衆議院

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第15号 平成30年5月11日(金曜日)

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平成三十年五月十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君

   理事 稲富 修二君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 佳隆君    泉田 裕彦君

      大隈 和英君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 鮎子君

      門  博文君    金子 俊平君

      神谷  昇君    亀岡 偉民君

      小寺 裕雄君    古賀  篤君

      杉田 水脈君    田畑  毅君

      高木  啓君    武井 俊輔君

      長坂 康正君    西田 昭二君

      三谷 英弘君    宮路 拓馬君

      村井 英樹君    大河原雅子君

      篠原  豪君    森山 浩行君

      山崎  誠君    源馬謙太郎君

      森田 俊和君    浜地 雅一君

      濱村  進君    中川 正春君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      杉本 和巳君    森  夏枝君

      玉城デニー君    寺田  学君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)            松山 政司君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (人づくり革命担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (規制改革担当)     梶山 弘志君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   財務大臣政務官      長峯  誠君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  原  邦彰君

   政府参考人

   (内閣官房一億総活躍推進室次長)         大島 一博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       植田  浩君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室室長)      石崎 和志君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局次長)       川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (警察庁長官官房長)   松本 光弘君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    樹下  尚君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 篠原 俊博君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小泉  勉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 酒光 一章君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            吾郷 進平君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           馬場崎 靖君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     久保田雅晴君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     瓦林 康人君

   参考人

   (日本銀行理事)     前田 栄治君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十一日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     田畑  毅君

  加藤 鮎子君     宮路 拓馬君

  神谷  昇君     門  博文君

  浦野 靖人君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     神谷  昇君

  田畑  毅君     岡下 昌平君

  宮路 拓馬君     加藤 鮎子君

  杉本 和巳君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  浦野 靖人君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  森  夏枝君     浦野 靖人君

同日

 辞任

  寺田  学君

同日

            補欠選任

             福田 昭夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府民間資金等活用事業推進室室長石崎和志君、総務省大臣官房審議官篠原俊博君、外務省大臣官房参事官小泉勉君、国土交通省大臣官房総括審議官石田優君、国土交通省大臣官房審議官馬場崎靖君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長久保田雅晴君、観光庁審議官瓦林康人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。篠原豪君。

篠原(豪)委員 おはようございます。立憲民主党の篠原豪でございます。

 一昨日に続きまして、PFIの改正案についての質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 きのう、お手元にお配りをさせていただいた資料の一枚目でございます、朝日新聞の記事を配付させていただいておりますけれども、三十四面で報じられているものでございますが、仙台空港の運営を国から委託された仙台国際空港会社が、国との協定に反して、初年度に実施するとしていた乗降客の逆流防止ゲートや監視カメラなどの保安設備を設置していなかった、十ほどの未実施項目があったということを報じられています。

 協約で取り決められた事項は、そもそも入札の選定条件であり、履行しなければ選ばれていません。これは大切な条件です。にもかかわらず、やっていない。それに、保安設備の欠落は、国際空港では致命的な事態であって看過できないんだというような声も上がっています。

 さらに、この保安設備以外にも、多数の、今言った十ですけれども、あったと報じられていますが、コンセッション事業者である仙台国際空港株式会社はこのことについてどのような責任を問われることになるのか、ペナルティーはあるのかということをまずお伺いをいたします。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 仙台空港につきましては、平成二十八年七月から、先生御指摘の仙台国際空港株式会社による運営が開始され、仙台空港から東北各地への二次交通、それから柔軟な着陸料の設定、エアポートセールスを積極的に行うことなどによりまして、民間の創意工夫を生かした運営が進められておるものと承知してございます。

 その結果、ことし夏の夏ダイヤにおいて、週当たりの便数、民間の委託前に比べると約一割増加しておりますし、また、平成二十九年度の利用客数も史上最高を記録するなど、仙台国際空港株式会社の運営について一定の評価をしておるところでございます。

 その一方で、御指摘のとおり、昨年夏に航空局が実施いたしましたモニタリング調査の結果、同社からの提案書類に記載されている内容の履行、これは実はチェック項目として数百の項目がございます、そのうち履行が確認できない事項が一部あったことは事実でございます。

 そのため、私どもとしましては、仙台国際空港株式会社、これはセルフモニタリングをやることになっておるんですけれども、その結果を定期的に報告させるということをするとともに、履行の完了等がなされていない事項につきましては、その理由を示させた上で、その履行に向けた合理的なスケジュールの策定を求めたところでございます。

 現在は、仙台国際空港が策定したスケジュールに照らし、同社からの相談にも応じつつ、随時に進捗を確認し、提案の内容が着実に履行されるよう求めております。その結果、一部の未履行事項につきましては、例えば五年間に桜を百本植えるというような話ですが、そんなものはもう既に履行が完了しているなど、同社における取組の進展も見られるところでございます。

 このため、現時点におきましては実施契約や法令に基づく措置をとることまでは想定しておりませんが、いずれにしましても、国土交通省といたしましては、提案の内容が確実に履行されるよう、民間事業者の創意工夫が発揮される環境づくりに配慮しつつ、同社に対する指導監督を強化してまいりたいと考えておるところでございます。

篠原(豪)委員 この新聞記事を見ても、民営化第一号の案件です、これは。そして、国との協定に反している、初年度に、旅客ターミナルビル入場時にかかわるセキュリティーの強化、空港への監視カメラの設置などを実施することが決められていたと。桜の木はいいんですよ。いや、よくはないですけれども、それは守らなきゃいけないですけれども、これは大事な点ですからね。まず、そういうことが起きているということで、これはしっかりと考えなきゃいけないと思います。

 この第一号案件である仙台空港のコンセッション事業者の選定プロセスについては、これまで、入札の公平性、透明性、客観性についていろいろと指摘もされています。

 二〇一六年七月から運営が開始されたこのコンセッション事業ですけれども、運営権対価は二十二億円を提示した民間業者が、四十億円を提示した民間業者よりも評価をされ、運営権者として選定されたという経緯があります。おとといの質疑の中でもいろいろなものを勘案して選ぶと言っているんですが、これは倍違うわけですね、四十億円と二十二億円で。それでも、こっちが選ばれた。

 これに対して、財政制度等審議会財政制度分科会だけでなくて、有識者からも、民間事業者の選定基準は運営権対価だけでなくさまざまな基準があるという前提を踏まえても、他の民間事業者と比較をし二倍の運営権対価を提示した事業者が選定されなかったことは経済効率性の観点から問題があり、事業者選定のプロセスを見直すべきではないかという旨の指摘がなされていますが、このような指摘に対し、政府はどのようにお答えをされるのか、教えてください。

梶山国務大臣 今委員御指摘のように、財政制度等審議会財政制度部会において、総合評価と一言で言うけれども、配点、点数の比重は各自治体や事業によっても結構ばらつきがある、客観的な質の評価のあり方を確立していくべきとの指摘があったことは承知をしております。

 一方で、PPP、PFIの目的は、財政健全化だけでなく、利用者に民間の創意工夫を生かした良好なサービスを提供するということと、先ほどお話ありましたセキュリティーも万全を期するということにもあるわけであります。そのため、コンセッション事業において、運営権対価の価格だけでなく、サービスの質を含めた総合評価、一般競争入札により事業者選定を行うものとしております。

 どの目的を重視して評価の比重を置くかは公共主体が事業の特性を踏まえて適正に判断するものでありますけれども、こういった事例を踏まえて、やはり今後の選定に生かしてまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 今申し上げましたが、対価が二倍違うんです、二十二億円と四十億円。これはよほどの、ほかのものが余りにも差がある提案であれば、それはその説明もきくのかもしれませんが、そうではなくて、十分検討に値するという中でその差があるとすれば、これはしっかりと検証しなければいけないんだというふうに思います。

 この仙台空港は、今大臣おっしゃられましたけれども、セキュリティーの強化の点もありますが、国との協定に反して保安設備を設置していなかった事実は、今、国土交通省さんも、昨年の夏に実施した検査で明らかになったということを御指摘をされました。

 その直後に、九月九日に、今現在進行中であると言われています北海道の空港のコンセッションについて、国と北海道が、これはHOKKAIDO空港運営戦略フォーラムという名のシンポジウムを開いています。このHOKKAIDO空港運営戦略フォーラムのパンフレットには、これは今皆さんのお手元、一番最後、三枚目に配らせていただいているものでありますけれども、今回、直前に違反が見つかったシンポジウムの方が特別講演者として招かれています。これは、主催を見れば、内閣府、国交省、北海道というふうになっていますので、国のイベントであるということは間違いない、主催ですからね。共催でもいいんですが、北海道も含めて。

 このときに、直前に違反が見つかったこの仙台空港の方が招かれていますけれども、今回この問題が指摘された事業者を、これからやろうとするHOKKAIDO空港運営戦略フォーラムという空港コンセッションの促進のイベントを、こうした形で招くこと自体、問題というふうには当時思われなかったのでしょうか。

石崎政府参考人 御指摘のHOKKAIDO空港運営戦略フォーラムの特別講演出演者につきましては、空港コンセッションの先行事例が少なかった中で、数少ない先行事例である仙台空港と関西国際空港、大阪国際空港の運営を担っている事業者の経験を共有する観点から講演者を選定したものでございます。

 特別講演の講演者については、専ら内閣府と北海道庁で協議して選定したものであり、国から問題が指摘された事業者であることは承知してございませんでした。

篠原(豪)委員 指摘された事業者ではあったんですけれども、承知していなかったということですね、この時点では。

石崎政府参考人 その時点では、我々承知してございませんでした。

篠原(豪)委員 このシンポジウムなんですが、お配りした二〇一七年十一月号の、二枚目の資料のところで「財界さっぽろ」という雑誌に、これは、ある特定の会社をひいきしているんじゃないかと臆測を呼んだ空港民営化シンポジウムという記事が載っています。

 この記事によると、シンポジウムの講師陣の四人のうちの三人が、今申し上げた特定の会社をひいきしているんじゃないかということになりますが、事実、基調講演を担当した竹中平蔵氏は、未来投資会議でコンセッションを推進する分科会座長であり、しかも、今申し上げた会社の非常勤の取締役にも就任をされている。

 このようなシンポジウムが開催された事実は、今あったと言いましたけれども、今お配りした出席者の方、四人のうち三人がそういう指摘をされていますけれども、このことは事実かどうかということを確認いたします。

石崎政府参考人 HOKKAIDO空港運営戦略フォーラムが平成二十九年九月に開催されたことに事実は間違いございません。また、当時、このパンフレットにありました四人の方が講演等を行われた、このことに関しても事実と認識してございます。

篠原(豪)委員 すなわち、この今お配りしている資料で、配らせていただいた「財界さっぽろ」の内容というものに関しては正しいということでよろしいですね。

石崎政府参考人 講師陣四人のうち三人がオリックス関係者だった事実に関してだと思います。

 我々確認しましたところ、竹中平蔵氏がオリックス株式会社の社外取締役である点、山谷佳之氏とエマヌエル・ムノント氏が、それぞれオリックスが出資をした関西エアポート株式会社の代表取締役社長と代表取締役副社長であった点につきましては、間違いないかと思っております。

篠原(豪)委員 それで、今いろいろと、いろいろな案件でいろいろなことを言われていますけれども、先ほど、内閣府さんと北海道さんで講演者の内容は決めた、そのときには、国土交通省さんから指摘された事業者ということは、内閣府さんはまだその時点では御承知ではなかったということだそうなので、それはそうなんだろうというふうに思いますが、特定企業が、国が主催する会議で、国のために講演をする、国に協力をしているといって、北海道の空港コンセッションの競争上、考えると、これは果たして適切かというふうに誰しもが思うんだと思います。

 国が主導して、もし特定の民間企業に偏った人選を行っているんじゃないかというふうに疑われると、これは週刊誌にも出ていますけれども、こうなりますと、今後行われる入札に向けて、また、これは本当に適切なのか、実は不適切なことが起きているんじゃないかと疑われてしまう。そういうことになれば、例えば入札に向けて癒着があるんじゃないかと言われたりすると問題になってくるというふうに思うので、これは指摘されていますから、雑誌等で。

 なので、思うんですが、この点について、不適切ではないかということについて、どういうふうにお答えいただけるんでしょうか。

石崎政府参考人 繰り返しになって申しわけございませんが、このHOKKAIDO空港運営戦略フォーラム特別講演者の選定については、空港コンセッションの先行事例が少ない中で、数少ない先行事例である仙台空港と関西国際空港、大阪空港の運営を担っている事業者、この方々の経験を共有していただくという観点から選ばれたというふうに認識してございます。

 北海道内の七つの空港の運営権者を決定する手続は、七つの空港の管理者、具体的には国土交通省、北海道、旭川市、帯広市の四つの管理者でございますが、この管理者が設置する審査委員会により行われるため、四つの管理者の話ではございますが、一般論としては、民間事業者の選定の手続は、公平性、透明性、競争性の確保が重要であり、選定の手続において、講演した云々ということは影響しないのではないかというふうに認識してございます。

篠原(豪)委員 一般論じゃなくて全部、公平性、透明性、そういうのは重要なんですよね。なので、それはしっかり担保しないと。だって、国が税金でつくった建物を、運営権を売り払ってあとはお任せをするという中身でありますので、これはしっかりやらないといけないのは、別に与野党問わず当たり前の話だと思っていますので、ここは大事なところだと思っています。

 で、PFI担当の、またこの二枚目にお配りした「財界パトロール」、「財界さっぽろ」のところには、読むと、政府内で行われている、これはここに書いていないんですが、議事録等を読むと、コンセッションの推進の検討に、先ほどお名前をいただいた竹中平蔵さんと、そしてサポート役として、このコンセッションに関する検討の政府内での調整等を指示されているような方がいると。今回のイベントは、ここの記事によりますと、官房長官補佐官を務める福田さんが主導したというふうに聞いていますというふうに書いてあって、こういった方がいろいろとかかわって、プロフェッショナルかわかりませんけれども、このような国や自治体のイベントへの人選等に、つまり、先ほどは内閣府でやると言ったんですが、内閣府は、本当にこのコンセッションは難しいですから、補佐官をつけてやっているということは、これは記者会見でも、菅官房長官もこれまでも言っています。

 で、その補佐官の方はいらっしゃって、多分その方がやっているんじゃないかと思うんですよ、一緒になって。それが人選等々に関与するとか、そういったことでやっているのか。中をどういうふうに、もうちょっと具体的に、やっているのかということを教えてください。

石崎政府参考人 内閣府の事務のうち、公共サービス改革に係る重要事項について、内閣官房長官を補佐するためとして、平成二十八年一月一日から福田隆之氏が内閣府大臣補佐官として任命されてございます。

 この公共サービス改革の一環であるPPP、PFI、特にコンセッションにつきましては、政府において重要施策と位置づけ、これを推進しており、福田大臣補佐官には、コンセッション推進に係る企画立案の業務に関して広く調整を行っていただいているところでございます。

 この北海道における空港運営フォーラムにおきましても、講師の人選についてアドバイスをいただいているというふうに認識してございます。

篠原(豪)委員 今回の法案を見ても、内閣総理大臣の名のもとに決めていくということになりますので、今のお話を伺っていると、その透明性、公平性というのが本当に大丈夫なのかなというところを少し、おとといの質疑でもいろいろ聞かせていただきましたけれども、やはり思うところでもあるんだと思います。

 不透明な中で、特定の利害関係者や利害のある企業が有利になるようにすることは、私はないと思いますよ、あってはいけないし。ただ、今のこの、残念ながら、政権の、いろいろな違う案件でも疑いを持たれたりすることもあって、実際に参考人招致ですとか証人喚問までやっているというのは事実でありますから、この件にとっては関係ありませんけれども、全体としてより透明に公平にやっていかなければいけないということなんだと思います。そういった中で、もし我田引水されるということはいけないので、そのことはしっかりと指摘をしておきたいと思います。

 今言った竹中氏や担当の補佐官の方からは、買い手にとってこれが一番いい、そういう方法でないと解決策にならないんだみたいな話とか、民間が、最終的には企業が活躍しなければ、PPP、コンセッションはうまくいかないといった発言がありますが、コンセッションをやるときには、民間事業者に係る法人税とか、また、今回の水道事業に関しては、附則の四条のところで、これはおとといの他の会派の方からも質問がありましたけれども、なぜか、財源が枯渇している中で水道だけには少しインセンティブを与えるんだというようなことが見てとれるので、ここのところもちょっと考えなければいけないと思いますけれども。

 私は別に、民間がもうけてはいけないという話をしては成り立たないですから、コンセッションは。つもりは一切ないんですよ。しかし、バランスを欠いているのではないかということになると、これは問題になるんじゃないかということです。特定企業に有利になったり、又は政府が財政的に損をしながら今申し上げたコンセッションをするということでは、これは国民は幸せにならないんじゃないか、こういうことなんです。

 ですので、この北海道の案件においては、国や自治体、規制緩和に向けて自助努力をしているのはわかります。別に、わかってないわけじゃないんです。そして、これに対して、内閣府及び担当の今補佐官の方、具体的にどういったかかわり方をしているというのは、やはりこの時点で出てきていますから、きのうの朝日新聞にもありましたので、一度、確認をさせていただきたいと思います。

石崎政府参考人 内閣府及び今御指摘の担当補佐官、例えば御指摘のフォーラムに参画して、特に担当補佐官はパネルディスカッションのコーディネーターを務めるなど、PFI推進の担当補佐官として北海道七空港のコンセッションに対して技術的支援を行っているというふうに認識してございます。

篠原(豪)委員 だから、状況報告を求めたり、簡易なアドバイスをしているという程度じゃないわけですよ、自分で司会しているわけですから。

 ですので、これは、頻度が重要だし、どういう話がなされているかという、国土交通省さんとどういう話をしているのか、北海道の自治体へのどういう出張をなさっているのかとか、あるいはそういった面会や議事録、議事の記録というのは、こういうのはきちっととっていらっしゃるんでしょうか。

石崎政府参考人 議事録をちょっと、例えば出張に行かれたときにどういうふうにとっているかとかについて今詳細には把握してございませんが、ただ、一般的に、出張した際に一つ一つの議事録をとるというのは余りないのではないかなというふうに認識してございます。

篠原(豪)委員 やはり、そうすると見えなくなって、ほかのところもそうなんですが、いや、ちゃんとやっていればいいんですよ、これからちゃんと進めばいいんです。

 しかし、今この全体が、これは個人メモだったとか、交渉の記録が存在しないとか、起きているわけなんで、これは大事な案件ですから。空港コンセッションだとか水道事業は何兆円という規模なわけですよ。八億円や百億円単位の助成金だったりしないんですよ、年間の。私は、だから、コンセッションをやっちゃいけないという話はしていないんです。今こういうタイミングなので申し上げているということです。

 言いかえれば、懸念としては、内閣総理大臣や内閣府の権限強化といっても、だって、大臣が直接細かいことを私は御指示なさっているとは思いませんし、実際それはできないんだと思いますよ。やっていますか、やっていないですよね。本当に細かいところまでやっているかわかりませんが、これは幹部の皆さんも直接細かいところまでやる、やっているということは、それは案件によるのかもしれませんが、案件によって疑われているからきのうのような参考人招致になることもありますが、一般的にはそういうことはないんだと思うんですよ、普通に事業をやっている限りは。

 ですので、権限の強化の傘の中で、見えないところがふえて、またそんたくが働いて、全て情報が特定のところに行って、癒着や情報漏えいになることは問題であるというふうに考えています。

 PFIは、これは全て我が国の地方の大切な個別事業です。なので、個々の施設管理者の改革意識であるとか、あるいは地方自治を妨げるものであってはいけないわけです。

 今申し上げた空港コンセッション等とか、水道もそうですけれども、これからどうなっていくのかというところは大事だと思っていますので、この手続をどういうふうに進めていくのかということを、あるいは、見えないところがあるのであれば、一回考え直して、手続をもう一度考え直すとか。これは質疑をやっていますから、おとといからきょうまで。やはり国会での議論ですから、どういうふうに思われているかということをお伺いしておきたいと思います。

梶山国務大臣 委員が冒頭御指摘のありました仙台空港の件、これは協定違反ということで、しっかりとモニタリングのあり方というものもよく考えなければならないと思っております。

 その上で、先ほど来お話があることでありますが、北海道の件でありますけれども、空港のコンセッションも実例が少ないということでありまして、仙台は第一号の案件であるということ、関空に関しては複数の空港のコンセッションであるということ、これらを踏まえて、こういう講師陣にしたものだと思っております。

 具体的に何か特定の企業に誘導があってはいけないと思っておりますけれども、そういったことも十分踏まえながら、これからの進め方を考えてまいりたいと思いますし、前回も含めて、この委員会での議論も生かしながら、運用面でしっかりと考えてまいりたいと思っております。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 ぜひ本当に、これまで梶山大臣とは、違う質疑も含めて、本当に真摯に、私のような若い議員に対しても議論させていただいて、感謝申し上げます。ですので、ぜひよろしくお願いします。

 でも、以上のことを踏まえつつ考えますと、政府のPFI法の改正案についてはこういうふうに思っているんです。

 まず一つは、公共施設等の管理者等がPFI事業に係る支援措置の内容等について確認を求めるワンストップ窓口については、その運用の公正を確保し、万が一にも政治家による介入がないよう、また、地方自治体の主体性がゆがめられることがないよう、内閣総理大臣からPFI推進委員会に改めるべきではないか。

 そして、公共施設等の管理者等に対する勧告等の主体を、内閣総理大臣から、やはり今言った透明性というのは、別に透明にして悪いことはないわけですから、これをPFI推進委員会、もともと二〇一七年の会議の中ではそういうふうに言われたわけですから、これを改めるとともに、推進委員会が勧告等をすることができる場合を、まさに地方の自主性であり、事業者、管理者のこともありますので、創意工夫を試みる地方自治体の萎縮を招くことがないように、公共施設等の管理者等が定めた実施方針又は締結した事業契約が、この法律に基づく基本方針に照らし著しく適正を欠くときに認めてやるということを限定すべきではないか。

 そして最後に、申し上げました水道事業にかかわる旧資金運用部資金等、これはもう余り残高はないと聞いていますから、繰上償還に係る補償金の免除に関しては、財政投融資の特別会計の積立金が既に枯渇をし、そして東日本大震災の被災団体に対しても補償金免除の繰上償還を認めていないことに鑑みて、同措置に関する規定を削るべきではないかと考えていますが、この点についてお伺いを最後にさせていただきます。

梶山国務大臣 ワンストップの窓口につきましては、公共施設等の管理者の求めに応じて、現行の制度についての確認に対する回答と特定事業の円滑かつ効率的な遂行に資する助言をすることとされておりまして、専ら技術的な観点からの助言を行うものであります。

 また、内閣府が中立性を保って業務を行うことは当然のことであり、ワンストップ窓口の業務についても公正さを維持しつつ行われるものであると考えております。

 加えて、ワンストップ窓口による回答や助言の内容は、PFI推進委員会に報告をして透明性を確保することを想定をしているところでありますけれども、前回と今回の議論も踏まえて、もしこの法律が成立をして、そして、実施に当たっては、しっかりと周知を図るために、丁寧に、また、わかりやすく伝えていくことが必要であるなということを私自身も感じておりますし、そういった運用を心がけてまいりたいと思っております。

 また、勧告等につきましても、特定事業の適正かつ確実な実施を確保するために必要があると認めるときに限定して行うものであります。これは、この事業が実施できなくなる可能性があるときにしっかり勧告をしていくということでありまして、既存の組織を活用して行うものがより現実的な案だと思っております。

 あとは、インセンティブに関してでありますけれども、委員御指摘がありました財投特会の積立金ということでありますが、これではなく、地方公共団体金融機構の管理勘定の金利変動準備金を活用することとしております。

 いずれにしましても、これは前にも申し上げましたけれども、自治体が踏み切るための心理的な後押しということができればということで、あくまでもこれも選択肢の一つということで、財政面については、そういうことで、別の資金を使うということで考えているところであります。

篠原(豪)委員 わかりました。

 別の資金でもやはりインセンティブはインセンティブだし、なぜか水道にしかインセンティブが働かないというのは、やはりこれは謎なんです。おかしいなというふうに思っているという指摘がありました。

 であるので、私たちは、今の点、これまで、おとといときょうの議論を一緒にさせていただきました。そして、本当にいい議論ができたと思いますので、運用に関してはしっかりやっていただきたいと思いますが、私たちは私たちなりに、やはりもっと公平性、透明性を深めるということが大事だと思いますので、後ほど、私たちが今主張したような点を踏まえた修正案というものの提案を考えていますので、その際には御検討いただきますようよろしくお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 PFI法改正案について質問をいたします。

 きょうは、具体の事例も紹介しながら、自治体におけるPFI事業の現状について、問題点についてお尋ねをいたします。

 内閣府にお尋ねしますけれども、愛知県の西尾市は、計画をしていたPFI事業について、中止を含む抜本的な見直しを行っております。この事例について、内閣府は承知をしておられますか。

石崎政府参考人 西尾市のPFI事業は、平成二十三年四月に合併した四市町の公共施設の統廃合と再整備、維持管理の計三十二事業を一括してPFI方式により民間企業に委託するものであったこと、また、大手建設企業を入れず、事業主体を地元中心の運営企業で構成する方式だったことなどの特色を持った事業として、平成二十八年六月に契約されたものと認識してございます。

 しかしながら、二十九年六月に市長の交代を受け、三十二事業のうち十事業を取りやめるなど、PFI事業としては維持しつつも、大幅な見直し方針を打ち出したというふうに承知してございます。

塩川委員 今紹介してもらいましたように、三十二事業一括ですとか大手の建設企業を入れないとか、そういう特徴がある西尾市方式PFI事業と言われていたものですけれども、市民の大きな声もあって変更になっている。

 この西尾市方式PFI事業については、大規模な一括方式なのに、短期間の募集期間のため、一社のみの応募で競争なしに決まったことや、計画内容が明らかにされず、計画の問題点を指摘しても事業者は見直しをしようとしなかったこと、地元企業によるSPCといいながら建設工事は市外の大手任せだったことなど、多くの批判が寄せられました。

 西尾市は、PFI事業に対する市民の批判の声を受けて、中止を含むPFI方式の大幅な見直しに着手をいたしました。

 資料をお配りしております。二枚目を先にごらんいただきたいんですが、これは、西尾市は、ことしの三月に「西尾市方式PFI事業 検証報告書・見直し方針」をまとめております。その中で、アンダーラインを引いたところを引用しますが、

  市の保有する情報は、民間事業者の著作権意匠権などが絡むことで、これまでのように一存で開示判断できるものが限られるようになり、公文書開示請求への対応が問題となった。さらに事業が進むに従って、市の内部でも事業の全容を把握しているのはごく一部の職員となり、議会への対応、説明が不十分だとされた。その結果、それが情報隠しであり事業の実施経緯が不透明だと批判が高まり、住民訴訟が提起されるまでの事態となった。

こういう背景があって、市長選挙もあって、市長がかわると、大きな抜本的な見直しにもつながったというのが背景であります。

 大臣にお尋ねしますけれども、住民が主人公というのが自治体です。その自治体の事業でありながら事業者の都合を優先して、情報開示が後退をし、住民の不信を拡大することとなった。こういうPFI事業というのは住民参加を妨げるものとなっているんじゃないのかと率直に思いますけれども、大臣はいかがですか。

梶山国務大臣 御指摘のように、情報の開示不足について、西尾市が平成三十年三月に公表した「西尾市方式PFI事業 検証報告書・見直し方針」において、民間事業者の著作権や意匠権などが絡むことで公文書開示請求への対応が問題となった旨が記載されていることは、承知をしているところであります。

 このような点も原因の一つとして、西尾市は、三十二事業のうち十事業を取りやめるなど、PFI事業の大幅な見直し方針を打ち出したものと認識をしております。

 当該PFI事業の推進に当たっては、西尾市議会において一定の議論がなされた上で、議会において必要な手続を経て実施されたものと考えておりますが、一般論として言えば、PFI事業も他の事業と同様の判断基準のもと、情報公開制度に基づいた適切な情報の開示がなされるべきものと考えております。

