衆議院

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第2号 平成30年3月9日(金曜日)

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平成三十年三月九日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 佐藤 茂樹君

      穴見 陽一君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      神谷  昇君    亀岡 偉民君

      小寺 裕雄君    古賀  篤君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      高橋ひなこ君    武井 俊輔君

      長坂 康正君    西田 昭二君

      三谷 英弘君    村井 英樹君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (女性活躍担当)

   (男女共同参画担当)

   (マイナンバー制度担当) 野田 聖子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当) 菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (防災担当)       小此木八郎君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (海洋政策担当)

   (領土問題担当)     福井  照君

   国務大臣

   (一億総活躍担当)

   (少子化対策担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (科学技術政策担当)   松山 政司君

   内閣府副大臣       あかま二郎君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   法務大臣政務官      山下 貴司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高田  潔君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      宇野 雅夫君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房一億総活躍推進室次長)

   (内閣官房人生100年時代構想推進室次長)    大島 一博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三角 育生君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局審議官) 徳永  崇君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   中村 昭裕君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            武川 恵子君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山下 史雄君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    樹下  尚君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            松尾 元信君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     古市 裕久君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鯰  博行君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 田島 淳志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉田 博史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小瀬 達之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           早川  治君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官官房審議官)           藤井 敏彦君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     高橋ひなこ君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     穴見 陽一君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     亀岡 偉民君

    ―――――――――――――

三月九日

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党及び自由党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山際委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請させましたが、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党及び自由党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官高田潔君、内閣官房日本経済再生総合事務局次長宇野雅夫君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補末宗徹郎君、内閣官房一億総活躍推進室次長・人生一〇〇年時代構想推進室次長大島一博君、内閣官房内閣審議官三角育生君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局審議官徳永崇君、内閣府大臣官房政府広報室長原宏彰君、内閣府政策統括官中村昭裕君、内閣府男女共同参画局長武川恵子君、内閣府知的財産戦略推進事務局長住田孝之君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、警察庁生活安全局長山下史雄君、警察庁刑事局長樹下尚君、金融庁総務企画局参事官松尾元信君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長古市裕久君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、外務省大臣官房参事官鯰博行君、財務省大臣官房審議官田島淳志君、厚生労働省大臣官房審議官成田裕紀君、厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君、厚生労働省大臣官房審議官谷内繁君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長田中誠二君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長宮嵜雅則君、経済産業省大臣官房審議官吉田博史君、経済産業省大臣官房審議官小瀬達之君、国土交通省大臣官房審議官早川治君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛装備庁長官官房審議官藤井敏彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。杉田水脈君。

杉田委員 自由民主党の杉田水脈です。

 内閣委員会最初の質問ということで、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず初めに、先月の二十七日にソウル市の方が公開をしました、旧日本軍の朝鮮人慰安婦の虐殺を見せる映像について質問をさせていただきたいと思います。

 公表した側は、このように言っているんですね。米国立公文書記録管理局から発掘した映像であるということで、これは七十年が過ぎて公開されたということなんですけれども、連合軍の兵士が撮影したものということになっております。私も少し見ましたけれども、本当に見るにたえない、非常に残虐な場面が映像として流れているんです。

 これなんですが、きちんとアメリカの公文書記録管理局の方を、これはNARAというんですけれども、NARAというところをきちっと捜査をしますと、皆さんの方のお手元に資料をお配りしておりますが、こういった映像は筒のようなものに入って保管をされているんですね。その筒のようなものに、これはこういう映像ですという説明書きがあるんですよ。

 その説明書き、きょう皆さんにお配りしておりますけれども、これによると、全く違うんですね。死んでいるのは日本人の兵士です。そこから中国人の兵士たちが、これはソックスとか書いてあるんですけれども、靴下とか身の回りのものを略奪しに来ている、そういう映像である。それを連合軍の方が映像におさめて保管をしていたものである。全く、これはソウル側が言っていることと違うんですね。

 ただ、韓国はそのような形で、韓国の英語ニュースに載せて、これをもう既に世界に発信しております。欧米の主要紙なんかもこれを取り上げて、日本軍の残虐な犯行の証拠だというような形の報道をしているところも確認をされております。

 先ほども言いましたとおり、全くこれはにせものなんですけれども、これについて日本政府はどのような対応をしていらっしゃいますでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 客観的事実に基づく正しい歴史認識の形成に向けた国際広報の強化は、国を挙げて取り組むべき重要な課題と認識してございます。

 こうした観点から、平成二十五年度以降、内閣府の広報予算は大幅に拡大をしているところでございまして、さまざまな手段で日本政府の立場やこれまでの取組等について発信をしてきているところでございます。

 引き続きまして、外務省等関係省庁と緊密に連携しつつ、最も効果的な方法で戦略的な広報を行ってまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

杉田委員 やはり対外政府広報費というのは、私はこういうことにもしっかり使われていかないといけないというふうに思っているんですね。せっかくなので、NHKとかの英語ニュースなんかも活用して、やはり英語でしっかりと世界に、これは捏造であるということを伝えていく必要があるのではないかというふうに私は思っております。

 そして、もう一つ問題としたいのは、二十七日にソウル市で開催された、韓日中、要するに中国と韓国と日本の、日本軍慰安婦国際カンファレンスというイベントがありまして、そこで発表された映像がこの映像なんですね。先ほど言いました、中国と韓国と日本が参加しているんです。

 日本から二つの団体が参加をしております。一つが、東京の西早稲田の二の三の十八というところにあります女たちの戦争と平和資料館、wamというところです。そしてもう一つが、ピースボート、アムネスティ日本などが結成した日本軍「慰安婦」問題解決全国行動という、この二つの団体が参加をしております。

 それで、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、政府広報とかを担当しております内閣府の方で、このwamという団体は御存じでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 書類等では存じ上げておりますけれども、よくは存じておりません。

杉田委員 よくは存じておりませんという答弁だったんですけれども、このwamという団体は、実は、二〇〇〇年に女性国際戦犯法廷という疑似法廷、疑似法廷なので裁判のまねごとです、みたいなものを行いました。皆さんの方の資料にもお配りをしておりますけれども、これは、私が実際に西早稲田のwamの方に行って入手してきた資料でございます。

 こういったカタログが配られておるんですけれども、ここにも書いてあるように、そこで何をしたか、民衆法廷で何をしたかというと、その判決は天皇裕仁ら十名の軍責任者の政治責任と日本政府の国家責任を認めて、そういうふうな、賠償、真相究明、記憶、教育などを含む勧告を出したということで、疑似法廷でこれらの、天皇陛下とかを不敬なことに裁いて、そして責任を認めるというか、当然被告人は出てきていない、裁判のまねごとなんですけれども。

 このときに、この裁判で検事役を務めたのが、今のソウル市長なんですよ。今のソウル市長がそのとき検事役を務めていた。だから、十八年前から、このwamというところとソウルというのは非常にこのように手を組んでやっていますし、ソウル市が今回のような捏造した映像をこれが証拠だと言って出してきたのは、今回に限らず、昨年も全く違う映像に全く違うテロップをつけて流すというようなことをやっているんですね。

 結局なんですけれども、今、外務省さんとかはすごい一生懸命動いてくださって、日韓合意の後、韓国が国際的にまた性奴隷だ強制連行だと言ったときに、それを一つ一つモグラたたきのように否定はしておるんですけれども、こういった日本国内の団体、これは海外の問題じゃないんです、国内の問題なんですよ。日本国内の団体がこういったことを広げていっているということに関して、どういうふうな手だてがあるんでしょうか。これをまず抑え込まないことには、海外にこういったうそが広がっていくのを私は抑え込めないと思うんですけれども、そういったところはどのような対処があるんでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 民間団体の活動でございますので、やはり原則的には、表現の自由等々ということのもとにあろうかと存じます。

杉田委員 いつも表現の自由という言葉で逃げられてしまうんですけれども、表現の自由といっても、捏造とかうそをばらまく表現の自由というのはまずないと思うんですね。表現の自由というには義務が必ずついてくるものですから、ちゃんと事実を発信することにおいての表現の自由というのはありますが、捏造するということは、しかも国益を損なっていますから、そのあたりはしっかりとした対処をしていただきたいと思います。

 もう一つなんですけれども、実は、毎年三月、ニューヨークの国連で、女性の地位向上委員会というのが開催されます。ことしも開催されます。

 私は、二〇一六年のこの女性の地位向上委員会のパラレルイベントというものでスピーチをしてきたことがあるんですけれども、この女性の地位向上委員会がニューヨークの国連で行われている間に、全世界から四百前後ぐらいのNGOが集まって、パラレルイベントを開くんですよ。それで、そこのところにいろいろな方々が参加できる、そういうシステムになっているんですが、実は、二〇一五年の女性の地位向上委員会のパラレルイベントで、このようなイベントが開催されています。「慰安婦問題の真実と正義 第二次大戦時の日本軍性奴隷」という、これも皆さんにお手持ちの資料でお配りしておるんですけれども、こういうイベントが開かれております。

 このイベントなんですが、パネリストには、先ほど言いましたwamの代表であります渡辺美奈さんという方が来ていらっしゃいます。それから、共催しているのも、wam、それとピースボートとかが共催団体として挙がっておるんですけれども、このイベントを主催したのは、ヒューマンライツ・ナウという団体です。このヒューマンライツ・ナウの事務局長の伊藤和子さんという方がコーディネーターを務めていらっしゃいます。

 そこでお尋ねしたいんですけれども、このヒューマンライツ・ナウという団体は一体どういう団体なんでしょうか、お尋ねいたします。

武川政府参考人 ヒューマンライツ・ナウという認定NPO法人でございますけれども、私ども男女共同参画局として活動を承知しているのは、平成二十八年三月にアダルトビデオの強制出演被害に関する調査報告書を公表されたということで、私どもとしてはその活動を認識しているということでございます。

 先ほどお話のありましたニューヨークの件につきましては、そういうセミナーといいますかパラレルイベントを開いたということは、御指摘を受けて、きのうの夜、ヒューマンライツ・ナウのホームページを開いてみましたので認識をしたところでございます。

杉田委員 今、AVの強要防止ということで、そういう活動をしている団体だと認識していたということなんですけれども、それ以前にこの団体は、こういった、日本軍が、慰安婦というのは性奴隷であったとかということを、国連などを通じて世界にそういったことを捏造、ばらまくということをすごく熱心にやっている団体が、このヒューマンライツ・ナウなんですね。

 それで、ここからはこのAV出演強要防止、それからJKビジネス防止の質問に移っていきたいというふうに思っておるんです。

 これは、ことしから内閣府で予算がついて、たしか四百万だったかと思いますけれども、予算がついて、毎年四月を、AV強要そしてJKビジネス防止月間という形でしていくということなんです。

 いろいろ、内閣府の方から私も資料をいただいて、見せていただいたんですけれども、まずはこのAVの、アダルトビデオへの出演強要とはということで、概要というところを見ますと、前提条件になっているのが、この国際人権NGOである認定特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウが発表した報告書となっているんですよ。だから、前提条件になっているのが、このヒューマンライツ・ナウの報告書のみなんですね。

 いろいろ、これは内閣府さんからいただいた資料なんですけれども、例えば警察はこれをどのように把握しているかというと、二〇一六年の一月一日から二十八年の十二月三十一日までの三年間で、相談件数は、実はたったの二十五件。ほとんどが、八割が関西方面の警察に寄せられたということが言われていますし、あと、実際に検挙されて裁判とかになった事例は二件しかないんですね。それも、労働派遣法違反とかそういう裁判の、たったの二件しかないということなんですね。

 ただ、一方では、ヒューマンライツ・ナウとかは、年間に百件ぐらいの相談件数があるということで言っているんですね。

 一度確認をしておきたいんですけれども、年間、このAVへの出演強要というのは一体どのぐらい起こっているんでしょうか。これは警察の方にお尋ねしたいと思います。

山下政府参考人 委員御指摘のアダルトビデオ出演強要問題につきましては、私ども、各種法令を適用した厳正な取締りを推進しているところでございます。

 昨年中でございますけれども、この問題については、自営業の男がコスプレモデル募集サイトを開設し、モデル希望の女性を集め、脅迫等によりアダルトビデオへの出演を強要していた事案につきまして、職業安定法や、これは有害業務の募集でございますが、強要罪等を適用して検挙しているところでございます。

杉田委員 年間で見ても、これ一件だけなんですよ。

 例えば、これも内閣府にいただいた資料なんですけれども、去年の四月に試しみたいな形でやってみたと。その中で、警察庁が、スカウトに関する検挙というのがありまして、これが二十三件、それから、スカウトに対する指導、警告結果というのが百一件あるんですけれども、これはただし書きが書いてあるんですね。なお、検挙及び指導、警告に係る事案では、アダルトビデオへの出演を直接勧誘するものはなかったと書いてあるんですよ。だから、結局、去年そういう月間をやっても、そういうふうな、実際にはなかったということなんですね。

 このアダルトビデオの強要問題なんですけれども、こちらも皆さんに手持ちの資料で配っておるんですけれども、これは私自身が産経新聞に持っていたレポートの中の一つなんです。

 ここのところで、幾つかのそういうのに出演していた女性が、借金を返すために出演していた女性が、実際に、アダルトビデオをやめた後につき合い出した男性にそれがばれてしまって、とっさについたうそが、強要されてやったということで、それで相談に行ったのがヒューマンライツ・ナウだったというような、こういうふうなことはすごくたくさんあるということで、これは実際に私も業者の方の聞き取りをして、こういうふうな事例とかをとってきてこの記事を書いたんですが、ここのタイトルのところに、要するに、「あの慰安婦追及NGOがAV出演強要問題に触手…」と書いています。そして「「AV女優=現代の性奴隷」と国連で非難される日が来るかも」というタイトルをつけておるんです。

 もう一つ、次に、皆さんにお配りしております資料があります。私がこの記事を書いたのは二〇一六年の七月なんですが、二〇一六年の八月です、ここに、「八・一四日本軍「慰安婦」メモリアル・デーを国連記念日に!」というイベントが開かれております。

 これなんですけれども、ここのところで、八・一四というのは、金学順さんという元慰安婦の方が、自分から、私は慰安婦だったということを初めて告白した日らしくて、これがメモリアルデーらしいんですけれども、このタイトルを見てください。「語り始めた被害者たち」と書いていまして、「日本軍「慰安婦」、AV出演強要、JKビジネス」といって、この三つが並べられているんですよ。

 これは、要するに、AV女優という性奴隷が今現在の日本にもいる、だから七十年前の日本軍が性奴隷を持っていてもおかしくないんだというようなことが語られているところなんですが、こういうことが全部つかめているんですね。

 先ほども言いました、AV強要というのは、きっちりと警察が関与している件数というのはほとんどないんですが、政府がお金を使ってこの防止月間をやるメリットって、何があるんでしょうか。大臣にお聞きします。

武川政府参考人 アダルトビデオ出演強要に関しましては、警察で把握しているのが三年間で二十五件、それから、PAPS及びライトハウスという民間団体に対する相談件数が、平成二十五年は一件だったんですが、各一件、この二つの民間団体で、平成二十六年は三十六件、平成二十七年は六十二件、平成二十八年は百件。それから、国民生活センターに関しても相談事例が把握されていると。

 それから、内閣府におきまして昨年十二月にインターネット調査をいたしまして、モデルやアイドル等の勧誘により契約した人が、誘われた人が二千五百七十五件のサンプルに対して、契約した人が百九十七件、それから、契約時に聞いていない性的な行為の撮影を求められた経験のある人がそのうちの四人に一人、また、求められた行為を行った人がまた三人に一人という結果がございまして、被害実態があるという認識のもとにこの月間を催しております。

 そして、四月にやるということに関しましては、進学、就職などによりまして若者の生活の環境が大きく変わる時期であり、被害に遭うリスクが高まることが予想されるということで、このような時期に政府一体となって啓発キャンペーンなどの取組を集中的に実施するということが効果的であるというふうに考えているところでございます。

杉田委員 私も、女の子を持つ母親として、こういうJKビジネスとかAVの出演強要とかはあってはならないというふうに思っておりますが、余りにもこれはやはり件数が少ないのに対して、政府を挙げて、予算をつけてこういうことをやるということを、メリットとデメリットを考えたときに、先ほども言ったように、こういうふうな日本をおとしめるプロパガンダに使おうとする人たちが明らかにいて、その人たちの言うことを聞いて、これは書いていますよね。

 例えば、先ほど言いました「語り始めた被害者たち」というので、出席しているパネリストが皆さんのお手元のところに載っておりますけれども、一人は尹美香さんという方で、この方は韓国の有名な挺対協の代表の方です。この方をわざわざ韓国から呼んできてやっている。それからもう一人、田口道子さんということですよね。ポルノ被害と性暴力を考える会の事務局長となっていますが、この報告書をつくって、内閣府は、ヒューマンライツ・ナウともう一つ、このポルノ被害と性暴力を考える会というところからも聞き取りをしていますよね。それをお尋ねしたいんですが。

武川政府参考人 この報告書が発表されましたので、内閣府におきましては、女性に対する暴力に関する専門調査会でヒアリングをしております。

杉田委員 要するに、こういう人たちの意見を聞いてこの月間をつくったということですよね。なので、やはりこれをやるより、やるメリットというのはある一定あるかもしれませんけれども、デメリットの方が絶対に大きくないですか。

 日本政府がお墨つきを与えて、AV女優の強要とかJKビジネスとかというのはこんなに日本で問題になっているから、だから防止月間をやらないといけないということが、これが海外には、だから昔日本は慰安婦という性奴隷を持っていたんだと言われてもおかしくないです。まさしく、その意図を持ってこの団体はこういうふうなことをやっていっているんですけれども、これは私は絶対にやめるべきだというふうに思っております。デメリットが余りにも大きいと思っておりますが、このようなことに対してどのように今後されていくのかということについて、これは大臣に伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 アダルトビデオの出演強要やJKビジネスの問題など、若年層、若い女性たちを狙った性的な暴力は、被害者の心身に深い傷を残しかねない重大な人権侵害です。

 今、委員も、あってはならないことという御指摘がありました。しかし、先ほどの、相談件数二十五件しかないとおっしゃいましたけれども、あってはならないことにもかかわらず相談件数があったという事実も、これはやはり厳粛な真実だと思っています。

 ですから、想像してみてください。私は五十七歳の国会議員です。何かそういう問題があれば、警察に相談するということがすぐに思いつき、それを行動することができる女性であります。しかし、十五歳から十六、十七、十八、十九、二十あたりの自分を振り返ってみると、そこまでやはり社会的にも知識が積み重なっていない。だから、誰かがやはり支えてあげなければならない。しかしながら、性的な問題というのは、女性であればわかると思いますけれども、家族にもなかなか相談できないことがあります。

 ですから、私は、やはりそういう被害があったということをしっかり受けとめてあげて、これを、二十五件しかではなく、ひょっとしたらもっともっと大勢の女性たち、若い女性たちが今も悩んでいるかもしれない。でも、誰に相談していいのか、どこに行けばいいのか、そういう方たちがいるということを、私は常に、社会的弱者というんですかね、そういう人たちの声を丁寧に拾い上げることも政治にとっては大切なことだと思っています。

 そういうこともあって、そういうことをしていいんだよ、何かつらいことが、嫌なことがあったら警察に、またいろいろなところに相談できるんだよということを、そういう若い、まだ社会的に未熟な女性の仲間たちにお伝えする、集中的に伝えるキャンペーンをやっても、決して私は問題ではないと思うんです。

 あってはならないこととおっしゃいました。私もそう思います。それをやはりなくしていくために、ささやかですけれどもこういう活動を続けていくということは効果的ではあるんだというふうに進めていきたいと思います。

