衆議院

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第14号 平成30年5月9日(水曜日)

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平成三十年五月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君

   理事 稲富 修二君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 佳隆君    泉田 裕彦君

      岩田 和親君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      神谷  昇君    亀岡 偉民君

      国光あやの君    小寺 裕雄君

      古賀  篤君    高村 正大君

      杉田 水脈君    鈴木 貴子君

      田畑  毅君    高木  啓君

      津島  淳君    長坂 康正君

      西田 昭二君    穂坂  泰君

      本田 太郎君    松本 文明君

      三浦  靖君    三谷 英弘君

      村井 英樹君    大河原雅子君

      篠原  豪君    森山 浩行君

      山崎  誠君    源馬謙太郎君

      森田 俊和君    遠山 清彦君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      塩川 鉄也君    中川 正春君

      浦野 靖人君    玉城デニー君

      寺田  学君

    …………………………………

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   野田 聖子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (地方創生担当)     梶山 弘志君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     山下 雄平君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  邦彰君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室室長)      石崎 和志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 伊丹  潔君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   山本 哲也君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            武川 恵子君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 篠原 俊博君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 大西 淳也君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   市川 健太君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宇都宮 啓君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         奥田  透君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           首藤 祐司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           榊  真一君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    森岡 泰裕君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 山上 範芳君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     久保田雅晴君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   荻野  徹君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制技監)          櫻田 道夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          山田 知穂君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月七日

 辞任         補欠選任

  柿沢 未途君     白石 洋一君

  寺田  学君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     寺田  学君

同月八日

 辞任         補欠選任

  白石 洋一君     源馬謙太郎君

同月九日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     岩田 和親君

  金子 俊平君     高村 正大君

  亀岡 偉民君     松本 文明君

  武井 俊輔君     本田 太郎君

  浜地 雅一君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     池田 佳隆君

  高村 正大君     国光あやの君

  本田 太郎君     三浦  靖君

  松本 文明君     亀岡 偉民君

  遠山 清彦君     浜地 雅一君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     金子 俊平君

  三浦  靖君     穂坂  泰君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     津島  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     鈴木 貴子君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 貴子君     田畑  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑  毅君     武井 俊輔君

同日

 理事寺田学君同月七日委員辞任につき、その補欠として稲富修二君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

五月八日

 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 この際、委員長から一言申し上げます。

 去る四月十三日及び十八日の委員会の質疑中、自由民主党所属委員から、委員会運営に支障を来すような不規則発言がありました。委員長として、このような不規則発言があったことは遺憾であります。今後、このような不規則発言は厳に慎むよう、委員長から改めてお願いいたします。

     ――――◇―――――

山際委員長 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に稲富修二君を指名いたします。

     ――――◇―――――

山際委員長 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局長合田秀樹君、内閣府大臣官房審議官伊丹潔君、内閣府男女共同参画局長武川恵子君、内閣府政策統括官山本哲也君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、財務省大臣官房長矢野康治君、原子力規制庁次長荻野徹君、原子力規制庁原子力規制技監櫻田道夫君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君、原子力規制庁原子力規制部長山田知穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原雅子でございます。

 昨日から国会が動き出しました。私たち野党も審議の場に戻ってまいりました。しかし、そもそも、この間の国会の空転というのは、議論の大前提であるべきデータやあるいは公文書、こうしたものが隠されたり、改ざんされたり、捏造されたり、間違った議論の方向に行ってしまうような状況の場では議論ができない。

 これは、この国会、与野党問わず、国会に身を置く者として、基本的に民主主義の原則をしっかりと守る、与党の皆様にも御認識をいただき、この間、この内閣委員会でも、与党のみの静ひつな時間、静ひつな質疑の時間があったというふうにお聞きいたしましたが、静ひつさというよりも、その中に、気持ちのこもった国民のためになる議論をどれだけできたのか、政府に対して与党としても、どこに問題があるかということを、もちろん与党ですから、事前の議論はたくさんなさったと思いますが、その中でも、その議論の前提になっていたものが崩れていたわけですから、ここについては鋭敏な感度を持っていただきたいというふうに思います。

 再開いたします、きょうからのこの審議の中でも、政府におかれましても真摯な態度で、そして国民の何より信頼を回復する、この姿勢を持って御答弁をいただきたいというふうに思います。

 公文書の問題含め、今回は、財務事務次官のセクハラ問題という、本当に口にするにも恥ずかしいような問題まであからさまになった、世の中に出てしまっています。でも、このことは隠されないで、そして、セクハラというものがどれだけこの社会の中に根強く残っているのか、また、世代によってはセクハラ問題に対する認識が大変違うというようなことも世の中に知れ渡り、そして多くの女性たちが声を上げている現状があると思います。そのセクハラ隠しのために役所が組織ぐるみで必死になるというような姿を、私たちはもうこれ以上見たくないわけでございます。

 なので、きょうは、セクハラ防止策について、まず質問をさせていただきます。

 事実の確認からいきたいと思いますけれども、財務省の元福田事務次官については、四月十八日に既に辞意を表明され、また、その処分は二十四日に閣議で了承されたという経緯がございますが、ここについては、御本人がセクハラについて認識がない、そして、その被害を受けられた方に対する謝罪もなかったというふうに私は見ております。野党六党で公開でヒアリングをさせていただきましたけれども、その当初の役所の対応というのはすさまじくひどいものだったなというふうに思います。

 そこで、まず、財務省元福田事務次官の処分について、財務省は、結果的にはセクハラがあったと認定をしたというふうに思いますけれども、どういう手順でこの認定をし、そしてまた処分を行ったのか、このことについて、まずお答え願います。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 福田前事務次官は、セクハラについて、自分では認定をしませんでした。そういう事実があってから、これはほかのセクハラ事案とも同じですけれども、事実認定をしなければなりませんので、されたとされる方、そして、したとされる方の双方の事実認識を聴取して、あるいは聞かせていただいて、事実認定を固めて、そして、その上で処分するという手続、デュープロセスに入ります。そのプロセスに十三日の金曜日以降に入りまして、それを進めてまいりました。

 プロセスにつきましては、いろいろ御批判をいただきましたけれども、十九日に、その女性記者さんが所属する株式会社の方からの記者会見及び抗議がありまして、それによって事実認定が進み、その結果として二十七日に処分を行うことができたというプロセスでございます。

大河原委員 今、矢野大臣官房長から御答弁がありましたけれども、当初、財務省の内部で、福田事務次官に対する調査というのも矢野さんがヒアリングをされていたということですよね。

 そして、矢野官房長の、その間、記者の訴えというものについても、名乗り出てほしいというような御発言があったことを御記憶だと思いますけれども、当時のお役目というかお立場というか、そういうこともわかりますけれども、今、この福田事務次官のセクハラ認定をした上で、当時、矢野大臣官房長の御発言は、このセクハラという問題を解決する上で問題があったとは思われないでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 名乗り出ることがそんなに苦痛なことなのかというふうに私が衆議院で別の委員会で答弁をさせていただいたということで、各種テレビでもそれがボードに載せられて、私の顔写真とともに、とんでもないという御批判を多々頂戴いたしました。不徳のいたすところでもあったと思います。

 ただ、私は、名乗り出ることがそんなに苦痛なことなのかとは申しておりませんで、記者会見を一時間半やらせていただいた中でもるる御説明をさせていただきましたけれども、その質問が出た衆議院の別の委員会でも、その場でもお答え申し上げましたけれども、財務省に対してではなくて弁護士さんに対してであり、弁護士さんはもともと法律上守秘義務がある、さらに、そこに匿名で結構ですということがあって、それでも無理ですかということと、さらに、その前段、答弁の前段では、この方は、御友人が、あるいは同僚が週刊誌にこんなことがあったと第三者通報的に言われて記事ができたのではなくて、御自身が録音テープを持ち込んで、かぎ括弧つきでこうだった、ああだったということを訴えられて出ておられるので、御自身がもう訴え出るということをやっておられるわけです。それでも無理ですかということを、その衆議院の別の委員会では御答弁をさせていただいている。

 それが、抜粋というんでしょうか、私にとっては抜粋ではありませんけれども、名乗り出ることがそんなに苦痛なことなのかと、記者会見でもちょっと申しましたけれども、それだけ言ったら私は人でなしだと思いますけれども、私はそんなことは答弁しておりません。

 ただ、それでもなおデリカシーを欠くという御指摘であれば、その部分についてはおわび申し上げますというふうに記者会見でも申し上げました。全くその気持ちに変わりはございません。至らなかったとすれば、おわび申し上げます。

大河原委員 矢野官房長、これまでに、セクハラの研修、受けられたことはございますでしょうか。

矢野政府参考人 ございます。

大河原委員 なかなか、幹部になると、通り一遍のことはもちろん知っているけれども、自分の身に引き寄せて、自分がどういう態度に出ているのか、人からどういうふうに評価、見られるのか、そういうことについてはなかなか知る機会がないんじゃないかと思います。

 今回、官房長が、いろいろなところから批判を受けた、本意ではなかったけれどもとおっしゃるけれども、それが現実なんです。そして、そのことによって、やはり欠けていたものが、被害を受けた人の保護、それを優先するという姿勢がやはり見えなかったと私は思います。

 先ほど福田事務次官の処分について手順を伺いましたが、この処分は、何に基づいて、どういう根拠で二〇%減給六カ月分ということが決まったんでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 処分につきましては、人事院の規則を当然のことながら参照いたしまして、そもそも、セクハラとしての認定がどうなるか、そして認定がされた場合に、量刑としての処分、これは免職から停職、減給、戒告、四通りのグレードがございますけれども、本件については、衆目の一致するところ、減給か戒告、いずれかでございましたけれども、その中の最も重い減給の中でも、更に最も重いものになったと認識しております。

大河原委員 人事院が持っている処分指針、これに基づいてされたわけで、この指針は、二年前ですか、指針に事例がきちんと、標準事例というものが出されています。セクハラというのは大変その中でも典型例ということがありますが、その中で、やはり重い量刑というか処分を下すためのそういう規定も書かれたということがありまして、その点では、二〇%六カ月減給ということ、これをこれから返納するという形で、実際には、辞職されているので現職中の処分ではないんですね。ですから、御本人は、今のところ、そういう意味では、セクハラを認定されたけれども御自身はそれを認めていない形で、処分を無傷で受けたということだと思います。

 そういう事情がやはり、さらに財務省のトップの麻生大臣に、私は、もともと気持ちが、重大事件が起こったという御認識で処分を検討されたのではないんじゃないかというような御発言が続いていまして、五月の七日、マニラの発言、これまでの、財務省もセクハラ撲滅について、この福田問題、そして全省挙げてここに取り組むという、そうした対応を台なしにしてしまう発言なんじゃないかと思って、麻生大臣は一体、このセクハラ認定、きちんと認めていらっしゃるのかどうか、そこは財務省と大臣が一致しているんでしょうか。そこを確認させてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 麻生大臣と事務方との認識が違っているということは一切ございません。

 大臣はかねてから、もう国会でも何度も答弁しておられますけれども、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であって決して許されるものではないと繰り返し答弁をしておられますし、また、四月十九日には、これは中の話ですけれども、私ども局長クラスを全員大臣室に呼んで、その場で、セクハラ、パワハラは決して許されないんだと厳しく言い渡されたのも事実でございます。

 また、大臣の発言がいろいろ切り取った形で報道されておりますけれども、大臣自身、この問題が発覚といいますか表沙汰になって直後にも真っ先に、そもそもセクハラの定義上どうかという議論もあったわけですけれども、事実であればセクハラという意味ではアウトだと、これはもう記者会見で即明言をされましたし、そういうことで、大臣と私どもの認識が違うとか、認定をしていないなどといったことは一切ございません。

 認定をした上で処分をするように、これは大臣の処分でございます。

大河原委員 大臣が最終的にこのセクハラを認定して処分を行ったと。これについて、何か公的に残っている文書とか、そういったものはございますか。

矢野政府参考人 大臣は、会見でも答弁でもそれを述べておられます。きのうの閣議後の記者会見でも、これは公式文書とかいうことではございませんけれども、処分相当ということを、相当などという役人用語を使っておりませんけれども、そう認定して処分をしたんだということをきのうの記者会見で明言しておられます。

大河原委員 処分相当とみずからお使いになっていない、そしてセクハラの認定をして処分をしたとおっしゃるけれども、事実は、先に辞職願が出て、それを認めた上で、それから後に、調査の結果、処分を下すということで、これが現職中であれば、この処分についての事実、経過、何しろ処分を受ける方に何で処分をされたのかということをきちんと伝えていなければおかしいわけですね。でも、今現在、この事態に至っては、そういったものは一切残らない形で幕引きを図っているというふうにしか私には見えません。

 麻生大臣が、言葉上、そして会見などでは、これはセクハラが事実ならばアウトだと最初におっしゃったこと自体は、私は、ああ、いくのかな、大丈夫かなと思いました。でも、数々、そのほかに付随する言葉がそれを全て打ち消してしまうような効果が出ているんですね。そのことを私は、やはり任命権者として、麻生大臣がこの職に更につかれて、局長を集めて綱紀粛正を図る、そうした訓示をなさるということが、とても違和感を覚えています。

 財務省として今一生懸命やっておられること、幹部の研修についてもお考えと伺っていますけれども、これはどうなっているでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 研修につきまして、これも大臣からも、あるいは会見でも申し上げさせていただきましたけれども、今後の再発防止といいますか、再発した場合の対応という意味も含めまして、再発防止につきまして研修を、特に幹部職員を中心にしっかりやっていかなければいけないと思っておりまして、現に、ちょうどきょうですけれども、この後、外部の講師の方をお招きして、総務課長以上、それからセクハラ相談員、その他自主参加者含めて百名近い職員に対して、外部講師の方からの講習をいただく第一回目の研修を行うことにしております。

 今後とも、引き続きしっかり研修を重ねていきたいと思っております。

大河原委員 何より再発防止、そして被害を受けた方の救済、そうしたことが何よりの優先事項だと思いますので、しっかりやっていただきたいことと、先ほどから申し上げましたように、麻生大臣については多々疑問が残っております。なので、これ以降も大臣としてふさわしいのかどうか、私は早期におやめいただくのが適当だと思っておりますけれども、さらに、この件、多くの方々の疑問に応えられる、信頼を取り戻せる、そういう姿勢を見せていただくようにお願いいたします。

 きょうは、前回、四月十八日にこの場で立たせていただきまして、人事院にお尋ねをいたしました。そして、その際に人事院は、各省庁に対しては、研修などさまざまな啓発活動、そしてもちろん処分の基準も持って指針を示しておられますけれども、全体を把握していないということが前回明らかになりまして、ぜひその全体把握、実態調査をしてほしいというふうにお願いをしたんですが、その後、その方向性というのは変わりましたでしょうか。そのときはやるつもりがないというお答えだったんですけれども。

一宮政府特別補佐人 人事院規則一〇―一〇では、各省各庁の長に研修の実施や相談体制等の整備等も求めています。

 委員からは、四月十八日の本委員会において、各府省の相談体制や相談件数等について調査することを御提案いただいたところですが、人事院としても、人事院規則に基づいて、各府省でとられている施策の状況について把握する必要があると考えております。

 人事院としては、セクハラ防止等を徹底するため、各府省における相談体制の整備状況や周知の状況を確認することを含め、防止意識を更に周知するための方策や、委員からの御提案を含め、実効ある相談体制等について検討しているところでございます。

大河原委員 人事院の役目というのは、私は本当に大きいものがあると思っています。そして、人事院がしっかりと全省庁に目配りする、そして各省庁がそれをしっかり受けとめて、庁内の環境をより、女性職員また全ての職員が働きやすい環境に整えていくということが必要だと思います。

 今回のレアケース、非常に地位の高い職員の問題というのは、民間企業でいえば、トップクラスの方たちは非常に厳しくこういう研修を受けたりして個人的なそういう資質を高めているということがあると思うんですが、幹部研修についてはどうお考えでしょうか。

 先ほど矢野官房長は総務課長以上というふうにおっしゃっていますが、地位が高くなれば高くなるほど個別の、しかも、何かあったときに本当にきちんと対応ができる、そういう研修が行われるべきだと思いますが、外部の第三者の機関を使うというようなことも想定されるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

一宮政府特別補佐人 各府省の幹部職員は、本来、高い倫理観や職務遂行能力を持ち、ほかの職員の範となるべき者でございます。事務次官や本府省の局長が関係するセクシュアルハラスメントの事案が発生していることについては、まことに遺憾に思っております。

 人事院といたしましては、幹部職員を含めた全ての職員にセクシュアルハラスメント防止の意識等を徹底させるための方策について検討してまいりたいと考えております。

大河原委員 人事院規則の一〇―一〇のセクハラの項を、やはり、よりわかりやすく、そして中身が厳しく、わかるような形に変えていく、運用を含めてそれをやっていただかなくてはならないというふうに思っております。

 人事院については、なかなか、これまで私たちも、どういうお仕事なのかということについて厳しく問うてこなかった部分があるんじゃないかと思いますが、このことを含めて、一緒に、大きな分水嶺に来ている、男尊女卑、日本の社会風土を変えていく、また、女性、誰もが活躍できるという社会をつくるためには、このことをしっかりと未来に生かさなければならないというふうに思っておりますので、人事院としての御検討をぜひとも進めていただきたいと思います。

 調査について、調査ができ上がった時点で公表されるというふうに思いますけれども、よろしいでしょうか。

一宮政府特別補佐人 そこも含めまして、適切な方法を考えていきたいと思っております。

大河原委員 情報公開が何よりです、信頼を取り戻すには。特に国民は、このセクハラ問題、とてもわかりやすい問題なので、多くの方々が関心を持っています。ですから、ぜひ、調査が行われ、そしてその結果が出たときにはそれをきちんと公表をする、それをお約束いただきたいというふうに思います。

 それでは、当初から私は、この内閣委員会、女性活躍担当大臣として野田聖子大臣がおられることに、昨年の秋から委員会での質疑、対話をさせていただいて、信頼と期待を持ってまいりました。この福田事務次官のセクハラ問題についても、当初から、例えば麻生大臣の御発言については、とても違和感があるんだというふうにおっしゃっていて、それは多くの女性たちがこれまで感じてきた、同じ思いだったというふうに思います。

 野田大臣は、昨日の閣議決定の後の会見で、セクハラとはどういうことなのか、もう少しルールを明確にしないといけない、さまざまな意見をまとめて、今国会中にでもしっかりとお伝えできる場を設けたいというふうに御発言されたと知りました。そしてまた、この連休中には、今回のセクハラ問題に絡んでも、セクハラ問題に関するヒアリングを、現職の女性記者たち、あるいはその他の方たちからじかにお聞きになっているというふうにも伺っております。

 そこで質問させていただきたいんですが、このルールを明確にしないといけないというふうにおっしゃった真意というか、その根拠をいま一度お話しいただけるでしょうか。御認識について。

野田国務大臣 お答えいたします。

 先ほど財務省官房長から調査のあり方について御説明をいただいたんですけれども、私は、最初に感じたことは、被害者の立場ということが欠落しているのかなと。

 ハラスメントというのは何種類かあるわけですけれども、セクシュアルハラスメント、モラルハラスメント、パワーハラスメント、いろいろあるんですけれども、専らセクシュアルハラスメントというのは女性が被害者になるということで、なかなか男性の側は、男性にとって、自分が被害者になったときの想定、どんな思いをするかということが、しっかり研修していれば理解できるんでしょうけれども、にわかに起きると、対応についてちょっと理解が不足しているのかなという思いがありました。

 理屈でも合理的にもきちっとやると言ってくれても、被害を受けた側からすると相手側が信用できないわけですから、相手側にいる人たちから言われても、そもそもそこに信頼関係が成り立っていないという理解をしていただければありがたいなというふうに思っていました。

 事ほどさように、やはりセクシュアルハラスメントというのは、古くは男女雇用機会均等法が成立されたときから、この国の中でしっかり気をつけていかなければならないというふうに言われてきたんだけれども、なかなか、それがメーンではなかったものですから、今日に至るまで曖昧模糊とした形のままで、個別に事案が起きたときにはセクハラだという形の積み重ねがあったと思うんですね。

 とりわけ民間企業というのは、やはり国際社会の中で業務を果たしていかなければならない。例えば、少し前になりますけれども、トヨタで、大変大きな、アメリカでセクハラの訴訟がございました。そういうことを踏まえて、民間企業の方ではかなり、みずからの利益を損ねることにもなりますから、そういう研修が行われていたと思うんですけれども、今回に関しては、やはり公務員においてはそういうケースが、なかなか、みずからそのことで大きな損失をこうむるというような実害というのがなかった経緯もあって、若干おろそかになっていたのかなと思います。

 今、人事院の総裁からお話がありましたけれども、人事院の方で非常にわかりやすいパンフレットが出ているんですね、総務省でも配りましたけれども。そうすると、えっと思っている男性も相当いると思うんですね、具体例を読むと。

 ですから、本来は、もう子供のころからセクシュアルハラスメントの定義、例えば、学校で、一足す一の答えは二と習うわけです。ここにいる皆さんは、一足す一はと言うと、皆さん、二と答えると思うんですが、セクシュアルハラスメントに関してはそういう教育を受けていないので、実際、言葉はわかっている、けれども、何なのかということがわからないまま、そのたびそのたびの積み重ねで来たことが問題だったんじゃないか。

 そういう一番ベーシックなところをしっかり男性もそして女性もともに学ぶことで、萎縮しない社会をつくっていかなければならないと思っています。

大河原委員 先ほどお聞きした、連休中にいろいろな方からお話を伺ったということがあって、それを、報道によれば、記者会見でも、今月中にその取りまとめ、そういうことをしていきたい、そういう場を持とう、発表するというふうにおっしゃっていたと思うんですが、そのことについて、もう少し詳しくお話しいただけるでしょうか。

野田国務大臣 連休中に、今委員御指摘のように、相当数の実態を実名を伴ってお聞きすることができました。これは、今回に関してだけではなくて、相当メディアの世界でも、また公務員の世界でも被害、加害が生じていることが明らかになりました。

 そこで取り組むべきことは、まず予防、そして実際に被害があったときの対応、そして再発防止。これに関しては、一応ヒアリングをこれからも引き続き個別に続けていくとともに、五月中には関係者に、経営者側、又はそういう関係の行政府、そして、いわゆる被害を代弁してくれる人たちとのテーブルを持って、今申し上げた三つの、その目安というのをそれぞれの見識をいただいてつくり上げていき、できれば国会開会中には、これを次のフェーズとして、こういうことが二度と起きないような、今できる限りのことを内閣としても、政府としても御披露させていただければと思っています。

大河原委員 地道に野田大臣が活動していらっしゃるのを本当に心強く思います。

 この連休前の四月二十三日には、永田町、議員会館の中でも、ハッシュタグ・ミー・トゥー、ハッシュタグ・ウイズ・ユー、あなたと一緒に、その被害者を一人にしないということで、女性たちが集まって、大きな集会がございました。本当に女性の怒りが全国的に上がっている。

 昔我慢していたことを、やはり今言うべきなんだという人たちもふえてきています。ですから、今回のこの件に関して御対応を誤ると、やはりそれが再び戻ってしまう、逆向きに潜ってしまう、そういうことになりかねないというふうに思います。

 それで、実は四月二十三日に、内閣府の男女共同参画委員会の女性への暴力に関する専門委員会の辻村会長が御発言になっておりまして、辻村会長は、セクハラは、男女がお互いの尊厳を重んじ対等な関係づくりを進めるための男女共同参画社会の形成を大きく阻害をしている、重大な人権侵害なんだとおっしゃって、この人権侵害をなくすことが女性の真の活躍を論じる場合の基本的な大前提というふうに指摘されました。

 今までの御答弁を伺っていても、野田大臣はこの辻村会長と変わらない御意見をお持ちだというふうに思っておりますが、それでよろしいでしょうか。

野田国務大臣 そのとおりです。

大河原委員 女性が本当に活躍していくために最大の障害になっているのが、このセクハラ問題だということがあります。人権侵害です。女性だけではなく、ジェンダーの問題がありますから、その人その人にセクハラ、パワハラ、さまざまなハラスメントが起こっている事実をやはり受けとめ、なくしていく、こういうことを地道にやらなければ、そして、この機を捉えて一気にその空気をつくり出さなければならないというふうに思っております。

 それにつけても、蒸し返すようで恐縮ですけれども、麻生大臣のセクハラ罪という罪はないんだという御発言で、被害者がますます被害を言い出しにくくなっている状況が生まれてしまうんじゃないかというふうに私は危惧いたします。

 確かに、セクハラ罪という罪名はありません。日本にはセクハラを禁止する規定がどの法律にもないわけで、しかし、セクハラ防止のための対策の中には、セクハラもある程度定義をし、そうして対策を打っているわけですから、このことを更に進めていくということをどのような形でやるかというのが課題になります。

 そこで伺いますが、先ほどから出ております男女雇用機会均等法、できてからもう大分時間がたちます。そして、均等法ができて二十年たって、セクハラ問題がやはりその中にも織り込まれてきたということがあるんですが、セクハラの防止の啓発、相談窓口の設置、それから対応の規定はあるんですけれども、禁止をするという規定がないんですね。

 ですから、ヨーロッパとかアメリカとか、セクハラの禁止の法律がある、フランスもそうですよね。フランスでは刑事罰まであるということなんです。それで、日本でも法整備を進めるべきだと思いますけれども、とりあえず、男女雇用機会均等法の改正等、厚生労働省として考えていることがあるでしょうか。

牧原副大臣 まず大前提として、職場におけるセクシュアルハラスメントは、働く方の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させるものでありまして、あってはならないというふうに考えております。

 しかしながら、男女雇用機会均等法という法律は、民間事業主の雇用管理上の責任を明らかにする性格の法律でありまして、同法において行為者に刑事罰を科すとかいうような形は、その性格にはなじまないと考えているところであります。

 また、一般に、労働法制は、労使の交渉力の違いを踏まえ、立場の弱い労働者を保護する観点から契約自由の原則を修正しているものでありまして、基本的に、法律上の責任主体は事業主とされております。

 このため、労働者間や顧客など労使以外の者との間で問題になり得るセクシュアルハラスメントを禁止し、行為者に刑事罰を科すということは、労働法制という観点からいいますと、基本的な枠組みと異なると考えておりまして、フランスでも、刑事罰については刑法典の方で規定されているというふうに理解をしております。

 どういうことがセクハラについて刑事罰になるかというような議論については、所管外ということになってしまいますので、コメントは差し控えたいと思います。

大河原委員 刑事罰に直結するようなことは確かにできないと思うんです。でも、どのような改正が可能なのか、つまりは、セクハラ防止のために可能な最大限のことを盛り込むというのはできるはずなんですね。

 ですから、相談とか通報がしやすくなるとか、あるいは第三者相談窓口の設置、なかなか企業内でも、相談員の人があの人だとわかっていても言いにくいですよね。だから、第三者、企業の外の人、公務員でいっても先ほどの第三者のところが大事だというふうに思いますけれども、不利益取扱いの禁止というようなことの明示をすることは可能だと思うんですが、副大臣、いかがですか。

牧原副大臣 先生御指摘のように、プライバシーを保護して、そして職場でそういうことが起きないような相談窓口等の設置等は、従来もガイドラインを厚労省としても定めて促しているところでございますが、先生の御指摘も踏まえて、更にどういうことができるかということを検討してまいりたいと思います。

大河原委員 牧原大臣、ちょっと申しわけないんですが、通告していませんけれども、六月にILOの総会で、新しい、暴力やセクハラ防止、予防する、そういった議論がなされることを御存じでしょうか。

牧原副大臣 総会が行われることは存じ上げていますが、今の特定の問題を話し合われるということは、済みません、今の時点では認識をしておりませんでした。

大河原委員 新たなILO条約を各国に示すということが近々あるわけですけれども、そこで、職場での暴力、ハラスメントを認め、解決を図り、是正措置を講ずることを優先すべきだということがこの全体の共有事項になるというふうに聞いております。

 ぜひ、厚生労働省として、このILOの動きにきちんと御対応いただけるように期待をいたします。

 そして、時間がなくなりましたので、最後に野田大臣、なかなか罰則規定を設けることというのが難しそうということがあるんですけれども、議論によっては、検討によってはそういうことも可能なんじゃないか、そういうことも必要なんじゃないかというふうに御発言されていますが、御感想はいかがでしょうか。

野田国務大臣 今回、ずっと自分なりに調査してきてわかったことは、セクシュアルハラスメントに関しては、民間企業では厚生労働省のもとの男女雇用機会均等法、そして公務員においては人事院規則というのがあったわけですけれども、本来ならばその職場外で起きた事案についても対応するはずが、ちょっとすき間事案のようになってしまった。そこはやはりしっかり対応していかなきゃいけない。

 あと、企業においては、今回、被害者が本来ならば企業を通じて対応しなければならなかったことが機能していなかったということも、その構造的な問題、これについてもきちっと明らかにする。今やれるべきことをやっていなかったということが明らかになってきたことに対して、まずはしっかり答えを出してきたいなと思っています。

大河原委員 直ちにそうした罰則をつけるというようなことが可能とは、なかなかやはり私も思えません。でも、やはり研究をして、この機会をきちんと捉えて、これ以降、私たちがこれまで経験をしてきたセクハラ、これを我慢して、もうセクハラなんて乗り越えていきましょうよと一生懸命働いてきた女性たちもいます。でも、やはりいまだにそのことを言い出せない土壌があり、そして、それを今言い出していいんだという人たちがふえてきていることを捉えて、ぜひ、女性活躍と銘打ったわけですから、看板倒れにならない、そういう日本社会をつくりたいというふうに思います。

 野田大臣からも、大河原とも一緒にやっていこうというふうに一番最初に言っていただいたので、御信頼を継続して、今後とも対話をさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、中川正春君。

中川委員 おはようございます。中川正春です。

 引き続き質疑をしていきたいというふうに思います。

 実は、ちょっと冒頭、事前の通告をしていなくて恐縮なんですけれども、野田大臣。

 麻生大臣が、また世間を騒がせながら、いろいろな発言をしています。

 一つは森友の関係で、文書改ざんについては、どの組織でもあり得る話で個人の問題というような御指摘、あるいは、組織全体でそういったことが日常茶飯事で行われていることはない、これは個人の資質によるものだと。これは責任逃れというか、今回の文書改ざんが個人でやられたということで片づけられては、私たち、国民から客観的にこの話を見て、何ということを言い始めるんだと、今そういう気持ちで受けとめられているんだろうというふうに思います。

 それから、もう一つはセクハラなんですが、セクハラ罪という罪はない、こういう発言ですが、こういうことを受けとめて、同じ閣僚としてこれをどのように評価をされているか。野田大臣としては麻生大臣に何を言うべきなのかという観点から、まず発言をいただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 まず、麻生大臣の発言については、直接私が聞いたことではございませんので、コメントは差し控えたいと思います。

 改ざん等につきましては、私自身もそんなに強い人間でありません。やはりそれを踏まえて、私たち国会議員も、そして公務員も守らなければならないのは、文書に対して誠実であることが、初めて国民の信頼が成り立つということで、そういう矜持を持つという、当たり前のことですけれども、それで私たちは成り立ってきたんだと思います。

 さはさりながら、そこでもまだこぼれる部分があるとするならば、ルールの厳格化、又は、そうならないような、私は電子決裁を強くお勧めしているんですけれども、そういうことで、何人たりともそういうことができないような環境整備というのも大事だと思っております。

 あと、セクハラにつきましては、これはもう概念というか、言葉のとり方だと思うんですけれども、先ほど申し上げたように、学び方がさまざまで、私たち女性、とりわけこういう仕事をしている人間はいろいろ詳しく存じ上げていますけれども、なかなか被害者になり得ない多くの男性にとっては、親しみがないという言い方も変ですけれども、わかりづらい話ではなかろうかと思います。

 ただ、大臣がおっしゃっていることは、確かに今回の福田次官のケースに関しては、言葉によるものであって、それに関しては明確に刑事罰がないことは事実でありまして、そこで、今、大河原委員がおっしゃったように、そういうことをやるべきではないかという意見が出てきたのではないか、そういうふうに受けとめているところでございます。

中川委員 この言葉を見る限り、居直りのような形で受けとめられて当然だというふうに思うんです。

 それをしっかり踏まえて、同じ閣僚の中にこうした発想をする、あるいはこうした受けとめ方をする大臣がいるんだということ、担当大臣として、ひとつ責任を持って正していただきたいというふうに思っています。

野田国務大臣 了解いたしました。

 きのうの本会議の後も、しっかり、麻生大臣には、このことについて担当大臣として取り組ませていただくというふうには直接申し上げました。

中川委員 人事院の方に聞いていきたいと思うんですが、過去にハラスメントで懲戒処分を受けた例というのがどれぐらいのものに今なってきているのか。特に、年間を通じてどういう傾向にあるのかということ。

 その中でも、職場の内と外というのがあるんだと思うんですね。あるいは勤務時間内外、あるいは職位とかハラスメントの内容とか、それを類型別に分析した形のものがあるのであれば、それを前提にして、これまでどういう状況になっているのかというのをまず説明をしていただきたいと思います。

合田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年におきます懲戒処分のうち、セクシュアルハラスメントを理由として処分を行ったものは二十七件ございます。このところ、二十件前後ということでございます。

 平成二十九年の二十七件の懲戒処分のうち、職場内の人に対して行ったものが二十四件、それから職場外の人に対して行ったものが三件というところでございます。

 懲戒処分を受けた者が指定職相当の幹部職員であった、そういう懲戒処分は、二十九年はございません。

中川委員 今回の事案というのは、職場内で、例えば上司関係であるとか職場の同僚であるとかというような、そういう中で起こったということではなくて、外部の人たちが、役所、それこそ権力を持った役所の者に対して、パワハラとあわせた形でセクハラというふうなことで構造が成り立っているというふうに思うんですね。こういうことというのは、恐らく、数字であらわれてきたさっきの形だけではなくて、相当、それぞれ職場の中で見られることなんだろう。

