第7号 平成30年11月28日(水曜日)
平成三十年十一月二十八日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 牧原 秀樹君
理事 平 将明君 理事 谷川 弥一君
理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君
理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君
理事 大島 敦君 理事 佐藤 茂樹君
安藤 高夫君 安藤 裕君
池田 佳隆君 泉田 裕彦君
大西 宏幸君 岡下 昌平君
加藤 鮎子君 金子 俊平君
神谷 昇君 小寺 裕雄君
杉田 水脈君 田畑 裕明君
高木 啓君 中山 展宏君
長尾 敬君 西田 昭二君
百武 公親君 松野 博一君
松本 洋平君 三谷 英弘君
今井 雅人君 大河原雅子君
岡本あき子君 近藤 昭一君
篠原 豪君 山本和嘉子君
早稲田夕季君 森田 俊和君
山岡 達丸君 太田 昌孝君
高木美智代君 塩川 鉄也君
浦野 靖人君 日吉 雄太君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
国務大臣
(少子化対策担当) 宮腰 光寛君
国務大臣
(男女共同参画担当)
(女性活躍担当) 片山さつき君
国務大臣 櫻田 義孝君
厚生労働副大臣 大口 善徳君
内閣府大臣政務官 長尾 敬君
内閣府大臣政務官 安藤 裕君
政府参考人
(内閣官房アイヌ総合政策室長) 橋本 元秀君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 諸戸 修二君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 米澤 健君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 池永 肇恵君
政府参考人
(内閣府子ども・子育て本部統括官) 小野田 壮君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 吉開正治郎君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 吉川 浩民君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 大泉 淳一君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 桑原 進君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 高橋 克彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 下間 康行君
政府参考人
(厚生労働省職業安定局雇用開発部長) 北條 憲一君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 江口 秀二君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局次長) 林 俊行君
政府参考人
(気象庁予報部長) 関田 康雄君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
―――――――――――――
委員の異動
十一月二十八日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 田畑 裕明君
杉田 水脈君 安藤 高夫君
岡本あき子君 山本和嘉子君
山尾志桜里君 早稲田夕季君
同日
辞任 補欠選任
安藤 高夫君 百武 公親君
田畑 裕明君 池田 佳隆君
山本和嘉子君 岡本あき子君
早稲田夕季君 山尾志桜里君
同日
辞任 補欠選任
百武 公親君 杉田 水脈君
―――――――――――――
十一月二十八日
天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案(内閣提出第一三号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案(内閣提出第一三号)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○牧原委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房アイヌ総合政策室長橋本元秀君、内閣官房内閣審議官諸戸修二君、内閣府大臣官房審議官米澤健君、内閣府男女共同参画局長池永肇恵君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、総務省大臣官房審議官吉開正治郎君、総務省大臣官房審議官吉川浩民君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、外務省大臣官房審議官桑原進君、外務省大臣官房審議官高橋克彦君、文部科学省大臣官房審議官下間康行君、厚生労働省職業安定局雇用開発部長北條憲一君、国土交通省大臣官房技術審議官江口秀二君、国土交通省水管理・国土保全局次長林俊行君、気象庁予報部長関田康雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木美智代君。
○高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、関係者の方々に心から御礼を申し上げます。
私、二〇〇九年から二〇一六年までこの内閣委員会にずっと所属をしておりまして、理事を務めておりました。きょうは、久々にふるさとに帰ったようなつもりで質問をさせていただきたいと思います。
まず初めに、障害者雇用数の不適切計上問題について伺いたいと思います。
この問題にどのように対応するか、考えているかということにつきましては、私も厚労委員会等で何度も申し上げてきたことでございますので、繰り返し申し上げるつもりはありませんが、あってはならないことがあったということに対して、やはりこれは国も、そしてまた政治も、力を合わせてその解決に向けて取り組むべき課題であろうかと認識をしております。
既にこの件につきましては、各省におきまして今後の取組について採用計画等を発表されまして、人事院におきましても採用試験の要項等をホームページに発表されているところでございます。
今、もう一つ次の段階のテーマといたしましては、果たしてこの採用計画が実現可能なのか、このことを懸念する声を多くいただいております。
例えば不足数、法務五百七十四、国税庁千六十八、国交省七百十三、こうしたことも含めて、府省庁全体の合計としては三千八百七十五、こういう数字でありまして、これを、障害者雇用促進法の計画、一年、ここにのっとって、ことし、そしてまた来年度、ここで何とかまず採用をしていこうということでございます。
ただ、こうした大量採用は、そのまま、よほど就労環境が整備されませんと、当然大量離職につながっていくという懸念の声も関係各所から聞こえてきているところでございまして、そのところをどのようにしていくのか。大量離職というこうした悲劇は絶対に生んではならないと思っておりますので、今、厚労省を中心に、人事院、内閣人事局、また各省、力を合わせて全力で取り組んでいると承知をしております。おりますが、やはりそこに入らないさまざまな制度、そしてまた、さまざまな対応というものも必要だと思っております。
先日、厚生労働委員会の参考人質疑を行いました。そこで、二人の、現実に雇用のために努力をしておられる方にお越しいただきました。一人の方は、トヨタのグループの中の特例子会社であるトヨタループス有村取締役社長、そしてもう一方は、全国重度障害者雇用事業所協会の栗原会長、このお二方にお越しいただきまして、そして、終わった後、少し懇談をさせていただきましたところ、このお二人から口をそろえるようにおっしゃっていたことは、やはり今、地方自治体でも特例子会社ということをやっているところもあるのだから、企業の例に倣って、霞が関の各省庁においても特例子会社の方式を採用していくべきではないかという提案がありました。
現実、このときの参考人質疑の中におきましても、もう既に、例えば身体障害者の方、この方たちは、ある程度ハード面の環境等々を整えていけば、一般の公務員と肩を並べて仕事をすることができる。ただ一方で、知的、精神の方たちにとっては、同じ処遇で同じ時間帯で、しかも夜何時に帰れるかわからない、まさにそうした不規則な仕事ぶりのときもあります、そうしたことに対応できるかと考えると、かえって心理的にプレッシャーを受ける、こういうお声もあるようでございました。
したがいまして、この方たちがおっしゃっていたのは、例えば、身体障害者の方たちにおいても、もう既に、これは平成二十八年の統計ですけれども、四百三十六万人のうち、六十五歳未満は二六%しかいないんです。あとの方は六十五歳以上。したがって、高齢化に伴う退職が始まっていて、企業の採用においても知的障害者と精神障害者にシフトせざるを得ない。ただ、特に精神の方たちの雇用については、個別の細やかな対応が必要なので、まだ確立されたエビデンスといいますか対応策というのはなかなか難しいというお話もあったわけです。
知的障害者と精神障害者にシフトをしていく、こうしたことを考えますと、やはり国においても、重度の知的、精神の方も含めて就労できるように、民間企業や一部の地方自治体が実施している特例子会社の方式を政府において導入すべきではないかと考えます。このお二人は、各省庁全部横串に刺して、印刷とか名刺作成とかそうした業務を全部切り出していけば十分成り立ちます、幾らでもありますよというふうに激励を受けました。
この特例子会社、これをやっていくには、当然、法律をつくるとか、さまざまな法的措置も必要かと思います。この特例子会社の創設に向けまして、法的措置も含めて検討すべきと考えております。厚生労働省の大口副大臣の答弁を求めます。
○大口副大臣 高木委員の御質問にお答えします。
障害者雇用の促進に当たっては、障害者の方々がそれぞれ意欲と能力を発揮し活躍できるよう、障害特性に応じて働きがいのある職場環境づくりに取り組むことが重要である、こう考えております。
地方自治体においては、例えば大阪府のハートフルオフィスの例もありますように、障害特性に応じた職場づくりの観点から、その省庁内に障害者雇用に特化した部署を設け、郵便物の発送やデータ入力等の業務が行われていることは承知をしております。国においても同様に、各府省において障害特性に応じた業務を選定し、作業室等で当該業務を集中的に行うことは可能であると考えます。
民間におけるこういう特例子会社を活用した取組により知的障害者や精神障害者の雇用が進んでいることを踏まえますと、国においても、こうした自治体の事例はさまざまな障害をお持ちの方の雇用を拡大するに当たっての一つの有力な手段と考えることから、各府省に対しましても、こうした取組について積極的に情報を提供してまいりたいというふうに考えております。
○高木(美)委員 副大臣、私が申し上げておりますのは、各省庁を横串にして特例子会社という形でやってはどうか。これを各省それぞれですと、多分ノウハウが足りなくなると思うんですね。ノウハウが足りない。したがいまして、こうした各省庁を横断する形で、印刷、名刺作成、今ありましたデータ入力とか、さまざまなものを進めていく必要があるのではないか。
問題は、そのときの処遇をどうするのか、また就労のための要件をどのように考えていくのか、さまざまな課題もあろうかと思いますので、いずれにしても、法律が必要であれば、閣法なり、また、もし閣法で難しいというのであれば議員立法も用意する決意もありますし、こうした検討をまずしっかりと開始していただきたいというのが私からの要望でございます。いかがでしょうか。
○大口副大臣 御指摘のような取組を各省横断的に進めることにつきましては、例えば、各府省における障害者雇用率の算定方法をどうするか、あるいは取組を進めるに当たって各府省の費用負担をどうするかといった課題がありますが、高木委員の御指摘は受けとめさせていただきます。
○高木(美)委員 速やかに検討を開始していただくことを重ねて要請いたします。
副大臣、どうぞ御退席くださって構いませんので。ありがとうございました。
○牧原委員長 大口副大臣、御退室をお願いします。
○高木(美)委員 続きまして、宮腰大臣と厚労省に伺いたいと思います。
国連障害者権利条約の精神には、私たちのことを抜きに私たちのことを決めないでとあります。私も、この精神にのっとって、これまでも障害者政策に十数年取り組ませていただきまして、一つ一つ改正を各党のお力をいただきながら進めてまいりました。
この公務部門における障害者雇用につきましても、当事者本位が基本ということから、やはり当事者の意見を組み込むことを進めていかなければいけないのではないかと思います。もう既にそういうときが来ているのではないかと思います。
例えば、これは厚労省の例ですが、就労環境整備などについて実行チームをつくって、各府省で障害者に対する的確なサポートが行える体制が整っているかどうか、実際に働いている職場で確認を行うなどによって把握したいという方向性は、先日、我が党の山本香苗参議院議員が参議院の厚生労働委員会で確認をさせていただいたところでございます。その実行チームに当事者を組み込んではどうかということを厚労省に提案申し上げます。
また、重ねて、宮腰大臣には、内閣府に置かれている障害者政策委員会、ここには識者の方も当事者の方もさまざまな方たちが入られておりますけれども、いずれにしても、障害者の声を代表する政府における重要な委員会と認識しております。この委員会に対して、各府省の採用計画であるとかその実施状況などについて意見を求めるなど、お考えになってはどうかということを提案申し上げます。
それでは、順次、宮腰大臣と厚労省から答弁を求めます。先に厚労省から。
○北條政府参考人 御指摘のとおり、障害者の雇用の促進に当たりましては、当事者の方の意見を踏まえながら進めるということが何よりも重要であるというふうに考えております。
厚生労働省といたしましては、障害者雇用に精通した九名の専門家を専門アドバイザーとして選任しておりまして、各府省に対して、障害者の働く環境の整備などに関する専門的な助言を行っているところであります。
今後、この専門アドバイザーですとか障害者の当事者の方に御参画をいただくような会議を開催いたしまして、その中で、厚生労働省における各府省に対する支援ですとか各府省の取組に対する御意見を、いわゆるスーパーバイズでございますけれども、いただくということを考えてまいりたいというふうに考えております。
さらに、厚生労働省におきましては、今後、各府省の障害者に対するサポートなどの受入れ体制を実地で確認いたしまして、採用計画の実施状況をフォローするということを考えております。その状況につきましては、障害者団体も参画する労働政策審議会障害者雇用分科会に報告をして、意見をいただくということとしておりまして、これらを通じて、障害者の働きやすい職場環境づくりに向けた取組を積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
○宮腰国務大臣 高木委員御指摘の障害者権利条約の考え方にもありますとおり、障害者施策の検討や評価に当たりましては、障害者が意思決定過程に参画をし、障害者の視点を施策に反映させることが重要であると考えております。このことは、ことし三月に策定をされました第四次障害者基本計画にも明記されているところであります。
障害者政策委員会は、障害当事者やその家族が委員として参画をいたしておりまして、今後、障害者基本計画の実施状況の監視を行うことにしております。その中で、公務部門における障害者雇用も含め、御議論をいただきまして、障害のある方の視点を施策にしっかりと反映させてまいりたいというふうに考えております。
○高木(美)委員 大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。
速やかにこの障害者政策委員会を開催していただきまして、必要な説明はしていただいた上で、また意見を求めていただければと思っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
続きまして、企業主導型保育につきまして、同じく宮腰大臣に伺ってまいりたいと思います。
この企業主導型保育、私も、子ども・子育て新制度をつくるときに、公明党の担当として、自民党の田村議員と御一緒につくらせていただいた経緯がございます。そのときに、企業主導型保育、今までの事業所内保育とまた一つ枠組みは変わりますけれども、非常に重要だということで、提案もさせていただきました。
ただ、近年、さまざまな状況が伝えられております。この企業主導型保育につきましては、従業員の多様な働き方に応じた保育の提供、また、待機児童対策に貢献するということを目的といたしまして、平成二十八年度に企業主導型保育が創設されまして、保育の受皿確保に貢献してまいりました。
しかしながら、指導監査の結果、約七割の施設で保育内容等に関する指摘を受けているとか、また、運営費助成金の支払いのおくれ、ひどいところは一年とか一年半おくれとか、こうしたことも指摘をされたりするなど、さまざまな課題も浮き彫りとなっているというのが今の状況でございます。
制度創設から三年目を迎えまして、制度の全般的な検証が必要ではないかと考えておりますが、大臣の御認識を伺いたいと思います。
○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業は、平成二十九年度末時点で、二千五百九十七施設、五万九千七百三人の受皿を確保し、多様な働き方に応じた保育の提供や待機児童対策に貢献をしているということだと思っております。
しかしながら、委員御指摘のとおり、さまざまな課題が生じてきておりまして、しっかりと検証を行った上で、事業の実施体制を強化することが急務となっていると考えております。
そのため、質の確保、事業の継続性、自治体との連携、指導監査のあり方などについて検証いたしまして、改善方策を検討するための有識者から成る検討委員会を設置いたしまして、年内に第一回検討委員会を開催することを公表いたしました。
この検討委員会での検討結果を踏まえまして、改善方策につきまして、内閣府としてしっかりと検討を行って進めてまいりたいというふうに考えております。
○高木(美)委員 重ねて、世田谷区で企業主導型保育施設の突然の閉園がありました。また、そうした施設のトラブルが報道されたところです。
企業主導型保育事業は自治体の関与が弱い、今大臣の御指摘のとおりでございまして、情報共有も十分ではないという指摘もあります。この事業におきまして、自治体との連携強化が必要ではないかと考えます。ただ、自治体に指導監督をと依頼をしたとしても、当然、予算であるとか人員の確保であるとか、そしてやはり手当てというものもあわせてなければ、自治体としては手いっぱいで、そこまでは手が伸ばせないということになろうかと思います。
大臣のお考えを伺いたいと思います。
○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業は、従業員の仕事と子育ての両立支援の推進を図る観点から、企業が主体となって実施しているものです。一方で、事業の円滑な実施のためには、自治体とも連携しつつ取り組むことが必要であるというふうに考えております。
