衆議院

メインへスキップ



第6号 平成30年11月22日(木曜日)

会議録本文へ
平成三十年十一月二十二日(木曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 牧原 秀樹君

   理事 平  将明君 理事 谷川 弥一君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君

   理事 大島  敦君 理事 佐藤 茂樹君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 鮎子君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      熊田 裕通君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      中山 展宏君    長尾  敬君

      西田 昭二君    古田 圭一君

      松野 博一君    松本 洋平君

      三谷 英弘君    宮路 拓馬君

      村井 英樹君    簗  和生君

      今井 雅人君    大河原雅子君

      岡本あき子君    近藤 昭一君

      櫻井  周君    篠原  豪君

      中谷 一馬君    斉木 武志君

      森田 俊和君    山岡 達丸君

      太田 昌孝君    高木美智代君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      日吉 雄太君

    …………………………………

   国務大臣         櫻田 義孝君

   内閣府副大臣       中根 一幸君

   防衛副大臣        原田 憲治君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   内閣府大臣政務官     舞立 昇治君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   外務大臣政務官      辻  清人君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            島  雅之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 石川  武君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十二日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     簗  和生君

  中山 展宏君     熊田 裕通君

  松野 博一君     古田 圭一君

  今井 雅人君     中谷 一馬君

  山尾志桜里君     櫻井  周君

  森田 俊和君     斉木 武志君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     中山 展宏君

  古田 圭一君     松野 博一君

  簗  和生君     宮路 拓馬君

  櫻井  周君     山尾志桜里君

  中谷 一馬君     今井 雅人君

  斉木 武志君     森田 俊和君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     池田 佳隆君

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 慰安婦問題の解決に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案(内閣提出、第百九十六回国会閣法第四五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

牧原委員長 これより会議を開きます。

 第百九十六回国会、内閣提出、サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山内智生君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、国土交通省自動車局次長島雅之君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛省防衛政策局次長石川武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三谷英弘君。

三谷委員 自民党、神奈川八区、横浜から参りました衆議院議員の三谷英弘です。

 きょうは、十五分という限られた時間ではありますけれども、しっかりとさまざまな質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、大きく三点質問させていただきたいと思います。

 まず、今回、サイバーセキュリティ基本法の改正案というものに対して質問させていただくわけですけれども、そもそもサイバーセキュリティ基本法の目的というのがどこにあるか、お答えいただけますでしょうか。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 サイバーセキュリティ基本法は、インターネット等の情報通信技術の活用の進展に伴い世界的規模で脅威が深刻化していることに鑑み、我が国のセキュリティーの確保に万全を期すため、平成二十六年十一月に制定されたものであります。

 具体的には、サイバーセキュリティ戦略の策定や戦略本部の設置、国や地方公共団体の責務などを定め、経済社会の活力の向上や持続的発展、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現、国際社会の平和や安全の確保、我が国の安全保障に寄与することを目的としております。

三谷委員 ありがとうございます。

 このサイバーセキュリティーというものにつきましては、本当に技術の進歩というのは非常に進む、これはもう常日ごろどんどんどんどん進んでいくというものでございまして、実は私も、このセキュリティーに関しては非常に関心を持っております。

 二〇〇五年当時だったと思いますけれども、当時、IPAが設けておりました情報セキュリティアドミニストレータ、そういう試験がございまして、当時のセキュリティーに関する最も難しい試験であったのですが、一応勉強をして、資格を取らせていただいたという経緯もあります。しかしながら、そこから十三年たって、今でも私はセキュリティーを知っているというふうに言ったら、本当にばかにされるような話だと思います。

 これは、誰もが不断の努力をして、常にセキュリティーについて感度を高くしていかなければいけないというのはそういうことだと思いますので、ぜひとも、全ての方がこのセキュリティーについて、今持っている知識に安住するのではなく、しっかりと知識を高めていかなければいけない、これは全員の義務ではないかというふうに思っております。

 その上で、今回創設されるサイバーセキュリティ協議会について質問させていただきたいんですけれども、これは、そういうさまざまな技術の進展ですとか事態のさまざまな広がりというものを踏まえまして、今まで以上に情報共有を進めていくというふうに理解をしておりますけれども、そういう理解でよいか、それを簡潔にお答えいただければと思います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバーセキュリティ協議会、まず、目的でございますけれども、今回は、国の行政機関、民間の事業者、専門機関等多様な主体、先生がおっしゃったような、とある人だけではなく、多様な主体を構成員とする協議会、これが構成員に対する守秘義務の適用を行いまして、サイバー攻撃についての対策情報を迅速に共有するということで、サイバー攻撃に対する被害を予防いたしまして、被害の拡大を防止することを目的としてございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういう意味で、情報を共有していくというような観点から、情報が他に、第三者に漏えいしたりとかいうことのないような対策を講じていかなければいけないというふうに思っておりますけれども、そういった対策としてどういったことをやっているか、お答えいただけますでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど協議会の目的のところでも申し上げましたが、攻撃に対する対策のその最も大きなところは、被害……(三谷委員「情報の漏えいに対する対策」と呼ぶ)情報の漏えいに対するということでよろしゅうございますでしょうか。(三谷委員「もう一度質問させて」と呼ぶ)大変失礼いたしました。

三谷委員 大変失礼いたしました。

 質問は、情報を漏えいするということに対する備えとして秘密保持義務というものを課すということになっているかと思いますけれども、そういう理解でよいか、そして、それを漏えいした場合にどのような処罰があるかというこの点についてお答えいただきたいと思います。

山内政府参考人 ありがとうございます。

 お答えを申し上げます。

 今回、この基本法の改正法案におきましては、守秘義務を課してございます。これは、共有します情報が秘密を持っているということがございますので、そういう可能性がございますので、この協議会の構成員に対して守秘義務を課すというものでございます。

 罰則に関しましては、懲役一年以下、罰金五十万円以下、現在の国家公務員法における守秘義務の規定に違反するものと同等のものとさせていただいております。

三谷委員 ありがとうございます。

 もちろん、情報の内容、セキュリティーの情報においては、例えば、特定秘密に該当するような情報というのもあるんだろうと思いますけれども、基本的には、この協議会において、そこまでの機微な情報は取り扱わないというような理解でよいかということについてもお答えいただきたいと思います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 この協議会の中で共有をすることを想定しております情報は、例えば、サイバー攻撃の手口に関する情報、それから、攻撃の被害に関する情報、そして、攻撃を受けた場合、対策の情報でございます。このような技術的な情報を取り扱うということを想定してございますので、特定秘密に当たるような情報は取り扱うということを想定してございません。

三谷委員 ありがとうございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいというふうに思いますけれども、このサイバーセキュリティーというものをしっかりと考える上では、情報通信機器というものとどう向き合っていくかというのが非常に重要な観点になっております。

 その中でも、産経新聞がことしの八月二十六日に、ZTEとファーウェイ、この二社の企業名を名指しした上で、日本の政府においてこういった二社の情報通信機器を締め出すというような報道が行われました。

 さすがに日本政府においてこの二社の名指しをするということはなかなか難しいのではないかと思いますけれども、これから政府調達をする上で、どのような情報通信機器に対する対策を講じていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事実関係でございますが、政府機関において、これまで正当な理由もなく特定の企業を名指しで除外したことはございません。報道は、事実に基づくものではございません。

 一方、サプライチェーンリスク、例えば、流通、そして製品の中にいろいろ組み込まれている部品等、こういうものに対して、現在、脅威、リスクが生じつつあります。

 したがいまして、諸外国の動向、サイバーセキュリティーに係る技術の進展を踏まえまして、サイバーセキュリティ戦略本部におきまして、政府機関については、情報セキュリティ対策のための統一基準というものを決めてございます。このサプライチェーンリスク等、必要な取組を行っているところでございます。

三谷委員 お答え、ありがとうございます。

 今お答えをいただいた中に、諸外国の動向というものがございました。そして、その諸外国の動向についてもう少し詳しくお答えいただきたいと思いますけれども、アメリカ、オーストラリア、イギリスにおいて、このサプライチェーンリスクに関してどのような規制を行っているか、ぜひお答えいただきたいと思います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、アメリカでございます。

 本年、二〇一九年度の国防授権法という法律が制定をされたと聞いております。ファーウェイ及びZTEの通信機器を主要な要素技術とするシステムを利用している場合、このような機器、サービスの調達、そして当該システムを利用してサービスを行う企業との間の契約締結を禁止したものというふうに承知をしてございます。

 次に、オーストラリアでございます。

 本年八月、5G、第五世代の移動通信システムに関するセキュリティーガイダンスを公表しております。特定の国それから企業については示しておりませんが、外国政府からの指示を受けている可能性が大きい企業の通信機器を使用した場合については、このようなネットワークを適切に防護することができなくなるおそれがあるということを発表したというふうに承知をしてございます。

 第三に、英国でございます。

 本年四月、英国政府が、英国の通信事業者に対しまして、ZTEの製品、サービスを使うことによりまして国家安全保障上のリスクが高まるということを書簡により警告をしたものと承知をしております。

 また、ファーウェイという会社につきまして、この企業につきましては、サイバー・セキュリティ評価センターというものを同社の資金により二〇一〇年にイギリスに設立をされております。官民、イギリスの政府それから民間の連携によりまして、ファーウェイの製品について検証を実施しているということを承知してございます。

 したがいまして、先生のいわゆる規制若しくは法律という観点では米国、それから、オーストラリア、英国につきましては政策的なことを今取り組んでいるというふうに承知をしてございます。

三谷委員 まさに今お答えいただきましたとおり、アメリカ、イギリス、そしてオーストラリアにおきましては、そういったサプライチェーンリスク、今まで以上にセンシティブになっているというところでございますし、実際、アメリカにおいては、当のZTEとファーウェイ、恐らく国会議員の中には持っていらっしゃる方は少なからずいらっしゃると思いますし、民間ではもっと多いわけでございますけれども、そういったリスクがあるというようなことを前提に、誰一人欠けることなく、しっかりとセキュリティーに対する意識というものを高めていかなければならないのではないか、このように考えております。

 ぜひ、内閣官房においてもしっかりとこの対策を進めていただきたいと思います。

 それから、三点目について質問させていただきます。三点目は、まさにサイバーテロについて少しお伺いをしたいというふうに思います。

 今、非常に、自動運転という車がこれからふえていくというような中でございますけれども、実は、自動運転という車に関して、コントロールセンターを乗っ取って、それをある意味武器にしていろいろな要人に対して攻撃をしかけていくということですら、これは荒唐無稽な話ではない。

 昔、「アップルシード」というアニメ、漫画がありまして、士郎正宗さん原作なんですけれども、その中では、ウエアラブル端末を身につける人がみんな攻撃の道具に使われてしまうというような話ではあったんですが、まさにそういうアニメ、漫画の世界が現実となろうともしているというような状況にもあります。

 なので、ちょっとお伺いさせていただきたいんですけれども、自動運転の車を乗っ取る形でのサイバーテロというものがいよいよ現実的なリスクとして考えられようとしている中で、国交省としてはどのようなこれに対する対策を講じていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。

島政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、自動運転機能でございますとか運転支援機能の普及に伴いまして、サイバーセキュリティーの確保は極めて重要と考えてございます。

 このため、国土交通省におきましては、国際流通商品でございます自動車の国際基準を策定します国連の議論に積極的に参画し、二〇一五年十一月からサイバーセキュリティー対策の検討を主導してまいりました。その結果、昨年三月でございますが、自動運転機能に関しますサイバーセキュリティー対策のガイドラインを策定したところでございます。

 このガイドラインにおきましては、通信の暗号化などのセキュリティー対策に加えまして、車両の安全性を確保するための基本原則をまとめておりまして、例えば、ブレーキやハンドルなどの車内の制御系ネットワークは車外から影響を受けないこと、サイバー攻撃による不正操作を検知したときは、運転者に警告の上、車両をとめるなどのシステムが車両を安全に制御することなどが盛り込まれております。

 今後は、サイバー技術の進展を踏まえまして、自動車メーカーにサイバーセキュリティー対策を義務づけるべく、国連において、法的拘束力のある国際基準について、早期の策定を目指して検討を進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

三谷委員 今までそういった形でのテロが行われてこなかったのは、余りそこに経済的な合理性がないからというふうな分析もあるわけでございますけれども、特に二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが行われると世界が注目する中で、日本の総理が乗っている車列にそういった形で攻撃がしかけられるというようなことも、まさに、一応想定されるリスクの一つとしてぜひとも念頭に置いていただきたいというふうに思います。

 その上で、もう時間が来ておりますので、最後に一点だけ質問させていただきたいんです。

 そういったさまざまなサイバーテロというものが行われている中で、まさにこれが自衛権発動の要件における武力攻撃に当たる場合もあるのではないかというふうに思っておりますが、行われる場合もあるかというのと、そういったことが行われた場合に、これはやはり守るだけでは足りないということもあろうかと思います、そういった攻撃をしかけているところに対してですね。サイバー世界におけるいわゆる敵基地攻撃の可否ということについて、どのように考えられておりますか。お考えをお答えいただきたいと思います。

小波政府参考人 お答えいたします。

 政府は、従来から、サイバー攻撃と自衛権行使の関係については、一概に申し上げることは困難であり、何らかの事態が武力攻撃に当たるか否かについては、個別具体的な状況を踏まえて判断すべきものと考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、政府としては、武力の行使の三要件を満たす場合には、憲法上、自衛の措置として武力の行使が許されるという立場をとっております。

 また、改めて、敵基地攻撃について御質問がございました。

 防衛省では、中期防衛力整備計画に基づきまして、武力攻撃事態等において、相手方によるサイバー空間の利用を妨げることが必要となる可能性を想定しつつ、サイバー攻撃の分析機能の強化や実戦的な訓練環境の整備等を行っており、その結果として、サイバー空間を通じた反撃にも応用し得る一定の知識、技能を得ております。

 また、我が国としては、ただいま申し上げましたように、武力の行使の三要件を満たす場合には、憲法上、自衛の措置として武力の行使が許され、法理上は、このような武力の行使の一環としていわゆるサイバー攻撃という手段を用いることは、否定されないと考えております。

 他方、サイバー空間における対処に係る自衛隊の具体的な対応については、状況に応じて異なると考えられるため、一概に申し上げることは困難でございます。

 ただ、いずれにいたしましても、サイバー空間における対処に関しましては、専守防衛は当然の大前提であり、また、関係する国内法、国際法を遵守する考えであることは言うまでもないところでございます。

三谷委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

牧原委員長 次に、太田昌孝君。

太田(昌)委員 公明党、北陸信越ブロックの太田昌孝でございます。

 内閣委員会で初めて質問をさせていただきます。質問の機会をいただきまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 本日、サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 さきの通常国会におきましては、私、総務委員会に在籍をしておりまして、当時は、電気通信事業法及び国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案の審議でも質疑者として立たせていただきました。そのときに、サイバーに関しても勉強をさせていただいたわけでございますが、DDoS攻撃でありましたり、マルウエアなど、なじみの薄い言葉が大変に多く、私自身は難しく感じたものであります。

 しかしながら、サイバー空間が私たちの生活に多くの恩恵をもたらしてくれていることも事実でございます。私、地元は長野でございますので、地元と東京との行き帰りには新幹線も頻繁に使っておりますが、チケットの予約、購入はもちろんのこと、新幹線内でのニュースの確認、あるいは必要な買物も済ませることもできますし、そうした利便性を実感しているところでもございます。

 こうしたサイバー空間を介してさまざまな活動を日々意識をせず行っているわけですが、そのセキュリティー、サイバーセキュリティーを確保するということは、国民生活の安全、安心を確保する上で大変に重要であると認識をしております。

 まず、櫻田大臣に、再度確認で申しわけないのですが、今回の法案について、改正の趣旨を改めてお聞かせいただきたいというふうに思います。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 今回の法改正は、サイバー攻撃による被害の拡大を防止するとともに、いち早く対策情報等を共有するための措置を講ずるものでございます。

 我が国のサイバーセキュリティーを確保する上で、本法案は極めて重要であると考えております。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 今回の法案は大変にシンプルな内容でございまして、サイバー攻撃による被害を防ぐために不可欠な枠組みをつくるものでありまして、極めて重要な法案であるというふうに認識をしております。

 さきに櫻田大臣から趣旨説明等を行っていただきましたので、そうした大臣のお言葉をおかりしながら、国民目線に立った法案に関する質問を幾つかさせていただければというふうに思います。

 法案の柱の一つが、サイバー攻撃に対する情報を共有するためのフレームとなるサイバーセキュリティ協議会を新たに組織することであるというふうに思いますが、そこで、サイバーセキュリティ協議会、官民の多様な主体から構成されるということになっております。どのようなメンバーで構成されるのか、大臣からの御答弁をお願いいたします。

櫻田国務大臣 協議会の構成員は、主に、国の関係行政機関の長、地方公共団体、重要インフラ事業者、サイバー関連事業者、教育研究機関等を念頭に置いております。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 まさに、官と民から、幅広い方々から構成される情報共有体制でございまして、これだけ、行政機関、地方公共団体、インフラ事業者、関連事業者、教育機関と横断的な情報共有体制というのは、これまでも余りなかったのではないかと思いますので、そういう意味では大変よい体制ではあるかとは思いますが、一方で、これはとてつもなく大きな協議会になって、本当に迅速な情報共有ができるかという心配もございます。

 地方公共団体、私も地方出身でございますので、大臣もそうでございますが、全国に千八百もあるわけです。さきに御答弁いただいたとおりでございますが、重要インフラ事業者というのも、電力や金融、通信事業者といった国民生活、経済活動の基盤である事業者の方々、あるいは、サイバーセキュリティ戦略本部において現在十四分野が指定されていると理解していますけれども、例えばそのうちの金融機関だけでも相当数の事業者がおりますので、そういう意味では、重要インフラ事業者が全て協議会に参加するとなると、かなりの数に上ると思われます。

 実際には、その中でハブと呼ばれる組織に御協力をいただきながら、効率的に、かつ迅速な情報共有を行い、傘下の重要インフラ事業者と呼ばれる事業者とつなぐというような形でセキュリティーを行うと伺っております。

 そこで、ハブとなる組織に御参加いただいた重要インフラ事業者との既存の情報共有の枠組みとはどのようなものになるのか、これは事務局から御説明をいただければと思います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 重要インフラ事業者、今、太田委員の方からの御発言がございました。この重要インフラ事業者とは、電力、情報通信、金融等、十四分野をサイバーセキュリティ戦略本部において位置づけてございます。

 この本部において、重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第四次行動計画なるものを決めてございます。ここの中で、情報共有に関する仕組みについても定めているものがございます。

 具体的には、当センター、サイバーセキュリティセンターと重要インフラ事業者との間の情報共有に関しまして、この行動計画に基づいて、事業者から当センターへのインシデントの情報の報告、また、当センターから事業者への情報提供につきまして、例えば先ほどの攻撃に対する情報、これは協議会に係るものを一部含むというふうに私どもは思ってございますが、このようなものにつきましては、所管省庁を経由して行う枠組みを既に持っているところでございます。

 また、脆弱性に係る情報につきましては、これはこの重要インフラ事業者だけではございませんが、広く、この重要インフラ事業者も含めまして、私どもから情報発信をいたします。ニュースレターという形で出しておりまして、情報共有に努めているところでございます。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 業界の特性がそれぞれまた違いますし、そうした中で、事情をよく理解をしながら、信頼、実績のある組織に協力をいただいて、効果的、効率的に情報の共有を図っていただければというふうに思います。

 次に、情報の取扱いについても質問をさせていただきたいと思います。

 先ほどお答えいただきました重要インフラの共有体制を含めまして、これまでの枠組みの中でも、提供された情報というのはきちんと管理をこれまでもされていたと思いますが、特に事業者にとって情報は貴重な財産でもあります。中には、競合他社や他業種に個々の事業者名を知られたくない情報もあろうかと思いますが、今回の協議会は多様な主体が参加する枠組みですので、提供した情報が本当に適切に管理されるか、心配に考える事業者も少なくはないのではないかと思います。

 そこで、情報の取扱いに関しまして、事業者が抱える課題に対して、今回の法案ではどのような対策を盛り込んでいるのか、これも事務方からお答えをいただければと思います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 情報の提供に関しまして、事業者の方々が抱える課題として私どもが認識をしておりますのは、例えば提供された情報が適切に取り扱われない、したがって、例えばこの協議会の中から漏れてしまうというようなことがあってはいけないというふうに思ってございます。現状の枠組みでは、このような法定をされたものがございませんので、情報が迅速に提供されていないということを認識してございます。

 したがいまして、今回の改正法案の中では、罰則によって担保をされた守秘義務、これを構成員の方々に適用することによりまして、このような漏れてしまうという懸念を解消いたしまして、協議会の中でサイバー攻撃に関する情報を迅速に共有できるということを意図しているものでございます。

太田(昌)委員 これまでこうしたことについて法定化されていなかったということは大変な問題でございまして、今回の法律の成立によりまして、安心し安定し、あるいは安心して情報を共有できる体制というのをしっかりとつくっていただければというふうに思いますし、そうした中で、これから情報を守っていくというイメージ、理解をさせていただきました。

 本年の四月に、山口代表を中心に公明党政調としまして、品川のNEC事務所に視察に行ってまいりました。そこで、大きなディスプレー画面に世界のどのあたりから不正な通信が出されているのかというのが映し出されておりまして、わかりやすかったとともに、こうした事業者と連携協力することも、これは大変に重要なことであるなというふうに感じたのを覚えております。

