衆議院

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第5号 平成31年3月13日(水曜日)

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平成三十一年三月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧原 秀樹君

   理事 平  将明君 理事 谷川 弥一君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君

   理事 大島  敦君 理事 岡本 三成君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 鮎子君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      木村 哲也君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      中山 展宏君    長尾  敬君

      西田 昭二君    古田 圭一君

      穂坂  泰君    松野 博一君

      松本 洋平君    三谷 英弘君

      阿部 知子君    今井 雅人君

      大河原雅子君    岡本あき子君

      神谷  裕君    近藤 昭一君

      篠原  豪君    山尾志桜里君

      森田 俊和君    山岡 達丸君

      太田 昌孝君    佐藤 茂樹君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山本 順三君

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)

   (少子化対策担当)    宮腰 光寛君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)

   (科学技術政策担当)   平井 卓也君

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   片山さつき君

   国務大臣         櫻田 義孝君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   最高裁判所事務総局刑事局長            安東  章君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大西 証史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  山田 敏充君

   政府参考人

   (内閣官房健康・医療戦略室内閣審議官)      大坪 寛子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       植田  浩君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            森永 耕造君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐藤 文一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 松尾 浩道君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増島  稔君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            池永 肇恵君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        村上 敬亮君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局長)        高田 修三君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           藤本 隆史君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 内藤 浩文君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  白川 靖浩君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    北村 博文君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          其田 真理君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局次長)         福浦 裕介君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 吉開正治郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 泉  宏哉君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 住澤  整君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           丸山 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       菱沼 義久君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       青山 豊久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術総括審議官)       増田 博行君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 榊  真一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 石川  武君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            三島 茂徳君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     古田 圭一君

  三谷 英弘君     穂坂  泰君

  初鹿 明博君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  古田 圭一君     大西 宏幸君

  穂坂  泰君     木村 哲也君

  阿部 知子君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     三谷 英弘君

  神谷  裕君     初鹿 明博君

    ―――――――――――――

三月十二日

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

牧原委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官大西証史君、内閣官房内閣参事官山田敏充君、内閣官房健康・医療戦略室内閣審議官大坪寛子君、内閣官房内閣審議官山内智生君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官植田浩君、人事院事務総局給与局長森永耕造君、内閣府大臣官房審議官渡邉清君、内閣府大臣官房審議官佐藤文一君、内閣府大臣官房審議官松尾浩道君、内閣府政策統括官増島稔君、内閣府男女共同参画局長池永肇恵君、内閣府地方創生推進事務局審議官村上敬亮君、内閣府知的財産戦略推進事務局長住田孝之君、内閣府宇宙開発戦略推進事務局長高田修三君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、警察庁長官官房総括審議官藤本隆史君、警察庁長官官房審議官内藤浩文君、警察庁生活安全局長白川靖浩君、警察庁交通局長北村博文君、個人情報保護委員会事務局長其田真理君、個人情報保護委員会事務局次長福浦裕介君、総務省大臣官房審議官吉開正治郎君、総務省大臣官房審議官泉宏哉君、財務省大臣官房審議官住澤整君、文部科学省大臣官房審議官丸山洋司君、厚生労働省大臣官房審議官佐原康之君、厚生労働省大臣官房審議官迫井正深君、厚生労働省大臣官房審議官田中誠二君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君、農林水産省大臣官房生産振興審議官菱沼義久君、農林水産技術会議事務局研究総務官青山豊久君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君、国土交通省大臣官房技術総括審議官増田博行君、国土交通省道路局次長榊真一君、防衛省防衛政策局次長石川武君、防衛省地方協力局長中村吉利君、防衛装備庁技術戦略部長三島茂徳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局刑事局長安東章君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉田裕彦君。

泉田委員 おはようございます。自由民主党の泉田裕彦でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。また、朝一番から宮腰大臣、平井大臣には御出席賜りまして、大変ありがとうございました。

 早速ですが、まず冒頭、質問をさせていただきたいと思います。

 昨日、子ども・子育て支援法の一部改正案が審議入りということになりました。私も、これまでの委員会での質疑をお聞きしていて、気になる点がございます。企業主導型保育事業について、国民の信頼を揺るがしかねない事態が生じているのではないかという疑念が払拭できずにいるということでございます。

 例えば、制度に便乗するような形で事業を譲渡したり、それで転売利益を上げるとか、反社会勢力が子育てに関与するというようなことがあってはならないということだと思っております。仮にそのような事実があるとしたら、少なくても補助金の返還は求めるべきだろうというふうに思います。

 そこで、児童育成協会に対してですけれども、指導を徹底するとともに、人任せにせず、国民、国会に対しましての説明責任を果たすべく対応してほしいというふうに思っておりますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業は、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業を支援するとともに、待機児童解消に貢献するものとして大変重要な事業であります。

 しかしながら、制度創設から三年目を迎え、保育の質の確保、事業の継続性や自治体との連携などの課題が指摘されており、先週八日には、有識者から成る検討委員会において、当面、早急に改善すべき事項について取りまとめの案が示されました。近いうちに報告書を取りまとめることにしておりまして、できることから早急に、かつ着実に改善を図ってまいります。

 さらに、現在、過去二年間に助成を受けた事例についての検証作業を進めておりますが、現段階において一部の事業者の中に、取消し、事業譲渡、民事再生や休止の対象となった事例があることが明らかになっています。そこで、今般の検証の状況も踏まえ、補助金の返還につながるような事業の有無に関し、事業譲渡及び民事再生の対象となった施設、法人などについては、児童育成協会に対し、既に実施している調査も含め、さらなる調査を指示するとともに、内閣府としても必要な立入調査など監査を徹底的に行うよう、私から改めて指示したいと考えております。

 国民の皆様に御心配をおかけしていることを担当大臣として真摯に受けとめておりまして、私みずからが先頭に立ってしっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

泉田委員 大臣、ありがとうございました。大臣のリーダーシップで、国民から信頼される政府、国会になっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣、公務がおありだと思いますので、どうぞ御退席いただいて結構です。

牧原委員長 宮腰大臣は御退室お願いします。

泉田委員 それでは次に、健康・医療戦略についてお伺いをしたいと思います。

 今からもう二十年、二十数年、三十年近く前になると思いますが、一九九〇年、アメリカにおきまして、三十億ドル、今のレートで換算して三千三百億円という予算を計上して、ヒトゲノム計画、これがスタートをしております。ヒトの全ゲノムを解析しようという大変野心的な計画で、十五年ぐらい解析にかかるんじゃないか、それもヒト一人分で三千億を超えるという金額が予想されていたわけですけれども、近年、次世代シーケンサーの技術が進歩して、何と、ヒトゲノムの解析をするのに、三日間程度で、かつ十五万円程度の費用でできるようになってきている。まさに時代が革命的に変わろうというときに我々が今生きているのかなというふうに思っております。

 そして、ゲノムは大きく二種類に分かれると言われています。これは、たんぱく質へ翻訳をされる部分、すなわちゲノム情報でたんぱく質がどう組成されるかという部分と、それ以外の部分に分かれるということになりますが、遺伝病やがんの多くはこのたんぱく質をどう翻訳するかのときのエラーで起きるというふうに言われております。

 この遺伝子解析がこれぐらい安い金額でできるということになると、今まで、当たるも八卦当たらぬも八卦と言ったら言い過ぎかもしれませんが、標準療法で、例えばがんの治療をするときに放射線を使うのか、抗がん剤を使うのか、それとも別な、免疫抑制でいくのかということが、やってみないとわからないという時代から、患者さん一人一人に適切な治療法というのが事前にわかるようになってくるということかというふうに思います。

 テーラーメードの医療ができる可能性が増しているときに、残念ながら、我が国はどうなんだろうかというと、欧米と中国に立ちおくれているというのが医療界の共通認識ということではないかと思っています。

 特に、進め方、いきなりがんに行くということではなくて、難病の遺伝子。がんの遺伝子は変遷していますので、自分の体の細胞の中でも変わっているわけですけれども、難病の場合は同じ遺伝子で、どこの部位にどういう問題があるとどういう症状になるのかというのがわかる。それをまたがん治療に移植をしていくことによって、テーラーメード医療ができるようになってくるというようなことも言われているわけであります。

 創薬に関して言っても、我が国は世界第二位の実力を持っているというふうに言われていたのが、高分子薬を中心としたゲノム医療の、ゲノム創薬の部分で少しおくれをとっているのかなと、大変残念に思っているところでございます。

 もう一つ大きな変化は、世界でAIが進んでいます。最小自乗法を多段階に適用して、真ん中はブラックボックスだけれども、どういうものがあると結果がどうなるのかというのが人よりも正確に分析できるようになってきている、こういう時代が来ているわけです。

 今まで、薬をつくるときには、治験ということで、ほかの条件を統一して、そして一定の条件だけ変遷させて薬の有効性を確認するということをやっていたんですが、AI技術が進歩してくると、要は、一般のカルテデータ、リアルワールドデータを用いてAI解析をすることによって、何が問題なのか、どういう改善が可能なのかということがわかるようになってくる。これもまさに歴史的な転換点に来ているのかなというふうに思っています。

 創薬の研究開発費も、日本が三兆円で、ここ数年というか、しばらく、近年横ばいということですけれども、米国では十七兆円、中国でも十三兆円、毎年投資をしているという状況です。このままでは、日本は欧米、中国におくれをとってしまうのではないかと大変な危機感を持っているわけでございます。

 日本の医療、創薬の優位性を失わしめることなく、これは人の命にかかわることです。助けられるかもしれない病気が日本では助けられない、また、研究開発の最先端で、恐らく今後世界じゅうのデータベースをつないでいくというときに、日本は相手にされないというような事態、これは避けなければいけないということだと思います。

 無論、我が国においても、次世代医療基盤法によって、あらかじめ患者本人に通知をし、患者本人が拒否しなければ、オプトアウトということですけれども、医療情報を第三者に提供できるようにはなりました。もちろん、複数機関の大量の医療情報を収集するということになりますので、匿名加工を行う認定事業者にしか認められないという条件がついているわけです。しかし、いまだに認定事業者が存在しないという状況が続いています。欧米や中国に対して出おくれ感がやはり否めないというふうに感じているんですけれども、政府にお伺いをしたいと思います。

 我が国においても、次世代医療基盤法の整備法を制定し、昨年五月に施行されておりますが、現在の進捗状況についてお伺いをしたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、いわゆる次世代医療基盤法は昨年の五月に施行させていただいております。

 この法律は、医療分野の研究開発のために、患者や国民から提供されました大規模なデータを利活用することで、最適な医療の提供や医薬品の安全性向上等の成果を実現して、それを国民に還元することを目指しているものでございます。

 認定事業者が取り扱うことになりますのは、特に配慮を要する病歴等を含む医療情報ということになります。そのセキュリティーは極めて重要でありますことから、慎重に審査をする必要があると考えておりまして、現在、申請に先立った相談を受けている段階でございます。

 いずれにいたしましても、できるだけ早い段階で認定事業が開始されるように努めてまいりたいと考えております。

泉田委員 ありがとうございました。

 この世界は、まさに一分一秒を争うというような目まぐるしい進歩が行われている分野でありますので、一刻も早く体制整備できるようにお願いを申し上げたいと思います。

 次に、ゲノム医療を行いたいと考えている病院など、また製薬会社なんかも新規創薬をしたいというときに、政府主導で幾つかデータベース、システムというのは存在しているわけですが、同じようなものが複数存在をしていてよくわからないというようなお話も聞くところでございます。一方、それぞれの所管の部局にお伺いをしますと、目的や性格が異なっているので、なかなか統一は難しいし不必要というような説明も存在をしております。

 これは、例えば十万人のゲノム情報とカルテデータを合わせてAI解析するというように、裾野を広げておかないとなかなかいい結果に結びつかないというのも現実だというふうに思います。

 代表的な我が国のシステム、データベースを見ると、国立がん研究センターのC―CAT、京都大学のMGeND、内閣府のAIホスピタルと存在しているわけですけれども、それぞれの目的と性格それから年間予算額について、担当する各府省に伺いたいと思います。

 これは国会審議の場なので、専門家でも、わかるような説明をぜひお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 まず、がんゲノム情報管理センターについてお答えいたします。

 がんゲノム情報管理センターは、がんゲノム医療を受けた患者さんの臨床情報やゲノム情報を効率的に集約、管理、利活用することで、新たな診断法や革新的な創薬の開発に役立てることを目的として、国立がん研究センター内に設置されているものでございます。

 がんゲノム医療情報管理センターの予算額は、平成三十一年度予算案において、十九・五億円となっております。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 お尋ねの京都大学MGeNDは、遺伝子変異、それから関連する臨床情報を公開いたしまして、臨床現場で利活用されることを目指しまして、平成二十八年度から構築をいたしまして、平成三十年三月から運用開始をいたしましたデータベースでございまして、具体的には、がん、難病、感染症等の領域でのゲノム解析で得られた遺伝子の変異と疾患の発症との関連についてデータベース化をいたしまして、匿名化した上でそれらの情報を公開いたしておりまして、このMGeNDの取組に関連する本年度、平成三十年度の予算は約十四億円となってございます。

松尾政府参考人 御指摘のございましたAIホスピタルについてお答え申し上げたいと思います。

 AIホスピタルによる高度診断・治療システムという第二期の戦略的イノベーション創造プログラム、私どもSIPと略称しておりますけれども、その課題の一つとして進めているものでございまして、具体的には、AIも活用した医療分野におけるサイバーとフィジカルの高度な融合を目指しまして、データベースそのものの構築は行いませんけれども、セキュリティーの高い医療情報データベースのためのシステムの構築でございますとか、AIの導入による医師、患者間のコミュニケーションの向上等によりまして、二〇二二年度を目途にモデル病院の運用開始を目指しているものでございます。

 なお、本年度からこの研究開発はスタートしたものでございますけれども、本年度の予算配分額は二十五億円でございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 各部局に点在をして、予算全部足し算して約六十億円ということでございます。諸外国が兆単位、十兆を超える単位でやっている中で、日本はもう少し力を入れてもいいのではないかなと。まさに助かる命を助けられる、そして、カルテデータ、国民皆保険の国において、次世代の病気治療をできる体制をぜひ強化してほしいなというふうに思っております。

 先ほど申し上げましたが、治験データで創薬をするということになると、数が限られる。一方、どうしても、一般の病院のカルテとか、それから契約、協働関係にないところの研究機関を含めてデータを集めようということになると、なかなか我が国はハードルが高いようでございまして、とりあえず、研究のためとして、患者さんの同意をとって使えるようにはしているということなんですが、研究以外の治療ということで果たして使えるのかということになると、なかなか心もとないところがございます。

 例えば、京都大学のMGeNDのシステム、研究のためとしての患者さん同意をとっているので、AIホスピタルへの情報提供はなかなか難しいという話も聞いております。また、国立がん研究センターのC―CATも、個人情報保護法の保護対象から外れる死亡患者のカルテ情報の提供も難しいという現実があって、データを集めることが難しいということではないかなというふうに懸念をしています。

 そこで、確認をしたいんですが、個人情報保護法上、亡くなった方のカルテデータは保護対象か否か、お答えをいただきたいと思います。

福浦政府参考人 個人情報保護法におきましては、個人情報とは、生存する個人に関する情報でありまして、特定の個人を識別できるものと規定をされております。

 したがいまして、お尋ねのあった亡くなった方の情報につきましては、個人情報保護法の適用対象には含まれないということになります。

泉田委員 ありがとうございました。

 個人情報保護法の対象外なんだけれども、現実は情報集積ができない。どこに課題があるのかというところをやはり社会全体で考える必要があるかなと思っております。

 そこで、大臣にお伺いしたいと思いますが、欧米や中国と比較して、我が国のゲノム医療、創薬のための情報収集、分析、解析の体制についての大臣の御認識を伺いたいと思います。

平井国務大臣 私も先生と同じような問題意識を持っておりまして、北欧に行ったり、また海外のいろいろな方々の意見を聞いて、日本の取組が、今、はっきり言って万全ではないと思っています。

 ゲノム医療の実現に向けた検討については、健康・医療戦略推進本部に設置されたゲノム医療実現推進協議会が平成二十七年七月に取りまとめた中間報告において、米国、英国と比べて、ゲノムデータの臨床的な意味を明らかにする研究、ゲノムのデータシェアリングの取組等が不十分だと指摘をされているところであります。

 先ほど報告があった、いろいろな取組があるんですが、まず、私、一番足りないのは何かというと、国民に対する説明と国民の理解だと思います。結局、患者さん本人に具体的なメリットがあるんだということをもっとちゃんとお話をした上でこういうふうなことを進めていかないと、何となく、データだけ集めたら何かいいことが起きるというようなことでは、データを集めることにやはり困難があるんだと思います。そこらあたりのところをきっちりやっていきたいと考えています。

泉田委員 ありがとうございました。平井大臣も問題意識を持っていただいているようで、少し安心をしたところでございます。

 ちょっと、質問通告はしているんですけれども、時間の関係で、こちらでお話しさせていただきたいと思いますが、京大のMGeNDのデータ、それからAIホスピタルに提供するというようなことをしようとすると、現在、本人同意をとり直さなければいけないというような状況になっているというふうに承知をしております。

 これは、単にデータを集めるだけではなくて、患者さんにとってのメリットは何なのか、まさに治療のためにというメリット。それから、これは健康診断のデータもひもづけをしてほしいなというふうに思うんですけれども、体調がどう変わってきて、どういうゲノム情報で欠陥があるとこういう病気になって、どう治療すればいいのかというのがわかるようになってくる。

 例えば、情報提供していただいた方の費用負担が下がる、これは健康保険にどう取り組むのか。それから、民間の場合は別途法律が要るかもしれませんけれども、差別をしてはいけないというタイプの法律だと思うんですけれども、患者さん本人もメリットのあるような形で、安心して情報提供ができる。匿名加工をして、本人が特定はされないけれども、医療、創薬には役に立つというような形をどうつくっていくかということを、もう少し、大臣が御指摘されたように、社会で議論を深めていく必要があるのではないか。そうでないと、やはり欧米、中国に比して日本のおくれの回復が難しいんじゃないかなというふうに感じているところでございます。

 これは親族への影響があるかもしれない遺伝情報だから、そのプライバシーをどう保護するのか。一方で、命を守れるかもしれないんです。このゲノム創薬、ゲノム医療をやることによって、今まで助けられなかった命が助けられるかもしれない。社会的メリットも大変大きい。このバランスをどうとっていくかという議論を、ぜひ政府主導でも進めていただきたいなというふうに考えております。

 そこで、大臣にもう一問お伺いしたいと思います。

 現在、本人同意を限定的にとっている、研究のためですよという形でとっているので、AIホスピタルにも同じ政府機関の中のシステムにも提供できないというような状況になっているわけです。

 ゲノム医療、創薬が国際的に見て立ちおくれた一因というのが、今の現場の動かし方にもあるのではないかというふうに思っております。現在の制度を見直すことができないか検討すべきではないかと思いますけれども、御認識を伺いたいと思います。

平井国務大臣 委員御指摘のゲノムデータを含む医療情報の取扱いについて、先ほどお話ありましたけれども、個人情報保護法においては、学術研究を目的とした機関等による学術研究の場合は適用除外となっています。しかし、一方で、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針等において、原則として提供者同意を受けることとされていると承知しています。ただし、匿名化される場合などは、情報の利用目的等を対象者に通知又は公開すること等により、ほかの機関に提供できるとなっています。

 一方、製薬企業等での研究開発のためにゲノムデータ等を第三者機関に提供する場合は、個人情報保護等に基づき、原則、提供者の御本人の同意が必要となります。

 私も全く同じ問題意識を持っているんですが、現在、関係省庁において、個人情報の取扱いに関する手続も含めて、倫理指針の見直しに関する検討をスタートさせております。これから関係省庁の議論を踏まえて進めていきたいと考えております。

泉田委員 大臣、ありがとうございました。

 ぜひとも、未来の日本、福祉、医療で世界をリードする国になるように頑張っていただきたいと思います。

 次に、クールジャパンについてお伺いをしたいと思います。

 このクールジャパンの取組、世界の中で日本の評価を高めるというために、それなりに効果は出ているのかなということを感じております。これはうまく回ると日本経済にも大きなプラスになります。

 我がふるさと新潟も米どころと、米の輸出ができるかどうかというのは、大きな、社会の安定のためにも必要な課題ということになります。日本食が評価をされ、日本庭園でニシキゴイを見ながら日本の文化を味わいたいというものが世界各国でできるようになれば、日本への訪問客も更にふえるんじゃないかなというふうに大きく期待をしているところでございます。

 そこで、まず、クールジャパン政策の政府予算額がどれぐらいになっているのか、お尋ねしたいと思います。

住田政府参考人 クールジャパンの関連の予算額でございますけれども、平成三十年度で申しますと、政府予算額合計四百四十四億円、三十年度については二次補正の際に八十六億円というのがございますので、年間で合計すると、近年ではおおむね五百億円程度で推移をしておるところでございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 クールジャパン政策が始まって以来、報道等でもされているとおり、訪日客はやはりかなりふえている、これは実感を持って感じております。また、日本酒の輸出もふえている、それからニシキゴイの輸出も近年ふえているというような状況です。

 これは政府にお伺いをしたいんですけれども、クールジャパン政策が始まって以来の訪日観光客の消費金額、日本酒の輸出額、ニシキゴイの輸出額、お米の輸出額等の増加が円換算でどうなっているか、お知らせいただきたいと思います。

住田政府参考人 クールジャパン戦略担当大臣が設置されましたのが平成二十四年でございますので、この平成二十四年と平成三十年を比較いたしますと、訪日観光客の消費金額につきましては、約一・一兆円だったものが四・五兆円に、四・二倍に増加をいたしました。日本産酒類、お酒でございますけれども、これの輸出額は約二百六億円であったものが約六百十八億円に、三倍増ということになっております。また、ニシキゴイ等の輸出額につきましては、約二十七億円だったものが四十三億円程度に、一・六倍に増加。日本産の米の輸出額につきましては、約七億円だったものが約三十七億円に、約五倍の増加ということになってございます。

泉田委員 ありがとうございました。

 四百五十億円の予算でよくぞこれだけ伸ばしていただいて、全てがクールジャパンではないと思いますけれども、大変成果が出ているなということを実感をしております。ぜひとも、予算によっては、結果がどうかということではなくて、手段まで採算、投資採算を求めるものがあるので、ぜひ日本経済全体がプラスになるような形で、さらなる支援の強化をお願い申し上げたいと思います。

 次に、ニシキゴイ、今ほどお話しさせていただきましたが、新潟県を発祥とする魚でございます。かつて田中角栄元総理が国魚というふうにしたためております。クールジャパンを推進する上でも、我が国の知的財産としてぜひ積極的に推進、振興していただきたいと思いますが、大臣の見解をお伺いします。

平井国務大臣 ニシキゴイは、間違いなくクールジャパンの有力なコンテンツの一つであると考えています。

 近年輸出量が増加して、昨年のオークションでは一匹何と二億円で海外の方が購入されたと報じられるなど、人気は高まっていると思います。

 内閣府としましても、ニシキゴイは世界から高く評価される日本の魅力ある産品であると認識した上で、昨年には、職員が新潟県の養鯉場を訪問して現地関係者と意見交換を実施して、ニシキゴイの品評会に後援を行うなどさせていただいています。

 このような中、ニシキゴイの魅力を一層効果的に発信、展開していくために、世界の人々にとって魅力的なストーリーをつくること、マーケットとする国や属性別の嗜好を分析すること、インフルエンサーを活用すること、海外の人がニシキゴイを所有する場合、日本で養鯉業者に飼育管理させるように促すことにより、定期的に海外の所有者に訪日してもらい、他の観光資源を含めた地域全体のインバウンドを促進することが重要であると考えています。

 また、海外のニシキゴイとの差別化を図る観点から、ニシキゴイの養殖方法が色彩にどのように影響するかといった科学的な知見を蓄積する等、知的財産の観点からも戦略的に取り組んでいくことが重要だと考えております。

 今後とも、関係省庁、また、産地の自治体とも連携して、全力でニシキゴイの魅力を発信してまいりたいと思います。

泉田委員 ありがとうございました。ぜひ、よろしくお願いいたします。

 最後に、クールジャパン政策のこれまでの取組を踏まえ、今後どのように取り組んでいかれるのか、大臣の所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

平井国務大臣 クールジャパンについては、やはり、社会がデジタル化とグローバル化が更に進んでしまったわけで、戦略を強化する必要があると考えています。

 その上で、クールジャパンについては、例えば、マーケットインの考え方の重要性、ストーリー活用の重要性、インフルエンサーの活用を含めたデジタル時代に対応した発信強化の重要性、そして、その継続的な基盤を構築していきたいというふうに思っています。

 外国人の知見や視点を更に取り入れることが重要だということで、新たな懇談会もスタートさせていただいておりまして、ここでは日本人が気づかないような点も含めていろいろおもしろい議論がありました。可能であれば夏ごろまでに新しい戦略をつくりたいと考えております。

泉田委員 ありがとうございました。大臣、頑張ってください。

 質問を終わります。

牧原委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 立憲民主党の岡本あき子でございます。

 きのうは、本会議でもありがとうございました。引き続き、本会議でも質疑した中身の詳細について、少し伺わせていただきたいと思います。

 冒頭に、きのうの答弁いただいた中で、ちょっと通告に入っていないので、後ほどわかればで結構ですし、もしお答えいただければありがたいと思うんですけれども、給食費、保育園の食材費について、今まで保育料に入っていた部分があるんですが、それが抜かれて新たな負担として保護者に御負担をいただくものがありますという指摘をさせていただきました。保育料を無償にするんだけれども、ここは別枠になって新たにやはり保護者に御負担をいただく、新たな負担ではないかという質問をさせていただいたものです。

 ちょっと速記をけさ見せていただいた中で、保育料の一部を、負担方法が変わるだけでという御答弁をいただいたんですが、保育料の一部に入っているのをやはり保護者に負担をしていただく部分があるんですね。

