第5号 平成30年3月28日(水曜日)
平成三十年三月二十八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 山際大志郎君
理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君
理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君
理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君
理事 寺田 学君 理事 佐藤 茂樹君
池田 佳隆君 泉田 裕彦君
大隈 和英君 大西 宏幸君
岡下 昌平君 加藤 鮎子君
金子 俊平君 神谷 昇君
亀岡 偉民君 神田 裕君
木村 次郎君 小寺 裕雄君
古賀 篤君 白須賀貴樹君
杉田 水脈君 高木 啓君
武井 俊輔君 津島 淳君
長坂 康正君 西田 昭二君
百武 公親君 古田 圭一君
三谷 英弘君 宮路 拓馬君
村井 英樹君 山田 賢司君
和田 義明君 大河原雅子君
篠原 豪君 森山 浩行君
山崎 誠君 伊藤 俊輔君
柿沢 未途君 吉良 州司君
源馬謙太郎君 浜地 雅一君
濱村 進君 中川 正春君
塩川 鉄也君 浦野 靖人君
玉城デニー君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官)
(沖縄基地負担軽減担当) 菅 義偉君
国務大臣
(消費者及び食品安全担当)
(海洋政策担当)
(領土問題担当) 福井 照君
国務大臣
(経済再生担当)
(人づくり革命担当)
(社会保障・税一体改革担当)
(経済財政政策担当) 茂木 敏充君
国務大臣
(地方創生担当)
(規制改革担当)
(行政改革担当)
(国家公務員制度担当) 梶山 弘志君
内閣官房副長官 野上浩太郎君
内閣府大臣政務官 村井 英樹君
内閣府大臣政務官 長坂 康正君
外務大臣政務官 堀井 巌君
会計検査院事務総局次長 岡村 肇君
会計検査院事務総局第三局長 戸田 直行君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 原 邦彰君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君
政府参考人
(消費者庁審議官) 橋本 次郎君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 小泉 勉君
政府参考人
(財務省理財局次長) 富山 一成君
政府参考人
(防衛省地方協力局長) 深山 延暁君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
―――――――――――――
委員の異動
三月二十八日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 津島 淳君
大西 宏幸君 古田 圭一君
加藤 鮎子君 宮路 拓馬君
亀岡 偉民君 白須賀貴樹君
杉田 水脈君 百武 公親君
高木 啓君 神田 裕君
稲富 修二君 吉良 州司君
森田 俊和君 源馬謙太郎君
同日
辞任 補欠選任
神田 裕君 高木 啓君
白須賀貴樹君 木村 次郎君
津島 淳君 和田 義明君
百武 公親君 杉田 水脈君
古田 圭一君 大西 宏幸君
宮路 拓馬君 加藤 鮎子君
吉良 州司君 稲富 修二君
源馬謙太郎君 伊藤 俊輔君
同日
辞任 補欠選任
木村 次郎君 亀岡 偉民君
和田 義明君 山田 賢司君
伊藤 俊輔君 森田 俊和君
同日
辞任 補欠選任
山田 賢司君 池田 佳隆君
―――――――――――――
三月二十七日
レッド・パージ被害者の名誉回復と国家賠償に関する請願(阿部知子君紹介)(第五七一号)
マイナンバー制度の中止・廃止に関する請願(阿部知子君紹介)(第五七二号)
児童福祉としての保育制度の拡充に関する請願(野田毅君紹介)(第六二五号)
特定秘密保護法を即時廃止することに関する請願(志位和夫君紹介)(第六二六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第六二七号)
同(田村貴昭君紹介)(第六二八号)
同(矢上雅義君紹介)(第六二九号)
同(白石洋一君紹介)(第六六一号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○山際委員長 これより会議を開きます。
この際、一言申し上げます。
今般の財務省決裁文書書換え事案の発生により国会審議が混乱し、当委員会においても全会派参加のもとでの充実した審議の機会が妨げられたことはまことに遺憾に存じます。
委員長といたしましては、引き続き与野党の真摯な御協議のもとに円満な委員会運営を努めてまいりたいと存じますので、委員各位の御協力をよろしくお願い申し上げます。
なお、今般の財務省事案は、国会の国政調査権を冒涜し、国会と行政との信頼関係を損なっただけでなく、民主主義の根幹を揺るがし、国民の行政に対する信頼をも著しく損なうものであります。公文書管理を所管する委員長として、政府に対し、徹底した真相究明を行い、再発防止に向けた根本的な対策を講じることを強く要望いたします。
――――◇―――――
○山際委員長 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、消費者庁審議官橋本次郎君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、外務省大臣官房参事官小泉勉君、財務省理財局次長富山一成君、防衛省地方協力局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長岡村肇君、会計検査院事務総局第三局長戸田直行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。
○阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。
本委員会の冒頭で山際委員長から御発言がありましたように、この間の国会運営、並びに、とりわけこの内閣委員会の運営は、森友問題で発覚した公文書の改ざん問題を始めとするもろもろの行政における問題に翻弄される形で、いわば不正常なままに流れ、そして、本来三月七日に予定されておりました私ども野党の大臣所信に対する質疑が、今日まで、二十日以上にわたって延期をされて、本日ここに初めて質疑をさせていただくところとなりました。
かかる委員会の運営、また、その中で、特に子ども・子育て法案に関しましては、三月九日に本会議でこれが読まれましたが、私ども、野党第一党の立憲民主を始めとする、維新を除く野党は出席しておりませんでしたし、その片翼のまま委員会審議が続けられ、最終的に三月十六日の本会議まで至るという異例中の異例の展開をとりました。
私は、以下二つの点を冒頭で確認をさせていただきたいと思います。
第一は、このような委員会運営の事例は、これは各所でお調べになっていることと思いますが、第三十四回から百九十五国会の中で、たった一回しかございませんでした。
昭和三十五年の五月、安保法制で強行採決された結果、国会は大変揺らいでおりました。不正常に陥り、その中で、六月十四日、チリ地震に関する八法案が本会議趣旨説明から委員会採決、そして十七日の本会議採決という、この間には六月十五日の樺さんの亡くなられた事案が発生しておりますが、そうした混沌の中で、第一党である野党、当時社会党ですが、の出席もないまま可決をしていった。それくらいに異常な国会運営であったと思います。
第二は、その原因が、森友問題、国有地の売却をめぐって、昨日も佐川参考人招致がございましたが、真相解明にはほど遠く、また、そのことに安倍総理や総理御夫人がかかわられたやもしれない、そして、結果、八億円の値引きが行われたのではないかなど、疑念の数々が指摘される中で起きた出来事であります。
官房長官に、まず、御存じかどうかお尋ねをいたします。
私もいろいろ調べておりまして、帝国議会の開設というものが、ちょうど今回の森友学園事案のように、明治十四年、北海道開拓使長官の黒田清隆が、千五百万円とも二千万円とも言われる土地や鉱山、船などの官有物を、当時お友達であった政友、五代友厚らに三十九万円程度で譲渡するという、払い下げようといたしまして、そんなことは許されないと猛批判が吹き荒れる中で売却が取りやめとなり、政府は国会開設の勅諭を出したということであります。
それから百三十七年を経て、今日、国会というものがありながら、同じような疑われる事案が起きているということで、菅官房長官にあっては、こういう経緯自体をどう思われるか。これは予告はしてございませんけれども、一人の政治家として、まず認識を伺います。
○菅国務大臣 私、その件については承知はしておりません。
ただ、今回の財務省の文書問題というのはあってはならないことだと思っています。
○阿部委員 単にあってはならないことにとどまらず、これは国会というものの、いわば約一年間、審議が偽りのデータ、偽りの公文書によってなされたという恐るべき事態であると思います。
そもそも、この間、内閣の元締めという、総括あるいは総合調整をなさる菅官房長官にあっては、南スーダンでの自衛隊の日誌の問題、あるいは文部科学省での、いわゆる森友に並ぶ加計学園問題にあって、内閣府からの働きかけがあったか否か、前川前事務次官が、あったことはなかったことにはできないとおっしゃった例の事案、あるいは、厚生労働省における裁量労働制をめぐるデータの恣意的な解釈による、これによって、三年間、各大臣も異なる、間違った答弁をなさっていたこと、そして、今回の改ざん問題、さらには文科省が、思想チェックに等しいような、前川前事務次官に対するさまざまな発言に対する干渉などなど、行政のこの間の姿というのは、国民にとって本当に信頼を欠くものになっていると思いますが、それを責任を持って預かる官房長官としての認識を伺います。
○菅国務大臣 まず、文書の作成、管理について、いろいろなことを委員から御指摘をいただきました。
そうしたことについては、先ほど申し上げましたけれども、あってはならないことであるというふうに思っています。そして、この文書の作成、管理に当たっては各行政機関が責任を持って行うべきものであり、行政機関における文書管理や情報開示については、政府の説明責任を果たす上でも極めて重要であって、各行政機関においてきちんと対応していくというのは、これは当然のことであるというふうに思います。
そうした中で、今いろいろ御指摘をいただきました。その中で、今回の財務省における文書の書換えについては、行政の信頼を失わせることであり、大変遺憾であるというふうに思います。
そうしたさまざまな文書の管理問題を受けまして、文書のあり方に関しては、民間の有識者の皆さんから成る内閣府の公文書管理委員会での議論を経て、昨年の末に行政文書の管理に関するガイドライン、こうしたものの改正を行ったところであります。さらに、今年度内に、同委員会のチェックを経て、ガイドラインに沿った各行政機関の行政文書管理規則の改正、これを行うことになっております。来年度より、全府省庁により、より厳正な新たなルールのもとで文書管理が行われるものと考えます。
また、公文書を扱う職員一人一人の意識をより一層高めていくことも重要であることから、各府省職員向け研修の充実を通じてルールの徹底を図るなど、公文書管理の質を高めるための不断の努力、こうしたことも極めて大事だというふうに思っています。
○阿部委員 るる御答弁があって、特に公文書のガイドライン改正についても言及されましたが、菅官房長官にあっては、そもそもなぜ公文書がきちんと管理されなければならないのか、やはり私は、これは、どんな政治が行われて、それを国民がどのように検証していけるか、すなわち、歴史の検証とも言われますが、そうしたものとしてあるという部分の認識がもしかして薄いのではないかと、失礼ながら思います。
御党の福田康夫前総理が、たまたまきょうの朝日新聞の天声人語に出ておりましたが、前橋市で空襲に遭われて、その記録を含めて日本にはなく、アメリカの公文書館で保存されていることを知られて、そこから公文書管理というものに政府は取り組んでいかれたと思います。
背景にある政治、背景にある出来事、政治の意思決定などがきちんと検証されるためにあるのであって、単に技術的な問題ではなく、今国民から見て一番疑念のあるのは、背後にある政治のあり方なんだと思います。そこで私は、内閣を統括する官房長官に今の政府の政治姿勢をお尋ねするために、先ほどからるる、いろいろな不祥事のことをお伝えを申し上げたわけです。
しっかり、私は、気持ちを締め直してやっていただかないと、今本当に起きている危機的事態に対応していけませんし、もちろん、外交問題でも課題は山積しております。そんなときにあって、こんな行政のあり方、あるいはその偽りのデータで論議せざるを得ない国会のあり方こそが問題なのだという自覚を持っていただきたいが、いかがですか。
○菅国務大臣 公文書の管理のあり方については、私ども政権また私自身も、そこは極めて重要だというふうに思っています。特に、閣議についての情報の公開なども、私どもの内閣で始めております。
そして今、委員もそのメンバーだと思いますけれども、公文書の新たな建物を建設しよう、そういう動きが各会派の皆さんからあります。こうした問題について、私ども政府としては積極的に取り組んでいくという方針を示しております。
こうしたことで、私ども、こうした公文書管理について極めて、保存をすることは重要だという認識は持っているつもりであります。
○阿部委員 公文書管理が何のために必要なのかというところで官房長官にも御答弁をいただきましたが、実は、昨日の佐川前理財局長の証人喚問では、くしくも、政治家の関与はない、総理の関与はない、昭恵夫人の関与もないというようなことばかりが繰り返されて、なぜ改ざんが行われたのか、誰がどのように主導したのかについては、刑事訴追のおそれがあるからといってゼロ回答でありました。
私は、これ自身が異様なことだと思います。余りにも証人喚問を軽んじておりますし、結果において、公文書管理のあり方、さらに、その背後の政治のあり方を、私は検証できないことになると思います。
そこで、菅官房長官にお伺いいたしますが、この籠池さんと、あるいはそこに訪問された昭恵夫人などが、森友学園の名誉校長もある時期お引受けであったようですが、そのことが、籠池さんが国会に参考人として来られて、いろいろ取り上げられるようになったとき、菅官房長官が、たしか昨年の三月二十三日だったと思いますが、記者会見をなさいまして、そのときに、谷査恵子さんという、官房長官の部下に当たられる方でしょうか、その方が籠池さんに送ったとされるファクスを官房長官みずから持ってこられて、記者会見の場で記者にお示しになりました。
この経緯はよろしいでしょうか、官房長官が谷査恵子さんから入手されて記者にお示しになったと。皆様のお手元の資料一であります。いかがでしょう。
○菅国務大臣 そのことは事実であります。
○阿部委員 こうした形で記者にある意味開示されたこの文書については、お手元の一枚目ですが、いろいろな委員会の昨年のやりとりの中で、いわゆる行政文書ではないというふうに政府側の御答弁がありました。
ここで二つお伺いをしたいと思います。
菅官房長官が直接谷さんから入手されたということですので、この入手された、これはファクスのコピーでございましょうか、の一番左上に書いてある年月日、二〇一五年の十一月十七日となっておりますが、この年月日は何が行われた年月日であるのかというのが一点。
そして、この文書は、菅官房長官は今でも、行政文書ではないという御認識でありましょうか。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
まず、十一月十七日の日付でございますが、これは、谷査恵子氏から先方にファクスが届いた日、このように承知してございます。
それから、今、行政文書についての御指摘がございました。
これは既に国会でお答え申し上げているところでございますが、職員本人に対する籠池氏側の照会に対して回答したことは、夫人付の職務ではないものの、公務に携わる者として、これまでの業務の中で知り合った者からの問合せに対し、関係部署に照会し、その回答を得て、照会者に対して情報提供を行ったものであり、ファクスについては職員個人が作成し、個人が保有しているものと承知しております。
情報公開法並びに公文書管理法で、行政文書とは、行政機関の職員が職務上作成し又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして当該行政機関が保有しているものを指しておりまして、したがいまして、送られたファクスは行政文書に当たらないものということでございます。
○阿部委員 なぜ、行政文書に当たらないものを政府の参考人がお答えになるのでしょうか。行政文書に当たらないなら、当然、あなたの管理下ではありません。
谷さんは菅官房長官にお渡しになり、谷さんは夫人付ではあるけれども、これは自分の公務員としての任務ではなく行ったという理解であれば、これは公務員が自分の時間外に個人的にやったということになりましょう。そうであれば、あなたがお答えする立場にはないです。
委員長、いかがですか。おかしいじゃないですか。公文書じゃないと言っておいて、なぜ政府参考人がお答えになるのですか。菅さんがお答えになるべきでしょう。
菅さん、いかがですか。そういう二枚舌というか、表裏をやるから、事が大変ややこしくなってまいります。
重ねて伺いますが、菅官房長官が谷さんから直接入手されたものですよね。そういたしまして、この日付については、これは何の日付ですか。官房長官からお答えいただきたいです。行政は関係ありません、公文書でないと言っているんですから。お願いします。
○菅国務大臣 私自身、その日付も含めて、今参考人が答えたとおりだというふうに思っています。そして、このことについては、私も国会で答弁を前回しているというふうに記憶をしています。
○阿部委員 私が指摘した点は、あくまで菅さんが谷さんから個人的に、ある意味で谷さんに働きかけられて入手されたものであって、それが公文書でない、行政文書でないという仕切りであるならば、その内容についても政府参考人が答える筋合いではないということです。
加えて、このファクスをよくごらんいただきますと、内閣総理大臣夫人付谷査恵子となっています。この内閣総理大臣夫人付谷査恵子さん、これが単に、例えば谷さんには本来お役所の中で任命された、例えば内閣総務官室というお役もおありでしょう。いろいろな、あるいは個人であれば個人のお名前だけでもいいかもしれません。
ここに内閣総理大臣夫人付となっていること、これは官房長官に伺いますが、もし公務員としての仕事として行ったのではないならば、公務員の職務専念に違反しておると思いますし、もし公務員として行ったのであれば、特定の誰かについて便宜を図ったという意味で公平性に欠ける、いずれも公務員法に抵触をしてくると思いますが、菅官房長官の御認識を伺います。
○菅国務大臣 この点につきましても、私、既に国会で答弁をいたしております。
御指摘の職員は、総理夫人による総理の公務の遂行を補助する活動を支援するために、総理夫人との連絡調整等を行うことが主たる業務であります。
他方、職員本人に対する籠池氏側からの照会に対して回答したということは、職務ではありませんが、公務に携わる者として、これまでの業務の中で知り合った者からの問合せに対して、関係部署に照会をし、その回答を得て、照会者に対して情報提供を行ったものであり、公務員として丁寧な対応をしたものであるというふうに思います。
国家公務員法百五条により、職員は、法令により割り当てられた職務については職務を行う義務を負うことになるが、これ以外については勤務義務を負わないことを示すものであります。
また、他方、国家公務員法第九十六条が、職員の服務の根本基準として、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務することを定めていることを踏まえれば、職務以外の事項について、国民からの照会に丁寧な対応を行うことは、社会通念上認められるような常識的な範囲内にある行為であり、かつ、法令により割り当てられた職務の遂行に支障が生じなければ、同法第百一条に定める職務専念義務の違反にも当たらないものと考えます。
○阿部委員 極めてグレーゾーン、曖昧な職分、公務であるかないかについても、ある種、公務員として期待される付加サービスの範囲内であるやの御答弁でありましたが、そうした曖昧なところに物事を置くことによって、例えば、さまざまな文書は行政文書としても残されず、何が起きたかもわからなくなっていきます。
菅官房長官にお伺いいたしますが、この内閣総理大臣夫人付という役職について、国家公務員法上、どのような職務規定になっておりますでしょう。これは菅官房長官にお伺いしたいです。
