衆議院

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第8号 平成30年4月6日(金曜日)

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平成三十年四月六日(金曜日)

    午前十時十四分開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君

   理事 寺田  学君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 佳隆君    泉田 裕彦君

      大隈 和英君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 鮎子君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      亀岡 偉民君    小寺 裕雄君

      古賀  篤君    杉田 水脈君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      長坂 康正君    西田 昭二君

      百武 公親君    古川  康君

      三谷 英弘君    宮路 拓馬君

      村井 英樹君    大河原雅子君

      篠原  豪君    森山 浩行君

      山崎  誠君    稲富 修二君

      柿沢 未途君    森田 俊和君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      中川 正春君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君    森  夏枝君

      玉城デニー君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (規制改革担当)     梶山 弘志君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     山下 雄平君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   法務大臣政務官      山下 貴司君

   国土交通大臣政務官    秋本 真利君

   政府参考人

   (内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官)           柴崎 哲也君

   政府参考人

   (内閣府地域経済活性化支援機構担当室室長)    三井 秀範君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    村田  隆君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            西田 直樹君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  名執 雅子君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    太田  充君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           小林 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官)          田川 和幸君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           寺田 吉道君

   政府参考人

   (観光庁次長)      水嶋  智君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           鈴木 敦夫君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     宮路 拓馬君

  金子 俊平君     百武 公親君

  高木  啓君     古川  康君

  浦野 靖人君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     金子 俊平君

  古川  康君     高木  啓君

  宮路 拓馬君     岡下 昌平君

  森  夏枝君     浦野 靖人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地域経済活性化支援機構担当室室長三井秀範君、金融庁総務企画局審議官西田直樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石原宏高君。

石原(宏)委員 おはようございます。自民党の石原宏高でございます。

 本日は、REVIC法の改正案について質疑をさせていただきたいと思います。

 まず第一問目に、平成二十六年度の改正時の附則第三条、また平成二十六年四月二十五日の衆議院の内閣委員会の附帯決議等々の中で、当機構のあり方、法律の施行状況について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということがうたわれております。

 今回の改正に当たって、どのような検討がどういう機関で行われたのか、そしてどのような結果になって改正が行われるのか、この点、御説明をお願いいたします。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 地域経済活性化支援機構は、地域における民間の自律的な中小企業支援や地域活性化の取組を促進するために、事業再生支援、それから地域活性化ファンドの設立、運営、地域金融機関等への専門家派遣などを行いまして、先導的な支援事例を積み上げることを通じて地域金融機関等へのノウハウの移転に努めてきたところでございます。

 こうした取組の結果、先導的な支援事例につきましては一定程度積み上がってきているかと存じます。例えば、事業再生支援等におきましては、民間金融機関へのノウハウの移転が進んできているものと考えております。

 一方で、現時点におきましては、地域企業の中には経営改善などが必要な企業が多数存在しているかと存じます。にもかかわらず、経営計画や戦略が描けず、企業自身の価値向上が実現できていないという企業も多いのではないかというふうに考えられます。

 また、そのため、地域金融機関が地域企業支援やそれに伴うファイナンスに主導的な役割を発揮するということが期待されているわけでございますけれども、地域金融機関の中には、その重要性は認識しているんだけれども、専門人材やノウハウが不十分な金融機関が少なからず存在しているかと存じます。

 こうしたことから、必ずしも、地域における民間による自律的な取組の定着には至っていない状況かと思います。

 こうした点も踏まえまして、内閣府を中心として関係省庁と一緒に議論を行いました結果、機構の支援・出資決定期限及び業務完了期限をそれぞれ三年延長いたしまして、地域金融機関の地域企業に対する支援機能の強化を図る。このために、地域金融機関や地域企業への専門家派遣や日本人材機構を通じた経営人材の紹介、地域金融機関との地域活性化ファンドの共同運営といった、人材、ノウハウ支援の業務を中心に据えて、重点的、集中的に取り組んでいく必要があるというふうに考えた次第でございます。

 以上でございます。

石原(宏)委員 二問目に、平成二十九年の十二月八日に閣議決定をされました新しい経済政策パッケージで、生産性革命の実現を二〇二〇年までの中期的な課題と位置づけ、推進のため、未来投資戦略二〇一七に含まれた施策を着実に実行するとともに、二〇二〇年までの三年間を生産性革命集中投資期間として、大胆な税制、予算、規制改革等の施策を総動員するということがうたわれ、その施策の一つとして、中小企業等を支援する機関の機能強化のために、REVICや日本人材機構による人材、ノウハウ支援や、金融機関とREVIC等の協働によるエクイティー資金の供給など、施策を強化することが盛り込まれました。

 もう少し具体的に、REVICや日本人材機構の、まさに生産性革命集中期間における役割というものについて御説明をいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 昨年の十二月八日に閣議決定をいたしました新しい経済政策パッケージにおきましては、今委員御指摘のように、二〇二〇年までの三年間を生産性革命集中投資期間として、税、予算、規制改革等々あらゆる政策手段を導入する、こういったことを決めております。

 特に、そこの中で、地域企業におきましては、専門スキルを持つ人材であったり経営ノウハウを持つ人材が不足しているほか、地域企業に対するエクイティーファイナンス、リスクマネーの供給について、委員も金融の分野にいらしたのでよく御案内だと思いますが、地域の金融機関などでは十分に対応できていないもの、このように認識をいたしております。

 政府としては、一人一人の人材の質を高める人づくり革命と、成長戦略の核となる生産性革命に取り組み、社会人の学び直しであったりとか中途採用の促進によって、幅広い年齢、そして多様な分野での人材の活躍を目指しておりますが、特に地方では、この機構の機能も活用して、事業再生や地域の活性化の専門家の充実と、それを通じた地域の再生を図っていきたい、こんなふうに考えております。

 こうした点も踏まえて、二〇二〇年までの三年間におきまして、一つは、機構において、地域活性化ファンド等を通じて金融機関と共同しつつ地域経済を牽引していく、この牽引事業者や歴史的資源を活用したまちづくりなどの重要施策を中心に、リスクマネーの供給であったりハンズオンの支援、ハンズオンといいますとなかなかイメージが湧かないかもしれませんけれども、テレビドラマの「陸王」に出てくる元銀行マンみたいな形のハンズオンの支援にも取り組んでいきたいと思っております。

 また、地方に行きますと、かつては、地域の課題、さまざまな課題に、それをみずからの問題として捉えて解決する旦那衆というのがいたんですね。旦那と、皆さんどういう印象をこの言葉で持たれるかわからないんですが、この旦那、もともと梵語、サンスクリットのダーナですから、お布施ということから来ております。

 つまり、地域の課題について、身銭を切ってでもそういった事業を進めていく、これが旦那衆でありますが、恐らく、本来、こういった機能、これからは地域の金融機関が果たしていかなければいけない。地域の金融機関等が地域において自律的に中小企業支援であったりとか地域活性化の取組を実現できるように、機構そして人材機構におきまして、地域金融機関に対する人材、ノウハウの支援を重点的に取り組んでまいりたい、こういったことを今後三年間で進めてまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 ぜひ、REVICがあの「陸王」のこはぜ屋さんのような会社をたくさんつくっていただくことを期待したいと思います。

 次に、少しREVICの収支について御質問させていただきたいと思います。

 事業再生を行う際に支払い手数料を徴求していらっしゃると思うんですけれども、どのような基準でこの支払い手数料を請求されているのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 機構は、事業再生に係る支援決定を行いました場合には、支援手数料として、先生おっしゃるとおり、事業者から一定の手数料を徴収してございます。

 支援手数料の金額や率について詳細に申し上げるのは差し控えさせていただきたいわけでございますけれども、考え方といたしましては、債権買取りを伴うというものに関しましては、債権買取り価格の一定割合というのを手数料として徴収いたしております。また、債権買取りを伴わない、金融機関間の調整を行う、これのみの場合には、事業者の有利子負債総額に応じまして手数料のテーブル、タリフを設けておりまして、これに従って手数料を徴収しているところでございます。

石原(宏)委員 次に、公表されております平成二十八年度のREVICの収支について、ちょっと質問させていただきたいと思います。

 営業費用が五十九億五千百万円のうち、人件費はどのぐらいの程度なのか。また、その人件費、役員報酬とか給与水準というのは一般のファンド等と比べて適正水準なのかどうか、教えていただけませんでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度決算におけます営業費用の五十九億五千百万円のうち、人件費は三十五億五千百万円となってございます。

 機構の役職員の報酬体系でございますけれども、まず、役員報酬につきましては、他の独立行政法人あるいは特殊法人の例を参考にして、そういった水準で定めてございます。

 それから、弁護士、会計士などの専門家を中心とする職員の給与水準でございますけれども、これにつきましては、民間コンサルティング会社あるいは監査法人、弁護士事務所など、それぞれの分野の専門家の在籍する組織の給与体系を参考に決めさせていただいているところでございます。

石原(宏)委員 最初に手数料、その次に営業費用の話を聞いたんですけれども、実は、平成二十八年度のREVICの収支というのは、赤字が約五十三億二千五百万円という形になっています。今、人件費が約三十五億というふうに言われておりますので、ほとんど人件費に費用は使われていて、先ほど述べさせていただいた手数料収入というのはさほどないのかなというような感じもします。

 ただ、なかなか、ファンド的な役割で、投資をしても、投資回収というのは時間がかかりますので、ぜひともしっかりと手数料収入を上げていっていただきたいということと、今のところ、平成二十八年度を見ると五十三億円の赤字ということでありますから、今後、利益がしっかりと見込まれるのかどうか。また、まさに今回、改正を行って三年間の新たな投資期間を設けるわけでありますけれども、利益目標といったものがあるのかどうか。

 お話を聞いていると、投資をされているファンドについてはIRRが想定されているということなんですけれども、可能な範囲で、そういう、投資をされているファンドの中のIRRの数字がわかったら教えていただけないでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 機構の業務開始以降におけます過去四年間の収支状況でございますが、過去の投資案件の回収益が発生した年には利益が計上されておりまして、また他方で、先生御指摘のとおり、こうした一定程度の規模の支援のエグジットがなかった、例えば、中小企業の再生支援を行って、それも出資ではなく権利調整だけで済んでいくようなケースで終わっている年、あるいは、地域活性化ファンドについては、投資をしているけれども、その投資の回収をまだこれから将来という段階の投資が続いていることもありまして、赤字を計上している年もございます。黒字と赤字の年もありまして、現時点では、トータルでは、この四年間では若干のプラスになっているところでございます。

 もう一つは、機構がこれからやっていく、あるいは足元でやっている業務でございますけれども、対象となる企業や地域への直接的な効果に加えまして、一緒にやっています地域金融機関へのノウハウの移転ということで、むしろ、地域あるいは地域金融機関が地域における企業の支援をしていく、この能力を向上していくということにつながっていくということになりますと、こういった面での外部効果と申しますか政策効果があるかと思いまして、こうしたことから、多少赤字であったとしても社会全体としてはやる意味があるのではないか、こういうところでございます。

 なお、財務状況の健全性でございますけれども、過去投資案件の株式の売却益に伴う利益剰余金がございますので、国や民間の出資金を毀損させる状況にはないというふうに考えてございます。

 今後、機構におきましては、地域の活性化の支援に向けた取組に尽力するということでございますけれども、そうはいっても、利益剰余金をできるだけ減らさないようにめり張りをつけた業務運営をしていくということで、人員のスリム化を含めて経営の効率化を行っていく必要があるかと存じます。

 それから、IRRにつきまして御質問がございました。

 これは、民間と一緒に組成、運用してございます。したがいまして、それぞれのケースで民間の意向を反映した形で設定されますので、そういう意味ではばらつきがございます。ファンドによって差異がありますけれども、どちらかといいますと、民間だけでやっていらっしゃるものに比べると、大きなリターンを得るというよりは、地域の事業者の支援を主目的としてやっておりますので、そういう意味では若干低目に設定されているというふうに承知してございます。

石原(宏)委員 REVICの設立の趣旨もありますので、収益ということだけを私も言うつもりはないんですけれども、健全性を保つために、ある程度収益は確保していっていただきたいと思います。

 そして、私自身も、銀行員時代、MBOファンドの会社の管理なんかもしていたんですが、MBOファンドだと、大体、投資利回り、IRRが一五%ぐらいを目標にしています。そして、REITという不動産のファンドであれば五%強ぐらいではないかと思いますので、個人的には、REVICがREVICキャピタルやREVICパートナーズを通して投資をしているファンドのIRRというのは、私、個人的な意見ですけれども、三%から五%ぐらいあればいいのかな、金利も低いですし、そんなイメージを持っているところであります。

 IRRとか収支のことを聞いたんですが、KPIについてちょっと説明をいただけないかと思います。

 いろいろと資料を見ると、具体的な検討を行った案件に関する寄与度合いとか、ハンズオン支援等による収益改善、地域経済への貢献、金融機関との連携等、各種KPIがあるんですけれども、ちょっと、どうやって定量的にこれをカウントするのかというのがよくわからないところがあります。幾つかで結構なので、もう少しわかりやすく、このKPIについて御説明いただけませんでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 官民ファンドは政策目的に沿って運営されるべしということで、そのために活動を検証することが必要という観点から、官民ファンドの運営に係るガイドラインというのが設けられまして、これに基づきまして、運用目標あるいは政策目的の達成状況を検討するような指標、KPIを設定しているところでございます。

 具体例でございます。なかなか、地域の活性化とか、はかるのが難しいこともありますので、悩みながらつくってきているところがございます。

 地域への知見・ノウハウの移転という項目でございますと、例えば、地域金融機関への特定専門家派遣あるいは地域金融機関からの人材の受入れなどを平成三十五年三月末までに累計で二百五十件以上行う、こういうKPIを具体的に設定させていただきまして、二十九年九月末時点では、件数で単純でございますけれども、九六%の達成率となってございます。

 また、中小企業などへの重点支援の明確化といたしまして、中規模企業の事業者の割合を九割以上とする、こういうKPIを設定していますが、二十九年九月末時点での達成率は八八%という状況でございます。

 こういった、定量的にクリアなものもあれば、定性的なものをいろいろ数字を活用しながら設定しているものもあります。

 こうしたことから、定期的にこのKPIについては見直しをしているところでございまして、引き続きこういった見直しもしてまいりたいと思ってございます。

石原(宏)委員 私は、KPIをなるべく定量化をして、その達成度合いとかによって、今回はまた三年間投資期間を延ばすんですけれども、今後のあり方に対する一つの考え方のベースに、KPIの達成状況みたいなものもあるのではないかというふうに思います。

 だんだん時間が迫ってきておりますので。

 今ちょっとお話をしたように、今回は、三年その投資期間を延長して、REVICをやめる期間を更に五年、八年後にということにするわけですけれども、今後、私は、KPIとかいろいろなものを判断して、REVICを終了するそういう判断材料、これから更に期間を延ばすと言っておきながら、終了することについて聞くのはまだちょっと早いかもしれませんが、ただ、ずっと何回も何回も継続している中で、どういう判断基準でこのREVICを店じまいしていくのかみたいなことを、今の段階でわかることを教えていただけないでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 この機構の延長の趣旨でございますけれども、機構が解散した後においても、全国各地で地域金融機関などが自律的に中小企業支援とか地域経済活性化の取組が実現できる姿、こういったものを目指すということで延長をお願いしているところでございます。

 こうしますと、じゃ、自律的にこういったことが実現できているかということになりまして、幾つかの単純な指標で定量的にその目的をお示しするというのはなかなか難しいのではないかと思うわけでございますが、例えばでございますと、地域金融機関の目きき力の向上度合い、これはさまざまな見方があるかと思います。定量的なものもあれば、その企業の見方、地域への評価などもあるかと思います。あるいは、民間によるファンドの活動状況がどうなっているか。あるいは、地域における専門人材がどうなっているか。今ですと、地方だとなかなかいないという話をお伺いしますけれども、そんなところはどうなっているか。こういったものを総合的に勘案して検討していくということになろうかと思います。

石原(宏)委員 質問時間もだんだんだんだん迫ってきたんですけれども、REVICをまだこれから期間を延ばして支援を続けていくという中で店じまいの話をしてもしようがないんですが、REVICには子会社が三社あると思います。その子会社も、やがてREVICを店じまいするときには何とかしていかなければいけないと思うんです。

 そのREVICの三つの子会社について、日本人材機構、REVICキャピタル、REVICパートナーズがあります。各社の機能と人員、人員の中も、管人総、役員の割合と実際の営業、コンサルティングとか投資をされている方なんですけれども、大体何%、何%ぐらいな形になっているのか。資本金の金額、またREVIC自身の出資割合等、この三社について教えていただけないでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 このREVICには、子会社といたしまして、人材紹介会社一社それからファンド運営会社二社の、合計三社の子会社を有してございます。

 まず、人材紹介会社であります日本人材機構は、資本金は二十五億円、REVICの一〇〇%出資子会社でございます。目的は、地域企業に対する生産性向上に資する経営人材を紹介する、こういう事業でございまして、人員は総勢六十四名、役員が五名でございまして、ソーシングあるいは金融機関対応部門に三十九名、首都圏人材向け広報、PR部門に六名、管理部門に十四名というふうになってございます。

 次に、ファンド運営会社が二社ございまして、これはREVICキャピタルというものとREVICパートナーズというものでございます。

 最初のREVICキャピタルは、資本金は一億円で、出資割合はREVICが一〇〇%でございます。地域金融機関などと共同して、これまで三十三本の地域活性化ファンドの運営を行っております。人員は総勢で百四名でございまして、役員が五人、ソーシング部門八十六名、管理部門十三名となってございます。

 二つ目のREVICパートナーズは、これは民間と共同でございまして、REVICは八〇%の出資割合でございます。資本金は五千万円ということで、地域中核企業活性化ファンドの運営を行ってございます。人員は二十九名、うち役員が六名、投資先のソーシング部門が十七名、管理部門六名でございます。

 以上でございます。

石原(宏)委員 大分時間が迫ってきたんですけれども、REVIC若しくはREVICが投資をしているキャピタル、パートナーズを通して投資をされている各ファンドについて、例えば未公開の株式の会社というのが多いと思うんですけれども、その減損ルールについてちょっと御説明をいただけないでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 機構が保有する、支援対象事業者が発行した未公開株、有価証券、あるいは事業者に対する貸出債権につきましては、この減損のルールでございますが、会社法やその他の関連法令、一般に公正、妥当と認められる企業会計の慣行に沿いまして、REVICとしても基準を設けて減損処理を行っているところでございます。

 具体的に申し上げますと、時価のある有価証券につきましては、時価が取得原価に比べて五〇%程度以上下落した場合には減損損失を認識する。時価のない株式につきましては、期末における一株当たりの純資産額が取得原価に比べて五〇%程度以上下落した場合に減損。時価のない債権でございますと、個別の債権ごとに償還不能見積高を算定いたしまして、その額を損失として計上します。

 また、保有有価証券の評価でございますけれども、投資の短期的な状況に対して懸念がある場合には取得原価の七五%、長期的な状況に懸念がある場合には取得価額の五〇%、業績回復のためにてこ入れをしなければ投資原価が回収できないと懸念される場合には取得価額の二五%、投資原価が回収される見込みがなくなった場合には備忘価額という形で減損処理をさせていただいております。

石原(宏)委員 時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。

 きょうは、株式会社地域経済活性化支援機構法の改正ということで、REVICですね。今回の改正の内容自体は、基本的には延長するということであります。再生支援決定の期限延長、そしてまた業務完了期限の延長、これは三年延長いたしますということなんですが、REVICの果たす機能においては、信託を活用した事業再生支援とか、あるいは事業再生子会社支援というような、これまでゼロ件だったということもありますので、機能としては廃止するというようなこともあるわけでございます。

 その上で、このREVIC自体がなぜ必要なのか、そしてなぜ延長するのかということをしっかりとまず冒頭に確認していきたいと思っております。

 そもそも、出資、融資あるいは資金供給については、民間の金融機関もやれるわけでございますし、そしてファンドあるいはVCもあるわけでございます。ですが、なかなかそうしたところがリスクマネーを供給できない、そういう問題があり、そしてREVICが立ち上がってきた。もともと企業再生支援機構があったというわけでございますけれども。

 そういう中で、今、資金供給の点でいうと、どういう資金供給が民間で補えていないのか、これをまず最初に確認していきたいと思っているんです。

 金額規模でいえば、例えば五億円以上の金額規模についていえば、なかなか大きなビジネスですねということが言えそうに思うんですけれども、二、三億であったりとか、あるいは数千万円、一億円以下の数千万円とかというようなレベルの案件、さまざま資金需要があるような案件があろうかと思いますが、そうした中で、REVICは一体どういうところに対して、もっと言うと、どこの資金需要に対してお金を送り込むのか。こうしたところの金額的な規模、相場観、どこが足りていないので、我々、民間と違ってちょっとREVICがやるんですということを言っているのか。

 そしてまた、その性質、どういう性質の事案であればなかなか出しにくいとかというのもあろうかと思います。

 こういう、REVICが今はまだ必要だというための根拠、この点に大きくかかわると思いますので、まず、この資金需要に対してどのような点が必要とされているのか、金額規模と性質について確認をしたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 民間の投資ファンドがどういうところに出ていって、そしてREVICがどういうところで需要があるかというところでございますが、民間のケースですと、やはり収益性が必要であるということ、この観点から、ある程度規模が大きいもの、一定以上の規模という案件になってくるようでございます。

 そうはいいましても、地域の活性化の観点からは、規模の小さい案件でも地域にとっては重要な案件があるということで、REVIC、機構は、そのような、投資規模は小さいけれども地域の活性化の観点から重要であるという案件に対して支援を行っております。

 一概に定量的な金額を申し上げるのは、なかなかばらつきがあって難しいところがございますが、徐々に民間ができるスキルが上がってきますと、その下限がやや傾向としては下がってくるとはいえ、現状、数千万とかそういう低い金額のものがREVICはだんだんふえてきているというのは、そういった状況もあるかと思います。

 それから、機構は、規模の小さい案件に加えまして、民間だけでは調整困難な案件や、専門家の観点から民間では取扱いが困難な案件などを中心に支援を行ってございます。

 この具体例でございますけれども、少数の小規模案件を面的に行っていく、こういう面的な地域活性化支援のケース、あるいは、金融機関や産業界、自治体とのコーディネート、こういうのをすごく要するようなもの、こういったものですと、機構は、民としての面のみならず官としての面がありますので、こういった面を生かしてコーディネート、調整の対応を行ってきているというケースが多々あります。

 また、病院や介護の分野では、前身の企業再生支援機構時代から支援を重ねてきておりまして、ある程度のノウハウ、専門性が蓄積されてきているところがございますので、REVICに改組して以降も、この専門性を活用しまして、病院の再生あるいはヘルスケア分野への投資が積み重なってきております。

 こういったことを積み重ねまして、民業補完の原則に沿って、民間では対応できないという案件を中心に支援してまいりたいと思っています。

濱村委員 おっしゃるとおり、地域を支える企業というのは、規模はさまざまあろうかと思います。そういう意味では、金額規模に対して一律的に、定量的に言うことはなかなか難しいというふうに思いますが、今、室長におっしゃっていただいたとおり、性質においては非常にその役割は大きいと思っておりまして、調整困難な案件というのはあります。例えば、面的な地域経済の活性化のためのもの、そしてまた官としての役割を担うようなもの、あと病院あるいは介護といったもの、そういう、なかなか民間でお金を出しにくいようなところにしっかりとお金を出せるということで、非常に役割があるということは今理解いたしました。

 その上で、REVICが果たす機能なんですけれども、今、出資とか融資以外の機能についてもやっておられるわけでございますので、その点についても確認いたしますが、今、地域金融機関に専門家を派遣しておられますが、現状、何をやっておられるのか、どういうことを目的としてやっておられるのか、その点について確認いたします。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 機構による専門家派遣業務でございますが、平成三十年二月末現在で百五十六先への派遣決定を行いまして、このうちの百十三先が地域金融機関でございます。

 地域金融機関等に対しまして機構の専門家を派遣しまして、まず取り組みますのが事業性の評価などの助言でございます。専門家派遣を積極的に活用する金融機関におきまして、いわゆる目きき、融資先の企業の事業性評価というのが大変重要でございますが、なかなかそれが金融機関の中に十分ないようなケースがあるということで、ここについてのノウハウを助言する、こういうことを通じまして、そのノウハウが機構から地域金融機関に対して共有が図られてきているものというふうに考えております。

