衆議院

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第13号 平成30年4月25日(水曜日)

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平成三十年四月二十五日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 佐藤 茂樹君

      泉田 裕彦君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      亀岡 偉民君    小寺 裕雄君

      古賀  篤君    杉田 水脈君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      津島  淳君    中曽根康隆君

      長坂 康正君    西田 昭二君

      三谷 英弘君    村井 英樹君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      森  夏枝君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)     梶山 弘志君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室室長)      石崎 和志君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     古市 裕久君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           吉田 博史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小瀬 達之君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     飯田 陽一君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     津島  淳君

  加藤 鮎子君     中曽根康隆君

  浦野 靖人君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     池田 佳隆君

  中曽根康隆君     加藤 鮎子君

  森  夏枝君     浦野 靖人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党及び自由党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山際委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請させましたが、立憲民主党・市民クラブ、希望の党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党及び自由党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府民間資金等活用事業推進室室長石崎和志君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長古市裕久君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君、経済産業省大臣官房審議官吉田博史君、経済産業省大臣官房審議官小瀬達之君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長飯田陽一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。杉田水脈君。

杉田委員 自由民主党の杉田水脈です。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

 PFI法の改正ということで、先週は小寺委員そして浜地委員の方から、今回の目玉であります水道事業などに関してかなり突っ込んだ議論をされていらっしゃいましたので、本日、私は、まずはPFI全般について御質問をしてまいりたいというふうに思っております。

 このPFIという方式、PFI方式なんですけれども、大体平成四年ごろ、イギリスの方でこの方式ができ上がってまいりました。プライベート・ファイナンス・イニシアチブということで、公的な事業の中に民間の資金を入れていこう、こういう手法なんですけれども、こちらが平成十一年に日本の方には入ってまいりまして、議員立法でこの平成十一年にPFI法が成立をいたしました。

 それから約十九年がたっておるんですけれども、今のところ、これは延べになるんですかね、昨年の三月末時点でこのPFIの事業数というのが六百九事業、全国で行われているということなんです。全国に自治体が千八百ぐらいある中でこのPFIに取り組んでいるのが累計で六百九事業ということなんですけれども、六百九事業というこの数字を今現在どのように評価していらっしゃるのかということをまずお尋ねしたいと思います。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 平成十一年にPFI法が施行されましてから平成二十八年度末までにPFI法に基づき実施方針が公表された事業の数、御指摘のように六百九件でございます。

 事業を実施している自治体の傾向を見てみますと、政令市は二十団体中十九団体と、ほとんど全てにおいてPFI事業を実施しているという状況になってございますが、人口二十万人以上の市区町村において見ますと、百十四団体中六十団体と半数以上、一方で、人口二十万人未満の市区町村においてはPFI事業を実施した団体数は一割弱にとどまっている、そういう状況になってございます。

 事業数全体が多いか少ないかについて一概にお答えするのは難しいところがございますが、いずれにしても、人口が少ない公共団体を始め、より裾野の広いPPP、PFI事業の普及が必要な状況というふうに考えてございます。

杉田委員 続きの質問を全部一緒に答えていただいたみたいな形になっておるんですけれども、今現在、これはやはり多いと思われますか、それとも、まだまだこれからもっと進めていかないといけないというふうに感じていらっしゃいますか。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 いずれにいたしましても、今申し上げましたように、ある程度大きな市に関しては一定の取組が進んでいるというふうに思ってございますが、比較的小規模な市町村につきましてはなかなかその取組が進んでいない状況、そういうふうに認識してございます。そういうところにおきまして更に推進する必要がある状況だというふうに認識してございます。

杉田委員 やはり人口規模などの要件によって取組にばらつきがあるということなんですけれども、その中で、職員の知識であるとかそういったことについては後半にまた質疑をさせていただきたいと思うんです。

 私自身、兵庫県の西宮市というところに十八年間勤務をしておりまして、実際に、平成十三年、十四年にかけてなんですけれども、若手職員の政策課題研修というのがございまして、当時は私も若手でございまして、その政策課題研修に参加をしておりました。その中で、この入ってきたばかりのPFIをいかに取り入れるか、どういう事業に取り入れるかということをかなり突っ込んでいろいろ、民間の方なんかにも来ていただいて研究をしたというふうな経験があります。そのときのチームが、チーム名をつけるときに、どうしようかというときにいろいろ考えて、米沢藩の財政改革を行った上杉鷹山からとってチーム名をYOZANという形にして、それでこのPFI事業の研究というのを行ったんです。

 このときに、ちょうど私どもの西宮市の市議会の中でも、PFIを積極的に取り入れて事業をやっていこうというような形で発言をしている会派の方々と、もう一方で、このような方式を日本に入れてはいけないんだ、PFI方式というのは悪魔の方式で、これを研究することすら許されないというような形で言っているような会派の方がありました。

 実際に私どもがこういったPFIであるとか、若しくは、私自身は非常に経験があるんですけれども、指定管理の方式にどんどんどんどん取り組んでいこうというときに、大きな阻害要因というか反対に遭うんですね。何が原因かというと、労働組合なんですよ。

 先ほど、人口規模であるとか、人口規模に伴って職員の知識が乏しいとか、そういったようなことが阻害要因になっているのではないかという分析をお聞きしたんですけれども、労働組合による反対とかというのは直接的な要因になっているんでしょうか。そのあたりをお尋ねしたいと思います。

石崎政府参考人 PPP、PFIを推進する阻害要因としましては、とにかく、これまでと異なる経営形態でございますので、関係者の理解を得るのに時間を要するという点がまず挙げられるかと思ってございます。

 当然ながら、関係者といたしましては、その事業に従事されている方というのも入ると思いますし、また、そういう方たちが参加されている団体というものも含まれると考えてございます。ただ、実情としてどのような形でそれが影響しているかについては、申しわけございませんが、内閣府として分析をしているものはございません。

 いずれにしましても、このPPP、PFIを円滑に進めるためには関係者の理解を得るということが重要だというふうに考えてございます。

杉田委員 今、後ろで元新潟県知事の泉田委員もうなずいていらっしゃったんですけれども、実際的にこういった要因が、多分これは、実際に自治体で業務をやってみて、そしてこれを前に進めようとしたときに大きく立ちはだかってくるということは実際に経験した人にはよくおわかりではないかというふうに思うわけですね。

 私がいた西宮市は、労働組合が、自治労ではなくて自治労連でした。自治労と自治労連の違いというのは、きょうはもうここでは詳しくそこのところには踏み込みません。けれども、そういったところの団体が非常に反対に回っている、私はそういうのをつぶさに市議会なんかでも見てまいりました。

 ということで、ここからはちょっと、とある自治体の事例についてもう少し突っ込んで質疑をしていきたいというふうに思います。

 これは今月発売になりました週刊ダイヤモンドなんですけれども、このダイヤモンドの中にも、一番最初のところに、最新のPFI方式が迷走した全事情ということで、愛知県の西尾市のPFIの事例というのが特集で載っておるんですね。

 私自身、PFIをいろいろとそういうふうな形で導入当時からかかわって勉強してきたというような経緯がありますので、この西尾市の方式というのには非常に注目をしておったところなんですけれども、まず最初に質問をさせていただきます。この西尾市方式のPFIというのを内閣府の方ではどのように評価していらっしゃいますでしょうか。

石崎政府参考人 西尾市のPFI事業は、平成二十三年四月に合併しました四市町の公共施設の統廃合と再整備、維持管理を一括してPFI方式により民間事業に委託するものであった、そういう非常に大規模なものでございました。また、大手建設企業を入れずに事業主体を地元中心の運営企業で構成する方式というのを取り入れていたことなど、ほかに例のない新しい取組をされているということで、我々としても評価をさせていただいたところでございます。

杉田委員 評価をしていらっしゃったということなんですけれども、きょう、皆さんの方に資料としましてこのダイヤモンドの中の一ページをお配りしておるんですけれども、では、西尾市方式というのは何だったのか、今までのPFIと何が違っていたのかということなんです。

