
ただし、それを誰に言ったのか、どのような形で言ったのか等につきましては、その内容が、もしかしますと予期せぬ使われ方をされることによって予期せぬ事態を招くかもしれませんし、今後、日本のさまざまな活動におきまして支障を及ぼす可能性も考えられなくはないというようなことがありましたので、慎重を期しているというところを御理解いただければ幸いです。
○浦野委員 今の説明もちょっと、どこがそういうふうになるのか、問題になるのか、今回の件に関してどこが問題になるのかというのはちょっとわからなかったですけれども、大阪市長は、今までも言っていたみたいに、市のホームページで公開をしています。公開書簡にした理由もちゃんと書簡の中に書かれてありますけれども、内容的にも、ことし、実は姉妹都市の六十周年だったんですね。非常にその六十年の友好を尊重した、丁寧な内容でした。
午前中の方の質疑で、市長の書簡に、さも内容に問題があるかのようなことをおっしゃっていましたけれども、私が読んだ限りでは全くありませんし、きっと読んでおられないのかなと思ったりもしたんですけれども、読んだのであれば、どの部分が不適切、問題なのか、やはり国会できっちりと指摘すべきだと思うんですね。
私も、大阪市の市長はちょっとした知り合いですので、どこがいけなかったかはまた言っておきたいと思いますので、ぜひ具体的に指摘をしていただきたいと思います。
サンフランシスコ市は、慰安婦に関する事柄についてはもう交渉の余地はないというメールで返信をされました。今回の件を批判的に言われている方は、大阪市の対応が丁寧じゃないと言う方はいらっしゃいますけれども、大阪市は公開書簡で送っているんですよね。それに対して、一方は、メールでさらっと返信をしてくる。どちらがこの六十年間の友好を大事に思ってきたかというのは、これを見ても明らかだと思うんです。
やはり、この慰安婦像を受け入れたというのはサンフランシスコ市が決めたんですよ。これも、自民党の国会議員、長尾代議士がホームページに書かれています。今回の解消を決めたのはサンフランシスコ市側だということを御自身のホームページで書かれております。中には、大阪市議会で大阪の自民党の市議団が反対をしたことに関しては全く理解できないということも一緒に書いておられますけれども、本当に、日本の中でこうやってああだこうだと言っていること自体が、私はちょっと残念だと思っています。
私は、これはやはり朝日新聞の報道から始まった歴史戦だと思っていますので、ぜひここはしっかりと、日本国、少なくとも与党、野党、まあまあ、野党の中ではちょっと一緒にできない人もいてますけれども、しっかりと一致団結して、言わないといけないことは言わないけないと思っていますので、しっかりとやっていきたいと思います。
先ほども、質問していたら後ろで印象操作という言葉が聞こえましたけれども、この印象操作も、例えばきょうの産経ネットニュースとかをインターネットで検索していただいたら結構だと思うんですけれども、非常に多くの大阪の自民党に対する批判が、紹介できないほど書き込まれています。これは私は、印象操作どうこうというのが、それは国民の声であって、印象操作でも何でもないですよね。国民の皆さんが今回の件について……(発言する者あり)いやいや、インターネットの書き込みは大阪自民党の批判をされているんですよね。それを印象操作だと言うのは、私は、国民が皆さんに声を届けているものを印象操作だと一言で断じることはおかしいと思っています。それは言っておきたいと思います。
ただ、とはいうものの、さっきも言いましたけれども、これはやはり大事な歴史戦です。私はこれは、もちろん、最前線は外務省なのか、これはもう内閣なのか、わかりません。私は、本当は菅官房長官にお聞きしたかったんですけれども、ぜひこれは、こういったことがまだ続くかもしれません、そういったときに、日本としてしっかりと対応できるように意見をしっかりとまとめていただけたらと思っております。
それでは、次の二問目に入りたいと思いますけれども、性暴力被害者支援法案についてお伺いをいたしたいと思います。
この法案に関連しては、前国会などでも、野党が集まって法案を提出して、審議をしてほしいということでお願いをしてまいりました。
今回新たに担当大臣もかわられて、政党の枠組みも今回変わってしまいましたので、私は従来、もちろん我々が出した法案を審議してほしいというのはありますけれども、一義的に、こういった法案は政府が主体的になってしっかりと進めていただきたいと思っております。
今回担当大臣になられた野田大臣、この件について、この国会はもちろん無理ですけれども、次の通常国会に向けて、そういった法案を用意する、そういった作業をしていただけるかどうか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○野田国務大臣 浦野委員とは、いろいろと議員提案の法律で御一緒させていただく機会も多く、ややもすると、なかなか議員提案というのは成立し得ないんですけれども、すばらしい御活躍をされていることをまず感謝したいと思います。
まず申し上げたいことは、性犯罪、性暴力、これは女性の人権を著しく踏みにじる、絶対に決して許されない行為だということです。
政府の取り組みに関してですけれども、法案を起案するかどうかの前に、現状を知っていただきたいと思うんですけれども、現在、政府では、性犯罪、性暴力被害者の支援につきまして、第四次男女共同参画基本計画及び第三次犯罪被害者等基本計画に基づいて、それぞれ関係省庁が連携して各般の施策を推進しているところです。実際にいろいろなことをやっております。
我々が思っているのは、性犯罪、性暴力被害者の支援というのの一番大事なことは、やはり、その被害者の負担をできるだけ少なくしてさしあげるということではなかろうかと。それを踏まえて、政府としては、被害の直後から、医療面、心理面などの支援を可能な限り一カ所で速やかに提供できるワンストップ支援センターというのを全国各地に整備するということを、法律以前にやらなければならないということで取り組んでいます。
具体的には、第四次男女共同参画基本計画において、平成三十二年までに、各都道府県には必ず最低一カ所、そのワンストップ支援センターを設置することを目標に取り組んでいるんですね。
ちなみに、大阪では、SACHICOという大変頑張っていただいている支援センターがございます。
今現在のところは、都道府県四十一まで支援センターをつくっていただきました。鋭意取り組んでいきたいと思います。
これからも当然、今年度新たに創設した性犯罪・性暴力被害者支援交付金を活用します。そして、支援センターの全国整備の推進と、それぞれ支援センターの安定的な運営を図るためにしっかり取り組んでいきたいと思っています。
そこの中でまだまだ足りない点があって、必要とあればということであれば、法整備の検討というのは考えられると思いますが、とりあえず、現在、政府としてはここまで現実的に取り組んでいることを御理解いただければと思います。
○浦野委員 偶然ですけれども、この十一月の十二日から二十五日は女性に対する暴力をなくす運動ということで、今大臣もつけられているこのリボンの運動期間にもなります。先ほどの答弁は従来の答弁の範囲を超えないものだとは思いますけれども、今まででも野田代議士とはさまざまな場面で、ほかの法案でいろいろとやりとりをさせていただいた中で、やはりしっかりとこういった問題に取り組んでいただける大臣だと思います。
ぜひ、今紹介のあったSACHICOも私の選挙区のところですので、また、前回の担当されていた、今の加藤厚生労働大臣も一度見に行っていただけましたので、ぜひまた野田大臣にも見に行っていただけたらなと思っていますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
安倍総理は、保育の受け皿整備をめぐって、企業から三千億円の拠出金をふやすように求められました。ニュース等では、企業もそれに応じて三千億出しましょうということになったやに聞いておりますけれども、この三千億の、どういった使い道、内容なのかというのを少しお聞かせいただきたいと思います。
○村井大臣政務官 お答えいたします。
十月二十七日に開催されました第二回の人生百年時代構想会議において、総理から、待機児童解消を目指す子育て安心プランの前倒し実施を含め、年内に二兆円規模の大胆な政策を取りまとめるとの発言があったところでございます。
あわせて、総理から、その財源として、大宗は消費税率引き上げによる増収分の使い道を見直して活用するとともに、産業界においても三千億円程度の拠出について具体的な検討をいただきたい旨の発言があったところです。
総理からの要請を受けて、産業界では真摯に御検討をいただいているものと理解をしておりますが、政府として、まだお返事をいただいていないという状況でございます。使い道も含めて、現在検討中ということでございます。御理解いただければと思います。
○浦野委員 二〇一九年の消費税増税時の二兆円の枠の中で、そのうちの三千億を企業からという形だということで。
ということは、来年度、二〇一八年は検討をする時期という形で、関係ないということで、二〇一八年の予算には関係ないということですよね、その三千億というお金というのは。
○村井大臣政務官 今申し上げましたとおり、待機児童解消を目指す子育て安心プランの前倒し実施ということも含まれておりますけれども、そういったことも含めて、来年度予算の計上も含め現在検討中ということでございますので、御理解賜れればと存じます。
○浦野委員 教育無償化を進める中で、まずは待機児童を解消すべきだという声もたくさんあるのは承知をしております。私たちも、もちろん、教育無償化を進めていく議論を引っ張ってきた中の一野党ですから、しっかりとやっていただきたいと思います。
待機児童の解消は、もちろん、これもしっかりと対応をしていただきたいと思います。ただ、少し他党と我々が違うのは、待機児童の解消は特に都市部だけの問題で、権限をしっかりと都市部のそういう市町村に移譲して、市町村にしっかりと対応を任せるようにすべきだというのが我々の考え方ですので、待機児童の解消をしっかりと進めている市町村、特区という形でやるのか、どういった形でやるのかわかりませんけれども、まだまだやはり市町村のできることというのを市町村の裁量でやっていけるような仕組みが必要ですので、そこら辺ももう少し柔軟に考えていただけたらと思っております。
待機児童解消の整備について、ちょっと今地元から一つ、困った声が上がっているのがあります。
認定こども園は、一義的には内閣府が所管をしております。保育所は厚労省、幼稚園は文科省、その両方の機能をあわせ持つ認定こども園は内閣府と、今所管が三つに分かれていて、我々、保育、幼稚園業界からは、どこか一つに絞ってくれよというふうな声はもう従前からずっとありますけれども。
今回、その悪い部分が非常に出ているんじゃないかということが一つ起きておりまして、認定こども園を建てるに当たって、保育園の部分はもちろん厚労省が担当していますので、保育部分は厚労省の予算で内示をいただく、幼稚園の部分は文科省の担当ですので、文科省から内示をいただくということになっております。
ところが、実は、認定こども園、ことしは申請が非常に多かったということで、文科省が用意していた予算がもう既に全部なくなってしまった、消化されてしまったということで、今現在、認定こども園をつくろうとしている認定こども園さんに、文科省の部分の内示がおりないんですよ、予算がないということで。
ということで、運営側からすれば、内示がないものを建築を、では保育園の部分だけ先につくりましょうかなんという設計のやり方はありませんから、一体で建築はするものですから、内示が片方である、片方でないということで、本当に大丈夫なのか、予算をほんまにつけてくれるのか、最終的にという心配な声が今出ています。
