第10号 平成31年4月3日(水曜日)
平成三十一年四月三日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 牧原 秀樹君
理事 平 将明君 理事 谷川 弥一君
理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君
理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君
理事 大島 敦君 理事 岡本 三成君
安藤 裕君 池田 道孝君
池田 佳隆君 泉田 裕彦君
上杉謙太郎君 加藤 鮎子君
門 博文君 金子 俊平君
木村 弥生君 小寺 裕雄君
高村 正大君 繁本 護君
杉田 水脈君 高木 啓君
中山 展宏君 長尾 敬君
西田 昭二君 古川 康君
松野 博一君 松本 洋平君
三谷 英弘君 村井 英樹君
大河原雅子君 岡島 一正君
岡本あき子君 近藤 昭一君
篠原 豪君 武内 則男君
初鹿 明博君 山尾志桜里君
森田 俊和君 山岡 達丸君
太田 昌孝君 佐藤 茂樹君
塩川 鉄也君 浦野 靖人君
…………………………………
内閣総理大臣 安倍 晋三君
国務大臣
(少子化対策担当) 宮腰 光寛君
内閣府副大臣 左藤 章君
厚生労働副大臣 大口 善徳君
厚生労働副大臣 高階恵美子君
国土交通副大臣 塚田 一郎君
内閣府大臣政務官 長尾 敬君
内閣府大臣政務官 安藤 裕君
政府参考人
(内閣官房一億総活躍推進室次長) 中村 博治君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 向井 治紀君
政府参考人
(内閣府子ども・子育て本部統括官) 小野田 壮君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 矢野 和彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森 晃憲君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 田畑 一雄君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 本多 則惠君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
―――――――――――――
委員の異動
四月三日
辞任 補欠選任
大西 宏幸君 木村 弥生君
岡下 昌平君 上杉謙太郎君
金子 俊平君 高村 正大君
神谷 昇君 門 博文君
長尾 敬君 古川 康君
今井 雅人君 岡島 一正君
近藤 昭一君 武内 則男君
同日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 繁本 護君
門 博文君 神谷 昇君
木村 弥生君 大西 宏幸君
高村 正大君 金子 俊平君
古川 康君 池田 道孝君
岡島 一正君 今井 雅人君
武内 則男君 近藤 昭一君
同日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 長尾 敬君
繁本 護君 岡下 昌平君
―――――――――――――
四月二日
学童保育(放課後児童健全育成事業)の「従うべき基準」を堅持することが実現できる財政措置に関する請願(道下大樹君紹介)(第五三〇号)
同(青山周平君紹介)(第五七八号)
同(馬淵澄夫君紹介)(第五七九号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第六一二号)
同(大河原雅子君紹介)(第六一三号)
同(笠井亮君紹介)(第六一四号)
同(穀田恵二君紹介)(第六一五号)
同(櫻井周君紹介)(第六一六号)
同(志位和夫君紹介)(第六一七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第六一八号)
同(田村貴昭君紹介)(第六一九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第六二〇号)
同(西村智奈美君紹介)(第六二一号)
同(畑野君枝君紹介)(第六二二号)
同(藤野保史君紹介)(第六二三号)
同(宮本岳志君紹介)(第六二四号)
同(宮本徹君紹介)(第六二五号)
同(本村伸子君紹介)(第六二六号)
幼児教育・保育の無償化に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五八〇号)
同(櫻井周君紹介)(第五八一号)
同(小川淳也君紹介)(第六二七号)
同(宮本徹君紹介)(第六二八号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
――――◇―――――
○牧原委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房一億総活躍推進室次長中村博治君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、文部科学省大臣官房審議官森晃憲君、厚生労働省大臣官房審議官田畑一雄君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○牧原委員長 この際、政府参考人から発言を求められておりますので、これを許します。厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君。