杉田委員 大臣のおっしゃることは非常によくわかるんですけれども、先ほども申し上げました、一方的な見方だけではなくて、やはりちゃんとして見ていかないといけない。

 これは、実は残念なこと、残念なことと言ったらよくないのかもしれませんが、この職業につきたいという女性はすごく多いんですよ。引く手あまたで、すごく狭き門なんだそうです。だから、わざわざ嫌がる女の子を無理やり出して、そんなことをすると、必ずその業者は潰れるわけで、やっているようなところはすごく小さいので、それよりは、というようなところの事例の方がすごくたくさんあるんですね。

 だから、必ずしも相談件数が、全部が全部本当にだまされて、それに出させられて、すごいひどい目に遭った子たちばかりではないということをまず一点指摘をしておきたいということと、先ほどの大臣の答弁の中には、何といいますか、対海外についての、そういうふうな、波及していく、反日のプロパガンダに対して、どのような手だてをとっていただけるのか。やるのならやるでいいです。やるのならやるでいいですけれども、日本軍の性奴隷と今現在のAV女優とは別物で、そういうこととは分けて考えてくださいということを国際発信しないと、どんどんどんどん一緒くたにされて、海外にこういううそがばらまかれていくんじゃないかなというふうに思うので、これはそれ以上の質問通告はしておりませんので、それ以上はお尋ねはしませんが、そういった対外の発信についても、きちっと気を使って見ていく必要があるのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 続きまして、パチンコ、ギャンブル依存症のことについてお尋ねをしたいと思います。

 今、IRの推進について、ギャンブル依存症のことについてもいろいろな検討がなされているかと思うんですけれども、まだ日本にはIRがない、カジノがないにもかかわらず、世界的に非常に高い水準、ギャンブル依存症が多いと言われているんですけれども、今現在、カジノがない状態でギャンブル依存症が高い一番の原因は何ですか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 日本医療研究開発機構、いわゆるAMEDの委託によります調査研究で、国立病院機構久里浜医療センターの研究班が、国内のギャンブル等依存に関する疫学調査を実施しておりまして、この調査につきまして、昨年の九月に中間取りまとめが行われているところでございます。

 その結果によりますと、過去一年以内のギャンブル等依存が疑われる者の割合は、成人の〇・八%でございました。このうち、最もお金を使ったギャンブル等の種別はパチンコ、パチスロであり、成人の〇・七%と推計されています。

 また、生涯を通じたギャンブル等依存が疑われる者の割合は、成人の三・六%でございました。このうち、最もお金を使ったギャンブル等の種別についても同じくパチンコ、パチスロであり、成人の二・九%と推計されております。

杉田委員 パチンコが一番多いということで御答弁いただいたんですけれども、ギャンブル依存症の中で一番多いのがパチンコなんですけれども、パチンコはギャンブルに当たらないんですよね。

山下政府参考人 ギャンブルに当たらないかというお尋ねでございますけれども、いわゆるギャンブルにつきましては一般的な用語でございまして、必ずしも定義が明確ではないことから、パチンコがギャンブルに当たるかを判断することは困難でございますが、パチンコ営業につきましては、客の射幸心をそそるおそれがありますことから、遊技料金や賞品の価格の最高限度を一定の範囲にとどめるよう規制をしているほか、現金を賞品として提供することを禁止するとともに、著しく射幸心をそそるおそれがある遊技機の設置を禁止するなど、風営適正化法に基づき所要の規制が行われているところでございます。

 この風営適正化法に基づく当該規制の範囲内で行われる営業につきましては、賭博罪に該当しないものと認識をしております。

杉田委員 そうなんです。パチンコは賭博罪に当たらないんです。風俗営業法に規定されているという形になっているんですね。

 例えば、カジノとかでありましたら、お金をかけるといってもチップをかけるわけです。それで、そこのところでカジノで遊ぶ、その後で、そのチップを店内で持っていって現金にかえて、そして外に出るという形をとっておりますから、これは賭博という形になるんですけれども、パチンコは、出た玉をそこでは現金にはかえないんですね。

 いわゆる三店方式というのがやられていまして、そこのところでは、玉はいろいろな景品とか賞品とかとかえられて、それで、外に出てから違うところで現金にかえていくという三店方式が行われているんです。

 この三店方式、言ってみれば目くらましみたいなものですよね。そこではいけないけれども、私、レクのときにも聞きましたけれども、店の外に出た人の行動までは我々は関知しないというような答弁が返ってきたんですけれども、やはり外に出てからでも現金にかえられる、だからこんなにたくさんの人たちがやっているわけで、事実上この三店方式を規制する必要があるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

山下政府参考人 客が、パチンコ店の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、パチンコ店の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知をしておりますが、パチンコ店の営業者以外の第三者が賞品を買い取ることは、直ちに風営適正化法違反となるものではないと認識をしております。

 この風営適正化法はパチンコ営業につきまして必要な規制を行うものでありますところ、仮にパチンコ店の営業者以外の第三者による買取りを規制することとした場合、一般的な物の売買にまで際限なく規制の対象が広がることとなり、過剰な規制となりかねないものと考えられるところでございます。

 いずれにいたしましても、警察といたしましては、パチンコ営業者と実質的に同一であると認められる者が賞品を買い取るなどの違法行為につきましては、引き続き厳正な取締りを行っていく所存でございます。

杉田委員 ギャンブル依存症を本気でなくそうという気があるんですかね。

 これも、つい最近、産経新聞の記事を皆さんにお配りしているんですけれども、ギャンブル依存症、パチンコが最多で、アクセスのよさなどが原因かとなっているんですけれども、アクセスしやすいことを何とかしていかないと、出玉規制とかそんなのだけでは、パチンコによるギャンブル依存症というのは防げないと思うんですね。今でも、駅前の一等地とか一番いいところにはパチンコ店がずらっと並んで誰でも入れるという形、ここのところを何とかしていくという必要もあるかと思うんです。

 もう一点質問をしたいのは、一時期非常に話題になりました、大分県の別府市とかが生活保護の人たちに対してパチンコを禁止しているというようなことがあったんですけれども、例えば、別府にしてみれば、受給者に支給を開始するときに、パチンコ店に立ち入らないようにするための誓約書の提出を求めていて、それで結局パチンコに行っていたら生活保護の受給をやめるというようなことをやっていたんですね。

 これは全国の自治体の人たちからかなり拍手喝采を受けて、ほかの自治体もこういうことをやった方がいいんじゃないかというような意見が圧倒的に多かったと思うんですけれども、しかし、これは、国と県が、生活保護法にそのような規定がないので取り締まる法的根拠がないというようなことで、これはやめになったんですよ。生活保護をもらっている人がパチンコをすることすら規制することもできないのに、どうやってギャンブル依存症をなくすんですか。

 厚生労働省の方にお聞きしたいんですけれども、これは、だめなんだったらだめで、逆に生活保護法の方を変えればいいだけじゃないかと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘をいただきました二つの市で事案がございましたが、これは、パチンコ店等に出入りをしている生活保護受給者に対しまして、生活保護法第六十条に定めております支出の節約等の生活上の義務を果たさないということのみを理由として保護の停止処分を行っていた内容というふうに承知をしております。

 これに対しまして、厚生労働省としては、支出の節約を図ることなどを規定したこの法第六十条に定める生活上の義務を果たさないということのみを理由として保護の停止処分を行うことは不適切な運用であるということで、県を通じまして二市に指導をしたところでございます。

 一般論といたしましては、生活保護を受けている方がパチンコ等の娯楽を行うことを一律に禁止するということについては、慎重な検討が必要かと考えております。

 一方で、それによりまして本人の自立した生活あるいは健康を損なうというようなことにつきましては、最低生活の保障と自立の助長という生活保護の目的に照らして望ましくないということで、福祉事務所は必要に応じて助言指導等を行うということで対応をしているところでございます。

杉田委員 こういうふうなことをするときに言うのは、よく官僚の皆さんは、世論に基づいて、世論に基づいてと。だから、世論に基づいて、必要ならば法を変えていくということがあると思うんですが、この場合は多分圧倒的に、世論としては、こういうのはおかしいと言う人たちの方が多いと思うんですね。だから、そういった世間の声というものもしっかり聞いて、今後の法というものを考えていっていただければと思います。

 最後に一点だけ。きょうは地域子育て支援拠点事業についての質問もする予定としておりました。

 最近は、待機児童対策とかそういったことで、そちらの方にばかり目が行くんですけれども、実は、この地域子育て拠点という形で、そこにも十分なお金がついていまして、これは、主に家庭で子育てをしていらっしゃる専業主婦のお母さんとかそういう人たちが、児童館とかを利用して、そこで、母親クラブとかそういうところでお友達づくりをしたりとかいろいろするところなんですけれども、この地域子育て支援事業の拠点となるのが児童館なんですね。

 それで、その児童館が全国の自治体にあるかというと、まだまだ三割の自治体が、児童館が未設置の状態にあります。これをしっかりと配備をしていっていただきたいということを質問する予定だったんですけれども、今ちょうど時間が来てしまいましたので、また次の機会にしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山際委員長 次に、高木啓君。

高木(啓)委員 自由民主党の高木啓でございます。

 私は、昨年の十月に初めて衆議院の一議席をお預かりさせていただくことになりまして、東京比例代表の一人として立場をいただいたわけであります。本日、内閣委員会で初めての質問となります。どうぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。

 私は、衆議院議員になる前に東京都議会議員を務めておりまして、その意味では、地方自治、その前も地元の、東京都北区の区議会議員を務めておりましたので、地方自治をずっと務めてきたつもりでございます。そうした経験の中から、きょうは、一億総活躍社会を目指す安倍政権の目標について、また、子ども・子育て支援ということについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 数日前から風邪を患いまして、こんな声になってしまいまして、ちょっとお聞き苦しいかもしれませんが、どうぞよろしくお願い申し上げたいと存じます。

 最初に、アベノミクスと一億総活躍社会の実現についてということをお伺いしたいんですが、年末に新しい経済政策パッケージが発表されて、そして、それ以前から、衆議院選挙の政権公約を含めて、安倍政権として我が国をどういう方向に導いていくのか、そういうことに対してはいろいろなキーワードが発せられてきたと思うわけであります。そのキーワードが、それぞれ独立をしているものではなくて、恐らく私は一つのストーリーとして方向性を示されるべきなんだろう、こう思っておりまして、いろいろと発表されている文献を含めて、私自身も一生懸命勉強させていただきました。

 わかったことは、前提としての少子高齢社会が急速にやってくるということ。そして、そのときにどういう政策の方向性が今の我が国にとって必要なのか。その前提に立って、例えば消費税率を一〇%に増税をする、そのときに、プライマリーバランスの黒字化というものは、ある一定の期間、少し猶予を持たせる中で、全世代型の社会保障という考え方にシフトチェンジをしていこうというようなことがあったり、いろいろなことが示されてきたんだろうと思います。

 この一連の政策ストーリーというのは、私は政治を志してから既に三十年以上たちましたが、今までの歴代内閣の中で、これほど明確に、ロジカルにこうしたストーリー展開をしたというのは、私は、実はなかったのではないかと。つまり、安倍政権が初めて、全ての経済政策や、あるいは人づくり革命や生産性革命もそうですけれども、最終的な一億総活躍社会を目指していこうというこの目標に向かって、一つ一つの政策を組み合わせる中でのストーリー展開をしたのではないか、私は実はそう思っております。

 このことはもっと国民の皆さんに、かみ砕いてといいますか、丁寧に御説明をして、やはり御理解をしていただく中で、いや、それだったらみんなで一緒に協力をしていこうよというような一つの流れをつくっていくべきではないのか、私はそのように実は思っているわけであります。

 そこで、お伺いをしたいと思うんですが、人づくり革命でありますとか生産性革命、あるいは働き方改革、全世代型社会保障、そうしたさまざまなキーワードと先ほど申し上げましたが、これがどのようにつながっているのか、そして、この政策の目指すべきところの入り口はどれで出口はどれなのかということをぜひ松山大臣に御説明をいただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

松山国務大臣 高木先生おっしゃるように、一億総活躍社会の実現は、安倍内閣の大きな基本方針として掲げられたものでございます。女性も男性も、そしてまたお年寄りも若い方々も、一度失敗を経験した方であっても、また障害や難病を抱えるような方であっても、誰もがいろいろな立場で今よりも一歩踏み出せる、頑張れる、そういう社会をつくっていこうということが大きな安倍内閣の基本方針でございまして、平成二十八年の六月に、ニッポン一億総活躍プランを閣議決定いたしました。希望出生率一・八、介護離職ゼロ、名目GDP六百兆円の実現に向けて新しい三本の矢を放ち、各分野においてそれぞれ取組を進めているところでございます。

 御指摘のありました全てのキーワードは、この新三本の矢の取組を進めるために鍵となる政策でございまして、具体的には、人づくり革命につきましては、まさに人生百年時代を見据えた中で、一億総活躍社会の実現に向けたこれは本丸でございまして、人材への投資を強化するものでございます。

 また、我が国の社会保障制度を、先生がおっしゃるように、子供、若者、高齢者まで誰もが安心できる全世代型へ転換をする、これは、希望出生率一・八、介護離職ゼロ、この実現に資するものでございます。

 さらに、世界に先駆けて生産性革命を実現することによって、名目GDP六百兆円の実現を目指していきます。

 そして、働き方改革でありますが、こうした一億総活躍社会の実現に向けた取組を進める上での横断的な課題でございまして、最大のチャレンジと位置づけております。

 長時間労働の是正、また非正規雇用労働者の待遇改善などによって、一人一人の意思や能力、また置かれた個々の事情に応じて多様で柔軟な働き方が選択できる社会というものを実現してまいります。

 また、働き方改革は、労働生産性を改善するための最良の手段でもございまして、単に労働時間を削る、また、その分の収入が下がるということではなくて、労働生産性向上の成果を働く人に分配するということで、賃金の上昇、また、需要の拡大を通じた成長と分配の好循環を構築していくということで進めているところでございます。

高木(啓)委員 ありがとうございます。

 御丁寧に御説明をしていただいて、さらに、キーワードといいますか、数字のキーワードが今出てこられて、合計特殊出生率一・八、介護離職ゼロ、そしてGDPが六百兆ということも含めて、全体のストーリー展開がされているんだろうと思うわけであります。

 私は、特に説明を要するのは、やはり消費税の使い方を変えたこの全世代型社会保障の考え方をもう少し丁寧に説明を国民にすべきではないのかなと実は思っています。

 それは何かといいますと、先般、国立国会図書館から出されましたけれども、イシューブリーフという冊子に、「全世代型社会保障をめぐる議論」という冊子がありまして、これは非常によくできておりまして、私も大変勉強になりましたが、福祉全体の予算というか費用を一〇〇とすると、現在、ざっくり言うと、高齢に五〇%、そして医療が三〇%、この八〇%、ほとんどこれで使われてしまっていると。

 何と、今話題になっているこの子ども・子育てあるいは家庭、これは全く、五%しか使われていないというこの現状の中で、全体のパイがこれからふえていくわけですから、現在の高齢福祉を削るということではなくて、更にふえた部分について、この五%しかない子ども・子育て、家庭、ここに対してもっと手当てをしていこうよというのが、実は今回の全世代型社会保障の考え方の基礎になっていると私は思うんですね。

 この数字を明らかにすると、恐らく国民の皆さんは、なるほど、そういうことだったのか、消費税の使い道を変えるということはそういうことだったのかということで、私は御理解をいただけるのではないかなと思いますので、こういうこともこれからぜひ政権の中で、もっと国民の皆さんにわかりやすく説明をしていただいたらどうかなというふうに思うわけであります。

 さて、働き方改革については、裁量労働制のデータの問題等ありまして、今何となくネガティブな感じで捉えられている部分があると思うんです。しかし、働き方改革は、やはり私たち日本国民全体の願いとして、長時間労働をどのように是正をしていくのかということ、そして、更に言うならば、私たちが一億総活躍を目指す中で、もっともっと生産性を上げて働き方を変えていこうよというのは国民的な目標であっていいと私は思うわけであります。

 そこで、この働き方改革を単純に進めていくと労働時間の短縮ということだけになってしまいますので、そうなると当然賃金も減ってしまうということになってしまうわけで、これは、働き方改革が全体の政策ストーリーの入り口であっては私はならないと実は思います。

 つまり、そういう意味でいえば、働き方改革にはいろいろなやはり条件があって、そして最終的に、今、例えば十時間働いている人が八時間で同じ賃金を得られるということが必要なわけでありますから、働き方改革というのは政策ストーリーの中のどの位置に位置づけられるべきなのかということが私は大事なんだろうと思うわけであります。

 そのときには生産性革命も当然必要でありますし、人づくり革命も必要なんだろうと思いますので、これがどの位置にあるべきなのかということをぜひ御教示いただけないでしょうか。

松山国務大臣 働き方改革でありますが、先ほども若干申し上げましたけれども、一億総活躍社会の実現に向けた取組を進める上での横断的な課題として位置づけておりまして、最大の今はチャレンジということでございます。長時間労働の是正、また非正規雇用労働者の待遇改善、あるいは一人一人の意思、能力、また置かれた個々の事情に応じて多様で柔軟な働き方が選択できる社会というものを実現してまいります。

 また、働き方改革、労働生産性を改善するための最良の手段として進めておりまして、単に労働時間を削る、また収入が下がるということではなくて、労働生産性向上の成果を働く人に分配する、成長と分配の好循環ということで、これからも構築をして進めていきたいと思っているところでございます。

 一億総活躍社会を実現することができると、多様性が生まれ、労働参加率の向上、あるいはイノベーションを通じた生産性の向上等が更に促されて経済成長が加速する、そして、その経済成長を生かしながら、子育て支援や介護離職ゼロに向けた取組などの社会保障の充実を行っていく予定でございます。

 そして、教育負担の軽減等、また人材への投資も拡大をし、こうした取組で安心できる社会基盤を築き、その基盤のもとに持続的に経済を成長させてまいりたい、そういう位置づけで進めているところでございます。

高木(啓)委員 働き方改革、これはぜひ、いろいろな側面から後押しができるような、そういう広報も含めて、やはり力を入れていただきたいと思うんです。

 実は、昨日、日経新聞に渋谷の再開発の記事が載っておりまして、IoTで働き方改革の後押しという見出しが載っておりました。つまり、民間事業者も今、いろいろな取組の中で、働き方改革を多様な側面から応援をしていこうという機運が出ているということの私は証左だと思っておりまして、こういうことも、これから松山大臣を中心に、働き方改革に向けてのさまざまな技術革新や、それを導入していくためのアドバンテージというものもぜひ考えていただいたらどうかなと実は思っております。

 働き方改革には、当然、今申し上げたような技術革新や生産性革命も必要ですし、また人づくり革命も必要だというふうに思うわけです。つまり、労働時間の短縮を求めていくとするならば技術も向上していかなきゃいけない、それは物も人もということだと思うんです。

 そこで、経済政策パッケージの中に、人づくり革命という項目の中に介護人材の処遇改善の話が出ているんですが、この介護人材の処遇改善について、これは一つの事例なのでお伺いをするんですけれども、具体的にはどういうことをお考えになっていらっしゃるのか。

 特に、私は東京選出でありますので、都市部における介護人材の加算の問題というのは従前からずっと言われてきた問題なんですけれども、こうしたことに対してどのような取組を行っていくのか、ぜひ御披瀝をいただきたいと思います。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 まず、介護人材の処遇改善の具体的内容いかんということでございますけれども、介護人材の処遇改善につきましては、これまでも財源を確保しながら着実に行ってきておりまして、今年度、平成二十九年度におきましては、ニッポン一億総活躍プランに基づきまして臨時に介護報酬改定を行って、月額一万円相当の処遇改善を実施しております。

