衆議院

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第7号 平成30年4月4日(水曜日)

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平成三十年四月四日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君

   理事 寺田  学君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 佳隆君    泉田 裕彦君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      神谷  昇君    亀岡 偉民君

      小寺 裕雄君    古賀  篤君

      高村 正大君    國場幸之助君

      佐々木 紀君    杉田 水脈君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      長坂 康正君    西田 昭二君

      百武 公親君    本田 太郎君

      三谷 英弘君    宮路 拓馬君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      村井 英樹君    大河原雅子君

      篠原  豪君    森山 浩行君

      山崎  誠君    稲富 修二君

      柿沢 未途君    森田 俊和君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      鰐淵 洋子君    中川 正春君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      玉城デニー君

    …………………………………

   国務大臣

   (少子化対策担当)    松山 政司君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     山下 雄平君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   法務大臣政務官      山下 貴司君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (内閣官房社会保障改革担当室審議官)

   (内閣官房人生100年時代構想推進室次長)    大島 一博君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            武川 恵子君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         大村 慎一君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           林  幸宏君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月四日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     佐々木 紀君

  泉田 裕彦君     百武 公親君

  大隈 和英君     務台 俊介君

  加藤 鮎子君     宮路 拓馬君

  亀岡 偉民君     國場幸之助君

  高木  啓君     本田 太郎君

  濱村  進君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     亀岡 偉民君

  佐々木 紀君     池田 佳隆君

  百武 公親君     泉田 裕彦君

  本田 太郎君     高村 正大君

  宮路 拓馬君     加藤 鮎子君

  務台 俊介君     宗清 皇一君

  鰐淵 洋子君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     高木  啓君

  宗清 皇一君     大隈 和英君

    ―――――――――――――

四月三日

 株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

 内閣の重要政策に関する件(少子化対策等)


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、特に少子化対策等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房社会保障改革担当室審議官・人生一〇〇年時代構想推進室次長大島一博君、内閣府政策統括官、子ども・子育て本部統括官小野田壮君、内閣府男女共同参画局長武川恵子君、内閣府地方分権改革推進室次長大村慎一君、内閣府規制改革推進室次長林幸宏君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君、厚生労働省大臣官房審議官成田裕紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、本来であれば子ども・子育て支援法の改正、法案に対する賛否も含めた扱いについて論議されるべき時間が私ども野党には保障されず、維新の党の皆さんはなさいましたが、その結果において、そもそも、本会議での法案の説明、委員会質疑、そして最終的には本会議での採択に至るまで私どもが関与ができなかったということに鑑みて、子ども・子育てに対しての、今時代の重要な課題でございますので、集中的な一般質疑という場をいただきました。

 繰り返しますが、本来であれば法案が通過する前に申し上げたいことが多々ございましたし、きょう、冒頭取り上げますのは、実はこの法案の要綱に関しての記載でございます。

 法案については、いわゆる内閣法制局のチェックも経て、用語上の混乱や誤りは通常ないものと思いますが、要綱については、内閣府の方で議員に対しての説明用に用いるということで、しかしながら、その表現が正確さを欠いたり、あるいは混乱を導き入れるものであってはならないと思います。

 私どもが問題にしておりますのは、まず、この要綱案において市町村子ども・子育て支援計画という名称が出てまいりますが、この名称は、実は、これまでの子ども・子育て支援法にのっとるさまざまな政府の施策の中で、基本指針等々も含めて、一切この表現はございません。子ども・子育て支援計画という表現は、政府のものには使われておりません。

 さて、これは何であるかというふうに見ますと、地方自治体の中では、この子ども・子育て支援法と次世代育成法をあわせて、子供に対しての支援計画をつくるという際に用いているという実態がございます。

 そこで、この法案の要綱において子ども・子育て支援計画という用語を用いられたことの問題点について、当の内閣府としてはどう認識しておられるのか。また、私どもは、先ほど申しました混乱や誤解を招きやすいということで、今後はこのようなことがないように望みますが、そのおのおのについての御答弁をお願いいたします。

山下(雄)大臣政務官 御指摘いただきました子ども・子育て支援法上の市町村子ども・子育て支援事業計画という名称について、おっしゃられたように、今回の法律案要綱においては市町村子ども・子育て支援計画という名称を用いているのは、可能な限り簡素化し、わかりやすく説明するという法律案要綱の観点によるものであり、他の法律案要綱においても、一部を省略したり言いかえたりする例というのは複数見られるところであります。

 他方、国の基本指針では市町村子ども・子育て支援事業計画という表現を用いており、また、おっしゃられたように、地方自治体において、他の子供にかかわる計画と一体として、子ども・子育て支援計画という名称で策定している例も見られるところであります。

 簡素化、わかりやすさにつながっていないとの御指摘をいただいたことについては、真摯に受けとめているところであります。

 三月二十日の衆議院内閣委員会理事懇談会において、当該表現が不正確ではないかとの御指摘をいただいたことは、重く受けとめているところであります。

 今後、法律案要綱を作成するに当たっては、このような御指摘をいただくことがないよう、より適切な表現を用いるように配慮してまいりたいと思っております。

松山国務大臣 おはようございます。

 今回の法律案要綱につきましては、可能な限り簡素化し、わかりやすく説明するという観点から、市町村子ども・子育て支援計画という名称が用いられたわけですが、しかしながら、簡素化、わかりやすさにつながっていないという御指摘につきましては真摯に受けとめているところでございまして、今後、法律案要綱を作成するに当たりましては、このような御指摘をいただくことのないように、より適切に表現を用いるように配慮してまいりたいと思います。

阿部委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そして、繰り返しになりますが、本来は、審議の前にこういう指摘をして、審議が深められることを私ども野党は願っておりましたので、そのことも含めて、松山大臣には今後の取組をしっかりとお願いしたい。

 事業という二文字が欠けるだけで違うカテゴリーに入るということでありますので、単なる簡素化ではないということでもございます。

 では、引き続きまして、準備いたしました質問に入らせていただきます。

 今回、子ども・子育て支援法の主な眼目は、企業主導型保育を待機児童対策としてまた大幅に増加させていこうというものであり、その意味で、実はいろいろな問題が積み残されたまま、法案が通り過ぎていったように思います。

 まず、第一点目でありますが、松山大臣のお手元にも配らせていただきましたところの、企業主導型保育所における監査というものが行われた結果についてでございます。

 企業主導型保育所は、公益財団法人の児童育成協会というところが国の助成決定の実務を行っております。国がというよりは、児童育成協会が請け負ってというか、委託されて行っておるのがこの企業主導型保育の助成決定であります。

 当然、助成決定をしたところは、その保育の内容がいかなるものであるのかも同時に監査をしなければならないということでありまして、平成二十八年の四月から始まったこの企業主導型保育、このスキームにのっとるものは丸二年ということが言えると思いますが、これを監査いたしましたところ、約七割の事業所において、もろもろの問題、特に保育士が足りない、保育計画がない、あるいはアレルギー食への配慮がないなど、これらはいずれも子供の事故に直結する、私は重大な監査内容であったと思っています。

 まず一点目、大臣の認識を伺いますが、そもそも企業主導型保育は、保母さん、保育士さんの人員配置は認可外保育所と一緒で、通常、認可保育園の半分が有資格者である。ここにおいてはそもそも薄い保育士の配置でありますが、さらに、この監査結果において、約四百を監査いたしましたところ、四十件では、その通常の二分の一の保育士さんすら欠くところが約一割あるという結果が出ております。

 この保育士の不足の実態について、大臣のまず認識を伺います。個別、この企業型保育における、通常よりも半分でよしとされて、更にそれが欠けているものが、わかった限りで一割あるということについての御認識を伺います。

松山国務大臣 お答えいたします。

 企業主導型保育事業につきましては、必要な保育従事者の数のうち、二分の一以上は保育士を配置するということにいたしております。これは、子ども・子育て支援新制度における小規模保育事業と同様の基準が適用されているところでございまして、一定の保育の質が確保されているものと考えております。

 また、保育士比率が高まるほど補助単価がふえる仕組みともしておりまして、平成二十九年三月三十日時点で助成決定している施設のうち四分の三以上の施設において、保育士比率は七五%以上というふうになっております。

 また、御指摘を受けたところも大変多いということでございました。指摘を受けた施設に関しましては、指摘事項が改善されたかどうか、フォローアップも行うことが保育の質の確保に、担保する上で大変重要なことでもございますので、文書による指摘を受けた施設に対して、改善状況を改善報告書として提出をしていただくこととしておりまして、既に全ての施設において改善報告がなされておるところでございます。

 さらに、この改善報告の受領にとどまることなく、指摘事項が改善しているかどうかを確認する観点から、改善すべき指摘の多かった施設などについては、必要に応じて抜き打ちの調査も実施するということにいたしております。

 こうした取組を通じまして、引き続き、企業主導型保育事業における保育の質の確保にしっかり努めてまいりたいと思っております。

阿部委員 今の大臣の御答弁ですけれども、施設の七五%は普通の半数の保育士を少し上回って配置をしておるということで、それはそれで至極当然といいますか、本来は有資格者の保育士をきちんと配置することが一番子供の安全ではあると思います。

 私が今指摘したのは、それ以下で実は足りていない、補助金の申請の要件のときはそれを満たしていても、現状、運営中は足りていないという時間がある保育所が、わかっただけでも約一割あるということであります。

 大臣の御答弁で、幾つか問題のあったところは、問題点の多かった施設を抜き打ち調査なさるということでしたが、問題点は単に保育士の数だけにとどまらず、先ほど少し御指摘申し上げましたが、まず、保育計画がないものが四百件のうち百件。子供を預かる保育所と銘打って保育計画がないものが四分の一あるということは、子供を預ける親にとっても、物と違いますから、単に置くわけではないわけです。重要な幼児期の、子供の一生にかかわる、私はいろいろな意味で人間性や能力獲得のベースだと思いますが、それをどう積み上げていくかというのが保育計画で、それがないというのが四百件中百件。

 さらに、命に直結するアレルギーの対応マニュアルの整備がない。よく大臣もお目になさると思いますけれども、子供が、ほんのささいな食事のアレルギー、あるかないかが伝わっていないことによって死につながる。極めて重要な問題が四百件中三十件、少なく見てもですね。

 さらに、嘱託医との契約が必要となります、乳児期を預かるには。これがないのが六十件。

 もう、あれもない、これもない、それもない。保育士は足りない、計画はない、アレルギーのきちんとした指導はない、嘱託医はいない。

 私は、こういう実態を見たときに、これは内閣府の責任においてなさる事業ですから、よほど監査をきちんとなさるなり早急な改善を確認なさるなりしなければなりませんが、これは省庁の方に伺いますが、抜き打ち調査は一体どのくらいの頻度でなされておりますでしょうか。私は、これ、投げていませんが、大臣の御答弁でしたので、抜き打ち調査等を充実させたいということでしたので、一体どのくらい行われるんでしょうか。

 いろいろな問題があったところは抜き打ち調査をいたしますということでしたので、私は、一つでも問題があれば、今挙げた四項目は重要事項ですので、即抜き打ち調査していただきたいが、どのようになっておりますでしょうか。おわかりであれば。

山下(雄)大臣政務官 平成二十九年の上半期での指導そして監査の実施件数ですけれども、立入調査は四百三十二施設です。お昼寝時の抜き打ち調査については四十五施設、特別立入調査は一施設でございます。

阿部委員 これは、立入りの質が問われます。特に、今御指摘のように、お昼寝のときというのは事故に直結しやすいです。でも、私が今挙げましたような項目も当然立入調査の対象になると認識していただいて進めていただかないと、起きてしまえば子供の死につながる事案です、今私が挙げたものは、いずれも。

 大臣にあっては、今のいただいた、特別監査が一件、あるいは睡眠時の抜き打ちなどだけでは不十分だと、極めて不十分だと言わざるを得ないと思いますので、ぜひよろしくお取組をお願いいたしますが、御答弁、いかがでしょうか。

松山国務大臣 先生御指摘いただきました事故の件、あるいは病気に関するチェックの件、確かに極めて重要なチェックが必要だと思いますので、より丁寧にこの辺の確認、調査等もやっていきたいというふうに思っております。

阿部委員 引き続いて、保育園における死亡事故について取り上げさせていただきます。

 あけていただいて、二枚目をごらんいただきたいと思います。

 これは、保育施設における死亡事故の検証結果というものを、二〇一七年に検証報告の内閣府に上がっている三例と、二〇一八年の三例を並べてみました。

 実は、二〇一七年の検証三例は、既に当内閣委員会において、私が昨年取り上げさせていただいたものであります。川口市のベビーホテル、東京都のキッズスクウェアという企業内保育所、そして、東京都、同じく、たんぽぽの国でしょうか、これは認可外保育所。おのおので事故が起きて、いずれも睡眠中の事故であり、なおかつ、保育者の有資格者が不在あるいは不足などが挙がっております。

 例えば、基準を満たしているとされている企業型保育所のキッズスクウェア、真ん中の段ですね、これにおいても、実は保育に当たっていた保育士さんの経験年数が非常に浅くて、別室で寝かしつけておいたけれども、それの十分な監視というかチェックができない結果、亡くなっていった事故であります。

 もちろん、認可外、認可、いずれでも実は事故は起きておりますが、共通する項を挙げていくと、先ほど私が指摘した、夜間であるとか、あるいは保育士さんの熟練度であるとか、そもそも保育士さんの必要数がないというものが圧倒的です。

 二〇一八年の検証三例を見ていただきますと、山口市の、これは認可保育園で睡眠中の事故であります。例えば、これは、保育士さんが足りていても、人数は一応いても、片っ方の子供が嘔吐をしていて、そちらに手がかかっている間にもう一人の子供の保育の手が抜けてしまったという事案です。

 それから、あとはベビーホテルが二件ございます。ベビーホテルは、特に夜間を預かる、そして今、夜もお仕事をなさるお父さん、お母さんはふえていますから、私はここは極めて着眼して改善しなきゃならないところと思いますが、ここでは、例えば、有資格者が一名いなければならなかった夜間に全く無資格な者が見ていたのが、千葉のベビーホテル。あるいは、大田区でもそうですが、有資格者が少なくとも一名いなければならなかったところ、五人を無資格者が見ていて、睡眠中の事故で死亡しております。

 私が大臣に申し上げたいのは、例えば、この企業主導型保育所は必要な保育士数の半分を有資格者にするということで成り立っておりますが、そこがたまたま、例えば席を外したり、全く余力のない体制で運営されれば、時間的には無資格者しかいないという状態が頻繁に起こるということであります。

 本来は、有資格者がきちんといつでもいる状態、必要とされる数いる状態が望ましいと思いますが、大臣は、今私が御紹介したこの事案について、どのような印象をお持ちでしょうか。

松山国務大臣 保育所等で子供が命を落とすということは本当にあってはならないことでありまして、死亡事故の再発防止が重要と考えております。

 そのため、保育所等において死亡事故が発生した場合の検証につきましては、平成二十八年四月から、通知によって、自治体による事後的な検証の実施というものを求めております。まずは、事後的検証を行うための体制づくり、また検証を実際に行う際のノウハウなど、自治体における状況を把握しながら、現在の仕組みの定着を図るということに注力したいと考えております。

 また、昨年五月と九月、国に設置した教育、保育施設等による重大事故防止策を考える有識者会議に自治体による検証結果が報告をされたところでございまして、その結果を踏まえて、有識者会議においてさらなる再発防止策の検討を進め、十二月に自治体、事業所に対し注意喚起を発出したところでございます。

 厚労省においても、保育所等での死亡事故も含めて、あらゆる子供の死を検証して、この再発防止策を検討されていると承知をいたしております。引き続き、関係省庁と連携をしまして、自治体等への支援等を通じて、保育所等での死亡事故再発防止、この企業主導型保育におきましてもしっかりと徹底してまいりたいと思っております。

阿部委員 大臣は、一連の御答弁をある意味流して御答弁されましたが、私は、明確にやらなきゃならないことは二つあると思います。

 例えば、この千葉や大田区の認可外の保育所では、それまでも都や県の指導監査において問題点が指摘され、毎年、改善されないまま、例えば保育士さんが足りないという指摘を受けて、そして書面で報告する。だけれども、またその次の年も保育士さんが足りない、あるいは一年、二年置いてまた足りない。要は、これらの保育所は、そうした指導監査で指摘が繰り返されていて、しかしながらその状態で営業をされておったところであります。

 もちろん、保育の受皿が必要なことはもう論をまちませんし、特にベビーホテルなどは一番お母さんたちも困った状態で預けられるわけで、監査があってすぐ、ではそれが実現されないから取消しかというと、そういう問題でもない。しかし逆に、その状態でずっと営業されていて、子供が死んで、取り返しのつかない事態が起きて初めて、例えばそこが営業停止になっても遅いのであります。これは監査のあり方というものが、いずれも起こるところは同じなんです。監査されて、指摘されて、改善されないで、死んで初めて事態が発覚するというところにあります。

 一点目は、監査、指導のあり方。きちんと、やはり先ほどの立入りも含めて、あるいは改善の確認も含めてやっていかないと、後を絶たない。

 もう一つ。内閣府には、先ほど大臣も御答弁あったように、報告は厚労省が都道府県単位あるいは市町村でやっている単位がありますが、検証ということについては、内閣府の方から参事官の通達で各都道府県に、検証をしてくださいということがおろされております。

 私は、これは大臣通達なり義務化であると思います。子供が死んで検証がされないなどということはあってはならない、繰り返してはならない。

 今、内閣府は、参事官がこれを通達でお出しであります。そして、企業型保育もますますふえてまいります。時代の要請でベビーホテルもふえるかもしれません。そういう中で、せめて再発防止のために検証が必要で、これは医療事故もそうでしたが、調査委員会、検証委員会が行われて、再発防止に全体を向けるという機運が必要であります。

 松山大臣には、大臣みずからがこれを、報告を義務づけるなり、きちんとした大臣の通達で、大臣の通達という言い方があるかどうかわかりません、大臣みずからが責任をとる形で、内閣府が要請をしておる検証というものを充実させていったらいかがでしょう。もし御答弁があれば、いただいても結構です。

山下(雄)大臣政務官 阿部先生から累次の御指摘、本当にありがとうございます。

 子供が命を落とすということは本当にあってはならないことで、死亡事故の重大事故が発生しないように全力で取り組んでいきたいと思っておりますし、私も二歳の子供がいるので、本当にそうした痛ましい事故を未然に防ぐことが何より大切だと思っておりまして、そうした意味でも、監査の徹底、立入調査の徹底、先ほど来大臣から申し上げているところでございます。

 このうち、問題が認められた保育施設については、継続的に改善指導を更に徹底していきたいというふうに思っておりますし、仮に改善が見られない場合には、制度上、児童福祉審議会などの意見を聞いた上で、事業の停止又は施設の閉鎖を命ずることができるようになっているというふうなことでございます。

 また、国としては、子ども・子育て支援新制度が施行された平成二十七年以降で、重大事故が発生した場合の国への報告の仕組みを整備して、報告のあった事故情報について、事故の背景などを情報提供し、各施設において事故防止などに役立てていただけるよう、データベースを内閣府ホームページの上で構築しているところでございます。

 加えて、先ほど来御指摘をいただいております自治体が行った事後的な検証については、その実施状況や問題点などの共有を行う情報交換の場を設けるとともに、他の自治体にも情報提供しているところでございます。

 御指摘のありました通知のあり方についても、内閣府の中で検討していきたいと思っております。

 今後とも、こうした取組を通じて、保育施設における安全性や質の確保について、より一層取り組んでまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 防ぎ得る子供の死を防ぐのは政治の役割です。そして、私が見るところ、それがなされていない現状があって、待機児童対策に追われる余り、子供の命を守れない保育現場が広がっていると思います。

 事態は極めて深刻で、しかし、政治ゆえになさねばならないことがある。その一つが、今私が申し上げた、全ての検証をきちんと義務づける。単に要請では済みません。義務づけです。子供が、死んではならない者が死んでいくわけです。なぜ社会はそれを守ろうとしないのか。

 そしてもう一つ、大臣には、実は、こういう防ぎ得る子供の全ての死を防ごうという制度として、チャイルド・デス・レビューという制度がございます。交通事故でも、保育所の事故でも、虐待による死亡でも、本来死ぬはずでない子供が死んでいったことに、社会がその死を無駄にせず再発防止を図るということで、厚生労働省の方で研究班もやって、何回か繰り返しておられますが、実は、子供の保育現場における死をまず全て検証して、そしてチャイルド・デス・レビューは解剖を伴うものであります。それは、子供の死因がそこでわかる場合が多いからです。そして、それをデータベースで蓄積して、再発防止策を各現場に伝えるという制度であります。

 厚生労働省の研究班の作業といえども、内閣府も決して無縁ではない。特に、保育を預かる、これから、こども園もそうでしょう、そして企業型保育もそうでしょう、そういう保育現場の子供たちを守るためにも、内閣府としても、厚生労働省と連携してこのチャイルド・デス・レビュー制度の充実に向かうべきと考えますが、大臣の御答弁を伺います。

松山国務大臣 先生、さまざまな御指摘ありがとうございます。

 事後的検証を行うための体制づくり、また検証を実際に行う際のノウハウ、こういったものを、自治体における状況をしっかり把握しつつ、現在の仕組みの定着を図らせたいというふうに思います。

 また、チャイルド・デス・レビュー制度につきましては、厚労省においても、保育所等での死亡事故も含めて、あらゆる子供の死を検証して再発の防止策を検討していると承知をいたしておりますが、本日の先生の御指摘、しっかり重く受けとめて、今後より充実させるべく検討に入りたいと思います。

阿部委員 私の要求しているのは、具体的には義務化することです、検証を義務化。

 実は、報告については認可外のものの義務化がございませんでしたので、昨年、私が塩崎厚生労働大臣にお願いをして、認可外のものも報告を義務化すると。すなわち、死が隠されずに上がってくることが再発防止の一番です。プラス、検証も義務化されるべきだと思います。

 繰り返しますが、内閣府の参事官通達では実施されない。手間も暇もかかるんです。だけれども、やらなきゃいけない。

 大臣、しつこいようですが、この義務化について検討していただきたいが、どうでしょう。

松山国務大臣 お答えいたします。

 どういった形でできるか、前向きに先生の御指摘、検討させていただきたいと思います。

阿部委員 ぜひ、子供たちを守るために、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、本法案に深くかかわりますところの、昨年の暮れに出されました規制改革推進に関する第二次答申と、通過してしまいましたからもう法案ではありませんが、子ども・子育て支援法改正について、私の思うところを少し質問させていただきます。

 大臣のお手元にもございますが、この規制改革推進会議、ずっと行われておりますが、昨年四回にわたってワーキンググループを設けて、さまざまな保育現場からの要望も含めて会議が持たれたものと思います。

 私が一番気になりますのは、第二次答申の中に挙げられた、いわゆる上乗せ基準の見直しという項目が答申の中にございました。上乗せ基準とは何かというと、例えば、認可されている保育園で、必要とされている保育士さんの数を上回って加配をしたり、あるいは面積基準をより広目にとったりなどなど、特にここで言われておりますのは、保育士さんの加配の問題であると思います。

 ちなみに、認可保育園においても、ゼロ歳児は三人のお子さんに一人の保育士、一歳児になると六人に一人です。一歳児の行動をちょっと想像していただきたいんですね。まだまだ言語で十分な理解もいかない、それぞれがそれぞれに思い思いのことをやる。ある子は寝るでしょう、ある子は走るでしょう、ある子は泣くでしょう。その六人を一人の保母さんがケアしなきゃいけないというのは、六つ子のお母さんのようなもので、物すごく大変なことです。

 そこで、各自治体では上乗せして、例えば一歳児には三人に一人にする、すなわち、認可保育園の要件は一人で済む保母さんを二人配置する。なぜこういうことをするのかというと、事故、先ほど、認可保育園で起きた例ですが、片っ方の子が嘔吐をして、こちらのケアに手がとられていて、片一方で子供が亡くなった。そういう事案を起こしたくないから、自治体は加配をいたしております。

 ところが、この規制改革会議の第二次答申ですと、上乗せ基準の見直しということが高らかと掲げられ、今回のこの法律の中にある協議会が設置されたら速やかに検討開始がされるよう、こういうことが答申で出されております。

 私は、これはとんでもないなと思うんです。大体、規制改革会議で話されたことの結論がこれであるのか。そして、規制改革会議では、子供たちの保育事故は、私の見た限り、一度たりとも取り上げられておりません。

 状況認識に極めていびつな偏りがあると思いますが、この点についていかがでしょう。

林政府参考人 お答えいたします。

 昨年九月に、規制改革推進会議において、待機児童解消は短期集中で早期に結果を出すべき重要事項とすることが決定され、待機児童解消に向けた方策について議論がなされました。

 規制改革推進会議においては、自治体が定める、国の基準を上回る基準を見直すことで待機児童解消に資するのではないかという指摘がございまして、上乗せ基準の見直しについて答申に記載されているものと承知しております。

 議論したのは保育・雇用ワーキング・グループというところなんですけれども、そのワーキング・グループで、国の定める保育基準を維持する前提で議論はなされております。国の定める基準について、保育・雇用ワーキング・グループにおいては、安全性にも配慮されて設定されているものと承知しておりまして、保育事故に関する議論は行われなかったと承知しております。

阿部委員 安全性に配慮されて行われると思っておりますでは、事は済まされないのです。実際に保育事故を検証されたらどうですか、規制改革会議で。先ほど申し上げましたように、認可保育園でも起きているんです。それは、子供たちを見守るための人手の現状における不足を意味しているんです。単に、そんな二階から目薬みたいな、現状を把握しないことを子供にやってもらっては困るのです。子供が死ぬからです、守れないからです。

 大臣、この規制改革会議の答申、いかが思われますか。私はこれまで、この間るる、なぜ子供たちの保育現場において死の検証が必要か、十分な保育の手が必要かを述べてきたつもりです。でも、今の御答弁は、現状を満たしていて、さらに、これは安全基準なんだからこれでよし、それを上乗せしているものについては協議会をつくって早急に会議をしようと。何か私、逆さだと思います、論議が。現状の保育をもっと把握して必要なものを出していかれるのが、私は、ちなみに、株式会社立の参入を絶対に認めないとかも思っておりません。安全性が担保されれば、全てその前提であります。

 しかし、このような答申というのは、私は、木を見て森を見ず。木とは何か、待機児童です。森とは何か、子供の命です。こういうことが国の規制改革会議で話されること自身、もう腰が抜けるほどびっくりします。

 大臣、いかがですか。

松山国務大臣 お答えいたします。

 改正子ども・子育て支援法におきましては、保育園等の広域利用の推進など、待機児童解消等の取組について、都道府県が関係市町村等と協議する場を設置できる旨を盛り込んでおるところでございます。

 規制改革会議では、協議会において市区町村が独自に定める人員配置基準等の検証を行うことも協議事項の一つとして盛り込まれてはいますけれども、あくまでこの協議会は、具体的な協議事項というものは地域の実情に応じて各協議会でお決めいただくというふうに判断いたしております。

阿部委員 検証とはどっち方向にもあるということを私は申し上げたいんです。基準を満たして上乗せしているから、待機児童が多いから基準を削りましょうなのか、基準を満たしているけれども、保育現場ではさまざまな問題があって、より安全な保育とは何なのか、この複眼がないと、私はやはり正しい保育行政、子育て行政は行われないと思います。

 これは余りにも一方的で、そして、この書きぶりだけを見ると、「協議会が設置され次第速やかに検討開始」で、「上乗せ基準の見直し」なんです。私は、こういう答申はいかがなものかと思いますし、それが、今回の法律の十四条四項の附則に、そのまま横滑りしたような附則事項がございます。その附則事項がもしそこにあるならば、安全性が第一であるという認識がなければ誤った方向に進むと思います。

 大臣には、このことの私の指摘を十分おわかりいただいて、そして、各自治体がなぜ上乗せをするのか、普通であれば、もちろん保育士さんは決して多くはないから、必要数だけでとどめておこうと思えばできないわけではないでしょう。でも、よりよい保育、安全性の保育を求めてやっているということをきちんと押さえて、自治体の独自性を尊重してやっていただけますか。どうですか。

松山国務大臣 先生御指摘のことはもうもっともでございまして、強制するものでもなく、やはり現場を一番よく理解している協議会の方々の現場の実態というものを中心に議題をお決めいただいて、より安全な保育というものに取り組んでいただきたいと思っております。

阿部委員 保育は自治事務ですし、当然だと思います。保育の責任、起きた事故の責任もみんな自治体が負うということでありますので。

 そして、おまけに、実は内閣府がこの委員会でお出しになった資料が、非常に私は恣意的で現実をねじ曲げていると思いますので、この間、各省庁での国会に提出される行政文書のあり方、あるいは厚生労働省の裁量労働制におけるデータの恣意的な操作など、問題になっていると同じ質の問題があると思いますので、内閣府に対しても指摘をさせていただきます。

 次の四、「「保育の現状」内閣府」と書いた資料ですが、上段には、ここには受皿数と申込数の差による待機児童の数というもの、上に待機児童の数、下に申込者数の数というものが書いてございます。これはある種当然で、待機児童が多いところは受皿数と申込者数の差が大きいよと。

 これは当然で、ただ、これはちょっと数値が間違っております。集計の誤りがあります。要綱の誤りと一緒で、私はすごくデータを軽んじて扱っていると思うので、これは単なるミスというものかもしれませんが、あえて指摘をさせていただきます。

 平成二十八年四月段階の、青いところの受皿数と申込者数の差は、もとデータから計算すると、多分一万六千四百二になるのかなと思います。四百五であったか。ここ、数値がまず間違っております。

 そういう細かな数値だからというのではなくて、資料として提出されるときは一つ一つきちんとしておかないと、やはりいろいろな私たち国会審議のベース、土壌が侵害されると思いますが、まずこの一点目、この誤りについてはいかがでしょう。

林政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、二十八年四月の申込者数のところですけれども、一万六千四百九となっておるところ、本来であれば一万六千四百七というのが正しい数字でございまして、御指摘、まことにごもっともでございます。直ちにホームページ等の記載を変更させていただいております。御指摘、どうもありがとうございました。

 今後とも、こういったことがないように、きちっと数字のチェックを再度、何度もやっていくことで対応してまいりたいと思います。

阿部委員 私も数値の指摘を誤りました。四百二と申し上げましたが、多い方に、四百九でした。

 事ほどさように、これは厚労省のデータを内閣府が使ってつくった図であります。移しかえの図でありますが、そこにおいてもミスをなさるということは大きな問題である。しかし、これはある種単純ミスと言えるかもしれません。それも問題ですが、私が更に問題にしたいのは下の表であります。

 ここには、先ほどの規制改革会議の第二次答申を裏づけするように、いわゆる上乗せ基準をやっているところは待機児童が多いんだということを赤字で、世田谷区や目黒区、大田区。三ポイントというのは、面積基準も上乗せ、人員配置基準も上乗せ、そして保育事業者についていろいろな条件をつけているという、三つをやっているところは待機児童が多いということを言わんがための資料であります。ところが、これも実態を反映しておりません。

 一枚あけていただきますと、今、世田谷区の事例についてですが、待機児童は、現状、減ってきております、あらゆる施策を動員しておりますから。また、規制改革会議でいろいろ指摘された中に、株式会社の参入を妨げていることが問題であるという指摘がございましたが、世田谷区の場合は、応募の資格の中に株式会社もきちんと入れております。それが右の世田谷区の資格要件であります。

 となると、ここでスリーポイント挙げられているうち、本当に因果関係があるんだろうか。待機児童は、現状、さまざまな努力によって減っている。株式会社の参入も、当然きちんとチェックした上で行われている。しかし、この図だけを、三、二、一、〇をそのまま正直にとれば、世田谷区や目黒区の実情というのは、上乗せしているから待機児童が多い。待機児童は少なくなっていて、事業者の参入も認めていて、しかし、こんな恣意的なデータがつくられる。私は、これは非常に問題が大きいと思いますが、いかがですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の表は、厚生労働省が公表しております平成二十七年十二月現在の保育所の整備及び運営に関する基準の条例制定状況及び運用状況等についての調査と、東京都が公表しております平成二十九年四月一日現在の都内の保育サービスの状況についての調査を用いて、東京二十三区の状況を示したものでございます。

 調査データのうち三つということですけれども、まず乳児室等の面積の基準、次に保育士の配置基準、三つ目は認可保育所の整備、運営を担う事業者の募集等にかかわる状況ということで、具体的には、事業者の参入規制となり得る運営実績や法人格などの要件の有無の三点について、国の基準に加えた区独自の基準の有無の数と、各区の待機児童数との関係性をあらわしたものでございます。

 今回、この国の基準に加えた区独自の基準の有無の数を数える際に、事業者の参入規制となり得る要件の有無を判断基準としております。運用実績を参入要件として課すことについては、新規の事業者の参入を阻む可能性がございますので、参入規制としてみなすことは一定の妥当性があるのではないかと当方は考えておりまして、実際、運用実績さえ参入要件として課していない区も存在しているものと承知しています。