 先ほどの答弁にありましたが、日本初のPFIのやり方をやったというのは、これはサービスプロバイダー方式というのが採用されたんですね。

 というのは、一般的なPFIというのは、どうしても、もう既にこれは始まってから十九年もたっておる方式でありますから、ノウハウを蓄積している企業があるんです。そのノウハウを蓄積している企業、主にこれは大都市にある大企業ということになってきます。大手の建設会社、そういったところがノウハウを蓄積しておりまして、どこかの自治体がPFIをやりたいというふうになりますと、その目的会社をつくり出すときに、大体はそういうところが入ってきて、そこが主導権をとってこのPFI事業を進めていくということになっております。結局は、地域活性化を目的としてこのPFIというものを導入していかねばならない中にあって、どうしてもそういった大企業が主導権を握ってしまうというような問題点があったんですね。

 この西尾市方式というのは、大企業をまずは一旦排除いたしまして、その自治体の中にある、西尾市だけではということもありますので、愛知県内にある自治体でこの目的会社というのを形成していった、そういう経緯があるんですね。なので、全国的に注目をされていた。先ほど内閣府の方からの答弁がありましたとおり、内閣府の方も非常にそういったところを評価されていたんだと思うんですね。

 もう一点は、性能発注方式にあるんです。私自身も、自分自身が事業の中で、PFIまではちょっと実際にはやっていないんですけれども、指定管理方式なんかで民間に託していくときに、どうしても自治体からその事業を出すときには仕様発注になってしまうんですね。これをやってもらわないといけない、ここまでに、この金額で抑えてもらわないといけない、こういうふうな形でということで、かなり細かく仕様を決めて発注をする仕様発注方式になってしまう。そこのところで、この西尾市方式は、全くもって性能発注方式にしたということなんですね。

 これが本来のPFIの形だというふうに私は思っていまして、自分自身が担当する中でも、本来やるのは性能発注じゃないかということで何度も何度も上司にかけ合ったりしたことがあったんですけれども、本来のPFI方式、性能発注で行ったというのが、これが西尾市の方式だというふうに思っております。

 先ほどの答弁もありましたように、当初、内閣府は、西尾市主催のシンポジウムで講演するなど、非常に積極的にかかわって、多分これを全国の先進事例にしようというような形でかかわっていらっしゃったと思うんですが、途中からどんどんどんどんペースダウンするんですよ、内閣府さんの方が。そのきっかけになったのが、実はこのPFIの事業が住民訴訟の案件となってしまったんですね。そこの時点からどんどんどんどん内閣府さんの方がトーンダウンをしてきて、かかわりがどんどん薄くなってきてしまったということがあるんです。

 この、住民訴訟の案件となった途端にちょっと対応が変わるというような姿勢で、今回の法改正の中にワンストップ窓口制度を創設するというのがあります。そして、助言機能を国の方が強化するというのが今回の法改正の中のポイントにあるんですけれども、このような、例えば住民訴訟の案件となった途端に内閣府が手のひらを返したようにかかわり方を変えていくという姿勢の中で、ワンストップ窓口方式というのはしっかりと機能するんでしょうか。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 当時のPFI推進室の担当者に確認したところ、西尾市の事業が地元において対立やさまざまな議論が出ているという状況にあったことから、一方の当事者のみに接触するのは適切ではないという判断が一度あったというふうに聞いてございます。また、当時、内閣府において、どのような形で地方公共団体に対応していくのかという位置づけ自体も必ずしも明確ではなかったというふうに聞いてございます。

 このため、今回改正案に盛り込ませていただいてございますワンストップ対応窓口を創設することで助言機能を内閣府にまさしく役割として法的に位置づけることによりまして、この位置づけのもとで、西尾市のようなケースで助言を求められたときにきちんと対応してまいりたいというふうに考えてございます。

 西尾市の状況につきましては、内閣府としても、今後、更に情報を整理して、他の地域で生かされるように周知してまいりたいというふうに考えてございます。

杉田委員 私自身、これに携わった人たちの話なんかも聞いてみたんですけれども、やはり内閣府がバックアップしてくれるというのは、こういった新しいことをやろうと思っている自治体、しかも西尾市というのはそんなに大きな自治体でもないですよね。政令指定都市であるわけでもないです。人口規模が大きいわけでもないです。そして、合併をして、合併をした後に非常にたくさんのそういった公共施設が膨れ上がってしまった。その中で、再配置も含めて、老朽化、そういったことも含めてのナレッジマネジメントなんかもしっかりと前に進めていこうという新しい事業をやっていく中で、内閣府がバックアップしてくれているんだということは非常に大きな心の頼みになっていたというような形でも聞いております。

 それから、その後はどんどんどんどん地域の方々を巻き込んで、先ほども言いました、大手の企業を入れるのではなくて地元の企業で、そしてそれでコンソーシアムを組んで、そこでしっかりと我々の町をやっていこうというような考え方の中で、そこでどんどんどんどんトーンダウンをされているということを実際に肌で感じていらっしゃったというようなことを、担当している方なんかからも聞いております。

 そのような中で、先ほどから何度もやっておるんですけれども、この西尾市の方式、西尾市のやり方自体は今後も、評価をされていて、もしもほかの自治体がこの西尾市みたいなやり方でやりたいとなったときには積極的にバックアップをしていかれる、内閣府はそのようなお立場でいらっしゃいますか。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 西尾市がやられた方式の中で、特に、大手建設企業を入れず、事業主体を地元中心でやっていくという方式については我々も非常に注目してございました。やはりどうしても今までのPFI事業は非常に、今御指摘がありましたように、大手の建設会社ですとか、そういうところがどうしても入らざるを得ないところもございます。

 しかしながら、きちんとした形でやはりPFIを広げていくためには、地元企業が積極的に参加していただく、これが何より大事だと思います。それに西尾市は今回チャレンジされた方式だというふうに認識してございますので、こういう方式に関しては、我々は、今後ともいろいろな形で支援してまいりたいと思っております。

杉田委員 そのような答弁をいただいてちょっと安心はしておるんですけれども、ぜひ、これは新しい取組でありますから、今後こういった取組を進めていきたいというような地方自治体はどんどん出てくるのではないかというふうに思われますので、これをやってきたときにしっかりと国の方でバックアップをしていただきたいというふうに思っております。

 一点、まだ懸念が残るところがあるんですけれども、結局、西尾市の場合は、住民訴訟が起こり、その後、このPFIがストップをしてしまった後、選挙の争点になってしまうんですね。市長選の争点になってしまいまして、このPFIのやり方にストップをかける方の市長が当選いたしまして、今、全面的にこのやり方の見直しが行われた形で、西尾市のPFI、大きくいろいろな新しいことをやっていこうとする中で、これが半分ぐらいになってしまったような形で前に進もうとしているようなところではあるんですけれども、これの検証を西尾市の方で行っていらっしゃいます。

 この検証、西尾市のPFI事業の検証報告書、見直し方針ということでことしの三月に出たのを私の方も全部目を通させていただいたんですけれども、こちらの検証自体が、従来のPFI方式によってこの検証がなされているんじゃないかという印象を私は強く持ったんですね。

 新しい方式として西尾市方式のPFIをやろうとしてやった事業を従来のやり方で検証してしまっている検証報告書が上がってきているんですけれども、このことについてどのように考えていらっしゃいますか。

石崎政府参考人 西尾市の報告書については、西尾市のホームページに公表されるなど一般に公表されているものでございますので、我々内閣府としましても、ホームページからダウンロードしてきちんと読ませていただいてございます。

 西尾市の方の報告書に関しては、西尾市において、市の責任で報告書を作成したものでございますので、内閣府として、ちょっと詳細な論評に関しましては控えさせていただきたいと思います。

 しかしながら、この報告書を見ますと、この事業の検証、見直し方針については記載されているところでございますが、総論といたしまして、本件PFI事業を広く市民に理解していただけるよう、市が一丸となって取り組んでいかなければならないということが述べられてございます。見直しを行いつつも、PFI事業の必要性はきちんと認めた上で、更にPFI事業を進めるべきとしているものでございます。

 我々内閣府といたしましても、こういうPFIの有効性を認め、更に進めるという点に関しては、評価をさせていただいてございます。

杉田委員 そういった答弁になるということはあらかじめ聞いておったんですけれども、先ほどから申し上げているとおり、こういった余り人口規模が大きくないような自治体が新しいことにチャレンジをしようというときには、やはり内閣府の、国のバックアップというものが非常に心強いものであるということであります。