 また、議員お尋ねの、昨年十二月に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおきましては、経験、技能のある職員に重点化を図りながら、介護職員のさらなる処遇改善を進めること、他の介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めること、介護サービス事業所における勤続年数十年以上の介護福祉士について月額平均八万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費一千億円を投じること、消費税率の引上げに伴う報酬改定において対応し、二〇一九年十月から実施することについて盛り込まれておりまして、その具体的内容につきましては、今後検討していくこととしております。

 また、さらに、都市部における介護報酬の上乗せのお尋ねでございます。

 まず、現状でございますが、介護報酬におきましては、一単位当たりの単価を設定する際に人件費の地域差を勘案しております。具体的には、単価の算出に当たりまして、公平性、客観性の観点から、原則として、公務員の地域手当の区分に準拠いたしまして、市町村ごとに設定した上乗せ割合に介護サービスごとの人件費割合を掛け合わせる形で算出しております。

 このため、例えば東京二十三区では、二〇%の上乗せ割合に各サービスの種類に応じて四五%から七〇%の人件費割合を掛ける形となっておりまして、通常一単位十円のところを東京二十三区では十・九〇円から十一・四〇円で設定されておりまして、都市部は比較的高い単価設定にしているところでございます。

高木(啓)委員 先般、年末だったと思いますが、大都市部における介護人材確保に関する請願というんでしょうか、私も署名議員になりましたが、東京を中心にする大都市部はやはり介護人材が不足をしている、更に言うならば、その人件費の手当が、加算をしていただいているんだけれども、まだまだそれでも行き渡っていない、それが現実だと思うんです。

 ですから、ぜひ今後の検討の中で、大都市部、特に二十三区はそうですけれども、一級地、二級地という区別も、東京二十三区が一級地で横浜市が二級地だ、そういったいろいろな差別化の中で、本当にこれでいいのかという問題もあるわけですから、その辺のことも含めてよく検討していただきたいと思います。これは政策パッケージの中の重要な項目の一つだと思いますので、ぜひお願いしておきたいと思います。

 アベノミクスと一億総活躍の最後の質問になりますが、今まで申し上げた一連の、政策ストーリーというふうに私は申し上げておりますけれども、これが実現をしていく、最終的にはこれは一億総活躍社会の実現ということにきっとなるんだろうと思うんですが、この一億総活躍社会というものを私たちはどのようにイメージをしたらいいのかということだと思うんです。

 そのイメージを国民の皆さんに持っていただいて、一緒になってそれに取り組んでいこうよということがやはり大事なんだろうと思いますので、この行き着く先、我が国はどのような姿にこれで生まれ変わっていくのかということを、ぜひ明るい展望を大臣にお示しをいただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

松山国務大臣 一億総活躍社会は、まさに、誰もが、あらゆる立場にある方々が今よりも一歩前に踏み出せる、頑張ることができる、いわゆる全員参加型の一億総活躍社会を目指していくということでございまして、この一億総活躍社会を実現することができれば、多様性が生まれ、また、労働参加率の向上、あるいはイノベーションを通じた生産性の向上などが更に促されて、経済成長が加速すると思っております。

 そして、経済成長の果実を生かしながら、子育て支援、介護離職ゼロに向けた取組などの社会保障の充実を行ってまいります。教育費負担の軽減等、人材への投資拡大も進めてまいります。

 こうした取組の中で安心できる社会基盤を築き、また、その基盤のもとに、持続的に経済を成長させてまいります。

 このように、成長と分配の好循環を生み出すことこそが一億総活躍社会が目指す姿でございます。

高木(啓)委員 成長と分配の好循環、まさにそのとおりだと思います。

 更に言うならば、人づくり革命によって、それぞれの人材、それぞれの人が技術やあるいはそのスキルをアップさせることができる、そのことによって充実した人生を送ることができる、そういう社会をぜひ目指して一緒になって取り組んでまいりたい、私もそのように思います。すばらしい社会が実現をするんだろうと私は思いますので、そのことを信じて一緒になって取り組んでまいりたい、このように思っております。

 次に、子ども・子育て支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、先ほど申し上げました全世代型社会保障施策というものを進めていく上で、子ども・子育て支援というのは極めて重要だというふうに思います。なぜこれが重要なのかということについて、まずお伺いをさせていただきたいと思います。

松山国務大臣 我が国は、昨年の総選挙で打ち出されたと思いますけれども、急速な少子高齢化社会が進んでおるということで、国難と位置づけてこの問題に取り組んでおるところでございます。

 そういった意味で、来年度の消費税の二%のプラス時に応じてその財源を確保すると同時に、これからの子育て世代、少子化に対する取組というものを加速するということで、全世代型の社会保障に切りかえる、思い切った決断をすることでこれを解決するということで、今進めているところでございます。

 既にもう去年の出生数が九十四万一千人と過去最少の状況になっておりますし、亡くなられた方と差引きしますとマイナス四十万人からの人口が我が国も減っていっているという中で、これからの少子化対策としてしっかり、こういう子育ての支援、若い人が結婚、出産、そして子育ての希望がかなうような、そういう悩みを解消してあげる優しい社会をつくるということで、この政策を進めてまいっているところでございます。

高木(啓)委員 子ども・子育て支援がなぜ必要なのか。これは、やはり私は、子供時代の幼児教育の重要性というものは論をまたないと思うんですね。その後の人生において、ここでやはり一つの人格を形成する基礎をつくっていく、そのことに対してやはり国家として一生懸命後押しをしていく、そのことが私は大事だと思っておりまして、ぜひこれからも子ども・子育て充実をしてまいりたい、お願いをしたいというふうに思うわけであります。

 事前に厚労省の方から資料もいただいておりましたが、保育園とか幼稚園の利用をしている人たちの割合というもの、ゼロ歳児から五歳児までという資料をいただいておりますが、特にゼロ歳児について、サービスを利用していない子供たち、つまり家庭で保育をされている子供たちというのは、割合としてはやはり非常に高いわけでして、八五%は施設に入っていないわけですね。私は、全世代型社会保障という限りは、この施設を利用していない八五%の人たちというものに対してもやはりきちっとした光が当たるべきだろう、こう思っています。

 実は、このゼロ歳児保育の例えばコストを比較をしてみますと、国の資料で、ゼロ歳児を一人保育園が預かると、これは国平均ですけれども、国の平均でいうと一人月額二十万円ぐらいかかると。東京二十三区は、私の地元の北区で約四十万円です。隣の板橋区も大体四十万円。同じレベルの行政でいうと、例えば品川区あたりですと三十五万円ぐらい。つまり、一人月額三十五万円から四十万円ぐらいの費用がゼロ歳児保育にはかかっているということなんですね。

 つまり、一五%の人はこれを受けているけれども、八五%の人はそれを受けていないという、このことはやはり重要なデータだと私は思っておりまして、この八五%の人たちに対してどういう光を当てていくのか、このことについてもう少し思いをいたさなければいけないのではないか。

 家庭で保育をするということも大事なことですし、子育てをすることは大事なことですから、そこに対してどういう光を当てていくのか、そのことについてお伺いしたいと思います。

松山国務大臣 お答えいたします。

 高木先生御指摘のとおり、御家庭で子育てをされている方々への支援も含めて大変重要なことだというふうに思っております。

 平成二十七年の四月に施行された子ども・子育て支援制度の中で、御家庭で子育てをされている方々を始め、全ての子育て家庭を対象に、地域のニーズに応じたさまざまな子育て支援を充実するということにしておりまして、具体的には、児童手当のほかに、個別の子育て家庭や妊産婦のニーズに合わせて必要な支援を利用できるよう、情報の提供あるいは紹介を行う利用者支援事業というものを展開しているところであります。

 また、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援というものを、子育て世代包括支援センター、これは市区町村別に今全国展開で進めているところでございます。

 また、地域の身近なところで親子の交流や子育てに関する不安や悩みといったものを相談できる場所ということで、地域の子育て拠点の整備も、これは全国に今、ある程度、七千カ所以上整備はもう進んでいるところでございまして、今後とも、全ての子供が健やかに成長できる社会というものを実現するために、関係府省連携してしっかり取り組んでまいりたいと思います。

高木(啓)委員 家庭で保育をしている子供たちに対して、率直に言ってもっと支援をしていただいてもよろしいのではないか。金額の比較だけしましたけれども、やはりまだまだ手が届いていないなという気がしています。

 一方で、ゼロ歳児保育で保育園に預けられた方との比較の中で、金額の比較だけしたんですけれども、それだけではないものというのは当然あるわけでして、そこにやはり知恵が必要なんだろうと思いますから、ぜひ今後とも研究をしていただいて、家庭で保育をされている子供たちに対する、どうやって手当てをしていくのか、支援をしていくのか、ぜひ考えていただければと思っています。

 さて、今、保育の無償化のお話がよく出てまいります。これも安倍政権における一つの大きなテーマでありまして、この無償化の問題というのは、ことしの夏ぐらいということをめどに、保育の無償化の、どこまでを無償化していくのか、その結論を出すというふうに聞いているわけであります。

 そこでお伺いするんですが、保育にかかわる全てのカテゴリーというんですか、いろいろなカテゴリーがありますけれども、これが全部無償化をされるということはやはりいろいろと問題があるだろう、私はそう思います。

 しかしながら、例えば国の制度の中での認可保育所だけが無償化をされるということでは、これもまたちょっと問題があるんだろうと思っておりまして、例えば、地方自治体がつくっている独自の制度などもありますから、そういうものも含めて、無償化の対象というのはやはり幅広に考えるべきだろうと思うわけであります。

 例えば、私どもの東京においては、認証保育所という制度を独自に東京都が持っておりまして、これは東京都知事の認証という形になっているんですが、この認証保育所が無償化の対象になるかどうかということは、従前議論をされてまいりました。しかしながら、私は、この議論をされていること自体も本当はどうなのかなと思っておりまして、地方行政、地方自治体がしっかりとした制度をつくって運営をしているこうした保育制度というものは、当然無償化の対象になるべきだというふうに思っているわけであります。

 そこでお伺いするんですが、東京都における認証保育所の問題というのは、既に立派に行われておりますし、子供たちも、二万四千人から五千人の子供が今東京の認証保育所に預けられている。そしてまた、私たちの国会にも保育園がありますが、第二議員会館にありますけれども、これも認証保育所でございます。ですから、ここは私は確実に無償化をすべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

大島政府参考人 お答えいたします。

 まさに今、認可外の保育施設の無償化の対象範囲、対象者等につきまして、専門家の声も反映する検討の場を開催しているところでございます。今まで二回開催しまして、本日三回目を開催いたします。

 その中では、利用している方、それから提供している方、その中には、東京都認証保育所あるいは幼稚園の預かり保育など事業者からお話をお伺いしております。

 今の段階で結論を申し上げるわけにはまいりませんけれども、まさに今、そういう利用者、事業者、自治体など、現場、関係者の方の声に丁寧に耳を傾けているところでありまして、保育の必要性あるいは負担の公平性といった観点を踏まえながら十分に検討していただいて、適切な結論を出していただきたいと考えております。

高木(啓)委員 ぜひ、適切な結論を出していただきたいと思います。

 更に言うならば、地方自治体には地域型保育事業というのがございまして、これはまた認証保育所とは違いますが。事業所内保育所事業の一種ですけれども、そういうものがあったり、あるいは企業主導型の保育事業所というのもまたあるわけでありますね。これも今は認可外という形になっておりますが、こうしたところも本来的にはきちんと無償化の対象にすべきだと私は思います。

 ですから、さまざまな形態がある認可外保育所なんですけれども、一つ一つきちっと精査をしていただいた上で、適切に無償化の対象をぜひ検討していただいて、絞っていただいて、そしてしっかりとした制度をぜひ構築していただきたいということを再度お願いさせていただきたいと思います。

 何かお答えがあればどうぞお願いしたいと思いますが、時間がありませんので、よかったら、どうぞ。

松山国務大臣 先ほど参考人の方から御説明しましたが、現在、検討会を進めておりまして、検討会の構成メンバーは非常に少ないメンバーにしておりまして、できる限り丁寧に、いろいろな立場の方々をお呼びして、来ていただいて、今意見を丁寧に聞いているところでございますので、高木先生の御指摘を踏まえてこれからも進めさせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

高木(啓)委員 ありがとうございました。終わります。

山際委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 自由民主党の三谷英弘でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 こうやって質問に立たせていただく、最近、国会改革ということでございまして、若手にたくさん質問の機会を与えようというようなことで、先輩方が非常に努力をされているということにつきまして、本当に深く感謝を申し上げたいと改めて申し上げます。

 最初に私が当選をさせていただいたときには、自民党ではなかったわけでございますけれども、その当時は、野党にたくさん質問の時間を与えるというようなことで、ほぼほぼ連日、質問の機会をいただくことができました。

 そういう中で、質問をさせていただく中で、どうしても一回だけの質問ではなかなか踏み込めないというような問題につきましては、そこでお答えをいただいて、それを踏まえて更に調査をさせていただいて、更に新たな課題を見出して、そして更に課題解決に向けて努力をしていく、そしてさまざまな課題提起をさせていただくというようなことをやらせていただいておりました。一応、考え的には、二時間ドラマではなくて連続ドラマというようなことで、一回一回山場をつくって、次の質問に向けてそういった課題をつくっていくというようなことでやらせていただいておりました。

 そういったことができるかどうかというのはまだわかりませんけれども、きょうもそういう形でさまざまな質問をさせていただきます。そして、それで課題を発見して、更に次に向けて課題解決していくというようなことができればというふうに思って、きょうは大きく二つについて質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 一つは、最近本当に急増しております、もちろん課題としては以前からありますけれども、振り込め詐欺の対策について考えていきたいというふうに考えております。

 まず、最近急増しているとされます特殊詐欺、とりわけ振り込め詐欺の現状と、今行っておられます対策の内容について、簡潔に教えてください。

樹下政府参考人 平成二十九年の特殊詐欺の認知件数は、暫定値でありますが一万八千二百一件で、増加傾向にありまして、また被害額は約三百九十億円で高どまりしており、高齢者が被害を受けるケースも多く、大変厳しい情勢であると認識をしております。

 警察では、引き続き取締りを強化するとともに、高齢者の被害防止に向けて高齢者の家族への働きかけを行うほか、関係事業者や国民の理解を得て各種対策を推進してまいりたいと考えております。

三谷委員 その各種対策の中身について、少し伺いたいと思います。

 こういった振り込め詐欺、特殊詐欺もそうですけれども、いろいろな対策があろうかというふうに思っております。その中で、積極的な攻めの対策と守りの対策というような、大きく言うと自分の中では二つに分けることができるのかなというふうには思っておりまして、このいわゆる守りの対策という意味では、本当にさまざまなことが各自治体で行われているというふうに思っております。

 そういう各自治体で行っている対策の一つで、私の地元、横浜市青葉区というところになるんですけれども、そこで新たに、息(むす)コール、娘(むす)メールというような取組というものを始めております。

 これはどういった話かといいますと、各家庭に警察官が赴きまして、そこで家族宛ての手紙を、宛先を書いてもらうわけです。そういったことを書いていただいて、それをポストに投函する。そうすると、家族に、お子さんとかそういったところにその手紙が届くということで、その手紙が来て、その中身には、振り込め詐欺があるから気をつけてください、お父さん、お母さんに電話をしてくださいねというようなことが書いてあって、そこに電話をしてもらって親子のきずなが深まって、そういうことができていくということになります。

 そういう親子のきずなを深めるという取組が行われておりますけれども、そういった取組が行われていることに関しまして、小此木大臣の御所見をいただきたいと思います。

小此木国務大臣 お疲れさまです。

 まず、三谷委員から、御地元の警察署が、オレオレ詐欺ですとか振り込め詐欺ですとかを始めとする特殊詐欺について、こういうことをやっていると御紹介いただきましたことに感謝をしたいと思います。

 刑事局長が答弁しましたように、一昨年と昨年を比べると件数がふえている、特に、お年寄りを対象とした、いわば力の弱い立場の方にそういうものが向いているということは憤りを感じますよね。ですから、多くのところどころで、そういう気をつけてもらいたいという発信はしなきゃならないと思います。

 私も先日、局長が今話をした観点からの話を、特殊詐欺の話をマスコミの関係者と話す機会がございまして、私自身も、母が一昨年の暮れだか去年の正月に、おまえ、電話したかと言うんですね。要するに、オレオレ詐欺にひっかかりそうになった、それにひっかからなかった、うちのおふくろは大丈夫だというような話をしながら、離れて暮らしていますから密に連絡をとるようにしました、その話をまたしたんですね。それが何かお茶の間に流れたらしいんです。全然別件で、また母親に電話しましたら、おまえ、八郎じゃないねと言うんですね。いや、俺は八郎だよと。

 まあ、冗談みたいな、笑っていただく話ですけれども、しかし、そういうことでもコミュニケーションがとれていたらいいなと。つまり、八郎じゃないねと言うわけだから、間違えない間違いですよね。だから、そのぐらいのコミュニケーションがふだんから家族の中でとれていたらいいなという話をそれ以来もさせていただいていますけれども、それは家族であったり社会であったり、町でいろいろな行事があります。警察署の方々がいろいろな努力をして、青葉署だけじゃなくて、各地でいろいろな行事に出ていって、お年寄りの皆さん、あるいはその方々を支える家族の皆さんに、そういう発信をしていただいているんだと思います。

 こういうところで、今、御地元のことを含めて発信していただいたということは、本当に感謝をする話だと思っています。こうした取組も含めて、さまざまな手段を通じて、家族間のコミュニケーション、町のコミュニケーションを促して、引き続き特殊詐欺の防止を図るよう、しっかりと指導してまいりたい、こういうふうに思っています。

三谷委員 ありがとうございます。

 恥ずかしながら、私も、その大臣の記者会見の様子も文字で読ませていただきまして、そういえば自分も、自分の親に最近連絡をとっていないなということを改めて痛感をいたしまして、ちょっと連絡をとってみようかなというふうに思っているところではございます。

 先ほど申し上げた、攻めと守りという話があります。本当に、そういう親子のきずなを深めていくみたいな、ある意味そういう作戦もありますけれども、もう一つ、しっかりと、ある意味そういう特殊詐欺を行わせないというような、攻めていく、そういう対応もしていかなければいけないんじゃないかというふうに考えております。

 そういう中では、例えば最近、きょうも、たしか神戸新聞だったと思いますけれども、最近ふえておりますのが、はがきを送りつけて、最終訴訟告知みたいなことの文言で送る。そして、こういう金銭の使用料について訴訟を提起します、何月何日までに手続をすれば取り下げますので、こちらにお問合せの電話をくださいみたいな感じで、ありもしない住所とともに電話番号が掲載されているというようなことが多く行われております。

 現状、本当にこういう電話番号が消費者のところに広く行き渡るわけですけれども、それを何とか、まずは水際でとめていかなければいけないといって、使わせないというような対応がとられているというようにも聞いておりますけれども、そういった対策について、警察庁において何かとられている対策を教えていただければと思います。

古市政府参考人 お答えいたします。

 電話転送等を利用して相手方に〇三などの固定電話番号を表示させる仕組みを悪用した特殊詐欺事案が増加していることは認識をしております。

 総務省では、このような状況に対応するため、現在、警察庁及び固定電話事業者との間で、固定電話事業者が、警察の要請に基づいて、特殊詐欺に利用された固定電話番号を一定の要件のもとで利用停止する場合の運用方法について調整をしております。こうした対策をできる限り速やかに実施できるよう、引き続き調整を進めてまいります。

三谷委員 ありがとうございます。

 今そう答えをいただきました。今は調整をしているというところでございまして、現実的にはまだそういった環境は整っていないということで、警察庁の方で、そういう特殊詐欺に使われている電話番号を認知した場合には、その電話番号に対して電話をかける、そしてずっと使用中の状態にするというふうなことで実際上の被害が起こらないような、そういうような対策もされているというふうに承っております。本当に、そういったことをすることによりまして、実際に特殊詐欺にひっかかるというような方が少なくなればいいなというふうに思っております。

