衆議院

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第24号 平成30年6月1日(金曜日)

会議録本文へ
平成三十年六月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君

   理事 稲富 修二君 理事 遠山 清彦君

      池田 佳隆君    泉田 裕彦君

      大隈 和英君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 鮎子君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      亀岡 偉民君    小寺 裕雄君

      古賀  篤君    繁本  護君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      武井 俊輔君    長坂 康正君

      西田 昭二君    三谷 英弘君

      村井 英樹君    大河原雅子君

      篠原  豪君    初鹿 明博君

      日吉 雄太君    福田 昭夫君

      森山 浩行君    源馬謙太郎君

      階   猛君    森田 俊和君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      江田 憲司君    中川 正春君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      玉城デニー君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   国務大臣         石井 啓一君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   農林水産大臣政務官    野中  厚君

   経済産業大臣政務官    大串 正樹君

   国土交通大臣政務官    高橋 克法君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  中川  真君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  山下 史雄君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    樹下  尚君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            松尾 元信君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         宮武 宜史君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     秡川 直也君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     繁本  護君

  篠原  豪君     日吉 雄太君

  山崎  誠君     初鹿 明博君

  森田 俊和君     階   猛君

  中川 正春君     江田 憲司君

同日

 辞任         補欠選任

  繁本  護君     加藤 鮎子君

  初鹿 明博君     山崎  誠君

  日吉 雄太君     篠原  豪君

  階   猛君     森田 俊和君

  江田 憲司君     中川 正春君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定複合観光施設区域整備法案(内閣提出第六四号)


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定複合観光施設区域整備法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官・特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長中川真君、警察庁生活安全局長山下史雄君、金融庁総務企画局参事官松尾元信君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、農林水産省大臣官房生産振興審議官鈴木良典君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君、国土交通省大臣官房技術審議官宮武宜史君、観光庁審議官秡川直也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三谷英弘君。

三谷委員 神奈川八区、自民党衆議院議員の三谷英弘でございます。

 横浜市青葉区、緑区、そして都筑区の一部というのが私の選挙区でございますが、きょうは、このIR整備法案について、しっかりとこれを実現していくことこそが日本の将来にとって不可欠なんだ、そういう観点から質問をさせていただきます。

 まず、具体的な質問に入ります前に、少し昔話から始めさせていただきたいと思います。

 私は、今は自民党の議員として活動させていただいておりますけれども、二〇一二年の総選挙におきましては、みんなの党という政党に属して、一期、この議員として仕事をさせていただきました。さまざまな動きの中で党は分裂を起こし、最終的には雲散霧消してしまうということでございますけれども、今でもその党の経済政策といいますのは、金融政策を含めまして、現在の安倍総理の中での経済政策で形となっているものも少なからずあるというふうに理解をしておりますし、日本の経済を活性化する上で非常によいものがそろっていたというふうに自負しております。

 そして、その経済政策の重要なアジェンダの一つがこのIRでございました。

 みんなの党は、日本の既成政党の中で初めて、選挙公約に日本版IRを掲げまして、二〇一二年の総選挙、二〇一三年の参議院選挙を戦わせていただきました。もちろん、IRに内在するカジノに対して懸念がさまざま根強いことは十分に理解をしておりますけれども、だからこそ、しっかりと対策を講じることで懸念をできるだけ払拭をして、魅力あるIRを実現していくということが極めて重要だというふうに考えています。

 以下、質問に入らせていただきます。

 まず、本法案、特定複合観光施設区域整備法案における特定複合観光施設とは何か、いわゆるホテルカジノとは何が違うのかを含めて、簡潔にお答えいただけますでしょうか。

石井国務大臣 特定複合観光施設は、IR整備法案におきまして、カジノ施設のみならず、国際会議場施設、展示施設等、魅力増進施設、送客機能施設、宿泊施設等のさまざまな誘客施設が一体となった総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出等の効果が非常に大きいと期待をされております。

 我が国に、単なるカジノではなく、国際競争力を有する日本型IRを整備することによりまして、これまでにないような国際的な展示、会議ビジネスを展開し、新たなビジネスの起爆剤とすること、日本の伝統、文化、芸術を生かしたコンテンツの導入により世界に向けた日本の魅力を発信すること、これらにより世界じゅうから観光客を集める滞在型観光モデルを確立することを実現いたしまして、我が国を観光先進国へと引き上げる原動力となることが期待をされております。

 今後、魅力ある日本型IRを実現するために、依存防止対策などの課題に万全の対策を講じながら、観光先進国の実現に向けて、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 今お答えいただきましたけれども、これまでにないというのが一つ重要なキーワードではないかというふうに思っております。

 形ばかり展示施設等々をつくっても仕方がないということでございますが、一応、念のため確認させていただきますけれども、今お答えいただきました国際会議場施設ですとか展示施設、観光の魅力増進施設、送客機能施設、宿泊施設、それぞれが国を代表するような、そういう大規模な魅力的なものであるということが必要ではないかというふうに理解しているんですが、そういう理解でよいか、お答えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま三谷委員御指摘の、カジノを加えた五つの中核施設につきましては、その要件、基準につきましては、日本型IRにふさわしいものとすること、そして、各施設や立地特性がさまざまであることを踏まえまして、それぞれが我が国を代表することとなる規模等であることを政令などで定めていきたいというふうに考えている次第でございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 もう既に、昨日行われました参考人質疑の中でも言及されておりましたけれども、実は、カジノそのものの収益より大きいのが、IRを地域の観光拠点とする集客効果というふうに言われております。IRができれば、その周辺における文化財ですとか観光インフラの整備も進んでいくわけでございます。

 きのうの参考人の御意見によりますと、いわゆるラスベガスではその売上げの六〇%が非カジノ収益ということでございまして、これは九〇年代に逆転したということでございますし、その伸び率はカジノ収益よりも高いというふうに言われています。

 特に、今、日本人がこぞってシンガポールに旅行する一つの理由は、総合リゾートのマリーナ・ベイ・サンズというものがあるわけでございますけれども、女性客の多くは、別にカジノをしに行くわけではありません。ショッピング等々を含めた、そこで、そのリゾートですばらしい体験を得られるからにほかならないわけでございます。

 本当に、こういう魅力的な施設をつくれば、そういった形で多くの外国からの観光客が訪れるということで収益が上がっていくということになるわけですけれども、こういう話をいたしますと必ず出てくるのが、そんなに非カジノ収益というものが見込まれるということであるならば、カジノ抜きのIRをつくればいいじゃないかということでございます。

 まず、現行法においてカジノ抜きのIRをつくることが許容されているかについて、お答えいただきたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、議員立法で成立したIR推進法におきまして、カジノを含むIRの整備推進が国の責務とされております。推進法の第五条で、政府はそういう責務を負っているものというふうに理解しております。

 したがいまして、政府といたしましては、この推進法に基づきまして具体的な制度設計の検討を進め、今般、IR整備法案を提出したところでございまして、政府といたしましては、この推進法がありますので、カジノのないIR制度に関する法案を提出することはできないというふうに考えてございます。

三谷委員 いや、もちろんそうなんですけれども、私が聞きたかったのは、カジノを含むIRだからこそ、今般、こういう特別法が必要なんだろうというふうに理解をしているわけであります。国際展示場施設をつくりますよといったときに、国内法上、それを制約するような、それを違法とする法律は特にないわけでございます。

 今回、この法案をつくっているのは、カジノをある意味、そういう意味では認める部分もある、後ほど伺いますけれども、刑法上の賭博罪や賭博開張図利罪との関係で、認めなきゃいけないというところもあるからこの法案は必須なわけでございますけれども、そういう意味では、カジノがないということであれば、別に今の法律だってできるんじゃないですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど三谷委員御指摘の、今の整備法案の中核施設、カジノを含む中核施設のうち、カジノ以外の部分につきましては、既に、官であれ民であれ、現行の法制度のもとで設置、運営がなされているものがあるというふうに承知しているところでございます。

三谷委員 それを踏まえて、ちょっと続けたいと思うんですけれども。

 きのうの参考人の質疑の中でも言及されておりましたけれども、個別のMICE施設の運営ですとか、カジノ以外の個別の事業で黒字が出ているんだよというような、そういう話もありました。

 しかしながら、そういう各個別の事業で黒字があるからといって、その黒字が出る可能性を信じて、では世界から莫大な投資を呼び込めるかどうかというのは、全くもって別問題。要は、それだけ世界の中で競争力があって魅力のある施設は、もうできているはずなんですよ。では何でできていないのかということを考えていかなきゃいけないわけです。

 これはしょせん、そういった、もしかしたら黒字が出るかもしれない、黒字が出るとしてもこれぐらいのものかもしれない、出るかどうかわからないということであれば、当然ながら、投資額というのも大きくなるはずがありません。もう既に日本国じゅう、いろいろなところに点在をしております大型ショッピングモールですとか大型温泉施設といったものができるにとどまってしまうわけでありますし、それでは、当然ながら、外国からたくさんの旅行客を呼び込むということもできませんし、ある意味、先日、ほかの委員の先生も御指摘いただいておりますけれども、リゾート法で失敗したということを繰り返すだけになってしまうわけでございます。

 だからこそ、本当に魅力があるものをつくっていくための投資を呼び込んでいくために、カジノのように最低限収益が見込まれるというものは必要だと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 三谷委員が先ほど来御指摘のように、カジノ以外の中核施設につきましては、これまでも日本の中で、官であれ民であれ、いろいろ事業が展開されているところだと理解しておりますけれども、一方で、諸外国のIRという形でこういう事業を展開しているビジネスを見ますと、ビジネス全体が、さまざまな誘客施設、その中身は、国際会議、展示であったり、それからエンターテインメントであったり、スポーツビジネスであったり、それから、さまざまな宿泊需要に対応する、これまでにないような宿泊施設であったり、そういうものが総合されて、統合されて、さまざまなビジネスラインが、まさしく三谷委員が冒頭御指摘されましたような、これまでにないスケールで、そしてこれまでにないクオリティーで全体がパッケージングされている、そういうビジネスモデル自体に非常に斬新さがありますし、それから、昨日の参考人質疑でもございましたように、今の消費者は物よりもこれまでにない体験なりの事を求めているという需要に見事に応える、そういうビジネスモデルを展開しているんだろうというふうに思います。

 確かに、カジノがなくても、個々のビジネス、特にエンターテインメントとか宿泊を見れば、収支がとれるという場合もあり得るのかもしれませんけれども、それらを全体のワンパッケージとして統合した形で、さまざまな多種類のビジネスラインを統合して、大規模に、これまでにないスケールとクオリティーで展開していくためには、何らかのファイナンシャルなエンジンが必要だというのが、今の世界の中で行われているビジネスの潮流なのかなというふうに理解している次第でございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 本当にそのとおりだと思います。よく、かけごとで経済成長を目指しても幸せな社会にならないですとか、ギャンブルで負けたお金で経済成長なんかすることはあり得ないというような批判もされるわけでございますけれども、そういうゼロサムゲームの話をしているわけでは決してないということでございます。世界からしっかりと観光客を呼び込む、誘致する、そして、そういった誘致するにふさわしい施設をつくるだけの投資を呼び込んでいく、そういう意味で、このIRというものが不可欠なんだということをぜひとも理解していただきたいと思います。

 特に、今、二千八百万人を超える方々が海外からお越しいただいているわけでございますけれども、そういう本当に日本に関心の目が向いているときに打てる手をしっかりと次々と打っていくというのが、これからも日本がそういう海外からお客さん等々が来ていただくためには不可欠なことだというふうに思っております。

 こうやって、IRは非常にすばらしいというような部分はありますけれども、ただ、もちろん、いい部分ばかりではない、必ずしも成功するとは限らないわけでございます。もちろん、最初にマリーナ・ベイ・サンズのように魅力的なものをつくったとしても、それが将来的にどんどんどんどんくたびれていくと、いつの間にかシャビーなものになっていって、場末の場外馬券売場のような雰囲気にならないとも限らないわけであります。

 そうならないように、認定設置運営事業者にはどんなことをすることが期待されているのか、簡潔にお答えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 この整備法案の中では、カジノの収益の処分につきまして厳しい枠組みを、公的部門が管理監督していく枠組みが盛り込まれてございます。

 まず、カジノ事業者は、毎年度の事業計画をあらかじめ国土交通大臣に届け出ないといけないということになっております。無論、この毎年度の事業計画は、認定を受けた区域整備計画に基づくものでなければございません。

 そして、その上で、国土交通大臣は、事業計画とそれから国の基本方針などに照らして、毎年度の認定IR事業者のパフォーマンスを評価いたしまして、更に改善すべきことはないか、更に再投資、追加投資をしていくべきことはないか、あるいは地元の地方公共団体が行う施策に更に協力すべきことはないか、そういうことをこの評価の中で指摘をいたします。

 カジノ事業者の方は、この評価の結果を翌年度の事業計画の中に反映させていかなければならないということになっておりますし、また、法案の中に、カジノ収益の処分に当たりましては、こういう評価の結果を踏まえて、そして、IR事業のさらなる公益増進のための取組にもっと使うとか、あるいは地元の行う施策に協力をする努力義務を課してございますので、こういう計画の提出、そして評価、いわばPDCAサイクルのような形で、カジノ収益がこの法案の目指す公益実現に役に立っていくということを確保する枠組みを提示しているつもりでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 しっかりとその中に、大事な言葉もいただきました、再投資をしていくということでございますけれども、しっかり再投資をして、魅力的なものであり続けることを、そういう努力を怠った場合には更新をしないことも十分あり得るということでよろしいか、お答えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御説明させていただいたとおりの評価の枠組みでございますので、この評価の結果を、事業者の方はそれを事業計画なりあるいは区域整備計画の中に反映をさせていくという義務がございますので、今御指摘のようなことは起こらないはずだというふうに考えている次第でございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 そしてもう一つ、我々は、失敗事例、失敗の先行事例から学ばなければいけないわけでございまして、近くに、韓国の中でカジノが解禁をされていたというような話もあるわけでございますけれども、その中で、一般的にこれは失敗だったんじゃないかというようなカジノもございます。

 江原ランドというものがございます。ここは、いわゆるギャンブル依存症の方が非常に集まるですとか、自殺率や犯罪率が高くなったというような、そういう実態もございまして、こういうふうになったらちょっと怖いなと、普通に考えると感じるわけでございますけれども、こういう事例からしっかりと学んでいかなければいけないと考えています。

 そして、この江原ランド、なぜ失敗したのか。さまざまな分析があり得るところではございますけれども、とある専門家、木曽崇さんという方でございますけれども、の分析によれば、ここが失敗したのは、交通アクセスが非常に悪く、周辺地域との観光連携もできないような産炭地域にカジノをただ誘致してしまった、それがゆえに、いわゆる一般的な観光客は集まらず、ただギャンブルだけを目的とする国内顧客だけが地域に集まってしまったというふうに言っております。

 もちろん、ここには、大型のMICE施設ですとか、最新の設備を整えたスキー場やゴルフ場なども併設されてはおりますけれども、ソウル都市圏からバスや鉄道で三時間もかかるアクセスの悪さゆえ、一般観光客向け施設に顧客が集まらない、一方で、韓国人にとって唯一入場できるカジノを目的とした顧客ばかりが集まってしまっているということで、結果、IR導入から期待された経済的な波及効果が十分に引き出されない、逆にそこから生まれるマイナス面のみが際立ってしまうという状況が生まれたという分析を、この方はされているわけでございます。

 本法案では、第九条第十一項第二号におきまして、特定複合観光施設区域の整備を推進することが認められる地域であること、国内外の主要都市との交通の利便性その他の経済的社会的条件からみてというふうに明記されておりますので、十分こういう江原ランドの事例からも学ばれているというふうに理解をしておりますけれども、区域整備計画の認定を行う際には、こういう事例を踏まえていただきたいと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 三谷委員ただいま御指摘の韓国の江原ランドの開業以来の現状に関する分析につきましては、我々どもとしましても、今御紹介いただいた御意見のとおりではないかというふうに考えているところでございます。

 江原ランドは、もともと、韓国の資源エネルギー庁が、旧産炭地域の振興財源を確保することを目的といたしまして、旧産炭地域の中に、この江原ランドの場所に設立することを決めたわけでございまして、残念ながら、ほかの魅力的な観光資源とのネットワーキングが全くできていない場所につくったということなんだろうと思っております。

 したがいまして、今委員御指摘のとおり、国土交通大臣が区域整備計画を認定いたしますときには、交通のアクセスの便ですとか、あるいは、総合的に申し上げますと、国際競争力が高い魅力ある観光政策を展開できる、そういうものになっているということを基準要件に、認定基準にしておりますので、それに当てはまらないものは認定を受けることができないという仕組みになってございます。

三谷委員 ありがとうございます。本当にそういったところからしっかりと対応していただけるというお言葉をいただきましたので、心強く思っております。

 残すところ、時間も限られておりますので、パチンコ等々の他のギャンブルを踏まえた賭博罪との関係等々について、移らせていただきたいと思います。

 まず、本法案は、賭博罪そしてまた賭博開帳図利罪等々の刑法との関係でいきますと、どのような位置づけになるのか。いわゆる特別法だというふうに理解をしておりますけれども、それでよろしいか、簡潔にお答えください。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 結論的に申し上げれば、委員御指摘のとおり、本法律案が刑法の賭博罪等に対して特別法に当たるという関係にございます。

 少し具体的に申し上げますと、本法律案におけるカジノ行為というのは、偶然の事情により金銭の得喪を争うという要素を含みますので、刑法上の賭博罪等に当たり得る行為でございます。

 しかし、一方で、本法律案の第三十九条は、本法律案に基づいて行われるカジノ行為につきましては、刑法の賭博罪等の規定を適用しないという規定を置いております。すなわち、一般法である刑法の規定が、特別法である本法律案の定める一定の厳格な要件のもとで行われるカジノ行為には適用されないという関係になるので、この場合には刑法上の賭博罪等が成立しないという関係となります。

三谷委員 ありがとうございます。

 賭博罪の、特別法の関係に立つということでございますが、このIRを導入するに当たりまして、よく、目的の公益性ですとか、上がった収益の取扱い、そういったことを含めまして、いわゆる八要素の議論というものがされておりますけれども、この八要素というのが、正直、法律上どういう位置づけになるのかというのがさっぱりわからないんですけれども、これは、特段何か法律に書いてあるわけでもありませんし、何かよく実態がわからないんですけれども、この八要素とは何なのかということを、本当に短く、もう時間も限られておりますので、お答えください。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。なるべく簡潔に申し上げます。

 いわゆる八要素と言われているものは、もともとは公営競技等に係る特別法が刑法の賭博を犯罪とした規定の趣旨と整合しているものかどうかということを判断する上での考慮要素の例示として、法務当局からお示ししてきたものでございます。

 つまり、既存の公営競技等に係る特別法の立案に当たりまして、その基本法である刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却しないような制度上の配慮がなされているものかどうかということを考慮するときに、いわゆる八つの要素というものを主な要素として考慮してきた、その上で法務省としても意見を述べてまいったというものでございます。

 そして、その後、先般のIR推進法の附帯決議におきましても、本法律案の立案に当たって、これらの八つの要素の観点から、刑法の賭博罪に関する法制との整合性が保たれることとなるように十分な検討が求められたものと承知をしております。

 そして、本法律案においては、これらの諸点を踏まえて、附帯決議の趣旨に沿った制度設計がなされているものと承知しておりますので、賭博に関する法制と本法律案の整合性は保たれているというふうに考えているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 賭博罪との関係でこのIR整備法案を認めていくという意味では非常に有効な議論だというふうには思っておりますけれども、しかしながら、実は、皆さんも御存じのとおり、今、実質的に日本で一番多いギャンブルをする場所というのは、これはもう言うまでもなくパチンコなわけでございます。

 これは、実質的に、賭博行為というものが、三店方式とかそういう、普通に考えたら、これは法律の専門家なら何とか理解はできるんですけれども、一般人が考えて、三店方式が、なぜそれが許容されるかわからないというような、そういう理論をいつまでもつくって、ある意味、これは表現上適切かわからないんですけれども、その場をしのいでいくんじゃなくて、もうパチンコに関しても、これは賭博なんだから禁止するのか、それとも、しっかりと正面からパチンコという存在に向き合って、特別法でも何でもつくって、厳格なルールを定めて、これを正面から認めていく、一部、厳格なルールを満たすものについては認めるみたいな、そういった対応をした方が、これはどっちかを選んだ方が健全じゃないかというふうに考えているのですが、今の八要素を余り言い過ぎると、パチンコというのは当然この八要素をなかなか満たさないということでございますので、こういう議論もできなくなってくるんじゃないかなというふうには思っています。

 そして、ギャンブル依存症も、残すところわずかですけれども、少し言及させていただきますが、実は今、日本は、先ほど来申し上げておりますけれども、パチンコや公営ギャンブル施設等々があるので、非常にギャンブル依存症の方々の割合が多いということになっております。

 今、パチンコの店舗数、利用客数と、それから、厚労省が言っておりますギャンブル依存症の方の割合はどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。

山下政府参考人 パチンコ営業の営業所数でございますけれども、平成二十九年末におきまして、一万五百九十六軒でございます。

 また、パチンコ営業の遊技人口につきましては、公益財団法人日本生産性本部のレジャー白書二〇一七によりますと、平成二十八年中のパチンコの参加人口は九百四十万人とされていると承知をしております。

三谷委員 一万店舗を超えるということで、日本に三カ所つくるどころの話ではない、そういうような状況でございます。

 これに関しては、非常に実はシンガポールの事例が参考になるというふうに思っております。シンガポールでは、ギャンブル依存症の方々が、もちろんIRが認められる前も、競馬ですとかそういったものがシンガポールにあったわけですが、IRが認められることによってギャンブル依存症の方々が非常に減ったというような話がございますが、そういう理解でよいか、簡潔にお答えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 シンガポール当局が発表している数字によりますと、IRが開業する前の病的賭博と推定される者の割合とギャンブルに問題を抱えると推定される者の割合を合計すると二・九%だったものが、直近の二〇一七年の結果報告では、それが〇・九%に下がっているところでございます。

三谷委員 これが本当の意味でギャンブル依存症対策をしっかりと進めていくということなんだろうというふうに思っております。

 二・九%が〇・九%に減った。IRを認めることによって、そして、そのことが一つのきっかけとなって、今あるギャンブル施設に対してどう取り組んでいくのかということが正面から議論されるようになったというのは、非常にこれは日本にとって望ましいことだというふうに思っております。そういう意味で、今あるこういう既存のギャンブル施設とどう向き合っていくのかということも含めまして、しっかりと考えていかなければいけないというふうに思っています。

 これは最後の質問でございますけれども、ギャンブル依存症対策を進めていきますよということでございますが、パチンコを一つ例にとらせていただきますが、先日、ギャンブル対策法案の審議の中で、参考人が、いつでもどこでもギャンブルができる状態というものを変えるべきだというふうに言われておりました。

 もちろん、日本では、どこの駅前に行っても大体パチンコ屋さんがあるというような状況でございます。学生のころから事実上入り浸れるというような環境があるというのも否定できないんじゃないかと思います。この環境において、どうこれからこのギャンブル対策を進めていかれるのか。その点について、パチンコに関して、対策をお答えいただきたいと思います。

山下政府参考人 パチンコへの依存防止につきましては、その重要性に鑑み、風営法施行規則等を改正し、遊技機の出玉性能の基準を従来より厳しい水準とするほか、依存防止に関する相談窓口の情報提供等を営業所の管理者の業務として位置づけるなどの対策を推進しております。

 また、業界におきましても、依存問題を抱える人等への相談対応、本人、家族申告による遊技の制限、依存防止対策の専門員をパチンコ店に配置等の取組が実施されていると承知をしております。

 いずれにいたしましても、パチンコへの依存防止対策につきましては、昨年八月に関係閣僚会議で決定をされました「ギャンブル等依存症対策の強化について」等を踏まえ推進しているところでございまして、今後とも、関係行政機関と連携しつつ、対策をしっかりと推進してまいりたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 もう時間がなくなりました。今のお答えいただきました対策ではまだまだ正直生ぬるいというふうには思っておりますけれども、しっかりとIRをつくっていくこと、そして同時に、ギャンブル依存症対策は国としてしっかりと進めていくという、この二つをこれからやっていかなければいけないということを最後に申し添えまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 カジノ実施法案、いわゆるIR実施法案について質問をいたします。

 最初に、カジノ実施法案ではカジノ事業者に対してカジノ客への金銭貸付業務を認めておりますが、どんな仕組みになっているのかについて簡単に説明してもらえますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 カジノにおける貸付けは、本来、顧客はみずからの資力の範囲でカジノ行為を行うべきであるという原則に立ちまして、あくまでもカジノ行為に付随した顧客へのサービスとして、その必要性の範囲内で認められるべきものというふうに考えてございます。

 このため、この整備法案の中におきましては、貸付けにつきましては、貸金業法とは少し異なりますけれども、まず、貸付対象を原則外国人非居住者に限りまして、さらに、日本人などにつきましては一定以上の金銭をカジノ事業者に預託できる資力を有する者に限定をするということをしております。また、返済期間を短期間に限定いたしまして、保証契約の締結を禁止するとともに、さらに、カジノ事業者が貸付けで収益を上げないよう、無利息での貸付けを義務づけるといった措置を講じることにより、極めて限定的に認めることとしております。

塩川委員 一定金額預託をすれば、日本国民も貸付けの対象になるということであります。

 そこで、金融庁にお聞きしますけれども、この特定資金貸付業務の規制については、貸金業法と同様の規定が条文に書かれているところです。貸金業法については、この間、総量規制が導入をされました。総量規制とは何か、なぜ導入をしたのか、その効果はどうか、この三点でお答えいただけますか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる総量規制は、借り手の返済能力を超える貸付けによって多重債務問題が深刻化したことを受けて、過剰貸付けを防止することを目的として、平成十八年の貸金業法改正により導入されたものでございます。

 具体的には、貸金業者は、個人である資金需要者に対して貸付契約を締結しようとする場合には、指定信用情報機関の保有する情報を使用して返済能力を調査することとされており、その結果、資金需要者当たりの貸付金額の合算額が原則として年収の三分の一を超える場合には、当該貸付契約を締結することが禁止されているものという内容でございます。

 この平成十八年貸金業法、総合的にいろいろな点を改正しておりまして、その中で、多重債務者の相談件数等々、減少しているところでございます。

塩川委員 減少しているということで、もちろん、銀行系のノンバンクの話とか、全体としたらどうなのかというのはあるわけですけれども。しかし、貸金業法として、もちろんグレーゾーンの解消の話もありました、この総量規制というのも相まって、貸金業法の対象となるような人たちの多重債務問題の改善につながったというのは、確かにそのとおりだと思います。

 IRの事務局の方に伺いますけれども、この法案で、カジノ事業者の顧客への貸付けというのは貸金業法の総量規制の枠内になるのか枠外になるのか、この点についてお答えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 この整備法案の中で提案しております特定金融業務につきましては、貸付業務につきましては、貸金業法の総量規制こそ採用しておりませんけれども、貸金業法と同様の手法によって返済能力に関する調査を行わなければいけないとしており、また、顧客一人一人の貸付限度額の設定を事業者に義務づけておりますし、その貸付限度額を超えた貸付けを禁止するということになってございます。

塩川委員 ですから、貸金業法の総量規制は採用していないということで、もちろん個々の顧客に対して資力を踏まえた貸付限度額を定めるということになっているわけですけれども、でも、そもそも、多重債務問題が深刻になった、こういった貸金業法の改正が行われたという背景の一つに、やはりギャンブルの依存症を含めた多重債務問題というのがあったわけですよね。

 そういったことを考えたときに、やはりこういった貸付けについての総量規制というのは必要なんじゃないのか。貸金業法で年収の三分の一以内に抑えるということで決めたというのが効果を発揮していると金融庁も言っているわけですから、だとしたら、その枠内におさめるということが、やはり多重債務問題の解消、ギャンブル依存症の対策に対しては非常に生きていくことになるのではないのかと思うんですけれども、カジノ事業者に対しても貸金業法を適用して。

 過剰貸付け抑制のための総量規制をかけない、それはなぜですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一に、カジノ事業者は兼業を、IR事業者は兼業することを禁じておりますので、貸金業法で言う貸金事業者になれないということが一つございます。

 そういう法制度上の制約の中で、どうやってこの事業を規制していくかという観点が重要になるわけでございます。

 今、塩川委員御指摘の点につきましては、この整備法案の中でも、貸金業法で定められております指定信用情報機関を必ず使って顧客の信用情報を確認するということを義務づけておりますので、こういう措置をとることによって、今委員が御指摘の、顧客一人一人が総量としてどれぐらいの負債状況にあるのか、それから、過剰債務の状態になっていないのかどうかということを確認しながら、先ほど御答弁申し上げたような貸付業務の規制の中で適切に貸付けが行われることになるというふうに考えているところでございます。

塩川委員 今説明があったように、カジノにおける貸付けについても、貸金業法上に規定をされている指定信用情報機関の情報を使わなければならないと書いてあるわけですよね、この法案にも。であれば、そもそも貸金業法で定めている総量規制、年収の三分の一以内、そこに入れたらいいじゃないですか。そのことの方が、過剰貸付けの防止につながる。依存症対策の面でもこれは効果的なんじゃないですか。そうしたらいいじゃないですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたように、カジノ事業者、つまりカジノ事業免許を取得している認定IR事業者ということになるわけですけれども、認定IR事業者はこの法律案の中で兼業が禁止してございますので、もちろん、貸金業務を、特定金融業務を行うか行わないかはそれぞれの事業者の判断だとは思いますけれども、貸金業法の中で定められている事業者になることはできないという制約はございます。

塩川委員 であれば、総量規制の対象にすればいい。総量規制の対象にして、年収の三分の一以内、それを超えるものにならないという範囲としてこのカジノの貸付けも入れたらいいじゃないですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど金融庁からも答弁がございましたように、貸金業法に基づく総量規制は、貸金業者から借りて過剰債務に陥る国民が非常に多くなっている、社会的にそういう問題が出てきたことへの対応だというふうに理解をしてございます。

 一方、カジノ事業者が行う特定金融業務につきましては、冒頭御答弁申し上げましたとおり、すべからく顧客一般を対象にするものではございませんで、そもそも日本人等は貸付けの対象になってございません。日本人の中では一定以上の金額をカジノ事業者にあらかじめ預託できる資力を持っている者に限定しているわけでございまして、極めて限定的な顧客だけを対象に、しかも、ほかの、貸付業務についての条件をさまざまにつけた上で、しかも無利息でございますので、全く大きな違いがあるだろうというふうに考えている次第でございます。

塩川委員 だから、その預託がどうなるのかというのも当然あるわけですけれども、別に富裕層に限定とか、そういうのはどこにも書いてないわけですよ。

 もともと総量規制の年収の三分の一の枠内におさめるように制度設計すれば過剰貸付けの心配はないでしょうということについては、全くお答えにならない。何でこんなことになるのか。

 昨日の参考人質疑におきまして、多重債務問題にも取り組んでこられた新里宏二弁護士は、これまで、日本の公営ギャンブル、パチンコで事業者が現場で貸付けをすることはないし、あってはならないことと考えられてきた、ギャンブル依存症に直結するからにほかならないと述べていたわけです。カジノ事業者の貸付業務は、公営ギャンブルの違法性の阻却との関係で、射幸性の程度、副次的被害の防止について大きく逸脱するものだということを指摘しているわけです。

 ですから、結果として、この法案というのは、いろいろ公営ギャンブル等のギャンブルの事業者はあるわけですけれども、そういう中でこういう総量規制の枠外にするという扱いという点でいえば、カジノ事業者を特別扱いするものだ。

 何でカジノ事業者を特別扱いするのか、お答えください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来御答弁申し上げていますように、カジノ事業者が行う特定金融業務につきましては、これはそもそも、特に貸付業務につきましては外国人非居住者に限るというのがまず第一の原則でございます。

 そして、日本人等に貸付けを行う場合には、繰り返しになりますけれども、一定以上の金銭をカジノ事業者に預託できる、そういう資力を有する者に限定をするという形での事業内容になってございますので、一般の国民がすべからく顧客になり得ることを前提にしている貸金業法の体系とは全く異なる法制度になるということを御理解賜りたいというふうに思います。

塩川委員 ですから、貸金業法の上にこのIRでの貸付けのことも乗っかるということでいえば、それも含んだ、そういう制度設計にすればいいだけの話であって、こういうのでは全く理解できません。

 大臣にお尋ねします。

 こういった貸付けについて、顧客の利便性云々という話なんかもしますけれども、そもそも、在日米国商工会議所の意見書、統合型リゾートが日本経済の活性化に寄与するための枠組みの構築という文書を出しております。この在日米国商工会議所の意見書では、IRにおける顧客への金融サービスの提供を認めること、これは日本でカジノビジネスが成功する上で不可欠であると要求をしています。

 まさにカジノ事業者の要望に応えるというものをこの制度設計で盛り込まれたということですね。

石井国務大臣 先ほど政府参考人が述べましたが、IR整備法案においては、カジノ事業者による日本人等に対する貸付けにつきましては、対象者を一定の資力を有する者に限定をいたします、預託金を預託できる者。

 この金額については、今後改めて定めていきますけれども、国民の平均年収等を勘案して、簡単に預託ができるという額にするつもりはございませんので、富裕層がどれぐらい、富裕層という定義ははっきりしませんけれども、一般的にかなりの富裕層と言ってもいい方に限定されるのではないかと私は思っております。

塩川委員 この問題については、本当に経済効果があるのかということについての検証といいますか試算も出さない中での議論が深まりを欠いているわけで、しっかりとした負の影響も含めた、経済効果があるというんだったら、そういう試算をちゃんと示して議論することが必要であるわけです。

 その上でも、地方においてはいろいろ試算は出しているわけですよ。そういう地方における試算を見ても、日本国民の利用者の割合が非常に高いわけですよね。七割、八割で、海外からというのは、空港の近くであればちょこっとふえるかもしれないけれども、北海道なんかでは大半が日本国民。道民だったり、道外から日本国民の方がいらっしゃる。そういったときに、やはり過剰貸付けになるようなこういう仕組みを入れていいのかということが問われているんじゃないでしょうか。

 あわせて、富裕層だったら構わないという話にもならないんですよ。この間も紹介されていますように、大王製紙の元会長の井川意高氏のように、貸付けがカジノののめり込みの契機となったということが紹介をされています。二〇〇八年から頻繁にカジノに通い始めた井川氏は、グループ企業から無利子で膨大な借金を重ねて、三年足らずの間に総額百六億八千万円をカジノで失ったわけであります。

 大臣、やはりこういった事実があるんですから、これはしっかり重く受けとめる必要があるわけです。カジノ事業者による貸付業務は、新たな依存症者を生み、新たな債務者を生み出すことにつながるんじゃないですか。大臣、ぜひ、はっきりとお答えください。

石井国務大臣 カジノ事業者による日本人等に対する貸付けにつきましては、先ほど申し上げたとおり、対象者を一定の資力を有する者に限定するとともに、厳格な返済能力調査に応じた貸付けの義務づけをしておりますので、野方図に貸付けをするということにはまずなりません。

 このほか、IR整備法案におきましては、依存防止対策としまして、IR区域数の限定やカジノ施設の規模の制限、一つのIR区域におけるカジノ施設の数を一つに限定すること、日本人等を対象とした一律の入場回数制限や入場料の賦課、依存防止規程に基づく本人、家族の申出等による利用制限措置や相談窓口の設置といった利用者の個別の事情に応じた対応、広告、勧誘等の誘客時における規制といった重層的、多段階的な取組を制度的に整備をしておりまして、カジノ行為への依存につきましては万全な対策を講じているものと考えております。