 多分、見てはいらっしゃると思います。見ていらっしゃるけれども、これに対しては、自治体がやったことであるので論評を避けるというようなことだったんですけれども、私自身、先ほども申し上げたとおり、新しいことをやろうとして、新しい方式を打ち立てていこうというところに、旧式な方式での検証を行って、だからあのやり方はだめだったんだというような検証をしていること自体、非常になかなか、これ自身が、PFIが全国的に広がっていかない、そして小さい自治体が取り組みにくい、そういう状況をつくり出しているのではないかというふうに私は感じております。

 このダイヤモンドの記事の中でも、市が、どうしてこれがだめになったかということの中で、一社しか手を挙げてこなかった、競争相手がなかったので、だからこれがだめだという要因になっているというようなことが書かれているんですけれども、実はこれは、西尾市のPFI方式をやるときに一社にまとめたんですよ。

 それぞれ、いろいろな自治体があって、いろいろな業界の人たちがあって、一人の本当に志のある企業の社長さんが出てきまして、その方が本当に汗をかいていろいろな事業所を回って、それで、もともと二つぐらいの大きな枠に分かれていたものを、全部を回って、西尾市のために一つになろうじゃないかということで一つにまとめたわけなんですよね。

 よく地域の活性化というような中には、よそ者、ばか者、若者というふうに言われるんですけれども、まさにばか者となって汗をかいてくれる人がいたということが、私は、新しいことにチャレンジをする一つのステップになったんじゃないかなというふうに、いろいろ西尾市の話を聞いていて思ったところなんです。

 その一般企業の社長さんが一生懸命汗をかいて一つにまとめてくださった。だから、当然、一社しか手を挙げてこないわけですよ。一社しか手を挙げてこないですが、その中には、西尾市の中のいろいろな事業者がかかわって、役割分担をしてというようなことまで決めた上で手を挙げてきたんですね。

 それを、競争にならなかった、一社しか手を挙げてこなくて競争にならなかったからPFI方式はだめなんだというふうな形で検証しておるんですけれども、この点について、ちょっと突っ込んだ質問で申しわけないですけれども、御意見をいただければうれしいです。

石崎政府参考人 非常に難しい御質問であるんですけれども、PFI事業、基本的にはやはり民間に協力いただく、そういう事業でございますので、適正に住民の方に理解していただくには、競争性の確保というのは非常に大きな要素だというふうに考えてございます。やはり、そうなりますと、競争性の確保と、確保できない、それが難しいときに、どうやってそれを住民の方々に理解していただくのか、その努力を並行するというのも大事だと思います。

 西尾市がどうこうという話を申し上げるつもりはございませんが、競争性の確保というのはPFI事業のやはり一つの根幹であるというふうには我々認識してございます。

杉田委員 西尾市の場合は、この実施計画を策定するに当たって、全て市民参加型でやっています。市民説明会やワークショップなどをたびたび開催して、市民と専門家によるワークショップを非常に平場で行って、そして一つのコンソーシアムにまとめたというようなことがあるんですね。私は、そこの部分も非常に評価していく、やはりプロセスを見ていかないと、このPFI事業というのはなかなかうまくいかないんじゃないかなというふうに思っております。

 ただ、先ほどもおっしゃったように、一社がやってしまうということに対しての批判が出た、議会の中でも非常に対立があったというようなことも聞いております。

 もう一点、先ほどのところに戻るんですけれども、こちらの方に「自治体の公共事業のあり方を問う 西尾市方式PFIの考察」という報告書があるんですね。これはどこが書いているのかというと、西尾市職員組合です。西尾市職員組合というのは、これは私も調べましたけれども、これも私が勤めておりました兵庫県の西宮市と同じ自治労連系の労働組合なんですね。ここのところが非常に反対をしている。

 先ほど、非常にオブラートに包んだ形の答弁をいただきましたけれども、PFI、PPPを進めていく、指定管理もそうなんですけれども、やはり、今まで働いていた人たちが、民営化になってしまう、民営化というかPFIになったときに向こうに運営を委託していく中で、その人たちの身分がどうなるのか、今後のそういう部署の採用がどうなるのかというようなことが非常に深く自治体の経営の間に絡み合ってまいります。

 どうしても一番最初に出てくるのがこの労働組合との問題で、自治体の職員というのは非常にそこのところで、まず夜中までかかって労使交渉というのをやった上で、それを解決した上でないとこのPFIやPPPという方式に進んでいくことができないという実態があるんですね。

 これは御存じだったらお答えいただきたいんですけれども、こちらにも、西尾市の職員組合が、このPFIに明確に反対するような論文が書かれています、自治労連系の労働組合なんですけれども。こういったことについての相談なんかは内閣府の方では受けられた経緯はあったんでしょうか。

石崎政府参考人 申しわけございません、ちょっとそれについては我々として承知してございません。

杉田委員 私自身、自分自身がこういった事業にかかわった経験から、きょうは西尾市の事例を取り上げてかなり踏み込んだ質問をさせていただいて、答えにくかったこともたくさんあるだろうというふうには思うんですけれども。

 でも、きょう、今回、私、この質問をするに当たって、PFIの担当の方々といろいろ意見交換をさせていただきました。その中で、検証していった中で、西尾市のこととかもすごくよくわかっていらっしゃる方なんかもいらっしゃいまして、今後、出てきた中では、今回のワンストップの窓口、それから助言の強化というのを用いてしっかりと前に進めていくというようなことをおっしゃっていただきましたので、そのあたりは安心して、しっかりと進めていっていただきたいなというふうに思っております。

 そして、もう一点なんですけれども、なかなかこれが普及していかないというような中に、職員の知識というのがあるのではないかというふうに思います。先ほども、やはり、人口規模が少ないような自治体においては、なかなかこういったPFIというような新しい方式に手を出すことができないというようなことがあると思います。

 私自身も、若手職員の研修のときにPFIを勉強したときのファイル、きょう改めて朝から見ていたんですけれども、このぐらいのファイルが二冊ぐらいあって、一生懸命勉強をしたんですけれども、それから更にまた二十年ぐらい進んでおりますから、いろいろな法改正がありまして、方式もPFIからPPPへという、単に建物、私たちが研究していたころは、当時は、病院であるとか、あと焼却施設であるとか、そういったところがPFIとして主に入ってきたんですけれども、今はもう町づくり全体がPFIによってやられる、PPPによって取り組むというようなところの事業がたくさんあります。

 この西尾市なんかも、公共施設の再配分だけではなくて、全体の、面としての町づくりというようなこともこれでやろうとしていた中で、これはなかなか、自治体の職員の人たちの知識が追いついていくところが難しいんじゃないかと思うんですね。

 特に、小さい自治体になってきますと、一人でいろいろな業務も兼ねているわけですよね。こういった新しい方針のこともやらなくちゃいけないし、総務的なこともやるところが、多分、PFIとかは総務とか企画とかといったところの職員が担うんじゃないかと思うんですけれども、やっている。そこは選挙もやらなければいけなくて、統計もやらなくてはいけなくて、もういろいろなことをやらないといけない中で、なかなかこれの知識が身につけられないということがあると思うんですけれども、そういったところについてはどのように認識をしていらっしゃいますでしょうか。

石崎政府参考人 御指摘のとおり、人口が少ない公共団体については、そもそも御指摘のように職員自体が少ないということもありますし、また、経験をする回数、毎年のように案件が出ていれば、それでどんどんいろいろな人が経験をためていけるわけでございますけれども、小さい自治体だと何年かに一遍そういうような案件が来るというような感じで、非常に経験をする機会も少ない、そういう問題点があるというふうに認識してございます。

 内閣府といたしましても、きちんと、高度専門家の派遣であるとかガイドライン、また、そればかりではなく、我々としましては、民間の方々、公共団体の方が一緒になって勉強し、また案件を生み出していただけるような地域プラットホーム、こういうような枠組みづくりが非常に重要だというふうに考えてございます。

