衆議院

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第4号 平成30年3月15日(木曜日)

会議録本文へ
平成三十年三月十五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 佳隆君    泉田 裕彦君

      大隈 和英君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 鮎子君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      亀岡 偉民君    小寺 裕雄君

      小林 茂樹君    古賀  篤君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      武井 俊輔君    長坂 康正君

      西田 昭二君    本田 太郎君

      三谷 英弘君    村井 英樹君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (少子化対策担当)    松山 政司君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     山下 雄平君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   政府参考人

   (内閣官房人生100年時代構想推進室次長)    大島 一博君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官)    塩見みづ枝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           山本 麻里君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           眞鍋  純君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     本田 太郎君

  小寺 裕雄君     小林 茂樹君

  佐藤 公治君     森田 俊和君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 茂樹君     小寺 裕雄君

  本田 太郎君     金子 俊平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党及び自由党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山際委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請させましたが、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党及び自由党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房人生一〇〇年時代構想推進室次長大島一博君、内閣府政策統括官、子ども・子育て本部統括官小野田壮君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、文部科学省生涯学習政策局生涯学習総括官塩見みづ枝君、厚生労働省大臣官房審議官成田裕紀君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長山本麻里君、国土交通省大臣官房審議官眞鍋純君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。永岡桂子君。

永岡委員 おはようございます。自民党の永岡桂子でございます。

 本日は、子ども・子育て支援法一部改正案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 いただきました時間がちょっと長かったので、通告を大変多くさせていただきましたが、時間によりまして、質問を飛ばさせていただきましたり、また順序が変わることもあろうかと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 さて、待機児童の問題に対しまして、これまでも政府は真剣に取組を行ってきたところでございます。平成二十五年に策定されました待機児童解消加速化プランに基づきます取組では、企業主導型の保育も含めれば、二十九年度までの五年間で、これは本当に大きいです、合計五十九・三万人分の受皿を拡大させてきたところでございます。

 もっとも、女性の就業率が急激に上がりましたり、また人口の都市部への集中、それから保育所の整備によりまして需要の顕著化などがありまして、さまざまな要因によりまして、待機児童の数自体は減っていないというのが現実でございます。

 そうした状況の中で、昨年六月に策定されました平成三十年度から平成三十二年度末までに三十二万人分の受皿を追加で整備をするという子育て安心プラン、これは待機児童解消のために着実に実行していかなければならないと考えております。

 そこで、この子育て安心プランの内容と、それから、今審議中の子ども・子育て支援法、これの一部改正案が子育て安心プランの実現に対して果たす役割につきまして、松山大臣にお伺いをしたいと思います。

松山国務大臣 おはようございます。永岡委員にお答えいたします。

 昨年六月に公表されました子育て安心プランですが、女性の就業率の上昇、また保育の利用希望の増加が見込まれる中、喫緊の課題である待機児童解消のために、平成三十年度からの取組として、待機児童解消に必要な約二十二万人分の予算を二年間で確保し、そして、遅くとも平成三十二年度末までの三年間で全国の待機児童を解消した上で、平成三十四年度末の五年間で女性就業率八〇%に対応できる三十二万人分を整備するということにしておりました。

 その後、昨年十二月に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおきまして、この子育て安心プランをより早く実現させるために、プランを前倒ししまして、平成三十二年度までに三十二万人分の保育の受皿を整備するということにいたしました。

 今回の法案によりまして、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、子育て安心プランの実現に向けて、事業主から追加で拠出いただく拠出金を、企業主導型保育事業のさらなる促進、また新たに、待機児童の九割を占める〇―二歳児相当分の保育の運営費に活用させていただくこととしております。

 これらによりまして保育の受皿整備が進むことで、子供を持つ親にとっては、仕事と子育ての両立が図られる、そして働き続けられる、また働き始めるということが可能になります。また、企業にとっては、子供がいる従業員の離職を防止ができますし、労働力を確保するということが可能となります。よりよい人材の維持、確保につながることになってまいります。

 この法案の早期成立を図って、待ったなしの課題である待機児童解消の実現を目指して、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 この法律案、大変重要でございます。この施行期日というのがことしの四月の一日とされておりますが、仮にこの期日に間に合わなかった場合、どういった影響が及ぶのか、内閣府にお伺いさせていただきます。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月に閣議決定された新しい経済政策パッケージにおきまして、喫緊の課題である待機児童を解消するため、子育て安心プランを前倒しし、平成三十二年度までに三十二万人分の保育の受皿を確保することとしております。

 本法案は、このプランの実現に当たって来年度からの必要な財源を確保するためのものであり、事業主拠出金を拡充し、ゼロ歳から二歳児相当分の保育の運営費、それと企業主導型保育事業に充てることとしております。

 四月から拠出金率を引き上げることができなければ、こうしたゼロ歳から二歳児相当分の保育の運営費等のための歳入に欠損が生じることとなります。

永岡委員 ありがとうございます。

 ただいまの内閣府の答弁、それから意気込みをしっかりと語ってくださいました松山大臣の答弁を考えますと、やはり、この内閣府の答弁に対しまして、そういうような影響が出ないように、ぜひともこの法案を前に進めていくべき、そう思いました。どうぞよろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。

 保育の質を確保することが何より大切であるということは、これは言うまでもございません。各委員会などにおきましても、議論が尽くされてきたところでございます。

 では、質の高い保育とは何でしょうという話もまた大切なことだと思っております。

 これまでの加藤厚生労働大臣の答弁では、まず、事故がなく、そして安全で安心な環境のもとで、そうした環境がきちんと確保されていたもとで、高い専門知識であるとかスキルと意欲を持った人材が行う保育である、そうおっしゃっていらっしゃいます。

 ここには段階があると思います。まず何といっても、事故がなく安全な環境であることが、質の高い保育の最初のステップであると思っております。ただ、あってはならない事故が実際に起こることもありまして、そうした際には、しっかりとした補償が受けられることが大切でございます。

 小学校、中学校、高校ですとか認可保育園等の管理下で、けがをしたり、本当に不幸にも亡くなった場合、お子さんが亡くなられた場合には、災害共済給付、そういう制度がございます。施設の責任の有無にかかわらず、一定の金額を受け入れる仕組みになっております。

 実は、昨年の三月には、これまでこの制度の対象外となっておりました企業主導型の保育施設であるとか、また一定の認可外の保育施設なども対象に含めましょうということで、議員立法によりまして独立行政法人の日本スポーツ振興センター法が改正をされまして、昨年の四月から施行されたところでございます。

 この法案は議員立法でございまして、当時、私は文部科学委員長をしておりまして、そのときに、与野党の先生方、皆様方の御理解をいただきまして、委員長提案でこの法律、成立をさせていただいたということもございまして、私にとりましては大変思いのある法律でございます。

 ただ、制度の対象になったとはいいましても、実際に加入が進まないことには、いざというときには補償が受けられません。

 そこで、企業主導型の保育施設におきます災害共済の給付制度への加入率、どのぐらいでしょうか。また、加入を促すためにどのような取組が行われておりますでしょうか。文部科学省にお伺いいたします。

白間政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生御指摘の企業主導型保育施設の利用者の災害共済給付制度への加入率のお尋ねでございますが、速報値ではございますけれども、約七割となっているところでございます。