○菅国務大臣 これは事務的なことですから、事務方から答弁させます。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
国家公務員法上の具体的な職務については、先ほど議論になりましたとおり、一般的に国家公務員法の百五条という規定がございます。
それから、谷氏の当時の職務につきましては、内閣法あるいは政令によりまして位置づけられている、こういうことでございます。
○阿部委員 政令によって位置づけられているなら、内閣総理大臣夫人付についてどのような政令上の規定があるのか、教えてください。
それと、プラス、これは谷さんが初めてですか。それとも、内閣総理大臣夫人付というのは今までに何人かおられたのですか。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
内閣法それから政令には、内閣のその他の庶務に関する事項というふうに規定されてございます。これを踏まえまして、谷氏については、総理夫人による総理の公務の遂行を補助する活動を支援するためのさまざまな連絡調整を行うということを業務としているということでございます。
○阿部委員 文書で示してください、政省令であるならば。そんなもの、口約束で公務員の仕事は行えません。
もう一つ、答弁が漏れています。初めてですか。菅さん、お願いします。総理大臣夫人付。
もういいです、文書も示さない、はぐらかしじゃないですか。
菅さん、初めてですか。そして、文書はあなたからの発令であるのですか。政省令であるのですか。お願いします。
○菅国務大臣 事務的なことでありますので、参考人から答えさせてください。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
今、手元に条文がございませんので、また後ほど提出させていただきたいと存じます。
それから、夫人付につきましては、従来からこのような職員がおるということでございます。
○阿部委員 では、私は委員長にお願いがあります。どのような方々が夫人付でおられたか。その方々が、公務員としてどんな発令、職務内容をなされていたか。
私の知り及ぶ限り、総理御夫人は総理大臣の任務をサポートなさる、その総理大臣御夫人につかれた総理大臣夫人付は、当然、総理の職務を補佐するというふうになってまいります。どのような文章の規定があって、これまでどんな方がおられたのかを、この委員会に提出を求めたいと思います。よろしくお願いします。
○山際委員長 後ほど、理事会で協議をいたします。
○阿部委員 はい。
では、引き続いて、菅官房長官のお手元に、この谷査恵子さんの任命について出されている、どのような文章でこの方は公務員としてお勤めですかとお伺いをしましたら、三枚目、真っ黒塗りで出てまいりました。「内閣事務官(内閣官房内閣総務官室)に併任する」と。
正直言って、これを見る限りでは、この下、以下真っ黒ですので、何が何やらよくわかりません。そして、総理大臣夫人付のお役は、ここに記されているものかどうかもわかりません。私は、余りにも誠意を欠く、こんなことまで隠さなくちゃやれない政府はおかしいと思います。
大臣、いかがですか。これは大臣に伺います。何でこんな真っ黒なんですか。
○菅国務大臣 私自身はここまでということは承知していませんので、政府参考人から説明をさせます。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
そのほかの、この黒塗りは、ほかの職員のところがございまして、それで黒く塗られるということでございます。
○阿部委員 これが全部ほかの職員であるわけないでしょう。どう見ても真っ黒けじゃないですか。文章の一言もない。
そうやって、皆さんは、国会の審議のもとになる、そして、内閣総理大臣夫人付として谷さんがサービス精神旺盛にやったことの、そのもともとの、どんな役割を期待されているのか、公務員としての役割の記載もお出しにならない、ここを聞いても真っ黒け、結局、全ては隠蔽ということになります。
委員長には、次回また私が引き続いてこの問題をやらせていただきますので、ぜひ委員会として充実した審議ができるように、情報を担当部署に出すようにお取り計らいを願いますが、いかがでしょう。
○山際委員長 先ほど申し上げましたように、後ほど理事会で協議をいたします。
○阿部委員 公務員のあり方が今ほど問われているときはないんだと思います。そして、それぞれが志を持って行政の職員となっているわけです。それゆえに、私たち政治にかかわる者は、その処遇や期待されるところ、そして、立法府との本当に適正な緊張関係を持ってやっていかねばいけないときに、行政側が隠す、あるいは曖昧な身分の者を置く、そのことによって公文書が残されず、私文書扱い行政文書にされていくということが、私は、今回のこの森友事案でも明らかになったと思います。
そして、引き続いて、きょうはもう一点、菅官房長官は沖縄の負担軽減担当大臣でいらっしゃいますので、そのことについてもお伺いをさせていただきます。
この間、普天間小学校への七キロのヘリの部品の落下が大きな問題になりましたが、同時に、その普天間小学校のすぐ横にある保育園でも、多分ヘリの部品の一部と思われるものが落下をしておる。このことについて私はお尋ねをしたいと思います。
これが果たしてどこからどのような形でこの保育園の上に来たのか、これが実は、昨年の十二月に起きたことなのに、いまだに明らかにされておらないというところから問題が生じております。
まず、官房長官も御承知のように、二〇〇四年の八月の海兵隊のヘリの沖縄国際大学への墜落、その後は、戦闘機の航路、ヘリコプターの航路を含めて、きちんと監視下に置く、その航路図が示されるということに現在もなっていると理解しますが、いかがでしょう。
○深山政府参考人 航跡調査の事実関係でございますので、私からまず御答弁させていただきます。
普天間飛行場における進入及び出発経路を含む場周経路につきましては、日米合意によりまして、できる限り学校や病院を含む人口密集地の上空を避けるよう規定されておりまして、防衛省では普天間飛行場における米軍ヘリコプターの飛行状況について調査を行っております。これは平成二十二年一月から実施しておるところでございます。
一般に、ヘリコプターの飛行は気象条件等により大きく影響を受けることがございます。個々の飛行において、飛行経路に差異が生じることはあるところでございますけれども、防衛省による飛行状況調査がまとまった際には、米側に対し、航跡図を示した上で、できる限り定められた飛行経路を飛行するように求めているということを行っているところでございます。
○阿部委員 人口密集地、特に小学校や病院や保育園などの上を戦闘機が飛ぶということは、もし事故になった場合の被害の甚大さから考えても、避けねばならないこととして、航路の追跡調査はなされているということだと思いますが、菅官房長官のお手元に、この間、沖縄防衛局が平成二十八年八月の月間飛行航路集約図というものを出しておりまして、ごらんいただけますでしょうか、この上段、上の段の図の中の、更に上の方に、普天間の、今回の戦闘機の部品が一部落下したのではないかという保育園や、あるいは普天間小学校がございます。現実にこのような航路がとられているということを、ここにお示しをいたしました。
さて、その中で今起きていることは、果たして、その戦闘機のヘリの部品が落下したのかどうかわからない、どこから来たのかわからないものが保育園の屋根に来たという事態が約四カ月続いております。なぜ調査にこんなに時間がかかり、なおかつ、官房長官、御存じですか、この四カ月の中で、ここに暮らす子供たちの保護者の皆さんあるいは園長先生たちは、いろいろな嫌がらせメールを受けております。いわば、被害を受けた、そして不安におののく保護者の皆さんが、いろいろな攻撃のメールを受ける。
四カ月もたって原因がわからないから、官房長官には、もう一つつけてある私の資料を見ていただきたいですが、保育園の園児がいるところの屋根の上に、ここにお示ししたような部品が落下をいたしております。これがどうしてこのような結果になったのかが、なぜ四カ月もわからないままに放置されているのか。沖縄の負担軽減担当大臣の菅さんにお伺いをいたします。
○深山政府参考人 本件につきまして、御指摘の点につきましての現在の状況を御説明いたしておきます。
まず、この緑ケ丘保育園にヘリの部品と思われるものが落下した際には、我々沖縄防衛局等からも早期の事実解明について申入れ等をいたしておるところでございますけれども、米側からは、保育園で発見された部品について、米側で保有している部品は全て適切に保管されていることを確認したという説明があったところでございます。
しかしながら、その後も、米側からは、日本側関係機関と連携して事実関係の究明に協力したいとの表明があり、現在も、米側の協力を得つつ、関係機関において、本件については調査中であると承知しております。
新たな情報が得られましたら、沖縄県始め関係自治体等に事実を提供させていただきたいと考えておるところでございます。
○阿部委員 もう、それは去年の答弁で、私はしかるべきだと思います。
ことし、年が明けて、もう桜も満開になろうとしています。こんなに長い間、原因も究明されず、そして戦闘機は飛び続けております、先ほどの航路図のように。となれば、親御さんたちの不安は本当にいかばかりかと思いますし、菅官房長官のところにも申入れに行かれたと思います。署名が十二万六千九百七筆ありました。菅官房長官は、このこと、申入れを御存じでしょうか。また、どんな対応をされたのか。
たんびに答弁は官僚の方に投げられますが、問われているのは政治姿勢なんです。そういう不安な状態に置かせないというために、官房長官みずから乗り出して、本当に、親御さんにお話を聞くなり、戦闘機の下に行ってみるなり、子供たちがどんな状態で過ごしているかを、御自身の政治家の責任で何とか改善されたらいかがですか。御質問いたします。
○菅国務大臣 まず御理解をいただきたいんですけれども、私は基地負担軽減担当大臣です。今までの話については、防衛大臣中心に、政務もしっかりやっていることを申し上げたいというふうに思います。
そして、私たちは、今委員から指摘されましたけれども、まさにこの普天間飛行場、滑走路の周りに小学校や中学校や保育園、こうした住宅が密集しているわけじゃないですか。世界で一番危険とも言われます。こうしたことを、私たちは二十数年前に、地元の市長と、そして県知事、辺野古への移設を承諾をいただいて、内閣として閣議決定をして、この危険な状況を一日も早く、移設させようということで、全力で取り組んできているところであります。このことは、ぜひ委員にも御理解をいただきたい。
ただ、現状は今のような、委員から御指摘をいただいたような状況でありますので、そうしたことについては、政府としてやはり責任を持って全力で米側と交渉をする、さらには、私たちは政府としてやるべきことはしっかりやっていく、このことが大事だというふうに思います。
まさに我が国の安全、この厳しい国際情勢の中に考えたときに、日米同盟の抑止力、ここは極めて重要でありますし、この普天間飛行場のこれだけ危険な状況を一日も早く除去をする、このことも政府の大きな仕事だというふうに思っています。
まさに、こうしたことを考えたときに、私どもが今進めている辺野古移設というものを一日も早くここは実現をさせていただきたい、このように思います。
そして、この辺野古移設が実現することによって、今、二万七千人、米軍が沖縄におります。このうちの九千人がグアムを始め国外に移設することが決まっているんです。そして、今、この普天間飛行場の周りというのは、約一万世帯が防音対策を行っているんです。辺野古移設すれば、ここもなくなります。
こうしたことも含めて、私たちは、私は負担軽減の担当大臣として、そうしたことを全力で行うと同時に、今委員から御指摘をいただいた現実の問題、こうしたことについては、防衛大臣とも連携をしながらしっかり対応させていただきたい、こう思います。
○阿部委員 目前に起きていることに誠実な対応をしないで、菅さんは十二万筆以上の署名を見ましたか。
私だって同じです、負担軽減に努力しなきゃいけない政治家です。目前をどう解決するかを抜いて、そのような一般論は言えないと思います。
以上をもって、終わらせていただきます。
○山際委員長 次に、山崎誠君。
○山崎委員 おはようございます。立憲民主党の山崎誠でございます。
私からも、幾つか、やはり森友学園の問題について触れざるを得ません。
昨日も佐川元理財局長の証人喚問などもありましたが、疑惑は深まるばかりという印象を私は持ちました。国民の皆様も同じではないかなと思います。
内閣委員会ですので、私は、まず公文書の管理について梶山大臣にお聞きをしてまいりたいと思います。
森友学園の土地取引に関する決裁文書の、皆さんが言う書換え、私どもは改ざん、明らかになりました。その信頼性が厳しく問われる公文書が決裁後に意図的に改ざんされるというのは、議会制民主主義の根幹を揺るがしかねない、看過しがたい事態であると考えます。
梶山大臣の所管する公文書等の管理に関する法律にも、第一条「目的」に「国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」とあります。主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑み、国民主権にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めると。まさに公文書の重要性、もう国民主権まで出てきている、この目的に照らして、重要性は明らかでございます。
まず初めに、今回の財務省で明らかになった決裁文書の改ざんについて、梶山大臣の所感をお伺いいたします。
○梶山国務大臣 行政機関の意思決定の基礎となる決裁文書について書換えが行われたことは、公文書への信頼そして行政全体の信頼を損なう行為であり、極めて重く受けとめているところであります。決裁が完了した文書を、決裁をとり直すといったしかるべき手続も踏まず書き換えるということはあってはならないことだと考えております。
このため、先日、三月二十三日の閣僚懇談会において総理から御指示があったとおり、四月から改正ガイドラインによる厳格なルールを全職員に徹底をする、そして確実に運用する、さらにまた、更新等の履歴が厳格に管理できる電子決済システムへの移行を加速すること、直ちに取り組むことで対応してまいりたいと思っております。
その上で、今回の事案については、現在行われている事実関係の調査、解明を踏まえて、更に問題点を洗い出し、公文書管理のあり方について、政府を挙げて見直しを図ってまいりたいと考えております。
○山崎委員 ありがとうございます。
公文書等の管理に関する法律の四条を読みますと、「当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、」中略「文書を作成しなければならない。」となっています。
今回の事案で、もともと、改ざんされたもとの文書を見ると、この意思決定に至る過程及び当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、又は検証するために必要な情報、これが書かれていた。これが削除されてしまった。私は、こういった意味でも、公文書管理上、大変悪質な改ざんであると思っています。この四条の趣旨を踏まえて見ると、今回の事案というのは大変重大だということを改めて御指摘をしたいと思います。
それでは、一般的な話になりますが、現行の公文書管理制度でどのような事象を不適切なものとして想定しているのか、そうした不適切な事象への対応としてどのような対応を予定しているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○田中政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの点につきましては、公文書管理法第十条第二項第七号及び同法施行令第十四条の規定に基づき、各府省の行政文書管理規則において点検及び監査に関する規定が設けられているところでございます。
また、公文書管理法の規定の趣旨を担保する仕組みとしましては、法第九条第三項において、行政文書の適正な管理を確保するために必要があると内閣総理大臣が認める場合に、各行政機関に対し、報告、資料の提出を求め、又は実地調査を行う権限が内閣総理大臣に与えられているところでございます。
このほか、法第三十一条において、特に必要があると内閣総理大臣が認める場合には、各行政機関に対して、改善すべき旨の勧告をし、当該勧告の結果とられた措置について報告を求める権限が内閣総理大臣に与えられているところでございます。
○山崎委員 ちょっと回答が不十分だったんですけれども、いいです。
不適切事例としてはどんなものを想定していて、実際に、行政機関内で点検、監査をすると、その報告が上がってきていますよね。不適切な事象というのは、どのぐらいの数、どんなものが報告されているか、お知らせください。
○田中政府参考人 お答えいたします。
御指摘の不適切な事例ということに関しましては、文書の紛失ですとか、あるいは誤廃棄などもございますけれども、これらを除きまして、不適切な文書管理について職員の処分が行われた事例というものがございます。これについては、二十三年から二十八年までの実績としては、十二件の事案が発生しているところでございます。
こういった事例につきましては、管理状況の報告において、各省庁から内閣総理大臣に報告されているというところでございます。
○山崎委員 その中に改ざんというものはありますか。
○田中政府参考人 各事案の具体的な内容としましては、契約書の押印について誤った印鑑を使用したものや、職務に関連する文書を適切に編綴しないで自宅に持ち帰っていたもの、また、開示請求に対して不存在としていた行政文書が個人資料の中から出てきたもの、それから、入札に関する仕様書等について、公示前に事業者に提示した上、決裁後に修正したという事例もございます。
○山崎委員 今の御説明で、今回明らかとなったような改ざん事案というのは発生していないと。制度上もこういった事態というのを、残念ながら、残念ながらというか当然だと思いますが、想定していないということだと思います。どうしてこうした事案が発生したのか、その原因の徹底究明がやはり必要ですし、その対策を打たなければいけないと思います。
今御説明があった、資料の一にも書きましたが、行政機関の内部での監査、点検というのが一義的には行われることになっているということだと思いますが、今回の森友学園の事案では、佐川元理財局長が証人喚問でも明らかにしているように、理財局の組織ぐるみの不正行為です。こうしたケースでは、組織内の点検、監査というのは全く意味がないと思います。
こうしたケースを想定しているかはともかく、今御説明がありました公文書等の管理に関する法律の九条の三項には、内閣総理大臣による特別の報告徴収、実地調査を指示することができるという規定があり、三十一条には、改善の勧告、勧告の結果とられた措置についての報告を求めることができるという規定がございます。
我々は、今回のこの改ざんについて、安倍総理あるいは官邸の関与について問題としています。佐川元理財局長も総理も財務大臣も、関与は、ここはなぜかきっぱりと否定をしています。
そうであるならば、総理は堂々と、この九条の特別の報告徴収、実地調査の指示を麻生大臣に出すべきだと考えますけれども、総理はこの指示を出したでしょうか。あるいは、総理がまだ出していないとするならば、この指示を梶山大臣は文書管理の責任者として進言すべきと思いますが、どうですか。
○梶山国務大臣 先ほど申しましたように、総理からは、先日の、三月二十三日の閣僚懇談会において、四月からのガイドライン、そして行政文書管理規則、厳格なルールを全職員に徹底し、確実に運用すること、そして、電子決裁システムへの移行を加速することという御指示がありました。
ですから、まだその法九条の三項、法三十一条の規定に基づくものは、総理からの御発言はありません。
今、財務省において調査、解明をしているところでありますが、それらを受けて、全ての可能性を排除せずに、しっかりとした見直しを、対応してまいりたいと思っております。
○山崎委員 今の話は、私は次で聞こうと思ったお話で、総理は、一般論として、今後の対応として御指示しているんだと思いますよ。
この事案は、先ほども言いましたが、大変特異な事例で、異常事態でございまして、この文書管理法上の、もう本当に原則に触れるような事態が発生しているんです。目的も先ほど御説明しましたけれども、国民の本当に主権の問題だとまで言っている問題が起きているということであれば、この制度を最大限活用して、総理は責任を持ってこの報告の徴収とか実地調査をすべきだと思います。一般論ではありません。この事案に対して、この九条三項というのはそのためにあるんですからね、それをぜひやっていただきたいし、やれない理由がどこかにあるのかなと疑われますので、ここは極めて重要だと思います。