 特に、きょう、先ほど申し上げました神戸新聞の記事の中にもありましたけれども、そこに書いてある電話番号に電話したけれども何度電話してもつながらないのよみたいなことで不安になった方々が、特に多分おじいちゃん、おばあちゃんの、そういう方々だと思いますけれども、そういう方が消費者生活センターに、困ったということで、そういう相談の電話をしたりとかということもあります。なので、実際問題、もうとめてしまうというようなこともどんどんやっていかなければいけないんじゃないかというふうに思っておりますので、今そういった調整が進められていることにつきましては本当に心強いなというふうに思っております。

 資料を見ていただきたいと思うんですけれども、これはもう一年以上前のことになります。こちらに書かせていただいておりますけれども、「詐欺使用の電話 五千九百番号を解約」、東京新聞では「犯罪電話 五千九百回線解約」、この資料があります。

 これは、僕もいろいろ不思議だったんですけれども、何でそんなに特殊詐欺に使う番号が次から次にあるのかというようなことが非常に疑問でございました。これは実は、一件一件、犯罪者の方々が、NTTならNTTコミュニケーションズとか、KDDIさんとか、そういう電話回線事業者と個別に契約をしているということでは、そういう場合もあると思いますけれども、実はそうじゃないというようなケースもありまして、こちらに書いておりますのは、この産経新聞の最後のところに書いてありますけれども、一事業者が大体六千番号を扱っていた。そのうちの五千九百番号がこの詐欺に利用されていたというようなことで、この一件だけです、今までそういった形で解約をしたというケースが。

 しかも、悪いことに、この六千番号中五千九百番号を解約された事業者はどうしているかというと、これは全くの予想ですけれども、ほかの事業者、あるいは同じ事業者かもしれません、また大量の回線を契約するんです。そうすることによって、またそういう犯罪者グループに回線番号を次々に提供していくということが構造上できるようになってしまっているということを、まずはしっかりとこれは把握をして、認識をしていかなければいけないんだろうというふうに思っております。

 何とかこの中間業者というもの、もちろん、まともな、ちゃんと仕事をされている業者もいらっしゃると思いますが、本当にある意味、犯罪集団と密接に結びついて、そういったところに利便性を図っていくというような、そういう事業者も一定程度いるんだということを前提に、こういうことをやった業者の氏名を公表するですとか、今後そういう業者との取引を電話事業者において拒絶する、そういった、間に立っている業者の悪意性というものに着目した、そういう対策がとれないものかというふうに思っておりますけれども、その点、どのようにお考えでしょうか。改めて総務省にお伺いしたいと思います。

古市政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、固定電話番号を利用した特殊詐欺事案につきましては、先ほど申し上げましたような対策をできる限り速やかに実施していきたいと考えておりますけれども、今後とも、委員の御指摘も踏まえまして、関連する状況を注視しつつ、電話等を利用した特殊詐欺に対して適切な対策が実施できるように、必要に応じて更に検討を行ってまいりたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 多少、事前の質問通告の内容と異なってきたという部分もありますけれども、率直に、本当にしっかりと対応を進めていただいている最中だと思いますし、なかなか、その背後に難しい問題が多数あるということも十分認識をしております。ただ、願いは一つ、そういった詐欺被害が広がらないというために全力を尽くしていただきたい、もうこの一点でございますので、ぜひとも、さまざまな角度から検討を進めていただきたい、これを心からお願いさせていただきます。

 この振り込め詐欺に関する質問に関しましては以上でございます。大臣もお忙しいと思いますので、どうぞ、こちらで結構でございます。ありがとうございます。

 続きまして、サイバーセキュリティーの問題、これは二点目になりますけれども、サイバーセキュリティーの問題について伺わせていただきます。

 これは、実は以前、一期目に当選をさせていただいたときにも取り上げさせていただいた問題ではありますけれども、アメリカにおきましては、下院の二〇一二年十月の報告書に基づきまして、国家安全保障上の危険から、中国のファーウェイテクノロジーズとそれからZTE社とのアメリカ連邦政府における調達契約を禁止しているというような状況がございます。また、同じように、オーストラリアとかカナダ、それから韓国などの各国も同様の措置を講じているというふうにされております。

 こういった、なぜそういう調達契約を禁止するのかという点につきましては、その報告書にも書いてありますけれども、さまざまなバックドアというものが仕掛けられているのではないか、そして、さまざまな情報漏えいのリスクがあるんじゃないかというようなことで、そういった措置が実際にアメリカを始め各国で行われているわけでございますが、日本におきましてもそのような同様の危険性の認識があるのかどうかということをまず伺いたいのと、それから、ちょっと続けて質問を続けさせていただきたいんです。

 これは、先ほど申し上げました、前回、二〇一五年三月の本会議、また、その後の内閣委員会でも質問させていただきましたけれども、その本会議の際の答弁におきましては、政府の機器等の調達については安全性の確保が極めて重要であるということを認識されているということをお答えいただいた上で、政府としては、政府調達されている機器等に御指摘の製品が組み込まれている状況について、現時点においては網羅的には把握しておりませんが、可能な限り部品等の製造業者に至るまで把握すべく、調査を行ってまいります、また、政府としても同様の問題意識を持っており、現在改正中であります政府機関統一基準等においても、機器等への不正機能の混入等を防止するために、調達の際に従事者の専門性、国籍等の情報提供を求めることや、製品製造時の管理体制を確認することなどについて追加対策を盛り込むことにしているというふうに、大変心強いお答えをいただいたわけですけれども、その後の進展を踏まえまして、現状どのようになっているか、お答えいただきたいと思います。

三角政府参考人 お答え申します。

 委員の御指摘のとおり、このサプライチェーン問題、これは極めて重要な問題で、対処が重要であると認識しております。

 そこで、政府では、政府機関及び独立行政法人等における情報セキュリティーを統一的に確保するための統一基準、これを作成しているところでございますが、平成二十六年五月に改定した統一基準におきまして、サプライチェーンリスクに係る対策を規定し、安全性の確保を求めることといたしました。

 具体的には、情報システムの開発や構築を行うための外部委託契約において、意図せざる変更が加えられないための管理体制、それから、委託先の資本関係、委託事業従業者の国籍、専門性等を確認すること、更に情報セキュリティー監査を受け入れることなどを仕様に含めるようにいたしました。

 また、機器の調達の際においても、実地の検査を行うことや、国際標準に基づく認証の取得の有無により客観的に評価を行うことなどによって、不正な機能が加えられない管理がなされることを確認できるよう、機器の選定基準を整備することとしております。

 そして、その後、統一基準が定める調達の際の安全性確保を適切に実施するため、平成二十七年五月に、私ども内閣サイバーセキュリティセンターにおいて、外部委託等における情報セキュリティ上のサプライチェーン・リスク対応のための仕様書策定手引書を作成しております。

 引き続き、不正な機能が情報システムに組み込まれないよう、国内外の関係機関との情報連携、そして、府省庁に対して引き続き調査を実施するとともに、GSOC、これは政府横断的に不審な通信が行われないかどうかということを二十四時間三百六十五日確認している、モニタリングしている体制でございますが、そこのシステムの検知、解析機能、運用体制の強化充実、それによりまして多層的な対策を講じてまいりたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今、サプライチェーンリスクを認識をしていただいているということで、その上でさまざまな基準を設けていただいているということで、大変そういう意味では大きな進展があったというふうに認識をしております。

 もちろん、では今々そういった形で、そういった基準を満たしたものが全てであるというふうになっているか、なっていないかといいますと、そうじゃないんだろうというふうに思っています。というのは、新しくそういった機器を入れる際にはそういった基準を満たすものを入れるわけですけれども、現時点で使われているものに関しましてはまだそうじゃないものもあり得るというふうに理解をしているわけですけれども、そういった理解でよろしいのか。

 それから、これが、あとどれぐらい期間があればそういった基準を満たすものに全て入れかわるのか、その見通し。

 もちろん答えられないことも多いと思いますけれども、そういったことも、可能な限りでございますけれども、もし可能であればお答えいただきたいと思います。

 難しければ……。

三角政府参考人 お答え申し上げます。

 詳細はお答えしにくい事情もございますけれども、いろいろと調査を行っておりまして、府省庁の基幹システムなどにおいてそういう懸念がないことを確認する作業、これを従来から行っておりますし、今も確認しているところでございます。

 これは、新しい機器がどんどん出てくるものですから、随時やはり確認作業ということは必要でございまして、先ほどの統一基準の徹底、それから監視活動、そういったことをしっかりとやっていきたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 この話は、特にいわゆる公的機関が使っているというものだけの話ではないわけでございまして、我々がふだんから使っております通信機器等々に関しても全く同様のリスクは存在するというところ、これは非常に申し上げにくいところではありますけれども、そういった、先ほど申し上げたような機器の中に内在するリスクがあるんじゃないかというような指摘もあるわけであります。

 例えば、そういう機器が使われますと、通信の秘密という憲法上の権利が侵害されて、特に、秘密保護が必要とされる情報も流出する可能性があります。

 特に、民間通信事業者においてもそういったリスクがあるわけですけれども、それに対してどのような指導を行っているか、お答えいただきたいと思います。

古市政府参考人 お答えいたします。

 情報流出のおそれのある機器の使用に関しましては、従来より、事業用電気通信設備の技術基準におきまして、他の通信の内容が電気通信設備の通常の使用の状態で判読できないように必要な秘匿措置を講じることなどを電気通信事業者に義務づけているところでございます。

 これに加えまして、平成二十七年には、安全、信頼性に関する基本的かつ総括的なガイドラインとなる情報通信ネットワーク安全・信頼性基準におきまして、先ほど内閣官房から答弁のありましたサプライチェーンにおける情報セキュリティーを考慮した機器を調達することを規定したところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 本当に頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。

 ちょっと同じような質問になってしまうので恐縮ですけれども、もう一つ、これに関して。

 先ほどそういうふうにおっしゃいました。例えば、日本の中で僕がそういう形で、一人で危険だ危険だというふうに言っているわけでは決してない。といいますのも、例えばアメリカにおいては、米軍の中では、基地内監視カメラというものにつきまして、中国製カメラの換装、要は中国製の監視カメラ、これを取りかえる、換装を行うというふうに報じられております。

 もちろん、これは当然ながら、先ほど来申し上げておりますカメラからの映像情報流出の懸念からというふうに考えられているわけでございますけれども、我が国におきましても、やはりそういう政府施設における監視カメラというものを、同様に、これを換装なり、そういった対応をしていくべきではないかというふうに考えておりますけれども、その点、どのようにお考えでしょうか。

三角政府参考人 お答え申し上げます。

 カメラの問題、この点でございますが、これも政府機関等で調達する場合につきまして、いわゆる防犯カメラのようなネットワークを構成するカメラにつきましては、情報システムの一環として捉えまして、そして情報セキュリティー対策を講ずることが重要と認識しております。統一基準に規定された対策を各府省庁、独立行政法人などに求めているところでございます。

 具体的には、このようなカメラにつきましては、情報システムの要素として、その調達時において実地での検査を行うことができるようにするなど、不正な機能が加えられていない管理体制がなされていることを府省庁が確認できる、そういうような機器の選定基準を整備するように規定しております。

 また、当該カメラを含むネットワークに接続する機器につきまして、その利用時には、通信制御や利用しない機能の停止などの機器の特性に応じた情報セキュリティー対策を講ずることを規定しているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 本当にしっかりと進めていただきたい、このように心からお願い申し上げます。

 もう少し、このサイバーセキュリティーの問題を続けさせていただきます。

 さまざまなそういう機材、機器を政府において使われているということでございますけれども、特に日本とアメリカとの関係において、もう少しこの部分を考えていかなければいけないというふうには思っております。

 特に、アメリカからは、サイバー防衛に関して米国並みのセキュリティーレベルを、例えば防衛装備品調達企業に対しては求められているということでございますけれども、そういう意味では、先ほど来お伺いをしております政府一般的な基準というものはありますけれども、特にそういう防衛装備というものを取り扱っていらっしゃる防衛省において、どのような対策を講じられておりますか。その点についてお答えいただきたいと思います。

小波政府参考人 お答えいたします。

 防衛省では、日々高度化、巧妙化するサイバー攻撃の脅威に適切に対応するため、情報セキュリティー基準の整備、それからサプライチェーンリスク対策、運用対策面での対処などの観点から、サイバーセキュリティー対策を講じているということでございます。

 また、今御指摘のバックドアを含みます、情報システムの構成品等のサプライチェーンでいわゆる不正プログラムを埋め込まれること等へのリスク、いわゆるサプライチェーンリスクにつきましては、先ほど来内閣官房から御説明がありましたように、政府全体のまず当該統一基準群に基づきまして対策を推進しているところでございます。

 特に、機密性の高い情報システムの調達におきましては、一つとしては、まず、意図しない異常動作を事前に確認する試験を行うこと、それから、委託先が第三者を使用する場合には事業者や作業者をあらかじめ届け出ること、防衛省が行う情報セキュリティー監査を受け入れること等を仕様書や契約条項に定めておりまして、今後も、調達面でのサプライチェーンリスク対策を拡充していくつもりでございます。

 また、さらに、防衛省の特色としては、運用体制面の対処として、サイバー防衛隊を始めとするサイバー専門部隊により、情報通信ネットワークの二十四時間監視を行っており、不審な挙動ですとか通信が発生した場合には、迅速に対処し、情報流出を防止する体制をとっておりまして、これにつきましては、現在御審議をいただいております平成三十年度予算案におきましても、同部隊を、所要の数を拡充することを予定しております。

 いずれにいたしましても、引き続き、防衛省としては、規則の整備や部隊の体制整備等を通じまして、議員の御懸念のようなことのないよう、万全なセキュリティー対策を推進してまいるつもりでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 一般的な省庁よりも対策を進めていらっしゃるというふうに理解をいたしました。

 そしてまた、もう一つ、防衛省にお伺いをしたいと思います。

 防衛装備品調達契約先企業に対しては、では、そういった米国並みのセキュリティーレベルというものを担保し得るのか、それを求めているのか、現状、どのような対策を講じているのか、その点についても少しお伺いをしたいと思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省の装備品の調達先の企業のサイバーセキュリティーでございます。

 米国におきましては、昨年末までに、国防調達に係る契約企業に対しまして、新たに強化されたサイバーセキュリティー基準を義務づけたというふうに承知をいたしております。

 当該基準につきましては、我が国の企業が米国防省の契約に参入する際もその対象になります。また、最新のサイバー攻撃に適切に対応するといった必要性からも、防衛省として、官民連携をいたしまして具体的な対策を講じる考えでございます。

 そのため、昨年より、防衛装備庁におきまして、官民間での議論を進めるとともに、米国防省関係部署、他省庁等と協議を重ねながら、我が国の契約企業に適用される現行のセキュリティー基準を米国の新たな基準と同程度まで強化し、契約企業が当該基準に適合するための方策について、鋭意検討を行っているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 米国と同程度のセキュリティーレベルを求めていくというお答えをいただきました。本当に心強いお答えだと思います。

 本当に、以前から日本はスパイ天国だみたいなことを言われることもありました。そういう意味では、そういったことに対する対策をしっかりと進めていただきたいということは、改めて言うまでもありません。

 その中で、最近本当に発達をしております通信機器がどのようなリスクを持っているかということにつきまして、ここ数年の間に、本当に、そのリスクの認識、そしてそれに対する対策というものが極めて進捗しているということにつきましては、本当に心強いなというふうに思っているところでございます。

 もう一つ質問があったのですが、ちょっと時間の関係上、短くお伺いをしたいと思います。

 そういう意味で、さまざまなセキュリティー対策を進めていただくということではありますが、その中で、最近、IoTといいますように、さまざまな機器がインターネットにつながるというような状況がありますし、そういったものを使ってさまざまなサイバーテロというものを行っていくというようなことが言われております。

 特に、IoTとは直接絡まないんですが、原発に関して、さまざまなサイバーテロを通じた破壊工作が行われるのではないかというようなことを懸念される方々もいらっしゃいますけれども、その点についてどのような対策を講じられているか、お答えいただきたいと思います。

三角政府参考人 お答え申し上げます。

 原発、これは事業者が電力等の重要インフラ事業者でございまして、そしてこの重要インフラ事業者につきましては、情報セキュリティー対策に関する行動計画、これをつくっております。その中で、原発の安全の観点から、サイバーセキュリティーに取り組む省庁として原子力規制庁がある。そして、その原子力規制庁といたしまして、原子力発電所についてのサイバーテロ対策、これを、原子炉等規制法に基づいて国際原子力機関の最新の基準を取り入れた基準により実施しているところでございます。

 具体的には、原子力発電所の安全施設設備等を操作するための情報システムが電気通信回路を通じて妨害破壊行為を受けることがないように、外部からのアクセスを遮断することを求めております。また、原子力発電所の安全設備等を操作するための情報システムに対する妨害破壊行為が行われるおそれがある場合又は行われた場合において、迅速かつ確実に対応ができるように、情報システムセキュリティ計画を作成することを求めているところでございます。

 こうした体制に基づきまして、しっかりと進めてまいりたいと存じます。

三谷委員 ありがとうございます。

 以上のサイバーセキュリティー等々の対策を進められているということでございますけれども、改めて、こういった対策を進めていくということにつきまして、あかま担当副大臣の御所見をいただきたいと思います。

あかま副大臣 お答えいたします。

 今それぞれ三谷委員の御指摘、御示唆の中にあって、政府のIT機器調達等においては、国家安全保障上のリスク、これを十分に踏まえろということでございますけれども、大事な点は、まず国内外の関係組織、これがしっかりと情報連携を行うこと、加えて、国際動向であるとかサイバーセキュリティーに係る技術の進展、これを踏まえなければならないというふうにも思っておりますし、多層的なサイバーセキュリティー対策、これが肝要なんだろうというふうに思っておりますので、これからも政府一丸となって取り組んでまいりたい、そう思っております。

 以上です。

三谷委員 時間となりましたので、以上といたします。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、泉田裕彦君。

泉田委員 自由民主党、新潟五区選出、泉田裕彦です。

 内閣委員会、初めての質問をさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、地方創生の総合的取組についてお伺いをしたいと思います。

 これは、日本社会の将来について危機感を持っている方が大変大勢おられるということだと思います。行政関係者だけではなく、地方に住んでおられる方は、周りから大勢の人がいなくなる、お祭りができなくなる、そしてまた、自分の子供が後を継いでくれるのだろうかという不安を抱えております。

 これは数字でいいますと、合計特殊出生率、最も低い都道府県が東京都。そして、最も人口集中が進んでいくのが、これは首都圏ということになっております。これでは、時代とともに日本社会全体の将来像が描けないというのが、今の日本の姿ということだと思います。

 これは、どうしてそうなるのかといえば、やはり、条件不利地域、ここにちゃんと住んで、社会活動を営み、また経済活動をやっていこうということをバランスさせるための国の制度、仕組みというのが必ずしも十分に機能していないということではないかなと思います。条件不利地域、特に日本海側、これは雪が降るのでわかりやすいんですけれども、我がふるさとの新潟も人口減少が続いておりますし、菅長官のふるさとの秋田からも大変大きな人口流出が起きているというような状況になっております。今冬の災害、三十年豪雪ということも念頭に、少し現状を振り返ってみたいと思います。

 まず、この場をおかりしまして、この冬の豪雪で亡くなられた方に哀悼の意を表するとともに、そしてまた、被害に遭われた皆様に改めてお見舞いを申し上げたいと思います。

 政府におかれましては、特別交付税の前倒し交付、そしてまた、さまざまな迅速な対応をしていただきましたことに、地元も代表して、深く感謝と御礼を申し上げたいと思います。

