第7号 平成31年3月20日(水曜日)
平成三十一年三月二十日(水曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 牧原 秀樹君
理事 平 将明君 理事 谷川 弥一君
理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君
理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君
理事 大島 敦君 理事 岡本 三成君
安藤 高夫君 安藤 裕君
池田 佳隆君 泉田 裕彦君
上杉謙太郎君 大西 宏幸君
岡下 昌平君 加藤 鮎子君
金子 俊平君 神谷 昇君
小寺 裕雄君 小林 茂樹君
佐々木 紀君 杉田 水脈君
高木 啓君 中山 展宏君
長尾 敬君 西田 昭二君
穂坂 泰君 松野 博一君
松本 洋平君 三谷 英弘君
今井 雅人君 大河原雅子君
岡本あき子君 近藤 昭一君
篠原 豪君 初鹿 明博君
山尾志桜里君 森田 俊和君
山岡 達丸君 山井 和則君
太田 昌孝君 佐藤 茂樹君
塩川 鉄也君 浦野 靖人君
…………………………………
国務大臣
(少子化対策担当) 宮腰 光寛君
内閣府大臣政務官 長尾 敬君
内閣府大臣政務官 安藤 裕君
文部科学大臣政務官 中村 裕之君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官)
(内閣官房人生100年時代構想推進室次長) 中村 博治君
政府参考人
(内閣官房日本経済再生総合事務局次長) 平井 裕秀君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 植田 浩君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 林 幸宏君
政府参考人
(内閣府子ども・子育て本部統括官) 小野田 壮君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 小野平八郎君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 矢野 和彦君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 白間竜一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 本多 則惠君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
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委員の異動
三月二十日
辞任 補欠選任
神谷 昇君 小林 茂樹君
高木 啓君 上杉謙太郎君
松本 洋平君 佐々木 紀君
三谷 英弘君 穂坂 泰君
山岡 達丸君 山井 和則君
同日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 高木 啓君
小林 茂樹君 神谷 昇君
佐々木 紀君 安藤 高夫君
穂坂 泰君 三谷 英弘君
山井 和則君 山岡 達丸君
同日
辞任 補欠選任
安藤 高夫君 松本 洋平君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
――――◇―――――
○牧原委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官・人生一〇〇年時代構想推進室次長中村博治君、内閣官房日本経済再生総合事務局次長平井裕秀君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官植田浩君、内閣府大臣官房審議官林幸宏君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、財務省大臣官房審議官小野平八郎君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、文部科学省高等教育局私学部長白間竜一郎君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本あき子君。
○岡本(あ)委員 おはようございます。立憲民主党の岡本あき子でございます。
きょうは、大臣にもお越しいただきまして質問の機会をいただき、ありがとうございます。
私からは、子ども・子育て支援法改正案について質疑をさせていただきたいと思います。
立憲民主党は、結党以来、子供を中心としてその育ちを応援する立場を貫いており、学校教育の負担軽減についても主張はしておりました。この間、二〇一四年度以降、低所得者層、一人親家庭、第二子以降の子供たちなど、順に負担軽減に取り組んできてくださっていることについては、私たちの思いも実現していただき、評価をしているところです。
今回、改正案第二条の二項に、子ども・子育て支援の内容及び水準は、「良質かつ適切なものであり、」そして「子どもの保護者の経済的負担の軽減について適切に配慮されたものでなければならない。」とうたっております。これはとても大事な点だと思っています。
まず、資料の二の方を先に見ていただければと思うんですが、今配付いただいていると思いますが、新聞に載りましたけれども、本会議の代表質疑でも触れさせていただきました。
認可保育所に関しては、この資料に載っています表の中で、いわゆる年収六百四十万円を超える方に消費税の増税分の五割が回ってしまう。また、四百七十万超えを合わせても八三%。消費税増税分でいわゆる認可保育所の無償化に充てる分のほとんどが、年収四百七十万超え、特に年収六百四十万超えの方々に回ってしまうということでいきますと、先ほど申し上げました改正案の第二条のところ、「経済的負担の軽減について適切に配慮されたもの」なのかどうかというところについて、私は疑問を抱かざるを得ません。やはり不公平感が生じるのではないかと思っています。
資料一に戻っていただきまして、この不公平感と優先順位のつけ方について大臣にお答えいただきたいんですが、これが今回無償化になる対象になるだろうと思われる、私の方で枠をくくらせていただきました。上の左側がこども園、それから、上の右側が認可保育所、下が幼稚園になります。こども園と幼稚園については全て、それから、保育所については、保育認定の子供の二号認定、三歳以上のお子さんについては全て、それから、三号認定、三歳未満のお子さんについては1と2、非課税世帯以下ということになります。
ここで、二号認定の6、7、8をごらんいただきたいと思います。いわゆる六百四十万円を超える方々になります。
確かに、五万八千円、七万七千円、十万一千円、自治体によってこの金額を取っているとは限りません。米印の四番もありますし、あるいは、自治体単独で頑張ってくださっているところもあります。でも、例えば、8番の十万一千円があれば、右側の三号認定の3、4、4は二つに分かれていますけれども、一万九千五百円、三万円、三万円、8番お一人分で3、4の方々三人分手当てすることもできるんじゃないかと思います。
一気に無償化をするということよりも、段階的に、しかも、生活保護の方からも消費税はいただかなければいけません。そういう意味でいきますと、今回、増税をした分をこういうところに充てる。幼稚園でいきますと、下の表でいきますと、白い空白になっているところが手当てされることになります。グレーのところはもう既に手当てされていますので。
増税分をこういう形で手当てをするということについて、私からすると、やはり、先ほど申し上げました所得の低い方、あるいは多子世帯であれば第一子からでも手当てしてあげてもいいんじゃないか、そういうことも含めて優先順位をつけるべきだと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
○宮腰国務大臣 今般の幼児教育、保育の無償化では、ゼロ歳から二歳児までの子供については、待機児童の問題もあることから、その解消に最優先で取り組むこととし、住民税非課税世帯を対象として進めることにいたしました。さらなる支援については、少子化対策や乳幼児期の生育の観点から、安定財源の確保とあわせて検討することにしております。
この幼児教育、保育の無償化につきまして、高所得者を優遇しているといった声があることは承知しておりますが、もともと、所得の低い方の保育料は既に公費を投じて負担軽減を図ってきておりまして、さらに、これまで、低所得世帯を中心に、先んじて段階的に無償化の範囲を拡大してきております。
例えば、生活保護世帯と住民税非課税世帯に対し、合わせてこれまでに約四千五百億円の公費を投じて負担軽減を図ってきております。したがいまして、今回の公費負担額のみをもって中高所得者を優遇しているとの指摘は当たらないものと考えております。
そのほかにも、低所得世帯の子供を対象とした高等教育も無償化されるため、教育の無償化全体としても低所得者世帯に手厚いものというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 私は、今回の消費税を増税する分を充てるということについて、やはり不公平感が生じると思っております。今までは一般財源で一生懸命捻出をして、段階的に御努力をいただいておりました。そういう意味でいくと、一概に今まで手当てしていたからいいんだというよりは、今回消費税増税を充てるということについて、やはりもう一度お答えいただければと思います。
あわせて、私たちからすると、待機児童の解消、それから質の確保というところも、先にその受皿を整備して、誰でもきちんと入れる状態になって、その上で利用料の負担軽減ということに取り組むべきだと思います。
資料三をごらんください。十九日の新聞記事です。「認可保育施設 三割落選」、東京都下の三十区市になります。保育所の待機児童、解消に向かうどころか、残念ながら三割も落選する。この後、当然、利用調整があります。ただ、希望する保育園に入れないというのは事実です。
ここでちょっと注目したいんですが、三段目になりますが、「目立ったのが、三歳児の落選率の高さ」という記事になっています。港区で八割が落選、世田谷区で四九%、中野区で四七%。なぜかといいますと、今まで、保育の受皿でゼロ、一、二を一生懸命ふやしてくださっておりました。企業主導型保育もほとんどがゼロ、一、二です。結果として、二歳を過ぎた後の行き先を探すのに苦慮しているという実態が浮き彫りになっています。
ここに加えて、三歳以上無償化となります。今申し込んでいる方でも、三歳での待機がふえてきているというのが直近のニュースになりました。これに加えて無償化ということがあれば、更に待機児童、非常に心配をされています。
私たちは、やはりまずは、私たちは消費税増税分を使うという前提になっていること自体賛成をするものではありませんけれども、少しでも財源があるのであれば、まずは受皿を整備をして、そして質を担保して、その上での無償化、段階的に取り組むべきだと思います。
待機児童が三歳から五歳はないんだという答弁を今までされておりましたけれども、やはり新たな動きが出てきていると思います。これも踏まえて、やはりいま一度ここを見直すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○本多政府参考人 お答え申し上げます。
まず、質の確保を行うべきではないかという御指摘でございました。
今般、認可外保育施設につきましては、待機児童問題によって、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外を利用される方がいらっしゃることから、代替的な措置として、幼児教育、保育の無償化の対象としております。
質の確保につきましては、まず、原則、都道府県等に届出を行って、国が認める指導監督基準を満たすことが必要でございますけれども、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たすために、五年間の猶予期間を設けることとしております。
今般の幼児教育、保育の無償化を契機として、認可外保育施設の質の確保、向上を図ることが重要だと考えております。このため、児童福祉法に基づく都道府県等による指導監督の充実を図ってまいります。
具体的には、巡回支援指導員の配置の拡充、指導監督の手法、ルールの明確化等による都道府県の指導監督の徹底、また、認可施設に移行するための運営費の補助等の支援を行ってまいります。
また、市町村の役割も極めて重要であると考えておりまして、改正法案におきましては、市町村長に対して、対象となる施設を特定する確認、施設からの報告徴収、勧告、命令、確認の取消し、さらに、都道府県知事に対する必要な協力要請などの権限を与えるための規定を設けております。
こういったことで質の確保、向上についても検討を進めながら、無償化の円滑な施行に向けて検討を進めていきたいと考えております。
また、待機児童の解消も当然待ったなしの課題として、こちらも最優先で取り組んでいくということでございます。
現在も保育所等に預けられない親御さんがまだまだいらっしゃるという事実を真摯に受けとめて、引き続き待機児童解消に向けた取組を推進させることが必要だと考えております。子育て安心プランに基づいて、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿確保に全力で取り組んでまいります。
委員から御指摘のありました、ことしの春の入園の状況につきましても、委員の御説明の中にもありましたとおり、まだ第一次選考の段階ということで、これから順次選考が進んでいくものと思われますけれども、三歳児の動向についても注視をしてまいりたいと思います。
○岡本(あ)委員 待機児童の問題については、やはり、本当に受皿の整備ときちんとマッチングされているのかどうかというところはとても大事なところです。
今御答弁いただいたとおり、ニュースでは、東京都下で三割落選、要は、希望したところには入れなかったというのが今回の通知なんです。
この後、こっちだとあきがあるけれどもどうですかという調整が入りますよね。それを含めて最終的に待機児童の精査になるんですが、例えば、希望していないところでも、あいているところだから仕方なく入るという選択肢になっていくんです。通勤経路から外れるけれども、でも、保育園に行けないよりは入れた方がいい、入れていただけるだけありがたいということで、わざわざプラス三十分、一時間を負担しながら行かれる方。あるいは、兄弟で別々の場所に、希望は同じ園に入りたいんだけれども、そこは断られた。でも、こちらであきがあるからと、兄弟で別々の園に入らざるを得ない。それでも、入れれば待機児童からはカウントは消えます。あるいは、認可外を選ばざるを得ない。そういうような状況が起きているんです。
なので、これから利用調整して、いろいろと不便はあるけれども、何とかおさまってくれればいいではなくて、きちんと希望するところに入れる環境をつくるということが大事なんだと私は思っています。
質の件はもちろんです。後ほど市長会のお話もさせていただきますけれども、市長会からもやはり質の確保という懸念をいただいておりますので、私は、また重ねてになりますが、待機児童解消が見えてから段階的に負担軽減に取り組む、しかも、待機児童の解消というのは、質を担保した受皿がきちんと整えられることが優先なんだということを指摘させていただきます。ぜひ大臣にはこの点を忘れずにいていただきたいと思います。
御答弁では、何とかするような御答弁をいただいていますが、でも、やはり数字は動いておりますし、今度、三歳の壁というのが新たに出てくる懸念もございますので、ぜひ待機児童解消を最優先で取り組んでいただきたいと思います。
あわせて、今度、幼稚園の方に話題をかえさせていただきます。
保護者負担、便乗値上げが懸念されるということを前にも質問させていただきました。先日、先輩議員も指摘しておりましたけれども、そもそも、幼稚園、私立幼稚園に関しては無償ではないと思います。要は、保育、幼児教育の無償化と私立の高等学校と合わせると、就学支援金という扱いになるのかなと思っています。
実は、高校の就学支援金制度、授業料無償化と就学支援金制度のときにも、私立、値上げの動きがございました。
資料をつけさせていただきましたが、資料を読んで棒グラフをつけさせていただきました。二〇〇九年のときの対前年の伸び率がわからなかったので、二〇一〇年からの折れ線グラフになりますけれども、この折れ線グラフが、対前年からどのぐらいの率で授業料が上がったのかというグラフです。
二〇一〇年に公立高校の授業料無償、それから就学支援金制度というのが始まりました。一気に対前年から授業料が上がりました。二〇一四年に高校授業料無償という言葉が消えて、新たな就学支援金という制度に改正されて、所得制限は入ったんですが、新たな加算の制度が始まりました。ここも少しやはり授業料が上がるんですね。
今回の幼稚園、私立の高校も、当然、質を上げるという前提で授業料が上がったと思うんですけれども、これは事実で、しかも、ちゃんと質が上がったという担保をとられていらっしゃるんでしょうか。これは当局の方でお答えください。
○白間政府参考人 お答え申し上げます。
私ども、授業料の額の調査をしておりますけれども、今お尋ねの、平成二十二年度、高等学校等就学支援金制度が開始された年度の私立高等学校については、その授業料は、前年度と比較して四・九%増の約三十七万二千円となっているということを承知しております。
○岡本(あ)委員 理由は多分定かじゃないということなんだと思いますが、私立高校の場合もこういうタイミングで授業料が上がっております。
私立高校の場合は、全国四十七都道府県があって、公立を選ぶのか、私立を選ぶのか、それは御本人に選択肢がございます。授業料が上がっても、いい教育をやっている私立だから、やはりここに行こう、そういう選択肢があり得ると思うんですが、幼稚園の場合、私立の幼稚園しかない自治体が三割ございます。残りは、公立、又は公立と私立両方ある自治体になりますが、少なくとも三割は私立しか選べない状況にあります。こういう中で、再三、便乗値上げがないようにと言わせていただいております。
あえて、授業料の設定については、しっかりチェックをする仕組み、単に届出をいただいて保護者に聞くだけではなく、授業の中身というのが質が改善された部分が現実にあるのかどうかというところをきちんとチェックしていただきたいと思います。ぜひお答えいただけますか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
近年の人材不足に伴う賃金の上昇等を受け、私立幼稚園の保育料は上昇傾向が続いており、また、今般、消費税率の引上げに伴うコストの増加も予想される中、私立幼稚園の保育料の引上げ自体が一概に不適切なわけではないと考えております。
一方、今般の幼児教育の無償化は幼児教育における保護者負担の軽減を目的としており、質の向上を伴わない保育料の値上げが助長されるようなことがあってはならないと考えているところでございます。このため、私立幼稚園団体からも、質の向上を伴わない保育料の引上げが行われることのないよう呼びかけていただいているところでございます。
政府といたしましては、引き続き、事業者に対する周知徹底を図るとともに、関係団体や都道府県、市町村等とも連携し、実態の調査及び把握についても検討してまいりたいと考えているところでございます。
○岡本(あ)委員 ぜひチェックをしていただきたいと思います。
先ほど、今までもコストが上がってきて、コストもかかるんだという御説明がございました。本来、施設の維持とかは、私学助成できちんとそれはそれで別に手当てをするべきであって、授業料はあくまでも教育の中身を評価していただきたいと思いますので、その点を忘れずに見ていただきたいと思います。
それから、地方自治体の負担と、認可外における自治体責任についてもお聞きしていきたいと思います。
市長会から意見書が出ております。資料の五ですね、つけさせていただきました。市長会からは、幼児教育、保育の無償化等の一連の施策について、政策形成過程から、財源論、方法論ともに地方側と協議がなかったことは遺憾である。協議の場でも異論を唱えて、多少改善はされました。特に、幼児教育、保育の質の確保については懸念を表明されています。
子ども・子育て検討会議、市長会の会議の方では、さらに意見として、認可外保育施設については指導監督基準を満たすべきという一項目がございます。
やはり私は、先ほど冒頭、改正案の趣旨にもあったように、良質かつ適切なものでなければいけないというのが法の趣旨に書いてある中では、この指導監督基準を満たすべきという指摘に対してきちんと応えるべきではないですか。五年間の経過措置という答弁を大臣からも今までもいただいておりますけれども、まずはこの基準をクリアすることを前提とするべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。
○本多政府参考人 お答え申し上げます。
認可外保育施設の質の確保につきましては、先ほどの御答弁ともちょっと重なりますけれども、非常に重要なことだと考えておりまして、都道府県や市町村とも連携をしながら進めていくこととしております。
また、その際には、待機児童の状況等が地域によって大きく異なることを踏まえまして、市町村が地域の実情に応じて柔軟な運用ができるよう、今回の法案では、市町村が、保育の需給状況等を勘案して、条例により対象施設の範囲を定めることを可能とする仕組みも盛り込んでおります。
