第18号 平成30年5月18日(金曜日)
平成三十年五月十八日(金曜日)午後一時四十四分開議
出席委員
委員長 山際大志郎君
理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君
理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君
理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君
理事 稲富 修二君 理事 佐藤 茂樹君
池田 佳隆君 泉田 裕彦君
大隈 和英君 大西 宏幸君
岡下 昌平君 加藤 鮎子君
金子 俊平君 神谷 昇君
亀岡 偉民君 小寺 裕雄君
古賀 篤君 高村 正大君
杉田 水脈君 鈴木 隼人君
高木 啓君 長坂 康正君
西田 昭二君 三谷 英弘君
篠原 豪君 福田 昭夫君
森山 浩行君 山崎 誠君
源馬謙太郎君 森田 俊和君
浜地 雅一君 濱村 進君
鰐淵 洋子君 中川 正春君
塩川 鉄也君 宮本 徹君
浦野 靖人君 玉城デニー君
…………………………………
国務大臣
(経済再生担当) 茂木 敏充君
外務副大臣 中根 一幸君
農林水産副大臣 礒崎 陽輔君
内閣府大臣政務官 長坂 康正君
農林水産大臣政務官 野中 厚君
政府参考人
(内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官) 澁谷 和久君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 飯島 俊郎君
政府参考人
(農林水産省大臣官房総括審議官) 天羽 隆君
政府参考人
(農林水産省生産局畜産部長) 大野 高志君
政府参考人
(農林水産技術会議事務局研究総務官) 大角 亨君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 上田 洋二君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
―――――――――――――
委員の異動
五月十八日
辞任 補欠選任
大西 宏幸君 鈴木 隼人君
武井 俊輔君 津島 淳君
濱村 進君 鰐淵 洋子君
塩川 鉄也君 宮本 徹君
同日
辞任 補欠選任
鈴木 隼人君 大西 宏幸君
津島 淳君 高村 正大君
鰐淵 洋子君 濱村 進君
宮本 徹君 塩川 鉄也君
同日
辞任 補欠選任
高村 正大君 武井 俊輔君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)
――――◇―――――
○山際委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官澁谷和久君、内閣府知的財産戦略推進事務局長住田孝之君、外務省大臣官房審議官飯島俊郎君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宇都宮啓君、農林水産省大臣官房総括審議官天羽隆君、農林水産省生産局畜産部長大野高志君、農林水産技術会議事務局研究総務官大角亨君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。篠原豪君。
○篠原(豪)委員 どうもありがとうございます。立憲民主党の篠原豪でございます。
さっき、残念ながら、本会議場で、TPP関連の条約の採決が行われました。
まだ六時間しか外務委員会で話をしていないんですよ。ほとんど内容が煮詰まっていない。ちゃんとした内容が話されないうちにこのようなことをこの国会でやっていることに、今、内閣委員会でTPPの審議をする立場から、厳重に抗議を申し上げます。
そして、よもやですけれども、今一部で言われているように、きょうの委員会で強行的な採決が行われることなどないとは信じております。その前提でしっかりと議論を、きょうも、そして来週もやらせていただきたいと思い、質問に立たせていただきます。
さて、戦後の世界経済は、互いに関税を引き下げることによって国内市場を開放して、貿易自由化を推進してきました。日本は、やはりこの貿易自由化をてことして経済大国とまで、その自由貿易の恩恵を最も受けてきておりますから、この意味からは、日本経済にとって自由貿易を堅持をし、そして保護主義に反対すること、反していくことというのは、これはとても大切な原則だと思っています。その観点も踏まえて、きょうは御質問いたします。
TPPに日本が参加交渉を始めるに当たっては、国内においても賛否両論がありました。今もあります。
反対する立場としては、国際競争力が農業にはない、関税で守られてきているんだから、ただでさえ今苦しい状況であり、高齢化になっていって、TPPをやってしまえば、これは本当に日本の農業はもつんだろうか、こういう立場であります。
一方で、参加に賛成する意見というのは、大きく二つあったんだと思います。
一つ目は、日本が既にEPAの締結で他国におくれをとっています。ですので、日本企業が国際競争上不利な立場になるので、この状況改善にはTPPに参加することがいいんじゃないか、こういうふうに思ったというふうに思います。
そこで、安倍政権は、二〇一八年に七〇%にEPAカバー率を広げていくということを目標としました。果たしてこれが今どういう状況になっているのか。交渉が妥結したTPP11やEU・EPAも含めて何%になるのかということ。そして、この目標実現のための、日本企業が国際競争上不利にならない程度のFTAカバー率に既になっていると考えているのかどうかを確認させていただきます。
○飯島政府参考人 お答えいたします。
閣議決定をされました「未来投資戦略二〇一七 ソサエティー五・〇の実現に向けた改革」におきましては、二〇一六年度末時点での我が国のFTAカバー率を四〇・〇%としております。その後、昨年十二月に交渉が妥結した日・EU・EPAを含めますと、FTAカバー率は五一%となります。
一方で、この数字は、TPP12協定、すなわち米国を含めた数字となっておりまして、米国を除いたTPP11協定とした場合の我が国のFTAカバー率は三六・五%ということになります。これは、EUの三二・八%、米国の四七・二%と比較しましても遜色のない数字であり、日本企業の海外進出や海外の成長市場の取り込みに貢献していくものと考えております。
○篠原(豪)委員 七〇%を目標にし、さっき言ったように、二〇一六年度は日本のカバー率は二〇%です。この当時で、韓国は約七〇%、中国が四〇%、米国は四〇%ですので、高くない。そういう目標とはまだまだ離れているので、これは十分、国際競争力上不利にならないという程度だというふうにおっしゃいましたけれども、これはしっかりと考えていかなきゃいけないカバー率だと思っている。達成はしていないわけだと思います。
それで、TPPは、高い水準の貿易自由化のルールづくりを目指す、そこへの参加が、我が国にとっても、国内産業の国際競争力の改善に資することが大きいと政権は考えてきたわけです。そして、一度は締結をして、さあこれからというときに、今おっしゃっているように、カバー率でいっても、アメリカは抜けています。そして、きょうまでに、いろいろな議論になって、抜けちゃったから先にTPP11を始めようという考えに至って、今ここで質疑を、法案が提出されてやっています。
ただし、著作権の保護期間や医薬品のデータ保護期間など知的財産分野に関する項目の多くが凍結されているということは、先ほど本会議でも討論でどなたか指摘をしていたところでもありますけれども、このTPP11でも、当初予定していた参加意義が今でも継続的に、その意義が継続したままであるというふうに考えていらっしゃるのか。
このことは、具体的に数字が余り、これはいろいろ議論になっていますけれども、継続性の意味でどういうふうに考えるかということを、具体的に少し数字も入れた上で、国民の皆様にお答えいただければと思います。
○茂木国務大臣 TPP、これは、世界的に保護主義が台頭する中で、日本がリーダーシップを発揮して、二十一世紀型の自由で公正な新しいルールをアジア太平洋地域につくり上げると。
具体的な数字ということでお話がありましたので、人口でいいますと五億人、そしてGDP規模でいいまして十兆ドル、貿易総額五兆ドルという巨大な一つの経済圏、これをつくり上げる。それがまた、世界の成長センターである地域であるわけでもあります。
さらに、TPPの交渉においては、物品市場アクセスの内容を含めた協定の修正を行わずに、お話がありましたが、知的財産関連などごく一部のルールのみを凍結するということで合意をいたしました。TPPの持っているハイスタンダードを維持しつつ、十一カ国が合意できるバランスのとれた協定となっていると考えております。
また、昨年末に公表しました経済効果分析、GTAPモデルを使っておりますが、これでTPPは、具体的な数字で申し上げますと、日本のGDPを七・八兆円押し上げ、四十六万人の雇用を生み出すと試算をされているところであります。
これは、経済連携協定による関税削減等の直接的な効果だけではなくて、貿易・投資機会の拡大が国内の生産性の向上や雇用の拡大にもつながるものでありまして、まさに、海外への経済連携の推進、これが国内経済の拡大にもつながる。TPPを日本経済の強力な成長のエンジンとしていきたいと考えております。
○篠原(豪)委員 そもそもの目的と、今11になって、ごく一部であるとおっしゃっていましたけれども、理由の中で、アメリカがTPPを離脱して11となった今となって、世界の貿易・投資ルールをつくろうという日本政府のもくろみは、今のところ破綻しているというふうに考えているんですけれども、これについてはどう思われますか。
○茂木国務大臣 そのような考えは持っておりませんし、恐らく、TPP参加十一カ国もそのような認識ではない。保護主義が台頭する中で、二十一世紀型の新しい共通のルールをつくっていきたい、こういう思いで結束をして、本当に、わずか半年の間でここまで合意をつくり上げてきたわけであります。
そして、現段階におきましても、さまざまな国、例えば、中南米でいいますと、太平洋同盟、これは、メキシコそしてチリ、ペルー、コロンビアが入っておりますが、そのうち三カ国が参加をしている。残りのコロンビアも、TPPに非常に高い関心を示して、参加の意向を持っている。また、アジアにおきましては、日本のさまざまな物づくりのバリューチェーンの一つの拠点でありますタイ、こういった国も参加に強い関心を持っている。さらには、太平洋を渡ってということになるわけでありますけれども、英国までもがこのTPPに高い関心を示す。それだけやはりこのTPPの持つ意味というのは、この全体的な関心から見ても高いものであると考えております。
○篠原(豪)委員 後ほど、もう少し具体的にお伺いしたいんですけれども。
今、十一カ国の話がありました。これは皆さん、アメリカの復帰をもくろんでいるかわかりませんけれども、日本は少なくとも日米共同の利益を追求するためにアメリカに復帰を促していくということをずっとおっしゃっています。日米と、合わせておっしゃっているんだと思います。
ただ、近い将来アメリカがTPPに復帰することはかなうのかどうかというと、後の議論にさせていただきますけれども、わからないわけです。
最初に伺っておきたいんですが、アメリカ側の参加が永久にかなわなかった場合に、このTPP11の意義というのはどういうふうになるんでしょうか。
○茂木国務大臣 まさに、アメリカとの間でもこれから、持っているTPPの戦略的、経済的意義であったりとか効果、こういったことについては日本としてしっかり訴えていきたいと思っておりますし、グローバル化が進む中で、世界経済、一番グローバル化しているのはアメリカであります。同時に、さまざまな第四次産業革命、AIであったりとかIoT、こういった技術が進んでいるのもアメリカであります。
間違いなく、このTPPというものがアメリカの経済や雇用にとってもプラスになる、こういったことをしっかりと我々として訴えていきたい、この思いは十一カ国共通の思いでありまして、その思いのもとで、まさにこれから、まずは十一カ国で早期の発効を目指すという段階ですから、この段階で、遠い将来にアメリカが絶対に戻ってこなかった場合にどうするんだと、このことについて予見を持って申し上げるのは差し控えたいと思います。(発言する者あり)
○篠原(豪)委員 そうですね、考えておかなきゃいけない問題だというふうに思っていますし、皆さんも考えていらっしゃるんだと思います。
これは、何で聞くかというと、一つは、やはりこのTPPにおけるルールのもとの内容というのは、自由と民主主義とそして法の支配といった普遍的な価値、これを共有する、そういった国々と行っていくんだ、なので安全保障上も大きな意義を持つというふうに言っていたわけです。ですので、アメリカが今離脱していることで、この認識をどういうふうにしていくのか。拡大路線だという話をしていますけれども、そもそものもとの、今、普遍的価値というところの関係性、ここについては今どういうふうに考えていらっしゃるか、お伺いします。