 また、この加入率を向上させるために、文部科学省から都道府県の福祉担当部局や、また企業主導型保育事業の助成団体に対しまして、制度をまず周知するということ、それとともに、日本スポーツ振興センターから直接、未加入の企業主導型保育施設の設置者などに対しまして、この災害共済給付制度の周知と加入を促すリーフレットを配付をしているところでございます。

 引き続き、この加入率の向上のために、内閣府とも連携をいたしまして、制度の周知と加入の促進、これに努めてまいりたいと考えております。

永岡委員 ありがとうございます。

 この災害共済の給付制度というのは、いつでも加入できるわけではないんですね。年度初めに加入しなければ、次の年まで未加入のままで教育であるとか保育を受けることになります。万が一その間に事故が起こった場合、こういうときには補償は受けられないんですね。企業主導型保育施設はもちろんですけれども、ほかの対象の保育、教育施設、そういうところにも、年度途中に開設された場合には次の年まで加入を待たなければならないという現実があります。

 昨年の法改正のときには、衆参両院で附帯決議がつけられました。年度途中でも加入ができるように、日本スポーツ振興センターの体制整備を前提として制度の見直しを行うことというのが求められておりますし、また、一時預かりですとか居宅訪問型の保育などにもこの制度を対象とすることを検討することを求めております。

 やはり、安心して子供たちがこの制度を利用するということは大変重要だと思っております。現在の検討状況等、文部科学省にお伺いいたします。

白間政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、一点目の加入の時期の問題でございます。

 先生御指摘のように、現在では毎年五月からの一月ということで、これは、新年度当初の繁忙期を避けて、加入者の加入の確認を五月一日とし、手続の期間を短くすることで事務処理体制の効率化を図っているというようなことなのでございますけれども、先生の御引用がございましたように、昨年の法律の附帯決議におきまして、年度途中であっても加入ができるような、そういった制度の見直しを検討することと御指摘をいただいているところでございます。

 これに向けまして制度の改正をしていくに当たりましては、まず一つは、加入の時期の事務処理を一定期間に今集中させることで効率化を図っているところでございますので、これを期間を延ばすということのための事務処理体制の整備というのが一つ課題になってくるかと思っております。

 また、年度途中に加入をした際の掛金の設定ですとか、また遡及適用の考え方を整理するというようなことも引き続き必要になってまいりますので、これは現在検討しているところでございますけれども、スポーツ振興センターの体制整備なども含めて、引き続きしっかりと検討してまいりたいと思っております。

永岡委員 子供たちにとっても、事があったときの補償というのは大切なことでございますので、その子供たちに対する補償の漏れがないように、ぜひ検討を進めていただきたいと思います。

 待機児童の解消のためには、認可保育園のみならず、企業型の保育園とか、また、既存であります幼稚園なども活用していくことが大変重要であると思っております。

 幼稚園の預かり保育というのは、八割以上の幼稚園の方たちが使っているわけでございまして、とりわけ私立の幼稚園では、ほとんどのところで行われていると伺っております。

 この預かり保育の時間も、実は園によってまちまちでございまして、四時、十六時までだとなかなか、両親がフルタイムで働いて預かってもらうのは難しい。十八時、六時、七時くらいまで預かっていただけると利用しやすいので、この程度の時間までは預かり保育の時間を延ばしていただけるように促していくべきではないかと思います。

 また、ほかにも、二歳児の受入れの問題がございます。

 待機児童が特に多いのは一―二歳児でございます。全体の約七割を占めているわけですね。また、昨年十月から育休期間が最長で二年まで取得ができるようになりました。そういうこともありまして、二歳児の保育需要というのがこれからふえるということも予想されます。

 こうした点も含めまして、待機児童解消に対して幼稚園をどのように生かしていくのか、この取組について文部科学省にお伺いいたします。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の待機児童対策に当たりまして、政府を挙げて取り組んでいるところでございますが、この中に、先生御指摘のように幼稚園の活用というものも非常に重要である、このように考えているところでございます。

 従前より、預かり保育を通じて三歳から五歳児の待機児童の抑制に寄与してきたところですけれども、近年、認定こども園への移行ですとか、また〇―二歳児を含めた待機児童の受入れも進んできているところでございます。

 これに加えまして、平成三十年度からは、子育て安心プランに基づきまして、幼稚園のまま、保育を必要とする二歳児を受け入れていく、こういう新たな仕組みを創設するということとともに、これによる二歳児の円滑な受入れに資するように、二歳児特有の発達段階に応じました指導のあり方、こういったものも調査研究をすることで進めていきたいと考えているところでございます。引き続き取り組んでまいりたいと思います。

 それから、先生先ほど御質問いただきましたことで一つ、私、答弁が漏れておりましたので、つけ加えさせていただきたいと思います。大変申しわけございませんでした。

 一時預かり、それから居宅訪問型保育についても、これも対象にするように検討するようにという附帯決議をいただいているというところでございます。

 これについては、厚生労働省と連携をしながら今検討しているところでございまして、先ほど申しましたようなこと、それから、既に加入対象となっている施設と同等の安全基準を適用していく、こういったものをどう担保していくのか、こういった仕組みのことも必要かと思っておりまして、これも、厚生労働省としっかり連携をしながら引き続き検討させていただきたいと思っております。

 大変失礼しました。

永岡委員 ありがとうございます。

 確かに、認定こども園ができました。しかしながら、認定こども園に移行するかどうか、幼稚園の方も、地域ごとだとは思いますけれども、大変迷っていらっしゃる、そういう園もございます。ですから、今御答弁いただきましたように、しっかりと幼稚園の活用法というのも見ていただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、少々質問を飛ばさせていただきまして、次に移らさせていただきます。

 保育士の人材確保について伺います。

 保育士として働く人の数というのは年々増加をしている一方、それを上回る需要の増加によりまして、保育士不足というものが大変深刻化をしております。保育士として働く人の数をふやすためには、大きく分ければ、新しく保育士として働く人をふやすこと、また、現在保育士として働いている人の離職を防止すること、そしてもう一つ、離職した人の復職を支援する、そういうアプローチがあるのかと思っております。

 また、新規に保育士になる人をふやす対策について考えたいと思っております。

 保育士の資格を得るには、大きく分けまして、大学、短大、専門学校、これはいわゆる養成施設を卒業することによって資格を取得するルートと、また、保育士試験に合格をして取得をするルートの二種類がございます。両者の割合といたしましては、養成施設の卒業者、この方が多いということでございます、大体四万人強。一方で、試験を受けて保育士になる人は大体二万人強であると聞いております。

 養成施設を卒業したということは、少なくとも二年間、資格取得のために時間を費やし、一生懸命勉強しているわけですから、保育士になるという動機づけは強いのではないかと思っております。

 ただ、この養成施設は、幼稚園教諭の養成機関の指定も受けている場合が多くて、卒業と同時に、保育士資格と幼稚園教諭の免許、両方とも取得をできる、そういう場合が多いようでございます。

 こうした事実を踏まえまして、年間で、養成施設を卒業した人の数、そして卒業者の就職状況はどのようになっているのか、厚生労働省にお伺いいたします。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士養成施設の年間卒業者数は、平成二十八年度で約四万三千人となっております。また、保育士養成施設の卒業者のうち保育園等へ就職する者の割合は増加傾向にあり、平成二十八年度では約二万四千人、全体の六割弱が就職しているほか、これに幼稚園、児童福祉施設などの福祉、教育施設に就職する者を含めると約三万六千人であり、卒業者全体の八割を超える水準となっております。