塩川委員 適切な情報の開示がなされるものというお話がありましたけれども、大臣のお話の中にもあったように、西尾市議会で一定の議論があって実施をされたということですが、資料の一枚目をごらんください。これは、西尾市が二〇一六年の市議会六月定例会に提出をした西尾市方式PFI事業の提案書の一部であります。つまり、PFI事業者が出した提案書について、墨塗りで、こういう形で出しているということであります。

 市は、この議会にPFI事業の契約議案と債務負担行為額を約百九十八億円に再設定する議案を提出しましたが、その際の説明資料であります。事業者が出したものについて、市が墨塗りをして出さざるを得なかったというものになっているわけです。

 PFI事業者の要求によって多数の黒塗りとなっております。左側が「構成企業・協力企業各社の役割と特徴」と、項目は全て墨塗りになっておりますし、右側の「事業スキーム図」も墨塗りばかりとなっています。

 この図の西尾市の下に特別目的会社、SPCの構成がありますけれども、この右側のところ、墨塗りになっているというのは、建設を請け負う事業者の部分が書かれていたわけですけれども、この建設工事の受注企業が書かれていたところも墨塗りです。

 これは、PFI事業者は地元企業ということで建設工事を受注するんだという話をしていたんですけれども、地元企業といっても、西尾市の事業者じゃなくて愛知県内が地元だということで、実際には名古屋市の事業者がこれを受注するという運びになっていたということでもあったわけで、こういうものでまともな審議ができるのかということだと思うんですよ。

 ですから、私は、こんなことになるというのも、このPFI事業に伴う情報開示の後退、これがまさに問題となっている具体の事例だと思うんですけれども、改めていかがでしょうか。

梶山国務大臣 委員御指摘のような地元企業の参入という点では、東日本大震災から、災害時の対応ということで、大変やはり重要なことであると思っております。ほかの市町村においても、そういった点を考慮しながらいろいろな事業についても入札等を行っていると思っております。

 ただ、この西尾市の例に関しましては、やはりコンセッション対象事業をどう選んでいくかとか、そういう課題が今後もまた残ってくると思いますし、適切な情報開示のもとに行われるべきであると私自身は考えております。

塩川委員 結局、PFI事業者に包括的に絵を描いてもらうということですから、それが企業秘密にかかわるような話となって、実際にこういう非開示がどんどんどんどんふえていく。ですから、PFI事業に伴うようなこういう情報開示の後退という点が、私は、自治体の住民が主人公となるべきその仕事が、その住民にも知らされないままどんどんどんどん進められることになっているというのが、この西尾市で計画がひっくり返るということにつながったということを重く受けとめるべきだと思うんです。

 あわせてもう一つ指摘をしたいのが、資料の三枚目であります。

 これは、浜松市ですけれども、「浜松市公共下水道終末処理場(西遠処理区)運営事業 公共施設等運営権実施契約書」であります。これの一番上の部分を見ていただくと、この契約書の第五十条は、「反対運動及び訴訟等」とありまして、アンダーラインの引いているところを読みますと、「運営権設定対象施設の存在自体に対する近隣住民の反対運動や訴訟等により、事業期間の変更、本事業の中断・延期及び運営権設定対象施設の物理的破損等が発生した場合であって、かかる事象に起因して運営権者に増加費用又は損害が発生した場合、市は、当該増加費用又は損害について補償するものとする。」となっているわけであります。

 内閣府は、こういった事例を承知しておられますか。

石崎政府参考人 今御指摘いただきましたとおり、この浜松市の公共下水道終末処理場運営事業の契約書におきまして、契約書の五十条に、今御指摘いただきましたように、運営権の設定対象施設の存在自体に対する近隣住民の反対運動、訴訟等によりこの事業計画の変更その他が起きましたときには、市が当該増加費用又は損害について補償するものとすると条文があることは承知してございます。

塩川委員 こういうコンセッションの施設ができる、その運営のあり方の問題をめぐって、例えばそれが中断とか延期をするというような場合があったときに、住民の声で、そういうことというのは当然あり得るわけですよ。そういった際に、本来対象となるべき事業者の責任ではなくて市の方にツケ回しをする、こういう規定というのが本当にまかり通っていいのかと率直に思うわけですね。

 こういった契約項目を設けているようなPFI契約というのは、ほかにもあるんですか。

石崎政府参考人 他の契約事例をつぶさに把握しているわけではございませんが、施設本体を設置し運営すること自体に直接起因して、要するに、その事業の運営とかでなく、施設本体自体の原因に起因して近隣対策が必要となった場合に自治体が負担するとされている例はほかにもあるというふうには認識してございます。

塩川委員 後でそういう事例も紹介してもらいたいと思いますけれども。

 大臣にお尋ねします。

 やはり、いろいろな施設をつくる際に、住民の皆さんのいろいろな意見があるわけですよ。そういった際に、ある意味、こういう形で、コンセッション方式でやるという場合であっても、当然のことながら、その際に市が責任を持つのは当然ですけれども、でも、当該事業者が進めるわけですから、その当該事業者のさまざまな責任を市の方にツケ回しをするというやり方というのは、住民の要求に背を向けるPFI事業者の姿勢をいわば容認するものということでは極めて重大だと思いますが、大臣の率直な受けとめをお聞きしたい。

梶山国務大臣 コンセッション事業は、施設を公共が所有した上で、官と民が役割分担をしつつ行うものであります。

 事業の実施に際して生じるリスクや損害については、管理者側と民間事業者の間でどのように分担をしていくかについて、当事者同士の契約で決まっていくものでありまして、これまでの議論でも、いろいろなリスクがあるということを、やりとりをしてきたわけでありますが、浜松市の下水道コンセッションの実施契約書によると、御指摘の点については、運営権設定対象施設の、先ほど来申し上げていますけれども、存在自体そのもの、施設そのものに対する近隣住民の反対運動や訴訟等の場合について規定されていることから、施設の所有者である浜松市がリスクを負うことについても一概に否定をできるものではないと考えております。

塩川委員 いや、実際、リスクは自治体に、それでもうけは事業者にといった形では、そもそも、やはりこのあり方そのものが問われると率直に言わざるを得ません。

 PFI事業というのが住民や議会への情報開示を後退させて、市議会と住民による行政監視を損なうものとなっている事例は今取り上げたところですし、PFI事業者の利益を優先して住民要求に背を向けるものとなっているという点で、住民自治、地方自治の障害となっているということを言わざるを得ません。

 もう一つ指摘をしたいのが、地元企業参入との、PFI事業の関係であります。

 PFI事業が地元企業参入の妨げになるという懸念の声があります。先ほどの西尾市のPFI事業においても紹介しましたように、建設工事は地元企業と言っていたのに、実際には、西尾市の事業者ではなくて愛知県内の事業者が、地元企業だといって名古屋市の大手事業者が受注することになっていた。これまで公共事業を請け負ってきた市内業者からも反対の声が上がっていると聞いております。

 資料の四枚目をごらんいただきたいんですが、これは、浜松市上下水道部が作成をしました、浜松市水道事業へのコンセッション導入可能性調査業務報告書であります。

 この導入可能性調査は、内閣府の上下水道コンセッション事業の推進に資する支援措置に基づき、国の全額補助で実施をされたものと承知しておりますが、そのとおりですか。

石崎政府参考人 御指摘のとおりでございます。

塩川委員 国が全部お金を出してつくった、その報告書ということになるわけです。

 アンダーラインを引いたところを見ていただきますと、この報告書の「コンセッション方式実施における利点、課題」を見ると、「経営・料金」の項目で、「利点」として、「単年度予算主義など制約がある公共調達ルールから、民間の調達ルールで行うこととなるため、調達の自由度が拡がり、調達に関する工数や経費(発注価額)の低減に繋がる。」と述べています。これは、コストダウンになるという利点として述べているわけですけれども。

 しかし、それぞれ自治体においては、国もそうですけれども、官公需法というのがあって、官公需法に基づき、中小企業への発注を優先するというスキームというのはつくっているわけですよね。そういう取組を行っている地方自治体も多数あるわけであります。

 そうしますと、こういったことをメリットとしているということになると、官公需法に基づく地元中小企業への優先発注といった自治体独自の地域振興策とそごが生じる、こういうことになりはしませんか。

石崎政府参考人 どのような形で地元企業に対して配慮していくかという、各公共団体でいろいろなことをお考えいただいているというふうに認識してございます。

 PPP、PFI事業自体も、幅広い分野や地域に根づくためには、また、それぞれの地域に合った事業の展開を図るためには、地域の町づくりを担う地域の企業、金融機関がどのように関与していくか、よく検討することが必要だと認識してございます。

 このため、これまで実施されているPPP、PFI事業においては、地元事業者が参画しやすくするための取組として、地方公共団体の判断により、事業者選定に当たって、例えば、代表企業に市内工事の受注実績があることを義務づけたり、構成員に市内企業を含むことを義務づけ又は加点したり、地元企業の活用に関する提案を採点上有利に扱う手法を実施するなどの例があるというふうに承知してございます。

 このような取組につきましては、内閣府においても、公共団体や地域の民間事業者が集まる会議の場等を通じて周知を行ってございます。

塩川委員 いや、でも、実際にこういったスキームを利点としている以上は、地元中小企業への発注というのはこれに逆行するものというふうにならざるを得ない。

 そういった懸念もここでは指摘をしているわけで、お隣の「課題」のところを見ていただくと、アンダーラインを引いたところにありますように、「公共事業を担う以上、民間事業者自身の業務の繋がり(受発注関係者の企業体としての安定)のみを考えるのではなく、広く公共事業全体の安定性・継続性を視野に入れた業務への取組み姿勢の醸成が必要となる。」「地元事業者とのネットワーク形成の方策を検討する必要がある。」。

 つまり、外からPFI事業者が入ってきますといったときにどうするのかということが課題となっているということで、つまり、PFI事業者が外から自分の系列、下請企業を連れてきて、これまで業務を担ってきた地元事業者を排除することになれば、安定的、継続的な水道事業への障害となる懸念を指摘をしている。

 これは非常にもっともな指摘だと思うんですが、大臣もそう思われますか。

梶山国務大臣 委員御指摘のとおり、もっともな指摘だと思っております。

 このコンセッションを進めていく上で、例えば水道の件でありますけれども、公益性、特に、安全、安定供給、料金ということを考えなければならないということと、一方で、今度は受注側でありますけれども、まずは大きな企業に関してはリスクの分担の、先ほど来の議論があると思います。あとは、地元の企業がこれまでどおりしっかりと地域のインフラ維持のために受注ができるかどうかということになるかと思いますので、そういった点も含めて、災害協定等を結ぶとかさまざまな支援の協力なども含めて、総合加点方式であるとかそういったことも含めて、ネットワークの形成に努力をしてもらいたいと考えているところであります。

 そういったことも含めて、それぞれのコンセッション事業についてしっかりと応援をしてまいりたいと思っております。

塩川委員 もっともな指摘という話がありました。

 ただ、浜松市では、既に下水道事業においてヴェオリアが参入をしております。現場の話で聞きますと、地元業者の仕事というのは、設備の据置きとか植栽の植えかえとかいう話で、管路について入れないという話なんかも聞いています。

 資料の五枚目をごらんいただきたいんですが、この同じ報告書で「想定されるリスクと対応方針案」のところがあります。「運営権者に起因するリスク」ということで、線の引いてあるところを見ていただくと、「地元事業者の経営困難」と。

 つまり、先ほど言ったように、大手が入ってきて、外から自分の下請とか系列を連れてくるような場合に地元の事業者の仕事が減ってしまうという意味で、そのために、「運営権者の発注選別や過度のコスト削減要求により地元事業者の経営が悪化した場合」という想定をしている表になっています。

 これを見ますと、結局、運営権者に起因するリスクなんだけれども、この負担はどちらがとるのかというと、市の方になっているんですよ。これは先ほどもちょっと指摘をしたことですけれども、運営権者に起因するリスクなのに、そのリスクが市の負担となっているというのはおかしいんじゃないですか。どうですか、大臣。

石崎政府参考人 これは浜松市の水道事業ということで、要するに、現在、これから検討していくという事業、下水道事業じゃございませんで、これから検討していく水道事業の導入可能性調査の中での検討でございますので、この報告書を踏まえて浜松市がどのように検討するかというのはまさしくこれからの御判断、浜松市の御判断なんだろうというふうに考えてございます。

塩川委員 さっき大臣が、安定的、継続的な水道事業の障害となるという指摘については、もっともだというお話をされました。

 だけれども、ここにあるようなリスク分担の話にしますと、結局は、地元でこれまでずっと取り組んでこられた、そういった事業者が排除されるような場合についても、それはもうPFI事業者の責任でなくて市の方で受け持ってくださいよ、リスクを負担してくださいという話というのは、これは通る話じゃないなと率直に思うんです。こういう枠組みで検討を進めるという話になるということになると、これは重大な事態につながるんじゃないのか。

 浜松市は南海地震など大規模災害の備えが必要であり、その際に誰がライフラインの復旧を担うかといえば、地元の事業者の方であります。地元事業者を排除することになりかねない、こういったPFI事業ということでは、安定的、継続的な水道事業の障害にやはりなるんじゃありませんか。

梶山国務大臣 これは、下水道ではなくて上水道に関して今検討をしているということでありまして、市も十分その点は意識していると私自身は聞いております。

 国内企業が、事業の中心となる企業として参入すること、中心となる企業と連携して事業を実施する協力会社に参入することは、国内にコンセッション方式を広く用いるために、これからも先例として非常に重要なことであると思っております。そのために、地元に密着した事業の提案を行った事業グループを高く評価するなど、国内企業の参加を促す工夫は有効と考えられております。

 事業者選定に当たっては、地元企業の参画、地域住民雇用を評価項目に加えて審査を行った結果、地元企業を構成員に含むグループが選定をされているということであります。

 内閣府では、このような取組事例の周知を積極的に行うとともに、地域の関係者が集う地域プラットホームの形成を支援することにより、より多くの国内企業また地元企業がマーケットに参加できるように後押しをしてまいりたいということでして、これに関しては今検討を行っているということでして、先ほど来、繰り返しになりますが、市も十分に意識した上でこういった話合いも進められていると聞いております。

塩川委員 もちろん、これは上水道の話ですから、検討ということでの報告書になっているわけですけれども、既に下水道ではヴェオリアが参入しているわけで、上下水道一体にという話なんかもいろいろ出ているわけですよ。

 そういった際に、この報告書そのものが、やはり地元企業が排除されることになるんじゃないかという懸念を指摘する。それはもっともだとおっしゃる。それはやはり、安定的、継続的な水道事業という観点では重要だと大臣もおっしゃるわけですから。

 しかし、それにそぐわないような方向に行くんじゃないのかというのが、やはりこのPFI事業の問題点ではないのかということを指摘しているわけであります。

 要は、PFI事業そのものが、地元事業者へのこれまでの協力を行っていく仕組みを大きく変えるものになってしまうのだというのは、資料の六枚目に紹介をいたしましたが、日本PFI・PPP協会が作成していますPFI年鑑二〇一七年版に掲載している「PFI受注 選定代表企業ランキング」に基づき、グラフをつくりました。

 左の表にありますように、大林や大成、清水、東洋食品、鹿島等々、ランキング上位というのは、大手ゼネコンを始めとした大企業ばかりであります。上位十社だけで、まさに全国のPFI事業の選定の数にすると三五%、三分の一を超えるということになっています。

 大臣、お尋ねしますけれども、結局PFI事業というのは、PFIという形態で一括、包括的にということになれば、結果として、大手の参入を促進をし地元企業を排除する、こういう仕組みにならざるを得ないんじゃないかと考えますが、いかがですか。

梶山国務大臣 ノウハウという点で、大手企業も評価をされるべき点があると私は思っております。

 ただ、この中で全てが地方を除外した形になっているかということは、一つ一つまた詳細に見ていかなければならないと思いますが、コンソーシアムを組んでかなりの数の議論をしているということも含めて、地元の理解も得られなければこういったことはなかなか進められないということもあり、そういった点に留意をしながら、これからも進めてまいりたいと思っております。

塩川委員 地元の理解といいながら、西尾市の事例とか浜松市の事例を紹介したように、地元の声や住民の要求に背を向けるようなスキームが出ているという点でも、私は、率直に言って、PFIというあり方そのものが問われている制度だということを言わざるを得ません。

 こういったPFI事業は、おととい質問したように、自治体の方も一回やって懲りたという状況のときに、国の方が、いや、もっと検討してくれ、優先的に検討してくれ、こういうことで旗を振っている。いわば国が主導して推進しているのがPFIだということになるわけで、自治体に強く要請をし、優遇措置を次から次へと打ち出さないと成り立たないのがPFI事業ということです。

 国交省にお尋ねしますが、上水道のコンセッションのモデル事業をつくるということですけれども、浜松市の上下水道次長という人は国交省からの出向者ではありませんか。

石田政府参考人 お答えさせていただきます。

 市の方の上下水道部次長につきましては、当省の水管理・国土保全局の下水道部下水道企画課の課長補佐をした者が、現在出向してその任についております。

塩川委員 国交省の下水道部の水道企画課課長補佐を務めた方が、今浜松市で旗を振っているということですよね。

 国交省が進める新下水道ビジョン加速戦略というのがありますが、重点項目の第一に官民連携の推進を挙げております。トップセールスの継続的な実施ということになっているわけですが、ここにあるように、国が金も出して人も出して、音頭をとって推進しなければ成り立たないのがPFI事業じゃないのか。浜松市は国が進める上下水道PFI事業のための実験場じゃないといった声なんかも上がっているわけであります。

 大臣、ちょっと率直に、こういった、結局、人まで送って進めているのがPFIと。これは自治体にとってどうなのかと率直に思うんですが。

梶山国務大臣 いろいろな形で支援をしております。人的な支援、これは多分、PFIを進めるという決定のもとに、こういう人材が欲しいという場合もあるかと思います。そして、財政面の支援もそうですし、情報面での支援、技術面での支援ということもさせていただいております。

 いずれ、やはりその自治体においても財政上のリスクを、ずっと将来のリスクというものを考えながら、取り入れるかどうかというのは自治体の判断であります。そういった中で、今、導入する時点でどれだけの支援ができるかということを国が考えながらしているということであります。

塩川委員 国が旗を振らないと進まないというのが今の率直な現状であって、地方自治を侵害し、地元企業の参入を妨げ、大企業が地方の仕事を奪うことにつながるのがPFI事業です。

 今まで以上に国が自治体にPFI推進を押しつけて、水道の公共性や公益性を侵害し、住民サービスの後退につながるPFI事業を推進するものとなる本改正案は認められないということを述べて、質問を終わります。

山際委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 どうも、おはようございます。

 きょうも質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 私からはきょう、私は出身が福岡でございまして、福岡はさまざまなPFI事業がございます。これまでもありましたし、これから特にさまざまな重点分野と言われている取組がありますので、そのことを中心に御質問させていただければと存じます。

 ちょっと質問の順番を変えてと思っております。と申しますのは、先ほど篠原委員から仙台空港の件がございました。ごめんなさい、これは通告しておりませんが、先ほどと同じ質問ですので、ぜひお答えいただければと思います。

 これはやはり、私は重く捉えるべきことだと思います、大臣。空港が、私はコンセッションを進めるべきだという立場です、だからこそ、こういうことがあると、そもそもやはり民間に任せるとこうなるのかという話に、必ずなります。そして、これから空港、そしてそういうところは、これから二〇二〇年に向けて、オリンピックがあり、国際的なイベントがたくさん控える中で、安全、安心、保安というのは極めて大切なことであります。

 改めてこの点を伺いますが、仙台空港においての監視カメラですか、保安設備を整備していなかったということは、これは実際そうだったのかということをお答え願います。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、仙台空港につきましては、平成二十八年の七月から、仙台国際空港株式会社による運営が開始されております。それ以前から、空港の保安につきましては、これはいろいろな基準がございます、それを満たす形では運営しておりまして、それがそのまま引き継がれているという状態ですので、現状におきまして保安レベルに問題があるかというと、それはないということは申し上げたいと思います。

 その点を踏まえながら、仙台国際空港株式会社では、さらに一層の、要はセキュリティーの高みを目指すということで監視カメラの増設等々の計画を立てていたというところでありまして、その増設のところがまだなされていなかったというところを昨年夏のモニタリングの際に確認し、指摘をさせていただき、どのようなスケジュールで入れるのかという計画をつくってもらい、現在、その進捗を我々として指導監督しているという状態でございます。

稲富委員 ある意味、モニタリングがきいていてそれがわかったということは、私、これは逆によかったなと思うんです。

 でも、そのまま、保安体制についてはちゃんとクリアした上で、プラスアルファのところでそれが至らなかったというお話だったと思うんですけれども、しかし、違反であることは違反なんですよね。国との協定の違反であることは間違いないということでしょうか。そこをもう一度、確認をお願いします。

久保田政府参考人 提案された内容が履行されていなかったということは事実でございます。

稲富委員 ということでございますので、それは、もちろん最低限のところはクリアした上で、でもできていなかったということですけれども、やはり約束したことをやっていなかったということは事実だということを今おっしゃった以上は、これはしっかりとやらなきゃいけないし、国としてどう対処するのか、ごめんなさい、大臣、もう一度御答弁いただけないでしょうか。

梶山国務大臣 先ほどもお答えしましたけれども、これからの契約に関しましても、モニタリングのあり方というものをしっかり考えていかなければならないと思いますし、協定を結んだものに対して実施期限を超えてされていないものというのは、やはり協定違反で間違いないということですから、これは厳しく指摘をし、実施をしてもらうということだと思っております。

稲富委員 ありがとうございます。

 そこで、空港についてお伺いをしてまいります。

 まず、そもそも、福岡空港の具体的な話に入る前に、なぜ空港経営において民間の能力を活用する必要があったのか、基本的な点をお伺いいたします。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 国の管理する空港、国土交通大臣が管理する空港は全部で十九ございます。我々、それぞれの空港に空港長という者を置いておりまして、その運営の確保をやっておるわけでありますけれども、例えば着陸料等については、全国一律に我々、決めざるを得ないという状況でございます。

 そのように、個々のそれぞれの空港の地域事情に応じた対応がとり切れないという事情がございます。また、役人が経営しておりますので、その意味においての発想の豊かさの点でもどうかという点もございます。

 そういう方法を、設置者である国の立場はそのものとしながら、民間の創意工夫を生かせる仕組みということで、コンセッション方式が出てまいったわけであります。それを空港の運営にぜひ入れたいということで、地域の活性化、そして空港の置かれているネットワークの充実、そういったことを図るために、コンセッション方式によりまして空港の民間委託というのを進めておるということでございます。

稲富委員 御答弁ありがとうございます。

 私も、今御答弁があった内容で、そうだなと思うことがございます。大きく二つ、私は思います。

 それは、今、地域の、一律にというお話がありましたように、空港経営が、これは一律に料金を取って、空港整備勘定を通じて一種プール制になっているということ。したがって、空港経営そのものが、収入、支出というバランスが非常に見えにくくなっているということでございます。

 収入そのものは、主に国としては、使用料と、あと一般財源と航空機燃料税によって、主に国全体として空港整備勘定に集められて、まとめて経営している、プールしている。したがって、空港ごとの収支については、やはり入りと出が明確ではないがゆえに、経営する努力、インセンティブが働かない、働きにくいということかと思います。

 ただ、二〇一五年でしょうか、空港別の収支が一部開示をされ、これは大きな前進かと思います。やはり努力をすることによって、入りもそうですけれども、経営の効率化が図られる、そのことを狙っているのが一つと、あともう一つは、やはり民間の感覚が大事だということも御答弁いただきましたけれども、空港自体、私もよく使いますので、やはりそのこと自体が観光地に近いものになってきていると思います。

 一種、移動手段の単なる入り口、出口ということではなく、あくまで、これまでは交通の途中であるという位置づけだったかもしれませんが、今は玄関口として観光資源にもなり得るし、あるいは、旅行者だけではなくて、地元の方がそこで楽しい時間を過ごしたりということもできるようになって、そのためには民間の知恵が必要である、先ほどそういった御答弁だったと思います。

 そこで、今回、関西と伊丹が新関空会社という形でまず経営統合をされるようになりましたが、この民間委託、運営がいつから可能になったのかということを、まず御答弁をお願いします。

久保田政府参考人 関西国際空港及び大阪国際空港、伊丹空港でございますが、これにつきましては、平成二十八年四月から関西エアポート株式会社による運営が開始されておるところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 二〇一三年、民活空港運営法によって空港経営改革が行われ、そして、地域の交通基盤としての空港活用、内外の交流人口拡大等による地域活性化を図るという目的と、民間の知恵、資金活用により空港経営を健全化するという目的が明示をされたということ、先ほど御答弁がありましたように、二〇一五年十二月に関西エアポートが設立をされたということでございます。

 この関西、伊丹空港コンセッションは何年の契約でございますか。

久保田政府参考人 四十五年の契約となっておると承知してございます。

稲富委員 済みません、この数字、通告しておりませんでしたね。ありがとうございます。

 運営権の対価として、毎年四百九十億、総額二兆二千億を支払うということになっているということでございます。そして、二〇一六年の四月から事業が開始をされたと承知をしておりますが、これまで約二年ということでございますが、どのように評価をこの二年されているのか、お伺いをいたします。

久保田政府参考人 平成二十八年四月から関西エアポート株式会社が運営を開始したところでございますが、それ以降、例えば関西国際空港におきましては、同社が整備、拡張したLCC専用ターミナルにおきまして、日本初のスマートレーンとか、あとウオークスルー型の免税店が導入されております。このように、利用者の利便向上が図られたと考えております。

 このような民間の創意工夫を生かした取組が進められることによりまして、同社による運営開始以降、国際線の利用者数は約二七%増加するなど、私どもとしましては、民間事業者による運営の成果が着実に出てきていると評価しておるところでございます。

稲富委員 何か課題はございますか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、このような民間事業者による創意工夫が生かされた取組が継続されるということが課題であると考えておりまして、運営状況のモニタリング等を通じまして、民間事業者の創意工夫が発揮できる環境づくりに配慮しながら、指導監督をしてまいりたいと考えておるところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 次に、福岡空港についてお伺いをいたします。

 PPP/PFI推進アクションプランの集中取組方針において、空港が重点分野と掲げられております。そして、内閣府が出しておりますコンセッション事業等の重点分野の進捗状況という資料がございますが、その中で事業者公募の段階に今、福岡空港はございますが、事業開始までの日程感、スケジュールはどのようになるのか、教えてください。

久保田政府参考人 福岡の前に、先ほど、関西国際空港、伊丹空港を四十五年と申しましたが、四十四年でございます。訂正をさせていただきます。申しわけございません。

 福岡空港の運営の民間委託の状況につきましては、本年三月十六日に第二次提案書類の提出期限を迎えておりまして、第一次審査通過者の三グループ全てから応募がございました。現在、有識者等から構成される審査委員会におきまして審査を進めているところでございまして、今月を目途に、新たな運営主体となる民間事業者を、優先交渉権者ということで選定する予定でございます。

 その後のスケジュールにつきましては、八月を目途に実施契約を締結したいと考えており、本年十一月のビル事業の開始を経て、来年四月から運営を開始したいと考えておるところでございます。

 国土交通省といたしましては着実にこれらの手続を進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

稲富委員 ありがとうございます。

 来年の四月からということで進めて、今作業を進められていらっしゃるということでございました。

 私は、空港のコンセッションはやはり非常に前向きな政府としての取組だというふうに思いますし、ぜひ、先ほどの課題はさまざまあるものの、進めていくべきだという立場です。

