衆議院

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第25号 平成30年6月6日(水曜日)

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平成三十年六月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山際大志郎君

   理事 石原 宏高君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 永岡 桂子君

   理事 松野 博一君 理事 阿部 知子君

   理事 稲富 修二君 理事 遠山 清彦君

      池田 佳隆君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      神谷  昇君    亀岡 偉民君

      小寺 裕雄君    古賀  篤君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      武井 俊輔君    長坂 康正君

      西田 昭二君    百武 公親君

      三谷 英弘君    村井 英樹君

      大河原雅子君    篠原  豪君

      福田 昭夫君    森山 浩行君

      山崎  誠君    源馬謙太郎君

      森田 俊和君    浜地 雅一君

      濱村  進君    中川 正春君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      玉城デニー君

    …………………………………

   国務大臣         石井 啓一君

   内閣府大臣政務官     村井 英樹君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  中川  真君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 田島 淳志君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    山名 規雄君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     瓦林 康人君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     百武 公親君

  浦野 靖人君     杉本 和巳君

同日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     高木  啓君

  杉本 和巳君     浦野 靖人君

    ―――――――――――――

六月五日

 国民の権利と安心・安全を守る公務・公共サービスの拡充に関する請願(逢坂誠二君紹介)(第一七七四号)

 同(神谷裕君紹介)(第一七七五号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一七七六号)

 レッド・パージ被害者の名誉回復と国家賠償に関する請願(志位和夫君紹介)(第一七七七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定複合観光施設区域整備法案(内閣提出第六四号)


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     ――――◇―――――

山際委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定複合観光施設区域整備法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官・特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長中川真君、財務省大臣官房審議官田島淳志君、国税庁課税部長山名規雄君、観光庁審議官瓦林康人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山際委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山際委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。源馬謙太郎君。

源馬委員 おはようございます。国民民主党の源馬謙太郎と申します。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 前回質問させていただいた続きから質問をさせていただきたいんですが、前回の質問の中で中川次長からいろいろとお話がありまして、何点か確認をさせていただきました。

 そのうちの一つは、IR施設全体の収益を上げていって採算をとっていくための経済効果の中心となるのがカジノ施設である、そこの経済効果を高めていくことがIR施設全体の採算をとっていくことにつながっていく、その中心的役割であることは海外の例を見ても間違いないというような御趣旨だったと思います。

 つまり、IR施設全体の収支を賄っていくためにはカジノの収益を上げていかなきゃいけない、そのカジノの収益の対象になるのは、もちろん人に来てもらうことであって、それは必ずしも外国人だけではなくて、日本人ももちろん対象である、日本人にも来てもらう、日本人にもお金をカジノで使ってもらうことが、結果的にはIR施設全体の収支をとっていくことになるというようなロジックだと理解をいたしました。

 その論旨の中で、まず大臣にお伺いしたいんです。

 こうしてカジノの収益を上げるために人に来てもらわなきゃいけない、外国人も日本人も来てもらってお金を使ってもらわなきゃいけない、そして、ハウスエッジをきかせて収益を上げていく、カジノ施設の収益を上げていくことがIR施設全体の収益を上げていく。一方で、人に来てもらわなきゃいけないんだけれども、世界最高水準の依存症対策をとっていく。この二つ、やはり自然に考えて矛盾するのではないかというふうに思いますが、このことについて、大臣の御所見をまず伺いたいと思います。

石井国務大臣 カジノ自体に関してはさまざまな懸念がございますので、そこに対する万全の対策を講じた上で、IR全体としては、世界じゅうから観光客を招き入れるような施設、そして地域経済、日本経済の発展に寄与するという形にしていきたいというふうに思っています。

源馬委員 中川次長にお伺いしたいんですが、シンガポールで当初、カジノを始めるときにジャンケットは禁止していて、そして結果的にジャンケットも解禁になったというように理解をしていますが、その背景というのはどう認識をされていますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 源馬委員御指摘のように、シンガポールでは、当初は、いわゆるジャンケットをライセンスのカテゴリーなどにすることなく開業をさせていたということだと思います。その背景は、恐らく、二つのIRを営業する、運営するオペレーターが、これまでの事業経験の中から世界の富裕層の顧客管理ができておりまして、彼らが、ジャンケットの力をかりなくても、独自の誘客によりまして、そういう収益源として有力なお客さんを自分たちのカジノ場に誘客することができるという前提だったんだと思います。

 おっしゃるように、一つのIRにおきましては、その後、たしかインターナショナルエージェントという名前だったと思いますけれども、シンガポールでは今、いわゆるジャンケットを使っておるようですが、これは、どうしてそういうことになったのかという詳細については、我々ども、把握はしてございません。

 ただし、極めて限定した事業者、事業者といいますのは、いわゆるジャンケットと言われる事業者を、たしか三つだったと思いますけれども、限定して認めているということ、それから、二つあるIRのうち一つではそういうことが行われていないこと、そういうことからしますと、全面的にいわゆるジャンケットを使うような制度に切りかえていっているんだということではないのではないかというふうに考えてございます。

源馬委員 ありがとうございます。

 今御答弁でありましたとおり、このジャンケットを使って、何がカジノ施設にとって有効かというと、やはり外国人の富裕客を連れてきてくれる、そこでお金を使ってくれるということだと思いますが、一方で、いわゆるジャンケットがもたらす問題点というのはどういうふうに認識をされて、今回、この日本のIR施設ではジャンケット禁止というようなことに至ったのか、教えていただけますでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるジャンケットが行っている活動といいますのは、主に、誘客、そして、カジノライセンスを持っている事業者からカジノフロアを借り受ける契約をして、そして自己勘定において、お客さんに、そのカジノフロアを使って、ディーラーも使ってゲーミングをさせる、三番目に、自己勘定において、お客さんにお金を貸し付け、かつ回収をするというような業務をやっているのが、世界で言われるいわゆるジャンケット業務だと理解しております。

 政府の推進会議の場でもこの議論はございましたけれども、一つは、今申し上げましたように、オペレーター自身が誘客をするというノウハウを持ち得る、あるいは持っているということ。それから、依存症の予防の観点からも、第三者がカジノ場での資金の提供をするということは望ましくないということから、カジノ場での資金提供、貸付け、金融業務については、ライセンスを受けたカジノ事業者に限定するということを原則にするということ。そういうことを考えますと、日本で特別にいわゆるジャンケットと言われる仕事をするものを一つの業として確立して、そこにライセンス制度などを持ち込んでやるというまでもないであろうという議論でございました。

 それから、つけ足しになるかもしれませんけれども、いわゆるジャンケットという言葉はもともとマカオがやっていたモデルがその発祥だというふうに言われておりますけれども、主にマカオでは、隣の中華人民共和国から来るお客さん、そこには資本規制などもあってお客さんが持ち出せる資金量の制限などもある、そういう中で、どのようにしてマカオのカジノの売上げを極大化するかというモデルの中で、制約の中で出てきた事業モデルだというふうに考えられておりまして、その中でさまざまな、例えばマネーロンダリングにまつわるエピソードのような話、真偽のほどは確認はされておりませんけれども、そういう議論もあり、そういう観点からも、日本の中ではそういう業を認める必要はないだろうという結論に至ったものでございます。

 以上でございます。

源馬委員 今、御答弁の中にあった、一つの課題として三点目にあった、依存症対策等の、予防の観点から、第三者が自己判断でお金を貸すのはよくないだろうというお話がありました。

