第10号 平成30年4月13日(金曜日)
平成三十年四月十三日(金曜日)午前九時五分開議
出席委員
委員長 山際大志郎君
理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君
理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君
理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君
理事 寺田 学君 理事 佐藤 茂樹君
池田 佳隆君 石崎 徹君
泉田 裕彦君 大隈 和英君
大西 英男君 大西 宏幸君
岡下 昌平君 鬼木 誠君
加藤 鮎子君 勝俣 孝明君
金子 俊平君 神谷 昇君
亀岡 偉民君 木村 弥生君
小寺 裕雄君 古賀 篤君
杉田 水脈君 高木 啓君
武井 俊輔君 中曽根康隆君
長坂 康正君 西田 昭二君
古川 康君 三谷 英弘君
務台 俊介君 村井 英樹君
大河原雅子君 篠原 豪君
森山 浩行君 山崎 誠君
伊藤 俊輔君 稲富 修二君
柿沢 未途君 森田 俊和君
浜地 雅一君 濱村 進君
中川 正春君 塩川 鉄也君
浦野 靖人君 玉城デニー君
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国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 小此木八郎君
国務大臣
(規制改革担当) 梶山 弘志君
農林水産副大臣 礒崎 陽輔君
内閣府大臣政務官 村井 英樹君
内閣府大臣政務官 長坂 康正君
総務大臣政務官 山田 修路君
財務大臣政務官 今枝宗一郎君
厚生労働大臣政務官 田畑 裕明君
国土交通大臣政務官 簗 和生君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 原 邦彰君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局長) 河村 正人君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 村上 敬亮君
政府参考人
(警察庁長官官房長) 松本 光弘君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 山下 史雄君
政府参考人
(警察庁交通局長) 桝田 好一君
政府参考人
(消費者庁審議官) 東出 浩一君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 堀江 宏之君
政府参考人
(外務省北米局長) 鈴木 量博君
政府参考人
(財務省理財局長) 太田 充君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 瀧本 寛君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 小川 良介君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 前田 泰宏君
政府参考人
(防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 小波 功君
政府参考人
(防衛省地方協力局長) 深山 延暁君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
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委員の異動
四月十三日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 石崎 徹君
大隈 和英君 木村 弥生君
大西 宏幸君 古川 康君
岡下 昌平君 勝俣 孝明君
神谷 昇君 中曽根康隆君
亀岡 偉民君 大西 英男君
森田 俊和君 伊藤 俊輔君
同日
辞任 補欠選任
石崎 徹君 務台 俊介君
大西 英男君 亀岡 偉民君
勝俣 孝明君 岡下 昌平君
木村 弥生君 大隈 和英君
中曽根康隆君 神谷 昇君
古川 康君 大西 宏幸君
伊藤 俊輔君 森田 俊和君
同日
辞任 補欠選任
務台 俊介君 鬼木 誠君
同日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 池田 佳隆君
―――――――――――――
四月十二日
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
古物営業法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)(参議院送付)
内閣の重要政策に関する件(公文書管理)
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○山際委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、古物営業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長松本光弘君、警察庁生活安全局長山下史雄君、警察庁交通局長桝田好一君、消費者庁審議官東出浩一君、経済産業省大臣官房審議官前田泰宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山際委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。金子俊平君。
○金子(俊)委員 おはようございます。自由民主党の金子俊平でございます。
一つ安心したのは、十三委員会室では初めて質問させていただきますけれども、マイクの高さが初めて合いました。気持ちよく質問をさせていただけると思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、今回、古物営業法の一部を改正する法律案、多分、寺田先生、ちょっと低過ぎる、ほかの部屋、なかなか狭いんだと思いますけれども、改正する法律案に関して質問をさせていただきます。
現在、古物営業、リユースの市場でありますけれども、三兆円を超えておりまして、我々消費者にとっても、また国民にとっても非常に便利な存在になってきたのではないのかなというふうに思います。また、リユースショップとかリサイクルショップというものも非常に我々にとって身近な存在になってきた。
もともと中古車、三兆円のうちの半分以上、五七%ぐらいは中古車だったというふうに認識をしておりますけれども、中古車はもともと非常に身近な存在であるんですけれども、それ以外の分野も非常に市場が伸びてきた、それが原因なんだというふうに思います。
また同様に、いわゆるヤフオクに代表されるようなインターネットオークションの世界も非常に大きな市場を持っておりますけれども、近年では、それに負けず劣らずインターネットのフリーマーケットサイト、いわゆるフリマサイトも順調に成長を遂げてきておりまして、古物営業の世界というものは、我が日本国の経済、そしてまた雇用という部分を考えても、やはり我々にとっては注目をせざるを得ない分野、また同時に、リユースということを根づかさせてくれるということを見ても、大事に育てていくべきものであるというふうに思っております。
時代の流れ、また社会の流れ、いろんなニーズを酌み取って、規制というものは改革をしていく、できるものは改善をしていく、それが大事なことであるというふうに私は思っておりますけれども、一方で、この古物営業法の一番の目的は、やはり盗品の売買の防止をいかに防ぐのか、また、防止をして、その結果、国民をどうやって守っていくのか、この一点だというふうに私は思っておりまして、規制を改革する、若しくは盗品の売買を防止する、両方の観点から非常に難しいバランスをとりながらの、多分いろいろ今回の法改正の案だったというふうに思います。
早速でありますけれども、以上のことを踏まえて、数点、質問に入らさせていただきたいというふうに思います。
まず、小此木大臣に、早速でありますけれども、お伺いをさせていただきます。
今回の法改正全般を通じて、我が国、また我が国民に、消費者にどのようなメリットがあるのか、またどのような経済効果があるのか、全般を通してで結構でありますので、お答えをいただきたいというふうに思います。
○小此木国務大臣 おはようございます。
今回の古物営業法の一部改正でありますけれども、今、金子委員がいろいろとお話をいただいたところが全般的なところだと思います。
近年、複数の都道府県で営業を行う古物商の数が増加をしてまいりました。古物営業の業態の変化も進んでまいりました。業界から許可単位の見直しなどの要望が寄せられたものが、まず、こういったことを踏まえたものであります。
このたびの改正によって、許可制度の見直しについては、古物商等の手続的負担の軽減が図られることにより都道府県にまたがる展開が容易になり新たなビジネスチャンスの拡大に寄与するという効果、営業制限の見直しについては、古物商の買取り機会の増加等により売上げの増加といった効果、こういったものが期待されるものと認識しています。
指摘をされましたけれども、平成二十七年度の環境省における調査によれば、中古品市場の推計規模は約三兆一千億円、三兆円を超えているというところであります。今回の改正の経済効果について、一部業界団体の試算でありますけれども、年間六十億円を超えるという数字も見込まれています。そういう意味では、古物商だけじゃなくて、消費者にとっても経済に資するものであるというふうに期待はしています。
いずれにせよ、営業の制限の見直しについては、その性質上、全ての事業者にとってメリットがあることに鑑みれば、相当な経済効果が見込まれる。一方で、御指摘がありましたように、盗品の売買、こういったことについては、しっかりと注視、監視をしていかなきゃならないというふうに思っております。
○金子(俊)委員 大臣、ありがとうございます。
それでは、個別具体的な内容に関しまして議論に入らさせていただきたいというふうに思います。政府参考人の皆様、どうぞよろしくお願いをいたします。
まず、本法律案の目玉と思われる、許可単位の見直し、また営業制限の見直しに関して、それぞれ同時にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
まず、許可単位の見直しでございますけれども、現行法では、古物営業を行うためには、各都道府県公安委員会の許可を受ける必要がございました。今回の法改正によりまして、都道府県公安委員会の許可はそのままにしつつも、新たに他県で営業所を設ける場合は届出をしなさい、届出で済む。まさに行政手続の簡素化を進めていただいた非常に好例だというふうに思っておりますし、また、私自身も評価をさせていただいておりますけれども。
市場を開拓される又はほかの県にどんどんどんどん伸ばしていきたいという業者の皆さん、また業界側の皆さんにとっては、非常に時間が短縮できる。約四十分というふうにお伺いをさせていただきましたけれども、多分ニーズがあるのかな。また、出店もしやすくなる。非常にメリットがある。いいことだというふうに思っております。
また、営業制限の方の見直しに関してでありますけれども、今までは、古物商は営業所か取引相手の住所又は居どころでしか物を受け取ることができない。言いかえれば、買い取ることができないということと同義だというふうに思っておりますけれども。売れるけれども受取ができない。それが、今回の法改正では、同じく届出をすれば、現行では禁止されている、例えば百貨店のイベント会場であったり、またマンションのエントランス等々、場所を自由に裁量ができる。お客さんとの接点をふやそうと思って営業努力をして、そういう接点をどんどんどんどん大きくできる。これもまた非常に業界側にとってもメリットがあることであると同時に、我々消費者にとっても、逆に気軽にという言い方は語弊があるかもしれませんけれども、手早く、また身近に不用品をリユースできるいい機会を設けていただいたんだというふうに思います。
年々大きくなっているその市場、経済のさらなる起爆剤になり得る本当にきっかけになると思っておりますので、また警察庁の皆様方には頑張っていただきたいというふうに思います。
そもそも、平成二十六年の規制改革ホットラインに寄せられた具体的な要望項目で、今の内容とほとんど同じなんだというふうに思いますけれども、既に古物商の許可を得ていれば、新たな県で許可ではなくて届出のみでオーケーにする要望、また、百貨店でのイベントやマンションでのエントランス等の解禁を柱とする旨の内容が寄せられました。
その要望に対して、当時は、許可単位に関しては、各都道府県公安委員会による実態把握及び実効的な指導監督、また各都道府県公安委員会の相互独立の観点から、対応は困難というまず返答をされた。また、営業制限の見直しに関しては、相手方の確認並びに帳簿などへの記載などの義務を課しており、受取の場所については制限を設けているので認められない。これは四年前だったというふうに思います。一回目はその要望に対しての改正を拒否をされたわけでございます。
その判断の中には、多分やはり、先ほど小此木大臣が御答弁をいただいたとも思いますけれども、盗難品の防止を一番の目的とする、それによって我々国民を守っていくんだという判断が一番最初にあって、当然いろいろ中で御検討をしていただいたんだと思いますけれども、苦渋の決断だったというふうに認識をしております。
そこで、お伺いをさせていただきます。
今回、改正案を検討していただく中で、新たに二十二条で仮設店舗への立入り、二十七条で各県公安委員会との情報共有という、大きな目玉の政策二つに対してそれぞれ対策をしていただいて、我々国民にとっては不安を和らげていただいているわけでありますけれども、そもそも四年前、この要望が出たタイミングで、その二十二条とか二十七条とか、そういう対策に関しては四年前に打てたわけでありますので、今改正へとかじを切ったということであるのであれば、警察庁が考える何らかの社会的変化とか若しくは狙いの変化があったんだというふうに思いますけれども、その辺はどうなんでしょうか。お答えをいただきたいというふうに思います。
○山下政府参考人 平成二十六年度の規制改革ホットラインの提案に対する検討におきましては、都道府県公安委員会による古物商の適切な指導監督の観点、また盗品の売買防止等の観点から、当面現行制度を維持することが適当と考えられましたことから、その時点では対応不可としたところでございます。
しかしながら、その後、複数の都道府県で営業を営む古物商が増加をする、また百貨店などの一時的な特設会場での古物の買受けを行いたいというようなニーズがある、こういった古物営業の実態、この実態に応じた規制の観点から継続的に検討を進めていたものでございますが、昨年三月、規制改革推進会議の行政手続部会の取りまとめにおきまして、各省庁が行政手続コストの削減に向けた取組を進めるべきこととされましたことも踏まえまして、更に検討を深めるべく有識者会議を開催し、その提言を受け、今回の改正案を立案するに至ったものでございます。
○金子(俊)委員 ありがとうございます。
今の御答弁の中で、実態に応じた、これは多分参議院の和田委員、また西田委員の質問に対しても同じような御答弁をしていただいておるんですけれども、この実態に応じた規制の観点の中の、実態に応じたというのは具体的にどういうことなんでございますでしょうか。
○山下政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、一つは、複数の都道府県で営業を営む古物商が増加をするなど、古物商のいわば全国展開というものが進んでいるというような業界における実態というものがございます。それによりまして、やはり手続的な負担を軽減をしてもらいたい、こういった要望があったところでございます。
また、先ほども御答弁申し上げましたとおり、百貨店などの一時的な特設会場での古物の買受けというものを行いたい。実際、百貨店などの一時的な特設会場での販売というようなことはもう実態として行われているわけでございますけれども、その場所で古物の買受けも行いたい、こういったニーズがある、こういった御要望も受けているということでございます。
○金子(俊)委員 ありがとうございます。
次に、仮設店舗での古物の受取に関して質問をさしていただきます。
基本的に、今後は届出制になるということであります。届出をすれば、例えば道路交通法などなどほかの法律に規制される場合を除いて、全ての場所、どのような場所でも、日時それから場所が特定できれば届出で済む、古物の受取が許可をされるというふうに解釈をしておるんですけれども、この解釈で間違いないでしょうか。
○山下政府参考人 まず、今回の改正で、仮設店舗におきまして古物の買受け等のための受取を行う場合には、仮設店舗を設ける場所を管轄する都道府県公安委員会に対しまして、事前に日時、場所を届出させることとしてございます。
こうしておりますのは、当該届出を受けた公安委員会が、その届出に基づき、古物商による本人確認や帳簿の記載等の義務の履行状況を確認をするなど、古物商に対する指導監督を適切に行うことができるようにするためのものでございます。
その上で、仮設店舗の場所につきましては、古物営業法とは別に、ただいま委員御指摘の、例えば道路上の受取であれば道路使用許可が必要であったり、また、百貨店の催事場等での受取であれば当該施設の管理者の許可が必要になったりする場合がございます。その仮設店舗の出店に伴いまして、通常必要とされている手続が仮設店舗の届出を行うことによって不要になるというものではございません。
○金子(俊)委員 ありがとうございます。
いわゆる古物の受取というのは、当然その受取と同時に金銭の授受が伴うわけでございまして、私自身は、社会通念上、この場所では金銭の授受はふさわしくないという場所も多分あるんだろうというふうに思います。そこはいろいろな解釈があるんだろうというふうに思いますけれども、ぜひまた今後検討の余地を残していただきたいなというふうに思います。御答弁は求めません。ありがとうございます。
それでは、次に行かさせていただきます。いわゆるインターネット、フリーマーケットサイト、フリマアプリの議論に入らさしていただきたいというふうに思います。
大臣にお聞きをするのは大変失礼だというふうに思うんですけれども、メルカリをお使いになられたことはございますか。
○小此木国務大臣 失礼ではありませんけれども、ありません。ただ、仲間に聞いて、どういうふうにやるのか、教わったことはあります。
○金子(俊)委員 ありがとうございます。
せっかくでありますので政府参考人にもお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、通告もしていないので大変恐縮ですけれども、ヤフオクをお使いになられたことはございますでしょうか。
○山下政府参考人 お尋ねでございますので。私は、ヤフーオークションを使ったことはございません。
○金子(俊)委員 大変失礼をいたしました。ありがとうございました。
私自身は、メルカリもヤフオクも使わさせていただいたことがあるんですけれども、非常に商品がやはり豊富、ネットですぐに商品を探せる、実際の店舗よりもやはり便利、それは我々消費者も感じている。だからこそ、多分、市場も順調に伸びていっているんだというふうに思います。
それでは、インターネットのオークションサイトとインターネットのフリーマーケットサイト、一体何が違うのか。いろいろな、多分、違いをおっしゃる方はいらっしゃるんだろうというふうに思いますけれども、私自身は、一番の違いは、やはり値段のつけ方。定価なのか競り方式なのか。もちろん、両方とも交渉すれば値下げもできるらしいですけれども、それが一番の私自身は違いなんだというふうに思います。
消費者、我々国民は、みんなお使いになられている方は賢いですから、うまくそれを使い分けられていて、世代の違い、また扱われる、取り扱う商品の違い、いろいろな部分で多分、買う側も売る側も使い分けられているんだというふうに思います。また、急いで売りたいのか、じっくり売り買いをしたいのかにも違いが出てくるんだろうというふうに思います。
さて、参議院の内閣委員会の議論の中で、フリーマーケットアプリに関しましては、有識者会議の報告書で、自主的な取組を強化されていることなどから、まずは自主規制の状況を見守ること、そして、自主規制のままでは盗難防止などの観点から不十分だというふうに判断をしたら初めてそこで法改正の準備、検討に入るというような御答弁またやりとりがあったというふうに認識をしております。
市場経済の規模が拡大をする中で、市場を守るということは非常に大事なことというのはわかりますけれども、私が一番よくわからないのは、今回の古物営業法というものは、一番はやはり盗難品の防止、そして、ひいては国民をそれを通じて守っていくことだというふうに理解をしておりますけれども。
既に規制のある古物競りあっせん業と、自主規制でスタートをする予定であるインターネットフリーマーケットサイトでは、警視庁の見解では、盗難品の売買取引が行われる危険度が違うのか、自主規制と、既に規制がある、盗難品の扱われる危険度が違うというふうに見ているのか。そこをまず御答弁をいただきたいというふうに思います。
○山下政府参考人 まず、御指摘のインターネットオークション事業者につきましては、盗品等の処分に利用されやすい場所であり、かつて盗品処分が非常に多発をした、こういった経緯に鑑みまして、古物営業法におきまして古物競りあっせん業者として届出制とされたところでございます。古物の売却をしようとする者の本人確認や、取引記録の保存の努力義務を課すなど、必要な規制を行っているところでございます。
他方、フリーマーケットアプリ等でございますけれども、一部に盗品等の売買、こういった実態、そういった事例もあるということの中で、大手事業者でありますメルカリが、昨年十二月からでございますけれども、自主的に本人確認を始めた。こういった状況に鑑みまして、委員御指摘の昨年十二月の有識者会議の報告書では、まずはこういった自主規制、自主的な取組を見守るということとされたところでございます。
私どもも、こういったことを踏まえまして今回の改正案を起案をいたしたところでございます。
○金子(俊)委員 ありがとうございます。
少しちょっとわからない点があったんですけれども、いわゆるインターネットオークションサイト等は既に規制がある。一方で、フリーマーケットサイトは自主規制で済む。そこに危険度の違いがないのであれば、なぜ規制を同列にしないのか。ちょっとよくわからない点がありますけれども、時間が来ましたので、最後の質問に入らせていただきたいというふうに思います。
競りあっせん業者、いわゆるヤフオクと認識していただければわかりやすいんですけれども、を使っていただく場合には個人を本人確認する、今それが規制の内容で定義づけられているんだというふうに思いますけれども、口座認証かクレジットカードの認証か、また、口座認証、クレジットカードができない場合……
○山際委員長 時間が来ていますから、手短にお願いします。
○金子(俊)委員 はい、大変失礼しました。
あっせん業者が落札者から代金を預かり、出品者本人名義の口座に振り込むこととありますけれども、今後、その自主規制の中で、警察庁が求める義務というものは、この三つの本人確認と同義のもの、我々にとって使いやすい環境であるのかということが一番大事なんですけれども、同義の本人確認、若しくは自主規制を求めていただけるのか。最後に答弁をいただきたいというふうに思います。
○山下政府参考人 先ほど御答弁申し上げました、昨年十二月から大手事業者であるメルカリが始めました本人確認、これはインターネットオークション事業者に求められている程度と同程度のことでございます。私ども承知をいたしますものでは、ちなみにメルカリにおきましては、最後先生がおっしゃりましたいわゆるエスクロー方式、このレベル、この形での、インターネットオークション事業者に求められているのと同程度の自主規制が行われていると承知してございます。
○金子(俊)委員 ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。
○山際委員長 次に、佐藤茂樹君。
○佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。
きょうは、古物営業法の一部を改正する法律案に対しましての質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
これは参議院先議の法案でございまして、私も参議院の議事録を読ませていただきました。この件については後ほど、時間のある限りしっかりとやらせていただきたいんですが、きょうは小此木国家公安委員長にお越しいただいておりますので、現下の警察行政に関係する重要事項について若干二問ほどお聞きをして、その後、法案審議に入りたいと思います。
一つは、一昨日、前代未聞の衝撃的な、そして重大な事件が起きました。四月十一日午後八時五十分ごろ、滋賀県彦根市南川瀬町の県警彦根署河瀬駅前交番で、この交番に勤務する彦根署地域課の井本光巡査部長が血を流して倒れているのを同署員が発見しました。拳銃で後頭部と背中を撃たれており、搬送先での死亡が確認されました。その後、逃げていた同僚の十九歳巡査が殺人容疑で逮捕されました。この事件は、容疑が事実とすれば、現職の警官が警官を撃って殺害するという前代未聞の重大な事件でございまして、国民の信頼を裏切る許しがたい行為であります。
警察官や自衛隊員というのは、我が国において武器の携帯を許されている数少ない職種でございます。そういう立場については、国民が信頼を置いているから成り立っているわけでございますが、その職にある者が、職務上貸与された拳銃を使って、しかも交番の中で同僚を殺害するなどということは、いかなる理由があっても許されるものではありません。
今後ぜひ、動機の解明など、真相解明に全力を尽くしてもらいたいと思いますし、この容疑者は、昨年四月採用されて、ことし一月二十九日に県警察学校を卒業し、同日彦根署に配属されたそうでございますが、約二週間前の三月二十六日からこの井本巡査部長とともに同交番の勤務となり、井本巡査部長が教育係を務めていたということでございますが、この人物の警察官としての適格性、さらには警察学校での教育訓練状況にまでさかのぼって原因を徹底して究明して、二度とこのようなことが起こらないよう再発防止策を明らかにしていただきたい、そのように考えますが、この事件に対する国家公安委員長の見解を伺っておきたいと思います。
○小此木国務大臣 大変に残念なことが起こりまして、私自身も驚きましたし、国民の皆さんに大きな不安を与えてしまっている状況、これは何とかしなきゃならないというふうに思っています。大変に厳しい思いを私自身持っています。
事案については、今委員がおっしゃったとおり、四月十一日、一昨日のことでございます。警察官を警察官に対して貸与された拳銃で殺害をした、初めての事案と承知をいたしました。滋賀県警察において、事案の全容解明に向けて今全力を挙げております。まずは、この捜査により、明らかにならなきゃいけない事実、こういったものに即して、厳正に対処するものと認識しています。
また、委員がおっしゃいましたように、警察学校による教育、これも極めて重要なものであると思っています。
本件については、その背景も含め、先ほど申し上げたように捜査中でありますが、警察官の新任教育について、警察学校における研修の充実と効果を高めることが重要でありまして、規律高い組織の構築に向け、二度とこういうことがないように、これは言葉だけではなくて、しっかりと、先ほど申し上げたように厳しい思いを持ちながら私自身も力を尽くしてまいりたいと思いますし、警察にもさらなる努力をしていただくことによって、国民の信頼の回復あるいは期待に応えるということについて、なお引き続き努力をしてまいります。
○佐藤(茂)委員 ぜひ、これは周辺住民だけではなくて、マスコミ等で全国にも流されておりますので、もう一度やはり国民の信頼をしっかりとかち取るためにも、きちっとした厳正な捜査及び再発防止策をお願いしたい、そのように思う次第でございます。
もう一つは、この時期なので、あえてこの四月に質問をさせていただきたいと思うんですが、小学一年生の交通事故についてでございます。
三月の二十二日に、警察庁交通局が、児童生徒の交通事故ということで、警察庁の分析した結果を発表されました。その中の、幾つかあるんですが、一番特徴の一つとして、これはマスコミ、読売新聞なんかも報道しておりますが、二〇一三年から一七年の五年間に起きた歩行中の小学生の交通死亡事故数について警察庁が分析した結果、小学一年生が三十二人で最多だったことがわかった。
警察庁によると、歩行中の死者は、小学一年生が三十二人、二年生二十二人、三年生十三人、四年生八人、五年生五人、六年生は四人、学年が上がるごとに死者は減る傾向が確認された。また、同庁によると、負傷者は、一年生が七千四百二十九人だったのに対し、六年生は二千八十一人だった。年齢別の人口十万当たりの死傷者数は、七歳が百三十三・八人、七歳というのは小学一年生ですが、これが全年齢で最多だったとありました。
月別では、入学式から夏休みまでの四から七月と日が暮れるのが早まる十、十一月に事故がふえる傾向がある、時間帯は登校時間の午前七時台と下校時間や放課後の午後三時から五時台に集中していたという、そういう分析に基づいた記事でございました。
このように、交通事故の死傷者は小学一年生が際立っているわけであります。やっと小学校に入学したばかりのお子さんが、交通事故に巻き込まれて死傷するのは防がなければなりません。
小学一年生は、単独行動するようになったばかりで、危険を察知する能力も低く、交通ルールが身についていない面もありますし、注意力が未発達で、興味あるものに無意識に関心が行き、予測のつかない動きをする面もあるということを言われている専門家もいらっしゃるわけでございます。
ただ、登下校時には、私の地域もそうですが、地域の皆さんがそれぞれ御努力されて、安全パトロールであるとか見守り隊として通学路に立たれて、小学生の安全な登下校に注意を払っておられる地域も多くあるということも承知しているんですが。
警察庁として、あえてこの三月の二十二日の日に出されたのは、多分、子供さんたち、また保護者の皆さんへの注意喚起も含めてこういうことも発表されたのかなとは思いますが、その上で、みずからのこの警察庁の分析を踏まえ、なお一層、小学校一年生を含め、小学校低学年はもちろんですが、小学校に通われる前の幼稚園や保育園から、学校や幼稚園、保育園、そして保護者の協力もいただいて、積極的な交通安全教育を進めていく必要があるのではないかと考えます。
小学一年生等への交通安全対策として取り組まれていることについて、あるいは、新しく取り組まれようとしていることについて、国家公安委員長の答弁を求めたいと思います。
○小此木国務大臣 これも御指摘のとおり、次代を担う子供たち、これを交通事故から守ることは極めて重要でありまして、調査の結果も、この五年で、小学生の歩行中の死者数というものを見ましても、小学校六年生と比べて八倍という数が数字として出ています。
現在、四月の六日、先週の金曜日から春の全国交通安全運動も行われておりますけれども、この点に重点を置いて取り組んでいるところであります。
これまでも、子供の交通事故を防止するため、関係機関や民間の方々と連携し、通学路における危険箇所の点検や改善、そして、見守り活動、交通安全教育、広報啓発などに取り組んできたものと承知をしています。
私自身も、もう四十数年前になるんでしょうけれども、どちらかというとわんぱく少年で、そういうことを思い出すと、町におっかないおじさんがいて、やはり、おっかなかったけれども、命を大切にしろということを物すごく言われたような、これは親に限らずですね。だから、急に飛び出すなとか、横断歩道は手を挙げて右左をちゃんと見なさいと言う人がいました。
今、そういう状況がまたちょっと許されるか許されないか微妙な時期にありますけれども、しかし、小学校入学前の幼児に対しては、基本となる交通ルールや交通マナー等を習得させるため、幼稚園、保育所、保護者等と連携をして、そういったところに関心を更に持っていただくという努力をすることが非常に大切であろうと思いますので、そういう角度からも警察を指導してまいりたいと存じます。
○佐藤(茂)委員 ぜひお願いをしたいと思います。
それでは、古物営業法の一部を改正する法律案の内容について御質問させていただきたいと思います。
先ほど、自民党の金子委員の方からもございましたけれども、まず、この法案の法改正で、我々立法府の人間として不思議なのは、一つ目の大きな柱である許可単位の見直し、あるいは営業制限の見直しについては、平成二十六年の五月の内閣府の規制改革ホットラインへの提案として既にあったわけですね。そのときには、簡単に言うと、警察庁は、検討の結果対応不可、そういうふうに回答されておりました。
にもかかわらず、実態は変わっていないと思うんです、それから四年後の今回の法改正案では、今の例えば許可単位の見直しということについて言いますと、主たる営業所等の所在地を管轄する公安委員会の許可を受ければ、その他の都道府県に営業所等を設ける場合には届出で足りることとするという許可単位の見直しを行うこととされたわけでございますが、その理由は何ですか。さっきの、実態に即してというのは、余り説得力のある説明じゃないと私は思うんですね。