このため、企業主導型保育施設の設置状況を地元自治体と共有するとともに、今年度からは、事業者が地域枠を設定する場合には、自治体への相談を申請の前提といたしました。また、指導監査に関しましても、認可外保育施設を所管する都道府県と児童育成協会が、それぞれの立入調査の結果の共有などの連携を行っております。
その上で、事業の実施体制の強化のための検討委員会におきましては、自治体との連携のあり方についてもしっかりと検討することといたしておりまして、検討結果を踏まえ、実施体制の強化に向けた改善方策につきまして、内閣府としてしっかりと検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
○高木(美)委員 やはり、質、量ともの確保が非常に重要と思っております。子供たちの未来を決める幼児教育期、この企業主導型保育につきましても、その質がしっかりと確保されますように、また大臣のお取組をお願い申し上げる次第でございます。
次に、きょうは、お手元に資料を一つ用意をさせていただきました。
これは、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律、この法律は平成三十年五月に公布、施行されました。超党派の議員連盟をつくり、そしてまた、さまざまな、Qの会を始めとする、赤松良子先生を始め多くの識者の方たちが、毎回毎回、院内集会を開催してくれまして、そのたびに後押しをしていただきながら、超党派で、全会一致で成立をした法律でございます。
ただ、この法律ができたからといって前に進むわけではありませんで、きょうは具体的に、議員立法でございますので、この法律に基づいてどのように取り組んでいくのか、政府の取組について伺ってまいりたいと思っております。
まず、この法律の目的、また基本原則、責務等、ここに書かせていただいたとおりでございます。なぜこのような法律が必要なのかというところで、「民主主義の確立のためには、男女がその違いから生まれる互いの長所をいかし、平等に、かつ補い合いながら機能する、社会の営みにおける男女の真のパートナーシップが前提となる」ということから、やはり議会に女性が参画することで、より暮らしやすい社会、特に、これから少子高齢化におきましては、きめ細やかな対応策、また政策が必要かと思います。政治分野における男女共同参画の推進が重要であるということで、この意識を一つにいたしまして成立を見たわけでございます。
そこで、まず、このベースになります実態の調査、また国内外にわたる情報の収集などを行うことが附帯決議におきましても求められたわけでございまして、内閣府及び総務省に対して、この点について伺っておきたいと思います。
○池永政府参考人 お答え申し上げます。
内閣府では、これまで、国内の政治分野における女性の参画状況の実態を把握するとともに、マップ形式でわかりやすく政治への女性の参画状況をまとめた女性の政治参画マップを作成したり、各国の議会が加盟している列国議会同盟というものがございますが、そこで毎年、諸外国の議会における女性の参画状況や取組に関してウイメン・イン・パーラメントという報告書を出している、それの和訳をしたり、そうしたことについて、内閣府のウエブサイトに掲載して広く周知するとともに、政党や地方公共団体に対して配付するなど、国内外における政治分野の男女共同参画の推進に関する情報を収集したり、提供を行ってまいりました。
平成二十九年度には、全国の女性地方議員を対象にアンケートを実施して、女性議員が少ない原因について調査を行い、ウエブサイトに掲載しました。
本年五月に法律が成立したことを受け、内閣府ウエブサイト上に、女性議員の国際比較や地方議員の女性議員比率など、政治分野における男女共同参画に関する情報を集約したページを設けております。
このように、我が国の現状や各国の取組などの情報をわかりやすく提供し、広く議論が喚起されるよう、引き続き、情報の収集、提供に取り組んでまいります。
以上でございます。
○大泉政府参考人 総務省でございます。
総務省では、国政選挙のときに、男女別の立候補者及び当選人の数などをまとめた選挙の結果を公表しております。また、地方公共団体の議員及び長につきましても、毎年十二月三十一日現在で、男女別の人員数、あるいはその構成比、立候補届出時における所属党派等について調査し、その結果を取りまとめまして報道発表しております。
これらは、内閣府の資料のもととなっているというふうに承知しております。
総務省といたしましては、今後ともこれらの調査をして、実施してまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 済みません、ちょっと時間が押してきましたので、一問飛ばさせていただきたいと思います。
質問する予定の啓発活動、また環境の整備、人材育成、ここをしっかりとまた男女共同参画局で進めていただきたいと思います。裾野が広くなければ、議員になろうという人、またそうした意思決定機関に関与していこうという人材は生まれてこないというふうに思っておりまして、富士山のように裾野広くという観点から、積極的な取組を求めたいと思います。
そこで、この法律の中では、国及び地方公共団体は、政治分野における男女共同参画が推進されるように、人材の育成及び活動に資する施策を講ずるよう努めるものとされております。
この男女共同参画の問題は、ジェンダーメーンストリーミングという観点から、これを全ての真ん中に置くという観点から、男女共同参画局だけが取り組むのではなくて、選挙権の年齢が満十八歳以上に引き下げられた中で、総務省や文部科学省が行う主権者教育においても取組を進めることが重要と考えております。
それぞれの具体的な取組を簡潔に伺いたいと思います。
○大泉政府参考人 お答え申し上げます。
総務省としては、法律の施行を受けまして、選挙管理委員会宛てに法律の概要等について周知を図ったほか、選挙管理委員会の主権者教育担当者宛てに送付しておりますメルマガにおきまして、女性の政治参画マップなど内閣府の取組を紹介し、各選挙管理委員会が高校等で実施している出前授業の参考としていただくよう働きかけております。
また、本年十月には、大学生向けの新聞、キャンパス・スコープというものでございますが、これに政治分野における男女共同参画や若者の政治参加をテーマといたしました大学生と有識者の対談を掲載しまして、若者の政治参加意識の向上に努めております。
今後とも、内閣府、文科省とも連携しまして、また選挙管理委員会の協力も得ながら、主権者教育の推進に努めてまいりたいと考えております。
○下間政府参考人 お答え申し上げます。
男女共同参画を推進するためには、個人の尊厳と男女平等の理念などに関する教育が重要でありまして、学校教育におきましては、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達の段階に応じて指導しているところでございます。
具体的には、例えば、小中学校の社会科におきまして、日本国憲法で定める男女の平等、中学校の特別活動におきまして、男女相互について理解するとともに、ともに協力し尊重し合い、充実した生活づくりに参画すること、高等学校の公民科におきまして、男女が社会の対等な構成員として、みずからの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画できる機会が確保されていることなど、御指摘の主権者教育に関する観点も含め、男女共同参画の推進のための学習が行われております。
また、多様な進路選択を可能にする教育を推進する観点から、男女がともに各人の生き方、能力、適性を考え、固定的な役割分担にとらわれずに、主体的に進路を選択する能力と態度を身につけるなどの男女共同参画の視点を踏まえたキャリア教育を推進しております。
文部科学省といたしましては、今後とも、内閣府、総務省など関係府省とも連携を図りながら、男女共同参画社会の実現に向け、主権者教育の推進に努めてまいります。
○高木(美)委員 総務省に伺いたいと思います。
今、町村議会で、三割の議会に女性が一人もいないという状況です。中を開いていただきますと、右側がそのような説明となっております。
こういう状況の中で、いわば地方公共団体に対しても国と同様の取組が求められるということがこの法律では規定されております。女性のニーズにも応じた地方政治が行われなければ、むしろ女性が都市に流出をしてしまう、そこで過疎化が更に進んでしまうというこの現実を変えるためにも、女性のニーズに応じた議会、政治が地域で展開されるということが非常に重要だと思っております。
これに対しての総務省の取組を伺います。
○吉川政府参考人 お答えいたします。
議会が多様な民意を集約し、団体意思を決定していくために、地方公共団体の多種多様な層から議員が選出され、議会を構成することが重要と認識しております。
各地方公共団体におきましても、幅広い層の住民の皆様に議会への関心を持っていただくため、女性模擬議会の開催など、さまざまな取組を進めていただいているものと認識をしております。
総務省といたしましても、これまで、通年会期制の創設など、より幅広い層が議員として参画しやすい環境の整備や、地方議会活性化シンポジウムなどで先進的な取組の紹介に努めますとともに、議員のなり手不足への対応について研究を深めるなどしてきたところでございます。
引き続き、こうした事例の横展開や対応の検討を行いまして、女性議員も含めた議員のなり手確保につながる環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 やはり、子育て世代が傍聴をしやすい環境整備であるとか、そうしたことも含めて総務省には取組を促したいと思います。
最後に、この男女共同参画を担当する片山大臣の政治分野における男女共同参画の推進に対する認識とまた御決意を伺いたいと思います。
○片山国務大臣 お答えいたします。
政治分野における男女共同参画の推進は、政治に多様な民意を反映させるという観点から、本当に極めて重要でございまして、高木議員を始め、この政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の成立に本当に御尽力された皆様に、改めて敬意を表させていただきたいと存じます。
御承知のように、衆議院が一〇・一%、参議院が二〇・七%と日本の国会議員の女性割合は国際的に見ても低うございまして、世界の平均は、一院又は下院が二四%、上院のみ二四・一ですから、平均から見ても全然届かない状況の中で、政府としては、このたびの法律の成立を受けまして、女性の参画推進に向けまして、諸外国の取組も含めた政治分野への女性参画拡大のための多様な情報の収集と提供、女性議員が少ないという現状や地方議会における先ほど御言及にあった状況と取組の推進状況の見える化等を進めさせていただいているところでございます。
今後とも、各政党の自主性の問題はございますが、自主性を確保しつつも、こうした実態調査や啓発活動を進めることによりまして、政府としての責務を着実に果たしつつ、各政党の御協力もいただいて、取組を一層強化してまいりたいと考えております。私も、各政党に対しまして、両立支援体制の整備などを始めとした女性議員が活躍しやすい環境の整備、そして、女性候補者の割合を高めるようポジティブアクションの導入の検討といったようなことを直接要請いたしますなどの取組を行ってまいりたいと存じます。
どうぞこれからも御指導をよろしくお願いいたしたいと思います。
○高木(美)委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
○牧原委員長 次に、早稲田夕季君。
○早稲田委員 おはようございます。立憲民主党の早稲田夕季でございます。
きょうは、初めて内閣委員会で質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。
それでは、質問に入ってまいります。
私は、子ども・子育て事業といたしまして、企業主導型保育所の件、そしてもう一つ、幼児教育、保育の無償化ということの二点について伺います。
まず、ちょっと質問の順番を変えさせていただきますが、幼児教育の無償化について、先に御質問をさせていただきます。
この無償化の件は、与党が、一七年十月の衆議院選挙で、消費増税の分の一部を、使い方を変えて、この保育の無償化、幼児教育の無償化ということを打ち出した、そして政策パッケージで上げたというものだと思います。
その中で、これはずっと、ここに至るまでは、国費で全て賄うのだということを、国の責任でということもおっしゃっておられたと思いますが、この十一月の十四日、内閣府など五府省とそれから全国市長会が開いた子ども・子育て検討会議で資料が配られまして、地方負担を求めるというような驚きの内容の資料が配られたということでございます。
今お手元の方にお配りをしておりますのは、それに続く二十一日の会議での資料でありますが、ごらんをいただけますでしょうか。
ここで見ますと、新制度に移行しても、これまでどおりの、民間の私立保育園、幼稚園の場合ですけれども、国二分の一、都道府県四分の一、市町村四分の一と全く変わらない状況ですね。そして、さらに言えば、公立で市町村は十分の十の負担、今までと何が変わるのかというような状況になっております。
そこで、官房長官にお伺いをいたしますが、この間、何回か市長会とお会いになっている場面でのお話でございますが、六月六日、全国市長会が官邸で官房長官にお会いになりました。また、八月三十日も全国市長会で官房長官に面会をされていると思います。
この二回にわたりまして、市長会の方では、幼児教育無償化、保育無償化について、全額国費なんですねという確認をされております。このことについて官房長官は、必ず国費で、それからまた、二度それを重ねて確認をされた方がいらっしゃいましたら、少し、何回も聞くなというような憤慨をされたような感じで、これはもう絶対に地方に迷惑はかけない、全額国費ということをはっきりと明言をされたと、私ども立憲民主党の子ども・子育てPTで市長会をお呼びしたときに、そのような御発言を私も伺いました。
官房長官は、このことについてはどのようにお考えでしょうか。余りにも話が違うと思っておりますが。
○菅国務大臣 まず、幼児教育無償化の費用負担のあり方についてでありますけれども、内閣府を始めとして関係府省で、関係者の御意見を伺いながら、現在検討をいたしております。
私のこれまでの発言についてでありますけれども、幼児教育無償化の財源について、消費税率を来年十月一日から引上げをさせていただく予定でありますけれども、これに伴い国と地方に配分される増収分を活用することとしており、国の責任において必要な地方財源をしっかり確保する、こういう趣旨で申し上げたものであります。このことについては、私、記者会見でも申し上げています。
また、いずれにしても、政府としては、引き続き、内閣府を中心に、年末の予算編成までの間に、費用負担のあり方を含め、幼児教育無償化の具体的な仕組みを決定できるよう、自治体関係者の皆さんの御意見を伺いながら検討していく、このように考えております。
○早稲田委員 少しお話が違う、ニュアンスがかなり違うと思うんですけれども、全額国費でということと、国の責任で地方財源を確保するというのはやはり違いますよね、国費は国費ですから。
それから、そこのところが違っているということは、大変、全国市長会それから町村会の方でも反発をしていらして、当然ながら、地方税収の増収分ではほかの福祉のことをやろうと、もう計画も立てていたはずです、もうあと一年ですから。その中で、突然このようなお話が出て、しかも、先ほどの資料でございますが、これを見て、この総額、現行制度の上から下までの総額を見ますと、市町村の方が六割五分の負担、そして国の方が少ないような、もともとのものと全く変わらないんですね。
そういたしますと、最初から、地方の方も消費税増税でふえるんだから、そこは負担してくださいよというお話をすべきではないですか。それをしないで、国費で国費でと。しかも、選挙の公約ですから。それはやはり、だまし討ちというような表現が出ておりますけれども、そういうふうに言われても仕方がないような状況になっております。
しかし、ぜひ市町村会の意見を最大限に聞いていただいて、そして、もともとは国費でやると言ったものですから、まさか地方交付税対応とか、そういうことではないですよね。しっかりとやっていただけるという認識でよろしいでしょうか。
○菅国務大臣 まず、委員に全体像をぜひ御理解いただきたいんですけれども、市長会の皆さんはいろいろな御要望で来られています。私は御挨拶を受ける形の中でした。
これについての発言もその中にありましたけれども、今私が申し上げましたように、消費税、これの税率引上げ、これに伴って国と地方に配分される増収分、これを活用することとしており、国の責任において必要な地方財源は確保する、そういう意味合いで私は申し上げたところであります。
○早稲田委員 そういうふうには市長会の方ではとっておりません。最初から地方税収の分もという言葉が入っていて、国の責任でとおっしゃるのとは全く違います。
ですから、ここのところは、極力、全国市長会のお話を聞いていただいて、当初のように国費でやるということ。
それから、今、地方交付税のお話を聞きましたが、これについてはいかがでしょうか。
○菅国務大臣 今申し上げましたように、消費税引上げに伴い国と地方に配分される増収分を活用することとしており、国の責任において必要な地方財源をしっかり確保する、こういう意味で私は申し上げております。
そして、現在、年末の予算編成まで、費用負担のあり方について、幼児教育無償化の具体的な仕組みを決定できるように、もちろん地方自治体の皆さんの御意見を伺いながら、これは検討をしていきたいというふうに思います。
○早稲田委員 御答弁が同じなのであれですけれども、そういうお話ではなかったんですね。地方の増収分もという言葉は入らないままに国費で、そしてまた、二回繰り返して官房長官にお聞きしたときは、とんでもない、地方に迷惑をかけないということのお話もあったと伺いましたので、かなり市長会の認識とは異なっておりますし、もともとそうであれば、そういう場で、いろいろな子ども・子育ての検討会議があるわけですから、今までにもおっしゃればよかったのではないでしょうか。
極力、このことを宮腰大臣も重く受けとめていただいて、全国の方で、それから、私も各市いろいろ行ったときに伺うと、どこでも、国費でやってくれるんでしょうねと聞かれたわけですよ。そうしたときに、そのようですねというお答えをしていたわけですから、ここは大きな違いがあります。
国と、それから市、町の連携というものが大切な地方自治にあって、地方自治権を侵害するようなことのないように、しっかりと最初に約束をした公約で、自民党さん、公明党さんがおっしゃったようなことは守っていただきたい。そうでないと混乱をします、現場が。
もう既に、事務費の二百億円はそちらでやってくださいというようなことまで出ていて、何なんだという落胆の声がもうずっと続いておりますので、大臣、いかがでしょうか。極力、現場の声を聞いていただいて、全額国費に近い形でやっていただきたい。
○宮腰国務大臣 先日も、地方団体三団体の皆様方と協議の場を持たせていただいたところであります。その折には、この幼児教育の無償化の問題、あるいは、特に知事会の皆さんとは高等教育の無償化の問題等々についてしっかりと意見交換をさせていただいたところであります。
