第2号 平成31年2月22日(金曜日)
平成三十一年二月二十二日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 牧原 秀樹君
理事 平 将明君 理事 谷川 弥一君
理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君
理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君
理事 大島 敦君 理事 岡本 三成君
安藤 高夫君 池田 佳隆君
泉田 裕彦君 尾身 朝子君
大西 宏幸君 岡下 昌平君
加藤 鮎子君 金子 俊平君
神谷 昇君 小寺 裕雄君
佐藤 明男君 高木 啓君
中山 展宏君 長尾 敬君
西田 昭二君 穂坂 泰君
本田 太郎君 松野 博一君
松本 洋平君 三谷 英弘君
村井 英樹君 和田 義明君
今井 雅人君 大河原雅子君
岡本あき子君 近藤 昭一君
篠原 豪君 初鹿 明博君
山本和嘉子君 斉木 武志君
森田 俊和君 太田 昌孝君
佐藤 茂樹君 塩川 鉄也君
…………………………………
国務大臣
(マイナンバー制度担当) 石田 真敏君
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
国務大臣
(一億総活躍担当)
(行政改革担当)
(少子化対策担当) 宮腰 光寛君
国務大臣
(経済再生担当)
(経済財政政策担当) 茂木 敏充君
国務大臣
(規制改革担当) 片山さつき君
国務大臣 櫻田 義孝君
内閣府副大臣 田中 良生君
厚生労働副大臣 大口 善徳君
内閣府大臣政務官 長尾 敬君
外務大臣政務官 辻 清人君
政府参考人
(内閣官房日本経済再生総合事務局次長) 平井 裕秀君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 向井 治紀君
政府参考人
(内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局内閣審議官) 中川 真君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山内 智生君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君
政府参考人
(内閣府子ども・子育て本部統括官) 小野田 壮君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 吉開正治郎君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 泉 宏哉君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 赤澤 公省君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 秋本 芳徳君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電波部長) 田原 康生君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 石川 浩司君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 住澤 整君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房年金管理審議官) 高橋 俊之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 田中 誠二君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 本多 則惠君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 諏訪園健司君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 度山 徹君
政府参考人
(厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長) 藤原 朋子君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 奈須野 太君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
―――――――――――――
委員の異動
二月二十二日
辞任 補欠選任
杉田 水脈君 本田 太郎君
山尾志桜里君 山本和嘉子君
山岡 達丸君 斉木 武志君
同日
辞任 補欠選任
本田 太郎君 穂坂 泰君
山本和嘉子君 山尾志桜里君
斉木 武志君 山岡 達丸君
同日
辞任 補欠選任
穂坂 泰君 和田 義明君
同日
辞任 補欠選任
和田 義明君 佐藤 明男君
同日
辞任 補欠選任
佐藤 明男君 安藤 高夫君
同日
辞任 補欠選任
安藤 高夫君 尾身 朝子君
同日
辞任 補欠選任
尾身 朝子君 杉田 水脈君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○牧原委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長平井裕秀君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局内閣審議官中川真君、内閣官房内閣審議官山内智生君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、総務省大臣官房審議官吉開正治郎君、総務省大臣官房審議官泉宏哉君、総務省大臣官房審議官赤澤公省君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長秋本芳徳君、総務省総合通信基盤局電波部長田原康生君、財務省大臣官房審議官住澤整君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官高橋俊之君、厚生労働省大臣官房審議官田中誠二君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、厚生労働省大臣官房審議官諏訪園健司君、厚生労働省大臣官房審議官度山徹君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君、中小企業庁経営支援部長奈須野太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。村井英樹君。
○村井委員 おはようございます。自由民主党の村井英樹です。
本日は、内閣委員会、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
そしてまた、質問に入る前に、昨晩、北海道の胆振地域で再度大きな地震がございました。被災に遭われた方にお見舞いを申し上げるとともに、政府におかれても、もう既に行っていただいていると思いますけれども、速やかな情報収集、そしてまた復旧に全力を挙げていただきたいということを、まず冒頭、申し上げさせていただければと思います。
その上で、質問の方に入らせていただければと思います。
きょうは、政府の方でも今取り組んでいただいております全世代型社会保障改革というのがございますけれども、このポスト平成の時代にどういった社会保障の仕組みを築き上げていくのか、有権者の間、国民の間でも大きな関心があるところでもありますし、我々の生活にも密着をしているところでございます。
この部分について、大きな話を少しさせていただいた後に、特にその中でも、今、私は党の方の年金委員会の事務局長というのを務めさせていただいていることもあり、年金関連の質問を幾つかさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
そして、この社会保障改革なんですけれども、私も役所にいたときから社会保障と税の一体改革というのに携わらせてもらって、それから十年ぐらいたつのかもしれませんけれども、やはり、この社会保障の改革の議論というのはとにかく暗いんです。この暗い社会保障改革の議論をやはりもう少し前向きなものにしていかないと、国民全体を巻き込んでということにはなかなかならないんだろうと思います。
よくある国の社会保障についての議論、これをちょっと、資料もお配りをさせていただいたので、これも使いながらお話をさせていただければと思いますけれども、大体、よくある日本の未来、こういう感じなんですよね。
今、高齢化率が二七%であります。これが二〇四〇年には三五%になって、そうすると、社会保障給付費が膨らんで百九十兆円ぐらいになる。支え手、働く人たちも、今から二千万人ぐらい減って六千万人になって、マイナス成長は当たり前、所得も減って、こんなような中で制度を持続していくためにはどうするのか。負担を上げていくのか、また給付をカットしていくのか、どちらかなんだ、こういうフレームワークで議論が進んでいるんだと思います。
ちなみに、財務省っぽく言うと、この予想される未来で大体どれぐらい不足するんだということなんですけれども、実は既に、足元の不足分、これは社会保障の四経費と言われるものと消費税の税収の比較から出ているんですけれども、足元、既に足りない分が消費税換算で八%あるんですということであります。さらに、これが二〇四〇年になると、消費税に換算して四%分、更に必要になるといったようなことでございます。
ちなみに、真水ですので、つまり、今回の消費税の引上げのように、引き上げた分の半分はお返ししますとか言っていると、これが倍になるということになってきます。果たして本当に、このフレームワークでこの国を、社会保障を始めとするさまざまな制度を持続可能なものにしていけるのかということだと思います。
更に言えば、この議論のフレームワークが多くの若者世代の頭の中にたたき込まれているんですね。ここまで明確に理解しているかはわかりませんけれども、やはりこの国の未来というのは何となく暗い、負担増か給付カットが必ずやってくるというふうに、我々世代も思っているわけです。
私は、このフレームワークこそが我が国の閉塞感の元凶になっている、この国の閉塞感を打ち破っていくためには、やはりもう少し別の道、第三の道というのを探っていかなきゃいけないんじゃないかというような問題意識がございます。
更に言えば、やはりこの社会保障というのは、そもそも国民が長く健康に暮らすことを支える社会制度でありまして、給付カットだとか負担増の議論ばかりでは、本当に必要な、国民にとって望ましい社会保障制度の姿が置き去りになってしまうといったような問題意識がございます。
そんなような意味で、人生百年時代の到来、また人口減少といった大きな変化の中で、国民一人一人が安心できる社会保障とは何か、この国の形に関する本質論を議論した上でこの社会保障改革を進めていくべきだと思いますけれども、ちょっと大きい質問で恐縮ですけれども、政府の見解を伺いたいと思います。
○平井政府参考人 お答えを申し上げます。
御質問についての御意見でございますけれども、社会保障改革につきましては、全世代型社会保障の実現が安倍内閣の最大のチャレンジだというふうに置かれているところでございます。
御意見のありましたところでございますけれども、拙速な議論ではなく、先生御指摘のこの国の形にかかわる議論、こうしたものを、本質論をいたしながら、今後三年ほどかけまして、国民的な議論を行いながら進めていくつもりでございます。
このために、まず、未来投資会議におきましては、雇用問題、健康維持や糖尿病、認知症などの予防についての議論をまずは取り進めているところでございます。
こうした議論、決定を経た上で、ことしの夏ごろから、経済財政諮問会議におきまして、給付と負担の見直しなどの社会保障改革、こうしたものを検討していくということにしているところでございます。
こうした過程を通じまして、給付カット、負担増などの帳尻合わせではなく、本質論の議論を加味してこうした問題についての検討を進めていきたいという考えでございます。
○村井委員 ありがとうございます。
やはり、平成の時代もあと数カ月ということでございますけれども、このポスト平成はどういう時代なのかということをしっかり見定めながらの改革が必要なんだろうと思います。
このポスト平成、どういう時代なのかということですけれども、一つは、よく言われることでありますけれども、人生百年を生きる時代になるということでございます。そして、この人生百年時代、生き方や働き方が多様化をしていく。
これまでの社会保障制度というものは、高度成長期につくられた、二十年学んで、四十年働いて、二十年休むというモデルが一般的でありましたけれども、これからは、こうした昭和の標準人生モデルというんですかね、これを歩む方は少なくなっていく。
人生百年時代には、学ぶことも仕事も休むことも、一人一人が自分で選択していくような時代になっていく。例えば、一度働いてから大学に通い直したり、育児休業の後に職場復帰したり、多様な生き方が当たり前になっていく。また、年齢によって役割を決めるのではなく、エージフリーで個人が自由に生き方を選択できるようになっていく。そんな大きな変化の中で、政治の側も、多様な生き方、働き方に合わせた選択できる社会保障へ改革を進めていく必要があるんだろうと思います。
これが一つ目の柱なんだろうと思いますが、もう一つは、この人生百年時代にもう一つ大切なことは、より長く現役で頑張る方を応援する、そして、支え手をふやしていくことで制度の持続可能性を高めていくということなんだろうと思います。
これもちょっと資料をお配りをしているので、もしお手元にあればごらんをいただきたいと思いますけれども、もうごらんになった方は多いと思いますけれども、先ほど申し上げた従来型の社会保障改革の議論のフレームワーク。これは、支える側と支えられる側のバランスが崩れていくということがこの議論の出発点になっていると思います。
昔はおみこし型だったのが騎馬戦型になってとかという話ですけれども、これは、上を見ていただくと、二〇一七年、足元は二・一人で一人の高齢者の方を支えている、これが二〇四〇年には一・五人で一人を支えるという形になって、二〇六五年には一・三人で一人を支えるという形になるわけなんです。
これをやはり下側に何とか社会構造を変革をすることで移していけないかということが問題意識で、例えば、これを見ていただくと、下側は七十五歳以上を高齢者と見た場合なんですけれども、支えられる側と見た場合なんですけれども、二〇四〇年までに七十五歳まで働く社会といいますかね、が当たり前の社会をつくると三・三人で一人、また、二〇六五年までにそういう社会をつくると二・四人で一人を支える社会ということになります。
医療の高度化とか、ほかにも要素はありますけれども、基本的には支える側と支えられる側のバランスが制度の持続可能性に非常に効いてくるということからいくと、今から二十数年後までにできれば三・三人で一人ですし、今から四十五年後、私が八十五歳のときですけれども、そのときまでに七十五歳まで働くことが当たり前の社会になれば二・四人で一人ということで、今よりも恵まれたバランスにすることができるんだろうと思います。
こういうようなことをやはりしっかり目指していく、そのためのさまざまな制度改革を行っていくということが重要なんだろうと思いますが、もちろん、高齢者になると個人差が大きくなって、大事なことは、六十五歳以上を一律に高齢者として扱うんじゃなくて、個人が自分の生き方を自由に選択できる、また、選択を尊重しつつ、結果として支え手がふえて制度の持続可能性を高めていくということが大切なんだろうと思っています。
そういう意味で、足元、元気な高齢者もふえていて、あるデータによれば、この十数年で日本の高齢者の運動能力は五歳分若返ったといったような話もありますけれども、この今お見せをしている表、支える側と支えられる側のバランスを変えて、七十五歳以上を高齢者と見れば制度の持続可能性が非常に高まると思いますけれども、政府の見解を伺いたいと思います。
○平井政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおりでございまして、こうした、支える側、支えられる側のバランスというところについてのお考え、そのとおりかと思います。
その上で、人生百年時代の到来を見据えながら、元気で意欲あふれる高齢者の皆さんが年齢にかかわらず学び働くことができる環境を整える、このこと自体も重要なことだということだと思いますし、七十歳までの就業機会の確保など、生涯現役時代の雇用制度改革といったことに向けた検討を開始しているというところが、先ほど御答弁申し上げました雇用問題というところの中心課題でございます。
こうした取組は、委員御指摘の、七十五歳未満の方を含むさまざまな人材にその能力を最大限発揮していただくことにも資するというふうに考えているところでございます。
○村井委員 ありがとうございます。
やはり、私も申し上げましたし、また御答弁もいただきましたけれども、この新しい時代の社会保障改革、多様化している中で選択肢を示せる社会保障にしていく、また、前向きな選択を後押しすることによって、支え手をふやし、そして持続可能性を高めていくといったようなことが重要なんだろうと思います。
そうした考え方に基づいて、最近一つ、改革というか改善をしたものがございます。それが、今ちょっとお手元にも配付をさせていただいておりますけれども、ねんきん定期便というものであります。これは自民党の小泉厚労部会長のイニシアチブで行われたというものでありますけれども、このねんきん定期便の見直し、ことしの四月から新しい定期便が皆さんのお手元にも届くことになるわけなんですけれども、せっかくの機会ですので、少し御紹介もさせていただきたいと思います。
お手元に、資料の三ページ目ということで、年金にかかわる国民向け送付文書五種類となっていますけれども、これ全てが今般改善をされることになったわけなんですけれども、皆さんのお手元には、一番上のねんきん定期便というはがきが毎年お誕生日月に届きます。五十歳未満の方と五十歳以上の方でちょっと内容が違いますということですね。
そしてさらに、節目年齢と言われる三十五歳、四十五歳、五十九歳のときは、封書に、さまざまな年金にかかわる情報が入った、年金に関するさまざまなメッセージが入っている、そういったような封書が届けられます。
さらに、払うべき年金保険料を払っていない場合は、納付勧奨通知書という、督促状ですね、催告状というか、これが届いて、そして最後、六十五歳のとき、年金をもらう段階、年金裁定の段階でもう一回はがきが届くというような段取りになっているわけなんです。
これをわかりやすく、そしてまた伝えたいメッセージを明確化をしたということなんですけれども、ちょっと一ページめくっていただいて四ページ目なんですけれども、これが見直し前のねんきん定期便となっております。
四ページ目、五ページ目、これが表裏になっていまして、これが三つ折りで皆さんのところに送られるということになっているんですが、見ていただくとわかるとおり、結構数字がずらっと書いてあって、なかなか、何が自分にとって重要な情報なのかというのがわかりづらいということでございました。これを六ページ目、七ページ目のように変更したということであります。変更しました。
そして、一番大切なのが六ページ目の真ん中なんですね。これは三つメッセージがありますけれども、主として、下に図がありますけれども、保険料を納付していただいた方は、これまでの加入実績に応じた年金額が昨年よりも増加をしていますと。ちゃんと保険料を納めればその分将来もらえる額がふえますよという、当たり前といえば当たり前なんですけれども、それをしっかりとお知らせをしていく。そして2、今後も保険料を納付していただくことで更に年金額が増加をしていくといったようなことも記載をさせていただいて、そして、最も重要な情報、年金の受給開始時期は六十歳から七十歳まで選択ができる、年金受給をおくらせた場合、年金額が増加をしますといったようなことであります。
年金の受給開始年齢が選べるということ、これが、委員の先生方も御地元で聞いていただくとわかると思うんですけれども、思ったよりも知られていないということなんです。
年金の受給額というのは、私がここで解説するまでもないかもしれませんが、六十五歳を基準点として、六十歳から七十歳までの間で年金をもらい始める時期を選べる、そして、七十歳からもらい始めると、月額の年金額というのは四二%ふえるということになっています。平均余命でもらえる額が基本的には同じになるように設計をされていますので、そういうことなんですけれども、実は、この繰下げ受給と言われる、基準点よりも後ろからもらって、その分、ただ月額はふやすといったようなこと、これを実際にやっている方というのは全年金受給者の中の一%しかいないんです。
これが実は、私も地元なんかで話をすると、若い世代の人は、ああそうなの、それだったら、私も六十五で引退するんじゃなくて長いこと働けるようにちょっと考えなきゃいけないなという若い人たちの声、そしてまた、高齢の方に関しては、年金をもらい始めている方に関しては、もっと早く言ってよといったような声が結構聞こえてくるわけであります。
そういう意味で、これをしっかりと伝えていくということ、これが重要なんだろうということで、こういったような改定をさせていただくというようなことになっております。
さらに、ちょっともう少しこれをわかりやすくしたリーフレットというのを封入をしていこうということがこの資料の八ページ、九ページでありますけれども、これは役所の資料っぽくないんですけれども、「大切なお知らせ」として、カラー刷りで、「受給開始を繰り下げると年金は増額できます。」という、「七十歳で最大四二%UP」という非常にメッセージがクリアな表裏の資料というものを、先ほど申し上げた節目年齢のところ、節目年齢の封書の中に入れさせていただくということ、さらに、最後の年金裁定というか、六十五歳のときに送られるはがきの中にもこれを入れていこうということであります。非常に効果が期待できるのではないかなと思っております。
そして、ここからがちょっと、特に私は大きなインパクトになるんじゃないかなと思うんですが、十ページ、十一ページに、ちょっとおつき合いをいただいて恐縮なんですけれども、はがきの年金請求書と言われる、六十五歳時に、実際に年金を受け取る段に送られるものがあります。表面が十ページ、裏面が十一ページなんですけれども、これにこう書かれているんですね。
十ページ目の通知の左側の真ん中ぐらいに「提出期限」というのがまず書いてあって、ここに数字が入ってくるわけですけれども、入ってきて、そして、「提出が遅れると六十五歳以降の年金のお支払いが一旦止まりますのでご注意ください。」と書いてある。右側に自分の名前の記入欄があって、そして裏面、ここに、送り返す用の、日本年金機構行きといったようなはがきになっているんです。
この状況で、繰下げ受給をいわゆる一階部分も二階部分も受けるためにはどうするのが正解かといいますと、このはがきを送り返さないというのが正解なんです。でも、ここに「提出期限」と書いてあるし、「提出が遅れると六十五歳以降の年金のお支払いが一旦止まりますのでご注意ください。」と書かれているのに、大体の人は、これを見たら普通送り返してしまうんです。
それが実は、先ほど申し上げた、年金の繰下げ受給を選択する方というのが全体の中の一%しかいないというところにつながっているんじゃないかというような問題意識がございまして、これを十二ページ、十三ページのように改定をさせていただくということでございます。
ここの左側の部分を見ていただくとわかりますけれども、六十五歳から全部又は一部を受け取る方はこの日までに受け取りくださいと。だから、繰下げしない人は提出してくださいということをちゃんと付記をさせていただいて、また、その下ですけれども、「老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方の繰下げを希望される方は、このハガキの提出は不要です。」といったようなことも記載をさせていただいたということになっております。
さらに、先ほど前のページで申し上げた、このわかりやすいリーフレット、「受給開始を繰り下げると年金は増額できます。」という図入りの表裏のこのリーフレットをはがきの中に挟み込んで送るということを、ことしの四月からはさせていただくということでございます。