 しかし、先ほど御説明がありましたように、空港別に収支を見てみると、これまで、このようにコンセッションになっている空港というのは、ほぼ、仙台、高松、あるいはこれからなるであろう福岡も、あと広島もですかね、それなりに収支がいい空港ばかりでございます。民間の知恵をかりて経営をよくするということであれば、公的にやっているときには赤字だけれども、やはり民間の知恵をかりれば黒字になる、あるいは経営として成り立っていくという姿に、本来であればしていかなきゃいけないというか、そこに行く途上にあるのかもしれません。

 しかし、今の段階では、より経営状況のいい、あるいはお客さんの多いところからそういう形になっているということでございますので、これからやはり、この事業を大切にし、そして課題をしっかりと克服しながら進めていくべきだなと思います。例えば、赤字の空港は幾つかやはりあります。そういうところが次の段階ではコンセッションを進め、そして、黒字あるいは独立採算でやっていけるようにするということが大事かと思います。

 済みません、大臣、通告しておりませんが、いかがお考えでしょうか。

梶山国務大臣 PPP、PFIそしてコンセッション事業についてはまだ緒についたばかりというのが皆さん共通の認識であろうかと思います。

 そういった中で、いろいろな先行事例をつくっていくということで、まずは取りかかれるところからということで仙台空港や関空、伊丹などが取り上げられてきていると思いますけれども、やはり公的財政負担を減らす意味も含めて、できるところは、地元の意思、強い思いも必要だと思いますけれども、そういう形でやっていただきたいと思います。

 ただ、公共交通としての役割がある地域もございますので、そういった部分も含めてよく考えた上で、あとは、インバウンドをどれだけふやしていくか、観光事業としてどういう戦略でやっていくのか、その地域の考え方も含めていろいろなバリエーションがあろうかと思っております。

稲富委員 ありがとうございます。

 続きまして、同じく重点分野でありますクルーズ船向け旅客ターミナル施設についてお伺いをいたします。

 これも、福岡においては非常にこれから取り組まなければいけないことの一つでございます。

 今、福岡はクルーズの寄港数が年々ふえておりまして、二〇一七年、昨年は三百二十六回、外国クルーズ船は、うち三百九回。そして、三年連続で国内最多でございまして、二〇一四年は九十九回、二〇一五年は二百四十五回、二〇一六年、一昨年が三百二十八回と、この数年で劇的にふえているクルーズ船でございます。

 大きい船になりますと、旅客船になりますと、総乗客定員が四千九百五人ということで、大型のクルーズ船でございます。必ずしもこればかりではございませんが、大きくなるとこれぐらいの大きな規模の船が入ってくるということで、乗降客は二百万人を超えているということでございます。

 先ほど申し上げたように、余りにも急激なふえ方をしておりますので、課題もございます。非常にありがたい、お客様がたくさん来ていただくというのはありがたい。一方で、そのお客様に対しても非常に、何というんでしょうか、受け入れる側としての課題もあります。

 それはまず、やはり施設が圧倒的に足りない。そして交通網もそうです。という中で、今回、このPFIを活用して何かできないかということかと思います。

 そこで、現時点、具体的にはどのような段階にあるのか。先ほど、内閣府の進捗状況の資料によりますと導入可能性調査の段階だということになりますが、どのような段階にあるのか、あるいは、仮に進めるとなると事業開始までどれぐらいの時間がかかり得るのか、教えてください。

馬場崎政府参考人 お答え申し上げます。

 博多港におけるクルーズ船旅客ターミナル施設につきましては、港湾管理者であります福岡市において、公共施設等運営権、いわゆるコンセッションでございますけれども、方式による運営について検討が進められていると聞いております。

 先生先ほどお話がありましたとおり、現在、福岡市が導入可能性調査をやっております。この中で、民間の創意工夫を生かせる仕組みなどの事業手法の検討を行っており、また、コンセッションの前提となりますターミナル料金などについて、海外、他の港の調査などを実施していると聞いております。

 スケジュールにつきましては、福岡市からは、平成三十年度ごろにコンセッション事業者の公募を開始し、その後、事業者を選定する方向であるというふうに聞いております。その課題及びその整理につきましても、現在、その市の調査の中で検討が進められていると聞いているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 このクルーズ船向け旅客ターミナルというPFI事業については、何か先進事例がございますでしょうか。と申しますのは、先ほど空港の件でもありましたけれども、一つ何かそういうものがあると次に弾みがつくということかと思います。そういった日本、海外の何か先進事例、その中で成功、失敗の事例等ございましたら、御教示をお願いいたします。

馬場崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、我が国におけるクルーズ船向けの旅客ターミナル施設整備につきましては、現在のところ、港湾管理者である自治体が整備し、それを指定管理者制度によって運営されているというケースがほとんどであると承知しております。

 また、近年の話でございますけれども、八代港などにおきましては、これは昨年、私ども、港湾法を改正、お認めいただきまして創設いたしました、クルーズ船社によるターミナルビルへの投資と岸壁の優先利用を柱とする新たな制度を活用して、クルーズ船社みずからが、旅客船、旅客ターミナルを整備、運営するというのもございます。

 一方で、今回の福岡市が検討している旅客ターミナル施設の公共施設等運営権方式につきましては、我が国では事例はないと承知しております。

 一方で、海外におけるクルーズ船向けの旅客船、旅客ターミナル施設につきましては、公共や民間などさまざまな主体で整備、運営されていると承知しております。これらは、それぞれの港の事情で異なったスキームによって実施されていると承知をしております。

稲富委員 ありがとうございます。なかなか、これからという事業ということかと思います。

 次に、MICEに移りたいと思います。これも重点分野の一つとして掲げられております。

 これも同じく福岡のことになりますが、今、福岡は、ウオーターフロント地区再整備ということに取り組んでおりまして、今申し上げたクルーズ船とMICEが非常に近いところにあるということでございまして、そこの開発を目指しているということでございます。

 国際会議あるいは企業の会議、イベント、そういった多くの集客が見込まれるイベントを多数開催しております。集客のイベントでございますので、二〇一四年、福岡マラソン、あるいはフードエキスポ九州や医療の学会、そして二〇一六年、ライオンズクラブの国際大会が行われるなどでございます。国際会議の開催件数は七年連続国内二位となっておりまして、年々ふえているのが現状です。さまざまな会場があります、施設がありますが、それでも足りない状況になっております。

 これだけ稼働率を施設で上げているにもかかわらず、足りなくなっておりまして、お断りをしているという状況でございまして、お断りの件数が平成二十七年に八十件、福岡市が試算をしているところの機会損失は、百三十億と試算をしているということでございます。

 したがって、そういう中で新たな施設をつくり、そしてMICEを推進するということは、国際競争力の強化のため、そしてPFIを活用していくということでございます。

 そこで、この進捗状況についてですけれども、先ほどのクルーズ船とも同じく、導入可能性調査の段階にあるということでございますが、現時点で、具体的にはどのような段階にあり、どのような調査を進めているのか、お伺いをいたします。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 福岡市におきましては、MICE施設としての展示場を含むウオーターフロント地区の再整備につきまして、先ほどお話のございましたクルーズ船の旅客ターミナル施設と一体とする形で整備するということで、この導入可能性調査といたしまして、民間の創意工夫を生かせる仕組みなどの事業手法の検討を今進められております。

 今後、これを踏まえまして、民間事業者の選定手続などを定める実施方針に関する条例案の策定などに向けての準備を進めておられるというふうに承知しております。

 その上で、この事業開始に向けまして、事業者の公募でありますとか、事業者との契約の締結などの手続が必要になってきますが、時間とか課題につきましては、今後の市の検討が進んでいくものというふうに理解してございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 スケジュールは、どのような日程感かというのはいかがでしょうか。もう一度、ごめんなさい。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、導入可能性調査として事業手法などの検討が進められておりますが、その結論に基づきまして条例案の策定などが進められまして、市の方でそのスケジュールも含めて今御検討されているというふうに理解してございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 このMICEのPFIについてはさまざまな先進事例があるかと思います。日本、海外等の先進事例、その事例についてどのような分析をされているのか、御教示をお願いします。

瓦林政府参考人 MICEのPFI事業でございますが、国際会議場でありますとか、あるいは展示場などのMICE施設のPFI方式による整備につきましては、現時点で、海外におきまして、日本として直接参考とすべきと考えられるような先進的事例というのは承知しておりませんが、国内におきましては、PFI方式を活用した事業というものが進められている事例として二つございます。

 一つが愛知県国際展示場コンセッション事業、そしてもう一つが横浜市のみなとみらい21中央地区20街区MICE施設運営事業でございます。

 両事業におきましては、それぞれ自治体が運営事業者の決定、そして運営権実施契約の締結を行いまして、現在事業化を進められていると承知しております。

 観光庁といたしましても、内外の動向、事例を注視しながら、MICE施設におけるPFI方式の普及に向け、取り組んでまいりたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 このような、これからPFI事業を進めるんですけれども、一方で、失敗の事例もたくさん、実はございます。福岡でも、それで同じくございます。

 で、失敗を見るとやはり学ぶべきことがあるということでございまして、例えばこういうことがございました。

 福岡市臨海工場余熱利用施設整備事業というのがございまして、これはPFIが始まって初めて福岡市が採用したPFI事業第一号でございました。市のごみ処理施設、焼却施設、臨海工場のごみ焼却に伴って発生する熱エネルギーによる発電によって得られる電力を有効活用し、温海水を利用する健康増進施設というものをつくったわけでございます。福岡市初のPFI事業でございました。その名前がタラソ福岡ということでございますが、タラソ福岡が事業を開始し、平成十四年から十五年間、施設を運営、維持管理する、そういう事業でございました。

 途中で、約二年弱、一年少したったぐらいからお客様が少なくなり、施設の利用料などを自由裁量で変更できるよう、契約内容の変更の申入れをこのタラソ福岡が市にしたわけですが、市は条件変更になるということで承諾をしなかった。で、SPCの代表企業が債務超過となり、平成十六年、施設を閉鎖いたしました。そして、新SPCへ施設譲渡をされ、平成十七年、営業再開をし、十五年たった平成二十九年で契約終了し、閉館をいたしました。

 ということでございまして、やはり当初思っていた十五年という契約をしっかりと満了できずに終わったという事業がございました。

 そこで、この事業の途中に、福岡市のPFI事業推進委員会がこのタラソ福岡PFI事業に関する調査報告というものを出しまして、その結論として、PFI事業方式自体が問題であったということではない、やはり適切なリスクマネジメントを欠いていたことが原因であったということを結論づけております。

 大臣にお伺いをいたします。

 PFI事業を効率的な公共サービスの調達方法にするためには、管理者である福岡市、民間事業者、融資者の三大プレーヤーが、PFI事業の本質を正しく理解し、PFI事業におけるそれぞれの役割を適切に果たすことが不可欠であると、この調査報告書には結論づけております。

 政府として、これまでさまざまな事例があったと思いますが、PFI事業の課題、問題点をどのように整理し、改善をし、生かしていこうとされているのか、お伺いをいたします。

梶山国務大臣 事業の途中で契約解除になった事例については、従前より把握に努めております。

 他の事業主体において参考にするために、地方公共団体におけるPFI事業導入の手引において事例を掲載するなどの取組を行っているところであります。それぞれの事業、それぞれの地域によってケース・バイ・ケースで、いろいろな事例が出ているということでありますけれども、やはり失敗事例を研究することも大変重要な、次の成功につながることであると思っております。

 これらの事例を踏まえて、他の実施主体が経営破綻等のリスクを回避し、PFI事業を成功させる上で関係者がリスク管理に関する事前の合意や検討を十分行うことなどが重要であるとの認識に立ち、PFI事業におけるリスク分担等に関するガイドライン等を作成し、周知を図っているところであります。

 今回の改正法に付与されている助言機能も活用しながら、適切なPFIが推進されるように努力をしてまいりたいと思っております。

稲富委員 この事業について、更にこういった指摘がございました。

 民間事業者が需要リスクを負う事業スキームにおいて、事業遂行の安全性、確実性が不安定であるということを認識し、それにふさわしい民間事業者の選定と、最も避けなければならない事業中断リスクへの適切な対応ができなかったことに問題の本質がある。

 すなわち、今回の場合は、経営破綻をし、四カ月、市民サービスが中断をしたという事例でございました。具体的には、建設グループがみずから過大な需要リスクを負う提案を行い、需要予測は極めて楽観的だったということでございます。さらに、福岡市も民間事業者の提案を容認していた。民間事業者が応募の決断をするには短過ぎる応募期間であったことや、事業者の選定段階においても、結果として必要な情報や十分な時間が審査委員会に与えられていなかったということでございます。

 そこで、やはり途中で四カ月中断をするということは、市民サービスが、これは健康増進施設ですので国民生活に直接何か、即かかわることではないということでございます。しかし、これから空港である、あるいは上下水道であるということになると、これは国民生活に直接影響するわけでございます。

 そこで、大臣に伺います。

 PFIにおいて、自治体、民間事業者のリスクや需要予測などが適正か否か判断する基準、あるいは審査する機関等は何かということをお伺いいたします。

梶山国務大臣 PFIに限らずに、新たな事業の実施に当たっては、需要予測を慎重に行うことが求められているわけであります。一方、その妥当性についての画一的な判断基準を定めることは大変困難なことであると思っております。

 前回の議論も通じて、リスク管理をどうするかということと、想定し得るリスクにどう対応していくかということをコンソーシアムの中で議論をしていくことが重要であると思っておりますし、このような認識のもとに、PFIにおいても基本方針や各種ガイドライン等に、今言いましたような、需要変動リスク、経営リスクなどに関して、事業者、行政、金融機関等の関係者の間で十分な検討や合意がなされた上で実施契約を締結することが必要である旨記載をし、関係者に周知をしているところであります。

 内閣府としましては、引き続き事業リスクの管理に関する周知を徹底するとともに、必要に応じて改正PFI法に基づく助言や勧告等を活用し、適切な実施契約の締結の推進に努めてまいりたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 続きまして、参考人に伺います。

 確かに、この事例研究というのはなかなか、それぞれの地域事情があったり、画一的にはそういうことは難しいということもあるかと思いますが、一方で、今回、私も地元の自治体あるいは地域の方とお話をする中で、やはりどういうことが課題になって、どういうことが情報があってということがなかなか知れ渡っていないということも一方で同じく問題だと思います。

 そこで、同じような質問になってしまいますが、これまでのPFI事業が始まってからの多くの蓄積があると思いますので、その事例紹介についてでございます。

 成功事例の紹介にどうしてもなりがちですが、今申し上げたタラソ福岡のように途中で契約解除になった事例、契約に至らなかった事例の問題点、改善点などを分析した上で積極的に公開し、今後他の主体がPFI事業を行う上での参考とすることができるようにすべきだと思いますが、御所見をお伺いいたします。

石崎政府参考人 御指摘いただきましたとおり、事業の途中で契約解除になった事例につきましては、我々としても従前より把握に努めてございます。

 他の事業主体においても参考にするために、確かに成功事例が多い、我々としても解説する際に成功事例が多うございますが、その中に、公共団体におけるPFI事業の導入の手引におきまして、失敗事例、具体的には今御指摘いただいているタラソの事例でございますが、この事例を掲載するなどの取組をしてございます。

 我々といたしましては、引き続きこのような事例を収集し、また積極的にこれをきちっと分析した上で公開することで、これからの失敗が重ならないような活動に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 続きまして、PFIの更新についてお伺いをいたします。

 コンセッションを更新する際に、公共主体がみずから事業を行うことが困難となってしまう可能性がございます。契約が終わったからすぐに、じゃ再公営化ということが難しくなる。その場合に、不当に安価な、廉価な、低廉な額で契約せざるを得ない状況になる危険性があるのではないかという指摘に対してはどのような御所見か、お伺いをいたします。

石崎政府参考人 コンセッション事業を更新する際に、適正な額によりまた契約を行うためには、現在の事業者が事業を継続する以外の選択肢というのを公共団体がやはり確保していることが重要だというふうに考えてございます。

 このため、コンセッション事業を更新する場合には、必要に応じて他の事業者の意見を聞く等により、更新の条件を整理し、公共団体が他の事業者も参加できるような事業環境を整備することなどが考えられます。

 また、コンセッションによる事業では十分な競争性を確保できない、そういう場合であっても、既に広く実施されております、包括的で民間委託を含めました多様なPPP、PFI手法を活用することにより、公共が再び公共サービスを提供することも十分可能ではないかと考えてございます。

 このような選択肢の中から公共団体が適切に選択を行うことによりまして、適正な額での公共サービスの維持を可能にすることができるものと考えてございます。

稲富委員 今、要するに継続性をどう確保するかという課題でございますが、この点、運営権導入を一旦してしまった、事業を始めてしまった場合に、その後、いずれは契約更新が来るわけでございます。特に、数年であればいいですけれども、長い、例えば先ほどの関空であると四十四年ということでございますし、恐らく空港であればそれぐらいの、何十年単位のものかと思います。

 そういった継続性をずっと確保していくということは極めて大切な点だと思いますが、大臣、この点の御所見をお伺いいたします。

梶山国務大臣 コンセッション事業は、公共施設等の所有者である地方公共団体が公共サービスを提供する最終的な責任者としての責務を負った上で、民間事業者に事業の運営を行わせるものであります。

 このため、地方公共団体において、適切な審査を通じて事業が確実に実施されることが期待できる事業者を選定するとともに、事業のモニタリングを確実に行い、これは事業者によるセルフモニタリングもそうですし、また所有者である、所有権を持っている自治体もそうですけれども、いろいろな形でのモニタリングの方式を取り入れながらやっていくということが重要であると思っておりまして、公共サービスの継続性の確保をこれらによって図ることが重要であると考えております。

 これらの措置を適切に講ずることで、安定的なコンセッション事業の運営を行い、継続的な公共サービスが確保できるものと考えております。

 先ほども、実施契約の契約をするに当たって、いろいろなことを検討するわけであります。そのプラットホーム、いろいろな多様な方が集まるプラットホームをつくること、今、二十七年度、二十八年度、二十九年度で、全国で十六カ所つくらせていただきました。

 その中に議員の御地元の福岡もあるわけでして、福岡においても三年度にわたって開催をされて、十回以上のそういう議論がされているわけでして、そういった中から、リスク管理また契約のあり方などが議論をされているものと承知しております。

稲富委員 ありがとうございます。

 それでは、少し視点を変えて、全体的な質問をさせていただきます。

 ずっとPFI法の中で、大臣も、るる、何度も、地元の合意が必要である、議会の合意がというお話がございました。ちょっと質問の、ごめんなさい、大臣、失礼します、飛んで二番になります。議会との関係についてでございます。

 これから、特に長い期間にわたって行われるPFI事業、コンセッション事業になりますと、やはり今、選挙に関して言うと、四年ごとにもちろんあります。しかし、この三十年、四十年スパンのものの中で何があるかわからないということもあると私は思います。例えば、一旦民間に任せたものの、任せた結果として住民の満足度が下がって、そしてそれについて、例えばPFI事業が争点化をされて選挙になるということはあり得る話だと思います。

 そうやって契約の途中に、仮にそういった場合、否決されたということがあった場合に、例えば、長期の契約をされて、途中でそういった政治的な理由によってそれが否決され、変えなければいけないといったときに、恐らく多額の違約金を払う等々の契約になっているんだろうと思います。これもリスクの大きな一つかと思いますが、そういう可能性は、長いだけに私はあり得ると思うんですが、大臣、見解をお伺いをいたします。

梶山国務大臣 委員御指摘の、PPP、PFI事業を長期的に安定して運営を行うためには、まず、関係者がリスク管理に関して事前に十分な検討を行い、合意した上で契約を締結し、その上で地方公共団体等の管理者によるモニタリングを徹底することが重要であります。

 また、社会情勢の変化等により当初契約の内容が変化する必要がある場合においても、当事者の合意により適切な対応が可能になるように、協議や解除に関する規定をあらかじめ定めておくことが必要であります。内閣府としても、これらについて契約に関するガイドラインに示しているところであり、これらの措置を適切に行うことで、長期的に安定的な事業運営が可能になるものと思っております。

 ただ、どうしても想定できないようなリスクも生じてくる。不可抗力リスク的なものはどう対応するか。例えば、保険。保険も、かなり商品開発はされてきましたけれども、やはりそういったものにもまた入っていないものもあるかもしれない。そういったことも含めて、協議の事項として実施契約に入れておく必要があるかもしれません。

稲富委員 時間になりましたので、終わります。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、中川正春君。

中川委員 引き続き議論をしていきたいというふうに思います。

 もう十二、三年前だったと思うんですが、私の地元でもPFIを入れるということになりまして、小学校を三つぐらいまとめて、あと市営住宅とのコンプレックスですね、PFIというのをやった、はだてたということでありました。

 ところが、結果は、市長がぼこぼこにやられてしまいました。ということは、地元の建設業者が、普通であれば、小学校の建設なり、そうした市営住宅の建設なりというものについては当然入ってくるし、それを見込んだ年間計画というのを立てていたにもかかわらず、全部ゼネコンにとられちゃって、その下でしか入れないというふうな形になってしまいました。

 それ以来、うちの地元で、PFIをやろう、こう言うと、もう首長が避けるんですよ。それは二度と言わないでくれと。

 恐らく、そういう形でPFIが行き詰まってしまっているところ、あるいはもうイメージとしてつくり上げられてしまっている地域って相当あるんじゃないかというふうに思いますね。

 私は、基本的には、民間資金が余っていて、どこへ向いて投資をしていくかということについて、特に地方というのがその部分をなかなか実現できないでいるという現状の中で、民間資金を活用する形でPFIを組んでいくというのは、これはいいやり方だと思うんです。特に地方財政が逼迫している中では、こうした形で、民間でできるところ、あるいは資金的にそれで組めるところ、民間資金をそこに入れられるところというのは、もっと大いに工夫してやっていくべきだというふうに思うんですが、やはり運用の中でもっともっと工夫する必要がある。

 かつ、そうしたことで出発したものが、さっきのような、一部の、地方を無視した、東京からのゼネコンでやられてしまっている、そういうことが一つあると思うんです。

 何でそうなっていったのかなというのをもう少し詳しく調べてみたんですよ。そうしたら、PFIをやってくださいよと、私も実は政権にいたときにはその役割で、各省庁へ向いてしっかりその指令を出していた。そうすると、国土交通省あたりは、各地方自治体へ向いて、そうしたことをやったらどうですかというようなことを示唆していくんだろう、啓蒙していくんだろうと思うんですが、そのときに、一緒に、地方自治体としてはやり方がわからないんだ、調査をどうやってしたらいいかわからないんだというふうなことから始まって、いわゆる本省へ向いて、国の機関へ向いて、相談に行くわけですね。

 そうすると、国の各省庁の周りには、学者も含めて、エコノミストの専門家も含めて、名前は言いませんけれども、そうしたコンサルタント集団というのがあって、そのコンサルタント集団にいろいろな勉強会がくっついていて、その勉強会の中にゼネコンが皆入っているんです。

 もう一つは、金融。金融分野で、本来は地元の金融機関というのがそこにいなきゃいけないんだけれども、そうじゃなくて、都銀を中心にした金融機関がそこに入っていて、それで、一つのチームでコンソーシアムみたいなものをつくっていて、どこどこの空港とかどこどこのプロジェクトでPFI、可能性があるよということになると、そのチームがみんな、そこへ向いて行っているんです。私の町でもそうでした。

 そんな中で、それぞれ、コンサルタント業務というかスクリーニング業務というか、そんなもので市町村をあるいは県を指導して、こんなふうに組み立てていくんですよ、こういう形で事業を組み立てて、いわゆるバリュー・フォー・マネーも含めて、非常に高度な計算方式も含めてコンサルをやって、その結果、その仕事が現実になったときにはこのチームが仕事もしっかりとっていくという、この構造があるということが私はわかってきました。

 これを改善していかないと、この事業というのは地方では認められないよと。これまでのいわゆる中央集権的な、ビジネス界も産業界も中央集権的な、そういう形の中で地方へおろしていくということであるとすれば、それは逆に地方を、いわば過疎化を更に加速させていくような、そんな形になるよということを警告しまして、改善しろということを言ってきたんですけれども、どうもこれまでの議論を聞いていると、全然改善ができていないどころか、全くその方式の中でPFIがおろされているということだと思うんです。

 まず、ここだと思うんですね。ここのところを、大臣、これはちょっと前の通告はないんですけれども、恐らく大臣も、自分の地元で様子を見ていたらその絵は描けると思うんですが、大臣はやはりゼネコンの味方ですか。そこのところをこれからどうしていくんだということについて、これは通告していないけれども、この構造をぴしっと断つためにどうしていくのかということをまず答えてください。

梶山国務大臣 いろいろな御指摘をありがとうございます。

 PPP、PFI、いろいろな形で私もこれまで議員活動またそれ以前の経験の中で見てまいりましたけれども、なかなかやはり日本では先行事例が生まれないということもあります。また、議員の御地元三重県の話、ちょっとあつものに懲りて、その後の行動が今ストップしたままでいるということも、非常に理解できる部分もございます。

 ただ、今後の財政上の問題、国の財政、地方の財政を考えると、やはり民間資金をいかに活用していくか、その仕組みづくり、運用面においてどうしっかりとやっていくかということは大きな課題だと思っております。

 先ほど委員からお話がありましたように、例えば、このままサービスを公共で続けていった場合の将来の公的財政の負担、また民間にかえた場合の公的財政の負担の比較みたいなものも数値としてあるわけでありますけれども、しっかりとそれらを裏づけにして実施できるような形にしていかなければならないと思いますし、地方の金融機関においては、やはり地方の地銀がしっかりとリーダーシップをとっていただくことが必要だと私は思っております。そこが地銀の活躍場所だと思っております。

 ですから、そういったコンソーシアムを組むときにどう地方の金融機関を入れていくか、地方の金融機関の目ききとしての能力をどうモニタリングの中でも活用していくか、そういうことも十分必要になると思っておりますし、いずれにしても、成功させるために最大限の努力を払っていく必要がありますし、これから工夫を重ねていく必要があると感じております。

中川委員 おっしゃるとおりだと思うんですね。ポイントは、SPCを組むときに、地方の金融機関が中心になってコンソーシアムを組んでいくということができるかどうかということだと思うんです。

 これ、制度化しませんか。それでないとこのPFIは実現できないよということを仕組みとしてつくり上げるということが大事なんだと思うんですよ。ただ大臣のように言っているだけでは、これはもう十何年、十八年たつんですかね、PFIが入って、ずっと私もそれを言い続けてきたんだけれども、言っているだけではなかなか実現されてこないというのが今の現実なんです。

 一つ基準をつくって、そしてその枠の中で、地方の金融機関をしっかりSPCを組むときに引っ張り出して、そこでリーダーシップをとらすということ、これを仕組みとしてつくりませんか。

梶山国務大臣 このPPP、PFIに限らずに、地方の課題、例えば人手不足の件、事業承継の件、これらも含めて、いかに地方銀行に、地域に根差している銀行に活躍してもらうかというのは、これからの大きな鍵だと思っております。

 コンソーシアムをつくるためのお手伝いを二十七年、二十八年、二十九年とさせていただいて、十六カ所つくらせていただきましたけれども、基本的には、やはりこれは地方の銀行が中心になってやっていただく。これからの地方の政策に関しましては、この低金利時代、地方の銀行の働き場所だと思うんですね。

 そういったことをまずは運用の中でしっかりとやっていきたいと思いますけれども、きょう審議をしていただいている内容、また改正ができましたら、次の段階で、運用は必ずやはりそういったことを徹底してやってまいりたいと思っております。

中川委員 ぜひ、運用ということだけじゃなくて、仕組みとしてつくり上げてください。同時に、ゼネコンについても、全く排除しろとは言いません、言いませんけれども、一定の割合以上はやはり地元の企業が組んでいくというふうな仕組みもあわせてぜひつくっていっていただきたい。まず、そこのところをお願いしておきたいと思います。

 そして、これはさまざまなPFIの形態というのがあって、アクションプランでも、四つか五つか、それぐらいの形態があるんだと思うんですが、その中でコンセッションというのは新しく出てきて、その対応をしていきたいということだと思うんです。

