衆議院

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第8号 平成31年3月22日(金曜日)

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平成三十一年三月二十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧原 秀樹君

   理事 平  将明君 理事 谷川 弥一君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君

   理事 大島  敦君 理事 岡本 三成君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    岡下 昌平君

      加藤 鮎子君    金子 俊平君

      神谷  昇君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      津島  淳君    中山 展宏君

      長尾  敬君    西田 昭二君

      松野 博一君    松本 洋平君

      三谷 英弘君    宮路 拓馬君

      村井 英樹君    阿部 知子君

      今井 雅人君    大河原雅子君

      岡本あき子君    近藤 昭一君

      篠原  豪君    初鹿 明博君

      山尾志桜里君    森田 俊和君

      山岡 達丸君    太田 昌孝君

      佐藤 茂樹君    塩川 鉄也君

      串田 誠一君

    …………………………………

   国務大臣

   (少子化対策担当)    宮腰 光寛君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (内閣官房一億総活躍推進室次長)         中村 博治君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局次長)           佐々木雅之君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           丸山 洋司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       北條 憲一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           永山 裕二君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     津島  淳君

  大西 宏幸君     宮路 拓馬君

  今井 雅人君     阿部 知子君

  浦野 靖人君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     池田 佳隆君

  宮路 拓馬君     大西 宏幸君

  阿部 知子君     今井 雅人君

  串田 誠一君     浦野 靖人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

牧原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官・一億総活躍推進室次長中村博治君、人事院事務総局給与局次長佐々木雅之君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、外務省大臣官房審議官大鷹正人君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、文部科学省大臣官房審議官丸山洋司君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官土田浩史君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、厚生労働省職業安定局雇用開発部長北條憲一君、農林水産省大臣官房審議官永山裕二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。加藤鮎子君。

加藤(鮎)委員 おはようございます。山形三区選出の衆議院の加藤鮎子です。

 このたびは、質疑の時間を頂戴しまして、ありがとうございます。

 二〇一七年の衆議院選の公約を受けまして二〇一七年十二月に閣議決定をされた新しい経済政策パッケージの中では、幼児教育の無償化、それから待機児童の解消を始めとする人づくり革命をうたっております。これを受けての今回の子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案、これにつきまして質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 この施策の財源には、ことし十月一日に予定される消費増税、この一〇%への引上げの、その増税分が充てられる予定となっております。この幼児の無償化、対象は、三歳から五歳の幼児のいる世帯、それから、〇―二歳の幼児のいる世帯のうち住民税非課税世帯、特に本当に困っている方々に絞ってということで、これ自体は大変すばらしいことだというふうに思っています。

 しかし、待機児童の解消というものも決して先送りすべきことではありませんで、だからこそ〇―二歳、三―五歳の間で線引きをしているというわけでありますが、新しい経済政策パッケージにございますように、目標を前倒しにして待機児童の解消の方もしているということもありますので、ぜひどちらも両立をさせて政府に頑張っていただきたい、このように思っております。

 予算には限りがあるというのはもちろん常識で、私も承知をしているところではありますけれども、これだけ少子化というのが国難だと言われているようになっても、なお我が国は子供や子育て世帯に向けている予算がまだまだ小さいのではないかと私としては感じております。むしろもっと拡充してもよいと思っておりますので、ぜひ期待をしていきたいと思います。

 具体的な質問に入ってまいりたいと思います。

 その幼児無償化、費用的負担が軽くなるのはありがたいことでございますけれども、他方で心配になってくるのが、質の方の問題であります。

 保育所の保育指針には、保育の目標の第一に、子供の生命の維持及び情緒の安定が挙げられております。それにもかかわらず、先月、とある保育園の保育士が保育園児に体罰を加えて、児童福祉法に基づいた改善勧告が出されるという事案がメディアでも報じられたところでございます。あろうことか、本来子供たちを守るべき保育士が、抵抗できない子供たちに体罰や虐待に近い行いをしたということであります。親御さんたちのお気持ちを思いますと、本当に胸が痛みますし、憤りを感じます。

 幼い子供たちは、自分たち自身で声を上げることはできません。その前提に立って、保育士による体罰があった場合に、それが決して隠蔽されることなく、しっかりと社会として把握できるようなチェック体制、これをつくっていくことが大変重要ではないかと考えますが、これにつきまして、政府の御見解をお願いいたします。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所におきまして、保育士の体罰などを隠蔽するような事案があるとすれば、極めて深刻な問題だと考えております。

 こうした事案の把握につきましては、保護者から市町村への通報のほか、都道府県等による毎年一回以上の実地監査、巡回支援指導員による保育所への立入りが一つの契機になって把握されるものと考えております。

 この場合、御指摘のような保育士の体罰などが隠蔽されることなくしっかりと把握されるためには、通告をせずに保育所に立ち入ることが重要であり、通報に基づき無通告で特別指導監査を行うことが有効であるとお示ししているところでございまして、その周知徹底に努めてまいります。

 全ての子供には、適切な養育を受け、健やかな成長、発達や自立などを保障される権利がございます。国としても、保育所における体罰を根絶できるよう、保育の質の確保、向上に向けて、自治体と協力しつつしっかりと取り組んでまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。ぜひしっかりと取組の方、よろしくお願いいたします。

 先ほども申し上げましたように、待機児童問題の解消は重要かつ切迫した喫緊の課題であります。現状を見ますと、二〇一三年の四月に発表された待機児童加速化プランに基づきまして、実績として、二〇一七年度末までの五年間で五十三・五万人の受皿拡大、そして、二〇一七年六月発表の子育て安心プランでは、目標として、二〇一八年度から二二年度までに三十二万人分の受皿の拡大、二〇一七年十二月の閣議決定の新しい政策パッケージでは、その子育て安心プランで掲げた目標を二年間前倒しして、二〇一八年度から二〇年度末までに三十二万人分の拡大ということで、より高い目標を設定しています。

 また、実際の待機児童数も、二〇一五年、一六年、一七年の三年間は前年よりふえてしまう傾向でございましたけれども、二〇一八年には、前年と比べて六千百八十六人も減らすことができました。保育の需要が伸びている中で待機児童の実数を減らせたというのは、本当に評価ができることだと思います。

 ただ、今この瞬間も困っている、働きに出たいけれども預けられなくて困っているというお父さん、お母さんがいますので、ぜひ前倒しした目標の方をしっかりと達成していただけるように期待をいたしたいと思います。

 保育の受皿の拡大で、多くの自治体でネックになりやすいのが、保育士不足の問題であります。地方などは特に、幾ら募集しても来ないという声が聞こえてまいります。例えば、私の地元の鶴岡市の有効求人倍率は、平成二十五年度の〇・九五から、平成二十九年度には一・九九と、二倍を超える伸びとなっております。新しい人が確保できないうちに誰かが例えばやめてしまったりすると、人が減ってしまったことで少人数で回さなきゃならないというプレッシャーに耐えかねて、また誰かがやめてしまってという悪循環が発生したりと、非常に四苦八苦している保育園さんの話も聞こえてきます。

 もちろん、保育士の待遇改善は着々と進んでいるということは承知しております。七年前の二〇一二年に比べますと、今年度は予定として約一三%も、人によっては更に大幅な給与の増額が進められてきました。

 しかし、殊さら地方におきましては、保育士の新規採用には二つのハードルがあると思っております。養成校の卒業生が保育士を仕事に選んでくれるかどうか。養成校を出たにもかかわらず、せっかく教育を受けたんだけれども保育士という道に進む人が必ずしも一〇〇%ではないというところですね。さらに、その卒業された方が地元の保育園で働いてくれるのかどうかということ、こういった二つのハードルがあります。

 進学と並んで就職のタイミングは、人生で住む場所を変えやすい時期でありますため、学生は都市部に流れてしまうという実態がございます。処遇も改善されているわけでありますけれども、相対的に都市部の方がより給与が高いというのが要因の一つにもあるとも思います。

 地方創生や東京一極集中の是正をうたって久しくなりますけれども、一極集中はむしろ加速していて、特に、若い女性の東京への転入超過が著しい状況になっています。保育士は女性とは限りませんけれども、地方での保育士不足の解消は、東京一極集中の是正にも資することでもありますし、また、出生率の高い地方に子育て世帯に定着してもらうことによる少子化の歯どめにも寄与するのではないかと考えております。

 そこで、保育士の確保、とりわけ地方における地元の定着について、国としてもっと支援していくべきではないかと思いますが、この点についての御見解を伺います。

本多政府参考人 お答えいたします。

 待機児童の解消のためには、保育の受皿拡大と同時に、委員御指摘のとおり、それを支える保育人材の確保が不可欠だと考えております。保育士の確保につきましては、都市部だけでなく地方においても非常に厳しい状況であると承知しておりまして、人材確保に関する諸施策は、都市部のみならず地方でも御活用いただけるようにしております。

 まず、全般的な人材確保策でございますが、保育士という仕事を選んでいただける方がふえるように、これまでに、委員も触れられておられましたけれども、平成二十五年度以降、月額約三万八千円の処遇改善に加えまして、二十九年度からは、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施しております。さらに、ことし四月からは、さらなる一%の処遇改善を実施することにしております。また、処遇改善のほかに、新規の資格取得の促進、就業継続、離職者の再就職の促進といった観点から、総合的な支援に力を尽くしております。

 この中で、地方定着に関係するものといたしまして、新規の資格取得の促進として、保育士養成施設へ通う学生に修学資金等の貸付けを行っておりますけれども、この修学資金につきましては、貸付けを受けた都道府県等の区域内で五年間保育業務に従事していただければ返還を免除することとしております。これは、地元の養成施設に通って資格を取得された保育士の地元定着の効果もあるというふうに考えております。

 引き続きまして、総合的な支援に全力を尽くして、保育士の確保に努めてまいります。

加藤(鮎)委員 ぜひ、地元に定着して、地元で保育士になっていきたいと思ってもらえるようなインセンティブが働くような施策の展開、またさらなる拡充の方をよろしくお願いを申し上げます。

 三つ目の質問に入りたいと思います。

 このたびの幼児教育の無償化についての対象の施設についての質問であります。

 利用者、つまり子供を預けて働きに出ている家庭の親御さんたちに対しての公平性の確保の観点から、対象施設には、届出が出された認可外保育施設も無償化の措置の対象となっております。これには質の確保の点等も含めていろいろと批判もありますけれども、それについてはこれまでもこの委員会でたくさん議論されてきたので、少し別の角度から伺いたいと思います。

 認可外保育施設は、経過措置の間の五年間は指導監督基準が適用されていません。そして、その五年間が過ぎた五年後、基準を満たせていない施設があった場合は無償化の対象でなくなるというふうに聞いております。

 満たせていないのだから当然ではございますけれども、ただ、子供さんを預けている親御さんたちとしては、その経過措置の間に基準が満たされているはずと安心していたところ、結局は基準が満たされずに、突然有償化されてしまったり、あるいは、無償の保育を受けるためにほかの認可外保育施設を改めて探したり移動したりということが余儀なくされることにならないか、そういったことが危惧されます。親御さんたちに落ち度がないのにそんな負担が生まれてしまったら大変だな、そんなふうなことを危惧いたします。

 基準適合状況の事前公表ですとか無償化対象施設への転園支援など、政府として、経過措置五年が過ぎる前にどのような対応を想定していらっしゃるか、お聞かせください。

本多政府参考人 お答えいたします。

 認可外保育施設は、待機児童問題によって、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方がいらっしゃることから、代替的な措置といたしまして、幼児教育、保育の無償化の対象としております。

 原則、都道府県等に届出を行って、国が定める認可外保育施設の指導監督基準を満たしていただくことが必要でございますが、この基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たしていただくために、五年間の猶予期間を設けることとしております。

 今般の幼児教育、保育の無償化を契機として、認可外保育施設の質の確保、向上を図ることが重要でございます。このため、児童福祉法に基づいて都道府県等の指導監督の充実等を図ってまいります。

 具体的には、指導監督基準の内容についての説明や事故防止に向けた助言などを行います巡回支援指導員の配置の拡充や、指導監督の手法、ルールの明確化等による現行の児童福祉法に基づく都道府県等による指導監督の徹底、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たし、さらに認可施設に移行するための運営費の補助等の支援、こういった取組を行います。

 また、認可外保育施設に関する情報でございますが、児童福祉法におきまして、都道府県等に提出された認可外保育施設の運営状況の報告等の情報を、都道府県等が施設の所在する市町村に通知するとともに公表することとしておりまして、保護者への情報提供の観点からもこれを徹底するように促してまいります。

 まず、都道府県等のホームページに必ず認可外保育施設の一覧を作成するよう、ことしの三月一日付で依頼も行っているところでございます。現在、ほぼ全ての都道府県等でホームページ上で公表されているものと承知しております。

 さらに、保護者の方が指導監督基準の適合状況など施設選択に資する情報を閲覧できるようなシステムを構築して、保護者の方への効率的な情報提供を可能とする予定でございます。このシステムが構築されるまでの間の取扱いといたしまして、厚生労働省のホームページ上に、保護者への情報提供を目的とした全国の認可外保育施設の窓口情報一覧を掲載する予定でございます。

 五年の経過措置終了後も、保護者の方に安心して保育サービスを利用していただくことは重要でございます。引き続き、利用者への制度の周知や認可外保育施設の質の確保、向上などにつきまして、地方自治体の意見も十分伺いながら検討してまいります。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 万が一に備えてのということで、親御さんたちに情報を提供する取組を徹底していただけるというお話でありました。それ自体も大変ありがたいことでありますが、子育てと仕事と両立している子育ての家庭の方々は、どうかなどうかなと毎回県のホームページをチェックしたりということはなかなか現実的には難しい部分がありますので、普通に生活していても、そういうおそれがありますということが、例えば早目にその個人に対して通知が行くというような工夫ですとか、そういったことまで少し御検討いただけたらありがたいんじゃないかなというふうに思います。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 次に、子ども・子育て支援制度の財源の確保と消費増税の実現性との関連についての質問をさせていただきます。

 ことしの十月に政府は消費税の一〇%への引上げを予定しておりますが、もう今三月となりまして、これから増税の予定をひっくり返すというのは、かなり大きな混乱を招くと想像しますので、恐らくないのではとは想像はいたしておりますが、とはいえ一方で、世界の経済情勢を鑑みますと、日米の貿易摩擦や内向きなトランプ政権と言われる状況、EUですらも、反グローバリズムや格差に対する国民の不満が渦巻いて、財政出動を余儀なくされている政権も複数存在しております。また、長期的に見ますと、経済成長が期待されるアジアでの人件費の高騰も、各国間の自由貿易や対外投資に一定の減速の要因になっているようにも見受けられます。

 そんな中、万が一にも、外的な要因も含めまして、我が国の経済状況が著しく悪化をして、消費増税を取りやめるということになった場合にどうなるのでしょうか。かつて、八%の増税が延期されても、子ども・子育て支援制度は、増税時の実施内容を先取りして平成二十七年にスタートしたという実績がございます。

 今回の無償化は、万が一消費税が増税されない場合どうされるのかということについてお伺いいたします。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 消費税率の引上げにつきましては、反動減等に対する十二分な対策を講じた上で、リーマン・ショック級の出来事がない限り、法律で定められたとおり、ことし十月に現行の八%から一〇%に引き上げる予定とされてございます。

 幼児教育、保育の無償化につきましては、消費税率引上げによる増収分を活用し、本年十月から実施することとしてございまして、その実現のための法案を御議論賜っているところでございます。

 幼児教育、保育の無償化は、消費税率の引上げを前提として実施することとしてございまして、政府としましては、消費税率の引上げに向け、経済運営に万全を期するものと承知してございます。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 次に、五つ目の質問に移らせていただきます。

 今回は、国の政策としてこの子ども・子育て支援制度の改正を議論しておりますけれども、各自治体においては、既に独自に保育料の減免に取り組んでいるところもございます。そうした自治体の単独事業は、今回の無償化によりまして、国と都道府県の負担の入った全国事業へと切りかわっていきます。

 そうなってまいりますと、現在の自治体の単独事業の財源が、無償化後に市町村の財政の中で一部浮くということになります。これが単に、例えば道路整備など全くほかの分野に振り向けられるということにでもなってしまうと、子育て世帯への恩恵がなくて、消費税を社会保障の財源に充てるとした政権の国民に対する公約にもちょっと反してしまうのではないかなというふうに思います。

 今回の無償化によりまして、自治体にとっての財政負担が軽減されるのであれば、その分浮いた財源を、保育士の加配ですとか、あるいは給食費の減免、病児保育の充実など、自治体独自の、実情に応じた単独事業に充てていただいて、子育て支援の一層の充実を図っていくべきだと考えます。

 私自身も、つい昨夜、自分の後援会の集会がございましたので、地元の市議会議員さんたちに、集まっていただいている方たちに、そういったことをぜひ議会としてもチェックしていかれてはどうかと提案をしてまいったところでありますが、ぜひそれを国としても求めていくべきではないのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 これまで独自に保育料を減免してきた市町村においては、委員御指摘のとおり、今般の無償化により、国、都道府県の負担が入ることになるため、その財政負担はこれまでと比べて軽減されるものと考えております。

 そうした財源を地域における子育て支援のさらなる充実に活用することが重要でありまして、対応に地方自治体で御配慮いただきたいと考えております。

 こうした自治体独自の財源による取組と、今般の幼児教育、保育の無償化が相まって、質の向上やサービス量の拡大など、子育て支援の充実につながるよう自治体ともよく連携してまいりたいというふうに考えております。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。ぜひ強い連携の方をよろしくお願いします。

 六つ目の質問に入ります。

 幼児教育の無償化への大胆な投資は、全世代型社会保障への転換の取組の一部として今現在位置づけられています。そうである以上は、安定的な確保が見込まれる消費税という財源によって実施することがふさわしく、また、今後安定的に続いていくべき施策であるがゆえにこそですが、幼児教育や少子化対策としての効果をしっかりと測定していくことが必要だと考えます。

 この分野の効果測定というのは非常にはかりづらいところがありますし、また、効果が出るのに長い時間を要したりしまして、難しいのは容易に想像がつくんですけれども、とはいえ、国としてはどのような見通しでこの測定ですとか検証に取り組んでいかれるのでしょうか、教えてください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、政策効果を検証することは非常に重要であると考えてございます。

 今般の幼児教育、保育の無償化は、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るという少子化対策、それと、生涯にわたる人格形成の基礎や、その後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性、この二つの観点から実施するものでございます。

 委員御指摘のとおり、中長期的な視点も踏まえまして、その政策効果の把握、検証につきましては、具体的な方法も含めまして、しっかりと検討してまいりたいと考えてございます。

加藤(鮎)委員 ぜひ御検討いただきまして、そして随時、こういう方向でやっていこうとお考えだということとかをぜひ周りに周知していただけるようにお願いをしたいと思います。

 最後の質問でございますけれども、子育て支援は、社会保障と税の一体改革の一部として今回位置づけられてもございますが、従来、少子化対策の一丁目一番としても位置づけられてまいりました。ですので、この少子化対策のそもそも論についてお伺いしたいと思います。

 政府は、ニッポン一億総活躍プランとして、希望出生率一・八の実現を目標として打ち出してこられました。

 この希望出生率ということについてなんですけれども、一・八という数字はどうやって算出されているかと申しますと、十八歳から三十四歳のうち、既に結婚している夫婦が、できるなら子供はこのぐらい欲しいなという希望の数字と、それとは別にまた、できれば結婚したいなと希望している未婚の男女が、仮に全てのその人たちが結婚できたと仮定して、その男女がさらに、これだけ子供を欲しいなと希望しているその人数、これらも足し入れての数字が一・八でございます。

 しかも、そこに算定されている既婚者数と未婚者数の割合でいいますと、実は、三十四歳までという区切りだからだと思うんですが、一対二の割合で未婚者数の方がはるかに数が多くなっています。つまり、目標の希望出生率一・八の実現への寄与度としては、結婚したいけれども未婚という方々の希望を実現することの方が寄与度は非常に大きいんじゃないかということが言えます。

 このボリュームゾーンへのアプローチ、結婚支援という施策が今の政府の取組の中では余りに小規模ではないかなと私は感じております。もちろん、個人のライフスタイルに政府や政治が口を挟んでいくものではないというのは私もそう考えますが、しかし、できれば結婚したいなという人たちの希望をかなえるという点でありますので、中長期的にも大変必要なことでもありますので、タブー視せずに、もっともっと手を差し伸べるべきではないか、このように考えます。

 経済的な理由であるからということで、若者の賃金の向上を経済政策で取り組んでいくということも当然必要であるんですけれども、今や、結婚相手に求めるものは、経済力以上に、家事、育児担当能力という項目の方が大きくなっていたりもします。先ほどの若い女性の東京一極集中の話にもありましたが、地方に残る未婚の男性、そして東京にあふれる未婚の女性、ここにミスマッチがあるなということも感じてございます。

 打てる手はいろいろなものがあろうかと思いますので、結婚支援に対する国の施策体系がどうなっているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。また、予算などを拡充して、事業の全国展開を加速するべきだというふうにも思います。その際、子ども・子育て支援法の地域子ども・子育て支援事業、いわゆる十三事業の中に位置づけるということも一案ではないかと思いますが、御見解をお伺いします。