その折に私の方からも申し上げたわけでありますけれども、国と地方で適切な役割分担をすることが基本である、国と地方へ配分される消費税の増収分を活用することにより、必要な地方財源をしっかり確保した上で、国と地方がよく連携して無償化を進めてまいりたいということも申し上げてまいりました。
特に、国として現時点でお示しできる財政措置、具体的には、初年度に要する経費について全額国費による負担とすること、それから、初年度の導入時に必要な事務費について全額国費による負担とすることということを御提案申し上げてまいりました。
現場で実務を担う市町村の皆様には大変な御苦労をおかけいたしますが、御理解、御協力をお願いいたしたいと思っております。
引き続き、予算編成に向けて、議論、調整を加速化させてまいりたいというふうに考えております。
○早稲田委員 初年度だけのお話ですよね、国費でというのは。そうではなくて、当初から市長会が認識をしていたように、全額国費でということを強くお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
次は、企業主導型保育所の問題でございます。
さきの他会派の質問にも出ておりましたけれども、官房長官、どうぞ。ありがとうございます。
○牧原委員長 菅長官は御退室をお願いします。
○早稲田委員 この問題が出ておりましたけれども、私も、この質問に先立ちまして、地元鎌倉の企業主導型保育所、まちの保育園鎌倉を視察させていただきました。これは、もともと地元に根差した企業二社が経営をしておりまして、また、近隣の定評のある保育事業者に運営を委託しております。この中身についてもいろいろ見させていただきましたが、やはり地域と連携もしているし、非常に信頼の厚い様子が受け取れました。
こういう企業主導型が本当にふえてくれるといいなと思っておりますけれども、その一方で、いろいろ新聞報道にもございますとおり、この中で、全国で、助成金の不正受給、それから保育士の一斉退職、それから定員割れというのがかなりの自治体の企業主導型保育で見られるということもございまして、大変残念だなと。安倍総理の肝いりでスタートしたにもかかわらず、この目玉の政策がこうしたいろいろな不備を指摘されているようでは、非常に行き先、まだ二年しかたっていないのに、今後どうなのかと大変懸念をするところでございます。
このことについて伺いますが、世田谷区でも、開所した企業型が二カ所で保育士が一斉に退職をして、一園では休園をすると。このことについては、世田谷区長、私どもの子ども・子育てPTにヒアリングにお越しいただいた際には、前日ぐらいに突然そういうことを聞いた、それで、その子供たちをどこに移すかということで大変な騒ぎになって、区が主導をして、ここを事なきを得て、皆さんにほかの園に行っていただいたと。
それにつけても、余りにも市、町との連携がない、区との連携がないということがこの一件だけでも明らかになるわけでございます。
その中で伺いたいのですが、いろいろな問題が噴出しておりますが、一部報道に取り上げられている法人の問題について、特に今回は伺いたいと思っております。
これは、都内等で七園を運営しておりまして、平成二十八年十一月から本年まで数億円もの公金の助成金を受け取っているANELAという法人がございます。
先ほどお配りをした資料の中にございますが、細かい小さな字で書かれている縦書きのもので、公益財団法人児童育成協会、これの助成決定というものでございます。
これの二ページを見ていただきたいのでございますが、九十三番と百八番、これが合同会社ANELAというところの助成をしましたよという、これが書かれております。ここで、助成の決定日が十一月の十四日になっております。
ですが、私が登記簿をとりまして調べましたところ、この会社の設立年月日が同じ二十八年十月五日ということになっております。一カ月足らずで、決算も何も見られないと思うんですけれども、どのように育成協会はこの法人をチェックされたのか。
それから、ちょっと今気がついたんですけれども、もう一つ、私の手元の資料ですが、この助成金決定の財団法人児童育成協会からの通知書がございまして、これにおきましては、平成二十八年九月三十日をもって助成の申込みがあったのでと書かれております。それで、標記の助成金について支給しますという通知を出しているんですけれども、この額は、一つについては七千七百四十二万三千円、大きいですね。もう一つについては六千九百万円というような、非常に多額の助成金を得ております。しかも、九月三十日というのはまだ会社が設立されていないんですね。そんなことがあってよろしいのでしょうか。
どうやって受け付けるのか。しかも、一カ月、仮に十月五日からの一カ月としても、どうやってチェックしたんですか。決算もやっていないですよね。何をもって児童育成協会さんは見られたのか、お尋ねしたいと思います。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育事業でございますけれども、申請があった場合には、本事業の実務を担います児童育成協会におきまして、これまでは、認可施設並みの職員配置基準になっているかどうか、また、設置基準を満たしているかどうか、そうした観点から確認をさせていただいた上で助成をすることとしてございます。
○早稲田委員 答えていないですよ、それは。どういうふうに財務諸表とかをチェックされたんですかということを伺った。
だって、ここは保育事業者じゃないですから、三年間も、例えば認定保育園なら、三年間この保育事業をやっているとか、そういう縛りがございますが、認可外だから全く関係ないわけですよ。一カ月前にできた会社がそんな、七千万円も助成金オーケーと、すぐオーケーになるんですか。そのぐらいずさんなチェックだということですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育事業、平成二十八年度から開始してございますけれども、当初は、先ほど申し上げましたとおり、協会におきまして、認可施設並みの職員配置基準になっているか、あるいは設置基準を満たしているかを確認した上で助成してございます。
ただ、今年度から、こうした審査に加えまして、事業の持続可能性あるいは保育事業者の保育事業の実績、こうしたものを審査項目に入れさせていただいておりますし、事業の持続可能性の観点からは、事業者の経営状況をしっかり審査をさせていただいている状況でございます。
○早稲田委員 そうしますと、持続可能性、そのことについては審査をしなかったんですか。ノーチェックということですね、去年までは。
そうしたら、調べてください、全部、去年までのものを。こんな状況で、公金ですよ、税金に近い公金です、拠出金ですから。そのようなものを、ただ保育士の人数、これだって、保育士の人数だって緩いじゃないですか、認可に比べれば、全然。そういうものをノーチェックで七千万円、六千万円、ぼんぼん上げて、それで、しかも休園したり、保育士さんが未払いだからやめたり、そんな状況でいいと思っていらっしゃるんですか、内閣府さんは。大臣に伺います。
○牧原委員長 ちょっと、まず実務的に。
内閣府小野田統括官。
○小野田政府参考人 お答えします。
企業主導型保育事業につきましては、まさに委員御指摘のとおり、さまざまな課題も出てきておるところでございますので、今申し上げました、審査体制を強化するとともに、有識者から成ります検討会を設けまして、しっかりと、より適切に企業主導型保育事業が運営されるように対応させてまいりたいと思っております。
○宮腰国務大臣 ただいま統括官の方から御答弁をさせましたけれども、これまで、事業計画を始めとする内容についてしっかりと審査を行ってきたということでありますが、確かに、おっしゃられるとおりの部分もあったと思います。
そういうことなども含めて、実施体制の強化充実について、これから、検討委員会を開いて、足らざるところについてはしっかりと検討して改善を図っていきたいというふうに考えております。
○早稲田委員 そういう部分もあったと、今、宮腰大臣、お認めいただきました。
そういう部分というのはどういう部分ですか。
○宮腰国務大臣 これまでも、企業主導型保育事業につきましてはさまざまな課題が生じてきておりまして、事業の実施体制を強化することが急務となっています。
そのために、質の確保、事業の継続性、自治体との連携、指導監査のあり方などにつきまして検証いたしまして、改善方策を検討するための有識者から成る検討委員会を設置し、年内に第一回検討委員会を開催することを公表いたしております。
この検討委員会での検討結果を踏まえまして、改善方策につきまして、内閣府としてしっかりと検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
○早稲田委員 検討委員会はこれからやるわけですよね。以前のものについて、この二年間分について、こういうことが実際にあったわけです。
それで、じゃ、ここは、ANELAという法人は、現在民事再生中でございます。保育事業が別の企業に譲渡をされる、されたかもしれません、そういうふうに伺っておりますけれども、これは把握していらっしゃいますか。そして、助成金の返還はあったんでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
現時点で民事再生中だというふうには承知してございます。助成金の返還につきましては、現時点では把握してございません。
○早稲田委員 把握していないというのはどういうことなんでしょうか。
それではお聞きいたしますが、今まで、このように休園、閉園した園がどのくらいあるのか、その中で助成金を返還されたのがどのくらいあるのか、伺います。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育施設におきまして、運営開始後に閉園した施設は、助成決定の取消しが行われた一施設でございます。運営開始後に閉園した施設で助成決定の取消しが行われたのは、一施設と承知してございます。
また、運営を休止している施設につきましては、平成三十年十月十五日時点で児童育成協会に休止報告が提出されている施設は四施設でございます。
○早稲田委員 取消しのものは、助成金は返還されたんですね。
○小野田政府参考人 現時点で全て返還にはなってございませんけれども、継続的に返還が続いておるというふうに承知してございます。
○早稲田委員 そういう曖昧なことでは困ります。助成金なんですから、もらった分はきちんと返してもらわないと。
取消しですよね、一園については。取消し。しかも、休園しているのが四施設もある。これはあり得ない制度設計なのではないんでしょうか。ずさん過ぎます。
それから、先ほど伺っているこのANELAという会社、一カ月で、とにかく、法人が設立していないのに申請をするということが可能なんでしょうか。これも、さかのぼって検証していただきたい、そして、検証結果を出していただきたいと思います、内閣府主導で。児童育成協会に絶対に丸投げしないでください、今までみたいに。
これは、助成金詐欺とまで言われているような案件がたくさんございます。結局これを、大変な思いをしてお母さんたちがやっと預けた、そして子供たちも安心して通えるのに、突然休園とか取消しとかがあって、内閣府はそれでも、企業主導型、ああ、よかったねと思っていらっしゃるんですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、企業主導型は平成二十八年度から始まってございます。よりこの事業を適切に運営していくために、先ほど大臣の御答弁もありましたけれども、監査体制あるいは自治体との連携、こうしたものをしっかりと構築していくために、検討委員会を設けまして、改善方策をしっかりと検討していきたいと考えております。
○早稲田委員 改善方策はこれからですけれども、今までのずさんなチェックでやってきた全体の二年間分を、きちんと検証をまずしていただきたい。それについてどうなのですかということが一点と、それから、先ほど来申し上げております、設立されていない会社が補助金を申請できるんですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
二年間の検証につきましては、検討委員会を回す中で、協会からのヒアリング、あるいは実際に運営している施設等から個別にヒアリングをするなどして検討につなげていきたいと思ってございます。
また、先ほどの登記との関係でございますけれども、済みません、そこはしっかりと協会にも確認させていただきたいと思いますけれども、いずれにしても、この二年間は、事業の継続性というよりも、どちらかというと質の確保に重点を置いて審査をし、基準を満たしているかどうか、そうしたところをしっかりと確認した上での助成ということで進めさせていただいたところでございます。
○早稲田委員 大臣にもう一度伺います。
設立前の会社が補助金を申請できるんでしょうか。お答えください、その一点について。
○牧原委員長 ちょっとこれは実務的な話なので。
内閣府小野田統括官、明確にお答えください。
○小野田政府参考人 いずれにしても、その事実関係をしっかりと協会に確認させていただきたいと思います。日にちとの関係、それから申請のときにどういう状況であったかということ、ちょっと今手元にございませんので、そこは協会がどう対応したか、しっかりと対応させていただきたいと思います。
○早稲田委員 一般論で答えてください。設立していない会社が補助金を申請できますか、それだけです、私が聞いていたのは。仮に。
○小野田政府参考人 審査から、その後、助成決定に移るわけでございますけれども、その助成決定の段階で設立しているのであれば、それを前提としまして審査を進めるということは可能ではないかと思っておりますが、いずれにしても、協会の方に確認させていただきます。
○早稲田委員 そんなルーズなことでいいんですか、大臣。
○宮腰国務大臣 個別案件のことでありますが、今の件につきましても、それを含めてしっかりと検討委員会で調査をさせていただいて、この後の改善にしっかりと生かしていきたいというふうに思っております。
いずれにいたしましても、子供の保育のことであります。でありますから、量も大事ですけれども、まず何よりも質が確保されるという前提があって初めてのテーマだというふうに思っておりますので、今回の検討委員会の中で、質、量ともにしっかりと確保ができるように改善策を検討してまいりたいというふうに考えております。
○早稲田委員 全然お答えをいただいていないわけなんですけれどもね、設立されていない会社ができますかということを聞いているわけですから。
これについては氷山の一角だと私は思っています。もう実際に、いろいろな助成金詐欺と呼ばれるようなものの報道もたくさんされております。それは知らないということは、当然、内閣府ですから、ないと思いますし、児童育成協会さんの方も、これだけずさんなチェックをしてきて、基準だけ、保育士さんの数だけなんですか、今までやってきたのは。そんなことで保育園の運営ができるんですか。人の命を預かる、そして、子供たちの成長を育む施設です。これは、稼ぐ施設というふうに思っていらっしゃるんだったら大間違いですから。
それで、問題は、安倍政権の新三本の矢に位置づけられましたこの問題ですよね、夢を紡ぐ保育事業ということで。でも、全然夢を紡いでいないんですよ。夢がだめになっちゃっている、残念ながら。そこの保育園に入ったにもかかわらず、外に出される。そして、せっかくなれたのにという子供もいるでしょう。これを重く受けとめていただきたい。
そして、規制改革推進会議では、この基準について、ある委員は、一番緩い規制に合わせるべきと議論をされているんです。とんでもないことです。競争力の社会ではないんですから、人の命ですから。そういうことを、これまでもずっと、安倍政権では行き過ぎた民営化ということが問題になっております。保育の質と先ほど来おっしゃいますけれども、保育士さんがやめてしまう、突然。そんなことで保育の質が保たれるんでしょうか。
それで、申し上げますが、委員長にお願いをしたいと思います。
今までのこの二年間の検証の結果を、まずは児童育成協会がやるんでしょう、それを出していただきたい。児童育成協会は、審査をし、監査をしてきたわけです。委託を受けているわけですよね、内閣府から。それなのに、委託に全く応えていないということになります。ですから、ぜひよろしくお願いいたします。
○牧原委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。
○早稲田委員 ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、山岡達丸君。
○山岡委員 一般質疑の時間をいただきました山岡達丸でございます。
委員長におかれましては、本当に日々、議事の進行に心から敬意を表させていただきます。
また、菅官房長官と櫻田大臣におかれましては、国政の中でさまざまな施策を進められていることに敬意を表しながら、きょうは、いわゆる政府がお進めになっているアイヌ施策、このことを中心に、私の立場からいろいろな質疑をさせていただければということで、よろしくお願いいたします。
私も北海道から選出いただいているわけでありますけれども、北海道の地名はほぼ全てアイヌ語がもとになっている。札幌も含めて、いろいろな変わった、変わったというか、本土から比べたら変わった名称が多いという印象を受けるわけでありますけれども、それは全てアイヌ語がもとになっていると言われていることもあって、そういうこともあって、アイヌの皆様というのがまさに先住民族だということは、いろいろな事実関係からももう明らかなところといいますか、これは皆様も御承知のことだと思っております。
ただ、一般に、アイヌの皆様に対する差別であったり厳しい仕打ちであったりということも非常に今伝えられているところであります。
この状況というのは、そうであったらしいということを認知されている方は本州の方にも多くおられるのでありますけれども、具体的に少しその一端をお話しさせていただきますと、北海道の命名者とも言われる、アイヌの方とも交流がある中で、そういういろいろな言葉を、最終的に北海道という命名をしたのは松浦武四郎さんという方。生誕して二百年になられるんですけれども、この方はいわゆる一八一八年生まれですから、活躍されたのは明治時代でありますけれども、この方が冒険家として北海道に行かれたときも、和人という、日本の本州の皆さんを中心にですけれども、幕府のもとで商人たちが非常にアイヌ民族の方にひどい仕打ちをしているということを報告された記録も残っています。
この中で一端を紹介しますと、アイヌ民族は、十六歳、十七歳ぐらい、成人になると、男女の区別なく、国後や利尻等へ強引に移動させて、そこで使役させる。女性はめかけとして、男性は昼夜なく酷使されて、その苦しみに耐えずに病につく者は蔵に放置し、一服の薬も一切の食事も与えない。ただ、その身寄りの者が食事を運んできて、そして生き長らえて、そんな生活をさせているということを、この松浦さんという方は、非常にアイヌの皆様と、冒険するに当たって、地元でかなり交流をされて信頼関係を築いた人でありますけれども、その実態を伝えているというのが、この一八〇〇年のことでも伝わってきています。