 また、地域金融機関の側で見ますと、地域の企業支援に主導的な役割を発揮するというのが社会からも期待されているわけでございますけれども、地域金融機関サイドの方は、その重要性はわかっている、認識はしているんだけれども、なかなか専門人材やノウハウが自分の行内にないということで、そこに悩みを持っている金融機関が多々、少なからず存在していると私どもも認識してございます。

 こうしたことから、そういう金融機関のノウハウ、専門性の知見を高めるために、REVIC本体それから子会社であります日本人材機構を通じた、こういった人材支援を重点的に実施してまいる所存でございます。

濱村委員 事業性評価の助言ができる人、その人を育てる、育てることができる人を送り込んでいかなければいけない。目きき力のある人間を育てていかなければいけない、こういう状況だと思うんですね。ですので、これも実は金融機関が自前で育てるようになれば、そうすればこの機能も必要なくなるといいますか、民間に任せられるんだろう、こういうふうに思っております。

 その上で、今は、どちらかというと、金融機関に入って人を育てる、そういう専門家の話がございましたけれども、もう一つ、ちょっと違う意味でいうと、日本人材機構によって経営人材を紹介しております人材紹介事業、この人材紹介事業についてもちょっと確認したいんですが、銀行とか信金、信組さんとか、そういった地域金融機関が専門家を地域企業に送り込むこと、これもしっかりやっていかなければいけないんだろうと思うんです。

 それでいいますと、人材紹介業務自体を銀行とか金融機関がやるということ、これ自体、行ってよい業務なんですかどうですかというと、それはどのようになっているのか、この周知等についてもどのように行っておられるのか、確認したいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、地域金融機関が、地域企業の経営課題を解決する上で、必要に応じて経営人材でありますとか経営をサポートする人材を確保すること、これを支援するということは、地域企業の経営改善あるいは生産性向上につながるものと考えております。

 こうした考え方のもと、先般、三月三十日でございますが、監督指針を改正いたしまして、地域金融機関が取引先企業に対しまして人材紹介業務を行うことができることを明確にさせていただいたところです。この監督指針の改正につきましては、地域金融機関の経営者との定期的な意見交換会において、説明、周知をしているところでございます。

 金融庁といたしましては、今回のこの監督指針の改正を機に、各地域で、地域金融機関において、企業の経営人材あるいは経営をサポートする人材の確保に向けた支援が行われることを期待しているところでございます。

濱村委員 監督指針をしっかり出して、人材紹介業務もやっていいよということはもう既に通知済みでございますが、その上で、これも銀行がみずからやれるようになれば、人材紹介事業、JHR、要らなくなるということになります。

 先ほど石原先生の話にもありましたが、三年延ばすんだから、まだ出口の話をするのは早いというような話がございましたが、三年、あっという間に過ぎます。なので、それでいうと、三年後、どういうことを目標にするんですかといったときに、やはり出口は考えていかなければいけないと思っていますが、機構の解散について考えていくと、今REVICが果たしている役割を地域金融機関ができるようになれば、REVICの役割というのは終えるんだろうというふうに思っております。

 ただ、REVICじゃないとしんどい役割というのもあろうかと思うんですね。その点をちょっと確認したいんですが、先ほども室長から答えていただきましたが、関係する金融機関が多かったりとか地元の権利調整が非常に絡んでいるというようなものは調整困難なものであって、官が入ることによって進むというような側面もあろうかと思います。

 この機能自体は実は非常に重要なのかなと思っておりまして、それ自体は、全部が全部、いきなり、機構が解散するからといってなくすように考えておられるのか、あるいは、相談件数も今実際減少傾向であるということも聞いておりますけれども、機能を縮小した形で何かしら残していくとか、そういうことをどのように考えておられるのか、現時点の考え方を確認したいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 機構による事業再生支援でございます。先生御指摘のとおり、債権者間調整が困難な事案、ございまして、民間金融機関だけでは対応困難な難易度の高い案件について、先導的な事例を積み上げるということで取り組んでまいっております。

 その結果、こういった支援事例についてはある程度積み上がりまして、民間でもある程度ノウハウを共有されたということもありまして、足元では、債権買取りや出融資を伴わない、金融機関間の債権者調整だけを行う、こういう支援が大変ふえてきております。

 その意味で、先生おっしゃるとおりでございまして、この債権者間調整というのが最終的には一番難しい分野として残っておるというところでございまして、他方で、例えば再生計画をつくる、あるいはスポンサーを招聘して、こういったところは民間でやる、こういった事例が出てきているのかと思います。

 そういう意味で、現状で申しますと、債権者間調整というので、かつ民間だけでは調整困難な案件があるというのは私どもも認識してございまして、三年後あるいは数年後どうなるかというのはにわかには予測しがたいわけでございますが、現状では、ここはいわば機構に求められている役割だというふうに考えております。

濱村委員 まだなかなか言いにくいというのはよくわかりました。

 何かしらの形で、当然機構としてではなくて、どういう形かはわかりませんが、その機能を果たすという組織が存在するということは大事だということは、私はちょっとつけ加えて申し上げておきたいと思います。

 最後、再チャレンジ支援についてちょっとお伺いをしていきたいと思います。

 この機能はすごく大事だと思っておりますが、転廃業あるいは事業承継というものは、非常に根強いニーズがあるにもかかわらず、件数が余り伸びておりません。支援決定につながったものが六十七件。相談が八百三十六件あるにもかかわらず、実際、支援決定は六十七件なんですね。なかなか数が伸びていない。どのように運用改善を行っていかれるおつもりか、確認したいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 特定支援、先生御指摘のとおり、八百四十三件の相談に対しまして、支援決定は六十九件でございます。

 この少ない理由というか、この間、ギャップの理由でございますけれども、私どもが拝見する限り、持ち込まれた案件のかなりの部分が既に取引債権、一般債権が支払いできないほど債務が積み上がっているということで、私的整理、金融債権をカットして取引債権は払う、こういった仕組みではなかなか対応できる状況にはもうないという案件、いわゆる手おくれの案件がかなりあります。

 それから、どうしてそうなるのかということでございますけれども、支援決定に行くまでに、例えば、保証債務の整理をして早期事業再生を図ろう、あるいは転廃業などで事業清算をしよう、こういう決断に対して、なかなか社長様、代表者の理解が得られないというケースも見受けられるところでございます。

 こういう教訓から考えますと、今後、ではこの特定支援をいかに活用できるように改善していくかという点でございますけれども、まず、金融庁と機構が連携しまして、金融機関に対しまして、まだ早い段階から、将来こういう懸念があるものに対しては対話をしていただいて相談してはどうか、こういうふうなことを促していってはどうかというふうに考える次第でございます。

 また、保証人である経営者の方に対しましては、保証債務の整理をして早期事業再生とか転業をする、こういうメリット、利点があるということを、事例を積み重ねながらそういったものを周知して、これを丁寧に説明して地道に理解を得ていく、こういう必要があるかと思いまして、こういう取組を通じて運用改善をしてまいりたいと思います。

濱村委員 早い段階で相談していただく、手おくれにならないうちに相談していただくことが大事と思いますが、では、そうなるきっかけのためには、やはりメリットがあるということをちゃんと理解しなきゃいけないと思うんですね。

 保証債務の整理をした上で事業として再チャレンジするということが、経営者にとっても、あるいはその家族の方々にとっても非常にメリットがあると私は思っておりますが、この事実がなかなか理解されていないんじゃないか。

 経営者保証ガイドラインに沿って保証債務の整理を行うとどんなメリットがあるのか、確認いたします。

西田政府参考人 お答えいたします。

 会社の事業再生でありますとか事業清算に伴いまして、個人の債務整理について悩んでおられる経営者の方々が大変多くいらっしゃる中で、こうした経営者の方々がこのガイドラインを積極的に活用していただくことは大変重要だと思っています。

 ガイドラインに基づいて保証債務を整理することによって、保証人になられている方は、例えば破産手続の自由財産、これは九十九万円でございますが、これに加えまして、回収見込み額の増加額を上限といたしまして、一定期間の生計費に相当する額でありますとか華美でない自宅等を残存資産に含めることができることになっております。また、保証債務が解除されても、保証人の情報というものが信用情報登録機関に報告、登録されない、こういった利点があるところでございます。

 金融庁といたしましては、今後とも引き続き、保証債務の整理時におけるガイドラインのさらなる活用が図れるように、金融機関の取組を促してまいりたいと考えております。

濱村委員 しっかりこれは皆さんに周知をしていただきたい。破産したら、もう九十九万しか手元に残らない。整理したら、一概に言えないですが、三百万ぐらい大体手元に残せて、自宅も残せるよというような話があるわけです。また、ブラックリストにも載らないというような、こうしたメリットがあるので、これはぜひともしっかり認知をしていっていただきたいんですが、今、金融庁さんの方でも、ガイドラインというようなものを出して周知をしようとされておられますので、そこもしっかり期待したいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行でございます。

 きょうは、REVICの問題ということで、ファンドを三年間延ばしていく、そして信託を活用した事業再生支援あるいは事業再生子会社支援、こういった利用回数のないものについてはやめていくというような御提案でございます。

 民間ファンドとの違い、官民ファンドというからには、その部分が重要になってくるかと思いますが、その違い。それから、公正を確保するための外部の視点、どのような形で留意をされているか。また、人件費というのがどうしても高くなります。こういう組織をつくったときに、いかに人件費、合理化をしていくかということも大事だと思いますので、現状について、三点よろしくお願いします。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、民間との役割分担の御質問でございます。

 地域における民間の自律的な企業再生支援あるいは地域活性化への取組の定着というのを図るというのがこの機構の延長の趣旨でございまして、実際、先導的な支援事例を積み上げることを通じまして、民間金融機関へのノウハウの移転に努めてきたところでございます。

 機構は、やり方といたしましては、お金を出し合うというよりは、むしろ、支援方法が確立されていないような、難易度の高くて、あるいは規模の割にはハンズオン支援で手間がかかる、こういう事例、民間では対応できないという案件に絞り込んで、こういったものに重点的に取り組んできたところでございます。

 御指摘のとおり、外部の視点を入れるということは、大変ガバナンス上重要であるというふうに考えていまして、機構におきましては、社外取締役として、事業再生や地域経済の活性化にかかわる知識や経験が豊富な人材が五名ということで選任されております。また、あらかじめ基準を定めまして、重要な事案につきましては、この基準に基づいて、社長と社外取締役五名で構成される地域経済活性化支援委員会というところで判断するということにしておりまして、こうした形で業務執行の適切性の確保を図っているところでございます。

 それから、人件費についての御質問でございます。

 業務開始から四年たっておりまして、過去の損益の状況を見ますと、投資案件の回収益が発生した年度におきましては利益が計上されております。投資案件の上場などの回収益が発生しなかった年ですと、再生でいいますと、地域の中小企業ということで、権利調整が主体になっていまして、エクイティー出資などを伴わないということもありまして、大きな利益が出ない年、あるいは、地域活性化ファンドは、投資を始める、支援を始める段階で、回収に至っていない、そういう段階でございますので、赤字を計上している年がございます。

 トータルでは若干のプラスなわけでございますけれども、御指摘のとおり、人件費というところで、投資回収が進まないと赤字になる年が出てくる、こういうことでございますが、他方で、支援をして、地域の金融機関にこのノウハウを移転するとか、あるいは地域の活性化を図るといった政策効果、あるいは地域へのベネフィットということもあろうかと思いまして、それをバランス、あるいは総合勘案して考えていく必要があるかと思っております。

 なお、財務状況でございますけれども、過去の上場案件がありまして、利益剰余金がありますので、これにつきましては国や出資者に迷惑をかけるという状況にはないんですけれども、御指摘のとおり、しっかりスリム化なり、めり張りをつけた、そういった運営をして、効率化を図っていく必要があるというふうに考えてございます。

森山(浩)委員 特に、こういう団体をつくったときには、天下りの温床になるとか、あるいは人件費じゃぶじゃぶだというような批判につながりやすいですので、しっかりと説明ができるように、こんなノウハウがあるんだというような形、この残りの三年間についても、アピールをできるような実績を残していただきたいというふうに思います。

 さて、ノウハウの移転という言葉がこの間も何度も出てきています。このノウハウというのは、一体どういうものでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 このノウハウでございますけれども、ここで申し上げていますのは、事業再生支援あるいは地域活性化ということでございますので、地域の活性、地域企業の経営管理のやり方、あり方であるとか、あるいは経営戦略、販売戦略の策定の仕方、あるいは、こういった企業支援に必要な知識経験が多うございます。こういったことは、地域金融機関と一緒に共同してやっていくということで、一緒にやりながらノウハウを移転していくというふうに考えてございます。

 また、こういったノウハウにつきまして、専門家派遣におきましては、金融機関に対しまして、そのレベルに応じまして、企業の事業性評価の手法について定期的な研修を行ったりとか、あるいは、その個別事案、銀行の持っている事例を具体的に調査分析をしてもらって、それをサポートしたり、あるいはアドバイスする、こういったことを通じまして金融機関のレベルを向上させる、こういう取組をしているところでございます。

森山(浩)委員 さらに、企業再生支援機構発足以来ということで、平成二十五年に、日本航空の株を売却をするという形で利益を出し、そこからプラスになったりマイナスになったりしながらファンド事業を中心に続けてきているという財務体質であります。

 また、出資約束額については、千三百三十五億円、この枠を確保しているわけですが、現在四百三十二億円ということで、残り三年で一千億円近いニーズを発掘をし、また、これを投資をしていくというようなことになるのか。もし今のままでいくと、伸び率からいうとなかなか難しいのではないかというふうに思いますけれども、今後、これはどう工夫をするのか、あるいは、どんな形でこの枠を使っていくのかということについてお尋ねをいたします。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 機構の役割として期待されているところが、民間の機能の補完でございます。この千三百三十五億というのは、要請があれば出資に応じますという約束の額でございます。

 他方、機構がやろうとしていますのは、なかなか民間ではできない、といいますと、それほど投資案件としては大きくないけれども調整などでなかなか難しい案件ということになります。そういったものをやるということでございまして、むしろ、その千三百三十五億を消化するというよりは、民間でできないような、金額はかさまないかもしれないけれどもなかなか民間では取り組めないというものをしっかりやっていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。

 そういうことで、金額はそれほどドラスチックに積み上がっていくものではないというふうに思ってはいるわけですけれども、さはさりながら、地域の経済牽引事業、あるいは観光まちづくりなど、こういう重点政策がございまして、こうしたものを積極的に取り組んでいくということになりますと、自然と投資金額というのは徐々に増加していくのではないかというふうに考えてございます。

森山(浩)委員 テーマは地域の活性化ということで、地域の活性化とパラレルに伸びていくんだという話でありますから、これは、ほかの政策ともしっかりあわせて取り組んでもらわなければなりません。

 そういった意味で、地域活性化の支援からさまざまな制度改正につながることがあるかと思います。

 例えば、古民家再生などは、このREVICの資料を見ると、どこの資料を見てもたくさん写真が古民家再生で載っているわけなんですけれども、古民家単体というと、なかなかこれは経済的な価値はつきません。それどころか、耐震の問題で、こんなものは価値がないんだ、あるいは、売買はもうできないよというようなものも少なくない。

 そういう中で、例えば旅館業法についての問題点、こういったものがある、あるいは規制がある、こういったものがあったときに、これを関係省庁に回して、法改正しなきゃいけないよというような形で日本の制度自体を変えていくというような事例について、御説明をいただきたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 機構が古民家再生などによる観光まちづくりに取り組むに当たりましては、旅館業法や建築基準法における規制などによって計画の変更を行った事例もあるというふうに承知してございます。

 こうした規制上の課題につきましては、例えば機構の担当役員が有識者としまして、内閣官房長官を議長とする歴史的資源を活用した観光まちづくりタスクフォースというのがございますが、ここにおいてこういった課題を説明をさせていただく機会を頂戴したりしまして、関係省庁との連携を図ってきたところでございます。

 このタスクフォースにおきましては、機構だけでなく、地域関係者からの相談、要望を取りまとめていただきまして、関係省庁において対応をしていただいたというふうに承知してございます。

 具体的事例でございますけれども、客室の最低数及びトイレの数値規制の撤廃などの基準の緩和を含む旅館業法の関係法令などの改正が行われた、あるいは、用途変更に伴って建築確認が不要となる規模を百平米から二百平米に見直しを行う建築基準法の改正案が今国会に提出された、あるいは、消防法、消防用の設備の特例の適用事例や誘導灯を免除する特例の考え方などの各消防本部への周知などが行われたというふうに承知してございます。

 こうした取組について、引き続き積極的に取り組んでまいりたいと思います。

森山(浩)委員 そうですね。中小企業単体で、あるいはまちづくり会社で、これは困ったなと思ったとき、若しくは地方自治体でも気づいているんだけれどもなかなか言えなかったこと、こういったことは、国が絡んでいるこういう組織があるからこそ、法改正をやったらどうだというような形で提案ができるわけです。

 そういった意味で、こういった部分、REVICしかできないというようなところでいいますと非常に大きな役割ではないかと思いますので、まちづくりの中で、あるいは観光施策の中で、これは法改正まで行った方がいいよというのはどんどん提案をしていただく。後ほど大臣にも御決意を聞きますけれども、そういう形で政府全体で取り組む、その主旨にしていただきたいなと思っております。

 さて、失敗事例、支援に至らなかった事例、成功しなかった事例、これは、いろいろな事業をやっていく中で、宝の山でございます。

 成功事例をいろいろ言いたいという気持ちはわかりますけれども、こういう失敗、あるいは支援に至らない、あるいは成功しなかった事例について、まあ個別の案件で言えないものもあるでしょうけれども、お手元にあるので御紹介をいただけますか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 うまくいかなかった事例についての説明を申し上げます。

 まず、事業再生支援でございますが、支援先が支援期間中に破綻した事例は、このREVICの前身の企業再生支援機構が平成二十三年に支援決定を行いました、これはもう破綻していますので名前が公表されていますが、コロナ工業の一件でございます。

 この事案におきましては、機構は主にコスト削減、それから事業スポンサーが主に新技術を中心とした販路開拓という役割分担で支援を決定したものでございますが、その後、同社は国内拠点の統廃合などのコストダウンを行ったわけでございますが、その後の経済情勢の変化による国内需要の減少、あるいは、海外での需要に対応する海外工場を立ち上げたんですけれども大型の受注の獲得にはなかなかつながらなかったということで、再生計画を達成できなかったというものでございます。

 この事案を踏まえまして、機構は、支援を開始した後の中途の管理というんでしょうか、事業の継続に懸念が生じた事業には、この途中の管理、厳格なモニタリングというのをやる、こういう体制に移行するような管理体制の強化を図っております。

 それから、ファンドの事例でございます。

 機構が投資を行うファンドで支援を撤退した事例は、現時点で七件ございます。

 この主な事例と改善点でございますが、具体例でございますが、機構による再三のアドバイスをしたんですけれども、支援先の社長が取締役会による意思決定や事業計画に従わないということから、結果的に会社清算になってしまったという事例がございました。

 この事例の場合ですと、投資先のデューデリジェンス、事前の調査の段階で経営者の見きわめをより重視する必要があるのではないかということで、そういうふうに変えております。

 また、別の事例ですと、取引先の大企業から単価の引上げの要請がありまして、支援先の事業者がそのまま要請を受け入れてしまったことで、計画どおりの受注単価を確保できなくなりまして、その結果、資金繰りが逼迫して事業停止になってしまった、こういう事例がございます。

 この反省点に立ちまして、取引先から取引条件の変更要請があったような場合で当初計画を変更しなきゃいけない、こういうふうになった場合には、事業者とともに取引先に、機構の支援の担当者が一緒に同行して、見直し交渉を一緒にやる、こういったハンズオン支援の体制を強化していくといったことを取り組んでございます。

 引き続き、こういった改善に取り組んでまいりたいと思います。

森山(浩)委員 失敗の事例から学んで改善をしていくという部分で、これもノウハウの蓄積なのではないかなというふうに思います。

 さて、千三百三十五億あるんだ、観光まちづくりで頑張っているんだというところなんですけれども、まだまだ支援の枠があるというのが現状でございます。

 例えば、再生可能エネルギーなど、時代の要請に合ったような形でのテーマへの支援、ほかにもあるかもしれませんが、そのようなテーマ、新しいテーマに関する支援については、実績あるいは今後の取組はありますでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のような、時代に合ったテーマでございますけれども、これまでの事例でも、竹などを原材料にバイオマスの発電を行う事業者であるとか、小規模の水力発電事業者などの再生可能エネルギーによる発電事業に対して投資を行った事例がございます。

 現時点では、次世代エネルギー発電というものに特化したファンドを立ち上げるというところには、まだそこまでの検討には至っておりませんけれども、こうした新しい切り口というのは大事だと思っていますので、必要に応じて検討をしてまいりたいと存じます。

 あと、一つ、おわびでございます。先ほど、取引先から単価の引上げ要請と間違って申し上げてしまいました。これは、引下げ要請があったのでこういったことになったということで、答弁ミスでございます。訂正しておわび申し上げます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 地域の宝を発掘をしていくという中では、いろいろな形態があるんだと思います。

 さらに、今回の事例、この機構自体も株式会社という形なんですけれども、まちづくり会社を始めとして、テーマ性はあっても、形は会社じゃないと無理なのかなというようなイメージがございます。

 会社に限定をすることなく、例えば、NPOであるとか地域の団体などというような形で貸し付けていく、ファンドで投資をしていく、このようなことについては、実績それから今後の見通しはいかがでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 二十五年三月の改組以降、地域金融機関と連携して、全国四十二本の地域活性化ファンドを設立しまして二百十件の投資実行を行ってございますが、この中には、地域と共同しまして観光地域づくりを行うことを目的としましたまちづくり公社など、地域活性化を目指して運営する会社なども含まれておりまして、必ずしも営利目的の会社に限定して投資を行っているわけではございません。

 むしろ、それぞれのファンドにおきまして、地域の活性化に資するものであって投資条件にうまく合うものであれば、その形態を問わず投資を行っているところでございますし、引き続き、こういった形で、先生御指摘なものを考えていきたいと思ってございます。

森山(浩)委員 NPOにも投資ができるよという話でございます。

 これで、また少しNPO側も、これは使えるんだということになれば、提案が出てくるかもしれませんので、ぜひ広報をしていただきたいなと思います。

 さらに、では、このREVICがあと三年で終わるんだというところに関しまして、この事業目的ですけれども、地域の金融機関の力をつけるんだということであります。地域の金融機関の力をつけるというときに、地域金融機関だけではなかなか難しいものを手がけてきたのがREVICであるという部分であります。

 例えば、メガバンクがやっている事業、あるいはメガバンクの子会社が地域の金融機関になっているというようなときに、どうしてもそっちの顔色を見て、もうかるんかな、あるいはちゃんと実績を上げられるかなというようなところで、いや、いい事業なんだけれどもお金を貸すには、あるいは投資をするには難しいんだよというような部分を、背中を押してきたというような部分があるんでしょうが、メガバンクに対して、これまでは余り一緒にやっているというようなイメージはないんですけれども、三年で終わるに当たって、しっかりとこういう方向で協力をしてくれというような形で遺産を残していくというような方向性というのはありますか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 先生からメガバンクの傘下の銀行の話もありましたので。

 まず、地域には、経営改善であるとか事業再生、生産性向上が必要な企業が大変多くございます。こうした中、地域銀行は、メガバンクの傘下に属しているか否かにかかわらず、地域企業の事業内容、成長可能性を適切に評価して、それぞれの真の経営課題を把握した上で、当該企業の実情に応じた課題解決に資する方策の策定、実行に必要なアドバイスであるとか適切なファイナンスを提供していく、こういったことで地域経済の活性化に貢献していくことが重要であろうと思っています。

 金融庁といたしましては、今後とも引き続き、メガバンクの傘下であるかどうかで区別することなく、地域金融機関に対して、対話等を通じまして、地域企業に対して顧客本位の適切かつ十分な仲介機能を発揮していくよう促してまいりたいと思っています。