宮腰国務大臣 若い世代では、先生の御指摘のとおり、男女ともに約九割の人はいずれ結婚するつもりと考えておりますが、適当な相手にめぐり会わない、資金が足りないなどの理由で結婚の希望がかなえられていない状況にあります。

 結婚の希望をかなえるための公的な支援に取り組むべきとの声も多いことを踏まえ、出会いの機会、場の提供、結婚資金や住居に関する支援、結婚に関する支援者の養成などを行う地方自治体の取組を交付金により支援しております。

 私も、先日、茨城県のいばらき出会いサポートセンターを視察させていただきました。大変きめ細かな取組を行っておいでになりますし、その地域、茨城の北部のエリアでやっておられるマッチングの仕組みでもあるんですが、そこでお聞きしたところによれば、例えば、市町村単位でマッチングをやろうとしてもなかなかうまくいかない。やはり地元の市町村よりも、それ以外のところの人とおつき合いをしたいという希望でありますとか、今委員御指摘の、独身男性は地方に多く、独身女性は東京に多いといったようなことも踏まえて、広域的に、県境を越えて協力し合うマッチングのシステムが必要なのではないかといったような御意見も伺ってきたところであります。

 そのサポートセンターでは、やはり、この交付金を活用しておいでになりまして、この交付金に対する期待というのは極めて大きいなというふうに感じてきたところであります。

 結婚は個人の自由な意思決定に基づくものである点に十分留意しつつ、今後とも、地方自治体が地域の実情に応じて実施する取組への支援の一層の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

 十三事業の問題については、政府参考人から答弁をさせたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 地域子ども・子育て支援事業につきましては、子ども・子育て支援法に基づきまして、子ども・子育て支援の観点から子供の最善の利益の実現を念頭に複数の事業が実施されてございますが、その中で結婚支援を位置づけるに当たりましてはいろいろ課題も多いと思ってございます。ただ、先ほど大臣も御答弁されましたけれども、内閣府地域少子化対策重点推進交付金によりまして、地方自治体が行う結婚に対する取組等を支援してございます。

 今後とも、この交付金も活用しながら、地域の実情に応じた効果的な取組を支援してまいりたいと考えてございます。

加藤(鮎)委員 ありがとうございます。

 地域を越えてのマッチングの支援を含め、交付金の拡充などもぜひ国として旗を振って前に進めていただくことを御期待申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 まことにありがとうございました。

牧原委員長 次に、岡本三成君。

岡本(三)委員 おはようございます。公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきました。委員長始め理事の皆様、本当にありがとうございます。

 この子ども・子育て支援法の一部改正は今国会の最も重要な法案の一つであることは間違いなく、普通、大体、国会で最も重要な法案となると、委員会審議、本当に大変なことになっているのが一般的なんだと思うんですけれども、私、今回この法案の審議を内閣委員会で参加して聞かせていただく中で、野党の皆さんも含めて物すごく質疑が建設的なことにすごく感激しているんですね。

 その最大の理由は、多分宮腰大臣が誠実だからだと思うんです。現大臣の中でも残念な方もいらっしゃるんです。いらっしゃるんですが、いらっしゃるような感じもするんですが、野党の方々からも、いやいや、ちょっと事務方の方はちゃんとしろよ、大臣はあんなに誠実に答えようとしているのにというふうな、そういう大臣の姿勢が、今もそうですけれども、ずっと私あそこから拝見していまして、誰が質問されていても、普通、多くの大臣の方は答弁の紙をこう読んで予習したりするんですが、宮腰大臣は質問者の目をずっと見ていらっしゃるんですね。基本的に、政府の基本的な方針を出ない範囲の中で、御自分の言葉でちゃんと決意も発表されていたりして、本当にすばらしいなというふうに思っておりまして、であるがゆえに、私の質問にもぜひ誠実にお答えいただけたらありがたいなと思います。

 ちなみに、細かい具体的なものは、本会議で私、登壇をさせていただきまして、大臣に質問させていただきました。そのときにさまざま個別のお答えであったり今後の運用の決意であったりをお伺いいたしましたので、ぜひそのことを前に進めていただきたいと思います。とりわけ、きょうもちょっと触れますけれども、幼児教育と保育の無償化と待機児童の解消というのは、二者択一ではなくて、どちらも優先順位一番で取り組んでいくというふうに総理も言明されましたので、この点につきましてはぜひ肝に銘じて運用をお願いしたいと思います。

 きょうはちょっと違った角度で質問をさせていただきたいんですけれども、それは、今回のこの法案の最大の目的の一つは少子化対策だということを改めて確認させていただきたいと思うんです。

 大臣、今からランキングを読み上げますので、このランキングが何か想像していただきたいんですが、一位アメリカ、二位日本、三位ドイツ、四位イギリス、フランス、イタリア、韓国、スペイン、カナダ、オーストラリア。一位アメリカ、二位日本、三位ドイツ等々なんですが、これは先進国における人口のランキングです。アメリカ、日本、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア等々。そして、これはそのまま先進国におけるGDPのランキングです。

 要は、途上国に行きますと生産性はいろいろ違うんですけれども、先進国はほぼほぼ、生産性がある一定水準以上と考えると、人口とGDPの相関係数は〇・九八です。人口が多いということとGDPが大きいということはほぼ同意語なんですね。日本のような国で、つまり、どんどんどんどん高齢者の方もふえていく中でしっかりとした社会保障をやっていこうと思うと、規模の経済という言葉もあるように、GDPの規模というのは物すごく大事です。生産性がどんなに上がって、一人頭のGDPがどんなに上がっても、全体のパイが大きくないと日本の社会保障を賄うことというのはかなり難しいんですね。

 そうすると、GDPを保つ、ふやすということは、人口を減らさないということと〇・九八の割合で同じことですから、どうやって人口を保つかということは、どうやって日本の国の形を、少なくとも守る、よりよくしていくということの出発地点なんです。

 にもかかわらず、今の人口統計でいきますと、ここにいらっしゃる皆さん御存じのように、二〇六〇年までに、今一億二千七百万人いる日本の人口というのは八千七百万人、約三二%減ってしまいます。これは世界は違うんですよ。全世界では二〇六〇年までに人口は三六%ふえます。先進国でいうと、アメリカは二五%ふえます。G7も日本を除くと一五%、ドイツみたいに一部人口が減る予想のところもありますけれども、EU全体で考えますと人口は減りません。日本だけが圧倒的に減るんですね、三二%マイナス。

 しかも、この中でどこの年齢層が一番減るかというと、未来を担うゼロ歳から十四歳が五〇%減ります。十五歳から六十四歳の生産を支える人口が四三%減ります。高齢者はプラス二%でふえるんですね。要は、社会を支える世代が圧倒的に減って、そのとき支えられる私たちの世代ばかりがふえていくという格好になっていくので、少子化を真剣に取り組むというのはもう待ったなしだというふうに思っているんです。

 仮に生産性だけで日本のGDPを支えようと思うと何が起こるかというと、今の生産年齢人口における一人当たりの日本人のGDPは七百二十四万円です。これを二〇六〇年に千二百五十九万円、一・七三倍に生産性をしますとGDPは保てます。物理的に生産性一・七倍なんて歴史上一回もないんですよ。であるがゆえに、もちろん生産性革命は必要なんですけれども、人口が減るということは日本の形を保てないということと一緒なんですね。であるがゆえに、大問題として取り組まなければいけないし、そのために少子化対策というのは何よりも重要なんだと思うんです。

 当然、私たちもいろいろなところで言っています。人それぞれにそれぞれの人生があるので、お子さんが欲しくないという方もいらっしゃっていい。けれども、お子さんが欲しいんだけれども、経済的な負担が不安なのでそれを諦めているという方々に対してしっかりと政府が支援していこうということが今の体制だと思っているので、そのことを十二分にやっていくことが何よりも重要だと思っています。

 じゃ、本当は子供は欲しいんだけれども、経済的に不安なので我慢しようと思っていらっしゃる方々が何を理由に思っていらっしゃるか。昨年、我が党は百万人アンケートを実際にやったんです。百万人の方に伺ったんです。そうしたら、回答者のうち七割の方が、諦める原因を教育費の負担に対する不安だとお答えになりました。もう生の声なんですね。逆の言い方をすると、その不安が解消できれば、この方々は自分の望みどおりにお子さんを持つ可能性が高いということだというふうに思います。その意味から、私は、今回のこの法案も、そのほかのいろいろな施策も、どんどんやるべきだと思っているんですね。

 今、例えば出産のときの一時給付金、四十二万円ですが、私はもっと高くていいと思っています。国民民主党の玉木代表が、第三子に一千万円とおっしゃいました。私、大賛成です。何よりも、子供の数をふやすということに国の全力を挙げて取り組むことが何より重要だと思っていて、とりわけ、出産から幼児が大事なんですよ。

 若いお母さんに聞きました、お母さんになる若い奥さんに聞いたんですね。いやいや、大学の無償化も大事です、給付型奨学金も大事だけれども、産んでから五年間は物すごく金がかかるけれども十八年後にはお金がかかりませんから安心して産んでくださいと言われて安心できますかと言われました。おっしゃるとおりです。出産から二、三年後までが一番心配なんですよ。それから義務教育に行くまで。

 産んでから十五歳までは金銭的な負担は一切ありませんと言い切れれば、物すごく世の中の状況は変わってくるというふうに思うんですけれども、この少子化を必ずとめて、日本の方向性をよりよいベクトルに向けていくということに対しての大臣の所見、決意を伺いたいと思います。

宮腰国務大臣 岡本委員御指摘のとおり、G7の中で日本は、少子化に向かっているという状況にあります。日本以外のG7の諸国は、幼児教育、保育について、それぞれ違いはあるものの、一定の支援策をしっかり講じているという状況にあることも事実であります。

 今回、幼児教育、保育を無償化し、少子高齢化という国難に正面から取り組むということで、今回、無償化をした上で、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入し、社会保障制度を全世代型へと変えていきたいというふうに考えております。

 御党の百万人調査にもあらわれておりますとおり、二十代から三十代の若い世代におきまして、政府の行った調査においても、理想の子供の数を持たない理由として、八割前後の方々が子育てや教育にお金がかかり過ぎることを挙げておいでになりまして、これが最大の理由となっております。どのような支援があればあなたは子供が欲しいと思いますかとの質問に対しまして、全ての所得階層で、将来の教育費に対する補助や、幼稚園、保育所などの費用の補助との回答が、最も多い二つの回答となっております。

 そもそも、子育て世代、所得はそんなにまだ高くありません。そういう中で、やはり子供を産み育てるということについての経済的負担というのは相当大きなものがあるのではないかというふうに考えております。こうしたことから、幼児教育、保育の無償化を始めとする教育費の負担軽減、これは重要な少子化対策の一つであるというふうに考えております。

 今後とも、御党とともに、子育て世代の皆さんの希望をかなえ、子供たちを産み育てやすい日本へと大きく転換していくため、全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

岡本(三)委員 その上で、税金を使うわけですから、どのぐらい効果があるかという視点は私は重要だと思っているんです。

 そして、次の質問で、幼児教育や保育に対してお金を投入することの経済効果が、何よりも、他の政策よりも大きいということを明らかにしたいというふうに思うんですけれども、子供への教育を投資という言葉に置きかえると、ちょっと抵抗のある方もいらっしゃると思います。けれども、実際に、経済的な側面から見ればどれぐらいの値打ちがあるかという観点というのは私は重要だと思っているんですね。

 これは、OECDの調査によりますと、予算を公共投資に充てた場合の、公共投資、いろいろありますけれども、OECD先進国で充てた場合の経済効果は投資額に対して一・五倍です。それに比べまして、幼児教育、保育の経済効果は投資額に対して二・三倍です。物すごくリターンが高いんです、このセクターは。

 これは、先日、野党のある議員の方も御紹介されていた、私も大好きな、ノーベル経済学賞をとったヘックマンという教授がいらっしゃるんですが、この方がおっしゃっているポイントというのは先日の野党の方がおっしゃっていたのと若干違いまして、この人は何て言っているかというと、人的資本投資の収益率は子供の年齢が低ければ低いほど高いと言っているんですね。二十歳より十歳、十歳より五歳、五歳より二歳に投資した方が投資リターンは高いというのが、ノーベル経済学賞ヘックマン教授の結論です。

 この方はすごく有名な検討をいろいろなことをされているわけですけれども、この方の検証によりますと、社会的収益率は約一〇%だったそうです。これは何を意味しているかというと、四歳のお子さんに百円渡したら、その四歳のお子さんが六十五歳になったときに三万円返してくれるということなんですね。そして、この方のこの収益率というのは、いろいろな研究が世界じゅうでなされている中で一番低いリターンがこれです。つまり、ノーベル経済学賞がやっている一番低いリターンでも社会的収益率は一〇%なんです。物すごく高いんですね。

 ここにOECDの統計があるんですが、にもかかわらず、OECD加盟国で、GDP対比で教育支出が最も少ない国が日本です。よく言われているとおりです。ただ、セグメント、年齢別に分けていきますと、実はちょっと違っていまして、初等中等教育、義務教育から高校生ぐらいまで、ここはGDPに対して日本の公的支出というのは二四・八%、OECD平均と全く一緒なんですね。何が低いかというと、就学前段階に対する公的支援が低いんです。これは、OECD、このときの統計で二十七国中二十七位です。八・二%。OECD平均一九%です。あと、高等教育、大学も低いんです。これは二六%。OECD平均三八%ですから。

 要は、物すごくちっちゃい、小学校に入る前の子供と大学生以上に、特に小学生に入るまでに最も公的支出をしない国が日本なんですね。そこが日本の成長に大きく影響してきているというふうなデータが、先ほどのさまざまな研究者の結論なんです。

 じゃ、何でこの就学前に公的投資、お金をかけるとリターンが高いかというと、一言で言うと、機会の不平等をなくすからです。やはり、ちっちゃいときに、家庭の状況次第で、さまざまなことを学べる機会、これは教育だけではなくて、例えば、幼稚園や保育園では、いわゆる非認知型の教育、判断力であったり、そのときの自分の表情のつくり方であったり、雰囲気を認識することであったり、さまざま、教育と直接結びつかないような、いわゆる人格といいますか、そういうところも十分に学べるところが多くて、その水準次第で小学校、中学校の学びの水準も違うんですね。

 ここに、大阪府箕面市という市が行った調査結果があります。これは二〇〇九年にやったんですが、この調査結果はすごくて、これは人口十五万人ぐらいの市なんですが、OECDのレポートぐらい、子供の貧困対策支援のシステムのあり方と運用方法に関する実証研究報告書がまとまっています。

 この報告書の内容というのは、OECD報告書とほぼほぼ一緒です。これは箕面市の中の全ての子供たちを対象にやった調査なんですね。それは、就学前までにしっかりした保育や幼稚のサービスを提供すると、小学校四年生、五年生ぐらいで学力が大きく変わってくると。つまり、機会の不平等というのは何かというと、幼稚園、保育園で十分にそういう機会を得られないと、小学校、中学校の自分の成績にかかわってくるんですね。小学校、中学校にかかわってくると、大学に進学するという比率にかかわってきます。

 ちなみに、自分が行かないと決めて高校に行かなかったような中卒の方、例えば大工さんになりたいというような方、この方々というのは生涯年収が高いんですね。大卒の方に比べてもすごく高く持っています。ただ、本当は行きたかったのに、いろいろな理由で行かない方々というのはやはり生涯年収が低いんですよ。事実として、大学を卒業した方の男性の生涯年収二億七千万円、高卒の男性二億一千万円、六千万円違うんですね。そうすると、その方々の所得も違う、消費も違う、納税も違いますから、社会的なリターンが高いのは、機会の不平等をなくして、より学ぶような機会をして、自分の思った職業選択をすれば、当然社会的なリターンも高くなるというのは、予想できるとおりであります。

 であるがゆえに、この小学校に入る前の段階で、国がリーダーシップをとって、この方々に十分な保育と幼児教育の機会を与えるというのは、経済合理性の面からいっても十二分に意義があるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 今委員の方からOECDのレポートと箕面市のレポートとほぼ実際のところ同じだというのを聞いて、大変驚きました。そういうことなのではないかなと思います。

 今般の幼児教育、保育の無償化は、少子化対策とともに、生涯にわたる人格の形成の基礎や、それから、その後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性の観点から、三歳から五歳の子供たちに質の高い幼児教育の機会を保障するということを目的としております。

 幼児期、これは、生活や遊びといった直接的、具体的な体験を通して、情緒的、知的な発達あるいは社会性を涵養し、人間として、社会の一員としてよりよく生きるための基礎を獲得していく重要な時期であると考えております。

 人工知能などの技術革新が進み、新しい産業や雇用が生まれ、社会においてコミュニケーション能力や問題解決能力の重要性が高まっている中、知識、IQなどの認知能力だけではなく、根気強さ、注意深さ、意欲などの非認知能力を子供たちが身につけることができるよう、今般の無償化により質の高い幼児教育を確保することは、子供たち自身はもちろんでありますが、ひいては経済社会にとっても大きな意義があるというふうに考えております。

 また、幼児期における質の高い教育を保障することは、将来の進学率の上昇や所得の増大をもたらすなど、経済的な格差を是正し、貧困を防ぐ有効な手だてでもあると思います。子供の貧困対策に関する大綱でも、無償化を進めることを重要な施策として位置づけております。

 人への投資に力を入れてきた御党とともに、子供たちの誰もが学び、成長できる環境の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

岡本(三)委員 この委員会でも大きな議論の一つが、所得制限を設けるかどうかという議論です。私は、これはそのまま、法律の哲学がどこにあるかということと一緒なんだと思うんですね。

 所得制限を設けるということはどういうことかというと、基本的に子育ては各家庭でやってください、ただ、所得水準が少ないところは国が支援しますよという考え方。所得制限を設けないというのは、いやいや、子育てというのは社会がやるものなんだ、親の状況とは関係ないんだということだと思います。

 このことで所得制限が話題になるのに、小学校、中学校の義務教育で所得制限がないことに、議論になっていないのに私はすごく違和感があるんですね。それは憲法に書いてあるからです。けれども、憲法は国民の権利を守ることですから、手段ですから、憲法も、もし本当に所得制限を義務教育につけた方がいいというんだったら憲法を改正しなければいけないと思いますが、私はその必要はないと思います。

 逆に、憲法の中に幼児教育でさえも無償であるというふうに書き込んで、国が責任を持って子供の将来の、未来を開いていくことを約束すべきだと思うんです。なぜかというと、子供はどの親のもとで生まれてきたいかと選べないんですよ。だからこそ、国がしっかりとその道を開いていくべきだというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなってきて最後の質問までできないかもしれませんが、それに加えて、であるがゆえに、初めに申し上げたように、同じスピードで待機児童ゼロに取り組んでいただきたいんですが、やはり保育士さん、幼稚園の先生になろうという方は少ないんですね。給料が安いからなんです。

 実際には、潜在的保育士の方、資格を持ちながらやっていない方、七十六万人いらっしゃるんですけれども、この方々にアンケートをとると、そのうち四八%は賃金が安いからだとおっしゃっています。そして、この四八%のうち六四%は待遇が改善すればやりたいとおっしゃっているんですね。それだけで二十三万人です。今、内閣府が足らない人数は九万人だとおっしゃっていますから、二十三万人もいれば十分です。

 保育士の待遇改善、やっていただいているんですけれども、幾らを目標なんでしょうか。今も頑張っています、来年も頑張るとかじゃなくて、幾らを目標に、できればいつまでにやるか、具体的な目標の数字を教えてください。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 待機児童の解消のためには、委員御指摘のように、受皿拡大と同時に、それを支える人材の確保、これが不可欠である、そのために処遇改善の取組を進めることは非常に重要であると考えております。

 処遇改善につきまして、その目的や達成時期、具体的な達成時期ということでありますけれども、これは定めていないところでありますが、他産業の労働者の賃金の状況も見ながら、安定的な財源を確保しつつ進める必要がある、そのように考えております。

 これまでは、月額三万八千円の処遇改善、あるいは、二〇一七年度からは技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施しておりまして、さらに、ことし四月からは三千円相当の処遇改善を実施することにしております。更に進めてまいりたいと考えております。

岡本(三)委員 このOECD白書は何と言っているかというと、質の高い幼児教育、保育は、機会の平等を提供する上で大変に重要だけれども、逆に、質の低いものは子供たちの未来を傷つけると言っているんですね。なので、今頑張っています、来年も頑張りますとかじゃなくて、新しい人たちがこの世界で一生飯を食っていこうと思えるぐらいに、ぜひ数字を示していただきたいと思います。せめて何年までには民間と同水準にしますぐらいのことはぜひ言っていただけるような御準備をお願いしたいと思います。

 済みません、最後の質問になってしまいますので、あと一つ、二つあったんですけれども、ちょっと飛ばさせていただいて、どうしても質問したいことをさせてください。それは、フリースクールに通う児童、御家庭に対する支援なんです。

 これは、三年前、不登校の生徒にも平等な教育の機会を与えるということで、教育機会確保法が議員立法で成立をいたしました。これは極めて画期的な法律で、我が党も提案者として尽力したわけですけれども、その中で、教材の提供やその他の学習の支援のために必要な措置を講ずるよう努める、政府は速やかに必要な経済的支援のあり方について検討し、必要な措置を講ずるとありますけれども、努力義務で、残念ながら、支援は義務化されていないんですね。しかし、この法律は三年以内に見直し規定がありまして、ちょうどことしが三年目です。