 これまで、それぞれの類型別にどんな評価がなされているか。実態と評価と、まず説明をしてくださいということを通告したんですけれども、どのようなことができますか。

石崎政府参考人 今御指摘いただきました四つの類型というのは、類型一として、我々はコンセッション事業を類型一と言ってございます。

 また、類型二として、収益型事業ということで、その事業の収入から事業者が関連事業も含めて収入を得るという事業。

 類型三として、公的不動産の利活用事業ということで、公有地等の利活用等をする事業。

 類型四としまして、これは初期には非常に一般的な方法だったというふうに認識してございますが、サービス購入型のPFI事業として、公共団体がその事業者に対して費用を全部お支払いする、そういう形態がございました。

 今まで、二十七年までやってきました五百数十件のもののうち三百七十三件、三分の二近くはサービス購入型のPFI事業でございました。ただ、収益型事業も百四十八件と少しずつ出てきていまして、この段階の統計では、コンセッション事業は六件という形になってございます。

 サービス購入型はサービス購入型で、非常にある意味では取り組みやすいという部分が、役割もございますが、民間事業者が本当に、言ってみれば自分の責任において事業を改良していく、そういう観点からは、収益型の事業というのは非常にある意味では望ましい形態ではないかと思ってございますが、こういう事業をこれからどうやってふやしていくのかというのが、現在我々としても課題だと認識しておるところでございます。

中川委員 コンセッションは、やり始めて六件という報告なんですけれども、これをやる場合に、民間で経営していくという部分で、公営でやるよりも、皆さんの言葉ではいわゆるバリュー・フォー・マネーというんですか、それがしっかり出てくるよということだと思うんですね。そのメリットを使いながらコンセッションをやるということだと思うんですが、どこでバリュー・フォー・マネーを出すかということだと思うんですね。

 普通、企業が更に発展をしていく、あるいは効率を上げていくというときに、企業経営の中にいろいろな要素というのがあるんだと思うんです。一つは、初期投資の段階で設備部分をどれだけ効率的に縮小できるか。それを運用していく場合には、運用コストをどれだけ縮小していくことができるか。この辺はよく言われることですよね。この部分というのは、いわゆる不動産型のPFIなんかで組み込んでいくんだろうと思うんですが、もっと言えば、運用型でこれを縮めるということになると、人を減らす、賃金を減少させる、あるいは機械効率を上げていくというような、そんな部分なんだろうと思うんですけれども。

 基本的に、一番期待をするところというのは何かといったら、この二つの要因じゃなくて、このビジネスそのものが、将来性の中でどういうふうに市場を広げていきながら新たな収益源というのをつかんでいくかということを前提にして、実は、機械ももっと効率のいいものにかえていこうじゃないか、あるいは人も、更に高度なものに、訓練していわゆる労働生産性を上げていこうじゃないかという、そのサイクルなんだと思うんですね。

 そういう意味では、コンセッションも、そうしたビジネスモデルというのを公営的な事業に応用していこうというのが基本的な考え方だと思うんです。

 そうした意味で、今、コンセッションの期待される分野で手を挙げてきているのが空港事業と上下水道事業。そのほかに何があるんですか。どういう分野を今考えているんですか。

石崎政府参考人 コンセッションに関しまして、国において重点分野として位置づけている分野が幾つかございます。

 端的に申しまして、今御指摘ありました空港、道路、水道、下水道、これ以外には文教施設、公営住宅がございます。あと、先ほど課題になりましたMICE等が挙げられてございます。

中川委員 そこの分類が、コンセッションを使うのがいいのか、不動産関連の類型の中にあるPFIを使うのがいいのか、あるいは、いわゆる収益ではなくて、公益の部分だけを請け負っていくような形で使うのがいいのか、その使い分けというのをもう少し考えないといけないんじゃないかと思います。

 そういう意味では、空港なんかは、将来に向けて、収益も含めてぐっと展開ができる、そういう分野であって、そこで効果が出てきて、バリュー・フォー・マネーという試算でやっていくと、数値がずっと上がってくる分野だと思うんです。

 ところが、今回この法案で出てきている上下水道とかあるいは下水道とかというのは、私、何でこの部分をコンセッションでやれというのかというのは理解できないんです、そういう意味から考えると。

 これは、何でこの分野を引っ張り出してきたんですか。

石崎政府参考人 先生御指摘のとおり、空港分野では五件の運営事業が開始されており、関西国際空港、仙台空港というのは利用者数の増加が確認されるなど、非常にコンセッションの効果が出やすい分野。確かに、こういうような成長分野は非常に出やすい分野だというふうに我々も考えてございます。

 一方、上下水道事業。売上げ増加というのは、恐らく、民間事業がいかにやっても売上げ増加につながるようなことは期待できないだろうと我々も思ってございます。

 ただ一方、上下水道事業、需要なり見通しというのは、非常に安定的な見通しを事業者は持つことができます。そういう安定的な、長期的な需要を見通した上で、長期にわたって改築、更新投資が起きるタイミングですとか規模の最適化を図る、こういうような運営の工夫というのが、非常にある意味ではしやすい分野というところがあろうかと思います。そういうような事業の合理化を図ることが可能な分野ではないかと考えてございます。

 また一方、水道、下水道、非常にこれから人口が減少し、高齢化していく中で経営が非常に厳しくなる、そういうことが想定されている分野ということもございます。

 そういう中で、もちろん、コンセッションだけでそういう問題が解決するとは我々も思ってございませんが、いろいろな工夫、その工夫の中の一つとしてこのコンセッションが、先ほども申しました事業改善という部分が役に立つのではないか、そういう形で推進をさせていただいているものということでございます。

中川委員 当面は浜松が課題になっているんだと思うんですが、浜松市もさまざま検討をしていて、さっき話が出たように、国の方から検討資金、検討しなさいといって資金を流しているから一生懸命やっているんだと思いますが。

 その中で、この官民連携の取組で、上下水道事業の課題と取り組みという報告書が出ていて、まず、主な課題として、今、下水道がどんな課題を持っているか、いわゆる上下水道がどんな課題を持っているかというのが項目別に書かれているんですが、一つは、施設の耐震化や老朽施設の更新による長期的な資金需要が要りますねと。

 それから、人口減少等による水道料金収入及び下水道使用料の収入が伸び悩んでいきます。これは浜松だけじゃない。この上下水道事業というのは、各市、それこそ深刻な状況になっていくんだと思うんです、人口減少ということによって。もう既にそういうことが出てきています。

 それから、財政健全化。これは、何らかの形で今持っている借金というのを振りかえていければ、それはそれでメリットは出るわな、そういう思惑なんだと思うんです。

 そういうような項目が立ち上がっているんですが、これは、どういう展望を持って、どこの部分を努力することによって民間が経営したときにメリットが出てくるというふうに読むのか。ということになると、これは誰が考えても、収入が伸びるというふうな目安というのは、今、日本のこの上下水道の状況の中では、ない。その中でやれと言ったら、合理化しかない。

 それが、もし、一番最初の施設の組立てからやる、新しい施設をつくっていくんだという形の中で、公的にやるよりも私たちにトータルで任せる方が安く済みますよという話だったらわかるんだけれども、これは、既にある施設を移管していくような形で、その施設を使うような形で、運営権だけをいわゆる譲渡するという形になっている。そこの幅というのは、だから、ほとんどないということでしょう。

 そうすると、あと、人を減らせ、給料を下げろ、あるいは規模を縮小しろ、こういう話ですよ。これはどこでいわゆるバリュー・フォー・マネーをつくり出すのかということになると、私は、このコンセッションというものが想定しているような事業形態に対して、この上下水道というのは、これを持ってくるのは間違っているんじゃないかというふうに思います。

 今、浜松市が持っている、あるいは各市が持っている上下水道に対する問題の解決というのは、手法がもっと違った形で工夫されて、これに対して支えていく、解決をしていくということを考えないと、このままコンセッションでいった場合には、リスクが高過ぎる、余りにもリスクが高過ぎるという思いがするんです。そういう意味で、あなた方、間違っていませんかということを提起をしたいんですよ。大臣、どうですか。

梶山国務大臣 いろいろな手法が考えられるわけでありますが、一つには、やはり広域化ということも一つの手法であると思っております。

 これは、コンセッションするにしても、適正な規模、人口規模であるとか面積であるとか集約できているかどうかとか、いろいろあると思うんですね。そういったものも含めて、資産価値の適正評価というものをしっかりした上でこういう事業計画を立てていると思っております。

 全国どこでもやっていただくということではなくて、可能なところにはやっていただくような環境整備をしましょうという中で今回の改正も出しているわけでありまして、委員がおっしゃるように、部分的に区切って、この部分を民間に担当していただく、そして、そのほかの部分は公が従来どおりやるとか、また、全部できるのであれば、資産評価をした上で、どういう形で、民間の経営手法もやはり取り入れていく必要があると思いますよね。

 例えば、公であれば、減価償却がしっかりできているかどうかということも含めて、一年ごとにやはりどれだけの償却をしていくのか、そして、将来の設備投資のための積立金や引当金をどうしていくのかということも含めて、そういうことを議論することも含めて、いろいろな手法が出てくるのではないかと思っております。

中川委員 だから、そこをもう少し幅広く、もう頭からコンセッションだといって持っていくんじゃなくて、幅広く考えないといけないんじゃないか。

 これまで、民間委託あるいは指定管理制度、こうしたものが、これは管理省庁が違うんですよね。それぞれ違うんです。違って、自分のところが一番いい制度でしょうといって、地方自治体へ向いてどんどんどんどん持っていっているんですよ。それでミスマッチがどんどんどんどん起こっている。

 私の感じからいったら、このコンセッションもそうした意味でミスマッチになっていく可能性がある。だから、内閣府でやることは、それをトータルで捉えて、それで、今それぞれ地方自治体が持っている問題というのを総合的に一番いい方法で解決をしていく、そういう手法が要るんだと思うんです。

 このままだと私はそうはなっていかないという思いが一つしているのと、それからもう一つ悪いのは、だから、これは恐らく浜松も逡巡しているんだと思うんですよ。

 私、浜松の中の、中身の議論を一遍読んでみたんですけれども、それは専門家はいろいろなことを言っていますよ。それで、これで本当にいいのかと言っているけれども、答えは全然出ていないんです。また調査してみます、またこれから国と相談してみます、そういう答えだけなんです。

 それはそうでしょう。いいからやってみろ、調査費つけるから乗ってみろといって乗っている話ですから。だから、そうした意味でのその調査費のつけ方も、コンセッションだけを前提にするんじゃなくて、どうやって、今、上下水道を持っていくのであれば、そのやり方をしなきゃいけないということ。

 それから、もう一つ悪いのは、だから、乗りにくいでしょうから、おまけをやりますよと。先にその金で償還したら、本当は罰金を払ってもらわなきゃいけないんだけれども、これを免除しますよ、だから償還してくださいよというおまけがついているんです。こんなことでもしなければ乗ってこないということだから、ついているんだと思うんですよ。これも悪い。これも筋が悪い。だから、そういうこそくなことをやるんじゃなくて、真っ向から今地方自治体が抱えている問題を見ていこうじゃありませんか。

 たまたま大臣はPFIの担当だからPFI、PFIと言っているんだけれども、PFIの幅を広げて、PFIだけではだめなんです、内閣府がやるのは。トータルでこうした問題を内閣府担当大臣として広げていって、トータルで対応していきますよという、そんな話になりませんかということと同時に、このごまかし、罰金やめますから、罰金はいわゆる免除しますからというのは、この事業以外にどんなものがほかにあるんですか。ちょっと参考人。

石崎政府参考人 今回、補償金の免除で提案させていただいていますのは、上下水道、上水道と下水道施設、この二つでございます。これは、内閣府が重点分野として当初から掲げていました航空、道路、上水、下水、この四つでございましたが、航空、道路は目標を達成してございまして、この達成をしていない上水、下水に関して今回対象と考えておるということでございます。

中川委員 だから、これはPFI、いわゆるコンセッションを使えばそういうふうにしますよということでしょう。

 ほかの省庁がやっている事業の中で、繰上償還したらその罰金は免除しますよというのはほかにどんなものがあるか、ちょっと調べておいてくれないかと事前にお願いしておいたんですけれども、どんなものがありますか。

石崎政府参考人 これまで、繰上償還の際に補償金の免除措置が使われたというのは、我々が承知していますのは、例えばUR、あと住宅金融公庫、この辺が償還する際に補償金の免除措置を行ったことがあるというふうに認識してございます。

中川委員 そうなんですね。めったにこんなことしないんですよ。PFIだけが、あるいはコンセッションだけがやっているんですよね。

 これはいい知恵出したなと恐らく大臣はほくそ笑んでいるのかもしれないけれども、これはやはり矛盾があって、なかなか乗ってこないから、どうですかという、いわゆる小手先の話だと思うんです。これはやめませんか、こんなことは。

梶山国務大臣 一番重要なことは、その地域の住民に安全な水を安定供給していくということであります。

 一方で、高齢化社会になり、また、設備も老朽化している中で、将来の財政需要もふえてくるという中で、一応、一度、資産価値を適正評価をしていただいた上で、いろいろな議論をしていっていただくということで、何もコンセッションばかりを目的としているものではなくて、議論をしていく中で、広域化というものもあるでしょうし、委託という形もあろうかと私は思っております。

 ただ、コンセッションが、何がネックになっているかという中で、いろいろ今までの中で、やはり補償金の問題もあるということで、ここでしっかりとした、地方財政にも資するような形でPFI、コンセッションができるのであれば、そういうことも一つ手ではないかということであります。

 ただ、いずれにしても、しっかりとやはり水を安定供給するということと、財政面のリスクをどう回避していくかということと、それと、その地域においてしっかりと考えをまとめていくこと、金融機関も含めてコンソーシアムを組んでいくことということで、しっかり進めていくための運用を考えてまいりたいと思っておりますし、そのための改正であるということを御理解をいただきたいと思います。

中川委員 何か話がすれ違いになっています。ちょっとまともに捉えていただきたいというふうに思うんです。

 もう一回言うと、コンセッションを否定しているわけじゃない、PFIを否定しているわけじゃない。これは、地方財政にとっても、あるいは民間資金を活用するという意味でも、工夫すれば、うまく運用すれば、非常にいい形でできるものだというふうに私は思っています。

 ただし、今回のような下水道事業、上下水道事業のような形、特に地方が、今、人口減少で構造が変わってきていて、今あるものをどう新しい構造へ向いて変革していくかということが課題になっているようなところで、前向きにいくのではなくて、縮める話をしている。

 縮めて、あっちとこっちとを統合するということもあると思うんですが、これはコンセッションは関係ないですよ、統合は。これは政策なんですよ。だから、例えばこれは、一つの領域でPFIを受注して、受注した特別目的会社が、じゃ、次はこっちも一緒に統合してやろうというときには、この会社の意思じゃなくて、その地域の、地方自治体自体の政策判断によって一緒にしようという話なので、コンセッションでそれをやるというんじゃない。だから、そこのところがごまかしがある、いわゆる答弁に、と思うんですね。

 同時に、さっき申し上げたように、地方自治体にとってはメリットがある、それはそうなんです。だから、メリットがあって、それでもう十分じゃないですか。それ以上に、なぜ、これまでの基本的なルールを崩して、ここだけ特別崩して、そして罰則免除というような話になるのか。そこについても答えが出ていないということでありますから、私はこれは、どう見ても今回のこの運用というのは見直すべきだ、コンセッションを使うのであれば、これは運用の目先として、しっかりとしたコンセッションの根拠に基づいた領域でこれを使うべきだ、無理やり国の方から調査費をつけて、やってください、やってくださいというのは、これは間違っているというふうに思います。

 答えありますか、また。

梶山国務大臣 コンセッションも一つの選択肢であるということでありまして、その部分でどういう選択をするかはそれぞれの自治体の判断ということになります。

 ただ、そのための環境整備、また、調査も含めて、お手伝いをしていきましょうと。現状をしっかりと把握することから始まるものだと思っておりますし、そういった面も支援をしてまいりたいと思っております。

中川委員 もうちょっと時間があるので、一言だけ言っておきます。

 そういうふうに大臣は言われるけれども、これは浜松へ行って、誰がこの絵柄をつくっているかということ。結局、私が一番最初に大臣に申し上げた構図と同じような形になっているんです。国の中央で、これを進めていきたいという学者集団とゼネコン集団が地元に入って、この絵を描いて、それでやっていこうと。その結果、コンセッションがうまくいったらいいですよ。これはリスクが高過ぎるよ、この方向は。

 だから、そういうところにしっかり注意をしながら組立てをしないとだめだということ、これを忠告をしておきたいというふうに思います。

 以上、終わります。

山際委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 委員長、ありがとうございます。

 きょうは登板の機会をいただき、まことにありがとうございます。

 各先生方がいろいろいい指摘をされていて、改めて勉強させていただいていると思っております。

 コンセッションという言葉が、皆さん、共用語になっておられるようなんですけれども、私自身はそんなになじみがある言葉ではないということで、一種、運営権を委ねるというような理解でよろしいのかどうか、ちょっとこれは通告していないんですけれども、まずもって確認したいと思います。いかがでしょうか。

石崎政府参考人 コンセッションに関しましては、このPFI法に基づきまして、運営権という権利を民間事業者に設定するという形で長期安定的に経営をしていただく、そういう形態の名称でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 運営権を、その権利を売ってしまうのか委ねるのかとか、そこのところは結構微妙かというふうにも思いますけれども。

 中川先生から三重県の事例を伺いました。

 私も民間銀行におりまして、実は札幌に飛ばされていたことがありまして、北海道全域を、飛ばされていると言うと北海道に失礼なので、北海道に行かせていただいていた機会があったんです。私は今、北方領土の問題とかを鈴木宗男先生とかと一生懸命やっているので、誤解のないようにお願いしたいんですけれども。その際に、このPFIの仕事をいたしました。

 今のメガバンクの一つである日本興業銀行におりましたときに、札幌の火葬場が、亡くなる方が残念ながら多いということの中で、南部の方の火葬場というのは足りているんだけれども、北の方に火葬場がきちっとないというような、老朽化で、大きなところをつくりたいというようなお話の中で、実は、火葬場について、民間の力を利用して、しかもリスクはある程度公的セクションがとりながら火葬場をつくっていくというものの組成をさせていただいた記憶がございます。

 今、中川先生が三重県の事例で、地銀さんにもうちょっと頑張っていただこうじゃないかというようなお話があったかと思いますが、正直、これはちょっとうがった見方かもしれませんが、やはりノウハウというのがどうしてもメガとかに集中してしまっているというのがあると思います。

 そんなこともあって、私どもが組成の中心となって行ったような中で、地銀さんに声がけをしたり、あるいは信金さんに声がけをしたりというようなことがあって、そして、流れの中では、昨今は、直近は私はわからないんですけれども、シンジケートローンというようなことで、リスクアセットという、貸出資産もリスクを負っているので、メガが持ち切れないので、むしろ地銀さんにその部分を持っていただくというようなことで、いわゆるメガあたりと地銀さんとの連携というのが結構あると思っております。

 それでまた、率直に、私がいた銀行は、リッキーと言われた利付金融債を、地方の銀行であったり信用金庫さんが、お金は集まってくるんだけれどもやはり貸出先がないということの中で、国債に運用することもありますし、社債を買うこともありましたけれども、利付金融債を買っていただくということの中で、結構メガと地銀との連携というのは、実はしょっちゅう会合を持ったりというのをしておりました、私がいたころは。かれこれ十五年近くたったので、その後もその関係というのは続いていると思うんですけれども。

 こういったいわゆるPFIの組成についても、民間のノウハウといったものをどこまで、これは透明性の確保がやはり極めて大事で、梶山先生が非常にこの銀行が近いからといって何か呼んじゃったみたいな話で、国会がそれによって時間を費やしてしまうというような本末転倒なことがあってはならないというふうにも思いますので、慎重に事を図らなければいけないと思いますけれども、そういったところにもノウハウがやはりかなりあると思います。

 そういった意味では、メガ銀行と地銀さんとの連携をうまく図れるように、中川先生が御提案されていますけれども、そこのところは、私がいた銀行の話をして恐縮でしたけれども、そういった連携もひとつ、おっしゃっていたコンソーシアムの組成力、全国十六カ所、いろいろ組成されていったようなお話もありましたけれども、地銀さんにより力をつけていただくという意味では、お互いにウイン・ウインのメリットがメガにもあると思いますので、いろいろな取引でまたお願いをするというようなこともあるんじゃないかと。私はもう離れて、関係ないんですけれども。

 そういうことからも、そういった連携を少し、政府自体が余り介在することはよしとはしませんけれども、やはり促すとかそういったことをしていっていただくことがいいかなと思っております。

 それで、ちょっと、せっかくだったので、きょうは私が一番勉強不足で、各先生方は十分御存じかもしれないんですが、各都道府県別の実施状況みたいなPFIの概観を、先ほども四分類の中で中川先生が御質問されておられたんですけれども、地域別にどうなんだということで、今私が申し上げた北海道は二十一、地方公共団体で十六というようなことがあったり、梶山先生のところはどうなのかなと思ったら、茨城県は九で、地公体としては五つ。中川先生のところはいかがかと思ったら五件で、それは地公体の五つがそのものというようなことであったり、あるいは、冷静にこれを見ると、福島が一件、鳥取がゼロ件、和歌山がゼロ件、高知がゼロ件、宮崎が一件、沖縄が一件というふうに、私の前に質疑に立っている浦野代議士の地元の大阪なんかは逆に一番、数としては多くを走り、まあ関空もありますけれども、六十件で、地公体が四十八件という状況になっているということを教えていただいたわけです。

 この全体観を振り返って、平成十一年から、法制定以降、この実施状況について、地域的な特徴等を政府サイドとしてどういう認識をされておられるかを確認させてください。

石崎政府参考人 今ほとんど御指摘いただきましたが、平成十一年にこのPFI法が施行されてから二十八年度末までにこのPFI法に基づき実施方針が公表された事業の数、六百九件でございます。

 都道府県別に見ますと、大都市の都道府県を中心にやはり多うございます。大都市の都道府県を中心に十数件の実績があるという県が多数ある一方、今御指摘いただきました実績がない県、全くない県というのも三県あるなど、地域によるばらつきが相当ある、そういう状況だというふうに認識してございます。

杉本委員 地域のばらつきということで、中川先生のところは途中でとまっちゃったので五件だということだと思いますが、ゼロ件という地域があって、人口の数の問題だとか、質疑の中でありましたけれども、人口減少が進んでいて、過疎化が進んじゃっていてなかなかなじまないというようなところもあるのかもしれません。

 また、各地域が同じ金太郎あめである必要はないと思いますけれども、一方で、やはり理解が進んでいないような地域もあるのかなというふうには、ちょっとこの全国の地図を拝見すると感じますので、目標は、いただいた資料の中で、十年間二十一兆、各事業で、水道、下水道六件ずつで、文教三件、国際会議場六件というような目標を掲げておられるので、こういった点。

 地域性も、都会に集中というお話がありましたけれども、そうでない地域についてもなかなか、ゼネコンが仕事をとっちゃうみたいなお話もございますけれども、うまく地域の方々をかんでいただきながら組成をしていただきたいなというふうに思っています。

 次に、二つ目の質問で、PFIの分野において、WTOのルール等で外国資本の参入について制約があるかどうか等を確認したいんですが、経産省さんにお運びいただいていないですかね。お願いできますか。

 ああ、外務省さん、ごめんなさい。どうも失礼しました。

小泉政府参考人 お答えを申し上げます。

 大きく分けて、WTOに関する協定とその他の投資に関する協定と、二つ見る必要があると考えます。

 まず、WTOでございますけれども、サービスに関する一般協定、いわゆるGATSと呼んでおりますが、こういうものがございまして、そこでは、外資の参入に対し数量制限を課してはならない、あるいは内外差別的な措置をとってはならないという一般的な義務が規定されております。

 ただ、これらの義務を実際に負うかどうかは、各国がそれぞれ約束表というものをつけておりまして、その約束表に具体的に、この分野については義務を負いますよ、あるいは、この分野について義務を負うんだけれども一定の義務しか負いませんよということが書いてございますので、それを一つ一つ子細に見ていく必要があるというのが現状でございます。

 これに対しまして、投資の関連の協定でございます二国間の投資協定、あるいは、いわゆるEPAの中で投資章というのをつくっている、両方のケースがございますが、ここにおきましては、いわゆる自由型と呼んでいる協定がございまして、そこでは、原則といたしまして、外資の参入時におきましても相手の国の投資家あるいはその投資の財産を内外無差別に扱いなさいという義務が定められております。

 ただし、こうした協定におきましても留保というのが認められておりまして、我が国のケースについて申し上げますと、必要だと考える分野については留保を付しておりまして、外資の参入に対する現行の制約を維持させてもらいます、あるいは将来新たな制約を導入する可能性を残させてもらいますということをやっているというのが現状でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 なぜお伺いしたかというと、やはり日本の主権という分野で、思い起こすと、もう亡くなられてしまいました町村信孝先生が、これまた私、ちょっと銀行から出向していたんですけれども、Jパワーというところに行っていましたけれども、そのJパワーさんの株式を外資が買いたいというようなお話がある中で、町村先生の御英断で、あるいは政府全体の御判断だったかとも思いますけれども、外資の購入を控えさせるというようなことが、もう結構月日はたってしまったと思いますけれども、あったかというふうに記憶しています。

 国民の生命財産、命を守るというのが最大の我々の使命であるとも思いますし、一方で、財政の問題であったり、あるいは効率化といったものを進めるということもあわせて、まあ優先順位は違いますけれども、我々はやっていかなきゃならないということだったと思っています。

 今も再三、浜松市の事例が中川先生からもお話がありましたけれども、問題点の指摘があったかもしれませんが、政府として、現在、水の問題でいくと、まだ下水道の段階であるという認識を私はしていますけれども、やはり上水道、あるいは、中国が水の資源のもと、土地を買っているとかそういうような議論もある中で、果たして本当に上水道、我々維新としては民ができるところは民にという発想はあるんですけれども、一方で主権というものも考えていかなきゃいけないということも我々は考えている集団だと思っていますので、そういった意味から、浜松市の現状、主に下水道で結構だと思うんですけれども、現状の事例を概説いただき、その評価をどう考えておられるかを確認させてください。

石崎政府参考人 浜松市の下水道でございますが、本年四月より事業を開始してございます浜松市の公共下水道終末処理場運営事業、平成二十八年四月より静岡県から浜松市に移管されました市内処理水量の約五割を占めるセイトオ処理区を対象にコンセッション方式を導入したものでございます。

 事業の対象範囲は、処理場部分の改築計画策定、設計、工事実施、運転、修繕に事業経営を加えた業務を特定事業に選定し、管路施設は対象から除いているという状況でございます。

 事業期間は二十年、グループとして二者から応募がありまして、海外での実績がある企業が代表を務め、地元企業も構成員に含む五社で構成されるグループが運営権者に選定されている、そういう状況でございます。

杉本委員 伺いましたところだと、ヴェオリア・ジャパンということで、フランスの日本法人が関係していらっしゃるというふうにも伺っております。まだ下水ということですが、上水道については、外資ということについては、民ができるところは民で、あるいは民間活力という意味ではお願いしたいですけれども、一方で主権という点も常に認識をいただきたいとお願いをしておきます。

 先ほど中川先生のお話が非常に印象に残ってしまったんですけれども、次に大臣にお伺いいたします。

 地元企業を優先活用するというような、例えば契約上の縛りを入れると、逆に運営が安くできないとかそういう問題があって、結局ゼネコンに行くとか、何かいろいろな話にまた戻ってしまうのかもしれないですけれども、信用力という点ではゼネコンだったりメガバンクだったりになってしまうんですけれども、それをある程度勘案しつつも、やはり地元、地産地消じゃないですけれども、地域振興という点で、地元企業の優先活用というのを考えるべきだと思われますけれども、今の状況と今後の展望みたいなところで、大臣の御所見を伺えればと思います。