 一方で、これだけで済むのかというと、豪雪地帯においては、高齢化が進捗しております、若い働き手がどんどん減っているという中で、除雪をしてくれる、また屋根の雪おろしをしてくれる若い働き手がいない中で事業者も疲弊をするというような状況になっており、対応も限界という状況でありました。

 福井県内で、国道八号線、大規模な立ち往生が発生をするということになりましたが、これは全国的に注目を浴びている地域だけではなくて、そのほかの地域、例えば我がふるさと新潟県におきましても、水道管の破裂、これは本管の破裂というのは一体どうなっているんだという、異常気象ということかもしれませんが、水道管の破裂もございました。大規模な断水の発生で、自衛隊にも出動していただいたということでございます。

 また、高校生を含む大勢の乗客が満員電車の状況で一晩を明かす、JRの列車の中で閉じ込めが発生するということも生じました。私も高校時代、列車で通っておりましたけれども、バスで動かなくても列車は動くという体制があったのが、いつの間にか、JRの列車すらとまってしまうというような、対応力が落ちているような状況になっているのではないかなというふうに思います。

 また、通常、車で二十分で通勤できるような場所で、これは一晩超えるような立ち往生すら発生しなかったんですが、片道二時間半、一番ひどい日は片道五時間、ほとんど仕事ができないというような大渋滞が発生をするという事態も生じておりました。これは、立ち往生が発生しないと全国ニュースにならないので見逃されてしまうというようなことがあるんですが、地域社会には大変大きな負担になっているということでございます。

 一方で、雪国で運行している三セクの鉄道があるんですが、北越急行、これは大雪が降っても列車がとまるということはない。一方で、大企業のJRが運行できないような事態になってしまう、これはなぜなのかというと、やはり株式会社ですから利益をちゃんととらないといけないということになりますと、やはり政府全体の支援というものをしっかり構築していかないと、小さな中小の鉄道の三セクは運行できるのに、JRの列車はとまってしまうというようなことにもなりかねないのではないかな、政策的な対応が必要ではないかというふうにも感じているところでございます。

 採算が悪い地方交通線、これを民間企業にいかに運行してもらうかという観点でも、補助金制度が必要なのかもしれません、除雪体制を整備するための何らかの制度が必要なのかもしれません。

 豪雪地帯特有、これは民間の、住まわれている方にも大きな負担になっています。我がふるさとでは、融雪屋根というのがあるんです。灯油をたいて屋根を温めて、雪が自動的におりられるようにしている住宅というのがあります。でも、一体どれぐらい費用がかかるのかというと、一シーズンで三十万から四十万。雪おろしで、これは業者にお願いすると一日で五万から十万かかるというような状況になっております。高齢化が進む社会の中で大変大きな負担になっているので、融雪屋根を持ちながら、屋根に上がって雪おろしをされる方も最近出てきている。結果として、事故が生じるということで、命にかかわるような問題にもなっているというのが現実でございます。

 これを防止するためには、やはり何らかの、これは日本全国どこで住んでもちゃんとした暮らしができるような総合的な施策が必要ではないかなと思います。

 また、地方自治体にとっての負担というのも結構大きくて、住宅が一軒あれば、そこはやはり除雪しなければいけない、これは市町村の責務になります。しかし、雪寒道路の基準というのが、やはり、若い人が大勢いて、周りは全部自分たちでやるんだというような状況のときに定められた基準のまま、現在まで変わっていない。結果として、除雪が十分できない中で、地方自治体の財政にも大きな負担をかけているというようなことになっております。

 要援護者への支援、産業被害対策、資金確保、行政の総合力というものをしっかり発揮をした中で、どこで住んでもやはりあしたの未来を実感できる日本、これをしなければ都会に集中して、結局、人材供給源の地方が疲弊する中で、残念ながら日本全体が縮小していくということになってしまうのではないかと思います。

 私の選挙区の大先輩である田中角栄元総理、豪雪は災害だということを言われました。都会への人材供給元である地方、この条件不利地域を放置をするということになると、日本全体の活力が低下し、どこでも住める国づくり、これは理想と現実の乖離が広がっていくんだと思います。

 そこで、官房長官にお尋ねしたいと思います。

 今般の豪雪の状況からもわかるとおりなんですが、どこでも住める国づくりの実現のためには、地方創生のみならず、経済再生も必要です。さらには、一億総活躍社会、これが実現できる政策を総合的に進める必要があると考えております。

 内閣の基本的な取組についての見解を教えていただければと思います。

菅国務大臣 安倍政権というのは、発足以来、経済再生、東日本大震災からの復興、地方創生、一億総活躍社会の実現、こうしたことを掲げてきました。その中で、地方の活力なくして国の活力なし、第一次政権のときは、地方の元気なくして国の元気なし、まさにこの地方の中の発展を考える政権であるということは申し上げたいというふうに思います。

 この五年間、経済再生、特に、インバウンドの増加等によって、四十七都道府県全てで有効求人倍率が初めて一を超えたんです。ようやく都会だけでなく地方にもそうした外国の方が足を運んでいただいて、地方の魅力というものを日本人よりもよく知っているような方もたくさんいらっしゃいます。

 そういう中で、今御指摘をいただきました豪雪地帯、いわゆる条件不利地域ですか、私が生まれ育ったところも、高校がそうだったんですけれども、高校に通うことが冬になるとできなくなって、下宿を、高校のあるところにするような場所でありますから、いかに雪が深いところか、泉田議員の郷土・加茂市も負けないぐらい深いですから、そういう中で、やはりどうしてもどんどんと空き家がふえてきている、この状況であります。

 もともと地方交付税というのは、全国どこへ行っても一定水準の生活をできるような形の中で配分させていただいていますけれども、そうしたことでは全く片づけることができない今状況になってきていることも事実であります。

 やはり地方公共団体によるその地域ならではの魅力や強みを生かした地方創生の取組への支援、あるいは、中小、小企業への支援等によって地域の活性化、こうしたことを今行うことは行っていますけれども、しかし、根本的な解決策になり得ていないということも事実であります。

 知事の経験もある泉田議員でありますので、そうした中で、ぜひ積極的に政策提案をしていただいて、そうしたものについて私どももしっかり受けとめさせていただいて、ここはまさに地方創生、このものが名実ともに成るようにというふうに思っております。

泉田委員 長官、答弁ありがとうございました。

 ぜひ、日本の未来、若者たちが希望を持てるように、どこに住んでも希望を持って頑張っていける社会づくり、これからも頑張っていただきたいと思います。

 長官への質問はこれで終わりですので、どうぞ公務に戻られていただければと思います。ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして、本問とも関係をするんですけれども、経済再生と財政再建との関係を含めてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 今ほど官房長官からもお話がございましたとおり、第二次安倍政権発足とともに今回の景気回復局面が始まっております。

 現在の有効求人倍率を見ますと一・五九、四十三年と十一カ月ぶりの高い水準というふうに承知をしております。正規雇用についても、統計開始以来最高の一・〇七ということになっておりますし、総雇用者所得、これは名目、実質とも、二〇一五年七月以降、前年比プラスという状況が続いております。

 この時期に、国と地方を合わせた税収が約二十四兆円も増加をしているということですから、政策効果としては確実にあったというふうに受けとめております。

 また、直近、二〇一七年十―十二月期のQEにつきましても、二十八年ぶりの出来事で、八期連続の増加ということになりました。統計からも景気の回復というものがうかがえるということだと思います。

 また、実感としても申し上げたいんですが、安倍内閣発足当時、私は知事をしておりました。その当時、最も労働界から要望が強かったものは何かというと、働く場の確保をしてくれという要望が最も強かったと、大変印象的に記憶をいたしております。また、リーマン・ショック後、社会全体で関心が高かったのは高校生の就職率。初めて十八歳で社会に出るのに就職先がない、これは困る、何とかしてくれという声が強かった。安倍内閣発足のときの経済状況はそういう状況でありました。

 現在の状況はどうか。これはさま変わりでございます。一昨年、私が知事を退任するときに、同じく労働界から最も強い要望があったものが、人手不足対策を何とかしてくれということです。わずかな期間に本当にさま変わりということを実感をしておりまして、経済全体の方向性、これは実感とマクロデータに大きな相違はないんじゃないかなというふうに受けとめています。

 そこで、この状況というものを歴史的に考えてみると、やはり今回の景気回復は評価をされるというふうに記憶されるものと考えております。

 そこで、お尋ねをします。

 村井政務官にお尋ねをしたいと思いますが、これまでの経済再生に向けたアベノミクスと命名した内閣の取組をどのように受けとめているか、お答えをいただきたいと思います。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 泉田委員からアベノミクスの評価についての御質問をいただきました。

 安倍内閣におきましては、経済再生を最優先課題として政策を推進してまいりました。そして、この五年にわたるアベノミクスの推進によりまして、日本経済は間違いなく改善をしていると考えております。

 名目GDPは過去最大の五百五十一兆円に拡大をいたしまして、また実質成長率につきましては、既に御指摘ございましたけれども、二十八年ぶりの八四半期連続のプラス成長。企業収益も、過去最高の七十五兆円を記録をしているところでございます。また、就業者数はこの五年間で二百五十一万人増加をいたしまして、直近の有効求人倍率は、これもまた御指摘いただきましたけれども、一・五九倍と、実に約四十四年ぶりの高水準となったところでございます。雇用・所得環境も明らかに改善をしてございます。このように、経済規模の拡大、雇用・所得環境の改善を見ても、アベノミクスの推進による成果は明らかであると考えております。

 一方で、これはアベノミクスの成果でもあるんですけれども、ここに来て需給ギャップが縮小して、足元ではプラスに転じているということでございます。

 今、日本経済最大の課題は、少子高齢化という壁を乗り越え、サプライサイド側、この改革を通じて潜在成長率を引き上げていくことであると考えております。

 このため、一人一人の人材の質を高める人づくり革命、そして成長戦略の核となる生産性革命に最優先で取り組み、潜在成長率を引き上げ、経済再生、デフレ脱却を目指してまいりたいと考えております。

泉田委員 答弁ありがとうございました。

 マクロデータそれから行政で見る経済は、確実に回復しているということだと思います。その一方で、アベノミクスは実感が伴わないという声が出ているというのも現実でございます。又は力強さに欠けるという指摘もなされているところであります。

 これはどうしてなんだろうと考えてみると、やはり人は、実質賃金で計算していません。お給料は上がったか下がったか、ボーナスはふえたかどうか、名目の数字というのが極めて重要ということだと思います。名目の賃金上昇がやはり不十分ではないかなということが指摘できるかと思います。

 それからもう一つは、大都市と地方、また大企業と中小企業で格差が生じているということも指摘できるんだと思います。

 実際、首都圏とそれからそれ以外の地域のGDP、これを比較してみますと、二〇〇一年から二〇一四年の間に、やはり首都圏への集中が高くなっているということが起きております。首都圏一極集中、そして格差の拡大ということを是正しないと、アベノミクス全体として、これは成功したということは必ずしも言えないという部分があるのではないかと思います。

 そこで、内閣府にお尋ねをいたします。

 大企業と中小企業の企業間格差、また大都市と地方都市の地域間格差など、景気回復を実感できていないという問題に対しまして、しっかりと分析を行うべきと考えております。これは経済白書でも構いませんけれども、ぜひ公的な形で位置づけていただきたいと思いますが、この分析についての見解をお伺いしたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 経済状況の把握に当たりましては、マクロ経済全体の動向に加えまして、委員御指摘のように、大企業と中小企業の企業間格差あるいは大都市と地方都市の地方間格差、こういったものにつきましても丁寧に分析を行うということが極めて重要であるというふうに認識をいたしております。

 内閣府におきましても、地域別の経済動向やあるいは企業の状況等につきまして、マクロデータのみならず各方面からのヒアリングなども含めまして、これまでも実態把握に努めてきたところでございます。ただいまの委員の御指摘も踏まえまして、経済動向をできるだけきめ細かく把握できますようにしっかりと分析をしてまいりたいというふうに考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 ぜひ、なぜこの格差が埋まらないのかというところにも焦点を当てて分析をしていただきたいと思います。

 格差を埋めるためにどうしたらいいか。これを考えてみますと、政府がとれる政策としては、税制をどうするか、法律をつくって規制等をつくるのかどうか、さらには投融資等を使うのか等々あるんですが、税の論理でいえば、全国一律に適用する公平性の原則ということがあるわけですから、格差を埋めるのに税制を使っても、なかなかうまく回らないんじゃないかという思いもあります。やはり、政府における財政支出をいかに活用するかということなしに格差の是正を政策的に埋めていく、これは難しいんじゃないかなということを実感いたしております。

 かつて経済学者のケインズが一般理論を発表する前に、何が日本で起きたかを振り返ってみたいと思うんですが、一九二九年、大恐慌が世界を襲いました。世界最初にその不況から脱出したのが我が国日本であったわけであります。

 この景気回復を主導したのが高橋是清蔵相でありまして、何をしたかといえば、それまで続いていた緊縮財政を改めて、為替を金本位制から離脱する中で、実質、実体経済に合わせるということをやりましたし、金利の低下、ここまでは今のアベノミクスと少し似ているところがあると思います。それからもう一つは、財政支出の拡大ということを行っております。

 積極財政をとることによって、これはいろいろな数値があるんですが、一つの研究によりますと、御紹介させていただくと、世界恐慌のとき、マイナス一〇%成長であった日本経済、高橋財政によりまして、翌年から名目でプラス七%成長になっております。これを三年間続けるということによって、この間のインフレ率を見てみると一%にとどまっているという状況であります。極めて有効に財政政策が機能したということが言えるのではないかと思います。

 よくこの議論をするとハイパーインフレという話が出てくるんですが、私はぜひ問いたいと思います。このハイパーインフレーション理論を展開している人、ハイパーインフレーションというのは、何%からハイパーインフレーションと言うのか。これによって逆算すると計算できるという部分はあるわけですから、ぜひこの辺も詰めていただきたいなということだと思います。

 そこで、内閣府にお尋ねしたいと思います。

 一九二九年、世界恐慌から、高橋是清蔵相が就任して、二・二六事件で倒れるまでの日本経済をどのように認識しているか、お尋ねをさせていただきます。

中村政府参考人 お答えいたします。

 一九二九年に、米国におきまして株の暴落が起こりまして、それを発端とします世界的なデフレ大不況が発生をいたしまして、その後、一九三一年に高橋是清蔵相が大蔵大臣に就任をするまでの間の日本経済でございますけれども、物価が持続的に下落をする中で成長率も低位にとどまっている、こういう状況でございました。

 こうした中で、一九三一年十二月に発足をいたしました犬養毅内閣におきまして大蔵大臣に就任をいたしました高橋是清蔵相は、当時、世界的なデフレ不況、これが日本に及んでおりましたことを背景にいたしまして、まず、就任当日に金本位制からの離脱、すなわち、金輸出の再禁止を行いました。また、公定歩合の引下げ等による金融緩和政策を行いました。さらに、積極的な政府支出を行うことで、需要面の下支えを図る財政政策を推進したというふうに承知をいたしております。

 この高橋蔵相がいわゆる高橋財政を始めました一九三一年から二・二六事件で倒れる一九三六年までの間の日本経済でございますけれども、物価上昇率がプラスに転じ、また経済成長率も高まっておりまして、日本は世界に先駆けてデフレ不況から脱却をできたというふうに認識をいたしております。

泉田委員 大変丁寧な答弁をいただき、ありがとうございました。

 今ほどお答えいただきましたとおり、高橋財政の成功、これは、デフレ経済下におきましては、金融緩和政策に加えて、やはり財政出動による有効需要の拡大、これが有効であるということを歴史的に示しているのではないかというふうに受けとめております。

 本来、アベノミクスの三本の矢、この中には財政の機動的出動というものが含まれていたというふうに承知をいたしております。若干、高橋財政と比べると、ここの機動的財政出動のところが現在弱くなっているんじゃないか。地方と大都市圏の格差、大都市と中小企業の格差の是正、これを進めていくための政策ツールとしての財政というものをやはりいま一度歴史に学んでしっかり活用すべきではないかな、そのための分析をぜひ内閣府にはお願いを申し上げたいと思います。

 そして、現在利益を上げている大企業、なぜ史上最高の内部留保を積み上げているのかというところも考えてみたいと思います。

 かつて、高度経済成長期、日本企業は利益を人に投資をし、そしてまた、技術革新を含む投資に多くを振り向けてまいりました。世界を日本製品が席巻し、そしてまた日本製品が世界の人々から愛される中で、敗戦後、日本は短い期間の間に世界第二位の経済大国に復帰をしたということがございました。

 そのときと今は何が違うのかということなんですが、高度経済成長期はインフレ経済下にあったわけであります。これは別な言葉で言うと、企業がお金をため込んで内部留保をしていると目減りをするということになるわけです。ため込んでいると損する社会、これがインフレ経済社会ということになります。これは当然のことですが、投資事業に振り向けた方がいい、ためようという気にならないわけであります。

 では、デフレ経済期というのはどういうことになるのかというと、内部留保をためておくと価値が上がっていく社会を意味しているわけです。リスクをとらずにため込んでおくと価値が上がる社会に誰が投資をするんだろうかということが、今の日本に起きているということじゃないでしょうか。バブル期を超えて史上最高の内部留保をためる、これを是正していくためには、やはり日銀、政府、協力をしてインフレターゲット二%をやっていただく必要があるんじゃないかなということを強く実感をいたしております。

 この状況を是正するために、租税特別措置を講じて、果たして企業は投資してくれるんだろうかということです。租特の範囲は限界がありますし、なかなかそういう気にはならないんだろうなということだと思います。やはり、内部留保をするのではなくて投資に振り向けた方がいいという社会をつくれば、結果として、その投資資金は技術革新を生みます、そしてまた潜在成長力を上げていくんじゃないか、こういうふうに思うわけです。

 そこで、内閣府にお尋ねしますが、実際に一九九五年以降、ここ二十年間で、主要国、中国、インド、英国、アメリカ、ドイツの名目GDPと日本の名目GDPが何倍になったのか、教えていただきたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 主要国の二〇一四年の名目GDPの金額を二十年前、一九九五年と比較いたしますと、中国が十・五倍、インドが十・二倍、アメリカが二・三倍、イギリスが二・二倍、ドイツが一・五倍、日本は一・〇倍、こんなふうになってございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 今お聞きをいただいたとおり、世界各国はしっかり経済成長している中で、まさに失われた二十年間、日本だけ立ちどまって、全く進展がなかったというのが世界の中における日本の姿。

 やはり、これは経済政策が十分に練られていなかったからと言わざるを得ないのではないかなというふうに思います。日本だけ異常であった状況を是正するためには、金融政策に加えて機動的財政出動、そしてまた格差の是正、ぜひ進めていただきたいというふうに考えます。

 そこで、村井政務官にお尋ねしたいと思います。

 もともとアベノミクスの三本の矢の中に機動的財政出動が含まれておりましたけれども、もっと積極的にこれを活用すべきだと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 泉田委員から、過去の歴史も振り返りながら、財政政策の重要性を御指摘いただきました。

 安倍内閣といたしましては、経済再生を最優先課題に、御指摘のとおり、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢の政策を一体として取り組んできました。

 特にこの財政につきましては、その時々の経済情勢に鑑み、補正予算を編成して累次の経済対策も行ってきたところでございます。

 具体的に申し上げると、平成二十五年一月には、これは国費ベースで十・三兆円でございますけれども、日本経済再生に向けた緊急経済対策、また平成二十五年十二月には、国費ベースで五・五兆円ですけれども、好循環実現のための経済対策、また平成二十六年十二月には、国費ベース三・五兆円ですけれども、地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策、また平成二十八年八月には、国費ベースで六・二兆円ですけれども、未来への投資を実現する経済政策など、財政政策を実施してきているところでございます。