 なお、それ以外に就職する者は、約七千人となっているところでございます。

永岡委員 ありがとうございます。

 保育園に就職する人半分強、そして幼稚園の方もいらっしゃるし、そのほかの方も七千人ということでございました。この、そのほかには、ほかの職につく方もいらっしゃいますし、また無職となる方たちというのもケースに含まれていると思いますが、こうした人にできるだけ保育士として現場で働いてもらうということが必要だと思います。

 そこで、養成施設の在学中から、学生に対して、卒業後も保育士として働いてもらえるようしっかり働きかけを行っていくことも大事であろうかと思っております。

 こうした点につきまして、どのような取組を行っていらっしゃるか、お伺いをいたします。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 高い使命感と希望を持って保育の道を選んだ方々が誇りとやりがいを持って保育士として活躍していただけるよう、保育人材の処遇改善やキャリアアップの仕組みの構築に取り組み、保育士の仕事の魅力向上に努めてきたところでございます。

 また、保育の道を選ぶ方がふえることが重要であり、これまでも毎年、保育士の処遇改善などに関するPRとして、保育士確保集中取組キャンペーンを実施してきたほか、保育士の仕事に興味を持っている高校生や中学生に対する職場体験の機会の提供などの取組を通じて、保育士の仕事の魅力の周知に努めてきたところでございます。

 保育士は、将来を担う子供たちの発達を促し、子供たちの日々の成長を実感できる魅力のある仕事であり、社会に望まれる崇高な役割を担っていることを、こうしたさまざまな機会を通じて発信してまいりたいと考えております。

永岡委員 ありがとうございます。今は、新しい、保育士として働きがいのあるものだということを、しっかりと周知をしていただければと思います。

 次に、復職を促すための取組についてお伺いしたいと思います。

 一旦は保育士として働いたものの、やめてしまったり、また現場から一定期間離れてしまうと、本当に、もう一度保育士をやってもいいかな、そういう考えもあろうかと思うんですね。保育士現場に戻るというのは、やはりそんなにすんなりできることではない。今の子供の状況というのも、昔と違うねということもあると思います。復帰に二の足を踏むケース、そういうことも本当に多いかと聞いております。

 こうした現場復帰を望む人の相談に応じたり、また現場の感覚を取り戻すための研修を行うなどの支援が行われているところではございますが、こうした支援につなげる、その前段階といたしまして、支援をする側が、離職をした有資格者の情報を把握しておくということも大変重要かと思っております。

 似たような例といたしまして、看護師さんのことをちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 看護師さんにつきましても、人材確保ということが大変大きな課題となっております。これは、看護師免許を持っている方が看護師として現在働いていない人について、都道府県のナースセンターに届出を行うことが努力義務となりました。この届出は、御本人だけではなくて、勤務をしていた病院も行えるようになるなど、届出を促進する仕組みというものがつくられております。

 保育士につきましても、離職などによりまして現場から離れた有資格者の届出を都道府県の社会福祉協議会などに行いまして、その後の復帰、復職の支援につなげる、そういう取組が広がっているようでございますが、これにつきまして、全国での実施状況、届出を促すための取組についてお伺いすると同時に、復職希望者への研修などを通じて実際の現場復帰までのマッチングにつなげる、そういう例、これはどのぐらいあるのか、伺わせていただきます。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士資格を持ちながら保育士として就業していない方に対する再就職支援につきましては、都道府県等が設置する保育士・保育所支援センターが実施しております。このセンターにおいて、離職者から氏名や連絡先等の情報の届出を受け付けており、再就職を希望する方に対しては求人情報の提供を行っているところでございます。

 センターは、平成二十五年四月時点で十一都府県に十二カ所設置されておりましたが、平成二十九年四月時点では四十四都道府県に五十九カ所設置されており、全国的に取組が広がっております。

 平成二十八年度におきましては、全国で約三千六百人がセンターを活用して保育園等に就職しております。

 平成二十九年度予算では、このセンターにおいてマッチング支援を行うコーディネーターの追加配置を行い、国としてもセンターの体制強化に取り組んでいるところでございます。

 また、一部のセンターでは、求職していない方も含め、保育士資格を持っている方に対し、現在の就業状況や保育園への就職希望の有無について調査を行うことにより、潜在保育士を掘り起こす取組や、都道府県が市町村を通じて保育士の確保が困難となっている保育園を把握し、センターが、その保育園の求人が充足するよう優先してマッチングを行う取組など、さまざまな取組が行われており、こうした好事例を全国的に横展開してまいりたいと考えております。

永岡委員 ぜひ、復職に対しましてのサポート、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは次に、保育士の処遇改善につきましてお聞きしてまいります。

 保育士不足の最も大きな要因の一つに賃金の低さというものがあることは、今までも本当に多くの指摘がされてきたところでございます。これまでにも、毎年、処遇改善加算とか人事院勧告に準じた賃金の上乗せが行われておりまして、平成二十五年度からこれまで、三万円程度の処遇改善がなされてきたことと承知をしております。

 さらに、二十九年度から、キャリアアップの仕組みといたしまして、経験年数がおおむね七年以上の中堅職員には月四万円の加算、おおむね三年以上の職員には月五千円の加算が手当てされてきたところでございます。これは大変すばらしい仕組みだと思います。ぜひ積極的に活用していただきたいと思います。

 しかしながら、一方で、現場で声を聞いてみますと、加算によって得た分を誰の賃金に上乗せするか、また、その配分は保育所に任されているんですけれども、例えば、四万円の加算がもらえるのは園長それから主任保育士を除く保育士などの全体の三分の一までで、加算対象のうち半分の人には満額四万円を与えないといけない。また、本当の若手の賃金も上げたいのに、賃金に上乗せできる対象は七年以上のキャリアを持つ人に限られるなど、さまざまな制約がある中におきまして、保育所の裁量で配分をしますと、現場の保育士同士の間に大変不公平感であるとか、またあつれきも生まれてしまう、そういう声を本当に保育園の先生方からお伺いしておりますし、また、だからといって、いっそもう申告はしない、そういう園長さんも実はいらっしゃるんですね。

 そこで、こうした声を踏まえまして、四万円の加算の配分方法につきまして今後どのように運用をしていくのか、内閣府にお伺いをいたします。

松山国務大臣 委員御指摘のこの技能、経験に応じた四万円等の加算につきましては、保育人材の賃金水準を引き上げるとともに、保育人材のキャリアアップの仕組みを構築するということで導入をさせていただきました。

 委員御指摘のとおり、この加算の使い勝手につきましては現場からさまざまな意見が寄せられておりまして、私自身も直接お話をお聞きする機会も多々ございました。

 そこで、各保育園などが、職員の処遇改善に当たって、さまざまな実情に合った方法がとれるように見直すことにいたしました。この加算は、勤続年数がおおむね七年以上の中堅の保育士等を対象とする四万円、勤続年数がおおむね三年以上の比較的若い保育士などを対象とする加算五千円の二つがありますが、中堅の保育士等に関する加算額の一部を比較的若い保育士等へ配分できるようにいたします。

 また、加算を受けるためには、キャリアアップのために研修の受講を二〇一八年度以降に義務化する方針を既に示していましたが、研修の受講を促進しつつ、今回、二〇二二年度を目途に必須化することを目指すということにしております。

