第9号 平成31年3月27日(水曜日)
平成三十一年三月二十七日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 牧原 秀樹君
理事 平 将明君 理事 谷川 弥一君
理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君
理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君
理事 大島 敦君 理事 岡本 三成君
安藤 裕君 池田 佳隆君
泉田 裕彦君 大西 宏幸君
岡下 昌平君 加藤 鮎子君
門 博文君 金子 俊平君
神谷 昇君 国光あやの君
小寺 裕雄君 小林 茂樹君
佐々木 紀君 杉田 水脈君
高木 啓君 中曽根康隆君
中山 展宏君 長尾 敬君
西田 昭二君 古川 康君
穂坂 泰君 本田 太郎君
松野 博一君 松本 洋平君
三谷 英弘君 村井 英樹君
阿部 知子君 大河原雅子君
岡本あき子君 近藤 昭一君
篠原 豪君 初鹿 明博君
山尾志桜里君 早稲田夕季君
浅野 哲君 白石 洋一君
森田 俊和君 太田 昌孝君
佐藤 茂樹君 塩川 鉄也君
浦野 靖人君
…………………………………
国務大臣
(少子化対策担当) 宮腰 光寛君
内閣府副大臣 中根 一幸君
財務副大臣 うえの賢一郎君
内閣府大臣政務官 長尾 敬君
内閣府大臣政務官 安藤 裕君
厚生労働大臣政務官 新谷 正義君
政府参考人
(人事院事務総局給与局長) 森永 耕造君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 渡邉 清君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 林 伴子君
政府参考人
(内閣府子ども・子育て本部統括官) 小野田 壮君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 矢野 和彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 丸山 洋司君
政府参考人
(文部科学省高等教育局私学部長) 白間竜一郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官) 土田 浩史君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 本多 則惠君
参考人
(中京大学現代社会学部教授) 松田 茂樹君
参考人
(元埼玉県教育委員会委員長)
(元埼玉県児童福祉審議会委員) 松居 和君
参考人
(社会福祉法人桑の実会理事長) 桑原 哲也君
参考人
(弁護士)
(社会福祉士)
(保育士) 寺町 東子君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
―――――――――――――
委員の異動
三月二十六日
辞任 補欠選任
今井 雅人君 早稲田夕季君
同日
辞任 補欠選任
早稲田夕季君 今井 雅人君
同月二十七日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 佐々木 紀君
大西 宏幸君 古川 康君
金子 俊平君 本田 太郎君
神谷 昇君 門 博文君
小寺 裕雄君 小林 茂樹君
今井 雅人君 阿部 知子君
山岡 達丸君 白石 洋一君
同日
辞任 補欠選任
門 博文君 神谷 昇君
小林 茂樹君 小寺 裕雄君
佐々木 紀君 池田 佳隆君
古川 康君 大西 宏幸君
本田 太郎君 中曽根康隆君
阿部 知子君 早稲田夕季君
白石 洋一君 浅野 哲君
同日
辞任 補欠選任
中曽根康隆君 穂坂 泰君
早稲田夕季君 今井 雅人君
浅野 哲君 山岡 達丸君
同日
辞任 補欠選任
穂坂 泰君 国光あやの君
同日
辞任 補欠選任
国光あやの君 金子 俊平君
―――――――――――――
三月二十六日
幼児教育・保育の無償化に関する請願(生方幸夫君紹介)(第三二六号)
同(櫻井周君紹介)(第三二七号)
同(堀越啓仁君紹介)(第三二八号)
同(大串博志君紹介)(第三四七号)
同(近藤昭一君紹介)(第三六三号)
同(白石洋一君紹介)(第三八一号)
学童保育(放課後児童健全育成事業)の「従うべき基準」を堅持することが実現できる財政措置に関する請願(河井克行君紹介)(第四四五号)
同(笹川博義君紹介)(第四四六号)
同(船橋利実君紹介)(第四四七号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
連合審査会開会に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
――――◇―――――
○牧原委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、中京大学現代社会学部教授松田茂樹君、元埼玉県教育委員会委員長・元埼玉県児童福祉審議会委員松居和君、社会福祉法人桑の実会理事長桑原哲也君、弁護士・社会福祉士・保育士寺町東子君、以上四名の方々から御意見を承ることにいたしております。
この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。本案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、松田参考人、松居参考人、桑原参考人、寺町参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。
なお、参考人各位に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
それでは、松田参考人にお願いいたします。
○松田参考人 ただいま御紹介にあずかりました中京大学の松田です。
本日は、この委員会におきまして意見を述べさせていただく機会をいただきましたことに感謝いたします。
私のバックグラウンドは社会学です。少子化を研究しています。本日は、少子化対策の観点から、本法案に関する意見を述べさせていただきます。十分ですので少し駆け足になってしまうかもしれませんが、よろしくお願いいたします。
配付資料を用意しております。そちらをあわせてごらんいただければ幸いです。
まず、我が国の少子化の状況につきましては皆様も御存じのことと思います。我が国の少子化、かなり深刻な状態でございます。しかしながら、出生率は、過去最低であった二〇〇五年の水準を幾分か脱し、一・四台で今のところ安定的に推移しています。
しかしながら、これから我が国の社会的な持続、社会経済の持続を考えたときは、もう一段の少子化対策をして出生率を引き上げていくことが必要でございます。なお、そのときには、少子化対策のあり方というものは、個々人の結婚や出産の希望をかなえていく、その阻害要因を除いていく、ここにあるかと思います。
それでは、一の二、少子化の主要因でございます。
出生率低下の要因を分解しますと、大きくは二つに分かれます。未婚化と夫婦が持つ子供数の減少です。
未婚化は、この法案の守備範囲外ではありますが、簡単に述べさせていただきますと、我が国の若い世代において、結婚できない、あるいは結婚しない方がふえてきているわけでございますけれども、その大きな要因は二つ。一つは、これは若年雇用が実は若い世代ほど悪くなっているんですね。もう一つは出会いの問題です。これが婚活と言われているものでございます。
そして、問題となりますのが、結婚後の夫婦の子供数です。
資料をごらんください。
平成四年以降、我が国の夫婦の子供数は徐々に減少してきています。そして、夫婦は欲しい数だけ子供を持つことができない時代となっています。理想の子供数が二・三人程度、しかしながら予定の子供数は二・〇一人、そして実際に持てる子供の数はもう少し低い、これが現状でございます。
では、その最大の理由は何かといいますと、これが子育てや教育に関する経済的な負担の重さです。表一にその資料を掲載しております。
なお、年齢別に見ますと、母親が三十五歳未満の場合、教育費や子育ての経済的負担が大変だ、これが八割に上ります。ですので、夫婦の子供を欲しいという希望を子育てや教育費の負担の問題が阻害している、これがまず現状認識です。
それでは、おめくりいただきまして、二ページです。
少子化対策として、幼児教育に係る経済的負担の軽減が必要であると思います。
幼児教育に係る経済的負担といいますと何かといいますと、我が国のお子様がゼロ歳で生まれてから巣立つまでの期間を横軸にとりますと、学校教育費に関する負担というのは、幼児教育費でまず負担がふえます。これは保育園も含めています。次に、義務教育費はそれが下がります。しかしながら、高等教育費、私も大学の人間ですけれども、高等教育費がまた高くなるとあります。少子化対策としては、この二つの山をできるだけ下げていく、これが必要でございます。
そして、そこの私のレジュメに書かせていただきましたが、幼児期について見ますと、四歳、五歳児の子供一人当たりの子育てにかかる費用のうち、幼稚園や保育園にかけている費用が約三割に上る。そして、これは子供一人当たりの食費や医療費よりも高いわけですね。若い世代は、所得が低いこともありまして、これが負担になっているということです。
親の出生意欲への影響です。次です。
以上のことから、教育に係る経済的負担を軽減することが、夫婦が欲しい数の子供をもうけることを可能にしていくものであると思います。
なお、幼児教育の負担を軽減したのみで経済的負担が全部なくなるわけではもちろんないです。しかし、負担が軽減されることは、これは前進だと思います。
そして、幼児教育をする時期といいますのは、親御様から見て、次のお子様を産むかどうかの意思決定をする時期でもあります。
私の分析ですけれども、図二にありますが、幼児教育が無償化された場合とそうでない場合、無償化されると出生意欲がどれだけ上がるかということを、これは倍率を分析した結果です。オッズ比が出ていますけれども、つまるところ、幼児教育無償化というものは、親御様の追加の出生意欲にポジティブに影響するということが言えます。
なお、出生率回復と考えますと、この場合の無償化というものは、ある所得階層のみに限ってしまいますと、その人のみが子育ての経済的負担が減り出生意欲は高まりますが、ほかの階層が広がらないことになる。となりますと、幅広い所得階層に対しての政策が必要ではないかと思います。
駆け足になりますが、三ページです。
それでは、諸外国との比較を手短に申し上げます。三点です。
三の一ですけれども、まず、主要国を見ますと、これも御存じのとおりかと思いますが、幼児教育に係る費用を無償化している国々があります。イギリス、三歳、四歳児に対する幼児教育無償化。低所得世帯に対する二歳児の無償化も進めています。フランスは、三歳―五歳児のほぼ全員が保育園に在籍し、そこは無料であるということです。そして、韓国。韓国につきましては、実はゼロ歳から五歳全て無償化しています。そして、保育所は親の就労にかかわらず利用できるということになっております。韓国も、子供の費用負担が多いことが出生率抑制につながっているという認識がございまして、このような対応をしておりますが、我が国の今提出されています法案とはかなり違うということになります。
三の二、公的支出です。
我が国の初等から高等教育に係る教育機関への公財政支出、これは非常に少ないということが指摘されています。また、教育費に占める家計への負担割合は高いということですね。
私は少子化を研究していますが、少子化対策に係る費用というものは家族関係社会支出としてくくられます。ここを見ますと、日本は一・二九%。しかしながら、出生率回復に取り組んできた国々はこれが三%程度ある。まだまだ足りないわけです。
そして、社会保障の議論におきましても、人生前半期、つまり、子供が生まれてから、これは親御様の立場から見ても、そして子育て期、ここにおける人生前半期への支援が課題であるということが指摘されています。
三の三ですが、少子化に関する国際意識調査、これを内閣府様が行っております。そのデータを分析いたしますと、日本と韓国におきましては、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから、これが出生を抑制しているという、これは統計分析で結果が出ます。しかしながら、フランスやスウェーデンは、フランスなどは無償化しています、これはそのような効果は見られないということです。
最後、結語です。二点です。
幼児教育無償化は、保護者の子育て及び子供の教育に係る経済的負担を和らげます。もちろん、経済的不安も和らげます。そのために、それを通じまして出生率回復の効果を期待できるというのが一点目です。
最後です。
出生率回復のために、今、大胆に子育て支援や子供の教育支援に予算をかけることが望まれると思います。
以上、私からの意見とさせていただきます。ありがとうございます。(拍手)
○牧原委員長 ありがとうございました。
次に、松居参考人にお願いいたします。
○松居参考人 よろしくお願いします。
こういう話を始めてもう三十年になるんですけれども、子育てにかかわること、先進国社会の家庭崩壊にかかわること。
やはり、アメリカという国を見てしまった。私はアメリカに三十年住みました。
一九八四年にアメリカ政府が、子供の教育の問題を、国家の存続にかかわる緊急かつ最重要問題、ネーション・イン・クライシスと定義して大騒ぎしました。
その年に、義務教育が普及、充実してよりたくさんの子供が高校を卒業するようになると、学力が落ちるという結果が出てしまった。目的としたことと反対の結果が出た。義務教育が普及すると子育てが社会化され、それによって家庭が崩壊する、家庭が崩壊すると義務教育が成り立たなくなる、これがはっきりそこで出たわけです。そこで、トラディショナル・ファミリー・バリュー、伝統的家庭の価値観という言葉が言われたんですけれども、もう遅いですよ。そのとき既に三三%の子供が未婚の母から生まれていました。
それと、もう一つは、その十年後にタレント・フェアクロス法案という法案が連邦議会に提出された。これは、二十一歳以下の未婚の女性が子供を産んだ場合には一切生活保護費を出さずに、その分をためておいて、政府が孤児院をつくって、そこに子供を収容して育てようという法案でした。画期的な法案です。親がいるにもかかわらず、母子家庭に任せておくと犯罪者がふえるから、政府が孤児院で育てようと。タイムマガジンもニューズウィークも、特集を組んで大騒ぎしました。
当時この法案に賛成していた下院議長、日本でいえば衆議院議長に当たるニュート・ギングリッチという人が、この法案に賛成してこう言ったんです。孤児院と考えなければいいんだ、二十四時間の保育所と考えればいいんだと言ったんですよ。僕はこの言葉を一生忘れない。福祉というのは既にそこまでいく可能性を持っている。そして、これはまだ起きていない犯罪を裁くことです。こんな人権問題はないと思いますよ。
その五年後、ワシントン市がプロジェクト二〇〇〇というのを始めました。これは、小学校を使って子供たちに父親像を教えようというプロジェクトでした。
その年、ワシントンでは、六割の家庭に父親像となり得る男性がいない。父親がいないじゃないですよ、父親像となり得る男性がいない。母親がボーイフレンドや恋人と暮らしていたら、それは父親像となり得る男性がいると計算するんですよ。それでも六割の家庭に、首都で、大人の男性がいない。そのときに、父親像を持たない子供はギャング化するなんていう学者の研究発表がされていました。そこまで来ているんですよ。
それに比べて、この日本という国は、まだ何十分の一ですよ、未婚の母から生まれる確率。まだ家庭、家族という形があるんですよ、先進国の中では唯一。
フランスなんか、五割の子供が未婚の母から生まれているんですよ。それで、犯罪率は日本の十倍を超えているんです。スウェーデンなんか、女性がレイプされる確率は日本の五十倍ですよ。こんなのネットで検索すればすぐわかります。果たしてそういう国がやっていることのようなのが目標なのかみたいなところから始まって。
四年前に千葉県で保育士が警察に逮捕されたんですよ、園児を虐待して。そういう悪い保育士は昔からいた。保母による園児虐待という本さえも二十年前に出ている。でも、そこで警察の取調べに園長が、保育士不足の折、やめられるのが怖くて注意できませんでしたと言ったんですよ。
悪い保育士がいるのは保育士個人の資質の問題。でも、園長が悪い保育士を注意できなくなっている、これはやはり政府の施策の問題ですよ。
悪い保育士を注意できなくなったら、ゼロ、一、二を預かっちゃだめですよ。三、四、五はいいですよ、おうちに帰ってお母さんに、保育士に殴られた、蹴られたと言えばいいんだから。でも、ゼロ、一、二は言えない。この人たちを大切にしなかったら義務教育なんか成り立たないですよ。今、小一プロブレム、学級崩壊、これがますます拍車がかかっています。
八時間勤務の保育士に十一時間保育を標準という名前で押しつけたら、これは保育士たちに親身にならなくていいと言っていることですよ。八時間一生懸命保育をしても、残りの三時間は無資格者でいいということになっちゃったんです。これは、あなたたちがやっている仕事はこの程度なんですよと言っているようなものなんですよ。これで、今、本当に保育を理解している心あるベテラン保育士が、どんどんどんどんやめていっているんですよ。この人たちが次の保育士たちを育てなくなったら、日本の保育界は潰れてしまいますよ。これだけ規制緩和で、預かれ、預かれと。
中学生に講演することがあります。子育てに対する意識がちゃんと持てていないんですよ。私が説明するんです。私が一人で公園に座っていたら変なおじさん、だけれども、二歳児と座っていたらいいおじさんなんだよ、横に座っているというだけで二歳児は私たちをいい人間にしてくれるんだ、こんな仕組みに感謝しないで生きていたら君たち幸せになれないよと言うんです。そうすると、感想文に、結婚したくなりましたとか、子供が欲しくなりましたと。子育ての本当の意味を教えてあげないと。
子育ては経済的負担なんかじゃないですよ。我々が生きていくための幸せの動機ですよ。ゼロ、一、二歳が我々を育てるんです。それを、十年前に経済財政諮問会議の八代さんという教授は、私を含めて園長たちに向かって言ったんですよ、ゼロ歳は寝たきりなんだからと。
寝たきりだから誰がやってもいいということではないんですよ。そのゼロ歳とつき合うことによって、私たちが優しくなり、私たちが忍耐力をつけ、私たちが一緒に幼児を眺めるというきずなをつくるわけですよ。それが人間社会の原点だったんです。それを経済的負担なんて言われたら、たまったものじゃないですよ。
ゼロ歳は、歩けないんですよ、しゃべれないんですよ、一人でトイレに行けないんですよ、一人で御飯を食べられないんですよ。この人たちと一年間あのすばらしい時間を過ごすから、寝たきりのおじいちゃんにだって存在意義があるんだということがわかるわけですよ。
二歳児、三歳児、まあ言ってみれば何もできないんですよ。でも、この人たちとつき合うから、すばらしい時間を過ごすから、認知症のおばあちゃんにだって障害を持っている人にだってみんな役割があって、この人たちがいるから我々がきずなをつくれるんだということを学ぶわけですよ。
無償化というのは、子育てを損得勘定で考えろと言っているようなものですよ。いいことだとは思います。だけれども、これほど保育士がいない時期にこれをやったら、保育界は倒れます。もう既に保育士がいなくて、園長たちが言うんです、三人募集して二人しか来なかったら、明らかによくない保育士を雇わなきゃならなくなっているんだと。子供のことを本当に考える園長たちにとって、よくない保育士を雇うということは本当に苦しいですよ。だから、いい園長たちが精神的に壊れていく、私が師匠と思っている園長たちがうつ病になっていく。そんな状況が日本全国ですよ。
制度としては、いろいろ問題点、それはもう討議されていると思います。もっといろいろ問題点もあります。だけれども、それ以前に、子育てというものの定義を、この国が持っていた、この人たちがいるから、この人たちを眺めているから我々は幸せなんだというところをもう一回取り戻していかないと。
私は、四歳児完成説と言っているんです。四歳児が一番完成している人間だ、頼り切って、信じ切って、幸せそう。これは宗教の求める人間の姿ですよ。あの人たちを目標に生きてきたんですよ。特に、この日本という国はそうだったんです。父親がこれほど幼児とべったりの国はないと、百五十年前に欧米人が書いているんですよ。「逝きし世の面影」という本を読むと、それが書いてあります。この人たちは、日本という国はこれほど幼児を大切に扱ってきたから、まだ欧米に比べて、犯罪率はとにかく十分の一だし、幼児たちが安心して外を歩ける国なんですよと。
今からとめようというのは無理だとかさんざん言われましたけれども、これがどういう結果になるかということは厚過ぎるレジュメにしっかり書いておきましたので、ぜひぜひ御検討ください。
よろしくお願いします。(拍手)
○牧原委員長 ありがとうございました。
次に、桑原参考人にお願いいたします。
○桑原参考人 社会福祉法人桑の実会の理事長をしております桑原と申します。
全国社会福祉法人経営者協議会の委員でもあります。厚生労働大臣にも二月に諮問を出させていただきながら、本日のレジュメにもいろいろちりばめておりますが、御説明をさせていただきたいと思います。
まず、一ページを開いていただきますと、この法案について、基本的には私は賛成の立場であります。しかしながら、魂を入れ込まないとこれは大きな問題を起こす可能性があるということだけは、冒頭申し上げておきたいなと思います。
それは、この法案にもありますように、幼児教育無償化の、幼児教育、保育無償化であります。もともと、社会福祉法人、私たちは保育園を営んでいますので、保育から物事を考えております。福祉から物事を考えております。教育から物事を考えておりません。ということは、ゼロの子供たちから就学していくまでをトータル的に見ております。そういう意味で、幼児教育が先に来ておりますが、僕はこれは言葉は逆転すべきだなと思います。要するに、保育を通して幼児教育を見ていかないといけないということを申し上げておきたいと思います。
三ページをごらんいただきますと、基本的な考え方をそこに述べさせていただいております。
一定の水準、我々、これは、全ての子供に対して一定の水準とは何なのかということに対して、やはり教育と、それから親の負担という、今、経済的な効果のある無償化という問題、それからサービスの質、これを国が一定の水準を示すべきだなと思います。これを経済論理だけでやるのではなくて、これを現場任せでやるのではなくて、きちっとした水準を設けていただきたい、こんなふうに思っております。
この適切なという言葉でありますけれども、これはやはり管理監督基準というものを、認可、認可外、そしてその他という分類が今議論されております。そういう中で、この三段階にわたっての基準というものを、指導監督基準を早目にガイドラインとして設けていくべきだろうと思っています。
また、良質なサービス、このサービスということについては、いわゆる、保護者にとっても子供たちにとっても、そのサービスの質という問題を、第三者サービスと言われるものを今保育園でもやっております。顧客満足度といいますか、利用者満足度という形でとられております。ただし、それは標準化されておりません。やっているところもあれば、やっていないところもあります。
四ページをごらんいただきたいと思います。
先ほど言ったように、具体的に三歳の問題が、今、幼稚園と保育の間では問題だろうなと思っております。それが、この太字で書いてある、保育園、幼稚園、こども園で満三歳問題が挙がっております。これは過当競争になる可能性があります。もう皆さん、この審議の中でも議論されていることだと思います。
やはり満三歳を満たないと、保育園に入っていても無償化という恩恵が保護者に行かない、よって、幼稚園はどちらかというと、はい、うちの幼稚園にいらっしゃいと。幼稚園は満三歳から無償化ですから。保育園は違うんです。これを修正すべきだなと思っております。
その次に、五ページですけれども、質の確保については、先ほど言いましたが、五年間という猶予期間は長いと思います。早目に指導監督基準を定めて、先ほど言ったように、認可、認可外、その他と言われるあらゆる保育サービス、それから障害者保育も含めてですけれども、ガイドラインをつくらないといけないことだと思っております。
その次のページ、六ページであります。
低所得者に対しての配慮義務は、この委員会でも出ていることを私は評価したいと思います。しかしながら、保育における食育という問題は大事な点がありますということを申し上げたいと思います。それは、教育的評価、これは養育も含めた教育的評価をちゃんとすべし。
これは、誰が食べようが、どこの人が食べようが、自分の実費負担というのはあります。しかしながら、子供の育ちの中の食育というのはとても大事です。食べるとか食べないとか、負担するとかしないとか、そんな問題じゃありません。その子の将来にわたっての大事な問題であります。そして、今、気になる子供たちがたくさん保育園においでになりまして、やはり食、食育という問題を我々は真剣に考えております。
栄養ケアマネジメントというのをぜひこの仕組みの中に入れていただきながら、無償化という問題だけを議論するんじゃなくて、食育、それから養育、教育の中の、いずれ給食を無償化していくような議論に発展していけばいいだろうなと思っております。
七ページ目は公定価格であります。
公定価格は、もうこれは無償化云々の問題じゃありませんが、今、積み上げ方式という問題をしっかりやらせていただいています。我々経営者協議会も声を大にして言っているのは、介護保険のように、介護事故における保険制度の包括的限度額支給とか、そういうものには保育はなじみません。一つ一つの積み上げが、保育において、年齢別発達において必要なサービスを積み上げていかなければ、包括などというやり方はやってはいけない、このように思っております。
それから、次のページは使途範囲であります。
経営ですから、マネジメントしていきます。その意味で、社会福祉法人という、私は代表しているわけじゃありませんが、いろいろな方々に社会福祉法人をもっともっと知っていただきながら、いわゆる規制がある中で私たちは一生懸命経営をし、保育をし、介護、障害をやっておりますが、ぜひ、この使途制限という問題は、財務省がよく言われるんですけれども、断固反対していきたい、このように思っております。
それから、九ページであります。
法人の裁量については、下の方に書いてありますが、これは、お金をばらまくようなやり方ではなく、経営品質という一つのマネジメントがあるんです。これを我々経営者もやっていかなきゃいけないという認識に今立っております。
要するに、利用者満足、アンケート調査をする。そして、従業員満足、本当に組織風土を変えていかなければ、やめていっちゃう職員が多いです。それから、ちゃんとした適正な評価をして、いい職員には残ってもらいます。これが経営です。そういう意味で、全て、経営を満足させるこの三つのサイクルをきちっと回していかなきゃいけない、このように思っております。
十ページは公定価格での対応で、これは、先ほど言ったように、基本単価に一部入れ込んでいった方がいいと思います。
時間がないので、飛ばしていきます。
次のページを見ていただきますと、施行後五年という問題があります。これは、学びの場として、ぜひ保育士不足を、あらゆる手段を通して、いい職員を育てるためには、あらゆる人たちにチャンスがなきゃいけません。そういう意味で、リカレントとか通信教育を受けながら、現場実習ができない人たちもおいでになりますので、こういうことをしっかり対応していくということをしていきたいと思います。
十二ページ、十三ページ、そして最後のところは、もう時間が来つつありますので、この三ページまとめてお話しさせていただきます。
今、市町村においては、子ども・子育て支援会議というのをやっております。しかしながら、これが形骸化しております。単なる待機児童対策で物事を考えていると、市町村は物を考えなくなります。うちにはもう待機児童はいない、こういう表現になります。
そうではなくて、子供たちの、それから少子化という問題を、市町村としても、人口減少ですから、これをしっかりできるようにしてほしいということと、ハローワークをもっと活用してほしいと思います。
今、人材派遣業にお金がいっぱい行っています。この派遣すらも今難しくなっていますけれども、ハローワークと社会福祉法人、地元の保育園とかジョブカフェみたいな福祉に限定したものをつくってもらいたいと思っています。
そして、最後に、市町村で今ばらつきがあるのは承知しておりますが、少子化ポイントをつくっていただいて、インセンティブを、地方交付税の中でちゃんと配分して、ちゃんと評価して、見える化をしていただければ、やる気のある市町村は目の色を変えてやると思います。今は、何となく少子化問題は過ぎ去っていくようなところがあるものですから、そこにちょっと危機感を覚えております。
最後の新聞はごらんいただければと思います。
少子化問題は、魂を入れ込んでいただきたいと思います。仏つくって魂なしではいけないと思います。その意味で、総論は賛成でありますが、各論はいろいろ問題がありますので、どうか少しでもいい方向に持っていっていただきたいと思います。
以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○牧原委員長 ありがとうございました。
次に、寺町参考人にお願いいたします。
○寺町参考人 おはようございます。
本日、参考人としてお招きいただきました弁護士の寺町東子と申します。
私は、長年、保育施設での死亡事故や保育施設での重大事故の予防活動、あるいは虐待されている子供の親権停止など、子供の権利の実現に取り組んできた立場から意見を述べさせていただきます。
こちらの資料を使いながら御説明させていただきます。
私が最も申し上げたいことは、認可外保育施設のうち指導監督基準を満たさない施設、これについては無償化の対象から外すべきであるということです。
今回の法案では、三歳から五歳及び住民税非課税世帯のゼロ歳から二歳児について、認可外保育施設の利用も無償化の対象として、かつ、附則の第四条において、認可外保育施設の指導監督基準を満たさない施設も含めて五年間無償化の対象としています。
しかし、ゼロ歳から二歳の低所得層、この方たち、認可施設に既に入れている世帯というのは、応能負担ですので、既に無償化されています。実際には、ゼロ歳から二歳の低所得者のうち認可施設にまだ入れていない世帯こそが、非正規雇用であったりあるいは求職中であったりということで、認可施設への入所指数が低くなりがちということで、認可外保育施設に預けざるを得ないんですね。
この認可外保育施設のうち指導監督基準を満たさない施設というのが、非常に質の低い施設が含まれておりまして、ここで死亡事故が起こりがちであるということが言えます。この基準を満たさない認可外について、無償化の対象から外してほしいということです。
二枚目のスライドをごらんください。
保育の質についての指標はさまざまございますが、最もシンプルに集約するとこの図になります。三角形の頂点がプロセスの質。保育の質の中心となる保育者と子供が直接かかわる部分、保育そのものですね、ここのプロセスの質。ここは、保育者と子供との対話的、応答的なかかわりや保育者の子供への受容的な態度というのが含まれています。これを支えているのが、配置基準などの構造の質と、それから保育者の賃金などの労働環境の質ということになります。この保育士の配置基準というのは、保育の質を支える指標として非常に重要になってまいります。
三枚目のスライドをごらんください。
現在日本に存在しているさまざまな保育施設と保育事業、配置基準の関係を示した図であります。
左上のオレンジの枠、認可保育所、幼保連携型認定こども園、学校教育法上の幼稚園がここに含まれます。最も通う子供の数も多く、日本の幼児教育の中核になります。職員は全員が保育士や幼稚園教諭などの有資格者です。保育所、認定こども園は、ゼロ歳児三対一、一、二歳児六対一、三歳児二十対一、四、五歳児三十対一。私立幼稚園は、満三歳から五歳児まで三十五対一です。この基準を御記憶いただきたいんです。
この保育者の配置基準について、四つの赤い実線ラインを引きました。上から、一が認可基準です。二は、事故が発生したときに施設側の過失の有無にかかわらず保護者に対する給付金が出るスポーツ振興センターの災害共済給付金の枠組み、これを公的な無過失保険と呼んでおりますが、これに認可外保育施設が加入するための基準です。一の認可基準の六〇%が有資格者であればよいとされています。三は企業主導型の基準。一の認可基準の五〇%が有資格者で足りるとされています。四が認可外保育施設指導監督基準です。これは、一の認可基準の三分の一が有資格者で足りるというふうにされています。
これらのたくさん、四つある基準のうち、一から三というのは、これをクリアすれば補助金が出ますよ、あるいは給付が出ますよというプラスの基準であります。それに対して四、認可外保育施設指導監督基準は、これよりも下の施設については、行政による改善勧告や公表、事業停止命令、閉鎖命令など、排除していくための、行政処分をかける、そういう基準です。意味づけが全く異なります。
一番右のブルーの枠が認可外保育施設ですが、中には指導監督基準すら満たしていない質の低い施設が存在しています。死亡事故の実態からすれば、これらの指導監督基準を満たしていない施設は、排除しなければならない、この黄色い排除ゾーンと書いた部分になります。
従来であれば、子供の命を守れないということで、事業停止命令や閉鎖命令の対象としてきたラインより下の排除ゾーンのところに、今回五として破線を付しましたけれども、今回の改正案の附則第四条二項で、市町村の条例で定める新たな基準をつくって、これを満たす施設は無償化するということになっております。
指導監督基準を満たさない、排除しなければならないゾーンにある施設まで無償化の対象とすることはどういうことなんでしょうか。これでは子供の命を守れないのではないかというふうに思います。
四枚目のスライドをごらんください。
保育施設での死亡事故を、認可施設と認可外保育施設で比較したものです。認可外では、認可の二十六倍もの確率で死亡事故が起こっています。そして、内訳を見ますと、亡くなっているのはゼロ歳から二歳児が八七%を占めています。まさに、今回、低所得ということで無償化の対象とされている層ということになってきます。加えて、死亡事故が起こっている認可外施設は、立入調査でも、保育士不足などの基準違反が繰り返し指摘されている施設ということになります。
五枚目のスライドをごらんください。
今回の法案の附則の四条が認可外保育施設を無償化の対象とした理由は、利用者の公平性の確保及び質の向上を促進する観点というふうにされています。しかし、待機児になってしまった方と保育園に入れた方との公平性は、基準を満たす施設、事業をふやすことで、希望する人が全員入れるようにすることで図るべきだと思います。
生後三カ月半の赤ちゃんを、何度も基準違反が指摘されていた施設で亡くしたお父さんがおっしゃった言葉を紹介します。基準を満たさない保育施設が営業できていると思っていなかった、大人が利用する飲食店ですら、保健所の検査で基準違反があれば事業停止命令が出るのに、か弱い赤ちゃんを預かる保育園が基準違反でも営業できるというのはどういうことなんでしょうか。
保育園に入りたいというニーズは非常に切実なものではありますが、保護者は子供の命を危険にさらすような施設にまで入りたいというふうに思っているわけではありません。安全で安心できる、子供の発達にもプラスになる質の高い保育を求めています。
質の向上を促すという観点でも、この附則第四条は足かせになります。基準を満たさない認可外を五年間の経過措置で給付対象にしたら、基準を満たさなくても無償化になるわけですね。そうすると、質を高めていこうというインセンティブがなくなります。行政は、事実上、五年間は事業停止命令や閉鎖命令をかけられなくなります。その間、子供の命が危険にさらされ続けます。あくまでも、基準を満たす施設、事業をふやすことにお金を使っていただきたいということです。
六枚目のスライドをごらんください。
現在、保育士不足により入所定員がふやせない状況になっています。
保育士不足というふうに言われるんですが、保育士の資格を持つ人が足りないのではありません。資格を持っているけれども保育士として働いていない、そういう方が政府の推計でも六十五万人以上いらっしゃいます。保育士のやりがいはあっても、その仕事の負荷と責任に対して、見合わない待遇で働いてくれる人がいないということです。保育士解消の手段としては、負荷を軽減する方向と給与をふやす方向、この両方でアンバランスを解消する必要があります。
スライドの七枚目をごらんください。
保育士の負荷を軽減するために、無償化の前にやっていただきたいこととしては、保育士の配置基準を改善すること、これが切り札だと考えております。
スライドの八枚目。
まず、一歳の配置基準に関してですが、一、二歳児では、突然の予期せぬ死亡の発生率が、日本全体の全国平均よりも、保育施設での発生率の方が高いという報告があります。しかも、一歳児が死亡した施設の八三・八%で六対一という国の基準を満たしていたというんです。ということは、配置基準を守っていても死亡事故が起こっているということで、国の配置基準が子供の命を守る最低基準に達していないんじゃないかということが推測されます。
次のスライドに行きます。
三歳から五歳の配置基準に関してですが、内閣府が公表している教育・保育施設における事故情報データベースによると、一カ月以上の治療を要したけがの七五%が骨折です。そして、二十人以上の子供たちを一人で保育しているときに発生している傾向が報告されています。三歳から五歳のこの二十対一、三十対一、三十五対一という基準は、OECDでも断トツの最低基準、最低ラインです。安全の面からも不十分であるということが推測されます。
十枚目のスライドに移ります。
内閣府から重大事故防止のためのガイドラインが出されています。例えば、プールで死亡事故が相次いでいることから、プール活動を行う場合には監視係を置くこと、監視が置けないときはプール活動の中止も選択肢であるとされています。しかし、現実に、四、五歳児、三十対一、三十五対一の基準でどうやって監視に専念する係を配置できるというんでしょうか。