 ぜひ、サイバー関連事業者の方々にも御参加いただくように、これはしっかりと働きかけていただくように、これはお願いをしておきたいというふうに思います。

 他方、サイバー攻撃に関する情報提供をビジネスにしている事業者もあるわけであります。そうした事業者に積極的に参加いただくことも重要かと考えますけれども、そのためには、しっかりとしたインセンティブも必要になってくるというふうにも思います。そうした運用ルールは協議会の中で決めていくことになるかと思いますが、サイバー関連事業者のような方々が積極的に情報提供に協力してくださるような環境整備に努めていただくように、これはお願いを申し上げておきたいというふうに思います。

 今回、質問をさせていただきました。この法案の重要性を改めて理解をしたところでございますけれども、一部報道では、隠れた重要法案と言われているようでございまして、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、きちんとこうした情報の管理、セキュリティー体制というものを万全にしておくということは大切なことであろうというふうに思いますし、そんな中で、櫻田大臣のリーダーシップを御期待申し上げるところでもございます。

 最後に、櫻田大臣にお伺いをさせていただきます。

 本法案、大臣としては、提出される初めての法案だというふうに思いますが、サイバーセキュリティー担当大臣として、また、オリパラ担当大臣としても、これは、今申し上げましたとおり、大変に必要であり、重要な法案でございます。この法案の重要性について、大臣の御認識をお聞かせ願いたいと思います。

櫻田国務大臣 サイバー攻撃に関する攻撃手口や被害状況等の情報が迅速に共有されることで、同様の手口によるサイバー攻撃の被害拡大を防ぐことができるため、極めて重要であると考えております。

 また、我が国は、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、オリパラ大会のような大規模なイベントはサイバー攻撃の標的とされる傾向にあります。こうしたイベントの開催に万全を期すためにも、早急に本法案を成立させることが不可欠であると考えております。担当大臣として、しっかりと取り組んでまいります。

太田(昌)委員 力強い答弁、ありがとうございました。

 民間事業者も法案の成立を待ち望んでいると思いますし、これまで、先ほど冒頭申し上げましたとおり、私ども国民も、私自身も余りこうした事象に詳しくない中にあって、でも、実はそうした恩恵を受けながら日々生活を送っている。ある意味でいえば、出口のみを共有させていただいている。

 しかし、そんな中で、とりわけ国家的なイベント、来年も、あるいは二〇二〇年のオリンピック、パラリンピックもあります。そんな中で万全を期すためには大変重要な法案であり、今回、早期の成立が必要であるというふうにも思っております。

 私自身は、一九九八年の長野オリンピック・パラリンピックの実は組織委員会におりまして、当時、インターネットというのに初めて触れた覚えがございます。そんなときに、まさか将来こんなことになろうとは、大変に便利さだけを共有しておったわけでございますけれども、そのような中で、セキュリティーをしっかりと考えなければいけない、ある意味では、事業を共有、享受することとセキュリティーというのは表裏一体であるなというふうにも思っております。

 大臣はサイバーセキュリティ本部の副本部長でもいらっしゃいますし、迅速な情報共有ができるように、必要な方にしっかりと協議会に入っていただき、そして、協議会が我が国の、あるいはオール・ジャパンのサイバーセキュリティーを実現する上で不可欠な体制となりますように、環境整備も努めていただき、そして、その先頭に立って、そうしたサイバーセキュリティーの対応を大臣のもとで行っていただきますことをお願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

牧原委員長 次に、山内康一君。

山内委員 サイバーセキュリティーに関して、私は四年前、二〇一四年の予算委員会で一度質問させていただいたときがあります。それは、二〇一四年の十一月にこのサイバーセキュリティ法案が成立したんですけれども、その半年ぐらい前の予算委員会で、当時、菅官房長官に質問をさせていただきました。そのときのテーマは、先ほどの自民党の三谷さんとかなり重なるんですけれども、ファーウェイという中国系企業のサプライチェーンに関する問題ですね。

 イギリスの議会の情報保安委員会という委員会があります。そこが、国家の重要インフラへの外国の関与に関する報告書というレポートを出しておりました。その中では、イギリス議会は、ファーウェイという中国企業の製品を使うと国家の安全保障に対して重大な影響を及ぼすんじゃないかということを警鐘を鳴らしておりました。

 このファーウェイという会社、実は、人民解放軍の情報工学院という研究所出身の軍人のOBがつくった会社です。中国政府の低利の融資あるいは税の減免を受けて急成長しました。人民解放軍と非常に密接な関係があるということが言われております、そういうファーウェイという会社。

 イギリス議会だけではありません。アメリカ議会でも、アメリカ議会下院の方が、やはり下院の情報特別委員会という委員会が同じような報告書を出しております。そこでは、ファーウェイとZTE、先ほど三谷さんが並べていた同じ二社ですね、この二社の製品を組み込んだ場合、アメリカの重要なインフラが停止してしまう、あるいは機能停止してしまう、特に危機の際、戦争の際に悪影響を及ぼすんじゃないか、そういう報告を、アメリカ、イギリス、双方の議会の情報関係の委員会が出しております。

 また、オーストラリアの話も先ほど参考人からありましたけれども、オーストラリアは、公共の情報インフラの入札の一部からやはりファーウェイを排除する、こういった措置をとってきたわけですね。

 私、四年前に質問したときに、検討しますみたいなお答えが中心だったと思うんですが、その後、四年たって、今の政府の対応状況についてお尋ねしたいと思います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 外国製品に関しまして、今、特に、私ども、サイバーセキュリティ戦略本部の中でも話題になります懸案は、そのサプライチェーンリスクに関する懸念等でございます。

 これらを含めまして、さまざまな脅威に対応する必要がございます。先ほどお答えを申し上げた件も含めて、諸外国の動向、それからサイバーセキュリティーの技術の進展を踏まえまして、サイバーセキュリティ戦略本部におきまして、通信、それから金融といった重要な分野、重要インフラに関しまして、情報セキュリティ確保に係る安全基準等の策定指針というものを決めて、必要な取組を行っております。

 また、政府機関に関しましても、統一基準群という形で、このサプライチェーンリスクに関して十分に注意をするということを今促しているところでございます。

山内委員 アメリカの議会の報告書などを見ていると、たった二ドルのパーツがもしウイルスに感染すると、何百億円の機材が全部だめになってしまう、そういった意味では、ある程度予算をかけてサプライチェーンの問題を解決しなくてはいけないということを言われています。

 日本もやはりきちんと予算を投じて、例えば、余り中国企業を名指しするのもあれかもしれませんけれども、外国企業の製品を、公共、特に防衛に関する部分あるいは重要インフラに関する部分で調達する際は、非常に慎重に、そして、そのための予算もきちんと配分していく必要があるんじゃないかなと思います。

 ところで、今の議論、三谷さんの議論、私の議論、こういったことを聞いて、櫻田大臣、どのような御意見をお持ちでしょうか、御所見をお尋ねします。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 私の考えも委員のお考えとほぼ同様でございまして、外国製品に多くの重要なものを頼り過ぎるということについては注意をしていくべきだな、そんなふうに考えております。

山内委員 次は、通告どおりの順番で、サイバーセキュリティーについて、基本的な認識について大臣にお尋ねしていきたいと思います。

 まず、サイバーセキュリティー、内閣官房、内閣府のサイバーセキュリティーの担当部署が対象とする脅威というものは、どういった脅威が想定されているんでしょうか。

櫻田国務大臣 サイバーセキュリティーの脅威となるサイバー攻撃については、インターネットやコンピューターを悪用することによって、情報の窃取や改ざんを行うことと認識しております。

山内委員 情報をとるところだけということなんでしょうか。先ほど、例えば三谷さんの質問でもそうですけれども、インターネット経由で電力とかダムとかそういったところに不正な操作をされて大きな事故が起きてしまう、そういったことまで内閣官房のNISCというところは視野に入れているというふうに僕は思っていたんですけれども、違うんでしょうか。

櫻田国務大臣 重要インフラについても検討しているところでございます。

山内委員 そうだろうなと思っておりました。

 私も、大臣おっしゃるように、大臣が細かなことを全て知っている必要はないというのは、全く同感でございます。役所の人たちが専門的な知識を積み重ねていく、その上で、政治家に求められる、大臣に求められるのは、大局的な判断であったり、より広い視野に立った、あるいは省庁の縦割りの発想にとらわれない姿勢、そういったところは大臣のまさに判断が要求されるところだと思います。

 しかし、他方で、基礎的な知識ぐらい、基礎的な用語ぐらいわからないと、なかなか指示も出せないだろうし、報告が上がってきても対応できないと思いますし、今、やじで勉強しますという言葉がありましたが、勉強している間にサイバー攻撃をされたらたまらないわけでして、大臣としては最低限の知識は必要だと思うんですね。

 例えば、私、サイバーセキュリティーというのは、国家の防衛、安全保障そのものだと思っております。その点に対して、まず、大臣の基本的な見識についてお尋ねしたいと思います。

櫻田国務大臣 近年、国防のあり方を考える上でも、サイバーセキュリティーの観点は重要性を増しているものと認識しております。

 私は、サイバーセキュリティーを担当する大臣として、サイバーセキュリティーに関する施策を総合的かつ効果的に推進することをもって、国際社会の平和及び安全の確保、そして我が国の安全保障に寄与することを目指してまいる所存でございます。

山内委員 役所の書いたメモを丁寧に読み上げられましたけれども。

 まず、例えば、安全保障とサイバーセキュリティーは非常に密接する、そのものだと思うんですが、私、手元に防衛白書がございます。防衛白書を読むと、自衛隊・防衛省がやっているサイバーセキュリティー、そんなに分量は多くないんですけれども、さまざま書いてございます。

 大臣、防衛白書のサイバーセキュリティーの部分をお読みになったことはありますか。

櫻田国務大臣 まだ読んでおりません。

山内委員 ぜひ、まず勉強していただきたいことが一つだと思います。

 例えばサイバーに関しては、自衛隊には、今、本当に防衛白書に書いてある一番基礎的な情報だと思いますけれども、サイバー防衛隊あるいはサイバー攻撃対処の部隊、合わせて約四百三十名いる。大臣の部下のNISCの職員よりもずっと多いわけですね。

 大臣は、前回の答弁でも、自分が一人で仕事をするわけではない、オールスタッフでやる、自分の部下、優秀な部下がいればそれでいいんだ、そういった趣旨のことをおっしゃっていましたが、まず、御自身の部下をどれぐらい把握されているのかと思いますが、NISCの今の人員がどれぐらいいるか、把握されていますか。どういう専門性のある人がいるか、そういった自分の部下についてどこまで御承知か、お聞きしたいと思います。

櫻田国務大臣 人数は百九十名であると認識しております。

山内委員 どういった人たちが集まっていて、どういった専門性の人たちがいるか、あるいはどういう省庁の人なのか、そういったところは把握されていますか。

櫻田国務大臣 一概に言うことはできませんが、人員は、現在、我々ではトータル九十三人だと言っております。

 内閣府一名、宮内庁一名、公正取引委員会一名、警察庁十四名、金融庁三名、総務省十五名、消防庁一名、法務省三名、公安調査庁二名、外務省二名、財務省一名、国税庁一名、文部科学省三名、厚生労働省三名、農林水産省二名、経済産業省十名、国土交通省六名、気象庁一名、環境省一名、防衛省二十名、会計検査院一名、参議院事務局一名でございます。

山内委員 大変勉強になりました。防衛省が二十名、すごいなという気もいたしますし、非常に多様な省庁から、オール・ジャパンで取り組まれているのがよくわかるんですけれども、例えばアメリカ軍、また同じく防衛白書の情報によると、アメリカ軍の数年前のデータですけれども、サイバーに関する兵員だけでも六千二百人もいると言われております。アメリカ軍などは、陸、海、空、宇宙、それからサイバーという考え方で、サイバーそのものはかなり安全保障の領域の問題になってきていると思います。

 そういった意味で、内閣官房のNISCとそして防衛省や自衛隊の連携というのは極めて重要だと思います。その点について大臣の御所見をお尋ねします。

櫻田国務大臣 我が国は、サイバー空間をめぐる攻撃の深刻化、巧妙化を踏まえ、サイバーセキュリティ基本法に基づき、二〇一五年一月、内閣にサイバーセキュリティ戦略本部を設置いたしました。諸外国においても、同様の問題意識から類似の取組がなされております。

 例えば、次のとおりでございます。

 アメリカは、二〇〇九年に、官民連携による対策強化のため、国土安全保障省に国家サイバーセキュリティ・通信統合センターを設置しました。また、今月、国土安全保障省にサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁を設置する法案が成立をしております。

 英国では、二〇一六年十月、政府通信本部のもと、CERT―UK、CPNIのサイバー部門等が統合される形でNCSCが設置されました。

 フランスは、首相府の下に二〇〇九年に設置した国家情報システムセキュリティ庁の体制拡充を図っております。

 ドイツでは、内務省の下に連邦情報セキュリティ庁が設置されております。

 豪州は、政府横断的な取組の強化のために、国防省の管理下に豪州サイバーセキュリティセンターが設置されております。

山内委員 多分、私が次に質問する予定のことまでお答えいただいているんだと思いますけれども。全く質問していないことを先回りして御説明いただきましたが、まあ、それはいいとしてですね。

 それで、今いろいろな諸外国、特にいろいろな略語があってよくわからなかったところもあるんですけれども、こういった諸外国の状況を見て、では、大臣、これから大臣として、判断力抜群の大臣、何を我が国はやるべきか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

櫻田国務大臣 サイバーセキュリティーに関する内閣官房と防衛省の連携についてちょっとお話しさせていただきたいと思います。(発言する者あり)ちょっと聞いてください、大事な部分なので。

 サイバーセキュリティーに関する内閣官房と防衛省・自衛隊との連携は、極めて重要だというふうに思っております。

 そこで、具体的には、本年七月に閣議決定された新たなサイバーセキュリティ戦略に基づき、情報共有、演習、訓練などさまざまな点で緊密に連携協力しつつ、サイバーセキュリティーに関する施策を積極的に推進しているところでございます。

山内委員 そこで大臣はどういう役割を果たされるおつもりでしょうか。大臣としての御所見、抜群の判断力でお答えいただきたいと思います。

櫻田国務大臣 あらゆる情報を吸収して、いろいろ多くの方々のまた御意見も拝借して、的確な判断をすることが私の任務だと考えております。

山内委員 サイバーセキュリティーについての諸外国の動向ということで、後で聞こうと思っていた質問について、ちょっとアメリカの部分が余り詳しくなかったので。

 例えば、アメリカにはNSAという非常に大きな情報機関があります。CIAよりもよっぽど予算もずうたいも大きい、人手も大きい、そういう日本の防衛費の何倍も使っているような大変大きな、サイバーに関する情報収集も、それから、恐らくセキュリティーもやっているところだと思います。

 そういったアメリカのような莫大な予算と人員を投入してやっているところがある一方で、日本はまだまだ予算も人員もお寒い状況だと思います。こういったときにこそ、私は政治家として、例えば予算をどうやってふやしていくか、あるいはどうやって人材を育成して組織をつくっていくか、そういったところを、大臣、政治家としてリーダーシップを発揮すべきだと思います。その点について、大臣の御見識、御所見を伺います。

櫻田国務大臣 そのとおりでございます。山内さんの言うとおりでございまして、私どもは認識も一緒でございますので、しっかりといろいろな面で、予算の確保のことについても特に充実させていきたいと思っております。

 いろいろな国防上の問題、そういったものも昔と違って大きく変化しておりますので、時代に合った国防政策、しっかりとした行政政策をするのが我々の任務だと思っております。

山内委員 困ったなという感じですが、全くそのとおりと言われると、それ以上は言いようがないんですけれども。

 国防と。率直に言って、防衛、まあ、大臣の領域とちょっと外れるところまで踏み込んでコメントされたかと思いますけれども、そういったサイバーセキュリティーの充実が大事だということは、与野党問わず共有できたということはあると思います。

 そして、もう一つ。ちょっとこれは細かく通告はしておりませんでしたが、日本も、サイバーセキュリティーの対象は中国やあるいはロシアという国だけとも限りません。

 例えば、スノーデン事件という事件がありました。大臣も御承知かと思います。同盟国のはずのアメリカが日本に対してサイバー上で情報収集していたんじゃないか、こういった疑惑、非常に難しい問題だと思います。アメリカの情報機関がドイツのメルケル首相の電話を盗聴していた、こういったことも報道されております。これは非常に政治的にも難しい状況に陥る可能性はありますが、サイバーセキュリティーというのはいろいろな方向を向いて立案していく必要があるかと思います。

 この社会問題にもなって多くの人が知っているスノーデン事件、大臣、どのように感じられたことでしょうか。

櫻田国務大臣 スノーデン事件も承知しているところでありますが、やはりあらゆること、省内の内部の資料というものをしっかりと管理しておくことだというふうに理解しております。

山内委員 余り内部の資料どうこうというレベルの話ではなくて、恐らく、たとえ同盟国であっても、この分野はいつも一〇〇%信用できるとは限らないということもあるかもしれません。そういった意味では、やはり日本独自の政策、もちろん国際的な協力も必要ですけれども、日本としてどうやってサイバーセキュリティーの体制を構築していくか、こういったことも考えなくてはいけないというのが大臣のお立場ではないかと思います。

 先ほど来、基本的には事務方の文章を読まれて安全運転に終始されているようですけれども、大臣のこれまでの御発言を聞いていると、大変明るくて元気なのはよくわかるんですけれども、本当に今までの答弁を聞いていて、サイバーセキュリティーの責任者、大臣として大丈夫かなという不安を覚えざるを得ません。

 大臣だからパソコンはできなくてもいいというラインでお話しされていますが、やはり大臣であっても、パソコンをさわっていないということはおいておくとして、その分野の基礎的な知識、そういったものは不可欠だと思うんですね。

 今のお話を聞いていると、どの答弁に対しても本当に事務方が書いたメモを読み上げる、しかも、質問の順番を間違って別の質問を答える。ほとんど恐らく私の質問を聞かずに、事務方の示されたペーパーを読んでいたら、順番を間違って、聞かれてもいないことを答えられたんじゃないかと思います。

 そういう状況で、本当にこの難しい課題について、櫻田大臣が指揮、リーダーシップを発揮してこの問題を正しい方向に持っていけるのか、非常に疑問に思っております。

 勉強するとおっしゃっていました。どんな勉強をされているんですか。まず、そこをちょっとお聞きしたいと思います。

櫻田国務大臣 どういう勉強をしているかというのは、一概に言えるようなものじゃないと思いますよ。セキュリティーに関するもの全てを勉強するということでございます。

山内委員 一概にはと言いますが、これまでお忙しい中でそんなに勉強時間をとれたとは思いませんが、せめて、どういうところから始めているか、どういう人から意見を聞いているか、そういったところからちょっと御説明いただければと思います。

櫻田国務大臣 いろいろ、情報に関するところ、知識については、まず、一番明るい職員にレクチャーを受けておりますし、また、対外的なことにつきましては、名指しはしませんが、通信に最もたけていた上場会社のところで視察したり、またその役員の方に御意見を伺ったりして、ちゃんと取り組んでいるところでございます。

山内委員 先ほど、自民党の三谷さんの質問の中で、国会議員の中で例えばファーウェイの製品を使っていると、もしかしたら情報をとられているリスクがある、そういう話がありました。

 今のところ大臣は全然大丈夫だと思うんですけれども、今後、御自身で、パソコンはさわったことがないとおっしゃいましたが、きちんと自分でさわってみる、あるいは、少なくとも、どういうリスクがあるか、いわば現地視察みたいなものだと思うんですね。自分でパソコン、上手にプログラミングできなくてもいいと思いますが、ある程度理解しようと思ったら、きちんとコンピューターのこと、パソコンのこと、勉強される必要があると思います。

 そういったことも今なさっているんでしょうか。お聞きしたいと思います。

櫻田国務大臣 私、パソコンをさわったことがないと言ったことはないと思うんですけれどもね。私は、東京の事務所にも、オリパラ室にも、宿舎にもありますし、自宅にもパソコンは用意されております。昔から持っておりますので、さわったことがないというのはちょっと認識不足じゃないかなと思います。

山内委員 では、さわったことがないというのがもし私の間違いだったらおわびしますが、パソコンを使ったことがないというのは御発言があったと思いますが、さわったけれども使っていなかったということですか。

櫻田国務大臣 さわったことがないと言ったことはないし、それで、全部、自分でパソコンは持っていますよ。

 ただ、持っていても、私も、浪人しているときにパソコン教室にも何回か行ったんです。ただ、自分でも忙し過ぎてやり切れないんですよ。自分でみずから覚えるのはやめようと。ただし、自分でやらないかわり、そのかわり、私以上に優秀なスタッフをそろえて業務に支障のないような体制を組もうということでやっておりますので、そのとおり私はやっておりますので、パソコンがみずから打てないということで不自由を感じたことは一回もありません。

山内委員 パソコンを自分で操作しないと、なかなか、最新の情報にアクセスしたりするときにいろいろ御不都合があるかと思います。

 ちなみに、大臣はあれですか、スマホみたいなものをお使いになっていないんですか。

櫻田国務大臣 スマホは極めて便利なので、いつもここに、一日何回も使っておりますので、そのような御心配は要りません。

山内委員 スマホも危ないということを先ほど自民党の三谷さんもおっしゃっていましたが、そっちのセキュリティーは大丈夫ですか。

櫻田国務大臣 大丈夫でございます。

 これを使う場合は、セキュリティーをやる場合とセットをするときはちゃんとやりますし、危険なことについてちゃんとセットして安全対策をやって、それで使っております。

山内委員 セキュリティー対策、着々と勉強されていることがよくわかりますが。

 では、用意してきた質問が終わりましたので、次の質疑者にかわりたいと思います。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 立憲民主党・市民クラブの今井雅人でございます。