前大臣がここにいらっしゃいまして、横でうんうんとうなずいていらっしゃるのが目の端ですごく見えるんですけれども、こういった不安があると、待機児童解消のために今、大号令をかけて認定こども園をつくっている運営者が多い中で、こういったことがあると、やはり二の足を踏んでしまいかねない状況になります。
これをちょっと、私としては、内閣府がしっかりもっと音頭をとって、大丈夫や、予算、内示はおりていないけれども絶対つけるから、やってくれというふうなことを言っていただけるんだったらありがたいんですけれども、そういった答弁はできますか。
○白間政府参考人 お答え申し上げます。
今、認定こども園の幼稚園機能部分に係ります施設整備の認定こども園施設整備交付金についての御指摘がございました。
委員御指摘のように、今年度につきましては、需要額が予算額を大幅に上回ってしまったために十分に財源を確保できないことから、事業者の皆様に大変な御不安をお与えしているということで承知しておるところでございます。
今年度につきましても、例えば昨年度までの事業だった安心こども基金事業を延長するなどして、これまで善処してきておりますが、さらに今年度も、引き続き財源を確保しながら、まだ内定をお届けできていない事業者の方につきましても、財源が確保でき次第速やかに対応させていただきたいということで、今努力をしているところでございます。
○浦野委員 大臣はよろしいですか。
○松山国務大臣 委員御指摘のように、今年度、文部科学省が所管する交付金について、需要額が予算額を大幅に上回ったということで十分な財源を確保できなかったことは承知をいたしておりまして、私の地元からも同様のようなお声を聞いております。
文部科学省において、昨年度末までとされていた安心こども基金事業を延長するなどして、可能な限り善処してきたと聞いておりますが、施設整備を希望する皆様に大変御面倒や御心配をおかけしていることと存じます。
このような状況を生じさせないために、文部科学省においては、平成三十年度概算要求において対前年度比で大幅に拡充して予算要求をしていると承知をいたしております。
認定こども園の施設整備に対して支援を行うことは、子供を安心して育てることができる体制整備の観点からも大変重要なことであると認識をいたしております。そのため、文科省においてしっかりとした対応がなされるように、内閣府としても取り組んでまいる所存でございます。
○浦野委員 文科省の皆さんからはしっかりと対応しますということも個別では言ってはいただいているんですけれども、それが市町村の単位になると、内示はおりていないけれども早く設計して着工してくれと、やはり待機児童解消をいち早く、早くやりたいから、市町村にせっつかれるわけですね。しかし、運営者からしたら、確約もないのにやって、しかも、もうこの時期ですから、年度をまたぐ工事とかも出てきますので、年度をまたいだ場合にまたややこしい話になったりとかいろいろ、大丈夫ですよと政府が予算について担保してくれるくれないでは、やはり違いますので。
そこで、今回は予算がなくなってしまったというのは非常に残念なことですけれども、来年度は、こども基金も期限が一応、法律上はたしか来てしまいます。これから保育施設の整備の財源を来年度どうするのかというのは、恐らくまたこれからの議論になってくるとは思うんですけれども、やはり、待機児童はもう絶えず、今も来年度の申し込みがもう市町村では始まっています。その中で、ある程度の子供の人数というのが、もうあと数週間もすれば大体の数字が市町村は把握できるようになってきます。そこで、やはりまた、では来年度どれぐらいの保育所、幼稚園、認定こども園を整備していくのかというのを計算しないといけなくなりますので、そういったときにもう予算の心配をする必要がないように対応していただけたらと思っておりますので、ぜひよろしくお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○山際委員長 次に、山崎誠君。
○山崎委員 立憲民主党の山崎誠です。お疲れの時間になってまいりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私はもともと、批判から提案の政治というキャッチフレーズを持っておりまして、ぜひそういう方向性で質問させていただきたいと思います。若干批判的なことも出てきますが、ベースは、やはりいい制度はきちっと伸ばして、国民の皆さん、国のために生かしていかなきゃいけない、それが大前提だと思っておりますので、できるだけ、批判のための批判ではなくて建設的な議論をしてまいりたいと思います。
きょうは、加計学園の獣医学部の特区でも問題となっておりますが、国家戦略特区制度について御質問をしてまいりたいと思います。
国家戦略特区制度、規制改革の手段としては、今もお話ししたように大変有効な制度であって、今回、二〇一三年にこの国家戦略特区というものができて、よりスピーディーに強力に改革を進めるんだ、官邸主導ですか、そういったものを強めていこうというこの改革自体は私は評価できると思います。
もともと、この特区制度、構造改革特区制度あるいは総合特区制度もあわせて、やはり現場の声というんですか、地域、自治体の皆さんのいろいろな思いとか事業をやっていく上での課題とか、そういったものにひとつ応えよう、あるいは民間の事業者の皆さんのいろいろなアイデアをうまく吸い上げようということだと思います。そういった意味で、こういった制度はとても有効であると思いますし、先ほども言いましたように、これをうまく使うことがやはり行政の役割だと思っています。
そういう中で、今回、加計学園の問題等が取り上げられてしまって、事業の運営の仕方、運営のプロセスについて、皆さんは否定されていますが、疑義が生じてしまっているというのが残念ながら現状であろうと思っています。
そこで、私もそういった観点でこの制度を一回点検させていただいて、今後、この制度をどう伸ばしていくのか、あるいは、今ある課題についてはどういうふうに整理をし、正すべきことは正していくのかということを少し議論したいと思います。
前提として、先ほど山井委員の質問の中で、実は、梶山大臣が、国家戦略特区諮問会議の基本方針に触れるお話をされていたと思います。利害関係を有する議員についてはそういう審議には参加しないという方針があって、一般論ではあるというお話でしたが、安倍総理は友人関係であって利害関係者ではない、別物だというお話をされましたが、それは正しいでしょうか。
○梶山国務大臣 先ほど山井委員の方から一般論としてというお話がありましたので、私も一般論としてお答えをさせていただきました。利害関係者というのは、やはり法律的には別の意味であって、友人であるだけで利害関係者になるとは思っておりません。
そして、七月の末に閉会中審査で、衆議院、参議院ございましたけれども、総理もそういう話は一度も聞いていないというお話がありましたし、その途中においても、一月二十日までにおいても知り得なかったということで、そういう話であると思っております。
○山崎委員 ここが少し問題になってしまうんですが、安倍総理は、実は加計学園の監査役をやっていらっしゃった、以前に。監査役というのは役員ですよね。やはり大事な役員だと思います。報酬も得ていたという事実があります。そうすると、梶山大臣のおっしゃっている利害関係者に当たってしまうんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○梶山国務大臣 多分、過去においてということで現状ということではないと思いますけれども、過去において監査役をやっていたということであれば問題はないと思っております。
○山崎委員 今の答弁は、過去であれば問題ないというんですが、過去というのはどういうイメージというか、どういう定義をされますか。
○梶山国務大臣 この計画を知り得た時期でなければ問題はないのではないかと思っておりますけれども。監査役の仕事としてですよ。
○山崎委員 それはどこかにルールとしてあるものなんですか。梶山大臣の御判断ですかね。
というのは、当然、過去にそうやって世話になっていた、例えば加計学園の皆さんに、いろいろ仲間として、いろいろ役員として世話になっていたという実績がある方が、現在、何か頼んできたときに、あのときはお世話になったからなというのは普通の人情じゃないですか。過去、そのときは知らなかったけれども今は知ったから、そういう話ではないと思うんですけれども、どうですか。
○梶山国務大臣 それは、どういう感情が起きたかわかりませんけれども、公の場合はそれは私はないと思っておりますし、総理による指示や配慮といった個別事業への関与については、交友関係の有無にかかわらず、厳密に吟味はされる必要があると思っております、一方で。
○山崎委員 ちょっと苦しい答弁ですよね。私はやはり、これは普通の感情として本当に注意をしていただかなければいけない。先ほどもお話ししましたけれども、国家戦略特区は、やはり官邸主導で、総理が議長で、諮問会議が指導していく、そういう強い制度にしたわけですよね。私はそれを評価するとお話しした上で、こういう問題は、やはり真摯に対応しないと。
それで、安倍総理は、これだけ親交が厚いわけですから、過去、監査役をやっていたというのを忘れているとかという話ではないと思うんですよ。やはりいろいろなおつき合いがあった中で、今もつき合いがある。今は友人関係だけかもしれないけれども。そういう流れの中で考えたときに、やはりここは、先ほどもお話があったとおり、諮問会議の基本方針に反するんじゃないかというこの疑義は晴れないと思います。
私は、今言った、そういう役職についているということと、それから友人関係もやはり問題だと思います。友人関係で、あれだけいろいろな場面で御一緒している人たちがいれば、そういう場面があれば、それはやはり、安倍総理というか、個人名はいいんですが、ああいう場合、例えば議長はその場ではおりるとか、その議論には参加しないとか、そういう配慮が要ると思うんですけれども、国家戦略特区の制度を担当している梶山大臣としてどう思いますか。
○梶山国務大臣 七月の閉会中審査のときも、総理も丁寧に説明しているかと思いますけれども、加計学園が入っていたということを知らなかったということもあります。一月二十日にそれがわかったということでありますし、その間、総理はこの件については一切承知をしていなかったということでありますから、問題もないと思いますし、私、友人であるから全てが利害関係者だということにはならないと思いますし、その間に、先ほどもありましたけれども、多分話されているんじゃないかとか、多分話しているんじゃないかという、推測に基づくことにはコメントすることはできません。
○山崎委員 時間もあれなのでやめますが、今の話は事実なんですよ。監査役をやっていたというのは事実で、報酬も受け取っていたというのは事実なので、臆測ではありません。なので、私はあえて、友人関係も問題ではないかと言いましたが、それはおいておいたとしても、この監査役の問題はやはり重要ですので、少しここはまた追及というか、お話をしていかなければいけないと思います。
○梶山国務大臣 推測と申し上げましたのは、会話があったとか、そういう話がされているという推測に基づいての話ということで、監査役が推測とは言っておりませんので、そこだけ訂正させていただきます。
○山崎委員 では、少し先に行きたいと思います。
国家戦略特区の制度の点検というか、お話を少し続けたいんですが、ちょっと確認の意味で、前提として、国家戦略特区制度の目標というか目的、どんなようなことを目指しての制度なのかというのをお話しいただけますか。
○梶山国務大臣 国家戦略特区制度においては、産業の国際競争力の強化及び国際的な活動拠点の形成の推進に関し政府が講ずるべき新たな規制、制度改革提案を随時募集しているということでありまして、ほかの制度もございましたけれども、国家戦略特区に関しましては、規制改革を軸に据えた地域活性化も考えているということであります。
○山崎委員 ありがとうございます。