関与がない、全く問題ない、財務省の内部の問題だというのであれば、当然、できる全ての措置はとっていただかなきゃいけないし、この指示を出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○梶山国務大臣 今、捜査が入っていることとあわせて、財務省において調査、解明を行っているという時点であります。それらの報告、それらの結果を経て、私どもも、ありとあらゆる手段、そういう可能性を排除せずにこの見直しに取りかかってまいりたいと思っております。
○山崎委員 先ほども言いましたけれども、行政機関が組織ぐるみで残念ながらやってしまっている、それをもう認めちゃっているんですよ。であれば、この公文書管理の制度上、次できる手段は何かと考えたときには、内閣総理大臣の指示しかないじゃないですか、対応しかないじゃないですか。だから、これは極めて重要だと言っているんです。
ちゃんと対応する、責任をとって対応する、事実を究明すると何度も予算委員会などでも発言されています。できることが残っているのに何でやらないのかと、私は疑問でしようがないです。ぜひ、梶山大臣としても進言をして、できることをきちっとやっていただきたいと思います。
では次、内閣人事局についてお尋ねをしたいと思います。
森友学園の土地取引ですとか加計学園の獣医学部新設などの事案について、総理や官邸へのそんたくがあったのではないか、そんたくが働いて行政手続がゆがめられたのではないかという嫌疑が湧き起こっています。
そんたくというのは明示的な命令があるわけでもございませんので、何の証拠もないかもしれない。いわば組織内のあうんの呼吸による現象と言えます。ただ、そうした空気を醸成する要因があったのではないか。私は、内閣人事局による幹部人事の一元管理というものがその原因の一つではないかと危惧をしています。
総理や官房長官あるいは官房副長官が人事権を握っている、人事権を握っている政治家の顔色をうかがうことが昇進や出世に必要になってくる、そういう事態がないのかどうか、御確認をしたいと思います。
まず、内閣人事局の設置の目的は何か、これまでの慣習、慣行とどのように変わったかをお尋ねします。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
幹部人事の一元管理制度は、縦割り行政の弊害を排除し、内閣の重要政策に応じた戦略的な人事配置を実現することを目的として、平成二十六年の国公法改正により、従来の慣例的な手続から法律に基づく手続に位置づけ直すとともに、対象も局長クラスから部長クラスまで拡大したものでございます。
幹部人事一元管理に係る具体的な手続は、大きく分けて適格性審査、任免協議の二つのプロセスから行われるものでございます。
まず、適格性審査においては、任命権者である各大臣が行った人事評価結果等の客観的資料に基づき、あらかじめ定められた客観的な基準に照らし、官房長官が当該職員の幹部候補者名簿への記載の可否について判断を行うことを基本としており、当該審査は公平中立に行われる仕組みとなってございます。
また、その後の任免協議におきましても、各大臣が幹部候補者名簿に記載された者の中から人事案を作成し、当該人事案について総理及び官房長官と協議し、その結果に基づいて人事案を決定することになっており、複数の視点から人事案がチェックされ、中立性、公平性が担保される仕組みとなっているところでございます。
○山崎委員 お手元の資料の四ページに、幹部職員の任用に関するプロセスというのがございまして、今御説明いただいたプロセスが書いてあります。
私、これを見て、非常にシンプルだなと思いました。モノクロなのでわからないですけれども、官房長官のところと総理・官房長官のところに色がついていまして、まさにこういうプロセスに今なっているということだと思います。
この内閣人事局の設置に際して人事院と協議したと思いますが、人事院からはどのような意見が出たか。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
幹部人事の一元管理制度の導入に係る法案の検討段階におきまして、人事院総裁から政府に対して、まず、幹部職員も成績主義の原則が適用されることから、職務に必要な能力、適性が公正に判断される必要があること、また、内閣人事局の役割と各省大臣の組織、人事管理権との調和等を考慮して適切な制度設計を行う必要があるとともに、中立第三者機関が選考基準設定等に関与する必要があること等の意見が出されたものと承知してございます。
これらの意見を踏まえまして、幹部人事の一元管理制度は、任命権者である大臣による人事評価に基づく適格性審査と任免協議の二つのプロセスを通じ、複数の視点によるチェックが行われ、公正中立に、能力・実績主義に基づく最適な人事配置を行う仕組みにするとともに、適格性審査の基準等に関する政令を定めるに当たっては、あらかじめ人事院の意見を聞くこととしたところでございます。
なお、このような制度設計に対し、当該法案の国会審議において、人事院総裁の方から、今回の法案では、人事行政の公正の確保と代償機能の確保に支障が生じないものと判断したところでございますという趣旨の御答弁があったものと承知してございます。
○山崎委員 職員の皆さんの能力の公正な判断、評価が必要だというお話がやはり非常に重要でございます。
私は、この適性審査については、あるところ、客観性のある情報に基づいているとは思うんですが、この任免協議がよくわからない。任免協議でどんなことをお話合いになっているのか、担当者に聞いても、人事の問題なのでわかりませんと。どんな審議、検討が行われているのか、担当者の皆さんに聞いても、わかりませんとお答えが返ってきました、レクの中で。
これまでの局長級以上を対象とした任免協議について、その対象が今、審議官級、部長級にまで広がって、その数は六百八十ぐらいと。それだけの多くの職員について任免協議、人事検討会議にかける必要はどこにあるかをお尋ねします。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
任免協議の手続は、任命権者である各大臣が、あらかじめ適格性審査を経て幹部候補者名簿に記載されている者の中から、あらかじめ閣議決定をしております採用昇任等基本方針に基づき人事案を作成し、内閣総理大臣と官房長官に協議を行い、その結果に基づき人事案を決定するものであり、複数の視点から人事案がチェックされ、中立性、公平性が担保される仕組みとなっております。
また、任免協議においては、個々の人事案について、それぞれの官職ごとに求められる専門的な知識や経験等の有無を考慮し、適性に基づき判断が行われているもの、このように承知してございます。
○山崎委員 どうして審議官級、部長級まで広げたのか、その必要性はどこにあるのかですよ。ちゃんと答えてください。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
当時の議論等を見ますと、政府全体の一体性を確保し、適材適所の人事を担保するため、政策の企画立案、行政運営に大きな影響を有する職責を有する者として部長以上を対象とした、こういうことでございます。
○山崎委員 何か今、当時の議論によればという話ですよ。今現在どういう運用がなされて、ちょっと今一問飛ばしましたけれども、本当に人事交流とかあるいは女性の登用だとか適材適所というのがこの制度によってどこまで担保されているか、効果が出てきているのか、もうちょっと時間がないので数字は割愛しますけれども、私は、そんな大きな効果が出ているとは思えないし、この任免協議に、枠を広げたからそれができるとはとても思えません。
任免協議、任免のプロセス、記録はどうなのか、管理されているのかどうか。後からその検討内容を検証できるようになっているのか。もちろん、人事の問題だから、個別の名前が出てきたりというのは伏せても構わないと思いますが、どのぐらいの数が任免協議の中で検討されたのか。六百八十の職種の中で、例えば千とか千何百人という人が対象に挙がってくるんだ、そのように聞いています。それを、果たしてどうやってこの任免協議の人事の検討会議の中で議論をされているのか、私はお聞きをしたいんです。
菅さん、ちょっと質問通告はしてないんですけれども、例えば部長級の皆さん、四百人、五百人いらっしゃると思いますが、何割ぐらいの方が、名前と顔とどんな仕事をされているか一致しますか。
○菅国務大臣 何名ぐらいというのはなかなか難しいですけれども……(山崎委員「何%ぐらい」と呼ぶ)いや、四、五百人ぐらいは多分何らかの形で知っているんじゃないかなと思います。
○山崎委員 ありがとうございます。
さすが菅さんと申し上げなきゃいけないと思いますが、私は、では、副官房長官の皆さんお一人お一人にお聞きをしたいです。
例えば、課長から今度部長に上がる方、千人、そういったリストが来たときに、それぞれの皆さんの能力をどうやって評価するのかなと。私は、とても一人一人の評価を、先ほど言ったような公正な、職務能力を推しはかって評価できる、そういうプロセスになっていないのではないかと。結局、知っているとか知らないとか、あるいは、意に沿うとか沿わないとか、そういったチェック程度しか行われていないのではないか、そんな危惧を持っています。
そういうことではないんだという根拠があれば、教えていただきたいんですが。
○菅国務大臣 私が当事者でありまして、この人事の検討会議のメンバーでもあります。
そういう中で、先ほど委員からお話がありましたけれども、交流人事とか女性登用、このことによって圧倒的に多くなったというふうに思っています。例年そうしたことも発表をいたしております。
例えば、農林水産省と経済産業省、これは局長交流を行いました。これは初めてです。やはり農業を攻める農業にしたい、そうしたことを考えたときに、農林水産省では、なかなか局長ではできない。しかし、経済産業省というのは、そうしたことの専門家でありますから、そうしたことをできています。
あるいは、海上保安庁長官、私どもが政権をとって、初めてたたき上げにしたんです。約一万三千人ぐらいの職員の中で、事務方の次官に待ちの人とか、そういう人が多かったんですけれども、初めていわゆる制服組というのを上げることができました。
それと同時に、これは今、例えば大統領制と議院内閣制、米国は、大統領がかわると全部官僚がかわってしまいます。しかし、私たちは、政権がかわっても、ほとんど局長クラスはかわらないわけですね、政権交代がこの間ありましたけれども。
そういう中で、やはり政党というのはそれぞれ政策を掲げて選挙に立つわけですから、その政策に賛同してくれる人、それは国民に対しての、私どもは負託を受けていますから、責任があります。そうした人、仕事をそういう形でやってくれる人というのを登用するというのは、ある意味では、私はこれは自然のことだというふうに思います。
今回、いろいろなことを御指摘いただいています。私どもも十分気をつけながらも、やはりこの制度というのは、これだけ世の中が変わって、縦割りの中にあって横串を刺す上にこれは必要だというふうに私は思っています。
委員は横浜市議出身でしたけれども、やはり横浜は市長でないと全然見えないですよね。そうしたことをぜひ考えて、私どもは、現在のこの仕組みについては、そこは国を活性化するために必要だというふうに私は認識をしております。
○山崎委員 御丁寧にありがとうございます。
今挙げられた、菅官房長官のおっしゃったことは、私は非常に納得いきます。でも、それは幹部のうちでも次官とか長官の話でございまして、私は、そういうレベルは当然、政治的な判断で任用することがあっていいと思いますし、全く同意をさせていただきます。
ですけれども、それを何で部長級まで、審議官級まで落とすのか。そこまで広げる必要がどこにあるのか。そうやって、部長から、あるいは課長の上ですよ、もうすぐ部長という方々が上を見るような組織風土はおかしくないですか、そういうふうにならないですかというのを非常に危惧しています。
例えば、二百人ぐらいの方だったら、リストだったら、場合によってはいろいろなヒアリングもできるでしょう。かなり綿密に、きちっと議論をして上げていくことができる。でも、部長級まで入れたら千人近くになってしまう。そういう方々をどうやって適正に評価をして上げるんだ、そこが私は問題だと思っているんです。
今、そんたくという言葉がはやり言葉のようになっています。ぜひ、そういった危惧が生じないように、人事制度についても、あるいは、これは公務員の皆さん全員に対して、やはり公明正大な、正しい制度運用を心がけていただきたいと切にお願いをさせていただきます。
もう最後、一問だけ、SDGs、持続可能な開発目標について御質問しようと思っていました。
この制度は、今後、済みません、唐突ではございますが、非常にやはり大事なツールとして、国連で十七の目標が定められ、これに基づいて、さまざまな行政事業だとか、民間の企業の活動だとか、あるいはNPOの活動だとか、そういった規定がされていくものと思っています。ノルウェーでは、予算編成にこのSDGsの基準を入れていく、評価をするというような話も出ています。
ぜひこれを日本の行政のある種のスタンダードにして広く活用いただきたいと思いますが、済みません、官房長官の所感があればお聞きしたいと思います。
○菅国務大臣 我が国は、このSDGsの推進を通じて、少子高齢化やグローバル化の中で実現できる豊かで活力のある未来像を世界に先駆けて示していきたい、こういうふうに思っています。
今委員から御指摘いただきましたとおり、SDGsの推進には、政府が一体となって取り組んでいく、これが極めて重要であるというふうに思っています。この観点から、総理を本部長にして、全閣僚を構成員とするSDGsの推進本部のもとで、国内実施及び国際協力、こうしたことに率先して取り組んでおります。
特に、昨年十二月に開催された第四回のSDGs推進本部会合で決定したSDGsのアクションプラン二〇一八、この実施を始め、引き続き、政府として一体となって、このSDGs、世界に先駆ける、そういう思いの中で、私ども一生懸命取り組んでいきたい、こういうふうに思います。
○山崎委員 ありがとうございました。今後、またこの問題についてはいろいろと議論させていただければと思います。
終わります。ありがとうございました。
○山際委員長 次に、大河原雅子君。
○大河原委員 大河原雅子でございます。
立憲民主党が立ち上がりまして五カ月がたちまして、私は今、党の中ではジェンダー平等推進本部の事務局長というのをやっております。
地方議会そして参議院と活動させていただきまして、福井大臣とは同い年だということがわかりました。昭和二十八年生まれでございます。福井大臣は、その中で連続七期当選ということで、私としては、すばらしい経歴と実行力をお持ちなんだというふうにも思って見ておりましたが、実は、二月二十八日の今井議員の質問にショックを受けました。
私は、いろいろなことがあろうかと思いますが、この国のやはり男性と女性、この国じゃない、世界ですね、世の中の半分女性、半分男性、そしてまたLGBTの方たちもおられます。ですから、政治の中心にも人権というものがしっかり据え付けられていなきゃいけないというふうに思っております。
なので、これはちょっと避けて通れないので、きょうは通告をしておりませんけれども、大臣のお人柄といいますか、私は消費者問題特別委員会の理事もしておりますので、そういう意味で、非常に高潔な人格、こういったものが問われるポジションだと思います。それはどの職についてもそうだと思いますが。
世界じゅうで、ハッシュタグ・ミー・トゥーという運動が今盛り上がってきております。性的な嫌がらせ、被害を受けた方たち、セクハラや性被害の告発が相次いでいる。しかも、その対象になっている方々は、これまで地位も身分もあり、大変、政府や社会的な要職についている方たちが、その加害者として告発をされているということなんですけれども、このミー・トゥー運動、御存じでしょうか。
○福井国務大臣 ありがとうございます。
もちろん存じております。
○大河原委員 それで、このミー・トゥーなんですけれども、先日、三月二十二日に、福井照大臣にハッシュタグ・ミー・トゥーというタイトルがついた週刊誌が発売されております。ごらんになりましたでしょうか。
○福井国務大臣 はい。見させていただきました。
○大河原委員 御感想はいかがでしょうか。
そして、中に書いてあったことは真実でしょうか。
○福井国務大臣 報道は存じておりますけれども、全く真実ではございません。記憶にございませんし、大変、私自身としてはエンバラストな感じでございます。
○大河原委員 私も、大臣がどんな方かと思いまして、国会図書館に大臣に関する記事を調査で集めていただきました。大別すれば、大臣、こんなにたくさんの週刊誌沙汰になっていることが多いというのは、ちょっと驚きました。女性絡みの、女性へのハラスメント、こうした記事が多くて、このハッシュタグ・ミー・トゥーも、そういう意味では、女性の人権、そしてまた、大臣という、地位ある、権力がある、そういう方の行為がいろいろな方たちに傷をつけている、この現実なわけです。
私は週刊誌の中身を一々読み上げたりはいたしませんけれども、まず、大臣は、セクハラということについてどのような認識でしょうか。
○福井国務大臣 もう一度整理させていただきますと、先ほど先生から御指摘のような報道は承知をしております。今回の報道につきましての記憶がございませんし、私自身、エンバラストな感じというのも申し上げましたけれども、しかし、過去に私の言動で不快な思いをされた方や御迷惑をおかけした方がいるとすれば、衷心よりおわびを申し上げたいというふうに思っております。
○大河原委員 もう少しセクハラの定義から御紹介いただけますか。今、御迷惑をかけた、謝って済むことじゃないんですよ。そのことについての大臣の御認識がどうなのかということを伺いたいです。
○福井国務大臣 定義、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、それぞれ、受け取る側の、受け取ってくださる人の人格あるいは心の中の問題だというふうに認識をしております。
○大河原委員 ハラスメントというのは、それを受けた人が本当に嫌だと思ったら、その時点でハラスメントです。ですから、行為だけではなくて、言葉もそうですし、そういう意味では、この週刊誌、これまでの大臣がいろいろなところで傷つけたかもしれないということは、一つ一つハラスメントです。
例えば、どうでしょうか、人にタッチをする、さわられたくない場所にタッチする、もうこれ自体は、ハラスメントの上に犯罪行為にまでなるんです。そのような自覚はおありですか。
○福井国務大臣 先ほど申し上げましたように、受け取る側の心の問題だというふうに認識をしておりますので、今、先生おっしゃったように、タッチをするだけで相手の方が不快な思いをすれば、それはハラスメントになるというふうに認識をしております。
○大河原委員 先ほど、この週刊誌に書いてあることをお認めになるのか、真実かどうかということを伺ったんですが、最後のところが余りよく聞こえなかったんですけれども、こういうことを書かれて、大臣は、これは違うんだという反論をなさらないんですか。
○福井国務大臣 その報道が私自身の名誉毀損である、そういう行動をしないのかということですけれども、今回は、大臣に就任をさせていただきました関係で、今は職務に専念させていただきたいというふうに思っております。
それから、先ほどお答えしたつもりでしたけれども、その報道につきましては、全く私自身の記憶にはございません。
○大河原委員 記憶にないということは、ちょっと違ってくるんだと思うんですよ。記憶って、例えば、お酒飲んで記憶にありません、そういう意味ですか。
確かに、大臣がさまざま起こされてきていることは、お酒を飲んだ席でのこともあります。でも、それ自体が、もう多くの人は、世の中の人は、それはセクハラだ、そういうふうになっているんですが、御自分でセクハラだということをやはりお認めにならないと、上に立つ方としては資質は不十分だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○福井国務大臣 先生御指摘の点はよくわかりますけれども、私自身、先ほど申し上げましたように、冒頭申し上げたのは、その報道は真実ではございませんというふうに申し上げて、先ほどは記憶にないと申し上げましたけれども、両方真実でございます。報道は真実ではないということ、そして、もちろん記憶にもないということを、もう一度念を押させていただきます。
おっしゃるように、国民の信頼がなければ政治もできません、行政もできませんので、今この立場で全ての皆さんに、もし過去に私の言動も含めて、言葉も含めて、不快な思いをされた方や御迷惑をおかけした方がいるとすれば、衷心よりおわびを申し上げたい。