 法案に入る前に一つお伺いしたいんですが、きょう、閣議後の記者会見で、昨日の千葉市の税理士会の会合で、その場で、消費増税と軽減税率に反対である、そういう話をされたというのを複数の方が証言しておられるという御質問があったと思いますけれども、そういう発言はその場でしていらっしゃらないですか。

櫻田国務大臣 昨日、千葉の会合、税理士会の会合に行ったことは事実であります。私の隣に座っていたのは元税理士会の会長でございまして、私をよく知っている人でございます。税理士会の中では、なかなか、軽減税率というのは中小企業の事務が増大をして、できればない方がいいというようなことを言っていたものですから、別の簡素なやり方がないかなということでありますので、それと同様の趣旨で言ったことであって、反対だとか言った記憶はございません。

今井委員 わかりました。反対はしていないということで、明快に答弁いただきました。まあ、反対をしているということであれば閣内不一致になってしまいますので、そのことだけ確認させていただきます。

 きのうのやりとりで、ちょっと私、その言い方はどうなのかと思ったのが一つあるんですが、世界に私の名前が知られたのかと思って、よいか悪いかは別として、有名になったのではないかと。

 これはよいんですか、悪いんですか。

櫻田国務大臣 それは聞く人によって変わるんではないかなと思っております。

今井委員 そういう知識を知らないという方が担当大臣をやっているという記事だったわけです。これをよいと評価される方がおられると思いますか。

櫻田国務大臣 私は、全てにわたって、コンピューターとかパソコンとかそういうことに一番堪能している人が大臣になるべきかと、必ずしも思いません。

 やはりマネジメントというものが必要であって、そういうパソコンとかコンピューターとか達者な人間を、人材を自分の周りにそろえることによって業務を遂行する、その方が、私は一人でやるよりもはるかにいい結果が出ると信じております。

今井委員 質問の趣旨と違います。

 私は、そういうことで世の中に知れ渡って有名になったというふうにおっしゃったので、有名になったことはよかったんでしょうか、悪かったんでしょうかということを。よい悪いは別にしてとおっしゃっているので、どちらなんでしょうか。そこだけ確認させてください。

櫻田国務大臣 私がみずから評価することについては控え目にしたいなというふうに思いますし、私にとっては、悪い影響はあったとは信じておりません。

今井委員 悪い影響はなかったということで、信じていないということでございますね。わかりました。

 それで、その場で、サイバーセキュリティー対策は国家の総力を挙げてやるものであると、私もそう思います。それはそのとおりなんですが、それが、トップがこういうことに対してある程度の知識がなくても構わないということではないと思うんですね。そこはイコールじゃないと思います。ですから、担当大臣もやはりある程度のところをしっかりと、見識がなかったら、それは判断はやはりできないと思うんですよね。そこは違いますか。

櫻田国務大臣 私は、ある程度の知識はなくてもいいんだと、そういうことを言った記憶がございません。ある程度の知識は必要だと思っております。

 ただ、専門性がなくてはならないような高度な人間が、一人の人間で全てを掌握する必要はないと思っております。

今井委員 それは私も同感です。ある程度の知識が必要で、細かいところまで、それを大臣が全部知っているというのは、その必要もないですし、それは無理ですので、それはわかっております。

 では、その上で、例えば、一番のもとになっているのはこのサイバーセキュリティ戦略、私もこれは二度全部読みましたけれども、これは全部ごらんになりましたか。

櫻田国務大臣 一から十まで目を通したわけではありませんが、スタッフから内容については説明を受けております。

今井委員 これは全くの一番の基礎の基礎というか、非常に大事なことが書いてあって、これをもとにいろいろな戦略がこれからつくられていくんですね。ここにあることぐらいは理解できないといけないと思うんですけれども、大臣、この中にある用語等は全部把握していらっしゃいますか。

櫻田国務大臣 全部把握しているとは、私は自分でも思っておりません。

 ただ、この戦略は、今後三年間の諸施策の目標や実施方針を盛り込んだ基本的な計画でございます。この戦略を確実に実施するよう、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと思っております。

今井委員 ここで別にクイズをするつもりじゃないんですけれども、例えば、今、政府のセキュリティーの中で一番問題なのはクラウド化なんですね。クラウド化をして、クラウドをどうやって管理していくかというのはとても重要なんです。

 そういうクラウドの仕組みとか、そういうことはもちろん御存じですよね。

櫻田国務大臣 特別詳しいほどではございません。

今井委員 最低に必要な知識というのは、私はそういうことを言っているんです。そんな深いところまで知っている必要はありませんが、政府がこれから情報をクラウド化していって、今やっているわけですよ。そのクラウドもよくわからないという、それは基礎知識じゃありませんか。最低限の基礎知識じゃありませんか。

櫻田国務大臣 政策に必要なことは逐一スタッフに相談をして説明を受けてやっておりますので、支障はないと踏んでいます。

今井委員 ということは、今政府がクラウド化を進めているということを、いまだに職員から説明を受けていないということですね。

櫻田国務大臣 説明は受けております。

今井委員 そのときに、クラウドとはどういうものであるという説明は受けていらっしゃらないんですか。

櫻田国務大臣 コンピューターを分散したものを扱うものだというふうに理解しております。

今井委員 委員長、笑っておられますが、とても大ざっぱに言えば、そういうことです。別の空間に、全部そこに持っていくという話で、そこの部分をどうやって管理するかというのが非常に難しい。今までは例えば一つの、こういう普通のサーバーではなくて、普通でしたらこのサーバーだけを、ここのセキュリティーをしっかり管理をするんですが、そのサーバーからクラウドの状態のところに送っていって、そこの中全体をしっかりと管理しなきゃいけないということでありますから、最低限そういう、今政府がやろうとしていることなので。

 私は別に、VRとかARとか、AIがどうだとか、そういう細かいところまで質問するつもりはありませんが、少なくとも、政府は今クラウド化というのを推進しておられるわけです。だから、そこの部分ぐらいはやはり知っているというのは、私は最低の知識だと思うんですよ。

 もう大臣になられてから一カ月以上たっているわけで、自分の管轄している政府内がどういう今セキュリティー管理をされているか、それぐらいは、この間も基準のやつをお示ししましたけれども、それは勉強されたわけでしょう。

櫻田国務大臣 勉強は私なりにさせていただいております。

今井委員 であれば、せめて政府がやっていること、向かおうとしていることの内容ぐらいは、概要でも結構ですから、それぐらいは勉強していただきたいということをお願いをしておきたいと思います。

 次に、法案の中身を少しお伺いしたいと思っているんですが、先ほど法案の趣旨のことはおっしゃられておられましたけれども、今回の法案は、簡単に言えば、東京オリンピック・パラリンピックに向けて体制を強化するために、いろいろな協議会を官民一体でつくっていきましょう、その下にいろいろな推進の体制をつくっていきましょう、そういうシンプルな法案だと思うんです。

 ちょっと私、単純に疑問を感じているんですが、これは法律改正が本当に必要な事項なんでしょうか。今の状態で、この体制というのはつくれないんでしょうか。

櫻田国務大臣 やはり、法律改正は必要だと思います。(発言する者あり)いいことに気がつきました。前までは罰則規定がなかったんですよ。だけれども、今回は、秘密性が重要だということで、必要に応じて罰則をするということをつけ加えさせていただきました。

今井委員 何に対しての罰則規定でございましたか。どういう人を対象で、どういう内容についての罰則規定ですか。

櫻田国務大臣 守秘義務が必要とされている、守秘義務というものが対象でございます。

今井委員 大分ささやかれていますね。

 これは、個人情報の保護法とはどういう関係になるんでしょうか。

櫻田国務大臣 今言った罰則というのは、協議会の守秘義務に当たるところを担当する人に対して罰則があるということでございます。

 あとは、個人情報のことは個人情報で、今までの通常の法律でやっていかれればいいと思います。

今井委員 そちらから漏えいされる守秘義務のところにも個人情報があると思うんですね、含まれていると思うんですけれども、この個人情報保護法のところと今回の罰則規定というのは、どういうふうに整理されていらっしゃるんですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、法律の中では、今大臣がお答えをしたとおり、まず、協議会の構成員に対して守秘義務をかけてございます。

 今回の条文の中では、特段の定めのない限りというふうに言っておりますので、個人情報に関しましては、個人情報保護法の定めによってまずこれを保護する、その秘密を守るという形になってございます。そこを抜いた形で今回の法律が協議会の構成員に対してかかるという形になってございます。

今井委員 個人情報のところは別に置いて、それ以外のところをカバーしているという認識ですか。はい、わかりました。ひっかけようとしているわけじゃありませんので、純粋に聞いておりますので。そういう整理だということで。

 ということは、今回の法律で改変しなきゃいけない理由はこの守秘義務のところだけで、もしこれがなければ、ほかのところは運用でできたということでよろしいんですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 協議会の中の構成員の中で、個人情報以外でも秘密として扱うようなものがございます。例えば、企業に関するもの、そして、企業の中でも、実際に広報をかけるような内容でないような秘密に属するものがございますので、これに関する守秘義務ということでございます。

今井委員 これは整理したいので申し上げているんです。

 今回の法律を変えなきゃいけない理由は、この守秘義務のところをしっかり担保する、罰則をつくってということであって、それ以外の部分に関しては、従来の運用の中でもやれることであるかどうかということです。

山内政府参考人 大変失礼いたしました。

 お答え申し上げます。

 守秘義務に関しましては、今回、二つの要件があります。

 まず一つは、協議会の構成員に対して、先ほども申し上げた秘密を守るための守秘義務。もう一つは、今回、このような対策の情報をつくるためには、非常に高度な技術を擁する方と一緒に仕事をする必要がございます。したがいまして、今回の法律の中では、そういう法人に委託をする、事務の一部を委託をするという形になってございます。この委託をする者に対しても同様に守秘義務をかける構造になってございますので、守秘義務と申し上げているのには、大きく二つの点がございます。

今井委員 今の説明はよくわかりました。

 そういうことで、新しい協議会をつくるに当たって、非常に微妙な情報を民間に渡す可能性があって、そこのところの罰則をしっかりしておかないとこの協議会がつくれない、そういう趣旨ですね。それなら理解できます。

 その上で、もう一点なんですけれども、もう一点というのはいろいろありますが、サイバーセキュリティ戦略のこの冊子の一番最初に、まず、なぜこういうものをつくらなければいけないのかということがありまして、一番最後にこうあります。

 これまで人類が経験してきた狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会からソサエティー五・〇へのパラダイムシフトが生じつつある中、今後のサイバーセキュリティーのあり方についても、このような変化の潮流を俯瞰しながら検討する必要があるというふうに書いてあります。つまり、我々は今、情報社会という第四のソサエティー四・〇から新しいソサエティー五・〇というところに向かおうということで、それに対する対応が必要だということが書いてあります。

 情報社会においても、これはインターネットの拡大等々でありますから、まさにサイバーセキュリティーのターゲットです。だから、情報社会においてもサイバーセキュリティー対策というのは十分とられなきゃいけなかったわけですが、ソサエティー五・〇になって、四・〇のときから一体何が変わるんでしょうか。

櫻田国務大臣 情報社会は、インターネット上の膨大な情報から必要な情報を人の手で収集、分析するのに限界がありました。ソサエティー五・〇は、人工知能等の活用で、情報の共有、分析が進展し、分野を超えて人々にさまざまな恩恵をもたらす社会であると考えております。

今井委員 そういうことなんですけれども、その上で、セキュリティーを四と五ではどういうふうに変えていかなきゃいけないというふうに御認識ですか。

櫻田国務大臣 具体的には、インターネット等を通じたさまざまなサービスが日常的に使われ、定着する中で生じる社会システムの変革、つまりサイバー空間と実空間の一体化の進展のことであり、こうした一体化の進展は、人々にさまざまな恩恵をもたらす一方、サイバー攻撃により情報漏えいや金銭被害、サービス障害が生じるなど脅威が深刻化しており、こうした認識を踏まえ、本年七月に新たなサイバーセキュリティ戦略を閣議決定しております。

今井委員 四・〇のときも同じリスクがあったので、そこはどう変わったのか、よくわかりませんが。

 今のお話の中でありましたけれども、所信表明のときに、「昨今、サイバー空間と実空間の一体化が進み、さまざまな恩恵がもたらされている一方で、サイバー攻撃による多大な経済的、社会的損失が生じる」というふうに書いてありますけれども、まあ、そのとおりなんだと思いますが、政府の方で、このサイバー攻撃による多大な経済的損失、これは今、日本はどれぐらいの損失を抱えているかというのは、数字はお持ちでいらっしゃいますか。

櫻田国務大臣 具体的なことは持っておりませんが、情報漏えいについては、平成二十七年の五月に、日本年金機構に対する不正アクセスにより、個人情報が百二十五万、外部に流出した事例があります。

 金銭被害については、本年一月に、国内で、仮想通貨が不正に外部に送信され、約五百八十億円が流出した事案があります。

 サービス障害については、平成二十八年末、ウクライナにおいて、サイバー攻撃によるとされる停電が発生した事案があります。

今井委員 政府がその金額を試算しておられないというのは、ちょっとどうなのかと思うんですけれども。

 例えば、一般社団法人日本サイバーセキュリティ・イノベーション委員会、JCICというところでありますが、ここはその試算をしておられまして、二〇一七年では、世界全体で六十三兆円、日本で約一兆円、こういう試算をされています。

 民間でもこういう試算ができているんですが、政府はなぜ、こういう対策を打つに当たって、どれぐらいの社会的影響が出ているかという試算をなさらないんですか。

櫻田国務大臣 今後取り組んでみたいと思っております。

今井委員 今後取り組みたいということで、とても前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 やはり、こういう議論をするときには、どれぐらいの影響が、個別の事案はもちろんありますよ、しかし、社会にどれぐらい影響が出ているかというのを、やはり数字をちゃんと持って、それで対策を打つというのが、これはほかの政策でも、今、外国人の受入れの議論をしていますけれども、やはり今の状況がどうなっているかというのをしっかり数字で把握して、それで対応していく、これがやり方だと思いますから、そのことをまず、ぜひやっていただきたいんですが、今答弁いただいたので、その数字が出てくるのを私はお待ちしておきたいと思います。

 次に、もうあと余り時間がありませんので、サイバーセキュリティーの人材育成についてでありますけれども、これはとても重要なテーマなんですが、当然この中にも、非常に重要だといって載っています。

 今後、政府としては、具体的に、このサイバーセキュリティーの人材育成というのをどういうふうに行っていかれるつもりですか。

櫻田国務大臣 サイバー攻撃が複雑、巧妙化する中で、我が国のサイバーセキュリティーを確保するため、官民における人材育成は重要な課題だと認識しております。

 また、各府省庁では、専任のサイバーセキュリティ・情報化審議官等の主導のもと、人材育成にかかわる計画を策定し、体制の整備等に取り組んでおります。

 また、民間における人材育成の支援については、関係省庁において、試験、資格及び演習の実施や学び直しの促進を実施しております。

 これらの取組により、官民の人材育成をしっかりと進めてまいります。

今井委員 ちょっと所管外かもしれませんけれども、もし答えられれば。

 こういう人材は、やはり、突然大人になってからそういうものを身につけるというのはなかなか難しいんです。ですから、やはり子供のころからそういうもののきちっとした教育をしていないと、なかなかそういう人材は育たないと思うんですね。

 ですから、学校教育の中においてそういう人材を育てるための環境づくりというのは、このサイバー人材を育成するという観点では非常に重要だと思うんですけれども、いかがですか、お考えは。

櫻田国務大臣 文科省とよく協力をしながら取り組んでいきたいと思っておりますので。

今井委員 それで結構です。

 それで、もう最後、二分しかありませんから、ちょっと一つ申し上げておきたいんですが、きのうも出ました、きょうも出ました、ハッカーという言葉があります。

 ハッカーという言葉の定義は、いろいろありますけれども、一般的なものを持ってきましたが、主にコンピューターや電気回路一般について常人よりより深い技術的知識を持ち、その知識を利用して技術的な課題をクリアする人々のことを実は定義しておりまして、ハッカーは犯罪者ではありません。

 きのうも何か、ハッカーが犯罪者であるような発言がありましたけれども……(発言する者あり)おっしゃるとおりで、ホワイトハッカーというのは、まさにそういう攻撃から守るための……(発言する者あり)いや、ただ、ハッカーということはそういうことなんでありますね。ですから、この言葉の意味は、ぜひやはり皆さんにもう一度周知していただきたいと思うんです。

 今のは提案なんですけれども、ハッキングをして不正に入るということは犯罪ですが、ハッカーというものそのものが犯罪ではありません。むしろ人材なんです。

 ですから、ハッカーという定義をしっかりもう一回認知をしていただいて、ハッカーという人たちの活用というのもサイバーセキュリティーの中でぜひ推進をしていただきたいということをちょっとお願い申し上げたいですが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

櫻田国務大臣 こういう、あんちょこというか参考書がありますので、こういったことをつくって、当オリパラ室では努めておりますので、これをぜひ読んでいただければありがたいと思っています。(発言する者あり)私は説明は受けております。

今井委員 大臣、ぜひそういうことも含めて検討していく、それだけお願いします、最後にそれだけ。

櫻田国務大臣 丁寧な御質問でございますので、誠意を持って対応させていただきます。

今井委員 どうもありがとうございました。

 時間になりましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 よろしくお願いします。篠原豪でございます。

 サイバーセキュリティ基本法改正案ということでございまして、今、サイバーセキュリティーというのは、いつぐらいから世界的にだんだんと認識をされ、国としてそれぞれ対策をとられたかというところなんですけれども、一番最初の、世界初の大規模サイバー攻撃を受けた政府というのは、大臣、どこの政府だか認識されていますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 今、大規模の定義にもよるかと思いますが、世界的に有名なものは、二〇〇八年に、例えばエストニアでございますが、国全体が麻痺をするような攻撃を受けたというのがございます。

 それ以外にも有名なものはございますが、特に世界じゅうで有名なのはこういうものでございます。

 それから、先ほど大臣がお答えをした中にございましたが、二〇一五、一六年、ウクライナで大規模な停電事故が起きたというものがございます。このようなものが有名なものだというふうに認識をしてございます。

篠原(豪)委員 二〇〇七年に、多分、リトアニアで銀行等が世界初の大サイバー攻撃を受けて、サイトが利用不能になって、それで、エストニアは、NATOのサイバー防衛拠点を置きました。ここで世界最大の演習のロックトシールズというのがあるんですけれども、大臣、ロックトシールズというのは御存じですか。

櫻田国務大臣 承知しておりません。

篠原(豪)委員 大臣には、サイバーセキュリティーの世界的な流れというのを少し、もしよろしければ、これは大事なことなので、お伝えいただきたいと思います。

 ロックトシールズというのは、そこを契機に世界の、世界各国のサイバー防衛のチームが集結をして、サイバー防衛の演習をやっています。これについて日本が参加するかどうかということは、今話がなされているんだと思いますけれども。なので、これは大事なことなんですよ。

 サイバーというのは、我が国単体では物事を全部やっていく能力が恐らくないと思うんですね。そのときに、世界とチームを組んでいろいろと防衛について考えていく、法律をつくっていく、そういうことも必要だと思っているんですね。ですので、その根本的なものに近いと思うのでちょっとお伺いしているんですけれども。

 ちなみに、ロックトシールズに日本が参加する、しないという話は、これはどなたかお答えできますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 ロックトシールズにつきましては、まず、その存在を承知してございます。入るかどうかということについては、まだ今後の検討ということでございます。

 なお、今先生がおっしゃったような国際的な演習ということでございますと、例えばでございますが、米国が主導している演習がございます。こちらに付随をする国際的な演習に我が国も参加をしてございます。既に三回を重ねてございまして、このような国際的な演習とともに、今おっしゃったロックトシールズについても参加するかどうかということを考えていきたいというふうに思ってございます。(篠原(豪)委員「参加するんですよね。参加する予定なんですよね」と呼ぶ)

 まだ確定はしてございません。今から検討したいというふうに思ってございます。

篠原(豪)委員 アメリカだけじゃなくて、ぜひ参加を検討していただければと思います。今、多分検討しているんですよ。そういう状態でありますので、お願いをします。

 先ほどスマホの話もありましたけれども、皆さん、何らかのサイバー攻撃というのは恐らくされたことがあるんだと思います。ない人はいないんじゃないか。接続を何かネットにすれば、メールとか、迷惑メールとかを送ってくることがありますよね、迷惑メール。添付ファイルがついていて、それもサイバー攻撃なわけですよ。その認識はおありですか。

 だから、櫻田大臣も、ふだん迷惑メールを受けていれば、そういう攻撃を受けているんだというような認識はお持ちでしょうか。

櫻田国務大臣 余り迷惑メールを受けたような気はございません。そんなに、前もお話しさせていただいたように、朝から晩までというか、しょっちゅう頻繁にパソコンとかをあけてやっているわけではございませんので。よろしくお願いします。