阿部委員 問題は、内閣府が厚生労働省から来た資料を勝手に操作して、自分たちの言わんがための結論に我田引水、持っていったというところにあると思います。

 例えば、事業者の実績を参入要件に入れることが、実は子供の安全性のために役立つかもしれません。どんな事業主体であるかがわかっていて、それがまた次の事業をやっていくということの方がより安全に決まっています。皆さんは、株式会社が要件にきちんと世田谷区は入れてある、だけれども、事業者の経験年数、それを設けたということが待機児童を多くしているかのデータを捏造しているんだと思います。

 私は、この間の内閣府における子ども・子育てにあっての安全性配慮、なぜ自治体が、何を目指してやっているかについて余りにも見識がないと思います。

 最後になりますが、そうしたことを、参考人として自治体の方に来ていただきたく、私も法案審議の中で準備をいたしました。しかし、かなえられず、法案が通過し、今おっしゃったような内閣府の姿勢ではこれからの子供を守る自治体行政が非常に不安になりますので、大臣にはしっかりと今の指摘を受けとめていただきまして、担当をよろしくお願いしたいと思います。

 終わらせていただきます。

山際委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原雅子でございます。

 内閣委員会という委員会に、私は参議院時代も参加したことがございませんでしたので、きょう、この内閣委員会の意味づけも、今、阿部先生の議論を伺っていて、本来、例えば子供に関して言えば厚生労働省がずっと責任を持ってやってこられたところに、政府の一番重要だと思われるところを持ってきて、ここに緊急的につけていく、その中で、エンジンとなるという言い方がいいのかわかりませんが、そのようなお役を持っているところだな、そういうふうに思いました。

 ですから、本来あるべきものと、この内閣委員会で少子化担当、松山大臣が扱われることがやはりぴったり同じでないといけないと私は思います。それが基本にならないといけないと思っております。

 私は、子供の施策に関して言えば、当事者としての子供の最善の利益を追求するという立場からさまざまな施策が考えられるべきだというふうに思います。子供にはよいケアとよい教育を受ける権利があるとまず思っているところですけれども、松山大臣の子育て支援に関する基本的な姿勢をまず伺わせていただきます。

松山国務大臣 おはようございます。

 先生御指摘のとおりに、子供の健やかな育ちと子育てを支えることは、子供や保護者の幸せにつながることはもちろん、将来の我が国の担い手の育成の基礎をなす、大変重要な未来への投資だと思っております。子ども・子育て支援は、子供や保護者に必要な支援を行い、一人一人の子供が健やかに成長することができる社会の実現に寄与することを目的として、先生がおっしゃるように、子供の最善の利益、これが実現される社会というものを目指すとの考えを基本とするものでございます。

 このため、子供の視点に立って、子供の生存と発達が保障されるように、良質かつ適切な内容の水準の支援ということが大変必要だと思っております。

 また、子ども・子育て支援は、保護者の育児を肩がわりするということではなくて、保護者の子育てに対する負担や不安、あるいは孤立感を和らげることを通じて、親としての成長を支援し、子育てや子供の成長に喜びや生きがいを感じることができる、そのような支援をしていくことだと思っております。

 こういった趣旨を踏まえて、今後とも子供や保護者の視点に立った子ども・子育て支援にしっかり取り組んでまいりたいと思います。

大河原委員 二〇一六年に改定されました児童福祉法も、その中では、全ての児童が、「児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」というふうに述べられているわけです。言わずもがなですけれども、このことがあらゆる施策に行き渡るかというと、なかなか難しい現実がございます。

 私は、そういう意味で、子供の特に幼少期、自分で考え、行動ができない時代というのもまだ子供たちにはありまして、そのところでは、直接的に監護する両親や周辺の方たち、そしてまた保育や教育の関係者、その姿勢がまず問われなければならないというふうに思っております。

 私は、今、保育園落ちた日本死ねという、あの衝撃的な発言から一気に就学前の子供たちに注目が集まっていると思いますけれども、もうこれは、核家族の中で、近くに両親が住んでいないとか、とにかく、連れ合い、あるいは単身の親御さんもいらっしゃいますので、そういう中で子供を育てていく、本当に社会的、経済的変化が厳しい状況があると思います。

 仕事を持っている人は保育園、そして二時にお迎えに行ける人は幼稚園という時代はとっくに終わっているわけで、私は、幼保一元化、幼稚園に行くか保育園に行くかで昔はちょっとした差別的なことがあったのではないかというふうに思っています。その点では、幼保一元化、縦割りの役所の行政ではなくて、子供たちの育つ環境として、よいケアとよい教育が同時に与えられる幼保一元化、認定こども園というのはそのためにつくられた機能だというふうに思いますが、見かけるところ、なかなかふえていないように思われます。なぜふえないのでしょうか。そして、この幼保一元化ということについて大臣がどのようなお考えをお持ちか、お聞かせください。

松山国務大臣 お答えいたします。

 認定こども園制度につきましては、平成十八年に創設をされました。平成二十七年の四月に施行されまして、子ども・子育て支援新制度においては、施設型給付として財政支援を一本化するといった制度の改善も図ったところでございます。

 認定こども園数でございますが、新制度施行後の平成二十六年四月時点におきましては千三百六十園でございました。それ以降、毎年約千園以上の増加を示しておりまして、平成二十九年四月時点では五千八十一園となっています。認定こども園の移行は、ある程度着実に進んでいるのではないかと考えておるところでございます。

 他方で、認定こども園の移行につきましては、例えば、施設の収入面への不安などもあると承知をいたしているところでございます。このため、平成二十七年度以降、施設型給付におきましては、各種加算を創設するといったことも含め、認定こども園に対する給付面での充実を図るとともに、認定こども園の施設整備につきましては、文部科学省、厚生労働省におきまして施設整備費の充実を図ってきたところでございます。

 政府としては、今後とも、この教育、保育を一体的に提供できる認定こども園の移行というものを、希望する方が円滑に移行できるように、その支援をしっかり行ってまいりたいと思います。

大河原委員 ちょっとこれは通告していないので、今見つけてしまった資料なのであれなんですが、今の幼保一体化、連携型の認定こども園を、学校として位置づけるということが新たにできていたんですが、今大臣がお答えになった旧来の認定こども園というものと、この新たな学校の位置づけとしての認定こども園は、今の数字で分けられているんでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年度に新たな子ども支援制度が発足いたしております。それ以前、それ以後の幼保連携型の認定こども園数、ちょっとお時間を賜ればお答えさせていただきます。

大河原委員 ちょっと予定を私もしていなかったので、後ほど別個に聞かせていただきます。

 ただ、認定こども園の中で、教育基本法六条に定める学校としてこれを位置づけるということは、これまでのこの幼保一体化、連携化ということからはずれて、いま一度学校の方に引き戻しているように思いますので、その点は今後また聞かせていただこうというふうに思います。

 次に進みたいと思いますが、昨年の五月でしたよね、安倍政権は、政権発足以来、二十九年度末には待機児をゼロにするということをずっとおっしゃっていましたけれども、これを撤回して三年先送りいたしました。いま一度、この原因は何だったのか、お聞かせください。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 安倍政権では、これまで、待機児童解消加速化プランに基づいて受皿整備を推進してきたところでございまして、平成二十九年度末までの五年間で約五十九万人分の新たな受皿拡大を見込んでおりましたところですが、二十五歳から四十四歳の女性の就業率は年々上昇しております。

 また、保育の利用申込者数につきましても、加速化プラン策定前と比較して二倍近い、極めて高い伸びとなっております。保育の利用申込者数が、前年度から十万人近く増加していることもございます。

 また、一部の地域におきましては、人口流入等による就学前の児童数の増加、大規模マンションの建設等による局地的な人口増加など、予測を上回るニーズの伸びに整備が追いついていない状況でありましたり、保育園等に適切な土地が見つからない、保育園開設に向けて周辺住民との調整がつかないといった、保育の受皿整備を難しくしている状況があるなど、地域的な要因により待機児童が生じていると考えております。

 こうした状況を踏まえまして、政府といたしましては、昨年六月に子育て安心プランを策定したところでありますが、今般、更にこれを前倒ししまして、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿整備をすることによって待機児童の解消を図ることといたしております。

大河原委員 保育園の問題は、すごく地域の差が大きいんです。私が住んでおりますのも世田谷区で、全国で一番という形で言われておりますけれども、実際には、少子化ではなくて、世田谷区では、毎年九千人近い子供が生まれ、そして外からの流入もあるので千人ぐらいずつ子供がふえているという現状があるんですね。

 それで、仕事を求める方たちがふえてきたということももちろんあるんですけれども、待機児の定義というものがここまでなかなか定まってこなかった、これをきちんと統一するというのを昨年やられたと思いますけれども、今現在の待機児の定義をいま一度教えていただけますでしょうか。(発言する者あり)

山際委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山際委員長 速記を起こしてください。

 大沼政務官。

大沼大臣政務官 失礼いたしました。

 申込者数に対しまして、保育所、また幼保連携型認定こども園、幼保認定型こども園等、そういった全て、地域型保育事業所等、特例保育利用者等、利用している者を除いた児童について、待機児童と定義しているところでございます。

大河原委員 済みません、正確さを期すというのは政務にかかわっている方の条件だと思うんですが、待機児童問題といったときに、全国で待機児童がどういうふうにカウントされていたか、なぜ安倍政権がこれだけ待機児童解消と言っているのになかなかそれをクリアできないのか、いろいろなところで数が行き違っているということがあるんですね。待機児童の定義というのは、とにかく全国的に統一されていなかったということもあります。

 でも、今政務官がお答えくださった中には、やはり、なぜそれが生まれているのか、待機児というのは、結局、園に入れなかった人と一くくりに言ってしまっても、どうして園に入れなかったのか。もちろん、数が足りないということもあるでしょうけれども、希望したところに入れないとか、育児休業中の人はカウントされていないとか、あるいは、求職活動を休止している、それだって、預けるところがないから求職活動ができない、そういう方たちもおられるわけで、そのほか、小さな、自治体がやっている、補助している保育サービスに入っているので待機児にはカウントしないとか、そういうことが起こってきているわけですよね。

 ですから、申しわけないですけれども、いま一度、安倍政権が待機児解消をしているときの待機児の定義をもう一回きちんと答えていただきたいと思います。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 待機児童でございますが、保育所等を申込みされた方から、実際にその保育所等を利用されている方などを除いた方になりますけれども、いろいろと取扱いが自治体で異なっていた、今お話のありました育児休業中の方などの取扱いが自治体によって異なっていたということもございまして、昨年度に統一的な考え方をお示しして、例えば、育児休業中の方については、入園できたときに復職されることを確認をするといったようなことを統一するように自治体にお示ししたところでございます。

大河原委員 それでは、今のお答えの中に、隠れ待機児童と言われるその部分は解消されたと考えていいんですか。今、全国統一はしたけれども、隠れ待機児という人たちは、やはりカウントされませんよね。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げました育児休業中の方、あるいは求職活動をしておられる方、あるいは特定の保育園等を希望されておられる方などについての考え方をお示ししたものでございます。

大河原委員 一応このルールで調査をことしからするんですね。それは、去年はまだしていないと思うので、この四月からということでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 二十九年の四月の状況について調査をいたしましたときには、新しい考え方でやっていただいている自治体と、それから従来の考え方でやっていただいている自治体が、経過措置ということで混在する形になっております。

大河原委員 そうすると、二〇一八年の待機児童の数というのは、いつの調査で、どういうふうな形で出てくるんでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 例年ですと、四月の一日の状況についてお伺いをいたしまして、九月ごろに大体公表させていただいているというのが通例でございます。

大河原委員 それは、これまでも同じなわけですよね。

 ですから、この待機児解消でいろいろ加速化プランとかやってきていますけれども、なかなか解消されていないということは、これから先も、要するに待機児童の需要予測、こういったことにもかかわってきますけれども、考え方が、待機児童の定義をもう少しきちんと決めて、そして需要予測は、今は、そうすると、女性の就業率が上がってきたからというようなことが一番大きな予測の要因になっているんでしょうか。

 今現在の需要予測に、私は少し誤りがあるんじゃないのかなと。保育利用者の推計方法からきちんと見直してプランを立てるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 子育て安心プランによる必要な保育の受皿三十二万人分につきましては、先ほども申し上げましたように、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が毎年おおむね一ポイントずつ上昇し、二〇二二年度末までに八割まで上昇すること、その上昇率と勘案して、保育の利用申込率もゼロ歳から五歳全体で見て五割を超える水準まで伸びることを想定して、必要な整備量をマクロベースで推計したものでございます。

 この推計方法について、潜在的な保育ニーズが含まれていないとの指摘もございますが、就業率と相関して、利用する率ではなく、利用申込率をもとに推計しているところでございまして、潜在的ニーズにつきましては、それぞれ子育て安心プランに基づいて保育コンシェルジュを活用しながらより積極的に取り組むように、市町村内の保育提供区域ごとに保育の利用意向を適切に把握し、それを反映した受皿整備が進むように支援してまいりたいというふうに思っております。

大河原委員 ですから、例えば三十二万人分を用意します、受皿をつくりますというふうに言ったときに、私は、やはり潜在的な保育ニーズになかなか合っていないんじゃないかなと思うので、これももちろん足りないというふうな思いもあります。

 そして、先日新聞の記事で読んだのは、女性の働き方、それへの支援がなかなか十分とは言えない、だから、なるべく人気のある高いところに子供がまだ小さいうちに申し込んでおいて育休を延ばす、そういう対策を心ならずもとっている方たちもいるというようなことがあるんですね。

 ですから、そういう意味では、この定義を決めること、それから需要の予測をどういうふうにつくっていくことというのは、実際に政府がきめ細かに自治体の状況を把握していないとできないと思いますし、むしろ、自治体がこの保育については責任を持って充足させていく、それを余り大きな規制をせずに応援をする、多様な保育をつくるというのが私は政府の役割じゃないかというふうに思います。

 まして、規制改革会議の方からこういうふうにした方がいいんじゃないかといろいろ御提案があったようなんですけれども、それも先ほどから申し上げている子供、当事者としての子供、監護、養護する親や周辺の人たち、そういうような方たち、働く保育士さんたち、そういう方たちの現状もわからないままに提案が出てきているんじゃないかなという疑念を私は持っております。

 一昨年、政府は、この待機児解消に関する緊急対策を発表いたしました。国基準を上回る安全基準で運営している保育園等に対して、国基準まで保育の質を落として臨時的な受入れ増加を訴えたということだと思います。

 先ほど阿部議員が御指摘になりましたけれども、この国基準を上回って頑張ってやってきた自治体に、国基準まで引き下げる、それでも緊急に受入れをやらせろというのは、私は、今まで申し上げた子供や親やその周辺の方たちのこれまで積み上げてこられているものを無にする、そういう政府の姿勢であろうというふうに思いました。

 ところで、この政府からの要請に対して、このことを実施した自治体はどのぐらいあったんでしょうか。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、平成二十八年三月の緊急対策では、国の定める基準を上回る人員配置基準や面積基準を設定している市区町村において、国の基準を活用して一人でも多くの児童を受け入れていただくよう市区町村に対して要請したところでございます。

 平成二十八年十月時点の調査によりますと、この緊急対策の要請以降に、国の人員配置基準を上回る部分を活用して子供の受入れを実施した自治体はないと承知しております。これは、保育の質の低下への懸念など、各自治体が地域の実情を踏まえて判断した結果と受けとめております。

大河原委員 つまり、安倍総理が訴えたこと、緊急にとにかく受皿をふやしてほしいから自治体は頑張ってほしい、これまで積み上げてきたものと関係なく今の現状に合わせろという、このことに応えた自治体はゼロだったということですよね。なかったというのはそういう意味ですね。数としてはゼロ。

 私は、そのことを聞いて、さすがに自治体の皆さんは頑張ってやってこられただけある、本当の仕事をこれからするに当たって、政府の見方はやはり受け入れられていない、その証左だと思います。

 次に行きたいと思いますけれども、保育園の保育士さんたちの働き方というのは本当に重労働です。政府は、保育士さん不足ということもあって、重労働の解消とかいろいろなこともありますが、保育補助者が保育士になるための要件緩和とか、補助者を手厚くつけて保育士の業務を軽くしよう、負担を軽くしようというふうにしておられるわけですけれども、私は、それは十分やっていただかなきゃなりませんが、潜在保育士さんたち、七十万人のこの掘り起こしが、時間的にも早く、そして御本人たちのキャリアを積み上げていくというところでも非常に重要だと思っています。

 政府もこれを進めていらっしゃるわけですが、この七十万人の有資格者の方たちの掘り起こしというのは、どんなふうに進んでいるんでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 待機児童の解消のためには、御指摘のとおり、保育の受皿の拡大とそれを支える保育人材の確保が不可欠でございます。このため、保育人材の確保に向けて、政権交代後、合計一〇%を超える処遇改善を実現するとともに、これに加えて、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を行ったほか、新規の資格取得、就業継続、離職者の再就職といった支援に総合的に取り組んでいるところでございます。

 御指摘の、保育士資格を持ちながら保育士として就業していらっしゃらない、いわゆる潜在保育士の方々に対する再就職支援につきましては、都道府県等が設置する保育士・保育所支援センターが実施しているところでございます。センターは、平成二十五年四月時点で十一都府県に十二カ所設置されておりましたが、平成二十九年四月時点では四十四都道府県に五十九カ所設置されており、全国的に取組が広がっているところでございます。

 平成二十九年度予算では、このセンターにおいてマッチング支援を行うコーディネーターの追加配置を行い、国としてもセンターの体制強化に取り組んでおり、引き続き保育人材の確保に努めてまいりたいと考えております。

大河原委員 資格をお取りになった学校とかそういう養成の場所から卒業生に対していろいろアプローチをしていただくのが効果的じゃないかなというふうに思っています。

 次に参りますが、先ほども少し出てまいりましたけれども、都道府県は、地方版の子ども・子育て会議を条例で設置することができます。当該の会議においては、地方公共団体における子ども・子育て支援に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関して必要事項及び当該施策の実施状況について調査審議することとされています。

 地方版の子ども・子育て会議の設置状況と活動状況を伺いたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 子ども・子育て支援法第七十七条に基づきまして、各都道府県は、子ども・子育て支援施策の総合的かつ計画的な推進に必要な事項及び当該施策の実施状況等の調査審議を行うため、合議制の機関として、いわゆる地方版子ども・子育て会議を設置するよう努めることとされてございます。都道府県におきましては、四十七都道府県の全てにおいて子ども・子育て会議が設置されてございます。

 また、平成二十九年度における活動状況につきましては、都道府県子ども・子育て支援事業支援計画や子育て支援に関する事業の実施状況等について調査審議いただいていると承知してございます。

大河原委員 先日、私どもは野党で審議はすることができませんでした子ども・子育て支援法、この一部改正の法律では、都道府県は、待機児童解消等の取組を支援するために、関係市町村との協議会を組織できることになっています。この組織が、今ほど伺った地方版子ども・子育て会議と役割が重複することはないんでしょうか。そのことはどうでしょう。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 現行の都道府県子ども・子育て会議では、保育に限らず、社会的養育、児童虐待防止、一人親家庭等の自立支援、障害児政策も含め、広く都道府県の子ども・子育て支援施策の方針等を審議することとされています。

 一方で、改正子ども・子育て支援法に盛り込んでおりますこの協議会につきましては、都道府県が市区町村の待機児童解消の取組を支援することに特化して協議を行うこととしているところでございます。

 このため、子ども・子育て支援に係る多くの関係団体や学識経験者が構成員となっております都道府県子ども・子育て会議とは異なり、この協議会では、当事者であります関係市区町村が必ず参加することとした上で、待機児童の解消の施策について、主に実務者レベルで協議するものと考えております。

 また、恒久的な措置として本則に規定しております都道府県子ども・子育て会議とは異なり、この協議会は、経過的な規定として附則に位置づけているところでございます。

 このように、この協議会は、趣旨や協議内容が都道府県子ども・子育て会議とは異なるものであり、都道府県と市区町村がより一層連携して待機児童解消に向けた取組を実施するために役立つものと考えております。

大河原委員 役割は異なるというお話で、こちらは待機児解消に特化したものということなんですが、総合的な計画をつくるということと特化するということと、その中にあっては、顔ぶれは限られた方になるという思いもありますけれども、どうしても、船頭多くして船山に登るじゃないですけれども、間違った方向に行ってしまうんじゃないか。これからもきちんとチェックをさせていただきますけれども、会議の数をふやせばふやすほど、関係者の忙しさというのは、本当に思いがけず、倍増も、何倍増もするかとは思いますので、よくよくこれは今後チェックさせていただきます。

 それでは、次に、今までは保育園の待機児童ということを見てまいりましたけれども、地域子ども・子育て支援事業の中に、放課後児童クラブ、いわゆる学童クラブのことがございます。この学童クラブのことが今までなかなか話題に上ってこなかったんですが、学童クラブですから子供たちは小学生ですね。そうすると、もう自分の意見もはっきり言うし、行動もやりたいことも、本当に幼稚園時代とは、保育園時代とは全然違う子供たちを扱うことになります。

 それで、放課後児童健全育成事業の整備とか運営に関する基準というものが策定されたことについて、これも地域の児童施設の設置というのはばらばらなものがあります。この点についても、これまではもちろん、地域の事情に応じてでよいというふうにされてきているわけですけれども、国としての一律の基準は必要だというふうに私は認識しておりまして、超党派の、公的責任における放課後児童クラブ抜本的拡充を目指す議員連盟というのにも入っております。この中にもたくさん先生方は御加入だと思いますが、この点を、国としての一律の基準を必要とするという認識について、政府のお考えを伺いたいと思います。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 お尋ねの放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準につきましては、平成二十七年度から、子ども・子育て支援新制度の施行に合わせまして、国としても、それまでガイドラインとして位置づけられてきたものを、新たに国として一律の基準を省令で定め、それに基づいて市町村が条例で基準を定めることとされたものであります。

 厚生労働省といたしましては、委員御指摘のとおり、一定の基準が必要との認識で行ったものでございます。

 この基準につきまして、従うべき基準として、放課後児童支援員の資格要件、また人数要件、参酌基準としては、設備基準、自己評価等を規定しているところでございまして、市町村は、条例で定める基準を最低基準として、常にその基準を向上するように努めるものとされております。

大河原委員 いわゆる学童クラブは、これまでも、地域によって、お母さん、お父さんたちが自主的につくってきた、民間で本当にやってきたところ、それから、公営的なところに期待があるわけですけれども、余りにも数が少なくて、やっと国がこの学童クラブについてきちんとやっていくんだということを示されて、法制化、法定化したという事情があるわけですよね。

 ですから、昨年の十二月の二十九日に、平成二十九年の地方からの提案等に関する対応方針が閣議決定されていますが、地方三団体というんでしょうか、全国知事会、それから市長会、町村会、こういう方々から、この閣議決定を受けて、特に、放課後児童クラブの従うべき基準の参酌基準化の基本、方向性が示されたこと、ここなどで一定の前進が見られたという評価が出ているんです。

 これについて、私は非常に危機感を持っています。これまで一生懸命やってこられた自治体が、国を頼ってこれを緩和していくんじゃないかというふうに思いますけれども、子供の安全性の確保とか一定の質の担保を、きちんと地域の実情を踏まえて柔軟に対応ができるよう、参酌化するというふうに言っているんですが、議論は、地方分権の場において検討するというふうになっているんです、厚生労働省の中でやるわけではなくて。このことは、子供の安全性の確保の、一定の質の担保、一体どういうふうに考えているのか。また、地方からこの提案は何件上がってきているんでしょうか。

 例えば、二〇一七年三月三十一日に、大分県の宇佐市の宇佐こども園、学童保育中の子供たちが襲われた事件などがありますけれども、一人で複数の子供の安全性を、しかも、動きの速い子供たちです、確保することというのは大変難しいことです。不可能と思います。

 したがって、設備運営基準で定める職員の資格とか職員の数とかについて、その基準を参酌化できるというふうには到底思えません。

 具体的にこの点についてお答えいただきたい。

大沼大臣政務官 御指摘の子供の安全性の確保等の一定の質の担保につきまして、厚生労働省といたしましては、児童が安心して過ごせるよう、安全性を確保することはもとより、適切な遊び及び生活の場を与え、健全な育成を図ることが前提であるということを示したものであると考えているところでございます。

 御指摘の、従うべき基準に関する参酌化に関する御提案につきましては、地方自治体側からの要請もございまして、まさに子供の安全性の一定の質の担保を行いつつ、登録児童数が少ない場合、地域の人口が少ない場合等の、地域の特性によっては継続的に放課後児童クラブの運営が難しいという状態が地方で生じていることもありますから、地方分権の議論の場で検討をしているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、現在行っております放課後児童対策に関する専門委員会での、放課後児童クラブの量の拡充、質の確保、役割とメニューの充実など今後の対策についての議論もしっかりと踏まえた上で、引き続き地方分権の議論の場での検討に適切に対応してまいりたいと考えております。

大河原委員 ちょっと時間がなくなってきたので、一遍に聞かせていただきたいと思いますけれども。

 この放課後児童支援員には、子供の発達過程についての理解とか、子供とかかわる際に不可欠な倫理観、こういったものを持って、事業の対象となる子供が必要とする期間、児童クラブに通い続けることを支える、こういう本当に必要な資質、知識、技能というのが必要だと思います。

 それで、保育士や学校教諭と同様の基礎知識を備えていることはもちろんですけれども、さらに、障害のある子供たち、特に配慮を必要とする子供もいます。生活困窮や保護者の病気、障害、養育困難、一人親家庭、本当に、就労の両立が難しい中から、子供の不登校問題、虐待、DV、本当に子供が大きくなってくるに従って、そのあらわれ方も違ってきます。ですから、専門職として、専門機関との連携も求められる、そういう専門的な内容を理解できる人が前提になると思うんですね。

 でも、二十九年の地方からの提案等に関する対応方針では、現在実施されている認定資格研修の科目、受講科目を、子育て支援員研修修了者及び児童厚生員研修修了者について重複する科目を一部免除することについて検討というふうに書いてあります。これでは、専門職としての知識や技能を習得できるとは思えません。設備運営基準で定める職員の資格の基準、参酌化できるものではないと考えますけれども、指導員や支援員はどこで専門職としての知識や技能を習得せよというんでしょうか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

 そして、そもそも地方の側から、この放課後児童クラブの従うべき基準について、従来から実態に合わせて柔軟な運用ができるように見直しをしていただきたいということが提案されてきたというふうに言いますけれども、子供を扱うといっても、子供のいる時間だけ、あるいは大人の目があればいいんだ、あるいは子育て経験があれば指導員として雇用する、こういうふうに地域の実情に応じて運用されてきたからこそ、その質が一定ではなかったということがあるんです。

 二〇一三年五月に厚生労働省社会保障審議会児童部会に設置された放課後児童クラブの基準に関する専門委員会において、二〇一五年三月までの二年間をかけて検討が行われ、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準が策定されたわけです。二〇一五年にこの制度がスタートして、経過措置、五年間ですから二〇一九年まで、それでも、これも終わらないうちに、地域のレアケースを引き合いに出して、普遍化させて、全体の基準を廃止あるいは参酌化しようとするのは、余りにも乱暴なやり方だと思います。

 現在行われている放課後児童対策に関する専門委員会では、平成二十九年の地方からの提案に関する対応方針を受けて、今後の議論の進め方について、参酌基準化による地方事情等を踏まえた対応等の促進は地方分権の議論の場で検討というふうにあるわけですけれども、長い時間をかけて厚生労働省が決めた基準を内閣府が変えようとするのは極めておかしなことだと、再度指摘をさせていただきたいと思います。

 成田参考人においでいただいているんですが、以前に、研修の実施は、昨今の子供をめぐる課題を把握し、一定のレベルを備えた支援員を養成することで、支援員の処遇改善につなげ、質を確保するというふうに答弁されておりました。

 自治体は、児童クラブの運営に、人手不足で支障が出ている。この指導員の不足の背景には、処遇、つまりお給料などが余りにも悪い、低いこと、こういうところもありますし、指導員の仕事についての理解が不十分じゃないかというふうに思います。

 これで対応を検討するに当たって、必要に応じた、関係する審議会等の意見を十分に考慮して検討していただきたいというふうに思いますけれども、内閣府として、関係府省の審議会の議論を排除するなどということがあってはなりません。放課後児童対策に関する専門委員会の議論も踏まえて、長年にわたって子供の最善の利益を願って学童保育を改善してきた保護者の意見が十分に反映させられるという認識で確認をしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

 済みませんが、参考人ですね、これは。最初の指導員のところの政務官と、参考人に伺ってよろしいでしょうか。

大沼大臣政務官 まず、放課後児童支援員の研修についてお答え申し上げます。

 放課後クラブに従事する児童支援員として職務を遂行する上で、委員御指摘のように、必要最低限の知識及び技能を習得するため、その役割や育成支援の内容等の共通の理解を得ることを目的として実施しているところでございます。

 こうした研修の趣旨を踏まえ、保育士や教員などの資格取得者につきましては、この研修を義務づけている一方、資格取得の段階で既に習得されている項目については受講を免除しているところでございます。

 御指摘の、子育て支援員研修の放課後児童コース受講者、また児童厚生員の資格に係る研修につきましては、放課後児童支援員研修の科目の内容と共通する部分もあることから、保育士や教員の場合と同様に、研修科目の一部免除につきましては本年度中に結論を得る方向で検討することとしております。

 いずれにいたしましても、放課後児童支援員の研修というものは、指導員として勤務する上で必要な事項を習得できるように、しっかりと放課後児童支援員研修の科目の設定のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 審議の方式の関係でございますけれども、提案募集方式による地方分権改革において受けました提案につきましては、全般に地方分権の議論の場において議論をし、対応方針を決定することといたしております。

 その際、提案を受けられた関係府省は、対応を検討するに当たりまして、必要に応じて関係する審議会等の御意見を考慮して検討を行っていただいているものと承知をしております。

 本提案につきましても、この提案を受けました厚生労働省が、関係者のさまざまな御意見を踏まえた上で議論に参画されるものと考えております。

 内閣府としては、今後の検討に当たりましても、現場の実態を把握し、まさに先生御指摘のとおり、現場をよく知り、責任を持っている地方公共団体の声をよく聞き、また、この事業を所管する厚生労働省と十分に連携しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

大河原委員 済みません、放課後児童対策にかかわる専門委員会、そこでもきちんとやってきたわけですから、積み上げた議論を崩さないように、内閣府については、そういう意味ではこれまで関係者が重ねてきた議論に水をかけるような、そういう行為は断じて行っていただきたくないというふうに申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 皆さん、こんにちは。立憲民主党の山崎誠でございます。

 御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本件、法案の審議の中で私どももいろいろと意見をさせていただく、そして議論ができたらと思って、本当に残念でございますが、こうして集中審議の時間をいただきましたので、改めて、気を取り直して御質問を幾つかさせていただきたいと思います。

 子ども・子育て、そして待機児童の問題、安倍政権、内閣も、本当にこれは大事な国の大きな転換点、産業、経済も絡めてこの少子化対策というのは非常に重要だという位置づけ、新しい経済政策パッケージでもうたわれているところと理解をしています。少子高齢化という最大の壁に立ち向かうために、生産性革命と人づくり革命を車の両輪と位置づけてということで、その中で、この人づくり革命、あるいは少子高齢化対策が掲げられているという大きな流れは理解をしております。

 私、質問の順番、三番の経済界への対応ということでお聞きをしたいんですが、今も大河原委員からありましたが、やはり内閣で議論をするというのはそれなりに意味もある、でも、注意を要するのではないかなというふうに思っています。

 安倍内閣の今の流れを見ると、いわゆる官邸主導と言われるような流れ、それも、官邸の中でも経産省の皆さんが非常に元気で、そういう流れの中からいろいろな施策がぽんぽんぽんと、上からある意味押しつけられるように出てきているのではないかな、そういう懸念を持っている次第です。

 この子ども・子育ての分野、少子化対策のこの分野についても同じような流れがあるのではないか。先ほどもありましたが、本当に積み上げてきた議論、あるいは現場の声、現場の議論、地方自治体のさまざまな取組、そういったものをきちっと下支えしながら、国全体の方針を、国全体で行うべきことをきちっと組み立てていく、本当に慎重な対応が私は大変必要だと思っています。

 その中で、今回、三千億円の拠出というお話が出てまいりました。昨年の十月二十七日、安倍総理が人づくり革命の会議、会合で政策パッケージをお示しして、必要な財源が足りないと経団連の会長さんにお願いをしたということを聞いております。