 なので、もし今お答えいただければありがたいですけれども、私からは、保育料の一部をやはり保護者につけかえる、保育料を無償にするのではなく一部を保護者負担に変えている点があるという指摘をさせていただきましたので、その点は受けとめていただきたいと思いますし、残念ながら保育料無償化という定義からいくと定義変えをしているんじゃないかという思いがございますので、もしお考えがあればお聞きいたしますし、後ほどで結構ですので、改めてその点は精査させていただきたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 副食費の件でございますけれども、現状はまさに保育料として保護者に負担をしていただいてございます。それを、今後、その負担方法を変更させていただきまして、保育料としてではなくて、実際の、今の主食と同様に直接保育料としてではなくて、かかった経費として園の方に御負担をしていただくということで、負担方法が変わっただけでございまして、これまでと保護者が負担をされているという意味では一緒でございます。

 ただ、負担方法を変えるだけではなくて、その上で年収三百六十万未満世帯にはその御負担も保育料から、負担方法を変えますけれども、変えた上でそこも免除させていただくというような仕組みを導入する予定でございます。

岡本(あ)委員 今まで保護者に負担をいただいていたというのは、保育料そのものも負担をいただいていたので、そこの保育料を無償化しますという方針で政策を進めていらっしゃった中では、保育料の一部を切り出して、要は保育料としなくなるという位置づけに変更されるということになります。

 今まで負担していただいていたので変わりませんではなくて、今まで負担をいただいていた保育料という部分の一部を保育料から外すということを実はやっているということになりますので、これについては、私からすると、やはり、無償化といいながら実はちょっと小手先のことをやって保護者に結果として負担を残した形になっているんじゃないかという指摘ですので、ぜひこの点は、もし保育料の定義自体を変更したんだというんであれば、その説明からきちんとしなければいけないんじゃないかと思っております。

 もしお答えいただけるのであれば、もう一度お願いします。

宮腰国務大臣 少し誤解もあるんじゃないかなと思って答弁に立たせていただいたのでありますが、現行の仕組みは、幼稚園については、保育料と副食費は実は切り離してあります。保育所等については、これまでの経緯もあって、主食費については明確に保育料と切り離してあったわけでありますが、副食費については一応保育料の中に含まれているということでありまして、幼稚園と保育所では保育料の中身がやはりちょっと違うということであります。

 今回は、幼稚園も保育園も、主食費はそれぞれ切り離して負担をしていただいていて、幼稚園の場合は副食費も切り離して負担をしていただいたのでありますけれども、この副食費も明確に切り離して御負担をいただくということでありまして、これは負担方法は変わるんですけれども、保護者が負担をしていただくということについてはこれまでと全く変わりはありません。

 それから、義務教育の小学校、中学校におきましても、御案内のとおりでありますけれども、主食費も副食費も保護者負担ということになっておりまして、決して保育所だけ負担が重くなるということではないというふうに考えております。

岡本(あ)委員 もともと保育料自体、私からすると、保育園の方、保育所の方について指摘をさせていただいておりました。保育料は、今までも保護者が負担をしておりました。その保育料を無償化しますという言葉だったんですが、保育所において、既に副食費は保育料の中に含まれての保育料ということになっていた部分を、副食費は保育料ではなくしますよというのが、実は今回の制度の見直しの中で一緒にそこの位置づけを変えているんですね。その説明はほとんどなされていませんし、その納得も保護者にとってはされていない状態です。

 私たちは、やはり、今まで保育料に入っていたものは引き続き保育料として含めるべきだと思っておりますが、政府の御説明では、そこは切り離して、保育料からは外す、副食費は保育料とは別な形で保護者負担だという。だから、保育料の定義自体が保育所に関しては変わることになりますので、その分は、保護者に対しても詳細な説明はありませんし、制度設計上もきちんとした説明はなされていない。個別に問い合わせた分については私も説明は聞いておりますけれども、制度設計としては正式にはきちんと説明をされていない部分があります。

 なので、やはり、保育所における、保育料のところから、保育料としていた部分の中から、副食材費は保育料から外すんだというところは、きちんと制度上明確に御説明をされなければ議論にならないんじゃないかと思っております。御当局で結構ですので、もう一度お答えください。

小野田政府参考人 お答えします。

 この仕組みにつきましては、実は、いきなりというのではありませんで、まず、その無償化をどのように組み立てていくかというときの有識者会議の中の提言に入っておりますし、さらに、それを受けまして、内閣府の方でも、数度にわたりまして、関係者、それから園の関係者も含めまして、有識者も入ってございます子ども・子育て会議でもう幾度も議論をした上でそういう制度設計をさせていただいております。

 その議論の過程は当然オープンにさせていただいておりますので、そういう過程の中で、今大臣が答弁させていただいたような理由のもとで整理させていただいたところでございます。

 ただ、まだまだその周知はしっかりとやっていくというところの課題はあると思っておりますので、皆様の御理解をいただけるように、しっかりと周知はしていきたいと思っております。

岡本(あ)委員 私からすれば、やはり、消費税増税を前提とした形での無償化、全てを、三歳から五歳を対象の無償化という意味でいくと、優先順位が異なる。しかも、その保育料に関して、一部といえども、今まで保育料に含まれていた部分を今回この制度とあわせて外していくということになりますので、やはり、保育料の保護者負担を無償化するという考え方からしても、ちょっと、副食費に関して保育料から外すという形についても納得がいかないということを言わせていただきます。

 保護者の方々からも、やはり、保育料が無料になるんじゃないかと思ったら、御飯代、副食代は集めるよという話を聞いてびっくりしているという声も聞こえておりますので、ぜひそこの点は重く受けとめていただきたいと思います。

 それから、きのう、質疑の中でも、企業主導型保育事業について伺わせていただきました。

 審査のあり方、監査のあり方という点では、やはり、非常に不備があったと私たちも指摘をさせていただきましたし、宮腰大臣からも、やはり、子供の命を守る保育という事業に携わる形では大変重く受けとめていただいているということは、とても感謝をしたいと思っています。

 二〇一六年度と二〇一七年度、それから昨年度では、審査の方法が変わっていると思います。最初の二カ年は児童育成協会さんみずから審査をされていたのかな、昨年度は審査会を立ち上げて専門の方々に審査をしていただいたというところと変わっていると思います。

 どういう審査をされていたのか、前半二カ年、それから昨年度、審査の方法というのはどういう形で行われていたのかというところを御説明いただけますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度と平成二十九年度における審査でございますが、こちらは協会が審査を行い、認可施設並みの基準を満たしているかどうか、また、財務面においては予算書及び直近二期の決算報告書などを確認した上で、助成決定を行ってきているところでございます。

 また、三十年度の審査でございますけれども、協会において、まず、事前に事業者が地方公共団体等へ確認する事項を明確化するとともに、早朝、夜間、休日の開所など多様な働き方に応じた保育の提供、待機児童対策への貢献、こうした観点を審査において優先的に考慮する項目とすること、また、共同利用の見込み、事業に要する費用、事業の持続可能性、保育の質の確保など事業計画の妥当性など、これらを総合的に事業内容等を審査すること、これらをあらかじめ公表した上で、協会に置かれる審査会において審査、選定し、助成決定を行ったところでございます。

岡本(あ)委員 前半二カ年のところについて伺いたいと思います。

 助成決定第一回は、二〇一六年の九月五日から始まっております。児童育成協会さんのホームページを拝見しますと、二〇一六年、二〇一七年度、二カ年で計十八回にわたって助成決定をされております。物すごい量を処理されていたのではないかと思うんですが、実際取り扱っていた件数、決定されたのは公表されておりますけれども、二カ年でどれぐらいの件数を審査されたのかというのは、今おわかりになりますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 我々で把握していますのは、二十八年度、二十九年度につきましては、最終的に審査を経て助成決定をした法人施設数とそれから定員というところでございます。

岡本(あ)委員 単純に、助成決定した施設数、決定した方ですね、二カ年で決定した、ホームページに載っていた件数を十八回で割りますと、ほぼ毎週、月に二回あるいは毎週、助成決定をされて発表をされていらっしゃいました、特に二〇一七年度。

 確かに、待機児童解消のために量をふやさなきゃいけないというところで、一生懸命されていたというのはわかるんですが、単純に、十八回で三月末時点での助成決定の施設数を割ると、十八回なので、一回当たり四十八件、採択を決めていたことになるんです。もし間違っていたら、後ほど指摘をいただきたいと思いますが、二〇一七年度の三月末での助成決定施設総数を、それまで十八回、助成決定した回で割っております。一カ年半ぐらいで十八回決定をしておりますので、一年半ぐらいの間かなと思うんですが、十八で割りますと大体四十八件ぐらいで、毎週のように審査をして決定をする量としては非常に多いと思われませんか。ちょっと皮膚感覚なんですけれども、大臣はどう思われますか。毎週、四十八件を審査して決定をしていくこのスピードについては、いかがお考えでしょうか。

宮腰国務大臣 平成二十八年度と二十九年度における審査では、協会が審査を行いまして、認可施設並みの基準を満たしているかどうか、あるいは財務面においては予算書及び直近二期の決算報告書などを確認した上で、助成決定を行ったところであります。

 いわば、書面審査というようなことが主体だったと思いますが、それが果たして、現実にヒアリングなどを行ってしっかりとその体制の確認をしていたのかどうかといったような問題もあろうかと思います。

 今回の検討委員会の取りまとめ案の中では、まずは明確に審査基準を定める、それを公表する、さらには、その審査の結果についてしっかりと通知をする、こういうことをすべきであるという御提言をいただいておりまして、これまで、この審査において、一回の審査における施設の数が多かったということは確かに言えるというふうに思います。

 まず、これは、何度も申し上げておりますが、まずは量の拡充というところから実はスタートした仕組みでありまして、一定の要件を備えた申請であれば幅広く認めていくというようなことからきていたのではないかなというふうに思っております。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 大臣お答えになったとおりだと思うんです。とにかく量をふやさなきゃいけないという使命感がまず先立ってやっていたというのは、ホームページをずっと拝見していても、ひしひしと逆に伝わってきます。

 これ、審査は何名でやっていたというのはわかりますか。本当は児童育成協会さんに来ていただいて詳細をお聞きしたかったところなんですが、残念ながらきょう来ていただくことがかなわなかったので、内閣府が責任を持ってお答えいただけると伺っていたんですが、実際どのぐらいの体制でこの毎週五十件弱ぐらいを処理をされていたのかというのはわかりますでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 現状におきましては、企業主導型に携わる協会の人数、全体で八十名を超えておると認識してございまして、当初から八十名ということではなくて、案件がふえるというような中で徐々に体制はふやしていったというふうに認識してございますけれども、恐縮でございますが、今何名という正確な数字はちょっと今ここでお答えはできません。済みません。

岡本(あ)委員 あと、その体制とかも本当は詳細をお聞きをしたいと思っていたんですが、途中に、ホームページ上に、助成決定を何回かやっている途中なんですが、今回いただいた助成申込みのうち、運営費に係るものや書類がそろっていないなどの理由により審査が終了していない整備費に係るものについても、審査が終了し次第、随時助成決定を行っていきますとわざわざ書いているんですね。なので、受かるとも落ちるともわからないのに、書類が整っていないの理由というのは、もう一回、不備があるから出しなさいよというアドバイスをされていらっしゃると思うんです。それで、書類が整えばもう助成決定を行っていきますよというのを、まだ審査も終わっていないのに、あらかじめ御丁寧に告知までされていらっしゃるんです。

 逆に言うと、不採択になったケースというのはないんじゃないかと思うんですが、実際、二〇一六年度、二〇一七年度で、申込みがあって不採択になったというものはあるんでしょうか。

小野田政府参考人 お答えします。

 ちょっと繰り返しになりますけれども、平成二十八年度、二十九年度につきましては、結果的に助成決定をした施設数しか我々は協会からは聞いてございません。

 ただ、三十年度におきましては、そうした二カ年の状況を踏まえまして、協会の方で、募集期間もしっかりと決めて、何回かやり直しというのではなくて、厳格に、第三者の審査会を設けまして、議論をしていった、そうして審査、決定をしていったというふうに承知してございます。

岡本(あ)委員 二〇一六年、二〇一七年に関しては、どちらかというと、事業者がみずから従業員のために保育を設置した率が一定程度あるのかなと思っているので、事業者の方でみずから、建てたい、つくりたいという意思に基づいて、可能な限り協力をしてきた、いい見方をすればそういうことになるのかなと思いますが。

 この二カ年に関しても、どちらかというと、申請さえして、書類さえ整っていれば通しますよという姿勢がありありと出ていたということを考えると、今回、悉皆調査をしていただいている中で、ここの二カ年の分についても、スタートはずさんだったかもしれないけれども、きちんと今、子供たちの命を守っているのかどうか、その点は、大臣からも、この悉皆調査の中で徹底して検証するようにという指示を改めて出していただきたいと思います。

宮腰国務大臣 今委員御指摘の点も含めて、今、悉皆調査をやらせていただいているというところでございます。

岡本(あ)委員 やはり、前半二カ年に関しては、大変、つくってくれてありがとうぐらいの勢いでやっていたのかなと思わざるを得ないような流れを見ております。なので、改めて、やはり質ということは、特に前半二カ年の分についてはきちんと検証していただきたいと思います。

 改めて、では、昨年度どうだったかというと、審査会を設けました。全部で何回開かれましたでしょうか。

小野田政府参考人 三回開いたと聞いてございます。

岡本(あ)委員 取り扱った件数は何件でしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 申請施設数二千二百八十八施設、申請定員数五万一千四百九十九人というふうに承知してございます。

岡本(あ)委員 三回で二千二百八十八件。審査できたんでしょうか。どうなんでしょう。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 最初に答弁させていただきましたとおり、優先的に考慮するべき事項、それからその他総合的に審査すべき事項というのを事前に公表し、明確にしてございました。

 審査をするに当たりまして、それぞれの項目に対してどのように審査をしていくかということを事前に準備をした上で審査に臨んでおると承知しておりますので、そういう意味では、効率的、効果的な審査ができたのではないかというふうに承知しております。

岡本(あ)委員 私は、物量的に本当に大丈夫なのかというところは疑問を抱かざるを得ません。非常に良心的に考えて、では、事務局がある程度精査をして、承認をするような会になったのかなと。

 できれば、この三回の中で、しっかり自信を持ってこの審査員の皆さんが、この施設は大丈夫だと。逆に、残念ながら、不採択になるには、不採択になる理由があるんだという明確な判断のもとに審査会が行われたと期待をしたいと思いますが、事実でしょうか。

小野田政府参考人 繰り返しになりますけれども、早朝、夜間、休日の開所など、多様な働き方に応じた保育の提供、待機児童対策への貢献、事業の持続可能性、保育の質の確保、こういった項目をしっかりと審査を行い、優先度の高いものから選定をしていったというふうに承知してございます。

岡本(あ)委員 逆に、五万人程度申込みがあって、実際、採択されたのが三万人程度と伺っております。今御説明ありましたが、優先順位を、優先をつけたということでした。逆に、二万人分の施設、申し込んだ方々は不採択ということでした。

 不採択の通知も今後公表していくというのが検討委員会の中にはありますけれども、優先順位をつけた中では、予算がないから、本当は合格しているけれども予算の枠を超えちゃったので今回はだめですよというものがあったのか、あるいは、不採択になったというのは、総合的に基準を判断した結果、予算が幾らあってもここは不採択とせざるを得ないという基準で判断をされたのか、そこの点というのはわかりますでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 この五万人でございますけれども、平成三十年度より、三年間で三十二万人分の受皿を確保するという子育て安心プランを進めているところでございまして、その子育て安心プランを三年間で進めていく中で、最終的に三万人分程度を選定するというふうに整理したところでございまして、予算上は、当然予算を超えるわけにはいきませんけれども、どちらかといいますと、そのプランを着実に進めていくという観点から三万人を選定させていただいたということでございます。

岡本(あ)委員 やはり、基準をクリアしていながら、三万人という、確かに、当初二万人だったのを一万人ふやしましたという話も聞きましたけれども、でも、本来であれば、予算が潤沢にあれば早く開業できたかもしれない、そういう意味でいくと、待機児童に貢献したかもしれないという事業者にも諦めさせてしまったという部分もあったのではないか。昨年の基準でいけば当然クリアしてもおかしくない施設に関しても、なぜ落とされたのかわからない、そういうような声も幾つか既に聞いております。

 そういう意味でいくと、本当であれば、二十九年度のときは、予算を更に前倒ししてでも企業主導型の枠をふやすんだということもやっていましたが、結局、前倒しを十分し切れないまま三十年度に入っております。本当に、良質なところで意欲的にやりたい、でも昨年度でいったら予算が足りないということであれば、本来であれば、じゃ、更に予算の前倒し、あるいは積立金の切り崩し、そういうこともできたのではないかと思います。

 積立金が年々使われずに積み重なっているよというのは、阿部知子議員から前回指摘がなされています。本来、待機児童解消のために一生懸命整備をして、しかも良質なものをと御努力をいただかなければいけないときに、予算がないから残念ながら優先順位で決めてしまわざるを得ない、そういうようなことがあっては、昨年度の取組とはいえ、昨年度といいますか、まだ今年度になりますけれども、そういう判断をなされたということであれば、非常に残念だと思っております。

 改めて、この採択、不採択の基準のところというのも改めて検証の中で明確にしていただいて、良質的なところについては、再度チャレンジをしてくださいよと促すぐらいの中身でお知らせをしていただきたいと思います。

 ここはぜひ大臣から、今回不採択になった事業者、あるいは、今年度、もう三月の中旬を過ぎていますので難しいのかもしれないんですが、速やかに、良質なところはふやしていくという取組を進めていただきたいと思います。

宮腰国務大臣 平成三十一年度の申請それから審査に当たりましては、検討委員会の取りまとめを踏まえて、審査基準をあらかじめ明確にしておくということとさせていただきたいと思っておりますし、また、仮に採択にならなかった場合に、その理由を通知をするということも提案をいただいております。

 でありますので、あらかじめ明確になった審査基準について、平成三十年度で残念ながら不採択になった申請においてももう一度チャレンジしていただくということは十分可能であるというふうに思っておりまして、そういう意欲のあるところについては、ぜひ手を挙げていただきたいなというふうに思っております。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 まだ細かいところはお聞きしたい部分はありますが、次回に繰り越したいと思います。

 ぜひ、子供の命を守る、それから子供の健やかな成長を最優先で取り組んでいただくことを御期待申し上げ、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 立憲民主党・無所属フォーラムの今井雅人でございます。

 最初に、菅官房長官にお話を伺いたいと思います。

 先週の三月七日に、政府が景気動向指数の一月分を発表されました。内容を見て、とても深刻だなと思ったんですけれども、念のため、要旨だけちょっと御紹介しますが、まず、先行指数、これが前月と比較して一・三ポイント下落、五カ月連続の下落です。それから、一番大事な一致指数、これが前月と比較して二・七ポイント下落し、三カ月連続の下落。それから、遅行指数、これが前月と比較して〇・一ポイント下降し、二カ月連続の下落。先行指数、一致指数、遅行指数、いずれも連続して下落してきております。

 これを受けまして、政府は一致指数の基調判断を一段階下げまして、景気動向指数は下方への局面変化を示している、つまり、景気が非常に悪くなり出しているという見解に下方修正しています。

 これに対して、同日の記者会見で官房長官が何点かおっしゃっておられますので、それについて伺いたいと思うんです。

 まず、下方修正への局面変化に引き下げられたことに関して、景気は緩やかに回復しているという従来の認識に変わりはないということをおっしゃっておられますけれども、この数字だけを見ますと、非常に景気状況が悪化してきている。しかも、下方への局面変化という表現を使われているわけです。こういう表現を政府として使っているにもかかわらず、従来の認識に変わりはないとおっしゃっている、その理由は何でしょうか。

菅国務大臣 私の会見ではそのように申し上げました。

 政府の正式な景気判断については、月例の経済報告において景気の基調判断を行っております。その中で、現時点では景気は緩やかに回復しているとの基調判断を示しておりますので、会見でもその趣旨というものを申し上げたところです。

 いずれにしろ、引き続きあらゆる政策を総動員して経済運営に万全を期してまいりたい、こういうふうに思います。

今井委員 参考人の方にいらしていただいていますので、もし必要でしたら細かいことはそちらで答弁していただいても結構ですけれども、月例で景気判断をしているということでありますが、どういう指標を重要視して、景気が回復している、拡大しているというふうに判断しておられるんですか。

増島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、政府の正式な景気判断というのは、月例経済報告においてさまざまな経済指標を分析しているところでございますけれども、消費、設備投資、そういった需要項目、そして外需、輸出ですね、それから供給面の生産、そういった動きを見ております。また、景気の動きの背景にございます経済環境、企業の景況感、そういったものを総合的に勘案して景気の基調を判断しているところでございます。

今井委員 今、消費、生産、景況、そのほかにもおっしゃっておられましたけれども、消費動向はここのところ低迷しているのは皆さん御存じだと思いますが、では生産はどうかということなんですけれども、先日発表になりました鉱工業生産一月分、これは前月比マイナス三・七%です。これも三カ月連続の低下です。

 それから、工作機械の受注も出ていますが、これも生産ですね、これは一月、前年同月比マイナス一八・八%、四カ月連続マイナスです。この工作機械に至っては、深刻なのは、外需も落ち込んでいますが、国内の受注も大幅に落ち込んでいます。マイナス一五%ぐらい落ちています。外需も景気判断の中とおっしゃっていましたが、外需も、今大きく輸出が落ち込んでいるのはもう皆さん御存じだと思います。

 どの数字を見ても、景気は非常に今低下傾向にあるんですよ、官房長官。これをもってまだ景気が緩やかに回復しているという認識はちょっと甘いんじゃないですか、ちょっと認識を変えられた方がいいと思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、景況判断については月例のもので判断をさせていただいていますので、基調についてそのように申し上げたということであります。

今井委員 では、お伺いしますけれども、今私が紹介したとおり、総合的に判断する指標の中にあるものは相当悪化しているものが多いですね。こういう悪化している状況を見て景気判断を変えるということは政府はしないんですか。

増島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございましたけれども、足元では、情報関連財を中心といたしまして中国向けの輸出などに弱含みもございまして、外需が弱目の動きになっております。

 他方で、雇用、所得環境はしっかり改善をしておりまして、また、企業収益も高い水準が続いているということで、個人消費は緩やかに持ち直しておりますし、また、設備投資も増加をしているところでございます。

 こうした成長が民需の増加に支えられた成長になっておりますので、緩やかな回復が続いているというふうに認識しているところでございます。

今井委員 相当楽観的に見ておられるので、ちょっとびっくりしましたけれども。

 官房長官は、一月で景気拡大期が戦後最大になったとの暫定的な見解も維持しておられます。これも、月例報告の景気動向指数の一月分が、下方面への局面変化というふうに表現が変わった。これは解説がありまして、下方への局面変化とは定義は何か。事後的に判定される景気の山が、それ以前の数カ月にあった可能性が高いことを示す。つまり、一月より数カ月前に景気の山がもう既に来ていたという可能性が高い、こういう表現です。ですから、去年の秋、九月とか十月ですかね、このあたりに景気の山が来た可能性が高い、そういう定義なんですね。

 これは政府が出している見解です。となれば、もうことしに入ったら、こうやって景気拡大が維持しているということは言えないんじゃないでしょうか。

菅国務大臣 景気の山、谷の判断については、データの蓄積を待って、事後的に専門家による審議も踏まえて決定をされているところであります。

 その上で、これまでの月例経済報告は、景気は緩やかな回復が続いていると判断しており、また、戦後最長となっている可能性がある、そうしたことを示しているというふうに承知をしております。

今井委員 よく政府は、安倍総理もおっしゃるんですけれども、雇用が一番大事だ、雇用が回復しているからいいんだとおっしゃいます。確かに雇用は一番大事です。しかし、雇用が回復しているから景気がそのままいいかどうかというのは、それはイコールじゃありません。

 更に申し上げれば、有効求人倍率が一倍をみんな超えているとおっしゃっていますが、有効求人倍率が高くなり過ぎるということは、人が足らなくて業ができないということなんですよ。介護なんかまだ四倍ですね。保育だって三倍近いです。人が足らないという状況が景気がいいんだというふうにおっしゃるのは、私は、それは少し認識を変えた方がいいと思うんです。

 その上でお伺いしたいんですけれども、これは先日麻生さんにもお伺いしましたが、二〇一六年の六月に消費税の引上げを延期しています。このときと今を比べて一体どうなのかという問題なんです。

 実は、このときは、二〇一五年、前年の秋口から原油価格が急落しまして、二〇一六年の二月にはWTIで一バレル二十六ドル台まで落ちました。しかし、判断をした六月、このときは五十ドル台に回復しています。今、WTIの価格は、きのうで多分五十七ドルです。さほど変わっていません。

 国内の指標を見ると、景気指数とかいろいろ見ていただきたいんですけれども、きょう皆さんに資料を渡せばよかったんですが、景気動向指数の一致指数、一番大事なもの、この一月の水準は、消費税の増税を引き延ばししたときよりも水準ははるかに下回っています。そのときより悪いんですね。ですから、状況的には、実はあのときよりも今の方が景気は非常に不安定で危ないんですね。

 であれば、あのとき延ばしたということであれば、今回もやはりそれは延ばさなきゃいけないという景気状況にあるというふうに思いますけれども、官房長官はそのあたりをどうお考えですか。

菅国務大臣 この点につきましても何回となく総理、財務大臣が国会で答弁させていただいていますけれども、消費税率については、リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、法律で定められたとおり、十月に一〇%に引き上げさせていただく予定であります。

 いずれにしろ、消費税率を引き上げることができる環境とすることが重要であって、消費税率引上げに当たっては、今回の予算案における臨時特別の措置を始め、十二分な対策を講じております。

 その上で、リーマン・ショック級の事態がない限り、引上げをさせていただくということに変わりありません。

今井委員 では、お伺いしますが、リーマン・ショック級の出来事が起きない限り引き上げる予定ということは、この中には、リーマン・ショック級の出来事が起きそうだということも含まれるんですか。この表現で言うと、そういう出来事が起きたら、引き上げる予定です。二〇一六年のときは、これから起きそうだからという理由で延ばしましたね。今回はそういうことはないということなんですか。

菅国務大臣 今回につきましては、今、国会で、予算委員会でいろいろ御議論をいただいています。臨時特別の措置、十二分なものを提案をさせていただいています。ですから、リーマン・ショック級の事態、例えば世界的な経済危機や大震災、こうしたものが考えられますが、いずれにしろ、そうした事態がなければ引上げをさせていただくという方針に変わりありません。