塩川委員 対策を講じるんだったら、やはり貸付けの総量規制の枠内にカジノへの貸付けも含めるべきだ。そういうこともないような今の制度設計そのものが大問題であるわけで、カジノ事業者に貸付業務を認めるということは、多重債務や依存症を一層助長するだけだということを強く指摘をしておくものであります。

 次に、カジノの施設面積のことについてお尋ねをいたします。

 IR施設全体に占めるカジノ施設の面積に上限を設けるということですけれども、政令事項ということですが、どういう基準を設ける考えなのか、ここをちょっと説明してもらえますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法案では、カジノ施設の規模について、カジノ行為区画のうち専らカジノ行為の用に供される部分の床面積の合計が、ただいま委員から御指摘がありましたように、政令で定める面積を超えないことというふうにしております。

 この政令で定める面積についてでございますけれども、具体的には、我が国と同様に厳格なカジノ規制のもとで公共政策としてカジノを含むIRを整備し、一定の効果を上げているシンガポールのIRにおける実例なども踏まえまして、IR施設全体の延べ床面積の三%の面積とすることを考えてございます。

塩川委員 IRの施設総面積に対して、カジノ施設の面積が三%を超えないことということでの説明がありました。

 重ねて伺いますけれども、昨年七月のIR整備推進会議の取りまとめでは、カジノ施設の規模の上限等の設定について、上限値(絶対値)でもカジノ施設の面積の規制を設けるべきであるとしていたわけです。相対的な位置づけのみではなく、上限値(絶対値)でもカジノ施設の面積の規制を設けるべきであるとしていたその理由は何ですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、塩川委員御指摘の点は、昨年の夏に政府のIR推進会議での議論をIR推進会議が報告書として取りまとめた際の考え方だというふうに考えております。

 その際の議論は、先ほども援用させていただきましたシンガポールにおきましては、法規制としてはシンガポールは、シンガポールのカジノ管理法の政令に相当する法令におきまして、専らカジノ行為の用に供する部分、シンガポールのお言葉では、ゲーミングエリアという言葉を使っておりますけれども、そこの部分を絶対値として一万五千平米以下に規制をするという法制が既にございました。それを参考にして、IRの推進会議の委員での御議論を経て、推進会議の報告書として取りまとめられたものと理解しております。

塩川委員 IRというワードそのものもシンガポールがつくったと聞いていますけれども、それでよろしいですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 講学的に、IR、インテグレーテッド・リゾートという言葉の由来がどこにあるかということまでちょっと探求できてはおりませんけれども、確かに、シンガポールが二〇〇〇年代初めにこういう新しい政策の導入を議論した際に、二〇〇五年の四月だったと思いますけれども、リー・シェンロン首相の国会でのスピーチなどでインテグレーテッド・リゾートという言葉が登場していて、なお、その前には、例えば九〇年代などにはラスベガスなどではこのインテグレーテッド・リゾートという言葉は使われていなかったのではないかというふうに理解をしてございます。

塩川委員 そういうように、リー・シェンロン首相がそういうワードも使いましたし、政策的な意図を持ってIRを推進したのはシンガポールであります。それに学んでいるのがこの日本ということになるわけです。

 そのシンガポールが、カジノ施設面積について、もともと、立地の場所との関係で逆算的に、そもそもカジノの施設面積が一万五千平米だよというところから出発しているわけですよね。それを総面積で比較をすると、三%になっているということですから。出発点は一万五千ということだったわけです。ですから、先ほどの答弁の中でも、絶対値として一万五千平米に限定するというシンガポールの法規制の例が紹介をされていたところだったわけです。

 ですから、昨年の取りまとめの段階では、相対的な位置づけのみではなく、上限値(絶対値)でもカジノ施設の面積の規制を設けるべきだと。そういう際に、シンガポールを参考に、一万五千平米というのが出ていたわけです。

 しかし、この法案の段階、政省令の話になっていますけれども、この上限規制、上限値(絶対値)というのは落ちてしまって、IRの施設床面積の三%以内という相対的な位置づけのみになってしまっているわけです。これはなぜですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明させていただきましたように、絶対値の規制を考えるべきだという議論は、IR推進会議の委員が、シンガポールの絶対値の規制を念頭に置いて、参考にしてまとめたものでございました。

 その際には、いろいろ議論がございましたが、シンガポールでは、この一万五千平米の規制を導入するに当たって、実は、シンガポール政府は既に、その規制をつくる前から、今、二つのIRが立地している二つの敷地とそこの大きさとを、あそこはいずれもシンガポールの国有地でございますので、国自身が選定をし、ここの場所に、この大きさの敷地のところにIRをつくってほしいという発注を出したわけでございます。

 したがいまして、お互い、一つはやや小さ目の敷地、もう一つはリゾート型の非常に大きい敷地ということになってございますので、そういう立地条件、敷地条件の違いがある中で、カジノの施設面積を有効に規制するには、専らカジノ行為に使われる部分を絶対値で規制するということになったんだというふうに考えております。

 一方、推進会議の議論では、そういうものも参考にいたしましたけれども、現時点におきましては、推進会議が取りまとめをまとめたときもそうですし、まさしく今議論をしているこの時点におきましても、日本のどこに、どういう敷地に、どういう大きさの敷地にIRが立地するかということが不明確、未確定でございますので、上限を絶対値にするという考え方もあるとは思いますけれども、敷地条件だとかが明確になっていない中で絶対値で上限を設定いたしますと、カジノ事業の収益を活用して整備されるIRの施設規模が制限される可能性もございます。

 そういう意味では、今、政府の考えでは、IR施設の延べ床面積の九七%をゲーミング以外の、ノンゲーミングの公共政策の目的に資する事業を行うものに当てたいという意図を持っているわけでございますけれども、そこの公共政策の目的がどの程度達成されるのかという上で制約要因になりかねないというふうに考えているところでございます。

塩川委員 それは逆さまなんじゃないですか。カジノの施設面積を広げたいという要求があるから、上限値(絶対値)を設けるということをやらないという話なんじゃないですか。

 そもそも、要するに、立地の地域、規模が未確定というのは、今答弁にあったように、今もそうだし、昨年七月の取りまとめのときも同じなんですよ。でも、昨年の取りまとめのときには、上限値(絶対値)が必要だよねということになっているわけですよ。それは、前提は、その文書にも書いてありますけれども、依存症予防の観点から、上限値(絶対値)でもカジノ施設の面積の規制を設けるべきだと。つまり、依存症予防の対策から上限値を設けましょうと言っているのが取りまとめだったんですよ。その限りでは、理屈のある話であるわけです。

 では、今のように、上限規制ありませんということになった場合には、この依存症予防の観点というのはどこに行っちゃったんですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の七月末に推進会議が報告を取りまとめた際は、上限値を絶対値として規制するという考え方も出しておりましたけれども、同時に、カジノ施設をIR施設のごくごく一部に限る、そういう相対的な、比例に基づく概念を組み合わせて考えるという形で意見を取りまとめているところでございます。

 したがいまして、依存症予防の観点からということでいえば、比例的に規模を規制していく、定率的に規模を規制していくということも含めて、依存予防の観点からの措置として意見が取りまとめられているところでございます。

塩川委員 それはおかしいですよ。

 だって、取りまとめには、依存症予防の観点から、相対的な位置づけのみではなく、上限値(絶対値)でもカジノ施設の面積の規制を設けるべきだと、両方かけているんですよ。相対的だけじゃなくて絶対値上限値も、両方かけているんですよ。だけれども、法案ではこの上限値(絶対値)を取り払ってしまった。一体どういうことなのかというところが、議論の経過が全く見えてこないんですよ。そのところがまさに問われているということを言いたいわけであります。

 この点では、問われているのが、昨年の七月に取りまとめを行ったわけですけれども、その後にアメリカのカジノ資本からいろいろな要望が出てきております。

 昨年の九月の一日に、米カジノ大手のラスベガス・サンズのシェルドン・アデルソン会長が大阪府庁を訪れて、府知事、大阪市長と会談をしました。アデルソン氏は、IR整備推進会議取りまとめを批判して、上限設定があると、カジノの収益で採算性の低い国際会議場や娯楽施設の運営が賄えず、我々が望んでいたようなIRを実現できないと述べていたということであります。

 絶対値規制を取り払ったというのは、こういったカジノ事業者の要求を優先したからじゃないですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来の議論で御答弁申し上げておりますとおり、IR整備法案そのものの目的は、日本を世界に冠たる観光先進国に引き上げていく原動力となる制度をつくるということがございます。

 また同時に、世界最高水準の規制によって、依存予防ですとか、あるいは反社会勢力の排除といった、社会が持つ懸念事項に万全の対応をするという、この二つの目的があるわけでございます。

 先ほど来塩川委員が御指摘のカジノ規模の規制につきましても、先ほど御説明させていただきましたように、上限を絶対値にするという考えもございますけれども、立地規模だとか立地条件だとか、その規模が未確定である状況の中では、一定の上限値で、絶対値で上限を設定いたしますと、日本にできるIRがノンゲーミングの部分でどういう公益を達成することができるのかという、そのポテンシャルに対する制約要因になり得るという判断に基づくものでございます。

塩川委員 いや、ですから、説明がわからないんですよ。委員長もそう思いませんか。

 そもそも、取りまとめでは、相対的な基準と絶対値上限値と、両方かけていたんですよ。それが、法案ではこの絶対値がなくなっちゃったんです。その経緯について説明がないじゃないですか。立地の地域が不確定だから、未確定だからと。それは、今だって去年の七月だって同じなんですよ。

 何でこんなことになったのか、この経緯についてきちっと説明してもらわなくちゃいけないんですけれども、今の答弁というのはそれを答えていないですよね。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の夏に取りまとめられましたのは、推進会議の委員がまとめた、推進会議としての取りまとめでございます。

 その後、政府といたしましては、この推進会議の取りまとめについて、さまざまな方から、内外の方を含めて、意見をいただくためのパブリックコメントも実施いたしましたし、また日本の各地に出かけて説明・公聴会をいたしました。

 そういうパブリックコメントなどを踏まえて、寄せられた意見も踏まえて、政府の方で検討を進めた結果を先ほど来御答弁申し上げている次第でございます。

塩川委員 いや、答えていませんよ。

 肝心の政策変更の過程というのがわからないんですよ。だから、政策立案過程をきちっと記録をして、それを保存し、そしてその後、公開をするという公文書管理法の基準から照らしても、こういう説明は納得いかない。

 実際、政策立案過程はどうなっていたのか、そういう文書を出してもらいたい。何で絶対値が落ちたのか、そのことについてはどんな議論を行ったのか、それをちょっと出してもらえますか。

中川政府参考人 委員からの御指摘でございますので検討はさせていただきたいと考えておりますけれども、先ほど来申し上げておりますように、実施いたしましたパブリックコメントの結果などにつきましては、これまで政府が行ったパブリックコメントでは例を見ないぐらい、どういう意見がどれぐらいの数出てきていたのかということも含めて全て公開をしているところでございまして、政府といたしましては、これまでの制度設計の議論の透明性を確保するということにつきましては重々留意をしてきた所存でございます。

塩川委員 パブリックコメントは、多数が反対なんですよ。

 そういう話じゃなくて、そもそも、絶対値上限値について落ちてしまったという、その政策立案過程の文書をしっかり出してもらいたいと重ねて要望します。

 その間には与党のワーキングチームが行われているんですよ。与党のワーキングチームでどういう議論をしていたかということもまさに問われているわけで、この核心となるような部分についてどんな議論をしたのか、こういうことというのは与党は責任を持って出していただきたいと思うんですよね。そこに当然政府は関連する資料も出しているわけですから、政府が出した資料もしっかりと出してもらって、絶対値上限値が落ちた、こういう経緯についてしっかりと本委員会に資料を提出していただきたい。

 このことについて、委員長に求めます。

山際委員長 後ほど理事会で協議いたします。

塩川委員 この問題を見ても、まさに二百条を超えるような新法というのが、介護保険法以来二十一年ぶりとかということでも言われているわけで、三百数十項目と言われる政省令もある。これは本当に、新法だから。改正案じゃないんですよ。一つ一つ、じゃ、政省令の中身がどうなっているのかという議論が必要なわけですよね。

 そういった意味でも、今言ったこと一つとっても、政令事項に落としている、そういう中身がどういう経緯でなっているのかということなんかもしっかりと審議しなければいけませんし、その前提となるような資料をきちっと出してもらうということは当然のことでありますし、二百条を超えるような法案、三百数十項目の政省令事項がある法案ですから、これは徹底審議をするということが必要だ。

 こういうことが、まさにこの問題について、国民の多数が反対なんですから、その反対の声があるからこそ、それをしっかりと受けとめる議論こそ、いわば与党であってもこれは議論すべき話であるわけで、地方公聴会を始めとした国民の声を聞くということを含めて徹底審議を求めて、質問を終わります。

山際委員長 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 おはようございます。無所属の会の江田憲司でございます。

 まず、きょうは一時間十分も望外のお時間をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 毎回、予算委員会では、六分でやれとか十五分でやれとか、さんざん時間に追いまくられておりますが、本当に、各党各会派、特に理事の皆様には心から御礼を申し上げたいと思います。

 そして、私は余り細かいことはお聞きしませんので、ぜひ、大臣としての、政治家としての御答弁をお願いをしたいというふうに思います。

 まずお聞きしたいのは、IRと称する、私はカジノ法案と言っているんですけれども、これはそれぞれ賛成、反対の立場はあると思いますね。それぞれ理由もあるんだと思うんですが、私が思うに、やはり根本的な違いは、この日本という国の国柄、国のありよう、品格、そういったものを日本の悠久の歴史に照らしてどう捉えるかという、私は、そういう点に根本的な違いがあるのではないかと思うんですね。

 そういう意味で、まず大臣にお聞きをしたいのは、カジノは賭博、ばくち、ギャンブルですね、刑法上の犯罪ですね、そういうものを解禁して、経済成長に生かすんだ、観光立国を目指すんだということに対する大臣の基本的なお考えというものをまずお聞きしたいと思います。

石井国務大臣 IRにつきましては、カジノに焦点が当たりますので、さまざまな懸念の声も寄せられておりますし、そういったことがやはり世論調査等の数字にも反映をしていると思いますが、これは、御案内のとおりさまざまな誘客施設をセットで設けた統合型リゾート施設であり、これまで日本で行われていないような大規模な規模の国際展示場や会議場等の新しいビジネスを設けたり、あるいは日本の伝統、文化、芸術を紹介するような、そういった施設を設けたりといったことで、日本を観光先進国に押し上げる原動力の一つになり得るというふうに考えております。

江田(憲)委員 ちょっと、真正面からお答えになっていない。そういう以前に、大臣の、政治家というか一人の国民として、こういった、御承知のように、日本の歴史は、賭博は御法度だったんですね。そして、いろいろな事情があって、後にも議論しますけれども、公営ギャンブルというのが認められていることは事実であります。

 それから、今おっしゃったように、カジノは面積は確かに三%しか占めていませんが、しかし、どこのカジノを見ても、全体の収益の七割、八割はカジノから得ているわけで、だからこそ成り立つ統合リゾートだと思いますね。

 それから、今回なぜ法律なのか。いわゆる国際会議場だ、展示場だ、ホテルだ、ショッピングプラザみたいな、いわゆるMICEというか複合リゾートは日本でも既にあるわけで、それをわざわざ今回法律までつくってやろうというのは、まさにカジノが賭博罪に当たる、それを解禁するためにこの法律があるわけですから、そういう意味では、IRというのは、私は、日本人としても、何でわざわざこんな横文字を使うのか。統合リゾートという言葉はありますけれども、その核は、コアはやはりカジノ、ばくちなんですから、その点について国民の理解を得られない限り、絶対に国民の納得は得られないと思いますね。

 そういう意味で、まず最初に、もう一回お聞きします。

 安倍総理も第二次政権になって全くおっしゃらなくなったんですが、第一次政権を皆さんは覚えておられますか。「美しい国、日本」を目指してということをずっとおっしゃっていたわけですね。

 今回も、私、改めて当時の施政方針演説等々を読み直してみますと、安倍総理の目指す「美しい国、日本」というのは、やはり日本の「文化、伝統、自然、歴史を大切にする国であります。」というふうに書いてあるんですね。私たちの国は、何も西洋の産物に頼らなくても、「世界に誇り得る美しい自然に恵まれた長い歴史、文化、伝統を持つ国です。その静かな誇りを胸に、今、新たな国づくりに向けて歩み出すときがやってきました。」と。

 我が国のよさ、すばらしさを再認識することが必要です、日本らしさを見詰め直しましょう、四季折々の風景、伝統が織りなすわざや文化、日本の生活の中にある日本の美しさ、それを目指すのが私の美しい国づくりなんですと。私は安倍総理とほとんど考え方が違う政治家なんですが、この点は非常に共鳴をするものがあるんですね。

 残念ながら第二次政権になって美しい国のウの字もおっしゃらなくなったのは、僕はぜひ何か機会があったら総理にも聞いてみたいと思うんですが、こういう「美しい国、日本」であるとか、日本の伝統、文化そして悠久の歴史に照らして、大臣、一体、本当にこんなカジノ、賭博を解禁していいのかという点について、政治家として真正面からお答えいただければと思います。

石井国務大臣 私も、必ずしも日本の悠久の伝統文化を体現している身だとは思いませんので、お答えする資格があるかどうかわかりませんが、実際にシンガポールのIRを二つ視察いたしました。いわゆる賭博というイメージから想定されるようなマイナスのイメージは私は非常に少なかったわけです、そのIR自体を見まして。非常に明るくてオープンで、全体的には非常に魅力のある施設であるというふうに私は印象を持ちました。いわゆるかつてのやくざ映画でやっているような賭博場みたいな、そういうイメージでは全くなかったという印象を持ってまいりました。

江田(憲)委員 ちょっと大臣は認識が申しわけないが甘いと言うしかないんですね。シンガポールのあそこを見れば、確かにそういう面もあるでしょう。しかし、後ほど紹介させていただきますが、私が江原ランドに昨年行ったときの惨状、もう目を覆うばかりでしたよ。本当にこういう町にしていいのかという思いを私、強く持って帰ってまいりましたので、ちょっと今のは、申しわけないけれども。

 大臣は、江原ランドはごらんになったことがありますか。

石井国務大臣 直接訪問したことはございません。

江田(憲)委員 いずれにせよ、どちらの立場に立つにしろ、極めて重要法案ですから、そういうところをぜひ、物事全て光と影はありますから、光の部分をごらんになったのなら、やはり影の部分もごらんになって適正な判断を下すというのが私は大臣の職務だと思いますけれども、そういうことは申し上げた上で、次に進みたいと思います。

 これも大臣御承知のとおり、珍しいことに、全国紙の社説がこのカジノについては全て反対か慎重なんですね。

 例えば、御紹介すると、読売新聞はその社説で、他人の不幸や不運を踏み台にするような成長戦略は極めて不健全だ、深刻な副作用を踏まえて再考せよとまで書いている。産経新聞も、多くの疑問を残したまま、駆け込みで事を進めている、国の無責任さを見過ごせぬと。日経新聞も、拙速なカジノ解禁は問題が多い等々、本来安倍政権に優しい方のメディアまでがここまで一致して反対、慎重論だということです。

 その中でやはり国民の胸にずしんと響くのがこの言葉なんですね、人の不幸を踏み台にして幸せになっていいのか、人の不幸を踏み台にして経済成長を目指していいのか。この問いに大臣はどうお答えになりますか。

石井国務大臣 カジノについては、やはり余裕のある資金を持つ人が娯楽で楽しんでいただくということが本来のあり方であろうというふうに思っておりまして、カジノで楽しんでいただく、そういうカジノの方向にしていきたいなというふうに思っております。

江田(憲)委員 ちょっと驚いたんですが、余りにもカジノの弊害というか影の部分に目配りしていない答弁で、本当に残念ですね。

 世論調査も、これは大臣も御承知のとおりだと思いますね。最近でいえば、共同通信のことし三月の調査では賛成二二・六%、反対六五・一%。

 実は私は、昨年七月、横浜市長選に自前の候補を立てまして、身銭を切って現職市長にチャレンジをしたんですね。なぜかというと、横浜にカジノを誘致しようなんという動きがあるものですから、これはもう絶対阻止せないかぬということで立てたんですが、残念ながら、カジノ反対派の分裂選挙にもなりまして、敗れましたけれども、そのときに、神奈川新聞、地元の新聞社も横浜市に限ってですが調査をすると、傾向は横浜市であろうが全国であろうがみんな一緒です、あの七月の選挙の調査のときは、六五・二%の横浜市民が反対、賛成は二二・七%。ほぼ一緒ですよね、共同通信さん、全国と。去年の衆議院選挙の十月にも出口調査をやっていまして、これも横浜市民の六八%が反対、賛成は二四・五%ですね。

 こういった世論調査に共通することは、全世代、全党派、全性別というか男女とも、カジノ反対が圧倒的多数なんですね。傾向としても顕著なのが、世代が上の方になるほど、それから男性より女性ほど反対が顕著だ。例えば、女性では、賛成はたった八・一%、反対が六六・一%。年代別では、三十代が一番賛成が多いんですけれども、それでも反対は五二・四%。ちなみに賛成は二四・六%。六十代、七十代にいくとどんどん反対がふえてきまして、ちなみに六十代では、賛成が一〇・四%で一番少なく、反対が七一・六%だった。

 時事通信が去年七月の調査を二千人の男女に個別面接聴取方式で実施しているんですが、面接だと結構正確だと思いますね。そうすると、賛成が二二・八%、反対が六六・八%。反対理由として一番多かったのが治安が悪化する、これが六八・二、青少年に悪影響がある、五七・五、依存症が増加する、五五・七、反社会的勢力の資金源になる、三二・九%等々ですね。そして、日本にカジノができれば行ってみたいかという問いに、行きたいとは思わないが七六・六%に上り、行ってみたいは一九・六%にとどまった。

 どの調査をやろうが、全国でやろうが地域でやろうが、全てこういう世論調査の結果についてはやはり重く受けとめなければいかぬと思うんですね、所管大臣としては。それに対する大臣の受けとめをお聞きしたいと思います。

石井国務大臣 政府としましては、議員立法で成立をしたIR推進法におきまして、カジノを含むIRの整備推進が国の責務とされております。そのことから、IR推進法に基づいて具体的な制度設計の検討を進め、今般、IR整備法案を提出している。法律上の責務を課されているということがまず第一にございます。

 また、IRにつきましては、今委員から御紹介をいただいたように、さまざまな弊害を心配する声があることは承知をしております。

 このため、依存症防止対策、犯罪・治安維持対策、青少年の健全育成対策としまして厳格な入場規制や広告・勧誘規制など、重層的かつ多段階的な措置を講じているところでありまして、こういった懸念される面を重層的かつ多段階的な措置で万全の措置を講じた上で、カジノ収益も活用して、MICE施設等のさまざまな誘客施設が一体となった国際競争力を有するIRを整備することによりまして、我が国を観光先進国へと引き上げる原動力としていきたいというふうに考えております。

江田(憲)委員 申しわけありませんが、いろいろなそういう御説明、いろいろな対策を講じているんだ、何だかんだ説明しても、私は、こうした国民の理解は絶対進まないと思いますよ。それはなぜかというと、カジノがばくち、賭博、ギャンブルで、刑法上の犯罪だからですよ。

 その点について、冒頭申し上げましたとおり、日本人の精神、伝統、文化、悠久の歴史、そういったものに照らして、歴史をさかのぼると七世紀の持統天皇のすごろく禁止令以来千三百年の歴史がある、賭博は御法度だというようなことを言う人もいますよ。

 あくまで、こういう賭博、ばくち、ギャンブルは、裏社会、闇社会、社会の暗部と言われるところで生息してきたという種類の遊技だと思うんですね。だからこそ、国民の理解が進まないと私は思うんですね。

 もう一度、大臣、そういうことを真正面に受けとめて、ちょっと受けとめをお聞きしたいと思います。

石井国務大臣 賭博は刑法上犯罪として規定されておりますけれども、先ほど委員からも御紹介がありましたように、これまでも公営競技等については、一定の政策目的のもとで、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却しないよう、目的の公益性等の観点を踏まえた検討がなされ、その趣旨に沿った制度設計をされた上で賭博に関する特別法が制定され、それに基づき実施されているものと承知をしております。

 IR整備法案の立案過程におきましては、これまで、賭博に関する特別法の検討の際の観点とされてきた、目的の公益性等八つの観点を踏まえた検討がなされ、その趣旨に沿った制度設計がなされておりまして、IR整備法案の内容は、刑法が賭博を犯罪として規定している趣旨を没却するようなものではなく、法秩序全体の整合性は確保されているものと考えております。

江田(憲)委員 先走って御答弁、そういう違法性阻却事由の説明があったので、ちょっとそこに行きますと、私の理解では、公営ギャンブル、公営競技というものは、戦後の復興期に財政が逼迫し、財政需要に応えるためにやむを得ず導入した。特に地方公共団体の財政は逼迫していましたからね。

 ただ、競馬だけが御承知のように戦前からある。これはイギリスを典型とする貴族のスポーツとして始まった競技でありますから、賭博とかそういうイメージじゃなく、多分、戦前導入したんでしょう。それが今の近代競馬のようになってきた。

 そういう一部の例外はあっても、この国、日本という国では、やはり公営、公設、その主体規制があるからこそ、簡単に言えば悪いことはしないだろう、プラス、規制や監督をかければ、この主体があるからこそ、ある意味で安心してそういう競技が公正に行われていくんだろうという前提で、刑法の賭博罪の違法性を阻却してきたと私は理解しています。

 きょうは、八要件がどうしたこうしたなんて細かい事務的な話をするつもりは私はないんですよ。やはり、こういう国民の理解を得られるかどうかというときに、きょうも刑事局に来ていただいていますけれども、そんな細かな法理論を幾ら説明したって国民は理解できませんよ。今まで、やむを得ざる、しかも戦後の復興期に限ってこういうふうなものを必要悪として導入してきた歴史が現にあるんですね。そういうところで例外的に認められたものを、私は、ある意味でこれはルビコン川を渡ったと思っているんですよ。

 今回、純粋民間事業者に初めて認めるんでしょう、笑っている人がいますけれども。純粋民間事業者、主体がこれだけがらっと変わって、それに規制、監督をかけて、どこまで安心できるかという国民感情の問題から国民理解というものは進めねばいかぬですね。

 そういう意味で、ちょっと大臣ばかりではあれだから、刑事局の政府委員の方にお答えいただきたい。

 細かいことはいいんですよ。さっき大臣が答弁されたとおり、やはり刑法のこれまでの法秩序、賭博についての考え方、そういうものとの整合性、保護法益との整合性というものをしっかり、法務省というのはきっちり検討しなきゃだめでしょう。特に、これは刑法ですからね。基本六法、特に民法や刑法なんというのは、本来法制審議会で何年もかけてやるような話ですよ。この前の民法の成人年齢を引き下げるような法案も、あれは、何年も検討してきてやっと成果を得られたという話ですよね。

 それを、こういう大きな、今までの、少なくともここに公設、公営だという敷居があった、地方公共団体やその準ずる機関、そういったものにしか認めていなかったものを、今回踏み越えて民間事業者という主体にも認めることになった、初めて民営賭博というものを認める、これに対する阻却事由というものを法務当局はどういうふうにお考えになっているんですか。簡単に言ってください。もう細かいことは僕もわかっているので、あなたが幾ら説明しても国民にわからないので、わかりやすく、法務省として、何で刑法の賭博罪の違法性が阻却されるのかというのを簡潔に答えてください。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 大きな御質問ですので、簡単にお答えできるかどうか、なるべくわかりやすくお答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、法務省において何を検討すべきかという観点から申しますと、このIR整備法案が、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却しないか、刑法の趣旨と整合しているかという観点から検討してきたというものでございます。

 もちろん、刑法が賭博を犯罪であるというふうに規定しているその趣旨、賭博が禁止されている趣旨というものがございます。

 それは、その一つには、単なる偶然の事情によって財物を獲得しようと他人と相争うというものが、国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するばかりでなくて、副次的な犯罪を誘発し、国民経済の機能に重大な障害を与えるというなどの社会の風俗を害する行為であるというところに理由があったということでございます。

 その一方、一定の厳格な要件のもとで限定的にその賭博行為等を許容するということが、公益を実現しようとする政策目的にかなうものであって、かつ、今申し上げたような、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却することがないなどの場合には、その賭博に当たる行為であってもそれを許容されることがあるというふうに考えられると考えております。

 この観点から見ますと、この法律案については、カジノ事業の収益を活用してIR区域の整備を推進して、もって観光、地域経済の振興に寄与するとともに財政の改善に資するという目的があるとされておりますし、また、適切に国の監視及び管理のもとで健全なカジノ事業の運営が確保されているなど、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却するものでもないというふうに考えられたことから、一定の厳格な要件のもとで賭博に当たる行為を罰しないとすることに合理性があると考えられるというふうに考えたものでございます。

江田(憲)委員 では、ちょっとお聞きします。法務省でそういう検討、判断をするに当たって、有識者とか、例えば法制審議会とは言いませんが、いろいろな審議会とか、いろいろな有識者の意見はお聞きになったんですか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいまの御答弁申し上げました内容について、法務省独自に有識者の会議を設けて意見を聴取するといったような作業はいたしておりません。

 ただ、一つ、法制審議会というお話が出ましたので、その点に関して申し上げますと、もちろん法制審議会は、基本法に関して法務大臣の諮問に応えて調査審議を行う機関でございます。ただ、法務大臣の諮問機関でございますので、刑法、民法といった法務省所管の法律について立案あるいは改正が行われるときにその諮問が行われるというのが前提でございます。

 その他の特別法において、基本法である刑法の内容と一部抵触すると申しましょうか、関係する、影響がある改正が行われるということもあるわけでございますが、それについては、別の政策目的から行われる事柄でございますので、必ずしも法制審議会の調査審議を経るという段取りを踏むものではございません。

 特に、今回の法案の立案に当たりましても、立案御当局において十分な検討がなされ、その過程ではIR推進会議などの有識者会議の御検討も経ているというふうに認識をしておりますし、その立案過程におきましては、その会議への参加を含めて、法務省としても必要な協力をしてまいったというものでございます。

江田(憲)委員 要は、法務省として独自のそういう有識者の意見は聞かなかったということですよね。

 だから、非常に残念ですけれども、今までの理解は、これは刑法三十五条の法令行為に当たるから、これは形式的に言うと、法律をつくれば何でもそれは正当化されるんです。ただ、立法政策、政策判断として時の政権がこれをどうするかという問題であって、おっしゃるように、当然のことながら、今までの賭博罪で守っていた保護法益との調整、そして、今までのそれに基づいて成り立っていた法秩序との整合性というものをしっかり検討せないかぬのですよね。

 そういう意味で、これまで少なくとも、我々の理解というか、それは法務省の理解でもあったと思いますけれども、賭博行為というのが伴う、公的主体、賭博行為を公的主体が担うことによって限りなく不正を防止することが可能となり、公正さ、透明性を担保できるから公営ギャンブルは認めるんだとか、その収益も公的主体が独占できるから認められるんだとか、そういう基準で認めてきたということは歴然とした事実だと思うんですね。

 それに基づいて公営競技については特別法があって、そこには、施行者が地方自治体又は政府全額出資の特殊法人であること、これは公設ですよね、運営機関が非営利法人、自治体や国の外郭団体を含むであること、これは公営ですよね、そういう要件のもとで認められてきたということなので、いずれにせよ、それを大きく、民営賭博ということで、民間企業運営による賭博を合法化するというのは、ある意味で、さっき申し上げたようにルビコンを渡ったというか、大きな壁を皆さんの立場からいうと乗り越えたということですよね。

 それに対する国民の理解は、私は、さっきの大臣の答弁がございましたけれども、絶対に進まないと思いますよ。それは政権としての決意で進められるんでしょうから、我々政治家というのは選挙で評価されますからね、当然。さっき言ったいろいろな評価、特に女性、男性より女性、圧倒的に反対が多いですよ。それから、年代の上の方は圧倒的に反対が多いですよ。

 だから、選挙を主体的に担うというのは言い過ぎですけれども、やはりそういう民意の大宗を占める方々がこれだけ反対だという事実をあえて突破してやることについての、私は、政治家というのはその責めはみずからが負うというふうに思いますので、こんなことをやったって同じような議論が水かけ論で続くだけなので、これで一応とめますけれども、そういうことはきっちり申し上げておきたいと思いますね。

 さっき石井大臣、推進法ができたから、その責務としてやるんだからというのが冒頭、答弁でありましたけれども、そうおっしゃったのであえて申し上げますと、このIR推進法ですか、これは、一昨年末、本当に理解しがたい強行採決で成立したわけですよね。

 思い起こすと、私も長年この世界におりますが、とても信じられないことが起こった。と申し上げますのも、与党公明党さん、公党として意思決定される余裕もないまま、衆議院ではたった六時間の審議で強行採決したんですよ。私はそれを見て驚愕しました。

 与党というのは、まさに連立政権を組む大事な相手ですから、当然、こういう重要法案についてはしっかり議論して結論を出して、一部反対があってもそういう統一行動をとられるというのが私の常識だったんですが、何と自民党さんは、公明党さんを置き去りにして強行採決をした。御承知のように、山口代表は反対票、井上幹事長も反対票でしたね。

 推進法とおっしゃるのであれば、私は、そういう異常な事態が起こって成立した法律だということを、大臣、当時、感想で結構ですよ、どういうふうに受けとめられましたか。普通、考えられないことでしょう。

石井国務大臣 国会の運営のあり方につきましては、行政府の長としてはコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、私は公明党から入閣していますので、あえて申し上げれば、かつても幾つかの法案で党議拘束を外して自主投票にしたという事例はございます。

江田(憲)委員 今ありましたように、そういう人の倫理的な、党派にかかわらず、さっき冒頭言いましたように、人間として、政治家以前に人間としての物の見方、考え方の相違がある場合はそういうこともあるでしょうけれども、これはまさに成長戦略の目玉と安倍総理が言っておられる経済政策、観光政策の一環としてやられている法案ですから、普通はあり得ないというふうに思うんですが、その当時、石井大臣は、賛成票、反対票、どちらでしたっけ。

石井国務大臣 私は賛成をいたしました。

江田(憲)委員 その理由は何だったでしょうか。

石井国務大臣 当時会見で申し上げましたのは、このIRが観光振興、地域振興に寄与するという点を評価したというふうに申し上げました。

江田(憲)委員 公明党さんは与党の重要な位置を占めておられて、私は、お世辞抜きに、国民の皆さんは、自民党の暴走というか、そういう歯どめ役というかブレーキ役を期待していると思いますし、それから、私も、言っていいのか、ひそかにそういう期待をしている者の一人であります。

 そういう意味で、今回、カジノ実施法案につきましても、実はひそかに、公明党さん、あれだけ代表も幹事長も反対票を投じられているんだから、そういうブレーキ役、歯どめ役を果たされるのかなと思っていたらこういうことになって、非常に残念ですね。

 ただ、今からでも遅くないと思うんですね。これだけ反対が多い、メディアも反対している、そしていろいろな弊害もあるような法案につきまして、何やら、何かまた会期末がどうしたこうした、安倍総理の都合か、早く成立してしまうんだみたいな話が出ていますけれども、ぜひ、そういうこと、特に強行採決とかいろいろな、審議時間不十分で、審議不足でそういったことのないように、所管大臣として、しっかりとした歯どめ役というかブレーキ役を公明党から出ておられる大臣として果たしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 ブレーキ役といいますか、私は、法律上IR整備を推進する立場でございますので、IRに関してはアクセル役を果たしているわけでございます。