子供の安全を守り、子供に寄り添い、応答的かかわりを意識的に取り組んでいるよい保育園や幼稚園では、委託費の積算根拠となっている国の最低基準を超えて職員を配置しています。例えば四、五歳児でも、三十人に先生一人という園はほとんどなく、十五対一ぐらいの配置で行っているのが実情です。この分にかかる費用が園の持ち出しになっているため、国から来る委託費を基準よりも多い保育士で分配することになり、一人当たりの保育士の給料が低くなっているということです。この配置基準を引き上げることで、仕事の負荷を減らし、給与を積算根拠に近づける必要があります。
認可外保育施設指導監督基準を満たさない施設を無償化の対象とすることをやめていただきたいということ、待機児童になった方との公平性は、配置基準を上げて、潜在保育士の方に保育現場に戻ってきてもらって、そして供給量をふやすことで公平性を図っていただきたいというふうに考えます。
以上です。ありがとうございました。(拍手)
○牧原委員長 ありがとうございました。
以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。
―――――――――――――
○牧原委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。牧島かれん君。
○牧島委員 自民党の牧島かれんです。
参考人の皆様には、お忙しい中、当委員会にお越しいただきましたこと、感謝申し上げます。
限られた時間の中でございますので、全ての参考人の方に御質問できないかもしれませんけれども、よろしくお願い申し上げます。
まず、松田参考人にお伺いいたします。
少子化が御専門であるということで、お話を今伺わせていただきました。少子化の要因を全国各地、それぞれの地域で分析をされてこられているというふうに理解をしています。
地域によって、少子化要因、またその課題に対しての対応策というものが異なってくるのではないかというふうにも思うのですけれども、その点の御指摘をいただければと思います。
○松田参考人 御質問ありがとうございます。
地域によって少子化の実態、またその背景要因が異なるというのは、まさに今御質問のとおりでございます。
特に、首都圏等でございますと、かなり皆様集中して住んでおりますので、これはやはり、住宅の問題もありますし、そして、長時間労働という問題があり、ワーク・ライフ・バランスが課題となっています。そして、この本法案にもかかわるかもしれませんが、特に東京の中心部では待機児童が多うございますので、ここへの対策が課題です。
一方、地方に行きますと、これは待機児が非常に少ない、いない地域もかなりあります。そこでありながら出生率が低い背景として、特に東北などで顕著なのですけれども、雇用の場が少ない、限られているというのがあります。ですから、これは地方創生等の取組等が必要とされるところでございます。
という形で、各地域によって異なるということでございます。
○牧島委員 ありがとうございます。
松田参考人は、子育て支援について、地域社会、社会関係資本といったものや、また、今お話ございました雇用とか又は就労関係、経済活動といったものも子育て基盤の中に含まれるという御指摘をこれまでもされてきていると思います。
長時間労働について今御指摘ございました。男性の育児休業の取得率や、また、家事分担率の低さといったことも日本では課題になっています。特に、松田参考人、大学で学生さんに向けて授業やゼミをなさっているときに、家族といったものもテーマにされているというふうに拝見をしております。学生さんがこうした今の日本で課題となっている点をどのように受けとめられていられるのか、少しお話をいただければと思います。
○松田参考人 御質問ありがとうございます。
まず、私の大学が愛知にあるということ、そこが特徴かもしれません。愛知というのは比較的男性の雇用が安定しており、そして専業主婦率が高い地域でございます。となりますと、今の私の若い世代は、そのような御家庭をイメージして就活をしていたりするというところがあります。
ただ、ここが女子学生の共通点ですけれども、男性には、夫となる人には育児をしてほしいというのはあります。ですから、日本における父親の育児参加をやはり促していく、またその環境を整備していくということが大事であると日々思っております。
以上です。
○牧島委員 ありがとうございます。
引き続き、大学に関係して、今回、この法案では、幼児教育というのは、子供の、また人間の人格形成の基礎を培っているものだという考え方がこの法案の基礎の中には流れているというふうに思っているんですが、大学で指導なさっている教授としてのお立場として、大学での教育と幼児教育での違い、幼児教育の重要性というものを大学で御指導なさっているお立場としてどのように受けとめていらっしゃるか、教えてください。
○松田参考人 まず、大学というところは、これは社会に出る前のやはり基礎的な教養力を身につける、そして社会に出て自分がつきたいという分野の職業等における資格取得や、専門的能力、知識を身につける場所であると思います。
我が大学も今、これは全ての大学、そうですけれども、それに取り組んでおりまして、その質保証ですね、それを進めているところでございます。これは、別の言葉でいきますと、認知的能力となります。
しかしながら、幼児教育と対比させますと、幼児教育期というのは非認知的な能力を育成することが大事な時期と言えます。それは何かというと、読み書きということよりも、まずはベースとなるのは、チャレンジする気持ち、対人関係能力、あるいはさまざまな場面への自分での積極的なかかわり等ですね、こうした姿勢というものが非認知的能力とされています。ここをやはり幼児教育期に身につけていただくことが、その後の学校教育のステージにおける学習効果を伸ばすと言われています。
大学の立場から最後一言言わせていただきますと、大学に入る前にぜひ、うちの学生も、非認知的能力をしっかり身につけていただきたいと思っております。
以上です。
○牧島委員 非認知的能力の重要性ということを改めて松田参考人からお伺いすることができたと思っています。
松田参考人、最後の質問になります。
諸外国との国際比較について、きょう御指摘をいただきました。日本モデルの課題、そして日本のモデルの幼稚園や保育園のあり方のよさというところもあるのかと思いますが、諸外国と比べて日本がどのような状況に幼児教育においてあるというふうにお考えか、教えていただければと思います。
○松田参考人 私は少子化を専門としておりますので、今の御質問に十分お答えすることができないかもしれません。
あくまでも少子化の観点から申し上げると、少子化対策というのは各国の置かれた状況によってある程度異なるモデルが存在するのだと思います。この分野ですと、特にスウェーデン等北欧が参照されることが多いですが、既存研究におきましても、北欧型がある一方で自由主義型がありますし、そして日本はまた別の型であると言われています。
日本の場合、特に幼児教育期というものの質がやはり高いということは、いろいろな研究者も指摘されているところであります。もちろん、課題は十分あります。
そして、私は、幅広さであると思います。共働き世帯に対する支援もされていながら、そして一方で専業主婦世帯に対する目くばせもされている、これは幼児教育期ですね。そうした選択肢がある、この度量の広さが日本ではないかと思っております。
以上です。
○牧島委員 幅広さ、選択肢の広さという御指摘、参考にしていきたいと思います。ありがとうございました。
ちょっと保育の現場のことをお伺いしたいので、桑原参考人に質問させてください。
保育士さんの確保、そして処遇改善というのは大変大きなテーマと今なっています。桑原参考人の活動の中で、保育士さんの離職を防いでいく、又は定着率を上げていく、そして、保育士さんがお仕事に対して向かう気持ちを向上していくという取組を進めていらっしゃるのではないかというふうに思うんですけれども、人材の確保や人材の育成について、桑原参考人が日ごろから気をつけていらっしゃることを教えてください。
○桑原参考人 御質問ありがとうございます。
まさしく、人材の確保と育成は現場の喫緊の課題であります。
特に、現場で保育園の先生が足らないというのはまことしやかに言われておりますが、そういう中で現場ではどのような工夫をしているかというと、離職を予防するために、私のところでは、先ほど言ったように、経営のマネジメントの中のいわゆる従業員満足をまず上げていかないといけない。それから、処遇改善交付金も当然国から来るわけですけれども、人事評価という問題をあわせてやっていかないといけない。
要するに、アンケート調査というのをやっております。従業員が我が桑の実会に勤めて、どういう気持ちで日々保育をして、悩んでいることが何があるのか、これをちゃんと、五、六百人ぐらい先生方がいますけれども、そういうのを、私、経営者として知る、知った上で改善をしていくという仕組みですよね、これを経営品質という形で進めております。それがあって、今いる方々が長く勤めていただくようにという願いを持ってやっております。
しかしながら、離職していく理由をいつも私も聞きます。そうすると、お給料が安いという表現でやめていく人はそんなにいないです、はっきり言って。昔よりは今上がってきています。もともとやりがいを持って保育という問題をやっていこうと思っている人たちですから、そのやりがいを大事にすることが僕は大事だろうなと。
要するに、お勤めいただきながら、悩んでいることを聞き取り調査する、これが園長と現場の、園長先生だったり主任、今、そういう、主任加算じゃありませんけれども、何とかリーダー加算という形で出ているのも、そういう意味合いがあると思います。ですから、一つは、そういう仕組みを各保育園が今暗中模索していると思いますが、あると思います。
それからもう一つは、どのように新しい人に来ていただくかというのは、申しわけないんですけれども、今、各種専門学校を含め、保育園に来る人は少なくなりました。それは、ここはぜひ考え直してほしいのは、人材派遣とか紹介会社が全部持っていっちゃうんですね。そういう形で、新卒でありながら実習を受けたところに勤めないで、そこにインセンティブがどうも、支度金だとかお金でつると言ったら失礼な言い方かもしれませんが、あるのかなというのはすごく危機感を持っております。
特に、私どもは埼玉ですから、東京はやり過ぎるぐらい、今、家賃補助からもう、あれもよくないと思います、はっきり申し上げますけれども。というのは、身の丈サイズに合った生活をしていかない保育園の先生がふえて、ある日突然あれがなくなったらどうするんですかねという話が正直あります。
ですから、そこは行政として、また国として、お金があるとかないとかで地方行政が右往左往するんじゃないやり方をぜひしていただきたいと思います。
先ほど言ったように、リカレントという話がありましたけれども、私は、ぜひ、今、桑の実会でも、通信教育を受けながら、現場の一としてはカウントできませんが、そういう人たちが、将来は保育園で保育士として頑張りたいと転職してくる人たちがちらりほらり出てまいりました。そういう方々に支援をしていきたい。
ただ、問題があるのは、実習ができないんです。実習をできるような通信教育制度に変えると、気持ちのある、ベテランの、子育ての終わった方々が来るんじゃないかな、こんなように思っております。
以上でございます。
○牧島委員 ありがとうございます。
悩んでいることを聞き取ってくださる経営者の方がいられるというのは、大変、保育士さんにとって心強いだろうなというふうに思っております。
また、お話の中にありましたとおり、やる気のある市町村を応援していきたいんですけれども、市町村格差とか地域間格差といったことも課題になっていることは、私も神奈川県なので、感じるものがございます。
もう一点だけお伺いさせていただきたいんですが、保育士さん御自身の妊娠、出産されるケースというのがあるかと思います。そうした場合、桑原参考人のところでは、どのようにシフトを組んだりなど工夫をされているのでしょうか。
○桑原参考人 女性の職場ですので、圧倒的にそういう方が多いです。育児休暇も取得されていきます。
ですから、法定の定められた期間、それから健康上早目に、離職じゃないんですけれども、育児休暇をとった方がいい職員もおいでになります。その場合は、やはり現場で知恵を出していきますし、昔は代替職員なんというのが制度としてありましたけれども、今はそういうことを言っていられないので、やめてもまた戻っていらっしゃいと言いながら、やはり幾つかある保育園の先生たちと協力しながら、一旦お仕事から離れていく、でも大丈夫だよと言いながら、サポート体制ですね、そこは派遣を使っていくということは往々にしてありますけれども、そういう意味の派遣というのは、過去から今までもあったと思います。
以上です。
○牧島委員 ありがとうございます。
それでは、寺町参考人にお伺いさせてください。
今お話がございましたとおり、施設の種類、また違い、制度といったところがさまざまにあって、特に保護者の方はわかりにくいというお声もあるというふうに聞いています。
寺町参考人のこれまでの活動の中で、保護者の方に、園を選ぶときにこういうところを見た方がいいですよといったようなことも御指摘をされてきたというふうに理解しているのですけれども、そのことについてお話をお伺いしたいと思います。
○寺町参考人 ありがとうございます。
園を選ぶときにやはり一番重要なことは、子供の表情、子供が楽しそうに伸び伸びしているかどうか、そして、職員の先生、保育士さんであるとか幼稚園教諭の方とかが生き生きとしているか。その表情が、上司の顔を見て、指示を待たないと行動できないのか、それとも保育士さんも主体的に子供と向き合って対話的なことをできるのか。
今回の無償化のことも含め、あるいは保育指針、幼稚園教育要領、昨年春に改訂になりましたけれども、その中で、主体的で対話的な深い学びを追求していくんだということが言われております。
これは、やはり子供と先生がどういうふうに対話的にかかわっていくか、応答的にかかわっていくか、そのことが保育の質になってきている。そこに十分な人がいたり、伸び伸びと働ける職場があって初めてそういう関係ができますので、そこら辺、表情を見るということを伝えています。
ありがとうございます。
○牧島委員 ありがとうございます。
子供の表情を親御さんが見ることで保育士さんのお仕事に向き合う姿なども感じることができるのではないかなというふうに思いました。ありがとうございます。
それに関連しまして、松居参考人も、保護者の方と保育士さんとの信頼関係というものが大事だという御指摘を資料の中で拝見をさせていただきました。その点、保育の質を担保するためにも大事な点なのかと思いますけれども、御指摘をいただければと思います。
○松居参考人 今、結構全国的に広がってきているんですけれども、私が一日保育士体験というのを勧めていて、全県で取り組んでいるところが四県になってきているんですけれども、年に一日、八時間、親に一人ずつ、保育園で過ごしてもらう。やったところでは、福井県なんかは、やった親の九七%が、よかった、とてもよかったとアンケート調査に答えるんですね。そこで保育士さんに対する感謝の気持ちが生まれるというんですね。
この親の感謝の気持ちがなければ、いい保育士は育たないし、学校教育も成り立たないんですよね。やはり保育士さんたちも人間だから、子供の幸せを願っている。子供の幸せが親子関係にあるというのは、保育士さんたちはやはり知っているんですよね。これは、ならし保育の段階から知っているわけですよ。だから、そういった意味で、この一日保育士体験が全国的な動きになってくれればと思うんです。
これを最初に始めたきっかけというのが、九州と埼玉と神戸で保育専門学校の学生たちに、実習先の園で保育士による虐待を見たかと質問すると、大体どこへ行っても半数が見たと言うんですね。これは、相当たくさんの園児たちが、強者が弱者をいじめる姿を見ているということなんですよ。何とかそれを事を荒立てないでおさめていくにはということで、この一日保育士体験というのが広まってくれるといいなというふうに思っています。
○牧島委員 それぞれの参考人の皆様から大変貴重な専門的なお話を伺うことができたというふうに思っております。心から感謝を申し上げます。
以上で終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、山尾志桜里君。
○山尾委員 立憲民主党の山尾志桜里です。
本日はありがとうございます。よろしくお願いします。
まず、松田参考人にお伺いをしたいと思います。
私自身も、あるいは立憲民主も、幼児教育の無償化そのものに反対をしているわけではないということは多分御承知だと思います。
実際、先生がおっしゃっているように、やはり教育に係る経済的負担の軽減というのはこの国にとってとても大事で、少なくとも、それをやれば、結果として、うまくやれば少子化対策にもつながるんだろうというところは共有しているので、それは前提に先生にお伺いしたいのは、ただ、やはりこれは順番を間違えると、むしろ待機児童数を増加させたり、あるいは保育の質の低下につながったり。
私なんかがずっとお母さんたちや当事者の方と話していると、やはり今回、無償化を先行させると、ただなら入れようかなというインセンティブが、いい悪いではなくて当然働くと。そうすると、申込みがふえて、待機児童数が増加するだけではなくて、切実な人が入りにくくなるというような影響もあるんだと思うんですね。
もう一つ、それより更に大事だと私自身が思っているのは、やはり財源が限られている中で、その財源を七千億以上かけて無償化に充てることを先行するならば、その七千億の中の全部とは言わないまでも、保育士さんの処遇改善等々、何といっても人材確保、そして質の向上につなげるための財源は当然、国レベルでも自治体レベルでも後回しになっていくので、質の低下ということも、また当然懸念される。
今回、この段階での無償化先行が、待機児童問題、そして保育の質の低下、保育の質といいましょうか、に与える影響について、松田参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○松田参考人 御質問ありがとうございます。非常に重要なポイントであると思います。
まず、質問は二点だと思いましたが、一点目が、待機児童への影響ということですね。これに関しましては、現在の法案を見させていただきますと、私は、待機児童への影響はニュートラルではないかと見ています。
理由は、三歳から五歳児というものは、基本的に我が国の場合、ほぼ全てのお子様が幼稚園か保育園に預けられています。そこでの動きというものはそれほど起こらないのではないかと見ております。また、三歳児以上は、保育園におきましてもまだキャパシティーがありますので、大丈夫だろうと思います。
そして、低年齢児につきましては、ゼロから二歳児の低所得層を対象に無償化する、これは私は経済的支援に非常になるんだと思いますけれども、そこの御家庭におきましては、基本的に現在の保育料も非常に低廉に抑えられておりますし、働いている方が多数と見ておりますので、それほどの影響はないのではないかと私は見ます。
一点もし懸念されるとすると、韓国の状況がそうなんですね。韓国はなぜそうなっているかということですが、先ほど申しましたとおり、ゼロから五歳児の全ての無償化をした、そしてなおかつ、働いていなくても保育園に預けられるようにしたということで、専業主婦世帯がたくさん預けるということになりまして、就業率よりも入っている率、保育所入所率が高いという逆転現象が起きてしまった。これが、働いている親御様にとって非常に不便になってしまったという問題があると思います。それは避けた方がいいと思います。
二点目、保育の質の問題です。
待機児対策、幼児教育の無償化、そして保育の質の向上、これはそれぞれ進めていく問題であると私も全く思います。保育の専門家ではない私から申し上げることができることは限られておりますけれども、今回の無償化を機に、認可外保育施設も無償化対象になりますので、そこの質を上げていく、つまり底を上げていくという、一番下のボトムですね、これが課題ではないかと思います。
長くなりまして恐縮ですが、もう一点申し上げると、認可外保育施設は、どうしてもそこで利用せざるを得ない御家庭もおります。夜間や、待機児問題、そして、沖縄などはそこしかなかったということがありますので、そこの底上げが今課題ではないかと思います。
以上です。
○山尾委員 ありがとうございます。
認可外保育施設の質の底上げということをおっしゃっていただきまして、このことはほかの参考人の方も同じ問題意識を持っていらしたのかなというふうに思っております。
ちょっとこの点、多分詳しい桑原参考人にもお伺いをしたいんですけれども、桑原参考人、ここでは、猶予期間中にあっても国が定める認可外保育施設の基準を段階的に満たしているか確認できる仕組みをせめて、せめてというのは私が今勝手に入れましたけれども、せめてつくるべきだというふうに私は読み取っております。
率直に言って、ここは私、寺町参考人が言っていたとおり、ちょっと、五年という猶予期間で、その桑原さんがおっしゃる仕組みもないままに無償化の対象に入れるというのは、今回のこの法案の極めて重大な欠陥ではないかと思っているんですけれども、先ほど問題提起した質の低下のこととあわせて、もう一歩率直な御意見をお伺いできればというふうに思います。
○桑原参考人 御質問ありがとうございます。
まさしく、指導監督基準をやはりつくらないと子供の命が守れないというのは私もそう思います。
ですから、ぜひそこは知恵を出していかなきゃいけないと思います。最終的には制度が必要ですけれども、現場で起こっていることを、市町村と、それから巡回指導員とか、国の方もそういうのをつくると言っていますけれども、やはり水準をまず示していくということをこの五年以内にもう早くやっていかないと、問題がそこに集中する可能性はあると思います。
その意味で、指導監督基準を子供の視点でつくっていただければ、ここに携わる者としては、当たり前のごとくそれ以上のものを提供していくということをやっていかなきゃいけないと思っていますので、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○山尾委員 お気持ち、表情からも読み取りました。そうだと思うんですね。
じゃ、今度、弁護士としてこのことに携わっていらした寺町参考人にお伺いをしたいんですけれども、参考人の資料を見ると、やはりこれをやっちゃうと、結局五年間、事実上、問題のある認可外施設に業務停止だとか閉鎖命令もやりにくくなるよという御指摘をいただいているかと思うんですけれども、ちょっとそこのところをもう一段御説明をいただけますか。
○寺町参考人 五年間の経過措置で、この図、四本ラインがある図を見ていただきたいんですけれども、今回の認可外保育施設の無償化というのは、この全部について出しますよという話なんですね。なんですけれども、この認可外保育施設指導監督基準以下のところについてまで出してしまうと、ここの基準以下のところが基準以上に上がっていこうというインセンティブがなくなってしまう、直さなくても出るわけですから。その上で、経過措置でその間、五年間の間に移行すればいいよということになってしまうので、そうすると、行政が排除するということもできなくなってしまう。
やはり、何かのインセンティブがないとそこは変わっていけないということで、既に、毎年、認可外保育施設の人数というのは減っているんですね。この下の図を見ていただくと、認可外の定員数というか預けられている子供の人数が書いてあるんですけれども、平成二十七年に二十七万人いたのが、十七万人、十五万人ということで、どんどん減ってきている。これは、認可外施設がちゃんと基準を満たした形態に移行していっているということなんですよね。
だから、この移行していっている人たちは、一生懸命もう既に努力している。今どんどん残っていっちゃうところというのは確信犯で、直さないところが残っていってしまうので、やはりこれは非常に危険じゃないかというふうに思っております。
○山尾委員 ありがとうございます。
本当に、死亡事故が認可外で認可の二十六倍だ、そして、質の高いところはもう基準を満たしているよというお話をいただいたわけですけれども、引き続き寺町参考人にお伺いをしますが、あと、やはり、基準を満たさない認可外施設が繰り返し保育事故を、同じところが起こし続けていくという御指摘もありました。この法案でいくと、そういう施設すら無償化の対象に五年間なっていく。
繰り返し保育事故を起こしている。繰り返し保育事故を同じ施設が起こし続けて、それをとめられない仕組みの一番の根本原因というのはどこにあるんでしょうか。
○寺町参考人 やはり、リピーターと言われる、死亡事故を繰り返しているところであるとか、死亡事故というか、虐待で殺人罪で有罪判決が出たり、あるいは保護責任者遺棄致死罪で判決が出たりというケースを見ますと、それ以前に保育士からの虐待を受けていたということの通報があったりしています。なので、そういうところをどうやって見抜いていくのかということが非常に重要で、抜き打ちの立入調査であるとか、そういうことが非常に大事になってくると思います。
今回、巡回指導員の配置ということがすごくこの間の審議の中で言われているんですけれども、実は私、今年度、幾つかの自治体で巡回指導員の方に同行して、死亡事故対策の部分について助言指導のお手伝いをさせていただいているんですけれども、やはり、抜き打ちで何々区ですと言ってぱっと入っていくやり方をやっているところと、そうじゃなくて、あらかじめ予告をしていく行くところがありまして、そこを、やはり抜き打ちで行くということをどんどんやっていかないとなかなか難しいんじゃないかなというふうに思っております。
○山尾委員 ありがとうございました。
聞いていくと、この質の問題は、少なくとも無償化の前提として、悪質とも言わざるを得ないような施設をやはりきちっとチェックをする仕組みだとか、そこまで言わなくても、基準を満たせるはずなのに満たしていない認可外については、その基準をまず達成してからですよというようなことは、やはりどうしてもこの法案の前提として必要なのではないかということを新たにしております。
ちょっと次の論点で桑原参考人にお伺いをしたいんですけれども、やはり質の向上には財源が必要で、その財源をどこに優先させるかというのが今回の法案の大きなポイントで、そこに割と私たちの党と政府・与党の違いがあるという状況なんですけれども、ただ、一つ、財源の使い道として、派遣会社に流れていくのは少なくともよくないんじゃないのというところを、できるだけ共通項をあぶり出していきたいので、お話をいただきたいんです。
参考人の御意見で、福祉を原点としたマッチングというか、ハローワーク機能というのをやはりやるべきだと。これは方向性として、今後、低額だとしても民間委託という方向を残していくのか、それとも、基本的に、やはり行政と、あるいは福祉法人というような形でハローワーク方式でやっていくのか、ちょっと、どんな方向性が考えられるか、お話しいただけますか。
○桑原参考人 地元ハローワークには大変お世話になっております。ハローワークの方々も、紹介していただく保育士さんは本当にありがたいと思っております。
大体、外で待ち構えているのは派遣会社ですね。そうなんです。いいとか悪いとかじゃなくて、そこのマインドを変えていかなきゃいけないし、行政も、実は自治体として、皆さんで、就業目的の、いわゆる登録はしているけれども、まだ保育士であるけれども、もう今働いていない保育園の先生も含めて、一回、行政でやったんですね。でも、それが実際に仕事につながったかというと、もう数が限りがあって、少ないんです。
だから、日々、地域にあるハローワークと一緒に、市町村の中にある民間型、民間型といってもいろいろな民間がありますので、ハローワークに認定されて一緒に協働できるような、そういう社会資源を持っているところ、福祉を業としているところがみんなでカフェみたいな形で、そこで常に、自分は昔取ったんだけれども今働いていないとか、そういったことをコミュニケーションとしてやりながら、毎週一回でも、又は月一回でもそういう場を設けて、あそこであの時間で福祉に興味のある人は相談できますよということができれば、僕は有効ではないかな、こんなふうに思っております。ぜひ御検討いただきたいと思います。
以上です。
○山尾委員 ありがとうございます。
同じ派遣会社やグループ会社が、保育園の監督もやる、保育士さんのトレーニングもやる、あるいは保育施設のコンサルもやるということでは、やはり保育の本質というのが見誤られるということを思うので、ぜひここはしっかりと検討していきたいというふうに思っております。
今のことなんですけれども、この点、ちょっと松田参考人にもお伺いしたいんですけれども、同じ論点です。やはり、保育というものに対する、民間、一定程度の営利を目的とした会社、派遣会社が今大きな問題になっていますけれども、その問題についてはどのようにお考えですか。
○松田参考人 ありがとうございます。
まず、それに対する十分な知識を持ち合わせていないことをおわびいたします。
しかしながら、少子化対策の観点からは、とにかく、必要な保育を必要な人に届けることが今課題であると思います。ですので、それが、社会福祉法人様あるいは公的保育、それに加えて営利目的としている企業が今の時点で存在していることは、私はやむを得ない状態だと思っております。
○山尾委員 もう一つ、次の話で、これもちょっと桑原参考人にお伺いをしたいんですけれども、最初に松田参考人にもお伺いをした、今回のある意味無償化の先行が待機児童の問題に与える影響についてです。
当事者としてやっていらして、繰り返しになりますけれども、やはり私なんかは、待機児童数のカウントの仕方にもよりますけれども、やはり潜在的なニーズは掘り起こされるでしょうし、そうすると、切実な方が入れないという状況もこれまた一定程度起きてくるんじゃないかなということを思うわけですね。そうすると、入れている人にとっては質の低下が懸念をされ、入れない人にとってはより入れないというような話も出てきたり、そういうちょっと影響が懸念されるんですけれども、その点はどういうふうに感じていらっしゃいますか。
○桑原参考人 私は、車の両輪だと思っております。やはり、待機児童対策も少子化対策も、私たちは、それをつなぐ主軸としての保育というものを通して貢献をしていくという意味においては、需要と供給という問題を考えながら、野放しではいけないと思います。
要するに、先ほど言ったように、三歳、幼稚園と保育園の問題というのは昔からあるんですけれども、いい意味で、ここで、幼児教育、こども園ができたことで、大きく保育業界も幼稚園業界も動きました。預かり保育をやり始めたり、保育も教育という概念を入れ込んで、要するに、今、利用者というか子供たちにやはり安心して保育をしていく環境づくりをしていくという、まず提供者側としての質を担保しながらやっていきます。
今回、こういう法案が出たことで、先ほど言ったように、過当競争的な意味合いは多分若干起こり得るだろうなと思っております。ただ、それを是とするか非とするかは別にして、やはり、この法案については、福祉を原点にした形で、ぜひ国の、保育というものは単に待機児童対策ではなくてやっていくんだという姿勢を、先ほど魂を入れ込むという話がありましたけれども、そこは大事にしていただきたい、このように思っております。
以上です。
○山尾委員 ありがとうございます。
最後に、桑原参考人と寺町参考人に同じ質問を。
私も、福祉を原点にした保育であるべきというふうに思います。その上で、やはり質の低下ということを私が懸念し続けているのは、例えば一つの例として、私、保育園落ちたというあの質問をやって、待機児童ということが社会的なテーマになって、それは多くの当事者の皆さんが声を上げてくださったそのたまものなんですけれども、でも、待機児童対策というのは、別に待機児童数を減らすことではなくて、本当に、質を維持して、安心して安全な場所を提供するということなんですが、国は、戦後間もなくにつくられた国基準というのがあって、それに各自治体が工夫をしてそれぞれ豊かな基準を上乗せしているところもある。でも、この待機児童問題が社会的テーマに浮かび上がったときに、できれば国基準まで基準を下げて自治体は子供を受け入れてくれ、そういうことを通達を出して、それが今もなお維持されている。幸いなことに、これに呼応している自治体はほぼないんです。
でも、こういうことは、やはり国の方針として、まずはちょっとやめていただきたいという思いがあるわけですね。そのことについて、お二人から一言ずついただいて、終わりにしたいと思います。
○桑原参考人 国基準と地方の基準というのは差があるのは承知しております。それによって、管理監督の原則論としても、お金の出どころが違う関係があって、いい意味でもありますが、いい意味で縛られているという実感があります。
ですから、やはり一定の水準を国も地方行政もつくっていただきたい、これは同感でございます。
以上でございます。
○寺町参考人 自治体の裁量ということがプラスの方に行くのかマイナスの方に行くのかということで、今回の附則四条二項の、低い方の基準を自治体が定められるんじゃなくて、やはり、今既にやっている、各自治体で加配をしている、プラスの方向に乗っけている部分こそ、自治体の裁量、自主性というものを尊重して、自治体間競争というものをうまく使っていただけるといいんじゃないかなというふうに思っております。
質を大事にしていただきたいなと思います。
ありがとうございます。
○山尾委員 いい議論をありがとうございました。
松居参考人、質問の時間、済みませんでした。
ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、森田俊和君。
○森田委員 国民民主党の森田でございます。
参考人の皆様方には、急な日程調整にもかかわらずお出かけをいただきまして、ありがとうございます。
政治とか行政、その他のいろいろなこともそうだと思うんですけれども、当初思い描いていた事業だとか政策だとかというのをやっているうちに、事業そのものが自己目的化しちゃうという例が結構あるんじゃないかなと。これは何でも、私たちの身の回りのことはそうだと思っているんですが。ということがあるという私の興味、関心から、ちょっと大枠のところで、せっかくいろいろな分野の皆様方にお越しをいただいておりますので。
ここに集う私たちというのは、誰もがみんな、いい国にしていきたいね、幸せな国にしていきたいねという思いでやっているはずだと思っておりますので、子ども・子育てを取り巻く中で、私たちの国をより幸せな国にしていくためにはこういう視点が必要だよということを皆さんの方から一言ずついただければと思うんですけれども。
松田参考人からぜひ、一言ずついただければと思います。
○松田参考人 御質問ありがとうございます。
なかなか短い時間で簡潔に答えることが難しいことですが、二つ挙げさせていただきます。
一つ目は、やはり、子育てが充実感を持って親御様がすることができ、そして一人一人の子供が生き生きと育つ環境をつくるためには、まず、私は、子育て支援に関する制度、あるいは、もちろん学校教育も含めて、ここの、やはりしっかり子供をサポートすることが不可欠だと思います。また、これは働き方に関する制度設計等も必要です。
それに加えて、もう一点だけ述べさせてください。
それは、少子化の調査をやっていると、こういうことが出てきます。我が国の子育てはしにくいということは多くの方が言うのですけれども、その根本的理由は、どうも、周りの人が少しの手助けをしてくれない、あるいは声かけもサポートもしてくれない、そして、子供を連れて移動しようとすると冷たい目で見られ、そして、バスや電車で移動すると今はバッシングを受けるわけですね。
ですので、我々一人一人が温かい目で接することができるようにする。それは、その人の行動を変えるには、教育も必要ですけれども、啓発、政府としての、政治としての、これも課題ではないかと思います。
以上です。
○松居参考人 一言で言うのはなかなか難しいんですけれども、一番根本的なことを言えば、今の子育て支援の政策が子育て代行に向かっている。十一時間を標準と言った時点で、これはもう支援ではないのではないかということをやはり保育士たちも思い始めているというところが一番の問題点なんですよね。
それで、待機児童と言うんですけれども、実際待機している児童というのは一人もいなくて、待機させられている児童がいるわけですよ。三、四、五は幼稚園と保育園でほぼ全員預かっていますから、待機児童問題というのはゼロ、一、二なんですね。ゼロ、一、二歳が保育園の前に並んで、入りたいな、入りたいなと言っているところは誰も見たことがない。
つまり、この発言できない人たちの気持ちを、つまり見えないものの本質を想像するということの中で人間社会が成り立っていたんだ、それがゼロ歳、一歳、二歳児の大事な大事な役割だったんだというところへ帰っていかないと、やはり子育て支援というのが、子供に対する支援ではなくて、むしろ子供の思いを踏みにじる支援なんじゃないかというところまで保育士たちが思い始めているというところなんですよ。これは親支援になっているんですよね。(発言する者あり)ありがとうございます。こういうことを言っていいんでしょうか。
そこをもう一回やっていかないと、今度の法案とかそういうのを見ていても、子供の気持ちというのは一行も書かれていない。ここにやはり問題があるんだということだと思います。
○桑原参考人 一言で申し上げますと、老いも若きも、全てのことはと言ったら、私たちも含めてですけれども、子供中心の政治にしていくべきだと思います。次の時代を担う子供たちのために全てはあるということを申し上げたいし、私も心していきたいと思っております。
以上です。
○寺町参考人 一人一人が大切にされる社会になってほしいというふうに思っています。
一人一人が大切にされるというのは、恐らく、大人であれば、一日働いたらそれで御飯が食べていけるような仕事であるとか、あるいは、仕事が終わって、夕方、夕御飯はみんなで、家族全員で食べられるであるとか、そういう働き方改革の部分、それと、子供たちにとっては、やはりおうちでも親に余裕があれば応答的にかかわってもらえますが、なかなかそういう環境がないお子さんもいらっしゃる中で、保育施設の中でも一人一人を大切にする応答的なかかわりをしていただけるような、そういう手厚い配置ということがなされていってほしいというふうに思っております。
○森田委員 ありがとうございました。
先ほど、松田参考人のお話の中で、韓国ではかなり広い範囲の無償化をやっているのにもかかわらず子供がふえていない、こういう実態があるというお話を伺って、私はハーズバーグという人の理論を思い出したんです。