 今回、さんざん議論になっていますが、一定の預託金を預けた日本人にもお金を自己判断で事業者が貸すことができる、これと本質的な違いはどこにあるんでしょうか。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 これまでのこの委員会審議でも御答弁申し上げましたように、整備法案の中で認めようとしているカジノ事業者による金融業務は、さまざまな規制をかけまして、すべからくお客さんに金融を提供することができるという制度にはなってございません。

 これまでも御答弁申し上げましたように、対象を極めて厳格に絞り、かつ、個々のお客さんの信用調査をして、個々のお客さんに対して貸付限度額を設定し、その限度額以上の貸付けを禁じている。さらには、保証をつけることも禁止しておりますし、また、金利を取ることも、利息を取ることも禁じているという、極めて制限をかけた形での金融業務になっておりますので、いわゆるジャンケットが行っている金融業務の実態、これは実はよくわからないところがあるわけですけれども、今申し上げたような制度設計等に並ぶような形でやっているものではないというふうに考えているところでございます。

源馬委員 ジャンケットと一緒かどうかということを問題にしているわけではなくて、本質的な依存症対策の観点からすると、同じような問題を結局はらんでいるんじゃないかということをお伺いしたいわけなんですね。

 今御答弁でもあったとおり、では、カジノ事業者が信用調査をして、それぞれの顧客それぞれに対して幾らまで貸していい、それを自分たちで決めるから安心だとおっしゃいますが、結局、ジャンケットも、やはり自分たちが取りっぱぐれることは避けなきゃいけないわけですから、自分たちでこのお客は幾らまで貸し付けるというふうに決めてやっているということは、本質的には何ら変わりがないというふうに思うわけなんですよ。

 これは、誰がやっているかというだけであって、カジノ事業者も、さっきからずっと言っているとおり、やはりお金、採算をとらなきゃいけないので、とれる人からとろうという頭が働くと思うんですよね。根こそぎとってやろうということではないにしても、この人には、預託金を幾ら預けているから、信用調査をして、例えば一億なのか二億なのかわかりませんが、このぐらい大丈夫だろうと決めてそれを貸し付ける。これは結局、世界最高水準の依存症対策とは全く逆行するんじゃないかと思いますが、そのあたり、どう整理をされていますか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 依存予防対策といたしましては、金融業務に関する規制だけではございませんで、これまでも再々御説明しているように、重層的、多段階的な取組を重ねることによって、総合的に依存予防対策を事業者に義務づけているところでございます。

 したがいまして、仮に、カジノ事業者が貸付けを行っているお客さんのゲーミングのやり方を見ていて、これは依存の兆候があるですとか、あるいはこれ以上カジノ行為をさせることが不適切であるということをカジノ事業者が判断する場合には、そういうカジノ行為をお客さんにやめさせていく、そういうアドバイスをする、クールダウンをする、そういう措置をカジノ事業者は別途とらなければいけないことになっておりますので、そういうほかの重層的、多段階的な取組とあわせまして、総合的な対策として、金融の対象になるような、貸付けの対象になるような顧客を含めまして、カジノ事業者はそういう依存予防の措置をとっていかなければならない、そういう制度設計をつくっているつもりでございます。

源馬委員 いろいろ複合的に依存症対策をとっているんだということは、そのとおりなんだろうと思います。なので、それを全て否定するわけじゃありませんが、入り口の規制であったりとか週に三日しか行けないとか、そういう規制ももちろん不必要とは言いませんけれども、最後のとりでの、お金を貸してくれるところが実際あるということは、これはやはり大きな依存症を助長するところになるんじゃないかという心配があるんですね。

 ですから、例えば、それぞれの、顧客個人個人を見て、信用調査をして、この人には幾ら貸してもいいという、それぞれ判断するとはいっても、最低限、やはりマックスで、例えばマックスベットでもいいですし、貸付けのマックスでもいいですけれども、やはり何か上限を決めて、天井を決めておかないと、もう本当にどんどんどんどん貸せる人には貸してしまうということにつながらないかという懸念を多くの人が持っていると思うんですが、そのあたりについて、再度お考えを伺わせていただきたいと思います。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ゲーミングする額の上限の設定などは、別途、カジノ事業者に義務づけられております依存予防規程の中で、回数制限のテーラーメード化と合わせて、お客さんの個別の事情に応じまして、利用額の上限を設けたいという話であれば、そういう上限を設けながらお客さんにゲーミングをしてもらうというような取組も、この御提案申し上げている整備法案の中ではできるという形になってございます。

源馬委員 時間が来たので終わりますが、できる、カジノ事業者に委ねるということではなくて、やはり、依存症対策という側面からも、政府からもしっかりと、マックスベットを設けるべきだというような強い要望を出していただくことが大事じゃないかなと思います。

 あわせて、貸金業務ができるようになったことについてのパブリックコメントはまだとっていないと思いますが、もしとっていたら申しわけございませんが、やはり多くの国民が心配しているところでもあるので、しっかりとここは対応して、政府としても強い姿勢で臨んでいただきたいというふうに思います。

 終わります。

山際委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 おはようございます。国民民主党の稲富修二でございます。

 きょうも、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、IRの開業プロセスについてお伺いをいたします。

 区域整備計画を認定してからIRの開業まで、政府から開業プロセスという一枚紙をいただいておりますけれども、区域整備計画の認定からIRの開業まで、基本的なことですが、大体どれぐらいの年限がかかるのか、教えてください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 実際、誘致に関心のある地方公共団体が、都道府県等がどれぐらいの時間をかけて区域整備計画を公募選定した事業者と一緒につくることができるかどうか、申請することができるかどうかというようなことにも大きくよりますので、現時点におきまして、認定を受けてからどれぐらいで開業できるのかということを例えば何年という形で申し上げることは非常に難しいということは御理解を賜りたいと思います。

 まず、地方公共団体の方では、地方公共団体としての、都道府県等としての実施方針を定め、そして公募選定をし、そのプロセスの中には、地元の協議会などとの協議など、さまざまな、多段階的な合意形成のプロセスがございますので、申請をできるようになるまでは相当の時間がやはり必要になるのかなというふうに考えている次第でございます。

稲富委員 私は、認定からと申し上げました。申請に時間がかかるとかということじゃなくて、認定してから開業までどれぐらいかかるかという御質問をいたしました。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。失礼いたしました。

 認定を受けますと、今度は、民間事業者の方は、工事の着工にかかれることになりますし、また同時に、カジノ管理委員会にカジノ事業免許の申請をするということになります。

 工事の方のことに関して言えば、シンガポールの二つのIRの例で見ますと、工事期間がやはり三年から四年ぐらいかかっているということになっているというふうに承知してございます。

稲富委員 今回の法案の中で、区域整備計画の認定から七年後に三という上限を見直すことができるということが規定されていると思いますが、この七年の根拠を教えてください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 七年といたしましたのは、先ほど御答弁申し上げましたように、最初の認定が国交大臣によって行われましてから、恐らく開業までに必要な工事の期間だけ考えても三、四年かかる。そしてさらに、こういう認定区域数の上限を見直すためには、日本にできるIRの公益実現のパフォーマンスがどうであるか、そして観光政策上のパフォーマンスがどうであるか、そういうことを少なくても複数事業年度にわたって検証していく必要があるであろう。そういうことから考えまして、最初の区域認定が行われてから七年経過後にしているということでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 建設自体は恐らく三、四年であろうという御発言がございました。