 さらに、先生からお話がありましたメガバンクとの連携という観点ですが、特に、企業の海外進出に係る支援につきましては、地域金融機関の取引先からもニーズがあるというふうに認識しております。

 これまで、地域金融機関においては、海外現地の駐在事務所を活用した現地情報の提供でありますとか、海外への販路開拓商談会の開催といった取組はやっているわけですけれども、やはり地域金融機関における海外ネットワークとか海外進出のノウハウにはおのずと限界もありますから、充実した海外ネットワークとか海外進出支援のノウハウを有するメガバンクと連携していく取組も重要ではないかと考えております。

森山(浩)委員 そうですね。地域のものを海外に売るとか、あるいは、先ほど大臣が「陸王」の話をされていましたけれども、世界で唯一のというようなものをつくっている企業もたくさんあるわけでございますから、そういった部分、また、実際、地域金融機関はやりたいと思ってもメガバンクの方が足を引っ張るなんというようなことがないようにということを、両面でお願いをしたいと思います。

 さらに、中央にこの組織がなくなるというところにおいては、例えば都道府県との連携というような形についてはどのようにお考えかをお聞きしたいというふうに思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 金融庁といたしましては、地域金融機関が、例えば、自治体による地域活性化関連のプロジェクトに対しまして、情報であるとかノウハウ、人材等を提供していくということとか、自治体等と連携しながら地域活性化プランをつくっていくこと、さらには、自治体の施策とも連携しながら顧客企業の課題解決に向けたアドバイス、ファイナンスを提供することなどを通じて、地域経済の活性化に貢献していくということが重要だと思っています。

 こうした中、地域金融機関の中には、例えば、自治体と連携いたしまして、県内への企業進出を進めている県とともに企業向けの相談窓口を一緒につくったり、あるいはその進出企業に対する融資を行う取組もありますし、また、小学校の跡地活用を検討している県に対して、地域金融機関が空き施設に関心がある企業を紹介するといった取組もございますので、今後とも引き続き、対話を通じまして、地域金融機関に対して、都道府県などの自治体と連携した取組についても促してまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 そうですね。金融庁さんは地方の出先があるわけではありませんし、都道府県にも専門の部署があるというところはほとんどないかと思いますので、そこらあたり、まさに金融庁のノウハウを都道府県に移転をするというような部分も含めまして、取り組んでいただければと思います。

 自治体との関係なんですけれども、例えば大阪府で何か事業をやるんだというときに、大学と連携をするというと、どうしても大阪府立大学と一緒にやるんだという話が多くなる。大阪大学はちょっと横に置いておこうかという話がどうしても多くなるのは、いわゆる縦割り、何を市が管轄をし、どこを都道府県が管轄をし、どこを国が管轄をするかというものに左右をされていて、ふだんのおつき合いというのが自分の管轄のところに比べて薄いというような部分もあるかと思います。

 そういった意味で、地域資源、せっかくある研究所やあるいは大学なども含めて、国に属するものに関して、ぜひ地域で使っていただきたい、一緒にやってもらいたいというような形のメッセージも出していただければなと思うんですが、そのあたりはいかがですか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 先生の今の御指摘、大変大事な重要な観点だと思います。やはり地域全体を活性化させていくためには、金融庁だけではなく、関係省庁あるいは自治体ともいろいろな形で連携しながら、いろいろな施策を展開していくことが重要ではないかと思っております。

森山(浩)委員 るる具体的な問題についてお聞きをしてまいりました。

 大臣にお聞きをしたいと思います。

 今のさまざまな政策目標、地域の活性化であり、あるいは地域の金融機関の力をつけるということであり、そして中小企業あるいはまちづくり、こういったところにそれぞれが力をつけてもらうという政策目標に関して、これはやり始めると何ぼ時間があっても足りないんじゃないかというふうに思いますけれども、今回、三年延長という提案になっています。三年延長で大丈夫ですか。

茂木国務大臣 機構の役割はあくまで民間の機能の補完でありまして、地域における民間の自律的な中小企業支援や地域活性化の支援にできる限り早期に移行する観点から、活動期間も、三年延長させていただきますが、しっかり区切って、集中的に取組を進めていくことが重要だと思っております。

 地域の発展も、本来、民間でできれば民間でやった方がいいと思うんですよ。

 かつて、アメリカのピッツバーグ、近郊で石炭がとれるということで、鉄鋼の町として発展をしていくわけでありますけれども、もちろんカーネギーが果たした役割は大きいんですが、同時にメロン銀行が大きな役割を果たしておりまして、当時のメロン銀行の頭取は、まさにバンカーとしての目ききをもってリスクマネーを提供する。

 伝聞ですから、正確かどうかわかりませんけれども、決して膨大な書類とか担保ではなくて、ピッツバーグに会員制のクラブがありまして、そこの地下のバーでカーネギーとメロンが会う、そこでカーネギーが事業計画について説明をすると、いいだろう、ただ一つ条件がある、きょうのウイスキーはおまえのおごりだぞ、こんな形で融資が決まった、こんな話もあるわけですが、なかなか実際には全てこういうわけにいかないわけでありますから、機構が機能を期待されている役割は残っております。

 特に、重点施策ということで申し上げますと、四つぐらいあると思っているんですけれども、一つは、新しい経済政策パッケージにおけます中小企業等の支援のための人材、ノウハウの支援や、金融機関との協働によるエクイティー資金の提供。二つ目に、地域未来投資促進法におけます地域経済を牽引していく、この牽引事業者に対するリスクマネーの提供の促進。三番目に、歴史的資源を活用した、先ほども御指摘等いただきましたが、観光まちづくりにおけます観光活性化に関する投資ノウハウであったり、人材支援に関する機能の安定的、継続的な提供。さらに、最後、四つ目として、まち・ひと・しごと創生総合戦略におけますエクイティーファイナンス等の活用であったりとか、経営者保証つき債権等の買取り、整理の促進、経営人材の提供、こういったものが挙げられます。

 今申し上げた四つの重立った施策、それぞれおおむね三年をめどに事業の決定そして目標達成に向けて取り組むとされておるところでありまして、こういった点も勘案して、今回、機構の支援決定期限等の延長期間を三年とさせていただいたものであります。

 機構には、延長される期間内で地域金融機関へのノウハウの移転を加速、そして完了し、全国各地で地域金融機関などが自律的に中小企業支援であったりとか地域活性化の取組を実現できる姿を目指してほしいと思っております。

森山(浩)委員 力強い、三年でやり切るんだというお言葉をいただきました。

 また、大変いい事例を御紹介いただきました。そうなんですよね。プレーヤーがそれぞれアポイントをとって一々会議をしないと物事が進まないということでは、実際のビジネスの現場では役に立たないというようなことがあるかと思います。

 地域の、先ほども申し上げました縦割りの部分であるとか、組織が違うからなかなか話ができないとか、あるいは、お金を貸すには一定のルールがあってこれはなかなか曲げられないなどというようなことを言っていると、実際の部分で非常に使いにくい制度になってしまう。

 こういった部分をしっかりと心にとめていただいて、お互いによりよい町をつくれるようにというような地域をつくっていける、その後押しをしていただきたいと思います。

 以上で終わります。

山際委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 希望の党の森田俊和でございます。

 本日は、二十五分間の質問時間をいただいております。

 それでは、早速でございますけれども、株式会社地域経済活性化支援機構に関しまして、順次質問をさせていただきます。

 今回の質問をさせていただくに当たりまして、私もなるべく地域の実態に即した議論をさせていただきたいなというふうに考えておりまして、私は埼玉県の熊谷というところの出身なんですけれども、たまたま私の中学校の同級生が地元の金融機関に勤めているということで、今回いろいろ話をしておりましたら、その金融機関がたまたまREVICとのかかわりがあるというようなお話がございまして、具体的には、その同級生も含めてなんですけれども、融資部の副部長さんでありますとか、あるいは経営支援を担当されておりますチームの長の職員さんですとか、こういった方々とのお話をさせていただく中で、REVICについていろいろとお話を聞いてまいりました。

 私としては、とにかく地域の経済を盛り上げていきたいなということがございますので、そういった観点からこのREVICに関しましていろいろと実のある議論をさせていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 質問に入りますけれども、このREVICでございますが、前身の企業再生支援機構から数えますと、この三月で八期を終えたところで、四月から九期という段階に入るということです。株式会社という組織でやっているということは、出入り、収支を含めて自立的な運営をするということになってくるだろうと思います。

 まず、これまでの収支の状況についてどのように評価をされていらっしゃるか、お聞かせ願いたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 機構の業務開始以降、四年間たってございます。

 この四年間の収支状況でございますけれども、過去の投資案件の回収益が発生した年度においては利益を計上しております。また、そういった投資案件の回収益、エクイティーの回収益が発生しない年度におきましては、再生事業でいいますと、最近では、エクイティー出資を伴わない、むしろ債権者間調整を行う、こういった業務がふえてきておりますので、こういったことから赤字が出る年、あるいは地域活性化ファンドですと、投資はするということで、手間はかかるんですけれども、回収分としてはまだ発生していないということで赤字が出るといった年もあります。トータルでは、黒字、赤字を繰り返して、若干のプラスというところでございます。

 それから、バランスシートでございますけれども、先生御指摘の過去の大きな投資案件の回収益がございまして、半分国庫に上納してございますけれども、利益剰余金がございまして、これは、いわばリスクバッファーといたしまして、中小企業や地域への人材、ノウハウの移転を行っていくということであっても、国や民間の出資者に対して御迷惑をかけるという状況にはない、こういうふうに考えているところでございます。

 引き続き適切な業務運営を促してまいりたいと思います。

森田委員 ありがとうございました。

 先ほどのお話にもございましたとおり、これまで日本航空など、再生した企業を手放しての収益、多額の収益が上がっているということでございまして、第四期のときだったですかね、八百八十七億が国庫に納付をされているということで、その剰余の資金を手元に置いて事業を進めていただいているということでございます。

 このREVICでございますけれども、その名前が示すとおり、地域の経済を支えていくということでございますけれども、今、どこの地域でも事業承継の問題が大きな課題となっております。商売がうまくいっていなければ、これはもちろん、継ぐ人は出てこないわけでございますけれども、黒字を出している企業でも後継者がいないという状況がございます。黒字でも廃業ということが全国的に起こっているということでございます。

 これは大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、中小零細企業の事業承継という観点から、REVICがこれまで果たしてきた役割についてどのようにお考えかということで、お答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 まず、先生の御地元の埼玉の熊谷と、私の地元の栃木県の佐野市とか群馬県の館林、夏にどっちが気温が高くなるかということで、よく競うというか、比較をされるところもあるんですが、非常に、中小企業そして小規模事業者が多い町でもあります。そして、二〇二五年ぐらいになりますと、この約半数の経営者が七十歳を超えて、事業承継問題が深刻化するということで、これを踏まえて、今回、事業承継税制、これも大幅に使いやすくさせていただいたところであります。

 この事業承継に当たって、御指摘の御質問にお答えをいたしますと、経営者保証ガイドラインを活用して保証債務の整理を図ることによって、早期の事業再生であったりとか再チャレンジを支援することが、事業の継続や新たな起業による雇用の維持、創出を通じた地域の活性化につながる、このように考えておりまして、機構の特定支援業務、これにつきましては、平成三十年二月の時点において六十九件の支援決定を行っておりますが、このうち三十一件においては、親族等が新たに設立する企業やスポンサー企業への事業の承継、譲渡といった形で事業の継続が図られているところであります。

 機構自身もこういった業務をやっていくわけでありますが、機構が引き続き、経営者保証ガイドラインに基づき、保証債務の整理の事例を積み重ね、周知をしていくことで、民間金融機関による同ガイドラインの利用促進、こういったことが図られることが極めて重要だと思っております。

 私、経済産業大臣時代に、経済産業省としては戦後二本目になります基本法、これは小規模事業者の基本法でありますが、つくらせていただきました。

 それぞれの地域で、すばらしいノウハウであったり技術を持った会社がある。ところが、やはり事業承継の段階でうまくいかないということで、せっかくの人材であったりとかノウハウ、技術が引き継がれない。これは、日本にとってもアセットを失うことでありますから、スムーズな事業承継、こういったものが行われるような状況というのを整えていきたいと思っております。

森田委員 ありがとうございます。

 大臣のお膝元も暑い地域ということでございまして、ぜひこの取組にも熱く取り組んでいただきたいなというふうに思っております。

 御答弁の中にもありましたけれども、経営者の承継に当たっては、いろいろな問題があると思うんですけれども、一つ大きな問題として、個人保証の問題があろうかなというふうに思います。

 私も自分のところで介護の仕事をやっておりまして、会社としてお金を借りるときには個人保証にサインをしておりますけれども、失敗しますと身ぐるみ剥がされるというような状況になってしまうということで、これはなかなか怖いことでございます。

 例えば創業者であったり、あるいはお金を、直接事業を起こすときに借りた本人であれば、しようがないかな、一丁やってやるかということで、そのサインもするかなと思うんですけれども、これが親族であったり、ましてや他人であれば、なかなか個人保証というところまでは踏み込めないというふうになってくるのかなというふうに思います。

 ぜひこの個人保証を外せる方向で事業承継の支援をしていただきたいと思いますけれども、御所見をお伺いしたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 経営者保証ガイドラインを活用いたしまして保証債務の整理を図るということによりまして、早期の事業再生や再チャレンジの支援を行うことは、地域における事業の承継、雇用の維持、創出を通じた地域活性化につながるということで、大変重要なものであると思っています。

 機構といたしましても、特定支援業務を行う、こういうことを通じまして、支援対象事業者の保証人である経営者の保証債務の整理に取り組んでおるというわけでございます。

 ただ、この特定支援業務外に、一般的に事業を承継する企業の経営者に対して新たに個人保証を付すかどうかということになりますと、ここはその金融機関の経営判断によるところにならざるを得ないかなと思います。

 そういうことでございまして、いずれにいたしましても、機構としては、この特定支援業務というのを通じて、経営保証ガイドラインに基づく保証債務の整理の事例を積み重ねまして、これを金融機関のみならず中小企業の経営者にしっかり周知していくということを通じまして、民間金融機関とはノウハウを共有するということと、それから、経営者サイドにも含めて、経営者保証ガイドラインの利用促進が図られるように努めてまいりたいと存じます。

森田委員 ありがとうございました。

 先ほど特定支援業務というお話が出てまいりましたけれども、この枠組みにおきましては、旧経営者、これまで経営を行ってきた経営者についての個人保証は割と外せる、これは、REVICが債権を買い取るというような枠組みを通じて個人保証を外せるということになってくるわけだと思いますが、事業を新たな経営者に引き継ぐときには、その事業の資金的な枠組みを新たにつくるということにおいては地域の金融機関が判断をしていくというようなお話を伺いまして、ここについてはなかなかREVICが直接かかわりを持てないというふうになってくるということだと思います。

 この金融機関の方針、その融資の判断ということになるわけだと思いますけれども、私が先ほどお話に出しました金融機関と話をしていた中では、やはりかなりの方向転換があるということでございまして、今まで、現場の方はもちろんですけれども、金融機関の経営者サイドの方も、担保だとか保証を中心にした融資の案件を積み上げてきたということで、現場もついていっていないし、経営者サイドもついていっていない、そんなお話を聞いております。

 その中で出てきたのは、金融庁の検査ですとか監督の方針ががらりと変わったというようなお話が出てまいりました。お話を聞いた金融機関では、ことしに入ってから、事業性評価を見るだけの検査があったというようなお話も聞いております。個別の案件を取り上げて、どのように事業性評価を行っているかということをチェックをしたということでございますけれども、これは、金融庁としても、今、過渡期で、地域の中小の金融機関でも果たして事業性評価ができるのかということを見ているという意味もあるのではないかなと思います。

 そこで、お伺いしたいのですが、やはり金融機関への検査監督の方針というものが大きく変わったのでしょうか。もし変わったのだとすれば、その方針転換に金融機関の現場がうまく対応できていないという声に対してどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 先生今お話があったような声、我々にも聞こえてくることがございます。

 一方、地域を見渡しますと、やはり経営改善でありますとか事業再生、生産性向上、さらには先生からお話もありました事業承継、こういったものが必要な企業、大変多く存在しているところでございます。

 金融機関においては、こうした企業を支援するために、従来のような担保、保証に依存することなく、企業の事業の内容、成長可能性、さらには経営課題や悩みというものを適切に評価した上で、企業の価値向上に資するアドバイス、あるいはそのファイナンスを行っていくことが重要ではないかと考えています。

 そこで、金融庁といたしましては、金融機関による事業性評価に基づく融資、本業支援というものを組織的、継続的な取組として行っていただくよう促すため、これまで、例えば、金融機関の自己点検、評価のツールとして、金融仲介機能のベンチマークをつくって公表するとか、あるいは金融機関の取組に対する顧客の評価というものを把握するために企業アンケート調査を実施する、さらには経営者保証に関するガイドラインというものが金融機関における融資慣行として定着していくように、ガイドラインの周知、広報、さらにはその参考事例集をつくってそれを充実させていくといった取組とともに、あわせて金融機関の取組そのものを促すといった施策を展開しているところでございます。

森田委員 やはり方針転換があったということでございまして、今までの担保、保証を重視する検査の方針から、ある程度のリスクをとりながらの事業性評価を取り入れながらの金融機関の運営にしていくということでございまして、そこで、やはり課題は、事業性を見られる人を地方の金融機関にふやしていかなければならないということだろうと思います。

 先ほど申し上げたとおり、個別の案件を扱うという現場の人ももちろん不足しておりますし、それから金融機関の経営陣の方にも不足しているということで、また、伺っておりますと、金融機関によってもかなりの温度差があると。まだまだ、かつての担保それから保証の方針の延長でやっていらっしゃるというような金融機関も多数あるということでございます。

 そういう状況を踏まえましても、私のところに聞こえてきましたのは、このREVICの存在というのは非常にありがたいというお話でした。

 何がありがたいかというと、まず人材の面。行ったり来たりをするわけなんですけれども、まず、金融機関からの依頼によってREVICから送るということがございます。専門人材を送ってもらえるということですね。

 これを送ってもらえるということなんですけれども、どう送るかというと、個別の案件に対して、例えば○○金属株式会社といったような会社の事業性をどう評価するのかということを、その案件を預かってもらって、例えば金属加工であればチタンがその会社は扱えるかどうかとか、例えば加工精度で五ミクロンを扱えるんだといっても、それが鍛造なのかプレスなのか、そういったことも、技術評価も含めて百ページぐらいのレポートをつくってくれると。

 事業性評価をやったことがない方というのは、まず何をやればいいのかというのがわからないということなんですね。それから、その業種業態にかかわるノウハウですとか技術力の見きわめができないということもございまして、今まで蓄積がある金融機関の手続的なところではノウハウがあったとしても、そういった各種の業種業態の専門知識というと、なかなかそこまで中小金融機関は人手が回らないということになってまいります。

 私が話を聞いた金融機関では、REVICから専門家に来ていただくときには、そこの担当部署の職員さんだけではなくて、例えばほかの部署の重立った方であるとか、支店の支店長さんとか次長さんとか、そういった方も含めて話を聞くようにしていると。そういうふうにしてかなり重宝に専門家の方の話を聞いているということですね。

 あと、評価があったのは、手数料がとても安いと。一回三時間の枠で五万円で来てもらえる、交通費別で、ということなんですけれども、要求があれば二枠で六時間、こういうこともできるらしいですけれども、百ページのペーパーをつくるのに、恐らくREVICの側の方とすればどうしても二、三週間の手間はかかるということでございますので、これを一こま五万円でやってもらえるということは非常に費用対効果が高いということでございます。

 これができるのも、単にコンサルティング業務をやっているということではなくて、やはり過去の日本航空などを再生した利益を活用しているということでございまして、そういった意味では、広く捉えると、国民の資産を有効に活用している事例として評価ができるんじゃないかなと、そんなことを考えたわけでございます。

 そこで、御質問でございますけれども、これは私が聞いた限りのことでございますので、REVIC全体として、金融機関への助言ですとか専門家派遣についてどのような成果を上げているかということ、そして今後の方向性についてもお聞かせをいただきたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御質問の、機構による専門家派遣の業務でございます。三十年二月末現在で百五十六先への派遣決定を行いまして、そのうちの百十三先が地域金融機関への派遣でございました。

 実際にやっている業務の中身でございます。

 先生が御指摘のありましたようなレポートを作成するものももちろんございますし、また他方で、銀行に対して具体的に、事業性の評価のノウハウを具体的に教える、教示するというケースもあります。また逆に、銀行がみずから行った事業性評価を、今度はREVICから行った人間が専門的な見地から見て、ここをどういうふうに改善したらいいかとか、そういった指導を行うというケースもあります。銀行のレベルや深度などに応じていろいろな取組をしているところでございます。

 こうしたことから、専門家派遣を積極的に活用する、こういう金融機関におきましては、かなり機構の持っている事業性評価のノウハウ等の共有が進んできているかと思います。これはいろいろばらつきがございますので、機構におきましては、業務完了期限までの間に、地域活性化に意欲的な金融機関に対して専門派遣をしたり、あるいは企業に対して人材機構を通じた人材ノウハウの重点的な支援をやっていく、こうしたことを通じて、金融機関の企業支援能力というのを、全体としての底上げを図っていきたいというふうに考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 百五十六の先に専門家派遣、あるいはいろいろなノウハウを伝えているということでございます。

 先ほど申し上げたとおり、金融機関によってだいぶ温度差がまだまだあるということでございます。ぜひ、この枠組みを活用していない地域の金融機関がございましたら、積極的にPRをして、使ってもらいたいなというふうに思っております。

 一方で、逆の流れのことについてもお尋ねをしたいと思います。金融機関からの人材を受け入れるということです。

 金融機関からの人材を受け入れて研修をする、OJTとして、REVICの社員として、金融機関から持ち込まれた個別の案件について、そのチームに入って事業性評価を行っていく、実際の業務をやる中でノウハウを身につけていくということでございます。半年を一つの単位としての研修ということで、今、三年間やっていて、百名ぐらいの研修をしたというようなお話を伺っております。

 先ほども申し上げたとおり、地域の金融機関には事業性評価ができる人がまだまだ少ないということでございまして、先ほどの金融機関では、REVICでの研修を受けてきたその職員さんが一手に事業性評価を行っている、全金融機関の中でその方だけが事業性評価を担当している、そういう状況であると。経営支援のグループとしては、五人からの六人の、まあ枠をふやしたということなんですけれども、かなりの人材の不足の状態であるということなんですね。

 そこで、質問させていただきますけれども、金融機関からの人材を今度は受け入れての人材育成について、どのような成果を上げていらっしゃるか、また、今後の方向性についてもお聞かせをいただきたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 このトレーニーでございます。これまで、百十三先の地域金融機関とやっておりまして、受け入れた人数は、九十四名の職員を受け入れてございます。

 この人たちですけれども、金融機関に戻ってからということになりますと、例えば融資の審査、あるいは事業者の経営支援を行う、こういう担当部署の枢要な、重要な人間としてその部署に戻っていただいて、そこで事業性評価を銀行内に浸透するということに尽力していただいているというふうに認識してございます。

 こういったことを繰り返していくことによって、地域において企業支援ができる人材というのが、銀行の中や、あるいは金融機関の中で育成がされていくということができるのではないかというふうに考えている次第でございます。

 そういうことでございますので、今後も、地域金融機関からの人材受入れ、あるいは先ほどの専門家派遣、いずれもこれを活用しまして、残された期間において地域金融機関へのノウハウの移転を加速させまして、自律的な中小企業支援の取組の定着ということに向けて取り組んでまいりたいと存じます。

森田委員 ありがとうございました。

 百十三の先から受け入れているということでございまして、ぜひこちらについても引き続きお願いできればと思います。

 今回はREVICを存続させるかどうかという審議なわけでございますけれども、先ほどもお話に出ておりましたとおり、民業圧迫という懸念というのは常に出てくると思います。しかし、民業として受入れ、その主体となるべき地域の金融機関に、今お話をしたように、受け入れる人材の枠組みがなかなかないということでございまして、なかなか担保、保証から抜け出られていないということになっております。

 今お話をしたような人材をREVICから派遣したり、あるいは受け入れたりということによって人材を育成していくということは望ましいわけでございますけれども、そういった意味では、第三者的な立場でREVICが受け持つというのはとてもいい形ではないかなというふうに思っております。