 さらには、同一法人内で複数の保育所等を運営されている場合には、ほかの施設の職員へも一部配分ができるようにいたします。

 引き続き、保育士の方々の処遇改善が図られるように、今、しっかり全力で取り組んでまいります。

永岡委員 ありがとうございます。

 本当に、大臣おっしゃるように、四万円、五千円、保育士の方々への加算というのは、技能、経験に応じたキャリアアップの仕組みに基づく処遇改善でございまして、研修を受講することが制度上予定されているということにもなっております。

 昨日の委員会でも議論があったところではございますが、現場の人手不足が深刻化する中で、研修を加算の要件にしてしまうと、実は、現場がより疲弊をしてしまうとの声というのも大変大きくなっております。そうした声ですとか、研修を実施する体制自体がまだ十分に整っていない、そういう指摘も聞こえてまいります。

 二〇二一年までは加算の要件に研修の受講を入れないで、二〇二二年に要件化をすることを目指す、そういう御答弁がございましたが、何とか人をやりくりをして保育士に研修に行ってもらう保育園もあれば、人員がもうやりくりがどうにもならずに、当分加算の要件とはならないのだから、別に研修に行かせなくてもいいや、そういう保育園も出てくるような事態も想定されてしまいます。

 こうした不公平感が生じないような研修受講を促すための方策につきまして、お伺いをしたいと思います。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士の専門性の向上を図るため、平成二十九年度に、乳児保育や幼児保育、障害児保育といった職務分野に対応した研修の体系化を行い、キャリアアップのための研修制度を創設したところでございます。

 研修の受講機会を確保するため、平成二十九年度予算では、保育園等の運営費において、研修を受講する際の代替要員の配置に要する費用について、保育士等一人当たり年間二日分から年間三日分に拡充を行ったところでございます。

 また、一部の保育士・保育所支援センターでは、フルタイムやパートといった雇用形態のほか、研修受講の際の代替職員も含め、短期的な就業に関する求人や求職を受け付け、マッチングの支援を行っており、こういった取組を全国に拡大することにより、研修を受講できる環境づくりを進めてまいりたいと考えております。

 今後、二〇二〇年度からの処遇改善加算における研修受講の必須化を目指し、各都道府県に対し、分野別の研修実施計画の提出を求めるとともに、計画のフォローアップを行うことにより、計画的に研修の実施体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

永岡委員 研修につきましては、各自治体と綿密な連携を組みまして、うまく運営ができるようによろしくお願いしたいと思います。

 さて、保育士の不足というのは、各自治体、地方自治体にとりましても大変切実でございます。先日、横浜市では、認可保育所が保育士不足で休園を余儀なくされまして、在籍児童三十名以上がほかの保育園へ転園せざるを得なくなる、そういう事態になっております。

 各自治体では、保育士を確保するため、給与を上乗せするなど、独自に、本当にさまざまな補助事業を行っております。

 市町村が独自に行う補助のほかに、さらに都道府県が行う補助もありまして、東京では一人当たり四万円を超えます補助がされているということでございます。また、賃金だけではなくて、家賃などにつきましての補助というのもある場合があるというふうにも伺っております。

 周りの自治体がそれぞれ独自に補助を上乗せしているのに一つの自治体が何も補助をしなければ、当然保育士は、しっかりとした補助がある自治体で働くようになると思うんですね。ですから、周囲に合わせていく、大変だけれども、財政状況は厳しいんだけれども周囲に合わせていくということをせざるを得ないということになります。

 もちろん賃金などの処遇が改善されるのはよいことではあるわけでございますが、市町村の財源の格差によって保育士の確保に差が生まれてしまう。待遇がいいからそっちに行こうということは、決していいとは思えません。

 こうした自治体の自主的な補助による保育士の獲得競争、これが行われる状況に対しまして、国としてはどのように考えているのか、お聞きしたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 各自治体におきまして、保育士に対して自治体単独で給与等の上乗せ補助を実施するなどによりまして、必要な保育人材の確保に懸命に努められていることは承知しております。

 国といたしましては、自治体間で保育人材に偏りが生じたり保育士不足がより深刻化しないよう、これまでも保育士等の処遇改善に取り組んできたところであり、特に、今年度からは、技能、経験を有する者を対象に、全国一律に月額四万円の処遇改善を実施したところでございます。さらに、新しい経済政策パッケージにおきましても、二〇一九年四月から更に一%の賃金引上げを行うこととしております。

 これらの処遇改善に加えまして、いわゆる潜在保育士に対する再就職支援策や保育士の業務負担の軽減策などに総合的に取り組み、十分な保育人材の確保に努めてまいります。

永岡委員 ぜひ、格差のない保育士さんの数、しっかりと確保に向けまして御努力をしていただきたいと思います。

 済みません、先ほど飛ばしました質問につきまして、もとに戻って、企業主導型の保育施設について少々伺わせていただきたいと思います。

 企業主導型の保育施設は、市町村を通さずに設置できますなど自由度が高くて、従業員だけではなくて、地域住民の利用枠も、全体の半分まで設置できることになっております。

 もちろん企業は、設置に当たりまして、従業員に対して聞き取りを行ったり需要の把握に努めるわけでございますが、それでも、いざこれを設置してみると従業員の利用が思ったほど伸びなかった、そういう例もあると伺っております。

 そういったときに、地域住民の利用枠を半分までと一律に決めてしまうと、せっかくあきがあるのにもう近所の人は入れない、そういうことになる可能性もあるわけですから、これはちょっと不都合というのではないかなと思います。

 そうした事例に対しまして、内閣府としてどのように対処されるつもりであるか、お伺いいたします。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度に創設いたしました企業主導型保育事業におきましては、従業員の利用を基本としながらも、施設定員の五〇%以内を地域枠とし、地域住民の子供を受け入れることを可能としていたところでございます。

 その後、平成二十九年六月二日に公表されました子育て安心プランにおきまして、施設運営の安定を一層図ることができるよう、保育ニーズの多い地域で従業員枠のあきが出た場合に、その空き枠を活用して、地域枠五〇%の上限を超えて、地域枠対象者、従業員以外の地域住民のお子さんでございますが、の受入れを可能とすることとしたところでございます。

 これを受けまして、本年三月から、市区町村の利用調整の結果、入所保留の通知を受けた児童の受入れであること、原則として従業員枠の当該年度中における空き定員を活用した一時的なものであること、施設の利用定員の全てを地域枠対象者としないことの全ての要件を満たした場合に、地域枠五〇%の上限を超えて、地域枠対象者、従業員以外の地域住民のお子さんでございますが、を受け入れることを可能とすることといたしました。

永岡委員 ありがとうございます。

 今伺いますと、各地域の、設置をされている地域の市町村との連携も大切である、そういうふうに伺えて、大変うれしく思っております。

 また、この企業主導型の保育施設におきましては、地域住民の枠というのは企業が自由に決めることができますけれども、その保育施設が立地する市町村がこの保育枠を把握していないと、やはり住民への周知というものが行き渡らなかったりします。結果として、せっかくの地域住民の枠が十分に利用されていない、そういうおそれもございます。

