衆議院

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第11号 平成30年4月18日(水曜日)

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平成三十年四月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君

   理事 寺田  学君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 佳隆君    泉田 裕彦君

      大隈 和英君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 鮎子君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      亀岡 偉民君    小寺 裕雄君

      古賀  篤君    杉田 水脈君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      長坂 康正君    西田 昭二君

      三谷 英弘君    宮路 拓馬君

      村井 英樹君    大河原雅子君

      篠原  豪君    森山 浩行君

      山崎  誠君    稲富 修二君

      今井 雅人君    森田 俊和君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      中川 正春君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   野田 聖子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    松山 政司君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)

   (行政改革担当)     梶山 弘志君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   法務副大臣        葉梨 康弘君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   総務大臣政務官      山田 修路君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  邦彰君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  高野 修一君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   小野田 壮君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 堀江 宏之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 横山  均君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   富山 一成君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         中川 健朗君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 裕紀君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (国土交通省航空局交通管制部長)         飯嶋 康弘君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     宮路 拓馬君

  柿沢 未途君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     加藤 鮎子君

  今井 雅人君     柿沢 未途君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、内閣官房内閣審議官高野修一君、人事院事務総局職員福祉局長合田秀樹君、内閣府政策統括官小野田壮君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、総務省大臣官房審議官堀江宏之君、総務省大臣官房審議官横山均君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、財務省大臣官房長矢野康治君、財務省理財局次長富山一成君、文部科学省大臣官房総括審議官中川健朗君、厚生労働省大臣官房審議官成田裕紀君、農林水産省大臣官房総括審議官天羽隆君、農林水産省大臣官房審議官小川良介君、国土交通省航空局交通管制部長飯嶋康弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 冒頭、十分のお時間を頂戴いたしましたので、主に菅官房長官、そして梶山大臣に御質疑をいたします。

 先週土曜日、四月十四日、梶山大臣とも御一緒でしたが、野中広務先生のお別れの会が京都でございました。自民党からも二階幹事長あるいは安倍総理も御出席でありましたけれども、野中元官房長官が四年ほど前に国会に来られて、参議院で御発言の折に、最も気にしておられたのは、内閣と国会との関係、すなわち行政と立法との関係でありました。

 菅官房長官には、本日は、内閣の総合調整機能について、三点にわたってお伺いをしたいと思います。

 まず第一は、財務省の事務次官、福田事務次官が起こしたとされる記者へのセクハラ問題でございまして、財務省は、そうしたことの被害を受けた記者には申し出るようにとおっしゃいましたが、これは全く事の事態の深刻さを理解していない。閣内からもさまざまな異議、異論がおありというふうに承っておりますが、官房長官は、内閣全体として、この事態にどう対処されようとしておるのか。

 被害の人に申し出ろというのは常識を逸脱している、これは国民の常識の感覚であります。セクハラとはさほどに深刻なものでございまして、事細かな点は後ほど大河原委員から質問させていただきますが、まず、内閣の中にさまざまな意見があること、今の財務省のやり方が問題が多いのではないかとする御意見もあると承っておりますが、この点の総合調整はどうなさいますか。官房長官、お願いします。

菅国務大臣 まず一義的に、国家公務員としての服務上の疑いがある場合の調査について、これは任命権者の責任で行うことになっています。また、事実であった場合、国家公務員法上の懲戒処分の対応も任命権者になっております。

 今回の週刊誌で報じられている件につきまして、まず任命権者である財務大臣において今必要な対応を行っているというふうに承知をいたしております。

 私としては、できる限り速やかに調査を進めた上で適切に対応する、このことが大事だと思います。

阿部委員 私が今申し上げましたように、財務省の調査の手法が問題になっておるわけです。できる限り速やかにと申されましても、その手法自身が問題であれば、私は、これは国民は更に政治への不信を増すと思います。

 今回、弁護士、それも顧問弁護士のところに申し出ろということでありますが、とんでもないことであります。そして、繰り返しますが、閣内からも、野田総務大臣からも官房長官にお話があったと思います。そもそも、内閣人事局の人事で、菅官房長官も任命権者としてよいお立場だと思います、大臣と相談されて幹部人事を決められるわけですから。私は、そこに総合的な調整機能を働かせないこと、これががたがたの内閣をつくるんだと思います。

 二点目。

 同じように、森友、加計学園問題の加計学園問題では、愛媛県から四月の二日に県の職員が出張したときの復命書が出てまいりまして、この復命書のある種同種の内容を文科省、農水省、内閣府にも、あるいは厚労省にもお手渡しないし何らかの形で届けられたということで、菅官房長官が、四月十日でありましたか、この四省に調査を命じられました。おのおのの省庁から結果が出てまいりましたが、農水省以外はない、見つけられないということでありました。

 さて、総合調整機能の観点から、菅官房長官は命令はしました。この後、どうなさるんですか。ばらばらで、農水省からは出てきました。しかし、真偽のほど、これから誰がどのようにこれをきちんと国民に伝えられる形にしていくのか、官房長官に伺います。

菅国務大臣 総理が、更に調査するという話をされまして、私から事務の副長官に徹底した調査を命じました。そして、事務の副長官がそれぞれの省庁に指示して、その結果として農水省から出てきたというのが現実であります。そして、他の省庁については、そうしたことはなかったという報告を受けております。

阿部委員 恐縮ですが、質問をよく聞いていただきたいです。

 農水省からは出てきた、他からは出てこなかった、さてこれからどうするんですかと。こっちにありました、こっちはありませんで終わりではないのです。この後の方が私は重要だと思います。菅官房長官は、内閣のヘッドクオーターです、中心になる元締めであります。どうなさるのかを伺いたいです。

菅国務大臣 それぞれの役所には大臣がおります。大臣が責任を持って今回も調査をしていただいたわけでありますから、そうしたことについては大臣に、今後何か出てきましたら、更に、それぞれの省庁を所管していますから、そこはしっかり対応してほしいと思っています。

阿部委員 セクハラ問題でも加計問題でも、そうやって大臣が、大臣がということで総合調整機能が果たされないということを、私は菅官房長官にはしっかりと認識していただきたい。

 今、内閣の支持率の問題が出ておりますが、私は、これは単に今の政権への不信だけではなくて、政治への不信に結びつくと思います。内閣がしっかりグリップして、事を一つ一つ解決していかねば、政治は退廃をいたします。

 三点目。

 私は、せんだってのこの委員会で、玉木雄一郎希望の党の代表に対する総理秘書官のやじの問題を取り上げました。案じていたとおり、今度は自衛隊の統合幕僚の三等空佐が、道で出会った小西議員に対してまた暴言を発しました。いわゆるシビリアンコントロールが問題になっているさなかにかかる事態に発展していくということは、私は本当に嘆かわしい事態だと思っています。これも、菅官房長官は、防衛大臣がしかるべく問題だと言っているから、それでよしとなさるのか。

 この国の形の根幹はシビリアンコントロールであります。自衛隊の方々が個別に、議員に対して、おまえは国賊であるとかそういうことを言い出したら、私は、これは本来の、立法府と、そして厳重なシビリアンコントロール下にあるべき自衛隊の隊員のその態度の問題として、極めて問題と思いますが、いかがでしょう。

菅国務大臣 この件につきましては、防衛大臣が陳謝をしているということを承知しています。

 また、政府全体として、国家公務員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、かつ、職務の遂行に当たって、全力を挙げ、これに専念しなきゃならない、このようになっております。

 国家公務員は、改めてみずからの職務を認識し、国民の信頼を得られるよう緊張感を持って職務を遂行してほしいというふうに思いますし、内閣としてもここは徹底して対応していきたい、このように思います。

阿部委員 いずれの出来事も、たがが緩んでいるんだと思います、政治のたがが。たがは誰が締めるかというと、内閣官房長官なのであります。

 私は、約一年にわたってこの森友、加計問題がこの場で論じられねばならないことも含めて、きょう、済みません、梶山大臣に質疑の時間がなくなりましたが、嘆かわしいと思いますし、しっかりと野中官房長官に倣って名官房長官になられるよう期待して、質問を終わります。

山際委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原雅子でございます。

 今、阿部議員から、小西議員への自衛隊中級幹部ですかの方からの暴言問題が取り上げられました。しかも、その発言の内容は、おまえは国民の敵だと。そういう本当にあり得ない発言だと思います。

 政治家は、いろいろな考え方を持った人たちが集まって、ここで国民の声をしっかりと国政につなげ、そしてその声でこの国のかじ取りをしていく、そういう役割です。全体の奉仕者と先ほど官房長官は言われましたけれども、特定の考え方にのっとらなければ、この国会議員の地位というものを、国民の手で選ばれた、いわゆる選良と言われる人たちに対する言葉として、これほどひどい言葉はないと思います。

 先ほども、厳重な調査と、これから処分についても考えていくということでしたけれども、その中身が内々でやられるお手盛りの調査や処分であってはいけないというふうに思いますので、いま一度、この問題について官房長官から御発言をいただきたいと思います。

菅国務大臣 まず、今回の事案につきましては、あってはならないことだというふうに思っております。政府としても、そこは重く受けとめて、二度と再びこのようなことがないように取り組んでまいりたいと思います。

 そして、この事案が発生してから、防衛大臣から私は報告を受けまして、大臣としても徹底をしてこの事案を重く受けとめて対応するということの報告も受けております。

 まさに議員のおっしゃるとおりだと思います。

大河原委員 この問題は、たまたま小西議員だったから防衛省の人事局に電話をした、そういうことができたんですね。でも、こういうことができなかった場合、もちろんこの地域には警察の方たちがおられて、もちろんこの問題にも集まってきて、どういう対応になるのかと見てくださったわけですけれども、私はやはり、警察が、この問題、この発言をした自衛官に対して、しっかりとした調書をとるとかそういったことが行われたのかどうか、確認をしたいと思うんですが、これは官房長官に伺ってもいいことなんですかね。

 お伺いする人がいませんので、ぜひそこをお答えいただき、普通の対応として、まず防衛省に電話をかけるなんということは普通の人はできません。ですから、警官の対応としてもぜひ求められているものがありますので、その点、お答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 通告を受けておりませんので、私からは用意はしておりませんけれども、しかし、そうしたことはあってはならないことであって、それは当然、警察官の服務として当然のことをやはり行うというのが必要だというふうに思います。