 なお、国会の委員会の運営については、委員会で御判断をいただきたいと思っています。

江田(憲)委員 せっかくの機会ですから、公明党さんの支持母体の特に女性の皆さんも反対が多いと聞いていますから、そういう方に向けて、ここはやはり公明党さんの矜持というか、僕は、本当に期待していると思いますよ、そういう歯どめ役、ブレーキ役を。所管大臣ですし、やはりそれは、ちゃんとしっかりこういう機会を通じて国民に訴えかけないと理解も進まないわけですから、そういう意味で、石井大臣も公明党の幹部の方ですから、ぜひ、そういうことで、そういう役割を。

 それは、推進役ですから、賛成、通すのが役割です、大臣は。しかし、おのずから通し方についても、いろいろな熟議をするというのは当然のこと、これだけの問題で、代表、幹事長まで反対した法案に基づく実施法ですから、そういうことを意を尽くしてやるんだというお考え、決意をちょっと表明していただけませんか。

石井国務大臣 IR推進法のときに、確かに、公明党の場合、代表、幹事長は反対をされていましたが、党所属の国会議員のたしか三分の二は、自主投票で賛成をしていたと思います。

 いずれにいたしましても、委員会の審議は委員会でお決めをいただきたいと思っています。

江田(憲)委員 これ以上は失礼に当たりますから言いませんが、しかし、昨年の秋の総選挙の結果を見れば、やはり、ちょっと公明党さん、もう少し頑張ってほしいという民意があらわれているんじゃないかと私は思うんですね。まあ、これ以上は申し上げません。

 さて、カジノ、IRは安倍総理が経済成長戦略の目玉だと称しているんですよね。

 確かに、IR施設をつくれば、建設投資を始め、GDPに寄与することは一時的にあるというのは当たり前の話ですけれども、一方で、これはもう、何のことはない、人の不幸を踏み台にしてと言われるように、結局、人からお金を巻き上げて、それで成り立つ産業ですよ。ゼロサムゲームですよ。要は、人のギャンブルですったお金で一方がもうけるというゼロサムゲームですよね。そして、よく言われるように、ギャンブル依存症があり、それが家庭内暴力につながり、離婚につながり、そして家庭崩壊、一家離散、そして果ては自己破産、自殺にまで追い込まれる、こういったことが現実問題としてあるということも事実なんです。

 こういう経済成長戦略とおっしゃるのであれば、確かにプラスの面、さっき言った建設投資その他のいろいろな投資によるGDPを上向かせる効果と、こういう負の側面といったいろいろな弊害に対する対策経費、そしていろいろな人を救済、そういう依存症患者も含めた救済経費、そういった負の側面も含めたトータルな評価ってやられているんですか、総合評価って。それで、プラマイを考え合わせた上で、プラスの方が多いんだからといってやるのならまだ一理あると思いますけれども、そういった評価は当然やられているんでしょうね、大臣。

石井国務大臣 定量的な評価というのはなかなか難しいところがございまして、数字的に評価をしているわけではございませんが、カジノの設置についてはさまざまな弊害を心配する声もございますことから、依存症防止対策、犯罪・治安維持対策、青少年の健全育成対策として厳格な入場規制や広告・勧誘規制など、重層的かつ多段階な措置を講じている。

 そういう懸念に対してしっかりと対応した上で、さらに、日本型IRについては、カジノ施設のみならず、MICE施設等のさまざまな誘客施設が一体となった総合的なリゾート施設であり、これまでにないような国際的な展示、会議ビジネスを展開し、新たなビジネスの起爆剤となり、日本の伝統、文化、芸術を生かしたコンテンツの導入により世界に向けた日本の魅力を発信し、これらにより世界じゅうから観光客を集める滞在型観光モデルを確立するといったことで、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれるというふうに考えておりまして、懸念にはしっかりとした対策を講じて、こういったプラス面を最大限に発揮していきたいというふうに考えております。

江田(憲)委員 驚きましたね、それは。

 私も、役所でいろいろなプロジェクトのFS、フィージビリティースタディー、シミュレーション、経済協力の仕事もしていましたけれども、鉄道、道路、いろいろなプロジェクトの評価、そのモデルをつくって、定量的にプラマイの影響を全部入れ込んである意味でこれはゴーかストップかの判断をするときに、当然、費用対効果で効果の方が大きいと判断してゴーサインを出すんですね。

 それが、きょうも明らかになったように、今の御説明じゃ、やってみないとわからぬ、経済成長になるかどうかわからぬと。弊害もあるというのは認めておられる。そのコスト分析もされていない。

 ちなみに、韓国では、ある試算では、カジノを導入したことによって七・七兆円の損失が出たという試算が出ているんですよ。それから、ニューハンプシャー州の報告では、ギャンブル依存症とかいろいろな対策経費に、こういう依存症のギャンブラー一人当たり五千百四十四ドルかかるんだ、五千百四十四ドル。これは、単純にやれば、一人当たり五十万円以上かかる、百万人依存症患者が出れば五千億円だ、日本のように三百万人既にいるとなれば一・五兆円もかかるみたいなコスト計算も、もう出ているんですよ。

 実際のカジノをやっているところのこういう数字が出ているわけですから、そういうものを参考にしながらこういう積算をしていかないといけないんじゃないですか、大臣。それでゴーだというのはやはり私は政府として無責任だと思いますし、国民の理解は進まないと思いますが、いかがですか。もう一度。

石井国務大臣 先ほど申し上げましたように、定量的な評価は行っておりませんけれども、海外の事例等も参考にしつつ、さまざまな弊害に対する対策をしっかりととった上で総合的なリゾート施設である日本型IRをつくることによりまして、我が国を観光先進国に引き上げる原動力としていきたいというふうに考えております。

江田(憲)委員 申しわけないけれども、全く国民に対する説得力はないと思います。その弊害については、ちょっと後で具体的に議論したいと思いますけれども。

 大臣、観光立国を目指す、大賛成ですね。ある意味成功されているんですよ、安倍政権下で。これは釈迦に説法ですけれども、二〇一二年、外国人観光客は八百三十六万人だったのが、二〇一五年千九百七十四万、二〇一六年二千四百四万、二〇一七年二千八百六十九万と、倍々ゲームとは言いませんけれども、どんどんふえているというのは私は安倍政権の誇っていい一つの成果だと思いますし、それから、前の民主党政権だってビザの緩和とかをスタートさせたわけですから、それは前の民主党政権の一つの功績と言ってもいいかもしれませんけれども、いずれにせよ、外国人観光客は、カジノなんか導入しなくてもどんどんふえているわけですよ。

 まず、これは観光庁で結構ですから、なぜこれだけ外国人観光客がふえているのか、その要因分析をちょっと教えていただきたいんですね。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御発言がありましたとおり、昨年の訪日外国人旅行者数は二千八百六十九万人ということで、過去五年間で三・五倍に増加してございます。この増加の要因といたしましては、近隣アジア諸国を中心とした経済成長、それに伴うアウトバウンド需要の拡大というのがまずあったと思います。

 こうした中で、政府といたしましても、戦略的なビザの緩和、消費税免税制度の拡充、あとCIQ体制の充実、あと交通ネットワークの整備……(江田(憲)委員「何体制」と呼ぶ)CIQ、出入国の、スムーズな出入国みたいな、待ち時間……(江田(憲)委員「わかりやすく言ってください。国民はわからない」と呼ぶ)はい。待ち時間を短くするとか、そういう体制の整備、それから日本の魅力の海外への発信とか、あと英語表記を始めとした多言語表記等、さまざまな取組を政府一丸となって実践してまいりました。こうしたものがインバウンドの増加の数字になってあらわれたのじゃないかというふうに考えております。

江田(憲)委員 そういう要因でふえていることは非常に喜ばしいというふうに思いますけれども、私は、見るところ、なぜそんなに来られるのかというと、それはやはり日本本来の魅力に引かれて来られているんだろうというふうに思いますよ。

 観光庁さんの調査で、何で、どこに魅力を感じるのかというので、一位と二位は、日本食ですよね、食と温泉。あと、古民家を始めとした古きよき町並み、特に西洋人にとっては非常にエキゾチックな魅力もある。

 ちょっと調べてみても、大臣、東京だ、京都だ、大阪だというゴールデンルートと言われるほかに、例えば飛騨高山なんかに行かれたら、アジア人だけでなくて西洋の方もいっぱい来られているんですよね。何か、聞くところによると、飛騨高山の人口の五倍の外国人が来られていて、やはりあの古い町並みや里山や田園の風景を外国の人は好まれている。

 大切なことは、地域のそういった暮らしを見せることである。飛騨里山サイクリングというのがあるらしいんですが、ゆっくりと自転車で周辺農村部を回るという。そのイベントには、参加者の八〇%以上は外国人なんだ、特に、アジアだけじゃなくて西洋の方も多いと聞いていますし、高野山の奥之院ってありますよね。ここも外国人観光客が毎年増加している。

 とにかく、それはなぜかというと、本当に浮世と全く違う時間が流れている。特に西洋人にとっては非常に神秘的でスピリチュアルな、幻想的な感覚にとらわれて非常にいいんだというような感想も聞きますし、屋久島の白谷雲水峡というところは、御承知のように、原生林が生い茂った、ここも非常にスピリチュアルな、幻想的な雰囲気。

 申しわけないですけれども、日本にこんな、悪いけれども、どこの国でもやっているようなカジノを設けたところで、ではそれに行こうといって、まず思い立って行く人なんて僕はほとんどいないと思いますよ。

 まさに、この日本らしい、安倍総理の言うこの悠久の歴史を背景とした伝統文化、いろいろな豊かな大自然、そういった日本らしい魅力に引かれて、今、外国人観光客はいろいろな理由で、ほかはあるんですけれども、そういういろいろな環境条件が改善しているのにつれて、そこに引かれて、大臣、来ているんですよ。

 観光立国は大賛成ですけれども、申しわけないけれども、こんな弊害のあるカジノをわざわざ導入してまで観光立国を言う意味は私は全くないと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞きします。

石井国務大臣 私も昨年の夏に高山市に伺いまして、確かに欧米系の外国人の方が非常に多いなという印象を持ちました。

 高山市は、もともと伝統ある町並みがありますけれども、それを無電柱化等をすることによってその魅力を磨き上げると同時に、やはり長年にわたって海外に対してプロモーションを行ってきております。そういったさまざまな努力が今実りつつあるというふうに思っておりますが、安倍政権になりましてからインバウンドが急増している。政府一体、官民一体となって、さまざまな観光資源の磨き上げであったり、受入環境の整備であったり、あるいは海外に対するプロモーションであったり、そういったことをやはりやってきた成果であるというふうに私は思っております。

 そういったことは当然今後ともやっていくということでありますけれども、日本型IRをつくることによって、それぞれの地域地域ではなかなかできていない、これまでにないような国際的な展示、会議ビジネスを展開することができる。それから、日本の伝統、文化、芸術を生かしたコンテンツの導入で、そういったものに触れた方が、やはりそういう伝統や文化や芸術がある地域に行っていただきたいというような気持ちを起こしていただいて、各地域に送客をする、そういう機能をもって日本全国にIR導入による効果を発現させるということで、各地域の観光促進の努力を更に後押しする効果が私は日本型IRにあるというふうに考えております。

江田(憲)委員 大臣が言われることも、日本が先駆けてこのカジノをやるというんだったらまだ私もわからないではないんですね。しかし、申しわけないけれども、よく言われるように、カジノは世界で見ればもう過当競争、飽和状態ですよ。周回おくれの、時代おくれのビジネスモデルと言ってもいいんじゃないかと私は思います。

 アトランティックシティー、これがカジノによる繁栄の象徴だったわけですけれども、既に三分の一のカジノが閉鎖されている。地方振興だ、地域おこしだという象徴だったテュニカというミシシッピ州の町、この最大のカジノはもう閉鎖しちゃった。その背景も、調べてみると、やはりカジノ市場の競争激化と、あとオンラインでのカジノですよ。そういう分析もされている。

 それから、日本の周りを見ますと、私も昨年行きましたけれども、仁川のところにはパラダイスシティーカジノが去年できましたね。セガサミーさんも参画されている。済州島でも、ゲンティンがIR建設計画を立てている。更に言えば、台湾も昨年、カジノ合法化を認めた。とにかく、周りだけを見ても本当にカジノだらけという状況です、マカオとかシンガポールも含めて、韓国も含めて。

 そういう状況でありますし、外国人を狙うといっても、地理的条件もありますよ、そうはいっても。だから、恐らく中国人の皆さんを狙っているんでしょうが、現に、韓国のカジノ、これは十七ありますけれども、もう半分以上は中国人の顧客でしたね。

 ただ、中国人というふうなことを考えれば、ちょっと前は爆買いブームで相当来られましたけれども、最近はそのブームも去ってしまった。習近平さんの綱紀粛正、腐敗防止で、かなりそういう海外渡航も減ってきた。

 更に言えば、外交政策にも左右されるんですよ。昨年六月、私がちょうど仁川のパラダイスシティーカジノに行ったときに、金曜の夜でした。金曜の夜といったら、それは外国人専用ですよ、もういっぱい来ているのかと思うと、本当に閑散としているんですね。テーブルが何十卓、百卓ぐらいある中で、埋まっているのは十卓ぐらいでした。何でだといったら、ちょうど韓国がTHAAD配備で、アメリカとの関係でTHAAD配備を決めたことによる、ある意味制裁的な措置として中国が韓国への観光客渡航をとめた、そういうこともあるんですね。

 ですから、申し上げたいことは、カジノが本当に経済成長になるのか、本当によく考えていただきたいと思いますよ、プラマイを。

 こういった、悪いけれども、周回おくれ、ちょっと廃れたビジネスモデル、過当競争で飽和状態。日本は後発ですからね、今からやっても。後発の悲哀というのはあるでしょう、新規参入の悲哀というのは。既存のパイを奪っていかないかぬ、そういう困難もある中で、私は、申しわけないけれども、ビジネスモデル的にいえば、カジノで大臣がおっしゃるような効果はもう認められないと思いますけれども、答弁をお願いします。

石井国務大臣 東アジアにおきましては、例えばマカオにおけるカジノの売上げは二〇一七年に対前年比で約一九%ふえております。シンガポールにおけるカジノの売上げは二〇一七年に対前年比で一四%増加しておりまして、カジノ産業全体として見れば復調又は拡大傾向にあると聞いております。

 こういった中、我が国にIRを設置するに当たっては、魅力的な日本型IRを実現し、幅広く世界じゅうの観光客を引きつける、国際競争力を有するものにしていきたいというふうに思っております。

 委員は、後発だからなかなか難しいんじゃないかという御指摘ですが、後発だからこそ、先発のIRの面も、いろいろなプラス、マイナスも見ながら、後発としての有利さを発揮できる、先発のIRにはない魅力をつくることも私は可能ではないかというふうに考えています。

江田(憲)委員 マカオは何年か前にがたんと落ち込んだ結果ですから、そこはよく認識をされたいと思います。

 シンガポールが成功していることはある意味で私も認めますが、シンガポールというのは、やはり特殊性というものもちゃんと思いをいたさないかぬと思いますよ。やはり島国の都市国家ですからね。人口五百六十万です。御承知のように、ガムを吐き捨てて罰金だったのが、最近はガムすら持ち込めない、罰金ですよ。たばこのポイ捨てもそうですよ。

 とにかく、いいか悪いか。非常に規制国家というか監督国家というか、やはりそういう島国で、狭い国土の中で監督が行き届くからこそ、いい面が出ているんでしょう。それはある意味私も認めますけれども、じゃ、それがそのまま日本の、この一億になんなんとする人口で、いろいろな国としての要素が違う国で、本当にいいのかというのは僕は大変疑問です。

 そこで、ちょっと時間がかかりましたが、大臣、行かれていないということなので紹介したいと思うんですけれども、昨年六月、私は江原ランドに行ってまいりました。

 韓国というのは御承知のようにカジノが十七ありまして、十六は外国人だけしか入れないんですよ。一つだけ、江原ランドだけが国内の人も入れる。

 これも、歴史をさかのぼりますと、一九六一年に韓国はカジノを解禁した。しかし、弊害がすごく出たものですから、六九年に一旦禁止したんです。韓国はカジノを禁止したんですよ。しかし、その後、これは日本でも起こりましたが、炭鉱の町で、閉山が続いて大変な思いをするので、地域おこしのために必要悪として、しようがないから、江原というのは炭鉱の町でしたから、カジノを誘致したわけですよね。今、しかし、目の前にある現状というのは本当に目を覆わんばかりのものです。

 江原ランドの社長さんにもお会いしました、地方自治体の職員の人にも会いました、中毒センター、依存症対策センターの所長さんにもお会いしましたけれども、自殺率はトップだそうですね。それで、奇怪な風景の町だということでテレビ放映されて、韓国じゅう有名になりましたと。じゃ、どこが奇怪かと申し上げますと、結局、風俗店と質屋、サラ金が立ち並ぶ町になってしまいました、最初は地域振興おこしで、夢を持って、希望を持ってやったんだけれども、当時十五万人いた人口は三・八万人に減ってしまいました、風紀が乱れ、治安が乱れて、小学校も隣町に移転してしまいました、とても青少年、若者に申し開きできない、こんな町にしてしまった我々の責任ですということを言っておられました。

 韓国の江原ランドの社長は著名な人でして、元国会議員、最高検の検事さん。聞いてみると、韓国でパチンコを禁止した張本人だそうですね。

 それで、韓国というのは、半官半民なんですよ。やはり公営なんです。政府出資、地方自治体出資が五一%。だから、この国会議員、検察官出身の方が社長になっているんですね。そういう意味で、国内の人が入れる韓国のカジノの規制、監督としては、まさに日本の公営ギャンブルのような規制をかけていると言ってもいいんでしょうね。

 そこで聞いたことは、私の横浜の町も誘致しようという動きがあるんだと言ったら、いや、それは、江田さん、絶対やめた方がいいと江原ランドの社長はおっしゃいました。我々韓国も、政府を含めて、百万都市と言っていましたけれども、大都市という意味ですけれども、百万都市から車で二時間半かかるところ、二時間半以上かかるところに国内向けのカジノを設置したんです、にもかかわらず、こんな山合いの過疎の町でもこれだけの惨状を来しているんだと。ですから、あなたの住んでいる横浜は何万人ですか、三百七十万人です、そんな大都市に設置したら、もう、規制をすればいい、監督をすればいいというレベルを超えますよ、とんでもない事態になりますから、絶対やめた方がいいという助言を受けたところであります。

 いろいろな議論があると思いますよ。過疎の過疎で、江原のように本当に地域おこしの目玉がないというか、軸がないというか、産業がないところで、やむを得ず導入しようという気持ちは私も理解できないわけではありませんけれども、特にこういう大都会、横浜だ、東京だ、大阪だ、大都会でこういうことを導入するということになると大変重い結果をもたらす、惨状をもたらすというこの江原ランドの方々のお言葉を、大臣はどうお受けとめになられますか。

石井国務大臣 私は江原ランドを直接視察したことはありませんけれども、教えていただいた話では、やはり江原ランドは、周辺地域の対策をやるのにおくれてしまった、手を打つのがおくれたことが今の現状につながっている、こういう説明を受けたことはございます。

 本法案では、都道府県又は政令指定都市は、都道府県公安委員会等とも協議の上、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置を区域整備計画に明確に位置づけなければならないこととしております。

 この区域整備計画の作成に当たりましては、住民の意見を反映させる措置を講じるなど、カジノ周辺の有害な影響への対策についても、地域での十分な合意形成を図ることとしております。

 また、区域整備計画の認定に当たりましては、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置が実施されていると認められるものであることという認定基準を定めておりまして、国土交通大臣が、関係行政機関とも協議をしつつ、適切に判断することになっております。

 これらによりまして、IR区域を整備しようとする都道府県等は、大都市であるか地方都市であるかを問わず、犯罪の発生の予防、善良な風俗及び清浄な風俗環境の保持、青少年の健全育成、依存症対策、その他のカジノ施設周辺の有害な影響への対策を適切に講じることとなってございます。

江田(憲)委員 そういう御説明は何度も聞いているんですけれども、ちょっとお聞きしたいのは、どこが世界最高水準の規制なんですか。

 原発の安全基準でも安倍総理はそういうことをおっしゃるんですよ。しかし、申しわけないけれども、アメリカを始め、避難計画も安全審査の対象にしているような国と比べて、私は、どこが世界最高水準の原発安全規制かと思いますけれども、これも同じ思いがあるんですよね。

 どこがこれは世界最高水準の規制なんですか。

石井国務大臣 カジノ規制につきましては、事業者の廉潔性の確保はもとより、依存症やマネーロンダリング、青少年への影響等の弊害防止対策につきまして、世界で最も厳しいと言われておりますネバダ州やシンガポール等の制度やその運用実績を参考にしつつ、必要な法制化に取り組み、今般、IR整備法案を立案したところであります。

 その主な措置として申し上げれば、例えば事業者の廉潔性の確保としましては、カジノ事業者やカジノ施設供用事業者のみならず、その主要株主や従業者、取引先、IR区域の土地所有者等について、それぞれ、免許制等の参入規制を課すとともに、カジノ管理委員会が徹底した調査を行い、申請者や関係者の社会的信用等を厳格に審査することとしております。

 依存防止対策といたしましては、日本人や外国人居住者に対しまして、他国には例のない長期、短期の一律の入場回数制限や相当額の入場料を課すことに加え、利用者の個別の事情に即した措置として、カジノ事業者に対して、依存防止規程に従って、本人、家族の申出による利用制限措置や入場者からの相談対応等の措置を講じることを義務づけております。

 マネーロンダリング対策としましては、他の金融業者等と同様に犯罪収益移転防止法による措置を義務づけるほか、この犯罪収益移転防止措置の上乗せといたしまして、犯罪収益移転防止規程の作成及びその遵守や、一定額以上の現金取引の報告を義務づけるとともに、これも他国には例のない他人へのチップの譲渡やカジノ行為区域外への持ち出しを禁止しているところであります。

 こういった制度設計によりまして、IR整備法案においては、ネバダ州やシンガポール等の先進的な制度と比肩できる世界最高水準のカジノ規制が整備をされているというふうに考えております。

江田(憲)委員 法律に書いてあることをそのまま読んだだけなので、私の問いは、どこが世界最高水準なんですかと。

 例えば、今言いました韓国というのは、内国人が入れるカジノは大都市から二・五時間以上という規制をかけているんですね。それから、これは御存じないでしょう、地域住民は月一回しか入れないんですよ。ちゃんと調べてくださいね。やはり地域住民、周辺住民は入りやすいでしょう、近くなんだから。だけれども、地域住民はちゃんと月一回と制限しているんですよ。それから、外国人しか入れないというのは、もっと大きな入り口論ですから、これも大きな規制ですよ。推進議連の中にも、当初はそういう議論もあったじゃありませんか。

 そういう韓国の例を挙げるまでもなく、幾ら法律に書いてあることを説明されたって、こんなものが世界最高水準のカジノ規制だと絶対認められませんよ。もう一度お答えください。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど石井国務大臣から御答弁申し上げましたように、御提案申し上げている制度の中では、ほかの国にもない、例えばチップの持ち出し規制ですとかあるいは交換とかそういうものを含んでおりますし、また我が国の現行法制を超えるものを含めてやってございますので、そういうことも含めて、そして、世界で最も厳しいと言われているネバダ州やシンガポールの水準に比肩し得るものとなっているということをもちまして、世界最高水準というふうに考えているところでございます。

江田(憲)委員 カジノを設置した設備のいろいろなものとか、その中のことをやっているというのはそのとおりでしょうが、私が言っているのは、そういうカジノの入り口論であるとか、外国人だけにするのか内国人も入れるのか、それから中毒症、依存症患者になりやすい周辺の住民の月一回規制なんかやるのか、そういった問題も含めてきちっと国民にわかりやすく説明しないと、また世界最高水準だと国民をごまかすようなやり方を絶対とらないでほしいと私は思いますね。

 そこで、そうはいっても、もう時間も来ちゃったので、もう一つお聞きしますと、大臣、カニバリゼーションという言葉を知っていますよね、共食いという。カジノを設置するんだ、地域振興になるんだって、とんでもないという試算結果というか報告がアメリカでもあって、結局、この周辺地域の特に商店街、地元経済界にお金が落ちない。カジノというのは、閉ざされた大きなホテルの中に滞在をして、そこにお金を落とす。結果、既存産業も淘汰されて、雇用が喪失する、税収減をもたらすというのが米国のカニバリゼーションという共食いの議論ですよね。先ほども出しましたニューハンプシャー州の報告では、カジノの開業で、周辺地域から四〇%から六〇%の消費の置きかえが発生するというふうに推計をしています。

 ですから、ここも非常に、周辺地域の人、地元、特に商店街の人は物すごく心配なところですよ。カジノの外資系企業だけが潤うんですよ。大きなホテルで、長期滞在型と言ったでしょう、滞在して、国際会議もやるんでしょう、それで、カジノをやりながら、カジノでお金を使う。そうすると、どうしてわざわざそこから出て、いっぱい周辺地域でお金を使うのか。

 それと逆の効果、負の効果が出ているんじゃないかという、この共食いというかカニバリゼーションに対する、懸念に対する大臣の明確な答弁をお願いします。

石井国務大臣 日本型IRは、カジノ収益も活用いたしまして、MICE施設等のさまざまな誘客施設が一体となった国際競争力を有するIRを整備することによりまして、これまでにないような国際的な展示、会議ビジネスを展開する、また、日本の伝統、文化、芸術を生かしたコンテンツの導入により世界に向けた日本の魅力を発信することによりまして、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光モデルを確立することを目指そうとしているものでありまして、幅広く世界じゅうから観光客を呼び込むものであり、新たな需要を生み出すものでありまして、地元の商店街等と競合するような性格のものではないと考えております。

 例えば、シンガポールでは、二つのIRの導入前後、二〇〇九年と二〇一四年で比較した場合、これは委員がおっしゃるように都市国家でありますから、パーセントというのは分母が小さいかと思いますけれども、シンガポール全体のホテル客室数が三〇%増加する一方、ホテル稼働率が一三%、また客室単価が三六%上昇しておりまして、IR区域外の事業者に対しましても大きな経済波及効果をもたらしているものと承知をしております。

江田(憲)委員 ですから、そうおっしゃるのなら、ちゃんと経済効果分析をしてくださいよ。そういうのがないんだから、心配だけですね。

 最後に、もう時間ですから、去年、和歌山県知事が抗議の会見をされた。やはりIRというのは、国際会議場、展示場、ホテル、カジノ、一体整備が必要なんだ、和歌山みたいな地方では、大規模な国際会議場を設けろといったって需要がない、ペイしない、何だ、この基準というのは、何のことはない、大都市を認めるための基準なんじゃないかというような抗議の会見もされたわけですね。

 私は、これは非常に理由があるという話で、聞きますけれども、今、外資系のMGMだ、シーザーズも含めて、やれ東京だ、横浜だ、大阪だと、大都市ばかりなんですね。地域振興とか地方創生は大事ですよ。しかし、この基準でいくと本当に横浜と大阪ぐらいしか認められないんじゃないかという懸念の声に対して、最後、大臣、答弁をいただきたいと思います。

石井国務大臣 今回、都道府県・政令市等、大都市地域、地方都市地域に限らず、区域整備計画をつくっていただいて、申請をすることが可能となっております。

 私は、必ずしも地方に大規模な会議場をつくってもニーズがないといいますか、そこにやはりニーズを呼び込むような努力も必要だ、地方だから来ないということでは必ずしもないというふうに思っておりますし、それぞれの地方の特性を発揮したいろいろなアイデアが出されることを期待しております。

江田(憲)委員 これで終わりますけれども、ゆめゆめ、岩盤規制に穴をあけるんだといって、加計学園しか通れない穴をあけたようにならないように、推進法の強行採決の背景を見ても……

山際委員長 質疑時間が済んでおりますので、やめてください。

江田(憲)委員 これはもう横浜と大阪で決まっているんじゃないかという懸念もありますから、ぜひそこはきっちりと監視していきたいと思いますし、私は、横浜市民の一人として、二人の子供を持つ親として、横浜誘致には今後とも絶対反対していくということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山際委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 国民民主党の源馬謙太郎でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 カジノ施設を含むIR施設をつくって、その一番の大きな眼目は、とにかく人に来てもらって、利益を上げていって、そしてそれが地方活性化につながり、雇用も生み、そして周辺地域も潤っていく、こういった内容なんだというふうに思います、政府が考えている中身は。そのように思います。

 そう考えると、まず第一に、やはりインバウンドの、外国から来てくれる人をふやしていって、そこでお金を使ってもらう、その中核がカジノ施設である、このように理解をしております。これは、カジノが必置になっていることでも明らかではないかなと思います。

 きのう、参考人の先生に来ていただいた中でも、こういうお話がありました。カジノの高収益で、世界最高水準の国際会議場、展示施設や宿泊施設、観光の魅力増進施設、送客施設などが実現して、観光振興や巨大な雇用と税収の実現などの経済効果が生まれる、これが根拠になっていると。

 つまり、カジノの収益性がいかに上がるか、このことがIR施設の経済効果を左右する、成否を決めるというふうに理解をしておりますけれども、まず最初に、その理解でよろしいかどうか、大臣に伺いたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国のカジノの、入手できる、公表されている財務データなどを見ますと、源馬委員御指摘のように、IRの中での収入の割合からすると、ゲーミングセクター、つまりカジノの収入が相当の割合になっているということは事実でございます。

源馬委員 カジノの収益が一番中心になるという理解と今確認をいたしました。

 では、そのカジノに来てもらうお客さんは、いろいろ今までの政府の取組なんかを見ても、外国人を中心に考えているというふうに理解をしておりますが、これもその認識でよろしいでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 たびたび御答弁申し上げておりますけれども、日本にIRができましたら、日本のIRにどれだけの訪問人数があるかというようなことを含め、あるいは、その内訳の内国人なのか外国人なのかということも含めて、現段階ではまだ、IRがどこに設置されるのか、そして事業者がどういう施設で、どういうビジネスモデルで誘客活動をやるのか、そういうことが不明でございますので、お答えすることは難しいと思っております。

 一方、諸外国のカジノの入場者を見てみますと、内国人と外国人の内訳は一般的には公表されておりません。例えば、シンガポールのカジノへの入場者については、外国人の方が多いというふうに言われていることは承知しております。これは、先ほど来のこの場での御審議でもそういう御議論があったかというふうに思っております。

 一方、IR全体に対するお客さんの来客数についても、先ほど申し上げましたように、日本のIRの場合、どれぐらいになるのかということはまだ不明でございますけれども、一つの御参考として申し上げれば、シンガポールの二つのIRを合わせると、二〇一六年には年間六千五百万人の方が、カジノだけではなくてIR全体を訪れているというふうに理解をしております。無論、先ほど来もここで御議論ございましたが、シンガポールと日本を比べると、国土が違う、規模などが違う、そういうことで、単純な比較はできないとは思いますけれども、御参考までに御答弁申し上げます。

源馬委員 ということは、外国人ももちろん来てもらうけれども、日本人もIR施設に来てもらって、そのIR施設の経済効果の一番中心であるカジノも利用してもらって、そこでお金を落としてもらって、施設全体の経済効果を生んでいく、高めていく、こういう理解だというふうに今受けとめました。つまり、日本人も対象であるということだと思います。

 私も何となく、日本人には入り口規制を設けたりしてギャンブル依存対策などの観点から抑制的にしながら、外国人メーンですよという意識が強かったものですから、こういう質問をさせていただきましたけれども、やはり、今の御答弁であるとおり、日本人も十分に来てもらう対象であるということがわかりました。

 先ほどの質疑の中にも出てきましたが、江原ランドも、韓国のカジノの売上高を調べていただいた資料を見ますと、外国人のみが利用できる十六カ所のカジノ施設の売上高よりも、韓国人が利用できる江原ランド一つの売上高が上回っている。つまり、やはり需要は国内にあるんだと思います。

 日本のパチンコホールの売上げの推移を見ても、インバウンドで来てもらう人の落としていくお金に比べると、公営ギャンブルであったりとか、パチンコだけを取り上げても、圧倒的に日本人が使う額の方が大きいということが明らかだと思います。

 カジノの事業者から見ると、すぐ近くにシンガポールやマカオ、中国人が利用しているようなカジノ施設がある中で、日本にこれからカジノ施設をつくっていくというときには、その目的は明らかに日本人だと思います。百八十万人を超えるミリオネアがいるという日本人が対象にされると思いますが、そこの認識はそれで政府として間違っていないかどうか、伺いたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの源馬委員の御議論は、IRをつくることでカジノに日本人を誘客することが目的なのかというふうに受けとめますけれども、まさしく、何度も答弁申し上げておりますように、IRを整備する目的は、日本を観光先進国として引き上げていくその原動力にするということでございまして、IR施設の延べ床面積の九七%は、ゲーミング以外の、日本の魅力の発信ですとか、エンターテインメント、スポーツ、MICE等々の、そういう日本の政策として見てプラスになる、公益を生む事業に当てられることを想定しているわけでございます。

 こういう部分でまさしく、海外からのお客さんを含め、無論日本人も含め、誘客効果を上げてもらいたいというのがこのIR制度全体の目的でございまして、無論カジノはそのごく一部でございます。無論、カジノには外国人だけでなく日本人も入れる仕組みになってございますので、内外ともにお客さんがカジノに来るのは想定されているということでございます。

源馬委員 IR施設の目的が日本人をカジノに呼ぶことかということを聞いたわけではありません。

 IR施設の経済効果を生む中心がカジノであるということは、さっき答弁でもお認めになったと思います。そのカジノ施設に、外国人に主に利用してもらうためではなくて、その対象に日本人も入っている、どちらが大事とも言えない、日本人も外国人もなんだという御答弁があったと思います。そして、いろいろな、例えば韓国の背景なんかを見ても、それから国内のギャンブルで使うお金のパイを見ても、明らかに、やはり日本人がカジノで使うお金というのが対象になるんじゃないかということをお伺いしているんですが、その点、いかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 それは、カジノ事業者のビジネスモデル次第だというふうに考えております。

 諸外国におきましては、カジノ事業者は、長年の事業経験の中から、世界じゅうにいる超富裕層、いわゆるVIP客と言われる者を顧客管理しておりまして、このお客さんを自分たちのカジノフロアに呼んで、そこで高額のゲーミングをしてもらう、そういうVIP客の売上げがカジノ売上げの中でも相当の割合になるということは事実であろうというふうに考えております。マス客からの売上げに比較しても、VIP客の売上げは相当なものになるというふうに理解してございます。

源馬委員 VIP客というのは、仮にそれが外国人のVIP客を指しているとすれば、先ほどから御答弁があるとおり、日本のカジノ施設は世界最高水準の対策をするわけですよね、そんなところにVIP客は来るんでしょうか。マカオやシンガポールに、仮に日本よりももっと緩い対策をしているカジノ施設があるなら、当然そちらに行くような気がしますけれども。それは外国人のVIP客だった場合ですね。

 日本人にもVIP客というのはやはりいるわけで、さっきも言いましたが、ミリオネアが百八十万人いるという日本人、ここをターゲットにするに決まっていると私は思うんですけれども。

 その中で、ちょっと時間がないものですから、第八十五条についての質問に移らせていただきます。

 これも一見すると、私は最初は、外国人に対してだけ、本邦内に住居を有しない外国人に対してだけ貸付業務ができるのかと思っていたら、やはりここも日本人のVIP客は対象になっているわけですよね。一定の金額以上の金銭を管理する口座に預けられる人には貸金業務ができるということだと思いますが、これはさっきから議論がありますが、大体幾らぐらいの預託金を想定しているのか、伺いたいと思います。