 市町村が企業主導型の保育施設の地域住民枠を把握して利用を促すための仕組みというのはどういうふうになっているのか、伺わせていただきます。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 市町村におきまして、当該市町村における教育、保育の量を見込む観点から、当該市町村に所在する企業主導型保育施設の実施の状況を把握できるようにするため、事業実施団体でございます公益財団法人児童育成協会から、都道府県を通じて市町村に、企業主導型保育施設の定員数、地域枠の有無などの情報を毎月、情報提供してございます。

 今後とも、児童育成協会と市町村とのさらなる連携につきまして検討を進めてまいりたいと思います。

永岡委員 やはり企業主導型の保育園と市町村の連携というのも大変大切でございますので、これからもぜひ連携が充実できるようによろしくお願いしたいと思います。

 それでは、児童虐待についてちょっとお伺いをしてまいります。

 先日も、東京都の目黒区で五歳の女の子が父親から虐待を受けて亡くなるという本当に痛ましい事件がありまして、連日大きく報道もされました。

 昨年までの十五年間で十八歳未満の子供千百七十五人が虐待を受けて亡くなった、そういうふうになっております。全国の警察が児童相談所に通告をした子供の数、これは、統計をとり始めました二〇〇四年には九百六十二人だったものが、昨年には六万五千四百三十一名と過去最高を記録しております。もちろん、虐待件数そのものの増加だけではなくて、社会の関心が本当に高まっておりまして、地域住民の方々からの通報というものがふえた、これも要因の大きなものと思われております。被害を未然に防止するためには、警察ですとか児童相談所が早期に事案を知ること、認識をすることというのが極めて大切だと思っております。

 私の地元でございます茨城県では、県内に三つあります児童相談所で対応した全ての児童虐待案件につきまして、住所ですとか内容、これは事案の概要を児童相談所が県警とともに情報を共有いたしまして、県警と、それから加害者の逮捕ですとか釈放といった情報、これを児童相談所にも提供して、情報の共有を図るということを始めております。

 児童相談所と県警が密接に情報共有をとり行うこと、これはことし一月から実は始まったんですけれども、一カ月だけで情報の提供というのは四十五件ありました。昨年一年間に行われた県警とそれから児童相談所の情報の共有、提供というのが実は三十六件でございましたので、一カ月で一年分を上回ってしまったというふうになっております。

 今、ここでは茨城県の取組につきましてお話をしてまいりましたけれども、国といたしまして、早期の虐待発見も含めまして、児童虐待防止に向けてどのような取組を行っているのか、厚生労働省にお伺いいたします。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 児童虐待につきましては、平成二十八年度の児童相談所における児童虐待相談対応件数が十二万件を超えるなど、大変深刻な状況が続いております。

 このため、平成二十八年に児童福祉法等を改正いたしまして、児童虐待の発生予防、早期発見から自立支援まで、一連の対策のさらなる強化を図っているところでございます。

 具体的には、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援する子育て世代包括支援センターの全国展開を図っておったり、あるいは、支援を要する子供、妊婦さんたちに関する情報につきまして、関係機関から市町村に集約をしていただくといったような取組を進めております。また、市町村や児童相談所の体制や専門性の強化等を進めているというところでございます。

 引き続き、改正法の着実な施行に取り組みまして、都道府県、市町村や関係機関と連携をしながら、児童虐待防止対策を推進してまいりたいと考えております。

永岡委員 どうもありがとうございます。

 やはり児童虐待、あってはならないことでございますので、それぞれの機関で連携を組みまして、対策、充実をさせていただければと思います。

 そろそろ時間になりました。

 この一月の有効求人倍率一・五九倍と四十四年ぶりの高水準が続く中で、多くの業界で今後ますます人手不足が深刻化することが見込まれております。保育業界につきましても、これはもちろん深刻な問題ではございますが、保育士を一人雇うことができれば、保育所に入ることができずに離職をせざるを得なかった複数の方が働けるようになる可能性がございます。その意味で、保育士の人材確保は、あらゆる産業の人材確保に資することになりまして、労働力不足に直面しております社会が最優先で取り組むべき課題の一つであると言えます。

 保育士のやりがいについては、子供が日々成長して、きのうまでできなかったことができるようになる、そのようなことを目の当たりにできる、本当にそれというのは喜びだと思います。また、それを保護者の方々に報告をして喜びを分かち合えるなど、本当にさまざまなことが言われておりますけれども、現場の保育士さんはこうしたやりがいを感じる一方で、しかしながら、日誌ですとか、やはり連絡帳への記入、また指導計画の作成など、さまざまな作業に追われてもおります。本当に負担も背負っているということでございます。

 日々保育の現場で子供たちと向き合い奮闘されている保育士の方々に心から敬意を表しまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

山際委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 きょうは、子ども・子育て支援法の改正案について質問させていただきます。

 まず、子育て政策を考えるに当たりまして、幼児教育を無償化して、子育て安心プラン、これを前倒ししていくということでございます。社会保障制度を全世代型へ転換していくというこの方向性、すばらしい、方向性自体は正しいというふうに思っておりますし、その上で、あらゆる施策を通じて社会全体で子育て世代を支援していく、そしてまた、子育て環境の整備をしていくということが重要であろう。

 そういう意味でいいますと、いわゆる子育て支援策以外にもさまざまありまして、親からの贈与の推進とか、あるいは三世代同居の促進、そうしたものもその一つであろうかと思っております。

 そこで、まず三世代同居についてお伺いしたいと思っておりますが、平成二十七年度の補正予算におきまして初めて予算がつきました。地域型住宅グリーン化事業、これは地域における新築の戸建て木造住宅や建築物の建設について使われるわけでございますけれども、ここの住宅建設についての部分で三世代同居加算を行ったわけであります。

 また、平成二十八年度から予算をつけて実施してきた長期優良住宅化リフォーム推進事業、これは既存住宅ですね、この既存住宅の長寿命化や省エネ化、リフォーム、そういうものについて、三世代同居改修工事に対して加算を行ってきたものと存じ上げております。

 これの予算の執行状況を確認したいと思います。

眞鍋政府参考人 お答えいたします。

 三世代同居など複数世帯の同居に対応した住宅の整備に対しましては、今御指摘がありましたとおり、新築については平成二十七年度の補正予算から、リフォームについては平成二十八年度の当初予算から、それぞれ補助制度による支援を開始しております。

 具体的には、従来より行っている長期優良住宅など良質な住宅の整備に対する補助に加えまして、複数世帯が同居しやすい住宅ストックの形成を促す住宅政策の観点から、いわゆる二世帯住宅仕様にするに当たり割高となる工事費への支援を加算するという措置を設けまして、補助しております。

 これら補助制度によりまして同居対応住宅に対する加算を行ったものについて、本年一月末時点の執行状況を見てみますと、新築については、累計で二千百六十四件の申請を受けまして、うち千五百九十一件が事業完了をしております。リフォームについては、やはり累計で百九十五件の申請を受け付け、うち九十四件が既に事業完了しております。

濱村委員 数としても実績が積み上がってきつつあるということでございますが、これで三世代同居住宅の整備については進んだと考えるのかどうか、この点、評価についても確認したいと思います。

眞鍋政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えいたしました数字でございますが、実績はお答えしたとおりでございます。ただ、三世代同居をしたいという国民のニーズにはまだ根強いものがあるというふうに考えておりまして、まだまだニーズは大きいというふうに考えております。

濱村委員 国交省さん、今、控え目で、アンケートを実施されていることについてはお触れにならなかったので、私の方から紹介させていただきますと、さまざま、この事業を活用した、利用した方にアンケートをとっておられます。なので、その点について、ちょっと、では国交省さんから話をしてもらいたいと思います。