こういったようなさまざまな取組によって、これまで国民の皆様方の中で年金の繰下げ受給について必ずしも理解がされていなかった部分、広がっていくんじゃないかなと思いますし、これから年金を受給する世代では、できるだけ長く働いて、その後、より多くの年金をもらって、より豊かな老後を過ごそうと考える方もふえるのではないかと期待をしているところでございます。
そして、質問は、このねんきん定期便の見直しによって、メリットが見える化されて、支え手が増加することにつながる改革であると私は考えるわけでありますけれども、厚生労働省の見解を聞かせていただければと存じます。
○高橋政府参考人 御指摘いただきましたねんきん定期便でございますけれども、昨年来、村井先生に大変御指導いただきまして、このような見直しを四月から実施したいと考えてございます。
ねんきん定期便は、加入者六千万人の方々に毎年毎年お送りする、こういうものでございまして、実は大変重要な年金広報の媒体であるわけでございます。
この見直しによりまして、毎年お送りしますので、若いときから、将来の働き方でございますとか生活設計でございますとか、こういうものを考えていただく機会になるのではないかなと思っておりまして、年金の受給開始をおくらせて長く働き続けてみよう、こういう選択をされる方がだんだんふえてくるんではないかなというふうに思っております。
そういうふうになりますと、年金制度への加入者がふえまして、支え手の増加ができる、こういうことにつながるものと考えてございます。
四月からの見直しに向けて、着実に準備を進めてまいりたいと考えてございます。
○村井委員 ありがとうございます。
年金局の皆さんにも大変御尽力を賜ったわけでありますけれども、実は、ことしの四月からという一つのタイムリミットがあったので、幾つか、もっと改定できるようなところもないわけではなかったんですけれども、時間の制約等の関係でこういったような改革にとどめさせていただいているところもあって、また不断の改革、四月からさまざまな反応も、年金受給者の方、またねんきん定期便が送られる方からあろうかと思いますので、そういったような声も聞きながら、しっかり不断の見直しを行っていただければと思っているところでございます。
また、こういったようなねんきん定期便の見直しによりまして国民の皆さんに繰下げ受給のメリットというものが伝わっていくとして、ただ、実は、今の仕組み上、六十歳から七十歳までの間でのみ、受給開始年齢は選べるということになっています。
やはりこの受給開始年齢をより柔軟化をしていく。もう少し申し上げると、七十歳までじゃなくて、七十五歳まで働いて、若しくはもっと上もあるかもしれませんけれども、そこまで働いて、そして、四二%どころか、もっと多くの月額の年金を老後もらって、そして現役の時代は元気でできるだけ生き生きと、会社なのか自分でやるのかわかりませんけれども仕事をして、そしてその後は十分な年金で豊かな老後を送っていく、そういったような、ある意味での就労促進的な仕組みをしっかりとつくっていく意味でも、受給開始年齢の柔軟化、これが欠かせないんだろうと思いますが、その点についての厚生労働省の見解を伺えればと思います。
○度山政府参考人 お答え申し上げます。
ことしの一月に新しい労働力需給の二〇四〇年までの推計というのが出ているんですけれども、経済成長と労働参加が進むケースでは、二〇四〇年、これは男性なんですが、六十歳代の後半で約七割の方が、それから七十歳代前半、なので七十歳から七十四歳までの間でも四八・一%の方が就業される、そういう結果が出ているというところでございます。
なので、先ほど来お話がありますように、例えば、いつ引退をして年金生活に入るか、あるいは年金と就労というものを組み合わせて老後の生活を設計するというような選択が恐らくかなり多様化をするし、また、年齢の幅も広がっていくということがやはり見通せるということでございます。
こういう観点から、お一人お一人の、そういう意味でいうと、長く働くという努力が長期化いたします高齢期の経済的な基盤の充実につながるように我々もよく検討していきたい、このように考えております。
○村井委員 度山さんからも検討していくということをいただきましたので、ぜひ、この定期便の見直しに続いて受給開始年齢を柔軟化することで、より就労促進的で、また豊かな老後につながる年金制度改革をしていただければと思いますけれども、実はそれだけじゃないんですね。この人生百年時代に向けての人生百年型年金ともいうべき、そういったような仕組みに向けてはまだまだ制度の壁が幾つかあると考えております。
それがこの十四ページなんですけれども、在職老齢年金制度というものがございます。御存じの方も多いかもしれませんけれども、働いて一定以上の賃金を得ている六十歳以上の厚生年金受給者の方に対して、年金支給を一部停止するという仕組みになっております。
わかりやすいのはこの六十五歳以上のところかもしれませんけれども、賃金と年金の合計額が現役世代の平均月収相当額ということで四十六万円を上回る場合は、賃金が二ふえると年金が一停止をするといったような仕組みになっております。
やはり、こういう仕組みがあると、働いても半分持っていかれちゃうんだったら、いわゆる四十六万円のところまでは働くけれども、そこから先はまあいいかという気持ちにも恐らくさせるんだろうと思います。一言で言うと、就労阻害的にこの在職老齢年金の仕組みが機能してしまっているのではないかという問題意識であります。
特に、度山さんからもお話ありましたけれども、高齢の方で働く意欲また能力のある皆さん方が大変多くなっている現実において、やはりこの在職老齢年金制度、私は廃止すべきではないかと考えております。もちろん、この在職老齢年金制度が高所得者への給付制限であるという趣旨は理解をするわけでありますけれども、高所得者の方には、保険料だとか税負担、医療や介護の窓口負担みたいなものを所得に応じた形で求めていくといったような制度設計も可能であって、この年金制度の中で就労インセンティブを阻害するといったような仕組みというのはやはり廃止すべきだと思いますけれども、厚労省の見解を伺えればと思います。
○度山政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、これからの社会を考えた場合に、多様な就労と年金の選択肢を準備するということはとても重要だと思っていますし、その際に、ただいま御質問のありました就業インセンティブを阻害しないという観点は非常に重要だというふうに思っております。
それで、この点について、実は昨年、内閣府の方で分析をしていただいていまして、その結果を見ますと、特に六十五歳以上の在職老齢年金制度につきましては、賃金と年金と合わせて四十六万円、来年度は四十七万円なんですが、かなり高目の設定になっているので、今現在はそれほどいわゆる就労抑制効果は大きくないと言われていますが、同時に、この内閣府のレポートにも書いてあるんですが、これから、先ほど申し上げましたように、六十五歳を超えても、あるいは七十代になっても、かなり、いわゆる若いころと変わらないようなフルの就業というのもふえていくだろう、そのときには、結構支給停止になるケースがふえて、阻害要因として働いてくる可能性もあるんじゃないかという御指摘をいただいております。
先ほど来申し上げていますが、寿命が延びて人生が長期化をしているということですとか、あるいは、公的年金の方はマクロスライド調整によって水準調整が行われるというようなことをいろいろ考えると、やはり長く働いて、それで自分の年金を充実させることができるように、一方で、御質問にもありましたように、過度に高所得者の優遇にならないように、一生懸命知恵を絞っていきたいというふうに考えているところです。
○村井委員 度山さん、ありがとうございます。
お話があったとおり、現状、どこまでこの六十五歳以上で賃金と年金額が四十六万円を超えてくる人がいるのかというところは、確かに議論としてあるんだろうと思います。
ただ、この在職老齢年金制度というのは一つの象徴的な意味合いもあって、地元の社会保険労務士さんなんかと話をしたときも聞かれたんですけれども、年金の相談を受けていて、実は繰下げ受給というものがあって、そして、将来年金額を多くもらうためにも今は働いておいた方がいいですよとか、そういったようないろいろな、現役時代を長くとってといったようなアドバイスをしていく過程において、でも、実は余り働き過ぎるとこの仕組みがありますからねという説明をした途端に、急にやはり何か、相談に乗っていた方の働く気持ちがなえるというんですかね、少し阻害をされてしまうといったようなことがあるようであります。
更に言えば、これからは、より就労する方々がふえてきて四十六万円を超えてくるといったようなこともあるんだろうと思いますので、そういう象徴的な意味と、今後ここの部分に入ってくる方がふえてくるという意味で、ぜひこの在老の見直しも進めていただければと思います。
そして、もう一つあるんです。これは十五ページなんですけれども、今度は私的年金の話ですね。
この私的年金というものも、やはり高齢期の生活を安定させる、また充実させる上で非常に重要な役割を担っているわけでありますけれども、特にきょう申し上げたいことは、例えばiDeCo、今政府の側でも積極的に推進をしているわけでありますけれども、実はこのiDeCoへの加入は五十九歳までになっているんですね。加入に年齢制限があるわけであります。これまでの議論でも明らかなように、これからは基本的にエージフリーであり、より長い間現役時代がという中にあって、なぜかこのiDeCoの加入だけが五十九歳までとなっているということであります。
やはり、公的年金の受給開始年齢の柔軟化というものにあわせて、この私的年金も、年齢による加入期間の制限、これを緩和をぜひ検討していただきたいと思いますが、厚労省さんの見解を伺えればと思います。
○度山政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御質問ありましたとおり、個人型の確定拠出年金は、加入できるのが六十歳までというふうになっております。誰でも入れるように法律改正いたしましたので、今かなり加入者は伸びてきているところなんですけれども、これを普及させていくとともに、長くなる老後というものを考えて、自助努力もいかに充実できるようにしていくかというのも非常に重要な観点だというふうに思っております。
先ほど申し上げましたように、六十歳代で考えると過半の方がやはり仕事を続けられるという世の中が来るということなので、公的年金の方も何歳まで備えるかということについてはもう少し幅広く考えなきゃいけないんじゃないかという議論がありますが、私的年金も同様だということで考えております。税制上のさまざまな問題もあって、いろいろ考えなければいけないことは多いんですけれども、制度の改善に向けて努力したい、このように考えているところです。
○村井委員 ありがとうございます。
年金についてさまざま申し上げましたけれども、ねんきん定期便の見直し、受給開始年齢の柔軟化、在老の廃止、私的年金の加入期間制限の緩和などの改革を通じて、就労促進的な、また個人の前向きな選択を応援できる人生百年型年金をしっかりと実現をしていく。
あわせて、できるだけ長く現役でいられるためには、予防、健康インセンティブを強化していかなくてはなりません。
また、多様な生き方、働き方に対応した雇用制度改革、また、労働生産性向上のための学び直しの抜本強化、人生百年時代のセーフティーネットとしての、社会保険に働く方はみんな入っていただく勤労者皆社会保険の創設など、諸改革を進めることで、いわゆる、私が最初に申し上げた、これまでのフレームワーク、縮小均衡に陥ることなく、明るい社会保障改革が必ず実現できると考えますが、最後に長尾政務官の見解を聞かせていただければと存じます。
○長尾大臣政務官 村井委員の御指摘、質疑、大変参考になりました。ありがとうございます。
人生百年時代に対応していくためには、教育、就労、老後という三ステージが、皆さんが一気に入り込んで進んでいくわけですけれども、これまでの単線型の社会を前提とするのではなくて、人生の再設計が可能となる社会に対応した教育、雇用制度や社会保障制度に改革していくことが必要だと考えております。
こうした観点から、これまでは、幼児教育、高等教育の無償化やリカレント教育を充実して、進めてまいりましたが、その上で、まず取り組んでいるのは、先ほど来お話ありました雇用問題。既に、未来投資会議において、七十歳までの就業機会の確保や中途採用、経験者採用の拡大など、雇用制度改革に向けた検討を既に開始しているところでございます。
さらに、健康でなければ働き続けることができない、人生の再設計もできない、こうした観点から、健康維持や糖尿病、認知症などの予防についても議論を進めております。その際、口腔の健康が全身の健康と深い関係を有することが広く指摘されております。歯科医療機関への受診を促すことにも取り組んでまいります。
また、これらの人生の再設計を可能とする諸改革が、全世代型社会保障制度の改革の基盤、ベースになる。今回の議論、決定を経た上で、ことしの夏ごろから、先ほど参考人の答弁にもありましたように、与党や財政諮問会議において、給付と負担の見直しを含めた社会保障制度改革を検討していくことになると思います。
委員の御指摘も参考にさせていただきながら、縮小均衡に陥ることなく、暗くない、明るい社会保障制度改革を実現してまいりたいと思います。
以上です。
○村井委員 長尾政務官、ありがとうございました。しっかりと、全世代型社会保障改革、ポスト平成の社会保障改革、進めていただければと思います。
質疑を終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、小寺裕雄君。
○小寺委員 おはようございます。自由民主党、滋賀四区の小寺裕雄でございます。
本日は、内閣委員会で質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。
それでは、本日は、先日行われました大臣所信に対しまして質問させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、その前に、きょうは何の日であるか、御存じでしょうか。真面目に言いますと、竹島の日であります。
この竹島の日は、一九〇五年、明治三十八年二月二十二日に、明治政府による閣議決定を受けて、島根県知事が所属、所管を告示し、正式に島根県に竹島が編入されたことにちなんで、島根県議会で、二〇〇五年、平成十七年に記念日として条例が制定されたものであります。
本日も現地では式典が挙行されておりますけれども、この竹島の領土権をめぐる課題についても、一日でも早い解決を望むものであります。
また、ほかには、語呂合わせでいきますと、ニャンニャンニャンで猫の日でありますとか、ふうふうふうでおでんの日でありますとか、全く関係ありませんが、デビューした日にちなんで乃木坂46の日とかがあります。
しかし、実は、先ほど牧島先生言われましたように、滋賀県の私としては、にんにんにんで忍者の日ということになります。観光振興施策の目玉として忍者の日を売り出していこうということで、全国的にも各地で忍者に関するイベントがこの週末に開催されるということでありますけれども、私の地元の甲賀市では、三重県の伊賀市とともに、今週一週間を忍者週間として、市役所の職員が忍者姿で勤務をしながらPRをさせていただいたりしております。
また、甲賀市では、この秋、十月から始まるNHKの連続テレビ小説「スカーレット」が、焼き物の里である甲賀市信楽町が舞台となります。今も実際に信楽におられる女性陶芸家をモデルにした作品で、さまざまな取組が進められております。ぜひ信楽にお越しいただければ大変ありがたいというふうに思うところであります。
それでは、質問に入らせていただきます。
幼児教育の無償化に関して質問をさせていただきます。
この幼児教育の無償化は、平成二十四年の通常国会で子ども・子育て関連三法案に対する附帯決議に盛り込まれたことから、今日に至るところであります。以降、平成二十六年度から段階的に、幼児教育の無償化に向けた取組が順次進められてきました。また、平成三十年度には、世帯収入が約二百七十万円から三百六十万円の場合には、幼稚園等に通う教育認定を受けた子供の負担軽減措置の拡充が行われてきたところです。
そして、今回の無償化につながってくるわけでありますが、この無償化は、新しい経済政策パッケージの人づくり革命の中で、子育て世帯を応援し、社会保障を全世代型へ抜本的に変えるために一気に進めることが掲げられたことによるものであります。その中身につきましては、もう十分に御承知いただいておられることとは思いますが、三歳から五歳までの全ての子供及びゼロ歳から二歳までの住民税非課税世帯の子供の幼稚園や保育所、認定こども園等の費用を無償化しようというものであります。
私は、我が国の少子高齢化が急速に進んでいく中においては、一億総活躍社会の実現のためには、女性活躍、すなわち、女性が子供を産み育てながらも、それぞれの生活のステージにおいて、安心して、自分自身のキャリアを途絶えさせることなく、社会で活躍していただくことが重要だと考えています。そのためには、今回の幼児教育の無償化は、そうした方向性に沿うものだと大いに期待を寄せているところです。
しかし、一方で、実際の窓口業務や保育施設などを運営、管理されている地方自治体からは、いまだに不安の声が上がっていることもまた事実としてあるわけであります。また、保育園等を経営されている方々からも不安の声があります。
そこで、全国市長会と政府とは、昨年末ぎりぎりまで制度設計について協議を進められ、一定の合意がなされたということは承知をしているところでありますけれども、地方自治体の立場から、積み残された課題や問題について質問をさせていただきますので、全国の自治体の不安が払拭されるような答弁をお願いさせていただきます。
まず、何といっても、今回の無償化で最大のポイントであるところは、認可外の保育所を対象にしたところにあると思います。なぜこの認可外保育所が今回の対象に含まれたのでしょうか、お尋ねをいたします。
○本多政府参考人 お答えさせていただきます。
本年十月から実施する幼児教育の無償化は、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るといった少子化対策と、生涯にわたる人格形成の基礎や、その後の義務教育の基礎を培う幼児教育、保育の重要性に鑑みて行うものでございます。
認可外保育施設につきましては、待機児童問題により、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方がいらっしゃることから、代替的な措置として、幼児教育の無償化の対象とするものでございます。
なお、無償化の対象となるためには、原則、都道府県、指定都市、中核市に届出を行い、国が定める認可外保育施設の指導監督基準を満たすことが必要でございますが、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たすために、五年間の猶予期間を設けることといたしたものでございます。
○小寺委員 ありがとうございました。
そうして保育所に入ることができない方々は現実におられて、認可外の施設で、保護者の負担で通わせている実態があるということは重々承知しているわけでありますけれども、もともと、平成三十年の五月三十日に行われた政府の検討委員会では、無償化の対象範囲は、認定こども園等に入れない子供とされている上で、国が定める指導監督基準を満たすいわゆる認定外保育施設という基準でありました。
合意された内容になって以降、いわゆる認定外施設においても、その中できちんと指導を受けている施設と受けていない施設とさまざまあって、これからこのことについて議論を進めてまいりたいというふうに思うわけですけれども、そのあたりに、そうした事情は、保護者の立場は非常にわかるんですけれども、非常にこの点には不安があるのではないかということを指摘して、次の質問に進ませていただきます。
そこで、今し方申し上げましたように、一概に認定外の施設というふうに申し上げますが、いろいろ中身がありまして、国の通知で示している指導監督基準を満たさないものが含まれるのであるというふうに承知をしております。全国には現在どれぐらいの認可外保育施設があって、指導監督基準の適合の状況はどのようになっているのでしょうか。お尋ねします。
○本多政府参考人 認可外保育施設につきましては、児童福祉法によって都道府県等への届出が義務づけられております。平成二十九年三月末の全国の届出対象施設数は七千九百十六カ所でございます。
認可外保育施設につきましては、ベビーシッターを除いては、原則年一回以上の立入調査を行うこととしています。ベビーシッターを除く七千十三カ所のうち、平成二十八年度に立入調査を実施した施設は四千七百七十一カ所、約六八%です。立入調査を実施した施設に占める指導監督基準に適合した施設の割合は約五七%、二千七百九カ所でございます。
○小寺委員 つまり、全国には七千九百十六の認可外保育所があり、そのうちの平成二十八年に立入調査を行った施設は四千七百七十一で六八%、調べた四千七百七十一のうち基準を満たすのは五七%の二千七百九施設という御答弁でありました。逆に申し上げますと、調査した施設の四三%が不適合ということであります。
つまり、全国の自治体から言われていますように、立入調査が、現実には都道府県から三割を超える、もちろん中核市とか政令市とかあるわけですけれども、行われておらず、そのうち調査した施設の四割が不適合ということでは、現状、非常に自治体から不安の声が上がるのも無理からぬところであろうというふうに思うわけであります。
そこで、今申し上げましたように、今回の幼児教育の無償化に際しては、全国市長会等からさまざまな意見が出されているところであります。その第一が、認可外保育施設における質の確保と向上についてであります。
子供たちの安全確保の観点からいたしますと、基本的には指導監督基準を満たした施設等に限るべきであるということは言うまでもありません。しかし、現実の待機児童問題を考えれば、都会や大都市を中心に基準を満たしていない施設を利用する子供たちに配慮をし、これも先ほどの御答弁でいただいたところですけれども、無償化の対象にしたということはいたし方がないという理解ではありますけれども、現場の自治体からは実際に不安の声が上がっているわけであります。
今し方いただきましたように、五年間の経過措置期間を設けたということでありますけれども、こうした認可外保育施設への指導監督をどのように進めていかれるのでしょうか。そしてまた、認可外保育施設については、法案が成立し、ことしの十月に施行されたら、まずは二年後をめどに見直すというのであれば、この無償化を契機として、全ての認可外保育施設が指導監督基準を遵守し、できる限り認可施設への円滑な移行が進められるようにするべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
今般の無償化を契機に、認可外保育施設の質の確保、向上を図ることは、議員御指摘のとおり、非常に重要なことだと考えております。
このため、児童福祉法に基づく都道府県等による指導監督の充実と、あと、認可保育所への移行支援を行ってまいります。
具体的に申し上げます。
指導監督基準の内容についての説明や事故防止に向けた助言などを行います巡回支援指導員、この指導員の配置の拡充や、指導監督の手法やルールの明確化等を行ってまいります。また、移行に関しましてですが、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たし、さらに、認可施設に移行するための運営費の補助などの支援、以上のような取組を行ってまいります。
さらに、待機児童の状況などが地域によって大きく異なることを踏まえまして、市町村が地域の実情に応じて柔軟な運用ができるように、今回の法案では、市町村が、保育の需給状況等を勘案して、条例により対象施設の範囲を定めることも可能とする仕組みを盛り込んでいるところでございます。
以上を進めながら、子供たちの保育環境の安全確保の観点から、地方自治体とのハイレベルによる幼児教育無償化に関する協議の場を利用しまして、認可外保育施設の質の確保、向上につきましても検討を進めながら、十月からの幼児教育の無償化の円滑な施行に向けて検討を進めてまいります。