中川政府参考人 これは、今後政令で、カジノ管理委員会規則で定めていくということになっておりますけれども、例えばシンガポールの場合は、十万シンガポール・ドル、ただいまのレートで換算いたしますと約八百万円ぐらいの預託をあらかじめしている者のみ、そういう内国人に対しては貸付けができるようになっているということもあります。

 それから、先ほど来御答弁申し上げておりますように、カジノ事業者による貸付事業は、原則は、顧客は自分の持ち金といいますか、持っていらっしゃる範囲内で遊んでいただくということが原則だと考えておりますので、日本人の平均所得だとかも勘案しながら今後定めていきたいというふうに考えてございます。

源馬委員 今、シンガポールの例で、例として挙げますと、預託金、今自分が持っているお金以上は使えないというのが原則とおっしゃいましたが、預託金よりも大きな額を貸付けの上限額とすることはないということでよろしいですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま言及いたしました預託金の額は、カジノ事業者が日本人等に貸付事業ができるようになるかどうかという、対象の日本人を選定する際の基準でございまして、一方、カジノ事業者が幾ら貸し付けられるかということにつきましては、カジノ事業者が個々人について信用調査をし、そして、あらかじめ貸付限度額を定めなければならないというふうになっているところでございます。

源馬委員 済みません、時間がないものですから、せかすようで申しわけないんですが。

 預託金を預けている人には貸付けすることができる。しかも、無利子で貸して、返済期間は二カ月。この間に、普通に考えれば、取り戻そうとするわけですよね。それで、どんどんどんどん借金を重ねて、これが二カ月以内に返せなかったら、年一四・六%の割合で利息をつけて違約金を払わなくてはいけない。これは、世界最高水準のギャンブル依存症対策とは全く真逆のことだと思います。

 ジャンケットは廃止するということでしたけれども、これはジャンケットとどう違うんですか。ジャンケットも、自分たちで調査をしながら、この人にはこれぐらい貸していいだろうという判断をしてお金を貸すわけですけれども、ほとんど本質的なところでは変わりがないと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる世界で行われているジャンケットというものは、さまざまな事業を行っておりますけれども、私どもの理解としては、カジノ免許を受けている者とは異なる第三者が、例えばカジノ事業者からフロアを借り切って自分たちのお客を誘客し、そして、その誘客したお客にお金も貸し、かつ回収もするといったようなことをやっているのが、いわゆるジャンケットというものでございます。

 日本の場合は、そういう、お客さんに直接カジノフロアでお金を貸し付けることができるのはカジノ事業者だけに限定しておりまして、第三者がそういうことをやることは禁じてございます。

源馬委員 時間が来たので終わりますが、第三者が貸すよりも、考えようによってはもっと悪質じゃないかなと思います。自分たちがもうけるために、自分たちの裁量で貸し付ける、これはジャンケットよりもある意味おかしな制度ではないかと思います。

 きょうは時間が終わりましたが、引き続き質問をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

山際委員長 次に、階猛君。

階委員 国民民主党の階猛です。

 本日は、主に刑法の賭博罪との関係について伺いたいと思っております。

 IR整備法案三十九条後段という条文があります。資料を配らせていただいております。

 まず、三十九条について、前段で、認定設置運営事業者は、免許を受けたときは、当該免許に係るカジノ施設で、免許に係る種類及び方法のカジノ行為に係るカジノ事業を行うことができるとした上で、後段、この場合において、当該免許に係るカジノ行為区画で行う当該カジノ行為、米印が入っていまして、括弧書きで一部除外規定がありますけれども、その括弧書きを経た上で、「については、刑法第百八十五条及び第百八十六条の規定は、適用しない。」というふうになっております。

 そもそも、前段の方でカジノ事業は合法だとしつつ、あえてわざわざ後段の方で刑法の賭博罪に係る規定を適用しないという規定を設けた趣旨、このことについて、大臣、お答えいただけますか。

石井国務大臣 IR整備法案は、刑法の賭博に関する法制との整合性を図る上で検討すべき、目的の公益性等の八つの観点に照らして、十分な諸制度を整備しております。

 したがいまして、IR整備法案は、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却するものではなく、法秩序全体の整合性は確保されていることから、同法案第三十九条前段で、委員が今御紹介いただいたように、認定設置運営事業者は、カジノ管理委員会の免許を受けたときは、カジノ事業を行うことができる旨を規定しております。

 このため、仮に第三十九条後段の規定がなかったといたしましても、IR整備法案に基づくカジノ行為は、基本的には、刑法第三十五条の法令による行為によりまして違法性は阻却をされ、刑法の賭博罪等で罰せられることにはならないものと考えられます。

 しかしながら、刑法第三十五条の適用につきましては、個々具体的な行為が法令による行為と認められるか否かに関しては解釈の余地があり、刑法上の違法性が阻却される範囲について疑義が生じることも考えられます。

 とりわけ、IR整備法案では、適切な国の監視及び監督のもとでカジノ事業の健全な運営を確保する観点から、カジノ行為の主体や場所、カジノ行為の種類及び方法にとどまらず、関連する事業活動全般、これは、特定金融業務ですとか、あるいは業務委託や契約、あるいは広告、勧誘、各種弊害防止措置等々ですね、事業活動全般について、さまざまな観点から手続、実態面で詳細な規制と監督、制裁を整備していることから、どのようなIR整備法案違反があったときは賭博罪等で処罰されるのか、あるいは処罰されないのかなど、刑法第三十五条の解釈による場合には、IR整備法案の違反、罰則と刑法の適用区分が不明確となるおそれが懸念をされます。

 一方で、IR政策を効果的に推進するためには、IR事業及びカジノ事業の安定的な運営に対する国内外の利害関係者や顧客の信頼と予見可能性を確保することが重要と考えております。

 このため、IR整備法案においては、法案の中で直接、IR整備法案第三十九条後段の要件を満たしたカジノ行為は刑法の賭博罪等が適用されないことを明記することといたしまして、IR整備法案により行われるカジノ事業は刑法の賭博罪等に抵触しない合法な事業であることを明確にしたものでございます。

階委員 こういう規定は、公営ギャンブルに関する特別法においてはないわけですね。

 なぜこの法律だけこのような賭博の免責条項があるのかということについても御説明いただけますか。

石井国務大臣 公営競技は、カジノ事業と比べますと、施行主体や事業活動の多様性、複雑性等は必ずしも同じではなく、規制の内容、程度が異なることから、賭博罪等の適用関係を明確にする点で異なる判断があるものと考えております。

階委員 言葉を選ばれていますけれども、要は、民間がやることなので、有象無象のやからが参入しかねないので規制が厳しい。規制が厳しくなると、それがグレーなこともやられた場合に賭博罪には当たらないということを明確にしなくちゃいけないということなのかなというふうに聞きました。

 それで、大臣も最初にお答えいただいたように、三十九条前段だけでもIRについては賭博罪との整合性は図られているんだということを言われていたわけですけれども、だとすると、本当にこれを設けないとIRの運営に不都合が生じるのかという気がします。

 確かに、明確化するという意味では、あった方がいいのかもしれませんけれども、後で言いますけれども、一方で、明確化することによって私は処罰範囲が不当に狭まるのではないかというふうに考えております。

 前段の方で足りているというふうに考えるのであれば、なぜ賭博免責条項を設けないといけないのか。私は、設けなくてもIRの運営には不都合は生じないのではないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

石井国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたとおり、仮に第三十九条後段の規定がなかったといたしましても、IR整備法案に基づくカジノ行為は、基本的には、刑法第三十五条の法令による行為により違法性は阻却され、刑法の賭博罪等で罰せられることにはならないものと考えられます。

 しかしながら、この刑法三十五条の適用につきましては、個々具体的な行為が法令による行為と認められるか否かに関しては解釈の余地がありまして、刑法上の違法性が阻却される範囲について疑義が生じることも考えられます。

 一方で、IR政策を効果的に推進するためには、IR事業及びカジノ事業の安定的な運営に対する国内外の利害関係者や顧客の信頼と予見性を確保することが重要であります。

 このため、IR整備法案におきましては、法案の中で直接、IR整備法案第三十九条後段の要件を満たしたカジノ行為は刑法の賭博罪等が適用されないことを明記することとしまして、IR整備法案により行われるカジノ事業は刑法の賭博罪等に抵触しない合法な事業であることを明確にしたものでございます。

階委員 賭博免責条項を設けないと疑義が生じるというようなIRを認めること自体が私は問題だと思いますけれどもね。賭博免責条項を設けなくてもIRは健全だということであれば疑義は生じないわけでありまして、何か業者側の保護を不当に図っているような気がします。

 そこで、次の質問ですけれども、形式的には三十九条後段、賭博免責条項に該当する行為であったとしても、IR推進法案の附帯決議で国会が要求した八つの観点に照らして、私は、刑法百八十五条、百八十六条で処罰が必要なものもあるのではないかと思っていますが、こういったものはないという理解でいいんでしょうか。

石井国務大臣 IR整備法案の中で直接、賭博罪等を適用しないカジノ行為の範囲を明示するに当たりましては、カジノ行為の中核的要素である主体、場所及び行為、態様が厳格にIR整備法案に合致するものに限定をしております。

 具体的には、カジノ管理委員会による厳正な審査を受けた事業者に限り、停止命令や法律によりカジノ行為を行うことが禁止されていない状況のもとで、審査を受けたカジノ施設内のカジノ行為区画においてのみ、審査を受けた種類及び方法のカジノ行為に限って行うことを対象としておりますので、刑法の賭博に関する法制との整合性を図る上で検討すべき、目的の公益性等の八つの観点を十分に踏まえた諸制度に係る規定が適切に遵守されるものと考えております。

 また、IR整備法案では、カジノ事業に対する専門の規制、監督機関であるカジノ管理委員会を設置するとともに、この規制を担保するため、効果的な行政処分と罰則も整備をしております。

 このため、仮に、同法案第三十九条後段に規定するカジノ行為についてIR整備法違反があったとしましても、それらの違反についてはIR整備法案上の罰則等が適用されることから、当該カジノ行為について賭博罪等を適用しないこととしても支障はないものと考えております。

階委員 最後の方、重要なことなんですけれども、大臣がおっしゃったのは、仮に賭博免責条項に該当して賭博罪が適用されなくても、この業法の罰則があるから問題ないんだ、刑法の規定が適用されなくても、どのみち罰せられるから問題ないんだ、こういうことをおっしゃったという理解でよろしいですか。

石井国務大臣 今答弁申し上げたように、IR整備法案では、カジノ行為の主体や場所、カジノ行為の種類及び方法にとどまらず、関連する事業活動全般について、先ほどちょっと幾つか例を挙げましたが、それについて、さまざまな観点から詳細な規制と監督、制裁を整備しております。

 そういう事業活動に違反した場合、それがそもそも法令による行為と認められないから賭博罪が適用されてしまうのかといったことにならないようにしている、三十九条後段でですね、しているというものでありまして、そういうさまざまな行為違反につきましては、IR整備法で効果的な行政処分と罰則を整備しておるということでございます。

階委員 法令違反があった場合はこの法律で、この業法で処罰するからいいんだというのは、私はちょっと賭博罪との整合性がとれないのではないかと思っています。

 例えば、二十四条というところに、監査人による違法行為の差止めに関する条文がありますね。違法行為の差止め請求があったり、裁判所の仮処分があったりという場合は、賭博免責条項が適用されてしまうわけですね。

 私は、監査人が指摘するような重大な違法行為があるような場合で賭博罪が適用されないというのはおかしなことだと思っておりますし、刑法の賭博に関する法制との整合性の確保というのはとれないのではないかというふうに思います。余りにも賭博免責条項に該当する行為が広過ぎると思うんですね。

 さっきも言いました。三十九条の後段には、括弧書きで除外すると。この部分についてはちゃんと賭博罪を適用しますよと、除外する部分もありますけれども、逆に言うと、その除外する部分が狭過ぎるんだと思うんですね。

 私は、さっき言ったような二十四条、それ以外にもいろいろあるかもしれません、まだ私も法律を精査していませんけれども、余りにも賭博免責条項の適用範囲が広過ぎて、これだと、通常の賭博罪が適用される民間の違法なカジノをする業者との間で、法のもとの平等が図られなくなるのではないかというふうに思います。

 この免責条項については、本当にこれでいいんでしょうか。

石井国務大臣 IR整備法案の中で、刑法の賭博罪等を適用しないカジノ行為の範囲を明示するに当たりましては、カジノ行為の中核的要素である主体、それから場所及び行為、態様が厳格にIR整備法案に合致するものに限定をしております。そして、刑法の賭博に関する法制との整合性を図る上で検討すべき、目的の公益性等の八つの観点を十分に踏まえた諸制度に係る規定が適切に遵守されるものと考えております。

 このため、これらの範囲に限って賭博罪等の適用除外とすることは適切であると考えております。

階委員 主体、場所、行為、態様が限定されていても、実際、それに違反する場合があるわけですね。スポーツと同じですよ。ルールがあったとしても、この間のアメフトみたいに違反することはあり得るわけですね。違反した場合でもおとがめなしだ、全ておとがめなしだというのがこの規定なんですよ。だから、私は非常に問題だと思います。

 さっきも言いました二十四条のように、違反行為が実際にあって、監査人が請求したり裁判所が仮処分した場合であっても、賭博罪の適用は一切ないんですよ。刑法の適用をするかどうかというのは、罪刑法定主義ですから、例外というのはあり得ないんですよ。これは非常に私は問題がある規定だと思いますよ。法のもとの平等にも反していると思います。撤回すべきではないですか。

山際委員長 答えられますか。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山際委員長 起こしてください。

 石井大臣。

石井国務大臣 仮に委員が指摘されているような罪状が起きた場合はそれで処罰をされ得るということで、賭博罪で処罰をされなくても刑罰規定がかかるというふうに考えています。

階委員 やはり刑法の賭博罪が成立するかしないかというのは大きな問題であって、一般の人からすると、業法違反で処罰されるのと刑法の賭博罪で処罰されるのでは全然印象が違いますね。

 刑法の賭博罪というのはなぜ処罰されるのかというのが最高裁の判例にもありますけれども、社会の風紀を乱すとか大きな犯罪につながるとか、本当に重い罪だ、保護法益も重大なものがあるんだというのが、過去、最高裁の判例にもあって、業法で処罰されるからいいんだという話ではないと思います。

 やはり、ルール違反をしているような業者であっても賭博罪の適用が免れるような条文になっているんですね。これは非常に問題だと思います。私は撤回すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

石井国務大臣 重ねての答弁になるかと思いますが、このIR整備法案の中で、賭博罪等を適用しないカジノ行為は、主体、場所、それから行為、態様が厳格にIR整備法案に合致するものに限定をしているわけでございます。

 具体的には、カジノ管理委員会による厳正な審査を受けた事業者に限られております。また、停止命令や法律によりカジノ行為を行うことが禁止されていない状況のもとでございます。だから、停止命令等がかかった場合は賭博罪の免責はかからないということになります。それから、審査を受けたカジノ施設のカジノ行為区画においてのみ行われ、審査を受けた種類及び方法のカジノ行為に限って行うことを対象としてございます。そこで、目的の公益性等の八つの観点を十分に踏まえたこの諸制度に係る規定が適切に遵守されるものと考えております。

 これらの範囲に限って賭博罪等の適用除外としておりまして、違反をした場合は、IR整備法違反ということで別途罰則を設けているということであります。

階委員 業法上の罰則があるからいいんだとか、停止命令等があるから、停止命令があった場合はやはり賭博罪で処罰されるからいいんだとかでは、私は不十分だと思うんですよ。

 停止命令がなくても、それ以前に違法行為があれば、当然、その中で行われるカジノ行為については賭博罪の適用があるというのが普通のことだと思いますよ。そうしなくていいんですか。

石井国務大臣 IR推進法案におきましては、適切な国の監視及び監督のもとでカジノ事業の健全な運営を確保する観点から、カジノ行為の主体や場所、カジノ行為の種類及び方法にとどまらず、関連する事業活動全般について、さまざまな観点から手続、実態面で詳細な規制と監督、制裁を整備しております。

 IR整備法違反がある場合には、この法律に基づく行政処分と罰則により、その違法性の程度に応じて適切に処罰をされるということになるわけでございます。

 IR整備法案では、法人の両罰規定も設けておりまして、最高五億円の罰金を科すことができることとしております。この点でも厳しい制裁が整備をされているというふうに考えております。

階委員 カジノでうんともうける人にとって、五億円の罰金で十分とは思えないわけでありまして、やはり筋としては、刑法の賭博に関する法制との整合性がとれているかどうかということを重視すべきだと思うんですね。

 この三十九条の後段がない方が私は整合性がとれると思うんですね。三十九条の後段があることによって、本来であれば、八つの観点を満たさない、つまり賭博罪の当罰性が高い行為すら賭博罪で問責されなくなる、問われなくなるということは、まさにこの法案の肝である刑法の賭博に関する法制との整合性が確保されないということですから、私は、この三十九条後段があることによって法制全体に対する信頼性が揺らぐと思っております。

 この三十九条後段は全く有害で、置いておく意味はないと私は思います。削除すべきではないでしょうか。

石井国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、仮に三十九条後段の規定がなかったとしても、IR整備法案に基づくカジノ行為は、基本的には、刑法第三十五条の法令による行為により違法性は阻却をされ、刑法の賭博罪等で罰せられることにはならないものと考えられます。

 しかしながら、刑法三十五条の適用については、個々具体的な行為が法令による行為と認められるか否かに関して解釈の余地があり、刑法上の違法性が阻却される範囲について疑義が生じることも考えられます。

 一方で、IR事業及びカジノ事業の安定的な運営に対する国内外の利害関係者や顧客の信頼と予見可能性を確保することが重要であります。

 このため、IR整備法案におきましては、法案の中で直接、IR整備法案第三十九条後段の要件を満たしたカジノ行為は刑法の賭博罪等が適用されないことを明記することとし、IR整備法案により行われるカジノ事業は刑法の賭博罪等に抵触しない合法な事業であることを明確にしたものでございます。

階委員 IR業者の安定的な運営とか賭博行為で罪に問われないことの予測可能性という利益と、刑法の賭博に関する法制との整合性を図るという利益と、どちらを重視するのかが問われていると思うんですね。

 私は、やはりこれまでの日本の歩んできた道を振り返れば、後者の方の、刑法の賭博に関する法制との整合性の確保ということを第一義に考えるべきだと思いますし、その旨、附帯決議でもしっかり書き込まれていると思うんですね。大臣のお話を聞いていると、優先順位が逆になっているのではないかと思っております。

 もう一度お尋ねしますけれども、刑法三十五条があるから前段だけでも賭博罪の処罰範囲はちゃんと適正になされるみたいなお話でしたけれども、だとすればなおさら、三十九条後段というのは無用じゃないですか。さっき言った、私にとってみると、どちらの価値を優先するかということについて、賭博に関する法制との整合性の確保を図るという意味でも、やはりこの三十九条後段というのは無用であり、有害な規定だと私は考えます。

 もう一度答弁をお願いします。

石井国務大臣 先ほどから繰り返しになりますが、仮に三十九条後段の規定がなかったとしましても、IR整備法案に基づくカジノ行為は、基本的には、刑法第三十五条の法令による行為により違法性は阻却をされるものと考えておりますけれども、個々具体的な行為が法令による行為と認められるか否かについては解釈の余地があり、疑義が生じることも考えられる。

 一方で、IR事業及びカジノ事業の安定的な運営に対する国内外の利害関係者や顧客の信頼と予見性を確保することは重要であり、IR整備法第三十九条後段の要件を満たしたカジノ行為は刑法の賭博罪等が適用されないことを明記することとしたことであります。

 また、これも重ねての答弁になるかと思いますが、仮にIR整備法違反がある場合には、IR整備法における行政処分と罰則により、その違法性の程度に応じて適切に対処されることになります。

 例えば、カジノ事業者によるカジノ事業免許の不正取得や名義貸し、カジノ行為業務の停止命令違反の法定刑は、懲役五年以下若しくは罰金五百万円又はこれらの併科に処することとしておりまして、これは、刑法第百八十六条第二項の罪、三月以上五年以下の懲役や、競馬法における無資格施行罪、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金とほぼ同等の法定刑でございます。

階委員 三十五条があるから適正な処罰が図られるというのであれば、三十九条後段は要らないわけですけれども、私は、先ほど来申し上げているのは、三十九条後段があることによって、逆に、処罰すべきものが処罰されなくなってしまうというリスクがあると思っているんですね。

 この先はやや技術的というか細かい話なので、後で、済みません、委員長、委員会に提出をお願いしたいと思うんですが。先ほどから二十四条と言っていましたが、二十五条の誤りです。

 二十五条には、監査人による認定設置運営事業者等の行為の差止めという条文がありまして、二十五条一項で、当該行為をやめることを請求しなくてはいけないという監査人の義務がありまして、その四項では、裁判所が仮処分をもって当該行為をやめることを命ずるというような条文があります。

 こうした仮処分命令が発令された場合、こういった場合は、やはり私は、賭博免責条項が適用されてしまって、裁判所が業務の差止めを言っているにもかかわらず、賭博罪に問われないというようなことが生じ得るのではないかと思っておりますけれども、今申し上げたような二十五条に定める場合であっても、この賭博免責条項が適用されるのかどうか。これは通告していませんので、後で委員長に提出をお願いしたいと思います。

山際委員長 後ほど配慮いたします。

階委員 それでは、次の質問に行きますけれども、八つの観点の一番最初に、目的の公益性というのが挙げられています。

 この目的の公益性については、事業者側の意図というのは関係なく認めていいのかどうか、これをお尋ねしたいと思います。

石井国務大臣 IR整備法案は、我が国におきまして、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、もって観光及び地域経済の振興に寄与する等の観点から、カジノ事業の収益を活用して、IR区域の整備の中核として、公益性の高い特定複合観光施設の整備を推進することとしております。

 また、国及び認定都道府県等は、一般的な租税とは別に、カジノ行為粗収益に納付金を賦課することとしておりまして、これらの収入は、観光及び地域経済の振興等の本法案の目的や責務を達成するための施策や、社会福祉の増進及び文化芸術の振興施策に充てられまして、社会に適切に還元されることが制度化をされているところでございます。

 このように、IR整備法案におきましては、IR事業の実施により公益が実現するための制度設計がなされているものであります。

階委員 制度設計ですから、政府側が公益を図っているんだということはよくわかりましたけれども、一方で、事業者側は、通常、株式会社であれば、株主の利益を最大限図っていく、これが存在意義なわけです。

 ということになると、それは、政府が意図する公益目的と緊張関係をはらんでいるわけでありまして、事業者側がもし過大な利益を追求するような、そういう業者であれば、政府が意図しているような目的は必ずしも達成されないのではないか、よって、事業者側の意図も、この目的の公益性を考える上で考慮要素に入れるべきではないかというふうに考えております。

 まだまだお尋ねしたいことがたくさんありまして、これは本当に分厚い法律で、私もまだまだ精査し切れておりません。ぜひ長時間の審議をお願いしまして、私からの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

山際委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

山際委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長樹下尚君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑を続行いたします。大河原雅子君。

大河原委員 立憲民主党の大河原雅子でございます。

 午前中に引き続き、質疑をさせていただきます。午後の一番バッターでございます。

 この法律案が本当に大部で、条文はとてもじゃないけれども読み切れないということがあります。それでも、やはりこれは丁寧にやっていかなければならないと思いますし、これまでの委員会の質疑でも、各党、何人もの議員から、世論調査でIRに反対している方が多いという指摘がございます。まだまだ知られていないんじゃないかというのが私の感想でもございます。

 大臣は、IR整備法案の策定に当たり、制度の大枠についてパブリックコメントや説明会を実施した、国民の皆様の御意見を丁寧に伺う機会を設けてきた、引き続き国民の皆様に丁寧に説明を行うとともに、世界最高水準の規制の執行体制の整備を行うというふうに繰り返し答弁をされております。

 ところで、これまで、どこで、何回ぐらいの説明会を行われてきたのか、確認をしたいと思います。そして、そこではどんな意見が出され、意見の反映はどのようだったんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法案の制度設計に当たりましては、まず、IR推進法に係る附帯決議第十六項におきまして、十分に国民的な議論を尽くすこととされていること、また、昨年八月に開催されました政府の第二回IR推進本部におきまして、本部長であります安倍総理からも、国民の皆様に丁寧に説明する機会を設けるよう指示があったこと、以上から、制度の大枠につきまして、全国九ブロックで説明・公聴会、そしてパブリックコメントを実施いたしまして、合計千二百三十四人の方から七千四十九件の御意見を頂戴いたしました。

 説明・公聴会及びパブリックコメントは、幅広い国民の皆様の御意見も踏まえて魅力ある日本型IRの具体案をつくっていくために実施したものでありまして、例えば、公共政策としてのIR、IR制度・カジノ規制の基本的な仕組み、またIR制度の各論、そしてカジノ規制、さらには依存防止対策・青少年の健全育成等々のさまざまな論点について、多様な御意見を頂戴いたしました。なお、IR推進法を前提としない立場からの御意見もあったと承知しております。

 また、いただきました御意見の反映につきましては、例えば、IRを導入すると生活環境などの悪化等の社会的コストが生じるとの御意見も参考にいたしまして、基本方針などにおいて、カジノに係る有害な影響の排除のための必要な施策及び措置に関する事項を記載することを義務づけたりしたことが挙げられます。

 以上でございます。

大河原委員 私は、参議院議員のときにこのIR法案というのを知りましたが、それ以前に、東京都議会議員をしていたときに、石原知事がお台場カジノというようなことで、カジノのありようというものも若干自分でも調べたことがありますが、議員提案から、議員提出の議案が強行採決されて、それを政府が、議員立法だからしっかりと受けとめるというふうにおっしゃって、ここまでこういうふうに、私から見れば拙速と言わなければなりませんが、そのように進めてこられました。

 特定複合観光施設区域整備推進会議の取りまとめが出されたのが、昨年の七月の三十一日です。今もお話がありましたが、パブリックコメントをとり始めたのは、翌日の八月一日から一カ月間、三十一日までです。ここで出された意見、これは、夏休みですからいろいろな方たちにも時間があったでしょうし、全国で九ブロックというのは、私はいかにも少ないというふうに思います。

 これは、刑法の賭博条項、こういったことにもかかわって、国民が、実は、TPPなどよりももっと、カジノって本当に日本で行われるんだろうかと、非常に関心の高いものだと思うんですね。意見提出者は千二百三十四人。九ブロックの九カ所で意見表明された方は七十六人、一人三分です。これで国民の声を聞いたと言えるんでしょうか。

 提出者の意見数は七千四十九件というふうに言っておられますけれども、まだまだ知られていない。しかも、大変大きな、ボリュームのある計画ですから、この計画を把握するだけでも、ホームページを開いてそれぞれの資料に目を通す、なかなか画面上で見ただけではわかりませんからプリントアウトしてまで一生懸命見たという人たちは、なかなかおられないんじゃないかと思うんです。

 そして、九ブロックでどういう方たちが意見表明されたかも見せていただきましたが、それは結構、推進をする方たちの意見が先にこの報告の中には書いてあるんですね。何かこのやり方について、私は大変不十分だというふうに思っています。

 今回、この議論をしているところですけれども、大臣は、これから先も丁寧に、今後も国民に丁寧に説明すると言っていらっしゃるわけですけれども、具体的にはどんな機会をつくられるおつもりでしょうか。大臣にお尋ねいたします。

石井国務大臣 IR整備法案の制度設計に当たりましては、IR推進法に係ります附帯決議におきまして、十分に国民的な議論を尽くすこととされていること、また、昨年八月に開催をされました第二回推進本部におきまして、安倍総理からも、国民に丁寧に説明する機会を設けるよう指示があったことから、制度の大枠につきまして、全国九ブロックで説明・公聴会を実施いたしました。

 今後、この法案の審議を通じて説明を行うことはもちろんでありますが、法律を成立させていただきましたらば、この日本型IRのイメージを実感に近い形で具体的に共有させていただくための全国キャラバンを実施するとともに、政令等の立案に当たりましてはパブリックコメントを実施する等、引き続き国民に丁寧に説明を行ってまいりたいと考えております。

大河原委員 法案提出の前には全国九ブロックとおっしゃいました。そして、これからも丁寧に説明するということですが、具体的に、手を挙げている、興味を示している、そういう自治体は、その県民、市民の皆さんにも、そういう情報が欲しいと思うけれどもなかなかアクセスできないということがあったのかもしれません。

 でも、今回、絞り込みがされていくけれども、だったらなおさらのこと、その絞り込みの対象になっていないところにも影響はあるわけなので、そういう全国的な説明のイメージをもうちょっときちんとお伝えいただけないでしょうか。

 例えば、TPPは、この国の生活、一人一人の生活にもかかわる、企業活動にもかかわる、そういうことで政府は、私は不満ですけれども、不十分だと思っていますが、TPPの説明会を超えるような、そういう情報の発信が必要だと思いますが、大臣、もう一度お願いします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど石井国務大臣から御答弁いただきましたとおり、今後、日本型IRが具体的にどういうことを公共政策上の公益として実現していけるのか、それから、委員御指摘のように、一人一人の日本の消費者の皆さんにどういう新しいサービス消費のオプションを提供できるのか、そういうことを、具体的なイメージを持って、実感が国民の皆様にも伝わるような形でこういう活動を展開していかなければならないというふうに考えているところでございます。

大河原委員 具体的なイメージということでいえば、民間がやるわけですよね、政府が免許を与えて管理をしていく。そういう仕組みはこれまでないわけですから、その説明はかなり大変。そして、公営ギャンブルと言われるものと全く違うものになります。では、なぜ例えばモナコのように日本は公営でカジノを認めるような国にしないのかという議論も、知れば知るほど疑問が出てくる方たちはいっぱい混乱をすると思います。

 そういう意味では、やはりこのカジノの議論というのはまだまだ時間が足りない。多くの国民が知り、その計画が自分の住んでいる地域に、仕事をしている地域にどんな影響を及ぼしてくるのか。

 投資が集まるからいいんだよ、そして、カジノができて、大きな会議場ができて、展示場ができて、アミューズメント施設ができて、ほらね、あのシンガポールみたいにねという言い方は通用しないんですよ、日本だから。小さな島国で、人口も減っていくし、例えば韓国のように遠くに離したところにIRをつくれる、そういう国土の条件じゃないですよね。ですから、その周辺で何が起こるか、午前中の議論の中にも、負の影響をきちんと計算していない政府に対して私は非常な不信感を持ちます。

 世界最高水準のカジノ規制というふうにまた繰り返されているわけですけれども、何が一体世界最高水準なんでしょうか。このような施設があるところは大抵厳しく制度を持っているはずですけれども、それ以上の規制をするという。その意味で、何が世界最高水準なんでしょう。大臣にお願いします。

石井国務大臣 政府におきましては、カジノ規制につきまして、事業者の廉潔性の確保はもとより、依存症やマネーロンダリング、青少年への影響等の弊害防止対策につきまして、世界で最も厳しいと言われておりますネバダ州やシンガポール等の制度やその運用実績を参考にしつつ、必要な法制化に取り組み、IR整備法案を立案したところであります。

 その主な措置といたしましては、例えば事業者の廉潔性の確保といたしましては、カジノ事業者やカジノ施設供用事業者のみならず、その主要株主や従業者、取引先、IR区域の土地所有者等について、それぞれ免許制等の参入規制を課すとともに、カジノ管理委員会が徹底した調査を行い、申請者や関係者の社会的信用等を厳格に審査するものとしております。

 依存防止対策といたしましては、日本人や外国人居住者に対し、他国には例のない長期、短期の一律の入場回数制限や相当額の入場料を課すことに加え、利用者の個別の事情に即した措置といたしまして、カジノ事業者に対し、依存防止規程に従って、本人、家族の申出による利用制限措置や入場者からの相談対応等の措置を講じることを義務づけるものとしております。

 カジノ事業又はカジノ施設の広告、勧誘に関しましては、IR区域以外の地域における広告物の表示やビラ等の頒布を原則として禁止するほか、二十歳未満の者に対する勧誘等を一切禁止するものとしております。

 こういった制度設計によりまして、IR整備法案におきましては、ネバダ州やシンガポール等の先進的な制度と比肩できる、肩を並べることができる最高水準のカジノ規制が整備をされ、カジノ事業の健全な運営の確保やさまざまな懸念に対する万全の措置が講じられたものと考えております。

大河原委員 今また御説明の中でもシンガポールが出てきたりするんですけれども、シンガポールで、IRが計画される前に、ギャンブル依存症の手当てと対策というのは時間をかけて行われているんですよ。

 それで、この日本では、ギャンブル依存症の人も予備軍も大変高い率になっていますから、その点でも世界最高水準の依存症対策が行われていなければいけないと思うんですが、ほかの、今例にお挙げになったところの依存症のパーセンテージと日本のパーセンテージを比べて、それでも最高水準の対策を打ったというふうにお考えなんでしょうか。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 大河原委員御指摘のとおり、厚生労働省の昨年の全国調査の結果によりますと、生涯を通じた依存症のリスクのある、疑いがある国民の率は成人人口の三・六%となっているところでございまして、それは生涯を通じたエピソードで比較した場合の諸外国の率よりも高くなっているということは事実だと思います。

 また、依存症対策の強化につきましては、まさしく、一昨年末の議員立法のIR推進法案の御審議の過程を通じての議論、そしてこの附帯決議の中身、そしてそれを受けた政府の取組、さらには現在国会におきまして議員立法によるギャンブル等依存症対策基本法案の御審議が行われているという中で、ある意味では、今まさしくこの強化の取組が始められているというところでございます。

 このIR整備法案の中には、先んじたものもいろいろ取り入れて、先ほど石井国務大臣から御答弁いただきましたように、カジノ事業者に対する義務づけを、既存の公営競技法などにはないレベルで、非常に強化したものになっていることですとか、あるいは国民に一律の入場規制をかけるといった、非常にこれまでにない取組を盛り込んでいるところでございます。

 こういう施策が進められることによって、大河原委員御指摘のように、我が国におけるギャンブル依存に悩む方が一人でも少なくなっていくような取組が今後更に強化されるということを期待しておりますし、また、政府としても、一丸となって、徹底的にかつ包括的にこの対策を進めなければいけないというふうに覚悟しているところでございます。

大河原委員 後ほど同僚議員が依存症についてはもっと詳しくやられると思いますが、日本の依存症を疑われる人、成人、三・六%、三百二十万人ですよ。すごい人数です。オランダが一・九%、フランス一・二%、ドイツ〇・二%という数を持っていますが、これから比べたら、三・六%の、依存症が疑われるこうした方々への対策というのは、もっと世界最高水準の規制をかけなければならないし、それだけ規制をかけなきゃならないというのは、やはりカジノに対する危険性をあらわしているんじゃないかというふうにも思います。

 入場制限も今おっしゃいましたけれども、一回六千円、週三回、月十回までということは、一年間で百二十回まで行けますよね。一年の三分の一ですよ。月に入場料だけで六万円。大変お金のかかることを、これが上限という意味ですからあれですけれども、やはり使ってしまわれると思うんですよ。例えば、入場制限はありますけれども、負けの上限、つまり幾ら使えるのかという上限が、規制の中でも私は強いものがあるんじゃないかと思います。