子供たちの保育環境の安全確保の観点から、地方自治体との協議の場で、認可外保育施設の質の確保、向上についても検討を進めながら、十月からの円滑な施行に向けて検討を進めてまいりたいと思っております。
○岡本(あ)委員 ぜひ大臣にまたお聞きをしたいんですが、この間、指導監督基準を満たさないのは五年間の経過措置を講ずるんだという御答弁をいただいておりました。今、努力はしますとは聞いておりますけれども、でも、五年間の間に子供たちは卒園してしまいます。なので、やはり五年間と言わず、きちんと指導監督基準を満たしたところに手当てをしていくべきなんじゃないか、それが本来の法の趣旨にものっとっているんじゃないかと思いますが、宮腰大臣御自身はいかがお考えでしょうか。
○宮腰国務大臣 今回の無償化に関しまして、認可外保育施設に関しては、待機児童問題により、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方々がいるということから、代替的な措置として対象としたものであります。
原則、都道府県等に届出を行い、国が定める認可外保育施設の指導監督基準を満たすことが必要でありますが、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たすために、五年間の猶予期間を設けるということにしたものであります。
子供たちの保育環境の安全確保の観点から、地方自治体との協議の場で、認可外保育施設の質の確保、向上についても検討を進めながら、十月からの幼児教育、保育の無償化の円滑な施行に向けて検討を進めていくわけでありますが、厚生労働省にこの点についてはしっかりと指導させたいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 御答弁いただけなかった五年も本当にかける必要があるのかどうかというところは、私は非常に心配をしております。
五年間そういう指導監督基準を満たさないところにお子さんを預けるのを、税金を使って、そこでもいいですよということになりかねないということについては、非常に、税金を使うという意味でも、そこは私は一歩踏みとどまるべきだと思います。少なくとも一年、二年、せいぜい一年とかいうならわかりますけれども、五年もいたら、お子さんはずうっと質が担保されないところでいわゆる幼児教育、保育を受けることをよしとするということにもなりますので、ぜひその点は考えていただきたいと思います。
私たちは、やはり優先順位が違うんじゃないかという指摘をさせていただきます。自治体の負担も今後ふえますし、きょうは児童育成協会の方にお越しいただけなかったので、企業主導型保育については質問は省略させていただきましたけれども、企業主導型保育も待機児童解消あるいは無償化の中で非常に大きな存在になっておりますので、またの機会に伺わせていただきたいと思います。
いずれにしても、やはり待機児童解消が先、それから質の確保が先、その上で段階的に無償化を進めるということを言わせていただきたいと思います。
大臣から最後、お聞かせいただければありがたいと思います。
○宮腰国務大臣 今回、幼児教育、保育の無償化は、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入し、社会保障制度を全世代型へと大きく転換していくという考え方に基づいて、少子化対策あるいは幼児教育の重要性の観点から実施するものであります。
待機児童についても、これはしっかりと解消に努めていく必要があると思っております。厚生労働省の方で、三十年度の補正予算それから三十一年度の予算において、待機児童解消のための施設整備費の支援の予算をしっかりと組んでいただいております。
私の地元などでは、実は待機児童はゼロです。が、今回の無償化によって仮に入園する子供さんたちがふえるとすれば、その備えをやっておかなくてはいけないということで、今回の厚生労働省の予算を活用して、富山市などでは三百四十五名の新たな受皿確保の予算を今計上しております。
ぜひ、こういう予算を活用して、待機児童がいる地域の市町村においては積極的にその受皿の確保に努めていただきたいな、我々も全力で応援したいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、大島敦君。
○大島(敦)委員 国民民主党の衆議院議員の大島です。
今回の法案について何点か質問をさせていただきたいと思います。
まず、今回の法案のベースになっている制度は、子ども・子育て支援新制度がベースになって今回の法案、幼児教育の無償化が出てきていると認識をしておりまして、まず、この子ども・子育て支援新制度の評価について。
これまで皆さんここで議論したとおり、都道府県によって相当グラデーションがあると思います。二〇〇〇年、私が当選したときには保育所と幼稚園があって、それぞれ、長野県だと保育所だけですし、埼玉県ですと幼稚園と保育所が半分半分、あるいは幼稚園が非常に多い県もあって、地域のそれぞれの風土によって、幼稚園に頼るのか、保育所に頼るのかというところが大分差があるなと思っていました。
それを子ども・子育て支援新制度で一つにして、なかなかわかりにくいんですけれども、従来どおりの幼稚園、従来どおりの保育所、そして子ども・子育て支援新制度による新しいタイプの教育機関、保育機関だと思っていまして、その点の評価について大臣の率直な御見解を伺いたいと思います。
○宮腰国務大臣 委員御指摘のとおり、平成二十七年四月から始まった子ども・子育て支援新制度では、それまでは幼稚園は文部科学省所管の私学助成、保育所は厚生労働省所管の保育所運営費、認定こども園はその両方と、施設類型によって別々であった財政支援につきまして、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の施設型給付として内閣府に一元化し、公定価格により財政支援を行うことにいたしました。
この公定価格の設定に当たりましては、平成二十四年の子ども・子育て支援法成立時の附帯決議も踏まえ、定員規模等も反映をしており、さまざまな施設規模、類型に応じた安定的な運営が可能となっている、そういうふうに考えております。
今回の幼児教育、保育の無償化についても、やはり、支援新制度の理念を踏襲しているといいますか、その方向に沿ったものになっているのではないかというふうに私どもとしては考えております。
○大島(敦)委員 子ども・子育て支援新制度をつくる前の議論にずっと参加していたものですから、当時の私立学校幼稚園は結構反発していたのは事実です。やはり自由に教育をしたいという思いを私学の幼稚園は持っていまして、それを厚生労働省的なシステムに変えるものですから、そこの反発は結構強かったと承知をしております。
私も、当時は、もうちょっと私学の幼稚園としての裁量の幅、自由な教育を進めた方がいいのではないかという思いもあったんですけれども、結果的に、この子ども・子育て支援新制度によるカテゴリーができたことによって、多くの私学の幼稚園が全国で、特に地方において救われていると私は思っていまして、その点についての御見解をいただければと思います。あるいは政府参考人でも結構です。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
二〇一五年四月に施行されました子ども・子育て支援制度におきまして、施設型給付として財政支援を一本化するなどの制度改善を図ってきたところでございます。その結果、幼稚園、保育所の双方から認定こども園への移行が進んできてございます。
具体的に申し上げますと、二〇一四年四月時点の認定こども園数は一千三百六十園でございましたが、それ以降、毎年一千園以上増加しまして、二〇一八年四月現在では六千百六十園となってございます。
このように、認定こども園への移行、あるいは新制度の幼稚園への移行が着実に進んできているというふうに考えているところでございます。
今後とも、希望する園が、教育、保育を一体的に提供する認定こども園等へ円滑に移管、移行できるよう、その支援をしっかりと行ってまいりたいと考えてございます。
○大島(敦)委員 今、政府参考人から御答弁がありました。私学の幼稚園から移行するに当たっては、子ども・子育て支援新制度による施設給付型の認定幼稚園になるのか、もう一つは、そのまま認定こども園になるという、段階としては、幼稚園があって、施設給付型の幼稚園があって、その先に認定こども園がある、あるいは、幼稚園から直接認定こども園になる、そういう移行の理解でよろしいですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
いろいろな移行のパターンがあろうかと思います。委員今御指摘のとおり、幼稚園のまま移行する場合もあれば、認定こども園への移行も、いわゆる幼稚園型として幼稚園単独から移行される場合、あるいは、幼保連携型認定こども園ということで、幼稚園と保育所が合わさって移行されるようなケースも、いろいろあろうかと思います。
ちなみに、二〇一八年四月現在の六千百六十園の認定こども園の内訳でございますけれども、幼稚園単独からの移行数が一千九百四十一園、保育所単独からの移行数が三千五園、まさに幼保連携がこれに当たると思いますけれども、幼稚園と保育所からの移行が八百十六園という内訳になってございます。
○大島(敦)委員 政府参考人に数字の確認をしたいんですけれども、移行する都道府県なり地域の傾向が多分あると思うんですけれども、その点についてお気づきの点があったら、ちょっと答弁をお願いします。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
地域ごとで、委員御指摘のとおり、少し傾向が違っていると承知してございます。
例えば、待機児童が多い東京、埼玉、千葉などにおきましては、認定こども園への移行を含め、子ども・子育て支援新制度へ移行していない幼稚園が比較的多いというように認識しているところでございます。
国におきましては、現在、認定こども園への移行を希望する幼稚園に対しまして、施設整備費の補助や運営に要する費用を一部補助するなどの事業も行っているところでございます。希望する幼稚園が円滑に認定こども園に移行できるよう、関係省庁と連携しつつ、引き続き取り組んでまいりたいと考えてございます。
○大島(敦)委員 今の答弁で、都市部においては、待機児童が多い、あるいは保育のニーズが多いということで、私学の幼稚園について余り移行が進んでいない。
ただ、大臣の地元でもそうなんですけれども、待機児童が余り多くない、待機児童がない地域においては、少子化に伴って、保育する子供の数、あるいは幼稚園に入園するお子さんの数が減っていますから、その分、子ども・子育て支援新制度による新しい制度に変えている保育所なり、特に幼稚園が多いと私は思っています。そのことは、当時の議論からすると、幼稚園の皆さんは大分、ちょっとどうかなとは思っていたんですけれども、非常によかった制度だと今理解をされていると思います。
それで、当時危惧された点が余り、私の実感値としては、行政が事細かに指導するというところ、教育内容にまでというところはなくて、ある程度これまでどおりの教育の内容に基づきながら安定的に子供をお預かりできる状況があるので、このことは地域を維持するためには私は結構必要だと思っています。
小学校が消えてしまうと、そこに住む人は少なくなります。やはり幼児教育のそういう保育所、幼稚園があることによって、それは地域の力としてしっかりと維持されているという観点も必要かと思うんですけれども、その点について大臣の御感想をお聞かせいただければと思います。
○宮腰国務大臣 委員の御指摘のとおりだというふうに思います。
まず、義務教育の小学校、中学校、これは確実に整備がなされなければいけない。その前段の幼児教育、保育の段階で、特に私立の幼稚園あるいは保育園が多いところにおいて、少子化の影響で園がなくなっていく、そういうことなどは決してあってはならないというふうに思っております。
でありますので、今ほど委員御指摘のとおり、今回の、今回のといいますか、新制度において、一定の経営の安定ということが図られ、かつ、私立の幼稚園については建学の精神などもしっかりと維持しながら経営ができているという状況を確保していくというのは、これからも必要であるというふうに考えております。
○大島(敦)委員 幼児教育の一体化という言葉は昔から言われているんですけれども、結構大変でして、厚生系的な考え方と学校教育的な考え方がなかなか相入れないところがあったりもして、このところ大分なじんではきているかとは思うんですけれども、人材の交流は各省ごとに行われているものですから、ただ、まだまだここの一体化が進んでいない実態はあると思います。ですから、やはりここのところもしっかり考えながら制度を組み立てなければいけないなと思っています。
今後、こういう社会保障制度をどういうふうに考えるかという問題があると思います、今後の私たちの社会において。
その中で、例えば、昨年の内閣府が出している経済財政報告書がありまして、その中にこういう記述があります。経済財政報告書の中に、先進国において、一九九五年から二十年間、二〇一五年までの仕事のスキルを低、中、高と分けて、それぞれの仕事のスキルの割合がどう変化しているかということについてのレポートをOECDが出しています。そのレポートを見ると、各国ごとに中スキルが今減っているんです、中スキルが。
ですから、今後、二〇二〇年代になると更に中スキルの仕事が減ってくるとすれば、先進国の社会は、多分、今はこういう中間層が非常に山になりますけれども、フタコブラクダで、一つの山ができて、そして高所得者の山ができるような、そういう社会が今後予測される。そこにおいてどうやって社会を維持していくかということが私としては大切だと思っていて、そのためには、これは思想が分かれます。思想が分かれます。
そのためには、やはりユニバーサルに普遍的に制度については現物で給付をしていくという考え方、そして、所得の格差については税の観点からそれをバランスをとっていくということが私はふさわしいことだと思っています。
私たちとしては給付つき税額控除という考え方を持っていて、所得控除ではなくて税額控除にすることによって、高額所得者に税を御負担していただいて、それを所得がさほど高くない方たちに充てるという制度を考えておりまして、ですから、今回の無償化についても税と表裏一体で議論しないと理解が進まないと思っていまして、その点についての宮腰大臣の率直な感想を伺わせていただければと思います。
○宮腰国務大臣 今の点はなかなか難しいと思っておりまして、私の頭ではなかなかお答えすることはできないと思います。
ただ、前段の方の、こぶが二つ、山が二つできるのではないか、これからの時代。確かにそういう点はあろうかと思います。特に、若年層というのは最初の山に来るということでありますので、真ん中の山がだんだん低くなってきて、両サイドの山が、低所得の山と高所得の山がふえてくるのではないかという先生の御指摘は、その可能性は十分高いと思っております。
でありますので、どうしてもまだ働き出してそんなに時間がないわけでありますから、若年層の所得水準の低下ということを考えると、社会保障制度を全世代型にやはり切りかえていくということは、これからどうしても必要になってくるのではないかなというふうに考えております。
○大島(敦)委員 若干補足させてください。
例えば、今こうやって私がしゃべっているのは議事録が作成されております。衆議院は二〇一一年から音声自動入力になっています。私、きょうは四十分間ですから、五分ピッチで八人の方が私のこの発言を分担して、その場で文字変換を全部見ています。
ですから、前は、速記者は、十八で衆議院が雇用し、二年間速記学校に入っていただいて、それから熟練してから速記者としてひとり立ちをしていたのが、そこが今全部なくなっていまして、音声自動入力で五分ピッチで八人が私の議事録を瞬時に起こしております。その中の付加価値というのは、私の議事録で、この間もそうでしたけれども、数字の勘違いとか事実の誤認があった場合には、全部、記録部の方から私のところに、ここが大島違っていますよということで上がって、これが付加価値の部分です。
ですから、中スキルというのは、速記のようなこういう仕事が失われていくの。そうすると、高スキルの、議事録を見て事実を確認し、法文を確認し、ここどうなんですかと言ってくる、この付加価値のある仕事が残ることになるわけ。
あともう一つは低スキルの仕事が残るというこれからの二〇二〇年代に向けての社会をどうやって安定的に保つかという観点に立ったときには、やはりそれは、ユニバーサルに普遍的に、要は、給付は全員に所得格差なく行うという哲学があって、あとは税の問題でそれを補っていくということが必要だ。それは消費税かもしれないし、所得税かもしれないし、法人税かもしれないし、今言われているGAFAに対する課税かもしれない。
例えば、民泊をやっているエアビーアンドビーの一万円の民泊に泊まると、一五%の千五百円、これはダブリンに振り込まれて、そこで課税されるわけ。スターバックスについては日本とイギリスだけだったと思います、その国で課税されるのは。
というように、さまざまな税の体系を見直さなくちゃいけない。その中の一つとして、今回の幼児教育の無償化を私は議論したいと思っているんです。
ですから、そうすると、今回、不幸なことに、新たな経済政策として幼児教育が入ってきたりもするわけですよ。思想がどこにあるのか、よくわからないわけ。これは結構な金額を使いますから、一つの哲学があってこういう制度を入れるということにしておかないと、今後の設計をするに当たっては、結構大変というのかな、理解が進まないところがあると思っています。
ですから、その点について政府参考人から、新たな経済政策パッケージに幼児教育の無償化がどうして経済政策として入っているのか、その点についての答弁をお願いします。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
少子高齢化、そして人生百年の時代にあって、これまでの教育、仕事、老後という単線型のモデルではない、多様な人生の再設計を可能とする教育や雇用制度、社会保障など、国の制度のあり方を考えていく必要があると考えてございます。
こうした観点から、人づくり革命の取組を進めることとし、二〇一七年十二月八日に、今先生御指摘の新しい経済政策パッケージを取りまとめ、閣議決定がされました。これによりまして、政府として正式に、消費税の増収分を活用して幼児教育の無償化等の取組が決定されたところでございます。
新しい経済政策パッケージにおきましては、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るという少子化対策と、生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性に鑑み、幼児教育、保育の無償化を実施することとしたものでございます。
○大島(敦)委員 単発的にはわかるんですけれども、どういう思想かというところがちょっとわからないところがあって、全世代型社会保障という言葉、全世代型社会保障は何か、これをもう一度答弁してほしい。この全世代型社会保障というのは、理念とか、こういうものはどういうところに置いているのか。
私が言っているのも、ユニバーサルサービス、オール・フォー・オールという考え方が、全て税でお互いに助け合おうじゃないかという仕組みを社会の中でつくっていかなければいけない、つくりたいと思っている立場なものですから、そこの税の問題を、全世代型の社会保障というワードの中だとどういうふうに捉えているのか、その点について答弁をお願いします。
○平井政府参考人 お答え申し上げます。
人生百年時代という時代を迎えていくこの国の中で、教育、就労、老後というスリーステージ、三つのステージを皆が一斉に進むというこれまでの単線型社会を前提とするということが非常に難しくなってきている中、委員御指摘のような技術革新も進んでくる、そうした中では、人生の再設計が可能となる社会に対応した教育、雇用制度、そして社会保障制度に改革していくことが必要だというところの認識がまず第一歩でございます。
少子高齢化、そして人生百年時代にありまして、我が国が誇る社会保障のあり方もまた大きく変える必要がある。お年寄りだけではなく、子供たち、子育て世代、さらには現役世代まで広く安心を支えていく全世代型社会保障への転換をなし遂げることが必要ではないかという観点から、これまで、幼児教育、高等教育の無償化、そして、お話のありましたような付加価値の変遷に伴うリカレント教育の充実ということにも腐心をしてきたわけでございます。
そして、今取り組んでおりますのは雇用問題、既に、未来投資会議におきまして、七十歳までの就業機会の確保ですとか、中途採用、経験者採用の拡大など、雇用制度の改革に向けた検討を開始しておりますし、健康でなければ働き続けたくても働けないし、人生の再設計もできないという観点に立ちまして、健康維持や、糖尿病、認知症などの予防についても議論を進めていくところでございます。
このような人生の再設計を可能とする諸改革が全世代型社会保障の基盤となるものでございまして、こうした基盤整備についての議論、決定を経た上で、ことしの夏ごろから、与党や経済財政諮問会議におきまして、給付と負担の見直しなども含めた社会保障制度の改革を検討していくというふうになっているところでございます。