 そもそも、内閣には、今もお話ししたとおり、子育てにかかわる当事者が参加する子ども・子育て会議などもあります。そこで議論を重ねてきているはずです。なぜ、この経団連の皆さんとの会合で財源の問題をある種唐突に議論なさったのか。その背景、その意味をお聞かせください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月八日に新しい経済政策パッケージを閣議決定いたしまして、この中で、三十二万人分の受皿整備、そのための〇・三兆円につきまして、企業様から事業主拠出金の拠出金率を上乗せして頂戴するということが閣議決定されました。

 ここに至るまでの過程におきましては、政府内では人生百年構想会議で御議論がございましたし、また党の中でもさまざまな御議論がありまして、その結果としまして、先ほど申し上げましたこの十二月の新しい経済政策パッケージに結びついたというふうに承知してございます。

山崎委員 経済界の受けとめを見ると、やはり驚きを禁じ得ないというところが多いと思いますよ。いろいろなメディアの情報を見ている限りですけれども、やはり唐突感があった、説明が足りないという意見を出されている方はいらっしゃいますよね。

 例えば、商工会議所の三村会頭は、最後まで、やはり納得いかないというようなことを御発言になっているということでございます。最終的に受け入れたけれども、政策決定過程が不透明だとか、今後の透明化、そういったものを条件につけているとも聞いています。

 このような経済界の受けとめ、ほかにもいろいろあったかと思います。要望とか、この受入れに関する条件等についてどんなような状況だったのか、お聞きをしたいと思います。

松山国務大臣 お答えいたします。

 今般の拠出金三千億円の増額につきましては、御指摘のように、大企業のみならず中小企業あるいは小規模事業の方々の御理解というものをいただくことが大変重要だというふうに認識をいたしておりまして、昨年の末に私自身も、日本商工会議所、また全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会の代表の皆様ともお話をさせていただきまして、直接御理解を求めたところでございます。

 その際、中小企業関係団体、三村会頭も含めて、会議というものをしっかり開催してほしいということ、そしてまた、議論は公表してほしいということも御指摘をいただきました。また、拠出金の増額のメリットというものがきちんと伝わるように、企業主導型保育事業で中小企業が活用している事例、そういったものも周知をしてほしいという意見もいただきました。

 これを踏まえて、内閣府と日本経済団体連合会、また日本商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、加えて全国商店街振興組合連合会による事務的な会議を昨年十二月に、二回開催いたしまして、この会議の議事録の内容も公表をさせていただきました。

 この子ども・子育て支援法におきましては、拠出金の率などに関して、全国的な事業主の団体が総理大臣に対して意見を申し出ることができるというふうにされております。

 各年度の拠出金率あるいはその使い道について、経済団体との協議の場というものを設けております。これまでに経団連、日商と協議をしてきましたけれども、今後については、全国商工会連合会、また全国中小企業団体中央会と、小規模事業者も含めたこういった団体に入っていただいて、考えをお聞きする協議の場を持つということにもいたしておりまして、さらに、拠出金の増額のメリットが伝わるように、中小企業による共同設置あるいは共同利用の設置の例など、立ち上げや運営に関する好事例集というものをつくりました。これを今から徹底して周知をしていきたいと思っております。

 今後とも、関係者に対しては丁寧に説明をしながら、協議をしながら、この企業主導型保育事業に関心を持つ多くの中小企業に活用いただきたい、積極的に我々も取り組んでまいりたいと思っております。

山崎委員 いろいろお話をいただきました。

 やはり中小企業の皆さん、これは賃金にかかわるわけですから、負担はやはり中小企業の方が大きい。労働分配率、やはり大企業よりも中小企業の方が大きくて、相対的なものかもしれませんけれども、そういう方々の方が負担がやはり大きいという状況の中で、今お話がありましたけれども、その拠出金で企業のそういう環境、職場の環境で子育て支援がうまく、中小企業の経営にもプラスになるように、地域にもプラスになるように、そういう取組にうまく展開されないといけないと思います。

 今お話があったような共同の、中小企業の間でうまくそういう保育所が設置できればいいです。そういったものを本当に、事前にそういうアイデアがたくさんあってこの拠出を決めたのかどうか。後づけで、出してもらったから、じゃ、こういうこともやろうか、ああいうこともやろうかではなくて、計画的にそういうことをやっていただきたいのが一つ要望です。

 あと、今後も、皆さんやはり不安に思っています。お金が足りなくなったら、また拠出金を出してくれと言われるんじゃないのか。どこまでいくのか、際限があるのかないのか、そのあたり、どんな見通しですか。

山下(雄)大臣政務官 中小企業の観点から御質問いただき、ありがとうございます。

 企業主導型保育事業というのは、御案内のとおり、事業主拠出金を財源として、平成二十八年度に創設されたものでございます。

 この事業主拠出金については、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな流れの中で、全ての企業の皆さんに応分の負担をお願いしているところでございます。

 企業主導型保育事業については、複数の企業が、先ほど来おっしゃっておられます、共同して設置、利用することができるなど、中小企業にとって使い勝手がよいものとなるように工夫をしているところでありまして、約六割の施設が中小企業によって整備されているものであります。これは引上げの前の件ですけれども、六割が中小企業で共同で設置していただいているということです。

 その上で、今般の拠出金率の引上げに当たり、更に中小企業に御活躍いただけるように促進策を講じることにしました。

 具体的には、平成三十年度の予算において、中小企業が事業を実施する場合には、運営費の企業負担分を五%から三%に軽減することにしています。また、保育施設における事故防止等のために必要な防犯、安全対策の強化に関する加算を年額十万円から年額二十万円に増額することにしております。加えて、共同設置、共同利用の施設を整備する場合には、新たに百万円を加算することといたしております。

 さらに、普及促進策については、地域ごとに中小企業向けの説明会や相談会を開催いたしております。また、中小企業が共同で利用する施設の設置の例などについて、先ほど来大臣が申し上げているとおり、好事例集を作成して、中小企業に広く展開しております。

 企業主導型保育事業に関心を持つ多くの中小企業に御活躍いただけるよう、更に取り組んでいきたいというふうに考えております。

山崎委員 ありがとうございます。

 いろいろ取り組まれているのは評価させていただきますが、例えば今、六割が中小企業ですと言うけれども、数が違いますよね。どうカウントしているのか知りませんけれども、中小企業の数が全然違うわけで、その辺をちゃんと本当に教えていただかなきゃわからないな。何に対してカウントされているのか、その辺をまたお聞きをしたいとは思いますが、その辺はいかがですか。

山下(雄)大臣政務官 共同利用して、企業主導型保育をしているうちの六割が中小企業だということであります。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 少し補足させていただきます。

 この六割でございますけれども、企業主導型保育事業の施設を設置している中で、中小企業が整備した割合が約六割ということでございます。

山崎委員 わかりました。

 そのあたりも含めて、この項目についてはまとめたいんですが、官邸主導で、もっと言えば、何か、安倍総理が言ったので、ばっと決まりました、動きました、もちろんそれだけではないかもしれないが、そういう印象を強く持たれるような流れに見えます。ぜひ、これは今までの積み上げを大事にしていただきたい。

 それから、経済界も、当然、これを一つ通せば、では、何かまた経済界に向けての施策、こうやってほしいという要望をかなえていかなきゃいけないかもしれない。そういった取引がこの分野を使って行われるということがないようにしていただきたいなと思います。

 それから、次に一番の保育の質の話をしたかったんですが、これはもう今までもいろいろな質問が出てきました。阿部委員あるいは大河原委員からも質問がありましたので少し省略しますが、私からは、今の同じような文脈で、またこれも規制改革推進会議が答申を出して、そこからいろいろな、上乗せ基準の話とかそういうものがおりてきているというようなイメージがまた強くあります。

 私は、これも同じ文脈でございまして、せっかく積み上げてきて、地域の自治体が、基準を自分たちでもきちっと見直しながら、保育の質を確保しよう、場合によってはやはり子育てがしやすい町をつくろうということで、そこに力を入れている。そこに逆にまた人が集まってきてしまう、そして待機児童がふえてしまうという流れもあるのではないかな。これは数字をちゃんと精査しないと何とも言えないかもしれませんが、そういう流れもあると思います。

 そういったことに対して、要するに、自治体の自治の世界でしっかりと取組をされているところに、改革の規制緩和とか規制改革という、錦の御旗ではないですが、そういったものを持って、言葉は適切かどうかわかりませんが、介入するような施策の展開というのはふさわしくないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 改正子ども・子育て支援法では、昨年十一月の規制改革推進会議の第二次答申を踏まえまして、保育園等の広域利用の推進等、待機児童対策等の取組につきまして、都道府県が関係市区町村等と協議する場を設置できる旨、盛り込んでおります。

 同答申では、協議会において、市区町村が独自に定める人員配置基準等の検証を行うことも協議事項の一つとして盛り込まれておりますが、協議会での具体的な協議事項は、地域の実情に応じて各協議会においてお決めいただくものでございます。協議会みずからの判断において、地域の実情に応じてさまざまな選択が行われるものと理解しております。

山崎委員 ぜひそういう運用をやはり心がけていただきたいし、そうなっていかなければいけないんだろうと思います。それが、要するに、今問題になって、いろいろ質問にもなりました、やはり上乗せ基準についての緩和みたいなお話が浮き上がってくると、大変不安に思います。その辺、十分やはり配慮、注意が必要ということを申し添えさせていただきます。

 それから、次の話題、少し変わりますが、保育の現場の環境という話で、ちょっと看過しがたい報道に触れました。

 資料の三にもおつけをしています、毎日新聞の報道がきっかけになったかと思いますが、この資料の三、ことしの二月二十八日、「男の気持ち」という投稿欄に「子育て後進国」というタイトルで掲載されたものです。内容は、妻が働く私立保育園では、運営に支障を来さないためという理由で園長が女性保育士の結婚時期や妊娠、出産の順番を決めている。そして妻が、順番から離れて妊娠し、子供ができて済みませんと謝罪したが、園長には勝手にルールを破ったと叱責され続けているという記事でございました。

 このような状況が子育て後進国ということで提起されていることについて、受けとめを大臣にお聞きしたいと思います。

田畑大臣政務官 お答え申し上げます。

 今ほどの資料、記事、私も目を通させていただいたわけでありまして、先生のお気持ちもしっかり受けとめたいと思いますが、男女雇用機会均等法では、妊娠したことに対する嫌がらせなど職場における妊娠や出産等に関するハラスメント、いわゆるマタハラでございますが、の防止のために、事業主に対しまして、ハラスメントがあってはならない旨の事業主の方針を周知啓発するなどの措置が義務づけられているところでございます。

 いわゆるマタハラに関しましては、これは、法改正施行は二十九年の一月一日からスタートしているところでございまして、法施行状況であったりですとか相談件数、実態把握にはしっかり努めているところでございますので、こうした措置義務に違反をしたような事業主に対する是正指導等、男女雇用機会均等法の履行確保を通じて就業環境の整備をしっかり取り組むように進めてまいりたいと思う次第でございます。

山崎委員 これは、やはり保育の現場、この事例は保育園の保育士の皆さんの話ですけれども、ほかの現場でも発生している。女性が活躍されなければいけないサービスの現場だとか、あるいは美容院とか、そういったところでも発生していると報じられています。

 翻って、経営者の立場からいくと、確かに、やはり順番でうまく回していきたい、できるだけ、なかなか雇用も難しい中で、最小限の人数でもうまくやりくりをしたいという思いもわからないではないですが、逆に、こういうことが起こってしまえば、その職場に拒否反応を起こすのは当然だと思うんですね。私は女性ではありませんが、もう当然、やはりこういう職場には行きたくない。悪循環を生みますよね。悪循環を生んで、結局、せっかく働きたい方々がうまく働けない。

 もっと言えば、少子化という問題からいけば、やはり妊娠とか出産とか結婚とか、まさにそれは自由な意思で、いいタイミング、自分たちのタイミングですよね、それできちっと家族の中あるいは夫婦の中で動いていくことが自然な社会の摂理でございまして、それが本当に子供をちゃんと産み育てる社会だと思うんです。それがこういった形で実は阻害されているということは、やはり大きく意識をしていかなければいけない。

 先ほどもお話ししました、ある意味、経済、経営の理念とそういった子ども・子育て、少子化対策の世界とのせめぎ合いみたいなところを、ぜひこれから、内閣あるいは各省の皆さんもしっかりと意識をして政策に落としていっていただきたい、あるいはいろいろな指導につなげていただきたいと思います。

 そういう中で、またこれも残念な報道がございました。自民党の衆議院議員の方のお話でございます。

 自民党の厚生労働部会で、みずからの経営する保育園の女性看護師について発言をされたということで、マタニティーハラスメントと受けとめられる発言だと。採用から一カ月後に妊娠して、産休に入ると言われた、人手不足で募集したのにいきなり産休に入る、違うだろうと言った瞬間に労基署に駆け込んだなどと発言をされたということでございます。

 私は、やはり今の流れの中で、事もあろうに自民党の厚生労働部会の席上でこういうお話がされるということ自体が、今のバランス感覚を失われている方が残念ながら自民党の中にいるのではないかと思います。

 この事案についての見解を求めます。

田畑大臣政務官 お答え申し上げます。

 記事、報道があったことは承知をしているところでございますが、個別のケースに関しましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、先生先ほどからおっしゃっていらっしゃるとおり、職場における妊娠や出産等に関するハラスメント、いわゆるマタハラは、やはりあってはならないことでございます。

 男女機会均等法に基づく対応を引き続きしっかり進めてまいりたいと思います。

山崎委員 私は今、あえて名前は挙げなかったんですよ。だから、個別の事案という意味ではなくて、こういう風土、あるいはこういう考え方、それをどう考えるのかとお聞きしたかったので、あえて名前は言わなかった。だけれども、今のお答えで、個別事案だからお答えできませんというのは、全く私は残念です。

 そういう方々が議論をして、例えば今後の少子化対策が決められるということは、今起こったような事案、先ほど毎日新聞で紹介したような事案について、ある意味、肯定的な考え方が入るんじゃないですか。

田畑大臣政務官 お答え申し上げます。

 名前を伏せられたということでございますが、一般論といたしましても、やはり産前休業の請求をされた労働者の方々、その請求等を取り下げるというようなことが事業主からあったということは、これは、男女雇用機会均等法においても、事業主に義務づけられている措置違反ということになるのではなかろうかなというふうに感じているところでございまして、いずれにしても、立法の精神をしっかり準拠する、そうした体制を進めてまいりたいと思います。

山崎委員 では、時間が残り少なくなりました。最後の課題に行きます。

 ちょっと今までとは違うんですが、幼児教育の無償化についての議論をさせていただきたいと思います。

 二〇二〇年四月に、三から五歳の全ての子供たちの保育所、幼稚園、認定こども園の費用が無償化されるということになりました。

 その理由として、新しい経済政策パッケージ、二〇一七年十二月八日の閣議決定では、幼児期は、能力開発、身体育成、人格の形成、情操と道徳心の涵養にとって極めて大切な時期であり、知識、IQなどの認知能力だけでなく、根気強さ、注意深さ、意欲などの非認知能力の育成においても重要な役割を果たしている、加えて、人工知能などの技術革新が進み、新しい産業や雇用が生まれ、社会におけるコミュニケーション能力や問題解決能力の重要性が高まっている、こういうことが理由に挙げられています。大変奥の深い御指摘だと思います、この指摘ですね。

 これで無償化を決めるということは私は賛成でございますが、これだけの意義があることであるならば、いっそ、義務教育のような位置づけに持っていくべきではないか。いきなりは難しいかもしれないですが、視野に入れて議論すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

村井大臣政務官 お答え申し上げます。

 山崎委員から、幼児教育の義務教育化について御質問をいただきました。

 幼児教育は、委員御指摘のとおり、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであり、全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障することは大変重要であると考えております。幼児教育が将来の所得の向上等に著しい効果をもたらすことを示す世界レベルの著名な研究結果もございます。

 また、少子化の観点ですね。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、理想の子供数を持たない理由について、三十歳未満では七六・五%、また、三十歳から三十四歳では八一・一%が、子育てや教育にお金がかかり過ぎるからと回答してございます。いずれも項目の中で最大の理由となっておりまして、幼児教育の無償化は少子化対策としても極めて重要であると考えております。

 こうした観点から、委員から既にお話ございましたけれども、三歳から五歳児の幼稚園、保育所、認定こども園を全面無償化するとともに、ゼロ歳から二歳児についても、住民税非課税世帯を対象として無償化することといたしました。

 一方、お尋ねの幼児教育の義務教育化につきましては、保護者に就学義務を課すか否か、また、市町村に施設の設置義務を課すか否かなど、さまざまな課題があると考えておりまして、今後さらなる議論が必要と考えているところでございます。

山崎委員 ありがとうございます。

 幼児教育の義務化というのはこういう場面でも大事だという例を一つ挙げさせていただきます。

 全ての子供たちにとって幼児期の教育が重要なのは言うまでもありません。当然、障害がある、あるいは難病を抱えている子供たちにとっても重要でございます。でも、実際には、幼稚園に入りたくても入れない子供たちがたくさんいらっしゃいます。

 新生児聴覚スクリーニングの普及もあって、例えば聴覚に障害がある子供に対する早期支援、専門的な教育のニーズが広がってきています。零歳から二歳までは、養護学校や療育施設の乳幼児向けのクラスに通うことができる。聾、難聴だけの子供は、そのまま聾学校の幼稚園部に進学できます。ですが、例えばそれ以外の障害を抱えている子供たちは、幼稚園に入ることが急に難しくなります。重複する障害に対応する人が幼稚園にはいないというのがその理由ということです。

 義務教育である例えば小学校であれば、そういう方々もきちっと受け入れなければいけないし、受け入れられる状況になっていますが、幼児教育、幼稚園は義務教育ではありませんので、それを理由に今断られてしまっているという事態でございます。

 こういう複数の障害を抱えるような子供たちも、社会の側からハードルが設けられるのではなくて、もっと自由に大事な教育が受けられるようにということ、そういう社会をつくらなければいけないのではないでしょうか。

 そういう意味で、無償化だけでは十分ではない、やはり義務教育、そこまで踏み込むことによって、今お話しさせていただきましたようなケースも幼児教育がしっかりと受けられる環境をつくることができるんだ、そういう私の思いでございます。いかがでしょうか。

宮川大臣政務官 ただいま委員から御指摘いただきました、障害のある子供について就学前の段階から早期に支援を行うことは大変重要であると私どもも認識しております。

 特に、早期に対応を進めるために、医療と教育の連携強化が必要だと考えております。ですので、現在、理学療法士や作業療法士、また言語聴覚士の、特別支援教育に関する外部専門家の配置の支援など、どんどんどんどん進めているところでございます。

 しかし、今委員が御指摘になりました義務教育化につきましては、例えばイギリスなど五歳から義務教育としている国もあると承知をしておりますけれども、学校制度全体のあり方にかかわるものでもありまして、また、全ての三歳児から五歳児が幼稚園、認定こども園、保育園に在園をしていないという現状もございますので、我が省としては、慎重に検討を要する課題であると考えております。

山崎委員 最後、時間ですので一言。

 要するに、今回、無償化をすれば、今入っていない方々も、通えていない方々もどんどん通う環境をつくろうということだと思うんです。ということであれば、よりその義務教育化に近づいているということだと認識をします。

 ぜひ、やはり広く、さまざまな子供たちを視野に入れて、この無償化あるいは義務教育化、そういった議論を展開していただきたいとお願いをして、終わりにします。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 希望の党の稲富修二でございます。

 まず、本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。また、同郷であります松山大臣に質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 子ども・子育て支援法の審議を私からさせていただければと思います。

 やはり、今、我が国の最大の課題が少子化であるということ、それに対して国として取り組まなければいけないということ、そのことは全く思いを一にするものであります。

 したがって、この中でいうと、三歳未満児の教育、保育の給付を手厚くしていくことが必要であるということも全くそうだなと思います。むしろ、もっとやはり少子化対策に対しては何らか国としてやるべきではないかと私は思うぐらいでございます。

 ただ、そのことと、法案の中である拠出金、その財源調達という意味でいうと、それが果たしていいやり方なのか、それが本当にいいのかということは、また別の問題として私はあると思っています。

 当然、今の繰り返しになりますが、少子化対策のために財源が必要です。その財源調達のあり方、そして国民への負担の求め方については大いに議論をすべきだと私は思っています。

 そこで、きょうは、そういう意味から、その負担のあり方、拠出金のあり方についてを中心に議論をさせていただければと存じます。

 まず、この拠出金ということなんですけれども、社会保障の中では、基本的には、税あるいは社会保険が中心でこれまで議論をされてきたものと思います。あるいは、利用者負担というのももちろんございます。介護保険であれば、当然、その利用者負担と税と保険によって、制度として維持をしているわけでございます。その他の社会保障制度は、すべからく、保険か税か、そして負担かという組合せの中で維持をしているわけでございます。

 その社会保障という枠組みの中でいくと、この事業主拠出金というのは一体どういう性格のものなのか、答弁をお願いします。

松山国務大臣 お答えいたします。

 事業主拠出金につきましては、子ども・子育て支援法の第六十九条に基づきまして徴収する拠出金でございます。特定の事業目的のために連帯して費用を負担し合う仕組みと位置づけられておりまして、税、保険、また手数料のいずれとも性格が異なるものというふうにされております。

 この事業主拠出金は、児童手当、また、地域子ども・子育て支援事業のうち放課後児童クラブ、病児保育また延長保育、さらには企業主導型保育事業に充当されておりまして、企業等に勤めている方の仕事と子育ての両立を支援し、また、事業主にとって、子供のいる従業員の離職の防止あるいは労働力確保に資するものとして大きな役割を担っているところでございます。

稲富委員 今御答弁いただきましたように、当然、言葉どおり、税とも違うし保険とも違う、拠出金であるということなんですけれども、恐らく、この方式というか、この負担のあり方というのはこの場面だけでございまして、非常に特異な負担の形式であると思います。

 それは、おいおい、少し議論の中でお示しできればと思います。

 そこで、次に、この事業主拠出金を支払わない場合、どのような罰則が適用されるか、お答えください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 事業主拠出金の徴収につきましては、子ども・子育て支援法第七十一条第一項の規定によりまして、厚生年金保険料その他の徴収金の例によることとされてございます。

 事業主拠出金を滞納している事業主に対しましては、督促状を送付し、督促指定期間内に納付がない場合は、まずは滞納の解消に向けた分割納付等の納付指導や催告を行いますが、納付意欲が認められない等、滞納解消が見込めない事業所に対しましては、国税徴収の例により、財産調査や差押えを実施することとしてございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 厚生年金保険と同じ取扱いになるということだと思います。ということは、この拠出金は、保険料、厚生年金の保険料に上乗せをする形で、同じ形式で負担をする、そして支払えない場合は、同じような、厚生年金と同じように罰則が適用されるということで、徴収の仕方という意味でいうと保険料と同じ扱いをしているということと言えるかと思います。先ほど申しましたように、しかし、保険とは違うということだと思います。

 そこで、次なんですけれども、この法案の中で、まず、先ほど来ありましたように、この拠出金は最初になぜ出てきたのかというと、資料の二ページを見ていただきますと、最後に内閣総理大臣が、産業界におかれても三千億円程度の拠出をお願いいたしたく具体的な検討をいただきたいと思いますということを、人生百年時代構想会議においておっしゃっております。

 そして、それを受けて、新しい経済政策パッケージ、平成二十九年十二月八日の閣議決定においては同じような趣旨のことが書かれておりまして、個人と企業が負担を分かち合う観点から、消費税引上げによる増収分の使い道を見直して活用するとともに、経済界に対しても応分の負担を求めることが適当であるということを書いてあります。すなわち、総理は産業界、そして新しい経済政策パッケージでは経済界に対して、負担ということでございます。

 そこで、私の資料の一枚目で、じゃ、結果としてどうなったのかというと、一枚目の一番最初の概要のところでは、事業主拠出金の率の上限の引上げというところで、一般事業主から徴収する拠出金の率を上限〇・二五から〇・四五に引き上げるということになったわけです。

 そこで、この一般事業主というのは一体誰なのか、お答え願えますでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 事業主拠出金の徴収対象者につきましては、厚生年金保険の適用対象となる企業等の事業主のほか、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、日本私立学校振興・共済事業団等の各種共済組合等が事業主拠出金の徴収対象となります。

稲富委員 厚生年金の適用事業所がこの拠出金の負担の適用になるという御答弁かと思います。

 そうすると、企業等とさっきおっしゃいましたように、必ずしも企業には限らないということかと思います。厚生年金の適用事業は、必ずしも企業だけではございません。法人であれば適用事業所にもなる、そして、従業員が常時五人以上いる個人事業所についても、これは厚生年金の適用事業所になるということ。

 とすると、これまでずっと、企業に対して、あるいは産業界に対しての負担だということを言ってきたわけですけれども、実際には、もちろん企業と、中小企業もそうですけれども、そうではない一般の事業所であって厚生年金を支払っている事業所にも、これは当然ながら拠出金が求められるという理解でよろしいでしょうか。確認です。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 厚生年金保険の適用対象となる事業主には、事業主拠出金の徴収対象となるというふうに理解してございます。

稲富委員 企業には限らないということでよろしいでしょうか。もう一度お願いします。

小野田政府参考人 企業等の事業主のほか、各種共済組合等が事業主拠出金の徴収対象となるということでございます。

稲富委員 結局これは、実は、産業界に要請をし、そして経済パッケージでは経済界には負担が必要であるということを言って、そして、それを受ける形で、新聞紙上でもほとんど企業の拠出、例えば、読売新聞の十月二十八日、企業の拠出三千億増とか、あるいは東京新聞でも、待機児童対策三千億拠出、経団連と同友会は容認、中小加盟の日商は拒否ということで、どうしても経済界に対して、あるいは事業者が負担をするものだということがどうしても中心に語られるわけです。

 しかし、実際のところは、私の事業所もそうですけれども、厚生年金に加盟しているところについては、これは、子ども・子育て拠出金という形で、今回の率が変わることによって負担はふえるというのが現状でございます。

 したがって、経済界への、例えば負担がふえるというのは非常にミスリーディングじゃないか、決してそれだけではないんじゃないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

松山国務大臣 稲富先生御指摘のとおりで、共済組合なども事業主拠出金の徴収対象となっております。

 丁寧さは必要だと思いますし、ただ、現状は、拠出金額のほとんどが今企業からいただいておるという状況でもございます。

 協力要請先が一致していないという御指摘は必ずしも当たらないというふうに考えておるところですが、子ども・子育て支援法の中では、この拠出金の率などに関して、全国的な事業主の団体が内閣総理大臣に対して意見を申し出ることができるとされておりまして、各年度の拠出金率やその使い道について、経済団体との協議の場を設けておるところでございます。

 これまで、経団連、日商との協議をしておりましたが、今後は、商工会連合会あるいは中小企業団体中央会にも協議にかかわっていただくことを考えておるところでございます。

 拠出金額のほとんどが企業からいただいておるところでございまして、現時点では、各共済組合の方々がこの協議の場に入ることは考えておりませんけれども、御意見も頂戴しながら、しっかりとその辺は、対応できるところはしていかなければというふうに思っております。

稲富委員 次の質問に移ります。

 この拠出金の制度についてなんですけれども、そもそもは、資料三枚目でございますが、事業主拠出金制度は、今回のものは子ども・子育て支援法ができてからのものですけれども、もともと原型は児童手当法からということでございますので、昭和四十六年度というのが創設の原型ということになろうかと思いますが、その創設されたときの創設の理由、そして、恐らく反対意見も、あるいは賛否があったと思います、その経緯について大臣に伺います。

松山国務大臣 事業主拠出金につきましては、児童手当制度が創設をされました昭和四十六年度に、児童手当制度が、次の時代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを通じ、将来の若い労働力確保につながる効果が期待されるものであることから、当時、児童手当拠出金として創設をされたものでございます。

 この児童手当制度の創設に当たりましては、制度の立て方、財源負担等について議論があったものと承知をしておりまして、議論の結果として、財源の一部に事業主拠出金を充てることなどを含む児童手当法が、昭和四十六年五月二十一日に全会一致で可決、成立をしたものと承知をしております。

 詳細につきましては、政府参考人に答弁させたいと思います。

小野田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま松山大臣から御答弁申し上げましたけれども、児童手当制度の創設に当たりまして、制度の立て方、財源負担等について、児童手当審議会の場で議論があったものと承知してございます。

 特に、事業主拠出金につきましては、例えば、事業主は児童の養育について社会的に相応の負担をすべきであるという考え方等に基づき、事業主が児童手当のために相当の負担をするものとする意見や、一方で、事業主だけに負担させるのは不公平であるという考え方等から、これに消極的な意見など、さまざまな御意見があったものと承知しておりますが、最終的に、事業主が児童手当のために負担をし、財源の一部、被用者分でございますけれども、に事業主拠出金を充てることなどを含む児童手当法が、昭和四十六年五月二十一日に全会一致で可決、成立したものと承知してございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 昭和四十六年ですので、社会保障制度の充実というか、皆保険になった直後の、社会保障制度の生まれたころにこの制度も導入をされたということでございます。

 その当時の議事録を拝見すると、先ほど御答弁いただきましたように、さまざまな議論があったようでございます。特に、私が今申し上げているような、事業主拠出金の性格が従来のものとどうなのかという議論でございます。ちょっと一部御紹介をさせていただきます。参議院の社会労働委員会、昭和四十六年五月十九日です。政府委員の坂元先生ですかが御答弁をされています。

 事業主拠出金というものの性格は、従来の社会保険で考えておりますような、いわゆる拠出と給付というこの関係が完全にリンクをいたしておらないわけでございます、そして、従来の社会保険のいわゆる保険料というものとは完全に同じではない、このようないわば新しい型の社会保障の拠出金であるということを御答弁をされております。

 ということで、この取り方については、年金に上乗せする形で、拠出金を上乗せをして取る。そして、罰則についても同じく、年金と同じ扱いをする。しかし、給付と負担というのが明確ではないという意味で、保険ではないという制度であるということ。

 しかし、一方で、もともと経済政策パッケージのところでは何と書かれてあるかというと、広く社会全体で子育て世代を支援をしていくとの大きな方向性の中でということが書いてあります。広く社会全体として支えていくということは、基本的には税の世界の話でございます。全体として、税としてこれをやるということになるわけです。しかし、今回の拠出金制度はあくまで保険の取り方をしている、しかし、それを社会全体としてやる。

 そして、また違うことは、これまでの経緯で見てみると、最初の拠出金の率は〇・〇五%である。しかし、どんどん、それが〇・一〇になり、今は〇・二三になっているということで、この中でいうと、ほぼ政令でこれまでやっているわけで、この負担をするときに法律事項ではなかったという理解でよろしいでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 拠出金率につきましては、上限を法律で定める中で、毎年度、政令でその具体的な率を定めさせていただいております。

稲富委員 上限を定める中で、政令でその拠出金率を上げていくということかと思います。

 年金と比べてみると明らかなんですけれども、年金の場合は当然、事業主負担と自己負担を合わせて、それに応じて年金が支給をされる。しかし、当然これは、何度も申しますように、払い方は年金だけれども、それに対する給付として、これが何らか返ってくることではないということを考えると、この拠出金は、拠出金という名前なんですけれども、私は献金という形に近いのではないかと思います。

 子育てを支援するために、各事業者に対する、献金という形に近いのではないか、別の言葉で言うならばですけれども。それが果たしてこの社会保障制度の中でなじむのかというのが問題意識でございます。

 その次の設問に行きますけれども、今回、そもそもこれが始まったのは、総理大臣が百年人生会議ですかの中で産業界に対して三千億を要請したということかと思います。これは非常に珍しいのではないかと思います。

 と申しますのは、額を明示し、そして拠出を要請している。要するに、拠出、先ほどの私の言葉で言うと献金を要請するということは非常に珍しい事例ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

大島政府参考人 お答え申し上げます。

 直ちに思い当たる他の例はございません。また、過去にさかのぼって網羅的にどうかということでございましたら、不明でございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 これは非常に珍しいことだと思います。そして、これは果たしていいのかとも思います。

 それは、総理がその場で、献金あるいは拠出を、額を明示してお願いをするということ自体が果たしていいのか。それは要するに、経済団体なりに対する一種の要請、介入に近いものではないかと思うからです。

 逆に言うと、総理にこんなことを言わせなくていいのではないかとも思います。やはりそれは、必要であれば粛々とやればいいわけで、それを公の席の場で、総理にこの発言をする場を設けるというのが、やはり、一事業体に対して要するに権力、行政の方が幾ら出してくれということを明示的に言うというのは、非常に私には違和感がございます。そこには一線がやはりあるべきで、市場あるいは経済と、政治、行政が、そこを超えてはならない一線があるのではないかと思うからでございます。