 我々も、役所に対して、地域なりあるいは地方自治体の職員なり、さまざまな形で、陳情とかあるいはお願いとかということで行きますよね。そうするとやはり、横から見ていて、あれは国の職員によるパワハラなんじゃないかというふうな言動というのはよく目にします、あるいは耳にします。

 村とか特に町の職員が、私にこんなことを言ったことがあります。国の役人が例えば現場の視察に来たときというのは、我々あるいは住民の皆さんも、国の方が来ていただいたと。お方様になるんですよね。県の職員が来たときには、県の人が来てくれたということになる。ちょっと自虐的なんだけれども、私たち役場の職員が来たのが住民にとってどう言われるかというのは、役場のやつが来たと。

 そんなような形で、住民の意識の中にも国の権力というのはこれだけ大きくあるということ、これを自覚をしながら国の職員というのは外に対して対応しなきゃいけないんだろう。これは私たち国会議員もまさにそういうことだろうと思うんです。

 そういう話と今回のセクハラが非常にいわゆる作用して今のような形になっているのではないかということ、これを踏まえて考えていった場合に、例えば、今回のテレ朝の事例の場合に、訴える場所ですね、こういうことが起こっているというのを訴える場所というのは、今の状況であればどういうところになるんですか。

山際委員長 合田職員福祉局長、時間を過ぎておりますので、簡明にお願いします。

合田政府参考人 お答えいたします。

 セクシュアルハラスメントにつきまして、人事院規則一〇―一〇では、職員がセクシュアルハラスメントを受けた場合に相談するということは、体制の整備等を各省各庁について行っているというところでございますが、委員今御指摘の、職員以外の方が職員から被害を受けた場合等につきましては、それぞれの省庁の人事等を担当している部局などに申し出る、又は受けている側の事業主に対して申し出る、そういった形が考えられるというふうに考えるところでございます。

中川委員 済みません、ちょっと時間の読み違いをしていました。

 野田大臣、ここをひとつ工夫してもらいたいと思うんですよね。職場の中は人事課なり人事局という窓口があるんですが、外からの場合に、この窓口へ到達できない。やはり第三者機関的な窓口というのを、国民がはっきりわかる形で設置をして、それに対してさまざまな、特にパワハラ、それからセクハラも含めて、役所の場合は準備をすべきだというふうに思います。

 以上、お話をさせていただいて、終わります。

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 財務省のセクシュアルハラスメント問題について質問をいたします。

 最初に財務省にお尋ねしますが、福田財務事務次官のセクハラ問題について、財務省としてはどのように認識をしているのか、この点についてまず伺います。

矢野政府参考人 お答えを申し上げます。

 この問題につきましては、麻生大臣がかねてから、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であって決して許されるものではないと、会見でも当初から述べておられますし、また、内にあっては、局長以上を集めて、セクハラ、パワハラは決して許されないんだと厳しく申し渡されてというふうに、内外に宣誓をされて、ただ、事実認識が双方で食い違ったものですから、そしてまた、被害者とされる方の認識をお聞きすることができなかったということがありましたので、事実認定のデュープロセスに入るということが必要となって、いろいろそのプロセスについての御批判をいただいたりいたしましたけれども、最終的には確認をさせていただくことが辛うじてできましたので、その認定をさせていただき、処分を最も厳しいところにさせていただいたということでございます。

 世の中をお騒がせして、大変申しわけなかったと思っております。

塩川委員 財務省としては、福田氏からテレビ朝日の女性社員に対するセクハラ行為があったとの判断に至ったということでよろしいですね。

矢野政府参考人 セクハラの定義についていろいろございますけれども、私どもは、そこはもう大臣が、これが事実であれば完全にアウトだというところからスタートして、音声云々といったことも全部すっ飛ばして、それが事実であるかを調査したわけですけれども、結果的には、御指摘のとおり、セクハラがあったという事実認定をして、判断をして処分をしたということです。

塩川委員 セクハラ行為という重大な人権侵害が行われたという認識は、財務省としては当然持っているということでよろしいですか。

矢野政府参考人 先ほど御答弁させていただきましたとおり、大臣はかねてから、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であって決して許されるものではない、こういうことを答弁でも何度も述べておられますので、私ども、そういう認識でおります。

塩川委員 セクハラ行為という重大な人権侵害があったということを認めるものであり、加害者である福田氏は、事実を認めて謝罪をすべきであります。

 このセクシュアルハラスメントは、その地位を利用し、性的な言動を通じて相手を性的な物扱いするものであり、権力の濫用であります。性的な物扱いをされた女性は、立場が弱いために告発しにくいという二重の困難を強いられるものとなります。だからこそ、職場の監督者、組織の長の責任は極めて重大であります。財務省の事務方トップがセクハラ問題を起こしたということは、財務省という組織のあり方そのものが問われる問題であります。その点で、財務省の長である麻生財務大臣の発言は看過できません。

 菅官房長官、野田大臣にお尋ねをいたします。

 資料でお配りしたんですけれども、東京新聞の四月二十九日付で、顔写真があるところですけれども、麻生財務大臣の発言ということで、吹き出しの形で紹介されています。

 一番上を飛ばして、二つ目からですけれども、被害を受けた本人が申し出てこなければどうしようもないとか、加害者と言われている福田の人権はなしってわけですかとか、答え、セクハラ認定がまだ出ている段階ではないので女性に何も言うことはないとか、福田氏が女性にはめられて訴えているのではないかという意見もある。さらには、矢野官房長、写真が出ていますけれども、四月二十七日の午後には記者会見もしているわけですが、その日の午前中では、麻生大臣は、セクハラ行為は断定できないという言い方もしていたということであります。

 お二方にお尋ねしますけれども、こういったように、麻生大臣は、これ以外にも、男の番にかえればいい、男の番記者にかえればよいとか、セクハラ罪という罪はないなどという発言を重ねております。麻生大臣が、このような人権尊重と相入れない発言を繰り返していることについて、菅長官、野田大臣の率直な感想をまずお聞きしたいと思います。

菅国務大臣 まず、御指摘のような麻生大臣の一連の発言については、御本人から必要に応じて説明がなされるものだと思いますけれども、麻生大臣はかねてから、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であり決して許されるものではないと発言をされていることも承知をしています。

 また、福田事務次官のセクハラ問題についても、任命権者である麻生財務大臣が、当初から、報道が事実であれば、セクハラという意味ではアウトだ、こう明言した上で、そうした認識に立って調査の指揮をとって、その結果を踏まえて、四月二十七日に減給相当の処分を行ったものであるというふうに承知をしております。

 いずれにしろ、財務省の事務方トップである事務次官がこのような問題を起こしたということは甚だ遺憾であります。今後、政府に対する国民の信頼が得られるよう、国家公務員が改めてみずからの職務を認識し、一層の緊張感を持って職務を遂行することができるように徹底してまいりたい、このように考えております。

野田国務大臣 お答えいたします。

 麻生大臣の発言の真意については、御本人に確認していただければと思っています。

 何度も何度も申し上げていますけれども、しかしながら、セクハラというのは人権侵害でありまして、これは女性のといいますけれども、いろいろ調査をさせていただくと、男性もセクハラの被害者であることもあります。そういった意味では、これから女性の活躍ということで、安倍内閣が多くの女性たちとともに社会の中で活躍できるような土壌をつくるということは、更に多くの女性たちが、男性が占有していたと思われる職場でともにパートナーとして働く機会がふえていくわけですね。つまり、このまま放置しておくと、やはりその案件数はふえていくということが明らかだと思います。

 そういった意味では、今回、福田次官の案件については非常に遺憾でありますし、これからこういうことが決して起きないように、今回不備であったところを全部精査して、次のフェーズにつながっていくように取り組んでいきたいと思っています。

塩川委員 福田氏の問題は問題として問われるわけですけれども、麻生大臣の問題に今なっているということが問われているわけで、本人に確認してほしいというにとどまらない問題だということであります。

 財務省にお尋ねしますけれども、麻生大臣は、先ほど言ったように、男の番にかえればいいとかという発言をしているということについて、四月二十日の逢坂議員提出の質問主意書を見ますと、「「次官の番をみんな男にすれば解決する話なんだよ」という発言は、福田財務事務次官の取材担当記者を男性のみにすべきであるとの主張であり、日本国憲法第十四条に反するのではないか。」という問いに対して、政府はどのように答弁書で述べておりますか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 先月二十七日に閣議決定された政府の答弁書では、「お尋ねについては、妥当なことであるとは考えていない。」というふうに答弁をしております。麻生大臣も、記者会見において、そのことを追認しておられます。

塩川委員 ですから、政府への質問主意書、答弁書でも、このような、男の番記者にかえればいい、次官の番をみんな男にすれば解決する話なんだということは、妥当なことであるとは考えていないという答弁書になっているわけですよね。

 ですから、そういう点でも、麻生大臣がこういったセクハラの問題について、重大な人権侵害だという認識が欠落しているんじゃないか。この点について、もう一回、官房長官と野田大臣、それぞれ答えてもらえますか。

矢野政府参考人 麻生大臣につきましては、先ほども御答弁させていただきましたけれども、かねてより、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であって決して許されるものではないと、繰り返し答弁をしておられます。省内におきましても、局長クラスを集めて、セクハラ、パワハラは決して許されないんだと、厳しく、全員起立させて申し渡されたところでございます。

 けさのテレビなんかでも、セクハラ罪云々という言葉につきまして、それを総括して、人権侵害ではないというのはとんでもないという報道などがされておりますけれども、大臣は、セクハラはしてもいいという趣旨では言っておられませんので、それは罪刑法定主義について言っておられるのであって、セクハラについての問題意識は極めてきついということは申し上げさせていただきたいと存じます。

塩川委員 いや、そんな、大臣の言葉が宙に浮いたような説明を受けても、全く納得できませんよ。

 このような答弁書に踏まえてあるように、男の番記者にかえればいいということについて、妥当なことであるとは考えていないと。これは、男女共同参画社会の形成との関係でもこういうことが認められないという趣旨での答弁書になっているわけですよね。

 そのことについて、率直に、麻生大臣の一連の発言というのが重大な人権侵害だという、セクハラについての認識が欠落しているんじゃないかと率直に問われていると思うので、改めてお答えください。

菅国務大臣 まさに答弁書で答えているとおりであります。

 それと同時に、実は、この報道があった当初に、大臣が最初に言ったのは、セクハラという意味で、事実であればそこはアウトだ、ここは明確に大臣は言っています。私も、報道を見まして非常に厳しいと思ったものですから、大臣にそこは確認をいたしております。

 また、今、政府委員から話がありましたけれども、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為で決して許される話ではない、そういうことも麻生大臣は言っておりますし、また、この処分の際の麻生大臣の発言として、福田前次官から特段の反論又は反証がない限り、テレビ朝日で明らかにしておられる内容を前提にして事実認定を行うこととさせていただいて、セクハラの行為があったということで処分を行った、こうしたことも麻生総理は言っていることも事実でありますので、そうしたこともぜひ御理解をいただければと思います。

野田国務大臣 麻生大臣の発言について、主意書で妥当ではないということでありますから、妥当ではないと。

 とにかく、この問題については、私は女性活躍の担当大臣ですから、私自身が責任を持って、こういう大臣職にあっても、十二分にセクハラの御理解が行き届いていなかったなとするならば、そういうところも踏まえて、しっかりと、先ほど申し上げたような予防、対応、そして再発防止について、しっかりと、皆さんが惑うことなくコンセンサスが得られるよう取り組んでいきたいと思っています。

塩川委員 私は、問われているのは、麻生大臣が本当に福田氏のセクハラ行為を事実と認定をしているのかどうかというところ、そこに疑念があるという問題なんですよ。

 ですから、処分をしたという財務省の、二十七日の午前中に麻生大臣は、セクハラ行為は断定できないと述べていた。また、五月四日の、役所に対して品位を傷つけたとか、いろいろな表現があるだろうが、そういった意味で処分したと述べているということで、役所に迷惑をかけたから処分したのであって、セクハラ行為で処分したと認めていないと受け取れるような、そういう発言もしているわけですよね。その点がまさに問われているんじゃないでしょうか。

 私、そういう点でも、こういった事実認定そのものに、認めているのかどうかはっきり伺うことができないような発言を繰り返すこと自身が、二次被害を生むような問題になっているということなんです。

 野田大臣にお尋ねしますけれども、こういったセクハラ行為を認めないような、セクハラの被害者を批判するような発言というのは、二次、三次の被害を生じることになるんじゃないですか。

野田国務大臣 まず、私は、冒頭、調査について疑義を唱えました。その後、財務省の方でも、そのことを受けとめていただいて、後、調査の結果を出されました。その結果がセクハラと認定されて、セクハラであるということで、そういうペナルティーが発表されたわけです。

 これは、財務省というよりも、財務大臣のもとの財務省が調査をした結果だと、私自身は受けとめているところです。

塩川委員 相手を不快にさせる性的な言動を行えば、セクハラ行為に当たります。

 こういった発言を繰り返す麻生大臣というのは、福田氏のセクハラ行為を本当に認めているのか、このことがまさに問われているわけで、麻生大臣・副総理は、財務省の長として、閣僚として不適格だと言わざるを得ない。

 麻生大臣は謝罪をして、財務大臣を辞任すべきだ、その麻生氏を適材適所と言って擁護してきた安倍総理の任命責任が厳しく問われるということを申し上げて、質問を終わります。

山際委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、一般質疑、セクハラに関する集中ということで質疑をさせていただきます。

 我々のいる政治の世界というのは、古くから男の世界だというふうによく言われ続けてきました。今国会で、野田大臣もかかわってこられた、そして、先ほど質問された中川代議士も会長として進めてきた政治分野における男女共同参画の法案が今国会で成立を見ました。それはすばらしいことですし、この政治の世界で活躍をされている女性議員には、本当に敬意を表したいと思っております。

 今回、セクハラということで、やはり我々国会議員もみずから戒めていかなければならないという出来事がたくさんこれまでもありました。国会も、さまざまなセクハラ問題に今まで直面してきたわけですね。

 そこで、今まで国会議員が起こしてきたセクハラを振り返っていきたいと思うんですけれども、十五年前の二〇〇三年とか、最近では、衆議院選挙が終わった直後、選挙の興奮冷めやらない二〇一七年にもありました。それを一つ一つ大臣に、こういうことはセクハラに当たるのかとか、そういうことを聞いていこうと思ったんですが、大臣という立場で、なかなか、それ一つ一つに的確に、それがセクハラに当たるか当たらないかという答弁は、なかなか一般的な話としても難しいだろうということで、近年、一四年、一五年、一六年、一七年に、毎年、実は大きく国会議員のセクハラ問題が報道されてきました。そのことについて、時間も十五分ですので、話していきたいと思います。

 二〇一四年、これは、女性秘書に対してキスを迫ったり、ホテルに誘うという国会議員の方の疑惑が報道されました。これは、その代議士のセクハラの実態を後援会長みずからが指示してまとめさせた内部文書から発覚をした、これは週刊誌の記事ですけれども。それによると、結構、なかなか、この当時は、安倍チルドレン最凶のチャラ男とか、そういうふうな批判を誌面でされておりました。安倍チルドレンということで、これは自民党の代議士ですね。

 二〇一五年、これは、支持者の女性にキスを迫る。これは非常にひどい話でしたけれども、タクシーの中でみずからズボンのチャックを引き下げて、女性の顔を強引に引き寄せたりとか、これも、詳細な被害女性の証言をもとにこういう記事が書かれております。これも、明らかに国会議員という立場を利用したセクハラに当たると私は思っています。

 当時、当該の代議士も謝罪をされております。具体的なことは認めてはいらっしゃらないようですけれども、被害女性がどう思われたかが大事なのであって、今までのセクハラの指摘でもそうですけれども、相手がどう思ったかということが重要なのであって、そこは非常に詳細に週刊誌の中でも取り上げられております。

 その方も、週刊誌の取材を受けて、誤解があったとか、覚えていないとか、それは合意があったとか、そういうことをいろいろおっしゃっておりますけれども、女性の方は、そうではないということでインタビューにも答えられております。

 その次が二〇一六年。これはホテルへの連れ込み未遂ですね。

 これは実は先ほどの二〇一五年の方と同じ方なんですけれども、このときも、さっきとは違う女性ですけれども、店の中で抱きついたり、自分のズボンを脱ぎ始めたり、そういうことを、店の中ですよ、飲食店の中でされた、こういうことを被害女性が訴えていらっしゃるんですね。

 この方は、どうしても、相手が国会議員だということでなかなか断りにくいということで、その後もお会いをした。そのとき、食事をした後ですかね、ラブホテルの前で突然強引に引き込まれそうになって、女性はもちろんその直前で手を振りほどいて断ったわけですけれども、このときも週刊誌に直撃されております。その現場を直撃されているわけですね。そのときのこの方の言いわけも非常に、女性からすれば虫ずが走るような言いわけだと思います。

 こういった、セクハラ疑惑じゃないですね、これはもう完全にセクハラだと思っていますけれども、こういうことを引き起こしている国会議員がいてるわけですね。

 そして二〇一七年。これはどういった案件かというと、これも女性秘書に対するセクハラですね。

 これは、非常に詳細に、被害女性がメモをしっかりとってあって、それが全て、ネットで検索したら、これは全部出てきますから、幾らでも見られますけれども、そこにかなり詳細に書かれてあります。読んだら、非常に、ちょっとぞっとするような内容です。その代議士が自分の方に向かってはいはいをして歩いてきたりとか、ちょっと考えられへんようなことをされている。

 これは本当かどうか。それは、被害女性が、これは本当に行われたことだということでメモまでちゃんと残して訴えておられることですので、本当のことなんだろうと思います。こういったことを国会議員が繰り返し行っているわけです。

 我々も、やはりさまざまな問題を国会で追及していく中で、その中でまず自分たちがしっかりとそういったことを身を処してやっていっているんだということをしないと、追及するだけして自分たちはほったらかしかというふうに思われる、それは非常にまずいと思うんですね。

 二〇一七年の女性秘書に対するセクハラの方も、この人も、週刊誌の取材に、してないと思いますけどね、逆にしたという証拠があるんですか、女性の一方的な言い分だと思うんです、全部が全部、彼女の話が本当だと思われると間違いだと思うし、名誉毀損になる、彼女は人をはめる人、あのね、うそをつく人の特徴は、一部は事実なの、でも、その事実を膨らませるわけよ、こういう批判をされているわけですね。こういうことを平気で言っている人が国会議員に、今、現職でいらっしゃるわけですよね。

 私は、やはりこういった言いわけも見苦しいし、セクハラという言葉に対して国会議員がどういうことを今まで繰り返してきたかというのは、非常に問題になると思うんです。

 この一連のことを受けて、今お話しさせていただいた内容で、非常にお話ししにくいかもしれませんけれども、担当大臣として感想をお聞かせいただけたらと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 内閣府は個別の事案について事実認定をする立場にありませんので、個別にお答えすることは控えますが、この場でたびたび申し上げているように、一般論として、きょう議題にしていただいたセクハラというのは人権侵害であり、そして、このセクシュアルハラスメントというのは、繰り返し申し上げますけれども、立場が上の人がその力を利用して下の人に対して性的な嫌がらせを行うことであります。多くの被害者が女性であるということです。

 私たち国会議員は、そうではあってはならないと思うんですけれども、やはりこの国においては権力者であります。それを受けとめる側が威圧を感じるとするならば、そして、国会議員の言うことを聞かなければ何か嫌な目に遭うかもしれない、怖いことになるかもしれないという空気があるとするならば、それを前提として、私たちも、そういうふうに思われないように行動をしなければならないと思います。

 これはもう、お一人お一人の矜持にかかわる問題です。皆さん御存じで、言うのも失礼かと思いますけれども、先ほど人事院総裁がおっしゃっていたように、資料があるんですね。セクシュアルハラスメントとはという一枚紙なので、読んでいただければすぐわかることなんですが、不快であるか否かは、基本的には受け手が不快に感じるか否かによって判断しますと、まずはあります。そこがやはり肝の部分だと思いますし、発言についても、今相当不快な話が続きましたけれども、それ以前の、例えばお坊ちゃん、お嬢ちゃん、おじさん、おばさんなどと人格を認めないような呼び方をする、これ自体も、人事院によればセクシュアルハラスメントの中に入るということになっています。

 もう一回、やはり私たちも基本に戻って、こういうものをもう一度それぞれの政党がしっかり読み込んでいただいて、二度とこういうことを起こしていただきたくない。人が悪いのであって、自分たちも加害者、被害者、双方になり得るということをやはり自覚するべきだと私は思います。

浦野委員 この問題に関しては、先ほどの立憲民主の方もおっしゃっていましたけれども、多くの方々が関心を持っている問題ですので、ぜひ、我々国会議員みずからがまずはしっかりと襟を正さないといけないというふうに思っております。

 残念ながら、この一四年、一五年、一六年、一七年の問題を起こした後、その党の責任者、代表になるのか総裁になるのかですけれども、その方々は誰一人、所属議員のそういった行為に対して責任をとって辞職もされていないということなんですね。麻生大臣に辞職を求めている割には、自分たちの監督責任者の代表とかがそういったことをしていないというのも私はどうかと思います。

 二〇〇三年にセクハラ問題を起こした野党議員、この方は女性党員に対するセクハラだったんですね。この方はその指摘をほぼ一〇〇%お認めになって、潔く辞職をされました。私は、これが議員のとるべき道だというふうに思っております。そこはやはりなかなか厳しい、さすがだなと思わせるような、党の処分ももちろんしっかりと、全てお認めになって受けました。そして辞職をされました。

 私は、やはりそういった自分の身を処すことも必要だと思いますし、これからセクハラ問題を国会で追及するに当たって、まずはやはり追及する側の我々も、そういったことが国会議員によって行われてきたという事実をしっかりと認識して、この問題に取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 きょうは、午前のこの時間、内閣の重要政策に関する件、特にセクハラ問題に関する集中的な質疑ということで立たせていただいています。

 きょうは、ずっと各委員からも、この間の、特に麻生財務大臣のさまざまなコメントが非常に波紋を広げている。それが前財務事務次官の不可解なといいますか、本人がお認めにならずに、これ以上仕事ができないからやめざるを得ないんだというふうな発言と、そして御本人はセクハラだとは思っていないということを言い残し、それがそのまま形として残ったままになっておりますが、国民的な感覚からすると、やはりそうせざるを得なかった、セクハラ行為を受けた方の立場というものについて、非常にまだまだ認識としては、財務大臣・副総理の認識が及んでいないというか、軽いのではないかなというふうに思います。

 一般企業はどうだろうかということを考えると、厚生労働省の都道府県労働局雇用均等室が「事業主の皆さん 職場のセクシュアルハラスメント対策はあなたの義務です!!」ということで、その対策に関する、本当に細かく、こういうことをしたらだめですよというふうなことを規定してあるガイドラインがあるんですね。

 この均等法におけるセクシュアルハラスメント対策の規定は、「職場におけるセクシュアルハラスメントは、いったん発生すると、被害者に加え行為者も退職に至る場合があるなど双方にとって取り返しのつかない損失となることが少なくありません。被害者は事後に裁判に訴えることを躊躇せざるを得ない場合もあり、未然の防止対策が特に重要です。 また、近年、女性労働者に対するセクシュアルハラスメントに加え、男性労働者に対するセクシュアルハラスメントや同性に対するセクシュアルハラスメントの事案も見られるようになってきました。」ということで、非常に、個人のもちろん尊厳もそうですが、会社としての存在意義、あるいはそこで働いている方々の働く意識のさまざまな面に、このセクシュアルハラスメントの影響は大なるものがある、大きいということを、ここで、まずその規定で置いております。

 三点ほど、厚生労働副大臣にお伺いいたします。

 この男女雇用機会均等法のセクハラ対策に関する対策規定の意義について、いま一度確認をさせていただきたいと思います。

牧原副大臣 セクシュアルハラスメントが発生する企業は、女性の役割に対する誤った認識や、男女間のコミュニケーションの不足、さらには企業の女性活用方針の未確立等、職場環境ないし雇用管理上の問題を抱えていることが多いのが実情です。

 そのため、原因となる雇用管理上の問題を解消することが根本的な解決につながるということから、男女雇用機会均等法においては、必要な雇用管理上の措置を講ずることを事業主に義務づけている次第でございます。

玉城委員 ハラスメントという言葉は、もっと簡単に言うと嫌がらせです。ですから、性的な嫌がらせ、職場の地位による嫌がらせ、言葉による嫌がらせ、さまざまな嫌がらせがあります。これはある意味でいうと子供の世界のいじめにもつながるところでありますから、何がいじめになり、何が嫌がらせになるのかということは、やはり受けた当事者でないと、なかなかその敏感な部分は感じ取れないと思います。行われる場所がどこであれ、それが嫌がらせであれば、その行われたこと自体が非常に重いと思います。

 先ほど紹介しました雇用均等室が出したこの例示集の中に、職場とはというのがあるんですが、事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば職場であると。つまり、それは、ただ屋内の机の置かれている場所だけに限らないということも明確に書かれています。

 例えば、業務で使用する車中、これは出張先と言われています。それから取材先、それから顧客の自宅、取引先と打合せをするための飲食店、接待の席も含むと書いてあります。ですから、どのような場所であっても、行為が行われたら、そこは場所には関係がないというふうになっております。

 これは、一般企業が指定しているこの職場ということと公務労働の皆さんが仕事をしていらっしゃる職場というのは、どこに違いがあるんでしょうか。副大臣、お伺いいたします。

牧原副大臣 男女雇用機会均等法における職場については、今委員御指摘のとおりでございまして、当該労働者が通常就業している場所以外の場所であったとしても、当該労働者が業務を遂行する場所については職場に含まれるということでございます。

 人事院の場合には、その規則一〇―一〇の「セクシュアル・ハラスメントの防止等」において、職場とは、同規則運用通知第二条関係の二において、「職員が職務に従事する場所をいい、当該職員が通常勤務している場所以外の場所も含まれる。」というふうに規定をされております。

 この解釈については、済みません、所管外ではありますけれども、規定ぶりについては似ているような感じになっているということでございます。

玉城委員 働く者にとっては、働いているという観念がある以上、そこがやはり職場であるということですから、そこが非常に重要なポイントになる。つまり、監督責任、責任の所在というものも同時にそこに明確に置かれていると思います。

 それから、先ほど紹介しております資料の中には、自主点検という項目があります。あなたの会社のセクシュアルハラスメント対策は万全ですかということがあるんですが、これは、公務員でありますと人事院の方でその規定があると思いますが、この自主点検の実施に関する、例えば実際行われているかどうかという把握については、どのように把握していらっしゃいますでしょうか。

牧原副大臣 このセクハラ防止のパンフレット等に記載している自主点検につきましては、事業主が、法に沿った対策が適切に講じられているかを自主的に点検、確認をするため、参考として提供しているものでありまして、実施状況は把握する性質のものであるというふうには厚労省としては考えていないところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 官房長官にお伺いいたします。

 この麻生財務大臣の発言などは、セクハラ罪という罪はないとか、いろいろな意味で余波を広げるような発言をしております。あるいは、前事務次官の人権はどうするのかとか、まるでセクハラ行為を放置あるいは容認する、誤解を招くような発言が一般論的にるる述べられているわけですね。

 しかし、それは、私は、冒頭申し上げましたとおり、やはり立場として、その言葉を発するに非常に慎重であるべきではないかと思います。なぜなら、国民にその動揺を広げ、なおかつ、ああ、それが認められるんだなという誤解を広げかねないということがあるからです。

 官房長官、このような状況についての長官の見解をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 まず、御指摘のような麻生大臣の一連の御発言については、御本人から必要に応じて説明がなされるものと思いますが、麻生大臣はかねてより、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であり決して許されるものではない、このように発言されていることを承知しています。

 また、福田事務次官のセクハラ問題についても、任命権者である麻生財務大臣が、当初から、報道が事実であれば、セクハラという意味ではアウトだ、このように明言をした上で、そうした認識に立って調査の指揮をとり、その結果を踏まえて、去る四月二十七日に減給相当の処分を行った、このように承知をいたしております。

 いずれにせよ、財務省の事務方トップである事務次官がこのような問題を起こしたことは極めて遺憾であります。今後、政府に対する国民の信頼が得られるよう、国家公務員が改めてみずからの職務を認識し、一層の緊張感を持って職務を遂行することができるように徹底してまいりたい、このように思います。

玉城委員 時間ですが、最後にあと一問、野田大臣にお伺いいたします。

 平成二十九年、法の改正によって、強姦罪、準強姦罪、強制わいせつ罪及び準強制わいせつ罪を親告罪とする規定を削除して、非親告罪とするということで施行されています。ところが、麻生大臣は、これは親告罪だろうというふうなことをおっしゃったりしています。その認識の違いも非常に大きいものがあると思いますが、野田大臣は、このセクハラのルールを明確にする必要があるのではないかというふうに会見などで述べていらっしゃいます。

 この単独の法律による適用の厳格化と、罰則規定を設けるなど今後の取組が必要な点などについて、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 今委員御指摘になりました法改正というのは、百十年ぶりのことでございました。

 今後は、このセクハラ事案を踏まえて、先ほど浦野委員からもお話がありましたように、この案件だけではなくて広く社会の中に蔓延しているとするならば、やはり、今までの取組で浅いところ、例えば、企業内でそういう場が、被害を申告する場があるんだけれども、それが機能していない、これは実は連休中のヒアリングの中で一番出たものです。

 例えば、子会社の社員が親会社の社員にセクハラを受けたときには、やはり子会社の利益を考えたときには、本来窓口はあるんだけれども、そこできちっとした機能が果たされないとか、また、そもそも、何度も申し上げていますけれども、セクハラ自体を御理解いただいていないとか、そんなことを踏まえると、総合的に見直して、今回は例えば民間と公務員の間にあったことが、やはりきちっと、すき間事案のような形になって解決がおくれてしまったとか、そういうもろもろの、さまざまなヒアリングの中で得た問題を解決できるよう取り組んでいきたいと思っています。

玉城委員 終わります。ありがとうございました。ニフェーデービタン。

山際委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 おはようございます。国民民主党の稲富でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、セクハラ問題、集中的審議ということでございますが、まずそのセクハラの問題と、後段には、大臣に来ていただいておりますので、寡婦控除について少し御質問を後段ではさせていただきたい、大きくこの二本をさせていただきたいと思っております。

 まず、このセクハラの問題については、先ほど来、各委員から御質問がございました。大事なことは、麻生大臣そして財務省の対応についての時系列でございます。資料をお配りさせていただいておりますが、これまでの経緯について若干振り返ってみたいと思います。

 まず、資料の一枚目で、四月十二日にこの報道が週刊誌でされました。そして、十三日、こちら、先ほど官房長官からも何度も麻生大臣の発言は御紹介がありましたけれども、大臣は、事実だとするなら、それはセクハラという意味ではアウトだと非常に明確にここはおっしゃっております。

 そして、二枚目に行っていただきまして、四月十八日に、福田事務次官が、行為は認めない、しかし、職責を果たすのが困難であるので辞職を申し出るということで、認めないけれども仕事を遂行することが難しいのでやめるということになった。そして、翌十九日に、福田氏、再び疑惑については否定をされているということでございます。

 そして、三枚目の、二十七日に、財務省の福田このときは前事務次官について、財務省が減給二〇%六カ月の処分相当とする方針であるということ、そして、福田氏本人はセクハラを否定しているが、財務省はセクハラ行為があったと判断をされたということが時系列かと思います。

 そこで、改めて、先ほども確認がありましたけれども、財務省としてはいつ福田前事務次官に対してセクハラの認定をしたのか、御答弁をお願いいたします。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 経緯は先ほど委員がおっしゃられたとおりでございます。

 一つつけ足させていただきますと、大きな事由といたしまして、調査をさせていただかなければ、双方の認識が食い違っていたわけですけれども、食い違っていたといいますか、接点がなかったわけですけれども、片や認定しない、片やあったという、世間でもありますけれども、そういう状態だったわけです。それがもし、そういうことがあったというふうに加害者とされる側が自認をすれば、相手方の所属、氏名といったことを問わずに処分ができたわけですけれども、それができなかったために、デュープロセスとして、事実認定をせざるを得ないということになりました。これは一般的なケースと全く同じです。

 調査の手法についてはいろいろ御批判をいただきましたけれども、結果的には、十九日にテレビ局の方から、うちの社員が被害に遭った、間違いないという、抗議とあわせて記者会見がされました。ここからが状況が全く展開をいたしまして、そこから事実認定をさせていただくべく、私どもの顧問弁護士と同テレビ局の顧問弁護士の間での水面下での対話、事実認定のための対話がなされました。

 テレビ局さんの方では女性記者の人権を保護するために非常に慎重な姿勢をとられて、なかなか話合いが進みませんでしたけれども、ただ、少なくとも、ある日にちに一定の場所で会った、そして、そこで会話をした、その結果として、女性が性的に非常に嫌な思いをしたというところまで、歩み寄りと言ったらなんですけれども、事実認識の共有が進みましたので、そこからさらに、私どもの調査は二十五日まで期限を切っておりましたけれども、ほかの情報ともあわせまして、事実認識を極力進めた結果、二十七日に、セクハラがあったと判断して、処分をさかのぼって行ったというものです。

稲富委員 ありがとうございます。

 二十七日に事実認定をされたということでございます。

 問題はそこからでございまして、五月四日、麻生財務大臣、フィリピンでの記者会見で、処分の理由について、国会審議への影響ほか、役所に対しての迷惑、品位を傷つけた、そういった意味で処分をさせていただいたと御発言がございます。ここなんですよね。