梶山国務大臣 コンセッションの事業において、国内企業が、事業の中心となる企業として参入することや、中心となる企業と連携して事業を実施する協力企業に参入することは、国内にコンセッション方式が広く用いられるために重要なことであると考えております。

 そのため、例えばコンセッションの事業者選定において、地元企業を参画させることにより地元に密着した事業の提案を行った事業者グループを高く評価するなど、国内企業の参加を促す工夫は有効と考えられます。

 実際に、先月から事業を開始した浜松市の下水道コンセッションにおいては、事業者選定において、地元企業の参画や地域住民雇用を評価項目に加えて審査を行った結果、地元企業を構成員に含むグループが選定をされているところであります。

 内閣府では、このような取組事例の周知を積極的に行うとともに、地域の関係者が集う地域プラットホームの形成を支援することにより、より多くの国内企業がマーケットに参入できるように後押ししてまいりたいと思います。

 そして、委員からもお話ありましたように、先行した知見がある企業はやはり大切でもありますから、それをしっかり確認して地元も入っていただくというのが理想の形であると思いますけれども、いずれやはりそういうノウハウも地元企業にしっかりと蓄積をしていただくこと、重要なことであると思っております。

杉本委員 御答弁ありがとうございます。

 あと二問、質問できればなんですが、一つは、ちょっと端的にお答えいただきたい。繰り返し申し上げていて、答えを確認したいみたいなことで恐縮なんですが。

 上下水道の一体化というのを政府の姿勢としてお持ちなのか、それをポジティブに考えているのかネガティブに考えているのか。水源確保という観点とあわせて、特に上水道の外資参入についてのリスクというようなものは認識をちょっと確認しておきたいと思いますが、お願いします。

石崎政府参考人 上下水道の一体ということでございますが、上水道と下水道、基本的にはそれぞれ別の施設でございます。

 このため、必ずしも一体になったからといって全てよくなるというわけではないんですが、やはり調達の共同化など一定のスケールメリットが期待される部分もございます。このために、上水道と下水道、一体的な形で出していくというのも選択肢の一つとしてはあるというふうに認識しております。

 一方、外資のリスクということでございますが、まず、これは、我々は今議論させていただいているのはコンセッションでございまして、純粋に民営化を行うものではないというものでございます。あくまで公共団体が所有し、その監督のもとに、その契約の中で運営として果たしていただく、そういう部分だというものでございます。

 そういう観点で、経験豊富な海外事業者が参入することによって我が国の公共事業のサービスレベルが向上する側面もある一方、国内企業が事業の中心になることによって国内にコンセッション方式が広く用いられる、こういう両方の部分があるところでございます。

 ただ、いずれにしましても、外資企業であるか国内企業であるかを問わず、適切に事業を運営するためには、まず、関係者がリスク管理に関する事前の合意や検討を十分に行った上で契約を締結し、その上で行政によるモニタリングを徹底することが重要であり、これにより安定的な事業運営が可能になると考えてございます。

 あと、済みません、先ほど浜松市につきましてセイトオ処理区と申し上げてしまいましたが、西遠処理区の間違いでございました。申しわけございませんでした。

杉本委員 ちょっと時間もなくなってきたと思いますので、最後の質問とさせていただきます。

 私の地元の愛知県では、愛知県道路公社のPFI事業が始まっておりまして、先ほども道路というのは対象例として考えていらっしゃるということだったんですが、平成二十八年十月から、まだスタートしたばかりですけれども、この事業についての現時点での評価を確認させていただき、質問を終わりたいと思います。

石崎政府参考人 愛知県の有料道路のコンセッション事業につきましては、道路分野における初めてのコンセッション事業として、愛知県道路公社を管理者、愛知県道路コンセッション株式会社を運営権者として、複数の有料道路等を対象に、有料道路の利便性の向上や効率的な管理運営等を目的として、平成二十八年八月、実施契約を締結し、同年十月より運営を開始しているものでございます。

 当該事業のこれまでの実施状況につきましては、公社運営時と同様の管理水準やサービス水準を維持しながら運営が行われており、また、民間ノウハウを活用したパーキングエリアにおける地域活性化の取組や地域の魅力と交通安全をPRするイベントの開催など、非常に意欲的に事業に取り組んでいると国土交通省より伺っております。

 PFI制度を所管する内閣府としても、こうした事業が更に推進されるよう周知等を図ってまいりたいと考えてございます。

杉本委員 終わります。ありがとうございました。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 PFI法に関するきょうの質疑、この最後のバッターになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、きょうは、さまざまなPFIのいわゆる活用、導入についての質問がありますが、政府は、PPP、PFI推進のために、これまでにも、平成二十五年のアクションプランの策定、これによって、二十五年度から三十四年度までの十年間、十兆から十二兆の事業規模の達成目標、さらには、平成二十六年の抜本改革に向けたアクションプランに係る集中期間で、平成二十六年度から二十八年度の三年間を集中期間と位置づけ、運営権制度を活用したPFI事業、いわゆるコンセッション事業についての重点分野、数値目標、空港六件、水道六件、下水道六件、道路一件を定め、集中的に取組を強化するという流れになってきております。

 そして、この間、コンセッション事業の活用がおくれている分野、特に上下水道などの生活関連分野ですね、そういうところで更に克服すべき課題も抱えている、さらには、インバウンドの拡大等によって大幅な需要拡大が期待される観光などの新たな成長分野にもPFIを推進していこうということで、平成二十八年度のアクションプランでは、事業規模、重点分野やその数値目標、施策の進捗状況について毎年度フォローアップを行い、必要に応じて見直すということで漸次取り組まれてきております。

 平成二十八年六月に閣議決定された最初の日本再興戦略二〇一六では、運営権方式が対象とする分野を、空港、文教施設、クルーズ船向け旅客ターミナル施設、MICE施設など国内外の訪問客の増加等による需要拡大に対応した分野、いわゆる成長対応分野と、有料道路、水道、下水道、公営住宅など人口減少による需要減少等に対応したアセットマネジメントの高度化や新規事業開発が必要な分野、成熟対応分野に分類し、施策を講ずべきであるというふうにしております。

 他方、いわゆる地方の公共事業というものは、これまで、地方公共団体が定める条例に従って、プロポーザルや総合評価方式などを取り入れた、いわゆる指定管理者制度が行われております。

 指定管理者候補の団体を選定し、施設を所有する地方公共団体の議会の決議を経ることで、最終的に選ばれた管理者に対し管理運営の委託をしてまいりました。

 これは、利用時間の延長、あるいは施設運営面でのサービスの向上による利用者の利便性を高めるということ、向上を図るということと、それから、当然ですけれども管理運営経費の削減、施設を所有する地方公共団体の例えば人件費等の負担の軽減など、いわゆる民間の活力を利用することによって、公共施設が住民の生活や福祉の向上に寄与するということで、この指定管理者制度が取り入れられてきているわけです。

 ところが、これは、私の地元の状況を少し加えてお話をしますと、今度新しく一万人規模のアリーナの建設を今の市長さんが進めるということで、これが、当初百五十億という予定だった予算が、周辺の土地の買収なども含めますと約百八十億ぐらい、これは税込みの価格なんですが、そこまで膨らんでいるという状況になっています。ところが、これを、いわゆる高率補助の補助金を本体工事部分に充て、それ以外の土地の買収などは、当然ですが、地元が出資をして購入をするということになります。

 しかし、それもやはり指定管理者制度を取り入れて、指定管理者にその運営を任せるということなんですが、一万人規模のアリーナですから、別のコンベンション施設が五千人規模で一日当たり百万円の借用料です。ですから、一万人規模ですから、その倍の一日当たり二百万円の使用料ということになっていますので、この施設そのものは、もうあくまでも興行目的の施設ということになり、指定管理者がその収入をもって運営に充てる。

 しかし、指定管理制度ですから、地方公共団体、いわゆる役所からは、指定管理者へのこの管理委託費が支払われるわけですね。それがトータルで、年間の必要最低限度の運営にかかる予算は三億円と言われています。

 ところが、百八十億ですから、単純に割ると、三億で運営するとして六十年ということですが、二十年たつと、大体もうその施設の老朽化で大幅な改修工事などが入っていくのではないかということなどがありまして、実は、まだ議会での十分な説明やあるいは地域住民に対するきちんとした説明がないまま、この建設ありきで進んでいるのではないかという不安が、地域には少なからず、たくさんあるわけですね。

 ですから、例えば、今回のPFIの推進に関しても、きょうの塩川議員が提出をしていただいたPFI受注の選定代表企業のランキングは、上位十社で三五%ということで、いわゆるゼネラルコンストラクター、ゼネコンが多くを占めているということが顕著になっています。

 この私たちの地元で行われる一万人アリーナの建築も、実は、国の予算、いわゆる高率の補助金ですから、その五〇%の受注は大手のゼネコンが受注し、あとは、地元の企業が残りを受注するというふうに、企業協力という形で取り入れられていくわけですね。

 しかし、私は、このPFIの手法もさることながら、指定管理者も、実は地域によっては、例えば、市町村の役所のOBが天下っている団体が、ほかに受け手がいないということを理由に指定管理者をずっと続けているという状況とか、一点、そういうふうに見直さないといけないことなども、憂慮すべきことがあるという地域の事情があると思います。

 そこで、私は、きょうは質問で、このPFIと指定管理者の違いについて、少し確認の意味で質問をさせていただきたいと思います。

 今回の改正では、公共施設等の運営権者が公の施設の指定管理者を兼ねる場合において、一定の要件を満たす場合には、公の施設の利用料金における地方公共団体の承認を必要としない内容の特例を設けています。つまり、PFIに参入しやすいような特例を設けているわけですね。

 先ほど私が話しましたとおり、現行の指定管理者制度は、地方自治法における規定に基づいて利用料金制をとる場合、条例に基づいて指定管理者が定めることとされており、その際にはあらかじめ地方公共団体の承認を受けること、あらかじめ承認を受けることとされています。

 今回の改正で、この現行の指定管理者による規定、あらかじめ地方公共団体の承認を受けることの例外を設けることはなぜでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。

梶山国務大臣 指定管理者制度の特例について御質問がありました。

 音楽ホールや国際会議場、その目的の範囲内で特定の第三者に使用許可を行う形態の公共施設において公共施設等運営事業を行う場合に、管理を行う民間事業者は、地方自治法に基づく指定管理者の指定を受けることが必要であります。

 一方、こうした公共施設については、今般、公共施設等運営事業での実施を政府として推進している中で、運営権者となるだけでは使用許可権限がないことから、運営権者は指定管理者の指定があわせて求められているところであります。

 本改正案について、運営権者が料金の設定を行うに当たって、条例で定めた利用料金の範囲内であるなどの一定の要件を満たせば、指定管理者制度では必要な地方公共団体の承認制を届出制とすることにしております。

 さらに、運営権の移転に伴い指定管理者の指定を新たに行う場合において、条例で指定管理者の基準を定めるなど特別な定めを定めた場合においては、指定管理者の指定に当たって、議会の議決にかえて議会への事後報告を行うこととしているところであります。

 これらの特例により、運営権者による利用料金の柔軟な設定や、どのような事業者であれば指定管理者の指定を受けられるかといった予見が可能となり、事業の円滑な実施に資するものと考えているところであります。

玉城委員 そのように、条例で定めれば事後報告でいいということになっているわけですが、しかし、地方公共団体にチェック機能を持たせることは現行の指定管理者制度の最も基盤的な要素、つまり、十分住民に説明をし、議会が納得をし、結果的にそれで認めていくということなんですが、この改正における運営権者へのチェックはどのような方式でとられるのでしょうか。

石崎政府参考人 今回の法改正におきまして、利用料金の設定については、PFI法に定める実施方針に関する条例、これにおいてあらかじめ利用料金の幅等の事項が定められます。まず、そこで一つのチェックが入ると思います。かつ、指定管理者たるコンセッション事業者がその範囲内で利用料金を設定する場合に限り、地方公共団体の長の承認にかえて届出で足りることとしてございますので、これらにより、料金に関してはチェックの機能が果たされていると考えてございます。

 また、指定管理者の指定を新たに行う際には、地方自治法に基づき、あらかじめ地方公共団体の議会の議決を経ることとなっていたところ、今回の法改正におきまして、公共施設等運営権の移転に伴い指定管理者を指定する場合には、議会の議決にかえて、あらかじめ条例に特別の定めを、これは当然ながら議会の承認でございますが、特別の定めをすること、公共団体の長が指定管理者の指定後、議会への事後報告を行うことを条件に、チェック機能が果たされるものと考えています。

 なお、公共施設等運営権の移転に伴い管理者たる地方公共団体の許可が必要、このことについては、引き続き必要となることに変わりはございません。

玉城委員 いわゆるこの法律による運営権者と、そして地方自治法で定められている指定管理者の新たな管理者の指定という手続、これは、再指定の場合にはあらかじめ議会の議決を経る必要があるというふうにされていますが、そこで二重基準が生じるということはないんですか。

石崎政府参考人 今回の法改正は、公共施設等運営権の設定と指定管理者の指定、これを両方適用している公の施設について、一定の料金水準の中で、あらかじめ利用料金の範囲等を条例で定めるというもの、また、議会のチェック機能を維持しつつ、予見可能性を確保できるよう、運営権の移転を受けた事業者の指定管理者の指定につきまして条例に特別の定めを規定し、かつ、議会の議決にかえて事後報告をすること、これを条件に、PFI法において手続の簡素化を特例的に措置するものでございます。

 このように、コンセッション事業の特性に配慮しつつ、公的なチェック機能を担保する観点から代替的な措置を講ずる、これによって二重基準が生じるということにはならないものと考えてございます。

玉城委員 コンセッション方式に対する特例がこのように非常に便宜が図られるということは、喜ばしいことに考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、であれば、地方自治法に定められているこの指定管理者制度そのものも本来なら改正するべきではないかというふうに、私は単純にそう思います。

 地方自治法に定められている手続をとる現行の指定管理者制度に不利益が生ずることにはならないのか、これは総務省にお伺いしたいと思います。

篠原政府参考人 お答え申し上げます。

 地方自治法上の指定管理者制度につきましては、指定管理者を指定する場合に議会の議決を経なければならないとしているところでございます。

 今回の改正は、コンセッション事業が指定管理者制度と比較いたしまして長期間にわたり自由な裁量を持った運営を民間事業者に委任をするというものである特性に鑑みまして、コンセッション事業を円滑に実施するための要望を受けて、PFI法において特例として定めることとしたものでございます。

 具体的には、公共施設等運営権の移転に伴いまして指定管理者を新たに指定する場合において、条例で指定管理者の基準を定めるなど特別な定めを定めた場合には、議会の議決にかえて議会への事後報告を行うこととする特例を措置するものでございます。

 この特例につきましては、議会で定められた条例に特別な定めがある場合にのみ適用されるものでございまして、条例を制定するかどうか、地方公共団体の議会により選択できることから、地方自治法の指定管理者制度の趣旨から逸脱したものではないというふうに考えております。

玉城委員 PFI方式を選ぶのは、規模が大きく、金額も非常に高額な施設の整備を必要としている都道府県、地方だと思います。

 しかし、他方で、地方には地方の財政体力に合わせた施設の運営というものが当然求められるわけですから、必要以上にこの特例を設け、あるいは障壁を下げることによって、大規模な施設の改修あるいは建設、道路、水道事業などに取り組んでくるということは、民間活力を活用するという意味では当然異論はありませんが、しかし、そこには、さまざまな特例を与えるがゆえに、法的なひずみ、つまり、特例の特例、特例の特例の特例を重ねていくことになるのではないかという懸念があるわけですね。その点については、また後刻しっかりと質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

山際委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山際委員長 この際、本案に対し、篠原豪君外四名から、立憲民主党・市民クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。篠原豪君。

    ―――――――――――――

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

篠原(豪)委員 よろしくお願いします。

 ただいま議題となりました民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨の御説明を申し上げます。

 第一に、公共施設等の管理者等がPFI事業に係る支援措置の内容等について確認を求めるワンストップ窓口については、その運用の公正を確保し、万が一にも政治家による介入がないよう、また、地方自治体の主体性がゆがめられることがないよう、内閣総理大臣からPFI推進委員会に改めることとしております。

 第二に、同様の理由から、公共施設等の管理者等に対する勧告等の主体を、内閣総理大臣からPFI推進委員会に改めるとともに、PFI推進委員会が勧告等をすることができる場合を、創意工夫を試みる地方自治体の萎縮を招くことのないよう、公共施設等の管理者等が定めた実施方針又は締結した事業契約がこの法律に基づく基本方針に照らし著しく適正を欠くと認めるときに限定することとしております。

 第三に、水道事業等に係る旧資金運用部資金等の繰上償還に係る補償金の免除に関しては、財政投融資特別会計の積立金が既に枯渇しており、東日本大震災の被災団体に対しても補償金免除の繰上償還を認めていないことに鑑み、同措置に関する規定を削ることとしております。

 以上が、修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。

山際委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山際委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。篠原豪君。

篠原(豪)委員 立憲民主党の篠原豪でございます。

 我が党は、政府提出のPFI法一部改正案に反対をし、我が党提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。

 まず、政府案は、公共施設等の管理者等及び民間事業者に対する国の支援機能の強化等のため、公共施設等の管理者等及び民間事業者による特定事業に係る支援措置の内容及び規制等についての確認の求めに対し内閣総理大臣が一元的に回答する、いわゆるワンストップ窓口を創設すること、また、内閣総理大臣が公共施設等の管理者等に対し特定事業の実施に関する報告の徴収並びに助言及び勧告に関する制度の創設等の措置を講ずることとしておりますが、制度上、内閣府の長が内閣総理大臣であることを理由に内閣総理大臣が前面に出てくることは、昨今、首相案件というだけでそんたくが働く状況がありますので、ふさわしくありません。

 特に、地方自治体に対して内閣総理大臣が対峙するかのようなたてつけは、上下関係を連想させ、地方自治体の主体性をゆがめる危険性が大きいと考えます。

 また、水道事業等に係る旧資金運用部資金等の繰上償還に係る補償金の免除に関しては、財政投融資特別会計の積立金が既に枯渇をしていることから、地方公共団体金融機構からの繰入れで対応することとしております。

 しかし、過去に要望があった東日本大震災の被災団体に対しては、積立金が既に枯渇をしていたことを理由に補償金免除の繰上償還を認めませんでした。これは、バランスを欠いた措置と言わざるを得ません。

 以上の趣旨から、我が党は、まず、公共施設等の管理者等がPFI事業に係る支援措置の内容について確認を求めるワンストップ窓口については、中立的な専門機関がその任にふさわしいと考え、内閣総理大臣からPFI推進委員会に改めること。次いで、同様の理由から、公共施設等の管理者等に対する勧告等の主体を内閣総理大臣からPFI推進委員会に改めるとともに、PFI推進委員会が勧告等をすることができる場合を、公共施設等の管理者等が定めた実施方針又は締結した事業契約がこの法律に基づく基本方針に照らし著しく適正を欠くと認めるときに限定すること。最後に、水道事業等に係る旧資金運用部資金等の繰上償還に係る補償金の免除に関しては、同措置に関する規定を削ることを提案するものでありました。

 各党各会派の皆様におかれましては、御趣旨を理解いただき、御賛同いただきますようお願いを申し上げまして、討論といたします。(拍手)

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、PFI法改正案に対して反対の討論を行います。

 きょうの質疑でも明らかにしたように、PFI事業は、地方自治を侵害をし、地元企業の参入を妨げ、大企業が地方の仕事を奪うことにつながり、住民サービスの後退につながるものであることを強く指摘をいたしました。

 本法案について、反対理由の第一は、政府が地方自治体に対し、より一層PFI推進を押しつける仕組みをつくるものだからです。

 新たに法定化されるPFI事業に関するワンストップ窓口と、内閣総理大臣が公共施設等の管理者に対しPFI事業に関する報告の徴収と勧告を行える仕組みの創設で、政府が窓口で事業者から要望を聞き取り、それをもとに政府が自治体に回答を迫ることが可能となります。

 また、本案によって、基本方針に新たな事項が追加されることになりますが、この内容について、内閣府は、地方公共団体に対しPFI事業を優先的に検討するよう求める趣旨だと説明しています。

 本案は、政府の自治体へのPFI押しつけを強化するもので、住民のための公共サービスをゆがめられる懸念が強いと言わざるを得ません。

 第二の理由は、地方自治法が定める指定管理者としての利用料金と、指定管理者の指定手続規制を緩和し、議会のチェック機能と住民の関与を後退させるものだからです。

 PFIや指定管理者制度は、公共サービスなどを民間事業者が営利目的に行うものであり、その事業が住民全体の福祉につながるかどうかは、議会や住民が自律的に検討することが必要不可欠です。

 こうした観点から、地方自治法では、指定管理者の利用料金の設定には自治体の長の承認を求め、指定管理者の指定手続には議会の議決が必要と定めています。本案はこれを後退させるものであり、反対です。

 第三の理由は、公が責任を持って提供すべき生活の基盤である上下水道に、コンセッション方式を推進するため、国の負担で補償金を免除するものだからです。

 安倍政権は、今国会に提出した水道法改正案で、水道事業におけるコンセッション方式の拡大を狙っており、本案は、上下水道事業においてコンセッション方式を導入する自治体への動機づけとして、国からの貸付金の補償金を免除することで、それを後押しするものです。

 水道事業は、憲法二十五条に基づく国民の生存権、命にかかわるサービスです。民間事業者の営利が優先されるコンセッション方式に適さないことは明らかであり、コンセッション方式の推進は認められません。

 なお、修正案は本案の問題点を解消するものになっていないため、賛成できません。

 以上、討論を終わります。

山際委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山際委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、篠原豪君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山際委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山際委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山際委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十九分開議

山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事前田栄治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官原邦彰君、内閣官房一億総活躍推進室次長大島一博君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官植田浩君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、内閣府知的財産戦略推進事務局次長川嶋貴樹君、警察庁長官官房長松本光弘君、警察庁刑事局長樹下尚君、文部科学省大臣官房審議官瀧本寛君、厚生労働省政策統括官酒光一章君、農林水産省大臣官房審議官小川良介君、中小企業庁事業環境部長吾郷進平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 この時間は、公文書管理に関する件について、以下、質問させていただきますが、その前に、昨十日、衆議院、参議院で柳瀬元首相秘書官が参考人として国会に招致され、さまざまな質問に答えています。しかし、やはり、柳瀬参考人のその発言からは、ますます疑惑は深まったという印象を国民は強く持たれたのだと思います。

 政権内では一定の区切りがついたと言っておりますが、とんでもない。これで区切りがついたとしたら、公文書管理をどうやってこれから担保していくのかということについて、私は非常に深い懸念と危惧を申し上げなければならないと思います。

 この昨日の柳瀬元首相秘書官の発言に対して、愛媛県今治市への加計学園の獣医学部新設計画をめぐって、愛媛県の中村知事は十一日、定例記者会見で改めて批判をしています。会見後に、柳瀬氏が名刺も持っていないとおっしゃっていたことに対して、いや、名刺は確かに交換したということで、名刺も公表しています。二十七・四・二という面会の日付の押印があり、経産と手書きで記されていたそうです。さらに、面会時の様子については、職員はメーンテーブルに座っていた、後ろじゃないんですと述べ、加計学園、県職員、今治市職員の計六人で柳瀬氏へ面会に訪れ、全員がメーンテーブルに座った、そういうことを発表しています。

 つまり、まだ食い違いがあるんです。食い違いがあるから、記憶に基づいてこんなことをやっちゃいけない。だから、メモも残っていない、名刺も残っていないというその姿勢そのものに私は強く抗議を示すとともに、きょう、委員会で改めて公文書管理について質問をさせていただきたいというその思いに至りました。

 公文書管理法における国の重要な決定事項については、行政機関の経緯も含めた意思決定に至る過程についても文書を残さなければならないとされています。行政による恣意的な運用があってはならないことは明白です。

 質問いたします。

 公文書として残された面談記録やスケジュール及び決定等に至った会話の経緯及び具体的な内容等について、国家の行政機関と地方の行政機関に存在する公文書の管理及び取扱いについて、それぞれに特別な違いがあるのか、そこからお伺いいたします。

田中政府参考人 お答えいたします。

 国の行政機関におきましては、公文書管理法等の規定に基づき、意思決定過程等を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう、文書を作成した上で、適切に整理、保存等の管理を行うことが求められているところでございます。

 他方、地方公共団体における公文書管理については、国が指導等を行う法的権限は与えられておらず、地方自治の本旨にのっとり、各地方公共団体の判断及び責任において、公文書管理法の趣旨に照らして適切に運用することとなってございます。具体的には、公文書管理法第三十四条において努力義務の規定が置かれているというところでございます。

玉城委員 公務における案件に関する実際に行われた面談、相談、会話等について、文書記録に残さず記憶にとどめておくことのみとすることは、服務上における規定及び公文書管理に定める規定に違反していることではありませんか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 国民への説明責任を果たすため、公文書管理法第四条においては、行政機関における意思決定過程や事務事業の実績を合理的に跡づけ、検証することができるよう、軽微な事案を除き、文書を作成することが義務づけられているものでございます。

 同条の趣旨を徹底する観点から、昨年末に行った行政文書の管理に関するガイドラインの改正においては、各行政機関の政策立案や事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せの記録については、文書を作成することを義務づけたところでございます。

 この改正ガイドラインを踏まえ、公文書管理委員会によるチェックを経て、各府省が行政文書管理規則の改正を行ったところでございまして、本年四月から、全府省において、より厳格なルールのもとでの文書管理が行われているものと承知しております。

 引き続き、公文書管理の質を高めるための不断の取組を進めてまいりたいと考えてございます。

玉城委員 きのうの柳瀬元首相秘書官の発言で、学園側と三度も面会した柳瀬氏は、首相に何も報告しなかった、報告を上げていない、メモも残していないとおっしゃっています。

 それでは、内閣官房人事政策統括官にお伺いします。

 公務における業務等の報告について、職務上の立場における上司への報告は、文書であれ口頭であれ、それが行われることは職務上の義務とされているかについて伺います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、委員御指摘の公務員の義務という観点では、国家公務員法第九十八条において、職員は、その職務を遂行するについて、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないと規定されているところでございます。

 このため、公務として行われた面談等に関しても、上司が職務上の命令として報告を求めている事項については上司に報告する法律上の義務が生じるところでございますが、具体的に上司にいかなる報告をすべきかについては、それぞれ個別の事案に応じて判断されるべきものであると考えております。

玉城委員 ということは、柳瀬さんが報告をしていないと言ってはいても、一四年九月九日、政府の国家戦略特区による獣医学部の新設が浮上し、柳瀬さんは、半年後の一五年二月から三月にかけて、官邸で初めて面会した際に、学園の獣医学部新設計画を知ったと明らかにしていらっしゃいます。ところが、総理が知ったのはそのはるか後の話で、その間何の報告もなかったのかということは、私は非常に信じがたいというふうに思わざるを得ません。

 職務上の報告は義務だというふうにおっしゃっていますが、それでは、どのように事実関係の把握と経緯及び内容等の検証がその場合になされるんでしょうか。お伺いいたします。

田中政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、公文書管理法第四条において、行政機関における意思決定過程等を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう、文書を作成することが義務づけられているところでございます。

 この趣旨を徹底する観点から、昨年末にガイドラインを改正し、政策立案や事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等の記録については、文書の作成を義務づけたということでございます。

 その上で、文書作成の要否に係る具体的な判断につきましては、個々の事案の性質、内容に応じまして、各行政機関において実質的に判断することが必要になってくるというふうに考えてございます。