○本多政府参考人 質疑の前に一言申し上げさせていただきます。
三月二十二日の本委員会におきまして、塩川議員から、ICT化の推進、保育士の業務補助等に関する補助金の実績について御質問いただきましたが、その際、私は事実と異なった答弁を行いました。
具体的には、保育補助者雇い上げ強化事業につきまして、二十一自治体、六十七施設と答弁いたしましたが、正しくは九十二自治体、千百十二人でした。また、保育体制強化事業につきまして、九十二自治体、一千百十二人と答弁いたしましたが、正しくは百十五自治体、千七百七十六人でした。さらに、保育所等業務効率化推進事業について、百十五自治体、千七百七十六人と答弁しましたが、正しくは二十一自治体、六十七施設でした。
これにより、質疑において十二カ所の誤りが生ずることとなりました。
これは、資料作成の際、十分な確認を行わなかったため、もともとの資料からそれぞれ別の事業の数値を誤って転記してしまい、それに気づかずお答えしてしまったものであり、答弁を訂正いたしますとともに、法律の制定や行政監視における立法府の判断を誤らせるおそれのある答弁を行ったことにつきまして、質疑者の塩川議員及び委員会の先生方におわび申し上げます。
今後、このようなことがないように十分注意をしてまいります。まことに申しわけございませんでした。
○牧原委員長 委員の質疑に対しましては、政府は正確な答弁を心がけるよう、委員長からも強く申し上げておきたいと思います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本あき子君。
○岡本(あ)委員 よろしくお願いいたします。
私も、子ども・子育て法案に関連して伺っていきたいと思いますが、非常に関心も高く、特に保育に関しては、まさに今、四月になって待機児童の問題も更に起きている状況の中で、先ほどちょっと訂正の御説明がございましたけれども、非常に法案にも影響するようなこと、皆さんお忙しいのは重々承知しておりますけれども、やはり緊張感を持って取り組んでいただきたいと思いますし、改めて、私も、そういう法案にかかわっている立場として、しっかり審議をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
幼児教育無償化法案の中で大きな役割を担っている企業主導型保育事業について伺わせていただきたいと思います。
今国会でもるる質疑がございました。子育て安心プランで、しかも二〇一七年度に二万人前倒しの宣言をされて、その審査が大変だったということも想像がつきますけれども、しかし、この企業主導型保育事業、大きな役割を担っているからこそ、保育というのは、子供のことを二の次にということはあってはならないということを改めて冒頭申し上げたいと思います。
今国会の目玉法案として議論を重ねてまいりました、その中の大きな役割の企業主導型保育事業、スピード感、柔軟さは理解しますが、一方、玉石混交の問題点があるということは今まで議論がされていたとおりでございます。良質な保育はしっかり事業として継続できるように、一方で、残念を超えて悪質とも思えるような、あるいは利益至上主義的な事業者に対しては毅然とした対応を求めたいと思います。
二〇一六年、一七年度の二年間で、全体を通じて、残念ながらずさんな審査が続いたと言わざるを得ません。まず、体制の薄さです。審査開始当初、審査担当の児童育成協会の職員、それから建築士の数、それから審査の責任者というのは、それぞれ何名で児童育成協会は行っていったのか、お答えいただけますか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
児童育成協会の審査担当者でございますけれども、事業が開始されました平成二十八年四月一日時点で四名、平成二十八年度末で二十四名、平成二十九年度末で四十一名となってございます。
また、児童育成協会に所属する建築士でございますけれども、平成二十八年度末で二名、平成二十九年度末で四名、平成三十年度末で七名となってございます。
また、責任者は、部長という意味ではいずれもお一人ということでございます。
○岡本(あ)委員 あともう一つ教えていただきたいんですが、当時、内閣府で企業主導型保育事業を担当していた、マネジャーではなく担当者というのは何名いらっしゃったか、今もしわかればお答えいただきたいと思います。
○小野田政府参考人 お答えします。
恐縮でございます。内閣府の体制も徐々には充実はしてきてございますが、済みません、今この時点でお答え、ちょっとしかねます。
○岡本(あ)委員 私、この問題になってから内閣府の担当の方ともやりとりさせていただいていますが、最初、多分、二十八年度は、皆さん、業務を兼務で持っていらっしゃったのではないかと。なので、ちょっと残念ながら、内閣府にとっても、児童育成協会を信頼されていらっしゃったんだとは思いますが、ある程度お任せをされていたのではないか、そういう実態があったのではないかと私からは思わざるを得ないということを指摘させていただきたいと思います。