 こういうような形で更に支援してまいりたいというふうに考えております。

杉田委員 先ほどのお話の中にもありましたけれども、どうしても自治体の職員というのは異動があるんですよ。三年から五年に一度は異動してしまって、ゼネラリストにはなるんですけれども、スペシャリストになりにくいというのがあります。

 でも、このPFIなんかで民間の事業者の方と一緒に、対峙してやっていこうというふうに思いますと、民間の方はプロなわけです、それについてずっと経験を積んでこられたという方々がやってきて、そして役所の職員さんの方は、なかなか、異動してきたばかりでとか、前任者から聞きながらとかいうような形でやっていかないといけない。そこに、知識の量がある、どうしても業者の言いなりになってしまうというような部分が多く見られます。

 そういった中で、今までの法改正の中でも、そういった専門家を自治体の方にも派遣ができるというようなことで、何年か前の法改正の中でもしっかりとやっていっていただいたというのがあったかというふうに思います。そのときも私も質問をさせていただいたかと思うんですけれども。

 そういうふうなことを、しっかりと両方やりながら、また、目的会社を組む方も、先ほども言いましたが、どうしても大手がイニシアチブをとってしまうということではなくて、その中での、自治体の、その市域の中にあるところの小さな事業者が集まっているところになると、どうしてもそこにしっかりとしたコーディネーターが必要になってきますので、そのあたりはしっかりと見ていっていただきたいなというふうに思うんです。

 一点、ちょっとお尋ねしたいんですけれども、今、こういったことの、例えば担当者に必要な資格とかそういうものはないんですよね。

石崎政府参考人 PFIの専用の資格というのはございません。

杉田委員 そのように資格がないというふうに聞いたんですね。

 私自身、自治体職員をやめてから選挙に出るまでの間に二年ぐらいありましたので、その間、東日本大震災があったりとかして、あれを見たときに、これからはやはり、建物をもう一回再構築するであるとか、そういった町づくりなんかの観点も入れてしっかりとやっていかないといけないというふうに思いまして、とある資格を取ったんですね。ファシリティーマネジメントという、それの資格を取りました。

 そのときに、このファシリティーマネジメントの資格を取る勉強をしたときに、改めてこの幅広さに非常に驚いたんですね。

 そういった建物の知識も当然あります。それから、減価償却とかそういうのをしていかないといけませんので、会計の勉強もしていくわけです。それから、先ほど東日本大震災の話をしました。私自身は阪神・淡路大震災も市役所の職員として経験しておるんですけれども、地震の仕組みであるとか、日本のどこでどういう地震が起きやすくて、今度はどこで大きな地震が起きる可能性があるのか、地震にどういう型があるのかというようなことまでその中に入ってくるんですね。

 それから、あと、働き方改革のような、オフィスの改革。オフィスの間取りであるとか、今、日本の普通のオフィスだったら、自分の机があって、自分の机の中に引き出しがあってというんですけれども、フリーアドレス制のオフィスがどうだとか、オフィスが今サテライトになっていて時短につながっていっている話であるとか、ドイツ式、アメリカ式のオフィスはどういう形であるというようなこと、そういう知識まで非常に幅広く学ぶことができる、そういうふうな資格だったんですね。

 そして、この認定ファシリティマネジャーの資格というのは海外の、国際的な資格とも連携をしておりまして、海外のそういった事例も学べるというような形になっているんですね。

 ぜひ、こういった資格を自治体職員でこれに携わる人なんかに取っていただくのもいいですし、また、民間側のマネジメントに入っていただく方に取っていただくのもいいと思うんですけれども、人材育成の観点から、このPFIの事業なんかにこういった資格を取るというようなことを入れていかれたらどうかと思うんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

石崎政府参考人 PFI事業、今御指摘いただきましたように、非常に幅広い分野のさまざまな知識経験が必要な分野だと認識してございます。例えば、法律については弁護士、会計については公認会計士、施設を総合的に企画管理される点では今御指摘いただきましたファシリティマネジャーなど、さまざまな専門家がプロジェクトごとに協力体制を築いて行う事業だというふうに考えてございます。

 そのため、現在、PFIのためだけの資格制度を導入することについては、我々、現段階では検討してございません。

 しかしながら、いずれにしましても、いろいろな形で専門資格を取り、また、自治体の方々においても、そういうのを目標に勉強していただくというのは非常に重要な視点だというふうに考えてございます。

 引き続き、事業主体となる公共団体として、先ほど申し上げました例えば地域プラットホームの場でいろいろな専門家と交流していただくというのも大事な仕事だと思ってございます。こういういろいろな場を通して専門家と連携を促進するということをやってまいりたいというふうに考えております。

杉田委員 ありがとうございます。

 資格を取るというのは非常に効率的であるんですね。効率的に短期間で幅広い知識が学べるというような、非常にメリットがあるというふうに私は考えておりますので、今後、人材育成という観点から、こういった資格なんかを入れていくというようなこともぜひ検討していっていただければというふうに思っております。

 また、先ほどの答弁にありましたように、実際にPFIをやっているようなところに市の職員を派遣して、そこのところで、例えば受けている方の目的会社側の方で何カ月かというような形を実際にやっているような自治体もありますので、そういった事例をもっともっとたくさん出していただいて、小さな自治体でも事例が学べるように、そしてそれが仕事の中で自分の身についてくるように、民間企業ともしっかりとした知識を持ってこの事業を進めていけるような形の人材育成という観点で、こちらの方も見ていっていただければというふうに感じております。ありがとうございました。

 さて、PFIの質問を長々としてきたところでございますけれども、私は非常に大事な観点であるというふうに思っております。これが入ってきたときから、今後はこういったことが日本にもっとどんどん広がっていくだろう、広げていかないといけないというふうに非常に感じました。

 というのが、私自身が実際に自治体の職員でいるときに、やはり地方財政が危機的な状態にあるわけです。私自身も企画とか財政といった部署にいたこともありますし、ちょうど阪神・淡路大震災の借金を返さないといけないときで、もうスクラップ・アンド・ビルドどころではなくて、スクラップ、スクラップ、スクラップで、どれだけ事業を減らすか、ビルドは全くないぞというような中で、こういったPFI法というものに出会いました。

 その中で、やはり、民間の資本を入れていく、そうやって公共の施設とかをしっかりと支えていくというようなことは、これから本当に大切なことだというふうに思います。

 水道事業のことは、先週、本当に浜地委員や小寺委員がしっかりとやっていただいたんですけれども、今、我々のライフラインと言われる水道や下水道の事業にすら、これは本当に、真水のというふうな言い方を私たちはするんですけれども、真水の我々地方の持っている財源だけでもう老朽化したものを直すことができない状況にまで来ているというようなことの危機感をもっとみんなと共有していく中で、PFI方式をどんどんどんどん、小さな自治体こそ取り組めるような形にしていくべきだと私は思います。

 PFIを日本で推進していくに当たっての大臣の心意気をお聞かせ願いたいと思います。

梶山国務大臣 国、地方ともに財政状況が極めて厳しい中で、公的負担の抑制を図るとともに、持続可能かつ良好な公共サービスを実現するためには、さまざまな分野で民間の資金や創意工夫を活用することが重要でありまして、PPP、PFI事業の推進を図ることが重要であります。

 特に、今お話ありました水道、下水道も含めて、これから更新の需要が数多く予測される中で、こういったものを取り入れてしっかりとした安全な地域づくりということは大変重要なことであると思っております。

 先ほど委員から御指摘ありましたように、これらを推進するためには、地方公共団体や地域の企業において、PPP、PFIの検討や実施に必要なノウハウの蓄積、人材の確保、育成が重要であると認識をしております。

 そのために、内閣府として、先ほど政府参考人からお話ありましたように、高度専門家の派遣、そして、地方公共団体や地方の企業におけるノウハウ習得や人材育成のための、地方企業、金融機関、地方公共団体が集まっての案件形成能力を向上するためのプラットホームの形成支援などの取組を実施しているところであります。

 前回の審議でもお話があったんですけれども、利用者、市民の方々ですね、の理解を得ること、そして安全だという認識をしていただくこと、さらに、事業者の方々、中堅、大手、そして零細事業者の方たちの不安をなくすこと、さらにまた、今雇用されている人たちにも理解をしていただく、こういったことをしていくためにも、しっかりとそれらを説明できるような人材の育成は重要だと思っておりますので、委員の意見を参考にしながらしっかりと制度づくりをしてまいりたいと思っております。