これは経営学というか組織論的な話で、例えば、働く方も、満足度を上げていくということと不満を減らしていくということは違う要因ですよと。不満を減らしていくということは、例えばお給料を出すということであったり、お休みをちゃんと出すということだったり、設備、備品を整えるということだったり。ただ、満足度を上げていくというのは、いろいろな意義だとかやりがいだとか、そういうモチベーションを持ってもらうということは、責任感だとか、そういうところで高めていくものだ。
それをちょっと子育てとか子供を持つということに当てはめた場合に、例えば、金銭的な負担を減らすということで子育てに対する不満を減らすことはできる、ただ、子育てをしようという、あるいは、子供を持とう、家族を持とうというモチベーションの方をぐっと上げていくものというのは一体何なのかなというのをやっていかないと、幾らたっても日本では子供というのは多分ふえていかないんじゃないかなと私はそういう話を聞いていて思いました。
ということもありますので、皆様のそれぞれの活動分野で、子供を持ちたいなという社会に、社会と言ったらあれですけれども、若い人たちに子供を持ちたいなというふうに思ってもらうにはこういうことが必要じゃないかなというのがあれば、ぜひ教えていただければと思います。
やはり順番にお願いします。
○松田参考人 御質問ありがとうございます。
満足度と不満と実際の行動というのは別だというのは、御指摘のとおりだと思います。
少子化対策の観点から考えますと、しかしながら、実は、若い世代に関しては、多くの人が結婚したいと思っていながらできないという現実があります。そして、結婚した後の御夫婦に関しましては、もう一人子供を欲しいという方が、これは多うございます。しかし、それができないという現実がありますので、この阻害要因の方を取り除いていくことが、これは、出生率や、もちろん、結婚を希望する人はすることができていく方向につながると思っております。
その上で、子供を持つモチベーションはどうかということですけれども、これに関しては、実は分析すると不思議なことがありまして、結婚の話で、ごめんなさい、限定させますけれども、実は、雇用が安定してそこそこの収入があると、これは自信を持って結婚行動に移ることができるんです、これが不思議なんですけれども。ですから、それは何を言いますかといいますと、経済的支援等は、必ずしもそのモチベーションを変えないというものではなく、それを支えるものになっているということです。
以上です。
○松居参考人 保育所保育指針にも子供の最善の利益を優先するという言葉があるんです。児童福祉法にも同じような、年齢を問わず、子供の最善の利益を優先する、尊重するという言葉があるんですよね。ここにやはりゼロ、一歳も入っているんだということを思い出さないと。彼らは発言できないけれども、彼らの最善の利益を優先する、この優先という言葉を忘れているのではないかという感じがする。優先順位を忘れている。何が白とか黒とか、そういうのではなくて、やはり、優先するという、言ってみれば子どもの権利条約にまで書いてあるわけですよ。この優先するということが人間社会の幸せの原点だったのではないかというところをもう一回考えていかないと。
今の少子化というのは、はっきり言って、男が結婚しないということですよ。三割の男が一生に一度も結婚しない。男が生きる力がなくなってきているんですよ。何を動機にしていいか。ここにいる人たちはわからないですけれども、やはり全体的にここまで結婚していないということは、そうなんですね。
中学生でも男子生徒がやはり幼いですよ。これは中学校の先生を十年、十五年やっている人たちはみんな言う。もう小学生並みだと。甘える、だだをこねる。だけれども、いい子たちなんですよ。あの子たちが小学校五年生ぐらいから年に三日間ぐらいずつ幼稚園とか保育園に行ってこのすばらしい人たちとつき合えば、必ず、子供といるということは、もうそれだけで楽しいということなんだと。一番楽しそうな人たちとつき合っていないと、あれを見ていると、競争に勝つことでも富を得ることでもないんですよ、幸せだということは。だから、そういう見本に接する機会を、できることだったら小学校五年生ぐらいから高校を卒業するぐらいまで毎年三日間は子供と出会うみたいなことをやっていればと。
そういうことをやっているところもありますし、実際にやっているところの話は資料の中に随分書きましたから、そういうところから十年先、十五年先、子育てにやはり喜びを感じるような人たちを育てていかないとこの問題は解決しないなという気がします。
○桑原参考人 私も、保育園にいますと、お母さん、お父さんたちが子育てをしながら、第一子を預かって、第二子、第三子と続くのが、実は保育園に預けているお母さん、お父さんたちは多いです。それは、やはり刺激されているんですよね。子供たちがこうやって保育の中で、ああ、一人っ子よりもやはり二人だな、二人よりも三人だなと思うんですよね。だから、保育は実は少子化をとめる、とめると言っては言葉としては語弊がある、決定打になるぐらいのことじゃないかなと思います。
二〇四〇年を考えると、人口が減少していく中で、五人に一人は私どもみたいな福祉とか医療とか介護を含めた人たちが働く現場になります。ということは、共働きで福祉の仕事をしながら子育てもしていく時代がもう今来ていると思います。
そういう意味で、保育こそ、子育て、第二子、第三子の、人口減少をとめていく決定打になっていくと思います。
○寺町参考人 まず、子供を持ちたいという社会になっていくために、一人目を産んでもらうというところの観点からいいますと、女性も仕事を持って働く人がふえています。私自身もずっと仕事をしながら子供を育ててきました。そのときに、一人目の子供を産むか産まないかは、仕事を失うか子供を産むか、どっちかしかとれませんということを突きつけられていたら、とても恐ろしくてちゅうちょしてしまうのですね。やはり、子供は保育園に入れる、そして自分は仕事を続けながら子育てと両立していける、そういう展望が持てるということが一人目を産むという行動に行く上ですごく重要じゃないかと思っています。
そして、二人目を産むか産まないかというところでは、統計上も、夫の家事時間が長いか短いかということと子供の人数は連動しているということが言われています。そういう意味で、夫も子育てをするということに対して社会がどういう制度をつくっていけるか。この間の審議で夫の産休、育休を義務化するとかいう話がありましたけれども、ああいうことや労働時間を短くしていく働き方改革、そういうことが非常に重要なんじゃないかというふうに思っております。
○森田委員 ありがとうございました。
議事録を読んでいただいたんですかね。夫のことを、私が足りないながら主張させていただいているところでございますので。ありがとうございました。
先ほど、子供たちが待機しているわけじゃなくて、子供たちは待機させられているんだというようなお話があったんですけれども、今回のいろいろな制度を取り巻くことで、やはり子供たちの声が、決定的に、拾う手段というのがかなり制約をされるんじゃないかなと。もちろん文字で書くことはほとんどできないでしょうし、声で拾うといってもなかなか難しいということなんですけれども、重要なアクターであるはずの子供たちの声を拾えないにしても、考慮したりなんなりするということについて、注意すべき点、あるいはこういうことをやったらどうかというのがあれば、ぜひまた皆さんから一言ずつお答えいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
○松田参考人 ありがとうございます。
御指摘のとおりだと思います。子供の声を聞く、特に幼児教育等の問題についてというのはなかなか調査的には難しい面がありますが、私の研究の分野からいいますと、やはり、どのような幼児教育やどのような保育を受けることが子供の発達にどういう影響を与えているか、あるいはウエルビーイングですね、それをしっかりと調査して、その結果を踏まえて、その結果が悪ければ、やはり悪いことが子供の利益にかなっていないということですから、それを改善していくというステップをとることだと思います。
○松居参考人 やはりそれは大人たちの責任で、我々が想像力を働かせて、その想像力を働かせる段階で我々が育っていく、我々の社会がそれできずなをつくっていくということだと思うんです。
子どもの権利条約でもユニセフの白書でも、幼児期は特定の人間と、これは親と言っているわけじゃないんですけれども、おじいちゃん、おばあちゃんでもいいんですけれども、やはり特定の人間との愛着関係を育てる、その権利を有するというところまでそういう条約には書いてあるわけです。これはやはり、幼児期の子供は特定の人間によってかわいがられ、寄り添ってもらって、そこが基本だからこれだけ、国連まで書くぐらいのところになっているわけですね。その想像力だと思うんですよね。
やはり、山尾先生のあれを見たら、「星の王子さま」が、見えないところが一番大切、そのとおりだと思うんですよ。そこに一番大切なものがあるんですよ。保育園落ちた日本死ねという言葉があれだけ広がっていったときに、やはり保育士たちは思ったんですよ。保育園に落ちたのは子供で、死ねと言っているのは親なんですよ。そこに二つの人生があって、ひょっとすると子供は保育園落ちた万歳と言っているかもしれないんだよという思いをやはり保育士は持ってしまうんですよ。なぜなら、これだけ子供たちを大切にしていれば、やはりそこに愛情というのは湧いてくるんですよね。
そこと、今の政府の方向というのが保育士たちの、本当に、良心とバッティングしているというか。だから、良心を捨てるか保育士をやめるかみたいなところに追い込まれているんですよね。そこを理解してあげないと、いい保育士たちがいなくなるというところなんですね。
○桑原参考人 私も、保育園において子供の愛着形成等は必要だと思います。それをどう評価するかということが常に問われていますし、私たち大人として、また、保育士として、経営者としても必要だと思います。それを第三者評価という形で僕はあらわせないかなといつも考えております。この評価システムをちゃんとつくって公表していくことこそ、子供のありようとか、保護者のこととか、私たちが襟を正すことも含めて、必要なことだと思っております。
以上です。
○寺町参考人 今、松居参考人も子どもの権利条約に触れられましたけれども、ことし、子どもの権利条約が採択されて三十周年です。子どもの権利条約の中には、子供が参加する権利、自分の意見を表明したり、それを取り入れられる、そういう権利があります。
そういう意味でいうと、子供にかかわる大人たちは、やはり子供の意見を聞く、どんな小さい子供でも、保育園児、幼稚園児であっても、あなたはどうしたいという、その言葉がかけられる、そういうことがすごく大事だと思っております。そのために、大人は子供にそういう権利を保障できるような環境を整えてあげるということが、大人が英知を尽くしていく必要のある部分じゃないかなというふうに思っております。
○森田委員 どうも、貴重な議論をさせていただきまして、本当にありがとうございました。ぜひこういう議論を法案審議に生かしていきたいと思います。
大変ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、岡本三成君。
○岡本(三)委員 公明党の岡本三成です。
四人の参考人の皆様、おいでいただきましてありがとうございます。
四人の皆様それぞれにバックグラウンドが違って、御意見を伺ったのも角度が違うわけですけれども、お一人お一人それぞれが法案に対する賛否のお気持ちはあると思うんですけれども、それぞれお一人お一人が子ども・子育てを前に進めたいという思いがびんびんと伝わってきまして、横で拝聴しておりまして、本当に充実した審議となっております。ありがとうございます。
まず初めに、桑原参考人にお話をお伺いしたいと思うんですが、横で他党の議員の皆様から、桑原さん、いいねいいねというふうに言われておりまして、桑原さんの現場目線のさまざまの御意見が大変刺さっております。
いただきました資料の二ページ目で、法案の名前は子ども・子育て支援法なんですが、私ども、何の問題意識も持たずに幼児教育、保育の無償化という順番で話していましたら、順番が逆なんだ、年齢を考えても、まず福祉だろう、保育の無償化で、次が幼児教育なんだというのは、今後そのように私も改めて、順番を変えていこうと思います。
それで、この五ページ目に、御懸念を示していただいておりますのが認可外保育施設についてで、実際の政府の今後の運用に関しても、もうちょっと厳しくやっていくべきじゃないかというふうな御意見を伺っているんですが、認可外施設についてのさまざまな危険性、安全性に対する猶予というのは、書物等では拝見しているんですが、実際、保育の現場にいらっしゃって、監督基準を満たさない保育施設の最大のリスク、危機感、どういうふうにお感じになっていますでしょうか。
○桑原参考人 認可外施設で起こることは、新聞紙上を含め、心を痛めております。プールの事故も、私どもの近隣のところで起こった事故であります。
そのことを含め、私たちは、限られた人数の中で子供をどのように守るかということを、常に、管理監督基準は定められますが、その中で現場で知恵を出さなきゃいけない。要するに、人数が足りていないからこういうことが起こったのよでは済まない問題なんです。
ですから、これは現場からいいますと、現場で子供の安全を、保育という問題をルーチンでやっているのではなくて、どこに第三の目があるかとか、どこに危険があるかとか、安全とか、それを保育園の先生は常に心がけて、それをマニュアル化して、今マニュアルというのはあるんですけれども、マニュアルを常に新しくするというんでしょうか、毎年同じマニュアルを使っていていいのかというと、そうじゃないと思います。暑い日もあれば寒い日もあるし、風が強い日もあれば、地震があったり、いろいろな災害を含めたリスクマネジメントをしなきゃいけないことがありますので。
そういう意味で、このマニュアルだけがあればそれで指導監督基準が満たされているかというと、それは、基準はそのとおりであります。さっき言ったように、それすら守られていないのはもう論外だと思います。
ですから、現場の先生方のありようというのは、もうさまざま、たくさんありますが、この指導監督基準を、ぜひ国としてはハード面、ソフト面にわたって、例えばソフト面といえば、当然、人員基準が満たされている、じゃ、その内容たるものですよね。どういうことが記録として残っているか、事象としてもう一回リスクマネジメントをしているか、それがフィードバックされているか。そういうことが、毎日のことですので、それが大事だと思います。
それから、ハード面については、やはり、あるべきものを、チェックリストを通して、ちゃんと備わっている、備わっていない。
それから、設置基準とかいいますと、大きな意味での安全基準が定められていますが、そういったことを指導監査等をもって私どもは監査されるわけですので、そういう現場で知恵が出ることを、要するに僕は拾ってほしいなと思います。それを評価してほしいと思います、よくやっているねということも含めて。そのように考えております。
以上です。
○岡本(三)委員 加えて、桑原参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど、六ページの中で、食事は食育なんだ、ですから、保育、幼児教育のところで議論をして、いずれ小中学校の給食費についても無償化の議論があってしかるべきじゃないかというお話があったんですが、食育という観点で考えると、例えば、小さな幼児のときにしっかりとした食事を食べたお子さんとそうでないお子さんが、その後の人格形成等々、非認知的な能力の違いにつながっていくかもしれませんが、この食育とそのお子さんの将来というのが実際にどのようにかかわっているかというのを御経験の中で感じていらっしゃいますでしょうか。
○桑原参考人 とても感じております。食育は保育の中の根本問題だと思っております。
ですから、これは、食べているとか栄養を満たしているとか栄養基準を満たしているとかではなくて、つくり手の思いとか愛情も含めてですけれども、それが子供たちにちゃんと影響しているということは、もうエビデンスとして、栄養ケアマネジメントという中で、今、栄養学界等でもその必要性を訴えております。
それは、僕も、今気になる子供たちがいるというのは、実は情緒の問題として、この食という問題を、家庭の問題でもありますが、我々は、それは家庭、お母さんがやらなきゃいけないのよ、それは保育園でやるべきじゃない、そんな議論をするつもりはありません。やはり、一緒になって食育を公開し、子供たちが自分たちで、物を大切にする、食べ物を大切にする、それを調理することをやりながら、お母さんが、家に帰って、こんなものをきょう食べたんだよということをメニューで知ったり、あら、おいしそうだねということを感じながらメニューを持ち帰ったり、そんなことが日々行われています。
ですから、ぜひここは、保育園の保育の原点は僕は給食にある、だから調理場は絶対必要だと思っています。そういう意味で、子供の後々の発達には絶対欠かせないということを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○岡本(三)委員 済みません、あと何点か桑原さんにお伺いした後にほかの参考人の方にもお伺いをしたいんですけれども、先ほど桑原さんは給与よりやりがいが重要なんだとおっしゃったんですが、私は、本当にそれだけなのかなと思っておりまして、やりがいも重要だけれども、しかも、いい経営者のもとで働ける保育士の方々は幸せですけれども、必ずしもそういうことばかりでもないので、やはり給与水準とのバランスというのは非常に重要じゃないかなというふうに思っているんですね。
実際に、私の娘、今大学で、教育学部で保育士になろうといって勉強しているんですけれども、周りのお友達を見ると、保育士にはなりたいけれども、これじゃ食っていけないので一般企業を考えなきゃというお友達が結構いるみたいなんです。
そこで、お伺いをしたいんですが、先ほど処遇改善の中で、法人裁量の拡充をもっと検討してほしいというようなことがありましたし、実際にスタッフの皆さんにいろいろなアンケートもとっていらっしゃるようなことをおっしゃっていましたけれども、具体的にどういう点について法人裁量をもっと拡充すればいいのか。
あと、もう一つは、社会的にしっかり保育士という職業が食っていける職業として認知されるためには、大体これぐらいの平均的な水準じゃなければなかなか難しいんじゃないかなというふうな所得の水準みたいなことのお考えがあれば聞かせてください。
○桑原参考人 当然、給与水準は保たれるべきですし、そこを目指していくべきだと思います。それは、とりもなおさず、社会的な地位を築くという意味において必要なことだと思います。
保育園の先生になって、先ほど僕はリカレントという話をしましたが、ステップアップ、キャリアパスしていくということは、今、国も推奨しているように、乳児リーダーとか栄養リーダーとか何とかリーダーというのはそういう意味なんですが、そこに主任手当の四万円をつけてくれたり、処遇改善一の基本単価に入れなきゃいけないようなものも今パッチワーク的についております。
ですから、それを、法人の裁量というのは、要するに、将来にわたって人材を育成するということは、キャリアパスを明確にすることだと思います。それは、学んでいく学びの場をつくってもらいたい。そこに費用がかかるのも事実であります。給料だけを上げればいいという問題じゃないというのはそういう意味で、給料も上げながら学びの場をつくり、そして、キャリアパス、自分がどういうふうなステージに行けばどのぐらいのお給料をもらえるのか。ずばり言って、今、介護では、十年選手が一人八万円、年収ベースで四百二十万円を基準にすると言っていますけれども、これは、当然そのぐらいの基準は目指すべきだと思っております。
以上です。
○岡本(三)委員 待機児童をしっかりと解消していくには、建物をどうやって確保するかということも非常に重要で、実際に、町中に建てようとしたら住民の方の反対運動が起こったような自治体もあるわけで、そう考えると、民間が持っているような建物、駅の前に建物があれば、そこはもう既にうるさいわけですから、住民の騒音問題というのは起こりにくいわけで、民間の方々が持っているような建物をどういうふうに保育施設等に活用していくかというのは重要なんだと思うんです。
政府でも幾つか補助金を出しているんですが、実際に貸し手の側のインセンティブを高めるような政府としての施策が、とるべきものがあるとしたら、どういうふうなことをやれば、もっと建物、施設の確保というのはできるというふうに、桑原さん、お考えでしょうか。
○桑原参考人 私どもも、いろいろな、JRさんと組んで、駅中、駅近で保育園をやったりしておりますが、いわゆる設置者負担という問題をどう捉えるかだと思います。
固定資産税は、認可保育園をそこに設置することで一部減免をされております。これは、利益をちゃんと、設置者はあるわけですけれども、建物に対しての、よく私どももありますが、地権者が土地を提供して、いわゆる建物をつくって、内装工事はこちらがやるというのがあるんですね。そこにはちゃんと補助が出るんです。その躯体設備にかかわるところは補助が出ないんですね。
ですから、保育園を基準のもとにちゃんとつくる場合は、設置者である地主さんとかディベロッパーの方々に対しての一部補助を適切につくることは、別に、理にかなっていることじゃないかな、こんなふうに思っております。
以上です。
○岡本(三)委員 ありがとうございます。
続きまして、松田参考人、お伺いしたいんですけれども、先ほど先生のお話の中で、教育支援等を考えて国際比較をしたときに、今、全世代型社会保障といって、人生の前半期にもっと支援をすべきだと。
ただ、これは、OECDの分析をよく見ていますと、国際比較の中でも、義務教育あたりの日本の公的支出というのは諸外国と比べて少なくないんですね。少ないのは、圧倒的に幼児教育の部分と高等教育が他国と比べて日本は支援が薄いわけです。
ここをやっていこうということで、それで、もちろん教育の目的というのはその子の幸せであるわけですけれども、同時に、少子化というのも大きな社会的な問題ですので、これを解決しようと思うと、実際に先生のお話の中でもあったように、結婚して、本当はお子さんを欲しいという方々が諦めていらっしゃる最大の理由というのが経済的な負担に残念ながらなってしまっている。
それで、人生最初の部分の負担のちょっとバランス感を私はお伺いしたいなと思っているんですが、今、もちろん、幼児にもやっていますし、例えば高校の私立の無償化、大学の給付型、全部大事なんですけれども、少子化を解決すると考えたときに、圧倒的にゼロ歳から五歳にシフトしなければいけないんじゃないかと私は思っているんです。どうしてかというと、いやいや、初めの五年間は、親御さん、お金がかかりますけれども、十八歳になったら安心してくださいといって、安心して産めるかというと、やはり初めが不安じゃないですか。
ですから、人生前半の支援の中でも、圧倒的に就学前に対して財政的な公的支援をするべきじゃないかと私は思っているんですが、その辺のバランス感覚、いかがでしょうか。
○松田参考人 バランス感覚から申し上げますと、先ほど申しましたとおり、親御様から見て子育ての負担というものはまず幼児教育期にありまして、特に教育に関しますと、義務教育期は下がり、今の御指摘のとおりですね、そしてもう一つ高い山が高等教育であるということです。ゼロ歳―五歳、ここにやはりしっかりと支援すべきですけれども、ここだけの問題ではないということは申し上げたいと思います。二点です。
一つは、ゼロ歳から五歳、今、幼児教育、特に三歳から五歳に焦点を当てた本法案でございますけれども、そこはもう一人を産むという意思決定をするときで、大事であると私は申しました。ここの負担は減らすことです。
しかしながら、今、半分のお子様が大学に通う時代でございますので、そこでの将来的な不安をやはり和らげるということをあわせてやっていくことがなければ、出生率というのはやはり回復は難しいように思います。
以上です。
○岡本(三)委員 済みません、あと桑原さんにもう一個だけお伺いしたいことをちょっと忘れておりました。
ハローワークのことを言及されて、大変目新しいと私は思ったんですけれども、要は、ハローワークというのは、基本的な仕事はマッチングなわけですよね。マッチングというのは、需給バランスが、福祉の世界においては需要はあるけれども供給がないというところだったのですが、ハローワークに違う役割も持たせたらどうかということで、先ほどは、潜在的な保育士の方々に対して十分な情報提供をしたりというようなことをおっしゃいました。
例えば、別の役割をハローワークやジョブカフェに持たせることが、特に福祉というのは社会的な、解決しなければいけない分野ですので、例えば資格を取ることに対してのインセンティブを与えるような何か講習をしても何でもいいんですけれども、もし仮に、社会的な問題の需給バランスを解決するためにハローワークやジョブカフェに他の役割を持たせることが有用だと考えた場合に、どういう役割を持たせたらいいでしょうか。
○桑原参考人 ハローワークは私どもの本当に大事なパートナーだと思います。
それで、特にジョブカフェ、そして、福祉の場合はいろいろな職種がありますので、働きたいと思っている方々がいつでも来れるような場所を一緒になってつくり上げるようなシステムをつくっていただきたい、こんなふうに思っています。
特に、働く人たちのインセンティブをどう付与するかということ。例えば、以前にも、介護でも介護初任者研修というのがあるんですけれども、それをハローワークがあっせんして、雇用を促進するためにやっていた時期があります。今はもうそれはやっていません。
ですから、同じようなことをハローワークはできるんじゃないかな、保育園で資格を取っていくための援助をしていくとか、そういう、地域の社会福祉法人と一緒になって勉強できるような枠組みをつくれるんじゃないかな、そんなふうに思っています。
○岡本(三)委員 済みません、時間となりましたので、ちょっと松居参考人、寺町参考人、質問できなくて申しわけなかったんですが、お二人がおっしゃった中で、特に、チルドレンファーストなんだ、目線は保育士でも親でもなくてチルドレンだろうというのはもうそのとおりだと思いますので、そのことを肝に銘じて、よりよい法案にしていくように働いてまいりたいと思います。
では、以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
参考人の皆様には、貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。
早速、質問させていただきます。
まず、四人の参考人の方それぞれにお答えいただければと思いますが、今回の法案におきまして、無償化ということですけれども、認可外保育施設についても、保育士が一人もいないような保育施設であっても無償化の対象とするということであります。
このことについて、やはり保育の質の確保の点で非常に大きな懸念があると率直に思っておるんですが、この点についてのそれぞれの参考人の方の御意見を伺いたいと思います。
○松田参考人 御質問ありがとうございます。
私ですけれども、最初全てを無償化することで、方針に賛成します。
理由ですけれども、これは、そこに子供を預けている親御様から見たときに、やはりその経済的負担が軽減されることが大事であるということ。そして、認可外保育施設の中には、やはりそこしかないので、さまざまな事情、あるいはサービスが夜に提供されている等ですね、それを全く排除してしまいますと、お子様や親御様の不利益になってしまう可能性があると思います。
しかしながら、大事なことは、この法案を契機に、その施設を認可の方に移行を促す、あるいはサービスの質を上げていく、ここのきっかけにすることが大事ではないかと思います。
○松居参考人 例えば、公立の保育園でも、十五年ぐらい前に、無資格者がいるということは考えられなかったわけですよね。それが、十一時間が標準になり、又は十三時間開所になった時点で、やはり、最後の三時間、資格者を雇うというのは無理になってきた。それと同時に、小規模保育のB型なんかは、半数は無資格者でいい。家庭的保育事業なんかもそうですけれども、無資格者を入れていかないと成り立たないような状況に、もう完全に流れがそうなっているわけですよね。
資格を持っているから保育ができるとは私は思わないんです。潜在保育士はいますけれども、やはり保育士専門学校に行って実習を一週間やれば、これは無理だなと思う人が五割、六割いるんですよ。やはりそういう人は現場に出ない。自分で自分を埋めてくれるわけですよ。保育士を掘り起こせという言葉からこう言っているわけですけれども。
役場の人なんかも言うんですけれども、公務員で雇っても、やはり十人に一人ぐらいは、子供を扱わせちゃいけないなという人を雇っちゃうんですよ。そういう人は大体児童館に埋めるとか、そんないろいろな方法があったんです。それを資格を持っているから掘り起こさなきゃならないという状況にまでなってきている。
そういう中で、現場で、あの人を掘り起こすんだったらもう来なくていい、国基準を割ってもいいんじゃないかと。つまり、ゼロ、一、二歳の保育というのは、その部屋の雰囲気、空気なんですよ。そこに一人、子供をどなったりたたいたりする人がいると、もう周りの空気が壊れてしまうんですね。だから、そういうことからしても、やはり無資格者がこれだけ入ってくるようになっちゃっているというのは、これは危ないですよ。
やはり、今度の無償化によって、無資格者をもっと入れなければならない状況になっていくんだということは全国各地の人たちが言います。私、おととい保育士会の前会長の御園先生に電話して聞いたときも、それは言いました。これはもうそうなるんですよ。だから、それを受け入れられるだけの質を担保しないでこれが進んじゃうことがどうなのかというところを論議しないと。
ゼロ歳、一歳で一日保育士に話しかけてもらえないとか、こんなのはもう脳障害になっちゃいますよ。小規模保育の園長で、ゼロ歳、一歳の保育士に、とにかく子供に話しかけるな、だっこするなと言うんですよ、子供は生き生きとすると事故が起きる確率が高くなるでしょうと。もうそこまで園長たちも追い込まれているんだということをぜひぜひ、現場の人たちに聞いて、知っていただきたいというふうに思います。
○桑原参考人 やはり、質を担保せずにではいけないと思います。質こそ担保された上で、認可外の、そういう人たちの事業を妨げるわけじゃありませんが、起こってはいけないことが起こり得ることは懸念しております。
以上です。
○寺町参考人 認可外保育施設の指導監督基準というのは、先ほども申し上げましたが、プラスしていく基準ではなくて、これ以下はだめだよという、排除をしていく基準です。
子供が何かの拍子にぎゃあと泣き出して延々と泣きやまないというときに、親でもつらくなります、しんどいなと。そういうときに虐待をしないで済むのは何かといったら、愛情と専門性です。もちろん保育施設の職員の方で愛情いっぱいの方もいらっしゃいますけれども、最低限を画するという観点からいうと、愛情がない人でも虐待しないためにどうするのかといったら、そこは専門性なんですよね。そういう意味で、専門知識を有している方が一人もいない施設というのは、私は非常に危険だというふうに考えております。
○塩川委員 ありがとうございます。
次に、寺町参考人にお尋ねいたします。
今回の無償化を契機に、いわば認可外で対象となる施設がふえる、指導監督する対象施設そのものが大きくふえる。例えば、事業所内保育施設三千八百カ所ですとか、ベビーシッター約九百カ所なども入ってくるということになりますと、指導監督の施設そのものが、七千カ所が一万二千カ所近くと大きくふえるわけですよね。そういった際に、認可外施設への指導監督体制はこれで現状どうなのかと率直に思うんですが、お考えをお聞かせいただけないでしょうか。
○寺町参考人 やはり、指導監督権限を有している都道府県あるいは政令市の指導監督に回るスタッフの人数というのが、非常に足りていないということがあろうかと思います。
特に東京都では、指導監督に入れていない施設の割合というのが非常に大きい。現在でも二〇%ぐらいしか入れていないと思うんですね。そういう意味では、そこの監督の部分についてもきちんと人の手当てをして、予算化していくということが必要ではないかというふうに思います。
○塩川委員 ありがとうございます。
次に、桑原参考人と寺町参考人にお尋ねいたしますが、この委員会で、法案にも関連して、企業主導型保育事業についての議論を随分行っているところです。
企業主導型保育施設の入所児童は九割以上が〇―二歳に当たるということで、安全に対する取組は何よりも重要だということになります。
それと同時に、企業主導型の場合には、夜間とか、休日勤務とか、短時間勤務とか、一時預かりなど柔軟に対応できるということを掲げているという点でいいますと、さまざまなニーズに応えた保育を必要としており、子供にとっては非常に強いストレスを覚える環境ではないのか。保育者には通常の保育以上に専門性が要求されるわけですし、夜間とか短時間などは、特殊な保育ともなるために、安全性が一層求められると思っています。
その点で、こういった条件に対応した保育を行うためには、保育士の配置について、企業主導型については五割以上、もちろん小規模Bに相当するとかいろいろあるわけですけれども、認可と同等になっていないというのは、これは問題ではないのかと率直に思うんですが、その点についてのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。
○桑原参考人 私どもも、地域型とか、以前にも病院の看護師さんのための保育をやっていた経緯がございます。やはり、考え方としては、全く認可に準ずる形で私どももやっておりました。
これは、社会福祉法人の使命として、地域にある企業さんとの関係でやっておりましたけれども、そういう意味でいえば、認可基準というものは、最低限と言われておりますけれども、それを遵守するというのは、人員配置も願わくばそうであってほしいなとは思っております。
以上です。
○寺町参考人 私も全く桑原参考人と同様に考えます。
企業主導型の中には、たしかIT企業のケースだったと思いますけれども、そこの企業の従業員さんと同じ金額、給与、所得体系、いい待遇で保育士さんを雇って設置しているというようなところもありますので、そういう、保育士さんを大切にする、従業員の子供を預かるんだから同じようにメンバーシップでやるというぐらいの手厚いことをしていただけるところにこそ、お金がどんどん行ってほしいなというふうには思います。
○塩川委員 ありがとうございます。
寺町参考人にお尋ねしますが、保育士の配置の関係で見ますと、実際には、待機児童がふえた場合に、施設をふやし、また保育士をふやしていくという方向が本来望ましいわけですけれども、そうならない状況のもとで、配置基準そのものを引き下げるような方向での規制緩和策というのを政府がとってきているという点が、この間、課題となっているわけです。
その点では、人員配置や面積基準について独自の上乗せ基準を実施する自治体に見直しを求めるような通知を出してきたということも、それを受けてやっているかどうかというのはまた別ですけれども、国としてそういう姿勢で臨んでいるということが問われることだと思いますし、企業主導型保育事業も、いわばそういった一形態ではあるだろうと思っています。
そういう点では、結果として、そういった保育士の配置の基準などを引き下げるような方向の対応というのは、かえって長時間過密労働も深刻にして、保育士の確保を困難にし、保育の質の低下をもたらすことになりかねないと思うんですが、その点について、お考えはいかがでしょうか。
○寺町参考人 おっしゃるとおりかと思います。
保育士の比率が下がるということは、どの時間帯にも保育士は必ずいなければなりませんので、そうすると、有資格者としてその職場に入っている方個人で見ると、シフトの回数がふえるとか、長時間になるとか、そういう意味で、重い負荷がかかるようになってきてしまうんですね。なので、配置基準が薄まっている施設において離職率が高いということは、それだけ負荷が重いということを示しているのではないかと思います。
○塩川委員 ありがとうございます。
あと、保育士の労働時間の、業務負担の関係で桑原参考人と寺町参考人にお尋ねしたいんですが、保育士の賃金の問題について、やはり全産業に比べて月十万円低いとかという現状がある。これを見直すということは重要です。同時に、労働時間についても、実際には、さまざまな業務負担が多いものですから、それが非常に保育の従事者の方にとっては大きな負担の要因になっている。
全国的なそういう実態調査を国がやっているのかと言っても、そういうものはないという話で、私はこの委員会では、愛知県で研究者の方がやっておられる保育士の実態調査の話も紹介して、つまり、朝、仕事を始める前にそういったさまざまな計画づくりに対応するとか、昼休みにもそういう準備をするとか、仕事が終わってから次の日の準備をするとか、あるいは風呂敷残業で持ち帰りとか、そういう事例もかなりあるという話もありました。
もちろん、園の実情、施設の実情、当然、差があるわけですけれども、全体として、非常に労働時間が長いといったこと、業務負担が非常に大きいことというのが、保育士の就業継続を困難にする、そういう要因になっているんじゃないのかと思うんですが、それはどのように受けとめておられるのか、お聞きしたいと思います。
○桑原参考人 現場ですので、私もそのことは痛感しております。持ち帰り残業みたいなものが実際あるのは事実ですし、例えば保育園の中で昼休みはみんなどうしているかというと、休憩だって、いわゆる労働時間で定められている休憩はちゃんとありますけれども、子供たちと一緒に食事し、一緒にやっています。その中で、お昼寝している間にいろいろなことをやったりするのは事実です。
ですから、一緒くたに労働環境を、一保育士云々ということになると、すごく過密的に思います。これを、今、我が桑の実会でもどう分担化するかということをやっていこうと思っております。
要するに、一人の労働者に対する負荷は、ほっておくと過密になります。ですから、ここを、パートさんを含めた、いわゆる主たる保育、従たる保育、それから裁量的なことを分担しながら、質的な労働時間というものを緩和していくことを目指して今やっております。
以上でございます。