 いずれにしろ、私の方で問合せをしてみたいと思います。

大河原委員 警官の皆さんも大変厳しい環境の中で仕事をしていらっしゃるわけですけれども、やはり、その場の市民が痛めつけられている、そんなことはあってはならないわけなので、そういう意味では、しっかりと警護の方たちにも、こうした事件が起こらないように、更に注意深く警備をしていただきたいというふうにお願いをさせていただきます。

 先ほどもありましたけれども、セクハラ問題で、肝心な国会の議論が非常に薄くなってしまうんじゃないか、いろいろなことがごちゃごちゃになってきているという現状がありますが、実は、きのう新聞報道で、アメリカでは、ピュリッツァー賞、すぐれた報道に与えられる賞ですけれども、このピュリッツァー賞の受賞者が、セクハラ報道でハッシュタグ・ミー・トゥーというああいう運動を広げて、さまざまなセクハラ発言や、さまざまな行動、それから暴力、そういったことに声を上げる女性たちを支援してきた、そういうことが評価されて、ニューヨーク・タイムズなどにこの賞が与えられました。

 日本の場合は、けさもセクハラ軽視の深刻さが指摘をされる紙面が躍っておりますし、先ほど阿部議員が指摘されましたように、今回の福田事務次官の問題で、財務省の対応というのは、私は本当にやり方がひど過ぎるというふうに思っております。不適切な調査、そして、任命権者である大臣の発言も、なかなか、何時代の話なのと思うようなところがたくさんございますけれども、官房長官は、この財務省による調査というのは適正だと思っていらっしゃいますでしょうか。

菅国務大臣 まず、財務省は、当事者である福田次官からの聴取だけでは事実関係の解明が困難であると。そういう中で、調査に当たっては、財務省みずからが女性記者を聴取するのではなく、具体的な対応、これは外部の弁護士に委託をし、御協力をいただける方に不利益が生じないよう財務省において責任を持って対応される、このように承知をいたしております。

 いずれにしろ、速やかに調査をし、方向性を出すという、事実関係を聴取することが大事だと思います。

大河原委員 私も公開ヒアリングなどに立ち会わせていただいたんですけれども、財務省の担当官が報告をする中身について、トップの事務次官に対する調査なので、部下の自分たちからはなかなかはっきりと物が聞けないんだというようなニュアンス。それは麻生大臣もそうなんですね。自分の部下だからかばうのは心情としてはわかりますけれども、そこで加害が起こっているということが訴えられているわけですから、その加害者に対する配慮というものがまるで見えない。

 人事院が出している規則の中で、このセクシュアルハラスメントについても適切な方法が示されているわけなんですけれども、私は到底、この財務省の現在の調査のやり方、第三者機関といいながらも、関係のある、つまりは、省とその職員を守ってもらうために委託をしている弁護士事務所に頼む、まるで第三者性というものを理解されていないんだというふうに思います。

 引き続きこの問題を取り上げるんですが、官房長官のお答えは、今、私にとっても不十分でございます。

 次、野田大臣にお願いをしたいんですが、今のことです。

 最初、麻生大臣の取上げ方は大変に軽いものでしたけれども、女性活躍そして男女共同参画に責任あるお立場からこれまでも発言をされてきましたけれども、違和感があるというところから、少しずつ、本当におかしいなと思っていらっしゃるということが透けて見えるような御発言があります。野田大臣は、この調査について適正だとお思いでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 セクシュアルハラスメント、セクハラは、女性に対する暴力であり、重大な人権侵害ということであります。現時点では福田事務次官はセクハラの報道を全面否定していると聞いております。が、ぜひ速やかに調査を実施して、事実を明らかにしてほしいと考えています。

 私が調査に違和感を感じると申し上げたのは、セクハラというのは、その被害に遭ったときに、家族とか友人とか、ましてや職場の上司とか、なかなか告白できない大変つらいものです。専ら女性がその被害者となります。男性にも若干おられるかもしれませんけれども、専らやはりセクハラの被害者は女性です。

 私自身も、実は二十代のころ、選挙に落ちて、日々活動している中、ほぼ慢性的に、当時はセクハラという言葉がなかったけれども、そういう男性からの性的な高圧的な嫌がらせを受けてきました。落選中というのは、やはり選挙に勝たなければならないということで、候補者にとって有権者の人たちというのは上位の人たちです、その人たちからそういうことを言われても、やはりこの仕事のためにということで我慢せざるを得なかった、自分の苦しい思いが実はあります。

 ですから、そのような経験を踏まえて、女性にとって今般の財務省の調査は、当事者である事務次官の部下である官房長から被害者個人である女性記者に対して協力を求めているものであり、そして財務省が委託した弁護士事務所を窓口としていること、被害者にとってはいずれも、相手側の、加害をした人の仲間、関係者というふうに普通は捉えてしまいます。そういうことから、被害者の立場からすると、二次被害のおそれもある、そういうおそれもある高いハードルではないかと私は思っています。こうした点で私は違和感があるというふうに申し上げた次第です。

 いずれにしても、セクハラ問題について一番重要なのは、言うまでもなく、セクハラの原理原則というのを理解していただきたい、その上で、被害者を保護、救済すること、それが一番大切なことであり、その観点を踏まえて財務省には適切に対応していただきたいと望んでいます。

大河原委員 嫌だな、不快だなというふうに思ったらセクハラということ自体もまだまだ一般に認知をされていない。特に、企業では、男女雇用機会均等法の中にセクハラ対策、十一条にありますけれども、企業に入っていない、あるいはそういう経験のない方こそ、このセクハラの感度というのは非常に鈍い。

 ちょっと申し上げにくいですけれども、年配の男性の中には、ちょっと、ちょい悪おやじ風の発言というような意味合いでそういう性的な言葉とか態度というものを捉えていらっしゃる方が、間違った捉え方なんだけれども、まだまだいらっしゃるような気がします。

 それで、この均等法の中で、セクハラ対策のスキームといいますか、相談体制のつくり方、もちろん意識、そうした相談に当たる人の指針などもあるわけですけれども、今回の財務省のやり方は、こうした一般的な相談のスキーム、調査のスキーム、こういったものと合っていないと思いますが、いま一度、野田大臣、いかがでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 私も女性議員としてずっとセクシュアルハラスメントの関係に携わってきましたけれども、今回のケースというのは非常にレアなケースでありまして、本来は、セクハラの問題は、一番は、繰り返しになりますけれども、その被害を受けた方の保護と救済から始まります。

 今回は、加害者と目されている側からのそういう話でありまして、実は、ハラスメントというのは、力がある者がその力を利用して、力のない者に対して、例えばパワーであったりモラルであったりセクシュアルであったりするわけですね。今回の場合はセクシュアルでありますけれども、そういった場合、やはり、力のある者側からそれによって被害を受けた側に対してそういうことを申し入れたとしても、一度殴られたことを経験している人は殴った側をどう信用していいかという根本的な問題があるわけですね。

 そこら辺を十分、財務省としては、加害を与えたと言われる側の発想でそういう調査をしなければならないと思ったけれども、セクシュアルハラスメントは、根本的にはやはり被害者発信、被害者をしっかり守るということにあるという、そこをやはりわきまえていただければと思っています。

大河原委員 レアケースというふうに、私も大変なケースだなと思うんです。

 調査をしていく中で御本人のことが、外にいろいろな情報が出てしまうと、二次被害というのは確かに起こります。それ以上のことが、この場合は女性の記者さんなんですよね。そして、この記者さんのこれから先の記者人生というもの、これがもしかしたらここで途切れてしまうかもしれないということもあって、この事態を、本来だったらば、どういうふうに調査をし、その訴えが解消されるように、御当人にもしっかりと先が見据えられ、このことが被害が及ばないようになるのかというようなことを考えます。

 普通だったら、被害女性が自分の会社、これは取材をしろと言われているわけですから、取材が仕事ですから、みずからの会社の苦情処理に相談をする。そして、会社側は、職務上の取引先、対象からの嫌がらせ、セクハラですから、会社側から事務次官に対する調査をかける。このことについては、政府としてというか財務省として、この機関がこういうクレームが来ているということを受けとめて、再発防止、そうした特別の取組を財務省はしなければならない立場にあると思います。

 希望者がどういう対応を求めているかについてもしっかりと聞き取るということが必要ですし、そういうところに二度と行かない仕事につくとか、あるいは、その方が隔離をしてその人と会わないようなこと。それから、もちろん、謝罪をしてもらいたいということがあれば、そういうところで解決がついていく。でも、最悪の場合は、もちろん裁判に訴えるということもあるんでしょうけれども。

 財務省が、とにかく人事院の規則を無視した形で調査をし、財務省としてのコメントを出す、個人のことが、また御本人も自分の声だかわからない、この音声テープが出てきたときにも事の真贋がわからないところから組織が丸ごと対応しようとしているという、私は大変間違った方法が使われているんじゃないかというふうに思っています。

 人事院の方にきょうはお越しいただいていますので、国家公務員のハラスメント防止対策について、人事院規則に基づくハラスメントの相談体制等、道筋はどうなっているのか、御紹介をいただきたいというふうに思います。総裁に来ていただいていますので、お願いいたします。

一宮政府特別補佐人 セクシュアルハラスメントの相談体制につきましては、人事院規則一〇―一〇、セクシュアル・ハラスメントの防止等第八条第一項におきまして、各省各庁の長は、セクシュアルハラスメントに関する苦情の申出及び相談が職員からなされた場合に対応する相談員を配置する等、必要な体制を整備しなければならない旨規定されております。

 相談員は、同条第二項において、苦情相談に係る問題の事実関係の確認及び当事者に対する助言等により、当該問題を迅速かつ適切に解決するよう努めることとされております。

 なお、相談員が職員である場合には、同条第三項において、相談者は、相談員に苦情相談をするだけでなく、人事院に対して苦情相談を行うことができる旨規定されており、人事院では、その体制として、公平審査局職員相談課に職員相談員を配置しているところであります。