 例えば、ノルウェーで一日の上限規制があります。これはギャンブル責任政策と言われているものですけれども、どういうものか御存じでしょうか。

中川政府参考人 ヨーロッパ諸国におきましては、先ほど大河原委員が御指摘のとおり、カジノが公共部門の財源対策として取り入れられている、いわば国営企業としてカジノが実施されるというバックグラウンドがあったということもありまして、ノルウェーの、今御指摘の例も含めて、さまざまな対策がこれまでもとられているところでございます。

 ノルウェーの御指摘の制度につきましては、一定額の上限額を定めた規制がかかっているものだというふうに理解をしてございます。

大河原委員 ノルウェーは、今おっしゃったように、かつて民間のスロットマシンが町中にあったんですね。それに群がる人たちがいて、依存症の率が高くなるということがあって、それを、二〇〇一年から、たしか十一年間かけて、国営化をして、そして制限をかける。

 二〇〇七年に民間のスロットマシンがとまって、二〇〇九年からマルチックス、そういうものがコンビニなどで使えるようになっているんですが、一日の制限が四百クローネ、五千六百円ぐらい、そして、一カ月の上限は二千二百クローネ、三万八百円ぐらい。もう一つの機械、二種類機械があるんですが、それは一日が八百クローネ、一万二千円くらい、一カ月の上限、四千クローネ、五万六千円ぐらい。

 機械を使っていると、一時間動かすと自動的にとまって、十分使えないとか三十秒使えないとか、そうやって、自分がどれだけ負けているか、どういう状況にあるか、覚醒させるんですよね、一度。こういうことはとても大事だと思うんです。

 以前に、読売新聞だったと思いますが、大相撲の元関脇貴闘力さんが、海外巡業に行ってカジノにはまった。競馬やパチンコだったらば、昼間ですから、目覚める。それに、負けに気がつく、冷静になる時間がある。でも、カジノという空間で、二十四時間特殊な環境でいると、負けが込んできても、要するにずっと没頭してしまう。そういう状況になるゲームなんですよね。

 ですから、このカジノの問題を、私は、入場制限をしたとか、世界最高水準のカジノ規制をしているということは全く言えないというふうに思います。もっともっと、知れば知るほど多くの方々が意見を寄せてくると思いますが、しっかり受けとめなければなりません。

 次に、日本への観光客の増加、このところ高くなっています。これは、観光庁ができたり、いろいろな努力が実ってのことだと思いますけれども、二〇一二年から一七年、三倍以上になっていますけれども、直近の政府の姿勢はどういうふうになっているでしょうか。予算の面からお答えください。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 観光庁では、平成二十八年三月に決定いたしました明日の日本を支える観光ビジョンにつきまして、政府全体の観光関連予算を取りまとめてございます。

 直近の平成三十年度当初予算ベースでは、内数として整理されるものを除きまして、約七百億円程度が計上されてございます。

大河原委員 大臣、訪日外国人の意向調査というのを御存じだと思いますけれども、どうでしょうか。今の状態はカジノがない状態ですけれども、たくさんの方たちが日本に来たいと言っているんです。この傾向、先の先まで予測をしていらっしゃると思いますが、どのように予測していらっしゃいますか。

石井国務大臣 予測というか、目標は持っております。昨年のインバウンドの数は二千八百六十九万人でしたが、政府は、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人という目標を掲げております。

大河原委員 その目標ですけれども、二〇二〇年の四千万人、これはカジノがなくてもそこまで目標、頑張ろうよということですけれども、その先の六千万人はカジノを含んだ、IRを含んだものですよね。お答えください。

石井国務大臣 正確に申し上げますと、この目標をつくったときには、まだこのIRというものは推進法もできていない段階であったというふうに思っております。

 ただ、私は、IRをつくることによりまして、この目標の促進につながる、この目標を達成するための大きな後押しになるというふうに考えております。

大河原委員 大臣に伺いますが、六千万人にする目標を持っている、四千万人から六千万人まで、すごく、まだ二千万人。

 この方たちが何を求めて日本に来ているか、これまで日本に来たけれども何が不満だったか、そういったことについてはどうお考えなんでしょうか。

石井国務大臣 観光政策でございますので、私はこの場ではIR担当大臣でありますから、観光を所掌している国土交通大臣としてのお答えは基本的には申し上げないことになっています。観光庁が……(発言する者あり)ここでは国土交通大臣としての答弁は差し控えさせていただきますが、一般論として、御質問は何でしたっけ。(発言する者あり)

山際委員長 大臣が答弁していますから、それが終わってからにしてください。

石井国務大臣 四千万から六千万に行くのにIRが入っているかどうかということですよね。それは明確にはなっておりません。

 といいますのは、先ほど申し上げたように、明日の日本を支える観光ビジョンというのをつくったときに、二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人という目標をつくったのですが、そのときにはIRというのは全く、IR推進法も成立していない状況でそういうものをつくっているんですね、目標は。ですから、必ずしも、IRがなければできないものだ、その目標に達することができないものだとは思っておりませんけれども、私は、IRをつくることによって、その目標を達成する後押しになるというふうに考えています。

大河原委員 あの六千万人の目標にはIR施設をつくるということが入っていますよね。確認、お願いします。政府参考人から。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、石井大臣から答えたとおりなんですけれども、六千万人の目標をつくった時点では、IRというのはまだ法案としても付託していなかったということなので、数字、目標をつくるときの前提には入っていなかったということでございます。

大河原委員 それじゃ、六千万人以上の目標を立てるんですね。新しい施設をつくって、IRというものが二〇三〇年にはどこか一つか二つはできているでしょう。どうですか。

秡川政府参考人 お答え申し上げます。

 目標自体は観光ビジョンということで、閣議決定をしていただいているんですけれども、先ほど大臣が申し上げましたとおり、六千万人の目標を達成するための大きな後押しになるというふうに理解しております。

大河原委員 ちょっと、とても納得できません。それじゃ、目標って何だったんですかということじゃないですか。

 今、二千から六千まで伸ばしていく。この国の経済状況、それを回復するために、IRはそういう意味で使える、新しい公共的な政策なんだということまで政府は言ったんですよ。おかしくないですか。大臣、どうですか。

石井国務大臣 何がおかしいのか、私はちょっとよくわからないんですけれども……(大河原委員「予測」と呼ぶ)予測ではないんです、目標なんです。

 この二〇二〇年四千万人、二〇三〇年六千万人という目標を立てたときは、何かこういう政策をやって何百万人招く、こういう政策をやって何百万人招くという、別に積み上げをやったわけではないんです。あくまでも政府としての目標なんですね。(発言する者あり)希望的というか、目標は、悲観的な目標というのは別にないと思いますけれども。

 それは明るい未来のための希望となる目標だと思いますけれども、その目標に向かっての後押しになるのがIRだというふうに申し上げているところであります。

大河原委員 根拠のない自信とか根拠のない希望としか聞こえないんですね。むしろ、投資が集まっても、そこでペイできないかもしれない、カジノ施設があっても、その地域の施設の不採算をカバーできない、そうしたら、今、地域の人たちに約束をすること、国民に約束をすることを果たせないじゃないですか。とてもおかしな議論だと思うんです。

 それで、今、日本に来る方たちは、関心があるのは自然や風景とか史跡、もっと深く知りたいというのが調査に出てきているんです。カジノへの関心というのは二極化していて、どこにでも多少似通ったものがあるカジノよりも、日本という文化の中で、この中でもっと深めたいと思っている方たちがいる。そういう方たちが日本から関心を持たなくなったら、それは取り返しのつかない国富が失われるということだと思います。

 そして、きのうの参考人の鳥畑教授からも、正確な影響評価に基づいた地域社会の決定権を尊重しろということがありまして、マサチューセッツ州などでは、コミュニティー協定、住民と事業者も含めた、そうした合意を高める仕組みがありますけれども、最後に伺いますけれども、住民投票の仕組みが必要だというふうに主張された昨日の参考人の意見に大臣はどのような感想をお持ちでしょうか。

石井国務大臣 IR整備法案では、都道府県等は、区域整備計画を作成しようとするときは、公聴会の開催等、住民の意見を反映させる措置を講ずることとしております。これは、都道府県等がIR区域が整備される地域の住民から幅広く意見を聞くことを目的としているものであります。

 住民投票によるか否かも含めて、その具体的な措置の内容については、都道府県等が地域の実情に応じて適切に判断することになるわけであります。住民投票を除外しているわけではございません。

大河原委員 私は、やはり住民自治、その地域に大きな影響が出ます。IRができたために、その周辺、受け入れた地域の経済が立ち行かなくなる、失敗例が数々出ているんです。ですから、もっときちんとした説明ができるように、この議論を尽くさなければならないと思います。

 このIR法案には断固反対いたします。

山際委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 お疲れさまです。立憲民主党の初鹿明博です。

 引き続き質問をさせていただきます。

 きょうは、委員ではないんですけれども、差しかえをさせていただいて質問の機会をいただきました。まずは、この機会をいただいたことを感謝申し上げます。ありがとうございます。

 では、時間がないので早速質問に入らせていただきます。

 きょうは、私は、先般議論がされましたギャンブル依存症対策基本法案の野党側の案の提出者でもありましたので、ギャンブル依存症対策を中心に質問をさせていただきます。

 まず最初に、直接依存症ということではないんですけれども、未成年者に対する対策ということでお伺いいたします。

 前回の委員会で答弁に立った際にも御紹介をいたしましたけれども、大阪商業大学の研究員の大谷信盛氏の論文によると、北米の青少年を対象とした実態調査によると、八歳までにギャンブルを経験した子供とそうでない子を比較すると、倍の確率で成人してからギャンブルの問題を引き起こす、そういう結果があるということです。また、同じ北米の調査ですけれども、成人のギャンブル依存症率が一%から三%であるのに対して、青少年の発症率は四%から八%と、非常に高くなっているという調査もある。

 この調査だけ見ても、未成年者がギャンブルに触れるということは非常に依存症になる確率を高くするんだというふうに思います。

 その上で、まずは大臣にお伺いいたしますが、今回、カジノの入場は未成年者は禁止をされているということですが、なぜ禁止をしたんでしょうか。

石井国務大臣 IR推進法におきましては、青少年の保護のために必要な知識の普及その他の青少年の健全育成のために必要な措置について、政府は必要な措置を講ずることとされております。また、外国人旅客以外の者に係るカジノ施設の利用による悪影響を防止する観点から、カジノ施設に入場することができる者の範囲の設定その他のカジノ施設への入場に関し必要な措置を講ずることとされております。

 我が国における公営競技におきましては未成年者の投票券の購入が禁止をされており、諸外国においても年少者のカジノ施設への入場等が禁止をされております。

 また、現在審議中の成年年齢を十八歳とする民法改正におきましても、経済取引を独立して行うことができる年齢の下限を引き下げる趣旨の成年年齢の引下げと青少年保護のための投票券の購入禁止の趣旨が異なること、投票券の購入可能年齢を引き下げることに反対する声が根強く存在することから、投票券の購入禁止年齢は二十歳未満を維持するものと承知をしております。

 これらを踏まえまして、青少年の健全育成の観点から、二十歳未満の者についてカジノ施設への入場を禁止することとしたところであります。

初鹿委員 聞いていないことまでお答えいただいているんですけれども、いずれにしても、悪影響があるから未成年者は入れないということでよろしいんだと思います。

 今、皆さんのお手元に資料をお配りしているんですけれども、見ていただきたいんです。これはJRAのホームページにある中山競馬場ですけれども、「馬とのふれあいイベント・お子様向け遊具のご案内」ということで、今、競馬場には、子供のキッズスペースのようなものがあって、遊具が置いてあって、子供を遊ばせる場所というのがたくさんあるんですね。

 もう一枚めくっていただくと、今度は、これは京王閣なんですけれども、国内の観光旅行サイトで、いろいろな競馬場や競輪場でこういうほかとの違いがあるよというのを紹介しているところで、ここは「キッズルーム リニューアルオープン!」なんということが書いてあります。

 カジノについては、悪影響があるからカジノ場に入るのを禁止するということですけれども、この公営競技を見ると、子供をだしにして集客しようとしているわけですよ。中には、ヒーローイベントとかをやっているんですよね。こういうのが認められると、カジノで禁止していて、こっちはいい、ダブルスタンダードだと思いませんか。大臣、いかがですか。

石井国務大臣 IR推進法や我が国における公営競技、諸外国の例を踏まえまして、青少年の健全育成の観点から、二十歳未満の者についてカジノ施設への入場を禁止することとしております。

 カジノ施設のカジノ行為区画は、主として顧客との間又は顧客間相互間でのカジノ行為が行われる場所であり、その雰囲気に触れる青少年への悪影響を防止する必要があることから、二十歳未満の者についてカジノ施設への入場を禁止することとしております。

 なお、公営競技における未成年者への対応につきましては、それぞれの競技の特徴に応じて対応がなされていると承知をしております。

初鹿委員 いや、ダブルスタンダードでしょう。カジノはだめなんだけれども、公営競技場は入っていいと。

 さっき紹介しましたけれども、八歳までにギャンブルを経験したら、倍の割合で成人になったら問題を生じることがあるということですが、八歳までにやるかなと皆さん思いますよね。

 それはどういうことかといったら、子供を連れて競馬場や競艇場に行って、何番と何番がいいとか聞いて、買ってあげたりする親はたくさんいるんですよ。そうやってやることによって、ああ、おもしろいなみたいに思ってやり始めるようになっていくわけじゃないですか。

 そして、それだけじゃありません。子供を連れていく最大の問題は、これは児童虐待につながるからです。

 よく聞いてくださいね。どういうことかというと、ギャンブルは、勝つときもあれば負けるときもあります。むしろ負けるときの方が多いんです。夫婦で子供を連れていって、きょう、終わったら帰りにおいしいものを食べていこうねと思っていたけれども、負けが込んできて、お父さんが、最後の一万円も、最終レースをどうしても買いたい、必ず勝つからといって使ったら、どうなりますか。夫婦げんかですよ。それで嫌な思いをするのは子供。それだけじゃありません。負ければ、親は大体、子供に対して当たっていく。

 これは、私が言っているだけじゃないんですよ。ギャンブル依存症を考える会、三代目ギャンブラーと自分で言っております田中紀子会長も、このことは非常に厳しく言っております。子供をギャンブル場に連れていくのはやめてほしい、子供は本当につらい思いをする、必ず親に当たられるし、夫婦げんかにもなるし、非常に嫌な思いをすると。全ての家庭がそうだとは言いません。でも、そういう人たちも存在するんですよ。

 だから、あえて子供をだしにして、競馬場や競艇場に連れてくるようなことはやらないでほしい。子供の遊び場を用意しないでほしい。いかが思いますか。それぞれ所管の政務官に来ていただいていますが、農水、経産、国土交通省、それぞれお答えください。

野中大臣政務官 農水省からお答えいたしますが、競馬場は、全体がギャンブル場というよりは、勝馬投票券を購入する場もあれば、やはり馬事振興、馬事文化を学ぶ、そして馬に直接触れる経験ができるという数少ない場でもあります。

 私も先月、公務で訪れましたが、やはり多くのお子さん連れの御家族がいらっしゃいまして、乗馬体験、また、実際、引退した馬を間近で見られる、その光景を非常に目をきらきらして見ていたのを私も目の当たりにしたところであります。

 他国の事例ですけれども、馬と人間の関係が歴史ある国であればやはりそういった入場規制もかかっておりませんし、私どもとしては、競馬場へのお子さんを含めた未成年者の入場を一律に制限することは適当でないというふうに考えております。

大串大臣政務官 競輪、オートレースは、競輪がオリンピック競技であることなど、スポーツとしての側面もあり、競技自体を観戦する楽しみも有していると考えております。

 競輪、オートレースを開催する自治体の中には、競輪場やオートレース場を地域活性化の中核として位置づけている、そういうところもございまして、競輪、オートレースの開催日は各種イベントを開催するなど、地域住民が集える憩いの場となるよう、家族連れでの来場などを促しているところでもございます。

 一方で、未成年者は自転車競技法及び小型自動車競走法において車券購入が禁止されておりまして、従来から、警備員が、車券を購入しようとする未成年者と思われる者に声かけや年齢確認を行ってきたところであります。

 加えて、昨年六月以降は、車券購入をしようとする行為が見られない場合においても、未成年者と思われる者に警備員が積極的に注意喚起の声かけや年齢確認を行うようにしたところでございます。

 あわせまして、昨年四月以降、ポスター、テレビコマーシャル、新聞、雑誌広告等に、車券購入ができるのは二十以上である旨を掲載して注意喚起を図っているところでございます。

 このように、未成年者が車券を購入しないような措置を講じているため、未成年者への入場規制まで行う必要はないと考えておりますが、今後とも、警備員による声かけや年齢確認や、ポスター、テレビコマーシャル等による注意喚起を図り、未成年者の車券購入防止を徹底してまいりたいというふうに考えております。

高橋大臣政務官 お答え申し上げます。

 モーターボート競走場は、単に舟券を購入する場ではなく、モーターボート競走を観戦し、水辺に親しむ機会を提供するという側面があるために、未成年者の入場規制を行ってはおりません。

 一方、未成年者につきましては、モーターボート競走法において舟券の購入が禁止をされているために、警備員によります注意喚起それから声かけを実施するとともに、防犯カメラによる監視を行っております。

 なお、昨年の夏からは、警備員による声かけや年齢確認を徹底するために、警備担当者会議等による警備員への教育指導を実施いたし、ポスター、出走表、場内映像、場内放送等により注意喚起を行っております。

 引き続き、警備員による注意喚起や声かけの実施等を積極的に行って、未成年者の舟券購入防止を徹底してまいりたいと思っております。

初鹿委員 委員の皆さんも笑っていましたけれども、やはり無理がありますよ。やはり虐待のことを考えたら、今の答弁は先に用意されているから虐待の話が全然見えてきていないんですけれども、虐待のことを考えたら、そんな答弁できないと思いますよ。

 それと、馬との触れ合いは、わかりました。だったら、馬券を買うエリアは、絶対に建物の中には未成年者を入れないとか、そういうふうにしてもらいたいと思います。

 未成年者に声かけとか言っていますけれども、それは、高校生ぐらいになって、どっちかわからないなみたいな人の話でしょう。私が言ったのは、小学生とか幼稚園児とか、ちっちゃい子を連れてきて、親と一緒に、子供だけその辺にほっぽっておいて舟券を買いに行くわけじゃないですから、一緒に買うところまで行くんですよ。そうやって買わせているわけじゃないですか。

 だから、そういうことをなくすためには、私は、やはり入場は規制した方がいいということを言わせていただきます。ぜひ、政務官、一回役所に持ち帰って、再検討をお願いいたします。

 それでは次に、カジノの問題に入っていきますけれども、先ほども少しありましたけれども、入場料について質問をいたします。

 先日、公明党の濱村議員が質問をしておりまして、おやと思ったんですけれども、後で答弁書を読んで、そういうことだったのかと思ったんです。

 入場料六千円が依存症の対策になるのかといったら、ならないだろうとみんな思うわけですよね。だって、六千円を惜しいと思うような人はそもそもカジノに行かないし、ギャンブラーは六千円だったら絶対に取り返せると思って行くわけですから、六千円は全く入場の規制にならない。

 答弁をよく読んでみたら、安易に入場することを抑止して、つまりは、今までは余りカジノをやったことがないんだけれども、ちょっとやってみようかなという人が安易に行かないようにして、新たにはまって依存症になるようなことは防ぐということだ、現に依存症になっている人の対策ではないということだと理解をしたんですけれども、それでいいんですよね。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 カジノ施設への入場料につきましては、政府では、昨年のIR推進会議以来、委員が御指摘のとおり、安易な入場を抑止する効果があるということ、それから、入場料を徴収する過程を設けることによって、カジノに入場する顧客の本人確認ですとか、あるいは回数確認だとかをきちんとする手順を踏むことができるということ、それからさらには、入場料を徴収することによりまして公益に還元をする財源を得ることができること、こういう行政的なメリット、制度的なメリットに鑑みまして、徴収をするという方向性が出てきているものでございます。

 したがいまして、安易な入場を抑止するという部分におきましては、依存を抑止する、予防する効果も持っていると考えてはおりますけれども、委員御指摘のように、依存症になっている人、あるいは依存症の診断を受けているような人、こういう医療が必要となっている段階の方に対応する措置ではございません。

初鹿委員 そういうことだそうなんですよ。

 それで、濱村議員が資料で出した月刊公明の記事を私も資料で出させていただきました。

 元ラスベガス市長のジャン・ジョーンズ・ブラックハーストさんという人が書いているんですが、一枚めくっていただいた六十一ページというページが書いてあるところ、これは濱村議員も質問で読み上げておりましたが、「ワシントン州立大学のカリール・フィランダー博士の分析によれば、「定額の入場料を設定すると、参加者は会場で過ごす時間をできるだけ増やそうとして、のめり込む率が高くなる」ことが分かっている。」ちょっとあけて、「つまり、問題ある参加者にとっては、高額の入場料はかえって多額の金銭的損失につながり得ることが示唆されるものであり、必ずしも効果的な依存症対策にはならない。」。必ずしもならないというよりも、逆効果ですよね、これは。逆効果だと書いてあるようなものですよね。

 大臣、依存症対策にとっては入場料を取るということは逆効果になるんですけれども、どう思いますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 まさしく、今、初鹿委員が資料で読み上げられたような部分の御意見があるということも重々理解しながら、昨年、政府のIR推進会議で議論しましたときには、入場料を徴収するということと依存を予防するということの因果関係について、エビデンスベースでの研究結果、論文などがあるわけではないという認識の上に立って、先ほど御答弁申し上げたような議論の整理をしたところでございます。

初鹿委員 ちゃんと答えていないんですけれども、つまり、私が言いたいのは、依存症対策にはならず、逆効果になるんですよということをまず指摘させていただきます。

 時間で制限をするということを言っていますね、七日間で三回、一回に七十二時間でしたっけ。では、時間で制限をすればいいのかというんですけれども、時間は実は余り関係ないんですよ。

 なぜかというと、七十時間とか二十時間とかできないんですよ。眠くなるというのもあるけれども、それだけじゃないんですよ。なぜできないかというと、長くやるためにはお金が必要なんです。カジノって結構簡単にお金がなくなるんですよね。二時間遊ぼうと思ったら、それなりの金額がないと続かないです。

 つまり、お金の上限を決めることが本来の規制であって、時間はほとんど関係ない。そういう面では、今回一番問題なのはやはり特定金融業務ですよ。例えば、一千万持ってVIPという人が来ました、一千万使い切ったらやめて帰るところを、借りれるから続けれるわけじゃないですか。だから長い時間になっていくわけですよ。借りれなければ帰るんですよ。違いますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 カジノ事業者が行うことができる特定金融業務につきましては、これまで御答弁申し上げましたとおり、カジノ事業者は無制限に、かつ誰にでも貸し付けられるという仕組みには、制度設計にはなってございません。

 再々御答弁申し上げておりますように、カジノ事業者から借り入れることができる日本人等は、一定金額以上の預託をあらかじめカジノ事業者にできる、そういう資力のある者に限定しておりますし、また、カジノ事業者は、個々の個人の資産調査などをして、どれだけの信用調査をして、しかも、その際には、貸金業法に定められております個人情報信用機関を使って調べて、そして個々の顧客に対して貸付限度額を設定し、それ以上の貸付けはできないという仕組みを御提案申し上げてございます。

初鹿委員 何度もその答弁をしているんですけれども、その答弁を聞くと、所得の高い人は依存症にならないと考えているように聞こえるんですけれども、そんなことないですよね。大臣、ちょっと答えてください。

中川政府参考人 まさしく、今御答弁申し上げましたように、貸付事業につきましては、その顧客の信用情報に基づいて貸付限度額を定めるということになっておりまして、それ以上の、限度額を超えた貸付けはできないという規制にはしておりません。

 したがいまして、顧客の所得、資産状況などは、もちろん貸付限度額を決定する際には考慮されることになると思います。

初鹿委員 資産とか収入とかが高ければ、預託金は、先ほどシンガポールだと八百万ぐらいだということを言っていましたけれども、預託金を積めば、資産が多ければ幾らでも借りれるということになりませんか。

 それこそ、何度も例が出ておりますが、大王製紙の井川さん、ああいうクラスの方だったら、一億、二億は借りれますよね。借りれるじゃないですか。そうやって借りれる資力のある人が依存症にならないわけではないし、実際に依存症になっている人はたくさんいるわけですよ。

 町の中小企業の社長さんとかだったら、それなりに数千万円の与信枠はとれますよ。その人たちが仮に依存症だったとしたら、どう思いますか。例えば、一千万持って、なくなったら帰るところを、二千万、三千万使える。二カ月あったら返せるだろうと思って借りちゃって、結局、最後、ぐるぐるいって回らなくなって、破産するときには金額がでかくなって、たくさんの人に迷惑をかけるということになりませんか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 このIR整備法案の中におきましては、依存防止をするために、もちろん、カジノ事業者が行う貸付業務の制度設計もその一つのパーツだとは考えてございますけれども、それ以外にも、カジノ事業者が、例えばカジノ事業者はもともと貸付限度額以上には貸せませんし、また、個々のお客さんのゲーミングのプレーの状況を見ながら、依存の兆候がないかとか、そういう顧客のリスクを判定し、必要があれば声がけをし、そして相談ですとか必要な対応をとるようなアドバイスをするということ、そういうことができるように従業員教育をするようなことも含めて事業者に対する義務づけをしておりますので、貸付業務のあり方一つのみをもってこの法案全体の依存対策がどうなっているかということを判断することは難しいと思います。

初鹿委員 ちゃんと質問に答えてください。

 私は、所得が高い人だったら幾らでも借りれて、どんどんどんどん負債がたまって、破綻するときには額が大きくなって、周りに非常に大きな迷惑をかけることにつながるんじゃないんですか、そういうことを聞いたわけです。そうじゃないんですか。

 所得の高い人の方が、破綻したときに周りにかける迷惑は大きいんですよ。低所得の人が仮に自己破産をしたとしても、自分と家族だけでそこは完結するかもしれないけれども、大王製紙の社長さんのように、ああいう大きな企業だったら会社の金に手をつけるかもしれない、そうなったときの損失、お客さんのお金に手をつけるかもしれない、そのときの損失、どれだけ大きいんですか。そういうことを考えたら、これは非常に危険だと思いますよ。

 私は、だから、どうしてもこの特定金融業務を必要だというんでしたら、外国人に限って、日本人は預託しようが何しようが対象にしないというふうにするべきだと思いますが、大臣、いかがですか。大臣、答えてください。

石井国務大臣 依存症対策につきましては、先ほどから申し上げておりますようにさまざまな対策を講じておりまして、貸付けにつきましても、顧客の資力、所得等に応じて貸付け、幾らでも貸せるわけではありません、貸付けの限度額を設けているわけですから、それは信用調査をやって、顧客ごとに貸付けの限度額をきちっと設けるということを義務づけているわけでございます。

 それから、先ほどから政府参考人も申し上げたように、IR整備法案では、カジノ行為に対する依存による悪影響を防止する観点からカジノ施設を利用させることが不適切であると認められる者の利用を制限する措置を講じることをカジノ事業者に義務づけております。

 具体的には、負け続けているにもかかわらず、周囲の注意を無視して連続してカジノ行為を行うなど、自制心を失っている様子がうかがえる者などについて、従業者が、早期に発見をし、声がけを行い、退場や休憩を促す、相談窓口に案内する等の必要な措置を実施することを想定しているところでございます。

初鹿委員 大臣、所得が高い人、また社会的に身分の高い人、そういう人が依存症にならないわけではないわけですよ。そういう人も依存症になっている人はたくさんいるんです。

 そして、ギャンブル依存症を考える会の田中代表も常々言っておりますけれども、所得の高い人がいざ問題が発覚したときは対応がより大変なんですよ。なぜかといえば、借金の額が大きいからです。

 今、それぞれ個人で与信枠を定めて貸付けの限度額というのは決めていくということですけれども、限度額が少ない人よりも限度額が大きい人の方が、何か行き詰まったときには、周りにかける被害、損害は大きくなるんです。だから、私は、この特定金融業務は危ないんじゃないかということを言っているわけです。少なくとも、個人で、信用調査をして、借りれる額限度いっぱいまで貸せるよということは、私はやはり不適切だと思いますよ。

 午前中の質疑でもありましたけれども、貸金業法の規制とは別に貸すわけじゃないですか。外で幾ら借金しているかどうかは、ここは切り離されてしまうわけじゃないですか、与信枠ができた段階で。そうなってくると、いざ破綻をしたときの被害というのは物すごくでかくなると思いますよ。

 だから、私は改めて言いますけれども、この特定金融業務、外国の客をどうしても呼びたいので必要だと美原先生は言っておりますが、それがもしそうなったら、外国のお客さんだけに限定をして、与信枠があろうがどうかは一切関係なく、日本人は全員対象とすべきじゃない。

 ぜひ、大臣、ここで御判断してください。

山際委員長 もう質疑時間が終わっていますから、以上で終わってください。

 最後に、石井大臣。

石井国務大臣 先ほどから答弁させていただいているさまざまな依存症防止対策をとらせていただいておりますので、この法案の中身で御理解をいただきたいと思っております。

初鹿委員 では、終わります。

山際委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いをいたします。

 早速ですが、質疑をしていきたいと思います。少し先日の質疑の続きといいますか、補足といいますかの部分もありますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 三十日でしたか、委員会で、区域整備計画について確認をさせていただきました。

 区域整備計画の作成のタイミングなんですけれども、自治体による事業者選定後に自治体と事業者が共同して区域整備計画を作成する、その後、国交大臣から区域認定を受けた後、実施協定を締結するという順序で間違いないか。また、その内容について、事業基本計画に加えて、事業者だけでなく自治体が実施する治安、依存症対策などの有害影響排除のための施策、あと、鉄道、道路など交通インフラの整備などの区域の整備推進施策、それと経済的社会的効果などを定めるということでよろしいでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 区域整備計画の作成、そしてその認定、さらには実施協定の締結のタイミングについてのお尋ねでございますけれども、浦野委員御指摘の順番で間違いございません。

 IR事業者と都道府県等は、区域整備計画が認定を受けた後、速やかに、IR事業の具体的な実施体制や実施方法などを内容とする実施協定を締結しなければならないということになっております。この締結に対しても国土交通大臣の認可がかかります。

 また、区域整備計画の記載事項の中身でございますけれども、整備を推進するそのための施策、措置に関する事項ですとか、今委員が御指摘になられました、カジノ施設の設置、運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策、措置に関する事項、あるいは、区域整備計画の実施により見込まれる経済的社会的効果に関する事項などを定めることになってございます。

 また、今言及いたしました区域整備の推進に関する施策、措置に関する事項につきましては、IR区域の周辺地域の開発整備ですとか交通環境の改善など、IR区域の整備に伴い必要となる関連する施策も含まれることになると理解しております。

浦野委員 ありがとうございます。

 先日の答弁では、区域整備計画はIRの具体的なビジネスプランという位置づけで、実施協定の一部をなす十年又は五年のIRの具体的なビジネスプランをつくっているものが区域整備計画ということでした。

 先日も指摘をしたと思うんですけれども、IR事業の中でも特に重要な位置づけであるMICEは、やはり中長期的な誘致活動が必要だということを言わせていただきましたけれども、短期間の区域整備計画、ビジネスプランではそれらの取組も困難で、ビジネスプランとして成り立たないのではないかという疑問もあります。

 また、国交大臣は、区域整備計画の認定に当たって、設置運営事業等が確実かつ円滑に行われると見込まれることという基準を確認することになっています。当然、区域整備計画におけるIR事業の収支などの事業性の判断、確認をすることになると思うんですけれども、その判断も五年間で見るということになるんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通大臣が区域整備計画の認定を更新する際には、今委員御指摘のとおり、これまでの五年間のそういうパフォーマンスが、毎年度の評価の結果などが毎年度の事業計画に適切に反映されていたかどうかというようなことも含め、また、先の五年間の事業計画という意味での区域整備計画の内容が基準に従ったものになっているかどうかということを判断してまいりますので、そういう意味では、更新時の判断というのは、過去の五年、そして次の五年についてどういう判断をするかということになると考えております。

 したがいまして、区域整備計画の認定に当たりましては、区域整備計画の有効期間を前提として、当該期間内における目標を達成するために適切な事業基本計画になっているかどうかということを判断するのだというふうに理解しております。

 一方、浦野委員御指摘の、MICE事業など長期間のプランニングを要するものについては、事業者といたしましては、区域整備計画の認定の有効期間を超えた時点でのビジネスの弾込めといいますか、そういう仕込みも当然なさるだろうというふうに思っております。それは当然していただいた上で、区域整備計画の認定の更新は、次の五年間でどういうアウトカムといいますか事業成果を出されるのかということについての審査ということになりますし、また、それを生み出すために必要な追加投資だとかを含めた事業計画がきちんとつくられているかということを判断することになるというふうに考えております。

浦野委員 心配しているのは、先日も言いましたけれども、五年間、その短い期間で判断するということになると、やはり投資の規模も縮小する、その期間だけで稼いで終わらせてしまおうというようなことにもなりかねないので、それを心配しているわけです。政府から先日答弁もありましたけれども、IR事業を長期にわたって継続的かつ安定的に実施することができないのではないかというふうな懸念はしております。

 私としては、区域整備計画は、先ほど確認したとおり、その内容には、治安、依存症対策、インフラ整備の内容等も含まれていますので、二十年から三十年、長期的な視点で当然策定されるべきだと考えております。作成順序から考えても、区域整備計画をもとに実施協定が締結されるというのが自然じゃないかなと思っているんです。

 このようなことから、区域整備計画については、法律上の有効期限は、当初十年、更新五年ということであるものの、例えば二十年、三十年程度の長期の事業期間を想定した区域整備計画が作成されるべきと考えているんですけれども、政府はいかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 前々回の委員会でも御答弁申し上げましたように、政府といたしましても、IR事業が、中身のある区域整備計画に基づいて、長期間、継続的に、安定的に有効な公益につながる事業成果を生み出すということが望ましいというふうに考えていることは間違いございません。

 それで、前回御答弁を申し上げましたのは、区域整備計画は、先ほども御説明いたしましたように、五年という時間を限って、中期的な期間の中で、認定を受けたIR事業者がどのような公益上の成果を出せるのかということを、中期的なチェック、いわば中間地点でチェックをしていくという趣旨を込めたものでございまして、その旨は前回の審議でも、浦野委員にもそのように御答弁を申し上げた次第でございます。

 一方、今、浦野委員の御指摘の、長期間のIR事業を継続していく道具として、その基盤として、何かもう少し長い期間のものが必要ではないのかという御趣旨の御質問だというふうに理解しておりますけれども、これにつきましては、先ほども御指摘いただいている実施協定がございます。この実施協定は、地元の都道府県等とIR事業者との間で、長期間にわたって、どういう責任分担で、どういう役割分担でIR事業を実施していくのかという、いわばIR事業を推進していくための基本構造を決める取決めでございまして、それが長期間にあるということは、当然、IR事業が長期間にわたって継続していくということを前提にした事業モデルを都道府県等と事業者との合意に基づいてつくることが可能になっているというふうに考える次第でございます。

浦野委員 この指摘は、区域整備計画の後に実施協定なので、その区域整備計画の年限を超えて実施協定が結べるのかなというような、要は、最初につくる計画よりも長い計画を後でつくるわけですから、それができるのかなという心配があるんですね。だからこそ、IR事業の基本的なものとなっている区域整備計画というのを、長期の事業計画を想定すべきなんじゃないかなということを思っているわけですけれども、何か答弁されますか。