 そこで、最後に大臣にお伺いさせていただきますが、こうした人材の育成も含めて、これからREVICをどのような形で導いていくお考えか、その決意のほどをお聞かせをいただきたいと思います。

茂木国務大臣 やはり、地域の活性化は、民間の自律的な中小企業支援であったりとか地域活性化の取組というのが基本になる、それをREVICとしてどう限られた期間の中でサポートしていくのか、また、ノウハウの移転をしていくのかということだと考えております。

 確かに、地域の企業でも非常に優秀な方はいらっしゃるんですね。全く痛くない注射針をつくったりとか、そこの社長さんは、スポーツカーに乗っていて、高速道路で一度も追い越されたことがない、これが自慢のようなんですけれども、それとか、絶対に緩まないボルトとナット、これをつくって、スカイツリーに使われている、こういう企業もあるんです。

 なかなか経営改革であったりとか戦略が描けない、こういう企業も多いわけでありますし、地域の金融機関の中にも、専門人材それからノウハウが不十分な金融機関が少なからず存在しているわけでありまして、機構が、延長された期間内で地域の金融機関へのノウハウの移転を加速させ、地域における民間の自律的な中小企業支援、地域活性化の取組の定着に向けて集中的に取り組んでいくということが重要だと考えております。

森田委員 どうもありがとうございました。

 スピードはオーバーをしないように、ほかのことでは、ぜひアクセルを踏んでいただきたいと思いますが。

 REVICは、終わりのある組織でございます。ただ、終わった後も、人材の育成という意味では、非常にこれは大事な地域の経済活性化についての課題だと思っておりますので、この組織そのものの存続は別にしても、この機能をどうやって確保していくかということは、国としてもぜひこれからも真剣に取り組んでいっていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、中川正春君。

中川委員 先ほど大臣から何となく危ない発言が出たようでございますが、それ以上は、また走り過ぎないように気をつけていただきたいというふうに思います。

 限られた時間なので質問をしていきたいと思うんですが、もともとREVICというのが、戦略的な企業あるいは個別の企業の救済また再編という形で出発したと私は理解をしているんですけれども。そういうことが前提になっていただけに、これを中小企業へ展開をして、新たに地域の活性化へ向けて使っていこうということであったかと思うんですけれども、どうも、その場合の地方での存在感あるいはまた実績というのが、大きく構えた割には、なかなか思うように広がっていないんじゃないかということ。一言で言えば、構造的にとかあるいは面的にぐっと支えてくるんじゃなくて、まず個別のところで、点で終わっているんじゃないかというような印象を受けるんです。

 そういうことも含めて、これをどう評価してきたかということ、大臣から、まずお話をいただきたいと思います。

茂木国務大臣 機構はこれまでも一定の成果を上げている、このように考えております。

 地域において、リスクマネーの供給であったり、また経営人材の提供であったり、地域の資源だけではどうしても不足をしてしまう部分を補う、さらには、複雑な債権関係の整理であったりとか、こういったことによって事業の再生を確実にしていく。こういった意味では、さまざまな事業を手がけて成果を上げていると考えておりますが、もちろん基本は民間によります自律的な活動でありますので、それをサポートする、支援する立場といったときに、その活動が十分かといいますと、余りそれが民業に行き過ぎても仕方がないと思っておりますので、そこは御判断になるんじゃないかなと思っております。

中川委員 同じような機能を地方で求めてつくられた組織に中小企業再生支援協議会というのがあります。これはよく比較されるんですよね。私、今、一覧表といいますか、その比較表を持っているんですが、例えば相談件数からいくと、いわゆるREVICの方は、二十四年四月から二十九年九月までですが七百八十六件、中小企業再生支援協議会の方は三万九千四百十件、相談取扱いの累計ですが、スタートが平成十五年からの累計になっているので。それにしても、余りにも大きく違い過ぎているということ。

 それから、事業再生支援の決定の累計なんですけれども、これもREVICの方が九十九件、そして、中小企業再生支援協議会が一万二千四百六十五件ということ、こういうふうに統計上出ているんですが、これは、さっき申し上げたように、仕組みの前提が違うんだと思うんですね、これだけの数字の違いが出てくるというのは。

 この数字を、大臣、どのように評価されますか。

茂木国務大臣 確かに、数だけ比較をしますとREVICの方が少ないということでありますし、ある意味、似たような案件を扱っているのではないか、性格的にはそういう部分もありますが、御指摘の中小企業再生支援協議会は、地域に密着をして、さまざまな案件の相談窓口となる支援機関でありまして、協議会で対応可能な事案につきましては、金融機関と協議会で取り組んでいただいていることが多い、多くのケースでは。

 金融機関はまず協議会に相談するケースが多くて、協議会ではなかなか対応が困難な事案、こういうことについては機構の方に対応を依頼している。そのような役割分担といいますか、そういった性格の違いがある、このように理解をいたしております。

中川委員 こういうのも連携ができていたらいいんですが。

 基本的に、中小企業再生支援協議会というのは地域に根差しているんだと思うんですよね。それぞれ個別の企業が、その地域のいわゆる経済界あるいはそれぞれのエキスパート、法的にどう処理していくかということも含めたエキスパートの協議会へ向いて、直接相談に行きながら、それに金融機関を引っ張り込んで、どうしようかというテーブルをつくっていくような、そういう、いわば地方の人材あるいは地方の組織が中心になって、自分たちで自律的に問題解決していこうという組織体をここで形成しているということですね。

 ところが、REVICの方は、ほとんどの地域で窓口になっているのが金融機関なんですね。金融機関でトラブルと捉えたものをREVICの方に持ってくるという形で、しかし、そのほとんどというのは金融機関の中で解決をしているんだろうと思うし、もう一つ言えば、この地方協議会との連携の中で恐らく解決をしているんだろうということなんですね。そこの構造というのが、残念なことに、これまでもう一つしっかり根っこをおろすことができなかった、一つのそういう観点があるんじゃないかということ。

 それから、もう一つ指摘をしておきたいのは、REVICの方はファンドがあるんですよ。それで、計画をつくって、みずからのその計画に基づいて、皆さん、乗ってきなさい、そのかわり、私、そこはこれだけのファンドでそれを支えますというやり方で、これはある意味非常にやりやすいやり方なんだと思うんだけれども、中小企業の支援協議会の方はそうしたファンドがないんです。これは、金融機関の話合いの中で、あるいは当事者、いわゆる債権者の、債務者の話合いの中でという形で協議をしていくんです。結果として、まとまった話というのは、もう断然に、そうしたファンドなしで、民間のそれぞれのステークホルダーが話し合っていって解決していくというケースの方が多いということですね。そこのところを考えていくと、私は、ちょっとしっかりとした見直しを業務の運用のところでしていく必要があるのではないかということ、これが一つ。

 それから、もう一つは、本来は民間資金というのは余っている、それをどうリスクをとるかというところなんだと思うんですよ。リスクがとれないから次の再生ができないということであるとすれば、協議会の方は、そこを民間も含めてリスクをとらせているんだと思うんです、これだけの件数をこなしているということは。

 しかし、もう一方で、REVICの方は、自分のファンドがあるにもかかわらずこれだけでおさまってしまっているという、件数が、あるいは中身が。ということは、これはどこか政策として、あるいは運用のやり方としてずれているんじゃないかという気がします。これは、中身にしっかり入っていったわけじゃなくて、この数字と、それから一般的に言われる構造から出てくる私の推測なんですが。

 そういうことを考えると、どうですか、残り少ない時間だと思うんだけれども、これを中小企業の再生支援協議会の一つの機能の中に、今持っているREVICのいいところ、メリットとして使えるところをぐっと入れ込んでいって、REVICの整理をしていくような、そういう方向づけがあって私はいいというふうに思うんです。

 ただやめるということだけじゃなくて、あるいは終息に向かってどう整理するかということだけじゃなくて、このREVICの持っている今の資産というものをこの協議会へ向いてしっかり活用していくような、人も含めて、人材も含めてということが考えられるというのがいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、どうでしょうか、大臣。

茂木国務大臣 中小企業の再生支援協議会、よく地域によっては商工会議所の中にあったりして非常に相談に乗りやすい、こういうこともあるんだと思いますし、先ほど申し上げたような事業案件の性格、難しさとか複雑さ、こういったことも、このREVICと中小企業再生支援協議会が違った役割を担っているということにつながっていると思うんです。

 いずれにしても、先生御指摘のように、この中小企業再生支援協議会とREVICがしっかり連携していくということは必要だと考えておりまして、実際、各都道府県において、信用保証協会が主催をしまして、地域の金融機関であったり商工会議所、さらには弁護士さん、税理士さんなどの専門家団体、そして協議会と機構などの支援機関が参加する中小企業支援ネットワーク会議におきまして定期的に情報共有も行っておりますし、REVICとこの協議会の間でも、適時、地域の事業者等に関する情報共有を行うなど、連携を図っているところであります。

 今後のあり方につきましては、これから三年の中で基本的には事業を完結するという形でありまして、どうノウハウを移転していくのか、また、このREVICの持っている機能をどういった形で維持していくのか、こういったことについてはよく検討してみたいと思っております。

中川委員 あとわずかな時間ですけれども、もう一つ、個人保証とそれから担保の話をしておきたいと思うんです。

 私は、これは自分自身の思いでもあるんですけれども、こうして個人保証と担保を両方とっている国というのは日本ぐらいなんですね。これを何とか整理していきたいということで、この分野、いわゆる大臣の分野だけじゃなくて、金融庁も含めて一工夫、二工夫していかなきゃいけないというふうに思います。

 それからもう一つは、破綻法制で、破綻したときにセカンドチャンスをつくれるということであるとすれば、それは、全部丸裸にするんじゃなくて、やはり何らかの基本は残すというような形で改革をしていくということが起業に結びついていく、あるいは再生に結びついていくということだと思います。

 今、世界じゅうで活躍をしている企業家というのは、二回、三回失敗して、それから起き上がってまた次の形でということだということはよく言われます。日本の今の基盤ではそれがなかなか達成ができないということ、これも、何回も何回も指摘されてなかなか改善ができないところなんです。大枠で見て、ひとつこれにかかわっていただきたい。大臣の方から、ひとつそうした仕組みについて検証して挑戦をしていただきたいというふうに思います。答弁があれば。

茂木国務大臣 現在も、経営者保証ガイドライン、こういったものをつくりまして、この活用に努めているところでありますけれども、アインシュタインがこんな言葉を残しています。成功の反対は失敗ではない、やらないことだ。まさに私もそう思っておりまして、そういった委員の御指摘も踏まえながら対応してまいりたいと考えております。

中川委員 以上、終わります。

山際委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。

 きょうは内閣委員会で二回質問させていただきますけれども、まずは法案の審議ということで、よろしくお願いいたします。

 今回のREVIC法ですけれども、実績はいただいた資料でも上がっているということでありますけれども、中小企業の中にはこれを待っている方がたくさんいらっしゃると思うんですね。もちろん、審査に手抜きがあってはいけないと思うんですけれども、そういったニーズに応えるためにはスピードも重要だと考えているんですけれども、そのスピードを上げるためにどういったことを考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 スピード感、迅速性という御質問でございます。

 これまでのREVICの取組は、みずからハンズオンをして再生あるいは地域活性化を行っていくということでございますので、どうしても機構にリソースが限りがありますので、全国に散在します支援を必要とする多数の中小企業に対して全般的にやっていくということには、どうしても広がりに欠けるところがあろうかと思います。

 その背景を分析いたしますと、機構に持ち込まれた段階で十分な事前の分析などはされていないので、機構が一から分析をし計画をつくってというふうなことで、ハンズオンという意味ではいいですし、それが地域金融機関に対するノウハウの共有にもつながるとは思うんですが、そういうこともあって時間も手間もかかる。

 そうしますと、その最初の段階のところを地域銀行がみずから例えば分析をする、あるいはその地域の企業の経営者とコミュニケーションをするということが進めば、より広がりとスピード感が出るのではないか、こういうふうに考えた次第でございます。

 更に言えば、解散後に、全国各地で地域金融機関などが主体的になって自律的に中小企業支援であるとか地域活性化が進む、こういうふうな体制になるためには、やはりいずれの観点からも、地域金融機関の地域企業に対する支援機能というのが強化されなければいけない、こういうふうに考える次第でございまして、そうしますと、今REVICの持っている機能の中でも、とりわけ、地域金融機関に対して専門家を派遣するとか、あるいは専門的なノウハウを移転していく、こういうところに重点を置いていく必要があるというふうに考えてございます。

浦野委員 地銀、地元の銀行がしっかりと頑張っていっていただかないといけないということなんです。

 これは次の質問もそうだと思うんですけれども、皆さんにいただいている資料の中で、皆さんの評価の中でも、再チャレンジ支援について、根強いニーズがあるが相談、決定が少ないということで、これに対して活用しやすくするための運用の改善もするというふうにおっしゃっていますけれども、具体的にどういったことをされるのか、お聞かせいただきたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 支援に至らないものが多いという理由として、相談案件の多くが既に取引債権、一般債権が支払い不能な状況になっているので、ややタイミングが遅過ぎるということで、私的整理の枠組みではなかなか対応ができない状況になっている。あるいは、そうなった事情として、いろいろあり得るんですけれども、経営者の理解がなかなか得られないというケースがあるというふうなのが、支援決定が必ずしも伸びないところの要因分析として我々が把握しているところでございます。

 そうしますと、これは、金融庁とも連携しまして、金融界に対してもっと早い段階で機構に相談をするように促していくということがまず大事だと思っております。

 それから、もう一つは、やはり経営者の理解が得られなければ、私的整理でございますので話がなかなか前に進みませんので、経営者が、この仕組みを使えばよりいいのであるということを理解いただくような、そういうことをしていく必要があると思っていまして、保証債務の整理を通じて早期に事業の再生をする、あるいは転廃業をするとこういうメリットがあるんですということを丁寧に説明する、その前提として、いい事例を積み重ねまして、そういう事例を使いながら説明して理解を得ていく、こういう努力は必要であると思っておりまして、この面に取り組んでまいる所存でございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 三つ目なんですけれども、この間、商工中金で不正融資問題が起きました。これは非常に悪質な出来事で、今回かなりこういった議論もしないといけないというふうになっていますけれども、今回のREVICでそういった同じような問題が起きないかというのを少し心配をしておりますけれども、そういった対策は講じておられますか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、機構は、民間では十分に提供されない機能を補完するという、いわゆる民業補完の考え方に基づく官民ファンドでございます。こうしたことでございますので、この機構が支援決定をする際には、まず、ファンド組成や一定額以上の出融資を伴う事案につきましては取締役会の決定を一件一件経る、その際に社外取締役と監査役が牽制機能を働かせるということで、業務執行の適切性の確保を図っているところでございます。

 それから、さらに、あらかじめ基準を定めまして、その基準に基づきまして、重要な事案に該当する場合には、機構の社長と社外取締役で構成します、この法律に基づいて設置されました地域経済活性化支援委員会というものがありまして、そこで中立公正の立場から最終決定を行う、こういう仕組みを取り入れてございます。

 また、支援決定を行った後、それぞれ速やかに主務大臣に報告するということになっておりまして、主務官庁におきましても執行状況についてモニタリングを行っているところでございます。

浦野委員 ぜひ商工中金のようなことがないようにお願いをしたいと思います。

 四点目、最後になりますけれども、内閣官房が進めているシェアリングエコノミーというものがありますけれども、今回の例えばファンドの運営とかは親和性が非常に高いと私は考えています。あえて、いろいろとそういうものと連携をしていくという考えはあるでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のシェアリングエコノミーにつきましては、地域活性化ファンドにおきましても関心を持っておるところでございまして、既にこれまでも、京阪神、東京を中心に、全国のあいている月決め駐車場や個人駐車場を十五分単位で利用できるネット予約駐車場サービスを展開している駐車場シェアリングサービスなどに投資を行っている、こういう事例もございまして、今後こういった分野は重要性を増す可能性があります。地域経済活性化支援機構におきましても、このファンド活用について積極的に検討するということでございます。

浦野委員 御答弁ありがとうございました。

 今回のREVIC法、我々としてもしっかりと手の行き届く、今までだったら手の届かないところだったところをしっかりとカバーしていただいているというものですので、この活用はしっかりとしていっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 以上で質問を終わります。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 きょうは、質問といいますか、私の意見が中心になるかと思いますが、一言お話をさせていただければと思います。

 前回も、実は国会運営について少しお話をさせていただいたんですが、今回も、一義的には私の質問に対する準備不足ということで、自分の反省も含めましてお話をさせていただきたい点がございます。

 それは、昨日まで、与野党の国会対策の現場で、その協議が調っていなかったという点です。本来なら昨日のうちに、与野党間の合意のもと、国会対策委員会が開催され、各委員会への運び、準備などについて十分な時間がとれるであろうという時間を無為に過ごしてしまったこと、それから、なかなか与党の方に御理解をいただけず、結果的には夜遅い時間になって、夕刻過ぎてから、きょう朝八時十五分に与野党の国会対策委員長会談を開催する旨の連絡があったことであります。

 本日の朝、その与野党の国会対策での審議の方向がやっと確認ができたという点で、本来であれば昨日、十分な資料をもとに、茂木大臣を始め関係する政府参考人に対して、具体的なファクトをもとにして質問をさせていただく、これがこの委員会での一番重要な部分であり、また、国民の信頼に応える政治の姿勢にもつながるものであるというふうに私は思料いたします。

 そこで、きょうは、具体的な数字に基づくものではないんですが、私の意見を述べさせていただきながら、茂木大臣に一つ二つ、御質問をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 地域経済活性化支援機構、REVICは、地域企業、産業の生産性の向上や円滑な新陳代謝の促進を図ることを通じて、地域経済の活性化に貢献する。日本航空、JALですとか、ウィルコムなどの大企業の再建も支援してきた企業再生支援機構を改組して設立されたものであります。安倍政権下では各省庁が官民ファンドを相次いで設立しておりますが、REVICもその一つであろうというふうに思料いたします。

 それぞれの官民ファンドなどは、その業務の性格上から、重複しているのではないかと見られることも多く、REVICの果たすファンドとしての役割が十分活用されているとは言えないのではないかとする意見や、民業の圧迫ではないかともとられかねない懸念も拭えない点などがあります。

 茂木大臣、そのようなREVICの果たすファンドとしての役割が十分果たされていないのではないかという点、民業圧迫ではないかという点について、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 地域経済そして地域企業においては、専門スキルを持つ人材であったり経営ノウハウを持つ人材が不足しているほか、地域企業に対するエクイティーファイナンスであったりとかリスクマネーの供給につきましても、地域の金融機関などでは十分に対応できないものもあると認識をいたしておりまして、あくまでも民間の補完ということでありますし、複雑な難しい案件、そういった案件を仕上げることによってノウハウを蓄積し、人材を移転していく。こういった観点から、REVIC、活動をさせていただいていると考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 確かに、民間ではできない部分として、REVICの主な機能の説明では、保証つき債権等の買取りや整理、再チャレンジ支援などの事業を実施しております。

 他方、地域に対する専門人材派遣業の部分を見てみますと、業務を担っている子会社である日本人材機構は民間の人材派遣会社とも連携しておりまして、官の事業としてあえてREVICがこれを行うべきなのか、懸念される側面があります。その点について、見解をお聞かせください。

三井政府参考人 この日本人材機構でございます、REVICの一〇〇%子会社でございまして、これは、地域の活性化に当たって、地域の企業の経営課題というのが、例えば生産性の向上である、あるいは事業承継者がいないなどさまざまございまして、地域金融機関からしてみても、こういったものの解決を一つ一つしていくことによって、融資先の企業の生産性の向上、あるいは、課題を解決していくことによって地域の経済がよくなっていく。こういう状況にある中で、その企業の抱えている課題を銀行なり金融機関が的確に把握でき、そして、それに的確な支援なりソリューションを提供できるかということで見ますと、まだまだ現状、金融機関にばらつきはありますけれども、十分できていないところがございます。

 そうしたことがこのREVICの活動の中で、お金はあるんだけれども、そのお金が使える、エクイティーとして出資できるような形に事業をつくり込む、あるいは課題解決策を考えるという人材が不足しているということが課題として見えてまいりまして、そうしますと、これはREVICにいる人材も派遣できるわけでございますが、人材機構という形で、民間の人材会社ともうまく連携をとりまして、いろいろなところにいる、例えば、首都圏の大企業をリタイアした人でも、まだまだ働ける、あるいは故郷に入って地元のために尽くしたい、こういうニーズはありますので、そういう方と連携することによって、より深みと広がりのある、地域の課題への解決策の提供ということができるのではないかということで取り組み始めています。

 そのところでは、やはり金融機関と連携をする、そして金融機関がソリューションを提供する能力を上げる、こうしたものに、人材子会社の持っているその人材派遣というのを、また民間と連携しながらやっているというのを組み合わせるところがこの特色でございまして、その意味で、活用しているところでございます。

玉城委員 いわゆる経営支援、経営者支援という観点からは、そのようなことも考えられるというか、それがメーンになるというふうに思いますが。

 なお、REVICの前身である企業再生支援機構が、日本航空、JALの再建のため、被雇用者の不当解雇問題を引き起こし、裁判闘争にまでなったにもかかわらず、現在においても、機構支援案件について、業績回復後の優先的な再雇用措置等を行うなど、労働者救済の仕組みが盛り込まれていないのではないかと懸念いたします。そのことについて、室長、見解をお伺いします。

三井政府参考人 確かに、先生御指摘のとおり、前身の企業再生支援機構時代の日本航空に対する支援につきましては、先生御指摘のとおりのことがございました。

 もちろん、地域経済の活性化のためには、できるだけ、地元の企業がばらばらになるということではなくて、転廃業も含めながらも事業は承継されていく、そして地元にあるリソースが活用されていくということが大事でありまして、そういう観点からは、最近では、先ほど申しましたような、例えば特定支援では、解散に至ったケースもありますけれども、多くのもので事業が何らかの形で承継されて、雇用が維持される、今そういうところに注力をしているところでございます。

 また、その支援先も、日本航空のような大きなものは今やっておらない、法改正もしていただきまして、やらないということになりまして、むしろ中小零細企業というものを中心にやっておる。

 それから、ファンド機能のところでも、面的に、温泉街であるとか旅館街であるとか観光の町とか、そういうものに注力しているところでございまして、できるだけ人の流動化も活用しながら、人材の、あるいは雇用の維持あるいはその拡大というものを目指しているところでございます。

玉城委員 今お答えいただいたような、以上のことなどを踏まえると、確かに国にしかできない、REVICにしかできない再チャレンジ支援などの取組を評価した上で、それでもなお、支援・出資決定期限及び業務完了期限を今回三年間延長したとして、では、地域経済活性化支援機構が民間事業者へどのようにその役割の橋渡しをしてその役割を終えるのかなど、政府による法案の十分な説明に加えて、審議についても細部にわたって重ねる必要性があると思います。

 そのことを申し上げまして、きょうの質問にかえさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

    ―――――――――――――

山際委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房審議官小林洋司君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君、経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官田川和幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 質問します。

 最初に内閣府に確認しますけれども、地域経済活性化支援機構は、今後の活動について、ファンド運営業務にて地域経済牽引事業を支援の対象の中心に置くと説明をしております。

 これは、安倍政権が進める未来投資戦略二〇一七において、機構の役割を、地域経済牽引事業について、地域経済活性化支援機構などを活用したリスクマネー供給促進を図ると位置づけたことによるもので、地域経済牽引事業、稼ぐ力のある個別の企業へ支援を特化する地域未来投資促進法を推し進める、そういう中で行われるものと承知していますが、よろしいですか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、未来投資戦略二〇一七におきましては、地域金融機関と地域経済活性化支援機構との共同運営ファンドからのエクイティー資金の供給やハンズオン支援、機構から地域金融機関への専門家派遣を通じたノウハウの移転、浸透、日本人材機構の活用による人材支援等の取組の強化について、機構の機能発揮が期待されております。

 それから、地域未来投資促進法におきましては、地域経済牽引事業を促進する観点から、国、地方公共団体や、中小企業基盤整備機構と地域経済活性化支援機構との連携及び協力について規定がされているところでございます。