産業の国際競争力を強化する、国際的な経済活動の拠点の形成、そういったことがベースにありますね。地域の活性化もあるというのは理解をしています。
そういった意味で、ちょっとこれは参考までになんですが、そういった目的にうまく合致した、これは成功だなという事例を一つ二つ、時間もありますので、これは成功だというのをちょっと御説明いただきたいんですけれども。参考人でも構いません。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
例示でございますが、例えば民泊制度。最初に切り開く、古民家を活用した宿泊サービスで旅館業法の適用除外を設けるといったような形で、地域での特性を生かした新しい観光サービスを切り開くといったようなことも一つの競争力の例ではないかと思います。
そのほかにも、高度な医療を行うための病床規制の特例で、そういった先端的なものをやるときは通常の病床規制よりも数が多いものを認める等々、いろいろな形で対処をしておるというふうに理解をしております。
○山崎委員 今お話しになりました民泊、古民家の活用、あるいは先端医療のための規制の緩和、これは例えばどういう広がりを見せていますか。
今始まったばかりかもしれませんけれども、例えばどんな地域的な広がりだとか、あるいは経済的な効果とか、何かわかりますか。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
観光の方につきましては、直接、経済的な、円単位の数字の効果という検証はまだできてございませんが、古民家に関しましては、かなりの数の、三つもしくは複数の、ちょっと後ほど確認いたしますけれども、三つ以上の特別区域の方でサービスが開始してございます。
さらに、先鞭を切って始めました例えば大田区などでありますれば、当初は六泊七日というところからスタートしたところが、いよいよ活用が進みまして二泊三日と。羽田空港に近い近辺のあたりでは、民泊を積極的に活用した集合住宅も数々計画が広がってきているという形で、確実に新しい業態が出てきているというふうに思います。
医療の特例の方も、正確な数はまた後で御報告申し上げますが、複数、二桁数の病院においてそういったような活用事例が始まっているということで、着実に広がりを見せ始めているところというふうに理解してございます。
○山崎委員 ありがとうございます。
まだこれからというところもあるのかもしれませんけれども、やはり着実に伸びてきているとか、展開している事業もあるんですよね。
私がここでちょっと議論したいのは、では加計学園の医学部のこの事業は、果たして特区としてどれだけ展開があって、その効果があるのかという話なんですよ。
もう御存じと思いますけれども、例えば、この特区の必要性に関して、石破四条件という話がありますよね。どこかでクリアしたというお話もありますが、なかなかはっきり、きれいにみんなが納得して、この四条件をクリアできたんだというのは、前回、文科委員会でうちの逢坂誠二委員が質問をしてお話を聞きましたが、はっきりとしたお答えはなかったと思います。
それは第一の条件だったんですけれども、そのほかにも、ライフサイエンスなど獣医師が新たに対応すべき具体的な需要が明らかだとか、既存の大学、学部では対応困難とか、そういったことがきちっとクリアできているのかどうかというのが、私は、まだまだやはり議論が十分じゃないんじゃないかなと思っています。
それは程度の差はあるかもしれませんが、例えば三番の、既存の大学、学部では対応困難というのも、一〇〇%無理ということではないかもしれないけれども、でも八割方あるいは七割方は、例えば加計学園がなくても対応ができるんだよということは十分にあると思うんですよ。そういうふうな考え方が一つあります。
それからもう一つは、文科省の設置審の議論でも、一度は保留になって、二度目で通りましたよね。いろいろな問題がやはり指摘をされました。ライフサイエンス研究などの獣医師の人材需要が不明確であるとか、実習の多くが短期集中型で内容も不十分とか、臨床系の教員が高齢者に偏っているとか、実習を補助する助手がいないとか、そういった教員配置の問題が指摘されました。何とか多分二回目にはクリアをしたのかなと思います。一応設置審でゴーが出たわけですから。
ただ、かなり危ういと思います。かなり危うい計画で、何とか無理くり設置がかなったというのが私は現実だと思うんです。
こういう提案、事業と、例えば京都産業大学ですね、やはり、提案書を見るだけでも、これも前も議論があったと思いますけれども、内容的にはずっと充実しています。いろいろ議論すれば、それがもっと深まっていく可能性もあると思います。残念ながら、私らは後づけと言っていますが、後づけのいろいろな条件で事業を断念しなければいけないということになったと思います。
こういうふうに考えてきたときに、この加計学園の獣医学部の事業自体を、先ほど言ったような古民家だとかあるいは先端医療の規制改革だとか、そういった成功した事例と比較して、本当にどれだけ成功したと言えるのか。これは評価の問題なのでなかなか一言では言いづらいかもしれませんが、率直な感想をお聞かせください。
○梶山国務大臣 これは、特区のプロセスにおいて、五十二年間獣医学部ができてこなかった、そして申請も受け付けてこなかった、この規制を打ち破ろうということで提案がありました。
そして、四条件にも書いてありますけれども、ライフサイエンスにおける獣医学部の重要性であるとか、ウイルスの越境の関係ですね、鳥インフルエンザとかそういうものの水際対策、そういう人材というものも、いざというときになると、通常ではありませんから、そういう人材が少ないというようなこともありました。
そういう人たちを養成していく大学をつくっていこうじゃないかということの中で、特区の中で議論をされていったということでありまして、四条件については、ここで申し上げた方がよろしいですか。(山崎委員「大丈夫です」と呼ぶ)いいですか。四条件については先般の文部科学委員会でもお話があったと思いますけれども。
あとは、評価という点になっては、卒業生が出てからということになろうかと思います。
そして、この四条件というのは、まずは設置審への申請をするための規制を打ち破るというかなくすためのものということで、設置審はまた改めて申請書が出ております。それについて、構想に基づいて、果たして大学として足りるものがあるんだろうかという中で御審議をいただいたと思っておりますけれども、私どもは、この審議の内容は今のところ承知はしておりません。
そして、文部科学省の設置審でやりとりする中で、最終的には可という答申をいただいて、文部科学大臣の認可という形になったと思っております。
そして、先ほど申しましたように、評価については、これは卒業生が出て、どれだけ所期の目的のような人材が養成されたかどうかということにつながるものだと思っております。
あとは、外部要因の中で、獣医師会とのやりとりもありました。反対をする団体としての獣医師会がありますけれども、そういった中でいろいろな条件がついていったということでありますので、御理解をいただければと思っております。
○山崎委員 私は、すごく疑問もあるんですよ。というのは、国家戦略特区の目的でありましたよね、産業の国際競争力を強化するとか国際的な経済活動の拠点の形成とありますよね。加計のこの問題はどこに該当するんですか。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
今回の四項目の中には、新たなニーズの具体化というところ、そこに特化したカリキュラムをというのが既存の学部・学科ではなかなか難しいというところでは、特にライフサイエンス研究の分野、創薬研究、人獣共通感染症、こういったところは新しいニーズで、創薬も含めて激しい国際競争が起きている分野でございます。
それを担うべき例えば製薬会社の皆さんが二年から十年の間に一人しか採れなかったといったような会社も複数おられるということでいえば、まさに、こういった新しい分野への獣医師の養成、供給というのは、国際競争力、ライフサイエンス分野での研究協力強化を図る上でも不可欠の課題、それに応えるべくチャレンジをしていただき、卒業生をよく育てていきたい、かように考えている次第でございます。
○山崎委員 私の認識ですと、設置審での議論で、ライフサイエンス研究など獣医師の人材需要が不明確と出ているんですけれども。今のお話は、それが明確だと言い切っていますけれども、どう考えますか。
○梶山国務大臣 獣医学部の卒業生で会社に就職をする方がふえている、そういった中で製薬会社の人材というのもこの十年間で大分ふえているということ。それと、製薬会社の要請書が一つありまして、これはやはり、獣医というか、前臨床のところで、マウスだけじゃなくて中・大型の動物を使った前臨床も必要じゃないか、そういったときには獣医学部、獣医師の知見も必要だということで、そういったものが今の日本ではできていない、足りていないということもございました。
先ほどの話で、ちょっとさかのぼって恐縮ですけれども、ほかの大学でできないかというお話がありましたけれども、ほかの大学においても増員等で対応はできると思いますけれども、こういった研究者をつくるために特化した大学ということで、そういう水際対策であるとか、創薬関係のライフサイエンスの人材であるとか、そういった人をつくっていきましょうという中でカリキュラムも組まれていると思っております。
○山崎委員 今のお話も、一般論というか、話としてはわかります。
ただ、では、例えば加計学園が今予定しているクリーンルームの広さが狭いとか、いろいろやはり課題というか問題が逆に多過ぎると思うんですよ。教員の配置の問題とか、やはり根本的なところで計画の不十分さというのが明らかになっているというのが私は問題で、言いたいのは、だから、こういう事業が認定されて、国家戦略特区の一丁目一番地みたいに取り上げられているのはどうなのかな、もっとほかにやるべきことがあって、先ほど言った目的に合うようなものがあるんじゃないかなと。
だって、全国でそんなにないんですものね。特区って幾つありますか。(梶山国務大臣「十カ所」と呼ぶ)十カ所なんですよ。なのに、その大事な一カ所を例えばこの獣医学部の認定で使うということが、私は、皆さんでもっと議論しなきゃいけないんだけれども、ほかにもっといいプロジェクトがあるんじゃないかな、条件を少し変えれば、今言ったような例えば京都産業大学の話だとかも含めて、もっといい話があるんじゃないかなと。
例えば、今治市の活性化もいろいろな提案をしていますよね、ほかにも。これだけじゃないんだから、これを外したって今治市の活性化にはつながると思うんですよ。どうお考えですか。
○梶山国務大臣 一つだけじゃなくて複数の提案をして、しまなみ海道の活用も含めて、広島との連携ということもやっております。そして、瀬戸内海にかかる橋梁をドローンの活用で点検をするとか、外国人人材の活用であるとか、さまざまな提案があるわけであります。
そういった中の一つということでもありますし、あと、全体の十カ所で、今大体、規制改革の事項が八十六、改正をされた、そして二百五十三の事業ができているということでして、最初は一カ所なんですよね。横展開ということで、いずれ全国にできるように、まずは一カ所、そして特区の十カ所、そしてさらにまた横展開を図っていくような形で段階的にやっていこうということですから、これも含めて、それぞれの地域で複数の提案、しっかり並行してできればと思っております。
○山崎委員 私は、だから、そんたくがどうのということはあえて言いません。結果として、認定された事業が本当にこの制度に合っていて、いろいろな展開について期待できるのかどうか、そういう点検をしていただかなきゃいけないと思います。
先ほど梶山大臣は、卒業生を出してからだというお話はあるかもしれないので、それを注視する必要、今となってはそれしかないのかもしれませんが、でも、総理は、ありましたよね、どこの委員会だったか忘れましたが、獣医学部、つくりたいところがあればどんどんつくればいいじゃないかみたいな話がありましたが、今の梶山大臣の考えとは違いますよね。