○茂木国務大臣 TPP12協定、これにおいては、例えば投資先の国が投資企業に対し技術移転等を要求することの禁止、これは御案内のとおり、今世界的にも大きな問題になっているところであります。また、電子商取引におけますソースコード、つまり、ソフトウエアの設計図の移転であったりとかアクセス要求の禁止などは我が国が議論を主導してルール化することができたものでありまして、TPP11協定におきましても、そうしたハイスタンダードな規定、これは維持をされているところであります。
そして、今回、まさにトランスパシフィックという形で、ベトナム、マレーシア、シンガポール、こういったASEANの中でも主要国、また、メキシコ、チリなど、北米、中南米諸国、オーストラリア、ニュージーランドなど十一カ国が参加をして、アジア太平洋地域に二十一世紀型の自由で公正なルールに基づく新しい経済圏、これをつくっていくわけでありまして、基本的な価値、これを共有する国々がこういった公共財を持ってその輪を広げていく、このことは、地域の安定であったりとか安全保障にも資する、こういった考えを持っております。
○篠原(豪)委員 今、ASEANの話もありました。拡大していくという話があったんですが、日本企業はASEANや中国などを中心にサプライチェーンを構築しています。RCEPは同地域を共通のルールでカバーするものであることですから、これは、自由とか民主主義、法の支配といった普遍的な価値を共有するというこのTPPとは質が少し違うんじゃないかというふうに思います。
そのRCEPは、企業にとっては戦略的、経済的な活動にとってというのと、さっき言った安全保障上の理由というのは少し離れて考えなければいけないし、もちろん経済的、戦略的にやるというのは大事なんです、別に否定しているわけじゃないんですよ、全然。それを考えていくときに、RCEPも、今言った貿易の自由化が、質の高いレベルのハイスタンダードなものになれば、これは享受できる恩恵も日本企業にとって大きくなるというのは、これは茂木大臣も御案内のとおりだと思います。
したがって、RCEPが妥結に至れば、東アジア地域の貿易自由化が非常に進展する可能性があるんですけれども、今、問題は、アメリカが参加するTPPが見通しにくい状況である。
例えば中国が、アメリカまで入ってTPPをやるというふうになると、これは一つの大きな経済的な圏域ができますから、当然そこに入れないという人たちは、これは困ったなということになって、それで、RCEPはRCEPで、アジアはアジアでやっていこうというふうに判断する可能性が高いんですが、現状では、アメリカが抜けてしまえば、アメリカのパワーを使って、そこまで中国が、なくなったものに対してどういうふうに思うかといえば、今一帯一路構想をやっていますから、ここに注力する中で、このアジア太平洋地域の質の高い貿易自由化に向けて、日本は果たしてどうやって、今、この二つの状況がある中でイニシアチブを発揮していくのか。
これは、政府は今どういうふうに考えていらっしゃるか、今の、現段階の考えをお伺いします。
○飯島政府参考人 お答えいたします。
我が国は、中国との関係では、現在、TPPに参加していない中国を含めた十六カ国が参加するRCEP及び日中韓FTAの交渉を並行して進めております。
我が国としましては、まず、これらができるだけ質の高いものとなるよう精力的に交渉を進めていくこととしております。
我が国は、自由貿易の旗手として、世界で最もダイナミックに成長するアジア太平洋地域において、マルチやバイの経済連携協定を含むあらゆる手段を通じて、質の高い自由で公正な貿易ルールを構築していく考えでございます。
○篠原(豪)委員 イニシアチブを発揮したいという気持ちはわかるんですけれども、果たして実際にそのイニシアチブを本当にどうやってとっていくのかという手法ですよね。
いいんですよ、頑張りますというのは。でも、それはやはりちゃんと、どういうふうにやっていくのかというのを具体的に、今この状況でどういうふうに進めていこうかということを、少し何か思うところがあれば教えていただけませんでしょうか。
○茂木国務大臣 中国、習近平国家主席が何を考えているか、全て私の方からコメントすることは当然できないわけであります。もちろん、アメリカの動向というのは強く意識をしていると思いますが、では、例えばワンベルト・ワンロードを進めるというときに、ではアメリカのことだけ考えてそういった政策を進めているのかといいますと、必ずしもそうではない。メコンデルタ地帯に対する考え方、またインド、そして中東に通じる地域に対する中国の対応、さまざまなことを考えるんだと思っております。
TPP、これはトランスパシフィックでありますから、アジア太平洋地域をカバーいたしますが、RCEPの場合は、ASEAN十カ国プラス日本や中国、そしてオーストラリア等々の関係国も入ってくるわけであります。中には、経済の発展レベル、これが今回TPPに参加する国にまだ達していない国もあるわけでありまして、どこまで高いスタンダードのものをつくっていくかという問題と、全員が参加できる枠組みをどうするか。これは非常に難しいバランスがあるわけでありまして、ハイスタンダードにすればするほど、なかなかついてこられない国が出てくる。
一方で、何というか、全員を巻き込もうと思うと、思ったほどのハイスタンダードにならないという問題も出てまいりますが、このTPP12、そして昨年の一月二十三日以降はTPP11でリーダーシップをとってきた日本の経験といったものを、RCEPの交渉にもしっかりと生かしていきたい。
また、RCEPの仲間の中でも、シンガポールであったり、またマレーシア、ベトナム、そしてブルネイ、さらにはオーストラリア等々、この一年間の日本のリーダーシップを信頼してくれている国は大変多い、このように考えております。
○篠原(豪)委員 我が国の国益を最大化するという目標のもと、やっていただきたいと思います。
他方で、アメリカですよね。アメリカがTPPに復帰しないで、別途FFRをやるというのは、もうここで何度も議論になっているんですけれども。
きのう、我が党の阿部委員もお話ししていましたけれども、離脱のアグリーメントを見ると、やはりワン オン ワン ベーシス バイラテラル ベーシス ネゴシエーション フューチャー トレード ディールズと書いてあって、離脱は決まりましたけれども、パーマネントだというふうに書いていて、四月の十八日にフロリダで、安倍首相を横にして、二国間交渉がいいと言い切ったわけですよね。
そうすると、この事態は当然避けた方がいいということは我々は言ってきています。これは多くの方々がそう思っている。そこで、この対策をどういうふうに考えているかということを伺いたいんです。
トランプ政権は今、NAFTAの見直し交渉、これを、自動車生産を米国内に誘導しようとしています。関税が無税となる原産地規則をつけて、つまり、域内で部品調達率の基準を引き上げるということを提案しているということです。さらに、カナダ、メキシコに対しては、自国通貨安誘導を防止するために、通常は貿易協定に盛り込まれることのない為替条項、この為替条項を新たに盛り込もうとしているというふうに言われているんです。
こうなったときに、トランプ政権がこの十一月に、まさに政権の真価が問われる中間選挙が目の前にあって、離脱しちゃいましたから、後悔しているかどうかわかりませんが、でも、今言ったように、ここに書いてあって、決めて署名してしまっているから、もはや戻ることは余り考えられないんだと思うんですよ。だからこそ、バイラテラルな交渉をワン・オン・ワン・ベースでやろうということで言っているわけです。
日本には、やはり中間選挙を控えて、同様な要求をしてくるんじゃないか。カナダやメキシコには為替条項まで入れてやるという話なんです。なので、こういった要求を回避しなければいけないと思うんですが、これはどういうふうに考えているかということをお伺いしたいと思います。
○飯島政府参考人 お答えいたします。
米国政府によりますTPPからの離脱を受け、我が国は、日米首脳会談を含め、これまで累次にわたり、米国政府に対して、TPPに復帰するよう働きかけてまいりました。
その結果、トランプ大統領自身も、TPPについて、よりよい合意の内容ができるのであればTPPに参加する可能性がある旨を述べるような状況も出てきております。TPP11の早期発効を実現することが、TPPのメリットを具体的に示し、TPPが米国の経済や雇用にとってもプラスになるとの理解を深める大きな力になるものと考えております。
委員が御指摘になりました為替条項等の問題につきましては、仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきますが、委員が言及になられました自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議におきましては、公正なルールに基づく自由で開かれたインド・太平洋地域の経済発展を実現するため、日米双方の利益となるように、日米間の貿易や投資を更に拡大させていくとの目的で協議が行われるものでございます。この協議は日米FTA交渉と位置づけられるものではなく、その予備協議でもございません。
我が国として、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはなく、攻めるべきは攻め、守るべきは守り、最善の結果を追求していく方針としております。
○篠原(豪)委員 それは建前上、ずっと聞き流したんですけれども。
何を心配しているかというと、日本の今までのアメリカとの交渉の歴史を見てみますと、何かブラウスが一ドルで日本製品が入ってきてという事件が、昔ブラウス事件というのがあって、そこから、綿製品を一九五六年に、鉄鋼を一九六九年に、繊維を七二年、七七年にはカラーテレビ、八一年は自動車、これは全部輸出の自主規制なんです。なので、交渉の中で日本は結局いろいろと自主規制を、いろいろなものをさせられてきたという歴史があるんですよ。まさに今、そういった歴史があるからこそ、こういう、今トランプ政権がかなりむちゃな要求を、球を投げていると思っているんです。
どう見ても高目の球なので、例えば、鉄鋼の話があります、アルミの話があります、それを政府としては、それは日本しかできないからいいと言っているけれども、球を投げているわけですよ。いろいろな球を投げているんですけれども、これを全部まともに振ると、それはどうなるかわからない、打ち返すと。そういうこともあるので、ずっとフォアボールを投げさせればゲームはこっちが勝つと言われるのもあるかもしれないんですけれども、そうはいってもその前で球を振りそうなので、ちょっとここのところをどう考えているかというところを伺いたかったので、伺いました。ここはしっかりやっていただきたいと思います。
日本はずっと自主規制でやってきた歴史があるわけですよ。向こうはもうそれはわかっていますから。私はそう思います、私だったらですね。そういうふうに考えております。
ですので、今度FFRを、農業関係者の配慮からか、これをいつ開くのかという問題もあります。これも日本のFTAの交渉ではないと言っていましたけれども、今言っていましたよ、おっしゃっていました。それは何らかの協議でもないということをおっしゃっていましたけれども、通商協議ですよ。
何とかこのTPP11の発効まで、交渉の開始を先延ばしにしているようにも見えるんですけれども、その時点までに、発効前までに、二国間でのこのFFR、つまり、米国との二国間のFTAになるかもしれないということの優先方針になっていくと困るなということで、そういうことがないのかということを一つ聞きたいのと、あと、TORの話ですけれども、FFRにおいてどのような付託事項をこれから盛り込んでいくのかわかりません。
一つ伺いたいんですが、現在、TORの素案、たたきというのはどのように、日米両国でそれぞれに考えてお互い出すという話になっているのか、あるいはこっちから出すのか、あるいは向こうから来たのを検討するのか、そのことを、今どういうふうになっているかも含めて、時期と、今の、最初の案というのはどういう作業で進んでいるかということを教えていただければと思います。
○茂木国務大臣 まず委員、NAFTAのことについてもいろいろお調べになってお話をされているわけでありますが、必ずしもNAFTAと、TPPであったりこれからのFFR、同列に並べられるものではない、こんなふうに思っております。
そして、今アメリカの政権が何を考えているか。
きのう、阿部委員の方からも、トランプ大統領の一月の二十三日の声明を示していただきましたが、多分、最後の二行で、ツー以下で目的が書いてあったと思うんですが、アメリカの産業を振興する、そしてアメリカの労働者を守り、アメリカの所得、賃金を上げる、このことが目的なんですよ。そのためにどうしたいかということでありまして、今回のFFRの協議、まさに、フリー、自由で、フェア、公正であると同時に、レシプロカルですから、お互いにとって利益があるような成果を上げるべく取り組むということであります。