 処分が出る前にさまざまな過程があって、そして処分があった、その処分に基づいて御発言ということであれば理解はできるんですが、処分があった後に、また前に戻って、品位を傷つけた、要するに、仕事がもうできなくなっているので処分をしたという趣旨の発言に私には聞こえるということで、本当に、そういう意味では、財務省と大臣が処分内容について合意をしているのか、お互い理解をしているのかということに疑念があるわけでございます。

 更に言うと、その後、先ほど来ありましたけれども、セクハラ罪という罪はない等々、御発言がございます。

 野田大臣にお伺いをしたいんですが、二十七日に一旦処分がされて、そして、その後、麻生財務大臣が、役所に対しての迷惑だから処分をしたという御発言があり、そういったことで、野田大臣としては、セクハラ認定をしたということ、そういう認識をされているかどうか、改めて伺います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 今、財務省の官房長がるる御説明をされました。セクハラと認定して、そして減給等をしたということで、そのとおりだと思います。

稲富委員 そこで、次に、セクハラ罪はないという御発言について少し質問をいたします。

 セクハラ行為は、内容によっては罪となるということがあるのではないかと思われますが、その点の見解を伺います。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 法務当局といたしましては、御指摘の発言の内容あるいは趣旨については、報道以上に承知しているものではございません。

 また、セクシュアルハラスメントという用語自体が多義的に使われておりますし、これに該当する行為にも多様なものがあると考えられますことから、セクハラ行為が罪となり得るのではないかといった質問について一概にお答えすることは困難でございます。

 そうした次第でございますので、あくまで一般論でございますけれども、お尋ねのセクハラ行為というのが何らかの罪に当たり得るかという点は、そうした行為が何らかの罪の構成要件に該当するかどうかなどの観点から個別に判断されるということになると考えております。

稲富委員 なかなか一般論ではお答えしにくいかと思います。

 例えばですけれども、セクハラ被害者に対して、不特定多数の方がいる前で身体的特徴に関するセクハラ発言をした場合、そして被害者の女性の人格否定、あるいは名誉を傷つけるような場合、そのような場合は罪が成立する可能性はございますか。いかがですか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 犯罪の成否は、あくまで捜査機関により収集されました証拠に基づき個別具体的に判断されるべき事柄でございますので、その点のお答えは差し控えます。

 ただ、今、名誉毀損に当たるのではないかといったお尋ねもございましたけれども、あくまで一般論として申し上げれば、名誉毀損罪という罪は、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合に成立するものと承知をしております。

稲富委員 今、個別具体的じゃないとというお話がございました。今の私が挙げた事例でいきますと、名誉を毀損する、あるいは面前で侮辱をする、そういった類いのときはやはり侮辱あるいは名誉毀損という罪が当たり得る、もちろん必ずそうなるというわけではありませんが、そういう可能性はやはりあり得ると思います。

 あと、例えば、セクハラ被害者に対して身体的な特徴に関してセクハラ発言を繰り返して、被害者の方が心理的な傷害を負うという場面もあり得るわけでございます。そういった場合、今申し上げたような場合は罪が成立し得るかどうかということは、いかがでしょうか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 繰り返しになりまして恐縮でございますが、今挙げられた犯罪の成否というのは、あくまで捜査機関により収集された証拠に基づき個別具体的に判断されるべき事柄でありまして、仮定のお尋ねに基づいてお答えすることは差し控えさせていただいております。

 今挙げられた、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合には一般論としては名誉毀損罪が成立し得ますし、また、これも一般論でございますが、その事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した場合には侮辱罪が成立し得るというものと承知をしております。

稲富委員 ありがとうございます。

 一般論としてそういうことが成立し得るということでございまして、要するに、内容によってはやはり罪になり得るということかと思います。

 そしてまた、大臣からこういう発言もございました。先ほど玉城委員から御指摘があった件ですけれども、罪としてはいわゆる親告罪という発言がございました。

 改めてお伺いをいたします。性的自由を保護法益とする罪について、親告罪というものはあるかどうか、お答えをお願いします。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、先ほど引かれました御発言の内容や趣旨については、法務省としては、報道以上に承知はしていないものでございます。

 その上で、これもあくまで一般論としてお答えいたしますと、刑法に規定をされている罪の中で、今御指摘の性的自由を保護法益とすると解されているものとしては、例えば強制性交等罪ですとか強制わいせつ罪等があり、その中にはもともと親告罪とされていたものが含まれておりますが、昨年の刑法改正以降は、いずれも親告罪とはされていないものでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、昨年、刑法改正によって今おっしゃっていただいた罪は親告罪ではなくなったということ、今御説明をいただきました。

 そこで、改めて野田大臣にお伺いをいたします。

 麻生大臣、セクハラ罪という罪はないと。もちろん、その名前はない。しかし、先ほど申し上げたように、形、内容によってはあり得る、あるいは、罪としてはいわゆる親告罪というのは、明らかに誤った私は認識であると思います。

 これら誤った発言に対して大臣としてどのようにお考えなのか、見解を伺います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、麻生大臣から直接そのようなお言葉を聞いたことはございませんので、麻生大臣のその言葉の真意というのは、やはり直接御本人に御確認をいただければと思っています。

 ただ、一連のこの話の中でセクハラ罪という言葉が出てきましたが、実は、連休中ずっと被害者の側の人たちのヒアリングをしてきた中でその言葉が出てきました。つまり、刑事罰が伴わないので社会的にスルーされてしまっているから、やはりそういう検討もどうかという話があって、期せずして麻生大臣からも、刑事罰を伴わないという意味で合致しているのかなというふうに思ったわけです。

 先ほども官房長のやりとりを聞いていて明らかになったのは、まず法律ありきという議論ではないと思います。やはり今回、本来ならば被害者がその所属している企業に対して申入れをして、そこで本来は会社がしっかりと相手側に話さなければならなかった。それを怠ったことによっての大変な混乱があったということを踏まえれば、今の制度をもう一回見直して、しっかりとそれぞれ、民間そして公務員もそうですけれども、イロハのイから学び直してやっていくことが大事で、決して法律をつくることを排除はしませんけれども、それありきではないと私は思います。

稲富委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったように、ありきではないという御発言、全くそうだなと改めて聞かせていただきました。

 あと、大臣がこの間の質疑の中でおっしゃっていただいたように、まず、その対処については非常に違和感があるということを、四月十七日の時点で、会見でおっしゃっておりました。調査手法について違和感がある、セクハラの被害者は家族にも相談できないのが現実だということで、そのことを御指摘になって、四月二十七日に、財務省としては調査を打ち切る方針を発表されました。

 改めて、この間の、週刊誌に報道され、そして調査があり、そして四月二十七日に調査が打ち切られ、全体として、この調査手法そして調査そのものについてどう総括をするのかということは、これは一つやはり大事な点だと思うんですが、大臣の見解を伺います。

野田国務大臣 まず、民間企業は、厚生労働省の男女雇用機会均等法のもとでセクシュアルハラスメントの防止に向けた、禁止に向けたルールづくりはできている。そして、国家公務員は、人事院の規則によって、それがいけないことだということを研修なり又はそういうことに取り組んでいる。

 しかし、今回の場合は、職場というのが、本来、外の人との関係性も職場であったんですけれども、やはり認識が甘くて、自分のところの職場内の出来事というような認識があったことで、すき間事案になってしまったこと。

 そして二つ目は、本来ならば、セクハラを受けた被害者というのは弱き者ですから、それを守る。民間企業であれば、事業主がその人を守るというか、被害救済のために相手方に対して物を言わなければならなかったけれども、それができていなかった。財務省の方も、本来ならば、被害者に直に調査を依頼するのではなく、そこの組織に対してやはりやりとりをするべきではなかったのかなと。

 そういうことがやはりいろいろな意味で混同してしまったことに、今回いろいろな問題が発生してしまったことを痛感しているところです。

稲富委員 ありがとうございます。

 また、これまでの点の、今御指摘いただいたような課題とともに、これからがより大事であるということで、大臣がこの間、連休中にもいろいろな取組をされたという御報告がありました。

 改めて、簡潔にで結構なんですが、これからの取組について、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 まず、五月中にそれぞれの関係の人たちとのテーブルを持って、そして、これからの改善策、再発防止策についてさまざまな御意見をいただきたいと思います。

 そして、それを取りまとめまして、今国会中にはしっかりとこの内閣のもとで指針をお出しできればというふうに、今作業中であります。

稲富委員 ありがとうございます。ぜひお取組をしていただければと思います。

 次、二つ目のテーマについて御質問をさせていただきます。

 資料の四枚目でございます。寡婦控除について、これは税制の場面でもいろいろな議論がされてきたものと思いますが、改めて女性活躍促進という意味からも考えなければいけないテーマではないかという立場から、少しきょうは質疑をさせていただきます。

 非婚の母については寡婦控除が適用されないという制度になっているということについてですが、改めて、この寡婦控除という制度そのものについて、簡潔で結構ですが、御説明をお願いいたします。

武川政府参考人 お答えいたします。

 税法でございますけれども、寡婦控除につきましては、民法上の婚姻関係があった夫と死別又は離婚した場合が適用対象となっているものと承知しております。したがって、婚姻せずに母となった者は適用対象外であるというふうに承知しているところでございます。

稲富委員 税制上、寡婦控除を受けるための要件、ごめんなさい、ここまで細かく私も通告をしておりませんでしたが、寡婦控除を受けるための要件について、簡潔で結構ですので、お伺いをいたします。

武川政府参考人 まず、寡婦とはということなんですけれども、夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない方又は夫の生死が明らかでない方で、扶養親族がいる方又は生計を一にする子がいる方でございます。この場合、子は、総所得金額などが三十八万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない方に限られる。

 それから、もう一つ要件がございまして、夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の方で、合計所得金額が五百万円以下の方でございまして、この場合は扶養親族などの要件はない。

 この一つ目、二つ目のいずれかに当たる人ということでございます。

稲富委員 どうもありがとうございました、御答弁をいただきまして。

 夫と死別をされたか、この場合は所得制限がある、若しくは夫と死別又は離婚で扶養親族を有する者に対してその対象になる、さらに、子がいる場合は特別加算が加わるという制度であるということかと思います。

 この寡婦控除は、そもそも昭和二十六年に創設をされました。一九五一年ですので、戦後間もないころかと思います。そのころで、恐らく、戦地に行った御主人が亡くなられたという事例がたくさんあったのかと想像いたします。そして、その後、一九八九年、平成元年に、今、子の場合の特別加算八万円が加わったということでございまして、戦後間もないころから一九八九年、平成元年にかけて、さまざまな制度改正そして対象拡大を続けて今の制度に至っているということでございます。

 そこで、ただし、先ほど冒頭御答弁いただきましたように、例えばシングルマザーの場合は、御主人がいらっしゃらないという全ての方ではなく、死別した場合か離婚した場合に限られていて、非婚の母に関しては対象外であるということ。これに対してはさまざまな、それを拡大して非婚の母に対しても寡婦控除を適用すべきだという方、いや、それはすべきではないという方、議論があると思いますが、改めて、その賛否の議論について、どのような議論があるか、御説明をお願いいたします。

武川政府参考人 ちょっと御通告を受けておらない質問ではございますけれども、議論としては、非婚、いわゆる未婚の母といいますか、であっても、例えばお子さんがいて母子家庭である、そして非常にその母子家庭は所得が低い、困難な状況にあるということに関しては同様の状況にあるのではないか、そういう御意見があって、改正を望む声があるということを承知しております。

稲富委員 ありがとうございます。

 ここまで細かく通告できておらず、失礼しました。

 ここは、寡婦控除に関して、非婚の母に対してどうするかというさまざまな議論がある中で、今申し上げているのは、例えば、所得税、地方税に関して所得控除が受けられるだけではなくて、やはりその所得に応じて公共サービスにもはね返ってくる部分がございます。保育料あるいは公営住宅の家賃なども所得に応じて利用料金が決まる場合もあるということで、地方自治体によってはみなし適用をされて、本来であれば寡婦控除の対象でない非婚の母に対して、シングルマザーに対しての適用、みなしをしてそこの控除をしていくという取組もあるところもあるということ。それに対しては、やはり家族の価値観がかなり影響するということからどうしても反対である、それは非婚の家族を促進することになるので反対であるという御意見もあると承知をしております。

 そこで、大臣、これは細かい話はおいておいて、もちろん、時代によって家族のあり方も変わり、そして、それとともに、先ほど申し上げてきたように、税制のあり方も変わってきております。今、こういう社会の中で、経済格差が広がる中、かなり、シングルマザーといっても、特に非婚の母の場合は所得の低いという傾向が、データが出ておる中で、その方々に対してどういう、寡婦控除を適用すべきかどうかという議論はあるものの、私は、やはり適用していく方向に進むべきではないかと思っているんです。

 というのは、所得税は、あくまで担税力に、その人の所得に応じて、担税力に求め、そして課税をしていくということからすると、消費税とは違う。家庭の成り立ちではなく、あくまで所得が低い人には低い所得税を、そして高い人には税をかけるというのが基本的な考え方だとするなら、これはやはり、その家庭の置かれている状況を考えると、拡大をすることも考慮していくべきじゃないか、積極的に考えていくべきじゃないか。それは女性の活躍という観点からもそうではないかと思うわけですが、大臣の見解を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 私がこの政治の仕事に携わるようになってずっと、三十二年目になりますけれども、御指導いただいていたのは、寡婦の団体の皆さんであります。その方たちとの触れ合いの中で、今御指摘のとおり、昭和二十六年、戦後直後にできたこの制度というのは、間違いなく、戦争で御主人を亡くされた女性のために、支えになるようにということでスタートされました。ですから、ずっと主流は、戦争で夫を亡くされた女性たちがリーダーとなって頑張ってきて、時代を経ると、今度は戦争でなくて死別された方も当然ふえてきまして、その方たちも、亡くなったということで、拡大されて入ってこられた。

 ところが今度、離婚された方が入るときには相当もめました。それは、私の記憶が正しければ、そういう、亡くして苦労しているから、当時の言い方では、自分の意思で別れたんだからというような言い方をされて、なかなか仲間入りすることは難しかったことを記憶しています。ただ、そうはいっても、お互い苦しいのだから支え合おうということで、そこまで拡大されたんだと思います。

 現状は、安倍政権のもとで女性活躍、さらには国難の一つとして少子化が挙げられる中、子供の出自がどうであれ、やはり子供たちを健やかに育てていくための一つの流れとして、非婚であってもその子供には罪は全くないわけで、しっかりと経済的に支えていくという流れは、私個人としてはそういう潮流になっているんだろうと思います。

 実際に、平成三十年度与党税制改正大綱においても、「婚姻によらないで生まれた子を持つひとり親に対する税制上の対応について、児童扶養手当の支給に当たって事実婚状態でないことを確認する制度等も参考にしつつ、平成三十一年度税制改正において検討し、結論を得る。」というふうにされていますので、これを踏まえて検討が進められると私は信じております。

稲富委員 ありがとうございます。

 このデータでいうと、二〇一六年でいうと、母子世帯になった理由の中で、非婚は八・七%。約一割弱は非婚で母子世帯になっているということで、大臣さっきおっしゃったように、時代によってシングルである家庭が生まれる原因というのが変わってくる中でいうと、今徐々にやはりふえてきているのは間違いないということ、そして子供の貧困という問題も同時に起こっているということから、この問題は、単に女性だけじゃなくて、そのお子さんのことも考えたときに、やはり進めるべきではないかと思うわけでございます。

 大臣はそういう前向きな答弁をいただきましたけれども、なかなか、これはいろいろな御意見があることは承知をしております。ぜひもう一度、これを拡大する方向で進める決意を大臣にお伺いしたいと思います。

野田国務大臣 私は今、安倍政権の一員として女性活躍を担当していますが、安倍総理そのものがこの政権を女性活躍の政権と位置づけておりますので、総理ともどもしっかり取り組んでいきたいと思います。

稲富委員 どうもありがとうございました。

山際委員長 次に、泉田裕彦君。

泉田委員 自由民主党の泉田裕彦です。

 本日は、防災対策についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 先日、ハワイ島でキラウエア火山の噴火がございました。住宅地に溶岩が迫るというような状況でございます。

 我が国においても、火山噴火、小さいものから大きいものまで頻発しているという状況でございます。また、東日本大震災以降でも、熊本地震、また豪雨、豪雪、土砂崩れと、次々に災害が頻発をしているという現状であります。

 災害列島日本におきまして、国民の生命、安全、財産を守っていくということはまさに内閣の最重要課題の一つである、こういうふうに認識をいたしております。

 そしてまた、災害は、一回起きると、一つのセクション、防災担当だけで済みません。福祉、教育、産業、農業、あらゆる分野の関係セクションを統合して対応しないと、対応がうまくいかない。被災者に、そして社会に、大変大きな影響を及ぼすという事象でございます。ふだんからの備えが極めて重要でありまして、本日は、内閣の総合的な認識そして現状の取組についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず最初に、現在、我が国でも大規模災害が想定をされております。法律で想定をしているという災害もあるわけでございますが、特に、命を守るという観点でいいますと、避難者がどの程度発生をするのかということも重要なポイントでございます。

 まず、我が国で想定される大規模災害において、この避難者数等を含めてどのように認識をされているのか、お尋ねをしたいと思います。

伊丹政府参考人 お答えいたします。

 大規模災害についてのお尋ねでございますが、例えば、南海トラフ地震及び首都直下地震の避難者数の想定につきましては、東日本大震災を踏まえ、あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震、津波を想定いたしまして、それぞれの地震の対策について検討するため、中央防災会議のもとに設置したワーキンググループにおきまして、平成二十五年に、各種対策の前提となる被害想定の一環として算出されております。その算出に当たっては、地震発生の季節、時間帯、発生時の風速、経過時間等、被害規模に影響を及ぼすと考えられる要素を踏まえたものとなっているところでございます。

 それらの数値を具体的に申し上げますと、南海トラフ地震については最大で約九百五十万人の避難者が発生すると想定されているとともに、首都直下地震については最大で約七百二十万人の避難者が発生すると想定されております。

泉田委員 ありがとうございました。

 災害は忘れたころにやってくるというのは昔の話で、いつやってくるかわからないという現状の中で、数百万人単位の避難者、これが発生をし得るという想定でございます。

 そこで、お尋ねしたいんですが、これまでの災害の対応の経験に照らしまして、現在、この災害対応、どの程度進捗しているのか、自己評価をするとどのように認識されているのか、お尋ねをしたいと思います。

山下(雄)大臣政務官 お答えいたします。

 泉田委員におかれましては、知事を御経験された本当に重みのある視点から御質問いただき、まことにありがとうございます。

 南海トラフ地震におきましては平成二十六年三月、四年前に、そして首都直下地震については平成二十七年三月、三年前に、それぞれ地震対策に対する基本計画を策定したところであります。これらの基本計画では、数値目標を含めた具体的な防災対策の施策を盛り込んでおりまして、例えば南海トラフ地震におきましては、関係省庁と連携し、住宅の耐震化や津波ハザードマップの作成支援などの防災対策を進めているところであります。

 施策の進捗状況を把握していくことは非常に重要だと考えておりまして、南海トラフ地震におきましては、十年間を目標とする基本計画の中間年に今年度が当たるわけでありまして、今年度において、進捗状況の把握に取り組むことにいたしております。

 引き続き、政府一丸となって防災対策を進めてまいりたいというふうに考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 実際、南海トラフにおきましては、三十メートルを超える津波が来るということで、どこに避難したらいいのかと。住宅の近くにボートでも用意しておいて、そこに逃げ込もうかとか、さまざまなことも検討されております。ぜひとも、想定される大規模災害に、住民の皆さんが安心できるような対策を着実に進めていかれるようお願いを申し上げたいと思います。

 そして次に、災害は一度たりとも同じ顔をしていないというふうに言われております。特に東日本大震災では、単独の災害ではなく原発事故、これが同時に発生した複合災害ということになりました。東日本大震災における原発事故に伴う原子力防災、この問題点等の検証、どの程度進捗をしていると認識をされているか、更田委員長にお伺いをしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 先生の御質問にもありましたように、原子力発電所の事故で考えられるケースのかなり多くの部分というのは自然災害とともにやってくる。むしろ、自然災害が引き金となって起きる原子力発電所の事故というのは、繰り返しますけれども、事故の中の多くの部分を占めると思いますので、原子力災害において自然災害との重畳を考えることは極めて重要であると考えております。

 東京電力福島第一原子力発電所事故におきます発電所の外での災害対策に関しては、国会、政府、民間、それから、さまざまな国際機関、各国の規制当局などによって、幅広く検証がなされたものと認識をしております。

 原子力規制委員会は、これらの検証に基づいて、また、IAEAの安全基準など国際的な知見を踏まえて、平成二十四年十月に原子力災害対策指針を策定したところでございます。

 しかしながら、原子力災害対策指針は、最新の知見を常に積極的に取り入れる、近年におきましても、欧州では各国間で国境をまたぐ防災対策等々についても新たな検討がなされており、災害対策指針は、こういった最新の国際的な議論、それから検証等を踏まえて、常に改善を図っていくという所存でございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 今のお話を総括させていただくと、新たな知見を盛り込んでいく、そして、今後も対応されていくということですので、ぜひお願いしたいと思いますが、福島の教訓というのは、この原子力防災において既に全て反映したとお考えかどうか、改めてお伺いします。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 福島の教訓は、既に先生の御質問の中にありましたように、同じ事故は二度と起きない、したがって、東京電力福島第一原子力発電所事故と同じ事故が同じ場所で起きた対策をとるのでは不十分だと考えています。発電所の設置位置によって災害対策は柔軟な対応が迫られるでしょうし、また、同じ事故に備えることのみに徹するというのは、一種の、ある意味での安全神話の一つであって、福島第一原子力発電所の事故とは著しく異なる進展を見せるような事故に対しても対策をすることが必要であろうと思っています。

 そういった意味で、お尋ねにありました東京電力福島第一原子力発電所事故の際に個別具体的に見られた反省点に関しては、手を打ったと考えております。しかしながら、繰り返しますけれども、同じ事故が二度起きるわけではなくて、事故は常に想定外のもとで起きますので、これらに向けた対応は、常に最新の議論等を踏まえて改善を図っていくべきであろうと考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 福島の事故の対応は終わったというお話だったと思います。私は、欠陥があるというふうに思っています。具体的にこれから質問をさせていただきたいと思います。

 まず、災害、特に地震との複合災害の場合、世界最大の原子力発電所、柏崎刈羽原発を念頭にお尋ねをしたいと思いますが、地震が起きるとどの程度の避難者が発生すると認識をされているでしょうか。

山本政府参考人 地震によります被害を一概に申し上げるのは非常に難しいと思いますけれども、過去の例で、平成十九年に発生いたしました中越沖地震、このときは、避難を余儀なくされた方はピーク時には一万二千人だというふうに承知しております。さらに、平成十六年に発生をいたしました中越地震におきましては、同様に、避難を余儀なくされた方はピーク時には十万三千人発生したというふうに承知しているところでございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 柏崎刈羽原発三十キロ圏内に約四十四万人の方が、屋内退避指示を受ける立場で生活をされておられます。そのうち、実際に中越沖地震で万人単位の人の避難が生じたということであります。そして、この方々が安心をして生活できる環境かどうかということについて、政府の対策、これで十分だという認識が持たれていないというのが現状だと思います。

 地震が起きると何が起きるかといいますと、ライフラインが途絶をします。電気、ガス、水道、それから通信も途絶えるというケースが多々あります。ライフラインが途絶えると煮炊きができなくなるということで、屋内にとどまることが極めて難しい状況というのが生じます。

 五時間や十時間であれば、うちの中でじっとしているのは可能なんですけれども、柏崎刈羽原発、七基あって、仮に福島と同じペースで三日に一度爆発をするというようなことになると、三、七、二十一日間、屋内退避をするというようなことにもなりかねないわけでありまして、この間の食料確保をどうするのか。

 そしてまた、地震が起きると余震が続きます。そうすると、うちの中にいられなくて屋外に退避をするという事態が起きるわけです。

 熊本地震においても、これは本震が後から来たということで、大変エポックメーキングな事柄が起きましたが、公共団体等からは屋内退避のお願いをした後に本震が来て、結局、屋内にいたことによって亡くなられるという人も発生をしているということになります。

 地震との複合災害で、五キロから三十キロ圏内において屋内退避を求めるというのは、不可能を求めるというようなことにもなりかねないという現状があるわけであります。

 そこで、お尋ねしたいんですが、地震と原子力災害、これは、複合災害が発生した場合、五キロから三十キロ圏内において屋内退避を求める現行指針は十分機能すると考えておられるのかどうか。

 特に、もう一つよく言われるのが、即時退避区域、五キロ圏内。五キロ圏内の方がどんどん避難されていくのに、六キロにいる人が屋内にとどまることができるんだろうかという指摘もなされております。

 現行指針の妥当性についてどのようにお考えなのか、原子力規制委員会の認識をお尋ねしたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所事故の発生に伴う災害対策で非常に大きな教訓とすべきことの一つが、近隣住民の方々の健康被害は、無理な避難行動、計画されていなかった、あらかじめ十分な準備がされておらず、また無理な避難行動に伴って、既にお体のぐあいを悪くされていた方々が命を失われた。これは国際機関の報告書にも記されておりますけれども、放射線の被害で、直接的な影響で健康被害を受けた方がおられるわけではなくて、むしろ避難行動が、そのいわば副作用によって人の命を奪ってしまった、これが非常に大きな教訓であろうと思っています。

 したがいまして、避難行動を考えるときには、急がず、慌てず、あらかじめ定められた計画にできるだけのっとった形で避難行動をとっていただくということ、これは周知も含めてですけれども、大変重要であろうと思います。

 先生の御質問にもありましたように、五キロ圏内の方々が移動されているのを目の当たりにして、五キロ圏外の方々が屋内にとどまっていられるかどうか。

 これは、先生御承知のように、シャドーエバキュエーションという、自発的なといいますか、そういった方の移動が大きな混乱をもたらすということも、これは災害対策をとる上での大きな課題であることは事実です。災害対策を考えるときに、一定程度の方々がどうしても計画に沿わない避難行動をとってしまうであろうことはあらかじめ想定をしておかなければいけないというふうに考えております。

 その上で、災害対策が機能する、しないでありますけれども、これは、どのような対策も、どういった想定を考えるかによります。

 非常に厳しい想定、先生がおっしゃったような、七基が三日ごとに爆発を繰り返すというような想定をとったときに、災害対策がどこまで機能するか、しないか。これは、その災害対策が果たせる役割というのは極めて限定されるものにならざるを得ないだろうと考えます。

 したがいまして、対策を考えるときには、どうしても、幾つかの想定に基づいて、さらには、ここはどうしても、最大限のものというよりも、あり得べき、より確からしい想定に基づいた対策をまずきちんとすることが肝要だろうと考えています。

 それから、屋内退避の限界ですけれども、これも東日本大震災のときに、原子力災害だけにかかわらず、大きな教訓を得たと思っています。屋内退避が長時間にわたって不可能なことは、私も屋内退避をしておりましたので経験をしておりますけれども、屋内退避の時間に限界があることは先生の御指摘のとおりだと思います。

泉田委員 質問の趣旨とちょっと違うところまでお答えをいただいておりますので、事前に通告した質問、これは順番を入れかえる形で質問をさせていただきたいと思います。

 今委員長が言われたように、屋内退避に限界があると。選択肢を与えるべきではないか。例えば、一つの部屋で簡易フィルターを設置した中で、動けない人はその中でいてもいいよという選択肢を与える。若しくは、車で移動するという選択肢を持ちたい人は、防護服とマスク、さらに訓練もした上で、移動するという選択肢があってもいい。遠くに行けない方は、小学校区単位に気密性を持ったシェルター化をした避難所を設置する中で、そこに避難をしていただく等々の選択肢を与えるべきではないか。一律に五から三十キロ圏を屋内退避としている指針というのは、まさに現場の感覚と乖離をしているということを指摘せざるを得ないというふうに思います。

 そしてまた、体が不自由な方、病院におられた方が、自衛隊員が運転する通常のバスで避難することによって多くの犠牲者を出したという現実。これをどう対応するかという点でいえば、福祉車両若しくは救急車等を確保する必要があるかと思います。この福祉車両、救急車、実際に手配すると、手配が極めて難しいという現実があります。台数が少ない、人数が少ないということに加えて、本人同意をとっていないという現実があるわけです。

 米国の例でいえば、サイトに何かトラブルがあった場合は、あらかじめ、放射線防護の教育を受けた人が、私、行きますと言ってサインをした上で、リストができている。一方、日本の場合は、原子力発電所で事故が起きてから、東電の購買の方が、これから外に買い物に行きますけれども何か買ってほしいものはありますかといったアナウンスをするような対応をしている。

 現在できている防災計画というのは、せめて世界的にされているような、福祉車両、救急車、いざとなったら行きますと、必要な台数を把握して、名簿化をして、あらかじめサインをしておくというようなことをしていなければ、福島とまた同じことが起きるのではないか。

 こういう懸念を持っているわけですが、更田委員長、先ほど福島の教訓は踏まえて対応したとおっしゃっていますけれども、このあたりはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

山本政府参考人 まず、個別のお話を申し上げますけれども、先生御指摘のとおり、原子力災害時におきまして、要支援者の方、この方々の避難が円滑に行えるよう、福祉車両を始めとした適切な移動手段あるいは避難先を確保するということは極めて重要でございます。

 それで、現在、柏崎刈羽地域についてもこういった観点からの検討を進めているところでございますけれども、まずは、関係自治体と連携しながら、福祉車両を必要とする要支援者の人数は一体どれぐらいおられるのかというところを調査をして、その上で、必要台数をはじき、そしてそれをどのようにして確保していくのか、その運転手の方も含めてでありますけれども、そういう調査あるいは検討を進めていくということにしているところでございます。

 したがって、私ども内閣府としましては、関係の自治体、柏崎刈羽の場合は新潟県を始めとした関係の自治体になりますけれども、しっかりと連携を図りながら、要支援者の対応を含む避難計画の具体化に向けてしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 非常に多くの点について御質問いただきましたけれども、ポイントを絞ってお答えをさせていただきたいと思います。

 一つは、御指摘のありました選択肢を与えるという点について、これはよしあしがあろうかと思っています。

 一つには、例えば、例として挙げられました、要支援者の方が無理に移動せずに、例えばその区域に対して避難のお願いが出ている場合であっても、一定の機能を備えた建屋の中にとどまるというのは、これは十分賢明な判断であろうと思います。一方で、その方に付き添う方の防護をどう考えるかというのも、これは一つの課題ではあろうと思っています。

 ただ、多くの点におきましては、いたずらに選択肢の多い計画を立ててしまうこと、あるいは緊急事態が発生してから何か判断をしなければならないような防災計画を立ててしまうことは、これは戒めるべきであって、多くの副作用を生んでしまうものというふうに同時に考えております。

泉田委員 物資の輸送についても確認をさせていただきたいんですが、新潟県においても、三月十一日、東日本大震災の当日、四時半ぐらいには、福島原発の二次冷却水の循環系が破壊をされたという情報を得ておりました。これはどうやって冷やすんだと素人でも心配をしたというところでございます。

 その後、福島県からSOSが参りました。モニタリングポストが稼働しないので新潟県さんの機材と職員を貸してほしい、こういうSOSでありました。

 しかし、使用者としての知事というのは、これは大変重い決断を迫られるわけです。モニタリングポストが機能していないところに職員を送るということは、どれだけの線量が出ているかわからないところに送るということで、大量被曝の懸念もある中で職員派遣を決断せざるを得なかったという状況でありました。

 これは、地方公務員の場合は労働安全衛生法が適用になります。国家公務員が人事院規則で規定されているのとは異なる、民間と全く同じ規定が適用されるということになります。

 屋内退避指示が出ているところに、この職員の安全確保は、誰がどの責任を持ってやるのか。これは、トラック、バスの事業者も同じです。本人が行くかどうかという課題のほかに、使用者が、自分の職員、従業者を安心して、ちゃんと法令に基づいて対応するように指示ができるのかどうかと迷うわけです。

 実際、私も、新潟県から水と食料を持っていくから、また短時間で交代をするから、そして、放射線防護の知識のある人、行ってもいいよという人がいたら手を挙げてくれということで、志願を募るという方法でしか対応できませんでした。なぜ、そうなるのか。これは、法制度に少し無理があるから。ちゃんとした整備がされていないから。

 原子力規制委員会においては、この原子力利用の安全の確保のために必要な事項について勧告権を持っているわけであります。こういう現場が困っている事象について、福島事故のときに対応できなかったことについては、やはりしっかりとした対応をしていく必要があるのではないか。

 既に対応は終わっていますというのは認識が甘いと思いますので、この点も含めて、改めて御所見を頂戴したいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えいたします。

 モニタリングポストの故障、これは例としてお挙げになっただけだと思いますけれども、これ以外に、いわゆる放射線による影響を考えなければならない地域に人を送らざるを得ないといった場合、これは、こういったものに従事される方々の安全確保に関して、雇用者ですとか自治体との関係というのは、当事者間の雇用関係であるとか労働安全の観点も含めて整理されるべきものと考えております。

 なお、自治体と民間事業者との原子力災害時の協力に係る協定等において定めておくべき内容を広くあらかじめ検討をしておりまして、全国知事会の御提言を踏まえた原子力災害対策関係府省会議において、民間事業者の協力等に関しても報告書を整えておられるところであります。

 安全確保に係る防護装備の例示等も、これは検討を進めて、既に示しているところであります。

泉田委員 ありがとうございました。

 これは、業界団体と協定を結んでも、直接、使用者と被用者の間で何ら権利義務関係が生じるわけではございません。ぜひお願いしたいのは、先ほど委員長も言われたように、事故が起きてから誰がどうするのか改めて考えるのではなく、計画の中に、万が一のときに福祉車両は誰が運転するのか、そしてまた、トラック、バスは誰が運転するのか、いざというときどうするのかというのはちゃんと計画を立てておく、これは世界標準だと思います。これをぜひやっていただきたいと思いますので、お願いを申し上げたいと思います。