その上で、先生の今の御注意、しっかりと胸にとどめさせていただき、御注意を拳々服膺させていただき、緊張感を持って職務に専念させていただければというふうに存じている次第でございます。
○大河原委員 済みませんが、どう真実じゃないのか、お答えいただけますでしょうか。記憶にないは言いわけとしてはわかりますけれども、記憶にない、思い出せない、どれがどのお話なのかわからない、そういうこともあるかもしれませんが、何が真実じゃないんですか、どの辺が。
例えば、酒席でいろいろな方たちに、女性職員、講師の方、いろいろな方たちに御迷惑をかけているということも聞いておりますし、この中身です。週刊誌の中身です。そして、そういう意味では、私は……(発言する者あり)余りにも、このコピーを資料に出すのは、私は恥ずかしくてできません。なので、ハラスメントをしているという自分が自覚があるのかないのか、そしてそのことを、やはり大臣になられたわけですから、省の方たちみんな、どういう行動が次に起こるんだろうかと、はらはらして見ていなきゃならないわけですよ。実際にこれまで被害に遭われた方たちは、大臣は今、大臣の職務に専念するとおっしゃったけれども、自分の職務に専念できない、そういう不安感や屈辱感や、いろいろなことが起こってきているんです。
もう一度お答えいただきたいです。
○福井国務大臣 ありがとうございます。
先ほどから申し上げております、ちょっと繰り返しになりますけれども、もう一回、かなり詳細に記憶をたどっても真実ではないということで、真実ではないと最初は申し上げたところでございます。
過去に私の言動、言葉で、あるいは行動で不快な思いをされた方や御迷惑をおかけした方がいるとすれば、衷心よりおわびを申し上げたいというふうに思いますし、私は職務に専念をさせていただければということにつきましては、今、内閣府の職員の尊厳を守るという意味でも、その職員の仕事の尊厳を守るという意味でも、職務に専念をさせていただければというふうに思っております。
○大河原委員 これは古くて新しい問題だと思います。女性の人権、力の弱い人に対する暴力行為とか示威行為というものが、やはり泣き寝入りでこれまでは済まされてきた。大臣がいろいろなことを書かれていることも、詳細を私が申し上げないのは、その被害に遭われた方たちがもう一度被害に遭う、嫌な思いを思い出す、そしていろいろなことが起こってきます。そのことをもって、資料も出しませんし、特定の事柄を挙げてどうですかというふうに伺っているわけでもないんです。
ですから、そのことをもってしても、福井大臣がやらなければならないことははっきりしています。二度とやらないことはもちろんですけれども、今、ハッシュタグ・ミー・トゥー、福井・ハッシュタグ・ミー・トゥーで誰かがこうした大臣のこれまでの行動、行為を集め始めたら、恐らく、たくさんの方たちが名乗りを上げてくるかもしれない。そうしたときに、御自分が、これまでの御自分の人生ですよね、この対応の仕方いかんによって、大臣がこれからなさろうとしていることが全く逆方向に向いてきます。
どうでしょう。ハラスメント、特にセクハラ、パワハラ、こうしたものに対して、大臣はこれまで、例えば研修を受けたことがあるとか、あるいは、そのことをもって多くの方々とお話をされたことがある、じかに被害を訴えてきた方たちと真摯に向き合ってきたか。その点ではいかがでしょうか。
○福井国務大臣 ありがとうございます。全人格、全人生をかけての答弁をしなさいというふうに受けとめさせていただきました。
私自身は、WAW!、ワールド・アセンブリー・フォー・ウイメンのブランチあるいはその会議に参加させていただいて、いろいろ発言をさせていただきましたのと、それから、防災とジェンダーというテーマでも取り組ませていただいております。それが全人格的、全人生的活動でございます。
先ほどおっしゃいましたように、今までの言動において不快な思いをされた方、御迷惑をおかけした方がいらっしゃれば、本当に衷心よりおわびを申し上げたいと思いますし、今後とも、そのような不快な思いをされないように心していきたいというふうに思いますし、今は職務に専念をして信頼性を高めるということだというふうに感じております。
○大河原委員 今は職務に専念するという、そのつけ加えの言葉が私にはよくわかりませんけれども、今、防災とジェンダーのことをおっしゃいました。
まさに、あの東日本大震災の後に女性たちが受けてきた性被害というものは大変なものです。そして、大臣は、神戸の、関西の阪神・淡路大震災も経験していらっしゃると思いますが、あのときにはなかなかそのことが外に出てこなかった。そうしたことにやはりしっかりと対策を打ち、支援をきめ細やかにしていくということが、私は、防災についても非常に熱心に取り組んでおられる福井大臣の大きな使命だろうと思います。そこの軸が曲がっていたら、それは絶対に信頼されません。なので、そのことはきちんとお考えをいただきたいと思います。
そして、実は膨大なこの資料を、私は余り気が進みませんでしたが、読みました。もう一つ、看過できないことがあります。
それは、大臣は建設省の御出身で、そして、今申し上げましたように、災害大国日本の防災に備える国土強靱化計画も、そしてまた南海トラフに対する対応も、法案をつくり、いろいろ進めていらっしゃいました。でも、こうした中で、やはり、さまざまなところで建設会社の談合事件が起こったり、いろいろなことが起こっているんですね。
二〇一三年に高知県で、四国の整備本部が、公取の摘発を受けて、官製談合ということで処分が行われました。どんな処分だったか覚えていらっしゃいますか。
○福井国務大臣 今先生御指摘の事案は、高知県と建設業者と国交省の現場におきまして官製談合が認定されて、それぞれの処分を受けたという案件でございます。
○大河原委員 このときは、三十七社が指名停止を受けまして、特にその中の三社が営業停止ということになっています。
私が集めた資料の中では、そのときに福井大臣が、そうした方たちへの支援というか、そういうものを買って出ていらっしゃるというふうに読める記事を見つけたんですね。そして、その中に、大臣の持論が、談合は必要だ、そういうふうに書いてあったんですが、談合は必要だというのは大臣の持論なんでしょうか。
○福井国務大臣 談合が必要だとは心の底から思ったこともありませんし、ちょっとその記事の中身がわかりませんけれども、もう一度整理をさせていただきますと、官製談合が認定されたということで、私は国交省の現場の所長、つまり発注者の側にもおりましたので、その発注者の方でアキューズされる方、そして、話し合った、談合したという方の建設業者の側、それぞれについて所要の、事後の心のケアをするのが私の役目だと思って事に当たった次第でございますけれども、いずれにしても、談合にはもちろん私は関与しておりませんし、談合が必要でしたっけ、善であるというふうに思ったことはございません。
○大河原委員 もちろん、こんなことに関与していただいては困るわけなんですけれども、官製談合ですから、今おっしゃったように発注側でもあるし、そして、地元の産業を考えれば、高知県は、やはり建設業というのは大きな産業だろうと思います。
やはり、防災に名をかりてという言い方はよくないですが、防災をしなきゃならないために建設業の方たちにたくさんの予算をつけて、背の高い防潮堤を建てるだとか、いろいろなことが起こっています。一番よく御存じだと思いますが、予算は物すごくつきましたし、そして産業界はそちら方面で潤っていると思います。でも、典型的なこの政官業癒着の構造というのは、やはり建設業のところから生まれていますし、油断をしていると、どんどんそれが膨らみかねないということがあるんですね。
特に、人口が少ないところに、それまで本当に災害のときだけしか使わないような対策を打つ、しかも土木型、コンクリートでいっぱいのというものをつくるよりも、その少ない人数の方たちをいかに安全にさせていくのかということに心配りをした方が早く安全度を高めることができますし、発想をとにかく変えなきゃいけないんじゃないかと思います。
私は、申しわけないんですが、談合は必要だ、どうしても必要だ、絶対に必要だというのがこの集めた記事の中には大臣の持論として書いてあったので、オーバーだろうとは思いますが、申しわけありませんが、この点は今後ともしっかりと監視、チェックをさせていただこうというふうに思っております。
時間が少なくなってきてしまったんですが、この内閣委員会で、大臣の所管として食の安全問題があります。
私は、食の安全問題も、これは人権問題だと思っています。食の安全という考えには、食の安全を守っていくためには、未然防止という考え方が必要だというふうに思います。先ほどのハラスメントの話も未然防止なんですけれども、どの世界でも、起こらないようにするということが大事なんですよね。ですから、食の問題にかかわらせて言えば、疑わしいものは食べない、使わない、これが私は食の安全を守っていく上でも第一の感性だろうと思います。
そして、世論調査でも食の安全への関心は高いわけですけれども、大臣として未然防止の考え方はどのように認識されているでしょうか。
○福井国務大臣 ありがとうございます。
我が国の食品安全を守る体制につきましては、食品安全基本法に基づきまして、食品の安全性の確保に関するあらゆる措置は、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識のもと講じなければならないという基本理念のもと、構成されているわけでございます。
具体的には、食品の安全を確保する国際的な考え方であるリスクアナリシスという考え方に基づきまして、内閣府食品安全委員会が食品の摂取が人の健康に及ぼす影響について科学的に評価するリスク評価を行い、その結果に基づいて、厚生労働省、農林水産省等が基準の設定や規則等のリスク管理を行い、さらに、その全過程で、消費者庁の総合調整のもと、消費者、事業者、行政機関等の関係者が情報と意見を交換するというリスクコミュニケーションを行っているところでございます。
こうした体制を通じて、食品の安全性の確保に必要な措置を、国民の意見等に十分配慮しつつ、科学的知見に基づいて講じ、食品を摂取することによる国民の健康への悪影響を未然に防止しているものと考えている次第でございます。
○大河原委員 残念ながら大臣をお続けになれなかった江崎大臣も、しっかり答弁は朗読するよというふうにおっしゃっていたんですが、ちょっと似た姿を今見てしまった感じがするんですね。職務に専念されるということですので、この消費者問題、食の安全問題、しっかりと勉強していただき、この小さな島国で起こっていることに、より注目をいただきたいというふうに思います。
多くの消費者が長年求めてきたものに、食品表示をわかりやすくすること、そして、疑わしいものは食べたくないという消費者の権利をしっかりと実現するための表示というのを求めてきまして、大臣、遺伝子組み換え食品って御存じですか。(福井国務大臣「はい」と呼ぶ)召し上がっていますか。
○福井国務大臣 私自身、ちょっとその表示をチェックして一つ一つ食べていないので、全くゼロかと言われれば、ゼロじゃないかもしれません。
○大河原委員 福井大臣は農水政務官も、副大臣でしたっけ。(福井国務大臣「政務官」と呼ぶ)政務官もお務めになりましたので、農水のことからいっても、この国が、食料自給率が三八%、TPPとかほかのことが入ってくれば、もっと自給率が下がる。つまり、六割以上海外に頼っているんですね。そして、この遺伝子組み換え食品を、実は日本人は世界じゅうで一番食べています。
つまりは、表示を見かけないからというふうにおっしゃいますが、これまでの表示が消費者の選ぶニーズに合っていなかったというのがありまして、三月十四日に、つい最近ですが、遺伝子組み換え表示に関する検討会が終了したんです。昨年の四月から始まっておりまして、長年、遺伝子組み換えの表示の問題については、宙ぶらりん、先延ばし先延ばしで来ました。
たくさんの方たちが食べたくないにもかかわらず、今回の報告書では、遺伝子組み換えでないという表示は、これまでは、例えば中に大豆が五%以下だったらそういう表示ができたんですけれども、厳しさを求めて、不検出であるということでなければ遺伝子組み換えでないと書けないというような結論も書いてあるんですね。
ところが、その結果、遺伝子組み換えでないという表示がなくなっていく。そしてまた、一〇〇%組み換えのものと、ちょっとだけ入っているかもしれないけれどもこれまでは遺伝子組み換えでないと書けたものが一緒くたになるわけです、表示がなくなるという意味で。
でも、このことについては、まだとり得る方策があります。IPハンドリングといいまして、管理、流通の中できっちり分けてきていることがわかっているものについては、これまでどおり遺伝子組み換えのものでないというふうに書かせるようなこと、任意で書けるようなことも可能なんですが、その辺はいかがでしょうか。聞いていらっしゃいますか。
○福井国務大臣 まず私の方から御答弁させていただいて、後段については政府参考人の方からお答えをさせていただきたいと思います。
今先生おっしゃいましたように、遺伝子組み換え表示のあり方につきましては、三月十四日に行われた第十回の遺伝子組換え表示制度に関する検討会において報告書を取りまとめさせていただきました。
報告書では、消費者により正確な情報提供を行う観点から、遺伝子組み換えでないと表示できる条件について、今先生おっしゃいましたように、現行では五%まで遺伝子組み換え農産物に意図せざる混入を認めていたところを、新たに不検出とする等の方向性が示されたところでございます。
本報告書を踏まえて策定される新たな表示制度が消費者にとって有益なものとなることを期待させていただいているところでございます。
後段は政府参考人から、よろしくお願いいたします。
○橋本政府参考人 お答えさせていただきます。
検討会におきましては、現行の制度において、大豆及びトウモロコシに対しまして、遺伝子組み換え農産物が最大五%混入しているにもかかわらず、遺伝子組み換えでないという表示を可能としているということは消費者の誤認を招くという指摘を受けて御議論いただいております。
この検討会の議論の結果、消費者の誤認防止それから消費者の選択幅の拡大等の観点から、これまでどおり遺伝子組み換え農産物の混入を五%以下に抑えているものにつきましては適切に分別生産流通管理を行っている旨を任意表示するということができるとした上で、遺伝子組み換えでないという表示は不検出である場合に限るということが適当と判断されております。
現行制度で遺伝子組み換えでないと表示されていたものを二区分に整理することで、よりきめ細かく正確な情報を消費者に伝えて、消費者の選択の幅を拡大することができるというふうに考えているところでございます。
○大河原委員 質疑をさせていただいて、福井大臣がどんな方なのか少しずつわかってきたんですけれども、まだまだ疑問は晴れません、申しわけございませんが。
今後、消費者問題特別委員会の大臣所信質疑もございますので、きょう出させていただいた談合問題とかセクハラのことについて、大臣が本当に、本当に心から人生が変わるような、そういう意思転換をなさらなければ難しいんじゃないかなと思っています。
TPPの特別委員会で、強行採決でも頑張って通すというふうにおっしゃって、問題発言と感じたら、さっと身をお引きになりました。この大臣の御担当の消費者問題についても、私は、出資金詐欺まがいのこと、こういったことも含めて、消費者担当大臣というふうには、ちょっと資質に問題ありというふうに思います。
無理だと思ったら、即刻おやめいただいて結構でございます。
ありがとうございました。
○山際委員長 次に、吉良州司君。
○吉良委員 希望の党の吉良州司でございます。
きょうは、茂木大臣の目をおかりしながら、TPPと、そして日本経済について質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、TPPです。
茂木大臣、TPP11の取りまとめ、大変お疲れさまでございました。TPP11の意義について、大臣が考えるところをまずお聞きしたいと思います。
○茂木国務大臣 TPP11、国会のお許しもいただきまして、三月八日にチリで署名式を行うことができたわけでありますが、このTPP11は、二十一世紀型の自由で公正な新たな共通ルール、これを、世界の成長センターでありますアジア太平洋地域につくり上げ、人口でいきますと五億人、GDPで十兆ドル、さらに貿易総額五兆ドルという巨大な一つの経済圏をつくり出すものであります。
そして、このTPPの特徴でありますが、バイのFTAとは違いまして、多様な国と結ぶ広域的な経済連携によりまして、貿易・投資を活発にする促進効果だけではなくて、新たなグローバルバリューチェーンが構築をされ、これまでになかった製品であったりサービスの提供を可能とする、いわば新たな価値の創出効果があるということを考えております。
また、アジア太平洋地域に、TPPのような我々が重視をしている価値であったりとかルール、こういったものを定着させるということは、一帯一路などを進める中国に対しても建設的な行動を促す、こういう点でも大きな意味があると考えております。
○吉良委員 今の答弁に対する答えは、もう一問聞いた上で、私の方でさせてもらいたいと思います。
TPP11はアメリカ抜きで成立したわけでありますけれども、TPP11の今後、近い将来、そしてもう少し時間をかけながら、将来を見据えた、可能性を含めた今後のありようというものをどう考えておられるのか、それについてお聞きします。
○茂木国務大臣 三月八日、チリでの署名式におきまして発表された閣僚声明、これは十一の閣僚を代表して私が発表させていただいたわけでありますが、ここにもありますとおり、我々十一カ国としては、まずはTPP11の早期発効、これに全力を挙げたいと考えております。
その上で、TPPは生きている協定、リビングアグリーメントで、新たな国、地域の加盟を通じて、TPPのハイスタンダードでバランスのとれた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくことが参加国共通の思いであります。
その意味で、さまざまな国、地域、実はその閣僚会合でも、南米のコロンビアが興味を示しているというのをチリの代表からも伺ったりしたわけでありますが、さまざまな国、地域がTPPへの参加に関心を示していることを歓迎したいと考えております。
我が国としては、まずはそうした関心国、地域に対して必要な情報提供も行っていきたいと考えております。
また、アメリカでありますが、昨年の一月二十三日、TPPからの離脱をトランプ大統領が表明をした。くしくも、ことしの一月二十三日に、TPP11の首席交渉官会議、東京で開いて、そこで11の協定文の確定、こういうことになったわけでありますが、その直後、トランプ大統領もこの問題について発言をしておりますし、米国の最近幾つかのTPPに関する発言、主要閣僚等からもあるところでありますが、これらの発言がTPPの意義であったりとか効果について正しく評価をする、こういうものであれば歓迎をしたいと考えております。
米国に対しては、これまでもそうでありますが、TPPの経済的、戦略的重要性、特に、世界経済の中でも最もグローバル化であったりとかさまざまな技術革新が進んでいるのはアメリカでありますから、このTPPというものがアメリカの経済や雇用にとってもプラスになる、こういったことをしっかりと訴えていきたいと思っております。
○吉良委員 TPPの意義についてと今後について私の方からお伺いしましたけれども、私自身は、このTPP11をこの短期の中でまとめ上げたことに対して、大変高く評価をしております。
第一の意義というのは、TPPそのものよりも、私も外務政務官、副大臣をやらせてもらいましたけれども、アメリカが離脱するという中で、アメリカ抜きの中で日本が主導してまとめ上げた、これは本当に称賛に値するというふうに思っています。
ただ一つ、安倍総理含めて、自公政権の幹部に申し上げたいのは、我々民主党政権のときも、何のかんの言いながら、弱い体力の中で、TPPを半歩、一歩進みたかったです、私自身は。まあ半歩、半歩進んだことによって、カナダが入り、メキシコが入り、そこで一挙に勢いがついたということもあり、私も、さっき言った、このTPP11をこの短期の中できちっとまとめたことに対して高く評価をしますけれども、その土台をつくった元民主党政権に対しても、きちっと、温かい言葉の一つはあってもいいのではないかなと私自身は思っております。
二番目の意義というのは、後ほどまた話をしますけれども、日本経済というのは世界経済に完全にリンクしています。世界がよければ日本がいい、世界が悪いと日本も悪い、そういう状況なわけですけれども、今大臣がおっしゃったように、二十一世紀型の広域的な経済連携、そしてWTOが実質的に機能しなくなった中で、非常に国益が近いといいますか、利害を共有するような地域において、こういう広域的な枠組みをつくったことというのは、日本の国益にも資すると思っています。