○寺町参考人 私立保育園連盟が、ノンコンタクトタイム、要は子供と直接接しない時間についての調査を先日行っておられましたけれども、ノンコンタクトタイムをきちんと確保するということは、実は保育の質を確保する上で非常に重要であります。子供が何に関心を示したのか、どういう行動をしているのかとか、そういうことをきちんと言語化して、記録化していくということが保育の質を上げていくことにつながっていくんですね。
保育の質を確保するために重要な記録の時間、事務仕事の時間というものを子供と接する時間以外にきちんと設ける、それを八時間の勤務時間の中で確保していくということが、保育士さんたちの残業を減らしたり、保育の質を高めたりというところで非常に重要だと思います。
幼稚園教諭と同じように、例えば直接子供と接遇する時間が六時間だったら、一時間は別に事務仕事の時間を確保するとか、そういうような積算が必要ではないかというふうに思います。
○塩川委員 ありがとうございます。
あと、四人の参考人に公定価格に関連してお尋ねしたいんですが、地域格差の話なんです。
例えば、埼玉の県議会がことし三月に、無償化に向けて質の確保を求める意見書というのを出しているんですけれども、そういった中に、「公定価格については、国家公務員の地域手当に準じた地域区分が設定されているが、近隣自治体と公定価格の乖離が著しい自治体においては特に、保育士の確保が更に困難となるおそれがある。」と。埼玉と東京で大きく差があるといったことなんか、所沢なども身近に、非常に強く感じておるわけです。
こういった公定価格の算定要素となる地域区分について、賃金の差が生まれる、それが保育士確保についてもさまざまな困難の要因をつくっているんじゃないかと思うんですが、その点についてお考えをお聞かせいただけないでしょうか。
○松田参考人 申しわけありません。その点に関して、十分にお答えできる知識が私にはありません。
○松居参考人 やはり、地元に保育士養成校がありながら、一人も地元に来なかったみたいなことが埼玉なんかはあるんですね。東京が近いからということでもあるんですけれども。
やはり、私が住んでいる杉並区なんかでも八万円の居住補助とか、いろいろなインセンティブを出しているわけですね。そうすると、税収の多いところが得になってくるということは確実に出てくると思うんです。
それともう一つは、地域によって、幼稚園が一つもない自治体というのが全国に二割あるわけです。そこはもう全員、保育園でずっと来ていたわけですよ。役場の行政指導で、にせ就労証明書を書かせてというのをずっとやってきた。かと思えば、七割が公立幼稚園でやっているところもある。それと、あと、私立か公立かという、その割合の問題も含めて、余りにも自治体における保育の仕組みが違うんですよね。そこに一律これを当てたときにどうなるか。
一律当てたときに、まず、公立の保育園の中で出るのは、やはり八時間よりも十一時間の方がお得なんですよ。延長料金が発生する時間がやはり違うわけですから。
それとか、やはり全体的に見ると、自分で子供を育てている人が一番損なんじゃないかというような図式に見えてくるわけですよね。
私は、やはり子育てを損得勘定で考えるというのは邪道だと思うんです。損得勘定を捨てるために子育てがあるみたいに思うんです。それでもやはりそういう損得勘定へ引き込まれていくような仕組みになっているなということは、いろんな自治体の課長さん、部長さんがやはり言います。
それと、差が出るのが、給食費をどれだけやるかというのを現場でやれというわけですよ。これは、結構危ない個人情報を現場の保育園に役場からこうやってどんどんやっちゃっていいのみたいな、訴えられたらどうするのみたいなことも起こっている。
だから、小さいことを言えば、本当にいろんなところにいろんな問題が噴出し始めているということですね。それはやはり格差の問題だと思います。
○桑原参考人 まさしく、地域間連携が必要なんですけれども、地域間格差があると思います。その意味で、ぜひ、市町村の枠組みを超えて、また都道府県の枠組みを超えて、地域の子育て事情、人材確保において、協議会を実のあるものとしてつくっていただきたいなと思います。
一応、そういう協議会が市町村の枠組みを超えてできるようにはなっているとは聞いていますが、既得権益がある関係上、なかなか前に進んでいないとも聞いております。
その意味で、地域間格差をなくしていくためには、公定価格も含めて、本当に、もっと大きな意味の公定価格を設定した方がいいと思います。市町村単位の公定価格は余り意味をなしていないというか、不満が多いと思います。
以上です。
○寺町参考人 地域間格差、あると思います。
そして、じゃ、それを埋めるためにどうするかという手段として、一つ、桑原参考人がおっしゃったところかと思いますが、もう一つは、情報供給をきちんとする、そこのインフラの部分をハローワーク等で支えてあげるということがすごく重要ではないかというふうに思います。
○塩川委員 終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いをいたします。
早速ですけれども、松田参考人にお聞きしたいと思います。
きょう、資料の中に、図の二、「幼児教育無償化が親の追加出生意欲に与える効果」という図がありますけれども、この親というのは、収入が低い、高いとかの関係というのはどうなっておりますか。
○松田参考人 御質問ありがとうございます。
女性に関しましては就業形態の影響を取り除いています。つまり、就業形態にかかわらずこの効果はあると見られます。男性につきましては収入の効果を取り除いています、これは統計的な事情なんですけれども。ですので、所得にかかわらずこの効果があると見ております。
○浦野委員 ありがとうございます。
この無償化の議論の中で、結局は高所得者に対する優遇政策になってしまうんじゃないかという指摘もあります。その中で、我々は、少子化対策の面もあって、この無償化というのは我々日本維新の会も言っているわけですけれども、少子化対策という意味では、収入に関係なくこういう効果があるんだということが確かにしっかりと数字としてあらわれているというのは非常に大きなことだと思っております。
続いて、松田参考人にそのまま聞きますけれども、最終的な結語の中に、教育支援に予算をかけるべきだと。もっとかけるべきだということなんですけれども、我々もそういうふうに思っているんですけれども、具体的に、例えばどういう支援、どういうものが一番いいのだということをお考えになっているか、お聞かせいただけますか。
○松田参考人 ありがとうございます。
私のレジュメに書かせていただいたものは、大胆に子育て支援及び子供の教育支援、この両者に予算を投じていただきたいという期待でございます。
教育に関しては、先ほど来申し上げていますとおり、幼児教育の部分、そして高等教育、大学ですね、この費用負担というものはやはり重いですので、その軽減措置をお願いしたいところでございます。
あわせて、子育て支援というものは教育だけではないですので、例えば、これは在宅で子育てをされている方も多うございます。その方に対する支援も必要ですし、我が国は児童手当の水準が少子化に取り組んできた主要国よりも手薄ではないかという指摘もあります。そのあたりの拡充が求めたいところでございます。
以上です。
○浦野委員 ありがとうございます。
松田さん以外の三名の参考人の方にも同じ質問なんですけれども、少子化対策は必要だというふうには皆さん思っていらっしゃると思うんですけれども、その少子化対策に最も効果的と考えている対策というのは何か、それぞれ一つ挙げていただけたらと思うんです。
○松居参考人 少子化対策というのは十五年間いろいろされているわけで、エンゼルプランとか延長保育とか、やればやるほど、やはり子供を産む数は減ってきているわけですよ。だから、子育て支援をやっても、より減るぞというのはもうみんな知っているわけですよね。
それで、今、突然きょう特殊出生率が二・〇になっても、二十年は子供はふえないということもみんな知っているわけですよ、分母になる女性がどんどんどんどん減っていくわけですから。だから、少子化対策というのは、子供がふえるということではもう解決しないというのはみんな知っているわけですよ。
そこで、じゃ年金はどうするのか、税収はどうするのかという、基本的には増税対策なんですよ。だけれども、今これで子供の問題をそっちへかじを切っちゃったときに、本当に、十年後、二十年後、三十年後、この国の経済を支える人間が育つのかということを問題にしていかないと、やはり、それは幼児期の愛着関係とかそういうところにあるんだろうなというのは人権条約を見たってみんな書いてあるわけですから、だから、ここで、やはり子育て支援センターだとか、なるべく親子を引き離さない方向でこの保育士不足の問題を解決していくことによって、同時に、十年先、二十年先、もうちょっと生きる意欲というか、生きる動機がはっきりした子供たちが育っていくんじゃないかというふうに私は考えています。
以上です。
○桑原参考人 先ほど来申し上げていますが、やはり子供中心の予算とか子供中心の制度にすべきだろうと思います。それを具体的に言うのはなかなか難しいんですが、あらゆる制度、政策は、予算も含めて、子供に投資をしていくということが大事だと思っております。保育こそ、先ほど申し上げましたが、少子化対策の決定打になるはずだと僕は思っております。
以上です。
○寺町参考人 子育てが、個人的なことではなくて、社会的に支えられる事柄になるというのが一番大切なことだと思います。
今現在、やはり女性、お母さんに非常に負担が重くかかりがちです。その人たちがというか若い女性たちが、子供を持つことで自分の人生どうなっちゃうんだろうという不安を解消できる、そういう意味で、保育はすごく重要だと思いますし、収入面での、女性も活躍できる社会の変化ということも重要じゃないかと思います。
○浦野委員 ありがとうございます。
松居参考人にお聞かせいただきたいんですけれども、私も桑原さんと同じように社会福祉法人で保育園を運営している人間なんですけれども、我々の業界でも、本当に子供のためを思ったら、ゼロ歳から就学前までずっと保育園で子供たちを見ることが正解なのか、それとも、お父さん、お母さんに子供を見てもらう方が実は子供にとってはいいんじゃないかという議論というのは、これはずっと昔から我々の業界の中でもある話で、やはりその部分というのは、どう捉えるかというのは非常に議論になる部分なんですね。
ただ、今、世の中、私は保育サービスという言い方をするのは余り好きじゃないですけれども、現在、もう保育サービスということになっていますから、言葉を使いますけれども、例えば病児保育だとか、本来、私も保育士なので、資格を持っている人間なので、病気をしているときぐらい……(発言する者あり)えっ、失礼な。そうですよ、私は保育士の資格を持っている。保育士もしていたんですよ。幼稚園の教員の免許も持っていますから、ちゃんと。
子供が病気になったときぐらいお父さん、お母さんに子供を見てもらう方がいいんじゃないかと僕は思う反面、でも、それが現実的にできないから病児保育というサービスも今生まれていて、そういうことを売りにしているところもあって、それは、ニーズがあるから、そういうのが成り立っているわけなんです。
要は、社会がどういうライフスタイルになっていくかという方が大きな問題であって、保育の世界とはまたちょっと別の世界が変わらないとなかなか進まないと思っているんですけれども、その点について、ちょっとお考えを。
○松居参考人 私どもは、こういう話を始めてもう四十年になりますから、全国でいろんな園長先生に会ってきているわけですね。四十年前は、子供のことを、本当に幸せを願う園長先生たちは、いい保育は親に隠れてやらなきゃいけないと言ったんですよ。ここに預けておけば大丈夫と思われたら大変なことになるよと言われていたんです。それはやはり、そこで親がどう育っていくかということを園長先生たちは見ていた。それがだんだんだんだん崩れてきている。
だけれども、この前も鳩ケ谷で講演したときに、ある保育園で講演したときに、七十人規模の保育園なのに、お泊まり保育に二百人来るんですよ。そこの園長が、親は全員一緒に泊まらなきゃいけない、保育というのはそういうものだと親に言うと、二百人出るんですよね。そこはお泊まりキャンプというのもやっています。
だから、保育園や幼稚園を使って、親たちが子育てに生きがいを感じるように、幸せを感じるように、そして、親たちがそこで相談相手をつくっていくように。やはり子育てに一番大切なのは、教育なんかじゃないですよ。教育なんか百年の歴史しかないんだから。それよりも、子育てをしながら、みんなが相談相手を周りにつくっていく、親身な相談相手を四、五人つくっていく、そんなことを保育園、幼稚園が主体になって、それは保育所保育指針に書いてあるわけです、親たちを心を一つに指導するということが。そのとおりのことを保育園が、これはサービス産業じゃないんだよということ、保育指針に書かれているとおりやっていってくれれば、まだこの国は大丈夫というふうに私は思っています。
さっきも言ったように、もう五年生ぐらいから、いい親たちになってほしいねという、まあ親になれない人ももちろんいるわけですけれども、やはりそこで、子供とつき合うということはいいことだよ、楽しいことだよということを、幼児と接する機会をふやすということで、ふやしていってほしいなというふうに思います。
○浦野委員 ありがとうございます。
桑原参考人は私と同じ、まあ国会では国会議員ですけれども、地元に戻れば保育園も経営をしている人間ということで。
きょうの資料なんかは、我々が常々思っていることをふんだんに書いていただいておりますし、公定価格なんかは、本当にこれは絶えず議論がありますよね。公定価格をちゃんと守っていたら、本来、例えば保育士の部分に関して言えば、保育士の給料がこんなに低いのはおかしいじゃないかという議論ももちろんあります。
ただ、株式会社等のそういうのが参入したときに弾力化運用を認めて、そのときは逆に、社会福祉法人に対して、もっと民間の感覚を持って経営しなさいよ、あなたたち努力しなさいよと言われて今のシステムになったわけですよね。それを今、努力していたら、今度は逆に、内部留保がたまっている、けしからぬといって怒られて、いやいや、あなたたちが努力してくださいと言ったんじゃないかと僕はそのとき思いましたけれども。
でも、社会福祉法人の内部留保というのは、正確には内部留保ではないですよね、全て社会福祉に使われるしか出ていかないお金ですから。企業の内部留保と社会福祉法人の中に残っているお金は全く性格が違うというのを、その当時、何度言っても誰も理解してくれなかったんですよね。
私は、そういう部分を含めて、社会福祉法人がこれから果たす役割というのはまだまだ大きくて、きょうの桑原さんの話の中で、ああ、やはりみんな思ってたんやと思ったのは、人材派遣の部分なんですね。
恐らく、これも私たちの想像でしかないかもしれないですけれども、短大を卒業した人たちが、自分で就職活動するのが面倒くさいから派遣に登録する、派遣に登録したら向こうから勝手に保育園を持ってきてくれるから、それで派遣に登録して、保育園は高いお金を派遣会社に中抜きされて保育士を雇っているという状況が今生まれているんだと思うんですね。僕は、これは本末転倒だと思っているんですけれども、これは本当に是正をしないといけないんじゃないかと思っています。
それで、おっしゃっているように、私は大阪ですけれども、大阪府社会福祉協議会などにある人材派遣センターとか、そういうところは積極的にそういう事業も、保育士確保の事業もやっていますけれども、こういった活動、保育士を確保する部分に当たって、こういうことをもっとやってほしいというのがあれば。
○桑原参考人 社会福祉法人こそ地域の安心セーフティーネットだと思います。その意味で、今、人材派遣の問題、紹介会社の問題等を含めて思うには、やはり社会福祉法人の魅力を高めていく、そして地域と連携をしていくということが、先ほど来御質問いただいていますハローワークとのあり方だとか、人材確保につながる私たちの魅力を出していかなきゃいけないな、こんなふうに思っております。
特に、派遣会社等を云々するわけじゃありませんが、やはり契約上、半年間たったらもういいよ、あれはどうかと思いますね。最低、福祉に就職、派遣する又は紹介する人は、やはり一年間、途中でやめないようにしむけることを義務化するとか、そういうふうにしないと、申しわけないけれども、渡り鳥ですね。保育士渡り鳥が、派遣会社を通して、次はここだから、六カ月たったら次、これを裏でやっているようなことをやっていたり、若しくは、今、保育業界でもちょっと話題になっているのは、集団的な問題化して、保育園の先生を集団的に退職していく、こういうことを漏れ聞くことがあります。これはよくないと思います。
ですから、ここは、やはりお互いに、保育をなりわいとしながら紹介していくことは私たちも必要でありますので、ぜひ見直しの一つの議論にしていただきたいなと思いますし、私たちが魅力ある職場づくりをしていくということも、襟を正して、法人の裁量というのはそういうことだと思っております。
内部留保の問題もそのとおりであります。地域に還元するための内部留保でありますので、御理解を賜れればと思います。
ありがとうございます。
以上です。
○浦野委員 ありがとうございます。
派遣の部分に関しては、本当に、園によっては半分以上派遣で賄っているというところも出てきています。特に今、待機児童解消のために保育園をうわあっと建てていっていて、保育士の確保が難しくなって、それで派遣に頼って、派遣からわあっと来てもらうという園がふえつつあるんですね。そこは、やはりちょっと改善をしないといけないんじゃないかというふうには私も思っております。
寺町参考人にお聞きしますけれども、資格を持っている保育士の不足というのは、これはもうずっと言われ続けていて、しかし、保育士の養成というのはそんなに簡単にできるものじゃありません。必ず時間がかかりますから、年にどれぐらいしか保育士が誕生しないというのは、それはもうわかるわけですよね。その中で、待機児童解消のために、今も言ったみたいに、保育園を乱立、乱立という言い方はおかしいですかね、建てないといけなくなって建てている。建物は予算さえつけば建ちますから、建てていく。
その中で、人の手当てというのが難しくなってくる中で、みんなが驚いていたんですけれども、私も保育士をやっていたので、現場も皆さんよりは知っていると自負しているんですけれども、保育士資格がなくてもできる業務というのは保育園にはあると私は思っているんですね。であるならば、保育士資格を、もちろん基準は満たさないといけないですけれども、最低基準は。その上で、補助的な仕事をしてくれる、大阪なんかはそれを今一生懸命言っているんですけれども、保育補助、もちろん、保育補助をする人もしっかりと研修を受けていただいて、一定の水準を担保する。その上で、保育士の補助になる仕事をしてもらう。そうすることによって、むしろ逆に子供たちへのケアができていくというふうに思っているんですけれども、その点についてどう思われますか。
○寺町参考人 非常に重要な御指摘かと思います。
川口市の認可外保育施設での死亡事故の検証委員会報告書というのがございます。この中で、認可外は、保育士配置の三対一とか六対一とかいう中で、その員数の中で、調理をやったり掃除をしたりお布団を敷いたりということが全部含まれてしまっていて、そういう意味で、御飯からお昼寝に入るという時間帯に手が足りなくなって事故が起こった、そういう分析がされているんですね。
そういう意味で、保育補助の部分、子供に直接かかわらない部分での人の手当てというところにもきちんと人を配置してあげる、それを認可外にも広げていって、そこから移行してもらうということは非常に重要なことだと思います。
○浦野委員 ありがとうございました。
そうしたら、時間が参りましたので、終わらせていただきます。
きょうは、どうもありがとうございました。
○牧原委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、一言御挨拶を申し上げます。
参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
参考人の方々は御退席いただいて結構です。
―――――――――――――
○牧原委員長 この際、ただいま議題となっております本案の審査に資するため、昨二十六日に、十一名の委員が参加し、公益財団法人児童育成協会の視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。
最初に、児童育成協会から、同協会の活動内容、企業主導型保育事業の実施状況等について説明を聴取いたしました。
次に、藤田理事長及び同協会の関係者の方々と企業主導型保育事業について質疑応答を行いました。
その主な内容は、児童育成協会の組織及びその規模の妥当性、保育施設の助成決定に係る審査の妥当性、保育施設の譲渡の状況及び譲渡時における補助金の扱い、保育施設の指導監査における業者委託のあり方、平成三十一年度以降の企業主導型保育事業の運営主体などでありました。
以上が、今回の視察の概要であります。
なお、最後に、視察に当たりまして御協力をいただきました関係者の皆様に深く感謝の意を表しまして、御報告といたします。
午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十四分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
午前に引き続き、内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西宏幸君。
○大西(宏)委員 自由民主党・無所属の会、大西宏幸でございます。
久しぶりの内閣委員会の質疑でどきどきしておりまして、前回は、パチンコはギャンブルだと言った途端に余り質疑をさせていただかなかったような気もするんですけれども、それは気のせいでしょうか。
そういうことでございまして、本日は、子育て世代を応援する幼児教育の無償化、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案について質問をさせていただくわけでございます。
安倍晋三首相は、政府の認可保育所に入れない待機児童、二〇一八年度から二〇年度までに、三年間に新しく二十二万の受皿をつくると言いまして、二〇年度末には待機児童を解消する方針を示されておられます。
子育て世代というのは、いわゆる、学校を卒業して数年がたって、仕事について経験や実績を重ねて、ちょうど企業としても戦力となる、活躍が期待される年代でもあるんですけれども、いうても、もちろん、専業主婦の方もいたり、子育てより仕事が優先ということではないんですけれども、それも踏まえながら申し上げますと、これまで培ったキャリアを生かして働きたいと考えたときに、安心して子供を預けられる場所があるとやはり心強いですよね。
我々日本では、古代から、子供は国家や地域で大人たちが守っていたという歴史があります。そういうことも踏まえながら、近代になっても、例えば自分のおじいちゃん、おばあちゃんに面倒を見てもらったり、近くの親戚のおっちゃん、おばちゃん、仲のいいおっちゃんやおばちゃんに子供を面倒見てもらうという、地域で子供たちを育てることというのが意外とあったような気がします。私の小さいときもそうでした。
家庭や地域の形がだんだん変わってきて、そういうニーズがなくなってきたんですよね。だから、保育園などの保育施設、そういう施設を利用しなければいけない状況に今なっているということでございまして、そのことで、一方、保育士不足、保育の質について心配など、いろいろ言われておりますけれども。
先ほど申し上げましたとおり、二十二万の受皿を整備するための保育士さんのニーズはどのように考えていますでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
待機児童の解消には、委員御指摘のとおり、保育の受皿の拡大と同時に、保育の人材確保が不可欠でございます。
子育て安心プランでは、二〇二二年度末までに三十二万人分の受皿整備を行うこととしております。これに伴って必要になる保育人材は、追加で約七・七万人分が必要というふうに考えております。
○大西(宏)委員 七・七万人ということでございまして。
私の地元の方で、保育を経営しておられる方とか保育士さんもいらっしゃいます。そういう方のお話を聞かせていただくと、保育士として就職しても、結婚とか出産を機におやめになったり、思ったような職場ではなかったということで、夢が破れてやめられる方とかいうのがありまして、一番の原因というのは、やはり、他業種と比べて平均賃金が低いということですね。よく言われるのは、社会的地位も低いように感じるとおっしゃっている方もいらっしゃいます。
政府として、保育士さんたちの技能、経験に応じた処遇改善に取り組んでくださっているわけでございますけれども、こうした取組の結果、保育士さんの離職率が低下したり、再就職してくださったりする保育士さんの数は、どのように改善されているでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
保育士さんの不足の状況でございますけれども、有効求人倍率で見ますと、保育士の有効求人倍率は、平成三十一年一月時点で全国で三・六四倍でございまして、依然、保育人材の需給は逼迫している状況だというふうに認識をしております。
このために、保育人材の確保に向けて、二〇一三年度以降、月額約三万八千円、約一二%の処遇改善に加えまして、二〇一七年度からは、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施してまいりました。さらに、平成三十一年度予算案では、更に三千円相当、約一%の処遇改善を実施予定としております。
こうした取組もございまして、直近三年の平成二十六年から二十九年では、約八・三万人、保育人材が増加をしております。これは、一年の平均で見ますと、常勤換算で約二・八万人のペースでの増加となっております。
先ほど申し上げました子育て安心プランの実現に必要な人材、約七・七万人の確保につきましては、単純に計算いたしますと、三年間で毎年約二・六万人のペースで確保することが必要となります。
引き続き、保育士確保のための施策に総合的に取り組んで、必要な人材確保に努めてまいります。
○大西(宏)委員 技能を入れて四万円、また、三十一年度からは三千円プラスするということでございますけれども、それでもなお重労働になっているんでしょうね。二・六万人、毎年必要だということでございますけれども。
なぜこういうふうになったのかというと、我々の小さいときというのは、子供たち、特に女の子が保育士さんになりたいという夢を持っておられましたね。だけれども、保育士さんとして就職したいという人がやはりいなくなってきている原因、これは何なんでしょうね。これは、厚生労働省さん、把握しているでしょうか。よろしくお願いいたします。
○本多政府参考人 保育士不足、また、その離職の原因につきましては、さまざまな分析が可能かと思いますけれども、平成三十年に東京都が実施した保育士実態調査を見ますと、過去に保育士の就業経験がある方のうち、保育士をやめた理由で挙げられているものとしましては、職場の人間関係が最も多くなっております。また、比較的多いのが、給料が安い、仕事量が多い、労働時間が長いといった職場の処遇や勤務環境に関するものが比較的多くなっております。また、そのほかに、妊娠、出産、結婚といった個人的なものも挙げられているということでございます。
○大西(宏)委員 人間関係や、賃金が安い、仕事量がやはり多い、労働時間が長い、これは今までも指摘されていたことなんですけれども、やはり過重労働になっているのかな。
それで、例えば、保育園と家庭をつなぐ連絡ノート、うちの子供たちもしていたわけでございますけれども、一番下ももう小学校になって、懐かしい話になりますけれども、園で子供たちの様子を知ったり、家庭から子供の健康状態を伝えるとかで必要な連絡ノートなんですけれども、やはり先生方は、子供たちが遊び回っているのを見ながら、けがしないようにチェックしながら連絡ノートを書いているわけですよ。いつ書くんやろうなと思うんですよね。
そういうこともやはり今後考えていかなきゃいけませんし、例えば、保育園としては、季節ごとにイベントがあります。大きい保育園とか、行事に力を入れている保育園なんかいうたら、保育士さんとか、毎日、終わった後でも用意とかしていただいていますよね。
それも含めて、各園でも工夫を凝らしておられるということなんですけれども、保育士さんの仕事ってやはりきついんでしょうね。
そういうことで、こうしたことへの対策、検討、若しくは実施とかしているんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
保育士さんの確保のために業務負担の軽減を図ることは非常に重要な対策であるというふうに考えております。
このため、平成三十年度の補正予算におきまして、保育業務のICT化、例えば、保育に関する計画、記録ですとか保護者との連絡、また、子供の登降園の管理、こういった業務のICT化を行うための支援の経費を計上いたしております。
また、平成三十一年度予算案におきましても、保育士の業務を補助する保育補助者の方の雇い上げに対する支援、こういったことを実施しております。
また、さらに、来年度におきましては、具体的にどういったところで業務効率化の余地があるかどうかを把握するために、保育士の業務状況の把握のための調査も行うこととしております。こうした調査結果も活用いたしまして、引き続き、保育士の業務負担の軽減が図られるように努めてまいりたいと思います。
○大西(宏)委員 今おっしゃいましたICTシステム、インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー・システムの略なんですけれども、積極的にこれはやはり導入するべきだなと私自身思います。
欠席や延長保育の連絡は保護者向けのウエブサイトから、例えばアプリもそうなんですけれども、受け付けられて、電話がまず不要になるということ。園にとっても保護者にとっても電話をかけるというのは今本当に大変な負担になるということでございまして、そのことも踏まえて考えなきゃいけませんし、保育士さん側から考えたら、文書を作成する時間が短縮できたり、その文面のフォーマット、基本的なひな形に合わせて文面をつくる。そこに感情がこもらないとか魂がないとか言われる可能性もありますけれども、この辺のところはちょっと考えながらやったとしても、過去の園児の発達記録や年間カリキュラム、そして日々の日誌など、データベースでいつでも見られるということがあるということでございまして、保育士さんの負担軽減も含めて、これは政府として導入支援をお願いしたいものでございます。よろしくお願い申し上げます。
それと、あわせて内閣府にお聞きしたいと思うんですけれども、三歳未満、三歳以上の就学前教育、保育の実施状況を把握していればお教えいただきますようにお願いします。要するに、乳幼児全体のうちどれぐらいが保育所や幼稚園などに通っているかということなんですけれども、よろしくお願いいたします。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
各種調査によりますと、三歳未満児全体の人口は約二百九十二・五万人となってございます。このうち、保育所等の利用児童は約八十九・八万人、比率でいいますと約三〇・七%でございます。幼保連携型認定こども園の利用児童は約十六・五万人、約五・六%となってございます。
また、三歳以上児全体の人口は約三百・二万人となってございます。このうち、幼稚園の利用児童は約百二十・九万人、比率でいいますと約四〇・三%。保育所等の利用児童は約百二十六・五万人、約四二・一%。幼保連携型認定こども園の利用児童は約四十三・三万人、約一四・四%となってございます。
○大西(宏)委員 ゼロ歳から二歳児は、育児休業もしっかりと今は浸透しているから大分下がってきているんですけれども、先ほどの午前中の話でも、ゼロ歳から二歳児のお子様はお父さん、お母さんにちゃんと育てられるのが、未来の創造的な大人になる発育から考えて、やはりほかの施設よりも家庭で育てる方がいいという話もあったわけでございますけれども、逆に、三歳以上になると、やはり義務教育が始まる小学校に入る前に集団になれたいということで、親としても、必然的にふえていくということになると思うんですね。
それで、女性の就業率と保育所の利用率の関係性ということになるわけでございますけれども、過去から推移がわかるようなデータがあるとありがたいんですけれども、厚生労働省、お願いできますでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
まず、女性の就業率については総務省の労働力調査で把握しておりまして、平成二十五年から三十年にかけて、子育て世代である二十五から四十四歳の女性の就業率は六九・五%から七六・五%に上昇しております。
また、同じ時期の保育所等の利用率については厚生労働省の方で把握をしておりますが、こちらは同じ二十五年から三十年にかけまして、三五・〇%から四四・一%へと上昇しております。
この二つの数字、二十五から四十四歳の女性の就業率と保育所等の利用率の関係につきまして分析をいたしますと、両者には強い相関関係があるものと承知をいたしております。
○大西(宏)委員 女性の就業率の上昇を保育の受皿拡大が支えていることが明確になるデータであり、政策の方向が正しいということでございますけれども、ともかくとして、先ほど、午前中の話でもありましたように、ゼロ歳児から三歳児で、例えばそこで意識がまだ明確でない赤ちゃんとか子供に虐待をするとそれがトラウマになっていくということもあるので、そういうことがないように、たたかれたとか虐待を受けたということを言えない子供たちには、やはりそれ相応の大人の見る目というのも必要じゃないかなと思います。
子供を産んだり育てたりしながらでもキャリアを生かして希望の職場や仕事へ復帰できるよう、これからも我々自民党として実効性のある施策を行っていかなきゃならないと思っておりますので、政府にしても、どうぞよろしくお願い申し上げます。
これはまた厚生労働省でしょうか、保育所の定員数と実際に保育園を利用している子供の数は把握していますでしょうか。
○本多政府参考人 保育所等の定員と保育所等の利用児童数につきましては、毎年、四月一日時点の状況を、保育所等関連状況取りまとめということで把握をして公表しております。
直近の平成三十年四月一日では、保育所等の定員が約二百八十万人、利用児童数が約二百六十一万人となっております。
○大西(宏)委員 定員に対して利用児童数の方が低いですよね。
待機児童数が解消されていないという理由ですけれども、これはどういうことかというのは把握していますでしょうか。
○本多政府参考人 先ほど答弁いたしましたように、平成三十年四月時点の定員は約二百八十万人分である一方、児童数は約二百六十一万人で、全国ベースで見ますと、保育所等の定員が利用児童数を上回っております。それにもかかわらず待機児童が解消されておりませんのは、地域ごとに見た場合、都市部では定員以上の受入れを行っている場合もある状況の一方、地方では定員に余裕があるといったように、保育ニーズと保育の受皿整備のミスマッチ等によるものと認識をしております。
このため、保育の実施主体である市区町村が地域の実情に応じて保育の受皿整備を行うことが重要でございます。
子育て安心プランに基づいて、直近の待機児童の状況等を踏まえつつ、潜在的ニーズも含めた保育の利用意向を適切に把握した上で、市区町村ごとに待機児童解消に向けた計画を策定し、公表することとしております。
さらに、待機児童数が多いなど一定の条件に該当する自治体につきましては、市区町村単位よりも小さな、居宅から容易に移動することが可能な区域ごとに整備計画を策定するように依頼をいたしておりまして、平成三十年九月より厚生労働省のホームページで整備計画を公表しております。
○大西(宏)委員 簡単なことで、親がニーズに合わなかったらそこは使わないということなので、これは政府としても、ぜひ、保護者のニーズの多様化も踏まえて、解決がそんなに難しいものじゃないので、積極的にニーズに応えられるような支援をしていただくことをお願いいたします。
ところで、今やはり大きな問題になっているのが虐待なんですけれども、親とか親の関係者による虐待で痛ましい事件が起こっておりますけれども、内容的にはもう本当にひどい内容でございます。
今回の法案とは直接関係ありませんけれども、子供たちが多くの保育所や幼稚園などに通っているわけでございますけれども、その状況を利用して、虐待児童、今虐待を受けている子供たちを助けるために、現状をここで見つけることができないかなと思うんですけれども、どうでしょうか。
○本多政府参考人 児童虐待防止法におきましては、保育所を含む児童福祉施設の職員は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚して、児童虐待の早期発見に努めなければならないとされております。保育所職員は、虐待の早期発見に重要な役割を担っているというふうに考えております。
保育所職員は、虐待を発見した場合は児童相談所や市町村に通告をすることとなっております。これまで、保育所等から虐待通告を行った場合には、保護者に対する対応方法について市町村、児童相談所と事前に協議を行った上で連携した対応を行うとともに、保育所等から市町村や児童相談所におおむね一カ月に一回を標準として出欠状況などの定期的な情報提供を行うことを示してまいりました。
こうした連携をより強化するために、本年二月二十八日に通知を発出いたしまして、先ほど申し上げましたようなこれまでの取組に加えて、威圧的な保護者に対応する場合は、保育所等は警察等と協働して対処すること、また、虐待ケースとして要保護児童対策地域協議会に登録されている保育園児が、休業日を除き引き続き七日以上欠席した場合には速やかに市町村等へ情報提供すること、こういった取扱いを新たにお示しをしたところでございます。
また、保育所等の職員が適切な対応を行えるように、平成二十九年度から開始したキャリアアップ研修におきましても、保護者支援・子育て支援の科目において虐待対応について盛り込んでいるほか、施設長や主任保育士向けの研修でも、虐待対応に関する事項を盛り込んでおります。
今後とも、児童虐待に関し、必要な対応をとることができるよう取組を進めてまいります。
○大西(宏)委員 私の個人的な意見なんですけれども、小学校のように、幼稚園、保育園を義務化してもいいかもわからない。それは無償化して、児童を国が守るぐらいなことを考えていかなきゃいけないのかなと思うんですね。