 そして、福島の検証という点で、もう一つお伺いをしたいんですが、三月十一日、夜の八時五十分です、避難指示を最初に出したのは国ではありませんでした。福島県が最初に避難指示を出すということになりました。国の方が一歩おくれるという対応です。

 先ほど冒頭に申し上げたとおり、私自身はもう四時半に、問題が生じているというのを認識していたわけですから、八時五十分でも遅いんだと思います、本当を言えば。

 なぜこのようなことになったのか、そして今後どう対応するのかという点について、御見解を伺いたいと思います。

更田政府特別補佐人 お答えをいたします。

 まず、これは米国を中心としますけれども、事故に至る、事故といいますか、実際の放射性物質の放出に至る前に、プラントの状態であるとかプラントが置かれている状態をもって、災害対策に対する引き金を引く。先生は御承知だと思いますけれども、EALといった仕組みによって早く災害対策の引き金を引けるような仕組み、これは東京電力福島第一原子力発電所事故以前から米国等では議論もされていましたし、適用もされていたし、IAEAでも議論をされていた。当時の原子力安全委員会の中ですら、こういったものに関しては、中間報告に至るような検討までなされていた。

 しかしながら、それが実行に移されていなかった。そのために国の判断は極めておくれましたし、一言で申し上げて、自治体の判断よりも国の判断がおくれたというのは大きく反省すべき点の一つであったろうと考えております。

 したがいまして、東京電力福島第一原子力発電所事故の場合、打つ手もおくれたのも事実でありますし、また、計画が整えられていなかったことに伴う混乱というのもあったものと認識をしております。

泉田委員 ありがとうございました。

 ぜひとも、この福島の教訓、世界でもまれな原発震災ということだと思います。これは、関係者の調整が難しいからといって臭い物にふたをするのではなく、しっかり向き合った上で、住民の皆さんがなるほどと安心できるような計画、それをつくるために、やはり指針は直した方が私はいいと思います。ぜひとも、この辺の取組、しっかりやっていただきたいと思います。

 もうそろそろ時間だと思いますので指摘だけにさせていただきますけれども、米国においては、二〇〇一年の同時多発テロで、テロ対策、全電源喪失しても放射性物質をまき散らさないようにという規定、B5bというのを入れました。何と電力会社に、それを、日本においては求めるということをしなかった。なぜそうなのかということもぜひ検証して対応していただくということが必要だと思います。

 沃素剤についても、チェルノブイリ事故のときには、ポーランド国民には配付をされました。そしてまた、ポーランドにおいては、甲状腺がんの増加というのは見られないという報告になっています。一方、ベラルーシとウクライナでは増加したという報告になっているという現実もあります。

 さらに、安定沃素剤については、福島県立医大のお医者様とかスタッフと、御家族にもというふうに伺っていますが、実際、専門家は服用しています。住民には配られませんでした。そしてまた、東電関係者にも配られたという指摘があるんですけれども、残念ながら住民には届いていない。

 こういったところの検証もぜひ必要だと思いますので、なぜそういうことが生じたのかということも検証の上、対応するということを求めて、質問を終わらせていただきます。

山際委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、内閣府民間資金等活用事業推進室室長石崎和志君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、総務省大臣官房審議官篠原俊博君、総務省大臣官房審議官大西淳也君、財務省理財局次長市川健太君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君、農林水産省農村振興局整備部長奥田透君、国土交通省大臣官房審議官首藤祐司君、国土交通省大臣官房審議官榊真一君、国土交通省水管理・国土保全局下水道部長森岡泰裕君、国土交通省鉄道局次長山上範芳君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長久保田雅晴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。篠原豪君。

篠原(豪)委員 よろしくお願いします。

 PFI、そしてコンセッションということで、法案審査ということで、どうぞよろしくお願いをいたします。

 我が国の経済社会活動は、政府や地方公共団体が高度成長期以降集中的に整備をしてきた約八百兆円に及ぶ社会資本のストックによって支えられています。そして、今やその社会資本ストック自体が老朽化をし、今後、維持、更新の時期を迎え、そして、本来の性能を発揮するために、再整備と整理、統廃合などで多大なリソース動員を必要としてくるところに来ています。

 まず、政府にお伺いしたいのですが、政府がうたっている一三年に策定をされたインフラ長寿命化基本計画の概要と、今後に必要な社会資本整備の費用の概算、これを教えていただければと思います。

首藤政府参考人 お答えいたします。

 高度経済成長期以降に整備したインフラが、今後一斉に老朽化をしてまいります。このため、メンテナンスサイクルを構築するとともに、トータルコストの縮減、平準化を図りつつインフラの機能を適切に維持することは大変重要な課題であると考えております。

 こうした中で、国土交通省におきましては、平成二十六年五月に策定いたしましたインフラ長寿命化計画に基づきまして、計画的な維持管理、更新に取り組むとともに、国土交通省の公共事業関係費の半分以上を防災、減災、老朽化対策等に重点化しているところでございます。

 予防保全の考え方に基づきまして計画的な維持管理を一層促進していくとともに、産学官民が一体となったインフラメンテナンス国民会議を通じまして、メンテナンス産業の育成、活性化を図りながら、新技術の開発、社会実装や自治体支援を進めるなど、社会全体としての取組を加速させてまいりたいと考えております。

 今お尋ねの費用でございますが、国土交通省所管のインフラの将来のメンテナンス費用につきまして、平成二十五年の社会資本整備審議会、交通整備審議会における審議の中で維持管理費と更新費の将来推計を行っております。この推計におきましては、国と地方合わせて、事業費ベースで、平成二十五年度には三・六兆円でございましたものが、十年後には年間四・三兆円から五・一兆円程度になるものとしているところでございます。

 以上でございます。

篠原(豪)委員 今おっしゃっていましたけれども、インフラの老朽化の現状、並びに三・一一がありまして、防災・減災対策で非常にいろいろとやっていくということになり、また、我が国は一斉に老朽化が進んで、他方で、アジア地域においてどんどんどんどんといろいろなインフラ整備がある中で、もちろん日本もしっかりやっていかなきゃいけないんだというようなことは、まさにそうなんだというふうに私も思います。

 ただ、他方、国や政府、地方公共団体は、既にいろいろな、ばらまき政策と呼ばれたものも失敗だと言われたものもあり、場当たり的な施策を繰り返して、事業見直しを不断にやっているかといえばそうでもなく、そして、将来世代に真にビジョンのある国づくり、地域づくりをやってきたかといえば、それは今の財政的な現状を見てみれば、実際には多額の財政赤字が積み上がっていて、もはや公的負債はそうしたニーズに、先ほど、十年後には四・三兆円から五・一兆円にふえるかもしれないという試算があるというふうにおっしゃっていましたが、これは毎年かかっていくわけでありますので、どんどんどんどんふえていくんだろうというふうに思います。そうなりますと、対応は本当にできるのかなというのが実情だと思います。

 ここは、これまでの失敗も含めて真摯に反省をしながら次の計画をやっていかなきゃいけないと思うんですが、今、日本は公的資金が絶対的に不足していることを大前提として、今申し上げた新たな社会資本整備、大規模な更新への投資を行わなければいけないという課題が突きつけられている。

 公共施設マネジメント白書みたいなものも、各自治体でもいろいろつくっています。ただ、これも、つくって、つくったんだけれどもその先をどうしていくかというのは、つくったところで息切れしちゃって、実際にはその先の計画が進んでいかないというようなことが起きているんだというふうに思っています。白書はいいものができているところの自治体も結構あるんですけれども、その先が問題なんだというところであります。やはりここは向き合っていかなきゃいけない。

 そういった中で、私も地方自治体にいましたので、どんどんどんどんと高齢化して、後で少しお話ししますけれども、コンパクトシティーをやろうというときに、実際には、ばらばらにいろいろなものを無計画につくった結果、いろいろなところでインフラ更新が大変なことになっていく、そういった現象がある。だから、それを本当に統廃合も含めてやっていかなければいけないというんですが、実際にはなかなかうまく進まないんですよね。議会の議決が必要だったり、いや、それはそうはいっても、これは何とか必要なんですよということは言うんです。なので、なかなか難しいといった現象がある。

 であるならばということだかわかりませんけれども、こういったものに対応するために二十世紀末に我が国に導入されたのがPFIだったというふうに思います。このような困難な状況の打破を意図しているものだというふうに思っています。

 そこで、策定から、一九九九年だったと思いますけれども、PFIの法制定以来もう二十年たちますので、ここまでどのぐらいの予算の削減効果なり、効果があったのかということを一度教えていただければと思います。

石崎政府参考人 平成十一年にPFI法が施行されて以降、平成二十八年度末までにPFI法に基づき実施方針が公表された事業の数、六百九件となってございます。この六百九件で幾ら予算が削減されたかという効果に関しましては、我々、算出してございません。

 ただ、このPFI法が施行されてから平成二十七年までの間に実施方針を公表した五百二十七事業をもとに、平成二十八年に内閣府が調査を実施してございます。

 これによりますと、事業者決定時のバリュー・フォー・マネー、事業効果が把握できた三百六十四事業におきまして、人口二十万人以上の公共団体では平均一九・四%、人口二十万人未満の公共団体では一六・二%となっておりまして、行政がみずから事業を実施する場合と比較しますと、全体で一八・五%の財政支出削減効果が見込まれているものでございます。

篠原(豪)委員 もちろん、民間のPFI事業実施の過程において、民間からの創意工夫を生かして、性能発注の活用とか入札を通じた企業の競争等を通じて、今申し上げたような公共事業投資費の節減が実現しているということなんだと思うんですよね。

 ただ、政府による公共サービスの提供というのは、まず、これはもともとの考え方ですけれども、公共サービスというのは、最初に、サービス提供に必要不可欠なインフラを新規に整備します。それを日々運営管理することで行われているんです。当然のことながら、その事業計画には中長期的な維持管理費、更新等の経費が本来は含まれていなければいけないんですが、まあ、いわゆる総事業費ですね。

 例えば公共建築物だと、大体、耐用年数というのを七十年とかいうところで考えて、ライフサイクルコストというのを算出して、損益分岐点をどこにするのかと事業収支シミュレーションをやって、ちゃんと決めていくということだと思うんですが、なかなかそこがきちんとできていないということだと思います。

 政府がやってきたのは、やはり、会計年度のつじつまを合わせるというのは、これは公会計システムの問題もあるので、予算重視で決算を重視しませんから、本当にそういうことになってきて、衆議院では決算行政監視委員会が全然開かれていなかったりしますので、何年かまとめて決算だみたいな、ちょっと民間では考えられないということもずっと言われていると思うんです。そういったことがあって、これには非常に気を使うんですけれども、中長期計画にはほとんど関心を払わず、結局失敗しても、最初のシミュレーションと全然違っているんだけれども、責任を問われることはほぼないというのが実態だと思います。

 ダムの建設なんかを見れば、本当に、公共事業の当初予定額が最終的に何倍も膨れ上がる。ですので、さっき五・一兆円とおっしゃっていましたけれども、それが本当にそこでいくのかなというような問いはずっと残っていて、我が国では解決していないです。

 そして、何倍にも膨れ上がるということが当たり前になっていって、その中で、今日の多額の財政赤字と公的負債が、中長期的な維持管理、更新等の経費に関する予算管理のいいかげんさに、ここまで、こういうことになって積み重なって、我が国の、もう一度言いますけれども、財政赤字と公的負債の関係がある。

 仮に、予算が厳密に管理されて、当たり前の話なんですけれども、民間だったら普通に考える話なんですが、老朽施設の更新費用が用意されていないということが、これはあり得ないということになると思うんですけれども、公共建築物とか公共事業はいっぱいあるわけです。

 私の手元に、今ここにも、先月の朝日新聞、四月二十三日ですけれども、「公共事業評価 四分の一に問題」「効果水増し 維持管理費を無視」、そういうことになっていて、中身は、将来の人口減少を考慮せずに事業効果を水増しし、維持管理費を無視して費用を過小評価したり、結果として、総務省がサンプル調査した各省庁の五百三十二事業のうち、まあ、大臣は御存じかもしれませんけれども、実に四分の一がだめだったというわけです。問題なわけですね、四分の一なんです。我が国の公共事業の四分の一は問題なんです。これは毎年指摘されていることだと思うんですけれども、そういったことがあります。

 こういった状態の中で、つまり、我が国の行政の体質が変わらない中でPFIを導入したら、果たしてどうなるかということを考えるわけですね。

 先ほど御回答いただいた、予算削減効果がこれだけありましたということがありましたけれども、今のPFIによる先ほどおっしゃった数値というのは、大半がサービス購入型と言われるようなものに代表される、PFIによる、例えば、一番わかりやすい例でいうと、公共施設や庁舎、宿舎、学校施設等のいわゆる箱物を民間によって建設をさせた上で、十五年、二十年にわたって民間に維持管理をさせる、そして、発注者たる公共側が、その間に施設の建設費と維持管理運営費の代金を分割で払うという手法です。

 このやり方は、本来は公的負債であったものを民間につけかえただけであって、気がつけば、後年度の負担の増加と呼ばれる借金返済問題で、財政が更に硬直化するんじゃないかということも指摘されているんです。言いかえれば、日銀のゼロ政策みたいなものに例える人もいまして、結局、金利政策を続けて政府が借金をし放題になっている現状に似ている、厳しい財政状況下で社会資本整備を進めるPFIとは言えないのではないかなどという指摘もあるんです。

 戻しますと、これまでのPFIのサービス購入型というのは、民間の事業者に運営管理などを任せて、そのサービスの提供料を支払うというもので、これはリスクを民間側が余り負わないものであります。

 つまり、言い方が正しいかわかりませんけれども、公務員さんがやっていた仕事を、公務員さんじゃないんだけれども他の方にお任せをしてということなので、実は、そういう形をイメージしていただければ、ほかにもいろいろ種類はあるんですけれども、削減効果というのは、公務員さんだとかあるいは民間の会社が雇った方だということなので余り大きくない、事業そのものの形が変わるわけではないので、そういうものなんだというふうに思います。

 しかし、これだとすると余りよくないというので、今後は、サービス購入型の今言ったようなPFI手法などではなくて、コンセッション方式と呼ばれるPFIを積極的に導入しようとしているんだというふうに理解しています。

 これは、将来にわたって収益を生むことが期待される公的施設について、その運営権、公共施設等運営権を設定し、その権利を民間事業者に売却することによって公共側は収入を得て、民間事業者は事業からの収益によって利益を上げていく事業方式なんですね。

 この方式で、具体的にこれから伺ってまいりますが、民間の事業者は需要の変動等の種々のリスクをきちっと負ってもらうことが本来的なコンセッションというものの基本で、他方で、官から民へのリスクの十分な移転がなければ、民間企業が関与していたとしても、サービス提供は今まで官がやってきている公共調達とは変わらないんです。

 なので、つまり、リスク移転をコンセッション導入の成否を判断する基準にちゃんと置いておかないといけない。簡単に言いかえれば、失敗しても民間がその責任を負うことになっているのかどうかということです。もっと言えば、赤字、損失が出たときに、その補填をその事業者がちゃんとやるような仕組みに我が国のコンセッション方式はなっているのかということについてお伺いをいたします。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 コンセッション事業におきましては、さまざまな設計があるかと思います。コンセッション事業者のみが費用を負担する独立採算型という、かなり広範に事業者の方がリスクを負う型もありますし、一部公共施設の管理者が費用を負担する混合型、なかなか独立採算型では民間事業者のリスクが大き過ぎるということで、一部公共事業の管理者が費用を負担する混合型、このようなケースがございますので、やはりいろいろなケースによって、それぞれさまざまな状況だと思います。

 いずれにしましても、事業者、行政、また関係する金融機関等の関係者で十分な検討、合意がなされた上で実施契約を締結するというのが大事だと思ってございます。

 ただ、御指摘のとおり、やはり効果を生み出すためには、事業者が本来責任を負うべきリスクをきちんと負うというような設計が確かに望ましいというのは、御指摘のとおりだと思います。

篠原(豪)委員 今、独立採算型と出てきましたので、ちょっとその実態について言っていただければと思います。

 おっしゃるように、リスク移転を高くした形のものだと思うんですけれども、この方式で十分にできているものがあるのかどうか。言いかえれば、コンセッション方式で失敗したものはどのぐらい把握しているのかということです。

石崎政府参考人 コンセッションに関しましては、要するに、まだ実例が出始めて間もないという状況でございまして、具体的に失敗したという事例を、我々、コンセッションに関しては認識してございません。(篠原(豪)委員「独立採算型でないですか」と呼ぶ)PFIの独立採算型についてということですか。(篠原(豪)委員「はい」と呼ぶ)済みません。PFIに関しまして、申しわけありません、ちょっと独立採算型かどうかというのを今すぐにはわかりませんが、PFIにおいて、途中段階で契約解除に至った案件というのが複数あるということは認識してございます。

篠原(豪)委員 わかりました。では、ちょっとまたそれは後日教えていただければと思います。

 やはりそのリスク移転が、OECDのモデルを見てみると、ちゃんと書いてあるわけですよ。リスク移転が明確にないものは、これはコンセッションではない、コンセッションはそこが一番大事なんだということであります。じゃないと、結局、中途半端に責任の所在を曖昧にして、今、コンセッションではないと言いましたけれども、途中で契約解除している場合があるわけですね。そうすると、結局、税金が投入されていくということになります。

 なので、ここはやはりちゃんとしているかどうかというのは、きょう初めての法案審査なので、大事な点だと思いますので、指摘をさせていただきます。じゃないと、補填してモラルハザードみたいな状態になっていって、本当に、その状態でも、それを何か認めないがために民間は使い続けるとか、そういうだんだんわからない形になっていくんじゃないかというのも心配していますので。あり得ると思うんですよね。どこかで、だって、ばさっと本当に切れますかという話になると思うので、そのところをやっていかないと公共調達と変わらないということだと思いますので、よろしくお願いします。

 何でばさっとできないかというと、PFI事業の性質上では、一定の公益性の確保の観点から、その収益性に対して制約がかかることがないと大変なことになるということであります。

 なので、事業者は、その制約がかかることをある程度甘受しなければいけないし、一方で、民間企業にとってみれば、公共施設の運営事業に対して投資を行うのは、経営の自由度がどこまで制約されるのかというバランスになってきます。収益性に影響を与える与条件がどの程度定まっているかといった予測の可能性が一定程度確保されることが、これは手を挙げる大前提になる。

 したがって、公益性が高い分野の場合、リスク移転が犠牲とならざるを得ないのか、だからやっていないのか、なかなか難しいのか、日本ではですね。その場合、公益性の高さというのは何をもって考えていらっしゃるのかなというところが気になります。

 このリスク移転が十分じゃない場合に、申し上げた公的資金を投入せざるを得なくなるようなことが生じる可能性が否定できないと思いますので、その点について何か対策を打たれているのか、教えていただければと思います。

梶山国務大臣 今委員からお話しありましたように、民間業者側は、予見可能性がある一定程度確保されていなければ事業の予測が立たないということがあります。一方で、公共団体側は、やはり公益の観点ということで、それで協議を重ねていくということになりますが、先ほど来お話がありますように、資産価値の適正評価というものがまず第一で、いろいろな協議を重ねていくことになります。

 そして、民間であれば、資産価値、償却もしていくし、除却もしていくということになりますし、そのための積立金や、また引当金というものも立てていく。そういった手法も取り入れながら、どういったリスクが生じるのかということをこの実施契約の中でお互いに決めていく。できるだけリスクをこれで小さくしていくということがガイドライン等に書かれているわけであります。

 事業リスク、需要変動リスク、経営リスク、解除時の取扱いの管理に関しましては、事業者、行政、金融機関等の関係者の間で十分な検討や合意がなされた上で実施契約を締結する必要があるということで、その旨、基本方針や、今申しましたように各種ガイドラインに記載をして、関係者に周知を図っているところであります。

 ここでいう公益的観点というのは、需要の高さ、住民による需要の高さであるとか、また利用頻度ということになろうかと思っております。そういうことも含めて、個々に協議を重ねながら実施契約を締結していくということになろうかと思います。

篠原(豪)委員 公的資金の何かあったときの投入は、後ほど伺います。

 では、今おっしゃった、あらかじめいろいろとお互いの中身の話合いをして、料金をどうする、政府と約束したものをどうするかというのをつくっていって、適切に実施、契約をして適切にやればいいということになるんですが、それをいろいろと話をする中で、今回、コンセッションの場合は、民間業者が事業期間中にこれはちょっとどうかなというふうに思った、自分たちがやってみてですね、事業になってしまっていた場合もそうなんですが、言いかえれば、運営権を買っているので、何かあったときに、事業期間中にバランスシートからその事業を外して次の投資家に売却をしたいと考えた場合について、それができるのかどうかと、あと、その際に、転売について、事業責任もその転売した部分については自動的に新規事業者に引き継がれるのかどうかというところについては、まあ転売のリスクですけれども、どうなっているかということを少し教えていただければと思います。

石崎政府参考人 委員今御指摘ありました事業承継という考え方だと思いますけれども、事業承継も、当然ながら、コンセッションが非常に長期にわたるものだと、やはり一つのあり得る事態として考える必要があると思ってございます。

 このため、事業継続が困難である事由をできる限り明確化するとともに、その事態が発生した場合の対応に関して、やはり関係者の間で十分に検討、合意がなされるということが今までの経験からも重要だというふうに考えてございます。

 このような実施契約を締結するために、基本方針や各種ガイドライン、こういうことが必要だということについて我々も指摘させていただいて、周知を図ってございます。

 今回、この法律を改正させていただきましたら、その中に助言、勧告等の措置もございますので、そうしたものを活用しながら、そういう手続が適切に行われるように徹底してまいりたいと考えてございます。

篠原(豪)委員 そうはいっても、転売しますといったら、何かできなくなったりするんですか。

石崎政府参考人 基本的に、もともと契約にある程度よると思いますが、当然ながら、転売するというのは、ある意味ではその事業をやめる、その事業者としては事業をやめるということになりますので、その事業をやめる際には、やめたいという形で申し出て、必要に応じて、例えば損害賠償を払いながらやめるというようなケースも当然ながら契約の中で考えられると思います。

篠原(豪)委員 損害賠償を払いながら、それでやめると。でも、やめられたら困るんですよね、契約期間中に。三十年とか長いですから。空港を転売するといったって、なかなか運営権を、まあ、それはやる会社はあるかもしれませんけれども、日本は幾つか手を挙げていますから。そういうこともあり得るわけですよね。

 ちなみに、今、長い契約期間とおっしゃった。三十年とかあったときに、自然災害のリスクというのがあると思うんですよ。地震が起きたり、例えば高松なんかへ行ってみると、唯一、海沿いにないんですね。なので、あそこは、四国に何か起きたときに、それなりの空港システムを入れた方がいいとか、着陸するための何かが昔からあるみたいですけれども。高松空港なんかを見ると、津波のリスクはないけれども、少なくとも南海トラフが想定されていますので、そうなってくると、みんな水浸しになって、高松はわからないですけれども、例えばの話ですよ、そういった場合、空港施設がだめになったときには、建てかえなきゃいけなくなります、水浸しになったら。まあ、直ればいいですけれどもね。

 そこも含めて、自然災害とか原子力災害のリスクとか大地震というときには、コンセッション事業者はどこまで責任を負うようなシステムになっているんでしょうか。あるいは、負わないようになっているんでしょうか。

石崎政府参考人 運営権の対象として、自然災害による建てかえ等の事業リスクを誰が負うのか、これも、基本的には、その事業の性格を踏まえてそれぞれの事業ごとに定める、そういう性格でございます。

 我々としましても、こういうものを不可抗力リスクと言ってございますが、不可抗力リスクについても、当然ながら何らかの検討をするということが必要だと。例えば、保険でカバーできるようなものに関しては積極的に保険にする、そういうようなことも考えられるかと思いますが、保険でカバーできないものについて、それはさすがに民間事業者でそこまで負うとなると、民間事業者が誰も来なくなるというケースも十分考えられますので、そういう場合には公共が負うという選択もあると思います。

 それも含めて、恐らく最終的に価格、例えば運営権とかの価格に反映すると思いますが、そういう中で処理をしていく、そういうものだというふうに考えてございます。

篠原(豪)委員 一応確認させていただきました。災害が想定されていますので、その辺を政府はどう考えていらっしゃるかというような話で、確認するのは大事かなと思っていますので。

 二〇一六年に民間資金等活用事業推進会議が決定したPFI、PPPのアクションプランですけれども、二〇二二年度までに事業規模を二十一兆円に拡大することとしています。この中で、コンセッションの導入による予算の削減効果というのはどれぐらいのものを期待しているのかということを教えていただければと思います。

石崎政府参考人 二〇一六年五月に民間資金等活用事業推進会議が決定したアクションプランにおきましては、二〇一三年から二〇二二年までの十年間のPPP、PFIの事業規模目標として二十一兆円を掲げてございます。

 そのうち、コンセッションの事業目標を七兆円としてございます。この七兆円の目標を達成したときに関しましては、運営権対価の収入としては少なくとも二・三兆円を見込むとしてございましたが、コンセッション事業については、その段階で前例がなく、また、各事業の個別性が強いことから、歳出削減、歳入増加効果の予測はその段階では行っておりませんでした。

篠原(豪)委員 そうすると、その時点ではって、今はあるんですか。

石崎政府参考人 現段階においても、予測までは行ってございません。

 ただ、例えば浜松市の下水道、ことしの四月に事業化がやっと始まりましたが、これについては、コスト削減効果が八十七億円で、約一四%の事業効果が出ているというふうに推計しておりますので、今後実績として積み上げていくという性格のものかというふうに考えてございます。

篠原(豪)委員 なので、やってみてということなんですかね。そういうことですか。実績を積み上げていってと。少し不安があるんですけれども、今笑っていらっしゃいましたけれども。これはやはりちゃんとやっていかないといけないのかなというふうに本当に思います。

 今お話を伺っていましても、何かうまくいかなかったときに、このコンセッションをちょっと私たちはやることができませんと、罰金を払って、あとは次のところに譲るとか、又は公共が引き継ぐかわかりませんけれども、結局のところ、何かあったときに、今お話を伺っても、大体、結局は政府が最終的には何かうまくいかなかった場合には責任をとるというようなふうにも受けとめられるんですよね。

 どのぐらいの効果が出るかもわからないという予測の中で、ちゃんとうまくいけばいいけれども、うまくいかなかったらこれはとても大変なことになる、税金ですからね。大きいものが多いですよね、今回、今皆さんがPFIで。

 もちろん、そもそも民間が入っていかなくて、じゃ、今までの、全部公共調達でいいのかといったら、私はそうじゃないと思うんです。やるべきところはしっかりやり、知恵もありますから。

 ただ、そこのときに、政府が債務を負うということを最終的に軽減させていかなければ、思想として、短期的には契約当初の財政的な見返りが、多分使用料とかをもらえると思うんですけれども、結局、それに目がくらんで飛びついて、じゃ、二十年間、三十年間お任せします、その分お金を下さいといって、でも、結局その後の先の世界は、私もあるところに行って聞いてきましたけれども、契約期間までは、それは責任ですから、契約ですからやりますよ、でも、その後のことは、それは契約にないですからという話なんですよね。老朽化していくじゃないですか。魅力がなくなっていったりすると、では、それを結局誰が負うのかということになってしまうということになります。

 特に、水道とか、私も横浜市の出身なので、横浜というのは、多分日本で一番最初に近代水道が引かれたという都市であります。随分遠いところから、山梨県の道志川の上の水とか青山の水源地とかというのがあるんですけれども、昔は横浜市の局長さんとかがその水源の、これは余り関係ないですけれども、上に船を浮かべて、みんなで、のどかな、そういう時代からやっていて、今は許されないと思いますけれども。

 そういうところで聞いていましても、ずっと任せていて三十年もたつと、特に、今でさえ水道事業みたいなところは技術者が減っていて、技術の承継ができないということになっていて、これは切実な問題となっていますので、そういうことも含めて、ばさっとなくなったときに、その先のことをちゃんと考えていないんだとすると、これは無責任だというふうに思います。だって、そういう人たちもいなくなっちゃうわけですから。だから、そういうこともちょっと考えていただければと思いますが、その辺は、後に水道とかいろいろと私たちの会派からも出るかもわかりませんが、というふうに思います。

 このコンセッション事業の地方における現実というのはどういうふうになるのかなと思うんですけれども、今、独立採算型の事業を担っている公的企業体で、ずっと赤字のところというのがありますね。私の自治体にもあるんですよ、病院だったりしてね。もちろん独立採算型でやっています。多数存在していて、地方自治体も過剰債務の償還を目的に補助金を注入し続けているんですけれども、こういった公的企業体では事業再生のためのさまざまな計画が立てられるんですが、こちらも当事者のつくった計画は甘くなりがちで、計画の未達、そして負のサイクルから抜けられないという現実で、こんなのは民間だったらとっくに潰れているんですけれども、やはり財政を入れてやっているということであります。

 PFIのいいところを見れば、投資を希望する民間事業者に事業を委ねれば現実的な事業計画を立案してくれるときもあるのもありますし、こうした負のサイクルから抜け出す手段としては、私、期待しているんですよ。

 そのときに、赤字を垂れ流し続けている公営企業体というのは、これは総務省さんに来ていただいていると思うので、どういうふうに国は把握されているのかということを少し教えていただければと思います。

大西政府参考人 平成二十八年度地方公営企業決算状況調査によると、黒字事業に係る黒字額は平成二十七年度決算に比べて百七十八億円増加し九千六百四十五億円、赤字事業に係る赤字額は二百五十九億円増加し二千四百十億円となっております。

 先生御指摘のとおり、公営企業の経営には厳しいものがあり、その赤字事業に係る赤字額の原因は、事業の特性や立地地域の違いなどによりさまざまであり、一概には言えないものの、人口減少による料金収入の減少や減価償却費の増大などの影響が大きいものと認識しています。

 このような点も踏まえ、総務省としては、中長期的な経営の基本計画として経営戦略の策定を地方公共団体に対して要請しており、引き続き公営企業の経営改革を推進してまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 公営企業も、場所によっては改革を積極的にやっているところもあります。お給料も下げてやっているところもあります、その公営企業の中だけで。でも、そうはいっても赤字というところが多い。

 他方で、ちょっと国土交通省さんにも来ていただいているので、二〇一四年に策定した立地適正化計画の自治体による策定状況というのを少し教えていただきたいと思います。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省では、人口減少や高齢化の中にあっても、地域の活力を維持するとともに、医療、福祉等の生活サービスが確保された安心して暮らせる町を実現するため、平成二十六年に立地適正化計画制度を創設し、予算、税制等のインセンティブ策を講じながら、町中や公共交通沿線への都市機能や住宅の立地誘導を進めているところです。

 お尋ねの立地適正化計画に関しましては、昨年末の時点で、三百八十四の都市において計画に関する具体的な取組が進められており、このうち百十六の都市において計画が作成、公表されてございます。

篠原(豪)委員 これは、いわゆるコンパクトシティーというやつにかかわってくる話なんです。

 冒頭の話に戻るんですが、いわゆるスプロール現象、昔、いろいろなものをいろいろなところでつくった結果、病院が公営企業で赤字だったり、水道なんかはもう本当に張りめぐらされちゃっていますので。ところが、コンパクトシティーでこうやって策定をしてやっていくとなっていくと、これはなかなか難しいな、最適化をどうしていくのかなということを考えていかなければいけないんだろうというふうに思います。

 同じ都市圏にある自治体が個別に立地の最適化を求めると、無駄な公共事業とか建設、住民や大型店舗が奪い合いになって、結局のところ、計画的にこの計画自体が進まないんじゃないかということが、この部分だけでも言われている。

 このスプロール現象の中で一番大変だと言われているのが水道事業なんですよね。自治体に任されている水道事業は、今でも横浜市なんかは、百年かかるんですよ、インフラの、ちょっとした水道、ちょっとじゃなくてすごい距離があるんですけれども、大きいからなんですけれども、既にそれを毎年やっている、少しずつ、ちょこちょこちょこちょこやっているところであります。

 今後は、日本全体で更新費用が増加することが予想されている中で、日本の総人口が減少に転じて、そして、これに伴って水道事業が供給する水の量が減るので、流量が減る。そして、同じ水道料金ではできない。もうこれは、同じ料金の水道の水準であれば、スプロール現象なので、効率は落ちるばかりという状況にあります。

 二〇一三年のPPP、PFIアクションプランでは、二〇二二年までの十年間に、空港、水道を対象とした二、三兆円の規模のコンセッション事業を行うということになって、今この質疑に入っているんだと思うんです。しかし、DBJ、日本政策投資銀行は、二〇一七年の四月に、水道事業を継続するためには、今後三十年間で、全国で約六割の値上げが必要という試算を発表しているわけです。この試算を踏まえれば、水道事業へのPFIの導入というのは、水道料金の大幅値上げが前提条件になってしまうということになります。

 先ほどお話をちょっと伺ったのは、公共性の担保と利用料金のバランスを公共性が強いときにはどういうふうに考えるのかといった話を先ほど伺いました。

 これは、民間の企業のもうけを確保するために、このままでは、住民負担となってしまってはいけないんじゃないかというふうに思います。このことについてはどういうふうに今考えていらっしゃるのか、お伺いさせていただければと思います。

石崎政府参考人 今後、人口減少とか設備の老朽化が進む中、水道事業を継続するために値上げが必要となってくるというような試算が一部民間等でされているということは我々も承知してございます。

 我が国の厳しい財政状況とか人口減少社会の中で、今後、このような事態、大きく値上がりするというような事態を可能な限り回避しつつ、大量の更新需要の発生が予想される上下水道の施設の維持、更新を着実に行ってネットワークを維持していくためには、事業主体である公共団体で最大限の効率化を図ることが必要だと思ってございます。