 確かに、シンガポールの場合は、マリーナ・ベイ・サンズは、契約をしたのが二〇〇六年、そして一〇年の四月に一部開業し、全部の開業は二〇一一年ですので、契約締結から、もちろんプロセスは少し日本とは違うと思いますけれども、約五年かかっております。そして、リゾート・ワールド・セントーサにおいては、契約は二〇〇七年、そして二〇一〇年の二月ということで、三年ということでございますので、五年、三年、このあたりかと思います。

 そして、検証が必要であるので複数年の事業年度が必要であるということなんですが、私は、一旦事業を始めたときの投資回収、事業者にとっては何年ぐらいかかるのかということをお伺いいたします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 投資回収期間は、本当にそれぞれの事業者のビジネスモデルによって異なりますので、一概に申し上げることは非常に困難でございますけれども、開示されている情報などからいたしますと、シンガポールにある事業者の場合の一つにおきましては、毎年度、IR事業者として生じます、世上、EBITDAという言葉を使っておりますけれども、税引き前そして減価償却前の利益を仮に全部投資回収のための返済に充てたとしますと、五、六年ぐらいで投資回収ができていたのではないかという推計ができるようなものもございます。

 でも、もちろん、事業者によりまして返済計画はそれぞれ異なりますので、私が今御説明申し上げたのは、返済期間がそういうことになっているということではございません。

稲富委員 ありがとうございます。

 ということは、日本に当てはめて考えると、区域整備計画が認定をされて、実際の工事期間、もちろんこれもあくまでシンガポールの例にすぎないですけれども、やはり三年から五年ぐらいかかるであろう。そして、実際の事業が開業してから、実際の営業を始めて、企業として、事業体として投資回収ができるであろうと推定できるのは、シンガポールの例でいうと五年かかる。恐らく、日程感でいうとそういう感じだと思うんですね。それを日本に、全く同じとは言えないまでも、それを翻って考えると、やはりそれぐらいの期間がかかる。

 そして、実際に開業してから、その事業体が一体成り立つのかどうか、かつ、その社会的コストといいますか、そういうことの検証を考えると、これは七年ということで、大臣、上限三というのを見直すには余りにも早いというか、実際に事業がスタートしてから二、三年、あるいは一、二年ですぐ次の、三から四、あるいは四から五、そういったことを検討し得る状況にあるのであって、私はこれは早過ぎるのではないかと思いますが、大臣の見解を伺います。

石井国務大臣 今、政府参考人からも答弁させていただきましたが、区域計画を認定して七年後ということになると、実際に運営を始めて複数の事業年度が経過しているであろう。ですから、そこでどれぐらいの収益が上がるかという実績が出てきますし、また、実際にさまざまな弊害防止措置を講じていますけれども、その効果もある程度わかってくるということで、七年という年限が定められているというふうに思っています。

 ただ、七年がたったから必ず見直さなければいけないということではございません。

稲富委員 恐らく、今回、上限、七ということで、その他の地域も手をもしかして挙げるかもしれない。そして、いろいろな試算をしている地方自治体もございます。その地方にとっては、いつ、その次なのかということは極めて大事で、私は、七年というのは、一種、見切り発車になるのではないかというおそれを抱いております。

 と申しますのは、先ほど申し上げましたように、事業が始まってから、さして、ある意味、一、二年のところで判断をするというのはやはり早過ぎる。もちろん、それは必ずしもそうなるとは限らないとしても、やはり地方にとっては、早く、いつなんだということになるわけでございまして、早過ぎるのではないかと私は思います。やはり十年ぐらい期間を設けないと次の判断ができないのじゃないかと思います。

 そこで、次に、今回、経済効果については政府としては試算ができないということを累次にわたって御答弁をされました。IRがどこに設置されるのか、どのような内容の施設か不明なので、定量的に試算は困難であるという御答弁をされてきましたけれども、それでは、区域整備計画が認定をされた後は、どこに設置をするのか、どういう形態なのかということが明確になるわけでございますので、その後は試算をするということでよろしいでしょうか。

石井国務大臣 IR整備法案におきましては、都道府県等が作成をいたします区域整備計画に、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現するための施策及び措置に関する事項、カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行うために必要な施策及び措置に関する事項、区域整備計画により見込まれる経済的社会的効果に関する事項を記載することとされておりまして、国土交通大臣の認定を受けるということでございます。

 また、この区域計画の認定後、国土交通大臣は、毎年度、当該区域整備計画の実施の状況について評価をすることとしておりまして、計画に記載された内容が適切に実施されているかを確認していくということでございます。

稲富委員 認定を申請する際、あるいは認定をされた後、その効果については試算をするという理解をさせていただきましたけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

 改めて伺います。認定した後、IRの経済的効果、社会的コストについて試算をするということを改めてお伺いをしますが、よろしいでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま石井国務大臣から御答弁申し上げましたとおり、一旦認定が行われ、そして、整備計画の中に狙っている経済的社会的効果がいわばコミットとして書かれるわけですので、その後は、国土交通大臣が、この事業計画に基づいてそういうコミットメントがきちんと達成されていっているかどうかを毎年度検証していく、評価のプロセスの中で検証していく、いわばそこで確認をしていくということになるのかと思います。

 したがいまして、試算といいますよりは、実際にどれだけの効果が発現しているのかということを確認していくプロセスになるかというふうに考えてございます。

稲富委員 定量的にということが大事だと思うんですけれども、その点もいかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、区域整備計画の中には、経済的社会的効果につきましてはどういう効果がどれぐらい、例えば誘客数ですとかあるいは雇用の数ですとか、そういう定量的な指標が含まれることになるというふうに想定しているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 次に、雇用についてお伺いをいたします。

 今回のIRが仮に設置が決まるということになりますと、当委員会でもシンガポールの例、たびたびですけれども、二つのIRで約二万人の雇用が新規で発生したということがございました。

 我が国において、仮に三つとなりますと、今でさえ人手不足でございまして、どのように人材を確保するのかということは極めて大切な点だと思いますが、その点、どのようにお考えでしょうか。

石井国務大臣 IRの区域整備計画には、施設や事業に関する事項等、IRの事業についての基本的な事項を定めた事業基本計画を記載することとしております。

 この事業基本計画につきましては、区域整備計画の認定基準におきまして、設置運営事業等が円滑かつ確実に行われると見込まれることをその要件としております。

 事業基本計画を始めといたしまして区域整備計画の具体的な内容については都道府県等とIR事業者が記載することになりますが、IR事業において必要となる人材の確保も含めて、IR事業が円滑かつ確実に行えるものとなる内容を定め、実施することが求められるわけでございます。

 ですから、事業基本計画の中に人材の確保ということもきちんと定められるということになるかと思います。

 その際、既存の制度を活用して外国人材を獲得することや、地域で人材を掘り起こすことなども考えられるところであります。

稲富委員 済みません、今、大臣の答弁の中で、外国人材とおっしゃいましたか。もう一回、今のところ、ちょっと聞こえなかったんですが、外国からの人材もということでしょうか。

石井国務大臣 これはIRの整備計画の中にどう書かれるかということですけれども、人材確保という中に、既存の制度を活用した外国人材の獲得ということも、それは選択肢としてはあり得るというふうに思っています。