 まず一つ目は、政府においてこの現状をどのように捉えて、特にフリースクールに通うお子さん方に対してどういうふうな現状かということを把握されているかということを教えてください。

 その上で、先日、私は地元は埼玉なんですが、埼玉のある御婦人から、二人お子さんがいらっしゃいます、小学校一年生と三年生、御主人は残念ながら大きな病気で、今寝たきりの状態です。このお子さん、二人とも不登校になっちゃったんですね。それで、近くの、近県のフリースクールに通い始めました。お母さんは大変感動したそうです。子供たちの表情や様子が一変をして、家庭の中も物すごく変わって、フリースクールの重要性というのを認識したそうなんですね。ただ、物すごく授業料は高いんです。一人四万六千円。

 実際には、このように教育の機会を確保するという議員立法ができ、ことし三年目で、それを見直すというふうにおっしゃっているわけなので、私は、全ての方に教育を受ける権利を提供していくという政府の責任を考えたときに、フリースクールに通う御家庭に対しての経済的支援もぜひ今回の見直しで検討していただきたいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

中村大臣政務官 お答え申し上げます。

 平成二十九年度に文部科学省が実施した調査によりますと、小中学校の不登校児童生徒数は十四万四千三十一人であります。そのうち、民間団体、民間施設等で相談、指導等を受けた児童生徒は三千百六十七名ということで、二・二%となっているところです。

 今般の幼児教育の無償化は、三歳から五歳の子供さんを対象に、認可外保育施設の取扱いについても、どうしても待機児童問題によって認可保育所に入れない方もいらっしゃることから、やむを得ず認可外保育施設を利用する人について、代替的な措置として対象としているところでありますけれども、六歳以上のフリースクール等に通う方についてでありますが、不登校児童生徒対策について、社会的自立に向けて学習等の活動に取り組むことができるよう、きめ細かな支援体制を整備することは重要であると考えているところであります。

 こうした考えのもとで、文部科学省では、学校以外の場における教育機会の確保等に関する調査研究を平成二十九年度から実施しているところでありまして、フリースクール等で学ぶ、経済的に困窮した家庭の不登校児童生徒に対し、通学や体験活動に必要な費用を支援するなどしているところであります。

 しかしながら、議員御指摘、御懸念のとおり、支援が届いていない子供さんもまだまだたくさんいらっしゃるのが現状でありまして、文部科学省としては、こうした調査研究の成果を踏まえつつ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた支援のあり方について、三年目の見直しを通じて検討をしてまいりたいというふうに考えているところであります。

岡本(三)委員 検討とともに、ぜひ決断もお願いしたいと思います。

 安いものです。十四万人の三分の一が仮に行ったとして五万人、四万円として、五、四で二十億円です。日本は一年間に百兆円使っているんですよ。私は、ぜひ文科省の予算とかはもっとふやしていただきたいんですけれども、日本は、百兆円の予算のうち、年代で切りますと、六十五歳以上に四十兆円使っています。ただ、多く見積もっても二十五歳までに使っているお金は十兆円です。ここに幾ら使うかが、将来に対する研究開発への設備投資なんだと思うんですね。

 シンガポールは、予算の二〇%を教育費に使うことによって物すごい経済成長をやってきました。それは、リー・クアンユーという卓越したリーダーが、国の未来は、自分にはどうやったら食っていけるかわからないけれども、子供たちの未来にちゃんとコミットすることで開いていこうと決めたんですね。

 ぜひ、議会としても応援をしたいので、内閣府そして文科省の予算を倍増するぐらいの勢いでやっていきたいと思います。

 質問、以上で終わります。ありがとうございます。

牧原委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの大河原雅子でございます。

 きのうのお休みの日は大変天気がよくて、いろいろなところで桜が咲き始めて、いよいよ入学式の季節だなというふうになりました。

 この間の子ども・子育て支援法の議論、なかなか厳しくて、本当に子供たちの、すくすく育つ成長を全ての子供たちに届けるにはどういうふうにしたらいいのか、本当に悩ましいと思います。

 法案については、一歩前に、この桜にちなんで、子供たちが入学した後、幼稚園、保育園のところも待機児童だったりした子たちがやっと入学するわけですが、例の小学一年生の壁、そして、特に、働くお父さん、お母さんのもとで育っている子供たちにとっては、放課後の過ごし方、これも非常に悩ましいです。もう子供の行動範囲が格段に違ってきますし、子供たちの好奇心に応えられるようなそういう午後の時間をつくってやる、確保してあげる、居場所をつくる、このことは本当に重大なことだと思っています。

 ところが、私、やはり安倍政権は子供に対する視線というのがちょっと違うんじゃないかなというふうに思うことが多々ございまして、子供たちの学童クラブ、放課後児童クラブの問題ですけれども、ここにも、昨年の秋、非常にたくさんの方々の声が上がりまして、ここにも規制緩和がされてしまって、やっと、働くお父さん、お母さんたちが自主的にも運営をしてきた、そういったものが法定化されて、やっと指導員の方たちの研修の中身もしっかりとしてきて、ますますこれをナショナルミニマムとして育てていくような、そういう機運ができていたというふうに私は思っています。ところが、今度のことでいえば、地方分権の一部なんだという言い方をなさっていたと思いますけれども、児童福祉法を改正し、放課後児童健全育成事業に従事する人たちや、その目標の基準に、従うべき基準から参酌すべき基準ということで、非常に残念な見直しが行われるんじゃないかと不安の声が高まっています。

 それ以上の基準でやっていこうという自治体もありますけれども、人手不足だ、配置基準をもっと緩やかにしてくれという声が全国知事会から大変強く上がったと伺っておりますけれども、この学童保育の需要というのは、当然ますます高まるわけですね。今も足りておりませんし、これからというところでは、就学前の子供と同様の支援策が必要でございます。

 昨年でも全国で一万七千人。政府は二三年度までに受皿新設を三十万人分すると言っているので、そこでは、このような緩和が行われれば、子供たちのそれこそ安全にかかわる問題になりはしないか。質の問題が本当に劣化していくというふうに危惧する声が出てくるのは当然だと思います。

 法案はこれから審議されるわけですけれども、今国会に第九次地方分権一括法として提出されておりまして、そして、学童保育の、この一括法案の附則のところに、施行後三年を目途に、水準の向上を図る観点から検討を加え、必要があるときは必要な措置を講ずると、当たり前だと思いますけれども、書いてございます。でも、もともとこれを附則としてつけたその意図は何だったのか。

 この附則をわざわざここにつける意図をお聞きし、そしてまた、施行後検証する、そのことはぜひとも、これだけの声が上がって、多くの方たちが議論もしてきましたので、これは国会への報告を義務として課したいというふうに、報告する必要があるというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 第九次地方分権一括法案については、本年三月八日に閣議決定をしまして、国会へ提出したところでございます。

 本法案の附則におきましては、法案の施行後三年を目途として、放課後児童健全育成事業の適切な実施並びに当該放課後児童健全育成事業の内容及び水準の向上を図る観点から検討を加え、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされております。

 そして、検討結果については、国会議員の方々やあるいは国民一般の方々にその結果がわかるように、しっかり公表することとしたいと考えております。

大河原委員 読むと、本当に当たり前のことを何で附則に書くのと思いますよね。

 そして、当然ながら、これはすごい注目が集まってきて、そして、現実には、地域でたくさんの、学童クラブに入っている子供たち、そしてその親御さんたち、地域でそこに加わって参加をしている市民の方たち、みんな見ているわけですから、本当によくなるのか、その自治体の力量が試されますし、好事例は共有していこう、国全体で共有していこう、こういうスタンスも持っていたわけですから、当然、検討の中身、そしてその結果、また、課題になるところは透明性を持ってみんなで議論する、それこそ子供の意見も聞いてほしい、そういう思いを持つわけですけれども、いま一度、いかがですか。

本多政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきました、放課後児童クラブの、従うべき基準から参酌すべき基準への変更についてでございます。

 こちらの参酌化に当たりまして、今後、その基準につきましては、市町村が、地方議会の議を経て、条例により制定するものになります。

 厚生労働省といたしましては、この従うべき基準が参酌化された場合におきましても、自治体においてこの基準を十分参酌した上で、自治体の責任と判断によって、地域の実情に応じた適切な対応が図られるものと考えておりますが、それも含めまして、今後、先ほどのその附則にございましたように、必要があると認めるときには、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしているところでございます。

 また、加えまして、厚生労働省におきましても、放課後児童クラブの好事例などを調べます調査研究を行うこととしておりますことを申し添えます。

大河原委員 これは自治ではありますが、今おっしゃったように、何か必要があれば、つまり、事故とか、やはり質が劣化したとか、そういうことが起こりかねないということからしても、例えば調査をするとか、そのことを厚生労働省がみずから調査を行う、そして、自治体に対してそういう指導というか、きちんとその改善策をともにつくっていく、そういう姿勢がなければこれはできないと思うんですけれども、いいですか、そのことで。

本多政府参考人 お答えいたします。

 参酌後の状況ですとか、あるいは三十一年度に行います調査研究の結果を踏まえまして、必要な指導などを行ってまいりたいと考えております。

大河原委員 これから検討するということなんですけれども、参酌基準も、緩めた、この検討会には、保育にかかわる方が、専門家が入っていなかったんですよ。だからこの先のことも心配だと私は申し上げなきゃならない。

 なので、国民が注視しておりますから、この報告はぜひ国会には必ず、もちろんこちらも求めますけれども、していただきたいですし、その検討の途上で透明性を高めていただきたい。子供たちからもヒアリングしたらどうでしょう。お願いをしておきます。

 では、本題の方に入りたいと思います。

 子育てをするとき、最大のリスクは、やはり子供が病気になることです。ことしはインフルエンザが大変はやりまして、二度インフルエンザにかかるとか、インフルエンザにかかったら五日間は登園できませんから、共働きで交代で見ていく、そのうちに親もかかってしまって、一家で枕を並べているなんということもありますけれども、まして、核家族とか一人親の家庭だったらば、子供の病気というのは本当に致命的なものになります。働きに行けない、つまりは家計にも響く。そして、そのときに、頼りになる、本当はもっとそういったところがあればいいと思うのがこの病児保育です。

 病児それから病後児保育、急性期と回復期、ここまで回復できているからもう出社したいなというような迷いが出ていたりもするわけで、今回、この病児保育について無償化の対象になりました。これは、どういう見地から病児保育を対象にされたんでしょうか。今現在の事業の意味合いと、それから現状を教えてください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 病児保育でございますけれども、認可保育所などを利用している場合には、国の定める基準を満たす一定の公費が投入されている施設から保育を受けていることから、その利用に要した費用につきましては無償化の対象となってございます。それに加えた病児保育を利用した場合の利用料は無償化の対象とはしてございませんが、一方で、認可外保育施設を利用する場合には、認可保育所利用者との公平性の観点から、認可保育所における月額保育料の全国平均額を上限といたしまして、その範囲内で病児保育の利用も無償化の対象とさせていただいているところでございます。

大河原委員 病気のときは、本来、親が休めて一緒に付き添っているというのが、それはもう本当にベストだと思います。子供のためにも、そして病気が早く治るというところでもベストなんですが、今のように、現状なかなか厳しいものがあって、数がまず少ないですよね。

 二十九年、三万二千七百九十三カ所の認可保育所で、病児保育があるところは千七百五カ所、五・一%です。ですから、保育園でそのまま施設があるところなんというのは本当に珍しいと思いますが、病院に行って、あるいはクリニックに行って、子供を連れていった足で、そこでその初日、預かっていただけたら本当に助かる。二日以降のことも予定を立てるということができると思いますけれども、とにかく、今、無償化といって使うお金を、例えばこういう本当に働き続けるために必要な施設にやはり回してほしいんですよね。

 この病児保育はなかなか経営は難しいと思います。今後、どういう課題があって、そして、この病児保育、足りないからふやしていくという姿勢は政府もお持ちなので、これをどういう目標でふやしていくのか、そのことについてお尋ねします。

新谷大臣政務官 お答えいたします。

 病児保育事業は、就労している保護者の多様な保育ニーズに対応するために非常に重要な事業であると考えております。子ども・子育て支援法に基づきまして、地域子ども・子育て支援事業として市町村が実施をしておるところでございます。

 病児保育については、感染症の流行や、病気の回復による突然の利用キャンセル、こういったことなどによりまして利用児童数の変動が大きく、経営が不安定になる、こういった御指摘をいただいておったことから、平成三十年度より、運営費の基本単価につきましては、より事業の安定につながる補助の仕組みを構築した上で、利用児童数の数に応じた加算について、現在二千人となっている上限を見直し、二千人を超えて利用した場合にも利用児童数に応じた加算を行うこととしたところでございます。

 なお、この改善を踏まえた運営状況については、平成三十一年度以降に調査、分析を行うこととともに、また必要な支援を検討することとしております。

 また、病児保育のニーズ把握や、これは地域の偏在がございますので、この地域偏在の解消については、広域的な見地から進めていくことが重要であると考えておりまして、都道府県を中心に関係自治体が協議を行う待機児童対策協議会でも協議事項とされている例がある、そのようになっております。

 こうした取組を通じまして、市町村において地域の実情に応じた保育ニーズに対応できるよう、病児保育事業の一層の推進に取り組んでまいりたい、そのように考えております。

大河原委員 経営して、新しくつくっていくというのは本当に難しいと思います、季節的な変動もありますし。

 だけれども、ここで、例えば企業主導型保育で、専門的な病児保育所というのはむしろ企業が求めるものなんじゃないかなというふうに思うんですけれども、企業主導型保育所はたくさんスピーディーにできました。質の悪いところは残念ながらありますけれども、この病児に関する、あるいは病後児に関する、そうした子供が預かれるようなものは、私は企業主導型保育の中でできるんじゃないかというふうに思っております。

 それで、次に進みたいと思いますが、同じように、今回の無償化で無償化の対象になったものの中にベビーシッターがあります。ベビーシッターについては、先日、同僚議員の吉田議員が伺いましたけれども、やはりなかなかはっきりしたお答えが現時点で出てこないんですね。

 まず、このベビーシッターの事業の役割と、ベビーシッターの基準づくりについてどの辺までやっていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。なぜベビーシッターを入れたんでしょうか。

本多政府参考人 お答えいたします。

 ベビーシッターを含む認可外保育施設につきましては、待機児童問題によって、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方がいることから、代替的な措置として、幼児教育、保育の無償化の対象としたものでございます。

 無償化を契機として、認可外保育施設の質の確保、向上を図ることが重要でございます。特に、ベビーシッターにつきましては、保育従事者の資格や研修受講などについて新たな基準の創設が必要と考えており、基準の検討にあわせまして、指導監督の方法についても検討することとしております。地方自治体との協議の場での議論等を通じて、自治体の御意見も伺いながら、関係団体の代表者や有識者、自治体関係者をメンバーとする社会保障審議会の専門委員会で議論を進めているところでございます。

 いずれにしても、十月からの円滑な施行に向けて、条例制定などの施行の準備期間を考慮して、できるだけ速やかに基準案を示せるよう検討を進めてまいります。

 その際、子供たちの保育環境の安全確保の観点から、現場を預かる皆様の御意見に十分配慮して進めてまいりたいと考えております。

大河原委員 この子ども・子育ての、消費税の増税分でカバー、無償の部分をつくって、一部無償にしようということは去年決まっているんですよね、五月に。

 今、審議会で始まっていると、基準づくりが。いつから始められたんですか。間に合うんですか。

本多政府参考人 議論しているのは、社会保障審議会児童部会のもとに設けました子どもの預かりサービスの在り方に関する専門家委員会でございますが、議論をスタートいたしましたのは三月の二十日でございます。

 今後につきましては、条例制定などにも間に合うように、できるだけ速やかに基準案を示せるように検討を進めてまいります。

大河原委員 三月二十日って、きょうが二十二日だから、おとといということですよね。そうですよね。それで十月に始めるわけですよね。

 これまでもベビーシッターのサービスというのは民間でたくさんありましたけれども、そういうところがやはり新しい基準にきちんと対応してもらう。あるいは、進んでいるベビーシッターの事業者だったらば、国が求めなきゃいけないクオリティーの高い基準を持っているかもしれない。そういう方たちはそこに入っていらっしゃるんですか、審議会に。

本多政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました子どもの預かりサービスの在り方に関する専門委員会のメンバーといたしまして、公益社団法人全国保育サービス協会からも御参加をいただいているところでございます。

大河原委員 ごめんなさい、通告していないけれども、もう一つ聞きますね。

 入管法が変わって、改正入管法で、働く外国人の方たちがいらっしゃいます。世界的に有名なのは、フィリピンの女性たちが、メードさんやベビーシッターや、そういうお仕事として世界各地に散らばって働いておられます。

 なかなかこのベビーシッターの資格の基準みたいなものがつくれなかった背景には、どれを基準にしたらいいのかという迷いがあったんじゃないかなと思うんですが、このベビーシッターは外国人でもなることができますか。そういったこともこの基準づくりの中で検討されますか。

本多政府参考人 お答えいたします。

 外国人の方の就労につきましては、外国人の方によって在留資格が異なりますので、どの範囲で就労ができるのかというのも一概には申し上げられませんけれども、在留資格によっては、ベビーシッターになっていただくことは可能かというふうに考えております。

大河原委員 時間がなくなってきたので、次の、子どもの権利条約の批准からことしは二十五周年でございます。日本政府がこの二十五年の間にどういうことをしてきたかということを外務省にお尋ねをしたいと思います。

 そして、政府報告も出してきましたが、それに対しての総括所見あるいは勧告というものも出されておりまして、特に、子供に対する暴力、体罰の問題、こういったことがずっと指摘されてきているんですが、その点、どういうふうになっているでしょうか。また、外務省として、そこに対応できるような政策を打ち出されたでしょうか。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 日本としては、人権関係の条約を多数締結しておりますけれども、この児童の権利条約というのも非常に重要な条約として取り組んでいるところでございます。

 九八年以降、日本に対する審査というものが繰り返し行われてきているところは御案内のとおりでございますけれども、それに対しても、日本として、しっかり日本の取組を説明して、それから、その審査を通じて委員会から出てくる勧告につきましても真摯に検討するということを続けてきているところでございます。

 今御指摘いただきました体罰の問題につきましては、我が国が初めて児童の権利委員会の審査を受けた九八年の総括所見のときから勧告を受けているところでございます。本年二月にも総括所見が出されましたけれども、その中におきましては、全ての体罰を明示的かつ完全に禁止すること、意識啓発キャンペーンの強化等を含め、あらゆる環境において実質的な体罰をなくすための措置を強化すること等の指摘を受けているところでございます。

 この総括所見の勧告というのは法的拘束力を必ずしも有するものではございませんですけれども、でも、この総括所見に示された勧告の重みを考えますと、関係省庁間で内容を十分検討していくべきものというふうに考えております。

 また、児童に対する暴力撲滅といった大きな国際的な取組の中で、外務省といたしましても、関係省庁ともちろん連携いたしまして、二〇一八年以降、ユニセフ及び国際NGOが中心となって設立した子どもに対する暴力撲滅グローバル・パートナーシップ、いわゆるGPeVACと言われるものなんですけれども、それに理事国として参画するなど、国際的な児童に対する暴力撲滅に向けた取組にも積極的に参加しているところでございます。

 このように、外務省といたしましては、児童の権利の保護、促進に向けまして、今後とも関係省庁と連携しながら積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

大河原委員 体罰はしつけのうちだと言う人がいるんですけれども、大臣、先日の閣議決定、児童虐待防止、児童福祉法の改正、その中では、この国際的な体罰の定義というのがあるということをしっかり胸にとどめていただき、ぜひ御決意を聞かせていただきたい。

宮腰国務大臣 これまで、虐待によって幼い命が奪われる痛ましい事件が繰り返されたことは、本当に悔やんでも悔やみ切れません。

 委員御指摘のとおり、子供への暴力など児童虐待は決して許されるものではないと考えております。

 国連児童の権利委員会からの勧告もされたところでありまして、今週十九日に、私もメンバーである関係閣僚会議において決定した「児童虐待防止対策の抜本的強化について」では、体罰禁止及び体罰によらない子育てに係る施策が盛り込まれております。当然だと私は思っております。

 今回、そういう考え方のもとで、児童福祉法等の改正案が今国会に提出をされまして、しっかりと国会の中での議論の上で成立が図られればというふうに思っております。

大河原委員 立憲民主党も、子供の権利、子供たちの最善を追求しながら活動してまいります。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 立憲民主党の初鹿明博です。

 大河原議員に続きまして質問をさせていただきます。

 今、大河原さんの方から、ベビーシッターのことについてかなり突っ込んだやりとりがありましたので、私もそれに続いて少し質問させていただきますが、要件などについては今検討中であって何も決まっていないということであります。これはベビーシッターの要件ということですよね。

 ちなみに、お伺いさせていただきますが、逆に、預ける側ですね、預けるに当たって、まず二号認定を受けていれば、若しくは、二号じゃなくてもいいのか、一号でもいいんですよね、一号でも、幼稚園に入れていて、その預かり保育の分の一・一三万円ですか、その部分はベビーシッターの利用を使えるということになるんでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 幼稚園に通われているお子様のその上乗せ部分につきましては、まず保育の必要性が認められる方がその対象となってまいります。その上で、まず預かり事業をやっていただきまして、これからその部分の具体的な基準等は文科省と連携しながら詰めていきますけれども、その上で更に、その預かり保育で不十分なような場合には、ベビーシッターも含めまして上限額までは活用可能というふうに考えてございます。