○大島(敦)委員 そうすると、その給付と負担の議論はこの後ということになるわけですよ、給付と負担の議論はこの後だと。今回は給付の議論だから、本来であれば、給付の負担の議論をしっかりして、我が国として十年、二十年もつ制度をどうやって設計するかというのをしっかり議論した上で法案を提出するのが本来の姿だと思っています。だから、ここだけ出しているから、どうしても理解が進まないわけですよ。
今言っていたのはさまざまな項目であって、一番嫌なことを触れていないわけ。税をどうするかという問題。やはり、税をどうやって、財源がない中でどうやって構築していくのかという問題が結構必要だと思います。大臣もそういうふうに思っているかなとは思うんですけれども。
ですから、給付だけが抜き出されていること、そして、あれだけ苦労して消費税の導入をした、この消費税を使うということについてなかなか理解が深まらないというところが今法案審議の本当に不幸なところだと思っています。
思い出してみると、社保税の一体化のときに、ここにいらっしゃる皆さん、公務員の皆さんは給料が減っているわけですよ。二年間で五千五百億円。国民の理解を深めるために、管理職で一〇%、そして課長補佐、係長で八%、そして一般の皆さんで五%。五千五百億円、これは人事院勧告があるにもかかわらず、震災と財源のこと、財政のことを考えて御負担願って、社会保障と税の一体改革を通して、今の三%上げ、二%上げようとしているというところがあるわけ。ですから、この税財源についてしっかり議論した上で本来であればこの法案を出すべきだったと私は思っています。
ただ、思想としては、やはり、ユニバーサルなサービス、普遍的なサービス、所得格差なく。これは高校授業料無償化のときの議論ですよ。
あのとき私たちは、所得格差なく高校授業料を無償化したわけ。これは、井手英策先生からわかりやすい事例で言われるのは、そこで所得格差を入れると、どうして自分の子供の高校生が授業料を払わなくちゃいけないのに、こちらの高校生がちょっと所得が低いから授業料を払わなくてもいいか。自分の息子は払うのに、どうして払わなくていいか。そこで社会的な分断が起きる。だから、サービスとしては全て所得制限なくというのが基本だと思っている。
ですから、今回は幼児教育については所得格差を設けません、高校授業料はいまだに所得格差を設けているということは哲学がないという話なわけ。どういう社会をつくりたいのかよく見えないということが、今回、当委員会でのこの法案の議論がなかなかかみ合わないところにあるかなと思っています。
その点について宮腰大臣から、この哲学の問題について大臣としての御所見を聞かせていただければ幸いなんですけれども。
○宮腰国務大臣 給付と負担の問題はなかなか難しい問題でありまして、先生おっしゃるように、どういう哲学で今回無償化になるのか、あるいは、その際に高校教育との関係はどうなのかといったようなことは、確かに御指摘のとおりの問題もあろうかと思っております。税・社会保障の一体改革以来、全世代型社会保障というのは方向性として打ち出されてきたものではないかというふうに考えております。
平成二十五年八月の社会保障制度改革国民会議の報告書におきましても、社会保障制度改革の方向性で、子育て支援を含む八つの社会保障の全てが支える未来の社会ということで、全世代型の社会保障への転換が図られ、子ども・子育て支援の充実が約束されたことは画期的であると。この方向に沿って、今回の幼児教育、保育の無償化を一歩大きく進めるものである、私はそういうふうに考えているわけであります。
平成二十四年の子ども・子育て支援法、成立したわけでありますが、その際の附帯決議において、「幼児教育・保育の無償化について、検討を加え、その結果に基づいて所要の施策を講ずるものとすること。」とされておりまして、これまで政府として財源の確保などの検討を行いながら、平成二十六年度から段階的に無償化を実現をしてきた。今回は、そういう意味では、税と社会保障制度改革、一体改革の方向に沿って実現をしてきていると思っております。
ただ、給付と負担のあり方については、先生御提案の給付型税額控除、このあり方については自民党内でも以前からずっと議論がなされておりますけれども、その妥当性についてはいろいろな議論があるということは我々もよく承知をさせていただいておりまして、給付と負担のあり方、特に、子供の問題については、教育の問題については、これからも引き続きしっかりと議論していくべき大きな課題ではないかなというふうに考えてはおります。
○大島(敦)委員 ありがとうございます。
給付と負担、負担の方はなかなか政治的には大変な問題です。ですから、国家公務員の皆さんが二年間にわたり、震災の財源確保あるいは財政事情を見て、五千五百億円、労働争議が起きることなく御負担いただいたということは、私は非常に感謝を申し上げていまして、このことは私たち政治としては常にテークノートしなければいけないことだと思っています。
ですから、税の問題は、今後どうやって、消費税が一〇%で終わるのか、その後も更に上がっていくのかという問題があります。ですから、今回、やはり、当初の決まりどおり上げた方がいいという考え方もありますけれども、ある一面、期待が多いのも確かです。保育料、授業料が無償化されることによって、保護者、お父さん、お母さんから無償化になるということに対する期待が多いことも確かです。ですから、その点も理解しながら、これは消費税に対する理解が深まるケースかなとも思います。
これまでは、どちらかといえば、消費税というのは、三%に導入したときも、五%に上げたときも、もちろん使い方としては財政の再建に寄与するということなんですけれども、今回の五から一〇に上げるというのは物すごく難しいことです。五から一〇に上げるのが一番難しいと思っています、この過程が。
これは社会保障に使うということで一応コンセンサスを得てきたものですから、ここの基軸を守りながら、ただ、今後これで済むのか。多分、今の現代金融理論によるとこれで済むらしいんですけれども、オーソドックスな金融理論だとそうもいかないものですから、オーソドックスな立場からだと、今後の消費税の議論も更にあると思うので、ですから、今回の、どうやって消費税を使うか、充てるかというのは、今後の消費税の議論についても大きなやはりメルクマールになるかなと思っている。消費税を納めた、それによって給付がある、やはり消費税は社会を安定させるためには必要だというふうに思っていただけるケースかもしれないわけ。ですから、この制度についての哲学が必要だというお話をさせていただいているんです。
今後は高校授業料もやはり所得格差なくユニバーサルに普遍的に給付していく、そのかわり税の負担というのは皆さんにあまねくお願いしますよというところをしっかり議論するタイミングに来ているかなと思います。
そういう社会保障制度の仕組みをつくらないと、今後の我が社会が、先ほど申し上げたとおり、中間層がそれほど多くふえない社会になると思えば、減ってしまうと思えば、そういう制度設計が必要かなと思って今御議論をさせていただいているところです。
もう一つ質問したいと思うのは、今回、これもたびたび議論になっている給食費、食材費の問題なんです。これは結構シンボリックだと思います。
文科行政的には、小学校から中学校は義務教育ですから、そこの考え方を三、四、五まで落としてくるという考え方だとのみ込みやすいところがあるんです。ですから、ここの給食の考え方について、若干その点について御質問をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。手短にお願いします。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
小学校、義務教育につきましてですが、学校教育法の規定に基づき、給食施設設備費や人件費は学校の設置者が負担し、残りの食材料費は保護者が負担するということになっているところでございます。
今回、幼児教育の無償化に関連してでございますが、幼稚園における給食費の負担のあり方について定めた法令等はございませんが、幼稚園において給食を行う場合の給食の提供に要する経費については、私学助成や子ども・子育て支援制度における施設型給付を通じて補助を行っているところでございます。
例えば、食材料費など、給食に要する費用から当該補助を差し引いた残りの費用については、原則として、各園において保護者から実費相当分を徴収しているものと承知しているところでございます。
○大島(敦)委員 大臣、今回のこの無償化の議論は、少子化という観点も入っていたかと思うんですよ、少子化という観点も。そうすると、食材費について無償化する議論がなかったのかというところについて伺いたいんです。
私も、小学校の学校給食、ちょっと興味を持っていまして、数年前なんですけれども、港区白金小学校の学校給食を視察をさせていただいたり、無償化しているのが栃木県の大田原市で、そこは子供たちと一緒に御飯を食べたり、あるいは、足立区、ここは、限られた予算の中で、当時レシピの本が出るぐらい学校給食を充実させていたり、やはり学校給食をどう考えるかというのが今後のテーマだと思っている。
今、共働きが基本的なスタイル、若い人たちは共働きが多くなっていますから、なかなか子供の朝御飯をつくれないし、なかなか充実することが難しかったりもして、もともとお弁当のかわりの学校給食なので、メーンの食材というよりもお弁当がわりということなので、時間も短いしというところがあったりもして。
ですから、義務教育課程における給食費の無償化の議論もあったりもして、もしも、若い世代を助けるということを皆さん答弁されているので、そうすると、今回、財源を充てるんでしたら、ゼロ歳から五歳まで食材費を無償化する、三、四、五についても全額国が見る。今のゼロ、一、二は保育料の中に入っているはずなので、そういう議論があってもいいのかなと思うんですけれども、その点についての大臣の御答弁をお願いします。
○宮腰国務大臣 食材料費については、認可保育所を利用する三から五歳児の食材料費については、これまでも保育料の一部として、又は施設による徴収により、保護者の方に御負担をいただいております。
幼稚園につきましては、給食の実施義務はなく、実施する場合には各施設が実費として徴収を行っておりまして、無償化後もこの取扱いは変わらないということであります。
この給食費については、在宅で子育てをする場合であっても生じる費用であること、既に無償化されている義務教育においても実費相当の負担をいただいていること、さらには、例えば医療の現場あるいは介護の現場においても実費という形で徴収をしていることなども含めると、引き続き保護者に御負担いただくことが適当ではないかというふうに考えております。
今回、同時に、副食費については、保護者負担の免除対象を、これまでの生活保護世帯や一人親世帯から、年収三百六十万円未満相当の世帯に拡充することといたしておりまして、低所得者世帯に配慮いたしております。
負担と給付というふうな観点からしても、私は、ここの部分は、やはり本来、申し上げたように、引き続き保護者負担とするのが適当であるというふうに考えております。
○大島(敦)委員 ありがとうございます。
ただ、大臣おっしゃったとおり、今、御答弁の中で、三、四、五歳については、多くの子供たちが幼稚園、保育園あるいはこども園に通っていらっしゃるので、そうすると、ほぼほぼ全員が通っているとすれば、食材費、子育ての観点から、無償化するという理屈も成り立つかとは思う。ですから、ここの議論も、一つは、少子化という観点をもしも含めるのであれば、若い世代にしっかりとした御負担を下げるという観点も必要かなと思うものですから、その点も最後に述べさせていただきまして、私のきょうの質疑は終了させていただきます。
ありがとうございました。
○牧原委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十時十一分休憩
――――◇―――――
午後一時三十分開議
○牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。森田俊和君。
○森田委員 国民民主党の森田でございます。
三十分のお時間をいただいて、宮腰大臣、そして文部科学の方からは中村政務官にお越しをいただいております。よろしくお願いをいたします。
最初に、保育士体験のことについてお伺いをさせていただきたいなと思っております。
保育士体験といっても、制度によって、幼稚園であれば教諭の体験になるんでしょうし、こども園であればまた違う言い方になるのかもしれませんが、いずれにしても、親が保育の現場に行って一緒に体験をさせていただくというような、そういうことについて広くお伺いをさせていただきたいなと思っているんです。
私が、今、一番上の娘が高校生になっているので、もうしばらく前の話になりますけれども、三人、うちは暦でいうと年子なものですから、私とか妻がかわりばんこに保育士体験を、たまたま私は、熊谷のなでしこ保育園さんというところで子供たちがお世話になっていた関係で、毎年三人の娘のところに、そのクラス、そのクラスで行くので、年に二、三回はお互い交代しながらやっていたんです。そうすると、男親であっても女性であっても、エプロンをつけて、例えば絵本の読み聞かせをしたりとか、あるいは園庭で遊んだり、あるいはおやつの時間だとか給食の時間になれば一緒にお茶を配ってみんなで食べたり、そういうことを一日いてやるわけなんです。
やはり、この効果というのは私は三つあるんじゃないかなというふうに思っておりまして、まず一つ目が、もちろんこれは本来の趣旨だと思うんですけれども、親が現場に身を置いて、どちらかというと、今、サービスの受け手と供給側と、対立構造というわけじゃないですけれども、何となく、お金を払う、あるいはサービスを受けるのが当たり前で、保育園に預けているんだというようなお考えの方も多いんじゃないかなと思っているんです。
そうではなくて、園がやる子育てだとか制度がやる子育てというんじゃなくて、親と保育園なりがパートナーシップの中で信頼関係を持ってやっていくんだ、二項対立の関係ではないんだというところを、現場に身を置くことによって、ああ、こんなに保育園って大変なんだな、特にゼロ、一、二歳なんかのところになれば大変なんだなというのが親としてもわかるでしょうし、保育士さんに対する文句というか、いろいろなことを言うにも、ああ、こういう苦労があるからこういうふうになっちゃっているんだなと、ちょっと背景まで推しはかって、一言、二言言うときも言えるようになるとか、やはり親としての保育を知るということがまず一つ。
もう一つが、保育園の側からすると、やはり、適当なことをやっている園は受け入れられないわけですよね。外からいろいろな大人の目が入ってくるということは、どこで何を見られるかわからないということで、いいかげんなことをするわけにはいかない。というと、今、いろいろな話の中で監査に入ったとかなんとかというお話がありますけれども、監査は、入ったときには見られますけれども、日常の保育園の様子なんというのはやはりわからない。指導に従ってこういうふうにやりました、改善しましたと書いて、一応出したからそれで終わりとは言わないですけれども、そこだけの話で話が済んでしまうこともある。
ただ、親が日常的に、例えば二、三十人いる一つのクラスの全ての親が入れかわり立ちかわり毎日来るわけですから、そうすると、このときは隠して、このときは隠さないなんということはもうできなくなってしまうわけですね。そういう意味でも、外部の目が入っていくという意味でも非常にプラスの面があるのではないか。保育園としては大変だと思いますよ、受け入れるのは。
それからもう一つは、私が介護の施設をやっていて思うのは、やはり外の人が入ってくれると、配置基準としては、確かに有給の職員で、お金を払って雇っている職員がいるというのはあるんですけれども、例えば見守りなんということになると、誰か大人の目が入っている、あるいはほかの人の目が入っているということになると、何かぱっと、あっ、あの人いつもと違うなというのがあったときに、なかなか職員だけで目が届かないようなところも、あの人こうだけれども大丈夫ですかねというような、そんな話も出てくるようなこともあります。
そういうふうに大きく三つぐらいのメリットが、そういった体験に親が入るということによるメリットがあるんじゃないかなと思っております。
こういったことがありますので、今回無償化の対象として想定されているところには、国としても、ぜひこういうことをやるようにということで進めていただきたいと思っているんですが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○宮腰国務大臣 子ども・子育て支援法の基本理念に明記されているとおり、子ども・子育て支援は、父母などの保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識のもとに、家庭、学校、地域など、社会のあらゆる分野における全ての構成員が、おのおのの役割を果たすとともに、相互に協力して行わなければならないものであります。
保育所や幼稚園などの活動に保護者が積極的に参加することは、保護者と保育士等のコミュニケーションを円滑にし、保護者が子育てする力の向上や保育の質の確保に寄与することが考えられます。そのため、各施設においては、一日保育士体験や子育て公開講座などを実施していただいていると承知をしておりまして、こうした取組が充実していくことを期待したいというふうに思っております。
私も、以前の話でありますけれども、孫娘が東京都内の私立幼稚園に通っていたときに、運動会、それから学習発表会、また誕生会、しょっちゅう行きました。やはり孫の成長の度合いを見るのが楽しみということと、あと、そこの幼稚園でどういう教え方をしておいでになるのかなと。学年によって担任の先生も違うんですけれども、あの先生のいいところはこうだった、今の先生のいいところはこうだったというようなことも感じながら、ずっと行っておりました。
たまたまでありますけれども、そこの幼稚園の園長先生のお宅と私の地元の同級生のお宅と、親戚になられたそうでありまして、そういう御縁もあって園長先生といろいろな意見交換もさせていただきまして、大変信頼できる幼稚園だなということも感じてまいりました。
やはり、保護者が幼稚園や保育所に足を運んで、そこで園の先生方と意見交換をしたり、あるいは実際にどういう教え方をされておられるのかということをその目で見ていただくということも、両方にとっていいことではないかというふうに思っておりまして、間違いなく子供の育ちに役に立つというふうに思っております。
○森田委員 御自身で経験されていらっしゃる大臣でございますので、ぜひこういう方向で強力に推し進めていっていただければなというように思っております。
この文脈で、国家公務員の皆さんにもぜひ体験をしていただいた方がいいんじゃないかなと思っておりまして、やはり一つは、今回の法案もそうですけれども、実際に子ども・子育てにかかわる法律制度をつくっていらっしゃる方が見ればなおいいですし、直接関係なくても、親としてそういった現場に身を置くということの大事さ、あるいは、先ほど大臣おっしゃったように、年齢によってはお孫さんがいらっしゃるという方も国家公務員の中にも当然いらっしゃると思いますし、その年齢だとか御家族の状況に応じて、国家公務員としても、一人のいろいろな制度にかかわるお立場としてもそうだし、親としてもそうだしということで、こういう経験をされた方がいいんじゃないかなと思っておりますけれども、この点、いかがでございますでしょうか。
○宮腰国務大臣 行政課題が複雑高度化する中、国家公務員が幅広い視野に立ち、ワーク・ライフ・バランスを実現しながらよりよい仕事をするためにも、御指摘のような育児に触れる機会を設けること、あるいは、先輩職員や国家公務員のOB、OGと交流するような機会を設けることは有意義であると考えておりまして、特に、子ども・子育ての政策にかかわる分野の公務員の皆さんにおいては、やはり現場をよく知っていただくということも本当に大事なんではないかなというふうに思います。
私も、今の仕事を拝命させていただいて、幼稚園、保育所を幾つも訪問させていただきましたけれども、そのたびに、保育士の先生方あるいは幼稚園教諭の先生方とも意見交換をし、あるいは子供たちをだっこしたり一緒に歌を歌ったりということで、やはり、一体感といいますか、園の一体感というのを感じてくる、何が大事かということを感じてくるというのも公務員にとって大事ではないかなというふうに思っております。
○森田委員 強力な心強い発言をいただいたので、大変心強く思っております。
この延長線上にあるようなお話なんですけれども、国家公務員の方がいろいろな場面で勉強したり研修したりという機会があると思うんですけれども、こういうところに国家公務員のOBだとかOGの方を積極的に活用されたらどうかなというふうに思っております。
というのは、今、伺うところによると、例えば、先輩の職員がいろいろなことを教えたりとかという場面はある、あるいは、幹部職員さん向けに、そういったワーク・ライフ・バランスのことを現役の職員さんが教える場面はあるということなんですけれども、やはり、キャリアを積み上げていくということの大事さに加えて、例えば家族だとか、子供のことだとか、奥さんのことだとか、あるいは地域のことだとかも含めて、どういうふうにキャリアとの両立を図っていくかというのは、現役の中にいると、まだ、適当なことを言っては大変だなとかという思いがやはりあって、なかなか赤裸々なことは言えないと思います。