稲富委員 今、私の地元もそうですけれども、かなりの、いろいろな意味で人手不足でございます。例えば大きなデパートが建つ、あるいはそういう何か新しいものが建つと、そこにすごく人材が吸収をされる、その大きな施設の周辺のところから人材が吸収をされるということがございます。人材の奪い合いと言うとちょっと強い表現になりますけれども、そういうことが起こっているのが実情でございます。

 そういう中で、計画上、そういう人材確保を掲げるのはもちろんのことですけれども、実際問題、例えば一つのIRで一万人の人材が必要であると考えたときに、当然、その人材をどこかから、働く方をどこかから雇用しなきゃいけない、そうすると、逆にそのIRの周辺の雇用はどうなるのかということは切実な問題として起こり得るんだと思います。

 それはやはり、大きな施設をつくって、むしろ、周辺の地域、自治体、あるいは商店街、そういったところから人材をそこに吸収していくということになるのではないかということを危惧しているわけですけれども、その点はいかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県等とそして事業者が区域整備計画を策定する場合、そしてそういう雇用をどのように達成するのかということを書き込む際も、そういうことも含めまして、地元での協議会、あるいは立地市町村の同意といった合意形成プロセスの中でそういう記載事項が形づくられていくというふうに考えてございますので、仮にの話ですけれども、事業者が無理な形で、あるいは周辺の事業所の雇用を奪うような形で雇用を達成しようという提案が出されるといたしましたら、それは地元での合意形成プロセスの中で必ず地元側からチェックを入れられることになるであろうというふうに想定しております。

 また、そういうことにならないような事業計画を地元の都道府県等と事業者の間で十分協議をしてつくっていただくことが重要なのではないかというふうに考えている次第でございます。

稲富委員 それで、計画の中で、地元の理解も得ながらやるというのはそのとおりなんですけれども、実際問題は、みんな丸くおさめながら一万人の雇用を確保するなんて、今できないと思います。私は、現実感として、できない。やはりどこかから雇用を持ってこざるを得ない。そして、今の人手不足の中で、人材が不足している中で、どこかで誰かがそれを負わなきゃいけないことになるわけでございます。ですので、これはやはり大きな事業をする上で雇用吸収をするのは間違いないわけで、そのリスク、周辺地域がむしろ廃れていくんじゃないかという危惧でございます。

 IRによって地域を活性化するといううたい文句があります。むしろ地方創生だ。しかし、実際、その周辺地域が疲弊をし、むしろIRに一極集中的なことが起こるということになると、もともとの理念と全く違う方向に進んでいくということになろうかと思いますので、その点、ぜひしっかりと、地域の事情等を加味しながらやっていただきたいなということを申し上げたいと思います。

 続きまして、IRの今回のさまざまな政府の御提案からすると、やはりIRによって、あるいはカジノによって基本的には収益が上がるんだという前提で物事が組み立てられていると思います。

 例えば、この法律の一条の目的のところでいくと、カジノ事業の収益を活用して、観光、地域振興、財政改善に資することだと書かれておりまして、事業収益があるということが当然、前提としているわけでございます。そうしなければIR自体が成り立たないということだからだと思います。

 改めて大臣にお伺いしますが、これまで政府としては試算を一度もしていないという中で、試算がないのに、事業収益が上がると想定し、確信をしていらっしゃる理由を教えていただけますでしょうか。

石井国務大臣 それは、海外、我々が参考にしました、シンガポールやネバダ等の事例を参考にしているということもありますし、そういう収益が上がるような区域整備計画をつくっていただかないとそもそも認定をしないということかと思います。そういった収益面もきちんとチェックをした上で認定をしていくということになろうかと思います。

稲富委員 収益が上がるものしか認定しないから収益が上がるんだという理屈かと思いますが、これはこれ以上言っても水かけ論になりますけれども、そこの点がやはりどうしても私としては理解がしづらいところでございます。

 一方で、国庫納付金の、納付というのが三〇%、国庫一五%、地方へ納付金を一五%するという条文がございますが、この中で、カジノ行為粗収益がゼロを下回るときということも同時に書かれております。これはどういう場合を想定しているのか、教えてください。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 カジノ粗収益がゼロを下回るということはまずないというふうに考えておりますけれども、カジノ粗収益を計算する方法を、大枠は法律の中で、更にその算定式の詳細につきましてはカジノ管理委員会規則で定めることとなっておりますので、そういういわば数式のようなものをつくる際にはそういうケースも想定をしているということでございます。

稲富委員 そういうことは想定していないけれども、数式上想定しているという御答弁かと思いますけれども、もう一度お伺いします。

 カジノ粗収益がゼロを下回る場合は想定していない、しかし、数字上それを想定することが必要だということとしかちょっと聞こえなかったんですけれども、もう一度御答弁いただけますか。

中川政府参考人 御答弁申し上げます。

 技術的に申し上げますと、カジノ行為粗収益は、顧客がカジノ事業者側に、まず、カジノでかけたいわゆるかけ金からカジノ事業者が顧客に払い戻す、いわゆる顧客の勝ち金を控除したものになりますので、ほとんど起こらないであろうというふうに考えてございますけれども、プラスであるかけ金からマイナスで控除する勝ち金を控除いたしますので、算定式、数式上はマイナスになることがあり得る、そういう意味で先ほど申し上げた次第でございます。

稲富委員 大臣のおっしゃっていることと矛盾していると思います。

 もうかるものしか認定をしないということがさっきの大臣の御答弁かと思います。でも、一方では、今言ったように、ゼロを下回ることがあるのでそれを一応記入をしておくということは矛盾するんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 私が先ほど御説明いたしましたのは、毎月毎月納付金を算定するベースとしてのカジノ行為粗収益を算定する場合のことでございまして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたのは、IR事業全体としての収益がどうなっているのか、それが区域整備計画上、そういう収益を発生して大きな経済効果、社会的効果をもたらすような事業計画でなければ認定することができない、そういう趣旨でございます。

稲富委員 今の御答弁だと、長期的にはもうかるものしかしない、ただ、毎月ではそうじゃないときも出てくるということかと思いますが。

 先ほどの中で言うと、今回のIRの法案の中心は何といってもカジノでございます。これまで当委員会でも何度も議論がありましたけれども、そもそもカジノがなければこの法律は必要がない。違法性を阻却する、刑法で賭博を禁止するからこそ、今回の法律が必要なんだということでございます。

 そこで、賭博の違法性を阻却するに当たって、八要素、必要な着眼点としての八要素があって、その中の第一が、目的の公益性というものが掲げられております。要するに、その中では、カジノの収益を、内部還元で観光、地域経済振興、国庫納付などを通じ公益を実現するから目的の公益性に資するんだ、だから違法性を阻却するんだということが前提になっています。

 であるなら、もし、もうからなくなった場合、カジノがもうからなくなって、むしろカジノ粗収益がゼロを下回るようになった場合、これはそもそもの目的の公益性にかなわないことになるんじゃないかと思いますが、御答弁をお願いします。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる八つの観点の一つであります公益性につきましては、カジノの粗収益を活用するということもございますけれども、また、それが納付金となってさまざまな公益実現事業に国、地方公共団体の場で還元されていくということもございますけれども、IR事業全体として見ますと、ゲーミング以外の誘客施設で、MICEですとか日本の魅力発信ですとか、そういうことの部分で誘客効果あるいは消費効果を上げることで日本を観光先進国に引き上げていくという大きな公益が実現していくという観点も含まれているものでございます。