○梶山国務大臣 基本的には、これはテストケースのような形でやって、いずれ全国展開という形に全てがなっていくわけですね。ですから、この獣医学部の件も、できればということなんですが、利害関係者とのやりとりの中でまだ障壁があるという中で、いち早くつくるには一校に限るという形でなってきたということであります。
○山崎委員 私が言いたいのは、獣医学部、獣医師の需要というのは、そんなに全国にどんどんつくって養成して、それがどんどん新しい産業の核になって伸びていくという性質のものではないんじゃないか。だから、もちろん岩盤だという気持ちはわからぬではない、ないけれども、特区として風穴をあけて展開をしていく、そういう性格のものではないと思うんですよ。
加計学園、百四十ですか、定員。大型の獣医学部ができました。では、次、またつくるんですか。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
この制度、二校目、三校目につきましても、当然、一校目の評価ということをやりつつということが大前提でございますが、要望があればしっかり対応していくということで考えてございます。
ただし、その一校目の活動成果でありますとか、カリキュラムが本当にうまく回っているでありますとか、そういったようなことも慎重に見きわめながら、それが本当に実のある人材育成につながるということであれば、そしてそれをやりたいという方がいらっしゃれば、どんどん二校目、三校目も、しっかりとその要望を踏まえた対応を検討していく必要があるというふうに考えてございます。
○山崎委員 今の審議官のお答えも、今までのいろいろな議論の中で、相当無理があると思いますよ。
要するに、今回一校つくるのでも、果たしてその需要があるのかどうかという議論さえある中で、これがうまく回って百四十人の立派な獣医師が育った中で、では、もう一校、もう一校、百人、二百人となるんですか。いや、そういう性格の事業もあると思いますよ。さっきの古民家の話とか民泊の話とか、そういう話もあると思いますけれども、この事業は性格が違うでしょうというのを私は言いたいです。
ちょっと続けて、時間もないので一つだけ質問したいんですが、この事業全体、特区の制度で提案が出ますよね。提案の扱い方をちょっと聞きたいんですよ。
全体、提案をどういうふうに募集されているのか、ちょっとお聞かせいただけますか。審議官で構いません。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
提案は、制度的には、まず、常に、随時募集をしてございます。ただ、幅広くいろいろな観点から御提案いただくために集中提案受け付け期間というのを設けてございまして、きょう現在も七度目の集中提案募集をやっている状況でございます。
こういう形で受け付けられました提案書は、原則、全てワーキンググループの民間議員の委員の先生方に読み込んでいただくこととしてございます。その中でも、特に時々のテーマも見つつ、先生方から特にこれを聞こうというふうな形で御指導いただいたものから順次ヒアリングをさせていただき、その結果を踏まえて論点を整理した上で、規制所管庁との折衝、調整等の段取りに入っていく。
ちなみに、ヒアリングを聞いていないというものについて、今後一切聞かないということではございません。追加提案、内容の充実、進展に合わせて、随時先生方と相談をしながら議論をさせていただく、こういう体制で審査をさせていただいているところでございます。
○山崎委員 私はレクを受けたときにびっくりしたんですけれども、随時提案というのは、今まで、いつで切ってもいいですけれども、幾つ来ていますか。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
集中受け付け期間の方につきましては、フォーマットがございまして、電子入力の書式もございまして、数がカウントできる状況になってございますが、随時提案の方につきましては、正直、電話一本でいただくようなお話も含めて、常にお話を伺わせていただいているということになってございます。
申しわけございません、そういう意味では、総数的には三桁の数以上はある状況ではございますが、正確な随時提案の数というのは現在カウントしてございません。
○山崎委員 私は、それを聞いて唖然としたんですよ、大臣。
だって、電話で受け付けるのがあるのかもしれないけれども、何件といって答えが返ってこないんですよ。それをワーキンググループの委員の先生方にお伝えしなきゃいけないんでしょう、皆さんは。電話だったから、これはお伝えしなくてもいいものなんですか。そうじゃないですよね。
だから、集中期間で来たものは一応リストアップされているのかもしれない。でも、随時のものだって当然あるわけですよ。
私は何が言いたいか。国民の皆さん、あるいは事業者の皆さん、自治体の皆さん、一生懸命提案をしているんだよね。それを、随時だから扱いがぞんざいでいいわけないじゃないですか。もちろん、ぞんざいにしていないと言うかもしれないけれども、数もカウントできないで、どうやって、その中にいい提案があるのかないのかを判断していくのか。
もう一つ、これはお聞きしたいんですけれども、ワーキンググループでヒアリングするものを選ぶというんですが、先ほども言いましたけれども、誰がどうやって選んで、どういう評価でヒアリングをかけるんですか。何百もあるんですよ。
だって、第一回の集中期間かな、その後、百九十七ぐらいアイデアが出たうちの六十二件しかヒアリングをかけていないんですよね。それには随時のものは入っていないのでよくわからないんですが、そういう確率でヒアリングをかけるという話なので、それをどう選んだのか、誰が選んだのか。
○梶山国務大臣 集中期間に寄せられた提案については、その提案書を全てワーキンググループのメンバーに読み込んでもらっております。その上で、熟度の高いもの、早期実現性の可能性があるものを順に選んでいるということで確認をしております。
○山崎委員 でも、大臣、ヒアリングというのは、どんどん五月雨で始まるんですよ。後からいい提案が来て、そういうのはちゃんと入るんですか。六十二というのは、そういう意味では、バランスよく全体を評価した上で選ばれているんですか。先に来たものが有利だったり、もっと言うと、何か紹介があったからヒアリングを受けたとか、そういうことはないんですよね。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
御指導いただいているとおり、先に出たものが優先ということはございません。
実際に、一次の提案で出たものにつきましても、その熟度、タイミングを見て早期に実現したものもあれば、三年をかけて実現したものもあれば、逆に言えば、東京圏の一次で出たものよりも後に提案されたもので、先に実現をしているものもございます。
その辺も含めて、民間議員の先生方にもしっかりと見ていただいているというふうに理解をしております。
○山崎委員 もう時間が終わったということなので、続きはまた次回やりたいんですが、本当にこのプロセスを明確に、民間委員の方々が改善の提案みたいなものをされていますよね。そういうところに、プロセスの透明化が必要だと書いてある。ということは、今までやはり問題があるということじゃないですか。
なので、やはりこういった点は、今までどうだったのか、そして、そういうところをもう一回検証しながら正していっていただきたいと思いますので、そのきっかけになればと思います。
○梶山国務大臣 前回の諮問会議のときに、民間議員の皆さんから提言がございました。
これは、今ある批判も踏まえてどういう形でやっていったらいいかということを、次回かその次ぐらいまでのできるだけ早い機会に民間議員の中で話し合って決めていきたい、一つの提案としてこういうことがありますよということを例示されて出されたものであります。
それらは、私どももかかわって、しっかりとやってまいりたいと思っております。
○山崎委員 終わります。ありがとうございました。
○山際委員長 次に、稲富修二君。
○稲富委員 希望の党の稲富でございます。
きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
私は、さきの衆議院の選挙で、五年ぶりに質問させていただきます。こういう機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
また、私の会社時代の先輩であります茂木大臣、そして郷土福岡の先輩でもあります松山大臣、来ていただきまして、ありがとうございます。
きょうは、人づくり革命、そして一体改革についてお伺いをさせていただきます。
人づくり革命の前、私は、この一体改革が人づくり革命の源流になっている、その基本になっていると思っております。
二〇一二年の八月にこの一体改革が成立をしたわけですけれども、その際、やはり大きな、これまでと、消費税のアップと違ったものがございました。
それは、この消費税法案のときに、これまでは消費税を上げるときには、高齢者のためである、社会保障は高齢者のためだということでございましたが、この一体改革において初めて、子ども・子育て支援の充実、拡充というのがその大きな社会保障の柱になりました。これが一つ。それともう一つは、消費税を上げる際に、その使い道を決めていくということでございます。まさに一体で歳出と歳入を決めていくということが決まりました。それがこの一体改革の基本的な、これまでと違う消費税アップの姿でございました。
大変私ごとで恐縮ですが、その消費税アップの際、私もその当時、民主党の一員で、税の担当を実務者としてやっている際に、やはりその際、当時の民主党、そして自民党、公明党さん、さまざまな意見の相違がある中で、何とかまとめ上げ、そして成立をさせたこの法案でございました。
私は、もちろんその席の末席にしかすぎませんでしたが、きょうここに立たせていただいて、この二〇一二年に成立した法案を何とか仕上げていく、その仕事の一端を担っていきたいという思いで参っております。多くの方の御苦労と、そして汗の中でできたこの法案を何とかいい形で、二〇一九年の十月の一〇%にかけて、その上げ方、使い道を決めていく、そういうことをしていきたい、そういう思いでございます。そういう思いから、少し振り返っての質問をさせていただきたいと思います。
まず、社会保障・税の一体改革についてでございます。
この際、自公民の三党で合意をして、議員立法で成立をさせたという経緯がございます。その際に、社会保障・税一体改革に関する確認書というのを三党で結んでおります。それは今も有効か、変わっていないのか、その確認をさせてください。
○茂木国務大臣 稲富議員には、私と同じ商社の出身ということでありまして、これからも、先生、ビジネスの現場、さらには国際感覚を生かしてぜひ頑張っていただきたい、そんなふうに思っております。
二〇一二年当時、私は、党の政策責任者、政調会長を務めておりまして、当時の三党合意、これは、社会保障制度の持続可能性と財政健全化の両立に向けて、社会保障と税一体改革におけます社会保障関係法案、そして税制抜本改革の関連法案の修正内容について合意を行ったもの、稲富議員も民主党の議員として御尽力いただいたことに感謝を申し上げる次第であります。
三党合意で修正をされました税制抜本改革法では、消費税の増収分の全額を社会保障に充てる、全額といいまして、そこの社会保障の中でも、社会保障の充実と社会保障の安定化、これは財政の健全化ということでありますが、その双方を同時に図る、こういうことが明記をされた形であります。
この考え方に沿って、社会保障の充実と社会保障の安定化、財政の健全化、双方を進める、この基本的な考え方は変わっておりませんし、そういった意味で、御指摘いただきました確認書の内容にあります考え方も変わっていない、このように理解をいたしております。