○小寺委員 ありがとうございました。
言われることはよく理解はできるんですが、ただ、そうした認可外の中で基準を満たしていない施設が相当数あって、それを基準に適合していくようにどんどんやっていくということは当然のことでありますけれども、いろいろ、具体的にどんなことをされているのかなとちょっと調べてみると、いわゆる口頭で、基準を満たしていない施設というのもいろいろあって、もちろん人の配置が基準を満たしていない、あるいは施設が一人当たりのスペースを確保できていないということもあろうかと思います。あるいは、施設自体が非常に狭隘で、また、ひどいところになれば窓すらないようなところで認可外の保育が行われているようなところもあるということがあるわけです。
つまり、何が申し上げたいかといいますと、そうして指導をしていただくわけですけれども、決して、非常に強い権限があって強制的にということでなければ、なかなか実際どうなるんだろうなというふうなことを思うわけであります。そうした改善命令的な指導体制の充実をしっかりしていただかねばならないというふうに思います。
それから、これは私自身の意見ではありますけれども、今、巡回指導員とかしていただきます、それから都道府県の指導監督を充実させていただくわけですから、それぞれに年一回でも、あるいは複数回でも、それぞれの施設にできるだけ行っていただいて、やはり認可外保育施設の、一体どうなっているんだということをしっかり把握をしていただく方が本来はいいのではないかというふうに思うところであります。
待機児童解消に向けた取組も同時並行で進めておられますので、少子化ということもあって、認可外保育施設の数は、経年、少し見てみると、徐々に減ってきているようなデータがあります。
しかしながら、都市部ではやはり一定以上のこうした需要がまだまだあるということを思いますと、届出を行っていない施設も含めてしっかりとした管理体制を確立することが、自治体は安心の向上につながることになりますし、もう一点は、保育自体の質の向上に当然つながることと思いますので、ぜひ、こうした認可外の適合外を適合するような施設にしていただく、あるいは認可外から認可された施設に移行が進むように、お取組をお願いしたいというふうに思います。
そこで、認可外保育施設への指導監督責任が基本的には都道府県あるいは政令指定都市、中核都市にあるということですが、一般の市、町からすれば、今まで認可外保育施設にはかかわってこなかったにもかかわらず、今回の無償化のことで、直接的に、どのような施設であるか実態がわからないままに認可外保育施設に子供を預けておられる保護者の方々から、定期的に償還払いの請求に窓口に見えられる、そういったことにも実は不安の声があるというふうに伺っています。
そこで、認可外保育施設について、都道府県と市町村の間でしっかりと情報を共有する必要があるのではないかと考えます。児童福祉法に基づく都道府県等への届出を促すことはもちろんのことでありますが、市町村と都道府県が認可外保育施設の情報を速やかに共有するという仕組みをつくるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
幼児教育無償化の実施に当たりまして、市町村は、都道府県等が保有する認可外保育施設の情報を利用して、認可外保育施設の利用料に関する給付事務を行うことになります。
具体的に償還払いの事務に必要となる情報でございますけれども、例えば、施設名、所在地などの施設基本情報、指導監督基準適合証明書交付の有無、開所時間やサービス種別といったサービス内容、こういった情報がございます。
児童福祉法におきまして、都道府県等に提出された認可外保育施設の届出や運営状況の報告等の情報を施設が所在する市町村に通知することとされておりますので、まずこれを徹底するように促してまいります。
さらに、都道府県と市町村の間での情報共有を密に行っていく必要がございますので、市町村におきまして認可外保育施設の情報を確認することができる情報共有システム、これを平成三十一年度中に構築することとしているところでございます。
○小寺委員 速やかにそうした体制を、平成三十一年度からということでしたので、お願いしたいと思います。
今回の無償化の対象になる認可外保育施設の中には、今までずっとやりとりをさせていただいていた質問でお話をしていたように、一日当たり六人以上の乳幼児を預かっていただく一般的な認可外施設のほかに、五人以下の乳幼児を自宅などで預かる認可外の家庭的保育事業でありますとか、それから認可外の居宅訪問型保育事業、一人の乳幼児をお世話する、いわゆるベビーシッターと言われるものでありますけれども、これも含まれてまいります。
私は、ここに大きな疑問というか不安を感じているところでありまして、特にベビーシッターについては、現状、立入調査がきちんとできていないなど、質の確保の観点で課題も多いようですが、今後、どのようにこの質の確保を進めていかれるのでしょうか。お尋ねをいたします。
○本多政府参考人 お答えいたします。
ベビーシッターを含む認可外保育施設につきましては、待機児童問題によって、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方がいらっしゃいますことから、代替的な措置として、幼児教育の無償化の対象としたものでございます。
今般の無償化を契機に、認可外保育施設の確保、向上を図ることが重要だと考えております。特にベビーシッターにつきましては、保育従事者の資格や研修の受講などについて、新たな基準の創設が必要と考えております。子供たちの保育環境の安全確保の観点から、現場を預かる皆様の御意見に十分配慮いたしまして、十月からの幼児教育の無償化の円滑な施行に向けて、基準の創設等の検討を進めていくこととしております。
○小寺委員 ありがとうございます。
ベビーシッターを含むというのは非常にリスクがあるのかなというのが、実は私自身の印象であります。
このベビーシッターの問題については、平成二十六年の三月十七日に、いわゆるベビーシッターを名乗る男性の自宅から男児の遺体が発見されるという事件が過去に起こりました。預けられたお母さんは、平日以外にも、休日や夜間などにも一時預かりを必要とされていたということで、インターネットにおけるマッチングサイトでいわゆる子供預かりサービスを利用したということでありました。
現在は、私、今まで、無認可の保育所ということでありますけれども、これもいわゆる届出をしているところは届出しているところで把握ができるわけですけれども、実際には、こうした少人数、家庭の保育でありますとかベビーシッターを現状行っている方々というのは、届出すらされていない方が大変多いのではないかというふうに把握をしているわけなんです。
今回、これが無償化によって、届出をすればいわゆる公的なお金でそれぞれ御支援がいただける。それはもちろん、預けた方が、償還払いですので、いわゆる領収書かレシートを役所の窓口に持っていっていただくということになるわけですけれども、非常にビジネスチャンス的に、いわゆる保育所に入る、あるいはこども園に通わすというふうな行政の煩わしい手続を踏まなくても、そうした認可外の居宅型でありますとか、あるいはこうした少人数で預けておられるところに預けることによっていただくレシートで、そうした役所の窓口へ行けばその分のお金がいただけるということになれば、ある意味、非常に需要が掘り起こされて、多くの方々がこの居宅型を利用される可能性というのが出てくるのではないか。
今、現状で、先ほどお示ししていただいたように、都道府県レベルであってもなかなか目が届かない。七割ぐらいのところを調査ができて、実際、その調べたうちの半数近くが適合していない、これは施設の方ですけれども。これがもっと小さな規模のものであったり個人でやられていることになったら、実際、そうした巡回指導員等を数をふやすといっても、そのあたりまでしっかりとした目の届くような管理監督が本当にできるのかなというのを非常に不安に思うわけなんです。
いわゆる保育の質の観点で今はお話をしましたけれども、もう一点、大きな不安があるのは、これは不正の温床になりはしないかということなんです。実は私自身はずっと商売の世界で生きてまいりましたので、何かあったらずるいことを考えるようなところがあって、これを悪用しようと思えば悪用できるのではないかという可能性が実はあるのではないかというふうに思います。
具体的に申し上げますと余り品のよくないことになりますので差し控えますが、そのあたり、やはり認可外のそうした小さなところまで、個人でやられているようなサービスまで、公金をいわば直接的ではありませんけれども投入していこうとするならば、そうしたところを本当にどう考えるのか。実際、受け付けていただく窓口の市、町からすれば、これはひょっとしたら怪しいというふうに感じられたところで、それを具体的に防ぐすべというのはないのではないかという気がするところであります。
ぜひ、そのあたりのところを考慮いただいて、これからしっかりとした制度設計を築いていただきたいというふうに思うところであります。
そして、次に、今国会で提出をされました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に対して、成立後のスケジュールについてお尋ねをすることは大変僣越であるということは重々承知をしておりますけれども、十月に実施という大前提があることからいたしますと、地方自治体からは既に悲鳴にも近い声が上がっており、私のところにも届いているわけであります。
円滑な実施に当たっては、規則等の整備、利用者への周知やシステムの改修等、各自治体においては相当な実務上の準備をしてもらわなければなりません。
また、認可外保育施設については、自治体が条例を制定すれば無償化の対象外にできるように協議の上決めていただいたわけでありますが、十月に合わせて条例を施行しようとすれば、遅くとも六月、地方議会の六月定例議会で成立をさせなければならないというふうになってまいります。もし、自治体によってはパブリックコメントなんかを実施していこうとすれば、スケジュール的には大変厳しいのではないかというふうに思います。
早急に制度設計の詳細を明らかにしていただき、関係法令を整備することが必要であるわけですので、政府として、地方自治体としっかりと連携をしながら取り組んでいただきたいというふうに考えるところでありますが、御見解をお尋ねいたします。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
幼児教育、保育の無償化に関する事務につきましては、昨年来、複数回にわたりまして、国と地方自治体とで実務に関する議論を行う機会を設けたり、地方自治体職員向けの説明会を開催するなどしてまいりました。
そうした中で、地方自治体の皆様の御意見を伺いながら、預かり保育、認可外保育施設など、今般無償化の対象となる施設、事業ごとに詳細な事務の流れをお示しするなど、準備を進めてきたところでございます。
さらには、これらの取組に加えまして、昨年十二月に、国と地方自治体とのハイレベルでの協議の場も設置するなど、一層丁寧に意見を伺いながら検討を進めておるところでございます。
十月からの実施に向けまして、委員今御指摘の点なども念頭に置きながら、引き続き、地方自治体や関係者の方々の御意見を丁寧に伺いつつ、制度の詳細に至るまで準備を加速化してまいります。
○小寺委員 ありがとうございます。
全国市長会がなされたアンケートによりますと、先ほど私が申し上げたような不安があって、条例化を検討されている自治体が、様子見等も含めますとかなりの数に上るというふうに承知をしております。
そうした自治体からすれば、先ほど申し上げましたように、既にぎりぎりのタイミングであるということと思いますので、もちろん法案が成立するということが大前提でありますが、できるだけ、今言っていただきましたように、連絡を密にとり合っていただいて、円滑な実施ができるようにお願いを申し上げます。
そして、今回の幼児教育の無償化を実施したところで、いわゆる保育というのは、保育に欠けるということが要件でありますので、保育需要がゼロ歳から二歳のところに対して急激に拡大することはないというふうな御説明をいただきました。しかし、市や町からは、現在の待機児童の解消に向けた取組を進めてはいるものの、保育人材の確保には非常に今危機感をお持ちであるというふうに認識をしております。
こうした保育人材の確保とあわせて、処遇改善に対する取組についてお尋ねをいたします。
○本多政府参考人 待機児童の解消のためには、保育の受皿拡大と同時に、御指摘のとおり、それを支える保育人材の確保が不可欠でございます。
まず、処遇改善につきましては、これまでも取り組んできております。平成三十一年度予算案が成立すれば、政権交代後、合計で約一三%の改善となります。これに加えて、平成二十九年度からは、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善も行っております。
この処遇改善のほかに、新規の資格取得の促進、就業継続、離職者の再就職の促進といった観点から、引き続き総合的な支援を行ってまいります。
○小寺委員 そうして処遇改善、特に給与を引き上げていただくことは保育士の皆さんにとっては大変ありがたいことであろうというふうに思うわけですけれども、実は、これは地域間でかなり保育士の流動というんですか、移動がありまして、十分に足りている地域と足りない地域の偏在が起こっています。
これは、看護職とかそういう方々でも同じことが言えるわけなんです。私は滋賀県ですので、滋賀県よりは京都市の方が給料が高い、そうすれば、滋賀県の看護職の方々は、滋賀県の看護のところで一生懸命勉強していただいてなっていただいたんですけれども、就職は京都でといったことが現実なんです。
保育士の場合も実は同じことが起きておりまして、調べますと、関東地方でいけば東京がやはり非常に高い。千葉や埼玉の方から、どんどん保育士さんが離職をされて東京の方になだれ込んでおられるというのが実態なわけであります。
そうした点も御配慮いただきながら、市長会からは確保に向けた悲観的な見方が広がっておりますので、今お取り組みいただいていることもあわせて、現状を注視しながら迅速な対応をお願いしたいと思います。
そして、今回の無償化は子育て世帯への支援策であるということは十分に承知をしております。しかし、一方で、自宅で育児をする世帯や今回の無償化の対象にならない子育て世帯の人たちへの配慮も重要であろうというふうに思うところです。特に、みずからの意思で自宅で育児をされている世帯への目配り、気配りも必要ではないかというふうに考えますが、お考えはいかがでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、御自宅で子育てをされている方々への支援もあわせて実施していくことが重要であると認識してございます。
そのような観点から、一時預かり事業の実施、親子の交流や子育てに関する不安、悩みなどを相談できる場としての地域子育て支援拠点、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行う子育て世代包括支援センターの整備などを進めているところでございます。
引き続き、全体として子育て世帯への充実した支援が行われるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
○小寺委員 先ほど、少し、私立の保育園の園長先生方から不安の声があるというお話をさせていただきましたけれども、地元の私立の保育園を経営されている園長先生から、給食費の徴収についてお話をいただきました。
各保育園では、それぞれに特色ある保育を実践されています。特に、お昼に食べるものやおやつ、あるいは食育教育の一環としての食材と食材料費の中身については保育園によってまちまちであるというのが現実です。
今までは三歳以上の副食費は保育料の中に含まれておりましたが、今回の無償化に伴い、各保育園が給食費として徴収するときに、金額等の算定根拠を明らかにし、この給食費が、保護者に対して説明責任を果たしていかなければならないのではないかというふうな不安の声が上がっています。
また、食材費の徴収方法についても、原則実費負担ということで、ほかのいろいろな、通園費とかを含めて、園個人個人が集めるというふうに伺っておりますけれども、そこも市、町によって結構ばらつきがあるというふうに伺っております。
そこで、やはりそうした方々の不安を解消するためには、国の方である程度統一したマニュアルのようなものを作成して示してあげる必要があるのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
幼児教育の無償化に当たり、食材料費につきましては引き続き保護者に御負担いただくこととし、委員御指摘のとおり、これまで保育料に含まれ、市町村が徴収していた三歳以上の児童の副食費につきましては、給食費として施設に徴収していただくこととなります。
この取扱いの変更につきまして、保護者の方々に御理解いただけるよう、わかりやすい周知用資料を作成するなどして、行政の責任において丁寧に周知、説明をしてまいりたいと考えております。
また、各施設における円滑な給食費の徴収に資するよう、目安となる額や徴収額の算定に当たっての考え方、これらを通知等によりお示ししたいと考えておるところでございます。
○小寺委員 いろいろ申し上げてきたわけでありますけれども、私は、冒頭申し上げましたように、この施策、何としてでも進めていかなければならないという立場であります。
しかしながら、運営上、あるいは保育の質を向上させるという観点からいたしますと、私がいろいろ申し上げたように、まだ現段階でさまざまな不安やあるいは課題があるのではないか。あるいは、導入後も、認可外保育施設においては五年間の経過措置、二年後でということが入りましたけれども、やはりさまざまな課題が出てくることが予想されているわけであります。
性悪説に立つわけではありませんけれども、起きてから、しまったということだけはないようにしなければ、これは子供がかかわっていることでありますので、大変大事なことであろうかと思いますので、ぜひそのことを肝に銘じていただいて、円滑な運営ができますようよろしくお願いいたしまして、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○牧原委員長 午前十一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十時二十二分休憩
――――◇―――――
午前十一時開議
○牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。岡本三成君。
○岡本(三)委員 皆様、こんにちは。公明党の岡本三成です。
質問の時間をいただきまして、理事の皆様、委員長、本当にありがとうございます。
本日は、経済再生を担当される内閣府の皆様を中心に、どのようにしたら国民の皆さんが望んでいらっしゃる経済政策を実現できるかということをエビデンスベースにお伺いして、新たな提案等もできればさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、田中副大臣にお伺いいたします。
今回のこの所信の中でも、今回の景気回復は七年目に入り、戦後最長になったというふうにおっしゃっています。実際に、高度経済成長期のイザナギ景気を超えて、現在、戦後二番目の長さになっておりまして、このままでいくと最長になる可能性も出てきましたが、一方で、国民の実感の世論調査をとりますと、好景気を実感できていないという方が、NHKの調査で六六%、日経新聞では七八%の方が景気実感を感じていないというふうにおっしゃるんですけれども、このギャップ、原因はどこにあるとお考えでしょうか、お伺いいたします。
○田中副大臣 今、NHKの調査又は日経の調査というお話がありました。
日経なんかでは、戦後最長になった可能性がある現在の景気回復、やはり七八%が実感していない、そのように答えが出ているということは承知をしております。
やはり一番は、これは賃金がなかなか上がっていないということが一番ではないかなと思いますが、例えば、アベノミクスの開始とともに始まった今回の景気回復、七年目ということに入りました。これは、戦後最長期間を超えた可能性があるということであります。確かに、高度成長期のイザナギ景気、このときは実質一一・五%の成長がありました。また、八〇年代後半のバブル景気、これは実質五・三。これと比べると、今回の成長率、これは平均で実質約一・二%程度、これがやはり実感の弱さにつながっている。その上で、賃金がなかなか上がっていかない、ここがやはり一番、景気判断と国民の実感、これが委員おっしゃるように乖離している、その原因だと思っております。
その一方で、人口減少の中においても、就業者数、これはバブル期並みに増加もしております。また、景況感、地域間格差、ばらつきが最も小さくなっている、これが今回の景気回復の特徴ではないかなと思っています。
その上で、やはり景気回復の実感を更に高めていくためには、やはり賃金の上昇、これが鍵になる、そのように思っております。
○岡本(三)委員 私も全く同感なんですね。いわゆる政府の景気判断の基準というのは、主にはGDPの成長、企業業績等々ですけれども、一般の国民にとっての景気がいいという定義は、自分の給料が上がっているかどうかなんですよ。
実は、予算委員会で、この国会で議論されていることに私はちょっと違和感があることがありまして、ある一方の方は実質賃金が大事だとおっしゃるんです。おっしゃるとおりです。豊かさをはかる、その変化の度合いは実質賃金に集約されるんですけれども、一方で、実質賃金は、労働参加率がふえればふえるほど押し下げられるというバイアスがあります。ただ、実質賃金の対抗者は総雇用者所得が大事だと言うんですね。ただ、総雇用者所得は、全体の勢いは示しますけれども、個人の豊かさはあらわしません。
だから、たった一つで何かを判断しようということに無理があって、全体的に判断しなければいけないので、何か生産性のない議論が行われているというふうに私は感じてしようがないんですが、要は、給料が上がるのが大事なんです。一番給料が上がらなきゃいけない。
今回の所信にはこう書いてあるんですよ。GDPは五百五十兆円と過去最大、企業収益も過去最高、そのとおりなんですね。もうかっているんです。もうかっているのに給料は上がっていない。理由はたった一つでして、労働分配率が過去四十三年間で最低です。現在六六%。十年前には七五%だったんですね。要は、もうけた金がほとんど内部留保で銀行口座にあるんですよ。問題は、これがどこにあるかという話です。
これは財務省の法人企業統計で、全法人で四百四十五兆あるんですが、実は大企業だけにあるわけではありません。大企業、資本金一億円以上と定義すると、ここに二百八十一兆円あります。安倍政権が始まってから、その統計をとった過去四年間でとりますと、これは三七%ふえているんですね。中小企業、資本金が一億円未満の中小・小規模事業者とすると、これは百六十六兆円あります。ここはプラス三五%。ちっちゃな会社には金がないかというとめちゃくちゃありまして、これは一つ一つとりますと御苦労されている会社もありますよ、ですから、全体像で、マクロで数字で話したいんですけれども、資本金一千万円未満の会社、この内部留保は十五・七兆円、過去四年間で七七%上がっています。要は、みんな金を払っていないんですよ。
労働分配率がここまで低い理由、そしてそれをどういうふうに評価しているか、御答弁お願いします。
○田中副大臣 労働分配率については、やはり、今委員がおっしゃったとおり、一般的には、景気回復期には企業収益の回復ペースが雇用者の賃金増加ペースを上回ることが多いというのも事実でありまして、それによって低下する。逆に、景気後退期には上昇する。これは分母の問題だということであります。こういう傾向があるということは委員よく御存じのことだと思います。
今回の景気回復局面でも、二〇一二年には七〇・六%あった、これが二〇一七年には六八・六%、二ポイントほど低下している、これも先ほど御指摘あったとおりだと思います。水準としては、やはり二〇〇七年以来の低さとなっているという状況であります。