篠原(豪)委員 スマホでメールのやりとりはされているということですよね。ですので、そこに迷惑メールというのは来ないですか。

櫻田国務大臣 パソコンはやりませんけれども、スマホは一日に何回もやって重宝に使わせていただいておりますが、そこに迷惑メールとかというのは、私は経験したことがございません。

篠原(豪)委員 さすがサイバーセキュリティー担当大臣というふうに思いますね。ちょっとそこは本当にそうなのかということは、私は証明のしようがないので、あえてもうそれ以上聞きません。

 ただ、そのサイバー攻撃、さっきハッカーの話もあったんですが、では、ここから入っていきたいと思うんですが、サイバー攻撃というのは、その定義ですね、定義。そして、犯罪の場合と犯罪じゃないハッカーがいる。そして、それがどういうふうに捉えられているかというのが大事なんですね。

 そもそも、サイバー攻撃は、通信のネットワークがあれば侵入して破壊をしたり情報を盗んだりする行為で、迷惑メールは大体そういうところにかかわってくるんですが、ネットワーク社会の進展と不即不離の関係にあるということになるんです。ですので、最初に、皆さんが受けていらっしゃるんじゃないですかという話。これは不即不離なんですよ。

 このことについて、では、サイバー攻撃は一体何なのとか、政府はどう考えているのかということです。どこまでの行為であれば犯罪行為になり、どこからが、今、軍事演習の話をしたので、軍事行為になるかという、ここを明確に切り分けないと、サイバー攻撃に対してのこれからの議論ができないので、まず、どういうふうに思っているかを教えてください。

櫻田国務大臣 サイバー攻撃は、インターネットやコンピューターを悪用することにより情報の窃取や改ざんを行うことであると認識しております。

 一般的に、刑罰法規に反する行為が犯罪行為になると認識していますが、サイバーセキュリティ戦略本部に関する事務を担当する大臣としては、どこまでの行為が犯罪行為となり、軍事攻撃とみなし得るかについては、お答えする立場にないと考えております。

篠原(豪)委員 どういうところが大体どういうふうに当たるかというのは、例をつくればいいと思うんですね。サイバー攻撃において、ここまでが、こういうのは犯罪行為ですよ、こういうものは軍事攻撃に当たるんですよと。こういったことのまず大まかな仕分というか、そういったものの項目を出さないと、国民の皆さんは全然わからないと思うんです。政府がやってくださらないとできない。だから聞いているんですけれども。皆わからないじゃないですか。大丈夫ですか、質問を続けてもよろしいですか。ですので、伺っています。

 政府が、私はサイバー担当大臣ですけれども、それはちょっとわかりませんというのでは、国民の皆さんは、サイバー攻撃とは何なんですかという話になるんですね。なので、ちょっとそこのところをもう一度お答えください。

櫻田国務大臣 このことにつきましては、それぞれの担当の所管の部門で回答すべきだと思っております。

篠原(豪)委員 では、例えば、どういう担当でどういうことを想定されますか、大臣として。大臣なんですから、あなたはここを答えてくださいよと、判断力抜群なんですから。ですので、どこをどう思っているかということを教えてください。

櫻田国務大臣 先ほどお話ししたとおりでございますので、詳しくこういうことについてお答えする立場にはないと思っております。

篠原(豪)委員 犯罪行為と軍事攻撃であるかというところの、じゃ、どういうものが軍事攻撃であるか、サイバー犯罪とみなし得るのかということについて、誰に相談したらいいんですか、我が国の大臣は。

櫻田国務大臣 犯罪にかかわることは警察庁でございますし、防衛に関することは国防省だと思っております。(発言する者あり)ごめんなさい、大変失礼しました。防衛省であります。

篠原(豪)委員 では、済みません、きょうは警察は来てくださっていますか、それから防衛省。どの辺が軍事攻撃でどの辺が犯罪行為とサイバーについているか、と思っていらっしゃるので、ちょっと大臣に御報告いただいてもよろしいですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 軍事攻撃というものは法令用語にはございませんけれども、武力攻撃というものはございます。自衛隊法七十六条の武力攻撃とは、一般に、我が国に対する組織的、計画的な武力の行使を申します。

 それから、自衛隊法の第八十八条に武力の行使という言葉がありますけれども、これは基本的に、国家の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為という定義になっております。

 したがいまして、こうした定義に照らしまして、個々のサイバー攻撃がもしこういうものに該当するというふうに判断されれば、それはそういうものだということでございます。

篠原(豪)委員 ということです、大臣。

 そうすると、今度次に大事になるのが、いや、これは大事なんです、サイバーセキュリティーの担当の大臣だからこそお伺いしているんですが、今のお話で、武力攻撃と行使の話ということになれば、当然、じゃ、誰がやったのかということが特定される必要があります。ですので、そのサイバー攻撃をしかけた敵を特定する必要があるんですけれども、これは簡単に特定できるというふうにお思いですか。

櫻田国務大臣 特定することは極めて難しいと思っております。

篠原(豪)委員 そうなんです。

 何で難しいかというと、通常、サイバー攻撃をしかけてくる方々は何台も、例えば、わかりやすく言えば、個人の、他人のパソコンを使って、そして乗っ取ってやってくる。複数のプロキシサーバーを使っているので、サイバー攻撃の発現元を幾ら追跡しても、これはなかなか完全に否定するのは難しいんです。

 追跡調査に協力的な国というのとそうじゃない国というのも恐らくあるんだと思うんですが、その辺については、例えば中国とかロシアなどという国は、サーバーを経由した場合には、厳密な追跡調査ができるのかどうかということであります。例えば、追跡をどこまでどういうふうにやるかというところは、本当に理論上できるのかというふうにも思われています。

 ところが、武力行使の話がありましたけれども、軍事攻撃という場合には、武力報復を、例えば政府の言う存立危機事態とかありますけれども、これは自衛権の問題、国際法上の問題で、当然その正当化をすることが必須であるために、そのためには敵国のサイバー攻撃への関与を立証する必要があるんです。立証しないと、できないですよね、理論的に。できないんです。なので、これまで、そういったことがあるんですけれども、相手が特定できないことを前提に対策を練らざるを得ないというジレンマがあるんです、このサイバーセキュリティーというのは。

 これについて、政府は今どういうふうに考えているのかということを伺います。

櫻田国務大臣 サイバー犯罪、サイバー攻撃は複雑化、巧妙化しており、攻撃の種類も多種多様になっていることから、従来の受動的な対策だけでは対応し切れず、これまでよりも積極的な対策を行う必要があります。

 このような状況を踏まえ、サイバー関連事業者等と連携をし、脅威に対して事前に積極的な防御策を講じることで、サイバー犯罪、サイバー攻撃による被害を未然に防止できるような取組を推進すること等が考えられます。

 また、実際にサイバー攻撃による被害が生じた場合を想定し、サイバー空間と実空間の横断的な対処訓練、演習を実施することで、対処体制の強化を図ることとしております。

篠原(豪)委員 深刻な被害を出さないために、未然に防ぐという対策を練っていくというお話ですね。それが果たして、ではどういうふうにやっていくんだということになるんだと思います。

 これは、例えば原子力発電所などの重要インフラがサイバー攻撃を受けた場合にも、攻撃側の意図が、システムの弱点を探るための例えば諜報活動をやるためにアクセスするのか、それとも、まさに破壊活動をするためにアクセスをしてくるのか、攻撃をしてくるのか。だから、一つ見ても、いろいろなところからいろいろな攻撃がなされてくる。

 仮に破壊活動を目的としていても、重要なインフラへの不正アクセスというのは、破壊活動を目的とするときには、いざというとき、その日まで、向こうがどういうふうに活動してきて、それで発動するかというのは秘匿されるというのは作戦の本質ですから、当然、事前に通告しないですよね、これから攻撃しますと。なので、防御をする国も、他国のアクセス行為を発見しても、これは必ずしもそれを実は摘発するとは限らない。

 スパイ活動というのは、例えば泳がせますよね、当然。当然じゃないですけれども、泳がせる場合もあるというふうに言われている。それは、その方が、後で何か事を起こすときにぱっと捕まえられるから、防御できるから、何を考えているかというのはわかりますから。

 ですので、そういったものは、摘発してしまえば、その一瞬のサイバー攻撃は防げるんですけれども、その時点で敵方に、そのやろうとした攻撃が、その段階でできているというふうになると、手のうちを明かして、向こうは更に対策を打ってくるんですよ。なので、敵方に、あえてこれを放置して実際にはやっていくということもあり得るんだろうというふうに思っています。

 なので、どういうふうに、自分たちがどの程度のことまで相手のサイバー攻撃を監視できるか、これが明らかになってしまうので、守る方は、いつでもトラップをブロックできるシステムを構築しているということになれば、あとは監視をするという方が都合がいい。

 その意味で、サイバー戦は、実際にはそのときまで発動されない、目に見えない戦いなんです、目に見えないんです。だから、衛星で、燃料を注入して、ボタンを押しそうだから、着手同等事態、これはまだ見えるかもしれないんだけれども、サイバーでは見えないんです。

 だから、そうすると、被害の深刻度と措置の関連を設定するということがすごく難しいんですけれども、政府は、どういうような深刻な事態であれば行動を、報復というか、実際にやっていくというのを考えなければいけないときに、その明確な基準というのは多分内部ではつくらないといけないんですけれども、そういったものはつくっていますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の生命、身体、財産若しくは国土の重要な被害が生じる場合若しくは生じるおそれがあるようなサイバー攻撃事態が生じた場合には、官邸対策室を危機管理センターの中に設置をいたします。この体制のもとで、私ども内閣サイバーセキュリティセンター、関係省庁と相互に連絡をいたしまして、関連の情報、これはその攻撃に関する情報、それから復旧、もちろん被害を受けるわけでございますので、被害の復旧の手段の情報に関する情報共有を行うということにしてございます。

 御質問が報復云々ということでありますと、これはサイバーセキュリティーの部分とはちょっと外れる部分になろうかと思いますので、まずは何らかの被害、深刻度が出た場合ということでお答えをさせていただきたいと存じます。

 なお、被害の深刻度に関しましては、現在、試行的な取組といたしまして、どの程度の深刻度であるかということにつきまして、私ども戦略本部のもとで、重要インフラの被害がどの程度出たかということを五段階で評価をするという仕組みをつくりました。ただし、現時点では事後的に深刻度を判断するというものでございますので、先生のお問合せのような、事前に若しくは渦中の中でその深刻度を判断するところには至っていないというのが現状でございます。

篠原(豪)委員 ですので、事後的には判断できるんだけれども、こういうのが来るかもしれないというときに、何かを判断して、そうすると、これは何もできないということですか、相手に対しては。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 被害が出た場合に、先ほど申し上げました官邸対策室等の危機管理センターを設置する場合に、これに関しましては、事態対処の部隊がその深刻度を判断いたしまして、それに応じて実際の体制を整備することとしてございます。ですので、人によってこの判断をするという基準がございます。

篠原(豪)委員 なるほど。

 そうしますと、サイバー攻撃を武力攻撃と認定する基準は、重要なインフラとかあるいはライフラインに大規模な被害があり、それが国民の生命財産を脅かすというような事態であると考えられている。先ほど、七月でしたか、策定されたのは。五段階の深刻度を示す基準、具体的には、こういった危機の問題ということと関連をしている。

 八月に、政府の有識者会議、安全保障と防衛力に関する懇談会が十二月に予定する新たな防衛大綱の策定に向けて検討していますけれども、そこでは本件についてどのような議論がなされているのでしょうか。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 前段のところは今内閣府の方でお答えになったとおりでございますが、サイバー攻撃と自衛権行使の関係については一概に申し上げることは困難でありますけれども、何らかの事態が武力攻撃に当たるか否かは個別具体的な状況を踏まえて判断するべきでありますけれども、武力行使の三要件を満たす場合には、これは、憲法上、自衛の措置として武力の行使が許されるとの立場をとっております。

 それから、防衛計画の大綱の見直しにつきましては、現時点ではその具体的な方向性についてお答えできる段階にはありませんが、見直しに当たっては、サイバー空間を含む新たな領域の活用が極めて重要になってくることを踏まえて検討していく必要があると思っております。

 いずれにしましても、専守防衛は当然の前提としながら、従来の延長線上ではなくて、国民を守るために真に必要な防衛力の姿を見詰めてまいりたいと思います。

篠原(豪)委員 そうですね、武力行使の三要件のお話があって、専守防衛のお話。

 そこで思うのが、じゃ、サイバー攻撃と日米安保体制との関係にもそうすると関連してくるんだと思うんですけれども、日本政府がサイバー攻撃を受けた場合は、どのような状態になれば日米安保条約に基づく軍事措置をとるのか。

 自衛隊は、さっきありましたけれども、専守防衛への配慮から、攻撃を前提とした本格的な能力の保有はないですから、専守防衛の趣旨からすれば、ほかの手段がなくてどうしても攻撃が必要な場合には、安保体制の建前から、これは米軍に協力を求めるのかということが次の議論になってくると思うんです。

 ですので、そこについて政府はどういうふうに考えていらっしゃるかということを伺いたいと思います。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 高度化するサイバー攻撃の対応を踏まえれば、今後、サイバー攻撃によって極めて深刻な被害が発生する可能性も否定することはできません。サイバー攻撃への対応は、我が国の安全保障にかかわる重要な課題であると認識をしております。

 政府は、従来から、サイバー攻撃と自衛権行使の関係については一概に申し上げることは困難でありまして、何らかの事態が武力攻撃に当たるか否かは、個別具体的な状況を踏まえて判断すべきものであると思っております。

 武力の行使の三要件を満たす場合には、先ほど申し上げましたように、憲法上、自衛の措置として武力の行使が許されるという立場をとってきております。

 その上で、いかなる場合に日米安保条約が適用されるかについては、個別の状況に応じて判断すべきものであり、一概に申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

篠原(豪)委員 政府は、これまで、国家の意思に基づく我が国に対する組織的、計画的な武力の行使を認められていると、サイバー攻撃の反撃能力は専守防衛の原則に矛盾しないというふうに判断しているということだと思います。

 サイバー攻撃が、先ほども最初の方に申し上げましたけれども、無関係な第三者のサーバーを使って行われる可能性が高いため、サイバー攻撃だけでは国家の意思に基づく武力の行使と認定することは難しいということも政府はこれまで言っています。

 このことから、やはり自衛権を行使できるのは武力攻撃の一環としてサイバー攻撃が行われた場合ということで、それは、あと、個別具体的な事例を見てというふうにおっしゃっているんですけれども、これはなかなか難しくて、個人や組織による攻撃もあり得ますし、あくまでも攻撃主体は国家でなければいけないということだし、攻撃が組織的、計画的な武力の行使に当たり、一定の規模と影響をもたらす場合に限られているというふうになっていますので、そうした定義に該当するということが大事だというのはわかった上で、その具体事例というのは示された方がいいと思うんですね。

 ですので、全然わからないですから、こういうものがこういうふうに当たりますよというようなことをお示しいただきたいと思っているんですが、いかがですか。アデン湾とか赤ちゃんが、安保法制のときはいろいろ具体事例がありましたから、そういったことも含めて、これは議論するときにいただきたいなと思うんですけれども、このことについてはいかがでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 武力攻撃の定義につきましては、先ほど私の方から答弁を申し上げたとおりでありますし、委員の御指摘があったとおりでございます。

 従来より、政府としては、サイバー攻撃と武力攻撃、それから自衛権行使の関係については、一概に申し上げることは困難でありまして、やはり何らかの事態が武力攻撃に当たるか否かは、個別具体的な状況を踏まえて政府として判断するという立場をとっている次第でございます。

篠原(豪)委員 これを何で私が伺うかというと、やはりこういうのは高く掲げて、具体例を示した方が海外にとってもわかりやすいんですよ。日本にこういうことをやったら大変なことになるんだというようなことも、政府としてここまでしっかり考えているんだというところを、実際には中身がよくわからないし、できないから発表できないんじゃないかというよりは、国民の皆さんに対してもですね。

 ですので、こういったことはサイバーセキュリティー担当大臣としても適切に判断をしていただいて、判断力は抜群だということですので、今の話を聞いて、ぜひ検討していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

櫻田国務大臣 それぞれの所掌の大臣がしっかりと取り組むと思います。

篠原(豪)委員 済みません、各担当大臣とふだん話合いを、サイバーセキュリティーについて、どのぐらいの頻度でやられていますか。

櫻田国務大臣 戦略本部というものは年二回やっておりますので、そこで十分議論されると思います。

篠原(豪)委員 防衛大綱が十二月に出るということは御存じですか。

櫻田国務大臣 聞いたことはあります。

篠原(豪)委員 今度、十二月に出るんです。ということだというふうに私は伺いました。

 その中で、ここのところをどういうふうに書き込んでいくか、捉えていくかというのは、先ほどの防衛白書をごらんいただきましたかという話があったんですが、今度は防衛大綱に載せる。これはすごく大事なことなんです。毎年変えるわけじゃないです、大綱でございますからね。今やっていますね。

 ですので、これが十二月に出るということでありまして、その中にどのようなことをサイバーセキュリティー担当大臣としては盛り込みたいというふうに思っているのか、あるいは何も指示をしていないのか。ここだけは教えていただけますでしょうか。

櫻田国務大臣 しっかりと取り組んで、担当の大臣ではございませんので、いろいろな関係のところに相談して、しっかりと取り組みたいと思います。

篠原(豪)委員 では、済みません、防衛大綱をつくっている方々に、サイバーセキュリティーについて、今度、日米安保体制との関係についても記述をしていくということかどうかということを確認させていただいてもいいでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛大綱の改定の議論につきましては、現在、政府部内で鋭意行っているところでございます。日米安保条約との関係、それからサイバー攻撃との関係、そういったところも非常に重要な論点でございますので、当然そういったことも含めた議論を行っているところでございます。

篠原(豪)委員 なぜこれを伺ったかというと、これは、安保体制によらずに自前でサイバー攻撃だけは対処をするんだということになった場合に、少し間違えると、我が国による敵基地攻撃になるんです、憲法で認められていない。ですので、ここのところはすごく重大な議論だと私は思っているんです。

 そういったことをはらんでいるのがサイバーセキュリティーなんです。サイバーセキュリティーの問題は日米安保にもかかわってくるし、それを自前だけでやるというふうになりますと、だから、先ほど一番最初に、冒頭で、エストニアでの、これはNATOがやっているわけですよ。そこのところに参加するかどうかというのは、何でこういうことをやっているかというと、これはNATOという枠組みの中で演習をやっているんですね。日本は、そこに対してどういうふうに入っていくのかとか入っていかないのも検討中だ、まだ決めていないと。

 防衛大綱にサイバーセキュリティーの問題も入っていくのかどうかというのは大事なことなんです。サイバーセキュリティーをちょっと間違えれば、今申し上げましたように、敵基地攻撃事態になり得る。ですので、それはだめなんです。

 ということもあるので、スマホの中の迷惑メールだけの話じゃなくて、これは国家の存立、国民の生命、自由、そして財産、幸福追求の権利、全てに根本的に、根幹からいろいろと攻撃をされる可能性があるのが、このサイバー攻撃。

 大臣、日本が一年間にどのぐらいのサイバー攻撃を海外のサーバー経由で受けているかとか、どなたかからレクチャーがあったことはありますか。

櫻田国務大臣 政府機関においては、昨年、六千件あったそうでございます。

篠原(豪)委員 そういったものが民間でもいっぱいあって、すごく大事なので、いろいろなレベルがあるので、しっかりと対応していただきたいと思うんです。

 例えば政治家でも、サイバー攻撃と言われているのは、例えばアメリカの大統領選挙を見ていただきますと、これはロシアが関与したんじゃないかというふうに、これもサイバー攻撃の一形態ですよ。

 例えば北朝鮮のサイバー部隊出身者などは、脱北者のインタビュー記事を読むと、南朝鮮の選挙の際には、数十人ずつチームをつくって中国に滞在し、南朝鮮のサイトで世論を生んでつくり、デマを広め、そしてサイトに加入するために盗用した住民登録を行う、我々は住民番号を百万個持っている、南朝鮮の人の名義で開通した携帯電話もあるとか、私の友人らが中国で仕事をする際には一人数百人分の住民番号を管理したとか、こういったこともやっていて、本当にこういうことが行われているということであります。

 政府として、六千件と言われていましたけれども、これも非常に、そうはいっても、事実上は、こういうものに対してどういうふうに対応していくかというのもまた考えていかなきゃいけない。

 最後、時間がないので、オリンピックの話を少しします。二〇一四年に発足した自衛隊のサイバー防衛隊は一九年度末に二百二十名にすると言われていますが、アメリカのサイバー攻撃に対応する部隊というのは六千名いるんです。北朝鮮のサイバー部隊、これは約七千名と言われている。ロシアは千人、中国は十三万人と言われています。これは格段の開きがあるんです。

 ですので、ここを埋めていって、本当に我が国もやっていかなければいけないということの中で、大臣の今のお立場というのは、我が国の本当にすごく重要なところで指揮を振るということなんですよね。その認識を持ってやっていっていただかないといけないと思っていまして、レクチャーを受けましたから大丈夫ですとか、まあ、それはレクチャーを受けてください。そして、ちゃんと前向きな議論をしたらいいと思いますよ、どんどん。

 でも、各大臣に、先ほど、年に二回でしたか、お話しするといったって、防衛大綱は十二月にできるわけですよね。ですので、そういうスピードでやられてしまってはなかなか困る。だって、オリンピックもすぐ起きますからね。

 ちなみに、オリンピックでどういうサイバー攻撃が想定されているかというのは、大臣はどういうふうに、何か一つか二つ今想定している、頭に思い浮かぶものというのはありますか。