 このような直接的な要請は、先ほど御答弁ありましたけれども、今は知り得ないということでございますし、恐らくそんなことはなかったのではないかと思います。したがって、これは好ましくないのではないかと指摘せざるを得ないのですが、大臣、いかがでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 この拠出金の位置づけでございますけれども、私ども、社会保険料とは確かに違うというふうに認識してございますが、特定の事業目的のために、受益する者等が連帯して費用を負担し合う仕組みということで、拠出目的の範囲内で特定の事業に充当するという性格を帯びたものというふうに理解してございます。そうした中で、総理の要請があったものと認識してございます。

稲富委員 次の負担軽減について伺います。

 経済政策パッケージの中では、このたびのこの負担に対して、このような表現がございます。

 二の九というところで、産業界の労働保険料の負担軽減について、保険財政の動向を検証しつつ、検討する。特に、中小企業に対しては、企業主導型保育事業の運営費における企業自己負担部分を軽減する等の助成策を検討するとございます。

 先ほど質問もありましたけれども、改めて、どのような検討がなされているか、教えてください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 事業主拠出金につきましては、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、全ての企業に応分の負担をお願いしているところでございます。

 今般の拠出金率の引上げに当たり、企業主導型保育事業を更に中小企業に御活用いただけるよう、促進策を講ずることといたしました。

 具体的には、平成三十年度の予算におきまして、中小企業が本事業を実施する場合には、運営費の企業負担分を五%から三%に軽減することとしてございます。また、保育施設における事故防止等のために必要な防犯、安全対策の強化に関する加算を年額十万円から年額二十万円に増額することとしてございます。加えまして、共同設置、共同利用の施設を整備する場合には新たに百万円を加算することとしてございます。

稲富委員 大臣、企業主導型保育事業をしている事業というのはわずかでございます。中小企業そのものは、それよりもはるかに多い数でございます。今、さまざまおっしゃいましたけれども、そういう補助はする、しかし、それ以外の中小企業に対しては、何かメニューがあるか、施策があるのかというのはいかがでしょうか。

松山国務大臣 お答えいたします。

 事業主拠出金につきましては、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、全ての企業に応分の負担をお願いしているところでございます。また、従業員の仕事と子育ての両立を支援する、また、企業にとって、労働力確保に資するという面でお願いしているところでございます。

 さらに、拠出金は厚生年金保険料とともに事業主から徴収をされますので、こうした他の社会保険料あるいは労働保険料では、企業規模に応じて料率を変えるという仕組みにもなっていないということもございまして、制度上の課題も確かにあるというふうに考えております。

 いずれにせよ、経済団体との協議の場に今後は全国商工会連合会や中小企業団体中央会にも加わっていただいて、協議の場を持ちまして、今後とも、中小企業の意見もしっかり聞きながら、丁寧に説明、また協議をさせていただきたいと思っているところでございます。

稲富委員 大臣よく御存じのとおり、中小企業にとって、保険料、保険料じゃないですけれども保険の取り方をするこの負担というのは非常に重いということは、もう本当に、大臣御存じのとおりだと思います。当然ながら、税であれば、当然、景気によって、赤字になれば納めなくていいということはあります。しかし、従業員を抱えると、それは、有無を言わさず、この拠出金も払わなければいけないということ。それは、その他の、要するに、税と比べていくと、非常に企業にとっては重い負担になるということでございます。

 したがって、基本的には保険、これから社会保障の中でやはり負担を求める中で、企業にそういった形で保険として取るのか、広く薄く税で取るのかということは非常に大事な点だと思います。

 そういう意味で、企業の、景気に左右されず、悪いときであっても納めなければいけないということ、保険料の仕組みの中で取るというのは非常にきついものであるということだと思います。

 そういう意味で、先ほど課題があるとおっしゃったので、ぜひこれは、しっかりと中小企業の意見もお伺いするということだったので、そこも踏まえて、ぜひ御対応いただければということを重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 そこで、次の八番をちょっと飛ばします。

 九番のところで、事業主拠出金を充てる割合を、六分の一を超えない範囲内で政令で定める割合を規定しておりますが、根拠は何でしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 新しい経済政策パッケージにおきまして、経済界からは、喫緊の課題である待機児童解消のための子育て安心プランの実現に必要な、企業主導型保育事業と、ゼロ歳から二歳児相当分の保育の運営費に必要な三千億円を御協力いただくこととされてございます。

 経済界から御協力いただきますこの三千億円のうち、子育て安心プランにおける保育の運営費、ゼロ歳から二歳相当分の増加分がおおむね二千億と想定してございまして、これを上限に拠出金を充当することとしたものでございます。

 上限を規定するに当たりましては、保育給付の費用につきましては国や自治体の負担が割合で規定されてございますことから、保育の運営費、ゼロ歳から二歳相当分の増加分の二千億を、ゼロ歳から二歳に係る保育給付費の総額のおおむね一・二兆円で割った六分の一という割合を法律に規定しているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 その次、この事業主拠出金の法定上限、〇・四五%としておりますが、根拠をお知らせください。

小野田政府参考人 新しい経済政策パッケージにおきまして、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、待機児童解消に向けた子育て安心プランに基づく三十二万人分の保育の受皿増分に対応するため、先ほど申し上げました、企業主導型保育事業の拡充と、新たにゼロ歳から二歳児相当分の保育の運営費に〇・三兆円、これを充当することとしてございまして、この〇・三兆円に必要な事業主拠出金の率といたしまして〇・四五%とさせていただいたところでございます。

稲富委員 大臣、これはちょっと、〇・四五が上限ということなんですけれども、先ほど申し上げましたように、中小企業にとっては非常にこれから重いという中で、今後さらなる上昇、もちろんそれが法定上限に今していますので、今から先のことは言えないかもしれませんが、私はもうこれが目いっぱいのところではないかと思うんですが、大臣の見解を伺います。

松山国務大臣 あくまでも、〇・四五の範囲の中で徹底していくという方針でございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 そして、次の質問で、平成三十年度は一千億円、上限、アッパーまでは上げないということかと思いますが、今後の拠出金の引上げの日程感についてお伺いをします。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま大臣御答弁いたしましたとおり、〇・四五%の中で、三十一年度以降の具体的な拠出金の率につきましては、保育の受皿確保の実施状況等を勘案しつつ、毎年の予算編成過程の中で関係者と協議をして決定することとさせていただいております。

稲富委員 三千億というのは何年度を目途にということはございますか。

小野田政府参考人 お答えします。

 子育て安心プラン、二〇二〇年度までの三年度間で三十二万人の受皿整備ということでございますので、三年後に三千億というふうに考えてございます。

稲富委員 その間、今年度が一千億だと思いますが、一千億から三千億に率を上げるに当たって法律改正は必要ですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 拠出金率につきましては、法定上限〇・四五%の中で、今年度は〇・二九%というふうに政令で定めさせていただいておりまして、今後、〇・四五%の中であれば、政令改正によって率を確定できるというふうに考えてございます。

稲富委員 政令でできるということでございます。

 一千億から三千億ということで、プラス二千億の負担を負うということは結構大きい話でございまして、例えばで申しますと、今般新しい税が導入をされましたけれども、それとて年間四百億のオーダーです。そして、今年度でいえば六十億、フルで、来年度で四百億という新税の導入でもさまざまな議論がございました。しかし、一千億から三千億、要するにプラス二千億をするときには、そういった法律改正は必要はないということ。

 したがって、この社会保険というのは、先ほどこれまでの経緯を見ていただいたように、率を変えていく、そして、上限については法律でキャップをはめてきたけれども、そこの枠内での変化については法律改正は必要ないということでございまして、この社会保険のやり方については、やはり、我々納税者あるいは負担する側からすると非常に見えにくいという特徴がございます。なので、いつ上がるのかわからない。それはもちろん、わからないわけじゃないんですけれども、税と比べるとわかりにくい。そして、その負担が決して軽くはないという性質がございます。

 したがって、何度も繰り返し申し上げますように、中小企業にとって、あるいは事業者にとって、保険方式で取るということは非常に重たく、そして、毎年、いつふえるかわからないということは、非常に重たい負担を負うことになるということでございます。

 したがって、この方式についてはやはり見えにくいということと、中小企業にとっては非常に重いということ、それと、広く社会に負担を求めるということであるならば、本来は税ですべきところが、この形式をとっているということでございます。

 何より重要なことは、先ほど大臣が何度も御答弁いただいているように、御理解をいただく工夫が必要だということで、全国的な事業主の団体からの意見聴取というのがいいということが書いてありますが、具体的にはどの団体でしょうか。

松山国務大臣 子ども・子育て支援法では、拠出金の率などに関して、全国的な事業主の団体が総理に意見を申し出ることができるとされておりまして、各年度ごとに、年度内に、拠出金率、またその使い道について、経済団体と協議の場を設けることにいたしております。

 御質問の、どういう団体かというところですが、これまでは経団連と日本商工会議所と協議をしてまいりましたけれども、今後は、全国商工会連合会、また全国中小企業団体中央会にも協議に加わっていただきまして、小規模事業者の方々の意見もしっかりお聞きをしながら、丁寧に説明、協議をさせていただきたいと思っております。

稲富委員 少し話題をかえまして、昨年の十月、当委員会において、私、大臣に御質問させていただきました。一体改革の〇・三兆円についてお伺いをしました。そのことについて御質問いたします。

 その際、一体改革の〇・三兆円は税でない部分で財源確保が必要であるということでございまして、松山大臣からは、そのメニューの一部として、幼稚園、保育園等の、認定こども園の職員給与二%改善等々、御説明がございました。これは、来年十月に消費税が一〇になるタイミングで三千億を確保するということを何度もこれは決めてきたわけでございます。その確保の状況について、大臣から御答弁を求めます。

松山国務大臣 子ども・子育て支援新制度におきまして、平成二十七年度の施行当初から、この量的拡充とともに質の向上に取り組んできたところですが、具体的にお話ありますように、消費税率が一〇%に引き上げられたときに、〇・七兆円メニューについては、消費税率が八%に据え置かれる中にあって、全ての事項を実施をしました。また、消費税財源以外の財源により実施することとされているこの〇・三兆円メニュー、これについては、一部、平成三十年度においても実施をするということにしておりまして、この予算は四百四十八億円というふうになっております。これとは別に、四万円の処遇改善も行ってきたというところでございますが。

 この〇・三兆円メニューにつきましては、骨太の方針二〇一七にも明記をされておりますので、適切に財源確保をしていくとされておりますので、今回の拠出金の三千億の増額分とは別メニューとして確保していかなければならないものと承知をいたしておりまして、引き続き、今後、各年度の予算編成過程の中で、安定的な財源確保ということで、しっかりこれを確保するために努めていかなければならないと思っているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 恐らく、質の向上に関してこの三千億が充当すると予定しているところでいうと、一歳児の職員配置の改善、四、五歳児の職員配置改善等々が恐らくあるのではないかと思います。これが確保できるかできないかによって、その職員配置の改善ができるかできないかということになります。これは内閣全体としてぜひ実現をしていただきたいという御要望を申し上げます。

 そして最後に、待機児童についてお伺いします。

 先ほど大河原委員から質問があったときに、待機児童の定義を聞かれたときに、ちょっと定義が私にはよく聞こえませんでしたので、もう一回、待機児童の定義をおっしゃっていただけますでしょうか。どなたでも結構です。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 待機児童につきましては、簡単に申し上げますと、保育園等に利用の申込みを行っていて、実際に保育園等に入られていらっしゃらない方ということになりますけれども、自治体等でいろいろな育児休業中の方の取扱いなどにつきまして違いがございましたところであったことから、統一的な見解を市区町村にお示ししたところでございます。

稲富委員 今おっしゃったことが統一的な見解ということでしょうか。

成田政府参考人 待機児童につきましては、今申し上げましたように、保育園等に利用申込みをされた方のうち、保育所等を利用していらっしゃらない方です。そのうち、育児休業中の方ですとか求職活動をしていらっしゃる方などについての取扱いについて、統一的に考え方をお示ししたところでございます。

稲富委員 終わります。ありがとうございました。

山際委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 柿沢未途でございます。

 午前中のラストバッターで昼の時間にかかってしまいますが、どうぞよろしくお願いします。

 待機児童ゼロということで、ことしの三月末までに実現をするはずだったわけですけれども、去年、厚労省から九月に発表された待機児童数は、三年連続でふえて、過去最高の二万六千人ということになってしまいました。二〇二〇年度の年度末に今度はゼロにしますということを言っているわけですけれども、申しわけないですけれども、これは逃げ水のような話で、このままでは無理だと思います。それは、安倍政権がどうだとかということを私は言いたいわけではなくて、今手をつけられていない構造的な問題があるからだということを指摘したいというふうに思うんです。

 大臣、まずお伺いをいたしますけれども、希望出生率一・八、こういうことを掲げられておられるわけですから、子供がふえる、子供が多くなるということは基本的にはいいことだという認識ですよね。基本的なことで、簡単な質問ですから、はい、そうですとお答えいただければいいわけですけれども、お伺いします。

松山国務大臣 少子化対策の問題は国難と位置づけて、少子高齢化を克服するために、一億総活躍実現プランの中にも明記をしておりますけれども、極めて重要なことだと思っております。

柿沢委員 極めて重要なことだ、いいことだということですね。うなずいていただきました。

 こんなことをなぜ聞いたかというと、実はそうなっていないところがあるわけなんです。私の地元の江東区です。豊洲とかベイエリアにタワーマンションががんがんがんがん建っていて、子育て世帯の人口がどんどんふえて、子供がふえ過ぎちゃって困るということで、とうとう条例をつくって、ファミリータイプのマンションの建設を規制することにしました。四十平米以上の間取りの部屋を戸数の八割未満に抑えて、あとは四十平米未満の単身者用のワンルームサイズにしろと。

 ワンルームといったら、定住志向が低い、コミュニティーへの帰属意識が薄い、誰が住んでいるのかわからない、投資用の物件が多い。普通は、自治体が余りよく思わないものなんですね。そのワンルームの供給を自治体みずからが誘導するような政策を始めているわけであります。

 きょう、日経新聞の記事を配付しておきましたが、表題を見ていただければわかるとおり、「子ども増えすぎて…ファミリー向けマンション規制 保育所整備追いつかず」。そういうわけなんです。子供がふえると自治体は困る、保育所も学校も整備が追いつかない、こういう実情になっているわけです。

 ちなみに、江東区の今言った新しい条例では、ワンルームに加えて、同時に、高齢の親と一緒に住む三世帯同居を促進するために、逆に、九十平米以上の住居を少なくとも一割以上設置をする、これも義務化をしています。これも、子供が生まれても、同居の親に面倒を見てもらえれば保育所に預ける需要を減らせるだろう、こういう狙いであるわけです。

 それもそのはずなんですよ。江東区の平成三十年度予算ですが、これは一般会計一千九百二十九億円。そのうち保育所の整備や運営に関する予算がどのぐらいになっているかというと、二百八十二億円です。実に、千九百二十九億円のうちの二百八十二億円、一五%を占めるまでになっているわけであります。もうこの保育所のことだけでもあっぷあっぷなんですよね。ちなみに、上がれば、小学校、ふえてきますから、小学校の増改築にかかわる予算で、これにプラスして百二十億円、平成三十年は計上しています。

 東京はどこもそうなんですよ。世田谷区、これは一般会計三千億円ぐらいですけれども、二〇二〇年には、保育所の運営の経費だけで三千億円のうち四百四十四億円を占めるというふうに見積もられています。重い重い財政負担になっているわけです。

 子供がふえれば、保育所をつくらなければいけない。しかし、それは非常に重い財政負担を自治体にもたらすことになる。しかも、どうせ将来的には子供の数は減っていくと自治体は予測をしているわけです。そうなったら、つくった保育園は今度はがらがらになる。自治体にとっては、いわば不良資産になりかねない。それなら、なるべくつくらない方がいいじゃないかということになるわけです。

 日経新聞の調査によれば、認可保育園をふやすかどうかを聞いたところ、積極的にふやすと答えた自治体は二割しかなかった。なるべく抑制する、ほかの手法を考える、これが自治体の回答の八割近くを占めたということであります。

 待機児童ゼロが一向に実現しない、保育サービスの受入れ容量がニーズにいつまでたっても追いつかないのは、これは三つの壁があるとよく言われるんですけれども、自治体の壁、保育士の壁、そして物件の壁です。まさしく、今申し上げたのは、保育の容量をふやすことについて自治体の壁が立ちはだかっているということだというふうに思うんです。

 厚労副大臣、牧原副大臣にお見えをいただいておりますが、東京の二十三区で予算の一五%、一割、二割を保育所の整備、運営の経費が占めているというこの現状、その重さ、これがどういう結果をもたらしているか、これに関する認識を伺わせてください。

牧原副大臣 ありがとうございます。

 先生のまさに御指摘を踏まえまして、私どもも、平成三十年の予算について、各区、回答をもらえるところだけもらうような調査をいたしましたけれども、確かに、先生の江東区は一五%、あるいは新宿区は二〇%を含め、軒並み一割を占めている自治体も結構あるというふうに承知をいたしました。

 これは、待機児童全体の三分の一を占める東京都においては、この待機児童の解消が喫緊の課題となっていて、各自治体の方で懸命な保育の受皿確保に取り組んでいただいているという現状が示されたものと改めて認識をしたところでございます。

柿沢委員 ここは政治家同士の議論ですから、それが自治体の重い財政負担をもたらすことによって、保育園、先のことも考えれば、なるべくつくらないで抑制的に構えた方がいいなという姿勢をもたらしている、このことが、この待機児童ゼロが逃げ水のようにどこまでいっても解消しないという状況をもたらしているということについての認識をぜひ伺わせてください。

牧原副大臣 ここは、そういう現状で保育所の整備を抑えているかというふうには各自治体に聞いていませんので、その認識については各自治体の認識であるというふうに思っておりますけれども、先生が御指摘のように、この数字を見る限り、今一割を超える水準で重くなっているということで、そのような背景があるのではないかということは、先生の御指摘を重く踏まえて、我々としてもきちんと考えていきたい、こう思っております。

柿沢委員 もともと親しい牧原さんにこういうことを言っちゃ申しわけないけれども、そんな答弁をするんじゃ、牧原副大臣は現場を知らないというふうに言われてしまいますよ。実際の現場で自治体に、保育所をつくりたい、小規模保育をやりたいと言った人がどんなことを言われているかということを、ちゃんと耳を傾けられた方がいいと思います。

 保育園の整備について、そもそも、自治体が需要予測を行って、いわば計画経済的に認可保育園の整備について目標を決めているやり方をとっているのは、だからこそ、保育園の整備が抑制的になってしまう、こういうことなのではないかと私は思うんです。

 ことしは千人分の保育園をつくろう、だから、十の事業者を選定する、しかし、十一の事業者が出てきても、それはだめよ、こういう仕組みですね。これを、保育園を自治体が配給する仕組みだというふうにも例えられます。

 これはちょっと例え話ですけれども、パン屋さんだったら、行きたいパン屋さんを選んで、パン屋さんとお客さんの間だけでやりとりをするわけですけれども、保育園の場合は、そこに自治体が挟まれて、自治体がお客さんの希望を聞いて、パンをどれだけ焼くか、そして、サービスをその人に提供する調整をやるわけです。しかし、これだと、そもそも自治体がブレーキをかけている、あるいはブレーキをかけざるを得ない状況にあると、残念ながら機能しないわけです。

 以上は、わかりやすいので、駒崎弘樹さんの例え話をそのまま引用しましたけれども、これは、保育園の供給量の調整を自治体が行っているということについて意義そして課題があると思うんですけれども、また牧原副大臣にお伺いしたいと思います。

牧原副大臣 先生も御承知のとおり、児童福祉法では、都道府県の定めた設備運営基準、これに適合する場合には認可をしなければならないというふうに一応原則なっております。ただ、許可申請に係る区域の利用定員の総数が供給過多、こういうふうになっている場合には認可をしないことができるという意味で、この部分の調整機能というふうになっているんですけれども、先生が御指摘のように、財政負担等も考えて自治体の方がそれを抑えているという現状の今御指摘を受けましたので、この辺、きちんと確認をさせていただきたいと思います。

 基本的には、自治体においてはそれぞれの潜在的ニーズも含めて保育の受皿整備を行ってほしいというふうに思っておりますし、また、子育て安心プランに基づいて整備計画を作成する場合には、今、こうした潜在的な保育ニーズの把握に積極的に取り組むように厚労省としても求めたところでございます。それぞれ受皿整備が成るように厚労省としては支援していきたい、こう考えています。

柿沢委員 供給過多の場合は認可しないことができる。供給過多じゃないんですよ、待機児童が生まれているんですよ。

 国の皆さん、松山大臣、牧原副大臣、旗振りをやっていることはわかります。しかし、自治体は、今もうあっぷあっぷで、幾ら旗を振られても、もうなかなか対応できない、こういう状況になりつつあるわけです。そして、さっき言った、原則として認可しなければいけないことになっているにもかかわらず、数を決めて、そこまでしかだめよということをやらざるを得ないことになっているわけです。

 私、別に江東区の文句が言いたくて言っているわけじゃないんです。そういうふうにせざるを得ない自治体の財政の現実がもう露呈をしている、そこが、今、待機児童が解消しない一番大きなボトルネックになっているんじゃないかというふうに感じるわけであります。

 松山大臣、企業主導型保育は、これとは違う仕組みなんですよね。

 企業主導型というと、何か事業所内保育みたいなイメージがどうしても強くなるんですけれども、これはNPOも社福も設置事業者になることができる仕組みになっています。事業所内でやる必要もなくて、地域に設置をすることができるようになっている。そして、一定の基準を満たせば、認可がどうこうはなくて、基本的に開設は認められ、そして国から支援を受けられるわけです。

 入園は事業者と利用者の直接契約となっていて、従業員型の場合は自治体の保育認定も不要とされています。だから、フルタイムの九時―五時の週五日という定型的な働き方でなくても預けられますし、また、非正規雇用の方もフレキシブルに利用できて、子供を預けることができるわけです。

 自治体の認可を通じた今の需給調整の枠外で、開設したいと思って適切な物件と人員がいれば、基準を満たせば開設ができるということですから、企業主導型保育、どんどんふえているわけです。この四月までの五万人の目標を七万人に上積みをして、今度、地域枠五〇%以下という制限も外して、地域の待機児童をもっと受け入れようとしているわけです。

 松山大臣、この企業主導型保育が、先ほど牧原副大臣、厚生労働省から御答弁をいただいたのと違う、利用者との直接契約の形態、こういう形をとっている、これまでの認可園とは違うやり方をとっていることの意義、また課題、お伺いをしたいと思います。

松山国務大臣 お答えいたします。

 柿沢委員御指摘のように、企業主導型保育は、従業員の多様な働き方に対応するために、企業における従業員の仕事、子育ての両立を支援するということでスタートいたしております。

 これは、御指摘のように事業主拠出金を財源としているものでありますから、企業の創意工夫によって従業員に対して柔軟な保育サービスを提供する、それができるように、企業と従業員を始め保護者が直接利用契約を交わすことができる状況になっておるところでございますが、このように、企業主導型保育事業につきましては、市町村の利用調整の対象とはなっておりません。

 それで、この四月に国の基本指針を改正しまして、企業主導型保育事業の地域枠の定員というものも市町村が把握をし、市町村が作成する事業計画に位置づけるということにするなど、市町村との連携についても推進してまいりたいと考えておるところでございます。

柿沢委員 ちょっと御答弁が逆で、私の思いからすると。これは、自治体のそれこそ需要調整というか需給調整というか、先ほど申し上げたような、財政負担の自治体の壁に突き当たって供給量が制約をされてしまうということの枠外にこの企業主導型保育がある。そのことのデメリットもありますよ、デメリットもありますけれども、市町村が全く知らないところで行われるということが好ましいとは思いませんが、しかし、先ほど申し上げた、私が最も大きな壁になっていると思っている自治体の壁というものをある意味では意識せずに、事業者が手を挙げれば供給量をふやせる、こういうものであるわけです。

 このことを内閣府が主導してつくられたということは大変私は意義があるのではないかと思うんですけれども、ちょっともう一度御答弁いただけますか。

松山国務大臣 あくまで、地域の自治体の事業計画というものがございますが、この事業計画の中で、企業主導型保育も、社員の、従業員のお子さん以外にも受け入れることが可能ということにしておりますので、その辺は自治体とよく連携をとって、それぞれ地方に応じて柔軟に対応ができる仕組みとして、待機児童の解消にも貢献していかなければと思っているところでございます。

柿沢委員 ちょっと意図した答弁とは違うものが返ってきたような感じになってしまいましたけれども。

 もう一つ問題を指摘したいと思います。先ほど来ずっと言っているとおり、保育需要の見積りを自治体が行っていることの問題点もあるように思います。

 幼児教育の無償化の議論が出てきたときに、三十二万分の受皿で保育園の待機児童ゼロを実現すると安倍総理は胸を張られたわけですけれども、そもそも三十二万分で足りるとする根拠は何なんですかという疑問の声は即座に上がってきたわけです。

 野村総研のレポートでは、新たに整備が必要な保育の受皿は、二〇二〇年までに八十八・六万人分になるはずだとされています。三十二万人と八十八・六万人、その乖離の一つの大きな原因は、そもそも入園の申込みすらしていない親の存在を頭の中に置いているかどうかだと思うんです。

 ちなみに、同じ野村総研のレポートでは、昨年度、少なくとも三十一・三万人の児童の保護者が、自分の子供はすぐにでも保育サービスを利用したかったのに利用できていないという不満を感じていたと推計をされています。三十一・三万人が、利用したかったけれども利用できていない。そして、このうちの四割は、保育園の入園申込みそのものをしていないんですね。保活という言葉があるだけに、はなから諦めている方も大勢いらっしゃるわけです。

 無償化の前に全入化をという声を上げてきた、希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会、ツイッターのアンケートが行われていまして、きょうの資料の二枚目をごらんいただきたいと思いますけれども、三月二十七日、できたてほやほやのアンケートの最終結果ですけれども、皆さんの状況を聞かせてくださいということで集めたものですが、ごらんのとおり、希望どおり決まったというのは四五%、希望とは違うけれども決まったが二二%、そして、落ちた、決まっていないが一二%、諦めて申し込んでいないが二一%ということで、諦めて申し込んでいない、入れていない、こういう人は三三%、三人に一人がこういうお答えを返してこられているわけです。

 けさの朝日新聞、ちょうど出ていたんですけれども、保育園入園が絶望的なので、夢のタワーマンションを売って泣く泣く引っ越したというファミリーの話が出てきています。夫の転勤に伴って江東区へ引っ越してきたところ、江東区へ、区役所から、夫婦でフルタイムで働いていないとそもそもスタートラインに立てませんと言われて、申込みも諦めたという話が出てきます。

 こういう形で、かなり多くの人が、先ほど三十万人と数を申し上げましたが、そもそも、だめだと諦めて申込み自体をしていない。こういう人は、そもそも自治体の待機児童の統計には入ってこない。待機児童の数が見かけ上それだけ少なくなるので、自治体としては、言葉は悪いが、都合のいい面もあるんです。保育園の入園を希望する人の数を過少に見積もろうとする、これももう一つの自治体の壁と言ってもいいのかもしれないというふうに私は思います。

 最近、フリーランスの人なんかが、やはりこういうことで、はなからもう入園できないということで入園を諦めるケースがクローズアップされて、通達を出されたりもしておられますけれども、そもそも入園申込者ということで全てをカウントしているわけですけれども、これから、女性の就業率八割ということで受皿を整備しようとかいう時代ですから、そもそも、こうやって、今の保活の厳しさを知って手も挙げない、しかし本当は預けて社会に出たい、こういうニーズをちゃんと把握すべきではないかというふうに思います。

 そういう意味で、今申し上げたように、初めから諦めて申請自体をしない人が三割、四割に上っているというアンケートの調査結果もあるわけですので、この自治体が申込者の保育の必要度を審査して保育認定を出すという仕組みで本当にニーズが捉えられているのかどうか、そのことについての御認識をお伺いしたいと思います。

松山国務大臣 保育の必要性の認定ですが、これについては、保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識のもとで、保護者の就労などの理由によって子供の保育を必要とする場合に保育を受けることができることを基本として導入をしているところでございます。

 子ども・子育て支援新制度におきましては、制度の施行前と比べまして、保育の必要性が認められる場合として、パートタイムあるいは夜間の就労、就職活動、そしてまた児童虐待やDVのおそれなどに拡充をしているところでございます。

 また、就労については、居宅外での労働のほか、先生御指摘のフリーランスと呼ばれる自営業や在宅勤務などを対象としておりまして、多様な働き方が広がっていることに鑑み、保護者の就労状況の実態に応じた取扱いが可能となるように自治体に周知しております。

 引き続き、この子育て世代の就労状況の実態に応じて、必要な子供あるいは子育て支援が提供できるように取り組んでまいりたいと思います。

柿沢委員 さっき申し上げたとおり、そもそも夫婦でフルタイムで働いていなければスタートラインにも立てませんよと言われて、挙げた手をおろしちゃう、こういうことが起きているわけです。

 この実態を、これはツイッターのアンケートですよ、そして保育にかかわる活動をしている団体の方々がやったものですけれども、国も自治体も、ここの部分の調査も把握もされておられないんじゃないですか。その点、私はぜひ取り組むべきだと思いますが、ぜひ御答弁ください。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 保育の受皿整備を行うに当たっては、保育の実施主体である市区町村において、申込みにまで至らないケースも含めて保護者の意向を丁寧に確認しながら、潜在ニーズも含めた必要な整備量を的確に把握することが重要であるというふうに考えております。

柿沢委員 やっていないから言っているんです。ぜひ、ちょっと、しっかり御検討いただきたいというふうに思います。その結果、今、毎年毎年、本当につらい、苦しい、悲劇的なと言ってもいい、こういう状況をつくり出しているということを、皆さん、一丁目一番地みたいなことを言いながら、この状況を放置しているのは許されないと思います。

 先ほど申し上げたように、もはや、保育に欠ける児童に対する福祉サービスとして、ある種措置制度を前提にしながら運用されてきた今までの仕組みそのものを見直さなければいけないという時代に来ているのではないかと思います。女性の就業率八割を前提に保育の受皿を見積もるという時代でもあり、これはもう、保育はある種のユニバーサルサービスというふうに言っても過言ではないと思います。

 その意味で、三枚目の資料をごらんいただきたいと思いますが、これは、民主党政権時代の子ども・子育て新システムの検討会の幼保一体化のグループのところで、幼保一体化のこども園というのを考えたときにイメージされていたものでありますが、一番下に多様な事業主体の参入と書いてあって、指定制の導入ということが書いてあります。つまり、客観的な基準を満たせば、多様な事業者が参入をしてきて、しかも、それは今の認可園と基本的に同じ支援を受けられるという仕組みです。

 つまり、需要予測に基づいて自治体がつくる数を決めて認可する、そういうものではなくて、ニーズをはかって事業者が参入をし、そして事業を行っていくという、それが基準を満たせば、基本的に、原則として指定が行われるという仕組みです。

 私、このころ、民主党政権の外側にいましたので、別に肩を持つ義理は全くないですけれども、しかし、私は、これはやはりやるべきことなのではないか。しかも、先ほど言ったような、自治体の壁で供給制約が起きているとおぼしき状況であるとすれば、企業主導型保育をやった基本的な考え方の根底にはこの視点があるように思います。

 そういう意味では、ぜひこの検討を改めて進めていくべきだと思いますが、大臣、御答弁ください。

松山国務大臣 お尋ねの保育所の認可の関係につきましては、児童福祉法に基づいていくものでございますので、まず、厚労省の方から答弁させていただきたいと思います。

成田政府参考人 御指摘の指定制についてでございますが、平成二十四年の子ども・子育て支援法の制定などに当たりましては、国会審議において、指定制を採用した場合の保育の質に対する懸念などから、国会の修正により、認可制度を前提としながら、大都市部の保育需要の増大に機動的に対応できる仕組みを導入することとされた経緯があると承知しております。

 児童福祉法では、保育園の設置についての認可申請を受けた都道府県等は、その保育園が都道府県等の定める設備運営基準に適合する場合、原則として認可することとされているものであり、認可制のもとにおいても保育需要の増大に対応できる仕組みとなっていると考えております。

柿沢委員 大臣の答弁をお願いしようと思っていたんですが、こういうことになりましたけれども、正直申し上げて、本気でやる気があるのかというふうに、私はちょっと、本当に感じてしまいます。

 今まさに、待機児童ゼロを何か国策として強力に推進しているかのようなことを与野党問わず政治家は口にするわけですけれども、いつまでたっても現実が変わらない。むしろ状況は悪化しているようにも思われる。そういうことについて、結局、こうした手をつけられていない構造的な問題に手をつけないまま対応していることがこの現状をもたらしていると私は思います。ですから、今の最後の御答弁は非常に残念に思いました。

 加えて、三枚目のペーパーには、こども園ということで幼保一体化のことが書かれているわけですけれども、これからちょっと幼児教育の話をさせていただきたいというふうに思います。