あわせて、その前にも、幕臣の最上徳内さんが「蝦夷草紙」という書物の中に、松前藩支配下の北海道のアイヌの、悲惨なものはない、これは地獄だ、本土の人たちが喜ぶ錦や飾り玉は、いわゆる蝦夷の身を、つまりその人自身を、人身売買のことを書いているとされていますけれども、その身を異国に売りたる代金なり、実に身の塊なり、借金を責められ返すすべもなければ、よんどころなく一生の別れをして異国にとらわれ、また、残りたる妻子は草の根を掘りて食い、味気なき命を長らいても生きてがいなき風情なりと。
非常に幕府に対して、当時、松前藩のもとでやっていた商人、こうした方々が、和人の商人というのがそういう取扱いをしていたということであるようでありますけれども、非常に厳しい取扱い、非人道的なことをやっていたということが記録に残っているという状況でもあります。
一八九九年に明治政府は、北海道旧土人保護法ということで、ここも、この法律に基づいて農地を与えたのか奪ったのかということは、今、教科書等をめぐっても大きな議論があるところでありますけれども、いわゆるアイヌの方々というのは、狩猟、漁業を中心にされているという中で、土地という概念が乏しい中に入っていって、農業を、本州側の立場からすれば、農地を与えてさせたと。しかし、それは、農地は個人の財産ではないということで、保護法二条、三条にも、他人への取引の譲渡を禁止とか、耕作放棄の場合は没収するとか、そういうような規定を設けて農地を渡して、そして、非常に、そもそも与えられた土地も、もともとが和人が占めている中で不利な土地を与えられた。
就学援助があっても、それは、いわゆる教えるのは日本語であるということでありますから、同化政策の中でこういう政策を進めてきて、これは私が北海道で地域を歩かせていただいても、今アイヌの方々から伺う話でありますけれども、やはり、小学校、中学校のころ、自分は差別を受けたという方が多くおられます。アイヌという言葉をもじって、犬、犬ということを、においがするからこっち来るなということを言われたとか、そういうようなお話もある。
二〇〇七年に国連総会の中で、先住民族の権利に関する国連宣言の中で、非常に、こうした先住民族の位置づけというのが国際的にも認められ、日本でその間にアイヌ文化振興法もつくられたりした経過もありますが、二〇〇八年に、いわゆる国会決議で、日本でも衆参の中で、アイヌを先住民族とするという決議がなされた。こうした経過の中で、昨今になって非常にアイヌの皆様に対する施策も見直されてきているというのは、この厳しい歴史の中の今の本当に始まりにすぎないところでもあるところであります。
アイヌ政策推進会議というのが、二〇〇九年十二月ですから、これは民主党政権のときでありましたけれども、発足になって、このアイヌの、北海道でいえば、鳩山由紀夫元総理は、民族共生象徴空間ということを決定したのは鳩山元総理でありましたので、これも事実でありますからお伝えさせていただきますけれども、きょうは菅官房長官にお越しいただいているので、ぜひちょっとお伺いしたいと思います。
いわゆるここまでの歴史の後、アイヌ政策推進会議というのを官房長官がお引継ぎになって、そして、私の立場からこんなことを申すのもなんですけれども、地元の話、いろいろな状況の話で、一言で言えば、菅官房長官は非常にアイヌの皆様のことに対して理解を示してくださって力を入れてくださっているというのが、率直な皆様のおっしゃられる言葉でもあります。
この象徴空間をつくることは決まっていたわけですけれども、二〇二〇年四月というのも決定され、それは二〇一三の九月のロードマップのときでありますけれども、ここはどれぐらいの人数を、収容するのは五十万人かなんて言われていたところを、いや百万人だという規模感も官房長官が示され、ことしも北海道に足を運んでいただいたり、非常にアイヌの皆様に思いを寄せていただいているというお気持ちを関係者の方は持っています。
もちろん、政府として、このアイヌ施策は力を入れていかなきゃいけないという基本的な認識もあられるんだと思いますけれども、きょうは、そのアイヌ施策のことを伺うに当たって、菅官房長官として、個人的な思いも含めて、もしございましたら、アイヌの皆様に対してどういう思いを持って施策に当たっていただいているのか、そのことをまず伺いたいと思います。
○菅国務大臣 私は、アイヌ政策推進会議の座長に就任をして、そして官邸で委員の皆さんと会合を開きました。そのときに、その会合に出席の方というのは、ほとんど北海道の方、またアイヌ関係の方だったんです。しかし、一度も北海道で開いたことがなかったということだったものですから、じゃ、来年は北海道でやりましょうという形で、このアイヌ問題について私なりに取り組んできております。
まず、アイヌの方々、民族としての名誉と尊厳、ここを保持し、これを次の世代に継承していくということは、多様な価値観が共生し、活力ある共生社会を実現する上で、これは極めて重要だというふうに私自身考えております。そして、約束どおり、翌年、北海道庁でアイヌ政策推進会議を開かせていただきました。
ちょうどそのときに、オリンピック、パラリンピックが、東京開催、二〇二〇年、決まりましたので、今委員からお話をいただきましたこの共生空間の建設、これは決まっていたわけですけれども、オリンピックに間に合わせようと、二〇二〇年の四月にオープンできる、そこを目指して政府としてやるということを、実は私、北海道にいて、その場で発言をしたんです。それ以来、御関係の皆さんからいろいろな御協力をいただきながら、このアイヌ文化の振興そして象徴空間の整備に取り組んできているところであります。
そして、私自身も、その北海道で会議を開いたときに白老町に赴きまして、全体を視察しました。本当に象徴空間にすばらしい地域だということを思いまして、そういう中で、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの中で、日本の先住民としてのアイヌ民族のさまざまな文化もあります。そうした皆さんを世界に発信できる最高の機会だというふうに捉えまして、今懸命に努力をいたしておりまして、予定どおり、二〇二〇年四月には、象徴空間というのはしっかりと完成をし、世界に発信できる、そういうところになっています。
また、千歳空港にも、やはりアイヌのそうした歴史がわかるような展示を発信できるように、そうしたことも政府としては取り組んでいるところであります。
○山岡委員 菅官房長官から、まさに北海道に行って、その場で、自然とともに生きておられる民族の皆様でありますから、そのすばらしさを感じる中で、さまざまな恐らく歴史の思いも酌んでいただいているんだと思いますけれども、そういう政治決断の中で日を決めて動いているというのは確かな事実でございまして、このことは本当に地域は感謝しているということはまずお伝えをさせていただいて、あわせて、今率直なお話もいただきましたが、アイヌ新法も、今報道等に言われていますけれども、官房長官のもとでつくられる。
きょうはまだ検討の段階でありますから、これは出されたらまた質疑をさせていただくことになろうかと思いますけれども、検討の段階でありますので、きょうは内閣府の皆様もおられているのでちょっと伺いたいと思うんですけれども、報道で言われているアイヌ新法というのは、中身には恐らく象徴空間のことも入ってこられるんだと思いますけれども、来年の通常国会で出てくるのではないかということも言われています。
これが事実関係として、まず来年の通常国会ということでよろしいのかどうかと、あわせて、目的も含めて、今まさに官房長官もおっしゃいましたけれども、本当に名誉と尊厳、次の世代につなげていくということもおっしゃられましたけれども、この新法の目的についてもちょっと、今、検討の方向を伺わせてください。
○橋本政府参考人 お答えさせていただきます。
新法についての、その目的、検討状況から御説明させていただきますが、アイヌの方々が民族としての名誉と尊厳を保持し、これを次世代に継承していくことは、多様な価値観が共生し、活力ある共生社会を実現するために必要であると認識しております。
政府といたしましては、アイヌの方々の自立を図り、未来志向のアイヌ政策となるよう、これまでの取組に加え、地域振興、産業振興等も含めて総合的に取組を推進するという観点から、立法措置などの検討を行っているところでございます。
現在、アイヌの方々や地元の御要望等を伺いながら、その内容の検討を進めているところでございます。
新法のスケジュールのお尋ねがあったかと思います。国会への提出時期、これにつきましてもあわせて検討中でございますので、御理解いただければと思います。
○山岡委員 本当に来年の通常国会に間に合わせないことには、再来年の四月が官房長官が決めていただいた象徴空間の一般公開でありますから、そういうスケジュール感ということを理解といいますか、それは心からお願いしたいところであるんです。
今お話にもありましたけれども、自立と共生社会を含めた、アイヌの皆様の自立も含めて、地域そして産業振興を図っていくということを目的にされているということもお話がありました。報道でも伝えられていますけれども、私、地域を歩かせていただいて、この新法というのは一つの大きな起点になるということで、アイヌ民族の皆様の、協会の幹部の方だけじゃなくて本当に一般の方もお話しして、喜びもあります。
一方で、地域と産業ということでいいますと、先ほど自立ということもお話がありましたけれども、これまでの負の歴史の中で、厳しい環境の中で、大学進学率もやはり内地の方に比べると差がある、教育環境も差があってきた。
同じスタートラインに立つに当たって、やはり教育の部分と生活の部分、そうした支援、このことについて、法文にやはりこれはメッセージとしてきちんと明記してほしいという声は少なからずあります。
このことについて、これは検討していただけませんか。いかがでしょうか。
○橋本政府参考人 お答えさせていただきます。
新しい法律の内容につきましては、先ほども御説明させていただいたとおり、現在検討中でございますので、その中にアイヌの方々に対する生活支援を盛り込むかどうかについては、現在、お答えできる段階にはございません。
いずれにせよ、アイヌの方々の自立を図り、未来志向のアイヌの政策となりますように、これまでの文化振興、福祉政策に加えまして、地域振興、産業振興等も含め総合的に政策を推進する、その必要がある、そのように考えている次第でございます。
○山岡委員 今検討中というお話がありましたけれども、教育部門でいえば、一般の方は四五%大学進学されている。だけれども、アイヌの方は三三%。確かに、五年前に比べて二五・八から三三に上がっているものの、依然として差がある。やはり、きちんとした環境を整えると。
生活の部分は検討中というお話がありましたけれども、教育の部分については、そうしたら、きちんと、これは前向きに考えられるんじゃないですか。いかがですか。
○橋本政府参考人 お答えさせていただきます。
今、教育というお話がございました。教育につきましても、新法に盛り込むかどうかにつきましては現在鋭意検討中でございますので、ちょっとお答えできる段階にないことを御理解いただきたいと思います。
繰り返しになりますが、アイヌの方々の自立を図るという観点から、アイヌ政策を、地域振興、産業振興も含めまして総合的に推進していきたい、そのように考えているところでございます。
○山岡委員 また、来年、恐らく通常国会以降、法案が出てこられると思うので、これは私も、地域の皆様の思いと声もありますので、このことを含めて質疑をさせていただきたいと思いますが、まだ法案がつくられていないわけであります。これから出してくるわけであります。ぜひ、そのことを十分に酌み取れる、これはやはり、さまざまな施策を打っている、打っていくということはあられるんだと思いますけれども、一つのメッセージとして、法文にきちんとそうしたメッセージが込められるかどうかというのは非常に大きい意味を持つ、勇気づけられるかどうかの大きい意味を持つということを思っておりますので、これはぜひ十分に検討していただきたい、そのことをお願いをさせていただきたいと思います。
次に、先ほど少し官房長官も触れていただきましたけれども、まさに象徴空間のタイミングを二〇二〇年のオリンピックということに、ちょうどいいじゃないかということで決断いただいたというお話もございました。
先ほど御期待の話も少し触れられていましたけれども、象徴空間を通じて、このオリンピックの年に合わせる、そこで、外国人の方も多く来て、やはり、非常に世界にも発信していくということを御期待されるということを官房長官はおっしゃられて、きょう、サイバーセキュリティーのことも時間があれば伺いたかったんですけれども、ちょっとそれはおいておいて、オリンピック、パラリンピックを担務されておられます櫻田大臣がきょう来ていただいているので、せっかくなので、ぜひお伺いしたいと思うんです。
オリンピックの開会式、例えば二〇一〇年のいわゆるバンクーバー、こういうとき、冬季オリンピックとかでは、先住民族の参加と協力、こういう中で、いわゆる開会式でカナダの先住民たちがさまざまな発信をしたということもありました。
まさに象徴空間、先ほど官房長官は、これをこのタイミングの中で大きく発信できるじゃないか、それはオリンピックに合わせたんだということをおっしゃっておられました。ならば、やはりこのオリンピックの開会式において、アイヌの皆様に大いに世界に発信していただく、そういう環境を整えていくということが、このことはやっていくべきじゃないかと私は思うんです。
まさに、オリンピック・パラリンピック担当大臣になられたそのリーダーシップのもと、櫻田大臣、いかがでしょうか。そういう方向で検討に、俎上にのせていただけませんか。
○櫻田国務大臣 二〇二〇年東京大会は、スポーツだけでなく、文化の祭典でもあります。多様な日本の文化の魅力を発信する大きな機会だと考えております。
アイヌ文化については、政府としても、共生社会の実現等の観点から、その復興に向けて取り組んでおります。東京大会を契機にアイヌ文化の発信を図っていくことは重要だと考えております。
こうした観点から、内閣官房オリパラ事務局が実施する調査の一環で、先週末、アイヌの人々が伝承してきた舞踊、音楽から、着物、生活用具、アイヌ料理に至るまで紹介するイベントを開催したところでございます。このイベントは、多様性や国際性に配慮して、日本の文化の魅力を発信する取組を認証するビヨンド二〇二〇プログラムに位置づけております。
東京大会の開会式、閉会式については、大会組織委員会が、野村萬斎さんを中心とするチームにおきまして検討を進めているところでございます。委員のお考えにつきましては、大会組織委員会にしっかりと伝えてまいります。
引き続き、東京大会を契機にアイヌ文化を国内外に向けて発信していけるよう、関係の皆様と連携して取り組んでまいります。
○山岡委員 大臣、本当に、御答弁書を読み上げていただいてお話をいただいたことは大変ありがたく思うわけでありますけれども、決して何か大臣が追及されているようなお話でもなくて、これはやはり本当にリーダーシップをとっていただきたいという思いであります。
先ほど官房長官も、象徴空間のタイミングも含めておっしゃっていただいた中で、お話の最後の方にもありましたけれども、ぜひ大臣のお言葉の中で、所感と思いと、そしてリーダーシップを持ってこれを大会委員会に言っていただくんだということも含めて、ちょっともう一言いただけませんでしょうか。
○櫻田国務大臣 委員のお気持ちをしっかりと受けとめて、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
○山岡委員 ありがとうございます。
いろいろなお話は大臣の周りにはありますけれども、やはり御担務としてオリンピック、パラリンピックの大臣をされているということで、私も、地域でアイヌの民族の皆様の思いもありますので、これは期待しておりますので、このことをぜひお願いをさせていただきながら、済みません、もう残りの時間はわずかではあるんですけれども、今の話を聞いた中で、官房長官、オリンピックも含めたアイヌのこれからのことについてもちょっと、もし御知見がありましたら、最後、一言いただければと思います。
○菅国務大臣 先ほどの事務方の答弁、いろいろありました。その中で、地域振興等の支援策、これを行うには、アイヌの皆さんから丁寧に御要望をお聞きした上で、ニーズに沿った形のものにしたい、このように思っています。
それと、この法案の提出時期、事務方はなかなか答えにくいんだろうというふうに思いますけれども、来年、二〇二〇年の四月一日、象徴空間に間に合うようにしっかりと責任を持って行いたい、こういうふうに思います。
○山岡委員 ありがとうございます。
官房長官と櫻田大臣から非常にいろいろ先の明るいお話もいただきましたが、引き続き、北海道の本当に大きなテーマとして、このお話も含めて御質疑させていただくことをお伝えさせていただきながら、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、大河原雅子君。
○大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原雅子でございます。
きょうは、片山大臣に、男女共同参画、女性活躍担当ということで、ジェンダー平等社会をどうやってつくっていくのかという基本のところから質問をさせていただこうと思います。
立憲民主党の中では、党自体が、男女平等、ジェンダー平等社会をつくるということを党の綱領の中にも入れて、あらゆる差別と闘うということを打ち出しております。そういう意味で、昨年、立憲民主党ができて、そして、私も衆議院に入れていただいて、野田大臣といろいろとやりとりをさせていただきました。
安倍政権の中にあっても、女性活躍、女性が輝く社会、これを成長戦略の一丁目一番地だと打ち上げていらっしゃる以上、やはりこの任を負っている大臣については、それ以上のことを、女性たち、そして男性たち、これまでの日本社会を変えていく、そういう意気込みを持って任に当たっていただきたいというふうに思います。
資料を配らせていただきましたので、まずここから入っていきたいと思います。
資料の一をごらんください。
昨今、セクハラ問題で、日本の法整備が不備である、こういうことに対するしっかりとした法整備がないんだということが明らかになっております。そして、それを求める声も高まっているわけですけれども、この資料は内閣府の啓発ポスター、駅にもまだ張ってあるところがございますけれども、セクハラが人権問題であり犯罪であるという認識が欠けているのではないかと、私はこれを見て思いました。大臣の御感想はいかがでしょうか。
○片山国務大臣 お答えをいたします。
セクシュアルハラスメントは、大前提としてもちろん重大な人権侵害でございまして、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するあってはならないもの、もちろんそういった認識でございます。
ことしの女性に対する暴力をなくす運動、例年どおり、十一月の十二日から二十五日まで、閣僚の皆様にもパープルリボンの着用をお願いする等広報活動をやってきたところですが、セクシュアルハラスメントの防止を中心テーマに実施をいたしまして、この運動の一環として作成されたポスターにつきまして、セクシュアルハラスメントの認識が薄いのではないかと言われている層に対しまして、セクハラは受け手が不快に感じるか否かによって判断されるということについて注意を喚起し、防止につなげるということを意図してつくられたというものでございます。