景気回復の実感、これを高めていくためには、先ほども申し述べましたが、賃金の上昇がやはり鍵だと思っております。企業収益をやはり一層改善して、そして、賃上げの原資をしっかり確保するとともに、賃上げですとか投資に対する前向きな企業マインド、これを拡大していくことが何よりも必要だと思っております。
政府といたしましても、企業収益をさらなる賃上げや投資につなげていく、こういった経済の好循環をつくっていくために、昨年から、賃上げや投資に積極的な企業に対しては、法人税の実質的負担を二五%まで引き下げる、こういうようなさまざまな税制措置も講じているところであります。
さらなる経済の好循環、これを高めていきたいと思っています。
○岡本(三)委員 給料を決めるのは経営者です。ですから、あえて誤解を恐れず言えば、経営者が給料を上げることに対してコミットメントが弱いのではないかと私は思っているんですね。
ちょっと質問させてください。
総理も参加されましたダボス会議、ワールド・エコノミック・フォーラムが国民の人材力というランキングを出しています。その国民が、労働力として考えたときに、どれぐらいの人材力があるかというランキングです。これは第四位なんですね、世界第四位。日本人は物すごく能力が高いんですよ。
私、実は海外で結構長く働いておりまして、肌感覚でわかります。トップ百人ずつ、いろいろな国から天才を集めたら、当然人口が多い国の方がトップ百人は優秀な人が多いですが、平均でしますと、世界のどの国の人と比べても、一般的な日本人の大卒の方、高卒の方、本当に優秀なんですね。肌感覚でわかります。
一方で、こんなに人材力は優秀なのに、生産性、労働者一人当たりのGDP、これは世界銀行の統計ですと世界第二十九位です。世界第四位のクオリティーの人材がいるのに、そこから出てくるアウトプットは世界第二十九位なんですね。
日本の人材のクオリティーがこんなに高いのに生産性が低い理由、どういうふうにお考えでしょうか。
○田中副大臣 今委員御指摘の世界銀行のデータ、日本の労働生産性ランキングが低いという部分であります。これは承知をしているところであります。
日本の労働生産性の水準ですか、伸び率、これが低いという理由については、これは専門家、シンクタンク、いろいろな分析があって、一概には申し上げることは難しいところではありますけれども、日本のTFPですとか資本装備率が伸び悩んでいる、これが一つの原因だ、こういう指摘もあるところであります。
これまで日本のTFPの上昇率が伸び悩んでいた原因というところでは、やはり日本企業はオープンイノベーションではなくて自社内の技術開発にこだわることが多い、こういう部分もあります。研究開発によって蓄積した技術ですとかアイデア、これがなかなか幅広く効率的に活用できていない、また、ICTの利活用、これが中小企業などはやはりおくれている、十分に進んでいない、こういうことなどが挙げられるところであります。
また、日本の資本装備率が伸び悩んでいた原因としては、やはり日本の設備投資が力強さを欠いている、これも考えられる要因であります。その背景としては、国内ではなく海外に設備投資が向かっている、こういう部分も考えられるところだと思います。ただし、設備投資については、技術革新あるいは省力化への対応もあって、足元ではかなり増加基調で推移している、そのように認識しております。
これからも第四次産業革命の技術革新が急ピッチで進んでいく、そういう状況にある中で、我が国においても、これを社会実装するさまざまな事業、プロジェクト、こうしたものをやはりもっとスピード感を持って進めなくてはいけない、そのように考えております。
○岡本(三)委員 茂木大臣がもともとお勤めだったマッキンゼーがレポートを出しております。そのレポートが正しいとは言いませんけれども、マッキンゼーは何と言っているかというと、日本の生産性が低い最大の理由は経営者のコミットメントが低いことだ、そして、その経営者が生産性を上げるためのインセンティブを与えたり、また、たまにはプレッシャーを与えたり、大きな経営者のコミットメントを醸成することが政治の役割ではないかという問題提起をしているんですね。私、正しいところはあると思うんですよ。
その上で、生産性という言葉がよく飛び交います。生産性革命、生産性を上げる。生産性の目的というのは何でしょうか。生産性が上がると何が起こるんでしょうか。国民にとって生産性の意味というのはどういうことなんでしょうか。お答えください。
○田中副大臣 生産性革命といいましょうか、その意義ということでありますが、やはり目的は労働生産性を高めていく、これは付加価値や企業収益も高めることでもありますが、結局は、ひいては、企業の賃上げの原資確保、これに資するものだろうと思っております。安倍政権になってからは、多くの企業で五年連続となるベースアップ、これも行われております。今後もこうした賃上げを更に続けていく、これが何よりも重要だと思っております。
そういった意味でも、二〇二〇年までの三年間、これは生産性革命集中投資期間と今位置づけております。引き続き、生産性向上に向けた取組、具体的な政策を進めて、企業に賃上げの原資、これが確保されて、更に賃上げにつながっていく、こういう好循環を生むように進めていきたいと思っています。
○岡本(三)委員 労働分配率が一定だと仮定をすれば、経済学的には生産性と賃金はほぼ同意語です。要は、生産性を上げるということは、賃金を上げるということとほとんど同じコミットメントなんですね。生産性革命というのは賃金を上げるという革命です。そこをまず明確にしておきたいと思うんですね。
一番初めに申し上げました、実際の政府の景気判断と国民の感じ方のギャップ。給料が上がっていないと。上がっているんですよ。上がっているんですが、期待値ほど上がっていないんです。期待値に届いていないから実感がないんですね。もし仮に、この間、第二次安倍政権ができた後の間、企業業績に対応する同じ比率で毎年賃上げをやっていたとすれば、大企業も中小企業も含めまして、一〇%以上の賃上げをしていなければ同じだけ共有したということになりません。やはり期待値より低いんですよ。
それで、どこにその不満を抱えた方がより多くいらっしゃるかというと、ざっくり言いますと、大企業は総体的に海外の大企業と比べましても給料は上がっています。期待値に届いていないのは中小企業なんですよ。この中小企業で、御存じのとおり、七割以上の方が働いていらっしゃって、法人数でいうと九九%以上の方がいらっしゃるわけです。ここにさまざま、政府も給料を上げるインセンティブを与えようとして努力をしていらっしゃいました。
財務省、来ていただいていると思うんですけれども、お伺いいたします。
所得拡大促進税制を行っていらっしゃいますけれども、この目的と実績と、その実績を振り返ったときの評価を、ちょっと簡潔目でお願いいたします。
○住澤政府参考人 お答え申し上げます。
所得拡大促進税制でございますが、平成二十五年度の税制改正におきまして、経済再生を賃上げの側面から促進していく観点から創設をされた税制でございまして、給与等の支給総額の増加率に応じまして、その一定割合を法人税額から控除する制度となっております。
この適用状況でございますが、今御指摘のございました中小法人の適用状況を中心に申し上げますと、制度創設当初と比べますと、少しずつこの適用状況は拡大をしてきているわけでございますけれども、中小法人全体で二百六十四万社ほどございますが、現在、その適用を受けている中小法人の数は十一万七千三百三十二件ということで、これは平成二十九年度のデータでございますけれども、全体の四%程度ということになってございます。
こういった中小法人について適用割合が低くなっている一つの要素といたしましては、中小法人の約六四%が赤字法人であるといったような要因もあるものと考えてございます。
○岡本(三)委員 そうなんです。先ほど申し上げたように、中小企業の賃上げを期待値以上に実現しないと国民の実感は伴わないにもかかわらず、政府が今やっていらっしゃる税制、これは十二万件、給与を上げることによって税制の優遇を受けていますけれども、全企業の約四%。中小企業の対応は、全体の、中小企業数でいうと〇・三%。一%も使っていないんですよ。なぜかというと、インセンティブがないからです。六割以上の企業は税金を払っていませんから、給料を上げたら税金を戻しますといっても何のインセンティブもないんですね。
しっかりインセンティブを与えるような、経営者に対して直接的なインパクトを与えるような政策が今後は必要だと思っているんです。
先ほど副大臣おっしゃったように、まず雇用が安定していなければ賃上げも何もありません。なので、みんなが働けている状況でやっとスタート地点にまで来たということなんだと思うんですが、もう給料が上がらなければ国民の方々は満足はしていただけない状況にあります。
そこで、経産省、お伺いしたいんですけれども、中小企業政策、今回も強靱化政策とうたっていらっしゃいますが、中小企業政策の目的は何か、教えてください。
○奈須野政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、中小企業が従業員の賃金を引き上げて成長と分配の好循環につなげていくことは極めて重要で、こういったことも中小企業政策の目的の一つであります。
中小企業政策では、こうした点も踏まえまして、中小企業のさらなる賃上げのための環境整備として、中小企業の生産性向上と、その原資がきちんと中小企業の中で還元されるように、取引環境の改善を進めているというところでございます。
具体的には、予算、税制などの措置を通じまして、中小企業の設備投資やIT導入等を支援し、生産性向上を促すということに加えまして、下請法等の運用強化、産業界への自主行動計画の策定と着実な取組の要請、それから、下請Gメンによる取引実態把握などに取り組んで、取引環境の改善を進めております。
さらに、こうした取組が中小企業で働く方の給与の増加につながるように、今し方御指摘のありました所得拡大税制によって中小企業の賃上げを強力に後押ししているというところでございます。
引き続き、中小企業政策を通じて従業員の賃上げの流れを確固たるものにして、ひいては、地域経済、日本経済の活性化につながるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○岡本(三)委員 これは経済再生に直接的に関係があるので、この内閣委員会で中小企業庁の方にも来ていただいたんですが、大きな世の中のパラダイムシフトが起こる中で、中小企業庁の政策も変えてほしいんですね。
どういうことかというと、私は、今の中小企業庁の政策というのは、中小企業という会社のため、会社の存続のため、社長のためであって、中小企業の社員のためにはなっていないと思っているんです。それは悪いと言っているんじゃなくて、これまでは、ひたすら生産人口も人口全体も伸びていました。雇用が何より重要だったんですね。中小企業が潰れると路頭に迷う人が多いというふうな状況だったんですが、今は人手不足です。
私、今週の火曜日に、予算委員会の地方公聴会で函館に行ったんですね。函館でスルメイカを加工している業者さんが去年一年間で四社廃業されたと聞きました。大変競争が厳しいんですよ。ただ、その四社で働いていた方は、間髪入れず再就職ができて、多くの方は給料が上がっています。要は、今、会社の数が減ったって、雇用が失われて失業率が上がるという環境にはないし、今後の人口動態を考えると、そういうことというのはほとんど考えづらいんですね。
であれば、企業を守るという観点から、従業員を豊かにするという観点にマインドをシフトしていただきたいというふうに思っているんです。ぜひ中小企業に給料を上げていただきたい、さまざまなインセンティブを与える。
ただ、中小企業が給料を払えるような状況を支援していくということが同時に何より重要だと思っているんですけれども、中小企業の中でも給料を上げているところというのはあるんですよ。その給料を上げている中小企業と上がっていない中小企業が何がどう違うかという統計、相関関係とかを分析したことはありますか。聞いていなかったので、なかったらごめんなさい。
○奈須野政府参考人 済みません、ちょっと私ども十分な調査ができておらず、どういった要因があるかについてはつまびらかにしませんが、一般的に申し上げると、きちんと売上げが上がっていて、売上げによって収益が向上していく、そういう基本というところが重要なところではないかというふうに考えております。
○岡本(三)委員 ごめんなさい、通告していなくて。
実は、中小企業庁は日本の国内での統計というのはとっていないんですけれども、OECDではとっているんですね、先進国の中小企業がどういうところが給料を高く払っているか。ぜひ日本でもやってほしいんです、エビデンスベースだとおっしゃっているわけですから。
これは、先ほど申し上げたように、給料と生産性の定義がほぼ一定だというふうに考えると、生産性、給料と一番相関係数が高いのは従業員の数です。相関係数〇・九四。要は、同じ仕事をやっていても、十人より二十人の会社の方が給料は高いんですね。五十人より百人。これは、感覚はわかりますでしょう。
ということは、ちっちゃな企業がたくさんあっても、社長は喜ぶけれども、従業員は喜ばないんですよ。大きな企業にしていくような支援を中小企業庁を中心にやっていくべきだというふうに思っているんです。
これは、地銀が一番いろいろな企業の情報を持っていますので、内閣府を中心に、金融庁等も巻き込んでやっていただければと思うんですけれども、潰れそうになっているところを統合というのはなかなかないので、元気のいい間にA社とB社とまとまって、三十人と五十人の会社を八十人にすると、その八十人になったときには、相関係数〇・九四で、より売上げが上がり、より利益が上がり、配分できるような体制になっています。
何か難しいことを言っているような気がしますけれども、日本というのはずっとその歴史を負っていまして、私が会社員になったとき、メガバンクというのは二十一行あったんですね。二十一行なんか食っていけるわけありません。今、三行です。たった三行。
例えば、最大手の三菱UFJフィナンシャル・グループ、これは七行あったんですよ。皆さん、言えますか、昔どの銀行だったのか。三菱銀行、東京銀行、三和銀行、東海銀行、三菱信託、東洋信託、日本信託。三菱UFJフィナンシャル・グループになって本当によかったときっと思っていると思います。一つの信託銀行だけでは多分生き残れていないんですね。
日本は過当競争が過ぎるというOECDの調査があります。企業数が多過ぎるので、いい商品をつくっていても値段をたたき合いし過ぎなんですよ。中小企業庁は企業の存続を守り過ぎです。それが今まで必要だったのでいいんですよ。ただ、これからは、そこで働いている人たちの給料を上げることが目的ですから、そう考えると、支援の矛先というのをしっかりと、マインドセットを変えていただきたいと思うんですね、一つ目。
二つ目に、中小企業で給料を上げているところ、相関係数〇・八五があります。これは何かというと、輸出をしている中小企業は給料が高いです。これはなかなか、いやいや、結構日本も輸出しているんじゃないかと思っていらっしゃる方がいますが、日本は輸出量でいうと、輸出額は世界第四位です。中国、アメリカ、ドイツに続いて四位。ただ、ソニーやトヨタや一部が大量に輸出しているだけなんですね。国民一人当たりでいいますと、日本の輸出の金額のランキングは世界何位か皆さん御存じですか、国民一人当たり。これは輸出大国でも何でもありません。一人当たりの輸出量は世界第四十四位です。輸出なんかしていないんですよ、全体的には。ちなみに、日本の中小企業・小規模事業者で輸出をしている企業は三・五%です。
ただ、私、地元を歩いていますと、例えば栃木県のイチゴ農家、アジアに輸出するようになって売上げ倍増です。埼玉県のリユース、古着屋さん、マレーシアに輸出するようになって売上げ倍増です。要は、ターゲットマーケットが大きくなるわけですから、日本のメード・イン・ジャパンのプロダクトのスペックはめちゃくちゃ高いんですね。部品であっても何であってもめちゃくちゃ高いです。スペックを上げるのには大変な時間がかかるんですね。もう三年も五年もかかってもスペックはほとんど上がりません。それぐらいトップエンドなんですけれども、販路の拡大というのは比較的大きくできるんですね。
ジェトロ、すごく活躍されていますけれども、それでも事実は、日本の中小・小規模企業で輸出しているのは三・五%。輸出すると給料が上がるんですよ。ぜひ、そういうところも含めて、内閣府に音頭をとっていただいて全体をまとめていただきたいなと思います。
その上で、プレッシャーも必要だと思っているんですね。給料を決めるのは経営者です。ただ、政治が決められる給料、賃金がたった一つだけあります。それが最低賃金です。私は、最低賃金の考え方を根本から考え直すときが来ていると思うんです。一部の世界の先進国は始めています。
厚労省にお伺いいたしたいんですけれども、最低賃金を決定するに当たって、その基準をどのように考えているか、地域別、最低賃金法九条の三も言及をして、その基準を説明してください。
○田中(誠)政府参考人 お答えいたします。
地域別最低賃金額、都道府県別の最低賃金額でございますが、その決定に当たりましては、最低賃金法第九条で、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払い能力を考慮して定めなければならないとされ、また同条三項で、労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとするとされておるところでございます。
○岡本(三)委員 要は、社会保障の観点から、生活保護とほぼ同様の考え方で最低賃金はセットアップしているんですね。一方、日本も批准しておりますILO条約の中には、この社会保障的観点とともに経済的要素、どうやったらその方がより大きな生産性を生み、給料が上がるのかということも考慮をしながら、戦略的に最低賃金を決めていくということがこのILO条約百三十一号でうたわれております。
副大臣、私は何を申し上げたいかといいますと、最低賃金が上がるというのは、社会の最も所得でいう低い水準の方を上げるという政策が今までの守るという政策だったんですが、実は、最も低い所得層の賃金が上がれば、総体的に中間所得層に移動していきます。中間所得もある一定の割合でトップエンドに移っていくので、全体的に所得の水準を、分厚い中間層をつくるために政策として国が実行権を持って行動を起こすには、最低賃金を社会的な政策ということではなくて経済政策という観点に移して、ですから、日本は厚労省が最低賃金をつかさどっていますけれども、イギリスは経産省がやっていますからね、経済政策ですから、全体をボトムアップしていこうということですから、そういうインパクトのある使い方をする。
要は、お願いするのもいいですけれども、お願いしても経営者が嫌と言ったら嫌なわけですから。払えない企業もあります、けれども払える企業もたくさんあるわけで、先ほど申し上げたように、内部留保は小さな企業にもたまっているわけです。もし本当に払えなかったら、積極的に大きな会社にして払える状況をつくっていくということも非常に重要だと思うんですけれども、この最低賃金を経済政策の中で活用していくという考え方について、お考えをお聞かせください。
○田中副大臣 今委員の御指摘をいただいて、確かにこれまで最低賃金というと、どちらかというと社会保障政策という面が強かった部分、これはもう、それは社会保障政策という部分はしっかりあると思います。それプラス、やはり経済的な面で、経済政策として活用していくという御意見、これも確かにあると思います。
その中で、この最低賃金でありますが、これは労使の代表が参加する最賃の審議会によって設定されるというものであります。もちろん、この最低賃金が上昇すれば、時給が低い方を中心に賃金の上昇につながる、こういう意味では、経済政策上の意義、これはやはり大きいものと考えております。
その上で、この最低賃金、これの上昇を実現できる環境を整備していくために、中小企業も含めた企業の労働生産性を高める、企業収益を一層改善する、こういう方向性がやはり一番重要である、そのためにあらゆる政策を総動員していくことが重要だと思っております。
○岡本(三)委員 OECDや世界銀行はいろいろなレポートを出しています。普通の仮説でいうと、生産性が上がる、だからもうかる、だから給料が上がる、給料が上がるのは結果だという仮説が一般的ですけれども、実は反対の分析もさまざま分析がされています。まず、賃金を上げる、だからその賃金を上げるに耐え得る体制にしなければいけないので、経営者は新しいところにチャレンジをする、だから生産性が上がる、回る、継続的に賃金を上げていける。これは両方とも正しいというふうなレポートが世界の常識になってきているので、その意味では、賃金を先んじて上げていくということは必ずしも悪い考え方ではないというのが、私もそう思っているんですね。
日本の最低賃金、これを同じ通貨ベースで直しますと、日本はコストは高いですよ、生きていくのに高い国です。日本の最低賃金は世界第十八位であります。こんなに先進国でコストも高い国なのに、最低で守られているのが世界ランキングでいうと十八位のレベルの水準しか最低賃金でセットアップしていないんですね。しかも、上がっていますよ、ここ三年ぐらい、毎年三%ぐらい上がっていますけれども、目標が千円だというんですよ。ざっくりだからです。その千円の根拠もないのに、ざっくり千円というのも私はすごく違和感があるんですね。
これは、先進国は、基本的に中間所得層の何割ぐらいの所得になる、例えばイギリスやフランスは中間所得の五〇パーから六〇%が目標です。そこを最低賃金にして、そこに払っていけるような企業体制を支援していくような政治の役割を負っているわけですね。しっかりとこの最低賃金に対する政治のかかわり、経済を再生するための役割というのを考えていただきたいと思います。
その上で、一つここで質問したいんですけれども、最低賃金を経済政策に最も活用できたと言われている国の一つはイギリスなんですね。これは最低賃金法をつくって、一九九八年から過去二十年間、年平均四・二%上げてきました。結果として、失業率は史上最低、加えて、賃金も世界水準トップクラスになったんですね。
彼らがやったことは、ことし幾らですとか来年三%とかでなくて、日銀がやっているように、フォワードルッキングなんですよ。基本的には、これから十年間、平均毎年三%、四%上げますので、企業経営者の方、準備してくださいというフォワードガイダンスをした上で、審議会が、そのときの経済情勢に合わせて、あるときは七%もあり、あるときは二%もあるわけです。
経営者の側からすると、仮に三%としますと、そうか、三、五、十五で、五年後には一五%上げられるような体制にするにはどういう仕事の拡大をしなきゃいけないかというふうに、自分がやらなければいけない経営の手法というのが明確になるわけです。
ある程度、実質賃金のフォワードガイダンスをしっかりと共有していくというようなことはどう思われますか。
○田中副大臣 政府としても、ニッポン一億総活躍プランというものが、二〇一六年でありますが、閣議決定をされているところであります。これは、最低賃金については、年率約三%程度、これを目途として、名目GDPの成長率、もちろんこれに配慮しながら、全国の加重平均、千円になるということを目指す、このようにしているところであります。
そうしたものも踏まえながら、やはり中小企業への支援策、こうしたものもしっかりと取り組んでいきたい、そのように思っています。
○岡本(三)委員 最後の質問になりますけれども。
最近、自民党さんで議連が立ち上がりました。それは、最低賃金を全国一律にしていこうという議連です。予算委員会で、先日、自民党の山本幸三議員もこの件に言及されていましたが、先進国で最低賃金が地域別に違うのはアメリカと日本だけです。アメリカは州別に州法がありますから州ごとに違うんですね。日本はアメリカをコピーしましたから県別に違います。
イギリスもフランスもドイツも首都と地方の最低賃金は一緒です。そして、その最低賃金が一緒であることが地方の中小企業の生産性の喚起になり、そして地方創生の源泉にもなり、最低賃金のところで働いていらっしゃる方々というのは比較的パートの女性の方が多いですから、女性活躍にもつながり、この所得層の方々というのは消費性向が高いですから、最低賃金の上げがそのまま消費の拡大になり、好循環を生んでいるんです。