櫻田国務大臣 特にはありませんが、過去、大会で見られた、大会組織委員会や大会に関する組織、機関のウエブサイトに対する攻撃のほか、政府機関や重要インフラ事業者等においてふだんから観測されている攻撃が大会期間中にも行われると想定をしております。

 想定している攻撃の具体的な内容について述べることは、セキュリティー対策上支障が生じる可能性があるため、事柄の性質上、お答えは控えさせていただきたいと思います。

篠原(豪)委員 にせものの入場券の販売サイトとかそういうのを御存じですか。そういうのがあるというふうに、にせものの入場券を売るサイトとかですね。大変なことになるんですね、日本の信用。

 ですので、何も個別具体的な、全然例示できない、想定されるのは全て言えないみたいな話じゃなくて、こういうことをしないでくださいと言えばいいんですよ。それを禁止すればいいんです。それを示さなかったらだめだと思いますので、やってください。

 もう一つ、日本の場合は、企業もサイバー攻撃を受けていても、なかなか被害報告がそういう機関に上がっていかないということがあって、ここについて、日本は、一般社団法人のジャパン・コンピューター・エマージェンシー・レスポンス・チーム・コーディネーション・センターというところがありまして、ここが日本のサイバー攻撃の被害報告を受けているんですけれども、これは義務じゃないので、一四年度は九月までに六件しかない。日本は、サイバー攻撃を受けた企業は風評被害を恐れて被害情報の通報や公表がおくれがちになって、対処が後回しになるというふうに言われているんです。

 ちなみに、アメリカは、たしかですけれども、四十八時間以内に金融機関はサイバー攻撃を受けた場合には通報しなければいけないということになっていて、専属のスタッフが金融機関に張りついてやっているというのが実態です。

 ですので、日本は全体的にこういうことが起きているということでありまして、対策が、おくれが、非常に世界のスピードと離れていっているということがあるので、ここのところもやはりしっかりやっていかないといけないと思っているんです。

 このことについて今どういうふうに思われているのか、そして、今後どうしていくのかということについてお伺いをさせていただきたいと思います。

櫻田国務大臣 しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

篠原(豪)委員 しっかりやらない方向に取り組むのか、やる方向に取り組むのか。

櫻田国務大臣 サイバー攻撃が深刻化、巧妙化する中、企業が事業継続を確固なものとしていくためには、御指摘のように、企業風土を改善し、サイバーセキュリティー対策を講じていくことが不可欠であります。

 そのため、今回の改正法において、罰則により担保された守秘義務を構成員に対して適用することで、サイバー攻撃に関する情報を迅速に共有することとしております。

 また、政府においては、経営層の意識改革を図るため、関係機関と連携しながら、経営層や投資家向けセミナーの開催、サイバーセキュリティ経営ガイドラインの普及に取り組んでおります。

 引き続き、経営層の意識改革など、企業風土の改善に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

篠原(豪)委員 大臣、ぜひ、今の私の指摘も含めて、前向きにしっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 時間ですので終わりにしますけれども、何も日本だけで全部サイバーセキュリティーができるというわけではないかもしれないので、海外とも力を合わせて、例えば、オリンピックとかも、イスラエルとかがいろいろと手伝ったりもしているし、日本もそういう話をしています。ですので、本当に前向きに、そして、もう周回おくれですからというふうに言われたら大変ですから、これは国の存立に、存亡にかかわることでありますので、しっかりとお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

牧原委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十六分開議

牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。斉木武志君。

斉木委員 斉木武志です。

 委員の皆様、委員長、皆様、櫻田大臣、本日もよろしくお願いいたします。

 このサイバーセキュリティ基本法の改正案、まず、法案提出者としての資格があるのかどうか、櫻田大臣の資質を残念ながら問わなければいけないなというふうに思っております。

 まず、きのうの本委員会の質疑で明らかになりました、大臣の政治と金の問題でございます。

 きのう先生が答弁されましたように、先生が代表を務める自民党千葉県第八選挙区支部が、政治資金規正法の上限を超えて、同一の団体から二百万円のパーティー券収入を得ていたこと、これは、きのう、先生はお認めになりました。そして、この相手方、一般社団法人国家ビジョン研究会から、二百万円の支払いを受けていたところでございますと櫻田国務大臣も答弁をされております。

 私は、きのうの質疑、それはちょっと危うい答弁ですよと申し上げたんですけれども、先生が、政治資金規正法の一団体から百五十万円を上限とする、「その上限は知っておりました。ただ、国家ビジョン研究会の皆さんがいっぱい来ますので、その枠内で処理されていたという認識を持っているところでございます。」「多くの人が来ているわけですから、それは全く、一人の人に何枚も買ってもらうとかという、それなりの資金に匹敵する人が参加していたという認識でございます。」と御答弁をされております。

 私は、これは、政治資金規正法の要件、この百五十万円という上限を知りながら、先生は知っていたというふうに御答弁されておりますので、知っていたという、故意に政治資金規正法の上限を超越して購入されたのではないか、これは刑事訴追をされる可能性があるのではないかなと懸念を持っておるんですけれども、きょうは法務省にも来ていただいております。

 まず、私、きのう法学部出身ですというふうに申し上げましたが、私はこちらの方が専門ですので、日本の刑法における故意、故意犯というのが私は要件になっていると解釈しておるんですが、日本の刑法において、故意とは、法構成上、犯罪構成上どのような要件が要求されているのか、その一般的概念を解説していただけますでしょうか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 刑法上、故意という文言が用いられているわけではありませんが、刑法三十八条一項本文は、「罪を犯す意思がない行為は、罰しない。」というふうに規定しております。ここから、一般に、犯罪の成立には原則として故意を要するものというふうに理解されています。

 そして、あくまで一般論として申し上げれば、講学上、故意が認められるためには、行為者による犯罪事実の認識あるいは予見が必要であるとされているものと承知をしております。

斉木委員 犯罪者による構成要因の予見ですね、ここが刑法上の、委員長も法曹出身ですので御存じだと思いますけれども、それがやはり争点になるケースが非常に訴訟の上ではあると私は理解しております。

 ここに「刑法総論」という日本の権威学者が書かれた文書、これは国会図書館で調べて、該当部分を抜き出してまいりました。刑法において故意とは、構成要件、構成要件的故意と、責任、責任故意の両方で問題とされる。ここの二点、構成要件的故意と責任故意というのが争点になるんですけれども、この二つの文言はちょっとわかりにくいので、法務省の方から、この構成要件的故意、そして責任故意というのはどのような概念、どのようなケースがそれぞれ該当するのか、一般的に御解説願えますでしょうか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、一般的な理解として、故意が認められるためには、行為者による犯罪事実の認識あるいは予見が必要であるとされていると承知しておるのでありますが、この故意を二つに分けて、構成要件的故意と責任故意に分けて考えるという考え方が学説としてあるということは承知しております。ただ、それは一つの学説でございまして、そのほかの考え方もまたあるわけでございます。

 したがいまして、特定の学説につきまして法務省として解説を申し上げるというのは、差し控えさせていただきたいと存じます。

斉木委員 要は、それは一学説であって、事前の認識というのがやはり重要だという御答弁だと思うんですけれども、これを私はきのうの答弁は完全に満たしてしまったと思うんですよ。

 きのうの私の質問に対して、これはきのうの議事録です、私が、じゃ、質問から読みます。政治資金パーティーは、先生は七期ですから、「二十回以上はやられているだろうというふうに、二十回前後は当然、年一回とすれば、その程度はやられているんだろうなと思います。 その二十回ぐらい資金パーティーをやっていながら、なぜ、その上限、一団体からは百五十万円までしか買えませんよという、根本的な政治資金規正法を知らなかったんでしょうか。知らなかったのか、それとも、知っていてそれ以上買ってもらったということなんでしょうか。」と私が質問いたしました。

 その問いに対して、櫻田国務大臣、「その上限は知っておりました。ただ、国家ビジョン研究会の皆さんがいっぱい来ますので、その枠内で処理されていたという認識を持っているところでございます。」と御答弁をされております。明確に、この規正法上の上限は知っていたと御答弁されております。

 そして、これはマスコミ報道で伝聞でございますが、毎日新聞の方で先生の事務所の職員に取材をした結果、「報道によりますと、」これも私の質疑に残っておりますけれども、「櫻田先生の事務所の職員が、上限があるのは認識していたが、担当者が忙しくてそのまま受け取ってしまった。」毎日新聞、朝日新聞等、各新聞にこれもきのう掲載されております。

 ですので、櫻田先生御本人も、政治資金規正法の上限は知っていたとこの委員会で明確に答弁いたしました。そして、マスコミ各社の取材に対し、先生の事務所の職員も、上限を知っていたが受け取ってしまったとコメントをしております。ということは、櫻田先生の事務所の代表者である先生、そして被雇用者、両方とも知っていながら、要するに、故意に受け取っていたとしか言えないと思うんですが、先生はどういう御見解ですか。

櫻田国務大臣 上限は知っておりましたけれども、これは不注意でもらってしまったということです。

斉木委員 上限は知っていたけれども不注意で受け取ってしまったというのは、どういう意味なんでしょうか。

櫻田国務大臣 御指摘の政治資金パーティーに関する政治資金規正法の規定については認識しておりました。一方で、国家ビジョン研究会の具体的な購入額についてはやりとりを行っておらず、私としては法律の上限を超えているとの認識はありませんでした。

 また、今回御指摘のあった件は、政治資金規正法に基づく規定に違反しなかったかどうか確認が十分でなかったことが要因であり、故意に法違反を行ったものではありません。

 しかしながら、結果として法律の定める上限を超える金額を受け取る結果となったことについては、深くおわび申し上げます。

 今回の問題を重く受けとめ、私としても早急に是正を図る必要があると判断し、十一月十九日付で超過分である五十万円を返金するとともに、同日付で千葉県選挙管理委員会に対し、該当する収支報告書の訂正を届け出ました。法令遵守の徹底を図るため、事務所の管理体制を更に強化してまいります。

斉木委員 今の御答弁は、私は上限は知っていたとまたお認めになりました。そして、ただ、詳しいところはスタッフが購入しているのであずかり知らぬところだというような答弁に私には聞こえました。

 そのところなんですけれども、ちょっとそれは通らないと思いますね。マスコミの取材に対して、先生のその事務員、事務所の職員が、上限があるのは認識していたが、忙しくてそのまま受け取ってしまったというふうに言っているんですよ。これは担当者の故意要件は成立していませんか、大臣。

櫻田国務大臣 これまで、当事務所が関係する政治資金パーティーを開催するに当たり、同一の団体又は個人から政治資金規正法の規定を超え得るような多額の支払いがなされたケースはございませんでした。このため、二〇一七年に研究会からの支払いがあった際に、政治資金規正法に基づく規定に違反しなかったかどうか確認を行う業務が関係者の間で十分共有されておらず、結果として見逃してしまったものと思われます。

 今回の問題を踏まえ、法令遵守の徹底を図るため、私自身も更にしっかりと見ていくとともに、事務所の管理体制を更に強化してまいります。

斉木委員 ちょっときのうの御答弁とずれてきているのが気になったんですけれども、これはきのうの議事録です。

 「上限は知っておりました。」その後、その理由として、購入してしまった理由として、「ただ、国家ビジョン研究会の皆さんがいっぱい来ますので、」ということは、来るということは知っていたわけですね、何人来るかということは。「来ますので、その枠内で処理されていたという認識を持っているところでございます。」と答弁をされております。

 それに次ぐ答弁の中でも、「多くの人が来ているわけですから、それは全く、一人の人に何枚も買ってもらうとかという、それなりの資金に匹敵する人が参加していたという認識でございます。」

 それなりの資金に匹敵する人が参加していた、こちらでも、いっぱい、五人か十人か二十人かはわかりませんですけれども、百枚、一枚二万円のパーティー券を百枚購入していただく理由としては、普通、政治家のパーティーというのは百枚買っても一人しか来ないとか、そういうケースはありますので……(発言する者あり)全くないと言い切れますか、松本剛明理事。それを百枚買ってもらっても、一人、五人など、松本剛明理事、お答えされますか、御自身の政治資金パーティーについて。

 そして、櫻田大臣にお聞きしたいんですが、百枚、五人ということで……(発言する者あり)

 委員長、少し与党筆頭理事の逸脱が多いんですけれども。

牧原委員長 質問を続けてください。

 御静粛にお願いを申し上げます。

斉木委員 ということでございます。

 では、本論に戻りたいと思います。

 政治資金パーティーは、松本剛明理事のおっしゃるように、百枚で一人はあり得ないということですので、百枚で十人とかいうケースはあると思います。ただ、今回、国家ビジョン研究会さんが多数来るので、十人、二十人は来るので、百枚買ってもらう。それは、対価もあるパーティー券ですからいいんじゃないかという認識で受け取ってしまったという御答弁なんですけれども。

 こういうふうに何人来るかもう知っていたということは、代表理事とやりとりをして、パーティー券購入を先生がお願いしている、だから、何人来るというのも知っていたのではないんですか。

櫻田国務大臣 人数については全く知りません。

斉木委員 先生はきのう、「皆さんがいっぱい来ますので、」というふうに御発言なさっていますが、人数は把握しておりませんというのは、矛盾しておりませんか。

櫻田国務大臣 それは、一枚しか買っていただけないならば一人でしょうけれども、ある程度の金額になれば、何人か来ることは承知しております。

斉木委員 ちょっと御答弁がずれてきているんですけれども、「多くの人が来ているわけですから、」というのは、要するに、櫻田先生は、この櫻田先生を励ます会ですか、二〇一七のパーティーで当然御挨拶もなさっているでしょうし、国家ビジョン研究会の方が何人来ているかというのも把握されているわけですよね。

 「多くの人が来ているわけですから、」と御発言されていますよ。ちょっと何かそこのところが矛盾してきているんですけれども、いかがですか。

櫻田国務大臣 多くの人が来ておりますが、国家ビジョンの人も含めて多くの人が来ているのであって、お金が幾ら集まったから何人来ます、そういう正しいお金と人数は必ずしも一致しておりません。

斉木委員 これは、私、きのうの議事録に基づいてお聞きをしております。

 きのうの議事録でお聞きしているのは、国家ビジョン研究会のケースに限定をして私が質問したところに対して、櫻田国務大臣の答弁を全部読みます。

  違反になるようなことを認めた覚えはございません。どのように受け取ったかわかりませんが、私は違法という認識は全く持っておりませんので。

  多くの人が来ているわけですから、それは全く、一人の人に何枚も買ってもらうとかという、それなりの資金に匹敵する人が参加していたという認識でございます。

 ですから、ここは、これは国家ビジョン研究会の皆さんが多く来ているというのを御認識されていたとしか文脈上読めないんですけれども。

櫻田国務大臣 先日の私の答弁の趣旨は、国家ビジョン研究会のメンバーの方に多く参加いただくことが見込まれることなどから、他の団体や企業の方の場合と比べると購入額は大きくなるが、政治資金規正法の上限の範囲内で購入されるという趣旨で申し上げたものであります。

 また、多くの参加者がいる場合には、一つの団体からは百五十万円までとしている政治資金規正法の規定を超えても構わないという認識は、持っておりません。

 いずれにしろ、国家ビジョン研究会の具体的な購入額についてはやりとりを行っておらず、私としては法律の上限を超えているとの認識はありませんでした。

 ただし、今回の問題を踏まえ、法令遵守の徹底を図るため、私自身も更にしっかりと見ていくとともに、事務所の管理体制を更に強化してまいります。

斉木委員 ちょっと行ったり来たりの答弁になっておりますので、故意とは何かのいわゆる刑法論に戻りたいと思います。

 先ほど法務省の方から一学説というふうに言われましたけれども、これは一番、「刑法総論」というのは刑法の世界では権威的著書でございますので、その中から、細かく要件をちょっと検証してみたいんです。

 構成要件的故意と責任故意、これはよく一般に言われるものですが、責任故意とは何か。まず、これは櫻田大臣が知っていたということです。上限を知っていれば、それが法令違反であるというのが責任故意です。構成要件的故意、これは何か。構成要件的故意というのは、その行為をする、要するに、パーティー券を二百万円購入すれば、当然、自分の責任故意で知っている法令に違反するであろうということを購入するときに認識していた、これが構成要件的故意です。この二つが満たされたケースでは、多くの場合、刑事訴追が行われる可能性がございます。

 先生がこの上限を知っていました。構成要件である責任故意は、まずここで満たしました。構成要件的故意、それを買えば、二百万円、オーバーして、政治資金規正法、詳しく言えば政治資金規正法第二十二条の八に違反をする可能性があるということを当然予見できたはずです。

 私は、この二点において、きのうの答弁は非常に危ういですよと即座に申し上げましたが、刑事訴追を受ける可能性のある大臣のもとで、こうしたサイバーセキュリティ基本法のような重要な法案を審議するのは難しいと思うんですけれども、先生はどうお考えですか。

櫻田国務大臣 私としては、先ほどもお話に触れさせていただきましたが、御指摘の政治資金パーティーに関する政治資金規正法の規定については認識しておりました。一方で、国家ビジョン研究会の具体的な購入額についてはやりとりを行っておらず、私としては法律の上限を超えているとの認識はありませんでした。

 また、今回御指摘のあった件は、政治資金規正法に基づく規定に違反しなかったかどうか確認が十分でなかったことが要因であり、故意に法違反を行ったものではありません。

 しかしながら、結果として法律の定める上限を超える金額を受け取る結果となったことについては、深くおわび申し上げたいと思います。

 今回の問題を重く受けとめ、私としては早急に是正を図る必要があると判断し、十一月十九日付で超過分である五十万円を返金するとともに、同日付で千葉県選挙管理委員会に対し、該当する収支報告書の訂正を届け出ました。法令遵守の徹底を図るため、事務所の管理体制を更に強化してまいります。

斉木委員 まあ、返したからいいじゃないかという御答弁だと思うんですけれども、それは該当しないと思います。(発言する者あり)

 委員長、ちょっと場外発言が多いですが。

牧原委員長 質疑を続けてください。

 質問中、質問者の妨げになるような不規則発言は慎むようお願いを申し上げます。

斉木委員 よろしくお願いいたします。

 では、続けさせていただきたいと思います。

 こういうふうに今聞いてまいりましたけれども、要するに、返せばいいじゃないかは刑法上通りません。刑法というのは、その犯罪を犯したときに故意要件が成立していれば刑事訴追をされるということは、私は、これは刑法の基本的概念であると。

 要するに、刑法、例えば窃盗などを犯してしまって、後で返せばいいじゃないか、通りませんよね。ですので、故意要件が成立してしまったら、これは訴追される可能性があると私は瞬時にきのう思いまして、だから、危うい答弁ですよと申し上げたんですよ。返せばいいというものではないんですね。

 しかも、責任故意、先生が認識していたことは、もう何度もきょうお認めになっております。ただし、私は直接購入していないということを論拠にしていらっしゃいますが、購入を担当した先生の事務所の職員が、上限があるのは認識していたが、担当者が忙しくてそのまま受け取ってしまったと各新聞の取材に対して一様にコメントを返しております。これは、まさに構成要件的故意、先生の被雇用者、先生が代表で使用人です、そして被雇用者も認識をしていながらやったということは、これは完全に故意要件というのは成立してしまうと私は判断しているんですが、先生はそう判断されないということですか。

櫻田国務大臣 繰り返しになりますが、国家ビジョン研究会の具体的な購入額についてはやりとりを行っておらず、私としては法律の上限を超えているとの認識はありませんでした。

 また、今回御指摘のあった件は、政治資金規正法に基づく規定に違反しなかったかどうか確認が十分でなかったことが要因であり、故意に法違反を行ったものではありません。

 しかしながら、結果として法律の定める上限を超える金額を受け取る結果となったことについては、深くおわび申し上げます。

 今回の問題を重く受けとめ、私としても早急に是正を図る必要があると判断し、十一月十九日付で超過分である五十万円を返金するとともに、同日付で千葉県選挙管理委員会に対し、該当する収支報告書の訂正を届け出ました。法令遵守の徹底を図るため、事務所の管理体制を更に強化してまいります。

斉木委員 完全に押し問答になってしまっておりますので、では、私は、きのう危ういですよと申し上げた、まさに先生の本委員会での一連の発言が非常に危ういなというふうに思っておりまして、これは法務省にお聞きします。

 過去の例を挙げていただきたいんですけれども、この内閣委員会等の国会の委員会で閣僚や議員が発言した証拠能力、訴追等で、刑事訴訟、民事訴訟等で、大臣、閣僚が委員会で発言したことが、証拠能力はないんでしょうか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの趣旨が必ずしも正解できているかどうかわからないのですが、個別の事件において、ある証拠がその証拠能力を有するかどうかというのは、まさに個別具体の事件において裁判所において判断される事柄でございますので、法務省としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

斉木委員 法務省さん、追加でお聞きいたします。

 過去、判例、我が国の訴訟において、閣僚が委員会において答弁した発言が証拠として採用された例はありますか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 手元に資料がございませんので、承知をしておりません。

斉木委員 わかりました。

 ただ、証拠能力がないとは、否定はできないということでよろしいでしょうか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 繰り返しのお答えでございますが、証拠能力の有無というのは個別具体に判断されるべき事柄でございますので、法務省として御答弁を申し上げるということは差し控えさせていただきます。