例えば、一線を退いた方ですと、実際、若いときの経験というものは今どうなっているのか、あのときやったことが、成功だとか失敗も含めて、どういうふうに今それが生きたりあるいは生きなかったりしているのかなということも含めて、含蓄のあるお話というのが多分できるんじゃないかなと思っております。
やはり、多少キャリアを積んだって、結局、退職してしまえばそんなものは別に何でもないんだよとか、極端な話、例えば、子供が産まれるときには、おまえ、一日、二日ぐらい休みをとってちゃんと奥さんのそばにいてやれとか、俺はそれができなかったので年をとってから大変だったんだとか、そういう、今、熟年離婚だとかなんとかという理由を見てみると、やはり、子育てのときに協力しなかった、子供を産むときに協力しなかったという、その恨みつらみがずっとつながっている。私も今でも言われますけれども。
だから、そういうことを、やはり一線を退いた方だからこそ言える含蓄のある言葉というのがあるんじゃないかなと思っていまして、このOB、OGの方の活用ということについてはいかがお考えか、お尋ねさせていただきます。
○植田政府参考人 お答えいたします。
国家公務員が生活上や仕事上の心構えやワーク・ライフ・バランスの進め方などを学ぶに当たっては、先輩職員や国家公務員のOB、OGの経験を聞いたり相談したりする機会を持つことも大変有意義であると考えております。
このため、内閣人事局では、これまでも、幹部候補となる職員に対して、退職後の元幹部から、自身の経験を共有しつつ、公務員生活を送る上での心構えなどについて講話を行っていただく研修や、仕事と育児との両立に悩む職員に対して、先輩職員が具体的な両立のノウハウなどを紹介しつつ、個別の相談にも対応するセミナーなどに取り組んできてございます。
今後とも、こうした機会を確保し、職員のワーク・ライフ・バランスの推進を含めた公務員生活の充実を支援してまいりたいと考えております。
○森田委員 ありがとうございました。
ぜひ、直接利害関係がある立場だと余り言えないこともあると思いますので、積極的な交流を図っていただければありがたいなと思っております。
それから、保育士体験の話に戻りますけれども、学校における乳幼児、小さい子たちとの交流、触れ合いの機会についてということでお伺いをさせていただきたいなと思っております。
当然、近隣の幼稚園、保育園、こども園含めていろいろなやりとりがあると思っておりまして、例えば、具体的に言えば、家庭科の中でそういうことを勉強するというのもあるでしょうし、あるいは生活科という言い方になるのか、あるいは総合的な学習の時間ということになるのか、そういうところで、近隣の子供たちとの触れ合いの場面、あるいは子育てについて触れる場面があったり、あるいは、うちの娘なんかも、中学校に入ってから職業体験というので近くの保育園にお世話になったりしたんですけれども、やはりそういった形で、校外学習のような形でやるような場面もあるかなと思うんです。
いずれにしても、あらゆることを捉えて乳幼児との触れ合いの場面を持つということが大事だなと思っておりまして、これは学校のことですので、文部科学省の方の御見解をお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いします。
○中村大臣政務官 お答え申し上げます。
学校教育におきましては、学習指導要領の規定に基づきまして、児童生徒の発達段階に応じて、乳幼児との触れ合いや保育などに関する教育が行われている現状であります。
具体的には、例えば、中学校の技術・家庭科では、幼児との触れ合いができるように留意すること、また、高等学校の家庭科では、乳幼児との触れ合いや交流などの実践的な活動を取り入れるよう努めることとされているところでありまして、さらに、小中高等学校の総合的な学習の時間においては、児童生徒等の実態を踏まえ、各学校の判断で、乳幼児と触れ合ったり交流したりする活動を行うことができるとされているところであります。
これらを踏まえまして、学校や地域の実態に応じて、例えば、小中高等学校の児童生徒が保育園に赴いて、乳幼児の抱き方やあやし方、また遊ばせ方など、具体的な体験をする学習が行われているところであります。
文部科学省としては、森田先生御指摘のように、こうした活動が大切だというふうに思っておりまして、平成二十九年に、内閣府や厚生労働省とともに、乳幼児触れ合い体験の推進についての通知を発出したところであります。こうした活動の実施を促しているところでありまして、引き続き、関係府省と連携しつつ、乳幼児と触れ合うなどの体験を通して子育てや保育について学んでいくことができるように、教育の充実に努めてまいる所存でございます。
以上です。
○森田委員 ありがとうございました。
私があえてこういうことを申し上げるのは、やはり昔であれば、一つの家の中に二世代、三世代、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんぐらいまでいて、触れ合いを持っていたというよりは、もうやらざるを得なかった、子育ての一端を担わざるを得なかったような状況がある中で、子供たちとの触れ合いだったり、きずなをつくったりということが自然にできていた。あるいは、もうちょっと先に進んでも、餓鬼大将がいて、みんなで学年の垣根を取っ払ってやっていたなんということもあったと思うんですけれども、今は、それを人為的につくり出していかないと、なかなかそういうことが行われていかない、世代間の交流が行われてこない。
そうすると、やはり、小さい子供とどうやって触れ合って、どういう信頼関係がつくっていけるのか、あるいは、かわいさもあるし、憎たらしさもあるしとかというのは、そういうことをぜひ人為的につくり出すということが、幸か不幸か、今、必要な時代になってきているというふうに思っております。
ぜひ、教科でこれをやったからいいんだとか、小学校の中であれば、この学年でこれをやったからいいんだということでなくて、やはり継続的に、あるいは身を置くという仕掛けをつくっていただくという意味で、義務教育、それから高等学校を含めて、そういうことで対応をお願いできればなというふうに思っております。
それから、保育士の養成のことについてお尋ねをさせていただきますけれども、この十年間でも大分数が、箇所数としても、あるいは定員としてもふえているということで伺っておりますが、更にふやすお考えというのはあるんでしょうか。お尋ねいたします。
○本多政府参考人 お答えいたします。
待機児童解消のためには、保育の受皿の拡大と同時に、保育人材の確保が不可欠と考えております。
指定保育士養成施設の入学定員につきましては増加をしてきておりまして、平成二十六年から平成三十年にかけまして、二十六年が約五・六万人でございました、これが平成三十年には約六・一万人と、約五千人分の定員の増加をしているところでございます。
養成施設の入学定員につきましては、国として管理しているものではございませんけれども、保育士の職業の魅力が高まることによって保育士の志望者が増加すれば、おのずと養成施設の定員もふえるものというふうに考えております。
保育士の魅力を高めるための取組として、具体的には、処遇改善として、月額約三万八千円に加えて、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施するほか、ことしの四月から月額約三千円の処遇改善を実施するなど、取組を進めているところでございます。
また、処遇改善のほかにも、新規の資格取得促進など、総合的な支援を行っているところでございます。
○森田委員 ありがとうございました。
関連でなんですけれども、今、現場の保育園から上がってきている声としては、やはり、平たく言えば実戦ですぐ使える保育士さんが欲しいというようなお考えもありまして、人手がかなり不足しているという状況もあるんですけれども、資格を取る中で、実地の研修といいますか、保育園の現場に身を置いて研修を積むような場面を多くとるべきだなというふうに考えておるんですけれども、このあたりについてはいかがでしょうか。
○本多政府参考人 保育園等におけます保育は、養護と教育を一体的に行うものでございまして、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものであることから、指定保育士養成施設において保育士に必要な専門性を身につけていただくこととしております。
特に、保育実習は、習得した知識、技能を基礎として、これらを総合的に実践する応用能力を養うため、児童に対する理解を通じて保育の理論と実践の関係について習熟させることのできる非常に重要な科目であるというふうに認識をしております。
履修内容の比重につきましては全体のバランスの中で検討する必要がございますが、養成施設におきましては、保育士資格の取得に合計六十八単位、約一千時間の養成課程の履修を必要としております。この中で、保育実習につきましては、計六単位、合計おおむね三十日間の実習を実施しておりまして、十分な内容となっているのではないかと考えております。
また、保育実習に限らず、養成課程での履修内容全般は、保育を取り巻く社会情勢の変化や保育所保育指針の改定等を踏まえて、より実践力のある保育士の養成に向けて見直しを行い、ことしの四月から適用することとしております。
引き続き、保育士の専門性の向上に向けて、養成課程の充実に努めてまいりたいと考えております。
○森田委員 ありがとうございました。
引き続き関連で、これは、実際、養成校なんかで教えられていた方から伺った話なんですけれども、実際の保育の現場に身を置いていた方というのが意外と少ない、感覚的には二、三割ぐらいかなというような話があったようなんです。
要するに、学問、何々学というのを教えるために養成校なり大学なりに身を置かれているという先生、これはそれでしようがない面もあると思うんですけれども、やはり保育にかかわる方を教えるという意味では、少なくとも、さっきの話じゃないですけれども、保育士体験ぐらいはしているとか、そういう取組も必要なのではないかなと思いますが、そのあたり、いかがでございますか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
保育士養成課程におきましては、専門的知識や技能のほか、幅広く深い教養や総合的な判断力を培うことが必要でございます。
現在、指定保育士養成施設の教員の要件といたしましては四つございます。博士又は修士の学位を有し、研究上の業績のある者若しくはこれに準ずると認められる者、又は、教育上、学問上の業績ある教育経験者、学術技能に秀でた者、児童福祉事業に関し特に業績のある者、以上でございまして、これに加えて、教育の能力があると認められた者を要件としております。
御指摘の保育の経験があること自体も大変望ましいことだと考えられますが、まず、このような保育士養成課程の役割を踏まえた教員の確保が重要であると考えております。
引き続き、適切な指定保育士養成施設の運営や養成課程の充実に努めてまいります。
○森田委員 わかりました。一日二日、保育園に行くことぐらいは誰でもできるお話だと思いますので、ぜひそういったことも考慮に入れていただければと思います。
それから、続いてですけれども、虐待のことについてお尋ねをさせていただきます。
これまでもいろいろな報道等で、保育園の中における虐待ということが問題になっていることもありますけれども、保育園等における虐待の現状についてどのように把握をしていらっしゃるか、お答えいただければと思います。
○本多政府参考人 お答えいたします。
保育所は、就労等によって日中保育できない保護者にかわって子供を保育し、生涯にわたる人格形成の基礎を培う場でございます。こうした場である保育所で虐待が行われているとすれば、極めて遺憾なことでございます。
保育所における虐待事例の把握や適切な指導監督の責任は、一義的には都道府県にございます。保育所における虐待は、保護者からの通報、また都道府県による指導監査等によって都道府県が把握をして、必要に応じて立入検査や改善命令等の指導監督を実施しているところでございます。
全ての子供には、適切な養育を受けて、健やかな成長、発達や自立等を保障される権利がございます。国といたしましても、保育所における虐待を根絶できるよう、保育の質の確保、向上に向けて、自治体と協力をしてしっかりと取り組んでまいります。
○森田委員 報道の中の一つで、例えば、二〇一四年の八月に、千葉の認可外保育施設で、三十一歳の保育士が二歳の女の子に対して無理やり口の中にスプーンで詰め込んで食べさせるというようなことが発生した。そのこと自体はもちろんよくないことなんですけれども、その後の施設長のコメントが、やめられるのが怖くて注意できなかったと。こういうことが出てきているのが今の保育の現場でございまして、もちろん、それをやらせないということも必要なんですけれども、それを取り巻く状況も含めて対症療法で終わらないような形の取組をしていかないと、子供たちに大変なことが起こってくるのではないかなという危惧をしております。
そういった文脈から、保育園から望ましくない人材、いわば虐待をするような保育士さんを含めて、これを排除する仕組みというのは今あるんでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
まず、児童福祉法におきまして、保育士の欠格事由として、禁錮刑以上の刑に処せられた場合などを定めておりまして、欠格事由に該当する者は保育士となることができないということとなっております。
保育士の欠格事由に該当した場合には、保育士はその旨を都道府県知事に届け出ることとなっておりますが、これに加えまして、昨年三月に、事業者から、欠格事由に該当するおそれが生じた保育士については、当該保育士の情報を都道府県に報告するように依頼をしておりますことに加えまして、児童福祉法施行規則を改正して、欠格事由に該当したことを都道府県知事がみずから把握するための仕組みとして、都道府県知事が、保育士の本籍地の市町村に対して犯歴情報の照会を行うという規定を新設いたしました。
また、同じく児童福祉法におきまして、保育士の信用失墜行為の禁止や秘密保持義務を定めております。これに違反した場合は、都道府県知事において登録の取消しや保育士の名称の使用の停止を命ずることができるということになっております。
引き続き、保育士資格の適正な管理が行われるように努めてまいります。
○森田委員 ありがとうございました。
保育士の資格を持って応募してくるという方についてはある程度の枠組みがあるということで理解をいたしましたけれども、今、資格を持っていなくても保育園に勤務できるという状況も発生している中で、保育の質をどうやって保つか。極端な話ですけれども、そういった虐待に今まで携わった疑いがあるだとか、そのおそれがあるとかという人をどういうふうに現場として排除できるかなというのは、本当に人の命にかかわる問題でございますので、ぜひ、より効果的な仕組みについても御検討いただければなと思っております。
そういうことも踏まえて、保育の質の確保というのが、これだけ裾野が広がると非常に難しい問題になってくると思いますが、そのあたりについて、最後、大臣から、御決意も含めて御答弁をお願いできればと思います。
○宮腰国務大臣 委員の御指摘のとおり、保育活動に保護者が積極的に参加すること、これも保育の質の向上に有効であるというふうに思っております。また、当然でありますが、保育士の人材育成を図る、さらには保育士の処遇改善、そのほかにICTなどを活用した勤務環境の改善を図るということによりまして保育の内容を充実していくことは、子供たちの健やかな育ちのために重要であると考えております。
とりわけ、保育士さんが子供たちと接する時間をしっかりと確保するということも大事でありまして、そのために、例えば、入退所がしっかりと確認ができる、親御さんが子供さんを連れてこられたときにボタンを押して、あるいは連れて帰られるときにまたボタンを押す、この作業だけでも、入退所の確認の作業だけでも保育士さんの負担を軽減することができれば相当違うのではないか。さらには、うつ伏せで寝る子供さん、これもICTを使って、すぐ横に保育士さんがいなくても、ブザーが鳴ったりして確認ができる、こういうシステムもあるわけであります。
そういうことなども導入の支援を図って、保育士さんの負担の軽減をしながら、保育士さんが子供と接する時間をしっかりと確保していくということなども保育の質の向上に資するものではないかというふうに考えておりまして、いろいろな点でしっかりと後押しをしてまいりたいというふうに考えております。
○森田委員 ありがとうございました。
デジタルの面、アナログの面も含めて、ぜひ子供たちが不幸な目に遭うことのないように取組を進めていっていただければというふうに思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 三十分間質問時間をいただきまして、まことにありがとうございます。
今回の子ども・子育て法案、幼児教育の無償化法案ですが、私も幼児教育無償化には賛成ではありますけれども、この法案には極めて問題が多いと思っております。
大きく二点、後ほど説明しますが、高所得者の家庭に低所得者の家庭の約五倍の恩恵があり、この法案が成立することによって子育て家庭の格差が大幅に広がってしまうということ。それともう一つ、私は、多くの待機児童で苦しんでおられる保護者の方々などから話を聞いておりますし、きょうも五時にお目にかかってお話をお聞きすることになっておりますが、そういう意味では、今回の法案が、無償化を進めることそれ自体はいいわけですけれども、そのことによって、結果的に、需要がふえて待機児童がふえる、保育士さん不足が深刻化する、そして保育の質が下がるのではないか、こういう問題があるのではないかと思います。
繰り返し申し上げますが、私は別に幼児教育無償化を否定するわけではありません。しかし、限られた財源、優先順位というものがある以上、やはりバランスですね、バランスと優先順位を間違えると大変なことになるのではないかと思います。
このことについては、私は与党も野党も余り関係なく、きょうは建設的な、個人的な修正要望というものも出させていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
まず、私の地元の新聞記事、配付資料の十ページであります。私の地元、城陽市の洛タイ新報でありますけれども、「“待機児童”通知百一人」「無償化、女性の社会進出で 新一歳児七十四人と突出」と。例えばでありますけれども、私の地元でも、このように無償化も要因の一つとなって大幅に待機児童がふえそうな、そんな様相であります。
私も地元の保育関係者に確認をさせていただきました。もちろん、これは無償化だけが原因ではありません。さまざまな、女性の方が働く仕事場がふえるということも一方ではあるわけで、それとの複合要因ですけれども、やはり、地元の保育関係者にお聞きすると、無償化というものもこの待機児童がふえる大きな要因になっているのではないかということをおっしゃっておられました。
さらに、きょうの配付資料、幾つかお配りしておりますけれども、配付資料を見ていただきますと、この配付資料の中の新聞記事でも、ここですね、今の地元新聞が十ページ目ですけれども、その次の十一ページ目、待機児童達成険しく、無償化で更に待機児童がふえるという自治体が四五%。保育士さん、幼稚園教諭、「幼保無償化六割超「反対」 「利用増え質低下」」。それで、自治体の声も聞いてみると、影響がないと答えた自治体は一自治体だけで、それで結局、保育士さんの確保などが非常に心配だという声も上がっております。
次の十二ページも同様ですね。「幼稚園・保育所が無償化 入園待ち長くなる?」。それで、こういう中で、あともう一つも、「八十七市区町村調査 「希望増」予想八割」。無償化に向け懸念することについては、全体の六割近い五十自治体が保育士確保が難しくなるということも言っておられます。
ついでに次のページも、十三ページ。結局、「無償化で需要増予測 「整備追いつかない」自治体懸念」。保育需要が高まる可能性が指摘されている。無償化によって保育の需要が喚起され、市の対策が追いつかなくなるのではないかと現場の自治体は不安を抱えておられると。
それで、左のページ、衆議院選挙で安倍総理が目玉政策として掲げた、無償化に消費税財源を充てるという唐突な提案。そして、人員を手厚くして保育の質を確保することにお金を回さないといけないのに、安倍政権の人気取りに振り回されている。こういう声も専門家から聞かれているわけであります。
そこで、宮腰大臣、自治体がこういう懸念をしているわけですから、今回の無償化によって待機児童は残念ながらふえる、そういう認識でよろしいですか。
○宮腰国務大臣 幼児教育、保育の無償化による保育の潜在ニーズへの影響につきましては、基本的に、既にほとんどの子供が認可施設を利用できている三歳から五歳児を対象としていること、ゼロ歳から二歳児については住民税非課税世帯に限定していることから、限定的であるというふうに考えております。
委員が御紹介された調査などにおきましては、無償化により子供が預けやすくなり、子供を預けて働く女性がふえることで、保育に対するニーズが掘り起こされることから待機児童がふえるのではないかと推測されているのではないかと思いますが、子育て安心プランによる必要な保育の受皿、三十二万人分につきましては、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が二〇二二年度末にヨーロッパのトップ水準である八割まで上昇することを想定して、必要な整備量を推計したものであります。