TORでありますが、今それぞれ関心のある項目をお互いに出し合う、そういった中で事務的に調整をする、こういうレベルであります。
○篠原(豪)委員 ありがとうございます。
やはり、そういった具体的にどう進んでいるかというのをこうやって教えていただければ、我々国民の側もわかりやすいと思うし、中身がよくわからない中で、かみ合わないで議論をしていたら質疑時間がもったいないので、本当にそうやって今おっしゃっていただいているのはありがたいと思っていますし、じゃ、その中身を今度どうしていくかという話は継続的にしていかなきゃいけないんだと思います。
ちょっとここで視点を変えるんですけれども、本当に、アメリカが抜けたTPP、すなわち、今回のTPP11が、TPPよりも日本の国益に資するのか資さないのかという問いがあるんじゃないかと思っています。
声で、日米で、特に日本はアメリカの力を使って、まあ全員、皆さんの力を合わせてという言い方が正しいんでしょうけれども、いろいろな、東南アジアとか他国への窓口を大きく広げて、日本の利益になることも結構あるんだと思うんです。当然、なければ、全部損だったら、これは条約として認められないし、この法案も認められないんですけれども。そういうふうにやってきている中で、日本にとってはアメリカが戻らない方が、日本だけの国益を経済的に考えたときには得なんじゃないかということを言う人もいるんですよ。
このことについてどう思われますか。日米の利益を追求というか、日本単独の利益だけ追求するという観点から見ることができるかどうかという、そこの御所見です。
○茂木国務大臣 利益の捉え方ということによっても違ってくる部分はあるかと思うんですけれども、日本の国益と全体の利益からしたら、アメリカがTPP12の形なりで復帰をするということは、日本も期待いたしておりますし、これが十一カ国共通の認識だと思っております。(発言する者あり)
○篠原(豪)委員 今、世界標準という言葉が聞かれましたけれども。
では今回、凍結項目が、ここはちょっとお願いしたいんですけれども、八十項目から二十項目になったという交渉の経緯について、この経緯がまだ示されていないので、これは委員長、お願いがあるんですが、この経緯、出していただけるよう、理事会で協議していただけますでしょうか。
○山際委員長 後ほど理事会で協議をいたします。
○篠原(豪)委員 出していただけるように、大臣、よろしくお願いします。ちょっと見たいぞという声がありますので。
話を戻しますが、この二十項目になったところで、見たいのは理由があるんですよ。日本が二十項目の中で、果たして、凍結されたままの方が日本にとってはバイで考えたら利益になる項目と、バイで考えたらですよ、反対に凍結が解除された方が利益となる項目というのは、バイで考えた場合には今どういうふうに捉えられているかということをお知らせください。
○飯島政府参考人 お答えいたします。
我が国としましては、今回凍結されることになりました二十二の項目全てを含め、TPP12協定全体について、幅広い分野において二十一世紀型の自由で公正なルールをつくり出すものであり、今後の経済連携協定のスタンダードになるものと考えております。
その上で、TPP11協定における凍結項目につきましては、TPP12協定が有しておりますハイスタンダードな水準を維持しつつ、十一カ国の全てが合意に参加できるバランスのとれた協定を実現するために、さまざまな要素を総合的に考慮して判断した結果であると承知しております。
そうした考えに基づきまして、我が国からは凍結の提案は行っておりませんが、これ以上の詳細につきましては、交渉の内容にかかわることでございますので、説明を差し控えさせていただきたいと思います。
○篠原(豪)委員 さっきから、ちょっと答弁ひどいですよ。そんなこと聞いていないですよ。
もう一回聞きますよ。二十二項目のうち、二カ国同士で考えた場合は、どこがどういうふうに我が国の国益に資すると考えているのかというのを教えてほしいんです。それだけの話なんです。教えてください。
○澁谷政府参考人 ざっくばらんに申し上げまして、凍結されて非常に残念だと思ったのが、政府調達の追加的交渉という規定があります。
これは、TPPの政府調達協定の中では、日本はWTOの政府調達協定では政令指定都市まであけておりますが、連邦制をとっている国が、州政府をTPPであけていない国が五個あります。そうした国には、日本も、TPPでは地方政府をあけていないわけですけれども、これはけしからぬということで、三年たったら地方政府をあけさせる追加的交渉をするという規定があります。
これはむしろ日本が攻める立場にあったものでございまして、どっちかというと、アメリカも連邦制で、州政府をあけておりませんので、むしろアメリカを攻撃できる規定だったわけですけれども、これが凍結されたということは、我が国としてはやや残念であります。
ただ、協議というのは、発効した後、いつでもいろいろな場でできるわけですから、ということで了承した、そういう経過がございます。
私の個人的な感じでは、それ以外の項目、我が国にとって困るとか、そういうことは余りないような気がしております。
○篠原(豪)委員 そうしますと、ほとんどの項目が我が国にとってはいいということになるわけですね。そういうふうに捉えられますので、やはりこれはちゃんとしっかり中身の議論をしていくのは大事なことだと思いますよ。だって、拒否することじゃないので、国の利益はどういうふうに考えているかという当たり前の問いであります。
ですので、そういった議論もしたいので、その八十のリストがなぜ消えたのかというのは、理由を見たいし、どういうものだったのかということで、その経緯も知りたいということでありますので、ぜひよろしくお願いします。
委員長、それではお願いしましたので、よろしくお願いします。
○山際委員長 はい、後ほど。
○篠原(豪)委員 ありがとうございます。
この経済効果についてなんですが、試算は、いろいろ今、GTAP、GTAPと言っていますが、このGTAPモデルは、例えば、私一つお伺いしたいのは、もう時間がないので、この生産量の減少、農業分野の全品目でゼロというふうに今仮定しているんですよ。これは、国内対策がどの程度寄与して生産性が維持されるのか、これは見ただけでも、全くゼロのままでなっているというのはちょっとよくわからないので、これを教えてください。農水省の職員に、お願いします。
○天羽政府参考人 お答えいたします。
TPP交渉の結果でございますけれども、農林水産分野におきましては、重要五品目を中心に、関税撤廃の例外をしっかり確保し、関税割当てやセーフガード等の措置を獲得してございます。それでもなお残る農林漁業者の不安を受けとめ、安心して再生産に取り組めるよう、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、万全の対策を講じることとしております。
これらを踏まえ、TPP11の農林水産分野について個別品目ごとに試算を行った結果、関税削減等の影響で価格の低下により生産額の減少が見込まれるものの、体質強化対策による生産コストの低減、品質向上や経営安定対策などの国内対策により、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量は維持されるものと見込んだところであります。
これらはいずれも国内対策の規模を見込んで算出したものではございませんが、その上で、TPP等対策予算ということで申し上げれば、平成二十七年の補正予算で三千百二十二億円、二十八年度の補正予算で三千四百五十三億円、二十九年度で三千百七十億円ということでございます。
○篠原(豪)委員 済みません、私が聞いているのは、なぜそういう仮説を立てたのかと。GTAPのモデル、ここまで、影響の試算として皆さんがいろいろ話をしていますが、これははっきり言って、計量分析の話ですから、どういう仮説を入れて、パラメーターを入れて、それでぽんとボタンをはたいて出すのかという話であって、証明されるべき有意率とか、その仮説が証明されたということを出した上で話をするのが当たり前なんです。
ですので、それができているかどうかというときに、例えば、影響試算も、対策をとらなかった場合はどうなるかというのも出ていないですし、だから、そういったことも含めて、これは多分やられていると思いますので、これも出していただけるかということで、出していただけるかどうかだけ。
影響試算の、対策をとらなかった場合はどうかというのがあるのかどうか、なければ、いわゆる裸の前提データ、これを示していただければと思うんですが、そのことについてお伺いします。
○天羽政府参考人 お答え申し上げます。
農林水産物の影響試算についてでございます。
現実に起こり得る影響を試算すべきものだというふうに考えてございまして、協定自体の発効による効果だけでなく、国内対策の効果もあわせて考えることが適切だと考えてございます。
したがいまして、TPP11の影響試算も、TPP12のときと同様でございますが、国境措置、それから国内対策も踏まえて試算を行ったところでございまして、国内対策なしの試算を行うことは現実に起こり得ることとは異なるということでございますので、これを行うことは考えてございません。
○篠原(豪)委員 わかりました。じゃ、その仮説を立てたデータの計算の式、それをオープンにしてください。そうしたら、どこがどうなっているかすぐわかりますので、見る人が見れば。それは可能ですか。
これはできるかどうかといったら、出さないと言うかもしれないので、委員長、これを出していただけるように、理事会で協議してください。
○山際委員長 後ほど理事会で協議をいたします。
○天羽政府参考人 先ほど御答弁させていただいたとおりでございますが、国内対策なしの試算を行うことは、現実に起こり得ることとは異なるということでございますので、これを行うことは考えてございません。
○篠原(豪)委員 裸のデータを出していただければ皆さんにわかりますし、国民の皆さんはこれが不安だといって、北海道の酪農農家の皆さん、そしていろいろなところが、みんな見ればわかるんですよ。
そうしたら、その理論が合っているかどうか、その理論が、仮説が正しいということであれば、それは信用できるデータだし、それは建設的に話をしたらいいと思いますが、その議論ができないで、六時間であっちは終わっちゃいましたけれども、こういったことも含めて、いろいろと、今二つ提出していただきたいと思っていますので、このことをお願いをします。
最後、コメントだけ一言つけさせていただければ、今、TPPといったメガFTAの影響は実に複雑で、特に、市場や流通が十分に整備されていないまま基幹作物として手厚い保護が行われてきた米のような作物が果たして国際競争に耐えられるのか、あるいは飼料を輸入に頼る畜産業の競争力があるのかといった疑問に丁寧に答える姿勢がなければ、これはグローバリズムの負の側面のみが拡大して、やがては自由貿易そのものに反対するような潮流をつくりかねないから、私は怖いと思っているんです。
自由貿易をしっかり、せっかくやっていこう、ちゃんとやっていこう、ハイスタンダードでやっていこうといったときに、やはりこれを日本がリーダーとして引っ張っていくのであれば、これはしっかりと、この議論をお示しをしていただいた上でやっていかなければいけないし、今はまだ、これはとてもとてもですけれども、今の話だと、私、聞いていても議論が足りるとは思いません。
ですので、これは委員長、きょう、強行採決などといって審議を打ち切ることはない、まさにTPPの参加に伴う国内対策を考えるこの内閣委員会は、問題を丁寧に、国内調整をさせるための場でもありますから、連合審査、どうなっているんですか、外務委員会も入らないでという話です。
ですので、これは審議打切りなどとんでもないということを断固、このことを反対します。そのことを強く申し上げまして、私の質問といたします。
ありがとうございました。
○山際委員長 次に、森田俊和君。
○森田委員 国民民主党の森田俊和でございます。
TPPにつきまして、引き続きお伺いさせていただきます。よろしくお願いいたします。
本日は、農林水産省から礒崎副大臣にもお越しをいただいておりますので、まず、農業関連、農業団体からの声ということでお伺いをさせていただきたいと思います。
私は、埼玉県の熊谷というところの出身でございますけれども、もともと、米麦を中心とする農家で生まれました。たまたま私の祖父が熊谷で農協の組合長としてお世話になったり、今でもその関係でいろいろと親族が関係していたりということもありますので、日ごろ、関係者の皆さんといろいろとお話をさせていただいております。
私の地元には、ほくさい農協、くまがや農協と二つの農協がございますけれども、両方の農協の関係者の方にお話を伺ってまいりました。そうすると、大体、二つの農協さんの関係者とも、同じことをおっしゃっております。
まず、個別具体的な話の前に、意見が言えないというお話がございました。