日本全国も、こんなちっちゃな国なのに、一番高い東京と一番低い鹿児島でこんな差があっていいのかと私は思うんです。最低賃金を、私は上げてくださいと言っているわけではなくて、上げるということも含めて、初めに申し上げたように、私は、安倍自公政権がさまざま行っている経済政策というのは全て手段で、唯一最大の目的は、働いている方、とりわけ中小企業で働いている方の賃金を上げることだというふうに思っていますので、最低賃金をさまざまな角度から検討をするということについての副大臣の御決意と、加えて、賃金を上げることこそが安倍自公政権の最大の目的で、それに突っ走るという宣言をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○田中副大臣 自民党においても、全国一律の最低賃金を目指す議連、これが立ち上がったということは、議論が今スタートしていることは承知をしております。
もちろん、最低賃金が上がっていく、また全国のばらつき、これも全体的に上がっていくことが一番ではないかなと思っております。また、政府としても、経済の好循環のためには、やはりGDPの六割を占める個人消費の喚起が重要である、そのためにはやはり賃金というものが一番重要だろうと思っております。
もちろん、日本企業全体の、先ほどもお話ありました、九九%を占めている、地域の雇用の大半、これを担っているのが中小・小規模事業者であります。生産性向上にしっかりと取り組んでいただいて、そして賃上げの原資、これが確保されるように、今委員からるる御指摘もいただきました、どのような政策が必要なのか、あるいは適切か、これもしっかりと検討していきたいと思っております。
○岡本(三)委員 元経営者の田中良生副大臣の今後の活動に期待しまして、質問を終わります。ありがとうございます。
○牧原委員長 次に、今井雅人君。
○今井委員 立憲民主・無所属フォーラムの今井雅人でございます。
まず、菅官房長官にちょっとお伺いしたいんですが、きのうの予算委員会で、田畑議員のことにつきまして、女性活躍を推進する観点の政府としてどう考えるかという御質問をさせていただきました。その後、ちょっとこれは看過できないなという発言がありましたので、お伺いしたいと思います。
皆さん、もう新聞等でごらんになっていると思いますけれども、自民党の伊吹元衆議院議長ですが、二階派の会合で、最初に二階幹事長がこの田畑議員のことを、大変皆さんに御迷惑をおかけしているということで謝罪をなさいまして、その次に発言をされておられまして、ことしは選挙がいろいろある、その影響が出ちゃいけない、いろいろなことがあるけれども、問題にならないようにやらなきゃだめだ、やるにしてもと。
これは、文脈をとると、田畑議員のことを会長が謝って、その後にこういう発言をされていますから、流れとしては、普通に考えれば、このことを指しているというふうに思われても仕方がないわけです。こういう発言を、不適切なというか、誤解を招くような発言をすると、本当に、国会議員がどれだけ人権を重視しているのかしていないのかということ、大変国民に対して、不信を覚えると思うんですね。
だから、女性、人権を守るという観点で、政府の立場としてこういう発言についてどう考えられるか、御答弁いただきたいと思います。
○菅国務大臣 政府の立場として、政治家個人の発言の一つ一つにコメントすることは差し控えるべきだというふうに思います。
その上で申し上げれば、女性に対する暴力は、重大な、これは人権侵害であります。決して許される行為ではない、このように考えています。女性の活躍を推進する大前提として、女性が安全、安心して暮らせる環境整備、これがやはり政府の役割だというふうに思っております。女性に対する暴力の根絶、しっかり取り組んでいきたい、このように思います。
○今井委員 きのうも申し上げましたが、中日新聞の報道を見ると、この方は、弁護士を通じて、大変重く受けとめている、道義的には重く受けとめている、ついては示談をしたいということを申し入れているということですから、基本的に自分のやられていることは認めた上で示談をしているということでございますので、きのう離党届を受理されたということらしいですけれども、本当に受理でいいのか。せめて除名、私は、やはりこれは議員辞職するべき事案だと思いますが、どうしてこれは離党届を受理してしまったんだろうという、自民党のこういう問題に対する意識の甘さというのを本当に感じました。
それは官房長官が答える立場じゃないと思いますけれども、そういうことも含めて、やはり、私たちは、こういう問題、人権の問題に対して、本当に、身内に甘いと言われちゃいけませんから、厳格にやっていかなきゃいけないと思いますので、そのことを申し上げておきたいと思います。
官房長官、もう結構です。ありがとうございました。
続きまして、宮腰大臣にちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、宮腰大臣、領土担当大臣ということで、北方領土の御担当大臣でもあるということで、ちょっとお伺いしたいんです。
予算委員会で、安倍総理のところでいろいろ議論になりまして、安倍総理が、今、日本固有の領土とか、ロシアが不法に占拠しているという言葉を使わなくなって、そのことをいろいろと取り上げられているんですけれども、実は、二月の八日に閣議決定をしている答弁書があります。
これは、参議院議員の小西議員が、北方領土は日本の固有の領土と考えているのか、見解を示されたい、こういう質問に対して、閣議決定ですから、皆さん、大臣の方もいらっしゃったと思いますが、「お尋ねについては、ロシア連邦政府との今後の交渉に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。」、こういう答弁書を閣議決定しておられますけれども、当然、大臣もこれは了解されたということでよろしいですか。
○宮腰国務大臣 北方領土は我が国が主権を有する島々であるというのが日本政府の立場でありまして、この立場に変わりはありません。また、北方四島の置かれた状況につきましても、政府の法的評価は一貫しておりまして、北方領土問題に関する政府の法的立場に変わりはありません。
○今井委員 私の質問は、北方領土を日本固有の領土と考えているかということに対して、お答えすることは差し控えたい、こういうふうになっているわけです。ところが、資料をきょう持ってきていますが、一番最初のところに、内閣府のホームページがあります。これは内閣府がいろいろなところに情報を情宣するということですから、所管の大臣は宮腰大臣だと思いますけれども、そこに、一ページ目の、一、北方領土とは何かというところがありますね。三行の文字がありますが、一番最後のところには、ロシアは北方領土を法的根拠なく占拠し続けていますということですから、不法に占拠しているということがここに書いてあります。そして、このページの一番下、なぜ北方領土は日本固有の領土であると言えるか、こういうタイトルで、固有の領土である理由をここで説明しておられます。
政府の広報に、北方領土は日本固有の領土であるということを明記し、そして不法占拠であるということも明記しているわけです。現在もこれはあります。ところが、質問主意書には、このことはお答えできませんとあります。これは矛盾していますね。どちらが正しいんですか。
○宮腰国務大臣 今、ホームページのお話をされました。北方四島の置かれた状況についての政府の法的立場は一貫をしておりまして、内閣府のホームページ等における表現を変更する必要はないというふうに考えております。
今、日ロ間の領土交渉がスタートしているわけでありますが、一般論として、領土問題は相手国との交渉等を通じて解決すべきものでありまして、どのような場でどのような表現を使うかについては、相手国との関係等を考慮した上での判断によって異なり得るものというふうに考えております。
○今井委員 ホームページに書いてあることを変更する必要はないということは、北方領土は日本固有の領土であるということですね。そういうことですね。
○宮腰国務大臣 北方領土問題に関する政府の法的立場に変わりはないということはこれまでも申し上げているとおりであります。表現は異なりますけれども、北方四島の置かれた状況についての政府の法的評価、これは一貫しているというふうに考えております。
○今井委員 じゃ、もう一度、聞き方を変えます。
北方領土は日本固有の領土であるという表記とか、ロシアは北方四島を法的根拠なく占拠し続けていますとホームページにありますが、この文言を変える必要はないということでよろしいですね。
○宮腰国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、内閣府のホームページ等における表現を変更する必要があるとは考えておりません。
○今井委員 ということは、今の御答弁では、北方領土担当大臣としては、ロシアは法的根拠なく占拠し続けているという文言は変更する必要はない、このとおりである、それから北方領土は日本固有の領土であるかということに対しても、これも変更する必要はないということですから、そのとおりであるという御答弁をされましたので、私は、この閣議決定と内容が違っていると思います。お答えすることは差し控えているということじゃなくて、答えられるということだと思うんですけれども。
多分それ以上おっしゃられませんが、ここを変更することはないと御答弁いただいたということで、宮腰大臣の考え方をお伺いしたということにさせていただきたいと思いますので、ここのところはやはり、質問主意書の答えについてどうなんだろうという議論は、総理も含めて、今後していかなきゃいけないなというふうに思っております。
次に、済みません、茂木大臣、お待たせいたしました。
茂木大臣とは何度もいろいろな議論をしてきておりますが、何回もお話をしている、最初にプライマリーバランスの話をしたいと思います。
数年前から、この問題はずっと予算委員会等でやってきているんですけれども、私は、政府の皆さんに対して、民間の事業計画のような中期計画をしっかり立てて毎年の進捗状況をしっかりチェックする必要があるので、そういうのをつくったらいかがですかということを提案してまいりましたが、そのたびに、いや、二〇一八年度に一度中間チェックをしますから、その結果を見てまた考えますという御答弁を何度もいただいていました。
ところが、その中間チェックをする前に、プライマリーバランスの計画の見直しが行われてしまいまして、この中間チェックというのが実は宙に浮いているんですけれども、この中間チェックはもともとどういうものだったかといいますと、骨太二〇一五にありますけれども、二〇一八年度でプライマリーバランスのGDP比をマイナス一%を目安としてやるということでありました。新しい計画になりましたけれども、とにかく、このベースで一度実績値がどうであるかということをしっかりチェックして総括をしておかないと、次につながりませんので、この総括をきょうはまずさせていただきたいと思うんですね。
ですから、安倍総理がいつも、ここができなかったのは消費税の引上げが延びたからだというふうにおっしゃっていますが、それは詭弁だと僕は思うんです。もちろん、一部その原因はあります。四・一兆円ぐらいあると思いますけれども、それがあれば本当にマイナス一%が達成できたのかということを検証しておく必要があります。
大臣にお伺いしますけれども、消費税を引き上げなかった、延ばしてしまった、引上げを延ばしてしまったことの影響を加味した上で、それを要するに除いた上で、二〇一八年度の見込みとして、GDP比のプライマリーバランスはどれぐらいになるということになるでしょうか。
○茂木国務大臣 まず、今井議員、ビジネスにおいても、また政府の経済財政運営においても、中間的なメルクマール、こういったものを設定して進捗管理していく、こういったことは極めて重要だと思っております。
その上で、本年一月の中長期試算では、二〇一八年度のPB、これはマイナスの十五・二兆円、対GDP比でマイナス二・八%と試算をしております。ここから、当時、二〇一七年四月に予定していた御質問の消費税率引上げの延期によって二〇一八年時点のPBが悪化する影響、これがマイナスの四・一兆円、これを機械的に差し引きますと、二〇一八年度のPBはマイナスの十一・一兆円、対GDP比でマイナス二%程度になると計算されます。
○今井委員 御答弁ありがとうございました。
そうなんですね、マイナス二%ということですから、一応、目安に対しては未達だったということなんです。
その上で、一番最後の資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、経済・財政一体改革の取組と評価、総括的評価というのがあります。ここの財政健全化というところなんですが、この文章に私はとても違和感があるんです。
まず、歳入面では過去最高の水準の税収を更新しました、よくできましたと書いてあるわけですね。歳出面では計画で定めた一般歳出等の目安に沿った予算編成を行いました、予定どおりやりましたと。歳入も歳出もよくできています、しかし、二〇一八年度のPBのGDP比は、一%のマイナスに対し二・九%です。先ほどもありました、そのうちの〇・九は消費税の分ですから、実際は二・〇ということだと思うんですけれども。
いいですか、歳入もできた、歳出も目標どおりできた、でも未達だったと。こんな理屈、成り立たないですよね。だからそこに、じゃ、どうして、歳入面も歳出面もこうであったのにここが達成することができなかったかという原因がないと、この総括にならないと思うんです。
そこが、私はこの評価の中に落ちていると思うんですね。そこをちょっとどう考えられるか、教えていただきたい。
○茂木国務大臣 まず、今井議員御指摘の二〇一八年度のPBの目安でありますけれども、これは、今の目標年次二〇二五年度ではなくて、二〇二〇年度のPB黒字化を目指していた当時のメルクマールということでありますが、これにつきましては、昨年三月に行いました中間評価において、二〇一八年度時点のPBが、当初の想定、これが二〇一五年の七月に行った試算でありますが、こことなぜ乖離が生じたのか分析をしております。
主に四点ございまして、一点目は歳出改革の効果で、PBは対GDP比で〇・七%プラス、プラス三・九兆円程度改善したものの、それ以外がマイナスなんですけれども、世界経済の成長率の低下によります影響、これがマイナスの〇・八%、マイナス四・三兆円。補正予算の追加によります影響がマイナスの〇・四%、マイナスの二・五兆円。そして消費税率引上げ延期によります影響がマイナスの〇・七%、マイナス四・一兆円。合計で、対GDP比マイナスの一・二%、マイナスの六・九兆円程度の下方修正となった、このように分析をいたしております。
その上で、当初目標としていた二〇二五年度のPB黒字化が困難になった理由、これにつきましては、一つが、世界経済の成長率の低下などもあって、日本経済の成長率が当初予定していたよりも低くなってしまったこと、そしてもう一つが、委員の方からもお話しいただきましたような形の、消費税率引上げ分の使い道の見直しということでありまして、これらを踏まえて、新たなPB目標の設定に当たっては、過去の経済実績それから足元のトレンドを踏まえて、現状で考えられる現実的な成長率に見直した中長期試算、これが昨年の一月でありますが、これを議論の土台として行ったところであります。
二〇二五年度と、若干足の長い話でありまして、この達成に向けまして進捗を管理する必要がある。メルクマールとして、二〇二一年度に中間指標三つを設定いたしております。
一つが、PB赤字の対GDP比を半減、一・五%程度にする。二つが、債務残高対GDP比を一八〇%台前半にしていく。そして、これはEU諸国なんかでとられていますように、財政赤字の対GDP比をEUと同様の三%以下にしていく。これによりまして、しっかりと進捗管理を行いながら、財政健全化を着実に進めていきたいと考えております。
○今井委員 一つ、ちょっと苦言を呈しておきたいんですが、この文書の一番下に、また、人づくりの安定財源として、使い道を見直すことにした、これに伴い、二〇二〇年度の黒字達成化は困難となったという、政府の説明というのはいつもこういうものでして、これが全ての原因であるかのような表現になっていますけれども、これは達成できない理由の一部なんですね。それを、あたかもこのせいで達成できないんだというような表現をいつも使われるんです。
これが私は、まやかしだといつも言っているんですけれども、もう少しやはり誠実に、もちろんこのことも原因の一つです、一つですが、それだけではないということをきちっとこういう文書に書いていただきたいんですね。そうしないと正確なことがわからないということでありますので、ぜひそれは御要望としてお願いをしておきたいと思います。
その上で、今、世界経済が少し落ち込んできているという話がありましたから、経済見通しの話をしたいんです。
二枚目のところに、これは私のところでつくりましたけれども、二〇一八年、二〇一九年、二〇二〇年のGDPの予想値を置いてあります。実質の方で見ればいいと思いますけれども、実質の方が、内閣府の成長実現ケースというのが一番上にあります。下がベースラインケースです。念のため、世銀、OECD、IMFという世界の公的機関の数字も持ってきました。これはただ、暦年ですからちょっと時期はずれていますが、そんなに大きな影響は出ないと思いますから比較してあります。あと、幾つかシンクタンクはありましたが、みずほ総研と三菱総研のを置いてあります。これは日本の会計年度と一緒ですから、内閣府のと同じペースでやっていると思います。
見ていただけると一目瞭然で、内閣府の予測だけが飛び抜けて高いんですね。ほかの予想値は非常に、内閣府と比べると低いです。どうしてここまで乖離してしまっているのかということが私は非常に疑問で、そのことをちょっと一つお伺いしたいのと、それから、今ちょうど海外のことをおっしゃっていましたけれども、この内閣府の数値は十二月に出ていますが、きのう事務方の方からお話を伺ったら、使っている統計はそのときの直近ということでしたから、大体、統計でいえば、二カ月間ぐらいのギャップがあるとすれば、十月ぐらいの数値なんですね、をベースにして計算しているんです。
御存じのとおり、去年の第四・四半期は、世界経済はどすんと落ちています、中国もあわせて。ですから、この数値よりも更に、このときよりも更に厳しくなっていると思うんですよ、予測しなかった中国経済の減速ががくんときていますので。そのことによって企業業績も、企業のことしの決算も去年を下回るという感じになってきています。
そうすると、これだけでも高いんですけれども、更にもっと下振れする、そうすると見通しが大きく狂ってしまう、こういう可能性が非常に高いんじゃないかと思うんですけれども、この点について、いかがですか。
○茂木国務大臣 まず、御質問にお答えする前に、先ほどの最後の部分の、今井議員のコメントでありますけれども、最後で示していただいた経済・財政一体改革の取組と評価のところで、デフレ脱却・経済再生というところの二つ目のポツで、しかし、デフレ脱却と、実質二%程度、名目三%を上回る経済成長の実現は、いまだ道半ばと。
先ほどは二つの理由を私、御説明申し上げましたが、その一つの理由をこちらで書いているということでありまして、もう一つの理由が、この人づくり革命の方に財源を回したということで、この並べ方とかそれについてはあるかもしれませんが、理由としては単純に一つの理由ではない、こういう形であります。
それから、今の御質問の点でありますけれども、確かに、国際機関、民間の機関と比べて、政府の経済見通しは高くなっている部分がありますけれども、一番大きな部分、GDPの六割を占める個人消費の伸び、これをどう見るかということなんだと思っておりまして、政府としては、本年十月に予定されております消費税率の引上げについて、前回、この経験、引上げ前後に大きな需要変動が生じて景気の回復力が弱まることになった経験を生かして、今回、当初予算における臨時特別の措置であったり、自動車、住宅に係る税制上の措置など、経済の回復基調が持続するように、あらゆる政策を総動員をすることにしております。
経済に対する影響二兆円、これは恒久措置を除いた上でありますが、それに対して二・三兆円の対策を打つ、こういうこともありまして、政府見通しにおきましては、こうした政策の効果もあって、個人消費を含めて、内需を中心とした堅調な景気回復を見込んでおります。これがメーンシナリオです。
ただ、おっしゃいましたように、先行きのリスクとしては、通商問題が世界経済に与える影響であったり、中国経済、確かに減速をしております、この先行き。そして、海外経済の動向と各国の政策、これに関する不確実性。さらには、一番、今井委員、専門であります金融資本市場の変動の影響、こういったものがあると考えておりまして、こういったリスク要因にもしっかり目配りをしながら、経済の回復基調が持続するように、政策運営に万全を期してまいりたいと考えております。
○今井委員 今大臣がまさにおっしゃられたように、名目三%、実質二%というのは道半ばということなんですけれども。
それで、ちょっと今、大臣の話の中で付言しておかなきゃいけないことは、二・三兆円の対策を打つとおっしゃっていましたけれども、ほかのシンクタンクもそれは入れていますからね。それも加味した上での数字ですから、内閣府だけがそれを入れているわけじゃありませんので、それは理由にはなかなかならない、ほかと比較したときの理由にはならないということは申し上げておきたいと思います。
私が心配していますのは、これはニッセイ基礎研究所の中期経済見通しというのを今持ってきましたけれども、こういう記述がありました。今後十年間の実質GDP成長率は、オリンピック開催、消費税引上げ前後で振幅の大きな展開が続くが、予想期間、つまり今後十年間は、平均では一・〇%だ、こういう予想をしています。
政府の目標は二%ですね。やはり、いわゆるエコノミストとか、そういう専門家の民間の人たちは、とても厳しく見ています。
二〇二一年以降というのは、実は、政府の経済見通しではなくて、内閣府の中期見通しのところで数字を置いていますけれども、それは、どっちかというと希望的に置いているだけで、予測して置いているわけじゃない数字だと思うんですね。予測をしている人たちから見ると、そんなに楽観的なものじゃありませんよということを皆さんがおっしゃっています。
ですから、私は、アベノミクスがうまくいっている、うまくいっていないと今議論しているんじゃなくて、余り楽観的なことで数字を置いていくと、結局、後になって財政再建が達成できないんじゃないですか、かた目にやはり見ていって、かた目でも何とかやれるというような計画をちゃんと立てるべきじゃないですか、そのためには歳出の削減にももう少しちゃんと取り組まなきゃいけませんし、そのことをぜひ心がけていただきたい、そういう意味で今お願いしているところでございますので、それについてのお考えを。
○茂木国務大臣 委員のおっしゃる趣旨というのはよくわかります。
その上で、どういったことをやったかといいますと、昨年一月の試算以降、経済、物価の改善ペース、それからTFP、全要素生産性の上昇率など、経済前提を見直して推計を行っております。この結果、ニッセイの数字が全て正しいかどうか、これはいろいろな議論があると思うんですが、実質GDP成長率につきましては、見直し前の試算では、二〇二〇年度に二%超、二〇二〇年代初頭には二・四%に達すると見込んでいたものを、本年一月の中長期試算におきましては、二〇二一年度にかけて一%台半ば、二〇二〇年代前半から二%程度と、改善のペースは緩やかになる、また、消費者物価の上昇率につきましても、成長率の鈍化とともに上昇ペースは緩やかになる、こういった、より現実的な経済前提に基づく試算を行っております。
もちろん、これから、二〇二二年からいわゆる団塊の世代が七十五歳に入り始めるという中で、まさに三年間かけて全世代型社会保障改革を進める。特に、ことしの夏から、給付と負担の見直し、これも含めた全体の改革も行っていく。歳出の改革というのは更にしっかり進めていかなきゃいけないと思っております。
○今井委員 時間が来そうですので、もう一枚めくっていただけますか、この指摘だけで終わっておきますけれども。
一億総活躍担当大臣の宮腰大臣と経済財政担当の茂木大臣、ぜひ考えておいていただきたいんですが、これは職業別の有効求人倍率なんですけれども、この五年間で、全体では〇・八から一・四五ということで一・七五倍上がっていますが、実は、介護はもう二・二倍、保育は二・一倍、こういう特殊な業務の方が実は求人倍率が高くなっている。つまり、人が足らないんです。それは給料が低いことです。