斉木委員 ただ、これは、きのうの私とのやりとりもマスコミで報道されておりましたけれども、国民が全て見ている衆人環視のもとでの委員会発言、公の場中の公の場ですので、そこで軽々しく、上限は知っておりましたが、多くの人数がいたので、その枠内であったから買ってしまったというような御発言を軽々になさるというのは、これは国務大臣として非常に危ういな、サイバーセキュリティ基本法の提出者としていかがなものだろうかと私は思わざるを得ないわけですが、先生の当委員会での御発言のぶれというのは、先生はどのようにお考えですか。

櫻田国務大臣 先日の私の答弁の趣旨は、国家ビジョン研究会のメンバーの方に多く参加いただくことが見込まれることなどから、他の団体や企業の方の場合と比べると購入額は大きくなるが、政治資金規正法の上限の範囲内で購入されるという趣旨で申し上げたものであります。

 また、多くの参加者がいる場合には、一つの団体から百五十万円としている政治資金規正法の規定を超えても構わないという認識は、持っておりません。

 いずれにしろ、国家ビジョン研究会の具体的な購入額についてはやりとりを行っておらず、私としては法律の上限を超えているとの認識はありませんでした。

 ただし、今回の問題を踏まえ、法令遵守の徹底を図るため、私自身も更にしっかりと見ていくとともに、事務所の管理体制を更に強化していく予定でございます。

斉木委員 お手元の紙のコメントなんですけれども、これはきのうの、その上限は知っておりました、国家ビジョン研究会の皆さんが多く来るからいいという認識で、よかれと思って買ってしまったというこの御答弁と私は矛盾してきているというふうにしか聞こえないので、ぜひ、これは今後、司法の場などで明らかになっていくのではないかなと私は考えております。

 そして、やはり当委員会自体が、きょう職権でたしか立てられておりますね。本委員会の定例日ではないと思うんですが、木曜日というのは。この木曜日という定例外の日に、与党の職権によって、このサイバーセキュリティ基本法案の改正案、非常に重要な法案だと私は認識をしておりますが、職権立てをして強硬にやろう。一説によりますと、きょう夕方には、この質疑終了後、採決ということも与党側では描いていらっしゃると仄聞いたしますけれども、そういった委員会運営というのはよろしくないのではないか。

 やはり審議を尽くす環境を整えるということも十分委員長にも御配慮いただきたいですし、そもそも提出者が、私は、刑事訴追される可能性が排除できない提出者のもとでこういった重要な法案を審議するのはなかなか難しいのではないかなということは、一言申し上げたいというふうに思っております。

 そして、この大臣の一連の、私はきのうの発言からぶれていますよというふうに申し上げましたが、午前中の委員会でもたしか問題になりました消費税と軽減税率をめぐる発言です。

 櫻田大臣は、午前中の今井委員との質疑の中で、きのう千葉県の税理士会の会合が開催された、その千葉県の税理士会の会合の中で、自分は消費増税反対、軽減税率も反対とは言っていないと答弁をされました。ただし、きのうの出席者に確認をしたところ、軽減税率は私は反対であると発言をして、会場も満場の拍手喝采だったというふうに聞いておりますが、事実はどうなんでしょうか。

櫻田国務大臣 昨日の会合において、軽減税率の導入に伴う小規模な商店への影響について発言したことは事実でございます。消費税率の引上げや軽減税率導入に反対という趣旨で発言したわけではありません。

 今後、職務をしっかりと全うできるよう、努力してまいります。

斉木委員 今のも重要な答弁だと思います。今後、録音等が出てきて、本当に答弁と違っていないのかどうかというのはしっかりチェックをする必要があるなというふうに感じております。

 これは、やはり先生の御答弁。私は、たしかきょうで三回目でしょうか、当委員会で御質疑させていただくのが。ナタンズの核施設の例から始まり、サイバーセキュリティー上、USBの危険性についてお聞きしたら、使わせないんだ、穴があっても差させなければいいんだということをずっと御答弁されました。結局、最後には、私はUSBはよくわからないので、使う場合は穴に入れるらしいんだが、後ろの官僚に聞いてほしい、いかがでしょうかと私にお尋ねになりました。議事録に残っております。

 結局、知っているかのように御答弁されて、後で、実は知らなかったので官僚に聞いてほしいんだけれども、どうですかというような御答弁、これはぶれていないでしょうか。

櫻田国務大臣 十一月十四日に開催された当委員会で、斉木委員から、日本の原子力発電所にUSBメモリー、USBポートはあるかどうかといった御質問をいただきました。

 その際、私の方から、基本的に使わない、仮にあったとしても万全の対策をすると回答させていただいたところでございます。

 まず、重要インフラの制御システムには、USBポートが存在するものもあると承知しております。その上で、サイバーセキュリティーの確保上、USBポートの性質を踏まえ、そこから感染するコンピューターウイルスを予防、検出する仕組みが重要であるという趣旨で、私の方から、基本的に使わない、仮にあったとしても万全の対策をすると回答させていただきました。

 多少言葉が足りなかったかもしれませんが、斉木委員の御質問に真摯にお答えしたつもりでございます。

斉木委員 御答弁は真摯にいただいたと思います。

 ただ、一番その御答弁で今抜けているのは、最後の私とのやりとりです。そうやって真摯に、使わせないんだという御答弁をいただいた後で、「使う場合は穴に入れるらしいんですけれども、細かいことは私はよくわかりませんので、もしあれだったら私よりも詳しい専門家に答えさせますけれども、いかがでしょうか。」というふうに発言をされております。

 これは、今、まず、USBポートが原子力施設内にないことは承知しているがという御答弁とも矛盾します。USBポートすら概念として知らなかったという、だから、後ろに聞いてくれという御答弁をされていますし、そうやって真摯にお答えいただいた結果が、着地点がですよ、でも、何を聞いているのかわからないので後ろに聞いてと言われても、それはひっくり返されてしまうんです、前提が。知っていると思って私はお聞きしているのに、結局、質問の内容が把握できていなかったということなんじゃないんですか。

櫻田国務大臣 詳細については、個別事業分野にかかわる具体的対応であり、原子力規制委員会の内容となるため、お答えは控えさせていただきたいと思います。

斉木委員 答弁がぶれていませんかということ。私は、原子力所内にUSBジャック、ポートがあいていますかとは一切聞いておりません。

 私が聞いていた、それに知っているというような形で、使わせないんだ、穴があいていても差し込ませなければいいんだという御答弁をされて、最後に、USBというのは結局何なのかわからないので後ろに聞いてくれというのは、完全にそれは前提条件がずれてしまっているんです。

 やはり私は、きのうも思ったんですけれども、会話が成り立たないんじゃないですかということを御質問いたしました。先生は指示はできるんですかと私はお聞きしました。できますと力強く答えて、着席をなさいました。テレビでも放映されました。

 ですので、私との会話すらこうやって成り立っていないのに、私より詳しい官僚とどうやって、私より官僚の方がよっぽど知識がありますよ、その官僚の方々の言うことをどうやって理解できるんでしょうか、先生は。

櫻田国務大臣 セキュリティー事案が発生した際には、各分野の担当者が必要な情報の収集、分析を行い、関係者が集まって対処案の検討を行うことになります。その際、個々の技術的な判断は、信頼できる専門家に任せるのが適当であると考えます。

 他方、総合的な判断については、大所高所から行い、指示を与えることが、大臣としての私の役割だと思っております。

斉木委員 ちょっと言葉に詰まるんですけれども。

 まさに、ハッカーが日本のインフラや日本の知財に侵入するのを防ぐのが先生の役目ですよね、セキュリティー担当大臣。そのハッカーが何を狙っているのか。警察でいえば、侵入経路、これを把握するのが防犯上何よりも大切ですよね、大臣。

 その防犯の経路すら、USBすら知らないのに、どうやってそれを守れだ、塞げだ、潰せだ、指示が出せるんでしょうか。

櫻田国務大臣 信頼できる専門家に任せるのが適当であると考えております。

斉木委員 きょうは恐らく、答弁書しか読むなというようなアドバイスがあったんでしょう、御自分で常に紙を持ってきょうは答弁されておりますので。私が聞いても全て答弁書の方の類型的答えの方にすぐ戻られてしまうので、コミュニケーションになっていないんですけれども。

 御自身の言葉ではお答えいただけないんですか、先生。ここぐらいは御自身のお言葉で答えてください。

櫻田国務大臣 私は、確実に、正確に答弁をしようという趣旨に基づいて、自分で感情に任せて答えをするようなことはしなく、多くの人のスタッフの協力のもとに基づいた答弁書を間違いのないように読むことが最大の仕事だと思っております。

斉木委員 与えられたペーパーを読むのが、指示を出すことなんですか。要するに、内閣官房のNISCなど官僚がつくってくれた答弁書を読むのが、指示を出すということなんですか。

 先生が指示を出してその答弁書はつくられたということなんでしょうか。

櫻田国務大臣 総合的な判断に基づいて、大所高所から指示を与えることが、大臣としての私の役割だと考えております。

斉木委員 先生のその答弁に、先生が指示を出されてそういう言葉になったんでしょうか。

櫻田国務大臣 当然、必要だと思われることは指示しております。

斉木委員 きょうは非常にガードがかたいなというのが、全く御自身の言葉を、それはきのうの反省ということなんでしょうか。きのうの答弁で何か御反省があったから、紙しか読まないという御答弁なんでしょうか。

櫻田国務大臣 そんなことではありません。私は、常に質問者に答えがわかりやすいように説明するだけにしているだけでございます。

斉木委員 ぜひ、USBについて聞いたらそれについてお答えいただきたいし、指示を出したんですかと、その問いに答えていただきたいんですよ。故意だったんですかというときに、必ずきょうはペーパーだけ持っていらっしゃって、ペーパーしか読まないという御答弁になってしまっているので。

 大臣の役割というのは何なんでしょうか。今、野党席から、それだったら大臣は要らないんじゃないかという声も出ていますが、先生、どうお思いになりますか。

櫻田国務大臣 大臣が必要だから、私がいるんです。

斉木委員 ちょっと絶句をしてしまったんですけれども。わかりました。もうこれ以上御質問しても、恐らく紙しか読まれないというふうに思いますので。

 私、きのうちょっと御質問させていただきましたけれども、懸念しているのは、心配しているのは我々日本の国会議員だけではありませんで、海外の方が今、先生が今後職務を続けられるのか、サイバーセキュリティー担当大臣として適当なのかということに関して非常に懸念を持っているというのは御紹介したとおりです。

 きのうは、主に西欧諸国、アメリカ、イギリス、そしてフランス、イタリア等々のメディア、カナダ等、御紹介させていただきましたが、ここにシドニー・モーニング・ヘラルドとか、南半球でも全てこれが取り上げられておるんですね。

 私は、ちょっとこれはいかがなものかなというふうに思ったのが、中国の新華社通信や環球時報等にも先生の論評というのが載っておりまして、環球時報というのは中国の人民日報系列の、まあ、共産党の機関紙です。共産党としての公式的な見解を述べるのが環球時報なんですけれども、タイトル、日本オリンピック担当大臣は既に十分悲惨、アメリカメディアにすらばっさりと書かれております。

 要するに、中国は、アメリカと今非常にもめておりますので、アメリカメディアにすらばっさりという書き方なんですけれども、この中で、ワシントン・ポストの内容も紹介されております。ワシントン・ポスト紙、アメリカの主要紙でございます。櫻田義孝氏のようなハイテク知識が欠如している例は、高齢化社会の日本において珍しいことではないんだというふうにワシントン・ポストが論評していることも、中国の環球時報は伝えております。確かにワシントン・ポストはそういう論評をしておりました。

 私は、これは日本の高齢者にとってすごく失礼だと思います。

 私の例を申し上げます。私の父と母は、今、七十一、七十三なんですけれども、日常的にメールを使っておりますし、インターネットも使っております。

 ですので、日本の高齢者がさも一度もネットに触れたことがないんだ、ITリテラシーが日本の高齢者は低いんだというふうに、ワシントン・ポストにも、アメリカにも中国にも言われてしまっている、これは日本にとって損失ではないんですか。そうお考えになりませんか。

櫻田国務大臣 いろいろな考え方は人それぞれにあると思います。

 しかしながら、私は、きのうの答弁でも発言させていただいたように、私自身はそんなに詳しくはありません。しかし、私以外の人は非常に詳しいんですよ。私以外の人は、誰一人としてパソコン、コンピューターを使えない人はおりません。

 ですから、私以外の人はみんな明るいので、私の仕事に対して支障を来すようなことは全くないというふうに信じております。

斉木委員 私は、それでは大所高所の指示というのは、把握してこそ指示は出せると思うので、ちょっとそれは意見が違うなというふうに今感じております。

 私は、大臣がこの職務にとどまることは、日本にとって非常に経済的損失が大きくなってしまうということを非常に懸念をしております。

 これはまたロイターの電文、これはラ・レプブリカ紙というペルーの新聞ですけれども、この櫻田義孝氏の発言は日本の国会で大きな批判を呼んだ、日本は国の発展を支える柱として科学技術の進化を大いに重視する国の一つだ、さらに、学校教育で国民をこの分野に参加させる努力も行っている、そのため、新しいサイバーセキュリティー大臣の櫻田義孝氏の発言は大きな驚きを引き起こした、大臣によると、大臣はこれまでパソコンを使ったことがなく、USBが何かを知らないというふうに論評されております。

 大臣、これは自分のお言葉で、多分、質問要旨にはないと思いますけれども、日本の稼ぎ頭、日本は技術立国、日本は物づくりで稼いでいる国ですよね。日本の経済の柱は、何で稼いでいる国だと大臣はお思いですか。

櫻田国務大臣 今委員が途中まで言いかけた、物づくりというものが大きな日本の経済の柱の一つであると認識しております。

斉木委員 その物づくりの分野において、例えば自動車産業、日本の時価総額ナンバーワン企業はトヨタ自動車です。トヨタ自動車を始めとした日本の自動車産業が今一番取り組もうとしているのは、自動運転技術、そしてバッテリー技術、こうしたところ、要するに、次世代車への対応。

 人がハンドルを握らなくても目的地まで高齢者も連れていってくれるような高度な自動運転システムをアメリカやヨーロッパに先駆けて開発をすること、中国に先駆けて開発をすること、これが日本の次の世代の稼ぎ頭だと私は思っているんですが、先生も同じ意見ということでよろしいでしょうか。

櫻田国務大臣 全くというわけではありませんが、似たような認識は持っております。

斉木委員 その技術開発競争において一番鍵を握ってくるのは、AI、IT。そして、今、経産省の、私、世耕経産大臣と経産委員理事としていつも議論しておりますが、コネクテッド・インダストリーズ二・〇。政府が提案をされている物同士がITでつながっていく経済、これを他国に先駆けて開発するんだ、それが経済成長の柱なんだと世耕経産大臣がおっしゃっておるんですが、先生、認識は違いますか、同じですか。

櫻田国務大臣 世耕大臣と認識は同じであります。

斉木委員 では、その開発競争の鍵になるのはどんな技術なんでしょうか。

櫻田国務大臣 鍵になるのはいろいろあると思いますし、一つ、二つ、これだけが鍵だということはないと思います。

斉木委員 まさに先生が担当されているサイバー、IT技術だと私は思っております。

 自動運転を開発するに当たっても、まさにディープラーニング、どういうときに事故が起きるのか、これをAIの中で何度も何度もデータを入れて、今、グーグルもスマートカーを走らせております。これは、実際の路上環境において、国土交通省も、今、社会実験をやっております。これが、いろいろなデータを、アクシデントはないだろうか、通行者が飛び出してきたらどう対応するんだろうか、そういったことをどんどんどんどん学習させていく、まさにこのコンピューター技術、ディープラーニング、AI、オートノマス、この辺が、本当に今世界がしのぎを削っている開発分野なんですよ。

 ここでおくれをとるということは、日本が将来の稼ぎ頭を失うということだと私は認識しておりますが、いかがですか。

櫻田国務大臣 そういう見方もあると思いますし、そうでないような見方もあると思います。

斉木委員 というよりも、大臣は知見がないのではないかと私には聞こえるんですけれども。

 大臣がパソコンをさわったことがない、それはいいです。ただ、私は思うのが、これが各国でこうして、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、ル・モンド、新華社、全ての、地球上のあらゆる国の主要紙から先生が不安視されてしまっている、これは非常に経済的損失は大きいと思います。

 なぜか。それは、先生が、パソコンを使ったことがなく、USBが何かを知らないという方が大臣をやることによって、そういった情報セキュリティーであるとかが守れるんだろうか、日本に例えばデータを預けて大丈夫なんだろうかという、自動運転もデータですからね。データをどんどん蓄積していった者が勝つのが次世代の経済ですから。そこで、日本にデータを預けていいんだろうか、守秘性は保たれるんだろうかという懸念が、まさにサイバー担当大臣、先生のもとだと今提起されていると私は感じているんですけれども、いかがですか。

櫻田国務大臣 私も、国会が終わったら、できることなら海外に行って、そういったことも含めて意見交換をしてくるつもりでございます。

 また、何でも物事を知っていれば、パソコンをすれば、私はパソコンをさわったことがないと言った記憶はないんですけれども、自分で使ったことがない。それは、自分で使わないで、秘書にやらせているということは言いましたよ。また、それで不自由はしていないということも発言させていただきました。

 しかし、私は、さわったことがないと言ったことはありません。私の事務所にもありますし、宿舎にもありますし、自宅にもあります。どこでもいつでもさわれるような位置に置いてありますので、さわっていないということについては、それは先生の思い込みだと思います。

斉木委員 さわると操作するというのは、またちょっと違う文脈だと思います。

 私は、きのうも申し上げました、パソコンをさわったことがないとか操作したことがない、そんなことを私は責めるつもりは全くございませんと言っています。

 ただ、私が言っているのは、こういった日本の情報セキュリティー技術というのは大丈夫なのということが、アメリカやヨーロッパやブラジルや中国、世界じゅうから提起されてしまったことが、非常に日本の経済的損失ですよと言いたいんですよ。

 先生、バックドアというのは御存じですか。バックドアは、多分、知らない、御存じないですよね。

櫻田国務大臣 そう詳しくは知っておりません。

 ただ、仕事をやるのに、そのことを知らなければ仕事ができないということではないと思います。そのような単語になったときは、私がいつも申しているとおり、仕事は一人でやるわけではなく、スタッフをそろえて総がかりでやることであって、言葉とかいろいろな難しい単語を全部知らなければ仕事ができないということはありません。わからないことは全部調べて、一つの政策を打ち出してやるということが私の任務だと思っております。

斉木委員 私はクイズをするつもりは毛頭ございません。

 なぜお聞きしたかといいますと、これは、情報セキュリティーがいかに経済に影響を与えるかの一つのいい例だからです。

 今、世界でナンバーワンの時価総額企業、最も大きい企業はどこでしょう。アップルです、アメリカの。アップル社が、FBI、アメリカの連邦警察と論争になりました。これは、FBIが、アメリカの犯罪者がアイフォンなどのスマートフォン、電子デバイスを持っておりました。ですので、捜査のために、アップル社に対して、バックドアをあけて、その履歴を見せてくれと。要するに、捜査情報のため開示してくれと言ったんです。

 バックドアというのは、iOSとか、ウィンドウズもそうですけれども、出荷時に仕込んでおく、そうした会社があけることのできる入り口、これをバックドアと言っています。

 ですので、これを捜査当局が要求したんですが、アップルは頑として拒否をいたしました。これによってアップル社の株価は上がったんですよ。なぜでしょうか。情報セキュリティーを国家権力にも屈せずに守ったという評価が、世界の投資家から評価されて、アップル社は株価が上がったんです。

 日本はどうですか。櫻田先生がとどまることで、日本に対して情報を預けても大丈夫だろうかという疑念の声が世界じゅうから提起されているのに、先生がとどまり続けることで、ビッグデータのデータをそうした海外の自動車メーカーは日本に預けてくれますか。

櫻田国務大臣 先ほどもお話ししたとおり、仕事は私一人でやるわけではありません。私の秘書もスタッフも研究者も全部総がかりでやっていることでありますから、支障ありません。

斉木委員 私とちょっと認識が違うんです。

 大臣というのは、そのチームの象徴です、代表選手です、キャプテンです。ですよね。ですので、政党もそうですけれども、代表というのはまさに顔、看板なんですよ。その組織のCEO、社長が誰なのか。今、ゴーンさんが逮捕されて話題になっておりますが、日産の顔でした。顔が逮捕されたからこれだけ社会的に騒がれているんですよ。大臣は顔なんですよ、サイバーセキュリティーの。

 顔が、代表者がこれだけ疑念を世界じゅうから持たれてしまっているのに、どこの投資家、どこの企業が、日本に、情報セキュリティーを信用してくれるんですか。

櫻田国務大臣 そういう印象で、顔で、業績が上がったり下がったりすることもあるかもしれません。しかし、顔じゃなくても、顔が悪くても業績は上がることもありますので。

斉木委員 私は、大臣の容姿に関して質問してはおりません。

 まさにコーポレートアイデンティティー、企業や組織、政府、国家のイメージキャラクター、まさにシンボルなんですよ。安倍総理大臣がまさに自民党政権のシンボルじゃないですか。サイバーセキュリティー分野のシンボルが櫻田先生なんですよ。そのシンボルがこれだけ海外から信用に値しないと言われているのに、日本の情報産業が信用されていないのとイコールではないんですか。

櫻田国務大臣 イコールではないと思います。

 私は、先ほども言いましたように、イメージとか印象で成績が上がるところもあるかもしれませんが、やはり技術力だとか、イメージに見えないような部分で卓越した能力を発揮する部分があれば、業績は上昇するわけであります。