初鹿委員 つまり、保育が必要だという親であれば、ベビーシッターが使えるようになるということですよね。

 ただ、その都度その都度使うに当たって、保育の必要性が、保育に欠けているかどうかということが本当に確認をされるのかというと、そうでもないですよね。

 例えば、保育に欠けているということで、預かり保育の対象だったり又は二号認定の方だったとしても、自分が遊びに行く時間のためにベビーシッターを利用するということの排除はできないですよね。違いますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 今般の幼児教育、保育の無償化に絡む保育の必要性につきましては、現行の子ども・子育て支援法上の給付の対象となります保育の必要性と横並び、ほぼ同じような形で、まず市町村、自治体から認定を受けていただくことになりますので……(初鹿委員「一回一回のことを言っているんだからね。それをわかっているのかな」と呼ぶ)一回一回につきましては、認定がなければ、たまたま休養というようなことで一回一回ということであれば、なかなかその認定を受けることは難しいのではないかと思ってございます。

初鹿委員 違いますよ。認定を受けている人が、本来子供を自分で見なければいけない時間帯に、夜、飲みに行くから、その時間ベビーシッターを使いたい、昼間は例えば認可外の保育施設とかに入れたりしているんですよ。飲みに行くのにベビーシッターを使いたいということが可能じゃないんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 認定を受けている方が、委員おっしゃいますように、何らかの用事のもとでベビーシッターを活用する場合には、確かに今回のその対象にはなってくるものと承知してございます。

初鹿委員 つまり、本当に保育のためにベビーシッターを使うのか、それとも、自分が何か別の、遊びに行ったりするときに子供を預けたいときに使うのか、これは区別ができないんですよ。

 果たしてこれが適切な税金の使い方なのかなというと、私はちょっとクエスチョンなので、一回一回のやはり使うに当たっての理由の確認というのは、私は一定程度必要ではないかなというように思いますが、いかがでしょうか。

小野田政府参考人 十月に向けまして詳細設計を詰めているところでございますが、今の委員の御指摘につきましては、ちょっと改めまして、どういうことが可能かも含めまして、少し整理させていただきたいと思います。

初鹿委員 では、今度、ベビーシッターさんを誰を選ぶかどうかというのは利用者に任されるわけですよね。今、ベビーシッター自体の要件をどうするのかということが検討されているということですが、仮に、例えば、自治体が設けた研修を一定程度受ければベビーシッターに登録できますということになると私は思うんですけれども、そうなった場合に、友達同士で研修を受けに行って、それで預け合うということも可能になります。可能になりますよね。一緒に、お互い預けたことにして二人でディズニーランドに行っても、家族四人で行っても、これは排除できないということになりませんか。

本多政府参考人 お答えいたします。

 まず、認可外保育施設につきましては、月額の上限額三・七万円の範囲で、ベビーシッターを含めて複数のサービス利用を可能としておりまして、保護者がサービスを選択し、保育料を支払った上で、市町村が償還払いとすることを基本としております。

 無償化の対象となるベビーシッターについては、個人のベビーシッターであっても、児童福祉法に基づく認可外保育施設の届出を行っていただく必要がございます。また、無償化の対象となる認可外保育施設は児童福祉法に基づく届出がなされていることが前提なわけですけれども、児童福祉法施行規則におきまして、親族やこれに準ずる密接な人的関係を有する者の監護する乳幼児のみを保育する場合、これは認可外保育施設の届出の対象外としておりますので、広くほかのお子さんも預かっていらっしゃれば別ですけれども、密接な人的関係を有する人のお子さんだけを保育している場合には届出の対象とならないということになります。

初鹿委員 親族だったら密接かどうかというのはわかるんですけれども、友達関係まで全部行政は把握できないですよね。五人とか十人でグループを組んで、みんなで順番に預け合いましょうということもできるわけですよ。

 別に、これが、きちんと本当に保育の必要なときに順番でやるということだったら私は構わないとは思うんですよ。ただ、それが、一緒に出かけたりするということの排除ができないような形で認めるということになると問題ではないかなというふうに思いますので、そういうことがきちんと管理できるような体制を自治体が本当にとれるのかどうか、私は疑問なんですけれども、そこまでやはり考えておかないと不正利用というのはなくならないんじゃないかということは指摘をさせていただきたいと思います。いかがですか。

本多政府参考人 お答えいたします。

 現状、先ほど申し上げました認可外保育施設の届出をしていただく対象として、不特定多数の者を対象として恒常的に顧客を募集しているとか、また、親と離れることを常態とした保育を行う、こういったものについて届出をしていただくこととしております。

初鹿委員 それは、ホームページを開設して、一般的にみんなから募集していますよという体裁を整えればいいわけで、ベビーシッターというのは一人で受けるわけですから、申込みがあっても断ることというのは間々あるわけですよね。だから、それはいかようにでもできますから、そこは何らかの対策を考えておかないとおかしなことが生じるんじゃないかということは指摘をさせていただきます。

 では、ちょっと前向きなお話をさせていただきます。

 資料をつけさせていただいているんですが、ちょっと一枚めくっていただいて、産後ドゥーラというもののパンフレットをつけさせていただきました。

 大臣、産後ドゥーラ、御存じでしょうか。

宮腰国務大臣 申しわけありません。今、委員の御指摘で初めて知りました。

初鹿委員 済みません、担当の方、質問すると言ったんだから、大臣に説明しておいてくださいよ。今知ったというのはちょっと残念なんですが、ぜひ、大臣、読んでいただいて、ちょっと内容を知っていただきたいんですが。

 ちょっと説明しますね。この二枚目の方に中身が書いてあるんですが、「産後ドゥーラについて」という項目があって、三項目書いてあります。

 「産後に休養をとることは、母親の大切な仕事」ですということで、「「床上げ三週間」という言葉をご存知ですか?昔から、産後はできるだけ横になり、三週間後にようやく布団を片付けて、「床上げ」するように言われてきました。見た目には分かりませんが、出産によって骨盤が開き、子宮から胎盤が剥がれ落ちるため、産後の母体はダメージを受けています。家事は誰かに任せてゆっくり休み、まずは母親の心身を回復させることが大切です。」

 「産後は、必ず誰かの手を借りてください」昔は、祖父母がいたりして、寄り添って、支えてくれる人がいたけれども、今はそういう状況じゃないですよねということを説明をしていて、「産後ドゥーラは産前産後のお世話に必要な知識や技術を学び、認定資格を取得しています。産後、夫婦だけで家事や育児を乗り越えるのは大変です。ぜひ、産後ドゥーラを頼ってください。」となっています。

 そして、「母親に、愛情と優しさを注ぐことが使命」ということで、「産後の母親は、赤ちゃんのお世話で精一杯。疲れていても休まず、不安を感じても我慢してしまう。そんな風に、頑張りすぎてしまう母親のそばに寄り添い、支えることが、産後ドゥーラの使命です。」ということで、育児だけじゃなくて、家事もお手伝いをする、そういう役割を担っているのが産後ドゥーラという方なんですね。

 今回、ベビーシッターを対象にするということであるわけですから、ここをちょっと広く解釈をして、この産後ドゥーラの派遣を受けることも対象に加えたらどうかなという提案です。

 実は、二十三区を始め幾つかの自治体で、この産後ドゥーラの派遣を受けるに当たって、補助を出している自治体がふえてきているんですよ、今。産後ケアが必要だということは、これは政府としても必要だという認識でいるわけですよね。そういうことを考えますと、今回のベビーシッターの中に、産後のケアをする産後ドゥーラのような方々も対象に加えられないのかということを提案させていただきます。

 保育に欠ける要件の中を見ていくと、一番最初に挙がっているのが、昼間労働することを常態としていることという、働いていることというのがあるんですが、その次に、妊娠中であるか又は出産後間がないことというのがあるんですよね。この二を考えれば、保育に欠ける要件に当たってきて、産後ドゥーラであっても、ベビーシッターと同等にこの対象に広げられるのではないかというふうに思うわけです。いかがでしょうか。

本多政府参考人 お答えいたします。

 今回、認可外保育施設で無償化の対象としている理由は、認可保育所に入りたくても入れない方についてのやむを得ない措置として認可外保育施設も対象としているところでございます。

 そういった趣旨からいたしますと、産後の母子に対して対象としている、先生の御指摘の産後ドゥーラについては、今般の無償化の対象には含めていないところですが、ただ、産後の母子に対する心身のケアや育児のサポートなどを行う重要性については厚生労働省として十分に認識をしておりまして、産後ケア事業といったことで市町村に対する支援なども行っているところでございます。

初鹿委員 ぜひ、せっかく今回初めてベビーシッターまで広げるということをやるんですから、認可保育園に入れないことだけではなくて、もう少し、子供をみんなで社会で支えていこうという観点から、この産後ドゥーラも加えていただくことを検討していただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 産後ドゥーラというのを実はきょう初めて知りまして、こういうニーズがあるのかなというふうに思っております。

 ここに、「産後ドゥーラは産前産後のお世話に必要な知識や技術を学び、認定資格を取得しています。」こう書いてあります。どういう認定資格なのか、ちょっと確認もさせていただきたいと思うんですけれども、産後のケアというのは、私も孫のことを考えたら、なかなか親だけでは大変だというのはよくわかります。

 先ほどの、子供さん、小さな子が病気になったときに、しかも仕事の関係で出かけなければいけない、こういったときに、昔はというか、今もですが、実家のおばあちゃんが来て孫の世話をする、あるいはお医者さんに連れていったりするということなんですが、今はなかなかそういうことができるような時代ではないということなので、いわば、今回、無償化ということと同時に、家庭で保育をしておいでになる方々、こういうところに対してどう支援するかということもメニューの中にも入っているわけであります。そういうことの充実なども含めて、しっかりと検討してまいりたいなというふうに考えております。

初鹿委員 前向きな提案をさせていただいているので、ぜひ検討して、今回のちょっとベビーシッターとは別枠になるのかもしれないけれども、何らかの国としての支援策を考えていただきたいということをお願いをさせていただきます。

 では、次の質問に移ります。

 ちょっと時間が足りなくなってきたので、まず、認可外施設の問題について質問をさせていただきます。

 今回、認可外の保育施設を対象に加えるということですけれども、保育施設が対象なんですよね、認可外の。認可外の幼稚園というものも実はありまして、類似幼稚園などと呼ばれていたりしているものなんですが、この認可外の幼稚園は今回の無償化の対象には加わっていないわけでありますが、その理由についてまずは御説明いただけないでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の幼児教育の無償化の対象範囲は、法律により幼児教育の質が制度的に担保された幼稚園、保育所、認定こども園を基本としながら、待機児童問題により、認可保育所に入りたくても入れない方もいることから、代替的な措置として認可外保育施設等も対象としております。

 いわゆる幼児教育類似施設につきましては、法令上の定めや基準等はなく、多種多様なものが存在する、また、設置形態等も施設によってさまざまであることから、一律に無償化の対象とすることは困難であるというふうに考えております。

 なお、こうした施設であっても、乳幼児が保育されている実態があり、認可外保育施設としての届出があれば、保育の必要性がある子供については無償化の対象となるところでございます。

初鹿委員 まず、多種多様なものがあって、なかなか基準もないから対象に加えられないということだったんですが、そもそも、一体どれぐらいの施設があるのかということや一体何人の子供がそこに通っているのかということも、担当の方に事前に聞きましたら、全く把握されていないということなんですよね。

 しばしば大臣など答弁で、三歳から五歳の子はほぼ何らかの施設に入っているというような答弁をされているんですが、そのどこにも入っていない中に、実はこの類似幼稚園という認可外の幼稚園に通っている子供たちも入っているわけですよ。どこにも行っていないことになっちゃっているんだけれども、実は行っているという。そこを考えると、こういう施設を全く排除をするのはどうなのかなと私は思うんですよ。

 特に今回、幼児教育が重要だということで無償化をしますということが主なわけですよね。それに加えて、少子化対策としての経済的な負担の軽減だということが加わっているということだと思うので、幼児教育を行っているけれども認可になっていないという理由でこれらの施設が排除をされて、一方で、認可外の保育施設のように、認可外で基準は満たしていないんだけれども保育をしているからこっちは対象になりますよというのだと、幼児教育を行っているということが軽視をされているような感じがするんですよ。実際に幼児教育を行っていて、一定の評価も得ているようなところもあるんですからね。中には、自治体の中で、一定の補助を出しているような自治体もあるんです。

 実は、私、江戸川区なんですけれども、江戸川区は、認可、認可外だろうが、幼稚園に月二万六千円という大きな補助を出してくれているんですね。私が通っていた幼稚園も実は認可外でした。そこに子供を三人通わせていて、三人ともちゃんと補助を受けていたんですね。私も、しばらくたつまで、自分の子供が通っている幼稚園が認可外だったと気づかなかったですからね、はっきり言って。つまり、通わせている親からすると、認可か認可外かなんて余りこだわっていなくて、それは、金額だとかの問題はあるかもしれませんが、それ以上にやはり教育の中身なんだと思うんですよ。

 ですので、全部を対象にするというのは私も難しいんだろうなと思うんです。ただ、自治体が補助を出しているような施設だとか、一定程度の要件を満たせば、今回の無償化の対象に加える必要があるのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。大臣、答えてください。

矢野政府参考人 御指摘のような施設の中には、地域や保護者のニーズに応え、重要な役割を果たしているものもあると承知しており、保育の必要性のない子供の保護者負担の軽減のあり方については、まずは各自治体において検討していただきたいと考えております。

 その上で、今般の無償化は、自治体独自の取組と相まって、子育て支援の充実につなげていくことが重要であるため、そのような施設に対して、関係府省とも連携しつつ、国と地方が協力した支援のあり方について検討しているところでございます。

宮腰国務大臣 委員の御発言のとおり、いわゆる幼児教育類似施設につきましては、例えば、法令上の定めや基準がない、あるいは多種多様なものが存在する、設置形態等も施設によってさまざまだということで、一様に無償化の対象とするというわけではないが、しかしながら、現実に、幼児教育の役割を果たしている、しっかり果たしているという施設についてどうなんだという御質問なんだと思います。

 これは、予算委員会の場でもいろいろ議論がありまして、安倍総理からも、検討させる、こういう御答弁もあったわけであります。

 実態的に、市町村がしっかりと支援をしておいでになる認可外の幼稚園もあるということでありますので、その辺は、実態として、実際にしっかりとした幼児教育が行われているのかどうかというのが最終的な判断基準なのではないかなというふうに考えております。

 今回の子ども・子育て支援法改正案の中では、そういうところについては、市町村がしっかりと判断をした上でということになると思います。今回、条例もつくっていただいて、市町村の方からは、何でもかんでもというわけにはいかないのではないかという意見がある一方で、市町村が独自にもう既に支援をしておいでになる施設もあるということでもありますから、そこは、実態がしっかり把握できている市町村がどう判断されるかということなのではないかなというふうに私としては考えております。

 今後、基準が必要であるということであれば、これは文科省にしっかりと検討してもらわなければいけないというふうに考えております。

初鹿委員 つまり、市町村がこの施設はしっかりしているよということを認めている施設はこの対象に加えていくことにつなげる、そういう趣旨で答えているということでよろしいでしょうか。

宮腰国務大臣 ちょっと今、私の方で言葉不足だったかもしれませんが、無償化の範囲にはなかなか入りづらい、しかし、ほかの支援という形でやっていけるのではないかということでありまして、そういう意味で、市町村がどう判断されるかということではないか。

 いろいろな応援の方法があるわけでありますので、とにかく、文科省の方でしっかりと考え方を整理してもらいたいというふうに考えております。

初鹿委員 つまり、ダイレクトに無償化の対象にはならないけれども、同等の支援は何らか検討する、そういうことでよろしいですね。いいですか、文科省。

矢野政府参考人 国と地方が協力した支援のあり方ということについて検討するものだというふうに理解しております。

初鹿委員 では、ぜひよろしくお願いします。

 時間がちょっとなくなってきたので、一回戻って、大臣のこの前の委員会での発言について質問させていただきますが、今回の無償化で待機児童がふえるという指摘は当たらないという見解を示しているんですね。

 一枚目の資料に書かせていただいておりますが、ここで答えているのは、既にほとんどの子供が認可施設を利用できている三歳から五歳児を対象としていること、ゼロ歳児から二歳児については住民税非課税世帯に限定していることから、限定的であると答えているんですが、これは、政府の一致した見解だということでよろしいでしょうか。

宮腰国務大臣 委員御指摘の答弁につきましては、無償化による保育の潜在ニーズへの影響は限定的である、特に三―五歳については、もう既に九割が入所されている、〇―二歳については、住民税非課税世帯のみを無償化の対象にしているということであります。

 ニーズの増大があったとしても、十分に対応可能な保育の受皿整備に必要な予算をしっかりと確保しているということも述べたものでありまして、もし詳細にということであれば、政府参考人から説明させたいと思います。

初鹿委員 その認識は、私は大きく間違っていると思うんですよ。それを説明します。

 三歳から五歳児は、確かに、幼稚園なり保育園なりに入っています。でも、今回、保育園がただになるわけですよね。幼稚園は二・五七だけの補助になる。幼稚園は実費がかかるんですよ、大方の人はね。

 例えば、所得の高い世帯、年収が一千万ぐらいあると、これで母親が働いて保育園に預けると、今だと十万ぐらいかかるわけですよね。扶養の範囲で働こうとしたら、働いた分、全部保育料ですよ。だったら働かない方がいいですよねとなりますよね。扶養が外れるぐらい働いちゃうと、今度は税金が上がるから、プラスマイナスで考えたら、プラスなのかマイナスなのかわからないぐらいに負担がある。だから、保育園に預けるのはやめて幼稚園に預けているという人もかなりの層いると思うんですよね。それが、今度、保育園はただになったら、あ、だったら働こうといって、幼稚園じゃなく保育園を選ぶ人が相当数出ると思いませんか。人の心ってそういうものですよ。

 そうなると、どういうことになるかというと、今でも幼稚園は園児の確保が大変なのに、幼稚園じゃなく保育園を選ぶ人がどんどんふえていって、待機児童もふえる、幼稚園の経営も厳しくなるということに私はつながると思いますよ。今、幼稚園に預けている人たちも、保育園がただだったら、働いた方が得だと思うじゃないですか。一銭も持ち出しなくなるわけだし、収入もふえるし。そういう効果が出るということは全く考えていないんでしょうか。

本多政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在進めております子育て安心プランの受皿整備でございますが、こちらは三十二万人分を準備するということで、その考え方としては、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が二〇二二年度末に八割まで上昇する、これを見込んだ量としております。

 したがいまして、今後、さまざまな要因によって保育ニーズの増大があったとしても、十分対応可能なものとなっているかと考えております。

初鹿委員 時間がなくなってしまったので、ちょっと質問できませんでしたけれども、今回の無償化は、地方自治体にとって、特に不交付団体、二十三区など、非常に財政的な負担が重いんですよ。そういうところの方が待機児童は多いんですよ。

 今回無償化することによって持ち出しがふえると、待機児童解消のために保育園を増設するということにブレーキがかかりかねないから、皆さんが示しているような計画どおりに保育園の増設なんか進まないと私は思うんですよね。

 ですから、今回の無償化によって待機児童がふえることにつながるという指摘をさせていただいて、私の質問は終わらせていただきます。

牧原委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党・無所属フォーラムの阿部知子です。

 内閣委員会で、今年度三度目の質問に立たせていただきます。皆様にお時間をいただきまして感謝をいたします。

 私がこの前二回取り上げてまいりましたのは、企業主導型保育の問題でございます。

 そして、前回三月十三日の質問の中で、企業主導型保育における整備費基準額と、保育園をこれまで運営しております厚生労働省の定める保育所の整備費基準額が差があるのではないか、平成二十九年度で比較いたしますと、いただいた資料では、厚生労働省の基準額が六千五百三十万円、そして企業主導型が七千五百八十万円となっていますが、これはなぜでしょうということをお伺いいたしました。

 答弁がちょっと右往左往されまして、明確でなかったので、本日改めて御答弁ください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 三月十三日の本委員会で御質問ございました企業主導型保育事業の整備費の交付基準額と保育所等整備交付金の交付基準額の関係につきまして、改めて御答弁させていただきます。

 企業主導型保育事業の整備費の交付基準額と厚労省の保育所等整備交付金の交付基準額につきましては、例えば、平成二十九年度における定員二十名以下の標準の地域区分につきましては、補助対象経費の上限である総事業費は、いずれも約九千八百万円で同額となってございます。

 また、補助対象経費の上限である総事業費に対し、それぞれ国、市町村及び事業者の負担割合を設定してございまして、国及び市町村の負担を合わせた公費の負担割合は、両事業とも同じ四分の三となってございます。

 このため、十三日の答弁では、企業主導型保育事業の整備費の交付基準額と保育所等整備交付金の交付基準額は横並びと申し上げさせていただいたところでございます。

 一方、国の交付基準額につきましては、先ほどの例で申し上げますと、企業主導型保育事業の整備費は市町村負担がないため、国の補助率が四分の三で、その交付基準額は七千三百四十万、他方、保育所等整備交付金は市町村負担がございますため、国の補助率が二分の一で、その交付基準額が四千八百九十万円となります。