三番目は、実は地政学的な、地域戦略的な意味合いが大きいということなんです。この点については、政府側からはなかなか言いづらいだろうというふうに思っていますので、後ほどのチャイナ・プラスワンとも絡めて、私の方からお話をさせてもらいたいというふうに思っているんですけれども。
御承知のとおり、中国が中心となって上海協力機構というものをつくっています。それは、ユーラシア大陸のほぼ全域を、まあヨーロッパ等を除いてですけれども、アジア地域におけるユーラシア大陸ほぼ全域をカバーするような枠組みになりつつあります。これはいわばランドパワー。
これに対して、TPPというのは、まさに環太平洋でもあって、シーパワーなんですよね。海洋帝国といいますか、シーパワーなんです。海洋の自由を模索するところは、当然ながら、貿易・投資の自由を模索してまいります。
一方、言いづらいですけれども、ロシアの昨今の大統領選挙のあり方、そして中国の習近平体制の長期政権化が予見されるような大会があったわけですけれども、そういう地域においては、かなり自由を束縛した形での、ある意味力によってまとめていこうとする、そういう傾向がある地域だというふうに思っています。
そういう意味でも、地政学的に、この上海協力機構を中心とするランドパワーに対して、自由な貿易、自由な投資を志向する、シーパワーであるTPP加盟諸国、この連携を強めることは極めて重要だということを申し上げたいと思います。
そして、大臣の方からもおっしゃっていただきましたが、私は、TPP11の今後ということについては、まず米国を迎え入れること。大臣もおっしゃいましたが、米国が離脱しながらも、日本を中心に11がまとまってしまったということで、トランプ大統領も、これは見直さざるを得ないと。中間選挙が終わったら、場合によっては、トランプ政権期での復帰もあり得るのかもしれないというふうに思っていますし、ポスト・トランプにおいては間違いなくTPPに加盟してくるだろうというふうに思っています。
それに加えて、大臣の方から指摘ありましたけれども、私、去年の外務委員会でも、コロンビアをAPECに入れろ、コロンビアをTPPに入れろということをずっと言ってきておりまして、このTPP11にコロンビアもぜひ迎え入れていただきたい。多くを語ると時間がなくなりますけれども。
日米関係を強化する、日米同盟を強化するというときに、日本の識者、有識者たちがとかく陥りがちなのは、すぐ太平洋上の日米を考えるんですけれども、アメリカの立場になって考えて、アメリカが、何をやってくれれば一番ありがたいか。
米国の外交官プロパーといいますか、米国から本国派遣の外交官が一番多いのは、実は二〇一〇年時点ではコロンビアでした。これは意外なんですけれども、私が聞いたところでは三千人。もちろんコロンビアは、麻薬あり、ゲリラあり、そして両脇に、反米を当時前面に押し出していたベネズエラ、チャベス政権があり、その横に、チャベスほどではないですけれども、やはりチャベスと連携をしているコレア・エクアドル政権があり、そういう中で、米州のまさにど真ん中、へそに当たるコロンビアが反米的な様相を呈してくると、今安定している米州が一挙に安全保障面でも流動化してくる可能性があるわけですよね。そういう意味で、アメリカもコロンビアを大変重視している。
そういうコロンビアという国を日米で一緒に支援をしていく。特にコロンビアの場合は、太平洋にも顔があり、カリブ海、大西洋にも顔がある国ですから、非常に日本にとって重要な国。そして、今言った環太平洋、トランスパシフィックを貫いていく意味でも非常に重要な国。ぜひ、政府にあっても、コロンビアの迎え入れというのをお願いしたいというふうに思っています。
もう一点、プラスアルファ、TPPの今後という私の持論があるんですが、それは次の質問をさせてもらってからにしたいと思いますが、日本政府として、RCEPという枠組みを、TPPと並行して、またほかの経済連携と並行して推し進めてまいりました。
今、TPP11、発効はまだでありますけれども、合意が成った。TPPとRCEP、この二つについて、日本政府としてどちらをより重視していくのか。当然、政府としてはどちらも大事だと言わざるを得ないんでしょうけれども、あえてそれでも、どちらが重要なんだという問いをさせてもらいたいと思います。
○小泉政府参考人 TPP11とRCEPという御質問でございました。
今、茂木大臣の方からも御答弁ございましたけれども、TPPにつきましては、言わずもがなでございますが、アジア太平洋におけるハイスタンダードな協定ということで、経済的のみならず戦略的な価値を持つということでございます。
RCEPにつきましては、TPPに参加をしておらない、例えば中国ですとかインドですとか、そういったところも含めた十六カ国が参加をする形で、これはTPPとはまたちょっと、微妙に違った枠組みの広域の経済連携でございます。世界人口の約五割、また貿易額でいうと約三割をカバーするものになります。したがって、経済的な意義は非常に大きいというふうに考えております。
どちらが大事かということでございますが、申しわけありませんが、恐らくどちらも大事ということで、まず順番からいって、TPPの方は署名が成りましたので、今、累次政府から御答弁申し上げておりますように、まずこの早期の発効に全力を尽くす。
同時に、RCEPにつきましても、ASEANを中心に、早期の交渉妥結についての機運が高まっております。
我が国は、三月三日、今月の頭でございますが、シンガポールで閣僚会合を行いまして、そこに世耕経産大臣が参加をされました。その際に、世耕大臣からは、市場のアクセス、あるいはルール分野、あるいは協力、こういったいろいろなバランスをとりながら、一定の質が確保されることを前提として、年内の妥結を目指すASEANを支持しますということで表明をされたところでございます。
したがいまして、TPPとできるだけ近いような形で、バランスのとれた包括的な質の高い協定を早期にということで目指していきたいというふうに考えております。
○吉良委員 その答弁に対する対応も、もう一問聞いた上で、私の方で発言させてもらいたいと思っております。
では、TPP11、そして将来アメリカも迎え入れたいという思いがあるTPPと、チャイナ・プラスワンとの関係についてはどうでしょうか。チャイナ・プラスワンをTPPの中でどう位置づけているのか。
○小泉政府参考人 委員御指摘のチャイナ・プラスワンと申しますのは、恐らく、一般的に、この手のTPPですとかRCEPとかの交渉事とは別に、ある企業が中国に投資をする、ただ、中国にのみ拠点を設けるのではちょっと不安だということで、別のところにも同時並行で拠点を置いた方がいいんじゃないか、そういう企業戦略のことを念頭におっしゃっているものと理解いたします。
その前提で申しますと、TPPにいたしましてもRCEPにいたしましても、企業の目から見ると恐らくいろいろなオプションの輪が広がっていくということだと思いますので、TPPも、あるいはRCEPにつきましても、でき上がった暁には、そういった企業のオプションを広げる、いろいろな形のバリューチェーンを構築するオプションが広がるという意味で、大いに意味があるんじゃないかなというふうに考えております。
○吉良委員 外務省というか、政府の立場であれば、TPP11もRCEPもどちらも大事ですという答えをせざるを得ないというのはもう承知しております。ただ、それでも、本音のところではどちらをより重視しなきゃいけないかというのは、口には出せないまでも、政府としては当然持っていてしかるべきであります。
TPP、先ほど、二十一世紀型のルール、新しいグローバルバリューチェーンの構築なんだというお話もありました。確かに、ルールという意味でも非常に重要なんですが、私はそれでも、投資、貿易において非常に重要だと思っています。
それで、その中にあっても、TPPのルールの中で何が一番重要か。私自身が思うところは、原産地規則完全累積制度、まあ、原産地累積制度と私は言っていますけれども、これが最も重要なんだと思っています。
つまり、一定の原産地に到達するまで、付加価値が、メード・イン・TPPという位置づけができる。日本でつくった主要部品とベトナムでつくった部品、それからマレーシアでつくった部品、これを合体して組み立てたならば、それぞれ、日本では一五%だったりベトナムでは二〇%であったり、本来それはバイのEPAの中では優遇を受けられなかったとしても、このTPP域内での財・サービスのやりとりにおいては、累積してトータルで一定の割合を満たすならばメード・イン・TPPとして認められる、これが非常に重要だと思っています。
大きく二つあって、一つは、とかく海外に物づくり産業が出ていく中で、日本で主要部品をつくったとしても、それが今言った累積の中でカウントされるということですね。そうすると、日本から外に出ていかなくてもメード・イン・TPPのメリットを享受できる。
それからもう一つは、ここが言いづらいだろうと思うところの核心なんですけれども、中国に対する牽制になるだろうというふうに思っています。
日本は、南米に引っ越しができない以上、中国とは必ず仲よくしていかなければいけない、敬意を持って中国とつき合っていかなければいけない、けれども、同時に、昨今の中国の動きを見る限りは警戒もしていかなければならない。
そういう中にあって、中国に投資をしようと思っていた企業が、まさにチャイナ・プラスワンということで、日本政府も東南アジアを中心にインフラ整備に努めている。中国に投資をしようと思っていた、でもリスクあるよな、また人件費が上がり始めたよな、そう思ったときに、じゃ、どこに代替地を選ぶか。そのときには、今言った原産地累積制度があり、広域的な枠組みがあるTPP参加国に、中国のかわりとして投資先を選ぼう、この傾向が強くなると思っています。ベトナムは明らかにそれを狙っている。
そういう意味で、私自身は、この原産地累積制度が極めて重要だし、TPPとチャイナ・プラスワン、この組合せというのは日本にとって、日本企業にとって極めて大きな意義を持つというふうに思っています。
そういう意味で、RCEPというのは、先ほど大臣もおっしゃられたように、二十一世紀型の高いレベルの協定がTPPであるとするならば、RCEPはそれよりもレベルが低いものにならざるを得ない。かつ中国が入る。今言った、中国については敬意も払わなきゃいけないけれども警戒もしなければいけないという中で、日本にとってよりリスクの少ないところに投資先を持っていけるというメリットがあるというふうに思っています。
そういう意味で、私自身の個人的見解も言うならば、先ほど言いました、中国も敬意は払っていかなければいけないので、RCEPの交渉は引き続いてやらなければいけない。中国もおり、韓国もおり、そしてインドもいますから、引き続いてやらなければいけないけれども、TPPとの比較においては、TPPをより重視していくということが大事だと思っています。
そして、今、安倍政権が掲げるインド太平洋戦略ということで鑑みまするならば、私の持論としてのTPPの今後というのは、トランス・パシフィック・アンド・インディアンオーシャン・パートナーシップとして、インドは巻き込んでいこう、インド、東南アジアはできる限り巻き込んでいこう、こういう、更に踏み込んで、WTOの代替になる、そして、日本のシーレーン防衛も含めた、さっき言った地政学的な国益も含めた枠組みに拡大していくべきだというふうに思っているところであります。
これについて、茂木大臣のコメント、外務管轄になるので深入りはできないというのは承知していますけれども、経済の司令塔でもありますので、大臣のコメントをいただければと思います。
○茂木国務大臣 吉良先生の方から大変壮大な構想を聞かせていただきまして、胸がわくわくする、こういう思いも持っているところであります。
先ほど来の御意見を伺っていて、民主党政権時代、特に野田政権でTPPを進めようとした、この事実はよく承知をいたしております。いろいろな困難があられたんだと思います。
さらには、当時でいいますと、このTPPというものが聖域なき関税撤廃につながるのではないかなということで、国内の説得等々も難しかった。そういった課題も踏まえて、我々としては、TPP参加ということを検討しまして、新しいしっかりした本部もつくって、国内対策も含めながら、さまざま国益にかなう形での交渉というのを進めて、まとめ上げてきた。
特に、先日の署名式におきましては、参加十一カ国、日本を除きます十カ国全てから、日本のリーダーシップがなかったら、アメリカの離脱後、このTPPをまとめることはできなかっただろう、こういう謝意、意見もいただきまして、しっかりやはり日本の責任というのを自覚しながら、早期発効に向けて取り組んでいきたい、こんなふうに思っております。
同時に、アジア太平洋地域というのを考えたときに、メキシコそしてペルー、チリが参加をする中で、コロンビア、太平洋同盟の国で参加をしていないわけでありますけれども、非常に関心を持たれているということは、全体をカバーする上でも極めて重要だと思っておりまして、南米大陸にあっても、かなりの国というのはアジア太平洋を向いているわけです。
例えば、署名式のあったチリを見てみますと、北は砂漠です。そして、一番南はもう氷の世界までいくわけでありまして、国土の長さでいいますと日本の二倍になってくる。そして、東に行こうとするとアンデス山脈に遮られまして、三本しか通る道がない。そうすると、やはり太平洋を見ているわけでありまして、やはりそういったこともグローバルに実感をしながら、この協定の拡大というものも考えていきたいと思っているところであります。
その上で、先ほど、バリューチェーン、そしてこのアジア太平洋地域に一つの大きな経済圏をつくるというお話を申し上げましたが、まさに、先生、原産地の累積のお話をしていただきましたが、それによって日本企業のオプションというのも広がるんだと思います。
これは、企業によっては、もっと海外展開したいと思うところもあると思いますし、マザー工場をちゃんと日本に置いて、そこの中の全体のオペレーションとして国際展開をしたい、いろいろな企業があると思うんですけれども、その企業戦略の自由度が間違いなく高まる、こういうものができていくのではないかな、そんなふうに思っているところであります。
その上で、TPPそれからRCEPの関係について申し上げますと、TPPは既に署名をいたしました。そして、非常にハイスタンダードでバランスのとれた協定であります。一方、RCEPの方は、中国であったりとか、さらにはASEANの途上国も含むという形でありまして、いかにこれを質の高いものにしていくかということが極めて重要であります。
このTPPで確立をしたハイスタンダードというものは、ほかの経済連携協定、これに対してもよい影響、チェーンリアクションというものを与えると考えておりまして、特にそれはRCEPについて一番チェーンリアクションというのは大きいのではないかな、こんなふうに考えております。
○吉良委員 ありがとうございます。
最近全く聞かなくなった言葉ですけれども、よく歴史上、どの国とどの国が同盟を結ぶ、もう一方で、同盟まではいかないけれども、協商、英露協商とか仏露協商とかありましたけれども、私は、TPPというのはそういう意味では協商に値するものなんだというふうに思っています。
それは、貿易・投資のみならずルールも含むということと、先ほど言いました、地政学的な、日本から見ればメリットもあるということで、そういう意味で、協商という位置づけで、より質、それから拡大に努めていただきたいと思っています。
次に移らせていただきますと、日本経済についてです。
茂木大臣、日本経済は好調なんでしょうか。まずそのことをお聞きします。
○茂木国務大臣 間違いなく改善をしている、このように考えております。
GDPで申し上げますと、私、二〇〇八年に金融担当大臣をやっておりまして、九月十五日、リーマン・ショックが起きるという中で、世界経済ががたんと落ち込む。日本経済もそうでありました。名目GDP五百兆円を切って、なかなかそれが戻らない中で、我々が政権に復帰をいたしまして、アベノミクス三本の矢を進めることによりまして、名目GDPも現在は過去最高の五百五十一兆円という形になっています。
同時に、例えば、この三月になりますと、高校生、大学生、なかなか就職の内定が出ないという方が以前はいたわけでありますが、この内定率も最高になってきている。御案内のとおり、直近の有効求人倍率一・五九という数字でありますから、一九七〇年代前半以来、四十四年ぶりの高水準ということになってきております。
もちろん、これから改善すべき点というのは当然あるわけでありますが、全体として、経済の規模の拡大であったり、さらには雇用そして所得環境、改善しているのは間違いないと考えております。
○吉良委員 好調なのかどうなのか、私自身、個人的にどう思うかというのは、悪くはなっていないけれども、安倍政権がアベノミクスの成果として強調するほどはよくなっていないというのが私の見解です。
お手元に資料を配らせてもらっていますけれども、最初の資料は、世界主要国の実質GDP成長率の推移です。これは恐らくどこも見たことがないと思うんですが、私がいろいろな資料を取り寄せて、しかもきっちりしたデータ、出どころははっきりしていますけれども、それからつくった資料であります。
これを見て一目瞭然でありますように、日本経済というのは、基本的に世界経済に完全にリンクしています。例外が幾つかあります。それを見たらわかるように、一九八〇年代の後半は、赤い太い線、日本が上で世界が下だということになっていますけれども、これは米国と世界でちょっと矢印が間違っていますが、これは、日本がバブルで、日本が世界の平均に比べて調子がよかった時期。そして、九〇年代に入って逆転しますけれども、これは日本のバブルの崩壊が影響したもの。九七年はアジア・ショックですね、そして〇九年のところにはリーマン。
日本経済の特徴として、さっき言ったバブルの生成、崩壊を除くと、ほとんどリンクしている。ただし、世界的なショックがあったときには、世界の標準よりも日本の落ち込みの方がはるかに大きいというのが日本経済の実態なんです。
特に、〇一年から〇五年ぐらいのところを見てください。これは、日本も世界も、BRICSも中国も米国もASEANも、全て右肩上がりなんです。ちょうどこれは小泉政権に重なるところです。戦後最長の景気だったと言われた時期は、実はこうやって、日本がよかったのみならずといいますか、世界がよかったから日本がよかったんです。
今、一一年以降を見てください。実はこれは、一一年から赤いところが右肩上がりになっています。この途中まで民主党政権です。実質成長率は民主党政権のときが上だったじゃないかとよく言います。これはあえて、私は民主党に属して民主党政権を担っていましたけれども、これも民主党政権の手柄じゃないんです。世界経済全体がリーマンから立ち直ろうとして、世界じゅうが金融緩和を含めて財政出動をして、世界じゅうが立ち直ろうとしたところにちょうど重なったからなんです。そして、今もその途上にあります。極端に言ったら、必要以上の金融緩和とかしなくても、世界経済がよくなれば日本経済がよくなるという、この連関があるんです。
そのことを指摘した上で、三ページ目を見ていただきたいと思います、一つ飛ばしてですね。
三ページ目は日本のGDPの推移をあらわしていますが、これは、左側でいうと、一番上が名目円ベース、赤が実質の円ベース、そしてブルーは米ドルベースなんです。本当は聞きたいところなんですけれども、もう時間がないので私の方から少し言わせていただくと、これを見ておわかりいただけるように、日本円では確かに伸びている、しかも研究開発をGDPの中に入れ込むということをしている、だから数字が大きくなっている。けれども、米ドルベースで見たときは、安倍政権になって物すごく大きく落ち込んで、今、少し回復はしています。
これは何を意味するのかといえば、海外の人から見れば、当然、米ドルベースでしか見ませんから、日本は一体どうしたの、何でこんなにGDPが落ち込んでいるのということになりますし、日本人が汗水垂らして働いた結果得られる付加価値、その対価である賃金というのは、世界ベースで見たら、ドルベースで見たら、大きく下がっていることを意味します。
一ドル八十円台だった、これで見ればドルベースのGDPがぐんと上がっているとき、この時期は円ベースとそれからドルベースが大きく乖離していないという時期でもあるんですけれども、これは日本企業が円高でも何とか耐えていくという体力を並々ならぬ努力によってつくった結果の数字だと私は思っているんです。
それは、先ほども言ったTPP、面でサプライチェーンをつくってきたから、バリューチェーンをつくってきたから、円高になったときには、今までここから調達していたけれども、この局面ではここから調達しようとか、ここで組み立てようとか、その辺の自由度が格段に増して、そして円高でも何とかしのいでいけるという体力をつくった証拠です。もちろん、耐えられなかった企業もある。