今井委員 もう一度お伺いします。今、私の質問に答えていただいていないので。

 リーマン・ショック級の出来事が起きない限りというのは、これは起きた場合なんですか、起きそうということも含まれるんですか。ちなみに、二〇一六年のときは、起きそうだと、起きてはいないのにそれを理由にされました。

菅国務大臣 そこは、リーマン級の出来事が起こらない限りであります。

今井委員 起こらない限りということは、起きそうだというのは含まれないという意味ですね。よくわかりました。

 あのときの議論で、私は覚えているんですけれども、アベノミクスはうまくいっているが、海外でいろいろな不確定要因があるので、それに備えなきゃいけないと。アベノミクス自体もおかしいんじゃないですかと言ったら、それはそうじゃない、そちらはしっかりしているんだけれども、海外要因だということなんですね。

 それで、この間、「シャルマの未来予測」という本を読みまして、その中におもしろいことが書いてありました。政治が廃墟に向かうときの政治サイクル。指導者は、景気の悪いときは外国人や自分の力を超えた外の要因にする、景気がよいときは全て自分の手柄にする。どこかで聞いたことのあるような、まるで安倍政権を言っているんだなというようなことでありました。

 私は常々申し上げていますが、もちろん政府は政策をいろいろ打ったでしょう。しかし、世界経済が拡大していた中だったから日本も一緒に拡大したのであって、世界経済が落ち込めば当然落ち込むということなので、そこはちゃんとしっかりと冷静に分析をしなければ、いいときだけ私たちの手柄です、悪くなったらそれは海外が悪いせいです、こういう判断をされるというのは非常にゆがんでいますし、正しく冷静に景気状況を判断できないということだと思いますので、そこの部分はしっかりと認識を変えていただきたいというふうに思います。

 それで、もう一つ、景況感なんですが、これも今のところはまだしっかりしているということなんですけれども、来月にまた出ますが、直近の日銀の短観がどうなっているかといいますと、心配なのは先行きなんですね。先行きは、大企業で前回一九だったのが一五に下がっています、これは製造業ですね。二〇が一八ですね。それから、中堅が一四だったのが一二。それから、中小企業に至っては七から六ということで、景況感も低下し始めているんですね。非常に悪くなってきています。

 ですから、実際の生産だけじゃなくて、企業の景況感も落ちてきているという認識だと思いますが、官房長官はそういう御認識はありませんか。

菅国務大臣 政府の正式な景気判断というのは、さまざまな経済指標の分析とともに、指標の動きの背景にある経済環境や企業の景況感などを総合的に勘案して景気の基調判断をいたしております。

 今、委員からもお話ありましたけれども、例えば、指標の動きの背景としては、企業や家計の行動及びマインドの変化とか、海外の経済動向等を勘案することも必要だというふうに思っています。また、企業の景況感については、例えば、日銀短観の企業の景況感、こうしたものも判断すべきだというふうに思っています。

今井委員 景気の判断をするときは、いい指標だけを見ないで、悪い指標もちゃんと見ながら総合的に判断しなきゃいけないと思うんですね。悪い指標だけを見てもいけませんけれども、しかし、明らかに趨勢として四カ月ないし五カ月低下している生産や、そういうものの数字があるわけです。実際に、月例の景気動向指数も、数カ月前に山が来た可能性が高い、ここまで踏み込んでいるわけですから、こうやって景気はいいんだいいんだということを強弁なさらないで、そういう踊り場に来た、そういうふうに認識を変えられた方がいいと思いますけれども、改めてもう一度お伺いします。

菅国務大臣 先ほど来申し上げていますけれども、政府の正式な景気判断というのは、月例経済報告において景気の基調判断を今日まで行ってきておりますので、そうしたものの中で判断をさせていただきたいというふうに思います。

今井委員 なかなか認めていただけないんですけれども、これから出てくる指標は非常に厳しいものがたくさん出てくると思います。かじ取りを間違えると、また大きな景気の落ち込みを招きますので、消費税の引上げを判断するに当たっても、繰り返し申し上げますが、二〇一六年のときより今の方がむしろ状況的には危険度が高いと思います。あのときは景気状態を上げようと思ったら私は上げられたと思いますね。それよりも今は厳しいということをぜひ政府の皆さんは認識をしていただきたい、そのことをお願い申し上げておきたいと思います。

 片山大臣もいらっしゃっていただいておりますので、少しお伺いしたいと思います。

 片山大臣、世界経済フォーラムが出しているジェンダー指数は御存じですよね。今、直近で日本が何位かというのは御存じですか。

片山国務大臣 ジェンダーギャップ指数でございますが、二〇一八年の日本の順位は、二〇一五年以来三年ぶりに順位は上がるには上がったんですが、百四十九カ国中百十位ということで、それが委員のおっしゃっていることであれば、そのように認識しております。

今井委員 官房長官は結構です。ありがとうございました。

牧原委員長 官房長官はどうぞ御退席ください。

今井委員 そうなんですね。二〇一八年が百十位ということなんですけれども、ちなみに、これは通告していないのでおわかりにならなかったら結構ですけれども、安倍政権が始まった二〇一二年、これは何位だったか御存じですか。

池永政府参考人 お答え申し上げます。

 残念ながら二〇一二年はわからないのですが、二〇一三年は百三十六カ国中百五位ということでございます。

今井委員 二〇一三年、百五位ですね。二〇一二年の冬に安倍政権が政権をとりましたから、ちなみに二〇一二年は百一位です。二〇一三年が百五位です。現在は百十位です。つまり、安倍政権になってからこのジェンダー指数は悪化したということですね。

 今、女性活躍だということで一生懸命取り組んでおられるように見えますが、客観的に外から見た評価、海外から見た評価は、この安倍政権の六年間で大きく低下をしている、数字上そうなっていますけれども、大臣、これは客観的な事実としてお認めになられますね。

片山国務大臣 ちょうど全くの偶然で、ワールド・エコノミック・フォーラムのクラウス・シュワブさんと先ほどまで私は別の件でお会いしておったのですが、安倍内閣、女性活躍もいわゆる第四次産業革命も頑張っているねというお話はいただいたのですが、客観的に、順位が順位であるということは、数字はうそをつかないので、それはそのとおりだと思います。

 ただ、我々、政権発足後に女性活躍推進法というのを成立させて、初めて企業等の行動計画の策定や実績の情報開示を始めた。これは前政権ではなかった、それで始めた。そして、両立支援体制を組んで何が起きたかというと、女性の就業者数が、平成二十四年、御指摘の年ですね、この冬には政権交代があったわけですが、二千六百五十八万人だったのが、昨年は二千九百四十六万人。子育て世代の女性の就業率、六七・七%だったのが、昨年は七六・五%。上場企業の女性役員の数、これが六百三十人だったのが千七百五人。こういう部分は進捗しているということは、これも数字としてあるということは申し上げたいと思います。

今井委員 政府としていろいろ取組をしたと成果をおっしゃっておられましたけれども、結果としては世界で順位を落としたということは、ほかの国の方がもっと進んでいるということですよね。改善度はほかの方が進んでいるから、日本は改善に向かっているけれども、ほかの国よりもそのスピードが遅いということでよろしいですね。

片山国務大臣 相対的な順位の比較なんだから、それで上がっていないということは、これは我々、謙虚に認めざるを得ないから、そういう部分があると思います。

 このジェンダーギャップ指数の構成要素は何かと申しますと、政治、経済、教育、健康の四分野でございまして、一が完全平等、〇が完全不平等ということで、委員御指摘の二〇一二年と二〇一八年を比べますと、余り上がっていないものというのは、やはり政治であったり、それから経営陣の方の経済であったりであって、教育は、もともと日本は〇・九八七が更に上がって〇・九九四ですから非常に高いわけですし、健康も〇・九七九が〇・九七九でございます。

 つまり、総合指数を下げてしまっているのは政治と経済で、それでも〇・〇七が〇・〇八一に政治は上がったんですが、結局、これが上がり方が足りないという部分が大きいのかなと思っております。

今井委員 政治部門でいうと、立憲民主党は今、今度の統一地方選、それから参議院選挙、女性候補をとにかく出そう、半分ぐらい出したいという目標でやっておりまして、参議院選挙の候補者も、今のところは、決まっているところは半分ぐらいが女性のはずです。我々は、日本のそういう改革に本気に取り組んでいる政党、私は会派ですけれども、そういう仲間です。

 政治がおくれている一番の原因になっているのは、私は自民党だと思いますよ。ここは行政の場ですから、それを大臣にお答えいただくのもちょっと筋が違うかもしれませんが、ただ、政治がおくれているというふうに今おっしゃられましたから、であれば、行政としても、政治への女性参加というのを促すような何らかのことを取り組みなさるべきではないでしょうか。

片山国務大臣 御指摘の政治分野でございますが、昨年五月に政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が議員立法で成立、施行されまして、各政党に対して、数値目標の設定やポジティブアクション導入に向けた自主的な取組を進めていただく要請というのを政府としてはしております。

 昨年末に各政党に伺いまして、御指摘のとおり、御党におきましては、数字設定、それからポジティブアクションとして女性で立候補される方への支援ということをおっしゃっていました。それは大変すばらしい取組でございまして、自民党はそこまで行っていないというのは事実でございます。

 ただ、その自民党も、全国幹事長会議で、女性の候補者をあまねく発掘するような呼びかけというのを初めてやったんですね。ですから、それはお叱りを受けてもしようがないんですが、少しずつ進歩はしているわけですよ。

 問題として我々も考えておりますのは、ベースとしてどういうところが女性議員の供給源かということを考えると、今回、統一地方選があるわけですが、この地方議員の方も余り多くないんですね。ですから、地方議会ごとの女性議員の比率や両立環境の整備状況を見える化したマップなどをつくっておりますし、諸外国が進んでいるということは、なぜそういう土壌があるのかということも含めた女性の参画拡大のための多様な情報を収集して、それができるだけ横展開できるような、いわゆるアクションというんですか、働きかけ等は行っているところでございます。

今井委員 時間が来たので終わりますけれども、前回、自民党の議員の方が問題を起こされて、結局自分で辞職されましたけれども、そういうことに対して厳しい姿勢で臨まないと、こういうジェンダーの問題は解決しませんよ。

 ですから、ほかの国でどうして女性がそうやって進出できるかよくわかりませんと言いますが、それはそういうことですよ。そういう問題に対してしっかり取り組んでいない、厳しく向き合わないから、日本では女性進出がなかなか進まないんです。そのことをよく認識していただいて、これから進めていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党・無所属フォーラムの阿部知子です。

 この間、私は本来、内閣委員会の所属ではございませんが、特に企業主導型保育について何回か質問の機会を賜り、ありがとうございます。

 また、私の要求いたしました資料等々につきまして、委員長を始め与野党の理事にも御尽力いただきまして、幾つかを出していただきましたので、きょうは、そのお出しいただいたものと、また、これから更に、私の要求してまだお出しいただいていないものなどを中心に、質疑を重ねていこうと思います。

 まず、冒頭ですが、先回のこの委員会でも、私は、企業主導型保育所の建設にかかわる平米単価はどうですかということを伺いました。これはいろいろ御尽力いただきましたが、平米単価という形では出しておらず、いただきました資料の中に、皆様のお手元の二枚目に添えてございますが、いわゆる基本単価、基準額というものを、厚生労働省等々の保育所等整備交付金交付要綱における認可保育施設の基準額を参考に定めた、内容は以下であるというお返事をいただきました。

 実は、この額につきましては、もう既に企業主導型保育の例えば平成二十九年度の募集要綱等々の中には書かれておりまして、これをお出しいただくためにずっとかかったなら申しわけないなと思うのですが、その一方で、私はやはり、この基準額の設定が二点、ちょっと疑問がございます。この数値を用いて考えたとしても、疑問がございます。

 その第一点目は、いわゆる厚生労働省の保育所の基準に比べますと、やはり高い、施設当たり単価が高く設定されております。

 ちなみに、厚生労働省の資料等々、私は二十九年度を、平仄を合わせたのですが、これだと定員二十名以下が六千五百三十万、津波とかが来る場合は八千六百二十万とかなっておりますが、ここに書かれておる七千五百八十万、これは実は多分平成三十年度の数値でございましょうから、平成二十九年度のを使わせていただくと七千三百四十万という、二十人以内というところでなっております。

 すなわち、厚生労働省の整備単価よりも高いところに設定されていると思いますが、この理由を教えてください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 理事会にお示しさせていただきました基本単価の上限でございますけれども、私どもは、厚生労働省の保育所施設の単価と基本的には横並びで設定させていただいておりますので、あえて高くしておるというような認識はございません。

阿部委員 では、私の今申し上げました平成二十九年度保育所等整備交付金の交付について、厚生労働省が発出しております、平成二十九年の三月三十一日、御紹介いたしますと、交付基準額、先ほど申し上げました、二十名以下、六千五百三十万となっております。なぜ違うのですか。

 それから、もう一つ言わせていただくと、これは認可保育園ですから、給食などの施設も含んだ経費になっていると思います。同じじゃないですよね。高いんじゃないですか。どうでしょう。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 基本は厚労省の単価と同じにしてございますけれども、例えば細部の部分で、少し地域分けを、厚労省のほど詳細に地域分けをしていないとか、そういうところでの差は出てきているとは思います。

阿部委員 申しわけないが、それだけで一千万も差が出るでしょうか。今の御答弁、私は承服しかねます。きちんと厚労省のデータと比べて、今おっしゃったことが真実でなければ、訂正をしていただきたい。

 私は自分で資料を集めて分析をいたしました。どう見ても厚労省の発表しているものより高いです。緊急時の整備はもっと高いですよ、津波が来るとか。でも、通常の、待機児童解消の加速プラン、そこで挙げられている数値よりも高いんです、私が調べたところ。そうでないとおっしゃるならば、それに相当する資料を理事会にお出しいただきたいというのが一点。

 さらに、厚労省の場合は、給食施設、何度も申しますが、認可の基本的コンポーネント、標準ですから、大体、企業主導型保育の場合は給食施設を中に持たない場合が大半と思います。だから、普通は安くてもいいんじゃないですかと思います。

 私が理解できないので、この基準設定について、今御答弁されたのは実は答弁になっていません。同じですと言うけれども、違うんだから。どうですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型でも調理室は必要ということで入れてございますし、繰り返しになりますけれども、厚労省の認可保育施設ほどの地域分けは詳細にこちらの企業主導型はやっていませんので、そこの違いが生じておると認識してございます。

阿部委員 もちろん調理室はおつくりになる場合もあります。ただ、御存じだと思いますが、通常の認可保育園の給食施設というのはそれなりの装備を持ったものでございます。いうところの調理室とはちょっと違います。今の御答弁も承服しかねます。

 地域差が一千万とおっしゃるなら、どこの地域が多くて一千万、都市部が多い、ただし厚労省だってそれくらいの目配りはしてございます。もう一度お願いします。

小野田政府参考人 お答えします。

 調理室につきましては、企業主導型保育施設も、基本的には、小規模保育、事業所内保育を念頭に置いて、同じ基準ということでつくっておりますので、相応の調理室を設置しておる、基準にしておるということでございます。

阿部委員 小規模なものはそうでありましょう。しかし全体として見ると違いますねと言ったまでで、部分的なもので都合よく答弁しないでください。

 それから、地域差一千万、どこから出てくるんですか。大体、数値が同じって、同じなら、厚労省の年度と合わせて、補助額を出したものを出してくださいな。私も無駄な質疑はしたくないです。私が調べた範疇で異なりますよということを御指摘申し上げたんです。

 申しわけありませんが、委員長には、これをきちんと出していただきまして、データを、厚労省のものがこうである、内閣府のものがこうである、一致している、ならばよろしゅうございます。でも、私が調べた限り違っておりますので、私はなぜですかと伺ったまでですので、それは整理していただきたい。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど委員お触れになられましたけれども、厚労省の認可保育施設は、津波避難対策緊急事業計画に基づく事業とか待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策に基づく事業とか、それぞれの目的のもとで単価が変わってございます。

 ただ、企業主導型の方は、都市部とそれ以外の標準と、一つの単価になっておりますので、そうした事業の一つ一つを酌み取るかどうかというところから生じておる単価の違いでございますが、ベースのところは、我々は、厚労省の認可保育施設に合わせているところでございます。

阿部委員 いいですか、何をベースにしているか聞いているんです。

 津波対策の方がはるかに高いですよ、単価は、八千六百二十万ですから。それよりは安いですよ。ただ、緊急待機児童対策とか等々においては六千五百三十万なんです。

 おっしゃった、地域差があって、とったところが違うよと。標準額を決めるんですから、すごく重要です。それを理解できるに足るデータを出してくださいな。あなたの答弁は部分的答弁で全体を説明しておらないから、私の疑問には答えられていない。せめて厚労省基準並みでいいんじゃないですか。

 なぜ上乗せしているんですか。上乗せの事実も認めないんですか。

小野田政府参考人 お答えします。

 繰り返しになりますけれども、私ども、厚労省の認可保育施設に上乗せをして基準を設定しているということは一切やってございませんので、ただ、いろいろな先ほど申し上げたようなものが、我々、勘案していない中で違いが出てきているというふうに承知しています。

阿部委員 では、もう、委員長、お願いがあります。

 例えば、平成二十九年度で結構です。厚労省の補助の基準額、これと、今の、これは、内閣が今お示しなのは平成三十年で二十九年度ではありませんので、同じ年度で比べた方がいいと思いますから、それを比較できるもの。そして、都度、御答弁が違いますが、事実としては高いんです。事実としては数値で、それを説明し得るものをそろえていただきたいと理事会にお願い申し上げます。

牧原委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

阿部委員 やはり、もし私が探したものが間違っていれば、でも、数値は数値で出ているんですから、もっと誠実に対応をなさるべきです。いつもそうです。

 申し上げますが、平米単価が出ないといって、二週間、三週間お待ちしましたが、この資料だったら、もう既にここに出ているんです、皆さんの募集要綱に。これを今さら出されてきて、厚労省と違うのはなぜと聞かれて、いや、厚労省と一緒ですと言ったのでは質疑になりません。納得するに足るものを出していただきたい。

 そして、大臣、私はお願いがあります。

 企業主導型保育については、そもそものその制度設計、これは補助のあり方も含めて問題かと思いますが、そこにおいて、本当にこれがきちんとしておるのかどうかというところでの疑念もあるわけですから、大臣の方からも、今の点を御確認をいただきまして、きちんとこの場で論議ができるようにお願いしたいですが、いかがでしょう。

宮腰国務大臣 今の点とおっしゃるのは……(阿部委員「補助額の差です」と呼ぶ)補助額の問題でしょうか。(阿部委員「基準額の差です」と呼ぶ)基準額の問題でしょうか。

 私も、今、委員のお話を聞きまして、厚生労働省の基準額について、ちょっと詳細を、仕組みなども含めて詳細を存じ上げておりませんので、一度勉強してみたいというふうに考えております。

阿部委員 きょうのところは、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うになりますので、私は、数値で出していただくということが前提と思いますので、大臣にも委員長にもお願いいたします。

 その上で、この論議、ずうっと続いておりますが、事ほどさように、あれを出してください、今度は厚労省のデータを出してくださいと言っているんですから、そんなにあっちこっち調べてこなくてもいいんじゃないかと思いますので、ぜひ誠実に、迅速にお願いをいたします。

 引き続いて、大臣にお伺いをいたしますが、いろいろ調べていただいた結果、いわゆる譲渡案件というものの二十八件が、譲渡に至った主な理由が三つございまして、保育事業を委託していた保育事業者への譲渡、すなわち、あるところがつくって、その保育事業を委託していたところに譲渡。それなら初めからこの人はつくらなければよかったかもしれない。だって、つくって譲渡なんだから。これを、外から見れば保育園転がしと言われかねませんよと私がこの前指摘した類いのものです。

 それから、民事再生手続による事業譲渡。民事再生手続を受けなきゃいけないような事業者に、そもそも審査して認可した方がおかしいじゃないかと。三年しかたっていないわけです。天変地異があったわけでもなかろうに、すぐ事業再生になっていっちゃうってどんな事業だろう、どんな企業だろうと思います。

 三つ目が、本体事業の経営不振のため。これも、審査段階で、本体事業が危ういのに、それで保育に手を出して補助金をもらって、あら、潰れちゃったでは余りにひどいでしょうと。

 これは、私、この三つの譲渡に至った主な理由、どれを見ても、ちょっと審査がいいかげんなんじゃないのと思いますが、おのおの、十一法人二十八施設とありますが、内訳を、小野田さん、教えてちょうだい。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 事業譲渡された施設、十一法人二十八施設、これらが事業譲渡に至った主な理由を、今委員お述べになられましたとおり、保育業務を委託していた保育事業者へ譲渡、民事再生手続による事業譲渡、本体事業の経営不振のためと承知してございます。

 現段階で御報告できるのはここまででございまして、理由別の件数等につきましては、更に検証を進める中で、その扱いについて検討してまいりたいと考えています。

阿部委員 そのとおりで、何でも次送り、次送り、次送りして、奥歯に物が挟まったような、わからないような。

 委員長、お願いがあります。

 私は、こういうこと、わからない、わからない、部屋でこれはずっと、もう二週間、三週間やっているんです。それで、わからない、わからない、わからない、児童育成協会に聞いてくる。でも、きょうもまた、わからない。本当にこれで論議が深まろうわけもないし、児童育成協会に来ていただきたい。そうでなければ、迅速に情報収集していただきたい。

 やっと二十八施設が出たのが多分二週間前。十一法人がここに、きょう。そして、これから分類分けする。本当に、そんなに時間をかけていられません。

 だって、四月末までには、宮腰大臣、これらのいろいろまだ検証が済まない部分についても、四月中の取りまとめを目指すということでありました。

 大臣に確認したいですが、四月中の取りまとめには、この、おのおのの、どんな施設が幾つあって、譲渡に至ったのか。そして、私がもう一つ要求しているのは、譲渡されたら、売った方はお金をもらうわけだから、これをしかるべく企業主導型会計に返す、返納するという手続がないと、売った方が得になってしまいます。この点についても明確にしていただけますか、四月末までに。

 大臣、お願いします。

宮腰国務大臣 先ほど泉田委員の御質問にもお答えさせていただきましたけれども、現在、悉皆調査をやらせていただいております。

 今般の検証の状況も踏まえ、補助金の返還につながるような事案の有無に関し、事業譲渡や民事再生の対象となった施設、法人などについては、児童育成協会に対し、既に実施している調査も含め、さらなる調査を指示するとともに、内閣府としても、必要な立入調査など監査を徹底的に行うよう、私から改めて指示をしたいというふうに考えております。

阿部委員 それはやっていただきながら、大臣に対しての今の私の御質問は、取りまとめの中に、四月中の取りまとめを目指すというふうにございますので、それまでに取りまとめられるんでしょうねというのが一点。

 それから、もちろんこれは、これから幼児教育の無償化にもかかわってくる。企業主導型の場合は企業が保護者負担分をお出しになるわけですが、スキームの中では無償化という大きな流れにかかわってまいります。現在、審議されている子ども・子育て法案とも深く関連、審議されようとしております、きょうお経読みと伺っております、関係いたしますので、その審議が終わるまでの間にも出していただきたい。もうずうっとやっているんですから、この問題を取り上げて。

 大臣、いかがですか。

宮腰国務大臣 今ほど申し上げておりますが、児童育成協会に対しては、既に実施している調査も含め、さらなる調査を指示をするとともに、内閣府としても、必要な立入調査など監査を徹底的に行うよう指示をしたいと考えておりまして、この結果がいつ出てくるか、あるいは途中段階であっても出せるものはしっかり出すということで、四月中に今の検証の結果についてはしっかりと出していきたいというふうに考えております。

阿部委員 片方で法案の審議もあることですから、実りある審議にぜひ寄与していただきたいと思います。

 同時に、大臣のお手元の四ページ目、これがまだ出していただいていないデータでありますが、企業主導型保育事業の執行状況というところで、平成二十八年度予算については、助成決定して、確定額が助成決定より当然少ない、二百四十四億の助成決定に対して確定額が百九十四億円。ちなみに、この年度の予算は七百九十七億円。七百九十七億円で百九十四億しか使わなかったというのが平成二十八年度。

 同様に、平成二十九年度予算は千三百九億組まれて、これの、いわば使われた確定額が、二年たっていまだに出ておりません。普通じゃないと思うんですね。助成決定するのは、助成決定できると思うんです。でもそれを、確定というのは、確かに相手に渡して、それが使われたということが確定です。大臣のお手元の資料の中の段、真ん中の行の平成二十九年度予算の確定額、執行確定額がまだ出ておらない。開いて四枚目です。

 それから、平成三十年度予算の助成決定額も出ておらない。まあ、あと、三十年度というと三十一日まであるからということであるかもしれませんが、しかし、もう出ておると思います。これはもちろん確定額はまだまだ出ていない。歯抜けのような全然そろわないデータの中で事が審議されているというのが、私が一番懸念の点でございます。

 先ほどおっしゃった、四月中の取りまとめの中に、今私が赤囲みしたところの、囲んだところのデータはお出しいただけるんでしょうか、大臣。大臣にお願いします。

宮腰国務大臣 二十九年度の確定額については現在精査中でありまして、四月にはお示しできるようにいたします。

 また、平成三十年度の助成決定額につきましては、四月中にお示しできるよう、集計してまいります。

阿部委員 示していただけるのが遅ければ遅いほど、やはり全体的な透明性というか、どのようにお金が使われて、どこにどれだけ余っていてが見えませんよというのは、これまで私も指摘してきたところでありますので、十分大臣も御認識の上かと思います。

 そして、さはさりながら、事態は進み、現在四回の検討委員会、まだまとめは発表されておらないと承知いたしますが、その中でも、現在この企業主導型保育を担っている児童育成協会を、このまま継続してやっていただけるのかどうか、これは誰もが不安に思います、余りにも問題があるからです。

 そして、この前のまとめを拝見しますと、夏ごろまでに次の事業者を選定するやに書いてございますが、選定するには、児童育成協会のやり方の何が問題で、どこをどう改善していって、新たな事業者を選定するのかという段取りになると思います。