したがいまして、今後、子供を預けて働く女性がふえるなど、さまざまな要因によって保育ニーズの増大があったとしても、十分対応可能なものとなっておりまして、無償化により待機児童がふえるとの御指摘は当たらないのではないかというふうに考えております。
もちろん、待機児童の解消は待ったなしの課題でありまして、最優先で取り組んでいかなければならないと考えております。幼児教育、保育の無償化とあわせ、子育て安心プランに基づきまして、二〇二〇年度末までに待機児童を解消するため、厚生労働省と連携して全力で取り組んでまいります。
また、待機児童の解消のためには、保育の受皿拡大と同時に、それを支える保育人材の確保が不可欠であります。
厚生労働省によれば、子育て安心プランに基づく三十二万人分の保育の受皿整備に伴いまして、新たに約七・七万人分の保育人材の確保が必要となるというふうに承知をいたしております。
必要な保育人材を確保できるように、厚生労働省を中心に、総合的な支援に力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
○山井委員 今、驚くべき答弁をされましたね。無償化により待機児童がふえるという指摘は当たっていないと。私はその答弁は間違っていると思いますよ。
そういう答弁が来るんじゃないかと思って、私は自治体のアンケート調査を読み上げたんですよ。少なくとも、自治体の不安、懸念、予想と少子化担当大臣の宮腰大臣の認識は全く違っています。どちらかが間違っているんですよ、これ。
多くの自治体は、現場ですよ、保育士さん、幼稚園の教諭、そして自治体の現場は、無償化で待機児童がふえると言っている。でも、担当大臣が、ふえるという指摘は当たっていないと。これはおかしいと思います。はっきりしてください。はっきりしてください。その認識は間違っているんじゃないですか。
これはなぜそんなに私が言うかというと、実際にやってみた、思いのほか待機児童がふえてしまった、保育士さんも足らなくなった、この政策は失敗だった、こんなはずじゃなかった。取り返しがつきませんからね。
大臣、改めて答弁してください。今の、無償化によって待機児童がふえるという指摘は当たらないという答弁は撤回してください。間違っています。
○宮腰国務大臣 今ほどお答え申し上げましたけれども、子育て安心プランによる必要な保育の受皿、三十二万人分につきましては、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率、これがヨーロッパのトップ水準である八割まで上昇することを想定をして、必要な整備量を推計をいたしております。
また、施設整備については、厚生労働省の方で、市町村の平成三十一年度整備量七万人に対応する経費として、平成三十年度第二次補正予算及び平成三十一年度当初予算案におきまして、合計千二百六十億円を計上いたしております。
人材の確保、施設の整備、双方の面から必要な手当てをやっていきたいと考えております。
○山井委員 撤回をされない。今、撤回してくれと言ったけれども撤回されないということは驚くべき認識ですね。私は、これは本当に全国の自治体や現場はひっくり返ると思います。そんな間違った認識でこの法案を通すのか。
ではお聞きしますが、宮腰大臣、十月でもう施行される可能性があるんですけれども、それで待機児童が、この年末、来年四月、意外と予想を上回ってふえました。宮腰大臣、そこまでこれで待機児童はふえない、認識は当たらないとおっしゃった以上は、責任をとられますね。本当にふえないんですね。お答えください。
○宮腰国務大臣 地方自治体の懸念というのは、先ほど申し上げたとおり、無償化により子供が預けやすくなって、子供を預けて働く女性がふえることで、保育に対するニーズが掘り起こされることから待機児童がふえるのではないかとの懸念からきているのではないかと思っております。
答弁で何度も申し上げておりますとおり、三歳から五歳児について、今回、基本的に、既にほとんどの子供が認可施設を利用できているわけでありますので、これについて、ここの部分で待機児童がふえるということは極めて限定的であるというふうに考えております。
ゼロ歳から二歳児については、御存じのとおり住民税非課税世帯に限定しているということから、これについても影響は限定的であるというふうに考えております。
○山井委員 そういうのを机上の空論というんです。本当にショックを受けました。
私は、あえて言いますが、別にこういうのは与党も野党も関係ないと思うんです。やはり、国のつくった法律で、地方自治体や現場、保護者の方々、子供たちが困らないかということを私は心配しているのであって、地方自治体や現場の懸念を全く、宮腰大臣はそれはもう取り越し苦労だというふうに思っておられるということで、私は大変ショックを受けました。そういう認識は私は違うと思います。
それで、そのことに関連して、やはり私、繰り返し言います、無償化に反対ではありません。しかし、予算の優先順位、バランスということを考えたら、これは約八千億円、今回無償化に使うんですけれども、ことし四月からの保育士さんの処遇改善、それのプラスの予算というのは二百億円なんですね、きょうの配付資料の六ページにあります。八千億円が幼児教育無償化。しかし、この四月からの保育士の処遇改善は、たった二百億、一%、三千円。これでは話にならないと思います。地元の保育園の先生方やいろいろな方に聞いても、最低一万円、やはりウン千円じゃなくて万という単位が必要ではないかというふうに思っております。
ついては、無償化と待機児童ゼロ作戦、待機児童対策、保育士不足の解消、保育士さんの処遇改善、子供の貧困対策、これを全てバランスよく強力にやっていく必要があると思うんです。
ついては、きょうの理事会でもお話があったと思いますが、一年前から私たち野党は共同で、保育士さん、そして幼稚園教諭の処遇改善法案というのを国会に提出しておりましたけれども、残念ながら与党の理解を得られず、今まで審議してもらっておりませんので、ぜひ、この幼児教育無償化と待機児童対策、保育士不足解消、そして保育士さんの処遇改善は、セットで議論して、セットで実現すべきだと思いますので、この内閣委員会で、保育士さん、幼児教諭の処遇改善法案、審議をしていただきたいと思います。
委員長、お願いいたします。
○牧原委員長 先ほど理事会で話が出ましたので、理事会で引き続き協議をしたいと思います。
○山井委員 極めて建設的な提案であると思います。無償化とともに、どうやって待機児童ゼロ作戦を進めて保育士さんの処遇改善を含むか。まさか与党の方々が、この保育士や幼児教諭の処遇改善法案の審議を拒否するということはあり得ないとは思いますので、ぜひともセットで審議をさせていただければと思います。
それで、ついては、もう一つ大きな懸念があるんですね。格差が広がるということで、配付資料の二ページを見ていただけますか。
私はもともと理系の、酵母菌の研究をやっていたんですけれども、私が政治家になった最大の理由は、学生時代、児童福祉施設、母子生活支援施設ということで、本当に貧困家庭や虐待を受けた子供たちのボランティアを六年間やっていました。その中で政治家になりたいというふうに決意したわけで、そのきっかけは、貧困家庭の子供は本当に大変なんですよ。
ところが、今回の法案の致命的な欠陥は、見てください、この七千七百億円のうちの内訳。
例えば、保育所の無償化に関しては、赤線を引きました、年収二百六十万から三百三十万の方々への恩恵は年間十万円。しかし、年収一千百三十万円という超金持ちへの一年間の恩恵は五十一万円。つまり、五倍違うんですね。
さらに、幼稚園の方も、住民税非課税世帯、年収二百七十万円以下は四・六万円の恩恵。しかし、年収六百八十万円以上では二十二万八千円。これも約五倍の恩恵。
宮腰大臣、私はこれは深刻な問題だと思いますよ。この法案が成立することによって貧富の格差は拡大するんです、子育て家庭の。格差は拡大するんです。もう反論はわかっています。今まで低所得者を先に無償化していたから、残りをやったらこうなるんだということ。でも、それでは済まないんですよ。
というのは、今回、特に政府・与党がおっしゃっているのは消費税増税でしょう。消費税増税の財源ということは、消費税というのは社会保障目的です。社会保障とは何ですか。一言で言えば、所得の再分配。所得の再分配というのは、簡単に言えば、裕福な方はちょっと我慢していただいて、困っている低所得者の方により多く配分しましょうというのが社会保障。という意味では、残念ながら、この法案のお金の使い方は、逆社会保障、逆所得配分。裕福な人にはたくさん給付を、貧しい人にはほとんど給付しない。消費税増税でこの政策をすることによって貧富の格差が広がる。
本当に申し上げにくいんですけれども、これは私のライフワークなんですよ、子供の貧困対策というのは。二十年前から児童扶養手当の引上げのことも取り組んでまいりましたけれども、子供の貧困対策は予算を獲得できないんですよ、全然。本当に。児童扶養手当の引上げというのはなかなか実施困難ですよ。二十年たっても、十八歳までの支給を二十に上げるとかにしても、財源がない、財源がない、財源がないと言われているんですよ。
ところが、今回、私が試算したところによると、その試算を見ていただければ、三ページ目、試算をしてみたら、九百万円以上の年収の方々、幾ら以上が高額所得者というのかは難しいですけれども、あえて九百万で切ると、その方々に千二百億円の給付が行くんです。
私は、もちろん、予算が無尽蔵にあれば、みんなやったらいいと思いますよ。しかし、予算が無尽蔵にない以上は、ない以上は、私もつらいですよ、高額所得者の方は我慢しろと言うのは。でも、限られた財源を、一千万ぐらいの所得がある人と二百万や三百万しか所得がない人のどっちのお子さんが生活に困っているかで考えたら、これは明らかですよ。
はっきり言って、私は与党も野党も関係ないと思いますよ。限られた財源をやるんだったら、私は、その千二百億円は、今回、具体的な提案ですけれども、私の配付資料の表紙を見てください。これは個人的な提案ですけれども、例えば、年収九百万円以上の高所得者の方々には、申しわけないけれども所得制限をさせていただいて、無償化は諦めてもらう。それで千二百億円の財源をゲットしたら、それで保育士さんの処遇改善、三%、約一万円上げられます。六百億円の財源。そして、かつ、今言ったように、今回の法律が成立したら格差は大幅に拡大します。それをちょっとでも緩和するために、児童扶養手当をゼロ歳から五歳までは二万円引き上げる。これで約六百億円。
宮腰大臣、具体的な建設的な提案ということで、私は別に対立する気はありません。でも、本当に、消費税財源をどう使うかは、十年後、二十年後、三十年後、これは検証されますよ。今後、保育士さんの待遇を上げたいといったときに、いや、財源がないからできません。子供の貧困対策をやりたいときに、財源がないからできません。そのときに必ずこの議論は戻ってきますよ。
では、あの消費税を上げたときの虎の子の財源千二百億円を、九百万円以上の高所得者には我慢しておいてもらったら、多くの貧困家庭の子供が救われた。あるいは、我慢しておいてもらったら、待機児童対策、保育士さんの処遇改善、保育士さんの確保ができた。やはりあそこは、つらいけれども、所得制限をかけてでも、限られた財源を、より喫緊の課題である子供の貧困対策や、一人親家庭の子供の支援や、保育士さんの処遇改善に充てるべきだったんじゃないだろうか。私は、五年、十年、二十年先、必ずこの批判は出てくる。
そして、与党も野党も関係ない。今の与党の議員、私も含めた野党の議員、宮腰大臣、みんながこの歴史的な検証にたえねばならないけれども、私は、この税金の使い方はたえられないと思います。繰り返し言います。この法案が成立することによって子供の貧富の差は広がります。
宮腰大臣、このような所得制限を設けて修正をして、やはり子供の貧困対策や保育士さんの処遇改善にもうちょっと予算を振り向けるべきじゃありませんか。宮腰大臣の見解をお聞きします。
○宮腰国務大臣 幼児教育、保育の無償化は、もともと、所得の低い方の保育料は既に公費を投じて負担軽減を図っておりまして、さらに、これまで、低所得者世帯を中心に、先んじて段階的に無償化の範囲を拡大をしてきております。
これまでに投じた公費と今回の公費負担を合わせ、全体として見れば、三歳から五歳までの一人一人の子供に対して、低所得世帯にも高所得世帯にも等しい公費が投入されることになります。このため、子育て家庭の貧富の格差をより広げる格差拡大法案との御指摘は当たらないというふうに考えております。
今回の無償化については、まず第一に、少子化対策の観点から、二十代から三十代の若い世代において、理想の子供の数を持たない理由として、八割前後の方が子育てや教育にお金がかかり過ぎることを挙げておりまして、これが最大の理由になっております。また、どのような支援があればあなたは子供が欲しいと思いますかとの質問に対し、全ての所得階層で、将来の教育費に対する補助や幼稚園、保育所などの費用の補助との回答が最も多い。この二つの回答となっております。
また、幼児教育の役割の観点からも、保護者の所得にかかわらず、全ての子供にとって、幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培うという意味で重要なものであります。
その上で、低所得家庭、貧困家庭の子育て支援を充実させることは大変重要であると考えています。幼児教育、保育の無償化により、幼児期における質の高い教育を保障することは、将来の進学率の上昇や所得の増大をもたらすなど、経済的な格差を是正し、貧困を防ぐ有効な手だてにもなるというふうにも考えております。
○山井委員 残念ながら、このグラフを見てもらったら、この法案は格差が拡大するんですよ。格差拡大法案というのは、これはもうファクトです、事実です。
それで、改めてお聞きしますが、やはり待機児童もふえると思います。処遇改善、四月からのたった一%では不十分なので、更に処遇改善をすべきだと強く要望しますが、いかがでしょうか。
○宮腰国務大臣 委員御指摘の保育士の処遇改善につきまして、これまでも着実に取り組んできております。
具体的には、二〇一三年度以降、月額約三万八千円、それから技能、経験に応じた月額最大四万円、ことし四月からは一%、三千円の引上げを予定しております。
とりわけ、四万円の処遇改善については……(山井委員「それはわかっていますから、今後やるかどうかだけでいいです」と呼ぶ)
保育士の処遇改善、これは引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○山井委員 今、いい答弁をいただきました。引き続き処遇改善をやっていきたいということですので、四月の一%に終わらずに、ぜひやっていただきたいと思います。
それで、今も何か答弁を聞いていると、十分に処遇改善をやっているとおっしゃったけれども、それは現状認識が間違っていると思います。十分な処遇改善をやっていないから、これだけ保育士さん不足なんですよ。一般の仕事に比べて三割ぐらい賃金が安いんです。
それで、もう一つ申し上げますと、きょうの配付資料の九ページと十ページ、私の尊敬する経済学者でノーベル経済賞を受賞したヘックマン教授というのがおられます。詳しくは読んでください。ここに書いてあることは、就学前教育に予算を投入するのが一番、国家にとって、社会にとって、人生にとって有効であると。おまけに、この赤線を引いた部分を読んでいただきたいと思いますけれども、特に、恵まれない家庭に育ってきた子供たちの経済状況や生活の質を高めるには、幼少期の教育が重要である。
つまり、これはノーベル経済学賞を受賞したんです。この人の理論は、就学前教育にお金を投入しろ、特に貧困家庭に投入しろと言っているんですよ。逆じゃないですか、今回の法案。今回の法案は、就学前教育の、特に貧困家庭には恩恵が少なくて、高所得家庭に一番多く恩恵をする。これは逆ヘックマン理論、ノーベル経済賞の理論の真逆を残念ながらこの法案はいっているわけであります。
それで、最後にもう一つ質問をさせていただきたいんですけれども、通告しております八番目。
保育の利用者の現場から、幼児教育無償化により給食費の実費負担が新たに求められるため、かえって負担増になる低所得家庭が発生するという不安が多く起こっています。私の地元の宇治市などの自治体や保育関係者からもこういう不安がたくさん聞かれております。幼児教育無償化により、何自治体、何人が自己負担増になるのか把握しているのか。もし把握をしていないなら、実施後に調査して自治体への指導を行うべきではないか、もし負担増になってしまったら。
一部、食費が自己負担に新たになりますから、今まで保育料に入っていたのが。それが無償化になっていた自治体においては、今回、自己負担増になる。そうしたら、幼児教育無償化といって、結果的には食費分だけ低所得家庭で負担増になったら意味がないわけですから、そういうことになるケースはあるのか。そして、それをどれだけ把握しているのか。万が一把握していないのであれば、十月以降これはわかりますから、万が一、今回の法改正で自己負担が食費分ふえた低所得家庭があれば、その自治体を調査してしっかりと指導するのか。
宮腰大臣、いかがですか。
○宮腰国務大臣 今回の無償化に当たりまして、食材料費について、負担方法は変わりますが、国の制度としては新たな負担を生じさせるものではありません。
これまで、独自の財政負担により国の基準より低い保育料を設定し、その中に含まれる給食費相当額も減免していた市町村においては、当該地方単独事業が継続されない場合には給食費の負担がふえる可能性があることは承知をいたしております。
しかしながら、今般の無償化により、それまで地方が独自に負担していた部分に国、都道府県の負担が入ることで、全体として結果的に市町村の財政負担は軽くなります。給食費の負担がふえるような自治体においては、その財源を用いて、子育て支援のさらなる充実として、給食費負担にも御配慮いただきたいというふうに考えております。
○山井委員 配慮いただきたいという、それは願望であって強制力がないんですよね。残念ながらそのとおりいかなくて、さっきも言いました、その願望はわかりますよ、願望は。今までのお金、浮いた部分を回してくれという願望はわかります。しかし、もしそれが、ことしの十月からそのとおりしない自治体があって、結果的に、この法改正がきっかけとなって、低所得者家庭で食費の自己負担がふえたというところが出てきたら、私はやはり大問題だと思いますよ、引き金を引いたのはこの法案になるんですから。
ついては、その実態を、十月以降、十月、開始したら調査して、やはり今宮腰大臣がおっしゃった配慮をしてくれなかった自治体を内閣府が責任を持って指導する、そのことをお約束いただきたいと思います。
○宮腰国務大臣 給食費の減免を継続するか否かは各自治体において適切に判断されるものと承知をしておりまして、地方単独事業の継続について国が指導することは難しいというふうに考えておりますが、各市町村の状況については、実態把握することも含め、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
○山井委員 しっかり実態把握して改善をしていただきたいと思います。
引き続き議論したいと思います。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
子ども・子育て支援法について質問をいたします。
最初に、消費税増税との関連についてお尋ねをいたします。
幼児教育の無償化と高等教育の無償化は、どちらも人づくり革命として、その安定財源については消費税の一〇%増税分を活用するとしております。高等教育の無償化法案である大学修学支援法案には、附則に、消費税一〇%増税の施行日の属する年の翌年の四月一日までに施行するとしております。しかし、幼児教育の無償化を実施する子ども・子育て支援法改正案には同様の規定がありませんが、この違いは何なんでしょうか。
○宮腰国務大臣 今回、改正法案を審議いただいている子ども・子育て支援法は、社会保障と税の一体改革の関連法でありまして、この法律に基づく給付等は、従来より、制度として確立された少子化対策として、消費税を充当する対象となる経費とされております。
その上で、今般の幼児教育、保育の無償化の大半は現行の認可保育所等に対する給付であるため、認可外保育施設等を対象とする新たな給付についても子ども・子育て支援法に位置づけ、消費税を充当する対象となる経費といたしました。そのため、本改正法案においては消費税増税に関する規定は置いておりません。
一方で、大学等における修学の支援に関する法律案、これは新法であります。これに基づく支援は、制度として確立された少子化対策として消費税増収分を充てることとしており、そのことを明示する規定を置いているというふうに承知をいたしております。
○塩川委員 今答弁にありましたように、税と社会保障の一体改革の関連法として成立をしているという経緯があります。そのときには、附則にやはり消費税増税との関連が記載をされていたわけです。従来より消費税を充当する対象としているという整理で、そういう点でいえば、大学修学支援法案と同等に、同じように消費税増税分を手当てするという整理となっている。幼児教育の無償化は消費税増税とセットで行われるということであります。
そこでお尋ねしますが、消費税増税に基づいて今回の無償化ということですが、そもそも消費税というのはどういう税なのか。大臣にお尋ねしますが、消費税というのはそもそも、所得が低くなればなるほど負担が重くなる、重くのしかかる逆進性を持つ税ではないでしょうか。認識をお伺いします。