さらには、有識者の報告書、そういう過程を経ましたとか言うんだけれども、それを踏まえて、警察庁として、やはり、一旦、四年前に対応不可だとしている判断を、こうこうこういう理由で変えましたということを明確に示さないと説得力がないと思うんです。
四年前に対応困難とされていたのに、百八十度今回改められた理由について御答弁をいただきたいと思うんです。
○山下政府参考人 先生御指摘のとおり、平成二十六年の規制改革ホットラインの提案に対する検討におきましては、都道府県公安委員会による古物商の適切な指導監督及び盗品の売買の防止の観点から、当面、現行制度を維持することが適当だと考えられたことから、その時点では対応不可といたしたところでございます。
一方で、先ほども御答弁を申し上げましたけれども、やはり古物商の実態というものが変わってきつつございました。私どもも、そういった状況を把握をいたしながら、一つは、事業者の全国展開というものがふえてきているということ、もう一つは、デパートの催事場等で古物の販売というようなものが行われている、そういう中で買取りを行いたいというニーズ、これは、実はさまざまな規模の事業者の方からの要望があったというところでございます。
昨年三月の規制改革推進会議行政手続部会で、行政手続コストの削減に向けた取組を進めるべきだということも、これはやはり政府全体の取組ということでございますので、そこも更に契機となったところでございます。
有識者会議の御議論もそうでございますけれども、この夏には、かなり幅広く事業者団体あるいは個別の古物商さんからの実態調査をいたしました。そうしましたところ、今御答弁を申し上げたようなニーズが、規模の大小を問わずかなり広くあるということ、これを踏まえたところでございます。
一方で、古物営業法の目的、これは、盗品の売買の防止ということでございます。やはり盗品の売買防止ということと、そして今回の制度改正、規制緩和ということ、これのバランスをどう図っていくのか、これはかなり慎重な議論が必要だということで、内部の検討を行った上で有識者会議にもお諮りをいたしまして御提言をいただき、そして今回の改正に至ったということでございます。
○佐藤(茂)委員 ということで、四年前よりは更に慎重な今検討を、事業者、当事者たちの声も聞いた上でのそういう判断だというように承りました。
そこで、有識者会議の報告書の中にも述べられているように、今回、許可単位の見直しをすれば、メリットも当然出てこようかと思います。例えば、複数の都道府県で営業を行う古物商にとっては、コスト削減等のメリットがありますし、さらに、行政の方も、それぞれの都道府県公安委員会において許可審査を行う必要がなくなるということは行政コストの削減にもつながる。そういうこともメリットは考えられるんですが、他方で、今本当に、局長がおっしゃったように、全国における営業展開が容易になることから、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るという法目的の達成に支障を来すことのないように、必要な対策を、警察庁としては検討の結果どのように講じられようとしているのか。
また、平成二十六年当時、警察庁としては、対応不可の理由として挙げられていたのが、各都道府県内の治安維持について責任を有する各都道府県公安委員会による的確な古物営業の実態把握及び実効的な指導監督、これができるんだと。しかし、今回、そうじゃない体制になるんですね。だから、そこについてどうされるのか。
そして、相互独立性という現行制度のすぐれていた点ということを強調されていたんですが、そういうように、こうだからできませんと言われていた、そういう理由として挙げられていたものを、どのようにしてこの法改正後確保されていくのか、警察庁の見解を伺いたいと思います。
○山下政府参考人 このたびの制度改正におきまして、許可制度の見直し、主たる公安委員会の許可をとれば、それで、ほかの都道府県に展開するときには届出で足りる、許可が一本になる、こういうことでございます。
一方で、それぞれの都道府県の公安委員会において、管轄、その管内における古物商に対する指導監督、これは引き続ききちんと適切に行われなきゃいけない。こういう観点から、許可を行う主たる営業所等の所在をする都道府県公安委員会以外の公安委員会におきましても、管轄区域内に所在をする営業所に対しまして指示、営業停止の行政処分等の指導監督を行うことができる。取消しは許可を出した主たる営業所だけでございますけれども、指示、営業停止の行政処分につきましては主たる営業所とあわせてそれ以外の公安委員会においてもできる、こういう制度といたしたところでございます。
また、それぞれの都道府県公安委員会がきちんと情報共有をすることが必要だと。まさに事業所の全国展開というのがありますし、それから仮設店舗というのも、そこでの買取りが幅広く行われるようになるということでございますので、こういった許可、あるいは届出の内容、あるいはまさに行政処分をしたというその処分の情報と、これを効果的に共有をするということでの規定も設けたところでございます。
もとより、古物商に対しましては、引き続き本人確認等の義務が課せられる、公安委員会の立入り等の監督も行われるということでございますので、これらの制度の運用によりまして、古物商に対する指導監督を引き続き適切に行ってまいりたいと考えております。
○佐藤(茂)委員 続いて、営業制限の見直しについて、これも金子委員なんかと重複を避けたいと思うんですが、この営業制限の見直しによって、百貨店や集合住宅のエントランス等のスペースを活用したイベント会場等においても古物の受取を行うことができるようになるということで、ビジネスチャンスは広がるんですが、ただ、私がお聞きしたいのは二つ目でございまして、古物商が仮設店舗において古物を受けることができるようになるには事前に都道府県公安委員会に日時、場所の届出をすることとなっているんですけれども、これは有識者会議の報告書の中でも、頻繁に届出を行うことになる可能性もあることから、この届出の方法については、古物商にとって過度の負担とならないよう、制度設計する際には考慮する必要がある、そういう指摘がなされているわけでございます。
古物商にとって過度の負担とならないよう、届出の方法についてどのような制度にされるのか。今は検討段階かもわかりませんが、警察庁のお考えを伺いたいと思います。
○山下政府参考人 まず、今回の改正案におきましては、御指摘の当該届出につきましては、事業者の負担軽減の観点から、仮設店舗の所在地に営業所がない場合には営業所の所在地を管轄する公安委員会を経由した届出を可能としたところでございます。
また、現行におきまして添付書類の提出を要しない届出につきましては、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律及びそれを受けた国家公安委員会規則によりまして、オンラインで行うことが制度上可能となっているところでございます。
この届出を行う古物商の負担軽減の観点から、今後、これには都道府県警察におきましてオンライン手続に必要な設備の整備が必要となってございますので、こういったものが進められるように働きかけを行ってまいりたいと思っております。
○佐藤(茂)委員 時間が参りました。
ぜひ今回の法改正は、やはり本来の、盗品等が行き来してしまうというような、そういうことを防止する、そういう法目的の原則とともに、規制緩和とのバランス、その辺を考えた法律だと思うんですが、この法律が通った後もそういう法目的がしっかりと達成できるような厳格な運用をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○山際委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
古物営業法改正案について質問いたします。
最初に、小此木国家公安委員長にお尋ねいたします。
そもそも、古物営業法、この目的は何なのか、この点について御説明をいただきたいと思います。
○小此木国務大臣 古物営業法は、同法第一条において「盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。」と規定されております。
○塩川委員 犯罪防止、盗品売買を防止するためにこの法律があるということであります。
本案には、古物商は営業所のある都道府県ごとの許可となっているものを、本店がある都道府県で許可を得れば支店は届出でよいという見直しが入っています。都道府県ごとの許可制度について、昨年十二月の古物営業の在り方に関する有識者会議の報告書では、全国における営業展開が容易になることから、盗品売買の防止等を図るという法目的の達成が阻害されないようにと指摘をしております。
こういった法目的との関係に照らすと、今回の規制緩和はなじむものなのかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○山下政府参考人 盗品等の売買の防止等という法目的を踏まえ、今回の改正におきまして許可制度の見直しを行うに当たりましても、各公安委員会がその管轄区域内に所在をする古物商に対し指導監督を行うことができるよう、許可を行う主たる営業所等の所在する都道府県の公安委員会以外の公安委員会におきましても、管轄区域内に所在する営業所に対し、指示、営業停止の行政処分等の指導監督を行うことができることとしております。
さらに、関係府県の公安委員会が許可届出の内容や処分状況等の情報を共有し、効果的に監督を行うことができるよう、関係府県の公安委員会から国家公安委員会にこれらの情報を報告させ、国家公安委員会から各公安委員会に通報する制度を設けることとしております。
また、営業の制限を緩和し、仮設店舗での古物の受取が可能とするに当たりましても、相手方の本人確認等といった盗品等の売買を防止するための措置を古物商に義務づけ、また、仮設店舗での古物の受取に当たって、その日時、場所を事前に届出させることとしておりまして、その届出に基づき、古物商による義務の履行状況を確認するなど、古物商に対する指導監督を適切に行っていくこととしております。
このように、今回の法改正案につきましては、盗品等の売買防止等という法律の目的とのバランスを十分に考慮しながら立案するに至ったものでございます。
○塩川委員 規制緩和とバランスをとりながら、指導監督を適切に行う措置をとるということであります。
現状を確認したいんですが、複数の都道府県で古物商許可を得ている業者、主な大手業者はどんなところがあるのか、簡単に説明してもらえますか。
○山下政府参考人 複数の都道府県において許可を取得している古物商のうち、四十七全ての都道府県で許可を取得しているものにつきましては、例えば、中古車を取り扱うIDOM、カメラ等を取り扱うキタムラ、眼鏡等を取り扱う三城、また、画像機器等を取り扱うリコージャパンといったものがあるところでございます。
○塩川委員 ガリバーですとか、キタムラ、リコー、眼鏡の三城等々のお話がありました。
リフォーム産業新聞社のリサイクル通信によりますと、昨年の七月ですが、年間中古売上高のトップはゲオ、次いでブックオフ、三位がコメ兵、四位がなんぼや、五位が大黒屋と、いずれも全国展開している企業ですけれども、この五社で二千五百億円近くの中古売上げがあります。
今回の規制緩和で手続が簡素化をされてメリットを受けるのは、こういう全国展開をしている大手業者であります。お尋ねしますが、結局こういう大手業者のための規制緩和ということではありませんか。
○山下政府参考人 今回の許可制度の見直しにつきましては、委員御指摘の全国展開している事業者もそうでございますけれども、例えば、現在、ある一つの都道府県で許可を受けて事業を営んでいる事業者の方が、例えば隣県に営業所を展開しよう、こういった場合につきましても、これまでは許可をとらなければいけないということで、大変事務負担があったわけでございます。
この制度改正が行われれば届出で足りるということでございますので、まさに中小規模の事業者にとりましてもメリットがあるものでございますし、昨年行いましたさまざまな事業者に対するヒアリングにおきましても、多くの中小の事業者からこういった制度の改正を望む声というものがあったものでございます。
○塩川委員 この規制緩和のそもそもの発信源は、未来投資戦略二〇一七において、二〇二〇年三月までに、規制改革推進会議行政手続部会決定に沿って、営業の許認可や社会保険に関する手続など、事業者負担の重い分野において、行政手続を行うために事業者が作業する期間について原則二〇%以上の削減を目指すと昨年六月に閣議決定をしているところにあります。
本来の法の目的よりも行政手続コスト削減という理由で、大手を中心にメリットを受けるような規制緩和だと言わざるを得ません。
次に、市場が拡大してきているインターネット上での取引について、現状を確認したいと思います。
経済産業省にお尋ねいたしますが、ネットオークション市場の規模はどうなっているか、そのうちCツーCの市場規模はどうか、大手はどういうところか、その市場占有率とかわかれば教えてください。
○前田政府参考人 お答え申し上げます。
私どもは電子商取引に関する市場調査をやっておりますが、それによりますと、二〇一六年以前の推計値はございませんが、ネットオークション全体で一兆八百四十九億円、今議員御指摘のCツーCに限って申し上げれば三千四百五十八億円、こういう市場規模を推計しております。
大手ということでございますけれども、現在、ヤフー株式会社が運営するオークションサイトでヤフオク、これが最大手であるというふうに認識しております。
○塩川委員 先ほど一兆八百四十九億円の市場規模、CツーCは三千四百五十八億円。ヤフオクということですけれども、ヤフオクが九割ぐらい占めているというふうに聞いております。
次に、ネットフリーマーケット、フリマアプリの市場はどうなっているか、大手はどこか、その市場占有率がどのくらいか、その辺わかりますか。
○前田政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどの電子商取引に関する市場調査の推計では、三千五十二億円、二〇一六年の市場規模の推計でございます。
そのうちの大手は、株式会社メルカリが運営するメルカリでございまして、市場は、推計いたしますと約五割、半分ぐらいではないかというふうに推計をしております。
以上でございます。
○塩川委員 市場規模が三千五十二億円、五割がメルカリという話であります。非常に大手の市場占有率が高いということです。フリマアプリ、個人と個人が売買をする取引市場が、ネットオークションの個人対個人の取引に匹敵するほどの市場になっている。同じように今三千億ということになってきています。
そういう意味では、フリマアプリの市場規模が非常に大きくふえてきているということが言えるわけですが、二〇一二年に初めてフリマアプリが登場してきた。この四年間で大きな市場規模を獲得したというのが特徴だと。「尚、フリマアプリの利用者は引き続き増加傾向にあるため、二〇一七年以降も市場規模はさらに拡大するものと予測される。」と、先ほど紹介していただいた経産省の市場調査でも取り上げているところです。
ではお尋ねしますが、ネットオークション、フリマアプリでの盗品売買の検挙数の推移がどうなっているのか。統計をとり始めた初年の平成十六年は九百四件と聞いておりますけれども、それ以降の、ピークの平成二十一年以降の数字を、あと二十四、二十五と直近の二十九、そのぐらいの数字はわかりますか。ピークの二十一年と二十四年、二十五年、二十九年、お願いします。
○山下政府参考人 窃盗犯検挙件数における主たる盗品等の処分先のうち、委員お尋ねのインターネットオークションが処分先だった件数でございますけれども、平成十六年から統計をとり始めておりますけれども、ピークは平成二十一年の三千二十六件、平成二十四年が二千五百五十二件、平成二十六年が一千四百七十七件、昨年、平成二十九年は一千六百四十六件でございます。
○塩川委員 平成二十五年は一千百六十四件ですかね。今、二十六年の数字を言わなかったかな。ちょっと、二十五年の数字をもう一回確認。
○山下政府参考人 平成二十五年の件数は一千百六十四件でございます。
○塩川委員 フリマアプリについての調査はあるんでしょうか。
○山下政府参考人 フリーマーケットアプリ等が窃盗事件等の被害品の処分先として利用されている件数につきましては、統計を保有していないところでございます。今後、都道府県警察に対しまして、定期的に実態把握を求めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 平成二十四年の二千五百五十二件が二十五年で千百六十四と大きく減っています。これは、ちょうどフリマアプリが登場した年なんですよね。ですから、ネットオークションからフリマアプリに流れているんじゃないかと考えるのが自然であります。
しかも、経産省の市場調査で言っているように、今後もフリマアプリ市場が更に拡大するということになると、ネットオークションはあらかじめ決められた期日までは取引は確定しないけれども、フリマアプリの場合は、買い手が応じれば取引が成立をし、手軽に処分して換金したいという利用傾向があると、経産省の調査でも報告があります。盗品売買しやすいということになるのではないのか。フリマアプリでの盗品売買がニュースになっているのに、処分件数を調査していないということも極めて重大だと指摘をしておくものであります。
今回、有識者会議ではフリマアプリ規制が議論されていましたが、今回の法案には盛り込まれなかった。それはなぜなんでしょうか。
○山下政府参考人 フリーマーケットアプリ等の大手運営事業者、いわゆるメルカリは、昨年十二月から、インターネットオークション事業者に課されている努力義務と同等の本人確認を自主的に開始をし、また、メルカリ以外の大手事業者も同様の措置の導入を検討しているものと承知をしております。
また、メルカリにおきましては、本人確認以外にも、インターネットオークション事業者に課されている努力義務と同等の取引等に係る記録の作成、保存を自主的に行うとともに、出品されている商品への監視等に係る体制を強化するなど、盗品等の売買の防止に向けた対策を行っているものと承知をしております。
昨年十二月の有識者会議の報告書では、最初から法規制をして新しいビジネスの芽を摘んでしまうということのないように配慮する必要があるという意見もあった上で、フリマアプリ等の運営業者及び業界におきまして自主的な取組を強化しつつあることなどから、まずは自主規制の状況を見守ることとし、自主規制のままでは盗品売買の防止等に関して十分な抑止効果が認められない場合に法規制を検討していくべきとされたことから、今回の改正案は、これを踏まえて起案をしたものでございます。
○塩川委員 自主規制を見守るという話ですけれども、フリマアプリの大手はメルカリですが、二位はどこかというと楽天なんですよ。今回の有識者会議のメンバーに楽天が入っているじゃないですか。そうすると、議論として自主規制というのが、まさにこの大手二社のうちの一角である楽天の要望に沿ったような中身になっている。こういった形が有識者会議で出されているというのに、やはりその妥当性についての疑念が起こるんじゃないのかと思うわけです。
最後に大臣にお尋ねしますけれども、こういったように楽天が有識者会議のメンバーで入っているから、自主規制となったと言われても仕方がないんじゃないのか、国民の目から見て、成長戦略重視で、法の目的よりも規制緩和先にありきと疑惑を持たれても仕方がないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○小此木国務大臣 規制のことについては、参議院でも議論をいただきました、指摘もございました。きょう、この委員会におきましても、今後も委員からの指摘もあろうかと思いますが、これは、国家公安委員会としても、関係省庁、警察がしっかりと連携をして監視、注視をしていく。有識者会議においては、今御指摘もありましたように、いろいろな角度から話が出てきています。今回その要請を受けたものでございますけれども、重ねて申し上げますけれども、私たちの監視、注視、これから必要になってくると思っております。
○塩川委員 政策決定過程に疑念が持たれないような対応というのを求めて、質問を終わります。
○山際委員長 次に、大河原雅子君。
○大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原雅子でございます。
私もきょう、古物営業法の質疑に入る前に、大臣に伺っておきたいことがございます。
どの大臣にも伺っていることは、パワハラの問題でございますが、その前に、先ほど佐藤議員が彦根の警察官射殺事件を取り上げられました。私もあの記事を見て、本当に言葉が詰まってしまう、そういう思いであの記事を読んだわけですけれども。
先ほど大臣が、二度とこういうことが起こらないように、国民にきちんと説明ができる調査をし、そして研修も充実させるというふうにおっしゃったことを、更に信頼が置けるような形でしていただきたいというふうに思うんです。警察官を目指された若者ですから、そういう意味では正義感もあり、非常にそういう意味で夢を持ってこの職につかれたことだと思います。
私が読んだ記事の中には、教育係であったベテランの同僚、同僚じゃないですね、上司ですね、ベテランの警察官の方をあやめてしまったということなんですが、いろいろな調査をこれからされると思いますが、一種、権力を持つ人がどのように振る舞いをするかという中では、パワーハラスメント、こういうことも加味した調査もしていただかないといけないなというふうに思いますが、研修の内容に、今、パワハラ、セクハラ、マタハラ、いろいろなハラスメント対策というのは入っているんでしょうか。大臣、御存じでしょうか。
○小此木国務大臣 この案件においてお話ししたこと、佐藤議員に対する答えと同様になりますので繰り返しませんけれども、非常にあってはならないこと、そして、研修期間において充実をしたもの。
今おっしゃったように、若い人が正義感を持っているんだろうということについては、そういった正義感が、これを向上させていくような体制を、私は確認する立場であると思います。パワハラ、ハラスメントについては、その中では、教育の中にはございます。しかしながら、私としても、しっかりともう一度確認をしたい、こういうふうに思います。
○大河原委員 小さな交番で、人間関係も限られてくるところですから、そういう意味で、お仕事の現場というのは非常にいろいろなことが起こっているんだと思います。
ですから、警察官として、地域の治安を守る、そして生活の安全を保持していく、そういうことに貢献される方々の気持ちの問題とかモチベーション、意欲、そして仕事上の悩みとか、そういったものを受けとめる、受け付ける、そうした機能も組織の中にないと、悩みを打ち明けられる、こんなことで行き詰まっている、そういう機能はまだまだ足りていないんじゃないかなというふうに思います。
警察官のいわゆる不祥事というものも見聞きするところですけれども、極めて慎重に、そして広範にしっかりと、人権教育、このことをやっていただきたい、ハラスメント教育をやっていただきたいというふうに思います。
今世界的に、セクハラ問題というのは、ハッシュタグ・ミー・トゥーという形で、世界各国で、名もあり、地位もあり、そして成功した方たちも、その権力に寄りかかってといいますか、立場の弱い人に向けて、例えばセクハラ問題は非常に大きな社会的な問題になっています。
その意味では、きのう参議院で、財務事務次官が週刊誌に、今回も、取材をする記者に向かって、セクハラ発言、たくさんの言葉や、行為に移ろうとするような、そういうアクションがありました。
残念ながら、麻生大臣は、この事務次官について、しっかりとした調査やそれに対する処分ということをなさらないというふうに発表されたわけですが、万が一、小此木大臣のもとでこのようなことが起こった場合、セクハラ問題で職員がそうした嫌疑をかけられる、そういった事態が起こった場合、調査をなさるでしょうか。
○小此木国務大臣 答えになるかどうかわかりませんけれども、まず私は、警察職員を信頼したい、このように思います。
万が一のことについては、ちょっとお答えは差し控えたいと思いますけれども、警察組織の中で監察というところがありますので、そういったところでいろんな監察がされており、その報告を受けるときもあります。
なお、私自身も、男性に限らず女性に限らず、乱暴な言葉を使っていないか、これは意識しなきゃならないと、自戒を込めるといいますか、そういったところには意識をしておかなければならない、こう思います。
○大河原委員 部下を信頼する、それは当たり前のことだと思うんです、そうだと思います。ですが、それを丸ごと認めてしまって、実際には、被害を受けた人が、心そして体、そういったものを痛めつけられた方がいるということも、私は、きのうの麻生大臣の発言からは完全に置き去りにされている、忘れられている、自分の部下のことしか考えていない、そういう発言ととらせていただきました。
それは、やはり、今、小此木大臣があるこのポジションからいえば、国家公安委員長というお立場もございます。これは、日本国民の生活、本当に、人権とそれぞれの自由をしっかり生活の安全上からも確保する、そういうことが任務でございますので、そういった場合には、必ず、部下を信頼しながらも、本当に何が起こったのかをやはりしっかりと調査をしていただく、そして、それに見合った処分をしっかりと示していただく。そのことが、これは、日本全体に大きく影響する、模範となるべき御判断があればというふうに私は思います。
私は、実は、小此木大臣とは地元が本当は一緒です。私も横浜の出身でございます。大臣が初めて当選されたときから、ちょっと選挙区はずれますけれども、存じ上げております。国家公安委員長になられているということからすれば、やはり、期待されている高潔なお人柄で、そして、そこから、国民に対してもメッセージ、国民を守る立場にあるということが示される、これはとても大事なことなんですね。
ですから、それを一言、質疑の前にお伝えをさせていただきます。ぜひ、しっかりとした、万が一あれば、調査をしていただきたいというふうに思います。
それでは、質疑に入らせていただきます。
規制改革ホットラインに日本フランチャイズチェーン協会から古物商許可申請の効率化について規制緩和の要望があったことを受ける形で有識者会議が開かれ、そして、本当にスピーディーだとびっくりしましたけれども、昨年十月からでしたか、三回の有識者会議を経て、十二月の二十一日に取りまとめが出ているということで、今回の法改正に至っているわけです。
私も、以前から、仲間たちとNPOをつくってリユースショップというのをやっておりまして、都内に十三店舗、それぞれの地域で仲間たちがつくっている個別のものですけれども。御家庭で要らなくなったものをただでいただいて、無償で寄附していただいて、それを必要な方々に買っていただく。そして、その売上げで、近くの保育園の屋根に太陽光パネルをつけたり、地域の水や緑を守る活動というのをやっておりまして、まだまだ利用できる、活用できる物品というものが、本当にこの生活空間にはあふれているんだなということがございます。
こうした活動をする中で、古物の再利用というもの、これが日本では、かなり仕組みとしても、もったいないという精神もありますから、非常に発達をしてきたということを実感しています。
ただ、古物の流通、古物の実態、様態、こういったものが本当に、この法律ができたときからは大きく変わっているわけで、それで今回の法改正に至っているわけですけれども、消費者の立場から、私は今回の法改正についてこれから質問させていただきます。
ここまでにも古物営業法の改正に当たって御説明がありましたけれども、いま一度、簡単で結構でございますが、その内容と効果についてどのようにお考えなのか、所見を伺います。
○小此木国務大臣 委員、申しわけない。先ほどの件で、ちょっと言葉が足りなかったかもしれませんけれども、言いわけがましくて申しわけありませんけれども。監察制度の中で調査をして、処分もしておるということをつけ加えさせていただきますし、なお、お気持ちもしっかりと受けとめまして、厳しい気持ちを持ってまいります。
古物についてのお尋ねでありますけれども、今回の改正は、近年、複数の都道府県で営業を行う古物商の数が増加してまいりました。古物営業の業態の変化が進む中、業界から許可単位の見直しなどの要望が寄せられたということを踏まえたものでありまして、このたびの改正により、許可制度の見直しについては、古物商等の手続的負担の軽減が図られることにより、都道府県にまたがる展開が容易になり、新たなビジネスチャンスの拡大に寄与するという効果があること、営業制限の見直しについては、古物商の買取り機会の増加等により、売上げの増加といった効果が期待されるものと認識しています。
○大河原委員 古物法ができた昭和二十四年、その前年の犯罪認知件数というのは百六十万件で、そのうちの八割が窃盗と聞きまして、それはちょっと本当に驚きました。でも、そういう時代であったな、貧しい時代があったんだと思いますが、盗品が流通する、これを防止するための法律としてつくられたわけで、古物営業取締法、本当にその設立の趣旨はわかりますし、そのことでいろいろな人が被害に遭わないようにやってこられたということがあります。
業態が本当にどんどん変わってきて、大量生産、大量消費というか、物が余り始めるということもありますけれども、本当に状況は変わってきております。
私は、参議院議員だったときに、訪問購入、いわゆる押し買いについて、特定商取引に関する法律で消費者トラブルの救済ができるようになったことを強く覚えているわけです。
現在、伺いたいんですが、押し買いの規制、制度と現状、被害の実態、これはどういうふうになっているんでしょうか。消費者庁からお願いします。
○東出政府参考人 御指摘の押し買いでございますけれども、特定商取引法では、訪問購入ということで規制をされております。
特定商取引法におきまして、訪問購入を行う購入事業主には、勧誘に先立ちまして氏名等を明示する義務というのが課せられておりますし、それから、不適切な勧誘は禁止をされております。また、契約締結時の書面の交付義務等の行為規制というものが課されるということになっております。これに違反いたしますと、業務停止命令等の行政処分が下されるという仕組みになっております。
今のは行政の方ですけれども、これとは別途、民事の方のルールも定まっておりまして、消費者は、訪問購入の契約ですけれども、法定の事項を適正に記載した書面を、交付を受けた日から起算して八日以内であればクーリングオフができる。ですので、無条件に解約を行うことができるということになっております。
そして、クーリングオフの期間中でありますけれども、物品の引渡しを拒むことができるということになっておりまして、購入業者の方は、契約に当たりまして、消費者にそういうことができるということを告げなければいけないということが義務づけられております。
さらに、クーリングオフ期間中に消費者が売り渡した物品が第三者に売却されることがあり得るわけですけれども、その場合でも、クーリングオフをすれば、消費者は、原則として当該第三者に物品の返還を請求することができるということになっておりまして、あわせて、消費者のこのような権利行使に資するように、購入業者に対しましては、当該第三者の連絡先等を消費者に通知する義務というのが課されております。
以上が規制の概要でございます。
それから、被害の状況でございますけれども、PIO―NETに登録されたデータを見てみますと、訪問購入に係る消費生活相談件数というのは、ここ数年、一年度当たり大体八千件ぐらいというような推移というふうに承知をしております。
それから、委員御紹介のとおり、訪問購入につきましては、平成二十五年の二月から特定商取引法の対象ということで施行されておりますけれども、昨年度、消費者庁では四件の行政処分を行っております。
具体的な例を申し上げますと、訪問購入業者が不用となった衣料品の買取りについて消費者から勧誘の承諾を得ていただけなのに、実際には、消費者宅を訪問した際に、あらかじめ承諾を得ていなかった貴金属の買取りについて勧誘をしたという事例、それから、クーリングオフ期間内の物品の引渡しを拒むことができる旨を告げる義務があったにもかかわらず、それを告げなかった事例というようなものがございます。
ほかに、訪問購入業者に貴金属を売却した後にクーリングオフした消費者に対して、買い取った商品を紛失したなどと述べて返還しなかったというような事例もございます。
簡単でございますが、こんな状況でございます。
○大河原委員 多死社会にもなろうという時代ですので、遺品の整理とかそういったことにも、うちの中にあふれている品々を処分をしたい、そういう方たちもおられます。
ですから、うちに来てくれて見積りをしてくれて持っていってくれる、そして何がしかのお金が入ってくるとなれば、消費者の方としては便利だということもあるわけですけれども、実は、誰が来るのかわからない。チラシ一枚入っていて、そこに電話をしてみたら、対応はよかったけれども、来た人は、全然、何かちょっとこわもてのすごい人が来ちゃって、帰ってと言えない。あげくの果てに、そのとき望んでいなかった高価なものまで訪問購入される、つまり押し買いされてしまうというようなことが起こるわけです。