 我々が今お願いしていますPFI、民間の創意工夫、資金を活用するということは、その有効な手段の一つだというふうに認識してございます。

 いずれにしましても、公共団体、今後の人口の見通し、管路の更新費用の見通し、こういうのは経営の状況を明らかにして、水道の広域化、官民連携とかさまざまな手段を、必要な対応について住民の合意を形成していくということが必要ではないかというふうに認識してございます。

篠原(豪)委員 水道なんかにしてみれば、一つの手法、あくまでも幾つかある中の一つの手法だとおっしゃるんですが、横浜市の場合は百年かかるわけです。百年契約でやるのかという話であります。僕はちょっと、それはなかなか難しいんじゃないかと思う。他方で、料金を上げれば六割増、これを今度は利用者にというような指摘もある中で、よくよく考えていかなきゃいけないんだろうなと思います。

 PFIとコンセッションというのは、やるのがそんなに簡単じゃなくて、例えば私の地元でも、みなとみらいという地区があって、サウンディング調査をやって、そこからプランを立てて、コンセッションの事業者を募集して、やって、いろいろな法律とかシステムにかかわるので、金融もそう、法務もそう、技術のところも広範な専門知識が必要です。ですよね。

 民間にも優秀な方々がいらっしゃるんですけれども、アドバイザーがちゃんとしていないとこれはだめだろうというふうに政府も思っていらっしゃるんだと思うんですけれども、地方自治体では、これまでPFIといえば、まさにアドバイザーの起用コストなども負担が大きくて、インフラ分野でのPFIの活用というのは、ゼロベースで事業の関連規制を洗い出したり仕組みをつくったりすることが必要となりますので、運営、金融面で今まで以上の専門性が要求されて、これが負担になってきたんですけれども、これを何とかクリアしていかなければいけないということだと思います。

 今回のPFIの活用の前提となる専門知識においては、法の改正によって、今回のPFIの改正法案で、国がPFI事業に係るワンストップ窓口を決めて、設けて、自治体、民間業者からの支援措置の内容、規制等についての照会をしていくということ、こういった考え方は評価ができるんですけれども、それはあくまでも専門知識の内容の問題であるので、これはやはり専門機関たるPFI委員会などがやった方がいいんじゃないか、あるべき姿ではないかと考えています。

 法案の審査ですからお伺いしますけれども、ワンストップ窓口、今回、助言機能の強化によって国の関与が強くなるということで、地方公共団体の主体性や判断がゆがめられて、国によるコンセッション方式の導入が事実上強制されることになるのではないかというような懸念が指摘されています。このことについて、どういうふうに考えていらっしゃるのかということ。

 改正法案は、ワンストップ窓口をあえて内閣総理大臣としているというところが気になっているというふうに言われていて、ここは、言い方はあれですが、私は公文書とかでもいろいろとやらせていただいて、大臣にはこれまでもいろいろ教えていただいているんですけれども、まさに同じような、何か力が働いて、そんたくが起きるんじゃないかなというような書きぶりにもなっているんじゃないかというふうに、指摘が一部あります。

 なぜかというと、未来投資戦略の二〇一七では、これは外部の中立的な専門機関が窓口でやってくださいというふうに考えていたものを、質問の十六番目ぐらいのところですけれども、十五、十六あたりですが、中立機関を窓口に考えていたのを、なぜわざわざこれは内閣総理大臣としたのかをまず確認させていただきます。

梶山国務大臣 委員御指摘の未来投資戦略二〇一七では、PFI事業の推進に当たりまして、内閣府の機能や権限、その権限の行使のための組織のあり方について、外部の中立的な専門機関の組成を含めて検討し、必要に応じて、次期通常国会までに所要の措置を講ずるとされていたものであります。

 外部の中立的な専門機関をワンストップ窓口とすることも検討いたしましたけれども、独立した機関において個別の助言や勧告等を行う機能を付するためには、当該組織のための相応の予算の確保、事務局体制の整備等の検討を行うことが必要になると思われます。

 今回の案は、厳しい行財政事情の中で、既存の組織を活用して求められる機能を実質的に行うものとして、より現実的な案を提案させていただいたものであります。

 なお、内閣府において権限を行使することとする場合には、実質的な決定権者が誰であるかにかかわらず、法律には内閣総理大臣が権限を行使するという定めを置くことになるものであって、改正法案において、ワンストップ窓口の実質的な対応を内閣総理大臣みずからが行うことが予定されているものではありません。

篠原(豪)委員 いや、それはそうだと思うんですよ。私もそう思います。ですので、内閣総理大臣の、つまり政治の側の、中立的なものかどうかわからないような、どこでやるかわかりませんけれども、そういったところで物が決めていかれるんじゃないのかと。

 なので、オープンな中立的な専門機関が必要なんじゃないかということで、別に、総理大臣がみずから、この案件はこうしなさいと言ったら、今やっているような問題は大問題に全部なりますので、それはないと思いますよ。ないと思います。しかし、そんたくが生じているんじゃないかみたいな案件がこれだけ言われているときに、あえてまだこのような書きぶりになっているということが果たしていいのか。

 改正案では、まさに、内閣総理大臣は、特定事業の適正かつ確実な実施を確保するために必要と認めるときは、公共施設等の管理者に対し、実施方針に定めた事項その他の特定事業の実施に関する事項について、報告を求め、又は助言若しくは勧告をすることができるとされていて、つまり、PFI委員会等への報告の必要がなくて、公共施設等の管理者に勧告をできるようになっているわけです。

 そもそも、どういう勧告をする想定なのかも教えてほしいんですけれども、このPFI事業について助言や勧告を行うのも、やはりこれは、政治の介入を排除する観点から、専門機関であるPFI委員会でやった方がいいんじゃないかということです。その際も、地方の実情等を知った当該地方団体が自主的、自律的に決定できるような場合に、これは、それもそうした上で、あらかじめ更にきゅっと絞った方がよりいいんじゃないかということですね。その上でですよ。ということだと思うんです。この辺はいかがですか。

梶山国務大臣 勧告につきましては、内閣総理大臣が所管するPFI法令、基本方針、ガイドラインなどに照らして、特定事業の適正かつ確実な実施を確保するために必要な措置を講ずることを求めるものであります。

 勧告につきましては、リスク分担等を全く考慮せずに契約を締結しようとしているような場合、また、契約後、モニタリングを全く行っておらず、トラブルの発生等が想定される場合等において、PFIの推進委員会の意見等も踏まえて、PFI制度全体の信頼性が失われないように、必要な措置を講ずることを、進めることを想定しているものであります。

篠原(豪)委員 民間事業者や地方公共団体からは、さまざまな類の規制緩和や特例措置の要求等がなされてくるというふうにこれから推察をします。そうした要求に政治が介入しないということがやはり肝要。だからこそ、その意味でも、ワンストップ窓口はしっかりとオープンな中で、いろいろな専門家の方はいらっしゃるかもしれませんが、それは難しいことですから、それを開かれた形で、何か今言われているような、政府が何か決めてそれに従わせるんじゃないかみたいな疑いが、こうやって、私たちが言っているようにやれば、少なくとも、そのリスクとか言われることは多分なくなってくると思うんですよね。

 なので、その辺は、やはり今こういうときだからこそ、梶山大臣もいろいろと大変だと思いますが、お忙しくて、本当に旬の、旬とは言えないけれども、今問題になっているさまざまな、ある意味の、我が国の国の状態が、行政のいろいろな課題が噴出している中で、やはりこれは考えるべきじゃないかと思います。

 やはり、コンセッション事業者の選定プロセスなんかを見ても、公平性、透明性、客観性というのが必要になってくるんだと思います。その点について、皆さんがどう考えているのか。

 まさに、PFIを導入するメリットは、先ほど一番最初におっしゃったバリュー・フォー・マネー、これが大事だということでありますので、公的主体が事前に知り得ない民間企業の経営ノウハウを効率的に導入をしてコスト削減やサービスがよくなる、だからいいんだと。

 そのためには、一般競争入札のように、公共工事を受注したい事業者の金額を、票を入れて、じゃ、はい、決定、落札ですという話に今回はならないわけで、なので、一番安い事業者が落札されるんじゃなくて、コンセッション方式の場合は、現下、非価格面での提案が評価される公募型のプロポーザル方式がとられているわけです。

 なので、つまり、審査基準についても、価格面や施設面での提案内容よりも経営面での提案内容が重要だったり、あるいは、具体的には、経営体制、モニタリング体制、ファイナンスを含む安定性の審査項目がより重要視されているんだと思うんです。

 これはまた時間があればお伺いしたいと思いますけれども、こういった状態の中で、金額じゃないですから、ですので、どうやって選定プロセスが公平性、透明性、客観性を持って行われているのかということ、このところについて、時間ですので、最後にお伺いをしたいと思います。

梶山国務大臣 委員おっしゃった公平性、透明性、客観性というのは非常に重要なことでありまして、PFI法においても、「客観的な評価を行い、その結果を公表しなければならない。」と定めるとともに、条例において民間事業者の選定の手続を定めることを規定しているところであります。

 さらにまた、PFIを導入するかどうかということについては、自治体でしっかりと議論をしていただいてお決めいただく。そして、その上で、またさまざまな手法について国が支援をしていく、また民間の手法を取り入れていくということになろうかと思いますので、委員のきょうの質疑の御意見も参考にしながら、制度の構成を考えてまいりたいと思っております。

篠原(豪)委員 時間ですので終わりますけれども、我々は、より公明正大、そして皆さんにわかるような形で、政府が何か余計な口出しをするかどうかわかりませんが、どこまでかはわからないですよ、確かに法務面とか、いろいろと技術面で必要なアドバイスもありますから。ただ、そういうことはあったとしても、やはりこれは開かれたものでなきゃいけないということを思っていますので、その際に我々がどういうふうに考えているかということを、また時間があれば、これはまた議論させていただきたいと思いますので、きょうはありがとうございました。

山際委員長 次に、山崎誠君。

山崎委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。PFI法の一部を改正する法律案に関して質問をさせていただきます。

 冒頭、連休中にドイツに行ってまいりまして、そこで視察した内容を少し御紹介をしたいと思います。PFI法に大いにかかわります。

 見てきましたのが、今ドイツで非常に盛んに行われていますシュタットベルケという取組でございまして、これは、地域のエネルギー事業あるいは生活インフラ事業を民間の企業が請け負って、その地域のさまざまなサービスを地域密着で行うという事業体です。シュタットベルケといいます。

 今ドイツ国内では九百社ぐらい存在をしていて、一つの特徴が、エネルギー事業をベースにして、電気の売電、配電事業をやることで、その収益を使って、例えば赤字のバスを維持するとか、あるいは、私が聞いてきた例だと、公共のプールの運営を任されて、その収益を使ってプールを運営するとか、いろいろな民間のノウハウを入れて活性化するというような事業をやっています。

 電気のお話でいくと、ドイツの電力小売市場の実に二〇%です。二〇%をこのシュタットベルケという方式の会社が発電、供給をしているということなんですね。地域でこういう事業が回ると、要するに地域でお金がぐるぐる回っていくということでございます。

 幾つか特徴があって、私が見てきたのは、例えばオスナブルックという、ケルンとハノーバーの間ぐらい、ちょっと北の方の町でございまして、二十万ぐらいの都市なんですけれども、ここはシュタットベルケを積極的にやっていまして、細かい話はできませんけれども、電力事業をやり、ガス事業をやり、それからバス、交通事業をやり、上下水道事業をやり、それからプールを運営し、地域の熱供給をやると。そういうものを、そのオスナブルック市が一〇〇%出資をしてつくった会社が、今従業員九百人ぐらいと聞きましたけれども、行っています。

 いろいろな学びがありました。担当者の方にいろいろお話を聞くと、非常に生き生きと、新しい事業をどんどんやっています。例えば、交通であれば、バスの事業はあるんですけれども、カーシェアリングってありますよね、カーシェアリング事業をどういうふうにやっていこうか。このシュタットベルケという会社がやっています。それから、車だけではありません。自転車のシェアリング、バイクのシェアリングですね。それを町の中心で動かしながら、ちょっと地方に行ったら、今度はバスを、地域で回すコミュニティーバスのような事業をやる。そういうものをうまく組み合わせて、モビリティーのサービスとして提供するようなお話もされていました。そういった事業を支えるのが、電力の事業で得た収益なんですね。

 それで、いいなと思ったのは、例えば、バス事業を存続するために、市民の皆さんはその事業構造をわかっているので、電気は、ではシュタットベルケから買おうということなんですね。電気供給を、そのシュタットベルケと八割の方々が契約をしているという形なんですね。こんな事業を見てまいりました。

 ドイツでは非常にこういった取組がうまく回っている。国は、ではどういうふうに関与しているかというと、私がいろいろ確認をしたところ、国は大きな方針を定めていて、一々その事業に口を出しているような形跡はありません。このシュタットベルケの事業であれば、国は、例えば電力事業についての大きな方針を決めていて、再生可能エネルギーの優先買取りをしなさいと。要するに再生可能エネルギーをつなぎなさい。それから、固定価格買取り制度というやつですね、それをやって事業のベースをつくる。それから、電力の自由化をきちっとやる。そんなような大きな方針を示すことで、そのベースに乗っかって、各自治体は自由にいろいろな事業を組み立ててやっています。

 今回のPFIのお話を聞くと、例えば、こういう事業がこのPFIの中からできるのかなというのが、私は一つ大きな、残念ながら疑問でございます。

 一つは、今お話ししたように、いろいろな事業を組み合わせて、収益が上がるもの、上がらないものもあって、それを、全体を束ねて最適化をするという形ができているんですよ。電力でもうけて、利益を上げて、バス事業を支えるとか、公営のプールの事業を支えるとか、そういうような形ができますよね。

 例えば、今のこのPFIで、では水道事業を外に出します。収益事業なので収益は上がるかもしれない。でも、それは独立した事業でございまして、そこで収益が上がったからといって、その収益を、では赤字のバス路線に使えるか。いろいろな方法があるのかもしれませんが、私は、このドイツのシュタットベルケのような運営というのはなかなか難しくて、特に、それを民営化してしまって外に出して、コンセッション方式に出してしまった途端に、そこからは切り離された事業として動いていくのではないかなと思っています。

 二つ、ちょっとこの事例、まず、通告をしていないので、今のお話の感想で構わないので、感想をお聞きしたいのと、あと、今言ったような、事業の相互のシナジー効果とか、つながっていくような、そういう効果についてどういうふうにお考えか、ちょっとお聞かせください。

梶山国務大臣 いろいろお聞かせいただきまして、ありがとうございます。

 そのベースをつくるにも、土台をつくるためにも、やはりコンセッションに取りかからなければならないと私も思っております。

 ただ、ドイツは非常に、私も十数年前、松野筆頭理事と十日間ぐらい、国内をバスで数千キロを走破して、環境とエネルギーという視点で見てまいりましたけれども、どこもやはり意識が高い。そういった中で、コストは少々目をつぶっても、そういうことをやっていこうというお国柄なのかなということを十数年前にも感じてきたわけでありますけれども、できれば、やはりそういう形で、将来的には、自治体が運営するもの、自治体の弱点となっているモビリティーの問題、そういったものも含んだ形で包括してできれば、これはPFIやコンセッションの行くべき道なのかなという感じを抱きました。

山崎委員 私は、同じ思いだとは思うんです、やりたいことは。でも、逆に、今やろうとしているPFIだとかコンセッション、こういうものが、こういう自治体の自由度を、自由な発想でいろいろな新しい事業を展開しようという流れを阻害するんじゃないかと、逆に非常に危機感を持っているんですよ。

 ベースになるという意味は、どういう意味ですか。

梶山国務大臣 コンセッション事業の先例というか、先行例が非常に少ないということもございます。そういったものも積み上げながら、さまざまな手法のいいところを取り入れて、そういった複合型のコンセッションというものも将来的には可能になるのではないかなという思いを持ったということであります。

山崎委員 複合的なコンセッションというのが本当に臨機応変にうまく展開できて事業化できればいいですけれども、私は、固定化されるのではないかな。一つの企業にこれを任せた、それで契約が動き出すわけですよね。それに、ではちょっとこの赤字路線も面倒見てくれないかとか、この赤字のプールも面倒見てくれないかみたいなことって、実際にそんなに簡単にできると私は思えないんですよ。ある利益を想定して、水道事業でお願いをした事業体に特定事業を組みかえて、いろいろな事業を果たしてできるんだろうか。それも、事業のスパンは長いですよね、想定は長いとなれば、よりそれが固定化していくんじゃないかなというふうに思います。

 ドイツが全ていいわけではないけれども、私は、そういう意味で今回の、例えばワンストップという考え方、篠原さんも今お話をされていましたけれども、今言ったような事業というのは、その地域地域の発想で、地域の特徴を持って発展していく。いろいろな、大小ありますよね、大きなところもあれば小さな村もある。オスナブルックという小さな村も見てきましたけれども、本当に小さな村だけれども、でも、その中で、自分たちのできるエネルギー事業あるいは地域の資源循環の事業、いろいろなことをやろうとしています。非常にバラエティーに富んでいる。

 それを、一括して窓口で、国で助言をする、勧告をする、そういう考え方自体が、私はこういう、例えばドイツの成功事例だと思います、そういったものと反するように思うんですが、何でワンストップ事業を強化をし、そういう支援を強めようとしているのか。

梶山国務大臣 先ほど来申し上げていますように、まだそのコンセッション事業の入り口なんですね。ですから、先行例が少ないということもあるし、水道事業についても、しっかりと採算がとれるかどうかということで眺めている事業者もいるし、地方公共団体もあろうかと思います。そういったものの支援をしていく、助走の支援をしていくということがまず今回のコンセッションということだと思っております。

山崎委員 今も、現行でも内閣府はワンストップ窓口をやっているんですよね。それを強化して、あの内閣総理大臣という図の窓口を法制化をするという話ですよね。

 まだ入り口ならば、何もそこまでやらなくてもいいんじゃないですか。何で、内閣府の現在のワンストップがうまくいかなくて、法制化をして強力にする必要があるんですか。

石崎政府参考人 御指摘いただきましたように、現在も内閣府のホームページにワンストップ窓口という文字を書いて、電話番号を掲載してございます。

 ただ、制度的に何ら位置づけがないということもありまして、なかなか周知を十分にされていないということ。あと、そこに応じたときに、例えばほかの省庁の疑問とか、そういうものに対してどのくらい内閣府が答えるのかというのが制度的に担保されていない、こういうこともありまして、必ずしも十分に使われていないという状況でございます。

 このワンストップ窓口というのを今回法制的に明確にして、内閣府の役割、内閣府がこういう、ワンストップ窓口は、どちらかというと、いろいろな方から、言ってみれば、PFI事業って何だろう、よくわからないんだけれどもチャレンジしてみたい、そういうようなレベルの方から、とにかくまずここに聞いてみよう、そういう場所を整備することによって、よりいろいろな形のPFIというのが発展する、そういうものを期待して、今回ワンストップ窓口というのを設けさせていただいてございます。

山崎委員 今のお話であれば、内閣府がやっているので十分だと思いますよ。だって、PFI事業がはっきりわからない、コンセッション方式がよくわからないような人たちが雑多に来るのにお答えするための窓口であれば、それであれば、今の内閣府で十分だと思いますよ。

 それから、今のお話で、いや、周知徹底ができていないと。周知徹底すればいいじゃないですか。何で法制化して内閣総理大臣を中心に置かなきゃいけないか、全く理由がわかりません。

 それから、先ほどの梶山大臣の御説明で、いや、予算、財源の問題で、そういう第三者的な専門機関を窓口にするのは難しいんだというお話をされましたが、そうですか。

梶山国務大臣 先ほどの篠原委員のところですね。

 それも考えましたけれども、当面、それが軌道に乗るまでには時間もかかる、費用もかかるという中で、しっかり内閣府で取り組んでまいりたいということでさせていただいたということであります。

山崎委員 それも、私はとんでもない話だと思いますよ。

 だって、これからこのコンセッション方式あるいはPFIをきちっと伸ばしていかなきゃいけない、そのために法制化もして体制をつくるわけですよね。そこまで決意を決めて、法改正までしてそれをやるなら、今もう内閣府でワンストップをやっているのにもかかわらず、それをあえて法制化するのであれば、当然のことながら、その受け手である体制はきちっとつくらなきゃいけないですよ。ベストなものをまずつくらなきゃいけないと思いますよ。おいおい整備しますというのは、とても失礼な、私は無責任な話だと思います。梶山大臣のお言葉としては大変残念です。

 それから、もう一つは、では、先ほど篠原委員からもありましたPFI委員会との関係なんですけれども、PFI委員会に、例えばワンストップ窓口、あるいは助言や、あるいは勧告をするときに、このときは必ずお伺いを立てなければいけないというケースはありますか。

石崎政府参考人 ワンストップ窓口につきましては、報告をし、助言を受けることができるという形のところでございますので、必ずしなければならないという規定はございません。

山崎委員 一つお聞きしたいんですが、国家戦略特区の場合はワーキンググループとの関係ってどうですか。ワーキンググループのいろいろな助言とかを受けながら選定すると思いますけれども、勝手に総理が進められることはありますか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区ワーキンググループは、民間議員主導で、民間議員の御判断でいろいろお選びすることがございますが、その民間議員の判断に対して、総理が個別の案件等について御指示をされることはないというふうに、個別の指示をされることはないというふうに理解をしております。

山崎委員 私が聞きたいのは、そのいろいろな案件が上がってきたものは、ワーキンググループが受けて、いろいろなヒアリングをしてそれを上げていきますよね、総理に。だから、総理が勝手に、この案件この案件、ワーキンググループとは関係なしにヒアリングをしたり助言をしたりすることはありますか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 制度としてそのような運用をすることはないというふうに理解をしております。

山崎委員 国家戦略特区と私は違うと思うんですよ。PFIの方はお伺い機関なんですよ。で、一方通行なんですよ。報告をする、あるいは助言を求めて。かなり弱い関係だと思いますよ。

 私は、やはり今これから専門的な知見だとかいろいろな分析も必要だということであれば、やはりPFI委員会のような専門家の集団がもっと事業の組立てにコミットしなきゃおかしいと思いますよ。その辺、どうですか。

梶山国務大臣 委員が質問の冒頭でおっしゃったように、地方自治体がすぐにできればそれにこしたことはないと思っております。しかしながら、やはり、先行例がない、ちゅうちょしている例も見受けられる、そういった中で、法律をつくり、指針をつくり、また、国も求めに応じて関与をしていくという方式をとったわけであります。

 先ほど私も入り口だという話をしましたけれども、いずれそれは自律的にやっていただくということで、まずはPFIをやるか否かということについても、決めるのは自治体であります。

山崎委員 水道事業を今非常に伸ばそうとしている、そこをターゲットにしているというのもあると思うんですね。法改正の中でもある。

 これは、私は、PFI全体を見たときに、先ほどドイツの例も言いましたけれども、非常にやはりいろいろなバラエティーがあっていいときに、何で水道を特出ししなきゃいけないのか。そこにまたワンストップ窓口だ、助言だの勧告だのという機能がついて、おまえ、けしからぬだろう、水道事業をコンセッションでやりなさいみたいなことが地方自治体に圧力にならないかどうか、非常に心配なんですけれども、そのあたり、どうですか。

石崎政府参考人 今回の改正法案は、政府におきまして、公的負担の抑制を図るとともに、良好な公共サービスの実現を確保するため、コンセッション事業等のモデル事業を着実に案件形成していくこと、また、多様な事業分野、多様な事業主体における幅広い取組を推進すること、これを鑑みまして、審議をお願いしているものでございます。

 国の支援機能の強化におきまして今回提案している助言、勧告、これはあくまで、相手方を拘束するような性格のものではなく、指揮命令関係のない機関相互の間におきまして、相互の自主性を尊重しつつ、専門的な立場における判断や意見を提供することによって、相手方の事業目的の達成を促すために行うものでございます。

 このため、この他の改正事項も含め、公共団体を支援するための組織でございまして、政府が個別にコンセッションを含むPFI事業の採用に強い圧力をかけるのではないかという御指摘には当たらないのではないかというふうに考えてございます。

山崎委員 そうであれば、この事業の組立て自体、私は、何で内閣総理大臣とここに書かなきゃいけないか。

 内閣総理大臣、強大な権限を持っているわけですよね。自治体に対するいろいろな補助金だとか交付金だとか、さまざまな影響力を持っているわけですよね。それを背景にして、コンセッション伸びてないんだよな、水道事業を伸ばしたいんだよな、協力しませんかという話になったときに、それって全体として、国と地方との関係として、どっちがどう動くかというのが見えているじゃないですか。この単体を見たらそうですよ。いや、この制度はそういう強制力はありませんと言うかもしれないが、国と地方という関係の中で位置づけたときに、私はやはりそういう動きが起こり得ると思うんですよ。

 だから、この事業自体を設計するに当たっても、そこは非常に注意しなきゃいけなくて、例えば総理大臣のような絶大な権力を持っている人を中心に据えるような制度設計というのはおかしいと思いますよ。今のお話であればこの制度設計はおかしいと思いますが、どうですか。

石崎政府参考人 これは繰り返しになって申しわけございませんが、我々のこのPFI室は内閣府にございます。この内閣府において何らかの助言、勧告というような権限、こういうことを行使する場合には、実質的な決定権者が誰であるかにかかわらず、法律には内閣総理大臣と、法律的には書かざるを得ないという性格のものでございます。

 このために、内閣総理大臣と書いてございますが、実質的には内閣府として、当然ながら事務を行っていくという考えでございます。

山崎委員 時間が終わりますが、なぜこんなふうな話になるかなんですよ。

 加計学園の問題もいろいろお聞きをしようと思って準備していましたけれども、時間がなくなりましたのでやめますが、結局、首相案件みたいなものが自治体の文書の中に出てきて、会っただの会わないだの、あす予算委員会で明らかになるらしいですけれども、実際にはやはり首相の秘書官のような方々が会っていたんではないかと。会ったと認められるような報道もありますが、そういう話があるから、ここに内閣総理大臣と書く意義は大きい。形式上、組織上、そう書かざるを得ないという話ではなくて、総理が直接話を聞いて、じゃ、ここを何とかしてくれと言うか言わないかわかりませんが、でも、そうやって、影響が今問題になっている。

 そのさなかで、この法律のこういう改正というのは、私たちとしては納得いかない、承服しかねるということでございまして、金曜日に向けて、また修正提案などもさせていただく予定になっております。よろしくお願いします。

 終わります。

山際委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 ありがとうございます。立憲民主党の森山浩行でございます。

 私につきましては、先日の代表質問におきまして、このPFI法の改正案について議論のスタートをさせていただいたわけなんですけれども、やはり、まずは国益、国をしっかり守り、そして水と命を守っていく、この観点から、この制度設計ではいかがなものかという部分。また、附則の四条、ここの部分で、コンセッション事業の上下水道分野への導入を促進をするため、運営権対価の資金で地方債を繰上償還する際に、国に対して支払わなければならない補償金を免除、軽減するという形で、本則ではなくて附則ですね、附則の四条で特出しをして、上下水道分野というような形で書かれております。

 PFI全体としては二十一兆円の目標を立ててやっていくんだというようなお話の中での上下水道分野に関することですけれども、これはつまり、今回、特出しをして出さなければ上下水道分野についてはPFIは進まなかったということでいいんでしょうか。

 厚生労働省、それから国土交通省、そして内閣府、よろしくお願いします。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 コンセッション事業は新しい事業手法であることから、他分野においても先行案件が少ない状況であることに加えまして、特に水道事業は住民に身近なものであるということから、なかなか難しい、進みが難しいというような状況があったというふうに考えてございます。

森岡政府参考人 下水道についてお答えをいたします。

 水道と共通でございますけれども、地方公共団体がコンセッション方式の導入を検討するに当たって課題となっておりますのは、先行事例が少なく、各団体における理解やノウハウが不足していることなどが考えられます。

石崎政府参考人 内閣府としても、今お答えになった両省と同様でございますけれども、先行案件がなかなかできない、そういう中で案件が進まない状況にある、それを検討しているところの後押しをしたいということで、今回の法律を提案させていただいているものでございます。

森山(浩)委員 じゃ、内閣府さん、済みません。

 空港なんかは、この前の制度のままで進んでいるんですよね。

石崎政府参考人 我々が当初目標を立てました空港、道路、下水道、上水道、この四つが一つのテーマとしてありましたが、空港、道路に関しましては一定の目標を達成してございますが、上水、下水についてはその目標にまだ及んでいない、そういう状況でございます。

森山(浩)委員 厚生労働省さん、住民に身近なサービスであるのでなかなか理解が広がらない、このようなお話がございました。

 これで、補償金を免除、軽減するというのが解になるんでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの水道事業につきましては、コンセッション方式を導入する場合に、水道事業者がその認可も返上しなければならないというようなこともございます。

 それに対しまして、今国会に提出させていただいております水道法改正法案では、その認可を返上せずに、それを維持したままで導入するというようなこともできるようになるところでございます。

 そのような法改正も提出させていただいているところでございますし、また、自治体によってはそういったコンセッション方式を導入したいという要望もございますので、それは自治体によって導入を進めようというところはあると承知してございます。

森山(浩)委員 というような状況であるわけなんですけれども、大臣、どうですかね。

 今回、これまでPFIが進まなかった上下水道分野において、それでも進めるべきだという部分については、どのようにお考えですか。

梶山国務大臣 上下水道につきましては、特に上水道はライフラインということもあり、非常に安全が重視される分野でもあります。そういったことも含めて、さまざまなハードルがあり、PFI、コンセッションが進まなかったと認識をしております。その一つに、また先ほど委員からお話がありましたように、補償金の免除ということも、自治体側のちゅうちょさせる要因としてあったと思っております。

 いずれにしましても、しっかりと住民と議会に説明をし、了解をいただき、安全面それから安定面、そして、さらにはまた地元の事業者に今後の方針等をしっかり説明した上で着手をするということになると思いますけれども、これからの膨大な更新需要、そしてそのスピードも考えた中で、選択肢の一つとして選択していただければと思っております。

森山(浩)委員 済みません、確認ですが、今の地元の事業者というのは、いわゆる水道局ということですか。

梶山国務大臣 管工事の民間の事業者でございます。

森山(浩)委員 民間の、例えば工事の委託であるとか、一部分については民間にお任せをするというのはこれまでもあるわけで、それを、全体のハンドリングを自治体がやる、あるいは自治体の上下水道局でやる、こういうものが一般的なわけなんですが、コンセッションとなってしまうと、更新事業であるとか、あるいは値段設定であるとか、こういった部分まで民間に任せていくというような、幅広い形での委託になっていくということなんですよね。

 だから、そういう意味で、ちょっとこれまでの事例についてお話をしたいのです。

 例えば、二〇〇〇年、コチャバンバ水戦争と言われます。ボリビア、ベクテルというアメリカの会社ですけれども、これがコチャバンバの水道を独占するというような形で民間委託、民営化を受けたわけですけれども、水道料金が四倍になる、そして不衛生な水が来るというようなことで、井戸をもう一回掘るんだというような話にもなった。で、大きな住民運動に発展をした。

 あるいは、フィリピンのマニラ市におきましては、フランスのスエズという水事業者ですけれども、これについても、およそ四倍と言われますけれども、水道料金がどんと上がってしまった。また、これは、IMFそれから世界銀行というような国連に関連をする機関などが、民営化をしていくという部分に関して後押しをしたということもあって、この時期に同じような形で民間にやってみたけれども、大変サービスが向上するわけでもないのに値段が上がっていくというようなことが起こって、その後ずっと、綱引きというか、問題になっております。

 一九八五年に民営化をしましたパリ、こちらでは二〇一〇年に再公営化が行われています。これは、ヴェオリアあるいはスエズといった水メジャーと言われる事業者のもともとの事業を受けた、そのパリの町で再公営化が行われてきたわけですけれども、ことしの二月に、アン・ル・ストラさん、元パリの副市長でありまして、水道局長をやっておられた方が来日をされました。そのときにお話をお伺いをしたのですが、二〇一〇年、どうして再公営化をしたのか。

 値段、水道料金が上がり続けた。それは、経営者の報酬というものがいわゆる水道局でやるよりも高い料金を払わなきゃいけない。あるいは、民間でやりますので、当然、法人税がそこにかかります。そういったものも水道料金に乗ってきたのじゃないか。

 あるいは、じゃ、それがどのぐらい乗ってきたのかということを情報公開で求めた場合に、いや、会社全体のバランスシートは出せますけれども、パリの水道、この部分に関してだけ原価が幾らだと言われても困りますというような形で、情報公開が十分とはいかなかった。会社全体のものだけを出してきたというようなことも不満に数えられておりました。

 あるいは、水で上がった利益が、この投資先が水以外にこぼれていってしまうという言い方をされていましたけれども、水道料金で上がった会社の利益、先ほど言いました法人税や経営者の報酬なんかも引いた後の利益でさえ、水以外の分野に、あるいはパリ以外の町に持っていかれるということに関して、パリの市民としては、これは民営化というのも線引きをしていかないと、どうも水全体のバランスとしてよくないのだ、このような話の中で再公営化を行ったというようなお話をお聞きしました。

 この一連の流れについて、厚生労働省さん、把握をしておられますか。そして、どのように評価をしておられますでしょうか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 パリ市の水道事業は、三つの事業に分割して、第三セクターと民間事業者により運営されてございましたが、そのうちの第三セクターをパリ市の一〇〇%出資会社に改組して、二〇一〇年からパリ市全体の水道事業を実施させていると承知してございます。

 その背景といたしましては、先生に御指摘いただきましたように、まず、水道事業の運営状況を監視する第三セクターに対しまして、監視される側の二つの民間企業が資本参加していたこと、それから、民間企業との委託契約におけるサービス水準が明確でなく、監視や監督が困難であったこと、それから、水道料金の設定方法が不透明で、水道料金が急激に値上がりしたことなどがあったものと承知しているところでございます。