児童相談所の対応件数は、恥ずべきところでございますけれども、私の地元大阪は、八年連続ワーストワンということで、職員の充足率、全国最低レベルになっています。
保育所から児童相談所にしっかりと報告できるような仕組みをお願いしたいものですけれども、児童の背景はいろいろあります。核家族化が進んで、そして、お母さんが、地方から出てきて知り合いも全くいないまま一人で生活する。私の地元の西区では、夜の仕事の寮に入って、そこのマンションの管理者が誰が入っているかわからなくて、通報があっても、警察が行ってもそのドアをあけることができなかったということで、男の子は溶けていた、女の子は、両方とも餓死して、亡くなっていたんですけれども、その話をすると本当に涙が出る気持ちです。
やはり、知っている人のかわりにどういうふうに行政がそれを補完していくのかというのが絶対必要だと思うので、例えば、ちょっと買物に行くだけの間に子供を見てほしいとか、子供を預けられる場所とか、子育てで困っているというので、言葉的には変なんですけれども、隣のおばちゃん的な相談場所、そういう取り組む仕組みができないかなと思うんですけれども、宮腰大臣、いかがでしょうか。
○宮腰国務大臣 大西委員御指摘のように、我が国には、以前から地域で子供を育てるという伝統があるというふうに思っております。
そういうことから考えますと、地域における子育て支援を必要とする方への取組を強化していかなければいけないと思っております。保育所等に通っている方だけではなくて、家庭で子育てをされている方々への支援もあわせて実施していく必要があると考えております。
そのような観点から、保育所や幼稚園においても、育児疲れによる保護者の心理的、身体的負担を軽減するためなどの一時預かり事業、これは、平成二十九年度の実績で、全国で延べ約五百万人が利用しておいでになります。親子の交流や、子育てに関する不安、悩みなどを相談できる場としての地域子育て支援拠点を実施しております。さらに、妊娠期から子育て期までの切れ目のない相談支援を行う子育て世代包括支援センターの整備も進めております。
今後も、子育て世代への充実した支援が行われるよう、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○大西(宏)委員 以上で質疑を終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、杉田水脈君。
○杉田委員 自由民主党の杉田水脈です。
本日は、子ども・子育て支援法について質問をさせていただきます。
本法案の目的は、あくまで、全ての子供たちが健やかに成長できるよう支援すること、保護者の負担を軽減することだと認識しております。
しかし、利用者の立場、利用者の視点に立って見た場合、日本の制度は非常に複雑でわかりにくいと感じていらっしゃる方が多いのではないかと思います。例えば、私が以前視察したデンマークでは、ゼロ、一、二歳が通うのが保育園、三、四、五歳児が通うのが幼稚園という切り分けで、二歳児までは保育を行って、三歳児以上は保育に加えて幼児教育を行うということにされており、非常に単純明快な切り分けがなされておりましたが、日本では、保育園、幼稚園、認定こども園が、それぞれ、厚生労働省、文部科学省、内閣府と所管が分かれていたり、都道府県と基礎自治体が、どちらが指導監督しているのかがわかりにくかったりといったことが見受けられます。
保護者にとって大変重要なのは、自分の子供を安心して預けられる施設かどうかということだと思います。現状では、子供が生まれて保育施設に預けようと思った際、まずは保護者が制度の違いをちゃんと調べることから始めなくてはいけなくなっております。
利用者の視点に立って、例えば、所管の省庁にかかわらず、全ての保育施設を網羅した全国的なポータルサイトの開設など、子供が生まれたばかりで忙しい保護者の方々が利用しやすい制度の検討を更に進めていっていただきたいと思います。また、将来的には、こういった子供に関する所管の一元化を目指していくべきではないかというふうに考えております。
本日は、このように、利用者の視点に立って質疑を行っていきたいと思っております。大臣、よろしくお願いいたします。
まずは、認可外保育施設の質の確保、向上についてお尋ねをいたします。
現在、都市部などで、待機児童が多い地域を中心とした、認可保育所に入れなかったからやむを得ず認可外保育所を活用するという保護者だけではなくて、例えば、夜間に勤務をしなければならないとかいった保護者の勤務体系を理由に認可外保育施設を利用する保護者も少なくありません。
認可外保育施設の質の確保の議論の際には、認可保育施設へ移行を目指すということを前提にして議論されがちなんですけれども、このように、初めから認可外保育施設に預ける選択肢しか持たない保護者の方々がいらっしゃるわけです。そして、そういう方々こそ、今回の無償化を真に必要としている人たちではないでしょうか。でも、一方で、認可外保育施設での死亡事故、きょうの午前中なんかの議論にもありましたけれども、それも発生しており、保育の施設や安全の確保は喫緊の課題となっています。
ここでお尋ねしたいんですが、認可保育所への移行を目指すのではなくて、認可外であり続けることを前提とした上で、保護者の方々が安心して我が子を預けられる保育の質の確保という観点が必要かと思うんですけれども、この点はいかがお考えでしょうか。
○宮腰国務大臣 委員御指摘のとおり、夜間や休日勤務などの多様な働き方により認可外保育施設を利用されている方がいらっしゃることは十分承知をいたしております。
この無償化を契機に、認可外保育施設の質を確保、向上させることは重要であると認識しておりまして、厚生労働省を中心に、まずは認可施設に移行するための支援を行っておりますが、それに加え、認可外保育施設が守るべき基準の内容について助言などを行う巡回支援指導員の配置を拡充しております。また、指導監督の手法やルールを明確化することなどにより、児童福祉法に基づく都道府県等による指導監督を徹底してまいりたいと考えております。
また、実施主体である市町村の役割は極めて重要であると考えておりまして、改正法案におきましては、市町村長に対し、対象となる施設を特定する確認や、必要に応じた施設への報告徴収、勧告、命令、確認の取消し、さらには都道府県知事に対する必要な協力要請などの権限を与えるための規定を設けております。
認可外保育所にやむを得ず子供さんを預けられる家庭もこれからもずっとおいでになると思っておりますので、認可外保育施設の質の向上、これは極めて大きな課題であると十分に承知をいたしておりまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○杉田委員 先ほどの大臣の答弁の中に、市町村などがしっかりとしたルールを定めて、それで認可外施設、認可外の保育所についても質の向上を図っていきたいという御答弁だったんですけれども、今現在、認可保育施設については基礎自治体が把握していますけれども、認可外保育施設については基礎自治体での把握が困難となっています。
私自身も市役所に勤務しておったんですけれども、自分の勤めている市域の中にどれだけの認可外保育施設があるかということはその市町村は把握していないんですね。どこが把握しているかというと、都道府県が把握しているということになるんですが、現在では、全国に認可外保育施設は一体何カ所あるんでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
認可外保育施設は、児童福祉法によって都道府県等への届出が義務づけられておりまして、平成二十九年三月三十一日時点における全国の届出施設数は七千九百十六カ所でございます。
○杉田委員 都道府県が把握をしているとは思うんですけれども、今回は、無償化の対象となるのが、施設だけではなくて、一時預かり事業であるとか病後児保育事業であるとか、又はファミリーサポート事業を実施しているところも対象になるんですけれども、そういったところを把握するのは、例えば大きな、広域自治体であります都道府県は大変困難だと思うんですけれども、本当に漏れなく把握しているのでしょうか。そのあたりはちょっと疑問なんですけれども。
○本多政府参考人 お答えいたします。
今委員の挙げられました一時預かりですとかファミサポは市町村が把握をしております。また、認可外保育施設の数を全てちゃんと把握できているのかという御指摘でございますけれども、認可外保育施設の設置者は、児童福祉法第五十九条の二第一項の規定によりまして、事業開始後一カ月以内に施設が所在する都道府県に届出することとされておりまして、届出は義務でございます。仮に届出を怠った場合等は過料が科されるということになっております。
また、認可外保育施設につきましては、管内の市区町村等の協力も得まして、各都道府県において適切に把握されているものと承知をいたしております。
○杉田委員 今の答弁を聞いていてもわかるように、例えばファミサポ施設とかは市町村がやっています、でも認可外保育施設は都道府県がやっていますという形で、全部これがばらばらになっていってしまっているんですよね。
でも、今回無償化するに当たっては、都道府県ではなくて基礎自治体が、例えば今まで都道府県が把握をしていた認可外保育所について、今度は市区町村がそれを把握する必要があるんですけれども、これはどのようにして情報連携を行っていくんでしょうか。データベースとかシステムの構築による連携をという形でおっしゃっているんですけれども、本当に小さな基礎自治体まできちっと対応ができるのか、また、十月の実施に間に合うのでしょうか。
○本多政府参考人 幼児教育、保育の無償化の実施に当たりましては、市町村は、都道府県等の認可外保育施設の情報を利用して、認可外保育施設の利用料に関する給付事務を行うこととなります。
児童福祉法におきまして、都道府県等に提出された認可外保育施設の届出や運営状況の報告等の情報は施設が所在する市町村に通知することとされておりまして、まずこれを徹底するように促します。さらに、都道府県と市町村の間での情報共有を一層密に行っていく必要がございますので、市町村において認可外保育施設の情報が確認可能な情報共有システムを構築することとし、平成三十一年度中の運用開始を目指すこととしております。
このシステムが構築されるまでの間の取扱いといたしましては、厚生労働省のホームページ上に保護者等への情報提供を目的とした全国の認可外保育施設の窓口情報一覧を掲載する予定でございます。
○杉田委員 無償化の実施は十月から、でも、そういったシステム構築などをするのが三十一年度中ということで、ここでもう既にずれがあるというふうに思うんですね。
でも、しっかりと十月から全ての自治体でこういったことが連携ができて実施できるようにということをまずは念頭に置いて、よろしくお願いしたいというふうに思います。
では、次の質問に参りたいと思います。
今、この法案、待機児童対策の一部ということも言われておるんですけれども、待機児童というのは都市部に集中しております。平成三十年の四月一日現在の調査によると、待機児童がいる市町村の数は四百三十五で、全市町村の二五%ということになっています。待機児童解消のための法改正と言われても、子供の数がどんどん減って、待機児童どころか、保育所を閉鎖しなければならないといった課題を抱えた自治体においては、これはなかなか実感が湧かないのではないでしょうか。
自治体の実情に合わせた柔軟な対応をすることを可能とするということも含めて、条例などの必要な措置が検討できるということなんですけれども、これによります自治体側のメリットを教えていただけますでしょうか。
○宮腰国務大臣 待機児童の状況などが地域によって異なることを踏まえ、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たすための五年間の猶予期間において、市町村が指導監督基準の範囲内で、条例により対象施設の範囲を定めることを可能とする仕組みを法改正で提案をさせていただいております。
例えば、地域の全ての認可外保育施設が指導監督基準を満たしており、待機児童もいないような地域、これは全国で幾つかの県が該当するわけでありますけれども、そういう地域におきましては、条例により基準を満たす認可外保育施設のみを対象とすることが可能になります。
これにより、市町村の判断により、地域の実情に応じた柔軟な運用ができるようになると考えております。
この仕組みは、そもそも地方自治体との協議を踏まえて設けたものでありまして、引き続き、地方自治体との協議の場で、認可外保育施設の質の確保、向上を始めとするさまざまな課題の検討を続けながら、十月からの円滑な実施に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○杉田委員 大臣がおっしゃったとおり、基準を満たす施設ばかりで、待機児童もいないというような都道府県というのは結構あるかと思うんですね。どうしても、こういう措置をしていくと、都市部ばかりが優遇されているんじゃないかというようなことがないように、地方のところにもしっかりと目配りをしていただいて、自治体が運用しやすいような、そういった制度になってほしいなというふうに思っております。
では、次の質問に参ります。
保育の質の確保、向上のためには、必要数に見合った数の保育士の確保が必要になってくると思いますが、きょうの午前中も潜在保育士の話題がかなり出てきたんですけれども、現在約八十万人の潜在保育士がいるというふうに言われております。
平成二十九年に策定されました子育て安心プランでは、保育の受皿の拡大を支える人材確保のための取組の一つとして、保育士の子供の預かり支援推進が掲げられていました。保育士さん自身が、自分が子供を抱えているけれども、保育所に預けられないから働けないとかというようなことをいかにして解決していくかということなんですけれども、しかし、実際に潜在保育士の方々に話を聞いてみると、働きたいと希望している保育施設では自分の子供を入所させることが禁止されていて復職に踏み出せないという方も多いようなので、子育て安心プランの策定以降、現場で働く保育士の数や潜在保育士の数の推移など、その進捗状況の調査が行われているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○本多政府参考人 お答えいたします。
待機児童の解消のためには、保育の受皿拡大と同時に、それを支える保育人材の確保が不可欠でございます。
そのため、処遇改善に加えて、新規の資格取得の促進、就業継続、離職者の再就職の促進といった観点から総合的な支援を行っているほか、保育人材の確保、育成や、就業継続による保育の受皿の維持拡充というメリットを考慮して、保育士の子供の保育所の優先利用について自治体に要請を行っております。
保育士の子供の優先入所の要請に当たりましては、保育士が勤務する保育所についても、ほかの保育所と扱いに差を設けず、入所対象とするようにお示しをしているところでございます。
現在、その保育士の優先入所の実施状況を調査をしておりまして、取組状況を踏まえて必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
○杉田委員 お母さんが働く施設でその子供が預かれるということがまだまだ禁止されている市町村も多いみたいなので、そのあたりを保育士不足という視点でしっかりと捉えてやっていただければというふうに思います。
今回、無償化といっても、認可外保育施設については償還払いが基本となっているように聞いているんですけれども、認可外施設の利用者の方の中には、そもそも一時立てかえが困難な方であるとか、また、領収書の管理とかそういった申請のためのペーパーワークを不得意とする方なんかもいらっしゃると思うんですけれども、こういったことに対して、例えばバウチャー制度の導入などによって保護者の手続を簡素化するというふうな検討はなされているんでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
今般の無償化に当たりまして、認可外保育施設等の利用者につきましては、複数サービスを利用する可能性もありますことから、無償化の給付に当たりましては、一括して精算できる償還払いを原則としてございます。
他方、地方自治体の管理コストに配慮しつつ、保護者の方の無償化に係る手続が簡素化されることは重要であると認識してございます。
このため、認可外保育施設等の利用者に対する給付につきましても、市町村が地域の実情に応じて現物給付を可能とし、必ずしも保護者の方が立てかえ払いをしなくてもよい方向で検討してございます。
なお、バウチャー券の利用でございますけれども、保護者の領収書管理が不要となるなどのメリットがございますが、その一方で、例えば発行、適正運営などの地方自治体の管理コスト、第三者への提供や換金等の不正使用のおそれなどの課題があるものと認識してございます。
○杉田委員 手続が煩雑だからこの制度が受けられなかったという人がないように、くれぐれもお願いをしていきたいと思います。
今回の改正案だけではなくて、子育て支援の議論の際には共働き家庭の支援ばかりに目が向けられがちですけれども、私は、専業主婦の方々にももっと目を向けることが大切だというふうに思っております。社会に出て働く女性だけが輝く女性ではなく、専業主婦として子供を育てるお母さんも同様に輝く女性です。
以前と比べて減ったとはいえ、まだ日本の家庭のうち約八百六十万世帯が専業主婦家庭です。本改正案では幼稚園の無償化も対象となっているので、共働き家庭でなくても無償化の対象であるということは認識していますけれども、専業主婦の方々が利用する一時預かりやファミリーサポートといった保育施策についても無償化の対象になるんでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
幼児教育、保育の無償化におきましては、幼稚園、認可保育所、認定こども園のほか、待機児童問題により、やむを得ず認可外保育施設や一時預かり事業などを利用せざるを得ない人がいることから、認可保育所の入所要件と同様に、保育の必要性のある子供がこうした施設を利用する場合に、地方自治体においてその認定をした上で対象とすることとしてございます。
この保育の必要性でございますけれども、保護者が就労を常態としている場合や、親族を常時介護している場合などとしてございます。
このため、法令上の保育の必要性の認定要件を満たさない、いわゆる専業主婦世帯のお子様につきましては、委員御指摘の、法律により質が制度的に担保され、無償化の対象となる幼稚園や認定こども園を利用することはできますけれども、その都度ごとの事由により一時預かり事業などを利用する場合は無償化の対象外としてございます。
こうした場合、地方自治体が事前に認定を行うことが困難な中で、どこまで適正な給付管理が可能かという課題もございますし、また、その理由がさまざまであると考えられる中、その全てに対して公費を投入していくことはなかなか難しいと考えてございます。
他方、御自宅で子育てをされている方々への支援もあわせて実施していくことが重要であると考えてございまして、親子の交流や子育てに関する不安、悩み等を相談できる場としての地域子育て支援拠点、妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を行う子育て世代包括支援センターの整備などを進めているところでございます。
○杉田委員 それでは、幼稚園に子供を通わせていない専業主婦の方々にとっては、今回の法改正の恩恵が一切ないということになってしまいます。
また、都心部では幼稚園に入れない子供たちというのが出ていて、じゃ、抽せんで幼稚園に入れた子供は無償化の対象になるけれども、入れなくて、お母さんがおうちで見ている子供は全く今回のこの法改正の恩恵を受けないということになってしまって、ますます、そういった家庭で子育てや家事を頑張っているお母さんたちを軽視することになるのではないかというふうに思います。
時間も大分迫ってきましたので、最後、ちょっと少子化対策について申し上げておきたいなというふうに思っております。
昨今、欧米と比べて深いと言われていた日本のM字カーブが底上げされていると言われていますが、これは、女性が家庭や子供を持って働き続けているからではなくて、独身のまま働き続けるケースがふえたからであると分析する専門家がいます。女性の社会進出は少子化対策の特効薬にはならず、かえって晩婚化が進み、少子化を推し進める方向に行ってしまっているという指摘があります。
働きたいと思っている女性が社会で思いをかなえることはとても大切だと私も思っております。一方で、本当は家庭で子育てや家事に専念したい、でも、旦那さん一人のお給料ではやっていけないのでやむなく働いているという女性も多く存在します。今の政策議論は、そういった女性の思いを余りにも軽視しているように思えます。
共働き世帯と専業主婦世帯の出生率がいかに違うのかとか、親と同居している又は近居している世帯と、核家族で子育てをしている世帯との間に子供の数というのはどう違うのかといった、これらを比較したデータがどのようになっているのかということが、なかなかこれが表に出てこないんですね。そろそろ、そういった正しいデータベースに基づいて少子化対策というのを議論していくときに来ているんじゃないかと思います。
また、人口が一極集中している東京だけが合計特殊出生率が一・〇を下回って、全体の数字を押し下げています。真に子供を産み育てやすい環境を整えるためにはどうすればいいのか。男女を問わず、一家の大黒柱一人のお給料で家族を養える環境についても、少子化対策という視点で考えていかなければならないのではないでしょうか。
若年層の低賃金化、非正規雇用化のことも、これも少子化の大きな原因になっていると思います。こういった議論が緒につくことを願いまして、質問を終わります。
どうもありがとうございました。
○牧原委員長 宮腰大臣、どうぞ御退席をしてください。
―――――――――――――
○牧原委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。
ただいま議題となっております本案に対し、文部科学委員会及び厚生労働委員会から連合審査会開会の申入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
なお、連合審査会は、明二十八日木曜日午前九時から開会いたしますので、御了承願います。
この際、暫時休憩いたします。
午後一時四十七分休憩
――――◇―――――
午後三時二十分開議
○牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局長森永耕造君、内閣府大臣官房審議官渡邉清君、内閣府大臣官房審議官林伴子君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、文部科学省大臣官房審議官丸山洋司君、文部科学省高等教育局私学部長白間竜一郎君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官土田浩史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○牧原委員長 質疑を続行いたします。阿部知子君。
○阿部委員 立憲民主党・無所属フォーラムの阿部知子です。
本日は、子ども・子育て法案の改正案について、骨格的な論議をお願いしたいと思いまして、宮腰大臣始め、よろしくお願い申し上げます。
まず冒頭、きょうは午前中、参考人の御意見を伺うという回がございまして、私も自室で拝聴しておりましたが、いずれの参考人の方も、大変に示唆に富む御発言でありました。
大臣には、お願いがございますが、本当にお忙しい時間配分と思いますが、ぜひ議事録等々お目通しいただきまして、と申しますのも、ここに集う誰もが、子供たちの保育、教育の無償化は望んでおると思うんです。その場合の順番はどうか、あるいは懸念の点はどうか、改善すべきは何かなどについて、非常に多岐にわたる論点が御指摘をされていたように思いますので、お願いですが、大臣には、一度はお読みいただきたいと思います。
僣越なことを申しまして失礼いたしましたが、質問に入らせていただきます。
一点目の質問は、今回の法案と申しますのは、子ども・子育て支援法の一部改正という中で、非常に骨格的な部分を変えてございます。二条の二項と言われるところに追加したものがございます。
この法案の二条とは、全ての子供が健やかに成長するように支援するものであって、良質かつ適切なものであることに加えという、これが前段でありました。ここに、子供の保護者の経済的負担の軽減に適切に配慮されたものとするということを基本理念に追加をいたしました。
前段では、子供の成長が健やかに、また、その支援が良質かつ適切なものであるということをうたい、後段は、経済的負担の軽減ということを組み込みましたが、あくまでも、この前段、大臣のお手元に資料として、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案の概要を置いてございますが、基本理念の前段は、良質かつ適切なものであることに加えでありまして、一に大事なことは良質かつ適切であるということ、これは子ども・子育て支援法の理念でございますので、そこは共通認識といたしました上で、では、各委員が御指摘のように、ベビーシッターさん、あるいは認可外保育所、これはベビーホテルも含むものと思いますが、こうした中には必ずしも指導監督基準を満たしておらないものもございますし、それを、経過措置とはいえ、五年延長する、そして給付はしていくとなりますと、良質かつ適切な子供たち支援というものを担保するものがないと思います。
良質かつ適切はどう担保されますでしょう。五年間の経過期間中も含めて、お答えをいただきたいと思います。
○宮腰国務大臣 まず、委員御指摘のけさの参考人質疑につきましては、後ほどインターネット中継などで拝見をしたいというふうに考えております。
そして、御質問でございますが、幼児教育、保育の無償化に当たりましては、待機児童問題により、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない人についても、負担軽減の観点から対象といたしました。
この第二条の改正でありますけれども、子ども・子育て支援の内容及び水準に関する基本理念としては、改正法案では、良質かつ適切なものであり、かつ、経済的負担の軽減に適切に配慮されたものでなければならないとしております。この二つは条文上同列でありまして、同時に実現を図っていくべき事柄であると認識をいたしております。
原則、指導基準を満たす認可外保育施設が対象でありますが、現に、基準を満たさない認可外保育施設にお子さんを預けていらっしゃる方々もいることから、そうした施設が基準を満たすために、五年間の猶予期間を設けております。
無償化を契機に、認可外保育施設の質の確保、向上が図られるよう、厚生労働省を中心に、認可外保育施設が守るべき基準の内容について助言などを行う巡回支援指導員の配置の拡充や、指導監督の手法やルールを明確にすることなどによる都道府県等による指導監督の徹底、さらには指導監督基準を満たす認可外保育施設が認可施設に移行するための運営費等の支援の拡充といった取組を進めてまいります。
また、実施主体である市町村の役割は極めて重要であると考えておりまして、改正法案におきましては、市町村長に対し、対象となる施設を特定する確認や、必要に応じた施設への報告徴収、勧告、命令、確認の取消し、さらには都道府県知事に対する必要な協力要請などの権限を与えるための規定を設けております。
子ども・子育て支援法の基本理念にのっとりまして、良質かつ適切な幼児教育、保育が確保されるよう、政府を挙げて対応してまいりたいと考えております。
○阿部委員 今大臣は、前段と後段は両方ウエートは同じなんだとおっしゃいました。私は、あえて言わせていただくと、違うと思います。
子ども・子育ての支援において一番大事なのは、その支援が良質かつ適切である、これは前提であります。今回、二条二項に経済的負担の軽減を追加したことによって、後で追加したものが前段を食い潰してしまうような事態がこの認可外の保育園における給付だと私は思います。
大臣、あけていただいて、二ページ目を見ていただきますと、ここには、従来の子ども・子育て支援給付が前段でありまして、今回の法改正で行われるものが赤囲いにしてあります中で、この中で、今、私が特に問題にしているのは、認可外保育施設。ここの中には、認可を受けていないベビーシッターさんや、あるいは、いわゆるベビーホテルも加わっております。
大臣、これは御存じのことと思いますが、こうした施設が果たしてどこほど指導監督、立入調査を受けているかというと、このベビーホテルも含む認可外保育園の場合は、立入調査が全体の七割受けていて、基準を満たすものは、ベビーホテルでは四割、認可外では半数ちょっと。すなわち、トータルで見れば、立入りを受けたものの半数しか基準を今満たしておらない。これをとても良質かつ適切な支援とは申せません。
あくまでも支援が良質かつ適切であることが、この子ども・子育て支援法の肝でございます。このことを私ども立憲民主党を含めて野党が皆指摘しておりまして、大臣の御答弁では、やむを得ずとおっしゃいましたが、やむを得ないから良質かつ適切でないものでいいかというと、よくないのです。
というのは、子供は生き物で、その経過の五年間も生きて、育って、そして、良質かつ適切な支援を受ける権利の主体であるからです。こうしたことが、追加したことによって、すなわち後段を加えて前段を食い潰したのでは、子ども・子育て支援法の理念を損なうと私は思います。
大臣、お聞きくださいますか。私は、これはすごく大事なことだと思うんです。大臣のおっしゃるように、やむを得ず預けておられるという状況は理解します。でも、私は、子供を中心にして考えたときに、それが良質かつ適切か、極端な場合は亡くなってしまうケースもあるわけですから、第一に、何があっても良質かつ適切じゃなくちゃいけない、そう考えたときに、今回のこの無償化は手順が違うんだと思います。
大臣にこれは重ねてお伺いしても、ずっと同じ御答弁ですので。でも、私は、この点はぜひ、子ども・子育てを担当する大臣にわかっていただきたい。
子供にとっての五年間は本当に重要です。昔から三つ子の魂百までと申しますことの意味は、そのときどんなふうに遇されたか、アタッチメントといいます、信頼関係、愛着行動、それがその一番最初のところで築かれるから、良質かつ適切でなければならないのです。何でもいいから荷物のように預けていいものではないのです。私はこのことを、この法案を、せっかくつくった子ども・子育て法案をないがしろにするものとして、非常に怒りを持って受けとめております。
もう一つ問題があります。
ゼロから二歳については、低所得世帯のみ給付の対象になります。でも、平成十八年以降、幼保一元化という名前で、これは、御党自民党が与党の時代、そして民主党が与党になって幼保一体化と申しましたが、保育から始まって教育に至るまで一連の子供の成長過程だというふうに認識しようということになったわけです。
それまでは、保育園、幼稚園と制度が子供たちを縦割りにしていたものを、そうではない、子供は、当たり前だけれども一連の成長過程を持ったものであると認識して遇していこうというのが幼保一元化あるいは幼保一体化の理念であります。ここでなぜ、ゼロから二歳までと三から五歳に新たな分断線を引くのか。外的要因で引くべきではないのです。
大臣、なぜ、ゼロから二、三から五、分けられますか。例えば、きょうの参考人のお話にも出ました韓国では、その結果は別として、無償化はゼロから五歳までであります。そこに線を引かないということは、我が国がこれから子育て、子供の育ち、両方です、を考えるときに、一連のプロセスだ、外の制度によって分断していってはいけないということなんだと思いますが、ここに分断線を引くことをよしとする根拠を教えてください。
○宮腰国務大臣 今ほどの前段で御指摘があった認可外の問題でありますけれども、これは都道府県によって状況がいろいろ違う、あるいは市町村によっていろいろ違う。複数の県では、その県内にある認可外保育所は全て県の指導監督基準を満たしていて、満たしていないところはゼロであるという県も複数あります。
でありますので、今回、市町村の判断によって認可外保育所を対象とするかしないかということが条例でもって定めることができるというふうにさせていただいたのは、それぞれの市町村によって認可外保育所の実態が相当違うということがあって、認可外保育所であっても実質的に認可の条件を満たしているところまで外すというようなことにはしてはいけないのではないかというふうな考え方から、最終的には、市町村長が条例でその対象施設の基準を定めるというふうにさせていただいたものであって、ここを、やはり認可外であるから一律に対象外とするというようなことは、私は適当ではないのではないかというふうに考えております。
それから、〇―二歳と三歳児の線引きだ、こういうお話でありますけれども、子ども・子育て支援法の基本理念、これは、おのおのの子供や子育て家庭の置かれた状況や地域の実情を踏まえ、幼児教育、保育のみならず、地域における多様な子ども・子育て支援を含めた子ども・子育て支援全体についての量的拡充と質的改善をうたっているものであります。ゼロ歳から二歳児を対象とした子ども・子育て支援にはさまざまなものがありまして、幼児教育、保育における無償化の対象範囲だけをもってこの基本理念に反するとは言えないと考えております。
なお、ゼロ歳から二歳までの無償化につきましては、待機児童の問題もあることから、住民税非課税世帯に限って無償化することとしておりますけれども、子供たちのさらなる支援につきましては、少子化対策や乳幼児期の生育の観点から、安定財源の確保とあわせて検討することといたしております。
○阿部委員 私が申し上げたいのは、地方自治体によって差があっていいのかということです。これは、ナショナルミニマムとしての子供たちの育つ権利です。子どもの権利条約にのっとれば、どこの自治体に生まれたから、ここは認可外の保育園もちゃんと見ている、こっちは見ていない、だから、あなたの県、例えばA県に生まれた子供は、ちゃんと見ていて、それをその自治体が給付の対象としますからいいですよではないのです。ナショナルミニマムは、子供たち全てに向かって公平で公正でなくてはいけません。どこの自治体に生まれようと差があってはいけないのが子供の育つ権利であります。
それを、大臣がそのように、自治体ごとにちゃんと認可外でもやっているところがあるとおっしゃること自身が、私は、子供の育ち行く保障にならないと思います。現状は、それはさまざま、いろいろな経済的要因があろうかと思います。でも、向かうべき理念を指し示さないと、こうした国の子育て支援は道を過つと思います。
おまけに、待機児童の有無という外的要因です。これによって子供に分断線を入れていくということの問題を指摘しています。例えば、ゼロから五歳にして、無償化の額を下げてもよいのかもしれません。いろいろな考え方、そこに線を引かない考え方、待機児童があることの対策は、政府もお認めのように全力でやっているのですから、私は、物の考え方、子供の育ちを支援するとは何かということにおいて、今回の法案の手順は誤っていると思います。
かつ、この経済的条項が、良質かつ適切であるものに加えという、加え以降は、子供の保育者の経済的負担の軽減に適切に配慮される。子供の保育者の経済的状況に適切に配慮されるとは、通常は応能負担を申します。私は、前段の全員への無償化が、今この国の経済状況の中で優先順位がつけられないのであれば、当面、それは、経済的な困窮度の高い方からやっていくというのは仕方ない、次善だと思います。
大臣、これは二重で手順が間違っています。三から五を優先させて、そしてゼロから二と分断をしたこと、そして、プラス、三から五でも、経済的に比較的中高位の方々に現実には多くの消費税の増税分が行き渡ること、この二つは本来の子供支援ではないと思います。
次の質問に行かせていただきます。
大臣にせんだって私が宿題とさせていただいた部分です。きょうは財務副大臣にもお越しいただいていますので、お待たせして申しわけありませんが、開いて三ページ、見ていただきますと、ここには、これは平成二十六年につくられた子ども・子育て支援の量的拡充と質の改善というところで、前回も取り上げさせていただきましたが、質の改善のところの、現状において、三歳児の配置基準が二十対一を十五対一、職員さんの配置基準ですね、一歳児を六対一を五対一にする、四、五歳の職員配置を三十対一を二十五対一にする、この三つが並んでおりますうち、現状進んでおるのは三歳児の職員配置の改善のみであります。
実は、一番大変なのは一歳児です。あっちに走る子、お昼寝をする子、泣く子、御飯の子、うんちをしているときもあるかもしれない、さまざまな要求が四方八方に散る一歳児。本当に一人で六人なんて、千手観音でもあるまいし、できないのです。だから、せめて五対一、多くの自治体は独自の加配でここに踏み込んでいます、事故が怖いから。でも、国はこれもやっていない。そして、今度無償化になるというところの四、五歳児のところも相変わらず三十対一であります。
なぜこの二つが置いてきぼりにされているのか、財務省がなぜここに財布のひもを開かないのか、この点について御答弁をお願いいたします。
○うえの副大臣 お答えいたします。
子ども・子育て支援分野につきましては、二〇一九年度予算までに、消費税増収分を活用いたしまして、〇・七兆円分の充実を着実に実施をしてきたところであります。
その上で、子ども・子育て支援を充実する中におきましては、保育士の処遇改善や業務負担の軽減を通じて質の向上を図るということもとても重要な課題だと考えています。
消費税増収分を充てることとされております〇・七兆円を超える〇・三兆円のメニューにつきましては、骨太の方針二〇一八におきまして、「消費税分以外も含め、適切に財源を確保していく。」とされているものと承知をしています。
この〇・三兆円のメニューにつきましては、これまでも安定的な財源を確保しながら順次対応してきており、例えば、二〇一九年度の予算におきましても、保育人材の処遇を二%改善するための予算などを計上したところです。
引き続き、関係省庁とも連携をしながら、安定的な財源を確保して、子ども・子育て支援を着実に実施をしていきたいと考えています。
○阿部委員 安定的な財源の確保が四年も五年もできていないんです。一切手つかずなんです、国の配置の変更は。