そこまで厳しい円高局面で耐えてきたからこそ、円安局面になったとき非常に楽になったことは確かです。ドルベースの収益を円に換算して、円ベースで大きく利益が上がったことも確かです。
けれども、きょうはもう時間がなくなったので、もう一回、茂木大臣、つき合ってもらえますかね。
これはどういうことかといいますと、先進国経済というのは、御承知のとおり、個人消費がエンジンです。もはや民間設備投資でもないです。そして、産業別でいうならば、製造業は、学校の点数でいうならば、もう合理化努力も含めて、競争力強化も含めて、百点満点でいったら九十点、九十五点とっているような産業です。これ以上頑張れと言っても、頑張りますけれども、それでも伸び代は五点、十点です。
一方、全国にある中小企業そしてサービス産業というのが、生産性の伸び代が物すごく高い。そして、それらを支える、購買しているのは誰かというと、一般の個人です。先進国は、個人消費がまさに成長のエンジンになる。
その中で、円安に振れた場合には、さっき言った、もう九十五点、九十点とっている企業にとっては非常に大きなメリットはあるんだけれども、一般庶民の生活者からしてみると、これは、輸入物価の上昇を含めて、可処分所得の減少を意味するんです。この可処分所得の減少がある中で、個人消費が伸びるわけがない。
二ページ目を見てください。
これは、基本的な経済指標で見る日本経済。一番下はマネーサプライ、マネタリーベースですが、安倍政権になってそれが右肩上がりになって、それにつれて、青色が株式時価総額ですけれども、これが伸びていることは確かです。だから、株価がよくなったというのを、経済がよくなったという理由によく使っていました。
でも、本当にそうなのかと見たときに、下の緑の色は、これは個人消費です、ほとんど横ばいなんです。そして、個人消費が六割強を占めるのがGDPですから、その上のオレンジのグラフも、これも伸びていないんです。
ですから、安倍政権、アベノミクスというのは、高度成長期、そして、その後、八〇年代を通じて、製造業を強くすれば日本経済がよくなるという過去の成功モデルをもう一度、今の成熟経済になった中でもやろうとしている。だけれども、結果が出ていないんです。円ベースではよくても、ドルベースではよくなっていないし。
そういう意味で、私は、細かい点はまた次回させてもらいますけれども、生活者の視点に立った経済に切りかえない限り、成熟社会、成熟経済の日本の成長はないというふうに思っています。
最後にこの点についての茂木大臣の見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○茂木国務大臣 確かに、個人消費を拡大するということは、経済成長にとって極めて重要であります。
我々は、アベノミクス三本の矢をとってきたわけでありますが、やはりデフレでありました。長いデフレから脱却をしないと個人消費も伸びないという意味で、大胆な金融緩和等々を進めさせていただきました。
同時に、消費者の皆さん、ないものは欲しがれないという定理があります。新しいものが出てこなければそれを欲しがれないということでありますから、いかに潜在成長率なりを上げてさまざまな新しい便利な価値を提供するか、こういったことも重要であります。
先生の方から、中小企業等々の生産性にはまだ伸び代がある、全く同じ意見を持っておりまして、今回の生産性革命の中でも、しっかりこういった問題にも取り組んでいきたいと思っております。
○吉良委員 終わります。また次回、もう少し細かく突っ込ませていただきますので、よろしくお願いします。
終わります。
○山際委員長 午前十一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時二十五分休憩
――――◇―――――
午前十一時三十分開議
○山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。寺田学君。
○寺田(学)委員 寺田です。
質疑時間をいただいてありがとうございます。そしてまた、長官の方は会見からお戻りになられてということで、本当によろしくお願いします。
余談というわけじゃないですが、私は、朝と夕方、長官が二回記者会見をするということ自体、正直、もちろん国会及び国民に対する説明責任を十分果たす上で、ちょっと、時代の変遷とともに変えていくべきじゃないかなと思います。報道官制度がいいのかどうか、いろいろありますけれども。いろいろ、今つらつら思っていたんですが、ちょうど総理のぶら下がり、あれも朝夕ありました。あれがなくなって約七年になります。私が官邸に勤めているときに、なくなるきっかけがありましたので、なくしましたけれども。
もちろん国民の皆さんに、特に今、時節柄、政府の説明が求められるタイミングではあると思いますので、十分そういう機会は確保しながら、ただ、長官みずからが朝と夕方、二回に及んでやるということ自体、重要なことではあるとは思うんですが、抱えられている責務を含め、任務を含めて、さまざま工夫の余地はあるのではないかなというふうに思います。これはひとり言で言っておきます。
きょう、森友の件をお伺いしますが、疑惑追及というよりは、一つ一つ、答弁をそろえていくというような形で質問を淡々としていきたいと思っています。
きのう、証人喚問がありましたけれども、やはり一年前の質疑の材料というものがさまざまな角度から議論をする土台になりましたので、細かいことを含めて、長官と、あと野上副長官の方にも淡々とお伺いをしたいというふうに思っています。
きのうの証人喚問について、長官の方は、それこそ記者会見の中でコメントしないというような話をされたので、全体的なことを、感想を今お伺いしても同じかなと思うんですが。
一点、きのうの証人喚問で気になったところは、他の先生方も言われていますが、御自身のこと及び財務省にかかわることに関しては、訴追のおそれがある、ないしは捜査を受けている段階なのでと言われましたけれども、官邸の関与及び昭恵夫人の関与に関しては、はっきりと、ないと断言をされました。
証人の中においては、捜査を受けている、話してはいけないこと、話さないことと、それとは、捜査とは関係ないという線引きをされているのかなというふうに思いましたけれども、逆に言うと、なぜ証人自身が捜査の対象自体をみずからの考え方で線を引いて答弁を変えているのかということも、あわせて、私は非常に疑問に思いました。
これはあえて長官にお伺いしますけれども、本件における捜査の対象というものは、政府の官房長官として、どの範囲というふうにお考えになられているのか、御答弁をいただけたらと思います。
○菅国務大臣 まず、記者会見については、大変御理解ある御提案を受けとめさせていただきますけれども、私自身も常日ごろ、やはりそこは考えておりますので、できる限り国民の皆さんに政府の情報を発信しながら、しかし、一日に二回というのは海外でも例を見ないということでありますので、そうしたことも含めてこれから検討をぜひさせていただきたいと思いますので、御理解を賜りたいというふうに思います。
きのうの証言、証人喚問の件でありますけれども、今委員から御指摘がありました捜査の対象の範囲について、これについて、政府が捜査機関にかかわることについて発言することは、やはり控えるべき事項だろうというふうに思います。
○寺田(学)委員 私もそう思うんですよね。
特に、佐川証人の場合においては、当事者と言っていいのかどうかわかりませんけれども、非常に関係性が深い方ですので、その方みずからが捜査の対象の線引きを自分の中で引きながら断定するところと答弁を拒否するところを分けるというのは、全くもって私は理解ができませんでした。その点だけは付記しておきます。
ここから淡々とお伺いしたいんですが、お手元の方に資料を一枚だけお配りをしました。これは事務所でつくったもので、各報道機関と、そしてまた政府の答弁を含めて、時系列的に並べたものです。右側に参予算とありますけれども、総理入りの予算委員会が開かれた日が丸であります。
この一連の書換え、改ざんの問題は、端緒というかきっかけは三月二日の朝日新聞の報道からでした。
長官にお伺いしますけれども、この朝日新聞の報道が、二種類の文書がある疑いというようなニュアンス、趣旨の記事でしたけれども、この二種類の文書がある疑いというものを長官自身が認知されたのはいつですか。
○菅国務大臣 私自身は、二日の日、朝日の報道を見ました。そして、今月の十一日に、財務省から文書の書換えについて報告を受けて、事実を確認をしました。二日の時点で、そもそもそれがどのような決裁に係る記事だとか、あるいは決裁文書に何が記載されているか、正直言って、こういうものがわかっておりませんでした。秘書官経由で財務省に確認したところ、その件については捜査が行われており、全面的に捜査に協力をしている、そういうことでありました。
また、午前の閣議後の記者会見で、予算委員会の質疑について財務大臣から、捜査に全面的に協力している段階であり、捜査にどのような影響を与えるかということについて予見しがたいためコメントは控えたい、こういう発言がありまして、私も午前の記者会見ではそのように申し上げました。
いずれにしろ、私自身は、二日の時点では決裁文書に何が記載されているのか全くわかっていなかったということです。
○寺田(学)委員 細かく確認します。
二種類の文書がある疑いという報道がありました。二日の日です。その疑いがあること自体は、二日の朝刊をごらんになられて官房長官としては認知をされたんですか。確認です。
○菅国務大臣 その二日の朝刊を見てということであります。
○寺田(学)委員 それより前に二種類がある疑いがある、そういうようなことを何かしら認知されたことは、疑いですよ、確認は十一日ですから、疑いがあることを認知されたことはありませんか。
○菅国務大臣 ありません。
○寺田(学)委員 副長官にもお伺いしたいんですが、同じように、二種類の文書がある疑いということに関して認知されたのはいつですか。
○野上内閣官房副長官 お答えを申し上げます。
私も二日でございます。
○寺田(学)委員 時系列を進めていくんですが、次のトピックが五日になります。これは事後的に明らかにされたことですけれども、国交省の方から、二種類の疑いがあるという流れの中で、書換え前のものと思われるものがありますということが、国交省から杉田官房副長官の方に連絡が行ったということを、十二日の後に石井大臣の方が明らかにされました。
長官としていろいろお話をされているので、その確認は改めてしませんけれども、この杉田氏が報告を受けた、国交省が持っている書換え前と思われる文書を十一日より前にごらんになられましたか。
○菅国務大臣 そうした動きがあるということの報告を得たのが六日で、私、杉田副長官から受けました。そして、報告を受けたのみであって、文書そのものについて見ておりませんし、説明も受けておりません。
ただ、その時点において、杉田副長官から国交省に対しては、全面的に財務省に協力するように、財務省も徹底して調査するように、そういう指示をしたということでありました。
○寺田(学)委員 政権にとって、結局のところ証人喚問まで行きましたし、これからもまだ議論は続くと思いますけれども、いわゆる書換え、言い方によっては改ざんの疑いという、本当に、自民党の先生方でも言われていましたけれども、史上最大級の出来事だと言われている問題に対して、長官、その国交省の書類というか、国交省が持っている二つの書換え前と思われる文書をごらんになられなかったんですか。
○菅国務大臣 見ておりませんでした。
○寺田(学)委員 見なかった理由は何ですか。
○菅国務大臣 副長官の方から、可能性があるという形で、そこについて徹底調査をしている、そしてまた、これは財務省においても、国会で、調査をしている、そういうことでありましたので、私自身は見ることはしませんでした。
○寺田(学)委員 副長官にもお伺いしたいんですが、長官が報告を受けたことの時系列は、報道等及び会見等で明らかになっております。六日の日に杉田官房副長官からお話を受けたということでした。
副長官として、いつ国交省から書換え前のものと思われる文書があるという事実を認知されたんですか。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
私自身も、そうした動きがあることにつきましては、六日火曜日に杉田副長官から報告を受けたということでございます。
○寺田(学)委員 重ねてお伺いしますが、六日の日にどのような形で御報告を受けたんですか。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
杉田副長官から、三月五日、国土交通省から杉田副長官に対しまして、森友関係の財務省の文書の一部が国交省に保存されており、その文書は書換え前のものである可能性がある、このような報告を受けました。
○寺田(学)委員 内容はわかりましたが、どこで、いつごろ、どなたが同席される中でお話を受けたんですか。長官の方はお電話で受けたというふうに私は聞いていますけれども、副長官はいかがですか。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
火曜日に官邸で直接……(寺田(学)委員「火曜日、六日」と呼ぶ)ええ、六日火曜日に直接官邸で受けました。
○寺田(学)委員 では、長官、ちょっと事実をお伺いしたいんですが、いろいろ調べている中で、ささいなことかもしれませんが、確認をされていないのであえて確認したいんですが、この国交省が持っていた書換え前と思われる文書、二通、二つだと思いますけれども、それと十一日の日に財務省が書換えがありましたといって公表したもの、重なり合う部分はあると思うんですが、この国交省が五日の日に官邸側に報告をしてきた疑いのあるものと、財務省が最終的に結果を出したその書換え前のものというものは、同一のものでしたか。
○菅国務大臣 私は、財務省から十一日に書換えがあったというその部分については見させてもらいましたけれども、国交省のものについては承知をしておりませんでした。ただ、報告では、同じものという報告だったと思います。
○寺田(学)委員 可能性として一つ一つ潰さなきゃいけないので、あえて聞いているんです。
国交省が五日の日に書換え前と思われるものとして出してきたものと、十一日の日に財務省が書換え前のものとして出したものが違うのであれば、三種類の書類になるわけですね、書換え後のものと十一日の財務省のものと国交省のもの。長官自身が、五日の日に国交省から言われた、その書換え前と思われるもの自体をごらんになられていないので。それと、最終的な報告の物自体が一緒なのかどうかということの確認をしたかったんですね。同じものだったということでいいんですか。
いわば、言い方をかえると、国交省が疑いがあると言ってきたものは、疑いが、調べていった結果、疑いのとおりだった、書換えの前のものそのものであったということでよろしいですか。
○菅国務大臣 六日の日に報告を受けたときも、いわゆるその書類については、これは官邸に来ていなかったというふうに思います。そのまま、杉田副長官から、国交省に対して財務省の調査に協力をするように、そういう指示で、財務省に対しても徹底して行うように、そういう指示をしたという報告を私、六日の日に実は受けたということであります。
それで、その中で、そのときに文書というのはなかったというふうに思います。
○寺田(学)委員 本当は、私、杉田副長官に来ていただきたかったんですが、国会の慣例上、杉田副長官は来られることがないということ、決まりがあるものですから、かわりに同じ副長官の方か上司であられる長官に聞くのも申しわけないんですけれども。
今ちょっとお話をされた、官邸にその国交省の書換え前と思われるものは来ていないという御答弁をされましたけれども、官邸自体にも来ていないんですよね。では、杉田副長官も現物を見ていないんですね。
○菅国務大臣 これは私の推測ですけれども、多分ごらんになっていないのかなというふうに思います。
報告を受けて、すぐ財務省と国交省に指示をして、それに類似するものがあるかどうかということを調べさせている、そういうことでありました。
○寺田(学)委員 今回の質問の趣旨なんですが、この森友の問題は、一義的には財務省とはいいながら、政権全体にとって大きな問題ですから、それは農水省なのか、ほかの省がどうかかわったかというより、まあ、そこは余り強い関心はないですが、まさしく官邸としてどのようにこの問題に向き合っていたのかということを知りたいんです。
その物すごく重要な、政府の内部が持っている書換え前と思われる文書を長官は見ていない、連絡を受けた杉田副長官もその現物を見ていないという状態が、果たして官邸の危機管理としては正しいんですかね。
もちろん、官邸として、現場に対してちゃんと調べなさいと指示するのはいいですよ。ただ、こういうものがあるそうですと、物すごく大きな情報じゃないですか。外部の報道ではなくて、内部から来た話です。その現物をもって、国交省自体は財務省にコピーを送っているわけですよね、五日の日の午後に。杉田副長官にそれを送っていないんですかね。
私は、ちょっとそこは、確認が必要であれば確認をした上で御報告いただきたいと思いますが、長官、いかがですか。
○菅国務大臣 私は、その点については確認はしておりません。
ただ、その報告を受けた時点において、杉田副長官から、先ほど来申し上げていますけれども、国交省に対しては財務省に協力するように、財務省にも徹底して調べるように、そういう指示を出されたと、そこの報告であります。
○寺田(学)委員 私も十五年になりますけれども、いろいろな政権を見てきたし、自分も政権の中に入って仕事をしたときがありますが、五年、第二次安倍政権が続く中で、やはり危機管理という問題に対しては、長官が中心になりながら、是非はいろいろありますけれども、さまざまマネジメントされて乗り越えられている結果がこれだと思うので、ある種、畏怖の念を持っている部分もあります。
ただ、今回のこのストーリーに関して言うと、余りにも官邸側が距離を置いているというか、積極的にコミットをしているような雰囲気がないんですよね。それが非常に、事実関係どうなっているんだろうということで、淡々と今聞いているんです。
もう一点、時系列的なことに戻りますけれども、国交省から、疑いがある、書換え前の文書がありますという報告を五日に副長官が受け、六日に長官と総理にお話をされたということです。前の他の委員会の質疑にありましたが、当の麻生大臣は、この国交省の文書、書換え前と思われる文書の存在、それ自体を知ったのが十一日だったというんですね。それまでには聞いていないと。本当ですかね、これ。
矢野官房長も含め、いや、事実を確認してから上に上げるのが役人の務めですと一つのお話をされていますが、そこはそこの一つの議論はあるでしょう。ただ、私は長官にお伺いしたいのは、これほど大きな問題ですよ。六日の日に長官が知ってから十一日の間に、平日五日挟んでいます。閣議の場、それ以外の場、さんざん麻生さんとお会いする機会はあったと思いますし、会わなくてもお電話でお話しする機会はあったと思うんですが、麻生大臣に対して、この国交省の問題どう思うと、そういう話をされていないんですか、一切、五日間。
○菅国務大臣 その話はしていません。
ただ、財務大臣も、調査に全力を挙げるようにという財務省に対して指示をし、そして、ずっとこの委員会だったというふうに思います。
ただ、いずれにしろ、そうした、この文書については、徹底して財務省の中で、二種類目かどうかというのに、調査に全力を挙げて、そこは確認できなかったということだったと思います。
○寺田(学)委員 最後、答弁、違う話になっていますけれども。
いずれにせよ、五日間の間に、この件について国交省が、政府内ですよ、書換え前のものがあると、書換え前のものがあると報道を受けて一生懸命調査している財務省のトップの大臣が、総理も長官も知っているこの国交省からの通報に対して、知らなかったというのは余りにも話が理解しがたいものがありますし、その危機管理を任されている長官自身が、この件に関し五日間もの間、担当の麻生大臣、言い方をかえると副総理ですよ、ある種官邸の中の人間ですよ、その方とこの件について話していないというのは、にわかに信じられません。
何にも話していないんですか。
○菅国務大臣 私が話していないというのは、先ほどのとおりであります。
その際、財務省においては、まず確認を行うべく、職員の聞き取りや徹底した文書の調査、そうしたものをみずから行っていたということです。そしてその上で、確認できなかったものですから、九日に検察当局に協力を依頼して、そこで最終的に書換え前の文書の確認に至ったということです。そして、十日未明になって実際に文書の写しが本省に届いて、十二日に国会に報告するようになるわけですけれども。