○稲富委員 その中で、特に、子ども・子育てについて改めて確認をさせていただければと存じます。
この確認書の中で、子ども・子育ての質、量拡充のために、消費税の引き上げの財源を含めて一兆円超程度の財源が必要だということをうたっております。そして、社会保障の各種法案の附則のところに、質、量の充実を図るためには一兆円超程度の財源が必要だ、〇・七兆円は消費税の財源を充て、残りの〇・三兆円は消費税の外から確保するということを書いております。そして、当時の財務大臣、総理の答弁もございました。
この枠組みは変わっていないかどうかということを改めて確認させてください。
○松山国務大臣 稲富委員にお答えをいたします。
社会保障・税一体改革に関する確認書において、幼児教育、保育、子育ての質、量の充実を図るため、消費税率の引き上げによる財源を含め一兆円超の財源が必要である旨が確認されたところであり、現時点においてもこの方針に特段の変更はございません。
○稲富委員 ということで、子ども・子育て支援の量、質拡充のための一兆円の財源を確保するということが今なお生きているということでございます。
その中で、今、消費税八%ということでございますので、現時点でどれだけの財源が確保され、そして八%の現時点においてどういう政策が実行されているのか、教えてください。
○松山国務大臣 お答えいたします。
御指摘の一兆円超程度のうち、消費税が一〇%に引き上げられたときに実施することにしておりました〇・七兆円のメニューでございますが、消費税率が八%に据え置かれる中にあっても、認定こども園、幼稚園、保育園、地域型保育等の受け皿の拡大に伴う運営費の増額、また三歳児の職員配置の改善、さらには私立幼稚園、保育園等、認定こども園の職員給与の三%分の改善を行うなど、全ての事項を既に実施をいたしておるところでございます。
また、消費税財源以外の財源により実施することとされています、さらなる質の向上を実施するというところの〇・三兆円のメニューですが、これにつきましては、私立幼稚園、保育園等、認定こども園の職員給与の二%分の改善、並びに、放課後児童クラブ、社会的養護の職員の処遇改善を、安定財源を確保して、平成二十九年度、今年度に実施したところでございます。
○稲富委員 ちょっと再度確認させてください。
〇・三兆円の部分は、もう財源を確保したということでしょうか、それとも途中だということでしょうか。済みません。
○松山国務大臣 〇・三兆円のメニューのうち、質の向上というところで、先ほど御説明しました二点、私立幼稚園、保育園等、認定こども園の職員給与の二%分の改善と、それから放課後児童クラブと社会的養護の職員の処遇改善の安定財源、その二点については四百二十億、今年度予算を確保したところでありますが、それ以外についてはまだ未処理のところがございますので、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
○稲富委員 ということは、残りまだ二千五百億余りの財源を確保し、この質、量の充実をしなければいけないということかと思います。
そうすると、問題は、当然ながら恒久財源じゃないといけないということかと思いますので、どう残りの財源を確保するのか、そしてどう道筋をつけるのかということについてはいかがでしょうか。
○松山国務大臣 今の、平成二十九年度予算において措置をしましたこの質の向上の〇・三兆円のメニューにつきましては、アベノミクスによって雇用情勢が改善したというところから、雇用保険の国庫負担の引き下げを含めて、その財源を一応確保したというものでございます。
今後につきましては、自公民三党で合意した社会保障・税一体改革に関する確認書以降、政府において累次の閣議決定で明記をし、骨太の方針二〇一七においても、子ども・子育て支援のさらなる質の向上を図るために、消費税分以外も含めて、適切に財源を確保していくとしております。
これらに基づきまして、各年度の予算編成過程において引き続き安定的な財源をしっかりと確保してまいりたいと思います。
○稲富委員 ありがとうございます。
二〇一九年の十月、消費税が一〇になるときまでに、これは確保しなければいけないと思います。ただ、改めて、今も御説明をいただきましたが、この二千億余りというのは、なかなか簡単に財源を確保するわけにはいかないと思います。しかし、これこそ政治主導で何とか、二〇一二年にまとめたこの法案の一兆円確保ということを実行するために、もう一度、政治の意思として、大臣の御答弁を賜れればと思います。済みません。
○松山国務大臣 財源、極めて厳しい状況でございますけれども、経済をしっかり向上させる中で、財源の確保を引き続き努力をさせていただきたいと思います。
○稲富委員 ありがとうございます。
人づくり革命について、少しお話を移りたいと思います。
消費税の中で、後で大臣にも御答弁をお願いしますが、私は、よくなかったなと思ったことがありました。それは、浪人する中で感じたことでございます。
当初の枠組みは、五%の増税のうちの一%は拡充、しかし、残りの四%は納税者にとって形が見える充実感を得られないという枠組みになっておりました。すなわち、四%は借金返しか年金ということで、一%分は何らかの生活に対するリターンがある、しかし、残りの四%については、納税者に対しては、消費税を納めた方にその充実感が伝わらないという仕組みになっておりました。
これは、当時のもちろん財政状況を考えると、やはり借金返しに回さなきゃいけないということでその枠組みができたんだと思います。しかし、やはり納税する側に立てば、約十三・五兆円あるいは十四兆円の税を国民からいただくわけで、それに対する受益感がないということであれば、やはり消費税に対する抵抗感はどうしても難しい、私は避けられないと思います。そういう意味で、政治が納税者の立場に立って、その使い道をもう少し工夫すべきだったということを私は思っておりました。
そういう中で、今回、人づくり革命という中で、残りの八から一〇にいく二%の使い道を変えるということかと思います。
改めて、そういう政策をどう変えていくのかということを、大臣に御答弁を賜れればと思います。
○茂木国務大臣 今回、人づくり革命、教育の無償化を初めとする政策を進めるに当たりましては、安定した、しっかりした財源を確保してそれを進めていきたいということで、今回の選挙でもそのことを国民の皆さんにお約束を申し上げ、そして今そのための政策、政策パッケージも十二月には取りまとめる予定であります。
委員御指摘のように、これまで五分の一対五分の四だった配分の比率を、八%から一〇%に引き上げる段階においては、人への投資、そして社会保障の充実と、社会保障の安定、そして財政の健全化に、おおむね半々で分けていく。ということは、もともとの五分の一の部分、一・一兆プラス一・七兆分について子育て支援、人づくり革命の施策に充て、残りの、一・一プラス一・七ですから、二・八につきまして社会保障の安定化、財政の健全化に充てる、こういったバランスのとれた形で、人づくり革命と、さらに将来に向けての財政の健全化、双方をしっかり図っていきたいと思っております。
○稲富委員 ありがとうございます。
その財源をもってどういう人づくり革命の政策を展開するのかということを、改めて御説明をお願いします。
○茂木国務大臣 人づくり革命の具体的な政策はまさに今詰めの議論を行っているところでありますが、一つは、全ての子供たちに開かれた教育の機会を提供していく。そのために、大半の子供が利用している三歳から五歳の幼稚園、保育園については無料化をする。
そして、一方で、ゼロから二歳児につきましては待機児童の問題が非常に大きな問題となっているわけでありまして、子ども・子育て新プラン、これを前倒しすることによって、まずは喫緊の課題であります待機児童の解消に努める。同時に、低所得の世帯につきましては、ゼロから二歳児につきましても無償化を進める。
さらには、家庭環境に恵まれない、しかし意欲のある学生については、進学の機会がきちんと確保できるように、低所得の家庭に限って高等教育について無償化、授業料の減免、さらには生活費の方も給付型の奨学金でしっかり対応していきたい。
同時に、介護人材さらには保育の人材、人材の確保が介護、保育、こういった分野では極めて重要でありますから、この人材の確保のための職員の処遇改善をさらに進めていきたいと思っております。
こういった政策を通じて、現在の社会保障制度を全世代型の社会保障へしっかりと変えていきたい、このように思っております。
○稲富委員 その中で、まず三歳から五歳までの幼稚園、保育園の無償化については、私も子供が保育園でお世話になっておりまして、やはり多くの同じ立場にいる御家庭に、かなり歓迎と心配の声がございます。
それは、やはり待機にどうしてもならざるを得ないお母様方がたくさんいらっしゃいます。そういう中で、無償化の対象が、これはもうこれからパッケージを示される中で具体化をはっきりとされるんでしょうけれども、やはり待機をされている親御さんに何らメリットがない。そして、今保育園、保育所あるいは幼稚園に通われているお母様方だけということは、私は、やはり制度としてかなり格差が大きくなるということで、この点、どう考えていらっしゃるか、大臣の所見を伺います。
○茂木国務大臣 三歳から五歳まで、全ての子供たちの幼稚園、保育園の費用を無償化するという形でありますが、三歳以上につきましては、既に今、九割以上が保育所や幼稚園を利用していることを踏まえますと、十分、無償化しても対応可能であると考えております。
それから、もう一つ申し上げました子育て安心プラン、これを前倒しして三十二万人分、二〇二〇年度までに整備するという形であります。この子育て安心プランにおきましては、現在の女性の就業率が七〇%なのに対して、それより高い八〇%に上がることを想定して三十二万人分の受け皿を整備する、こういった形でありまして、これによりまして待機児童解消に万全を期していきたいと思っております。
○稲富委員 九割、保育所あるいは幼稚園にということでございますが、ここは、認可外に通っていらっしゃるお子さんはまだやはりいらっしゃいます。そこは全くメリットがないということであれば、先ほどの問題ですけれども、せっかく消費税を払って、しかしそこにはメリットが行かない。わずか一割といえば一割かもしれません。しかし、そこを何とかやはり光を当てていかなければいけない、私はそう思います。
まだこれから詰める話かと思いますので、ぜひそこは何とかやはり、全ての子供、全ての児童という理念をぜひ堅持をいただきたいと思います。
それと、ゼロ―二歳のところの低所得者に対しては無償化するということでございましたが、高等教育の生徒さんにも所得が低い方には無償化をするということ、その所得のラインというか、その所得はどこら辺を考えていらっしゃるか、教えてください。
○茂木国務大臣 我々が明確にお約束を申し上げましたのは、全ての子供たちの幼稚園そして保育園の費用を無償化するという形でありまして、例えば、全ての幼児教育ということになりますと、家庭教師までやるんですかと。うちはどうしても英語のネーティブの教育を受けたい、毎週海外から教師を呼んで、その費用を全部見てくれ、こういった形には恐らく、そこの部分はならないという形でありまして、保育園そして幼稚園の無償化を進める、そして、この保育園の中には、自治体の認証保育所などの認可外の保育施設についても無償化の対象とする、こういった方向で検討いたしております。
具体的な範囲をどうするかということについては、今後、これはやはりかなり専門的な部分があります。いろいろ、こういう施設はそれに当たるのかどうかという部分もありますので、専門家によります検討の場を設けまして、これはどちらにしても、消費税の引き上げ、二〇一九年の十月ということですから、施策が全部実施できる時期とも関連しますけれども、来年の四月からすぐに全てのことがスタートするということにはならないと考えておりまして、来年の六月ぐらいまでに結論を出したい、こんなふうに考えております。