 なお、昨年十二月におきましては、経済産業省におきまして、地域経済牽引事業の担い手の候補として地域未来牽引企業二千百四十八社が選定されているところでございますけれども、そのうち十三社は既にこのREVICが運営するファンドからの投資先でございまして、こういうことも踏まえまして、しっかり機構としては関係機関と連携、協力しまして地域経済牽引事業の促進に貢献をしてまいりたいと存じます。

塩川委員 地域経済牽引事業を促進するということでの話がありました。

 経産省ですかね、地域未来投資促進法に基づく埼玉県鶴ケ島ジャンクション基本計画というのがあります。この基本計画において、特に、当該区域の産業構造の特徴における自動車関連産業についてはどのように記載をしているでしょうか。

田川政府参考人 お答えをいたします。

 御質問ございました埼玉県鶴ケ島ジャンクション周辺地域基本計画の中での自動車関連産業の記載でございますけれども、この中では、自動車関連産業のティア1からティア3まで幅広く裾野産業が立地し、製造業出荷額等では輸送用機械器具製造業が約二九%を占めているでございますとか、本区域には大手自動車メーカーとその傘下の取引企業等の輸送機械器具製造業が集積しているなどの記載がされているところでございます。

塩川委員 埼玉県側の方で今段取りしていますこの埼玉県鶴ケ島ジャンクション基本計画というのは、埼玉県西部地域になりまして、そこには非常に自動車産業の集積があるということ、この自動車産業の集積がある埼玉県西部地域において、その集積の核となっているのがホンダの狭山工場であります。しかしながら、この狭山工場が閉鎖をすると発表されたことに、地元では大きなショックが広がっております。

 昨年の十月四日、狭山工場の閉鎖計画を発表したホンダは、二〇二一年までに狭山の完成車工場を寄居工場に移管をする、狭山工場の今後については地元の皆さんと、どのように活用するのがよいか、二〇二一年に向けて議論していきたい、我々の事業計画を含みながら展開していきたいなどとしております。

 しかしながら、それ以上の話が全く聞こえてこないんですね。昨年十月の記者発表以降、ホンダはこの中身について何の説明もしていないと承知をしているわけですけれども、大変大きな、地域への、経済においても果たしている役割は大きいですし、雇用でも大きな役割を果たしているわけです。

 こういったホンダ狭山工場の閉鎖計画について、経産省、厚労省はどのように把握しておられますか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 ホンダが埼玉県の狭山と寄居にあります完成車工場を二〇二一年度を目途に寄居工場に集約する旨、昨年十月に発表したということは承知をしているところでございます。

 電動化でありますとか自動運転といった新技術の急速な進展等により、自動車産業が大転換期に直面する中、日本の生産機能の強化のために、最新の技術機能を備える、生産機能を備える完成車工場に機能を集約していくということだというぐあいに理解をしております。

 ホンダによれば、狭山工場の従業員は寄居工場を中心に異動をしていただいて、これまで培ってきた生産ノウハウを最大限生かすということでございます。また、これまで操業の理解を得てきた地元自治体と対話をしながら対応を進めているというぐあいに聞いております。

 いずれにしましても、雇用や地域経済への影響につきましては、引き続き、その状況をしっかりと注視をしてまいりたいというぐあいに考えております。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 従業員の方、現在、約四千六百人ほどいらっしゃるというふうに承知をしております。

 会社の方の方針といたしましては、集約をされる寄居工場を中心に異動を行うというふうに聞いておるところでございますが、御家庭の事情等によって転勤できない従業員の方等を含め、雇用への影響につきまして、管轄側の、埼玉労働局でございますが、そちらの方で情報収集を行っておるところでございます。

塩川委員 経産省に確認しますけれども、寄居工場において、今お話があったように電動化とか自動運転とか、そういうのはわかるんですけれども、狭山工場の方をどうするんだということについて何にも説明がないのはおかしいんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 ホンダの方も、これまでの操業に理解を得てきた地元自治体としっかり対話をしながら対応を進めているというぐあいに聞いておりますし、ホンダの方からも、雇用や地域経済への影響を最小限に抑えるように対応を図っているというぐあいに聞いておりますので、引き続き、その状況をしっかり注視をしていきたいというぐあいに思っております。

塩川委員 いや、だから、その説明が全くないんですよ。それはおかしいと言わざるを得ません。

 従業員は寄居工場を中心に異動するというお話がありましたし、厚労省の方は、転勤できない従業員のこととか、そういうような点での懸念もあるという情報収集の話もありました。

 会社は四千六百人の雇用は守ると言いますけれども、同じ埼玉県内でも四十一キロも離れているのがこの寄居工場です。みんな行けるとは限らない。寄居にそもそも受け入れるだけの仕事があるのかとか、寄居までは遠くて通えないという声も寄せられておりますし、寄居工場を中心にと言われていますので、会社は鈴鹿製作所の従業員をふやす予定とも説明をしており、三重県への異動もある。こんなことになれば、子育てや介護のことなどを考えると、とても心配であります。

 期間従業員の雇用は守られるのか。数百社に上る下請、関連企業の仕事と雇用は大丈夫なのか。最寄りの新狭山駅前のホテル利用者の九割はホンダ関係者だとお聞きしました。地域の商店、飲食店はどうなるのか。ホンダに土地を貸している地権者の方も大きな影響が予想されます。その地域とともに生きるというのがホンダの経営方針だったはずであります。

 厚労省に質問しますが、大量離職者が発生する可能性があり、雇用調整の規模が大きく、地域経済に対する影響の程度が甚大である場合には、雇用対策本部を設置するとしています。雇用対策本部を設置する考えはありませんか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用対策本部でございますけれども、雇用調整の規模が大きく、地域経済、雇用への影響が懸念される場合に、自治体あるいは関係団体と連携しながら再就職支援を行うために、必要に応じて設置をしておるものでございます。

 本件でございますが、必要がもちろんございますれば雇用対策本部を設置するということになってくるわけでございますが、現時点におきましては、必要な情報収集を行っておる段階でございます。

 いずれにいたしましても、地方公共団体等と連携をしながら、地域における雇用の維持、安定のために必要となる支援というのを機動的に行っていくようにしてまいりたいというふうに思います。

塩川委員 雇用に影響が出ないのが当然いいわけで、そういうことこそ我々はホンダに求めますけれども、今言ったように、四千六百人の雇用に影響が出るという問題があるんだから、それに対してどう構えるのかというのは厚労省として当然のことじゃないですか。こういうことについてしっかりやるべきだということを申し上げたい。

 大臣にお尋ねをいたします。

 今やりとりしましたように、ホンダの狭山工場閉鎖というのが雇用や地域経済に大きな影響がある。この点について、ホンダの方は、四千六百人の雇用は守ると言いながらも、実際に異動が可能なのかという心配の声もありますし、地域経済がどうなるかということについては、表の話では何も出てこないわけですよね。こういった労働者や取引先や地元自治体、地域住民にきちんと説明するというのは、ホンダが果たすべき最低限の責任であって、その説明責任が果たされていない。

 大臣、ホンダの企業としての社会的責任、問われているんじゃないでしょうか。

茂木国務大臣 事実関係につきましては、経済産業省そしてまた厚生労働省の方から答弁させていただいたところでありますが、個別企業の経営判断につきまして、私の立場でコメントすることは控えたいと思います。

塩川委員 いやいやいや、茂木大臣は、経済産業大臣のときにホンダのお話をされていましたよね。ホンダ寄居工場もマザー工場として新たに建設をするということでお話もされておられました。まさに個別企業の話をされていたわけですから。

 そのマザー工場を寄居につくったのはいいけれども、今度は狭山工場の方を閉鎖するという話ですから、こういった問題について、一企業の話であっても大きな社会的責任を持つホンダのこういう工場の閉鎖計画について、大臣としてのしっかりとした所感をお聞きしたいと思うのは当然じゃないでしょうか。改めて。

茂木国務大臣 当時、日本の企業がグローバル展開をする中で、本来マザー工場として日本に持っていた工場がかなり老朽化をして、業界では、マザー工場ではなくてグランドマザー工場だ、こんなふうに呼ばれる状況が生まれる中で、新規投資をする。やはり日本に基幹となるような工場をつくるということは業界全体としても日本経済全体としても望ましいことである、そういう文脈の中で申し上げたわけでありまして、ホンダがどうしている、日産がどうしている、トヨタがどうすべきだ、こういう文脈では申し上げておりません。

塩川委員 いや、あのときのやりとりというのは、ホンダの寄居工場の話を私がしたときに、「一旦つくり始めたのをとめたんです。」と大臣がおっしゃって、「ところが、安倍政権になって、新しいアベノミクスのもとで国内も変わっていくということで、世界の中心になるようなマザー工場をホンダもつくるようになってきた。」、アベノミクスの成果だということを言っているんですよ。

 マザー工場をつくったらアベノミクスの成果で、じゃ、狭山工場閉鎖というのはアベノミクスの結果じゃないんですか。こういうことについて、閉鎖の問題についてどんな影響があるのかについて、当然大臣としての所感があってしかるべきじゃないですか。

茂木国務大臣 私、議事録を見ておりませんが、当時の記憶でお話を申し上げていますが、全体の文脈として申し上げると、私が先ほど言ったように、日本に基幹の工場ができていく、こういう状況は望ましいことだ、こういう文脈の中で申し上げていると思います。

塩川委員 ホンダは、二〇〇六年に寄居工場建設計画を明らかにしたときに、狭山工場を最新鋭の生産拠点にイノベーションすると発表もしていたわけです。その話はどこに行っちゃったんだと。

 ホンダはこの間、売上げ、収益をふやし続けて、内部留保も積み増して、その額は、国内でトヨタ、三菱UFJ、NTTに次いで第四位、七兆四千八百億円となっています。黒字経営のホンダが、なぜ狭山の完成車工場を閉鎖しなければならないのか。

 中国など外国でもうけるから国内の工場は閉鎖するなどというのでは納得いかないわけで、多国籍企業の利益と国民、地域経済の利益が一致しなくなっている、そういう中での多国籍企業への利益を優先するようなアベノミクスのあり方そのものが問われているということを申し上げておきたい。

 大企業の雇用と地域経済への社会的責任を棚上げにし、産業集積、産地振興を投げ捨てているのが安倍政権の地域産業政策の実態だということを指摘して、質問を終わります。

山際委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山際委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 地域経済活性化支援機構は、二〇〇九年に株式会社企業再生支援機構法に基づき株式会社企業再生支援機構として設立され、その後、二〇一三年に現行の機構に改組されました。

 企業再生支援機構は、事業再生を行う民間事業者に出資支援を行うことを業務とするもので、我が党は、本来、再生事業者や金融機関が負うべきリスクを税金によって肩がわりするものだと批判し、設置に反対しました。

 実際に、再生機構が支援した日本航空等の再建においては、機構の目的に、雇用の安定等に配慮との規定があるにもかかわらず、従業員の不当解雇や不当労働行為を行うなどの問題を引き起こしています。

 二〇一三年に、株式会社地域経済活性化支援機構法によって、機構が改組され、地域経済活性化に資する事業活動支援が追加されました。その後、二〇一四年にはファンド運営業務の範囲が拡大されるなど、金融機関等が負うべきリスクを税金によって肩がわりする危険を高めてきました。

 本法案は、税金を原資とする出資によって、特定企業を支援し、金融機関が負うべきリスクを肩がわりする機構の業務である事業再生支援事業、地域活性化ファンドの運営事業等を延長するものです。

 特に、内閣府は、機構の今後の活動について、ファンド運営業務にて地域経済牽引事業を支援の対象の中心に置くと説明しています。

 これは、安倍政権の未来投資戦略において、機構の役割を、地域経済牽引事業について、地域経済活性化支援機構などを利用したリスクマネー供給促進を図ると位置づけたことによるもので、地域経済牽引事業、稼ぐ力のある個別の企業へ支援を特化する地域未来投資促進法を推し進めるものです。

 機構は、地域経済活性化という名目で、稼ぐ力のある特定、個別の企業に税金を原資として出資、投資しています。こうした業務は、金融機関、投資機関が行えばよいことで、政府出資、保証を受けている機構が延長して行う業務ではありません。

 以上、本法案に対し反対を表明し、討論を終わります。

山際委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山際委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山際委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、石原宏高君外五名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本維新の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。森山浩行君。

森山(浩)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、自由民主党、希望の党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本維新の会、そして立憲民主党・市民クラブを代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、次の諸点について、十分配慮すべきである。

 一 株式会社地域経済活性化支援機構(以下「機構」という。)は、時限的組織であることに鑑み、再度の期限延長を前提としない経営に努めること。

 二 政府は、現機構への改組時に追加された業務のうち、特定信託引受け及び特定出資の二つの業務については、実績がゼロであったことに鑑み、このような状況が繰り返されないよう努めること。

 三 機構は、延長を認められた業務については、当該業務を通じ、地域において自律的かつ持続的に地域経済活性化等が行われるよう、地域人材や地域金融機関等に地域経済活性化支援のノウハウを延長期限内に移転するよう最大限努めること。

 四 機構は、将来的には地域金融機関等が主体的にファンドを設立、運営できるよう、各ファンドへの出資については極力減らすとともに、専門人材の育成等に注力すること。

 五 政府は、機構が時限的組織であることに鑑み、機構の業務が地域金融機関等の担い得る業務に対して、民業圧迫とならないよう徹底させること。

 六 機構は、地域金融機関等への地域経済活性化支援のノウハウの移転が不十分な地域がないかを検証し、延長を認められた期間を有効に活用して地域における人材育成に寄与する地域経済活性化支援に努めること。

 七 政府は、中小企業における事業承継の円滑化を図るため、経営者保証が極力徴求されることのないよう必要な取組を行うこと。

 八 政府は、機構が中小企業への支援を通して得た知見を金融行政に反映させるために必要な検証を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

山際委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山際委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。茂木国務大臣。

茂木国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配意してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

山際委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山際委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室内閣参事官柴崎哲也君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、警察庁警備局長村田隆君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、法務省人権擁護局長名執雅子君、財務省理財局長太田充君、厚生労働省大臣官房審議官成田裕紀君、国土交通省大臣官房審議官寺田吉道君、観光庁次長水嶋智君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛省統合幕僚監部総括官鈴木敦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武井俊輔君。

武井委員 自民党の武井俊輔でございます。

 一般質疑で貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問をさせていただきたいと思いますが、まず、きょうは、戦後最大の行政改革とも言えますし、また地方創生にも非常に大きく関連するということで、きょうは九州の先生も何人かいらっしゃるようでございますが、先日のJR九州のダイヤ改正と完全民営化の件について御質問をさせていただきたいと思います。

 JR九州は、去る三月十七日に、百十七本に及ぶ特急、普通列車の減便、特急のワンマン化などを行いました。もちろん、今はもう民間会社でもありますし、合理化の必要性というのは否定しないところであります。ダイヤが減るということも、別に一本たりとも減らしたらいけないといったようなことを言っているわけでももちろんないわけであります。しかしながら、今回のダイヤ改正はやはり極めて規模が大きくて、また、周知また協議等も含めて丁寧さを欠いた部分というのは否めなかったというふうに考えております。

 去る二月に、私の地元宮崎県議会で全会一致で意見書が可決されたわけでありますが、その中に、関係公共団体との協議もないまま鉄道路線の利便性や安全性を損ねる一方的な行為と、極めて厳しい意見が出ているわけであります。

 きょうは国土交通省から秋本政務官にお運びをいただいたわけでありますが、まず、JR九州のダイヤ改正とこのプロセスについてどのように認識されているか、また加えて、具体的に、この件についていつお聞きになって、どのように国交省として対応されたのか、お伺いしたいと思います。

秋本大臣政務官 三月十七日のJR九州のダイヤ改正におきましては、新幹線と在来線合わせまして一日当たり百十七本、全体の約四%に相当する本数の減便やダイヤの見直しが行われたところでございます。

 JR九州によりますと、今般のダイヤ改正は、人口減少や少子高齢化が進展する中で、利用状況を踏まえて見直しを行ったものということでございますけれども、一方で、沿線の自治体からは、事前の説明が十分ではなく、利用者の利便を十分考慮していない等の指摘が多く寄せられているものということは承知しておるところでございます。

 鉄道の運行ダイヤにつきましては事前届出制とされておりまして、沿線の輸送需要等を踏まえつつ、鉄道事業者が適切に設定するべきものというふうに考えているところでございます。

 また、ダイヤ改正は通学や地域間移動などの利便性に大きな影響を及ぼすことから、その実施に当たっては、地元に対する丁寧な説明を行いまして、利用者の利便性の確保にできる限り配慮した上で行うことが必要だというふうに考えております。

 今回のJR九州の対応につきましては、この点において必ずしも十分ではないというふうに認識しておるところでございます。

 また、JRがこういったダイヤの見直しをするということについていつ知ったのかというお問合せでございますけれども、この点につきましては、二十九年の十一月にJR九州がダイヤの見直しについて九州の各県への説明を開始したわけでございますけれども、この約一カ月ほど前に国土交通省の方に連絡があったということでございます。

 また、その後、平成二十九年の十二月二十七日にJR九州の社長が本省の方に来まして我が省の鉄道局長とお話をして、その際に国土交通省からもこうした懸念を強く伝えまして、丁寧に物事を進めるようにというふうに進言をしたところでございます。

武井委員 ありがとうございます。

 取組、課題の認識は共有していただいていると理解をしております。

 ただ一方で、例えば最終列車を削減することで定時制の子が通えなくなるんじゃないか、最終的には臨時で残すようにしてもらったわけですけれども、そういったようなことも含めても、丁寧な調査とか、やはりその辺は足りなかったんだろうなという認識をしているところでございます。

 その上で、やはり非常に懸念されるのは、民営化との関係であります。

 JR九州は、御案内のとおり、二〇一六年十月に、いわゆる三島会社として初めて上場いたしました。

 もちろん、この上場については、非常に関連事業、赤坂にも飲食店を出したりとかいろいろしているわけですけれども、さまざまな努力もあったこと、これも高く評価をするわけでありますが、その中で、JR九州は今回のダイヤ改正について、これはあくまでも合理化の長期計画の一環であって上場とは関係ないという話をするんですけれども、外形的に見ますと、やはり上場後、非常に合理化が加速度的に進んでいるというふうに結果としてなっているわけで、なかなか、ちょっとそうはとりがたいところもあるわけであります。

 国土交通省は、この完全民営化に当たりまして、既に上場しておりますJR東日本、東海、西日本と同じように、新会社がその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針というものを出しておりまして、これをJR九州にも適用したところであります。その中で、「新会社は、国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえて現に営業する路線の適切な維持に努めるものとする。」というふうに書いてあるわけであります。

 しかし、先ほどお話がございましたとおり、今回はローカル線などもかなり大規模な削減がありました。私ども宮崎と大分の県境、具体的には延岡と佐伯というところですけれども、このあたりなんかは、普通列車は朝六時台に始発兼最終が一本走って、もうそれで終わり、そういったようなダイヤもできてしまいました。ほかにも、昼間の運行がほとんどなくなった区間もあるわけですけれども、そういう意味で、確かに路線は残っても、こういう状況でありますと、今後がどうなっていくか、悲観的にしかもう見えないわけであります。

 そこでお伺いをしたいと思いますが、この指針でいうところの「現に営業する路線の適切な維持」という言葉、この適切という言葉の見解をお伺いしたいと思います。

寺田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の指針は、JR九州の完全民営化に際しまして、国鉄改革の経緯を踏まえた事業運営が行われることを確保するために、JR九州が配慮すべき事項について国土交通大臣が定めたものでございます。

 この指針に定められております、先ほど先生の御指摘がございました「路線の適切な維持」の適切の定義につきましては、一日の列車の運行本数が何本以上でなければならない等の形で定量的に示せるものではございませんが、輸送需要の動向など、それぞれの路線が置かれた状況に応じて路線の維持に努めるという趣旨であると考えてございます。

武井委員 しかし、一般的に言いますと、大抵適切というのは、一時間に一本とか二時間に一本程度が安定的に運行されるということが一般的には適切というふうに言えるんじゃないかと思います。

 もちろん、これはJR九州にだけそれを求めるというわけではありませんし、国鉄が天文学的な赤字を出して破綻をしたことは私たちはやはり忘れてはいけないということも思っております。

 そういう意味でも、やはり国とまた地方自治体が連携してこれから取り組んでいかなければいけない。そういう意味でも、適宜適切に情報を開示して、自治体との関係改善に努めていただきたいというふうに思っておるわけです。

 さきにお話をしましたこの宮崎県議会の要望書では、鉄道輸送を行う公共交通機関としての使命、役割を果たすよう、JR九州に対して強く要望するというふうに書いてあります。強く要望したいというふうに思います。

 また、加えて、JRが、この件について四月に実態をしっかりと調査するということを言っておるわけですが、この調査をいつまでにどのような形で行っていくのか、それを国土交通省としてどのように報告を受ける、そのようなプロセスについてお伺いしたいと思います。

秋本大臣政務官 先ほど申し上げましたとおり、運行ダイヤの改正は利用者の利便性に大きな影響を及ぼすものであり、その内容について地元に対し丁寧な説明を行った上で実施すべきものと認識をしております。

 その際、地元自治体に利用実態やダイヤ改正後のサービス内容など必要な状況を提供した上で十分な説明を行い、信頼関係を構築することは大変重要であるというふうに認識をしているところでございます。

 また、委員今御質問のありました、四月十日からJR九州が行うとされております調査でございますけれども、この調査につきましては、あくまでもJR九州から我が国交省が聞いている範囲の話でございますが、一カ月程度をかけまして、社員を運行中の列車に直接派遣をし、利用状況等を調査する予定だというふうに聞いております。

 また、この結果につきましては、おおむね、一カ月行うわけですので、五月十日まで行われると思いますけれども、五月中に報告があるものというふうに、私自身はそのように報告を受けているところでございます。

 国土交通省といたしまして、こうした観点から、JR九州に対し、今後とも必要な指導をしっかりと行ってまいりたいというふうに思っております。

武井委員 ありがとうございました。

 そういう形で調査もあるということですので、またその状況など、適宜適切に御開示をお願いしたいというふうに思います。秋本政務官、どうもありがとうございました。結構でございます。

 続きまして、今、子ども・子育ての方でさまざまな議論がございましたが、企業主導型保育事業についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 企業からの関心、人気といいますか、非常に評価も高いわけでありますが、さまざまなお声、御相談などを伺う中で、一方でまた課題も認識しているところでございます。

 まず、保育士不足が叫ばれる中で、いわゆる子育て支援員研修制度でありますけれども、人材確保という面からも非常に重要であるというふうに考えておるわけでありますが、なかなか、こううたったものの、この研修の実施回数が大変少ないということでありまして、私の地元でありますと、宮崎市、都城市、延岡市で各一回のみということでありまして、受けたいという方はたくさんいるんですけれども、なかなか、まだまだ門戸が狭いといったような状況があるわけでございますが、この現状と対策についてお伺いしたいと思います。

成田政府参考人 お答え申し上げます。

 子育て支援員研修は、子ども・子育て支援新制度のもとで実施される小規模保育や家庭的保育等について、子供が健やかに成長できる環境や体制が整備されるよう、地域の実情やニーズに応じて、これらの支援の担い手となる人材の確保を目的とし、平成二十七年度から実施しているものでございます。

 この研修は、子育ての経験などを生かして、地域において子育て支援の仕事に関心を持ち、保育や子育て支援分野の事業に従事することを希望する方に必要な研修を提供するものであり、より多くの方々に支援の担い手となっていただくために、研修の場や研修受講者をふやすことが重要と考えております。

 このため、厚生労働省といたしましては、必要な方が受講できるよう、全国児童福祉主管課長会議等の場を通じて、都道府県、市区町村に子育て支援研修の積極的な実施を求めるとともに、eラーニング等の受講方法を効果的に活用してはどうかという意見があることから、今後、受講方式について、有識者等の意見を伺いながら検討を進めることとしております。

 こうした取組を通じて、より多くの方が本研修に参加できるよう、研修の受講機会の拡大に努めてまいりたいと考えております。

武井委員 ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思います。

 続きまして、設置主体なんですけれども、最近やはり非常に企業の関心も高くて、最近のニュースではANAでありますとかトヨタ自動車、本当に大手も参入を、参入といいますか、参加をしてこようと。