ですから、今、処遇改善をしていますが、処遇改善の効果が十分ではないということをこれは示していますので、そのことをしっかり頭に入れながらまた政策をやっていただきたいということを御要望しまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、初鹿明博君。
○初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。
四大臣にお越しいただきましたので、できるだけ答弁は簡潔にお願いをしたいと思います、皆さんに質問をきちんとさせていただきたいと思いますので。
では、早速質問に入らせていただきますが、まず最初に、お手元に、皆さんのところに資料をお配りさせていただいておりますが、ギャンブル等依存症の問題について御質問させていただきます。
御承知のとおり、昨年、ギャンブル等依存症対策基本法が成立をいたしました。与党案と野党案と、二つの議員立法を並べて審議をするという形で、私は、野党側の提出者として答弁に立たせてもいただきました。
結果として与党側の案が成立をしているわけですけれども、どちらの案にも入っていたのがこの関係者会議でありまして、当事者や家族の意見をしっかりと施策に反映をしていこうということで、依存症の問題ではギャンブルに先立って成立をしているアルコール健康障害対策基本法の関係者会議に倣ってつくられたものであります。
二月の二十日の日にこの第一回の会議がやっと招集されまして、委員が発表になりました。ここに委員の名簿をお配りをさせていただきましたが、アルコールの関係者会議の場合は、まず、法律の制定にも尽力をし、長年依存症の問題に取り組んできた断酒会の方々が、代表の方がこの関係者会議のメンバーに入っていたわけです。全国に支部を持っていて、ネットワークもあるということであります。
ところが、今回、このメンバーを見ると、確かに経験者の方、匿名の方がいますけれども、一個人ですよね。どうして、全国的なネットワークを持っているような、例えばギャンブル依存症問題を考える会だとか全国ギャンブル依存症家族の会、そういう団体の代表を委員に入れなかったのかなとちょっと疑問に思うわけですよ。
家族や当事者の意見を反映をするというのは、一個人の意見を聞くということではなくて、多くの方々の意見を集約をして、それを伝えられる人をやはりメンバーに加えることが私は必要だったんではないかなと思いますが、こういう個人は入れているけれども、全国的に一応ネットワークを持っている、そういう団体の代表を入れていないのはどういう理由からなんでしょうか。
○宮腰国務大臣 ギャンブル等依存症対策に取り組んでいる方々あるいは団体は、全国に多数存在をいたしております。個別の人選について、私の立場で答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で申し上げれば、関係者会議の委員には、法律の規定に基づき、ギャンブル等依存症である者等及びその家族を代表する者、関係事業者、専門的知識を有する者といったさまざまな背景の委員が選任されておりまして、基本計画の策定に当たりまして、幅広い観点から検討が行われると考えております。
基本計画の策定の過程では、パブリックコメントを通じてできるだけ広く関係者の意見も聴取する考えでありまして、依存症対策を全国的に推進するに当たって支障のないように取組を進めたいと考えております。
○初鹿委員 そこで、この会議の今後の進め方についてなんですけれども、一枚めくっていただいて、進め方案というものを示させていただいておりますが、二十日の日に第一回をやって、三月上旬に第二回をやり、その後パブリックコメントをとって、第三回以降とあって、もう四月の中旬には基本計画案を決定をして、閣議決定まで行うという案が示されているんです。
後ろを見ていただきたいんですが、次のページ、こちらは、アルコール健康障害対策関係者会議の状況を、どういう状況だったのかということを示させていただきました。
閣議決定が二〇一六年の五月三十一日ですから、それまでの間に十四回やっているんですよ。三つのワーキンググループをつくって、それぞれ四回ずつ行っているということであります。これから比べると、相当拙速ではないかと言わざるを得ません。
そして、幅広く意見を伺う、そういう観点からメンバーを選んでいるということですけれども、一回の会議、正味二時間ですよね。説明などを合わせると、各委員が発言できる時間は正味九十分ぐらい。十四人、座長を除いたら十四人の委員で割り戻していけば、大体六分から七分ぐらいしか発言がないわけですよ。一人の発言一回で六、七分で全員発言していったら、やりとりする時間がないわけですよ。これは意見の表明であって、意見を反映をするということには全くならない。そう思いませんか。
ですから、私は、恐らく、皆さん方としてはこの五月十四日から二十日の啓発週間に間に合うように計画をつくりたいという思いがあるんだろうとは思いますが、やはり一発目の計画ですから、十分に家族や当事者が納得できるような計画になるように、しっかりそういう方々の声もちゃんと計画に組み込まれるようにしていただきたいんです。
そのためには、パブリックコメントの期間も十分にとっていただきたいし、計画の案に対してやりとりがきちんと行われる、そういう議論の機会をきちんと保障していただきたい。
その上で、改めて伺いますけれども、やはりこの日程でやるのは私は非常に拙速だと思いますので、この啓発週間に間に合わせる、こういうゴールありきじゃなくて、しっかりと当事者や家族の意見が反映される、中にきちんと入る、そういう計画になるように十分な議論の時間をつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○宮腰国務大臣 ギャンブル等依存症対策は、昨年七月にギャンブル等依存症対策基本法が成立する前の平成二十八年十二月に関係閣僚会議を設け、公営競技、パチンコにおけるアクセス制限、治療、相談体制の充実、消費者教育等に取り組んできたところであります。
平成二十八年十二月と申し上げたのはIRの議員立法が成立した時点で、このギャンブル等依存症対策基本法が成立する前の時点で、既に、関係閣僚会議を設置をして、いろいろな取組を進めてきたということであります。
今般、基本法が成立したことを受けまして、依存症対策を総合的かつ計画的に推進する観点から、政府に官房長官を長とする推進本部が設置をされました。
依存症対策は喫緊の課題であることから、基本計画を速やかに策定し、その実施を推進することが極めて重要であるというふうに考えておりまして、正式に立ち上がったギャンブル等依存症対策関係者会議の中で、改めて関係者の皆様の御意見をしっかりと聴取をいたしまして、充実した基本計画を策定いたしたいというふうに考えております。
○初鹿委員 アルコールとの大きな違いを一つだけ伝えますけれども、二十八年から本部をつくって対策をとってきていると言いますけれども、アルコールとの一番の違いは何かというと、関係省庁が事業者の立場でもあるということですよ。例えば、競馬だったら農水省ですよね。競艇だったら国土交通省、競輪は経産省というように、関係している省庁は、実は事業者側の立場でもある。だから、きちんと意見を聞くのに、当事者や家族の意見をきちんと聞いた計画にするためには、その時間を十分とらなきゃいけないんですよ。
今まで確かに対策をとってきたと言いますけれども、それはあくまでも事業者側の立場でやってきたんじゃないかという見方がされているわけですから、そこは気をつけていただきたいと思います。
それでは、次の話題に移ります。
次は、予算委員会等でも質疑が出ておりますが、安倍総理がトランプ大統領をノーベル賞に推薦をしたという件です。
トランプさんが何を言っているかというと、首相がノーベル委員会に送ったという手紙をもらった、それが五枚あって、そこには、私はあなたを推薦した、日本を代表して敬意を表し、あなたにノーベル平和賞が与えられるように求めているというのが書いてあるということなんですよね。
そこで、まず最初に片山大臣に、公文書の管理の担当だと思いますのでお伺いしますけれども、総理大臣とか閣僚が、外国の要人、大統領とかそういう人に手紙を送った、又は、国際機関に何か総理大臣又は大臣としての意見を表明する文書を送った、こういう場合は公文書に当たりますよね。
○片山国務大臣 お答えをいたします。
一般論として申し上げますと、行政文書とは、公文書管理法第二条第四項において、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」という規定、定義がございまして、書簡のことも含めまして、行政文書に該当するか否かについては、この法の定義に照らして実質判断ということになっております。
委員御指摘の、まあ、書簡なのかあるいはレターなのか知りませんが、それにつきましても実質的な判断がなされるものということになりますが、その上で申し上げれば、正式な外交文書など行政機関が所掌事務を遂行する上で作成した書簡等については、一般には、公文書管理法に規定する行政文書に該当するものと考えております。
○初鹿委員 一般には行政文書に当たるということですよね。
きのう、ちょっと外務省の方などとやりとりをさせていただいた中で、こちらに資料をつけておりますが、平成二十五年までは、外務省の方から、ノーベル賞の候補者の推薦について依頼というような文書を発出をしていたらしいんですね。ノーベル賞の委員会から推薦の依頼が来たのを、外務省が、それを各議院とか閣僚に対して、こういうのが来ているから推薦をされたらどうですかということをやっていたと。最近やらなくなったということなんですが、どうもオンラインで推薦ができるように変わっていったということなんです。
これは、仮に総理がトランプ大統領を推薦をしているとしたら、オンラインでやっているわけですよね。まさか総理大臣が自分で文章を打ってオンラインで送っているとは思えないので、これが仮に総理官邸の執務室のパソコンを使ってそこの職員が送っているということであれば、それはもう間違いなく行政文書に当たると思いますが、それはそういう認識でいいんですよね。
○片山国務大臣 お答えいたします。
繰り返しになりますが、御指摘の点につきましては、まず、その事実関係の把握というのが我々はしておりませんのでお答えをすることは困難でございまして、その上の一般論として申し上げれば、行政文書の該当性については、先ほど申し上げた、公文書管理法の定義に照らして実質判断をするということになります。
○初鹿委員 つまり、送っているとすれば、行政文書として、ノーベル委員会に送った文書もあるし、トランプ氏にそこに何かコメントをつけて書簡を送っていれば、その書簡も行政文書として保管をしているということになるわけですね。
そうであるならば、情報公開法に基づいて請求をすれば、それは不開示という選択もあると思いますが、開示か不開示をきちんと示す必要があると思いますが、公開請求したらそういうことでよろしいんですよね。
○吉開政府参考人 お答え申し上げます。
総務省としては、個別の案件についてコメントする立場にはございませんので、一般論として申し上げます。
情報公開法に基づく開示請求がなされた場合、請求を受けた行政機関において、当該開示請求に係る行政文書を特定した上で、その行政文書に不開示情報が記載されているか否かを判断いたしまして、開示又は不開示を決定することになります。
ただし、開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなる場合がございます。この場合においては、当該行政文書の存否を明らかにしないで当該開示請求を拒否することができると情報公開法に規定をされております。
○初鹿委員 八条ですかね、存否を明らかにしないでというのは。
でも、不開示情報がわかってしまうから、あるかないかも言えないということですから、不開示情報に当たっているかどうかということが重要になると思うんですよ。
不開示情報として定められているのは、特定の個人を識別できる情報、法人の正当な利益を害する情報、国の安全、諸外国との信頼関係等を害する情報、公共の安全、秩序維持に支障を及ぼす情報、審議、検討等に関する情報で、意思決定の中立性を不当に害する、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがある情報、行政機関又は独立行政法人等の事務事業の適正な遂行に支障を及ぼす情報という規定ですから、ノーベル平和賞にトランプ氏を推薦をした、そして、推薦をされた本人が自分から、みずからそれを公表しているわけですから、三番目の、国の安全、諸外国との信頼関係を害するということにも当たらないと思います。
どれにも当たらないんですから、恐らく、八条に基づくような、あるかないかの判断はしませんということはできないと思いますので、情報公開請求がされたらきちんと開示をしていただきますように、まずは指摘をさせていただいて、この質問から次の質問に移りたいと思います。
ちょっとその前に、今回、いろいろ調べていって、すごくびっくりしたことがあったんですよ。というのは、これは総理も閣僚も推薦できることになっているんですよね。
ところが、この、例えば、例えばですよ、宮腰大臣がどなたかを推薦したということを政府全体で把握することになっていないんですよね。となると、櫻田大臣が金正恩委員長を推薦をしていたとしても、それは政府として何か許容されてしまうようなことになっているということなんですが、まず、把握を全然していなかったというのは本当なのかということをちょっとお伺いしたいんですけれども、いかがですか。
○辻大臣政務官 初鹿委員の質問にお答えします。
まず、この質問について、ノーベル委員会はノルウェー政府からも独立した極めて中立性の高い組織でございまして、御案内のように、今、先ほど、これは平成二十五年まで、衆参議院事務総長宛てに推薦依頼を送付を、ノルウェー大から依頼書を、和訳したものを外務省から閣僚、衆参議院事務総長宛てに送付していました。
ただ、これは、この推薦書をノルウェー・ノーベル委員会宛てに送付することとしており、当省では推薦書の受け付け等の取りまとめは行っていないということでございます。
○初鹿委員 つまり、閣僚の立場で推薦してくださいということはお知らせしていたんですけれども、閣僚の立場で仮に推薦しても、政府としてどこも把握するところがなかったということでありますから、今回こういう問題が出たので、やはり国として、こっちの大臣はこの人、こっちの大臣はこの人、中には、政府の方針と反しているような立場の人を推薦してしまった場合も何か許容されてしまうようなことになりかねないので、どこかでやはり一元的にそこは管理をするということが必要なんではないかというふうに思いますので、きょうは答弁できる方々は誰もいないと思いますので、少し政府内でそのことを検討していただきたいと思います。指摘だけにとどめさせていただきます。
それでは次に、マイナポータルについて御質問をさせていただきます。
質問主意書を出させていただいたんですね。私の趣旨は、スマホでマイナポータルを使えるようになっているんですが、国民のスマホの保有者の四〇%ぐらいが保有をしている、今は四三%ぐらいですかね、アイフォンが使えない、そしてアンドロイドでも使える機種がかなり限定をされているということで、これをやはり早く広げていく必要があるんじゃないか、そういう趣旨で質問をしたんですね。
それとあと、現状ですと、カードをスマホにかざして、そして読み取ってもらわないと使えないということで、カードが手元にあるという前提じゃないとスマホが使えないという状況なので、もう少し、カードがなくても使えるようにとかならないのか、そういう趣旨で質問をしたんですけれども、返ってきた答弁が、「お尋ねについては、スマートフォンによる利用も含め、引き続き、マイナポータルの利便性向上に努めてまいりたい。」と、全く何も答えていないんですよ。
それで、大臣、お伺いしますけれども、マイナポータル関連スケジュールという資料があって、ここを見ると、スマホのところの、アイフォン、平成三十年四月以降のところに四角囲みがあって、対応時期未定となっているんですよ。いつになったらアイフォンが使えるようになるのか。いろいろ調整の必要もあるのかとも思いますけれども、何が支障になって時期も未定というように、いつできるかどうかの見通しも立っていないのかをお答えいただきたいと思います。
○赤澤政府参考人 お答えいたします。
まず、多くの国民の利用するスマートフォンがマイナンバーカードの読み取りに対応することは、いつでもどこでもスマートフォンから必要な手続が行えるという意味で、非常に重要なことだと考えております。
そういうことで、平成二十八年七月以降、携帯電話事業者及び製造業者に対し、マイナンバーカードの読み取り機能に対応したスマートフォンの製造、販売について対応をお願いしてまいりました。この結果、本年二月二十一日時点で、マイナンバーカードの読み取り機能のついたスマートフォンは六十二機種という状態になっております。
御指摘のアイフォンでございますが、アイフォンでも対応できるよう私ども働きかけを行っておりまして、対応スマートフォンの拡大を図ることに、マイナンバーカードの利便性向上に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○初鹿委員 私が聞いたのは何か支障があるんですかということなんですが、支障はないということでいいんですか。
○赤澤政府参考人 先ほど申し上げましたように、私どもとしては、企業に対して働きかけを行っておるということでございまして、それによってマイナンバーカードの利便性の向上に取り組んでまいりたいということでございます。働きを行っているということでございます。
○牧原委員長 ごめんなさい、支障はないかという質問。お答えください。
○赤澤政府参考人 支障になっているかどうかは、私どもがその個別の企業のことをよく存じ上げているわけではございませんので、基本的には働きかけを行わせていただいているということでございます。
○初鹿委員 個別の企業の事情はわからないというのもわかりますけれども、何が引っかかってアイフォンが協力してくれていないのかということはきちんと把握をされた方がいいのではないかなというふうに思います。
今、読み取り機能がついている携帯がふえてきて、それで対応機種がふえてきているということなんですが、読み取り機能がついていて、それでアプリがダウンロードできるようにしなければならないということですよね。六十二機種の中に、実は、シェアを一〇%ぐらい占めているファーウェイの機種というのはまだ含まれていないんですよね。ファーウェイが仮に読み取り機能がつくようになったら、これは当然、アプリがダウンロードできるようにする、そういう理解でいいんですか。
○赤澤政府参考人 お答えいたします。
現時点で、ファーウェイ社のマイナンバーカードの読み取りに対応した端末を販売しておりませんので、どのような機能なのか不明でありますことから、私どもとしてはお答えすることは控えさせていただきたいというふうに考えております。
○初鹿委員 でもまあ、基本的には、読み取り機能がついている機種が出てきたら、それはアプリがダウンロードできるようにはしていく、そういう理解でいいわけですよね。
○赤澤政府参考人 先ほど申し上げましたように、現時点で、ファーウェイ社はマイナンバーカードの読み取りに対応した端末を販売しておりません。そういう意味で、例えば、どこまで読み取ることができるかなど不明でございますので、お答えすることは控えさせていただきたいと考えておるところでございます。
○初鹿委員 はっきり答えられない事情でもあるんですかねと指摘をさせていただきたいと思います。
今、再三やりとりさせていただいて出てくるのは、カードをやはり読み取る機能がないといけないということなんですが、いつでもどこでもマイナポータルにアクセスをできるようにするということを考えたら、カードがなくてもアクセスできるようにするということは、私は必要なんじゃないかなと思うんです。
ただ、セキュリティー上、それが非常に難しい面もあるということも理解はしているんですよね。ただ、マイナンバーカードはやはり落としちゃいけないようなものじゃないですか。それを常に持ち歩いて、そして、それを出してカードを当てないと使えないというのは、やはり利便性としては非常に不便じゃないか。家にカードを置いたままでも外に出て使えるという方が、やはり利便性としてははるかにすぐれていると思うんですよ。
そこで、石田大臣にお伺いしたいのは、方向性として、このマイナポータルをより利便性を高めていくということで考えたら、カードを使わないでも利用できるようにしていく方が私は利便性が高まる、これは当然だと思いますが、そういう方向を目指しているのかどうなのか、それとも、やはりあくまでもカードは必要だということで考えているのか、お答えください。
○赤澤政府参考人 お答えいたします。
利用者証明用電子証明書をスマートフォンに格納できれば、手元にマイナンバーカードがなくても、例えばマイナポータルへのアクセスなどが可能となりますので、利用者の利便性が高まるものと考えております。
そのため、総務省では、当該機能をスマートフォンに搭載する方法について、技術面、運用面での検証を行っております。検証結果を踏まえた上で、利用者証明用電子証明書のスマートフォンへの搭載の実現に向け、取り組んでまいりたいと考えております。
○初鹿委員 済みません、ちょっと時間がなくなってきたので次の質問に移っていきますが、この問題でも、やはりセキュリティーの対策というのが非常に重要になってくるんですね。
そこで、サイバーセキュリティーの担当の櫻田大臣にお越しいただいておるわけですけれども、そういえば、大臣はスマホは持っているとおっしゃっていましたよね。大臣のスマホはアイフォンですか、アンドロイドですか。
○櫻田国務大臣 ちょっと個人の問題でありますので、ちょっと控えさせていただきたいと思います。
○初鹿委員 別に、アンドロイドかアイフォンかを言うことで、別に個人情報でもないと思うんですね。今やアイフォンは、特定の、どこかのキャリアが決まっているというわけでもないわけですから、答えられない事情があるのかなというふうに思いましたのでこれ以上言いませんが、ちょっとセキュリティー担当大臣として不安を今感じたところです。
まず、きょうお伺いしたいのは、今月の二十日から、IoT機器を調査するNOTICEという事業が始まっております。これは、昨年の通常国会で法改正が行われまして、情報通信研究機構、NICTというところが行うもので、IoT機器のIDやパスワードが、これが脆弱なものがあるということで、これを調査していく、そういうものなんですね。
これに対して、法案の審議のときも、通信の秘密を侵害するんじゃないかとか、国がみずから不正アクセスをするとかというような批判もあったわけであります。
そういう中で、我々も賛成しましたが、これはぎりぎりの判断だったんじゃないかと思うんですよね。あえてここまでしてこのIoT機器の調査をしなければならないような必要性がどういうところにあるのかということを、特に櫻田大臣はオリンピック担当の大臣でもありますので、そのオリンピックの前にこのような対策をとるに至ったその経緯や理由を説明をしていただきたいと思います。
○櫻田国務大臣 インターネットに接続されるIoT機器の利活用によりさまざまな恩恵がもたらされる一方、パスワード設定に不備のあるIoT機器を踏み台にした大規模なサイバー攻撃が発生するなど、深刻な影響が生ずる懸念が高まっております。
このため、昨年七月に閣議決定したサイバーセキュリティ戦略において、経済社会の発展に不可欠なインフラとして、サイバーセキュリティー対策が喫緊の課題であり、官民が連携して、安全なIoTシステムの構築に取り組む必要があるとされたところであります。
今後、本戦略に基づき、総務省の取組も含め、対策を推進してまいります。
○初鹿委員 オリンピックとの関係でどうかということについて触れていただけなかったんですけれども、オリンピックでサイバー攻撃があるんじゃないかということで、緊急にやらなければいけないということなわけだと思うんですが、これは五年の事業ですよね。オリンピックは来年ですよね。間に合わないけれども、これで大丈夫だという認識なんでしょうか、大臣。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