眞鍋政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘にありましたアンケートでございますけれども、同居対応住宅の整備に対する支援についての施策効果を事後的に検証する目的で、補助事業が完了した建築主に対して、順次、アンケートによる調査を実施しております。このアンケートにつきましては、昨年の七月末時点で、その時点での回答があった百九十二件を集計いたしまして、九月に公表させていただきました。

 その内容をかいつまんで申し上げますと、同居対応住宅を整備した理由として、親族などとの同居を前提としてこの工事を行った、新築では約七割、リフォームでは全て、十割の方がそのように答えておられます。その内数でございますが、整備前には同居はしていないけれども、整備後に新たに同居する予定があるというふうにお答えになった方は、新築では約半数、リフォームでは約八割というような回答結果でございました。また、同居を考えた理由をお尋ねしたところ、育児での協力を考えてと選択した方が、新築では約五割、リフォームでは約四割の回答がございました。また、何かあったときに助け合えるからというような理由を選択した方が、新築では約七割、リフォームでは約六割ということでございました。

 施策の効果の検証に当たりまして、こうした支援措置が同居を検討するきっかけや後押しになったのかということを、新たに親族等と同居する予定の方あるいは同居を考えている方、こういう方にお伺いしましたところ、新築では約八割、リフォームでは約六割の方が、きっかけや後押しになった、このように回答しておられます。

 こうした回答結果は、一部の回答ではございますけれども、多世代の同居に一定の効果が施策として認められるというふうに考えております。

濱村委員 ありがとうございます。

 今の、アンケートという形で意識調査することで、政策効果の検証をしっかりとされたということでございましょうし、そしてまた、私は効果があったんだろうと思っております。

 当時、実は一部の野党の方々から批判が結構あったんですね。そうはいっても、これは、良質な既存住宅のストックの形成とか住宅リフォーム市場の活性化、そうしたところに一定の効果がありました。さらには、育児や家事の協力とか、あるいは何かあったときに協力し合える、これは、親もひょっとしたら介護が必要だったりすることもありましょうが、子供、子育てするに当たっても、病気になっちゃった、なかなか今、病児保育が普及していない中で、親に預けて自分は仕事に出るというようなことも可能かと思いますので、そうした、何かあったときのためにも資するということで、三世代同居をしっかりと活用されたというふうに私は思います。

 実は、その当時の一部の批判の理由として、三世代同居自体を要件にしていないじゃないかというような話がありました。これは将来的にとか、家族のあり方、そんなすぐすぐ変えられないとか、そういう事情もありましょうから、要件にはしていなかったということでございましょうが、アンケート結果も含めて、これはしっかりと結果が出ているというふうに私は思っておりますので、評価をしたいと思っております。

 次の質問になりますが、この三世代同居というのも、実は子育てにおける一つの選択肢であろうかと思っています。どういうことかというと、おじいちゃん、おばあちゃんに子育てを手伝ってもらいますよということでいえば、それは子育ての方法についての選択肢、オプションと言えるのだろうと思っておりますが、選択肢としては、多様なあり方とかあるいは選択肢を提示するということが非常に重要だろうと思っております。

 ここで大臣にちょっとお伺いをしたいと思っておりますけれども、幼児の保育、教育の大前提として、多様なやり方を議論する中におきまして、企業主導型保育も重要な役割を担っていると思います。企業主導型保育は、本来、企業における多様な働き方の推進と一体となって議論されるべきものと考えておりますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

松山国務大臣 濱村委員にお答えいたします。

 御指摘のように、企業主導型保育事業は、事業主拠出金を財源としまして、従業員の働き方に応じた多様で柔軟な保育サービスを提供する仕組みとして、平成二十八年度に創設をされております。そして、企業は、この仕組みを活用しまして、土日あるいは夜間に働く従業員、また週二日程度だけパートタイムで働く従業員など、多様な働き方をする従業員に対して保育サービスを提供することができます。

 こうした多様な働き方に対応できる企業主導型保育事業は、企業における仕事と子育ての両立支援、また多様な働き方の推進に資するというふうに考えております。

 平成二十九年度末までに七万人分の受皿確保に取り組んできておりまして、新年度、平成三十年度は新たに二万人分の受皿を確保することとしております。

 これらにより、従業員の多様な働き方に対応した保育サービスの提供をしっかり支援してまいりたいと思います。

濱村委員 今大臣から、土日とか夜間とか週二回という働き方に応じて預けることができると。これは、では、なぜそれができるんですかというと、端的に言えば認可外だからだということだと思っています。

 ここで一つ確認しておきたいのが、事業所内保育との違いなんですね。事業所内保育というのは、あくまでも認可事業なんですね。当然、保育認定が必要となってくるわけでございます。

 一方で、この企業主導型保育というのは、別に自治体から保育の必要性について認定を受ける必要はないということでございますので、これは非常に大きなメリットとして捉えることもできると思っているんです。

 これは、そうはいっても、企業がどのように使うかということにかかっておりますので、ぜひともこの点を生かしていただきたい。企業の皆様には、認可外であることを生かしていただくという視点もぜひとも持っていただきたいと私は思っております。

 その上で、この企業主導型保育なんですが、きのう、きょう、まあ、きょうは永岡先生は余りその点は触れておられませんでしたが、中小企業の活用が進んでいないという指摘は、きのうの質問の中にもございました。特に、大企業が多い都市部だけではなくて、地元の中小企業が経済を支えているような地方都市、地方都市での活用も非常に重要であろうと思っております。

 設置方法については、単独設置型とか、共同設置・共同利用型とか、あるいは保育事業者の設置型というような、さまざまなパターンがあったりします。実は、私の地元は兵庫県でございますが、姫路市には神姫バスさんという企業があって、そこは単独設置で共同利用型だったりもするんですね。

 そういういろいろなパターンがあるわけでございますけれども、企業主導型保育の運営主体というのは、設置と運営とはまた別だと思っておりますけれども、この運営主体、保育事業者へ運営委託するなのか、自社で直接運営するなのか、この二通りに限定されていると認識しております。

 例えば、地域の中小企業の皆さんが連携して共同利用型みたいな形でやろうと言っているような場合に、コンサルタントのような方、やり方、ノウハウを持っているような方が代理で運営を行うということ自体は可能かどうか、この点について確認したいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業につきましては、その一つの形態といたしまして、先ほど委員御指摘の、企業単独で、あるいは連携しながらみずからの従業員のために設置する保育施設、これを助成の対象としてございます。

 このうち、この企業が、例えば、連携してみずからの従業員のために設置する保育施設の運営を委託する場合には、その受託者として主に保育事業者を想定しているところでございます。

濱村委員 そのとおりなんですが、運営主体、限定されているんですね。では、なぜそのように限定しているのか、確認したいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業は、乳児及び幼児に対して保育を行うものであり、質の確保や責任の所在の明確化を図る必要がございます。

 このため、繰り返しになりますけれども、企業が単独あるいは連携してみずからの従業員のために設置する企業主導型保育施設につきましては、原則として、企業がみずから運営するか、保育事業者に運営を委託することを想定しているところでございます。

濱村委員 乳児、幼児、幼い子供たちを預かり、そして命を預かるということでございましょうから、そうした観点からすると、なかなか、高い職業倫理のもと責任を負っていかなければいけないというところが重要なポイントなんだろうと思っております。