いろいろと農協改革等のこともあって、何か注文をつけると、改革、解体といったような圧力がまた来るんじゃないかということで、これは別に私が詳しく申し上げるようなことでもないんですけれども、どういうことが起こったかということについては御承知のことと思います。こういった状況の中で、ざっくばらんな意見を出せるかといったら、これはなかなか難しいと思います。
TPPの推進ということを考えると、一番懸念を持っておられるのは恐らく農業団体の方だと思いますけれども、こういった状況の中で、意見を言うことができない、あるいは非常に限られた物の言い方になってしまうというような状況があるということを伺ってまいりました。ぜひこのことを御認識いただければなと思っております。
具体的な御意見の中身を少し紹介させていただきたいと思いますが、なお、私の地域というのは米麦が中心でございますので、御意見もそのことが中心でございます。
まず、ミニマムアクセス米もあって、米の問題ですけれども、今でも七十七万トンがミニマムアクセス米ということで確保されているわけですが、売買同時契約方式、SBSということで、更にオーストラリアに対して設定するということになっております。約八百万トンの国内生産の量に対して今でも七十七万トンということで、更にそこにオーストラリアの枠が入ってくるということで、国内生産量に対しては約一割のお米が輸入で入ってきているということで、ブランド米等には余り価格の問題にはならないのかもしれませんが、例えば、余りブランドを気にしないブレンド米であったりとか、あるいは外食産業であったり加工用に使うお米であったりとか、こういったところの値段にはかなり響いてくるということではないか。これ以上下がるとどうなるんだという懸念です。
備蓄用に政府が買い取るということだけれども、この辺も含めて、本当に大丈夫なんだろうか。直接支払交付金も廃止される。飼料用米をつくっていた農家が、いろいろと交付金の関係もあって食用のお米にまた転換するということで供給が多くなると、また価格の方も心配だということですね。
それからあと、小麦の問題がございます。
熊谷は本州で一番の小麦の産地でもございまして、米の裏作として多くの農家が小麦をつくっております。ちょうどこれから麦刈りの時期を迎えるわけですけれども、そういう地域ですから、非常に小麦に対する懸念も大きいわけです。
小麦については、小麦を輸入するときに価格の上乗せで取っているマークアップが減額されるということが入っております。九年目までに四五%削減ということでございます。そうすると、マークアップを原資としている経営の所得安定対策に回る金額が減ってくるということで、この減額分がちゃんと補ってもらえるんだろうか。先ほどの質疑にもありましたけれども、そういった御心配も出ております。
これまでのWTOの枠に加えて、輸入枠がカナダ、オーストラリアに対して設定されるということもありまして、残念ながら、国の支援がなければ小麦の生産はほぼ成り立たなくなってしまっているというのが農家の現状でございますので、このあたりの対策を引き続きやっていただけるんだろうかという懸念がございます。
こういったことを踏まえて副大臣にお尋ねをいたしますが、こうした農業団体からの声、これをどのように受けとめて御対応されるのか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○礒崎副大臣 お答え申し上げます。
森田委員の方でも既に御案内のようなところでございますが、TPP11におきましては、まず米につきましては、国家貿易という制度、それから枠外税率といった現行制度は維持されたわけでございまして、ただ、豪州向けの国別枠が新たに設定されることになりました。
また、小麦についても、国家貿易は維持され、枠外税率といった現行制度は維持されました。ただし、カナダ及び豪州向けの国別枠が設定されるとともに、マークアップを四五%削減するという協定になったところでございます。
そうしたことを踏まえまして、我々、国内対策といたしまして、米につきましては、政府備蓄米の運用を見直し、国別枠の輸入に相当する国産米を備蓄米として買い入れ、国産米の需給及び価格に与える影響をこれは完全に遮断するということで価格を維持いたします。
また、麦については、マークアップを引き下げるわけでございますが、それに伴って国産麦の価格が下落するおそれがありますが、これにつきましては、国産麦の安定供給を図るため、引き続き経営所得安定対策できちんと補填をしていくということを行うことにいたしております。
こうした経営安定対策を通じ、農業関係者の皆様の懸念や不安を払拭し、安心して農業に取り組んでいただけると我々は考えておりますので、そういうことをきちんと御説明申し上げていきたいと思います。
○森田委員 ありがとうございました。
農業団体の方の話を聞いてみると、もうしようがないんじゃないかなといった諦めのような声が聞こえてまいります。ぜひ、先ほど、対応をしていただけるということでございますけれども、改めて、一つ一つの声を解消できるような形で対応をお願いできればなということをお願いします。
次に、TPPによる生産額への影響に関してお尋ねをしたいと思っております。
農水省の方で出した試算によると、米への影響がゼロということになっております。生産量も減らないし、生産額も減らないということでございます。また、自給率への影響も、この試算をもとにして出てきたものが、カロリーベースで三八%、生産額ベースで六八%、これも変化なしということで伺っております。
そもそも、米の生産はずっと減ってきておりまして、ピークの昭和四十二とか四十三年のあたりには一千四百万トンぐらいだったものが、今は、平成二十九年で七百八十二万トンということで、およそ半分ということでございます。
これに加えて、人口が減っている。米の消費量も、昭和四十年には一人当たり百二十キロだったものが、今、平成二十八年で五十四キロということでございまして、これも半分以下になっているということで、こういう状況を見ると、確かにTPPの影響はないんですよということは言えるかもしれませんけれども、年々生産額は減っているということでございまして、自給率は減らないという、まあ確かにそれはそのとおりなのかもしれませんが、いわば負のバランスで成り立っている計算ということになるんじゃないかなというふうに思っております。
そこで、副大臣にお尋ねしたいんですけれども、こうした生産減少への現状をどう認識しておられるか、御答弁をお願いいたします。
○礒崎副大臣 お答え申し上げます。
今委員御案内のように、米の主食用米につきましては、国内の需要が毎年八万トン、大体約一%強のものが減少しておる、そういう中にあるわけでございますが、こうした需給及び価格を安定させるために、一貫して、これまで行政による配分の手法を用いて生産調整を行い、その結果、ある意味、生産量も減少していただいたところでございます。
しかしながら、平成三十年産から行政による生産数量目標の配分等の廃止に伴い、今後は、行政による配分に頼らずとも、年々需要が減少する国内主食用米から新たな需要の拡大が見込まれる輸出用米の生産への転換など、産地、生産者が中心となって需要に応じた生産、販売を行い、米の需給及び価格の安定を図っていくことといたしまして、そのお願いを今やっているところでございます。
その中で、農林水産省といたしましても、本年の平成三十年産以降につきましても、麦、大豆、輸出用米、飼料用米等の主食用米以外の作物の生産を支援するための水田フル活用という政策にかなり力を入れておりまして、これをしっかりとやるということ。それから、先ほどの米の生産量につきましても、全く政府が何も関与しないというわけではなくて、どういうような状況にあるかということを、きめ細かな情報提供をしていくことにも努めていきたいと思います。
これまでの収入減少影響緩和対策、いわゆるナラシ対策を進めるとともに、新たに収入保険というセーフティーネットも設けるという御提案もさせていただいていることであります。
こういう政策をあわせて行うことによりまして、農業者みずから需要に応じた生産、販売に取り組んでいただける環境整備に努めてまいりたいと思います。
○森田委員 ありがとうございます。
茂木大臣にお尋ねをしてまいりたいと思うんですが、先ほど来アメリカのお話が出ておりますけれども、農業関係の方とお話をしていても、またアメリカが入ってきて交渉し直すと、いろいろな、また枠の再設定だとか出てくるんじゃないかという、そういった懸念が出てきておりますが、改めてお尋ねをしたいと思いますが、こういった懸念の声にどうやってお応えしていくお考えか、御答弁をお願いいたします。
○茂木国務大臣 我が国としては、アジア太平洋におけるハイスタンダードな貿易・投資の枠組みの早期確立を図る観点から、TPP協定の早期発効に全力を挙げていく考えであります。
その上で、日本としては、米国を含む形でのTPPを実現したい、またTPPが日米両国にとって最善と考えておりまして、今回の自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、FFRにおいて、米国のTPPへの復帰についても議論をしていきたいと考えております。
従来から申し上げておりますとおり、TPP11、これは参加国のさまざまな利害関係、これを綿密に調整してつくり上げた、ハイスタンダードかつバランスのとれた、いわばガラス細工のような協定であります。一部のみを取り出して再交渉する、変える、こういうことは極めて困難だと考えております。
特に、先ほどから御質問いただいております農業の関係、農産品につきましては、安倍総理からも、TPPで合意したものが最大限であるとの立場を明確にアメリカ側にも伝えたところでありまして、その立場を堅持した上で議論に臨んでいく。
同時に、TPP11、これの発効に向けて農業の体質強化、こういったものも必要でありまして、昨年の十一月に改定をいたしましたTPP等総合政策大綱、これに基づいて、しっかりした万全の対策を引き続き行ってまいりたいと考えております。
○森田委員 ありがとうございます。
アメリカが抜けたり、また入ってきたり、あるいは二国間でと、いろいろと複雑なお話になってきまして、なかなかその話がよく見えないという声が聞こえてまいります。ぜひ、丁寧な御説明をしていただきまして、一つ一つの声にお応えをいただきたいなと思っております。
次に、米や麦などの品種の開発だとか、種ですね、種子の流通についてのお尋ねをさせていただきます。
私の住まいの近所に県の農業試験場がございまして、熊谷というのは暑いところでございまして、二〇一〇年に、夏の暑さで米が白くなってしまう、こういったことが起こりました。それから、いろいろとまた暑さに強い品種をつくっていこうということでできたのが、彩のきずなというのがございまして、これは二〇一七年の食味ランキングで特Aを獲得したりということもございまして、地元の農家には大いに勇気づける材料になっております。
また、お隣の群馬では、伝統的な小麦の品種である農林六一号にかわる、さとのそらといったものを開発したりということで、こういった地元に根差した地道な取組をTPPが入ってくることによって破壊されてしまうのではないかな、そういった懸念の声が聞こえてまいります。世界的な資金力を持った大企業が入ってきて、価格の面であったりだとかあるいは流通面での支配をしてしまって、こういった、いわば種の地産地消といいますか、多様性の確保といいますか、こういったところが消えていってしまうのではないかな、そういった心配の声がございます。
そこでお伺いをさせていただきますけれども、品種の開発、あるいは種の、種子の流通に関してのTPPの影響をどのように捉えていらっしゃるか、御答弁をお願いいたします。
○大角政府参考人 お答え申し上げます。
国としましては、これまでも、暑さに強いとか、こういった先導的な品種の開発あるいは育種に必要な基礎的研究、遺伝資源の収集や育種技術の開発等でございますけれども、こういったことを行ってきたところでございまして、今後とも同様の取組を行っていく考えでございます。
また、お話にもございましたが、各都道府県の農業試験場におきましては、地域のニーズや特性を踏まえまして、それぞれの戦略のもとで独自のブランド品種の開発を行ってきているところでございます。都道府県の判断に基づきまして、今後とも適切に品種開発が行われていくものと考えているところでございます。
このようなことから、今回のTPPにおきましても、多国籍企業等に種子の流通が独占される、こういったような極端な事態は想定されないものと考えているところでございます。
○森田委員 ありがとうございます。
種の多様性も大事な日本の資産だと思いますので、ぜひその保護をお願いいたします。
次に、農業機械の輸出についてお尋ねをしたいと思います。
私の地元の羽生市というところに金子農機さんという乾燥機のメーカーがあるんですけれども、この社長さんにTPPの影響で外国への輸出はどうでしょうかと言ったんですけれども、よくわかりませんということなんですね。既に中国には工場があったり、あるいはベトナムに三十台乾燥機を輸出したりという実績もあるらしいんですけれども、なかなか海外展開ということになると難しいと。