中川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、実施協定の締結は区域整備計画の認定の後になるというふうに御説明いたしましたが、確かに形式行為としてはそのようになるわけでございますけれども、国土交通大臣が区域整備計画の申請を受けてその審査をするときには、その事業計画ともいうべき区域整備計画を実施する体制がどうなっているのかということもきちんと見ないといけないわけでございまして、まだ両当事者でサインをされていない実施協定の、事実上合意済みの、しかし、まだ形式行為としての調印が行われていない実施協定の案も含めて申請をしていただくということになっているわけでございます。

 したがって、なぜ実施協定の締結が後になるのかということにつきましては、国土交通大臣の立場から見ますと、大臣としてビジネスプランとして承認をした区域整備計画、認定をした区域整備計画ができた場合にのみ、そのベースになる事業推進の枠組みともいうべき実施協定を、場合によっては長期間のものだと思っておりますけれども、についても締結していただいて構わないという順番にしているというだけのことでございます。

浦野委員 丁寧な答弁をありがとうございました。

 続いて、カジノ免許の交付時期についてですけれども、これは、法案の第四十条で免許の申請等の規定がありますけれども、交付時期について具体的な規定が見当たりません。

 IR開業までの流れは、地方自治体による事業者の公募選定、事業者と自治体の区域整備計画の作成、大臣の区域認定、実施協定の締結、そしてその後、事業者においてIR整備を進めていくという流れになっていますけれども、カジノ免許は具体的にどのタイミングで出されることになるのかというのが一点。また、免許申請からどの程度の期間で免許が出されるものというふうに想定をしていますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法案の中では、IR開業までの流れといたしまして、今委員御指摘のように、共同作成をした区域整備計画がつくられ、認定を申請し、国土交通大臣が認定をし、そして、認定を受けた事業者がいろいろ必要な事項を全て確定してから、つまり、事業体としての役員名ですとか住所地ですとか、そういうことも確定した上でカジノ事業免許を申請するという順番を考えてございます。

 この申請が出ますれば、カジノ管理委員会によって、事業者の廉潔性に関する徹底的な審査を経た上で、免許付与が可能だということになれば、そこでこの免許が付与されるということになるわけでございます。

 そして、では、申請から付与までの期間がどれぐらいになるのかというお尋ねがございましたけれども、これにつきましては、個別具体的なケースに応じまして、カジノ管理委員会が法に基づいて厳格な免許審査を尽くします。申請内容によっては、海外の事情も含めて調査対象にしなければならないとか、さまざまなケースがございますので、なかなか、審査が完了するまでにどれぐらいの期間がかかるのかということにつきましては、一概に申し上げることは困難であることを御理解賜りたいと思います。

浦野委員 期間はちょっと難しいということですけれども、いずれにしても、例えば、一定の段階で進んでいる状況で、万が一免許がおりないというような事態になったら、それこそ地域、事業に与える影響というのは非常に大きくなりますよね。免許が出されるかわからないという非常に大きなリスクを抱えて、自治体において周辺インフラ整備や懸念事項の対策の各種施策を先行して進めていくわけです。それにプラス、事業者も投資を行っていくことに当然なりますよね。カジノ免許がそもそもおりていない段階で、事業者の資金調達が難しいんじゃないかという可能性もあります。

 そのようなことを踏まえると、自治体での事業者選定プロセスとか、区域認定プロセスに合わせて、例えば仮免許などを、一定の担保を与える必要があるんじゃないかというふうに思うんですね。

 例えば、シンガポールでも開業間際に免許がおりています。事業者選定等も含めて、国が一元的な手続主体となって対応しているということですけれども、日本の場合は、事業者選定は自治体、区域認定は国交大臣、カジノ免許はカジノ管理委員会という、明確に主体が分かれていますから、シンガポールと同様に考えることはできないんじゃないかと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

中川政府参考人 認定を受けましたIR事業者、認定設置運営事業者が、役員などカジノ事業免許申請に必要な事項を全て確定した上でではないと、カジノ事業免許を申請していただくことはできないのではないかというふうに考えております。

 したがいまして、申請のタイミングは、どうしても、区域整備計画の認定を受けて、事業者として、法律上、認定設置運営事業者になってからでないと、このカジノ事業免許の申請ができない形にしております。

 したがいまして、都道府県などが事業者選定をしている段階ですとか、あるいは区域整備計画を作成している段階において、そこにかかわる民間事業者に対してカジノ管理委員会が一定の判断をするということは難しいのではないかというふうに考えているところでございます。

 つまり、時間がたちますと役員構成だとかそういうことも変わってまいりますので、そういう意味では、どこか途中段階でカジノ管理委員会が判断をするということは、結局、事業者にとっても意味がないことになるのではないかというふうに考える次第でございます。

浦野委員 今答弁にもありましたけれども、でも、少なくとも、事業者みずからや自治体が一定の判断ができるように、免許の基準とか申請時の提出書類とかを、どのようなものになるのかというのは、やはりある程度明らかにすべきじゃないかなと思うんですね。

 例えば、事業者が属する国によっては、情報管理のあり方が全然違いますよね。日本のカジノ管理委員会がそういった国の事業者に対して十分な調査ができないということも想定されるわけですね。そういった場合、どのように対応するのかとか。

 例えば、ネバダ州なんかは、世界一審査が厳しい。そのネバダ州で例えばライセンスを持っている、取得しているカジノオペレーターであれば、日本でも基本的には問題ないとか。そういうことであれば、例えば、事業者としては、では、ネバダ州の世界一厳しい審査を通るぐらいのレベルのものをちゃんとやっておけば大丈夫なんじゃないかとか、一定の水準にはなりますよね。

 日本への進出を目指しているカジノオペレーターは、別にネバダ州のライセンスを持っているところばかりじゃありませんので、ネバダ州と同程度の厳しい審査をするということであったら、ネバダ州で事業をしていないカジノオペレーターに対しても、日本でカジノ免許を取得しようとするなら、少なくともネバダ州での審査が通過するレベルの廉潔性等を備えておく必要がある、そういうある程度の水準のメッセージを明確に発していくということは意味があると思いますけれども、いかがですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 外国の中には、まさしく今、浦野委員が御指摘になられたように、ネバダ州でカジノ事業ライセンスを持っている事業者は、たしかフィリピンだったと思いますけれども、フィリピンではカジノ事業を行うことができるというルールをつくっている国もあります。

 今回の法案の中では、日本でつくりますカジノ管理委員会が、当然、背面調査をすることになるわけですけれども、現在ネバダ州当局ですとかあるいはシンガポールの当局が行っている調査なども参考にしながら、まさしくネバダ当局などの外国執行当局と同水準の厳格な調査を日本のカジノ管理委員会みずからが行うということが前提となった仕組みになっております。

 一方、浦野委員御指摘のように、海外の調査をする場合もございますので、民間事業者による、調査事務の委託ができるようにしていたり、外国の規制当局でも、彼らから見て海外の申請者を調査する際にそういう民間調査会社を使うということもございます。

 また、当局間の情報交換なども非常に重要でございますので、この法案の中には、カジノ管理委員会が外国の規制当局とそういう行政上の約束をつくって情報交換などができるような権限も与えております。

 それから、最後に、審査基準のことでございますけれども、これはもちろん独立行政委員会でございますけれども、行政が今後行う行政処分でございますので、行政手続法に基づきまして、カジノ管理委員会における調査の考慮事項ですとかあるいは観点などを記載した審査基準などを作成し、公表することが必要になるというふうに整理しているところでございます。

浦野委員 次に、先日の質疑でもちょっと触れましたけれども、ゲーミング面積の件です。きょうはさらに、政令で定める面積を超えないことというふうになっていますよね。その中で、例えば、法案の第二条第一項第一号から第六号で規定される施設全ての床面積の合計ということになっているんですけれども、第六号の施設として設置される駐車場も算定面積に含まれるという理解になるのか。ここら辺のところがちょっとあやふやなんですけれども、いかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で、政令で定める面積につきましては、まさしく今後政令で定めていくということでございますので、今、浦野委員から御質問のございました極めて個別具体的なことについて、今ここで明快にお答えすることが難しいということは御理解賜りたいと思いますけれども、少なくても、分母には必ずIR施設全体の延べ床面積が使われるということは考えてございまして、この延べ床面積は、建築基準法で定義づけられる概念を使って計算することになると思います。

 また、今お尋ねの駐車場の例ですけれども、これは、法案の第二条一項は、IR施設の一号施設から六号施設までの法律上の定義をつけております。これらが一体となって公益に資する事業をするというのが特定複合観光施設になりますので、その駐車場が設置されている趣旨が六号施設としての趣旨にどこまで合致しているのかとか、その配置状況ですとか、大きさですとか、あるいはそこの運営をする事業者がどうなっているのかとか、そういう個別具体的な状況を見ながら、将来、カジノ管理委員会が判断をしていかなければならない事項になるのかというふうに考えているところでございます。

浦野委員 よろしくお願いします。

 ちょっと、もう時間がなくなってきましたので、次の質問に移ります。

 次に、中核施設の設置要件、基準についてですけれども、政令で具体的にどのような数値基準が定められるのかというのが思っているところなんですけれども、説明によれば、我が国を代表する規模の展示場と一定規模以上の会議場、もう一つ、我が国を代表するような会議場と一定規模の国際会議場というようなことを言っています。

 具体的には、例えば、会議施設であれば、東京国際フォーラム、パシフィコ横浜の五千人という基準、収容人数、展示施設であれば、東京ビッグサイトや幕張メッセなどの七万平米というような面積基準、これが今のところ国を代表する一番大きな基準ですけれども、この一定規模というのはどのような数値を考えているのかということですね。政府からは、バランスがとれている総合的なMICE施設があるとも聞いていますけれども、その場合はどの程度の数値基準になるのかもお聞かせください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 まさしくこれから政令を定めていかなければならないことですので、今ここで確たることを御答弁申し上げることはできないんですけれども、先ほど、前の質疑で石井国務大臣からもありましたように、今後こういう政令を定めるには、パブリックコメントなどもして、さまざまな意見を聞きながら定めてまいります。

 しかし、お尋ねの展示、会議施設につきましては、これは我が国を代表することとなる規模ということが必要条件だと思っておりますし、また、整備計画全体の認定基準としては、国際競争力の高い、魅力あるIRでなければ区域整備計画が認定されないということもございますので、こういう仕組みを踏まえまして、今後適切に考えてまいりたいというふうに考えております。

浦野委員 最後になりますけれども、地域によっては、近接地域に、近隣にMICE施設があるような場合もあります。新たにMICE施設を整備すると設備が過剰になるということも想定されます。必ずしもそういった場合は合理的じゃないというふうに思いますけれども、設置基準をクリアするかどうかの考え方は非常に重要なことですので、基本的なことを確認したいんです。

 隣接する既存のMICE施設について、例えば、IR区域内に取り込んだ上で基準をクリアするということは可能なのか、それとも、既に整備されている施設は一切認められずに、新たに整備する施設のみが対象になるのかということを確認したいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 区域整備計画の中で、既存施設を活用することは必ずしも排除されているものではございませんけれども、カジノ施設以外の施設については全て既存施設の活用にとどまって、事実上カジノ施設単体の整備と変わらないような計画については、これは国交大臣が認定することは適当ではないというふうに考えている次第でございます。

浦野委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 特定複合観光施設区域整備法案、IR整備法案について質問させていただきますが、冒頭、委員長にお願いを申し上げたいと思います。

 この法案は、非常に大法律といいますか大法案でして、本則で二百五十一条、附則で十六条、要綱に目を通すだけでも百五ページあるんですね。ですから、ぜひ、しっかり時間をとっていただいて慎重な審議をさせていただき、きょうは私どもも御配慮をいただいて三十分という時間をいただいておりますが、このように少数会派にも質疑をする時間をしっかりとっていただき、さらには地方公聴会など、パブリックコメントも寄せられているこの法案への国民の関心もしっかりとつなげていけるように、そのお時間をぜひつくっていただけるようお願いいたします。

 さて、IR整備法案の概要を見ますと、これは法案の目的でもありますが、適切な国の監視及び管理のもとで運営される健全なカジノ事業の収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かした特定複合観光施設区域の整備を推進するとあります。健全なカジノ事業の収益を活用してということがありますので、やはりカジノIR法案であるという呼び方がつくのは、これはもう仕方のないことではないかなというふうに思います。

 さて、では、外国からの観光客を誘致するということで、まず少しだけお話を述べさせていただきたいと思います。

 石井大臣もきょうはかりゆしをお召しでいらっしゃいます。非常によくお似合いでございますが、きょうは六月一日、かりゆしの日ということで、衆議院の本会議場でもかりゆしを着用して入場することができるということになってから、きょうもかりゆしを着ていらっしゃる議員の方々がいらっしゃいました。

 かりゆしをふだんから着られるということは、観光で沖縄に来られた方々が沖縄に着くと、もちろん気温も、もわっとするような暑さではあるんですが、その中で快適に過ごすという観点から考えると、かりゆしを着て日ごろの生活をする、仕事にしろプライベートにしろ、かりゆしを着て過ごすことができるというのは、ここから沖縄らしさの満喫が始まっていくのではないかと私たちは思っています。

 なぜなら、私も週末に沖縄に帰って、飛行機のドアがあき、ボーディングブリッジにおりると、もう空気がもわっと来るのを感じまして、背中からすぐ汗をかくような気がいたします。そういう地域で快適に過ごすのが衣食住の工夫であり、外国から観光客が来られたとき、例えばアジアから沖縄に来た方々であっても、アジアではなかなか見かけない生活慣習などに触れると、やはり外国に来たなということを感じていただけると思います。

 ここで少し数字の話をしておきたいんですが、先日の参考人質疑でも用いた数字です。

 二〇一七年、沖縄を訪れた観光客は、前年比九・一%増の九百三十九万六千二百人でした。これは、ハワイの二〇一七年の九百三十八万二千九百八十六人を上回っております。

 しかし、観光客数は沖縄が上回ったものの、滞在日数は、沖縄が三・七八日に対して、ハワイは八・九五日。長期滞在してハワイを満喫するという方々が多いということは、先日お話ししたとおりです。

 さらに、やはり滞在日数が多いということは、それだけ地元の経済にも寄与するということが出ておりまして、沖縄が、消費額が七万五千二百九十七円に対して、ハワイは、日本円にすると約二・六倍の十九万六千六百六十九円として、依然として大きな差があります。

 しかし、沖縄の二〇一七年の入域観光客数は、五年連続で過去最高を更新し、一九七二年、復帰当時の約二十一倍に達しています。

 ですが、これだけ観光客がふえるということは、インフラ整備にもなお多額の費用を投じなければならないというジレンマはあります。現在、観光客の増加に伴い、主な観光客の皆さんの移動手段はレンタカーが中心となり、県の調査によると、夏場のピーク時は、観光客の約八割がレンタカーを利用しておりまして、そのため、深刻な交通渋滞や交通事故も多発しているということで、ただふえればうれしいのかというと、そこにはまた問題があるということがあります。

 もう一つお話しさせてください。

 国際観光振興機構が調査した数字ですが、二〇一七年、訪日外客数、日本に訪れた外国人観光客の数は、二〇一六年、前年比の一九・三%増、二千八百六十九万一千人です。これは、一九六四年の統計を調査して以来、過去最高だということです。

 中でも、アジア圏ですね。韓国が七百十四万人、中国が七百三十五万人、さらに、台湾、香港を足したアジア四つの市場ですと、前年比の二一・九%で、二千百二十九万人です。これは、外国からの訪日観光客数の七〇%以上がこの韓国、中国、台湾、香港からいらっしゃるということです。

 ですから、日本も、やはりこうやって非常に順調な伸びを示しているわけですね。それを考えると、さあ、今般議論をしておりますいわゆるカジノを取り入れたIRの計画についても、この順調な伸びを示しているという数字は、恐らく、日本らしさを十分満喫していただいているということにもつながるのではないかと思うんです。では、このカジノを含むIRを日本につくった、そこでさまざまな創意工夫を凝らしていくということについて、その是非論も含めて、さまざまな国民の声、意見を聞く必要があるであろうというふうに思います。

 平成二十九年十二月、特定複合観光施設区域整備推進会議が取りまとめた「「観光先進国」の実現に向けて」に関する意見募集、パブリックコメントの結果が発表されておりますが、パブリックコメント及び説明・公聴会においては、一千二百三十四人の方々から七千四十九件の意見をいただいています。

 この個別の意見に関しましては、ホームページから、提出意見の種類を三百五十四件に分類して、その回答が掲載されています。三百五十四件ですから、さまざまな意見、多岐にわたっております。お一人一件だけの声もあれば、二百件、三百件、八百件というたくさんの声もあります。

 その中で少し簡単に紹介すると、公共政策としてのIRに関しては、カジノの存在を前提とせず、既存の観光資源を生かした観光振興を図るべき、あるいは、IR導入による経済効果は期待できないなどの意見、さらには、IR制度・カジノ規制の基本的な仕組みについては、高い収益性の確保と世界最高水準の規制の導入の観点から、これらは両立し得ず、高い収益性を確保しようとすれば、世界最高水準の規制を徹底できないなどの意見、さまざまな意見が寄せられています。

 ですから、冒頭、私は委員長にお願いをしましたとおり、この法案の審議に関しては、やはり徹底的に時間をかけて、たくさんの国民のさまざまな声を拾っていく丹念な法案審議が必要であろうと思います。

 では、質問に入らせていただきます。

 当初、私が紹介をさせていただきました目的の中に、健全なカジノ事業の収益を活用して地域の創意工夫及び民間の活力を生かしていくということになっております。そして、地域の経済振興の寄与と財政の改善に資することを目的とするということが書かれています。

 地域経済の振興の寄与、これは使いなれた言葉です。そして、それに続く、財政の改善に資すること、これも耳なれた言葉ですが、この目的の財政の改善に資するとは、具体的に、どこに対して、どのような内容で、どの程度、財政的金額等の規模、あるいは財政的な効果を予測するものとしておりますでしょうか。これは大臣にお答えいただけますか。

石井国務大臣 本法案におきましては、IR区域の整備を推進し、我が国におきまして国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現することで、観光や地域経済の振興につながり、関連する税収入が増加することによりまして、国、地方の財政の改善につながるものと考えております。

 この場合の地方は、IRの設置される地方はもちろんですけれども、IRから全国各地、魅力ある観光地に送客機能ということを設けておりまして、その地域においてもそれぞれの地域においても滞在型観光をやっていただくということですから、さまざまな地方に裨益をするものだというふうに考えております。

 また、カジノ事業の粗収益に対する納付金が国及び認定都道府県等に納付されるとともに、認定都道府県等は、区域整備計画に記載をし、認定を受ければ、関係地方公共団体等に納付金を交付することができることから、財政の改善につながるものと考えております。

 なお、その具体的な金額や財政的効果につきましては、現段階では、IRがどこに設置をされるのか、また、具体的にどういう施設、どういう規模の、どういう内容の施設が設置されるのかが不明でございますので、定量的に試算をするのは困難でございます。

玉城委員 具体的な、やはり数字で見る財政に寄与する規模そのものが地方にとっても魅力的であれば、それをやはり政府の方で積極的に調査をし、明らかにしていく、そのための準備も必要であろうというふうに思うわけですね。

 では、続いてお伺いいたします。

 国際会議施設、展示施設、我が国の伝統、文化、芸術等を生かした公演等の観光魅力増進施設、旅客機能施設、先ほど大臣がおっしゃった、いろいろな地域に運んでいくであろうというのがこの旅客機能施設であるというふうに思料いたします。そして、宿泊等の一群施設、そのほか観光客の来訪、滞在の促進に寄与する施設を含むというこの特定複合観光施設は、言うなれば、巨大な合体型、複合型のIRボディーに、それを進めるためのエンジンとなる合法化カジノという強力なエンジンを積ませて、その力、カジノの収益をもって全体を動かそうというものであるというふうに思います。それらを一体として民間事業者に設置、運営させようというのが、この法案の一番のコアの部分であると思います。

 参考人に伺います。

 IR面積の全体の三%とするというように政令で定めるとしていますが、三%面積規模のカジノの収益で、単体では不採算等で事業に、来すおそれのあるこの合体型、複合型IRボディー、それぞれ別々の施設ですね、そのIRボディーの一部分が動かせるとする収益規模、それがどちらの地域のカジノを含むIRの施設とどのような比較や対比などの検討を行って出されているものでしょうか。紹介してください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の政令で定める面積の中身を決める際、今まさしく委員御指摘のとおり、IR施設の延べ床面積の三%にするということを検討しているわけでございますけれども、これの参考にさせていただいたのは、日本と同様に厳格なカジノ事業規制のもとで公共政策としてカジノを含むIRを整備しておりますシンガポールでございます。

 そのシンガポールで見ますと、IR導入前後の五年間で、二〇〇九年と二〇一四年の比較でございますけれども、外国人旅行客数が五六%増加している、それから外国人旅行消費額が八六%増加している、国際会議開催件数が二三%、それぞれ増加しているという経済効果、地域振興効果を生み出してございますので、まさしく今委員御指摘のように、三%の部分を占めるエンジンで残りの九七%の部分のボディーを動かし、かつ公共政策上の目的を果たしていっている事例がシンガポールにあるかというふうに考えている次第でございます。

玉城委員 私、冒頭で紹介をさせていただきました来日外客数は、JNTOが一九六四年に統計をとってから過去最多、更にこの数は伸びていくというふうに思われます。これは、別にIRもカジノも利用しているわけじゃないんですね。しかし、伸びを見せているというこの数字はしっかりと把握するべきで、これだけ日本に魅力があって、しかも、近い外国の方々、アジアが、七〇%の方々が日本に来ているということは、非常に親和性が高いということだと思います。

 アジアの安全保障はまさに観光が担っていると思っても過言ではないと思うんですね。そこで人と触れ合い、おいしいものを食べ、あるいは風光明媚な景色に触れる。これは北海道であれ、例えば信州であれ沖縄であれ、その地域独特のたたずまいや人々の人情に触れ合うわけです。これが日本の観光の魅力だと私は思うわけですね。

 しかし、今般、カジノを含むIR法案の審議をするということにあっては、それがカジノありき、あるいはカジノIRありきの議論にならないようにしっかりと点検もしながら質疑を重ねていくことが必要ではないかというふうに思います。

 では、次に、質問させていただきます。

 このIRを所管する国土交通大臣が区域認定のための基本方針を策定し、都道府県、指定都市は、基本方針にのっとって、整備しようとする区域の位置、規模、構成する施設の種類、設置、運営に関する事項及びそれを行う民間事業者の選定に関する事項等の実施方針を策定いたします。そしてその後、公募によって民間事業者を選定すると規定しておりまして、当該事業者と、公募で選ばれた事業者ですね、当該事業者と共同で区域整備計画を策定し、国土交通大臣が提案を審査、評価した後、推進本部の意見聴取などを経て区域整備計画を認定するという、非常に多層的な形での取組を進めていこうという法案になっております。

 では、これは大臣にお伺いいたしましょう。民間事業者を選定する際の事業計画の提案、いわゆるプロポーザルですね、提案を受ける場合に、留意する内容はどのようなものだと考えていらっしゃいますか。

石井国務大臣 区域整備計画の認定に当たりましては、当該区域整備計画に記載をされましたIR事業の事業基本計画が、まず、IR事業が一つのIR事業者により一体的かつ継続的に行われると認められるものであること、また、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な措置を講ずると認められるものであること、さらに、IR事業が円滑かつ確実に行われると見込まれること等の基準を満たす必要がございます。

 したがいまして、都道府県等が民間事業者から事業基本計画の提案を受ける際には、当該計画が今申し上げたような基準を満たすものであるよう留意することとなるわけでございます。

玉城委員 IR関連の、インターネットでのさまざまな業界の動きを見てみますと、これはカジノIRジャパンという、その業界でさまざまな情報を収集し、それを発信しているホームページがあるわけなんですが、非常に、二〇一五年以降ずっと、国会でどのように法律の整備が進んできて、それがどのような形でまた審議が進められてきているのかということがつぶさに書かれております。

 民間事業者にしましたら、やはり参入する企業も、それに参画しようという意欲のある投資家も、さまざまな形での取組を進めようというふうに、もう動いているのかなということが容易に見てとれます。

 では、事業計画案を提示して公募で選定された、選ばれた当該事業者ですね、この当該事業者と区域整備計画を策定するということにしている理由を参考人にお伺いしたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法案の中では、区域整備計画は都道府県又は政令指定都市がIR事業者と共同して作成することとしております。

 これは、共同してつくる区域整備計画のうち、IR事業に関する事業基本計画の部分は、民間の創意工夫を生かすという観点から、民間事業者でありますIR事業者が作成する案に基づいて作成するということを想定しておりますし、また、この事業基本計画とあわせて一緒に、IR区域の整備の推進に関する施策ですとか、あるいは有害影響の排除を適切に行うために必要な施策、あるいは、最終的には、日本で国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するための施策を都道府県などが取り組むべき施策も含めてつくるということにしてございます。

 そういう意味で、民間事業者と地元の都道府県等の共同作成という形で区域整備計画をつくっていただくこととしております。

玉城委員 当該の、区域整備計画の該当する都道府県あるいは指定都市などとの協議がどのように進められていくか。

 その候補で、手を挙げたい場所はいっぱいあるかもしれませんが、しかし、そこでどのような影響を及ぼすのかというのは、この整備計画の段階でさまざまな話合いが行われると思いますが、複合型、合体型のIRの個別の単体施設、例えば国際会議施設や展示施設等において、ここも収益性を上げたいねというふうに、さまざまな効果、自乗、三乗の効果を上げようということが、当該の地域、都道府県あるいは指定都市ではその方向性も非常に大きいのではないかと思います。

 その国際会議施設や展示施設などにおいて収益性を求めるために、では、機能、性能、外装、内装、集客性などを高めるなどの設備投資計画を行った場合、政令で定めるとするカジノ行為区画の面積部分及び上限値等に問題が生じるのではないか。つまり、施設によりお金がかかればかかるほど、カジノの収益に対する期待を膨らませていくのではないかというふうに思うわけですね。

 済みません。確認の意味で参考人にお伺いいたします。公募で選ばれた当該事業者との区域整備計画をつくる協議の段階において、カジノ収益を上げていくために面積規定などを指摘されるなどということは想定されていますでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 カジノ面積の規制につきましては、あらかじめ政令及びカジノ管理委員会規則で規制の対象になる面積の定義などが決められますので、都道府県等と民間事業者が共同して区域整備計画を作成する段階で政令などで規定された上限面積を変えるよう要望いただくというよりは、むしろ、政令で規定された上限面積を含め、その他の法令上求められていることをみんな守っていただいて区域整備計画をつくっていただくということだと思っております。

玉城委員 そのような、やはり具体的な取組の、何というんでしょう、オープンにその議論が行われているということも含めて、国民の関心はいろいろなところにつながるのではないかと思います。

 そして、ちょっと気の早い話なんですが、開業した後、今度は事業者からの収益性の懸念などが指摘されて、あるいはそれらの改善のための要望等によって、政令で規定する面積等の条件が変更を求められることなどは想定されていますでしょうか。これは大臣にお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 IR整備法案では、カジノ施設の規模につきまして、カジノ行為区画のうち専らカジノ行為の用に供される部分の床面積の合計が政令で定める面積を超えないこととしております。この政令につきましては、カジノ事業の健全な運営を図る見地から定めることとされているものでございます。

 なお、IR整備法案の附則では、最初の区域整備計画の認定の日から五年を経過した場合において、法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされておりますが、カジノ施設の規模の政令で定める面積を変えるということに、そういう要請を受けた場合には、これはやはりカジノ事業の健全な運営を図る見地からの検討が必要になるというわけでございます。

玉城委員 ですから、さまざまな事業を成り立たせていくための要求は、当然これは事業者側から求められてくる。そうすると、ある程度、こういう数字に基づいてこのぐらいの規模をつくり、カジノをこのぐらい整備しようということがあらかじめ決まっていたにもかかわらず、それではほかの施設の収益性が上がらない、勢い、やはりカジノに頼らざるを得ないということになってくると、これはもうもとのもくあみで、最初から、では、カジノに絞って議論しなければならなかったという反省に立ち返らなければいけないのではないかということも今の段階で予測されるということを一つ置いておきたいと思います。

 さて、諸外国のカジノ事業においては、顧客をカジノに誘引するための手段として、顧客のカジノの利用に応じて、コンプと呼ばれる多種多様な物品やサービス等を提供することが一般的な商習慣とされています。本法案でも、カジノ行為関連景品類として、カジノ事業者その他の事業者がカジノ行為に付随して相手方に提供する物品、金銭、役務その他の経済的利益などを規定しています。

 日本型IRでも、カジノや他の娯楽施設で利用できるポイントを付与する、あるいは、獲得したポイントが一定以上に達した場合には特別なステータスを付与し、それに応じたホテルなどでの割引、予約、送迎等の優先サービスなどを行うなど、企画内容によって多種多様な関連景品が提供される日本型コンプによって誘引作用が高められると思います。誘引作用というのは、つまり、カジノに通う、そこでお金を使うということですね。

 IRへの興味誘引作用が高められる反面、さまざまなイベントを行えば、当然、その他の施設での遊興も期待される反面、それらの多面的な広告等による社会的な影響、例えば、ギャンブル等依存症対策、問題ギャンブリング等潜在的常習者への直接的、間接的な影響や、未成年のカジノやギャンブルゲームなどに対する興味、志向を強めてしまうなどの懸念がないとは言えません。

 今でさえ、ゲーム世代の子供たちはさまざまなゲームソフトを持っています。そこが、カジノが公益、つまり、公にカジノが、大人の皆さんはカジノで遊んでいる、楽しんでいるというその行為そのものが、子供たちにとってカジノへの潜在的な魅力につながってしまうのではないかということも私たちは懸念しなければならないと思います。

 合法カジノであろうと社会に対する影響力が少なくないことについて、どのような規制が可能と規定されていますでしょうか。参考人にお伺いします。

中川政府参考人 コンプ規制と広告・勧誘規制についてのお尋ねがございました。御答弁申し上げます。

 いわゆるコンプにつきましては、カジノ事業者だけでなくその他の事業者につきましても、コンプを提供するに当たりまして、その内容ですとか経済的価値又は提供方法が善良の風俗を害するおそれのあるものとしてカジノ管理委員会規則で定める基準に該当することのないようにすべきことが義務づけられております。

 また、カジノ事業者に対しましては、コンプを提供し、又はチップと交換したときには、その日時ですとか顧客の氏名、コンプの内容などについて記録を作成し、保存を義務づけるという規制をかけております。

 また一方、広告、勧誘につきましては、虚偽又は誇大な表示、説明などの禁止、それから広告物の表示場所やビラ等頒布の場所、対象の制限、それから二十歳未満の者に対する勧誘等の禁止などをしております。

 私が今申し上げている広告、勧誘といいますのは、カジノ事業又はカジノ施設の広告、勧誘に関してでございます。

 また、広告、勧誘をするときには、二十歳未満の者に対する影響やカジノ施設の利用とカジノ行為に対する依存との関係に配慮をするとともに、広告又は勧誘が過度にわたることのないよう努めることを義務づけるとともに、カジノ管理委員会は、この趣旨に照らして必要があるときには、広告、勧誘をする者が従うべき広告勧誘指針を示すことができるという規定を設けているところでございます。

玉城委員 では、最後にあと一問質問させてください。

 公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会がいろいろな調査をして数字を挙げた、ギャンブル等の理由で起こった事件簿、二〇一七年二月までまとめた、一九八〇年から二〇一七年まで、ギャンブルなどの理由で起こった事件が合計で四百八十五件というふうに、その調査の記録があります。

 公営賭博も民営遊技も庶民の娯楽として国民に定着しているという意見もある一方で、公営賭博、民営による遊技から引き起こされている社会問題も深刻化しているというのが残念ながら我が国の現状です。

 政府、自治体、民間事業者及びこのカジノやIR事業などと連携する民間事業者及び直接間接的に利害が発生する関係者などの連携による調査、防止、対策を本法案でどのように規定するのか、最後に大臣にお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 IR整備法案では、事業者に対しましては、カジノ行為に対する依存の防止を図る観点から、日本人等を対象とした一律の入場回数制限や入場料の賦課、依存防止規程に基づく本人、家族の申出等による利用制限措置や相談窓口の設置といった利用者の個別の事情に即した措置といった重層的、多段階的な対策を講ずるほか、犯罪防止の観点から、暴力団員等のカジノ施設への入場の禁止、犯罪収益移転防止法に基づく措置に上乗せをしたマネーロンダリング防止のための措置、青少年の健全育成の観点から、二十歳未満の者のカジノ施設への入場の禁止といった、さまざまな懸念に対する万全の措置を講ずることとされております。

 また、都道府県又は政令指定都市に対しましては、都道府県公安委員会等とも協議の上、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除に必要な施策及び措置を区域整備計画に明確に位置づけなければならないこととしております。

 区域整備計画の作成に当たりましては、住民の意見を反映させる措置を講じるなど、カジノ周辺の有害な影響の対策についても地域での十分な合意形成を図ることとしております。

 さらに、区域整備計画の認定に当たりましては、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置が実施されると認められるものであることという認定基準を定めておりまして、国土交通大臣が、関係行政機関等とも協議をしつつ、適切に判断することとしておるところであります。

玉城委員 質問を終わります。

 ニフェーデービタン。ありがとうございました。

山際委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山際委員長 速記を起こしてください。

 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大隈和英君。

大隈委員 自由民主党の大隈和英でございます。

 本日は、御多忙の安倍総理をお迎えしましてIRの法案質疑、一番目ということで、大変光栄なことでございます。委員、理事各位の皆様には心より御礼を申し上げます。

 時間が十五分と限られておりますので、早速始めさせていただきます。

 ここまで各委員の活発な御議論あるいは参考人の御意見を拝聴させていただきまして、議論は焦点が絞れてきたかな、あるいは随分と煮詰まってきたところもあるかなと、異論もあろうかと思いますが。その中で、先生方にもぜひ聞いていただきたいのは、好調な成長分野として伸びてきている観光、この観光分野のさらなるブースターとして、MICE施設を始めとしたIRの有用性、プラスの面、これに関しては異論なく皆さんは見ていただいていると思います。

 そして、きょうは総理をお迎えしたということもありまして、ここで原点に戻りまして確認したいのは、今なぜIRなのか、総理から、その目指すところをいま一度御披露いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 カジノ施設を含む日本型IRは、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と、収益面での原動力となるカジノ施設とが一体的に運営され、これまでないような国際的な会議ビジネス等を展開し、新たなビジネスの起爆剤となり、また、世界に向けて日本の魅力を発信する、まさに総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれるものとされ、我が国を観光先進国に引き上げる原動力となります。

 今後、政府は、成長戦略の一つとして魅力ある日本型IRを実現するために、依存症対策などの課題に万全の対策を講じながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと考えております。

大隈委員 ありがたいことに、現在、オール・ジャパンで、私の地元であります大阪府、大阪での国際博覧会、万博招致を進めていただいております。ことしの十一月にはBIEの総会で開催国が決定するわけですが、なかなか大激戦でございます。その中で、IRが、世界じゅうから多くのゲスト、観光客が来たくなるような、アピールの一つの魅力になればなというふうに願っているわけです。

 法案が可決する前に早計ですが、大阪では、来年には、G20、世界の首脳が集まりました首脳会議、あるいはラグビーのワールドカップも開催されますし、東京のオリパラでは一部競技も大阪で開催されることが決まっております。