杉田委員 大臣、ありがとうございます。

 こういったことで進めていくには、まずはナレッジマネジメントで、今ある施設、どのぐらい老朽化しているのか、どのぐらいのスパンでそれを建て直さないといけないのか、そしてそれが本当に必要なものであるのかそうでないのかというような計画を立てていった上で、では、これはPFI方式でやるのか、それとも今建てかえをするのかというようなことの判断を一つ一つ下していくということが今の自治体に課せられている責務であるというふうに私は思っておるんですが、実は、この計画自体を立てることができていない自治体がまだまだたくさんあるんです。そこのところまで追いついていないというような状況にある。

 それが、卵が先か鶏が先かということで、本当に財源がないから計画すらできない、そういうふうな人材を雇うことができないというようなところもありますし、そういうのができないから、どんどんどんどん建てかえなどの計画がおくれていってしまって、大変なことになってしまっていっているというような状況もあります。

 そのようなところについても、できる限り国の方で実態を把握していただいて、その上でこのPFIというものがしっかりと前に進んでいきますことを私自身も応援をしてまいりたいと思いますし、大臣の先ほどの答弁を聞きまして、本当に心強く思いました。

 本日は、どうもありがとうございました。終わります。

山際委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 自由民主党の三谷英弘です。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 きょうも維新を除く野党の方々が欠席をされているという中でございますが、このPFI法に関しましては、本会議におきましてさまざまな質問がなされているというところでございまして、自分なりに各党の質問も聞かせていただきまして、これはどうなんだろうなというような質問もございましたので、そこも逐次自分なりの解釈を入れながら質問させていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、中身に入らせていただきます。

 今、杉田議員が最後におっしゃっておりましたけれども、これだけ財政状況が厳しい中でしっかりと公共的なインフラというものを維持管理そして更新をしていかなければいけないという中で、このPFI方式というものは非常に重要であるということは論をまたないわけでありますけれども、ただ、イギリスにおきましては、PFI発祥の地というふうに言われているわけですが、そこでは、進んでいるがゆえなのかもしれませんけれども、少し様相が違うというところも、念のため最初に御指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 これは去年の十月に出たものなんですが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングという会社の馬場さんという研究員の方が、「PFIは終わったのか」というようなテーマで論文を発表されておりまして、そこをちょっと引用させていただきますと、「わが国では、PFIの更なる活用が進められているが、PFI発祥の地である英国においては、新規のPFI事業数が大きく減少している。そうした中、」これはイギリスの話ですけれども、「PFIに変わるPF2が導入されたものの、新規案件数は低迷が続いている。」というような状況があるという中でございます。

 まして、これは野党の、労働党の側の言っていることなんですけれども、新規PFI事業を中止するんだですとか、現在契約期間中のPFI事業についての公有化を提案するということで、イギリスの中、メイ政権は積極的にPFI事業を進めていくというような姿勢は示しているわけですけれども、野党の中ではそういうような批判も高まっているという中で、今こうやって日本においてPFI事業を更に進めていこうというこのことに関して、このイギリスの現状を踏まえてどのように考えるか。その比較ですとか、そういったところも含めてお答えいただきたいと思います。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、イギリスにおいては、一九九〇年代から非常に多くの、PFI方式を中心にいろいろな形の民間活用が実施されてございます。御指摘のように、新規プロジェクトは非常に今減少しているというふうに聞いてございますが、これまで非常に多くのPFI事業が行われてきましたので、現在でも多くの事業がこのPFI方式にて運営されている、そういう状況にある、そういう中で一定の役割を果たし続けているというふうに承知してございます。

 我が国におきましては、まだこのイギリスのような形で非常に多くのPFI事業は、先ほどの御質問にもありましたが、されているという状況ではございません。このため、国、地方ともに財政状況が厳しい中で、公的負担をどう抑制していくか、それをやるため、また、持続可能かつ良好な公共サービス実現をするために、さまざまな分野での民間の資金、創意工夫を活用することが非常に重要だと思ってございます。

 このため、イギリスを始めとするPFIを先行してやられていた国々の状況も我々としては参考にしつつ、このPPP、PFIを推進していくことが必要だというふうに認識してございます。

三谷委員 お答えいただきまして、ありがとうございます。

 もう既にイギリスでは大分PFIというものが進んでいるということが前提にあっての話だということで、非常に理解をするわけであります。

 リサーチのこのレポートの中にも書いてあるんですけれども、保守党においても、実は、野党の間、二〇〇七年から二〇〇九年の間は、PFIはばかげたものになった、労働党のPFIモデルは欠陥があり、取りかえるべきだというように、PFIを野党のときには批判をしていたというようなことがあったんですけれども、保守党が政権に返り咲いた後にはやはり多数のPFI事業を締結したというような、そういう流れもあるわけでございますから、PFI批判というのは、現実的にはなかなか、ポジショントーク的なところがあるのかな、これはイギリスの話ですけれども、思っているわけであります。

 そういう意味で、このPFI、そういうさまざまな世界的な情勢がある中で、日本がしっかりと進めていくというのは極めて重要なことだというふうに思っておりますので、本法案をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。

 この法案に関しましては、大きく三つの改正点があります。中身について、本当に前回の質問の中でも多く取り上げられていますので、重複している部分があるかもしれませんけれども、そこを含めて少し伺っていきたいというふうに思います。

 まず、国による支援強化、この一点目の改正についてでございますが、未来投資戦略二〇一七におきましては、これはたしか竹中平蔵議員の提出資料の中にあったと思うんですけれども、PPP、PFI事業に関しては、諸外国では第三者機関が一定規模以上の仕組みを事前審査するということが示されております。

 本改正案においては内閣総理大臣がそういうことをやるということで書いてありますけれども、本法案における内閣総理大臣というのは、ここにおける第三者機関として事前審査するものに相応するというふうに理解してよろしいのか、お答えいただきたいと思います。

石崎政府参考人 御指摘いただきましたように、助言機能、内閣府において助言機能をするに当たって、それを行うために、第三者の専門家等を含めたしっかりした体制を築くことというのが我々としての宿題になっていたというふうに考えてございます。

 このため、今回この法案の中におきまして、ワンストップ窓口、回答先としては内閣総理大臣からの回答になりますが、その中で、民間資金等活用事業推進委員会、これは内閣府に設けられている、専門家で構成されている委員会でございますが、そこへの報告、又はそこに対して意見を求めることができるという措置を法律の中に盛り込んでございます。これらの規定に基づきまして、この委員会を活用するという形で、国の支援機能に合わせた体制強化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 先ほども杉田委員の質問の中にもありましたけれども、やはりそういった、地方公共団体の中には経験のある方が少ないということで、PFI事業をしっかりと進めていただく上では、ちゃんとしたといいますか、さまざまな知識経験を踏まえた、十分に備えたそういう専門家というものの意見というものが必要になってくるんじゃないかというふうに思っております。

 ちなみに、先ほどの資料の中には、第三者機関というのは、組織のトップや構成員は民間企業などでコンセッションの実務経験を持つ者を起用するですとか、スタッフ数は数十人から数百人とか、事前審査は、コンセッションの標準的なフレームワークやガイドラインをつくり、これに基づいて行っていると。

 やはり、単なる形だけ、アドバイスできますよというような仕組みをつくっても、なかなかそれが実際に進んでいくというのは難しいと思うので、本当にPFIを進めていくというのであれば、これぐらい徹底しなければいけないと思うんですけれども、どういった体制をつくろうとされているのか、その点についてお答えいただきたいと思います。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 内閣府としては、なかなか、組織の形態ですとか、また、海外で行われている第三者機関におきましても、基本的には、例えば収入を事業者の側から、事業者なり公共団体の側から得ているというような形もございます。そういう中で、いきなり第三者機関を立ち上げるというのは非常に難しいという現状、また行政改革等の観点からも非常に難しいという現状の中で、内閣府としてできるだけ近い機能を持てるような形として工夫させていただいたものが、今回の案でございます。