大河原委員 国家公務員は先ほどの均等法のハラスメント対策の対象ではありませんし、この人事院が持っている、各省へ向けて相談員の配置、そしてまたその体制をとるということでいえば、これは、つまり、職員の中のハラスメント対策というのは人事院の苦情相談、苦情の窓口で対応するけれども、各省に設けられている相談の体制、解決の体制というのは、各省が外、外部から受け付けることができるものになっているということでいいですか。

一宮政府特別補佐人 そのとおりでございます。

大河原委員 そういたしますと、財務省の今回の問題も、もし外部から相談があれば、どのような形で人事院の方で把握されたんでしょうか。

 人事院としては、国家公務員が起こすこうしたハラスメントについて、国家公務員の内部でのその方たちの数は各省庁がとっていると、きのうヒアリングで伺いましたが、全体像としてどういうハラスメントが起こっているのかという統計なり、そうしたデータ、情報、実態はお持ちなんでしょうか。

一宮政府特別補佐人 平成二十八年度、人事院で行った相談の内容別件数としては、セクシュアルハラスメントに対しては、全体の三十五件、三・四%というふうになっております。

大河原委員 各省ごとにどんなふうに起こっているかというのは、相談件数があったというのは、そういう統計はありますか。

一宮政府特別補佐人 各省ごとの統計をとっては、所持しておりません。

大河原委員 人事院は、この規則一〇―一〇で、各省にハラスメント対策をするように働きかけ、指導もしている。どんなふうにそれが実施され、そして事態として何が起こっているかということを私はしっかり把握すべきだというふうに思いますけれども、それはどう思われているんでしょうか。

一宮政府特別補佐人 人事院におきましては、セクハラ対策、非常に重要なことであるというふうに認識しております。

 個人の尊厳や人権を侵害する行為であり、制度の適切な運用の確保や職員の意識啓発等により、引き続き、その防止のため、各省庁に対し確認をして、更に取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

大河原委員 各省にそうやってハラスメントの指針を示したり、そして、こういう研修をやりなさいというふうには多分言っているんだと思うんですよ。でも、実際に、省内で誰が相談員で、そして、どういう相談が来ていて、こういう数字が、その実態が出てきたときに、それを改善していくというのも人事院の仕事ですよね。

 そういったことは、むしろ、企業、民間よりももっと高い倫理性を持った働き手、公務員に必要とされている、当然そうあるべきだ、みんなそういうふうに思っているにもかかわらず、今回の福田事務次官のようなことが起こるわけです。

 それについて、各省がホームページなどで相談窓口を持っていますというふうにも聞きましたけれども、私、探せなかったんですね。外からの、外部の人間として、この相談はどこへ行けばいいんだろうと。そういう対策についてはちゃんとチェックしていらっしゃるんでしょうか。

一宮政府特別補佐人 各省の相談窓口等については、人事院において一覧表として把握しております。

大河原委員 それでは、今回のことも捉えて実態調査をする、そういうことはできますか。あるいは、そうしたことを実施するという決定をしていただけないでしょうか。ぜひやってほしいんですが。

一宮政府特別補佐人 個別の事案につきましては、所属職員の服務を統括する立場にある任命権者において適切な方法を検討されるべきものとされているところでございます。

 相談者から相談があった場合には、相談者が二重に傷つくことがないようにする必要があり、相談者を含む当事者にとって適切かつ効果的な対応は何かという視点を常に持ち、事態を悪化させないような対応を心がけるべきであるということが重要であるというふうに考えております。

 今回の事案につきましても、財務省において今申し上げた原則を踏まえた上で適切に対応されるということと考えております。

大河原委員 人事院総裁が女性だということで、私は、今回のことでもっと積極的に、世界じゅうがこのセクハラ問題については、各国それぞれ空気も変わってくる、そして、もっと厳しく社会的にも女性また弱い者を守るという空気ができているんですね。ですから、せめて、人事院が、高い倫理性、そしてセクハラ対策に対して厳しい態度をとるということを表明されること。人事院というのは、総裁が今女性で、あと人事官二人は男性ですけれども、やはり人事院総裁が霞が関全体、国家公務員全体を引き締める立場にもおられるわけで、私は、今の答弁は大変不満です。

 せっかくのチャンスです。本当に、嫌々ながら声を上げ始めた女性たちを励ます、力の弱い者をやはりしっかりと鼓舞し、そして、これこそが働くということの中で一番支障を来している大きな原因なんですよね。ですから、このことは人事院としてはしっかりと、倫理委員会まで持っていて、処罰にまでしっかりと権限を持つ、そういう役所なわけですから、そういう意味では、ぜひはっきりとしたことをお答えいただき、発信をしていただきたい。

 ハラスメント対策の指針や認識すべき事項など、細々出されています。もう一々当たり前のことですけれども、普通のことで、今回、福田事務次官が言ったことなどは、最初のイロハのイのところで全部つまずいているわけです、発言についても、行動、アクションについても。そして、パワハラ、自分の地位を利用してそういったことをやるという意味では、非常に情けない思いがいたします。

 ぜひ人事院の、職員への研修体制を整え、そして、各省はぜひ、この人事院が発信しているセクハラ対策を受けとめて、確実な方法を、働いている現場ですから、とっていただかないと困るわけなんです。民間に求めているそうしたスキームもしっかりと勉強なさって、これをやっていただきたいと思います。

 最後に、官房長官、一言。やはりこの財務省の調査は不適切、適正ではありません。この調査の方法をぜひ撤回していただきたい。御答弁ください。

菅国務大臣 まず、国家公務員のセクハラ防止、これは極めて重要という認識のもとに、再度、それぞれの省庁に、こうしたことが起こらないように徹底をしたい、このように思います。

 その上で、今、財務省においては、麻生大臣のもとで調査を行っています。そして、大臣は、報道されている内容が事実であれば、セクハラという意味でこれはアウトだ、そういう認識のもとに、明言をして調査をしておりますので、速やかに調査を進めた上で適切に対応される、こういうふうに思います。

大河原委員 麻生大臣は、訴えがなければセクハラはなかったと同じだと実はお考えなんですね。訴えられない、そういう事情があるということを含んだ上での公正な調査でなければならないというふうに思います。ぜひ、改めての調査を御検討ください。

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 最初に、愛媛県の職員が作成しました藤原氏、柳瀬氏との面談記録について官房長官にお尋ねをいたします。

 菅官房長官は関係府省に対してその記録文書の所在調査の指示をされましたが、調査結果はどうなったのか、この点について最初、確認をさせてください。

菅国務大臣 愛媛県が作成したという文書については、先週、報道があったことを受けて、直ちに事務の副長官に指示をして、内閣府、文科省、農水省、厚労省に確認を行わせました。入念に確認をした結果として、農水省で愛媛県の作成した文書を確認したことを先週金曜日に公表したところです。それ以外の関係省庁では確認できなかったという旨報告を受けております。

塩川委員 農水省で見つかった、その他の府省で見つからなかったという話ですけれども、その調査の手法がどうだったのかということの改めて検証も必要だと思いますし、あるところにはあるんじゃないかと率直に思うわけです。

 重ねて官房長官にお尋ねしたいのは、内閣官房の調査はされたんでしょうか。

菅国務大臣 内閣官房はしておりません。それは、先日の愛媛県知事の会見でも、本件文書は内閣官房に届けた可能性についてコメントはなかったからであります。

塩川委員 いやいや、だから、その周辺のことを含めてしっかり調査するのかということが問われているんじゃないですか。

 内閣府それから官邸に足を運んだという愛媛県の職員の面談記録であります。ですから、内閣府での藤原氏との面会とともに、官邸、内閣官房での柳瀬氏との面会を記録しているわけで、内閣官房をしっかりと調査する必要はあるんじゃないですか。

菅国務大臣 知事の会見の中に、届けたという省庁の中に内閣官房はなかったものですから、調査をしなかったということであります。必要であれば、そこはしたいと思います。

塩川委員 必要ですよね。調査すると約束してもらえますか。

菅国務大臣 そこはいたします。

塩川委員 しっかり調査してもらいたいと思います。

 この愛媛県の面談記録においても、柳瀬首相秘書官は本件は首相案件だと言い、藤原地方創生推進室次長は要請の内容は総理官邸から聞いているということですから、まさに官邸が主導してやったんじゃないかということが問われている大問題ですから、これはあくまでも愛媛県が作成した文書の話をしているわけで、そういったものが内閣官房にあるなしをはっきりさせるのと同時に、やはり官邸が主導してこの問題がどうなのかということについての徹底究明こそ行うべきだということを求めたいと思います。

 それと、あわせてもう一つお聞きしたいのが、報道では、二〇一五年四月二日の愛媛県職員らの政府訪問の当日に文科省の獣医学部新設の担当者が、県職員などの訪問の予定について内閣府側から伝えられたメールが見つかったとされています。

 文科省に確認しますけれども、このメールには本日十五時に今治市などが官邸を訪れるなどと記されていたということですが、文科省はその事実関係を確認していますか。

中川政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘いただきましたのは、内閣府側から文部科学省に対し、愛媛県などが官邸訪問するとの事前連絡のメールがあったという報道のことかと存じますが、こちらにつきましては、当時関係部局に在籍していた職員に対する聞き取り等を今行うことにより事実関係を確認しているところでございます。

塩川委員 報道されてから二日ぐらいたっているんですけれども、関係の人というのは当然よくわかっているわけですよ。それをちゃんと調べているんですか。もう一回。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 関係者に対する聞き取り等を現在進めているところでございまして、調査を進めているところでございます。

塩川委員 いや、だって、そういうことについてきちっと確認できることって、すぐできる話ですよ。何か口裏合わせをしているかのような、疑念を招くような対応というのは許されないということを申し上げておきます。

 一つ一つの事実関係をしっかりと確認して、更にこの問題についての徹底解明、真相究明が求められている、そういう点でも、柳瀬氏、藤原氏の証人喚問は欠かせないということは改めて申し上げておきます。

 次に、財務省の福田事務次官のセクシュアルハラスメント疑惑についてお尋ねをいたします。

 最初に、野田男女共同参画担当大臣にお尋ねをいたします。

 第四次男女共同参画基本計画においても、セクシュアルハラスメントには性的な関係の強要や必要なく身体に触れるなどの性的な行動のみならず、性的な事実関係を尋ねる、性的な内容の情報を意図的に流布するなど性的な発言も含まれるとしております。