当初四名でスタートして、年度末には二十四名にふやしたということですけれども、その二十八年度で取り扱った件数でも千二百三十五件です。少なくとも、スタート、二十八年度、建築士さん二名とおっしゃっていますが、図面審査は全てこの建築士さんが行っていたと伺っております。そう考えると、やはり、二名で千二百三十五件、担当者レベルで単純に換算しても一日一件処理しないと終わらないぐらいのペースでやっていた。これは単純な、施設数から期間を割ったものですけれども。そういうスピードで考えると、残念ながら、審査というのは、疑義の照会をかけたり、より深くちゃんと精査をする時間がなかったということが実態なのではなかったかと思います。
それから、私、内閣府から児童育成協会に補助金を交付決定したという通知書、前に資料をいただいております。二十八年度を見ると、ふやしても十名ぐらいで頑張りますというような中身、書いているんですね、要は計画書が。二年間で五万人分の受皿を想定していることも書いているんですが、そういう意味でいくと、この計画自体も見通しが甘い、それから、そのとき交付決定した内閣府も、当初でいくと非常に甘かったのではないかと言わざるを得ません。
児童育成協会さんだけのせいではなく、全体として、企業主導型保育事業、期待をかけていた一方で、残念ながら体制としては不十分さがあったのではないかと思いますが、その点についてはどう受けとめていらっしゃるでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、三年たちまして、結果としていろいろな課題が生じてきました。振り返ってみたときに、必ずしも、当初から十全な体制で臨んでいたというには、なかなか言いづらいところもあろうかと思っておりまして、今般の報告書を受けまして、しっかりと改善を図ってまいりたいと考えてございます。
○岡本(あ)委員 大臣にお願いがあります。
大変、検討委員会でも熱心に意見を出され、関心も高くいていただいていると思います。
今御答弁された中では、今後しっかりとやっていきますというお話がありましたけれども、二〇一六年度、二〇一七年度、この二年間に開始した事業については、今、悉皆調査をやっていらっしゃる中で、やはり、問題がある点は次から是正をしていきますではなく、しっかりと反省を求める、あるいはこの事業者では心配だというところはしっかり介入をしていただきたい。介入をして、本当にこの事業者に任せていいのかどうか、あるいは、企業主導型保育ですので、単独型、共同型であれば、企業を主導する事業者の責任もありますので、ぜひ、過去二年間の分については、これから是正を求めていきますではなく、この二年間の部分を悉皆調査の中でしっかり振り返って指摘をし、あるいは、この事業者では問題があるんじゃないかというところは逆に毅然としていただきたいと思うんですが、そこまでの覚悟がおありか、お聞かせいただきたいと思います。
○宮腰国務大臣 今回の検討委員会の報告で、さまざまな点が指摘をされております。また、きょうも岡本委員の方からもいろいろな御指摘がありましたけれども、国会においてもほぼ同様の御指摘をいただいているわけでありまして、今回、スタート時点から、量の拡充に力点が置かれ過ぎて、質の確保についておろそかになっていたのではないかという反省から、この検討委員会においても大変真剣な議論が行われまして、相当、全体的に見ても大変厳しい御指摘をいただいているのではないかなというふうに思っております。
私どもといたしましては、その検討委員会の御報告を、できる限り速やかに改善に向けて取り組んでいくということと同時に、今、四月中、今月中にも悉皆調査の結果が御報告できるのではないか、公表できるのではないか。この報告を踏まえて、引き続き検討委員会の中で御議論をいただいた上で、その中身についても、改善点についても速やかに実行に移していく。平成三十一年度の実施団体の選考、あるいはそれに続く平成三十一年度の公募についても、今回の検討委員会の報告、さらには全数調査の結果を踏まえた御議論を踏まえて、三十一年度からできる限りその報告を生かしていく、改善に向けて速やかに努力をしていくというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 速やかに改善という点はお答えいただいたんですが、やはり、問題があるところについては補助金の返還も含めて毅然とした態度をとっていただきたい。それは悉皆調査の結果が出た上での判断になるとは思いますけれども、そのくらいの気持ちで臨んでいただきたいと思います。ちょっと、その点だけもう一度お答えいただけますか。
○宮腰国務大臣 いろいろな問題があるケース、例えば、事業譲渡でありますとか、あるいは補助金の不正の可能性ですとか、いろいろな御指摘をいただいております。そういうことにつきましても毅然とした対応をとってまいりたいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 お願いします。
今度は、ちょっと監査の方に移らせていただきますけれども、児童育成協会から監査を委託しているパソナさん、児童育成協会が監査を募集をする際の仕様書が資料の二にございます。ちょっと細かくて申しわけありません。右欄の(3)のところ、「受託事業者の責任において、指導・監査事業の一部を委託することは可能である。」とわざわざ育成協会が仕様に書いて募集をしているんですね。