○宮腰国務大臣 幼児教育、保育の無償化の財源負担につきましては、未来の世代に回すことなく、安定財源を確保した上で進めるため、消費税率引上げの増収分を活用することにいたしております。
詳細につきましては、政府参考人から答弁をさせたいと思います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
消費税の逆進性についてのお尋ねでございます。
消費税につきましては、負担というものに着目いたしますと、低所得者ほど収入に占める税負担の割合が高くなるという意味で、いわゆる逆進性を有するものであると考えております。
ただ、一方で、今回、社会保障と税の一体改革の中で、その増収分は社会保障の充実、安定化に充てることとしておりまして、その受益は低所得者ほど大きくなると考えられることから、所得の再分配にもつながるという面もあるということですので、負担面だけではありませんで、そうした受益の面とあわせて評価すべきものと考えております。
また、今般の消費税率の引上げに当たっては、増収分を活用して、幼児……(塩川委員「聞いていない」と呼ぶ)はい。
○塩川委員 大臣の認識をお聞きしますけれども、消費税というのは、所得が低くなればなるほど重く負担がのしかかる逆進性を持つ税だという認識についてはお持ちですね。
○宮腰国務大臣 今回の増収分を活用して……(塩川委員「そうじゃなくて、そもそも税のあり方の話を聞いている」と呼ぶ)逆進性を持っているかどうかということであれば、それは持っているということだと思います。
○塩川委員 ですから、低所得者ほど重い負担がのしかかるという逆進性のある税だ、同時に、負担の話だけではなくて、一方で受益の話があるというのが財務省の答弁でしたけれども、この点でも、例えば、住民税非課税の一人親世帯などの場合については保育料は免除されているわけですよね。ですから、そういった世帯、住民税非課税の一人親世帯においては、保育料の軽減策はなくて消費税増税分だけが重くのしかかるということになるんじゃないですか。
○宮腰国務大臣 何度も御答弁で申し上げているわけでありますけれども、もともと、所得の低い方の保育料は既に公費を投じて負担軽減を図ってきておりまして、さらに、これまで、低所得世帯を中心に、先んじて段階的に無償化の範囲を拡大してきております。
例えば、生活保護世帯と住民税非課税世帯に対し、合わせてこれまでに約四千五百億円の公費を投じて負担軽減を図ってきております。したがいまして、今回の公費負担額のみをもって低所得者に恩恵が少ない、今回の負担額のみをもって低所得者に恩恵が少ないとの指摘は当たらないというふうに考えております。
○塩川委員 私は、今回の増税を機に低所得の世帯にどういう影響が及ぼされるのかという質問をしているんです。
ですから、住民税非課税の一人親世帯においては、保育料の免除ですから、その面についての負担軽減策はないんですよ。消費税増税分しかのしかからないじゃないですか。こういうのを低所得者世帯の対策として認めるのかという話なんです。
○宮腰国務大臣 今ほども申し上げたように、今回の公費負担額のみをもって低所得者に恩恵が少ないとの指摘は当たらないと考えておりますし、加えて、ゼロ歳から二歳までの子供につきましては、住民税非課税世帯のみを対象として進めるということにいたしております。さらに、低所得世帯の子供を対象とした高等教育も無償化されるため、教育の無償化全体としても低所得世帯に手厚いものというふうに考えております。
これらを総合的に勘案すれば、政策全体として、所得の低い世帯に手厚く、逆進性に対して十分な緩和策になるものというふうに考えております。
○塩川委員 私は、住民税非課税の一人親世帯についてはどうですかと聞いているんですよ。
ですから、将来、高等教育の話が出てくるかもしれません。しかし、住民税非課税の一人親世帯において、もう保育料は免除されているわけですから、そういった世帯には消費税の増税分しか重くのしかからないでしょう、こういうのを容認するんですかということを聞いているんです。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
今般の幼児教育無償化につきましては、少子化対策と、そもそもの幼児教育、保育の重要性、この二つの意義から実施するものでございます。
それに加えまして、住民税非課税世帯につきましては、繰り返しになりますけれども、既に相応の公費を投入させていただくとともに、〇―二歳につきましては、住民税非課税世帯のみを対象として今回無償化を進めさせていただいているところでございます。
○塩川委員 だから、答えられないんですよ。答えていないじゃないですか。そういう点では、住民税非課税の一人親世帯においては負担増しかないんですよ。そういうものを、何かよくやったというような話にならないということを言わざるを得ません。
住民税非課税世帯というのは、所得税の非課税の方。要するに、生活費に課税することそのものはやはり遠慮しようじゃないか。生計費非課税、こういう立場から、こういう低所得の世帯においては課税をしない。そういった世帯に消費税増税を押しつけること自身が間違いだということを申し上げたい。切実な子育てへの願いを逆手にとった消費税増税を国民に押しつけるのをやめるべきだということをまず最初に申し上げておきます。
そこで、今回の無償化の話が一体どういう経緯で出てきたのかという点です。
無償化の話そのものは以前からあったわけですけれども、その財源として消費税の増税分の使い道を変えるという話が一体どこから出てきたのかということで、二〇一七年九月二十五日の記者会見で安倍総理は、幼児教育の無償化を一気に進める、二〇二〇年度までに三から五歳まで、全ての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化する、〇―二歳児も、所得の低い世帯では全面的に無償化すると述べました。そして、消費税の使い道を見直すという決断について国民の信を問うとして、衆議院を解散したわけであります。
大臣にお尋ねいたしますが、幼児教育の無償化の財源について、消費税の一〇%増税分を活用するという政府内の検討はいつから始まったんでしょうか。
○宮腰国務大臣 消費税の増収分を活用し、幼児教育、保育の無償化などの施策を実施することにつきましては、委員御指摘の二〇一七年九月二十五日の経済財政諮問会議において総理から発言があったものであり、同時に、無償化を含む新しい政策パッケージを年内に取りまとめるよう関係大臣に指示があったものと承知をいたしております。
また、同日、総理が記者会見を行い、無償化などの施策を推進するために消費税の増収分を活用する方針を総理の判断として示すとともに、速やかに国民の信を問う必要があるとして、衆議院の解散を表明したと承知をいたしております。
さらに、総選挙後、第四次安倍内閣の組閣に当たり、改めて総理から関係閣僚に対し新しい政策パッケージの策定の指示があり、政府においては、総理を議長とする人生百年時代構想会議の場などで無償化の進め方等についての議論をしてまいりました。
その上で、二〇一七年十二月八日に新しい経済政策パッケージが閣議決定され、政府として正式に、消費税の増収分を活用して幼児教育、保育の無償化を実施することが決定されたと承知しております。
○塩川委員 二〇一七年九月二十五日の記者会見で安倍総理が、無償化については消費税の増税分の使い道を変えるということを表明したわけです。その日の昼間に経済財政諮問会議が行われた。今大臣が答弁されたとおりで、その際に、安倍総理が、人づくり革命の財源についてもしっかりと結論を出していく、この際、二〇一九年十月に引き上げる予定の消費税による財源をしっかりと活用すると述べているわけです。
私が質問したのは、この経済財政諮問会議はまさに記者会見の日なんですよ。ですから、その場で総理が踏み込んで発言をしたのは初めてなんです。総理の判断として示すということをおっしゃったんですが、政府内で検討はしていなかったのかということなんですよ。政府内のしかるべき審議会とか、関係機関とか、関係の役所とか、この九月二十五日の前に政府の会議で幼児教育の無償化の財源について消費税の一〇%増税分を活用するという検討は行われたんですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
内閣府少子化担当の承知している範囲でございますけれども、幼児教育、保育の無償化は、安倍政権では、二〇一四年度以降、毎年段階的に進めてきたものでございます。
二〇一七年六月の骨太の方針におきましては、幼児教育、保育の早期無償化や待機児童の解消に向け、財政の効率化、税、新たな社会保険方式の活用を含め、安定的な財源確保の進め方を検討し、年内に結論を得る旨の記載が盛り込まれているものと承知してございます。
○塩川委員 いや、答えていないですよ。
だから、どこで検討したのかと言っているんですよ。消費税の増税の使い道を変えることで無償化の財源にする、そういう検討を政府内の一体どこでやったのか。ちゃんと答えてください。
○小野田政府参考人 繰り返しになりますけれども、二〇一七年六月の骨太の方針におきまして、安定的な財源の確保の進め方を検討し、年内に結論を得る旨の記載が盛り込まれたと承知してございます。
○塩川委員 二〇一七年六月の骨太を今紹介しましたか。(小野田政府参考人「はい」と呼ぶ)これは、幼児教育について、財源を確保しながら段階的無償化を進めると書いているんですよ。一気に無償化なんて書いていないじゃないですか。これは話が違うんですよ。
どこなんですか。総理の記者会見、解散すると言ったその記者会見の前、政府内において一体どういう検討が行われたのか。全くないということですね。
○小野田政府参考人 お答えします。
特にそういう検討の場はなかったというふうに承知してございます。
○塩川委員 検討の場はなかったんですよ。まさに総理の判断として示したということなんですけれども、私は、幼児教育の無償化の財源について、消費税の一〇%分を活用するという使途変更に関する検討は、いわば政府内では一切行われていないということを確認しました。そうなると、解散を宣言した記者会見の場で言い出したものということであります。
政府として一切検討を行わず、官邸主導で総理大臣の一言で決まるというやり方、これを安倍政権がやっているということですね。
○宮腰国務大臣 無償化の財源について、党内でもいろんな議論があったことは承知しております。例えば教育国債を発行するといったような議論などもありました。
総理が政治家として、選挙に臨むに当たって公約の一つとして、幼児教育、保育の無償化を消費税増税による増収分の一部をこれに充てるということを公約として掲げて選挙戦を戦ったものというふうに考えております。
○塩川委員 私は、まさにそこが問われていると思うんです。官邸の、総理の意思決定だけで事が進む。つまり、政策の企画立案過程、政策の意思決定過程が全く不透明なんですよ。要するに、政策の意思決定過程が国民に見えてこそ、本当の意味で国民の信頼を得ることになる。そういう過程が全く欠落したままで、こういった形での、解散を表明する場での政策発表というやり方自身がおかしいと言わざるを得ません。
この官邸主導で何でもやるということが、この間、いろいろな問題、加計学園の問題でも問われましたし、統計不正の問題でも問われましたし、何でもかんでも官邸で決めるというので、メディアの中では何でも官邸団だという批判なんかも出るような今の政府の対応について、やはり不透明だという強い声があるわけです。それをやはりしっかり受けとめる必要がある。
消費税増税の使い道を変えるということを解散・総選挙の口実に使うという、総理の党略的な対応そのものだと言わざるを得ません。総理の党略的な対応だからこそ、今回の無償化措置は保育の現場に大きなゆがみと混乱を生じさせている、このことを指摘するものであります。
そこでお尋ねしますが、大臣、今回、無償化の対象として認可外にも広げるわけですけれども、保育士が一人もいないような施設であっても無償化の対象となるのでしょうか。
○宮腰国務大臣 今回の幼児教育、保育の無償化に当たりましては、待機児童問題によりやむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない人についても、負担軽減の観点から無償化の対象といたしました。
都道府県等に届出が適切に行われたことを前提とし、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たすために、五年間の猶予期間を設けることとしております。
詳細につきましては、政府参考人から答弁させます。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
五年間、届出が適切に行われたことを前提とした猶予期間を設けてございます。この経過措置期間におきましても子供の安全の確保が重要であると考えており、厚生労働省を中心に鋭意取組を進めてまいります。
また、待機児童の状況等は地域によって大きく異なることを踏まえまして、市町村が地域の実情に応じて柔軟な運用ができるよう、改正法案では、市町村が保育の需給状況等を勘案し、条例により対象施設の範囲を定めることを可能とする仕組みを盛り込んでいるところでございます。
○塩川委員 条例の話はまさに自治体の判断であって、国の方針としては、こういった保育士が一人もいないような施設であっても無償化の対象とするということであります。
そこで、子供の安全の確保が重要だということをおっしゃいました。その点についての懸念の声というのは当然あるわけです。子供の安全の確保、質の確保というのはどうするのか、この点は厚労省かな、お答えいただけますか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
まず、今回、無償化の対象になる認可外保育施設についてでございますが、児童福祉法によって都道府県等への届出が義務づけられております。
都道府県知事等の指導監督権限としては、児童の福祉のため必要があると認めるときには、認可外保育施設の設置者等に対し、報告を求め、また、立入調査をさせることができる、また、その施設の設備や運営等に対し勧告を行うこと、勧告に従わなかったときはその旨を公表できること、また、都道府県児童福祉審議会の意見を聞いた上で、認可外保育施設の事業の停止又は施設の閉鎖を命ずることができる、こういったことが規定をされております。
これらの規定に基づいて、認可外保育施設への指導監督として、厚生労働省が示しております指導監督のための指針の中で、都道府県知事等に対し、年一回以上の立入調査を行うことを求めているところでございます。
○塩川委員 報告を求めたり立入調査を行い、また、施設や運営についての勧告、従わない場合などについての公表といった規定があるということですけれども、この立入調査のところで、指導監督における原則年一回以上の立入りというのは行われているんでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
まず、認可外保育施設は、届け出られている施設の数でございますけれども、二十九年三月三十一日時点で七千九百十六カ所ございます。都道府県等に年一回以上の立入調査をベビーシッターについては義務づけておりません。ですので、これを除きますと七千十三カ所になります。この七千十三カ所のうち、平成二十八年度に立入調査を実施した施設は約六八%でございます。
施設別に申し上げますと、立入調査を実施した割合は、ベビーホテルが約七三%、その他の認可外保育施設が約七一%、事業所内保育施設が約四五%となっております。
○塩川委員 年一回以上の立入調査ということですが、全ての施設に立入調査が行われていないということであります。
今後ベビーシッターについても対象となる、そういった際に、ベビーシッターへの立入調査というのはどうなっているんでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
認可外保育施設につきましては、原則年一回以上、立入調査を義務づけておりますが、現在、ベビーシッターについてはそれを義務づけていないところでございます。ベビーシッターについては、現在は、通知において、都道府県等が必要と判断する場合に指導を行うこととしております。
今後、ベビーシッターの新たな基準の検討をいたします。また、それとあわせて、指導監督の方法についても検討することといたしております。
○塩川委員 ベビーシッターについては立入調査の対象となっていなかった、今後必要な指針等々をつくるということです。
今回の無償化によって指導監督する対象施設が増加をすると思います。どのような施設が増加をするのか、そもそも全体で現状が幾つで、この無償化措置を経て幾つぐらいにふえるのか、それについて教えてもらえますか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
まず、認可外保育施設で、現在、届出の対象施設数は七千九百十六カ所でございます。これは二十九年三月三十一日時点の数字でございます。
これからのことでございますけれども、幼児教育、保育無償化を契機といたしまして、都道府県等による指導監督を通じた質の確保、向上を図るという観点から、これまで都道府県等への届出義務の対象外とされていた事業所内保育施設、こちらを新たに届出義務の対象に追加することとしているところでございます。(塩川委員「何カ所ですか」と呼ぶ)新たに届出対象となる事業所内保育施設については、約三千八百程度でございます。
また、ベビーシッターにつきましても、現在、新たな基準の策定と指導監督の方法についても検討しているところでございますが、ベビーシッターについては約九百程度あるものと把握しております。
○塩川委員 ちょっと答弁がまだ欠けているんですけれども、原則年一回以上の立入調査を行う施設というのは現状は何カ所で、この無償化に伴って何カ所にふえるんでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
現在、立入調査の対象になる数は、先ほど申し上げました七千九百十六カ所からベビーシッターを除いた七千十三カ所になります。
それに対して、今回新しく対象になりますのが、事業所内保育施設で約三千八百、ベビーシッターについて約九百程度というふうに把握をしております。
○塩川委員 そうすると、現行、立入調査の対象となる施設がおよそ七千カ所、事業所内保育施設プラスベビーシッターで、大体約一万二千ぐらいということでいいですかね。
○本多政府参考人 お答えいたします。
約七千カ所と四千七百ですので、一万千七百カ所程度かと把握しております。
○塩川委員 ですから、七千カ所が一万一千七百カ所にふえる。そうすると、指導監督する認可外の施設、立入調査の対象になる施設というのは一・七倍にふえるんですよ。一・七倍にふえる。こういうふうに指導監督の対象の認可外施設が大幅にふえることになる。そういったときに、先ほど立入調査が全体でも六八%といった状況で、本当に大丈夫なのかということになる。
厚労省にお尋ねしますが、こういった認可外施設への指導監督体制の抜本的強化が必要じゃないですか。
○本多政府参考人 御指摘のとおり、指導監督体制の強化は必要だというふうに考えております。
このため、指導監督の手法やルールの明確化等によって、児童福祉法に基づく都道府県等による指導監督の徹底を図ってまいります。また、これとともに、指導監督基準の内容についての説明や事故防止に向けた助言などを行います巡回支援指導員、こちらの配置の拡充によって、巡回支援と連携した効率的、効果的な監査の実施などの取組を進めてまいります。
また、無償化の給付主体である市町村の役割も極めて重要であると考えております。
このため、改正法案におきましては、市町村長に対して、対象となる施設を特定する確認、必要に応じた施設からの報告徴収、勧告、命令、確認の取消し、さらに、都道府県知事に対する必要な協力要請などの権限を与えるための規定を設けるとしておるところでございます。
○塩川委員 指導監督の徹底と、巡回支援指導員の話と、市町村の役割も重要だということで、今お話しされたのは確認指導監査のことでしょうかね、そういう話があります。それぞれ重要だと思います。
ただ、これで本当に対応できるのかという点で、この巡回支援指導員についてお尋ねしたいんですが、この巡回支援指導員の予算上の配置人数と実績を年度別にまず教えてください。
○本多政府参考人 お答えいたします。
巡回支援指導員につきましては、平成二十九年度から都道府県等への配置を支援しているところでございます。
この巡回支援指導員の予算上の人数でございますが、平成二十九年度は六百九十人、平成三十年度は七百六人、平成三十一年度の予算案上は一千二百二十一人となっております。
実際の配置状況につきましては、二十九年度は二十一自治体で九十七名でございます。また、平成三十年度の配置状況については、現在集計をしているところでございます。
○塩川委員 この巡回支援指導員というのは法令上の規定になるんですか。
○本多政府参考人 この巡回支援指導員につきましては、法令上の根拠ではなく、予算上の事業ということになります。
○塩川委員 法令上の根拠がない予算事業、予算に伴って左右されるという話になります。