やはり、お米を食べている、あるいは生産をしている国がこのTPPの中にも入ってくるという見込みだということでございますけれども、例えばベトナムとかマレーシアなんかは、主食としてもう前からお米を食べているということでございまして、農業機械という意味では、そういったところに、市場に参入をしていくという意味で、まだまだ開拓の余地があるのではないかなというふうに思っておりますけれども、農業機械の輸出についてどのような見通しを持っておられるか、御見解をお聞かせいただければと思います。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の農業機械産業は、二〇一七年に二千三百三十一億円を輸出しております。そのうち、TPP域内への輸出額は二百七十九億円、約一二%ということで、一定の割合を占めているところでございます。
TPP域内の農業機械の関税は、国ごと、農機ごと、さまざまでございますが、例えば、トラクターでありますとか草刈り機等の一部の農機に関税が課せられているケースがございまして、TPP11によってこれらの関税が撤廃されれば、我が国の農機産業にとって競争力が増し、今後の海外展開にとってもプラスであるというぐあいに期待をしております。
経済産業省としては、こうしたTPP11のチャンスを新たな市場開拓につなげるため、全国で中堅・中小企業に対して経済連携協定のメリットに関する説明会を行うとともに、新輸出大国コンソーシアムにおいて、国内での事業計画策定から海外での販路開拓、現地での商談のサポートに至るまで、切れ目のない支援を引き続き実施をしていきたいというように思っております。
○森田委員 ありがとうございました。
ぜひ、大きなチャンスだと思っておりますので、後押しをお願いできればと思います。
畜産についてお尋ねをしていきたいと思います。
地元の畜産農家さん、四千頭の豚を飼っておられる農家さんにお伺いをしてきましたけれども、先ほど本会議の中でも出てまいりましたマルキンの話、九〇%にというお話もありました。これもぜひやっていきたいことなんですけれども、これとは別に、社会的責任についてもぜひ認識をしてもらいたいというお話がございまして、食品の残り物、食品残渣、米ぬか、それからふすま、こういったものの多くが豚の餌になっている。これが、お金を払って処分するようになると大変な負担になるよということなんですね。
今、二千十万トンの食品残渣のうち千五十九万トンが餌として活用されているということでございますけれども、TPPによって牛、豚などが減るということになってくると、この辺のところにも影響が出てくるんじゃないかなというふうに思います。
そこで、お尋ねですけれども、いわゆるエコフィードへの影響をどのように捉えていらっしゃるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○大野政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の食品残渣等を家畜用の飼料として利用すること、いわゆるエコフィードでございますけれども、資源の有効活用と飼料コストの低減を図る観点から、極めて重要な取組であると考えているところでございます。
エコフィードの製造数量、順調に伸びておりまして、平成二十八年度では百十九万TDNトン、トウモロコシに換算いたしますと約百四十八万トン、年間のトウモロコシ輸入数量一千万トンの約一五%程度に相当する数量となっております。
TPP交渉におきましては、豚肉の差額関税制度の維持あるいは輸入急増時のセーフガードといった国境措置を確保したところでございまして、また、農林水産漁業に携わる方々の将来への不安を払拭し、経営発展に向けた投資意欲を後押しするために、平成二十九年十一月に改定いたしました総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、体質強化対策や経営安定対策の充実等を講ずることとしております。
これらの実施によりまして、畜産物の国内生産量が維持されるものと見込まれますことから、今後ともエコフィードの需要量は堅調に推移するというふうに見ておりまして、引き続きエコフィードの生産及び利用の拡大を推進してまいりたいと考えております。
○森田委員 ありがとうございます。
畜産に関連して、乳牛のことも伺ってまいりたいと思いますけれども、私の母の実家がもともと酪農をやっていたもので、埼北酪農という協同組合の組合長さんに聞いてきたんですけれども、牛乳そのものはそんなに影響ないだろうと。ただ、酪農家として考えると、生まれた子牛、雄の子牛を売り払ったり、あるいはお乳を出さなくなった乳牛を廃用牛として出す、こういった収入もあるということなんですね。こういった影響があるんじゃないかということでお伺いしたいと思うんです。
こうした子牛だったり廃用牛の価格がTPPによってどのような影響を受けるかということも含めて、酪農家への影響をどのようにお考えか、御答弁をお願いしたいと思います。
○大野政府参考人 お答え申し上げます。
酪農家の方々の主産物である生乳のみならず、生乳生産に必要となる乳牛から生まれる子牛等の副産物、また生乳生産を終えた乳牛、いわゆる廃用牛の販売からも収入を得ているところでございます。
一方で、酪農家の方々が副産物から得る収入は粗収益全体の一五%でございまして、収入の八五%以上は主産物である生乳の販売から得ておられるということでございます。まずは、酪農生産基盤の強化等による生乳生産量の増加、また、生産される生乳の品質、成分のさらなる向上、こういった取組が重要であるというふうに考えております。
また、乳製品の原料に仕向けられる生乳につきましては、再生産を確保するために交付されます加工原料乳生産者補給金の単価算定におきまして、子牛等の副産物価額、あるいは生乳生産を終えた乳牛の価格の動向、こういったものも織り込んで算定させていただいているところでございます。
○森田委員 ありがとうございました。
そのようなことも含めて、最後に礒崎副大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり、何かあったときに国内に生産拠点があるというのはすごく大事なことだと思っております。食料の安全保障という観点から、国内畜産農家を保護、育成する意義についてお考えをお聞かせいただければと思います。
○礒崎副大臣 お答えを申し上げます。
国民に対して食料を将来にわたって安定的に供給していくことは、国家の最も基本的な責務でございます。
その中で、良質なたんぱく質の供給源である牛乳・乳製品や食肉、鶏卵といった畜産物についても安定的に供給を行うことが重要でございまして、必要な国境措置を確保することを前提としつつ、我が国畜産の競争力を強化していく必要があると思います。
このため、御承知のこととは存じますが、畜産クラスター事業などの体質強化対策を実施するとともに、協定発効に合わせまして、牛・豚マルキンなどの経営安定対策を充実する等の国内対策を強力に進めることといたしております。
農林水産省といたしましては、今後とも、生産現場の懸念に十分配慮し、意欲ある生産者が将来にわたって希望を持って畜産、酪農経営に取り組んでいただけるよう、必要な対策をしっかりと講じてまいる考えでございます。
○森田委員 ありがとうございました。
先ほどの農業関係の団体の皆様からの声ということで御紹介しましたけれども、ぜひ、こういった皆さんの心配をされていらっしゃる声に一つ一つ丁寧に対応していただくことを重ねてお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○山際委員長 次に、中川正春君。
○中川委員 続けて質疑をしていきたいと思います。
実は、茂木大臣、通告はしていなかったんですけれども、先ほどから見ていると、ちょっと睡魔に襲われておられるような、そんな感じもありますので……(茂木国務大臣「いえ、全くそんなことないですよ、ちょっとそれは失礼ですよ。全く、ちゃんと見ていますよ」と呼ぶ)はい。
それで、その上で……(発言する者あり)わかりました。じゃ、撤回します。(茂木国務大臣「それはひどいですよ。ちゃんと見ているし、全くやっていないもん。それは幾ら何でもひどいですよ」と呼ぶ)わかりました、わかりました。はい、撤回します、撤回します。(茂木国務大臣「一度も目もつぶっていないですから。それはひどいよ」と呼ぶ)撤回します、撤回します。
それで、その上で、ちょっと共通の認識を確認していきたいというふうに思うんです。
自由貿易というのが日本にとって大切だ、それを推し進めるためにも、TPPについて何とか成立をさせていきたいというのが基本スタンスだと思うんですが、その自由貿易というのは日本にどういう形で恩恵をもたらしてくるのか。日本は、何を基本にこれまでこの自由貿易を活用しながら繁栄に結びつけてきたのかという、そこの基本認識、これはもう大臣としてこの交渉に当たっておられるところの基本だと思うので、まず答えていただきたいと思います。
○茂木国務大臣 戦後日本の復興、これは自由主義経済体制のもとでの利益というものを大きく受けてきたと思っております。
もちろん、日本の経済構造、世界の経済構造というものは違っておりまして、現在は、単に輸出をする、こういう形ではなくて、実際に日本の企業が現地に投資をして、現地で生産をする、さらにはそれを第三国に輸出をする、こういった構造も生まれております。そして、これは製造業にとどまらず、サービスであったりとかさまざまな分野に及んでいるわけであります。
そして、そういった形で日本が海外に出ていくだけではなくて、また、海外の多様な品物が安く、そして安定的に、安心して日本に入ってくる、これは消費者の利益にもつながるものであると考えております。
そういった中で、共通の新しいルールに基づいて、世界の成長センターでありますアジア太平洋地域が動いていく、このことは、世界経済全体の発展にもつながりますし、もちろん、そのアジアの成長を取り込んでいくということで、日本の発展にもつながっていくものだと考えております。
○中川委員 その基本は、関税障壁というのを下げることによって、一番最適なところで投資とそれから人の活動というのが生きてくる、生産性が上がる、そういう最適化を求めた形の経済構造を全体の領域の中でつくっていきたいということ、それが人類の繁栄につながる、そういう解釈でいいわけですか。
○茂木国務大臣 デビッド・リカードの世界でいえばそういうことになるのかもしれませんが、今は、単純に比較生産費説だけではなくて、いろいろなバリューチェーンの中で物もでき上がっていきますし、また投資も行われる。そういった新しい経済、グローバル経済の形態というのは違ってきておりますから、そういった中で、それぞれの国であったり企業であったり、消費者、生産者が裨益をするものだと思っております。
○中川委員 過去の日本の歩みを見てくると、一次産業、二次産業、三次産業、それぞれあったわけでありますが、この自由貿易を何とか広げていこうという中で、やはり、先頭に立ってそれを活用して貿易の拡大、その貿易の拡大の中で日本の経済が発展してきたというのは、二次産業を中心にした、いわゆる工業製品を中心にした発展過程であったろうというふうに思うんですね。
それが、大臣御指摘のように、今、構造が大分変わってきて、それで、次、三次産業ですね、資金の移動であるとか投資であるとか、バリューチェーンが世界に広がっていく。これは、グローバルな企業活動というのが日本を中心にして始まってきている。その流れに乗って、今、新しい、いわゆる二十一世紀型のルールをつくっていこうというもくろみを持ってこの交渉に当たっているということだと思うんですが、それでいいですか。
○茂木国務大臣 そのような認識は共有しているつもりでおります。
○中川委員 そうなると、企業にとっては、これはメリットが出てくる。いわゆる特にグローバルな活動の中でバリューチェーンを張りめぐらせながら、一番最適化されたところへ向いて製造拠点を持っていく、あるいは情報拠点を持っていくという形で展開するんだろうというふうに思うんです。
しかし、その企業の活動と、その活動の結果得られた利益というものを日本の国内にどういうふうに再分配されていくのか、あるいは、それをこの国の豊かさの基本にしていくのかという、やはりシステムが要るんだろうと思うんです。
もう一つ言えば、そうしたグローバルな展開から外れている部分というのが第一次産業なんだと思うんですが、ここは、日本の中で物をつくって、日本の中で品質向上をやって、それを海外へ持っていくにしても、なかなかそういう結果に至らないというジレンマを抱えながら、ずっとこれまでやってきた。
だから、ここの部分については、国を開けば開くほど、さっきの話で、競争相手が低価格で入ってくる。それも、為替ということがありますから。やっと日本の為替も三百六十円から百円レベルになってきて、農業についても多少の競争力が出てきているのかもしれないけれども、これまでは、為替障壁の中でなかなか国を開くということができなかった。できなかったから、第一次産業についてはいろいろな障壁を設けて、関税率を高く維持するということも含めて、いろいろな障壁をつくりながら、農業政策として別個、この部分についてはやってきた。