 地元の準備や認可のプロセスを考えましたら、拙速は十分に戒めていかなければなりませんが、相当な時間が必要だというふうなことを考えますと、IR全体の計画の中で、全ての完成を待たずに、例えばMICE施設であるとかあるいはカジノであるとか、部分開業というようなケースが想定し得るのかどうか、現時点での工程表とスケジュールをお示しいただきながらお教えいただければと思います。よろしくお願いいたします。

石井国務大臣 今般のIR制度は、世界じゅうから多くの外国人観光客を引きつけるような魅力あるIR施設の整備を図るに当たり、IR施設の設置、運営を行う事業全体を収益面で支えるためにカジノ施設の収益を活用することとしております。

 このような制度の趣旨を踏まえまして、IR施設全体、特に、比較的採算性が低いと考えられます国際会議場施設や展示場等の確実な整備を担保するためにも、カジノ施設の営業を先行して開始してはならないこととしております。

 一方で、宿泊施設やMICE施設等、カジノ施設以外の施設につきましては、IR施設全体の開業に先立ちまして、先行して開業することは差し支えはございません。

 以上を踏まえまして、IR施設の具体的な整備、開業時期につきましては、都道府県等とIR事業者が共同して作成をし、国土交通大臣が認定をする区域整備計画において定められることになるわけでございます。

大隈委員 ありがとうございました。

 今、委員会でも質疑が集中していますのはやはりカジノについてであり、見解の相違や誤解がまだあるようですが、まず、大規模なIRの建設や維持管理のコストあるいはアクセスのインフラ整備にしても、IRに参入する民間資金を活用する、また、カジノ事業者には、カジノ行為の粗利、粗収益、GGRといいますが、その一五%を国庫に、一五%を認定都道府県に納付することになっております。

 これは地方にとっては相当大きな額だと想像できますが、さきのギャンブル依存症対策の野党の先生方の法案では、業者が必要な対策費を負担するのはどうだという御意見がありましたが、いわば間接的にGGRの三〇%の中から問題対策を始めさまざまな面に活用できるわけです。

 そう考えますと、この点は評価すべきと考えますが、この割合は諸外国と比べまして多いのか少ないのか、私も少し調べて資料をつけさせていただきましたが、あるいは将来的にこの上下の変動というものが可能なのかどうか、大臣に教えていただきたいと思います。

石井国務大臣 納付金のカジノ行為粗収益に対する比例部分につきましては、IR推進会議におきまして、諸外国との実効負担の比較及びIRを取り巻く競争環境を踏まえ、その水準を定めるべきとされたことを受けまして、我が国同様免許数を制限している諸外国についてライセンス料等の定額負担、法人税及び地方税も含めた実効負担率を比較検討いたしまして、我が国におきましては三〇%と定めたものでありまして、適切な水準であると考えております。

 また、納付金だけでなく、IR事業実施のための内部への還元も事業者に課せられた重要な役割でありまして、これを充実させることも含めて、トータルで適正な負担というものを捉えていく必要があると考えております。

大隈委員 私も若いころ病院で働いておりました。医療の側の観点からいいますと、ギャンブル依存の対策の法案のときにも参考人に西村先生に来ていただきましたが、ギャンブル依存症という言葉が少し問題というふうに私自身考えておりまして、本来、世界的に見ても、経済的又は精神的に、ギャンブルを通じた問題行為、例えば経済活動において自分のお金がうまく管理できないとか、熱くなって一つのことに入れ込んでしまうとか、いろいろそういうことはあろうかと思いますが、その問題行為を、プロブレムギャンブリングという概念を打ち立てております。それが世界的になっておりますが、その対策をやはり今後も丁寧にやっていくことが必要である、そのことについては委員の先生方も御異論はなかろうかというふうに思っております。

 ただ、問題行動というのは、カジノに限らず、あらゆるギャンブルやゲーム、最近ではスマートフォンの課金ゲームということも随分と問題になっておりますが、全ての遊興で起こり得るわけですよね。あるいは、余りよろしくないですけれども、男女問わず、好きになってしまった方にお金を随分入れ込んでしまうとか、そういう問題行為がやはり出てくるわけです。

 カジノの問題を殊さらに声高に叫ぶことは、かえってパチンコやそのほかの遊興の危険への注意を薄めてしまったり、あるいは隠してしまったり、そんなことになりはしないか、少し危惧しております。

 カジノは、主眼として、海外からの観光客に来ていただいて、あくまで娯楽の一つとして選択肢をふやしていく、そういうことを私は願っておりますが、サッカーくじのときにも、今、共産党の先生からも御意見をいただきましたが、同様な議論の中で、随分共産党の反対もあったと思います。多くの反対もありながら、今、サッカーくじは、開始以来、私もサッカーは大好きなんですが、十七、八年たちまして、八百長一つありませんし、スポーツ振興、強化費の大きな財源として、スポーツのさまざまな感動のドラマの源になっているわけなんですよね。負の側面だけを全てだとして、成長の芽を摘んでしまうことはいかがなものかというふうに私は考えております。

 今、阿部先生、私の医師としての大先輩になるわけですが、阿部先生は次に質問を控えておられますが、医学の進歩の中で、治療には効果と副作用、有害事象というものがやはりあるわけで、そのバランスを見きわめながら医学というものは進歩してきて、治療法というものは一つ一つ確立してきたんだというふうに考えております。

 オール・オア・ナッシングでは今の治療法など一つも成り立たない、特に私の外科分野においては手術ができなくなってしまうということになるわけですが、政策も同じようにして、そのバランスについて長期的な検証を続けていく、プラスの効果を最大にしながらマイナスの効果を最小限にしていく、継続した努力というものが私は必要ではなかろうかというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたように、カジノ事業者に対する国庫と都道府県等への納付金というものは特に地方においては相当大きなものになるだろうとイメージしていただけたと思いますが、IR全体として、建設から開業後の雇用創出や経済効果について、具体的な地域はまだ想定できていないと思いますが、試算のようなものがあれば、ぜひお示しいただきたいと思います。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 現時点におきましては、まだ制度設計の段階でございまして、日本のどこに、どのような事業者によって、どのような施設に基づく、どのようなIR事業がどういう規模で行われるか、わかりませんので、具体的な数値として今御指摘のデータをお示しすることは難しいということは御理解を賜りたいと思います。

大隈委員 ありがとうございます。

 実は、大阪府の方ではいろいろ試算を出していただいておりまして、きょうは資料をおつけしておりませんが、またこれからさまざまな地方からいろいろなアイデア、試算が出てくるものだと思います。

 そこで、よく御批判がありますのは、やはり経済最優先で、ギャンブルを更に普及させたり、あるいは人の不幸を踏み台にするのか、そういうような御意見がやはりあろうかと思います。

 そのような目的ではなくて、今どれだけ地方にインバウンドが訪れて、来てくださるインバウンド、ゲストも地元の住民も、そして私の地元、先ごろ安倍総理も二十周年をお祝いいただきました高槻のジャズフェスティバル、ジャズストリートもたくさんの外国人の方が来てくださいましたが、そういう幸せの好循環が今広がっているのは間違いないと思います。

 ただし、皆さんにお聞きすると、夜遊ぶ、遅くまで遊ぶところが先進国の中では日本はまだ少ないよね、あるいは、もっと多彩な娯楽の選択肢があってもいいんじゃないか、あるいは、国際会議や展示会によって、もっともっと、例えば先端医療などのイノベーションを始めとして世界のマーケットに打って出る、それをまたみんなに見てもらう、発表する、そういう舞台がやはり要るんじゃないか、私はそういうふうに考えております。MICE施設についても、まだまだ充実していかなければなりません。

 きょうは、資料の三番目、四番目、二枚目につけさせていただきましたが、今、そういう点では、国際会議のシェアというものはどんどん、中国を始めとしてアジアの中でも日本は奪われておりますし、例えば日本で一番大きい東京ビッグサイトなんかは、床面積でいいますと、既に世界トップレベルの五分の一から六分の一になっちゃっているんですね。あるいは、私の大阪のインテックス大阪、来年のG20の会場を予定しておりますが、辛うじて世界百位に何とか入ったというところで、これでいいのかということも、委員の皆さん、共通したお考えはあろうかと思います。

 そういう中で、私たちは、世界トップレベルのギャンブル対策を行いながら、常にPDCAサイクルを回してカジノについて検証していく、国交大臣の監督、自治体の監督や地方議会の議決、あるいはカジノ委員会、独立したこの委員会の監督、この三重、四重のチェック機能について、もっと自信を持って評価してもいいんじゃないでしょうか。

 それらの厳しい対策の上で、委員の皆さんの地元で、あるいは未来を描けないような苦しい地方が存在する現実の中で、経済的にも文化的にも地方と世界を結んで交流の大輪の花が咲いていく、そんな夢を、私たちは未来を描きたいというふうに私は考えております。

 我が大阪を始めとして地方へ特に深い思いをお持ちの総理から、重ねて、IRを推進していくことでできる、それを描く未来像を最後にお聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 観光は、我が国の成長戦略の柱であり、地方創生の切り札でもあろうと思っております。

 今、多くの外国人が日本にやってきております。八百万人だった海外からの観光客は二千八百万人を超え、本年はそれを上回っていくだろうと見込まれます。そして、それは、東京とか京都、大阪だけではなくて、地方、さまざまな都市、地域に及んでいるんだろうと思います。

 安倍内閣では、ビザの緩和、免税制度の充実など、精力的に取り組んできたところでありますが、日本型IRは、我が国を観光先進国へと引き上げる原動力となる可能性を有していると思います。

 具体的には、これまでにないスケールとクオリティーを有する総合的なリゾート施設として、世界じゅうから観光客を集め、日本各地の豊かな自然、固有の歴史、文化、伝統、食などの魅力を紹介し、IR区域への来訪客をチケット手配などを通じて全国各地に送り出すことにより、IRが世界と日本の各地をつなぐ交流のハブとなっていくことが期待されます。

 この日本型IRの実現により、地域が活性化するとともに、日本全体の経済成長につながっていく。観光先進国という新たな国づくりのために、政府一丸となって、全力で日本型IRを実現していきたいと考えております。

大隈委員 ありがとうございます。

 大きな可能性を有するこのIRが、付随する……

山際委員長 時間を過ぎていますから、終了してください。

大隈委員 はい。

 このカジノのプラスとマイナスの面を、長期的に検証を怠らずに、大切に育ってほしい、その願いを込めまして、質問を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

山際委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。

 本日は、いわゆる特定複合施設区域整備法案の質疑、総理がお運びであります。

 この法案は、条文が二百五十一条、附則十六条、非常に大部なもので、介護保険以来の、二百五十一条というと介護保険の法案にも相当するものでありまして、十分な審議を野党として要求しております。

 その中で、総理の御都合で本日に定まりましたが、私どもとしては、もう少し論点が整理された後に総理のお考えを伺いたいと思いますので、きょうは、ごく初歩的なことを伺わせていただきます。

 まず一点ですが、あらゆるこの国政の課題の中で、まず、政治は信なくば立たずでありますので、総理の国民についての説明責任についてお伺いをさせていただきます。

 私が先回も、ここに総理がお越しのとき、お尋ねをいたしました、いわゆる加計問題でございます。

 加計問題についての首相説明に納得できないという方が七四%、日経の五月二十七日。毎日新聞では、学園の構想を知ったのが一七年一月だったとする首相の説明は信用できないという方が七〇%。そして、産経新聞、五月二十二日朝刊、加計問題に一定の区切りがついていないとの回答が七六・〇%であります。

 私どもも、いつまでもこれをやりたいとは思っていませんが、政治の土俵、信頼にあります。

 まず、総理は、なぜこれだけの国民が納得できないと思っているのか、そのことについて総理はどう説明責任を果たされるのか、一点目、お願いいたします。

安倍内閣総理大臣 この問題につきましては、プロセスにつきましては、民間有識者の座長である八田座長が、一点の曇りもないということを明確に述べておられます。私からも、柳瀬秘書官からも、何の問合せも、あるいは指示も受けていないという趣旨の話をしておられるわけでございます。また、他にも、前川前次官も含めて、私から指示を受けたりあるいは依頼を受けた人は一人もいないということは明らかになっているわけでございます。

 大切なことはプロセスについてなんだろう、こう思う次第でございますし、また、獣医学部が五十年間できていなかったということは大きな問題であり、まさにその岩盤規制に穴をあけて、ニーズのあるこの獣医学部をつくり、そして競争率は十六倍になっているわけでございまして、まさに獣医師として、あるいは公務員獣医師、あるいは企業で働く獣医師として創薬にもかかわっていきたい、そういう大きなニーズがあるということがむしろ明確になってきているのではないか、このように思います。

 しかし、同時に、私の友人がかかわることでございますから、国民から疑念の目が向けられるのも当然であろう、このように思う次第でございますので、丁寧に説明をしてまいりたい、このように考えております。

阿部委員 前回と全く同じ御答弁なんですね。それを受けて国民が、信頼できない、信じられない、説明責任が果たされていないと言っているんですから。総理は、やはりこの国のトップであります。自分が言ってきたことがなぜ国民に伝わっていないのかについて、真摯にお考えをいただきたいと思います。

 五月十一日、中村知事は、うそというものは、それは発言した人にとどまることなく、第三者、他人を巻き込んでいく、また、毎日新聞編集委員は、うそで日本が溶けていくとおっしゃいました。

 私は、せんだって、加計学園がうその報告をして、そして今治市、県にうその報告を上げた、なかったことをあったこととして言ったということは、教育機関がうそをついた、学生たちはどう思ったかと思います。

 この深刻さを、総理はぜひ、御自身から発したこととして自覚をされるべきです。

 私は、きょう、一つだけ絵本を紹介させていただきます。裸の王様という絵本です。総理、これは総理がお小さいころに読んだと思います。少年がただ一人本当のことを言う、大人はみんなうそを言う。子供にどんな影響を与えるか、お考えをいただきたいし、思い出して読んでいただきたいと思います。

 続いて、質問をさせていただきます。

 いわゆるカジノ解禁に関する国民の評価と納得感についても、これも極めて反対、疑念が多いものであります。朝日新聞、四月十六日朝刊は、カジノ法案を成立させるべきかというので、その必要はない七一%。共同通信社、三月の調査では、カジノ解禁の是非、反対六五・一%。なおさら、神奈川新聞が昨年に行った県内の世論調査では、反対六八、特に女性は七四・二%が反対であります。

 国民の意識がきちんと合意、納得できない政策は、うまくいくわけがありません。総理は、こういう実態、現実に対して、どのように国民に、このカジノつきのMICE、国際観光施設のことをお話しになりますか。総理の言葉でお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 このIRについて言えば、カジノにばかり焦点が当たりがちなことから、さまざまな弊害を心配する声があることは承知をしているところであります。

 カジノの設置については、依存症防止対策、犯罪・治安維持対策、青少年の健全育成対策として厳格な入場規制や広告・勧誘規制など、重層的かつ多段階的な措置を講じているところであります。

 政府としては、IR整備法案の策定に当たり、その制度の大枠について、パブリックコメントや説明会を実施し、国民の意見を丁寧に伺う機会を設けてきたところであります。また、今後、単なるカジノ施設ではない日本型IRのイメージを具体的に共有させていただくための全国キャラバンを実施していく予定であります。

 引き続き、国民の皆様に丁寧に説明を行うとともに、依存症防止対策などに万全を期しながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進していきたいと考えております。

阿部委員 それは当然過ぎるほど当然の政治の姿勢であって、七割以上が懸念を抱くようなことを軽々に前に進めるべきではありません。国民に伝わっていないということであります。

 私どもは、この間も委員長にもいろいろな資料を要求しておりますし、参考人なども、また公聴会なども、地方に出かけて聞くということもお願いをしておりますので、ぜひ、総理にあっても、今のお話のように、国民とともに考えていただきたいと思います。

 ところで、総理、総理御自身は、いわゆるカジノはやられたことがおありでありましょうか。また、総理の収入から見て、どのくらいまでをかけることが健全の枠内だとお思いでしょう。

安倍内閣総理大臣 サラリーマンをしておりましたときにニューヨークに駐在をしていたことがございまして、アトランティックシティーがございまして、出張者がそこに行ってみたいということでございましたので、そこまで私が運転をして、五、六時間、随分時間がかかったわけでございますが、へとへとになりながら行ったことを覚えております。

 当時は、基本的に、自分の給料に比してそれほど多くのお金をかけたわけではございませんし、残念ながら、利益を生むことは全くできなかったわけでございます。

 それからもう随分時がたっておりまして、今、私の歳費の中でどれぐらいかということを問われましても、一概にお答えをすることはできませんが、もし私が行くということになれば、それは、どこかに遊びに行くという範囲内に抑えるということではないのかな、このように思います。

阿部委員 私が今伺ったのは、例えば収入が大体五十万だといたしましょう、そうすると、そのうちどのくらいをかけてよいのか、月ですね。

 これはノルウェー等々の研究がございます。三%と言われております。ノルウェーは、きょうの質疑でも出ましたが、当初はスロットなど民間がやっていたものを国営にして、それこそ世界一厳しい基準、規制基準を設けました。

 今回の我が国のものは、民間がやる。この場合に、規制基準と収益は背反することがあります。緩い規制基準にすれば収益は上がりやすい。かける量を多くすればいいわけですから。あるいはかけるチャンスを多くすればいいわけですから。

 これは、私、本会議で総理に伺いました。収益とそして規制というのは両立するんですか、総理はどっちを重く見ますかと。北欧のようであれば、規制を重く見ました。今総理の出しておられる、この政府の出しておられる法案は、むしろ収益。先ほど総理のおっしゃったお言葉では、新たなビジネスの起爆剤。

 昔、我が国をエコノミックアニマルと呼ぶ諸国がありました。美しい日本ということ、倫理を重んずる総理御自身のお考え、いかにもカジノは合いません。いかがでしょう。

安倍内閣総理大臣 IR整備法案においては、世界最高水準のカジノ規制を導入し、依存症やマネーロンダリング、青少年への影響等、IRについてのさまざまな懸念に万全の対策を講じております。

 また、特定複合観光施設区域の整備に当たっては、このような厳しい規制により、健全に運営されることによって得られるカジノ事業の収益を活用して整備を推進することとしており、カジノ規制とカジノ収益が相反することとなるとは考えてはおりません。

阿部委員 総理、それはやはりおかしいですよ。規制すれば、やはり収益は少なくなります。それから逆に、収益を上げようとする余り、規制が緩くなる。

 私は、正直言うと、連続する七日間で三回の入場って、金、土、日といるんですか、カジノに。三回、多過ぎますよ。これをもって最高の規制なんて到底言えない。二十八日、約一カ月で十回。そんなにはまり込んでいたら、仕事もできない、家庭も顧みない、本当の意味の健全性なんかなくなると思う。それをして最高の規制などと言っていただきたくはない。

 シンガポールと比べても、規制は緩い。総面積規制がないから。三%というパーセンテージ、相対規制ですよ。シンガポールをよく例に出されますが、非常に、入退場、あるいは、その方の資産のどのくらいを使うかということにきちんとしたチェックができている。それのないまま突っ込んでいく今回の法案です。

 そして、最後に、私が一番懸念しますのは、自治体、IR事業者等々の選定プロセスです。

 これは、国家戦略特区で加計がなぜ選定されたかということが、ここまで来てもグレーゾーンです。こういう疑義が生じないように、今回のこのIR推進法にあっては、総理は、加計問題を踏まえてどういう改善点をお考えでしょう。結果を公表するだけでは足りません。プロセス、メモも残されません、誰がどう働きかけたかも残されません、だから疑念が起きるのです。総理、御答弁ください。

安倍内閣総理大臣 IR区域の整備については、都道府県又は政令指定都市が公募により選定したIR事業者と共同で区域整備計画を作成し、国土交通大臣の認定を受けることとしています。

 認定に当たっては、IR整備法の目的に最大限資するよう、全閣僚から構成されるIR推進本部の意見を聞いて、国土交通大臣において認定基準に適合するかどうかを厳正に審査していくこととなります。

 審査は、透明性を確保した上で公平かつ公正に実施することが重要であり、審査プロセスも含めた具体的な審査方法については、今後、国土交通大臣において検討を行うこととしておるところでございます。

 つけ加えさせていただきますと、獣医学部の新たな新設、そして事業者の選定等々につきましては、これはまさに民間議員においてのプロセスにおいて議論がなされ、そしてその議事録は全て公開されているということはつけ加えさせていただきたいと思います。

阿部委員 総理、そうはおっしゃいますが、内閣府の藤原審議官との接触過程すらいまだに出てこないじゃないですか。そして、藤原内閣府審議官が加計学園の岡山から今治に行ったその車両代、供応、食事をおごられたかどうかも出ていないんですよ。そういう一つ一つが総理への不信になっております。

 総理に一つ、きょう、お願いがあります。

 平成二十七年十月二十一日、御夫人の昭恵さんが、加計学園が奄美大島に持つ研修所に行かれています。このときのお食事代、車代、どなたがお払いになったか。二十七年十月二十一日です。昭恵夫人に聞いていただきたい。よろしくお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 このプロセスには私の妻は全くかかわっていないわけでありますし、私人でございますから全くお答えをする必要はない、こう思っております。

 大切なことは、しっかり見るべきところを見なければ実態はわからないわけでありまして、しっかりとプロセスについて見ていただく。つまり……(発言する者あり)今、後ろの方でやじっている方はちゃんとこの議事録も読んだこともないんだろう、私はこのように推察をするわけでございます。しっかりと議事録等を読んでいただく、そして途中のプロセス等もしっかりと見ていただくことが大切なんだろうなと。

 どのように絞り込まれてきたのか。三大臣のいわば了解事項等々を経てオープンに決められてきたんだということは申し上げておきたいと思います。

阿部委員 二十七年の四月二日以降に加計学園から供応があったのではないかという御質疑です、私の質問は。よく総理、お聞きください。

 終わらせていただきます。

山際委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 国民民主党の森田俊和でございます。

 直接質問を総理にさせていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。

 引き続き、IRについての質問をさせていただきたいと思います。

 午前中ですけれども、私どもの会派の階議員の方からも刑法についての質問をさせていただきました。その中で幾度か議論が滞ったような場面がございまして、大丈夫かなというような印象を受けたということもございましたので、改めて確認をさせていただきたいと思っております。

 これまで、公営ギャンブル等を通じて積み重ねてきた議論あるいは背景といったものがあると思っております。この法案の中の第三十九条でございますけれども、ここにあえて刑法を適用しないというような文言が入っている。逆にこれが入っていないとだめなんじゃないかな、そういうことを思うわけでございます。

 そもそも、賭博が社会的に害であるという認識のもと、これをいかに制限するかということで今までこのギャンブルをめぐる議論というものが、法体系というものができてきたんだろうなというふうに思っております。例えば、風紀を乱すであるとか、あるいはいろいろな犯罪の温床になるとかということだと思うんです。

 そこで、総理にお伺いをさせていただきたいと思いますが、本法案におきましてこのIRのカジノには刑法を適用しないということになっておりますけれども、これを特別扱いする理由というのがどこにあるか、お答えをお願いしたいと思います。

石井国務大臣 立法技術的なところがございますので、私の方からまずお答えをさせていただきます。

 IR整備法案は、刑法の賭博に関する法制との整合性を図る上で検討すべき、目的の公益性等の八つの観点に照らして、十分な諸制度を整備しております。したがいまして、IR整備法案は、刑法が賭博を犯罪として規定している趣旨を没却するものではなく、法秩序全体の整合性は確保されていることから、IR整備法案第三十九条前段で、認定設置運営事業者は、カジノ管理委員会の免許を受けたときはカジノ事業を行うことができる旨を規定しております。

 このため、仮に第三十九条後段の規定がなかったといたしましても、IR整備法案に基づくカジノ行為は、基本的には、刑法第三十五条の法令による行為により違法性は阻却をされて、刑法の賭博罪等で罰せられることにはならないものと考えております。

 ただ、この刑法第三十五条の適用につきましては、個々具体的な行為が法令による行為と認められるか否かに関して解釈の余地があり、刑法上の違法性が阻却される範囲について疑義が生じることも考えられます。

 一方で、IR政策を効果的に推進するためには、IR事業及びカジノ事業の安定的な運営に対する国内外の利害関係者や顧客の信頼と予見可能性を確保することが重要であります。

 このため、IR整備法案におきましては、法案の中で直接、IR整備法案第三十九条後段の要件を満たしたカジノ行為は刑法の賭博罪等が適用されないことを明記することといたしまして、IR整備法案により行われるカジノ事業は刑法の賭博罪等に抵触しない合法な事業であることを明確にしたものであります。

 カジノ事業は、公営競技と比べますと、施行主体や事業活動の多様性、複雑性等が必ずしも同じではなく、規制の内容、程度が異なることから、賭博罪等の適用関係を明確にする点で異なる判断があるものと考えております。

安倍内閣総理大臣 ただいま、主な趣旨については大臣から答弁をさせていただきましたが、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却するものではなく、法秩序全体の整合性は確保されていると考えております。

 その上で、IR政策を効果的に推進するためには、IR事業及びカジノ事業の安定的な運営に対する国内外の利害関係者や顧客の信頼と予見可能性を確保することが重要と考えています。

 このため、IR整備法案第三十九条の後段では、その要件を満たしたカジノ行為は賭博罪等が適用されないことを明記し、IR整備法案により行われるカジノ事業は賭博罪等に抵触しない合法な事業であることを明確にしているものであります。

 IR整備法案や公営競技関係法令は、その規制の内容、程度が異なるものであり、それぞれの法律において必要な規定を整備しているものと承知をしております。

森田委員 ありがとうございました。

 お隣韓国では、自国民向けのカジノについては公的機関が五一%以上株を保有するというような仕組みも取り入れているというお話も伺っておりまして、今回、今までの公営ギャンブルと違って民間企業が入ってくるということでございますので、このあたり、国民の皆様の御理解を得るためにはかなり難しい説明が必要になってくるということで、非常に大きな懸念を持っているところでございます。

 続きまして、送客施設につきまして御質問させていただきます。

 私自身は祖母の遺言でギャンブルをやらないんですけれども、そういう人であっても、もしこのIRというものを国内で認めていいだろうということになるのであれば、やはり送客施設、ほかの地域、ほかの観光地にいかにお客様を案内するか、誘導することができるかというあたりが私は肝になってくるというふうに思っております。

 IRのビジネスモデルというのは、囲い込みをして、なるべく長時間滞在をしてもらってお金を落としてもらうというビジネスモデルなわけですけれども、これに逆行する仕組みを取り入れるということでございますので、この送客施設の裏づけをどのようにとっていくのかということでお答えいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 IR区域の整備に当たっては、IRへの来訪客が全国各地を訪れることにより、IR区域の整備による効果を全国各地に波及させることが必要と考えています。

 このため、IR整備法案では、日本型IRの中核施設の一つとして、日本各地の魅力を紹介したり、旅行のチケットを手配するなど、国内観光を促進するための施設を設置し、運営することを義務づけております。

 また、国土交通大臣による区域整備計画の認定に当たっては、IRへの来訪客が全国各地を訪れることを促す内容となっているかどうか審査することとしています。

 さらに、計画の認定後も、計画が適切に実施されているか、あるいは国土交通大臣が毎年度評価を行い、必要に応じて改善を求めるなど、実効性を高めることとしております。

森田委員 ありがとうございます。

 計画をつくるということは、絵を描くというだけだったらできると思いますが、本当に実効性のあるものにできるかどうかというあたりが、私は、この日本版のIRを判断する上では大変大きな判断基準になってくるだろうというふうに思っております。ぜひ、人は置いています、コーナーはつくってありますというアリバイづくりにならないようなこれからの煮詰めをお願いしたいと思っております。

 続きまして、警備体制についてお伺いをさせていただきます。

 去年、ラスベガスで銃撃事件、乱射事件がございまして、大勢の方がお亡くなりになったり、あるいは、けがをされたりということがございました。もちろん、こういうことがすぐ起きるというわけではございませんけれども、いろいろ、今までその地域に関係のなかった、犯罪にかかわるような方々が来る危険性があるということでございまして、今後、このIRを取り巻く警備体制というのは国としてどのように構築していくお考えか、御答弁をお願いします。

安倍内閣総理大臣 IR整備法案では、カジノ施設及びその周辺における犯罪の発生の予防や秩序維持を図る観点から、暴力団員等のカジノ施設への入場を禁止すること、カジノ施設等における監視や警備の実施等の措置を講ずることをカジノ事業者に義務づけることとしています。

 これらの措置を講ずるに当たっては、都道府県警察との犯罪発生時における連絡体制や防犯訓練における協力体制を確保するほか、暴力団員等の排除の際に必要に応じて都道府県警察に照会を行うなど、カジノ事業者が警察と連携することを想定しています。

 また、都道府県等とIR事業者が区域整備計画を作成する際には、犯罪の発生の予防等の観点から、都道府県公安委員会や立地市町村等と協議することとしています。さらに、国土交通大臣が区域整備計画を認定するに当たっては、関係行政機関の長と協議し、これらの同意を得ることとしており、これにより、関係行政機関との連携の確保など、犯罪発生の予防や秩序の維持に万全を尽くすこととしております。

森田委員 ありがとうございます。

 いろいろと今までの御答弁も伺った中で、事業者であるとか申請者がこういうことをやるというふうに想定しているというお話が出ているんですけれども、小都市、地方であったりするとその体制が確保できないというような懸念もございますので、その点を指摘させていただきたいと思っております。

 最後に、ギャンブル依存の問題についてお伺いをさせていただきます。

 今回、世界一の規制というふれ込みがございまして、回数制限であったりだとか入場料を徴収する、あるいは入場制限、本人、家族の申出によってということを設けるということでありますけれども、今回、カジノがテーマになっておりますけれども、包括的なギャンブル依存への対策について政府としてどのように取り組んでいくお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 IR整備法案における依存症防止対策については、日本人等に対する長期、短期の一律の入場回数制限や入場料の賦課に加え、利用者の個別の事情に即し、カジノ事業者に対し、本人、家族申告による利用制限等を義務づけるといった重層的かつ多段階的な措置を制度的に整備しており、万全が尽くされているものと考えています。

 また、政府においては、IR推進法の附帯決議を契機として、IR整備法を待つことなく、本人、家族申告によるアクセス制限措置や、全国における相談、治療拠点の整備、学校教育、消費者教育における指導啓発等の包括的な依存症防止対策を順次実行に移してきたところであります。

 現在、国会においてもギャンブル等依存症対策を強化するための法案が御審議されているものと承知をしております。ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る人をできるだけ少なくするため、政府一体となって必要な取組を徹底的に講じてまいる考えであります。

森田委員 ありがとうございました。

 この前、参考人の方からの御意見にあったんですけれども、例えばカジノを制限したとしても、ほかの日に競馬に行ったり競輪に行ったりというような、あいている日にほかのギャンブルに行ってしまうという懸念もある。これは今に始まったことではないと思いますけれども、先ほど、いろいろな計画を立てるに当たっても事業者、申請者というものの主体性を重視してというようなお言葉が出ておりまして、なかなか、国としての関与というところがまだまだ感じられる部分が少ないなというふうに感じております。

 ぜひ、これからまだまだ、反対の御意見が国民の皆様の中に多いということでございますので、精緻な議論を積み重ねて、きちんとまず国民の皆様が御理解できるような環境づくりが必要だということを重ねて申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、中川正春君。

中川委員 まだこの議論も入り口でありますので、基本的な質疑を総理に対してはやっていきたいというふうに思います。

 カジノの是非についての世論調査というのが推進法以降たびたびされていますけれども、非常に厳しいものになってきている。特に、六〇%から七〇%以上の国民が反対をしている、こういう結果を出してきています。ある意味の、国の体質が変わってくるような中での危機感みたいなものが国民の中にも私はあるんじゃないかという感じがしました。ギャンブルで観光振興というのは間違っている、これが一つの基本だというふうに思います。

 実は、昨日の有識者による参考人質疑でも、IRで想定される具体的な事業の中身とそれから実施基準を明確にしていくこと、その中で国民を巻き込んだ議論が必要だということでありますが、それを国会にぜひ期待し、その上で国民が納得できる結論を出していくということが大事だ、これは同じ思いでおっていただくというふうに思うんですがということなんです。

 それで、委員長、改めて、あるいは与党の筆頭にもお願いをしたいんですが、また強行採決なんということをやらないように、今、マスコミ等々もいろいろな予見が出ていまして、次の水曜日あたりは強行に採決するんじゃないかというふうなうわさが周りで出ています。改めて、委員長、信頼していますから、再び間違いを起こさないように、ひとつお願いをしておきたいと思います。いいですか、委員長。

山際委員長 どうぞお続けください。

中川委員 その上で、改めて総理に伺います。

 さっきの話のように、カジノの導入を前提にしたIR事業というのは国民の理解を得られていません。これからも得られることはないんだろうというふうに思います。

 その上で、このIR法の撤回、又はカジノを前提にしないIR法への転換というのを考えるべきだと私は思いますが、総理の改めての見解を伺います。

安倍内閣総理大臣 IRについては、カジノばかりに焦点が当たりがちなことから、さまざまな弊害を心配する声があることは承知をしております。

 カジノの設置については、依存症防止対策、犯罪・治安維持対策、青少年の健全育成対策として厳格な入場規制や広告・勧誘規制など、重層的かつ多段階的な措置を講じているところであります。

 政府としては、IR整備法案の策定に当たり、その制度の大枠について、パブリックコメントや説明会を実施し、国民の意見を丁寧に伺う機会を設けてきたところであります。また、今後、単なるカジノ施設ではない日本型IRのイメージを具体的に共有させていただくための全国キャラバンを実施していく考えであります。

 引き続き、国民に丁寧に説明を行うとともに、依存症防止対策などに万全を期しながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと思っております。

中川委員 それが、この委員会の議論を通じて政府答弁を聞いていても、さっきまさに総理が言われた具体的なイメージというのがつくれないんですよ。そこに、この法律自体の組立てとそれから政府の姿勢に問題があるということを指摘した上で、具体的に私の懸念する事項を一つお話ししたいと思うんです。

 今回のIR法というのは、まず三カ所に限って認可を下す、そういう前提になっております。そして、その認定の基準については、いろいろ聞いていくんですけれども、ここが出てこない。だからイメージが湧かないんです。

 例えば、さまざまに例示があります。同じカジノでも、アトランティックシティー、さっき話が出てきました、これは失敗例。まあ、失敗例というか、縮んでいて崩壊をしていくさなかにある。あるいは、江原ランドも国民を巻き込んで大変なことになっているという例があるとすれば、ラスベガスのような、あるいはシンガポールのような例もある。こういう例示はある。

 じゃ、日本はどうなるんだということになって、基準を更にはっきりさせていきなさいという話になると、これは全然出てこない。

 その上で、どういうふうな答え方になっているかというと、政省令やあるいはカジノ管理委員会規則に委ねるということであって、これから決めていきますよということなんです。

 本来は、予定される政省令の中身あるいは具体的な基準についてはこの法案とともに示されて、そしてイメージができて、私たちの議論が具体的なものになるということなんですが、このままでいくと、私のイメージでいくと、国家戦略特区と同じ形の経過をたどっていくんじゃないか。まさにこれは加計問題なんですよ。

 先に事業者が政治判断で決められて、認可の基準はその事業者の計画に合わせて決定されて、しかも認可される数は三つに限られたものだとすれば、ここで事業をできるのは特別にあなたのところだけですよということになる。これで膨大な利権を占有することが保障されて、しかも認定される可能性のある事業者は、ラスベガスやあるいはシンガポールや、事業実績を重ねた外資となっていく可能性が強い。