 このようなセクシュアルハラスメントは個人としての尊厳を傷つける重大な人権侵害ではないかと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

野田国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおりで、セクシュアルハラスメント、セクハラは、女性に対する暴力であり、重大な人権侵害であります。

 第四次男女共同参画基本計画、これは平成二十七年に閣議決定しているわけですが、そこにおいては、セクハラを含む女性に対する暴力の根絶を図ることは、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要な課題であり、国としての責務であるとしています。

 内閣府として、この基本計画に基づいて、関係府省庁が連携してセクハラの行為者に対する厳正な対処を始めとしたセクハラ防止対策を着実に推進していかなければならないと思っています。

塩川委員 セクシュアルハラスメントの根絶は国としての責務であるわけで、その国の行政機関のトップにかかわる疑惑というのは極めて重大だと言わなければなりません。

 この疑惑に関する財務省の調査結果では、福田氏は報道内容を、女性記者との間でこのようなやりとりをしたことはないと否定をし、公開された音声データに関しても否定をしております。福田事務次官からの聴取のみの調査結果には、全く納得がいくものではありません。

 加えて、調査手法も大問題だ。財務省が顧問契約を結び、国から顧問料を支払っている弁護士事務所に調査を依頼するというのでは、客観性を確保することはできるはずがありません。しかも、被害を受けた当事者に名乗り出よというやり方は、二次被害を招くことになる極めて重大な対応だと言わなければなりません。

 野田大臣にお尋ねをいたします。

 この財務省の調査手法について違和感があると述べておられましたが、違和感というのはどういうことでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 先ほどもお答えした内容とほぼ重なるわけですけれども、まず、セクハラの被害というのは、被害者はそのことについて家族、友人、ましてや組織の上司にもなかなか話ができないものであると認識しています。私自身も過去経験がある中で、それは正しいと思っています。

 今回、なぜ違和感があるかといえば、加害者の側から、そして加害者の部下である官房長という方から被害者、女性記者と言われていますけれども、に対して協力を求めるというのは、被害者側からすると、違うんじゃないかなと。

 そして、財務省が委託した弁護士。弁護士の方というのは委託された側の仕事をするというのが前提ではないかと思っているので、そちら側の立場に立たれた弁護士の方にお話をするというのも、なかなか、そこに行くまでのハードルは大変高いような思い、感じをしているところであります。

 いずれにしろ、そういうことから、被害者の側に立って、自分がどうするかということを考えたときには、恐らくそちらに向かって言われたとおりのことをするとは一般的には考えにくいということを思い、違和感があるというふうに申し上げた次第であります。

 いずれにしても、繰り返しになりますけれども、セクハラの問題に対して一番大切なことは、セクハラの原理原則をしっかり、先ほど申し上げましたけれども、理解していただいた上で、まずは被害者の保護とか救済をするということを国は責務としていることをぜひ御理解いただいて、財務省において適切に対処していただきたいと考えています。

塩川委員 こういう分野の専門であられる岡野八代同志社大学教授は、このように述べています。

 セクハラの本質の一つは、地位を利用し、性的な言動を通じて相手を性的な物のように扱う点にある。つまり、権力濫用の問題だ。性的な物扱いされた女性は、職場などで弱い立場にあるがゆえに、対等な労働者として、あるいは人格ある人間として扱われない傾向があると同時に、立場が弱いからこそ、組織全体に対して、物扱いという人格侵害に遭っても告発しにくいという二重の困難を強いられる。

 今回、財務省の事務次官の女性記者に対する発言が事実だとすれば、その立場上、記者が情報源の秘匿という職業倫理を破ることができないことを十分過ぎるほど知っているはずだ。すなわち、三重の意味で、財務省官僚は、弱い立場にある女性記者の人権を踏みにじったことになる。

 本来全体の奉仕者であるはずの官僚が、社会的立場を超えて、人一人を尊重できない。今回のセクハラ事件とその対応は、現在の安倍政権の権力観を象徴している。

 こういうコメントを私どものしんぶん赤旗にもいただきました。

 野田大臣にお尋ねしますが、先ほどお述べになったような違和感を踏まえたことについて、お考えを財務大臣と官房長官に伝えたと聞きましたが、そのとおりでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 正確に申し上げれば、違和感があると申し上げたのは前日の取材に応じた際のことでありまして、それはもう既に朝刊の記事に出ておりましたので、それを踏まえた上で、私は、今般の福田次官のセクハラ問題に対しての状況についてお尋ねをいたしました。

 そうしたところ、現時点では、財務省の調査によって福田次官はこの事案について全面否定をされているという旨をそれぞれお話しいただいた次第です。

塩川委員 野田大臣が官房長官にもお話をされた、この件について尋ねられて、それについての回答が官房長官からあったという話ですけれども、伝えたということです。

 官房長官にお尋ねしますが、こういった財務省の調査手法について、野田大臣は違和感があると述べておられたわけですが、官房長官は違和感は感じられなかったんでしょうか。

菅国務大臣 麻生大臣でありますけれども、麻生大臣は、報道されているような内容が事実であれば、セクハラという意味ではアウトである、こう明言した上で調査を指揮しておられます。

 そして、調査に当たって、財務省みずからが女性記者を聴取するのではなく、具体的な対応は外部の弁護士に委託し、協力をいただける方に不利益が生じないよう財務省において責任を持って対応する、そういうことであります。できるだけ速やかに調査を進めた上で適切に対応することが必要だと思います。

塩川委員 麻生大臣の話ではなくて、官房長官としての所感を伺ったわけですけれども。例えば、松山大臣なんかも、この問題について、ある意味、野田大臣と同じような趣旨でお話をされておりましたし、小此木国家公安委員長もそういうことを発言しておられる。ですから、率直に、官房長官としてこれは違和感を感じなかったのか、こういう調査手法はいかがかと。その辺の率直な思いをお聞きしたいんですが。

菅国務大臣 私もそこについては心配をしましたけれども、協力をいただける方に不利益が生じないように財務省としてしっかり責任を持って対応しているということでありました。

塩川委員 ですから、こういった被害者が申出できないようなスキームということ自身が問題なわけで、心配しておられるんだったら、こういう調査手法そのものを見直せと言うことこそ官房長官としてのお仕事ではないのか。

 そもそも官房長官は、幹部人事の一元管理のもとで、幹部の任免について、任免協議を行っているわけですよ。だから、幹部人事承認に当たっても同意をしているわけですから、その責任が問われている。そういう人物にふさわしかったかどうかということが問われているんですから、こういった立場で事の解決に当たるということが求められているわけです。

 人事院にお尋ねします。

 人事院規則一〇―一〇、セクシュアル・ハラスメントの防止等の第四条に何と書いてあるのか。第四条部分を読み上げてもらえますか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 人事院規則一〇―一〇、セクシュアル・ハラスメントの防止等の第四条でございますが、各省各庁の長の責務といたしまして、「各省各庁の長は、職員がその能率を充分に発揮できるような勤務環境を確保するため、セクシュアル・ハラスメントの防止及び排除に関し、必要な措置を講ずるとともに、セクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合においては、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。この場合において、セクシュアル・ハラスメントに対する苦情の申出、当該苦情等に係る調査への協力その他セクシュアル・ハラスメントに対する職員の対応に起因して当該職員が職場において不利益を受けることがないようにしなければならない。」と規定しております。

塩川委員 このポイントというのは、やはり被害を受けた方が職場において不利益を受けることがないようにしなければならないということであって、この調査手法はまさにここに抵触するような問題だという点で、改めて官房長官にお尋ねしますが、この財務省の調査手法というのは、人事院規則に照らしても、被害者にとって不利益を受けるようなやり方になっているんじゃありませんか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 週刊誌報道を受けまして、まず、人事院からも、調査して、その結果次第では適切な措置をとるようにという御連絡もいただきました。

 その上で、私ども、福田次官本人からまず聴取をいたしまして、その結果を踏まえて一方的な判断をするわけにもまいりませんので、もう一方の方の、誌面上は強く訴えかけをしておられるわけですので、その訴えかけをぜひ聞かせてくださいということで、ただ、先ほども御議論がございましたけれども、セクハラの担当官というものは財務省職員でございますので、これは職員と外部の方との間で起こっている珍しいケースでありますので、職員が聞くという形は慎もうということで、弁護士事務所にお願いをするということをさせていただいた。そもそも、その手法自体、弁護士と相談させていただいたわけでございます。

 官房長からということでございますけれども、お答えについては、官房長あるいは職員が受けるのではなくて、その弁護士事務所がプライバシーやらといったものを完全に保全するという前提でお話を聞かせていただく。繰り返しになりますけれども、誌面上ではもう訴えをしておられるので、私は被害を受けたけれども訴え出るのは嫌だというケースとは違いますので、それはぜひきちんとお話を聞かせていただきたいということをとったわけです。

 調査につきましては、第三者的な見地から弁護士事務所においてやっていただいて、その結果をしかと受けとめたいと思っております。

塩川委員 財務省の顧問弁護士事務所の調査が何で第三者なんですか。根本が間違っているんですよ。

 財務省に、セクシュアル・ハラスメントをなくすために職員が認識すべき事項についての指針というのがあります。「職員間のセクシュアル・ハラスメントにだけ注意するのでは不十分であること。 行政サービスの相手方など職員がその職務に従事する際に接することとなる職員以外の者及び委託契約又は派遣契約により同じ職場で勤務する者との関係にも注意しなければならない。」こういうふうに書いてあって、要するに、職員以外の人に当たってもきちんと注意しなければならないというのは、当然のことに指針にも書いてある話なんですよ。

 そうであれば、そういう配慮を行うのは当然であって、被害者側の弁護士を立てるとか含めて、どう被害者の方の保護、救済を図るのか、そういう立場でこそ行うべきで、今回の財務省の調査手法は全く納得ができません。徹底解明が必要で、国民の納得いく調査を行えと申し上げて、質問を終わります。

山際委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 希望の党の今井雅人でございます。

 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは加計学園の問題を中心にやろうと思っていたんですけれども、その前に、今、皆さん、福田事務次官の話をされておりますので、私も最初にその質問をさせていただきたいと思います。