だから、ここについては、国益を損じるような交渉はしないというけれども、トータルでやればやるほど、この農業分野については構造的に非常に厳しい状況になる。だから、政策で支えていかなきゃいけないというので、この関連政策大綱というのをつくっているわけでしょう。
だから、そういう意味では、国益に反したような交渉はしないんだというけれども、この構造の中に、国益を伸ばす部分と、それから、そうではない、やはり犠牲になる部分があって、この犠牲になる部分をどう克服するかということが見えて初めて、トータルで、それじゃいいねという話になるんだと思うんです。
私たち、どうしても承服できないというか、今回の進め方で納得できないのは、この犠牲になる部分の将来像が見えないし、それから、今いろいろ政策が出てきていますけれども、これに本当に、基本、日本の農業というのが生きられるのかどうかということ、これに確信が持てないという部分から始まっているんだと思うんです。
だから、あの12のときに農業団体からさまざまに反対運動が起こり、私たちもそれを一つ一つ見詰めていく中で、本当にこれでいいのかと。まだ皆納得していないんですよ、これは。全く納得していないんですよ。後で、何で納得できないかということを詰めていきたいと思うんですが。
そういう状況であるだけに、中途半端に今採決をして、国内対策はこれでいいじゃないかというふうな押し込み方というのは将来に禍根を残すし、そして再交渉がある場合、この再交渉自体もなかなか展望が開けない、このままで本当に農業を守っていけるのかということに対して、どうしても納得がいくところまでは話を持っていくことができないという、そのジレンマの中で議論しているんだと思うんです。
だから、そういう意味で、やはり、この犠牲になる部分と、それから、これを転換して、もう一つ、新しい農業というのであれば、その展望をもっとはっきりと、もっと具体的にこれは示すべきだというふうに思うんです。
そういうトータルの絵柄を見たときに、どうですか、大臣、それをもっともっと詰めて、もっといい政策をつくっていきながら、このTPP、国民に対して納得のできる形にしていこうというお気持ちにはなりませんか。
○茂木国務大臣 そのような趣旨で政策の方は進めさせていただいておりますし、また、関連政策大綱もそういった形で取りまとめ、しっかりと予算づけもして執行しているところであります。
農家の皆さん始め、このTPP、グローバル化に伴いますさまざまな不安とか懸念にもしっかり応え、体質強化も進めていかなきゃならない。同時に、このグローバル化、確かに大企業がグローバル展開をして今裨益している部分は大きいと思うんですが、同時に、例えば投資の新しいルールの強化であったりとか通関手続の迅速化、こういったことが進むことによって、これまで国際化に、グローバル展開にハードルが高かった地域の、すばらしいものをつくっている中小企業であったり、おいしくて安全で、ほかの国にはないような、見たことのないような形の整った日本の食品というのが国際展開をしていく、こういったことも可能になってくると思っております。
まずは、市場の情報調査の段階からいろいろな形で支援をしていく。さらには、商品開発の時点で支援をする。そして、実際に出ていく、チャネルをつくる段階で協力をする。最終的には、現地においてさまざまな活動をする意味での法制度、こういったことでも協力をする。さまざまな対策をきちんと立てていきたいと思っております。
○中川委員 もうこの三年ほど、TPP関係の予算が計上をされています。三千億前後ということですね。
この中身、ここに一覧表があるんですけれども、農業農村整備事業であるとかパワーアップ事業、クラスター事業、国産チーズの競争力強化とか、畜産・酪農生産力強化対策事業であるとか、あるいは、さっきの話で、輸出に取り組む事業者への支援の強化であるとか、あるんですけれども、こうした事業というのは基本、支援事業、支援対策なものですから、この予算は、一般の予算の中に組まれているわけではなくて、補正予算で、毎年毎年交渉しながら、三千万前後、来ているわけですよね。
だから、この予算というのは、これから生きていく農業者に対して、中に組み込まれている予算じゃなくて、緊急対策的に支援をしますよ、予算をつけますよ、例えば新しい農地開発、あるいは建物をつくる、それに補助金を出しますよということなんだけれども、実は農業者が直面しているのはそこの部分じゃなくて、実際に飼料が入ってくる、餌が入ってくる、牛を育てる、それが販売価格にどう連動してくるか。
海外から入ってくるものに対して、値段は確実に下がる、その日々の活動というのがどのように担保されて、それで、牛を飼い続けることができるか、そういうことを念頭に置きながら、TPPというのは、その対応をするのに私たちがどうなっていくんだろう、こういうことだと思うんです。そこの不安なんですよ。
だから、これ、ずっと並んでいるのは、いわゆる日本の農業がこれまでやってきた従来型の延長線上にこの支援対策というのがあって、緊急支援対策なんですよ。だから、そこに本来のものが見えていないということが一つ問題だというふうに思います。
もしそれが違うというなら、この一つ一つの対策に対して、どれだけ効果があって、どれだけ競争力がついてくるのかという試算を、もともとそれで想定してやっているんでしょう。この三年間でどれだけそれぞれが効果があったか、どれだけ押し上げたかということをやはり示すことも大事だと思います。
これは点の政策なんですよ、点の政策。点を説明してもだめなんですよ。点を説明してもだめなんです。これはマクロで説明しないといけないんですよ、トータルでは。ということがなかなかなされていないということを指摘をしたいというふうに思うんです。
それと同時に、大臣、先ほど言われました、世界の状況が変わってきています。私、不安に思うのは、例えば牛です。私は三重県の松阪の生まれなんですが、この間、ワシントンに行って、それで、ステーキハウスでメニューを見て驚いたんですけれども、松阪ビーフや神戸ビーフもメニューの中にあるんですが、もう一つ、和牛ビーフ・イン・テキサスなんですよ。
恐らく、こうやって消費が下がっていったら、商社が何を考えるか、あるいは、生産者の中でも企業化された生産者が何を考えるかといったら、いや、日本の中で生産するよりも、飼料自体がそれだけ安く手に入る、あるいは環境がそれだけ整う、あるいは、ひょっとしたら、労働力というのもそういう意味では確保ができるということになったら、それは、みんな海外へ持っていって、それで大量に生産を始める、日本の企業がですよ。これが、グローバル化、グローバル企業。これが、農業分野におけるサプライチェーンなんですよ。もう始まっていますよ、それは。
同時に、種子もそう。カリフォルニア産のコシヒカリが日本のコシヒカリよりもうまいといって宣伝を始めて、それで日本で相当話題になったというようなこともありました。
こういう形でグローバル化していく将来というのが、ただ輸出をどうしたらいいか、生産力を上げるのはどうしたらいいかと固まっている、その政策の向こうに、大きく展開していく可能性というのが出てきているんだというふうに思うんです。それだけに、非常に私は危機感を持っています。
そんなことも想定しながら、私は、政府試算というのは一遍出してみて、裸で。政策があるから大丈夫だ、これは、原子力発電所で我々が全く失敗した方法ですよ。大丈夫だ、大丈夫だと言っていて、それだけの安全の装備というのをやらないであんな事故になってしまったというのと同じで、大丈夫だ、大丈夫だというような試算は、これはだめだと思うんです。
裸で持ってきて、裸で持ってきた上で、じゃ、何をしなきゃいけないか。そのときの想定というのは、今の小さい想定じゃなくて、まさに大臣が指摘されているように、グローバルな形で農業も展開がこれからあるんだ、企業化されていくんだ、そんな想定の中でやったときに、私は違った絵が出てくると思うんです。
最終結論といいますか、私の思いを言えば、これは、日本で生産するということにメリット、農業生産が日本で行われるということにメリットのある環境をつくらないと、日本で農業は続かないんだ、そのメリットというのは、今のこの緊急対策ではメリットにならないんだということを指摘をしておきたいと思うんです。
だから、そういう意味で猛省を図りたいというふうに思いますし、この議論も、そうした原点に戻ってもう一つやるということが大事だと思うんです。そこまで行っていないと思うんですよ、議論は。どうですか、大臣。両方。
○礒崎副大臣 お答えいたします。
委員御案内のように、ここ三年の補正予算で、毎年三千億円以上のTPP等の対策予算というのを組んでいるのは事実でございます。
その中に、今御指摘もありましたけれども、やはり一つは、全体的な関税を下げる中で、我が国の農業の体質改善、体質を強める、それも私は必要だと思います。
全部、それだけじゃございません。それもありますし、一方では、直接的な、先ほどの米とか麦の対策、米の輸入分の遮断であるとか、麦の、げたを履かせる経営安定対策とかいうのもありますし、また、牛・豚マルキンのような直接的なものもかなりあります。
一方で、やはり体質改善のための産地パワーアップ事業であるとか産地クラスター事業というようなものもありまして、これはやはり両方とも私は必要だと思いまして、この三千億円の中にはそれがバランスよく組み合わされて入っていると思います。
そうした中で、具体的な効果ということでございますが、まだ現在いろいろなものが動いている最中でございますけれども、例えば、輸出量、輸出額を見てみれば、一兆円の目標の中で、今ちょっと水産部門がやや足踏みしているところがございますけれども、農業部門は間違いなく毎年毎年輸出量がふえております。そうした効果が確実に出ておりますので、そうした効果を引き続き持続的に持っていく、それが私たちの使命だと考えてやっているところでございます。
○中川委員 さっきから説明があるように、確かに輸出も伸びているんですが、一番出発点がゼロからの出発ですから、まだ点なんですよね。点で伸びているだけなんです。これを面でやらなきゃいけない。そのために、先進圏というか先進国というか、それがやってきたのが、やはり戸別の所得補償なんだと思うんです。
そういう面的な所得補償政策の中で農業に対して再分配をする、メリットのある分をやる。工業製品、あるいは二次産業、三次産業でメリットが出てきた分を、そういう形で再分配をするというようなメカニズムを早いところつくらないと、これはもたないというふうに思っています。
その上で改めてお願いをしたいんですが、さっきから話の出ているこの政府試算ですが、私も同感です。これは、裸で一遍出さないとだめですよ。一番最初、私がそれを言ったときに政府の方からどんな答えがあったかといったら、一遍出したことがあるんだけれども、それがパニックを起こしてしまって、これをもう一回出したら大変な混乱になるから出さないんだ、そういう答弁だったんですよ。これは逆さまですよ、逆さま。やはり、それだけの危機感というものをしっかり農業のサイドで持って、それから政策が出発するということでないと、これは本物になっていかないということだと思う。
そういう意味で、この裸の試算を出すということ、これを改めて委員会で求めていきたいというふうに思います。
くれぐれも強引な採決はしないように、この議場を混乱におとしめないように、尊敬する委員長、目を合わせてふんふんということで、信頼をしていますので、しっかり対応していただきたいというふうに思います。
以上です。ありがとうございました。
○山際委員長 次に、稲富修二君。
○稲富委員 国民民主党の稲富修二でございます。
きょうは、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
私からは、まず、四月十七日の衆議院本会議において、この審議入りの際に質問を私、させていただきましたので、その御答弁について幾つか、重ねて御質問をさせていただきたいと思います。
まず、三月二十三日、米国の鉄鋼、アルミニウム製品の輸入制限措置が発動された際の質問をさせていただきました。EU等は除外されたが、我が国は除外されなかったということ、そして、一方的措置はWTO違反ではないかということ、提訴を考えないかということ、私のみならず、他の委員からも質問がございました。
そこで、外務省に伺います。
その際、河野外務大臣が、四月十七日、福田先生の本会議の質疑に対する答弁の中で、こういう御答弁がございました。「問題の本質はあくまで鉄鋼やアルミニウムの世界的な過剰生産に対処することです。」という答弁でございました。
これは、本質なのかと思います。そういったことが本質ではなくて、問題の本質は、公平なルールに基づく貿易がされているか否かということがまさに本質であって、何かアメリカをかばうような、私にはそういう御答弁のように思えましたけれども、改めてこの基本認識についてお伺いをいたします。