宮腰大臣、これは私、せんだって宿題にしました。例えば、今度無償化の前にこれをやられたらどうですか。今度七千億からの財源なんですから、まずそこから、一千億ちょっとでございます。七千億の前にやるべきことがある。四年も五年も塩漬けになって、加配されていない保育士さんの現状です。このことを、まず大臣がリーダーシップをとって、ここからやってくださいませんか。なぜやられませんか。御答弁をお願いします。
○宮腰国務大臣 いわゆる〇・七兆円メニューについては前倒しで達成をしてきたわけでありますし、〇・三兆円超のメニューにつきましては、一歳児や四歳児、五歳児の職員配置の改善が中に含まれているわけでありますけれども、骨太方針二〇一八におきまして、適切に財源を確保していくというふうにされております。もちろんでありますけれども、各年度の予算編成過程において、安定的な財源確保、全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
○阿部委員 大臣、申しわけないけれども、本当に答えになっていないんです。なぜ四年も五年もここだけ優先順位が後回しなんですか。おかしいと思われませんか。
次のページを見ていただくと、これは、保育士さんのやめられる理由と復職のときの希望条件です。やめられる理由は、妊娠され出産される、給料が安い、職場の人間関係、そして次に、結婚は妊娠とつながっていますから、仕事量が多いというのがやめられる理由の高位なんですね。それから、仕事に戻るときは、勤務日数、通勤時間、勤務時間、全部仕事の話ですよ。あっぷあっぷしているんです。
きょう、多数の人から御指摘ありました。今、保育現場で虐待すら起こるくらい、保育士さんが余力をなくしているんです。人生の一番大事な子供たちのスタート、グッドスタートじゃなくなってしまうんです。ゆとりのない育児が子供の親による虐待も惹起しています。保育園に行ってすら子供たちが守られないとしたら、それは国策の優先順位の誤りであります。
大臣には強くこのことを申し上げて、私は、ほかにもまだ残しましたが、きょうはこの点、特に大臣に最後に一言お答えいただきたい。数多い保育園の虐待に対応していくためには、まず加配、そして職場の人間関係、教育、全てあります。大臣の決意を伺います。
○宮腰国務大臣 先日、東京の都心の新たに設置された私立の保育園、視察をしてまいりました。当然、待機児童が多い地域。これは岡山県の社会福祉法人だったと思うんですが、東京都の都心で新たにつくった保育園。そこで、一度申し上げたことがありましたけれども、うつ伏せになっている子供さんを、ブザーで、信号が出て、そこですぐわかると。
そこの保育士さんと意見交換をしてまいりました。もちろん、そんなに多い保育士さんの数ではありませんけれども、業務改善を園側と保育士さん側とでよく話をしながら調整をつけて、実はそこの保育園では、こう言っちゃなんですけれども、残業ゼロということでずっとやってきている。
改善すべき点、やはり、現場と園の経営者といいますか、しっかり話をして、そこで解決できる問題もあるのではないか。そういうところは、もちろん人員の配置の問題は当然大事でありますけれども、それ以外にも、国として、例えばICTによるいろいろな業務の改善だとか、応援できるところも含めてしっかりとやっていきたいなというふうに考えております。
○阿部委員 当然の当然からやってください。
終わります。
○牧原委員長 次に、近藤昭一君。
○近藤(昭)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの近藤昭一でございます。
きょうは、質問の時間をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。
それでは質問させていただきますが、今も同僚議員からも言及させていただいたところであります。きょう、午前中に参考人の皆さんの貴重なお話を聞かせていただきました。
多くの方が指摘をされたことが、やはり保育、教育の質が大切なんだ、確かに需要に応えていくということも大切だ、しかしその中で、基準が緩められるまた基準に違反している、こういうことによって保育、教育の質が低下していくということは大変な問題だと。
そしてまた、きょうは弁護士の方の参考意見もありました。基準を満たさない認可外のところでやはり残念ながら事故あるいは事件とも言えるようなことが起きているんだ、そういうことをしっかりとやることこそまず大事なんだ、こんな御指摘があったわけであります。
ということで、改めて大臣にぜひ根本のところでお聞かせをいただきたいと思うわけであります。つまり、今回のこの法案の最大の目指すところは無償化。この目指す無償化というのは、子供たちのための福祉であるのか、あるいは保護者のための経済的な対策であるのか。この根本のところを改めて、大臣、お聞かせをいただきたいと思います。
○宮腰国務大臣 近藤委員にお答えをいたします。
今般の幼児教育、保育の無償化、これは二つの観点から実施するものであります。一つ目は、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るという少子化対策、もう一つが、生涯にわたる人格形成の基礎、あるいはその後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性、この二つの観点から実施するものであります。
何度か申し上げておりますけれども、二十代、三十代、若い世代が理想の子供の数を持たない理由として、八割前後の方が子育てや教育にお金がかかり過ぎることを挙げております。具体的には、幼児教育、保育の段階と、あとは高等教育の段階、この二つの段階であります。
保護者の経済的な負担軽減という観点で見ますと、幼児教育、保育の無償化を始めとする教育費の負担を軽減することは重要な少子化対策の一つであると考えております。
一方で、子供のために資するという観点で見ますと、さまざまな研究等において幼児期の教育の重要性が認められてきておりまして、三歳から五歳までの全ての子供たちに質の高い幼児教育の機会を保障することは極めて重要であるというふうに思っております。
今般の無償化は、少子化対策と幼児教育の重要性の両方を目的としているというふうに考えております。
○近藤(昭)委員 大臣、そうした格差が社会全体に広がっているという中で、全ての保護者あるいは当事者、子供たちにそういった機会をしっかりつくっていくということが大変大事。ただ、その観点で、子供のための福祉、やはりこの質をしっかりと維持していくんだ、守っていく、いや、維持ではなくてよくしていくんだということが本当に大切だということで、改めて大臣には、両方がある、両方どちらも大切でありますが、私はやはりまず大切なことは子供たちの福祉だというふうに思います。
そういう観点から申し上げますと、安倍総理はおっしゃるわけであります、子育て世代に思い切った財政措置をということであります。そういう観点で、今まさしく経済的な側面もあるんだとおっしゃるわけでありますが、そういう意味では、今回対象ではない〇―二歳児、個々の保育料は大変に高額だと思うんです。これまでもこの委員会で指摘があるわけでありますが、改めて、今の二つが大事だということの中でお伺いしますけれども、この〇―二歳児にもきちっとした財政措置をするべきではなかったかと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
今般の幼児教育、保育の無償化は、先ほど大臣が御答弁いたしましたとおり、子育て、教育に係る費用負担の軽減を図るという少子化対策と、生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性の観点から、三歳から五歳までの全ての子供たちを対象に幼稚園等を無償化するものでございます。
ゼロ歳から二歳の子供たちでございますけれども、待機児童の問題がございまして、まずはその解消に最優先で取り組むこととし、今回、住民税非課税世帯を対象として進めることにしたところでございます。
さらなる支援につきましては、少子化対策、乳幼児期の生育の観点から、安定財源の確保とあわせまして検討することとしてございます。
○近藤(昭)委員 私は、改めて、多くの委員が指摘をされているように、そうした経済的な側面であれば、ここにもやはりしっかりとした財政配分をしていくべきだというふうに思います。
そしてまた、そういう中で指摘をさせていただきたいと思うんですけれども、海外の幼児教育研究、よく英国のプレスクールのことなどが言われるわけでありますが、そこに見られる貧困対策や格差是正の視点での導入のように今回のことも語られているわけでありますけれども、実際、日本は、保育料の考え方が既に応能負担であったということ、格差を排除し、五歳児の九八・二%が保育園、幼稚園、こども園に就園している、こういう現状から見ても、世界の潮流におくれをとるなというような言い方がされる、これはいささか的が外れているのではないかと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
今般の幼児教育、保育の無償化につきましては、少子化対策とそれから幼児教育の重要性の観点から実施するものでございます。
まず、幼児教育の重要性についてでございますけれども、委員御指摘のとおり、さまざまな国際的な研究においてもその重要性が認められてきてございます。
著名な研究としましては、今委員お触れになられました、質の高い幼児教育が将来の所得の向上等に著しい効果をもたらすことを示す研究結果がございますが、このほかにも、国際的な幼児教育に関する研究を横断的にレビューしました二〇一八年のOECDの報告書がございまして、これによりますと、質の高い幼児教育は、幼児期の発達やその後の学校段階における学力や社会情緒面に大きな影響を与えること、その後の人生における健康、労働市場への参加、貧困の防止等に長期的な影響を与えること等が明らかとなってございます。
このような状況を踏まえまして、世帯所得にかかわらず幼児教育の無償化を行う国も出てくるなど、幼児教育の重要性は国際的な共通認識になりつつあると承知しており、今般、我が国の幼児教育、保育の無償化につきましても、所得にかかわらず全てのお子様を対象として実施をさせていただくこととしてございます。
それから、貧困対策との関係でございますけれども、幼児教育、保育の無償化は、もともと所得の低い、これも委員お触れになられましたけれども、既に公費を投じて負担軽減を図っておりますし、段階的にもその無償化の範囲を拡大してきたところでございます。
これまでに投じた公費と今回の公費負担を合わせますと、全体として見れば、三歳から五歳までの一人一人の子供に対して、低所得世帯にも高所得世帯にも等しい公費が投入されることとなります。
さらには、例えば副食費の免除対象の拡充、三百六十万円未満世帯に拡充させていただきますが、こうした拡充やゼロ歳から二歳までは住民税非課税世帯のみを対象としていることなどから考えますと、今回の公費負担額のみをもって子供の貧困対策に逆行というようなことにはならないのではないかと思ってございます。
子供の貧困対策に関する大綱、これは二〇一四年に閣議決定させていただいておりますが、この大綱におきましても、全ての子供が安心して質の高い幼児教育を受けられるよう、幼児教育の無償化を進めることを重要な施策と位置づけているところでございます。
○近藤(昭)委員 いろいろとやってきているということをお話しいただいたわけでありますが、世界の潮流と申しましょうか、大切なことは、やはり普遍的には、そうした幼児からの保育、そして教育だということであると思うんです。
そういう意味では、これは繰り返し出ているわけでありますが、やはりその質をどういうふうに担保していくか。先ほども、同僚委員からも質問がありました。どう具体的に担保していくか、そうしたことをきちんとやるということで、具体的にどうするかだと思うんです。
そういうことで、改めてお伺いしたいと思いますが、二〇一五年の十月に消費税を一〇%にするとした。その年の四月に子ども・子育て支援法が施行されています。そのときの目的は、保育の量と質、双方を充実させること。まあ、今と同じようなことであるわけであります。しかし、二〇一五年十月の増税は実施されなかった。質までは回らなかったということだと思います。待機児童解消のために量のみが政策の重点となった、そういう感があります。
今回、一〇%に上がることになったということでありますが、そうでありますならば、改めて、無償化、これも重要でありますが、優先順位としては、当時棚上げにされたことになった保育の質の確保がまずあるべきではないでしょうか。そういう意味で、OECD各国で最低の配置基準の是正であります。
定員に応じたフリー保育士の加配も含めてでありますけれども、保育者の処遇改善、もうこれは何回も指摘をされているところでありますが、全職種賃金平均三十三・四万円のところ保育士二十三万円、これこそまずやるべきではないかと思いますが、改めてお伺いします。
○宮腰国務大臣 例えば、今月、各新聞報道にも出ておりましたけれども、保育園外れた、幼稚園外れたということが現実問題としてあるわけであります。ようやく待機児童は、二万人を割り込んで、一万八千六百人ぐらいまで来ていると思いますけれども、やはりそういう切実な声にもしっかり応えていく必要があるということでありますので、保育の受皿をしっかりと準備をするということと、今、近藤先生御指摘の保育の質の確保、両方やっていく必要があるのではないか。
優先順位が間違っているんじゃないかという御指摘も甘んじて受けるわけでありますけれども、一方で、現実に、預けるところがない、何とかしてもらいたいという声があるのも事実です。それは地方では少ないかもしれませんが、やはり都市部では、国も市区町村をしっかり後押しをして保育の受皿を整備をしていただく。そのための予算も、たしか厚生労働省の方で補正予算と当初予算で千二百数十億円用意をしているということでありまして、これからもやはり両方進めていかなければいけないのではないかというふうに考えております。
○近藤(昭)委員 もちろん、それぞれの目標を否定するわけではないんです。ただ、限られた財源であるということ、そしてまた、今回、消費税を上げてということであること。
ですから、量、そういう需要に応えるということをやるためにも、所得制限の部分とか、とにかく無償化にすればいいということではなくて、質を高めながら、もちろん需要に応えていくということではあると改めて私は思うし、そういう中で必要なことは、やはり質と、そして需要に応えていくためにも、この報酬ではやれないということは、厳しいということは先ほども指摘があったわけです。なぜ保育士をやめるのかという中にやはり財政的なことが、報酬的なことがあるんだ、こういう指摘でありますから、私は、そういう意味でも、そうした需要に応えていくという意味でも、しっかりとこの処遇改善が必要なんだと思います。
そして、ちょっと大臣の所轄のところではないんですけれども、やはり国として、そうした非常に厳しい状況にある子供たちに対して、しっかりと施策を打っていくことが大切だと思うんです。
そういうことで、先般、三月二十五日付の新聞でありましたが、虐待を受けるなど家庭に居場所のない少年少女の緊急避難先として設置されている民間の子供シェルターの十七施設のうち、三施設が資金難や人手不足により閉鎖したか受入れを中止したと報道されていました。調査に対して、非常勤の補助員を確保できない、資金難からの人手不足、受入れを停止せざるを得ないと回答しているわけであります。今回の法案と直接には関係ありませんが、やはり広く子供の福祉の観点から捉えれば、こういうことにも人材を配置していく。
いずれにしても、やはり、先ほどの保育士さんもそうでありますが、財政的な支援をきっちりとしていく、そういうことが必要だと思うわけでありますが、いかがでありましょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
今御質問のありましたいわゆる子供シェルターの取組につきましては、虐待を受けたお子さんの安全確保や自立支援の観点から重要だと考えております。
児童福祉法では、日常生活の援助や生活指導などを主たる目的として子供たちを受け入れる児童自立生活援助事業がございまして、子供シェルターがこの事業の設備や職員配置等の要件を満たす場合には、職員の人件費や入所者の生活費等の運営費の補助を行っているところでございます。
この児童自立生活援助事業につきましては、これまで、人材確保などに資する観点から、財政面の支援の充実を図っております。
例えば、職員の処遇につきまして、平成二十七年度に三%程度、平成二十九年度に二%の改善等を行い、三十一年度の予算案におきましては更に一%の改善を盛り込んでおります。また、三十一年度予算案におきましては、一定の要件を満たした施設に対して、補助職員を雇うための費用を補助することといたしております。
今後とも、関係者の御意見をよく伺いながら、支援を必要とされるお子さんが安心できる環境で自立に向けた準備ができるよう、引き続き取組を推進してまいります。
○近藤(昭)委員 これも先ほどと同じようなところでありますけれども、そうした施策がされているにもかかわらず、そうしたシェルターの三施設が、今指摘させていただいたように、資金難や人手不足によって閉鎖せざるを得ないという状況になっているということであります。これは一定の年齢に達した子供たちのシェルターのことでありますけれども、私は、基本的に、やはり幼児そして小さい子供から、本当に切れ目なく支援をしていくということが大事だと思うんです。
そういう中で、これも直接法案の対象ではありませんけれども、お伺いをしたいことがあります。いわゆる学童保育であります。
放課後児童クラブとも呼ばれるわけでありますが、共働きや一人親家庭等が増加をし、子供の生活や育つ環境が厳しくなっている中で、子供の成長、発達を支え、励ます学童保育の役割が大きくなっていると思います。これまでの従うべき基準として定められた基準を堅持し、有資格の原則二名配置を実現するための財政措置が必要不可欠ではないかと思うわけです。
今回、いわゆる地方分権一括法の中で、この基準を従うべき基準から参考にする、こういう基準になっていく。地域の事情がある、これも、より需要といいましょうか、きちっと子供たちのニーズに沿っていくというところかもしれませんが、やはり根本的には、資格を持った人たちの報酬が十分ではないというところがある。ですから、人手が不足をしている、その人手が不足している背景を解決せずして、とにかく人が集まらない、だから基準を緩和してそうしたことをしていく、こういうことではないんだと思います。
そういう意味では、私は、この幼保の無償化ともある種通じるところがあると思っていて、こうしたところにきちっと財政措置をすることによって、とにかく基準を堅持していく、このことが大切だと思うんですが、いかがでありましょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
放課後児童クラブの従うべき基準の参酌化についての御質問でございますが、この参酌化は全国一律ではなく、自治体の責任と判断によって質の確保を図った上で、地域の実情に応じて運営を行うことを可能とするものでございます。これは、従うべき基準であることによりまして人材確保が困難である、そういった地方からの要望を踏まえて行うものでございます。
放課後児童クラブの運営に当たりましては、市町村が条例によって国の基準と異なる内容の基準を定める場合でございましても、子供の安全や育成支援の質がしっかり確保されることが前提であると考えております。
厚生労働省といたしましては、放課後児童支援員に対する研修や処遇改善などによって子供の安全確保や放課後児童クラブの質の確保をしっかり行っていくとともに、必要な財源の確保にも努めてまいります。
○近藤(昭)委員 これは何回も繰り返すわけでありますけれども、人手不足だから基準を緩める、そういうことではなくて、根本的なところを変えていかないと、やはり問題解決にはならないんだと思います。
ナショナルミニマムという言い方があるわけであります。どこの地域、自治体かによって、もちろん地方自治というのは大事であります、しかし、自治体によってそうした学童の基準が変わるということになると、私は、やはり子供たちにとっても影響があると。二人であれば、例えば、子供が一人であっても、一人でいいという問題ではなくて、一人のその資格を持った方の体調が悪くなるとか、緊急の事態が起こるということもあるわけであります。そういう意味で、やはり、せっかく数年前に有資格者原則二名配置というものが決まった、それがなぜ後退するようなことになるのかと思うわけであります。
また、更にちょっと言及させていただきたいと思います。
二〇一六年でありました。いわゆる教育機会確保法が成立しました。フリースクールやオルタナティブ教育等の多様な教育の機会を確保することが法的に定められたわけであります。
しかし、国や自治体から財政的な支援を受けているオルタナティブ教育を実践している機関は非常に少なく、運営が大変だと聞くわけであります。こうしたオルタナティブ教育の支援拡充も図るべきだと考えますが、いかがでありましょうか。
○丸山政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のフリースクール等への支援ということでございますが、教育機会確保法等の趣旨を踏まえまして、不登校児童生徒に対しては、フリースクール等の学校以外の多様な場で社会的自立に向けて学習等の活動に取り組むことができるよう、きめ細かな支援体制を整備することが重要であるというふうに考えております。
こうした考えのもと、文部科学省におきましては、平成二十九年度予算から、学校以外の場における教育機会の確保等に関する調査研究を実施をしておりまして、フリースクール等で学ぶ経済的に困窮した家庭の不登校児童生徒に対しまして、通学や体験活動に必要な費用を支援するなどしております。
文部科学省といたしましては、本調査研究の成果も踏まえつつ、個々の不登校児童生徒の状況に応じた支援のあり方について、引き続き検討してまいりたいと考えております。
○近藤(昭)委員 それぞれ、厚労また文科の関係についても質問させていただきました。
それで、大臣、冒頭に両方の目的が大切なんだということはおっしゃったわけでありますが、私は、第一に、やはり、子供たちの観点から、その福祉の観点からしっかりやっていくということが大事だと思うんです。改めて大臣の決意をお聞かせいただけますでしょうか。
○宮腰国務大臣 子供たちが健全に育つ、あるいはちゃんとした教育を受けて、小学校、中学校、高校、さらには大学と、その基礎を培うという意味では、幼児教育、保育というのは極めて大事だと思っております。さらには、日常生活、ちゃんとした生活習慣を身につけるという意味でも、特に幼児の段階というのが極めて大事ではないかなというふうに思っております。
いろいろな意味で、この質の確保というのは、もちろんできる限り直ちにということでありますけれども、これをしっかりしていくというのは、これは当然、今回の子ども・子育て支援法の基本理念としてもしっかり位置づけられているわけでありますから、私としても、できる限り早く質の確保が進むように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。
○牧原委員長 次に、早稲田夕季君。
○早稲田委員 それでは、質問をさせていただきます。
企業主導型保育事業について、前回に引き続き質問をさせていただきます。
それでは、前回のときに理事会に御協議をいただきました虚偽の説明ということについて、御確認をいただく、御報告をいただくということでございますので、まずその点について御答弁いただきたいと思います。
○小野田政府参考人 三月十五日の衆議院内閣委員会で理事会協議事項となりました、企業主導型保育事業評価検討委員会の開催に関する事案につきまして、関係職員に確認した結果を踏まえ、経緯を御説明させていただきます。
三月十二日十六時から十七時までと、十三日十三時三十分から十五時までの間、子ども・子育て本部職員二名が委員の事務所を訪問いたしました。
委員より、来年度の実施機関の公募までの間の公益財団法人児童育成協会の事業継続に係る評価検討委員会の開催の有無について御質問がございました。
その際、三月十一日に同委員会を開催していた事実をお伝えせず、また、検討委員会報告案において来年度の実施機関の公募までの間の協会の事業継続が現実的とされていることなど一連の説明を行う中で、全体として評価検討委員会を開催しないという説明となったことにつきまして、おわび申し上げます。
実際には、三月十一日に開催し、平成三十年度の実績見込みについての協会ヒアリングを実施してございます。
担当職員が評価検討委員会の開催の事実をお伝えしなかったのは、同委員会の議事が非公開であり、議事概要や資料は後日公表予定となっていたことから、同委員会の開催自体もいまだ公表できないと認識していたことによるものでございます。同委員会の開催自体は公表すべき事実であることにつきまして関係職員間での情報の共有が不十分であったことから、不適切な対応に至ったと考えてございます。
委員を始め皆様に御迷惑をおかけしましたことを深くおわび申し上げます。今後、このような事態を起こさぬよう、気を引き締めて職務に当たってまいりたいと考えてございます。
○早稲田委員 よく理解できないんですけれども。
それでは、内閣府さんでは、非公開の会議、いろいろあると思いますが、これについては、議員から、議会から聞かれても、あってもない、あったかないかも言わない、そういう認識をされているんでしょうか。
○小野田政府参考人 今回の事案も含めまして、開催を本来公表すべきものについて、その公表、問合せに対してお伝えしなかった。本来はお伝えすべきものだというふうに認識してございます。
○早稲田委員 そうすると、本来はもちろんあったと言うべきだった、そういうふうに内閣府としては認識をされているけれども、それでは、この担当者の方の勘違い、そういうことでしょうか。それをおっしゃりたいんですか、今の御説明、御答弁は。そういうふうに聞こえますよね。
非公開だからお話をしなかった、それは内閣府では共有されている共通の認識ではない、ないけれども、その本人はそういう認識がなかったというのは勘違い、そういうことでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになりますけれども、委員会の開催自体、いまだ公表できないと担当職員の方は認識していたことによるものでございます。
○早稲田委員 いや、そういうことはないですよね。議事録を公開してくださいとか内容を公開してくださいと申し上げているのではないわけです。やりましたか、やらないともう時間がないんじゃないんですか、次年度に向けてと。それも一回じゃないんですよ、何回かお聞きしたんです。だから、勘違いと言われても私には納得ができません。
こういうことで、内閣府さんのいろいろな今までの御説明、企業主導型保育事業について、もちろんたくさん、九割方いい保育園ですよ。でも、そうでないところが余りにも課題が大きくて、そしてまた、補助金不正などという問題が何も解決していないじゃないですか。そして、そういうことを申し上げると、これは二十八年度のだったということで、今検証しているんですと。そうやってお逃げになっているんです、今までもずっと。取りまとめをしていますから、検証をしていますからと。その繰り返しなんですよ。
それで、評価検討委員会というのは大変重要な会議のはずです。一年に一回、公金の支出をして、そして内閣府にかわって事業を実施していただく機関を決める、そういう評価委員会ですよね。にもかかわらず、これをやっていたのに、やっていない、勘違いだった、担当者レベルの話だみたいな。
前回も担当者の云々と統括官は御答弁されましたけれども、これも責任を押しつけるような御答弁で、私は大変問題があると思っています。代表者としておわびするとはおっしゃいましたけれども、だったら担当者とかおっしゃる必要はないわけですから。責任をとるのは当然上の人の役目ですから。やはり、そういう姿勢が非常に企業主導型をベールに包んで、ブラックボックスになっているんです。
だから、きのうも、再三参考人質疑で求めていた児童育成協会に視察をさせていただきました。理事長さんは幾らでも参考人に応じると言っておられるそうですよね。もう一回、お呼びをして、ここで御答弁をいただいた方がいいんじゃないんでしょうか。
きのうも伺いましたので、そのことも後で述べますけれども、視察と、それから国会で答弁をしていただくのは、それはやはり重みは違います、議事録に残りますから。そういうふうに理事長みずからおっしゃっている、私もよくわかりました、そのお気持ちは。ですから、そのこともぜひもう一度御検討いただきたいと理事会にお諮りをしたいと思います、引き続き。
そして、今の御答弁、全く理解が私はできません。何か隠蔽をしている。
この評価検討委員会、私は重要だと思っていますけれども、設置要綱なるものがありません。開設をするときの開設の要綱はありますけれども、もともとどこにも、実施要綱それから補助金要綱の中には、この評価検討委員会で次年度の公募を決めるとか決めないとか、そういうことは一切書かれていないんですが、どういう位置づけにこの評価検討委員会がなっているんでしょうか。
そして、開催要綱は毎年度出ておりますけれども、前回のこの内閣委員会で申し上げたとおり、今年度は少し中身が変わっておりました。そうやってころころ変わるんですよね。
御答弁でも、ことしに限っては、内閣府とそれから評価検討委員会の役割が少し違ってきたんだろう、変わったんだろうと思うみたいな御答弁もございました。
そうやって変える必要はないんですよね。評価検討委員会は大切な公金支出の実施機関を決めるための委員会ですから、しっかりとそこで検証をし、やってもらわなければなりません。それなのに、公募でもなくてただの事業継続というのも非常に曖昧だと思います。
これについては、どのように評価検討委員会を位置づけておられるのか。そしてまた、これをただの事業継続で三年間やってきたことが適切だとは少し思えませんが、いかがですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の事業評価検討委員会は、実施機関についての評価に関すること、採択に関すること、適切な遂行に資するための指導助言、評価に関することなどの役割を担っているものでございます。
一方で、来年度以降の実施体制につきましては、二月二十五日に開催しました第三回の企業主導型保育の円滑な実施に向けた検討委員会におきまして取りまとめ骨子案を議論する中で、実施機関が果たすべき役割などを検討し、募集までに要件を決めて新年度の事業を開始すべき、一方で、今ある施設の運営に支障があってはならないので、当面は児童育成協会が継続すべきではないかといった議論がございました。
こうした議論を踏まえまして、今回の評価検討委員会につきましては、業務が適切かつ効果的に行われているかについて慎重に検討することとし、開催要綱の必要な検討を行ったものでございます。
この評価検討委員会に関しましては、十八日に取りまとめられました早急に改善すべき事項についての報告書におきまして、毎年度、国は、外部評価等を行い、透明性の高い事業運営が行われるようにすべきといった内容が示されてございまして、この検討結果を踏まえ、評価検討委員会の位置づけにつきまして整理をさせていただきたいと考えてございます。
○早稲田委員 そうしますと、今までの評価検討委員会は、位置づけがされていなかった会議体なんですね。
それから、もう一点、この評価検討委員会できちんとした検証がされていなかったからこそ、いろいろな不祥事がわからなかったということではないでしょうか。全く機能していなかったということではないですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育事業評価検討委員会でございますけれども、平成二十八年度当初におきましては、内閣府が実施しました公募において児童育成協会の選定を行うとともに、公募要項に基づきまして、平成二十八年度、平成二十九年度に児童育成協会が行った業務が適切かつ効果的に行われているかについて評価を行い、翌年度においても国庫補助を継続することが適当であるかについて意見を求めるために、開催要綱に基づき開催してきたところでございます。
先ほど申しましたけれども、今回の提言書におきまして、毎年度、国は、外部評価等を行い、透明性の高い事業運営が行われるようにすべきといった内容が示されてございます。
この検討結果を踏まえまして、評価検討委員会の位置づけにつきましては改めて整理をさせていただきたいと考えてございます。
○早稲田委員 何も答えていらっしゃいません。
今までの位置づけがどうだったんですかと聞いているんです。外部評価委員会というのは、外部の方を入れたって、これも外部の方は入っていますよね。やっているじゃないですか。これがきちんと機能しているんだったら新たなものをやる必要がありません。私の質問に答えていただきたいんです。
今までの評価検討委員会はどういう位置づけですか、そして、それについて助言指導なさるというけれども、助言指導されて変わっているところがあるんですか。ただ書類を見ただけじゃないんですか。
私、今までの二年間のこの評価検討委員会に出ている資料を出してくださいと再三申し上げておりますが、全然出てきません。そして、まだ精査していないからと。もう前の話です。どうなっているんでしょうか。
それで、この間の三月十一日に行われたものについては、こうやって出していただきました。でも、別に詳しい資料でも何でもありません、実施要綱がついていたり、分厚くはなっていますけれども。中身がよくわかる、それでは監査をしたのがどうだったのか、立入調査がどうだったのか、そんなことは一つも書かれていませんよ、数字は出ていますけれども。
だから、評価検討委員会が機能しなかったのではないですかという質問に答えていただきたい。外部を入れてというのも、今も外部が入っています。そういう意味では、私の問いにきちんと答えてください。
○小野田政府参考人 評価検討委員会の役割につきましては、先ほど来申し上げていますとおり、評価に関すること、採択に関すること、適切な遂行に資するための指導助言、評価に関することという役割でございます。
具体的には、先ほど申し上げました、二十八年度当初はその協会の選定、二十八年度、二十九年度の協会が行った業務が適切かつ効果的に行われているかを評価し、翌年度に継続するという役割を担ってきましたが、結果として、今般、この企業主導型保育事業、いろいろな課題が出てきております。この課題に対応すべきことで、検討委員会からの提言をいただいたところでございます。
そういう意味では、この評価検討委員会、しっかりと改善すべきところは改善して、まさに委員御指摘の第三者としての委員会、指摘ができるような体制に改めていく必要があろうかと思ってございます。
○早稲田委員 問題があった、改善をするということでよろしいでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。
○宮腰国務大臣 この評価検討委員会は、実施団体の事業について毎年評価を行っていくという役割を持った委員会でありますけれども、今度の円滑な実施に係る検討委員会の中で、実施団体について、先生方もきのう児童育成協会に足を運んでいただいたとお聞きしておりますけれども、単年度ごとの契約ではやはりうまくいかないのではないかという声も検討委員会の中であり、複数年度の契約ということについての検討ということがこの報告書の中で言われてきております。
そういたしますと、毎年、事業評価委員会で一年ごとに評価を行っている、その上で、形の上では公募ということになっているわけでありますけれども、果たして今のこの事業評価委員会のあり方についてこのままでいいのかという議論は、これは当然出てくるかと思っております。
でありますので、円滑な実施に向けての検討委員会の報告を踏まえながら、事業評価委員会のあり方について、これからしっかりと検討していきたいというふうに考えております。
○早稲田委員 お答えになっていらっしゃらないんですが。大変残念です。
毎年度評価をしていてもいろいろな問題が見つけられなかったのに、複数年度、それはいろいろわかりますよ、もちろん単年度で終わることではないので、複数年度やりたいという事業者の思いはあるでしょうけれども、それにはやはりきちんとした評価をして、検証をして、そして複数年度お願いする、委託をするというのならまだわかりますが、今私はその事業の年数を申し上げているのではなくて、やはり評価はきちんとするべきだということだけを申し上げているんです。
そうすると、今までの評価検討委員会ではそれができなかったんですね、あり方を変えるんですね、そういう申し上げ方をしているので、きちんとそこには答えていただきたいと思います。
それでは、改善をするということで私は理解をいたしました。
その中でですけれども、きのうびっくりいたしました、この児童育成協会のパンフレットをいただいて。平成二十九年度立入調査対象施設、これは助成決定が八百施設です、八百施設に全部行ったと。その中で、保育内容に関する指摘事項があった施設が六百六で七五・八%、八〇%近いわけですよね。
それで、もう園として開設されてから、子供たちの命を預かってからこういうことが指摘されているわけです。これも、いかに審査が甘いか、ずさんかということ。それから、余りにも膨大過ぎて、今の児童育成協会一者で見られる状況ではないということが、これでもう明らかになるのではないでしょうか。
このことについて、内閣府として、この指摘事項、いろいろあります、もうこの内容をおっしゃらなくてもお聞きしました。保育士が基準に満たない、保育計画が作成されていない、こんなの基本のキでしょう。それをやられていないところが七五%もある企業主導型保育事業というのはどうなんでしょうか。それについて、内閣府としての御見解を伺いたいと思います。
○小野田政府参考人 お答えします。
平成二十九年度に立入調査を行った八百施設のうち、文書によるさまざまな指摘は約七割の六百六施設に上ってございます。我々としましては、お子様を安全に預かっていただくという観点から非常に遺憾だと思ってございます。
一つ一つは申し上げませんけれども、今回まさに審査の改善みたいなものをいろいろと提言していただいておりますので、しっかりと審査の改善を図って、こうした事態を極力避けるように改善をしてまいりたいと思ってございます。