経緯を申し上げますと、前任の野田大臣と私とは、もちろん女性活躍、女性が輝く、この二つの分野につきまして、男女共同参画につきましての引継ぎも行ったのでございますが、ポスターの案は九月末までに確定しておりまして、ポスターのコンセプトについては野田前大臣に事前に御説明したんですが、ポスターの細かい図案を確認していただいていない状況の中で、組閣十月二日後の十月五日に完成して納品させた、そういう状況になっているそうでございます。
いずれにいたしましても、さまざまな御意見をいただきました、会見でも何回か申し上げましたが、見る方の感じ方によるところもいろいろございますでしょうし、今後の啓発について、とにかくこの女性に対する暴力をなくす運動についての広報の中で、セクシュアルハラスメントを取り上げてポスターをつくった、セクハラを題材としたのは今回が初めてでございますので、ぜひ委員も含め貴重な御意見をいただいて、今後の啓発において、よりわかりやすく、意図が伝わり、効果があるように、研さんに努めてまいりたいと考えている次第です。
よろしくお願いいたします。
○大河原委員 女性に対する暴力、性的な、特にそういったものは社会のあらゆる場面で起こります、毎日の通勤電車の中で、女子高生から通勤をする働く女性たちまで。女性専用車ができて、痴漢から守るという意味で、そういう対策まで打たなきゃならない国になっているというところに、まだ「これもセクハラ?」という感度の鈍さ、古さ、そういうところが如実にあらわれてしまったポスターだと思います。
小さく「女性に対する暴力をなくす運動」、むしろここが一番強調されなければならない場所ですし、これはポスターなんですけれども、本当に女性たちが求め、周囲の人たちもちゃんと認識しなきゃならないのは、女性に対する暴力が目の前で起こったとき、あるいは当事者になったとき、そういったときに泣き寝入りしないで済む、救済まで結びつける、そういうところを、場所をつくっているんだ、相談の窓口があるんだということもきちんと知らなければいけないということがあります。
ことしは、世界的にハッシュタグ・ミー・トゥー、あるいは日本ではハッシュタグ・ウイ・トゥーということで、女性たちが声を上げる、そういう性暴力被害に遭った人たちが声を上げるということが、ことしの前半には非常に大きな高まりを見せました。
片山大臣は、財務省に勤務されて、男性中心の労働環境の中で大変御苦労なさったんじゃないかなというふうに推察をいたします。
四月に起こった財務省の事務次官セクハラ事件について、これが本当に世界的にも、日本というのはどんな国なんだ、官僚になっている能力の高い、そしてもちろん常識も高い水準で持っている、そういう方たちが何をしているのかと非常に不信が募りました。
まず、この財務省事務次官セクハラ事件については、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
○片山国務大臣 お答えをいたします。
私が旧大蔵省に就職いたしましたのは一九八二年でございますので、男女雇用機会均等法ももちろん施行前で、国家公務員はそれとは違って、当然、もとからあらゆる差別がないという状況の包括性の中であるものでしたが、ほとんどの同僚は男性でございまして、当然のような長時間残業や実質泊まり、職場での寝泊まりということになると雑魚寝なわけですから、女性を差別しているというわけじゃないんでしょうけれども、女性がなじむのが非常に難しい職場環境は普通にあった時代でございまして、まさにこれは働き方改革の観点も大きいんですが、大変な、いわゆるノンタリフバリア的な経験もしてまいった世代でございます。
先般の財務省の事案につきましては、財務省全体の綱紀の保持に責任を負うべきトップの事務次官が、取材する側の立場ということですと立場が弱いわけですから、ある意味で優越的地位の濫用じゃないですけれども、こういった部分でのセクハラというふうに一般に理解されておりますし、時期を前後いたしまして、他省の幹部と部下ですか、そういったことの事件も想起されましたので、非常にこれはゆゆしきことであり、また、たまたま元同僚という立場でショックも受けましたし、遺憾に思いまして、当時、野田大臣が担当の大臣でいらっしゃいましたが、私は与党の方の政策責任者の一人でございましたので、大臣とも連絡をとらせていただきながら、大臣が御会見になった後に、党の方の政調会長代理の中で唯一の女性だったので、また元同僚であったということで、二度とあってはいけないことで、きちっとした対策をとるべきであるということを会見で申し上げさせていただいたわけでございます。
今回、このような立場を拝命して、六月に取りまとめられた緊急対策の着実な実施、被害の予防、救済、再発防止ということを担当大臣として全力を尽くしてまいりたい、かように思っております。
以上です。
○大河原委員 財務省の対応は極めてひどかった。そして、それが日本社会を映し切っている、そういう印象を私は持ちました。麻生大臣みずからが、自分の部下はかばうけれども、省としても、被害者が名乗り出てこいと。こういう被害を受けた人たちが声を上げられないことは、もうよくわかっているわけですよね。しかし、弁護士も女性の弁護士をつけているから、そこにどうして言ってくれないのかと。官房長、矢野さんでしたか。そういったところまで加害者を守る、そういった体質がこの日本社会にあふれて、そして、それが大臣の口からも出ていた。
その当時、片山大臣は記者会見でおっしゃっているんですよ。この福田事務次官、御同僚の方ですけれども、とても許容できない、かなりはっきりとおっしゃったと思いますが、思い出していただけますか。
○片山国務大臣 お答えいたします。
まさに、その記者会見を政調会長代理時代にさせていただいたときに、こういうことが二度と起きるようであってはいけない、これは許容できないというふうにはっきり申し上げましたし、たまたま今回この立場になりましたので、担当大臣として更にしっかりと対策をとってまいりたいという気持ちは全く変わっておりません。
よろしくお願いいたします。
○大河原委員 当時の野田大臣も非常に違和感を感じられて、緊急対策を打つという指示をなさったわけです。当時、片山現大臣は、そういった党の方の方ということでございましたけれども、とても理解しがたい、許せない、そういう思いをきちんとお持ちだったと思います。
ところが、党の人間なので、これは内閣を守る、政府を守るというお立場だということまでつけ足してしまわれたんですね。
ただ、今は、男女共同参画、そして女性活躍、この担当でいらっしゃる、その総責任者と言ってもいい、そういうお立場になられましたので、改めて、ことしの前半に起こったこの重大なことについて、全国民に、そして世界に発信をしていただきたいんです。
いま一度、この財務次官セクハラ事件についてどう捉えておられるのか、お聞きします。
○片山国務大臣 お答えをいたします。
委員重ねて御指摘のように、セクシュアルハラスメントを始めとする女性に対する暴力というのは重大な人権侵害なのだ、日本政府はそのように受けとめているのだということを改めてこの場で再度申し上げさせていただきたいと思いますし、女性が輝く社会と言う以上は、女性が安全に安心して暮らせる環境を整備するというのは当然必要不可欠な前提だということも、この場でしっかりと言わせていただきたいと思います。
まさに本当に、セクハラそれからDV、あらゆる種類の性犯罪関連的な事象ですね、広く捉えて、これは、被害を受けても非常に声を上げにくいという実態にあります。国際的にそうでありますから、被害の予防はもとより、弱い立場にある被害者が相談しやすい体制を整備するなど、あくまでも被害者の目線に立って被害者の保護、救済の取組を強化することが重要だと考えております。
こうした観点で、内閣府におきましても、女性に対する暴力をなくす運動を国民運動化していくこと、若年層を対象とする予防啓発の拡充や教育学習の充実、相談しやすい体制等の整備、二十四時間化、拠点となる病院の整備等、それから研修人材確保、関係機関の連携促進などの取組をより強く総合的に推進してまいりたいと考えております。
○大河原委員 前大臣の野田さんのセクハラ緊急対策、これをきちんと引き継いで、今列挙された対策をしっかり打っていく、それは当然のことだと期待をされています。もちろんのことです。その決意と、野田大臣は、実は当初、罰則規定の整備ということにも言及されたんです。しかし、実際には幹部への研修にとどまってしまっています。もちろん研修も入っているわけですけれども、そこでとどまっていたらだめなわけですよ。
片山大臣がセクハラは人権侵害、犯罪であるというふうにはっきり認識をされているというふうに今確認をさせていただいておりますが、それを一歩も二歩も進んだ政策へ進めていただきたい、法整備を含めた対応をしていただきたいというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。
〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕
○片山国務大臣 お答えいたします。
まさに、新たな法整備につきまして、労働政策審議会の雇用環境・均等分科会でも、セクシュアルハラスメントの防止対策の実効性の向上に向けて、男女雇用機会均等法の見直しについての議論が行われているところでございます。ほかにもいろいろと、若干分野は違いますが、今回の東京医大問題等も含めて、男女雇用均等参画の官邸の会議でも非常に広範な問題意識が有識者の間からも出ておりますし、我々もこの問題については敏感に機敏に反応しなくてはいけないというふうに考えております。
まず、緊急対策に盛り込まれた取組ということで、全ての官庁が研修及び相談窓口の整備については既に実行したかあるいは予定をしておりまして、実行した率が九割でございまして、残りの一省というか二省につきましても、もう予定でございます。
こういったところをしっかりと見定めて、まず、野田前大臣もおっしゃっておられたように、法改正ということになったら時間もかかるし、いろいろ萎縮の問題等もあるかもしれないので、まず、すぐできるところをきちっとやってみて、その上で、やってみた上でこれではだめだということがあればという話も含めて、一個も時間を無駄にすることなくしっかりと適切な対応をとってまいるということにおいては、一切後退もぶれもないものというふうに考えさせていただいております。
〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕
○大河原委員 労政審の議論も見せていただいていますけれども、セクハラとかパワハラ、これを防止していこう、なくしていこうという姿勢は見えます。しかし、それを禁止するんだ、だめなんだという強さが今一歩ないんじゃないか。
もちろん、求めている人たちは一生懸命求めている。だけれども、それを受けとめる使用者側も、あるいは政府の方針としても、これは、ちょっとやってみて、あらゆる手段を使ってみてだめだったらもう一回という話じゃないんですよ。毎日毎日被害者が出ている。場合によっては、声を上げたがゆえに実は職場を追われてしまうような、そういう状況さえ起こっているんです。だから、やはり、この状況については、重大な関心と意思を持ってぜひ前に進めていただきたいというふうに思います。
片山大臣のホームページを見せていただきました。そうしますと、若いころに被害の経験も持っている、DVや学校でのいじめなど、立場の弱い者への暴力は後を絶たない。つまり、こういった暴力はあらゆる場所で、そしてなかなか絶つことができない、そういう構造まで御認識と思います。そして、そこにはシェルターの対策を根気強く進めてまいりますと書いてあって、根気強くという言葉に、私は、片山大臣のこれまでの御苦労と、それから、政府の中でこれを旗を振って先頭に立っていく、そのときのちょっとした逡巡を感じるわけです。その点はどうでしょうか。
野田前大臣も、御自分の経験もあって、とても強い、芯のある御発言が続きました。片山大臣からも、寄り添っていくんだという女性たちへのメッセージ、国民へのメッセージをお願いします。
○片山国務大臣 お答えをいたします。
御指摘のように、数年前から、私は、自分の政策の中に、DVそれから女性に対する暴力、シェルター問題というのを掲げております。私自身もDVの被害者だったということを公表しておりますし、そういった意味で、いわゆる民間シェルターの方々の団体ともお話合いをして、いかにしてこの実態をきちっと把握して支援ができるかというようなことも党の立場でやってまいりました。
いわゆる民間シェルターにつきましては、民間団体によって運営をされている、暴力を受けた被害者が緊急一時的に避難できる施設でございまして、現在では、被害者への対応や被害者への自立に向けたサポートまで、非常に多様な援助を行っておられます。
内閣府といたしましても、DVや性暴力等の被害者支援の充実のために、民間シェルターを含めた民間団体との連携、援助も行っておりまして、今後、公的なものももちろんきちっと整備をしていかなければいけません。自立支援センター等もございます。
今後とも、こういったところの支援の充実に努めてまいるということも含めて、やはり、委員もそうでいらっしゃると思いますけれども、女性が世に出て仕事や職責を持って働くということになりますと、両立支援的な問題もまた非常に大きな問題ですが、これ以外にこのジャンルの問題も非常に大きな問題になりますので、総合的に捉えてしっかりと対応していくということにおいて、逡巡しないように頑張ってまいりたいと思いますので、ぜひ御支援を賜りたいと思います。よろしくお願いします。
○大河原委員 大臣おっしゃるとおりなんですよね。これは、働くということの前提以前の問題なんですよ。そして、世界じゅうで起こっている。日本はその対策がおくれているということがあからさまになった。それをやはり挽回しないといけない。そのことで今傷ついている人たちを確実に救済して、そういう人たちが二度とそういうことが起こらないようにする。幅広く考えるということが必要です。
今、シェルターの支援ということを言いましたが、ちょっと質問通告しておりませんけれども、きょう内閣府の池永参画局長に来ていただいていますが、このシェルターの予算、ふやしているかどうかわかりますか。大臣が一生懸命支援をしたいとおっしゃっているシェルターについては。すぐにわからなければ、よろしいですか。
○池永政府参考人 お答えいたします。
シェルター、民間で運営されているわけですけれども、シェルターに対しては、予算的なところはちょっと今数字を持ち合わせておりませんけれども、民間シェルターにおける取組に関する講演を研修などで実施したりして、内閣府では、もともと配偶者暴力相談支援センターの相談対応能力の向上のための研修というところで民間シェルターを参考にさせていただく、そういったことで講演を実施するなど、各種調査研究などにおいて、民間シェルター関係者も含めたヒアリングを行うなど、非常に民間シェルターと連携した形で支援に取り組ませていただいています。
予算的なことは、ちょっと数字がございません。
○大河原委員 日本の場合は、性暴力被害者救援センターというのがやっと各都道府県にできたぐらいで、民間のシェルターへの支援というのは本当に少ないですね。大臣がよく御存じだと思いますけれども、自治体任せになっていたり、それも微々たるもの。
大臣、せっかくこのポジションになられたので、そういう民間への支援をどういうふうに考えていらっしゃるか。私見で結構です。
○片山国務大臣 お答えをいたします。
幅広く支援をやっていこうということの中で、DV被害者等自立支援の自立生活援助モデル事業というのがございまして、DV被害者等自立生活援助モデルの一カ所当たりの補助単価が今四百二十二万五千円ということになっているんですが、シェルターをやっていただくNPO法人等に一定の支援をしていくということが、二十六年度三カ所、二十七年度四カ所、二十八年度一カ所、二十九年度一カ所ということで、全体の、児童虐待それからDV対策等総合支援事業の中の内数でやっております。
実は、連日のように各都道府県の知事さんや市長さんにお会いしているんですけれども、きのうも滋賀県の知事が来られて、女性活躍の推進という意味で、さまざまな問題を充実させていくいいきっかけにしたい、こういうことをおっしゃる自治体のトップの方は非常に多いものですから、ぜひこれを機会として、各自治体の方にも、あるいは市町村の方にも、努力というんですか、お呼びかけをして、こういったものが確実に浸透し、ふえていくように呼びかけてまいりたい、努力をしてまいりたい、かように思っております。
○大河原委員 前向きの御答弁だと思いますので、ぜひ進めていただきたいというふうに思います。
私、十一月に全国シェルターシンポジウムというのが札幌でありまして、行ってまいりました。そこでいろいろな方たちのお話を聞きましたけれども、その中で、今回、特に官民の境を越え、地域を越え、国境を越える女たちのネットワークということで、ミー・トゥー運動、ウイ・トゥー運動、こういう運動を広げる、声を上げやすくする、そういうこととともに、ここで話題になりました、もっと広げたいねというふうに皆さんが言い、そして、ここに注目が集まっていたのが、欧州評議会がつくりました女性に対する暴力、ドメスティックバイオレンス防止条約、通称イスタンブール条約です。このことを、大臣、御存じでしょうか。
○片山国務大臣 お答えをいたします。
通称イスタンブール条約は、二〇一四年に発効した、欧州評議会の女性に対する暴力及びドメスティックバイオレンス防止条約であると承知しておりまして、今、欧州評議会加盟国の三十三カ国が批准なさっているんですね。
これは加盟国以外にも開放されておられまして、四要素がございまして、まず防止する、一に防止する、二が被害者の保護、そして三が違反者の訴追、四が統合され全体的に調整のとれた方針。この四つの原則で、女性に対する精神的なものも含めた暴力、ストーカー行為、身体的暴力、性的暴力、強制結婚などを犯罪とすることを締約国に義務づけるなど、女性に対する暴力の防止、被害者の保護と加害者の訴追に関する最低限の基準を定めたものだというふうに承知をしております。
もちろん、男女共同参画社会の形成のために克服すべき根源的な問題が女性に対する暴力の根絶という認識でございますので、こういった条約も含めた取組も調べながら、関係省庁と連携して、どうやって対応するか、しっかり対応していくという方針を常に実施しているところでございます。
以上でございます。
○大河原委員 詳しくお答えいただきまして、ありがとうございます。
本当に、十二章八十一条から成るもので、私も勉強を始めたところです。資料の二に配りました四本柱、防止、保護、訴追、そして総合、包括的政策、このことでございますけれども、女性に対する暴力が人権侵害で、そして差別の一形態で、そして、法律上も事実上も男女平等を達成していく、そのことが重要なんだということが非常によくわかる、わかりやすいものになっているというふうに思っています。
このイスタンブール条約をモデルにした法整備、これが必要だというふうに、団体の方たち、活動している方や学識経験者、学者の皆さんもおっしゃっているわけなので、ぜひ大臣、これを研究していただけないでしょうか。イスタンブール条約をモデルにした法整備の研究、いかがでしょうか。
○片山国務大臣 お答えをいたします。
条約ということでございまして、今、イスタンブール条約の内容と、あるいは国内法制との関係等の問題につきましては、所管の外務省が中心になって外務省等で精査をするということで、それを前提として、これから我が国がこの分野についてきちっとした対応をしていく上でどのような参考になるのかということにつきましては、引き続き、女性に対する暴力根絶に関する国際的な動向の中の大きな動きとして、しっかりと勉強させていただきたいと思っております。