それから、高等教育の無償化の、所得の問題でありますが、最終的には、今後、与党の提言等々も含めて判断をしていきたいと考えておりますが、例えば住民税非課税世帯であったりとか、一定の何らかの基準でそこの部分は考えていきたいと思っております。
○稲富委員 いつからという話も、大臣から今いただきました。
改めて、二〇一九年の十月に税が上がって、二〇二〇年度までにということが総理所信でもありましたので、二〇一九年の十月からなのか、二〇二〇年度からはもうフルスタートということでしょうけれども、そのあたり、今わかる範囲で教えていただければと存じます。
○茂木国務大臣 二〇一九年の十月に消費税が引き上げになるということになりますと、実際に税収として入ってくるのは、十月からだから半分になるかといいますと、恐らく税収的には三分の一、その前後になってくるのではないかなと思っております。
いずれにしても、前倒しで進められる部分、財源的にしっかり確保できる部分については前倒しで、その二〇一九年の十月を待たずに実行しようと思っておりますが、二〇二〇年からは確実にこういった政策が実行できるように準備を進めてまいりたいと思っております。
○稲富委員 子育てされている方にとっては、いつかというのは非常に大きな話ですね。前倒しも含めてということを答弁いただきましたので、ぜひ、なるべく早い時期に、その時期、そして前倒しができるかどうかも含めて決めていただければと思います。
それと、今のこの二兆円のパッケージの財源の話です。一・七兆円の消費税プラス三千億ということだと思いますが、この三千億の出どころは何かということを教えていただければと思います。
○茂木国務大臣 二兆円規模の政策を推進したいという形で、その大宗、一・七兆円程度については、消費税の使途の見直しでその財源を捻出する、三千億につきましては、現在、経済界、産業界の方にその拠出をお願いしているところでありまして、社会全体で子育てを支えていく、こういう考えに沿って、今御検討をお願いしているところであります。
○稲富委員 確認です。
先ほど、消費税、一体改革のときのこれから財源確保をしなければいけない約三千億と、今回の三千億はまた別物であるという理解で正しいか、その確認をさせてください。
○茂木国務大臣 そのような理解で正しいと思います。
○稲富委員 産業界からという御答弁がありましたが、どういう反応をされているのかということを教えてください。
○茂木国務大臣 産業界にも直接、総理からも、また私からも、代表の皆さんにもお話をしてございます。中小企業の代表の方もいらっしゃいます。
丁寧にお話をし、説明をし、ぜひ御理解いただきたい、このように思っておりまして、今そういった形で御検討いただいているものだと思っております。
○稲富委員 今検討中ということなので、なかなか具体的にはおっしゃりにくいかもしれませんが、ただ、これはかなり大きな額でございまして、どういう形で産業界から拠出をもらうかということは極めて大事だと思います。現ナマでもらうわけにはいかないと思いますし、当然、法に基づいてということになると思いますので、どういう形で拠出をお願いできるか、その点、今言えることがあればぜひ御教示ください。
○茂木国務大臣 これまでの制度で申し上げますと、現在の子ども・子育て支援新制度では、ゼロから三歳未満の児童への児童手当であったり、企業主導型の保育の費用に充てるため、企業から拠出をいただく制度がありまして、こういった仕組みを活用することも一つの考え方と思って検討しております。
○稲富委員 今大臣おっしゃっていただいた、恐らく事業主の拠出金の話かと思います。今、ちょっとごめんなさい、これは通告申し上げていなかったんですけれども、財源が約四千億の拠出をもらって子ども・子育てに充てているということかと思います。
しかし、この制度が果たしていいのかということ、これにのっとってやることが本当にいいのかということが私はあると思います。
一例で言うと、これは当然ながら恒久財源じゃないといけないと思います。ワンショットでというわけにはいかない財源でございますので、保険に乗っける形で事業主負担を求めるということになると、これは恒久的に会社には負担がかかるということだと思います。
今はそれなりの好景気であっても、もちろん景気ですから、いいときもあれば悪いこともある。私は、中小企業なり、企業にとって、やはりこの保険料等、あるいは保険にまつわる負担というのはかなり重くて、これは景気にかかわらず、従業員の負担に応じて負担として乗っかる。これは有無を言わさず支払わなければいけないという意味がございます。
したがって、恒久財源でなければいけない、あるいは、景気によらず、やはり企業としては負担をし続けなきゃいけないということ、あるいは、そもそもなぜそういう制度の中で会社がそれを負担しなければいけないのか。年金であれば、給付と負担がはっきりしているから、これは従業員の会社負担が必要であるということは理解ができます。しかし、会社がなぜこれを負担しなければいけないのかというその理由については、まだちょっと議論が必要なのかなと私は個人的には思います。
いずれにせよ、これはこれから議論ということか、これから制度設計かと思いますが、この事業主が拠出をするということは、私はよくないと。いや、むしろ、有無を言わさずこういう負担を強いるということはよくない制度ではないかと。むしろ、その保険料、特に中小企業においては、保険料をむしろ、事業主の負担を減らすべきだというふうに私は思っていますので、これは果たしてどうなのかということを思います。
またこれは制度ができたら、ぜひお示しをいただければと思います。
それと、今回の、産業界に三千億、総理が要請されたということの御答弁がありました。私はこの点をぜひ議論させていただきたいと思います。
十月二十七日金曜日に、総理が、第二回人生百年時代構想会議、これは大臣が議長をされているんですかね、総理発言のところで、与党における人生百年時代の制度改革の議論を踏まえ、産業界におかれても三千億程度の拠出をお願いしたく、具体的な検討をいただきたいと思いますという発言をされたと思います。
この人づくり革命においての、例えば児童への無償化、これは私は大賛成、もっと進めるべきだという立場です。しかし、この三千億の拠出についてはやはり違和感を禁じ得ません。
と申しますのは、総理がその会議の場で直接額を明示し、そして拠出をお願いするということは、私は、まだ勉強不足かもしれませんが、聞いたことがないと思います。と申しますのは、これは恐らくこの会議で、あるいは産業界も、では、その要請を受けたけれども、いや、できないということは恐らく言えないと思います。言えないんじゃないかと思います。したがって、これは断れない、あるいはそれを拒否できないことじゃないかと思うわけです。
ここでぜひ大臣にお伺いしたいのは、私は、政治と経済というのは、ある程度、超えてはならない一線というのがあると思います。やはり、政治がここまでやってもいい、あるいはここまで言ってもいい、しかし、これ以上言うといけないという、私はラインがあると思うんです。
そういう意味で、この三千億拠出を総理が直接産業界にお願いをし、そしてそれに産業界が応えるということが、もし仮にそうなったとするならば、これが仮に先例となって、財源が足らなくなったら必ず総理が言って産業界にお金を要求するというふうなことがあったら、私は、日本経済、これは短期的にはいいですけれども、長期で考えた場合に本当に自由主義経済と言えるのかということでございます。
そのラインについて、あるいは本当にこれが政策としていいのかということ、大臣の考えを伺いたいと思います。
○茂木国務大臣 まず、人生百年時代構想会議でありますが、議長とお話しいただきましたが、議長は総理でありますので、私は進行役を務めております。
若干、先ほども申し上げましたが、この人生百年時代、社会保障制度を含め、雇用の制度がどうあるべきか。これは急に始まった議論といいますよりも、自民党におきましても、私が政調会長時代に、人生百年時代制度設計特命委員会、そこでさまざまな議論も行ってまいりました。そこの中にはこども保険であったりとかさまざまな形の議論もあったわけでありますが、大きな方向として、子育て、これは一義的な責任は家庭にあるにしても、これからの時代、少子化社会というのは日本全体の問題である、社会全体でそれを支えていかなきゃならない、そのために誰がどう負担していったらいいのか、こういった議論は党内でも、さらには経済界も含めて、相当やってまいりました。
そういった中で、経済界から既にこの十月以前にいただいていた意見というのは、やはりこれは広く負担をしてもらう、こういった問題だから税による負担が中心になるべきだ、こういった中で、ただ、ある程度の相応の部分については、経済界としてもこの日本を支える大きなやはり主体として考えなければいけない、こういうお話もあって、そういうさまざまな議論の積み重ねの中でこういった話が出てきたわけでありまして、我々が勝手に二兆円と決めて、一・七兆は消費税で成る、では、残りの三千億はあした経団連の会長が来るからちょっと頼んでみようか、こういう話ではなくて、相当収れんした中での最終的なお願いとして御検討をその場でお願いした、こういう経緯でございます。
○稲富委員 そうなると、やはりこれは断ることができない話だと思うんです。収れんした中で、やはり三千億を要請し、そうなると断れない。もちろん、断ることが前提ではないと思います。しかし、私は、先ほど申し上げましたように、政治がどこまで経済、あるいは経済、あるいは財界に介入をしていい、言葉はちょっときついかもしれませんが、どこまで入っていいのかということは、極めてそのラインが大切だと思います。
そういう中で、それを私は、例えば、さっき税でというお話がありましたけれども、まさに税であれば、国民に信を問う中で、その負担を財界にお願いする、あるいは企業にお願いするということはあると思います。
しかし、やはりこれだけの与党の、衆議院で三分の二のこれだけの巨大与党で、これだけの政治力があってという総理が直接額を言うというのは、やはり、収れんする中とはいえ、私は、その一線を超えていると。いや、むしろこれは、やはり自由主義経済を標榜する我が国において、本当に総理がここまで言っていいのかということを率直に思ったわけです。
もう一度、大臣、御答弁いただければと思います。
○茂木国務大臣 御意見、お気持ちとしてはよく承りたいと思っております。
我々、例えば、経済界の方ともいろいろな率直な意見交換をする中で、賃上げについてもお願いをしてございます。一方で、法人税等々についていろいろな御要望もいただく。そういった中で、日本の国をどうしていったらいいか、日本の経済や社会をどうしていったらいいかという中で、それは、政府の考え方、経済界の考え方が完全に一緒という部分ではありませんが、大きな方向については一致をする中で、さまざまな、我々としても要望をさせていただく、経済界からもまた要望を受ける、こういった形で物事は進めていきたい。
丁寧な進め方を今後すべきだということについては、よく拝聴させていただきました。
○稲富委員 しつこくて申しわけございません。先ほどおっしゃったように、私、賃上げの要請を総理がするのも率直に違和感を感じております。
その賃上げ要請、そして今回の三千億は、同じやはり政権としてのあり方というか、その態度といいますか、私は共通するものを感じていまして、これは決して、短期的にはいいと思うんです、しかし、政治と経済という関係を考えた場合に、私は、長続きしないし、これを続けることは日本にとって余りいいことじゃないということを思っております。
あと、最後になりますが、人づくり革命について、今回、二兆円というパッケージをお示しされるということで、先ほど途中に申し上げましたような、三歳―五歳児の、困っていらっしゃる子供たちにぜひ目を配っていただければと思います。
質問を終わります。ありがとうございました。
○山際委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