稲富委員 しかし、全体としての収益は、七割、八割、カジノです。したがって、今おっしゃっているのはごく一部の話でございまして、違法性を阻却するというのはあくまでカジノの話をしております。カジノでもうからなければ目的の公益性を実現できない、そうすると、そもそもの目的の公益性を実現できないから違法性の阻却はできないんじゃないかということを申し上げているわけでございます。

 カジノがもうからなければ違法性を阻却する土台が崩れるんじゃないかということを申し上げているんですが、いかがでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 カジノ事業が継続できなくなる場合に、あるいはIR事業全体として事業継続が困難となっていくような場合には、この整備法案の中におきましては、都道府県等が主導権をとりまして別のIR事業者を選定し、それに基づいて、IR事業を承継していく事業者が選定される場合には、区域整備計画の変更が可能になるような制度設計となっております。

 そういう形で、IR制度を通じて日本の中で公益実現が継続されるような、そういう枠組みを御提案申し上げている次第でございます。

稲富委員 ごめんなさい。よく私には理解できない御答弁でした。

 要するに、もうかるということが前提になっているからこそ違法性阻却ができる、そしてこのIRそのものが成り立っている、しかし、そのもうかるということがいまだ政府から示されていないからこそ、今こうやって申し上げているわけでございます。

 最後に、大臣にお伺いをいたします。時間が限られて、済みません、さまざまな質問を用意していて来ていただいたんですが、申しわけございません。最後に申し上げます。

 今回、なぜ国民がすごく反対をしているのに進めるんだということがあって、大臣はたびたび、これはカジノがどうしても中心になって話題になるから多くの国民が反対をしているんだということを、これは総理も大臣もおっしゃってまいりました。しかし、私はそうじゃないと思います。これはカジノがやはり中心であって、そこが財源的な中心であって、それに対する漠とした、多くの方が、日本人が不安に思っているからだと思うんです。

 これで本当に日本経済がよくなるのかということに対して、政府のパブコメでも多くの方が反対をしているということ、それについて改めて大臣御自身の考えを、本当にカジノを進めるのかということについて、大臣のお考えをお伺いします。

石井国務大臣 まず、政府としては、IR推進法で、カジノを含むIRの整備推進が国の責務とされております。ですから、政府としてはIRの整備推進が法律上の責務となっておりますので、私どもは、今般、この責務に基づいてIR整備法案を提出したというのがそもそも論であります。我々は法律上の責務を負っているということがまず第一にございます。

 それから、カジノに対しては確かにさまざまな弊害を心配する声があることは承知しております。

 この要因としましては、依存症防止対策、犯罪・治安維持対策、青少年の健全育成対策を重層的かつ段階的に講じたクリーンなカジノであることや、日本型IRの実現が、観光や地域振興、雇用創出など、日本の成長戦略に資する大きな効果を生むことのイメージの共有がいまだ道半ばである、なかなかそういったイメージが浸透していないということもあると思います。また、これらの厳格な対策、効果について、日本においてこれからIRの整備が行われることから、現時点ではなかなか実感を持ってイメージをしにくいといったことが考えられます。

 このため、先般総理も答弁をされたところでありますが、今後、日本型IRのイメージを実感に近い形で具体的に共有をさせていただくための全国キャラバンを実施していきたいと思っています。

 引き続き、国民に丁寧に説明を行うとともに、依存症防止対策などに万全を期しながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進していきたいと考えております。

稲富委員 財務省、国税庁の参考人の皆さん、申しわけございませんでした。

 ありがとうございました。

山際委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 どうも、よろしくお願いします。

 きょうはIR法案の審議ということで、私は横浜市の出身でございます。神奈川一区というところから来ましたので、今回の質疑を聞いておりまして、やはり地元の声というのはどんな現状認識なのかということをしっかりと国の中で聞いていくというのが大事なんじゃないかと。神奈川の委員長にもぜひ聞いていただきたいと思いますし、本当に地元の声は大事だと思っていますので、よろしくお願いします。

 まず、一つ大臣にお伺いしたいのですが、先日の委員会の御答弁で、一般の方と最近会っていないので、この法律についての意見交換をしていないという、森山委員の質問でございました。そのときに、これはやはり一般の方々等地元の声もありますし、聞いた方がいいんじゃないかということがありましたので、その後、そういった機会を設けられた、あるいはお話を伺ったことがあるかということだけ聞かせていただければと思います。

石井国務大臣 なかなか、公務等が週末も含めて入っておりまして、IRについて意見交換をする機会は残念ながら持てておりません。

篠原(豪)委員 大臣は正直な大臣で、本当に私も、であるならば、やはり地元の声を国会で多少議論した方がいいんじゃないかということで、地元の声をきょうは届けさせていただきたいと思います。

 お手元に資料を配らせていただいております。地元の声からすると、この二枚目なんですが、カジノ事業とはどういうものなのか。

 これは現状認識として、まず一つ目は、賭博というものは重大な刑法違反であり、犯罪である、これを、市民感覚で理解できない合法化を果たしてしていいのかどうか。そして、依存症の助長、これの対策を打てばいいというのは、本当にそれがきくのかどうか、実は責任を回避しているんじゃないか。そして、経済は消耗し、質の悪い経済、成長とは実は無縁な経済政策なんじゃないか。そして、国際的なマネーロンダリング、これも国際金融、違法取引の温床になってはいけないし、治安が悪化したら地元は大変ですから、これはいけないということで、カジノにいろいろ群がる、例えば江原ランドの話を、私じゃなくても、神奈川県出身の議員の方がこの委員会で先日されていましたけれども、これはやはり犯罪性が非常に気になるところではないのか。そして、カジノにはそもそも付加価値の創出がないのではないか、これは健全な経済発展とはほど遠いんじゃないかというふうに考えています。そして、海外の資本、これは地元の声ですから、日本の国土が荒らされる、海外の資本に荒らされてしまっては大変なことになるんじゃないか、こういうことを危惧しているわけでございます。

 これをどういうふうに言っているかといえば、ギャンブル、賭博は歴史的に日本では禁止をされてきた、パチンコは庶民的に根づいている面もある、そもそも少額な遊びであるけれども、ギャンブルというのは瞬時に大金を失う、カジノの側も大金を失うこともあるかもしれないが、基本的にはかけている方が勝てる可能性が少なくなってくる、そして、青少年教育上、このばくちは最悪の教育の題材提供になるんじゃないのか、こういうことを基本的認識として思っているんです。

 そして、まず質問をさせていただきたいと思うんですが、我が国経済を再び拡大していく手段として統合型リゾートを導入し、観光振興を行うというIRの推進の根拠からすると、日本経済としてのプラスの効果は、海外客をどの程度獲得できるかということに依存することになります。

 ところが、ゴールドマン・サックス証券は、東京と大阪ですら三割程度の海外客しか見込めないとし、国際カジノ研究所、これは東京のものですけれども、日本で関東、関西、北日本にカジノが一カ所ずつできた場合、年間の入場者数は四千四百万人になり、うち九割が日本人客であるというふうに推計しています。大阪府も、これはきょう、けさの部会でも出ましたけれども、国内外から夢洲地区のIRに最大二千二百万人が訪れ、うち日本人客は約七割、約一千五百万人とはじき出しています。北海道も、苫小牧にIRを設置した場合、六百万から八百万人が訪れ、うち八割が日本人だということを言っています。