 そうした観点でいいますと、運営主体、この二通りでいいんじゃないかと私も思ったりするわけですが、ここで少し気になる点としては、児童育成協会というのは、あくまでも認可外保育所の運営という観点から指導監督を行うのが役割だと思っております。

 一方で、企業主導型保育に求められている、期待されているような多様な働き方の推進、こうしたところを一体的に進めていくよということについては、一体誰がサポートするんだろう。確かに企業が自律的に考えるしかないんじゃないかということは思うんですけれども、その点におけるサポートもぜひとも私は進めていただきたいなということを一つ申し述べておきたいと思っております。

 その上で、幼児教育の充実について、これはずっと言われているのは、供給サイドへの投資が必要だということでございますが、その観点で、保育の受皿の整備と処遇改善は、両方ともやっていく必要がある大変重要な施策だと思っております。

 ここで一点確認しておきたいのが、幼児教育の無償化と保育の受皿の整備、これはどのような点を重視しながら優先順位をつけて推進をしていくのか、確認したいと思います。

大島政府参考人 まず、幼児教育の無償化についてでございますが、幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであります。全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障することは大変重要なことと考えます。

 幼児教育が将来の所得向上あるいは生活保護受給率の低下等に著しい効果をもたらすということが、世界レベルの著名な研究結果でも明らかになっております。

 また、調査によれば、二十代や三十代の若い世代が理想の子供数を持たない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからというのが最大の理由になっております。

 こうしたことから、今般、三歳から五歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園の費用を無償化することとしております。

 また、先生お尋ねの保育の受皿整備、供給サイドの点でございますが、待機児童の解消は待ったなしの課題であります。最優先で取り組んでまいります。

 昨年末に閣議決定しました新しい経済政策パッケージのもとで、幼児教育の無償化の方は二〇一九年度から段階的に進めていくのに対しまして、子育て安心プランによる保育の受皿整備の方は、補正予算も活用し、今年度から早急に実施してまいります。そういう関係でございます。

 その際、実際に保育の受皿整備を推進するに当たりましては、保育の実施主体である市区町村において、保護者の意向を丁寧に確認しながら、潜在的なニーズも含めた必要な整備量をちゃんと把握して、それを整備計画に反映させていくということが重要であると考えておりまして、こうした自治体の待機児童解消に向けた取組を国としても全力で支援していく、そういう方針となっております。

濱村委員 しっかり進めていただきたいということをお願いします。

 あと、保育士の処遇改善の話も、きのう、きょう、るる出ております。この点、見直しをするということで言っておられるわけですけれども、これは私も、やはり現場で聞いてきた声の中でいえば、研修を受講できる立場の人はいいですよ、加算されるし優遇される。でも、残された人、残された人が大変な思いをして、その残された人には何も加算されないということが問題視されていたということでございます。

 この点、改善が必要と考えておりますが、どのようにお考えでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 技能、経験に応じた四万円等の加算は、保育士等の賃金水準を引き上げるとともに、保育士等のキャリアアップの仕組みを構築していただくために導入いたしました。

 この加算につきましては、現場からの声も踏まえまして、より実情に合った制度となるよう、平成三十年度から、その一つとしまして、研修の受講要件でございますが、二〇二一年度までは要件とせず、研修の受講を促進しつつ、二〇二二年度をめどに必須化することを目指すことといたしました。

 また、保育士等の研修機会の確保のため、平成二十九年度予算におきまして、代替職員の配置に要する費用の拡充を図ったところでございます。

 引き続き、しっかりと円滑な実施に努めてまいりたいと考えております。

濱村委員 もうずっと同じ答弁があったわけでございますが、そこで一つ、代替職員の確保についても、そもそも、一人当たり二日から三日に改善するというのはありますが、代替職員の確保自体が難しい状況というのは御認識されておられることかと思います。この点についても、ぜひともお取組をお願いしたいというふうに思います。

 最後に、幼児教育の質の向上についてお伺いをしたいと思います。

 幼児教育は人間形成において非常に大事な時期であろうというふうに思っておりますが、幼児教育の質の向上についてどのような問題意識を持っておられるのか、確認したいと思います。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 幼児期の教育の重要性については、今先生から御指摘のあったとおりであると私どもも認識しております。その質の確保、向上が大事であるということでございます。

 幼稚園等の幼児教育の施設におきましては、教育、保育環境の整備と教育内容面の質の確保、これを教育要領また設置基準等で図ってきておるところでございます。

 また、幼稚園教育要領につきましては、本年の四月から改訂をいたしますけれども、そこにおいても、幼稚園教育において育みたい資質、能力の明確化など、内容の充実を図ってきているところでございます。

 また、教職員の人材の確保の支援ですとか施設設備に対する補助、また、幼稚園の教育推進体制の構築への支援、指導者への研修など取り組んできているところでございまして、今後もこうした質の向上に係る取組はしっかりと進めていく必要がある、このように認識をしているところでございます。

濱村委員 もう時間が参っておりますので言いっ放しで終わりますが、幼児教育の質の向上、これは科学的根拠を示すことが非常に重要であろうと思っております。

 海外においては、ジェームズ・ヘックマン教授が就学前教育の収益率について高いということを示すような研究を発表しておられたりするわけでございますが、なかなか日本ではそうしたデータ自体が整備されていないというような状況もございます。やはり、統計法の観点からして統計と言えるような、そういうデータの取得もぜひ推進をしていただきたいということを一つお願いするのとともに、今、政府を挙げてEBPMを推進しようということを言っております。

 このエビデンスの信頼度というのを高めるためには、これ、基準には階層が存在するんですね。大体これは一九九八年ぐらいから、オックスフォード大学で医学分野、医療分野の研究者の皆さんが先導してきてそういう考え方が出てきていて、その階層の中で最も高いエビデンスというのがランダム化比較試験だというふうに言われております。そうした知見もぜひとも日本としても導入していただきながら、文科省としても、エビデンスを収集しながら幼児教育の質を図っていただきたい、そして教育の見える化を行っていただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 またまた日本維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。

 きょう質問させていただこうと思っていたことは、今の濱村委員とかぶる部分があるんですけれども、私も、保育の質ということを一つのテーマに、きょうは一問していきたいと思っています。

 よく政府が、例えば規制緩和のような形でいろいろと、こういうことをしてはいかがかという提案をすれば、保育の質が下がるおそれがあるということで、今まで、それを行っていただけない状態が続いています。

 では、政府がよく使っている、保育の質が下がるというのは、一体、具体的には何を指しているのかということを少しお聞かせをいただきたいと思います。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 保育園等における保育は生涯にわたる人間形成の基礎を培うものであり、待機児童の解消に取り組むに当たっては、保育の受皿の拡充と保育の質の確保、向上を車の両輪として進めていくことが重要と考えております。

 保育園等の人員配置基準につきましては、児童の健全な発達に必要な保育を行うための最低基準として定められているものであり、学術的な研究の成果を踏まえ、保育士の業務内容の実態等に関する検討を行った上で、審議会の意見具申を経て定められているものでございます。