 また、待機児童が発生している等の理由により子育て安心プランに参加している自治体の場合は、国の補助率が三分の二で、その交付基準額は六千五百三十万円となり、国の交付基準額には差がございます。

 十三日の答弁におきまして、これらの関係を明確に整理して説明できず、御質問とかみ合わない答弁となりました。また、同日の答弁におきまして、都市部と標準との地域区分の交付基準の差異に言及いたしましたことは適切ではありませんでした。まことに申しわけございませんでした。おわび申し上げます。

阿部委員 今、おわびをいただきましたが、答弁が右往左往しただけでなく、すごくわかりづらかったと思うんですね。

 簡単に言えば、総事業費は九千万円ですが、厚生労働省の場合の補助額は、今急いで保育園をつくらなければならないというので、上限を三分の二に設定しておる、企業主導型であれば四分の三まで出しておる、この差が差になっておりますと答えていただければ、私としてもその次の質問に行けたのです。

 本来はその次の質問をしたかったのですが、同じ基準額と言われながら、しかし、現実にいろいろ出てくる資料を見ますと、やはり、企業主導型保育の方が、基準額に対して、実際には査定されて出ている金額が、支出されている金額が多いのではないかというのを私は指摘させていただいております。

 私が類推するに、その主な差は、厚生労働省などで査定して出す場合は、基準額の例えば七掛けとか、少し査定がきく。ところが、企業主導型はフル満額に出ているものが多い。基準額は同じに設定したとしても、そこから厚労省は、少し査定で、自治体が絡みますから低くなる、企業主導型はそのまま出てしまっているのではないか。これが企業主導型保育の方により補助が出やすい構造になっているのではないかというのが、私の伺いたかった点であります。

 大臣、この点について、実際に、基準額と査定額の差ですね、フル満額出ているような査定では査定と言わない、要求どおりだから。これについては、大臣、繰り返しおっしゃいますが、四月中までの児童育成協会における調査において、きちんと基準額と査定額についてお調べいただけると思っておりますが、いかがでしょう。全例が無理であれば抽出調査をしていただいても構いません。

 今起きていることは、企業主導型保育だと言い値で出ると思っておられる事業者が多いわけです。最近少し査定が変わったといっても、ペーパー審査ですから、同じです。基準額と査定額をきちんと調べて、企業主導型保育において実態をお示しいただきたいが、大臣、いかがでしょう。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 委員、今の御質問、企業主導型保育事業の方は、いわゆる上限額の方にかなり査定が上がっていっているんではないかという御趣旨ではないかと思います。

 企業主導型保育事業の整備費の基準額につきましては、企業主導型保育事業に必須の部分に対応する基本単価、これと、一時預かりや病児保育を実施するためのスペースなどの各種加算を合計した額を基準額とさせていただいております。この基準額と、実際の整備に係る費用の四分の三とを比較しまして、低い方の額を助成決定額とさせていただいているところでございます。

 この基準額につきましては、施設によって加算の取得状況に差がございますため、委員御指摘の、上限に張りついている、あるいはそれに近いか否かを確認するためには、施設ごとに助成決定額を基本単価に対応した部分と各種加算に対応した部分に分け、基本単価に対応した助成決定額を算出していく必要があると考えてございます。

 こうしたことから、平成二十八年度、例えば対象施設七百七十二施設、創設が三百十五、改修四百五十七でございます。また、平成二十九年度は、合わせまして千九百七十九施設になってございます。これらの整備費の助成決定を受けた施設ごとに、基本単価の上限、どの程度張りついているか、助成決定額が張りついているかを直ちに把握していくことはかなり労力も要しますし、なかなか困難ではないかというふうに考えておるところでございます。

阿部委員 直ちに直ちにといって、私、これを二カ月近くやっているんです、正直言って、最初に問題意識を持ったときから。なぜならば、この企業主導型保育所に過大な補助が出ているのではないかという指摘が、週刊東洋経済というところで昨年の十一月の終わりになされたんです。同時に、その過大な補助ではないかと言われる施設が、世田谷区でコンサル業務をしていた保育園が二つ、その後潰れました。何でそんなことが起こるんだろう、余りにいいかげんな事業者なんじゃないか、それを認めてきた内閣府は何なんだというところからスタートしているんですね。ですから、きのうきょうに聞いたものじゃないんです。

 そして、私は、全例無理なら、せめてサンプル調査をしなさいよと。だって、皆さん、二十八、二十九年度は言い値で出していたんですよ。ペーパーも、ペーパー審査だけなのはもちろんのこと、三十年度になってやっと審査会を設けて、五人の審査員で、しかし、これも全部ペーパーなんですよ。そんなことをやったら実態なんか見えない。そんなやり方をしてはいけないというのが私のずっと指摘してきたところなんですね。

 大臣、私が前にお知らせをいたしました世田谷区のコンサル事業者がほかでやっていた案件ですが、この案件では、改装に九千八百七十三万円の総事業費見込みが言われて、これに対して七千七百四十二万円を出したと。四分の三でいうと、フル満額なんですね。何でこんなことが起こるのか。

 大臣、この事案を覚えておられますか。私が御紹介したんです。こういうことがあるから調べなさいよって申し上げたんです。大臣、御答弁あればお願いします。

宮腰国務大臣 具体的な案件の調査というよりも、今全数調査をかけております。

 同時に、そういう先生からの御指摘なども踏まえまして、企業主導型保育の円滑な実施に係る検討委員会というものを立ち上げさせていただいて、そこで議論をいただいた上で、例えば、施設整備費につきまして、検討委員会の報告におきましては、施設整備費について、新設の場合の助成額と既存の建築物の改修に係る助成額を明確に区分することなど、実勢に合わせるべきであるといった内容が示されております。

 こういう報告を踏まえて、まずはしっかりやっていくということは、これはもう当然のことであろうというふうに思っております。

 なお、検証結果について、今一生懸命精査をさせていただいているところでありますけれども、四月中にはしっかりと公表ができるように、今作業させていただいているところでございます。

阿部委員 ちょっと小野田さんの御答弁とそごがあるように思いますけれども、私は、やはり実態をちゃんと把握していただきたい。

 今大臣が御答弁のように、新築だろうと改築だろうと、ほぼ同じ値で出しているんですね、それは区別していなかったから。そんなずさんなことって、ないですよ、普通起こらないですよ。御自身が家を建てるときを考えてみればいいんです。でも、人の金だと思うから簡単に出して、それが何年と続いてきたということが、私は絶対に、この企業主導型保育の信頼を失うから、よくないと申し上げていて、大臣の今の御答弁であれば、しかるべく調査をしていただく。これまで時間もかかっていることではあるが、四月のしかるべき時期までには出していただくということで、確認させていただいてよろしゅうございますか。

宮腰国務大臣 四月中にはしっかりと公表させていただきたいと考えております。

阿部委員 それはもう当然過ぎるほど当然のことなのですけれども。

 続いて大臣に御答弁をいただきたいですが、この同じ資料、出すのが、これも三度目ですが、大臣のお手元に、平成二十八年度、二十九年度の企業主導型保育、一体幾ら、いただいたお金が余ったのかというと、平成二十八年度では、これに必要額を七百九十七億円と見積もったけれども、五百九十九億円余した、ほとんど余った。二〇一七年度予算では、千三百九億円積んだけれども、これの余ったお金、すなわち返納金ですね、特別会計に返納したお金が未確定であると。

 これは今も未確定で、そして、未確定であるにもかかわらず、二〇一八年度予算においては、新たに保険料率を引き上げるような法律改正を行った。平成三十年度の法律改正は、料率を〇・四五まで上げられるという法律改正ですが、私はどう見てもおかしいと思うんですね。未確定を確定させて、必要なら上げるとやっていかないと、何だか自動的に上がっていくように思えてなりません。

 大臣、この経緯ですね。二十九年度のものが出ておらない、今もおらない。でも、平成三十年度には引上げをした。これは不適切ではないでしょうか。

 また、これも三月末には出していただくということで、この未確定という部分は確定されましょうが、恐らく五百九十九億円よりはるかに多いお金がここに余っていると思います、剰余金としてですね、返納金と言ってもいいです。それにもかかわらず、この平成三十年度の法改正をしたとすれば、この法改正自身が誤っていたのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

宮腰国務大臣 事業主拠出金を財源として実施している企業主導型保育事業などにつきましては、経済団体に対し、毎年定期的に複数回にわたって、予算収支の状況や助成決定などの実施状況について情報共有を行いまして、丁寧に協議をしております。

 その結果、来年度の拠出金率の引上げ幅につきましては、積立金も活用する中で、前年度比で〇・〇一%縮小させ、プラス〇・〇五%に抑えたところであります。

 過去の助成決定額につきましては、制度が二〇一六年四月に始まり、その後、各施設が開所して間もないことから予算額を下回る状況となっており、今後の定員充足率など、事業の実施状況を注視していく必要があると考えております。

 事業主の皆様から拠出いただいた貴重な財源を用いて事業を行っているということを肝に銘じながら、委員御指摘の趣旨も踏まえ、経済団体との情報共有や協議については、さらなる工夫ができないかも含めて、一層丁寧に、誠実に行ってまいりたいと考えております。

阿部委員 大臣、そのお答え、同じお答え、三度目なんですね。

 私は、具体的に数値でお示ししているんです。例えば、拠出率は、〇・二三から〇・二九に、〇・〇六%も上がるわけですよ。〇・四五まで上げるという法改正をしたんですね。でも、二〇一七年度の返納金、剰余金は出てすらいないんですね。余っている金もわからないのに、どうして次にとるかということなんです。

 私は、これは、大臣、今、同じ御答弁ですからまた次に聞かせていただきますが、この返納金額が出たときにもそうであれば、聞かせていただきます。

 そして、私は、平成三十年度の子ども・子育て支援法の改正はもう一つ大きな誤りを犯したと思います。

 大臣のお手元の資料、二枚目をあけていただきますと、このときに、いわゆる待機児童に関係する地域協議会、地方協議会というものがつくられましたが、その趣旨は、あけていただいて真ん中ほどに書いてある、いわゆる各自治体で上乗せ基準をしているところは待機児童が多いので、協議会においてこの上乗せ基準の妥当性について協議せよというのが、このときの規制改革会議の答申であり、それに基づく法改正でありました。

 開いて三枚目をごらんいただきますと、上乗せ基準と待機児童の関係ということでここで取り上げられたのが、世田谷区、目黒区、中央区、板橋区は上乗せ基準をしているから待機児童が多いんだという資料まで添えての論議でありました。

 私どもは、そうではなくて、実は、この上乗せ基準がなぜ必要なのかということをしっかりと考えなければいけないということをそのときも指摘させていただきました。

 時間の関係で少しはしょりますが、続いて次のページをごらんいただきまして、子ども・子育て支援の量的拡充と質の改善というのが、これは平成二十六年に出されておる子ども・子育て関係の量的拡充と質の改善についてのコメントであります。

 ここでは明確に、量的拡充と質の改善が二者択一ではなく、そして質の改善と待機児童解消の量的拡充は密接に関連すると述べられておりますが、そのとき言うところの質の改善とは何か、三点、一、二、三とございます。三歳児の配置職員を、二十対一を十五対一にする、一歳児の配置職員を、六対一を五対一にする、四、五歳児の配置を、三十対一を二十五対一にすると。

 これは、平成二十六年ですから今から四年以上前です。しかし、今もって、この一歳児、四、五歳児の配置基準は見直されることもなく、一歳児のところを五対一にしている自治体には、それは待機児童をふやすから見直しなさいと迫り、それこそ私は大きな政策の誤りだと思います。

 大臣、なぜここまで放置されているんですか、この配置基準の見直し。平成二十六年に言われたものです。一切予算措置もされていない。ただ一つ、三歳児の十五対一は、この間少しずつ上乗せされて実施されております。でも、四、五歳児、無償化するのであれば、まずこの職員の配置基準を見直したらどうですか。それから、一番大変な一歳児は、五対一だって少ないですよ。

 大臣、この点について、どうしてここまで放置されているのか、にもかかわらず無償化を急ぐのか、御答弁お願いします。

宮腰国務大臣 幼児教育、保育の無償化とあわせて、保育士等の配置改善など、子ども・子育て支援の質の向上を図ることは大変重要であると考えています。

 消費税率が一〇%に引き上げられたときに実施することにしていた〇・七兆円のメニューにつきましては、消費税率が八%に据え置かれる中にあっても、三歳児の職員配置の改善など、全ての事項を既に実施済みとなっております。

 消費税財源以外の財源により実施することとされている、さらなる質の向上を実施するための〇・三兆円超のメニューにつきましても、これまで保育人材の処遇の二%の改善などを実施し、ことし十月からは、新たに栄養士を週三日程度配置する費用の補助を行うことにしております。

 この〇・三兆円メニューにつきましては、骨太の方針二〇一八におきまして適切に財源を確保していくとされておりまして、引き続き、各年度の予算編成過程において、安定的な財源確保に努めてまいりたいと考えております。

阿部委員 大臣、申しわけないが、御理解がないのか、答弁が全く食い違っております。

 私は、なぜ一歳児の配置基準を見直さないのか、四、五歳児の配置基準を改善しないのか、それを四年も五年も放置しているのか、予算づけは一銭たりともない、これを政府の責任においてやるべきだというふうに申し上げております。

 大臣、開いてもう一枚見ていただきますと、この基準は、実は昭和四十三年につくられた基準であります。四十三年といえば、私が医師に、大学に入学した年であります。そして、ずっとこの日本において子供たちの保育が大事だ大事だと言われながら、そこから時計はとまったかのように配置基準がずっと見直されず、しかし、今、保育の現場では保育士さんたちがてんてこ舞いをしているわけです。だからやめちゃうんです、だから続かないんです。やるべきは配置基準の見直しです。

 大臣、きょう、申しわけないが、御理解がないのであれば、私はこの次の宿題とさせていただきます。こうやって毎回宿題にするから、私が毎回ここにお邪魔しなくちゃいけなくなって、でもとても大事なんです。私は、このことをまずやるべきだと、本当に子供たちのために思います。質のよい保育じゃないから、教育にもならないから、一丁目一番地はここだから。

 大臣、次回御答弁を御準備いただいて、本日は私は終わらせていただきます。

牧原委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田でございます。

 今、ずっと質問を聞いておりまして、本当に奥の深い話だなというふうに思っているんですが、細かい質問というよりは、大きな流れの中でちょっとお聞きをしたいと思います。

 今回の法案も新しくつくっていくわけでございまして、それがなぜなのかということが、過去本当はつくらなきゃいけなかったものを見落としていたということでつくったのか、それとも時代が変わってきたからこういうような形で対応をしてきたのかというところを、ちょっと確認をさせていただきたいと思うんです。

 社会保障に関しては、年齢別から負担能力別へと移行してきているというようにお聞きをしています。これに関しては、当初からそういうふうにしておいた方がよかったのか、いやいやいや、当初は年齢別というような選択肢の方がよかったんだけれども、こういう時代変化によってこういうような考え方も変わってきたのか、そこを確認したいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 社会保障制度改革国民会議報告書によりますと、日本の社会保障の枠組みは、一九六一年の国民皆保険、皆年金を経て、いわゆる福祉元年、一九七三年に完成されたものであるとされ、現役世代は雇用、高齢者世代は社会保障というモデルが確立されていたと承知してございます。

 しかしながら、近年の我が国におきましては、少子高齢化が進行し、社会保障支出が増加する一方、支え手の人口は減少し、また、国民一人一人につきましても、非正規雇用の方など、従来の企業による生活保障機能から外れてしまっている方が生じている等の状況が指摘されているところでございます。

 こうした中、社会保障制度のあり方につきましては、子ども・子育て支援を図ることなど、主として高齢者世代を給付の対象とするものから、切れ目なく全世代を対象とするものへの転換を目指すべきとされたと承知してございます。

 また、こうした世代間の公平だけでなく、世代内の公平も重要であり、これまでの年齢別から負担能力別に負担のあり方を切りかえ、負担能力に応じて負担する仕組みとすべきとされたと承知してございます。

串田委員 それに関連してですけれども、そうなると、少子高齢化というのが一つ大きな理由であるということはよくわかったんですが、時代も非常に長いわけでございまして、この少子高齢化というのも改善されていくという時代もあるのかなと。

 そういう意味で、きょうは図を資料として提出しておりませんが、人口分布も、非常に太くなったり細くなったり、そういうような変化が行われているとも聞いています。

 そうなると、将来はまた負担能力別というものが変わるということなのか。時代時代によってその場でこういうような選択をするのか、将来を見越しても、もう負担能力別なのが一番ベストだという決定として考えたのか、そこをお聞きしたいと思います。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の御質問でございますけれども、非常に少子高齢化が進む中で、世代間の公平を図るだけでなくて、世代内の公平も重要だということから、国民会議の報告書におきましても、特に他の世代と比較して格差の大きい高齢者に関し、年齢のみにより一律に対応するのではなく、負担能力に応じて負担いただく仕組みとすることで社会保障制度の持続可能性を確保していくことの重要性も指摘されているところでございます。

 それで、社会保障制度を非常に中長期的に見ていく必要があるわけでございますけれども、これから更に高齢化が進んでいくことが想定されてございます。二〇四〇年に高齢化のピークがほぼ来るというような時代も見越した議論も今しなければならないということも行われているところでございます。

 社会保障制度改革国民会議で御提言をいただいたこうした基本的な考え方につきましては、当面の社会保障制度改革を議論していく上では、当分の間は妥当するのではないかというふうに考えている次第でございます。

串田委員 次に、消費税増税に関する幼児教育とのかかわり合いというのをちょっとお聞きしたいんですが、五兆円、一〇%にした場合の五兆円に対する配分として、一兆円を社会保障の充実、四兆円を財政赤字の削減、それを幼児教育、保育の無償化等に一部充てるというような話がありました。

 当初、この四対一にしていた理由と、そして、無償化にすることによって、それが変わるということに対する将来的な変化、これは国民も大変心配していると思うんですね。これに対しての見解をお聞きしたいと思います。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 社会保障と税の一体改革につきましては、消費税率五%分の引上げによる増収分を活用し、社会保障の充実と基礎年金国庫負担割合の二分の一を含む社会保障の安定化を実施することとしていたところでございます。

 これは、社会保障の充実と財政健全化の同時達成を目指す観点ということでございまして、社会保障改革に関する検討の中で、子ども・子育てや医療、介護、年金の各分野における機能強化のための所要額がどれぐらい必要かということをまず見込んだところでございます。

 そうした上で、社会保障の安定化につきましては、基礎年金国庫負担割合を二分の一に引き上げるための財源でございますとか、社会保障の機能を維持するための財源、これは後代への負担のツケ回しの軽減等も含むものでございますけれども、こうしたものを確保するために、こうした使い道、使途ということを想定していたというものでございます。

 また、この点につきましては、今般、社会保障の充実と財政健全化のバランスをとりつつ、人づくり革命のための安定財源を確保するため、幼児教育、保育の無償化等の教育負担の軽減、それから子育て層の支援、さらには介護人材の確保等につきまして、消費税率一〇%への引上げによる財源の一部を活用することとさせていただいたところでございます。

串田委員 次に、待機児童についてお聞きをしたいんですが、随分解消されていて、改善されていくということであります。

 よく聞くのはやはり、無償化よりもとにかく全部入りたい、それを一番の最優先にしてもらいたいと声がありますので、ぜひその方向でお願いをしたいんですが、この前テレビで見ましたらば、大都市は大変激戦であるというお話を聞きました。志望の部分を十六まで書くという地方自治体もあるそうです。いや、もしかしたらもっとあるのかもしれませんが、私が聞いたところですと、志望については十六の場所まで書かなきゃいけないという、要するに、その中で半分ぐらいまでしか書かない場合には、待機児童にはならない、自分から志望していないんだから待機児童ではないんだ、そういう扱い方らしいんですね。

 そうなりますと、かなり自分の希望とは違うようなところに移動しなきゃいけないということになりますと、これは保育所があると言えるのかどうか。そして、社会に対する女性進出というものも十分に確保できているのかどうかというのは、私も大変疑問に思っております。

 ますますそういう意味では都市部に集中していくという可能性が非常に高いわけで、この点についてはどういうふうに解決をしていく予定なんでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 待機児童対策については、最重要課題ということで、最優先で取り組んでいるところでございます。

 女性の就業率八割に対応できるように、子育て安心プランに基づいて、二〇二〇年度末までに三十二万人分の保育の受皿確保に取り組んでおります。待機児童を解消して、十分な受皿を整備することで、希望に応じた保育の利用が可能となるものと考えております。

 その際、大都市であるか否かにかかわらず、保育ニーズや保育の受皿の整備状況が地域の実情に応じてさまざまでございますので、市区町村がそれぞれ、子育て安心プランに基づいて、直近の待機児童の状況等を踏まえていただき、また、潜在的ニーズも含めた保育の利用意向を適切に把握していただいて、それに応じた受皿整備を進めていただくことが重要だというふうに考えております。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、このような各自治体の保育の受皿確保の取組を支援してまいりたいと考えております。

串田委員 本当に、そういう意味では集中していく傾向が非常に高くなってくるのかなと思いますので、そこについての対策というのは本当に充実をしていただきたいんですが、一方で、保育所に入れない人というのはやはりどうしても出てくる。ある意味で、十六カ所も選択されてしまえば、とてもじゃないけれどもそちらに回されたのでは通い切れない、いや、次のチャンスをうかがおうというような気持ちの人もいっぱいいると思うんですね。