○早稲田委員 いや、審査の改善というだけでは、それから、お子様の命を預かるとか、そういうことが何か非常にむなしく聞こえてしまうんですね、こういう数字を見ると。それで、やはり人任せ。結局、内閣府が児童育成協会に丸投げの事業だということがここでもわかるわけです。それを私たちは申し上げているんです。善意の方が多いから、いい保育をやっていただいているところが多いのはもちろんです。でも、余りにもひどい。
そして、もう一つ、私、資料請求をさせていただきたいのですが、一つは、この二年間の、過去の二年間の評価委員会に児童育成協会から出された資料一式、これを出していただきたいと思います。二年間ですね、過去の。
それと、児童育成協会が、保育事業で、この企業主導型事業で二十八が譲渡をされています、その譲渡について返還金を求めないと。自分たちが出している、その事業者が設置に出したお金よりも安い、低い金額で譲渡しているから、これは返還金を求めていませんという御説明がきのうも育成協会さんでありました。それで、それに関しても、申しわけございませんが、いろいろな意味で信頼が失われておりますので、これもきちんと、事業譲渡の契約書一式、それから、いつ開設をされて、どのくらいの補助金がいつ交付をされて、それからどのぐらいたってからこういう事業譲渡がされているのか、二十八施設全て出していただきたいと要望させていただきます。
○牧原委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○早稲田委員 ことごとく、非常にブラックボックス化されているものですから、細かい質問ばかりをやっておりますけれども。
それで、お聞きしたいのは、この企業主導型保育事業の予算の関係ですが、最初、二十八年度が七百九十七、次、二十九年度千三百億、それから三十年度が千六百億、三十一年度予算が二千億となっております。そして、二十八年度予算では、五百九十九億円が返納金、積立金になっているわけですけれども、これは国庫に返納されているんだと思いますが、こういう状況がありながら、もちろんふえていますよね、二万人ふえてこれをやるということはありますけれども、それでも、二〇一八年の十二月に事業主の拠出金を〇・二九から〇・三四に上げることを決めております。
これは、決める前に二〇一七年度の助成決定額九百九十五億円というのを内閣府は知っていたにもかかわらず、確定額が決まっていないという理由で経済界にこれを教えていないんですね。それはなぜなんでしょうか。不誠実ではないかと思いますが。
経団連にはその拠出金の割合を上げますよということは御説明されたということですけれども、ほとんどが中小企業の方です。いろいろな意味で大変な中で、社会で子供を育てるということをやっていこう、そういう理念のもとに御協力をいただいているはずで、こんなに返納金があるにもかかわらず、どうしてこうやって上げなくてはならないんでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えします。
昨年の拠出金率の引上げでございますけれども、新しい経済政策パッケージにおきまして、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、経済界に費用を負担していただき、待機児童解消に向けた子育て安心プランに基づく三十二万人分の保育の受皿増分に対応するため、一般事業主から徴収する事業主拠出金を活用し、企業主導型保育事業の拡充と、新たにゼロ歳から二歳児相当分の保育の運営費に〇・三兆円充当することとさせていただきました。その観点から、拠出金率を上げさせていただいているところでございます。
なお、積立金でございますけれども、事業主拠出金を財源とする事業に充てることはできますが、あくまでも一時的な財源でございまして、継続的に実施していくような事業に活用することについては、基本的に、私どもとしましては、望ましくないと考えてございます。
積立金の適正規模、拠出金率の水準につきましては、引き続き、経済団体とも協議しながら、十分精査してまいりたいと考えてございます。
○早稲田委員 これで終わりますが、五百九十九億円のことは、経団連それから経済界の方々にお話しをしていないということですよね。お話ししていない中で上げるだけ割合を上げるというのは大変不誠実だと思いますので、しっかりとこういうこともお示しをしながら、そして、もっと子供をふやしていく、子供たちの安全のためにということをしっかりと御説明をしていただいて、今ブラックボックス化しているこの企業主導型保育事業を、次年度以降は、わかる形で、開かれた形で、そして透明性、公平性も確保していただけるように強く要望して、質問を終わります。
○牧原委員長 次に、大島敦君。
○大島(敦)委員 国民民主党の大島です。
三十分ほど質問をさせていただきます。
先ほど参議院の本会議が開かれているときに、当委員会は休憩でした。私のこちらの事務所、東京あるいは地元の事務所で、インターンシップ生をしていただいた大学生、四月一日から就職するものですから、いろいろと話していまして、給与、どのくらいって聞いたんです、一カ月当たり。しっかりとした方です、女性の方。二十万円、ボーナス三カ月、年収としては、残業がなければ三百万。
何か悲しくなってしまって、私が三十七年前、民間企業に入ったときの給与とそんな差がないなと思っていまして、じゃ、奨学金をもらっている人、どのくらいいるのと伺いましたら、結構いらっしゃるというお話。金額はお互いには公開していないと。
ほかのインターンシップ生。去年の夏だったかな、インターンシップ生の方と一緒に御飯を食べながら、みんなはどうしてこの大学に入ったのと言ったら、みんな浪人していない。みんな現役なんです。というのは、浪人して親に負担をかけて自分の希望する大学に行くことを諦めていて、もう入った大学で済ませるというのが今の若い人たちなんです。
そうすると、今回の幼児教育の無償化の法案の対象になっている若い世代の人たちは、その上の世代も結構大変ですから、もっと大変だという認識を持たなくちゃいけないかなと思っています。
ですから、少子化対策とかさまざまな対策があるんでしょうけれども、やはり教育に対する負担の軽減というのは私は必要だと思っていまして、相当、結構、皆さん、厳しい中で生活を営まれ、子供たちの教育に臨んでいらっしゃるという思いがしております。
それで、冒頭、前回と関連しているんですけれども、やはり、前回おっしゃったとおり、今回のこの制度設計は、二〇二〇年代、ずっと続いていくと思うんです。
そうすると、先を見てやはり制度設計すべきだなと思っていまして、この場で私の方から触れさせていただいた昨年の経済財政報告の、今のスキルによる働き方の分布について、もう一度内閣府からの説明をお願いいたします。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
平成三十年度の経済財政白書におきましては、OECDのデータに基づきまして、OECD諸国において、一九九五年から二〇一五年のスキル別の雇用者シェアの変化を見ますと、各国において中スキル層の雇用シェアが減少し、低スキル層と高スキル層での雇用シェアが増加するという雇用の二極化現象が観察されていること、また、OECDの分析によりますと、こうした二極化の背景として、技術進歩が主に寄与している可能性があることを記述しているところでございます。
○大島(敦)委員 林政府参考人に伺いたいんですけれども、この傾向というのは更に続いていくという理解でいいですか。
○林政府参考人 お答え申し上げます。
突然のお尋ねでございますが、基本的には、ICT技術、AI等新たな技術の進歩によりまして、こうした傾向が続く可能性はあるというふうに考えております。
○大島(敦)委員 大臣、今の答弁にあったとおり、今後はやはりなかなか中間層ができにくいというお話をもう一回させていただいて、低スキルの仕事と非常に高いスキルの仕事しか残らない社会に私たちは今入ろうとしているんですよ。
ですから、こういう社会保障制度の設計は、前回申し上げましたとおり、私は、所得格差なく給付すべきという立場をとっていて、あとはさまざまな税によって調整すればという考え方をとっていますので、その点、そういう考え方だということを述べさせていただきながら、質問を続けていきます。
前回、委員と大臣とのやりとりを聞きながら、給食費の食材費の部分について、食材費は親の負担が当然だというお話をされていたと思うんですけれども、それを聞きながら思ったことが一つあります。
大臣は富山県の御出身でして、富山県は全国で一番幸福度の高い県でもあって、かつ、一人当たりの県民所得は六位であったり、勤労者世帯の収入は四位だったり、あるいは、自動車の保有台数、持家の率、家の面積、いずれも一位であったりもして、ある学者の方が書いているのを読むと、やはり、女性の働く割合と正社員比率も高いということで、大分、モデルとなるような県に住んでいらっしゃる方の御発言かなとは思っていて、ですから、若干富山県と都市部のいろいろな考え方が違うと思う。
ですから、学校給食の話もされた方、多いと思うんですけれども、ここでの考え方は、確かに、学校給食については、多分、財務省的には、昼御飯、みんな食べるんだから材料費ぐらいは出せよということになると思うんです。
ただ、栃木県の大田原市、市長が英断で学校給食を始めた町に行ったことがあって、当時始めたばかりの市長と会話をすると、こういう言い方をしているというんです。生徒の皆さんに対して、学校給食は皆さんのお父さん、お母さん、親の税でできている、税で賄われているという話をしていると私は伺ったものですから、そういう観点も結構必要なのかなと。
そして、今、学校給食費を払えない家庭も非常に多いものですから、そういうことも踏まえながら、今回は意見だけにしておきますけれども、この学校給食、特に幼稚園そして保育所の食材費の部分については、将来的には無償化、食育という観点も必要かなとも思っています。
それで、一点まず質問させていただきたいのは、意外とニッチなところから行きたいなと思います、細かいところから。大臣よりも政府参考人の方に質問を。
きょうの参考人の皆さんの意見の中で、あれっと思ったところがありました。それは、保育所と幼稚園というのは年の数え方が違うんですね。学校教育法だと、要は満三歳になったら幼稚園に受け入れてもいいよとなっていて、保育所の場合だと、これは年度ごとで区切っていますから、四月の二日になってその年、満年齢になっていないと受け入れられないというのがあって、その点について確認をさせてください。
一つは、私学の幼稚園については、満三歳になったときに受け入れるというのが一つ。今回の制度だと、満三歳になっているときは受け入れて、今回、給付の水準としては二万五千七百円プラス預かり保育が一万一千三百円。これは満三歳の時点でという理解でいいかどうか、ちょっと確認答弁、お願いします。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
今回の幼児教育、保育の無償化は、小学校入学前の三年間分の保育料を無償化することを基本的な考え方としております。すなわち、満三歳になった後の最初の四月から小学校入学までを対象にしております。これは、クラス編制は年度を単位としてなされ、それに応じて職員配置基準、公定価格が定められていることを踏まえたものでございます。
ただ、委員御指摘の幼稚園につきましては、四月に入園するお子様が多いとは承知してございますけれども、学校教育法上、満三歳、三歳になった日から入園できることとされていること、また、満三歳児は翌年度の四月を待たず年少クラスに所属する場合も多いこと、また、これまでの段階的無償化におきましても満三歳以上のお子様を対象として進めてきたことといった事情を踏まえ、満三歳から対象とすることにいたしました。
ただ、一時預かりにつきましては、保育の必要性が認定されることが前提となりますので、そこは、幼稚園に入られたお子様全てが一時預かりも対象になるということにはなりません。
また、さらには、一時預かりにつきましては、保育所と同様、次の四月までは、住民税非課税世帯のお子様に限って対象にさせていただくこととさせていただいております。
○大島(敦)委員 私学の幼稚園の機能が大分変わってきたなと思っています。手元にある平成二十九年の「「子育て安心プラン」に基づく幼稚園における二歳児等の受入れ推進について」ということで、幼稚園に対して、満二歳になったら受け入れても構わないというふうにちょっと要件を緩和しているところもあって、ですから、幼稚園が子育ての拠点として一つ位置づけられているのかなという思いが一つあります。
ですから、満三歳になったら今回の無償化の対象になるというところと、きょうの参考人は、保育園は違うよという話をしていました。保育園はあくまで年度単位ですから、保育園の場合には、今回、非課税世帯は無償なんだけれども、満三歳になったんだけれども、四月二日になるまでの期間の子供については無償化の対象にはならないという理解でいいんですよね。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
保育所の場合は、満三歳になった翌年といいますか、次の年度の四月までは〇―二歳扱いでございますので、住民税非課税世帯が無償化の対象になってくるという形になります。
○大島(敦)委員 大臣も悩まれたと思うんですけれども、この点については。ですから、幼稚園の場合には、満三歳から、政府参考人の答弁のように、二万五千七百円の四時間分、それで、午後の一時預かり保育については、就労という条件が、四十八時間から六十四時間までの就労という条件がついているということ。ただ、保育園の場合には、これは三号認定になるのかな、これは満三歳になった時点じゃなくて、ずっと過ぎて年度のときまでは今言った所得制限があるという、これは若干制度の矛盾があるので、その点についてまず指摘したいのと、もう一つは、こども園については、これは幼稚園と同じということでいいのかしら。こども園の場合には、満三歳になった時点で、要は一号認定なり二号認定なりで預かれるということでよろしいんでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
認定こども園におきましては、一号認定子供は幼稚園に通うお子様と同様に満三歳から無償化の対象、二号認定子供は保育所に通うお子様と同様に満三歳になった後の最初の四月から無償化の対象になるという整理でございます。
○大島(敦)委員 今回の制度設計をされて、これが運用された場合においては、恐らくさまざまな矛盾点とか意見があるかと思うんです。その点について、これは多分認識をされて制度設計されて、ある程度、親の負担と、今度は施設運営側の意見があったりもすると思うので、その点について、大臣、これは質問通告はしていないんですけれども、御所見がございましたら、ちょっと御発言いただければと思います。
○宮腰国務大臣 大変複雑なことになっているとは私もよくわかっております。私自身もなかなか理解ができないという部分もあります。
これまでの幼稚園の諸制度、あるいは保育所の制度、あるいは認定こども園の制度、それぞれ変遷もしてきておりますし、考え方も基本的に違う部分もありますので、なかなか全部ならして統一するということは難しいかもしれませんが、それはやはり、やってみて、ふぐあいな点があれば、指摘を受けて見直していくということも必要なのではないかと私は考えております。
○大島(敦)委員 前回、ある委員の方が、今回の無償化によって、働くお母さんたちがふえることによって待機児童がふえるんじゃないかというお話をされていたのも、私、実感値としてわかるものですから、その点についてもぜひ御検討していただきたいなと思っています。
今回の、先ほどの預かり保育を充実するという点は、私も二〇〇一年に一回委員会で指摘したことがありまして、文科委員会で、当時は保育所の増設が非常に進んでいまして、保育所をつくるというのは、民営もそうなんですけれども、要は施設をつくらなければいけないので、億円単位の事業になります。
当時、幼稚園に預かり保育を充実すれば、その分は私、吸収できると思っていたものですから、コストをミニマイズして運営していく場合には、預かり保育をもっと充実させた方がいいのではないかなというお話をさせていただいたものですから、大分、時間の経過とともに、そういう認識を皆さん持っていただいて、ありがたいなと思っております。
次の質問に移りたいと思います。
次の質問は、今、地域によっては待機児童がない地域もあります。都市部には待機児童があると認識をしていて、ただ、人口推計を見ていくと、待機児童が、今はそうですけれども、将来的には全体的に大分少なくなることも予測できるものですから、その場合、女性の働き方が一つあるかと思います。
平成十一年の四月に労働基準法が改正されて、女性の深夜業についても緩和されています、今。ですから、そうすると、私が在職してきた鉄鋼会社ですと三直四交代の職場とか、あるいはタクシーを運転されている女性の方とか、要は、認可で子供をなかなか預かっていただけないという方も、多分、今でもいらっしゃると思うし、今後も認可では対応できない領域もあるのかなと思っておりまして、その点についての、多様な働き方を前提としながらの保育の受皿をどのように整備していくかについて、まず御意見を伺いたいと思います。これは厚労省かな。
○本多政府参考人 お答えいたします。
働き方が多様化する中で、夜間保育や休日保育といった多様な保育へのニーズが高まっているということで、こうしたニーズに応えて子育て支援の充実を図ることは非常に重要だと考えております。
まず、二十七年度にスタートした子ども・子育て支援新制度におきまして、保育を必要とする事由を、従前は昼間労働することを常態としているというのを保育に欠けている事由としていたところなんですが、新制度におきましては、パートや夜間など、就労形態の多様化に対応することを保育を必要とする事由として明示をいたしまして、多様な保育ニーズに対応した保育を提供する仕組みとしたところでございます。
また、保育所の運営費につきましても、夜間保育や休日保育などの経費を計上いたしまして、多様な保育を提供できる仕組みといたしております。さらに、企業主導型保育事業や事業所内保育事業の活用も考えられるということでございます。
○宮腰国務大臣 委員御指摘のとおり、働き方が多様となっている中で、企業主導型保育事業は、土日や夜間に働く従業員や、週二日程度だけパートタイムで働く従業員など、従来の認可保育所ではなかなかニーズに応えられなかった多様な働き方をする従業員に対して、企業が創意工夫により柔軟な保育サービスを提供することができるものです。
実際に、三直四交代勤務体制、鉄鋼業界、実は、先日、第四回の、直近の検討委員会におきまして、鉄鋼業界がこの四月から新しく企業主導型保育所を開設をするということで、そういう方々にも来ていただいて、話をお聞きをいたしました。
やはり、夜間、休日でありますので、会社の社員の皆さんにアンケートをとって、こういう保育所であれば入りたいと思うかというアンケートをとったところ、約六割の方が、そういう保育所ができるのであれば子供を入れてみたい、こういう回答があって、しからばということで、本気になって企業主導型保育所を開設をするということにして、今準備中であると。定員が六十人だったか七十人だったか。保育士さんはどうなっていますかと聞きましたら、一〇〇%確保していますと。こういうふうなことでありまして、恐らく、会社で働いておいでになる方々も本当に預けやすいのではないかというふうに思います。
ある鉄鋼の会社では、従業員の約四割が三交代制勤務を行っている。そうした従業員の方々が利用しやすいように、何と社宅の敷地内に保育施設を設置をしているというところもあるようでありまして、こういう夜間、休日の勤務といった働き方に対応した保育を提供している事例につきまして、内閣府で作成した事例集においても、そのような取組を好事例として紹介をいたしております。
検討委員会の報告におきましても、企業の従業員の多様な働き方への対応といったこの事業の意義をいま一度確認した上で、必要な改善策についてお示しをいただいておるところであります。
○大島(敦)委員 企業型保育については、しっかりとした会社はしっかりとした対応をとっているかと思います、伝統的な会社あるいは大きな会社は。利益を追求するという立場だと、大分、今各委員の質問のとおり、ずさんな点があると思いますので、その点、しっかり対応をとるべきだと考えておりますので、それはよろしくお願いいたします。
もう一つ、今回、ベビーシッターというお話が出ています。若干、ベビーシッターについては、最初、聞いたときには、ベビーシッターかという感じはしたんですけれども、いろいろと話を聞いていると、ベビーシッターというのは結構必要だなという認識を持っています。
残業をしたとき、保育所までなかなか迎えに行けなくて、そして迎えに行ってもらって御自宅まで連れてきてもらうとか、いろいろな対応ができるのがベビーシッターだと思っていて、ベビーシッターの実態、どのような背景から利用されているかについて、大臣、富山という極めて日本の中だと相互扶助が充実した社会の中での大臣から、このベビーシッター、都市部では、私の同僚議員も、子育てのときにベビーシッターで本当に助かったという方もいらっしゃるものですから、その点についての大臣のお考えを伺わせてください。
○宮腰国務大臣 今般の幼児教育、保育の無償化に当たりましては、待機児童問題により、やむを得ずベビーシッターを含む認可外保育施設を利用せざるを得ない方々につきましても、負担軽減の観点から対象としております。
ベビーシッターにつきましては、子育てをしながら多様な働き方をしている方々、例えば、夜勤やあるいは繁忙期に残業があるような方々が、仕事と子育ての両立を図る観点などから御利用なさっているものと考えております。
このベビーシッターにつきましては、今回の無償化を契機として、厚生労働省を中心に、保育従事者の資格や研修受講などについて新たな基準の創設を行うなどの取組を行いまして、質の確保、向上に取り組んでまいりたいと考えております。
もちろん、言うまでもなく、希望する方が認可施設に入れる環境を整備することが重要でありまして、厚労省と一緒に、子育て安心プランに基づき、二〇二〇年度末までに待機児童を解消するため、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○大島(敦)委員 厚労省に伺いたいんですけれども、今、多分、委員会を設けて、今回のベビーシッターの仕組みについての議論を始めているかと思います。
このベビーシッターを導入することについての経緯とか考え方というのがあったら、その点について教えていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○本多政府参考人 ベビーシッターを無償化の対象とすることとした経緯ということでございましょうか。(大島(敦)委員「はい」と呼ぶ)
ベビーシッターを含む認可外保育施設につきましては、先ほど大臣からもありましたように、待機児童問題によって、認可保育所に入りたくても入れず、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方がいらっしゃることから、代替的な措置として、幼児教育、保育の無償化の対象としたものでございます。
○大島(敦)委員 今回の無償化の給付額ですね、ベビーシッターの一時間当たりどのくらい利用者が支払わなければいけないのかという金額が、聞くところによると二千円ぐらいかなと伺うものですから、それと、今回の給付額は幾らぐらいなのか、その点について伺わせてください。
○本多政府参考人 ベビーシッターの実際の利用料でございますけれども、これは、利用者と施設の間の利用契約による自由な設定でございますのでさまざまでございますけれども、全国保育サービス協会が実施した会員に対する調査によると、全国平均で二千円程度と承知をいたしております。
一方、無償化の中で、保育の必要性の認定を受けた三歳から五歳の子供について、認可保育施設に通っていない場合に、ほかの認可外保育施設等と合わせて月額上限三・七万円まで無償化の対象となるところでございます。
○大島(敦)委員 そうすると、認可外の保育所に預けていて、恐らく三万七千円ぎりぎりだと思うんですよ。多分、それは全部使い切ってしまう方がいると、その方はベビーシッターを使えないという理解でよろしいでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
上限が三・七万円ですので、それを超過する部分についてはお使いいただくことができないということになります。
○大島(敦)委員 なかなかこれは、宮腰大臣、この設計というのは難しいと思います。三万七千円、要は認可外の保育施設に預けると。ベビーシッターだけだったら、三万七千円、二千円だとすれば大体二十時間弱ぐらい使えるけれども、それで終わってしまうということなんです。
ですから、ここの要は設計についてもしっかりと今後検討していただいて、どういうふうにするのが一番保育に資するというのかな、子供たちにとって一番いいのかなという、そういう点について御検討を今後も進めていただきたいので、その点についての御答弁をお願いします。
○宮腰国務大臣 私はちょっとベビーシッターの実態について余りよく存じ上げておりませんので、少し勉強させていただきたいというふうに思っております。
○大島(敦)委員 結構今回の無償化の中で期待が多い分野でもあると思います、ベビーシッターは。特に、働いている女性、男性もそうかもしれないんですけれども、ベビーシッターを有効に使いながら子育てしたという方が多いんです。ですから、ここの設計についてはしっかりと大臣も認識していただいて、検討は委員会かもしれないですけれども、やはり大臣の御発言が結構制度設計には大きく影響を及ぼすと思いますので、ぜひその点について、要は、利用しやすい設計にしてほしいということを述べさせていただいて、私の質問を閉じさせていただきます。
ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、森田俊和君。
○森田委員 国民民主党の森田でございます。
引き続き、宮腰大臣、そして中根副大臣、そして厚労の方から新谷政務官にもお越しをいただいております。よろしくお願いをいたします。
まず、これは厚労の方のことなんですけれども、先日の委員会の議論で、保育園の中における、要するに、保育士からの、あるいは保育園の職員からの園児に対する虐待の把握についてはどうかというお尋ねをしたところ、一義的には都道府県が責任を持っているので、指導監督等を含めてそちらで行っているということがございましたけれども、これだけ多くの予算を使って全国一律の仕組みの中でやっていくということで、国としての把握も必要ではないかなと思うんですが、この点についてお答えいただければと思います。
○新谷大臣政務官 お答え申し上げます。
以前に事務方から御答弁差し上げたところでございますけれども、保育所における虐待事例の把握あるいは適切な指導監督の責任は、一義的には都道府県にあるということでございます。保育所における虐待は、保護者からの通報、あるいは都道府県による指導監査、これら等によりまして都道府県が把握をし、必要に応じて立入検査あるいは改善命令等の指導監督を実施しているところでございます。
ただし、虐待事案のうち、死亡事故や治療に要する期間が三十日以上の負傷、疾病を伴う重篤な事故に該当すると都道府県等が判断する場合においては、国へ報告が上がる仕組みとなっているところでございます。
いずれにしましても、これは常に言えることでございますが、全ての子供には、適切な養育を受ける、そして健やかな成長、発達や自立等を保障される権利があります。国としましても、保育所における虐待を根絶できるよう、保育の質の確保、向上に向けて、自治体と協力をしつつ、しっかりと取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○森田委員 ありがとうございます。
これは大臣にもお願いしたいなと思うんですけれども、今回、無償化対象施設というのが、厚労の分野だけでなくてそれぞれの分野に及んでいるということになりますと、横串を刺して、どこでどういう現状があるのかということをしっかりと把握をしていただき、より利用される方が安心、安全の中で利用していただけるようにということを確保していくということは必要だなと思っておりますので、ぜひ大臣の方でも、その点、御留意いただければなと思っております。
続いてですけれども、保育園における信頼関係の構築についてお尋ねをしていきたいなと思っております。一つが、保育の施設と親御さんとの信頼関係ということと、それから、施設を利用されていらっしゃる保護者同士の信頼関係という意味でお尋ねをしたいと思っております。
いろんな行事の活用という点で考えてみたいなと思っているんですけれども、うちの娘がお世話になっていたなでしこ保育園というところでは、運動会をやったり、お遊戯会をやったり、秋祭りをやったり、あるいは遠足に行ったりと、いろんな行事があるわけですけれども、そういうところに保護者が参加をする。
私なんかは父親だったので、その園では父ちゃんクラブという名前で、もうちょっと上の世代の方の、先輩の、おじいちゃん、おばあちゃんぐらいの世代の方のおやじクラブというのがあったので、それの現役のパパ世代みたいな感じで父ちゃんクラブというのがあったんですけれども、そういうところで、例えば運動会をやるときなんかは、一緒に役員さんで用具を出したり、運営を一緒にやったりなんということでやる。
そうすると、園の中で、保育園の先生方との信頼関係がいろんな共同作業を通じてできてくるということが一つで、これは、サービスの受け手、提供する側、こういう二極対立ではなくて、やはり、一義的には親が責任を負うんだ、保護者が責任を負っているんだ、ただ、パートナーシップで、一緒にみんなで子育てをやっていきましょう、この信頼関係の構築というのが一つ。
それから、保護者同士の信頼関係ということでいきますと、例えば、小さい子たちですから、つねったとか、引っ張ったとか、蹴ったとか、そういうことは日常茶飯事に起きるわけで、一々これを、園長先生の問題とか大きな問題にしていては、行政に例えば問題が来たとかということにしていては、現場がもうついていかない。
これを、例えば親同士が面識があれば、誰々ちゃんのパパがどうの、誰々ちゃんのママがどうのということで、お互いの、ああ、悪かったねと言えばそれで手打ちになる。こういう状況をつくり出しておくということが、園の運営ということを考えても非常に円滑になるんじゃないかなと思っておりまして、ぜひ、この保育施設の中における行事というものを、明確に、大事だということで位置づけていただきたいなと思っているんですが、このあたりについて見解をお聞かせください。
○新谷大臣政務官 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、保育所における子育て支援に当たりましては、やはり、保育所が保護者との相互理解を図り、保護者との相互の信頼関係を基本とすることが必要でございます。
信頼関係構築のためには、ふだんからの連絡帳や送迎時の対話などのほか、先ほど委員もおっしゃっておられましたが、親子の遠足、運動会、こういった行事も重要な手段や機会と考えておるところでございまして、保護者の子育てに対する自信や意欲を支えられるよう、内容や実施方法を工夫することが望ましいと考えております。
また、子育て支援に当たりましては、保護者同士の信頼性、関係性を高めることも、保護者の子育てや子供の成長を支える大きな力となると考えてございます。行事への参加はこのための重要な機会でございまして、まさに、保護者同士の交流、あるいは相互支援、保護者の自主的活動などを支える視点を持ちながら実施をしていくことが非常に大切である、そのように考えております。
こういったことは、実は、保育所が行うべき保育の内容等について定めた保育所保育指針やその解説にも盛り込まれているところでございまして、引き続き、こういったことをしっかりと市町村や事業者に対しても周知を図ってまいりたい、そのように思っております。
○森田委員 ありがとうございます。
いわゆる認可を受けてずっとやってこられた社会福祉法人なんかの施設では、当然、こういうことはもう既にやっていらっしゃるということが想定できるわけなんですけれども、今回、かなり無償化の対象の幅が広がって、例えばベビーホテルでこういうことをやっているかといえば、多分やっていないところがほとんどじゃないかな。
そういうことも含めて、ぜひ、これをきちんと明確にして、保育を行っていく上ではかなり重要性が高いんだということを、無償化対象施設ということで広く捉えていただき、その配慮をしていただければなと思っております。
続いて、男性の産休、育休の取得についてのお尋ねでございます。
先ほど、寺町参考人、午前中の参考人のお話の中で、二人目以降を産むということが、父親の子育てへの参加、その参加度合いによって変わってくるんだよというお話がございました。
ただ、父親の子育てへの参加といったって、基本的には父親は逃げるわけなんですよね。私がそうでしたという、こんなことを言っていると、うちに帰ってから、あんた、何偉そうなこと言っているのと言われるんですけれども、要するに、仕事だ、休みの日にはつき合いだ、ゴルフだ、こういうことになっちゃうわけなんです。
幸い、うちは三人年子だったので、三人目が生まれたときには、ちょっと意図せざる三人目だったんですけれども、ただ、せっかく授かったんだから、私が全面的に協力するから三人目も産もうよ、そういうことを話をして、じゃ、そういうことならといって渋々三人目をという、まあ、そのときはですよ、今はよかったと思っているんですけれども、そういうことになったんです。
やはり、そういうふうに白紙委任状を出しちゃったので、私はやらざるを得なかったというところもあったんですけれども、基本的にはやはり父親は逃げる傾向にあると思うんですね、何やかんや理由をくっつけて。
やはりある程度の強制力が、強制って本当に強制するわけじゃないですけれども、周り、外堀を埋めるということをやっていかないと、ほっておけば、イクメンとかと言っている自体が普通じゃないということなので、一般的に行われるようになるには、やはりある程度の強制力を持った形で進めていく必要がある。
例えば、産休、育休に相当するものを父親にもとらせるという中で、産休ですよ、育休ですよと会社でとられちゃうと、その間は少なくとも産休、育休にふさわしい内容をやらざるを得ないということにもなるかなと思っておりまして。
一つ、これは御提案なんですけれども、国がかかわる補助とか助成の申請のときに、男性の産休、育休の取得であるとか、あるいはワーク・ライフ・バランス、あるいは生き方についての研修をちゃんとやっていますよということを補助、助成の要件に入れてしまうということはどうかなと思っているんですけれども、このあたりについての政府のお考えをお聞かせください。
○中根副大臣 お答え申し上げます。
ワーク・ライフ・バランスの推進は、性別や年齢などにかかわらず、誰もが意欲と能力を発揮することができることを目指して行うものでありまして、政府としても取組を進めているところでございます。
政府としては、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制の導入等を通じた長時間労働の削減、そして女性活躍推進法に基づく男性社員の育児休業の取得状況等の見える化の推進、このようなことを行っておりまして、これらを通じて男性の育児また家事への参加を促しているところでございます。
森田先生の御指摘のような、研修の実施を補助等の条件とすることにつきましては、政府による補助金や助成金にはそれぞれの趣旨また政策目的があることから、一概に申し上げるというのは非常に難しい、困難でございますけれども、政府におきましては、国及び独立行政法人等の価格以外の要素を評価する調達において、このワーク・ライフ・バランス等に積極的として認定を受けた企業に対しまして加点評価をする取組を平成二十八年度から実施している次第でございます。
このようなことをして、このワーク・ライフ・バランスに向けたいわゆるインセンティブを上げていくということでございます。
今後とも、このワーク・ライフ・バランスの推進に向け、関係省庁と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
○森田委員 現状では非常に難しいことなんだろうなと思っておりますけれども、やはりどこかで形をつくってやっていかないと、なかなか、特に男性とか企業の側の意識というのは変わらないし、例えば企業も嫌がると思います、こういうことをやると。貴重な若手の男性を休みでとられちゃうということになりますと。
ただ、二人目、三人目をそういう状況の中で産み育てるという環境ができれば、企業にとっても、二十年後とかそれ以上先のことを考えれば、人材ということでまた返ってきますよという、政府としてもきちんとした説明であったり説得をするということも必要だろうなと思っておりまして、ただ、それだけではなかなかプラスになるということは難しいと思いますので、予算をかけずにこういうことというのはできることじゃないかなと思っておりますので、ぜひ御検討をいただければなと思っております。
それから、より絞り込んだ形で、厚労省の関係の分野で、医療だとか福祉の関係の事業所がたくさんあると思います。もちろん診療所だとか病院、それから福祉関係ですと、今お話しになっている保育所もそうでしょうし、それから障害者の施設であるとか高齢者の施設だとか、こういうところの施設というのは、要するに、単に仕事をやっているということではなくて、扱っているのは人そのものでありまして、やはり人を扱う職場でワーク・ライフ・バランスをきっちりと守りながら、自分にも子供がいたり家族がいたりしながら働く環境を整えていくということをやっていくということが、結局はその現場のサービスにも、愛情を持った、自分の家族の延長であったりだとかという中で、愛情ある接し方ができるのではないかなというふうに思っております。
例えば、私なんかは介護の事業所に携わっているので、処遇改善加算をもらうときにはかなり面倒くさい、面倒くさいと言ったらあれですね、細かい書類を書くわけですね。こういうことをやっていますか、ああいうことをやっていますか、じゃ、加算はどうやって職員に還元しますかなんということをかなり事細かに出すんですけれども、その中に、こういう男性の育児参加というか、産休、育休のことであったり、そういうワーク・ライフ・バランスの研修のことであったりというのを入れるのも非常に有効な手段なのではないかなと思うんですけれども、このあたり、厚労省としていかがでしょうか。