今回、古物商の方たちが、いわゆる規制緩和があって、自分の場所あるいは出先で買い取る場所以外のところにも活動範囲が広がるんですけれども、既に古物商の方たちがこういう訪問購入している例もあるんじゃないかとは思いますけれども、古物営業法といわゆる訪問購入に係る規制が重なる部分、そういったことが出てこなくてはいけないんじゃないかと。
そういったことを、古物商による押し買い購入をめぐるトラブルの発生を抑制するために消費者庁と警察庁が連携して取り組む必要があるというふうに私は強く思いますが、現在どのような取組を行っていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○山下政府参考人 これまでも、貴金属等の強引な訪問買取り、いわゆる押し買いは、特定商取引法の訪問購入として規制がなされ、違反した事業者に対しましては、消費者庁や都道府県において行政処分が行われるとともに、警察といたしましても、消費者庁や都道府県と緊密な情報交換、連携を行いながら、悪質な事犯に対して、特定商取引法等を活用しつつ取締りを行っているところでございます。
また、押し買いによる被害の防止を図るため、消費者庁や都道府県と連携をいたしまして、地域住民に対する広報啓発活動を行っているところでございます。
さらに、押し買いを行う悪質な業者も見られる中で、今後、古物商を安心して利用してもらえるようにするためには、古物商が一般家庭を訪問する際、みずから許可証等を提示することが望ましいと考えられますことから、警察におきましても、業界団体を通じるなどして、積極的な許可証等の提示を働きかけることも検討してまいりたいと考えております。
○大河原委員 許可証の提示というのはもう当たり前だというふうに思います。例えば、新聞の勧誘員も顔写真入りの許可証を持っているんですね、身分証を。特に、今回の古物商の件では、許可証についてその形態を変えるということはない。この有識者会議でも、また以前からも、顔写真つきで本人確認ができるということが大事じゃないかと言われていたと思いますが、その点については、どうして今回そういうふうにされなかったんでしょうか。
○山下政府参考人 これまで古物商はそれぞれの家庭を訪問するという、これは行商に当たります。その際には、まさに許可証を携帯する義務がある、求めがあれば提示する義務があるということが現在の法律の規制の内容でございます。
有識者会議でもさまざま議論がございました。特に、消費者団体の代表の方にも入っていただきまして、消費者保護の観点から、今回の制度改正、許可制度等の見直し、あるいは仮設店舗での買取りということについては、さまざまな御意見をいただいたところでございます。
今回、さまざまな御意見をいただきましたので、今回の改正案にはそこは盛り込んでございませんけれども、まずは、今ほど申し上げましたように、業界団体にも通じるなどいたしまして、まずは自発的に積極的に提示をするということを働きかけてまいりたいと思ってございますし、御指摘の点についてもこれから、そういった実態なども勘案をしながら、さまざま検討してまいりたいと考えております。
○大河原委員 この許可証は、実は七十七万件というんですか、古物商の方たちに許可証が出ているわけですよね。しかし、本当に活動しているかどうか。行方不明になっている方たちもおられて、じゃ、その方たちが持っていた許可証はどうなるのか、悪用されているんじゃないかとか、いろいろな心配が出てくるわけですけれども、その対策というのはこれまでされてきているんでしょうか。
○山下政府参考人 例えば、現在、古物商の営業許可を持っておられる方御本人が亡くなられた場合には、その御家族は返納していただく、こういうことになってございます。また、ふだんから、業界団体に対しましても、そういったことも含めて、古物商に対して課せられている義務をしっかりと履行していただくようにということでお願いをしているところでもございます。
一方で、現実には、そういった方で返還をされていない、あるいは所在不明となっているということで、いわば、現在その許可が出ていながら、いわゆる死に許可というような状態になっている例も見られるところでございますので、今回の法改正におきまして、これまでの制度を改正をいたしまして、そういった許可を簡易に取り消すことができる制度とするというようなことにいたしております。
こういった法改正の内容も適切に運用をいたしながら、古物商のまず許可の実態というのをしっかりと把握できるということ、そして、いわゆるそういう死に許可なども今後の運用によってなくしていくように努めてまいりたいと考えております。
○大河原委員 この古物営業法は、盗品販売を取り締まるための法律というのがまず基本だというふうに今も理解をしていていいわけですよね。そうしますと、盗品販売の実態がどういうふうになっているかということもあるんですが、今回の改正で、仮店舗で買取りが可能になる。だから、今、古物商の方たちのいわゆる許可証の問題が出ましたけれども、今度は、そこに売りに来た人、売った人の本人確認というのは、むしろ、盗品を持ってきた人、その仮店舗で、いわゆるイベント会場で確認、何と何で確認をするんでしょうか。
○山下政府参考人 今回の改正におきまして、仮設店舗での買取りが、事前に日時、場所を届けていただければ可能となるものでございます。
そもそも、古物商におきましては、商品を買い取る場合に相手方の本人確認をしなければならない。例えば運転免許証であるとか、そういった身分証などをきちんと確認をして、相手方の本人確認をするということになっております。
仮設店舗での買取りができるようになりますけれども、その買取りの場面においてはそういった古物商に課せられている義務の履行が求められるということでございますので、そうした義務がしっかりと履行されるように監督をしてまいりたいと思っております。
○大河原委員 想像すると、すごく大変なことが起こるんだなということだけはわかるんですね。
そういうイベント会場で、古物、古本の取引とかいろいろありますよね。そこに売りに来る人がいるということですよね。ですから、その方の身分証明書をその場で古物商さんが本当にちゃんとチェックできるのか。そういう意味では、ちょっと私はまだ心配な思いを持っております。緩和をして市場が広がるということの中には、被害に遭う人もいる、それは古物商さん自身も実は被害に遭うんじゃないかなという危惧を私はしているわけです。
この点では、まだまだ、しっかりとした監視、チェックをしていくということなので、それに期待をさせていただくしかないんだなというふうに思います。
それで、私もフリマアプリの件に関して伺いたいと思いますが、非常に若い世代から幅広い世代でこのフリマアプリが活用されていて、私自身はやったことはないんですが、サイトをのぞいてみればいろいろなものが売られています。本当にいろいろなものが売られている。
ですから、値段のつけ方も、あるいは本当に写真に出ていたものがちゃんと来るのかというようなこともあって、ブログでどなたかが書いていたんですが、子供が投げて壊れちゃったテレビのコントローラーを写真を撮ってサイトに載っけたら、壊れているということがわかっていても売れたというようなことがあって、世の中どういう価値観なのか私にはちょっとよくわからなくなってきておりますけれども。
このフリマアプリに関して、今回は自主規制とした、ここに関しては、ネットオークションは規制がかかっていますけれども、対象ですけれども、今回は自主規制でいきたいというふうに判断されました。この方向性について、最後ですから大臣に伺いたいと思います。
この自主規制を実効性あるものにしていく方策について、どのようにお考えで今回はこれを自主規制に任せるというふうにされたんでしょうか。
○小此木国務大臣 フリーマーケットアプリ等の大手運営業者であるメルカリが、昨年十二月から、インターネットオークション事業者に課されている努力義務と同等の本人確認を自主的に開始し、また、メルカリ以外の大手事業者も同様の措置の導入を検討しているものと承知しています。
また、メルカリにおいては、本人確認以外に、インターネットオークション事業者に課されている努力義務と同等の取引等に係る記録の作成、保存を自主的に行うとともに、出品されている商品への監視等に係る体制を強化するなど、盗品等の売買の防止に向けた対策を行っているものと承知しています。
昨年の十二月の有識者会議の報告書では、もうお話がありましたように、最初から法規制をして新しいビジネスの芽を摘んでしまうことのないように配慮する必要があるという意見もございましたが、まずは自主規制の状況を見守ることとして、自主規制のままでは盗品売買の防止等に関して十分な抑止効果が認められない、こういう場合に法規制を検討をしていくべきとされたところであります。
今回の改正案はこれを踏まえたものでありますが、今後、警察庁において、業界と随時意見交換を行い、当該業界全体で、先ほど申し上げたメルカリのような取組が徹底されるよう要請するとともに、フリーマーケットアプリ等が窃盗事件等の被害品の処分先として利用されていないか、都道府県警察に対し定期的に実態把握を求めた上で、業界の取組状況等を踏まえ適切に対応するように指導をしてまいります。
○大河原委員 今回、今大臣がお答えになったように、新しいビジネスの芽を摘むな、そういうお声も確かにわかります。わかるんですが、この法律は盗品の流通を防止するというところでできた法律で、もちろん、市場が広がれば広がるほど被害の数も上がってきます。なので、このフリマアプリ、今回、自主規制、その方向をきちんと見届けるということですが、被害が出てきてから取り締まったのでは消費者を守ったとは言えないんですね。
ですから、この点は、私は、この議論をするときの視点として、優先的に被害者保護、被害者が起こらない未然防止、こういったところに力を注いでいただきたいというふうに思います。
時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山際委員長 次に、寺田学君。
○寺田(学)委員 寺田です。質問時間をいただきまして、ありがとうございます。
大臣とは初めて質疑をさせていただきます。よろしくお願いします。
山下局長、官邸時代はお世話になりましたけれども、また生安局長としてよろしくお願いします。
今回、生活安全局の古物の改正なんですけれども、先ほど自民党の金子議員が大臣ないしは局長の方にユーザーとしての経験をお伺いされましたけれども、私はそういうような視点というか経験というのはすごく大事だと思います。特に生活安全局は、かなり実社会の、人間の営みの中の非常に身近な部分に対する例えば規制であったり法律であったりというものを持っていますので。
警察で頑張られている皆さん、物すごい真面目な方々が多いので、なかなか全ての経験をというのは難しいかもしれませんけれども、私は積極的に、いろいろ御自身の所管の部分に関しては体験されるのが一番だと思います。
本題に入る前に、余談で、私からの一方的なひとり言のようなものですけれども、三年前に風営法の改正をやりました。私自身が、二〇一二年、まだ政権にいるときに、超党派でいろいろ手をつないで風営法を変えて、いわゆる踊る方のクラブの方です、クラブの法の改正をして、オリンピックはまだ決まっていなかったと思いますけれども、人間として楽しむ、趣味の部分ですよね、音楽を聞いてみんなと語らい合ってというところを、もう少し真っ当な形で実社会において認められるような法構成にできないかということでありまして、私が落ちている間に自民党の先生方含めて風営法の改正に取り組んでいただいて、二〇一五年ですか、当時の生安局長の方と議論しながら、私も、法の構成にはなかなか落選中だったんでかかわれなかったですけれども、成案ができてからの審議ではおつき合いすることができました。
実際、今、法ができて、施行されて数年たちましたけれども、やはり実社会と合っていません。もちろん、法のたてつけの中で、警察としてさまざま行為を行われているのはわかるんですけれども、やはり、趣旨本来の意味での風営法の改正、そしてクラブで楽しむという一つの楽しみ自体がさまざま脅かされている現状にある、引き続きあるというのは、私は確かなものだと思いますので。
今度一緒にクラブに行きましょう。ぜひとも実態を見て、もちろんだめなところもありますけれども、大臣も一緒に行きましょうよ。本当にそこで純粋な意味で音楽を楽しんでいる人たち、そういうところで働いている方々、誇りを持ってやっている方々がいらっしゃいますので、それをちょっと、ぜひとも局長の方にお願いしたいと思います。
今回、古物です。名前は、古物というと非常に何かちょっと距離感があるように感じますが、私は非常にお世話になっていますし、私の家族もお世話になっています。売る側でいうと、最近でいうと、私は中古のスマホを売りました。その場で現金もいただきました。今度は買う側ですけれども、買うとしたら、メルカリを使いました。去年ですか、「ゴルゴ13」、麻生大臣と一緒で大好きでして、中古の「ゴルゴ13」三十冊。漫画です。それを、幾らだと思いますか、千五百円ですよ。落札して数日で家に届きましたね。
妻は妻で、子育てをやっていますし、私もやっていますけれども、やはり子育て世代にとっては、今のこの中古市場というのは非常にありがたいですし、いわゆるCツーCのフリマアプリに関してはかなり皆さん使われていると思います。やはり一年単位で物を買いかえていくときには、売りたいですし、買いたいですというところの需要があるので、かなりいわゆる子育て世代はヘビーユーザーだと思います。
ですので、もちろん、この法律を議論する中においては、消費者の方々が犯罪に巻き込まれないように、及び盗品をつかまないようにということで、チェックしなきゃいけないことはあるとは思いますが、私は、しっかりとした規制緩和、安全を期した上での規制緩和はすべきだと思っていますし、今回、その方向性でやることに対しては賛成をしています。
ただ、規制緩和をする上で大事なのは、同じ市場に乗っている方々がフェアに商業活動ができる環境があって初めて規制緩和としての正当性が出るんだと私は思います。
そういうことで、重なる質問になるかもしれませんけれども、一度お伺いしたいんですが、局長でも結構です。経産省の方、帰られたので、かわりにでもいいですけれども。いわゆる中古市場と言われるものの市場規模、先ほどもありましたけれども、どれぐらいあるのかということを、まずは御答弁いただきたいと思います。
○山下政府参考人 お尋ねの中古品市場でございますけれども、これは、環境省の平成二十七年度使用済製品等のリユース促進事業研究会報告書によりますと、平成二十七年のリユース市場規模は推計で約三兆一千億円であり、平成二十四年と比べて約一・二%拡大をしているということでございます。
○寺田(学)委員 まず、二点。
二十七年という、統計としての質の古さ。私は問題だと思います、今、平成三十年ですし。
今、三兆円というお話がありましたが、ここはちょっと正確を期すためにもう一回御答弁いただきたいんですが、いわゆるメルカリのようなCツーCのフリマアプリでの取引はこれに含まれているんですか。
○山下政府参考人 環境省の方のデータでございますので、含まれているか含まれていないかについては判然といたしませんので、後ほど確認をして回答させていただきます。
○寺田(学)委員 済みませんね。そこは細かい通告までしていませんでしたので、御用意されていないのかもしれませんけれども。
先ほど申し上げたとおり、いわゆるCツーC、フリマアプリに関しては、劇的に、ここ一年とかで物すごい伸び方をしています。本当の直近の統計をとってみたら、恐らく、数年前と比べたその分野における伸び方としては異常なぐらい伸びていると思います。私のような人間まで使っているぐらいですから。
本当に多くの方々が使われていると思いますので、私は、統計をしっかりとらなきゃいけないと思いますし、もちろん、政府全体として、環境省がとられているのを引用されるのはいいですけれども、中古市場におけるこの法律の保護法益たる盗品の流通を防ぐということであれば、しっかりと警察としても把握をしていく必要があると思います。
先ほど他の委員の方々も質疑されていましたけれども、中古市場といってもさまざまな形態がありますよね。私がスマホを売ったのは店舗型でした。店舗型に行ってスマホを出して、その場で買い取っていただきました。こういう店舗型もあるでしょうし、インターネットオークションのような形もあるでしょうし、先ほど申し上げたメルカリのような、いわゆる消費者同士がフリーマーケットとして売買をする形もあると思います。もっと細分化すると、ネットの中における中古品の買取りという形もあると思います。
今回、他の委員も言われていますけれども、規制対象になっているものと、業界としての自主努力で済んでいるところが、同じ中古市場というマーケットの中で分かれています。これの正当性をしっかりと説明しないと私はだめだと思うんですよね。
ネットの中だけで考えて言えば、ネットオークションは、いわゆるこの古物商の法の規制の範囲ですよね。ただ、今申し上げたような、代表的にはメルカリのようなフリーマーケットアプリに関しては対象外です。保護法益が盗品の流通を防ぐということにありますけれども、インターネットオークションが規制の対象で、インターネットによるフリーマーケットアプリが規制の対象外ということは、インターネットオークションの方が盗品が出回る率が高い、そのような実績があるからこそ、そちら側だけが規制の対象になっているんですか。どういうような違いがあるんでしょうか。
○山下政府参考人 インターネットオークションでございますけれども、以前、インターネットオークションにおきまして盗品の処分が多数行われたという実態に鑑みまして、平成十四年の古物営業法改正におきまして、古物競りあっせん業ということで、届出制ということで、相手方の本人確認等の努力義務が課されたということでございます。
一方で、先生お尋ねの盗品の流通状況ということについて申し上げますと、平成二十九年の窃盗犯検挙件数における主たる盗品等の処分先のうち、インターネットオークションは一千六百四十六件ということでございます。
一方で、フリーマーケットアプリ等でございますけれども、こちらの方は、私どもといたしましては、窃盗事件等の被害品の処分先として利用されている件数につきましては、統計を保有しているわけではございません。
例えば、野球部の倉庫等から野球ボール等が盗まれ、フリーマーケットアプリで処分された事例があることは把握をしているというところでございます。
フリーマーケットアプリ等につきましては、先生御指摘のように近年急速に拡大をしているということの中で、こういった盗品なども含めて売買されているという事例が見られるようになったということ、こういったことも受けまして、昨年の有識者会議で古物営業法の改正につきましてさまざま御議論をいただいた際に、先生方においてもさまざまな御議論がございました。
一方で、こういった先生御指摘のインターネットオークション等との権衡を考えて、やはり法規制すべきではないかというような御意見もあった一方で、まずは、やはり自主的な取組が行われる、十二月から、メルカリが自主的な、インターネットオークション事業者に課せられているのと同程度の本人確認等を行う、そういった取組をまずは見守るべきではないか、これは新たなビジネスチャンスというものを、やはりその芽を潰さないようにした方がいいのではないか、さまざま御議論があったところでございます。
その御議論を経た中で、盗品の売買防止とのバランスを考える中で、有識者会議といたしましては、まずは自主規制の取組状況を見守る、その自主規制の実効性が上がらないという場合には法規制の検討を行うべし、こういった報告書もいただいたところでございまして、私どもも、まさしく、御議論に参画をしながら検討いたしたところでございますけれども、有識者会議の報告書を踏まえて今回の改正案としたところでございます。
○寺田(学)委員 同じような論点をいろいろ他の委員もされて、御意見を述べられていますが、私の意見を申し上げておくと、インターネットオークションの方は法の対象になり、フリーマーケットアプリの方は法の対象になっていない。だからこそ、フリーマーケットアプリを法の対象にして規制をかけるべきだというふうには立ちません。非常に有益なものですし、安全が確保される最大限の努力をしながら、ユーザーとしての利便性はどんどん拡大していくべきだと私は思うんです。
最初の部分に戻るんですけれども、だからこそ私は、しっかりと規制のかけられている側の方が、言い方は難しいんですけれども、真っ当な形で規制が緩和されて、安全が確保される中で、同じ中古市場という市場の中において、同じように活動し、切磋琢磨し、ユーザーの利便性が高まることを私は願うんです。
なので、恐らく、いわゆるメルカリのようなインターネットにおけるフリマアプリが、法の規制外なのでその統計ができていない、それの実態が把握できていないということだと思うんですけれども、私は、そこをしっかりと、規制をかけろというんじゃないですよ、実態がどうなっているかということを、会社側及び、業界団体ができているのかどうかわかりませんけれども、そういう方々と綿密に相談をしながら実態把握をすることということは、私は大事だと思うんです。
ネット上にあふれる、オークションもそうです、あとフリマアプリもそうですけれども、盗品をどのように発見をする努力を警察としてされているんですか、そういう分野において。そこら辺、実態的に何かわかりますか。
○山下政府参考人 私ども、都道府県警察における窃盗犯捜査ということの過程の中で、そういった盗品等がまさにどこに処分されているかというようなこと、これは常にしっかりと把握をしてまいります。
そうした中で、先ほど御答弁申し上げましたように、インターネットオークションにつきましては一千六百四十六件、これはひょっとするとまだまだ暗数があるのかなという感じはいたしておりますけれども、そういったものを把握をしているというところでございます。
インターネット上でどういったものが取引されているか、盗品に限らず、例えば禁制品などが売買されていないか、薬物等々、そういったことについても、これは状況に応じてサイバーパトロールなども行ってきております。
そういった中で、さまざま、インターネット上での不正な取引、違法な取引というようなことにつきましても、あわせて関心を持って取り組んでいるところでございます。
○寺田(学)委員 なかなか難しいとは思います。聞けば、メルカリは今、一日十万点の出品だ何だという話なので、全てそれを、目を皿にして盗品かどうかを見るのは、見きわめは難しいと思います。そこまで求める気はないですけれども。
次のやり方としては、盗品が出にくくなるような環境をつくるということが大事だと思います。
今回、この古物の質疑をするに当たっていろいろ調べて、すごく不思議に思ったことがあって、本人確認のあり方です。もっと具体的に言うと、大臣、ここはお願いしたいところなので聞いてほしいんですけれども、対面式と非対面式で本人確認のあり方は違いますよね。店舗で売る場合の本人確認のあり方と、店舗じゃなく非対面、一言で言ったらネット上で中古品を扱う場合において、本人確認のあり方が違うと思います。
ユーザー側から見ていると、これは要らないな、売りたいなというときに、インターネット上でいわゆる古物商、中古買取り業者に売る場合と、メルカリに出して業者じゃなくて個人に買ってもらう場合で、本人確認のあり方は全然違いますよね。
これはちょっと、法律事項だと思うので、有無を含めてここで明らかにしてほしいんですが、インターネット上で中古買取り業者に物を売る場合と、他の個人に対してフリマアプリとして売る場合、本人確認の有無はどのような形になっているか、御答弁ください。
○山下政府参考人 委員お尋ねの、例えばインターネットを利用するなどした非対面取引における本人確認法、これはさまざまございます。
その一つといたしましては、相手方から氏名、住所等の申出を受け、その者に対して金品を内容とする本人限定受取郵便等を送付する方法によって代金を支払う旨を合意するという方法がございます。
また、相手方から免許証等の身分証明書の写しの送付を受けるとともに、その写しに記載された住所に宛てて転送不要郵便を送付をしてその到達を確かめることに加え、その写しに記載された氏名が名義人となっている預貯金口座への振り込み等の方法により代金を支払う旨を合意する方法などがあるところでございます。
お尋ねのメルカリにおける、これは自主的な取組ということで、インターネットオークション業者に求められているのと同等の本人確認が行われていると承知をしておりまして、具体的には、出品時におきまして、人定事項、住所、氏名、年齢等というのを申告をいたします。
それに加えて、いわゆるエスクロー方式で、出品後、落札をされ、そしてその送金を、出品者の本人名義の口座に振り込むということを約するという形での本人確認が行われていると承知しております。
○寺田(学)委員 一言で言うと、ぜひ御関心のある与党の先生方にも聞いていただきたいんですが、インターネット上で自分が要らないものを中古買取り業者にやるときには、今局長が御説明いただきましたけれども、私が調べる限り、九つがいわゆる規則として決まっていて、実印にかわるような電子署名だったりマイナンバーだったり、あと、先ほど言われました本人限定受取郵便とか、売りたい側がそういうことをしない限り売れないわけですよね。本人確認を、確認されない限り買い取ってもらえなくなるので。そしたら、これはフリーマーケットアプリに流れますよ。
今、メルカリも、メルカリNOWとして、メルカリとは違う会社として、メルカリブランドで買取りをやっています。同じように、普通に個人同士の売買であればこんな面倒くさいことをしなくていいのに、急に買取りという形になった瞬間に、本人限定受取郵便等さまざまな、いわゆる本人確認の煩雑な手続をしなきゃいけないということで、ユーザー側として不満が出ています。
もちろん、さっき言ったとおり、盗品が出回らなくするために本人を確認するということは大事だと思うんです。ただ、このやり方自体がかなり厳格、及び手段として、テクノロジーの進展という意味においても古いものだと思います。
これも、この議場の中でどれぐらい使われた方がいらっしゃるかわかりませんが、エアビーアンドビーというのがあります。さまざま問題になっています。自分の自宅を一般に貸し出す、日本では限定された形で認められている、いわゆる民泊的なものですけれども。海外でもよく使われるので、私も海外に行くときに使います。
そのときに、本人確認が、私が借りる側ですけれども、求められて、パスポートの写真を、いわゆるPCの前でカメラに撮って、それを送って本人確認という形になっています。恐らく、今、アイフォンを見てみても、顔認証というのがかなり一般的になってきていますけれども、本人を確認するという手段は、かなりテクノロジーとしてもさまざまな手段が出始めていると思うんです。
今、警察の方では、非対面取引における確認の方法として、限定列挙ですかね、九つのやり方を出していますけれども、これを時代に沿った形で、私は、本人確認のあり方、もちろんずさんにしろと言っているわけじゃないですよ、もっと簡便に、そして確実な方法がテクノロジーの進展によってあるはずなんです。実際、他のところでやられていますから。
本人確認のあり方というのをもっと簡便に、ユーザーにとって楽ができる、もう少し、すぐ売りたいときに本当に売ろうと思える、そういうような形に改善していくことが、中古市場全体として、そしてまた、さっき言いましたけれども、規制緩和するならフェアネスですよ、メルカリのようなCツーCだけじゃない、中古買取り業者がしっかりとユーザーの利便性を向上させながら双方の利益がもたらされるようにするために、この本人確認の手段、やり方自体を、かなり大幅に、今の時代のテクノロジーに合った形で直すべきだと思うんですが、局長でもいいです、御答弁ください。
○山下政府参考人 昨年実施をいたしました有識者会議におきましては、その報告書の中でうたわれておりますけれども、「古物商によるインターネット等を利用した非対面取引における本人確認方法については、現行の方法に加えて、古物競りあっせん業者等とのイコールフッティングの観点から、その実態を踏まえつつ、新たな方法を検討していくべきである。」とされているところでもございます。
先生御指摘の本人確認の方法、それの拡大といいますか、時代の流れに合わせて見直しをしていくということにつきましては、やはり古物商におけるインターネット等を利用した非対面取引が大変急速に普及している、こういった実態も踏まえまして、今後必要な見直しを検討してまいりたいと考えております。
○寺田(学)委員 見直してください。
もう時間なので、最後に大臣に御答弁を求めてですけれども、ちょっと全般。
きのうぐらいもニュースになっていましたけれども、アメリカの方でフェイスブックが国会に呼ばれて聴聞会をやっていました。もちろん、さまざま問題点あると思いますが、質問の中には、はてなと思うような質問も入っていたというふうに他の方からも評価をいただいています。
もちろん、国として、行政として厳しく取り締まっていく、規制をかけるということは大事なんですが、やはり実社会においてどのように使われているのかということを、規制する側の人間がしっかりと熟知をしていなきゃいけないと思うんです。
冒頭申し上げたクラブもそうです。今回の中古品の取引もそうです。本当に、国民一人一人が、一人一人の個人的な価値観を持って生活する上で、国が関与している規制というものはたくさんあるわけですから、この中古品を含めて。ユーザーにとって、生活する者にとって、利便性が上がりながら安全も確保するという意味で、もっともっと、改正に関しても私は前向きにさまざまな分野でやっていいと思いますし、実態に合った形での改正を求めたいと思いますが、最後に大臣から一言御答弁いただいて、終わりたいと思います。
○小此木国務大臣 まずは、寺田議員からクラブにお誘いいただいて、ありがとうございます。クラブというところ、あるいはクラブ活動、私も野球をずっとやっておりました。冗談を言っているわけじゃありませんけれども。
この三十年、四十年で人々の意識がいろいろ変わってきたと思うんですね。ですから、クラブなんというのも、誘われたけれども行ったことがないんですよ。だから、メルカリだって使ったことがないと答えましたけれども、仲間、友人に教えてもらって、どうやってやるんだろうと。いろいろやはり出てきました。試しに時計と入れたら、わあっと出てきて、ソールドアウト、ほとんどが売り切れということで、これは物すごいなというのがそこだけでもわかるわけです。あるいは、大河原議員が先ほど言われましたように、壊れたリモコンが売れたと。つまり、買う人がいると。
これだけ意識も変わってきたのかなという、いろんな中で、消費者の意識も、商売をする方々の意識も、いろんな努力がそこにはあるということであって、規制緩和というのは、同じ土俵の中で、なかなか、一生懸命やってきたけれどもそこで働くことができないなという人のために、努力した人、そして許される中でその商売ができるということでありますので、私、警察とすれば、管理する立場からすれば、そういう同等なものもしっかりと把握しながらも、取締り、これも強化をしなきゃいけないということでありますので、両方ともしっかりと指導、管理してまいりたいと思います。また御教授ください。よろしくお願いいたします。
○寺田(学)委員 一言だけ。
壊れたリモコンがニーズがあるのは、恐らく、いたずらで子供がさわる用にわざわざ与えているんだと思います。考えつかないようなことがニーズとしてマッチするので、やはりそういうところも実体験だと思いますので、ぜひともクラブに局長と一緒に行きましょう。
終わります。
○山際委員長 次に、中川正春君。
○中川委員 引き続き質問をしていきたいと思うんですが、古物営業法の改正に入る前に、私自身がこれまで警察組織というものを見詰めてきて、過去にいろんな議論をしてきた経緯の中で、一つだけ改めて確認をしたい、また、こうあるべきだということを提起をしたいというふうに思うんです。
もう十五年以上前になるかな、警察の不祥事が次から次へと起こったときがありましたけれども、そのときに、基本的に、組織改正とそれから中の規律等々含めて、どんなふうに改正をしていったらいいかという大きな議論があったことがありました。たまたま、そのとき私も、あのときは総務委員会の中で警察の問題も担当していたんですが、そこで、地方の県警とそれから警察庁あるいは警視庁の関係等々含めて、あるいはキャリアの皆さんとたたき上げの皆さんとの関係も含めてというような、そんな議論をいろいろやったことがありました。
そのときに一つ争点となったのは、国民のサイドから見て、警察に対してどこまで身近な相談がかけられるか、あるいはまた、それに対して警察の組織としてどういう体系の中でそれを酌み取れることができるかということがありまして、私たちは、恐らく警察の中で相談窓口をつくるという選択肢も一つはあるんだろうけれども、これは、そうした警察の規律を外から見て正していくということも兼ねて、あるいは自分が持っている事件性のあるものに対して警察に話に乗ってくれ、それを捜査してくれ、そういうことをお願いをする。あるいは、自分を守ってくれ、そういうお願いをする。
そういう相談窓口、二つ意図があると思うんですが、そういうものをつくっていくとすれば、それは、警察の外へ向いてそうした相談窓口というのをつくることによって、もっと警察が身近に話に乗ってくれる、あるいは自分たちの思いと共感できるような、そういう組織になっていくんじゃないか、そんな議論をしたことがございました。