 牧原副大臣、厚労省に関してのパートはここが最後だったと思いますので、もしよかったら。お疲れさまです。

 それで、幼児教育の重要性というものが最近とみにクローズアップをされているわけですけれども、これはなぜ重要だというふうに今考えられつつあるのか。子ども・子育て全般にかかわる大臣として、その認識をお伺いしておきたいと思います。

松山国務大臣 お答えいたします。

 乳幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎が培われる大変重要な時期でございます。こうした時期に行われる幼児教育、保育は、知識、IQなどの認知能力だけではなくて、根気強さや、あるいは注意深さ、意欲、こういった非認知能力の育成においても大変重要な役割を果たしております。加えて、人工知能などの技術革新が進み、また新しい産業や雇用が生まれる社会において、コミュニケーション能力あるいは問題解決能力の重要性も高まっていると認識をいたしております。

 こうした能力を身につけるためにも、幼児教育、保育の重要性はますます高まっているというふうに考えております。

柿沢委員 今まさに、IQ、学力といった認知能力のみならず、非認知能力、こういう話がありました。

 スタンフォード大学のウォルター・ミシェルの行ったマシュマロテストというのがありまして、子供の目の前に、何もない部屋にマシュマロ一個だけ置いておく、食べるのを我慢していたらもう一個上げるからねと言っていなくなる、帰ってきたときに我慢できたらもう一個上げるという、これは四歳児を対象にしたテストでありますが、大体、三分の一ぐらいの子供が我慢できて、三分の二は食べちゃうらしいんですけれども、食べるのを我慢できた三分の一の子供を追跡調査したところ、その後の学歴、職歴、こういうことに顕著な差が出たということであります。

 つまり、将来の得のために今自分を律することができるか、いわゆる自制心、非認知能力ですね、これをしっかり身につけて養っている子供は、学力とかIQとかにかかわらず、社会で将来大きな成長を遂げることができる、こういうことが研究の結果としても明らかにされているわけです。

 私、日本の私立幼稚園の卒園式とか行きますけれども、日本の私立幼稚園、まあ幼稚園はなかなかいい線いっていると思うんですよ。しかも、これは学力を授けるということとはちょっと違う話ですから、保育園だって同じことをやっているんですよね。そう思って、保育園の保育指針を見ると、ちゃんと書いてあるわけです。保育所における保育とは、養護と教育が一体となって展開されるものというふうにされているわけです。つまりは、保育園も教育の機能を持っている、こういう施設であるわけです。

 そうすると、幼稚園と保育園の違いというのは一体何なのかというふうに感じられるわけです。いよいよわからなくなって、ベネッセの教育情報サイトを見たら、イの一番に書いてあったのは、「保育園と幼稚園では、管轄や法律が違います。」こんなことを書いているんですよ。

 幼稚園と保育園を実態として分かつものというのは一体何であるのか。同じ非認知能力を養う、そうした教育を行う、施すことができるとすれば、区別する必要はないんじゃないかというふうにも思いますけれども、大臣、子ども・子育ての、ぜひ司令塔としての御意見をお伺いしたいと思います。

松山国務大臣 先生御指摘のように、幼稚園は、学校教育法に基づき義務教育の基礎を培う教育を行う学校であり、保育所は、児童福祉法に基づいて保育を必要とする児童に保育を行う児童福祉施設であると承知をいたしておりまして、まさに管轄と法律が違うというところなんですけれども、ことしの四月に施行された幼稚園教育要領あるいは保育所保育指針の改定におきまして、小学校教育への円滑な持続を図る観点から、三歳以上児の教育内容については、幼稚園、保育所を通じて同様の内容としているところでございます。

柿沢委員 ここも、三枚目のペーパーを見ていただくと、この平成二十二年の段階で、上の方の囲みのところの三つ目のポツのところですが、幼稚園教育要領と保育所保育指針の統合ということが書いてあるわけですね。私は、なかなかこれは先進的だったなと。私は当時、何度も言いますけれども、民主党政権の外側にいましたから、余り、本当に身内として肩を持ついわれはないので、本当に客観的に見て、そういうふうに思います。こういう方向でやはりやっていくということが私は必要なのではないかと思います。

 その一つの参考になるのは、フランスの事例だと思います。フランスのエコールマテルネル、これは保育園と小学校の中間に位置する教育機関でありますが、フランスは、三歳になったら子供全員が幼稚園に通う権利があると考えられていますので、ほとんどの子供が三歳から幼稚園に通います。大体、三歳から五歳までの就学率はほぼ一〇〇%。就学前教育の就学率において、先進三十カ国においてフランスはトップの状況です。これだけ幼児教育の普及率が高いというのは、やはりこのエコールマテルネルという、保育学校とか訳されますが、これは公立ならば全て無料ということになっているわけです。

 ほとんどの子供は公立に通っていて、私立のエコールマテルネルというのは〇・七%とかしかないそうですけれども、事実上、義務教育とは位置づけられていませんが、この幼児教育の義務教育化ということがフランスでは行われているわけです。ここには、保育園と幼稚園の違いなどはないわけであります。

 こういう形で、せっかく幼児教育の無償化とか幼児教育が重要だということを言っているんですから、このぐらいの制度の仕組みを改革していくというような取組をやはり視野に置いて政策を行っていかなければいけないというふうに思うんです。そうでないと、ただ幼稚園に公金を入れて無償化して、結果としては、今の幼稚園の経営を助けるみたいなことだけにとどまってしまう可能性もあると思います。

 ぜひ、こういった形で、まず、幼児教育の義務教育化、そして、ゼロ、一、二歳までの子供たちに関しては、保育園を、やはり指定制を導入して全入を果たせるような、そうした基盤をつくっていく、こういうことをやるべきだと思いますが、これを大臣、御答弁をいただきたいと思います。

松山国務大臣 先生御指摘のお話、大変参考になる内容だと存じます。

 三歳以降の義務教育化につきましては、学校教育制度全体のあり方とかかわってくることでもありますし、幼稚園等ではなく御家庭で子育てをすることを希望される方々もいることなども踏まえて、しかし、検討すべき課題であるというふうに認識をしているところでございます。

柿沢委員 幼児教育は重要である、そして、子供がふえるのはいいことだという御答弁をいただきながら、結果的に返ってくるその後の施策の説明や今後の方針については、なかなか踏み込んだものが出てこないということを感じます。

 しかし、それで何が犠牲になるかといえば、実際に今子供を産み育てている、そうした家庭の皆さん、また、これから産み育てようと思っている皆さん、そして、生まれてきた子供たちの未来が、ある意味では、ある種の、言葉の言い方は悪いですけれども、仮に無為無策であるとすれば犠牲になっていくわけですので、ぜひ、そういう意識を持って今後取り組んでいただきたいというふうに思います。

 ちょうど時間になりましたので、終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

山際委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十二分開議

山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。寺田学君。

寺田(学)委員 寺田学です。

 質疑時間をいただきまして、ありがとうございます。

 少子化対策ということに絞っての質疑ということですので、松山大臣始め皆様にちょっとお伺いをしたいというふうに思っています。

 今、少子化が国難だというようなお話が政府からも頻繁にお話をされ、自治体の方でも、私は秋田ですけれども、少子化は非常に深刻ですので、県としても対策をする課をつくったりということで、急場でやっています。

 私は人口問題にも関心がありまして、いろいろ調べていた時期があるんですが、少子化が確定した年、表現の仕方が難しいですけれども、今後少子化になるであろうということが確定した年が約四十一年ぐらい前です。一言で言うと、出生率が二を切ったというところが四十何年前で、ちょうど私が生まれる前の年ぐらいだと思いますけれども、そのころはそのころで逆に、子供がふえ過ぎること、人口がふえ過ぎること自体が問題だということで、政府の方で、子供は二人までというような一つの方針を出すようなのが四十年前でした。

 それを受けて、真面目な日本人という言い方はよくないかもしれませんが、一気にその翌年から、かたんと合計特殊出生率が下がったというふうに私の方は把握しております。

 見方によりますけれども、それぐらい前からわかっていることでしたので、対策を立てるということに関しては、もっともっと早くから手を打つことができたんではないかなというふうに思います。与党、野党問わず、政権にいた者、今いる者含めて、これは大きな、政治に携わる者としての先見性の乏しさというのか、先見的には見えているけれども手を打たずしてここまで来たというのが今の現状だと思います。

 これを回復するには、本当に同じように何十年もかかる問題だと思いますので、本当に腰を据えて、問題点を、イメージではなく、一つ一つ事実に基づいて対策を打って、将来的に持続可能な国というか地域を守っていくということが必要だと思っています。

 ですので、最初に松山大臣とお話しすること、質問するのは初めてですので、基礎的なところから一つ一つ、大臣の見解をお伺いしたいと思うんですが、少子化というこの事態に至った原因は何であるかということをまずお伺いしたいと思います。

松山国務大臣 よろしくお願いいたします。

 寺田先生御指摘のように、少子化は深刻な状況でございまして、昨年、平成二十九年の人口動態推計を見ますと、平成二十九年の出生数は九十四万一千人と、過去最少となりました。また、出生数から死亡数を引いた自然増減数もマイナス四十万三千人ということで、過去最高になっております。このように、人口減少が進む中、少子化のトレンドに歯どめをかけることが喫緊の課題だというふうに思っているところでございます。

 その少子化の問題でございますけれども、やはり、若い世代の方々に、一つは経済的な不安定さ、また長時間労働、仕事と子育ての両立の難しさ、また子育て中の孤立感や負担感、教育費の負担の重さ、あるいは身体的や年齢的な理由というものがございまして、結婚、出産、子育ての希望の実現を阻むさまざまな要因が絡み合っていると思っております。したがって、これらを一つ一つ取り除いていくということが大変重要だと思っております。

 昨年、新しい経済政策パッケージ、そしてニッポン一億総活躍プラン、また少子化対策大綱をつくりました。これに基づきまして、二〇二〇年度までに三十二万人分の保育の受皿を整備するとともに、長時間労働の是正、あるいは同一労働同一賃金の実現等の働き方改革、また育児休業等の取得を促進する機運の醸成など、こういった施策によって子育ての負担の減少を目指しているところでございます。

 幼児教育また保育の無償化、また真に必要な子供に限った高等教育の無償化に加えて、不妊治療への支援などの施策に、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思います。

寺田(学)委員 基本的に私の質疑スタイルは、一度御答弁いただいた内容に対して更問いを行っていくという形ですので、今御答弁いただいた内容で質問をさせていただきたいと思うんです。

 大臣おっしゃられるとおり、要因というものは多岐にわたると思います。ですので、その多岐にわたるものを一つ一つ取り上げながらやっていくんですが、めり張りも大事だと思います、優先順位というのも大事だと思います、人それぞれに主因と思われるものが違ったりするかもしれません。

 もう一度お伺いしますが、今の大臣がお話しされたこと一つ一つには賛同しますけれども、少子化対策の特命を受けられた担当大臣として、この少子化を招く、一番の大臣の関心事である主因は何でしょうか。

松山国務大臣 先ほど申し上げましたが、やはりさまざまな要因があるということは実感いたしておりまして、そのため、まずは結婚する機会、この支援も今取り組んでいるところでございますが、そしてまた出産、そして子育て、そういった若い世代の方々の今生きていくこの人生の流れの中で、一つ一つやはり不安を解消して、何の悩みもなくその不安を払拭していく、そのことに尽きると思いますので、そういった状況の中、この教育の無償化も含めて、さまざま、一つ一つ今取り組んでいるところでございます。

寺田(学)委員 結婚、出産、子育てに対する不安というものを取り除くのが大事だということでした。

 結婚に対する不安というのは、どのようなことをお考えになられていますか。

松山国務大臣 まず一つは、やはりさまざま私も視察に行きましたけれども、まず出会いの場がないというところからの悩みもあるということ、そしてまた、結婚に踏み切る希望、何とかかなうように持っていくという意味では、経済的な不安定さ、あるいは長時間労働等々、これから自分たちが人生二人で頑張っていくというところの思い切り云々については、やはり、時代に対する今の経済的な不安定さ、生きていく上での不安がやはりかなりあるんだろうというふうに認識いたしております。

寺田(学)委員 結婚にフォーカスを当てると、出会いの場がないということと、また経済的な不安があるということの御答弁でした。

 もう一段掘り下げたいんですが、私、出会いの場が少ないというのは、よく言われることですし、私の方の県でも、県自体がその場を提案するようなものを予算づけてやっている。私は少々懐疑的に思っていますけれども。

 出会いの場が少ないというのは昔から言われていることだとも思うんですよね。役所の方でデータがあるのであれば教えてほしいんですが。

 私がなぜこういうことを細かく聞いていくかというと、物すごく、この少子化の問題って、イメージで語られる場合が多いんですよね。本当の意味での解決策というものはどこにあるのかということを突き詰めていかないと、余りにも要因があり過ぎるので的外れなものになってしまう、効果が乏しいものになってしまうと思いますけれども。

 出会いの場が少ないということが婚姻率の低下にどのようにつながっているのか、参考人の方でも結構ですので、御答弁できますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 まず、結婚関係で申し上げますが、データを申し上げますと、生涯未婚率、いわゆる五十歳時の未婚割合ということでございますが、一九八〇年は、男性二・六〇%、女性四・四五%、これが二〇一五年には、男性二三・三七%、女性一四・〇六%と非常にふえてございます。

 それで、出会いの場がないというのは、済みません、ちょっと今、正式なデータはございませんけれども、昔は、例えばお見合いによる結婚の割合というのはかなり高かったと思いますが、今は、お見合いによる御結婚の割合というのはかなり減ってきているというふうに我々は認識してございまして、まさに、内閣府が地域少子化交付金を設けまして、そうした出会いの場、自治体ごとで出会いの場を設ける場合に交付金を我々の方から交付させていただいて、そうしたマッチングシステムを自治体の方で機能させていただいているような状況でございます。

寺田(学)委員 今おっしゃっていただいた五十歳時の未婚率のパーセンテージが飛躍的に上がっている現状というのは、何かしらのデータで私も感じているところです。

 それ自体が、出会いの場というものを用意することによってどれぐらい緩和できるのか。実績としては、何件か上がっています、何十件上がっていますということはあるかもしれませんが、もう少し本当に取り組まなきゃいけない。

 婚姻に至るまでの間、そして私個人として言うと、ここは多分、議論が全く分かれるかもしれませんが、婚姻制度の柔軟性自体、出生率が高いところの北欧であったり、そしてヨーロッパの方を見てみますと、婚姻制度に関しても非常に柔軟な制度を持っていたり、婚外子のあり方も非常に我々の国とは違う形での概念というものを持たれていると思います。そういうところに対する踏み込んだ対策というか、人それぞれの生き方に対する柔軟性を持った制度というものが私は必要ではないかなと思っています。

 単純に、今の制度自体でどうにかして婚姻率を上げていこう、婚姻率が上がることによって子供がふえていくんだということのみならず、いろいろ、特に少子化対策をする立場にある大臣としてはお考えいただきたいなというふうに思っています。

 もう一点だけお伺いしますけれども、子育てに対する不安というのがありました。

 大臣が御就任されてから、さまざま御視察されたり、人のことを、お話を聞かれたりしていると思いますけれども、子育ての大変さって、大臣、どこにあるというふうにお感じになられていますか。

松山国務大臣 やはり、共働きという状況の中でいかに子供さんを成長させていくかというところが一番大きな問題だろうというふうに思います。

 そういった意味では、経済的な問題、あるいは長時間労働や、仕事と子育ての両立の難しさ、そんな中から精神的な負担もかなり出てくるのではないかと思っておるところでございます。

寺田(学)委員 最後に言われた精神的な負担というものを軽減させていくというのは、具体的にどのようなことをお考えになられて、どのような対策があると思われていますか。

松山国務大臣 これもやはりさまざまな方法があろうかと思いますけれども、一つは、幼児教育、保育の無償化にしても、経済的にはかなり負担が軽くなってくると思いますし、あるいは男性の育休のことについても、やはり男性が家にいて、両方、お互いが協力して家の中で子供たちのことを面倒を見ることができる、そんな孤立感や負担感みたいなものを少しでも払拭してやるということが極めて大事かなと思っております。

寺田(学)委員 孤立感や負担感というもの、精神的な部分、解消しなきゃいけないというのは本当に私もそのとおりだと思うんです。

 私自身、ずっと子供ができなかったんですが、選挙に落ちた瞬間にできまして、浪人している二年間の間、妊婦である妻と、そして生まれた子供と、子供が一歳になるまで政治活動をせずに子育てばかりやっていました。

 それを見て思ったことは、子育てに関して言うと、もちろん、経済的なものを何とか、子供にかかるお金をどうにかして賄っていこう、そしてまた、そういう観点から幼児教育の無償化というのはあるかもしれませんが、とにかく人手が周りにあるということ自体が一番重要であるし、今、母親に限った言い方をあえてしますけれども、母親としても、子供から離れられる時間がどれぐらい持てるかということ自体が一番、子育てをする上での精神的なゆとりというか、解放されることによる、自分の時間を持てる、何かあったら子供のことを、すぐ手を差し伸べなければならない状況からいっときでもいいから逃れられるということが大事だというふうに思っています。そういう意味で、学校に通わせるという方々もいらっしゃると思いますけれども。

 きょうこの後、二つのことについてお伺いしたいんですが、一つはベビーシッター制度についてです。

 私、内閣委員会に属してから、ベビーシッターのことについても重ね重ね役所の方に聞いておりますが、率直な印象として、政府としてベビーシッター制度に対する、何というんですかね、思い入れというか重要度というか、そういうものが余り高くないなというのを感じます。それはなぜですかと聞いても、余り納得できるような合理的な説明がないのが非常に不思議なんですね。

 これは参考人の方でも大臣でも結構ですけれども、まず、一般論で申し上げますけれども、例えば、先ほど待機児童の問題もありましたけれども、待機児童に対するベビーシッター制度の位置づけというものは政府はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 政府のベビーシッター制度、幾つかございまして、企業主導型ベビーシッター利用者支援事業、これは内閣府が所管してございます。それ以外にも、地域型保育給付の対象となる認可の居宅訪問型保育事業、それと認可外の居宅訪問型事業があると認識してございます。

 それぞれ、認可の居宅訪問保育事業につきましては、主として、障害、疾病等により集団保育が困難である三歳未満の保育を必要とする乳幼児に対して行われるものと理解してございますし、認可外の居宅訪問型保育事業につきましては、利用対象者に特段の制限はないと認識してございます。

 また、内閣府所管の企業主導型ベビーシッター利用者支援事業につきましては、制度を利用する企業の労働者が残業や夜勤等の多様な働き方に対応できるというような仕組みを構築させていただいておりまして、それぞれに対象者は異なりますし、違いもあるわけでございますけれども、いずれにしましても、仕事と子育ての両立を支援するという意味では、いずれも非常に有意義なものだと認識してございます。

寺田(学)委員 具体的な事業名を教えてくださいというよりも、政府としてどのように捉えているのかということの概括的なことをお伺いしたかったんですが。

 それをお答えいただく上で、一つの切り口としてお伺いしますけれども、全体のいわゆる子育てに係る予算のうちのベビーシッターの占める割合ってどれぐらいになっているんですか。ざっくりでも結構です。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 内閣府所管の企業主導型ベビーシッター利用者支援事業につきましては、三十年度予算三・八億円を計上させていただいております。(寺田(学)委員「全体としては」と呼ぶ)

 全体としましては、まさに、保育給付とかを考えますと兆円単位の額になりますが、その中での三・八億円ということでございます。

寺田(学)委員 じゃ、もう一つ切り口を変えますけれども、こども園、保育園、幼稚園、そういう子供を預けるということの際、一つの社会的給付と比較して、このベビーシッターにかける予算の割合というのはどれぐらいの差があるものですか。ざっくりで結構です、急に質問しているので。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 ざっくりと申し上げまして、三兆円に対する三・八億程度ということでございます。

寺田(学)委員 別に、ベビーシッター制度に予算を今使っていないからけしからぬとまでは言うつもりはありませんけれども、もちろん、保育園、こども園、幼稚園、さまざま、子供を預けるということに、我々の限られた財源をそちら側に寄せていくということも大事だと思いますが、私は、ベビーシッターのあり方、ベビーシッター自体の制度というものが、もう少し、国の後押し、行政の後押しもあって、子育て世代にとってアクセスしやすいものであるべきだと思います。私自身も時々使います。

 ちょっと余談じみた話になりますけれども、海外のお母さん、お父さんたちに比べると、やはりベビーシッターの使い方ははるかに違っていて、これは国内議論があっていいと思うんですが、お父さん、お母さんが飲みに行くために子供を預けるということを平気でしますし、それをとがめる人はほとんどいません。ただ、日本の場合でいうと、そういうことをするとけしからぬと言われますし、そのためにベビーシッターを使うのか、お金がもったいない、古い言い方をすると、嫁さんが見ていりゃいいんだというような話で終わると思います。

 先ほど大臣が、精神的な負担というものを軽減するという中に、単純な意味で子育てを離したいということだけじゃなくて、やはり、男性にせよ女性にせよ、子育てに携わっている者が、自分自身のプライベートの時間をしっかり持って、人生をその部分において楽しんでいくということもしっかりと確保されなければならないし、それをもって初めて人生が楽しいと私は思えると思うんですよね。

 ベビーシッター制度、一つ、事業を役所から教えていただいて、正直驚いている部分があります。今質疑を聞かれている方の中で御存じない方もいらっしゃると思うんですが、先ほどお話をいただいた、三・八億円の企業主導型ベビーシッター利用者支援事業というのがあります。大臣もこんな細かいところまで御存じないかもしれませんので、後でお願いするので、ちょっと聞いておいてください。

 これはどういう事業かというと、簡単に言うと、会社から使えるクーポンみたいな割引券をもらって、その割引制度を使ってベビーシッターのサービスを働いている方が受けられるという制度です。たてつけ自体は別にそんなに悪い話じゃないと思うんですが、私もこの説明を聞いたときにびっくりしたんですけれども、使う枚数、企業に割り当てられる枚数が、労働者数によって一千二百枚だったり四千八百枚だったりと変わってくるんですけれども、利用する人の立場に立って見てみると、一家庭一日につき一枚、この一枚が二千二百円です、二千二百円、一日につき一枚だけしか使えない。一カ月に二十四枚まで、一年間に二百八十枚まで使用可能。

 こういうサービスを使いたい人にとってみると、さまざまなニーズがありますし、その人それぞれの使い方があってしかるべきだと思います。国の予算が限られていますので、無尽蔵にこれを渡していいとは思いませんが、ある程度決められて渡されたものは自由に使っていいと思うんです。それをわざわざ国が、使い方として一日に一枚、二千二百円だけねというのは、私は柔軟性に甚だしく欠けると思うんですよね。その人にとって、その日だけ、必要なときに何枚でも、自分に割り当てられた分を使ってそのときの経済的な負担をなくすという仕組みがあってしかるべきだと思うんです。

 質問したいんですけれども、なぜわざわざこんな、一日に一枚なんというみみっちい使い方をさせるんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 この企業主導型ベビーシッター利用者支援事業でございますけれども、平成二十八年度に開始した、まだ二年目の事業、三年目にやっとこさ入った事業でございます。そういうこともありまして、委員御指摘の割引券の利用上限、これにつきましては、事業主拠出金を財源として本事業を展開しているものであるとともに、広く従業員の方々に利用していただくという趣旨から、今の時点ではそういう一日当たり一枚というような制限を設けさせていただいているところでございます。

寺田(学)委員 広く多くの方に利用してもらうのは別にいいですけれども、その方個人に割り当てられたものはその方個人で自由に使えばいいと思いますよ。その方自身が割り当てられたものを一日で使うのか、一週間に分けて使うのか、使い方を自由にしたところで、別に使える人の数は変わらないと思いますので。

 これは何で一日一回にしているんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、制度が二十八年度に発足したばかりでございまして、我々としましては、広く従業員の方々に利用という観点から、現時点ではいろいろな利用の制限を設けさせていただいているところでございます。

 ただ、二年たちまして、今の利用状況がどうか、そういうようなことを少し多角的に検証しながら、どういう取組ができるかというのは引き続き考えてまいりたいと思います。

寺田(学)委員 このことに関しては、どう使っているかなんて調べなくていいですよ、別に。その人が割り当てられた範囲の中で、自分自身の使い方で使えばいいだけの話ですから。

 という、大臣、ささやかながらも、せっかくこうやって予算を四億円使って、私はまだまだ足りないと思いますよ、ただ、まず今、既存の、ある事業に対しての精査なんですけれども、始まって二年だからというのは理由にならないですよ。使えるのであれば柔軟に使える方が、それにこしたことはないです。柔軟に使わせない必然性があるのであれば答えてほしいんですが、先ほどから参考人の方に答えていただいていますけれども、合理的な答えじゃないと私は思います。

 今、今回始まったばかりという話がありますが、そしてまた、予算がついて制度を周知しているところでありますけれども、これは直してくれませんか、可及的速やかに。

松山国務大臣 御指摘いただきました、ベビーシッターの一日当たり一枚という今の状況を改めてお聞きをいたしまして、確かに、一日当たり一枚、二千二百円の割引券ということでありますので、広く従業員の方々に御利用いただくという趣旨からいくと、現状、調査をしてみますと、まだ四割の方ぐらいしか使っていないということですので、使い勝手のところからも問題があるのではないかと思いますし、今後、より多くの方に、いい制度ですので、知恵を出して、少し前向きに検討したらどうかなと今思っております。

寺田(学)委員 大臣から一言しっかりと。これは正直、一人一日一枚だけというのであれば、だったらいいやとユーザーの方も思いますよ。本当に、何枚も使えて、その日丸々一日分のベビーシッターを使った利用料自体が賄えるとなれば、これはぜひとも申請をして、自分もそういうクーポンというのか割引券というのか、手に入れておこうと思って、利用率も上がると思いますよ。

 一日一回に限って二千二百円の割引のためにわざわざ、まあ二千二百円のためにという、それでも大事なお金だと思うので、大事だと思いますけれども、使い勝手が悪過ぎるので、これは来年からでも結構ですので、改善していただけないですかね、大臣。

松山国務大臣 御指摘のように、間違いなく育児負担の軽減にはなる制度であります。ただ、経済界からの企業拠出金でありますので、その辺の経済界との協議も必要になっていこうかと思いますので、しっかり、御指摘の点は重く受けとめたいと思います。

寺田(学)委員 一日何枚使うかなんて、経済界と話し合うほどの大きな話じゃないと思いますよ。そこは、所管されている大臣ですから、しっかりとかけ声一つで私は是正されるものだと思っていますので、問題意識をぜひ持っていただいて、担当のところに御指示いただきたいと思います。

 ベビーシッターについて、最後、大臣から一言お話をお伺いしたいんですが、今、東京都の方ですか、認可に入れなかった方々、御家庭に対して、上限二十数万円ぐらいまで、月々二十数万円程度ですか、ベビーシッター代を補助するというような話が出ておりました。

 私は、すごくドラスチックなやり方だと思いますし、もちろん、保育園のよさ、こども園のよさ、幼稚園のよさはあると思いますけれども、待機児童がこれぐらいどんどんどんどん毎年ふえ続けているような状態の中で、ベビーシッターの利用というものは、建物を新たに用意する必要もなく、御自宅にそういう資格を持った者を含めて行って子供を見てもらうということは、かなり即効性の高いものだと私は思っています。

 少子化を担当されて、そしてまた子育てに対しても責任を持たれている大臣として、今後、ベビーシッター制度に対する、もう一歩踏み込んだ予算の割当て及び活用の促進のためのさまざまな施策に取り組まれるようなお考えはないでしょうか。

松山国務大臣 今、私のもとで、少子化対策の克服戦略会議というのを立ち上げて、まさに今検討している最中でございますので、先生御指摘の東京都の取組も少ししっかり研究した中で、前向きにいろいろなことを取り上げていきたいと思います。

寺田(学)委員 スピード感を持ってぜひやってください。一年、二年待ったところで、本当に、あした預けるところがないといって困っている方がたくさんいらっしゃいますので、それはスピード感を持ってやっていただきたいと思います。

 もう一点の方は、婚姻率が上がらないというような話の中で、一つの結婚にまつわることについて大臣の御認識をお伺いしたいんですが、夫婦別氏制度についてです。夫婦別姓と呼ばせてもらいますけれども。

 大臣自身のお考えをまずお伺いしたいんですけれども、憲法に対するアンケートですかね、二〇一六年の資料が私の手元にあったんですけれども、結婚及び家族に関する問合せの中で、結婚したら夫婦は同姓にすべきだ、又は結婚したら夫婦は別姓にすべきだ、その他、自由に選べるべきだ、この四択の中で、大臣自身として、結婚したら夫婦は同姓にすべきだというところに御回答されていますが、そう思われる理由は何でしょうか。

松山国務大臣 今お尋ねの点でございますが、私個人の意見は、今閣僚という立場でもございますので、この場でお答えするのは適切ではないというふうに考えておるところでございます。

 別氏制度の導入の問題につきましては、我が国の家族のあり方に深くかかわるものでもありますし、国民の間にもさまざまな意見があるというふうに承知いたしておりますし、私の先ほどのお話も、ちょっといつの時点かあれですけれども、さまざま時代の流れによって、いろいろな立場でいろいろな御意見があるということは承知いたしておりますので、現在、私の個人の意見は、とりあえず差し控えさせていただきたいと思います。

寺田(学)委員 いや、二〇一六年にお答えになられたわけですから、そのときなぜそう答えられたのか、そう答えることに至ったのかという理由は答えられないと言われると質疑できません。

 なぜ、大臣は当時、このような質問に対し、その他だ何だといろいろある中において、夫婦は結婚したら同姓であるべきだというふうな選択肢を選ばれたのか、大臣のお考え方、当時どのようにお考えになられていたのかをぜひとも教えてください。

松山国務大臣 一議員としての個人の見解ですので、今、閣僚としての立場をここで述べるのはやはり適切ではないというふうに思います。

寺田(学)委員 いやいや、お答えになってくださいよ。別に、私、是非を問うているわけじゃないですよ。大臣が当時お答えになられた理由は何ですかということです。

 これは、そういうような形で、いや、今私は大臣だから過去述べたことに対して言及するのは差し控えたいといったら、過去その方自身が何かしゃべっていること、安倍総理だってそうですよ、過去どのようなことをお考えになられていたのかということを、どのように説明するかの放棄ですよ、それは。

 私は、是非を問うているんじゃないです。なぜそのようにお答えになられたのかということを、私はこういう場において、かつ、大臣の今所管していることと全く関係ない話じゃないですよ、結婚にかかわることですから。まさしく大臣、言われたじゃないですか、冒頭に。そのことに関して過去にお答えになられていることですから、理由をぜひ教えてください。

 なぜ同姓であるべきだとお考えになられていたのか、今もいるのかわかりませんけれども、当時そのようにお答えになられたのか、その理由を聞かせてください。

松山国務大臣 そのときの私の判断だったかと思います。

山際委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山際委員長 速記を起こしてください。

 松山大臣。

松山国務大臣 当時、そういう記録があったかと思いますが、それはそうあるべきだと私自身の判断だったかと思います。

 現在は、きょうこの時点ではどうあるべきかということは差し控えたいと思いますけれども、時代の変化とともに、また、私も四人子供がいますから、女の子が嫁に行って、共働きでいろいろな働きもやっていますから、いろいろな話を聞く中で、さまざまな立場でさまざまな御意見があることも十分承知いたしておりますが、現時点で私がどうあるべきかはお答えは差し控えますが、当時はそうあるべきだと思っての、そのアンケートに丸をしたんではないかというふうに思います。

寺田(学)委員 だからこそ、その当時、なぜそうお考えになられたのか、理由をお伺いしたいということで質問させていただいています。

松山国務大臣 そのことがやはり社会に定着していた、そうこれからもあるべきではないかとそのときは思った、判断したんだというふうに、当時は、だと思います。

寺田(学)委員 その当時定着していた、同姓であることが定着していたということですか。

 定着していたというのは法律で決まっているからですよ、これ。それは定着しますよ。法律で決まっているんですもの、そうせざるを得ないです。

 私こそ、選択的夫婦別姓が、別氏がいいかどうかを議論したいんですけれども、その前に、これは担当大臣としてお伺いしますけれども、選択的夫婦別氏の制度が認められないことによって、婚姻をとどまるケースがあると認知されていますか。それとも、そのようなケースはないと、担当大臣として思われていますか。

松山国務大臣 ちょっとその辺は、十分調査もしておりませんし、声も聞いておりませんので。ただ、ないとは言えないというふうに思います。

寺田(学)委員 調査はしていないけれども、ないとは言えない、あるということですね。

 実際、あると思います。それで事実婚を選ばれている方がいらっしゃるかもしれませんし、結婚に対して、特に、今九割以上が男性の姓の方になりますので、女性側の方が男性側の方の姓に変えるということをちゅうちょし、結婚を踏みとどまり、それで晩婚になるということも、私も、身近なケースでもありましたし、私自身、結婚するときにも、妻とはそこの部分は、今でも言われますけれども、非常に夫婦間の中での話の話題として今でも残っていることです。