森山(浩)委員 さて、大臣、どうでしょうか。

 パリの事例、そのほかの事前の部分に関しては、さすがに水道料金が四倍になるのはいけないというようなことで、国際的にももうちょっと何とかならぬのかという話もあって、それは落ちついてきているところではありますが、パリの事例に関しましては、こういうことにならないように今回の制度では歯どめがかかっているんでしょうか。

梶山国務大臣 海外の事例も含めて、これまでの知見、これまでのリスクと想定されるものについてはしっかりと議論をすることにしていると思っております。そして、民間の事業者が事業をするときには必ずやはり資産価値の適正評価というものをするわけでありますけれども、その前提で、事業に参画するのがいいのかどうなのか、また、それをPFI、コンセッションとして事業化するのがいいのかどうなのかという自治体側の判断もあろうかと思います。

 いずれにしましても、民間企業の場合は、やはり先ほど申しましたように償却をし、場合によっては除却をする。そしてバランスシートから削っていく。さらにまた、積立てをしたり引き当てをするというような適正なバランスシート上の整理も含めてやってきているという中で、でき得る限りのリスクは実施契約の中でまとめていきたい、そうでないものは、不可抗力リスクということで、今現在ある民間の保険等の活用、また、それ以外のものはその後の話合いということになろうかと思いますけれども、そういった手順を踏んで、しっかりとしたものにしてまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 先ほど申し上げました、例えば値段、水道料金については、ではこのぐらいの幅でやらなきゃいけないよとか、その算定基準をきっちり出さなきゃいけないよとか、若しくは、水道事業全体としてのバランスシート、これも水道事業単体でオープンにしなきゃいけないよとか、このような形で、パリの事例についても検討した上で、命令というかルール化していくということでよろしいですか。

梶山国務大臣 ガイドラインとして、そういったものもリスクの管理として必要ですねと。料金に関しては幅を大前提で決めておくということになろうかと思いますし、また、財務の透明化という点ではいろいろな民間の手法があろうかと思いますので、そういうのは個別にまた判断をしていくということになろうかと思います。

森山(浩)委員 先ほど、地元の業者というお話がございました。水道の事業をやるんだというときに、当然、現在、上下水道局でやっていますというような部分に関しては、地元の工事業者あるいは管業者というような皆さんにお願いをするということが多いわけなんですけれども、この水道の分野、包括的にといった場合に、なかなか簡単に全体を受けるような、日本の中での会社の枠組みがない。ましてや、地方に行けば更に小さく、サイズとしてはなっていくというような部分がございます。

 先ほど出てきましたフランスのスエズであるとか、あるいは浜松市で下水道の事業を受けているヴェオリアといったような会社、こういうのが出てきたときに、日本側が太刀打ちできるのか。

 一つは、日本全体として海外からの企業の進出に対して十分戦える体制にあるんだよということであるのか。私の認識ではかなりやられるんじゃないかと思うんですけれども。

 さらに、水道というのは今、各地域でやっていますので、地域の中でできるだけ工事を落とすことができるのかというようなところあたりも非常に大事なことになってくると思います。

 ただ、WTOの体制というのがございますので、国際的に訴えられるような話になってはいけませんから、民営化をする、あるいはコンセッションを入れるというときには、今まで、公営のままでやっていくのであればWTO体制には触れないわけですけれども、ここで、民営化はするけれども日本の企業にお願いするんだなんというような言い方をすると、国際的に大問題になる可能性があります。

 WTO体制下における、海外からの上下水道事業者を迎え撃つ方策についてお尋ねをします。

梶山国務大臣 PFI、特にコンセッション事業の導入に関して、上下水道の場合は、先ほども申しましたように、安全なのかどうなのかという住民の考え方、安定に供給してもらえるのかどうなのかという、またこれも一つの考え方。そして、先ほど私は地元の業者という言い方をしましたけれども、地域において上下水道の管工事をしている零細業者が、やはりコンセッション化することによって自分たちの仕事がなくなるのではないかという心配も懸念の材料の一つであります。

 これらをしっかりと解消するためのプラットホームづくりも必要ですし、そこで納得していただくための手順も必要であると思っております。

 そういった面も含めて、中心となる企業と連携して事業を実施する協力企業に参入することは、国内にコンセッション方式が広く用いられるために重要なことであると考えております。

 例えば、そのコンセッション事業者選定において、地元企業を参画させることにより、地元に密着した事業の提案を行った事業者グループを高く評価をするというような、国内企業の参加を促す工夫は有効だと考えておりますし、さまざまな工夫があろうかと思います。

 委員がおっしゃったような、WTOの違反事案にかからないような形での、そういう工夫が可能なのかどうかということも含めて、しっかりと実施契約や考え方に入れていくということだと思っております。

森山(浩)委員 そうなんですよね。一生懸命やるというのはよくわかるのでありますけれども、これは一旦開いてしまうと、もし入ってこられた場合には、出ていけというわけにもいきません。

 今、浜松市で下水道をやられているヴェオリアなどというのは、ミシガン州で、水道で鉛の汚染の訴訟を抱えている。あるいは、私の地元でありますけれども、堺市においては、徴収業務において千九百万円の横領というのが、ことし、事案として発生をしています。

 こういう、何かあったときに、じゃ、出ていけよというときに、何だ、外国企業だから出ていけというのかというような話になったときに対抗できるのかというような部分も含めて、あらかじめ、こうだから大丈夫だというような制度がまずは必要だと思うんですよね。

 そのあたりのところは考えてスタートをしておられますか。

石崎政府参考人 当然ながら、実施契約の中におきまして、ちょっと、一つ一つの案件についてどこまでというのは今つまびらかにわかりませんが、当然ながら、いろいろなリスクであるとか問題が発生したときの解決方法、こういうものにつきましては、それまであった経験を新しい契約にきちんと反映させる形で問題ないように処理していくというような形のものを、また、モニタリングなどをきちんと行うということによってそれを予防するということが非常に重要であるということを我々もガイドラインとかに示して、公共団体とかにも、これは厚労省さんとか下水道部局さんと一緒になって周知をさせていただいている、そういうことでございます。

森山(浩)委員 先ほどの質問の中で、核の部分ですけれども、日本の企業で太刀打ちできるのか。

 ヴェオリア、スエズ、テムズウオーター、ネスレ、水メジャーと言われるような世界的な企業がたくさんあります。そして、全体をばかっととるという部分について、大変な知見を有している。こういうところに対して、日本側で十分に戦える企業というのは、現在、存在するんでしょうか。若しくは、存在しない、だけれども、一旦とってもらって、そのノウハウを盗んで何とか戦えるように育てていくんだという、そんな意見をされたこともあったかと思いますが、そういう話なのか。大臣、お願いします。

梶山国務大臣 委員おっしゃるように、ヴェオリア、スエズ、テムズ、長年の経験がある事業者であります。そういった事業者の経験というものも必要だとは思っておりますけれども、今回の法改正において全てが一括で受けられるような形になるかどうかというのも、まだ決まっているわけではありません。分割で、部分的に対応するということもあるでしょうし、これが例えば、先ほど申しましたように、住民の理解を得ていく、議会の理解を得ていくという中でどうなっていくか。その中でしっかり、ガイドラインに示された中で私どもも協議をさせていただきたいと思いますし、求めに応じて、またこちらからもいろいろな参考意見を出させていただければと思っております。

森山(浩)委員 では、対抗できる企業はないということですか。

石崎政府参考人 PPP、PFIも、当然いろいろなやり方がございまして、最近では、PFIにおきましても包括委託と言われている、包括委託もいろいろなレベルがございますけれども、かなり包括して、言ってみればコンセッションに近いようなかなり大きなものを大ぐくりでやる、そういう包括委託も出てきてございます。

 こういう中に、当然ながら、日本の企業もかなり参入してやってございます。こういう企業であるならば、当然ながら、努力いただくことによって十分に対抗していくことが我々は可能ではないかというふうに考えてございます。

森山(浩)委員 やはり、IMF、世界銀行のシステムの中では、できるだけ世界全体の水を平準化しようというような圧力が働いてきた歴史もあります。それに合わせて成長してきた非常に経験豊富な水メジャーとの戦いになるんだということをしっかりと認識をしていただいた上で、日本の企業の側も育てていくというようなところも非常に重要だと考えておりますし、ちょっと、今の段階で包括委託を前提とした委託というのは時期尚早な部分もあるのではないかな。ちょっとずつ分けて委託をしていくという中から力をつけていただくような段階を踏んでいただきたいなと思いますけれども、いかがですか。

梶山国務大臣 委員の御意見も参考にさせていただきたいと思いますし、いろいろなやり方、PFI、コンセッションのあり方があろうかと思いますので、それらを今度の法改正において背中を少し押すような形ができればと。強制的じゃありませんよ。しっかり、ではやれる状況が整ったなというような感じに当事者の皆さんが感じていただければと思っております。

森山(浩)委員 続きまして、水道事業の広域化、それからダウンサイジングの問題でございます。

 先ほどの質問の中でも、横浜市は新しくするのに百年かかるんだというような話も出てまいりました。今のままの水道事業、水道の施設をそのまま新しくするということであれば百年かかるというようなことも実際起こってくるわけなんですけれども、人口が減っている、また、節水型の家電であるとか、あるいは節水型の生活であるとかというようなことが浸透してきている中で、今までどおりの水の量が必要ではないという状況になっている事業体が数多くございます。

 例えば、先日の代表質問でも御紹介をしました岩手中部水道事業団、幾つかの市それから町がやっている水道事業、これにつきまして、浄水場を一体化して、全体としてつくる水の量を減らす、あるいは、管の径をちっちゃくして、大き過ぎる管はもう要らないんじゃないのかというようなことをやっていくときに、当然ですけれども、民主的な形で決定をしていかなければ、何だ、うちに来る水は減るのかというような話になってしまっては、非常に困る話でございます。

 ですので、まずは、公営の中でこのような事例、ダウンサイジングについて取り組まれている事例は全国で把握をされているのか、そしてどのように評価をされているのか、厚生労働省にお伺いをしたい。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 現時点では、委員御指摘いただきましたような岩手中部水道企業団その他につきましては、ちょっと今後調査してみたいと考えてございます。

森山(浩)委員 では、岩手中部水道事業団の取組に対する評価はいかがですか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、水道施設の老朽化や人口減少による料金収入の減少などの水道の事業基盤の急速な悪化が懸念される中で、地域の実情に応じて、将来の水の需要を踏まえ、長期的な視点に立って、施設規模の縮小や統廃合などのダウンサイジングや広域化を進めていくことが必要であると考えているところでございます。

 そういう意味で、この岩手中部水道企業団のような取組というものは評価できると考えてございますが、厚生労働省におきましても、これまで、手引の作成等によりまして、水道施設のダウンサイジングを含めて、中長期的な更新需要及び財政収支の見通しを試算して、具体的な更新施設や更新時期をあらかじめ定めるアセットマネジメントの実施等を進めてきたところでございます。

 また、現在国会に提出させていただいております水道法改正法案におきましても、長期的な観点から、アセットマネジメントを行う努力義務を規定するとともに、広域連携の推進について規定しているところでございます。

 こうした取組によりまして、御指摘いただきましたようなダウンサイジングを含めた水道事業者における計画的な施設更新や広域化を促して、基盤強化を図ってまいりたいと考えているところでございます。

森山(浩)委員 評価されているということですよね。

 ダウンサイジングはやらなきゃいけない、でも、今までの団体、事業者をもとに考えた場合には、うちの町で浄水場は要る、うちの町でちょっと多いけれども水をつくっている、でも、隣の町と合わせると、足して半分の量でいいというような事例がたくさんあるのではないかと思います。

 つまり、これまでの事業体を中心としたアセットマネジメントというだけでは十分ではなくて、広域化も視野に入れた形で、例えば県全体であるとか、あるいは流域全体であるとか、こういった形で、全体、必要な量を見た上で、人口の状態あるいは水の使用量、これに応じたマネジメントをしていくという意味では、例えば、その中の一つの市だけがコンセッションで委託をしちゃった、二十五年だ、三十年だ、五十年だという話になった場合には、全体のアセットマネジメントというのは今後つくることができないということにはなりませんか。

宇都宮政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、一つの自治体だけでということであればそのようになりますが、先ほどの水道企業団のようなところがまとまってそういったアセットマネジメントを行うということはあり得るのではないかというふうに考えてございます。

森山(浩)委員 そうなんですよね。既に水道企業団がある場合はいいんですよね。

 でも、隣の水道企業団と一緒にやった方がもっと効率化できるんじゃないかというような事例もあるかと思いますので、せっかくそういうアセットマネジメントをちゃんとやっていこうよというような話を水道事業として取り組んでいこうという時期に、一部だけぼこっと抜けて、コンセッションで民間委託しちゃったのでこれまでどおりの大きさの施設を更新しますなんというようなことがないようにしなきゃいけないんだなと思いますけれども、大臣、いかがですか。

梶山国務大臣 コンセッションを導入するに当たって、その適正な規模であったり、適正な人口であり面積であり、そういうものもあろうかと思います。小さなところはなかなかやはり難しいかと思います。広域化と同じように、コンセッションもやはり広域にすることによって、今委員おっしゃるように、資産の管理業務ができるという形になるはずでありますし、またそういった視点もしっかり置きながら、これらの協議を進めていってもらいたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 ですので、今行われている水道事業の改革について、ちょっと推移を見守りながら、このコンセッション、時期の早い段階で、とにかく目標があるからやっちまえというような形ではなくて、できるところから、あるいは民間委託というようなところからスタートをしていただきますようにお願いをしながら、最後、地方自治体の自主性についてのところなんです。

 先ほども山崎委員の方からお話がありましたけれども、助言、勧告というようなものが今回書き込まれています。助言、勧告という部分については、これは自治体の側から助言してくださいといったときに返ってくるという認識でいいんでしょうか。自治体から言われなくても、おまえ、ちょっとこれはちゃんとした方がいいんじゃないのかというような話も含めての勧告ということなんでしょうか。

石崎政府参考人 助言に関しましては二種類あるというふうに認識しております。

 一つは、民間事業者を含めてですが、何らかの助言を受けたいという形で申し出、それに対してワンストップ窓口としてお返しするというパターンの助言、もう一つは、先ほど説明の中にもありましたけれども、リスクを余り考えないで契約をしてしまって、このままだと後々非常に大きな問題になるんじゃないか、そういうものに関しまして、何らかの形で内閣府が知り得た場合について、それについて助言をする、物によっては勧告する、そういう両方のケースがあるかと考えてございます。

森山(浩)委員 コンセッション、やりなさいよという話にはならないということですね。

石崎政府参考人 あくまで特定事業の適正な実施のためという前提で考えていますので、個別の事業を、言ってみれば、そのまま放置した場合に何か大きな問題が生じます、そういうようなケースが、裏返して考えると想定されますので、個別の事業を行わないといったものが何か大きな問題になるというのは余り想定できないと我々は考えてございますので、個別の事業を何かやりなさいというような形というのは、この法案の、少なくともメーンのものとしては考えてございません。

森山(浩)委員 もう一つ、今度は水道から離れまして、指定管理者がそのままコンセッションを受ける場合には、先に自治体の議会で議決をしておけば、その後の部分については議決は不要にするというような書き込みがあるわけなんですけれども、これは自治体の自主性を損ねることにはなりませんか。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 指定管理者とコンセッションの事業者を兼ねる場合の特例として今回提案をさせていただいている、運営権者の権利を移転する場合に、指定管理者の場合、一回一回承認が必要なのを、あらかじめ議会が特例を設けた場合については、それを不要とする、事後報告で可とする、そこについての御指摘かと思います。

 これは、あくまで、公共団体の議会が自分の判断において、事前に特例を設けるということを判断し、当然、その中の適用の範囲だと考えた場合というものでございますので、議会の自主性を損ねている、そういう性格ではないというふうに考えております。

森山(浩)委員 このような事例というのは私は聞いたことがないんですが、総務省さん、同じ事例というのはほかの分野であるんでしょうか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正PFI法案による指定管理者制度の特例のように、あらかじめ条例を定めることで議決を不要とする制度につきましては、現行のPFI法における公共施設等運営権移転の議決の規定、また、地方自治法におきましても、普通地方公共団体の長等の損害賠償責任の一部免責に関する規定等の例がございます。

森山(浩)委員 その中で、私も地方議員を、自治体議員をやっておりましたので、国が制度をつくりました、そして、議決をしたらうまく事業が進むんだ、補助金が来るんだ、あるいは補償金が免除されるんだ、あるいは事業がうまく進むから、町のためには片目をつぶって賛成せぬかというような圧力、これは市民の側からも起こってきやすいのですね。

 実際、全体像が見えていない段階であっても、国が言っているんだから、何とかこれは議決をして、議会の議決を要らぬようにしたらどうだというようなことになりやすいわけなんですけれども、それから考えると、やはり、これは自主性をきちんと重んずるという意味では、ほかの条件、これをやらなければ不利益になりますよというようなことにならないようにということを国から強く発信をする必要があると思うんですが、総務省さん、いかがですか。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正PFI法案では、議会の判断により条例を定めた場合には、利用料金の設定や指定管理者の指定に関し手続上の特例が適用されるという選択肢を設けているものでございます。

 したがいまして、条例を定めるか否かにつきましては、地方公共団体において自主的に判断すべきものというふうに考えております。

森山(浩)委員 つまり、これは国からは圧力をかけませんよということでよろしいですね。

 これについても本当に、できちゃったシステムについては、最初の立法者の意図とは違う形で暴走することがありますので、常に気をつけながら運営にかかわっていただきたいというふうに思います。

 今回、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案ということでございますけれども、二十一兆円というPFIの目標額、これがありきで、何とか押し込みたいというような意図が見え隠れをするところでもございます。

 二十一兆円のPFIの目標というものが国益に沿うような形で達成をするのであればいいのですが、無理をして、海外の事業者がどんどん入ってきちゃった、国内の事業者が圧迫をされた、あるいは自治体の自主性が損なわれたというようなことがないように、運営段階においても、非常にこれは大事なところです。この制度の書き方自体についても修正案を用意をしておりますけれども、その上で、しっかり検討していただいた上で、次の運営の仕方についても気をつけていただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

山際委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 国民民主党の森田俊和でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。六十分の質問時間をいただいております。

 まず初めに、いろいろと、急なさなかでの委員会の設定でございまして、関係の担当者の皆様方には、大変時間のない中での御答弁を用意していただいたんじゃないかなと思っております。敬意と感謝の気持ちをあらわしつつ、質問をさせていただきたいと思います。

 平成十一年のPFI法の制定以来、およそ二十年という月日が流れております。その間の蓄積も大分できてきたことというふうに思っております。これまでの制度運用についても振り返ってみながら、PFIのさらなる活用について議論を深めていければなというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 さて、今国会でPFI法の改正についての議論、審議があるということで、早速私も、地元のことを調べてみようということで事例を当たってみました。ところが、余りないということでございました。

 埼玉県の担当者に伺ってみたんですけれども、県の、埼玉県の事業としては十四ありました。大きなものとしては、リサイクル施設、それから浄水場の排水処理施設の整備、運営、そのほかはESCO事業、つまり、建物の設備関係の更新、その後の運営を省エネなんかの提案も含めて一括して行う、こういった事業がその残りということでございました。埼玉県内の今度は市町村の行っているPFIの事業として見たところ、十八ございました。

 県の担当の方に、このPFIというのはどうなんでしょうねというお話を伺ったんですけれども、まず、県の事業としては、なかなか今の財政的にも厳しい状況であるので、PFIにうまくはめ込まれるような、そういった大きな案件がないと。なかなかそのメンテナンスにも、いろいろなインフラ、施設設備のメンテナンスにお金が行ってしまうということで、なかなか新規で新しく施設整備を行う機会というものがそもそもないということでございました。

 では、市町村の方はどうなんでしょうということを伺ったんですけれども、聞いたところ、昨年度はPFIについての相談件数がゼロであったということなんですね、県が受けた相談ということですけれども。一昨年、二十八年度は四件の相談があったということでございました。

 何ででしょうねというお話をして、その理由を伺ったんですけれども、一つは、事例が少ないので、そもそもなかなか踏み出せないということがあるんでしょうということでした。新しいこと、ほかがやっていないことをやるというのはなかなかやりづらいものだということだと思います。また、そもそもPFIのことを知らないということもあるんじゃないかなということでした。

 直接行政に携わっていらっしゃる市町村の担当者の方なんかはもちろん制度のことを御存じのこととは思うんですけれども、例えば、この事業をやるに当たって、市町村長、首長さんとの協議の中でつまずきが出てきたり、あるいは、その後、予算化をして地方議会でその議案を通そうというときに、何ですか、このP何とかみたいなそういう話になってとまってしまうというような、まあ、実際とまるかどうかは別としても、そういう心理的なリスクというのを感じていらっしゃるという向きがあるんじゃないかな、そういうことがお話の中で出ておりました。

 また、ちょっと本筋とは違う話なのかもしれませんが、談合の疑いの心配もされているということをお話をされていました。事業をやれるかどうか、その企業が請け負えるかどうかということを個別に話をしてまいりますので、なかなか個別に企業と話をするということが、そもそも、比較的大きな案件になってきますので、そういったところに何となく引け目を感じてしまうということで、現場の方のそういった心配もあるんじゃないかなというようなお話をされていらっしゃいました。

 こうしていろいろな地元のことを聞いてみると、このPFIの推進というのはなかなか難しいなという感触を持っております。

 そこで、議論の前提として大臣にお伺いをさせていただきたいと思うんですけれども、今回の法改正を含めて、PPP、PFIを更に推進をしていく意義というのはどのようなところにあるでしょうか。御答弁をお願いいたします。

梶山国務大臣 国、地方ともに財政状況が極めて厳しい中で、公的負担の抑制を図るとともに、持続可能かつ良好な公共サービスを実現するためには、さまざまな分野で民間の資金や創意工夫を活用することが重要であります。

 そういった意味から、PPP、PFIの事業の推進を図ることが必要だと思っております。今ないものでも、将来、十年後、二十年後に出てくる財政的なリスクというものも含めてしっかり見通していただいた上で決めていただきたいと思うところであります。

 このため、PPP、PFIの事業規模として、平成二十五年度から平成三十四年度までの十年間で二十一兆円の目標を掲げているところであります。この目標をできるだけやはり達成をしなければならない。

 PPP、PFIの推進を図るために、コンセッション事業等のモデル的な事業を着実に案件形成をしていくこと、先行モデルとしてしっかりと皆さんに理解をしていただけるような事業をつくっていくこと、また、多様な事業分野、多様な事業主体における幅広い取組を推進することが必要であることから、今回の法改正を行うということでありまして、自治体と事業者、一対一というよりも、一つの事業を幾つかに分けることも、可能な場合はする場合もある、さらにまた、事業体の組み方というものもいろいろな工夫をしていただく、また、自治体に決意をしてもらうためのことも含めて今回の法改正に至ったということであります。

森田委員 ありがとうございました。

 御答弁にもあったように、民間活力、つまり、民間の資金力であったり、ノウハウ、アイデアを活用して費用対効果の高い行政サービスを提供していこうというようなことが目的になってくるんだろうなと。

 負担の抑制というお話がございました。一時的に、施設整備のときにどかんと高いお金を払うことなく、平準化した費用の負担になっていく、そういったモデルもあろうかなと思います。

 また、いろいろと資料を拝見しておりますと、経済効果を狙っていくというような目的もあるのではないかなというふうに思っております。アベノミクスで経済成長を実現するということを考えると、その一つの手段としてPFIの推進というものも含まれているのかなというふうに思いますけれども、そういうこともあって、PFIを推進するということが一つの大きな政策目標になっているのかなというふうに思っております。

 平成二十五年に出されたアクションプランでは、平成二十五年から三十四年の十年間の事業規模の総額として十兆円から十二兆円という目標が出されておりました。これが、先ほどのお話にもありましたように、平成二十九年に改定をされたアクションプランでは、同じこの十年間で二十一兆円という規模の目標が出てきているというふうに承知をしております。

 そこでお伺いをしたいと思っておりますが、二十五年版のアクションプランから二十九年版のアクションプランということで目標が倍になっているというわけですけれども、この数値目標が達成できるのかどうなのかということで御答弁をお願いします。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 PPP/PFI推進アクションプランで定める平成二十五年度から三十四年度まで十年間の事業規模目標、二十一兆円でございます。これに対しまして、二十五年から二十八年度までの四年間の実績は約十一・五兆円という進捗でございます。十一・五兆円ですから、四年間で二十一兆円の半分を超えているということで順調に見えるのでございますが、これらの実績には、関西国際空港、大阪国際空港の五兆円、愛知県の有料道路の五千億円という非常に大規模なプロジェクトが入っている、そこでげたを履いているという部分がございます。

 それらの大規模事業を除きますと、目標を達成するためには、コンセッション等のモデル事業となる事業を確実に実施するとともに、更に幅広い取組を進めていくことが必要な状況だというふうに考えてございます。

森田委員 ありがとうございました。

 先ほどのお話にありましたが、四年間で、二十八年度末で十一・五兆円という数字が出ているということでございました。先ほどのお話にもありましたけれども、大型案件、空港の関係ですとか、そういったのが続けば達成可能な数字なのかもしれませんし、やりやすいところは、もしかするともう早目に取りかかっているということもあるかなと思いまして、なかなかこの先のところは厳しいかなという見方もできるのかもしれません。

 いずれにしても、先はまだ長いというふうに思っておりますので、案件を積み上げていく必要が、もしこの達成目標ということであれば、必要になってくるのかなというふうに思っております。先ほど埼玉県内のことを申し上げましたけれども、案件を積み上げていくということを考えますと、やはり、国だけやるということではなくて、全国の市町村を含めた自治体がPFIに取り組んでいただいた方が目標が近くなってくるのかなというふうに考えております。

 そこで、お伺いをさせていただきますけれども、市町村の事業でPFIを使った事例が近年どのくらいあるでしょうか。また、それに対する評価をどのようにしておられるか、御答弁をお願いいたします。

石崎政府参考人 平成十一年にPFI法が施行されましてから平成二十八年度末までにPFI法に基づき実施方針が公表された事業の数、六百九件でございます。

 事業を実施している自治体の傾向を見ますと、政令市では、二十団体中十九団体とほぼ全てにおいてPFI事業を実施してございます。一方、人口二十万人以上の市区町村においては、百十四団体中六十団体と約半数以上がPFI事業を実施している。一方で、人口二十万人未満の市区町村においては、PFI事業を実施した団体は一割弱にとどまってございまして、人口が少ない自治体におきましては、自治体職員の体制や能力の問題等もございまして、PFI事業を実施する際の課題になっているというふうに考えてございます。

 内閣府といたしましては、こういった公共団体の人材育成のため、地域プラットホームというものを行いまして、形成の支援をしてございます。また、高度専門家の派遣、ガイドラインの策定、周知といった技術的援助、こういうことを行いまして、公共団体の支援を行っているところでございます。

森田委員 ありがとうございました。

 平成十一年以降で六百九件という御答弁をいただいております。

 アクションプランの中でも、人口二十万というところで線を引いて、大きな自治体、比較的小さな自治体ということで色分けをしているようですけれども、二十万人未満の自治体千六百七のうち、PFIの実施がゼロというところが千四百六十九団体ということでございまして、九割以上が数字にするとやっていないという状況で、これを見ると、なかなかハードルが高いなということをこの数字からも感じております。

 先ほども、専門家を派遣していただいたりということでいろいろと対応をしていただいているわけなんですけれども、そうやっていろいろと対応をして丁寧にやっていただいているという御答弁にもかかわらず、なかなか広がっていないというのが実際のところかなというふうに思っております。

 そもそも、先ほど申し上げたように、制度自体を余り、市町村と、その職員さんだけでなく、いろいろと広く関係者を含めて考えると、制度がわかっていない、理解できていないという方が多いというのも、この制度の一つのハードルなのかなというふうにも思っております。

 さて、先ほど地元のことを申し上げましたけれども、もうちょっと絞って、私の選挙区の地元のことを調べてみたんですけれども、私の埼玉の選挙区には五市ございまして、熊谷、行田、羽生、加須、それから鴻巣市、この五市なんですけれども、PFIを実施しているのは一市のみ、加須市のみということでございました。加須市の農業集落排水の事業がPFIの方式で実施をされているということでございます。

 それから、もう一つ、これはまだ計画段階のものがございまして、行田市、鴻巣市それから北本市と三市で、ごみ処理施設の一部事務組合での計画というものがございまして、これは、PFI等導入可能性の調査を行って、その調査の報告書が出てきた段階、こういった案件もございました。

 さて、選挙区内にあった唯一の貴重な事例である農業集落排水についてお伺いをさせていただきたいなというふうに思っております。

 この加須市の農業集落排水ですけれども、今からおよそ十年前、平成二十一年に供用開始になっております。施設整備と合わせて十五年間の維持管理を行うという事業になっております。

 そもそも、この案件なんですけれども、スタートしたときはPFIではございませんでした。通常の事業の形で計画が始まったというふうに伺っております。通常の形というと、国庫五〇%、県一五%、市で二六・五%、受益者で八・五%という負担割合の事業として計画をされたというわけなんですけれども。

 なぜそれが途中からPFIになったかというと、途中、県の財政事情の関係で、県が一五%という補助の枠組みが規定上は一五%以内という書き方になっていたものですから、一五%の満額がどうも出なくなりそうだというリスクが出てきまして、一五%を下回る部分についてどういうふうにしようかという対応をしていた中で、このPFIの方式に光が当たったということだったそうです。

 集落排水の事業をPFIに適しているというふうに最終的に判断をしたわけですけれども、一つにはその規模、集落排水の規模がございます。計画の処理人口が二千六百四十人というこの集落排水の事業なんですけれども、集落排水の事業としてはかなり大きなものでございます。

 加須市内にほかにも集落排水がありますけれども、市内でもこの大きさは別格でして、合併前の旧騎西町という地区がありますけれども、この地区ではほかにも集落排水の事業が多く行われておりますけれども、ほかのところを見ますと、数十人という処理人口とかあるいは数百人とかという数字でございまして、ほかはそういう処理人口だと。これは、国全体の規模で見ても、千人以下のものが集落排水で見ると八割ぐらいを占めているということだというふうに伺っております。

 いろいろとお伺いをしていく中で、この集落排水の事業をPFIでやって何がよかったでしょうかということを、今管理されているのは、下水道の部門の管理を担当されていらっしゃる方に聞いてきたんですけれども、これは一つは、言うまでもなくお金が安い、事業費が安く済んだ。先ほどの、県からの補助が一五%出なくなって、更にまだ事業が遂行できたということで、お金が安く済んだということですね。

 事業が丸ごと一括発注という形になりますので、発注者である行政からすると、工事ごとに一々契約をして工事をするという煩雑さがありませんので、手間がかからないということもあったそうです。工期は計画よりも短く済んだということで、早く完成して早く供用できたという側面もあったということでした。

 安いというお話をさせていただきましたけれども、何で安いんでしょうかねということで、もうちょっと細かく見てみたわけなんですけれども、理由は幾つかございました。

 まず、工事を一括発注ということで、まずはスケールメリットが生かせるということです。それから、配管ですけれども、下水と同じようにずっと各家庭、家庭というか、家庭の前からずっと配管をして処理施設までつなげていくわけなんですけれども、通常は、だんだん傾斜をつけていって下っていく自然流下式ということで、傾斜をつけた配管の埋め方、埋設をしているわけなんですけれども、当然、これは傾斜をつけていくと、どんどん先に行けば行くほど深くなってくるということで、工事もそれに伴って費用がかかってくる。深くまで管を埋設するということで、工事費も上がってくるということになってまいります。

 しかし、この施設については真空式という形のものを使った。掃除機のようなもので排水を吸い込んで、いわば傾斜に頼らずに排水を吸い寄せられるということで、配管が深くなっていかないということで工事費が安く済んだ、そういう面があったということですね。

 あと、埋設をする工事のときにはアーバンノーディッグ工法という工法を使って、管路を埋めるところを全部掘り返すんじゃなくて、ある一部分を掘ってそこから管を入れ込んでいく、そういう形をとって、全部掘り返すことなく工事ができたということで、こういう工法を使ったことによる経費の縮減効果もあったということなんですね。

 そういうことを聞いていると、やはり地元の企業、地場の企業を使っているのかなという心配が当然ありましたので、その辺を聞いてみたところ、これはプロポーザル方式で当初募集をしているということで、そのプロポーザルの中に項目として、地元企業との協力関係をどういうふうに担保していくかという項目があったということで、もちろん、行政が直接発注することよりはいろいろな制約があったとは思いますけれども、そのプロポーザルの中での項目に入っていたということで、地元企業を使っての工事にもなっているということでございました。

 何かこういうふうに言っているといいことばかりのような感じがしなくもないんですけれども、ではデメリットはどういうところだったのかなということでお伺いをしたわけなんですけれども、まずは、工事、工事というか契約の段階で非常に手間がかかったということをお話ししていました。

 手間がかかったといってもいろいろなことがあると思いますけれども、一つは実現可能性の調査ということですね。当然のことながら、集落排水の事業のPFIというのはほかにも事例がありませんでしたので、そういったことを一から立ち上げて、PFIの方式にかなうかどうかということで、そういった調査をしていった。

 それから、契約書の整理、やはり通常の事業とは違いますので、この辺の手続が煩雑であったということでした。弁護士に入ってもらって、要望水準書といったようなものを含めて、契約に不備がないかという確認をしながら契約手続関係を進めていったということでございまして、そこの前さばきのところでも費用が大体二千万から三千万ぐらいかかっているということでした。

 また、供用開始してからの問題点はどういうことがあったかというふうに伺ったところ、いろいろなふぐあい、詰まっただとか漏れるとか、そういうふぐあいのトラブルというものの苦情が市に来ちゃうということなんですね。管理は運営会社がやっているはずなんですけれども、やはり住民の方が電話する先というと市の担当部署ということになりまして、結局、管理者じゃなくて市に来てしまって、管理の担当者に伝言ゲームのようなことをせざるを得ないというようなことがあるというふうに、問題点としての指摘がございました。