きょうは梶山大臣に質問をいたします。公務の公正性の問題、官民癒着の問題について、公務員制度担当の梶山大臣に質問をするものであります。
二〇〇一年に、内閣機能の強化を図るとして中央省庁再編が行われました。この中央省庁再編を機に官邸機能の強化が図られてきたわけであります。内閣官房の人員を見ますと、二〇〇一年度には五百十五人だったものが、二〇一七年度には千百二十五人ということで、二倍以上にふえているわけです。内閣の重要政策の企画立案、総合調整を担う内閣官房の機構が拡大強化をされているところです。
資料をお配りいたしました。
配付資料一枚目の上段を見ていただきたいんですが、ここが内閣官房の機構図であります。たくさん組織があるわけですけれども、そういう中で、組織として一番数が並んでいるのが、下に縦書きで書かれているものですけれども、内閣官房副長官補、内政、外政担当の副長官補のもとにあります分室であります。
そこでお尋ねしますが、この内閣官房副長官補室における分室は現在幾つあるのか。そのうち、第二次安倍政権発足以降設置をされた分室は幾つか。内閣官房副長官補室の分室というのは内閣官房でどのような役割を果たしているのかについて御説明ください。
○彦谷政府参考人 お答えいたします。
内政、外政を担当する内閣官房副長官補のもとには現在三十四の分室が設置されており、このうち、第二次安倍内閣発足以降設置されたものは二十七でございます。
また、内閣官房副長官補室の分室は、特定の内閣の重要政策に関して基本的な方針に関する企画立案、総合調整や、行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画立案、総合調整等を行っているところでございます。
○塩川委員 今御説明がありましたように、今、三十四の分室のうち、第二次安倍政権以降に発足をしたものが二十七ということで、もちろんスクラップ・アンド・ビルドですから、スクラップがあってビルドがあるわけですけれども、実際、第二次安倍政権以降につくったものがそれだけあるということになります。やはり、特定政策課題等、基本方針の企画立案や総合調整を図る、そういう役割をこの分室が果たしているという説明でありました。
このような内閣の重要政策の企画立案、総合調整を担う内閣官房において中心的役割を果たしているこの内閣官房副長官補室の分室でありますが、資料一の下段の表を見ていただきたいんですが、この表を見ると、この内閣官房副長官補室に民間企業から受け入れている者の受け入れ状況があります。現在百十一人となっているわけです。見ていただければわかるように、多くの企業、大企業が名前を連ねているということがわかるわけです。
そこで、次にお尋ねしますが、二〇〇七年と二〇一六年における民間企業から国への受け入れ人数、そのうち非常勤の人数というのは全体においてどうなっているのか、そのことについてお答えください。
○植田政府参考人 お答えいたします。
内閣人事局等の調査によりますと、二〇〇七年八月十五日現在の民間企業から国への職員の受け入れ人数は八百四十五人、うち非常勤職員は三百六人。二〇一六年十月一日現在の民間企業から国への職員の受け入れ人数は千九百九十六人、うち非常勤職員は六百七十六人となってございます。
○塩川委員 資料の二枚目をごらんいただきたいんですが、今の答弁をグラフにいたしました。
上にある、右上に向かって伸びている折れ線グラフが全府省における民間企業出身者数です。これは常勤、非常勤の区別はありません。合わせたものがこの十年間で二倍以上に大きくふえているわけです。
下の棒グラフの方が非常勤職員の数で、二〇〇七年、三百六人に対して二〇一六年に六百七十六人。そのうち、内閣官房と内閣府における非常勤の民間から受け入れている職員数が何人かというのを示しておりますが、一番下が内閣官房、その上に内閣府になっていますけれども、この間全体としてふえて、二〇一六年においては、内閣官房の民間企業出身者数の非常勤の数は百六十人、同内閣府の場合は百四十人。全府省の中において占める民間企業出身の非常勤の数の中でも、内閣官房、内閣府というのは非常に多いということがここで見ていただけるだろうと思っております。
そこで、ちょっと率直にお聞きしたいんですが、こういうように内閣官房や内閣府で民間企業出身の非常勤職員が多くなっている理由、さらに、この間ふえている理由、これはどういうものなんでしょうか。
○植田政府参考人 お答えいたします。
要因といたしましては、業務の拡大や専門性の高い業務などに対応できる体制の整備のために、各府省が即戦力となる民間人材を積極的に受け入れているということによるものであるというふうに考えてございます。
○塩川委員 業務の拡大はこの分室の数でもよくわかるわけですけれども、専門性の高い業務がある、即戦力ということで民間の方にお願いするという説明であります。
そこで、具体的にお聞きしたいんですけれども、この分室の一つであります健康・医療戦略室というところがあります。この健康・医療戦略室というのはどのような仕事をしているんでしょうか。また、その実員数、うち民間出身者数、主な民間企業名、紹介してください。
○鎌田政府参考人 お答えいたします。
健康・医療戦略室は、世界最先端の医療技術、サービスを実現し、健康寿命世界一を達成するため、健康・医療に関する成長戦略の推進に関する企画立案などを行うことを目的として設置されているものでございます。
お尋ねの実員数でございますが、四十九名でございまして、うち民間からの出身者数は二十三名でございます。また、民間出身者の主な出身企業名でございますが、アステラス製薬株式会社、株式会社大塚製薬工場でございます。
以上でございます。
○塩川委員 資料の三枚目をごらんください。今お話ありましたけれども、この内閣官房の健康・医療戦略室というのは、日本発のすぐれた医薬品、医療機器の開発、事業化を推進するという健康・医療戦略に基づいて設置をされた健康・医療戦略本部の事務局を務めています。今答弁ありましたように、成長戦略の企画立案をするということであるわけですね。
こういった分室のスタッフの方の四十九名のうち、常勤、国家公務員、公務員の方が二十六名に対して非常勤が二十三名あって、その二十三名は全て非常勤ということです。
内訳が資料を見ていただくと書いてあるわけですけれども、参事官補佐、まあ、課長補佐対応ですね、そこに十名の方がいらっしゃる。今名前を挙げていただいたアステラスですとか大塚製薬がここにも入っています。主査クラス、係長クラスですけれども、その方が二名。それ以外に、アドバイザリーボード的に参与という方々がその後にいらっしゃるという点でいいますと、下に米印の役職があるように、常勤職員では、次長以下、参事官、企画官、参事官補佐、主査、係員がおります。非常勤職員の場合には、参事官補佐が十名、主査が二名、健康・医療戦略参与が十一名ということで、見ていただいてわかるように、常勤職員でも参事官補佐、主査がおりますし、非常勤職員でも参事官補佐と主査がいるわけです。
ですから、今答弁がありましたように、専門性の高い業務があり、即戦力ということで民間出身者の方を非常勤で迎えているんだということだったわけですけれども、見ていただいてわかるように、医薬品メーカーの方や医療機器メーカーの出身者が直接従事をしているということになります。
そこでお尋ねをしますが、この健康・医療戦略室の非常勤職員の募集が行われているわけです。その募集要項に関してお聞きしますが、今年度、幾つか募集を既にされておられると思うんですね。幾つかあるんですけれども、例えば採用予定日が七月一日以降となっているものというのはわかりますか、一応事前に御案内しましたけれども。この採用予定日が七月以降となっているものについて、その募集要項の中で、応募資格と勤務条件の部分を紹介していただきたいんです。その場合に、ちょっとたくさん書いてあるものですから、応募資格の方は、後段にある除外規定、対象とならない、その部分はちょっと除いていただくということでお答えいただけますか。
○鎌田政府参考人 お答えいたします。
四月に実施した非常勤職員の募集案件でございますが、応募資格につきましては、大卒以上の学歴または同等……(塩川委員「七月」と呼ぶ)七月。失礼いたしました。
七月につきましては、応募資格は、医療に係る国際展開及び医療等情報のICT分野の業務にかかわるため、日本の国立大学、公私立大学卒業以上の学歴を有する者であって、金融、保険及び企業における健康保険制度の分野に関する知見を有するとともに、医療に係る国際展開及び医療等情報のICT分野に関する企画立案を行う能力を有することとしております。
また、勤務条件でございますが、勤務時間は、週五日程度、一日五時間四十五分。それから、給与につきましては、一般職の職員の給与に関する法律に基づき、学歴、就職後の経験年数等を勘案し、常勤職員との権衡、バランスを考慮して支給すること、賞与及び昇給はないこととなっております。
○塩川委員 今御紹介いただいたのは幾つもある募集要項の一つなんですけれども、その応募資格にありますように、大卒以上の学歴、また、金融、保険や企業の健康保険制度についての知見を有する、また、医療に係る国際展開、医療情報のICT分野に関する企画立案を行う、非常に専門的な方ということで募集しておられるんです。
そういった方々について、勤務の方は非常勤ということもありますので時間の制限がありますが、一日でいえば五時間四十五分という定めに当然なってくるわけです。給与の方は、もちろん給与法に基づきとはいいながらも、常勤との権衡ということで、残念ながら常勤と同等の待遇にはなっていないわけですね。
そこで確認なんですけれども、この健康・医療戦略室における民間企業から来た職員について、参事官クラス及び主査クラスの勤務条件で示された勤務時間に基づく給与というのは幾らになるのか。つまり、この条件で働いた場合に、一日当たりは幾らで、年収にすると幾らぐらいになるのか。これについて紹介してください。
○鎌田政府参考人 お答えいたします。
健康・医療戦略室に勤務する民間出身の職員の給与でございますが、平成二十九年度の予算上、一日当たりでは、補佐クラス一万一千二十円、係長クラス九千六百円でございます。年収でございますが、週五日勤務が基本でございますので、勤務日数を年間二百四十日として単純計算いたしますと、補佐クラスは二百六十四万四千八百円、係長クラスは二百三十万四千円でございます。
○塩川委員 というように、非常勤職員でありながら専門性を持って働いておられる方々が、民間での知見を生かして働いておられる、そういった方々の給与というのが、参事官補佐、課長補佐クラスの民間から来た方は二百六十四万円、主査、係長クラスは二百三十万円と。ですから、よくワーキングプアというのは二百万円と言われていますけれども、それにかつかつのような状況ということであるわけです。
一方で、この健康・医療戦略室には常勤の公務員として参事官補佐、主査のクラスの方がおられます。こういった公務員の参事官補佐クラス及び主査クラスの標準的な年収というのは幾らでしょうか。
○鎌田政府参考人 お答えいたします。
標準的な給与といたしましては、扶養親族がいない三十五歳の本府省課長補佐の場合には月額四十三万六千百六十円、年間七百十六万九千円でございます。また、扶養親族がいない三十五歳の係長の場合には月額二十六万九千七百円、年間四百四十三万七千円となります。
○塩川委員 ですから、参事官補佐クラスなら七百十七万円で、係長クラスなら四百四十三万円なんです。対応する非常勤の方は二百六十四万であり、二百三十万円と大きな開きがあるんですよ。
大臣、率直に聞きたいんですけれども、常勤の方、非常勤の方、同じ参事官補佐クラス、主査クラスの方がいらっしゃいます。もともと募集の要件を見ても非常に専門性のある、即戦力という形で、いわばばりばり働く人ということで民間から来ていただいたという方の待遇が大きな開きがある、こういう現状はおかしいと思いませんか。