 これ自体は非常に望ましいことではあるんですが、ただ、こういう大手の企業であれば、このための手続に専門の人も割けたりするんでしょうけれども、実際、地方の中小企業がやろうとすると、非常にこの手続に手間がかかって煩雑であるということで、負担が大きい。やりたいなとも思うけれどもなかなか難しいというところも、話をよく聞くわけであります。

 また、内閣府から委託を受けている児童育成協会でありますけれども、ここのキャパといいますか、対応能力がやはり非常に厳しいのではないか。すなわち、申請の許可の期日が、実際に最初の話に比べてかなりおくれてしまうとか、そもそも電話がつながらないとか、そういったような話も聞くわけであります。

 そういう意味で、せっかくのニーズであるにもかかわらず、窓口のこういった状況も含めて、ニーズが高いことの証左ではあるものの、対策が必要であるというふうに考えますが、対応はどのようになっているか、お伺いします。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育事業につきましては、複数の企業が共同して設置、利用することができるなど、中小企業にとって使い勝手がよくなるように制度設計してございまして、約六割の施設が中小企業によって整備されてございます。

 中小企業を始めとした企業の利便性を更に高めるため、本事業の助成申請をインターネットで行えるように手続の電子化を行ったほか、本事業の実務を担う公益財団法人児童育成協会による企業への個別相談会を実施するなど、企業が円滑に申請できるよう取り組んでおります。

 さらに、中小企業の皆様への一層の周知を図るため、今年度は、中小企業向けの説明会や相談会を開催し、申請手続も含め丁寧に説明を行うこととしてございます。

 また、今年度から、助成決定のプロセスにつきましても、継続申請と新規の申請を分けて審査することなど、審査事務の効率化を図ることとしており、速やかな決定がなされるよう取り組んでまいります。

 今後もこうした取組を進めるほか、協会のさらなる業務改善にも取り組むとともに、協会の体制の整備についても検討を進め、円滑な事業の実施に努めてまいります。

武井委員 ありがとうございます。

 ただ、なかなか、私もレクでも話を聞いたんですが、やはりちょっと実態と大分温度差があるなというふうな感じもいたしております。改めて、細かい対応をお願いしたいと思います。

 続きまして、運営費の関係なんですけれども、山下政務官にお伺いしたいと思うんですが、これは保育に資する用途というふうになっているんですが、例えば英語とかプログラミングとか、独自の教材とか、また独自の体制を充実させたいとか、そういうこと、ニーズは非常にあるんですが、なかなか、みずからの判断ができる裁量が非常に狭いのではないかという声をよく聞くわけであります。

 新たな指針では教育的な部分も追加されておるわけでありまして、この用途をもうちょっと柔軟に考える必要があるのではないかと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

山下(雄)大臣政務官 ありがとうございます。

 そもそも、この企業主導型保育事業というのは平成二十八年度に創設されまして、事業主拠出金を財源として、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業を支援したり、待機児童対策に資することを目的として行っているものでございます。

 この事業の助成を受けるに当たっては、認可保育施設と同じ水準の職員配置だったり、また、施設の基準を満たす必要があります。保育の提供においても、認可施設と同様に質の高い保育を提供する必要があります。

 武井議員の御指摘にありました件につきましては、子供の年齢や発達状況に応じた質の高い保育に資するのであれば、適切な保護者の負担や施設運営に支障を来さない範囲において、特色ある保育を取り入れることを否定するものではありません。こうした認識を協会と共有しつつ、この事業を推進してまいりたいというふうに考えております。

武井委員 ありがとうございます。

 ぜひ、そのあたり、現場の声をよく聞いて臨んでいただきたいと思います。

 最後に、ヘイトスピーチとヘイト本ということについて御質問させていただきたいと思います。

 今、在留外国人が二百五十六万人、訪日外国人も二千七百万人、まあ四千万を迎えようとしているわけでありまして、コンビニなど、外国人しかいないスタッフ、お店なんというのも普通に今あるわけであります。労働力不足も深刻でありまして、これから、やはり我が国も本格的に外国人の皆さんと共存する、そういった国になっていくんだろうというふうに思います。

 その中で、一方で、排他的な言説、ネットなども非常に増加しているわけでありまして、それに伴い、平成二十八年六月に、与野党の努力でヘイトスピーチ対策法が施行されたところであります。

 まず、警察庁にお伺いしたいと思いますが、この対策法、施行から二年近くたつところですが、施行後の効果等についてどのような認識をされているか、お伺いしたいと思います。

村田政府参考人 お答えを申し上げます。

 右派系市民グループによるデモの件数について申し上げますと、平成二十八年六月三日の法施行前一年間では約七十件行われていたところ、法施行後の一年間では四十件行われており、二十数件程度減少しております。

 なお、右派系市民グループの一部の取組では、主催者がヘイトスピーチ解消法に従うよう呼びかけを行うなど、過激な言動を控えようとする動向が見られるところであります。

 しかしながら、依然として、いわゆるヘイトスピーチと言われる過激な言動を伴うデモが各地で行われていると承知をしております。

武井委員 まだ課題はあるわけでありますが、このように対策も一つずつ進めている、不断に進めていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、私が課題に感じていますのは、いわゆるヘイト本というやつがありますが、先日、韓国人の友人と町に出まして、本屋さんの中を横切っていくんですが、やはりちょっと、あのヘイト本のコーナーの前になると、ついつい早歩きしてしまうわけですね。

 私も、国立国会図書館からヘイト本の実態を調査するということでタイトルのリストを取り寄せて、本当は配付でもしようと思ったんですが、余りにもちょっと品がない言葉が並んでいるものですからやめたんですけれども、いわゆる嫌韓本と言われる、韓国や中国をあげつらうような本が並んでいるわけであります。

 きのうもちょっと韓国人の友人と話をしたんですけれども、日本人はとてもいい人たちなんだけれども、ああいう本が非常に売れているというのを見ると、実は日本人は本当はそう思っているんじゃないかと怖くなるときがあるといったような話をしておりました。

 これは香港のメディア、亜洲週刊というところなんですけれども、ヘイトスピーチについて、ヘイト本が急増したのは日本社会全体が著しい停滞感にさいなまれた二〇一二年以降である、「息をするように嘘をつく韓国」といったようなタイトルからは、非常に、お互いを軽蔑し合う悪循環や寛容に欠けた精神状態を生むのではないかといったような記述があったりとか、また、これもちょっと国立国会図書館から取り寄せたんですが、いわゆるこの手の本で大手になっている出版社があるんですけれども、そこの社長さんが、いわゆる経営上の問題として、なかなか出版が、サブカル漫画がネット時代には非常に厳しい、保守本がニッチな市場で売れるようになったので拡大すると思ったということをこの記事の中で述べているわけですね。

 もちろん、言論の自由、出版の自由も憲法で認められているわけですし、書店の売上げというのが下がっている、一概に営業戦略とかをどうこうしようということではないわけであります。しかし、先ほども述べましたが、これから日本は外国の方と共生する社会を目指していく中において、このような状況はやはり私は憂慮すべきものだというふうに考えております。

 きょうは法務省にお越しいただいておりますが、こういったヘイト本の実態等について調査等あるのか、またどのような認識があるか、お伺いしたいと思います。

名執政府参考人 委員御指摘のような書籍によるものやインターネット上など、その手法、媒体を問わず、特定の民族や国籍の人々を排斥する不当な差別的言動はあってはならないものと認識しております。

 法務省では、これまで、ヘイトスピーチに関する実態調査、外国人住民調査を行うなどして、ヘイトスピーチの実態や日本に在留する外国人が直面している人権課題について把握し、施策に反映してきたところでございます。

武井委員 ありがとうございます。

 先日、上川大臣ともこの件をお話をしたんですが、やはりデータ、調査も必要だということはお話をされておりました。ぜひ、引き続き法務省としても取り組んでいただきたいと思うわけであります。

 先ほども、今述べましたけれども、やはり経営的な観点でこういったヘイト本が出ているというような一面もあるんだなというふうに実感をするわけですが、今また、日朝、日韓、さまざまな動きがあるわけであります。こういった状況が変わる中で、私たちが乗り越えていかなければいけないのは、やはり日韓とか日中が仲が悪いことによって、例えば本が売れるとかテレビに出られるとか出演する回数がふえるとか、こういう人は相手の国にも存在するんだろうと思うんですけれども、やはりこういう人たちを乗り越えていかなければいけない。やはりこれが今私たちに求められているものではないだろうかというふうに思います。

 先日、安倍総理と、私も間々、安倍総理とお話しする機会がありまして、安倍総理と実際にお話しされれば、大変穏やかでバランス感覚があって寛容な方だと私は非常に思います。私のような立場の人間でも、大変温かくいつもお話しいただくわけです。

 しかし、私は思うんですけれども、一方で、こういうヘイト本を書くような方は、大体、えてして、安倍総理しかいないみたいな形のことを、安倍総理万歳みたいなことを結構言う方が多いわけですよね。私はやはり、こういうことというのは、結果として、何か海外において総理のイメージを非常に毀損しているのではないかなという思いがしております。

 そういう意味でも、むしろやはり穏やかに、相手をけなすというのは、そういう人ほど何か美しい日本とか言っているのを私は非常に疑問を感じるわけですけれども、そういう意味でも、穏やかに、やはり相手を敬うというのがまさに日本の美徳ではないかというようなことも思うわけであります。

 私、去年まで外務省で政務官をしておりまして、アフリカの担当をしておりました。

 ルワンダの大虐殺というものがありました。世界最大のジェノサイドでありますが、百日間、毎日一万人以上の方が殺されるというものであったわけですが、結局これも、ずっとヘイトラジオを流すんですね。ヘイトラジオを流していますと、フツ族とツチ族というのは共存して暮らしていたんですけれども、ある日突然、今まで隣人で仲よく暮らしていた人が、突然おのを持ってツチ族を大虐殺するわけですね。

 ですから、やはり、こういったような問題、決して小さな問題ではなくて、こういうことが地下水脈のようにあるということ、これは大変憂慮すべきことではないかというふうに私は思っています。

 このときに、私はよく覚えているんですが、NHK特集、二年後ぐらいにあったんですけれども、その放送したラジオのDJというのが、いや、私は殺せなんていうことは一言も言っていない、ただ、あいつらは危ないんだぞと言っていたと言うわけですね。だから私は悪くないみたいな、要は開き直っていたわけであります。

 そういう意味でも、言葉の怖さというものを改めて、韓国人の友人が言っていました、本当にいい人だけれども、本当は、実はそう思っているんじゃないかと怖い思いがする、この言葉は、やはり我々は重く受けとめていかなければいけないのではないだろうかと思うところでございます。

 最近、政府で、ヘイトスピーチを許さないというオレンジに黒のポスター、私も事務所に張っていますけれども、こういったような活動はまあ間々進んでいるというふうには思うんですけれども、やはり、もうちょっと広報活動等をより進めていかなければいけないというふうに考えております。

 最近、ACのコマーシャルで、美輪明宏さんのナレーションで桃太郎のやつをごらんになったことはないですか。桃が流れてきて、その桃を切ろうとしたら、そこにネットのコメントが出て、いいのかとか窃盗だとかってなって、わあっとそれがなって、おばあちゃんが桃を置いて、何かおじいちゃんとどうしようみたいな、そういうものだったと思うんですけれども、非常にわかりやすい、今の世情というものを端的にあらわしているのではないかなというふうにも思ったわけであります。

 やはり、これから我が国が本当に他国の皆さんと共存をして暮らしていく社会をつくっていくということにおいては、こういったヘイト、そしてまた、そういった活動というものが我が国として望ましいものではないんだということはしっかり訴えていかなければいけないというふうに思うんです。

 きょうは山下政務官にお越しをいただいておりますが、これは政府広報ですから、内閣府とも連携してということになるというふうに思うんですが、こういったような取組について、政務官の御見解もあればあわせてお伺いをしたいと思います。

山下(貴)大臣政務官 ありがとうございます。

 まさに外務大臣政務官をおやりになった、そして国際感覚が本当に豊かな武井委員の御指摘どおりだと思います。

 いわゆるヘイトスピーチという不当な差別的言動は決してあってはならない。先ほど武井委員がおっしゃったように、在留外国人数が二百五十六万人に上り、また、外国人入国者数が二千七百四十三万人、更に東京オリンピック・パラリンピックを控えてふやそうとしている中で、ますますこの日本において、ヘイトスピーチ対策の強化、これは大変望まれているところでございます。

 先ほど御指摘のいわゆるヘイトスピーチ解消法によって、我々法務省としても、人権擁護の核はできたというふうに思っておりますので、まさに、これをてこにしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 その広報の手段として、やはり、国民の根っこにそういった考えを持ってはならないということがございますので、先ほど御指摘の「ヘイトスピーチ、許さない。」と記したポスターや啓発冊子の作成、あるいは、これらのものを、新聞広告やインターネット、さらには駅や、例えば野球場であるとか、そういったあらゆるところで広告していくということで、各種人権啓発活動を実施してまいりました。

 また、被害に遭われた方に対しても、人権相談窓口を設けまして、例えば、六カ国語に対応した窓口を設けたり、あるいはリーフレットを配布するなどして周知に努めております。

 法務省としては、偏見や差別のない社会の実現を目指して、不当な差別的言動を解消する必要についての理解を深めるため、関係省庁とも連携し、例えば小学校、中学校における人権教室、こういったところなどの機会も活用して、外国人の人権に対する啓発活動の充実に努めるとともに、外国語による人権相談受付窓口の一層の周知、充実に取り組んでまいりたいと思います。

武井委員 ありがとうございます。

 やはり、非常に地味な取組なんですけれども、先ほどちょっとルワンダのラジオのお話もさせていただきましたが、今表に見えなくても、例えば、かつて関東大震災のときに、朝鮮人が井戸に毒を入れたといったような、虐殺があったといったようなこともあったわけです。平時のときにはなかなか見えないことでも、やはり何か緊急事態があったとき、また国家の危機があったとき、そういったようなデマや流言というものが人をどのような行動におとしめるのか。これは、先ほどのルワンダも含めて、世界でもさまざまな例もあったところでございます。

 ぜひとも、こういったようなこと、地味でございますけれども、非常に大事な取組として、私もまたこれからも引き続き応援してまいりたいと思いますので、一層の取組をお願いして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

山際委員長 次に、小寺裕雄君。

小寺委員 自由民主党の小寺裕雄でございます。

 本日は、こうして質問の機会を内閣委員会でいただきまして、理事の先生方に感謝を申し上げるところでございます。

 私、十年以上地方議会を経験しておりましたので、議会の流れでありますとか議事運営については一定の理解はしているつもりなんですけれども、国会へ来させていただいて五カ月ぐらいがたって、あるのかないのかわからないとか、始まるのか始まらないのかわからないといったようなことは経験がなかったもので、大変戸惑いながら本日を迎えさせていただきました。急な質問ばかりでございますので十分に整わないかもわかりませんが、御容赦願いたいと思います。

 本日は、一億総活躍社会の実現のために、地方における観光振興が大事ではないかという視点で質問をさせていただけたらというふうに思います。

 私が暮らしている滋賀県でありますが、隣は国際観光都市、世界一の京都であります。しかしながら、電車で三十分も行けば滋賀県に十分たどり着くわけでありますが、滋賀県は特に観光が盛んではございません。しかしながら、重要文化財、国宝等、そうした数が全国四位ということで、大変、歴史的な資産でありますとか、あるいは自然の風光明媚なところがございまして、本来であればもっと活用していけたらなというふうに思っているわけですけれども、現状なかなかうまくいかないところがございます。

 しかしながら、これからは地方で、いわゆるGDP六百兆円でありますとか、あるいは本当の意味での地方創生、そして老いも若きも、そして観光に仕事で取り組める人も、そうでないボランティアでやる人でも、全ての人が活躍する社会を実現するためには、地方においては、私は、第一次産業とこの観光というのが大きな視点として取り上げられるべきであるというふうに考えているところでございます。

 そこで、いわゆる地域のよさを改めて見出し、観光産業を振興させていくということは、雇用を創出させますし、もちろん、女性の社会参加、女性活躍にもつながることであります。そうした観点で、観光という手法をどのように捉えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。

山下(雄)大臣政務官 一億総活躍社会と観光の振興という視点で御質問をいただきました。

 私自身が既にもう若者と言える年かどうかはかなり怪しいですけれども、若い人もお年寄りも、女性も男性も、障害がある人もない人も、健康な人も病気の人も、誰もがあらゆる場で活躍できる一億総活躍社会の実現は、安倍内閣の基本であります。

 平成二十八年のニッポン一億総活躍プランにおいて、観光は我が国の成長戦略と地方創生の大きな柱であるとの認識のもと、観光の力で地域の雇用を生み出すなど、観光先進国の実現に向け、政府一丸、官民を挙げて、総合的、戦略的に取り組むことにより、裾野の広い観光が一億総活躍の場になるということを目指しておるわけでございます。

小寺委員 ありがとうございます。

 大変力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございました。

 そこでというのもなんですが、ということでありますから、私、このたび新たな法律が二本提出されて、可決されたというふうに伺っておりますけれども、外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案ということが提出されておりました。

 これは、そもそも、一九九七年、当時は訪日外国人数が四百万人程度だったというふうに伺っておりますけれども、団体旅行を中心に、当時まだ日本への旅行は非常に高額でありましたので、そういったことをもっと低廉化して、どんどん来ていただこうというふうに始まったものというふうに承知をしておりますけれども、以来、ここ数年、昨年が二千八百九十万ぐらいの訪日外国人数があって、恐らくことしは三千万を突破するのであろう、そして二〇二〇年には四千万に向けて着実にふえていくことが予想されるわけでありますけれども、この法律を改正しようというふうになった背景とその狙いというか目的についてお伺いをしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 本法案では、現在の国際関係を取り巻く環境の変化を踏まえまして、今後の政府目標の確実な達成に向けて、この外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律を改正し、各種規定を整備することとしておるところでございます。

 具体的に何をやろうとしているかということでございますが、まず第一に、地方へのさらなる誘客拡大を図るため、地方ブロック単位で関係自治体、DMO、事業者などによります協議会制度を創設いたしまして、旅行者目線での観光地づくりを強化してまいりたいということでございます。

 また、第二に、団体旅行から個人旅行へ急速なシフトが行われておるということでございまして、こういった旅行者の多様なニーズに対応できるよう、事業者等が取り組む利便増進措置といった内容を拡充いたしたいと考えておるところでございます。

 また、第三に、昨年十二月に観光立国推進閣僚会議において決定されました基本方針を踏まえまして、国際観光旅客税、こちらの使途を明記したいということでございます。

 なお、これらに加えまして、国際観光旅客税の税収を確実に観光施策に充当する仕組みを構築するために、国土交通省設置法の一部改正により、観光庁への所掌事務の追加を行うということでございますとか、独立行政法人国際観光振興機構法の一部改正により、このJNTOが同税を財源として行う事業につきまして特別の勘定を設け、使途の透明性を確保する、そういったことを目的としておるものでございます。

小寺委員 ありがとうございます。よくわかりました。

 次に、具体的には何がどう変わったのかというふうにお伺いしようと思ったんですが、今、おおよそ私が次の質問で聞きたかったことにお答えをいただいてしまいましたので、これは飛ばさせていただきます。

 そこで、今、三点目に旅客税を創設したというお話がございましたけれども、つまり、今お話のあった、法律を改正して新たに観光振興策に取り組んでいこうということであれば、その財源が求められる、その財源にこの旅客税が充てられるというふうに理解はするわけですけれども、この旅客税ですが、どのような使途が考えられているのでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 この国際観光旅客税の税収でございますけれども、昨年十二月の観光立国推進閣僚会議におきまして、二〇二〇年四千万人といった目標に向けて三つの分野に充当することとされたところでございまして、その内容を今回の国際観光振興法の改正法案にも反映しているところでございます。

 具体的には、国際観光旅客税の税収を、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備、二つ目は、我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化、三つ目は、地域固有の文化、自然等を活用した観光資源の整備等による地域での体験滞在の満足度の向上、この三つの分野に充当する旨を法律上規定することとしておるところでございます。

 あわせて、税収を充てる施策につきましては、受益と負担の関係から負担者の納得が得られること、また、先進性が高く費用対効果が高い取組であることなどを基本とする旨も規定することとしておるところでございます。

小寺委員 ありがとうございました。大変適正であるというふうに私自身は理解をするところであります。

 しかしながら、この税は、大体、訪日あるいは日本人の方で外国へ旅行される方を合わせると、たしか四千万人というオーダーで四百億円という税収が毎年新たに入るということなんですけれども、この税金はいわゆる特定財源という位置づけになるというふうに伺いました。

 すなわち、観光振興、今言われた施策の実現のために使われる税であって、ほかの目的には使用ができないということは明らかなんですけれども、過去に、いわゆる特定財源でありますとか目的税ということでありますと、よく、実は目的外使用があったりとか、要は、本来それはいかがなものかといったことで、この国会でも過去にそうした無駄遣いについて追及されたような例があるわけなんですね。

 つまり、この財源が無駄なく効果的に活用されるためには、今回、この税の創設に当たってどのような仕組みがとられているのかといったことについてお伺いをいたします。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今回の国際観光旅客税につきましては、特定の歳出に充てることを法律で規定するということでございまして、その意味で、いわゆる法定の特定財源に当たるというふうに考えておるところでございます。

 その上で、この国際観光旅客税を充当する施策につきましては、昨年十二月の観光立国推進閣僚会議決定におきまして、先進性が高く費用対効果が高い取組であることなどを基本的な考え方とする旨が定められておりまして、国際観光振興法の改正法案におきましてもその旨を規定しているところでございます。

 また、この閣僚会議決定では、無駄遣いを防止し、使途の透明性を確保する仕組みとして、行政事業レビューを最大限活用し、第三者の視点から適切なPDCAサイクルの循環を図ること、あるいは、税収の使途につきましては、硬直的な予算配分とならず、毎年度洗いかえが行えるようにすべきというふうにされておるところでございます。

 三十一年度以降の税収を充当する具体の施策、事業につきましては、ただいま申し上げました費用対効果あるいは使途の透明性の確保に関する基本的な考え方を十分に踏まえまして、民間有識者の方々の御意見も頂戴しながら、施策、事業の中身をしっかりと精査してまいりたいと考えておるところでございます。

小寺委員 ありがとうございました。

 せっかくこうして新しい財源ができて、観光立国としてやっていこうという決意のもとにこうした税を創設し、また施策を推進しているところでありますから、ぜひ、国民の皆様方からわかりやすい形で、なるほどというふうな取組を進めていただくよう要望を申し上げておきます。

 では、三十年度、これはたしか三十一年の一月七日から徴収というふうに伺っておりますけれども、三十年度の予算では約六十億円余りの税収を見込まれ、その活用が図られることとなっております。具体的に、この六十億円を例えばどのような形で使おうとされているのか、お願いしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、この税は平成三十一年一月七日からの徴収を想定しておりまして、平成三十年度に六十億円の歳入が見込まれておるということでございます。昨年十二月の観光立国推進閣僚会議において決定されました基本方針を踏まえまして、この六十億の歳入については、CIQ体制の整備など特に新規性、緊急性の高い施策に充てることとして平成三十年度予算に盛り込まれておるところでございます。

 中身をちょっと具体的に申し上げさせていただきますと、まず一つには、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備といたしまして、最新技術を活用した顔認証ゲートなどによるCIQ体制の整備、ICTなどを活用した多言語化対応など、また旅行安全情報などに関する情報プラットホームの構築、こういったことに使うことを想定しております。

 また、二つ目といたしまして、我が国の多様な魅力に関する情報の入手の容易化といたしまして、JNTOのサイトなどを活用したデジタルマーケティングの実践を想定しておるところでございます。

 また、三つ目でございますけれども、観光資源の整備などによる地域での体験滞在の満足度向上といたしまして、文化財や国立公園などに関する多言語解説の整備でございますとか、訪日観光における新たな観光コンテンツの整備、VR、バーチャルリアリティーなどの最新技術を駆使した最先端観光の育成について予算が計上されているところでございます。