そのときに、結果としては、やはり、外にそうした窓口をつくるということに対しては警察は非常に抵抗をしました、組織として。そのかわりに、公安委員会があるんだからということで、そういう問題があるのであれば、県のレベルの公安委員会もいて、持っていってもらったらそれでいいんじゃないかということで話が決着がついたというか、そういう形でのおさまり方をしたということなんですが。
その後、ストーカーの事件が相次いで起こって、それに対して警察が十分に起き上がってこなかったというふうなことがあったり、あるいは警察の中の不祥事に対して、国民から見て、あるいはその周辺の住民から見て、本当に警察がこれで十分に中の改革がやれて、そうした説明責任というのを外に対してとっているのかということになると、いや、なかなか十分じゃないねというような話が出てきたりということで、ずっとその状況というのは続いているんだと思います。
今回も中で不祥事が、さっきの議論の中でありましたけれども、こうしたことを考えていくと、やはり私は、今の制度だけではなかなか、信頼を更に得ていくということが限界があるんじゃないかな、そういう観点に立ってちょっと問いかけをさせていただきたいんですが。
今、そうした意味で、いわゆる公安委員会以外に相談窓口というか、そうした国民の意識というのを吸い上げる、あるいはまた問題に対して対応する窓口というのは、警察としては、どこの部署をどう意識して運用されているのかということ、これをまずお聞きをしたいというふうに思います。
○松本政府参考人 お答えいたします。
いわゆる相談、苦情でございますが、相談の窓口というのを各都道府県警察には設けている、警察庁あるいは警察本部に設けているところでございますけれども、その中で、苦情ということになりますと、まずは警察法上に、警察職員の職務執行に関する苦情を公安委員会宛てに文書で届けていただくという警察法の仕組みがございますので、そういった形での窓口というのは当然ございますが、それを含めまして、相談、苦情、これはなかなか区分が難しいところはございますけれども、そういったものを包括的に処理していくということは、組織として対応しているところでございます。
○中川委員 どれだけの件数が上がってきて、その中で、事件性があって、そういう処理ができたということは、どんなふうに把握していますか。
○松本政府参考人 お答えいたします。
まず、苦情ということで申しますと、当方で把握しております苦情の件数は、平成二十九年中が九千三百二十八件でございます。ただ、相談というものまで含めますと数がふえてまいりまして、二十九年中の数字はまだ取りまとめ中でございますが、二十八年中で申しますと二百二万件余りでございます。
この相談の内容としては、犯罪被害の不安に関する相談とか、近隣、職場トラブルに関する相談、あるいは事件に関する相談、サイバー被害に関する相談、また、犯罪に至らない迷惑行為に関する相談、こういったものがございますが、この二百二万件余りの中で何件事件にできているかというところは、申しわけありませんが、現在手持ちの数字がございません。
○中川委員 二百二万件ということ、こんな数字が出てきましたけれども、一度、大臣、これは分析をしてもらって、中に、事件性のあるもの、あるいは警察組織に対しての訴え等々いろいろ入っているんだと思うんですが、それを警察としてどのように生かしているか、生かし切っているかどうか。あるいは、ちゃんとそれぞれの相談に対して説明責任を果たしているかどうか。ここのところをまず、私は、調査を入れていただいて分析をするということをもう一回やっていただきたい。
その上で、十分に対応しているということであれば、それを外に発表して、こういう状況になっているということを説明していただきたいというふうに思いますし、そうでなければ、恐らく、住民のサイドからいうと、それでも敷居が高いんです、警察へ直接持っていくのは。
だから、警察ではねられたやつについては、もう一つ第三者的な窓口があって、そこに対して救済を求めるというような、そういう組織があってもいいというふうに思っている。住民のサイドから見ればそういうことなんですね。
そのことに対して真摯に受けとめていただいて、調査を入れてもらうということ、改めて大臣にお願いをしたいんですが、どうですか。
○小此木国務大臣 警察に対する相談、苦情の持ちかけ方というのは単純なものじゃなくて、小さいころ、小さいころの話ばっかりで恐縮ですけれども、警察官の姿を見たら何か後ろめたい気持ち、何もやっていないのに、なったような記憶があります。
国家公安委員長の就任のときに、あるテレビ局のアナウンサーに同じようなことを言われたんですね。悪いことしていないんだけれども、ちょっと引いちゃうようなところがあるというようなところはまず自然にあるのかなという、制服だけでもそういう思いが出てきてしまうのが人間の性癖なのかどうかわかりませんけれども、そんなことも考えられます。
あるいは、デートレイプドラッグという、薬を使われて女性が強姦を受けるという話があって、そういうときに交番になかなか相談に行けない。それはすぐ、薬を使われたかどうかというのを検査して処理をした方がいいんだけれども、その処理をするに当たっても、そこに男性の警官だとなかなかそれは打ち明けられないことがあったり、そこは気を使ったり、女性の警官にするような話もここ数年でされているようなことも伺いました。冗談のような話から、そういう深刻な話までたくさんあります。
そして、二百二万件という相談件数は、ちょっと常識を超えた数字であると認識いたしましたので、私としてちょっと確認をしていきたい、こういうふうに思います。
○中川委員 肝心の古物営業法に対して時間がなくなってきましたけれども、大体、用意してきたものは全部、これまでの論点の中で尽くされたので一つだけ。
いわゆる業者として登録をして、そして、物を売る場合には本人確認をする、これが基本なんだと思うんですね。これをどういう形で活用をして、この制度を活用して、警察が盗品の発掘なり、あるいは盗品で犯罪を犯したものに対してちゃんとした取締りができるかということだと思うんですが、聞いている限り、この古物営業法自体の名前からくるんだと思うんですが、昔の骨とう屋さんが物の売り買いをして、そこで出てくる話を警察の方へ向いてちゃんと届けて、ああ、これは大丈夫だね、こうだねというようなレベルのイメージに受け取れる。
だから、フリーマーケットだとか通信販売、ネットオークションあるいはフリーマーケットアプリ、新しいビジネスモデルが出てきたときに、それでどこまで、本来のこの法律の趣旨が生かされて機能しているのかということになると、ちょっと違うんじゃないかなという印象があって、そこのところをしっかり聞いていきたかったということなんです。
恐らく、もっと違った分析をしながら、ネットの世界ですから、どうもこれは怪しいというものに対して抽出をして、その抽出したものを積極的に調べ上げていくというような手法というか、さっきの議論と共通するところですけれども、やり方というのをひとつ工夫をしないと、本当に面倒くさいことばかり強要して、結果的には、そこからは本来の効果が得られていないというような、そういう形になってきているんじゃないかな、この法律そのものが、という思いがしています。
そんなふうに感じませんか、大臣。
○小此木国務大臣 先ほど申し上げましたように、いろんな形態が、古物営業の営業の形態が変わってきて、商売のあり方そのものが変わってきましたし、人々の意識も変わってきたように思います。
そういう中で、有識者のお話を伺ったり、この委員会でのいろんな委員の皆様方の御指導をいただいたりする中で、警察としては、しっかりと、今回、対面方式という話もありましたけれども、インターネット上あるいはメルカリという新しいアプリの中での規制あるなし、こういったことについても、しっかりと関係省庁、消費者庁あるいは経産省になるんでしょうか、そういったところと連携をとりながら、監視、注視してまいりながら、いけないものは正していかなきゃいけない、こういう思いで当たってまいりたいと思います。
○中川委員 最後に一言だけ申し上げるとすれば、本人確認をやって、どこまで犯罪の摘出に効果があるのか、あるいはそれを抑止する効果があるのかというと、まあ、ほんのわずかというか。
それよりも、AI技術や何か、あるいはビッグデータを活用して、物が出てくる傾向をトータルで分析して、いや、ここは、これは怪しいんじゃないかというようなものを探りに行くような、せっかくこうした世界が出てきたわけですから、そういう対応というのが本来なされるべきなのではないのかということ、こんなことをちょっと指摘をさせていただいて。
何か答えますか。じゃ、どうぞ答えてください。
○山際委員長 時間が過ぎていますから、手短にお願いします。
○山下政府参考人 本人確認の効果という点で申し上げますと、これは平成二十九年、昨年の数字でございますけれども、古物商への手配、立入り等の捜査を端緒とした検挙が三千二百七十五件ということでございます。これは本人確認をして、相手方の身分をしっかり確認をしている。したがって、我々、盗犯捜査で行ったときに、その犯人をトレースすることができた。こういうことで、一つの効果だと思っております。
○中川委員 以上、終わります。ありがとうございました。
○山際委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いいたします。
大臣に質問しないのは僕だけみたいなので、質問した方がよかったかなと。いやいや、もう大臣はちょっと休憩をしていただいて。
きょうは、朝から皆さんの質問、恐らくきょうはかぶることがたくさんあるんじゃないかなということで聞いておきたかったんですけれども、ほかの委員会もかけ持ちしていましたので、ちょっと中座をしておりました。かぶる質問もあるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。
一つ目なんですけれども、今回のこの法案によって、今現在、各地で行われているフリーマーケットに何か影響があるのか、どういった変更があるのかというのをまず確認をしたいと思います。
○山下政府参考人 現在、各地でフリーマーケットというのが行われてございますけれども、今回の法改正によって規制が変わるのかということでございます。
フリーマーケットの参加者が古物の売却のみを行う場合には、古物営業には該当しないため、古物商の許可をする必要はございません。また、一般人であっても、古物を買い受け、それを販売することを反復継続して営業として行う場合には、古物商の許可を要するところでございます。また、フリーマーケットの主催者については、一般人の取引の場を提供するだけであるため、古物商及び古物市場主の許可を取得する必要はございません。
以上申し上げた規制につきましては、本改正による変更はございません。
○浦野委員 もう一点確認しておきたいことがあるんですけれども、今回、届出のやり方が変わります。主たる事業所のところに出せばあとは全部いけるということで、その中で、例えば、何か違反、指導をしなければいけないということが起きた場合に、どこの公安委員会の権限でそういった指導をしていくのかというのを一度ちょっと確認をしたいと思います。
○山下政府参考人 このたびの改正におきましては、許可を行う主たる営業所等の所在する都道府県の公安委員会が許可の取消し、指示、営業停止の行政処分等の指導監督を行います。一方で、その他の公安委員会におきましても、管轄区域内に所在をする営業所に対しまして、指示、営業停止の行政処分等の指導監督を行うことができることといたしてございます。
また、関係府県の公安委員会が、許可、届出の内容や処分状況等の情報を共有し、効果的に監督を行うことができるように、関係府県の公安委員会から国家公安委員会にこれらの情報を報告させ、国家公安委員会から各公安委員会に通報する制度を設けることとしてございます。
このように、改正後におきましても、各公安委員会において、管轄区域内に所在する古物商に対する指導監督が適切に行われることになると認識をしております。
○浦野委員 次の質問は、これも各委員から、参議院でもたくさんの方が質問をされていたことですけれども、インターネットの中では自主規制を今していくということで、まだ法の網がかからないということになっています。ただ、ずっと会社の名前が出ているのできょうはすごいCM効果が出ているなと思っているんですけれども、メルカリさんなんかは、もともと複雑な登録が要らなかったんですね。
それが恐らく、自主規制をするという話。この法案が審議されるという段になって、それをしていかないといけないということで、自主規制をされるということで、いろいろな登録をしてくださいということで変わりました、途中で。実は、そういういろいろな登録をしなくても売買ができるということで結構人気があったというか、手軽にそういう売買が行えるということで伸びたんですけれども、これが登録とかを普通にしないといけなくなりましたので。
実は、それよりももっと簡単に登録して売買できますよというフリマアプリがもう既に出ています。恐らく、こうやって自主規制をされている間は、イタチごっこで、そういったものをくぐり抜けるアプリがどんどんどんどんつくられるんだろうと思います。それについてどうお考えですか。
○山下政府参考人 警察庁といたしましては、今ほど先生御指摘の新規事業者の参入実態にも留意をしながら、業界と随時意見交換を行いまして、現在自主規制が行われているメルカリのみならず、当該業界全体でメルカリのような自主的な取組が徹底されるように要請をいたしますとともに、フリーマーケットアプリ等が窃盗事件等の被害品の処分先として利用されていないか都道府県警察に対し定期的に実態把握を求めた上で、業界の取組状況等を踏まえ、適切に対応してまいります。
こうした中で、例えば、本人確認等の自主的な取組を行わないフリーマーケットアプリ等において、盗品が多数売買されているような実態が認められた場合には、業界に対して、業界全体としての盗品売買の防止のための取組を更に促していくとともに、把握をいたしました実態に応じて、個々のフリーマーケットアプリ等の事業者に対しましても必要な働きかけを行っていく所存でございます。
○浦野委員 フリマアプリの場合は、オープンのスペースで、取引がある程度見えるようになっています。ところが、インターネットを盗品の売買に使おうと思った悪い人がいれば、それはどんどんどんどんアンダーグラウンドに潜っていくと思うんですね。クローズされたインターネットの世界の中でそういった取引というのがされる、これが一番恐らく厄介だろうと思うんです。そういったものをいかに察知してそれを捕まえていくのかというのは、非常に技術的な問題もありますし、難しい話なんですけれども、そういった対応は検討されておりますか。
○山下政府参考人 先生が御指摘のような、例えば登録された会員だけがその中でやりとりができるような、そういったインターネット上のサービスにつきましては、例えば私どものサイバーパトロールみたいなことをいたそうと思いましても、その中は見れないということではございます。
ただ、警察におきましては、さまざま犯罪等があるというふうに思料される場合には、ネット上の捜査も行ってございます、また、いろいろな情報収集も行っております。これまでも、インターネット上の例えば不正売買につきましては、象牙の売買や、にせブランド製品の売買といった違法な売買の取締りも行っているところでございますので、今後とも、インターネット上の違法行為が認められる場合には、さまざまな工夫も凝らしながら、各種法令を適切に適用して必要な取締りを行ってまいりたいと考えております。
○浦野委員 最後の質問になりますけれども、我が党の清水参議院議員が質疑の中で触れていました電子ギフト券ですね。電子ギフト券のように、営業法上の古物には当たらないけれども犯罪に利用されるというケースが出てきています。こういった同じようなケースで、古物じゃないけれども犯罪に利用されるようなものというのは、ほかに何かあるんでしょうか。
○山下政府参考人 今委員御指摘の電子ギフト券につきましては、電子ギフト券をだまし取る詐欺事件が近年増加傾向にあり、警察としても、電子ギフト券が犯罪に利用されるものとして、各種対策を推進しているところでございます。
一方で、電子ギフト券については、物品ではないことから、古物営業法上の古物には該当しないところでございます。
委員お尋ねの、ほかに同じようなものがあるのかどうかということにつきまして、電子ギフト券というように、それが悪用されて、そして取締りを行っているというものは直ちにはございませんけれども、いずれにいたしましても、そういった犯罪に利用されるもの、そして、それが古物営業法の古物ということになるのかどうかといったところも、世の中はさまざま状況も変化をしてございます、いろいろなサービスも出てきておりますので、しっかりと把握をしつつ取り組んでまいりたいと考えております。
○浦野委員 時間が来ましたので、これで質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○山際委員長 次に、玉城デニー君。
○玉城委員 自由党の玉城デニーです。
古物営業法の一部を改正する法律案、閣法四二号について質問させていただきます。
昨今では、インターネットですぐ手軽に商品を購入するということの選択肢が限りなくふえております。本人も実は、なかなか買物に行く時間がないときには、本であれ、あるいは飲物をケース買いする場合、炭酸飲料とか炭酸水とか買う場合にも、すぐネットで購入して届けてもらうということをよく使っておりますので、もう今や我々現代人の、特に、なかなか買いに行けない、買いに行く場所が遠い、その時間なども考えますと、これからもインターネットを使った、商品を買ったり売ったりする、そういうツールはどんどんふえていくんだろうというふうに思います。
さて、インターネット上で古物の物品を売買するのはインターネットオークションやフリマアプリがありますが、経産省の平成二十八年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備報告書によれば、平成二十八年度のフリマアプリ等の市場規模は三千五十二億円との推計があります。今後もこの市場規模は拡大するというふうに見られています。
ネットオークションを比べてみると、固定価格表示の取引、売買の仕組みなど、スマホで簡単にできる上に、代金のやりとりを運営会社が中間に入って行うエスクローサービスであるということが、いわゆるこのフリマアプリなどには安心感につながっているだろうということも言われております。他方、若年層の利用も年々増加していることも考えられ、その若年層の利用に対する懸念などもそれに比例してふえているのではないかなと思います。
あくまでもネットを介した個人間の取引であるため、商品に事前に知らされていない傷があったですとか、届いた商品がブランド品じゃなくてにせものだったというものや、あるいは適正な手配で送ったにもかかわらず買い手側から商品受け取りの承認手続が行われないために仲介会社から代金が支払われていないなど、買い手、売り手の双方の取引に関するトラブルの相談などもふえていると、国民生活センターはネットを利用した個人売買での注意を呼びかけているということもあります。
つまり、あくまでも個人間の問題なので、それをよく利用する上で注意をしてほしいという、もうそういう呼びかけしかできないのではないかというふうに思うわけですね。
では、そういう点などについて幾つか質問をさせていただきます。山下局長、よろしくお願いいたします。
まず、それぞれの、ネットオークションあるいはフリマアプリなどで扱われている商品の違い、購買層の違い、売買される値段等の違いについての、どのような把握、比較をされていらっしゃるか、お聞かせください。
○山下政府参考人 インターネットオークションは、競りの方式により落札価格が最終決定をいたすため、売り手はできるだけ高値で売却することを取引の目的としていると考えられ、例えば高価なブランド品や電化製品が比較的多く出品をされているものと承知をしてございます。購買層は比較的幅広い層に及んでいるものと承知をしております。
他方で、フリーマーケットアプリ等は、価格を売り手が決定をするため、手軽に処分をすることを取引の目的としていると考えられ、例えば衣服や雑貨等が比較的多く出品されているものと承知をしてございます。こちらの方も、大変幅広い利用者層があるのかなと思ってございますけれども、先ほど委員からお話もございましたように、若年層の利用も進んでいるというふうに承知をしております。
○玉城委員 確かに、フリーマーケットは、値段をつり上げていって、できるだけ高価な段階で落札をしてほしいという出品者側の思いがあります。他方、フリマアプリを使ったものは、例えばエレキギターだとしますと、ギターの部品を外していって、それを個別で売れば、単体で売るよりもはるかに細かい値段がつくし、五百円とか七百円という単位で部品をばらしていって、それを並べていくという手法もあるわけですね。逆に言うとそういうふうに手の届きやすい値段で価格設定をするというところに若年層はいわゆる購買心をそそられるということがあるのではないかと思うわけです。
運営業者に対してそれぞれ古物営業法の規制はどのようにかけられているのか、お聞かせください。
○山下政府参考人 インターネットオークション事業者につきましては、古物競りあっせん業者として届出制とし、古物の売却をしようとする者の本人確認や取引等に係る記録の作成、保存の努力義務を課すなど、必要な規制を行っているところでございます。
一方、フリーマーケットアプリ等につきましては、現在古物営業法の規制の対象外でございますが、フリーマーケットアプリ等の大手運営業者であるメルカリが昨年十二月からインターネットオークション事業者に課せられている努力義務と同等の本人確認を自主的に開始し、また、メルカリ以外の大手事業者も同様の措置の導入を検討しているものと承知をしております。
○玉城委員 では、もう一点お聞かせください。
古物商の在り方に関する有識者会議において、フリマアプリの運営業者や業界に対する規制などに関して、今自主規制を行ってもらっているということがありましたが、有識者会議ではこの規制に関してはどのような意見が上がったものでしょうか。
○山下政府参考人 有識者会議におきましては、フリーマーケットアプリ等の運営業者に対する規制のあり方について、古物競りあっせん業者と同等の法規制をかけるべきであるといった意見が出された一方で、各社がさまざまな取組を自主的に行っている状況にあることから、その効果の有無を見守ってはどうか、また、最初から法規制をして新しいビジネスの芽を摘んでしまうということのないように配慮する必要があるなどの意見が出されたところでございます。
○玉城委員 フリマアプリを使って個人間の非対面で売買をするというところには、国民生活センターでも問題点があるということを呼びかけているんですが、自主規制よりもう一歩進んで、例えば仲介業者が個人売買のトラブルなどに関してのガイドラインを設けるとか、あるいは、そのような個人売買のトラブルの上での国民生活センターとの連携をとっていくなどの具体的な措置が今後必要になってくるのではないかというふうに思います。
さて、最後に大臣に一問だけ質問をさせて、質問を終わりたいと思いますが、ネット売買での盗品の問題は、やはり非常に重要な問題であろうというふうに思います。ネット売買での盗品等について、その現状をどのように捉え、業者あるいは業界に対してのどのような呼びかけを行っているのか、最後に質問をさせてください。
○小此木国務大臣 警察において、フリーマーケットアプリというのが窃盗事件等の被害品の処分先として利用されている件数については統計を保有しているわけではありませんが、例えば、先ほど山下局長も答えましたけれども、野球部の倉庫から野球ボールが盗まれ、フリーマーケットアプリで処分された事例などがあることは把握がされております。
こうした中、フリーマーケットアプリ等の大手運営業者であるメルカリが、昨年十二月から、インターネットオークション事業者に課されている努力義務と同等の本人確認を自主的に開始し、また、メルカリ以外の大手事業者も同様の措置の導入を検討しているものと承知しております。
また、メルカリにおいては、本人確認以外にも、インターネットオークション事業者に課されている努力義務と同等の、取引等に係る記録の作成、保存を自主的に行うとともに、出品されている商品への監視等に係る体制を強化するなど、盗品等の売買の防止に向けた対策を行っているものと承知をしております。
今後、警察庁において、業界と随時意見交換を行い、当該業界全体で先ほど申し上げたメルカリのような取組が徹底されるよう要請をするとともに、フリーマーケットアプリ等が窃盗事件等の被害品の処分先として利用されていないか、都道府県警察に対し定期的に実態把握を求めた上で、業界の取組状況等を踏まえ、適切に対応するよう指導をしてまいります。
○玉城委員 ありがとうございます。
インターネット上も正しい取引が行われて、それを皆さんが利用しやすくなる。そういう社会の中で、監視を強めるのではなく、事業者と利用者がともにいい関係をつくっていくという、そういう取引社会を望みたいものであります。
以上で質問を終わります。
ありがとうございました。ニフェーデービタン。
○山際委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○山際委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、古物営業法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○山際委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○山際委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十三分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、特に公文書管理について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、内閣府地方創生推進事務局長河村正人君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、総務省大臣官房審議官堀江宏之君、外務省北米局長鈴木量博君、財務省理財局長太田充君、文部科学省大臣官房審議官瀧本寛君、農林水産省大臣官房審議官小川良介君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛省地方協力局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。玉城デニー君。
○玉城委員 自由党の玉城デニーです。
きょうは、与野党の筆頭理事及び理事の皆様方、委員の皆様方にお許しをいただき、この時間に質疑をさせていただきますことを改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。
さて、先般、内閣の重要政策に関する件で、公文書管理の件について質問をさせていただきましたが、今ほどこの公文書の管理、そして情報公開のあり方が、国民にとって、非常に乱れている状況はないのではないかと私は危惧いたします。
そして、そのために、きょうは参考人として、経済産業省経済産業審議官の柳瀬さん、それから経済産業省大臣官房審議官の藤原さん、両名にも参考人としての招致をお願いしていましたが、かなわずというところです。
しかし、物事の本質をしっかりと明らかにするためには、それに携わった方々、あるいは作成し、保管していらっしゃる方々との、その状況をしっかりすり合わせるということが欠かせない作業の一つだというふうに思います。ですから、そういうことも強く申し入れて、私から質問をさせていただきたいと思います。
きょうは、文書主義の原則についてということをお伺いしたいと思います。
文書管理の基礎知識について、特定非営利活動法人行政文書管理改善機構、ADMiCは、こういうふうに書いています。
情報は文書にしなければ、担当者当人の記憶にはなるかもしれませんが、組織体全体の記憶にはなりません。こうした情報の文書化を求める「文書主義の原則」は、「事案の処理は、すべて文書による」に代表され、民間、行政を問わず存在しますが、ことのほか行政では、強く認識されています。
と書かれています。
行政事務は文書に始まり文書に終わるとは、行政の仕事のあり方を指している言葉だということなんですね。まさしくそのとおりだと思います。
この文書主義の原則についていろいろお話をさせていただきますと、職員は、文書管理の指示に従い、法の規定と目的の達成に資するため、各省における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに各省の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならないとガイドラインでも規定されています。
その原則に基づき、各省内部の打合せ、省外部との折衝等を含め、業務に係る政策立案や事務及び事業の実施の方針に影響を及ぼす打合せ等の記録については、文書を作成するものと明記されています。至極当然のことです。
さらに、各省の外部の者との打合せ等の記録に当たっては、各省出席者による確認を経るとともに、可能な限り、当該打合せの相手方の発言部分についても、相手方による確認等により、正確性の確保を期すこと。ただし、相手方の発言部分について記録を確定しがたい場合は、その旨を判別できるように記載するものとしています。
ですから、きょう、お二方の参考人をお招きしたのも、この点について明確に、そこでそうするべしという規定が置かれているということを私は述べておきたいと思います。
そのほかの規定を含め、文書主義の原則は、行政機関の正確性の確保と責任の明確化が重要であると規定し、それをもって、行政の適正かつ効率的な運営に当たるとしています。
このような中、隠蔽、改ざん、捏造、そういうことが行われているという現状にあって、非常に暗たんたる、重たい雲が国民に垂れ下がっているということを、私たちは厳にしっかりとそれを見詰め、その雲を振り払う努力をするべきであると思います。
大臣、この文書主義の徹底を確認するための取組として、どのような規定が置かれているか、まずお聞かせください。
○梶山国務大臣 行政文書の管理は、各行政機関がみずから定める行政文書管理規則に基づいて行われているところでありますが、その仕組みにおいて、適正な文書管理を確保するために、行政文書の管理に関するガイドラインにおいて、総括文書管理者、文書管理者等の設置といった管理体制を設け、文書管理に係る責任の所在を明確にしているところであります。
また、公文書管理法等に基づいて、各行政機関においては、行政文書の管理の状況について、年一回の点検、監査等を通じて把握をし、内閣府に報告することが義務づけられております。
この点につきましては、昨年末のガイドライン改正において、紙文書であるか電子文書であるかを問わずに、職員による行政文書の作成や保存が適切に行われているかどうか、点検、監査を実施すべきことを明文化したところであります。
さらに、公文書管理法において、各行政機関は、職員に対し、公文書等の管理を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、向上させるために必要な研修を行うものとしております。
この点につきましては、改正ガイドラインにおきましては、各行政機関は、全職員に対して、少なくとも毎年度一回の研修を受講させることを明文化したところであります。
このほか、公文書管理の専門職員、いわゆるアーキビスト、歴史文書の分類、整理であるとかそういったものの専門家でありますけれども、その育成や、各府省における公文書管理業務を支援するための専門職員の配置等についても検討を進めるなど、公文書管理の質を高めるための不断の取組を続けてまいりたいと思っておりますし、規定だけではいけません、やはり魂をしっかりと入れていくことが必要なことだと思っております。
○玉城委員 ありがとうございます。
公文書に込められた魂を、いたずらに何らかの手を加えてその魂のあり方を変えてしまっては絶対にいけないことです。そのことが現に行われていることが、今回の魂を込めるという作業に本当に込められているんだというふうに思います。
意思決定に関する文書作成に至るまでの職員による詳細な会話等のメモ、備忘録あるいは経緯等についての簡略な説明文などは、公文書として管理に付するものと解することができますでしょうか。参考人にお伺いします。
○田中政府参考人 お答えいたします。
どのような文書が組織的に用いるものとして行政文書に該当するかについては、文書の作成又は取得の状況、当該文書の利用の状況、その保存又は廃棄の状況などを総合的に考慮して、実質的に判断する必要がございます。
その上で、お尋ねの点について申し上げますと、備忘録等の個人的な執務の参考資料や職員の個人的な検討段階にとどまるものなどは、一般に組織的に用いるものには該当しないものと考えられるところでございます。
○玉城委員 そのようなメモなどを突き合わせていって一つの文書としてつくっていき、その結果、その文書に書かれている詳細な出来事は、その経緯の説明として残されるべきなんですね。今回はそこが消されているということも、この改ざんの問題の大きな点になっています。