 きょう、来る前に内閣官房のホームページを見ておりましたら、そこにフローチャートみたいなのがあって、幹部職員人事の一元管理というところでフローチャートがありますけれども、官房長官、これは、幹部職員の方の適格性審査というのを官房長官がやられるというふうにフローチャートはなっていますが、これで間違いないですよね。

菅国務大臣 そこは人事局でやるわけですけれども、私もそこは報告を受けています。

今井委員 ホームページにはここに官房長官と書いてありますから、内閣官房が正式に出しているホームページですので、ということは、今問題になっている福田事務次官に関しても官房長官の責任で適格性を審査した、そういうことでよろしいですね。

菅国務大臣 そのとおりであります。

今井委員 ちょっと念のためお伺いしますが、財務省出身のOBの方とかあるいは議員の皆さんからいろいろお話を聞くと、事務次官はもともとこういうことをよく発言される方だ、有名な方だったというふうにいろいろな方からお話を聞くんですが、審査をしたときにはそういう話はなかったですか。

菅国務大臣 全く承知しておりませんでした。

今井委員 となると、今回のことは新しく出てきた事案ということでありますから、適格性審査のときにはなかった新しいことが今出てきているわけですね。であれば、官房長官は、やはり適格性について官房長官としてもしっかり調べなきゃいけないという御認識はありますか。

菅国務大臣 まず、本件が報道されて、国家公務員として服務上の疑いがある場合の調査については、そもそも任命権者の責任で行うものとなっています。そして、事実であった場合に、国家公務員法上の懲戒処分の対応も任命権者が行うことになっております。

 いずれにしろ、麻生大臣のもとで、まさに報道されていることが事実であれば、それはセクハラとしてはアウトだ、そういう認識のもとに今調査をされておるわけでありますので、私としては、できる限り速やかに調査を進めた上で適切に対応したい、こういうふうに思います。

今井委員 四月十六日に財務省が、この調査に関してのペーパーを出しています。

 私、中を読ませていただきましたけれども、記者へのセクハラの問題ももちろんあるんですが、ちょっと、私はこの発言を読んで、ええっと思ったのです。

 「普段から音声データのような発言をしているのか」という質問に対して、福田事務次官の聴取結果はこうです。「お恥ずかしい話だが、業務時間終了後、時には女性が接客をしているお店に行き、お店の女性と言葉遊びを楽しむようなことはある。また、仲間内の会話で、相手から話題を振られたりすれば、そのような反応をするかもしれない。」とおっしゃっているんです。仲間内の会話の中で、仲間内でも男とこんな話をするはずはないですから、仲間内の女性との会話でこういう音声データのような会話をするとおっしゃっているんですよ。

 これは御本人がやった聴取結果なんですけれども、これは適切なんでしょうか。セクハラがどうこうというより、ふだんから仲間内でそういう会話をしていると御自分でおっしゃっているんです。官房長官、いかがですか、そのことに対しては。

菅国務大臣 私自身は直接これを伺っていません。いずれにしろ、私の立場でコメント、答えることは控えたいと思います。

今井委員 済みません。財務省がこれは調べる話だとおっしゃっていたので、財務省が出したペーパーを、これは財務省が出してきた正式なペーパーですから、そこに書いてある記述を今御紹介したので、それに対してのやはり官房長官の見解をお話ししていただきたいんですよ。

 確かに公式文書として発表されたものを私たちいただいたので、それに対してやはり官房長官は適格性を審査する立場としてコメントする必要があると思うんですけれども、いかがですか。

菅国務大臣 私自身の今の立場でそういう報告書について、私、正直見ております、もちろんそうですけれども。そういう中で、具体的に一つ一つ確認をいたしておりませんので、今の立場で答えることは控えたいと思います。

今井委員 ちょっとよくわからないんですけれども、今の立場で答えは控えたいというか、これは、何か報道記事とかそういうのじゃないんですよ。財務省が出した正式なコメントなんです。それに対してコメントをいただきたいということですから、それを控える理由はどこにもないと思うんですけれども。

菅国務大臣 内容について、私、一つ一つ承知しておりません。ですから……(今井委員「読んでいないんですか」と呼ぶ)いやいや、全体は読みましたけれども、一つ一つの具体的なことについては承知しておりませんので、今の立場で答えることは控えたいというふうに思います。

今井委員 ちょっとよくわからないんですが、お読みになったんですよね。今おっしゃっていましたよね。お読みになったここのことに対してどうお考えかということを伺っているので、コメントできないということはないと思うんですけれども。

菅国務大臣 たびたび申し上げていますけれども、その書いていることについて私は読んでおりますけれども、それ以上の具体的な内容一つ一つについては承知しておりませんので、この場で答えることは控えたいと思います。

今井委員 では、もう少し具体的に聞きます。

 ここに書いてある記述、このことに対してどうお考えかということです。それ以外のことはわからないとおっしゃっていますが、私はそれは聞いていませんので。この書いてある、仲間内の会話で、相手から話題を振られたりすれば、それはそのような反応をするかもしれない、このことに対してどうお考えですか。

菅国務大臣 それは財務省の文書であります。それについて、私自身、一つ一つ確認を財務省にしておりませんので、答えることは控えたいという意味であります。

今井委員 では、確認をして、どこかでコメントしていただけますか。

菅国務大臣 いずれにしろ、財務省からそこの一つ一つについてもしっかり聞いてみたいと思います。

今井委員 それは答えていないです、今のは。コメントしていただけますか、イエスかノーかという。

菅国務大臣 いずれにしろ、これは財務省の文書です。財務省からの報告でありますので、私は、ある意味で、全体の中の一つとしてそこは承知しています。

 ですから、全体について今財務省で調査をしている段階でありますので、そうしたことも踏まえて対応すべきだというふうに思っておりますので、今ここの場でコメントすることは控えたいということであります。

今井委員 もう一回だけ聞きますね。私は、財務省から説明を受けていないからコメントできないとおっしゃったので、説明を受けてコメントしていただければいいじゃないですかと言っているだけの話です。

菅国務大臣 これは財務省の文書で、それで、中のことについて、一つ一つについて私は事実確認をしておりませんので、軽々に答えることは控えたいということであります。

今井委員 じゃ、事実確認をしてください。

菅国務大臣 それは財務省から聞いてみたいと思います。

今井委員 よろしくお願いします。

 それと、もう一点だけ。

 先ほどからいろいろ話がありますけれども、僕は、野田大臣の話を伺っていて、とても真っ当な意見だなと思って伺いましたし、きょうの毎日新聞のところにも、公明党の石田政調会長、被害を受けた人に出てきてくださいというのは、ちょっと違うんじゃないかと。これもとてもまともな意見だと思うんです。

 こういう意見も踏まえて、財務省に対して、調査のあり方というのはもう一度やはり、官房長官の方からも、よく慎重にやるようにということをぜひ言っていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、本件のような国家公務員としての服務上の疑いがある場合、この調査については、任命権者の責任においてこれを行うことになっています。そして、事実であった場合における国家公務員法上の懲戒処分、これの対応についても任命権者が行うようになっています。

 そういう中で、麻生大臣は、報道されているような内容が事実であれば、セクハラという意味でこれはアウトである、こういうふうに明言した上で調査を指揮しておられる、こういうふうに思っています。さらに、関係の皆さんに御迷惑をおかけすることがないように配慮して行っているということであります。

 私としては、できる限り速やかに調査を進めた上で適切に対応することが必要だというふうに思います。

今井委員 いろいろな方から、被害者かもしれない方に対してのやはり配慮をしっかりしてくださいということをこれだけ言われていますから、官房長官の方から、その点はしっかり留意してやれということはぜひ言っていただきたいと思うんですね。

 それと、きのうもヒアリングをやりましたけれども、財務省がふだんから使っている弁護士さんなんですよね。その方に今回は報酬なしで調査をお願いしているそうですけれども、それは日常的にずっと財務省の仕事を受けている方ですよ。その方はやはり、どうやったって第三者じゃないですよね。弁護士というのは、仕事を受ける側の立場でやるわけじゃないですか。やはり弁護士もかえた方がいいと思うんですけれども、いかがですか。

菅国務大臣 私としては、そうした聴取された方に十分配慮してやるようにということは、これは最初から申し上げています。

今井委員 ぜひ、もう一度念を押して言っていただきたいと思います。

 それで、時間が余りありませんので、きょう一番聞きたいことは加計学園の問題なんです。

 報道で、柳瀬当時の首相秘書官が、加計学園の人と会ったのは覚えているけれども、そのほか、どなたと会ったかちょっとよく覚えていないというような発言をされているという報道がありましたが、その点について官房長官は何か確認をされましたか。

菅国務大臣 特別確認はしておりません。

今井委員 この問題、菅官房長官としては、私は真相を明らかにしたいだけですから、真相を明らかにするということに対しては官房長官はどうお考えですか。

菅国務大臣 私も同じであります。

今井委員 そこで、もちろん、柳瀬さんとか藤原さんの証人喚問、御本人たちの話を伺うというのはぜひやってもらいたい。

 それを申し上げた上で、もう一つ、私は、一番簡単な方法があるとずっと申し上げてきているんですね。書いてあるものがあるんです。しかも、愛媛県のやつは、備忘録ということで、もうないということですから、確認しようがない、農水省にはありましたけれども。それ以上の確認はできないと思いますが、ここに公文書があるんですよ、今治市の中に、復命書、五年保存の。これは情報公開請求で最初出してきて黒塗りだったんですが、二度目に請求したら、もう出せないと言ってきているわけですね。完全に今治市も隠そうということなんですけれども。ここに、誰と会ったかが書いてあるんです。そこを見れば、この問題は全て解決するんですね。問題はとても単純なんですよ。そうしたら、今一連のやっている議論というのは実は決着がつくんです。

 ぜひそれを僕はやってもらいたいと思っているんですが、政府としてそれはぜひ協力していただけないですか。

菅国務大臣 これも国会で何回となく政府側から答弁があったと思いますけれども、今治市の文書の開示については、今治市が条例に基づいて既に自治体として適切に判断されていることであって、政府としてはコメントすべきじゃないというふうに思います。