○中根副大臣 ありがとうございます。お答えをさせていただきます。
米国の鉄鋼、アルミニウムの関税措置、これに関する追加関税の賦課は、米国がWTO協定上約束している、いわゆる譲許税率を超えている税率の関税を賦課するものでありまして、いわゆるガット第二条との整合性に懸念がある措置と考えております。
そしてまた、先ほど先生が、WTOの違反ではないか、これを断定した方がいいのではというような話もございましたが、これにつきましては、米国の措置がWTO協定違反か否かということでございますが、WTOの紛争解決の手続を経て最終的に判断されるものであり、現時点で我が国が断定的に申し上げることではないと思っております。
○稲富委員 とするならば、WTOへの提訴をした上でそれが確定をするというお話かと思いますが、提訴は考えますか。
○中根副大臣 ありがとうございます。
我が国としては、まず、この関連措置の内容、そして及び日本企業への影響を十分精査した上で、WTOの枠組みのもとで必要な対応の検討を進めていきたいと思っております。
○稲富委員 先ほど冒頭ちょっと質問をした、先ほどの本会議の大臣の答弁の中で、「問題の本質はあくまで鉄鋼やアルミニウムの世界的な過剰生産に対処することです。」という御答弁があったことについて、私が、これは基本的な認識がおかしい、これは違うのではないかということを先ほど指摘をさせていただきましたけれども、この点はいかがでしょうか。
○茂木国務大臣 今、鉄鋼等につきましては世界的に過剰生産である、一部の新興国におきまして、過剰な設備を抱え、その設備削減が十分に進んでいない、こういう認識については多くの国が私は共有している、問題の本質の一つとして少なくともその問題があるということは間違いないと考えております。
○稲富委員 ありがとうございます。ちなみに、これは通告をさせていただいております。
それと、今、茂木大臣……(茂木国務大臣「俺は通告を受けていないよ」と呼ぶ)向こうに通告しております。
今、大臣が御答弁いただきましたけれども、もちろん過剰であるということはそうかもしれません。ただ、貿易ルールとして公正な中での貿易があれば自由競争の中でそれは解消されるというのが、基本的な公平なルールに基づく、我が国が求めていることだと思うんですね。なので、この答弁は少し私はピントが外れているなというふうに思います。
そして、先ほど御答弁いただきましたけれども、WTOの枠組みのもとで必要な対策を検討していくとおっしゃっておりますが、それは具体的な精査を行った上でという御答弁がございましたが、これは経産省でしょうか、現在、日本企業はどの程度、この米国の措置について被害あるいは損害をこうむったか、教えてください。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
米国の追加関税による日本企業への影響につきましては、これまでの統計に基づいて日本企業の輸出動向等を調べるとともに、業界団体を通じて企業にヒアリング等を行っているところでございます。
措置が発動された後の輸出については統計がまだほとんど出ていない状況でございますけれども、二〇一七年の統計によりますと、日本の鉄鋼、アルミ輸出に占める米国向けの輸出の割合は五から六%程度でございます。また、日本から輸出される鉄鋼、アルミは高品質でありまして、代替できないものが多いということ、したがいまして、米国の産業や雇用にも多大な貢献をしているということでございます。
品目別の除外については米国政府が判断をするというものでございますが、このような品目については除外が認められる可能性はあるのではないか、こういうぐあいに考えているところでございます。
最終的に製品別の除外がどの程度認められるかというのが非常に不透明でありますので、具体的な損害額については試算というところまで行っておりませんけれども、引き続き、実態の丁寧な把握に努めていきたいというぐあいに思っております。
○稲富委員 ありがとうございます。
これから精査を続けるということ、五%から六%ということで、比較的軽微で終わるのではないかという観測も含めてかもしれませんが、これは引き続き、ぜひ調査を続けていただきたいと思います。
そして次に、本会議において、これは一般論として、貿易において数値目標は絶対に受け入れないということが必要ではないかということと、これから米国との交渉において輸入数量を約束するような取引はしないと確約していただきたいということは御質問させていただきました。
その際、外務大臣より、政府による輸出入の数量枠設定については自由で公正な市場を損なうという御答弁があり、茂木大臣からは、政府による輸出入の数量枠設定について、原則として、関税及び貿易に関する一般協定、先ほどもありましたけれども、ガットの第十一条の数量制限の一般的廃止に該当し、WTOに非整合であると考えておりますという御答弁がございました。
外務省にお伺いします。
数値目標ということについて、これは一般論としてで結構ですが、改めて伺いますが、WTOに違反するかどうか、お答えをお願いします。
○中根副大臣 ありがとうございます。
まず、政府による輸出入の数量枠の設定や輸出自主規制については、先生御案内のとおり、いわゆるガット第十一条の数量制限の一般的廃止や、セーフガードに関する協定第十一条の特定の措置の禁止及び撤廃において禁止されている措置に該当するものと考えられております。
○稲富委員 ありがとうございます。
それでは次に、米国のTPPへの復帰についてお伺いをいたします。
四月の十七日から十八日の日米首脳会談で、新日米貿易協議が設立をされるということが決まりました。自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議ということで、これは大臣に幾度となく御説明をいただいております。
そして昨日、総理の御答弁の中で、立憲の阿部議員の質問に対して総理が、幅広い分野において二十一世紀の自由で公正なルールをつくり出すものである、それが、一言で言えば一番大事なものであるという御答弁がございました。
そこで思いますのは、この公正という意味でございます。
どこでも、米国との間では、自由で公正、そして公正で自由なルールづくりが必要であるということはたびたび出てくるわけですが、一月二十三日の、きょうも出ましたけれども、トランプ大統領のTPP離脱に関するメモの中でも、公正で得をする貿易取引をつくり出すということを書いて、そして離脱をするということを表明されております。
我々が考えている公正と、要するに、フェアということをアメリカ人もよくおっしゃいますが、我々が考えているフェアとアメリカが考えているフェアの意味は私はやはり違うのではないかと思うわけです。これは、結局のところ、米国にとって公正というのは、結果において米国が得をする、そういう意味ではないかというわけです。数値目標を掲げて、結果として貿易赤字を減らすことが公正ということではないか。
そういう意味でいうと、我々が考えている公正とは少し意味合いが違うと思いますが、これは基本的な認識についてですけれども、大臣の見解を伺います。
○茂木国務大臣 言葉のとり方はいろいろあると思いますが、一般的に、フリー、自由というのは、行動なりが制限をされないということであると思っております。
一方、リベラル、これは、心における自由さ、こういったことにつながっていくんだと思います。
また、フェアにつきましては、公正、チャンス、機会がみんなに与えられる、同じような機会を持っている。その上で、結果がどうなるか。同じ結果になることがイコール、平等、こういう言い方が一般的にはされるんじゃないかなと思います。
○稲富委員 次に、米国が復帰をするか否かということでございますけれども、これまでこの審議の中で、米国の復帰を促すだとか、あるいは、参考人質疑でもありましたけれども、TPPを発効させることが米国の復帰を促すのではないかといった御意見もこれまでありましたけれども、私は、これはかなり楽観的ではないかと思うわけです。
これは、トランプ大統領だからTPPを脱退したということではなく、ましてや、選挙があるから脱退をしたということもよく言われることがありますが、選挙は、中間選挙が終わったらまた選挙がありますので、これは永遠に、そうすると、保護主義に走らざるを得ません。
基本的に、米国は、先ほど篠原議員もありましたけれども、やはり、保護主義とあるいは国際主義の綱引きの中で国家を運営してきたということではないでしょうか。そうすると、トランプ大統領が永久に離脱をすると言った以上、永久に離脱をすると正面から受けとめるべきであって、淡い期待を抱かない方がいいのではないかということを私は思っております。
そこで、大臣に伺います。
私の四月十七日の本会議の質疑に対して、大臣が、凍結項目についてですね、の多くは、米国が強い関心を有する項目、その意味では復帰を促すインストルメントと考えるとおっしゃっております。その根拠、あるいは具体的な米国政府との何か発言等があったのか、お伺いをいたします。
○茂木国務大臣 TPP11におけます凍結項目、これは、TPP12が有しているハイスタンダード、これを維持しつつ、十一カ国全てが合意に参加できるバランスのとれた協定を実現するために、粘り強く交渉して、結果として合意されたものであります。
凍結項目の中には、TPP12交渉当時に米国が強く要望していた項目があるわけでありますが、十一カ国が合意して、凍結することになった。
具体的にはという話でありますが、例えば、生物製剤のデータの保護につきましては、世界有数の新薬の創出国であります米国が、新薬の承認後のデータ保護期間について十二年の保護期間を確保することを重視していた、このように理解しております。実際、TPP12の大筋合意、これが行われました二〇一五年のアトランタの会合、これはなかなか、本当にアトランタでまとまるのかと言われていたんですが、最終的に大筋合意ということになったわけでありますが、その後の記者会見におきまして、当時のフロマン通商代表、このアメリカの通商代表が、当該事項に関心を有する、このように発言をしているところであります。
TPP11の早期発効、これは参加国共通の思いであります。また、米国の復帰につきましても認識を共有していると思っておりまして、決して楽観的に考えておりません。そんなに簡単に、すぐ、お願いしますといって、どうですかといって、すぐ戻ってくる、こういう性格でない。この11をまとめるときでも、粘り強い交渉の中でようやく持ってきたわけでありまして、そういった、これから粘り強い説得であったりとか交渉、これは当然必要だと思っております。
○稲富委員 昨日の審議の中で、茂木大臣、米国との二国間の協議はまだ実際に行われていないと御答弁がございました。
外務省にお伺いします。
米国との二国間協議を行う際、これは、TPPがない状態から積み上げていくのか、基本的なことですけれども、TPPを基準として交渉するのか、お伺いをいたします。
○中根副大臣 ありがとうございます。
先般の日米首脳会談では、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議を開始することで一致しました。
この協議は、公正なルールに基づく自由で開かれたインド・太平洋地域の経済発展を実現するため、日米双方の利益となるように、日米間の貿易そして投資を更に拡大させていくとの目的で行われたものであり、その結果が、麻生副総理及びペンス副大統領のもとでの日米経済対話に報告されると伺っております。
なお、米国は二国間ディールに関心を有していることは承知しているわけですが、我が国としては、TPPが日米両国にとって最善と考えておりますので、その立場を踏まえ、引き続き議論に臨んでまいります。
また、この協議は、日米FTA交渉と位置づけられるものではなく、その予備協議でもないことを明確にしておきたいと思います。
いずれにしましても、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはありません。
○稲富委員 端的に、大臣に今度はお伺いします。
このFFRの基本原則からすると、先ほど、三月二十三日の米国の鉄鋼、アルミニウムの関税措置で日本が除外されなかったということは、自由で公正かつ相互的な貿易と言えるか、大臣の見解を伺います。
○茂木国務大臣 FFRの具体的なTORはまだ決まっておりませんので、私がその点についてコメントをするのは控えたいと思います。
○稲富委員 わかりました。これからということかと思います。
外務省に、引き続き御質問いたします。
平成三十年三月三十日に公表された二〇一八年外国貿易障壁報告書、これはUSTRが書いているやつで、外務省は二〇一八年USTR外国貿易障壁報告書をまとめていらっしゃいます。
その報告書によると、項目三に記載されているように、今後、FFRの二国間協議の際に、米国が牛肉輸入緩和の要求をしてくるということが考えられます。それ以外にも、サービス障壁、デジタル貿易など、明確に日米貿易に対する戦略が記載をされております。