これまでも、大規模な国際的なイベントが開催された都市、国におきましてはサイバー攻撃が起こってきたわけでございますけれども、それに間に合うように取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○初鹿委員 何の答えにもなっていないんですけれども、時間が来ましたので、きょうのところはこれで終わらせていただきます。
○牧原委員長 次に、岡本あき子君。
○岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの岡本あき子でございます。
冒頭に、北海道の胆振地方で起きました地震で、被害状況を把握されているところかとは思いますが、少しでも被害に遭われた方が少ないように、あるいは、被害に遭われた方がいらっしゃいましたら、速やかに元気を取り戻していただきますよう、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
また、委員長、質問の機会をいただき、ありがとうございます。あと、皆様、お忙しいところお越しいただき、ありがとうございます。
私からは、少子高齢化の問題について幾つかお聞きをしたいと思います。
この間、今国会では、昨年からですけれども、やはり統計を含めて、根拠になっているベースが正しいのかどうか、そのことが非常に大きな問題になっているということも含めて、今回、ちょっと幾つか確認をさせていただきたいと思います。
冒頭に、それぞれ、菅官房長官それから各大臣から所信表明をいただきました。菅官房長官からは、少子化の克服という言葉をいただきました。
第四次安倍内閣から、少子高齢化が国難だという言葉に基づいて、菅官房長官だけではないですが、内閣を挙げてこの少子化を克服するという言葉が入ってきたのかなと思うんですが、個人的には、克服するものなのかどうかということもちょっとクエスチョンがあったものですから、改めて、菅官房長官の所信表明でうたわれた、少子高齢化を克服するというのはどういう意味なのか、お聞かせください。
○菅国務大臣 少子化は克服に向けて取り組む課題である、そういう意味で私の所信でお話をさせていただきました。
政府としては、個々人の結婚や子供に関する希望や理想の実現を阻むさまざまな要因を取り除いて、そうした希望を実現できる社会をつくる、こうしたことを目指しております。
また同時に、子育てをめぐる環境が大きく変化をする中で、全ての子供の健やかな育ちを実現するために、子供や家庭に対する支援を充実していく、このことも重要だと思っていまして、こうした考え方に立って、長時間労働是正の働き方改革、あるいは待機児童の解消に向けた保育の受皿整備、幼児教育の無償化や、真に必要な子供の高等教育の無償化、児童虐待の根絶に向けた児童相談所の抜本的体制強化、こうしたものを総合的に進めていく意味において、克服という言葉を使わせていただきました。
○岡本(あ)委員 ありがとうございます。
なぜかといいますと、実は、経済財政諮問会議の中で、人口の減少、あるいはその他の要因もあるんですが、日本経済の成長、発展力が弱まることが不可避だという中で、経済財政諮問会議の中でこの人口の話がある。それから、数字とすると、希望出生率が一・八、宮腰大臣の表明にもありましたけれども、一・八ではあるけれども、諮問会議の中では二・〇七、子供を持つ予定の数という二・〇七を維持することが望ましいかのような流れがありまして、それを受けての国難、少子化克服という流れになっているんじゃないか。ちょっと個人的には、どうしても、経済ありきでこの少子化の課題と立ち向かっていくんだということになりかねないのではないかという危惧を抱かせていただきました。
今、菅官房長官から御答弁いただいて、希望をされる方々が子供を持つ、それからそういう環境を整えていく、それが最優先なんだということを確認をさせていただいたと思いますが、間違いございませんでしょうか。
○菅国務大臣 そのとおりであります。
私も横浜市会議員当時、まさに横浜型保育室、そういうのを条例でつくったり、そうした現場の皆さんの思いを実現するようなことを行ってきまして、私の一つの自慢は、駅構内に日本で初めて保育所をつくってもらった、その運動をずっとやっていることであります。
○岡本(あ)委員 ありがとうございます。
私も仙台の市会議員の出身で、子供のころは秋田で育った経験がございまして、市会議員時代も横浜はとても参考にさせていただいておりましたので、全国を挙げて、やはり子供を持ちたいと思われる方々、それから、子供を持つということの環境を整える、それから、何より子供たち自身をやはり健やかに育てる環境を整える、これがまず日本の政策としても最優先であってほしい、そういう思いを持っているものですから、確認をさせていただきました。ありがとうございます。
官房長官、御退席いただいて結構です。ありがとうございます。
○牧原委員長 では、菅長官は御退席ください。
○岡本(あ)委員 では、続けさせていただきます。
今確認をさせていただいた中で、宮腰大臣からも、所信表明の中で、最大の課題は少子高齢化だというお話がありました。
私は、今申し上げたとおり、やはりそれを取り巻く環境を整えて、望む社会をつくるということが必要なんだと思います。保育行政はもちろん喫緊の課題です。それだけではなく、やはり安定した雇用、それから住宅、住む環境、そういうところも含めての少子高齢化に立ち向かうということを求めたいと思います。住宅とか雇用の問題は別な機会に議論させていただきたいと思いますが。
二月になりまして、保育園落ちたというやはりツイッターが飛び交っております。きょうはちょっとツイッターの資料を用意しようと思いましたが、今回、配付資料に入れることは残念ながらできませんでした。でも、やはりハッシュタグで、保育園落ちたというハッシュタグがつくほどの状況です。
待機児童がなかなか解決をしていかない、こういう状況の中で、もともと安倍総理は、二〇一七年度末までに待機児童ゼロを目指すと宣言をしておりましたが、残念ながら先送りになっています。
今度こそ待機児童問題に終止符を打つ、遅くとも三年間で全国の待機児童を解消してまいりますと、二〇一七年の五月に宣言をされていらっしゃいます。これは首相官邸のホームページにも載っているんですが、それで打ち出したのが、皆さんの手元にも資料を配っておりますが、子育て安心プランという計画です。プラス三十二万人を五年計画の二年前倒しして、平成三十三年までに利用申込数二百九十五万人分を用意するというプランです。
一ページめくっていただいて、私の方でそれをベースにグラフにさせていただきました。
子育て安心プラン、二〇一八年までは実績ですけれども、この後、前倒しして三年間で二百九十五万人分の利用児童数を整備をする、プラス三十二万人というものになると思います。利用定員数に単純に三十二万人を足し合わせると、三百十二万五百七十九名という定員になるのかなと思うんですが、この三十二万人で、二年前倒しで、総理が宣言をされているように、待機児童を解消できるものなんでしょうか。まずお答えください。
○大口副大臣 岡本委員に御答弁申し上げたいと思います。
子育て安心プランによる必要な受皿、三十二万人分については、二〇二〇年度末までに待機児童を解消するということで、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率、これが二〇二二年度末に他の先進国並みの八割まで上昇することを想定して、必要な整備量を推計したものでございます。
したがって、今後さまざまな要因によって保育ニーズの増大があったとしても、二〇二〇年度末までに待機児童を解消するという目標は、十分対応可能なものとなっていると思います。
そして、さらに、この子育て安心プランに基づいて市区町村の計画は毎年度見直しすることとなっておりまして、今、この計画の積み上げで、二十九万三千人という積み上げがあるわけでございます。
直近の待機児童の状況等を踏まえつつ、潜在的なニーズを含め、保育の利用意向を適切に把握して、それを反映した受皿整備を進めることが重要であると考えておりまして、この子育て安心プランに基づいて二〇二〇年度末までに待機児童を解消するため、全力で取り組んでまいりたいと思います。
○岡本(あ)委員 私は、プラス三十二万人にこだわらないでいただきたいと思っています。もう既に民間の統計では、三十二万人では足りなくて、その上に二十七万九千人必要なんじゃないか、そういう御意見もいただいています。
単純に、プラス三十二万人の必要整備量があるからプラス三十二万人を上乗せするんだという計画なんですね、一番上の資料を単純に見ますと。でも、三十二万人が、ゼロ歳から五歳まで、全国の各地域、ぴったり、三十二万の受皿が必要な数のニーズに一〇〇%合致すれば、ミスマッチが一つもなければ、確かに三十二万人で、前倒しで待機児童は解消するかもしれません。
でも、そんなことはあり得ません。やはり年齢が違う、それから申し込む場所も違う、そういうことを考えると、三十二万人を、子育て、安心できる数だということは思わないでいただきたいと思います。毎年毎年見直すくらいの形で、ぜひ、待機児童をまずは解消するんだということに意を用いていただきたいと思います。
そして、ツイッターでもつぶやかれておりますが、こんな保育園に入れない状況の中で、幼児教育無償化ということはあり得ないんじゃないかという御意見もいただいています。税金を使う先は、まず、今地獄を見ている、あるいはあしたから仕事をやめなきゃいけないんじゃないか、そういう諦めに陥っている方々を一人でも多く救っていくということに税金を用いるべきではないかと思っています。
私は、残念ながら、この三年で三十二万人では決して待機児童が解消できるとは思っておりませんので、ことし、待機児童が解消する見通しがない中で幼児教育無償化に踏み切るというのは、やはり優先順位が間違っていると言わざるを得ません。
改めて、この考えを改める必要はないか、お聞かせください。
○宮腰国務大臣 待機児童の解消及び保育の受皿確保につきましては、厚生労働副大臣が御答弁をしたとおりであります。
一方、幼児教育、保育の無償化は、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るといった少子化対策と、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の役割の重要性の観点から、ことし十月から実施するものであります。子供を産みたい、育てたい、そう願う皆さんにとりまして、子供たちの教育に係る負担がその大きな制約となってまいりました。
待機児童の観点からも、今回、やむを得ず認可外保育所に通わざるを得ない、こういう子供さんたちに対しても無償化の対象とするということにいたしておりまして、今回、総合的に考えて、無償化について、待機児童の解消、直接ではありませんけれども、結果としてそれにつながるのではないかというふうに考えております。当然、保育の質の問題もありますので、五年間の猶予期間ということではあるものの、認可外についても対象とするということであります。
このため、今国会に子ども・子育て支援法の改正法案を提出いたしました。待機児童の解消に向けた取組を着実に進めつつも、あわせて幼児教育、保育の無償化を実施することが重要であるというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 残念ながら、私からすると、やはり懸念を申し上げなければいけないと思っています。
今、待機児童を着実に解消すると御答弁いただきましたけれども、残念ながら、安倍総理も解消すると宣言をして何回撤回しているかという今の状況です。ですので、全力をまずここに投入をする、それから質を確保する、その上で幼児教育の無償化というところに踏み切るべきだと私は考えております。
幼児教育無償化をすると、都市部ではやはり潜在需要がまた掘り起こされる、保育所に対する潜在需要も起きかねないという懸念は、政令指定都市を中心に懸念の声をいただいておりますので、やはり順序をしっかり踏んでいただきたいということをお伝えさせていただきたいと思います。
それから、今、質というお話がありました。昨年来、企業主導型保育事業、これも幼児教育の無償化の対象に入っておりますが、いろいろと、質の問題あるいは手続の問題が起きてきております。
昨年、宮腰大臣、検証委員会を立ち上げて、しっかり検証して、その上で臨むんだと御決意をいただきました。その御決意は非常に尊重いたしますし、ぜひ、質を確保する、子供たちが安全な場所でいられるように。
また、残念ながら、もしかしたら水増しの助成金請求があったんじゃないかというような懸念も出ている。せっかくの、事業所の皆さんが拠出をされて、子供たちのためにと出されている、ある意味、公のお金というものの使われ方として果たして正しいのかどうかというところが問われています。
検証委員会ではどのような項目を検証なされて、そして進捗状況、どういうふうになっているのか、御答弁ください。
○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業につきましては、制度創設から三年目を迎えまして、国会でもいろいろな御指摘をいただいたように、さまざまな課題が生じておりまして、実施体制の強化が急務となっております。
そのため、現在、有識者から成る検討委員会におきまして、私も出席をさせていただいておりますけれども、質の確保、事業の継続性、自治体との連携、指導監査、相談支援のあり方、実施体制のあり方などについて検討をしているところであります。
今年度内に議論を取りまとめまして、検討結果を踏まえ、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 もう既に開設をされている保育事業の施設に対しては、今回、その検討を踏まえた中で、足りない部分については厳しい診断を下す、そういうこともあり得るということでしょうか。
○宮腰国務大臣 検討委員会において、指導監査のあり方も検討をさせていただいております。保育の質の確保のために指導監査が重要であるという観点から検討させていただいておりますが、検討委員会におきまして、検討結果を踏まえ、新しく設置される施設だけではなくて、既に運営されている施設についても厳正に指導監査を行っていく方向で今検討させていただいているということでございます。
○岡本(あ)委員 ぜひ、もう既に三年ということで、残念ながら、保育所の待機児童解消ということで、宮腰大臣が多分検討委員会の冒頭の御挨拶でおっしゃられていたと思います、数を確保するといった部分、質という部分が後回しになってきているということはお認めいただいているもの、改めてそこをしっかりとやっていくんだと御決意をお話しされたんだと思います。
なので、既に開設されているところにおいても、やはり不正があったり、あるいは質が基準に至っていない、そういうものがあった場合は厳しく指導していただきたいと思いますし、是正がなされないような場合は速やかに判断をする、子供たちをしっかり守っていくということも考えていただきたいと思います。
それから、そういう意味でいくと、もともと審査が正しかったのかという部分も問題になっていると思います。
三十年度も含めてですけれども、特に三十年度は、二万人分の募集に対して五万人分の応募がございました。
私も企業主導型保育事業というのをネットで調べますと、まずは、素人でも開設できますみたいな、要は、コンサルタントの方が先にだあっと並ぶような事態があった。要は、保育園をやればもうかりますよというようなことが先に動いていたという中でいくと、その審査という部分が本当に正しく行われていたのかというところも疑問を抱かざるを得ません。
逆に、昨年でいきますと、二万人の募集に対して五万人が応募されました。予算上前倒しをしていただいて、三万人を超えるところが採択になりましたけれども、一方で、資料をつけましたけれども、不採択になったところにぺらっと通知が、不採択になりましたというものだけでした。どこが悪くて不採択だったのか。私の周りにも、私から見ては非常に良質でやっていたんじゃないかと思うような、既にほかの保育園もやっているところでも不採択になっております。
率直に、なぜ不採択になったのかというところが全くわからない状況の中で、もう一回応募していいものなのか、どこか改善の余地があるのか、あるいは、本来だったら基準をクリアしていたけれども、予算上足りないから優先順位としては下がっただけなのか、そういうものが、全く保育の質の改善につながらないような形の通知しか行われなかったということがございます。果たして審査の仕方というのがちゃんと公平に行われていたんだろうか、そういう疑問を抱かざるを得ません。
私は、ぜひ、ここは透明化も進めるべきですし、その審査のあり方というところも、もっと保育をよくしようと思っている方々にきちんと伝わって、よりよい保育事業を提供する、そういうモチベーションにつながるような審査のあり方、その公平性というのもオープンにするべきだと思いますけれども、この点の改善についてはいかがお考えでしょうか。
○宮腰国務大臣 現在、検討委員会において、検討結果を踏まえて募集方針、審査基準を決定することにしております。
募集に当たりましては、いろいろな問題が過去起きてきたということも事実でありますし、不透明であるという御批判も、やはりそのとおりの面もあったというふうに思います。
今後、審査基準の明確化や審査の透明性の確保が重要であるというふうに考えておりまして、審査結果をどのようにお示しするかなどにつきまして、検討委員会の検討結果を踏まえつつ、内閣府として改善を図ってまいりたいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 ぜひお願いします。
そして、体制の点でも言わせていただきたいと思います。
今回、児童育成協会が受託をして審査をし、運営をしております。監査については、育成協会が受けて、更に再委託で外部に委託をしております。
一連の、非常に良質で頑張っている方々がいる一方で、残念な事例が少なくなく出ているということを踏まえると、果たして、この児童育成協会の審査のあり方自体も正しいのかどうかということも、当然、検証の対象にならなきゃいけないんだと思います。引き続きここに任せていいものなのか、信頼に足り得るのかというところもしっかり見ていただきたい。
それから、監査についても、再委託で更に外部に任せている。再委託の任せたところは、常に監査をする方を募集して、ちょっと失礼な言い方をすれば、即席で研修を受けて育てて監査をさせていたということも、私からすると問題点だと思います。
この仕事を委託をした委託先が信頼に足り得るのかどうか、その点もしっかりと検証していただきたいと思います。改めてお答えください。
○宮腰国務大臣 監査体制の問題につきましては、極めて大きな問題だと思っております。
今後、自治体との連携ということも進めていく中で、どういう形が望ましいのか、そのことも検討委員会の結果を踏まえて見直していきたいというふうに考えております。(岡本(あ)委員「あと審査も。監査だけじゃなくて」と呼ぶ)審査基準を明確化するということの中で進めていきたいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 審査を任せていいのかどうか、その委託先、児童育成協会、そのこともしっかり検証していただきたいと思います。よろしくお願いします。
もう一回、お答えいただけますか。
○宮腰国務大臣 実施体制全体を考えていく中で、検討させていただきたいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 時間が残りわずかですので、次の話題に行かせていただきたいと思います。
今起きている児童虐待の、野田市での虐待死事件についても伺わせていただきたいと思います。
児童虐待というのも社会的な損失なんだ、子供の命が守られないというのは少子化の問題でも本当に重要な問題だと思っています。ですので、今回の事件、毎年のように児童虐待の防止の通知を出し、ガイドラインを出し、頑張ってきておりますが、それが全く守られていないというか、そういう点、非常に問題だと思っています。
私たちも党で毎週ヒアリングをさせていただいているんですが、まず、厚労省でこの事件の具体的な中身を今もって把握をしていないように見受けられます。非常にそれ自体が問題だと思っておりますけれども、ちょっと細かい点、幾つか聞かせていただきます。
今回、子供さんが不幸にして命を落とすという最悪の結果になっておりますが、陰にDVもあったということが報道でなされています。ところが、残念ながら、野田市において、子供の、児童相談所で相談を受け、支援している中でも、DVということについては非常に抜け落ちていたのではないかと思われる状況にあります。
児童虐待の陰には、特に父親あるいは継父も含めて、虐待が疑われるケースにはDVもほぼあり得るという前提での体制、あるいはケースに対する対処が必要なのではないかと思いますが、この点、この事件においてはいかがだったのか、お答えいただきたいと思います。
○大口副大臣 岡本委員にお答えしたいと思います。
まず、検証はしっかりやってまいります。
それで、二月二十一日に千葉県の方が検証を始めます。また、野田市も検証を始めますし、糸満市、あるいは沖縄県も検証をやる。
その中で、沖縄でDVのことが、親族からそういう話が糸満市にあるというようなことも含めてしっかり検証して、それはどう野田市に移転したときに引き継がれているのか、そしてそれが児相に対してどうだったのか、しっかりこれは検証をしていきたいところです。
また、厚労省の社保審の中にも検証委員会がありまして、これもスタートしました。留意事項も、この四自治体に対して指摘をしました。しっかり検証していきたいと思います。
その上で、やはりDVの問題というのは、DVがある家庭というのは、DVの家庭で子供が育つことについては、子供が暴力を目撃するか否かにかかわらず、心理的虐待として対応する必要があるというふうに思っています。
DVが行われていますと、例えば夫がまた奥さんに対してDVをやる、そうすると、コントロール下、支配下に置かれる。それが、虐待を制止することを困難にする場合もあるということでございます。そういう認識に立って、アセスメントシートなんかでも項目が入っているわけですけれども、しっかり見ていきたいと思います。
○岡本(あ)委員 しっかり検証していく上で、やはり児童虐待とDVとの関係というところはしっかり重きを置いて、それがちゃんと対応できる体制に現場でなるようにお願いしたいと思います。
それから、今現在……
○牧原委員長 申合せの時間が経過しておりますので、お願い申し上げます。
○岡本(あ)委員 済みません。
緊急点検が行われておりますけれども、残念ながら、国で支援をするということができておりません。通常の業務の中でこの一カ月頑張れと言われている意味でいきますと、ぜひ、今後も、こういう緊急点検のときに通常の業務が支障を来さないようにしっかり支えていただくということも要望申し上げ、質問を終わらせていただきたいと思います。
時間を超過して申しわけありません。ありがとうございました。
―――――――――――――
○牧原委員長 この際、お諮りいたします。
各件調査のため、政府参考人として外務省大臣官房審議官石川浩司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○牧原委員長 次に、斉木武志君。
○斉木委員 国民民主党の斉木武志です。
きょうは、櫻田大臣を中心に、サイバーセキュリティーの懸念事項について、予算委員会に引き続き議論をさせていただければというふうに思っております。菅官房長官にも御同席を願っております。
まず、議論のポイントなんですけれども、昨年十二月十日の全省庁申合せについてです。
昨年十二月十日、サイバーセキュリティー上、情報漏えいなどのリスクがある製品を日本は今後政府調達から除外するということを全省庁で申合せをされました。この申合せを受けて、民間企業、例えば携帯通信会社の大手、ドコモ、au、ソフトバンクなど三社もです、今年末に導入される5Gの基地局、これに、ファーウェイであるとかZTEであるとか、中国企業の製品を使わない方針を相次いで公表するなど、官民挙げた対応が今始まったばかりでございます。私は、この日本政府の対応、支持をまず表明したいと思います。
ただ一方で、懸念も持っております。これは、日本の我が国の経済、そして日中関係を中心とする我が国の外交関係への影響が出かねないのではないかという懸念でございます。