小寺委員 ありがとうございます。

 特に、いわゆる翻訳機能のついたタブレットの導入であるとかが検討されているというふうに伺いましたけれども、私、東京駅へ帰ってまいりますと、外国人の方が通路で一生懸命聞いておられて、言葉がわからずに、長蛇の列があって、広い心で待たせていただかないかぬのですけれども、ついつい後ろでいらいらしてしまうというようなことがよくございます。ぜひ、そうした外国人のストレスが解消されるように、そうした取組が来年度以降更に一層加速化されればというふうに思います。

 そこで、現在の、通常の観光庁の予算が約二百十億円程度であったというふうに思いますけれども、三十一年度以降は、これから四百億円もの巨額の予算が見込まれることになるわけです。先ほど、これから決めていくんやというようなお話でしたけれども、これは具体的な政策や事業をどう計画して、どう実施していこうとされているのか、お伺いしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員の方から、この財源と観光予算の規模感についてのお話がございましたが、観光施策につきましては、観光ビジョンの策定を受けまして、観光庁において観光ビジョン関連施策というものを取りまとめております。これは、観光庁だけではなくて、各省庁それぞれ観光に関連する施策があるということでございまして、それを総合的に整理をさせていただいておるものでございますけれども、これで見た場合、平成二十九年度当初予算ベースでは、内数として整理されているものを除きましても、政府全体の予算規模で七百億円程度の予算が計上されておるということでございます。

 これから、二〇二〇年四千万人あるいは六千万といった目標に向けて更に高次元の観光施策を実現していくために、あるいは観光先進国にしっかりと追いついていくためには、まだまだ観光施策に対する財政需要は非常に強いものがあるというふうに考えておるところでございまして、そのため、今般のこの国際観光旅客税も非常に有効に活用していく必要があるのかなと考えておるところでございます。

 これも委員御指摘のとおりでございまして、今般創設をお願いしております国際観光旅客税の税収は、平年度で四百億程度の税収が見込まれておるということでございます。

 この使途でございますけれども、昨年十二月の観光立国推進閣僚会議決定では、三つの分野に充当するということで、ストレスフリーで快適な旅行環境の整備を始めとする三つの分野に充当するというふうに規定されておるわけでございますけれども、受益と負担の関係が明確で、先進性や費用対効果が高い取組に充てるというふうにも閣僚会議決定の中で定められておるということでございまして、今般の国際観光振興法の改正法案においてもその旨を規定しているところでございます。

 今後、この具体的な中身をどうしていくかということでございますけれども、平成三十一年度以降の予算におきましては、これらの規定に基づきまして、この税を充当する具体的な施策、事業につきまして、民間有識者の方々の御意見などもいただきながら、個々の中身をしっかりと精査してまいりたいと考えておるところでございます。

小寺委員 ありがとうございます。

 丁寧な答弁をいただいていますので、どんどん時間が消費されて、予定している質問が終わらないような気がしているんですけれども。

 そこで、私自身が観光振興で特に期待をしておるのがいわゆる広域周遊観光でありまして、先ほど冒頭のときに、地方への誘客ということで、次長の方から、いわゆるDMOでありますとか運輸局でありますとか政府機関でありますとかの連携というお話が少しあったのですけれども、私自身は、いわゆる滋賀県の立場で申し上げますと、せっかく京都あるいは奈良という立派な観光地が近くにありながら、滋賀県には誘客ができていないという実情があるわけなんです。それはもちろん、滋賀県自身あるいはそれぞれの地域地域の取組が十分でないということが第一義的にあるわけですけれども、この広域周遊観光が促進されると、かなり実は期待できるのではないかなというふうに思います。

 そこで、上の方の質問はもう飛ばしまして、いわゆる広域周遊観光促進のための新たな観光地域支援事業の連絡調整会議についてでありますけれども、どういう単位で開催をされ、どのような主体により組織をされ、どのように地域の連携、調整を図る仕組みであるのかについてお伺いしたいと思います。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、まさに、広域で観光地域振興に対する取組を進めていくということがまことに重要であるというふうに私ども認識をしておるところでございます。

 私ども、広域周遊観光促進のための新たな観光地域支援事業という形の支援制度を現在つくろうとしておるところでございますけれども、この中で連絡調整会議というのが重要な役割を果たすと思っておりますが、この連絡調整会議には、DMOのほか、観光庁、地方運輸局、日本政府観光局、これはJNTOと呼ばれておりますが、それと関係の都道府県、地域公共交通事業者の皆さんなどの関係の事業者、主要な観光資源の関係者などを構成員といたしまして、都道府県の区域を超える、おおむね地方ブロック単位での区域ごとに開催するということを考えておるところでございます。

 こちらの連絡調整会議におきましては、有識者やJNTOの知見を取り入れつつ、対象地域に関しまして、外国人観光旅客の円滑かつ快適な旅行のための環境の整備の方針でございますとか、海外における宣伝の方針、観光資源の開発及び活用の方針を策定するということを想定しておりまして、その上で、この会議におきまして、ブロック内のそれぞれのDMOが策定する事業計画の内容がこういった方針と整合がとれているかといったことでございますとか、あるいはDMO間相互の連携確保の観点から調整を行っていただく、そういった調整を経た上で国としても支援を行うということで、関係者が適切な役割分担のもと広域的に連携した取組をやっていただくことを促進してまいりたいというふうに考えている次第でございます。

小寺委員 ありがとうございます。よくわかりました。

 しかしながら、このDMOが問題でして、本来ならお尋ねしようと思ったんですが、実は、DMOをつくっているところ、あるいは、既に観光地であって、人材も豊富で行政の支援もあるといったところはいいんですけれども、これから本当にやろうというところは何もないわけですから、ましてや人材もいない。このDMOをそもそもどうしていくんだというお話をしっかりしていかないと、実は地方での観光というのはなかなか難しいのかなというふうに思います。

 本来であれば、このところも聞かせていただきたかったんですけれども、ここは少し割愛させていただいて、最後に、つまり人材が大事やということであります。つまり、観光を担うプロフェッショナルな人材の育成が何より大事というふうに考えるわけですけれども、その人材育成の考え方についてお尋ねをさせていただきます。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 観光地域づくりを支えるDMOの人材育成ということにつきましても、財政面、あるいはさまざまな研修を実施するといった観点から、DMOにおける人材育成についても支援をしてまいりたいというふうに考えておるところでございますけれども、観光産業を支えるプロフェッショナルな人材育成、これについてもしっかりと取り組んでいく必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。

 観光庁といたしましては、観光産業にかかわる人材につきまして、幾つかのタイプがあるのではないかなと思っておりまして、一つは、我が国の観光産業を牽引するトップレベルの経営人材の方々、また、地域の観光産業を担っていただく中核となる人材の方々、あるいはさらに、即戦力となる現場の実務人材の育成強化、こういったそれぞれの取組が必要ではないかなというふうに思っておるところでございます。

 まず、トップレベルの経営人材の育成につきましては、これまでから産学官連携でそういった高度な教育内容のカリキュラム内容の検討や広報、啓蒙活動などを行ってきたところでございますけれども、このたび、今年度から、京都大学及び一橋大学において観光MBAのコースが設置、開学されるといった動きが見られておるところでございます。

 また、次に、中核人材の育成につきましては、全国の複数の大学において、財務会計やマーケティングなどの経営ノウハウを学ぶための社会人向け講座、こういったものに対する支援を観光庁としても行っておるということでございます。

 また、より現場に近いところで観光産業における即戦力となる現場の実務人材を確保するということも重要でございますが、このためには、就職後のミスマッチを解消するためのインターンシップモデル事業の実施などを行っておるところでございます。

 こうした取組を通じまして、観光分野におけるプロフェッショナルな人材の質、量両面の確保に向けて、引き続き支援を行ってまいりたいと考えておるところでございます。

小寺委員 ありがとうございました。

 時間配分が悪くて、もう時間を迎えてしまいました。

 いずれにいたしましても、この四百億のお金が、当面はハード整備に優先されなければならないというふうに私自身も思うわけですけれども、いずれハード整備は一巡します。そうなると、やはり私は、今次長が言われましたように、人材の育成こそが地方における観光の振興につながるものというふうに信じておりますので、ぜひそうした方面に御活用いただいて地方の観光を振興していただいて、一億総活躍社会の実現に向けてお取組をしていただくようお願い申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 午前に引き続きまして内閣委員会では二回目、きょうトータルで三回目の質問で、先ほどは厚生労働委員会で東京労働局長の集中審議だったので、殺伐とした雰囲気の委員会で質問してきまして、こっちに戻ってきて、自分のテンションが何かおかしくなりそうな感じになってしまっていたんですけれども、落ちついて質疑をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょうはシェアリングエコノミーについて、きょう午前中の法案審議でもちょっと質問させてもらいましたけれども、シェアリングエコノミーということについて質問させていただきたいと思います。

 今、内閣官房で行っているシェアリングエコノミーに関する取組というのがあると思うんですけれども、どういったことをしているのかというのをまず紹介をいただきたいと思います。

柴崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま、内閣官房における取組状況ということでお尋ねがございました。

 シェアリングエコノミーにつきましては、我が国に散在する遊休資産やスキル等の有効活用を通じ、さまざまな社会問題を解決する役割を期待しておるところでございます。

 内閣官房IT総合戦略室におきましては、一昨年十一月、シェアリングエコノミー推進プログラムを取りまとめ、モデルガイドラインを示して、安全性、信頼性の高いサービスを事業団体が認証する仕組みの立ち上げを後押しするなど、その普及と推進のための支援を行ってきたところでございます。

 また、昨年からは、世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画に基づきまして、シェアリングエコノミーを活用する自治体の支援にも取り組んでいるところでございます。

 引き続きまして、我が国のシェアリングエコノミーの健全な発展に向けまして、関係府省庁と連携して取組を進めてまいりたいと思います。

浦野委員 他省庁との連携ということですけれども、この間、厚生労働委員会でも少しこのことを触れたんですけれども、正直、ほぼ全くと言っていいほど頭の中にないようなレベルの話しかなかったんですね。

 他省庁との連携とおっしゃっているんですけれども、それはどれぐらい進んでいるのか、お聞かせください。

柴崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま他省庁との連携ということでお尋ねがございました。

 内閣官房では、シェアリングエコノミーの健全な発展を実現するため、有識者や業界団体で構成されるシェアリングエコノミー検討会議を随時開催しているところでございます。

 この検討会には、総務省、経済産業省を始めとした関係府省庁に参加いただくとともに、また、関係省庁における会議にも我々が、内閣官房が参加しておりまして、相互に、施策の情報共有やフォローアップなどを行っているところでございます。直近では、先月二十日、検討会議を開催いたしまして、シェアリングエコノミー推進に向けた今後の取組方針について、関係省庁、各省から御説明をいただいたところでございます。

 シェアリングエコノミーは、多種多様な行政分野にまたがる業界でございまして、その推進に際して関係省庁の巻き込みは不可欠であるというふうに考えております。

 引き続き、検討会の場などを活用しまして、連携を深めてまいりたいと考えております。

浦野委員 総務省と経産省の名前が代表的な省庁の名前で挙がっていましたけれども、私がなぜこれを厚労省でちょっと聞いたかといいますと、これは働き方改革と言っていい、シェアリングエコノミーというのは働き方が変わるものですので、働き方改革と言ってもいいようなことだと思うんですね。それでちょっと厚労省に聞いたんですけれども、全然厚労省は、全然と言ったらちょっと言い過ぎですけれども、正直、そこまでいろいろな検討がなされていないということだったんですね。

 推進をされている内閣官房としては、この新しい働き方に、私は貢献すると思っているんですけれども、何か想定している姿というものはあるでしょうか。

山下(雄)大臣政務官 シェアリングエコノミーは、個人の資産や能力の市場化を通じて、個人による多種多様なサービス提供を可能とすることから、新しい働き方を実現する潜在力を有しているというふうに考えております。

 この国会議事堂から歩いてすぐのところにも、シェアリングエコノミーの拠点となる民間の施設もございますし、大都会だけではなくて、地方部、地域でも、例えば人口二万人弱の佐賀県多久市では、シェアリングエコノミーの一種でありますクラウドソーシングサービスと提携して、育児や介護で自宅から離れられない方々を対象に在宅でもできる仕事を提供するなど、新たな就業機会を創出する取組を行っております。多久市によりますと、既に三十七人の方がワーカーとして巣立ち、継続的に仕事を受注しているということでございました。

 内閣官房としても、こうした取組が全国に波及し、地域発の新たな働き方のモデルを誘発していくことを期待しております。

浦野委員 今御答弁いただいた中にもありましたけれども、都市部でもちろん有用な活用をする部分はこれからもたくさんあると思うんですけれども、地方、地域ですね、地方でシェアリングエコノミーがむしろ頑張らないとだめなところがたくさん、頑張らないとだめと言ったらちょっとおかしいですかね、活躍できる余地がまだまだあるというふうに私も思っております。

 今、事例もおっしゃいましたけれども、先日、市町村で取り組まれている事例をいろいろと、好事例を発表されていたと思います。

 シェアリングエコノミーを進めたいと思っている方々も、世界的にいろいろな、もう既に取組の事例というのはたくさんあって、大成功をおさめている事例もたくさん、もう既に世界ではあるわけですね。

 じゃ、なぜこの日本でそれがなかなかできないのかというのはあるんですけれども、それはいろいろな、法の規制だったりとか、そういうものが障害になってできない部分ももちろんありますけれども、やはり、これはやれば必ず結果が出せる、そして、結果を出せれば、その事業、シェアリングエコノミーという働き方が定着していくというふうに思うんですね。

 要は、活躍できる場所をそうやってつくっていけば必ず成功していく事例がふえていくと思うんですけれども、今後、そういったことを含めて、どういった展開をしていくかというのをお聞かせいただきたいと思います。

柴崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今、全国展開をどのようにしていけばいいかというようなお尋ねがございました。

 私ども、本年二月に、子育てシェアサービスというものがICT地域活性化大賞というものの総務大臣賞の受賞をするなど、各地でシェアリングエコノミー活用の好事例が生まれているところでございます。そういったことを把握しているところでございます。

 こうした事例を含めまして、シェアリングエコノミーの、地域課題の解決を図った好事例について、先月、内閣官房において、三十七好事例を集めまして、シェア・ニッポン一〇〇という名前で松山大臣から発表いただいたところでございます。

 この事例集につきまして、各種のイベントセミナー等で紹介していくほか、関係省庁がシェアリングエコノミーの支援事業を実施する際に、その参考として応募書類に添付するなど、シェアリングエコノミー活用の道しるべとして活用いただくといったようなことを想定しているところでございます。

 なお、内閣官房では、シェアリングエコノミー活用について知見を有する方々として、シェアリングエコノミー伝道師といったような方々を任命しているところでございます。この全国に派遣している伝道師の皆様による周知も積極的に図っていきたいと考えております。

浦野委員 市町村がこういうシェアリングエコノミーを活用している事例というのもたくさん紹介をいただいたと思うんですけれども、せっかくですので、これはちょっと、僕、通告していたかどうか定かじゃないですけれども、もし何か好事例としてここで例に挙げられるものがあるんだったら、言っていただいていいですか。

柴崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今、ICT地域活性化大賞を受賞した事業者さんとして、アズママという会社でございまして、こちらは奈良県でありますとか秋田県で事業を展開して評価されたといったようなところでございます。

 いわゆる、アズママという会社ですので、ママさんがなかなか、お仕事があって子供の世話などができないといったようなことを、地域で皆様が手助けしながら、仕事を続けていけるといったようなことでありますとか、あるいは、そのほかにも受賞したものとして、地域連携型駐車場シェアといったようなものがございまして、観光地に行きますと、何かイベント等がございますと駐車場が足りなくなるといったようなことで、駐車場シェアなどといった取組も評価されていることなど、こういった事例が全国で、我々が集めた事例では三十七ございまして、今後もたくさん出てくるといったようなことを期待しているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 これからの一つの新しい産業形態だと思いますので、ぜひ進めていっていただきたいんですけれども、これを進めるためには、もちろん主体になっているのは各省庁で、いろいろと省庁間のやりとりもあるとは思いますけれども、やはり、この働き方、新しい働き方にもつながるこういったものに予算をしっかりとつけていっていただきたい、予算をつけて充実を図っていただきたいと思っていますけれども、いかがでしょうか。

山下(雄)大臣政務官 シェアリングエコノミーに対する委員の応援、本当にありがとうございます。

 シェアリングエコノミーは黎明期の段階にありまして、利用者の理解醸成や成功事例の創出などを通じて、政府として活用を後押ししていく必要があるというふうに考えております。

 このため、本年度、シェアリングエコノミーを活用して地域の社会課題解決などを図る自治体のモデル的な取組を支援するシェアリングエコノミー活用推進事業が総務省で立ち上がりましたほか、経済産業省では、シェアリングエコノミーをテーマとしたビジネスマッチングのイベントを開催するなどの取組が進められているところでございます。

 内閣官房といたしましては、こうした取組が成果を上げ、さらなる施策の充実につながるように、各省と連携をして進めていきたいというふうに考えております。

浦野委員 ぜひ、内閣官房、しっかりとこの新しい取組を進めていっていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山際委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。先週に引き続いて質疑させていただきます。

 まず初めに、森友学園問題です。

 三月二十七日に行われた、改ざん問題をめぐる証人喚問で、改ざん当時の理財局長だった佐川氏は、国有地取引については、貸付けも売買契約も適正に行われたと今でも考えておりますというふうに証言をされました。

 しかし、適正に行われたのであれば、なぜ刑事責任まで負いかねない決裁文書の改ざんまでしたのか、全くやはり理解できません。国民の多くが納得していないのは、これは内閣支持率の急落ぶりを見ても、やはり納得していないんだと思います。

 異例ずくめの売払いを前提とした今回の財務省による貸付けの契約と売却、これは、二〇一三年の八月に鴻池元防災担当相の秘書さんが近財と電話しました。で、二〇一四年の四月二十八日に籠池理事長が近畿財務局と打合せをした際、安倍昭恵氏と現地で撮った写真を提示し、そして、昭恵氏自身、小学校新設を応援していることを示唆。その結果、六月二日に、近畿財務局が学園側に、売払いを前提とした貸付けについて協力させていただくというふうに回答をしています。これが経緯ですね。

 しかし、この異例の契約条件のマイナス認識があったんだと思うんですね。なので、鴻池防災担当相と安倍昭恵氏に関する事実経過を決裁文書から消し、さらには、十四文書、三百カ所と、今のところですけれども、いただいているこの報告、これはもう組織を挙げての歴史的な公文書大規模改ざん事件だと思いますよ、それにつながったんだと思います。後ろめたいものがあることを認識していたので、そうした事実が公になると、介在した政治家や安倍昭恵氏に非難が及ぶことになりかねないことが財務省内で容易に想像できたんだと思います。

 適正に処理をしたと考えた結果、理財局長はどうなったかといえば、適正に処理をしたとおっしゃっていますが、文書を改ざんして、国税庁長官の任を途中で放り投げてしまって、そして退職金が減額になり、今後の展開次第ではさらなる厳しい処分を検討すると麻生大臣にも言われて、国会の場でいよいよ証人喚問にまでかけられるということになりました。適正にやっているのに、何とまあという事態だと思います。

 そして、その証人喚問では、誰が何のために公文書を改ざんしたのかということを聞かれて、刑事訴追を理由に、改ざんの有無を含め、言及することを全て拒否したにもかかわらず、安倍総理を含む官邸、安倍昭恵総理夫人、麻生財務大臣の関与ははっきり全くなかったと断定する、予想どおりの異様な答弁ぶりが物議を醸しました。

 そして、理財局のみが改ざんにかかわったとしながら、みずから、佐川さん自身は関与にさえ触れないということで、まるで説得性のない証言だったと思います。

 これまで、政権も太田理財局長も、佐川前局長と一部職員のみに責任を押しつけて幕引きを図ろうとしている状況下に、まさに佐川前局長はそのシナリオどおりの演出をしたということは、何ともこれは哀れに思えて同情を禁じ得ません、そういった声があるということは前回もお話をいたしました。

 そこで、きょうは、佐川さんの後任であります太田理財局長に、お忙しい中、いらしていただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、これは前回富山さんにも伺ったんですが、財務省の中では公文書の改ざんが常態化しているのか、それはノーだという話だったんです。で、富山さんに伺ったのは、公文書の改ざんというのは、やれば刑法上の責務を負う可能性があることを認識していますかと聞きました。このことについて、太田理財局長は認識をしていますでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 決裁文書、公文書を書き換えたということは、国会の御審議に混乱を招いて、国民の信頼を失ったという意味では、大変申しわけないことであります。本当に深くおわびを申し上げなければいけない、本当にそう思っております。

 その中で、今委員がおっしゃられた、そういうことをやれば、もちろん中身によるのかもしれませんが、最終的に刑法上の責任を負うようなことになりかねないということは、当然みんな認識していると思いますし、私自身も当然認識をしております。

篠原(豪)委員 そうですよね。まさに官僚の中の、エリート中のエリートの財務省の皆さんが、私は、やはりこういうことはしっかり知っていると思いますし、その上で、しかし、改ざんが起きて、前理財局長は証人喚問を受けなければいけないという状況になりました。

 前任ですから、いろいろと思うこともあると思いますので、太田理財局長は、この前の理財局長の証人喚問の様子、発言内容を見てどのように感じているのか、率直な感想を教えていただけますでしょうか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 証人喚問について、後任とはいえ、私、一役人が感想を申し上げるような立場ではないというふうに存じております。

篠原(豪)委員 では、聞き方を変えますけれども、太田理財局長は、佐川証人の発言内容、聞いたのは聞いているわけですし、理財局長が知る事実と違う証言というのは中にありましたか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 佐川前理財局長は、議院証言法に基づいて証人として証言をされているわけでございますので、それは、仮に偽証ということになれば重い責任があるということは重々承知の上で御発言だと思いますので、そういう重い発言で発言をされているというふうに私は認識をしております。

篠原(豪)委員 そんなことは聞いていないんです。

 私が聞いているのは、太田理財局長が知っている事実と違う証言がありましたかという、太田さんが御存じな事実と証言が違うのかどうかという、太田さんが知っていることという話を聞いているんです。佐川さんが別に、証言法に基づいてやったという話はみんな知っていますから、そんな説明じゃなくて、そういうことがありましたかということをもう一度教えてください。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私が知り得る限り、全部お聞きしたつもりですが、私が承知していることと異なるようなことを何かおっしゃられたようには思いませんでしたけれども。

篠原(豪)委員 つまり、財務省が関与していたということは、それはおっしゃっているわけですよね、理財局が。御自身が関与したかどうかは言っていないんですけれども。そうですね、ちょっと後でもう少し聞きたいと思いますけれども。

 これだけ国会空転をさせて、改ざんされた文書とうその事実に基づいて、うその事実ですよ、に基づいて一年間、うそを事実として審議してきたわけです。そしてやってきたので、もはや、皆さんが言っていることがどれほど本当なのかということ、何なんでしょうかということですので、先週の質疑で全容解明とお願いをしたわけです。これは官房長官に、何とかよろしくお願いします、さすがにここまで来たら大変でございますというので、お願いをしました。

 そして、お願いをしたんですが、これは何でお願いしたかというと、国民の皆様に、こういう私たちの思い、国民の皆様の思い、政府はいつになったら応えてくれるんだろうか、もう一年かかっていますから。そして、きっと今度こそしっかりやってくれるだろうというふうに淡い希望を抱いたんですけれども、また、その希望が今度は絶望に変わるようなことが今週起きています。これは、八・二億円とされたごみの撤去の未実施についてです。

 これは、先週、私から当委員会で指摘した、改ざん前、改ざん後の決裁文書、どこにも載っていない決裁文書が会計検査院には存在しているという話をしました。しかも、そのどちらの文書からも消されている部分の内容は、二〇一六年三月十一日に学園側から、地中から新たなごみが見つかったと財務省に報告があったという核心的な部分だったというふうに私は理解しています。これは、会計検査院さんから報告をこの場で受けています。

 そして、私が思うには、この新たなごみについて、八・二億円の値引き、ごみを含んだ土を撤去し、新しい土で再び埋め戻す費用で、実際に学園側がこうした撤去を行ったか否かについては、当時の佐川局長は、近畿財務局において適切に対処したと言うのみで、これも国会で明確にお話をしていない部分なんですけれども、これについて、一昨日の夜、NHKの報道から、この内容が飛び込んできたわけです。