巡回支援指導員に相当する仕事を行っているのが東京都の巡回指導だと承知をしております。厚労省がまとめている平成二十八年度認可外保育施設の現況取りまとめでは、東京都における立入調査は千五百七十七施設に対して百七十三施設にすぎないわけです。
東京都は、巡回指導で全施設を回っており、問題があれば都の監査部門に連絡するとしておりますが、今確認したように、巡回指導というのは法令上の権限はないんですけれども、そういう対応で大丈夫なんでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
巡回指導で把握いたしました問題点などを監査の部門と共有するなど、自治体によっていろいろな工夫をしているというふうに承知しております。
今後、そういった好事例なども横展開をして、巡回指導と監査の効率的な連携を進めて、効率的な質の確保を図ってまいりたいと思います。
○塩川委員 ですから、都としての立入調査というのは、千五百七十七に対して百七十三と、一割程度しかないんですよね。それは巡回指導ということで対応しておられるんですが、基本は指導助言ですよね。
実際に、立入調査と巡回指導と指導助言項目というのはそれぞれ幾つぐらいになっているかというのはわかりますか。
○本多政府参考人 済みません、今、ちょっと手元には数がございません。
○塩川委員 私もにわか勉強でありますけれども、企業主導型についての検討委員会の中で東京都の方が説明をされておられて、その中で、指導助言項目について、立入調査の場合は百六十項目だ、巡回指導は三十項目という説明がありました。
ですから、巡回支援指導員で指導監督に置きかえることはできないと思うんですが、いかがですか。
○本多政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどの答弁とも重なりますけれども、巡回支援指導員がチェックをする項目と監査の項目で共通する部分もございますので、もちろん代替できるものではございませんが、効果的な情報共有などによって効率的に進めていくことは可能かというふうに考えております。
○塩川委員 代替できるものではないということで、やはり都の指導監督の体制そのものをしっかりと強化をするということが求められていますし、もちろん、東京都に限らず、全国的に指導監督そのものの抜本的な体制強化が必要だということを強調しておくものです。
例えば、予告なしの立入調査なんかしっかりやってもらいたいと思うんですが、そういう点についてはいかがですか。
○本多政府参考人 現在、自治体の指導監督の方法などについても調査をしているところでございまして、その中でより効率的、効果的な方法を把握いたしまして都道府県に促していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 この巡回支援指導員だけではなくて、指導監督の体制そのものを強化する、こういうことで国としてやるべきことがあるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
巡回支援指導員の配置を拡充することとあわせまして、自治体の指導監督体制の強化につきましては地方財政措置を講じることとしているところでございます。
○塩川委員 地方財政措置、地方交付税措置というのは溶け込んでいてなかなかよくわからないということが言われるところでもありますし、これだけ一・七倍にもふえるんですよ。施設の大小はもちろんあるでしょうけれども、行くのは同じですから、そういう点でも、しっかりとした体制がないと、やはり重大な見逃しとかになりかねないんじゃないのか。
こういうことについて、やはり国は責任を持って行う。今回の措置にあわせて、では、地方財政措置を拡充するとか、そういうふうになっているんですか。
○本多政府参考人 お答え申し上げます。
今回の無償化の実施も踏まえまして、新たに指導監督体制の強化について地方財政措置をお願いしているところでございます。
○塩川委員 お願いしているだけで実現はしていないという話であるわけで、こういう点でしっかりとやらないことには、そもそも無償化の前提そのものの安全の確保ということが問われる大問題ですから、このことを指摘しておくものです。
次に、企業主導型保育事業についてお尋ねをいたします。
資料を一枚お配りさせていただきました。内閣府からいただいた資料ですが、いっぱい項目があるんですけれども、見ていただきたいのは、保育所と、下から二つのところですが、認可外保育施設と企業主導型保育事業、この三つについて指導監査の違いをお尋ねしたいんです。
欄の左から二つ目のところに施設監査とある。これが、児童福祉法に基づく認可外保育施設に対する指導監督と、それから、右側の赤い線で囲まれているのが、子ども・子育て支援新制度、子ども・子育て支援法に基づく認可外保育施設に対する指導監査のところです。
それとは別に、一番下の企業主導型の保育事業については、子ども・子育て支援法に基づく措置は入っておらず、児童育成協会が実施をするということで、内閣府と児童育成協会が作成した指導監査基準に基づいて企業主導型保育施設に対する指導監査が行われているということなんです。
つまり、児童福祉法に基づく指導監査と、子ども・子育て支援法に基づく指導監査と、企業主導型に対する内閣府と協会がつくっている指導監査、この三つの違いについてわかりやすく説明していただきたいと思います。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
まず、保育所、幼保連携型認定こども園、地域型保育事業等といった保育施設に対する指導監査でございますけれども、まず一つは、委員先ほどもお触れになられました、児童福祉法等に基づき、各施設等の人員配置や設備、面積等に関する認可基準の遵守の観点から、都道府県が行う施設監査がございます。この施設監査につきましては、一方、認可外保育施設につきましても、同じく児童福祉法に基づき、指導監督基準への適合性の観点から、都道府県等が指導監督を行ってございます。
また、一方で、施設等に対する給付の観点から、これは子ども・子育て支援法に基づくものでございますけれども、運営基準の遵守や給付の適正化の観点から市町村が行う確認監査、これに加えまして、法令遵守の体制整備の観点から国、都道府県又は市町村が法人に対して行う業務管理体制検査がございます。
また、企業主導型保育事業に対してでございますけれども、この保育事業、保育施設、位置づけは認可外保育施設でございますので、先ほど申し上げました児童福祉法に基づきます指導監督基準への適合性の観点から都道府県が指導監査を行いますとともに、企業主導型保育事業の実施機関が、実施要綱等に定める基準の遵守や助成金の適正な執行の観点から立入調査を行っている状況でございます。
○塩川委員 児童福祉法に基づく指導監督基準を踏まえて認可外施設に対する指導監査を行うという部分と、子ども・子育て支援法に基づいて、給付の観点、運営上について法令遵守の問題を含めてしっかりと指導監査を行っていくということと、これとは別に、企業主導型については別途措置をしているということなんですけれども、今度、対象が広がります。そういった際に、この表の中で今回の法改正で変更というのは出てくるんでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
恐縮でございますが、委員の表で申し上げますと、認可外保育施設のところにつきまして、今回、新たに無償化措置によりまして、認可外保育施設等に対しまして給付が始まりますので、この赤枠の新制度、確認指導監査のバーの部分、認可外保育施設のこのバーの部分に確認指導監査というのが新しく位置づけられることになります。
○塩川委員 認可外保育施設について、この新制度、子ども・子育ての確認指導監査というのが入ってくるということで、では、その右の業務管理体制検査というのは入らないんですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
業務管理体制検査でございますけれども、保育所に対する運営費は、施設が受領する従来の子ども・子育て支援法に基づく給付ということでございますけれども、給付による公費が大宗を占めてございまして、法人単位での不正受給等が生じないよう、法人に対して法令遵守に係る業務管理体制検査を行うという仕組みに今なってございます。
他方、今回の認可外保育施設等に関する新たな施設等利用給付でございますけれども、これは、施設等に保護者が支払った費用の一部につきまして、その保護者に償還払いをするということが基本でございますので、今回は業務管理体制検査そのものの規定は設けていないところでございます。
○塩川委員 新制度に基づく確認指導監査は施設に対して行うというものですけれども、法人に対して業務管理体制検査を行うわけですよね。だったら、法人に対してという角度はあってしかるべきじゃないかと思うんですが、どうですか。
○小野田政府参考人 恐縮でございます。繰り返しになりますけれども、現在の業務管理体制検査は、法人単位での不正受給が生じないよう、現行の施設は子ども・子育て支援法に基づく給付が大宗でございますので、そういった観点からあえて業務管理体制検査を入れているところでございますが、今般の認可外保育施設につきましては、運営費そのものを給付として入れるという位置づけではございませんで、あくまでも施設等に保護者が支払った費用の一部を保護者に対して支払っていくということが基本でございますので、法人を対象とした業務管理体制検査の規定は設けていないところでございます。
○塩川委員 いや、やはり施設に対して見るというのと同時に、法人に対してもきちっと見るというのがあってしかるべきで、認可外の施設についての安全性の確保という観点というのは、そこをあけるというのが納得のいくものではありません。
企業主導型について尋ねますけれども、今回の法改正で給付対象となる認可外保育施設については支援法の確認指導監査の対象となります。しかし、企業主導型保育施設は給付対象となる認可外施設なのに、支援法の確認指導監査の対象とならないというのは、これはどういうことなんでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
今般の企業主導型保育でございますけれども、子ども・子育て支援法に基づく給付というものではございませんで、あくまでも事業主から徴収する拠出金を財源とする補助事業として今般実施させていただくことにしてございますので、事業の実施機関が引き続き立入調査を行うという位置づけにさせていただいております。
○塩川委員 要するに、拠出金から充てているから消費税を充てていないという整理ということですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
今般の企業主導型保育事業の無償化につきましては、いわゆる消費税を充てるのではございませんで、これまで同様、事業主から徴収する拠出金を財源とさせていただくということでございます。
○塩川委員 いや、ですから、消費税を充てると市区町村の確認指導監査をするんだけれども、拠出金を充てるとこの確認指導監査をやらないという理屈がよくわからないんです。
○小野田政府参考人 済みません、舌足らずで申しわけございません。
消費税を充てる、充てないではございませんで、まず、子ども・子育て支援法への位置づけを、企業主導型保育事業、立入調査等は明確に位置づけてございませんで、あくまでも補助事業という位置づけでございますので、補助金適化法に基づきまして、必要であれば国が立入調査もできることになっておりますし、最初に委員もお話しになられましたとおり、実施機関が、補助金を給付するという観点から立入調査をこれまでもやっておりますし、今後も、無償化になろうが、引き続きやっていくという位置づけでございます。
○塩川委員 やはり地元の自治体の関与というのは非常に重要だという点で、この新制度に基づく確認指導監査というのがあるわけですけれども、企業主導型については、自治体、市区町村による指導監査というのは考えないということですか。
○小野田政府参考人 企業主導型保育事業につきましての監査でございますけれども、事業の実施機関が、認可外保育施設の指導監査を行う都道府県と、それぞれ実施することとしている立入調査の結果を共有するなどの連携を図るよう、都道府県に対しては協力を求めているところでございます。
さらに、先般、企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会報告が出されましたけれども、この報告におきましても、更に都道府県との連携を図るほか、指導監査の研修の合同実施、連携の好事例の横展開などが示されております。
こうした方向に沿って、さらなる都道府県、自治体との指導監査に当たっての連携を徹底してまいりたいと考えてございます。
○塩川委員 都道府県の指導監督、児童福祉法に基づく連携というのはわかるんだけれども、効率という言い方をされると、にわかには納得しがたい表現にも聞こえる。実態がどうなるかということが問われてくると思うんです。
市区町村の関与というのが重要なんじゃないのかといった点でも、新制度での確認指導監査で市区町村が関与するということは企業主導型では考えないのかということなんです。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
市町村との連携も非常に重要だと思っておりまして、今回の先ほど申し上げました報告の中でも、一層の市町村との連携、例えば、地域枠を設定する場合に、あらかじめしっかりと保育の状況について市町村と相談をするとかいうことを、今以上に連携を入れておりますし、指導監査の面でも何らかの連携ができないかは引き続き検討してまいりたいと思います。
○塩川委員 先ほど答弁がありましたように、認可外保育施設については確認指導監査として新たに対象とする権限をきちっと今回規定するというふうにしているんだけれども、企業主導型保育事業についてはそれはやらないということですから、同じ認可外保育施設で、一方でやりながら企業主導型はやらないと。
連携とか、それはわかるんだけれども、法令上の根拠を持った権限でやれるかどうかというのが問われているんじゃないですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
まずは、実施機関におきまして計画的に立入調査を、これは原則、年に一度は立入調査をするということになってございますので、しっかりと立入調査をしていただくとともに、補助金適化法上、国におきましても、実施機関あるいは間接補助事業者ということで、個々の施設でございますけれども、これらに対して報告をさせ、当該職員にその事務所等への立入りをさせることができるというような規定がございますので、こちらの必要に応じまして、補助金適化法に基づきました立入調査等を実施していく予定でございます。
○塩川委員 児童福祉法に基づく指導監督をしっかりやるというのは重要で、しかし、現状も立入りは六八%で、一・七倍にふえるんですから、それ自身も非常に心配なわけですけれども、そういう点でも、市区町村の権限として子ども・子育て支援法上にあるんだから、そういうのをきちっと当てはめるということをやっていいんじゃないの。市区町村の体制支援というのはもちろん必要なわけですけれども、こういったことが抜けているという点でも、制度設計上、そもそも問題がありと言わざるを得ません。市区町村の関与をなるべく外したいと考えているんじゃないのかということを言わざるを得ない。
実際、この委員会でも議論されているように、児童育成協会による指導監査というのはいろいろ問題が出ているわけじゃないですか。パソナとパソナフォスターの関係なんかも含めても、実際の指導監査についていろいろな疑念のあるところで、企業主導型への指導監査を可能な限り緩和しようとしているのではないのか、こういう疑念が拭えないということを申し上げておくものであります。
そこで、この無償化の対象となる施設については、政府は、指導監督基準をクリアし、認可基準をクリアするということは二段階でやってくださいと求めているわけですけれども、企業主導型保育施設は無償化の対象となるわけですけれども、それでは、この企業主導型保育施設は認可化を目指すんでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育事業は、事業主拠出金を財源といたしまして、企業が主体的に、従業員のニーズに応じた柔軟な保育を提供することができるという特色を持った事業でございます。
具体的には、早朝、夜間、休日といった企業の従業員の多様な働き方への対応、従業員枠の設定など、本事業は、拠出金を財源として、認可保育所等にはない特色を有していると考えてございます。
ただ、一方、例えば保育事業者設置型につきましてはさまざまな課題が指摘されてございまして、先般公表されました委員会報告におきましても、例えば、新規参入する場合には五年以上の事業実績のある者に限るべき、定員二十名以上の施設は保育士割合を七五%以上に引き上げるべきといったような内容が示されてございます。
こうした検討結果や企業主導型保育事業の特色を踏まえまして、しっかりと改善を図ってまいりたいと考えてございます。
○塩川委員 ちょっと答えになっていないんですけれども、大臣、伺います。
企業主導型保育施設は認可化を目指すのかという話なんですけれども、その点は。
○宮腰国務大臣 今、政府参考人から申し上げましたように、企業主導型保育は、従業員のニーズに応じた柔軟な保育を提供ができる、働き方に応じた柔軟な対応ができるという特色を持っているわけであります。
認可化については、まずは、認可化ではなくて、企業主導型保育事業の特色を生かしながらしっかりと改善を行っていくということをやっていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 企業主導型も認可化を目指すということでいいんですね。
○宮腰国務大臣 特色を生かしながらということでありますから、必ずしも認可化を目指しているわけではありません。
○塩川委員 いや、だから、言われているように、企業主導型の場合については、企業からの受入れ枠がありますから、もし認可になれば自治体の関与があるということでは、そういう枠に基づかないという点では、企業主導型は認可を目指さないわけですよ、仕組み上は。
○宮腰国務大臣 自治体の関与、あるいは自治体との連携というのは、必ずしも認可でなければ関与ができないというわけではありません。
特に、地域枠というものを持っているわけでありますから、そういう面では、自治体の関与、これから具体的にどうやっていくかということは課題でありますけれども、その関係についてはしっかりやっていきたいと考えております。
○塩川委員 答えになっていません。
企業主導型保育施設は、整備費の助成単価は認可保育所の整備費の単価と同一水準としています。運営費の保育単価は、子ども・子育て支援新制度の小規模保育事業等の公定価格をベースに設定をしています。認可保育施設と同等な支援が行われていますが、認可施設にはならない。認可になると、入所は全て自治体が審査するので、企業枠がなくなるから。
私は、企業主導型保育施設について、認可保育施設と同等の運営費、整備費を出すんだから、少なくとも保育の質も認可と同等にすべきじゃないのかと言いたいんですが、いかがですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育事業の例えば職員配置とか設備、面積等の基準でございますけれども、基本的には、認可施設でございます事業所内保育事業あるいは小規模保育事業と同様の基準を設定させていただいているところでございます。
さらには、先ほど申し上げましたけれども、更に質の確保を上げていく観点から、例えば、保育事業者設置型につきましては、新規参入の場合に五年以上の実績が必要である、定員二十名以上は保育士割合を七五%以上に引き上げるといった報告書の内容を踏まえまして、一層の質の向上に努めてまいるという位置づけでございます。
○塩川委員 小規模と同等といっても、小規模は二十人より少ないわけですから、実際に二十人より多いところが多いわけで、そういった点でも低く合わせるようなやり方はおかしいですよ。
今回、五〇%を七五%に引き上げるという検討委員会の報告書なんですけれども、実際にこの企業主導型保育施設に入所している児童の数、推計でいいんですけれども、聞きたいんです。〇―二歳と三―五歳、これはおおよそ何人ぐらいなんでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育事業施設を実際に利用している児童数を集計したものはございませんが、平成二十九年度企業主導型保育施設の定員に対する利用者数の状況について調査してございます。
この調査は、平成二十九年度中に運営を行っていた全施設につきまして、各月時点における延べ利用者数を、定員に開所日数を乗じた数で除し、一カ月当たりの定員充足率を算出したものでございまして、実際に利用していた人数を正確に算定することは困難ではございますが、その上で、先ほど申し上げました定員充足率の調査に基づきまして単純に推計させていただきますと、〇―二歳児が約一万六千三百人程度、三歳以上が約一千五百人程度となるところでございます。
○塩川委員 ですから、〇―二歳が圧倒的なわけです。それは当然そうだと思うんですよね。九割以上が〇―二歳ということになると、なおのこと安全対策が極めて重要だということを言わざるを得ない。保育士の配置基準、五割でいいとか七五%でいいとか、これは納得できる話じゃないと言わざるを得ません。