 あとは、実際の現場の管理というものを運営の会社がやっておりますので、いろいろな苦情が、例えば、市のこれはもちろん責任もありますので、市にいろいろな苦情が来たとしても、ふだんのメンテナンスの状況等が、もちろん監視はしているとはいいながらも、なかなか直接やっていることと比べると見えない、見えづらい部分があるということもお話をしていらっしゃいました。

 大体、こういうふうにメリットとデメリットを整理してみますと、このようなことが事業の中であったということなんですね。

 何でこんなことを細かく聞いてきたかというと、この後が、集落排水に関しての後が続いていない、PFIに関して後が続いていないということがありましたので、あえてここまで細かくいろいろと調べさせていただいたわけなんです。

 そこで、お伺いをさせていただきますが、この埼玉県の加須市における集落排水事業のほかに今のところPFIの事例は見られないわけなんですけれども、これまでの経過をどのように評価をしておられるでしょうか。御答弁をお願いいたします。

奥田政府参考人 お答え申し上げます。

 PFIの取組につきましては、事業コストの一層の削減や、より質の高い公共サービスの提供を可能とするものでございまして、農林水産省といたしましても、農業集落排水事業において、その取組を進めることは重要と考えているところでございます。

 埼玉県加須市の事例につきましては、今委員の方から御指摘ありましたとおりに、補助事業として採択しましたが、その後、平成十九年一月からPFIに取り組みまして、建設事業費の削減に加えまして、事業工期が短縮され、住民へのサービス提供時期が早くなるといった効果があるというふうに認識しております。

 一方で、これも委員御指摘のとおり、農業集落排水事業におけますPFIの取組がなかなか広まっていないというのが実情でございまして、農林水産省が平成二十六年二月に市町村に対して調査をした結果、こういったものを踏まえますと、例えば、これも委員御指摘ありましたが、PFI活用による市町村のメリットが十分に認識されていない、あるいは、PFIに取り組むためには膨大な事務処理が必要であって、市町村の職員が不足していること、さらには、これも委員御指摘いただきましたが、農業集落排水事業は非常に小規模なものが多くて利益が出にくいため、民間事業者が参入しにくいことなどの課題があるというふうには考えてございます。

 以上でございます。

森田委員 ありがとうございます。

 農林水産省の方としても、決してこれは黙って座っているというわけではなかったと思います。

 ホームページにも出していただいておりますけれども、農業集落排水事業におけるPFIの手引という、まとめて印刷したんですけれども、それでもかなり厚いものになるような、全体にすると資料編も含めて二百ページにわたる、農業集落排水事業におけるPFIの手引といったものを出していただいているということです。この中には、そもそもPFIとはというところから始まって、資料編では、具体的な検討事項、細かいところまで含めて資料をつくっていただいているということです。

 そこでお伺いをしたいのが、この手引が出されてからの、その後の相談件数の状況がいかがかということでございます。また、その状況も踏まえて、今後、集落排水事業におけるPFIの活用の見通しについて、御所見を伺えればと思います。お願いします。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、農林水産省では手引を平成十七年度に策定しました。また、二十三年度のPFI法の改正等を踏まえまして、また、先ほど申し上げました市町村の調査結果、これも参考にしまして、二十六年度にこれを改定しましてホームページに掲載するとともに、関係市町村に配付するなど、その取組の強化を図ってきたところでございます。

 しかしながら、農業集落排水事業におきまして、そのPFI活用について市町村から農水省に具体的な相談があった件数といたしましては二件、熊本県の宇城市と奈良県奈良市の二件にとどまっているところでございます。

 一方、農業集落排水事業につきましては、整備率が既に九割に達しておりまして、多くの処理施設が供用後十五年から二十年を経過してございます。今後、これらの老朽化した施設の更新というものを行っていく必要があると考えてございます。

 このような状況でございますので、今後の農業集落排水施設におけますPFIの活用につきましては、更新に係るコスト縮減の観点からの活用でありますとか、あるいは維持管理、運営費の削減やリスク管理の効率化といった観点から、同一の市町村内の既に整備された複数の農業集落排水施設を一体的に運営管理するケースなどにおいて活用が考えられると思っております。

 農林水産省といたしましては、関係する市町村に対しまして、これらのケースにおけるPFIの活用等について引き続き働きかけてまいりたい、このように考えてございます。

森田委員 ありがとうございました。

 相談の件数が二件ということでございました。

 この集落排水に限ったことではないんですけれども、どうしたらPFIを活用してもらえるかということだと思います。まずは、この集落排水の加須市の事例をPRしてもらうことだと思います。集落排水をやるならPFI、こういうメリットがありますよということを具体的にお示ししていくということだと思います。

 それから、事業前の、先ほども事務作業量が膨大だというようなお話もありましたけれども、前さばきの部分の手間暇あるいは費用をどのくらい抑制できるかということが大きな課題になってくるかなと思います。先ほど加須市の事例で二、三千万というお話がありましたけれども、小さな事業で二、三千万かけていては、とてもとても、その縮減効果がすぐ吹き飛んでしまうようなことになってしまうというふうに思っておりまして、ぜひ、検討している自治体があれば、そこに直接農林水産省の職員さんが出向いていただいて、まずは、職員さんだけでなく、関係者の方も含めての皆さんの理解に努めるということだろうと思います。

 それから、事務手続のことがございました。法的、手続的な負担を減らせるように、ぜひ国としての支援をしていっていただきたいなというふうに思います。

 一々個別の案件で自治体が弁護士さんを頼んで仕様だとか条件を整理して事業を準備していくということは、先ほどの、コストの縮減効果が半減というか吹き飛んでしまうようなことにもなりますし、そういうことをやった上で比較的小さい事業でもPFIが入れられるよというような状況をぜひつくっていただければ、ハードルがもっともっと下がるというふうに考えております。

 先ほどのお話にもございましたとおり、これから、お話を聞きに行った加須市でもそうなんですけれども、更新の時期に入ってきているということで、ポンプの改修だとかにも農水の方からの補助金が使えるというようなお話も伺ったんですけれども、とはいっても、やはり更新には大きな費用がかかってくるということでございまして、先ほどの話にもあったように、これが同じ市町村内にある、あるいはその近隣地区も含めた施設の更新だとか維持管理、先ほど埼玉県がやっているESCO事業なんということも紹介をさせていただきましたけれども、そんなビジネスモデルも描けるのではないかなというふうに思っております。

 いろいろと今までの補助金が入ってきた経緯なども、その条件等がそういう一体的な管理なんかに障害が出てくる部分ももしかしたらあるのかもしれませんけれども、ぜひ農林水産省としても柔軟に対応していただいて、あくまで住民の方のためのサービスだというふうに思っておりますので、より安価でよいサービスが受けられるように知恵を絞っていただきたいなというふうに思っております。

 さて、続いてですけれども、PFIのリスクについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 私、埼玉県で県議をさせていただいておりましたけれども、そのときにPFIの事業が途中で終わってしまったということがございました。これは埼玉の川越市というところなんですけれども、埼玉県の西部地区の交流拠点をつくろうという事業で、これはもう計画としては何十年、三十年ぐらい前からずっと温めてきた事業なんですけれども、バブルが崩壊してそのまま置き去りになっていた事業だったんです。

 これが、ちゃんとした事業の名前でいうと、西部地域振興ふれあい拠点施設整備事業、こういう名前なんですけれども、これは県と市の共同事業ということで行われまして、今は整備が終わってウェスタ川越という愛称で呼ばれておる施設でございます。いろいろと県だとか市の関連団体等の事務所があったり、あるいはいろいろと交流するための施設がある、そういう拠点として整備をしたんですけれども、これを途中までPFIで事業を進めておりました。しかし、指名した業者が途中で指名停止処分を受けてしまったということになりまして、PFIの事業としては中止をして、結局、公設民営という形の事業で行って、今では指定管理という形をとっているということで運営をされております。

 これは指名停止という形で事業がストップしてしまった事例ですけれども、ほかにも、例えば、受けた会社が倒産するといったこともあるかと思います、事業継続が困難になるということも、いろいろなケースが考えられると思います。

 そこで、お伺いをさせていただきますけれども、PFIを受注した業者が倒産してしまうなど、中断するリスクへの備えというものをどのようにされていらっしゃるか、御答弁をお願いしたいと思います。

石崎政府参考人 お答えいたします。

 コンセッション方式を含めましたPFI事業を導入する際には、需要の変動のリスクですとか経営のリスク、こういう事業リスクをどういうふうに管理するかというものを、まず事業者、行政、金融機関等の関係者の間で十分に話し合って検討した上で実施契約を締結する、それが何より大事だというふうに考えてございます。その旨、内閣府といたしましても、基本方針や各種ガイドライン等に記載し、関係者に周知を図っています。

 また、事業者による突然の事業放棄につながらないようにするためには、管理者が民間事業者に対して、経営状況について適切にモニタリングを行うというのが重要だというふうに考えてございます。問題が生じる可能性があるような場合には、速やかに改善命令を行い、必要な対策等について話し合うなど、公共サービスの安定供給を担保するということが必要だと考えてございます。

 また、事業終了後におきましても、事務引継等がスムーズになされるように、同様の対策を行っていくということが必要だと思います。

 このような対策を積み重ねることによりまして、事業の安定的な継続というのが図られるというふうに思ってございます。

森田委員 ありがとうございます。

 自治体がPFIをやろうというときには、事業を一括して発注するのでその分手間が省ける部分もありながらも、やはり、先ほど私が申し上げた例は、事業が始まる前、運営が始まる前に、建設が始まる前にそういった状況になってしまったということなんですけれども、こういったことも含めて、万が一のことを考えて、当然、事業者の選定ということについては慎重にならざるを得ないとは思いますけれども、万が一のときのリスク管理はこうですよということで、先ほど、需要の変動でありますとかいろいろな事業リスクに対する備えをしておくというようなお話がありましたり、また、事業をしている最中については、モニタリングをして、必要があれば改善命令を行っていくというようなお話もございました。

 こういった対応を明確にわかりやすくしておくというのも、市町村がこのPFIに取り組むハードルを下げるということの大きな要因になってくるんだろうなというふうに思います。こういったことについてもいろいろな相談がこれからも市町村から出てくるかなというふうに思いますので、相談を受ける際にはぜひ丁寧な対応をしていただけるように、御配慮をお願いできればなと思います。

 続きまして、空港についてお伺いをさせていただきます。

 先ほどもお話に出てまいりましたけれども、空港については、大型のPFIの案件ということで、関空と伊丹が一体として、オリックスとフランスの空港運営会社を中心とした運営会社によって、既に二〇一六年から運営に当たっているということです。それで、この契約期間が四十四年ということで、契約の期間中に支払う運営権の対価が総額約二兆二千億円というふうに伺っております。

 また、仙台空港もやはり二〇一六年から民間での運営ということです。それから、続いて高松空港であったり神戸空港であったりということで、運営権の契約がなされたりということで、順次ほかの空港にも広がっているというふうに承知をしております。

 相当なメリットがあるというふうに思っております。着陸料を値上げして、乗り入れの便数を多くする。お客さんにたくさん利用してもらって、そのかわりにターミナルビルの商業施設でお買物だとかあるいは飲食をしてもらって、飛行機の乗り入れに直接かかわる部分とそうでない部分と、商業的な部分なんかも含めて両方一体的に運用するということで、総合的に利益を全体としては上げていくということになろうかと思います。

 あとは、例えば乗り入れる飛行機をふやすために、LCC用の簡易で安価な施設を用意するとか、あるいは、お客様が利用しやすいような、鉄道やバスとの接続の工夫、こういったことをしたりとか、いろいろと機動的な対応をしていくことが恐らく民間の事業者の取組の中で可能となっていくんだろうなと思います。

 これから、海外から更に多くのお客様をお呼びしたいということもありますので、こういった取組を各空港において積極的にやるということは大歓迎ですし、空港は、単なる通過地点ではなく、いろいろなことを楽しめる目的地になるということで、中小の空港もそれなりの経営をしていける道筋をつけられるのではないかなということも思っております。

 一方、心配なこともございます。安全の面です。安全対策です。

 空港は不特定多数の人が多く出入りする場所であって、国際空港であれば、海外からのお客様にまじって招かれざる人々も入ってくる危険というものが少なからずあります。

 近いところでいきますと、二〇一六年には、トルコ・イスタンブールのアタチュルク国際空港で三百名の死傷者が出る襲撃事件がございました。また、もうちょっと前、二〇一一年には、ロシアのモスクワ、ドモジェドボ空港で二百名の死傷者が出るという爆破事件もございました。

 当然、普通の町うちにいるよりも厳重な安全管理がなされていることとは思いますけれども、こうした海外の事例等も見ていますと、民間で大丈夫なのかな、そういった漠然とした不安が出てまいります。もちろん、警察であったり、出入国ということに関して言えば法務省などとの連携が欠かせないというふうに思います。

 そこで、お伺いしたいと思いますが、空港においては、テロ対策など、安全対策が特に必要と思われます。その運営に対して制度上の制約を設けているのか、御答弁をお願いいたします。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 航空の安全、そして空港の保安の確保は、空港運営事業の基本でございます。このために必要となります安全、保安対策を適切に行うということは、民間委託の大前提であると考えておるところでございます。

 空港運営の民間委託に当たりましては、運営権者に対しまして、事故時の対応や警備体制などを定める空港保安管理規程の策定など、空港の安全、保安の確保に必要な措置を義務づけております。それとともに、公募におきまして、策定する空港保安管理規程をどのように遵守して更に高い水準を実現することができるかについて提案を求め、これを評価しておるところでございます。

 国土交通省といたしましても、義務づけた措置や提案された内容が適切に講じられているかどうかということをモニタリングを行うということとともに、定期的に法定検査を実施することとしておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、運営権者に対します指導監督を徹底し、航空の安全、保安の確保に万全を期してまいりたいと考えてございます。

森田委員 ありがとうございます。

 先ほど加須市の例で申し上げたんですけれども、やはり直接、あのときは市、あの事例では市ですけれども、管理者が施設を管理運営しているときと違って、やはりどうしてもオブラート的な部分が出てきてしまうということで、一枚、二枚先に現場があるというようなことになってしまいがちではないかなというふうに思っております。

 先ほどのお話では、適切にモニタリングをしていただいてというようなお話がございますけれども、これから大きなイベント、例えばラグビーのワールドカップが二〇一九年、その翌年にはオリンピック、パラリンピックといった案件もございますので、ぜひ、抜かりなく安全対策をしていただくようにお願いできればと思います。

 という一方で、やはり日本の玄関口が便利に、元気に、にぎやかになるというのはとてもいいことだというふうに思っております。ぜひ、PFIの制度の活用を通じて、こういった積極的な取組、独自の取組を各空港で行っていただけるように、積極的な支援をお願いできればなというふうに思います。

 また一方で、地方空港の経営が苦しいという事情もあるようです。

 例えば、稚内とか新潟、釧路、高知あたりは赤字での空港運営になっているということでございまして、そういったところでは、先ほどのPFIのコストの縮減効果といったものが効果的に生きてくる場面でもあるかなというふうに思いますので、ぜひ、PFIを取り入れることによって、こういったコストをかけずに、かつ商業的なことも含めて稼げる仕組みを取り入れていただいて、先ほども申し上げましたけれども、空港が単なる通過地点ではなく、魅力ある目的地として存在感を発揮できるように後押しをしていただければなというふうに考えております。

 いずれにしても、安全には細心の注意を払いつつ思い切った取組、このバランスをとって、空港の民営化、民間への委託ということも進めていただければありがたいと思います。

 続きまして、鉄道についてお伺いをさせていただきます。

 今のところ、鉄道についてはPFIの事例がないというふうに伺っております。PFIの法律の中には鉄道事業にもPFIが使えるというふうに書いてありますので、やはりいろいろな形で使える方法を探っていくべきであろうというふうに考えております。

 そもそも、鉄道という事業を振り返ってみますと、鉄道が立ち上がった時代には民間会社であったというところからスタートして、それを国有化をしてきた、そして更にそれが、時代が進んでいくと民営化をし、今はJRになっているということです。言うまでもなく、ほかの、いわゆる一般の私鉄もたくさんございます。

 という意味では、既に民間の力が活用されているということも言えると思いますけれども、それでも更にPFIを生かせる場面がないのかなということで考えております。

 京都丹後鉄道という鉄道がございます。これは、第三セクターの北近畿タンゴ鉄道から施設を借り受けて、列車の運行であったり切符の販売などの事業を行っている会社です。運行している京都丹後鉄道の正式名称はウィラートレインズという社名でありまして、高速バスなどを運行しているウィラーの子会社ということになっております。バス事業を中心とした異業種から鉄道への参入があったということで、大変珍しいケースではないかなというふうに思っております。

 このウィラートレインズですけれども、二〇一五年から運行を行っているということですけれども、鉄道を単独で捉えるということではなくて、バスであったりとか、あるいは乗り合いのタクシー、ディマンドバス、こういったほかの交通機関も含めた、地域の方の足を総合的に一体のものとして捉えて、移動のサービスを提供するという視点で会社の運営を行っております。

 例えば、鉄道の駅とバスが同じ場所にあって、行き来をするのが非常に便利なように工夫をしているとか、また、移動の需要そのものを起こしていくということで、これは高速バス事業で培ったノウハウだと思いますけれども、弾力的に割引サービスを取り入れて、お客さんがいない時期には安くしてということで、この割引サービス等も積極的に導入をしているということですね。

 また、少し違った意味でのサービスということを言いますと、地場でとれた野菜を鉄道で運ぶサービスということで、貨客一体の輸送というようなことが言えるかもしれませんが、そういった貨物も含めた輸送のサービスをしているということで、そういった意味では、今までの鉄道とは一味違ったサービスを提供しているのではないかなというふうに思っております。

 これは一つの事例でございまして、これから地方の鉄道の問題というのがもっともっと深刻に、人口減少が更に進んでいく中でもっともっと深刻になっていくだろうと思います。

 先ほどの空港の話もそうなんですけれども、やはり地域の方々の足なわけですから、空港もそうですし、こういった地方の鉄道もそうですけれども、やはり、住民の方の大切な足を、採算がとれませんからとかいって急に廃止、すぐに廃止ということは、これはなかなかできないわけです。

 例えば、あとは並行在来線、新幹線の開業に伴う並行在来線の問題も同じような問題を抱えているかなと思います。今までは特急列車が走っていて幹線の鉄道であったものが、例えば北陸新幹線であったり北海道新幹線であったり、ああいったところの大きな新幹線が開通すると、そちらにどうしても動脈が移ってしまって、並行在来線は第三セクター等々に移管をしていくということで、こういったことも、地方の自治体も含めて責任を持って対応していかなければいけないことだというふうに思っております。そういったところでPFIを活用できないものかなということも考えております。

 また一方で、海外の事例にもございますように、鉄道事業を丸ごと委託を受けて、建設して運行するというところまでやっていくという形も、もちろんPFIの形としてはあり得るというふうに思います。

 国土交通省などは、今ちょうど、日本の鉄道のインフラの輸出という意味で、いろいろとその関係の法人が外に出ていけるようにということはやっておりますけれども、海外の事業ももちろんこれは大事なことだと思いますけれども、国内の鉄道であっても、まだまだ知恵を絞れる場所というのがあるんじゃないかなと私は思っています。

 例えば、国内でも、まだ新線を引くなんていう話がわずかながらですけれどもございます。例えば、LRTのことであったり、地下鉄であったり、モノレールのようなものであったりとか、こういったものから始まって、まあ極端な話かもしれませんが新幹線の建設も含めて、企業が連合体を組んで、一つの新線を立ち上げて運行まで引き受けるといった事業、これは積極的に取り組んで、むしろ、海外でやっていくときにも、そういったノウハウがきちんと国内で蓄積されれば、外に行ったときにもきちんとこれは生きていくものだというふうに思っております。

 今のところ実例がないという鉄道のPFIでございますけれども、先ほどいろいろと申し上げたとおり、いろいろな活用の道がまだまだあるのではないかなというふうに思っております。

 そこで、お伺いをさせていただきますけれども、鉄道については現在までPFIの実例がないというふうに伺っておりますけれども、今後の見通しについてどのようにお考えでしょうか。御答弁をお願いいたします。

山上政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の鉄道につきましては、従来から、民間事業者がその発展に大きく寄与をしておりますほか、昭和六十二年の国鉄の分割・民営化など、株式会社化を通じたサービス向上を目指した取組も進められてきたところでございます。

 御指摘のとおり、現時点で鉄道分野においてPFIの実績はございませんが、PFI法に基づく、PFIに類似した仕組みとして、新線整備等に当たって、いわゆる下物を公共セクターが整備をし、上物を民間事業者が運営する、いわゆる上下分離方式がとられてきた事例も多数存在しているところでございます。

 このように、鉄道分野では従来より民間の資金、能力の活用が図られてきたところでございまして、自治体等から鉄道事業の運営について相談があった場合には、民間の資力、能力の活用の観点も含め、適切に助言をしてまいりたいと考えてございます。

森田委員 ありがとうございました。

 上下分離の方式なども含めて、広く捉えれば民間活力を活用しているというお話でございました。

 先ほども申し上げたとおりなんですけれども、特にお願いしたいのが、地方路線の活性化、あるいはいわゆる並行在来線の問題。こういったところには、先ほどの事例にもありましたけれども、鉄道を単体として捉えるというよりも、やはり、先ほどの空港の運営の話もそうですけれども、鉄道そのものに限らず、いろいろなその周りのことを積極的にアイデアとして取り入れていくことによって、一体としたサービスの提供といったところで地方路線に光を当てていくというふうに、そういった形で地方路線に光が当てられればなというふうに思っております。

 なかなか、鉄道会社同士でも、ほかのところに力を注ぐほど余裕がないというような会社も多いということで、先ほどのウィラートレインズも、あれを募集したときにはあそこの会社しか応募がなかったというようなお話ですけれども、でも、やはり経験が蓄積されている会社というのはたくさんあると思います。ぜひ、そういった積極的な取組を後押しをしていくことによって、今ある知恵を地方路線に光を当てるということで活用できるように、国土交通省からも後押しをお願いできればなというふうに思っております。

 さて、まとめに入っていきたいと思いますけれども、今まで見てきたように、PFIには、コストの縮減効果、安くできるというメリットがございます。

 しかし、私が光を当てたいなと思っているのは、むしろ、先ほどの空港だとか鉄道の例もそうなんですけれども、公的な事業にアイデア、知恵を集める、生かせるということだと思っています。ほかと同じことを同じようにやるのではおもしろみがないということを思っております。

 今日本に必要なのは、あれ、そんなこともというようなことをいろいろなところで取り入れる、そういったアイデアを生かす仕組みづくり、枠組みづくりというものが必要だと思っておりまして、これはとりもなおさず、地方を活性化していくという中で、こういった、まあPFIというのはもちろん制度的なものなんですけれども、そこで力を発揮するのは人間でございまして、やはりいろいろな取組を通じて地方の人が輝けるような、そういう枠組みをふやしていく。こちらで、東京で何か枠組みを用意して、それでやってくださいというのではなくて、ちょっと、こちらから見たときには、東京から見たときにはあれと思うようなことでも、その地域ではなかなかやるなと、そういう取組ができてくると、日本の地域というのはもっともっと輝いてくるのではないかなというふうに思っております。

 ちょっと本筋とは離れる話なんですけれども、人間は、何かを任されると満足感、充足感を感じるということがございます。これは働き方改革の中にも取り入れていきたいなと思っている視点なんですけれども、人間の不満を減らすということと満足度を上げるということは別のことだということが言われております。

 今、日本という国は、いろいろな問題はありますけれども、世界の中で見れば、賃金はそれなりにもらえる、休みもそれなりにとれる、これで不満は減ってくるということなんですね。しかし、満足度をどう上げるかといえば、それは、先ほど申し上げたとおり、責任ある仕事を任されるとか、あるいは自分の力を発揮できる仕事を任される、こういった自分のやりがい、生きがいというものを持って乗り越えることによって人間は幸せを感じることができるということでございます。

 PFIを始めとする民間の活力、民間の力を活用するというのをもっと踏み込んでいけば、公的な仕事にも独自性、独創性をもっともっと認めていこうじゃないかということなんじゃないかなというふうに思っております。

 先ほど申し上げたように、日本は、ほかの国から、世界的に見ても豊かだとされるいろいろな経済指標を持っているのに、何となく閉塞感があるという時代に生きているわけで、それぞれの地域がそれぞれの事業の中で、小さい事業であってもやはり輝く人をたくさんつくっていく、そういう枠組みとしてこのPFIを生かしていくということができるんじゃないかなというふうに私は考えております。

 そこで、大臣にお伺いをいたしますけれども、こういった大切な役割を持っているPFIを更に推進していくに当たって、先ほど申し上げたような、事業規模が小さいであるとか、あるいはノウハウがないであるとか、PFIを扱えるような事業者が近くにないといったようなハードルがありますけれども、これをどのように解消し、この制度をより活用していくお考えか、御所見をお伺いいたします。

梶山国務大臣 委員が質疑の中でおっしゃっているとおり、さまざまな工夫がこれからのPFI、PPP、コンセッション事業なども必要であると思っております。

 その上で、PPP、PFIの事業の推進のハードルとして、これまでと異なる契約形態であるため、住民や議会、地方の民間事業者の理解を得ることが難しく、丁寧に説明を重ねることに相当程度時間がかかることがまず一つ目。そして、二つ目として、契約におけるリスク分担等に関する検討や費用や時間等の一定の負担を要すること、先ほど専門家の費用についても議員から言及がありました。また、三つ目として、地方公共団体や地域の企業において、PPP、PFIの検討や実施に必要なノウハウや人材が不足をしていることなどが挙げられます。

 このハードルを越えるために、地方公共団体や地域の企業におけるノウハウ習得や人材育成に向けて、地域の企業、金融機関、地方公共団体等が集まってPPP、PFIのノウハウ習得と案件形成能力の向上を図る地域プラットホームの形成を今支援をしているところであります。二十七年度、二十八年度、二十九年度、この三年度で十六カ所のプラットホームの立ち上げの支援もさせていただいたところであります。

 また、実績のない分野については特に先行案件が事業化されることが必要であると考えているため、そのため、内閣府としましては、地方公共団体や民間事業者の意見を踏まえたコンセッション事業実施の際の留意点を定めたガイドラインの改正、そして、法律、会計、税務、金融等の高度な専門的知識を有する専門家の派遣など、地方公共団体に対する支援を今実施をしているところであります。

 今回の法改正において、事業主体の裾野を拡大する観点から、ワンストップ窓口の創設を含めた地方公共団体への国の支援強化を規定しており、引き続き、地方公共団体の支援等を通じてPPP、PFIの推進を図ってまいりたいと考えておりまして、この法律が成立をさせていただいたときの周知の方法も、きょうの議論の中でいろいろな意見がございました。誤解のないようにしっかりと周知をしてまいりたいと考えております。

森田委員 大臣、ありがとうございます。

 先ほど私が、もちろんコストの縮減効果もあるんだけれども、より大事なのは、人の知恵が、アイデアが生かせる枠組みをつくっていただきたいということがございました。どうしても、自治体のいろいろな業務をこなしている中で、前例を踏み外さないといったような保守的な考え方というのもあるかなと思いますけれども、先ほど大臣の方からも御説明ありましたとおり、地域のプラットホームの整備ですとか、いろいろと丁寧な説明を、自治体の職員さんだけでなく多くの関係者の方に向けて、情報発信を積極的に国の関係省庁からも行っていただきたいなということもございます。

 さらに、今後のPFIの展開として考えますと、今は仕様書というのをかなり細かく行政の方で用意してやっていくというような形になっていると思いますけれども、もう一歩踏み込んで、もうちょっと、そこに何を盛り込んでいくかということも含めて、例えば、私の住まいの近くには、ラグビー場とか陸上競技場があるような、スポーツ文化公園なんという大きな施設もあるんですけれども、そもそもそこに何を注ぎ込んでいくか、施設として。例えば、医療機関がそこにはあってもおもしろいんじゃないかとか、宿泊施設があってもおもしろいんじゃないかとか、そういったところから、民間のいろいろな方々の知恵、アイデアを生かせる、そういう場をこのPFIの法制度を通じてぜひ積極的に広めていっていただきたいなというふうに思っております。

 いずれにしても、そういった多くの知恵を生かせる機会として、事業の大小にかかわらず、使い勝手のいい制度に育てていっていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 PFI法の改正案について質問をいたします。

 PFI法、一九九九年からということで、二十年近くであります。その総括といいますか、これをどう見るのかということについて、きょうお尋ねしたいと思っています。

 最初に、そもそもPFI法の目的というのは何なのか、確認します。

石崎政府参考人 PFI法の目的に関しましては、本法の一条に「目的」として規定されてございます。読み上げさせていただきますと、「この法律は、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した公共施設等の整備等の促進を図るための措置を講ずること等により、効率的かつ効果的に社会資本を整備するとともに、国民に対する低廉かつ良好なサービスの提供を確保し、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」というものでございます。

塩川委員 PFIというのは、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して公共施設の整備の促進を図る、そのことがひいては国民のサービス、国民経済の健全な発展に寄与するということであります。

 このPFI事業についてですけれども、事業数及び契約金額の推移を見ると、一九九九年からスタートをして、確かに事業数ですとか契約金額も、当初は、十年ほどは伸びていたんですが、それから下がって、二〇一〇年にかけては大幅に減少してきているわけです。こういった現状は何で生まれたのか、その辺はわかりますか。

石崎政府参考人 御指摘のとおり、PFIに関しましては、事業制度当初、比較的順調に推移した後、二〇一〇年ぐらいにかけて件数が伸び悩んだ時期がございました。これは、どちらかというと景気自体が低迷しているという時期でございまして、比較的、PFIというよりは事業全般の件数が少なかった時期ではないかというふうに考えてございます。その後、景気の回復にあわせてPFI事業は最近は順調に伸び、昨年度は今までの最多の件数を実施方針として確保している、そういう状況になってございます。

塩川委員 リーマン・ショックとかがあったのは確かでありますけれども、逆に言うと、公共の方は力を入れてやってきた時期でもあるわけですよね。麻生政権のかなりの大幅な補正措置なんかもあったわけで、そういう流れの中でいえば、本来PFIもふえてもよかったのかなと思っているんですけれども、必ずしもそうなっていないという状況でもあります。

 二〇一一年以降は、確かに落ち込みは底を打ったような数字にはなっておりますけれども、そうはいっても、件数は少しふえたような感じですが、契約金額にすると必ずしもふえているわけではないということであります。

 率直に思うんですけれども、二〇一一年以降に一連の法改正が行われているというのが、一方でこういった数字にもあらわれているのではないのかと思うわけですけれども、一連の法改正の内容を確認したいと思います。

 最初に、二〇一一年の法改正のポイントというのはどういうものでしょうか。

石崎政府参考人 平成二十三年の法改正のポイントでございます。

 平成二十三年のPFI法改正におきましては、まず、PFIの事業の対象となる施設を拡大する観点から、賃貸住宅、船舶、航空機、人工衛星等を対象施設に追加してございます。二番目といたしまして、民間事業者のノウハウを十分活用するため、民間事業者による提案制度の導入を図りました。三番目、民間事業者による高度な技術提案を踏まえることを目的として、技術提案制度を導入しました。四番目としまして、利用者ニーズを反映したサービスの提供を行う観点から、公共用施設等運営方式、コンセッションでございますが、この方式を導入してございます。

塩川委員 対象施設の拡大ですとかコンセッション方式の導入ということで、コンセッションについて言えば、民間にとって施設保有というのは非常に負担になるものですから、設備投資は行政が行って、運営でもうけるという仕組みという点で、民間が運営でもうけるところをとるという仕組みということになってくるわけです。

 平成二十五年、二〇一三年の法改正のポイントというのはどういうところでしょうか。

石崎政府参考人 平成二十五年のPFI法改正につきましては、国の資金を呼び水としてインフラ事業への民間投資を喚起し、成長力強化を実現するために、官民連携インフラファンド、株式会社民間資金等活用事業推進機構でございますが、この創設を盛り込んでございます。

塩川委員 PFI事業者に金融支援を行うファンドを創設ということで、国の資金を呼び水にしてという話がありました。

 そもそもPFIというのは、プライベート・ファイナンス・イニシアチブですから、民間資金をどう活用しましょうかということなんですけれども、国の資金を呼び水にしないと進まないということにもとれるわけですよね。そういった点で、これがプライベート・ファイナンス・イニシアチブと言えるのかどうかということも疑問符がつくところにもなるわけです。

 次に、二〇一五年、平成二十七年の法改正のポイントというのはどういうものでしょうか。

石崎政府参考人 平成二十七年のPFI法改正におきましては、コンセッション事業の円滑かつ効率的な実施を図るために、専門的ノウハウ等を有する公務員を退職派遣させる制度を創設することを盛り込んでございます。

塩川委員 PFI事業者にノウハウを持った職員を派遣する仕組みをつくったわけです。

 本来、民間資金だけじゃなくて、経営能力や技術的能力を民間が持っているからそれを活用しましょうねという話なんだけれども、いや、民間に人がいないから、公務員に退職してもらって来てくださいという話というのは、これは民間にノウハウがあると言えるのかなという話でもあるわけで、そういう点でも、お金だけじゃなくて人材も出しましょうという仕組みになってきているのが、この間の一連の法改正であるわけです。

 これ以外にも、民間空港運営法や都市公園法でPFI事業導入の措置を盛り込んでありました。また、今国会に提出をされている水道法改正案もPFI促進の法案となっております。