今井委員 そうしたら、お願いがあります。ここにあるのは今治市の情報公開条例、これに基づいて出せないということなんですけれども、こういう記述があって、ここなんですよ。「実施機関と国等との間における照会、回答、依頼、委任、協議等に基づいて作成し、又は取得した情報であって、公にすることにより、国等との協力関係又は信頼関係を損なうおそれがあるもの」は出せないと言っているんですが、四月二日の協議に政府側がどなたか出られていたかどうかを明らかにすることは、国にとっては何か協力関係や信頼関係を損なうものになるでしょうか。

菅国務大臣 文書に記載された内容、それを開示することによりどのような影響が生じるかということについては、情報公開条例に基づいて今治市御自身が責任を持って御判断をされることだと思います。

今井委員 ですから、市の方は市の方で判断ですが、国の方の見解をいただきたいんですよ。

 この二〇一五年四月二日の……(発言する者あり)ちょっと黙っていてよ。今治市の四月二日の、官邸側で会った人の名前が書いてある、記載があるんです、ここに。このことを公開することが、国にとって何か不利益をこうむるようなことがあるかどうか。国の見解です。今治市は今治市の見解があるから、それはいいんですけれども、国としてはそのことに何か不利益があるかどうか、それをちょっとお答えいただきたいんですね。

菅国務大臣 今治市が非公開とされている文書に何が記載をされているか、これについて政府は承知しておりません。したがって、不利益が生じるかどうかということも、コメントは控えるべきだというふうに思います。

今井委員 これをごらんになったことはありますか。出席者と書いてあって、そこが黒塗りになっているので、何が書いてあるかじゃなくて、出席者が書いてあるんですよ。見れば明らかですから、そのコメントはやめていただきたいんですけれども。

 私が言っているのは、会議の内容とかそういうことではなくて、まず、ここに出席していた人の名前を開示することは、国にとっては何か不利益をこうむりますかという話です。

菅国務大臣 不利益かどうかについては、政府としては、何か承知しておりませんので、コメントは控えるべきだと思います。

今井委員 私はもっと明確に言っています。政府側で出席していた人の名前を公開されたら不利益をこうむりますかと、とても具体的に聞いていますので。

菅国務大臣 今申し上げていますように、何が記載されているかを政府としては承知しておりませんので、不利益が生じるかどうかはコメントすることはできないわけでありますし、仮定の質問にはお答えは控えたいと思います。

今井委員 では、もう一度だけ聞きますよ。これで答えてもらえなかったら、委員長、ちょっと差配してください。

 そこに政府側の出席者の名前があります。それを、私は全部と言っていませんよ。例えば、そこの会議の中の中身とか、それは開示できないものもあると思うんですけれども、少なくともそこに出席していた人の名前は、国にとってそこに誰が出ていたかということを明らかにすることは、今治市の方は国に迷惑がかかるから出せないと言っているわけですよ、国はそれで迷惑がかかりますか、何か不利益をこうむりますか。そこを答えてくださいよ。

菅国務大臣 今治市の文書の開示については、今治市が条例に基づいて既に自治体として判断をされたことであって、政府としてはコメントすることは控えるべきだと思います。

 そして、今の仮定の質問については、答えることは控えたいと思います。

今井委員 いや、仮定じゃないですよ。ここに、出席者と書いて黒塗りになっていますから、仮定じゃありません。私、仮定なんかでお話ししていませんから、それだけ答えてくれればいいんですよ。そんな難しい問題じゃないんですけれども。

 僕はこの問題に早く収拾をつけたいので、柳瀬さんが出てこられてどういう発言をされるのかわかりませんが、前回お話ししたときは、記憶にない、記憶にない、ずっとその答弁ですから。記録があるんですね、記録が。だから、記録をちゃんと明らかにすれば、この一連の問題は真相が明らかになるじゃないですか。だって、柳瀬さんが出席していたかどうかというのは今争点なわけでしょう。そこにしかも記述しているものが明らかにあるわけですよ。国側としてはこの名前を出すことは何か支障があるかどうかという、それだけのことを伺っているんです。そんな難しいことは聞いていないんですよ。そこだけ出してもらえれば、多分この議論はすぐ終わると思うんですね。

 ですから、先ほど官房長官は、この問題の真相を明らかにしたいとおっしゃっていたじゃないですか。私は具体的に提案しているんですよ。そうすれば解決できますから。そうしたらもうこういうものに国会の審議を使わなくて済みますよ、ここが明らかになれば。

 ですから、国はこの名前を開示することに不利益はないと言っていただければ前に進みますから、それだけちょっとお答えいただきたいと思います。

菅国務大臣 先ほど来私もたびたび申し上げておりますけれども、今治市ですよ。その文書の開示については今治市が条例に基づいて既に自治体として判断をされておるわけでありますから、政府としてコメントする立場ではないということであります。

今井委員 ですから、私はそんなことを申し上げていません。今治市は今治市の判断をするということなので、それは何も言っていません。今治市の判断です。

 私が伺っているのは、国として、ここに誰が出席していたかという名前を開示されることは何か不利益をこうむりますか、それだけです。今治市は関係ありません。国としてのポジションはどうですかということを伺っているんです。

菅国務大臣 これは、情報公開条例に基づいて今治市御自身が判断することじゃないでしょうか。ですから、政府の立場としてコメントすることは控えたいということです。

今井委員 私は今、開示をしろと今治市に言ってくれと言っているわけじゃありません。今の質問は違います。今の質問は、開示をすることは何か不利益をこうむりますかということを聞いているんじゃないですか。(発言する者あり)

 ちょっと委員長、おまえって言われたんですけれども、どうしたらいいですか、これ。

山際委員長 不規則発言は控えてください。

 質問を続けてください。

今井委員 委員長、ちょっと今、注意してください。

山際委員長 注意いたしました。

 不規則発言は控えてください。

今井委員 やじを飛ばすのはいいですが、言葉は気をつけていただきたいと思います。それは、みんなそれぞれポジションがあるんですから、いろいろな意見はあると思いますけれども。

 最後、もう一回。いろいろ聞いていたんですけれども、これでとまっちゃったんですが、本当に、これさえ出せればこの問題は解決するんですから。

 官房長官、四月二日に何があったか官房長官の手でちゃんと解明するということをもう一回明らかに言ってください。

菅国務大臣 私も、何回も先ほどから申し上げたとおりであります。

今井委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、やはり真相を解明できる方法があるんですけれども、そうやって積極的に取り組まないわけですよ。だからこんなに長引いてしまうんです。

 だから、柳瀬さんにも出てきていただいて、関係者の皆さん、ここに出席された皆さん、できる限り、本人に同意していただければ、いろいろな方に国会で説明していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

山際委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田です。

 質問をさせていただきます。

 長官、大分機嫌が悪いですが、無理がありますよ、やはりさまざまなことについて。一個一個丁寧に事実を明らかにしていかない限り、どんどんこういうことが重なりますよ。

 私、十分しかないので、いわゆる財務省の次官の話をしますけれども、先ほど今井委員が期せずして同じことを言っていましたけれども、きょう、皆さんにこれからお配りするので、ぜひとも一度、御存じの方も目を通していただきたいんですが、内閣人事局の仕組み及び幹部人事の決まり方についてです。

 長官はたびたび、任命権者、任命権者とお話しされます。

 確かに任命権者は麻生大臣ですが、そこに至るまでの間に六つのプロセスがあります。長官のみが担当しているプロセスが二つもありますし、総理と長官と任命権者で協議するプロセスも一つあります。ですので、福田次官の任命、佐川長官の任命に関しては深く関与されていることは事実ですので、具体的なオペレーションを任命大臣、任命権者が行うことは当然としながらも、私は、この任命のプロセス、次官に据えることに対しての責任が長官にもあると思います。

 まず、一般的なことですが、福田次官の就任に関しての責任はお持ちですか。

菅国務大臣 私はそう思っています。

寺田(学)委員 今井委員も言われていましたが、次官になられる前から、福田氏については、同様の、週刊誌報道と似たような形の疑念があり、私が聞く限りにおいては、就任前に、杉田副長官、人事局の中心ですから、杉田副長官から本人に直接ないしは間接的に注意があったと聞いています。

 このことについて、通告していますけれども、そのような事実はありましたか。

菅国務大臣 そのような事実はなかったと報告を受けています。

寺田(学)委員 今回のいわゆる週刊誌報道によるセクハラ事案についてですが、ここから一般的なことをお伺いしたいと思います。

 今回、今、具体的な事案から始まっていることですが、女性記者に対してテープレコーダーに残っているような形の発言があったということがあって、財務省が、そのようなことを言われた人は手を挙げてくださいという仕組みで記者クラブに投げかけた。この是非は前任の質疑者の方々が言われていますのであれですが、一般的なことを、幹部人事の責任を担う長官に一般的なことをお伺いしたいんです。

 セクハラというものは、お相手がどのような立場であるか、例えば今回具体的には週刊誌では女性記者とありましたけれども、女性の属性が違うことによって、セクハラについての責任が軽くなったり重くなったり、認定されたり認定されなかったりということはあり得るんでしょうか。一般論としてお伺いします。

菅国務大臣 一般論としては、あり得ないと思います。

寺田(学)委員 もう一度重ねて聞きますが、それでは、相手がどのような職業であってもセクハラは成立し得るということでよろしいですか。

菅国務大臣 一般的にはそう思っております。

寺田(学)委員 それじゃ、今回何を調査しているんですか。

 週刊誌報道、一つ一つが正しいかどうかの報道、それを確かめる意図は一つとしてありますけれども、相手が女性記者であれ、財務省がみずから言っている、恥ずかしい話ですが、時には女性が接客をしているお店に行き、お店の女性と言葉遊びを楽しむ、このような場合があると言っていますけれども、はっきり聞きますけれども、こういう、女性が接客をする、ホステスの方であればセクハラが成立しないことはあるんでしょうか。

菅国務大臣 そこは、限度、それぞれによって違うんじゃないかな、実態によって違うのではないかなというふうに思います。

寺田(学)委員 先ほど、どのような職業、属性であってもセクハラは成立し得ると言いましたよね。長官、そうですよね。だったら、もうセクハラは確定しているんですよ。

 具体的にあの週刊誌報道の女性記者が誰であるかということを調べるのは結構なことですけれども、もう福田氏が、あのような音声データがあるわけですから。あれは自分がしゃべっていないと言ったのならまた別ですよ、しゃべっていることに対しては否定せずに、誰に言ったかわからないという、相手側を捜しているわけですよ。