斉木委員 では、きのう、恐らく日産の株価はかなり下がったと思います。ゴーンさんという経営者の、CEO、会長ですね、まさに顔が刑事訴追されるということは、非常に時価総額に影響するということが実証されました。

 先生が日本株式会社の情報セキュリティーの顔としてとどまることが、日本株式会社、まさに日経平均に対して悪影響を与えるとは思いませんか。

櫻田国務大臣 私が大臣をやっているときとやめたときの経済状況を見て、私がなったために経済が悪化するということになったら謝りますが、そうじゃない限りは、謝る理由はありません。

斉木委員 先生はそうは認識されていないということですので、ちょっと私とは認識がずれてしまうなというふうに思っております。

 もう残り時間も少なくなってまいりましたが、私は、この質疑を三日間やらせていただいて、非常に残念だなというふうに思っております。

 二日前でしたか、私は銀行関係者の方と会食をいたしました。銀行関係者の方が、ともかく櫻田さんには一刻も早くやめてほしいと言っていました、正直。

 SWIFTを御存じですか。SWIFTというのは、インターバンク、世界じゅうの決済システムを構成している銀行間取引の決済システムです。そこの担当者だったんですけれども、非常にUSBメモリーも、物すごく今管理されているんだ、シリアルナンバーを全部管理者が把握している、しかも、IDとパスワードも付与されているUSBにしか反応しないようにしているのが銀行間決済システムなんですよというふうにおっしゃっていました。

 そういったSWIFTシステムですら、先生は把握されているかわかりませんけれども、バングラデシュで破られた例がありました。バングラデシュ中央銀行が、二〇一六年に、八千百万ドル、八十億円の不正送金をさせられました。これは、SWIFTシステムのIDとパスワードを乗っ取られて、たしか、バングラデシュ中央銀行がニューヨークに持っている口座から、フィリピンにある犯罪者の口座に不正送金されてしまった、こういった事例が起きてきているんですね。

 そして、日本でもありました。NEMであるとか、コインチェック社や、さまざまな仮想通貨が数十億円単位で盗まれた事案が二件発生いたしました。ですので、サイバーセキュリティーの信用性というのは、まさに、そのときも日本国民が被害を受けました、日本国民が被害を受けかねない重要事案なんですよ。

 そういうことを担当している方々が、ともかく、要らないサイバーテロが、DDoS攻撃がふえてしまうから、情報多量送りつけですね、それで送金システムがパンクする前に、まず櫻田大臣はかわっていただかないと困るとおっしゃっているんです。そういった現場担当者の声をどうお思いですか。

櫻田国務大臣 私にやめていただきたいと私が言われたことは、あなた一人だけでございます。私は、今までそういうことを聞いたことがありません。

斉木委員 それは、単に聞く耳を持たないということなんでしょうか。

櫻田国務大臣 聞く耳は持っております。ただ、聞いたことがないと言っているだけです。

斉木委員 やはり、先生がおっしゃっている大所高所の判断には、まず、我々国会議員というのは、何よりも国民の声を聞かなければいけません。国民が今何を求めていて、何に心配していて、何を政策として実行してほしいのか、そういう聞く耳を持って、自分の職位、自分が職にあることを国民が望んでいないのであれば引くという判断も、これは先生のおっしゃるすばらしい判断力だと思うんですが、そうはお考えになりませんか。

櫻田国務大臣 任にそぐわなければ引くという考え方もあるということは承知しております。ただ、私はそういう考えは持っておりません。

斉木委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 サイバーセキュリティ基本法改正案について質問をいたします。

 幾つか事務方の方にお伺いしますけれども、サイバーセキュリティ協議会を創設するというのが今回の法案なんですが、このサイバーセキュリティ協議会を組織するのは誰か、この点について教えてください。

山内政府参考人 お答えいたします。

 協議会は、サイバーセキュリティ本部長及び本部長が委嘱する国務大臣が組織するものとしております。

塩川委員 本部長等が組織するということですが、このサイバーセキュリティ戦略本部長は官房長官です。

 協議会の庶務は誰が担うのか。事務局はどこか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 協議会の事務局は、私ども内閣サイバーセキュリティセンター、そして、法文の中で、技術的な内容を今回この情報共有の中で求めますので、これを委託する法人というものを考えてございます。この二つが事務局を担うことになります。

塩川委員 委託の法人がありますけれども、事務局は内閣サイバーセキュリティセンターということで、センター長は内閣官房副長官補の事態対処・危機管理担当ということです。

 協議会の構成員について、想定される対象機関を例示してください。この第十七条第二項の各号に対応してポイントの説明をお願いします。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国の関係行政機関でございますので、これはいわゆる中央の政府機関。地方公共団体でございますので、都道府県及び市町村。それから重要インフラ事業者、これはサイバーセキュリティ戦略本部で指定をしております十四分野、例えば電気通信、金融、電力といった、こういうサービスを担う事業者。それからサイバー関連事業者、これはいわゆる情報通信それからセキュリティーのサービスを担当している会社、例えば電機メーカー、それからセキュリティーのサービスを行っている会社。教育研究機関、例えば大学でございます。

塩川委員 広い機関が構成員になる。そこに、国の行政機関等もありますけれども、自治体やまた民間事業者、大学等の研究教育機関も入っているということです。

 情報提供義務を課す機微な情報というのはどういうものでしょうか。情報提供義務を課すその主体というのはどこになるんでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、守秘義務に関しましては、構成員の中にかかる形でございますが、恐らくこの後の実際の規定の中で決めることになりますが、秘密を持っている、例えば企業の中のまだ公表に至らない情報を持っている、こういう会社、構成員の中のその方々ということになろうかと思います。

塩川委員 情報提供義務を課す機微な情報というのはどういうものか。

山内政府参考人 大変失礼いたしました。

 お答え申し上げます。

 情報提供義務、すなわち、対策に資する情報、それから攻撃に関する情報といったものを提供される方々ということになりますので、この構成員の中でそのような情報をお持ちの方ということになります。

塩川委員 こういった情報提供義務を課すのは誰なのか。情報提供義務を課すのは誰。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 情報提供義務、今回、法律によって課す形でございます、法律が課すという形でございますので、当然、協議会が構成員に対して課すという形になります。

塩川委員 協議会が情報提供義務を課していると。

 その協議会の事務局はNISCということでよろしいですね。

山内政府参考人 そのとおりでございます。

塩川委員 広範囲の官民の機関が構成員となるわけですが、この協議会というのは会議とかを開くんですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、実際に規定をある程度決めていくことになろうかと思います。協議会の中の会合はございますが、実際に目的とする情報共有に関しましては、恐らく情報のシステムの中で、迅速に共有をする必要がございますので、このシステムの中で共有をする形というのを考えてございます。

 したがいまして、実際の構成員が集まる会合というものを頻度高く行うという形にはならないかというふうに思ってございます。

塩川委員 構成員が集まるような会合ということにはならない、バーチャルな格好で、この情報共有はシステムの中で行うという説明であったわけです。ですから、協議会といっても、何かこう一堂に会するような、そういう場ではないということになります。

 ですから、サイバーセキュリティ協議会は会議体ではありません。事務局である内閣サイバーセキュリティセンター、NISCが、構成員の官民の機関に対して、サイバーセキュリティーに関する施策の推進に関し必要な資料について情報提供義務を課して提出させる、そういう組織になるわけです。

 その場合の情報提供について、例えば大学などの研究教育機関の研究や技術というのも情報提供義務を課す対象とはなり得るんでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法文上ですと、提供義務というのを課してございますが、特段の定めがない場合ということになってございます。例えば、今先生御指摘の大学の場合ですと、大学の自治等、ほかの法律に基づくもの等がございますので、これに抵触をしない範囲ということになろうかと存じます。

塩川委員 抵触をしない範囲というのがどこで線を引かれるのかわからない。構成員として協議会の中に入ればこの情報提供義務は課されるわけですから、その場合に、法文上にも「正当な理由がある場合を除き、」という、その辺の仕切りは誰がどういうふうに決めるんですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、規定の中で具体的にどのような形になるかということは整理をさせていただきたいと存じますが、特に今の大学のお話に関しましては、先生が御指摘の大学の自治等がございますので、一定の配慮が必要かというふうに思ってございます。

塩川委員 まあ、一定の配慮という言い方はしますけれども、規定で決める。その規定は誰がつくるんでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 協議会の事務局を務めます私ども内閣サイバーセキュリティセンターが原案をつくりまして、この協議会の構成員に諮る形になろうかと思います。

塩川委員 NISCがたたき台をつくる、事務方で行っていくということになります。

 同じように、民間に対しても必要な資料の提供を求めるということになるわけですね。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 協議会の構成員になる方に関しましては、ひとしくこの情報の提供義務を課すという形になろうかと思います。

塩川委員 この情報提供を求めることに対して応じなければならないという規定になっているわけです。主要国と比べても、情報提供を求める対象が広いというのが特徴だと思います。

 大臣にお尋ねいたします。

 内閣サイバーセキュリティセンター長は、内閣官房副長官補、事態対処・危機管理担当であります。この事態対処・危機管理担当の内閣官房副長官補は、国家安全保障局次長を務めております。内閣官房副長官補、事態対処・危機管理担当が内閣サイバーセキュリティセンター長と国家安全保障局次長を兼ねている、その理由は何ですか。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 政令に基づいて、内閣サイバーセキュリティセンター長は内閣官房副長官補の中から指名されることになっております。また、サイバーセキュリティーに関する業務は事態対処担当や国家安全保障局の業務ともそれぞれ関連があることが、センター長が兼ねている理由であると認識しております。

塩川委員 国家安全保障と危機管理、サイバーセキュリティーと危機管理、これが密接にかかわるものだということでよろしいですか。

櫻田国務大臣 そのとおりでございます。

塩川委員 内閣サイバーセキュリティセンターと国家安全保障局が同一のトップのもとで、緊密に連携して業務を行っているということであります。

 NISCの常勤スタッフは府省庁の出身者で構成されておりますけれども、一番多いのが防衛省であり、副長官補、この事態対処・危機管理担当の方も防衛省出身の方であります。

 国家安全保障局が事務局となっている国家安全保障会議で策定した国家安全保障戦略には、アメリカとのサイバー防衛協力の推進がうたわれております。二〇一五年四月の新日米ガイドラインには、サイバー空間に関する協力という項目が初めて設けられました。

 このアメリカの軍事戦略に組み込まれることになるのではないのかと考えますが、大臣、いかがですか。

櫻田国務大臣 安全保障の問題は、別の所管で伺っていただければありがたいと思います。

塩川委員 国家安全保障、サイバーセキュリティーと危機管理は密接にかかわるということをお認めになったわけですから、そういう、アメリカとの関係がどうなるのかというのは不可分な話であって、人任せの話じゃないと思うんですが、改めて。

櫻田国務大臣 そういう意味では、そのとおりでございます。

塩川委員 だから、答えてもらえればと思うんですけれども。

 アメリカの軍事戦略に組み込まれることになりはしないのか。サイバーセキュリティーの話で聞いているわけですから、大臣。

櫻田国務大臣 軍事情勢と無関係だとは言えないと思いますし、多少かかわり合いが、多少ではなく、かかわり合いは持っていると思います。

塩川委員 ですから、アメリカの場合は、サイバー攻撃による大規模な被害が差し迫っている場合にはサイバー空間で先制攻撃を行う、そういう可能性についても言及をしているわけです。

 協議会を通じて、日本の官民の機関がアメリカのサイバー戦略に組み込まれる懸念もあるわけですけれども、それはどうですか。

櫻田国務大臣 この辺の分野になると、私の分野ではないと考えております。

塩川委員 サイバーセキュリティーについてお聞きしているので、別に安全保障そのものの話をしているわけではない。サイバーセキュリティーのこの問題が、こういうアメリカの軍事戦略に組み込まれることになりはしないのかということをお聞きしているんですから、もう一回。

櫻田国務大臣 やはり質問の内容からいって、安全保障にかかわるものだと私は思っておりますので、発言は控えさせていただきます。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣の発言のちょっと補足をさせていただきたいと思います。

 サイバーセキュリティ基本法の中で、まず、サイバーセキュリティーに関して、安全保障と密接に関連をしているというのは、先生の御指摘のとおりでございます。

 他方、協議会の中で扱う、共有される情報につきましては、これも先生の御指摘のとおりでございますが、情報の提供義務があるのは確かでございます。特段の差しさわりがある場合を除いてということは当然ございますし、安全保障があるからといって、その企業にそういう情報の提供を義務づけるというものではございません。ここは当然、一定の仕切り、整理を設けて、協議会の中で民間の企業の方々にも安心をして出していただくという構造にしたいというふうに思ってございます。そのような規定も設けたいというふうに思ってございます。

塩川委員 情報提供義務を課すというところがあるんですから、その規定の中身というのも事務局の方でつくるわけで、その主導をするNISCのトップの事務方というのが、国家安全保障局の次長という形で両方のトップを兼ねているわけですから、これは不可分、リンクをしているでしょうというときに、このサイバーセキュリティーが国家安全保障戦略と不可分で、その先にあるのが日米の軍事協力の話ですから、その点で聞いているんですけれども、お答えがありませんでした。

 こういった日本の官民の機関が、アメリカのサイバー戦略、先制攻撃を含むようなそういうものに組み込まれる懸念というのは拭えないということを申し上げなければなりません。

 もう一つ、NISCの構成についてお尋ねをいたします。

 NISCにおける実員数、常勤、非常勤の区分、それから、そのうちの民間出身者の数、常勤と非常勤を分けて、何人かお答えください。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども内閣サイバーセキュリティセンター、実員数、まず、全員で百九十一名でございます。公務員の出身者が、現役で公務員の者が九十三名、それから、民間企業からの出身の者が六十四名でございます。

塩川委員 ちょっとお答えになっていないんですが、実員数百九十一人で、内訳でいうと、常勤が百九人で、非常勤は八十二人です。非常勤の方も非常に多いということと、民間出身者の方の数、六十四人と言いました。この六十四人の内訳は、常勤、非常勤の区分でわかりますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました六十四人の中の内訳、常勤が十一名、非常勤が差し引きました五十三名でございます。

塩川委員 ですから、民間の方のほとんどが非常勤の方であります。

 それで、民間出身者の役職別の内訳と人数を、常勤、非常勤というのも加えて説明してもらえますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 六十四人のうちの五十三名の非常勤。政策調査員という方々がまず四十九名、それから、サイバーセキュリティ補佐官が一名、行政実務研修員が三名、これが五十三名の内訳になります。

 サイバーセキュリティ監査官六名、上席サイバーセキュリティ分析官三名、主査二名、計十一名が常勤の職員でございます。

塩川委員 非常勤の方が非常に多い。その中でも、政策調査員という方が四十九人を占める。ですから、NISC全体の四分の一以上の人が非常勤の民間の政策調査員という方であります。

 民間出身者の大半が非常勤職員の政策調査員ですが、この政策調査員の方の勤務条件というのはどうなっているんでしょうか。応募要領などがあるわけですけれども、勤務時間、任期、給与等について説明してもらえますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 政策調査員の方々でございますが、任期は先方との取り交わしでございますが、基本的に二年でございます。

 それから、勤務時間に関しましては、いわゆる非常勤の職員でいらっしゃいますので、一日五時間四十五分を超えないものという形でございます。

 給与に関しましては、非常勤の職員についての定めがございますので、この給与について、実際に時間当たりのお金を掛けてお払いをするという形でございます。

塩川委員 一日五時間四十五分、非常勤の方の線があるものですから、週五日、任期は二年間、給与は、一般職給与法に基づいて、常勤職員との権衡を考慮して支給するということになるわけですが、ちなみに、非常勤職員で主査クラスの人というのは幾らぐらいになるものなんですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 主査クラスの方の日額の単価が九千七百円でございます。

塩川委員 主査クラスは日額九千七百円。補佐級はどのぐらいですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 補佐級の職員に関しましては、日額一万一千百十円でございます。

塩川委員 ですから、非常勤職員、この政策調査員の方は、主査、係長クラス、課長補佐クラスとなると、日額、日当が九千七百円とか一万一千百十円なんですよ。それを、年間二百五十日ぐらいにしても、二百五十万ぐらいなんですよね。こういった、官製ワーキングプアと言われても仕方がないようなそういう水準なんですけれども、この政策調査員の募集要項を見ると、結構いろいろなことを書いているんですよね。

 応募資格がどういうものになるかというのは御存じですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 実際に、私どもにお越しいただいて働くときの業務によって若干変わります。例えば監査を行っていただく方の場合でございますと、その監査の経験をお持ちであるか、それから、例えばシステムにもしかかわるのであれば、システムの御経験があるのかといったことを加味いたします。

 あと、それ以外に関しましては、いわゆる政府の非常勤職員としての要求条件と同じということでございます。

塩川委員 例えば、政府機関総合対策グループの業務という政策調査員の方の募集要項にある応募資格を見ると、大学以上の学歴を有すること、サイバーセキュリティー及び情報システムに関する一定の知識、情報システムの開発、運用に関する実務経験を有すること、また、官民の多様な組織間の調整に必要な折衝能力、一定の事務処理能力及び説明能力を有すること。なお、情報処理安全確保支援士、情報セキュリティーに関連した資格を有している者が望ましいとあります。

 随分注文が多いわけですけれども、こんなにいろいろ応募資格で注文をつけているのに、年収二百五十万円じゃ、ちょっと安過ぎると思いませんか。

櫻田国務大臣 それぞれ仕事に応じたお金だと思っておりますので、私からは、それ以上のことは。

塩川委員 業務としてこれだけのことを求める、まさに、企画立案、総合調整という、NISCの中で、非常勤の方であれ、主査、係長や課長補佐クラスで働いているような方なんかもたくさんいらっしゃるわけですから、そういうときに、これは余りにも低過ぎるんじゃないかと率直に思いませんか。

櫻田国務大臣 ちょっと立場上、答弁は控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 いや、大臣のもとで働いている専門家の皆さんなんですから、その実情、実態に心を寄せるというのは当然のことではないかと思いますが。

 ちょっと事務方に聞きますけれども、この政策調査員、非常勤の方というのは、民間の籍を持って、出身元企業の身分を持ったまま勤務するということは可能ですか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の一種でいらっしゃいますが、この非常勤職員につきまして、職員の兼業の許可に関する政令がございますが、これによりまして兼業を行うことが可能ということでございます。したがいまして、もとの職をお持ちのままで私どものところに御出向していただくことが可能という形でございます。

塩川委員 これは、内閣人事局のホームページを見ると、民間出身者のリストがあります。ですから、出身企業のことが全部、NISCの場合でも出てくるわけですよね。それを見ると、名立たる大企業が出てくるわけです、システムベンダーのNECとか富士通とか日立とか。こういう企業を含めてたくさんの大企業等々があるわけで、そういった方々が実際には非常勤職員でNISCの中で働いているということになっているわけですよね。

 そうしますと、この政策調査員の人は、確かに二百五十万、非常勤で働いているかもしれないけれども、出身元企業、籍を置いている企業から給与の補填を受けているということは当然あるんじゃないですか。ないと言えますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 兼業が認められている範囲での二つのところからの給与というのはあり得るかと存じます。

塩川委員 ですから、そうなると、民間企業に籍を置きながら、こういうNISC、サイバーセキュリティーの企画立案を行うようなところで、そのまま社員の身分を持って働いている、二百五十万の給料じゃ当然足りないとなれば、民間企業から給与の補填をやって仕事をしているとなるんですよね。そうなると、これは、民間企業の利益をみずからの仕事として官の仕事をやるということになりはしないのかという問題なんです。

 これは、官民人事交流の制度を見たときにも、官民人事交流法というのがあります。そのもとでは、民間の身分を持ったまま官で働くような場合、これは今の制度上は雇用継続型という形で認められている、新しい枠もつくったわけであります。そのときに、それでも官民癒着の懸念がありますよ、公務の公正性が疑われないようにしなければなりませんねということで、この官民人事交流法の雇用継続型においては幾つか条件をつけているんですよ。それというのが、交流元企業の業務に従事することはできません、つまり出身企業で仕事はできませんということと、出身企業から給与の補填は禁止をする、こういう条件がついているんです。

 それは、やはり官民癒着の批判を免れないということになるわけじゃないですか。確かに、官民人事交流制度ではなく、非常勤職員だから兼職は可能だとなっているんだけれども、実態は抜け道じゃないですか。

 そういったときに、そもそもこんな二百五十万の給与でいいのかという問題と、そもそも民間の身分で民間企業から給与補填を受けて働いているということになれば、これはやはり官民癒着のそしりは免れないんじゃないかと思うんですが、こういった事態を放置していいのか。いかがですか。

櫻田国務大臣 それはいろいろ御意見があるかもしれませんが、制度として認められたものだというふうに認識しております。

塩川委員 いや、それは実質抜け穴なんですよ。だって、官民人事交流制度で官民交流を行う際に一定のやはり規制が必要だということになって、雇用継続型の場合であれば、もともとの出身企業では働かない、出身企業からの給与の補填を受けないと言っているわけですから。実際、でも、非常勤職員となれば、これの抜け穴でこの規制が取り払われるというのは、仕組み上おかしいんじゃないですか。

 だから、どんなにいい仕事をしていても、こういった実態ということになれば、これは官民癒着のそしりを免れない、公務の公正性が疑われる、こういう事態は無視できないと思うんですが、もう一回。