まず、外交への懸念に関して申し上げたいというふうに思います。それがニュージーランドと中国との関係でございます。このニュージーランドと中国の関係というのが今少しぎくしゃくし始めております。
ニュージーランドは、この二月九日にニュージーランドを出発した上海行きのニュージーランド航空機が、中国当局の着陸許可を得られずに引き返しました。そして、ニュージーランドで、おととい、二月二十日に首都ウェリントンで中国と共催予定だった観光イベントがキャンセルをされました。そして、ニュージーランドの首相、アーダーンさん、女性ですけれども、習近平さんを始めとする中国首脳との会談を果たそうということで、昨年中、中国を訪問する予定でしたが、これもキャンセル、延期となっております。
この事の発端になったのがサイバーセキュリティーです。我が国は昨年十二月十日に申合せをしましたが、その一カ月前に、ニュージーランドの情報機関が、中国の通信機器大手、ファーウェイの製品を使った5Gについて、国家安全保障に重大なリスクを及ぼすとして却下を表明いたしました。これ以来、ニュージーランドと中国との関係がぎくしゃくして、この二月に入って、飛行機が上海に行っても着陸できないであるとか、観光イベントがキャンセルされる、そもそも首相が中国に行けなくなる、外交関係に明確な影響が及び始めておりますが、これは私はこの十一月の決定が大きかったのではないかなと思っております。
まず、外務省の方にきょうも来ていただいておりますので、このニュージーランドと中国との関係というのが昨年末以降どのように変化したのか、ちょっと、ここの事実関係も含めて、詳しくまずおさらいしていただけますでしょうか。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
まず冒頭、我が国としては、これは第三国間の関係でございますので、基本的にはお答えする立場にないということは申し上げなければならないと思います。
その上で申し上げますれば、委員御指摘のような事案について、特にニュージーランドにおきましてさまざまな報道がなされているということは承知しております。
ただ、二月十二日、こういったことに関しまして、ピーターズ・ニュージーランドの外務大臣は、ニュージーランドと中国の関係は良好であるということを述べたというふうに承知しておりまして、また委員御指摘の、例えば上海行きニュージーランド航空機の着陸拒否に関しましては、外務大臣は手続上の問題にすぎないというふうに述べているというふうに承知してございます。
また、中国側の反応でございます。これも二月中旬でございますが、外交部の報道官が日・ニュージーランド関係につきまして問われたことを受けまして、二国間関係の新しい進展のために、相互尊重、公平性及び相互利益に基づいて、ニュージーランドと協力する用意があるというふうに述べたというふうに承知しておりまして、また、ニュージーランド航空の上海着陸にかかわる事案について申し上げれば、これも質問に問われる形で、中国外交部は、臨時的にふぐあいが生じたため、目的地着陸の許可が得られず、飛行途上で自主的に引き返すことを決定した、実際にどのような状況であったかは関係部門あるいは航空会社に聞いてくださいと答えているというふうに承知しております。
○斉木委員 一方、私も中国側の反応が気になって調べてみたんですが、こちらに中国の共産党の機関紙、人民日報系の環球時報という共産党の機関紙の英語版がございます。その中で中国側が、かなり大部のコラムをつくっているんですが、何を表明しているかといいますと、ニュージーランドがファーウェイの5Gへの参加を禁止した昨年十一月から二国間関係は悪化している、さらに、ニュージーランドへの旅行を取りやめることを検討する中国市民の声も紹介をしております。
要するに、ファーウェイを、我が国の企業をニュージーランドが締め出したから冷却化したんだ、そして、ニュージーランド、中国人観光客は第二位の国ですけれども、そういった、観光客も行くべきじゃないんじゃないかというようなことを共産党の機関紙は書き始めておるんですが、これは承知されておりますか。私は、これはかなり圧力をかけてきているなと感じたんですけれども。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
一般論でございますが、中国は、政府の公式の立場は立場、そしてまた、いわゆるメディアではまた別の論調が出るということは往々にしてございまして、我が国との関係でも同じようなことはよく生じておるところでございます。
これは、先ほど申し上げたとおり、第三国間の関係ですので、余り立ち入ったコメントはすべきでないと思いますが、いずれにせよ、そういった政府の立場、そしてメディアでの報道、そういったものを精密に分析しながら恐らくニュージーランド側もいろいろ判断をされているというふうに思います。
○斉木委員 これはまさに、環球時報が言及しているのは、ファーウェイの5G参加を禁止した十一月からというふうに、ファーウェイの5G参加をその理由として挙げております。
ですので、やはりこれは5Gへの、ドコモ、au、そしてソフトバンクが不採用を決めた我が国にも影響を想定しなければいけないと私は考えておりますけれども、櫻田大臣、これは、昨年十二月十日の申合せというものが、こうしたニュージーランドと中国の緊張関係、関係悪化のように、我が国と中国との関係に悪影響を及ぼす懸念はないとお考えでしょうか。
○櫻田国務大臣 政府としては、サイバーセキュリティーを確保する上で、情報の窃取、破壊、情報システムの停止等悪意のある機能が組み込まれた機械、機器等をしないようにすることは極めて重要であると考えております。
政府調達の申合せは、このような観点から、サプライチェーンリスク対策として、各府省庁において特に防護すべきシステムとその調達手続を定めたものであり、本年四月一日以降に調達手続が開始されるものから適用することとしております。
この申合せは、特定の企業や機器あるいは特定の国を排除することを目的としたものではなく、また、今後実施されるものであることから、申合せによる影響について現段階でお答えすることは困難でありますが、いずれにしろ、関係省庁による連携のもと、申合せの影響につきましては引き続き注視してまいりたいと思っております。
○斉木委員 中身の説明は結構です。予算委員会で十回以上、ずっとその答弁書を読まれましたので、それをこの内閣委員会でも繰り返していただきたくはありません。
私は、お聞きしたのは違います。この申合せが、日中関係にニュージーランドのような影響を及ぼしませんかとお聞きしているんです。イエスかノーか、御自分のお言葉でお答えください。(発言する者あり)事前に、政策を立案するときに、それは、日本の国益にかなうかどうかは、立案するのは当然ですよ。理事、筆頭理事、自席からの発言は慎んでください。
○牧原委員長 御静粛にお願いいたします。
櫻田大臣、答弁をお願いします。
○櫻田国務大臣 この申合せは、特定の企業や機器あるいは特定の国を排除をすることを目的としたものではなく、また、今後実施されるものであることから、申合せによる影響においては現段階でお答えすることは困難であります。
○斉木委員 私は、これは予算委員会でもびっくりいたしました。五千億円の、ファーウェイ一社に対して、ソニーのCMOSセンサーであるとか、京セラ、村田製作所の内部部品であるとか、ジャパンディスプレイの液晶パネルとかがファーウェイのスマホには使われている。それを申し上げました。櫻田大臣も、五千億円の売上げがあるということは承知をされておりました。
今も、それは影響が出た四月以降に考えます、政策を、この命令を出した十二月十日以前には考えていませんというような御答弁をされました。今もです。外交関係も影響が出たら考えますとはどういうことですか。政策をつくる前に、日本経済にどういう影響が出るのか、日本外交にどういう影響が出るのか考えるのがあなたの役目なんじゃないですか。
○櫻田国務大臣 何回も繰り返して申しわけありませんが、この申合せは、特定の企業や機器あるいは特定の国を排除することを目的としたものではなくて、今後実施されるものであることから、申合せによる影響については現段階ではお答えすることは困難であります。
○斉木委員 ですので、何度も申し上げますけれども、現段階でわからないではなくて、十二月十日にこういうことを全省庁に通達を出せば、当然、中国側を事実上排除することにつながりますから、中国側も大使館で抗議声明を出しております。
こういった反応が、ニュージーランドでは実際に航空機の引き返しであるとか共催イベントのキャンセル、首脳の往来のキャンセルという形で既にもうあらわれ始めているんです。これは、ニュージーランドはわずか一カ月前ですよ、日本に先んじて出したのは。
スパークという携帯電話会社が、あちらの国に対して、5Gにおいてこのファーウェイ社の製品を使っていいかということを申請をいたしました。そのスパーク社の申請に対して、情報機関であるニュージーランド政府通信保安局は、現行法のもとではファーウェイ機器を使った5Gを展開できないと却下をいたしました。この同局長官も通知を出したことを認めております。要するに、日本の総務省や内調に当たるところが、こうした5Gへのファーウェイの採用を却下したということなんです。ここに事の発端、起こりがあるわけです。
先ほどから、櫻田大臣、聞いておりますと、今回の十二月十日の通達は、国と企業を特定していないから大丈夫なんだということを何度も何度もおっしゃっておりますけれども、では、ニュージーランドの今回の排除というものは、ニュージーランドは、政府調達で、特定の国や特定の企業を名指しせずに実質的に除外しているということなのか、それとも、アメリカのように、アメリカは、中国という国名、そしてZTEやファーウェイという五社の社名まで挙げて排除することを法律で規定をしております、そういった形なのか。ニュージーランドはどういう形で実質的排除を行ったと承知されておりますか。
○櫻田国務大臣 ニュージーランドのことでございますので、ニュージーランドと中国のことについて私が論評することは差し控えさせていただきたいと思います。
○斉木委員 私は、だまし討ちするつもりはありません。これもレクをしてあります、NISCの職員に。
私がNISCの職員にきのう聞いた段階では、これはニュージーランドも、日本と同じように、明示をしないで、実質的にファーウェイ社やZTE社を排除するような方式をとっていると聞いておりますが、そうではないということですか。これはきのうNISCの方に聞いておりますので。
○櫻田国務大臣 他国政府の取組の一つ一つについてコメントする立場にはございません。
○斉木委員 答弁書はできているはずなんですけれども、おかしいですね。
私がNISCの職員に確認した限りでは、ニュージーランドも、日本と同じように、ZTEやファーウェイという社名、中国という国名を挙げずに、個々の案件、要するに、日本の総務省や内調に上がってきた個々の案件でこういう判断を下して実質的排除をしているというふうにNISCの職員、内閣府の職員はおっしゃっておりました。
とすれば、ニュージーランドと日本は同じやり方をしているんですよ。国を挙げない、そして社名も明かさない。そして、実質的に申請段階で、日本も携帯電話三社に関して、5Gを申請するんだったらサプライチェーンリスクに考慮するようにというふうな通達を出していますね、十二月十日に。だから、似たようなやり方をしているわけです。
似たようなやり方をして、実質的に排除されたら、中国はがんとここまで出てきたんですよ。それは日本と同じだから、当然、中国だって日本が今後ファーウェイ社を実質的に排除したら対抗手段に出てくるんじゃないですか。
○櫻田国務大臣 何回も繰り返しで申しわけありませんが、この申合せについては、特定の企業や機器あるいは特定の国を排除することを目的としたものではなくて、申合せによる影響については現段階ではお答えすることは困難であります。
いずれにしろ、その影響については引き続き注視してまいりたいと思っております。
○斉木委員 非常に残念なんですね。
これは、大きな米中貿易というよりは、米中ハイテク戦争の片棒を、アメリカ側の棒を担ぐという意思表示なんですよ、十二月十日、やったということは。これは日本の今後十年、百年を左右する、すごく重大な決定です。
それに対して、影響が出てから、経済への影響が出てから考えます、五千億円、ソニーや京セラや村田製作所、日本の企業がファーウェイに売っているけれども、売れなくなったら後から、四月以降考えます、外交関係への影響も後から考えます、これでは、どういう影響、私は事前に日本の国益を考えなきゃいけないと思いますよ。日本の国益を考えて、外交や経済にどんな影響が出るかもしれないということを全く考慮されずにあなたはこういう重大な決断を下したんですか。
○櫻田国務大臣 いずれにいたしましても、関係省庁による連携のもとに、その影響については引き続き注視してまいりたいということでございます。
○斉木委員 菅官房長官、セキュリティ本部の本部長でございますので、本部長にも伺いたいと思います。
櫻田大臣は、予算委員会でも、日本企業から五千億円、ソニーや京セラや村田から輸出をしている、でも、それは、四月以降にこの申合せは発効するから、四月以降、影響が出たら考えると予算委員会の議事録に残る答弁をされております。今も、外交関係に関しても、影響が出たら考える、それでは、私、大臣として失格ではないかと思いますよ。
まず、どんな影響が出るかもしれないという懸念をしっかりと持って政策判断するのが大臣の務めなのではないですか。本部長として、ぜひお答えいただきたいと思います。
○菅国務大臣 まず、昨年七月に閣議決定、新たなサイバーセキュリティ戦略において対策の重要性を盛り込むとともに、この十二月の、各府省において特に防護すべきシステムとその調達手続について申合せを決定をいたしております。
そこで、今委員の質問の中で、中国の反応だとか面会拒否だとか、あるいは航空の着陸拒否だとかいろいろなことを懸念をされる御質問がありました。私ども政府を挙げて、そうしたことにならないように、現在、対応策を考えながら進めております。
例えば、インバウンドでありますけれども、ことしになって、もう御承知だと思いますけれども、一月は約二〇%ぐらい中国はふえています。これは対前年比であります。
全体に私ども目配りしながら、委員から御指摘のあった問題に対してしっかりと対応して、国益というものをしっかり守っていきたい、このように思います。
○斉木委員 今、観光面でも重要な御指摘がございました。私もインバウンドは大きな日本の収入源だと思っております。一兆五千億円近い、中国人観光客オンリーで消費がございます、爆買いを始めとして。これが、この環球時報が指摘するように、ニュージーランドはノット・グッド・ツー・ビジット、要するに、行くべきではないんじゃないかみたいなことを書き始めると、やはり中国というのは国民も大きな影響を受けますから、共産党の方針に対して。やはり、これはインバウンドにも少なからぬ影響が出るだろうというふうに思っております。
こういう御懸念は、今、菅官房長官はお持ちではない、若しくは、持っていたらどのように対処していこうとお考えですか。
○菅国務大臣 日中関係を完全に軌道に乗せたい、私ども、政権発足してから今日まで懸命に取り組んできました。
そして、昨年、日中は四十周年の平和条約記念を契機として、そこまでさまざまな対応策をとってまいりまして、総理が中国を訪問させていただいた。正式な招待で行ったのは七年ぶりであります。その前に李克強首相を日本にお招きをしました。そして、ことしは習近平国家主席を日本に御招待をしたい、そういう思いの中で、外交もしっかり一つ一つ着実に進めてきております。
インバウンド、約二〇%ふえています。それは、ビザも、昨年の日中首脳会談の中でそうした対応策を決めておりますので、そうしたことを一つ一つ実行に移していく、そういう中で、今委員から御指摘いただきました御懸念、そうしたものができるだけ最小限になるような形で進めていきたいと思います。
○斉木委員 今、私、議員だけではなくて、国民、特に企業からも、今回の十二月十日の決定をどう受けとめればいいのか、明確な基準がないゆえに非常に戸惑う声というのが寄せられております。
これは、マスコミ、日経クロステック社、日経新聞社の系列ですけれども、ユーザー二十五社に対する匿名アンケートをとった結果がございます。
幾つか御紹介させていただきたいと思いますけれども、今回の決定に関しては、政府は安易に米国に従っているように感じる、もっと意思を持って、本当に問題なのかしっかりと調査した上で方針を出してもらいたい、これは情報通信企業の声です。サービス業からは、方針の決定については政治的なもので仕方ないと思うが、客観的な検証結果がないのは気持ち悪い。そして、機械製造業から、一連の報道が本当かどうかを見きわめる必要がある、安全保障上の問題が事実ならば、政府はその事実を広く開示し、危険性をわかりやすく説明する必要がある、機械製造業。政府は、どのようなリスクが存在するかを開示すべきだ、仮に問題のある機能が埋め込まれているならば、それを発見できる技術を開発、確立して公開してもらえれば自衛できる、飲料製造業。
要するに、一口に情報通信機器といっても、サーバーとかストレージ、ルーター、スイッチなど、本当に多岐にわたるんですね。どういう条件をクリアすれば問題がないのか基準もわからないわけです。民間企業にとってみれば、お上、政府が禁じたということは、そこと取引関係のある企業というのは、必ずこれは、納入するんだったら末端に至るまで、では、中国製のスイッチやルーターまで排除しなきゃいけないのか、置きかえなきゃいけないのかというような懸念が生じます。
こういった明確な基準、どこまでやればいいのかという基準を、私は、民間企業は今求めていて、示すべきだと考えているんですが、菅大臣、そして櫻田大臣、お二人はどのようにお考えでしょうか。今後、こういった指針を出す御予定はおありですか。
○菅国務大臣 まず、サイバーセキュリティーに対することであります。
政府の調達における取組の詳細を明らかにする、このことは差し控えるべきだというふうに思います。
また、今御指摘いただきました民間企業の懸念に応えられるように、ここはしっかり検討をいたしております。
○櫻田国務大臣 今回の申合せは、サイバーセキュリティーを確保する上で、情報の窃取、破壊、情報システムの停止等悪意のある機能が組み込まれた機器を使用しないようにすることが極めて重要との考えに基づき定めたものであります。
サプライチェーンリスクに係る評価は、調達される個々の情報システム等の使用目的や構成等、さまざまな要素を踏まえて検討されるため、一概にお答えすることは困難であります。
いずれにしろ、特定の企業や機器あるいは特定の国を排除することを目的としたものではございません。
○斉木委員 通信にお詳しい菅官房長官がいらっしゃいますので、この声にもちょっとお答えいただきたいなと思います。
化学製造業から、今回の決定によって、通信事業者の設備投資増大による通信料金の値上がりが心配という声が出ております。要は、5Gで、ファーウェイは安いんですね。安くない、例えばエリクソンとかノキアとか他社製に乗りかえた場合の設備投資の増額、それが携帯料金にオンされちゃうんじゃないのか、若しくは、ソフトバンクは、過去4Gで採用したファーウェイ社のものを置きかえる費用がオンされるんじゃないか、そういった懸念が出ている。
携帯料金引下げに御熱心ですので、携帯料金の設備が、値段が上がるんじゃないの、こういう懸念はないでしょうか。
○菅国務大臣 私は、携帯電話は、昨年の八月、三社が余りにも独占し過ぎている、三社で九〇%ですから、競争が全く行われていない、非常に契約にも時間がかかってわかりにくい、そうしたものを、今回も国会に法律を総務省から出させていただきますけれども、明快にする、そして競争することによって四割程度は引き下げるという話を昨年八月いたしました。
その根拠の一つとして、新規に四社目の募集をしまして、楽天が参入することになりました。楽天が携帯事業に参入をするその通信料金というのはドコモの半分なんです。ですから、多分四割程度は下がるだろうということで私は申し上げて、そして、今競争をやらざるを得ない態勢に完全になっていますから、政府とすれば、競争をして、国民の皆さんが納得ができる料金で利用してもらえればいいなという思いであります。
ドコモは、最大限、四千億円の利益を国民の皆さんに還元するということを社長が正式に会見で言っていることも事実じゃないでしょうか。
ですから、今のファーウェイの話でありますけれども、これについて、全てが使用しなくなるということは私はあり得ないと思っています。
○斉木委員 全てが使用しないことはあり得ないというのはどういうことでしょうか。それは、今、楽天を含めて四社は、ファーウェイは使わないということを公表されております、少なくとも5Gからは。それを、4Gまではソフトバンクは置きかえないだろうということなんですか。どういう御答弁ですか。
○菅国務大臣 5Gの回線についても政府調達の申合せに留意すべきものとしておりますが、これは申請者に対するサプライチェーンリスクを考慮し、機器の調達を促しているものであり、特定の国や企業の機器調達の排除を求めるものではありません。
ですから、その中で、選択する会社というのは私は当然出てくるだろうと思っています。
○斉木委員 わかりました。
最後に、私は最初に申しました、これは米中のテック戦争、情報戦争にやはりどちらに日本が立つのかという問題になってくる。
中国の場合は、二〇一七年六月に国家情報法というものを制定いたしました。中国の国民と企業、組織は国の情報活動に協力をし、なおかつ秘密を守らなければならないと定めました。これは、要するに、日本企業で働く中国人が企業秘密を盗み出して中国に送らなきゃいけないし、送った者は窃取したことも秘匿する。アップル社、アメリカで働いていても同じですね。
こういったことに対してアメリカが、逆に中国を名指しして、対抗する法律を制定いたしました。アメリカは国防権限法で、逆に名指しをして、今対抗措置をとろうとしている。
やはり、こういった米中のそれぞれの情報戦争というもので、日本がアメリカ側に立つということを今回宣言したと私は受け取っておるんですが、まず、櫻田先生、これはそういうことではないということなんでしょうか。
○櫻田国務大臣 他国の政策なので、私が論評することについては控えたいと思っております。
○斉木委員 日本の司令塔はあなたではないんですか。
○櫻田国務大臣 何度もお答えするには、答えは一つでございます。
他国政府の取組の一つ一つについてコメントする立場にはございません。
○斉木委員 五千億円中国に売っているし、中国から一兆円以上の観光客が来ているし、日中経済というのはすごく相互に依存し合い、そして相互にウイン・ウインの関係を目指す関係であってほしいと私は思っております。現実そうなっております。それが、ニュージーランドで今崩れかかっています。そういった端緒が私は日本に起きてほしくないんですね。
それは、リスクはないかなと私は懸念しているので、最後に、菅大臣、そのお考えをちょっとお聞かせいただいて、終わりたいと思います。
○菅国務大臣 先ほど来申し上げましたけれども、安倍内閣として、昨年、日中平和条約締結四十年を目指して、中国との関係を回復軌道に乗せたい、そういう形で一つ一つ取り組んできました。そして、その基本は、やはり日米同盟、同盟国は米国だけでありますから、日米関係を再構築することから私どもは始まったんです。政権交代したとき、極めて厳しい状況だったんです。
そこの再構築をしながら、そして、やはり中国は日本にとって極めて大事な国でありますから、そういう中で、昨年、総理が訪中をして、そして、ことしは習近平国家主席に日本に来ていただいて、いよいよ本格的な回復をという形で一つ一つ進めていきますから、現に、一月はインバウンド、先ほども申し上げたとおりでありますし、二月もそれは順調であります。
そうした首脳間で合意したことを一つ一つ実現をしていく、このことが大事だというふうに思っていますので、そうした御指摘は受けながらも、政府としてやるべきことをしっかりやって軌道に乗っけていきたい、こう思っています。
○斉木委員 ぜひそれを実現していただきたいなという願望を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時四十八分散会