最後に大臣に伺いますけれども、企業主導型というのは、答弁にもありましたように、働き方に応じた柔軟な保育ができる。今、長時間労働があるとか深夜労働とかある中で、その柔軟に応えるということは、保育そのものが長期になり、あるいは逆に短時間だったり、深夜に及んだり、あるいは集団ではなくて個別の対応にならざるを得ないという点でも、夜間とか休日勤務、短時間勤務、一時預かりなど、柔軟に対応できるというのは、ニーズに応えるという場合には、子供にとっては非常に大きなストレスをためるものになる。そのため、保育者には通常の保育以上に専門性の発揮が要求されているんじゃないでしょうか。
夜間や短時間などは特殊な保育であるために、安全性が一層求められています。このような条件に対応した保育を行うためには、保育士の割合は七五%などと言わずに、認可と同様に一〇〇%にするのは当然じゃないでしょうか。大臣、お答えください。
○宮腰国務大臣 委員御指摘のとおり、子供の健やかな育ちを図るためには、保育の質の確保は非常に重要であると認識しております。
しかしながら、これまで内閣府が事業を進めてきた中で、まずは量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないか。ここは一度立ちどまり、これまでの取組を検証し、反省すべきは反省し、しっかりと改善を図っていくべきではないのか。私としては、そうした厳しい認識のもとに、昨年十二月に、実施体制を強化するための検討委員会を立ち上げました。
一昨日十八日に公表されました当面早急に改善すべき事項についての検討委員会報告において、子供の安全第一の観点から、保育の質の確保、向上を重視し、審査、指導監査のあり方を検証し、見直すといった改善方策が示されております。
今後、検討結果を踏まえ、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいと考えております。
○塩川委員 全く不十分だと言わざるを得ません。柔軟な働き方というより、柔軟な働かせ方そのものを変えるべきなんじゃないでしょうか。それに合わせたような保育に対応すること自身が、子供の安全性にとって大きな懸念を生じるものになる。
この企業主導型そのものについても強い懸念がある、待機児童対策というのは、認可保育所を、しっかりと保育を行っていく、このことが保護者の強い要求だということを申し上げて、質問を終わります。
○牧原委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いをいたします。
それでは、早速質疑に入っていきたいと思います。
きょうは、私も一つ目は認可外保育施設についてなんです。
認可外保育施設、これから五年間で、移行を支援しながら、なるべく質の担保、水準を上げていく、認可の設備に近いものに持っていくということをするということなんですけれども、ただ、認可外保育施設には、意図的に認可外として残りたいという保育園、認可外の施設もあります。そういったところに関してどういうふうに対応されていくのかというのを、まず一点、お聞かせいただきたいと思います。
○本多政府参考人 お答えいたします。
待機児童問題によって、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方がいることから、今般、代替的な措置として、認可外保育施設を幼児教育の無償化の対象としております。
無償化の対象となる施設は、届出を行い、指導監督基準を満たすことが必要でございますが、指導監督基準を満たさない施設を利用せざるを得ない場合を考慮して、施設が基準を満たすため、五年の猶予期間を設けることとしております。
猶予期間後も認可外保育施設が無償化の対象となるには、指導監督基準を満たすか、認可の保育所や小規模保育などに移行していただくことが必要でございます。
子育て安心プランに基づいて、二〇二〇年度末までに待機児童を解消するための受皿整備に全力を尽くすとともに、認可外保育施設が指導監督基準を満たし、さらに認可に移行するための支援も充実させてまいります。
○浦野委員 先ほどの塩川委員の質問の中にもありましたけれども、やはり、働き方が多様化して、保育のニーズも多様化をしてきた。その中で、認可の保育園等では対応できない部分があるのも、実際、今、事実であります。その中で、認可外から認可になったときに、今入っている子供たちが対象外になって入れなくなるということが起き得るわけですよね、今までだったら。それを、今答弁があったように、努力をするところはそのまま対象になるということですので、ここら辺、しっかりと状況を見ていただけたらなと思っています。
先ほどの質問の中にもありましたように、子供にとって何が最善かという話は永遠のテーマなんですね。
本当に、保育園に預かってもらう例えば病児保育なんかも今ありますけれども、病気をしているときぐらい、家でお父さん、お母さんが休暇をとって子供を見れるような社会にしないといけないのが本来じゃないですかというような議論もあるわけですね。
だから、ありとあらゆるニーズを保育でつくっていくという反面、子供にとってそれが最善かどうかというのはまた議論の余地のあることだ。これはずっと言われ続けている話ですので、そこは保護者の皆さんがどっちを選ぶかということになるとは思うんです。
ただ、社会がまだまだ子育てに対して理解を深めていない部分があって、病児保育とかそういういろいろな保育サービスがふえていっているという部分はあるかもしれませんので、これはまだまだいろいろな議論の余地があるかなと思っています。
もう一つ、認可外の監査体制、これもいろいろ議論があります。
私の住んでいる大阪なんかは、大阪府から市町村に権限移譲をしまして、監査指導も今は市町村にほとんど移っています。この権限移譲をした中で、監査指導のあり方についてもいろいろと大阪では議論があります。
例えば、今までの大阪府の監査であれば指摘をされたことがないようなことが、市町村監査になった途端に指摘をされる。だから、運営側からすれば、いやいや、今までと同じ基準で保育園を運営してきているのに、監査する人がかわっただけで何で指摘されることになるんだと。運営側からしたら不思議な話ですので、そういった監査のばらつきというのも実際出てきているわけですね。でも、それはおいおい、いろいろな調整の中で都道府県域でいろいろやりとりがあって、最終的には落ちついていくんだろうとは思うんですけれども、監査というのはやはり難しいと思うんですね、権限移譲したりとか。
僕は、権限移譲すべきだということで、大阪ではやりましたけれども、認可外の監査体制は、要は今のところは都道府県になるわけですよね、監査するところは、認可外は。大阪のように、市町村に権限を移譲したので、監査指導しているところはもしかしたらちょっと余裕があって、監査体制はとりやすいかもしれませんけれども、権限移譲していない都道府県もまだまだあるはずですね。
更に言うならば、監査指導は法律では一年に一回と決まっているのに、今既にまだ一年に一回もできていないわけですよね。それを、監査対象がどんどんどんどんふえていく中で、どうやって監査の体制をしっかりとっていくのかというのは、ちょっと私は心配をしているんですけれども、その点についていかがでしょうか。
○本多政府参考人 お答え申し上げます。
認可保育所や認可外保育施設に対する指導監査につきましては、児童福祉法に基づいて、都道府県、政令指定都市、中核市が行うこととしております。
一方、委員の御指摘のありましたとおり、一部の都道府県では、管内の市区町村に監査権限を移譲している例があるというふうに承知をいたしております。
保育施設の保育内容や保育環境を適切に確保するためには、各都道府県等が保育の現場に立ち入って監査をすることが重要であると考えております。
平成二十八年度における全国での認可保育所の指導監査の実施率、こちらは約八二%でございました。認可外保育施設の指導監査の実施率は約六八%でございました。
こうした状況となっております要因でございますが、施設数が多い都道府県等におきましては、指導監査の担当職員が十分に配置されていない、そういったことから、一部の都道府県等で実施率が低調となっているものと承知をいたしております。
このため、認可保育所につきましても、認可外保育施設も同様でございますが、睡眠中などの重大事故が発生しやすい場面での指導助言を行う巡回支援指導員について、都道府県等に配置するという支援を行います。また、都道府県等に配置された巡回支援指導員が助言指導した内容を都道府県等の指導監査部門に報告いたしまして情報共有を行うなど、巡回支援指導員と指導監査部門との十分な連携によって適切な実地検査を実施することが重要だと考えておりまして、その旨を全国主管課長会議等において各都道府県等に要請しているところでございます。
また、さらに、保育施設に対する指導監査につきましては、現在、都道府県等の認可施設に対する指導監査方法の実態把握を進めておりまして、今後、認可外施設も含めた保育施設に対する効果的、効率的な指導監査を行うための方策を検討してまいります。
いずれにいたしましても、保育の受皿拡充と保育の質の確保を両輪としてしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○浦野委員 これも先ほどの塩川委員の質疑の中でも触れられていましたけれども、実際、監査資源の不足ですね、監査する人たちの人数も足りていないし、経験も、権限移譲されたところについては、これからいろいろと経験を積んで効率的な監査をされていくとは思うんですけれども、経験不足とかもあると思うんですね。
ただ、この内閣委員会の一般質疑でも私から指摘をしたことがありましたけれども、監査体制、監査をちゃんとできないと、悪いことを考えている運営者はいっぱい、性善説ではやっていけないので、そういう人たちを取り締まる監査というのがちゃんと要ると思うんですね。
例えば、企業主導型では民間委託をして監査をしているわけですけれども、それについてはちょっとこの後に質問しますけれども、今まで社会福祉法人で第三者評価というのをやっているところがありました。
これは、自分たちが自主的に、ちゃんとしっかりやれているかというのを自主的にやっている制度ですけれども、実は、もうこれはちょっと今、下火になりつつあるんですけれども、私は、これは本来はいい取組だと思うんですね。
自分たちがちゃんと第三者の人たちに評価をしてもらって、私たちの法人はちゃんとそういうことができていますよと確認を自分たちでする。では、それをしたら行政監査がなくなるとかではないから、仕事がふえるだけなので、だんだん下火になってきているんです。
本来なら、こういった自主的な監査を、行政がお墨つきを与えることによって、自分たちでしっかりとやりますと。第三者評価をしているところにしっかりと監査権限を企業主導型ではやったりとかしているわけですから、そういうところをちゃんと認定してあげて、第三者評価でも監査ができるようにしてあげるという手はあると思うんですけれども、いかがですか。
○本多政府参考人 今御指摘のありました第三者評価でございますが、こちらは福祉サービス第三者評価事業と申しまして、個々の事業者が事業運営における問題点を把握し、サービスの質の向上に結びつけるとともに、評価結果の公表を利用者の適切なサービス選択に生かしていただくため、そういったことを目的としてやっております。そのために評価基準のガイドラインも策定をしているところでございます。
一方、監査と第三者評価の関係でございますけれども、御指摘の第三者評価を監査に活用するということにつきましては、やはり、第三者評価と指導監査では、指導、指摘する観点、目的とも異なるところがございますので、慎重な検討が必要かというふうに考えております。
○浦野委員 監査資源の不足をどう賄っていくのかというのは、非常に大きな、私は、やはり監査をしっかりしないといけない、これは私だけじゃなくて、この質疑をしている方々からも指摘があるとおりですので、やりようはあるんじゃないかなというふうに思っております。
企業主導型の民間委託の監査については、本当にたくさんの議論が、指摘があります。私もこの点については、前回の一般質問でも言っていますし、本当に考えるべきだと思うんですね。今、監査のやり方についてまた検討されているということだとは思うんですけれども、この点について御答弁をいただけたらと思います。
○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業の指導監査業務につきましては、委員御指摘のとおり、児童育成協会が民間企業に委託しながら実施してまいりました。
この指導監査に関する課題として、この事業の改善方策を検討している検討委員会におきましては、保育の質の視点が不足しているのではないか、また、民間に委託していることも含め、実施機関による実施体制が十分に整っていないのではないかなどが指摘されております。
そして、一昨日十八日に公表されました、当面早急に改善すべき事項についての検討委員会報告におきまして、指導監督の内容について、財務面、労務面を強化することとし、そのための専門人材の確保や監査の専門的なルールをつくり、充実を図ること、また、指導監査業務の一部を外部に委託する場合には、中立性、専門性の確保が必要であること、そして、指導監査を行う者の専門性を向上するため、研修のあり方等を検討することなどが示されました。
今後、検討結果を踏まえ、企業主導型保育事業における監査のあり方について、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいと考えております。
○浦野委員 ぜひよろしくお願いをいたします。
続いて、保育士確保について質問させていただきたいと思います。
保育士の子供さんの優先入所をするという仕組みがありますね。これは今やっていただいていますけれども、実は、自分の住んでいる市町村にある保育園に自分の保育士さんの子供が行く場合は、優先入所をもちろんやっていただいているということなんですけれども、他の市町村に住んでいる場合は、自分のところの市の保育園の保育士を確保するためじゃないということで、これは国の方からは通達を出していただいているんですけれども、実際は優先入所ができないところが出てきているんですね。
それをすると、まあ、自分のところの市町村じゃないからというのが理由だとは思うんですけれども、そういうことを言っていたら、それこそ保育士不足の解消なんて絶対できないので、これはもっときつく指導できませんか。
○本多政府参考人 答弁申し上げます。
保育人材の確保、育成ですとか、あるいはその離職を防ぐという意味では、保育士のお子さんの保育園の優先利用は非常に重要だと考えておりまして、議員御指摘のとおり、自治体に要請をしているところでございます。
また、保育士が居住している自治体と保育士が働いている保育園の所在する自治体、これが異なる場合には、各市町村間で、例えば協定を結ぶといった形で連携、調整を行うことで御対応をお願いしているところでございます。
それを更に進めていただくために、昨年度の子ども・子育て支援法の改正によりまして、都道府県に設置することができることとされた待機児童対策協議会、こちらで保育士の優先入所の横展開も協議事項の一つとしてお示しをしているところでございます。
取組の好事例を周知するなど、各自治体を支援して、取組が展開するように進めてまいりたいと考えております。
○浦野委員 もう一つ保育士確保で、宿舎の借り上げ支援事業があります。これは、子育て安心プランの採択を受けている市町村で、採用された日から起算して十年以内というのを新しく、最初は五年だったのが、今、拡大して、十年以内の常勤の保育士ということになっていて、待機児童数が五十人いてるかいてないかで五年か十年かというのが変わるわけです。
これを運営側に市町村とかがそういうところに説明をされたときに、どうもちゃんと伝わっていないといいますか、間違った伝わり方をしていて、必ず十年間、借り上げの支援事業が受けられるというふうに伝わっている部分があるんですね。実際はそうではない支援事業なんですけれども、その点についてちょっとお話を聞かせていただきたいと思います。
○本多政府参考人 まず、委員御指摘の宿舎の借り上げ事業でございますが、どういう事業かと申しますと、保育所等に勤務する常勤の保育士で、採用から五年以内の方を対象として、月額八万二千円を補助する制度として創設をされました。この創設以来、採用から五年以内の方を対象とする、これを基本としております。
そこに加えまして、平成二十九年度以降は、保育士確保の必要性や効果が高い地域に限って、対象を採用から十年以内の方に拡大をしています。対象者を拡充できる地域の要件は各年度ごとに判断をしておりまして、要件の見直しによって対象から外れてしまう地域については経過措置を設けるなどといったことによって、現場に混乱のないように対応に努めているところでございます。
引き続き、事業実施方法の周知のため、制度内容に関するQアンドAを発出するなど、より丁寧な周知に努めてまいりたいと考えております。
なお、現行制度上の対象者を拡充できる自治体の要件は、有効求人倍率が全国平均以上であること、又は待機児童数が五十人以上であること、このいずれかを満たすことを要件としております。この趣旨は、保育士確保が困難であることをはかる指標として、有効求人倍率が高い地域、これを基本としながら、待機児童が多い地域も対象に加えるものということでございます。
○浦野委員 制度的にはよく考えてつくられていて、厚生労働省側としては、制度上はきっちりつくったんだろうなと思うんですよ。
ただ、制度がきっちりというか細かく設定をされていて、利用する側、要は保育園を運営されている方々からすれば、逆にちょっとわかりにくくなってしまっている制度で、勘違いをされて、例えば、十年と思って、保育士さんを、十年はちゃんと補助が出るから来てくれといって頼んで来てもらったら、実は、十年も補助金が出ない。そうなったら、保育園自身が負担をしないといけない部分がふえてしまう。そういうことになりかねないということで、危惧をされている保育園があるんですね。
しかも、これは待機児童が五十人未満になれば対象から外れる。要は、待機児童解消に努力したらこの制度を受けられなくなるということになるんですね。だから、頑張ったら頑張った分だけこの制度を受けられなくなるということになってしまいますので、この辺はもう一度しっかり説明をして、この支援事業のことについてはちゃんとお伝えをしていただけたらなと思っております。これは運営側にとっては結構大きな話になると思いますので、よろしくお願いをいたします。
次に、税額控除について質問をします。
厚生労働省が、三十年の八月、平成三十一年度の税制改正要望事項として挙げているものの一つに、子育て支援に要する費用に係る税制措置の創設と。内容は、ゼロから二歳の子供を持つ世帯において、認可保育所への入所の希望がかなわず、やむを得ず公費の支援のない認可外施設等を利用する場合に、その費用の一部を税額控除の対象とする措置を講ずるということなんですけれども、これは非常に大きなことだと思うんですね。
厚労省が要望してこれは認めてもらえなかったということなんですけれども、これはかなり大きな話ですので、厚労省としてはこれはぜひということだと思うんですけれども、この点について、今どういうふうになっているか、お聞かせいただけますか。
○本多政府参考人 委員の御指摘のとおりでございまして、厚生労働省といたしましては、これまで、子育て世代の仕事と家庭の両立を支援するという観点からの税制上の支援についても累次検討してきております。
昨年は、認可保育所に入ることができず、やむを得ず認可外保育施設を利用する場合の費用の一部を税額控除の対象とするという措置を税制改正要望で提出いたしましたが、結果としては、引き続き検討すべき事項とされたところでございます。
今後につきましても、関係府省と連携をして、子育て世代に対する税制上の支援のあり方の検討を含めて、さらなる支援を検討してまいりたいと考えております。
○浦野委員 これは一部、例えば、接待で飲みに行った経費が落とせるのに、子育てにかかった費用は税額控除が受けられないのかという議論がネットでは散見されたりするんですけれども、私は、個人的には、それはちょっと別の次元の話で、それと並べてこの話をするのはどうかなとは思うんです。
ただ、この税制措置は、私はしっかりと考えるべきだし、政府はこれはやるべきだと思っています。
これは、恐らく厚労省対財務省ということになっていると思うんですけれども、余り対立をあおるような話じゃないですけれども、でも、内閣府としても、大臣としてもちょっと厚労省を応援してあげてほしいなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○宮腰国務大臣 初めてお聞きする話なので、よく事情をお聞きしてみたいと思います。
○浦野委員 子育て支援、この法案にかかわらず、子ども・子育てに関するいろいろな議論というのがまだまだ出てくると思いますので、しっかりと議論を続けてまいりたいと思います。
きょうはこれで終わります。
―――――――――――――
○牧原委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
本案審査のため、来る二十七日水曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時五十九分散会