 大臣に私がお聞きしたいのは、この企業主導型保育所の実際に担っていた団体としての児童育成協会には、三つの大きな問題があったと思います。

 一点目は、やはり、審査がいいかげんだから、いいかげんなものが次々と出てくる。この審査については、外部審査委員会、すなわち、ペーパーで出して、あるいはオンラインで申請して、あとは外部の審査委員会がこれを審査するということをずうっと続けてこられました。平成三十年度に至っても、先ほど岡本委員の御質疑によれば、二千二百八十一件を外部審査委員会でチェックしたといいますが、一体何人の外部審査委員会がいるのか。そして、実際に見に行ったのか。

 この二点は、小野田さん、お願いします、答弁を。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 外部審査委員は五人から構成されております。

牧原委員長 実際見に行ったかというのは。お答えください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 基本的には書類審査を中心にさせていただいていると思います。

阿部委員 今に至っても、そして問題のあるところは見に行ったというけれども、では何カ所見に行ったのですか。五人で何カ所行かれましたか。これが、幾らこの検討会議をやったって、同じスキームでいくんだったら、やはり同じように問題は起こりますね。

 五人で何カ所行かれましたか、これはちょっとというのを見に行ったのは、現場に。

小野田政府参考人 お答えします。

 三十年度の審査の過程において、審査委員会含め、協会含め、現地を視察したことはないというふうに把握してございます。

阿部委員 大臣、本当にこんなことでいいんでしょうか。二千何件以上、たった五人、ペーパーでやる、見に行ってもいない、問題なものはわからない。

 大臣、私は、児童育成協会が次なるかどうかはわかりません。だけれども、どなたが担われようと、この審査ってすごく重要です。その審査に今のようなスキームが横滑りするのは到底看過できません。

 おまけに、この児童育成協会の内部、いわゆるガバナンスを見ますと、理事会と評議会があるとなっておりますが、議事録は一ページも、一枚も、一行も出ておりません。外に向けた透明性ゼロ、外に向けた監査は行かない、こういう団体がまたというのは、私はとても不安でなりません。

 あわせて、大臣は、これから内閣府が乗り出して、検討会議を持ったり、あるいは、独法じゃないけれども、そのようにきちんと内閣府の指導のもとで見ていくとおっしゃいますが、果たして、こういう現状があって、見ていくといったって、どうなさいますか。

 せめて、やはり審査は見に行く。これは各自治体は必ずやっております、厚労省のもとで保育園を認可するときには。

 それから、ガバナンスは、もうこんなにガバナンスが言われた時代、外に向けて何も発表できないような公益法人に委ねてはならない。

 この二点、いかがですか。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業を担っていただく実施機関にあっては、高い中立性、専門性のほか、事業の効果的、安定的な運営を確保していただく必要があることから、その選定の基準が重要であるというふうに考えております。

 先般、検討委員会で示された、当面、早急に改善すべき事項についての取りまとめ案におきまして、保育施設の審査に関しまして、現在、原則として書面により設置の審査を行っておりますが、必要に応じてヒアリング、そして現地調査を行うなど、審査の精度の向上を図るべきといった内容が示されております。

 また、実施体制につきましては、実施機関は、高い中立性、専門性のほか、継続的に担うことが求められる、このため、毎年度、国は、外部評価等を行い、透明性の高い事業運営が行われるようにすべきといった内容が示されております。

 また、実施機関のガバナンスについても、しっかりとした体制の整った実施機関を選定する必要があると認識をいたしております。

 今後取りまとめられる検討結果を踏まえ、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいります。

阿部委員 その間にも新たな企業主導型保育の申請はできないわけです。だって、児童育成協会が今のような形でやることもできないでしょうし、夏ごろとおっしゃいますが、本当にそういう事業主体が見つけられるのか、私は、正直なところ懸念を抱いております。

 そういう中で、とにかく、産めやふやせじゃありませんが、つくれよつくれという数値目標で、二十八年、二十九年度が五万人、そして三十年度からは、三十、三十一、三十二で六万人ということで加速化プランが練られて、大臣のお手元の、あけて五ページ目にございますが、保険料率が引き上げられていったわけです。平成三十年度が〇・二九、平成三十一年度〇・三四と。

 私は、何度も申しますが、こういう保険料率の引上げの前には、二〇一六年、一七年の剰余金、どこに幾ら余っているかがなければやってはいけなかったのではないか、平成三十年。だって、五万人目標といって、実際、定数は五万人を超えましたが、実数は多分三万人そこそこでした。ハードをつくってつくって、簡単な審査でつくって、結果的には失態になっております。

 もう時間がございませんので、引き続いて質疑させていただきますが、今度、四月中に出していただいた数値をもとに、私は、平成三十年度の、あの加速化プランの、あの法案自身が問題であったということを指摘させていただきますので、きょうは終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

牧原委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 国民民主党の森田でございます。

 三十分のお時間をいただいております。質問させていただきます。よろしくお願いいたします。

 本日は、宮腰大臣とそれから新谷厚労政務官にもお越しをいただいております。よろしくお願いいたします。

 これから子ども・子育て関連の法案の審議に入っていくということでございますけれども、私はきょう、主に、その前段になるといいますか、そういった議論のもう少し前というか、あるいは中長期的なというか、そのあたりのことを、これは政府にとって大事だとかということだけじゃなくて、本当に人間としてどういうことが大事なのかというのを確認しながらやっていくということがとても大事なことだと思っておりますので、そういった議論を含めて質問させていただきたいなというふうに考えております。

 まず、一番の根本的な問題として、人間が何で子供を産み育てるのかというところの大いなる疑問というか、その理由の追求というのがあるのかなと思っておりまして、今まではどちらかというと、社会全体が、子供を産むのは当たり前だとか結婚するのは当たり前だという社会の中でやってきた時代というのがずっと続いてきたと思うんですけれども、なかなか今、そういうことだけで解決できないような世の中になっている。

 私が常々疑問に思っておりますのが、例えば、子育て支援をやっていろいろなものを無料にした、無償にしたといったから、果たしてそれで子供を産みたいなというふうに思う人が、ふえないということはないと思うんですけれども、劇的にふえるかどうかというと、かなり怪しい部分もあるんじゃないかなということを思っております。

 どういうことかというと、例えば、これはある方が言うには、今だけ、金だけ、自分だけというような世の中が進んでしまうと、子供を産むということが、お金もかかるし手間もかかるし、自分とは違う人格を扱うわけですからいろいろな困難が伴う、これをどうやって私たちの人生の中に組み込んでいくかというのは、非常にこれからの、特に成熟した社会にとっては大きな課題なんではないかなと思っております。

 心理学者のマズローという人が整理した、ピラミッド形で、欲求の五段階説というのがありますけれども、それでいくと、一番の人間の基本的な欲求というのが、生理、生活の欲求、その次に安心、安全の欲求というのが来て、その次に社会的な欲求ということで、愛とか所属の欲求というのが五段階のピラミッドの下から三つ目に入ってくるんだというような、そういう説明をしているわけなんです。ちなみに、その上は、尊厳の欲求と自己実現の欲求というふうに続いていくわけなんですけれども。

 いずれにしても、やはり人間の基本的な欲求であることに変わりはない、家族がいたり親族がいたり、こういう関係をしっかりと築いていくということが私たちの基本的な欲求を満たすことになるんだよ、そういうことをなかなか、まず教えてもらう場面がない。それは教えられるものじゃないだろうといえばそのとおりなんですけれども、なかなかそこに気づかずに人生を送ってしまうということがまず多いんじゃないかなというふうに思っております。

 それから、ハーバード大学の研究で、一九三八年といいますから昭和十何年になると思うんですけれども、ハーバード大学の追跡調査がありまして、始めたのは一九三八年ですから、当時の若い人たち、ハーバード大学の大学二年生ぐらいだったというふうに聞いていますけれども、そういう方たちを七十五年間の追跡調査をしていて、その人たちがどういう人生をたどって、どういうふうに人生を終えていったかというのを追跡調査をしたらしいんです。その中で、人生が幸せだったという評価を持った人たちが、じゃ、何で人生がよかったのかという理由をいろいろ調査したといったら、その一番の理由は、よい人間関係だった、そういうことだそうです。

 これは別に、よい人間関係といえば、いろいろな人間関係があると思うんですけれども、一番基本的なところは、その調査によると、パートナー、要するに配偶者、夫であり妻であり、そういう人たちとの関係がまずはその基本的なものとしてあり、そういった五十代ぐらいの、いい人間関係の人は、八十歳ぐらいになっても心身ともに健康な状態であった、そういうこともあるということなんです。

 ということで、若いときに、人間関係が大事なんだよとか家族って大事なんだよと言ったって、やはり目の前のことが大事ですから、なかなかそういうところまで思いが至らないということもあります。

 この前、娘がもらってきた、埼玉県がつくった教本、教本というかテキストがありまして、タイトルにこう書いてありました。願うときにコウノトリはやってきますか、こういう冊子をつくって、この前のこういう関連の質疑をしたときに大臣の方から、学校ではそういうことを教える機会を持っているというような御答弁をいただいたというふうに記憶しておりますけれども、埼玉県でもそういうような冊子をつくって学校で、まあ教えているというところまでいっていないかもしれませんが、扱っているということでございます。

 そこで、例えば学校なんかではそういうふうに教師が生徒に教えていくというような場面というのは、例えば家庭科の授業であったり、いろいろな家庭を扱う場面というのは、人生を扱う場面というのはあると思うんですけれども、もうちょっと人生を進んでいって、本当であれば一番、人生であったり家庭であったりを考えなくてはいけないというか、考えるべきであろうと思われる二十代の前半ぐらいの時期ですね、このくらいの時期になると社会に出てしまうので、そういうところから全く切り離されてしまうということが大きな問題としてあるのかなというふうに思っております。

 こういった、そういうことを教わる機会として、職場の、職業を通じた中でそういう機会を持つということが大事なんじゃないかなと思っているんですけれども、このあたりについて大臣の御所見を伺えればなと思います。

宮腰国務大臣 今、森田委員の方から極めて根源的なお話を伺いまして、時代も変わってきているわけでありまして、我々が小さいころに、また若いころに家庭や地域やあるいは学校でいろいろな経験をさせていただいた時代ともやはり少し変わってきているのではないかなというふうに思っております。人の生き方についてを学ぶ機会というのは、これはそう簡単なわけではない、なかなか難しい問題ではないかなというふうに思います。

 大臣として申し上げますのは、少子化対策ということで申し上げますと、結婚や子供についての希望を実現できる社会をつくることを基本的な目標としているということであります。委員御指摘のとおり、一人一人が、結婚、妊娠、出産、あるいは子育て、仕事を含めた将来のライフデザインを希望どおり描くための知識や情報を適切な時期に知るということが重要であります。

 学校教育段階の以後においても、例えば自治体において社会人を対象としたライフプラン講座などが行われておりまして、内閣府としても、地域少子化対策重点推進交付金により、こうした取組を支援をいたしております。

 やはり、人との関係、いい関係を築くというのが、生きていてよかったと思われる、そういう人生だというふうに思います。人との関係あるいは家庭における関係、こういういい関係をいかにつくっていくか。残念ながら、今、社会でいろいろな問題が毎日のように起きておりますけれども、人との関係、いい関係を築けていないということがやはり根っこにあるのではないか、いろいろな事件をお聞きをするたびに私も全くそのように思います。そこをどう、学校教育の後もサポートできる、そういう環境をつくっていくかということについては、極めて大きな問題だというふうに考えております。

森田委員 大臣からお話しいただいたわけでございますけれども、これは別に政府がやればいいというだけの問題ではなくて、私たちが、社会にかかわる大人たちがみんなで考えていき、また自分のできることを若い世代に伝えていくということがとても大事なことだと思っておりますので、私も自分でもそういうことをやっていきたいなと思っております。

 私、地元で保育園の園長先生とか主任の先生の勉強会が定期的に、親心を育む会という名前で勉強会をやっておりまして、そこに出られるときには参加をさせていただいているんですけれども、そこのアドバイザーで入っている、埼玉県で教育委員長をされた松居和さんという方がおいででいらっしゃいますけれども、そういう先生も含めていろいろなお話をしているんですけれども、非常に今、保育の現場が悲鳴を上げているというお話がございます。

 この前も、人手が足りない、例えば時間を一日の中でも細切れの人員配置になってしまっているなんていうお話もさせていただいたんですけれども、例えば、保育園でこう先生が言う保育園がある。何を言うかというと、だっこしないでください、うちで。何でだっこしないでくださいと言うかというと、だっこ癖がついちゃうと、保育園に来て、そこまで職員がだっこする手間が割けないので、抱き癖をつけないでください、だっこしないでくださいというふうに保育士が保護者に指導するというかお願いするという。こういうことが出てきちゃうともう保育じゃなくなっちゃう、そういう悲鳴が出てきております。

 これは私が言っていることじゃなくて、先生の中のある方が言ったんですけれども、やはり、ゼロ、一、二歳というのは、非常に愛着だったり信頼をつくる大事な時期なんだと。この対比する例で出されたのが、動物愛護法の中で、生後五十六日未満の犬猫を親元から離してはいけないという規定が入っているんですね。そんなことを動物に入れるぐらいだったら、まず人間にこれをやりなさいというふうに私は怒られました。なるほどと。

 確かに、獣医さんにそのときに聞き取りをした調査なんかもあわせて見たんですけれども、七百六十人ぐらいの獣医さんから聞くと、では、何で親元から離しちゃいけないんですかといったら、例えば、移動のストレスで病気になりやすかったりだとか、あるいは、体力的だとか免疫的に弱いのでこれも病気になりやすいとか、あとはやはり精神的なもの、警戒だとか恐怖だとか依存心だとか、こういったところが、例えばそれが攻撃性が強くなってしまったりということで、早く親元を離すと、成犬とか大人の猫になってからもそういった精神的に不安定な部分ができてしまうので、なるべく、なるべくじゃないですね、もうそれは法で入ったわけですから、五十六日間は親元にいさせてください、こういう規定が入ったというんですね。

 ですから、私たちも、進化論を信じるなら、動物として進化を重ねてきた中でやっているわけですから、本能的にそういう部分というのはやはりあるだろうという想定でいきますと、やはり、特に発達の中で愛着だとか信頼感を醸成するというゼロ、一、二歳の部分というのは親元にいさせてあげるというのが、保育士さんたちもそういうことをお話しされている方が多いんですけれども、このあたりについての大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

宮腰国務大臣 今ほど委員が親心というお話をされました。子を持って初めてわかる親心、まさにそのとおりではないかなと思います。愛着の形成の観点あるいは親子の信頼の観点から、できる限り親元にいさせてあげるべきではないかというお考えについては、私も、特に小さいときには、できる限りというのは同感をいたします。

 子ども・子育て支援法第二条、基本理念に述べられておりますように、父母などの保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識のもとに、社会のあらゆる分野においては全ての構成員が、おのおのの役割を果たすとともに、相互に協力して行われなければならない、これが子ども・子育て支援法のそもそもの基本理念であります。ただ、状況によって、必ずしもそれができないといった場合において、やはり、地域あるいは社会全体で子育てを支援していくということを、そういう環境を同時につくっていく必要があるというふうに思っております。

 私も以前、茨城県で、子連れ出勤という仕組みをやっておられる企業を見てまいりました。これも、選択肢の一つとして、子供を産み育てやすい取組の一つではないかなというふうに見てまいりました。

 しかし、そればっかりでは現実の問題としては解決ができませんので、やはり、〇―二歳児の受皿をこれからどうしっかりと確保していくかということなどもあわせて進めていく必要があるのではないかというふうに考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 ここについては、また子ども・子育ての審議に入ったときにもぜひ継続的に扱ってまいりたいなというふうに思っております。

 それから、保護者、子供の親というのは誰かというふうに考えれば、お母さんが産むわけですけれども、そして父親もいるということでございまして、どちらかというと、今の制度というのは、お母さんを、外に出るというか、働きに出てもらうという意味からのいろいろな取組というのが多いというふうに私は感じております。

 ただ、やはり二人いる親の片一方にもちゃんと家庭にかかわってもらう、育児であり、そのほかの家事でありというところにかかわってもらうということが大事なことであろうというふうに思っておりますけれども、お休みがちゃんととれないと、これは制度上の問題でもあり、あるいは制度をちゃんと扱う職場の上司の方であったり経営者の方であったり、こういった方も含めてであると思いますけれども、このあたりの、適切な休暇をとるということについて、政府としてどういうふうにお考えか、御答弁いただければと思います。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員がおっしゃられるように、育児に参加をしていく、そういうことは非常に、男性もこれに参加をしていくということ、これは、男性自身の子育てに関する希望の実現あるいは子育て環境の充実、こういった観点から大変重要である、そのように認識をしておるところでございます。

 男性が育児休業を取得しない理由、これとしましては、職場の雰囲気等の要因が多く挙げられていることでございまして、イクメンプロジェクトというものを実施しまして、男性の育児と仕事の両立を積極的に推進する企業や管理職を表彰し、そしてこうした取組の周知を図ることなどによりまして、企業に男性が育児休業を取得しやすい職場風土の醸成を促しているところでございます。

 また、特に、女性の出産直後の時期に男性が育児休業を取得することは、男性が子育てにかかわる第一歩として非常に重要であると考えておるところでございます。また、このため、育児・介護休業法におきまして、配偶者の出産後八週間の時期に男性が育児休業を取得した場合に、もう一度育児休業を取得できる制度、いわゆるこれはパパ休暇と言われるものでございますけれども、これを設けるとともに、また、産後八週間の時期に男性の育児休業等を取得させるよう取り組む企業に助成金により支援をしているところでございます。

 引き続き、これらの取組を強力に進めるとともに、男性労働者、仕事につかれる方が子育てに積極的に参画できるような職場環境を実現してまいりたい、そのように考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 それで、もうちょっと身近なところで、国家公務員の方の男性の産休、育休の取得割合というのはどうなっていますでしょうか。

植田政府参考人 お答えいたします。

 内閣人事局が毎年度実施している調査によりますれば、男性国家公務員の、男の産休、すなわち配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇につきましては、毎年度、五日以上使用率を一〇〇%にすることが政府目標として定められているところでございますけれども、平成二十九年度における使用率が五一・九%となってございます。また、男性国家公務員の育児休業取得率につきましては、二〇二〇年までに一三%とする政府目標が定められているところ、平成二十九年度における取得率は一〇・〇%となってございます。

 平成二十九年度の数値は、男性国家公務員の、男の産休五日以上使用率、育児休業取得率、ともに調査開始以降、最高の数値となっているところでございます。

森田委員 ありがとうございました。

 今、数字の面からのお答えをしていただきましたけれども、これは目標値も定められているということでございますが、宮腰大臣の方で、この取得をきちんと進めていくということについて、どのようにお考えでしょうか。

宮腰国務大臣 国家公務員について、男性職員が男の産休や育児休業を取得して家事や育児に参画することは、女性職員の活躍のために不可欠であるばかりではなく、男性職員自身のワーク・ライフ・バランスの観点から重要でありまして、政府として取得促進を強力に進めております。

 国家公務員の育児休業等の取得状況につきましては今政策統括官から答弁があったとおりでございますけれども、男の産休五日以上使用率、これについては、平成二十九年度、五一・九%、調査開始以降で最高数値となりました。しかし、これで満足してはいけないというふうに思います。

 政府目標の達成に向けましてはさらなる取組が必要でありまして、このため、引き続き、ハンドブック、イクメンパスポート、あるいはポスターの作成、配布、研修の実施を行うとともに、今年度新たに設けた、部下の育児休業や男の産休の取得等に向けた管理職の取組状況、これを人事評価に反映させる仕組みの確実な実施を図ることなどによりまして、制度の周知徹底や管理職の意識改革に取り組み、男性職員が制度を利用しやすい環境の整備を強力に推進してまいります。

 全国の都道府県知事の中でも、若い知事さん、例えば三重県の知事さんなどは、イクメンということで、みずからが真っ先に育児休業あるいは男の産休をとって、部下にも確実にとるように勧めている。こういう取組を、国家公務員のみではなく、地方公務員の中でも進めていただけるように、しっかり取り組んでいきたいなというふうに考えております。

森田委員 ありがとうございました。ぜひ足元から取組をまずは進めていただければと思います。

 また、保育のことについて少し掘り下げたお話をさせていただきたいと思います。

 今、平成二十二年の保育士さんの数でいきますと三十五万人ぐらいから、二十九年の数字でいきますと四十六万人というところまで、十万人規模で保育士さんの数がふえているという中で、先ほどの勉強会なんかでも園長先生なんかから上がっておりますのは、非常に保育士さんの、言っては失礼ですけれども、レベルの低下というものが著しいというような御指摘がございます。

 保育士の養成をする学校の質が下がっているということについてどのように御認識でいらっしゃるか、お答えいただければと思います。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 保育園等における保育は養護と教育を一体的に行うものでございまして、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものと認識しております。そういったことから、指定保育士養成施設において保育士に必要な専門性を身につけていただくことが重要でございます。

 このため、養成施設におきましては、保育士資格の取得に合計六十八単位、約千時間の養成課程の履修を必要としております。その履修内容につきましては、保育を取り巻く社会情勢の変化や保育所保育指針の改定等を踏まえまして、見直しを行ったところでございます。より実践力のある保育士の養成に向けて見直しを行いまして、平成三十一年四月から適用することとしております。

 また、養成施設の入学定員もふえてきております。御指摘のように受皿の整備を進めておりまして、保育士の人材確保が必要となっておりまして、入学定員の方も平成二十六年は五万六千四百四十八人でしたが、平成三十年には六万一千百二十三人と増加をしております。ただ、養成施設の入学定員の増加にかかわらず、国としてお示しをしている養成課程に基づいて養成を行っていただいております。

 いずれにいたしましても、保育士の専門性の向上は重要でございますので、今後も養成課程の充実などに取り組んでいきたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 このあたりについても、非常に大事な受皿の確保という意味で、施設はお金をかければ上物は建つわけですけれども、やはりそこに入る人がより大事ということもありますので、引き続き、このあたりについてもまた法案の審議のときにも議論させていただければなと思っております。

 また、先ほどの園長先生なんかが今度は小学校に上がった子供たちとの行ったり来たりというのを見ているわけなんですけれども、そこで、これも非常に懸念があるということなんですけれども、例えば、学級崩壊の問題があったり、あるいは児童間のトラブル、傷つけてしまっただとか、いじめだとか、そういうことを含めてですけれども、そういった問題行動なんかがふえているんじゃないかなということです。

 その現状がまずどうなっているかということと、それから、今の状況、例えば、悪くなっているのであれば、その悪くなっている状況が就学時前の状況に何らかの関連があるんじゃないかということが懸念として出ているんですけれども、このあたりについてどのようにお考えか、政府としてお考えをお聞かせください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員お尋ねの学級崩壊や問題行動のまず現状でございますけれども、いわゆる学級崩壊につきましては、多様な形態を持っておりまして、どの時点で、どのような状況を指して学級崩壊していると判断するかが非常に困難であるということでございまして、そういったことで、これまで文部科学省において、いわゆる学級崩壊について全国的かつ網羅的に調査を行ったということはございません。

 また、もう一点の問題行動でございますけれども、例えば、いじめにつきましては、文部科学省が実施をしました平成二十九年度の調査によりますと約三十一万七千件となっておりまして、前年度に比べて約三割増加をしているという状況でございますが、この大幅な増加につきましては、平成二十七年に、いじめ防止対策推進法の定義に即しまして、いじめの積極的な認知を促す通知を発出するとともに、平成二十八年からでございますが、文部科学省の職員が各教育委員会を訪問しまして、いじめに関する行政の説明を実施するなど、いじめの積極的な認知を促してきたことが影響しているのではないかというふうに考えております。

 そうしたことから、文部科学省といたしましては、いじめ等の問題行動と就学前の保育や教育との関係、関連についてこれまで調査を行っていないわけでありますが、いずれにいたしましても、それぞれの子供や子育ての家庭が置かれた状況に応じましてきめ細やかな子育て支援ができるように、内閣府や厚労省と連携をして環境の整備に努めていきたいというふうに考えているところでございます。

森田委員 御答弁ありがとうございました。

 学級崩壊については把握をされていないということでしたので、これはまだ議論になる段階の前だと思いますが、例えば、先ほど例で出していただいた、いじめは非常に数がふえていると。これは定義を変えたので大分多く把握される、広く把握されるようになったんじゃないかというお話でございましたけれども、いずれにしても、減っていないでふえているということは、私たちとしては危機感を持って受けとめるべきであろう。

 これは保育園の先生方も指摘しているんですけれども、やはり、子育てというのは、一年とか二年でどうのこうのなるものではない、今やっていることが二十年後、三十年後に結果が見られる、見たときに、ああ、これはまずかったねということじゃ、もう手おくれなんですよというお話ですね。

 ですから、先ほどの獣医さんの肌感覚も、やはりいろいろな、子供のうちに親と離れるということのマイナス面を指摘されていらっしゃいました。ぜひ、この因果関係の把握というのも、政府としても早目にやっていただく方がいいんじゃないかなと私は思っております。因果関係があるんだったら、早目に手を打つべきだというふうに思っております。

 そういったことも含めて、子ども・子育てに入る、今、きょうの段階だと前の議論になるわけでございますけれども、広く、保育の仕組みであったり就学前の教育のことなんかは、やはり今、どっちかというと親を支援するというところが強いわけでございますけれども、ぜひ、子供たちのところにもっと目を向けてやるべきじゃないかなと思うんですけれども、最後、大臣から、そのあたりについてお聞かせください。

宮腰国務大臣 子ども・子育て支援は、子供の最善の利益が実現される社会を目指すとの考えを基本に、子供の視点に立ち、子供の生存と発達が保障されるよう、良質かつ適切な内容と水準の支援とすることが必要です。これは、子ども・子育て支援法に基づく基本指針に明記されております。

 私自身、就任以降、保育施設を視察させていただきまして、使命感を持って子供たちと向き合っておられる園長さんや保育士の方々と意見交換する中で、子供たちの健やかな育ちのために、保育の内容を充実させることの重要性を感じました。同時に、保育士さんの負担の軽減をすることによって子供たちと向き合う時間を多くつくっていくという環境整備の必要性も感じた次第であります。

 一人一人の子供が健やかに成長することができるという環境をどうつくっていくか、そういう社会の実現のために全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