 さらに、昨年十二月には、御案内のとおり、少子高齢化という日本が直面する最大の課題に立ち向かうため、人づくり革命と生産性革命を車の両輪とする二兆円規模の新しい経済政策パッケージを作成したところでございます。

 こうした政策により経済の好循環が実現をしつつあると考えておりまして、今後とも、財政政策も含めた三本の矢の政策を一体として取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 種々政策を打っていただいておること、感謝を申し上げたいと思います。それに加えて、ボリュームの問題もありますので、ぜひ内閣府で今の状況を分析をした上で、そして更に日本経済が光り輝くような財政政策、検討を進めていっていただければとお願い申し上げたいと思います。

 この後、財政再建との関係を質問したいと思っておりましたが、時間の方が来ておりますので、またの機会に譲らせていただきたいと思います。人手不足等の関係で、厚労省また国交省にも来ていただきました。済みません、改めての機会に譲らせていただきたいと思います。

 次の項に行かせていただきたいと思います。

 近年、食中毒、食品偽装、異物混入という食の安全を脅かす事態、これが枚挙にいとまがないという状況でございます。

 食品安全委員会におかれましては、国民の健康の保護、これが最も重要であるという基本認識のもとで、規制やそしてまた指導等のリスク管理を行う関係行政機関から独立して、科学的知見に基づき客観的かつ中立公正にリスク評価を行うために設置をされたというふうに承知をいたしております。

 この公正中立に行われたリスク評価、やはり信頼性が高くなるわけでございます。せっかくできた評価、これが、でも伝わらなければやっていないのと全く同じということになるわけでございます。消費者に的確に、いかに伝えていくのか。

 さらには、近年、インバウンドもふえてきております。外国人にも、日本食レストラン、大変好評でありますし、また、食を目当てに来られる方も大変ふえておるということでございます。

 一方において、先月二十三日未明でしたけれども、韓国の輸入規制に対しまして、日本の主張に沿った判断が、WTOのパネルの報告書が出されたということであります。日本食品のすばらしさ、安全性というもの、これは、日本に来られる外国人を通じてでも、ぜひ広く世界に広がっていってほしいなと。

 現在、輸出をしたいという農家も、大変困った状況というのが現実に生じているわけでございます。このリスクコミュニケーションを含めて、食品安全の問題をさらに進めていっていただきたいと思います。

 そこで、お尋ねします。

 福井大臣に、食品安全の情報発信につきましての取組の基本方針をお答えいただければと思います。

福井国務大臣 ありがとうございます。

 泉田先生には、新潟県時代から食品の安全に関しまして熱心にお取組をいただいておりますこと、敬意を表させていただきます。

 食品安全の情報発信について、取組の基本方針いかんということでございますが、食品の安全確保については、言うまでもなく、国の最も重要な責務の一つでございます。国民の健康の保護が極めて重要であるという基本的認識のもとで、最新の科学的知見に基づき、適切な措置を講じる必要がございます。

 食品安全委員会では、科学的知見に基づき、客観的かつ中立公正に食品のリスク評価を実施するとともに、ホームページ、意見交換会等のさまざまな手段を通じて、その評価結果についてリスクコミュニケーションを実施しているところでございます。

 また、これらに加えまして、国際的な科学的情報の収集、発信の観点から、オンラインの英文ジャーナル、フードセーフティーを発行するとともに、食品安全委員会のリスク評価結果の概要を英訳してホームページに掲載するなどの取組を実施しているところでございます。

 先生御指導のように、今後とも、リスク管理機関とも連携しながら、食品安全に関する科学的知識を正しく、わかりやすく国内外に情報発信してまいりたいと存じておる次第でございます。

泉田委員 今後ともよろしくお願いいたします。

 時間になりましたので終わります。どうもありがとうございました。

山際委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 きょうは、まず冒頭、人づくり革命、生産性革命、政府の取組について伺った後に、仮想通貨についても伺い、そしてクールジャパンについてお伺いをしようとしております。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、人づくり革命でございますが、これはもともと、人生百年時代構想会議、人生百年時代に対応して、しっかりと人づくり革命を行うというような話であったかと思いますが、ちょっと今、政府が今の直近で取組をしているというところ、幼児教育の無償化等を始めとして、しっかりとやっているなと思っておるんですが、恐らく、この人づくり革命、これだけでは終わらないですよねというふうに思っているんですね。

 もともと、人生百年時代構想会議の主要テーマとしても、新卒一括採用だけでない企業の人材採用の多元化というような論点が含まれていたわけでございます。このことも、人づくり革命と言っている中に含まれるのかどうか。

 あと、人材採用についても、議論の経過と予定、この点をまず確認したいと思います。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 濱村委員から、人づくり革命について御質問をいただきました。

 人生百年時代を見据えて、従来のように、高校、大学まで教育を受け、新卒で会社に入り、定年で引退して現役を終え、老後の暮らしを送るという単線型の人生を全員が一斉に送る社会ではなく、これからは、より長いスパンで個々人の人生の再設計が可能となる社会をつくっていくことが必要であります。

 委員御指摘のように、大学でリカレント教育を受けた人材が中途採用され、新たな企業で活躍できるような環境の整備も重要であると考えておりまして、今後、何歳になっても学び直し、職場復帰、転職が可能となるリカレント教育の拡充の議論を行う中で、企業の人材採用の多元化についてもしっかり検討をしていくこととしております。

 今後、人生百年時代構想会議において議論を重ね、本年前半の基本構想にしっかりと結論を盛り込んでいきたいと考えております。

濱村委員 しっかり議論をしていただきたいと願うところでありますが、私は本当に、これまでの一括採用、これ自体は、どちらかというと、就職率を向上させるためには非常に効果があったというふうに評価をしています。ここは評価をしています。

 ただ、これまで、どちらかというと、新卒で採用された企業にそのままずっと勤め上げて終身雇用というような状況があったわけです。これ自体を、本当にいいのだろうか、変えていかなければいけないんじゃないでしょうかということを思っております。雇用の流動性が非常に低い状況にあるなと思っているわけですが、このことについて、私は問題だと思っているんです。

 その点、政府はどのようにお考えか、御所見をお伺いします。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、この新卒一括採用の慣行については、就職環境が卒業する年の雇用情勢に左右される面があるんですけれども、スキルのない新卒者であっても採用されることにより、学校から職業への橋渡しが円滑に行われ、諸外国に比べ若者の失業率を低く抑え、雇用の安定につながってきたと考えております。

 その一方で、これもまた委員御指摘のとおり、労働移動については、アベノミクスにより雇用情勢が改善する中において、雇用調整を目的とした企業間の労働移動は減少する傾向にあり、今後は、キャリアチェンジ、キャリアアップを希望する労働者が円滑に労働移動できるような雇用環境の整備や人材開発への支援を行うことにより、誰もが幾つになっても新たな活躍の機会に挑戦できるようにしていくことが重要であると考えております。

 今後、委員からの御指摘も踏まえながら、人生百年時代構想会議において議論を重ね、繰り返しではありますけれども、本年前半の基本構想にしっかりと結論を盛り込んでまいりたいと考えております。

 以上です。

濱村委員 キャリアチェンジ、キャリアアップをできる環境を整備すること、これは非常に重要だと思っております。

 実は今、新卒採用も、どちらかというと企業は引く手あまたといいますか、この間ちょっと、ある金融会社の方にお話を聞いたんですが、その方いわく、今は昔と違って、少し話が通じないような若手も入ってくると。端的に言えば、昔の人材のレベルからすると低くなっているということをおっしゃっておられる方もおられました。

 これは一事象であるので、それが全てだということは申し上げるつもりもありませんが、なかなかいい人材が採用しにくい。なぜかならば、学生数も減っている、企業の採用が減らないということになれば、それは当然いろいろな人が入ってきますよねということになろうかと思います。

 もっと視野を広げますと、国際的な人材獲得競争も始まっていくと思うんですね。私は少し、システムエンジニアのような仕事もやっておりました。エンジニアの世界でいうと、本当に今もう引く手あまたといいますか、中国のハイテク企業とかですと非常に初任給もいいというふうに聞いています。

 先ほど三谷先生から某中国の企業名が出ておりましたが、あの企業が日本にも支社を持っています。日本で新卒の初任給四十万円なんですね。皆さん、おおとおっしゃいますよね。ただ、これは、中国の会社だけれども日本に置いているからその金額なんですが、中国では八十万円を超えるんです、初任給が。これぐらい、今、日本の状況は、少しちょっとおくれているんじゃないかというところもあります。

 ですので、ぜひともこれは、そういう、どんどんどんどんいい人材が世界に流れていきますよということは、ちょっと危機感を持って、スピードアップしてこの議論を進めていっていただきたいと思っているわけでございますけれども、当然、私は、そういう意味でいうと、人口減少社会で人材獲得競争は激化していくということを想定しておくべきだろうと思っております。

 もっと言いますと、有能な方であればたくさん付加価値を生み出すでありましょう。ですが、そういう方々のお仕事というのは、AIとかロボットとかIoT、センサーとかそういうものに置きかえられるかというと、なかなか難しいんでしょうよと。

 一方で、そういうものに置きかえていいような業務もあると思うんです。そうした業務については、私は、どんどん代替してもらって、どちらかというと人手をかけないような、そういう社会を構築するべきだと考えておりますが、いかがでございましょうか。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 近年、御指摘のとおり、人工知能、ロボット、IoTなど第四次産業革命の技術革新が登場しておりまして、これらを社会実装することで、単なる効率化、省力化にとどまらず、まさに革命的に生産性を押し上げる大きな可能性を秘めております。

 このため、人手不足に悩む中小・小規模事業者も含め、新規投資やイノベーションに果敢に挑戦する企業を力強く後押しするため、今後三年間を生産性革命集中投資期間として、大胆な税制、予算、規制改革などを総動員してまいります。

 これによって実現していく新たな社会、ソサエティー五・〇においては、企業が新規投資、イノベーションに果敢に挑戦するのみならず、個々人のレベルでもみずからへの投資、みずからのキャリアアップ、キャリアチェンジを主体的に進めていくことが必要となります。

 このため、社会人の学び直しのためのリカレント教育の拡充や成長分野への人材移動支援などを、委員の御指摘をしっかり踏まえながら進めてまいりたいと考えております。

濱村委員 労働生産性を上げるためにもしっかりと投資を行っていかなければいけない、そのとおりだと思っておりますし、それを進める税制も含めてやっているということで、これは力強く推進していかなければいけないなと思っているわけですが、少しちょっと質問を生産性革命の方に移したいと思いますけれども、生産性といいますと、今、投入時間の方ばかりが議論が進んでいるんじゃないかなと思っております。

 どういうことかというと、労働生産性というのは、付加価値が分子で、分母が投入数ですね、労働時間とか人の人数であるとか、そういう計算式で求められる。分母は議論しているけれども、分子を議論していないじゃないですかということを私は申し上げたいんです。

 どういうことかというと、少し生産性が高いよというような話をする場合に、人がやること、生産性が低い人もいれば高い人もいるとかさまざまいるんですが、簡単に言えば、お金をたくさん取ってこれる人は、それはその結果、生産性は高いんじゃないですかというふうに思うんですね。その辺の議論ももう少し深めていった方がいいんじゃないかと思っております。

 その上で申し上げますと、今、業種によってさまざま、生産性の高い業種あるいは低い業種というのが見受けられるんじゃないかと思っております。既に、生産性の低い業種と言われているような業種もあるわけですが、これは生産性が高いよ、あるいは、これから成長が見込めますよという産業、さまざまあろうかと思うんですけれども、そうした業種にどんどん人材をシフトしていかなければいけない。これは雇用の流動性も確保しながらやっていかないといけないと思っておるんですけれども、この点、どのように考えるか、御意見を伺いたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 生産性の高い業種への人材のシフトというお話だと思います。

 第四次産業革命の進展によりまして、産業構造が急速に変化していく中で、あらゆる人材が技術革新等に応じた学び直しを行いまして、成長分野において生産性を最大限発揮できるようにするというのは、御指摘のとおり、非常に重要な課題でございます。

 このため、昨年十二月に策定しました新しい経済政策パッケージの中の生産性革命のパートにおきましては、キャリアコンサルティングや労働移動支援助成金による自主的なキャリアアップ、キャリアチェンジの支援、年齢にかかわりのない多様な選考、採用機会の拡大を促すための指針の策定、AI、IoT等の先端IT分野における教育訓練給付の拡充などによる学び直しの支援、副業、兼業、テレワークなど多様で柔軟な働き方の促進など、さまざまな施策によって成長分野への人材の移動に取り組んでいくこととしております。

 厚労省を始め各省が連携してこれらの施策の具体化、推進に取り組んで、生産性の向上を図ってまいりたいと思っております。

 以上でございます。

濱村委員 今、生産性の高い業種等々さまざま申し上げ、そういう業種があるでしょうよという話をしましたが、大事なのは、恐らく、これからの若い世代の方々も、十年、二十年、三十年、ずっと長い間働き続けられるような、そういう業種をしっかりと確保していくことだろうと思っております。

 ここで少し神戸市さんの取組を紹介したいんですけれども、神戸市さんは、クリエーターとかそういう方々を集めようとしているんです。都市型創造産業ということで、そういう産業集積をしようと言っているんですね。ITとかの情報サービスとか印刷、インターネット付随サービス、映像・音声、文字情報制作、デザイン、広告、土木建築サービス、写真とかが挙げられる、そういう産業を集積しようとされておられます。

 これは非常にすばらしい取組だなと私は思っておりますし、もともと、アメリカの話でいえば、シアトルには、何もなかったところにマイクロソフトが来て、非常に大きな雇用も生まれて、産業集積もされているという状況が始まったわけです。ちゃんとそういう地域の核となるような産業があれば、生活産業はそれに付随する形で大きくなっていくということがあろうかと思いますので、こうした取組をしていくこと、非常に重要だなと思っておるわけであります。

 その上で、少し生産性の話に戻しますけれども、日本は今、OECDの中で見ましても、非常に労働生産性が低い国になっております。現場の人たちは一生懸命働いていると思うんです。ですが、なかなか上がらない、これはやはり上の人たちがとってきてくれる契約に問題があるんじゃないかなと。経営者側に、経営サイド側に問題があるんじゃないかなとか、そういうことも原因の一つなのかなと思ったりするわけでございますが、その点についてどのようにお考えか、お答えください。

宇野政府参考人 日本の労働生産性が低い理由について御質問でございますけれども、まず、日本の労働生産性の水準や伸び率が低い理由につきましては、多くの専門家やシンクタンクによる分析がございまして、一概にこれと申し上げることは難しいのでございますが、多く言われているのは、日本のTFPや資本装備率が伸び悩んでいるためという指摘がございます。

 日本のTFP上昇率が伸び悩んでいる原因といたしましては、まず、日本企業がオープンイノベーションではなく自社内の技術開発にこだわることが多いことなどから、研究開発によって蓄積した技術やアイデアを幅広く効率的に、稼ぐように活用できていないこと、さらに、ICTの利活用等が中小企業において十分に進んでいないことなどが指摘されているところでございます。

 また、一方、日本の資本装備率が伸び悩んでいる原因といたしましては、日本の設備投資が力強さを欠いているためということでございますけれども、その背景として、投資として、国内ではなく海外に設備投資が向かっているためという指摘もございます。

 以上でございます。

濱村委員 私は、もう少し踏み込んで申し上げると、仕事の種類にも、ちょっと手を動かすような、体を使うような労働もあれば、知的労働みたいなものもあると思います。

 知的労働は、なかなか日本では評価されていないというか、それに対して対価が支払われていないというのが問題意識としてございまして、そこにちゃんと対価が払われるようになれば、先ほどの分母、分子の話じゃありませんが、分子がふえると思っているんですね。これをぜひ改善していきたいなと思っているんです。

 物理的な成果物はなかなかないんです、知的労働の場合。私も少しそういうお仕事をやらせていただいておりましたが、提案をいたしますと、提案書というものにいろいろ考えたことを書いて、パワーポイントの資料を何枚というものに対して対価を払っていただく、そういう形になっておりました。

 これは、物理的な形、成果物をしっかりとつくって、それに対して対価をいただいていたということになっていたんですけれども、これ以外にも、なかなか知的労働といった部分は対価をもらいづらいという局面もあろうかと思っております。ですが、この知的労働に対する付加価値についてはどうあるべきか、お考えをお伺いいたします。

村井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、一般論ですけれども、一般的に、契約自体については、これをどのような内容のものとして締結するか、対価をどうするかということについては、原則、当事者の意思に委ねられているというところが大前提ではありますけれども、委員御指摘のとおり、時代が変わってきているということもあるんだろうと思います。

 現在は、IoTやビッグデータなどのイノベーションにより、ばらばらに眠っていたデータや人材が直接つながることが可能となり、そこから、これまでにない新たな価値が生まれる時代となりました。これがまさにソサエティー五・〇と言われているものでありまして、知恵やデータを持つ個人なら誰でも、直接ネットワーク化してつなぐことが価値の源泉となるわけであります。

 委員から、この知的労働に対する付加価値、しっかり高めていくべきじゃないか、対価をしっかり払っていくべきじゃないかという御指摘がありましたけれども、そういった御指摘を踏まえながら、ソサエティー五・〇を世界に先駆けて実現をして、データ利活用基盤の構築、革新的なアイデアをビジネスにつなげる、規制のサンドボックス制度の創設などをしっかり進めていくことで対応してまいりたいと考えております。

濱村委員 しっかりと、規制のサンドボックス制度とかも今、話が出ました。新しいことをしないと、恐らく新たな事業の柱というのはつくれない、新たな収益源はつくれないというふうに思いますが、それはそれでやっていかなければいけないんですけれども、商習慣、日本の商習慣の中で、本来対価を支払われるべき仕事、活動について、私はなかなか支払われていないんじゃないかなと思ったりするんです。

 先ほども少し述べましたが、システム開発の現場で私が少し経験したことで申し上げますと、お客さんには、こういう仕様でこういうお仕事をさせていただきますねということを、営業も込みで行くわけですね。そこに提案書とか、お客さんの業務というのはこういうものですよね、こういうシステムをつくりませんかとかと持っていくわけです。持っていくんですが、その持っていく成果物に対しては、なかなかお金が支払われないんですね。

 これは実は、外資系の企業だと、そういう活動をするときも、ちょっと提案しますけれども、お金をもらえませんかということを言うんです。それでしっかりお金を取っていくんです。これは日本ならではの商習慣なんじゃないかなと思っているんですね。

 システム開発の場合でいうと、ハードウエア、コンピューターを持っている企業は、コンピューターを売りながらシステム開発ができれば、その分、利益を上げられるということで、提案活動、別にそこに価値を見出さないという企業さんも多いんですが、私は、それじゃいけないだろうと。提案するところ自体の競争力を高めないと、なかなか、本来、コンピューターというか、ITが活用できるという状況をもっともっと生かし切れる余地があるんじゃないかなと思っております。

 そういう意味で、商習慣はぜひとも見直していかなければいけないと思っているものでありますが、こういう提案活動、しっかりと、無償の範囲はどこまでなのか、有償の範囲はどこからなのかというのを、区別するというか、そういう考え方を浸透させていかなければいけないんじゃないかと思いますが、どのように考えておられますでしょうか。