三谷委員 今回の案というのがそういうことを踏まえて工夫してできたものということでありますけれども、もちろん、行政改革等々の点から、いきなり人数をふやすというのは難しいわけでございますけれども、そういう外部の専門家というものをしっかりと、委員会など、そういった勉強会などで活用していただいて、そして、その人数をしっかりとふやしていただいて、対応を進めていただきたいというふうに思っております。お答えはいただかなくて結構です。検討いただければと思います。

 続きまして、この点に関して少し、先ほど申し上げた、きょうはお越しいただいていないので、本当に政策議論をしたいわけですけれども、当事者がお越しいただいていないので、自分の方から少し言及させていただくわけですけれども、四月十二日の本会議場におきまして、立憲民主党は、質問をされた中で、国による公共施設等管理者への助言機能の強化に関する措置を講ずることについて、国から地方への関与を強めるものであって、地方自治体が実施するPFI事業について、地方分権の趣旨に逆行し、事実上、国の考え方を地方に押しつけるおそれがあると指摘しています。

 この意見についてどうお考えなのか、率直にお答えいただきたいと思います。

石崎政府参考人 助言、勧告という制度は、過去におきましても、一般的に、相手方を拘束するものではなく、指揮命令の関係のない機関相互の間において、相互の自主性を尊重しつつ、専門的な立場における判断や意見を提供することによりまして、相手方の任務達成を促すために用いられるものでございます。法律に規定されている用例は多く見られてございます。

 本改正に基づき行われる助言、勧告におきましても、特定事業の適正かつ確実な実施を確保するために必要があると認めるときに限定しており、公共団体のPFI事業が円滑に実施されることを支援する目的で行うものでございます。

 このため、この改正案におけます助言、勧告規定は、地方公共団体の独自性を否定するようなものではないというふうに認識してございます。

三谷委員 本当にそのとおりだと思うんですよ。

 もちろん、先ほどイギリスの事例をお答えいただきましたけれども、数多くのそういったPFIの事業というものがある中で、日本はまだまだ進んでいない、これをしっかりと進めていきたいというようなことがこの改正の背景にはあるわけです。しかしながら、だからといって、国が、どんどんどんどん自主的に、さまざまな地方公共団体に、PFIをやっていけ、やっていけ、やっていけというようなことをするわけではないということだと今のお答えを聞いて理解をいたしましたので、全くもってそういったおそれはないものだというふうに理解をいたしました。お答えいただきまして、ありがとうございます。

 続きまして、今改正の二点目に移らせていただきます。

 指定管理者制度に係る地方自治体の特例についてでございますけれども、日本再興戦略二〇一六におきましては、例えば、文教施設ですとかクルーズ船向け旅客ターミナル施設ですとか、運営権方式そして指定管理者制度の二重適用が不要となる手法について検討するというふうにされています。

 少しさかのぼって、平成二十八年の八月三十一日、文部科学省の文教施設における公共施設等運営権の導入に関する検討会というところが公表した中間取りまとめでは、これはすごい納得なんですけれども、コンセッション事業の導入が進まない背景として、指定管理者制度との違いといった基礎的な知識、情報が必ずしも十分ではないなどの現状が指摘された上で、先ほど述べた、運営権方式と指定管理者制度との二重適用が不要となる手法について検討が必要であるというふうにされています。

 こういった指摘があっての今改正だと思いますけれども、今改正案ではどのような対応をすることにしたのか、お答えいただきたいと思います。

石崎政府参考人 御指摘いただきましたように、現状でございますが、特定の第三者に目的の範囲内で使用を許可するような、国際会議場ですとかこういう施設におきましては、コンセッション事業を行う際、運営権者は指定管理者の指定もあわせて受ける必要がございます。

 こうした状況を踏まえ、今回、PFI法におきまして公共施設等運営権者に指定管理者と同様の処分権限を付与するように措置し、PFI法上の規定に一本化するという方法も考えられるところでございますが、このためには、現行指定管理者制度に設けられております住民の平等利用ですとか差別的取扱いの禁止、こういったものに関しましてPFI法上でどのように取り扱うか、整理を行う必要が、法律的な問題がございました。

 一方、現実的に、指定管理者制度との併用による実質的な課題は、利用料金設定に関する手続、公共施設等運営権の移転時の手続、この二つに限られてございます。これらはPFI法に指定管理者制度の特例を設けることにより解消できることから、より簡便な解決策といたしまして、指定管理者制度を併用しつつ、指定管理者制度の特例を設けることで対応することと今回させていただいたものでございます。

三谷委員 今のお答えのとおり、非常にそこの狙いというのは明確なわけであります。

 それに関して、これも少し援用させていただきますけれども、先ほど御紹介いたしました立憲民主党さんが本会議場で質問した中で、これに対する批判というのもありました。

 本改正案においては、利用料金の設定における地方公共団体の承認を必要としないこととされ、さらに、一定の場合には、運営権の移転に伴う指定管理者の再指定に関する地方公共団体の議会の議決を事後報告でいいこととされているというふうにして、行政処分権限を持つ指定管理者に対して、地方議会の関与をなくし、その存在を形骸化させることから、本法律案による特例が地方議会を軽視した内容となっていないか、また、指定管理者制度の本来の趣旨から逸脱したものとなっていないかというふうに懸念が示されています。

 全く、当職といいますか私にとっては失当な懸念だというふうに考えておりますけれども、この点についてどのようにお考えになるでしょうか。

石崎政府参考人 今御指摘いただきました議会の議決に関するものに関しましては、運営権の移転の手続の特例に関しての点かというふうに考えてございます。

 しかしながら、今回の改正による規定につきましては、あらかじめ議会で条例に特別の定めを置く、そういう場合のみに行えるものでございます。これは、公共団体の長が民間事業者を指定管理者に指定する基準をあらかじめ条例で定めるということが想定されてございます。

 また、地方公共団体の長が議会に事後報告を行うという規定を今回置かせていただいてございます。これによりまして、議会に対しても条例との整合性が報告されるものであることから、議会の意思は十分に反映される仕組みとなっており、議会の軽視には当たらないというふうに考えてございます。

三谷委員 本当にそのとおりだと思っております。

 やはり、PFI事業というものを進めていく、特に文教施設ですとかそういったものにどんどんどんどん民間の活力を入れていくという中で、もちろん指定管理者といった制度もあるわけでございますけれども、そもそも、その運営権自体というものを民間事業者に委託をする、運営権の委託の対価みたいなものも当然ながら得られるわけでありますけれども、そういったものをもっともっと活用していくためには、指定管理制度というものにおきまして、それを第三者に移転するということに関して、本当に移転できるかわからないみたいなことがあると、なかなか民間事業者からのお金を引っ張ってくるというのは難しいわけでありますから、当然ながら、そういった過剰な制約というものは取り除いていく。ただし、地方議会が事前に、そういったところについてはちゃんと承認をしますよということを言う機会が与えられているわけですから、地方議会の軽視には当たらないというふうに本当に思っております。

 全くこれも、ためにする議論なのかなというふうに正直聞いておりまして、それについてどのようにお考えになるかということも、ぜひまたこの場で、立憲民主党の方にはお越しいただいて質問していただきたいというふうに思うわけであります。

 続きまして、この改正、三点目について質問させていただきます。

 今回、特に水道事業ということでありますけれども、繰上償還をした場合に通常発生する補償金というものを一定の場合に免除しますよというような改正がなされるわけであります。

 通常は、もちろん、地方公共団体が繰上償還をしたいといったところで、一般の金融市場からお金を引っ張ってくるわけですから、そこに、当然ながら、繰上償還をされてしまったとしても、元金とかそれに付随するものぐらいしか渡してくれなかったら、一般の金融市場にお金を返す際の穴があいてしまうということで、補償金が発生するというような中ではありますけれども、今回、特別に補償金を免除しますよということにしてあるわけですけれども、これは想定として、全体としておよそ幾らぐらい補償金を免除するということを想定されておりますでしょうか。

石崎政府参考人 補償金の免除に関しましては、基本的には、これからの状況を踏まえて大分変わるものというふうに考えてございますが、我々は今、公共団体でいろいろ、水道事業、下水道事業で検討いただいているところ、そういうところを見ますと、大体、対象となる額として百億円、免除される補償金の額としては十五億円程度ではないかというふうに考えてございます。