 今回、そういう意味では非常に厚い保護が与えられているという中で、保育所に、そこに、自分の希望に行けなかった人と行けた人というものの格差がかなり大きくなっていくんじゃないかな。そういう不満というものも出てくるような気がするんです。保育所に行けない人に対しても、何か、それは十六カ所とかも選択しておいて行けないといっても、それはしようがないよ、書かないだけ行けないよというのではなくて、やはり何らかの形で公平さというものもあっていいんじゃないかなと私は思うんですが、その点についてはどんなふうにお考えでしょうか。

宮腰国務大臣 今般の無償化につきましては、基本的に三歳から五歳までを対象としておりまして、その九割以上が既に認可施設を利用できておりますが、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方についても今回の無償化の対象としたということであります。

 まだまだそういう親御さんがおいでになるという事実を真摯に受けとめまして、やはり受皿の確保、保育士さんの人材育成、これをしっかり真剣にやっていく必要があると思います。

 特に都市部で待機児童が多いということに鑑みまして、厚生労働省の方でも、施設整備のための、今年度の補正予算、来年度の当初予算で千二百数十億用意しておりまして、恐らく、全国の市町村も、この予算に着目して、早くこの予算を活用して受皿をつくるということで手を挙げてきているものと思っております。

 都会の場合は、なかなか用地が確保できないといったようなことがあって、例えば、公園の活用だとかという規制緩和なども進めておりますけれども、やはり、都市部の方でも工夫していただいて、必ずしも直ちに認可というわけにはいかないかもしれませんけれども、できる限り待機児童の解消に向けて努力をしていただきたいと思いますし、我々もしっかりと後押しをしていきたいと考えております。

串田委員 時間の関係で、あと、ほかにありましたけれども、一問だけにさせていただきたいんです。

 今、認可外と認可というのがありまして、この前、いろいろな業者の方とお会いしたときに、認可外の運営をされている方がいらっしゃって、あえて認可にならないというような選択肢をとられているそうなんですね。非常に、そういう意味では、自由度が高いというのがあるそうなんです。

 それに対する需要も、恐らく周辺のところにはあるんじゃないかなとは思うんですけれども、政府として、認可と認可外、今のちょっと大臣のお話だと、認可にはなれないけれどもというようなお話でしたが、今言ったように、認可になれるけれども、あえて認可を選択しないというところもあるわけですよ。そういうような意味で、実態はかなり違う部分もあるわけですが、政府としては、この違いというのをどのような認識を持たれているんでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、あえて認可を受けない理由については正式な把握をしているわけではございませんけれども、認可保育所は、市区町村による利用調整を経た子供の受入れに当たっては、施設の応諾義務がある、その一方で、認可外保育施設は、直接契約で施設側が利用者を選択できるという点がございます。また、認可保育所は公定価格で保育料が定められている一方で、認可外保育施設では自由な保育料設定が可能なこと、こういった違いが認可をお受けにならない理由かなというふうに考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、認可外保育施設は、待機児童問題で認可保育所に入りたくても入れない方への代替手段、また夜間の就労など多様な保育のニーズの受皿として機能している側面があると承知しております。

 無償化との関係では、指導監督基準を満たさない施設についても、五年の猶予期間中、無償化の対象とするわけでございますが、その後、指導監督基準を満たしていただくか、認可保育所に移行していただくことが必要と考えております。

串田委員 安心して子供が育てられるような社会にしていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸と申します。

 本日は、子ども・子育て支援法一部改正案の質疑の時間をいただきました。委員長、理事の皆様、そして委員の皆様に心から感謝申し上げますとともに、大臣におかれましては、連日、この委員会も含めて質疑に対応されておられますことに敬意を表させていただきながら、私なりの問題意識のもとに、また質疑をさせていただければと思います。

 ほかの委員の皆様や、あるいは過去の質問と若干重複するところも最初の方の質疑ではあるんですが、私なりの問題意識の方に向かっていく中での質疑だということで御理解いただきながら、質疑を進めさせていただきたいと思います。

 まず、大臣に、今回の法案の狙いについて伺うわけでありますけれども、過去の答弁等も、私も拝見させていただいて、聞いているわけでありますけれども、教育支援と少子化対策であるということを述べられておられます。

 確認の意味で伺いますけれども、この両者について、両方とも重要、両方とも同じ重さを持って、並行してこれを目的とするものだという理解でよろしいかどうか、大臣にお伺いさせてください。

宮腰国務大臣 山岡委員御指摘のとおり、今回の無償化の目的は、少子高齢化という国難に正面から取り組むため、子育て世代、子供たちに大胆に政策資源を投入し、社会保障制度を全世代型へと変えていくということであります。

 一つは、幼児教育、教育費の負担軽減、これが重要な少子化対策の一つであるということでありますし、また、幼児教育は、生涯にわたる人格形成の基礎や義務教育の基礎を培うという意味で、三歳から五歳までの全ての子供たちに質の高い幼児教育の機会を保障することが極めて重要であるということでありまして、少子化対策、それから質の高い幼児教育の機会の提供、この二つが同時に、同じ重みで重要であるというふうに考えております。

山岡委員 今、大臣よりお話ありましたが、少子化の国難に立ち向かうということと、質の高い幼児教育、この幼児教育の意義としても、将来への基礎になるものだということ、教育費の負担軽減ということでお話をいただきました。

 この中で、さまざまこの法案は議論があるわけでありますけれども、今、資料を皆様にお配りをさせていただいております。

 これは、いわゆる内閣府の皆様が御説明に使っておられる資料でありますから、皆様ももう御存じのことだと思いますが、一般に言われますけれども、この黄色い枠で囲っている部分が保育所等への支援、この中の数字を合計していくと、いわゆる年収六百四十万円以上の方に、計算しますと、トータル四千六百五十六億円のうち二千三百十五億円、およそ半分が使われるということの中で、六百四十万円以上の年収の方に今回の措置でこの財源の半分が使われるというのはいかがなものか、高額所得者ばかりが得をするのではないかという指摘があるわけであります。

 隣の幼稚園の方のお話も、いわゆる二千四百八十六億のうち、年収六百八十万円以上の方に九百五十八億円ということで、全体の三八・五%がそこに充てられるということがこの図からわかるわけであります。

 区分は違いますが、おおむね年収六百四十万、六百八十万以上の方に、合計、この図によればです、三千二百七十三億円が使われる。これは、全体、トータルで、単純に足し合わせますと七千億円余りでありますから、このうちの三千億円が、いわゆる年収の比較的高い人のために使われるのではないかという指摘があるわけであります。

 これも何度も御答弁されていることでありますけれども、大臣に改めて伺いますが、経済的支援を必要とする低所得者の方が恩恵が少なく、高所得者の方が恩恵が多い、こうした批判に対してどのような御見解であられるか、改めて伺います。

宮腰国務大臣 幼児教育、保育の無償化につきまして、高所得者に恩恵が多いのではないかといった声があることは承知をしておりますが、もともと、所得の低い方の保育料は既に公費を投じて負担軽減を図っておりまして、さらに、これまで、低所得者世帯を中心に、先んじて段階的に無償化の範囲を拡大をしてきております。

 例えば、委員示された表の中でも、生活保護世帯の方々と住民税非課税世帯の方々に対しまして、保育所、幼稚園、合計すると、これまで約四千五百億円の公費を投じて負担軽減を図ってきております。したがいまして、今回の公費負担額のみをもって高所得者に恩恵が多いとの御指摘は当たらないものではないかと考えております。

 これまでに投じた公費と今回の公費負担を合わせ、全体として見れば、三歳から五歳までの一人一人の子供に対して、低所得者世帯にも高所得世帯にも等しい公費が投入されることとなります。具体的に申し上げると、認可保育所に通う三歳から五歳までの子供一人当たりの一年間の公費負担額はひとしく六十六万円程度となります。さらに、食材料費のうち副食費の免除対象、これを年収三百六十万円未満相当の世帯の子供に拡充することになっておりまして、これらの世帯の子供一人当たりの一年間の公費負担額は七十二万程度ということになります。

 低所得者世帯の子供を対象とした高等教育も無償化されるということを考えますと、教育の無償化全体としても低所得者世帯に手厚いものになっているのではないかというふうに考えております。

山岡委員 今、高所得者の方と低所得者の方が同程度という支援になっているんだというお話ありましたけれども、それは、同程度で、今の段階でいいのかどうかということは、大いに議論があろうと思うんです。

 今回、いわゆる消費税の増税分を使うということで、そもそも税制そのものが逆進性が高いわけでありますけれども、二番目の資料、今大臣の御答弁の中で、段階的な無償化の取組ということで、内閣府の皆様が説明されている資料なわけであります。

 さまざまな予算の措置をこの中に含むといえばそのとおりなんでしょうけれども、ただ、皆様が説明されているこの資料によれば、二十六年から三十年まで、そうした公費、今回の増税分ではありませんね、公費をやっているということで、左の図を見ますと、三百十二億、百八十九億、三百八十二億、六十九億、五十六と、ここまでの五年間で、この表によれば、少なくとも一千八億。そして、この後七千億円程度の使い道について、いきなり高所得者の方も含めた無償化に入る。

 段階的という言葉を使いますと、何か階段をステップアップしているかのように我々は思うわけでありますけれども、余りにも、今まで段階的にやってきたという割には、一足飛び過ぎるような高所得者への対応なのではないかということを強く思うところであります。

 ここはちょっと後の質問につながりますので、また、質疑はさせていただきませんが、このことをお伝えしながら、今お話もありました給食費について伺います。

 この中の資料にはありませんが、もう皆様御存じのとおり、給食費は、主食が月三千円、副食が四千五百円ということで、これまで保育所等においては児童は主食費三千円のみ負担だったんですけれども、今後は、生活保護世帯や一人親世帯を除いて、実費として副食費を徴収する。七千五百円ということになりますね。これは負担がふえるということになります。副食費は四千五百円で、十二カ月足したら年五万四千円ということになりますが、これは一定の金額ということになります。

 消費税の中でも逆進性という議論がさまざまあるわけでありますけれども、所得にかかわらず負担額が一定という、こうした費用のあり方というのは、政府に伺いますけれども、これは逆進性の高いコストであるという考え方という認識でよろしいでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 保育所の三歳以上の子供の主食費につきましては、現在、幼稚園しかり、それから三歳から五歳も、いわゆる給食費として所得にかかわらずいただいているところでございますが、これは、保護者に調理等の負担が余りかからない主食につきましては持参していただくという考え方がありまして、そういうことから、これまで、御家庭からの持参あるいは施設による徴収によりまして、所得にかかわらず保護者の方々に御負担をいただいておるということでございまして、この考え方を今般の無償化におきましても維持させていただいているところでございます。

山岡委員 御家庭によってさまざまなケースがあるんだというお話ございました。

 しかし、今回は、少子化という国難に立ち向かう、そして家庭の負担を減らしていく、経済的負担も含めて減らしていくという考えの中で、家庭が食事をつくるのだからその分も見込めばまたそれは無償化にしなくていいのだということには当たらないのではないかということを思いますが、大臣はいかがですか、無償化にすべきだと考えませんか。

宮腰国務大臣 今ほど政策統括官の方からも答弁申し上げましたけれども、食材料費につきましては、これまでも保育料の一部又は施設による徴収により保護者の方に御負担いただいてまいりました。在宅で子育てする場合でも生じる費用であること、既に無償化されている義務教育においても実費相当の負担をいただいていることから、その考え方を維持し、通園送迎費などと同様に、引き続き保護者に御負担いただくことといたしました。

 同時に、先ほども申し上げましたけれども、副食費について、保護者負担の免除対象を拡大をし、低所得世帯に配慮させていただいております。

 食材料費については、義務教育であれ、あるいは、医療の現場、介護の現場であれ、基本的にはやはり御負担をいただいているというのが原則ではないかというふうに考えております。

山岡委員 今、通園費等も含めて、食費をいただいているという話がありましたけれども、これは実費という考え方の範囲に入っているからだと思うんですね。

 実費というのは、まさにメーン以外にかかった部分の実際的な費用ということであると思いますが、大臣はかねてから、三歳から五歳は九割以上が保育園に通っているんだと。家庭でつくるケースもあるといいながら、一方で、おおむねみんな入っているんだというようなお話をされているわけであります。

 そして、いわゆる交通費等はさまざま御家庭で工夫もできるわけでありますけれども、保育所、幼稚園等で過ごす子供たちは、食事なしには過ごすことができない。いわゆる、それなしには工夫がしようがない、そうした費用であると思っております。人道上の支援の問題からも、子供に実際食事を与えないということはあり得ないわけでありますね。

 そのことを考えたときに、私は、これはまずそうした観点からやはり無償化の対象として大いに考えるべきだということをお伝えさせていただきまして、次の質疑に入らせていただきたいと思います。

 ちょっと角度を変えて伺うんですけれども、きょうは農水省の方、お越しになっておられますよね。

 食育基本法、食育という考え方があります。この食育基本法とはどういうものか、御説明ください。

永山政府参考人 食育基本法につきましては、平成十七年に成立したものでございまして、食育の基本的理念を定めた法律でございます。

 子供たちに対する食育について、食育基本法の前文におきまして、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と身体を培い豊かな人間性を育む基礎となるものというふうに位置づけられております。

 また、同法におきましては、その十九条で、乳幼児など子供に対する家庭における食育の推進、また二十条で、学校と並んで保育所等における食育の推進というものを規定しておりまして、就学前の子供に対する食育について明確に位置づけられているものでございます。

山岡委員 今お話しいただきました、乳幼児、学校、食育の推進が、食育基本法によって、法律によって定められているということがございました。

 改めて伺いますが、食育、食と教育の育という言葉でありますけれども、これは教育の一環ということになりますか。学習指導要領等さまざま、あるいは幼稚園には教育要領、保育所には保育指針がありますけれども、この食育はどのように位置づけられていますか。

永山政府参考人 お答え申し上げます。

 食育基本法の中で、その前文の中に、食育は、「生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの」と位置づけられております。

 そのような規定がございまして、まさに食育というのは教育の一環として連携をとりながら進めていくべきものというふうに考えております。

山岡委員 済みません、もう一度質問しますが、今、一つはお答えいただけましたが、学習指導要領とか、あるいは幼稚園教育要領とか保育所保育指針にも定められているものという理解でよろしいでしょうか。

永山政府参考人 食育につきましては、学習指導要領の中にも明確に位置づけられております。

山岡委員 今お話ございました。

 文科省のホームページがあります。食育基本法と給食で検索をすると、どなたでも検索することができる一番最初に出てくる中身でありますけれども、今のお話に通ずるわけですが、割愛しながらお話ししますが、近年、偏った栄養の摂取と朝食欠食などさまざま深刻化した問題がある中で、食を通じて地域等の理解、食文化の継承を図る、自然の恵みや勤労の大切さを理解する、子供たちが食に関する正しい知識や望ましい食習慣を身につけることができるよう、学校においても積極的に食育に取り組んでいくことが重要、そして、栄養教諭制度の円滑な実施を始め食に関する指導の充実に取り組んで、学校における食育の生きた教材となる学校給食の充実を図るため、より一層の地場産品の活用等、米飯の給食の充実等を進めていくということが文科省のホームページに書かれています。

 これは、いわゆる食育というのは給食も含むものなんだということを明確に書いている、文科省が発表しているものだと思います。そして、食育とは、「生きた教材となる学校給食」と書いてあるんですね。学校においては、教科書は無償提供です。

 農水省にお伺いします。大臣にはこの後お伺いします。

 この食育基本法、議員立法であります。平成十六年三月、第百五十九回の国会に法案提出されたものでありますが、そのときの提案者はどなたになりますでしょうか。

永山政府参考人 済みません、提案者につきましてはちょっと今手元にございませんので。

山岡委員 大臣御存じのとおりであります。この提案者は、そのお一人が宮腰大臣であります。

 私は、一期生のとき、農林水産委員会によく所属させていただいた中、個人的にも宮腰大臣の部屋に招いていただいて、さまざま御指導をいただいて、本当に食のさまざまな分野において深い知見を持っておられ、そして、この平成十六年というのは、私はまだ議員をさせていただく前、北海道の大農村地帯の記者をさせていただいておりました。

 そのとき、いわゆる地産地消も含めて食育という考え方が導入され、地域の食材を学校給食に使おうとか、さまざま取組が広がった。でも、そのときまでに国会の中に食育という概念は、国会といいますか法律の中に食育という概念はなかったわけであります。その基本法を定めようということで、宮腰大臣を始め与党の先生方を中心にまずは提案され、そして国会の中でそれが成立した。

 最初にお伺いしました。今回の施策は教育支援が目的であると。食は教育じゃないですか。小学校の学校給食が有償だから、これをそのまま入れたんですというお考えはありますけれども、私は、これに基づけば、小学校の給食だってこれは無償化の対象にしていくべきだと思いますよ。食は教材なんです。そのことを宮腰大臣がおっしゃっておられた。

 そのことを踏まえて、大臣、いかがですか。食育に関する大臣のお考え、思いとともに、いま一度、給食をめぐってのこの、まあ、今回の法案に関しては、今回の制度についてはそういう進め方かもしれませんが、今後も含めた、私は給食費も含めて無償化をすべきだと思いますが、大臣のお考えをお伺いします。

宮腰国務大臣 食育基本法を取り上げていただいてありがとうございます。

 平成十六年の三月に提出をいたしたわけでありまして、議員提出法案として、実は、与野党の意見交換をずっと続けてまいりまして、なかなか当時の野党の先生方から、中には御理解いただけなかったところがあって、平成十七年の六月まで待って、実は衆参の内閣委員会で、議員提案であるもののしっかりと議論を重ねた上で成立を図らせていただいたのがこの食育基本法であります。

 基本的な考え方は二つあります。一つは、食に対する感謝の念を育むというのが一つ。もう一点は、みずから食を選択する能力を身につけるというのが、この二つが基本的に食育基本法の目指しているところであります。

 その食育基本法に基づいて、今、食育推進計画三期目に入っているわけであります。推進計画の目標の中で、実は、数字はふえてきておるんですが、幾つも数値目標を掲げている部分があります。

 一番私は肝心なのは、朝食欠食児童をゼロにするという目標、これは最初のときから不可能だと言われつつ、しかしこれを掲げないことには意味がないということで、ずっと朝食欠食児童ゼロを目指すということで、だんだん欠食児童は少なくなってまいりました。

 それから、委員御指摘の学校給食における地産地消の割合、三〇%目標でありました。当時の文科省はすぐにでもできるといいつつ、全くできていない。これはやはり、その気にならないとだめなんです。

 学校栄養教諭という仕組みが、食育基本法の施行と同時にスタートをいたしました。栄養教諭の皆さん方が直接教室に入って、栄養学ではないんですが、食の重み、あるいはどうして食を選択するかということを子供さんたちに教えていく、こういうことができるようになりました。

 ただ、この議論の、例えば、自民党の食育調査会の中でも、当時の平成十七年の衆参両院の委員会の議論の中でも、給食費を無償化しろというような議論は実は一切なかったわけであります。食に対する感謝の念を育む、あるいはみずから選択する力を身につける、この二つの柱からは、私の方は、実はこの立場だから物を言っているわけではありませんが、やはり食に対する感謝という意味からは、しっかりつくっていただいた方に感謝、つまりは、やはり代償を払うというのは、これはもう当然の話ではないかというふうに思っておりまして、少なくとも、委員会などでのこの法案の審議の際には、これをもって給食費無償化という意見は実はなかったということを申し上げておきたいと思います。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

山岡委員 大臣は、やはり食育基本法の経過も含めて熱い思いを持っておられるということはよく承知するわけであります。そして、その中で、食への感謝と、みずから選択する力をということも今お話しいただきました。

 今、最後にお話しいただいたんですけれども、つくっていただく感謝があるのであるからその実費を払うものだということは、お話はいただきましたけれども、子供たちなんですから。子供たちは、そんな金銭的な意味での感謝の思いを大臣は持ってもらいたいのか、それとも、本当の自然の恵みの、私たちが生かされているという意味での食の感謝の思いを持ってほしいのか。私は、今大臣がお立場があるからそういう話をしたと思いたいと思います。

 私は、もっと広い意味で、食に対する感謝の気持ち、自分たち、この地域の農家の人たちが、自分たちがつくっているものに誇りを持ってつくっているものを提供している、そのことがみんなわかっていないんじゃないかと。そのときに農家の方々は、その分のお金をくれと言っているのかといえば、私はそうじゃないと思う。食の、かかわっていることの偉大さを、すばらしさを知ってほしい、そのことの思いを受けていただいたんじゃないかと思うわけであります。

 ですから、私は、そして、お話もありましたけれども、今まで給食の無償化の議論はなかった、これはわかりました。今まではなかったんでしょう。でも、今お話ありました、今回のいわゆる法改正は、これまでになかった考え方を自民党の皆様としても取り入れたからこそ、広く教育の無償化ということに社会全体で入ったんじゃないか、取り組もうとしているんじゃないかということを理解するわけであります。そうしたら、今、状況は変わっているわけであります。

 ですから、これからのこととして、これまでは考えていなかったけれども、今回の法案の教育無償化の機に、食は教育だという考え方からいえば、検討いただきたいんです。もう一度御答弁いただければと思います。