村井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 濱村委員の我が国の商習慣に対する問題意識、ここの部分については受けとめさせていただきたいと思いますが、その一方で、大変恐縮でございますけれども、先ほど申し上げたとおりで、一般に、契約については、これをどのような内容のものとして締結するか等については、原則、当事者間の、民民の意思に委ねられているところでございまして、こうした中、どのような事業、サービスを有償とするか、あるいは無償とするかなどについては基本的に当事者が判断すべきものであり、こうした当事者の判断に属する事項について、個別の法令等による要請があれば別でありますけれども、一般的には、政府として介入することは適切ではないものと考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、各事業者の創意工夫を生かした事業活動の積み重ねの中で、提案活動を行った事業者の努力が報われていくことに期待をしてまいりたいと思います。

 以上です。

濱村委員 政務官、最大限お答えいただいて、ありがとうございます。非常に答えにくい質問をしておりますので、本当に感謝をいたしますが、非常に私、この商習慣に国として制度的に何か手を入れるというのは難しいんじゃないかなというのも思ったりするところはあるんです。

 ところが、今、働き方改革とかを言いながら、労働者の皆さんにはしっかりとこういうことをやってくださいという状況までつくってきて、あとは、言い方は裏表なんですが、働かせ方改革もしなければいけない。経営者側の人たちも、これだけお金を取ってきた、だからこの中で付加価値が高い仕事をやってねというような話をしないと、なかなか、双方努力をしなければいけないだろうというところにおいてはまだまだ努力が足りないと思っております。

 少し前に日本の品質問題が起きたわけでございますけれども、この品質問題、企業名とか云々かんぬん言うつもりは全くありませんが、この品質問題が起きた背景にも日本の商習慣があろうかと思っているんですね。

 特別採用というものがあったんです。特別採用、特採と言われていますが、なかなか基準に満たないような品質の部品も使ってあげようじゃないかということで、特別採用というようなものが商習慣の中で生まれておりました。これ自体は私はよくないと思っております。ですが、計測器が精度が低かったりとか、ばらつきがあったので、数十年前から続いていたというような話ではございましたけれども、これは規格外なんですね、基本的には。規格外なので、本来は使ってはいけない。

 こういう厳しい品質基準を設けていたのにもかかわらず、商習慣の中でそれが曖昧になってしまった。規格外なんだけれども使えるものは使ってあげたいなというような、何か人情味のところだけで日本の皆さんは使ってしまっていたというのがあるんです。これは直さなければいけないと私は思っております。

 そういう意味では、商習慣、しっかりと見直していかなければいけないんですけれども、やはりそれも契約が全てでございます。契約についてしっかりと、大事な品質を担保していくということも契約に入れていく必要があるんだろうと思っております。

 続いて、少し賃金と企業収益についてお話をしようと思っておりましたが、少し時間がなくなってまいりましたので、これは割愛をいたします。

 どういうことを申し上げたかったかということだけ少し触れますけれども、賃金を上げたら企業収益が上がる、そういう企業が、私の存じ上げている企業でいらっしゃったんですね。相関関係、逆と違いますのと思ったんです。でも、賃金を上げたら一生懸命みんな頑張ってくれたんや、それで収益がふえたんやということをおっしゃいました、その方は。その相関関係って本当にあるんですかというようなことを本当は質問したかったんですが、なかなかこれは、そんな調査はしていないということも事前に聞いておりますので、その点、また調査を深めていただきたいということを申し上げたいと思っております。

 一方で、そこで少しだけ触れたいのが、賃金プレミアムという考え方があります。外資系企業とか輸出企業、こうしたところは高い賃金を支払いますよ、そういう、皆さんの中でも何となく肌感覚でわかるような話なんですが、何でそうなのかというのを一生懸命研究しておられる方もおられます。

 この方がおっしゃっておられるのは、ミンサー型賃金式というような賃金式の推定を行って、地域要因、産業要因、事業所要因、労働者要因、それぞれが要因として賃金が高い状況にどう影響しているかということを分析されておられます。

 基本的には、輸出企業とか多国籍企業というのは、外国市場から得た追加収入を労働者に分配しているから、国内でしか活動しない企業よりも高い賃金を払っているというふうに言っているんですけれども、実は、日本の多国籍企業、輸出企業においては、それが通用しないという話もあるんです。それは、日本の中で同程度の賃金しか支払っていないというふうな話もあるんです。

 こういうところも含めて、ぜひ今の実態調査を進めていただきたいということをお願いして、次の仮想通貨の質問に移ります。

 仮想通貨でございますが、仮想通貨はよく、何なの、仮想通貨ということを聞かれます。そこで、ポイントってありますでしょうという話をするんですね。

 ポイントというのも、例えば家電量販店で使えるようなポイント、これは、家電を買いました、その結果、何ポイントがバックで返ってきますよというようなポイントがあります。あるいは、現金で購入するようなポイント、そういうものもあるわけでございます。

 さまざまなポイントがあるわけでございますけれども、これは商品の購入ができたりするわけでございますが、法的には何に当たるのか、少し整理をしたいと思いますので、御答弁を願います。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのポイントはさまざまなものがあるため、一概にお答えすることは困難でありますが、ポイントと称しているものでございましても、金額、数量に応ずる対価を得て発行される証票等その他のものであること、また、金額等の財産的価値が記載、記録され、代価の弁済等に使用される場合には、資金決済法の前払い式支払い手段に該当すると考えられます。

 また、不特定の者に対して代価の弁済に使用でき、また、不特定の者を相手方として法定通貨と相互に交換できる、電子的に記録され移転できる、法定通貨又は通貨建ての資産ではないとの要件を満たす場合には、資金決済法の仮想通貨に該当すると考えられます。

濱村委員 仮想通貨に該当する場合もあるというわけでありますが、これは資金決済法上のものなんですね。今のポイントも、前払い式支払い手段に該当するものもあるというお話もありました。

 ちょっと今、仮想通貨等の決済とポイントでの決済、この点、法的にどのような違いがあるのかについても確認をしたいと思います。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 ポイントが仮想通貨に該当する場合、資金決済法では、仮想通貨と法定通貨等の交換を行う業者を登録制として、その業者に対しまして、マネーロンダリングやテロ資金供与対策の観点から本人確認義務、また、利用者保護の観点から利用者への説明義務や利用者財産の分別管理義務等が課せられます。

 また、ポイントが前払い式手段に該当する場合には、資金決済法において、自家型の発行者は届出、第三者型発行者は登録制としており、前払い式支払い手段の発行者に対しては、利用者への情報提供義務や利用者財産の資産保全義務等が課せられることとなります。

濱村委員 今のたてつけはそのとおりだなと思っておるんですが、決済に注目すれば、利用者側からすれば、余り違いがない部分もあるんですね。行動様式においては変わりはありませんということなので、そのあたり、少し整理をしていく必要があるんだろうと思っております。

 もう一つ、課税対象として、今、仮想通貨は、仮想通貨を使って決済すると、損益確定とされて課税されているんですね。

 決済のために発行されているような、端的に言えば、仮想通貨が今投機的に、投資商品的な扱いを受けて、どんどんレバレッジをきかせてはね上がっていくというような話もあるわけですけれども、こうした仮想通貨については、私は、こうしたというのは、決済に使えるようなもの、決済だけで閉じられているようなものについては課税対象から外した方がいいんじゃないかなとか思っておりますが、ぜひとも、その辺もまたさまざま、今、金融庁はきのうも業務改善命令等々出されておりますので、議論をしていただきたいなと思っておりますが、質問はちょっと飛ばします。

 大臣、お待たせしました、済みません。クールジャパンについてお伺いをしたいと思っております。

 クールジャパンについて、今、戦略の成果と今後の取組を確認したいのと、知財戦略ビジョンの検討もされておられるということであろうかと思いますが、この内容についても触れていただきながら、今後の取組についてお伺いをしたいと思います。

松山国務大臣 お答えいたします。

 クールジャパン担当として、日本のコンテンツ、衣食住がより効果的に創出をされ、海外あるいは訪日外国人に受け入れられるように、中長期的な観点からクールジャパン戦略をさらに深めることが必要だと考えております。

 そこで、昨年末に、総理をトップとする知的財産戦略推進本部の中に専門調査会を立ち上げました。クールジャパン戦略については、知的財産戦略の一環として中長期的な視点から一層深めていくために、どのような日本の魅力をどのような外国人をターゲットとして展開していくべきかといった基本戦略について議論を現在やっているところでございます。

 具体的には、外国人の目から見た日本の魅力について研究、分析をする、そして、外国人が強い関心を持つストーリーを活用しながら付加価値を高める、また、国や地域別のマーケットの特性を踏まえた海外展開あるいは訪日外国人への対応を推進するといったこと、また、クールジャパンの創出、発信、展開などが持続的に行われる仕組みと環境形成というものを今検討しているところでございます。

 こうした検討結果について、ことしの五月ごろに政府のクールジャパン戦略の基本的な形を取りまとめて、各省庁の施策に反映していただくべく、現在進めているところでございます。

 一層効果的に経済成長につなげるべく、頑張ってまいりたいと思います。

濱村委員 取りまとめにしっかり期待をいたしておりますが、クールジャパンといったときに、コンテンツもすごく大事なわけでございますが、一つ、私はゲーム産業とかそういうところも気になっておるんです。

 ゲーム産業の中で、今、実はeスポーツというものが出てきていて、アジア五輪評議会は、二〇二二年の中国・杭州で開催されるアジア競技大会でeスポーツをメダル種目にすると発表された。二〇二四年のパリ五輪でも正式種目化が検討されているというような状況にあります。

 eスポーツってスポーツなのというような議論がまだまだある中でこうした議論があるわけですが、実は、eスポーツ、すごくいい点として見れば、キーボードとか機器を通じて操作するゲーム競技なので、健常者の方だけじゃなくて障害者の方々も参加できる、ほかのスポーツ、競技に比べて参加しやすいというような、こうした特性があるのかなと思っております。

 こういういい面を捉えて、しっかりと育成をしていっていただきたいと思っております。

 もう時間が参りましたので、経産省さんも来ていただいておりますが、きょうはもうこれにて終わりますが、eスポーツ、人材育成についてもぜひともお取組をお願いして、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 この後、本会議もございますので、効率よく質問を進めたいと思っています。

 まず冒頭、きょうは、法人の設立、会社の設立について、内閣の方ではこれをオンライン化、またワンストップ化するという検討が図られているというふうに聞いております。

 昨年六月の未来投資戦略二〇一七におきまして、法人設立に関し、利用者が全手続をオンライン、ワンストップで処理できるようにする、そして、制度面、技術面の総合的な観点から、この夏までに、この夏とは去年の夏です、官民が一体となって本格的に検討を開始し、本年度中に結論を得るというような閣議決定もございます。

 また、昨年末の新しい経済パッケージにおきましては、法人設立登記をオンライン化によって二十四時間以内の処理をしたい、そういった方向が出されておりますので、これについて質問したいと思っております。

 まず、この法人登記、会社の設立をオンライン化する、またワンストップ化する必要性、立法趣旨について端的に政府にお答えいただきたいと思います。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 浜地委員から、法人設立手続をワンストップで行うことの必要性について御質問をいただきました。

 我が国の経済成長のためには、イノベーションの担い手である起業家の迅速かつ大胆な挑戦を後押しすることが重要でございます。このためには、国際的に激しい競争が行われる中で、我が国において世界最高水準の起業環境を実現することが求められております。

 一方、我が国における法人設立手続は、必要な手続数が多く日数もかかるため、一刻も早く会社を設立して事業の立ち上げに集中したい起業家にとっては大きな負担となっております。

 法人設立に係る全手続をオンライン、ワンストップで処理できるようにすることで、起業家を煩雑な手続と無為な待ち時間から解放し、行政からの生産性革命を実現していく必要性があると感じております。

浜地委員 ありがとうございました。

 そうなりますと、その必要性の中で、今、検討会を政府の中につくられております。結論を得る時期も近くなっておるわけでございますが、これまでの検討会において現在まで出てきました議論の概要、特に論点について、これも端的にお伺いしたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 オンライン、ワンストップ化の実現に当たりまして、手続数や日数のほかに定款認証や会社代表者印の提出など、手続の一部に面前や書面が残っておりまして、オンライン化できていないことが課題としてあります。また、登記申請や税、社会保障に関する届出など、手続ごとに窓口が異なっており、それぞれ個別に手続することが求められることも申請者にとって大きな負担となると言われております。

 これに向けまして、昨年十二月に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおきまして、具体策と実現に向けた工程について今年度末までに成案を得ることとされました。

 具体的には、まず、オンラインによる法人設立登記の二十四時間以内の処理の実現及び世界最高水準の適正迅速処理を目指した業務の徹底的な電子化、二として、法人設立における印鑑届出の義務の廃止、三として、電子定款における株式会社の原始定款の認証のあり方を含めた合理化、四として、法人設立手続のオンライン化とマイナポータルを利用したワンストップサービスの提供の四点に取り組むということで議論をしております。

 スケジュールについては、今年度末までの取りまとめに向けて、今まさに具体的な進め方を調整しているところでございます。

 いずれにしましても、健全な形での法人設立を促していくため、可能な限り早急に関係府省と連携しながら進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

浜地委員 お答えありがとうございます。

 きょう私がお配りしました資料一に、先ほどの論点のようなものがあらわれるかと思っています。

 資料一に、左側に囲いの図がございますが、設立登記前には定款認証を行う、これが、公証人の面前での確認が必要になっている。そして、定款認証が終わったものを登記所に持ち込む際におきましては、この左のブルーの登記時、会社の代表者印を提出、これを書面でしなければならない。そして、設立登記の申請があって登記が完了するわけでございますが、ここで初めて会社の謄本、登記事項証明書ができて、これの交付を書面で受け、そして、代表者の印鑑証明書も取得をし、要は、銀行に行って法人の口座を開設する。その後に税務署や労基署、さまざま届出があるということが非常に煩雑になっているという図でございます。

 ですので、私は、ここで、オンライン化とワンストップ化というものを二つ分けて考えるべきだろうと思っています。

 主に、この登記後の手続についてはワンストップということになりまして、いろいろな役所に届出をそれぞれにしなきゃいけないということは、私はこれは極めて迂遠であろうと思っていますので、早くワンストップ化をすべきだと思っています。

 しかし、その前の、登記前の手続、また登記の申請時においては、やはり何らかの目的があって、これまでは公証人の認証や、また代表者の印鑑証明書を提出されるということがございましたので、やはり、設立登記を速くすることは大事ではございますが、これまで制度としてあったものの趣旨が損なわれないようにしなければならないんじゃないかと思っています。

 そこで、登記の申請前には、会社の設立の原始定款、発起人がつくるものでございますが、これは基本的に、発起人全員が署名をし、そして、それを公証人の面前でさまざまなチェックを行うという作業でございますが、この公証人の認証の趣旨について法務省にお聞きをしたいと思います。

山下(貴)大臣政務官 この分野に大変造詣が深い専門家でいらっしゃいます浜地先生にお問いいただきまして、本当にありがたいと思っております。

 法務省としても、我が国におけるより適正かつ迅速な法人設立手続の実現に努めていく所存でございます。

 ただ一方で、株式会社の設立手続の適正さは、我が国の株式会社制度の経済のインフラとしての信用力を維持するために極めて重要でございます。そういった意味で、御指摘のように、株式会社などの法人の設立時に公証人が設立の適法性を審査する定款認証手続において面前確認を行う意義は、成り済まし等の不正を防止するとともに、起業者の真意を確認し、違法な目的での法人設立を抑止することにございます。

 例えば、先月には、外部有識者による研究会が、定款認証手続を活用して株式会社の実質支配者を把握する方策等を実施することについて、有意義な提言をまとめられたと承知しております。こういった方策は、マネロン、テロ対策に係る、例えば金融作業部会、FATFでございますが、そういった評価を始めとする、我が国の法人の透明性に関する国際的な評価を向上させることに寄与するものというふうに考えております。

 法務省としても、今後も、法人の設立手続の適正さを担保する経済インフラである定款認証手続を積極的に活用しつつ、先ほど申し上げましたように、我が国におけるより適正かつ迅速な法人設立手続の実現に努めていく所存でございます。

浜地委員 御丁寧な答弁、ありがとうございます。

 今、法人設立登記は我が国の重要なインフラである、また、我が国の信用力というお話がございました。

 私も、設立登記を速くすべきだという考えには賛同しておりますが、例えば、司法書士の先生方とお話をしたときに、中国やほかの国でつくれる会社と日本でつくった会社というのは何が信用力が違うのかというところも考えてほしいというふうに言われました。やはり、この日本においてきちっと設立登記ができたということは、実体のある会社であり、それは信用が高いんだということも日本のブランドの一つではないかということも御指摘をいただきました。

 なかなか、そうなりますと、手続が遅くなるということになろうかとは思いますけれども、そうではなくて、なるべく、先ほどお話しいただきました、公証人の登記の真正を担保する、また、予防、防止する、そして、FATFにおいても、世界においても信用力がしっかりとある会社をつくれということでございますので、その趣旨をないがしろにしない範囲で、私は、特に公証人の認証手続というものは、簡略化できるものはしていくべきだというふうに思っております。

 そこで、内閣の方の検討会では、この公証人の認証自体を、電子証明による場合には公的個人認証で省略をしよう、また、モデル定款といって、基本的な会社の形だけを定款に定める場合にはこれを簡略化しようというような検討もされておりますが、先ほど法務省から答えていただきました趣旨は、この検討において十分担保できるというふうに検討されているのか、これは内閣にお聞きしたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の議論におきましては、手続を単にオンライン化するだけでなく、現行の制度や手続にとらわれずに、利用者目線で業務プロセスを一から見直すという観点からしております。

 定款認証につきましては、法人設立手続オンライン・ワンストップ化検討会におきまして、有識者からさまざまな御意見をいただいているところでございます。例えば、先生御指摘のとおり、弁護士あるいは司法書士の団体の方々からは、やはり公証人による不正防止ということを評価する意見もございますれば、経済界等からは、犯罪抑止の実効性を疑問視するという御意見もございます。

 いずれにしても、こうした御意見を踏まえまして、適切な形での定款認証のあり方を含めた合理化を実現してまいりたいと存じております。

 以上でございます。

浜地委員 もう少し本当は、手続について、今考えていらっしゃることがどうこの公証人の面前での認証という趣旨を担保できるのかをお聞きしたかったのでございますが、まだ検討中ということでございますので、先ほどの私の法務省への質問で、何となく私の真意はわかっていただいたというふうに思っております。

 私自身も、公証人の前で認証を受けたこともございますし、代理人になったこともございますが、公証人の前に行きますと非常にやはり緊張もしますし、実際に設立の真意というものも細かく聞かれます。発起人全員がしっかりと、例えば代表者を選ぶ手続を行っているのかといったことも非常に慎重に検討されるわけでございますので、私は大事な制度だと思っておりますが、仮に公証人の認証を省略又は簡略化した場合には、今度は法務局における登記官がしっかりとチェックをしなければならなくなります。

 私は、法務局の登記官の皆様方の権限というのは、実質的に審査する権限はなくて、形式的な審査権しかないというふうに私自身は理解をしておりますが、まず、それでよいのか。そして、形式的審査権ということになりますと、どういったものしかできなくて、どういったものまでできるのか、ちょっと具体的にお答えいただきたいと思います。

筒井政府参考人 法務局の登記官の審査権限は、委員御指摘のとおり、形式的審査権と言われております。この商業登記における登記官の審査権限は、登記簿のほか、申請書及び商業登記法等に基づいて添付すべきその添付書面に基づいてのみ行われる、こういう意味で、いわゆる形式的審査を行う権限であるとされているわけでございます。

 登記官が形式的審査として行いますのは、例えば、添付書面として株主総会の議事録の添付が必要な登記申請について、議事録が添付されているかどうかの審査、あるいは、その記載内容から会社法上適法な株主総会が開催されたと認められるか否か、こういった審査などでございます。