 お尋ねしますけれども、水道法改正案とも関連する今回の法案の改正ポイントというのはどういうところでしょうか。

石崎政府参考人 お答えします。

 今回のPFI法の改正法案のポイントは三点ございます。

 一点が、事業主体の裾野を拡大するとともに、適正なPPP、PFI実施を促進する観点から、公共施設の管理者及び民間事業者に対する国の支援機能を強化すること。

 二番目が、国際会議場や音楽ホール等におけるコンセッション実施を円滑に行うため、公共施設等運営権者が指定管理者を兼ねる場合における地方自治法の特例を措置すること。

 三番目が、上下水道事業のコンセッション事業に先駆的に取り組む地方公共団体を後押しするため、上下水道事業に関し、地方公共団体に対して貸し付けられた地方債の繰上償還に係る補償金を免除する措置を盛り込む。

 この三点でございます。

塩川委員 MICEなどを念頭に、コンセッションと指定管理制度を兼ねてやるような場合に議会の議決を不要とするような仕組みを導入するということと、上下水道のコンセッション方式の場合に当該自治体に対する財政支援措置を行うということです。

 大臣、伺いますけれども、冒頭、PFI法の目的にありますように、民間資金、経営能力、技術的能力を活用するというのがPFI事業だというわけですけれども、実際にやられているということは、それにそぐわないような法改正ばかりで、実際、PFIの目的が看板倒れになっているというのが実態じゃないですか。いかがでしょうか。

梶山国務大臣 これまでのPFI法の改正については、利用料収入により費用の回収を図るPPP、PFIを推進するために、官民インフラファンドを創設しました。また、委員からこれも御指摘ありましたけれども、導入されたコンセッション制度の普及を推進するために、公共施設等運営権者への公務員の退職派遣制度を創設をしてきたところであります。

 これらの措置につきましては、官民インフラファンドは平成四十年までの時限的措置とされている、また、公務員の派遣は事業の初期段階の派遣とされているように、制度が定着するまでの一定の範囲に限った支援を行うものであります。

 公務員の派遣につきましては、現場のノウハウを知っている公務員を派遣をして、ノウハウを吸収、蓄積をしていただくということであろうかと思っております。特に、新たな事業手法であるコンセッション事業を各分野で推進するには、先行案件が事業化されることが有効と考えております。

 内閣府としては、まずはこれらの支援を行うことにより、将来にわたって、より広範なPPP、PFIの成果を確保できると考えているところであります。

塩川委員 資金の話も、また人材の話についても、初期段階でという話ですけれども、でも、やはりもともとの目的にあるように、民間の資金や経営能力又は技術的能力を活用してというところが趣旨だったわけですから、それにそぐわない実態というのになっているんじゃないですか。

 ですから、やはり法の目的から見た場合に、看板倒れというのが実態じゃないのかと思うんですけれども、改めていかがですか。

梶山国務大臣 将来のリスクを、財政的なリスク等も含めて、PPP、PFIを普及させていこうということでありますけれども、PFI法ができて時間がたつ中で、やはりハードルの部分があって、そういう初期の導入のハードルというものがあって、こういった改正を重ねてきたものであります。

塩川委員 だから、優遇措置がないと成り立たないのが今のPFI事業になっているということで、そういう点でも、PFI事業者と導入を目指す自治体への優遇措置のオンパレードというのがこの間の法改正や制度実施の実態でもあります。

 PFIが、民間の資金と民間のノウハウで進めるというのが優遇措置なしには成り立たないというのがPFI事業の実態ではないのか。ですから、次々、PFI推進の優遇策を打ち出しても契約金額が伸び悩んだままというのは、ますます、やはりその仕組みのあり方として問題ではないのかと思うわけです。

 この点について言うと、例えば、ちょうど、落ち込んだときという話がありますけれども、総務省がPFIを実際に企画、実施した自治体にアンケートをとっていた。それは二〇一一年の十二月、調査結果があるわけですけれども、その調査によると、実際にやった自治体に対して、今後、PFI事業を予定していますかという問いに対して、特に予定はないという回答が七三・二%だったんですよ。つまり、一回やってみた、だけれども、二回目はもういいよという人が七割以上なんですよ。

 二〇一一年の十二月のときのアンケートですけれども、これまで企画をしたり既に実施をした、そういう自治体に、もう一回、次やりますかと聞いても、七割以上は、もう考えていない、PFIにはもう懲りたというのが自治体の声、これが実態なんじゃないでしょうか。どうですか。

石崎政府参考人 申しわけございません。ちょっとその調査については私、今承知していないものですから、その詳細は評価をしかねますけれども、我々の感覚といたしましては、やはり、まだ一度もやったことがない、どうやったらいいかわからない、それが、我々が公共団体をヒアリング等をした際に、一番、PFIを導入する際のデメリットというか問題点、課題として認識しているところでございます。

塩川委員 いや、このアンケートのポイントというのは、実際に企画をした、実施をした自治体に聞いているんですよ。つまり、一回やってみて、二回目やりますかという問いに対して、七割以上が、もうやる予定がありませんという答えなんですよ。これがやはりPFIの実態なんじゃないのか。自治体にすると、やってみてもう懲りた、これがPFI事業の現状じゃないですか。

石崎政府参考人 申しわけございません。我々そういう網羅的な調査のものを見てございませんので、それについて何とも申しわけございませんが、我々が公共団体のヒアリングをしていると、やはり基本的には、一度やり、それが成功したことによって継続してやっている自治体が非常に多く見られるという部分はあるところでございます。そこの我々の感覚と、先ほど言ったアンケートの違いにつきましては、引き続き我々も分析してまいりたいと思います。

塩川委員 それなのに、PFI事業を推進するために自治体を督励しているのが、この間の国の地方行政の施策になっています。

 二〇一四年の公共施設等総合管理計画、この中で、PFIを含む民間手法の積極的活用を自治体に要請しております。

 公共施設等総合管理計画策定指針においては、総合管理計画策定に当たっての留意事項が記載をされていて、その一つ目には、行政サービス水準の検討とあって、「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進の前提として、当該団体としてあるべき行政サービス水準を検討することが望ましいこと。その上で、個別の公共施設等において提供しているサービスの必要性について検討するに際しては、当該サービスが公共施設等を維持しなければ提供不可能なものであるか」、それは民間の代替の可能性などについて、「公共施設等とサービスの関係について十分に留意することが必要であること。」と述べています。

 その上で、この指針では、公共施設等総合管理計画の検討に当たっては、PPP、PFIの積極的な活用をされたいとしているわけです。

 こういう公共施設等総合管理計画でPPP、PFIの積極的な活用を呼びかけているというのは、そのとおりですね。

石崎政府参考人 申しわけございません、公共施設等総合管理計画の文書は今手元にございませんが、PPP、PFIに関しましては、一般的に我々としては選択肢の一つとして広く推奨しているものでございます。

塩川委員 その後、骨太二〇一五を踏まえて、二〇一五年十二月には、多様なPPP/PFI手法導入を優先的に検討するための指針を出して、国や人口二十万人以上の自治体にPFI導入を強く要請しているというのも、そのとおりですね。

石崎政府参考人 それに関しましては、二十万人以上の公共団体に対して、一定規模以上の事業をする際には、PPP、PFIの可能性がないか検討をするということを、総務省と内閣府で連名で通知をさせていただいてございます。

塩川委員 ですから、二〇一四年に公共施設等総合管理計画の指針の中でPPP、PFIを積極的にやってくださいと言い、二〇一五年には内閣府、総務省と一体となって、国と同時に二十万人以上の自治体についてはPPP、PFIについて優先的に検討してくれという督励をするという措置をずっと行っているわけですよ。

 そういった中で、例えば、この公共施設等総合管理計画を見ると、この際に、国は、自治体が公共施設の除却を行う場合、施設を壊す場合に、地方債の起債の仕組みをつくったわけですよね。この除却に伴う地方債の起債を求めるときに、総務省が提出を求めているチェックシートというのがあって、この公共施設等総合管理計画確認リストの中には、PPP、PFIの活用を検討したかどうかということをチェックして出すようにするとなっているんですよ。

 つまり、除却の地方債の特例措置を受けるためには、PFIについて検討してくれ、それについて検討したかどうかをチェックして出せという、チェックシートを用意して督励しているんですよね。そこまでしてやるのかと率直に思うわけなんです。

 そういう意味では、一方であめを示しながら行うということを含めて、要するに、そこまでしなければ進まないのがPFI事業じゃないのというのが問われているんだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

梶山国務大臣 先ほど来、話もありますけれども、ある一定規模の自治体においてできるものもありますし、必要要件としてそういった条件が出てくるわけでありますけれども、それにつきまして、将来起こり得る、先ほども申しましたけれども、財政危機等に対応するために、選択肢の一つとしてこれをやっていただきたい、そして、さらに、既存のものの有効活用も含めて、そういった視点で見ていただきたいということであります。

塩川委員 もともと「目的」にも書いているように、民間の資金、民間の経営能力、技術的能力を活用してというところが、それを持たない事業者に一連の優遇措置をやってげたを履かせているというのが今のPFI事業の実態ではないのか。

 加えて、対象となる地方公共団体に対して、公共施設等総合管理計画や、また二〇一五年の内閣府そして総務省の通知にあるように、自治体に督励するという格好で優遇措置をとって進める、そうでなければ成り立たないのがこのPFI事業だということが問われているわけで、国が目標を決めて、自治体などに強く要請し、優遇措置を次から次へと打ち出さないと成り立たないのがPFI事業で、これは抜本的に見直す必要があるんじゃないでしょうか。

 最後に一言。

梶山国務大臣 何度も申し上げますけれども、これは、あくまでも自治体の判断でPFIを適用するかどうかということでありまして、その選択肢の一つとして、私どもも、ガイドライン、また法律等で定めているわけであります。

 それぞれの自治体が、将来の財政状況を考えながら、適切に判断されるものと思っております。

塩川委員 優遇措置で選択を一方に偏らせるという仕組みそのものが問われているんじゃないのかということを申し上げて、終わります。

山際委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 冒頭に、これはきのうの理事会でも言わせていただいたことなんですけれども、たびたび同じ話をするわけですけれども、今、厚生労働委員会で働き方改革の法案が審議をされています、きょうも。その中で、私、国会の働き方というのもやはりしっかりと変えるべきだということを、今までの質問でも何度か言わせていただきましたし、やはり国会議員の我々側が変えない限り、省庁の皆さんの働き方は変えようがないというのが現状です。

 きのうの理事会、与党の筆頭理事も、野党の筆頭理事も、しっかりと対応していくというお言葉をしっかりといただきましたけれども、理事懇自体が五時半だった。その五時半にきょうの委員会を立てることが決まった。午前中は一般質疑、セクハラ集中、昼からは法案質疑、これが決まったのが、要は六時前だったわけですね。別に厳密なルールじゃないですけれども、法案審議に対する質問通告はたしか六時までにしてくださいというような取決めをしているにもかかわらず、五時半に理事懇が始まって、六時前にやっとそれが正式に決まった時点で、質問通告をする、質問をつくっていくわけですよね。

 そうしたら、私、きょうの法案質疑に関しては、大分前に法案審議がされると思っていたので、大分前にもう質問通告をして、皆さんに来ていただいて、質問通告もさせていただいているので、この部分に関しては大丈夫だったんですけれども、午前中の部分に関しては、ほとんど、大臣、野田大臣に答弁をいただくことも一問しかありませんでしたし、それでも、三十分以内でしたかね、通告が終わって、職員の方々が来ていただいたのは八時でした、夜の八時。その時点でもう大変申しわけない話です。

 どれだけ我々が早く質問をつくって皆さんに通告をしても、その質問を見て職員の皆さんが、これはどういう答弁をしていくかという資料とか、こういうのも用意していかなあかん、ああいうのを持っていかなあかんというのをやって、それでもできる限り早く駆けつけているわけですけれども、それでも私の事務所に来れたのは八時でした。

 その時点で、もう本当に申しわけない、こんな時間にまだ質問の通告をさせてもらうのは非常に申しわけないと言っていたんですけれども、そのときについでに、もう質問通告、みんな終わっていますかと聞いたら、まだ質問通告すらいただいていない方もいらっしゃいますということだったんです。八時ですよ、その時点で。八時の時点で通告すらまだもらえていないようなところもあるんですよ。

 こういうことをしているから、いつまでたっても省庁の働き方が変わらないんですよね。それを是正するには、国会議員が、どういうふうにすれば皆さんにしわ寄せが行かないかということを考えなければいけないわけです。これは本当にもう何度言っても、それは、野党から言わせたら与党のせいやと言いますし、与党から言わせたら、いや、野党さんがこういうふうに言うから、ああいうふうに言うからということで、折り合いがつかない。それは職員の皆さんからしたら、そんなんあんたらの勝手やろという話やからね。

 これは委員会のこういうところで言っても仕方がないし、大臣も重々わかっていただいていて、うなずいていただいていますけれども、こればかりは本当に、与野党が、働き方改革をやっている国会中の国会審議をそのようにして、職員の皆さんにしわ寄せをするというのは、本当にこれからやめていけるように努力をしていただけたらいいかなと思っております。

 もちろん、阿部さんも重々わかった上で本当に一生懸命やっていただいておるのは承知していますけれども、ぜひお願いをしたいと思って、冒頭にちょっと一言だけ言わせていただきました。

 で、法案の審議に入るわけですけれども、日本維新の会は、民間でできることは民間でというのが基本的な政策理念です。

 私が初めて議員になったのは平成十五年、大阪府議会で初当選をしました。そのとき三十歳だったんですけれども、その当時はまだそんな、PFIという言葉もほとんど聞くこともありませんでしたし、その平成十五年に当選して以降、少しずつ、いろいろな場面でPFIという言葉を府議会で聞くようになってきました。

 恐らく、大阪府なんかは、どちらかというとPFIを積極的に活用している都道府県の一つだとは思うんです。先ほどからも大臣の答弁の中にもありますけれども、最終的にそういうPFIの、決めるのは地方自治体、もちろん議会の承認も得なければならないし、地方自治体が全て決めていくということなんですけれども、我々、やはりそのときに一番心配するのは、PFIをすることによって最終的に行政、その当時は大阪府ですね、大阪府が得するのか損するのかという部分が一番やはり議論になります。どれだけの期間、PFIを活用して、それを運営していくのか、あとコンセッションとか指定管理とかそういうのも活用してやっていけば、自分たちでやるよりもその方がお金がかからなくて、要は府民の税金を使わずに済むという判断をするのがなかなか、まあ損益分岐点ですよね、それがやはり非常に気になるところだったんですね。

 その判断はもちろんその自治体に委ねられているというのは存じ上げているんですけれども、そういったものを判断するに当たって、国として何か支援というか、何か知恵を自治体とかにかすというようなことは考えていらっしゃるんでしょうか。

石崎政府参考人 PFI手法を活用するか否かを検討するに当たりましては、その事業の実施期間を通じて、公共がみずから実施した場合と民間を活用した場合を比較しまして、民間を活用した場合が効率的かつ効果的である場合に採用するということが基本でございます。

 このため、公共施設等の管理者等は、PFI手法の導入を選択するに当たっては、当該事業の効率性及び効果に関する客観的な評価を行うことが必要です。

 内閣府としましても、公共施設等の管理者等がこの適切な評価を実施することを支援するため、効果を評価する手法であるVFM、バリュー・フォー・マネーの算定における考え方等を記載したVFMに関するガイドラインを公表しているところでございます。引き続き、その周知に努めてまいりたいと考えております。

浦野委員 大阪府は比較的PFIが多い都道府県だというふうに言いましたけれども、今、私もちょっと調べたら、大阪府警の宿舎の建てかえだとか、警察署の単身寮の整備、府立消防学校の建てかえもPFIでやっています。府立の消防学校なんかは、大阪府内に二つあったんですけれども、それを大阪府下で統廃合して一つにまとめたというのもやりました。

 府立の精神医療センターもそうです。府立の成人病センター、これは今は独立行政法人になっていますけれども、今、大阪府庁の横に大きな病院ができていますけれども、これが成人病センターなんですけれども、そういうのもやりました。

 府営住宅も、日本でも代表的なベッドタウンの吹田が、府営住宅がたくさんあるんですけれども、その老朽化した府営住宅の建てかえにもPFIを活用しています。

 珍しいというか、なかなかないんじゃないかというのは、小中一貫校、これもPFIで大阪府は挑戦をしてつくっております。

 これはやはり、自治体がどういうふうにPFIを活用していくかというのを非常に考えてやった結果、大阪なんかは非常に多い、多岐にわたる活用をしているんだろうなと思うんですね。

 ただ、PFI事業における、先ほどちょっとガイドラインという話がありましたけれども、リスク分担等に関するガイドラインというのがあるんですけれども、このリスクというのは具体的にどういったことを指しているのかというのをまずお聞かせいただきたいと思います。

石崎政府参考人 今御指摘いただきましたPFI事業におけるリスク分担等に関するガイドラインにおきましては、PFI事業を実施する上でのそれぞれの段階、具体的には、調査、設計、用地確保、建設、維持管理・運営、事業終了段階や、各段階に共通するリスクに分けて、それぞれのリスクを示してございます。

 例えば、調査、設計の段階では、設計等の完了の遅延リスク、維持管理・運営段階では、提供される公共サービスの現実の利用度が当初の想定を下回るリスク、こういうものを例示しまして、それらのリスクをできる限り明確化した上でリスク分担の検討を行う必要があることを示してございます。

浦野委員 今、さまざまなPFIの実例を挙げましたけれども、やはりリスクというのはあると思うんですね。

 もう一つ、大阪で大きな事例としては、関西国際空港、伊丹空港のコンセッションがあります。この法案の審議に当たって省庁の皆さんに説明いただいたときに、この関西国際空港と伊丹空港のコンセッションの額が占める割合というのが格段に、五兆でしたかね、五兆ですので飛び抜けて大きいんですけれども、これは今、非常に大きな成功をおさめています。もちろん、大阪、関西が、インバウンドを呼び込む、そういうプロモーション、観光に対するプロモーションもしっかり府市一体でやるようになって、そういうのが成功して、相乗効果でそういう国際空港が成功、空港自体が収益をすごく上げているというのもありますけれども。

 こういう非常に大きな成功事例、これは本当に成功事例だと思うんです。こういった事例ばかりやったらいいんですけれども、後年に、例えば二十年で契約が切れる、その二十年後に契約が切れたときに、もう、これはもうかれへんから、次、誰もやりませんということで、公共サービスが提供できなくなるということも想定されるんです。そういったときにどういった対策を講じるのかというのをお聞かせいただきたいと思います。

梶山国務大臣 コンセッション方式を含めたPFI事業を導入する際には、先ほど政府参考人から説明がありましたように、事業リスクの管理や事業終了後の事業の取扱いに関して、事業者、行政、金融機関等の関係者の間で十分な検討や合意がなされた上で実施契約を締結することが必要であると考えております。予想されるリスクはしっかり織り込んでいくということでありますが、その旨、PFI事業の実施に関する基本方針や各種ガイドライン等に記載をし、関係者に周知を図っているところであります。

 また、事業者による突然の事業放棄が起きないようにするために、ガイドラインに基づいて、管理者が事業者に対し、経営状況等について適切にモニタリングを行うこととしております。仮に問題が生じる可能性がある場合には、速やかに改善命令等を行うことにより、公共サービスの安定供給を担保することが必要であると考えております。

 加えて、今般の改正法により内閣府に創設される助言、勧告機能を活用し、地方公共団体や民間事業者等に対しましてPFI事業の適切かつ確実な実施を働きかけ、こうした措置を更に徹底することも有効と考えられます。

 公共サービスの提供が安定的に継続されるよう、これらの対策を講ずることにより適切に対応してまいりたいと思っております。

浦野委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、水道事業に関してなんですけれども、今回の繰上償還に係る補償金の免除というのは、非常に大きな、思い切ったことやなと私は個人的に思うんです。

 今、特に古くから都市部を形成している地域なんかは本当に、水道管の経年劣化で、非常にこれからたくさんの公共工事を行わないといけない。水道管のやりかえですね。昔に埋まっている水道管というのは、今じゃ考えられへんような材料を使って水道管を埋めたりとかしていますから、なるべく早くそれをやっていきたいと思っている自治体もたくさんあります。私自身は、この補償金の免除というのは、そういった水道施設の更新にすごく大きなインセンティブを与えることだと思って、非常にこれは評価されるべきところだなと思っています。

 ただ、同じように政府のそういうお金を借りて、繰上償還にかかわる補償金の免除をしていないところ、普通は免除しないですよね。普通、免除していません。私が知っているところで言うと、例えば保育所の整備、福祉医療機構なんかは、借入れしたら、繰上げ返済をしようと思ったら、補償金も含めて全部返してくださいと。今、これが普通の制度です。それが全部一遍にとなるとなかなかできないから、結果的には毎年返し続けるわけですけれども、これが特例としてできるというのはすごいことだなと。頑として絶対できませんという制度ですから。

 私は、だから、これはほかに波及せえへんかなと。同じように、いやいや、水道事業とかでやっているやんというふうに言われたら言い返しにくいんじゃないかと思ったりしたんですけれども、その点はいかがでしょうか。

市川政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま貴重な御指摘を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。

 御指摘のとおり、財政融資資金の貸付けは利ざやを取らず、収支が相償うように運営されておるため、任意の繰上償還に応ずる場合には逸失利子に相当いたします補償金を求める必要がございます。このため、安易に例外を認め、あしき前例をつくることは厳に慎まなければならない、そのように考えております。

 こうした中、今回、上下水道コンセッションを導入する先駆的取組に限り極めて例外的に補償金免除を認めましたのは、本日、多々答弁もあったと承知しておりますが、多くの地方公共団体で上下水道事業の持続可能性確保や効率性向上が課題となっている中、コンセッション導入がこれらの課題解決にも高い効果を期待できる一方で、前例が少ないことなどから具体的に導入を検討する地方公共団体が少ないという現状があり、ここで補償金免除により導入の先駆的取組を時限的に支援すれば、好事例の創出を通じ、それ以降の横展開効果が期待できる、いわば地方財政の効率化にとっても呼び水効果が期待できるという特殊性に注目したためでございます。

 また、今回はこうした先駆的取組支援の特別な意義に鑑み、補償金免除繰上償還に伴う財源として地方公共団体金融機構の管理勘定の金利変動準備金を活用することについて同機構や関係省庁の理解も得られたところでございまして、このように今回の措置は本事案の特殊性に着目した極めて例外的なものであり、補償金免除をこれ以外に認めることは考えてございません。

浦野委員 医療機構は認めてもらいたいなと思ったりはするんですけれども、ここは財政的にもいろいろとありますから、これだけでも財務省は本当にすばらしい判断をしたなと逆に僕はびっくりしたぐらいでしたので、特例だということで承知をいたしました。

 今、これは水道のお話でやりましたけれども、大阪も実は、大阪府域、水道を統一しようということで非常に苦しんでおります。ただ、節水機能がしっかりとした水道の器具がふえたことと、やはり効率化がされて、例えば工業用水なんかは需要予測の六〇%しか使われていないんですね。そういった、非常に水が、最初の思っていた需要よりもどんどんどんどん、やはり節水効果があるものもあって、減ってきている、その中で、先ほど言ったように古い水道管とかそういう上下水の設備更新をしていかないといけない。大阪府域でコンセッションをやろうとしたんですけれども、なかなか、いろいろと、全ては言わないですけれども、反対をされる政党もありまして、なかなか前に進みませんでした。こういったことが効率化ができるように、PFI等、コンセッション等、もっと活用できるようにしていっていただけたらと思います。

 以上で質疑を終わります。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 最後の質問者になりますが、重複する質問もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 民間資金等の活用による公共施設等の整備の促進に関する法律の一部を改正する法律案、PFIに関しての質問ですが、この時間は、また後刻にもこの法案審議が設けられるということで、きょうは基本的なところを少し確認をさせていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 このPFIは、公共投資の水準維持と財政健全化の両立を図るための公共調達の手法として、一九九二年、イギリスで始まり、本邦でも一九九九年、厳しい財政下におけるも真に必要な社会資本整備を効率的に進め、行財政改革の一つの手段とするとともに、経済活性化及び経済成長を図ることを目的として制定され、運用されてまいりました。

 いわゆる地方の公共工事、特に地方公共団体が、例えば起債をするなどして、その借入れ、そして原資を含めて、さまざまな公共事業を、当然未来の市民、住民のためにもサービスをしていくわけですが、通常、私たちが考えると、公共事業というのは、いわゆる分離分割発注、できれば地元の企業の皆さんに受注する機会を設けるというふうなことが基本の考え方としてこれまで行われてきましたし、そして、もちろんそれが地域の経済の循環にもつながっていく、いわゆる一般的なそういう考えのもとで行われてきていると思います。

 しかし、なぜ、ではPFIというふうなものが用いられるようになったかというと、一つは、ライフサイクルコストを削減する。これは、ある公共施設をつくる場合に、その施設の企画、設計から建設、それから維持管理、当然、修繕、あるいは、その役割を終えれば解体、撤去までにかかる全てのコストのことをライフサイクルコストと言うそうですが、PFI事業では、VFMの算出に当たっても、このライフサイクルコストをやはり一番基本にする、重く見ているということでございます。

 つまり、それだけ、私が思料するに、このPFIを用いる事業というものは大型化しているであろうというふうに思うわけですね。言うなれば、公共施設の中でも、例えば道路、鉄道、港湾、空港、河川など、あるいは、賃貸住宅及び教育の文化施設、廃棄物処理施設、それから医療施設、社会福祉施設などなど、割とその金額が高額になるというふうなことではないかなと。それでライフサイクルコストを下げるための計画に資するために取り入れているのではないかというふうに思いますし、また、いわゆる大型公共事業に偏重しているのではないかという意見も多々あるというふうに見ております。

 大臣に最初にお伺いしたいのは、このPFI方式による事業が大型になってしまっているというその背景というものがあれば、お聞かせいただきたいというふうに思います。

梶山国務大臣 PFI事業は、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して、事業を効率的、効果的に実施するものであります。民間事業者のノウハウは、一定期間継続して運営を行う場合や、個別に発注を行うのではなく一括して運営、改築、更新等を行う場合に、より一層の効率性や効果が上がるものであります。このため、一定程度以上の規模の事業となることが多いと、現時点で考えております。

玉城委員 そうなんですね。一定程度、やはり工事額、発注額が多い事業を、民間の資金も活用し、さまざまな民間の利用を進めていくということが今回の法改正の中でも含まれているわけでございます。

 このいわゆるPFI事業におけるコストの回収方法について、いろいろと資料を読んでみますと、回収法別に見ると、いわゆる選定事業者が対象施設の設計、建設、維持管理、運営を行い、そのコストが公共部門から支払われるサービス購入料により全額回収される類型のサービス購入型。それから、選定事業者がみずから調達した資金により施設の設計、建設、維持管理、運営を行い、そのコストが利用料金収入等の受益者からの支払いにより回収される類型の独立採算型、この場合は公共部門からのサービス購入料の支払いは生じません。そして、もう一つ、三つ目は、その二つを合わせた混合型というものがあります。

 そこで、内閣府の資料を私もいろいろと目を通してみたんですが、これは、平成十七年三月現在、地方公共団体が事業主体のPFI事業ということで、民間事業者が用いる方式、いわゆるBOT及びBOOという方式がありますが、このBOT及びBOOで見てみますと、BOTでは、サービス購入型二十一に対して、独立採算型は七件、ミックス型が八件、BOOでは、サービス購入型三件、独立採算型二件、ミックス型一件ということになっています。つまり、独立採算型は割合としてやはり低いんですね、この数字から見てみますと。

 そうすると、やはり、利用料からコストの分を回収するということは、当然、工事金額が大きければ大きいほどその利用料金にはね返り、その利用料金から回収しなければならないということのいわゆるイコールの形になっているのではないかと思います。

 このコストの回収方式のうち、では、独立採算型による、事業者がみずから調達した資金により設計、建設、維持管理、運営を行い、利用料金等の受益者払いによる回収を図る場合に問題が生じることになるのではないか。つまり、やはり工事額が大きいだけに、回収する場合の問題が生じることが予想されるのではないかと思いますが、その件について見解をお聞かせください。

梶山国務大臣 今委員御指摘の独立採算型は、収入の減少や需要変動のリスクを事業者が負担することにより、民間事業者の経営改善努力がなされる特色を持った方式と認識をしております。

 ただし、独立採算型になっても、利用料金は、公共的性格もあることから、あらかじめ契約において定めておくことが適切であり、基本方針におきましても、公共施設の管理者等は、事業契約において、選定事業者により提供されるサービスの内容と質、料金は、幅も含めて規定をすることとしているということであります。同時に、管理者側において、事業開始前に、事業の計画が適切なものであるかどうかを確認するとともに、料金や事業者の経営状態、運営の状況等についても、管理者側が監視をしていくことが重要と考えております。

 まず、この取組に当たっては、資産価値の適正な評価というものが必要ですし、それなしにしては、事業者側も地方公共団体側もこれに取り組むことができないと思っております。それにあわせて、予想し得るリスクに関してどう評価していくか、そして、予想できない不可抗力的なリスクについてどういう対応ができるのか、保険であったり話合いであったり、そういうことも含めて実施計画の中で契約を組んでいくということになろうかと思いますし、こちらもできるだけの協力をしてまいりたいと思っております。

 内閣府としては、これらの基本方針やガイドラインを丁寧に周知することにより、適切な事業の推進に努めてまいりたいと考えております。

玉城委員 今大臣から丁寧に御説明をいただきましたが、いわゆるさまざまなことを、事前に計画を立てる段階から、その回収に至るまで、きちんとそれがスムーズにいくような形で、総体のリスクを少なくしていくということだと思います。

 私が思うに、PFI事業は、ライフサイクルコストの軽減には当然資するものがありますが、実は、その前段階でさまざまな調査を行い、準備をするためのプランニングにはかなりの費用がかかるのではないかというふうに思ったりもいたします。後刻、またその点についてもお聞かせいただければというふうに思います。

 それでは、以下の質問は政府参考人にお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 二〇一一年、法改正により導入された運営権制度、いわゆるコンセッションですね、公的主体が所有する公共施設等を、民間事業者に運営権を設定し、安定的で自由度の高い運営とあわせて、利用者のニーズに合わせた質の高いサービスが提供できるということをうたっていますが、以下の点についてそれぞれ確認をさせてください。

 まずは、公共主体です。公共主体が運営権設定に伴う対価の取得をメリットに挙げている、その理由をお聞かせください。

石崎政府参考人 コンセッション事業におきましては、公共主体は、運営権を設定した際に、事業者から運営権対価を取得することにより、将来にわたる収入を早期に回収することが可能となることがメリットと考えてございます。

 なお、今般のPFI改正の上下水道分野における繰上償還における補償金の免除措置は、この取得した運営権対価で繰上償還することを想定しているものでございます。

玉城委員 もう一つ、公共主体、地方公共団体等が主体となっているメリットについてですが、運営権制度、コンセッションのメリットに、技術職員の高齢化や減少に対応した技術継承の円滑化のメリットが挙げられています。この理由についてお聞かせください。

石崎政府参考人 公共主体におきまして、上下水道等の維持管理に従事する技術職員が減少、高齢化して、いかにして事業を継続していくかというのが課題になってございます。

 コンセッション方式は、公共施設の運営を広範に民間に委ねる方式であり、技術職員が少ない状態であっても、官と民が連携するという形により事業の継続を図ることができる方法、そういう面でのメリットとして述べたものと考えてございます。

玉城委員 私は、このメリットは、メリット、デメリット、半々あると思います。いわゆる公共のプロパーが少なくなるということは、その地域における人材の枯渇、つまり、公共主体の中での管理運営そのものに対するチェックが甘くなっていくのではないかということが懸念されるのではないかと思います。

 ですから、民間の技術やノウハウを活用するということとあわせて、公共主体におけるチェック、監視機能も十分こなせる人材はしっかり確保しておくべきではないのかなというふうに思った次第です。

 次に、事業者のメリットについてお伺いいたします。民間事業者ですね。

 人口減少や高齢化に対応した一定の範囲での柔軟な料金設定が民間事業者にとってメリットとなるという理由、これも私は、人口減少や高齢化に対応した柔軟な料金設定が果たしてメリットになるのかということについて少し疑問がありますので、背景をお聞かせください。

石崎政府参考人 公共施設等の運営権制度におきましては、管理者となる公共団体が適切と考えた場合、あくまでそういう場合でございますが、一定の幅ですとか算定式による柔軟な料金設定を行うことも可能でございます。

 例えば、今後、人口減少等が予想される事業において、それを算定式に組み入れた料金設定が行われた場合、民間事業者は、人口減少に応じた料金改定がひょっとしたら将来行われないのではないかと不安を持つことなく事業に参入すること、そういうことが可能になる。そういう面でメリットと感じることができるのではないかというものでございます。

玉城委員 当然、地域住民のいわゆる生活の範囲、それから生活の質を高めていくためには、公共施設は、やはり適宜、住民にとっても使いやすい、使用しやすい、そういう料金体系である方が当然メリットが大きいというふうに思います。

 では、最後に、利用者、住民側からのメリットについてお聞かせいただきたいと思いますが、民間事業者による自由度の高い運営が可能となり、低廉かつ良好なサービスを利用者が受けられるとするメリット。繰り返します。自由度の高い運営が可能となり、低廉かつ良好なサービスが受けられる、この定義と背景、理由についてお聞かせください。

石崎政府参考人 コンセッション事業、他のPFI事業と比較して、民間事業者が長期に安定して事業を運営することを可能とすることにより、より民間の創意工夫が発揮しやすく、効率化も図れるという特徴と認識してございます。

 その結果として、利用者にとっては、民間の創意工夫を生かした低廉かつ良好なサービスを享受できることが可能になるというふうに考えている、そういうものでございます。

玉城委員 ありがとうございました。もろもろ確認をさせていただきました。

 質問を終わります。ニフェーデービタン。ありがとうございました。

山際委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十九分散会


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