さて、大臣、公文書として文書化された内容の事実を再度確認するため、若しくは、複数にわたって存する、幾つか本物ではないかと思われる公文書のおのおのの正否を判断すること等を目的として、第三者機関を臨時的若しくは正規に設置をし、該当するそれらの公文書の内容について精査することは必要と思われますか。見解をお聞かせください。
○梶山国務大臣 行政文書の管理につきましては、先ほど申しましたように、各行政機関の行政プロセス等を最も理解する当該行政機関において、みずから定める行政文書管理規則にのっとって、責任を持って行うことが基本であり、みずから点検を通じて把握をし、必要があれば適切に対応していくことが重要であります。
仮に問題が生じた場合にも、まずは、当該行政機関において、調査を通じて全容を解明し、再発防止策を実行することが重要と考えておりまして、今も財務省等で調査、解明をしていただいているところでありますけれども、その上で申し上げますと、個々の事案の内容に応じて、第三者性を有する立場から御指摘のような対応をとることもあり得るものと考えております。
○玉城委員 国権の最高機関である国会を欺き、うその答弁を繰り返した、そして、その証拠として出されていた資料そのものも、公文書が改ざんされていた。これはやはり厳重な第三者のチェックを受けるべきであるというふうに私も思料いたします。
最後に質問いたします。
参考人に伺いますが、文書主義に反する公務員等の行為について、どのような処分を行うものと解されますか。
○田中政府参考人 お答えいたします。
現行の公文書管理法やガイドラインにおいては罰則が規定されておりませんが、公文書に関しては、刑法において、公用文書等毀棄罪、虚偽公文書作成罪が既に規定されているところでございます。また、不適切な公文書管理を行った職員については、国家公務員法に基づき、事案によって懲戒処分が行われることもあるということでございます。
そのことから、公文書管理法においては、改めて罰則を規定することとはされていないものと承知してございます。
○玉城委員 以上で質問を終わりますが。
先般の委員会で梶山大臣が私に、公文書等は、健全な民主主義の根幹を支える基本インフラであるとともに、国民共有の知的資源でありますという答弁をいただきました。国民共有の知的資源であるからこそ、国民の立場に立ってしっかりと公文書を管理し、情報を積極的に公開する。そのことを、先進諸国に倣い、我々もしっかり努めていくべきだということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。ニフェーデービタン。
○山際委員長 次に、阿部知子君。
○阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。
皆様もきっと同じ思いだと思いますが、毎日、新聞を見れば、イラクの日誌、南スーダンの日誌、あるいはモリカケ問題、森友学園におけるごみの処理の問題、あるいは加計問題における自治体の文書の問題、私たちの今の国会審議の大前提であるところの大事な行政にかかわる書類が、かくも簡単に紛失したことになっていたり、あるいは改ざん、捏造、これで本当にいいんだろうかと、もうどなたも思っておられると思います。
そういう中でありますので、公文書にかかわるこの本委員会が、与野党の各委員の賛同のもと、そして委員長の采配のもと、本日は公文書管理の集中審議が持たれること、まず重く私は見ておりますし、見識と思いますので、しっかりとその任を果たしたいと思います。
そうした中で、私ども野党がこぞって要求をしておりますところの、特にこの間の加計学園の国家戦略特区における許認可申請、それが認められる過程において、柳瀬唯夫元首相秘書官と藤原豊元内閣府地方創生室次長の、私どもは参考人としての御出席をお願いをいたしました。
確かに委員会では、政府参考人という形で、現職のそのお役にある方が答弁なさるということにはなっておりますが、事の事態は、当時そのお役にあった方の、いわばどうされたかということをめぐってでありまして、これは御本人方に出てきていただかないと、本来の、明らかにして再発を防止していくというようなことができないと思いますので、この点は、あわせて与党の皆さんあるいは委員長にも重ねてお願いをしたいと思います。
以上、お願い申し上げた上で、質問に入らせていただきます。
まず、第一点は、菅官房長官に伺います。
実は、四月十一日の日に、私もこの内閣委員会が終わってから予算委員会の部屋に参りました。官房長官もおられたかと思いますけれども。そこで、希望の党の玉木さんが安倍総理に御質問の最中に、安倍総理の後ろに控えておられたというか座っておられた佐伯耕三首相秘書官が大きな声で違うとか間違っているとか、それこそ、もうやじに等しい類いの御発言でありました。
私は、国会にことしで十八年目おりますけれども、ああした委員会の場で首相の秘書官ないし政府の参考人の方々が質問している議員に向かって大きな声でやじを飛ばすというようなことは経験したことがございませんでした。これは余りにも私は立法府をばかにしている、ないがしろにしている行動だと思いまして、もちろん当の玉木委員からも抗議の声が上がりまして、そういたしましたら、西村康稔副官房長官が本人に注意をされたという御発表がありました。
でも、菅官房長官に私が伺いたいのは、多分御存じと思いますが、一九三八年三月三日の帝国議会のことでございますが、衆議院の国家総動員法の委員会において、そのとき説明員として出席した佐藤賢了、これは軍人の方ですが、陸軍航空兵中佐という肩書でありましたが、御自分の発言中にある種いろいろな発言、抗議が来たときに、議員の抗議に黙れというふうに言われた。これで委員会が一回とまるわけです。
事態は、国会議員に対して説明員である陸軍の方が、こちら側がそれはおかしいだろうと言ったら黙れと言って制した。この事件は、実はこの佐藤賢了さんは当時の東条英機首相の腹心の部下と言われて、その後、日本がアジア太平洋戦争にどんどん突入していく、国家総動員法に基づいて戦争への道を歩んでいったときのきっかけになった事件だと言われております。
そのときに、当時陸軍大臣であった杉山陸軍大臣は、部下の言葉遣いにおいて妥当を欠く点がありましたそうでありますが、この点はまことに遺憾に存じております、なお今後において注意をいたしますと、みずから謝罪をなさいました。
すなわち、今回と違って、今回は西村康稔副官房長官は佐伯さんにあんた謝りなさいと言いました。でも、この当時の、この総動員法の審議のときには、陸軍大臣が自分の部下がそういう暴言をしたことにみずから謝罪をされた。
私は、やはり上に立つ者がきちんと部下を掌握して、謝るべきは謝る、それが政治の基本姿勢だと思います。寡聞にして、この件において、安倍総理並びに菅官房長官みずからがこの佐伯首相秘書官の暴言に対して謝罪をされたということは、本日ただいま、いまだ聞いておりません。
菅官房長官、いかがでしょう。私はきちんと総理並びに官房長官が国会に対して謝罪をしていただきたい。私たちの質問権に対してやじを飛ばすような首相秘書官がいるということは論外でありますから、ここはけじめをぴしっと持っていただきたいが、いかがでしょう。
○菅国務大臣 私はその現場にはおりませんでした。
議事録を私は見てまいりました。今、阿部委員が言われた当該秘書官でありますけれども、総理に対して、構造改革特区時代について記載した部分から答弁してください、いずれにしても、答弁内容は昨年の答弁と違っていませんとの趣旨の助言を後ろから述べた、こういうふうに私は理解しています。
そして、委員長はこう言っております。今確認いたしました、総理に構造改革特区のことですよということを申し上げただけであって、そちらに向かってやじをするようなことを秘書官がするわけはありません。これは委員長の、議事録であります。
ですから、あくまでも、質問に対してのやじでなくて、総理への助言であったというふうに思っています。しかしながら、結果として委員会の議事進行に混乱を来したことから、本人は深く反省しており、西村官房副長官から厳重注意したところであります。
総理に助言を行う際にも、議事に混乱を来すことのないよう適切な方法で補佐したい、こういうふうに思っております。結果として議事進行に混乱を来したことは事実であり、申しわけなく思います。
○阿部委員 逆に、菅官房長官があの場におられたら、もっと適切に対応されたかもしれません。
玉木議員から注意を受けた佐伯さんは、それ以降は、確かに総理の背中越しに、総理の耳元で伝えるという行動に変わりました。しかし、それは、議員から指摘されて初めてなさったことであります。最初は、誰が聞いても聞こえるような大声で、先ほど私が申し上げました、違うとか、間違っているとか、それを質問者に向かって言っておられました。
私は、今、菅さんがその場におられなかったということで、議事録を見るとそういう部分は書いてございません。実は、議事録は、都合の悪いことはよく落とされてしまいます。だけれども、そのときの様子ということは、私はしっかりと見ておかなければいけない。
逆に言うと、総理の虎の威をかるような形で総理の秘書官が行動するようになることは、本当に忌むべきことだと思います。あの場の雰囲気はまさにそうしたものでありましたから、事は、議事を、進行を妨害したにとどまらず、私は、やはり、そういうある種の権威をかさに着て議員を脅すような行動ということは絶対にとってはならない。それは、軍部であれ、今の安倍総理であれ、そうだと思います。
この点は、先ほど、官房長官はおられなかったということですので、よりより真偽のほどを確かめて適切に対処していただきたいと思います。
本題に入らせていただきますが、私が、このように安倍総理とその御意向にそんたくする風土、雰囲気が満ち満ちている国会の中で、一番今問題となっております加計学園、まあ森友も問題になっておりますが、安倍総理の、総理の御意向とか総理案件という言葉が明確に出てまいりますのは加計学園問題ですので、本日は加計学園における公文書管理を取り上げさせていただきます。
昨年の十一月に、内閣府の地方創生推進室で、国家戦略特区諮問会議というものが主催された中で、加計学園、いわゆる岡山理科大学の獣医学部の新設を認める方針が決定を既にされ、ことしはもう入学式も行われております。しかし、この加計学園への決定過程というものが、今もってやぶの中、グレーゾーン、本当に明らかになっていないと思います。
まず、一問目の質問ですが、先ほどの玉城議員の御質問にも重なりますが、公文書管理法というものを、梶山国家戦略担当並びにこの問題に深くかかわりますから菅官房長官は、どうお考えであるのか。
そもそも、この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動の歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑み、以下少し略しまして、行政文書等の適正な管理、そしてさらには、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国民に説明する責務が全うされるようにということが、目的として定められております。
国民に説明する責務、あるいは行政が適正かつ効率的に運営されるという点をとりますと、今、この一年余り、決して効率的には運営されてこなかった、また、国民への説明責任も果たしてこなかったと思いますが、この公文書の管理ということの目的をまず梶山大臣にお伺いいたします。
○梶山国務大臣 民主主義の根幹は、国民が正確な情報に自由にアクセスし、それに基づいて判断を行い、主権を行使することにあると考えており、まさに、その意味において、公文書等は、健全な民主主義の根幹を支える基本インフラであるとともに、国民共有の知的資源であります。
こうした趣旨を踏まえて、公文書管理法第一条において、主権者たる国民の立場に立って、公文書等が国民共有の知的資源であり、国民が主体的に利用し得るものと位置づけております。
まさに、そうした性質を有する公文書等の適正な管理を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、現在及び将来の国民への説明責任を全うすることが求められているものと認識をしております。
○菅国務大臣 今、梶山大臣の答弁にもありました。やはり公文書は、国民共有の知的資源であり、将来の国民への説明責任を全うすることが求められている極めて重要なものであるという認識をいたしております。
○阿部委員 私が先ほど指摘させていただいたように、この一年は、国民への説明責任も果たされていない、行政の効率化も果たされていない。国民への説明責任が果たされないから、次々とマスメディアが、こんな文書もあった、こんな文書もあったという形で、ますます国民の政治への信頼が遠のいていく、いわば危機的な事態にあるんだと思います。公文書管理がしっかりしないがゆえに、政策の過程が国民に説明されないがゆえに、不信が私は増幅していると思います。
例えば、きょう大臣のお手元に私の資料、一枚目を見ていただきますと、実はこの間、これは平成二十七年の六月の五日にかかわる文書ですが、愛媛県の今治市側から二つの文書、あるいは、内閣府の国家戦略特区ワーキンググループから二つの文書、同じ一つの事態に四つの文書が出ておる。四つの文書は、おのおの、住民が情報公開請求をして、一つの事象について四つ出てきた。国民への説明責任という意味では、国民もびっくり、混乱、どれが本当なんだろう、何が起きたんだろうと思う事案であります。
まず、お手元の一枚目と二枚目。これは、同じ事柄の公開請求に対して、公開請求した時期が違って、そうしたら違うものが出てきたというのが、一枚目とその裏であります。
六月五日の国家戦略特区のワーキンググループによる出席のため今治市から出張したという復命書、これが一枚目。同じ日に出張したという復命書が裏にございます。情報公開請求の時期がたがえたら、同じことの文書が二つ出てきてしまった。
梶山大臣、よく見ていただきますと、一枚目と二枚目、各担当の部署の印鑑、決裁印も違っております。そして、総務部の総務部長渡辺という印がついたもの、これが最初に出てきた、ビフォーです。二枚目を見ていただくと、その印もなく、各決裁者の印も変わっている、これがアフターです。
なぜ同じ事象に二つのものが出てきたのか、このことについて梶山大臣のお考えを聞きたいです。
○梶山国務大臣 この文書は、今治市の出張復命書と言われる書類であります。意思決定を行う決裁ではなく、出張内容を今治市の内部で事後報告するために供覧した文書であると聞いております。今治市の文書規程に基づき市が責任を持って作成、保存しているものであり、国としてコメントする立場にはないということであります。
その上で申し上げれば、今治市からは、書換えは行っておらず、市の文書規程に基づき、適正に二種類の文書を作成し、適正に保存していると聞いております。
次に、この二つの文書の違いにつきましては、一方の文書は、情報公開条例にのっとり非開示とされた部分があり、当該部分の記録内容は政府として承知をしておりません。このため、記録内容がどう異なるかは承知をしていないところであります。
今治の文書に関しては以上であります。
○阿部委員 私がビフォー、アフターと申しましたが、この間に起きたこと、実は、なぜ違う二種類の文書があるんだろう。この間に、国の、内閣府の国家戦略特区問題に関するワーキンググループの、その論議に対しての情報公開の請求が出されました、市民団体から。そこで、内閣府の方から今治市に対して情報公開しますよということが伝えられて、その結果が、アフター、二枚目、裏側になりました。
このビフォーとアフターの間にある出来事は、内閣府の方から今治市に内閣府のワーキンググループの資料を情報公開しますよとお伝えしたことによって、今治市は二種類のいわば出張の記録をつくられました。
私は、自治体にとって、内閣府からいろいろ御連絡があったときに、より適切に対応しようと思われる、ある種のそんたくも働いたかと思いますが、見ていただくと、最初、黒塗りに書きましたが、文書の量が全然違います。黒塗りの方がかなりたくさん、多く、そしてアフターになると、簡略になって、ボリュームもぐっと減っております。
ちょうど、実は森友問題のビフォー、アフターと一緒で、何か、わかりません、不都合な真実が消されたのやもしれません。しかし、それはここからはわからない。明らかにわかることは、量が違う、決裁印が違う、間には内閣府のワーキンググループの情報公開が市民から求められて行ったということがあるわけです。
では、そのワーキンググループの情報公開、これもまた二種類あります。これはホームページに出ているものが二種類あるわけです。これが三ページ目、四ページ目とございますが。同じ六月五日に行われたワーキンググループの議事要旨と、後ろは議事録となってございますが、これについても二種類ございます、同じ日の同じ出来事について。この御説明はいかがでしょう、大臣。
○梶山国務大臣 まず、三月に議事要旨を作成をいたしました。それまでは非公開ということでしたけれども、措置済みということで、八田座長の指示により議事要旨をつくったということであります。
特区ワーキンググループは、これまで、全部、ほかの項目も合わせて千回以上開催されておりますが、これらの議事要旨の公表に際しては、当然、発言者にその内容を確認をしていただいております。発言内容の確認は、六月五日のワーキンググループ議事要旨に限らず、全てのワーキンググループについて同様に行っているところであります。
先ほど申しましたように、六月五日のワーキンググループの議事要旨については、昨年の二月から三月にかけて、公表に向けて詳細を記録した議事要旨を作成する際に、内容を確認してもらえるよう今治市に送付したと承知しております。しかし、これはあくまでも内閣府作成の議事要旨の内容確認にすぎず、今治市がみずから作成した復命書の会議の模様の部分については内閣府から何ら指示を行っていないということであります。
そして、もう一つということでありますけれども、議事要旨とあわせて、その後に議事録をつくりました。そして、議事要旨については、原則は公開としつつ、非公開に相当な理由がある等の場合は非公開とすることとしており、こうした考え方は運営細則においても明記をされているところであります。また、当然ながら、こうしたルールは、獣医学部の案件に限らず、全ての提案ヒアリングに適用されているものであります。
具体的には、六月五日のワーキンググループ提案ヒアリングにおいて、提案主体の愛媛県今治市から、議会対策、反対派、競合相手との関係上、非公開の希望があり、非公開の前提で議事が進められたわけであります。
このように、ルールにのっとって詳細な議事要旨を公開しており、何かを隠そうとしていたとの御指摘は当たらないと思っております。
一方で、議事録と議事要旨の違いということでありますけれども、これらについては、議事要旨をごらんになる方が、提案者の希望に基づき非公開と整理された議事であっても一方的に公開されてしまうのではないかとの誤解をしないよう、明示的に発言者の確認、了解をいただいて公開するような形に調整を行ったものということであります。
○阿部委員 普通に考えましたらば、一番最初の公開されたものは、議事内容は公開の扱いでよろしゅうございますかで、よろしいというのがまず公開されるんです。続いて、議事録の方では、いや、非公開にしてくださいというのが公開されるんです。こんなふうに内容が真反対に違う。最初は、公開していいですよと言ったかのような議事録が発表されます。
この間にあったことが何なのかと申しますと、梶山大臣もよく御承知のように、二〇一七年八月六日に朝日新聞が、この特区の会議に加計幹部が出席していた、ワーキンググループのこの場に三名が出席しておったということが新聞記事になりました。その翌日、八田座長の方から、出席していたということが今度は発表されました。
メディアが指摘したから出席していたと発表し、最初は非公開にしているのに公開だという議事録を載せ、私はこれは虚偽になると思うんですよ。非公開にしていたなら非公開でいいんです、その文言も。ただ、最初はあたかも公開にしているかのように言い、加計学園が来ていたということが指摘されると、また新たな議事録が出てくる。
こうやって、そこに利害関係者がいたことを私は非公開にすべきではないと思います。それが疑心暗鬼を生む。そして、利害関係者が出席してはいけないとは私は思っていません、出席しても議決権に加わらなければそれはいいことですから。でも、どんな御意見を聞いて事が運んでいったかもわかりません。そもそも、いたかいないかも全く触れられず、外から指摘されてというような事態が起これば、国民との信頼が一つ一つ崩れていきます。
利害関係者の出席もきちんと漏れなく、出席者ですから、これは公文書管理のガイドラインにもあると思います。出席者は書かれるべきです、発言の有無にかかわらず。いかがですか。
○梶山国務大臣 二つに分けてお答えをしたいと思いますが。
一つは、加計学園の関係者、説明補助者ということで、議事の規則にのっとって、説明補助者についてはその発言は記録しないということになっております。
もう一つは、今の話なんですけれども、省いたところということですけれども、読ませていただきますと、今治の方から、済みません、諸般の事情により非公開でお願いできたらと思っております、理由は、対抗するというか、いろいろな意見を持った勢力もかなりあること、行政の支援で、議会筋のようなところに説明が至っていないので、その辺、ちょっと非公開でお願いをできたらという理由でございます、はい、わかりました、ただし、提案なさっていること自体は議会の方も御存じですよねということを省略したということですが。
その理由は、先ほど申し上げましたように、非公開と整理された議事であっても一方的に公開されてしまうのではないかとの、ほかの事案の関係者に誤解を与えないよう、明示的に発言者の確認、了解をいただいた上で公開に適するような形に調整を行ったというのが事実であります。
○阿部委員 私は、それが発想が逆転していると思うんです。
最初のホームページにアップされたものは、議事内容は公開の扱いでよろしいですねと言って、よろしいですと答えたものが先にアップされてしまうわけです。みんな公開を前提にして、この会議は行われたと思います。ところが、次に出てきたものは、利害関係者いろいろあるから、議事は非公開でお願いしたいと言われたわけです。
そもそも、そうであれば、この前段の公開というところがうそになります。非公開でやってくれということだったわけであります。そういうことが不信のもとになる。非公開は非公開、公開は公開なんです。そこに誰がいたんじゃないのとなってきますから、こういうわざわざ二つの文書をつくるようなことをしないで、真実を記録として残していただきたい。
それから、利害関係者がいた場合に、必ず、出席されていた方は全員書いていただきたい。発言していないから書かない、誰がいたかわからないというものは、私は正しい記録にはならないと思います。
そしてもう一つ、やはりこういう会議録の扱いについて、恣意的な判断で、相手が非公開と言ったから、本当は非公開なんだけれども、公開と書いちゃうみたいな、こういう不正確な扱いはぜひやめていただきたい。
私は、会議録についての記録の正確な取扱いについて政府は努めるべきと思いますが、いかがですか。
○梶山国務大臣 この件につきましては、八田座長からもコメントが発表されておりますけれども、その後に、ガイドラインの改正と並行いたしまして、議事についてもしっかりと行っていく旨の要綱が発表されたところでありまして、基本的には、説明補助者は認めないというような形でこれからは議論をしていくということになっております。
○阿部委員 説明補助者は書かないということですか。(梶山国務大臣「認めない」と呼ぶ)認めない。もういない、そこには。それも一つの解決方法でありましょう、混乱のもとでありますから。そこにいた人は、いたと書いてください。公開しない、非公開にしたものは、非公開と書いてください。それが正しい記録です。ぜひお願いをしたいと思います。
さて、この案件にかかわって最もグレーゾーンになっているのが、四月二日から六月五日までのこの間の出来事であります。私は今、六月五日の文書が四つもあるよと申し上げましたけれども、それ以前は、実は、内閣府には何の記録もございません。
ところが、この四月二日から六月五日までに起きたことについて、当初、一番最初に、これは国家戦略特区のいわば相談案件として、国家戦略室の次長の藤原さんと、そして指摘されるところの柳瀬さんと会われて、どのようにして申請をしていこうかという話をされた。もっと端的に言えば、構造改革特区じゃなくて国家戦略特区にしたらどうだ、そうした助言がなされたと言われているところの問題であります。
実は、この間をめぐっては、松野筆頭が文部科学大臣であったときに文部科学省の方からも、これは前川前事務次官が、官邸の意向があったなかったというやりとりの中で、文科省にある文書を調べてくださいといって、松野さんが大臣のときにお出しになった文書、そして今回の今治市の文書、さらに愛媛県の文書、最終的には、きのうの夜からけさ報道があった農水省にあった文書。すなわち、文科省にも、今治市にも、愛媛にも、農水省にもあった文書について、内閣府だけがないという極めて奇異な、本当に不思議なことが起きています。
まず、農水副大臣、お願いいたします。今回発見されたというその文書は、例えばどこのファイルにあったかとかより詳しく、どこから見つかったものか教えてください。
○礒崎副大臣 お答えをいたします。
愛媛県庁が作成し、農林水産省に配ったとされる文書について、事実関係の確認を行ったところ、過去に担当課の職員であった者が個人的に保存をしていたということが判明したわけであります。
○阿部委員 実は、文科省においても調査していただきまして、国家戦略特区のファイルにはなかった。ただ、個人ファイルも幾つも見ていただいて、あった。農水省においてもそうであると。なぜ文科省は松野さんの時代に、ただ、それは、菅官房長官は怪文書とかおっしゃっていましたけれども、私は詳しい資料が発表されていると思います。
その上で、梶山大臣にお伺いいたしますが、やはりこの四月二日から六月五日までの間、国家戦略特区の地域創生担当の方々が、今治の市の職員あるいは県の職員にお会いになったのであれば、それは記録として残されて当然であって、愛媛は備忘録という言い方をしておりますけれども、今治は出張の記録と。しかし、内閣府だけ何にもない。そして柳瀬さんに伺えば記憶に定かでないと。記憶が消えるものであるからこそ、記録が必要なんです。
なぜ国家戦略特区としてやっている仕事に何の記録もないのでしょうか。四月の二日から六月の五日に至る下交渉の記録でありますが、どうでしょうか。
○梶山国務大臣 内閣府におきましては、特区指定前や提案段階でも、自治体からの相談は幅広く応じることとしているところであります。地方創生の推進を担当する部署として、規制改革を通じて地域の活性化を目指そうとする意欲的な自治体に寄り添い相談に応ずることは、当然かつ通常の業務の一つであると認識をしております。
自治体のお話をお聞きすることは数多くあり、一つ一つの記録をとっているわけではありませんけれども、規制改革提案がされた後は、規制改革の実現に向けた検討を行う特区ワーキンググループや特区諮問会議、規制改革事項の活用などを議論、決定する区域会議について、詳細な議事要旨を作成、公表、透明性の確保に努めているところであります。
先ほど申しましたように、ワーキンググループの議事要旨だけでも千を超えるものがあるということで、受け付け前はそれ以上の自治体が来ているわけでありまして、制度の説明も含めて窓口業務についてはそういう記録がないというのが現実であります。
○阿部委員 準備段階の書面が、他の案件についても全くないのか、この案件だけなのか、その点について明確にしてください。
この案件は、どこにもないと言われます。柳瀬さんも出てこない。どこにもない。記憶も記録もない。なぜだ。首相案件だからだと思われても仕方がないと思います。
○梶山国務大臣 ほかのテーマにつきましても、申請前、そして相談というものは同じようなことだと思っております。
○阿部委員 私は、それがグレーゾーンになるもとですので、記録を残していただきたいと思います。
終わります。
○山際委員長 次に、中川正春君。
○中川委員 中川正春です。
きょうは官房長官に出席をいただいておりますので、いろいろ聞いていきたいというふうに思います。
まず冒頭ですが、セクハラの問題というのが、財務省あるいは厚生労働省の中で、それこそ次官級の懸案として出てまいりました。福田淳一次官、それから厚労省の福田祐典健康局長のセクハラ疑惑、これが報じられているわけでありますが、麻生大臣は口頭注意しただけだと。
こうした寛大な処分が女性自体が働きづらい環境を醸成していくのではないかということ。ぜひここのところについては、しっかりとした、いわゆる国際スタンダードというか、ミー・トゥーの旋風が吹き荒れていますけれども、そんな中で、日本のこうした問題に対する基準というのが今回政府によって示される、そういう大きな課題になってきているんだろうというふうに思うんです。それだけに、私は、麻生大臣の口頭注意だけで済ませてしまうという態度については憤りを感じておりますし、これではだめだという思いであります。
公務員の職務規範に反する行為として厳重に対応していくべきだと思うんですが、全体を取り仕切る官房長官としては、どのようにこれを判断されますか。
○菅国務大臣 まず、本件について、昨日の参議院財政金融委員会において麻生大臣から答弁がありました。福田事務次官から麻生大臣に報告があり、麻生大臣から厳重注意し、次官本人も反省をしている、いずれにしろ任命権者であります麻生財務大臣がきちっと対応していくものである、こういうふうに思います。
私自身としても、財務省が現在置かれている状況を考えて、緊張感を持って行動してもらいたい、このように考えています。
また、政府全体としても、国家公務員は、国民全体の奉仕者であって、公共の利益のために勤務し、そして、職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなきゃならない、このようにされております。
国家公務員が、改めてみずからの職務を認識をし、国民の信頼を得られるよう、緊張感を持って職務に取り組んでほしい、こういうふうに思います。
○中川委員 さっきの答弁だと精神論で終わっているわけでありますが、私が具体的に聞きたいのは、口頭注意した、ここで終わるというものではない、これまでの規範に照らして、厳重にその後、処罰があるんだということを前提に官房長官は先ほど答弁をされたというふうに理解をするんですが、それでいいんですね。
○菅国務大臣 財務省の政務官が来ておりますので、政務官に答えさせます。
○今枝大臣政務官 先ほどの先生の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。
官房長官からもお話がございましたように、昨日の参議院財政金融委員会において麻生大臣が答弁をいたしましたように、公的な場での発言に関する記事ではなく、福田次官の私的なやりとりに関する記事であると認識をしておりますけれども、既に福田次官から麻生大臣に対して報告がなされております。
具体的な報告内容をまず申し上げますと、ふだんから私的な場においていろいろな相手といろいろな会話をしており、その一つ一つのやりとりは定かではない、記事において正確な日時や相手方が必ずしも明らかではない中で確認のしようがない、いずれにせよ誤解を受けることのないよう気をつけてまいりたいというふうに聞いております。
その上で、麻生大臣から次官本人に対して、財務省が現在置かれている状況も踏まえ、緊張感を持って行動するようにと厳重注意をし、次官本人も強く反省をしたものと承知しております。
○中川委員 さっきの答弁を聞いていると、私的であれば何をやってもいいということじゃないですか。国家公務員、あるいは一般の公務員でもそうかもしれない、許される話じゃないですよ、私的で何でもやる、やっても許されるというのは。こんな理屈で国家公務員規範を当てはめるということであれば、これは間違っています。これは答弁をやり直さないととんでもない話になりますよ。
官房長官、こういうレベルです。これはやはり全体を取り仕切る人事局として、しっかり規範をどのように適用していくのかということを出すべきじゃないですか。
○菅国務大臣 先ほども申し上げましたが、任命権者である麻生財務大臣がきちんと対応していくものである、こういうふうに考えています。
○中川委員 さっきの答弁を聞いていたら、対応していないんですよ、これ。わかるでしょう。私的であれば何でもしてもいいって、こんな答弁ありますか。
さっきの答弁、官房長官、是としますか。
○菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、政府全体としても、国家公務員というのは、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、かつ、職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念しなければならない、そうされています。
国家公務員は、改めてみずからの職務を認識をし、国民の信頼を得られるよう緊張感を持って職務に当たってほしい、こういうふうに思います。