内閣府から見ると、内閣府が審査から監査、指導まで児童育成協会に委託をしているんですが、それをパソナさんに委託、まあ、これは募集しているときなので、募集の業者さん、事業者さんに委託をして、その仕事をまた更に委託をすることも可能になっているんですね。これは、内閣府は当時御存じだったんでしょうか。これは、多分、担当の方になるのかなと思いますが。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
児童育成協会による指導監査業務仕様書におきまして、受託事業者の責任において指導監査業務の一部を委託することは可能であるとされていたということは承知してございます。
ただ、児童育成協会とパソナ、まあ受託者はパソナさんでございますけれども、パソナさんとの間の委託契約では、協会が承諾した場合を除き第三者への再委託はしてはならないという契約をしっかりと結んでいたという状況でございます。
また、さらなる委託、再委託でございますけれども、指導監査業務に係る出張のために必要な切符等の手配、旅費精算等事務的作業の委託を可能とする趣旨であったと承知してございまして、平成二十九年度、平成三十年度におきまして、指導監査業務の委託を受けていたパソナさんから、実際にこのための再委託を行っていたと承知してございます。
○岡本(あ)委員 今の件は、私は違和感があります。これは、今の御答弁だと、児童育成協会さんが募集に当たって、指導監査事業の一部を委託する、切符の手配を一部委託ではなくて、指導監査事業の業務を委託するということについては内閣府は了解をしていたという御答弁だったと今受けとめましたが、それで間違いないですか。
○小野田政府参考人 お答えします。
協会さんから、その件につきまして内閣府の了解をとるという手続はございませんでした。ただ、そういう形で仕様書に載っているということは、承知はさせていただいております。
○岡本(あ)委員 大臣、これは、内閣府としてはいいと思われますか。
指導監査事業、内閣府から審査それから指導監査業務を含めて育成協会に任せます、育成協会がそのうち指導監査業務を更に別な事業者に委託をします、そこまではわかります。でも、その委託した先でまた指導監査業務を委託することができる、そういう内容として内閣が了解しているということになるんですが、本来重要な業務なんですが、内閣府から見ると、育成協会、事業者、その次ですね、委託、再委託、再々委託ですね、まで事業を任せるということは、大臣としてはいかがお考えですか。
子供の命がかかっている大変重要な監査指導業務なんです。仕様書に、指導監査業務の一部を委託することが可能と書くことは、切符の手配なら可能だと内閣は受けとめるような中身だと思われますか。普通は、指導監査事業を委託すると、この資料だけを見ると。
これは、二十八年、二十九年、三十年、三カ年全部書いているんです。毎年内閣が了解した事項だということになると、全く内閣の手が届かないところで、結果とすると、指導監査は、再々々委託は行われていなかったんですが、でも、仕様上はできることになる。これを内閣が認めているということについては、大臣としてはいかがですか。
○宮腰国務大臣 現実的には、切符の手配などについて旅行社にお願いしていたというのは通常あり得ることであると思いますが、今の仕様書の書きぶりは、「指導・監査事業の一部を委託することは可能である。」と。指導監査業務とは一応書いてはないんですけれども、これを読むと、指導監査そのものを委託することは可能と読めるような書きぶりになっておりまして、これはやはり不適切ではないかなというふうに思っております。
この指導監査についても、今度の検討委員会の報告書におきまして、「指導監査業務の一部を外部に委託する場合は、中立性・専門性の確保が必要である。また、指導監査を行う者が、施設の顧問を務める、資本関係がある等の一定の関係性を有する場合は、利益相反が生じないよう必要な措置を講じるべきである。併せて、指導監査を行う者の専門性を向上するため、研修のあり方等を検討すべきである。」こういうふうに報告をいただいておりまして、まさにそのとおりではないかなというふうに思っております。
今回、この仕様書の問題なども含めて、しっかりと反省の上に立って、特に、指導監査については、国と実施団体の役割分担も明らかにした上で、厳密にしっかりとした対応をとってまいりたいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 今年度、当面は児童育成協会にまだ業務をお願いしていて、次どうするかというのはこれからだというお話も伺っておりますけれども、やはり、少なくとも、児童育成協会から、再々々ではなくて再々委託でしたね、育成協会からすると再々委託をしたことになるような、誤解を招くようなこの文言というのは削除するべきだと思います。内閣府として承知したことになりかねないので、事務的な業務の一部を手配するとかというのは構いませんけれども、指導監査事業を更に手の届かないところに置くということは速やかに消していただきたいと思います。
あと、この仕様を見ていてちょっと気づいたんですが、二十八、二十九、三十年度と、内閣府さんが児童育成協会さんにお願いをする、実際に補助金を交付決定をしているのが、実は八月なんですね。ことしは特例でこのまま延ばして次の事業者を決めるという説明がございましたけれども、ずっと、二十八、二十九、三十と、補助金の交付決定、児童育成協会さんにその年度頼むよというのが、年度の中になってから決めていて、その間に、もうその年の募集も始めていますよね。一応、契約上、次までは引きずっていいことになっているようなところも説明としては受けたんですが、残念ながら、内閣府も、育成協会に任せておけばいいんだという、ちょっと、任せ切りというような形が見え隠れしてならないんです。