三谷委員 十五億円程度というようなお話であります。もちろん、財源をどこから確保していくかという観点で非常に難しい部分もおありなんだとは思いますけれども、少々インセンティブとしては少な過ぎるんじゃないかというような考えもあるんじゃないかと思います。

 もっと期間を延ばすですとか、対象となるものを広げるとか、そういったことは考えられないのかどうか。インセンティブとして余りにも少な過ぎるんじゃないかという批判もあるわけですけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。

石崎政府参考人 このコンセッションに関しましては、基本的には、各公共団体の事業がそれを達成することにより合理化されるという性格のものだと考えてございます。このため、一般的に行うという性格のものではないというふうに思ってございます。

 しかしながら、現段階で、なかなかモデル的となる事業ができない。実際に一つやってみて、そういう形の効果ですとか問題点とか、そういうのをほかの自治体もわかることによって、より広がるという性格のものでございます。そのため、特に、先駆的な例となります、横展開の呼び水となるような案件、この形成が今現在、政策として求められているというふうに認識してございます。

 この地方債の繰上償還、非常に特例的な措置であるというふうに我々は認識してございますので、特に必要性の高い分野に限って行うという形で、非常に効果が高い部分に限って今回整理をさせていただいたものでございます。

三谷委員 ありがとうございます。非常にわかりやすい回答をいただきました。

 なお、ここに関しましても、先ほどのとおり、本会議場での質問で、立憲民主党さんからの質問に全部なってしまうんですけれども、この点について、補助金などではなく、地方債の繰上償還に要する補償金を免除する措置を講ずることとしていますが、財政安定性、公平性の観点から問題があるのではないでしょうかというような質問もありました。これは、総務大臣の見解をお尋ねしますというふうになっております。

 そこに関しても、自分からちょっとこれは言及させていただきたいと思います。

 本来であれば繰上償還をしたいというようなことがあるわけでありますけれども、補償金があってなかなか繰上償還ができないという一般的な地方自治体の声というものがある中で、補償金というものをさまざまな角度から免除していってあげてほしいなと私などは思っているわけでありますけれども、なかなかどうしてそういうふうなものは、先ほど申し上げたとおり、難しいという前提があるわけです。そういう中で、とりあえずこの事業に関して補償金を免除するというのは、これは大きな前進なんだと思います。

 そういった前進しているということについて批判をするという、これも本当に、ためにする議論になってしまうのかなというふうに思っております。

 そういう意味では、この批判も当たらないというふうに思っていますので、ぜひ、今お話をさせていただきましたこの三点、さまざまな回答があったわけですけれども、きょういらっしゃいませんけれども、また機会があったら更に質問をいただきたいという投げかけだけさせていただきたいと思います。

 それでは、もう少しだけこのPFIについて質問を続けさせていただきます。

 水道、先ほどの話の中でも上下水道という話がありました。中でも水道事業に関しては、いろいろな一般的な批判として、これはもちろん、もうかるところだけが民営化されていくとか、もうかるところを幾つか束ねて広域化されていくというような話にはなる、そういうことは当然ながら進んでいく可能性は高いわけですけれども、ただ、逆に、本当にもうからない、使う人も少なければ、そういった水道管含めて施設も老朽化していくというようなところだけが取り残されていく、このPFIというものが必ずしも抜本的な解決につながらないんじゃないかというような意見もあるわけですけれども、そこについてどういう対応をされていくか、お答えいただきたいと思います。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 民間の技術や経営ノウハウ等を活用できるコンセッション方式を含む官民連携は有効な基盤強化策の一つでございますが、その導入は地方公共団体が地域の実情を踏まえて判断するものでございまして、必ずしも経営条件のよい事業のみについてコンセッション方式が選択されるとは限らないと思っているところでございます。

 現在、水道法改正法案を国会に提出させていただいてございますが、この法案におきましては、都道府県に対して、市町村の区域を超えた広域的な水道事業者等の連携等を進める責務に加えまして、協議会の設置や水道基盤強化計画の作成を法的に位置づけることによりまして、経営状態の悪い水道事業を含めて、当該都道府県内の水道の基盤を強化することとしているところでございます。

 このような取組を通じまして、都道府県が主導して、地域の実情に応じた広域連携や多様な官民連携の推進に加えまして、水道施設の維持、修繕や計画的な更新といった適切な資産管理を促すこと等によりまして、御指摘いただきましたような問題が生じないよう、地域における水道事業全体の基盤強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 それからもう一つ、水道事業に関しては、例えばフランスでは水道事業が再公営化されているというふうに言われておりますけれども、その中で日本が水道事業にPFIを取り入れていくという、その意義について簡潔にお答えいただきたいと思います。

石崎政府参考人 パリ市の関係だと思います。

 パリ市におけます水道事業におきましては、二〇〇九年末のコンセッションの契約終了によりまして、パリ市の一〇〇%出資の公社が運営することになったというふうに承知してございます。

 しかしながら、フランス全体で見ますと、フランス国内で民間と契約された事業のほとんどは民間との契約を再更新するという状況がございます。また、パリ市におきましても、長い歴史の中で運営主体が民間と公共の交代を繰り返している自治体が見られることから、一律に公的主体による運営に戻すことが進行している、そのような状況ではないというふうに認識してございます。

 一方、先ほどもありました、我が国は、厳しい財政状況、人口減少の中で、水道のネットワークを維持していくために最大限の効率化を図ることが必要でございまして、民間の創意工夫、資金を活用することは、その有効な手段の一つというふうに認識してございます。

三谷委員 ありがとうございました。

 以上のさまざまな質問をさせていただきましたけれども、本当にPFI事業をしっかりと進めていかなければいけないと私も考えているわけでございますけれども、大臣のPFI事業推進に向けた御決意をいただきたいと思います。

梶山国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、国、地方ともに財政状況が極めて厳しい中で、公的負担の抑制を図るとともに、持続可能な良好な公共サービスを実現するためには、さまざまな分野で民間の資金や創意工夫を活用することが重要でありまして、このためにも、PPP、PFIの事業の推進を図ることが重要であると考えております。

 PPP、PFIの推進を図るためには、欧州での事例も参考にしつつ、コンセッション事業等のモデル的な事業を着実に案件形成をしていくことに加えまして、多様な事業分野、多様な事業主体における幅広い取組を推進することが必要であります。

 このために今般の改正案を提出させていただいたわけでありますけれども、こういった改正の内容を通じてこのPFI、PPPが選択肢の一つとして選ばれやすいように支援をしていくということでありまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今、大臣からも決意をいただきました。しっかりと取り組んでいただけるということでございますので、頑張っていただきたいと思います。

 今回、PFI法の改正ということで、この考えの中には、民間の活力、民間の資金をしっかりと生かしていくんだというようなことでよりよい社会をつくっていくというそもそもの発想があるわけでございますけれども、その一方で、やはり、民間の力というものを生かしていくということによって、必ずしもいいことばかりではないというような世界もあるわけであります。

 その観点から一つ、PFIそのものとは少し離れますけれども質問させていただきたいのは、国家安全保障に関する観点というものでございます。

 以前、この内閣委員会でも質問させていただきましたが、サプライチェーンリスクというもの、さまざまあるという中でありますが、そういった中で、前回も取り上げさせていただきました中国製の通信機器というものに対して、どう日本政府として、あるいは国家として取り組んでいくのか、そのリスクをどう評価していくのかというのも非常に重要な観点ではないかというふうに考えております。

 ちなみに、まず一点目なんですけれども、その中で、サプライチェーンリスク等々に関してなんですが、四月十六日、本当に先日なんですが、アメリカ商務省は、今後七年間にわたってアメリカの企業が中国企業であるZTE社に対して主要部品を販売することを禁ずる措置を講じたという報道が行われました。

 そもそもこのスタート地点というのは、二〇一七年の三月に、ZTEがアメリカによる対イラン、北朝鮮制裁措置に違反したことを認め、総額約十二億ドルの罰金というものの支払いを合意していたわけですけれども、その合意の内容に一部違反していたことが発覚したことから今回の措置が講じられたと、報道ベースですけれども、あります。