 したがって、大臣、このIRは実は、統合型リゾートは日本の経済成長に資するとはとても言えないのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

石井国務大臣 我が国の日本型IRにおきましては、日本各地に存在している豊かな自然、固有の歴史、文化、伝統、食などの魅力を生かしつつ、これらを更に磨き上げ、IR施設全体として、これまでにないスケールとクオリティーで魅力を発信することによりまして、これまでの他国のIRにはない独自性と高い国際競争力を有し、幅広く世界じゅうの観光客を引きつけることを目指しております。

 さらに、IR区域への来訪客に日本各地の魅力を発信し、かつ、チケット手配などを通じて全国各地に送り出す送客機能を持たせることによりまして、IRが世界と日本の各地とをつなぐ交流のハブとなり、日本全体の経済成長につながると考えております。

 今後、政府といたしましては、成長戦略の一つといたしまして、魅力ある日本型IRを実現するために、依存症などの課題に万全の対策を講じながら、世界じゅうから観光客を集める滞在型観光を推進してまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 御答弁はちょっと短目にしていただきたいと思います。なぜならば、いっぱい聞きたいことが地元の方々はあるのでございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それで、簡単な話なんですが、まず、この資料の十ページをおめくりくださいませ。よろしいですか。

 これは何が大事かというと、今、日本のハーバーリゾートの中で、これは書いていますけれども、どういうふうに考えているかというと、「新・観光立国論」、著者はデビッド・アトキンソンさん、この方がおっしゃっているんですけれども、カジノの世界の全体の市場規模というのは十八兆円、日本でカジノが開設されると、これは二兆円なんです。しかし、世界全体で規模は今成長していません。どこかが成長するとどこかが縮小するマーケットだというのは、参考人質疑でもありました。だから、外資はぽこぽこぽこぽこと、新しい投資先をどんどんどんどんと選んでいく、そしてそれを吸い上げて大きくなっていくということなんですね。そのモデルに乗ってはいけないということで、私たちは、これが本当に資するのかどうか。八割、九割は日本人しか行かないんです。

 そして、その中で、日本の観光市場の現状を見ますと、日本の観光市場で手つかずの四十兆円が今ありまして、今、訪日客が二千八百万人を昨年は上回り、そして外国人客が使ったお金も、このときから比べても、四兆円を超えたと今言われておりますので、日本経済成長のためにIRを推進するという考え方は再考すべきときにもはや来ているんだと思います。これが実態なんだと思うんですよ。にもかかわらず、これを続けていっていいのかということであります。

 このことはもう今長く話してもしようがないので、横浜の地元の意見としては、これはもはや時代おくれなんだ、そして、こんなことをしてももはやもうからない。

 もう一つ申し上げます。

 私はお話で聞きました。ギャンブル依存症で多くの金額をすった方のお話を教えていただきました。こういう方は、いろいろ聞きますと、ギャンブルに行くんですが、まず、今回統合リゾートをしても、日本では、やらないということを言っていました。

 なぜかといったら、今、写メを撮られて、有名人になったりすると簡単に載せられちゃうので、これは恥ずかしいので行かないというので、お金持ちの顧客は海外に行くと言うんですよ。海外に何しに行くかといったら、ギャンブルをしに行くんですね。ギャンブルをしに行って、観光するかといったら、しないんです。ずっと、七十二時間なら七十二時間、ギャンブルをやって帰ってきて、失敗したらまたお金を持っていってやっていく。昔、製紙会社だか民間業者だかわかりませんけれども、そういう方々が、それに類する方がそういうことをおっしゃっているのであれば、そういうことなんだろうというふうに思います。

 こういったことがあるので、これは今再考すべきときに来ているんじゃないかということで、今お話をしているわけであります。

 この統合型リゾートというのは、結局は、既存の賭博産業などとは違う、遠方の顧客を主たるターゲットにするとおっしゃっていますが、実は、カジノの主たる顧客は近隣の住民となる可能性が大きいと思っています。このことの御認識をお伺いします。

石井国務大臣 我が国で整備することになります日本型IRは、外国からの観光客だけでなく、国内観光客も対象とした総合的なリゾート施設であります。世界じゅうから観光客を集める滞在型観光モデルの確立を実現することを目的とするものであります。

 このため、日本型IRとしては、国内外を問わず、多くの来訪者を引きつけるような魅力ある施設を整備することを考えております。

篠原(豪)委員 私の質問は、実はこのカジノというのは、近隣の方々が来ることになるんじゃないかという話をしているんです。

 パチンコとか競馬、競輪といった公営賭博は、原則として近隣の居住者の顧客を対象としているんです。これに対して、統合型リゾート、カジノは、今おっしゃったような既存の賭博産業などとは違う、遠方の客を、海外からまでターゲットにすると言われています。この入場料を六千円にしました、入場回数を七日間で三回、二十八日間で十回と言っています。

 これはちょっとお伝えしておきたいんですけれども、私がお配りした地元の声、この八ページのところですけれども、「矛盾に満ちたカジノ事業 ギャンブル依存症対策法 IRカジノ実施法」と書いているんですが、お金でもって、敷居を入場料で下げると社会悪が増加するんです。社会悪というのは、依存症患者等です。それで、カジノ業者はもうかる。敷居を上げると、上げて今度は社会悪は減少すると言っていますけれども、カジノ業者がもうからない。

 ですので、ここのところはどういうふうな議論になっているかというと、これはいずれにせよだめじゃないかということで、こういうことをしないということが大事なんだということで言っております。いずれにせよ、だめなんです、これは。そして、できないんです。そういうことであります。

 カジノの主たる顧客は近隣の住民となることが極めて大きいと考えています。今の規制は、御承知のように、これは全国一律なわけです、国内の国民にとっては。なので、これは、やはり近隣の方々にはまた違う規制をしっかりとかけないといけないんじゃないか、そういったふうに今回の法案を修正して出してみてはいかがかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか、近隣の住民はもう少し厳しくするかどうか。

石井国務大臣 これまでも答弁を申し上げておりますが、IR整備法案では、さまざまな依存防止対策をとっておりまして、重層的、多段階的な取組を制度的に整備しており、カジノ行為への依存の防止に万全を期しているところでございます。

 特定の地域の住民に限り、より厳しく入場回数制限を課すべきではないかというお尋ねでありますが、さまざまな交通手段がある中で、カジノ施設からの距離を根拠として規制を課す、特定の地域の範囲を合理的に設定することは困難でありますし、入場回数制限は全国に設置される複数のカジノ施設全体を対象として行うものでありますから、特定の地域の住民による特定のカジノ施設への入場回数を制限しても有効な制度とはならないと考えられます。

 したがいまして、特定の地域住民に限定してより厳しい入場制限を導入することよりも、従来より御説明をしております重層的、多段階的な取組を進めることによりまして依存防止対策にしっかり取り組んでいくことが重要であり、かつ適切であると考えております。