○中川委員 そうした答弁でうやむやにする話じゃないというふうに思います。
私たちも見守っていきたいと思いますし、これは国民全体が見守っていますよ。どういう形で政府がこれに決着をつけるかというのを国民全体が見守っています。そのことをしっかり意識した上で、これからの処分に臨んでいただきたいというふうに思います。
次に、もう一つ、具体的な質問の手前の問題なんですが、実は、今回、柳瀬さんと藤原さん両氏を参考人としてこの委員会にも出席をするようにということを要請をしました。
実は、政府参考人にしてもあるいは参考人にしても、いつも我々がこうやってやりとりするときは、政府サイドから我々にリクエストがあるんですよ。大臣が答弁をしていくということだけでは充実した形にならないので、もっとその議論をしっかりしたものにするために、現場で、あるいはそれぞれのつかさつかさでやっている政府の参考人を、この人とこの人とこの人を呼んでほしい、そういうリクエストが私たちのところに上がってきて、我々の投げかけとしてこの人を呼んでください、こういう仕組みになっているんですよ。
ところが、私たちは、この二人、柳瀬さん、藤原さん、これはどうしても必要な二人ですよ。必要な二人というよりも、この二人が出てきたら、二〇一五年四月二日に愛媛県の関係者、今治市、あるいは学園の事務局長等々が会ったのか、いわゆる官邸の中で会ったのか会わなかったのかというのがはっきりわかる。
だから、そこで決着つけたらいいじゃないか。これぐらいはっきりした議論ができる環境というのはないんだと思うんですよね。それに対して、だから、呼んでここで決着つけようという話をしているんですが、政府の方からは、だめだ、出席させないという回答が返ってきているんですが。
官房長官、これをどう思われますか。
○菅国務大臣 政府というよりも国会のことですから、そこは国会でお決めになることだと思います。
○中川委員 いや、政府として出していいということでしょう。どうなんですか。
政府は、例えば、国会の中で合意ができて、出しますよということであれば出していいということになっているんでしょう。
○菅国務大臣 政府とすれば、国会でお決めになったことには従わさせていただきたいと思います。
○中川委員 国会では全く違った回答が来ているんです。国会で決めるんじゃなくて、政府の方が出したくないということを言っているから出られないんです、そういうニュアンスの回答が来ているんです。
こんな矛盾した話はないので。
委員長、今度はそっちに向けますけれども、自分の都合のいいときだけ参考人を出しておいて、都合が悪くなるとそれを隠すために出さないというような、そんなことがあってはならないというふうに思います。そのことを指摘をしておきたいと思うんです。
中に入っていこうと思ったんですが、もうあと五分しかないということなので、一つだけ入っていきますが。
この前、官房長官、出席がなかったので直接聞けなくて、それこそ政府参考人になっちゃったんですが、首相案件というのが柳瀬首相秘書官の発言として出てきています。首相案件というのは、これは恐らく官邸などか内閣府の中で使われている言葉なんだと思うんですが。
一般論でいいんです。今回、言った言わないという話じゃない。首相案件というのはどういうことを意味しているのかということですね。
○菅国務大臣 通常そういう言葉は使っていないと思います。何のことかわかりません。
○中川委員 通常それを使っているか使っていないかというのは、そのうちわかるでしょう。恐らく、通常使っていないあるいは言っていないということは、愛媛県の今の文書というのを確実に否定をしていくことにもなっていきます。実際、これが言われていたというときには、官房長官、覚悟してくださいよ。使われていないというのは、これはまた虚偽の発言をしたという話になる。
恐らく使われているんですよ。使われている中で、首相が具体的に関与して、これを早く進めろよということを指示した、その中で動いていく案件だということ。客観的に見たら、誰が見てもそういう話になるということをここで示唆をしているという問題であります。これは、これからしっかり解明をしていくという話になっていくんだというふうに思います。
さらに、会っていたか会っていなかったかというそのことに対して、これだけ、それぞれ、今治からも出てきましたし、愛媛からも出てきた。また、農水省にその書面もあったということの中で、いや、会っていなかったんだということが言われるのであれば、それを証明するというのは、いわゆる挙証責任というのは、会っていなかったという意味での挙証責任というのは、これは柳瀬さんや藤原さんの方にあるんだというふうに思いますよ。
それを、ただ覚えていない、覚えていないという話だけでは済まない。挙証責任はやはり柳瀬さん、藤原さんの方にあるんだと思う。それを説明するというか、その文書があるんだとすれば、例えば官邸の来客記録であるとか、あるいは柳瀬、藤原両氏の行動記録というものを、四月二日について、この委員会、私たちに提出をしてもらいたいということ、これを改めて要求をしたいと思います。
○菅国務大臣 そこは、理事会で要請があれば、そのようにさせてもらいます。
訪問記録ですよね。これについては、二十七年の四月二日官邸の訪問記録を調べたところ、既に当時の萩生田官房副長官が国会で答弁したとおり、訪問者の記録は、関係規則等に基づき、遅滞なく廃棄する取扱いとなっており、保存されておらず、確認できなかったということを、二十七年に既に萩生田副長官が述べております。
なお、一昨日、衆議院の予算委員会において、総理から、愛媛県、今治市の職員の官邸訪問についてもう一度確認させたいという答弁がありまして、現在、事務方に再度確認をさせているところであります。
○中川委員 ちょっとオーバーしますけれども。
今治市の人たちが来たか来なかったかという話じゃないんですよ。挙証責任というのは何かといったら、裁判でいったらアリバイなんですよ、アリバイ。アリバイを立証するのは柳瀬さんと藤原さんのサイドでしょうというの。だから、彼らがこの二日の日に何をしていたか。行動記録も含めて、あるんですよ、日程表というのが。それを全部出してきなさい、こう言っているんです。
○山際委員長 もう時間を過ぎておりますから、質問は終わりにしてください。
○中川委員 委員長、そう言いますか。はい。
ありがとうございました。
○山際委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
最初に、菅官房長官、お尋ねいたします。
加計学園に係る愛媛県側の、柳瀬氏また藤原氏の面談記録の話ですけれども、愛媛県側はこの文書を認めたところであります。この旨、各役所に届けた、置いてきたという報道がありました。そのことについて、官房長官として確認させると。記者会見でもそういう説明をされ、この委員会でもおとといお答えになりました。
農水省からそういう文書が出てきたということを聞いておりますけれども、農水省でどういうものが出てきたのか。また、ほかの役所はどうだったのか。現時点でわかっていることについて、まず御報告いただけますか。
○菅国務大臣 農水省については、報道されているような内容のものでありました。
また、ほかの役所については調査中でありますけれども、現時点にはないということです。
○塩川委員 農水省について、農水大臣も記者会見で述べております。
平成二十七年五月に獣医師法などを担当する部局に異動した職員が前の担当者から引き継いで受け取り、そのまま保有していたということでありますけれども、愛媛県の文書と農水省で見つかった文書については、県の対応についての部分で記述が違うということはあるということですけれども、柳瀬氏、藤原氏との面会記録は同じだと。そういう点で、いわば県の方が用途に応じて文書を使い分けているということであるということがそこにも示されているわけですが、しかし、二人との面談の記録そのものは共通をしているわけですね。
官房長官、お聞きしますけれども、やはり二〇一五年の四月の二日に愛媛県職員らが柳瀬氏、藤原氏に面会をした事実というのは、農水省から出てきた文書においても更に裏づけられている、この事実は否定できないんじゃないですか。
○菅国務大臣 四月二日の事実関係については、昨年夏の閉会中審査において、既に国会の場で柳瀬元秘書官から答弁があったとおりであります。
愛媛県が作成した文書、この評価について、政府としてはコメントする立場にないというふうに思います。
いずれにしろ、政府としては、今後とも国民の疑念を招くことがないように、文書の正確性の確保、そのために努めてまいりたいと思います。
○塩川委員 コメントする立場にないというその答弁そのものが国民の疑念を招いているんですよ。国民の疑念を招かないようにするのであれば、この事実関係をきちっとただす必要がある。愛媛県側はこういう文書があるということを認め、実際、そういう文書というのが国の機関からも出てきたわけですから。
この柳瀬氏の、記憶をたどる限りお会いしたことはございませんなんて、こんな一言で済むような話じゃないんですよ。こういったことについて、もともと、内閣官房にいた、そういった職員であるわけですから、その当時の首相秘書官としてのやりとりについて、当時の官房長官だった菅さんはしっかりと明らかにする責任というのは当然あるんじゃないですか。直接問いただす、そういうことをやはり官房長官としてやるべきじゃありませんか。
○菅国務大臣 愛媛県の文書に関する報道についても、柳瀬氏自身が、そうした発言をすることはあり得ないとのコメントを既に発出をいたしております。
愛媛県が作成した文書の評価について、備忘録ということでありますけれども、国としてそこについてコメントする立場にないということは当然のことじゃないでしょうか。
○塩川委員 いや、農水省に届いているわけですよ。そういう要請として、県が来たということじゃないですか。そのことについて国側の対応がどうだったかということを改めて明らかにするというのが、農水省から文書が出てきた時点で問われているんじゃないですか。国側の、政府側の対応はどうだったのか。そのことについて明らかにする、そういう挙証責任が国の側にあるということが、文書の発見によって明らかじゃありませんか。
○菅国務大臣 今申し上げましたけれども、当該文書を農水省で受け取った経緯だとか、その後の文書の扱いなどについて、これについては承知をしておりません。
いずれにしろ、愛媛県の職員が作成したと考えられる文書であり、その内容についてコメントすることは、そこは控えたいと思います。
○塩川委員 そういう姿勢というのが国民の疑念を招いている、一層国民の怒りを買っているということを正面から受けとめるべきです。
真相解明のためにも私は参考人として柳瀬氏、藤原氏の要求をしましたけれども、かなえられておりません。引き続き要求すると同時に、やはりしっかりと事の次第を明らかにする上でも、このお二人の証人喚問というのは欠かせないと改めて要求したいと思います。
そこで、こういった文書の問題に関連して、オスプレイを含む危険な米軍機飛行の実態を隠蔽しようとする動きについて取り上げたい。
米軍横田基地へのオスプレイ配備について、二〇二〇年とされていたものが前倒しでこの四月に配備をされることになりました。墜落事故を繰り返すオスプレイの横田基地配備に不安と怒りの声が広がっています。
日本政府は、三月の十六日に米軍からオスプレイの横田基地配備の通報を受けていたにもかかわらず、公表したのは四月の三日でした。政府は、米側からは公表に向けて調整が整うまでの間は日本側からの公表を控えるよう要請されていた、運用上の安全の問題もあるので四月の三日の公表となったなどと説明していますが、国民の安全よりも米軍のオスプレイの安全を優先するような、全く逆立ちした対応であります。国民が怒っているときに政府の都合を優先して、事実を隠そう、隠蔽しようという姿勢は断じて許されません。オスプレイ配備は撤回をすべきであります。
さらに、オスプレイを含む米軍機の飛行に係る情報の開示が後退させられているという実態を指摘するものです。
資料をお配りしております。これは、防衛省が作成をしたもので、上と下、二つありますけれども、上側の米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表ということで、住民の方々から米軍機の飛行にかかわるような苦情を受け付けた場合に、そのことを記録をし、米側に対応を求める、その際に飛行の実態の回答を求める、こういうことを記録をした米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表、これが昨年の七月まで行われていたんですが、下側の地方防衛局に寄せられた航空機騒音苦情一覧、八月以降はこうなっておりますけれども、この記載というのが大きく変更されております。
防衛省にお尋ねをいたします。
北関東防衛局が集計しましたこの上側の平成二十九年三月分の米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表ですけれども、埼玉県内各地でオスプレイ飛行の苦情が、上から三つ、右の方から二つ目の欄、「苦情等の内容」にオスプレイの飛行が書かれておりますけれども、このようなオスプレイ飛行の苦情の受け付け状況です。
防衛省は、住民のオスプレイ飛行についての苦情を受け付けた際に、米軍に対して米軍機かどうかの確認を求め、その回答をもらってきたんじゃありませんか。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、防衛省は、これまで、関係地方自治体等から米軍機の飛行が原因と思われる苦情等を受けた場合には、米軍に対し、飛行の有無などを照会してきたところです。照会の上、回答が得られたものにつきましては、御指摘のとおり、資料に記載しておりました。
しかしながら、米軍は、昨年八月以降、個別の米軍機の飛行の有無などについては、運用上の理由等から原則として逐一明らかにしないとして、照会に対する回答が得られなくなったところでございます。
そのため、我々防衛省といたしましては、昨年八月以降に受けた苦情等については、自衛隊内でまず確認をし、自衛隊機の飛行の該当がない苦情については、米軍機、民航機又はその他の航空機の飛行によるものと思われる苦情等として集計することとしました。
様式の変更について御指摘がありましたが、こうしたこととなりましたので、地方防衛局から報告させる様式も、米軍の照会、ここは米軍が答えないと言明をしたということもありましたので、これを除いた形にしたということでございます。
ただし、これは昨年の秋の時点では試行ということで実施をいたしました。
その上で、米軍に対しては、当該集計表を通知した上で、これらの苦情等に配慮し、住民の方々に与える影響を最小限にとどめるように求めているところでございます。
いずれにいたしましても、防衛省としては、米軍機の可能性がある地元の方々から寄せられた苦情などにつきましては、米軍に伝え、地元の方々の生活に与える影響を最小限にとどめるよう求める方針には何ら変更はございません。
○塩川委員 極めて重大ですよ。今までは米軍から回答を求めて実際に回答もとってきた。実際には答えなかったものもあるということでありますけれども。
要するに、米軍機が低空飛行している。それこそ、空中一回転をするような、爆音が地面に響き渡るような、そんな米軍機の騒音被害というのは各地で繰り返されているわけで、そういった実態についてやめてほしいと。群馬県なんかでは、県立高校の入試の日に爆音を響かせて飛んでいるためにヒアリングのテストがもう台なしになったと県を挙げて怒っていた、こういう実態なんかがあるんですよ。
そういったことについて、米軍かどうか回答を求めるのは当然であるわけで、それについて、米側から、もう回答しないよと言うので、ああ、そうですかと。そんなことで、日本の国民の声を踏まえた防衛省の対応が務まるのか。こんな米軍の対応を防衛省は容認するんですか。
○深山政府参考人 繰り返しになりますが、また、先生御指摘のとおり、今、入試の際の米軍機と思われる騒音についての苦情について御指摘がありましたが、我々といたしましても、群馬県のみならず、そうした苦情は多々聞いておるところであり、そのたびに米軍に対して対処を求めているところでございます。
一方、本件につきましても、我々は、それで従うのかという御指摘がありましたけれども、米軍に対して引き続き回答するように求めたところでございますけれども、米軍の回答はこうしたものでございます。
私どもは、さはさりながら、回答が得られなくても、いかなる苦情があったか、それは集計して、まとめて、先ほど申し上げましたように、米軍にも伝え対処を求めますし、また、資料をお出ししておりますけれども、お求めがあれば、こうした苦情があったということは当然お出しするということに姿勢は変わりありません。
いずれにしても、米軍の可能性があるものについては、米軍に申し入れて対処してまいりたいと考えております。
○塩川委員 住民の苦情を米軍に届けるのは当たり前の話なんですよ。そのときに、やめてくれ、これを改めよということについてきちっと是正を行うためにも、米軍機かどうかの確認をしなきゃできないじゃないですか。それをやらないと。
大体、日本の国土で、日本の国民が生活をしているところに爆音を響かせて米軍機が飛んで回るのに対して、それをやめさせる、その前提としての米軍機かどうかの確認もできないということ自身がおかしいじゃないですか。
官房長官は、沖縄の基地負担軽減の担当でもあります。沖縄も深刻な実態であります。日本全国、こういった米軍機の訓練による被害というのがまかり通っているんですよ。そんなときに、米軍からの回答は今まであったのに、米軍の運用上の都合でということでもう回答しません、ああ、そうですか、わかりましたと。こんな対応で国民の声を代弁することができるのか、国民の要求をしっかりと踏まえる日本政府としての役割を果たせるのか、そのことがまさに問われていると思いますが、官房長官、ぜひお答えください。
○菅国務大臣 米軍機の運用等によって地元の皆さんの生活に与える影響を最小限にとどめるように取り組むということは、これは当然のことだというふうに思っています。また、寄せられたさまざまな苦情等についてはしっかり対応していかなきゃならないと考えています。
引き続き、米軍機の飛行による住民等からの苦情等について、確実に米軍に伝達をして、今後の飛行運用への配慮を求めるなど、防衛省にしっかり対応させたいというふうに思います。
○塩川委員 私が尋ねているのは、米軍機かどうかの確認はしないのかと。確認をしない、米軍機として米軍側が回答しないということをそのまま放置をするのか、そこが問われているんですよ。
その点どうですか。
○深山政府参考人 私どもも昨年夏までは回答が得られてきたということは先生にも申し上げましたし、表としてまとめたとおりです。ただ、今申し上げましたとおり、その後は明らかにできないという回答が来ているということも事実であります。
ただ、その上で、きょう御指摘になりましたので、私からも再度、在日米軍に対しまして、この確認を求めたいと考えております。
以上です。
○塩川委員 当然ですよ。しっかりと回答を求めて、回答させるということは、最低限の行うべき仕事です。
米軍機の危険な訓練実態を隠蔽しようとするような話であり、住民の生活、安全よりも米軍の都合を優先する、こういった米軍機の横暴、勝手な訓練飛行を放置することは断じて許されないわけで、米軍機の危険な訓練飛行をきっぱりとやめさせる、沖縄や横田や、そして、日本全国でのオスプレイの配備は撤回をする、このことを強く求めて、質問を終わります。
○山際委員長 次に、柿沢未途君。
○柿沢委員 近畿財務局が大阪航空局に見積りの増額を要求、NHK。首相案件と柳瀬氏は言った、同席の一人が証言、読売新聞。きのうも、次から次へと、安倍総理や佐川さんや柳瀬元総理秘書官が語っているのと真っ向から食い違う、真っ向からそれを覆す事実が、連日、ニュースで報じられています。
ここまで、朝日新聞三月二日一面トップの改ざん、書換えの報道を始め、当初は、四の五の、ああだこうだ言いながら、押し込まれて、調べますと。結局、後から認めるという展開がずっと続いているわけです。報じられるたびに、ああ、安倍さん、やはりうそを言っていたんだ、そういう相場観が形成されつつあるわけであります。
うそだと言うなら証明しろ、逆切れ気味に安倍総理の語っている姿が国民の印象にとても残っているものですから、これまでの説明が、根幹部分が崩れてしまうと、やはり安倍総理がうそをついていたんだな、こういう印象が強まってしまうわけです。悪循環ですね。何でこんな拙劣な展開になっているんでしょうか。
愛媛県の文書であります。内閣府、農水省、文科省に資料として配ったと愛媛県は言っております。官房長官から、文書の有無を確認するよう指示をした。きょうになって、愛媛県の文書、農水省にありましたということになりました。きのうの段階で通告したときに、農水省にも来てもらっているんですけれども、けさになって、ありましたというふうに先に発表していただきました。
しからば、文科省と内閣府であります。文科省、この文書、捜していると思いますけれども、ありましたか。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の獣医学部新設をめぐります愛媛県作成の文書の有無につきましては、現在、文部科学省において確認作業を進めているところでございまして、担当の高等教育局を始めとする関係部局において、共有ファイル及び共有フォルダを探索するとともに、当時の関係者に対するヒアリングによりまして、個人ファイル等を含めて、当該文書の存否の確認を鋭意進めているところでございます。
○柿沢委員 では、内閣府であります。内閣府は本丸ですよ。本丸の内閣府はどうか。
ちなみに、梶山大臣は国家戦略特区の担当大臣でもあり、また、公文書管理の担当大臣でもある。はっきり言って、ないはずはない、なかったということでは済まされない、なかったということはあり得ないと思いますけれども、内閣府、どうですか。
○村上政府参考人 内閣府の状況についてお答え申し上げます。
四月十日の報道を受けて、梶山大臣から真っ先に、報道のあった文書が内閣府に保存されていないかどうか確認するよう、公文書担当省であるということも含めて御指示をいただき、また、官房長官からも、その日のうちに同趣旨の確認作業を行うよう御指示をいただきました。
獣医学部新設に係る規制改革事項を担当する担当者から幹部、管理職全員、及び二十七年四月当時の担当者及び幹部、管理職全員、合わせて約三十名が対象となります。全員への徹底したヒアリングと同時に、紙文書、電子ファイルのいかんを問わず、くまなく当該文書について事務局内部全体を調べているところでございますが、現在のところは存在が確認されておりません。
可能な限り速やかに確認を済ませるよう大臣からも指示をいただいているところであり、早急に確認作業を終結させたいというふうに考えております。
○柿沢委員 ないはずないんですよ。あるんですよ、これは。内閣府にないはずないじゃないですか。しかも、今の答弁の御様子を見ておると、正直申し上げて、本当のことを言っておられるのかなというふうにも私は思ってしまいます。
柳瀬秘書官は、平成二十七年四月二日に官邸で愛媛県今治市、加計学園の関係者と面会をして、加計学園の獣医学部の新設案件が首相案件だと確かに言った、出席者の一人が内容に間違いはない、こういうふうに言っていると、これは読売新聞で報じられています。
愛媛県の方はどうかというと、この文書に基づいて、四月二日に柳瀬秘書官に会ってこう言われましたというのが中村知事始め県の幹部に報告をされていて、面会時のやりとりが最高幹部レベル、県の幹部で共有されていたということなんですね。
同じ文書が愛媛県から内閣府、農水省、文科省に配られていて、受け取った各府省の側では、これまでそこに書かれている内容について特段異議や訂正が申し立てられたような形跡はないわけです。
つまりは、この文書に書かれていた経過というのは、愛媛県の側でも霞が関の側でも、関係者にとっては公知の事実として共有をされていたということなのではないですか。
面会はしていない、首相案件とは言っていない、下村文科大臣がけしからぬと言っている、こんな話もなかった、こんなことを言っているのは、柳瀬秘書官と安倍総理と、あとは下村さんですかね、後づけで釈明を迫られた人たちだけが否定をしているだけではないかと思うんです。
もうそろそろ、思い出しましたということでいいんじゃないんですか。これを続けていることによって、結果としてまた後から認めることになるかもしれません。こうしたことがうそをついているんだという印象を深めている結果になっているということについて、官房長官はどう思っておられますか。
○菅国務大臣 二日の事実関係については、昨年夏の閉会中審査において、国会の場で柳瀬元秘書官から答弁があったとおりであります。
また、愛媛県の文書に関する報道についても、そうした発言をすることはあり得ないとのコメントを出しております。
愛媛県が作成した文書の評価について、国としての立場でコメントはすべきじゃないというふうに思います。
○柿沢委員 いやいや、私、余り対立的に物を言っているわけでもなくて、もうみんな大体のことは、こうかなというふうになってきているわけです。しかも、当の本人も、記憶をたどればという留保つきで物をおっしゃっているわけです。思い出してもらえばいいわけですよ。
毎日毎日、柳瀬さんは聞かれていますよ、記者団に。きょうは思い出しましたかと。こんなみっともない話、続けるんですか。これでいいんですか。
○菅国務大臣 いずれにしろ、御本人がそうしたコメントを既に発出いたしております。
愛媛県の作成した文書の評価について、国としての立場で私がコメントすべきじゃないと思います。
○柿沢委員 まあ、やはりこれだと、柳瀬元秘書官に証人喚問の場に出てきてもらわなければいけない、こういう世論が高まってしまうのではないかと思います。
昨日の東京新聞、これも一面のトップですけれども、平成二十七年四月二日に総理官邸を訪問するのに先立って、官邸から文科省に訪問の予定が事前に伝達をされていたということであります。文科省関係者によると、平成二十七年三月、総理官邸側から、近く愛媛県や今治市、加計学園の関係者が来ることになっていると。官邸で誰が対応し、どういうスタンスで答えるのがいいか、文科省の考えを参考にしたいという連絡が文科省側にあったということであります。
今言ったような、この東京新聞の一面記事、これを裏づけるような記録や証言というのは、現時点で、文部科学省、確認されておられますか。お伺いします。
○瀧本政府参考人 お答え申し上げます。
総理官邸側から文部科学省に対し、愛媛県などが官邸訪問をするとの事前連絡があったという報道につきましては、現在、その内容の真偽につきまして、省内の関係者に対するヒアリングを進め、事実関係の確認を行っているところでございます。
現在のところでは、まだそうした事実は確認できてございません。
○柿沢委員 これも余り時間はかからないと思うんですよ。ぜひしっかり調査をしてもらいたいというふうに思います。
なぜこれを聞いているかというと、このような経過があるとすると、官邸の事務方がみずからの発意で、よし、獣医学部の新設の件について、加計学園と今治市と愛媛県の話を聞いてやろうと思い立ったのではない。つまり、官邸の事務方が、誰かから言われて会おうということになって、これまでどういう経過なのか、問合せを文科省に入れている、こういう形になるわけです。上から言われての面会、アポだったということを強く示唆しているというふうに思うんです。
官邸で上から言われてといったら、まあ、これは総理官邸ですから、上からといえば、総理にかかわる人ですよね。あるいは、総理その人なのか。きちっとこの経過を調べて、報告をしていただきたいと思います。
首相案件と言われる、この件に関する公文書管理についてお伺いをいたします。
まず、内閣官房において、平成二十七年四月二日の官邸における面会について、事実や内容を記した記録は残っているのかいないのか。内閣府において、同じ四月二日、内閣府の藤原次長、当時と、愛媛県、今治市、加計学園担当者、面会の事実や内容を記した記録は残していないのかどうか、お伺いします。
○原政府参考人 内閣官房についてお答え申し上げます。
官邸の訪問予約につきましては、訪問予定者の入邸確認後その使用目的を終えることに加え、外部からの入邸者数は一日当たりおおむね三百名から四百名に上っておりまして、これを全て保存すれば個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理する必要があり、公文書管理法や関係規則等に基づいて遅滞なく廃棄取扱いとなっているところでございます。
ただ、四月十一日の衆議院予算委員会において、総理から、平成二十七年四月二日の今治市の官邸訪問については、もう一度確認させたいと御答弁申し上げたところであり、先ほど官房長官からもお答え申し上げましたが、現在、改めて確認中ということでございます。
○村上政府参考人 内閣府についてお答え申し上げます。
地方創生推進事務局は地方創生の推進を担当しているため、特区の指定前、提案段階も含め、今治市に限らず、愛媛県に限らず、多くの自治体の方々から、随時、提案や相談に幅広く応じる体制をとらせていただいてございます。
熱心な自治体からの要望に丁寧に対応し、自治体の方々と打合せをすることはよくある通常の定型的な業務でありまして、これらの打合せについて、これはこれらの県、特定の県に限らず、逐一を記録をとっているわけではないということで業務をさせていただいてございます。
○柿沢委員 内閣官房の方のお答えは、また改めて今調べていますと、総理から言われたのでと。何かまた後から出てきそうな含みを持ったこういう御答弁で、この悪循環を繰り返しているから、どんどんどんどん、ああ、うそをついていたんだな、うそをついていたんだな、うそをついていたんだな、こうなっているということを肝に銘じてもらいたいと私は思います、老婆心ですが。
今治市の方なんですけれども、平成二十七年四月二日に担当者が総理官邸に行ったというふうに答えているということを、四月十一日の衆議院予算委員会で内閣府から答弁をされておられますが、それでいいですか。
○河村政府参考人 お答え申し上げます。
去る十一日の衆議院予算委員会におきまして私が御答弁したとおり、お尋ねの総理官邸の訪問について今治市に確認をしたところ、官邸には行った旨聞き取ったものでございます。ただし、相手方、その内容につきましては、情報公開条例の趣旨にのっとり、お答えできないということでございました。
以上でございます。
○柿沢委員 今治市は、行ったと言っているんですよ。
そして、一度は、情報公開請求に対して、今治市は出張記録の全部を文書で出しているんです。八千ページですよ。後から、都合が悪くなって非開示文書にしてしまったようですけれども。私、こうやって一度は開示した文書を後から隠すというのはどういうわけかというふうに思いますけれども。少なくとも、今治市は、文書がないとか、行ったかどうかわからないとか、こんなことは言っていないわけです。
片や、内閣府のこのざまは何ですか。柳瀬秘書官も藤原次長も、学生時代の友達と私的に会っていたわけじゃないんですよ。職務として、職務で来た愛媛県と今治市の地方公務員と、また加計学園の関係者と会っていたんじゃないですか。それが、わかりません、記録もありません。これが国家の中枢部の職務のあり方なんですか。あり得ないじゃないですか。
愛媛県の文書には、柳瀬秘書官が、本件は首相案件となっており、内閣府藤原次長の公式のヒアリングを受けるという形で進めていただきたいと、アドバイスというか指示を受けたのが記録をされています。その内閣府の藤原次長は、愛媛県、今治市、加計学園の担当者から公式のヒアリングを初めて行った。この柳瀬秘書官から言われた公式のヒアリングをやったのは、いつ、どこでですか。お伺いします。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
そもそも、うちの事務局では、御存じのとおり、今治市は、平成十九年から構造改革特区に継続して提案を行ってきており、平成二十七年度の国家戦略特区の提案も、最終的な提案書の提出に先立ち、今治市からの申出により、提案書の提出予定について事前にお聞きをしていました。こういった対応は、他の自治体とも一般的に行っており、今治市を特別扱いしたものではございません。
他方で、今お尋ねをいただきました公式のヒアリングということでございますが、これにつきましては、特区ワーキンググループの場で公式に提案ヒアリングを行ったのは、平成二十七年六月五日でございます。
なお、念のためではございますが、加計学園関係者は、今治市独自の判断で同席をしておりましたが、提案者ではないため、正式な出席者としておらず、加計学園関係者から公式ヒアリングを行ったという認識は持っておりません。今治市から聞いた、愛媛県から聞いた、このように整理をしてございます。
○柿沢委員 藤原次長が、今治市又は愛媛県又は加計学園、それぞれの担当者と個別の面会、アドバイス、相談、こういうことを持ったのは、いつ、何回、どこで会ったか。お伺いします。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
一部先ほど申し上げましたが、構造改革特区以来の経緯もございまして、平成二十七年度の国家戦略特区の提案時も、その提案書の提出に先立ち、日付は特定できないと本人に聴取したところそう言っておりますが、春の段階にも、先方の申出に基づいて自治体から話を伺う機会を持っております。