 そもそも、事実関係の確認なんですけれども、何でアメリカという国がZTEという中国企業がイランと取引することについて制裁を科すことができるのか、ちょっとそこの事実関係に関して簡潔に確認させてください。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のございました事案につきましては、中国のZTE社が米国の再輸出規制に違反をいたしましてイラン、北朝鮮に通信機器等を輸出したということでございまして、アメリカの再輸出規制に対する違反ということで、それに対する十二億ドルの制裁金、それから七年間の行政制裁というものが科されたというふうに承知をしております。

三谷委員 済みません、再輸出規制というのはどこからどこへの輸出を規制するということだったのか、もう一度確認させてください。

飯田政府参考人 再輸出規制といいますのは、一般的に、輸出規制は自国から他国に対する輸出に対して規制をしているわけですけれども、アメリカの法制度のもとでは、アメリカから一度部品などがある国に輸出されて、部品等を使った製品も含めましてそれを更に第三国に輸出する場合に規制を課して、米国政府の許可をとるということを義務づけた制度でございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 まさにその再輸出規制というものなんですけれども、今、我が国日本は、北朝鮮との取引というものを規制を、さまざまな形で取引を規制しているというところでございますが、仮に、二つ前提があるわけですけれども、一つは、日本においても北朝鮮に関して再輸出規制をしていればという前提で、さらにもう一つ、ZTE社が販売をするさまざまな部品あるいはソフトウエアの中に日本製品が使われていればなんですけれども、その二つの条件を満たす場合には、日本も同じようにこのZTEに対して制裁を科すということができるのではないかと思いますけれども、この点についてお答えいただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答えをいたします。

 まず、我が国の輸出管理制度におきましては、いわゆるアメリカと同様の再輸出規制という制度はとっておりません。これが一点目でございます。

 二点目につきまして、日本の製品が一旦輸出をされて、そこで何らかの形で製品に組み込まれて、これが再輸出される場合にどうなるのかという御質問でございます。

 今申し上げたこととも関連いたしますけれども、基本的には、一旦輸出をされて、それが具体的にユーザーのところで費消された場合につきましては、仮に何らかの形で組み込まれたものが別のマーケットに輸出されたという場合につきましては、これは日本の輸出規制の対象には基本的にはならないという形で運用させていただいております。

三谷委員 今お答えいただきましたとおり、再輸出規制というものが日本の場合にはないということでございますから、第三国を経由して日本の部品が行くということについては直接規制をすることはできないということなので、そういう意味では、もちろん、例えば、先ほど申し上げた、以前もこの内閣委員会で取り上げさせていただきました中国製の通信機器に関しては、アメリカ以外でも本当にさまざまな各国において規制をしていくということでありますので、日本も何らか、今は米中貿易戦争みたいなものがありますから、そういった文脈で本件を捉えることができる、されてしまうかもしれないですけれども、それだけではなく、ほかの国々でもさまざまな規制というものを行っております。

 特に、政府調達に関しては、前回の委員会でも質問させていただきましたけれども、残念ながら、政府調達に関してもまだまだ日本はおくれをとっているというふうに私自身は感じております。

 さらに、アメリカでは、四月十七日なんですけれども、FCCが開催をいたしましたオープンコミッションミーティングというものにおきまして、本当に一般的なナショナルセキュリティーというものにリスクがある商品を、ナショナルサービスファンド、一部国のお金を使ってですけれども、民間の側での通信事業全般に関して、入れるのはやめた方がいいんじゃないかということで、今さまざまな意見聴取が行われているということであります。

 事態はどんどんどんどん進んでいるということでございますから、しっかりと日本もおくれをとらないように進めていただきたいというふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。これはあくまでも、そういう状況を御報告するということが主眼でございます。

 そして、もう一点だけ、残された時間で質問させていただきたいわけであります。もう一つだけなんですが、最近、会計検査院の指摘等々もありまして、さまざまな批判的な記事があるというクールジャパンに関してだけ質問させてください。

 これも民間のお金をどう利用するかということでありますけれども、この官民ファンドに関しては、それよりもむしろ、民間の事業に公のお金を入れていくときに、その投資の判断が正しかったのかどうなのかというような見地から、さまざまな意見がされているわけであります。

 その中で、例えば、四月十四日、日経新聞では、官民ファンド、赤字が四割みたいな、そういう大々的な記事が出たり、特にクールジャパン機構については四十四億円損失だみたいなことが言われたりですとか、それを受けて四月二十三日の現代ビジネスでもさまざまな批判、これはもう事実に基づかないような批判も散見されたわけですけれども、そういったものがある中で、自分は、このクールジャパンというものそのものは失敗だというふうには思っていないわけです。

 ファンドですから、百発百中で、お金を投資した事業が、全部お金がプラスになって戻ってくるはずがない、それがファンドそもそもの考え方なわけです。そういった前提で、ただ、もちろん、うまくいった事業に関しては、別にそれは万々歳なんですけれども、うまくいかなかった、そういった事業に関しては、しっかりと、何でうまくいかなかったのかということを反省を、見直していただいて、そういったさまざまな分析を踏まえて次の投資判断に生かしていただくというのは、これはぜひとも進めていただきたいというふうに思っているわけです。

 この観点から少し、これはクールジャパン機構ではないんですけれども、産業革新機構が以前投資先として選定をいたしましたANEW、オールニッポン・エンタテインメントワークスへの投資に関して、これは大きな損失が出た事業だというふうにさまざまな方も指摘をしているわけでありますけれども、この事案に関して、これは失敗事案だったのか、そういうふうに認められているのか、若しくは、もしそれが仮に失敗だったとすれば、どこが失敗だったのか、そういった分析をされているか、その内容も含めてお答えいただきたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 オールニッポン・エンタテインメントワークスは、産業革新機構の出資決定によりまして二十三年十月に設立されまして、昨年五月、産業革新機構が同社の株式の売却を決定しております。

 これは、グローバル市場向けのリメーク映画などの共同プロデュースを行う会社であると承知しておりまして、これまでに七つの企画開発を行いまして、そのうち一作品については二十八年十月に共同開発契約というものを締結したという実績がございます。

 こちらに対する評価でございますけれども、経済産業省としては、政策的には意味がある投資だったとは思っております。例えば、権利処理に関するノウハウの蓄積などで一定の成果があった。一方で、著作権の権利処理の整理が想定以上に複雑であったということなどから、投資としてはうまくいかなかったというふうに評価しております。

 こうした投資については、民間ではとりにくいリスクということで、やむを得ない面もございますけれども、リスクをとりつつも成功事例をふやすための指導なども引き続きやっていきたいと考えております。

三谷委員 今、そういった権利処理のノウハウが蓄積できたみたいなお答えをいただきましたけれども、例えば、私がアメリカ留学をしていた際に、一年間籍を置かせていただいたビズメディアという会社の関連会社でビズプロダクションというのがあるんですけれども、そこでは、実際、アメリカのそういったプロデューサーを雇って、それで権利処理をして、そして映画制作にこぎつけているわけです。そういった新たな箱をつくらなくても、もう既に現地でやっている方々がいるわけですよね。なのに、そういった箱をゼロからつくって、ノウハウが蓄積できたからよかったんだみたいなことを言われちゃうと、なかなか応援するのもしづらいわけです。

 大事なことは、本当に今民間で頑張っている方々が多数いるわけですから、そういった方々のノウハウとかにちゃんと目を配って、そこを、今どんな取組がされているかというのをしっかり見ていただいて。

 大事なことはもう一つあるんです。今、全くもってお答えいただかなかったのは残念だったなと思うんですが、投資判断として失敗だったと思って撤退するのが多少おくれたんじゃないかというふうに私は見ています。

 そういったことも含めて、これは、もう時間をオーバーしましたので、自分なりの問題意識を持って、よりよいクールジャパン、僕は、クールジャパンという言葉があれだけ盛り上がったのに今すごく落ちついてしまう、何だ、クールジャパンにお金を突っ込んでももうからないじゃないかみたいなことになるのが嫌なので、よりよいクールジャパンのあり方に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いします。

 以上です。ありがとうございました。

山際委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十四分散会


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