○梶山国務大臣 委員の御指摘でありますけれども、現状の規則では、非常勤の国家公務員については、一般職給与法第二十二条第二項の規定により、各府省において、常勤職員の給与との権衡を考慮して給与を支給することとされており、人事院の非常勤職員の給与に関する通知を踏まえて、職務内容に応じて適切に処遇をされているところであります。
○塩川委員 それは制度の解説でしかないわけで、いや、具体的にこういった仕事の状況というのがおかしいと思いませんかという、その点についてはどうですか。
○梶山国務大臣 国家公務員制度担当大臣としては、今の言葉にとどめさせていただきます。
○塩川委員 やはり政府の政策の企画立案という重要な業務に従事をし、常勤と同等の仕事をしながら、待遇に余りにも大きな差がある、これは非常に不思議でならない部分ですよね。
そこで、ちょっとお聞きしたいんですけれども、こういった戦略室に来ておられるような民間企業出身者の方は、出身元企業と今どのような関係にあるかということなんです。例えばこの人は、出身元企業との間で雇用は継続しているんですか、いないんですか。
○植田政府参考人 お答えいたします。
一般論で申しますと、官民人事交流法で民間から来ていらっしゃる方については退職型と雇用継続型がございまして……(塩川委員「いや、それは関係ないから。非常勤の場合」と呼ぶ)はい。
他方で、非常勤の場合につきましても、それぞれ勤務が継続している場合と継続していない場合があるというふうに思っております。ただ、個別の事情については、それぞれの省庁、各府省において把握しているものと認識しております。
○塩川委員 いや、ですから、もう一回ちょっとお聞きしますけれども、では、この健康・医療戦略室の場合については、出身元企業との間で雇用の継続があるんですか、ないんですか。
○鎌田政府参考人 雇用の継続があると考えております。
○塩川委員 雇用の継続がある、つまり民間企業に籍を置いているということですよね。その場合に、出身元企業で勤務するということもあるんですか。
○鎌田政府参考人 基本的にないと考えております。
○塩川委員 基本的にと言いますけれども、一日五時間四十五分なんですよ、十時スタートで。ですから、朝、出身元企業に顔を出すとかを含めて、ないと言えるんですか。
○鎌田政府参考人 ないと考えております。
○塩川委員 ないと考えているということですから、それは確認してもらえますか、後で結構ですけれども。
○鎌田政府参考人 確認いたします。
○塩川委員 出身元企業から給与は受け取っているんでしょうか。
○鎌田政府参考人 把握してございません。
○塩川委員 把握していないということは、ないとは言えないということですね。
○鎌田政府参考人 政府としては、それについてはお答えする立場にないと考えてございます。
○塩川委員 いや、お答えする立場にないって、この後、官民人事交流法の話を聞きますけれども、官民癒着の話というのは基本的な規制措置があるわけですよね。そういったことの関係でも、出身元企業から給与を受け取っているか受け取っていないかというのは極めて重要な点なんですが、そういうことを把握するつもりはないんですか。
○鎌田政府参考人 政府としては、お答えする立場にないという答弁を繰り返させていただきます。
○塩川委員 今確認した答弁のように、雇用は継続していますということなんです。ですから、民間企業に籍を置いたまま官の仕事をしているということなんですよ。
そういったことを推定するに、単に、こちらに来て二百六十万、二百四十万もらっているだけじゃなくて、当然、民間企業で雇用を継続しているんだから、それなりのお給料をもらっていて、結局その差額分は民間企業が負担しているんじゃないのかという推定というのは当然成り立つわけですよ。これはやはり極めて重い問題だと。
そこで、官民人事交流法について聞きます。
国の機関と民間企業との間で人事交流を行う官民人事交流法についてですけれども、民間企業の従業員について、任期を付して国の機関で採用するのが交流採用です。今、何人採用されているのか、また、官民癒着の疑念が生じないようにどのような規制が行われているのか、この点、御説明ください。
○福田政府参考人 お答え申し上げます。
まず、現在、どの程度採用されているかということでございますけれども、平成二十八年末、昨年末の状況でございますけれども、四百七十三名が在職しているところでございます。
そうした上で、御質問の点でございますけれども、官民人事交流法に基づく交流採用でございますけれども、人材の育成と組織の活性化を目的として行われているものでございます。公正性や透明性の確保を図りつつ、円滑な交流に資するような仕組みとしているところでございます。
具体的には、外部の有識者で構成されます交流審査会の意見を聞いて、許認可関係のある企業との交流制限などを定めた交流基準を設けているほか、人事交流の実施に当たりましては、参加企業の公募などによる公正な手続、交流元企業と密接な関係にある官職への配置制限、給与補填の禁止などの制限を課するとともに、交流状況の国会及び内閣に対する年次報告などを行っているところでございます。
○塩川委員 官民人事交流法の交流採用というのは、民間に籍を置いたまま官の方に来ることができるんですよ。でも、官の方に来たときには、国が給与は支給するんですよ。だから、今答弁にありましたように、民間企業からの給与の補填はしない、禁じているということなんです。ですから、民間企業での仕事を行うということについても、当然規制の措置が行われているわけなんです。
ですから、そういったことを言うと、今回のこの非常勤の場合というのはちょっと異常じゃないですか。
憲法や国家公務員法に基づいて、国民全体の奉仕者である公務員の公務の公正性が担保されるように、官民癒着の疑念が生じないための最低限の規制というのが行われているわけなんです。ですから、出身元企業から給与を受けたり、出身元企業で勤務するということは本来許されないということが、官民人事交流法、つまり、もともとの官民癒着を規制する措置なんですよ。
そういったことを考えると、官民癒着の疑念が生じないようにするために、民間企業から来た非常勤職員について、官民人事交流法と同等の規制というのは、大臣、行わないんですか。
○梶山国務大臣 まず、民間から来られた非常勤の職員の方の活用によって官民癒着等の疑念を抱かれるようなことがあってはならないと思っております。国家公務員の非常勤職員の職務の遂行に関しましては、公正な職務の遂行の維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定を的確に運用してまいりたいと思っております。
それと、もう一点よろしいでしょうか。
非常勤職員にはさまざまな類型がありまして、例えば、医療職員、事務補助職、国勢調査の調査員、保護司などが存在をしているわけでありますけれども、従事する職務や期待する役割も多様であることから、採用に当たり、採用前に勤務していた組織等との関係で一律の規制をかけることは困難であると現時点では考えております。
○塩川委員 いや、別に一律の規制なんて言っていないんですよ。事務補助の話はしていないんです。
先ほど答弁があったように、専門性の高い即戦力の業務をやっている人たちなんですよ。そういう人たちがこういった措置になっているということは、結局、民間企業の身分のまま来て、民間企業から給与の補填を受けて仕事を行っているということになるんですよ。
それに対して、官民人事交流法では給与の補填を行わないという規制を行っているのに、同じような業務形態で働いているにもかかわらずそのことについての規制を行わないというのは、本来の官民癒着に対する規制措置を、穴をあけているということになるんじゃありませんか。
○梶山国務大臣 現状の規則においては、今のような、私が今まで申し述べてきたようなことでありますけれども、今後の検討課題であるとは思っております。
○塩川委員 いや、検討どころか、しっかりとした規制措置が必要だと。官民癒着そのものだと言わざるを得ません。
このメンバーの中にも日立製作所の出身の方がいらっしゃいますけれども、二〇一六年度に日立製作所が健康・医療戦略に基づき受けた補助金額というのが一億六千五百万円にも上るんですよ。こういったことを見ても、癒着という指摘というのがまさに問われている大問題であるわけで、官民癒着と批判されても仕方がない事態だということであります。
率直に言って、こういった民間企業が政府の重点政策に深く関与することで、国民全体の奉仕者としての公務の性格がゆがめられて、大企業、財界の利益が優先されるということにならざるを得ない。大企業、財界の利潤追求を求める政策を企画立案する司令塔として内閣官房の機能強化が行われていることは極めて重大だ。官邸機能の強化は、官民癒着を拡大して財界奉仕の政治を推進するものだ。このことを厳しく批判して、質問を終わります。
――――◇―――――
○山際委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。梶山国務大臣。
―――――――――――――
一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案
特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○梶山国務大臣 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
本年八月八日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、この内容を検討した結果、勧告どおり実施することが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、指定職俸給表を除く全ての俸給表について、俸給月額を若年層に重点を置きながら引き上げることとしております。
第二に、勤勉手当の支給割合について、指定職職員以外の職員は年間〇・一カ月分、指定職職員は年間〇・〇五カ月分を引き上げること等としております。
このほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な措置等について規定しております。
引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
この法律案は、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定にあわせて、必要な改正を行うものです。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
秘書官の俸給月額及び内閣総理大臣等の特別職の職員の期末手当について、一般職の職員の給与改定に準じた措置を行うこととしております。
引き続きまして、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
この法律案は、退職給付の官民均衡を図る観点から、人事院による官民比較調査結果及び見解を踏まえ、退職手当の額を引き下げるものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
国家公務員退職手当法につきまして、本則の規定により計算した基本額に乗じる調整率を百分の八十七から百分の八十三・七に引き下げることとしております。
このほか、施行期日について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。
以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いいたします。
○山際委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十二月一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時二分散会