浦野委員 何か今の答弁を聞いてもよくわからないんですけれども、与党の皆さんからも同じような意見がありましたけれども。

 私は、今まででも保育に関連する質疑はたくさんさせていただいてまいりました。その中で、今現在、もう既に保育士の質の低下というのは始まっているという指摘をさせていただいています。本当に、私は、保育の質を担保するのはやはり保育士の実力だと思っていますので、これは非常にゆゆしき事態で、これをやはり優先的に上げていかないといけないというふうには思っています。

 先ほど、濱村委員の質問の答弁の中に保育環境や保育内容という言葉もありましたけれども、私も大学は保育の専門の、保育士の資格を取る大学でしたから、私も資格を持っていますし、幼稚園教諭の第一種の免許も私は取っているんですけれども、その中でも、今の最低基準がどのようにして、どういったエビデンスで確定して今この日本にいわゆる最低基準として根づいているのかというのは、明確に答えがなかったんですね。その点は、今、国はどういう立場でお考えですか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきましては、ただいま申し上げましたように、学術的な研究の成果を踏まえまして、保育士の業務内容等の実態等に関する検討を行った上で、審議会の意見具申というのを経て定めているものでございます。

浦野委員 禅問答みたいになってきましたけれども。

 当初、最低基準は、GHQにおられた方が、アメリカのフィラデルフィアのそういった施設の基準を参考にしたらどうかということで始めた、それを基礎にして行ったというのが、これはそうですよね。

 ただ、では今現在、私がきのうも少し触れましたけれども、上乗せ基準で保育を行っている保育園と、最低基準の方で今保育を行っている保育園同士で、その保育園を卒園した子供たちにどういう違いがあったのかということがわかるデータというのはありますか。

成田政府参考人 そういったデータはないという状況でございます。

浦野委員 そういったデータはないけれども、学術的なデータを参考にして保育の質というのを考えているんだというふうにおっしゃる。学術的なデータ、エビデンスがないにもかかわらず、今聞いてもはっきり答えられないようなレベルなのに、保育の質が下がるということを国会でよく答弁をされるんですね。私は、だから、そこははっきりと、しっかりとデータをとっていただいて、根拠を示していただきたいと思うんですね。

 そういった意味で、保育の質が下がるという意味では、もう既に、環境も昔に比べたら非常に下がっているわけです。

 一番わかりやすい例は運動場ですね。

 今、都市部では、運動場がなくても保育園は建てられます。しかし、子供の育ちに運動場がないというのは、非常に大きな影響を与えると思うんですね。それは別に専門的に勉強しなくても、皆さん明らかにわかると思うんですね。

 近くの公園を運動場に指定しているからいいんだということで今やっています。やっていますけれども、これも今まで指摘したことがありますけれども、都市部の公園は、周りの複数の保育園が運動場に指定してしまって、何個も保育園の子供が来ていて、保育園以外の子供が遊べないという苦情まで出ているような公園もあるわけですよ。それって正常な状態なんですか。私は、そういったことの方が保育の質を下げる大きな要因になっている。しかし、それはもう政府は既に行っているわけですね。

 私は、だから、そういう意味では、保育の質を上げるのであれば、それは都市部ではなかなか難しい話ですけれども、そういったことをしっかりともう一度、ちゃんとしたエビデンスをつくっていただいて、そのデータに基づいてそういった議論をしていただきたいと思っています。

 この保育の質が下がるという言葉を魔法の言葉のように国会で使われるのは、私は非常に違和感を持っていますので、ぜひ、こういうふうに下がっている、要は、子供の育ちにこれだけの悪影響が出ているんですよというデータさえあれば、私もこんな質問もしませんし、それであれば、保育の質を上げる努力をこういうふうにするという対応策もそのデータに基づいて行えるわけですから、その辺は手を抜かずに、しっかりと国は、最低基準をつくっているのは国ですから、学術的なそういったデータを、先ほどの質問にあったように、しっかりと集めていただきたいと思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 保育の質についてはこれで終わりますけれども、もう一つ、事業主拠出金の方の話です。

 これは厚生年金に上乗せするということですから、一律で取る、どんな企業に対しても一律で負担をさせるということになります。このことについては、経団連の榊原会長も、やはり中小零細企業にとっては負担感が大きくなりますので、配慮していただきたいということをおっしゃっています。

 この配慮について、どういった対策をとられましたか。

松山国務大臣 浦野委員にお答えいたします。

 事業主拠出金につきましては、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、全ての企業に応分の負担をお願いしているところでございます。

 委員御指摘の企業主導型保育事業には、複数の企業が共同して設置、利用することができるなど、中小企業にとっては使い勝手がいいものとなっておりまして、現在、約六割の施設が、中小あるいは小規模事業者の方々によって幅広く整備がされているところでございます。

 その上で、今般の拠出金率の引上げに当たりまして、更に中小企業に御活用いただけるように促進策を講じることにいたしました。

 具体的には、平成三十年度の予算において、中小企業が事業を実施する場合には、運営費の企業負担分を五%から三%に軽減することとしています。また、保育施設における事故防止等のための必要な防犯あるいは安全対策の強化に関する加算を年額十万円から二十万円に増額することにいたしました。加えて、共同設置、共同利用の施設を整備する場合には、新たに設計費等々の開設準備費用のようなものを配慮して、百万円を加算するということにいたしました。

 さらに、普及促進策として、地域ごとに中小企業向けの説明会あるいは相談会を開催いたしております。中小企業によって、この共同設置、共同利用の設置の例など、立ち上げや運営に関する好事例集を作成しまして、中小企業にぜひ幅広く利用していただくためにも展開をしているところでございます。

 企業主導型保育事業に関心を持つ多くの中小企業、小規模事業者の皆さんにも御活用いただけるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

浦野委員 今の大臣の御答弁は、利用する場合のお話だったと思うんですね。

 更に言うなら、先ほども同じような指摘がありましたけれども、この制度を利用できる会社も、どちらかといえば、中小企業の中でも規模のしっかりしたところが大半だという指摘もあります。ですからこそ、お金を取る入り口の部分でやはり配慮をしていただきたいなということだったと思うんですけれども、それはできていないということです。

 私は、もちろん、社会全体で支えるという考えのもとで拠出金を負担していただく企業の皆さんは本当にありがたいと思っております。しかし、やはり体力には差がありますので、そういうところをしっかりと、これからも、配慮をどういった形でできるかというのを考えていただけたらと思います。

 最後になりましたけれども、保育の問題、いろいろとあります。横浜市の鶴見区で株式会社が運営していた保育園が三歳から五歳の受入れをやめるという、横浜市では初めてのケースだったそうですけれども、原因は保育士不足だということですけれども、こういったことが都市部で起こりつつあるというのは非常にゆゆしき事態ですので、そういったこともしっかりと頭の中に入れて、これからも保育のさまざまな問題に取りかかっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

山際委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十四分開議

山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党及び自由党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 質疑を続行いたします。

 これより立憲民主党・市民クラブの質疑時間に入ります。

 これにて立憲民主党・市民クラブの質疑時間は終了いたしました。

 これより希望の党・無所属クラブの質疑時間に入ります。

 これにて希望の党・無所属クラブの質疑時間は終了いたしました。

 これより無所属の会の質疑時間に入ります。

 これにて無所属の会の質疑時間は終了いたしました。

 これより日本共産党の質疑時間に入ります。

 これにて日本共産党の質疑時間は終了いたしました。

 これより自由党の質疑時間に入ります。

 これにて自由党の質疑時間は終了いたしました。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山際委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山際委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山際委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時二十分散会


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