森田委員 引き続き、このあたりは法案の審議のときにもまた議論を詰めさせていただければと思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 衆議院議員の大島です。

 前回の質問に引き続いて、科学技術を中心に質問させてください。あともう一つは、サイバーセキュリティーの関係についても質問をさせていただきたいと考えております。

 ことしは平成三十年。三十年前は、一九八九年十一月九日、ベルリンの壁が崩壊したのがちょうど三十年前です。

 私は、一九八三年から八七年までドイツのデュッセルドルフに駐在をしていて、その二年後のベルリンの壁の崩壊というのは体に衝撃が走った、その瞬間を覚えていまして、なぜベルリンの壁が崩壊したかというのを、その十年前に気づいたジャーナリストがいるんです。

 私は、一九八四年、駐在して二年目、新日鉄のデュッセルドルフの所長さんから一冊の本を勧められたんです。その本は「テクノクラシー」、「ザ・ワールド・アフター・オイル」。ですから、オイル後の世界。これはビジネスウイークの記者でして、その記者が一九八四年に書いた本。

 冒頭は、一九七九年、チューリヒから米国に帰国する飛行機の中で、東京の株式市場あるいは世界が崩壊のふちをさまよった時代の最大の出来事を見通していた会社があるんです。それは、一九七〇年代後半に、富士通、松下、日立、三菱。新しい創成期、我々の時代の最大の出来事をこの日本企業は見通していたと。

 ナスバームは、スイスの銀行家に取材に行って、どうもおかしいと。この保守的なスイスの銀行家が、日本の今申し上げた半導体産業に投資しているわけですよ。三百年ぶりに世界の政治及び経済の主軸が大西洋から環太平洋へと移行し、国際的な勢力の均衡とか生活の細部に至るまで変えつつある。ソビエト連邦帝国の消滅を意味すると。ソビエト連邦が崩壊するのは一九九一年ですから、その十年以上前にソビエト連邦の崩壊を予測している。

 一九七〇年代の二回のオイルショックが省エネの技術革新を生んで、その技術に追いつけなかったソビエト連邦を含め東欧諸国が崩壊していくということを予測していて、私は、今の時代はこれと同じ時代だと思っているんです。ですから、一九七〇年代にホンダはCVCCエンジンを開発して、二回のオイルショックで自動車産業としての地位を確立していくわけです。

 ですから、私たちの国の産業が本当についていっているのかどうかということを私自身が物すごく危惧をしていて、ことしの二月二十四日の日経新聞のジム・ロジャーズに聞くというのがあって、これはジョージ・ソロスと、ヘッジファンド、クオンタム・ファンドの創業者であるわけ。彼は、日本についてどう見ていますかという問いに対して、日本株は七、八年保有していたが、昨年の秋に全て売った、株も通貨も、日本関連の資産は何も持っていないと彼は述べているわけです。

 ですから、私たちの国が今どこにいて何をしているのかということが結構大切で、特に政治に携わる私たちは、産業界に対して、あるいは学者に対して、役所の方に対して、できもしないことを言った方がいいと思っているんです、できもしないことを。やはり、より高い目標を掲げ続けることが産業構造そのものを変えていくのかなと思っている。

 ですから、前回は量子暗号を中心に量子コンピューターの話をさせていただいて、一番最初に量子コンピューターを私が知ったのが、二〇一六年の一月二十五日にNTTの物性科学基礎研究所の寒川先生を訪れたときに量子コンピューターについて知って、この間述べたように、やはりこれは次のブレークスルーの原点になるのかなと思っていたんです。

 ですから、冒頭に櫻田大臣に御質問させていただきたいのは、やはりサイバーセキュリティーも次の時代を狙った方がいいと思う。今の技術はあくまで一九六〇年代の技術の延長上なので、我が国として、また別のテクノロジーを生むぐらい。

 ですから、今のOSについても、一九八〇年代、七〇年代だったかな、トロンという東京大学の先生が開発したOSがあって、それは日米貿易交渉の中で潰れていくわけですよ。初期のNTTの携帯電話の要はOSにはなるんですけれども。

 ですから、櫻田大臣にお願いしたいのは、政治家として、その次の時代を担っていくようなテクノロジーについて、サイバーセキュリティーの観点から、これは部品類も含めて、考え方も含めて、二〇二〇年代に備えたセキュリティーのあり方そのものを日本が考える時期に来ているかと思うので、その点についての答弁を、感想でもいいんですけれども、教えていただければと思います。

櫻田国務大臣 お答えさせていただきます。

 サイバー空間における技術、サービスが急速に発展する中、それを支えるサイバーセキュリティーについて、我が国独自の技術の育成を進めることは重要な課題であると認識しているところであります。

 このため、政府におきましては、昨年七月に閣議決定されたサイバーセキュリティ戦略に基づき、AIやIoTなどの発展とサイバー攻撃の脅威を踏まえた研究開発等の取組を推進することとしております。

 具体的には、関係省庁におきまして、重要インフラやIoTシステムを守るためのサイバーセキュリティー対策基盤の研究開発や、日本発のサイバーセキュリティー技術、サービスの創出、活用を推進するための有効性検証を行う環境の整備などを進めております。

 今後とも、政府一体となってサイバーセキュリティーの技術の育成をしっかりと進めていきたいと思っております。

大島(敦)委員 櫻田大臣、ありがとうございます。

 ですから、現状認識もあるんですけれども、その次の時代に備えたサイバーセキュリティー空間を我が国としてどうやって構築していくかというテーマについて今後御議論をしていただければなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、平井大臣に。

 平井大臣に当委員会で質問するためには、かぶっているところを質問しなくちゃいけないというのがあって、冒頭、この間はクールジャパンについて質問させていただいたんですけれども、今回は、日本医療研究開発機構が御担当だということで、AMEDについてちょっと質問をさせてください。

 これは役所の方の答弁になるかとは思うんですけれども、私は、アルツハイマーの医薬の開発というのがここ十年ぐらいのテーマでして、埼玉県にある和光の理化学研究所は時々訪れたりもしていて、一番最初は、小さなマウスの頭の中にアミロイドβを発生させるというのがあって、最近、二、三年前に訪れたときには、それが猿の頭の中でも、アミロイドβ、脳の中にそれが発生させることができるようになって、今は、アルツハイマーの研究も、多分、血液でのたんぱくの分析をしながら事前にわかるというのがあって、予知の段階には来ているかと思うんです。

 ここはやはり、御承知のとおりなんですけれども、介護は、脳が衰える時期と体が衰える時期、ここが非常に長くなってしまうとコストがかかってくることになるものですから、脳の衰えをどうやって防止していくかという研究が私は日本の社会保障制度を考える上でも必要だと思うので、その点について、まずは、アルツハイマー病は社会的課題であり、その解決に向けて予算も重点配分すべきであると考えているんですけれども、AMEDにおけるアルツハイマー病の研究状況について御説明をしてください。

平井国務大臣 高齢化が進んで、そして、できるだけ長く皆さんが社会の中で活躍するためには、アルツハイマーというのはやはり克服していかなきゃいけないと思います。

 そういう意味で、認知症の克服に向けた研究開発は非常に重要で、AMEDにおいては、将来的な早期診断や治療につなげるためのバイオマーカーの確立などを目指して、さまざまな病態、ステージを視野に研究開発を現在推進しています。

 政府全体としても、認知症施策を更に強力に推進するため、昨年十二月に認知症施策推進関係閣僚会議を設置しました。夏までに新しい大綱を取りまとめる予定でございますので、先生にもいろいろとまた御意見をいただければと思います。

 この分野に関しては、今後ともゴールを見据えた研究開発を進めたい、そのように思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 研究開発で一番必要なのは、いろいろな戦略をつくることも非常に大切だとは思いますけれども、予算だと思います。やはり多くの予算を確保することが、その分、研究開発がよりよい環境になって、より多くの方が参加するものですから、そこの予算獲得についての御尽力をお願いいたします。

 次に、前回答弁を求めることが時間の都合上できなかった準天頂衛星について、まずは国交省から質問をさせてください。

 道路の補修作業に必要な路面情報の把握や船舶の自動離着桟、ICT施工を進める建設機械の自動運転、鉄道の運行管理や測量分野での活用など、国土交通省所管のさまざまな分野において積極的に準天頂衛星システムを活用していくべきだと考えております。

 昨年十一月のサービスインを踏まえて、今後どのように利活用の促進を図っていくのか、見解をお願いいたします。

増田政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、準天頂衛星システムにつきまして、さまざまな分野における、特に実装に向けた検討、検証等の取組を積極的に進めているところでございます。これらは、国土交通省が進めております生産性の向上、あるいは担い手確保、公共事業の効率的、効果的な実施等にも資するものと考えております。

 例えば、道路につきましては、車線からのはみ出しを防止する機能を搭載した除雪車を昨年二月に北海道の高速道路で試行導入し、現在検証を行っているところでございます。

 船舶につきましては、自動離着桟システムの開発を進めておりまして、測位情報を取得するための船舶搭載機器の試作、検証などを行っております。実現に向け、引き続き取り組んでまいります。

 また、建設機械につきましては、衛星測位を利用したICT建設機械の自動制御を取り入れましたICT土工などに取り組む、いわゆるi―Constructionを推進しておりまして、直轄工事において率先して実施をしているところであります。

 鉄道につきましても、例えば、接近する列車の位置検知によって、保安作業の安全性の向上であったり、踏切警報時間の最適化、こういう効果が期待できますので、先月、有識者、業界団体等から成る検討会を立ち上げ、年内に衛星測位技術実用化に向けた方向性などを取りまとめる予定でございます。

 さらに、測量につきましても、準天頂衛星を活用できるように平成二十五年にルール改定を行ったところでございますけれども、高精度測位を活用するための検証を進めてまいりますし、それに必要な国土地理院が運用しております電子基準点の適切な運用に取り組んでまいります。

 いずれにしましても、国交省といたしましては、内閣府とも引き続き連携しながら、これらの準天頂衛星の利活用の取組をより一層進めてまいります。

大島(敦)委員 今の答弁の中で、去年、つくばにある国土地理院を訪れて、電子基準点、これは大切です。やはり準天頂衛星の精度を出すためには、電子基準点がちゃんと設置されていないと精度が出ませんので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、経産省に伺いたいのは、準天頂システムは、正確な時間と場所の情報を衛星から、この時間と場所が結構大切です。それで、経産省はドローンの実証実験などさまざまな取組を実施していることは承知しておりますけれども、ドローン物流や自動車の自動運転にとどまらず、例えば場所、時刻の認証など、IoT社会を支える新たなサービスを生み出す基盤として強く活用を促していくべきじゃないかと思うんですけれども、その点についての答弁をお願いします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省におきましては、準天頂衛星の高いポテンシャルを最大限活用し、社会課題の解決や産業の振興につなげるためのさまざまな取組を行っております。

 委員御指摘のとおり、例えば、離島、過疎地での物流にドローンを活用するため、平成二十九年度から準天頂衛星を活用したドローン物流の実現に向けた研究開発を行っております。

 また、海外市場獲得に向けた取組として、昨年十二月、オーストラリアにおいて自動運転の実現に向けた実証も実施をいたしました。

 これらに加えまして、準天頂衛星の新たなユーザーの開拓も重要でありまして、関係府省と連携し、物流でありますとかプラント、農業機械、建設機械などの業界団体との対話を通じ、準天頂衛星の利用可能性の課題等について議論を行っております。

 その議論の中で、委員御指摘の準天頂衛星からの場所、時刻の認証の機能の提供につきましても、民間企業からも要望事項の一つとして挙げられておりまして、準天頂衛星の産業利用のさらなる促進のため、内閣府とも連携し、その実現の可能性について検討してまいりたいというぐあいに思っております。

 経済産業省といたしましても、引き続き、関係省庁と連携しながら、準天頂衛星システムを活用したさまざまなサービスの創出に取り組んでまいりたいというぐあいに考えております。

大島(敦)委員 内閣府に伺いたいんですけれども、準天頂衛星は、測位の機能だけではなくて、安否確認システムと、もう一つは避難指示のシステムも組んでいると思いますので、その二つの進行状況について手短に答弁願えますか。

高田政府参考人 手短にお答えします。

 準天頂衛星は、御指摘のとおり、災害時の通信途絶地域において役立つよう、安否を情報収集し、それを災害対策本部に提供する、こういう安否確認サービス機能を持っております。また、このための端末を、公募を行いまして、埼玉、新潟、静岡、和歌山、徳島、香川、高知県の七県に貸し出すこととしたところであります。

 また、災害・危機管理通報につきましても、専用端末に適用することとしております。

大島(敦)委員 一点だけ、もう一回確認なんだけれども、避難指示を衛星から打てるというのは、これは可能ということでよろしいんですか。

高田政府参考人 可能でございます。

大島(敦)委員 続きまして、今週月曜日に、大宮にある農業・食品産業技術総合研究機構、農研機構を訪れまして、「下町ロケット」で実現した農業用トラクター、もちろん田植機、これは無人化のデモを見せていただいて、さまざま意見交換をさせていただきました。

 その中で、農業の現場を考えると、一千五百万円ぐらいする北海道で使っている高いトラクターは、百万円ぐらいのセットをつけると直進にはずっと走るので、これはいいんですけれども、田植機は四百万ぐらいですので、百万出すのは結構大変なんです。値段を下げるということが一つと、精度を上げるということが一つなんです。

 田植というのは結構高精度が求められると聞いていて、今の準天頂衛星だとセンチメートル単位で、これもメートル単位から相当幅が短くなっているんですけれども、田植の場合だと、やはり一センチ、二センチぐらい、十ミリ、二十ミリぐらいだと相当いい田植ができるということを伺ったものですから、この辺での、どの程度の精度が必要なのか、その点につきまして、農水省からの御見解を教えてください。

青山政府参考人 お答えいたします。

 衛星測位技術を用い、わずか数センチの誤差で昼夜問わず作業が可能となります自動走行トラクターやコンバインなどの農業機械には大きな期待を寄せておりまして、まずは農業現場でこうした先端技術が導入されて、人手不足の解消や生産性の向上に貢献していくことが重要と考えております。

 議員御指摘ございましたけれども、自動走行する農業機械の大きさ、作物の種類や作業内容によって、必要な精度はさまざまとなってまいります。

 例えば、トラクターを使って種をまいて、同じ経路を使って物理的に除草などを行う際は、作物を踏まずに畝間を正確に走行することが必要となりますけれども、準天頂衛星の測位精度で十分対応が可能であると考えております。

大島(敦)委員 これは一回もう少し調べた方がいいと思います。

 衛星測位は、今のセンチメートル単位でも、相当いい、画期的なものだと思うんですけれども、それを更に十ミリ、二十ミリまで要は縮めることができたとしたら、これからあと三基打ち上げますから、そうすると、一つのブレークスルーになるわけ。今までとは全然違う領域に入ってきて、今の精度を出すために、相当周辺機器を、先ほどの電子基準点含めて整えないと出ないので、そこのブレークスルー、無理だと思ってもそれをやり続けることが必要だと思っていて、これまでのセンチメーター単位を出すのも相当無理しながら、先ほどの安否確認システムについてもやってきた経緯があるので、その点につきまして、大臣、手短に答弁していただけると次の質問ができるものですから、お願いします。

平井国務大臣 手短にということですが、今はいろいろ補正しなきゃいけないということで、ですから、GPSそのものの精度を上げていくという意味で、七基体制の中ではそれを実現したいと思っています。

 ただ、今のセンチメートル級、とまっていて六センチ、動いて十二センチというのも、まだチップが高いので、受信機が高いので、ここを物すごく値段を下げるということも今必要だと思っています。

大島(敦)委員 先ほどのセンチメートル級を十ミリぐらいまでというところは、ちょっと課題としてお願いいたします。

 最後に、この間の質問の中で、量子暗号の技術の重要性については説明をさせていただき、答弁もいただきました。

 二つあわせて質問をさせてください。

 一つは、これは大臣に対してなんですけれども、量子イノベーション戦略を検討中と聞いております。その中で、量子暗号通信技術の標準化、そして量子人材の育成、例えば、大学に、これまでの物理学科を、量子物理学科をつくるなどして、こういう教育的な観点での人材をつくることが必要だと思います。これが一点です。

 もう一点が、今度は総務省に対して、私は、一番必要なのは標準化だと思っています。全ての技術は、標準化のオーナーになることが、そこの標準化のオーナーになった方に全ての世界じゅうの技術情報が集まります。今、電子暗号通信技術の重要性がありますので、量子暗号技術については、今後の発展を考えたときに、国際標準化活動への積極的な参画が必要だと考えています。その点について、総務省からの見解をお願いいたします。

 まずは、大臣からお願いします。

平井国務大臣 先生の御指摘のとおり、量子暗号通信技術も含めた研究開発に加えて、産学官連携の促進、量子技術を担う人材育成や国際協力、知的財産、国際標準化など、幅広い観点から検討を行いたいと思っております。

泉政府参考人 お答え申し上げます。

 量子暗号通信技術につきましては、総務省が所管する国立研究開発法人情報通信研究機構、NICTでございますが、これが従前より積極的に研究開発に取り組んできたところでございます。

 国際標準化につきましては、昨年夏ごろから、国際電気通信連合、ITUで開始されたところでございますが、本年一月に、NICTが中心となりまして、量子暗号通信技術の使い方に関する標準化の提案を行ったところでございます。この提案に対しましては、スイス、韓国などから賛同が示されるとともに、米国、英国、カナダなどからも標準化の議論を行うことに賛意が示されたところでございます。

 今後、これらの国々とITUの場で議論していくこととなりますけれども、その議論につきまして、NICTを中核に据え、我が国がリードしてまいりたいと考えているところでございます。

大島(敦)委員 特に、人材面と、総務省の予算面での措置もよろしくお願いをいたします。

 平井大臣、本当にありがとうございました。量子物理学は、学者に聞きますと、物理学科でもわかる人とわからない人がいるらしいんです。量子物理学をアインシュタインはわからなかった人らしいんですね。でも、わかる人はわかるというのが量子物理学でして、ですから、大学の中で量子物理学のソサエティーをしっかり学部、大学院、博士課程からつくっていただくことが今後の二〇二〇年代の産業人材の大きな土台になるかと思っていますから、その点についてお願いをさせていただいて、大臣から一言答弁いただければと思います。

平井国務大臣 もう全くそうでございまして、昨年十二月の統合イノベーション戦略会議での官房長官の指示も踏まえまして、先生の御指摘も含めて、量子技術に関する有識者会議を設置して、今月にでも早急に検討を開始することにさせていただいております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 特に、準天頂システムについても、これは二千億円の国家プロジェクトです。やはり我が国の測位システムを持つことは、我が国の安全保障と独立にとって物すごく大切だと思っています。

 このシステムをアジアで持っているのは中国と我が国だけです。ほかの国でも、米国と中国とEU、あとインドが自分の国だけ持っていますので、ぜひ準天頂システムの精度を上げることとその利活用についても平井大臣から各部局に指示をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山尾志桜里君。

山尾委員 立憲民主党の山尾志桜里です。

 前回に引き続き、やはり、このデジタル社会の中で、どうやって自由、人権と、あるいは安全やビジネスというもののバランスをとっていくかという問題提起をしたいと思っています。

 まず、皆様のお手元に、たくさんの資料をつくったんですけれども、まず、資料一という横長の資料を開いていただけますでしょうか。これは質問の前提ですので、聞いていただければ結構です。

 この三月七日の日本経済新聞なんですけれども、大変よくまとまっているので、ちょっと共有したいと思います。

 まず、一番右上にあるんですけれども、EUのGDPRが世界に波紋、個人データの保護を厳しく企業に求めている、GDPRを契機として、データの自由な流通圏の構築を目指す日米欧と、国家主導のデータ管理を目指す中国との間で覇権争いも激しくなってきた、こういう分析がなされています。

 この下を見ていただくと、厳しくと、どれぐらい厳しいのということが書いてありますけれども、要するに、違反企業には、最大で全世界の年間売上高の四%又は二千万ユーロ、約二十五億円、高い方の制裁金、これぐらい厳しいよという話であります。

 左側に山本龍彦慶応大学教授の取材の記事があります。これをちょっとかいつまんで見ていただくと、一番上の段ですね、ここで、GDPRが、どうして欧州でこんな厳しいルールをつくったんだろうと。それに対して、歴史的な経緯に根差しているんだ、ナチス・ドイツが国民の個人情報を集積して、ユダヤ人の選別や徴兵に活用したという負の歴史が背景としてあるのではないかというふうに山本教授が語っています。

 その上で、次の質問、安倍晋三首相がデータ流通圏を提唱していますと。これは、今国会の所信でもかなりこのデータのことはおっしゃっていたというふうに思います。この質問の前提というのは、私たち日本はこのデータ流通圏の中に入っている、あるいは入ろうとしているという前提で、アメリカはどういう立ち位置にあるんでしょうかという質問に対して、三パラから四パラですけれども、確かにこれまではアメリカもデータ規制には慎重だった、しかし、フェイスブックの個人情報流出問題で潮目が変わって、アメリカも、欧州そして日本と足並みがそろってきた、こういう分析であります。

 一方、こうした日米欧がデータの自由な流通圏の構築を目指す中、中国はどうかと。これに対して、中国というのは、監視カメラと、個人の支払い能力などを数値化する信用スコアを、こういう一体運用ということまでしている。これは非常におもしろい分析だと思いましたが、こうやって、データを一元的にどんどん集積して管理していくというのは、国の統治には大変適しているけれども、民主主義との関係では緊張感があるだろうということをおっしゃっています。

 最後のパラですけれども、じゃ、実際に、そうやってデータ一元化とか効率というものを重視した場合には、結局それと引きかえに個人のプライバシーが失われるという点に留意して調整すべきだ。

 あるいは、最後、これは大変興味深いんですけれども、アメリカの幾つかの州ではAIで犯罪予測を警察がしている、いろんな要素を組み込めば組み込むほどそのデータの正確性は上がっていく、でも一方で、その要素の中に人種というものを組み込んだときには、これは過去の差別を再生産していくことにもつながっていく、実際この人種という要素は取り外すという運用もしているところがある。つまり、そういう犯罪予測の正確性と、しかし、そういう差別の問題を再生産してはいけない人権問題と、そこをかなり緻密に考量して、やはりそれは外しましょうとか、そういうバランスを丁寧にやっているということが書かれています。

 私も日本社会においてこの視点というのは非常に重要だと思っていまして、安全と自由というのは別にトレードオフの関係ではないので、しかし、常にバランスを丁寧にとらなければいけない。民主主義国家の立ち位置を米欧とともにとるということが、この問題を語る上で私は大事だというふうに思っています。

 その問題意識を持って質問に入っていきたいんですけれども、資料二を開いていただくと、実際、ことしの一月二十三日に、EUのデータ規則であるGDPR、日本も十分性が認められて仲間入りということになったんですけれども、この記事を、赤線を見ていただくと、かなりEUから事前に、捜査という理由で個人情報が吸収されていることの問題点というのを指摘されていて、それに対して日本がEUに対して送った説明文書では、外部からの監督が十分に機能しています、プライバシー意識の高まりで企業は余り照会に応じないのです、つまり安心してください、バランスとれています、こういう説明をしているんですね。これに対して政府関係者の談ということで、十分性認定が更新される二年後が不安、その場しのぎの言いわけだったと批判されても仕方ない内容だったのではないか、あの文書はという問題意識が書かれている記事であります。まず、きょうはこの二点について。

 後者のプライバシー意識の高まりというところで、実際、本当にこの日本は、プライバシー意識が高まり、一方でそうやって捜査の照会には余り応じない、こういう変化の状況に現時点であるんでしょうかというところなんですね。

 実際に、去年の九月に日本政府がEUに送った文書には、こういうふうに書いてあります。個人の意識の高まりを背景に、事業者において、かかる照会への回答はより慎重になされる傾向が顕著になっていると。

 国家公安委員長にお伺いをしたいんですけれども、これに対して、ページをめくっていただくと、資料三、前回の内閣委員会の議事録ですけれども、この根拠というのは二十年前の警察の通達であると。この根拠というのは二つあって、そのうちの一つは十年前のアンケートである、もう一つは二十年前の通達である、こういう御答弁でした。

 十年前のアンケートについての大臣の答弁なんですけれども、八〇%が捜査に対する協力を得ることが難しくなったと回答しているとあるんですね。でも、皆さんのお手元の資料五を見ていただきたいんですけれども、これは、過去からの変化として困難になりましたかと聞いているのではないんですね。この時点において困難であると感じていますかと聞いているんですね。細かいことに思うかもしれないけれども細かくなくて、要するに私の問題意識というのは、EUに日本政府が出す文書には、現状における意識の変化や事業者の対応の変化について記載しているにもかかわらず、そもそも十年前のアンケートで、しかも、その時点の意識を聞いているものは根拠たり得ないんじゃないですか。

 しかも大臣は、故意か過失かはわかりませんけれども、捜査に対する協力を得ることが難しくなったと回答していると。違いますよね。もしかしたら役所の方が用意した紙にはそういうふうに書いてあったのかもしれないですけれども、違いますね。

 まず、この点は訂正していただく必要があると思います。いかがですか。

山本国務大臣 御指摘のとおり、平成二十年一月に警察庁が都道府県警察の第一線の刑事警察官に行った日ごろの捜査活動についてのアンケート調査結果、これでは、約八〇%が、捜査に対する協力を得ることは困難であると感じるというふうに回答しているものと承知をいたしております。私が回答しているんです、も含めてでありますけれども。

 この困難であると感じるとの回答でございますけれども、その回答した刑事警察官のこれは過去の経験も踏まえたものであるというふうに考えられておりまして、協力を得るということが難しくなってきているという意味も含むというふうに認識をいたしておりまして、こうした認識のもとに、先日、三月六日でございますけれども、答弁では、捜査に対する協力を得ることが難しくなったというふうに答えたところでございます。

山尾委員 余りその場しのぎで後づけの理由を言うのはやめた方がいいと思うんですね、幾ら何でも。余りもうこういう議論に時間を使いたくないので。

 そもそも十年前の警察の中のアンケートで、この前も言いましたけれども、警察官はやはり犯罪を解決したいし、犯人を捕まえたいから、もっと協力してほしいと思うから、それはその時点の認識としてもこういう結果になると思いますよ。でもそれは、あらゆる点において、EU文書の現時点における日本の状況を根拠づけるものとしては適切ではないんじゃないですかということであります。