宮腰国務大臣 間違いなく、食は教育の中の一つである、かつ、知育、徳育、体育の前提をなすものであるというふうに考えております。しかし、だからといってイコールで無償であるというわけではないのではないかと私は考えております。

山岡委員 今回、幼児、保育の教育無償化ということが目玉であるということをお話しいただいて、そして、食は教育であるという考え方を国会の法律の中にもたらされた方が宮腰大臣であられた。このことは、やはり、奇遇という言い方をしてはいけないかもしれませんが、めぐり合わせだと思いますので、私はこのことを強く今後考えていただきたい、検討いただきたいということを要請させていただき、あわせて、これはお配りさせていただいた資料の三番目になりますが、私も、手計算ではありますけれども、いわゆる給食費を無償化に例えばしたというときに、財政的なボリュームがどの程度なのかということを、この資料三の全体の人数から少し割り出していきました。

 これは、皆様お手元にあろうかと思いますが、黄色い部分は未就園児でありますから、三歳から五歳は、多くの子供たちがもう黄色い部分がなくて、未就園児は少ないということがわかるわけでありますけれども、いわゆる黄色い部分以外の部分は、今保育園と幼稚園に通っておられる人数というのをトータルするとわかるわけであります。ゼロ歳児は十五万人で、この十五万人からずっと足していくと、大体これは三百九十七万人というのが現在利用している方々だということであります。

 仮に、主食のみを無料にした場合は、三千円掛ける十二カ月の三百九十七万人として、これは年間千四百二十九億円程度、副食のみの無料でありましたら二千百四十三億円程度で、主食と副食合わせて三千五百七十二億円程度ということが、私の手計算でありますけれども、そういう計算をさせていただきました。

 最初の方に申し上げましたけれども、年収六百四十万円以上と六百八十万円以上の方に計三千二百七十億円余りが使われている、今段階的にやっている最中である、そのステップの最中であれば、私は、将来的な無償化を進めていくにしても、優先順位として、ちょうどその財政、財源を充てれば、子供たちの給食の無償化は実現できるということが数字的にも示せるんじゃないかということを思うわけであります。

 もちろん、今の計算でいいますと、年収六百四十万円以下の方はゼロで、六百四十一万円以上の方がいきなり負担が突然重くなるということにはならないでしょうから、制度設計は段階的にやっていくわけでありますけれども、財政的なボリューム感でいうと三千五百億円ぐらい。

 仮に、年収六百四十万円と六百八十万円、幼稚園に係る人の世帯数というのも、おおむね、一番最初のページから今回見れるわけでありますけれども、この方たちが九十一万人程度というのが数字から割り出されるわけで、高所得の方をちょっと給食費の無償化から御遠慮を最初の段階ではいただくということであれば、三百万人ぐらいが対象なので、主食、副食プラスしても二千七百五十億くらいの負担の中で実現ができるということになります。

 私は、先ほど申し上げました、段階的にやってきたといっても、優先順位があるんじゃないかということを思うわけであります。

 今回の話を整理しますと、最初の目的は、教育支援と少子化対策のこの二つであるということもお話ありました。そして、農水省の方々から、食は教育であると。学習指導要領とかにも定められている。大臣からも、そのお話も御答弁ありました。

 そして、私、繰り返しになりますけれども、文科省のホームページには食は教材であると書いてあるわけです。学校教材、教科書は無料であります。これは紛れもない事実です。ですから、小学校の給食だって無償化を議論するべきことだと思いますけれども。そして、お話の中で、医療施設や介護施設は同じようにいただいているんだということでありますけれども、教育という切り口で考えたときには、医療機関とか介護施設じゃなくて、学校あるいは幼児、保育の施設こそ食の無償化を考えるべきことだということを思うところであります。

 利用者側からしたら、給食費の負担というのが、逆進性もあって、負担があることは同じであって、実費というふうに言いますけれども、食なしでは子供たちは生活できないわけであって、先ほどお話もありましたけれども、朝食を欠食をなくそうと。じゃ、昼食をなくそうという話にならないわけであります。食べていってこそ、健全な成長、そしてそれが教育の中でもよい方向につながるということがあろうかと思います。

 私たちは、こうした予算の拡充には、その方向性には反対はしないところでありますが、しかし、制度設計の中で使うべきところの優先順位がある、その議論はあるだろうと思っております。

 宮腰大臣に、トータルのきょうの質問の中で最後に伺いたいんですけれども、いかがでしょうか。やはり、まだ段階的なステップの中で、今回一足飛びに高所得者の方に全て無償にするのではなくて、こういう本当の負担、低所得者の負担がまだまだあるところにきちんと気を配り、そして、食は教育だという考え方のもとでこの給食費のことをお考えいただけませんでしょうか。再度伺います。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

宮腰国務大臣 今回の幼児教育、保育の無償化は、全世代型社会保障、特に小さな子供たちの問題でありまして、これを無償化をして、既に七十年前に無償化になっている小学生、中学生の義務教育と接続をするという大きな考え方から出てきているものであります。

 特に、少子化対策という面もあれば、それから、幼児教育の重要性を鑑みたときに、負担の点から幼児教育あるいは保育を受けられないというようなことがないようにしていかなければいけないと思いますし、さらに、段階的というお話もあったんですが、今回、一〇%に消費税引上げのその財源の一部を安定財源として確保させていただいて、思い切って、所得の有無にかかわらず、全ての幼児に対して無償化を行うということにさせていただいたわけであります。

 ただ、先ほども申し上げましたけれども、給食の話はこれはちょっと別ではないかと私は思っておりまして、食育の理念からしても、私はやはり、子供さんが直接払うわけではありませんけれども、食をつくった方々、あるいはそこに、食に携わっておいでになる方々、直接的にはやはり給食の職場で働いておいでになる方々などにも感謝の念を育むということは、これは本当に大事なのではないかな。そのためにも、学校栄養教諭という仕組みも同時にスタートしたということを申し上げておきたいと思います。

 以上です。

山岡委員 食に携わっている方々もおられて御労苦されているのであるから、それは感謝の思いでお支払いするんだというお話ですと、教育関係者の方もいるし、施設を運営されている方々もいるし、学校教育、保育、幼稚園は、いろいろな方々がいらっしゃって子供たちの教育の環境を支えているわけでありまして、私は今の御答弁ではいささか納得しかねるということも含めて、そして最後に、誤解のないようにお伝えをしますが、私は、今まで宮腰大臣が、こうした食育ということを進めてこられて、あるいは農林水産業全てのことに対して、さまざま、地域の農村あるいは地域の方々の気持ちに寄り添ってこられたことについては敬意を持たせていただいております。

 ですから、今回のまさに議論は私はチャンスだ、こういう学校の中、あるいは幼稚園、保育の中の食のあり方も大きく変えていく一つのきっかけになるのではないかなということを強く思わさせていただきながら、また、きょうはほかにもいろいろ、希望出生率のこととかを含めてさまざま質問を用意させていただいたんですが、この議論はこの議論でまたさせていただきながら、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 国民民主党の森田でございます。

 二十分のお時間をいただいております。よろしくお願いをいたします。

 まず初めに、子育ての捉え方ということで、特に女性との関連でお伺いをさせていただきたいと思っておりますが、いわゆる一億総活躍という言葉の中での活躍の取扱いというか、その考え方、言葉の定義も含めてのことになると思いますけれども、今回の無償化のことも含めて、いわゆるM字カーブの緩和を図るんだということでのいろいろな施策が考えられているんだろうなというふうに理解をしております。

 例えば、待機児童をなくすということもそうですし、保育園の受皿を確保するということもそうですし、それによって女性の就業率を高めていくんだ、そういう趣旨なのかなというふうに思っております。

 そこで、確認のためにお尋ねをいたしますけれども、子育てというものが活躍というものの中に含まれるのかどうなのか、政府としてのお考えをお尋ねできればと思います。

宮腰国務大臣 平成二十八年六月に閣議決定をいたしましたニッポン一億総活躍プランにおきまして、一億総活躍社会を、女性も男性も、お年寄りも若者も、一度失敗を経験した方も、障害や難病のある方も、家庭で、あるいは職場で、地域で、あらゆる場で、誰もが活躍できる、いわば全員参加型の社会と位置づけております。

 つまり、子供を育てるということも活躍に含まれているものと認識をいたしております。

森田委員 ありがとうございました。

 まさに家庭でも活躍ができるんだということで、子育てをされていらっしゃる方も活躍をされているというくくりの中に私は入ると思っておりますし、今まさにお話しいただいたことを考えますと、子育ても活躍の一つの形であるというのが言えるのかなと思っております。

 そういうふうに考えますと、やはり女性を、特に、子供を育てていらっしゃる、あるいは出産直後の女性を、今のところは外に出すという方向の矢印の方が強いのかなというふうに思っているんですが、これは、例えば保育で預かるということだけではなくて、ほかのことも含めてのお話になるんだろうなと思っておりまして、例えば、休業制度をより充実したものにするだとか、あるいは、それに伴って賃金の保障もちゃんとできるようにする、あるいは時短をしたりだとかフレックスタイムをしたりだとか、いろいろな働き方の工夫の幅を広げる、裁量の幅を広げるとか、それを支える経営者だとかあるいは上司だとか同僚だとか、そういう周りの雰囲気づくりだとか理解とかというのも、そういう、女性が子育てをするときには、一旦家庭に入って、また職場復帰ができるような、そういう世の中を目指していくという意味では、こういうことができるだろうと。

 それからあとは、やはり男性という視点がどうも私は弱いなというふうに思っておるんですが、男性も産休、育休をとったりだとか、あるいは、今、定年退職も、定年も延ばそうという話をしておる中ですので、子供が生まれた直後ぐらいは少し休みをとって、そういうところに時間を割くんだということの価値というものをきちんと私たちが共有できるような、そういう社会をつくっていくということも、子供を産み育てやすいような社会にとっては大きなステップになっていくのではないかなというふうに思っております。

 ですから、私たちが、何かを無料にすれば、そのことに対するインセンティブが働くというのは、これはこれで確かにあると思うんですが、やはり、子供だとか家庭、家族、こういったものの意義というものを職場にいながらも、本人ももちろんですけれども、周りも共有できるような、そういう社会に向けての取組というのもあわせてやっていかなければいけないのではないかなというふうに考えております。

 その関連で、いわゆる福祉先進国といいますか、私たちがぱっとイメージすると、例えば北欧の国というのは、生まれてから亡くなるまで国がちゃんと制度的に国民の皆さんの生活を支えていくんだというふうに、どちらかというとプラスの面のところから私たちはそういう制度を見ていると思うんですけれども、例えば傷害事件の発生率というようなところで見てみますと、ベルギーが日本の三十倍、例えばフランス、オランダ、オーストリア、こういったところは日本の十五倍、アメリカは十一倍、ドイツ、カナダでは七倍の傷害事件の発生率があるということですね。

 例えば、国連の幸福度ランキングの一位のノルウェーという国ですけれども、この国では、例えばですけれども、婦女暴行に遭う確率というのが日本の二十倍、殺人事件に遭う確率が日本の二倍、泥棒に入られる確率というのが四倍ある。

 幸福度一位のはずの国がそういうことであって、二位のデンマークはどうかといえば、十三歳ぐらいから始まる低年齢の未婚の母の問題が出てきている、シングルマザーの。あるいは、先ほど言ったとおり、傷害事件の発生、これは日本の十五倍、ドラッグの汚染率が五倍、こういうようなことも出てきておりまして、果たして、私たちが、私がよく聞く話というのは、やはり制度で子育てをやるようになった社会というのはだんだん社会が崩れていく、そういうことを聞いてもいるわけなんですけれども、福祉国家と言われている国が同時に荒れた国という捉え方ができるのではないかな、そういう考え方もあると思うんですが、このあたりについての大臣の御所見を伺えればと思います。

宮腰国務大臣 今、森田委員の方から、ヨーロッパの福祉先進国で傷害事件の発生が高いとか、いろいろお話を伺いまして、私もちょっと驚いておりました。

 今回の子ども・子育て支援法、この基本方針では、おおむね満一歳までの乳幼期、これは特定の大人、具体的には、実親のほか、里親や保育士など親以外の養育者を含む身近な大人との愛着形成が大事である、そのことによって情緒的な安定が図られる時期であること、また、一歳から三歳になるまでの時期は、こうした特定の大人への安心感を基盤として、徐々に人間関係を広げ、そのかかわりを通じて社会性を身につけていく時期であるとされております。委員御指摘のとおり、やはり、特定の大人への安心感を基盤として社会へのかかわりを広げていくということであることも事実であると思っております。

 いろいろな意味で、我々はじいちゃんとして孫とかかわりを深めて、信頼関係のもとにやっているわけでありますが、いろいろなそういう身近な方が、小さな乳児期、あるいは幼児期に子どもとかかわって、そのことが基盤になって社会的な関係を広げていくということは極めて大事なんではないかなというふうに考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 本当に、愛着であったり信頼感であったり、そういったものを育む大事な時期に親がきちんとかかわることの大切さというのも、やはりこれは、経済の数字にあらわれてくるものとは全く別次元の、私たちの社会の目指すべき形だというふうに思っておりますので、ぜひ、法案の議論そのものとしては余りそこまでのお話になることはありませんけれども、私たちが決して忘れてはいけない分野ではないかなというふうに思っております。

 それで、引きこもりの方が、今出ている数字だと五十四万人いらっしゃると。五十四万人ですね。こういう方々にも、無理に出すということはありません。ただ、やはりそういう方々にも、社会に出て働いて、あるいは働かなくてもいいですけれども、いろいろな、まさに、引きこもりの方が活躍していないということはないと思うんですが、外とのかかわりを持ちながら輝いていただくということも大事なことではないかなと思いますが、これについてはいかがでしょうか、大臣。

宮腰国務大臣 内閣府では、満十五歳から三十九歳までで引きこもり状態にある方の数を、御指摘のとおり五十四・一万人と推定しておりまして、大変に多くの若者が困難を抱えているものと認識しております。

 こうした引きこもり状態にある方々が社会とのつながりを回復できるよう、就職支援も含め、本人の状態に応じた支援に政府全体で取り組んでいく必要があると考えております。関係省庁において家族や本人に対するきめ細かな支援の充実強化を図っておりまして、内閣府としても、子供、若者の育成を担当する立場から、連携してまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 さらに、今のお話ですと、三十九歳までの数字が出ているという段階というふうに伺っておりますけれども、今引きこもりの方も高齢化の問題が出ているということもございます。あわせて、またこの数字が出てきたらお知らせをいただきたいなと思っております。

 この原因についてはどのように捉えておられるでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 内閣府が平成二十七年度に行いました、満十五歳から三十九歳までの方を対象とした引きこもりに関する調査の結果によりますと、引きこもりになったきっかけにつきましては、不登校、職場になじめなかったこと、就職活動がうまくいかなかったこと、人間関係がうまくいかなかったことなどと回答した者が多く、さまざまな要因が引きこもり状態になったきっかけとして挙げられているところでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 いろいろな原因がありますよということが、調査をしていただいている中で明らかになっていると。

 この五十四万人という数の捉え方なんですけれども、今回の子ども・子育ても含めてですけれども、三十二万人の受皿を確保するんだと。要するに、想定としては、三十万人とかという方の、女性に働きに出てもらうんだという裏の意味があると思うんですが、そういうまず一つの数字があったり、あるいは、この前の法案の審議があった外国人労働者の問題ですけれども、これも、受け入れる数が三十四万人という数がございました。

 こういう、今労働市場にいらっしゃらない方を労働市場に引き込むんだという意味では、女性に働いてもらうということもそうだし、あるいは海外から労働力を受け入れるんだという話もそうですけれども、この三十万とかという数字がある中で、引きこもりの方が五十四万人いらっしゃるというのは、かなりの大きな数字なんではないかなと私は考えております。

 それで、これをすぐ対応するといったって、なかなか難しいと思うんですけれども、いろいろとお話を聞いておりますと、就労支援をするとかという話はあるんだというお話で聞いているわけでございますけれども、私は、問題はそこじゃないんじゃないかなというふうに思っておりまして、なぜ引きこもりをするのか。

 引き金となったのは、例えば不登校、あるいは不登校も、何で不登校になるのかという問題もあると思いますが、では、何で就職でうまくいかなかったから引きこもるようになってしまうのかという、もうちょっと奥の原因だとか、職場でなじめていない原因というのは一体何なのかとか、そういうことを深掘りをしてみますと、割と今の日本が目指すべきものの根源的なものというのが見えてくるんじゃないかなと私は思っています。後でまた、最後に大臣にその辺のところもお伺いをしたいなと思っているところでございますけれども。

 続いて、乳幼児の虐待についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 これは、園長先生なんかとお話をするときに、かなり悲鳴に似たような声が上がってきておりまして、どういう悲鳴かといいますと、親元から離さなければいけないお子さんについては、養護施設だとか乳児院とか、そういうところにという話になると思うんですけれども、例えば、そこのところまでいかない、虐待のリスクがあるのかな、ないのかなというところで、予防措置としてやっているようなことも含めて、児童相談所の判断で、親元にずっと置いておくと危ないから保育園で見てくださいというような形で、児童相談所から話がおりてくる。

 こういうことがあるとどういうことが起こるかというと、今の定員いっぱい受けている保育園に対して、あるいは、保育士さんの人手も、パートさんを入れて、派遣さんも入れてやっている大変な状況の中で、新しいお話がどかんとおりてくる、その書類上のやりとりだとか電話のやりとりだとか。あるいは、そういうことで入ってくるお子さんですから、やはりほかのお子さんと比べるとリスクが高いわけで、注意もしていかなくちゃいけないし、そういう方ですから、親御さんとのやりとりにも、やはりいろいろなトラブルをはらんだやりとりをしなくちゃいけないというようなこともありまして、非常に大きな負担があるんだというお話が出てきております。

 こういった虐待のリスクの高いお子さんを保育園で預かることについてのお考えをお聞かせいただきたいと思っております。

本多政府参考人 お答えいたします。

 保育所での児童虐待の対応ということでございます。

 まず、まずもって保育所は、家庭や地域のさまざまな社会資源との連携を図りながら、入所するお子さんの保護者や地域の子育て家庭に対する支援等を行う役割を担っております。

 このため、現在、約八五%の自治体におきまして、虐待の疑われる児童等に関する情報の共有などを行っている要保護児童対策地域協議会の構成機関というのがあるんですが、保育所はここのメンバーということに、約八五%の自治体ではなっております。そこで関係機関等との連携及び協力を行っているところでございます。

 また、保育所におきまして、主任保育士が、こうした協議会への対応など子育て支援等の業務の専任となる場合には、代替保育士を配置するための加算、こちらを公定価格上設けているところでございます。

 地域の子供や子育て家庭における問題の発生予防、早期解決につなげることは保育所の重要な役割でございますので、こうした役割もきちんと果たせるように取組を進めてまいります。

森田委員 ありがとうございます。

 いろいろと御配慮もいただいているそうですけれども、現場からはそういうお声があるという御認識をいただいて、もちろん児童相談所も大変だし保育園も大変だという中での話で、さらには乳児院だとか養護施設も人手が足りない、あるいは定員いっぱいだということもありますので、ぜひ、このあたりについても更に御配慮が必要なことなんじゃないかなというふうに考えております。

 またさらに、虐待に関連してですけれども、親元にいることが適切でないというお子さんたちに対しての里親の依頼の推進というものが言われておりますけれども、これについてどのように進めていくか、お考えをお聞かせいただければと思います。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 虐待を受けたなどの事情によって親元で暮らせない子供たちも、里親家庭など、家庭と同様の環境で育つことができるようにしていくことが重要でございます。平成二十八年の児童福祉法改正におきまして、こうした理念を法律に規定いたしました。

 現状におきましては、里親家庭や児童養護施設等で養育されているお子さんたちのうち、施設ではなく里親家庭で養育されている子供は約二割にとどまっておりまして、里親委託をより一層推進していくことが必要であるというふうに考えております。

 このための施策でございますが、昨年七月、都道府県に対して、二〇一九年度中に策定いただく社会的養育推進計画に、里親等委託率の数値目標や達成期限、また里親を確保するための相談支援体制の充実などを盛り込むように依頼をしているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした都道府県の取組を支援するために、里親支援機関が行う支援業務等のガイドラインを昨年策定いたしました。加えて、来年度予算案に、里親支援機関への補助の大幅な拡充を盛り込んでおります。

 またさらに、昨年十二月に児童虐待防止対策体制総合強化プランを決定いたしまして、各児童相談所に里親養育支援を担当する児童福祉司を配置することとしております。

 より多くのお子さんに家庭と同様の養育環境を提供できるよう、引き続き取り組んでまいります。

森田委員 ありがとうございます。

 ぼちぼち時間も近づいてまいりましたので、最後に、子育てを取り巻く環境の中で広く関係してくると思われる教育との関連についてお尋ねをしたいと思っているんですけれども、非常に、今出てきたような子供とのかかわりのことですとか、あるいは、先ほど引きこもりのお話をさせていただいたこともありましたけれども、私たちの人間としての生き方であるとか親としてのあり方というのが、今改めて問われている時代なのかなというふうに思っております。