守るべきは守り、攻めるべきは攻めるということであれば、これに対して日本は何を攻めるか、米国に対して。具体的にぜひ御指摘をお願いします。
○中根副大臣 ありがとうございます。
委員御指摘の報告書は、米国が、一九七四年通商法に基づき毎年行政府から議会に対して提出される、米国の貿易相手国に対する関心事項についての報告書であると承知しております。
同報告書が米国議会に提出されたことを受けて、米国政府が諸外国に対して措置をとることとなるものではなく、また日本政府として何らかの措置をとるものでもありません。
先般の日米首脳会談で開始することで一致した自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議は、公正なルールに基づく自由で開かれたインド・太平洋地域の経済発展を実現するため、日米双方の利益となるよう、日米間の貿易や投資を更に拡大させていくこととの目的で行われるものであります。
我が国としては、TPPが日米両国にとって最善と考えておりますので、同協議を通じて、その立場を踏まえ、引き続き議論に臨んでまいります。
また、同協議における米側の対応方針についてお答えする立場ではありませんが、いずれにしても、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはありません。
○茂木国務大臣 もう少し具体的に申し上げます。
恐らく、これは二カ国で協議をするといっても、ゼロサムゲームの中でどっちがたくさんとったという話には私はならないんだと思います。
例えば、今アメリカは、先端技術を持っている中で、その強制的移転、この問題に強い関心を持っております。さらには、知財の保護の問題であったりとか市場歪曲的な措置、こういったことについては強い関心を持っておりまして、そこは日本も一緒なんです。
日米で協力をして新しいルールをつくっていく、世界に対して日米が攻めるというか統一歩調をとれる、こういう分野は私は非常に多いのではないかなと思っておりますし、また、いろいろな形でウイン・ウインになる、こういったことは十分可能だと思っております。
恐らく、今アメリカは、シェールガス等々の生産が行われているところでありまして、これは原油価格の動向にもよるわけでありますけれども、原油価格がある程度上がってきますと、採算ベース、これも上がってきまして、生産量がふえてくる。アメリカとしては、こういったエネルギーの輸出というのは進めたいと思っていると思います。
一方で、日本にとりましては、やはり、外国に今エネルギーを依存するという中で、エネルギー源を多様化していく、同時に、その調達先、これを、ガスであっても、カタールだけではなくて、いろいろな国に多角化していく、こういったことは必要であると思っておりまして、さまざま、お互いにとって成果になるような項目というのは十分あると考えております。
○稲富委員 ありがとうございます。
確かに、お互いにとってウイン・ウインの関係になるということはそのとおりです。ただ、これまでの通商交渉の歴史をたどると、やはり最前線に大臣が立たれるということで、非常に厳しいものがたくさんあるということを推察をいたします。その中で何を我が国として守るのかということは、るる当委員会でもこれまで議論がありましたけれども、それがまさに問われていると思います。
そこで、最後に大臣に伺います。
米韓のFTAの見直し交渉が、三月、大筋合意を見ました。自動車、鉄鋼など、妥結に至ったわけですけれども、この米韓FTAの交渉をどのような評価をし、これからどういうふうに我が国と米国との交渉について生かしていくのか、大臣の見解を伺います。
○茂木国務大臣 KORUSは二国間のFTAという形でありまして、日本が加わっているものではありませんから、他国の通商協定であったりとか、その見直し、交渉結果について評価することは差し控えたいと思いますが、これまで米韓の間は、このKORUSという二国間の通商協定をベースにしながら、さまざまな議論が進んできた。
一方、日本とアメリカの間は、確かに昨年の一月二十三日に、トランプ大統領、TPPからの離脱を表明いたしましたが、それまで、ほとんどこのTPPを中心にしながら、マルチの枠組みの中で、通商であったり投資のルール、こういったことを議論をしてきたわけであります。
FFR、まさにこれから始まりますので、なかなか、どうなっていくと見通しを申し上げることは難しい部分もありますが、我々としては、これまでもTPPの議論をしてきた、このTPPの持っている戦略的、経済的重要性、特に、世界でもグローバル化、技術革新が一番進んでいるのはアメリカでありますから、TPPがアメリカの経済や雇用にとってもプラスになる、こういったことは引き続きしっかりと訴えていきたいと思っております。
○稲富委員 ありがとうございます。
時間になりましたが、このTPPの審議について、きょう採決するのではないかというお話がございますが、我が党からは私を含めて六名がこれまで質疑をしてまいりましたが、まだまだやはり議論すべき点が私はあると思います。
そして、そもそも、六月二十日に国会が終わるということで、これは急ぎやらなければいけないという御事情、与党におありかもしれませんが、もとをたどれば、やはり三月の頭に朝日新聞の、文書改ざんの話、財務省の改ざんの話から出て、さまざまな時間が、隠蔽、そして文書改ざんのことでどれだけ国会で時間をとられたことか。それが結果として、この内閣委員会の審議の時間がどれぐらい奪われたかということを私は思います。
私は真面目に、このTPPを含めて、まだ他の法案がたくさんございます。私は真剣に議論をしたい。しかし、時間がない。これは与党の御判断かもしれませんが、しかし、それは与党の事情であって、もともとの原因は、私は政府にあると思います。
残念ながらか、委員長はこれからどういう御判断をされるかわかりませんが、やはり徹底審議をしていただきたい。そして、採決については断固反対をしたいと思います。
以上で終わります。ありがとうございました。
○山際委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
日米の二国間協議について、質問いたします。
衆議院本会議で、総理は、米側は二国間ディールに関心を有していると承知しております、こう答弁されております。この総理の言った二国間ディールのディールとは、日本語で言えば何という言葉になるんでしょうか。
○茂木国務大臣 日本語、これはウラル・アルタイ語族、そしてまた英語、これはインド・ヨーロピアン族ということで、なかなか語学体系も違っておりまして、常に一対一で対応するものではない、これは委員もよく御案内だと思います。
例えば、さまざまな場面でコミットメント、こういう言葉を使うと思いますが、じゃ、このコミットメントを日本語にしたらどうなるか。決まった訳は恐らく私はないんじゃないかなと。普通、コミットメントと使うんだと思っております。
ディールもそのような形で使われていると思いますが、日米間の合意なくして、どのようなディール、これも実行されることはないと考えております。
○宮本(徹)委員 ディールというのは、じゃ、お互い、アメリカ側が意味していることと日本側が意味していることが違う可能性があるということですか、それは。
一般的には取引なのかなと思う。あるいは、ディールというのを辞書で調べたら、裏取引だとか密約だとか、こういう訳もあるんですよね。そういうところまで含めてアメリカ側は考えている。日本側は何だと考えているんですか。
○茂木国務大臣 先生ほど私、語学に造詣はありませんので、ディールについて、裏取引、こういう印象を持つということは余り海外の方は私はないのではないかなと思っておりますが、一般的にディールはディールである、このように思っておりますし、なかなか、言葉の問題を言い始めると、いろいろなニュアンスの違いというのは出てくるわけですよ。
例えばゴルフで、日本は風のことを、フォローの風、アゲンストの風といいますけれども、多分アメリカの人に、フォローの風、アゲンストの風と言っても、何だかわからないですよ。ツー・ザ・ウインドという、そしてウイズ・ザ・ウインドというんですよ。それはウイズ・ザ・ウインドなんだと思います。
○宮本(徹)委員 そういうでたらめなことを言って。ディールといえば、一般的には今、取引というふうに訳されるんじゃないですか、二国間の。(茂木国務大臣「じゃ、コミットメントはどう訳すの」と呼ぶ)コミットメントは関与でしょうが。
ディールはディールで、それが日本語に置きかえられないというのは、いろいろな、どうとでも解釈できるんだ、国民に説明ができないような中身も含まれているんだ、そう思われても仕方がないですよ。
時間がないので、次に行きますけれども。
トランプ大統領は、就任してすぐに、アメリカのUSTRに対して大統領覚書を発出しております。これを読むと、直訳ですけれども、将来の貿易取引交渉において、一対一あるいは二国間ベースで個々の国々と取引を行う意図があると、大統領覚書はわざわざはっきりと書いているわけですね。
大臣にお伺いしますが、そうすると、ライトハイザー氏と茂木大臣との新協議機関は、まさに一対一取引の場になっていくということなんじゃないですか。
○茂木国務大臣 事実関係から申し上げて、二〇一七年一月の二十七日の段階で、このFFRが立ち上がるということは誰も想定をしていなかったのではないかな、こんなふうに思っております。
その上で、この自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、これは、日米双方の利益となるように日米間の貿易・投資を更に拡大させ、そして、公正なルールに基づく自由で開かれたインド・太平洋地域を実現する、こういう方策について議論をする場である、このように考えております。
○宮本(徹)委員 大臣が何と言おうと、アメリカの側は、トランプ大統領が指しているディール、取引、そういう場として位置づけていくというのは明白だと思うんですね。日米間の貿易項目や条件や内容についてのディールが始まっていくのではないか。
また、大統領覚書には、私は、米国がTPP署名国から撤退し、また、TPP交渉から永久に撤退する、そして、可能な限り二国間貿易交渉の追求を始める、こういうふうに書いてあります。
この大統領覚書に書いてある、一対一ベースの取引だとか二国間貿易交渉の追求というアメリカの方針は、現時点においては変更はないですよね。
○中根副大臣 ありがとうございます。
委員御指摘の、大統領の覚書における記載は承知しております。
他方、他国が現状、通商交渉に対してどのような基本方針をとっているかについて、我が国として予断を持って説明する立場にはないと考えております。
我が国としては、米国との関係では、アジア太平洋地域の現状をよく踏まえた上で、地域のルールづくりを日米が主導していくことが重要であり、どのような枠組みが日米経済関係及びアジア太平洋地域にとって最善であるかについて引き続き建設的に議論していく考えでございます。
○宮本(徹)委員 よくわからない答弁なんですが、大統領覚書をトランプ大統領は撤回したんですか。
○飯島政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の大統領覚書そのものは、現状もそのまま残っております。
○宮本(徹)委員 現状もそのまま残っているということなんですから、初めからそう答えればいいわけですよ。ですから、一対一のベースの取引が、ディールが始まっていくということなんですね。
それで、ライトハイザーUSTR代表は、ことし三月二十一日の米国議会下院歳入委員会の貿易政策に関する公聴会でこう証言しております。適切な時期に、自由貿易協定、FTAを結ぶことに関心があると日本に伝えた、こう下院で証言されております。会議録でも確認いたしました。これは事実ですか。
○茂木国務大臣 自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議、日米双方の利益となるように、日米間の貿易・投資を更に拡大をさせ、公正なルールに基づく自由で開かれたインド・太平洋地域を実現するという目的のもとで行われるものであります。
そして、再三申し上げておりますが、日米二国間の協議イコール二国間協定というわけではなくて、インド・太平洋地域における協力を含め、双方の利益となるようなさまざまな成果というのは考えられると思っております。
日本に伝えられたか。伝えられております。麻生副総理、ペンス副大統領のもとでの日米経済対話の議論の中で二国間FTAに関する米側の考えが示されておりまして、将来的な可能性として米側にそのような見解もあることは承知をいたしております。
○山際委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○山際委員長 速記を起こしてください。
ただいま茂木国務大臣に対する不信任決議案が提出されました。
この際、暫時休憩いたします。
午後三時五十三分休憩
――――◇―――――
〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