いずれにしろ、十日未明に実際の写しがあって、そこは違うということを確認した上で大臣に上げたんだろうと思います。
○寺田(学)委員 副長官に質問を移す前に、最後、長官に一個だけ。
先ほどちょっと、一回御答弁されながら、もう一回聞いたときに曖昧になったので、もう一回確認しますが、五日の日に国交省から書換え前と思われるものと、十一日の最終報告で書換え前のもの、この書類は同一のものであったということでよろしいですか。
○菅国務大臣 私はそのように理解をしています。
○寺田(学)委員 副長官の方にお伺いしますけれども、十一日より前に、国交省から報告を受けた書換え前と思われるものの書類をごらんになられたときはありますか。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
私自身、財務省の書換えについて、財務省から報告を受けましたのは十二日の月曜日でございます。その前には見たことがございません。
○寺田(学)委員 国会対応の方に話は移るんですが、私も官邸の端っこで働いたときがありますので、大体の、今までの慣例的なことはわかるんですが、参議院の国会対応は参議院の副長官が任されている、官邸側として担当されているということは、ずっと、政権がさまざまかわったとしても同じような役割を担っていると思います。
副長官自身は報告を六日に、副長官から国交省の報告については話を受けて、その上で国会対応に臨み続けられていると思うんですが、総理が委員会に出られるときに、必ず朝、副長官として総理答弁レクに入られていると思います、総理動静でも確認をしていますけれども。副長官が入られている理由は何ですか。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
内閣官房は、内閣の首長としての内閣総理大臣の職務を直接に補佐する機能を担っております。内閣官房長官は内閣官房の事務を統括し、内閣官房副長官は、その内閣官房長官の職務を助け、命を受けて、内閣官房の事務をつかさどることとされております。
内閣官房副長官は、そのような立場から答弁レクに同席を行っているものであります。
○寺田(学)委員 それで、もう一個聞きたいんですけれども。
副長官自身は、国交省に書換え前と疑われる書類があることを知った上で、八日の日の予算委員会を迎えられていますよね。いろいろなところで、長官や総理の方にはこのことについて聞かれていますが、ある種、副長官は御存じの上で朝の答弁レクにも臨まれているわけですよね。そのときには、そこにいらっしゃる総理も含め、副長官も含め、国交省の書類の件を知っているわけですよね。その上で、全く関係のない、それとは違う書類を理事会の方には提出されましたよね。その理由は何ですか。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
予算委員会理事会からの要請につきましては、近畿財務局に保管されている決裁文書の写しを提出せよということであったため、それまでに提出していた文書と同じものでありましたが、要請に従って、財務省において提出させていただいたものと承知をいたしております。
○寺田(学)委員 朝の打合せの段階で、国交省の件をどなたかと相談をされましたか。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
朝の打合せの段階で、国交省の件について誰かと相談したということはなかったと思います。
○寺田(学)委員 政府内に、先ほどの長官の答弁をかりれば、結果的に書換え前のものであったことが政府内で報告されているにもかかわらず、それを、隠すという主観的な言い方はしませんけれども、触れることなく進めたことは、私はとても不誠実だと思います。
もう一点お伺いしたいのが、総理答弁をやる上で、もちろん、きょうの私の質疑もそうですけれども、官邸側に聞く場合は、いわゆる総務官室、内総の方で質問を受けながら、割り振って、各省の方で質問をつくりながらやります。その仕組みは変わっていないと思いますが、いわゆる政治案件は、作成せずといって、役所側で作成できなくて、作成しないものがあります。それぞれ政権によってつくり方は違うと思うんですが、役所がつくらない以上、誰かがつくります。民主党政権のときには、専門調査員という方々がある種ベースになりながらつくっていた部分はありますけれども。
副長官にお伺いしたいんですが、いわゆる作成せずという政治案件の答弁案は誰が書くんですか。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
今お話ございましたとおり、総理答弁につきましては、通告があった質問の内容等に応じて所管省庁において作成しているわけでございますが、どの省庁にも割り当てることができない答弁につきましては、これは総理秘書官において対応し、その上で、総理みずからの意思で答弁をされているということであります。
○寺田(学)委員 総理秘書官はたくさんいらっしゃいますけれども、いわゆる政治案件について答弁作成の任を担われているのはどなたですか。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
これは、その案件案件につきまして、秘書官の中で調整するということになります。
○寺田(学)委員 官邸にいらっしゃるのでわかると思いますし、私もいたのでわかりますけれども、各省から上がってこられる秘書官の方と政務秘書官といらっしゃいますが、各省から上がってこられた方々が政治的な答弁を書かれるんですか。副長官、どうですか。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
各省に割り振ることができない答弁、たくさんありますので、それについて、案件ごとに秘書官で割り振ってやるということになります。
○寺田(学)委員 いや、別に、何も疑惑があって追及しているわけじゃないんですよ。答弁作成の仕組みを聞いているだけで、政務秘書官の今井さんが、マル政治、いわゆる政治案件、作成せずで上がってきたものの政治案件は書かれているということでよろしいですか。間違っていたら訂正してください。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
これは、どの省庁にも割り当てることができないものは、当然、その政治案件のものも含まれるわけでありますが、それを誰か一人が担っているということではなくて、案件に応じてそれは振り分けられるということになります。
○寺田(学)委員 政治の案件は誰が担当ですか。
御存じと思いますけれども、理財局がつくっている、理財局、違う例えがいいかもしれませんね、外務省及び外交案件にかかわるものは、最終的には、それは外務省から来ている総理秘書官が答弁作成の、ある種、窓口の主任みたいなものですよ。総理と向き合いますよ。
ただ、政治案件ですよ。政治案件に関して、各省から上がってきている人たちが答弁書を書くんですか。それは政務秘書官ですよ。だからといって、直ちに何かにつながっているわけじゃないんですよ。答弁作成の仕組みを聞いているだけです。
政治案件に関しては、政務秘書官が書かれているんですよね。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
政治案件につきましても、今申し上げていますとおり、それは各秘書官で割り振るということになります。
○寺田(学)委員 総理の進退を問うような、及び安倍昭恵さんの動向を問うようなものを各省から来ている秘書官が書くんですか。
○菅国務大臣 総理秘書官というのは特別職になっているんです。
それで、総理の秘書官は皆長い方、官房長官のときの秘書官等ありますので、そういう中で最終的に総理が判断をする、そうなると思います。
○寺田(学)委員 答弁自体をどう答弁するか最終的に決めるのは、まさしく答弁される総理だと思いますが、起案し整える、その担当は誰ですか。
基本的に、事実関係であれば各省庁に投げると思いますが、政治案件ですから、もちろん、非常に政治的なので、最終的にどう答えるかはまさしく政治家側が決めるとは思うんですけれども、それの起案をしますよね。政治的な質問に関して全く何の答弁案もつくらないということはあり得ないと思います。総理みずからが書かれることもないと思います。基本的には、何かしらの答弁案が出てきた上で、それをどう話すかということを最終的に決められる、その話を今長官はされたと思うんですけれども。
もう一度、総理秘書官の方が書かれるとまでは副長官はおっしゃられたので、政治案件に関して今井秘書官が書かれている、そういう事実は間違いですか。間違いだったら訂正してください。
○野上内閣官房副長官 お答え申し上げます。
当然、今井秘書官も書かれるときはありますし、それは、案件によって、政治案件もいろいろありますので、案件によって割り振られているところであります。
○寺田(学)委員 案件によっては政務秘書官の方が書かれる、基本的に、多分、より政治度が高まれば高まるほど、その肩書どおり、政務の秘書官が書かれるんだと思います。私は、それは何らやましいことではないし、当たり前の役回りだと思っていますので、そこは今御整理されたとおりだと思います。
時間が少なくなったので、もう一点、この中の経緯において疑問に思うことは、佐川国税庁長官、おやめになられましたけれども、そのやめられる経緯です。
もちろん、国税庁自体は財務省の中の話ですので、財務大臣がということはありますが、いわゆる内閣人事局をもって幹部人事の一元的な運用をされていますので、それこそ人事局の責任者である杉田副長官にお話を聞きたいんですが、聞けませんので、その副長官の上司たる長官にお伺いしたいんです。
解せないんですけれども、なぜ十二日という最終報告日ではなく、九日という前段階でおやめになることをお認めになったのかがわからないんです。なぜ十二日ではなく、九日に辞任されたんですかね。
○菅国務大臣 佐川前国税庁長官の退職については、三月九日金曜日に任命権者である財務大臣から任免協議があり、さらに、内閣の承認を得て、同日中に退職を認めたものであります。
私は、そうしたプロセスの過程で、退職の申出があったことを承知しました。
これは、財務省の説明によれば、佐川前長官が退職を申し出たのは三月九日の朝であったということですけれども、書換えに関する調査結果を待たず、その日のうちに退職させた理由については、これまで国会審議において任命権者である麻生財務大臣が答弁をしておりますけれども、財務大臣は、本人が退職したいという意向ならば、それ以上国税庁長官の重責を担わせるわけにはいかない、このように判断をされたということであります。
○寺田(学)委員 主観的な話になりますが、そういう方を何カ月も引っ張るのは、確かに麻生大臣の言うことも一理わかりますけれども、週をまたいだ九日と十二日の違いですよ。それをなぜ十二日を待たず、九日の日に、今の答弁をおかりすると、内閣は辞任を承認したのかがわからないんです。
十二日の日に最終報告があるので、まあ十一日の日にしていますけれども、その上で、もちろん佐川氏本人がかかわったか、かかわっていないかは別として、その佐川氏が言われている国会の混乱を招いた、その後も相当なことになっていますけれども、その責めを負って辞任したいということであれば、十二日という方が私は妥当に思えるんですが、なぜ十一日に調査結果が出るにもかかわらず、二日前にやめることを内閣は承認したのかということの御答弁をお願いします。
○菅国務大臣 今申し上げましたとおり、九日に任命権者である財務大臣から任免協議があって、内閣の承認を得て、同日中に退職を認めたものであります。
麻生副総理は、これまで国会審議の中で、本人が退職したいという意向ならば、それ以上国税庁長官の重責を担わせるわけにはいかないという判断だった、そのように承知をいたしております。
○寺田(学)委員 最後の一問になりますけれども、これはちょっと、通告をしていないので直ちに答えられないかもしれませんが、長官が空白になってもう一カ月近くたとうとしております。もちろん、ナンバーツーの方が何かしらの役割を担われているのかもしれませんが、国税庁長官が不在の期間というのをどれぐらい続けられるのか、お考えがあれば、通告していませんので、そこは御答弁に苦慮される部分はあるかもしれませんが、御答弁いただいて質疑を終わりたいと思います。
○菅国務大臣 次長が代行しておりますけれども、その期間についていつまでかということは承知をしておりません。
○寺田(学)委員 以上にて質問を終わります。
○山際委員長 午後四時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時九分休憩
――――◇―――――
午後四時三十分開議
○山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。篠原豪君。
○篠原(豪)委員 篠原豪でございます。よろしくお願いします。
きのう、国民の皆さんが見ている中で、佐川前財務省理財局長、前国税庁長官の証人喚問がありました。
誰が何のために公文書を改ざんしたのか、そして、刑事訴追を理由に、改ざんの有無を含め言及することを全て否定してきたということがわかったんですけれども、安倍総理を含む官邸、安倍昭恵総理夫人、麻生財務大臣の関与ははっきり、全くなかったと断定する、予想どおりの異様な答弁だったと思います。
理財局のみが改ざんにかかわったとしながら、みずからの関与にさえ触れないということで、まるで説得性のない証言だったと思います。みずからの関与に触れないで、なぜそれが言えるのかということでありますので、私はそういうふうに思いました。
更に言えば、政権も理財局長も、これは佐川前局長と一部職員のみに責任を押しつけて、そして幕引きを図ろうとしている状況下に、まさに佐川前局長がそのシナリオどおりに演出したというふうに見ている人たちもいて、何とも哀れに思えて同情を禁じ得ませんというような有権者の話もありました。
議論を変な方向に行かせてはいけないと思っていますので、やはり森友学園の構図は何なのかということをもう一度申し上げれば、これは極めて単純だと考えています。必要な財政基盤がなかった森友学園に、財務省が前例のない異例な対応を重ねて、国民の財産である国有地を九割引き、それも十年分割で売却したことが、去年の二月に公になってしまった。
ですので、それを正当化するために、財務省は、一年未満の保存規則を根拠に、これは公文書管理委員会の先生もおっしゃっていましたけれども、よもや、この一年未満の保存規則の細則というところを利用して、全部、歴史文書じゃないからそこに放り込んでしまえというのは異常だというふうに言っています。その考え方自体が、公文書を管理して、そして保存するという精神からすれば。
これは、なぜかといえば、公文書というのは、皆さんも御承知のように、まさに健全な民主主義を支える根幹であって、国民主権の理念にのっとって、そして後世への、本当に、後世に説明を果たす責務を全うする。そのために公文書というのはあって、民主主義の根幹なんです。ですので、これだけの問題になっているということだと思いますが、これは、梶山大臣も、所管の大臣でありますから、そのとおりだというふうに思っていらっしゃると思いますが、それは後ほど伺いますけれども。そういう当たり前の話である。
それを正当化するために、一年未満の保存規則というところを使って、売買交渉文書を処分し、さらには保存期間の長い決裁文書を改ざんしたということが今回の問題です。
前例のない事件だと私は思うんですよ。財務省は、今月の十二日に、森友学園との国有地の取引に関する決裁文書の改ざんが十四件あったことを認める調査報告を国会に提出しました。しかし、その後も、決裁文書の添付書類の資料が抜き取られたことも発覚しているところを見ると、どうもこうした、まあ、申しわけないですけれども、国会を欺くために公文書の改ざんが日常的に行われていたんではないかと思うわけです、もう一年間やっているわけですから。
そこで、財務省にまず伺います。
財務省では、公文書の改ざんは常態的に行われているのかどうか、確認します。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
決裁文書を書き換えるというようなことはあってはならないことでありまして、深くおわびを申し上げなければならない事態であると強く認識をしております。
その上で、今委員御指摘の点でございますが、財務省においてこのようなことが日常的に行われているとは全く考えておりません。実際に、今回の事案のように、決裁を経た文書を事後的に大幅に書き換えたようなケースは、過去に財務省として把握していないというふうに承知をしております。
○篠原(豪)委員 ちなみに、理財局は、今、富山次長がいらしていただいていますけれども、富山次長は、今までこういうことを経験したことというのはあるんですか。決裁文書、判こを押したものに対してですね。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
私の経験ということで御質問でございますが、通常、決裁をいたしますと、その役職役職で決裁をしてまいりますので、そういった意味で、上司の最終的な決裁も当然ある中で、公務員として決裁をしてきたという中でございます。
通常は、決裁が終わりますと、その決裁文書を改めて見るというような取扱いは、余り日常の業務上はございませんで、仮にそういう必要性があった場合には、決裁文書をコピーなりをして手元に置いて職務を遂行するということでございますので、いわゆる原本に当たるものについては、基本的には当然保存されたままという状況でございます。
○篠原(豪)委員 はい、わかりました。ですので、ないんですよ、ふだんはね。
もし、今回のこの事件の重大性をどう認識されているかということが、その前に、じゃあ梶山大臣、ほかにこういう公文書改ざんがされたという事例というのは把握していますか。
○梶山国務大臣 今回の事案については、行政機関の意思決定の基礎となる決裁文書について書換えが行われたことは、公文書への信頼、そして行政全体への信頼を損なう行為であり、極めて重く受けとめております。
公文書の改ざんという観点での調査は実施はしておりませんけれども、既に検証、公表が行われた、そして関係者の処分も行われている事案でありますけれども、平成二十六年に、決裁完了後に決裁文書の修正を行ったものが一件あったことを把握しております。
具体的には、入札に関する仕様書等について、決裁権者の了解を得ることなく、決裁完了後に仕様書等を修正したものということで、当該事案では、決裁文書の修正に加えて、仕様書等を公示前に事業者に提示する等のさまざまな不適切な行為があり、申し上げたとおり、当該行政機関において検証及びその結果の公表を行い、関係者に対しては懲戒処分が行われているものと承知をしております。
○篠原(豪)委員 はい、わかりました。一件把握していて、それはまずかったということで懲戒処分をしてきているということですね。わかりました。
そうすると、やはり懲戒処分になるというのは、それは正直、ただでは済まないということなわけですよ。もしそうしたことをすれば、言いかえれば、国家公務員の皆さんが公文書を意図的に改ざんをする、そのことをやってしまえばただで済まないということぐらいは公務員の皆さんはわかっていらっしゃいますし、理財局の皆さんは、まあ、言い方はわからないですけれども、それこそエリート中のエリートの、官僚の中の、本当に皆さんはすごい方々だというふうに伺っています。そういった皆さんが、誰しもが常識的にわかっていることをやると考えることが、これは何でこんなことが起きたと思うんですけれども。
これは財務省さんに伺いますが、財務省の職員さんは、通常、決裁文書の改ざんは、やれば刑法上の責任を負い、そして今言ったような大変重たいことになるということを、共通認識を持っているのか。改ざんをすればどういうことが起きるかということも想像できているのかどうか、教えてください。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
財務省におきましては、決裁した内容に仮に変更が必要だという場合には、決裁終了後の行政文書を修正するのではなく、新たに決裁をとり直すということは、当然職員間の共通の認識だと思っております。
その上で、今委員の御指摘の点でございますが、そうしたルールがあるということを認識しているということで考えますと、仮にそれに反したことをした場合には何らかの処分等ということがあるということは、当然そういったことを想定して業務を行っているというところであります。
○篠原(豪)委員 もう一つ聞きますけれども、刑法上の責務を負う可能性があるということも認識をしているかということを伺います。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