○大河原委員 ありがとうございました。
女性活躍法というのはプロセスで、やはり男女共同参画社会、ジェンダー平等社会、これがゴールなわけですね。ですから、そこに対してあらゆる手だてを講じていく。
安倍政権では、この女活法は経済政策だという打ち出しをなさいました。しかし、やはり社会政策としてしっかりと、漏れなく、そして途切れることなくしていく、このことが、男女共同参画社会そして女性活躍推進、これを御担当になる大臣の、兼務されているわけですから、そこが一番大きな役割だというふうに思っております。
ジェンダー主流化施策の推進、そして、困難な状況に置かれている女性たちの救済そして自立支援、こうしたことに全力を尽くしていただきたい。そして、ともに働いてまいりますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○牧原委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○牧原委員長 速記を起こしてください。
次に、森田俊和君。
○森田委員 国民民主党の森田俊和でございます。
大臣、ありがとうございます。
早速でございますが、質問に入らせていただきたいと思います。少子化の対策ということでお伺いをさせていただきたいと思っております。
今、一般的に、結婚する年齢が大分上がってきているということもございまして、妊娠だとか出産ということを、私たちが、なかなか、日ごろの日常生活、仕事に追われてしまって、自分の人生の中でどういうタイミングで結婚するか、出産するかというのが、どうしても後に行ってしまうというような傾向もあるのではないかなと思っております。
妊娠だとか出産しやすい医学的あるいは生物学的な理由というのがある中で、やはりこういった理解をしていくということは必要かなというふうに思っているんですけれども、このあたりの教育であったり、あるいは周知の機会というものを持つということについて政府はどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。
○宮腰国務大臣 少子化対策におきましては、結婚や子供につきましての希望を実現できる社会をつくることを基本的な目標としております。そのためには、森田委員御指摘のとおり、一人一人が、結婚、妊娠、出産、子育て、仕事を含めた将来のライフデザインを希望どおり描くための知識や情報を適切な時期に知ることが重要であると考えております。
このため、少子化社会対策大綱に基づきまして、妊娠や出産などに関する医学的、科学的に正しい知識について、学校教育から家庭、地域、社会人段階に至るまで、教育や情報提供に係る取組を進めております。最近では、文部科学省、内閣府、厚生労働省が連携をいたしまして、高校生に対し、自分の職業や家庭、将来について実践的に考える機会を提供するための教材を作成いたしまして、地方公共団体に対し、その活用について周知をしたところであります。
引き続き、一人一人が将来のライフデザインを希望どおり描けるように、関係省庁と連携して取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
○森田委員 どうもありがとうございます。
感覚的に言うと、学校を高校、大学と出てから、いろいろ逆算してみますと、体外受精なんかも含めて、いわゆる妊活というものに取り組んだとしても、なかなか妊娠、出産に至らないという年齢というものがどうしてもあるという中で、逆算していくと、例えば第三子ぐらいまで持ちたいといったら、二十代から、いわゆる妊活というか、そういうものも考えたことをやっていかなくちゃいけないでしょうし、一人産みたいと思っても、多分、三十五ぐらいが一つの目安になってくるのかなと思っております。
今、どんどん晩婚化が進んでいくということを考えると、感覚的には、学校を出てすぐ結婚して、キャリアが始まったばかりで忙しいんだけれども、結婚したり夫婦生活をとか、そういういろいろなことを一遍にやらなくちゃいけないというので、自分自身の中でやはり準備ができていないと、なかなかそういう感覚にはなりづらいのかなと。
同期が一生懸命頑張っている中で、自分だけそこから外れ、まあ、外れるわけではないんですけれども、結婚したりなんだりというと、やはり不安になるということもあると思いますので、これは本人だけではなくて周り、先ほども御答弁いただきましたけれども、周りも含めて、そういう環境づくりというものができればなと思っております。
ぜひ、学校だけではなくて、社会に出る段階でも、大学とか、あるいは社会に出てからもそういう機会が持てるように、しっかりと政府としてもサポートをしていただければなというふうに考えております。よろしくお願いいたします。
大臣の質問は以上でございますので。
○牧原委員長 宮腰大臣は御退室をお願いします。
○森田委員 ここから先は、防災の関係で質問させていただければなと思っております。
ことしは、大分大きな風水害が多くて、九月三十日に関東を襲いました台風の二十四号、この中で、JR東日本がいわゆる計画運休というようなことを行いました。夜八時以降の運行を取りやめるということをやったわけですけれども、これについての評価を聞かせてください。
○江口政府参考人 お答えいたします。
本年九月の台風二十四号では、JR東日本を始め、首都圏や関西圏などのJRや民鉄などが計画運休を実施いたしました。
この台風では、風速や雨量などが運転を規制する基準値を上回ることが事前に予想されました。このため、各鉄道事業者は、駅での混乱や駅間停車した場合の乗客の閉じ込めなどを防止する観点から、計画運休を行ったものと承知しております。台風接近、上陸時の風速の大きさなどに鑑みれば、今回の対応は適切な措置であったと考えております。
一方で、鉄道利用者への事前の情報提供や運転再開時の対応などについて課題も指摘されており、これらをしっかりと検証し、今後の対応の改善を図ることが重要であると考えております。このため、十月十日に鉄道の計画運休に関する検討会議を開催いたしまして、今後の計画運休のあり方などについて検討し、十月十二日に中間取りまとめを行いました。
この取りまとめでは、大型の台風などが接近、上陸する場合などにおいては、旅客の安全確保等の観点から、路線の特性に応じて、計画運休は必要と考えられること、運転再開に当たっての安全確認について、基本的には全線にわたり、構造物の状態や飛来物による支障状況を確認する必要があること、利用者への情報提供について、極力前広に、多様な伝達手段を用いて、多言語で公表すること、また、地方自治体へも積極的に連絡することなどが取りまとめられたところでございます。
また、今回行ったのは中間取りまとめでございまして、今後引き続き検討するべき事項といたしましては、地方自治体への情報提供の仕方、自治体の範囲、それから、計画運休する時間の表現の方法などが残されているものと認識しております。
国土交通省としましては、今回の中間取りまとめを踏まえまして、鉄道事業者による計画運休や利用者への情報提供などが適切に実施されるかをしっかりとフォローアップするとともに、残された課題についての検討を進め、旅客の安全輸送を確保し、利用者に安全、安心感を与えるための取組に引き続き取り組んでまいります。
○森田委員 ありがとうございます。
非常に、首都圏全体のJRの路線をとめるということで、その影響はかなり広範囲にわたったんだろうと思っております。もちろん、そこにお住まいで、日ごろそれをお使いの方もそうですし、それから、首都圏に旅行とか出張で既に行程を組まれて、例えば首都圏に住んでいれば、テレビニュースで、朝つければ、ああ、こんな感じだな、朝ではなく、このときは昼だったですかね、テレビニュースを見ていればそういうこともあったのかもしれませんけれども、やはり、例えば遠くから来て、もう朝出ちゃっていて、来てみたら実はもう電車が動いていなかったというようなことも起こりかねないなと思っております。
ぜひ、今、SNSを始め、いろいろな情報伝達の手段もありますし、それから、例えば、本当に広域な大規模な運休であれば、マスコミ各社の協力もいただきながら、少し離れたところであってもその辺のところがちゃんと伝わるような形で工夫をお願いできればなというふうに考えております。
また、これは東日本大震災のときだったと思いますけれども、運行しないということで駅のシャッターを閉めてしまったりとか、どこにも行き場がなくなってしまった方が更に寒い中で困ってしまったなんという例もあったように覚えておりますけれども、そんなことも、やはり、運休が決まった後も、御利用される方の配慮もぜひお願いしたいというふうに考えております。
また、今回、JR始め、あと私鉄も何社かあったようですけれども、こういった大規模の運行休止をするようなときというと、相互の直通乗り入れなんかをしているという例も結構な路線があると思います。そういった鉄道会社間の連携というものは、どうなっておりますでしょうか。
○江口政府参考人 お答えいたします。
計画運休については、各鉄道事業者が、輸送の安全確保の観点から、気象状況や鉄道構造物などの各路線の特性を踏まえまして、各鉄道事業者の判断により行われているところでございます。
一方で、鉄道の利用者にとっては、みずからの行動等を判断するに当たり、どの路線でいつごろから計画運休が行われるのか、運転再開がいつごろになるかなどの情報が非常に重要になってきます。
このため、先ほど答弁させていただきました本年十月の鉄道の計画運休に関する検討会議での中間取りまとめでは、委員御指摘のとおり、計画運休を実施するに当たっては、相互直通及び並走する他の鉄道事業者とも連携を図りながら、利用者等への情報提供などを適切に実施すること、運転再開に当たって、安全確認に時間を要する場合や被害による輸送障害の発生も想定されることから、相互直通及び並走する鉄道事業者とは密接に連携を図り、利用者に適切な情報を提供することなどを取りまとめたところでございます。
国土交通省としましては、このような鉄道事業者間の連携が適切に行われるかなどについても、しっかりとフォローしてまいりたいと思います。
○森田委員 ありがとうございました。
これから、こういった計画運休といったことも多分ふえてくるんじゃないかなと思っておりますので、ぜひ、あくまでも安全第一ということですけれども、周知の方も丁寧にお願いできればなと思っております。
それから、ことしの七月豪雨で山陽線が不通になったことがございまして、そのときに、貨物が迂回運行、これは山陰を迂回して運行するということでありましたけれども、そのときにかかった日数が一カ月半ほどかかっているということがございましたけれども、これについてどのような評価をされていらっしゃるか、お聞かせください。
○江口政府参考人 お答えいたします。
平成三十年七月豪雨災害によりましてJR山陽線に不通区間が発生したため、七月五日から同路線の貨物列車が運休いたしました。このため、JR貨物では、トラックや船舶による代替輸送を七月十二日から実施するとともに、山陽線を迂回して、伯備線、山陰線、山口線を経由する迂回輸送を八月二十九日から実施いたしました。
今回、迂回輸送を行った経路につきましては、貨物列車が走行していない経路であったことから、迂回輸送実施に当たり、運転士の養成、線路等の設備の確認、ダイヤ調整などが必要となり、これらの準備に時間を要したものと承知しております。
また、国交省におきましては、当該迂回経路で貨物輸送を行うのに必要となる鉄道事業法上の許可を即日交付するなど、最大限の協力を行ったところでございます。
今後とも、引き続き、JR貨物に対して、今回のような災害発生時においても代替輸送が適切に実施されるよう指導していくとともに、必要な協力を実施してまいりたいと思っています。
○森田委員 JR貨物の関係者から伺ったんです。先ほど御答弁にありましたけれども、非常に早くその免許を出してもらったということで、そこについてはかなりのスピード感を持ってやっていただいたと思うんですけれども、あとは、路線を持っているJR西日本との調整だとか、先ほどお話のあったようないろいろな調整が必要だということもありました。
これから、例えば、南海トラフの大きなまた災害が予想されているということもあります。こういった多線区が不通になった場合への準備といったようなものはどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。
○江口政府参考人 お答えします。
災害発生によりまして鉄道路線が不通となった場合、復旧までの間の輸送力を確保することは重要な課題と認識しております。
例えば、南海トラフ巨大地震により東海道線が被災した場合における首都圏と西日本を結ぶ貨物列車の代替ルートとしましては、JR貨物では、北陸線又は中央線を経由することを想定しております。また、JR貨物では、平成三十年七月豪雨における対応を踏まえまして、鉄道の不通区間が発生した際の、迂回輸送を含めた代替輸送を実施するための対策強化に向けた検討を開始したところと聞いております。
引き続き、災害発生時における代替輸送の確保について、JR貨物を適切に指導してまいります。
○森田委員 ありがとうございます。
もちろん、山陽本線も大動脈にということについては皆さん共通の認識だと思いますし、さらに、やはり、東海道線が何らかの影響を受けると非常に大きな経済的な影響が出てくるというふうにも思っております。
先ほども、山陰方面を迂回するときも、機関車が通れる、通れない、あるいは乗務員さんの養成とかというのがありましたけれども、ある程度予想されているところについては早目にそういったことを準備しておくというのが必要なことだろうなと。
恐らく、例えば、各都道府県、市町村なんかで、危険箇所、ハザードマップ等で、ここはちょっと土砂崩れなんかが大分可能性としては高いな、危険が高いなというようなところなんかが路線の中でも何カ所か想定されているところがあるんじゃないかなと思いますので、この区間が潰れたときにはどこに回すかというような、幾つか、シミュレーションも含めて、そんな丁寧な準備をしていただけると、いざというときの備えがより確実なものとして進んでいくんじゃないかなと思っておりますので、ぜひ引き続きお願いできればなと思っております。
続いて、突風だとか竜巻についての質問をさせていただきたいと思っております。
先日、滋賀県の米原市を訪問させていただきまして、米原市で六月の二十九日に風速約六十五メートルという風、大風、竜巻が発生したということでございまして、いろいろな被害がある中で、百五十件ぐらいの被害が出たということがございました。
また、私の地元でありますけれども、行田市におきましても、これは突風で、八月の二十五日に大小合わせて二十件ぐらいのやはり被害が出ているような、そんなこともございました。
まずは、注意情報の精度について、これは難しいと思うんですけれども、精度の向上についてどんな取組をされていらっしゃるか、お聞かせください。
○関田政府参考人 お答えいたします。
気象庁では、竜巻等突風への注意を呼びかけるため、時間を追って段階的に情報を発表させていただいております。
具体的には、大気の状態が不安定となり、竜巻等突風の発生する可能性がある場合には、その半日から一日前に気象情報を発表し、その後、雷注意報の中で竜巻等突風について注意を呼びかけております。さらに、竜巻の発生する可能性が一層高まった場合や、実際に竜巻発生の目撃情報を得た場合には、速やかに竜巻注意情報を発表するということにしております。
しかしながら、竜巻などの激しい突風は極めて局所的また短時間に発生する現象のため、竜巻の発生そのものを気象レーダーで把握したり事前に予測することは極めて困難な状況にあります。このことから、竜巻注意情報の精度は必ずしも高くないというのが現状でございます。
こういった現状を踏まえまして、気象庁といたしましては、竜巻注意情報の精度向上に向けまして、実際に竜巻が発生した際に現地調査を速やかに行い、竜巻の発生条件を分析するとともに、次世代型の気象レーダーの導入等による積乱雲の監視能力の向上やスーパーコンピューターによる数値予報技術の開発などを進めているところでございまして、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○森田委員 ありがとうございます。
伺うところによりますと、的中率というものがかなり低いということでございまして、確かにやむを得ないかなと思っております。米原市のケースでも、注意情報は、確かにその日は出たのは出たんですけれども、注意情報が出たというのが流れたときにはもう既に竜巻が来てしまっていた、そういうような状況だったということもあります。
今お話しいただいたようないろいろな精度向上についての取組があると思いますので、ぜひ、より安心、安全な暮らしに向けて予報精度を上げていただければと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
被害に遭われたところといろいろとお話をさせていただいておりますけれども、被災者の生活再建支援制度というものがございますが、こちらはいろいろと基準が決められておりまして、例えば一つの市町村で十世帯の全壊がないと適用にならないとか、いろいろございますけれども、例えば、市とのお話で出ておりましたのが、半壊の住居であったり、あるいは、市の所有でもないし、皆さんが住んでいる建物でもないしという、例えば自治会館だとか集会所とか、半公的というか共用というか、そういうところになかなか使える枠組みがないというようなお話もございました。
ぜひ、例えば大規模な水害があったとか大規模な地震があったとかで、明らかに大規模な被害があって大勢の方々が被災されているというときには、確かに、何も文句なくそういう支援の枠組みというのは適用できると思うんですけれども、こういった制度の適用について、そういった拡充が図れないものかなということがございますけれども、これについて御所見を伺えればなと思います。
○米澤政府参考人 お答えいたします。
御指摘の被災者生活再建支援制度につきましては、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、生活基盤である住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対しまして、全都道府県の相互扶助及び国による財政支援により支援金を支給するものでございます。被災者の生活再建を支援するものとなってございます。
そのため、御指摘いただきましたような住宅以外の被害につきまして支給対象とすることは、この制度の本来の趣旨からしますと難しいものと考えてございます。
また、さらに、御指摘いただきました支給対象の拡充や適用地域の拡大につきましては、過去の災害の被災者との公平性や、国や都道府県の財政負担等の課題もございますが、先日、全国知事会からも同様の御提言をいただいているところでもございますので、今後、御趣旨や考え方等を伺いまして、意見交換を行っていく考えでございます。
○森田委員 ありがとうございます。御検討いただけるということでございます。