 ただ、今、長官御答弁されましたよね。相手が誰であったってセクハラは成立するんです。ということは、福田氏が、どなたにしたかどうかはまだ政府側としては確認していませんが、セクハラを行ったということは確定していますよね。

菅国務大臣 私が申し上げているのは、そこは限度があるし、実態がわからない中で、セクハラかどうかということの判断は私はできないと思います。

寺田(学)委員 後ろから、今、女性が、そうだという声をされましたけれども、限度って何ですか。何についての限度ですか。

 福田氏が話したことは、もうテープで事実になっていますよね。あれは福田氏が話した言葉ではないんですか。

菅国務大臣 お金を出してそういうところに行って、その話の中ではやはり限度があるというふうに思います。そうしたことが全てセクハラにということでは、あり得ないんじゃないでしょうか。

寺田(学)委員 答弁、変わりましたよ。どのような属性であったってセクハラは成立するんでしょう。だから、お店でお金を払って、女性が接客すれば、セクハラは成立しないんですか。そういう例外はあるんですか。

菅国務大臣 先ほども申し上げていますように、お金を支払ってそういう場所に行った場合というのは、それは限度があるんじゃないかなということを私は申し上げているということであります。

寺田(学)委員 限度の意味がわからないんです。何が限度なんですか。

 相手に関してはどのような属性であったってセクハラは成立するということは、長官、お認めになられましたよね。その上で、相手が不快に思った場合はセクハラは成立するんですよ、セクシュアリティーにおいて。

 だとしたら、福田氏があのような発言をしたことは否定されていないわけですから、そして、御本人、それこそ特定されるので御本人の声は消されていますけれども、嫌がっていることは事実ですよね。女性が嫌がられているのはわかっていますよね。どなたかは今わかりませんけれども、あのテープを聞く限りにおいて、女性が嫌がられているのは、長官、認識されていますよね。

菅国務大臣 今、そうしたことの事実確認をしているのじゃないでしょうか。

 私は、先ほど来、限度があるというふうに、女性がどう受けとめるかということも、ここが大事なことだと思いますけれども、しかし、そのお金を支払った中でも、そこは、言葉はそういうふうに書いていましたけれども、それについても限度はあるというふうに思います。

寺田(学)委員 テープは聞かれましたか。公開されたテープは実際にお聞きになりましたか。公開された範囲の中です。

菅国務大臣 どこまで公開したか、よくわかりませんけれども、私も、あると聞きました。

寺田(学)委員 長官は、あれをごらんになられて、もちろんプライバシーのことがあるので女性側の発言が消された上でテロップで出ていますけれども、あれを見る限りにおいて、女性が嫌がられているというふうにはお感じになりましたか、お感じになられなかったでしょうか。

菅国務大臣 ですから、まず、事実かどうかということの確認をすることが大事だというふうに思います。

 そういう中で、麻生大臣も申し上げていますけれども、報道が事実であれば、セクハラ、これはアウトだという前提の中で、今調査をしているんじゃないでしょうか。

寺田(学)委員 時間ですので最後にしますけれども、報道が事実であるということとセクハラが成立するかどうかということ、証明できる、できないはあると思います。セクハラは成立していると私は思いますし、それは多くの皆さんがそう思っていると思います。

 長官は長官のお考えがあると思いますので、私は早く肯定された方がいいと思います。こういうことをやって二次被害ということは本当によくないことだと思いますので、そのことだけ申し上げて、終わります。

山際委員長 次に、中川正春君。

中川委員 引き続き質疑をしていきたいと思うんですが、その前にお礼を申し上げたいと思います。

 先般、加計の問題で、柳瀬その当時の秘書官、あるいは藤原さんについて、挙証責任、彼らがあのときにそれぞれ会議に同席をしていないと言うということは、それを自分自身が証明をする責任があるんだろうということで、この委員会からも、その日の二人の行動について、恐らく、日程表であるとか、あのレベルになると日程管理が役所の方でされていると思うんですが、その日程表であるとか、あるいはその他必要な、それを証明する資料を出すようにと御指示をいただくようにということで、委員会の意思としてそれを政府の方にしっかり伝達をしてほしい、こういうことを申し上げました。

 そういう形で行動を起こしていただくということ、これをきょう理事会でお話しいただいたようですが、その進みぐあいによっては、国政調査権を使ってしっかりそうしたものを出させるということ、これは議会にとっても大事なポイントだというふうに思いますので、経緯をまた見守りながらやっていきたいと思います。

 いずれにしても、そうした結論を出していただいたことに感謝を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、質問に入っていきたいんですが、まず最初に、公文書の使い方というのを先般の質疑の中でやってきました。そのときの大臣の答弁では、今それを議論しているさなかであって、特に、EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキングというんですか、これのあり方について具体的に議論をしているんだ、こういうことをお話しいただきました。

 厚生労働省がああした、捏造とまでは言いませんけれども、とんでもない資料で法律のベースをつくってきたということについて、私も懸念を持っているのは、ひょっとしたら、厚生労働省だけではなくて、ほかの省庁でも同じような形のこうした統計資料の使い方というのがあるんじゃないかということ、これについて、改めて調べてみるというか、体系化してみるというか、そういう必要があるんじゃないかということをそのとき申し上げたんですが、実は、思い出しました。

 TPPの議論というのはこれから出てくるわけでありますが、そのときの影響、TPP12のときもそうだったんですけれども、TPP12で、特に農林水産関係の分野にどのような影響を及ぼすかということ、これについて、資料を、積算をして、それに基づいた議論をしていこうじゃないかということで、あの当時やった記憶がございました。

 今度は11、12から11で、締結されて、国会でこれから議論が始まる、こういうことでありますが、そのとき、ベースで、これを出してくださいということで、今回も、11について、それぞれ影響がこれだけ出ますよという資料が出ているんですけれども、このべースになっている想定が私は気になるんですよ。

 一つは、TPPが入ってくるからということで、そのままの形で、今の現状でこの影響がどう出てくるのかということであればいいんですけれども、ここに書いてある想定というのは、総合的なTPP等関連政策大綱に基づく、政策大綱を考慮して算出をするということは、政策が入るんだということで、これは、その政策が入った効果というのを想定して、その後の結果としてこうなるんだという資料ですよということ。

 それからもう一つは、生産量については、だから、国内の対策の効果を考慮したということは、生産量はもう減りませんよ、生産量はもうそのまま一定という想定の中でこれを出してきましたよということで、それぞれ、乳製品とか牛肉とか豚肉とかという形のいわゆる損害額というか影響額というのが二百とか四百億ぐらい出てきますよ、こういうことなんです。

 農林省、来ていただいているのかな。

 それは、あのときの議論からいくと、例えば、農協を中心に、それぞれの県で影響を調べました。額を出してきました。あのとき、まさにその議論があったんですが、ここに出てきた額と、それぞれ生産者が自分たちの立場で専門家に依頼をしながら出てきた額は、相当違っていたんですよ。その前提は何かといったら、政策を入れた後、これだけ影響が出ましたというのと、政策を入れる前に、今の状況の中でTPPが入ったらどういう形になるかということ、その想定が違うんですね。

 その想定の違う中で、私たちが本当は判断しなきゃいけないのは、裸で入って、それにどういう政策を入れるかということによってその影響がこれだけ減免できますねという、その議論をしなきゃいけないんだけれども、農林省の方から出てきているのは、もう政策を入れて、大丈夫だから、大丈夫だからこれで理解をしてくれという形でこの資料を使っているということであったということなんです。

 そういう理解でいいんですね。そこのところをまず農林省の方から確認をしたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 TPP11における農林水産物の生産額への影響につきましては、昨年末に、定性的な影響分析の結果を踏まえながら、個別の品目ごとに、国産品及び輸入品の価格を出発点として、国産品と輸入品の競合関係を踏まえて、国産品の価格の動きについて一定の仮定を置き、国内対策の効果も考慮しながら、合意内容の最終年における生産額への影響を算出し、品目ごとにこれを積み上げて試算し、公表したところでございます。

 農林水産物の生産額への影響につきましては、現実に起こり得る影響を試算すべきものというふうに考えておりまして、協定自体の発効による効果と国内対策の効果もあわせて考える必要があると考えております。

中川委員 大臣、どう思われますか。こうした資料でもって政策議論をするというのは、私、間違っていると思うんですよ。

 まず、裸の、客観的な影響というものに対する想定があって、その上で、それを克服するために何をしていったらいいか。その何をしていったらいいか、一つ一つの効果というのを確かめながら対策を打っていって想定をつくる。その二つがあって初めて生産者に対しても納得がいくことだと思うんです。これだけで議論するのは間違っているからといって、農林水産省の方に裸のデータを出せとその当時言ったんですが、彼らはとうとう出してきませんでした。

 こういうようなプロセスというのは、恐らく、根底として、根っこのところで、厚労省が裁量労働制を国会で通過させるために出してきたその意図とこの意図と、共通するところがあると思うんですよ。恐らく、ほかの省庁でも同じような形で、私たちの議論を誘導していくようなこういう資料の使い方というものがあると思います。

 それを、今回は、省庁の審議官レベルでEBPMの監視システムをつくろうじゃないか、こういうことなんですが、それぞれの省庁で、この法案を通したいんだというその先頭に立っている人がそれを監視できるかということになると、これは原子力行政と同じような議論で、別個にしなきゃいけないんだということだと思うんです。それを進めている人に客観的なデータについて指摘しろといったって、そういう動機づけができない、そういうシステムを大臣は今つくろうとしているんじゃないかということですね。

 そこのところを指摘しておきたいんですが、どうですか。

梶山国務大臣 前回の議論の中で、厚労省の数値の話が出て、それも、公文書としての扱いはどうなのか、準公文書的なものではないかという委員からの御指摘もありました。

 そういった中で、行政改革の中でEBPMの取組をしているという答弁を私がしたと思っておりますけれども、今までの反省点も含めて、そういった数値、証拠に基づく政策立案をしていこうということでありまして、各府省におけるEBPMの浸透、定着を図り、政策の質を高めていくべく、政策に精通をしている人もやはり必要である、そして、かつ現場を適切に指導できるハイレベルの責任者ということで、平成三十年度から各府省に政策立案総括審議官を新設することにしたということでありまして、昨年度から試行的に、政策を選びながらそういう取組をしているということであります。