 この衝撃的な内容は、去年二月十七日に国会で、学園側のごみ撤去について、この国会の場で、八億円かけてごみを撤去するとなればダンプカー四千台ぐらいになる、実際に撤去されたのか確認したのかなどという野党の追及があって、このことに対して、財務省の理財局の職員がその直後の二〇一七年二月二十日に学園側に電話をして、三日後です、トラックを何千台も使ってごみを撤去したと言ってほしいなどと、うその説明をすることを求めていたということが新たにわかったというふうになっています。これに対して学園側は、事実と違うのでその説明はできないと、学園側の方は断ったそうじゃないですか。

 そこで、この事実経過について間違いないか、教えていただければと思います。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のお話は、おとといの夜七時それから九時のNHKのニュースで報道されたことだというふうに承知をしております。

 翌日も、他の委員会でもその御質疑をいただいて、おっしゃることはよくわかるので、我々として、できるだけ速やかに事実関係あるいはその状況というのを確認をして御報告を申し上げますとお約束をしております。

 それから二日後でございますが、まだその報告できる状態に至っていないのは大変申しわけないと思っておりますが、現時点では、まだそこまで至っておりません。

 ただ、そういうお話があるのは重々承知をしておりますので、できるだけ速やかに御報告できるようにしたいというふうに考えてございます。

篠原(豪)委員 大阪地検特捜部もメール等によってこの事実を把握しているというふうに言っていました。

 速やか、速やかと言うのは、まだ二日しかたっていませんからと言うんですけれども、十四文書を三百カ所、どこからその改ざん前というものが出てきたのか。物によっては、パソコンの奥の奥に入っていたというような話がありました。これを明らかにするためにしっかりと調査をすると言っているんですけれども、もう間もなく一カ月ですよ。それが、中間報告も出さないしみたいな話になってきて、速やかにやっているんですけれどもと言って、ずっと待たされているわけです。菅官房長官は、これは財務省にしっかりと調査をしなさいということを、この間、先週もおっしゃっていまして、こういう姿勢が、本当にやっているのかという話だと思っています。

 さっきのメールというか、これは、メールに書いてそういう指示があったというふうになっているんですけれども、そのメールを確認したかどうかということを、きのうから野党の合同のPTで理財局の皆さんに聞いているんですが、たったメール一つの確認をしたかどうかも言えない状態なんです。

 余りにも国民の皆さんに、きのうの富山次長がおっしゃった中の内容においては、理財局とそして近畿財務局のメールのやりとりがあるから、それは調べればわかるみたいな発言をしているんですよ。どれだけ時間がかかるんですか、その二つを調べる、メールのやりとりを。

 いつになるのか、もう一度教えてください。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員の御指摘は重々承知をしておるので、できるだけ早くというのは、心の底からできるだけ早くと申し上げております。

 いつになるかということが申し上げられるようであれば、それは当然そう申し上げられますが、そういう状況に至っていないので、こういう状況になっています。

 メールのお話もありました。報道で、メールがあるというような報道があったことも承知をしております。ですが、いずれにせよ、事実を確認しないといけないので、その確認のために、まず、おとといの夜、そういう報道があって動かしていますので、お気持ちあるいは御指摘は重々承知をしております。

篠原(豪)委員 済みません、いつまでかという話なんですよね。

 もう一度申し上げますが、メールを確認するのはそんなに時間はかからないわけです。それをずっと、国会が終わるまでやらないんですかということ。だって、一カ月たっているんですよ。十四文書、すぐやりますと言って、何も出てこないわけですよ。一度も何も出てこないですね。そういう状況下において、現況下において、そのお話を誰が信じるかという話であって、では、聞き方を変えます。

 どういう指示を今しているんですか、このメールの確認について。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 遅いという御指摘は重々承知をしております。

 それで、十四文書については、三月二日に朝日新聞の報道があって、それを踏まえて三月十二日に御報告を申し上げました。それは事実関係の確認ということで、これだけ書換え前のものがあって、書換え後のものがこうだということを御報告を申し上げられました。

 その上で、今やっておることは、十四文書については、誰がどういう指示をして、どういう責任があるかということでございます。誰がどれだけのことをやっていた、誰だって自分がやったとは言いたがらない話をやる話でございますので、そういう意味も含めて、申しわけないですけれども時間がかかっている。それは、捜査機関だってそれなりの時間をかけてやられるお話ですので、そういう状況になっているということでございます。

 一方で、今、おとといのNHKのお話は、今委員が御指摘のお話は、まず事実関係を確認せよということですから、それは急いでやらないといけない。その先のところはまたもう一つ難しいハードルがあるような気がしますが、まず事実関係の確認というのは急いでやらなければいけないという御指摘だというのは重々承知をしておりますので、できるだけ早くと申し上げております。

 いつだと申し上げることができる状況であれば、今すぐお答えができるということだと思っておりません。

篠原(豪)委員 もう一つ上の段階って何ですか、ハードルは。

太田政府参考人 それは、十四文書についてと申し上げたことでございます。

 十四文書について事実関係の確認ということで、三月二日に対して三月十二日ということができたわけですが、そのときに、では誰がどういう指示をしてどういう責任を持ってというところが、三月十二日以降、きょうは四月の六日でございますが、そこまでできていない、その部分はもう一つ上のレベル、もう一つ上の段階の話として申し上げたつもりでございます。

篠原(豪)委員 時間がもったいないのでもうこの話はしませんけれども、一つだけ聞きます。

 このメール、こういう類いの関係するメールを、そういうことであれば、いつ出すかわからない。メールだけの確認は早目に出していただけるということですか。

太田政府参考人 まず事実関係を確認するというのが最優先だと思っておりますので、それは要するに、本当に何が起きていて、どういうことがなされていたかということを確認する、それを確定させて確認するということだと思っております。

篠原(豪)委員 だから、全容がわかるまで出さないという話じゃないですか、それだと。何ですか、それは。

 国民の皆さんは、これだけ報道があって、NHKのニュースで七時にも九時にもやっているわけですよ。それで、これだけ野党の、そして国民の皆さんからおかしいじゃないかという声があるのに、全容を解明するまで出さないという話ですか。

 では、聞き方を変えます。

 こんなこと聞きたくないですけれども、太田理財局長は、この関係するメールを御自身で見たことはありますか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、事実関係の確認を行っております。このメールというのが何のメールを指しているのかということもございますので、それは事実関係を確認して御報告申し上げております。

 今委員の、全容を解明して、それだといつまでたってもわからないとおっしゃっておられるのは、多分、十四文書についてまだ最終段階に至っていないということをおっしゃっておられると思います。十四文書について、三月二日で、三月十二日には少なくとも事実関係の一定部分は御報告できたと思っておりますので、そういう意味で、事実関係の確認は何とかできるだけ早くしたいということを申し上げているつもりでございます。

篠原(豪)委員 どのメールかわからないからその答えができないという話じゃなくて、では、報道にあるようなメール、そして理財局の中に近畿財務局とのやりとりをしたメール、見たことないですか。一つでもいいですよ、このまさに報道にある事件について。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員の御指摘はよくわかりますけれども、調査の途中経過というか、一部だけをというわけにはいかないと思っております。それは、きちんと責任を持って御報告を申し上げなければ、途中でまた変わってしまうみたいなことになりかねないですから、そこはきちんと御報告をさせていただきたいと思います。

 十四文書のときでも、事実関係のときで、十二日まで急いでやっているのに、それでもまたおくれたということでございましたから。(篠原(豪)委員「御自身で見たかどうか答えてくれないと」と呼ぶ)

山際委員長 太田局長、もう一度答えてください。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 関係者に聞き取りをする、あるいは、メールならメールといったような証拠となるようなものを確認をするという作業は、当然行ってございます。

篠原(豪)委員 もう一度聞きますよ。

 御自身で見たことはありますか。

太田政府参考人 私自身、関係者から話も聞いておりますし、証拠となるものを確認をしようとして、確認すべきものは確認する作業をしておるところでございます。先ほど申し上げたのは、一般的に申し上げたつもり、私自身がそういうことをしているということで申し上げたつもりでございます。

篠原(豪)委員 否定すればいいものを否定されないわけですから、なぜこのこと一つすら言えないのかというのは、御自身では調べる気はあるんだ、今話を聞いているんだと。メールは、自分でそういうことを出した人は言いたがらないから、わからないからみたいな、全くロジックがなっていないですね。どれをどういうふうにやったらそういうことになるのかわからないんですが、何で、これ、誰が何の目的でやってきたのか、指揮命令系統も含めて、わかるわけですよ、やっているの、誰が誰にメールを送ったかを見れば。

 にもかかわらず、官邸の調査はしないで、自分たち理財局の中だけでやって、官邸は関係ないということだけは、それはもう確実ですと、佐川さんも言い募る。国民軽視、国会軽視、甚だしいんじゃないですか、そういう答えをしているというのは。何でこれを言えないのか。太田理財局長がこんな簡単なことを言えないというんだったら、何かあるんじゃないかというふうに思いますよ。

 私、では、そういうことであれば、もう少しちょっと事実をしっかりと聞きたいと思います。

 きのうの夕刊紙、見ましたけれども、財務省の森友文書改ざんについて、国会で批判の矢面に立つ太田理財局長が、問題の鍵となる秘密会議に出席していたことが発覚した、会議が開かれたのは、朝日新聞が最初に森友問題を報じてから約二週間後の昨年二月二十二日、当時の佐川理財局長が菅官房長官と面会をし、財務省側が報道後初めて森友問題の詳細を説明した場面だった、四日のNHK報道によると、会議の二日前には、国有地値引きの根拠である地中ごみの撤去工事をめぐり、理財局職員が森友側に口裏合わせのうそをつくよう求めていた疑惑も浮上、そして、昨年の二月下旬に財務省が改ざんに手を染め出すころに開かれた会議で一体、何が話されたのかということが書いてあるんです。

 私、確認させていただきたいんですが、去年の二月二十二日、太田理財局長が官房総括審議官のときに、佐川理財局長、航空局次長と、菅官房長官に説明に行かれたというのは事実ですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の当時、私は官房の総括審議官というポストで仕事をしておりました。総理に御説明をするときには、大臣あるいは事務次官というのがついていっていて、官房長官に御説明をするときには、当時、基本的に、官房として総括審議官が、全部ではないですけれども同席をしている、ついていっているということが多かったことは事実でして、そのときに私が同席していたことは事実でございます。

篠原(豪)委員 これは事実なんだと思うんですけれども。

 議事録を読ませてもらいましたが、四月三日の財金の委員会で、太田さんは基本的にこういうことをおっしゃったんです。当時でいいますと官房の総括審議官という者が一緒に行っている場合が多うございまして、この場合は当時の官房総括審議官も同席していることでございます、そういう答弁なんです。

 自分じゃないですか。何でそんなことも話さないんですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 その質疑は、財務金融委員会で、立憲民主党の委員が、何回か御質疑があって、要すれば、随行者で誰の課長がついていったんだというのを盛んにお聞きになるものですから、課長なり課長補佐が、その随行が誰かというところまで言わないといけないというのは、それはちょっと厳しいんじゃないかと思って、そういうやりとりをした後でございました。そのせいか、委員の方は、ポスト名だけを言いなさいというような御質問でございましたので、ポスト名をお答えしたということが事実でございます。

篠原(豪)委員 わかりました。じゃ、きょう、太田さんがちゃんと、行かれた、自分で行ったということをおっしゃられましたので。

 そうしますと、文書の改ざんは二月下旬に始まっています。当時は改ざん前の資料に基づいて答弁していたと佐川さんが答弁しているので、太田理財局長は、改ざん前の資料を見て、二十二日、官房長官に説明しに行ったんじゃないですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど、総理のところには、長官のところにはとお話を申し上げました。そういう意味で、主計局という予算担当部局が行くときも、主税局という税制改正の担当部局が行くときも、国際局という為替内容を担当する部局が行くときも、私はついていったことが多うございまして、基本的にはついていくという身でございますので、説明をするわけでもないし、行くまで何の説明があるかもわからないでついていっているものですから、そのときに、何かを読んで、何かをこうこうしたという状況ではございませんでした。

篠原(豪)委員 そこで何を話されたんですか。

太田政府参考人 それは、森友学園についてのお話だった記憶があります。国会でもたしかお話があったと思いますけれども、たしか航空局さんの方が、要するに公共工事の積算基準みたいなものに基づいてやっているという話をされたという、たしか御答弁があったと思いますが、私自身も、そういう話があったなと、その答弁というか、聞いたときに、そういうふうに思ったことは事実でございます。

篠原(豪)委員 ごく一部だけ、よく覚えていらっしゃるんですね。

 理財局長は、本年の三月十九日の参院予算委員会で、去年理財局長に就任したとき、その時点では書換えがあった事実を知っていたんじゃないかと聞かれて、それは承知していませんと答弁していますが、これは今でも間違いないですか。勘違いして、訂正するなら、訂正してください。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 承知をしておりませんでした。

篠原(豪)委員 そうすると、改ざんの、去年の二月下旬に始まって、二月二十日には、報道のように、本省理財局職員が森友学園のごみの撤去に関して口裏合わせを要請して、断られました。そういう時期なんですよ。

 その二日後に、二月二十二日に、森友学園の関係の幹部の四名の皆さんが、太田さんもそうです、菅長官に会いに行った目的、当然野党の追及にどう対応するかという相談でしょうけれども、その協議の対応方針が決まり、それに基づいて、そのときに改ざんが始まったんじゃないですか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 大変申しわけないですけれども、それは大胆な推測のお話だと思います。そういう事実はないというふうに、私はその場にいましたので、申し上げます。

篠原(豪)委員 じゃ、ちなみに、太田理財局長が総括審議官として長官に会いに行かれたのはこのときだけですか、二月の二十二日だけですか。それとも、その後、行かれていますか、総括審議官として。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 総括審議官として官房長官室に行った回数は多数あります。が、今の御質問は、理財局と一緒に行ったという意味での御質問だというふうに理解する……(篠原(豪)委員「そう、森友学園の問題でね」と呼ぶ)このときだけだったという記憶です、私の中では。ほとんどないので、理財局と行くことは極めてまれだったので、という記憶です。

篠原(豪)委員 長官、今の、理財局長、何か忘れていることはないですかね。会議に行ったりして、森友学園の問題で、まさに二月二十日に、NHKであったようなことがあって、それが、二日後にわざわざ、これだけ四名の幹部が長官に会いに行く、ほとんどないと言っているわけですね。やはり、長官に会うってかなりハードルが高いと思いますし、よっぽどのことだと思うのです。

 そのときに、今のこの報道されているような話というのはなかったんでしょうか。

菅国務大臣 これについても、私、国会で申し上げております。

 森友問題が国会で大きな問題になったので、総理からもしっかり調べるよう指示がありました。当然、官房長官として、関係、理財局そして航空局から土地の売却の経緯等について説明を受けましたし、その際に、公共事業に使う基準で積算して問題ない、そうしたことは承知をしていますし、また、何か問題になるようなことはないということでありました。

 通常、説明するのは局長ですし、総括審議官というのは、そういう意味で全体の流れを、多分ですよ、知るために、さまざまな、例えば金融、為替の問題だとか、そうした問題のときは必ず同席をしております。

篠原(豪)委員 そのときに説明を受けたのは、やはり行政文書を持ってきて、ぱらぱらして見せて皆さん説明するんですよね、長官に。当然、行政文書は行政文書ですから。

菅国務大臣 口頭で説明です。

篠原(豪)委員 そうすると、じゃ、今度は理財局長にお伺いしたいんですけれども、書類を示さないで口頭で説明するというのは、みんな頭に入っていてやるのか、自分たちで書類を見ながらやるのか、そのことを教えてもらえますか。

太田政府参考人 お答えを申し上げます。

 人それぞれだと思いますが、基本的には、頭に入れて話すというのが基本だろうと私は思っています。それが普通の場合、特にしかるべき方にお話しするときに、逆に言うと、頭に入っていない状況できちんと説明はできないので、頭に入れて説明しているというのが基本だと思っています。

篠原(豪)委員 長官、そのときは、じゃ、皆さん、四人とも頭に入れて説明なさっていたんですか。

菅国務大臣 説明は、航空局であり、理財局であります。(篠原(豪)委員「ペーパーは見ていたんですか」と呼ぶ)ですから、口頭だったと思います。

篠原(豪)委員 まあ、そのときの記憶ですから、だったと思うということで、事実はまたこれからいろいろと聞いていきたいなと思います。

 口頭じゃないとなぜまずいかというと、一連の改ざんされる前の公文書を見たことになるんだと思うんですよね。なので、口頭と言っているのか、本当に私、にわかに信じがたいんです。難しい話をして、金額を聞き、こういう事案がどういうふうになっているかというのに、頭に入れて、それで答えられる、即答でできるというふうにはとても思えません。太田さんは優秀なのでできるのか、理財局の佐川さんは優秀なのでできるのかわかりませんが、そういう方は本当に特殊な能力を持っている方だと思います。

 それが、通常口頭でやるというのは、とてもじゃないですが、なかなかわからないということだけは申し上げておきます。

菅国務大臣 誤解があるようなんですけれども、その経緯等、私、説明を受けました。ですから、そういう意味で、書類を見ながら説明ということではなかったです。

篠原(豪)委員 この件で大阪地検は、本来の話に戻しますけれども、背任と証拠隠滅と証拠隠滅教唆で、東京地検は公用文書毀棄で、現在捜査をしていますけれども、今回ニュースであるような口裏合わせがあったということになれば、この行為は、これらの告発以外にも何らかの刑法上の責務を負う可能性があるのか、これをちょっと法務省に教えていただきたいと思います。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 口裏合わせというのが具体的にどういう行為を意味するのかなど、必ずしも明らかではございませんけれども、いずれにしても、犯罪の成否は捜査機関により収集された証拠に基づき個別具体的に判断されるべき事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきます。

篠原(豪)委員 ちょっと時間がないので、それはまた今度聞きますが。

 今回の財務省による公文書改ざん事件は、かつて南スーダンのPKOに派遣された陸上自衛隊部隊の日報をめぐる問題で、日報のデータについて適切に管理するようにと陸自幹部が指示をしたことを受けて、陸自内のデータが一斉に削除されてしまった事件に似ています。もちろん、日報データが保管されていて、事実を公表しないだけではなくて、廃棄の正当性を偽装するために、陸自が組織として保管している公文書でないというような認識を共有したとしています。

 まさに同じような組織的な隠蔽体質が安倍政権下で全省庁に蔓延しているのではないかと思いますけれども、このことについては本当に不思議なことが起きていて、防衛省の、国会で不存在としていた陸上自衛隊のイラク派遣時の日報が見つかった問題。

 これは、昨年の三月二十七日に見つかった。当初は本年一月十二日とされていましたけれども、陸上自衛隊研究本部の教訓課において把握をし、そして三月の五日にこの話をわかったということから、この三月三十一日まで報告もしなかったというようなことがあるんですが、それ以前に、一年も公表までに要しているということなので、シビリアンコントロールの不在の状況が続いたのはなぜかということを、ちょっと、防衛省に来ていただいていますので、済みませんが、一言教えていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の事案につきましては、南スーダンPKOの日報問題の情報公開、文書管理に係る防衛省の再発防止策の一環として、いわゆる日報を含みまして定時報告を統合幕僚監部の参事官において一元的に管理する、こうしたプロセスの中でイラクの日報の一部が発見に至ったということに端を発するものです。

 また、研究本部においてこの日報の一部が発見されたわけでございますが、このイラクの日報の確認時期については、まさに三月三十一日に、このときに防衛大臣から、今般の事案について事務方より報告を受けた際に、防衛大臣から、昨年の二月から三月の研究本部における探索の結果、なぜそのときイラクの日報が発見されなかったのかということを早急に調査し説明するように指示がございました。

 その結果、一昨日、四月四日でございますけれども、陸上幕僚長より、研究本部におけるイラクの日報の確認時期が昨年の三月二十七日であった旨の説明があったことから、これは非常に大きな問題であり、大変遺憾なものであることから、直ちに公表するということで、防衛大臣から公表させていただいたところでございます。

 この事案につきましては、しっかりと事実関係を更に把握する必要がございまして、特に研究本部におけるイラクの日報の確認に関して、当時の防衛大臣等に報告がなかった、この件については、大野大臣政務官をヘッドとして調査チームを立ち上げまして、早急に調査を行っているというところでございます。

篠原(豪)委員 官房長官に伺いたいんですが、防衛官僚が政治をコントロールしようとしたというような、これは不公表事件です。日報の存在を統幕が認識してから公表まで、一カ月以上かかっています。

 ちなみに、鈴木さんは、三月五日に認識をして、御自身は、その後、その文書があるということをどこに、誰に、いつ伝えたということをちょっと教えていただいていいですか。文書課も含めて教えてください。

鈴木政府参考人 昨年の夏からの日報の探索、こうしたことの結果として、二月二十七日の日に、陸上幕僚監部の総務課から統幕参事官の方に、夏から秋にかけて、そして一月を締切りとした作業の結果が報告されたわけでございます。この中で、イラクの日報が含まれていることを確認し、そして、その現物の一部を三月二日に送付を受けた。そして、私の方に三月の五日に、御指摘のとおり、その報告がございました。そして、同日、同じ三月五日の日に大臣官房文書課の方に一報したということでございます。

 その後、やはり非常に、結果として一万四千ページにも及ぶ膨大な文書でございましたので、こうしたものの文書の確認、そして、それがどこに所在していたのか等々、それからさらに、さまざまな関係の、大臣等に説明するに足る、御説明ができるような情報等を集めまして、最終的に、防衛大臣に三月三十一日、その前には、官房長へは三月二十九日、統幕長それから次官には三月三十日に報告をさせていただいた……(篠原(豪)委員「官房文書課は」と呼ぶ)官房文書課につきましては、先ほどの三月五日に、私が承知しました三月五日に、統幕参事官から大臣官房文書課へ一報されているということでございます。

篠原(豪)委員 時間ですので最後の質問にさせていただきたいと思うんですけれども、大臣官房文書課に三月五日に行っているんです。それが長官のところに、あるいは政務に上がっていないとすると、こういうことがありますよと、発見しました、大事件ですから。それを聞いていたのか。聞いていなかったとすると、これはやはりシビリアンコントロールがきかないという大変な問題でもあります。

 今、森友学園の話もしているし、これからどんどんどんどん続いていく話だと思いますし、皆さんいろいろと追及をしていくんだと思いますけれども、この国会で、何でおくれたかと考えれば、森友学園の問題を避ける、同じ時期にやったら大変なことになるのでそんたくしたかもしれないですし、伝わっているのであれば、それはやはり発表しなければいけないし、伝わっていないんだったら、シビリアンコントロールがきいていないということであります。

 こういうことを繰り返してやってしまうと、この防衛省の問題は当然、こういう物事が本当に起きていくと、実力組織がそういった思考を持って、しらばくれて伝えなかったということになれば、これは戦前に回帰するようなことにつながる大問題ですし、政府はこの事の重要性を今どう考えているのかということと、そして最後に、同じ、まさに、こういった組織的な隠蔽体質が安倍政権下で全省庁に蔓延しているんじゃないかということについてどういう御認識があるかということを最後にお伝えいただければと思います。

山際委員長 時間を経過しておりますので、短く答弁をお願いします。

菅国務大臣 まず、財務省における文書の書換え、そして南スーダンPKOの日報データの件、さらにまたイラクの件、いずれにせよ、行政機関における文書管理や情報開示については、政府の説明責任を果たす上で極めて重要であり、各行政機関においてはきちんと対応していく必要がある、そういうふうに考えております。

 いずれにしろ、二度と再びこうしたことがないように、まず、どのような形で、状況の中で、このようなことが起きたかということを、今、大臣政務官のもとに小野寺大臣の命によって調査していますので、こうしたことを明らかにして、二度と再びこういうことがないようにしていきたい、こういうふうに思います。

篠原(豪)委員 これまでずっと同じことをおっしゃっていて、先週も……

山際委員長 時間が来ておりますので、終了してください。

篠原(豪)委員 先週もいろいろやると言ってこういうことが起きていますので、しっかりと本当に対処していただきますようお願いします。

 ありがとうございました。

山際委員長 次回は、来る十一日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十五分散会


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