 一番冒頭に質問したときに、少子化の問題点というのは婚姻率が上がらないことということでした。今、この問題自体、この問題という言い方はおかしいですね、夫婦別氏が選択的に制度化されていないこと、変えてもいいですし変えなくてもいいということです、それが認められていないことによって、結婚を踏みとどまる方々がいないことはないと思うと大臣はお話をされました。

 この点に関して、担当大臣として、問題意識を持たれた大臣として、選択的夫婦別姓について議論を進めていく、是非はあえて今言いませんけれども、このことに関し議論を進めていくお考えはありませんか。

松山国務大臣 夫婦同氏制度と婚姻率との関係ですが、両者の因果関係を示すデータ等は承知しておりませんので、申し上げることができないわけであります。

 また、選択的夫婦別氏制度の導入の問題については、最高裁の判決における指摘あるいは国民的な議論の動向も踏まえながら、法務省において対応の検討が続けられていると、状況は承知しているところでございます。

寺田(学)委員 国民の考え方ということのお話がありましたが、今、参考人の方で結構ですけれども、直近の政府が行った調査が出ていると思いますが、この選択的夫婦別氏制度に対して、どのような結果が出て、過去のトレンドとしてどのようになっているか、お手持ちはないですか。大丈夫ですよね。なければしゃべりますが、いいですか。

筒井政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年に内閣府が実施した家族の法制に関する世論調査の結果のうち、選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、賛成が四二・五%、夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが、旧姓の通称使用は容認するとしたものは二四・四%、反対が二九・三%であるという結果が出ているものと承知しております。

寺田(学)委員 六年前のたしか調査に比べると、賛成が七ポイントちょいふえ、反対も同じように下がり、かなり、六年前の調査だと三割、三割ぐらいで並んでいたのが、ある種はっきりとした傾向になってきたと思います。

 これを誤解されている方は、国会の中ではいらっしゃらないと思いますが、国民の中にもあるかもしれませんけれども、別に全員が別氏にしろと言っているわけではありませんし、選択できるというだけの話で、選択制度を設けたところで全員がまた別氏になるとは私は思えませんし、ほぼ、多くの方々が同じ姓にすると思います。

 ですので、私は、この制度自体は、少子化の観点からこういうものを認めるというのはややイレギュラーな方向性だとは思います。ただ、長年ずっとこれは、法制審を含めて、選択的夫婦別氏制度を認めるべきではないかという答申も出ていますから、一億総活躍なのか、さまざまなアプローチはあると思いますが、私は進めるべきだと思うんです。

 ぜひとも誤解を解くためにあえて質問したいですけれども、この選択的な夫婦別氏制度を認めていない国は日本以外にあるんですか。

 ないですよ。日本だけです。間違っていますか。日本だけですよね。

筒井政府参考人 現時点で法務省において把握している限りにおきましては、日本以外にはございません。(発言する者あり)

寺田(学)委員 個人的なお考えがいろいろ、理事にはあるのかもしれませんが。

 いずれにせよ、当時そうだったということは、大臣、それはアンケートを見ればわかりますけれども、それこそ、今、大臣になった立場なので自分の考え方は控えたいと最初ちゅうちょされていたのであれば、逆の意味で、ぜひこのことの議論を進めてくださいよ。

 もちろん、是非を今から強要するつもりはありませんが、日本だけですよ、今その制度がないのが。その上で、家族が壊れるだ何だといろいろな意見があると思います。では、実際のところ、ほかの国は壊れているのかどうかも含めて議論してほしいと思います。

 最後に、今、時間ですので一点だけ聞きますけれども、この選択的夫婦別氏が認められないことによって結婚を踏みとどまる方がいるということは認知しているけれども、どれぐらいかわからないというようなお話をされていました。調査してください。いかがですか。それをもって質問を終わりたいと思います。

松山国務大臣 少子化の担当大臣の立場から、その辺も少し調査をして、今後、重たい課題として受けとめたいと思います。

山際委員長 次に、中川正春君。

中川委員 続いて質疑をしていきたいというふうに思います。

 大臣、先ほどのお話では四人子供さんがおられるということで、私も四人なんですけれども、いろいろな議論を通じてつくづく思うんですが、子ども・子育て、これは、一つ一つ、分野分野で取り上げるということに非常に限界が来ているということと、日本の国の形としては、それこそ政策のメーンストリームというか、あらゆる政策の中にこの考え方というのがそれぞれ組み込まれて、トータルで、社会全体でどうしていくか、そういう議論をしなきゃいけない局面に来ているんだろうというふうに思うんですよね。

 担当大臣として、子供を育てられて、私の場合は、私が育てたというよりもかみさんが育ててくれたということなんですが、そんな中で、家族を持つ喜びとか、あるいは、昔のように強制的に、これだけ子供を産みなさいという話じゃなくて、家族を持つ、子供を育てるということが喜びにつながる、幸せにつながる、充実感につながってくる。

 何かを犠牲にしなければ子供が育てられないというような、そういう社会背景を克服していって、更に充実した家族へ向けて、そういうトータルな施策をしていこうと思うと、これはちょっと前もって通告はしていないんですが、体制そのものも、内閣府の少子化担当の大臣ということで担当されるということだけではなくて、一つの省庁、これをしっかりと組織的に運用しながら対応していくという、そこまでしっかりとした基本を持っていかないと克服できないんじゃないか。あるいは、もう一つ上のステップというか、更に成熟した社会というのはつくり出せないんじゃないかとつくづく私も思っているんですけれども、大臣、そういう観点から、どうですか。

 今の政権に対して、あるいは与党の皆さんに対して、子供子育て省あるいは庁でトータルでいこうじゃないかという提言を、この際、大臣みずからがやっていくべきだというふうに思うんですけれども、ちょっと通告にはないんですが、大臣の今の気持ちを表明いただきたいと思います。

松山国務大臣 先輩大臣として大変貴重な御指摘、御意見だというふうに思います。

 平成二十四年の自公民三党合意、それを受けた子ども・子育て関連三法の制定を受けて、子ども・子育て施策を総合的に推進するための組織として内閣府に子ども・子育て本部というのが設けられてスタートしたかと思います。

 そのような先生の御指摘も踏まえて、この本部で機能を充実させて、まずはしっかりと進めていきたいというふうに思っておりますし、少子化対策は非常に大事だと思っております。

中川委員 遠慮せずに、省庁まで持っていこうということで、ぜひチームを組んで、党の中でも頑張っていただきたいというふうに思います。期待をしていますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 ちょっと法案が先に通ってしまったんですが、私たちの仲間では、委員長、これはやり過ぎじゃないかということで大分批判も出ておりまして、解任決議案でどうだとかいうようなところまでいったような話だったんですけれども、おわびの話も出ましたし、これから運営について、非常に御理解のあるところで、しっかり一つ一つ議論していこうという合意もできたということであります。

 その上で、法案はもう通ってしまったんですが、その中の課題、もう一回復習する意味でも、一つ一つ確認をしていきたいというふうに思っています。

 まず、財源なんですけれども、この三千億円という財源が、二十八年度の予算の大臣折衝の事項の中で、事業主拠出金の引上げによってはこれは対応していかないんだということを前提にして予算化があったというふうにされているんですけれども、これは今回、そういう意味からいくと、その前提が覆されてこの三千億円の話になっているのか、それとも、他に財源の目途というのがあるのかどうか、そこのところをまず確認をしたいと思います。

松山国務大臣 平成二十八年度予算における大臣折衝事項におきましては、この子ども・子育て支援法に基づく子育て支援の質、量の充実のために必要となる一兆円の財源のうち、消費税財源で確保した〇・七兆円を超える〇・三兆円の財源については、事業主拠出金の引上げによって対応しないというふうにされております。

 それで、この〇・三兆円とは別に、今般、子ども・子育て支援法におきましては、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、個人と企業が負担を分かち合う観点から、経済界に応分の負担を求めることといたしました。そして、子育て安心プランの実現に必要な企業主導型保育事業と〇―二歳児の保育の運営費三千億円について、企業から拠出金を充当するということにいたしました。

 したがって、先生御指摘の、二十八年度予算における大臣折衝事項と今般の拠出金の引上げについては別の事項でございますので、前提が覆されたということではございません。

中川委員 済みません、ちょっと、さっきの説明がわからなかったんですが。

 大臣折衝では、事業主の拠出金の引上げでは対応しないということだったわけでしょう。今回、拠出金の引上げをやっているんですよね。そこのところの整合性をどう説明しておられるのか、ちょっと私、理解できなかったんですが。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 大臣折衝の間でのこの〇・三兆円といいますのは、いわゆる三党合意の中で、量の拡充、質の向上のために約一兆円超必要だという中で、消費税で大体〇・七兆円メニューを確保する、それ以外の〇・三兆円については財源を別途確保して進めていく、その中で、その〇・三兆円につきましては事業主拠出金を充てないという整理になっているところでございます。

 今般の法律改正によりまして、〇・三兆円、事業主拠出金としていただくものにつきましては、今申し上げました〇・三兆円の質の向上には一切充てませんで、新たに企業主導型保育事業の拡充とゼロ歳から二歳児相当分の保育の運営費に充てるというものでございますので、同じ〇・三兆円ではございますけれども、二つは全く別物ということでございます。

中川委員 私がちょっと気になるのは、この事業主の拠出金制度というのは、これをつくられたのが昭和四十六年度、児童手当法が施行されたときで、これは〇・〇五%だったんですよね。

 それから、さまざまな手当がずっとふえていきまして、どんどん割合が上がっていって、平成二十九年度で〇・二三%、主にこれが、さっき話の出た、仕事・子育て両立支援事業として、企業主導型の保育事業を主に、あと幾つかあると思うんですが、それに充てていこうということなんですよね。

 こうした形で、税でなかなか賄えない。これは、消費税を上げるということを先送りしたから、そこの中で財源を何とか工面をしなければいけないというところでここへ来ているんだと思うんです。

 あと、それぞれ、昭和四十六年から今にかかる一つ一つの加算を見ていると、やはり、一番取りやすいところからというか、財源が得やすいところから得ている、こういうことになるんですが、一つの懸念というのは、これをいつまで続けていくのか。

 一つ大枠の中で、企業が貢献してもらう部分はこことこことここに使って、これを同じように、参加をしてもらって子育てをしていこうという部分、あるいは、子育て以外にも拡充策が出ていますけれども、そういうような枠組みがあって、そして、その合意があることが安定財源に結びついていくんだろうというふうに思うんです。そこのところの大枠の話合いというのをやはりやるべきだと思うんですが、それがないままになし崩し的に上げていく方法というのは、私はこれは間違っているというふうに一つ思います。

 そこについては、大臣、どういう見通しでこれからこの拠出金というのを利用していこうとされているのか、大枠、お話をいただきたいと思います。

山下(雄)大臣政務官 御指摘いただいておりますこれまでの事業主拠出金は、児童手当や地域子ども・子育て支援事業のうち放課後児童クラブ、病児保育、延長保育、さらには企業主導型保育事業などに充当されています。

 これらの事業に充てている理屈としましては、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを通じて、将来の労働力の維持確保につながる効果が期待されていること、また、企業などに勤めている方々の仕事と子育ての両立を支援し、事業主にとっても子供のいる従業員の離職の防止など労働力確保に資するものであることから、事業主拠出金を充てることといたしております。

中川委員 それであれば、何でも使えるということじゃない、税金と同じように何でも使えますよということでしかないので、これはやはり目的をはっきりさせて、税金じゃないんだから、負担金として徴収するわけですから、目的をはっきりとさせて、その枠組みの中で納得をしてそれぞれが拠出をするということでないといけないというふうに思います。

 そこについて、大臣、改めて考えを聞かせてください。

松山国務大臣 経済団体とは丁寧によく協議をさせていただきたいと思っておりますし、拠出金の方は、〇・四五%の範囲の中でしっかり取り組んでいくということで徹底したいと思います。

中川委員 もうこれ以上理屈を言う思いはないんですけれども、〇・四五%の範囲の中でと言っちゃうと、これからもう上げませんよという話になるんですよ。そうじゃないでしょう。恐らく、いろいろなこれからの流れの中で、これをやはり使わなきゃいけないんだと思うし、これは私は否定しているわけじゃない。これは大事な要素だと思うので、ひとつしっかり、さっきの答弁、直す方がいいと思うんですね。そこのところも含めて、お話をさせていただきたいと思うんですが。

 それと同時に、もう一つ、企業が企業として、扶養手当であるとか子供のための子ども手当であるとか、そうした形で給与に上乗せをして支給をしているんだと思うんです。これが最近の傾向でどうなっているかということだと思うんですけれども、こういう手当類というのはどうも整理をしていく方向で、そして逆に、全体としてのトータルな所得、特に若い世代の所得が、それでもって思うように伸びていないという原因にも一つなっているのではないかということが指摘されてもいます。

 午前中にもちょっと話が出たかもしれませんが、私たちが子ども手当を設計したときには、フランスの例というのを非常に、なるほどなという形で参考にしたんです。

 もともと企業がつけている子ども手当というのを組合立化して、だから、有志の企業が集まって組合をつくって、それへ向いてこの手当を拠出して、ファンド化して、そのファンドで子ども手当を賄うということを始めた。これがもともとの財源、いわゆる子ども手当の財源として出発したと言われているんですね。時を経るに従ってそれが一つの固まりになって、それで、政府がそれへ向いて資金をつけ足していく。そういう自立型の子ども手当の仕組みというのがつくられてきて、あそこまで安定したものになってきたというようなことを聞いたものですから。

 日本でも、そうした意味では、各企業が拠出をしている、こういう形の拠出金と、それからもう一つ、それぞれの企業の自立性によって、それぞれ子供たちに対してつけている子ども手当というような類いのもの。これは、両方資源として見ていくと、トータルで整理をして、それで資金化していく、あるいは、子供たち、子ども・子育てのために活用していくという方途があるんじゃないかというふうなことを考えていました。

 現実にはなかなかそこまでいかなかったんですが、この課題というのは私は残っているんじゃないかなというふうに思うんです。

 そういう観点で見ていったときに、将来、企業にどういうふうに負担してもらうか、あるいはどんな仕組みをつくっていくかということについて、企業が今出している子ども手当、この活用について、大臣、一工夫するということはどうですか。大臣の見解の中でお話をいただければありがたいと思います。

松山国務大臣 現在、企業からいただいている事業主拠出金は、児童手当、また、地域子ども・子育て支援事業のうち放課後児童クラブ、病児保育、延長保育と、さらには、平成二十八年度からは新たに企業主導型保育事業に充当されています。こうした取組を通じて、企業等に勤める方々の仕事と子育ての両立を支援する、そして、事業主にとっても、子供のいる従業員の離職の防止あるいは労働力確保に資するものとして大きな役割を担ってきているものと思います。

 さらに、子育て安心プランの実現のために、必要な財源として、待機児童の九割を占める〇―二歳の運営費に御協力いただくことになりました。

 子ども・子育て支援は、社会の全ての構成員が相互に役割を果たして、協力して行うことが重要でありますので、独自に子育て支援に取り組んでいただいている企業の皆さんには本当に感謝をしているところでございます。

 先生御提案の仕組みですけれども、事業主の負担の皆様の十分な御理解、御協力が必要な課題であろうかと考えておりますけれども、我が国の子ども・子育て支援における制度を考えるに当たっては、御指摘のような諸外国の経験など、さまざまな要素を総合的に勘案をしながら考えていくということも大変重要であると認識をしておるところでございます。

 いずれにしましても、安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向け、私も課題として受けとめさせていただいて、取り組んでまいりたいと思います。

中川委員 ちょっと事前に、こんなことで、こんな切り口で聞きたいんだけれどもということを通告をしていたんですけれども、何か消化不良のような形の答弁になってしまいました。

 ぜひ、そうした、財源をトータルでどうしていくかということ、企業が負担してもらうということについては、これは私は、一つの方途であるし、大事な側面だと思うので、もう一工夫、二工夫して、出してもらいやすいというか貢献してもらいやすい、一緒に育ててもらいやすいようなシステムというのを工夫していただきたいというふうに思います。

 次に、これは子ども・子育て支援給付と、それから地域子ども・子育て支援事業等と、それから保育充実事業、こんな形であるわけですけれども、この関係をどのように整理していこうとされているのか。

 恐らく、地方自治体もいろいろな協議体あるいは仕組みというのを、計画に基づいて、この計画、あの計画とやっていると思うんですが、今、方々から、こうした形で新しい名前をつけて、今度はこれをしなさい、あれをしなさいという話の中で相当混乱があるように聞いていますし、私自身もこの問題を考えるのに迷う。

 同時に、今回の法案の提出でも、名前を間違えて、事業という文字を削ってしまって誤解を生んだというふうな役所サイドのこともありました。これは恐らくトータルで、しっかり整理した形でやらなきゃいけないんだろうというふうに思うんですが、そうした意思はないかどうかということですね。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年度に子ども・子育て支援新制度の施行とともに発足いたしました内閣府子ども・子育て本部におきまして、子育て支援の基本的な政策などにつきまして行政各部の施策の統一を図るため、企画立案、総合調整を行っているところでございます。

 委員御指摘の、まず施設型給付につきましては、大きく保育所、幼稚園、幼保連携型認定こども園等があるところでございます。

 また、地域子ども・子育て支援事業につきましては、全ての子育て家庭を対象に、地域のニーズに応じたさまざまな子育て支援を行うということで、地域子ども・子育て支援事業を行っているところでございます。

 平成二十七年度の子ども・子育て新制度以降につきましては、保育所や幼稚園などの施設類型を問わず、共通の給付の仕組みとして施設型給付を創設してございます。内閣府から一元的な財政支援を行っております。

 また、地域子ども・子育て支援事業につきましても、内閣府から一元的な財政支援を行っているところでございまして、そういう意味では、多様な保育ニーズに応えるためのいろいろな給付事業を行うことになってございますけれども、給付につきましては、現在、内閣府からの一元化が実現できているところでございます。

中川委員 内閣府からの一元化といいますけれども、保育園、それからこども園、そして幼稚園、子供にとってはそれぞれの選択肢があって、前々からのこれは課題ですけれども、それぞれ省庁が、厚生労働省と内閣府と別々に運営していく、また基準も違う、認可基準も違ったものになっていく、それから、システムそのものも違う。

 これを何とか統一をしていこうということで、さっきお話が出ましたけれども、本部もつくって、その方向へ行こうといって、なかなか今でもそれが達成できていないというか、それぞれの形で自分の省庁のシステムをおろしているということなんですね。

 だから、さっきのその答弁は、あなた方がやっている範疇の中で内閣府がやっていますと言っているだけで、幅広く考えていったら、それぞれまた違った絵柄、国民から見ても違った絵柄が出てきているということは、前からの課題なんですね。

 これに対しては、大臣、どんな取組を今しておられますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、保育所、幼稚園、それぞれ所管省庁は分かれてございますが、給付の一元化とともに、例えば幼児教育無償化を幼稚園、保育所、それから認定こども園、横串で進めていく、あるいは処遇改善を進めていくといったようなときに、省庁は別々でございますけれども、内閣府を中心に、子ども・子育て本部を中心に、厚労省、文科省と連携をとって進めていっているところでございます。

中川委員 ずっとそうやって答えてきて、なかなか、国民、それを受けとめる方に理解してもらっていないということが現状なんだと思うので、素直に、もっと、連携という形ではなくて統一したものに持っていきたいということを、現場の皆さんも、やはりしっかりこういう答弁の中でも答えていくべきだというふうに思います。

 そのことを前提にして、今度の事業主の拠出金の、いわゆる企業主導型保育事業なんですけれども、ここで、地域では、従来の保育園あるいは幼稚園という形で、総量的なニーズとのバランスもあわせて調整をしてきている。そこで足りない部分というのは、今回、企業の主導型でもって積極的にやってくださいよ、それでぐっと入れ込んでいくというのはそれでいいんだろうというふうに思うんですが、地域によっては、もう統合しなきゃいけないんだ、子供がいないんだというところで、さまざまに苦労しながら、保育ニーズを、過疎地であるけれども、どういうふうに担っていったらいいんだろうかと苦労しているところがあるんですよね。

 このシステムを見ていると、許認可についてはトータルで、従来型の保育園あるいはこども園にしても幼稚園にしても、これはやはり市町村、市が中心になってトータルな計画を書き上げながら、ニーズに基づいた形で調整している。だから、新規で保育園をやりたいということであっても、そこは調整の対象になっていくということだと思うんですね。

 ところが、企業型というのは、手を挙げて、国直轄ですから、そこでもって認可が得られた者が、この制度でいくと市町村に伝えられて、今度こういうことができましたよという形で市町村に伝えられるだけで、条件が合えば認可をおろしていくというようなシステムになっています。

 例えば、こういうところでいろいろなそごが起こってくる可能性がある。各省庁の描いた絵柄でいくとそうした形になってしまうということなんですが、こうした部分についてどのような調整をしていこうとされるのか、もう一度答えていただきたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業と自治体との連携ということでございますが、企業主導型保育事業の実務を担う公益財団法人児童育成協会から、都道府県を通じまして、市町村に対しまして、助成決定した施設の住所、定員、開所予定日、地域枠の設定の有無等についての情報提供を定期的に行っているということでございますが、さらに、この四月から国の基本指針を改正いたしまして、企業主導型保育事業の地域枠、これは地域のお子様を受け入れる枠でございますが、この地域枠の定員を市町村が把握し、市町村が作成する事業計画に位置づけるようにできるということにさせていただいたところでございます。

 その中で、一層、企業主導型事業と自治体との連携が進むものと認識してございます。

中川委員 四月からそうするようになったというのはそれでいいと思うんですが、具体的に、市町村の方が、それをやってもらうと例えば既存の保育園に子供がもういなくなってしまうとか、存立ができなくなるとかというふうなケースが出てきたときに、市町村の方から、だから、そういう意味では、ちょっと工夫させてくれと。企業と連携して、今、既存の保育園と一緒に、合同で運営をするとか、あるいは企業そのものに、ちょっと待ってくれと。企業に対しても、ちょっと便利な形で工夫するから、その部分について、企業型といえども協力をしてもらいたいとかという形で、事前に拒否をしたり工夫をしたりということができる、そこまで考えてやったということですか。その前提になっているの、これは。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 この四月から、市町村子ども・子育て支援事業計画の中に、企業主導型保育施設の地域枠、これの確保すべき整備量について含めることができるということになりましたけれども、そこは一層、一つの計画の中で地域枠をどの程度設定していくか、企業様との情報共有を一層親密にできるということでございまして、一方的に自治体の方でつくることに対して拒否をするというようなところまではなかなか難しいと考えてございます。

中川委員 だから、私の言わんとするところは、そこはもう自治体に任せてくれ、国が直接おろす、国の基準だけで許認可をおろすということはやめてくれ、そういう自治体の考え方に対して、やはり国もそうした仕組みに改正をしていくべきだというのが私の主張なんです。

 さっきのあなたの話だと、そういうことじゃなくて、原則は、一方的に通知をしますよ、通知をするから、地方自治体はそのように計画の中でそれを入れ込んで書いてくれという話なので、これはどこまでいっても、国主導、国が勝手に横やりを入れてきたというような話になりかねないということなんです。だから、そういう意味で、システムをしっかり見直していく必要があるでしょう。

 これはふやすときもそうなんですよ、ふやすときも。保育園が足りないから企業型でふやしていきたいんだという市町村にとっても、そういう意味では、具体的にそのコントロールは市町村の話合いの中でうまく工夫を導き出しなさいということ、これが必要なんだということを私は言っているんです。

 そこまで、大臣、準備できましたか。よろしくお願いします。

松山国務大臣 企業主導型はあくまで、企業、事業主が拠出金を財源として、土日あるいは夜間に働く方、あるいは週二日だけパートタイムでやる方、多様な働き方を従業員に対して企業が提供するということを目的としておりますが、他方で、市町村としっかりやはり連携をとって、その辺は地域枠も含めて連携を図っていくことが重要だと認識をいたしておりまして、企業主導型保育施設の設置状況、児童育成協会からも自治体ともしっかり連携をとっていただいて、進めていきたいというふうに思っております。

中川委員 法律の枠組みを変えないと本物にならないというふうに思うんです。だから、そういう意味で、自治体の計画の主体性の中に国が入っていく、自治体に横やりを入れるんじゃなくて、地方の計画の中に国が入っていく、そういう仕組みにぜひ見直していただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、子育て安心プランの、平成三十二年度までに三十二万人という目標を立てて、前倒しでということでこうした政策が入っているんですが、この三十二万人という数字は、民間の研究機関で試算したものと大分違っているということがよく指摘をされます。

 ということは、恐らく、便利になればなるほど、では私も働くことができるねという人たちがどんどんふえてくるということなんだと思うんですが、これが、例えばNRI、野村総合研究所では八十八・六万人になりますよということなんですが、この推計について、これは真摯に受けとめなきゃいけないんだろう、三十二万人ということでは恐らくないんだろうと私も思うんです。

 大臣、そういう意味で、もう一回この推計を見直していくというお気持ちはありませんか。

高木副大臣 お答えいたします。

 子育て安心プランによる必要な保育の受皿三十二万分につきましては、既にこれまでも質疑があったかと思いますが、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が毎年おおむね一ポイントずつ上昇し、二〇二二年度末までに八割まで上昇すること、そして、その就業率と相関しまして、保育の利用申込率も、ゼロ歳から五歳全体で見まして五割を超える水準まで伸びること、こうしたことを想定しまして、必要な整備量をマクロベースで推計したものでございます。

 一方、ただいま御質問いただきました野村総合研究所の試算は、全国の未就学児を持つ男女約三千七百人を対象として、サンプル調査によりまして、保育サービスの利用規模をもとにして必要な保育の受皿を推計したものでございまして、中には、育児休業中やすぐには保育を必要としない方など、保育の必要性の認定を受けない方も含まれていると承知しております。

 いずれにしましても、保育の実施主体である市区町村におきまして、申込みまで至らないようなケースも含めて、保護者の意向を丁寧に確認しながら、潜在的ニーズも含めた必要な整備量を的確に把握し、保育の受皿整備を行うことが重要であると考えております。

 こうしたことから、昨年十二月には、毎年、各市区町村が子育て安心プランに基づきまして整備計画を作成する際には、保育コンシェルジュなどを活用しながら、寄り添う支援と考えておりますが、潜在的な保育ニーズの把握に積極的に取り組むよう求めたところでございまして、市区町村ごと、さらには市区町村内の保育提供区域ごとに保育の利用意向が的確に把握され、それを反映した受皿整備が進むよう支援してまいりたいと思っております。

中川委員 恐らくこの三十二万人という目標自体が、毎年見直していくぐらいのスピードでしっかりこの対応をしていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。政府だけじゃなくて、私たちもしっかり頑張って、現実を見ていかなきゃいけないということなんだと思うんです。

 次に、企業主導型の保育園にまた話を戻しますけれども、想定をしているモデルといいますか、これは実は、二十八年度、二十九年度、これまで設置されたそれぞれの施設の一覧表というのが私の手元にあるんですけれども、これを見ていると、どうも想定されたものが本当に具体的なものとなってここに出てきているのか、いわゆる設置されたということになっているのかということですね。これをもう一回見直していかないと、あるいはチェックしていかないと、違った方向でこの制度が利用されていくことになるんじゃないかということが懸念されるんです。

 もともとの想定モデルというか、こうしたことを前提にこの制度を入れたんだという形というのはどんなものだったんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業につきましては、事業主拠出金を財源といたしまして、企業における従業員の仕事と子育ての両立支援の推進を図る観点から、企業が主体となって事業を実施するものでございます。

 従業員の多様な働き方、夜間、休日勤務もあろうかと思います。そうした多様な働き方に、そうした保育ニーズに応えられるような受皿を企業主導型で整備していくというのを一つの目的と考えてございます。

中川委員 事業主の拠出金を充てるということもあって、私が想定していたのは、例えば、一つの工場がある、そこに働きに来ている人たちの子供たちが、保育所が近接しておれば一番便利なんだから、まず従業員を中心に子供たちを預かろう、そこで余裕があれば周辺地域に対してもそれを広げて、それで保育のニーズをそこから酌み取っていこうというモデルなのかなと思っていたんですが、それでいいんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のようなケースもあろうかと思いますし、あるいは、従業員様のいわゆる団地、そこに保育所を設けて通勤の負担を軽減するというようなこともあろうかと思いますし、あるいは駅前に設けるというようなこともあろうかと思います。それはそれぞれの企業様のニーズに応じて、逆に言いますと、そういう多様な設置のやり方が可能になっているということが一つの特徴だと考えてございます。

中川委員 設置者なんですが、その場合の設置者というのは、それぞれの対象の企業が設置者ということ、これが想定されると思うんですが、それだけではないとすれば、あと、どういうことを考えていますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 設置者につきましては、企業みずからが設置いただくケースもあろうかと思いますが、一方で、保育事業の経験のない企業様もあろうかと思います。そういう場合には、みずから保育施設の運営を行うことが非常に難しいと思っておりますので、保育事業者が設置した施設を企業が利用するといったようなことも想定しているところでございます。

中川委員 その結果、何が起きているかということを、この実態の中でずっと設置者を見てみたんですが、株式会社立の保育園あるいは子供の施設を経営しているところが設置者としては圧倒的に多いということと、それからもう一つは、全国のネットワークで保育事業をやっている株式会社が、この事業を利用して全国ネットワークで広げるということで需要を満たしてきているということ、そういう形になってきています。

 これは恐らく、将来、このままいけば、地域でこれまで保育事業に携わってきた人たち、例えば、宗教法人がずっと昔から子供たちのために開いてきた社会福祉法人を中心にした施設、あるいは公立のそうした施設なんかとちょっと色合いの違う形でこの広がりが出てきているだけに、株式会社立がこういう形で立地するということに対して、ある意味、地域にとっては非常に大きな脅威みたいな、そんなふうに受けとめられがちになってくるだろうと思うんです。

 これは、企業が工場の中でちょっと保育所をつくるというのと違うんですよね。ビジネスとして戦略的にネットワークをつくって、それで保育事業をやるということに対して、非常に使い勝手のいいシステムを国がつくったということになるんです。そこで大きく色合いが変わってくるという可能性があるんですが、そこのところを事前に、将来の子供たちを預かる主体としてそれでいいのかどうかということ、あるいはそのバランスをどの辺で考えていかなきゃいけないかということ、こんな議論を、この実施主体を見ていると必要なんじゃないかという思いがします。

 でないと、なかなか地域で受けとめていただけることができない、そういう事態になってくるんじゃないか、このままふやしていけば。このシェアというのがぐっとふえていったらそうなってくるんじゃないかというふうに懸念をされるんですが、それはやはり事前に方向性というのを話し合っていくべきだというふうに思いますということを指摘しておきたいんですけれども、大臣、どう思われますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の運営形態でございますけれども、例えば、平成二十八年度に助成を決定いたしました八百七十一施設を見てみますと、単独設置が四二・二%、いわゆる中小企業様とかがよくやられます共同設置、共同利用が四二・五%、保育事業者設置が一五・三%となっているところでございます。

 ただ、委員の御指摘もございますし、地域ごとにどのように施設が立地しているかとか、運営形態とか、そういうのを更に分析を深めていきたいと思ってございます。

松山国務大臣 企業独自でやっている方がやはり今のところ多い状況もございますけれども、使い勝手がいいように、これからも先生の御指摘を踏まえて進めていきたいと思います。

中川委員 私の質問を読み返しておいてください。意味が違うんだと思うんです。違う答弁書を読んじゃった。どうぞ。

松山国務大臣 企業主導型保育事業ですけれども、事業主拠出金を財源として、企業におけるあくまで従業員の仕事と子育ての両立支援の推進を図る観点から、企業が主体となって事業を実施するものでございます。

 保育事業の経験のない企業にとっては、みずから保育施設の運営を行うことが難しい場合があり得ます。みずからが施設を設置、運営するほかに、事業の実施を保育事業者に委託をしたり、あるいは保育事業者が設置した施設を企業が利用することも制度を創設したときから想定されておりました。

中川委員 恐らく、このままずっと広げていったら各地域で問題提起がされる一つの課題だと思うので、事前に一応通告をさせていただいて。地域がこれまで積み重ねてきた歴史の上にこれを、ある意味で横やりを入れて、新しいシステムをこうやってつくりますよという話ですから、ここはやはりバランスをとっていくような話合いというのが必要だろうというふうに思います。そこのところを指摘をしておきたいというふうに思います。