○新谷大臣政務官 お答え申し上げます。
男性が積極的に育児を行うことは、女性の就業継続あるいは出産意欲の向上、こういった観点からも非常に重要であると考えております。このため、男性の育児休業取得促進など、ワーク・ライフ・バランスを持った働き方ができる環境を整備していく必要があろうと考えております。
一方で、これは先ほどの中根副大臣とも少し重なるところがございますけれども、福祉事業者などに対する各種加算、あるいは補助金の要件については、各制度それぞれの政策意図あるいは趣旨を踏まえて設定されているということがございます。御提案のように、男性の育児休業取得あるいはワーク・ライフ・バランスの確保の取組を行うことを一律に要件とすること、これは困難であると考えております。
例えばですけれども、保育所の運営費における加算については、追加的な職員配置による人件費の補助、あるいはキャリアアップの取組を促す加算、こういったことが、それぞれの政策意図に応じた要件が定められているところでございます。これらの加算の要件に、先ほどの育休の取得状況等を加えることは、政策意図から照らして、対象となるべき事業が対象から外れる結果となるものでございますので、慎重な検討が必要である、そのように考えておるところでございます。
いずれにしましても、委員御指摘のように、ワーク・ライフ・バランスの推進は非常に重要であると考えておりまして、働き方改革関連法によります長時間労働の是正、あるいは勤務間インターバル制度の導入促進、イクメンプロジェクト等による男性が育児休業を取得しやすい職場環境の整備、あるいは一定水準以上の男性の育児休業取得等を要件とするくるみん認定の取得促進、こういったこと等を通じて、働く人のワーク・ライフ・バランスを確保し、誰もが働きやすい社会を実現してまいりたい、そのように考えております。
○森田委員 かなり難しいことだと思いますが、ぜひ御検討いただければなと思っております。
また、そういった、父親が保育というか子育てに参加できるという前提があっての話だと思うんですけれども、父親に保育士体験等に参加をしてもらうということを一生懸命やっていくべきじゃないかなと思いますけれども、これはどうでしょうか。
○新谷大臣政務官 お答え申し上げます。
男性が積極的に育児を行うことは、女性の就業継続、先ほども申し上げましたが、出産意欲の向上の観点からもやはり重要であると考えております。
厚生労働省としましては、先ほど申し上げました保育所保育指針において、「保育の活動に対する保護者の積極的な参加は、保護者の子育てを自ら実践する力の向上に寄与することから、これを促すこと。」こういった内容を盛り込んでおりまして、保育園と保護者との相互理解の観点からも、保育園における保育活動への、これは男性も含めたところでございますが、保護者の参加を促しているところでございます。
本指針を踏まえまして、各保育園において、保護者の就労や生活形態に配慮しながら、委員御指摘の保育士体験、こういったことも、保育活動への保護者の積極的な参加の機会を提供いただきたい、そのように考えているところでございます。
○森田委員 ぜひ、男親に焦点を当てた取組をお願いできればなと思っております。
いろいろなことを踏まえて、最後、大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども、世の中には人材がないようで、ある部分もありまして、それは、おじいちゃん、おばあちゃんとか地域の定年後の世代の方たちは、お金も比較的あるし、時間もあるしというふうなことで、大臣も実際に、おじちゃんとしてお孫さんのいろいろなことに参加をしたというようなお話も聞いております。
ぜひ、もちろん、保育の仕組みとしてどうのこうのという問題ではないと思うんですけれども、人材を活用する、あるいは広い意味での人のきずなをつくっていくという意味では、そういったおじいちゃん、おばあちゃんだとか地域の御高齢の方を、定年後の方を、活用するという言い方は悪いですけれども、うまく招き入れるという取組が必要じゃないかなと思いますが、このあたりについて、最後、大臣の御答弁をお願いします。
○宮腰国務大臣 委員御指摘の祖父母の孫育てや地域の高齢者による子育てボランティアを始めとする子育ての担い手の多様化は、育児の心理的、身体的負担の軽減にとっても重要であると認識をいたしております。
平成二十七年三月に閣議決定いたしました少子化社会対策大綱におきましても、地域の退職者や高齢者等の人材活用、世代間交流を盛り込んでおります。
私自身も、毎朝、スマホのテレビ電話機能を使って、孫の算数の面倒を見させていただいております。その間に母親が朝御飯をつくる、こういう感じになっておりますが、勉強を見る方も楽しい、見てもらう方も安心して見てもらっているというので、いいのではないかなと自分なりには思っております。
そのほかにも、例えば学童保育の施設と高齢者や障害者の方々がいろいろなサービスを受ける施設と一緒になっておったり、富山型デイサービスというんですが、そういう施設の存在もありますし、あるいは、私、子供の貧困対策も担当させていただいておりますけれども、全国の例えば学習支援教室などで、子供さんをおじいちゃん、おばあちゃんが教える、自分のところのではないですよ、そういう姿もこの目で見てまいりました。
やはり、おじいちゃん、おばあちゃんにとっても、小さな子供、あるいは自分のですね、まあとにかく小さな子供と接して逆に元気になるという部分もあるのではないかと思っておりまして、これから、活力、意欲のあるシニア層などの参画を促し、子育て支援の裾野をしっかり広げていくという観点からも、大綱の見直しに向けた検討にも生かしていきたいというふうに考えております。
○森田委員 少子高齢化というのは、高齢というところが問題点として指摘されることが多いんですけれども、少子を解決する高齢者の方の力を活用していく、問題解決の手段としての御高齢の方の、活用と言ったら失礼なんですけれども、使い方があるんじゃないかなと思っておりますので、ぜひこういう視点でも取組をお願いできればと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
きょうは、まず、公定価格の地域区分の問題について質問をいたします。
埼玉県議会が、三月十五日付で国に意見書を上げております。幼児教育・保育の無償化に向けて質の確保等を求める意見書ということですが、その中に、「子ども・子育て支援新制度において国が定める補助の基準となる公定価格については、国家公務員の地域手当に準じた地域区分が設定されているが、近隣自治体と公定価格の乖離が著しい自治体においては特に、保育士の確保が更に困難となるおそれがある。」としております。
大臣にお尋ねいたしますが、近隣自治体と公定価格の乖離が著しい自治体においては保育士の確保が困難となる、こういう事態がある、そういう認識はお持ちでしょうか。
○宮腰国務大臣 各自治体の皆様におかれましては、保育士の確保にさまざまな努力をされていること、また、地域区分について、自治体の皆様にさまざまな御意見があることも承知しております。私も先日、埼玉県の熊谷市長さんとも直接お会いをいたしまして、地域区分に関する御要望を伺ったところであります。
内閣府におきましても、現場の御意見をより詳細にお伺いするため、今年度、公定価格の設定等に関する調査研究の項目の一つとして、埼玉県を含む自治体にヒアリング調査を行っておりまして、速やかに取りまとめてまいりたいというふうに考えております。
なお、やはり公務員の地域手当の区分を活用しているものについては、例えば介護報酬や診療報酬等においても、子ども・子育て支援新制度の公定価格と同様に、公務員の地域手当を基本として地域区分を設定しているものでありまして、恐らくこれまでずっと、何らかの基準が必要であるということで、一番公平なのは、公務員の地域区分というのを基準にしているものというふうに考えております。
○塩川委員 自治体からさまざまな御意見があるということで、課題の一つということで、調査研究の項目にも挙げているということで伺いました。
やはり、当然何らかの基準が必要なんですけれども、それが、人事院における地域手当、それを編集している公定価格の地域区分という、その妥当性の問題というのが問われるわけです。
資料をお配りしました。地図が一枚目にありますけれども、公定価格の算定要素となる地域区分ということで、埼玉県と東京都の比較をくっつけてつくったものです。これは人事院の提出資料と内閣府の提出資料をもとに作成しました。
人事院にお尋ねしますが、先ほど熊谷市長のお話もありましたけれども、熊谷市というのは黄色で三%なんですよね、支給割合。その周りの深谷市とか行田市とか鴻巣市とか滑川町とかは六%、東松山市は一二%なんです。このように熊谷は低い。これはどういう理由なのか。
あるいは、その下の方、南の方に狭山市、緑色でありますけれども、狭山市は一二%ですが、周りの川越市、所沢市、入間市、飯能市は六%、日高市は三%ということで、狭山市が高いんですけれども、何でこんな、生活圏は一緒なのに大きな差が出るのか、それを教えてもらえますか。
○森永政府参考人 お答えいたします。
国家公務員の地域手当の支給割合は、客観的なデータ、具体的には厚生労働省の賃金構造基本統計調査を用いて算出いたしました賃金指数に基づいて、市町村ごとに支給割合を決定しているものでございます。
○塩川委員 ということで、厚労省の賃金構造基本統計調査による賃金指数に基づいてということで、統計不正の問題はちょっとおいておいて、この数字。この賃金構造基本統計というのはどういう調査なんでしょうか。何でこういう数字、生活実感とかけ離れるような、違いが出るような。そのベースとなるような調査はどんなふうに行っているんですか。
○土田政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省で実施しております賃金構造基本統計調査は、労働者の賃金の実態につきまして、労働者の雇用形態、性、年齢、産業を地域別等に明らかにすることを目的としておりまして、毎年六月の各労働者の給与について調査を行っているものでございます。
なお、地域別につきましては、全国計と都道府県別の調査結果を公表しているところでございます。
○塩川委員 こういう数字の違いが出るのはなぜなんですかというのを教えてほしいんですが。
○土田政府参考人 お答え申し上げます。
賃金構造基本統計調査におきましては、市町村別の推計は行っておりません。市町村間の賃金水準についての分析は行っていないところでございます。
その上で、御指摘の市町村の地域ごとに差異が生じている理由ということでございますけれども、一般論としてお答えいたしますと、この統計調査におきまして、労働者の賃金を把握するためには、労働者を雇用している事業所を抽出いたしまして調査対象としているところでございまして、そういった性格上、当該地域に所在する調査対象となった事業所の賃金の高低差などが地域ごとの差異に反映されることになるのではないかというふうに想定されるところでございます。
○塩川委員 ですから、事業所を抽出する、その事業所の賃金の高低差を反映すると。つまり、大手の大規模事業所があると高くなるわけです。それがない、あるいは卸とか小売中心のような産業構成のところは相対的に低く出る。だから、熊谷市などはそういった傾向になって、一方で、狭山市はホンダの埼玉工場がありますので、これは五千人規模の事業所ですから、だから全体が高くなるんですよ。
ですから、大手の大規模事業所があるところは高く出る、そうでない卸とか小売中心のようなところになると相対的に低く出る。まさに、産業構成、産業構造を反映しているんです。ということですよね。
○土田政府参考人 ただいま委員御指摘の地域の産業構成につきまして、個々には承知しておりませんけれども、当然、抽出されました企業におきます賃金の実態というものが反映されるということが想定されるということでございます。
○塩川委員 二十三区なども高いというのはそういうものの反映となっているわけですけれども、もちろん、人事院の地域手当の仕組みそのものについて我々異論がありますので、その議論はまた別途しようとは思いますけれども。
要は、これは内閣府に聞きたいんですけれども、市区町村単位にしているのは、これは人事院がやっているわけですけれども、その人事院のを受けて内閣府が市区町村別にこういうふうに、若干、小規模自治体を勘案した数字を出しているわけです。この色別の地図はまさに内閣府の行っている作業を地図に落としたものなんですけれども、市区町村単位で区分すると、大手の大規模事業所のあるなしで賃金が大きく変動する。
内閣府に伺うんですが、こういう地域の産業構造に伴う賃金の違いは保育士の賃金水準と関係ないんじゃないですか。
○小野田政府参考人 お答えします。
委員御指摘の地域区分につきましては、国として統一的かつ客観的なルールのもとで設定することが求められること等を踏まえまして、保育士につきましては国家公務員の地域区分等に準拠して設定しているものでございますが、客観的に国家公務員の地域区分に準拠しているだけでございますので、今委員御指摘の中身まで踏み込んでの準拠とは、今の状況ではなってはございません。
○塩川委員 いや、でも、基本はベースになっているわけですから、こういうふうに出るわけです。これはまさに内閣府の公定価格の算定要素となる地域区分ですから、ベースとなるのは賃金構造基本統計であり、それを人事院の方が編集して、市区町村別にしているということなんです。
それで、地域手当に基づく保育士の地域区分はどのくらいの賃金差を生むのかを確認したいんですが、内閣府にお尋ねしますけれども、幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査報告書の地域区分別賃金、保育士を見ると、東京二十三区などを例に挙げられる二〇%地域の賃金は幾らで、川口市や戸田市などを例に挙げる六%地域の賃金は幾らとなっているでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
平成二十九年度の幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査によりますと、私立認可保育所における常勤保育士の賞与込みの月収は、百分の二十地域で三十万二百八十四円、百分の六地域で二十六万六千六百六十三円となってございます。
○塩川委員 ですから、六%、百分の六地域の、これは丸めた数字ですけれども、川口市や戸田市に相当するようなところは二十六万六千円なんですよ。それが、荒川を渡って二十三区に入ると三十万円になるんです。荒川を渡るだけで、三万四千円、三万三千円違うんですよね。これは大きな差がつくと思いますし、実際に、更に東京都などが独自の上乗せ措置もやっているので、なおのこと大きな差が出てくるということで、川口駅で乗ったら隣はもう赤羽駅ですから、そういうところでも大きな影響が出る。
改めて大臣に伺いますけれども、こういった公定価格の地域間格差というのは、これは抜本的に是正が必要なんじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。
○宮腰国務大臣 大変難しい話であります。
先ほども統括官からも御説明申し上げましたけれども、公定価格の地域区分については、国として統一的かつ客観的なルールのもとで設定することが求められていること、それからまた、ほかの社会保障分野の制度との整合性を考慮する必要があることなどを踏まえて、地域ごとの民間給与の水準を反映させている国家公務員の地域手当の区分に準拠しているということであります。
地域ごとの民間給与の水準というのが、大企業が、大きな工場があればぱっと上がって、そうではなくて、中小企業や卸、小売主体だというところが余り上がらないという実態もあると思います。ましてや、隣の町とランクが違うというのがやはりなかなか納得いかない部分もあると思いますが、基本はやはり、国家公務員の地域手当の区分に準拠という仕組みは、これはなかなか無視ができないのではないか。全く全国統一的な仕組みが別にあるのであれば、これは別ですけれども。
なかなか難しい問題でありますが、今後、この公定価格の検討に当たって、これは重要な問題でありますから、検討課題の一つとして、しっかり検討してまいりたいと思っております。
○塩川委員 きょうの参考人質疑でも、桑原参考人は、公定価格の見直しを、市町村単位には不満が多いという意見も述べておられました。
今、議論とすれば、業種別、職種別の全国最低賃金を設けるとか、全体の底上げをどう図るかという議論も当然あるわけです。そういったときに、地域のこういった、客観的という話をされたけれども、客観的と言えない数字になっているということを含めて、国の政策による保育士賃金の地域格差は見直すべきでありますし、公定価格の地域間格差の見直しが必要だと。
全体とすれば、そもそも待機児童解消のためには、保育士確保に大きな資源を投入する、抜本的に全体を底上げするということで、保育士確保を図る必要がある、労働条件の改善を図る必要があるということを申し上げておくものです。
次に、子育て安心プランの関連でお尋ねをいたします。
子育て安心プランは、二〇二〇年度末までに三十二万人分の受皿整備を行うとしております。この子育て安心プランにおける保育の受皿拡大量の内訳と、その根拠を示してください。
○本多政府参考人 お答えいたします。
子育て安心プランに基づいて、二〇二〇年度末までに三十二万人分の整備をすることとしておりますが、この根拠ということでございますが、二十五歳から四十四歳までの……(塩川委員「違う、違う」と呼ぶ)済みません。内訳と根拠ですよね。(塩川委員「内訳。ですから、市区町村と企業主導型との内訳」と呼ぶ)
内訳についてお答えをいたします。
受皿拡大量の見込みは、昨年九月の公表時点で、各市区町村による整備分の約二十三万三千人と、これに、企業主導型保育の整備見込み量六万人、この合計が二十九万三千人ということでございます。
今後、毎年度、計画を見直す中で、潜在的ニーズが具体化し、整備量が増加するものと考えておりまして、二〇二〇年度末までには三十二万人の保育の受皿を整備するということとしております。
○塩川委員 資料の二枚目の方に、厚労省の、待機児童の解消に向けた取組状況という資料を載せておきました。
上から二段目の右側に、子育て安心プランについて、市区町村の拡大量について約二十六万人、企業主導型保育拡大量について約六万人で、合計で三十二万人となっているんですが、この二十六万人と六万人と分けている、その数字の根拠は何かをもう一回言ってもらえますか。
○本多政府参考人 お答え申し上げます。
三十二万人分というのはマクロの推計値をもとにしておりまして、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が二〇二二年度末までに八割まで上昇するということを想定して推計をいたしております。
企業主導型保育の整備見込み量六万人につきましては、これは予算との関連で決まってくるものでございますので、予算を見込んで仮置きをしている数値ということでございます。
○塩川委員 これはいつの時点の数字なんですかね。予算上に六万人というのは、いつの時点でそういう数字が出ているんですか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
昨年九月の時点でございます。
○塩川委員 でも、今説明いただいたのは、平成二十九年六月の公表の安心プランの数字で聞いているんですけれども。
この平成二十九年六月時点で六万人という数字はあったんですか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
六万人というのは、事業主の拠出金率が上限に達したときに実現される数値としております。
○塩川委員 いや、そうじゃなくて、この平成二十九年六月に子育て安心プランをつくったときに、そもそも企業主導型で六万人という数字を、確保する数字として挙げていたのかというのを聞いているんです。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育の六万人でございますけれども、最終的なその決定の経緯でございますけれども、平成二十九年十二月の新しい経済政策パッケージにおきまして、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、経済界に費用を負担していただき、待機児童解消に向けた子育て安心プランに基づく三十二万人分の保育の受皿増分に対応するため、一般事業主から徴収する事業主拠出金を活用し、企業主導型保育事業の拡充と、新たにゼロ歳から二歳児相当分の保育の運営費に〇・三兆円充当することが決定されたところでございまして、具体的に六万人といいますのは、この決定を受けまして、平成三十年度予算編成過程の中で、経済団体との協議の場を通じまして、企業主導型保育事業六万人分に充てる方針となったところでございます。
○塩川委員 ですから、二十九年六月時点に六万人という数字はないわけですよ。そもそも、十二月のパッケージで拠出金の拡充をして六万人にするという話ですから、拠出金の拡充もない段階で六万人の話なんかないんですよ。
そうすると、二十九年六月時点の子育て安心プランの三十二万人に企業主導型は入っていないということなんでしょう。
○本多政府参考人 お答えいたします。
三十二万人という数字は、先ほども申し上げましたとおり、女性の就業率を想定をしたマクロの推計値でございます。
○牧原委員長 要するに、企業主導型がそれに入っているのかという質問です。
○本多政府参考人 それは、内訳を積み上げたものではなく、マクロで決めたものでございます。
○塩川委員 いや、この表に書いてあるから。
それは多分、パッケージの時点、予算編成の時点の数字なんですよ、二十六万と六万というのは。つまり、二十九年の十二月のときの数字なんです。二十九年六月の時点で六万人という数字はないでしょう、三十二万人のうち企業主導型の枠というのはそもそもあったんですかというのを聞いているんです。
○本多政府参考人 お答えいたします。
二十九年六月の時点ではございませんでした。
○塩川委員 ですから、後から持ち込んでいるわけですよ。
私は、三十二万人というのはそういうマクロの数字ですから、それは実際のニーズとイコールかどうかは別ですけれども、しかし、ニーズに応え得る数字として三十二万人というのを出しているというのはそのとおりだと思うので、そもそも、そういった保育ニーズに応えるような保育の整備量を賄うのであれば、これはやはり、子育て安心プラン実施計画という市区町村が立てる計画があるわけですよね、そこで保育ニーズを踏まえた数字を挙げるわけですよ。だとしたら、この市区町村の子育て安心プランの実施計画で三十二万人を目指すというのが本来なんじゃないですかということを確認したいんですけれども。
○本多政府参考人 お答えいたします。
保育の受皿につきましては、市区町村が認可保育所等を中心とした整備を進めることが重要であると考えております。
一方、企業主導型保育事業につきましては、二十八年の子ども・子育て支援法改正によって待機児童対策への貢献を目的として制度化されたものでございまして、職員配置などが認可の小規模保育事業に準じた基準となっており、内閣府において認可保育所並みの整備費、運営費を補助していることや、また、事業主拠出金を財源として、企業の従業員の多様な働き方に対応できる保育施設であることから、重要な保育の受皿の一つと考えております。
○塩川委員 ですから、本来は、自治体の保育に係る実施計画の中でニーズに見合った整備を行いましょうということが大前提なわけですよ。そういう中には、もともと企業主導型は入っていなかったわけです。もちろん、地域枠を設けて、それをカウントもできますよというのは後で出てくる話なんだけれども。
要は、三十二万人、三十二万人と言うんだけれども、実際には、当初はなかった企業主導型で六万人を入れましょうと、ぼんと二十九年の末に入ってくる。だから、その数字に合わせるようにどんどんどんどん企業主導型をふやそうというのが、この間の企業主導型をめぐる問題点の背景にあるんじゃないのかということを問いたいわけです。
ですから、企業主導型は、二〇一六年にスタートをして、二〇一七年は八月の時点で二万人分の前倒しをし、九月に安心プランの二〇二二年度末達成を二〇二〇年度末への前倒しを行いました。二〇一八年は、九月に募集枠の二万人分を三万人分に引き上げた。つまり、企業主導型の申請数が多いと毎年毎年その都度最大限受け入れる、こういう対応を行ってきたというのが経緯じゃないですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
子育て安心プランに沿いまして計画的に進めてきている中で、予算も見ながら、どの程度ふやしていくかというのを判断していっているところでございます。
○塩川委員 いや、前倒し、前倒しで、要するに募集枠を超えるような数があったら、これは、じゃ、もう入れちゃおうと、申請に合わせてどんどんどんどんつぎ込んでいるんですよ。だから、前倒し、前倒しとできるという話なんだけれども、それが結果として今の混乱になっているんじゃないのか。
きのう、児童育成協会にも行って、現場の皆さんは大変御苦労されておられるわけですけれども、お話を聞いても、例えば審査、監査の問題でも、助成決定に当たって施設の現地確認を行ったのは二千六百施設に対して六件だというわけですよ。
それとか、あるいは、助成決定を行った審査会を五人で構成しているんだけれども、じゃ、五人のこの審査会がそういった審査を何回の会議でやっているかといったら、三回の審査会で二千六百施設の審査を行っているというんですよ。とても信じられないような事態があるわけで、立入調査も、八百施設入った場合でも、問題ありが七五・八%というのもあったわけです。
私は、数々の問題を起こしている企業主導型の急激な整備というのがこういう混乱の大もとにあるという点で、二度にわたって前倒しをして、企業主導型を前のめりに推進してきた政府の責任は極めて重大だと言わざるを得ません。
大臣にお尋ねしますが、結局、市区町村による受皿整備が不十分な場合に企業主導型で穴埋めしようと考えていたんじゃないのか、保育の受皿整備を、企業主導型を帳尻合わせに使うということを計画した政府の責任が厳しく問われる事態なのではないのか。この点についてお答えください。
○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業は、待機児童問題が大きく取り扱われる中で、まずは、やはり待機児童解消に向けた取組の一つとして、そして、それに加えまして、多様な働き方に応じた保育サービスが提供できる事業としてスタートいたしました。その二つが大事だというふうに考えております。
しかし、子供の健やかな育ちを図るためには、保育の質の確保は非常に重要であると認識をいたしております。これまで内閣府が事業を進めた中で、量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないか、ここは一度立ちどまり、これまでの取組を検証し、反省すべきは反省し、しっかりと改善を図っていくべきではないのか。私としては、そうした厳しい認識のもとに、昨年十二月に実施体制を強化するための検討委員会を立ち上げました。
今月十八日に公表されました、当面早急に改善すべき事項についての検討委員会報告におきまして、「子供の安全第一の観点から、保育の質の確保・向上を重視し、審査、指導監査の在り方を検証し、見直す。」といった改善方策が示されておりまして、今後、検討結果を踏まえ、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 一度立ちどまるという話であれば、今年度の三万人分の受皿についても、これは見直す必要がありますよ。来年度二万人という数についても、それでいいのかという、その検証がそもそも必要だと思うんです。
実施機関のあり方の話だけじゃなくて、そもそも、審査、監査を行っている現行の施設についての対応がこれでいいのかが問われているわけですので、問題を起こしている企業主導型をふやすということは保育の質の確保や保育の安心、安全の観点から認められないということを申し上げ、公立を中心とした認可保育所でしっかりと保育所の整備を行うということを求めて、質問を終わります。
○牧原委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 どこからどう見ても保育士の浦野でございます。
午前中に引き続き、質問をさせていただきます。
今、塩川委員がおっしゃっていた地域手当、私も、これは実は地方議会にいてるときからずっとやっていまして、地域の産業構造の話をされていましたけれども、いや、そうじゃないやろうと思うんですね。というのは、私もこれは事例でよく言いますけれども、それまでは何々郡何々町やったところが、政令市に合併した途端、地域手当がぼんと上がるわけですよね。だから、こういうことがあるんだから、産業構造なんて関係ないわけですよ。
だから、本当に、誰に説明してもらってもなかなか納得できないのがこの地域手当ですので、これはしっかりと議論をしていただけたらなと思っております。きょうは質問ではありませんので、ぜひこれはゆっくりと議論をしていただけたらなと思っております。
きょうは、きのう視察にも行かせていただきましたので、児童育成協会について質問をさせていただくんですけれども、きょうも、委員会の中で、平成二十九年度の立入調査、八百施設中、指摘が六百六施設ということで、七五・八%だということなんですけれども、私は、主な指摘事項の多いのは何ですかということで、上位十件というのを資料としてつくっておられたので、それをいただきました。
一番多いのは、保育計画等を適切に整備すること、これは二百七十六件。乳幼児の利用開始時に健康診断結果を確認すること百六十一件、開所時間の全てにおいて必要な保育従事者数を配置すること百五十七件、乳幼児の健康診断を適切に実施すること百三十四件、嘱託医との契約を締結すること百二十六件。
ずっとあるわけですけれども、これを審査したときに、これは、済みません、質問通告してあったんですね。僕、今ちょっと言っちゃいましたけれども、ちょっとお答えいただけますか。
○小野田政府参考人 では、お答えいたします。
ちょっと繰り返しになって恐縮でございます。主な指摘事項としましては、保育計画等を適切に整備すること二百七十六施設、乳幼児の利用開始時に健康診断結果を確認すること百六十一施設、開所時間の全てにおいて必要な保育従事者数を配置すること百五十七施設、乳幼児の健康診断を適切に実施すること百三十四施設、嘱託医との契約を締結すること百二十六施設などが示されたところでございます。
○浦野委員 これは基本的なことを、施設を運営するに当たって基礎的なことの指摘を受けたというのが結構僕はあると思うんですね。これは、じゃ、どうやって審査を通過したのかなと。
こういう指摘を受けるような施設が、審査を通過して実際に運営を始めているわけですよね。このことについてどう思われるのかというのを答弁いただけますか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
審査でございますけれども、平成二十八年度と平成二十九年度における審査では、協会が審査を行い、認可施設並みの基準を満たしているかどうか、財務面においては予算書及び直近二期の決算報告書などを確認した上で、助成決定を行っております。
平成三十年度の審査では、協会におきまして、事前に事業者が地方公共団体等へ確認する事項を明確化するとともに、多様な働き方に応じた保育の提供、待機児童対策への貢献などを審査における優先的に考慮する項目とすること、また、共同利用の見込み、事業計画の妥当性など、総合的に事業内容等を審査すること、これらをあらかじめ公表した上で、協会に置かれる審査会において審査、選定し、助成決定を行っております。
ただ、委員御指摘のとおり、いろいろな課題が出てきておりますので、今後、審査の改善にしっかりと取り組んでまいる所存でございます。
○浦野委員 上位十位の中に、例えば、アレルギー対応マニュアルを適切に整備すること、これをしていない施設が七十九件、全体のそのときの九・九%に当たるわけですね。このアレルギー対応なんかは、本当に、アナフィラキシーショックを起こす話ですから、子供の命にかかわる話です。こんなのは当然やらないといけないし、運営をするときにしっかりとやっておかないといけないことなんですね。
こういうことが指摘されるようになってくると、今まで、企業主導型の保育園、保育所について、質の低下が心配やということを指摘をされるところがありますけれども、これはそうなるでしょう。こんなのは完全に、質の低下といいますか、ちゃんと質が整っていないわけですから、これは本当に問題だと思うんですね。
こういう施設が審査を通過して既に運営をされてきたということに関して、私は、この結果を受けて、ちゃんと審査でこういうのをはねることができる、見つけるようなことができるようにしていかないといけないと思うんですけれども、いかがですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
先般公表されました、当面早急に改善すべき事項についての検討委員会報告におきまして、例えば、審査委員会による審査体制や審査内容の充実を図るべきであること、必要に応じ、書面審査に加え、ヒアリングや現地調査を行うなど審査の精度の向上を図るべきであることなど、多々御指摘をいただいているところでございます。
今後、この検討結果を踏まえまして、内閣府として、保育の質の確保、向上にしっかりと取り組んでまいりたいと思ってございます。
○浦野委員 質問の順番を一つ変えますけれども、先ほども指摘がありました二千六百施設余りを、これは審査室がもちろんちゃんと審査をしたとはいえ、審査会が三回しか開かれていなくて、ということは、単純に一回の審査会で平均八百施設がこの審査会を通過しているわけですよね。僕、それってすごい数やなと思うんです。
これは、どれぐらいの時間をかけてこの審査会が開かれて、この審査をされたのか。審査会の議事録というのはあるんでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
審査会につきましては、その議事は整理していると承知しておりますが、個々の申請事業者の企業情報が含まれているため、公表はしていないというふうに承知してございます。
○浦野委員 議事録はあるけれども公開していない。じゃ、何のために議事録をとっているのかがよくわからないんですけれども。これは本当に、ざっと見て、はい終わりみたいな、判こだけ押しているような感じのする審査会やから、これはちょっと考え物じゃないかなと思います。
きのう、協会の方の理事長さんが、監査体制について、実際どうですか、足りていますかという質問に対して、いや、本当は倍ぐらい要るんちゃうかと正直におっしゃっていました。であるならば、現在も監査を行っている皆さんはかなりのオーバーワークになっているんじゃないか。
であるならば、やはり、法律上は年に一度の監査をしないといけないということになっていますから、定められていますから、もちろん委託している部分もありますけれども、費用を含めた体制の再考というのは必要になってくるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
監査体制につきましては、同じく先般公表されました検討委員会報告におきまして、国が指導監査の基本ルールを策定し、実施機関は国の指示のもとで指導監査を実施すべきこと、全国に点在する施設に対する指導監査体制が構築されるよう地域ブロック別又は業務別の体制を整備することといったような、さまざまな内容が示されているところでございます。
こうした取りまとめ内容を踏まえながら、体制強化も含めまして、指導監査が効率的かつ効果的に実施できるよう、しっかりと改善を図ってまいりたいと考えてございます。
○浦野委員 これも他党の委員からの指摘もありましたけれども、きのういろいろ聞いた中で、協会の方が、いや、単年度予算なのでそこまで考えていませんとか、こういう対応はできませんというようなことを幾度かおっしゃっていました。
確かに、次の予算が決まっていない、次の委託が決まっていない以上、その先の話を協会でやるというのはなかなか難しいことだとは思います。やはり単年度予算の限界はここにあらわれているんじゃないかなと思うんですね。限界じゃないかと思うんですね。
これは、安定的な事業をしっかりやってもらうという話になれば、やはり単年度ではなかなかできない、複数年度の委託というのを考えざるを得ぬのじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○宮腰国務大臣 委員御指摘のとおり、安定的な事業継続のためには、しっかりとした人員体制を整備する必要があるというふうに考えております。
検討委員会の報告におきましては、来年度以降については、実施機関は、審査基準や運営基準、指導監査、相談支援、情報公開、自治体との連携に係る改善策について実施が可能となるよう、中立、専門的な体制とすること、高い中立性、専門性のほか、継続的に担うことが求められるため、毎年度、国は外部評価等を行い、透明性の高い事業運営が行われるようにすべきであること、それを前提に、実施機関において複数年の事業実施が可能となるようすべきことといった内容が示されております。
やはり、単年度ごとの契約では人材も確保できない、それから、そのことが原因で、いろいろなこと、審査なり監査なりが当然手薄になってしまうという状況にあると思っておりますので、私は、今回のこの検討委員会の報告書の中で、特に実施体制については、複数年度の契約を可能にするという部分が極めて重要な御指摘ではないかなというふうに考えておりまして、三十一年度以降の実施体制の強化に向けて、しっかりと頑張ってまいりたいというふうに考えております。
○浦野委員 時間が参りましたので終わりますけれども、企業主導型保育所も、しっかりと真面目にやっているところもたくさんありますので、そういったところがとばっちりを受けないように、しっかりとやっていただきたいと思います。
以上です。
○牧原委員長 次回は、来る四月三日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時十一分散会