 今回のIR法案にはカジノというこれまでの日本には異質のギャンブル産業というのが絡んでいるだけに、こうした疑惑を生み出すようなプロセスというのは改めるべきです。短期間に結論ありきで審議をまさにするのではなく、委員長、だからこそ、政省令が出てくるまでこれは引っ張り出さなきゃいけないという、その思いを改めて皆さんと一緒に共有したいと思うんですよ。

 同時に、総理、加計学園の国家戦略特区の失敗をIR法案で繰り返すということは、これはしてはならないというふうに思います。

 改めてまた、この法案、撤回をすべきだというふうに思いますし、また、総理の現在の思いの中では、この三カ所という、これは今限定されているんですね。これは国家戦略特区の特徴で、ここだけよと言うんです。ここから全国に展開をしていくという話ではないよと言っていますけれども、違うんですよ。しかし、それが本当に違うのかどうか。ひょっとしたら、この三カ所がまた全国に展開をしていくような、そういう前提になっているのかどうか。

 ここのところ、総理の今考えているこのIR法の特質ということから考えて、これをどう判断されているか、最後にこれを聞いていきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 時間がないので簡単にお答えさせていただきますが、本法案では、認定区域整備計画の上限の数については、最初の認定の日から起算して七年を経過した場合において検討を加え、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講ずるとしております。

 したがって、現時点では上限の数をふやすことは決まっていません。認定区域整備計画の上限数の見直しについては、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光の実現、そしてカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響、日本型IRの実現による効果、影響等について十分検証した上で行うことになります。

中川委員 やはりそういう言葉が躍っているだけの答弁ではこれは賛成できませんということを申し上げて、終わります。

山際委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 安倍総理にお尋ねをいたします。

 IRというのは、まさに収益のエンジンとしてのカジノを行うもの、だからカジノ解禁ということになるわけですが、このカジノ解禁に国民の多数は反対の声を上げている、六割、七割以上の方々が反対だ。こういうカジノ解禁に反対の声が多数だ、その理由はなぜだと総理はお考えですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど来答弁をさせていただいておりますように、このIRについては、カジノにばかり焦点が当たっていることから、その弊害を心配される方が多いのではないか、このように思います。

塩川委員 カジノが収益エンジンなんですよ。まさにカジノで成り立っているのがIRなんですから。そのカジノの解禁について国民は不安を持っている。その理由について、国民の声を率直に受けとめるのであれば、なぜそう国民が思っているのか、そのことについてしっかりと総理として受けとめるべきじゃありませんか。なぜ国民がそういう反対の声を上げているのか。

安倍内閣総理大臣 そこは、まさに先ほど答弁をさせていただきましたように、さまざまな弊害を心配しておられる声があるということは承知をしております。

 そこで、カジノの設置については、依存症防止対策、犯罪・治安維持対策、あるいは青少年の健全育成対策として厳格な入場規制や広告・勧誘規制など、重層的かつ多段階的な措置を講じているところであります。

 政府としては、IR整備法案の策定に当たり、その制度の大枠について、パブリックコメントや説明会を実施し、国民の意見を丁寧に伺う機会を設けてきたところであります。また、今後、単なるカジノ施設ではない日本型IRのイメージを具体的に共有させていただくための全国キャラバンを実施していく考えであります。

 引き続き、国民に丁寧に説明を行うとともに、依存症防止対策などに万全を期しながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと思います。

塩川委員 いや、だから、いろいろな対策をとらなければいけないような弊害を生むのがカジノの解禁なんですよ。依存症ですとか、治安ですとか、青少年への影響を懸念する、こういった国民の不安の声があるからこそ、カジノ解禁に反対が多数なんですよ。そのカジノ解禁をまさに中核とするIRであるわけで、安倍政権が成長戦略として日本型IRの整備推進を掲げているわけです。

 依存症や生活の破綻などをもたらす賭博であるカジノを収益エンジンとするIR、これを経済政策に掲げることに国民は納得していないということじゃありませんか。

安倍内閣総理大臣 納得していないということは、今、再三答弁をさせていただいたところでありますが、いわばカジノにばかりこれは焦点が当たることによって、弊害について心配をされる声がある、こういうことではないか、これが大きな理由ではないか、こう思うところでございます。

 私自身も、以前、シンガポールの二つのIR施設を視察してまいりました。カジノによるさまざまな弊害についてかなり厳格な対応がとられていることや、カジノの収益を活用して新たな雇用や文化への投資を生み出す、大変な国際競争力を有する異次元のリゾート施設となっていることを知り、IRのイメージについては私も大きく変わったところであります。

 日本型IRは単なるカジノ施設ではありませんが、依存症防止や犯罪、治安維持に万全の対策が講じられ、また、日本の成長戦略に資する経済効果を有することについて、イメージの共有が道半ばであると感じております。

 今後とも、国民に繰り返し丁寧に説明を行うことに注力をし、世界じゅうから観光客に来ていただけるような滞在型観光を目指していることに理解を得るよう努めてまいりたいと思います。

塩川委員 いや、そのシンガポールのIRのもうけの七七%はカジノなんですよ。こんなカジノを中心としたようなビジネスが行われるということについて国民は納得をしていないわけで、カジノで地域経済振興、カジノで金もうけというのは国民は受けとめていない、こういうのは受け入れていないということを強く申し上げておきます。

 そこで、別な角度からお尋ねしますが、日本経済新聞の二〇一七年六月十日付で、昨年の二月の日米首脳会談について報じた記事がありました。ここでは、晋三、こういった企業を知っているか、アメリカで開いた二月十日の日米首脳会談、トランプ大統領は安倍晋三首相にほほ笑みかけた、日本が取り組むIRの整備推進方針を歓迎した上で、米ラスベガス・サンズ、米MGMリゾーツなどの娯楽企業を列挙した、政府関係者によると首相は聞きおく姿勢だったが、隣の側近にすかさず企業名のメモをとらせたとあります。

 これは事実でしょうか。

安倍内閣総理大臣 まるでその場にいたかのごとくの記事でございますが、そんな事実は、これは全く、一切なかったということをはっきりと申し上げておきたいと思います。

塩川委員 にわかに、そういった話がないと言えるのかということで、その日は、朝、首脳会談に先立って、総理出席の、全米商工会議所、米日経済協議会の共催の朝食会が開かれていたわけであります。アメリカ側からは、ビジネスリーダーが十四名参加をしている。そのアメリカ側のビジネスリーダーの十四名の中には、ラスベガス・サンズの会長、MGMリゾーツの会長、シーザーズ・エンターテインメントのCEOなど、カジノ企業のトップが出席をしているわけです。その場に総理が出席をして、意見も聞いている。

 直接、日本のIRカジノについて、米国の企業から要望をお聞きになったんじゃありませんか。

安倍内閣総理大臣 それは、全米商工会議所、米日経済協議会共催朝食会では、超党派の連邦議員や米国企業CEO等、日米関係のさらなる強化に向けて意見交換を行ったところであります。私からは、二〇一六年十二月にIR推進法が国会を通過し、公布、施行されたこと等を紹介したところでございます。

 参加者の中にはカジノ経営者が含まれておりましたが、統合型リゾート施設は観光立国を目指す日本にとって有益である点、また、IRに対する社会的懸念等の課題の解決に貢献していきたい等の発言があったところでございますが、そこにはトランプ大統領はもちろん出席はしていないわけでございますし、繰り返しになりますが、トランプ大統領との間においてはそんな会話は一切なかったということでございます。

塩川委員 その具体的な要望の中身をぜひ明らかにしていただきたいと思っています。トランプ大統領の最大の支援者がこのラスベガス・サンズのアデルソン会長だと言われているわけで、そういう点でも、実態はどうかということをぜひ明らかにしていただきたい。

 この共催の朝食会での具体的なアメリカのカジノ企業の要望について、明らかにしていただけますか。

安倍内閣総理大臣 急な御下問でございますが、今事務方に確認をいたしましたら、要望等は一切なかったということでございます。

塩川委員 その辺については改めてお尋ねしたいと思っています。

 私は、今回のカジノ実施法案の内容において、当初、依存症対策のためにも一万五千平米というカジノ施設面積の上限規制があったのに、それを外してしまうという経緯があるということは、きょうの委員会でもただしたところであります。

 そういったときに、昨年の七月の取りまとめで出されていた一万五千平米という上限規制を結果として法案でなくした、その経緯の中で、この間、ラスベガス・サンズのアデルソン会長や、あるいはMGMの日本法人のエド・バワーズCEOなどが、こういった上限設定を外してくれとか、最低三万平米は欲しい、こういう要望を上げていたわけであります。

 そういう意味でも、私は、絶対値の規制をIR施設面積に占める割合に変えたというのは、依存症対策よりも、このようなカジノ事業者の要求を優先したと言わざるを得ないのではないのか。この点について、総理のお考えをぜひお聞かせいただきたい。

安倍内閣総理大臣 今、突然の質問でございまして、午前中のやりとりについて私は聞いておりませんので、何ともお答えのしようがないわけでございますが、いずれにいたしましても、我々、先ほど申し上げましたように、しっかりとさまざまな懸念に対しては対応していきたい、こう考えておりますし、海外から多くの観光客がやってくる、そういう施設にしたい、このように考えております。

塩川委員 カジノで金もうけなど、国民の理解は得られません。カジノ企業の要求ではなく国民の声こそ聞け、カジノ実施法案は撤回せよ、このことを申し上げて、終わります。

山際委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。

 先日もロシアの外交、お疲れさまでございました。マサルちゃんですけれども、顔をぺろぺろとなめておりました。来週からアメリカですけれども、アメリカでああいうキュートな出来事は恐らくないとは思いますけれども、ぜひ日本の国益をしっかりと発信していただきたいと思っております。

 きょうの一問目ですけれども、今、塩川委員がおっしゃった、報道で、アメリカでそういうことを言われたんじゃないかということが先ほど質疑の中で指摘をされましたけれども、確かに、共和党に今お話の中にありましたカジノオペレーターから巨額の献金がされているというのは事実です。

 総理は来週、アメリカ、日米会談に挑むわけですけれども、その場でトランプ大統領から、そういった特定のオペレーターを推薦されるようなことがあったとしても、日本国内の選定、これは公平公正に認定を行われるのが当然ですから、そういったことがあったとしても、きっぱりとお断りしていただくということを確認したいと思います。

安倍内閣総理大臣 このオペレーターについては、IR区域の整備について、都道府県又は政令指定都市が公募により選定したIR事業者と共同で区域整備計画を作成し、国土交通大臣の認定を受けることとしております。その認定に当たっては、IR整備法の目的に最大限資するよう、全閣僚から構成されるIR推進本部の意見を聞いて、国土交通大臣において認定基準に適合するかどうかを厳正に審査することとなります。

 IR区域の認定は公平公正に行われるべきものであることは言うまでもないわけでございまして、外国の首脳から推奨される、あるいは推薦されるものを、その推薦に従って採用するということはあり得ないということでございますし、次の訪米はそもそも、六月十二日の米朝首脳会談に先駆けて行うものでございまして、その話題にいわば特化して議論をしてきたい、このように考えております。

浦野委員 ありがとうございます。

 二つ目といいますか、五分しかありませんので、この二つ目で終わりますけれども、これも午前中の審議の中で、自民党の三谷委員からも指摘があったものです。

 日本国内、三・六%の国民の方が依存症だというふうに言われております。そのうちの二・九%はパチンコによるものだというふうに言われております。

 今の法のたてつけでは、パチンコは遊技だということになっておりますけれども、この三・六%を全てギャンブル依存症、まあギャンブルであるという考えのもとでギャンブル依存症であるというならば、パチンコも、法律をつくって、しっかりとギャンブルと認めて、依存症対策に対しても一定の役割を担ってもらうというのが本来の考え方だと思うんですね。

 パチンコは三店方式という独特なシステムですよね。換金はないと言われておりますけれども、実際はこの方法で換金されております。カジノ解禁を含むIR法案が審議されている中で、パチンコについてもしっかりとした法整備をしなければいけないと考えますが、総理の見解はいかがでしょうか。

山下政府参考人 お答えを申し上げます。

 パチンコ業界におきましては、依存症対策として、依存問題を抱える人等への相談対応、本人、家族申告による遊技の制限、依存症対策の専門員のパチンコ店への配置等の取組が実施されており、既に一定の役割を担っているものと認識をしております。

 風営適正化法に基づく規制の範囲内で営まれるパチンコ営業において行われる遊技については賭博罪に該当しないものと認識をしておりまして、パチンコ営業につきましては、新たに特別法を制定して違法性を阻却する必要はなく、引き続き風営適正化法に基づいて適正に規制を行ってまいりたいと考えております。

浦野委員 もう時間が終わりましたけれども、最後に、パチンコを運営されている方々の中にも法整備をしてほしいという声があることをお伝え申し上げまして、終わりたいと思います。

山際委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 総理には、きょうは、駆け足かもしれませんが、四問、設問させていただきました。

 まず、目的を紹介します。このIR施設区域整備法案では、目的で、適切な国の監視及び管理のもとで運営される健全なカジノ事業の収益を活用してと、まずカジノ収益が頭に挙げられています。そして、特定複合観光施設区域制度は、特定複合観光施設は、カジノ施設と以下六つの施設で運営するということになっていて、民間事業者により一体として設置、運営される。つまり、民営のギャンブルを初めて認定するものであります。

 他方、では我が国に外からどれだけのお客さんが来ているかというと、これも先ほどの委員会の中で明らかにした数字でありますが、国際観光振興機構によりますと、二〇一七年、二千八百六十九万人の方が来日しています。前の年に比べて一九・三%増加しています。カジノに頼らない、カジノIRに頼らなくても観光客数は伸びています。そして、韓国が七百十四万人、中国が七百三十五万人、それに台湾、香港を足すと二千百九十二万人で、この四市場で七〇%以上の外国からのお客様が日本に来ている、日本を楽しんでいらっしゃるという数字がしっかり出ているわけですね。

 では、お尋ねいたします。

 観光と経済振興のために、カジノギャンブルが日本型IRに必要であると考える総理のお考えをまずお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 我々は、観光はまさに成長戦略の柱であり、地方創生の起爆剤であると思っております。ですから、八百万人が二千八百万人にふえたところで、もういいだろうというふうには考えないわけでございまして、二〇二〇年には四千万人、そしてさらなる高みを目指していきたい、こう考えているところでございます。

 日本型IRは、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と、収益面での原動力となるカジノ施設とが一体的に運営され、これまでにないような国際的な会議ビジネス等を展開し、新たなビジネスの起爆剤となり、また、世界に向けて日本の魅力を発信する、まさに総合的なリゾート施設であり、観光や地域振興、雇用創出といった大きな効果が見込まれるものとされ、我が国を観光先進国に引き上げる原動力であると考えております。

 一方、例えば、我が国を代表する大規模な国際会議場については、純粋に民間事業として整備、運営されている例はないと承知をしています。

 これらのことから、魅力的な日本型IRを実現するため、国際会議場や家族で楽しめるエンターテインメント施設と、収益面での原動力となるカジノ施設が一体的に運営されることが必要と考えております。

玉城委員 カジノがトップに来て、それから家族が楽しむということが、真逆な形になっているわけですね。ですから、カジノを切り離して日本型のIRを整備することの方が、総理がおっしゃっている美しい国日本を満喫できる、外からのお客様の心に応えることだと思います。

 ギャンブル依存症対策あるいは問題ギャンブリングの問題解決など、国が責任を持って積極的支援にかかわるべきだという声は国民の中に少なくありません。そのことについてお聞かせください。

安倍内閣総理大臣 四問ということでございますので、ちょっと短くお答えをさせていただきます。

 日本人等に対する長期、短期の一律の入場回数制限や入場料の賦課に加えて、利用者の個別の事情に即し、カジノ事業者に対して、本人、家族申告による利用制限等を義務づけるといった重層的かつ多段階的な措置を制度的に整備しており、万全が尽くされているものと考えているところでございます。

 また、本人、家族申告によるアクセス制限措置や、全国における相談、治療拠点の整備、学校教育、消費者教育における指導啓発等の包括的な依存症防止対策を順次実行に移してきたところでございます。

玉城委員 ありがとうございました。

 四問のつもりが二問しか質問できませんでしたが、日本型IRは決してカジノに夢を持たせるべきではないと、私は繰り返しお伝えしておきたいと思います。

 ですから、国民の中で、負の影響が経済効果を上回ることが反対の大きな理由となっているということ、それから、解禁を推進する側は負の影響を試算するなどすべきであり、国民の理解を得る努力を怠っているというのは、先日、参考人にお招きした新里宏二弁護士からの御意見でもありました。その努力がない限り、国民の不安は払拭できないことを申し上げて、私からの質問を終わります。

 ニフェーデービタン。

山際委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 質疑を続行いたします。森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行でございます。

 きょうも一日、このIR法、整備法ということで議論をしてまいっておりますけれども、大臣、この間の議論、IR推進法から二年ということでございます。国民の理解は得られたでしょうか。

石井国務大臣 先ほどから御指摘いただいておりますが、IRにつきましては各種世論調査ではまだ反対が多い状況でございますが、これは、やはりカジノに焦点が当たりがちになり、さまざまな弊害を心配する声がそういった数字にあらわれているのではないかというふうに考えています。

森山(浩)委員 私も、この数字自体が何か偏ったものであってはいかぬなと思って、周りにも聞くんですが、中高年の女性を中心として、やはりというか、ギャンブルあかんで、賭博あかんでという話が非常に多いわけですけれども、大臣、実感としてはいかがですか。

石井国務大臣 今、なかなか一般の方と接する機会が少ないものですから、直接IRについて一般の方の声を聞いたということはございません。

森山(浩)委員 一般の方のお声はお聞きになっていないけれども、前回のIRの推進法というのは議員立法でございました。議員立法ですから、提出者がいて、それに対してみんなで議論をするという形であったかと思います。

 今回の整備法というのは閣法でございまして、大臣が責任者として提出をされております。

 ということは、つまり、大臣の出身の公明党さんの方でも、これはやるぞという話になったというふうに理解をしておりますけれども、これは二〇一六年十二月二日ですけれども、山口那津男代表、賭博罪の例外を認める必要性に乏しい、認められることによる弊害も多々考えられる。あるいは、井上義久幹事長、観光に及ぼす効果もきちんと検討しなければいけない、依存症になる人が出ないようにすることが非常に大事。

 あるいは、もう一々名前は言いませんけれども、二〇一六年十二月七日は、賛成者、反対者のコメントというのが、公明党さんは当時、自主投票でございましたので、マル・バツというのと一緒にこれは報道されております。

 亡国の法案、アジアのカジノの集客は減っている、刑法の賭博罪の違法性の阻却をどうするのか、これが最大の問題、地元に賛否がある状況で、現段階で賛成するのは尚早、あるいは、カジノ合法化の理由がいまいちはっきりしない、地域の経済活性化になるのかどうか検証すべきところが残る、我々の道徳やモラルが根本的に問われている、メリット、デメリット両方あり、不確実性が高い、地元で講演会をしたら、ほとんど賛成の声が出なかったなどなど、反対理由を当時の公明党の議員さんたちが述べておられます。

 こういう中で、先ほども与党審議はどうだったのかというような話がありましたけれども、公明党内はこれでまとまったということでよろしいんでしょうか。

石井国務大臣 私は今、公明党を代表する立場ではありませんし、党務に携わっておりませんので、そのお答えはできかねます。

森山(浩)委員 この二年間で、これだけ多くの疑問、疑念があった中でここまでまとめられたということですから、どうやって説明をされたのかというのをぜひ教えていただきたいなというふうに思うわけで、私も地元に帰って、カジノはどうだといったときに、まず、反対だと言う方がいまだ現在でも多い状況。十分に説明がなされていないというのは先ほど総理もおっしゃったとおりで、キャラバンをやってこれから啓発するんだというようなお話になっておりました。

 ですので、国民の理解が得られている状況ではないということは大臣もお認めになりますね。

石井国務大臣 各種世論調査におきましては、まだ反対の声が大きい、多いというふうに承知をしております。

森山(浩)委員 そうなんですよね。だから、やはり具体的にどのようなものなのかということをしっかり説明をしていただいて、メリット、デメリットともにしっかりわかるような形にした上で法律というものを議論していくというのが大事だと思います。

 それでは、まず、どうして世界最高の水準の規制と言えるのかというところについてお伺いをしたいと思います。

 先日の参考人質疑では、鳥畑教授の方から、世界最高水準のカジノ規制にほど遠い規制内容というような形でお話がありました。

 週三回、月十回という入場回数制限というのは、七十二時間連続カジノ漬けを容認することであり、年間百二十回の入場制限を認めるということです、入場回数を月一回から八回に制限をするシンガポールの入場回数制限、あるいは年間百回のカジノ入場で高リスク依存症者として扱う韓国の事例から見ても、百回ですよ、これは百二十まで日本はオーケーだというような形で今回提案をされているわけです、依存症者に優しい回数制限と言わざるを得ません。あるいは、世界最高水準のカジノ規制と言うならば、そして大人の社交場としてのカジノを強調するならば、欧州におけるギャンブル継続時間、かけ金額の制限、事前にかけ金額を決定させるなどの規制を導入すべきですとあります。

 この辺について、どのような見解で世界最高の水準とおっしゃっているか、教えてください。

石井国務大臣 IR整備法案では、カジノ施設への継続的なアクセスが比較的容易な環境にあります日本人や国内居住の外国人につきまして、一律に、他国に例を見ない、長期間と短期間を組み合わせた入場回数制限と入場料の賦課を行うことに加えまして、利用者の個別の事情に即し、カジノ事業者に対して、本人、家族の申出による利用制限や、カジノ施設の利用が不適切であると認められる者の早期発見や声かけといった利用制限措置を義務づけることといたしておりまして、他国と比べても厳格な措置を講じることとしております。

 よく、この入場回数制限については週三回、月十回の上限ばかり取り上げられますが、それは、本人、家族の申出により、更にそれを制限することができるという工夫もさせていただいているところであります。

森山(浩)委員 自分で何とかしたい、あるいは家族が何とかしたいという状況になっているのは、やはりましな人じゃないですかね。一番大変な状況にあるときには、家族に何と言われても自分はとにかく行くんだというような状況になってしまうというような部分も含めて考えると、規制というのはそのラインをきちんとしていくことが大事ではないかと思いますよ。

 そして、入場料の件ですけれども、きのう、担当の方に、この質問をするときに説明に来てもらったんですよ。そしたら、六千円だと。シンガポールは百ドルですねという話をしたときに、では、百ドルに比べて六千円は安いですねと言ったら、為替レート次第と言ったんですね。

 為替レートで百ドルが六千円よりも安くなったことってありましたっけ。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 突然の御質問でございますので、いわゆるシンガポール・ドルが一シンガポール・ドル六十円以下になったことがあるかどうか、ちょっと記憶は定かじゃございませんが、近年は一シンガポール・ドルは約八十円台で推移しているというふうに理解しております。

森山(浩)委員 だから、余りいいかげんなことを言わないことですよ。

 そして、外資規制という部分ですけれども、今回、日本の企業でないと、会社でないとカジノには参入できないんだという話になっています。なっていますね。なっていますか。

 ただ、日本の企業でこれをやり切れるという人がいないんじゃないかというようなことで、合弁企業になるんじゃないかというような予測がされていますけれども、このあたりについては、外資規制についてどのようにお考えでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 IR整備法案におきましては、IR事業を展開する設置運営事業者につきましては、これは会社法の会社でなければならないとされているところでございます。

 したがいまして、日本の会社法に基づいて設立される日本法人という意味でございまして、どういう出資者がこの会社法の会社を組成するかということについては、この法案の中では何も規制がなされているところではございません。

森山(浩)委員 そうですね。だから、やはり経済的なことというような形で強調されるのであれば、どうやって国内の企業にお金を落とすかというようなことについても説明をしていかないかぬという部分ではないかと思いますね。

 そして、プロセスについてですけれども、国が認可をしていく、あるいは自治体が絡んで提案をしていくという形になりますが、そこに税金は使われるんでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 IR推進法以来、特定複合観光施設につきましては、これは民間事業者が設置、運営するものというふうにされておりまして、御提案申し上げているIR整備法案におきましても同様の前提を置いているところでございます。

 したがいまして、認定を受けた事業者や、あるいはそれが整備をしますIR事業に対して、国、地方といった公的部門がその事業そのものに対して支援をするということは想定していないところでございます。

森山(浩)委員 何か今、事業そのものについてという言い方をされましたよね。税金が入ることもあるということですね。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 少し説明が足りなかったかもしれませんですけれども、区域整備計画の中で、例えば都道府県等が周辺のアクセス整備ですとかそういう部分を担うという部分はあるかとは思います。

 私が申し上げましたのは、会社を設立する、あるいは会社の運営、経営に対して公的部門が資金を投入するということは、民間事業者が設置、運営するというふうにされている法律の枠組み上、それは前提としていないという趣旨でございます。

森山(浩)委員 前段の規制の中では、床面積の三%がカジノに使っていいよというような話になっているということですけれども、このカジノに使っていいよという、その床面積というのはどういうふうに定義されていますか。

中川政府参考人 これはまさしく、IR施設の中でどれぐらいの規模に専らカジノ行為の用に供する部分、床面積を制限するかということは、政令で定めてまいりますけれども、その際、これまで御説明していますように、IR施設の総延べ床面積の三%に専らカジノ行為に供する部分の面積を規制する所存でございます。

 この延べ床面積の概念は、建築基準法で定まる、わかりやすく言いますと、屋根でカバーされている構造物の床に相当する部分が床面積というふうに理解されているというふうに理解しております。

森山(浩)委員 その三%には、当然バックヤードも入りますよね。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年のIR推進会議の議論のとき以来、今このIR整備法案の中で、専らカジノ行為に供する部分というふうに言っている部分につきましては、シンガポールでゲーミングエリアと呼ばれている規制の仕方をも参考にしながら考えていくということになっておりまして、シンガポールの規制でゲーミングエリアの定義の中にはバックヤードは含まれてございません。

 また、カジノ施設の床面積のうち、お客さんが通ります通路ですとか、あるいはお客さんがカジノ行為をしない間に例えば飲食をするスペースだとか、そういう部分も入らないということが定義づけられてございます。

森山(浩)委員 皆さん、お聞きになりましたか。それは変ですよね。

 では、一番ちっちゃかったら、ブラックジャックの台だけがゲーミングエリアというような感覚ですか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 今私が説明いたしましたのは、シンガポールでどういう規制で行われているかという説明でございまして、今後、そこの部分につきましては、定義につきましては、法令上、カジノ管理委員会規則で定めるということになってございます。(発言する者あり)

山際委員長 御静粛にお願いします。

中川政府参考人 ですから、私が今御説明申し上げていますのは、IR推進会議のとき以来、そういうシンガポールで行われている例も参考にしながら考えていくということでございますので、日本でもそういう形に倣って検討を進めていこうというふうに考えている次第でございます。

 ちなみに、シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズだとかのカジノフロアに行っていただきますと、バカラテーブルの周りだとかに線が引いてございまして、あるいは、スロット台の固まりの周りに線で区画が区切ってございます。シンガポールのカジノ管理当局が、そこの線で囲んである中がシンガポールの規制で言うゲーミングエリアだということを認定した場所だということがカジノフロアの上で示されているところでございます。

森山(浩)委員 びっくりなんですけれども、この三%というのがかなり大きな面積になるのだなというのが明らかになりました。

 ですので、やはり法律の中にこれは書き込んでいくべきではないですかね。何ぼ何でも、どうなるかわからないという状況の中で床面積三%というのでは、ちょっと納得を得られないなというふうに思いました。

 既存施設でもいいという答弁が先ほどありました。IRの施設、これをやっていくに当たって、新しくつくらなくても既存施設でもいいんだというようなお話がありましたが、逆に、全部が既存施設ではだめだというのも答弁の中にありました。

 大臣、何%ぐらいなんですかね、これ。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど確かに、既存施設を活用した区域整備計画をつくることは可能といいますか、区域整備計画をつくる際に既存施設を活用することは排除されているものではないという御答弁を申し上げました。

 もちろん、何%かということは決まっておりません。

 これは、区域整備計画の認定基準の中に、国際競争力の高い、そして魅力ある滞在型観光を実現するようなものであることという国土交通大臣の認定基準が示されております。また、区域整備計画の中には、経済的社会的効果がどのようなものになるのかということを記載していただかないといけません。

 そういうことも含めまして、具体的な区域整備計画の中で考察されることになる、そういう具体論でしか解決できないということを御理解賜りたいと思います。

森山(浩)委員 決まっていないということだということでございます。あれもこれも、計画が出てきたら考える、あるいは政令、省令で考える、このような法律のまま通してしまっていいんでしょうかね。

 さらに、自治体の関与でございます。

 国際競争力というようなことでIRをつくりますよという話になるというときに、自治体の議員が、いや、それはどうかなと思って、反対はしにくい圧力がかかるわけなんですが、地域の振興だといって、やってみたと。最初やるときには関与するんでしょうけれども、じゃ、これがだめになってきた、IRに出ていってもらおう、あるいはカジノの施設だけ出ていってもらおうというような話になったときに、これは議会は議決ができるんですか。

中川政府参考人 区域整備計画を申請できる主体は都道府県及び政令指定都市に限られてございます。それで、都道府県と政令市が区域整備計画を国に申請するときには、都道府県議会及び政令市議会の議決を経て認定申請をするという仕組みになってございます。

 また、認定を受けた区域整備計画が有効期間を迎えて認定の更新を申請していただく際にも、もともと整備計画を提出された都道府県と政令市は、地元の都道府県議会及び政令市議会の議決を経た上で更新申請をしていただく、そういう仕組みになってございます。

 以上でございます。

森山(浩)委員 つまり、十年間は文句を言うな、こういう制度になっているという説明でいいんですね。今の言い方だとそうなりますよ。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 最初の区域整備計画の認定の有効期間は十年となってございます。

 以上です。

森山(浩)委員 聞いたことに答えていない。

 大臣、当然、自治体は自治権がありますから、都道府県議会や政令市議会で、途中でこれはだめだとなったときには、それは議決をする権利はありますよね。

石井国務大臣 議決は常に議会はできると思いますけれども、そもそも、これをつくるときに、区域整備計画をつくるときに、十分やはり地元の了解もいただいてやっていただくというのが前提でございますので、そういうしっかりとした区域整備計画が出されることを期待したいと思います。

森山(浩)委員 思わないようなことがあったり、あるいは潰れたりというようなこともあるかもしれない。ですから、やはりそこは、途中でどうかという部分については、きちんと地方議会の権能というものについては御答弁いただきたいというふうに思いますが、これは考えておいてください。

 そして、ギャンブル依存症対策地方議員連盟という十七名の首都圏の議員さんたちからお話がありました。IR整備法での政府納付金の充当先にギャンブル依存症対策を明記してくださいというような形で要望書をいただいております。一番市民に近い、そういう自治体の議員の皆さんからの話であります。やはり、ここの部分が非常に気になっていると。

 ギャンブル依存症対策とこれは書いてないんですよね、このIR整備法で。ギャンブル依存症対策にこの一五%のお金を使いますよということは一個も書いてない。まず書き込むこと、そして数値目標を入れることを要望しますが、いかがでしょうか。

石井国務大臣 IR整備法案におきましては、国、地方公共団体の責務といたしまして、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を明確に位置づけておりまして、納付金はこれらの責務を達成するために必要な経費に充てることとしております。

 このほか、納付金の使途としては、社会福祉の増進に関する施策等を規定しておりまして、この社会福祉の増進に関する施策には既存の依存症対策も含まれることとなります。

 こうしたIR整備法案の規定を踏まえまして、その具体的な使途につきましては、ギャンブル等依存症対策も含めまして、毎年度の予算編成において適切に措置されるものと承知をしております。

森山(浩)委員 途中での変更については自治権を認めないけれども、納付金については自分で考えろというふうに聞こえますね。非常に残念です。

 これは、ギャンブル依存症対策という部分について、やってもいいよという規定になっているわけです。一%、あるいは三%、五%、一五%のうち、このぐらいは充てるべきだというようなことをやはり国から言っていくというのが、今回、これは国会で議論をする非常に大事な部分ではないかと思うんですね。

 というのは、中身の計画というのは出てくるまでわからない、こういう状況の中での議論をしているわけですから、この中身の問題以前の部分、枠のところ、依存症にはきちんと対応するんだという意思を示すべきだと思いますが、改めてお願いします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 既存の分も含めた依存症強化が必要であるということは政府といたしましても十分理解をしているところでございまして、また、今、国会におきましては、ギャンブル等依存症対策基本法案についても御審議を賜っているというふうに承知をしております。

 この法案が成立いたしますれば、その法案によりますと、政府は基本計画を策定することが義務づけられておりますし、また、与党、維新法案によれば、三年置きに現状を調査し、それに応じた計画をつくっていくということになってございますので、そういう中で、きちんと政府としても対応をしていかなければならなくなるであろうというふうに考えているところでございます。

森山(浩)委員 改めてこれは要望をしておきます。本当に、きちんと書き込むという中で、これは国民の理解を得るためにやっているわけですね、議論自身も。だから、しっかりこの話をやっていくという意味では大事な部分だと思います。

 さて、違法性の阻却について、こんな形で阻却をしますという説明はきょう何度も出てきていますが、今回、カジノに限って、また民間の事業者がやるという中で、違法性を阻却するという意味はどこにあるでしょうか。なぜそうしなければならなかったんでしょうか。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたように、政府の立場といたしましては、IR推進法の中で、民間事業者が設置、運営する特定複合観光施設を整備する法制度を検討し、法案を国会に提出しろということが責務となってございます。また、その特定複合観光施設の中にはカジノを含むということがこのIR推進法の中に規定されているからでございます。

森山(浩)委員 午前中の階議員の質疑の中でも、賭博罪というのは、社会の風紀を乱す、大きな犯罪につながる、このような法益を守るために刑法できちんと罰することにしているんだ、だから、この刑法を外すというのは非常に大きな問題なんだという議論がありました。

 また、公営賭博については、これは、各自治体が、あるいはそれぞれの役所もきちんと絡んで公営でやるという形になっているから、違法性が阻却をされているわけです。それに対して、民間、しかもこれから手を挙げるからどこの誰がやるかもわからない民間の企業に対してこの違法性を阻却するという部分が、これでギャンブル依存症はふえないと言えますか、大臣。

石井国務大臣 まず、違法性の阻却に関しましては、いわゆる整備法案の立案過程におきましては、これまで賭博に関する特別法の検討の際の観点とされてまいりました、目的の公益性等八つの観点を踏まえた検討がなされ、その趣旨に沿った制度設計がなされております。

 したがいまして、IR整備法案の内容は、刑法が賭博を禁止している趣旨を没却するようなものではなく、法秩序全体の整合性は確保されていると考えております。

 カジノの設置につきましては、さまざまな弊害を心配する声もございますので、IR整備法案では弊害防止について万全の対策を盛り込んでいるところであります。

 このような制度の中身について御理解をいただけるよう、引き続き鋭意取り組んでいきたいと考えております。

森山(浩)委員 先ほど総理の御答弁の中で、東京、大阪、京都以外の地方へ観光客を呼び込むんだという話がありましたが、ということは、これは、東京、大阪、京都以外の地方にIRをつくるんだということでよろしいですか。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 まさしく今、そのIRの制度をどのようにつくるかという法案を御提案申し上げているところでございまして、まだ、どこがIR整備計画を提出されてくるのか、ましてや、どこが認定されるのかということについては一切の考えを持っておりません。

森山(浩)委員 具体的なイメージはない、場所もない、形もわからない、そして、どのような施設になるか、どのぐらいカジノのスペースがあるか、全部わからないという状況でありますので、地方あるいは中央での公聴会、政令、省令事項数百に及ぶものの概要の提出を求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

山際委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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