篠原(豪)委員 私は適切であると考えておりません。

 なぜならば、アメリカでは、カジノから五十マイル以内の依存者率は域外の二倍になったという報告もあります。

 ギャンブル依存症が疑われる人が昨年の推計で七十万人、そして、そのうち、生涯のうち一度でも依存症だと疑われる人だと推計三・六%、三百二十万人。こういうことで、一、二%の国が多いと言われている海外に比べて高いので、大きな問題に既に日本はなっているんですよ。なっているし、アメリカでは、もう一度言いますけれども、五十マイル以内の、五十マイルですよ、先ほど距離でできないと言っていましたけれども、できるわけです。五十マイルと決めたらいい。五十マイルじゃなくて、百キロだったら百キロでいいですよ。決めればいいんです。決めて、そして、そこのところをどうするかということ、入場制限、近隣住民の方を遠くの観光客よりも厳しくするように考えていただきたいと思いますので、これはまた議論をさせていただきたいと思います。

 さて、民意であります。

 IRの有力候補地の一つとされてきました地元の横浜市も六一・五%の人が誘致に反対し、全国でも大変反対をしている。今、シール投票をやってみますと、反対の方が物すごく多いんですよ、街頭でやりますと。ほとんど反対。もう百反対で、幾つか、ぱらぱら賛成みたいなところがあります。

 パブリックコメントをやったと言っていますけれども、やってみたらいいです、横浜市でもう一度ちょっと、幾つか。観察単位がないので事業シミュレーション、収支シミュレーションができないとおっしゃっているんですから、では、私が、横浜、大阪、東京、そして、例えば九州一カ所、北海道一カ所でいいですよ、仙台空港の周りかわかりませんけれども、何かコンセッションとIR、いろいろとそういったところで幾つか、政令市でやってみたらいいじゃないですかという話です。そして、これを観察単位、ランダムにサンプリングをして、どういうふうになっているか、これを政府でやってください。

 それをやって、では今どうなっているかというと、なぜ横浜がそう言われるかというと、こういうのがあるんです、横浜市山下ふ頭開発基本計画。これは横浜市の基本計画になっています。ここには何を書いているかというと、「今後、この基本計画を基に、市民の皆様、港湾関係者の方々にご協力をいただきながら、魅力と活力あふれる新たな賑わい拠点の形成に向けて、取組を進めていきます。」ということが書いてあって、どういうものをつくるかと書いてあるんですね。ここに書いてありまして、これは議決して決まっていますので、横浜市はこれでやるということなんです。ここに対して、横浜市には……。

 一つお伺いしたいんですけれども、済みません、地方自治体なので、地方自治体の議会の議決が必要なのか、IRを導入するときには。たしか御答弁では、最初に一回必要で、十年間はその議決が有効であり、そして、その後はまたやらなければいけないみたいな話だったと思うんですけれども、このことが正しいのかどうか。

 もう一つ、先ほどから累次話がありました、大臣、シンガポールとネバダ、成功例のみを見て、収支シミュレーションはなくていい、そういうふうに先ほどおっしゃっていましたけれども、失敗したらどうなるかということなんですよ。

 事業者が自治体と一緒に計画をつくって一緒にやっていくという話であります。これが失敗したときに、先ほどの次長の話では、もう一度、失敗した場合には事業者に区域整備計画をつくり直すことを認めて、そして、これでやるから問題ないんだ、運営権を移すから問題ないんだという話をしているんですね。しているんですけれども、最初から、失敗しないと言うんだったら、こんなことを言うのもおかしいというのが先ほどの稲富委員の御指摘に近いものだと思うんですが、これにプラスして、事業者に、失敗したときには更地に戻してくださいというような共同計画にきちっとなっていて、そして、失敗したときに市民の税金がそこに投入されない、こういったことも担保して区域整備計画等々が決められるのか、そして、その計画に基づいて議会が議決するのかということについてお伺いします。

石井国務大臣 きょうは政府参考人の登録が許されていないのですが、今、御質問は通告がされておりませんで、詳しい項目についてはぜひ御通告をいただきたいと思いますが。

 稲富委員のときに同じような項目が、細かい制度的な中身については、まず、前段のお話で、仮に横浜市が申請をする場合には、横浜市議会の議決が必要になります。それは……(篠原(豪)委員「十年間」と呼ぶ)いや、十年間というか、申請する場合ですよ、区域整備計画を申請する場合。その申請したものが認定されるとは限りませんから、まずは、申請をする場合には、都道府県議会、政令市議会の議決が必要になるということであります。

 それから、今、事業が失敗したケースということでありますが、まず、IR事業の継続が困難となった場合において、都道府県等が引き続きIR事業の継続を希望するときは、都道府県等の選定する後継の事業者が区域整備計画の内容を引き継ぐことを前提に、IR事業者の変更に関する区域整備計画の変更認定、カジノ事業の承継の承認等の手続により、後継事業者がIR事業を承継することは可能であります。

 また、都道府県等とIR事業者とは、あらかじめ、IR事業の継続が困難となった場合における措置に関する事項を内容に含む実施協定を締結しなければならないこととしております。

 仮に、IR事業者の収益が悪化をし、IR事業の継続が困難となった場合には、IRの施設の取扱いを含め、都道府県等とIR事業者との間であらかじめ合意した実施協定に基づき適切に対処されることとなるわけでございます。

篠原(豪)委員 では、計画を再度承認するときには、仮に失敗したときに、国の税金とか国民の皆さんの税金、市民の税金、こういったものは投入されないということを一〇〇%担保していただいてから認めるということでしょうか。

石井国務大臣 法案では、特定複合観光施設とは、民間事業者により一体として設置され、及び運営されるものと定義をされておりますので、国としては、IR事業に対して公的資金を投入することは想定をしておりません。

篠原(豪)委員 失敗しても、一体でやっているわけですから、一体のときに、あなただけやってくださいという、民間の事業者だけに責任を求めることで本当に通用するのかということを最後に確認します。

石井国務大臣 先ほど答弁申し上げましたが、都道府県等とIR事業者とは、あらかじめ、IR事業の継続が困難になった場合における措置に関する事項を内容に含む実施協定を締結する、しなければならないということでありますから、実施協定の中で都道府県等とIR事業者の中で定められるということかと存じます。

篠原(豪)委員 それは実は、実施協定にはそれが盛り込まれるかどうかというのはわからないし、盛り込まれていなければ認めるというものでもないから、だからその可能性があるということですので、そうでないのであれば、それは後で資料で出していただければと思いますし、委員長、これは、そこをちゃんと調べて、整理して資料を出していただきたいと思います。よろしいですか。

山際委員長 後ほど理事会で協議いたします。

篠原(豪)委員 お願いします。

 そして、横浜で地元の声を聞きますと、カジノつきのIRは本当に必要かという声がどんどん、やはり調べると、どうやらうまくいかないんじゃないか、そして、もはや、ここでやることが本当に国益につながるのかどうかということで、私、ちょっとお伺いしたいんですね。

 横浜市には、パシフィコ横浜という日本最大の国際会議場があります。これは、行かれた方はいらっしゃるかもしれませんけれども、かなり稼働率が高いんですね。その中で、山下ふ頭またMICE施設をそのまま、あるいは増築してやる、あるいは独自でやるということになると、それは両立するんですかと聞いたんです、地元の声として。そうしたら、両立はすると言うんです。するんだけれども、カジノなんかに頼らなかったらもっといいものができると言うんですよ。

 これは何かというと、カジノは、今つくるといろいろと大変なことになって、いろいろな業者が来て、これが、カジノにこだわるばかりに、ほかのことができなくなるんじゃないかと。