玉城委員 三宅弘弁護士は、この公文書管理法の制定にかかわったその経緯をもとにインタビューに答えていらっしゃいますが、文書が残る前提であれば、行政が政策を判断する際に緊張感が生まれる、公文書管理法の制定に携わり、性善説に立って、重要な書類は残すという法律をつくったが、裏切られたという感覚であるというコメント、昨年、二〇一七年五月、毎日新聞にそのようなコメントを載せています。

 あるべきではない森友学園問題、森友問題に関する文書の改ざん、公文書の改ざん、それから廃棄、さらには、イラク日報、南スーダンなどの自衛隊の文書の隠蔽、さらには、国会で求められたら黒塗りだらけの消極的な情報公開、あるいは、あるべき真正の資料ではない、いわゆる偽造された、改ざんされた資料を提出するなど、公文書管理の問題を、この際、根本から正し、法律を尊重し遵守することが、今国民が一番求めていることではないかと思います。それをしない限り、国民の政治に対する、安倍政権に対する信頼は絶対に戻ってこない、私はそのように強く感じておりますが、最後に大臣、お伺いいたします。

梶山国務大臣 一連の公文書をめぐる問題により、公文書への信頼そして行政全体への信頼が損なわれたことにつきましては、極めて重く受けとめているところであります。

 公文書管理の見直しにつきましては、三月二十三日の閣僚懇談会において、総理から、四月からの改正ガイドラインによる厳格なルールを全職員に徹底し、確実に運用することに直ちに取り組むよう指示があり、本年四月から新ガイドラインを踏まえて改正された各府省の行政文書管理規則が施行されたところであります。この行政文書管理規則を決めるに当たっても、先ほど委員からお名前の挙がりました三宅弁護士を始めとする外部の有識者による公文書管理委員会の皆様に議論をしていただいてきたところであります。

 昨年起きた事案につきましては、そういう形で、対応策という形で、この行政文書管理規則に入れさせていただきました。今、ことしになって新たな事案が起きてきておりますけれども、そういったものもしっかりと含めて、また対策を進めて、全ての可能性を排除せずに取り組んでまいりたいと思っております。

玉城委員 副総理は、どこの役所でも文書の改ざんは行われるということなどを言っております。その発言はとんでもないことです。信頼をしっかりと正すためにも、副総理には深く反省を求め、安倍総理にもそのような反省を求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。ニフェーデービタン。

山際委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、本会議の後ですが、一般質疑のお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。

 冒頭、菅官房長官にお伺いをいたします。

 通告外のことで恐縮でありますが、官房長官には、今年度のJアラートが五月十六日に一回目が行われるということを御存じでありましょうか。

菅国務大臣 突然の御質問であります。私、承知しておりません。

阿部委員 突然で本当に申しわけなく、恐縮なのですが、内閣官房副長官補という形で、各都道府県の国民保護担当部局に発令が四月六日に出ております。

 Jアラートについては、官房長官も御存じのように、昨年三月のものも、幾つかの不備が重なっておりまして、十一都道府県十五市町村でふぐあいがあったということで、改善ということが考えられておりますが、今回、五月十六日というふうに行われますこのJアラート、私はちょっと、時節を鑑みたときに、誤ったメッセージを送るのではないかと思います。

 Jアラートは、防災や、あるいはミサイルの問題で、広く国民保護、国民避難ということでありますが、菅官房長官も御存じのように、ちょうど五月九日には日中韓のサミットが行われて、合同コミュニケも出たやさきでございます。それから、これから行われる米朝会談ということも踏まえて、今、東アジアの、特に一九五三年の、終局していない朝鮮戦争のこれからというところで、平和的解決ということが何より望まれる中で、このJアラートの想定するものが、ミサイルが飛んでくる、子供たちには頭を抱えてというふうなことを要求する。国民へのメッセージといたしまして、この全体の流れと、その中でこれが意味するものというものが、私はちょっとずれてきていると思います。

 政治で一番大事なことは国民へのメッセージですので、よく官房長官の方で御検討いただきまして、何のためにやるものであるのか、十分な国民理解が行き渡るようにしていただきたい。できれば、私は、この期間中、非常にセンシティブな時期でありますので、延期なり中止なりしていただきたいですが、いかがでしょう。

菅国務大臣 今、思い浮かべてきました。

 避難訓練を、時期を見てやるという説明は、私、受けておりました。多分、五月何日というのはその日にちなんだろうというふうに思います。

 政府としては、国民の皆さんの安全、安心を確保する、これが最大の責務であります。

 そして、その訓練というのは、たしか、全国一律とか、そんな大規模なものではなかったのではないかなというふうに思っております。

 今、委員が御指摘いただきましたように、情勢は動いてはいるんですけれども、ただ、二十四時間三百六十五日、国民の安全、安心のために常に警戒監視、現実的に行っているということも、これは事実でありますので、そういう中で、その訓練について、日本全体に一挙にということでなくて、たしか、参画をするところの自治体の中での訓練だったというふうに思っていますので、そういう意味で、変なメッセージを与えるようなものにはならないというふうに、私、今思っています。

阿部委員 四月六日に発令されたものを見ますと、対象地域は、Jアラート受信機を運用する全ての都道府県及び市町村となっております。

 実は、私がこれを知ったのは、私は地元藤沢ですけれども、藤沢市の広報に出ておりまして、先ほど申しました、国民へのどんなメッセージを送るか。国民の安全ということはとても大事ですが、子供たちにとって、これから長い長い、このアジアでどんな友好の関係を築いていくかというときに、もともとJアラートは、北朝鮮からの弾道ミサイルということを強く、まあ指摘はしませんが、想定をしておりますので、子供たちに対するメッセージとして懸念をされるわけであります。

 官房長官、思い出していただきましたので、よく検討されて、機械のふぐあいを見るくらいはいいと思うんです、長いこと使わないと、ふぐあいはありますから。そうではなくて、この時期に、ある意味で、そのJアラートの訓練体制としてやられることは、私はよろしくないと思いますので、重ねての御検討をお願いいたします。よろしくお願いします。

 じゃ、次の質問に行かせていただきます。

 きょうも、また梶山大臣にお願いをしたいと思いますが、昨日の柳瀬参考人のお話から明らかになったことというのは、二つあると思います。おっしゃった限りにおいて明らかになった、それがどこまで真実かどうかは、これはわかりませんが、柳瀬さんの言葉から明らかになったと思われることが二つあると思います。

 一つは、四月二日の日に、加計学園みずからが来られて、その中で、国家戦略特区への申請を今治市とともに考えているというふうなことが話されたと。これは、通常はちょっと違和感があります。理由は、特区申請は自治体、国家戦略特区でもそうですが、ありますが、柳瀬さんの御答弁は、加計学園の方から、事務局からそのようなお考えがあるということを聞いたというのが一点。

 もう一点は、さて、じゃ、それを聞かれた柳瀬さんはそれを総理にお伝えになりましたかというと、これは伝えてはいませんという、この二つをおっしゃったかと思います。

 前段の方は、果たして、柳瀬さんはそのときお聞きになったんでしょうけれども、総理御自身は、加計学園が、構造改革特区にしろ国家戦略特区にしろ、特区という形式で獣医学部の新設を考えているということをいつお知りになったかということです。

 これも、いろいろな資料から見てまいりますと、お手元にきょうの準備いたしましたお手持ち資料があるかと思いますので見ていただければと思いますが、ここにございますのは、平成二十九年四月十八日、福島みずほさんが出された質問主意書で、同じように、総理はいつ加計孝太郎さんが今治市に獣医学部をつくりたいと考えていることを知ったか、知っていたのであればいつかということが質問をされています。

 この答弁書によります限り、下に答弁書をつけてございますが、国家戦略特区ではなく、構造改革特区の推進本部において、二十五年の十月十一、二十六年五月十九及び二十七年八月二十五日に政府の方針を決定して、さらに二十七年六月三十日に日本再興戦略二〇一五を閣議決定したところであるとなっておりますが、この前段が、安倍総理大臣を本部長とする構造特区云々であります。

 これは、質問と答えを素直に読めば、素直に文字のまま読めば、安倍総理は、構造改革特区に加計学園が申請されているということをお知りになったのはこの三つ並べてある時期であると読んでよいのでしょうか。お願いします。

梶山国務大臣 第二次安倍内閣の発足以降、今治市から四回にわたって構造改革特区の申請が行われました。ただし、そのいずれにおいても、今治市からの提案に加計学園との記載はございません。

 四回の提案のうち三回は、その対応方針を、総理が本部長を務める構造改革特区本部で決定しており、総理は今治市からの提案について知り得る立場にあったと答弁をされておいでになります。しかしながら、これらの今治市からの構造改革特区への提案についても、数十件ある案件の一つにすぎず、結果も、四回とも提案を事実上認めないものだったので、実際には全く認識していなかったと聞いております。

 一方、二十七年の六月三十日の「日本再興戦略」改訂二〇一五にも獣医学部新設の検討が盛り込まれましたが、これは新潟市からの提案をもとに、特区ワーキンググループで、場所を前提としない制度論を議論してきた結果であること、そして、獣医学部新設を含む規制改革項目の全体像について内閣府から総理に説明を行いましたが、今治市や加計学園などといった個別具体的な話は全くしていないことから、総理が加計学園の計画を認識する機会とはなりませんでした。

 最終的に、昨年一月に事業者の公募を行い、加計学園からの応募があって、一月二十日に諮問会議で事業認定することになりますが、その際、総理は初めて加計学園の計画について承知をされたものとこちらも承知をしております。そのことは、昨年の閉会中審査で繰り返し総理が答弁をされているということであります。

阿部委員 おっしゃったように、昨年の閉会中審査で繰り返し答弁されているのですが、その都度いろいろな委員からその矛盾を指摘されて、実は私は、きょう総理はお出ましではないですから、いまだにきちんとした御答弁がないのだと思います。

 単に総理は、いろいろな決裁文書を見るだけだから、あったかもしれないが自分は今治のこととは思わなかったということなのでしょうが、でも、総理は、獣医学部の新設ということには常日ごろからお心を持っておられたはずであります。見過ごすことがないような総理の関心事であったとは思います。

 引き続いて、今度は、第十八回の国家戦略特区の諮問会議、平成二十七年十二月の十五日、大臣のお手元にもございます。これは、国家戦略特区の戦略会議で、十番目となる国家戦略特区として、広島県と愛媛県今治市が総理みずからの口で指定をされた、認定をされた回でございます。

 その下に赤線を引きましたが、皆さんには黒い線かもしれません、下に、「獣医師系の国際教育拠点の整備など、」とわざわざおっしゃっているわけであります。おわかりでしょうか。愛媛県今治市で、「獣医師系の国際教育拠点の整備など、」ということで指定をしておられます。

 このときもなお、総理は、今治市ないしは加計学園での獣医学部の申請については、というか特区申請についての意向については御存じなかったということでしょうか。

梶山国務大臣 今委員御指摘のように、今治市から、平成二十七年の春の集中受け付け期間及び同年十二月十日の特区提案をいただいたわけであります。その後、他の自治体も含めて特区提案に関するヒアリングを実施する中で、今治市は、獣医学部設置に加えて、しまなみ海道のサイクリングブームを後押しする高度外国人材の積極的な受入れや、活力ある地域づくりのための道の駅の民間参入など、大胆な規制改革を提案をし、特区ワーキンググループ等の民間有識者から極めて高い評価を得たところであります。最終的には、二十七年の十二月十五日、特区諮問会議に諮り、今治市等の特区指定を決定したものであります。

 したがって、安倍総理は、この時点で今治市が獣医学部新設を提案していることを知ることになったわけであります。しかし、その時点においても、またその後のプロセスにおいても、事業主体が誰かという点について提案者である今治市からの説明はなく、加計学園の計画は承知していなかったということであります。

 そして、これは規制改革事項なんですね、ここで議論しているのは。ですから、最終的には、昨年一月に事業者の公募が行われ、一月二十日に諮問会議で認定することになるわけでありますが、その際、総理は初めて加計学園の計画について承知することとなったものであると認識しております。

阿部委員 今の答弁はさっきの答弁より更に苦しいと思うんですね。構造改革特区に何回か出されたけれども、認定されたものでなかったから目にとまらなかったと。

 ただ、繰り返しますが、総理御自身は、獣医学部の新設というのは、御自身も重要だと思っていらした案件です。このときは、今治市というところがその対象になる、これは御自分でおっしゃったわけです。だけれども、加計学園とは結びつかないと。長年の友人の加計孝太郎さんが何らかの形で思っていられたことでありましょう。だけれども、思いはいたせなかった、総理は、今治ということは思ったけれども、加計とは思わなかったということですが、これはいずれも、とても私は、不自然で。

 プラス、実は、昨年の七月の参議院の審議のときに、総理は、ある委員の質問に答えて、平成二十七年の六月の四日、申請したときにお知りになったと最初は答弁されたんですね、二十七年の今治の申請時に。その後、答弁を変えておられますが、少なくとも、去年の、二〇一七年の一月までの間には、二回も三回も、恐らく、知っておられて当然のような事態があったんだと思うんです。それでもなお総理は知らぬ存ぜぬとおっしゃるので、非常にひずみが深くなっている。

 プラスです。じゃ、柳瀬さんが総理に二十七年の四月二日に加計学園の皆さんと会ったことを一切伝えなかったということをそのまま信じた場合に、何が問題だろうということを少し、大臣にも認識をしていただきたいので、お話をさせていただきます。

 おつけしました資料の、時系列になって、何がいつどのようにということを書いたものがございます。この中に、加計学園、今治というところのずっと下の方を見て、二〇一七年あたり、ここには、空白にしてございますが、これもさきの委員会の質疑の中で、例えば大串委員との質疑の中に、二〇一七年の七月二十一日、加計孝太郎さんと総理は山梨県の焼き肉屋さんで会われ、二十二日はゴルフに行き、八月十日が河口湖の居酒屋に行き、八月十一日は山中湖のゴルフに行き、十月二日は渋谷の焼き肉屋に行き、十二月二十四日は、フェイスブックに載っておられる加計孝太郎さんと御一緒の写真があります。

 いずれも二〇一七年のことで、ごめんなさい、二〇一六年、私も間違えました、二〇一六年のことでありますが、このとき、お支払いはどうしましたかということが聞かれているんですけれども、割り勘だったと思う、あるときはごちそうしてもらったこともあると思うと総理は述べておられるんですね。

 もしも、加計学園から、上に上って四月の二日の日に、柳瀬さんが言うように国家戦略特区への申請を考えておられるという加計学園の意向を総理に伝えておれば、総理は、その特区申請をしたいと思っていらっしゃる、意思のある加計学園の孝太郎さんから物をごちそうになったり、ごちそうするのはいいのかな、わかりません、とにかく、そうしたことは、やはり大臣倫理規範に私は抵触してくると思うんです。

 柳瀬さんが総理に伝えなかったことによって、総理は、それまでの加計孝太郎さんとの交遊関係を継続され、御飯を食べたり、ゴルフに行ったり、何回も何回も何回もやり、それは、御答弁でもそうですが、割り勘だった、あるいはおごってもらったこともある、相手が、自分がごちそうしたこともあるというような関係が生じてしまっています。

 これは私は非常に問題なんだと思います。本当に柳瀬さんがおっしゃっていなかったとして、いなかったゆえに、総理が御存じないから、結果的に、そうした国家戦略特区に申請したいと思っている人との間の不正常な関係が生じたんだと思いますが、梶山大臣はどうお考えですか。

梶山国務大臣 総理と加計さんのおつき合い、そして、何度か食事をしたということについては、私はちょっと確認できておりませんので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 全てはやはり国会での答弁に基づくということで考えております。

阿部委員 じゃ、確認してくださいな、そんなことをおっしゃるのなら。総理の答弁ですから。大臣、そんなのはだめですよ。

 総理はみずから、お会いした、ごちそうされたことも、したこともあるとおっしゃっているんです。でも、それは、もしかして、柳瀬さんが伝えなかったから、加計学園からこういう申請があって、自分のところに来て相談を受けていますと伝えなかったから起きてしまった出来事ではないですか。伝えていたらもっと問題ですけれども。

 調べて、ちゃんとした御答弁をくださいな。一国の総理大臣が、自分が置かれた立場と、やっていいこと、悪いこと、あると思います。

 今私が読み上げたのは、別にどこかから持ってきたのではなくて、国会の審議の中での答弁、やりとりから引用をさせていただきました。

 次回の委員会までに明確に答弁してください。

梶山国務大臣 私が承知していないと言ったのは、何回食事をして、どういった、いつごろという話については詳細は承知をしていないということを申し述べさせていただきました。

 総理の国会の答弁においては、加計理事長とは総理が政治家になる前、ずっと前の学生のころからの友人であること、しかし、加計理事長が安倍総理の地位を利用して何かをなし遂げようとしたことはこの四十年間一度もなく、獣医学部の新設について相談や依頼があったことは一切ないこと、そうした関係だからこそ長年の友人であり続けることができたのだと思うと述べられていることを承知しておりますし、この答弁をとって申し上げた次第であります。

阿部委員 私の聞いているのはそれではありません。

 具体的に、先ほど、七月から十二月まで、少なくとも六回お会いになって、食事をされたりプレーをしました。総理大臣は答えておりますが、私のプレー代は全て私が払っております。食事代もそうですねと聞かれて、私がごちそうをすることもあり、先方が持つ場合もございますと。先方が持ったらいけないんですよ。先方が持ったら、その先方とは、加計なんですよ、加計孝太郎さんなんですよ。

 この時系列をよく見てください。赤に書いてあるところの前、四月二日、ここ、柳瀬さんが加計学園と会ったときですよ。今私が読んだのは、下の真っ白な二〇一六のところですね。空白にしてあるところです。そこで何回か食事されたりしているんですね。

 そうなれば、もしその前年の二〇一五年の四月二日に聞いておられたなら、柳瀬さん、聞いたと言ったんですから、それを総理に伝えていないことによって、ここに申請をしようとしている人から供応を受けたということになってしまうじゃないですか。明確に答弁してください。そんなこと許されていいわけない。いかがですか。

梶山国務大臣 国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範は、公職にある者としての清廉さを保持し、政治と行政への国民の信頼を確保する観点から、内閣総理大臣その他の国務大臣等がみずから律すべき規範として定められたものであります。

 総理は、加計氏とは学生時代からの友人であり、職務に関連して便宜供与を受けたことは一切ないし、便宜を図ったこともない、加計氏と総理との飲食等はあくまで友人としてのものという答弁をされております。その上で、国民の皆様から疑念を招くことのないよう、国民の厳しい目線をしっかりと踏まえた上で、しっかりとみずからを律して対応してまいりたいという答弁がございますので、このとおりだと思っております。

阿部委員 そのとおりにならないでしょう。四月二日に加計と会ってしまわれたから、柳瀬さんが。加計は、国家戦略特区として申請したいとおっしゃっているんですよ。

 大臣、どうですか。そういう意思を持った方とお会いになって、それでも私的な時間だからとおごってもらいますか。こういうのを李下に冠を正さずというんです。もらってはいけないのです、私的な時間であっても。それが公務員としての矜持なんです。疑わしきは罰せずになってはいけないから、疑われることをやってはいけないのです。

 繰り返しますが、柳瀬さんが総理に伝えなかったことによって、総理は知らずに、と思いたいですよ、知らずに加計孝太郎さんからおごってもらうこともあったんですよ。御自身がそう答えていますから。これはいつの答弁かというと、平成二十九年七月二十四日ですよ。総理御自身の言葉です。「食事代については、私がごちそうすることもありますし、先方が持つ場合もございます。」、持っちゃいけないんです。

 どう思われますか。明確にしてください、そんな、はぐらかさないで。

梶山国務大臣 仮定の問題には、想定の問題には答えられないんですけれども、総理が知ったのは昨年の一月二十日ということであります。そうして、それが全てであると思っております。

阿部委員 ちゃんと聞いてくださいな。知らないででも問題だと言っているんです。だから、秘書官は総理に会ったことを伝えなきゃいけないんです。知らないでであっても、会ってはいけないんです。そういうお立場なんです。知らなかったからいいでしょうと言うんだったら、たくさん知らなかったことにできます。そういう立場にあるということが総理がおわかりにならない、ないし梶山大臣がおわかりにならないんだったら、国家公務員の倫理規範って何なのかということであります。

 逆に、柳瀬さんが伝えなかったことのデメリット、マイナスがこういう形で出ているんじゃないですか。伝えなかったということを信じればですよ。ここにも大きな疑義があります。伝えてやられたんだったらもっと問題だし、でも、伝えていなかったとしても問題なんです。

 官房長官、いかがですか。四月二日、加計学園は国家戦略特区に申請の意向を持って、柳瀬さんがそれをお聞きになりました。その翌年、夏から冬にかけてゴルフを何回かされ、食事を何回かされ、物によっては、場合によってはごちそうになっていましたと総理がおっしゃっている。問題と思われませんか。いかがですか。

菅国務大臣 今、梶山大臣が答えたとおりだろうと思います。

阿部委員 そんな態度だから、この内閣は全てのことにずるずるなんです。何があったって知らぬ存ぜぬ。お金の問題も、そしてセクハラの問題もです、ついでに言えば。なぜそんなにみずからを律する倫理がないのですか、この内閣には。あり得ないですよ。

 大臣御自身に御友人がおられて、その御友人が、大臣、知らなくても、何か国の補助金とか申入れをしているときに、やはり考えますよね、その場面場面で、お金をどちらが支払っていいのか悪いのか。そういう感覚はお持ちですよね。いかがですか。

梶山国務大臣 これも仮定の問題にはちょっと、想定の問題には答えられないということでありますけれども、友人といかに関係があるか、仕事の関係があるかということは、その都度適切に考えていくべき事柄であると考えております。

阿部委員 仮定でも想定でもありません。友人とどういう関係にあるかも一般論ではありません。大臣という任にある方、総理大臣など、国民から疑義を抱かれないようにすることは当然の責務ではありませんか。そんな対応ばかりで、答弁にもなっていないですよ。あきれます、もう。本当にそういう答弁でいいのですか。たとえ知らなくても、だめなことはだめなんです。

 しつこいようですが、どうですか、もう一回。私は、梶山大臣は誠実な方だと思っています。そんなことまで知らなかったからいいとされたら、全部おかしくなります。いかがですか。仮定でも想定でもないです。議事録からとりました。議事録の発言です。いかがですか。

梶山国務大臣 繰り返しになりますけれども、総理がおっしゃっているように、国民の皆様から疑念を招くことのないよう、国民の厳しい目線をしっかりと踏まえた上で、しっかりみずからを律し対応してまいりたい、それが全てであると思っております。

阿部委員 まいることになっていないから、わざわざ時間を費やして質問をしているんです。

 菅さん、これで国民の厳しい目線に応えたことになるとお思いですか。どうですか。

菅国務大臣 この問題については、所管大臣が先ほどから答弁をいたしております。ですから、それに私自身がつけ加えることはないというふうに思います。

阿部委員 所管大臣もちゃんと答えず、菅官房長官は、いつも言いますが、この内閣の基であるのにそういう態度で終始するから、内閣自身の信任が揺らぐんです。政治の信任が揺らいでいる。

 きょう私は、これは、総理大臣がおられるところではありませんから、ここにて一旦、終わりとは言いません、問題提起をさせていただきます。柳瀬さんが言わなかったことによって、総理大臣は、利害関係者から食事をおごってもらうことになっているということを指摘させていただきます。

 そして、それのみならず、この加計問題はもう不公平の塊、どうしてそうなるのということばかりであります。

 二つ、加計学園と京都産業大学を並べた図をつくったのはその意味でありますが、まず、この加計学園が、四月の二日、柳瀬さんに、自分たちは今治市と一緒になって国家戦略特区を申請したいと思うと言われたということでありますが、六月四日に、広島県と今治市が国家戦略特区申請をされて、翌日の六月五日にはヒアリングが行われます。

 梶山大臣に伺いたいですが、前日に申請して翌日にワーキンググループのヒアリングが行われるなどということはあるのですか。こんなこと、準備できないと思いますが、いかがですか。

梶山国務大臣 ワーキンググループのヒアリングについて、関係者の日程を調整の上で開催日時を決定をし、ヒアリングの開催日に向けて提案者が提案内容の調整を行うことが一般的になっております。このため、ヒアリングに向けた準備期間の日数や提案内容の調整の状況により、ヒアリングの開催日の直前に正式な提案をいただくことになる場合もあります。

 少なくとも、昨年度に行われた提案者ヒアリングに関して、別のものですね、前日に提案資料の提出が行われている例が複数あると聞いております。

阿部委員 今おっしゃったのは提案資料が出された日です。今私が聞いたのは、申請と翌日ヒアリングがあるかということです。大臣、意味が違うの、おわかりですか。資料を用意するのが前日だっていいんですよ。申請して翌日ヒアリングですよ、そんな前例ありますか。ちゃんと答えてください。

 答えられないなら、とめてください。時間をとめてください。

梶山国務大臣 今言ったように、複数件ございます。

阿部委員 では、その申請日と翌日のヒアリング、ワーキンググループのヒアリングですよ、私の手元に下さい、きちんと。(梶山国務大臣「わかりました」と呼ぶ)はい。

 それに比べて、京都産業大学は、翌年の三月、二〇一六年の三月に特区申請をして、ワーキングのヒアリングが行われたのは十月でした。これはまた余りにも長い。七カ月も待たされたということであります。

 申請の翌日ヒアリングをしたものと、申請してから七カ月もヒアリングで待ったものと、明らかに不公平と不公正です。何が違ったのか、これも後ほどで結構です、先ほど翌日にやった事案があるということでしたので、それとあわせて、何が違うのか教えてください。

梶山国務大臣 後ほど資料を提出するように、委員長の指示に基づいて考慮させていただきます。

阿部委員 ありがとうございます。

 入り口も、例えば柳瀬さんは、わざわざ加計学園に会い、あるいは藤原豊地方創生推進室長がわざわざ岡山と今治に行き、これも異例なことですよね。京都産業大学ではそういうことはなされていない。また、大槻教授などがいろいろ御発言のところを聞くと、何で遅くになって申請してきたんだとまで言われたと。明らかに不平等と不公正が行われていると思います。

 そして、大臣、昨日の柳瀬さんの参考人招致を聞いて、愛媛県の知事が、あたかも愛媛県の職員の記載したものが真実ではないというふうに受けとめられるような発言だったと不快感を呈しておられます。また、今治市の市長も同行していたということも市の職員がおっしゃっています。柳瀬さんは、吉川準備室長が真ん中にいて、あとはその他大勢で、名刺もどこかわからないというふうなお話をされましたが、そのことについても自治体は非常に不快感を持っておられます。

 大臣の役割として、国家戦略特区が今、地方創生という形の中の一つの区分になって、地方自治体との信頼関係が物すごく大事です。この、きのうの発言を受けた愛媛県や今治市の方のその思いをきちんとお聞きになっていただきたい、お会いになっていただきたい。いかがですか。

梶山国務大臣 求めがあればお会いしたいと思います。

 きょうの午前中のお話につきましては、私、詳細を承知しておりませんので、ここではコメントは差し控えさせていただきます。

阿部委員 きょうの午前中のお話というのは、私が何か指摘したことで……(梶山国務大臣「いや、知事のコメントのことでございます」と呼ぶ)はい。

 存じ上げていないとかではなくて、地方創生大臣の役割なんだと思うんです。地方との関係が信頼がなければ、意味がない。何で国家戦略特区が地方創生に回されたんですか。本当に地方に信頼を得ないと。

 それから、昨日、参議院で、もとの愛媛県知事の加戸さんが来られて、御発言は、要約すると、四月二日にお会いして、国家戦略特区の申請についてアドバイス、後押しをいただいたということが大変助かったというふうにおっしゃっておられますが、これは自民党の皆さんの質問でしたから、そういうことなんですか。

 事業体が申請に行って、それで、柳瀬さん始め誰かが後押しして、この国家戦略特区が進んだんですか。いかがでしょう。

梶山国務大臣 申請は、まだその時点ではしていないと思っております。

 そして、国家戦略特区に関しましては、新しい制度であったということで、その当時、大臣以下、この周知のためにいろいろなところで説明をしているということでありまして、一般論として言えば、その周知のための説明であったと考えております。