 今年度から、その人員の配置をし、それぞれの省庁でしっかりしたものにしていこうという取組が始まったところでありますし、今言ったような人材を配置したいと思っております。

中川委員 いや、答えになっていないと思うんです、お気づきになりながらそれを読んでいるんだと思うんですが。

 やはり私は、これは国会の中にそうした機能を持つべきだというふうに常々思っているんです。中でこうしたチェックをしても、同じような構造というか、法案を成立させるために誘導をしていくような公文書の使い方、あるいはこういうデータの使い方というのは私は是正できないだろうというふうに思います。

 そのことを指摘させていただきながら、そっちの方から、よく言われるGAOみたいな国会の中でのチェックシステムをつくっていこう、パネルをつくっていこうということを提起していただくという手もあると思うので、もし問題意識の共有ができれば、答弁をお願いします。

梶山国務大臣 先般、答弁した中で、統計改革も推進をしていくということでお話をさせていただきました。これは総務省の分野でありますけれども、それらとあわせて、この仕組みがしっかり定着するようにしたい。その中で、試行錯誤もあると思いますし、委員からの御指摘の事項も念頭に入れながら、参考にはさせていただきたいと思っております。

中川委員 次に、難民の問題あるいは外国人の受入れということについて議論をしていきたいと思います。

 今、難民申請の数が急激にふえているんですが、その要因は何かということを説明してもらえますか。

葉梨副大臣 お答えします。

 御指摘のとおり、近年、難民認定申請は急増しております。平成二十九年の申請数は、前年の一・八倍の一万九千六百二十九人、過去最高です。

 国籍の内訳を見ますと、特に数が伸びておりますのがフィリピン、ベトナム及びスリランカです。これらの国々において、ただ、大量の難民、避難民を生じさせるような事情はないんじゃないかなというふうに認識をしています。

 難民認定申請時の在留資格内訳を見ますと、観光などを目的とする短期滞在が一万一千三百二十三人、在留資格、技能実習が三千三十七人、在留資格、留学が二千三十六人などとなっています。これら三つの資格で、難民認定申請数全体の八四%を占めています。

 そして、この申請の中には、難民の庇護を求めることが主眼ではなくて、我が国での就労などを目的とすると思われる濫用、誤用的な申請が相当数見受けられているものと承知しています。

 このように、申請数急増の主な原因は、平成二十二年三月、正規在留者が難民認定申請した場合に、申請から六カ月経過後、一律に就労を許可する運用に変更したことにより、就労を目的とする申請者によって難民認定制度が濫用、誤用されているものと考えています。

 そこで、当省におきましては、真の難民の迅速な保護を図るため、平成二十七年九月の難民認定制度の運用の見直しに続き、難民認定制度の運用のさらなる見直しを行い、本年一月十五日から実施しております。

 このような見直しによって、濫用、誤用的な申請を抑制し、難民認定の迅速適正化を推進し、真に庇護を必要とする者への迅速な保護を図ってまいりたいと考えています。

中川委員 再申請に対する基準を厳しくした、だから対応策として評価をしてほしい、こういうことだと思うんですが、私は、そうした目先の政策でやっていく限り、基本的な問題は解決しないんだろうというふうに思うんです。

 海外から来る人たちの多くは、日本で働きたい、出稼ぎとしてやりたいということですね。ところが、日本の今の建前というのは、単純労働は認めないという建前ですから、技能実習という国際貢献という名のもとで受け入れるか、留学生のアルバイトとして受け入れるか、あるいは、ブラジル、チリなんかのいわゆる三世ということ、今度は四世ということになりますが、そういう形で受け入れるか。これは移民ではありませんよという名のもとに、それこそ大義名分と実態とがかけ離れた政策で走っているわけです。

 だから、その中にはまり込んだ外国人の人たちというのは、再申請したら日本で滞在できるよという情報が入ったら、留学生をやめて、そして難民申請して、そこで、アルバイトじゃなくて働くというチャンスを求めていく。

 あるいは、技能実習も、実際、これは職業選択の自由が保障されていませんから、使用者とけんかして、ほかにかわりたい、あるいは、ほかにもっと賃金の高いところがあるということであっても、移動できない。これは人権侵害もいいところだというふうに批判されています、海外からは。そういう環境の中で、難民申請であればいけるんじゃないかといううわさが立っただけで、そこへ向いて殺到するというふうな現状が出ています。

 これは恐らく、難民というところでブレーキをかけても、ほかに、さまざまそうした制度を活用しながら何とか働きたいということを、海外から入ってきた人たち、特に単純労働につくという人たちは求めてくるんだろうというふうに思うんです。

 そういう制度の欠陥を是正していくという根本的な議論がどこかでないと、私は、実際、海外からの日本で働きたいという人たちの能力というか、彼らのいわゆる人としての、日本の社会にダイナミズムをつくっていく、そういう力になっていくような、そういう形での海外の外国人の受入れというのはできないんだろうというふうに思うんです。

 それをどこがやっていくかということなんですが、どこもトータルでやる省庁がないんですね。みんな、自分のところの課題として、厚生労働省、法務省、あるいは今回は国土交通省の方もやり始めてきました。

 ということになっているんです。この現状を、大臣、どのようにお考えでありますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 内閣府では、委員御案内のとおり、在留外国人のうち、日本人の子孫として我が国と特別な関係にあることに着目してその受入れが認められて我が国に在留する、いわゆる日系定住外国人に関する施策の推進を担当しているところでございます。

 ただ、委員先ほど来述べておられますとおり、いろいろな形での受入れもあろうかと認識してございますので、関係省庁と連携しながら取り組んでいくことが重要だというふうに認識してございます。

中川委員 松山大臣、ぴっと反応がなかったんですが、さっきの話に。恐らく、御自身で自覚がないんだと思うんです。私は定住外国人だけのはずなんだけれども、何で私に問いかけが来るんだろうなというぐらいの感覚だと思うんですが。

 これは、一番スタートは、多文化共生の担当大臣としてスタートしているんですよ。実は、私がその担当だったんです。そのときに、移民の基本法をつくろうじゃないかということを外に向けて発出したんです。そうしたら、すごい勢いで抗議の電話とファクスが出てきまして、ちょっと役所の中が混乱して、その中で、やれることを静かにやりますからという周りの皆さんの話で始まったのがこの定住外国人。まずここからやろうということだったんです。

 そうやってやっているうちに、いつの間にか、いや、担当大臣としては定住外国人だけなんだよという話で今おさまっちゃったんですよ。ということを認識してもらいたいんですよ。

 その上で、いつかはこの問題に対して真正面から見詰めて、日本としてどのように国を開いていくか、そして、海外から日本に来たいと言っている人たちを、体系的に、彼らの人権も保障しながら、日本で生きるというその道筋、日本の社会の中で活躍するという道筋もつくりながらトータルで考えていく省庁というのが必要だというふうに私は思うんです。

 大臣、幅を広げて、私がその調整と最終的な企画立案をやりますというところまで行きませんか、どうですか。

松山国務大臣 お答えいたします。

 先生御案内のとおり、内閣府は移民政策を所管ということではないというのが現状でございますので、移民の法整備あるいは移民庁の設置等の提案についてはコメントできる立場にないというのが現状でございます。

 その上で、外国人の受入れ、定住に係る取組、あるいは、さまざまな形で外国人の方々は日本にいらっしゃいますので、その辺の配慮という意味では、関係省庁としっかり連携してまた運用していくことが重要だと思っておりますし、現状、政府におきましては、先生も御承知だと思いますが、いわゆる移民政策ということはとる考えではないというふうに承知いたしております。

 先輩担当大臣の中川先生の御意見ですので、貴重な一つの考え方としてしっかり受けとめさせていただきたいと存じます。

中川委員 最後に申し上げておきますが、移民政策がないということほど日本にとって危ないことはないと思うんですよ。次の世代に対して確実に、このままでいったら禍根を残す。そのときの行き当たりばったり、御都合主義でこの政策を進めれば、いや、政策はないんだと思うんだけれども、いけば、必ず将来に禍根を残すということだと思うんです。それだけ危機感を共有していただきたいというふうに思います。

 以上、終わります。

     ――――◇―――――

山際委員長 次に、内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。梶山国務大臣。

    ―――――――――――――

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

梶山国務大臣 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 国、地方ともに財政状況が極めて厳しい中で、公的負担の抑制を図るとともに、持続可能かつ良好な公共サービスを実現するためには、さまざまな分野の公共施設等の整備、運営等において民間の資金や創意工夫を活用することが重要であり、それらを活用した多様な特定事業の導入、とりわけ民間の経営原理を導入する公共施設等運営事業を活用することが求められております。

 この法律案は、このような状況に鑑み、特定事業の一層の推進と公共施設等運営事業の実施の促進を図るため、特定事業に関する国による支援の強化、公共施設等運営権者が公の施設の指定管理者を兼ねる場合の特例の創設及び水道事業等に関し地方公共団体に対して貸し付けられた地方債の繰上償還に係る特例の創設を定めるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、公共施設等の管理者等及び民間事業者が特定事業に係る支援措置等について確認を求めた際に内閣総理大臣が一元的に回答する制度を創設するほか、内閣総理大臣が公共施設等の管理者等に対し特定事業の実施に関し報告を求め、必要に応じ助言や勧告を行うことができることとしております。

 第二に、公共施設等運営権者が公の施設の指定管理者を兼ねる場合において、公の施設の利用料金における地方公共団体の承認や、公共施設等運営権の移転に伴う指定管理者の再指定における議会の議決について、一定の要件を満たす場合にはそれらを不要とする地方自治法の特例を設けることとしております。

 第三に、水道事業及び下水道事業に係る公共施設等運営権を設定した地方公共団体に対し、過去に貸し付けられた当該事業に係る地方債について、補償金を免除し元金償還金のみで繰上償還することを認める特例を時限的に設けることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

 以上です。

山際委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四分散会


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