この米原市も、人口三万八千という、非常に交通の要衝であるというイメージから考えますと、かなり人口も少な目の市だというふうなこともありまして、これから過疎化が進んでいきますと、やはり小規模な自治体なんかはかなり復興に、あるいは被災された方の支援に困ってしまうというようなこともあると思います。今も、例えば半壊を二軒で全壊の扱いにしていただくとか、あるいは床下浸水が三軒で全壊一軒の扱いとか、その辺のところをやっていただいているということでございますので、ぜひ、柔軟な計算式を取り入れていただければありがたいなというふうに考えております。
それから、先ほど予測も大変難しいというお話もございましたけれども、突風だとか竜巻に対する備えというものを政府としてどのように考えていらっしゃるか、御所見をお聞かせいただければと思います。
○米澤政府参考人 お答えいたします。
竜巻等の突風は、突然発生いたしまして、短時間で大きな被害をもたらす自然災害でございます。先ほど気象庁からも御答弁ありましたように、その発生予測は難しく、事前の避難等の対策がとりづらいものでございます。
こうした竜巻被害の特徴を踏まえまして、国民の方々みずからが適切な退避行動をとることなどによりまして、被害を軽減することが重要でございます。
例えば、竜巻が発生し接近してきた場合に、屋外では直ちに近くの頑丈な建物の中に逃げ込むこと、また、屋内では窓やドアから離れることなどの退避行動をとることが重要でございます。また、学校等の人が集まる施設におきましては、あらかじめガラスの飛散防止対策を講じる必要がございます。
このような、国民みずから身を守る行動を促すために、内閣府といたしましては、パンフレット等を活用し、自治体や住民に対しまして普及啓発に取り組んでいるところでございます。
引き続き、関係省庁と協力いたしまして、竜巻等突風対策に取り組んでまいります。
○森田委員 今回も現場を見せていただいたんですけれども、ほぼ、竜巻が通ったところが当然ながら被害があるわけでございまして、逆に言えば、それから外れるとほとんど被害がないということでございます。私の地元の熊谷市でも何年か前にそういう突風の被害があったんですけれども、本当に柱が飛んできて、家の中に突き刺さって、一歩間違えば本当に人命にかかわるような事態もあるということで。
ただ、難しいのは、こういう災害が自分のところに起こるということを思っている人がほとんどいないものですから、まずは、こういった突風だとか竜巻の被害がまず起こり得るんだということの周知を丁寧にしていただいて、少しでも人命が危険にさらされるようなことがないように、更に丁寧な周知をお願いできればなというふうに思っております。
時間が参りましたので、私の質問は以上で閉じさせていただきます。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いをいたします。
質問に入る前に一つ、一つというか一言。この内閣委員会では、今のところ、例えばパソコンの画面を見ながらとかタブレットを見ながらとかの質問が、一応委員会としては、明示的に、行ってもいいですよということは決めていないと思うんですね。厚生労働委員会なんかは、今もう既に、パソコンを見ながら質疑をしたりとかそういうことは委員会として認めているんですね。ぜひ、内閣委員会でもそういったところを認めていくように、これから、もちろん、これは理事会で協議されることだと思いますけれども、ぜひお願いをしたいなと思います。
今、ちょっと質問を整理していてパソコンを使っていたので、わざわざ紙にそれを書き写して持ってきましたので、全く非効率的なことになってしまっていますので、よろしくお願いをしたいと思います。
それと、ついでにといいますか、これも理事会で協議をしていただけたらと思うんですけれども、理事懇、理事会で資料がたくさん出されます。この席に座りますと、また同じ資料がどんと置かれている。閣法なんかは、分厚いやつとかたまに二冊とかになりますけれども、これも、実は厚生労働委員会なんかは、理事メンバーには重複して配らないようにもう既にしてあるんですね。非常に小さな努力ですけれども、そういったことをちょっとまた内閣委員会でもしっかりと理事会でやっていただけたらなというふうに思っていますので、冒頭、少し言わせていただきました。
○牧原委員長 それは、理事会で積極的に協議をさせていただきます。
○浦野委員 よろしくお願いいたします。
それでは質問に入りたいと思います。
きょうは、一問目は、まずは保育園等の決算の報告書についてなんですけれども、社会福祉法人は決算書等の公開が義務づけされていて、それがWAMNET若しくは自園のホームページとか、そういうところに載せてくださいねということは一応ルールで決まっております。
私たち、大阪は、ホームページにちゃんと決算を必ず載せてくださいねというふうに指導を社会福祉法人はされていまして、それは当たり前のことだと思ってやっていたんですね。
今回、国会でも話題になったのは東京都内の、企業型とか株式会社がやっているような類型の保育園の決算書、決算で、保育士への給与が本当にちゃんと支払われているのかと。全体の予算に占める人件費の割合が二十何%とかいう法人がある、株式会社運営の保育園がある、これは一体どういうことだと。普通だったら七〇から八〇%ぐらいが平均なんですね、人件費が占める割合は。それが極端に低いところがあるというのが問題になっています。
東京都は、来年度から、そういう決算書、決算とかの公開を義務づけますということになったんですけれども、そこで、私、社会福祉法人の保育園はもう大分前から手がけているので、これは全国でやっているものやと思っていたんですけれども、なかなかやれていないというのが現状なのかなと。
保育園について、社会福祉法人立の保育園について、認定こども園について、企業型保育所について、それと、ちょっとこれは質問通告で私は言っていなかったかもしれないですけれども、東京には東京で独自の認証保育園というのもありますけれども、こういったありとあらゆる保育園、子供を預かる、認可外施設は、いわゆる企業型じゃない認可外保育園はちょっとまた議論はおいておきますけれども、そういったいろいろな類型の保育園の決算書の公開を義務づけているのかどうかというのをまず御答弁をいただきたいと思います。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
法人ごとに異なってございまして、まず、社会福祉法人につきましては、先ほど委員御指摘のとおり、インターネット公表が義務づけられていると承知してございます。
それから、学校法人、数は少ないかと思いますけれども、学校法人につきましては、私立学校法の中で、その利害関係人のみ閲覧可というような仕組みになっていると承知してございます。
また、株式会社立でございますけれども、こちらは、官報、新聞、あるいはインターネットで公告するということになってございますが、公告する内容は、大会社とそれ以外では少し対象書類が異なってきているというふうに承知してございます。
○浦野委員 類型によって、何々立かによってばらばらだということなんですけれども、私は、これはぜひ各施設ごとの決算書、公開を義務づけるべきだと思いますね。
というのは、やはり、せっかくキャリアアップとかそういったもので、政府が、国がいろいろ手当てをして保育士さんたちの給料を上げている、上げられるようにしているにもかかわらず、そういったことが実際に保育士に使われているかどうかが全く不透明なところがたくさん出てきている。それは、やはり我々チェックする側、もちろん行政もチェックしないとだめですけれども、そういったところがすぐにちゃんと見られるように、そういう全施設に公開を義務づける。どういう類型でその保育園が運営されているのかは全く関係なしに、その園、その園で決算書をちゃんと、決算書はちゃんとあるはずですから、それを義務づけるべきだというふうに思います。
そうじゃないと、なかなかやはりわかりませんので、ぜひ、これはよく社会福祉法人とか株式会社が参入したときに、イコールフッティングみたいなことをずっと議論されたことがありました。イコールフッティングだというならば、決算書の扱いもイコールフッティングで、しっかりと横並びでやってもらえたらなと思います。
一つ目は以上です。
二つ目、これは、きょうは、ほかの委員からも無償化のことをちょっと触れられましたけれども、今回、幼児教育の無償化について、政府から地方自治体に最終的には負担を求めるというニュースが流れております。
この地方負担分というのはどういうふうにして計算をされるのかということを、その考え方ですね、それをまずちょっと教えていただけたらと思っています。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
今回の地方負担と申し上げていますのは、今般の消費税率引上げに伴いまして、国と地方へ七対三で配分されるその増収分を活用していただくことによりまして、必要な地方財源をしっかり確保したいという趣旨でございます。
○浦野委員 これも、皆さんに来ていただいて、いろいろと勉強させていただきましたけれども、説明を受けるんですけれども、その詳細の内容については、非常に複雑な制度になっていまして、一度説明を聞いたぐらいではなかなか頭の中に入ってこないような仕組みです。
私は、これは今、全国市町村会などは非常に怒っていらっしゃるというのが一番適当な表現だと思いますけれども、今までそういったことを全く示してこなかったのに、突然そうやって、早く決めてくれ、決めてくれと市町村が言ってきたにもかかわらず、それをなかなか決めずに、それで出してきたら、地方も負担してくださいみたいな話というのはもう許されへんということで、皆さん御立腹なわけですけれども。
これは、私たち、この幼児教育無償化の話の前に、子ども・子育て支援に一兆円確保するという、二〇一二年、これはいわゆる三党合意で、消費税を八%に上げるときにそういう議論がありました。その一兆円の内訳は、八%に増税したときに〇・七兆円は確保したわけですね。残りの〇・三兆円、これをどうやって確保するのかということは宿題になっていたわけですね。
今回のこの無償化の予算とこの〇・三兆円というのは全く別の話と私は理解しているんですけれども、その認識は正しいですか、よろしいですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおりでございまして、〇・三兆円、こちらにつきましては、消費税財源以外の財源により実施することとされております、さらなる質の向上を実施するためのものでございます。
○浦野委員 ということは、一〇%に消費税が上がったとしても、この〇・三兆円というのはまた別枠でしっかりと手当てをするということで、確認ですけれども、よろしいですね。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
委員指摘のとおりでございまして、〇・三兆円メニューにつきましては、今般の骨太の方針二〇一八におきましても、「子ども・子育て支援の更なる「質の向上」を図るため、消費税分以外も含め、適切に財源を確保していく。」とされているところでございます。
○浦野委員 ありがとうございます。
地方負担分は、これは本当に、地方自治体、一生懸命健全化に努力している自治体にとっても非常に大きな話ですので、ぜひしっかりと地方の言葉に耳を傾けていただけたらと思います。それでは、二つ目はこれで終わります。
最後に、きょうもSDGsのことで、前回ちょっとさらっとしか触れませんでしたけれども、SDGs、これは非常に広範囲にわたるいろいろな目標があって、これを一括して統括、推進する。組織上は総理大臣、安倍総理が本部長ですから、総理が旗振り役でやるというのは表面上は理解できるんですけれども、絶えず総理がこのことについて、いろいろと聞かれて、本部長として答弁するかというと、そういうわけじゃないので、じゃ、誰が答弁するんですかとなって、なかなか、非常に難しい。
省庁がたくさん集まっている内閣府でよくある、誰が答弁するねん問題というのがまた出てきまして、誰に聞いたらいいかわからぬみたいなことで、この間、こっち側じゃなくて皆さん方側で、政府側で何かちょっともめてはりましたけれども、きょうは答弁できるところはちゃんとわかっているみたいですので。
未来都市というのを、SDGsの未来都市モデルとして、三十カ所ぐらいでしたかね、指定をして取組をされています。
私は個人的に、長崎県の壱岐市の農業に関するITを活用した取組、これは非常に、我々都市部の、都市近郊農業でもこういったことをもっとできないかなというふうに思って、私も興味のある分野です。こういった取組もされているわけですけれども、これは、国内で出た成果を最終的には途上国などで、こういうふうなやり方をすればこういう結果を出せますよみたいな、途上国で展開させるための取組なんだという認識は正しいんでしょうか。ちょっとお聞きしたいと思います。
○桑原政府参考人 お答え申し上げます。
二〇一五年に国連で採択された持続可能な開発目標、SDGsは、誰一人取り残さない持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現するため、先進国を含む全ての国が行動することとされています。
日本は、SDGs推進本部のもと、政府一体となって、SDGs実施指針や拡大版SDGsアクションプラン二〇一八に基づき、国内実施及び国際協力の両方においてSDGsを推進しています。
本年十月の日・メコン首脳会議では、メコン地域におけるSDGsの実現に貢献する日・メコン協力プロジェクトを特定するなど、日本のみならず国際社会全体におけるSDGs達成に向け貢献しているところでございます。
九月の国連総会において安倍総理が、日本はSDGsの力強い担い手となると表明したとおり、来年のG20やTICADに向け、人間の安全保障に基づき、教育や保健等のSDGsの主要分野において国際社会の取組をリードしてまいります。
○浦野委員 答えになっていなかったですけれども、以上で、時間が来ましたので質問を終わります。
○牧原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
きょうは、外国人労働者の問題をお尋ねいたします。
政府としても、入管法の改正案とともに、外国人の受入れや共生のための総合的な対応策をとるところであります。その点で、最初に官房長官にお尋ねをいたします。
昨日の入管法改正案のああいう強行採決は、余りにもひどいと言わざるを得ません。議運の理事会で重要広範議案として確認していたにもかかわらず、連合審査もやらなければ、総理出席の委員会での質疑も行わない。
新しい制度では、現行の多数の技能実習生が新しい制度に移行するということも政府は認めているわけであります。このような現在の技能実習生の深刻な労働実態、権利侵害の実態があるときに、新しい制度をそのまま認めるというわけにはいかない。こんなやり方は禍根を残す。
これで国民の理解が得られると率直にお考えでしょうか。
○菅国務大臣 国会のことは政府の立場で発言することは控えたいというふうに思いますけれども、国会の議論の中で進んできたことだろうと思います。
○塩川委員 国民は、今国会で急ぐ必要はないと。世論調査などを見ても明らかであります。慎重かつ十分な審議を行うべきで、重要事項がほとんど省令以下という政府白紙委任法は認められない。撤回をすることを改めて求めておくものであります。
実際のこの技能実習生の問題について、外務省、法務省にお尋ねします。
最初に、在ベトナム日本大使館のホームページですけれども、十月十三日に、日越人材育成交流会イン・ハティンという集まりにおいて、大使館から挨拶を行った、その挨拶の中身がホームページ上でも紹介をされているところです。
「日越両国の交流の拡大は大変喜ばしい」「しかし、留学・技能実習の急増により問題も生じています。日越関係に影を落とすものです。技能実習生の失踪者数はワースト一位で、全体の半数以上をベトナムが占めています。不法残留者も年々増加しています。そして何よりも、犯罪の増加が問題です。昨年の刑法犯の検挙件数はベトナムがワースト一位」「ベトナムの若者は夢や希望を抱いて訪日しており、決して最初から犯罪をしようと思って日本に行っているのではなく、犯罪をせざるを得ない状況に追い込まれています。多額の借金を抱え、日本に行っても借金が返せず犯罪に走る。ベトナム、そして日本において、悪徳ブローカー、悪徳業者、悪徳企業がばっこしており、ベトナムの若者を食い物にしています。ベトナムの若者の人生をメチャクチャにしています。日本におけるベトナムのイメージ、そしてベトナムにおける日本のイメージが悪化することを懸念しています。本問題は大使館にとって最重要課題の一つです。」
このように大使館の挨拶があるわけであります。
この挨拶にある悪質ブローカー、悪徳業者、悪徳企業、この実態について、外務省としてはどんな把握をしておられますか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の十一月に外国人の技能実習の適正な実施と技能実習生の保護に関する法律が施行され、それに基づき制度の適正化を図っておるところでございます。
その効果を十分に上げるという観点から、在ベトナム大使館では、不適切なブローカーや企業等の情報収集について、あらゆる手段を挙げて努めているところでございます。
○塩川委員 情報収集しているだけということですか。こういう悪徳ブローカーについて排除する、こういったことについては何かやっているんですか。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
得られた情報、特にベトナム関係者に関しましては、ベトナム政府に情報提供いたします。基本的には許認可等の権限はベトナム政府にございますので、彼らに対して情報提供をして、対応を促すということでございます。
○塩川委員 情報提供だけの話で、じゃ、実際に、悪徳業者がばっこしていると大使館が言っているじゃないですか、そういうばっこしている状況について、単なる情報提供だけでいいのか。
そもそも、こういう悪徳業者、悪徳ブローカーなどを排除する仕組みはどうなっているのかということが問われているんじゃないですか。それはどうですか。
○高橋政府参考人 そこは委員の御指摘のとおりだと思います。
先ほど申し上げましたとおり、許認可についてはベトナム政府にございまして、例えばベトナムの労働・傷病兵・社会省のところで、海外派遣を扱う企業というのはベトナム政府の認定を受けております。したがいまして、そういう問題のある業者等について日本政府が情報を得た場合には、ベトナム政府に情報提供して、しかるべき対応をとっていただくということだと思います。
本件に関しましては、例えば日越首脳会談、外相会談の場でも、適正な対応をすべく協力していこうということで確認をされているところでございます。
○塩川委員 大使館の挨拶の中では、「送出機関は三百以上あります。残念ながら良い会社だけでなく、悪徳機関もあります。」「だまされないでください。」というのを、実習を希望するような人たちに向けてしゃべっているんですよ。悪徳業者がいるということを認めている、そういう挨拶になっているわけなんですよね。
つまり、そう言って、ベトナムの日本に来たいというそういった方々をだますような業者を排除する仕組みがないということじゃありませんか。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
例えば、ベトナム大使館のホームページを見ますと、ブローカーに注意という形でメッセージを出しております。基本的に、送り出し機関は関与できますけれども、ブローカーは関与できない。一方で、ブローカーをかたって、日本に技能実習で出しますよという業者がいますので、そういう人たちには近寄らないようにしてくださいというメッセージを出しております。