 やはり私たちが、人生をどうやって生きるかというのをまず大人がしっかり持っていないと、子供たちに対するときには非常に不安なものを押しつけてしまうということもあると思っておりますし、例えば、大学に入ったからいいとか、どこか一流企業に勤めたからいいとかという時代ではありませんで、やはり、私たちが生きることの意味というものをしっかりと認識しながら、かつ子供を産んだだけではやはり親になり切れない、特に男親なんかはそうですけれども、子育てをする中で親が親になりということも含めて、学校教育だけではない教育のあり方というものも、子育てをめぐる問題としては非常に大きな問題として取り組んでいくべきだというふうに思っておりますが、ぜひ大臣の御所見を伺えればと思います。

宮腰国務大臣 委員のお話のとおり、親自身は、周囲のさまざまな支援を受けながら、実際に子育てを経験することを通じて親として成長していく、つまりは、子供と親と一緒になって成長していくということではないかと思っております。こうした親育ちの過程を支援していくということが大事ではないかと思っております。いわゆる、子を持って初めてわかる親心、これが親育ちではないかというふうに思います。

 保護者がしっかりと子供と向き合い、喜びを感じながら子育てができるよう、子供の育ちと子育てを、行政や地域社会を始め社会全体で応援していくことが重要であるというふうに考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 引き続き議論を深めていきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、保育士の処遇改善についてお尋ねをいたします。

 大臣にまずお尋ねいたします。

 待機児童対策や保育の質の確保を進めるためにも、保育士の抜本的増員と労働条件の改善が必要であります。その点で、保育士不足の現状についてどのように受けとめておられるのか。保育士不足の現状認識について大臣にお尋ねをいたします。

宮腰国務大臣 保育の受皿整備に伴いまして、全国的に保育士の有効求人倍率が高い水準で推移していると承知をいたしております。

 直近の平成三十一年一月には、保育士の有効求人倍率が、全国で三・六四倍、東京都に限って申し上げれば六・七一倍という状況にあります。

 保育人材の確保を図るため、政府を挙げて処遇や勤務環境の改善などに取り組んでいかなければならないというふうに認識をいたしております。

塩川委員 今御答弁ありましたように、ことしの一月の有効求人倍率が三・六四倍ということで、東京では六・七一倍と大変高い数字で、これは、平成二十七年の一月の時点での有効求人倍率が二・一八だったものが、今回三・六四という形で、非常に大きくふえているということです。

 その点で、こういった有効求人倍率が高い保育士不足の状況というのは、大都市圏だけの話ではない、全国的にも保育士不足が広がっているのではないかと認識しておりますが、その点についてお答えいただけますか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 有効求人倍率を見ますと、大都市圏以外の都道府県でも保育士の求人倍率は高くなっておりますので、人材を確保しがたい状況が広がっているものと認識しております。

塩川委員 大都市圏以外でも広がっている。保育士確保がなかなか困難になっているという状況が全国的にも広がっているということです。

 首都圏でも、東京が六・七一ですけれども、埼玉は四・五九ですし、茨城も四・二五、栃木も三・六四という形で、非常に全体としても高い状況があるわけです。

 全国的にもそういう傾向があらわれているということで、その上でお聞きしたいんですが、求人数は非常に増加をする、その一方で、求職者数というのはどうなっているんでしょうか。

本多政府参考人 申しわけございません。ちょっと御通告をいただいていなかったものですから、求職者数そのものの数値が今手元にございません。

塩川委員 有効求人倍率ですから、求人数と求職者数ということで出るわけですけれども。

 有効求人倍率において求人数は大きく伸びているわけですけれども、一方で、求職者数を見ますと、二〇一三年の一月に一万二百五件だったのが、二〇一八年の一月では九千七件ということで、〇・八八倍ということで、求職者数はこの間で減少している。こういう実態にあるということは認識しておられますか。

本多政府参考人 求人倍率が上昇しておりますので、要因は、求人の増加と、あとは求職の減少があり得るものと認識しております。

塩川委員 ですから、求人がふえているだけじゃなくて、求職者数が減っているという点が極めて重大だと受けとめざるを得ません。

 その上で、ですから、こういった状況になっている、このような人手不足の要因は何なのか、この点はどのように分析しておられますか。

本多政府参考人 お答えを申し上げます。

 保育士さんの就職を希望しない理由などを拝見いたしますと、就業時間が希望と合わないですとか、また健康や体力面で不安があるですとか、また、休暇が少ない、とりにくいといった理由が挙げられております。そういったことが人手不足の背景にあるのではないかと考えております。

塩川委員 就業時間等々労働時間の話もありますし、賃金などについても当然そういった、低賃金などについても人手不足の要因として挙がっているのかどうか、その点はどうでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 済みません、先ほどちょっとお答えの中に漏れておりますけれども、賃金が希望と合わないといった理由も挙げられているところでございます。

塩川委員 人手不足の要因として、賃金が低いことが挙げられます。あわせて、やはり業務負担が多いという中で、長時間労働を強いられるといった労働時間の面の問題もある。

 そういう点で、政府の施策、この後少し議論しますけれども、処遇改善策というのが実際は賃金が中心という点で、こういった労働時間の時短を図る、こういった面も重要だということを人手不足の要因として指摘をしておくものです。

 まず、賃金についてですけれども、保育士の賃金は全産業平均とどれだけのギャップがあるんでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省が実施します賃金構造基本統計調査によりますと、全産業と保育士の差は、基本給等の決まって支給する給与月額で見ますと、二〇一七年は十・四万円となってございます。

塩川委員 月に十万円の差があるということですけれども、政府の施策としては、全産業平均と十万円の差があるという保育士の賃金について、保育士の賃金についてどの程度の賃金水準にしていくというつもりなんでしょうか。

小野田政府参考人 お答えします。

 全産業の賃金も見据えながら処遇改善を図っていくことが重要だと認識してございます。

 保育士の処遇改善につきましては、二〇一三年度以降、月額約三万八千円に加え、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施してきております。さらに、ことし四月からは、月額約三千円の処遇改善をすることにしてございます。

塩川委員 では、いつまでに全産業平均にたどり着くようなそういう改善を行うのか。そういう目標というのはあるんですか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 処遇改善につきまして、その目標や具体的な達成時期というのは定めておりませんけれども、他産業の労働者の賃金の状況も見ながら、また、安定的な財源も確保しながら進める必要があると考えております。

塩川委員 全産業平均との大きな違いがあるのが今の保育士の賃金ですけれども、例えば過去との比較を見ても、縮まっていると本当に言えるのかというのもあるんですが、例えば、厚労省の方からいただいた、保育士の平均賃金の推移を全職種との関係で比較をした年次の推移のグラフをもらったんですが、平成二十二年で全職種と保育士の差が百四十一・八万円なんですけれども、平成二十九年だと百四十九万円というので、平成二十二年と二十九年の比較ではまだ差が開いている。

 もちろん、三十、三十一と来ていますから、その数字の比較をするとまた違うのかもしれませんが、決して詰まっているという状況じゃない。つまり、十年前と比較をした場合に、本当に詰まっているのか。この間、開いてきているのが実態ですから、それが若干埋まってきているだけの話であって、全産業平均とのギャップを埋めるような、そういう大幅な賃上げにないというのが、この実態からも見てとれるわけです。

 そうしますと、先ほどお話ししましたように、求人がふえている一方で求職者数が減っている。これはやはり産業としての保育の魅力に劣るということにもなるわけで、そういったときに、施策として、本気で保育士をふやすというのであれば、ほかの産業を上回って人材を引きつけることができなければならない。ですから、ほかの産業を上回って人材を引きつけることができなければ保育ニーズに見合った保育士の確保は困難じゃないかと思うんですが、その点での認識はいかがですか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士の人材確保のために、ほかの産業の賃金の状況も十分に勘案しながら処遇の改善を進めてまいる必要があると考えております。

塩川委員 ほかの産業を勘案しながらというんじゃなくて、ほかの産業を上回るような措置がないと人が集まらないんじゃないですか、そういう立場でやるのかということを聞いているんですが。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 ほかの産業の賃金も今後改善していく可能性もございます。処遇改善につきましては、保育ももちろん重要なんですけれども、オール・ジャパンでも重要な課題かというふうに承知をしております。

 そういった中で、相対的に保育労働者の方の処遇の改善を、やはり他産業の状況も踏まえながら進めていくことが重要だと思っておりますし、また、保育士という職業の魅力アップのためには、処遇改善もございますけれども、業務負担の軽減ですとか、そういったほかの面でも魅力アップを進めていく必要があるというふうに考えております。

塩川委員 ほかの産業を上回るような賃金水準、ほかの産業を上回る形で人材を引きつけるにふさわしい賃金水準に現状なっていないわけで、それをどうするのかということが問われているということと、あわせて業務の改善のお話もありました。この点も重要だと思いますが、現状の政府の処遇改善策が、保育士の低賃金を大幅に改善するものとはなっていないということです。

 次に、今出ました業務負担の問題なんですけれども、保育士の時間外労働の実態というのは把握しておられるでしょうか。そういう中で、時間外労働について不払いがある、そういう実態というのは把握をしておられますか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士の時間外労働また賃金不払いの状況についてのお尋ねでございます。

 まず、各保育所におきましては、労働基準法を遵守して、それぞれの施設の実情に応じて適切な勤務環境を整えていただくことが重要であると認識をしております。

 実態についてですが、都道府県等による指導監査の際に、時間外労働に係る労使協定の状況など、保育士の労働環境について確認をいたしておりまして、不適切な残業などの問題が認められる場合は、都道府県等による指導の対象となるものでございます。

塩川委員 ですから、労基署が入るようなときにどうかというのもありますし、もちろん都道府県等の指導監査の際に確認をするということは当然あると思うんですが、そもそも、保育士の労働実態全体がどうなっているのかといった現状の実態、こういう現状の実態調査というのは、これは国としてやっておられるんですか。

本多政府参考人 お答えいたします。

 全産業を対象とした政府統計などはございますけれども、特に保育士に特化した調査というのはやっておりません。

塩川委員 保育士に特化した調査を行っていない。しかし、今言ったように深刻な人手不足なんですよ。そういったときに、求職者数もふえない、減るような状況であるときに、今の保育士の働いておられる実態を正確に把握することでこそ適切な施策になるんじゃないのかといった点で、そういった実態調査がされていないというのは極めて残念であります。実態把握をしていないこと自体が問題だと言わざるを得ません。

 そこで、私、御紹介をしたいのが、研究者の方などが昨年六月に取りまとめられた、愛知県における保育労働実態調査の内容であります。あいち保育労働実態調査プロジェクトとして、愛知県内の保育業務に従事する方に調査を行ったもので、全体三万人の愛知県内の保育業務の従事者がいらっしゃるそうですけれども、そのうちの四千三百三十一人の方から回答をいただいたということで、大変大きなサンプルでの調査になっております。

 そういった中で、時間外労働を行ったかどうかの調査もありまして、時間外労働について、時間帯別でどうかというのを聞いているんですが、勤務時間前に時間外労働を行ったという人が七四・五%いるんですよね。どんな仕事をしていますかというと、保育の準備とか、たまっている事務とか、保育室等の環境整備、掃除ですとか整えたり。

 休憩中、昼の休憩中でも時間外労働をしたという人が七九・六%。そこでやっている仕事というのは、お便り帳の記入とか、保育の記録とか、保育準備や片づけだと。

 さらに、勤務時間後にも行っているというのは八七・七%で、どんな仕事をしているかというと、会議や打合せ、行事の準備、翌日以降の保育準備、保護者対応とか、保育室等の環境整備。

 さらに、持ち帰りをしたという人は七五・六%ということで、週や月単位の計画づくり、クラス便りや園便りを書くこと、翌日以降の保育準備、こういったことがあるということです。

 ですから、広く時間外労働が行われているということがこういうことにも見てとれるわけです。

 同時に、こういった時間外労働があるんだけれども、残業申請する習慣が職場にそもそもないといった答えが四一・五%とか、業務上、必要な残業でも、申請できる業務とできない業務が決まっていると答えた人が三三・七%ということで、労働時間管理自体がきちんと行われていないという実態が広範にあるということがこの実態調査でも浮き彫りになったということであります。

 やはり、賃金について、不満や、やや不満と答えた人が六三・二%だった。その理由として、仕事に見合った賃金でないということを挙げる人が七二・七%、他産業、他職種に比べて低いを挙げる人が三七・三%でしたが、残業代などが支払われていないというのを挙げる人も三四・四%いて、超勤手当未払いが賃金に対する不満の主要な原因の一つとなっていることもわかったということなんです。

 こういう、ちょっとリアルな実態を把握してこそ適切な対策が行えるんじゃないのかということを申し上げたいわけであります。

 こういった実態、これまでやっていないというんだったら、これからしっかりやったらどうですか。その点、いかがですか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 各保育所に対する指導監査の際に、時間外労働の状況なども確認しております。また、そこで問題が認められる場合には指導の対象としております。

 また、労働関係法規に違反する疑いがある場合には、必要に応じて、都道府県労働局又は労働基準監督署との間で適切に情報提供等の連携を行うよう求めているところでございます。

 引き続き、このような指導監督の徹底を自治体に要請してまいりたいと思いますし、また、実態把握の方法についても、適切な方法で把握できるように考えてまいりたいと思います。

塩川委員 実態把握について、本当に、全体が見えるような、そういう調査をぜひやっていただきたいという点と、違法を正すのは当然の話であって、しっかりとこれをやるということなんですけれども、問題は、やはり、保育士不足を起こしている要因は何なのか、この点をどうしっかり分析するのかという角度で調査を行う必要がある、このことを申し上げているわけです。

 愛知県のこの実態調査でも、保育士誰もが保育職場にやりがいを感じておられる。それは、皆さん、子供と一緒のそういった仕事というのは、本当にうれしく、誇りに思っているわけですけれども、しかし、仕事をやめたいという人も五・七%いて、迷っている、続けるかどうか迷っているという人も二四・九%で、三割の方が就業の継続が不透明だということになっているわけです。

 ですから、大臣にお尋ねしますが、今紹介をしましたように、長時間過密労働ですとか未払い賃金が就労継続の障害となっており、保育士をやめる大きな要因となっているのではないのか、この点についての大臣の御認識を伺いたいと思います。

宮腰国務大臣 調査によりますと、保育士資格を持ちながら保育士としての就職を希望しない理由として、賃金が希望と合わないという点を除けば、就業時間が希望と合わない、それから、健康、体力への不安、休暇が少ない、とりにくいといったことが挙げられておりまして、委員御指摘のとおり、保育士の方々の業務負担の軽減は大変重要な課題であると認識しております。

 このため、厚生労働省を中心に、保育補助者の追加配置に対する支援の拡充や事務のICT化などにより、保育士の業務負担の軽減に取り組んでおります。私も幾つかの認可保育園を視察させていただきましたけれども、ICTなどにより勤務環境が改善され、働きやすくなったとの保育士の方々の声を直接伺ってまいりました。

 高い使命感と希望を持って保育士という職についた方々に長く勤めていただけるよう、厚生労働省としっかり連携して取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 やはり、就労継続を困難にするような実態、賃金と同時に業務の量の問題もあるという話で、この間、処遇改善策として取り組んでおられるということも紹介がありました。

 その点で、例えばICT化の推進ですとか、保育士のそういった業務を補助する方の賃金補助とか、これは実績としてはどんな感じなんでしょうかね。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士の業務負担軽減のため、保育士の補助を行う保育補助者の雇い上げに必要な費用の補助、また、保育に関する計画、記録や保護者との連絡、子供の登降園管理等の業務のICT化を行うためのシステムの導入費用の補助などをしております。

 実績でございますけれども、保育補助者雇い上げのための事業でございますが、こちらは、二十九年度におきまして、二十一自治体、六十七施設で御利用いただいております。また、補助的な仕事を行っていただく方の賃金補助の事業、保育体制強化事業ですが、こちらは九十二自治体、一千百十二人が対象となっております。また、ICT等を利用した保育所等業務効率化推進事業でございますが、こちらは百十五自治体、一千七百七十六人が対象となっております。

塩川委員 今お話があったように、保育士の業務を補助する方の賃金補助というのは、二十一自治体、六十七施設ということで、ほとんどないということでもありますし、ICT化の話についても、一千七百七十六人って、これはあれなんですかね、パソコンで手書きのものを管理するという意味で人数になっているんですかね。わかりますか。人数で出ているというのがよくわからないんだけれども。

本多政府参考人 申しわけございません。先ほど一千七百七十六人が対象と申し上げたところですが、これはもしかすると施設数の間違いの可能性がございますので、ちょっと後ほど確認をさせていただきます。申しわけございません。

塩川委員 それで、大臣も行かれて、ICT化で業務の改善という話を伺ったということもあるんですが、そういうところもあるんだと思うんですけれども、保育関係者の方でお話を伺ったりしますと、パソコンの台数が少ないものだから、結局、パソコンに打ち込むために無駄に待ち時間があって、そのためにかえって時間がかかるとかいうお話ですとか、手書きならあいている時間にできるんだけれども、子供がいるところでパソコンを使えないものだから、結局は今までよりも別なところに時間をとらないといけなくなっているという話もあって、これは全体の業務の見直しが必要なんだと思うんですけれども、こういった、やはり実態に即した対応になっているかどうかというのもきちっと検証していただきたいと思うんです。

 そもそも、この間のさまざまな指導監査、これ自身は重要なことですけれども、文書量も多くなって、その作業もふえているということも含めて、非常に事務量、業務量が大きくなっている。それはやはり、保育の質を確保するという点では必要な問題なんだけれども、それを、質の確保を保障する上でも、そういう業務の増加に見合うような人手の確保が何としても必要だということが現場が言っていることだと思います。

 ですから、このような処遇改善策で時間外労働の短縮、時短になっているかどうか。この業務負担軽減の効果というのは実際に労働時間の短縮という形であらわれているかどうか、その辺はわかっているんでしょうか。

本多政府参考人 済みません。まず、先ほどのICTの導入等の事業の件ですけれども、一千百七十六人ではなく、一千七百七十六施設でございました。訂正をさせていただきます。

 また、こういった事業の効果につきましても、今後、適切な形で把握できないかどうか、勉強してまいりたいと思います。

塩川委員 ですから、実際に効果が上がっているかどうかということが必要であって、メニューがふえれば進んでいるわけではないわけですから、その点をしっかりと受けとめていただきたいと思います。

 その上で、やはり、こういったように、求職者数が少ない、求人がふえる、それにふさわしい保育士不足の改善策が必要だといったときに、こういった賃金の面でも労働時間の面でも、抜本的な改善に至っていないという状況がある。これ自身が問題だと言わざるを得ないんですが、あわせて指摘をしなければいけないのが、政府がこの間行ってきたことは何なのかということなんです。

 現状の保育士配置を引き下げることで保育定員増に対処しようとしてきたんじゃないのか。一つは、企業主導型保育事業のように、保育士の基準について、五〇%でもいいといった形でやっている。あるいは、朝夕の保育士の二名配置の弾力運用の話ですとか、先ほど阿部委員も指摘をされましたような、人員配置基準や面積基準について独自の上乗せ基準を実施する自治体に見直しを求める、そういう通知も出したり、政府の会議でもそういう議論を出してきている。

 こんなことが進めば、長時間過密労働を深刻にして、かえって保育士確保を困難にするんじゃありませんか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、定員超過との関係でございますけれども、定員超過をして子供を受け入れる場合というのもございますが、その際にも、国が定める保育所の人員配置や面積基準などの最低限遵守しなければいけない基準を満たした上で保育を実施することが前提ということでございます。

 いずれにしましても、保育士の人材確保のために、業務負担の軽減など、処遇改善など、総合的な支援に力を尽くしてまいりたいと考えております。

塩川委員 そもそも国の基準が低いから、自治体が独自の上乗せ措置をやっているんですよ。それを下げてこういう待機児童解消に充てるというやり方そのものが間違っているんですよ。保育士の処遇改善を本当に抜本的に行って、誇りに見合うような労働条件を確保する、これこそやるべきじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。

 企業主導型保育事業も、実際には、認可などにおける保育士の配置基準なども低くするような形で制度設計されているわけで、私は、このような保育士の配置基準を引き下げる方向で今の保育のニーズに応えるようなやり方は間違っていると思うんですが、それを是正してこそ本当の意味で保育士の確保につながるんじゃないのか。大臣のお考えをお聞かせください。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業にも触れられましたけれども、企業主導型保育事業、今回のこの検討委員会の取りまとめにおきまして、定員二十名以下の小規模な保育園、保育所、これまで保育士の充足率五〇%でよかったということでありますが、これを七五%に引き上げるということにいたしております。かつ、現状でも充足率一〇〇%という園が大半であるということも申し上げておきたいというふうに思っております。

 保育の質を高めていくという努力を地方自治体がしておいでになるということについては敬意を表したいというふうに思っておりますが、我々として、政府としてでも、やはり、保育士さんの処遇の改善を通じて、受皿の確保も同時にやっていかなければいけないというふうに考えておりまして、いろいろな意味で、あらゆる施策を総動員しながら、保育士さんの処遇の改善を通じて人材の確保等に努めていきたいなというふうに考えております。

塩川委員 保育士の処遇改善を脇に置いて今の待機児童問題を解消するような規制緩和はきっぱりと見直すべきだ。賃金を上げ、手厚い人の配置を行うという取組でも、配置基準の見直しと公定価格の抜本的な引上げが必要だと考えます。

 公定価格についてちょっとお聞きする時間がありませんでした。またの機会にしたいと思いますので。

 以上で質問を終わります。

牧原委員長 次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時六分散会


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