 あわせて、資料四を見ていただきたいんですけれども、もう一つ、二十年前の通達というのはもってのほかでして、これは、大臣、二十年前の通達が根拠になるということを維持されるんでしょうか。

山本国務大臣 この件につきまして、古過ぎるというような御指摘でございます。

 警察庁におきましては、日常的に第一線の捜査の実情を把握するためのさまざまな取組を行っており、それらを通じて、現状においても、本来であれば捜査関係事項照会で回答を得ることが可能であるにもかかわらず、令状による差押えによらなければ応じていただけない、そういう民間業者が存在することも我々も把握をしているところでございまして、出張指導や各種会議を始めさまざまな機会を通じて、都道府県警察における第一線捜査の実情把握に努めているところでございまして、捜査関係事項照会への回答が慎重でなくなったことを示す具体的な根拠は把握しておりませんが、当時の情勢と大きな変化はないものというふうに考えております。

山尾委員 議論するのもちょっとばかばかしいという感じなんですけれども、だったら、直近のアンケートなりあるいは数字なりを出してくればいいわけで、二十年前の根拠、突然国会では十年前の根拠が出てきたわけですけれども、つまり、現状におけるそういった変化をあらわす根拠資料が警察にないということなんですよね。そういう中でこのように、照会への回答がより慎重になされる傾向は顕著であるとか、そういうことを対外的に根拠なく言い続けると、二年後に本当に取り消されますよということを私は申し上げたいわけなんです。私もこうやって議事録にとどめていきますからね。EUの方だって、担当者はきちっと認識されていると思いますよ。

 その上で、じゃ、もう一つの、外部からの監督が十分に機能しているという点についてどうなんでしょうということを聞いていきたいと思います。

 これは抽象的だと議論がわかりにくいので、この事例を一般的に考えていきたいと思います。

 皆さんのお手元で資料六、これは、スマートフォンゲーム事業者、スマホのゲーム運営会社が持つ個人の、ユーザーの位置情報、これを令状なしに照会という形で取得できるというふうな検察の内部文書がありました、本当にそんなことをやっているんでしょうか、やっているとしたら問題じゃありませんかね、こういう記事であります。

 私、まず、この問題について、つまりスマホゲーム事業者がユーザーの位置情報を令状なしで照会のみで捜査機関に提供することの適否ということで総務省に確認をしていきたいと思います。

 まず、スマホゲーム事業者が電気通信事業者そのものに該当しなくても営む者に当たり得るということ、そして、その営む者に当たる場合には電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインを守らなければならないということ、この二点について、もう既に法務委員会で國重政務官とやりとりしておりますので、確認だけしたいと思います。

國重大臣政務官 委員にお答えいたします。

 まず、結論でお答えしますけれども、スマホゲーム事業者は、電気通信事業者に当たらなかったとしても、電気通信事業を営む者に当たります。また、その場合、ガイドラインの適用はあります。

山尾委員 その上で、主体としてはガイドラインを守るべき主体に当たる、じゃ、客体というか、位置情報というものなんですけれども、位置情報の提供その他の利用については、皆さんのお手元の資料七の一、二なんですけれども、まさにガイドラインの三十五条二項とその解説で位置情報の提供などの利用のルールを定めてありますが、改めて、重ねて國重政務官にお伺いをいたします。このガイドラインの適用があると考えてよいですか。

國重大臣政務官 お答えします。

 あると考えて結構です。

山尾委員 核心に入っていくんですけれども、このガイドライン、七の一の上三行ですね、三十五条の二の解説の上三行を見ていただくと、これは、位置情報にも二種類ありまして、通信の秘密にそのまま該当するものとそうでないものがあるという前提です。

 その上で、まず最初の三行では、通信の秘密に該当する情報については、同意を得ている場合、令状に従う場合その他の違法性阻却事由がある場合を除いては、他人への提供その他の利用をしてはならないというふうになっております。

 一ページめくっていただいて、黄色い線なんですけれども、通信の秘密に該当しない位置情報についても、ある人がどこに所在するかということはプライバシーの中でも特に保護の必要性が高い上、通信とも密接に関係する事項であるから、強く保護することが適当である、そのため、他人への提供、これはもちろん捜査機関たる行政機関も含みますが、提供その他の利用においては、利用者の同意を得る場合又は違法性阻却事由がある場合に限定することが強く求められるというふうに書いてあります。

 質問なんですけれども、この前者の場合はもちろんのこと、後者の場合における強い保護、そして限定することが強く求められるということの中身なんです。

 私の認識でいうと、その次の資料七の三で、黄色い線なんですけれども、要するに、通信の秘密に属する事項は照会じゃだめだから令状ですよということが書いてあるわけですね。

 この考え方をあわせ考えたときには、さきに戻りますけれども、通信の秘密に該当する位置情報であれ、該当しない位置情報であれ、この強い保護、限定というところの意味するものは、やはり原則は令状を必要とするのが望ましいんだ、そういう解釈をすべきだというふうに思うんですけれども、総務省の認識を伺います。

國重大臣政務官 お答えします。

 そのとおりであります。

山尾委員 ようやく少しずつ解きほぐされてきました。ありがとうございます。

 そうすると、実際にスマホゲーム事業者が営む者に当たる場合には、通信の秘密に直接当たらないユーザーの位置情報、GPSを使った位置情報であっても、総務省のガイドラインによれば、やはり原則として令状でとってくださいね、事業者に対しては、照会で応じずに令状を求めてくださいね、そういうことになっているということを多分この委員会で今共有できたと思います。

 私も捜査は大事だと思っているので、例えば、緊急避難的に、時間がないとき、自殺が疑われるとき、もしかしたら誘拐のとき、そういうときには、例外的にいろいろな運用があってしかるべきで、それは國重政務官も、排除するものではないんだと。うなずいていらっしゃいますけれども、私もそう思います。

 でも、原則的なルールはそうなんですね、総務省の考え方でということを、私自身、まず共有し、山本公安委員長にもそれを認識していただきたいんですけれども、じゃ、そのことについて、監督は日本の制度としてできるようになっているんでしょうかというのが私の問題意識なんです。

 皆さんのお手元の資料八の一と八の二というのを見ていただくと、これは、同じく日本政府がEUに宛てた、大丈夫ですという説明文書なんですけれども、監督が四種類ありますと言っています。裁判所、行個法、警察、そして国会ですね。

 まず、裁判所に伺います。来ていただいていますね、安東刑事局長。

 今のような一般的事案を考えたときの裁判所による監督というのは、どういう監督が考えられるんでしょうか。

安東最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘の該当部分の裁判所による監督に当たると思われます裁判所の運用について申し上げます。

 スマホゲーム事業者が保有する位置情報、これの捜査機関への提供について捜査機関から令状請求がされた場合におきましては、個々の令状請求事件を担当する裁判官が事案ごとに請求の当否について判断する、そういうことで承知しております。

 また、後の刑事裁判におきまして、そうした位置情報に関する証拠、これの証拠能力が争われるなどした場合におきましても、担当裁判体において捜査の適法性を判断することになる、そのように思われます。

山尾委員 そうなんです。なので、令状によらない今のような捜査手法を考えるときは、事前の監督はきかないので、つまり、この捜査手法が利用され、実際、起訴され、証拠開示で弁護側に明らかになり、それが証拠能力を争うという形で論点として提示をされ、実際にそれが裁判所の判断に供されて、それが合法だとか違法だとか、合憲だとか違憲だとかいう監督しかないわけですね。

 さまざまな事案でさまざまな捜査がなされている中で、それだけの要件を満たした一事例が出るところまで、裁判所の監督というのは今の事案についてはきかないということになります。

 次、ちょっと警察、公安委員長にお伺いをしますけれども、警察における公安委員会による監督というのがいわゆる独立した監督に当たるかというところは異議がありますが、じゃ、今のような一般事案で、実際にメディアを通じてちょっと問題が提起されていることにおいて、公安委員会による監督というのはどういうものが考えられるんでしょうか。

山本国務大臣 公安委員、今現在五名おりまして、それに私、委員長、六人で毎週一回、報告を受けまして、その報告を踏まえて必要な指導等を行っているところでございます。

 公安委員は、警察から必要に応じて報告を受けるほか、各委員それぞれの経験あるいは専門性を生かして、さまざまな機会を通じて警察運営に関する実情の把握に努めており、そうした知見に基づいて指摘を行うこととなっておるところでございます。

山尾委員 じゃ、今のような事案については、いかなる聞き取りや指摘を行っているのかいないのか、お答えください。

山本国務大臣 私自身が出席した国家公安委員会における議論について申し上げれば、最近、捜査関係事項照会に関する報道を踏まえた委員からの質問がございました。そして、警察庁からは、捜査関係事項照会は、個別の事案の事実関係に即して、捜査目的を達成するために必要な範囲内で行うものであり、個別の犯罪捜査の必要性を離れて行うことはないということ、それから、捜査が終了するなど、収集した情報を保管する必要がなくなったときには廃棄をしている、そういうふうなやりとりがございました。

山尾委員 全て一般論としてのやりとりであって、今問題となっている事例についてのやりとりというふうには受けとめません。受けとめたいんですけれども、受けとめられません。

 そうすると、四番目は、国会による監督とあるので、これは国会による監督なので、当事者として私なんですけれども、国会による監督機能を果たしたいと思いますので、まず、こういう捜査をやっているかどうか教えていただけますか、委員長。一般論で結構です。

山本国務大臣 捜査関係事項照会により提供を受けている情報の内容や範囲などの具体的な運用実態については、これは具体的な捜査手法を明らかにすることとなりますので、今後の捜査に支障を来すおそれがあるということから、公表すべきではないというふうに認識をいたしております。

山尾委員 お答えいただけないということでありました。

 では、法務省にお尋ねをいたします。

 もし仮に、スマホゲーム事業者に対して捜査関係事項照会でユーザーの位置情報の提供を求める、そしてもらったということがある場合には、刑訴法、あるいは総務省のガイドラインを踏まえて、それはどういう場合に適法なのか、どういう場合に適法じゃないのか、その解釈をお尋ねいたします。

門山大臣政務官 お答えいたします。

 具体的な特定の状況下において、いかなる捜査手法がとられているかについては、お答えは差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げれば、刑訴法百九十七条第二項に基づく捜査関係事項照会に対しては、相手方が任意に応じる場合に、その回答を得られることは適法な捜査活動として許容されるものと考えております。

山尾委員 聞かなきゃよかったというやつで、今の一般論は、今の事案について一般的に言ったのではなくて、およそ全ての捜査手法についてという答弁です。これは、私が言うのも変なんだけれども、法務大臣も法務委員会で答弁をちょっと明らかにしていただきましたので、このまま議事録に残ると困るので。

 では、法務省にもう一回伺います。

 ただ、そういう文書が検察庁の資料として見つかったという記事なんですけれども、そういう資料はあるんですか、ないんですか。(発言する者あり)

牧原委員長 答えられますか。

 では、ちょっととめてください。

    〔速記中止〕

牧原委員長 速記を起こしてください。

 門山法務大臣政務官。

門山大臣政務官 これは、捜査上有効なデータ等へのアクセスの方法一覧表というタイトルの内部資料というお話という質問に対する答えとしてお答えさせていただきますけれども、検察当局においてこういう文書を保有しているということは承知しているところでございます。(山尾委員「承知している」と呼ぶ)ええ。ただ、同一性で、ここで出ているものと同じかどうかについては、ちょっとお答えすることは困難なんですということになります。

山尾委員 保有しているけれども同じものかどうかわからないというのは、ちょっとにわかに理解できないので、もうちょっとクリアにしてもらっていいですか。

門山大臣政務官 報道において同一題名のものが出されているし、検察当局において捜査上有効なデータ等へのアクセス一覧表という文書があるということは承知しているわけですけれども、この報道で出されたリストが検察当局で作成された資料かどうかという確認ができていないために、同一性が、答えることが困難という趣旨です。済みません、ちょっと不明確で。

山尾委員 そうしたら、確認の上、報告いただきたいんですけれども、いかがですか。

門山大臣政務官 いずれにいたしましても、検察当局において保有する捜査手法に関する資料について、その具体的内容を明らかにするということは今後の捜査活動に影響を及ぼすおそれがあるので、そこの点も踏まえて、お答えは差し控えさせていただきたいと考えております。

山尾委員 私も内部文書を検事のときにも見ていますので、その全てを出せるわけじゃないということはよくわかります。ただ、今まだ確認していないのでとおっしゃるので、確認した上、それがどうであったかという結論を報告したり、あるいはその文書のどの部分がもしかしたら公開できるかできないかという、そういうことをきちっと誠実に委員会に提示をしてもらいたいと言っているだけなんですけれども、きちっと持ち帰って御検討し、回答いただけますか。

門山大臣政務官 同一性があるかないか、それが同一だったかどうかも含めて、これは捜査手法を明らかにすることになるので、ここでのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

山尾委員 理事会で協議いただけますか。同一性の有無を委員会に報告することが捜査手法をつまびらかにするものだというのは、私はにわかに理解できないので、理事会で御協議いただけますか、委員長。

牧原委員長 後刻、理事会で協議します。

山尾委員 その上で、私は、この状態では、国会での監督がありますと政府の皆さんは言っているんですけれども、きちっと適正な監督をしたいんですけれども、できません。

 そこで、時間的に最後になるかもしれないんですけれども、終了していますね、もう一つ、行個法による監督というのが書いてあります。これについて、要するに、総務大臣が、五十条に基づいて資料の提出や説明を求めたり、あるいは五十一条に基づいて意見を述べるということが制度上可能になっていると書いてあるんですけれども、最後にお伺いいたします。

 今の事案等について、この五十条、五十一条を使って、総務大臣として事案の分析だとか必要なチェックをしていくということは制度上可能かどうかということをお答えください。

牧原委員長 総務省吉開官房審議官、答弁は簡潔にお願いします。

吉開政府参考人 お答えいたします。

 行政機関個人情報保護法は国の行政機関における個人情報の取扱いについて規律する法律でございまして、都道府県警察など地方公共団体の機関については、各団体の条例によって規律されているところでございます。

 その上で、国の行政機関における個人情報の取扱いにつきましては、それぞれの行政機関において、行政機関個人情報保護法等の関係法令の規定を踏まえて適切に対応すべきものであると考えておりまして、特に、捜査関係については裁判所による事後的なチェックの対象になっていると認識をいたしております。

 その上で申し上げますと、国の行政機関が犯罪捜査のために取得した個人情報の取扱いについても行政機関個人情報保護法の適用対象となりますので、行個法の五十条あるいは五十一条の対象となるというふうに認識しております。

山尾委員 まずここまで明らかになりましたので、以後、続きをしたいですし、先ほどの件、理事会協議、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。山岡達丸でございます。

 きょうは一般質疑ということでありますので、子ども・子育ての関連する法案はきのう本会議で議論されたわけでありますが、きょうは、それとはまた別の点について、せっかくの機会でありますので、私もまた山本公安委員長にちょっとお尋ねをしたいと思います。

 私はまた、これまでの、この議員職をさせていただくまでは、さまざま地域の中で警察の方とおつき合いをさせていただく機会が多くありました。それは別に刑事事件上おつき合いをさせていただくわけではなくて、記者をさせていただいた関係で、かなりさまざま、もちろん機密情報とかそういったことを聞いていたわけではありませんが、取材を通じていろいろな関係者の方にお話を伺っていて、そうした方々、今でもいろいろよいおつき合いもさせていただいたりする中で、現場でどんな、いろいろな課題といいますか、現場でどういった、素朴なものから大きなものまで、さまざま課題があるということを、本当に、そういうことを一つ一つ捉えながら、ぜひ委員長にいろいろ御意見とさまざま見解も伺いながら、進めていきたいと思っております。

 警察に関しては、先日、警察法の一部を改正するということで質疑が行われました。衆議院ではもう通過をするということになっていますが、その質疑の中で、我が会派にあります森田委員が少し人員のことについてお話をされていましたので、私からもそのことをちょっと触れさせていただきたいと思います。

 森田委員がお話ありましたのは、いわゆる埼玉県警のお話でございました。人口当たりの警察官の配置人数が全国で一番少ないというのが埼玉の実態であるというお話がございました。大型行事もあって、そうした中で、どうしていくんだというお話があったときに、山本委員長から、そのあたりは頭にしかと入れておかなければならないというような趣旨の御発言もありました。

 もちろん、人員配置はさまざま、総合的に考えるものだと思っておりますけれども、公安委員長からそういう御発言があったのは非常に大きい御発言だなということを感じながら、その当時の様子を聞かさせていただいておりました。

 そのとき、森田委員は埼玉について、「翔んで埼玉」という映画のお話をされながらされていたわけでありますが、私が地元活動をさせていただきますと、北海道にもこんな言葉がございまして、北海道はでっかいどう。全国の面積の二二%を北海道が占める。これは本当に、まあまあ、これはスローガンでありますけれども、そういった実態があるということであります。皆様御存じのとおりでありますけれども。

 北海道は、警察官の政令定数は一万三百八十三人。先日、警察庁の担当者の方とお話しした中で、全国でもおよそ平均値ぐらいの人数、人口割に対しては平均ぐらいの人数が割り振られていますというお話であったんです。

 ちなみに、北海道と埼玉県警は、北海道一万三百八十三に対して、埼玉県警は一万一千三百七十八人ということで、ほぼ同数であります。福岡も一万八百五十五人ということで、大体一万人規模の県警になっている、道警といいますけれども、なっている。

 一方で、国土面積、北海道は八万三千四百二十四平方キロメートル。埼玉は三千七百九十八平方キロメートルと桁が一つ違うわけです。福岡も四千九百八十六平方キロメートル。国土面積当たりの人員配置は、私が計算した限りでは、日本一少ないというふうに把握しておりますが、済みません、このあたり、警察庁がどのように把握されておられるか、ちょっとお伺いします。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 北海道警察におきましては、全国一広い面積を擁しまして、そのエリアでさまざまな警察活動を行っているところでございます。

山岡委員 済みません。全国一広いところでやっているのは、私が計算した限りにおいては、全国一広いですし、面積割をしても、人数上、一人が持つ面積が一番大きい。しかも、それは相当程度大きいということが実態としてあるということをまず皆様にお知りいただければと思います。

 離島を抜きまして、根室という町から松前という、直線で、北海道の本島の方ですけれども、端から端までおよそ七百キロメートルぐらい、東京と岡山と同じぐらいの距離があるという中で、これは蛇足ですけれども、私が活動している選挙区も東西に横長なんですけれども、およそ三百キロあります。ここから名古屋市の手前の豊田市くらいまで行くぐらいの距離の、たまたま横長ということもありまして、そういう選挙区になりまして、恐らく本州の皆様からしてみれば、非常に想像を超える大きさでありまして、そのことは、実は、でっかいどうという言葉で示されるわけでありますけれども、ぜひ皆様にも御理解いただければということであります。

 札幌の市内署でありますけれども、一つの署が担当するエリアとして、例えば北に七十キロという距離を範囲とされている市内署もあったり、非常に想像を絶する範囲を担当している中で、ここで公安委員長に伺いたいんですけれども、北海道のこうした現状をどのようにお考えになるか。そしてまた、北海道としても、そのことを十分に踏まえた人事の配置、これは考えていただきたいという切なる声がやはり現場からあるということに基づいて質問させていただきますが、いかがでしょうか。

山本国務大臣 都道府県警察における警察官の定員については、今ほどの面積という観点、それ以外にも、各都道府県の人口、それから事件、事故の発生状況その他特殊事情等を総合的に勘案して定めておりまして、警察では、治安情勢の変化等を踏まえつつ、人的基盤の強化を進めてきたところでございます。

 例えば、ストーカー、DV事案等の人身安全関連事案対策や特殊詐欺対策の強化等を図るために、平成二十七年度から二十九年度までの三カ年で、合計三千名の地方警察官の増員が措置されておりまして、この間、北海道警察に係る政令定員につきましては、合計百人の増員が措置されたものと承知をいたしております。

 ただ、北海道警察においては、日本で最も広い面積をカバーし諸活動に当たっているものということは十分認識をしておりまして、引き続き、徹底した業務の合理化を推進するとともに、御指摘のような諸事情に応じた体制の強化を含め、すぐれた人材の確保や育成など、人的基盤の充実強化を推進し、国民の安全、安心の確保に努めるよう指導してまいりたいと思っております。

山岡委員 今、御発言の中に、そうした諸事情を踏まえた体制を考えていくんだということもお話しいただきました。冒頭の方で、面積も総合的な判断の中に入っているというお話もありましたけれども、先ほども申し上げましたとおり、道を一万人規模の警察と各種比較しますと、やはり桁が違う範囲を持っているというのが道警の実態でありまして、重ね重ね申し上げますけれども、そのことはぜひ御理解いただきたいという思いであります。

 今、少しお話にも触れていただいたところでありますが、平成二十七年から二十九年まで、三千人の増員をしているということであります。三千人のうちの百人というのが北海道、三十分の一でありまして、この三十分の一というのが果たしてどうなのかという評価はいろいろあろうかと思いますが、いずれにしても、北海道としても増員をいただいているという状況であります。

 公安委員長から今お話ありましたとおり、その大きな要因というのは、いわゆる人身安全の事案というのを、平成二十五年ぐらいから、警察庁として、警察全体として力を入れていこうということをされておられるということであります。

 これは、例えばDV。よくありますのは、一度警察に相談に行っていたのに、その後、何にも役割を果たしていなかったとか、そうした報道がさまざま出たり、そうしたことがさまざまあった中で、警察としても、それに力を入れて、そういう相談を受けた案件を大事にしていこうということで、こういうことに力を入れておられるんだろうということを理解するわけでありますが、そのことを含めて三千人の増員をしたということが、この二十七年から二十九年の考え方であるというふうに聞いておるところであります。

 これも、済みません、現場の方がおっしゃられている生の声として、率直に言って、人身安全事案というのは、非常に忙しい、想像を絶するほど忙しいと。人数をふやしてくれているのはわかっているんだけれども、足りていないということは、現場で率直に、これは複数の方がおっしゃっていました。

 これは、相談があった時点で、その後のことについても、アフターケアというか、その後の、例えばストーカー事案であれば、近づきはないかとか、あるいは、状況に応じて、事件化するものはするわけですけれども、事件化に至らないものであっても、避難とかあるいは生活支援とかの、そうしたあり方を関係行政等に調整する、そういうことも警察が担う。

 かなり警察の範囲を、これまでの常識的な範囲を超えて、人生相談的な部分を含めて警察が担っている。基本的には生活安全課を中心にこういうことをされておられるんだと思いますが、いわゆる大きい署、Aクラス署と言われている、副署長まで務めた方も言っていましたけれども、やはりこれが非常に署全体の業務量をふやしているというお話がありました。

 特に北海道ですと、先ほども話したように、物理的な距離もあります。アフターケアということは接触回数も多くなるわけでありまして、あるいは担当の、相手にもそれなりにケアをしなきゃならない。距離的、時間的負担も大きい。事件の発生件数は総じて減っていても、あるいは人口減少があっても、こういう事件の多様化、そして警察署全体の力の入れる案件に対して相当な労力がかかる。

 まず、この御認識について警察庁に伺います。そういった御認識があられるかどうか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 配偶者からの暴力事案等の人身安全関連事案につきましては、認知した段階では被害者等に危害が加えられる危険性やその切迫性を正確に把握することが困難である一方、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが高いものもございます。このため、被害者等の安全確保を最優先に関係機関等と連携しつつ、認知の段階から所要の体制を確立をいたしまして、組織を挙げて迅速かつ的確に対応することが必要であると認識しております。

山岡委員 それに対する労力がどの程度かということをお伺いしたかったわけでありますが、少なくとも現場からは、それはやはり言葉で説明する以上に大変な話であるということがございました。これは質問はしませんが、三千人の増員というお話で、今、二十七年から二十九年ということでしていただいている、事件の多様化、こういう案件に対応ということで言っているわけでありますけれども、それでも非常に厳しいというような状況であるということはぜひ御理解をいただきながら、今後の人員計画をまた検討いただきたいということを要望をさせていただきたいと思います。

 あわせまして、次の、またこれも、お話でありますけれども、まず警察庁に伺いたいんですけれども、ここ数年、警察庁とかあるいは都道府県の幹部人事におきまして、例えば幹部は単年で異動するのではなくて複数年その役職にとどまるべきだ、そうした方針が出されたという事実はございますでしょうか。確認させてください。

藤本政府参考人 お答え申し上げます。

 地方警察官につきましては、警察本部長が都道府県公安委員会の意見を聞いて任免しているところでございます。

 いずれにしても、任命権者におきまして、士気の高揚にも留意しつつ、職員の年齢構成も踏まえ、個々の職員の能力、適性に応じた適切な昇任について工夫を凝らしているところでございまして、警察庁としても工夫を凝らしてまいりたいと考えております。

山岡委員 済みません、私が質問させていただきましたのは、幹部人事において、単年度で異動するのではなくて複数年で、地域の住民との関係性等も考慮した中で複数年を基本としなさいというような方針が立てられたという事実はございますかということをお伺いしたいんですけれども。

藤本政府参考人 人事異動につきましては、組織運営の必要性、業務の継続性、人材の育成、それから治安情勢への対処等、さまざまな情勢を総合的に勘案して、能力、適性に基づき、適材適所を旨として対応しているものと承知しております。

 したがいまして、警察庁として県警に対しましてそのような通達等が出されているというものではございませんが、任命権者におきまして適切に対応するべきものと考えております。

山岡委員 今、警察庁としては全国にそうしたことをしたということはないというお話がありました。

 少なくとも道警、北海道警察において複数の筋から、幹部人事において複数年以上いるようにという方針がここ何年か、具体的に言いますとどの本部長の時代かということになりますので申し上げませんが、そういうことになっている。

 これはどういうことをお伝えしたいかというと、私も、警察官、十数年のおつき合いのある方がいます。四十前後で警部と、署でいえば課長クラスになって、そういう方々は当時、私はよく覚えているんですけれども、俺はまだ署長の芽が残っているんだ、頑張るんだということをおっしゃっておられました。最近そういう方とお話ししますと、いやあ、もうだめさ、方針が変わって幹部複数年制度になったから、六年ぐらいで大体所属長級になるというのがこれまで警視になってからの習いだったけれども、まあまあ俺はもうだめだよというような話もされる方までいらっしゃって、非常に素朴な話とも言えるかもしれないし、大きな話だと私は思うんですけれども。