櫻田国務大臣 これは公務員制度全体の問題というふうに認識しております。

塩川委員 いや、足元のNISCについての話ですから、これについての見識というのは必要じゃないですか。

櫻田国務大臣 NISCだけの問題というふうには捉えておりませんので、あくまでも公務員制度の中で一般論としてやられているものだと思います。

塩川委員 この点で、公務の公正性が疑われる、官民癒着の疑念は払拭できないということを言わざるを得ません。

 私がこのことを強調するのも、やはり、大きなお金が動くようなこういった官の仕事で民間の人が働く際に、当然そういった点についてのさまざまな規制があってしかるべきだということがあるわけです。そういったときに、それを監督指揮する立場の大臣の姿勢も問われるわけです。

 ですから、最後に伺いますけれども、櫻田大臣が所管をする、関連する、そういう仕事において、関連する業界団体や企業から企業・団体献金やパーティー券の購入は行わない、オリパラもあるんですから、ゼネコンから金をもらうなんてとんでもない、こういうことというのははっきり約束してもらえますか。

櫻田国務大臣 国務大臣は、倫理の保持に万全を期するため、大臣規範において、「関係業者との接触等」について、「国民の疑惑を招くような行為をしてはならない。」とされていると承知をしております。

 大臣規範を踏まえ、今後とも適切に国務大臣としての業務を遂行してまいります。

塩川委員 きのうやりとりしましたように、大臣規範というのは実質もう機能していないような、そういう中身になっているという点も極めて重大であるわけで、国民からやはり後ろ指を指されないような、そういう姿勢こそ求められている。

 こういった企業・団体献金、パーティー券については、少なくとも関連する業界団体、企業からはもらわないということこそ大臣に求められていることを求めて、質問を終わります。

牧原委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 まず一問目ですけれども、協議会の事務局は誰が担当するのか、お聞かせいただきたいと思います。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバーセキュリティ協議会の事務局につきましては、私ども内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターが担うことを予定してございます。

 あわせまして、すぐれた技術的能力及び専門的知識を有する専門機関に委託を行う予定でございます。具体的には法案の成立後に正式に検討することになりますが、現時点では、例えば、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターという専門機関がございます。こちらに対して委託を行い、私どもNISCとともに協議会の事務局を担っていただく予定でございます。

浦野委員 今御答弁をいただいたJPCERTコーディネーションセンター、委託先になる予定になっているところ、これはどういった法人なのか、お聞かせいただけますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 一般社団JPCERTコーディネーションセンターは、サイバー攻撃といったインシデントの予防、インシデントが発生をした場合の対応、それから、ソフトウエア等に関する脆弱性、何かプログラム上の穴があった場合、これらの関連情報の公開に関しまして、関係者間の調整、情報の提供を行っている法人でございます。

 民間の非営利団体でございます。したがいまして、政府機関や企業から独立をして、中立的に活動してございます。

 職員数約八十名、その多くが技術者でございます。

 平成八年に前身として発足をいたしまして、民間事業者はもちろん、国内外の関係者等の間で信頼関係を構築しているというふうに聞いております。サイバーセキュリティーの確保のために精力的に活動している団体でございます。

浦野委員 ありがとうございます。質問がかぶっているところがありますので、淡々と今やりましたけれども。

 高度な専門的な業務を全部国の担当で行うことは正直無理だと思っていますので、この協議会の事務局は極めて重要な業務、この委託先も含めて、極めて重要な業務だと思うんですね。

 片や、とはいうものの、政府内でもサイバーセキュリティーを担える人材の育成というのは、これは今までも取り組まれていると思いますけれども、この人材育成の取組についても少しお聞かせをいただけますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 政府機関におきましても、サイバーセキュリティーを確保するための人材の育成は大変重要な課題というふうに思ってございます。

 このため、平成二十八年の三月に、サイバーセキュリティ人材育成総合強化方針というものをつくってございます。これに基づきまして、各府省でサイバーセキュリティー対策を担う専任の指揮官、サイバーセキュリティ・情報化審議官、これは審議官だけではございませんが、このような組織、ポストを設置してございます。

 各府省におきましては、当該審議官の主導のもとで、各府省ごとのセキュリティ・IT人材確保・育成計画なるものを策定してございます。毎年見直しを行いながら、体制の整備、関連するITそれからセキュリティーの研修の実施、それから適切な処遇の確保、処遇の改善といったものに取り組んでございます。

 このような取組の一環といたしまして、一部の省庁では、専門的な知識経験を有する者を任期つきの職員として積極的に採用するなどの取組も行ってございます。

 各府省との連携を図りまして、引き続き、政府一体となって、サイバーセキュリティーを確保するための人材の育成に取り組んでまいります。

浦野委員 政府内における人材育成も、そして民間でも、中間レビューとかには、十三万二千人不足するというふうなことも言われています。そのためのいろいろな議論が今法務委員会等でも行われていますけれども、IT人材はなかなか、やはり、大分以前から、このままでは不足するんじゃないかということは言われ続けてきたことですので、ぜひしっかりと育てていただきたいと思います。

 この協議会で、外部委託する部分もありますから、どういうふうにして会議を行うのか、どういう情報共有の方法をするのか。JPCERTコーディネーションセンターという専門集団ですから、それに委託して官民で事務局を担うというのであれば、効率的な運営を考えていただきたいんですけれども、それはどういった運営を考えておりますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 協議会の構成員が全員実際に集まる、そういう会合を開くというのは容易なことではないと私どもも思ってございます。

 協議会の目的は、サイバー攻撃に関する情報交換を迅速に行うことでございますので、例えば、情報システム等を用いまして、逐一構成員が集まらなくても、システムを用いて、そのシステムに加入をしている方々、これが構成員でございますが、迅速に情報交換ができるような形、こういうものを利用することによって効率的な運用を行いたいというふうに思ってございます。

浦野委員 要は、ネットで、ほかの場所にいてるみんなをつないでバーチャル会議みたいな形をとるということで、何となくITらしい形やなというふうに思いますね。ぜひ効率的な運営を考えていただけたらと思います。

 大臣にもお聞きしますけれども、この画期的なバーチャルの技術を活用する協議会でどのように我が国のサイバーセキュリティーを確保していくのか、一言よろしくお願いします。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 協議会を活用することで、サイバー攻撃の手口に関する情報、サイバー攻撃の被害状況等に関する情報、サイバー攻撃の対策情報等が迅速に共有されることとなり、同様の手口によるサイバー攻撃の被害拡大を防ぐことができます。

 協議会により、我が国のサイバーセキュリティーをしっかりと確保してまいります。

浦野委員 ありがとうございます。

 きょうも大臣に対するいろいろな批判がありましたけれども、答弁書をしっかり読んでいただいて十分で、それでいいと思いますので。

 かつて、違う政権だったときにも、答弁書をばりばり、一字一句がちがちになって読んでおられる方もいらっしゃいました、山井さんという方とかですけれども。本当に、そんなにがちがちになるかというぐらい、しっかり答弁書を読んではった画像が残っていますので、ぜひネットで捜していただけたらと思います。

 これまでのこの委員会の中で、大臣に対する、個人のITの知識について批判を繰り返す方がいらっしゃるのは、私は非常に残念だと思っています。私からすれば、そういうITの知識のない人に対する、まあ、言葉は丁寧ですよ、言葉は丁寧でしたけれども、言葉による暴力にしか見えませんから。日本はそういう多様性を認めた社会ですから、それは、ITに詳しくないと大臣にふさわしくないなんという、いや、この大臣やったら、今の日本、セキュリティー甘々やからハッキングしかけたろうというハッカーなんか、世界じゅうにどんだけいてんのかと思いますね。それとこれとは別の話ですから。ハッカーはみんな頭いいですから、そんなことはわかっていると思いますけれども。

 日本のサイバーセキュリティーにとって、担当大臣が常時例えばパソコンの前に座らなあかんとか、そういった、パソコンの前で世界じゅうのハッカーの動きを監視せなあかんという事態はありますか。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 サイバーセキュリティーの担当大臣は、閣議決定により、サイバーセキュリティ戦略本部に関する事務を担当する国務大臣とされております。

 その上で、私の大臣としての職務については、サイバーセキュリティーに関する施策を総合的かつ効果的に推進するため、大所高所から状況を判断し適切に指示を与えることが重要であると考えております。

浦野委員 ある程度の知識がないとだめだとおっしゃるんですが、ある程度の知識とはどれぐらいの知識なのかという話なんですね。私と大臣のITに対する知識も恐らく大分違うと思います。私はどちらかというと、一般的に言えば、まだ詳しい方だと思っています。それでも、サイバーセキュリティーに関する知識なんてほとんど持ち合わせていません。自分のパソコンもセキュリティーソフトに任せています。大抵の人間はそうだと思うんですね。

 どれぐらいのITの知識が必要なのか。例えば、DDoS攻撃って何ですかとか、ウィニーというのはどういった技術を使った共有ソフトのものだったんですかとか、IPアドレスって何ですか、ダークウエブって何ですか、こんなことを知っている人もおれば知らない人もいてるんですよ。でも、そんなことに左右されない日本のセキュリティーを支えているのが、この国のサイバーセキュリティーの対策なわけですよね。本当にこれはただの言いがかりなんですよ。

 国民は、個人攻撃を延々と続ける国会審議なんか誰も求めていないんですね。国民のためになる国会の審議を求めているわけであって、本当にこの委員会でも残念な質問ばかりする方がいらっしゃるので、そこは本当、しっかりと国民は見ていると思いますので、私は真面目に仕事をしていこうと思っております。

 大臣が、きょうは、PCはあるけれども、パソコンはあるけれども、仕事でそれを使うことはしていない、ちゃんとわかっている人間に任せているということなんですけれども、大臣がパソコンを使わないことによって、サイバーセキュリティーに対するリスクはどれぐらい上がるのか、それとも下がるのかというのを答弁いただけますか。

櫻田国務大臣 私自身、これまで申し上げてきたとおり、サイバーセキュリティーの担当大臣として、大所高所から状況を判断し適切に指示を与えていれば、サイバーセキュリティーに対するリスクが上がるものではないと考えております。

浦野委員 そのとおりだと思いますね。大臣のそういうパソコンに対する知識、使う使わない関係なしにサイバーセキュリティーのレベルは維持されるわけですから、関係ないんですね。延々とそれを指摘する質問が続いていましたけれども。

 それと、やはり、そういう知識がない人でもいろいろなことを享受できる世界を目指してきたのが、AIであり、ITであり、IoTの世界なんですね。だから、そこは、何か知っていないとだめだみたいなことじゃなくて、そういうことを知らない人でもそういうことが享受できる世界を目指しているのがこの世界ですから、本当に、私は、何を勘違いして質問してんのかなとずっと思って、きょうも聞いていました。

 もちろん私の母親もスマホを使うようになりましたけれども、私、きょう大臣がガラ携じゃなかったのはちょっとびっくりして、スマホだったのでちょっとびっくりしたんですけれども、それは別にばかにしているわけちゃいますよ。僕はガラ携やと思っていたので、櫻田大臣が。

 本当、スマートフォンとかああいうのは、やはり、よくパソコンとかそういう技術がわからない人にでも使いやすくつくってきたのがスマホとかああいうものなんですよね。だから、そんな人たち、どんな人たちでもそういうIT技術を享受できる、そういう世界を目指しているのがITの世界ですので、大臣は自信を持ってこれからも続けていただけたらと思います。

 これからオリンピックが近づく。そして、あす二十三日には、大阪の我々、きょうも内閣委員会に大阪の議員がたくさんいますけれども、万博がもし二十三日に決まれば、それも恐らくオリンピックと同じぐらいそういうサイバー攻撃を受ける対象になるかもしれない、そういった大きな国際的なイベントですから。

 私は、IT技術は日進月歩で、イタチごっこで技術の革新が行われますけれども、そういったことも、これから担当大臣がしっかりと、何かあったときはちゃんと責任をとっていただく、それ以外は高度な専門技術を持った職員にちゃんと任せるんだということで、よろしくお願いをしたいと思います。

 今の部分、何か御答弁はありますか。

櫻田国務大臣 国民目線に立ったサイバーセキュリティー対策をしっかりと実施することが私の大きな役割の一つと認識しております。

 また、私の担当である東京オリンピック・パラリンピック大会に万全を期すためにも、サイバーセキュリティー対策は極めて重要だと考えております。

 国民の期待に応えられるよう、しっかりと対応してまいります。よろしくお願いします。

浦野委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 実は、この一連の質疑の中で、櫻田大臣が好きになったという人が結構私の周りにはいるんですよ。笑ってはいますけれどもね、みんな。画面を見ながらはははと笑っていますけれども、でも、大臣のことが好きになったという人がたくさん私の周りにもいますので、ぜひ、しっかりとこれからも頑張っていただきたいと思います。

 ちょっと時間がありますけれども、これで質問を終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 自由党の日吉雄太でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 時間も余りありませんので、早速質問に入らせていただきます。

 既に議題になっておりますが、サイバーセキュリティ協議会の事務局といたしまして、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターが主体となって、事務局として入っておりますが、このJPCERTが中心となって準備に取りかかるということでございます。

 念のための確認ではございますが、このJPCERTのメンバーに安倍総理の御友人とかそういう関係者はいらっしゃらない、こういうことでよろしいでしょうか。

櫻田国務大臣 ございません。

日吉委員 ありがとうございます。

 次に、このJPCERTに係る予算といいますか、これが大体四千万円ぐらいというふうにお聞きしておりますけれども、このぐらいの水準ということでよろしいでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 協議会の中では、既存の枠組み、先ほどちょっと情報システムのことを御説明いたしましたが、このようなものを活用することで効率的、効果的な情報共有を進めたいと思ってございます。この四千百万の中には、このシステムの運用に対する経費の一部というものも含まれてございます。

 今後とも、必要な予算の確保に努めてまいります。

日吉委員 今のお話ですと、四千万円の中でというお話だったと思うんですけれども、こういったサイバーセキュリティーに関する、これを取り巻く環境が劇的に変化、目まぐるしく変化する中において、この予算額が今後激増するような、こういった可能性というのはあるのでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 この協議会の、それに係る情報共有の中で、今の予算のことを申し上げました。

 私ども、先ほど申し上げましたが、既存の枠組みの中では、こういうものの支援についても予算がございます。当然、こういうものを総合的に勘案をしてということでございますので、激増するかどうかということはわかりませんが、必要な予算額というものを毎年確保していきたいというふうに思っているところでございます。

日吉委員 そうしますと、状況の変化に応じて予算は変わっていくというふうに理解をさせていただきました。

 次に、このサイバーセキュリティ協議会、こちらの構成員について少しお伺いいたします。

 重要社会基盤事業者やサイバー関連企業といった方々が構成員として入ってくることになりますけれども、このサイバーセキュリティ協議会に入りますと、守秘義務があるとか情報提供義務が発生する、こういった義務が生じるんですけれども、一方で、ここに入ることによって、こういった構成員の方々にはどういったメリットが生じるのでしょうか。お願いいたします。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、構成員の方々に先ほどおっしゃった守秘義務それから情報提供義務がかかっているのは、そのとおりでございます。

 ただし、どちらかというと、協議会の中では、こういう構成員の方々に対して、サイバー攻撃に対して役に立つ情報、例えば、このように対策をすればよいといったものを提供する、逆に言うと、構成員の方々には、こういう情報を得られるというメリットがあるというものでございます。

 ですので、このメリットを感じる方々にお入りいただき、それで、構成員として私どもが情報共有をするという形でございます。

日吉委員 そうしますと、いろいろな情報が手に入るというメリットがあるといった中で、例えば、競合他社がいる中で、幾ら守秘義務がかかっているとはいえ、他社の営業上の情報、重要な情報が他社にわかるというようなことがあった場合に、そういった同業の会社が二社以上入ってくるということはないように感じられますけれども、そのあたりはどのようになっているんでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 この対策の情報という形で、確かに情報の提供義務というのはございますが、当然のことながら、それでも、先ほど申し上げました、何らかの差しさわりがあって出せない情報というのは当然あろうかと思います。

 今の、競合するそれぞれの社において我々のところに提供していただく情報というのは、それぞれ恐らく異なってくる部分もあろうかと思います。逆に、答え合わせという形で、私が持っている情報が正しいのかどうかということもチェックをしていただくということがあろうかと思いますので、必ずしも競合する方々が入れないということではないというふうに私どもは認識してございます。

 いずれにせよ、共有できる情報をできるだけふやして、協議会の構成員の方々に役に立つ情報の提供に努めたいと思ってございます。

日吉委員 そうしますと、競合他社であったとしても、一社に限ることなく、複数の会社が入ってくるということができる、そういう前提であると思うんですけれども、そうはいっても、一社に限らなければいけないとか、そういったことにもならないとも限らないと思いますけれども、そういった、現実問題としてどちらかの会社を選ばなければいけないというようなことがあった場合には、どのような基準でこの構成員を選ぶようなことになるんでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 協議会の中の実際の規定の中で、恐らく、もしそういう実際に衝突、それから調整が必要な場合にはどなたにするのかということを決めることになろうかと存じますが、実際に情報の提供にどのように寄与されるのかといったことが、ある程度選定の基準ということになろうかと思います。

 ただ、いずれにしろ、先ほども申し上げましたとおり、まずは競合する方々もできるだけ入っていただけるという構造を目指したいというふうに思ってございます。

日吉委員 先ほどの事務局のJPCERTも、まだ法案が成立していない段階で、委託先の候補として挙がっておりますと。また、この構成員も場合によっては絞っていかなければならないというような状況におきまして、どこかの会議体でこういった委託先ないし構成員を決めることになると思うんですけれども、その際に、構成員の中で利害関係者、こういった方々は意思決定に入らないような形で決議をしていただく、決定していただく必要があろうかと思いますけれども、そのあたりの規定なり基準というのはできているのでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、実際には、協議会の規約をつくりまして、そこの中で定めるという形であろうかと思います。

 ただ、おっしゃるとおり、利害関係者が、お互いの利害が相反をするということで、逆に情報が出せなくなったり、もしくは私どもが旨とする情報の提供をしていただけないということが起こらないように、そういう規約をつくってまいりたいというふうに思っております。

日吉委員 大臣にお伺いいたしますけれども、今、このように、利害関係者が入らないようにというような形で規約をつくっていくというふうに考えておりますけれども、大臣が考える利害関係者、どういった方は意思決定に入ってはいけないというふうにお考えになられますでしょうか。

櫻田国務大臣 今後、しっかりと考えておきます。

日吉委員 ぜひ、御検討いただきたいと思います。

 もう一つ、このサイバーセキュリティ協議会に参加する構成員に対しては、何らかの報酬等、こういったものは発生しないということでよろしいでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 協議会の構成員に対する報酬というものは、現在のところ考えてございません。

日吉委員 報酬という形ではなくても、ほかに何らかの事業費、事業を任せるとか、そういったことが行われるという可能性はありますでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 構成員の方々に対して直接的に委託をする、構成員であるから委託をするということは当然ないというふうに考えてございます。

 他方、ある資格なり、ある能力をお持ちの方に委託というのは、協議会における構成員とは全く別に、先生先ほど御指摘の利害関係には十分に配慮しつつ、そこは決めさせていただきたいというふうに思ってございます。

日吉委員 時間が来ましたので終わりますが、いろいろな利害関係者が関与しないように、適正に運営していただきたいと思います。

 ありがとうございました。

牧原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 まず、与野党の合意なく、予備日に閣法の質疑を行い、採決まで行うような与党の運営に強く抗議をするものであります。

 我が党は、サイバーセキュリティ基本法について、日本と米国との軍事一体化が進むもとで、サイバーセキュリティーを安全保障の一環として位置づけている、サイバーセキュリティー分野が日米軍事強化の一翼を担うことになるとして反対してきました。

 本案は、内閣官房のもとに民間などが参加する協議会を設置し、その構成員に情報提供義務と守秘義務を課すことで、内閣サイバーセキュリティセンターが民間などが保有するサイバーセキュリティーに関する情報を広く素早く収集する仕組みづくりを行うものです。

 政府は、協議会は官民で情報を共有する仕組みだと説明していますが、提供された情報をどの構成員に提供するか決めるのはNISCであり、提供義務がかかる情報の定義も協議会の規則で定めるもので不確定です。協議会は、NISCによる情報収集管理システムという側面が強いと言わざるを得ません。

 NISCのトップであるセンター長には、国家安全保障局次長である内閣官房副長官補、事態対処・危機管理担当がつき、NISCが国家安全保障会議のもとで情報収集を行うことになります。協議会を通じてNISCによって収集される情報は安全保障政策のために活用され、加えて、収集された情報がサイバー攻撃や軍事に転用されるおそれも否定できません。

 また、二〇一八年七月に閣議決定された新サイバーセキュリティ戦略では、我が国の安全保障を脅かすようなサイバー空間における脅威について、同盟国、有志国とも連携し、とり得る全ての有効な手段と能力を活用し、断固たる対応をとると、より一層サイバー空間における米国との軍事一体化の姿勢を明確にしています。

 米国は、サイバー事案に対して武力行使をすること、場合によってはサイバー攻撃を先制的に行うことを表明しており、その米国と一体となった安全保障体制のもとで、官民一体の協議会を設置することは、米国のサイバー戦略に民間分野まで含めて協力する道を開くものであり、容認できません。

 以上、反対討論を終わります。

牧原委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 これより採決に入ります。

 第百九十六回国会、内閣提出、サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧原委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

牧原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.