阿部委員 周知のための説明が魔法のような力になったと受けとめられているわけですから、これもまた不公平、不公正のもとだと思います。

 最後に、国家戦略特区のいわゆる基本方針というものから見ていかがであったかということをお尋ねさせていただきたいと思います。

 資料の最後につけてございますが、一枚ペーパーで、国家戦略特区は云々から始まります。下の方に、国家戦略特区の指定の基準ですね、国家戦略特区の指定に当たっては、恣意的とならないよう、その検討過程の透明性を確保するとともに、可能な限り定量的な指標も活用しつつ、客観的な評価に基づいて検討を行うこととするとなっております。

 菅官房長官に伺います。

 これは閣議決定事項だと思いますが、基本方針なので。違ったら、私の理解で、申しわけありませんが。今回の事案は、このように行われているとお考えでしょうか。

菅国務大臣 今回のプロセスでありますけれども、特区への指定、規制改革項目の追加、事業者の選定、いずれについても、関係大臣間で異論がないことを確認をし、合意の上で、関係法令に基づき適正に行われた、このように思っています。

阿部委員 これもまた終始一貫して、隠蔽と不公平の塊だったと思います。

 以上で終わらせていただきます。

山際委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 国民民主党の森田俊和でございます。

 本日、質問の機会をいただき、ありがとうございます。三十分の質問時間をいただいております。

 一般の質疑ということで、アベノミクス、生産性革命など、内閣が進める諸政策についてお伺いをさせていただきます。よろしくお願いをいたします。

 質問の前ではございますけれども、各省庁、それから、きょうは日本銀行の前田理事にもお越しをいただいております。答弁調整、準備に携わってくださった皆様、それから衆議院の方でも調整に携わってくださった皆様、きのうも遅くまでというか、けさ早くまでというか、お仕事をしていただいたと思います。ありがとうございました。私が議員としてできることは限られておりますけれども、せめて一時間でも早く通告するなど、足元からできることを積み上げていきたいというふうに思っております。感謝の気持ちを持って、質問に入らせていただきます。

 まず、アベノミクスについてお伺いをさせていただきます。

 私は、毎週、これは浪人中からしているんですけれども、私の後援会長でもある病院の理事長先生と幸せ研修という勉強会をやっておりまして、人間はどうやったら幸せになれるかということを、いろいろと資料、書籍などをもとにして、メンバー六人、若手から五十代、六十代ぐらいの方まで含めてやっております。

 この勉強会の中で、よくアベノミクスのことも議論になりまして、いろいろな話が出てまいりますけれども、例えば雇用が改善した、これは確かにそうなんだけれども、いわゆる現役世代が減ったということが主な原因ではないか。株価が上がった、確かにそうだ、これは政府がお金をいろいろな形で市場に流し込んでいるので、それは確かにそうなるだろう。企業の利益が最高水準になった、これもそうだということがありますけれども、ただ、アベノミクスの効果で円安になったことで、海外でのもうけが、評価が上がったということで、そういう意味ではアベノミクスの効果とも言えるんじゃないかなという話なんかも出たりしています。

 一方で、労働生産性は上がっているのかといえば、これは上がっていない。企業の売上高はどうかといえば、財務省の法人企業統計によると、海外での売上高を除くと売上高は伸びていないということになっております。売上高が伸びていないということは、賃上げもベースアップではなくてボーナスで、いわゆる変動的な経費として処理していくということになっていくだろう。そういったような議論が交わされてまいりました。

 この前、今週の水曜日でございますけれども、たまたまその勉強会のときに、国債の話になってまいりまして、証券会社の社員であるメンバーがおりますけれども、そのメンバーが、このままアベノミクスの異次元の金融緩和で日銀が国債を買い続けていくと、買える国債がなくなっていくんじゃないか、そういうことを言っておりました。

 今、国債の発行残高が約一千兆円、そのうち日銀が買って持っているという分が約四割の四百兆円というふうに伺っております。あれ、まだ六割も残っているんじゃないのということだったんですけれども、更に聞いてみたところ、日銀は直接政府から国債は買えないということで、銀行などから国債を買っているんだと。

 確かに、発行額の六割は、まだ日銀以外の人だとか機関投資家が持っているということがある。しかし、ある一定程度のところまで行くと、国債を安全な資産として機関投資家などが持っていて、手放さないであったり手放せないような分が出てくる。ということなんで、これ以上買うと思うと、売ってくれる先がなくなってしまうんじゃないかというお話をそのメンバーはしておったわけです。

 そこで、日本銀行にお伺いをさせていただきます。

 現在持っている国債、約四百兆というふうに伺っておりますけれども、全体の発行額の約四割。これ以上買い入れることが難しくなるのではという心配をする声がありますけれども、いかがでございますか。御所見をお聞かせいただきたいと思います。

前田参考人 お答えいたします。

 日本銀行は、二〇一六年九月以降、短期政策金利と十年物国債金利の操作目標を示した上で、これを実現するよう、国債買入れを行うイールドカーブコントロールを政策枠組みの中心に据えているところでございます。それ以前には国債の買入れ額そのものを目標にしておりましたので、その枠組みからは変化しているということでございます。

 こうしたイールドカーブコントロールのもとで長期金利の操作目標の実現を目指した結果として、実際の国債買入れ額は、市場の状況に応じて、ある程度の幅を持って変動するということになります。

 例えば、今委員御指摘ありましたとおり、なかなか市場参加者が手放さないということであれば、一時的には買入れ対象となる国債が品薄となる。そうなって需給がタイト化しますと、他の条件を一定とした場合、より少額の国債買入れによって同じ金利水準を実現することが可能となるということでございます。このため、かつての枠組みに比べて柔軟な国債買入れが可能となっております。

 こうした点を踏まえますと、日本銀行が今後とも国債買入れを継続していくということは十分可能であると考えております。

森田委員 前田理事、ありがとうございました。

 先ほどの御答弁ですと、額からイールドカーブということで、その内容的には変わってきているというお話がございました。

 当然、いろいろなリスクというものを認識していらっしゃるんだろうなというふうに思っておりまして、異次元の金融緩和という、異次元なわけですから、その出口を探していくというようなお話も、ぼちぼちお話が出てきているということも伺っております。

 政府から独立した立場でもございますので、経済の安定を図るという意味では、国民の利益を考えて行動されておられるんだと思います。

 なかなか、日銀というと、普通の国民の方からすると縁遠い存在、ちょっと難しいなということだと思うんですけれども、ぜひそのリスクについても積極的に情報を提供していただきたいなと思います。

 リスクはあるけれども、こういう考え方でやっているということで、いざとなったら、国民を含めて運命共同体なわけですから、ぜひ、こういった厳しい状況も含めて現実を受けとめながら、行き過ぎないところで方向転換をするという勇気も持たなければいけないというふうに私自身も思っておりますので、ぜひ今後も引き続き賢明な御判断をお願いしたいと思っております。ありがとうございました。

 そして今度は、財務省、国債を発行する側のお考えを伺ってまいりたいなと思っております。

 国、地方合わせての債務残高は一千百兆円ということでございまして、大変な金額になっている。当然、こんなに借金をして大丈夫なのかなという声が出てくるわけでございますけれども、しかし、これに対しては、大丈夫だよ、日本はアルゼンチンだとかギリシャとか、そういう国とは違うんだよという説明がなされてまいりました。日本の中でお金をやりとりしているんだから、いわばそれは家族の中でお金を融通し合っているようなもので、ほかの国みたいに国が破産しちゃうような、そういう騒ぎにならないんだよというような説明がなされたというふうに承知しております。

 今、新規の国債発行が二十八年で三十八兆、それから二十九年度で三十五・六兆で、今年度の当初では三十三・七兆ということになっております。国民の金融資産一千八百兆、この約一千八百兆という金融資産と照らし合わせて考えてみると、国と地方を合わせた借金の額は一千百兆円ということで、この差額が七百兆円になるということで、仮に三十五兆円ずつ、これから毎年国債を積み増していくということになると、計算上は二十年で同じ額になってしまうということでございます。

 もちろん、これは仮定の計算ですので、歳出を減らすだとか、あるいは税金を上げるだとか、いろいろとその取組を進めていくことで計算は変わってくるはずです。しかし、リスクとしては、こういうリスクがあるということだろうと思っております。

 国民の金融資産で国債が消化できなくなると、外国に頼らなければならなくなる。そうすると、国債の価値が大きく下がるリスクが出てくるということになるんだろうと思います。そのリスクを市場、具体的には格付機関が認識し出したときに、大きな変化、マイナスの変化、影響が起こらざるを得なくなるということになってくるんだろうと思います。

 そこで、長峯政務官にお伺いをさせていただきますけれども、近い将来の国債暴落のリスク、これをどのように捉えていらっしゃるか、御所見を伺えればと思います。

長峯大臣政務官 お答えいたします。

 これまで日本の国債は、豊富な家計金融資産にも支えられ、安定的に消化をされてきたところでございます。しかしながら、高齢化等によりまして家計金融資産が伸び悩んでおる一方、政府の債務残高は累増いたしまして、両者の差額は一九九〇年代と比べると縮小傾向にございまして、今後、国債消化をめぐる状況が変化していくことも考えられます。

 仮に国債の消化に対する不安から金利が急騰するようなことがございますと、経済、財政、国民生活に重大な影響が及ぶ、これは委員の御指摘のとおりでございます。

 したがいまして、このような事態を招かないように、引き続き、適切な国債管理政策に努めるとともに、財政健全化の取組を着実に進めて、国債に対する信認を確保していくことが重要だというふうに考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 こうした状況が、先ほど申し上げたような状況が起こるか起こらないかというのは、先ほども申し上げたように、これからの取組や市場の判断によって変わってくるわけでございますけれども、起こってから、やはり起こっちゃいましたということでは取り返しのつかないことになってしまいます。

 こういう心配のリスクの話をすると、何か、財務省が裏で仕組んでいるんだとか、増税ができるように仕組んでいるんだ、そういう話も出てきちゃったりしますけれども、絶対日本が大丈夫だとか、あるいは絶対に暴落するとかという極端な考え方でなくて、恐らく現実はその中間のどこかの位置になってくるんだろうと思います。

 これは言うまでもなく政治の問題でもありますので、これから支出の削減、歳入の増加、こういったことを一つ一つ積み上げていかなければいけないんだろうというふうに思っております。私も当然、政治にかかわる者としての責任があるというふうに思っておりますので、ぜひこれからも、私自身も大きな関心を持ってかかわっていきたいと考えております。

 それから、続いて、生産性革命についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほどのところでも申し上げましたけれども、この五年ぐらいのところを見てみますと、生産性は上がっていないということになっております。

 求人が伸びておりますけれども、これは、説明によりますと、経済が大きくなっているからふえたというよりは、製造業から非製造業へのシフトが起こっているために伸びているというような説明がなされているというふうに承知をしております。特に、日本は非製造業において生産性が低いというような現状もございます。

 政策においては、どうしても制度的な対応というものが中心となって、これは当然のことだと思うんですが、しかし、生産性を上げていくというところを一つ一つの現場で見ていった場合には、言うまでもなく、そこにいるのは経営者であり、あるいは従業員さんであり、結局は人がそこにかかわっている、中心をなしているということだと思います。

 そこで、茂木大臣にお伺いをさせていただきますけれども、生産性を上げるにはどのような従業員が必要だというふうにお考えでしょうか。お聞かせいただければと思います。

茂木国務大臣 まず、直近の雇用の情勢でありますけれども、有効求人倍率一・五九という数字でありまして、これは、一九七〇年代の前半以来、四十四年ぶりの高い水準にあるのは間違いない。ただ、委員おっしゃるように、サービス業であったりとかさまざまな産業の現場において生産性向上に課題がある、これは確かだと考えております。

 生産性革命を進めまして、企業の生産性を飛躍的に押し上げていくために、今進んでおりますAIであったりビッグデータであったりIoT、こういった第四次産業革命のイノベーションを社会実装することによって、ソサエティー五・〇、つまり、人類の歴史でいいますと、狩猟社会から始まって、農耕社会、工業化社会、高度情報化社会、この次を行くソサエティー五・〇を実現していくことが重要だと考えております。

 このソサエティー五・〇の時代には、例えば、ITの専門スキルを持ち、産業構造の変化に対応して新たな価値を生み出すことができる人材であったりと、技術革新、人間の体でいいますと、例えばAI、これは頭脳の一部を代替したり補完をする、また、ロボットというのは、わかりやすく言いますと、筋肉を代替する、そしてIoTが神経系統、これに当たる部分だと思いますけれども、こういった技術革新を生産現場の革新につなげることができるような人材、こういった人材を最大限活用していくことが必要だと考えております。

 もちろん、個々人がやはりスキルアップを図っていく、みずからの投資、みずからのキャリアアップ、キャリアチェンジに主体的に取り組むことが何より重要だと考えておりますが、国としても、こういった個々人の主体的な取組、しっかりと支援をしていきたいと考えております。

 安倍政権が今進めております人づくり革命では、こうしたリカレント教育であったりとか専門教育の多様なプログラム、恐らく、これから五年、十年を考えても、IT人材だけでも数十万単位で不足してくるわけでありまして、こういった新しいニーズに対応できるような多様なプログラム、これを雇用保険特会であったりとかそういった財源も活用しながら大幅に拡充していくとともに、同時に社会のニーズに応えられるような教育にしていく必要がある、そのための大学改革等々もしっかり進めていきたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 AIだとかビッグデータ、IoT、いろいろな技術やシステムを使いこなせる人が大事だ、新しい価値を生み出すというようなお話がございました。確かにおっしゃるとおりだと思います。

 それとまた違う視点で、やはり、そもそも一生懸命働くという人がいないと、技術が使いこなせるというだけでは、そこに魂が入ってこないんだろうなと思っております。これは後で、また人づくりの方で質問させていただきたいと思います。

 それから、意欲ということに関連して考えますと、やはりその一つの要因に賃金というものが出てくるんだろうと思います。

 生産性を上げるには、それなりの給料を払って、一生懸命働こうという人を評価する、一生懸命やる人をふやしていくということがそういう面からも必要だろうと思います。

 特に日本では、全体の九割以上が、ほとんどが中小企業だという状況でございますので、こういうところには労働組合もないということでございます。

 そこで、お伺いをしますけれども、中小企業の経営者に対して、従業員の賃上げをどのように進めていってもらいたいというふうにお考えでしょうか。また、賃上げをしてもらうための取組あるいはその周知をどのようにしていらっしゃるか、御答弁をお願いします。

吾郷政府参考人 お答えします。

 日本経済あるいは中小企業の活力という観点からも、賃上げの流れを中小企業にも広げて、経済の好循環を確実なものにしていくことが重要というふうに考えております。

 そのためには、まず生産性の向上で付加価値を生み出して、そして取引先との取引条件の改善などで付加価値を中小企業にしっかり残して、そしてその付加価値を賃上げあるいは人材投資に回していただく、生かしていただくということが重要と考えております。

 生産性の向上につきましては、IT導入補助金あるいはものづくり補助金などの予算措置、それから、今国会に生産性向上特別措置法案を提出いたしまして、自治体の御判断によりまして固定資産税をゼロにする新しい制度も導入しております。

 取引条件の改善につきましては、業界ごとに自主行動計画をおつくりいただきまして、逆に、経済産業省の方では下請Gメンというのを、体制を八十名から百二十名に増強いたしまして、さらなる取引条件の改善を図っているところでございます。

 そして、賃上げあるいは人材投資の促進につきましては、平成三十年度の税制改正におきまして、所得拡大促進税制、これを、中小企業部分、抜本的な拡充をしているところでございます。

 具体的には、一・五%以上の賃上げを行う中小企業への法人税の税額控除を、給与等支給増加額の一〇%から一五%に引き上げました。また、大企業並みに二・五%以上引き上げ、更に人材育成、研修あるいは生産性向上に取り組む中小企業につきましては、この控除率が更に二五%ということで、重点的な支援を行っているところでございます。

 こうした施策の広報のお話もございましたけれども、ポータルサイト、中小企業関係ではミラサポというのがございますが、そのほかメールマガジン、パンフレット、説明会などで周知を行っておりますし、それから、中小企業だけではなくて、中小企業の相談役となる商工会議所、商工会あるいは税理士、金融機関、こういったところにも説明会等を行って、幅広く御活用いただくように努力しているところでございます。

 以上でございます。

森田委員 ありがとうございました。

 いろいろと取組を進めていただいているということで、税額控除のお話もありました。確かに、具体的なメリットが金額的な形で見えてくると、企業としては取り組みやすいのではないかなというふうに思っております。

 それから、これは制度的な面とはちょっと外れるところなんですけれども、やはり賃上げの意義という、先ほども申し上げたような、賃上げの意義というところをぜひ強調していただきたいなと思っています。

 これは、鶏が先か卵が先かというような話にはなると思うんですけれども、やはり一生懸命働く社員さん、従業員さんがふえると業績も改善していくという、そういった、ブラック企業では人は集まらない、いい人が集まらないとやはり業績も振るわない、こういうことを、いい循環を生むためにもやはり処遇をよくしていくということが必要だということを、できれば具体的ないろいろな事例なんかを取り上げていただいたりして、先ほどお話のあったような、いろいろな団体だとかでもPRをしていただけるといいんじゃないかなというふうに思っております。

 続いて、一億総活躍についてお伺いをさせていただきます。

 総活躍というと、どうしても現役世代のことがすぐ頭に浮かんでくるわけでございますけれども、特に、例えば女性に働いていただくというようなことだと思います。

 しかし、私が思うに、いろいろ今地元を回っていて思うのは、もっと大事なのは、生涯現役の社会というあたりがより強調されるべきなのかなというふうに思っております。

 今、団塊の世代の方々が大量に退職をしているということになっておりまして、六十歳だとか六十五歳で定年になった後、その先、平均余命で考えると二十年とか二十五年という年月をどのように過ごしていくかということは、とても大事なことだというふうに思っております。

 よく聞くのは、定年後は悠々自適というような言葉を聞きますけれども、だとしても、毎日ゴルフをしたり旅行したりということは、これはそうはいかないですし、恐らく、悠々自適といっても、二、三週間もあればもう十分だというようなことになってしまうんだろうなと思います。

 六十、六十五で定年といっても、まだまだ今元気な方が多いですし、そういった方々に、時間に余裕のある方も多いと思います、活躍をしていただくということが大変重要になってくるんだろうなというふうに思っております。

 そこで、お伺いさせていただきますけれども、現状の定年とされている年齢に達した方々の活躍をどのようにお考えでしょうか。御答弁をお願いしたいと思います。

大島政府参考人 お答えします。

 女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や病気のある方も、誰もがあらゆる場で活躍できる一億総活躍社会の実現は、政府の基本方針としています。

 一億総活躍社会を実現するためには、人口が減少している中においても我が国の成長力を確保していく必要がありまして、そのためにも、高齢者の就業率を高めていくことが重要です。

 また、就労だけでなく、地域社会において誰もが役割を持ち、支え合いをしながら、自分らしく活躍するという観点も重要であると考えます。

 このため、平成二十八年六月に決定したニッポン一億総活躍プランにおきましても、高齢者への多様な就労機会の確保ですとか地域共生社会の実現に向けた取組を盛り込んでいるところでありまして、この実現に向けまして、今、関係省庁と連携しながら取り組んでいるところでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 私が代表を務めております介護施設には六十代後半の女性の職員がおりまして、がんの治療をして一時職場を離れていたんですけれども、また抗がん剤の治療を継続しながら戻ってきてくれました。もちろん、無理に働かせているわけではありません。ぜひ働きたいというんですね。働けることがありがたいということで、現場に戻ってきてくれました。

 また、これは別の方ですけれども、七十代で、ボランティアにほぼ毎日のように来てもらっている女性の方もいらっしゃいます。職員ではありませんので、できることは限られますけれども、例えば、御高齢の方と、入所されている方とお茶飲みの話をしていただいたりという、いわば雑用的なところだとか話し相手といったところを担ってもらっているということなんですけれども、私の顔を見ると、どうせうちにいても孫に邪魔にされる、ここに来ると、いる場所があるんでありがたいんよという話をされるわけなんですね。

 確かに、どっちかというと、今まで仕事というと、仕事をしなくちゃいけないという観点で考えることが多かったと思うんですけれども、確かに働け働けと強要される労働というのは辛いものですけれども、生きがいを持って、あるいはやりがいを持ってやれる仕事というのは、これはもう幾つになっても大いにやっていただくべきなんだろうなと思います。それはいろいろな働き方があっていいと思います。フルタイムの方が週三日とか四日になったりだとか時間を短縮したりだとか、そういった働き方があろうかと思います。

 また、先ほど御答弁の中にもありましたように、社会の中でいろいろな活動に参加をして、その力を地域の中で生かしていただくということも、とても大事なことだというふうに思っております。

 幾つになっても自分の力を世の中のために幾らかでも発揮ができるというのは、その状況にもちろん応じてですけれども、これが人間の幸せに結局はつながっていくんだろうなと思っております。

 この文脈で続けてお伺いしたいんですけれども、公務員の定年延長についてはどのようにお考えでしょうか。御答弁をお願いします。

植田政府参考人 お答えいたします。

 平均寿命が伸長し、少子高齢化が進む我が国において、経験豊富な高齢者が生き生きと活躍できる場をつくることは時代の要請となってございます。また同時に、複雑高度化する行政課題に的確に対応していくためには、多様な人材を確保、活用していくことが必要となってきてございます。

 これらの状況に鑑みると、公務において培った知識、技術、経験などの豊富な高齢期の職員の最大限の活用を目指すことは、人的資源の有効活用や複雑高度化する行政課題への的確な対応などの観点から、重要な意義を有するものと考えてございます。

 このような基本認識のもと、本年二月十六日に、公務員の定年引上げについて論点を整理したところでございます。

 この論点整理におきましては、定年を六十五歳に引き上げる方向で検討することが適当であると考えられる、その際、民間企業における高齢者雇用の状況や厳しい財政事情を踏まえた上で、組織全体としての活力の維持、総人件費の増加の抑制などの課題に的確に対応し、国民の理解が得られるようにしていく必要があるとしております。

 さらに、このために、本府省、地方機関の管理職以上を対象に、いわゆる役職定年制を導入し、一定の年齢に達したことを機に下位のポストに異動させることや、六十歳以上の職員の給与水準を六十歳時に比べ一定程度引き下げることなどについても、あわせて検討していく必要があるとしているところでございます。

 先般、この論点整理と同日付で、国家公務員の定年引上げについて人事院に検討を要請したところでございまして、今後、人事院における検討を踏まえた上で、具体的な制度設計を行い、結論を得ていきたいと考えているところでございます。

森田委員 ありがとうございました。

 省庁は人材の宝庫でございますので、ぜひ、生涯現役の社会実現に向けて率先した取組をお願いしてまいりたいと思います。

 最後に、まとめの意味で、人づくりについて、茂木大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 人をつくるというふうに言っても、大変難しいし、時間のかかることだろうなと思います。教育基本法の中には、その目的として人格の完成を目指すという言葉が入っておりますけれども、古くから言われている仁、義、礼、智、信、忠、孝、悌といったような、そういうこともあるのかもしれませんが。

 とにかく、そういった人格を持った上で、主体性を持って意欲的にいろいろなことに取り組んでいく、そのことによって自分の生きがい、やりがいを達成していくということで、このAIだとか出てくる時代だからこそ、人間そのものが、単なる労働力ということじゃなくて、その人の持っている力、能力、背景、そういったものを生かした活躍をしていただく。そういう人材を多く輩出していくことによって、これからの日本という国がより輝いていくんだろうなというふうに思っております。

 この人づくり革命において、どのような人をつくっていくお考えでしょうか。また、人をつくるためにどんな取組をなさっていくお考えか、御答弁をお願いいたします。

茂木国務大臣 まず、人づくり革命において、人格の形成、極めて重要だと思っておりまして、人格形成の基礎、これは幼児教育にあり、このように言われております。

 まさに小さいころに、三つ子の魂ではありませんが、しっかり人格形成、いわゆる非認知能力を養うことがその後の生涯において大きな差を生む、こういう研究成果もあるわけでありまして、我が国におきましても、海外でも進められているような幼児教育の無償化、特に、広く利用されている三歳から五歳児について、幼稚園、認定保育園、こども園、そして保育園、全て無償化をする、しっかりこの政策を進めていきたいと考えております。

 そういった中で、健康長寿で生涯現役の社会をつくっていくということもやはり重要でありまして、例えば、永遠の若大将の加山雄三さん、今八十歳です。プロスキーヤーの三浦雄一郎さん、八十歳を超えております。一方で、ドラマのサザエさんに出てくるサザエさんのお父さん、磯野波平さんは、当時の設定だと五十四歳なんですね。結構高齢に見えるんですよ。ただ、一九五〇年の日本においては定年が五十五歳で、男性の平均寿命が五十八歳でしたから、和服姿の波平さん、これがかなり高齢に見えたのもうなずけるところかなと思っています。

 日本においてはまだまだ長寿社会というのは進展をしていく、そのように見られておりまして、ある海外の研究によりますと、今十歳になります日本の子供の半数が百七歳より長く生きる、このように今推計をされているわけであります。

 百年以上の人生、こういうことになりますと、これまでの教育、そして仕事、老後という三つのステージの単線型のモデル、これで考えますと、大卒でそのまま就職をする、二十二歳で就職をする、そして六十五歳の定年まで働こうとすると、四十三年間仕事をするわけでありますけれども、今度は六十五歳から百七歳までですから、それと同じぐらい、四十二年間の長い老後が待っているということでありまして、やはりこれからは、そういった単線型ではない多様な人生設計、これが必要不可欠だと考えております。

 こうした中でどのような人や社会をつくっていくかという点については、必ずしも同じ会社で定年まで働き続ける、そういう方があってもいいんですけれども、それだけではなくて、幾つになっても新しいチャレンジに取り組んで、産業構造の変化に対応して新しい価値を生み出すことができるような人材、そして、先ほど申し上げたように、現場の革新につなげることができる人材の育成が必要だと考えておりまして、現在、人生百年時代構想会議におきましては、こういった観点から、リカレント教育、そして大学改革、これについて議論を深めているところであります。

 まず、リカレント教育でありますが、リカレント、リ・カレントですから、カレント、つまり、現在、流れ、これがリ・カレントになるわけですから、循環をする、本来の意味はそういうところから来ているわけでありますが、これまでの教育は、若いころに教育を受けて、それから社会に出ていく、こういう一方通行だったのを、社会人になってからもまた学び直しをして、能力を向上させてさらに社会に戻っていく、こういう新しい循環システムの中心となるのがリカレント教育だ、そのように考えております。

 また、大学も、これまでも十八歳人口は大幅に減ってきたわけでありまして、大学を卒業した若者向けの講座を提供するだけではなくて、時代のニーズであったりとか産業界のニーズ、これに合った教育機関へと変革する必要があると考えておりまして、大学についても、全部同じではなくて、その役割であったりとか位置づけ、こういったもの、機能を明確化したり、また、カリキュラム編成、こういうことについても、外部の意見、こういったものも取り入れていくように変革をしていく必要がある、このように考えております。

森田委員 熱意のある御答弁、ありがとうございました。

 先ほど申し上げたように、制度ではない、あるいはスキルだけではない、人間性を持って、主体性を持った人を一人一人ふやしていくんだという思いを持ってぜひ関連政策に当たっていただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 内閣委員会におきまして質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速ですが、質問に入らせていただきます。

 まず、十九歳警察官による拳銃殺害事件について伺います。

 先日、滋賀県において、十九歳の警察官が上司を拳銃で殺害したとされる、過去に例のない事件が起きました。民法の一部を改正する法律案、成人年齢の引下げ法案が審議されますが、十九歳だから起きた事件とは言えませんが、成人ではない者が拳銃を携帯する重要性を再認識していただきたいと思い、質疑をさせていただきます。