 人事というのは当然決まり切った話じゃないものの、特定の、これまでの皆さんの考え方を大きく変えていくということを急遽始めていく中で、そうした、自分が目指してきたものを見失うという方が出てきているというのも、これが現場の実情であるというのが私の受けた状況でありまして、非常に、何というのでしょうか、六年で行くはずが七年、八年、九年というようなことでとどめ置かれているというような状況であるとか、そんなことも含めて、この人事をめぐる方針が大きな士気減退につながっているんじゃないかということを危惧するところであります。

 せっかくの機会なので公安委員長にちょっとお話を伺いたいんですけれども、非常に、警察、皆、もちろんいい事件を上げようということで頑張っておられる現場の方もいるわけでありますけれども、組織人でありますから、やはり、自分が頑張って認められて上に行こうという方がいるという場所があるというのが非常に大きな力の支えになってきたのは事実でありました。

 その中で、そういうふうにやってきて、しかも、人事を握っているのは、実は各警察というのは、警察庁本部から本部長も、そして人事を担う警務部長もやってまいるということもあって、なかなか道警とかあるいは県警レベルで、自分たちで大きな方針を立てるというのが事実上難しいという状況です。今お話があって、そうした通達はしていないということでありますけれども、人は少なくとも配置をして、そうした方針を、方向性を、考え方を示すことができるわけであります。やはり、きちんと、現場が士気豊かに活動できる体制はしっかりつくっていただきたいと思います。

 こうした状況を総合して、公安委員長としてどうお考えになるか、そのことを伺いたいと思います。

山本国務大臣 北海道警を始め第一線の現場においては、国民の安心、安全を守るということで、警察職員が日々、昼夜を問わず、さまざまな事件や事故等の対応に当たっているところでございまして、その点については御理解をよくいただいておりますことを大変ありがたく思っております。

 警察庁を管理する国家公安委員会の委員長として、こうした警察職員が士気高くその能力を遺憾なく発揮できるような人事管理に努めることは大変重要であるというふうに認識をいたしております。引き続き、各都道府県警察において、職員の士気の高揚にも十分留意しつつ、職員の年齢構成も踏まえ、個々の職員の能力あるいは特性に応じたきめ細やかな人事管理に努めるよう指導してまいりたい、このように思っているところでございます。

山岡委員 一般的な御回答があるのはよく承知の上でありますが、現場としてこういうことが起こっているということもぜひ御理解いただきながら、複数の方がおっしゃっている話でありまして、恐らくそうなのであろうという思いで質疑をさせていただきます。

 残りの時間がわずかでありますので、関連して一つ伺いますが、警察も、最近は社会人登用の方が多くふえてまいりました。十八歳で入る方、二十二歳で入る方がおられて、それは昇給がいつか一緒になるように今仕組まれているわけであります。ところが、二十八とか二十九で入られた方は、やはり入った年度が遅いばかりに、今の警察の昇給制度は年数を重ねないと試験を受けられないという事実上の縛りがありまして、そういう状況になっている。これも、これからの時代、社会人登用をふやしていく中で、非常に現場の目指すべきところが低くなってしまうことにより、士気の低下につながっているということもまたぜひ御理解をいただきたいと思います。

 ぜひ、これはまだ課題もたくさんあるんですけれども、時代に合わせた形で、現場がしっかりと働けるような環境をつくっていただきたい、そのことをお伝えをさせていただきまして、今回の時間の質疑とさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

牧原委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 冒頭に、先ほど紀伊水道を震源地として地震があったということで、大阪、和歌山、徳島あたりは震度四と三と、結構揺れたということだったので、また続報がこれから出てくると思いますけれども、地元へ電話をしたら、割と揺れたんだということをおっしゃっていましたので、何もなければいいかなと思っております。お気をつけていただけたらと思います。

 それでは、質問に入りますけれども、きょうは、一つ目、先般、新聞等、ニュースで、自民党の党内の部会か何かの場で全国一律の最低賃金についての発言があったということが大きくニュースで取り上げられておりました。

 最低賃金の制度について、まずお聞かせをいただけたらと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 最低賃金制度は、昭和三十四年に施行されました最低賃金法に基づく制度でございまして、国が法的強制力をもって賃金の最低額を定め、使用者は労働者に対して最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないものとされているところでございます。こうした最低賃金は、原則として全ての労働者に適用されます。

 最低賃金法では、地域別最低賃金は、労働者の生計費、賃金水準、企業の賃金支払い能力などを総合的に考慮して定めるものとされておりまして、都道府県ごとに経済状況が異なる現状を踏まえ、その実情に応じて定められております。

 具体的な最低賃金の額につきましては、厚生労働省に設置される中央最低賃金審議会から示される引上げ額の目安を参考として、各都道府県労働局に設置される地方最低賃金審議会において当該都道府県の実情を踏まえた議論を行った上で、都道府県労働局長が決定することとなっております。

浦野委員 ありがとうございます。

 続いて、ニュースでも出ていましたけれども、その自民党内での議論、どういうものだったのかというのをちょっとお聞かせいただけますか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 三月七日に開催された自民党の議連におきまして、その中で、私どもの担当課長、賃金課長でございますが、個人的な意見、見解ということでお断りをした上で、全国一律の産業別の最低賃金の設定についての発言をしたという次第でございます。

 なお、報道されている件については、現時点で厚生労働省としては具体的な検討や調整を行っている事実はございません。

浦野委員 ありがとうございます。

 厚生労働省としてそういう検討を行っている事実はないということなので、これ以上この話はしなくてもいいとは思うんですけれども、ただ、各国、海外に目を向けてみますと、一律の最低賃金制度をとっている国も実際はあるんですね。この発言、その課長が個人の意見だということで言ったことではありますけれども、やはり真意があってそういう発言をされたと思うんですね。

 ただ、私も、最低賃金制度、この制度上もそうですけれども、地域の実情を踏まえて各地方で決まっていくということですので、これはやはり、今、日本がとっている、ありとあらゆるそういう賃金政策に同じように受け継がれているというか、広く枠をはめている制度だと。この最低賃金以外にもいろいろあると思うんですね。

 その中の一つに、これはずっと私は地方議会にいてるときから取り組んでいるんですけれども、地域区分、地域手当、このことについても少し関連して触れたいと思うんですけれども、まず、この地域手当の制度について、人事院の方から制度の概要をお願いいたしたいと思います。

森永政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の地域手当は、俸給に加えて、地域の民間賃金水準の違いを国家公務員給与に適切に反映させるために支給されているものでございます。このため、民間賃金水準の高い地域について地域手当を支給することといたしまして、市町村ごとに支給地域及び支給割合を定めてございます。

浦野委員 この地域手当も、地域によって給与水準が上がるように手当てをしているのが特徴なんですね。こういうことをしている反面、じゃ、例えば、本当に最低賃金を全国一律にしましょうという話になったときに、私は物すごい議論になると思うんですね。

 一方では、最低賃金を全国一律にしてしまうと、じゃ、今ある、例えば今言っていただいた人事院からのは公務員の皆さんの給与についての地域手当で、自分たちの給与が基準から上乗せされてどれぐらい上がるかということになるわけですけれども、当然、恐らく東京は今二〇%上乗せされるわけなんですよね。これは地域によって全然数字が変わってくるわけですけれども、最低賃金を全国一律にするということになると、そういう賃金制度全体に影響を及ぼすことになるんじゃないかと私は思っておりますけれども、その点については、何か議論というか、何か整合性について、話は人事院ではしたことはありますか。

森永政府参考人 お答えいたします。

 地域手当は、先ほど申し上げましたとおり、地域ごとの民間賃金水準の違いを国家公務員給与に適切に反映させるために設けられているものでございます。このため、最低賃金制度とは趣旨、目的が異なってございまして、最賃制度と直接関係するものではないと考えてございます。

浦野委員 今の言葉尻を捉えるわけじゃないですけれども、公務員の皆さんは、そんなん全国一律の最低賃金関係なしに、上がるところは上がるんやという、何か非常に上からになりかねない、上から目線になりかねないような話でしたけれども、でも、そういうわけにはいかないと思うんですね。地域の実情に合わせて地域手当の率が変わるわけですから、全国一律に民間がなれば、公務員の皆さんの給与も一律になるんじゃないかなというふうには思います。

 私は、この地域手当というのは、あってもおかしくないと思うんですね。地域によって物価とかそういうものは全然やはり違うのは実態としてあります。

 私、長い間これを問題にしているのは、例えば私の住んでいる大阪でも、市町村合併があって、平成の大合併で政令市になった町がありました。それまでは何々郡何々町というところでした。もちろん、町ですから地域手当は低かったわけですね。合併して政令市になった途端、政令市だということで、突然地域手当が上がりました。でも、その土地に立っていても何も変わらないわけですよね、町やったときと。政令市になった途端に何か突然物価が上がったとか、流通が変わって、すごくコストがかかるようになって物価が上がりましたとか、そんなことは一つもなかったわけですよね。それでも、地域手当というこの制度にのっとってやるもんやから、いきなり地域手当が上がるわけですよね。そういう、これってほんまに制度として妥当なんかという疑問が、僕はずっと持っているわけですよね。

 大阪府なんかは同じように問題意識を持っていて、これはもうずっとずっと昔から、どれぐらいかはちょっとわからないですけれども、大阪府下全域均一やということで、地域手当は一〇%だということで大阪府はやっているわけですね。

 私は、少なくとも大阪府内でそんなに地域の格差があるかなと。それは、私の選挙区は、この間も、参議院の某自民党の先生に、いい意味で言ったのか悪い意味で言ったのか今は定かではありませんけれども、大阪のチベットというふうに言われて、何かそれはすごい悪いような言い方をされた気がして仕方がなかったんですけれども、その後すぐに撤回をされましたので、これ以上は言いませんけれども、そういう地域に住んでいるわけです、私は。

 確かに、大阪唯一の過疎指定を受けた村もあるわけですよ。確かに、そう言われれば、コンビニもないんですよ、実は、いまだに。でも、そういった地域、特段、確かに山に囲まれて自然豊かでいいところですけれども、かといって、同じ大阪の中で、そんなに地域差があるかと言われると、そこまでの差はない、地域手当にあらわれるような差はないんじゃないかなと思うんですね。

 また、もう一つおかしいのが、公務員の皆さんの給料に合わせていろいろな国の制度がつくられていくものですから、介護報酬とか、あと障害者支援法ですね、あとさらに保育園の皆さんの給与、こういうのも児童福祉法に準拠するんやと思うんですけれども、それに準じて、国の制度に準じて報酬をやっていくものですから、例えば、介護報酬の方の制度ですと、東京都は二〇%なんですよね。それで、大阪府、大阪市なんかは一六%。東京も町田市とか多摩とか、神奈川の横浜、川崎なんかは一六%になっていますよね。同じように、制度に引きずられて、こうやって地域で差が生まれるわけなんですよね。

 私は、これは当然ある程度はあってしかるべきだとは思っているんですけれども、ただ、私の住んでいる地域なんかは、私の住んでいるところは政令市に囲まれていますので、政令市二つに囲まれている実は珍しい地域なんですけれども、大阪市は一六%だったと思います。堺市は一〇%だったかな、今は一〇%になっているんですよね。昔は松原市も低かったんですけれども、今住んでいる松原市も一〇%になったので、一緒になったんですね。それは政令市に囲まれていたからだと思うんですけれども。

 ついこの間までは、介護報酬を決めている保険法、法律と、障害者支援法と児童福祉法、保育園の給料を決めているもの、全てがばらばらだったので、地域手当も全部ばらばらだったんですよ、同じ時期に、ちょっとわかりにくいかもしれないですけれども。十数年前は、全部が地域手当がばらばらになっていて、保育園の先生は何%、介護職員は何%というふうに、全部、同じ地域にいてるにもかかわらず地域手当が違うかったという、非常に整合性の説明できない制度になっているわけですよね。僕はこれはやはりちょっと考え直すべきだと今でも思っていますので、最低賃金の話が出たので、ついでにこの話をしていますけれども、そういう議論が出てくれば、恐らくこういった地域手当の議論にも波及するだろうなというふうに思っていますので、またそのときはしっかりと議論をしたいと思っております。今でも、地域手当、もうちょっと考えるべきだというふうに思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 続いて、性犯罪被害の電話相談について。これは、毎年内閣委員会が始まるたびに絶対言いますよと言うている被害者支援法の、我々野党が、全野党が一緒に出している数少ない法案の一つですけれども、そのときはうちの党も野党と認めていただいて、一緒に法案を提出させていただいていますので、与党の皆さんもそれをちゃんと御理解をいただけたらいいんですけれども。

 いずれにせよ、我々の出している法案であれ、閣法であれ、この支援法は立法するべきだというふうに私も今はずっとやっているわけですけれども、その中で、被害に遭われた方が、では、例えば、検索をどうしようと思ってまずすることというのは、やはり恐らく、若い世代であればスマホをほとんどみんな持っている可能性もありますから、スマホで検索をしたりしますよね。そうなったときに、検索をしたときに一番最初に出てくるページというのが大事だと思うんですね。

 私も、これはいろんなワードがあるので、一概にどのワードという指定というのはなかなか難しいかもしれないですけれども、性被害とか、そういう性被害につながるような言葉を使った検索をかけたときに、一番上に出てきたのは、僕がやったときはたまたま警察庁の性犯罪被害相談電話、八一〇三ですね、シャープ八一〇三のページにたどり着いたわけですけれども。

 そのページを見ますと、各都道府県警察の対応窓口、対応時間、対応時間以外はどういうふうになって、どういうふうに対応しているかというのがざあっと出てくるわけですけれども、多くが八時半から十七時十五分、これが三十カ所なんですね。大体は同じぐらいの時間帯でずらずらずらとやっていて、それ以外の時間は当直が対応します、あとは音声対応、音声アナウンスが流れてそれに従ってやっていくというやつだと思うんですけれども。

 僕、これは正直言うてどうかなと思ったのは、やはり大変な思いをして、検索をして、頼ろうとしてこういうページに行った人たちが、しかも、また目立つんですね、この時間が。八時何分から十七時何分までというところがすごく目立ってしまうので、あっ、今、ほんなら、この時間やったらもうやってないんやと。こういう被害に遭われる方って、日中に遭われる方よりも、断然この時間帯以外に被害に遭われる方が多いわけですから、これはちょっとどうかなと。大阪なんかはそれでも八時まで、二十時まで対応しています。鹿児島はちょっと短いんですよね。沖縄は六時十五分まで、十八時十五分までやっています。

 これをちょっと何とか、書き方というか、それは勤務時間に合わせてこういうふうな書き方をしているというのは理解はできるんですけれども、何かちょっと突き放した感じに見えへんかなというのがちょっと心配です。ここをもうちょっと、何とか工夫したらいいんじゃないかと思うのが一点。

 もう一つ、性犯罪の被害に遭われるのは女性だけじゃないですよね。男性の方も、男の人も遭われることがあります。対応はもちろん男女の差なくやっています。ところが、このホットラインの名前も、レディースサポートとか、ウーマンライフとか、レディーステレホンとか、さも女性専用のような感じの名前がまだ残っている警察署があるわけですね。それもちょっと書き方を変えないといけないんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

内藤政府参考人 警察庁ホームページの各都道府県警察の性犯罪被害相談電話窓口一覧表は、性犯罪の被害に遭われた方等が相談しやすい環境を整備する一環として、被害者の方等の便宜を図るため掲載をしているものでございます。

 御指摘の都道府県警察における各窓口の名称や相談対応時間の表記につきましては、性犯罪被害者等が、性別を問わず、より安心して相談できる環境を整備する観点から、関係府県警察に対し見直しを促すなど、適切に改善を図ってまいりたいと考えております。

浦野委員 ありがとうございます。

 これと別の話ですけれども、本来であれば、警察にもこういうページがあるというのは重要なんですけれども、警察にかけるんだったら僕は一一〇番でいいと思っているんですけれども、一一〇番にはなかなかやはりかけにくいと。というのは、身内からのそういった被害を受けることもありますので、いきなり警察にというのはなかなかやはり心情的に難しいということも聞いたことがありますので、そうであるならば、最初に誘導されるべきページというのは各地域のセンターの方に誘導されるべきだとは思うんですけれども、でも、実際、ネットで検索をして、その地域のセンターに一番最初にたどり着くという工夫というのをほんまにちゃんとしているのかなと。これもどっちが優先されるべきかというのは非常に難しい問題だとは思うんですけれども、先ほど言うた理由で、やはりそういう性被害のセンターに一番最初につながるというのが重要だと思うんですけれども。

 そういうセンターは、例えば大阪とかでも、三百六十五日二十四時間ちゃんと対応できるような体制を整えていたりとか、時間による、別に警察も時間によって対応に差があるというわけじゃないけれども、ちゃんと専門の人たちが二十四時間三百六十五日対応できているセンターもあるわけですよね。

 となれば、やはりそちらに先に誘導できるようにいろいろな工夫、これはネットの検索エンジンの会社にもお願いをしたりとか、そういう工夫をしながらしないとできない話になるとは思うんですけれども、そういったことというのは政府としてやっておりますか。

渡邉政府参考人 内閣府男女共同参画局でございます。

 男女共同参画局のホームページにおきましては、性犯罪・性暴力被害者支援情報の項目を設けて、その中でワンストップ支援センターの一覧を載せているところでございます。

 先生御指摘のように、性犯罪、性暴力被害者が必要な情報に素早くたどり着けるようにするということは何よりも優先されるべき重要なことであると考えております。

 内閣府といたしましては、先生からの御指摘、重く受けとめまして、被害者が速やかにワンストップ支援センターの情報にたどり着けるということを主眼に、被害者が検索をすれば検索画面の上位にワンストップ支援センターの情報が表示されるような、検索に使われそうな言葉をうまく情報の中に織り込むなど、そういった工夫をしたり、また、トップページから直ちに一覧表の方に飛べるようにするとか、そういった工夫を引き続き重ねていきたいと思っております。

 御指摘ありがとうございました。

浦野委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 冒頭、この前の続きで、総理秘書官の役割分担の問題について、関連してお尋ねします。

 総理秘書官については、政務の秘書官、それから事務の秘書官が五人いらっしゃるということで、こういった秘書官の役割分担はどうなっているのか、省庁の担当の割り振りはどうかということをお尋ねしたわけですが、その場の説明がなかったもので、きょうお答えいただけますか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣法の規定では、先生御指摘のように、内閣総理大臣秘書官は秘書的業務をすることとなっております。現在、内閣官房組織令により七人の定数が設けられてございまして、六人が任命されているところでございます。

 その出身省庁につきましてまず御説明申し上げますと、経済産業省、財務省、外務省、防衛省、警察庁でございます。

 各秘書官の役割分担についてでございますけれども、先ほど申し上げました出身省庁などにおきます経験ですとか知識等を踏まえまして、経済財政分野、外交、安全保障、治安分野などをそれぞれ担当しているところでございます。

 他方で、内閣総理大臣秘書官が担当します案件は極めて広範多岐にわたっておりますため、その分担は、業務の繁閑、忙しさ等に応じましても割り振られることもありますため、必ずしも固定的なものではないところでございます。

 すなわち、まとめて申し上げますと、やはり、内閣法の規定に基づきまして、いわば秘書官全体で総理をお支え申し上げているというところでございます。

塩川委員 秘書官全体で支えているというと、それ以上のものはないんですけれども、役割分担の話を聞いているわけで、出身省庁とおおよその分野の話がありましたが、私がこの前聞いたのは、中江元総理秘書官が答弁していたように、自分は財務省出身で、財務省や金融庁、それに厚労省も担当していると、役所における分担の話をしたんですよ。そのことについて聞きたいんだけれども、それはどうですか。

大西政府参考人 今も申し上げましたが、現時点では、やはり基本的には、経済財政分野は経済産業省や財務省、経済や財政も密接に連携する分野でございます。また、外交、安全保障、治安分野は外務省や防衛省、警察庁出身の秘書官がそれぞれ担当しているところでございまして、かつ、それらは固定的なものではないというところでございます。

 中江元秘書官の御答弁につきまして御下問がございましたけれども、当時、厚生労働省、財務省、金融庁を担当していると御答弁をされていたわけでございますけれども、この御答弁は、実際に御自分が当時どんなことを担当しておられたか、処理をされておられたかということを振り返られて、それを念頭に置かれて、実績としてこうした役割を御自分は担っておられたということで申されたものというふうに理解をしております。

塩川委員 私がいろいろお聞きしているというのも、秘書官というのは秘書的な業務を行うわけです、スタッフとしての活動になるわけですけれども。それが、内閣総理大臣、官房長官、そのもとで各省とか、ラインがあるわけですよ。そのラインとの関係で、このスタッフとなる秘書官がどういう位置づけなのかということが疑念があるからお聞きしているわけなんです。

 つまり、中江さんの話でいえば、やはり統計問題について、厚労省の統計手法の見直しについて実質的にそれが大きな影響を与えているということであるわけで、そういった点を考えても、このラインでないような人の発言で厚労省が対応を変えているような事例というのは何なのかということが問われているんだと思います。

 同じような秘書的な業務ということで、官邸の内閣参事官という方もいらっしゃると思うんですが、何人おいでで、どの省から来ているのか、どんな仕事をしているのか、簡単に説明してもらえますか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 官邸参事官という官職は法令上はないわけでございますが、内閣参事官ということで、法令上、内閣官房の事務の一部をつかさどるということとなっております。

 そのうち、いわゆる官邸参事官と呼ばれるものにつきましては、現在六名いるところでございます。第一次小泉内閣におきまして設置され、以降継続的に設置をされているところでございます。

 出身省庁につきまして、現在は、六名は、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、環境省となっているところでございます。

塩川委員 官房長官にお尋ねします。

 官房長官のもとにも秘書官の方がおいでだと思うんですけれども、何人おいでで、どの省から来ておられる方で、どんな仕事をしているのか、役割分担等について御説明いただけますか。

菅国務大臣 官房長官秘書官は、現在、政務が一人、そして、秘書官事務取扱、これは各省庁、内閣府、警察庁、経済産業省、外務省、財務省、厚生労働省から六人、計七人であります。

塩川委員 お仕事の役割分担はどんなふうになっているんでしょうか。

菅国務大臣 これは、先ほど委員の質問と答えを聞いていまして、明確には定まっていません、正直。

 例えば、それぞれの省庁出身者はそれぞれの省庁のことは皆精通している人間ですから、それ以外の例えば安全保障とか、あるいは今度の統計の問題とか、あるいは情報通信とか、複数の秘書官が一緒になって、ある意味で全体として支えてもらっている、それが実態であると思います。

塩川委員 重ねてお聞きしますけれども、最初に申し上げたように、官邸と各省との指揮命令系統との関係で、こういった秘書官がどういう位置づけなのかということなんです。

 というのは、この間、国会でも議論しているように、例えば加計学園の問題についても、加計学園関係者と柳瀬総理秘書官は二〇一五年に三回も官邸で会っていて、愛媛県の文書には首相案件と述べたということが議論になりましたけれども、柳瀬氏自身も、獣医学部新設の解禁は総理が早急に検討していくと述べている案件だと国会でも答弁をしているところです。そのように加計学園の関係者に説明したと答弁をしております。

 また、今回の厚労省の勤労統計に関連して、中江元総理秘書官が統計手法の見直しについて問題意識を伝えたことが厚労省の検討過程に大きな影響を与え、総理秘書官の発言が統計手法の変更にもつながっているわけです。

 このように、総理秘書官の発言が各省の対応に大きな影響を与えているわけです。官邸と各省の指揮命令系統にかかわって、総理秘書官の仕事というのは非常に不透明なんじゃないかと思うんですが、官房長官、どのようにお考えですか。

菅国務大臣 総理秘書官のお話だったんですけれども、やはりそれは、総理が目指す方向に向かって、それぞれの資料集めとか、いろいろなことを秘書官が総理にかわって行っている。

 ですから、先ほども申し上げましたけれども、私の秘書官も、一人で一つの省ということは、個々は今ないですし、ほとんど縦割りになっていますから、全体で秘書官がサポートする、こうしないとうまく回っていかないと思っています。

塩川委員 いや、そのサポートという意味は幅があるんだと思うんですけれども、秘書官が総理にかわって指示をする、そういう関係というのはそれでいいのかということを思うんですが。

菅国務大臣 その指示というのがどういう意味合いかよくわかりませんけれども、ただ、関心のあることについて、いろいろな資料を集めたり、海外の事例だとかいろいろなことを秘書官が進言をする。総理の意向に応える形でそうしたことを行っていて、総理が最終的に御判断する、そういうための下準備というんですか、そういうことだと思っています。

 私自身のときは、私は必ず、例えば観光だとか、そうしたものは複数の秘書官でいろいろなことを練ってやっていますし、総務省からは実は秘書官は私のところにいないんですけれども、総務省の全体をやる場合でも、財政とか情報通信だとか、あるいは今回の統計だとか、いろいろな中で、複数の秘書官でやっていることは、私自身のところはそういう形でやっていますし、多分、総理秘書官もそんなことじゃないかなというふうに思います。そうしないとなかなか回っていかないと思います。

塩川委員 いろいろな下準備の話はあると思うんですが、でも、政務は政務でのラインがあって、官は官でのラインがあると思うんです。そういったときに、こういった総理秘書官の発言というのが実際に各省に大きな影響を与えるということにおいては、これはやはり政策の立案過程、意思決定過程というのが非常に不透明なんじゃないかという批判を受けても仕方がないと思うわけです。

菅国務大臣 秘書官の権力というのは莫大に大きいような形のあれですけれども、やはり、そういう意味で秘書官から指揮をとって命令をすることはないと思いますよ、そこは。

 ただ、いろいろな考え方の情報を取り集めている。そして、さまざまな考え方があるわけですから、それについて、各省庁、各省庁からそういう説明、この場合はどうだ、あの場合はどうだ、そういうことをするのはある意味で行っていると思いますけれども、指揮命令というのは、これはないと思っています。あり得ないと思う、今のこの状況の中では。