なお、国家戦略特区につきましては、岩盤規制改革を推進するための仕組みということで、獣医学部新設のみならず、企業の農地所有解禁でありますとか公立学校運営の民間開放などと並んで、二十六年九月九日の特区諮問会議において、獣医学部新設も含めて数項目、優先的に取り組むべき規制改革課題、こういう位置づけをし、また、二十六年七月には新潟市が規制改革提案の中で獣医学部の話もしていたことから、ワーキンググループも含めてこの関連について精力的な議論をしている、事前にもお会いをしているということでございます。
なお、特別なやりとりにつきましては、二十七年六月の提案以降も民間有識者が優先的に取り組むべきとした課題ということでございまして、現地に行くことも含めて非公式な積極的なやりとりはしているということでございます。これも、ワーキンググループの民間有識者の関心が高く、それに応えて、事務局としても積極的に対応していた、こういうふうに理解をしてございます。
○柿沢委員 いつ、何回、どこで会ったのかとお伺いしています。
○村上政府参考人 先ほどから一部答弁繰り返しになって恐縮でございますけれども、数多くの自治体の来訪を受けており、これは今治市に限らず一つ一つ積極的に対応するということでございますけれども、一つ一つについては記録をとってございませんので、回数、場所等についてはわからないということでございます。
○柿沢委員 何でわからないんですか。職務で行っていることじゃないですか。
そして、藤原さんはきょうも、内閣府に全部話してあるからそっちに聞いてほしいということで、御本人はコメントを断っているんですよ。そこでお伺いをしているんじゃないですか。藤原さんの後任の方に職務上どうなっているかということを伺って、結局、記録が残っていないと。本当に、国家の中枢で、こんなことがあり得るんですか。
いいですか、公文書管理法四条にはこう書いてあります。行政機関の職員は、当該行政機関における経緯を含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう、文書を作成しなければならない。これでは、意思決定に至る過程を跡づけも検証もできないじゃありませんか。
そもそも、二、三年足らず前に官邸に誰が来たのかも、記録が残っていないというのも大変おかしい話です。というか、そんなことはにわかに信じられません。
これについて、昨年六月八日、参議院の農水委員会で萩生田官房副長官は、今治市の職員が平成二十七年四月二日に官邸を訪問したかどうかは、訪問者の記録が保存されていないため確認できませんでしたと答えています。官邸の入館に当たっては、事前に訪問先への訪問予約届というのを提出してもらって、入館時には本人確認をした上で入館が許される、この訪問予約届というのは、面会が終わったら、もう用済みなので、遅滞なく廃棄しちゃう決まりになっている、だからもう残っていないんだと。
これは本当なんですか。本当なんですか。(発言する者あり)
○山際委員長 御静粛にお願いします。
○原政府参考人 お答え申し上げます。
総理大臣の官邸への入邸に当たりましては、訪問先への予約を求めておりまして、入邸時に身分証と照合して本人確認を行っているところでございます。入邸手続のために必要な文書というのは、この訪問予約に係る文書でございます。(発言する者あり)
○山際委員長 答弁をお願いします。
○原政府参考人 その上でお答え申し上げますが、保存期間一年以上の行政文書の類型とその保存期間については、公文書管理法に基づき策定されることとされております内閣官房行政文書管理規則において定められてございます。この規則は、法律の施行令や所管の内閣府から示されておりますガイドラインに沿って策定しているものでございます。
この規則において定めております保存期間一年以上の行政文書の類型にこの官邸への訪問予約は該当しないということで、保存期間一年未満の行政文書として、使用目的終了後、遅滞なく廃棄する取扱いとされているものでございます。
なお、訪問予約には、訪問予定者の氏名や連絡先など個人情報が記載されており、個人情報保護の観点からも、使用目的が終了した訪問予約について遅滞なく廃棄する取扱いとしているところでございます。
○柿沢委員 官邸における外部からの来訪者と官邸スタッフとの面会について、これを記録しているものは、そもそもこの訪問予約届以外には一切ないんですか。
○原政府参考人 官邸の訪問予約については、先ほど御答弁したとおりでございます。
その上で、一般論として申し上げますが、日程表等については、個々の業務遂行上の必要性等に応じ、適宜、作成するか否かを判断されるものと承知してございます。
なお、本件についての面会記録について、柳瀬経済産業審議官が国会におきまして、ちょっと引用させていただきますが、「自分の担当することについていろいろな方々とお会いすることはありますけれども、秘書官時代に、自分の面談記録とか誰に会ったとかという記録は特にとってございませんでした。手帳も含めて、そういう、どなたにお会いしたとかというのは、一切、全く書いたことはございません。」と答弁しているものと承知しています。
○柿沢委員 いや、全く信じがたい話であります。セキュリティー上も私はちょっと信じられない話だというふうに思います。
更にあきれたことに、情報クリアリングハウスの三木由希子理事長が佐川さんの国税庁長官就任後の日程表について情報公開請求したんですけれども、開示されたのは、情報公開請求を受け付けた平成三十年一月十七日の分の日程表、この一日分だけだったというんですね。つまり、日程表、今何か話が出ましたが、この日程表については、一日保存で廃棄しちゃっている、こういうことなんだそうですよ。
日程表が一日保存。これは、常識的に考えれば、いつ、誰と、どこで会ったのか、どこに行ったのか、後からわからなくなっちゃうんですから、普通は、これは国税庁も困ると思うんですけれども、国税庁は一日で捨てちゃって困らないんですかね。
アメリカでは、こうした高官のアクティビティーログ、つまり日程表は、保存期間満了後は永久保存として国立公文書館へ移管するものもある。政府高官の日程表というのは、政府活動の証拠そのものになるからであります。
こういうふうに、政務三役の日程表や面会記録、また総理官邸の訪問予約届、こうしたものをしっかり保存を行っていない、こんな運用になっている。その結果、今の加計学園の問題についても、わかりませんみたいなことがまかり通っている、まかり通っていないと思いますけれども、こんなことを繰り返している。
梶山大臣、国家戦略特区の担当大臣であり、また、公文書管理担当大臣なわけですよ。自分の足元でこんなことが起きていて、公文書管理の徹底なんといって、こんなことが通りますか。
○梶山国務大臣 昨年起きたさまざまな事案の御指摘も受けた上でガイドラインをつくり、また、行政文書管理規則もつくってきたところであります。それらも通してしっかりと徹底をしていくということがこれからの務めであると思っております。
○柿沢委員 務めって、まず自分の足元でやってくださいよ。自分の足元で、記録がありません、全部捨てちゃいました、だから、わかりません。愛媛県から今まで言われてきたことを証明するような文書が出てきたら、愛媛県がつくったものだからコメントできません。こんなことをやっていて、公文書管理担当大臣を同時併任で務めることが本当にできるんですか。自分で言っていることを自分で即座に足元で否定しているようなことになっちゃっているじゃないですか。これで本当にまともな公文書管理が、この教訓を踏まえてつくられるのかというのは、本当に疑問に感じてしまわざるを得ません。
決裁文書のことを、きょう太田局長に来ていただいていますけれども、去年二月二十二日に官房長官が、この問題を受けて、その森友学園の土地の払下げ、値下げの問題について、理財局長、また航空局の次長と経緯説明を受けているわけです。佐川さんは、前任の理財局長から引継ぎを受けていないと言っています。いろいろなことを勉強して、大体自分としてつかんで、それを報告をしたと言っているわけです。大体の経過というのは、一番当たるべき資料は、やはり決裁文書だと思うんですよ。
しかしながら、その決裁文書は、二月二十二日の場では使われなかったということになっている。官房長官も、また、その場に同席した理財局長もそういうふうにおっしゃられている。そんなことがあり得ますか。お伺いします。
○菅国務大臣 そうしたことはありませんでした。
私も、私の秘書官も、いわゆる決裁文書を示されたことはありません。明確に言っております。
○太田政府参考人 お答えを申し上げます。
その二月二十二日の説明のときに決裁文書を基本にして説明したということはございませんでした。
先日の衆議院の予算委員会でも御答弁を申し上げましたけれども、川内委員の御質問に対して、決裁文書については一切説明をしてございませんと御答弁を申し上げましたし、枝野委員の御質問、文書の改ざんあるいは決裁文書とかそういう話題は出ませんでしたかという御質問、お尋ねについても、そのような話題は一切ございませんでしたというふうにお答えを申し上げました。それが事実でございます。
○柿沢委員 いや、私は全く信じられません。
最後に、菅官房長官に、セクハラの発言の問題について伺います。
先ほど、財務事務次官のセクハラ発言と言われるものの録音のデータそのものが、音声データが公開されたようです。聞いた人がもう本当にうんざりするような、そうした中身だったということであります。
何か私的な会話だということを言っているんですけれども、女性記者が一生懸命ある意味ではこの問題について財務事務次官の話を聞き出そうというその会話の中で、もう本当に言うのも嫌な言葉を財務事務次官はおっしゃっているわけですよ。これは私的なものではないと私は思います。
しかも、財務事務次官、誰が、いつ、相手方が誰だったのかわからないのでということをおっしゃられていますけれども、だからこそ調査をして、そして、世界標準に従ってきちっと処分をし、対処をすべき問題なんじゃないですか。
内閣人事局で是認をし、事務次官に就任をされたその方であります。官房長官、麻生財務大臣が、口頭注意で調査もしない、これ以上の処分もしない、こんなことで世界的に見て理解が得られると思いますか。お伺いします。
○菅国務大臣 私は、音声の件は今初めて聞きました。
いずれにしろ、麻生大臣が厳重注意をいたしており、そして任命権者である麻生大臣のもとできちんと対応される、こういうふうに思います。
○柿沢委員 オーストラリアの副首相、イギリスの国防相、アメリカのベテラン、レジェンドと言われる下院議員、こういう人たちがセクハラの発言で次々と告発をされて辞任に追い込まれている、これが世界標準ですよ。
財務事務次官、このまま事実上不問に処するんですか。本当にそれでいいのかということを申し上げて、終わります。
○山際委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いをいたします。
きょう主に質疑の中で触れられておりますこと、もちろん、我々日本維新の会も重要なことだと思っております。ただ、質問が重なりますので、きょうはその件とは別の部分を質疑をしていきたいと思っております。
国民が望むのは、真実がしっかりと記録されている、記録して残されているというのが当たり前だと思っていると思うんですね。その真実を残すためには、できる限り公文書を残していくということが必要だと思いますけれども、その点について、意見というか異論はございますか。
○梶山国務大臣 公文書は、過去から現在、そして未来へと国の歴史や文化を引き継いでいくとともに、行政の適正かつ効率的な運営を実現し、現在と将来の国民への説明責任を全うする上においても重要なインフラであります。
こうした認識のもとに、現行法において、行政文書について、国の意思決定過程等をたどる有益な知的資源として、国民への説明責任を果たし得るよう、適切な保存期間の設定、歴史的に重要な文書の選別等、体系的な整備を行っているところであります。
保存期間が満了した行政文書全てについて、歴史的重要性に関する評価、選別というプロセスを経ることなく、歴史的価値が必ずしも高くないと考えられるものも含め、いわば未整理のまま国立公文書館に移管することについては、公文書管理法の目的である現在及び将来の国民に対する説明責任を十分に果たすことができないという懸念があると考えております。
他方、同じく国民への説明責任を果たす観点から、文書の評価、選別が適切に行われることは極めて重要であり、平成二十八年三月に行われた公文書管理委員会において取りまとめられた、公文書管理法施行五年後の見直しに関する検討報告書においても、行政機関における評価、選別を支援し、その質を向上させる仕組みについて検討すべきとされたところであります。
昨年末に改正を行った行政文書の管理に関するガイドラインには、国立公文書館等に移管する対象となる歴史公文書等の範囲や、行政文書の保存に関する基準の明確化を行ったところであり、公文書管理の専門職、歴史的文書の選別や保管について指導するというアーキビストの育成や、各府省における公文書管理業務を支援するための専門職職員の配置等についても検討を進めるなど、引き続き、公文書管理の質を高めるための不断の取組を進めてまいりたいと考えております。
○浦野委員 今答弁いただきましたけれども、選別はされるということでした。
私は、選別をするべきではないと思っています。というのは、これまでずっと議論になっています、その文書があるのかないのか、言ったのか言わなかったのか。こういう議論を延々と続けないといけなくなるからですね。だからこそ、選別はせずに、全ての記録を残すべきだと思います。
そのためには、デジタル化はもう間違いなく必要だと思います。我が党の丸山代議士が質問でしたように、そのときも答弁もいただきましたけれども、ほぼほぼ政府としては取組ができていないというのが現状ですけれども、これからの取組についてはいかがでしょうか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
電子文書の利用、保存のあり方につきましては、まずは、紙文書、電子文書にかかわらず、歴史公文書等の範囲や行政文書の保存に関する基準の明確化等を内容とするガイドラインを改正し、各府省の行政文書管理規則の改正を行ったところでございます。今年度より、全府省において、より厳正なルールのもとでの文書管理が行われるものと考えているところでございます。
その上で、電子文書の管理のあり方につきましては、公文書管理委員会がまとめた報告書においても、「諸外国の事例も踏まえ、文書管理の専門職員が電子文書の移管・廃棄を選別する電子中間書庫の検討や、紙文書が持つメリットをできるだけ電子文書でも実現し、電子文書のデメリットを減らすように、電子文書の文書管理システムを改善していくことを検討すべき」との指摘をいただいたところでございます。
政府全体の電子化の進展状況も踏まえ、本年度以降さらに検討を進めることとしており、専門家の意見も伺いながら、また、関係省庁ともすり合わせをしながら検討してまいりたいと考えております。
○浦野委員 森友の改ざん文書でも、あれは紙媒体で、誰でも入れるようなところに公文書として保管されていた。だからこそ、改ざんができたわけですね。
地方自治体なんかは、電子決裁を取り入れているところなんかは、さかのぼってデジタル的にもう変えられなくしてあります。変えたとしても、変更したことがわかるように、全て日付が入ったりとかするようにしていますので、そういった対策も、別に、すぐやろうと思えばできるわけです、システムとしてありますから。
ほとんどの文書が公文書として事実上残されていないということがこの間の丸山代議士の質問でわかりましたけれども、メールの扱いについてはどういうことになっていますか。職務として使うメールはもちろんですけれども、個人、今、世の中では携帯のメールが幾らでも使えますので、そういった取扱いについてはルールがありますか。
○田中政府参考人 お答えいたします。
昨年末に改正を行った行政文書の管理に関するガイドラインにおきましては、紙文書、電子文書の別を問わず、また、電子メールを含め、いずれの通信手段を用いるかにかかわらず、意思決定過程等の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書について、一年以上の保存期間を設定することを義務づけたところでございます。
その上で、電子メールにつきましては、基本的に職員個人のメールボックスに届く仕組みとなっておりますことを踏まえまして、意思決定過程等の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書に該当する電子メールについては、保存責任者を明確にする観点から、原則として作成者又は第一取得者が速やかに共有フォルダ等に移すことを留意事項として盛り込んだところでございます。
改正ガイドラインを踏まえまして、公文書管理委員会によるチェックを経て、各府省が行政文書管理規則の改正を行ったところであり、まさに本年四月から、全府省においてより厳格なルールのもとでの文書管理が行われることとなっているところでございます。
○浦野委員 今現在残すということに法律でしてある文書が最終的に公文書館に移されるということですけれども、その公文書館は、今のやり方でキャパはどれぐらいあるんですか。
○田中政府参考人 お答えいたします。
新たな国立公文書館には、展示等に用いられる国のあり方を知るための文書の原本等を収蔵するために必要な最低限の面積として約八千平米の一般書庫を確保しており、三館合計では約二万一千平米の書庫を確保する予定でございます。これは、現在所蔵している文書に加え、今後約三十年分の受入れ文書の保存が可能と見込まれる書庫面積でございます。
公文書管理制度上、保存期間の上限は原則三十年であり、現時点において行政文書の大半を紙文書が占めることから、今後三十年分については紙文書を保存する書庫を確保することが必要と考えておりまして、このような面積になっているものでございます。
○浦野委員 デジタル化すればそういった面積も少なくて済みますし、先ほどメールのことも聞きましたけれども、共有フォルダに入れるというのは自分で入れないといけないということですかね。それも別に、自動で共有フォルダにすぐに入るように設定をすれば済むだけのことなのに、自分で入れるということは、その時点でもう情報をその人が取捨選択できるシステムですから、それもどうかと思いますね。
やはり全ての、メモから何から全てのものがしっかりと保存できるようにすることをしないと、これまでずっと議論されてきた、与党の方が一年以上も同じことを言っているとやじを飛ばしましたけれども、そういうことがないようにするためには、もう全てデジタルで記録を残す、自動で全部残すということにしたらいいと思います。
今この時点でも公文書は日々つくられるわけですよね。だから、この対策の法案をしっかりと、スピーディーに考えてやらないとだめだと思うんですよ、特に政府の皆さんが。その何か作業はされていますか。
○梶山国務大臣 財務省等のいろんな事案を経て、今、調査、解明を行っているところでありますが、まずは、昨年までの事案で御指摘いただいたことにつきましては、ガイドラインで十二月末にまとめました。それらを受けて、外部の有識者から成る公文書管理委員会において各省庁の行政文書管理規則を決めたのが年度末でありまして、四月から新しい形に入ったわけでありますけれども、調査、解明の結果を経て、法改正も視野に入れた上で、必要なものはしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○浦野委員 我が党も新たに、いろいろ起こった事案に対応できる公文書のあり方についての法案をまたちょっと今考えていますので、しっかりと出していきたいと思います。
この間の委員会だったと思いますけれども、ある議員が、魚は頭から腐ると言いました。実際は、先に腐るのは内臓ですけれども。内臓は、じゃあ国に例えるなら何か。内臓が腐っているかどうかを見きわめるのは何かといったら、公文書だと思うんですね。当てはまると思うんですよ。だから、私は、食べてみたらおなかが痛くなった、その原因を探るためには公文書がしっかりと記録されていないと原因がわからないと思っていますので、ぜひしっかりと対応していただきたいと思います。
以上です。
○山際委員長 次に、中山展宏君。
○中山(展)委員 自由民主党の中山展宏でございます。
本日は、公文書管理に関する集中的な審議で貴重な時間をいただき、本当にありがとうございます。
公文書は、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であることは言うまでもありません。今次の公文書にまつわる多くの疑念は、国民からの行政に対する信頼を著しく落としました。公文書に書かれている中身について検証する以前に、行政上の文書として扱っているものか否か、無断で書き換えられたものか、保存されているのか廃棄されているのか、また、それを探索するといったその管理のずさんさについて、さらには、何か意図を持って恣意的に管理を行っているのではないかという疑念に応えることに多くの時間を費やし、行政の信頼を、ひいては政治の信頼を揺るがしているのだと思います。公文書の管理を厳格に行っていくことしか信頼回復への道はないのだと思います。
そこで、昨年十二月二十六日、行政文書の管理に関するガイドラインが改正されたと承知しています。平成二十八年に公文書管理法施行五年後の見直しを取りまとめられて以来、公文書管理委員会はたびたび開催され、その間には、森友学園への国有地売却、加計学園への獣医学部新設、それから自衛隊の日報の問題が露見されておりましたけれども、公文書管理委員会では、どのような問題意識のもと、どのような議論が行われて、平成二十三年以来の公文書管理法施行後の最大の抜本的なガイドラインの改正に至ったか、まずはお伺いいたしたいと思います。
○田中政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの行政文書の管理に関するガイドラインの改正につきましては、公文書管理法附則第十三条の規定に基づき、平成二十三年の公文書管理法施行から五年後となる平成二十八年に、公文書管理委員会が取りまとめた公文書管理法施行五年後見直しに関する検討報告書を踏まえて、見直しの検討が始められたものでございます。
具体的には、昨年七月以降、第三者的立場にある公文書管理委員会において議論が進められ、歴史的な価値という視点に立った評価、選別が重要という基本的な考え方のもと、国会等でいただいたさまざまな御指摘や、パブリックコメントの結果等も踏まえた上で、主に三点、行政文書の作成基準の明確化や正確性の確保、歴史公文書等の範囲の明確化、保存期間一年以上か未満かということでございますが、この設定基準の明確化について御議論の上、内容を取りまとめていただきました。
昨年末にガイドラインを改正し、まさに本年四月より、公文書管理委員会によるチェックを経て、改正ガイドラインに基づく各府省の行政管理規則が施行されておるところでございます。改正ガイドラインによる厳格なルールのもとで、より一層適正な文書管理を図ってまいりたい、かように認識しております。
○中山(展)委員 ありがとうございます。
それでは、ガイドラインについて少し丁寧に伺っていきたいと思います。
将来、歴史資料となり得る最初の入り口であります、公文書とはどういうものか。公文書、行政文書の定義についてお伺いしたいと思います。
○田中政府参考人 お答えいたします。
行政文書の定義につきましては、公文書管理法第二条第四項において、職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいうと定められているところでございます。
○中山(展)委員 組織的に用いるかどうかが争点になると考えておりますけれども、組織的に用いているか否かを判断する具体的な基準は、何かありましたら教えてください。
○田中政府参考人 どのような文書が組織的に用いるものとして行政文書に該当するかについては、文書の作成又は取得の状況、当該文書の利用の状況、保存又は廃棄の状況等を総合的に考慮して、実質的に判断する必要があるというふうに考えてございます。
○中山(展)委員 そうした定義に該当すれば、最終的な意思決定がなされる前の、いわゆる検討過程の文書であっても行政文書に当たるということでしょうか。
○田中政府参考人 最終的な意思決定がなされる前の検討過程で作成された文書であっても、公文書管理法第二条第四項の定義に該当すれば、行政文書になるものでございます。
○中山(展)委員 先ほどの質問と重なりますが、これは通告は私どもはしておりませんけれども、個人的な執務のいわゆる参考資料、個人メモ、それから備忘録、こういったものは行政文書に当たらないということでよろしいでしょうか。
○田中政府参考人 先ほども御答弁いたしましたように、組織的に用いるものというものが行政文書に該当するかということでございますので、それに該当しないような個人的なメモというものは、行政文書ではないということになります。
○中山(展)委員 最終的な結論に至る前の検討過程の文書については、行政文書になり得ると理解いたしました。また、個人的なメモ、それから備忘録の類いに関しては、これは公文書としての扱いではないということであります。
そのような検討過程の文書までを行政文書として、ただ、する中においては、その保存が求められる理由は何だとお考えになられるか、お教えいただきたいと思います。
○田中政府参考人 お答えいたします。
公文書管理法は、行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的としております。
この目的を実現するため、公文書管理法第四条は、意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、又は検証することができるように文書を作成しなければならないと定めており、こうした法の趣旨を踏まえれば、最終的な意思決定がなされる前の検討過程で作成された文書であっても適切に保存する必要があるというふうに考えてございます。
○中山(展)委員 ここで大臣にお伺いします。
合理的な跡づけ、検証ができるよう文書を作成し保存することは重要なことだと認識しておりますが、だからといって、記録ではなくて、作成した全ての行政文書を保存するのではなくて、きちんと整理をした上で保存をしていくということも公文書管理法の重要な精神だと思いますが、大臣の御見解をお教えいただきたいと思います。
○梶山国務大臣 お尋ねの点につきましては、まずは、公文書管理法第二条第四項に規定する、行政機関の職員が職務上作成、取得し、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものという行政文書の定義に照らし、個々の文書が行政文書に該当するかについて適切に判断する必要があります。
その上で、委員御指摘のとおり、国民への説明責任を全うするという公文書管理法の目的を実現するためには、意思決定過程等を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう文書を作成した上で、当該文書の性質、内容等に応じた保存期間を設定をし適切な保存を行うなど、行政文書の適正な管理を行うことが重要であります。
こうした観点から、昨年末に改正を行った行政文書の管理に関するガイドラインにおいては、行政文書については共用の保存場所に保存することを徹底した上で、個人フォルダ等に置くのは個人的な執務の参考資料とする旨を明記するとともに、課長級の文書管理者が確認を行うこととしたところであります。
その上で、ルールの見直しにとどまらず、公文書を扱う職員一人一人の意識を向上させることも極めて重要であることから、研修の充実を通じてルールの徹底を図り、行政文書が国の意思決定過程等をたどる有益な知的資源として国民への説明責任を果たし得るよう、適切な保存期間の設定や、歴史的に重要な文書の選別等、体系的な整理を行ってまいりたいと思っておりますが、研修につきましては、公文書管理委員会においても指摘をいただいているところでして、全職員が年度に一回は研修を受けられるようにして、意識を高めてまいりたいと思っております。
○中山(展)委員 これは先ほども質問をされましたけれども、全てが記録ができない、またそういった中で電子化ができない中において、文書の作成においては、人が書くものでありますから、いろんな意図が入ることもあろうかと思います。それを、複数の方でしっかりと確認し合いながら整理をした上で保存をしていくことが、無用な、その文書を情報開示をされた場合に御疑念を持たないことになろうかと思います。ぜひとも、現状においては正確性を持った整理をしていただきたいと、お願いでございます。
それでは、行政文書の保存期間と保存期間満了後の措置についてお伺いをしたいと思いますが、一たび行政文書と認められたものについては、保存期間を設定し、保存期間満了まで各行政機関において保存されるものと承知していますが、保存期間はどのように設定されているか、具体的にお教えいただきたいと思います。
○田中政府参考人 行政文書については、公文書管理法第五条及び同法施行令の規定に基づいて保存期間を設定することとなってございます。
具体的には、例えば法令の制定等、全行政機関で共通した保存期間を設定するということになっておりまして、また、それ以外のものについては、各行政機関の事務及び事業の性質、内容等に応じて当該行政機関が定めることとされているところでございます。
○中山(展)委員 昨年来、陸上自衛隊の南スーダン派遣部隊の日報や財務省近畿財務局の国有地売買に関する交渉記録など、本来一年以上保存しておくべきであると考えられるような文書が、各省における行政文書管理規則に基づき、保存期間を一年未満として廃棄されているという事例がありました。
中には、どのような文書を保存期間一年未満とするか明文の規定を有しない府省庁もあったと承知していますが、今般、どのような見直しが行われたのか、お教えください。
○梶山国務大臣 お尋ねの点につきましては、昨年末に改正を行った行政文書の管理に関するガイドラインにおいて、意思決定過程等の合理的な跡づけや検証に必要となる行政文書については、一年以上の保存期間の設定を義務づけたところであります。
あわせて、保存期間一年未満の行政文書については、各行政機関の裁量の余地が大きいと指摘されたことを踏まえて、その範囲を従来より大幅に限定すべく、例えばいわゆる写しや明白な誤り等を含む文書など、一年未満の保存期間を設定し得る行政文書の七類型を示したところであります。これらにつきましても、外部の有識者から成る公文書管理委員会等で年度末の数カ月をかけて決定に至ったところであります。
その上で、一年未満の保存期間を設定し得る行政文書の七つの類型以外の文書については、保存期間を一年未満として廃棄する場合には、それがどのような業務に関する文書であるか公表することを義務づけたということで、廃棄のリストをつくることになっております。これらに当てはまる例としては、業務が突発的に発生したなどの理由で保存期間表にあらかじめ記載できなかった場合なども考えられるわけであります。
このような公表を義務づけることで、保存期間一年未満の行政文書について、国民によるチェックが働く仕組みを構築をしたところであります。
○中山(展)委員 大臣がおっしゃるとおり、今回のガイドライン改正で、一年未満の文書の保存期間に関しては、非常に限定的に、厳格に運用されるということになったんだと思っております。
それでは、保存期間が満了した行政文書のうち、歴史資料として重要な公文書、いわゆる歴史公文書については、国立公文書館へ移管をされます。平成二十八年度末の状況を見ると、国立公文書館へ移管される行政文書は〇・四%にとどまっているということであります。廃棄は七五%、延長が二四・六%です。歴史資料として重要でないと判断された公文書は全体の四分の三あるということであります。
ガイドラインでは、歴史的公文書の範囲を拡大すると求められておりますが、多くの行政文書を国立公文書館に移管すべきだと私も考えますが、その御見解をお伺いしたいと思います。
○田中政府参考人 お答えいたします。
現行法においては、行政文書について、国の意思決定過程等をたどる有益な知的資源として、国民への説明責任を果たし得るよう、適切な保存期間の設定や歴史的に重要な文書の選別、これは移管、廃棄でございますが、等、体系的な整理を行っているところでございます。
歴史的に重要な文書の選別については、各行政機関において、みずから定める行政文書管理規則等に基づき、適切に判断を行うことが必要でございます。また、文書の評価、選別が適切に行われることは極めて重要であることから、昨年末のガイドライン改正で、国立公文書館等に移管する対象となる歴史公文書等の範囲の明確化を行ったところでございます。
内閣府といたしましては、公文書を扱う職員一人一人の意識を向上させるための研修の充実を図るとともに、公文書管理の専門職員の育成や各府省における公文書管理業務を支援するための専門職員の配置等についても検討を進めるなど、公文書管理の質を高めるための不断の取組を続け、行政文書の歴史的重要性に係る判断のさらなる精緻化を図ってまいりたいと考えてございます。
○中山(展)委員 ありがとうございます。
ここで防衛省の日報問題について伺いたいと思います。