 それで、調べてみました。ここは観光庁さんにちょっとお伺いしたいんです。

 実は、世界で開催された国際会議、これは大臣の方には行っているかもしれませんけれども、きのうお願いしまして、けさまで一生懸命つくっていただいたので、きょう配付資料につけることができませんでしたが、ここに何が書かれているかということをでは観光庁さんに質問しますが、世界で開催された国際会議、去年、大規模国際会議上位二十位のうち、例えばベストテンまでに一つでも、どういうものがあって、大きさ、規模と、こういう施設にIRとしてカジノがついているのかどうかということをお伺いします。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年開催されました大規模国際会議上位二十位、これは、欧州の中だけでやっている国際会議を除きまして、世界でローテーションで開催されている会議上位二十位の中の資料はございますけれども……(篠原(豪)委員「じゃ、こっちの十七位の」と呼ぶ)はい。

 今御指摘の資料の方は、単純に欧州だけでやっているような会議も含めておりますので、これについては日本で開催される可能性はもともとないわけでございますけれども、そういったものも含めた一万人以上の会議、十七ございます。その中に、私ども、全ての施設につきましてチェックはいたしておりますが、カジノの有無についてホームページ上で記載されているかどうかという観点で探しましたところ、十七位までの施設の中にはございませんでした。

篠原(豪)委員 じゃ、欧州域を除く十位までには入っていますか。じゃ、二十位までには入っていますか。幾つ入っていますか。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 欧州などの中でローテーションで回っている会議を除きまして、世界で上位二十位の大規模国際会議、これは二〇一七年の実績でございます、この二十の中におきましては、私ども、探しました結果、カジノの記載がホームページ上ございました施設が二カ所、そして、記載はございませんでしたけれども、周辺部に別資本で設置されている箇所が一カ所ございました。

篠原(豪)委員 大臣のお手元を見ていただきますと、トップテンを見ても一つも入っていないんですよ。今おっしゃっていましたけれども、あるのは、マリーナ・ベイ・サンズが世界の十五位の会議を一つやった。二十位に、マレーシアのクアラルンプールでリゾート・ワールド・ゲンティンというのが七千人規模をやっていますが、これはたまたまカジノがついていたということなんですね。すなわち、MICE、コンベンションをやるためには、カジノなんて、大きい会議をやって、どこもほとんどついていないんですよ。ないんです。

 また皆さんにお配りしますが、ないので、シンガポールのベイ・サンズを一つ見つけてやって、これは立法事実として、観察単位で二十個のうち一個か二個しかない、五%、一〇%というものを殊さら取り上げて、先ほど申し上げました四十兆円という旺盛な日本の観光市場で、まだブルーオーシャンで手がついていないところがあるにもかかわらずカジノに手を出すと、何が言われているかというと、四十兆円分で成長できるはずだった部分がマイナスになるんじゃないかというふうにも言われているんです。

 なので、これは、本当に大事なのは、こういうことを言われている中で、そういう話を地元の方がしていて、その声があって、実際にこういうことです。横浜だけで、カジノがなくてもMICEは成功するという根拠は、この十社、二十社の中でほとんどない。横浜はよりよく、国のIRじゃないプランでもってMICEを成功させるということが提出された場合には両方きちんと評価して、そしてこれを、カジノありのIRに日本はこれから固執しないでIRをやっていくということを検討するかどうか、お伺いします。

石井国務大臣 IRをつくるかどうかというのは、それぞれの地域の判断であります。国として、どこかにつくってほしいとかそういうことを要請しているわけではありません。

 ですから、仮に、横浜市がIRではなくMICE施設をおつくりになりたいというんだったら、それはそれで結構なのでございます。IRをつくりたいという場合は、この法律にのっとって申請をしていただいて、我々が審査をさせていただいて承認をしていくということかと存じます。

篠原(豪)委員 地元の方がそれを聞けば安心をすると思います。

 なぜ今さら日本でIRのカジノなのか、これは理解できないと。そして、日本は普通の国で、地元の声です、カジノをやるためにIRをくっつけているんじゃないか、本当に観光立国を目指すのだったら、ここはカジノフリーが価値を増すんじゃないか、それで日本の海外観光客も含めて誘致をし、そして、真にカジノなしの高貴な美しい国、真の魅力を発揮する、カジノがつくと大きなマイナスになる、カジノなしが付加価値を増す、高ブランド化だということで言っています。そして、日本はやはり本物の、正当な観光の地をつくっていかなければいけない、そういう思想設計が今こそ政府に求められるんじゃないかということであります。

 日本は、残念ながら、他の国のカジノを一カ所、二カ所、さっきのこの会議で、世界の中で開催された大規模会議のベストテンに一個もない。IRにこれをくっつけてやっていくのかといえば、それは必要なところは必要なのかもしれません。じゃ、必要な地域は自治体で考えろということですから、国はそこにアドバイスもしないし、勝手にやれという話ですが、これは大きな話ですので、やはりこういったものこそ、しっかりと見て応援をし、そして日本が本当に観光立国になるためにはやっていく必要があるんじゃないかと思いますが、この点についてもう一度お伺いします。

石井国務大臣 恐縮です、ちょっと御質問の趣旨が必ずしも判然としなかったものでございますけれども、あくまでも私どもは、カジノを単体として解禁して、それで観光客を招こうという考え方ではありません。

 IRにつきましては、カジノ施設と、国際会議場施設、展示施設等、我が国の観光の魅力増進施設、送客機能施設、宿泊施設が一体となった施設であり、世界じゅうから観光客を招き入れるような滞在型観光を目指すということであります。

 もちろん、従来の観光施策で日本をより魅力的な観光地にしていくという努力はやっていきたいと思いますけれども、それにあわせてIRをつくることによりまして観光先進国を目指す後押しになるものと私は考えております。

篠原(豪)委員 私が聞きたかったのは、世界に冠たる観光を目指す国として、他の国の二番煎じのカジノをまねて、先行者優位のビジネス原則からいっても無理な競争を強いられるぐらいなら、カジノのないIRの方が日本にはいいんじゃないかということが一つ。

 そして、もう一つ、最後、もう時間がないので一点だけ、質問を一つだけ短くさせてください。

山際委員長 いや、もう時間が過ぎていますからやめてください。

篠原(豪)委員 ぜひこれはお伺いしたいんですが、社会悪になるんじゃないかということ、絶対にカジノの導入が社会悪をふやさないということを最後に約束していただけるかどうか。

 ここは大事なことですから、最後に一言で、お約束いただけるかどうかということをお願いを、委員長、神奈川の人間としてしますので、どうぞよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わりにします。

石井国務大臣 政府におきましては、カジノ規制について、事業者の廉潔性の確保はもとより、依存症やマネーロンダリング、青少年への影響等の弊害防止対策につきまして、世界で最も厳しいと言われるネバダ州やシンガポール等の制度やその運用実績を参考にしつつ、必要な法制化に取り組みましてIR整備法案を立案をしたところでございます。

 世界最高水準のカジノ規制が整備をされ、カジノ事業の健全な運営の確保やさまざまな懸念に対する万全の措置が講じられたものと考えております。

篠原(豪)委員 最後にお答えいただいて、ありがとうございました。

 地元の声ということで、世界最高水準というのも、入れるのは、カジノは、日本……

山際委員長 質問をやめてください。

篠原(豪)委員 はい。

 それで、ほかの国は二十一歳ということで、世界最高水準じゃないということも言っていますので、そういうことも考えていただいて、きょうは質問させていただきましたので、また議論させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山際委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時十九分散会


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