塩川委員 でも、実際にはそう受け取るような省の動きがあるというところが、今、国会でも問題となっているわけで、その点についてしっかり検証する必要があると思うんです。

 そういう意味でも、こういった意思決定過程についての情報公開や公文書管理、こういうことをしっかりやることが求められておりますし、前回も言いましたけれども、総理秘書官も国会においでいただいて説明責任を果たしてもらう、こういうことについては引き続き要請もしているところであります。

 この問題はこのぐらいで、次に、米軍基地の問題について質問をいたします。

 私の地元に米軍所沢通信基地というのがありまして、今回、都内にあります米軍の横田基地の工事で発生する大量の土砂をこの所沢の通信基地に搬入するという計画が、突然、所沢市や横田基地周辺自治体に通告をされて、大問題となっております。

 資料の一枚目に防衛省北関東防衛局の資料をつけました。横田飛行場での工事に伴う発生土の所沢通信基地への搬入についてという図ですけれども、搬入が予定されているのは約三万七千立方メートルの土砂ということで、東京ドームのグラウンド部分に三メートルの土を盛るという、かなりの量の土砂を運び込むという計画になっています。右下に図がありますけれども、横田基地の滑走路左側、これは北側になるわけですが、のところに、外周道路の切りかえ工事を行うということで、盛土部分になっているところを削るということが計画をされています。それを所沢通信基地の北の部分と南の部分に積み上げるという計画になっています。大体、搬入期間が二月二十五日から来年の二月二十四日、実際にはまだ搬入されていないんですけれども、一年間を通じて土砂を運ぶという計画です。

 防衛省の説明では、半年間は、一日にダンプカーなど大型車両六十台が二往復する。つまり、その通行する道路でいえば、一日当たり二百四十回もダンプなどの大型車両が通過をするということになります。

 この北関東防衛局の図にもあるように、左側の所沢通信基地の周辺というのは、基地返還の跡地ということもあって、学校や病院や公共施設、それから住宅団地などが密集しているところにあります。ですから、こういった計画について、住民の皆さんからは、騒音や交通事故、渋滞、排ガス、土ぼこりなどの影響が出るということでの懸念の声が上がっているために、所沢市、市議会、市内の団体でつくる所沢市基地対策協議会は、二月六日に、土砂搬入、堆積に抗議し、即時中止を北関東防衛局に要請を行い、さらに、二月二十七日にも再度中止を要請しました。

 防衛省にお尋ねしますが、こういった地元の中止要請に基づいて、この米軍の土砂搬入計画をやめろとはっきりと言っているんでしょうか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の件でございますが、委員御指摘のとおり、二月四日に北関東防衛局から所沢市へ情報提供を行い、一回目の中止を求めるという要請書が二月七日に提供されました。その後、所沢市に対しては何度か必要な情報の提供を行っておりましたところ、二月二十七日に再度、中止を求める要請書が提出をされているところというように承知をしております。

 防衛省といたしましては、所沢市基地対策協議会の要望内容を米軍に伝えているところでございます。また、土砂の搬入に当たっては、周辺の環境への影響ですとか安全等に十分配慮がなされるよう米軍と調整を行っているところでありまして、引き続き、米軍への要請ですとか関係自治体に対し情報提供を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

塩川委員 地元の要望を伝えるだけじゃなくて、それはだめだと、やはり日本政府としてはっきりアメリカ政府、米軍に物申す話じゃないですか。

 大体、学校や住宅地の目の前に大量の土砂を積み上げる、残土置場にするという計画なわけですよ。こういったことを容認できるわけがないわけで、普通、土砂が出れば、それは土砂の引受業者もあるわけですから、そういう業者に引き取ってもらえばいいんじゃないのか、そういう対応を検討したのかどうかと聞いているんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の横田飛行場からの土砂の搬出につきましては、道路の切りかえに伴って発生します土砂でございますけれども、これは飛行場の安全確保のための道路の切りかえ工事というように承知をしております。

 他方、横田飛行場の中にはそうした土砂を堆積するスペースがないことから、所沢通信施設の方に搬入するという計画を米側は作成したというように承知をしております。

 米側といたしましては、輸送の経路ですとか堆積の方法などについて十分配慮するというように申しておりますし、堆積の方法につきましても、埼玉県の条例にのっとった形を検討するというように申していると承知をしております。

塩川委員 いやいや、聞いているのは、そもそも横田基地内に置けばいいという話もあるんだけれども、それがスペースがないという話、それ自身の妥当性は評価しようがないんだけれども、そう言うのであれば、民間の業者に引き取ってもらう、そういうことについてきちっと考えたのかと、防衛省、日本政府としてそういうことは米軍に確認しているんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、本件は米側の発注工事でございます。それに当たりましては、できるだけ住民への安全に配慮をするよう求めているところでございます。

 民間への引取りにつきましては、米側の方で特に考えていないというように承知をしております。

塩川委員 だから、そうしないのは何か理由があるんじゃないのかということを危惧するわけであります。

 大体、外周道路のつけかえ工事のために発生する土砂の部分というのが盛土になっているわけですけれども、何でそもそも盛土になっているわけですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの盛土につきましては、防衛省といたしましては、平成二十八年十二月の日米合同委員会におきまして、外周道路の切りかえ工事を行うために米軍に土地を提供することが合意された時点で、既にこの盛土は存在をしていたと承知をしております。

 なお、この土地につきましては、当時、昭和四十年ごろ、一九六〇年ごろになりますけれども、当時の防衛施設庁が買収をした後に、昭和四十七年、一九七二年でございますが、航空機の離着陸安全確保のための区域として米軍が使用してきたものでございます。

 現在のところ、盛土が行われた経緯等について確認できる資料が見つかっておらず、更に調査を行っているところでございます。

塩川委員 この話はずっと前から聞いているんだけれども、いまだに調査というのはおかしな話で、そもそも、どこかから持ってきた土を盛っているわけですよね。そうすると、土壌汚染の懸念があるんですよ。米軍施設内で幾つも土壌汚染の話というのは、沖縄だけじゃなくて全国で大問題となっているわけです。そういった土についての懸念があるから、民間業者に頼むと金がかかるから、自分の地所と考えている所沢通信基地に積み上げるんじゃないのか、こういう声が市民から上がるのも当然のことであるわけです。

 土壌汚染がないとはっきり言えるんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍からは、当該土砂につきまして、土壌汚染調査の結果、汚染はされていない旨確認できたと説明を受けているところでございます。

 この米軍の行った土壌汚染調査でございますけれども、土壌汚染対策法に基づく日本の指定調査機関、こちらが実施をされたものでございます。その結果につきましても、土壌汚染対策法の特定有害物質が全てにおいて基準値内であることを確認をしておりまして、防衛省といたしましては、こうした有害物質が現在のところ発見されていないというように承知をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、必要があれば関係自治体に更に情報提供を行ってまいりたいと考えております。

塩川委員 それも数本のボーリングを打っただけの話であって、所沢市は、この土壌汚染について、米軍の調査は脇に置いて、国による土壌汚染調査を要請しているんですよ。所沢市としては、国がちゃんと調査してくれと言っているのはなぜかといえば、この米軍の調査そのものが一年半前の昔の調査なんですよね、土壌分析そのものが。それが本当に当てになるのかという心配があるということと、もともと米軍所沢通信基地は、現在、東西連絡道路の建設が進んでいて、市民的にも要望がある。しかし、そこの調査のときに、建設工事のときに大量の鉛が出たんですよ、特定有害物質である鉛。ですから、汚染されているんじゃないのかというのは市民の共通の感覚なんですよ。

 そういったことについて、国にきちんと土壌汚染調査をやってくれ、こういうことというのはちゃんと承知しているんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、所沢市から、三月六日付の文書によりまして、搬入される土砂の安全性をより担保するために、改めて防衛省において土壌汚染調査の実施を要請するといったことが行われていることは承知をしております。

 我々といたしましては、所沢市ないし付近の住民の方々がそういった汚染に関して非常に懸念を有しておられるということについて、重く受けとめなければいけないというように考えております。

 一方で、本件、横田飛行場から所沢通信施設への土砂の搬入に関しまして、米軍の行った土壌調査につきましては、先ほども申し上げたところでございますけれども、日本の指定調査機関が行っているということ、さらに、土壌汚染対策法の特定有害物質が全てにおいて基準値内であったということを確認しておりますので、我々として、改めて調査を行う必要性があるとは考えておりません。

塩川委員 それは、少なくとも最低限の地元の要求さえ対応しないという点で極めて重大であります。

 大体、埼玉県は土砂条例というのがあります。この埼玉県土砂条例では、土砂の堆積について、三千平方メートル以上は県の許可が必要だとなっている。基準を超える有害物質を含む土壌の堆積は禁止をしています。

 こういった埼玉県の土砂条例は米軍の工事には適用されるんですか。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 在日米軍が在日米軍の施設・区域内でみずから工事を行うに当たっては、原則といたしまして我が国の法令の適用を受けませんが、日米地位協定第十六条に規定されているとおり、我が国の法令を遵守する義務を負っているものと承知をしております。

 今回の土砂の搬入の実施に当たりましては、公共の安全に妥当な配慮が行われることは当然確保されるべきであると考えておりまして、防衛省といたしましては、土砂の搬入に伴い、周辺の環境への影響ですとか安全等に十分配慮がなされるよう、米側と調整を行っているところでございます。

塩川委員 尊重義務はあるけれども適用を受けないという点で、こういった点でも米軍の特別扱いというのが問われているわけであります。

 この間、横田基地では基地機能の強化が図られてきました。航空自衛隊の総隊司令部が横田に移転をし、CV22オスプレイ配備に伴う施設整備が行われてきました。今後、オスプレイ配備に伴う施設整備の二期工事が行われる予定であります。

 資料の二枚目にありますように、米軍は、CV22オスプレイに係る施設整備に伴うゲート設置を計画をしています。地図を見ていただくと、左側の方に工事車両用ゲート設置位置というのがありますが、公道に接続する部分に新しいゲートをつくるわけなんですよね。

 そうしますと、左手の方のゲートの設置位置というのは、この外周道路の建設のところと同じ場所なんです。ですから、外周道路の土砂の搬出もここからも可能となることが予測されますし、そもそも、オスプレイの施設整備に伴うさまざまな土砂が一体に所沢に運び込まれる、オスプレイの施設整備の工事と外周道路建設の工事が一体で行われることになるんじゃないのかという強い危惧を覚えるんですが、その点はいかがですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 横田飛行場内の外周道路の切りかえ工事につきましては、米側からは、車両と航空機の通行を分離し、より安全性を高める必要があることなどから、既存の外周道路を滑走路の延長部分の外側に切りかえる工事を行う旨の説明を受けております。CV22の施設整備に関連して必要となった工事ではないというように承知をしております。

 なお、先生の御指摘の資料でございますけれども、CV22オスプレイに係る施設整備に係るゲート設置につきまして、この資料でありますと三十一年の春ごろからというようなことになってございますけれども、こちらの方につきましては大幅に延期をされているというところでございまして、こちらの所沢の土砂の搬入とは時期的には全く一致をしていないというところでございます。

塩川委員 いや、一年間、土砂搬入計画ではかぶるんです。そこははっきりしているわけです。

 この間、昨年十月に米空軍特殊作戦機CV22が横田に配備をされる。米軍は、横田基地の強化とあわせて、所沢通信基地にも新たな役割を負わせて機能強化を狙っております。

 この間、所沢通信基地をめぐっては、横田基地の車両用のカーポートを建設する計画ですとか、CV22オスプレイが突然訓練飛行にやってくるとか、今回のような土砂搬入計画も持ち上がる。次から次へと基地全面返還に逆行する米軍、防衛省の対応に市民は怒っているということをわからないのかと率直に言いたい。

 官房長官にお尋ねします。

 沖縄の基地負担軽減担当ということでの官房長官のお仕事の関係でも、沖縄県民も首都圏の市民も、全国どこでも米軍の横暴勝手に怒っています。この米軍の横暴勝手を容認しているのが、米軍には国内法を適用しないという日米地位協定の存在であります。

 昨年七月、全国知事会が日米地位協定の抜本改定を求める提言を国に提出しました。米軍にも航空法や環境法令などの国内法を適用することを求めたものであります。この日米地位協定を抜本的に改定すべき、こういった要請についてどう受けとめておられますか。

菅国務大臣 今御指摘をいただいた点については、全国知事会のお考え方である、そのように受けとめさせていただいています。

 我が国を取り巻く安全保障環境が極めて厳しい中にあって、日米同盟の抑止力は重要であると考えます。米軍の円滑な駐留のためには、地元を含む国民の皆さんの御理解と御協力を得ること、このことがやはり大事だと思っています。安倍政権において重視しているこうした考え方に基づいて、米側に対して、求めることはしっかりと求めているところであります。

 例えば、平成二十七年に米国との間で締結した環境補足協定では、米軍施設・区域において、日米両国又は国際的な環境基準のうち、より厳しいものを採用する旨、米側と確認をしております。

 また、日米地位協定第十六条においては、在日米軍による我が国法令の遵守義務が規定されており、在日米軍はこのような義務に従ってきているものと認識しています。

 政府としては、手当てすべき事項の性格に応じて、効果的で機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つの具体的な問題に対応していきたいと思っています。

 今後とも、そうした取組を積み上げることによって、日米地位協定のあるべき姿というものを追求していきたい、こういうふうに思います。

塩川委員 そういう中で、こういう深刻なさまざまな被害が生まれているということを前提に、どうするのかを考えなければならない。全国知事会でも、ドイツ、イタリアの例の調査も紹介しているわけです。ドイツ、イタリアは同じように、日本と同様、米軍が駐留している。そういう国であっても、国内法を適用させるということとか、地元自治体が米軍基地への立入り権を認めるとか、こういうことをやっているわけですから、何で最低そういうことまでできないのか、こういうことが問われているわけで、改めて地位協定の抜本改定を求めるものであります。

 所沢市議会は、米軍所沢通信基地への土砂などの搬入の中止を求める意見書について議会運営委員会で採択をし、月末の本会議において全会一致で採択される見込みであります。基地全面返還を遠のかせるものとなる土砂搬入はきっぱり中止、これは所沢の全ての市民の要求だ、このことをしっかりと米軍に政府は申し入れるべきだ、このことを申し上げておきます。

 それでは、官房長官、御退席いただいて結構です。

牧原委員長 官房長官、どうぞ御退室ください。

塩川委員 残りの時間で、道路環境問題について質問をいたします。

 埼玉県の三芳町には関越自動車道が通っておりますけれども、三芳パーキングエリアに設置されているスマートインターチェンジを大型車両も通行できるようにする計画を立てて、国交省など関係機関との協議を重ねているのが三芳町であります。

 国交省に確認しますけれども、通行可能となるトラックが現状と比べてどう変わるのかということですが、資料の三枚目につけましたが、トラックの絵を描いているわけですけれども、上の方は、現在、三芳スマートインターチェンジにおいて通行可能な車両は車長が六メートル以下ということですから、トラックでいえば小型車限定で、二トンショートトラックまで。それが、三芳町がつくっている三芳スマートインターチェンジ変更実施計画書に基づき通行可能となる車両は、全車種に広げて、車長が十二メートル以下ということですから、十トントラックの通行も可能となるというふうに承知をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 三芳スマートインターチェンジの状況でございますけれども、川越インターチェンジと所沢インターチェンジの間に設置されております新潟方面についてのみ出入り可能なハーフ構造のインターチェンジと現在なってございます。

 このスマートインターチェンジは、大型車が現在アクセス道路に出入りができないために、議員おっしゃいましたように、車長六メートル以下の車両に限って利用可能となってございまして、トラックでは二、三トン以下のもののみが利用できるようになっております。

 平成二十七年に東京方面の出入りも可能とする事業に着手をいたしました。これにあわせて、大型車が通行可能な構造でアクセス道路を新設することとしておりまして、工事完了後は車長十二メートル以下の車両、トラックでは十トン以下のものが利用できるようになります。

塩川委員 図にあるように、二トンショートトラックのレベルが十トントラックというんですから、大型車両が通るようになるんです。では、そこは広い道路かというと、そうじゃないんですよ。

 このスマートインターは、国道、県道に面していないんですよ。三芳町の町道に面しているだけなんです。ですから、大型車両の通行が困難な場所であって、国交省は、高速道路との大型車両通行に関して、ほかに余り例がないような連結許可条件を付していると承知していますけれども、それはどういうものでしょうか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 三芳スマートインターチェンジの連結許可に当たりましては、三つの条件が付されております。

 一つ目は、高速自動車国道との連結部を通行可能な車両は、原則としてETC通行車のみとし、利用者に対してその旨が十分に周知されるよう、必要な措置を講じること。

 二つ目は、広域的な利用が想定されることを踏まえ、実施計画書に位置づけられたスマートインターチェンジへの主要なアクセス道路については、当該道路を管理する埼玉県及び関係市町と連携して安全対策等を検討し、具体化を図り、その結果を地区協議会に報告すること。

 そして、三つ目は、スマートインターチェンジ実施計画書に定めたインターチェンジの工事開始時期までに、連結のために必要な工事を施行する土地の全ての所有者を含む地域住民の理解を十分に得ることとし、当該状況が整ったと思われる段階で地区協議会に報告を行うこと。

 以上の三点でございます。

塩川委員 ですから、二番目の、主要なアクセス道路について安全対策を検討し、具体化を図る、こういった条件をつけているのは、ほかに例というのはあるんでしょうか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 これまでに事業化したスマートインターチェンジの中には、連結許可条件として、インターチェンジの構造や運用方法等について、安全面に留意するよう条件を付した事例もございます。

塩川委員 アクセス道路について条件を付したのは。

牧原委員長 国土交通省榊道路局次長、アクセス道路についてお答えください。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま申し上げましたものを、具体的には……(塩川委員「いや、具体的でなくていいんだ。アクセス道路について言っているのはあるかと聞いている」と呼ぶ)中央道府中スマートインターチェンジの連結許可に当たりまして、そのアクセスするインターチェンジから出ていく道路の構造、運用方法等について、地域住民、利用者の意見を踏まえつつ、環境面、安全面に留意して具体化を図ることとし、これらの状況が整った段階で国に報告を行うこと等の条件を付してございます。

塩川委員 ですから、スマートインターに直結する部分の話なんですよ。

 今回問題となっているのはそうじゃないんです。主要なアクセス道路について安全対策を検討し、具体化を図るというもので、資料の四枚目に埼玉県警事故発生マップというのをつけてあります。県警がこういう形でホームページ上に過去の事故例をずっと落とし込んでいて、事故の発生現場がよくわかるという点では非常に貴重なものだと思っております。

 そういった中に、緑色で書いている部分がアクセス道路なんですよね。赤い帯になっているのが関越道で、ちょうど真ん中よりちょっと下ぐらいに三芳パーキングエリアとあるのがスマートインターの場所なんです。ここに入るために県道とか町道を通らなくちゃいけない。この緑色沿いのところに事故が起こっているということもこれで見てわかると思います。赤いのが死亡事故、青いのが重傷の事故ということで、かなりの事故が起こっているということをここに見ていただけると思います。

 警察庁にお尋ねをしますが、二〇一二年以降のアクセス道路上の死亡事故件数、重傷事故件数、これは何件になっているのかについてお答えください。

北村政府参考人 お答えをいたします。

 本年二月二十一日に開催されました第四回三芳スマートインターチェンジ安全対策等調整会議の資料、ただいま委員お示しの資料と同じものだと存じておりますけれども、その中で主要アクセス道路として示されております道路で、平成二十四年から平成三十年までの七年間に発生した交通人身事故件数につきまして、昨日、埼玉県警察に確認いたしましたところ、死亡事故五件、重傷事故三十九件との報告を受けております。

塩川委員 ですから、過去七年間で、死亡事故が五件、重傷事故が三十九件、このアクセス道路上だけでの話であります。

 そこについて、国の方、国交省は、安全対策を検討し、具体化を図ると言っているわけですけれども、実際には昨年の十二月にも死亡事故が起こっているんですね。ですから、非常に狭隘な道路、要するに歩道も確保されていないような道路などもあるというのが現状なんです。

 そういった点で、実際に推進をしている三芳町などが関係機関と協議して決めている対策を見ても、スマートインターチェンジ開通前に行う措置というのは、注意看板の設置とか路面標示の設置、補修などしかないんです。ですから、物理的に歩車分離を図るようなそういった措置ですとか道路改良というのは、開通前の措置というのはないということで承知をしていますが、国交省にお尋ねしますけれども、こういった道路改良を伴うような対策というのは中期的対策であって、開通後に措置をする、そういうことになっているんじゃありませんか。

榊政府参考人 お答えを申し上げます。

 三芳スマートインターチェンジ事業におきましては、連結許可条件を踏まえまして、平成二十七年に国や埼玉県、関係市町、警察で構成されます安全対策等調整会議が設置され、これまで安全対策の検討や地元住民等からの意見聴取が実施されてきてございます。

 本年二月に開催されました会議で安全対策の内容及び実施箇所等が取りまとめられましたが、そこで挙げられている箇所のほかにも、幾つかの地区での交差点改良などにも地元の自治体では取り組んでおられると承知しております。

塩川委員 ですから、それは本当にスマートインターの直近の場所だけなんですよ。このように事故が起こっているようなアクセス道路沿いについて、県道の五十六号線ですとか、開通前に道路改良などを行うという予定はあるんですか。

榊政府参考人 今、手元の資料で子細には確認ができませんけれども、例えば、先ほど申し上げました安全対策等調整会議において示された対策案、短期的な対策、それから中期的、長期的な対策として三つに区分されてさまざまな対策が示されておりますが、交差点のカラー化、標識や路面標示の高輝度化、街灯の増設など、安全対策として寄与するメニューが短期対策としても掲げられているところでございます。

 今後、地区協議会にも報告をされるものと認識しておりますけれども、スマートインターチェンジの工事と並行いたしまして、今回取りまとめられました対策がしっかりと実施されることが重要であるというふうに考えております。

塩川委員 ですから、看板をつけるとか誘導板をつけるとか、そういう話だけなんですよ、開通前にやるというのは。現に事故が起こっていて、今までは二トンショートしか通れなかったようなところを、今度は十トントラックが入れるような、そういうインターの改良なんですよ。それなのに、こういう十トントラックが通るようなことを想定したアクセス道路の道路改良は開通前にやらないというんですよ。こんなので本当に地域住民の方の安全が守れるのかということが問われているんですよ。

 山本国家公安委員長、心配だと思いませんか。

山本国務大臣 スマートインターをフルインターにするという、これは全国でもかなり要望がたくさん国交省に来ているんだろうと思うんですね。したがって、利便性と事故の危険性、これをどういうふうに勘案していくかというのは非常に悩ましい問題だというふうに思っています。

 我々警察におきましては、一般に、道路の新設等に際して、道路管理者としっかり協議をする、そして必要な交通安全対策を実施していくということが基本中の基本でございまして、先ほど来お話があるとおり、三芳スマートインターチェンジのフルインターチェンジ化に対しては、道路管理者と地元自治体、それから警察署から成る調整会議において、必要なアクセス道路の交通安全対策等を検討されていくというふうに認識をいたしております。

 なお、今ほどお話がありましたけれども、道路標識の高輝度化とか、あるいはまた道路標示の補修等々、これも非常に大事なことでございますので、そういった必要な交通安全対策については、道路管理者による対策とともに我々も検討していき、そして、必要な交通安全対策が講じられるように今後とも取り組んでまいりたいと思っております。

塩川委員 道路標識を見やすくするとか、それはそれで大事だと思っています。しかし、二トンショートしか入れなかったようなところに十トントラックが入れるようにするんですよ。それなのに、道路改良もやらなくて何が安全対策なのか。こういう都合だけ優先するというのはおかしいということをしっかり受けとめていただきたいんです。だって、警察も関係者で入っているんですから、やはり危ないものは危ないと指摘をすればいいんですよ。

 三角交差点という、この県道五十六号で昨年十二月、事故があったところというのも、本当に関越道の下、高架下のところで、拡幅も難しいようなところで、歩道もとれないようなところなんです。そういったところも、事故が起こったのに、何ら安全対策、道路改良もなしに、では開通だけは進めましょうというのはもう通らない話だ。

 もう一度、一言いただいて。

北村政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、先ほどからお話のありました、地元の自治体、警察署から成りますところの三芳スマートインターチェンジ安全対策等調整会議に参画して、必要な安全対策の検討をしているところでございます。引き続きまして、地元の方々、また道路管理者等の関係者の御意見も賜りながら安全対策には努めてまいりたいというふうに存じます。

 なお、先ほど、私、答弁の中で、重傷事故三十九件と申し上げましたが、三十四件の誤りでございましたので、おわび申し上げて訂正させていただきたいと存じます。

塩川委員 道路改良などの安全対策を置き去りにしたままの大型車種導入というのは認められないということを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

牧原委員長 次に、内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。宮腰国務大臣。

    ―――――――――――――

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮腰国務大臣 ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国における少子高齢化という国難に正面から取り組むため、消費税率の引上げによる財源を活用し、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入し、社会保障制度を全世代型へと転換していくこととしております。

 そうした中で、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性に鑑み、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減を図るという少子化対策の観点から、幼児教育、保育の無償化の取組を加速することとしており、市町村の確認を受けた施設等の利用に関し、新たな給付制度を創設する等の措置を講ずる必要があります。これが本法律案を提案する理由であります。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、子育てのための施設等利用給付を創設し、その支給に係る施設等として、子どものための教育・保育給付の対象外の幼稚園、認可外保育施設等を市町村が確認するものとしております。

 第二に、市町村が認定した三歳から五歳までの子供又はゼロ歳から二歳までの住民税非課税世帯の子供が対象施設等を利用した際に要した費用について、その保護者に対し、施設等利用費を支給するものとしております。

 第三に、施設等利用費の支給に要する費用は、原則として、市町村が支弁することを基本とし、国はその二分の一を、都道府県はその四分の一を負担するものとしております。なお、平成三十一年度に限り、都道府県及び市町村の負担相当分について、全額国費で補填する措置を講ずるものとしております。

 最後に、この法律案は、一部の規定を除き、平成三十一年十月一日から施行するものとしており、これに伴う必要な経過措置について定めるとともに、所要の規定の整備を行うものとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

牧原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十分散会


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