日報の保存期間の設定や廃棄すべきか否かの判断とは別に、防衛省において廃棄すべきとされていた文書が保存期間満了後も実際に廃棄されずに保存されていたことが私は問題であると思っております。
例えば、防衛装備品に関しては、実力組織である防衛省の皆さんは非常に厳格に廃棄をしていらっしゃると思います。公文書、文書になれば、その廃棄を私は何か軽んじているように思ってなりません。
あわせて、今サイバー空間、宇宙空間と同様に第四、第五の戦場と言われて、サイバー防衛隊が新設をされることを検討されていると伺っております。また、今年度からは、その要員も百十名から百五十名にふやしたと伺っております。こういったサイバー防衛部隊をつくろうという防衛省さんが、自省、自分のところの中の文書を探索するのに時間がかかるというのは甚だ少し心もとない気がいたしますが。
防衛省に見解を伺いますけれども、この一連の日報の問題に関して、公文書の扱いをどのようにお考えか、もう一度お願いいたします。
○小波政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘いただきました、過去に海外に派遣されました自衛隊の部隊等が作成いたしましたいわゆる日報等に係る文書を再探索いたしました結果、過去に国会議員の先生方からの資料要求、あるいは国会での答弁の際に見つけられなかった文書が次々と発見されたことは、これまで適切な文書管理が行われていなかったことによるものであり、この場で改めておわび申し上げたいと思います。
まさに今先生から御指摘がありましたように、この点は、文書管理の問題であるとともに、いわゆる情報管理の問題、サイバーセキュリティー等も含めまして、我々のようないわゆる実力組織において極めて問題があると考えておりまして、今まさに小野寺防衛大臣の強いリーダーシップのもと、改善に向けて努力をしているところでございます。
今、日報に係る文書管理につきましては、昨年七月の南スーダン派遣施設隊のいわゆる日報の管理状況に関する特別防衛監察の結果を踏まえた再発防止策の一環として、日報を含む行動命令に基づき活動する自衛隊の部隊が作成した上級部隊への定時報告、いわゆる日報と呼ばれるものでございますけれども、統合幕僚監部において一元的に管理すること、すなわち、先生からも御指摘ありましたように、検索が極めて容易にすること、それから、先ほど来この場でも御議論いただいておりますように、それらの保存期間を基本的には全て十年と定め、保存期間満了後は国立公文書館に移管することなどの措置を講じたところであり、現在、統合幕僚監部への集約作業を実施しているところでございます。
加えまして、統合幕僚監部への一元化を更に徹底するため、本年四月七日土曜日に、全ての部隊、機関において、海外に派遣された自衛隊の活動に関し、全ての日報を含む定時報告の探索作業を徹底して行い、統合幕僚監部への集約作業を原則として四月二十日までに終えるとともに、日報を含む定時報告が発見され次第、その都度統合幕僚監部に直ちに報告を行うよう大臣通達が発出されたところでございます。
防衛省としては、統合幕僚監部において日報を一元的に管理することにより、今後、より適切な文書管理が行われるとともに、情報公開や国立公文書館への移管等にも適切に対応でき、御指摘のような廃棄漏れの発生も局限できるものと考えており、引き続きこの取組を努力してまいるつもりでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
○中山(展)委員 四月の二十日までの時限を決めて取り組んでおられるということであります。もう隅から隅までしっかりとここでうみを出し切っていただきたいと思いますし、何よりも防衛省・自衛隊の皆さんには、現下の安全保障環境の厳しい中、しっかりと対応していただく、そのような体制を、このようなことで揺るぎかねないということは非常に残念に思いますから、しっかりとこの事態に当たっていただきたいと思っております。お願いいたします。
ここで内閣府にお伺いをいたします。
先ほど、防衛省の日報問題の廃棄すべきとされていた文書が保存期間満了後も実際に廃棄されずに保存されていたことは、これは日報問題の一因であると思いますが、そもそも、廃棄すべきとされている文書については、保存期間満了後はきちんと廃棄する、行政文書ファイル管理簿の記載状況とそごが生じないようにするという必要があると思いますが、御見解を伺いたいと思います。
○田中政府参考人 お答えいたします。
現行法においては、電子文書も含めた行政文書について、国の意思決定過程等をたどる有益な知的資源として、国民への説明責任を果たし得るよう、適切な保存期間の設定や歴史的に重要な文書の選別等、体系的な整理が求められているところでございます。
こうした考え方のもと、各行政機関においては、当該行政機関の行政文書管理規則に基づき、行政ファイル管理簿に保存期間や保存期間満了時の措置を記載した上で、保存期間満了後には、歴史的に重要な行政文書に該当しない行政文書については廃棄することとされているところでございます。
その廃棄に当たっては、内閣総理大臣による廃棄の同意を得たものについては、先ほど申し上げたとおり、体系的な整理を行うという法の趣旨を踏まえ、速やかに廃棄することが求められているというふうに認識しております。
○中山(展)委員 これは、速やかにしっかり廃棄をする、管理簿とのそごが起きないように努めていただきたいと思います。
それでは、各行政機関と地方公共団体の信頼性のある行政文書のあり方についてお伺いをしたいと思います。
四月十日、愛媛県知事は、二〇一五年四月に県や今治市の職員、そして加計学園の関係者が首相官邸を訪問した際に、柳瀬首相秘書官、当時が、首相案件などと語ったとするメモを、職員が報告のための備忘録として作成した文書であると認めました。職員を全面的に信頼していると発言されております。他方、総理も同様に、当時の秘書官を信頼していると発言しております。
また、農水省からも、個人メモとしてあったとのことでありますが、今回の愛媛県の作成した文書は、地方自治体における文書管理の問題であり、直接的に公文書管理法の規定の対象になるものではないと承知していますが、その上で、記録か記憶かどちらが正しいという話になっていますが、そのようなことが起こらないように、そもそも根拠のある文書を担保する仕組みであることが大前提だと思いますが、御見解を伺いたいと思います。
○田中政府参考人 お答えいたします。
現在及び将来の国民に対して説明する責任を全うするという公文書管理法第一条の趣旨や、意思決定過程等を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう文書を作成するという同法第四条の趣旨に鑑みると、まさに委員御指摘のとおり、作成する行政文書には正確性が求められるものと考えております。
○中山(展)委員 そこで、正確性のある文書を作成するための仕組みを具体的にお教えいただきたいと思います。
○田中政府参考人 お答えします。
お尋ねの行政文書の正確性を確保するためのルールといたしましては、昨年末に改正を行った行政文書の管理に関するガイドラインにおいて、各行政機関の外部の者との打合せ等の記録の作成に当たっては、可能な限り相手方の発言部分等についても相手方による確認等により正確性の確保を期するとともに、相手方発言部分等について記録を確定しがたい場合はその旨を判別できるように記載する、こうしたことを義務づけているところでございます。
本年四月より改正ガイドラインを踏まえた各府省の改正行政文書管理規則が施行されており、全府省において改正ガイドラインによる厳格なルールのもとでの文書管理が行われるものと認識しております。
また、ルールの見直しにとどまらず、公文書を扱う職員一人一人の意識を高めることが極めて重要であることから、そのための研修等を通じてルールの徹底を図るなど、改正ガイドラインの実効性を担保してまいりたいと考えております。
○中山(展)委員 正確な文書をつくるために、行政機関内部の打合せの記録や行政機関外部の者との折衝等の記録について文書を作成することを義務づけされたということでありますが、通告はしていないんですけれども、そのようなことになれば、例えばボイスレコーダーとかビデオカメラとか、それが皆様に必須になるのではないでしょうか。現状を踏まえてお教えいただければと思います。
○田中政府参考人 公文書管理法は文書を対象にしておりますので、その点については特にお答えするところはございません。
○中山(展)委員 もう一度、聞きづらい話ですが、田中審議官にお教えいただきたいんですが、正確な文書をつくるために、複数の職員や文書管理者、相手方による確認等を行う、正確性を確保することが義務づけされたということでありますけれども、例えば、近畿財務局作成の決裁文書に、籠池理事長、籠池氏の発言である、昭恵夫人からはいい土地ですから進めてくださいとのお言葉をいただいたと書かれていることに対して、相手方による確認とは、これは籠池氏に対する確認のことでしょうか。お答えになれれば、できればお願いします。
○田中政府参考人 相手方の確認につきましては、これは行政機関同士に限らず、行政機関の外の方についても、確認が必要な場合はこれを行うというのが原則でございます。
○中山(展)委員 ということは、相手方は、この中身の、昭恵夫人からはいい土地ですから進めてくださいという言葉、その信憑性というか、その真実ではなくて、籠池氏が言ったかどうかということを籠池氏に確認するということであって、昭恵夫人に確認するということではないということだと私は今の審議官のお言葉で理解をいたしました。
そこで、済みません、続きまして、文書の管理について引き続きお伺いしたいと思いますが、公文書管理法において行政文書の定義に該当しない文書、先ほど申し上げたいわゆる個人メモについてはどのような管理をすべきか、おっしゃっていただきたいと思います。
○田中政府参考人 お答えいたします。
行政文書につきましては、行政文書の定義に照らして、個々の文書が行政文書に該当するかについて適切に判断する必要がございます。
その上で、昨年末に改正を行った行政文書の管理に関するガイドラインにおいて、行政文書については、共用の保存場所に保存することを徹底した上で、お尋ねの個人的な執務の参考資料については個人フォルダ等に置く旨を明記したところでございます。
○中山(展)委員 続きまして、森友学園の、財務省による決裁文書の書換えについて伺いますが、公文書管理法上、公文書の書換え行為は、これは想定外の事例だったと思います。今後の再発を防止することが私たち喫緊の課題だと思いますけれども、電子決裁を促進することが書換えを防ぐ観点から有効であると考えますが、現況の電子決裁の割合はどれぐらいか、もう一度教えていただきたいと思います。
○堀江政府参考人 平成二十八年度の調査によりますと、各府省全体での電子決裁率は九一・四%となっております。
この調査で、電子決裁が行われていないものにつきましては、例えば、決裁に添付すべき民間事業者等からの申請書がそもそも紙で出ている場合、あるいは添付すべき文書が膨大である場合、こういった場合に電子決裁とすることが困難としているケースが含まれております。
なお、府省において、システム利用可能な端末が配備されていないなど業務環境の制約によりまして電子決裁が行えないものは、この調査の決裁件数の母数から除いているところでございます。
○中山(展)委員 電子決裁を更に促進することが有効だと思います。ぜひお進めいただきたいと思います。
ちょっと質問を飛ばさせていただいて、決裁文書以外の行政文書について、基本的には電子的に作成されているものと考えておりますが、実際、行政文書全体のうち電子で保存されているものの割合はどれくらいか、教えてください。
○田中政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの点につきましては、毎年度内閣府が実施している調査によれば、行政文書ファイル等の媒体については、平成二十八年度における全行政文書ファイル等のうち約六%が電子媒体であると承知しているところでございます。
○中山(展)委員 課題がある中でも、現状の数字は必ずしも高い数字ではないと思います。
ただ一方、電子での公文書の保存は、ハッカーに侵入されるといったセキュリティー上の課題もあると考えています。残念ですが、電子媒体で保存される行政文書については紙媒体でのバックアップも必要であると考えますが、どのようにお考えでしょうか。
○田中政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、権限のない者によるアクセスの防止等、セキュリティー対策は文書管理において重要な課題であり、行政文書の保存に当たっては、紙文書及び電子文書それぞれの特徴を踏まえ、当該行政機関の業務の性質、内容等に応じ、適切な記録媒体を選択することが必要であると考えてございます。
電子文書の管理のあり方については、公文書管理委員会の御指摘も踏まえながら今後検討を進めていくものと認識しておりまして、その際には、技術の進展に伴う新たな課題についても対応できるよう方策を研究してまいりたいと存じます。
○中山(展)委員 ここで大臣にお伺いをいたします。
電子媒体での管理における課題をクリアしながら、今後は電子媒体での公文書管理を更に進めるべきと考えますが、大臣の御見解をお願いいたします。
○梶山国務大臣 電子文書の利用、保存のあり方については、まずは、紙文書、電子文書にかかわらず、歴史公文書等の範囲や行政文書の保存に関する基準の明確化等を内容とする行政文書の管理に関するガイドラインを昨年末に改正し、各府省の行政文書管理規則を改正したところであります。本年四月より、全府省において、より厳正なルールのもとでの文書管理が行われているところであります。
その上で、御指摘の電子文書の管理のあり方については、平成二十八年三月に公文書管理委員会がまとめた公文書管理法施行五年後見直しに関する検討報告書において、「諸外国の事例も踏まえ、文書管理の専門職員が電子文書の移管・廃棄を選別する電子中間書庫の検討や、紙文書が持つメリットをできるだけ電子文書でも実現し、電子文書のデメリットを減らすように、電子文書の文書管理システムを改善していくことを検討すべき」との御指摘をいただいたところであります。
この御指摘を踏まえて海外事例の調査等を行っており、政府全体の電子化の進展状況も踏まえて、今年度以降、更に検討を進めることとしております。技術の進歩が日進月歩である中で、どのような方法がいいのか、専門家の意見を伺い、各関係省庁ともよくすり合わせをしながら、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
○中山(展)委員 大臣に最後の質問をさせていただきます。一番最後の質問でお願いいたします。
これは公文書にかかわる人員についてでありますが、全行政機関においては、保存期間を一年以上とするものだけでも、平成二十八年度末の時点で一千八百万件の行政文書ファイルが存在します。それだけの分量の行政文書を職員だけで適正に管理していくのは、私は限界があると思っております。専門職員のサポートも必要ではないかと思いますが、大臣の御所見をお願いいたします。
○梶山国務大臣 行政文書につきましては、まずは、各行政機関の業務プロセス等を最もよく理解をする当該行政機関において、公文書管理法や改正ガイドラインの趣旨をしっかりと踏まえて適切にその作成、保存等の管理を行うとともに、研修等を通じた職員への周知徹底や内部の点検、監査等についてもしっかりと行うことがまずは重要であると考えております。
その上で、専門職員によるサポートが必要との委員の御指摘について申し上げますと、平成二十八年三月に公文書管理委員会がまとめました公文書管理法施行五年後見直しに関する検討報告書においても、例えば、「各行政機関の文書管理業務を支援する仕組みについて、専門職員の育成・配置等含め検討すべき」との御指摘をいただいているところでありまして、今後の検討課題であると認識をしております。
この点、公文書管理の専門職員、いわゆるアーキビストにつきましては、従来から、国立公文書館において、主に歴史公文書等の文書管理にかかわる専門人材を広く養成、確保するための専門職員の職務基準書策定に係る検討が行われてきたところであります。
アーキビストの職務基準書については、昨年十二月に国立公文書館主催の有識者による検討会議において取りまとめが行われたところでありまして、引き続き、国立公文書館内で検討を進め、関係機関との調整を経て、今年度中の完成を目指していると承知をしております。
こうした取組は、公文書管理の質を不断に高めていく上で大変有用と考えておりまして、内閣府としても、国立公文書館による取組を後押ししてまいりたいと思いますし、必ずやはり前進をするように取り組んでまいりたいと思っております。
○中山(展)委員 ぜひ、前進をお願いしたいと思います。
公文書管理においてこのような国会での事態が二度と起こらないように、ぜひお願いしたいと思います。
その一方で、公文書管理においても、科学技術の進展で、その管理方法はこれから進化していくものだと思います。いわゆるシンギュラリティー、技術的臨界点、特異点になれば、ウエアラブル端末で全ての事象が記録をされ、記憶をされる、そういったこともあるんだと。常時記憶保存ができる、そういった世界になるんだと思います。
政治や行政の意思決定がAI、人工知能によって行われることも予測をされます。そのAIのディープラーニングには、過去のアーカイブを電子化することが必須であると思います。ぜひ、こういった行政、それから政治の意思決定においてもAIがこれから可能性があることも踏まえて、過去のアーカイブの電子化も早急に進めていただきたいとお願いをさせていただいて、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○山際委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
本日、最後の質疑者となりました。大臣、二十分間よろしくお願いいたします。
ずっときょうの公文書管理の集中的質疑を聞いておりますと、大事なのは、行政文書というのは何なんだろうかということを改めて思いました。
いろいろな疑惑等々ございますので、これはしっかりと政府としても晴らしていく、疑念を抱かれないような形でしっかりとやっていくというのは大事なんですが、ただ、もう一方で、本来行政文書でないようなものについても、さまざま検索してくれとか、探索してくれ、資料を出せとか、あるんじゃないかとか、そういう話が出てきているのではないかということも思っております。
例えば、獣医学部の新設に関連しますと、これはもともと愛媛県の方から備忘録として作成したものだということでありますが、国にとっての行政文書か、もっと言うと、農水省で見つかりましたということでございますが、農水省における行政文書ですかと言われると、それはそうじゃないんじゃないんですかというふうに思うんですね。でも、それを、要請がある、これはしっかり疑念を晴らさなければいけないという要請があるので捜したということなんだろうと思います。その上で言うと、非常に大事な文書であるかもしれませんが、行政文書ではないということになります。
ここで一つ、最初に確認をしておきたいと思いますのが、行政文書の範囲なんですね。既に、行政文書管理ガイドライン、昨年の年末にガイドラインを改正して、四月一日から各府省でしっかりと文書管理規則が施行されたわけであります。
そういう施行されている状況の中で今さまざま起きているわけでございますけれども、この「組織的に用いるもの」というのはずっとそのような話であったわけでございますが、これは引き続き要件とされているわけです。
その上で、行政文書の保存と保管の整理に関しては、このガイドラインにおいてどのように定めたのか。これは、行政文書に該当しない個人的な執務に関する資料との比較も含めて確認をしたいと思います。大臣、お願いします。
○梶山国務大臣 昨年末に行政文書の管理に関するガイドラインを改正をいたしました。公文書管理委員会によるチェックを経て、改正ガイドラインに基づく各行政機関の行政文書管理規則がこの四月から施行をされているところであります。
行政文書の定義につきましては、公文書管理法第二条第四項において、行政機関の職員が職務上作成、取得をし、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして当該行政機関が保有しているものと定められており、委員御指摘のとおり、今回のガイドライン、規則改正によって変更があったものではありません。
その上で、今回の改正では、行政文書については、共用の保存場所や共有フォルダに保存することを徹底した上で、個人的な執務の参考資料については個人フォルダ等に置く旨を明記するとともに、文書管理に対する責任体制を明確化する観点から、課長級の文書管理者が確認を行うこととしたところであります。
新たなルールの徹底を図るとともに、ルールの見直しにとどまらず、公文書を扱う職員一人一人の意識を高めることが極めて重要であることから、研修の充実、点検、監査の実施等、公文書管理の質を高めるための不断の取組を進めてまいりたいと思っております。
先ほど来申し上げておりますけれども、公文書管理委員会の議論の中でも、研修をどうするんだ、全員が受けられるようにした方がいいと、さまざまな議論がありました。それらを受けて、年度に一回は必ずやはり全職員が何らかの研修を受けられるようにするということも今回決めたわけでありますのと、これまでの事案を考えてみますと、どちらかといえば、やはり一人一人の意識が希薄であったと言われてもこれはおかしくないことだと思いますので、しっかりと魂を入れていく作業をしてまいりたいと思っております。
○濱村委員 しっかり取り組んでいただきたいというのは本当に思うわけですが、そうは思いつつも、やはり運用する側の方々におけるレベルの差というのもあろうかと思うんですね。
実は、私は、この公文書管理法というのは平成二十一年からでございますが、それより以前に、これは地方自治体でございますが、私がまだサラリーマンをやっていたころですけれども、ある地方自治体の文書管理についてのお仕事を支援させていただいておりました。文書管理についてどのように行うのか、そしてまた、それを電子的に、サーバーを置いてどのように管理をしていくのか、アクセスできる方はどなたになさるのか。そういったことをなさりたいという自治体さんがおられましたので、それをどういう形でやればいいかという入札の仕様書、入札説明書、それを作成するためのお手伝いとかもさせていただいておりました。
そういう意味においては、ひょっとすると私はここは専門家なのかもしれませんが、余り専門家だからといって、この分野、公文書管理自体は非常に難しいところだなと思っております。というのは、どういう基準で行政文書にするかどうかという判断というのは、私は全くタッチしておりません。ここが非常にみそだと思っておりますので、そういうところをもう少し浮かび上がらせていきたいと思っておりますが、少し質問の順番を変えさせてもらいます。
きょうは、防衛省からも小波審議官に来ていただいております。きょうは当然審議官として来ていただいているわけでございますけれども、以前、防衛監察本部統括監察官をされておられたということでございますが、当然きょうは審議官として来ていただいております。つまり、文書管理等々あるいは日報についてどのように防衛省の中で管理をされておられるのかというような、そういう整理のために来ていただいているわけでございますけれども、まず、ここで確認したいのは、特別防衛監察、これを行ったわけでございますが、指示内容は何であったのか、どのようなもので、イラクの日報というのは含まれていましたけれども、日報の検索自体、これはどの範囲まで行うということで指示をしたのか、これを確認したいと思います。
○小波政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘をいただきました南スーダン派遣施設隊の作成した日報の情報公開請求につきまして、平成二十八年の十月三日に、南スーダン派遣施設隊が現地時間で二〇一六年七月七日から十二日までに作成された日報に関する情報公開請求がございまして、これに対して、文書不存在のため不開示との陸幕長からの上申を受け、一旦、防衛省としては不開示決定したものでございましたが、同年十二月二十六日に統合幕僚監部において当該日報が発見され、平成二十九年二月六日に公表、同十三日に当初決定を取り消し、開示したものでございました。
その後、平成二十九年三月十五日に、日報のデータが陸自に保管されていたが、当初の説明と矛盾するため、その事実は一切公表されず、更にデータの消去が指示されたとの報道がなされたことを踏まえ、通常の調査では不十分であるとの稲田元防衛大臣の判断により、元高検検事長を長とし、現役の検事も勤務いたします防衛大臣直轄の防衛監察本部に対して、特別防衛監察を実施し、徹底的な事実関係の調査を行い、同年七月二十八日、この結果について公表したところでございます。
ただいま先生から御指摘がございました、そのまず内容でございますけれども、ただいま御説明いたしましたように、あくまでも南スーダンの派遣施設隊が作成した日報の関連でございますので、今回また別の観点から話題になっておりますイラクの関係のものとは別のものでございます。
また、今、検索等につきましてということでお話がございました。ただいま防衛監察本部の立場ではないんですけれども、一般的に申し上げますと、防衛監察本部のような部署で、いわゆる実際の監察の手法に関して、それを明らかにするようなことになる場合につきましては、一般的にはお話を差し控えさせていただいております。
その上で、一般論として申し上げれば、当然のことながら、今回の南スーダンの派遣施設隊の日報という関係でございますので、御案内のとおり、それをできるだけ把握できるような形で種々の検索をかけて、このような形の実態の把握に努めたというところでございます。
○濱村委員 これはきのうの安保委員会でも、同僚議員の浜地議員から質問がなされていて、小波審議官がお答えされておられます。
そういう中でいいますと、さまざま、どういう部署で検索をしたとか、そういう話はあったわけでございますが、何より大事なのは、まず、やはり南スーダンの日報について指示をしたということでございます。それについて、イラクの日報がちなみに見つかりましたという状況でございましたが、それは、報告すべきはすべきとして報告も陸幕にされているということでありますけれども、残念ながら、そこから危機意識を持って、さらに、国会答弁との関係性においてどう対処するべきだったかという話はまた別の問題だと思っております。
そういう意味においては、危機意識が少し足りなかったんではないかということは思いますけれども、これは恐らく、文書の管理のあり方については何ら疑義がないというところでありましょうし、そしてまた、当然のことながら、特別防衛監察の正当性自体は何ら毀損されないものというふうに考えておりますけれども、ただ、さまざま、今、大野政務官が調べておられる点もございますので、これについてはしっかりと徹底的に調査をしていただきたいというふうに思っております。
そもそも私ここで申し上げたかったところは、行政文書として管理している部局というのは一体どこなんですか、そこが明確になっているんですか、誰がアクセスできるんですかと。日報についていえば、陸自のシステムでいえば四万人がアクセスできる、そしてまたダウンロードできる。相当アクセスコントロールが雑だなというのは、私はそれは指摘せざるを得ないかなと思っておりますが、ただ、日報というのは、陸自の中で必要なのであればそれぐらいの方々に権限があってもいいんだろうと思うんです。適切に管理されている上で四万人だということなのであればそれは正しいんだろうと思うんですが、そこはぜひ見直していただきたいというふうに思っております。
更に申し上げるならば、日報として、今回、研究本部の教訓センターで見つかった、イラク日報が、という話になっていますけれども、本来日報として果たすべき役割というのは、恐らくこの教訓で見つかったものとは違うんだろうと思うんです。日報としての役割はある程度終えた上で、教訓は教訓としてそれを必要な文書として使っているわけですが、それは必要性が少し変容していると思っているんですね。ただ、それも実は行政文書ですよね。変容した瞬間に、その行政文書をまた誰が管理するんですかということも、しっかりと適切に保存、保管をしていっていただかなければいけない、こういうふうに思っております。
しかるべきところで検索範囲を設定して調べるんだけれども、それは行政文書として管理している人たちの中でちゃんと管理しますよということをやっていかないと、そもそも管理規則とかつくっていても余り意味がなくなるということになりかねないと思っておりますので、少し触れさせていただきました。
時間もなくなってまいりましたが、私、もう一つ更に確認したいのが、あるべき姿、行政文書管理規則としてあるべき姿があろうかと思いますが、それは各省で運用されているわけです。この運用されている中でいいますと、電子データもちゃんと廃棄しましょうねという話になっているわけです。電子データを廃棄しましょうねとなったときに、廃棄自体が正当に規則にのっとってされているにもかかわらず復元をしたらどうだというような話も、以前、委員会等でもございました。
そもそも復元をすることが前提になったりしますと、文書管理規則の正当性そのものが疑われるというふうに思うんですが、電子データについては復元は行わないということを大前提とすべきと思いますが、いかがでございましょうか。
○田中政府参考人 お答えいたします。
現行法におきましては、電子文書も含めた行政文書について、国の意思決定過程等をたどる有益な知的資源として、国民への説明責任を果たし得るよう適切な保存期間の設定や、歴史的に重要な文書の選別等体系的な整理が求められているところでございます。
こうした考え方のもと、各行政機関においては、当該行政機関の行政文書管理規則に基づき、保存期間満了後、歴史的に重要な文書に該当しない行政文書を廃棄することとされております。
その廃棄に当たっては、内閣総理大臣による廃棄の同意を得たものについては、体系的な整理を行うという法の趣旨を踏まえ、速やかに廃棄することが求められているところでございまして、その手法は、電子データにおいては、完全復元不可能なレベルまでの廃棄は求めておらず、御指摘のような、廃棄後の復元については前提とされていないというふうに認識しております。
○濱村委員 ぜひ、そのとおり、これは我々議員側もそうでありたいというふうに思いますが、最後に一つだけ質問します。
一部改ざんされたりしたことも問題として浮かび上がっているわけでございますけれども、そうした改ざんというようなことを防ぐため、あるいは改ざんされた、あるいは修正されたということがわかるという特性を使って、しっかり公文書管理を行うべきだというような論調が世の中に今生まれております。
その中で、実は、ブロックチェーンを使うべきだとかとおっしゃる方がおられるんですね。私は必ずしもそうではないと思っているんです。なぜかというと、なかなか権限管理するのも難しいんじゃないかなとかと思いますし、それがブロックチェーンじゃなくてプライベートチェーンになりませんかとかというような話もございます。
そういう意味でいうと、もう既に枯れた信頼できる技術で、適正な運用ルールを徹底することで、しっかりと改ざんされにくいシステムというのはできると思いますが、その辺、今の見解を伺いたいと思います。
○田中政府参考人 お答えいたします。
電子文書の利用、保存のあり方については、まずは、紙文書、電子文書にかかわらず、歴史公文書等の範囲や行政文書の保存に関する基準の明確化等を内容とする行政文書の管理に関するガイドラインの改正を昨年末に行い、本年四月より全府省において改正ガイドラインによる厳格なルールのもとでの文書管理が行われているところでございます。
その上で、広く電子文書の管理のあり方については、公文書管理委員会からも御指摘をいただいており、政府全体の電子化の進展状況も踏まえ、今年度以降更に検討を進めることとしてございます。
文書管理の電子化に当たっては、とりわけ改ざんの防止対策は当然重要な課題であると考えておりますが、技術の進歩が日進月歩である中で、技術の信頼性という観点からも、どのような方法がいいか、専門家の意見も聞きつつ、関係省庁ともすり合わせをしながら検討を進めることになると考えております。
○濱村委員 行政文書の電子的な保存はまだ六%ぐらいですという話がございました。これはしっかり進めなければいけません、ちょっと六%は恥ずかしい状況でございますし。そしてまた、そこで行政文書を電子媒体、電子ファイルにした場合に、このファイルないのか、あるいはこの文書ないのかと言われたときにすぐに出せるかどうかというのは、例えばファイル名のつけ方一つでも変わってきます。
そういう細かいことではございますが、そうしたところもしっかりと各府省内で議論をしていただいた上で高度なレベルでの公文書管理を行っていただきたいということをお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○山際委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時七分散会