したがいまして、ブローカー自体はそもそも制度の中にない存在でございますので、こういう形で排除をするということで注意喚起をしているということです。
○塩川委員 いやいや、大使館の挨拶には、送り出し機関が三百以上あります、しかし、その三百以上ある送り出し機関の中には、残念ながら悪徳機関もありますと言っているんですよ。こうはっきり認めているのに、そういうのが排除されないということを前提とされているということじゃないですか。
○高橋政府参考人 個別具体的に何を根拠にして悪徳機関がありますと断定的に大使館が申し上げたかについては、ここで説明する材料を持ち合わせておりませんけれども、一方におきまして、繰り返しになりますが、悪徳であろうという業者の情報が入ったときには、ベトナム政府に情報提供して、しかるべき対応をとっていただくということでございます。
○塩川委員 ですから、こういう形で、送り出し機関等々、悪徳ブローカーを排除する仕組みが現状としてないというのが率直なところで、送り出し国において高額な手数料などを徴収する送り出し機関などブローカー排除の仕組みがないという前提で、やはりそういう実態を踏まえて対策をとらなくちゃいけない。
ですから、入管法改正案の参考人質疑でも、参考人の方々から、こういう悪徳ブローカーの排除はどうなっているのかということについて、実態としてそういった悪徳ブローカーがはびこっているという参考人からの御意見もいただいたところです。
現行の技能実習制度で、ブローカー規制について、保証金の徴収とか違約金契約は禁止とされているけれども、ある参考人の方は、ミャンマーに行ったときに送り出し機関からヒアリングをしたら、みんなやっていたという話なんかも紹介をされているわけなんです。
外務省でも法務省でもいいんですけれども、こういった手数料や保証金以外の名目で多額の費用が取られるといったことはきちっと防げるんですか。
○佐々木政府参考人 ベトナムの例でお問いをいただきましたので、一つ御紹介をしたいと思います。
ベトナムとの間で二国間取決めを昨年の六月六日に締結いたしたところでございます。その主な目的は、日本側だけでは把握をすることが困難な保証金あるいは不当に高額な手数料を徴収するような不適正な送り出し機関を排除することにございます。
具体的な内容でございますけれども、その二国間取決めにおいて定めた送り出し機関の認定基準に基づいて、まず、ベトナム側において送り出し機関の認定を行い、日本側は、ベトナム側が認定した送り出し機関からのみ技能実習生を受け入れることとしております。また、逆に、日本側が不適正な送り出し機関があることを認知した場合には、その旨をベトナム側に通知し、ベトナム側において当該送り出し機関に対する調査、指導、送り出し機関の取消しを行うこと等が規定をされているところでございます。
他方で、ベトナム側が日本側に何らかの不正な行為があるということを認知した場合は、それを御連絡いただいて、日本側として、監理団体などが想定をされますけれども、調査、それから指導、それから許可の取消しを行うことについても規定されておりまして、もともと、ある程度ベトナム側で送り出し機関にマル適マークをつけてもらうという仕組みがこの二国間取決めを通じてできておるところでございます。
○塩川委員 でも、大使館の挨拶の中には、三百以上の送り出し機関があるけれども、悪徳業者もいるという実態を指摘しているわけですから、今のような話では納得いかないわけです。民間の送り出し機関、あっせん仲介業者がかかわっている中で、やはりそういう不届きな例というのは出てくるわけですから。
そういう意味でも、公的機関がしっかりと送り出し、受入れにかかわる、そういう仕組みというのは考えないんですか。
○佐々木政府参考人 他国におきまして、技能実習生という形ではなくて、外国人材の受入れに関して、二国間の協定に基づいて受入れをしているという制度を承知してございますけれども、私どもの日本におけます技能実習制度、また、今回、新しく創設いたします制度等におきましては、基本的に民間の力で適正化を図っていただく。ただし、制度としては、昨年の十一月から施行されました新しい技能実習法におきまして、ただいま御紹介ありましたような点も含めまして、監理団体の許可制あるいは技能実習計画の認定制、その仕組みの中で公的にといいますか、役所がきちんと管理をする仕組みを盛り込んでいるところでございます。
○塩川委員 そういう不届きな事業者を現行の制度で排除できないというところが、今まさにベトナムの事例なんかでも紹介されているということであります。
関連して、法務省が失踪技能実習生に行ってきた聴取票についてお尋ねいたします。
この聴取票を見ますと、月額給与ですとか給与から控除される金額とか労働時間について、送り出し国における説明と実態の両方を聞き取って、その違いについて確認をする、そういう聴取項目があるわけです。実際にその聴取票も私も拝見しましたけれども、送り出し機関に百万円を超える金額を払った事例など、たくさんあるわけです。
ベトナム国では三千六百USドル以上の保証金はだめよと言っているわけで、実際にはそれを上回るような金額がたくさんあるということが実習生への聴取でも紹介されているわけですけれども、こういった入国前の説明と実際の実態と食い違いがあるといったことをつかんでいるわけなんですが、これを踏まえてどんな対応をしているんですか。
○佐々木政府参考人 具体的に、その聞き取りの内容そのものが端緒になったのか否かということについては、まとめて把握はできませんけれども、御指摘の聴取票に基づく調査によりまして、法令違反等がうかがわれる場合には、まず、地方入国管理局において、監理団体等に対する実態調査を実施することになります。
ですので、この聴取票のみならず、いろいろな情報、例えば提報などを一般の方からいただく場合もございますし、技能実習生御本人からの申告等もありますので、それに基づいて、何か不正事案がその監理団体あるいは実習実施機関にあるのではないかと地方入国官において考えたときには、実際に現地に赴いて調査をしております。
○塩川委員 聴取票全体の話じゃなくて、この実習実施者等についてということで、入国前の説明と実際の実態と両方聞いているわけですよ。それは、なぜそういった項目で聞いているのかということと、それを、じゃ、何に生かしているのか、そこをもう一回。
○佐々木政府参考人 何に生かしているかという点について申し上げますと、そもそも、その方がきっちりと事前に送り出し機関から、日本に来たらこうこうこういうことになるという説明を受けていないということの一つの端緒になりますので、それをきっかけにして、その監理団体あるいは実習実施機関についての調査に着手をするということでございます。
○塩川委員 ですから、個々の事例をしっかりつかんでいるわけですよね。つまり、送り出し国においてどんな説明を受けていたのか。それは、送り出し機関の問題も、当然そこには浮かび上がってくるわけなんです。同時に、日本に来て、ここには当然、受入れ機関の実施者側の問題もありますし、監理団体もそれにかかわっているかもしれない。私は、この聴取票に監理団体の項目が入っていないのはおかしいというのは前回も指摘をしたわけですが、そういう点でも、聴取票そのものをきちっと国会に提出してほしいというのは、改めて要求するものです。
昨年の十二月十四日に、法務省とそれから外務省等で、「送出機関との不適切な関係についての注意喚起」という通知が出されました。これは、「ガイアの夜明け」の番組で、送り出し機関から監理団体がキックバックを受けていた、このことが告発をされて、技能実習法の規定に反することなので通知を出したものであります。
こういったことが行われることが明らかになった場合は、監理団体の許可の取消しを含めた処分がされるということですけれども、現状ではそういう処分の例がないということを伺っているところなんですが、こういうように、送り出し機関と結託した監理団体による技能実習生に対する高額な手数料徴収などを排除する仕組みというのは、どうなるんですか。
○佐々木政府参考人 技能実習法の二十八条によりまして、今御指摘の監理団体は、監理費以外の手数料又は報酬を受けてはならないということが法定をされております。
先ほど申しましたように、いろいろなことを端緒として、そのことに違反をしているのではないかということの蓋然性が高い監理団体などを把握いたしますので、そのような場合には、詳細な調査を行った上で、許可の取消し等々、厳しく対処をする旨、この先ほど御紹介をいただきました通知でも注意喚起をしたものでございますし、そのように取り組んでいるところでございます。
○塩川委員 ですから、注意喚起だけじゃなくて、こういった送り出し機関と結託した監理団体による実習生に対する高額な手数料徴収、これを排除する。技能実習法の二十八条で書いてあるところではあるわけですけれども、それをどう担保するのかということなんですよ。どうするんですか。
○佐々木政府参考人 委員御指摘の担保という意味で申しますと、いかにやはりその情報を把握するのかというところが鍵になってまいります。
その意味では、先ほど申しましたように、技能実習生の申告あるいは母国語相談、それから関係機関等からの情報提供、それから、外国人技能実習機構によりまして実地検査を行っておりますので、その検査の場面で把握したこと等、監理団体による技能実習生への不適正な実態を把握することに努めまして、その結果を踏まえまして、さまざま対処をするということでございます。
○塩川委員 技能実習法の二十八条は、実習生保護の観点から、監理団体が、監理事業に関し、技能実習生から、「いかなる名義でも、手数料又は報酬を受けてはならない。」としているわけです。
ですから、監理団体が実習生から手数料とか報酬を取るということは許されないわけで、そういったことについて、どうつかむのか。実態把握ですとおっしゃるんだけれども、例えばこの聴取票に入っていないわけですよ。実態把握するというんだったら、失踪の実態をつかむという点では、監理団体についてきちっと聞くということはあってしかるべきじゃないですか。これは、聴取票にきちっと実態把握を入れるというのは約束できますか。
○牧原委員長 既に持ち時間が経過しております。答弁を簡潔にお願いします。
○佐々木政府参考人 今般、法務大臣の指示で、大臣政務官をキャップとしました技能実習の適正化のプロジェクトチームがつくられましたので、その中で検討していきます。
○塩川委員 監理団体による多額の保証金徴収を排除する仕組みがないという点は大問題だという点について、官房長官もしっかり受けとめていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○牧原委員長 次に、日吉雄太君。
○日吉委員 自由党の日吉雄太でございます。
何度も申しわけございませんが、本日も辺野古の埋立承認撤回処分の執行停止について質問をさせていただきます。
まず、きょうは、国土交通大臣の出された通知を資料として御用意させていただきました。こちらの資料五の二、「別紙」というところがございますが、ここの二番、「本件申立ての適法性について」というところをちょっとごらんいただきたいのです。
この(1)、「審査請求をなし得る者は、「行政庁の処分に不服がある者」」「ここにいう「処分」、すなわち、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」とは、」「「直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定する」ものである」と言っております。
「申立人のような国の機関であっても、上記の意味での「処分」を受けたものといえれば、一般私人と同様の立場で「処分」を受けたものとして、」「審査請求をなし得る」、このような解釈をされております。
かいつまんで申し上げますと、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定するのであれば、一般私人と同様の立場での処分だ、このような判断がされているというところでございます。
ここで五の五の資料をごらんいただきたいのですが、ここに、今、国土交通大臣の通知が引用されておりました昭和三十九年十月二十九日の最高裁の判決を抜粋しております。
ここで、行政庁の処分とは、行政庁の法令に基づく行為の全てを意味するものではなく、直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められるものであるというふうなことを言っております。
ここでこの判例が言っているところは、行政庁の法令に基づく行為の全てが行政処分ではなくて、その権利義務を形成し又はその範囲を確定するものだけが行政庁の処分だと言っているわけでございます。
ちなみに、この裁判は、東京都の行った行為が行政処分に当たるのか否かが問われた裁判ですが、東京都の行為に不服を持った相手方は、個人であったのか、国の機関等であったのか、ちょっとお答えいただけますでしょうか。国土交通省、お願いします。
○林政府参考人 申しわけありません。ちょっと通告をいただいておりませんでしたので、今ちょっとお答えをさせていただく材料を持ち合わせておりません。申しわけありません。
○日吉委員 こちらの裁判の東京都の相手方というのは個人でありまして、個人であるので、ここでは、一般私人とか固有の資格とかが論じられているような内容ではございません。したがって、ここで言う直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定するか否かというのは、一般私人かどうか、固有の資格かどうかを論じた判例ではないということをまず申し上げさせていただきたいと思います。
その上で、この下に表を今記載をさせていただいているんですけれども、これは行政不服審査法第七条二項の処分の範囲をちょっと図示したものでございます。
前回お伺いしたときに、この七条二項で言っている処分の範囲というのは、一般私人と同様の立場で、かつ権利義務を確定するものの1と、4の固有の資格であって権利義務を確定していないものが、ここで言う七条二項の処分の範囲だというふうに御答弁いただいたというふうに記憶しておりますが、ここで固有の資格の例として、地方公共団体が発行する債券、地方債が固有の資格で行う行為の例示が一般的であるというような御説明もいただきました。
この地方公共団体の発行する債券ですが、例えば、地方公共団体の実質収支が赤字だとか起債制限比率が一定水準以上の地方公共団体に対しては許可制がとられておりまして、地方債を発行できるかどうか国が許可をするという、この許可をする行為というのは、ここで一般論として固有の資格で権利義務を確定しないものかどうなのか、総務省にお伺いいたします。
○吉開政府参考人 お答え申し上げます。
国民の権利義務に直接具体的な効果を及ぼすものと判断される処分につきましては、その名宛て人が国の機関や地方公共団体であっても、一般私人と同様の立場で受ける処分と言えることから、不服審査法第七条二項の固有の資格に当たらないとすることにつきまして、これを否定すべき理由はございません。行政不服審査法の趣旨、目的にも沿ったものと考えられます。
その上で、御指摘の固有の資格に該当する例として挙げられている地方債の起債の許可につきましては、国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定するものには当たらないと考えられるところでございます。
○日吉委員 範囲に当たらないとしますと、地方債を発行する、発行しないという国の許可、許可しない、するという、これは権利義務を確定するものではないということでよろしいですか。もう一度お願いいたします。
○吉開政府参考人 先ほど御答弁申し上げたとおり、国民の権利義務に直接具体的な効果を及ぼすものと判断される処分につきましては、その名宛て人が国の機関や地方公共団体であっても、一般私人と同様の立場で受ける処分と言えることから、不服審査法七条二項の固有の資格に当たらないとすることについて、これを否定すべき理由はないということでございますので、地方債の起債の許可につきましては、国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定するものには当たらないというふうに考えております。
○日吉委員 地方債を発行するかしないかということを国が許可するしないというのが、地方の公共団体の権利義務を確定するものではないという答弁をいただきましたが、本当にそれでよろしいんでしょうか。
菅官房長官、どのようにお考えになられますか。
○菅国務大臣 所管で今答弁したとおりだと思います。
○日吉委員 一般的に考えられまして、国の許可が権利義務を確定するものではないという全く理解できないような内容であって、ちょっと当惑するところがございますけれども、ここで言っている、固有の資格、一般私人と同様の立場というものがございますけれども、この国土交通大臣の通知の中にあります、権利義務を確定するといったことで一般私人と同様の立場であるというふうに断定することはできなくて、あくまでも、権利義務を確定するからといったとしても、それが一般私人と同様の立場なのか、固有の資格に基づいて行われたものなのか、これをしっかりと判断しなければならないということで、国土大臣の通知については適正な手続が行われていなかったということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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○牧原委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。
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天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○菅国務大臣 ただいま議題となりました天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
天皇の退位等に関する皇室典範特例法第二条の規定による皇太子殿下の御即位が、来年五月一日に行われます。また、即位礼正殿の儀は、御即位を公に宣明されるとともに、その御即位を内外の代表がことほぐ儀式であり、国事行為として、来年十月二十二日に行われます。
これらを踏まえ、本法律案は、皇太子殿下の御即位に際しまして、国民こぞって祝意を表するため、即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とするものであります。
また、附則において、本則により休日となる日は、国民の祝日に関する法律に規定する国民の祝日として、同法の適用があることを規定することにより、来年四月三十日及び五月二日が休日となります。このほか、この法律の規定により休日となる日は、他の法令の規定の適用については、国民の祝日に関する法律に規定する休日とすること等を規定いたしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○牧原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十七分散会