今、私は処分等と申し上げましたが、その内容によっては、これはまた行政の判断だけではないというところもあろうかと思いますが、そういったことも当然想定されるという認識だと思っております。
○篠原(豪)委員 そうしたら、法務省に伺います。
公文書を改ざんすると、通常どのような刑法上の責務を負う可能性があると考えているか、具体的にお伝えいただければと思います。
○加藤政府参考人 お答えを申し上げます。
犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断される事柄でございますので、何罪が成立するかといった御質問には、お答えは差し控えさせていただきます。
○篠原(豪)委員 公文書を改ざんすると、いろいろ考えられるとは思うんですよ。
では、わかりました。今回の森友事件では、どのような、聞き方を変えますよ、どのような告発が受理されているかということ、それは教えていただけますか。
○加藤政府参考人 お答えを申し上げます。
どのような告発が受理されているかといった御質問でございますが、それは捜査機関の活動にかかわる御質問でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。
ただ、今回の森友事件とおっしゃっている範囲も、どの範囲をおっしゃっておられるのかがちょっと定かでございませんので、その観点からも差し控えさせていただきます。
○篠原(豪)委員 今、告発をされていて、受理をされているものがあるかどうか、事件の内容も言えないということは、それはないと思いますよ。公に受理しているわけですから。例えば背任であるとか。
もう一度伺います。
○加藤政府参考人 お答えを申し上げます。
ただいま、背任という御指摘がございました。それでございますと、大阪地検におきまして、昭和二十九年四月五日に、財務省近畿財務局職員らに対する……(篠原(豪)委員「平成」と呼ぶ)失礼いたしました、平成二十九年でございます。平成二十九年四月五日に、財務省近畿財務局職員らに対する大阪府豊中市内の国有地売却に係る背任事件について告発を受理しております。
そのほか、同年七月二十八日に、財務省近畿財務局職員らに対する大阪府豊中市内の国有地売却に関する背任事件及び交渉記録の廃棄等に係る証拠隠滅、証拠隠滅教唆の事件について告発を受理しております。
さらに、東京地検が同年九月十五日に告発を受理いたしました前財務省理財局長らに対する公用文書毀棄事件について移送を受けて、これらの事件について現在捜査中であるものと承知をしておりますが、それ以上の具体的内容にかかわる事柄についてはお答えを差し控えさせていただきます。
○篠原(豪)委員 一回で答えていただければ。事実ですから、別にそんなきついことを言うつもりはないので。教えていただいてありがとうございます。
ですので、これだけの、事実として大変なことになって、今、捜査が始まっているということですよ。
何でお役人の皆さんが、これだけのことが起きて、皆さん認識しているわけです。これは懲戒処分にもなるし、刑法上の責務を負うかもしれないということをわかっているにもかかわらず、これだけ、十四件、三百カ所にわたって、これは私は確定したものとは今思っていませんけれども、こういう中において、役人の皆さんが、一文の得にもならないことをエリート官僚中のエリートの方々が大規模にやっているわけです。一カ所、一人じゃなくて。
なぜ森友学園のためにやったのか。普通の公務員さんが進んでやることはあり得ない話なんです。私はほかの省庁にも聞きましたけれども、ないと聞きましたよ。ないんですって。
ちなみに、地方でも公務員さんに聞いてみました。横浜で、地方の公務員さんに聞きましたけれども、やはり横浜でもそういうことはないそうであります。ですので、もうびっくりだということなんですけれども。
財務省は、これだけの件を、今どういう、佐川前局長から森友問題について引継ぎがなされたのかというところ、ちょっと、どういう引継ぎが行われたのか、森友全般にわたって、財務省の中でどういう引継ぎがあったのかということを教えてください。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
佐川前理財局長は、局長という立場でございましたので、通常、後任の局長に引継ぎをするということでございます。そういった意味で、新旧局長の引継ぎにつきましては、三月二十六日月曜日の参議院予算委員会におきまして、太田現局長より答弁をしておりますので、その内容をちょっと申し上げたいと思います。
基本的には、引継ぎというものは、私も三十何年この仕事をやらせていただいていて、引き継ぐお相手もよく存じ上げている方が多いので、基本的には、まあ森友学園が大変な議論になっているというのは当然に、理財局長になる前からよくよく、財務省の職員でしたから承知をしておりましたし、そういう意味での基礎知識があった上でということであったと思いますが、基本的には、ある一定のポストになると、部下職員もたくさんいてくれるので、基本的には部下職員から全部レクを受けるというのが仕事の内容の事実上の引継ぎということでございますという答弁をしております。
○篠原(豪)委員 改ざん前の文書も引き継いでいるんですか、その中身を。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
今回の佐川前理財局長から太田現局長への引継ぎということにつきましては、今、太田局長が答弁をした内容の範囲ということでございますので、そういった意味では、今委員の御指摘のような決裁文書云々といったような個別具体の引継ぎを局長間であったというふうには私は考えておりません。
○篠原(豪)委員 そうすると、佐川さんが、麻生さんも今の現理財局長も、佐川さんのときに改ざんが行われたということだというふうに言っているんですが、そのことについては全く、だから一切聞かないまま引継ぎを、この事件が明らかになる、この三月に入るまでは、そのことについては全く、だから事実じゃないことを引き継がされていたということですか。
○富山政府参考人 お答え申し上げます。
若干繰り返しのところもございますが、先ほど申し上げたような、太田局長の引継ぎに関する答弁でございますので、およそ個別具体の内容についての引継ぎというのはなかったのではないかと。着任後、部下の職員から全部レクを受けて仕事の内容の事実上の引継ぎというふうに申しているところでございます。
○篠原(豪)委員 今、太田局長の答弁で、森友学園の問題は特に国民的な関心が高いから、そのことも十分踏まえてということで引き継いでいるわけですから、じゃ聞かないのかという話になるので、どうもおかしいなというふうに思います。これは、御本人がいないので、ここまでにとどめますけれども。
決裁文書の、ちょっと会計検査院に伺いたいんですけれども、改ざんが昨年の二月下旬から四月に行われたとされていて、佐川局長が事前の価格交渉を否定する答弁を初めてしたのが実は三月になってからですから、つまり、さきの麻生大臣の改ざんの動機に関する発言は、事実と矛盾していると思いますよ。
他方で、決裁文書には、森友学園の背後に昭恵夫人がいたことが明確に書かれていたわけですから、これは、財務省の異例の対応の背景に昭恵夫人の存在があったことが強く示唆されかねない事情があったと思います。
会計検査院の検査は四月の中旬に実施されることがわかっていたので、改ざんはその前に行う必要があったんじゃないかというタイミングだというふうに思います。
結果的に、会計検査院の検査を欺くための改ざんということにこれもなりましたが、会計検査の妨害行為だと私は思うんですけれども、まず最初に、会計検査院としては、これは罪に問われる可能性があるというふうに思っているのか。さらには、こうした財務省の行為を根拠に財務省を告発するおつもりはありますか。
○岡村会計検査院当局者 お答え申し上げます。
会計検査院法第二十六条後段は、帳簿、書類その他の資料若しくは報告の提出の求めを受けたものは、これに応じなければならないと規定しております。
この規定に違反する場合として、具体的には、資料の提出を拒否したり虚偽の資料を提出したりなどする場合が考えられますが、この規定に違反した場合の罰則というものは、会計検査院法上、定められておりません。
○篠原(豪)委員 いや、別に会計検査院さんに何か突っ込んでいくみたいな話じゃないので、質問に答えてください。告発する予定はないですか。
○岡村会計検査院当局者 お答え申し上げます。
刑事訴訟法第二百三十九条第二項は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と規定をしております。他の公務員と同様に、会計検査院の職員についてもこの条項の適用があるものと承知しております。
会計検査院の行う検査は、会計経理について、その適正を期し、是正を図るためのものでございまして、検査を受ける者の、職員の刑事責任を追及することを目的とするものではございませんので、職員個人の刑事責任があるかどうかの見きわめは実際問題としては難しいことについて御理解いただきたいと存じます。
いずれにいたしましても、会計検査院の職員において告発を行うべきかどうかにつきましては、詳細な事実関係や法律上の要件の適合性を慎重に検討する必要があると考えております。
○篠原(豪)委員 どのぐらいのダメージが、ダメージというか、会計検査院さんだって、本当の書換え前と書換え後の書類があって、どれをやったらいいかわからないみたいな検査をやってきているわけです。十一月に検査報告を出して、また、その検査報告の内容をもとに、それまでは、事実に基づかないうその報告を佐川さんが国会でし、それを事実として審議がずっと行われてきて、この一年間、更に言えば、今、改ざん前の文書、改ざん後の文書とあるという話なんですけれども。
ちなみに、会計検査院さんは、今回の森友学園の事件に関する会計検査のためにどのぐらいの経費を今まで使ったんでしょうか。使ったのを教えていただきたいのと、もう一つ、会計検査し直すのか。やるとすれば、どのような形で、いつまでに出すのか。
だって、やってきた内容がもともと全然違うわけですよ。改ざん後のやつでやってきているので、改ざん前と全然中身が変わってきます。ですので、そこのところ、あるのかどうかということも教えてください。
○戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
本件に要した費用を正確に算出することはできないものであり、お答えすることは困難でございますが、本件に関する会計実地検査に要した人日数は百十四人日となっております。
また、検査のやり直しについての御質問でございますが、会計検査院といたしましては、今般、決裁文書に関する問題が明らかになりましたことを受けまして、決裁文書の書換えに至る経緯及びその内容を確認するなどしており、報告書の記述についても検討しております。
これにつきましては、適切な時期に適切な方法で報告をしたいというふうに考えてございます。
○篠原(豪)委員 ですので、また時間と、中身をチェックし直して、どういう形で出すかというのはまた別ですけれども、そういう作業がふえていくわけですね。では具体的にあのときは何だったんだ、実際はこうでしたということになっていくわけなので、結構大変なことが続いているということだと思います。
もう一つ、会計検査院さんに、また検査するときに、ちゃんとした資料かどうかというのを、今財務省さんに一生懸命、十四文書、約三百カ所の書換え前、書換え後、改ざん前、改ざん後の文書があって、どこから出てきたんだみたいな話がありました。
これも、いただいた中で一つ不思議なところがいまだにあって、改ざん前と改ざん後というのはあるんですけれども、そうじゃない書類が会計検査院に行っているんじゃないかと思っていて、これは、書換え前、書換え後の文書の二十七ページのところに、書換え前と書換え後のどちらにも記載されていない文書、書類が会計検査院には存在すると聞いています。この書類は何を書いているものか、具体的に教えてください。
○戸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。
会計検査院が検査の過程で財務省から提出を受けた売払い決議書につきましては、財務省から国会に提出された売払い決議書とおおむね同様のものであると認識しております。
ただし、売払い決議書に添付されている書類のうち「経緯」につきましては、会計検査院に提出されたものには、平成二十八年三月十一日、学校法人森友学園より新たな地下埋設物が発見された旨連絡という記述がある点が、財務省から国会に提出されたものとは異なってございます。
○篠原(豪)委員 なので、いいですか、財務省さんが、書換え前のと書換え後で、これで全てです、事実ですと言ったのと違う書類が、会計検査院さんに行っているんです。三月十一日、それもごみの部分ですよ、新たなごみの埋設物が発見されたと。これは三種類目になっていくわけですね。だって、我々国会に出していただいた、改ざん前と改ざん後と、それは両方とも入っていないんです。でも、行っているんですよ。これは事実なので。
本当によくわからないんですよ。これは何でこういうことになっているんですか、その文書一つとっても。
それもわからせるために、やはりしっかりと、今の書換え前、書換え後だけじゃなくて、中身、今調べていただいていますけれども、恐らく、いろいろなことが新たに明らかになっているんじゃないかと思うんです。
ですので、このことを踏まえて、財務省さんはどういうふうに対応していくのか、このことについてお伝えをいただければと思います。
○富山政府参考人 お答えをいたします。
今、検査院さんにお出しをした売払い決議書の経緯のところに、検査院さんの方にお出ししたものには三月十一日の記載があったと。我々が三月十二日に十四件出させていただいたもののうちの一件が売払いの決議書でございますが、そちらの方の経緯には、三月十一日の記載のないものを書換え後としてお出ししています。
そういった意味では、各決裁文書についての書換えが、具体的にいつ始まって、いつ書換え後のものになったのか、あるいは、一回で書換えを終えているとは思えないものもございまして、そういった内容について、今引き続き、人事当局を含めた調査を継続しております。
そういった意味では、今御指摘の点の三月十一日の記載も、検査院さんにお出ししたものには入っていたけれども、最終的な書換え後と我々が認識しているものは、その情報さえも削除していたというふうに我々としては認識しているところでございます。
○篠原(豪)委員 これ、でも、重要な、三月十一日に新たなごみが出てきたというところが消えていると。最後でも前からでもなくて、非常に謎が多いという状態だと思います。
とても、ちょっと終わるような状態じゃないと思っていますし、どこからどういう文書を出してくださいという、その出典ですね。こっちの書換え前のやつは、これは、ひとまず正しいですということになると思うんですよ、今のままだと。じゃないと、おかしくなってくるから。なので、そこは直した方がいいと思います。既にそういうことになっているわけなので、最終版ではないというふうになると思います。
更に言えば、これはもう第三者で、うちの山崎委員からも、ちょっと再調査は第三者でやった方がいいんじゃないかという話がありましたので、これはやらなければいけないんじゃないかというふうに思います。このことと、あと、大臣、ちょっと短目で、やるかやらないか、その可能性も含めて、大事なことですから、ちょっと教えてください。
それと同時に、パソコン。やはり、いろいろなところを探したら、また、ぽこぽこぽこぽこ出てきているみたいなんですよ。なので、これは本当に保全していただくように、今言っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○梶山国務大臣 まず、保全についてでありますけれども、御承知のように、大阪地検による捜査が行われておりますので、その中で証拠の保全は行われているものと考えております。
あと、第三者の話ということでありますけれども、今財務省で調査をしている。そして、調査、解明に基づいて、全ての選択肢、可能性を視野に入れて、政府全体で見直しを図っていくということでいきたいと思っております。
○篠原(豪)委員 済みません、よくわからないです。ちゃんと第三者機関でやってくださいという話なんです。
別に、ガイドラインを変えたから、それで適切にやっていくから今後はいいでしょうみたいな話じゃなくて、大体、ガイドラインの運用は四月一日からですよ。ですので、それをもって、これまでやっているという話にならないので、十二月からいろいろ答弁されていますけれども、この間どうだったのかという話はまだきょうもできていないわけなので、そこはしっかりやらなきゃいけないし、そんな答弁していたらだめだと思いますよ、正直。こんな大事件になっているんですから。
さらに、最後に官房長官に伺いますけれども、これは政府として、やはりここまで来ているので、官房長官がおっしゃっていたのは、私の理解だと、それはちゃんと財務省の規則にのっとってやっているということを信じて、それであるのであれば問題ないだろうという話なんですが、どうもそうじゃないし、全然違うことになっている。
これは、今回の事件について、ここまでなっているので、まず財務省に対して、もう中で自浄作用といったってなかなか難しいわけです。ですので、どういうような方法で責任をとらせて、これからちゃんとやらせていくのかということと、政府全体として、このことに対して、国民の皆さんにどのように責任をとっていこうというふうに今お考えなのかということを、最後に、時間ですので、お伺いします。
○菅国務大臣 まず、今やるべきことは、捜査に全面協力をする、これは検察の捜査です。これは財務省でそのようになっています。それと同時に、財務省においての調査も全力で行っていく、まず、このことが大事だというふうに思っております。
それと同時に、公文書管理制度について、これは昨年からいろいろなことが、正直言って、ありました。そういう御指摘をいただいて、行政文書の管理に関するガイドラインを改正しました。
その上で、今回の決裁文書の書換え事案について、やはり、行政機関の意思決定の基礎となる決裁文書について書換えが行われていますので、このことについては、公文書への信頼、行政全体への信頼を損なう行為であり、ここは政府としても極めて重く受けとめております。
このために、実は先日、三月二十三日にありました閣僚懇談会において、総理から二点、指示があったんです。一つは、四月から改正ガイドラインによる厳格ルール、これをまず全職員に徹底し、確実に運用すること、そしてもう一つは、更新等の履歴が厳格に管理できる電子決裁システムへの移行、ここを加速をすること、この二点において直ちに取り組むようにということの指示を、梶山担当大臣に、総理からありました。
その上で、現在の行われている問題については、とにかく検察に、捜査に協力をして、財務省において徹底して調査をする。そして、政府は挙げて、この問題点を明らかにした上で、これは取り組んでいく課題だというふうに思っていますので、とりあえずやるべきことと、二度と再びこうしたことが起きないようにやること、こうしたことをしっかりわかるような形で、御理解をいただけるようにやっていきたいと思います。
○篠原(豪)委員 もう、しっかりとやっていただけませんでしょうかと言い続けて一年になります。今度こそやっていただきたいと思いますし、国民の皆さんも、もはや、これはちゃんとやらないと、誰も納得できないような状態にいくんだろうと思います。
これは、申しわけないですが、森友学園に限らず、加計学園の問題、これは文書が、メモだとか怪文書だとかいろいろありました。南スーダンのPKOの日報の問題もありました。破棄されたものが見つかって、そういうことがずっと続いている。働き方の改革、裁量労働制も、なくなったとした調査原票が倉庫にあったりするので、やはりこのままだと、安倍政権の公文書管理は何なのかというふうな事態で、いいかげんじゃないかと言われてしまうので、目に余るものがある。
ですので、これは、官房長官、しっかりと認識していただいて、必ず真相をまず究明させてください。これはもう絶対にやってください。そのときに第三者照会する必要があったら、国会で事故調査委員会、原発のときはやっていますから、そのときだって、政府の人が入って、一緒になって協力しながらやっています。そういうことももしかしたら必要になってくるかもしれないような、重大な事件です。おっしゃったように、やれば大変なことが起きる、で、この一年間が失われてきたということがありますので、そのことを強くお願いして、私の質疑といたします。
きょうはありがとうございました。
○山際委員長 次回は、来る三十日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時四分散会