 この辺で、子ども・子育て、直接の質疑はちょっと休ませていただいて、せっかく松山大臣に出てきていただいているので、一つ気になるところで質問をしたいと思います。

 日系外国人の日系四世への拡大を今回やっていくということになっているわけでありますが、この問題について、これまで定住外国人の担当を大臣はされておって、定住外国人をいかに日本の社会の中で、いわば彼らの働くという権利の調整と、それから、日本で社会統合化していく中でのシステムをどうつくるかというのは議論をしてきていただいたというふうに思うんですが、その延長線上にこの日系四世というのがあるんですが、これは今の大臣の所管の中でどのように受けとめられているかということをまずお聞きをしたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 内閣府では、在留外国人のうち、日本人の子孫として我が国と特別な関係にあることに着目してその受入れが認められて我が国に在留する、いわゆる日系定住外国人に関する施策の推進を担当しているところでございます。

 日系定住外国人につきましては、日本語能力が十分でない者ほど不安定な雇用形態での就労となる傾向があること、日本の公立学校に就学する子供たちの日本語能力が十分でなく、学校での学習に支障が生じる状況が見られることなど、さまざまな課題があると認識してございます。

 このため、平成二十六年三月に策定した日系定住外国人施策の推進に基づきまして、例えば、日本語で生活できるために、子供を大切に育てていくために、安定して働くためになどなど、六つの分野につきまして、関係省庁が具体的な施策を講じているところでございます。

 このたび、法務省の方で日系四世につきましての新たな受入れということが今後始まっていくというふうにお聞きしてございますので、内閣府としても、法務省さんと連携できるところは連携してまいりたいと思ってございます。

中川委員 日系四世で、例えばブラジルやペルーから日本に働きに来たいという人たちの実態というか中身というのは、どういう人たちだということを前提にしていますか。

佐々木政府参考人 今般の日系四世のさらなる受入れ制度でございますけれども、若年層の日系四世の方を受け入れ、日本文化を習得する活動等を通じて日本に対する理解や関心を深めていただき、もって日本と現地日系社会との結びつきを強めるかけ橋になる人材を育成することを目的とした今回の制度でございます。

中川委員 ブラジルに行ってこれをモニタリングして、どういう人たちが日本に来たいかということを調べた、そうしたデータがありました。

 見ていると、実は子供のころに一旦親について一緒に日本にやってきて、それで日本の学校なりあるいは日本の社会の中で生きてきた。だけれども、親が帰らなければならない。一時、ぐっと景気が落ち込んだときに帰ってもらうことにしていたでしょう。あのときに、帰らなければならない。本来なら、親が帰っても子供だけは残って、そのまま勉強したい、あるいは社会で生きたいという人たちに対して、ちゃんとしたステータスというか、そういうものがあってすればいいんだけれども、それも中途半端だと思うんですよね、今。それで、親と一緒に帰った。

 帰った人たちが改めて、やはり日本がいいんだ、日本に来たいんだという思いを持って日本に帰ってくる。これが、日系四世という枠組みを広げたときに一番反応してくれて、日本に帰ってくる人たちではないかというようなモニタリングの結果が出ています。これは、全然前提が違うんだと思います、さっきの話と。

 この人たちに対して、日本で生きるよすがというか、恐らく、本当は日本にいたかった、日本に帰化もしたかった、日本人として生きたかった、そういう思いも込めた部分も含めて、どういうふうに考えていくかということだと思うんです。

 しかし、それが、五年たったら帰りなさいよという話になっているんだよ、これは。三世までは、ビザが何回も何回も更新ができて、最終的に帰化をしていこうということであるとすれば日本人になれる。別に帰化しなくとも、二十年、三十年選手は日本の中にあるわけで、それを定住外国人と定義して、今、内閣府でその対策をコミュニティーでできるようにという、本当に点の政策でしかないんだけれども、そういうことをやっているというのが今現状なんですね。

 私、わからないのは、その中で、やはり人の歴史というか、日本に対するかかわりというのを考えながら、出稼ぎとしてもう一回来るのか、それとも、今の三世のように、定住していこうと思ったら定住者として来るのか、ここをやはり、何というか、差別化していく必要があるんだと思うんです。

 それがないままに、一律で五年でまた帰りなさいよという話は、これはないだろうというふうに思うんですが、ここは誰に答えていただいたらいいのかな。どうぞ。

山下(貴)大臣政務官 お答えいたします。

 先生御指摘の日系四世のさらなる受入れ制度、これはもちろん、調査によって、確かに、昔、日本におられた方も多かろうと思います。しかし、それに限らず、日本に在留していただいて、日本と現地日系社会との結びつきを強めるかけ橋になるという意味で広げている部分はございます。

 他方、現時点では、そういった広げた部分ということもございまして、在留できる期間を最長で通算して五年間を超えないものとしており、その後に継続して在留することは現時点では想定していないということでございます。

 ただ、本制度で受け入れた日系四世の将来の在留資格のあり方について、本制度の実施状況を確認しながら議論を行っていくべきである旨の御意見もございますことから、法務省としても将来の検討課題としてしっかりとやっていきたいと思っております。

中川委員 あのね、これ、法務省だけでやっているからだめなんです。法務省は管理する方なんですよ。もう一つの視点としては、こうした日本に来る外国人をどう社会で生かすか、彼らが持っている可能性というのをどのように引き出していくかという社会の構造をつくって、その上でどういう形で受け入れるかという議論がないと、今のような話になってしまうんです。

 もう一つ矛盾がある。指摘しましょうか。

 今回の日系四世については、日本語をそれなりに習得をしていなければいけませんよという条件がついていますよ。なぜなの。これまで、三世にそんな条件がついていますか。全部フリーパスですよ、三世というのは。片方は全部フリーパスで、四世だけ何で日本語の条件をつけるのかということ。

 もっと言えば、彼らが本当に日本で活躍して、日本の社会の中でちゃんとした仕事について、社会のいわゆるはしごを上っていくというか、ステージを上っていくというか、そういうチャンスを与えようと思ったら、一番最初のときから、日本語に対してはこれだけの習得はやりなさいよというようなインセンティブもつくっていくということも大事なんです、逆に。

 もっと言えば、彼らは、日本に来るのに出稼ぎだけという考え方で最初は来るんだけれども、日本にいるうちにだんだんだんだん日本の方がいいんだということになって、三年ごとのビザの更新をずっと繰り返していって、二十年、三十年だから。ただ、気持ちの上で中途半端だから、子供の教育も中途半端になってしまう。いつかは帰るんだという思い。こういう構造をつくってしまっているんですよ、システムとして。だから、それを克服しようと思ったら、子供たちの教育も含めてちゃんとしたものをつくっていく必要がある。

 これは日系に限ったことじゃない。単純労働といって受け入れている技能実習にしても、あるいは留学生の中のアルバイトにしても、みんな同じことが言えるんです。やはり仕組みを国内でしっかりつくるという議論が必要だと思うんですよ。

 そういう意味で、松山大臣、あなたの役割なんですよ。こんな、何というか、定住外国人だけで、点の政策で、それでやったふりをしているんじゃなくて、トータルで各省庁もまとめてこうした議論をする、どういうふうに外国人を受け入れていくかという社会の構造をつくるための議論をやる、そのステージをつくるというのは、大臣、私はあなたの仕事だというふうに思うんですが、どうでしょうか。

松山国務大臣 先生のさまざまな御指摘、重く受けとめさせていただいて、さまざまな在留外国人に対する取組については、やはり各関係省庁しっかり連携して対応していくことが重要であると思いますので、私も内閣府の司令塔として前に進めていきたいと思います。

中川委員 それから、まだちょっと時間がありますね。参考のために聞きたいんですが、在留の外国人のデータというのはいつも出てくるんですけれども、もう二百万人超えてきたよというような話がね。帰化をして、外国人だったけれども日本人として今を生きているんだという人の統計って余り表に出てこないんですね。これは今どういうことに、年次的に一体どんな傾向にありますか。

筒井政府参考人 帰化の許可がされた者の数、帰化の申請者数、あるいは帰化の不許可を受けた者の数、こういったデータについては法務省におきまして統計をとっております。

 最近では、国別で申しますと、韓国・朝鮮あるいは中国などについてはおおむね同じぐらいの数字で推移しておりますけれども、その他の国が増加している傾向にございます。

中川委員 私も統計をいただきました。

 昭和二十七年から、まあこのころは少ない、四千人とか五千人なんですが、今は一万七千、一万六千、まあ一万前後というところで、合計でいくと五十五万人を超えています。

 世界の定義では、一年以上日本に滞在する人については移民という定義をされるんです。この人たちはもう日本人になっちゃったんですよ。なっている人たちなんです。だから、好き嫌いにかかわらず人は集まってくる。さまざまな形で、日本がよければよいほど集まってくるんです。その人たちに対して、移民ではないんだ、移民ではないんだということをいつまでも言っていたら、国内の制度ができない。

 だから、それはやはり真っ向から向き合って、私たちがどういうふうに国を開いていくかという議論はやらなきゃいけないというふうに思うんですね。それがないから、あちこちでちぐはぐになっているということ、このことを指摘させていただいて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 この委員会におきましては、政府の国会に提出する文書が改ざんをされていた、こういうことに対して議論の前提が損なわれているという野党の主張、要求、それを棚上げにして審議を一方的に行った、そういう中での不正常な状況が生まれた、その正常化の過程ということで、きょうは、質問ができなかった子ども・子育て支援法改正案の内容、また少子化対策に関連して質問をしたいと思います。

 最初に、この子ども・子育て支援法改正案の法律案要綱の誤りについてお尋ねをいたします。

 子ども・子育て支援法改正案の法律案の要綱において、市町村子ども・子育て支援事業計画と記載すべきところを市町村子ども・子育て支援計画としていたことについて、誤りではないかと指摘をしました。そのことについて、内閣府のまとめた見解を読み上げていただけますか。

小野田政府参考人 読み上げさせていただきます。

 子ども・子育て支援法上の市町村子ども・子育て支援事業計画という名称について、今回の法律案要綱において市町村子ども・子育て支援計画という名称を用いているのは、可能な限り簡素化し、わかりやすく説明するという法律案要綱の観点によるものであり、他の法律案要綱においても、一部を省略したり言いかえたりする例は複数見られるところです。

 他方、国の基本指針では市町村子ども・子育て支援事業計画という表現を用いており、また、地方自治体において、他の子供にかかわる計画と一体として、子ども・子育て支援計画という名称を策定している例も見られるところ、簡素化、わかりやすさにつながっていないとの御指摘をいただいたことについては、真摯に受けとめているところです。

 三月二十日の衆議院内閣委員会理事懇談会において、当該表現が不正確ではないかとの御指摘、地方自治体の中には、子ども・子育て支援計画として、子供にかかわる二つ以上の計画を一体として策定している例もあること、子ども・子育て支援法に基づく施策等を記述するものとして、閣議決定されている少子化社会対策白書では略称として事業計画と記載していること、これまでの子ども・子育て支援法に係る法律案要綱には市町村子ども・子育て支援計画との記載はないこと、をいただいたことは重く受けとめているところであり、今後、法律案要綱を作成するに当たっては、このような御指摘をいただくことのないよう、より適切な表現を用いるよう配慮してまいります。

塩川委員 わかりやすく説明するということで、事業という言葉だけを落とすということだったわけですけれども。

 大体、法案を読むときには、まず法律案要綱に目を通す、その上で条文を見ますけれども、法律案要綱に子ども・子育て支援計画とあるところを、条文には子ども・子育て支援事業計画となっていて、この子ども・子育て支援計画と子ども・子育て支援事業計画は別物なのかどうなのかとまず最初に困惑したというのが率直なところであるわけです。

 実際には、わかりやすく説明するどころか、かえって誤解を与えるものになっていたというのが実態だということです。

 具体的にお尋ねをします。

 内閣府は、地方自治体の中には、子ども・子育て支援事業計画について、子ども・子育て支援計画と表記している例があると指摘をしています。内閣府が私に対して示したのは、甲府市と大阪市の事例でありました。

 この二つの自治体の子ども・子育て支援計画というのは、子ども・子育て支援法に基づく市町村子ども・子育て支援事業計画を指すのですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体の中には、子ども・子育て支援計画という名称の計画を策定している例がございますが、これらの計画につきましては、市町村子ども・子育て支援事業計画と他の子供にかかわる計画を一体のものとして策定しているものであり、市町村子ども・子育て支援事業計画と一致するものではございませんが、市町村子ども・子育て支援事業計画に必要な事項は包含しているものと考えてございます。

塩川委員 いや、小野田さんは私に説明に来たときに、甲府市とそれから大阪市の事例を紹介をして、この市町村の子ども・子育て支援事業計画のところは支援計画となっていますと言ったじゃないですか。違うでしょう。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 言葉足らずで、まことに申しわけございませんでした。

 例えば、甲府市もお示しさせていただきましたけれども、甲府市は、子ども・子育て支援法に基づいて市町村が策定する子ども・子育て支援事業計画と、改正次世代育成支援対策推進法に基づく次世代育成支援行動計画を一体のものとして策定しますということになってございまして、恐縮でございますが、我々としましては、子ども・子育て支援事業計画がその中に包含されているということでちょっと御説明をさせていただきましたが、言葉足らずでございました。

塩川委員 いや、言葉足らずじゃなくて、説明そのものが間違っているんですよ。

 二つの法律のそれぞれの計画を一本にしたものを甲府市も大阪市も子ども・子育て支援計画としていたんですよ。何でこれが、子ども・子育て支援法に基づく子ども・子育て支援事業計画をわかりやすく説明した例になるんですか。違うでしょう。

小野田政府参考人 御答弁させていただきます。

 恐縮でございます、繰り返しになりますけれども、その自治体の計画の中に市町村子ども・子育て支援事業計画に必要な事項が含まれている、包含されているということで御説明をさせていただいた次第でございます。

塩川委員 逆に言うと、支援計画となっている、それが子ども・子育て支援法に基づく事業計画だけかと思ったら次世代育成の方も入っているわけだから、これはかえって混乱するのは当たり前じゃないですか。何でそんな説明が通るのか。とんでもない話ですよ。

 その上で、この法律案の要綱そのものは、閣議決定したものではありません、内閣府が作成をした文書ですけれども、この子ども・子育て支援制度について、閣議決定した文書としては少子化対策白書があります。これまでの少子化対策白書において、子ども・子育て支援計画という名称は使われているんですか、わかりやすく説明するということで。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 現時点では確認できておりません。

塩川委員 確認って、問いで投げているわけですよ。

 実際に子ども・子育て支援法に基づく子ども・子育て支援事業計画についての記載を見れば、平成二十六年度以降だと思いますけれども、二十六年度版、二十七年度版、二十八年度版に、子ども・子育て支援計画という用語で書いているというものはあるんですか。

小野田政府参考人 その範囲内ではございません。

塩川委員 では、その前にはあるんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 確認できてございません。恐らくないと認識してございます。

塩川委員 ですから、閣議決定されている少子化対策白書においては、子ども・子育て支援事業計画は、子ども・子育て支援事業計画と書いてあるか、又は子ども・子育て支援事業計画(以下「事業計画」という。)という略称で書いているんですよ。どこにも、子ども・子育て支援計画というのは、閣議決定した文書にはないんですよ。それが何でわかりやすく説明することになるのか。この点でも極めて重大です。

 そもそも、これまでの子ども・子育て支援法の、改正案を含めて出された法案について、その法律案の要綱に、市町村子ども・子育て支援計画を、市町村子ども・子育て支援事業計画をわかりやすく説明する用語として用いた例というのはあるんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 市町村子ども・子育て支援事業計画は、平成二十四年に制定されました子ども・子育て支援法により初めて規定されたものでございます。その後、企業主導型保育の創設等を主たる内容とし、平成二十八年に子ども・子育て支援法の改正を行いましたが、平成二十四年の法制定時、平成二十八年の法改正時のいずれにおいても、子ども・子育て支援計画と表記した例はございません。

塩川委員 大臣にお尋ねします。

 今、確認をしたように、地方で、子ども・子育て支援事業計画について、子ども・子育て支援計画というわかりやすい説明で書いているという例はあると言ったんだけれども、それは二つの法律に基づく二つの計画を一緒にしているもので、だから、これを子ども・子育て支援法に基づく事業計画のわかりやすい説明なんと言ったら、かえって混乱するのは当たり前じゃないですか。閣議決定した文書でも子ども・子育て支援事業計画とあるわけですし、過去の子ども・子育て支援法の法案についての法律案要綱でもそういう用語の説明はないわけです。

 これはもう率直に、わかりやすいどころか誤解を招くしかなかったわけですから、誤りは誤りとして、素直に認めたらどうかと思いますが、いかがですか。

松山国務大臣 お答えいたします。

 今回の法律案要綱におきましては、可能な限り簡素化し、わかりやすく説明するということから、こういう名称を使ったということでございますが、しかし、先生御指摘のように、簡素化、わかりやすさにつながっていないという、御指摘いただいたことについては、真摯に受けとめているところでございます。

 今後、法律案要綱作成に当たっては、このような指摘をいただくことのないように、より適切に表現を用いるよう配慮してまいります。

塩川委員 誤りは誤りとして認めるということでこそ、信頼をかち得るということが言えると思います。

 この国会、冒頭で言いましたように、国会に出した文書を改ざんして持ってくる、まさに国会の行政監視機能、これを冒涜するようなことが行われてきたわけで、国会と政府の関係が問われているんですよ。今回のこの白表紙につけている法律案の要綱については、まさに国会への説明のペーパーとして出されているもので、それが間違っているのを間違いとも認めないという態度でいいのかということが問われなければなりませんし、こういった、誤りを誤りと認めない政府の態度というのが国会と政府の信頼関係を損ない、国民の政府不信を大きくするものとなっているということを厳しく指摘をしなければならない。今からでも誤りを認めて、反省すべきものであります。

 加えるならば、今後、法案としてもう既に出されているPFI法案の要綱にも間違いがあったという話ですから、何をやっているのかと。極めて重大だということは厳しく指摘をしておかなければなりません。

 それでは次に、企業主導型保育事業についてお尋ねをいたします。

 二〇一六年度からスタートした企業主導型保育事業でありますけれども、その運営形態についてもさまざまな意見も寄せられているところであります。

 この企業主導型保育事業について、どのように保育の質を確保するのか、この点について御説明ください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 子供の健やかな育ちを図るためには、保育の質の確保は非常に重要と認識してございます。企業主導型保育施設につきましては、児童福祉法に基づく認可外保育施設として、都道府県が原則年一回以上、立入調査などを行っております。

 また、企業主導型保育事業の実務を担う公益財団法人児童育成協会におきまして、全ての施設を対象に原則年一回、立入調査をしてございます。さらには、通報等を受け、必要に応じ抜き打ち調査を行ったり、午睡、お昼寝時の抜き打ち調査を実施してございます。

 これらにより、保育の実施状況などを確認し、改善が必要な施設に対しましては、改善報告を求めるとともに、しっかりと指導を行っているところでございます。

 今後とも、こうした立入調査などを通じまして、保育の質の確保が図られるよう取り組んでまいります。

塩川委員 立入調査、抜き打ち調査、そういう中での改善報告を求めることや指導を行うということであります。

 ここで、二〇一七年度の上半期において、この児童育成協会における立入調査の実施状況が報告をされております。この児童育成協会の立入調査の実施状況の内容について、説明をしていただけますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育施設につきましては、先ほど申し上げましたとおり、年一回、全ての施設に立入調査を行うこととしており、平成二十九年度四月から九月までの上半期に、まず四百三十二施設に立入調査を実施いたしました。その結果、三百三施設に対し、職員配置や保育内容に関しまして、改善すべき項目を文書で指摘をしたところでございます。

 主な指摘事項といたしましては、保育計画等の整備をすることなどがございますが、文書指摘に対しては、全ての施設から改善報告が提出されているところでございます。指摘事項に対するフォローアップを含め、しっかりと指導を行ってまいりたいと考えてございます。

塩川委員 ちょっと数字の確認で、そもそも、その分母となる施設が幾つで、そのうち立入調査をやったのが四百三十二と言いましたかね。ちょっと、もう一回確認を。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業は二十八年度から始まった制度でございまして、事実上は、その運営は二十九年度から始まっているところでございます。

 二十九年度中に運営している施設は八百二十四施設ございまして、原則年一回の立入りということでございますので、この八百二十四施設が対象になってきます。そのうち、先ほど申し上げました上半期には四百三十二施設、割合では五二・四%でございますが、四百三十二施設に対しまして立入調査を実施したということでございます。

塩川委員 そういった主な指摘事項として、保育計画等を整備することとかという話もありました。乳幼児の健康診断を実施することですとか、嘱託医との契約を締結することなども挙げられているんですが、そうはいっても、この四百二十三のうち三百三施設について改善すべき項目を文書で示したということでいいますと、七割の施設には改善すべき項目を示しているということで、保育の質の問題についての懸念の声が上がるのではないかと思うんですが、この点についてはどのように受けとめておられるのか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 確かに、三百三施設というのは、決して少ない数ではないというふうに認識してございます。

 繰り返しでございますけれども、指摘事項につきましては、全ての施設から改善報告が提出されているところであります。指摘事項についてはしっかりと今後もフォローアップをしてまいりたいと思いますし、今後とも、まさにしっかりと立入調査も含めてやっていくこと、また、その結果をしっかりと公表していくこと、こうしたことに心がけたいと思ってございます。

塩川委員 大臣にお尋ねいたします。

 今言った、保育の質の低下への懸念の声が上がっている。保育士の人数が足りていない時間帯があるですとか、昼寝の際にうつ伏せ寝にさせたままだったとか、給食のアレルギー対応のマニュアルがなかったなどの問題点が指摘をされたといいます。改めて、こういった懸念に対して、大臣としてどのように受けとめておられるのかをお尋ねしたいと思います。

松山国務大臣 先ほど、政府参考人からも答弁させていただきましたけれども、全ての施設に原則として年に一回の立入調査、あるいは通報等を受けた抜き打ち調査、あるいは午睡時の抜き打ち調査など実施をしているところですが、御指摘のように、七割のところで指摘されたということでございました。文書の指摘を行った施設については、既に全ての施設において改善報告がなされておりますが、さらに、この改善報告の受領にとどまることなく、指摘事項が改善しているかどうかを確認する観点からも、改善すべき指摘の多かった施設などについては、必要に応じて抜き打ち調査を実施することといたしております。

 引き続き、この企業主導型保育事業における保育の質の確保にしっかりと努めてまいりたいと思います。

塩川委員 企業主導型については、認可外であり、保育所よりも職員資格等の面で緩和がされているとか、設置や運営に市町村の関与が限られている問題、企業主導型保育事業については保育料が応能負担ではない、そういった問題で低所得者世帯が利用しにくい可能性も出ている、そういう点での運営面、安全面での懸念もある、こういった点についてやはり率直に指摘をしなければならないということを申し上げておくものであります。今回の法改正によってこれを更に広げるということについての率直な懸念というのを申し上げておくものです。

 その上で、この企業主導型保育事業の地域枠の定員については、国の基本方針を改正をし、市町村が確保すべき整備量に含めることができるとする予定と聞いていますけれども、この辺はどのようになっているんでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 この四月から、企業主導型保育事業のうち地域枠、これは地域のお子様の受入れ枠でございますけれども、この地域枠につきましては、自治体の事業計画の中に入れて、全体を自治体の方で管理していくということができるというふうにさせていただいたところでございます。

塩川委員 大臣にお尋ねしますけれども、この企業主導型保育事業の地域枠の定員について保育の受皿整備に含めることができるといいますけれども、一方で、児童福祉法二十四条三項に基づく市町村の利用調整の対象外でもあると。市町村の保育の実施義務というのがこれで十分果たされるのか、形骸化しはしないのかと率直に思いますが、この点についての大臣の考えをお聞かせください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしましては、できるということではございますけれども、市町村の計画の中に地域枠を入れることができるということになった関係で、自治体と企業主導型保育事業を展開する事業主あるいは協会との間の連携が一層進む、情報交換が一層進むというふうに考えてございます。

塩川委員 保育の実施義務を果たせるのか、その際に、その整備量の増に含めるんだけれども、それについて直接市町村の関与するものではないという中で市町村の保育実施義務が果たされるのかという懸念について、大臣としてのお考えをお聞かせください。

松山国務大臣 地域枠を設けているところでありますが、自治体としっかり連携をその辺はとって、また、今年度から自治体での事業計画を設けていきますので、その事業計画に沿って連携して取り組んでいきたいと思っております。

塩川委員 関連して、待機児童対策協議会の問題です。

 この協議会を今度法定化をするということでありますけれども、もともとその議論のスタートの一つとなっているのが、あの規制改革推進会議での議論だったわけであります。保育の分野での市町村の上乗せ基準の見直しを議論をする、そういう場として協議会の設置を掲げる、そういう規制改革推進会議での提案があったわけですが、今回法定化をする協議会で、このような規制改革推進会議で挙げている市町村の上乗せ基準の見直しを議論をするということになるんでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 改正されました子ども・子育て支援法におきましては、昨年十一月の規制改革推進会議の第二次答申を踏まえ、保育園等の広域利用の推進など待機児童解消等の取組について都道府県が関係市区町村等と協議する場を設置できる旨を盛り込んでおります。

 答申では、協議会において市区町村が独自に定める人員配置基準等の検証を行うことも協議事項の一つとして盛り込まれておりますが、協議会での具体的な協議事項は、地域の実情に応じて各協議会においてお決めいただくものでございます。

塩川委員 自治体の判断ということですけれども、しかし、厚労省そのものが通知を発出をして、このような市町村の上乗せ基準の見直しを要請しているわけですけれども、それによって引き下げた自治体というのはあるんでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年三月の緊急対策では、国の定める基準を上回る人員配置基準や面積基準を設定している市区町村において、国の基準を上回る部分を活用して、一人でも多くの児童を受け入れるよう、市区町村に対して要請したところでございます。

 この要請につきましては、国の定める人員配置等を満たしていることが前提であり、市区町村が保育の質を確保しながら、地域の待機児童の状況とあわせ考え、一人でも多くの子供の認可保育園への入所を可能にするという趣旨で行ったものでございます。

 これにつきまして、平成二十八年十月時点の調査では、緊急対策に参加している四百一市区町村のうち、百五十二市区町村において国の最低基準を上回る人員配置基準が設定されており、緊急対策の要請以降に、国の人員配置基準を上回る部分を活用して子供の受入れを実施した自治体はないと承知しております。また、同調査では、四百一市区町村のうち、百五十六市区町村において国の最低基準を上回る面積基準が設定されており、緊急対策の要請以降に、国の面積基準を上回る部分を活用して子供の受入れを実施した自治体はないと承知しております。

塩川委員 こういった引下げを行った自治体はないということですけれども、なぜなんでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急対策の要請以降に、国の人員配置基準を上回る部分を活用して子供の受入れ体制を実施した自治体がなかったのは、保育の質の低下への懸念など、各自治体が地域の実情を踏まえ判断した結果と考えております。

塩川委員 保育の質の低下への懸念があるから、そういう国の要請であっても受けられませんよということであるわけです。そういったときに、また規制改革推進会議がこれを押しつけるようなやり方というのはとんでもない話であって、こういった保育の質が下がる基準の見直しは断じて認められるものではありません。

 そのような場に使うような協議会というのは当然認められないということも改めて指摘をしておくものであります。

 次に、関連して、子ども・子育て支援制度の一環でもあります学童保育について、特にその指導員の処遇改善の問題について質問をいたします。

 学童保育の今の詰め込みの現状が大変深刻でもあります。そういうのとあわせて、指導員の確保というのは大変に困難な状況になっているというのが率直なところで、私は埼玉の所沢が地元ですけれども、地元の学童保育の指導員の方が東京の方に行ってしまわれたということなんかも含めて、非常に確保をするのに苦労されているという話というのはたくさん耳にするわけであります。

 こういった学童保育について、やはり多くの関係者の方々は、保育所並みの支援体制、これを実現をしてほしいということで繰り返し要望もされ、この間の法改正などで、こういった学童保育の位置づけについて、専門性をきちっと備えたものという立場での取組になってきているというのも、関係者の皆さんの御努力の結果でもあると思います。

 その上で、そうはいっても、現状は、なかなか、学童保育の指導員の確保も困難となっている。

 それに関連して、厚労省の施策について幾つかお尋ねをいたします。

 一つは、放課後児童支援員等処遇改善事業というのがありますけれども、この事業というのはどういう内容なのか、説明をいただけますか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童支援員等処遇改善事業は、放課後児童支援員等の処遇の改善と、開所時間の延長を図るために、平成二十六年度に放課後児童クラブ開所時間延長支援事業として創設し、放課後児童クラブの運営費の基本分に対する加算として実施しているものでございます。

 この事業は、平日は十八時半を超えて開所していること、家庭、学校等との連絡及び情報交換等を行っていること、平成二十五年度の賃金に対する改善を行っていることなどを要件として、非常勤職員も含めた賃金改善に必要な費用や常勤職員を新たに配置するための追加費用を補助するものでございます。

塩川委員 十八時半を超えて開所する、そういう放課後児童クラブ、学童保育を支援をしていこうということで、これは今、保育園は延長保育があります。ですから、保育園で延長保育で預けている親御さんにすれば、学童保育でもそういった延長保育をお願いしたい、それを促すという点での財政措置としての処遇改善事業でもあるわけです。

 こういった放課後児童支援員等処遇改善事業の実施状況というのはどうなっているんでしょうか。分母の市町村数が幾つかというのとあわせて、実施の状況を教えてもらえますか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度におきましては、二百九十七市区町村で実施しているところでございます。放課後児童クラブ実施自治体数が千六百十九でございますので、一八・三%となります。

塩川委員 ですから、まだ二割に及ばないという状況であります。

 これは、利用が進まないのはどういうことなのか、何かつかんでおられますか。

成田政府参考人 放課後児童支援員等処遇改善事業等の活用が進んでいない要因としては、平日十八時半以降に開所しているクラブが全体の五五%にとどまっていること、自治体内の他の職員との均衡を考えると児童クラブの職員のみを処遇改善することが難しいこと、自治体での予算措置が難しいことが考えられるところでございます。

 厚生労働省といたしましては、放課後児童支援員の処遇改善は重要であると考えており、各自治体に対して、各種会議の場を通じて本事業について説明し、積極的な活用を促してまいりたいと考えております。

塩川委員 十八時半以降開所していないという事業所もあるということですけれども、その辺もいろいろ聞くと、そもそも市町村の条例で十八時半までとなっているということで、そうなんだと言うんだけれども、ニーズが違うわけですし、現に、そういった学童保育でも十九時までやっているようなところなんかもあるんですよね。そういう点でも、ほかの自治体の職員との均衡の話ですとか、あるいは予算措置が難しいという、やはり金目の面というのが問われるんじゃないかと率直に思っているところです。

 埼玉県の学童保育連絡協議会の方にお話をお聞きしましたら、県内の自治体のアンケート調査を行っていると、やはり、こういった条例の話、六時半までとなっている条例の話ですとか、財政上の理由としてこの処遇改善事業を利用していないという回答が多かったということでもありますので、この点をやはりどうするのかというのが問われてまいります。

 もう一つお聞きしたい事業が放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業ですけれども、これはどのような事業でしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業は、放課後児童支援員の処遇改善及び資質の確保、向上を図るため、勤続年数と研修実績に応じ処遇改善を図る事業でございます。

 具体的には、経験年数がおおむね十年以上で一定の研修を修了した事業所長的立場にある支援員を対象に月額約三万円、年額三十七・七万円の改善を、経験年数がおおむね五年以上で一定の研修を修了した者を対象に月額約二万円、年額二十五・一万円の改善を、これ以外の支援員を対象に月額約一万円、年額十二・五万円の処遇改善を図るものでございます。

塩川委員 勤続年数や研修実績等、あと、その学童保育に果たしている役割というところに着目をして賃金改善に要する費用を補助するということですけれども、この放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の実施状況はどうなっているでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度におきましては、二百十三市区町村で実施しているところでございます。

塩川委員 全体の分母との関係でいうと、何%ぐらいになるんですか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 一三・二%になります。

塩川委員 まだまだその数字が少ないというのは、どういう理由なんでしょうか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の活用が進んでいない要因といたしましては、放課後児童支援員等処遇改善等事業と同様でございますけれども、自治体内での他の職員との均衡を考えると児童クラブの職員のみを処遇改善することが難しいこと、自治体内での予算措置が難しいこと等が考えられるところでございます。

 これにつきましても、繰り返しでございますが、厚生労働省といたしましては、放課後児童支援員の処遇改善が重要であると考えており、各自治体に対して各種会議の場を通じて本事業について説明し、積極的な活用を促してまいりたいと考えております。

塩川委員 同じように、他の職員との均衡ですとか予算措置が難しいという話が出ているということですけれども、同様にやはり、埼玉の学童保育連絡協議会の方の自治体アンケート調査では、財政上の理由を指摘をしているということと、公立公営の学童保育の場合に、実際、非常勤であるがためにそもそも昇給制度がないものだから、キャリアアップを使うまでもないというか、使う余地がないというか、そういう状況なんかもあるんですよね。他の職員との均衡といっても、やはり非常勤の形態とかというのがネックになっているというのが前提だと思います。