 まず、警察官が拳銃の携帯を許されている法的根拠を教えてください。

松本政府参考人 お答えいたします。

 警察法第六十七条におきまして、「警察官は、その職務の遂行のため小型武器を所持することができる。」とされているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 警察官の拳銃所持、使用は国民生活の安全と平穏を確保するために必要があるということで所持が許されているはずですが、まさに逆の事件が起きてしまったわけです。今回の事件についての御見解をお願いいたします。

松本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事件につきましては、滋賀県警察におきまして、必要な捜査、調査を行った上で被疑者を懲戒免職とするなど、厳正に措置したところでございますが、そもそもあってはならない事件でありまして、極めて遺憾に存ずるところでございます。

 非常に特異な事件と認識しているところでございますけれども、大変重く受けとめているというところでございます。

森(夏)委員 十九歳は、今の日本では成人前に当たります。飲酒や喫煙なども認められていません。現段階では、保護者の管理のもと生活をする年齢です。その中で、未成年が拳銃を携帯、使用するに当たり、警察学校では、成人警察官にはない特別なプログラム等で教育、研修をしているのでしょうか。若しくは、成人警察官と同一なのか、お答えください。

松本政府参考人 お答えいたします。

 採用後すぐに警察学校で行われる研修というのがございますけれども、その中では、未成年者に対する特別のプログラムというものはございません。

 しかしながら、採用区分によりまして、高卒程度につきましては十カ月、また、大卒程度については六カ月と差をつけてございまして、未成年者の場合は高卒程度ということの中に含まれるということでございますので、未成年者に対する研修につきましては、一般的に申しまして、より多くの時間をかけて丁寧に研修を実施しているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 一般企業でも入社試験に当たり、又は配属の前には適性検査を行う企業がたくさんあると思いますが、警察官採用時又は配属を決めるに当たり、適性検査は行っていますでしょうか。

松本政府参考人 お答えいたします。

 都道府県の警察官の採用につきましては、地方公務員法に基づきまして、各都道府県において、原則として競争試験により実施しているものでございます。

 この競争試験の中には、いろいろございますけれども、教養試験、論文試験、面接試験、身体検査などがございますが、あわせて適性検査を行っているというように承知いたしております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 警察官採用も配属先も慎重に決められていると思います。

 研修や適性検査の内容についてですが、一般企業の適性検査より更に厳しい適性検査を行う必要があると思っております。

 今回の事件は、同僚警察官、身内に向けられた犯行でありますが、未成年の警察官が、もしもこれが何の罪もない国民に犯行が及び犠牲となっていたらと考えると、警察の信用はなくなっていると思います。この事案に限らず、残念ながら、全国では警察官による不祥事のニュースを耳にすることがあります。警察組織数十万のほんの一部かもしれませんが、一人でも犯罪を犯す警察官がいると、国民の警察に対する信頼が薄れることを考えてほしいと思います。

 時間がございませんので、次の質問に移らせていただきます。

 次に、乳幼児突然死症候群で亡くなられた幼児についての検証、解剖について伺います。

 まず、この乳幼児突然死症候群ですが、その日まで元気に過ごしていた赤ちゃんが、事故や病気、窒息ではなく、眠っている間に突然死亡してしまう原因不明の病気です。朝起きて、赤ちゃんが呼吸がとまっていた。保護者の方が夜中に起きて、ふと隣で寝ている赤ちゃんを見ると、呼吸をしていない。日本では、七千人に一人、生後二カ月から六カ月の乳児に多い病気と言われております。

 平成二十三年には、全国で百四十八人の赤ちゃんがこの病気で亡くなっているようです。ここ数年の乳幼児突然死症候群で亡くなられた乳幼児の数を伺います。警察庁、お願いいたします。

樹下政府参考人 警察庁におきましては、お尋ねの数字については把握しておらないところでございます。

森(夏)委員 把握をしていないということで、厚生労働省に伺います。乳児の数を把握されていたら教えてください。

酒光政府参考人 厚生労働省で人口動態統計を実施しておりますが、それによりますと、乳幼児突然死症候群で亡くなられた方の数ですけれども、最新の平成二十八年で百九人。三年ぐらい申し上げた方がよろしいですか。(森(夏)委員「お願いします」と呼ぶ)さかのぼりまして、平成二十七年が九十六人、平成二十六年が百四十五人、こういう形になっております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 まず、御家族の方は、このような状況に置かれた場合、救急車を呼ぶと思いますが、その後、どのような対応をされるのか、教えてください。

樹下政府参考人 警察におきましては、不自然な死を遂げたおそれのある御遺体について、その死が犯罪に起因するものであるかどうか等を判断するため、検視、死体調査を行うとともに、必要に応じ解剖を行っているところでございます。

 具体的には、通報や届出等によりそのような御遺体を認知した場合、現場に赴き、医師の立会いも求めつつ、御遺体の状況の確認のほか、家族等から事情聴取をするなどの所要の調査を行い、その結果や医師の意見等を総合的に勘案し、必要に応じ解剖を行う場合がございます。

 なお、監察医が置かれている地域におきましては、公衆衛生の観点から、監察医の判断で解剖が行われる場合もあるものと承知をしております。

 いずれにせよ、身近な方を亡くされた方の御心痛を考えれば、警察が御遺体を取り扱うに際しましては、礼意を失わないよう言葉遣いに留意しつつ、御遺族に対し解剖の必要性や手続について丁寧に説明をするなど、その心情等に十分配意しなければならないと認識をしておりまして、引き続き、都道府県警察に対してその旨を指導してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 丁寧な対応をされると御答弁をいただきました。

 自宅で亡くなられた方に対して、今は、子供だちでしたら虐待も疑うことも必要だと思います、大人でしたら保険金の問題もあるでしょうから、警察の方は疑いの目を持ち行動されるのは大切な仕事だと理解をしております。

 しかし、事件性があるかないか、その鋭い嗅覚、勘を養うために、日ごろから訓練をしているのではないかと思います。家族構成やその場の、現場の状況を見て、ある程度の事件性があるかないかはその時点で大半は判断ができるのではないかと思います。

 御遺族の方は、当然、大切な小さな命を失い、現実がわからないまま、受け入れられないまま、動揺されているときに警察の方から疑いの目で調べられる。大変つらい思いをされているようです。

 知人から、乳幼児突然死症候群で子供を亡くされた御遺族の話を聞きました。

 その方は、警察の方に、二十五年この仕事をしているが、こんなに小さい子供の死亡を初めて見たと言われたそうです。そして、いつもは家族四人で川の字に寝ていたそうですが、その日は御主人がまだ帰宅をされていない時間で、その御主人の枕が床に落ちていたそうなのですが、枕はなぜここに落ちているんですかなどと質問され、赤ちゃんのお母様は気が動転されて、何と答えたかも覚えていないそうです。そこで少しでも変に思われる言動があった場合、また疑われてしまうのでしょうか。

 その後、解剖だけはしたくないと拒否をされたそうですが、やはり今の法律では解剖をしなくてはいけないということで、許可せざるを得なかったそうです。解剖後、御自宅に戻られたお子さんの顔は別人になっていたそうです。

 御遺族は、お子さんが亡くなられた後も疑われ、解剖され、自己を責め、また近所の目もある中、時間がたった後もいろいろな御苦労、大変つらい思いをされていることをお伝えし、本日の質問を終わらせていただきます。

 大変貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

山際委員長 次に、中川正春君。

中川委員 質疑に入っていきたいと思うんですが、きょうのテーマ、クールジャパンでやっていこうと思ったんですが、その前に、ちょっと通告がないので、委員長、恐縮なんですけれども、事前に言っておいたらよかったんですが、以前に、柳瀬前秘書官の日程、二〇一五年四月二日、加計あるいは愛媛や今治のメンバーに会ったときの日程をどういう形でつくっていたのかというものについて、ちゃんとこちらへ向いて報告あるいは出すようにということでお願いをして、委員長もそれを指示していただいたということでありました。

 その後の経緯というのはどうなっているんでしょう。ちゃんと答えは出てきましたか。

山際委員長 その件については、もう既に、政府の方に調べて報告するように言ってございます。今、内容について手元にないので、後ほどきちんと話をさせていただきます。

中川委員 もう答えは出てきたということですか。

山際委員長 それも含めて、きちんと後で報告いたします。

中川委員 いや、後でというよりも、私はここで申し上げたので、ここで報告をしていただきたいということなんです。

 というのは、これは国会の調査権に係っているものなんだと思うんですよね。あれから大分時間がたっています。それに対して何の返事もない。本来なら、書いたものでしっかり、こういう形でしたということが出てこなきゃいけないんですが、それがナシのつぶてになっている。これぐらい我々の委員会が、委員長が指示したにもかかわらず無視されているということに対して、私たちは問題意識を持たなきゃいけないんだというふうに思うんです。

 今手元にあれば、実際返事が来ているのか来ていないのか、それだけでもお答えください。

山際委員長 今事務方に確認をさせますので……(中川委員「いやいや、確認って」と呼ぶ)今手元にはございません。(中川委員「委員長のところには来ていないんでしょう」と呼ぶ)今手元にはございません。

中川委員 だから、返事がないということなんですよ。こんなばかな話はないと思うんですよ。そういう意味で、私たちの審議というのをもっとしっかり位置づけていかなきゃいけないというふうに思います。

 改めて、この前は日程記録と言いましたけれども、考えてみたら、愛媛県からは忘備録が出ていて、今治からは復命書というのがちゃんと出てきているわけですよ。だから、恐らく官邸の方でも、面会記録という形で、その中身も含めてメモがあるはずなんです。

 それについて、中身もあわせた形でちゃんと委員会に出してくるように改めて指示をいただきたいと思うし、ずさんな形でこういうやりとりをしていてはだめだということについて、委員長もしっかり、一緒に意識をしていただいて、対峙をしていただきたいというふうに思います。

 まず、そこのところをお願いしておきたいと思うんです。

山際委員長 委員会として適正に対応いたします。

中川委員 それだけですか。

 いずれにしても、公のところでこうしてお願いしたわけですから、私たちも含めて意識して、我々の調査権というのを発動していきたいというふうに思うので、よろしくお願いします。

 さて、クールジャパンの戦略についてお尋ねをしていきたいというふうに思うんです。

 クールジャパンというのは、何を目的に今事業展開があるのか、何を実現しようとしているのか、まずその辺から聞いていきたいと思うんです。

松山国務大臣 お答えいたします。

 クールジャパン戦略でございますが、現在、官民、異業種が連携をしまして、日本のアニメあるいは映画等のコンテンツ、また衣食住などの魅力を外国人の心に響くような形で国内外に発信、展開することによって、我が国の持続的な経済成長、これにつなげるために、さまざまな取組を進めさせていただいているところでございます。

 具体的に、政府としましては、情報発信、海外展開、さらには、海外からの国内へのインバウンドの振興の段階におきまして、アニメや映画等の現地語化の支援、あるいは海外展開する事業者に対する資金の供給、また日本食や食文化の普及促進、また訪日外国人旅行者に向けた各種のさまざまな情報発信、このようなことを取り組んできたところでございまして、私自身も、タイで行われたジャパン・エキスポ・タイランド、あるいはトルコで行われた日本祭り等にも参加をしてまいりました。

 日本の多様な魅力の発信を行ってきたところでございまして、例えばアニメや漫画のコンテンツの海外での売上額は、二〇一一年八千七百億円でしたけれども、二〇一六年には一・六倍の一兆四千億円に増加いたしております。また、農林水産物や食品の輸出でございますが、二〇一二年四千五百億円から、昨年二〇一七年には一・八倍の八千億円に増加をし、各分野で成果が出ているというふうに認識いたしております。

 このクールジャパン戦略に係る各省庁の施策を一層効果的に経済成長につなげていくために、今後、日本のどのような魅力がどのような外国人を引きつけるかといった、そのようなことを整理して、クールジャパン戦略をしっかり進めてまいりたいと思います。

中川委員 しかし、もう一方で、この一つ一つのプロジェクトに対して資金を投入しているわけですが、これが本当に効果的にうまくこの資金が活用されて、そして事業として展開されているのかということについては、実は非常に厳しい目が出てきています、批判が出てきています。

 それはどういうことかというと、恐らく今のスキームというのは、一つ一つのプロジェクトに対してそれを支援していくというスキームをとっているわけですが、このクールジャパンというのはもともと、日本ブームが海外で起こって、そのことによって衣食住の日本文化が海外に展開される、インバウンドが出てくる。

 これは為替という問題もあるでしょうし、日本の持っている本来の文化というものがある。それの効果によって実は今ずっとふくらいでいるのであって、私は、必ずしも、クールジャパンの資金がそれに有効に働いたからこれだけ事業が伸びたんだという評価にはならないんだろうというふうに思うんです。どちらかというと、もうほっておいてもうまくいくようなところへ向いて金を注いで、もっとやれよという話になってきつつあるんじゃないかなと。そんな材料を見つけて、それへ向いて投資をして、その金が本当に生きているかどうかという評価もせずに進んでいるんじゃないかなという危惧を持っています。

 その上で、そうした認識を持った上で一つ提案をしたいんですが、本来国がやるべきこうした事業に対する役割というのは、私は、海外に向けて日本のコンテンツ、文化を発信するときのインフラですね、基本的なものをやはり構築をするというところへ向いて目を向けていくべきだと思うんです。

 それは何かといったら、日本の場合は言語というものとそれから媒体ですよね、海外へ持っていく。媒体というのはネットがあって、これをどう活用していくかというその戦略が一つ要るんだと思うんですが、もう一つは言語なんですよ。

 日本語というのは日本人だけしか使わないから、それを超えて海外で日本のコンテンツを理解してもらおうと思うと、さっきもちょっと話が出てきましたが、多言語化をしていく、翻訳をしていく。日本語を勉強していく、日本語自体を普及していくというのが一つ基本にはあると思うんだけれども、それでもやはり限界がある。今でも四百万人もいかないんですよね。だから、それを多言語化していくというところへ向いて私は戦略を持たなきゃいけないんだろうと思うんです。

 例えば身近なところでいくと、私たちが活動しているこの国会の中でつくられている法案あるいはいろいろな政策、海外から、私は前も言ったんですが、時々問いかけが来るんですよ。例えば、地震というものについてどういう政策体系を日本はとっているんだと。この間も韓国からそんな問合せが来て調べてみたら、英語は多少あるんです、英語は。しかし、韓国語はない、インドネシア語もない、全くないよね。英語自体も実はない、ほとんどがないということなんです。災害は東日本大震災でちょっと意識されたので、多少英語で翻訳されているということなんです。

 一事が万事で、そうした意味でいけば、出版業界の雑誌であるとか、あるいはそれぞれ小説等々文芸作品であるとか、あるいは写真集であるとか、非常に魅力のあるものがあって、それを読みたいという人たちはいっぱいいる。このニーズもあるんですが。

 そういうものを、例えば日本の業界だけでいったら、物すごい勢いで縮小しているんですね、今、紙媒体の雑誌あるいは本というのは。普通の産業だったら、これは、海外を見て、では市場を持っていこうじゃないか、そういう発想が起こるんですけれども、日本語である限り、その市場というのは四百万人に限られている、そういうことですね。要は、日本語がわかる人たちにしか、これは読んでもらえないんです。

 これは日本の宿命だと思うんですよね。そういう部分について、戦略的に多言語化していくような、そうしたプロジェクトというのが出てこないかということを模索しているんですけれども、まさに、そうしたインフラ、これは共通インフラです。共通したインフラなんですよ。そういう部分へ骨太に戦略を持っていくということが大事だと思うんですが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

松山国務大臣 中川先生御指摘のように、日本の商品、サービス等を外国人の好みも踏まえて多言語化するということ、また、商品やサービス等の垣根を越えて、総合的な相談に乗りながらそれを支援することは、外国人に日本の商品あるいはサービスをより価値のあるものとして消費してもらうことにつながりますので、大変重要なことと考えております。

 このことも踏まえて、現在、クールジャパン戦略を深める検討を行っておるところでございまして、具体的には、日本のコンテンツや衣食住がより効果的に情報発信、事業展開されて、海外や訪日外国人に広く受け入れられるように、現在、総理を本部長とする知財戦略本部のもとで、新たな知的財産戦略ビジョンをこの六月に取りまとめる予定にいたしておりまして、この中で、どのような日本の魅力をどのような外国人をターゲットとして展開していくかということを今やっておるところでございます。

 具体的に、国ごと、地域ごとのマーケットの特性を踏まえて、国内外の情報発信や、あるいは訪日外国人への対応を推進するということ、また、外国人が強い関心を持つようなストーリーをつけて付加価値をつけるといったこともやっております。

 こういった戦略をもとに、民間企業が日本の商品、サービスなどを多言語化する際には、今述べた外国人の視点や国ごとの特性等を踏まえた発信、展開の考え方を大いに参考にされて、効果的な情報発信、海外展開につなげていきたいというふうに考えておるところでございます。民間企業がしっかり頑張っていただくことは極めて重要なことだと思います。

中川委員 もう一つニュアンスが違うんだと思うんです。

 恐らく、今の発想というのは、民間企業がいろいろ頑張って、いいねということであれば、それに補助金を出すよという、そこからまだ出ていないんですよ。

 私が言っているのは、もう一つ、共通基盤の中で多言語化する機能を持つような戦略的な機構というか組織体と、それから、それに対する資金の循環を仕組みとしてつくらないと、日本の場合は限界があるので、そのインフラをつくろうじゃないですかという提案をしているんですが、それはネットの部分でもそういうことが同じような形で言えるんであって、そこへ向いて、ちょっと目をしっかり持っていっていただきたい。

 民間から出てくるいろいろなプロジェクトに対して、いいね、悪いねといって、いいのは補助金を出すという、この発想では戦略性が出てこない。だからクールジャパンが批判されるんだということだと思うんで、そこのところ、主体的に戦略をつくってもらいたいということです。

 以上、終わります。

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 昨日の柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人質疑を踏まえて、菅官房長官、また関係の役所にお尋ねをいたします。

 官房長官、お尋ねしますけれども、きのうの柳瀬氏のさまざまなやりとりを通じて、加計学園側と面会をしたという話がありました。二〇一五年の二月から三月が一回、四月二日が二回、六月の時期に三回目と。もともと会ったのは、二〇一三年五月の総理の別荘、河口湖におけるバーベキューのときに加計の理事長また事務局の方とお会いしたという経緯が述べられたわけであります。

 ですから、いわばそういった、加計学園と繰り返し、官邸で三回も会っている、また、特区関係の面会というのは民間は加計学園だけだといったことも非常に驚きを持って受けとめられたわけで、率直に、加計学園優遇が際立つ、特別扱いが拭い切れないという声というのは当然上がっているわけです。

 このような、特定事業者と繰り返し首相秘書官が面会をする、これはやはり、官邸勤めの人間として、こういう特定の事業者と繰り返し面会をするということは、本来慎重に行うのが普通ではありませんか。率直にお伺いします。

菅国務大臣 通告になかったものですから、詳細について私は申し上げる立場ではありませんけれども、ただ、慎重にというのは、そうだと思います。

塩川委員 記者会見でもそういう趣旨でおっしゃっておられたというふうに承知はしております。

 そういった加計学園の特別扱いという問題について、やはり非常に疑問が持たれるということがありますし、加えて、昨日の質疑の中で浮き彫りとなったのが、加計学園との面談について安倍総理に一切報告していなかったということもあったわけであります。

 その点では、安倍総理が加計学園が事業者だということを知った時期がまさに焦点になってきているわけで、私は、その点で、官邸の職員の仕事のあり方として、総理の秘書官としての仕事のあり方として、そういった問題について総理に報告しないということは普通考えられないと思うんですけれども、その点、官房長官はそのように思いませんか。

菅国務大臣 先ほど梶山担当大臣が阿部委員に対して答えておられましたけれども、それは内容によりけりじゃないでしょうか。

塩川委員 いや、その点で、この首相秘書官は総理の命を受けて事務を補助するということで、その安倍総理が主導する国家戦略特区、そういう中でも、獣医学部の新設のことについても強調されておられたと。それにかかわる案件について報告しないということはあり得ないんじゃないのかなと率直に思うんですが、いかがですか。

菅国務大臣 本人は報告していないと言われていたんじゃないでしょうか。

塩川委員 それが極めて疑念が浮かぶところで、本当のことを語っているのかということがまさに問われてくる問題だということであります。

 あわせて、あのような柳瀬氏の発言を受けて、一方の当事者であります愛媛県側で、中村時広知事が記者会見などで述べておるのも報道されております。

 県職員が作成した面会記録の一部を否定したことについては、県職員は一言一句を漏らさずに報告したい気持ちで、ありのままを書いている、改ざんの余地はない、時折、県の信頼を損ねる発言があったのは残念だというふうに述べておりました。また、県職員三人はメーンテーブルに柳瀬氏側の三人と向かい合って座っていた、柳瀬氏と名刺も交換をし、しっかりと県の立場を発言をしているということで、名刺と発言メモを公表したということであります。

 そうしますと、柳瀬氏の発言と愛媛県側の主張が大きく食い違っているわけです。そういったときに、まさに政府の中心となる官僚の発言と愛媛県側の発言が食い違っているわけで、政府の信頼も問われているといったときに、政府の信頼が問われるような事態をこのまま放置するのかということが問われていると思うんですけれども、その点についてはいかがですか。

菅国務大臣 県の作成した文書、そして県の発表されたこと、私は承知をしておりませんでした。

 先ほど夕刊を見たわけでありますけれども、そういう中で、そうした地方自治体のことに対して、一つ一つに政府としてコメントする立場ではないと思います。

塩川委員 いや、でも、そういって大きく食い違っているのを放置するのかということだと思うんですよ。そこが問われているんじゃないですか。

 であれば、やはり政府の方からしっかりと、疑念ということであれば、それを晴らすという積極的な対応こそ必要だと思うんですけれども、そういうことはお考えにならないですか。

菅国務大臣 詳細について承知していません、きょう国会中でありましたから。

 それで、地方自治体が国に対して一つ一つ、いろいろなことを言ったことについて、そこはコメントはすべきじゃないということを、私、先ほど記者会見でも質問されて、申し上げてきました。

塩川委員 国側、政府側の元首相秘書官が発言したということに対して、県の方がそれは事実と違うと言ったんですから、まさに出発点は政府の側の発言なんですよ。政府の側の発言に対して県の方がそれは違うと言っているんですから、その違うという点について明らかにするというのは、政府の方にその責任は返ってくるんじゃないですか。政府の方としてきちっと答えるということこそ、筋じゃありませんか。

菅国務大臣 地方自治体が言われたこと、地方自治体の文書、さらに、きょう、知事がですか、コメントを発出したのは。そうしたことについて、私自身、詳細は承知していませんでした。そして、先ほど、記者会見で質問されるということで、事前レクを受けました。

 そういう中で、政府の立場としてはコメントは差し控えたい、このように申し上げてきたところです。

塩川委員 もともと経緯を言えば、愛媛県が備忘録として作成をした首相案件という文書が出てきて、その中身について、知事としてはこれを認めるということで、そのことを改めて契機として柳瀬氏の発言が問題となって、昨日の参考人質疑になったわけで、そうしたら、その参考人質疑での柳瀬さんの発言について、やはり事実と違うという話ですから、そういう意味ではやりとりになっているんですよ。

 今度は、やはり改めて、こういった中村知事の対応に対して、政府として責任を持って答えるということに努めるのが今本当に求められているんだと思うんですが、改めていかがですか。

菅国務大臣 知事が発言をされたことに対して政府の立場でコメントは、やはり控えたいと思います。

塩川委員 その政府の姿勢のあり方そのものが、政府の信頼を大きく損なうものと言わざるを得ません。

 改めて、柳瀬さんについて事実関係をただすという点での証人喚問は必要だと思いますし、中村知事にもお越しいただいて参考人としてお答えいただく、そういう場をぜひ設けるべきだと思います。

 この点について、委員長、お取り計らいいただきたいと思います。

山際委員長 後ほど理事会で協議いたします。

塩川委員 それでは、今やりとりしました愛媛県が作成した首相案件とされる文書についてですけれども、先日のこの委員会で、関連する省、文科省や農水省、厚労省などの調査についての発表がされたときに、内閣官房についてそれを行っていなかった、調査をするという官房長官の答弁がありました。

 内閣官房内の調査はどうなったでしょうか。

菅国務大臣 さきの委員会において、塩川委員からの御質問に対し、私より、愛媛県が作成したとされる文書の有無について、内閣官房において調査を行う、こう申し上げました。そして、私から、事務の副長官に対して、事務方に対し指示をし確認を行わせましたけれども、御指摘の文書については確認できなかったという報告を受けています。

塩川委員 確認できなかったというんですけれども、調査の範囲はどういうところになっているんでしょうか。

原政府参考人 調査を行いましたのが事務方でございますので、私の方からお答え申し上げたいと思います。

 愛媛県作成文書及びそれに伴うメール等の文書が保存されていないかについて、平成二十七年四月からこれまでに国家戦略特区に関連性のある部署に在職した関係のある者に対し、確認調査を行ったところでございます。

塩川委員 平成二十七年四月以降現在まで、国家戦略特区にかかわる職員。その国家戦略特区にかかわる職員というのはどういう範囲なのかを教えてほしいんですけれども。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房副長官補室、それから官邸の関係者ということであり、百名程度ということでございます。

塩川委員 内閣官房副長官補室、本室と分室もあると思うんですけれども、それは三人の副長官補の全部の本室及び分室ということを言っているのか、それ以外のところ、例えば内閣総務官室ですとか、ちょっと具体的にもう少し説明してください。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房副長官補室関係は、補室の本室、それから戦略特区にかかわりがあるということで、広い意味で、まち・ひと・しごと創生本部の事務局、それから日本経済再生総合事務局、それから官邸におきましては、関係の総理秘書官、長官秘書官、それから総理補佐官担当等々でございます。

塩川委員 総理秘書官、それと官房長官の秘書官もということですね。

 この間、柳瀬氏も説明しておられましたけれども、あの二〇一五年四月二日の際に二人が同席していました、それについては文科省と農水省から出向された内閣官房の職員の方と。それはそういうことだと思うんですけれども、それはそれでいいですか。

原政府参考人 その方も含まれているということでございます。

塩川委員 ですから、二〇一五年の四月以降で在籍をしていた文科省、農水省、厚労省からの出向者については確認をしたんですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 確認いたしてございます。

塩川委員 総理秘書官は聞いたということですけれども、その総理秘書官のスタッフについても確認をされたんですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 関係する職員については、確認しているところでございます。

塩川委員 メール等の電子媒体については、個人のファイルとかの確認はされたということですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 共有フォルダ等について確認を行っております。なお、個人フォルダについても、本人の承諾を得た上で、確認をしているところでございます。

塩川委員 例えば、出向された方が内閣官房からもとの省に戻る、大体二年ぐらいでローテーションで戻る、そういう戻っている方についても、今言った対応をされておられるということですか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 戻った職員についても、確認してございます。

塩川委員 改めて精査をしたいと思います。

 ないという可能性ももちろんあるわけですけれども、事の次第についてやはり官邸、内閣官房が大きな役割を果たしているということは明らかですから、こういったことについて真相解明に努めるということは政府の当然の責務であります。

 こういった、加計学園の特別扱いが際立っている、首相案件という疑念が拭えない中では、国政私物化が問われているこの問題についての徹底解明が必要だということを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

山際委員長 次に、内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。茂木国務大臣。

    ―――――――――――――

 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 ただいま議題となりました環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 この法律案は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定を締結し、これを実施するため、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律について、一部の改正を行うものであります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、法律の題名を、環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律に改めることとしております。

 第二に、施行期日を、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定が日本国について効力を生ずる日に改めることとしております。

 このほか、環太平洋パートナーシップ協定を引用している箇所については、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の発効にも対応できるようにする等改めることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨です。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

山際委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十六日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十二分散会


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