 他方で、登記官は、これらの添付書面等以外の資料を審査の資料とするような実質的審査を行うことはできません。したがいまして、登記官は、例えば添付書面の一つである役員の就任承諾書について、作成者の意思に基づいて作成されたものかどうかを作成者などに直接尋ねることによって確認することはできないとされております。

浜地委員 法務局の登記官の権限は形式的審査権で、書面にあらわれたもののみということで今御答弁があったかと思います。

 まさに、発起人が選ぶ新しく代表者になる人間の就任承諾書があっても、それが真に承諾をされているかどうかということについては審査ができないということでございますので、こういったことが、私は、公証人の認証の際にやはり深く、また、公証人も主に裁判官や検事出身の方が多うございますので、そういった方々の前でさまざま質問も受けながら行うということが、やはり不正防止、予防という観点では大事だろうというふうに思っております。

 そしてもう一つ、省略をしたいというところに、会社の代表者の印鑑を、現在は必ず登記申請時に提出をさせる。そして、これを紙で提出をさせる。これは電子署名であっても紙に写してこれを申請させるということでございますけれども、会社の代表者印を登記申請時に必ず提出をさせ、かつ紙で提出させる、この趣旨について端的にお答えいただきたいと思います。

筒井政府参考人 御指摘ありましたように、会社の代表者は、あらかじめその印鑑を登記所に提出しなければならないとされております。その趣旨は、会社の代表者が登記を申請するに当たり、あらかじめ登記所に提出した印鑑を申請書に押印させることで、その印影と登記所に提出された印鑑の印影とを登記官が照合し、申請人の同一性を確認すること、これを可能とすることにございます。

 この印鑑の提出は、具体的には印鑑が押印された印鑑届書の提出によってするものとされ、オンラインによる提出は認められておりません。

 印鑑届書の提出をオンラインで行うといたしますと、その方法としては、申請人がスキャナーで取り込んだ印影の画像を登記所に送信する方法も考えられるところでございますが、この方法によると、送信された印影が同一サイズであることの確保や印影の鮮明度などについて技術的な課題が存することから、書面の提出を必要としているわけでございます。

浜地委員 今、法務省の方から代表者印の申請の趣旨をお聞きしましたが、今、検討会の方でも、この代表者の印鑑の提出を省略しよう、商業登記電子証明書でこれをかえようというようなことが検討されているというふうに聞いていますが、先ほど法務省にお答えいただきました同一性の担保ということの趣旨は、今の検討ではクリアできるのでありましょうか。内閣府にお聞きしたいと思います。

宇野政府参考人 お答えを申し上げます。

 印鑑の提出の省略の件でございますけれども、今般の取組は、設立登記をオンラインで申請する場合に、印鑑の届出を全廃するわけではなく、任意とする選択制に見直すというものでございます。

 これに当たりましては、代表者の本人確認の手法を印鑑にかわる別の手段で担保するという選択肢を用意するというのが前提でございます。

 具体的には、印鑑を提出しない場合には、会社代表者の本人確認は商業登記電子証明書によって代替することとしまして、設立登記の申請時にも、印鑑のかわりに商業登記電子証明書に関する届出を行うことを想定しております。

 以上でございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 今、任意であるというお話がありました。基本的には、これまでの日本の伝統であります会社の代表者印というものを提出してもいいし、商業登記電子証明書でかえてもいい、これを並列的に並べながら、任意ということでございました。私も、これに対しては賛成でございます。

 印影というのは実は余り世界では使われていなくて、本人のサイン、これが実際には証拠として非常に使われるわけでございますが、そうはいっても、日本の社会の中では、やはり代表者印がしっかり押してあるということが、一つ、取引のそれこそ信用にかかわってくるものでございますので、この制度を残しつつ、今、内閣の方でも検討されております、商業登記電子証明書というものとの併用を行うべきだろうと私自身も思っております。

 それに加えて、実際、銀行業務についても、代表者印を持ってこいということになります。銀行届出印でございますが、そういったいわゆる取組も必要だろう、そのように思っています。

 そこで、先ほども紹介しました、新しい経済政策パッケージにおいては、オンラインによる法人の設立登記を二十四時間以内の処理をしたいというふうな言葉がございました。

 この二十四時間とは、私が資料で示していますこの資料一の中の、どこから始まってどこまでを二十四時間で処理をしたいという意味なのかをお聞かせいただきたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の部分につきまして、基本的に、設立登記に必要な書類が不足なく提出された時点から登記が完了するまでの時間を二十四時間と考えております。

 これをベースに、何がどこまでできるかについては、今後、法務省ともよく議論してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

浜地委員 この新しい経済パッケージでは、二十四時間以内の設立登記というのは、いわゆる会社の設立登記を法務局に申請をして登記が完了するまでということです。

 そうなると、この図、資料一の、いわゆる公証人の認証を面前で行わせることを廃止するとか、そもそも、公証人の認証をもう廃止をする、省略をするということになると、二十四時間にカウントされないわけでございます。ですので、この公証人の認証という部分について言うと、二十四時間にはカウントされないわけでございますので、ぜひそこはしっかりと分けて考えていただきたいなというのが一点。

 あとは、そうなりますと、公証人が本来は、その設立の真意や、またいわゆる不正な登記の、会社設立の防止という観点を担っておるわけでございますが、それが例えば省略される又は簡略化されるとなると、実際に二十四時間でこの設立登記を仕上げるためには、法務局の登記官の皆様方のマンパワー、人員の充実、そしてまた、先ほど私が話しました、形式的審査権しかない中で本当の意味で不正な登記を防止するという意味では、登記官の権限自体も考え直さなきゃいけないんじゃないかとも思っております。

 そして、実際に、今の登記の手続の、処理手続、これについての改革も必要だと思いますが、これについての御意見につきましてお伺いをしたいと思っております。法務省にお伺いします。

筒井政府参考人 法務省といたしましても、世界最高水準の起業環境を目指す観点から、法人設立登記の二十四時間以内の処理などの諸施策を実現することは重要であると考えております。

 その実現の方法につきましては、現在、法務省も関係省庁として出席しております法人設立手続オンライン・ワンストップ化検討会で検討が進められておりますが、法務省といたしましては、登記申請の適正な処理の重要性を十分に踏まえた上で、所要の制度改正のほか、オンライン申請に関する業務の効率化や必要なシステム開発等を進めることでこれを実現していくべきものと認識しております。

 その上で、法務省といたしましては、先ほど法務大臣政務官が述べたとおり、我が国の法人設立手続の適正さを担保している公証人の定款認証制度を今後も積極的に活用するのが適当であると認識しておりまして、委員から御指摘がありましたように、登記官に実質的な審査権限を付与するなど、現行の登記制度の大幅な変更が必要になり、二十四時間以内の法人設立登記の処理も実現できなくなる等の事態を招いてはならないものというふうに認識をしております。

浜地委員 ありがとうございます。

 今は、登記前、申請前の公証人の定款の認証のお話と、登記申請をしてから代表者の印鑑を提出する、そしてそのスピードアップをどう図るかという観点で質問をいたしましたので、これはいわゆる法人登記のオンライン化の部分でございます。

 これについては、もう私の質問からあらわれているとおり、迅速化することは大事だろうとは思いますが、日本で設立をする、我が国の一つの経済のインフラであるこの株式会社の設立登記という意味、これは、信用力を世界でも保つという意味において、公証人の認証というのはやはり慎重に検討をいただきたいなというのが私の趣旨でございます。

 しかし、その後の、登記ができ上がってからの、例えば銀行に行ったり、又は税務署に行ったり、労基署に行ったり、職業安定所に行ったり、年金事務所に行ったり、これに対しても謄本を出してそれぞれ申請をするというのは、私はこれは迂遠だろうと思っております。これについてはやはりかなりスピードアップをしなければいけないなと思っています。

 ですので、いわゆる登記の申請時の二十四時間ということも大事でございますが、やはり、この登記前の手続、公証人の認証や、また法務局での登記の完了手続、そして登記後の手続も含めた上でのスピードアップというものが私は大事だろうと思っています。

 そこで、会社の登記ができ上がった後に各種届出を迅速化するためにはさまざまな改正が必要だと思っておりますが、この登記完了後のさまざまな届出の迅速化についての現状の課題と見通しについてお伺いをしたいと思います。

宇野政府参考人 お答え申し上げます。

 設立後の手続の件でございますけれども、現行では、オンラインで申請された場合でありましても、申請者は、一として、まず登記・供託オンライン申請システム、次にe―Tax、これは国税でございます、あとeLTAX、これは地方税、あとe―Govという四つの異なる申請システムにおきまして、それぞれ個別に実施することが求められております。このため、手続の全体像がわかりづらい上に使いづらいシステムになっていると言われております。

 今後につきましては、マイナポータルを採用することで、利用者が一度手続を実施すれば法人税制に関する全手続がオンライン、ワンストップで完了できるようなサービスの実現を目指しております。これに向けましては、まず登記後手続のワンストップサービスを開始した後、法人設立に関する全ての手続をオンライン、ワンストップ化することを目指しておりまして、利用者目線で使いやすいサービスとすべく、関係省庁と議論を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

浜地委員 今、マイナポータルを使っての、さまざまなシステムを統合した上で利用できるようにしたいというお話がございました。そのためにはマイナンバーカードの普及も必要でございますし、マイナポータルをしっかりと、自分でどう手続をされたか見るにはカードリーダーが必要だというふうに、私も四年前、内閣委員会に所属していたときに聞いております。ですので、こういったカードリーダーの普及状況も踏まえて検討をしていただきたいというふうに思っております。

 この件に関しましては、もう私の質問の中で私の思いは伝わっているかと思いますけれども、しっかりと、制度趣旨をどう担保できるかということも注力しながら、法人設立登記の迅速化、総合的に行っていただきたいというふうに思っております。

 次に、話題をかえます。企業主導型保育所についてお聞きをしたいと思っております。

 実は私、これは大変勉強不足、かつ、結構私のさまざまな知り合いの企業の方々から、企業主導型保育所をやりたいんだけれども、政府が閣議決定をしました新しい経済パッケージの幼児教育の無償化の範囲に企業主導型保育所は入るのかどうかということがよく聞かれます。

 これを読むと、新しい経済パッケージの二の二の方では、幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象については云々かんぬんで、来年の夏、いわゆることしの夏までに結論を出すというふうに書いてあります。

 いわゆる企業主導型保育所も一応、一応といいますか、認可基準には達さなきゃいけないんですが、認可園ではないということで、こういう迷いが生じます。

 しかし、片や一方では、今回の、この後、いわゆる本会議で趣旨説明をされます拠出金の増額につきましては、二〇一八年度から実施する子育て安心プランの実現に必要な企業主導型保育所、保育園の無償化の実施後は、三歳から五歳児及び住民税非課税世帯のゼロ歳から二歳児の企業主導型保育事業の利用者負担助成を含むと書いてありますので、これを読むと、こっちは入るだろうというふうに読めます。

 そこで、確認でございますけれども、企業主導型保育所は幼児教育無償化の対象となるのか、時期についてもほかの、要は認可を持っていらっしゃる園と同じようなスケジュールで進められるのかを確認したいと思います。

小野田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月の新しい経済政策パッケージにおきまして、企業主導型保育事業につきましても、先ほど委員御指摘のとおり、幼児教育無償化の実施後には、認可保育所等と同様、三歳から五歳児及び住民税非課税世帯のゼロ歳から二歳児分の利用者負担を無償化の対象とする方針が示されております。

 無償化の実施時期等につきましては、認可保育所等の無償化時期等の動向を踏まえて検討していくこととしてございます。

浜地委員 この閣議決定の文章をよく読むとわかるわけでございますが、これから事業をやってみようという方は、なかなかこれを読んでもわからないので、私にも問合せがあって、私は大丈夫ですよとは答えていますが、確認の意味で答弁という形で、今御答弁をいただいた次第でございます。

 本当に、ことしになってから、この企業主導型保育所をやってみようという企業さん、大変多くございます。私の知り合いの企業の皆様方も、これをつくろうということで、御相談も受けることも多くあります。しかし、まだ三年間しか行われていないこの事業でございまして、来年度は相当な数の申請がふえるのではないか、助成申請がふえるんじゃないかというふうに予想をされます。

 まだ来年度の実施計画については、これから検討されるというふうに聞いておりますけれども、やはり、検討しようと思っている企業様方からは、来年度は確実に助成決定がなされるのかちょっと不安だなという声がございます。また、運営費などが既に助成決定がされている保育所についても、適切な時期に、かつ継続的にこれからも続くんですかという声があります。

 実際に、拠出金がふえれば財源もふえるわけではございますけれども、しっかり需要もふえてくるというような予想がなされる中で、今後、保育事業に取り組む企業が安心して企業主導型保育所に進出できる環境が大事と思いますが、松山大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

松山国務大臣 お答えいたします。

 企業主導型保育事業ですが、これまで受皿整備に取り組んでまいりまして、七万人分を受け付けたところでございまして、平成三十年度には新たに二万人分の受皿を確保するということにいたしております。

 既に運営を開始いただいている事業者の方々については引き続き所定の運営費を確保していくこととしておりまして、減額なども予定しておりませんし、しっかりと確保していきながら、来年度についてはなるべく早い時期に運営費を支払えるように努めていきたいと思っております。

 また、企業主導型保育事業は、今委員も御指摘のように、多くの企業から大変関心をいただいておるところでございまして、今後とも事業者が安心してこの事業を実施していただけるような環境整備にしっかり取り組んでまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

浜地委員 ありがとうございます。

 当然、もう助成決定がなされているものに対して減額ということは考えられないわけでございますけれども、基本的には基金を使っての運用でございますので、財源に限りがあるという点でそういった懸念の声が生じたわけでございますが、今、松山大臣にしっかりと御答弁をいただきました。

 運営費についても、最初の設立のお金というのは出るんですが、やはり運営するときにタイムラグが生じてしまって、ちょっと資金が、企業ですから基本的にはお金はあると思うんですけれども、やはり単体での企業主導型保育所で見ると資金がショートするんじゃないかというような懸念もあるものですから、今御質問をさせていただきました。

 しっかりと企業が安心してこの受皿整備に進める環境をつくっていくという御答弁をいただきましたので、しっかりと私も与党の一員として取り組ませていただきたい、そのように思っております。

 最後のテーマに参りますけれども、外国人の労働者のあり方について質問をしたいと思っています。

 外国人の労働者ですから、本来は法務省マターではないかというふうに考えられるわけでございますが、資料二の、私が示した資料は、実は経済財政諮問会議で内閣府がこの諮問会議に提出をされた資料でございますので、この委員会で質問をさせていただこうと思いました。

 今、外国人の労働者の数が大変ふえております。その中で一番増加が多いのは、一番下のオレンジのところ、資格外活動ということで、これは五年前よりも三二%、約十八万八千人、資格外活動での労働者の数がふえているということでございます。

 これは、端的に言いますと、留学生が、よく最近ではコンビニエンスで、ほとんど外国の方、留学生の方が働いていらっしゃいますが、いわゆるアルバイトとして行う活動でございます。これについては実態の調査というものも行うべきであろうと思っておりますが、これは原則週二十八時間しかできない。これは当然、学業に専念するのに来たのに、日本でアルバイト目的ではおかしいですよということで、原則週二十八時間以内になっております。

 しかし、企業の中では、またこの留学生自身も、企業のインターンシップを活用したいんだと。これで、当然インターンシップですからお金ももらえますが、自分自身、将来本国に帰ったときにその日本の仕事の仕方を覚えている、若しくは、しっかりとそこで就職活動をして、また資格でも取れば、日本に残って働けるということでございますので、私は、これ二十八時間だと、インターンシップというとなかなか、日本の大学生も今インターンシップがほぼ行われる形で就職活動をしていますので、不利だろうと思っておりますけれども、留学生は、インターンシップを行う場合には、原則二十八時間以内とされる資格外活動の例外措置として認められる場合があるのか、お答えいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 夏休みなどの長期休業期間中におきましては、包括的な資格外活動許可でありましても、一日につき八時間以内のインターンシップを行うことが可能でございます。

 このほかに、卒業に必要な単位をほぼ修得した大学四年生等が就職活動の一環としてインターンシップを行う場合や、大学等において単位を修得するために必要な実習を行う場合には、個別の申請に基づきまして、学業に支障がないことを確認した上で、週に二十八時間を超える資格外活動許可を認めております。

浜地委員 例外的に認められるという御答弁であると思っております。

 この留学生また外国人の労働者の取扱いについては、先日、総理は、明確に移民政策はとらないというふうに言われております。その上で、今、人手不足の中でどうするかという方にあって、やはり、学んでいる学生、将来的には高度技術者と呼ばれるような技術も身につけられる学生かもしれません、留学生については、アルバイト目的ではなくて、本当にしっかり勉強して、日本で働いていただいても安心できる人材はやはり活用していこうという観点が大事だろうと思っておりますので、このインターンシップについても、周知徹底も含めて行っていただければ、日本に来る留学生もふえるんじゃないか、真の意味で勉強しに来る留学生がふえるんじゃないかというふうに思っております。

 最後の質問にしたいと思っております。

 今、アマゾン・ゴーという無人のコンビニエンスストアがちょっと注目を浴びております。やり方については、アマゾン自身は全部開示はしていないのでありますけれども、アマゾン・ゴーについては、いわゆるカメラを多く店内につけて、商品にICタグのようなものはつけずに、カメラの動きによって、例えばその商品をとった、また返した場合には、それを結局購入することなく返したのでカウントしないというような、店舗に多くのカメラを使っての装置だというふうに聞いております。

 しかし、今、経産省の方では、スマートストアについて、ICチップでの検討があるというふうに聞いております。済みません、今なぜ経産省に質問したかというと、留学生にコンビニのアルバイトが多いので、その関連という意味で今質問させていただいているわけでございますが、そうなると、仮に、このアマゾン・ゴーのようなカメラ型の無人ストアがもし日本に入ってきた場合に、今、経産省ではICチップの方を重点に、要は、商品の方にチップをつけるように検討されておりますが、そごが出てくるんじゃないかというのが一点。

 それと、バーコードを導入してきたときに、やはり製造業者からしてみると非常にコストがかかってしまった。できれば、そういったAI化の無人ストアについては、業者負担ではなくてその店舗の方に負担させるように、カメラの方をぜひ推進すべきだというような声もございます。

 今現在、このスマートストアについて、経産省でどのような取組、検討状況になっているのか、最後にお聞かせをいただきたいと思います。

小瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 ITを用いたスマートな店舗を目指す取組が世界的に広がっておりますが、これは、データの利活用を通じた消費者の利便性の向上に加え、人手不足にも効果的というふうに考えてございます。

 議員今御指摘にございましたように、アメリカでは、カメラなどの複数のセンサーを用いることで、商品を店舗から持って出るだけで会計が瞬時に行われる店舗アマゾン・ゴー、これが先日、一般公開が開始されたというふうに承知してございます。

 他方、日本では、大手コンビニ五社と経済産業省が共同で電子タグを用いたスマートストアの実現を目指しており、先月、ファミリーマート経済産業省店など都内三店舗で電子タグを用いた実験を行ったところでございます。

 こうした中で、よく、カメラか電子タグか二者択一のような、こうとられやすい、こういう面がございますけれども、カメラは、店舗内のように限られた空間の捕捉には有利でありますけれども、メーカー、物流、卸売、小売など複数のプレーヤーが関係するサプライチェーンでは、電子タグで商品を捕捉する方が効果的でございます。また、カメラも電子タグもセンサーの一つでしかなく、両者を利用することでお互いの精度を向上させることができるなど、これらの両立は不可能ではないというふうに考えてございます。

 経済産業省としても、これらが実効的な取組となっていくことを期待しているところでございます。

浜地委員 もう予鈴が鳴りましたので、終わります。ありがとうございます。

山際委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五十分散会


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