 そこにこそ、やはり打開をしていく必要があるんじゃないのかということで、厚労省に重ねてお尋ねしますけれども、学童保育の指導員の仕事というのは、子供を預かる教員や保育士と同様に、専門性を持った仕事であります。学童保育の職員は、そういった特別な専門性が求められているのではありませんか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 放課後児童支援員の職務に伴う専門性につきましては、平成二十七年三月に定めました放課後児童クラブ運営指針におきまして、放課後児童支援員は、豊かな人間性と倫理観を備え、常に自己研さんに励みながら必要な知識と技能を持って育成支援に当たる役割を担うとともに、関係機関と連携して子供にとって適切な養育環境が得られるよう支援する役割を担うと整理しているように、放課後児童支援員には放課後児童クラブを運営する上で必要となる専門性が必要であると認識しております。

塩川委員 この放課後児童支援員の方というのは専門性が必要だという話であります。やはりそこに着目をして、その専門性にふさわしい処遇改善を図っていくということこそ求められているということで、もともと、地方の自治体における運動から学童保育は進んでまいりました。

 そういう中で、例えば埼玉県などでガイドラインをつくって、そういうのも参考にしながら、国としてもガイドラインの制定や法定化の話なんかにもつながってきているわけなんです。

 そういう意味では、まさに今は国の仕事として、どうやはり学童保育を前に進めていくのかというので積極的な役割を果たすことが必要だということが求められていると思います。

 そこで、大臣にお尋ねをいたします。

 今のお話、答弁にありましたように、学童保育、やはり専門性が必要なんだ、それにふさわしい処遇改善こそ求められているときで、大臣の立場から、この専門性に見合った学童保育の指導員の皆さんの処遇改善を進めるために、市町村にぜひ、どういう働きかけができるのか考えていただいて、やっていただきたいんですが、どんな働きかけをしていただけるでしょうか。

松山国務大臣 ただいま厚生労働省より答弁がありましたとおり、放課後児童クラブの処遇改善事業の実施、これについては、現状では市町村によって取組にかなり差があるという状況であると認識しております。

 放課後児童クラブの質の向上を図る観点から、放課後児童支援員の処遇の改善は大変重要であると考えております。

 今後とも、厚生労働省と連携しながら、あらゆる機会を捉えて市町村への働きをしっかり行ってまいりたいと思います。

塩川委員 今、こういった処遇改善の事業をめぐって市町村の実情を確認してきたわけですけれども、そういった際に、やはり専門性にふさわしい職員として処遇する、非常勤ではやはり専門性を発揮するに至らないという点では、非常勤の方の力もかりながらも本当に常勤にしていく、そういった形での支援というのを賃金面、処遇改善で行っていくと同時に、そのためにも、市町村における財政措置の話がありまして、子ども・子育て支援制度に基づいて、内閣府経由で制度上も市町村に三分の一の補助を行っているのが、今紹介をした処遇改善事業やキャリアアップの事業でもあるわけで、こういった市町村への補助率の引上げなど財政上の支援をとる、そういうことも含めて検討する必要があるのではないのかと率直に思いますが、いかがですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 子ども・子育て支援をしっかりと進めていく上では、自治体は非常に重要な役割を担っていただいておりますので、補助率のかさ上げというのがすぐにというわけにはなかなかいかない、いろいろな課題もありますけれども、いずれにしましても、国、自治体、連携しながら、しっかり子ども・子育てに取り組んでいきたいと思ってございます。

塩川委員 国、自治体連携はもちろん結構ですし、やはりこういった支援制度を国としてあらゆる機会を通じて利用を促すということはぜひやっていただきたいんですけれども、やはりそういう点でも財政上の措置が必要なんじゃないのか。

 ぜひそういう点での、大臣として、前に進めるということであれば、財政上の措置についてもぜひ具体的に検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

松山国務大臣 御指摘のとおり、大変重要な課題だと思っておりますので、しっかり受けとめて、今後の検討課題とさせていただきます。

塩川委員 実際に、なかなか現状で困難な状況にあるときに、今言ったように、やはり人手不足が本当に深刻なんですよ。それをやはり本当に改善するとしたら処遇改善しかないわけで、専門性の発揮をする、それにふさわしいような労働条件を確保していく、そのためにも、市町村の背中を押すという点での財政措置についてもしっかりと対応していただくということを強く求めておくものであります。

 そういう意味で、学童保育において今重大な問題となっているのが、地方分権の改革の流れの中で、この人員配置基準などについての見直しの話が出ているということであります。閣議決定された文章の中にも、こういった学童保育の指導員の配置基準について、現行は従うべき基準であるものを、参酌基準へと緩和するということについて検討するということが閣議決定で決められているということでありますけれども、率直に言って、何でこんなことを今行うのか、おかしいじゃないかと思うわけであります。

 厚労省としては、こういった、今議論が出されているこの配置基準についての変更、これはどのように受けとめておられますか。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました従うべき基準に関する参酌化に関する御提案につきましては、子供の安全性等、一定の質の担保を行いつつ、登録児童数が少ない場合、地域の人口が少ない場合など、地域の特性によっては継続的に放課後児童クラブの運営が難しいという状況が生じていることもあることから、引き続き、地方分権の議論の場で検討することとされたものでございます。

 厚生労働省といたしましては、現在行っております放課後児童対策に関する専門委員会での放課後児童クラブの量の拡充、質の確保、役割とメニューの充実など、今後の対策についての御議論も踏まえ、引き続き、地方分権の議論の場での検討に適切に対応してまいりたいと考えております。

塩川委員 厚労省としては、この放課後児童支援員の員数に関する従うべき基準というのは、子供の安全性の確保にとって不可欠な要件だと受けとめているのか、受けとめていないのか、その点について、厚労省としての立場をもう一回聞かせてもらえますか。

成田政府参考人 今回の御議論は、子供の安全性等、一定の質の担保を行いつつ、どのようにしていくかということについて検討が行われるというふうに理解しております。

塩川委員 ですから、従うべき基準とすることが本来だというのが厚労省としての立場ということですよね。

成田政府参考人 繰り返しになりますけれども、閣議決定を受けまして、子供の安全性等の一定の質の担保を行いつつ、そうは申しましてもいろいろな状態が生じていることもございますので、引き続き、地方分権の議論の場で検討されるということになっておりますので、厚生労働省といたしましても適切に対応してまいりたいと考えております。

塩川委員 子供の安全性の確保のため不可欠だという立場であることには変わりがないんですよね。もちろん、地方分権で議論はするんだけれども、厚労省の立場はそうだということでいいですか。

成田政府参考人 子供の安全性等、一定の質の担保を行うことは必要であると考えております。

塩川委員 ですから、厚労省でも、専門委員会でそういう議論をしているわけですよ。ですから、まさにそういった専門性を必要とする学童保育の指導員のあり方について、より専門性を発揮するような仕事としてどうしていくのかという議論を厚労省内で議論しているときに、地方分権などといって横から話を持ってくるというのは全く認められないという話であります。

 本当に、保育の現場もそうですけれども、学童保育の現場でも、今詰め込みも重大になっているようなときに、その詰め込みの解消のような施設建設を行うのと、あわせてやはり処遇改善につながる取組こそ求められているのに、職員の配置基準について、従うべき基準を参酌基準へと緩和するというのは断じて認められるものではありません。

 松山大臣にお尋ねしますけれども、地方分権改革の中で、職員の配置基準について、従うべき基準を参酌基準へと緩和をする、こういうことについて検討するとなっているわけですけれども、大臣もお認めになっている、専門性に見合った処遇改善の取組に逆行するものと言わざるを得ないのが地方分権での議論ではありませんか。

松山国務大臣 御指摘の地方分権の議論については承知をしているところでございますが、いずれにしましても、児童の安全、安心な居場所を確保するということで、放課後児童クラブの質の確保を図るということは極めて重要であるというふうに認識をいたしておりますので、厚労省などがしっかり取り組むよう、私としても注視しながら、そして連携をとってまいりたいと思います。

塩川委員 いずれにしろというのは話をそらすときのワードですから、答えていただきたいんですが、今の地方分権改革の中で、職員の配置基準について、従うべき基準を参酌基準へと緩和するというのは専門性に見合った処遇改善の取組に逆行するんじゃないのか、この点についてもう一回お答えください。

松山国務大臣 厚労省が答弁したとおりに、この質の確保を図ることは極めて重要でありますので、私としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

塩川委員 地方分権改革の議論が私はおかしいと思っているのは、国が地方を縛る、この国の地方への縛りを取り払うのが地方分権改革だというんですよ。

 もちろん、そういう面もないとは言えない。しかし、この保育士の配置基準のような安全の問題、ふさわしい保育の内容を確保する、そういう基準を従うべき基準としているのは、何も国が地方を従えさせるためにやっているんじゃないんですよ。国が地方を縛っているんじゃないんです。これは、国民、住民、保護者が、まさに自分の子供たちのためにその安全をしっかりと守る、そのために従うべき基準としているわけで、国民、住民、保護者が国と地方自治体、行政を縛っているというのがこの基準なんですよ。

 それを取り払うというのはとんでもない。国民の安全を損なうものを、そういう基準を取り払うというのは、地方分権改革の名のもとにやっていること自身が間違っているんですよ。こういう議論をしっかりしなくちゃいけない。松山大臣もそう思いませんか。

松山国務大臣 委員の御指摘を踏まえて、厚労省が適切にしっかりと進めていくものと承知しております。

塩川委員 専門職にふさわしい処遇改善に取り組んでこそ、人手不足の解消につながりますし、学童保育の改善につながるということを改めて強調して、質問を終わります。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案、内閣の重要政策であります少子化対策についての質問をさせていただきますが、冒頭申し上げておきたいことは、やはりこの法律案については、国会が不正常な形の中で、審議することなく委員会で採決され、本会議でも採決をされたという、このゆゆしき事態については非常に重く受けとめねばならないというふうに思っております。

 なぜなら、これまで厚労省が進めてきたいわゆる保育、教育などの総体的な取組を、内閣府がより迅速に進めていくんだということもあって取り組んでいるというスピード感からすれば、この審議を十分尽くしていって、どこに問題点があり、さらなる課題をこの委員会の討議で探していって、それをまた政府に対しては努力を求めるという、非常に、建議の形そのものを示すべき姿が委員会にあればこそだというふうに思うわけです。ですから、そのことを冒頭、一言申し上げて、質問に入らせていただきたいと思います。

 では、総論的な質疑になりますが、待機児童への取組についてからお伺いいたします。

 厚生労働省、平成二十九年九月公表の資料によりますと、平成二十五年度から二十九年度末までの五年間では、約五十二・三万人分の見込みとなっており、昨年公表した数値、四十八・三万人分を約四万人分上回る見込みとしています。

 この待機児童への取組について、受皿の拡大に寄与した理由をどのように見ているのか、その点からまずお聞かせください。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 待機児童解消は安倍内閣の最優先事項の一つであり、政権発足以来、平成二十五年に待機児童解消加速化プランを策定するなど、各市区町村における保育の受皿整備を支援してきたところでございます。

 こうした対策を活用し、保育の実施主体である各市区町村において、各年度ごとに保育ニーズの把握を行い、必要な保育の受皿整備に取り組んだ結果、各市区町村の数値計画を積み上げたところ、平成二十九年四月時点の受皿拡大量は、前年に見込んでいた四十八・三万人分を約四万人上回る、五十二・三万人分となったものと考えております。

玉城委員 二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が年々上昇するとともに、当然、働きに出るということは、その分、家庭にいる子供たちの保育を希望し申し込む数もふえてきているわけです。平成二十九年度四月時点申込者数は、昨年と比べると約九・一万人ふえた二百六十五万人となっていますが、平成二十九年度四月時点での待機児童数は二万六千八十一人となっています。

 当然、女性の就業率がさらなる上昇の推移を見るというふうにすると、待機児童解消対策への取組がどんどん早くなるのかおくれていくのか、バランスがとれるような形の制度設計になっているのかということが危惧されるわけですが、その取組のバランスをどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

成田政府参考人 待機児童の解消は待ったなしの課題であり、最優先で取り組んでいるところでございますが、子育て安心プランによる必要な保育の受皿三十二万人分につきましては、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が毎年おおむね一ポイントずつ上昇し、二〇二二年度末に八割まで上昇すること、その就業率と相関して保育の利用申込率もゼロ歳から五歳全体で見て五割を超える水準まで伸びることを想定して、必要な整備量を推計したものでございます。

 さらに、保育の受皿をなるべく早く整備していくため、今般、この子育て安心プランを二年前倒しし、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿を確保することとしているところでございます。

玉城委員 今答弁にありました、平成三十四年度末の計画を前倒しして平成三十二年度までに三十二万人分の受皿づくりをされています。

 他方、就業率八〇%を想定する平成三十四年度には、更に、いわゆる預け先がふえるということで、保育需要が膨らんでいくということが予想されます。それまでのいわゆる潜在的な立場、潜在的待機児童であった御家庭やお子さんたちが、今度は、より、もっと申込みをしようということで積極的に変わっていって、表出的な形になって、実はそのことによって待機児童が一挙に数がふえることも予測されているのではないかと思います。その点についてお伺いいたします。

高木副大臣 お答えいたします。

 先ほど成田審議官から御答弁申し上げましたとおり、子育て安心プランによる必要な保育の受皿三十二万分につきましては、二十五歳から四十四歳の女性の就業率が二〇二二年度末に八割まで上昇することなどを想定しまして、必要な整備量をマクロベースで推計したものでございます。

 一方で、玉城委員御指摘のように、保育の実施主体である市区町村におきまして、申込みまで至らないようなケースも含めて、保護者の意向を丁寧に確認しながら、潜在的ニーズも含めた必要な整備量を的確に把握し、保育の受皿整備を行うことが重要と考えております。

 このため、昨年十二月には、毎年各市区町村が子育て安心プランに基づき整備計画を作成する際には、保育コンシェルジュなどを活用しながら、潜在的な保育ニーズの把握に積極的に取り組むよう求めたところでございまして、市区町村ごと、さらには市区町村内の保育提供区域ごとに、保育の利用意向が的確に把握され、それを反映した受皿整備が進むよう支援してまいりたいと考えております。

玉城委員 子供が生まれたら安心して預けることができる、これは国の政策の基本中の基本というか、根っこに当たる部分だと思います。そのためには、やはりどうしても財源をしっかりと充てていくということ、つまり、予算の組み替えの根本的な対応こそが私は重要なのではないかと思うわけですね。

 そもそもの財源論として、今般の対策も、消費税率一〇%への引上げを前提とする人づくり改革としての少子化対策、待機児童対策であるわけですね。

 他方、消費税の増税で全ての社会保障費を現実的には賄えるわけではないというふうに思料いたします。消費税増税ではない財源の確保への道筋こそが、本来その頂に至るという登山道の道なのではないか、本来のルートではないのかというふうに思うわけですね。

 では、少子化対策のみならず、全世代への社会保障のための恒久的、安定的な財源について、政府はどのように考えるか、大臣にお答えいただきたいと思います。

松山国務大臣 お答えいたします。

 少子高齢化が進展する中で、社会保障の持続可能性の確保と財政健全化の両立を図っていくということは、大変重要な課題でございます。

 社会保障と税の一体改革、また歳出改革、経済の再生などに政府を挙げて今後取り組んでいくものと認識をいたしております。

 詳細は、政府参考人からも答弁させていただきます。

大島政府参考人 追加させていただきます。

 現在、政府におきましては、社会保障と税の一体改革を進めております。

 議員のお立場とはちょっと違いますが、その中の税の財源としては消費税を使っておりまして、税収が安定していること、あるいは勤労世代の特定の層への負担が集中しないといった特性がございます。また、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く分かち合うという観点から見ても、社会保障の財源としてふさわしいものと考えております。

 他方で、社会保障制度を持続可能なものにしていく上では、社会保障の重点化、効率化にも取り組んでいく必要があると考えておりまして、この三年間で、社会保障費の伸びを一・五兆円、毎年当たりですと五千億円までに抑えるといった歳出改革もしておりまして、こうした改革を着実に実現していく、こういう段階にあると考えております。

玉城委員 では、次にお伺いいたしますが、厚労省の待機児童の地域別状況から見ると、全国市区町村一千七百四十一のうち約八割、一千三百二十一の市区町村においては待機児童ゼロと報告されています。待機児童全体の七二・一%、一万八千七百九十九人は、東京、埼玉、千葉、神奈川の首都圏、大阪、京都、兵庫の近畿圏の指定都市、中核都市を含む都市部とその他の指定都市、中核市となっており、そのほかに合計特殊出生率の高い沖縄などが含まれています。

 そのうち、待機児童が、平成二十八年四月一日と平成二十九年四月一日を比較して百人以上増加した自治体などを見てみると、東京大田区及び目黒区などでは就学前人口の増加や待機児童の取扱いの見直し等によるものと報告されており、兵庫西宮市では、共働き世帯の増加と、それから沖縄県うるま市などと同じように、保育園などの開設に適した土地、物件等の確保が困難なことによる受皿整備のおくれなど、地域事情による要因からかいま見ても、待機児童対策の困難さは一律一様ではないということが推察されます。

 このようなそれぞれの課題に鑑み、世帯からのニーズのみならず、地域事情への対応策として政府が進める計画、政策のいかんを伺いたいと思います。

高木副大臣 お答えいたします。

 待機児童の解消に当たりましては、各自治体が待機児童の状況や潜在ニーズなどの地域の実情を踏まえながら、保育の受皿整備を行うことが重要でございます。改正子ども・子育て支援法におきましては、都道府県の取組も重要であることから、都道府県が待機児童の解消に積極的に参画できるよう環境を整備しまして、都道府県による市区町村の取組の支援をより実効的なものとすることを目的としております。都道府県が市区町村等と協議する場を設置できる旨を盛り込んだところでございます。

 この協議会におきましては、例えば、大規模マンションの建設等による人口流入が著しい地域、既に川崎市と横浜市に例がございますが、市区町村の周辺市区町村が市境周辺の待機児童を受け入れる協定の締結、いわゆる広域連携でございます。また、保育人材の不足が発生している市区町村が存在する場合に、必要な人材確保の状況を分析した上で、それに応じた人材確保や育成の実施など、都道府県と関係市区町村等が協議することで、各地域の実情を踏まえた上での待機児童の解消に向けて、より一層連携して取り組むことを期待しております。

玉城委員 では、次に、保育士人材の確保等についてお伺いいたします。

 待機児童対策の取組としては、やはり大きな課題となるのは、保育人材の確保です。厚労省では、待機児童の解消に向けて、待機児童解消加速化プラン、保育士確保集中取組キャンペーン、それから保育士確保プランの公表などを通じて、国、自治体挙げて保育士の確保に精力的な取組を行ってきているというふうに思っております。

 他方で、いわゆる潜在的待機児童あるいは潜在待機児童という言葉のほかに、潜在保育士という言葉があるのを御存じでしょうか。

 厚生労働省は、約七十六万人の潜在保育士がいると発表しておりまして、もともと保育士資格の取得者は累計で百五十万人を超えると言われています。

 しかし、保育士の資格取得者の半数近くは働いていないという現状があり、さらには、保育士としての勤務年数が二、三年でやめる方が多く、勤めている約半数以上は七年以下で退職をしているというふうなデータもあります。

 保育士の退職理由に多いものとしては、給料が安い、職場の人間関係、それから保護者への対応、そもそもの保育理念が合わない、あるいは結婚、出産、育児など、いわゆる保育士さん個人の非常に負担となっているケースが多いわけですね。

 このような状況で最も重要となるのは、言うまでもなく、収入などの処遇改善であり、さらには、キャリアアップと保育の質の向上に資するための計画と予算なのですが、他方で、保育の現場では、慢性的な人員不足と、先ほども申し上げましたように、出産などの事情のために一旦離職した後、現場へ復帰しようとするも、当人のお子さんが保育園に落ちてしまうという実に厳しい現状があるという報道などもなされております。

 政府は、そのような就労状況に関する実態調査について、都道府県及び市町村などと、どのように就労環境の実態把握とその問題解消のための取組を行っているのか、伺います。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問いただきました、保育士資格を持ちながら保育園等に勤務をしていらっしゃらない、いわゆる潜在保育士の方々の数につきましては、保育士養成施設の卒業後や保育士資格試験の合格後に保育士資格の登録を行った方の数から、保育士として保育園等に勤務していらっしゃる方の数を単純に差し引いて計算いたしますと、約八十六万人となるところでございます。

 なお、この中には、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方を持っている方で、幼稚園に勤務している方なども含まれているところでございます。

 また、ハローワークによる求職者に対する調査では、いわゆる潜在保育士が保育士として就業を希望しない理由につきまして、賃金と希望が合わないが四七・五%、保育士の業務負担に対する自身の健康、体力への不安が三一・九%、休暇が少ない、休暇がとりにくいが三七・〇%であったほか、子育てとの両立が難しいという回答も一四・九%であったと承知しております。

玉城委員 就労を希望する保育士さんの、当然ですが、子育てをしていらっしゃる環境であれば、そのお子さんも保育園に、できれば認可園に入園できる、入所できるというふうな処遇をぜひ進めてほしいと思いますが、厚労省ではそのような取組も進められているということではありますが、その方策などについて、どのような取組があるのか、お答えください。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 待機児童の解消のためには、保育の受皿拡大とそれを支える保育人材の確保が不可欠であり、処遇改善や新規の資格取得、就業継続支援、離職者の再就職といった支援に総合的に取り組んできたところでございます。

 特に、保育士の子供が優先して保育園を利用できるようにすることは、保育士の職場への復帰を通じて保育の受入れ枠の増加に寄与するとともに、保育の道を選んだ方々が仕事と家庭を両立しながら長く活躍できるようになることから非常に重要であり、昨年九月には、この優先入所の取組を行うよう各自治体宛てに要請したところでございます。

 こうした取組が多くの自治体で実施されるよう、三月に開催いたしました全国児童福祉関係主管課長会議等でも各自治体に要請したところであり、今後とも、さまざまな機会を捉えて周知してまいりたいと考えております。

玉城委員 市区町村によっては、ここで勤務をしていらっしゃる方のお子様は入所を認めていないという市区町村が非常に多いというふうな、そういうデータも上がってきております。

 例えば、担当するクラスの年齢が違えば、お母さんがそこで働いていても、例えば、ゼロ歳、一歳のお子さんを同じ保育園に預けても、何ら問題はないわけですね。ですから、そういうふうに年齢層をしっかりと判断をしながら、この場合だったら大丈夫ですねということなど、ぜひしっかり調査をして、働いているからこそ子供を安心して預けられるのは、どの親御さんであっても同じだという条件をしっかり整備をしていただきたい。

 これは、市区町村、都道府県にお願いするのみならず、国でもその方針をしっかりと示して、働く人は誰でも安心してお子さんを預けていただけるということが、その資格を持っていらっしゃる方々、現に、資格を持って一旦働いてやめた方もそうですが、資格を持っているけれども働いたことがないという潜在保育士さんもたくさんいらっしゃるわけですから、どうぞ、働いて、結婚してお子さんが生まれても、引き続き、お子さんを預けながら同じ職場でも働けますよという環境をつくっていくのは、やはり国の大きな支えがあってこそだと思いますので、そこは、よりしっかりと、制度として強く推し進めていただくことをお願いするものであります。

 さて、今度は、認可外保育施設についてお伺いいたします。

 現行の子ども・子育て支援制度で少し、ちょっと釈迦に説法的な話ではありますが、認可外保育施設の位置づけをここで一度確認しておきたいと思います。

 保育所とは、児童福祉法における児童福祉施設の一つであり、保育を必要とする乳児、幼児を日々保護者のもとから通わせて保育を行うことを目的とする施設と規定されています。国、都道府県及び市町村以外の者は、都道府県知事又は市町村長の許可を得て、保育所等の保育施設を設置することができるとされています。

 認可を受けた保育施設は、施設の設置、運営等について一定の基準を満たすことが求められ、他方、認可外の施設よりも、国、自治体からの助成の面で一般的に手厚い支援を受けている、これが認可園ですね。

 認可外保育施設とは、保育所又は地域型保育事業と同様の業務を目的とする施設であって、児童福祉法等による認可を得ていない施設をいう。認可外保育施設として、ベビーホテル等があると書かれています。

 認可外保育施設は、施設の名称及び所在地等を都道府県知事に届けなければならないこと、また、都道府県等が行う指導監督の対象であり、認可外保育施設指導監督基準を満たす施設運営を行うことが求められているということです。つまり、認可外保育施設であっても、やはりその基準や決まりというのは、運営については非常に厳しい設定がされているということを前提にお話を伺いたいと思います。

 さて、今般、企業主導型の保育が進められていますが、平成十六年、認可外ではありますが、国の面積要件など一定の条件を満たせば、整備費用であるとか運営費であるとか、その一部が助成されています。

 さあ、伺います。

 厚生労働省が、都道府県、政令指定都市、中核市が実施した平成二十八年三月の指導監督状況の報告を集計し、取りまとめています平成二十七年度認可外保育施設の現況取りまとめを見てみると、児童福祉法に基づく都道府県知事などの認可を受けていない保育施設と、夜八時以降の保育、宿泊を伴う保育、一時預かりの子供が半数以上のいずれかを常時運営しているベビーホテルなどについて報告されています。

 認可外保育施設の総数が六千九百二十三カ所、うちベビーホテルが一千五百七十九カ所で、その他の認可外保育施設が五千三百四十四カ所となっています。入所児童の内訳は、ベビーホテルが三万百二十一人、その他の認可外保育施設が十四万七千七百五十六人、つまり、認可外保育施設の多くが、このいわゆる待機児童の受皿になっているということが報告からもはっきりわかると思います。

 沖縄県では、公的支援を受ける保育施設のほか、このような認可外保育施設でお子さんを預かってもらうことの必要性は高いんですね。

 今から二十年前、私に三番目の子供、次男坊が生まれたときに、妻も働いています、私も働いていますので、公立の保育所を希望したんですが、それに漏れまして、認可園に預けることになりました。二十年前の話ですが、その預ける保育料を見て、思わずかみさんと、うちが今住んでいるアパートの家賃より高いねという話をしたことを覚えています。非常に古い二LDKのアパートだったので家賃は安かったんですが、その当時から、沖縄県では、所得が余り変わっていない現状ですが、子供たちの保育に係る費用はやはり厳しい状況になっているというふうに受けとめております。

 沖縄県では、公的支援を受ける保育施設のほか、このような認可外保育施設で預かってもらうことの必要性が高いのですが、取りまとめの参考資料、都道府県・政令指定都市・中核市別の入所児童一覧を見てみると、都道府県別で待機児童が、一万人、二万人という万人単位でカウントされているのは、東京都の一千三百二十九カ所に三万三千六百六十人の児童受入れと、沖縄県の三百三十八カ所、一万五千二百二十三人だけで、他の都道府県は、北海道二千二百六十二人、埼玉県三千九百二十八人、千葉県三千六百三十一人、神奈川県三千四百四十八人、大阪府二千八百六十二人、兵庫県四千三百九十二人などとなっています。

 東京都と沖縄県を、今度は内訳で見てみますと、東京都では、ベビーホテル四百九十五カ所、九千二百八人、その他の施設八百二十四カ所、二万四千四百五十二人の計三万三千六百六十人となっていますが、沖縄県では、ベビーホテル二カ所、十人、その他の認可外保育施設では三百三十六カ所、一万五千二百十三人、合計一万五千二百二十三人となっており、認可外保育施設に対するニーズが、大都市圏と沖縄県では、そのニーズが異なっていることがはっきりしています。

 当然、この数字は平成二十八年三月の調査の報告ですから、その数字は現在ではかなり変わっているものとは思うんですが、これは一概に沖縄だけの問題ではないと思います。先ほど私が認可外保育施設の位置づけという項目を読み上げさせていただいたのは、一定程度の規模と内容で、国の制度にのっとって運営している認可外園の認可化への取組について、やはり緊急性を持っていることは間違いないと思います。

 政府は、どのような方針にのっとってこの認可園への促進を行っていますか。お聞かせください。

高木副大臣 お答えいたします。

 先ほど来御質問ありますとおり、認可外保育施設の認可化移行につきましての御質問をいただきました。

 保育の受皿確保に当たりましては、一定の保育の質が確保されている認可保育園をふやしていくことが必要と考えております。このため、認可保育園等への移行を希望する認可外保育施設に対しましては、運営費や改修費などを補助し、移行に向けた支援を行っております。

 また、平成三十年度予算では、認可保育園等に倣い、児童の年齢に加えまして、施設の規模、定員区分に応じた補助単価に見直すこととしておりまして、引き続き認可外保育施設の認可保育園等への移行を支援してまいりたいと考えております。

 例えば、玉城委員お地元の沖縄におかれましては、待機児童数や認可外保育施設の利用児童数が多いなど、全国と比べて、保育を取り巻く状況が異なっております。認可保育園等の新たな整備のみならず、認可保育園等への移行を希望する認可外保育施設などに対しまして支援を行うことも重要と考えております。

 こうしたことも踏まえまして、改正子ども・子育て支援法におきましては、認可保育園等への移行を目指す認可外保育施設に対して運営費を補助する事業でございますが、認可化移行運営費支援事業などの保育充実事業を法律上位置づけることといたしました。

 さらに、都道府県が改正子ども・子育て支援法に基づく待機児童対策に係る協議会を設置している場合には、認可化移行運営費支援事業の国の補助を五%加算することとしております。

 こうした取組を契機といたしまして、例えば、沖縄県、関係市町村また関係者が協議会に参加して議論が行われることで、沖縄に多い認可外保育施設の認可保育園等への移行がよりきめ細やかに推進されるなど、各自治体におきまして地域の実情に応じた取組が進むことが期待されると考えております。

玉城委員 今経営していらっしゃる認可外保育施設が認可園にそのまま移行できればいいんですが、実は、認可外保育施設の認可化への、この今答えていただいた対応と比較すると、待機児童問題解消促進のための企業型保育施設や小規模保育事業等への予算を含めた支援などは、格段に手厚くなっているというふうに思料いたします。

 地域の中でこれまで保育の質を高める自助努力を行ってきた既存の保育施設経営者にとって、もしその認可化ができなかった、促進の選から漏れたということになってくると、経営退陣あるいは廃園なども考えざるを得ないような深刻な判断を余儀なくされることにならないか、私は危惧するものであります。

 つまり、今行っている事業が、いわゆる国の指定している認可園の内容と基準が合致しているのであれば、できるだけそのまま手厚く支援をする対策が必要であるというふうに思うわけですね。必要不可欠な受皿となっている認可外保育施設への、今後のこの施設への緊急な支援等について、最後にお伺いしたいと思います。

成田政府参考人 先ほど申し上げました認可外への移行事業を活用いたしまして、きめ細かく支援してまいりたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。子供は国の宝です。みんなで大切にしていきましょう。

 質問を終わります。ニフェーデービタン。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

山際委員長 次に、内閣提出、株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。茂木国務大臣。

    ―――――――――――――

 株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 ただいま議題となりました株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国の経済は、名目国内総生産が過去最大となり、雇用・所得環境が改善するなど、経済の好循環が実現しつつあります。地域経済においても、全地域で景況感が改善するなど、全体として明るい動きが見られておりますが、人口減少、少子高齢化の進展等の構造的な問題が見られる中で、地域経済の持続的発展のためには、地域企業の生産性、収益力の向上が課題となっております。

 このような最近の地域経済の状況に鑑み、地域における総合的な経済力の向上を通じた地域経済の活性化を図ることが、重要な政策課題となっております。

 地域における民間の自律的な取組を促進するため、株式会社地域経済活性化支援機構は、これまで、事業再生支援や地域活性化ファンドの設立、運営、地域金融機関等への専門家派遣等を行い、地域企業の支援に取り組むとともに、先導的な支援事例を積み上げてきたところですが、今後は、地域活性化ファンドを通じた地域経済牽引事業者への支援や、地域金融機関等への専門家派遣、日本人材機構による経営人材の紹介等を通じた地域金融機関に対する人材、ノウハウ支援に重点的に取り組んでいくほか、難易度の高い事業再生案件に係る債権者間調整や経営者保証つき債権等の買取り、整理を伴う経営者の再チャレンジ支援にも引き続き対応できるよう、同機構の業務の一部の期限の延長を行う必要があることから、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、機構による再生支援決定、特定支援決定、特定組合出資決定及び特定経営管理決定の期限について、平成三十三年三月三十一日まで三年間延長することとしております。

 第二に、第一に掲げる決定に係る業務及び特定専門家派遣決定業務の完了期限について、平成三十八年三月三十一日まで三年間延長することとしております。

 以上が、この法律の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

山際委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十九分散会


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