本当は、新年度、しっかりした事業者に任せるのであれば、募集をするところから、ちゃんと信頼できるところだと決めたところにお願いをするのが筋だと思うんですね。ことしはちょっと特例で延ばしますと言っていましたが、今までも、年度途中まではずっと、単年度契約といいながらも児童育成協会さんに任せていたということは、残念ながら、内閣府側の緊張感も足りないと言わざるを得ません。
あと、内閣府の関連でもう一つ指摘をさせていただければ、これまで阿部知子議員が再三、整備費の問題、不正の問題、おっしゃっていました。
これはちょっと指摘だけにさせていただきますので御答弁はいいですが、平均の整備費でいくと三千八百万ぐらい、初年度です、次年度はもうちょっと上がっていますけれども。ただ、一方で、内閣府がつくった企業主導型のパンフレットでいくと、整備費が、基礎代だけで八千万ぐらいつきますよと言わんばかりのパンフレットを一方でつくっているんですね。最初の、全部、加算金とかも合わせると一億円ぐらいつく事業なんですという説明のパンフレットが、カラーで、内閣府でつくったパンフレットがございます。
実態とすると三分の一ぐらい、精査された結果そのぐらいなんだと思うんですが、ちょっと内閣府自体も、受皿を整備したいという思いはわかりますけれども、でも、手を挙げたらこんなにもうかりますよという誤解を招くようなパンフレットになっているというところは指摘をさせていただきたいと思いますし、速やかにこれは直していただきたいなと思います。これは通告しておりませんので、指摘だけにさせていただきます。
残念ながら、やはり、育成協会に委託ありき、丸投げ、しかもその先は、監査を受けた事業者さんが、グループ会社としてはみずから保育事業もやっていらっしゃる、それから、こういう企業主導型あるいは保育事業をやりませんかというコンサルもやっている、あるいは、もしかしたら、ここは誤解であれば幸いですけれども、監査をした結果、保育士の有資格者が足りないとなれば保育士を派遣できる仕事も持っている企業であるということを考えると、残念ながら、非常に誤解を招きかねない今回の関係になっていると言わざるを得ません。
中小企業も含めて、事業主さんからいただいている貴重な事業主拠出金です。中小企業からは六割も拠出をして御協力をいただいています。毎年毎年、拠出の率も実は上げられてきています。中小企業の皆さんからすると、非常に苦しい中で、資料四にありますけれども、赤で囲ませていただきましたが、毎年毎年、拠出金率が上がっているんですね。二〇一八年度からは、経済政策パッケージで保育の運営費にもつけることも決まって、率がどんどん上がっていっています。景気が回復していないという状況の中で、拠出率のあり方、使い道、それから使い方の厳密性、これはしっかりと規律を守ってほしいという申出もいただいているところです。
ぜひ、拠出金をいただいての事業の適正化、それから、特に中小企業に関しては、やはり負担の軽減も含めて中小企業の方々の思いにかなうような制度にしていただきたいと思いますけれども、この点に関してお答えはいただけますでしょうか。
○宮腰国務大臣 中小企業の皆さん方も含め、企業の負担によって成り立っているこの企業主導型保育事業であります。目的は、やはり、まずは待機児童対策、そして、企業の中の働き方の問題で、それに合ったような保育事業が必要ではないかということからスタートしたわけであります。
中小企業の皆さん方にも相当活用していただいておりまして、恐らく、ちょっと今手元に数字がないのであれですけれども、この企業主導型保育事業のうちの三分の二程度は、六割強程度は中小企業の方で活用していただいているものと思っております。
私も、地元の富山県内で、手を挙げてみたけれどもだめだったというところも聞いてはおりますが、そこの計画などを聞かせてもらうと、相当きめ細かく、しっかりとした計画であったんですけれども合格しなかったと。審査も、全般的に見ればきちっとした審査が行われているのではないかなというふうに思っております。
私も何カ所か行かせていただきましたが、中小企業のニーズに合った、あるいはそこで働いておいでになる方々のニーズに合った保育が提供されている、大半がそうではないかというふうに思っておりますが、しかし、やはり制度上の問題でいろいろな問題が起きやすいということも事実でありますので、そこはこれからしっかりと是正をしてまいりたいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 中小企業の方々に御協力をいただき、結果、中小企業の皆さんに還元をされるのであれば、それは一定の効果はあるとは思いますけれども、やはり、今るる指摘させていただいたように、残念な使われ方をしている、あるいは誤解を招くような使われ方をしている、もしかしたら不正に使われたかもしれない、そういう疑念が払拭できない状況にあるということはしっかり受けとめて、毅然としていただきたいと思います。
今ほど大臣から、地元でも手を挙げたんだけれどもだめだったというお話がありました。
実は、資料三なんですけれども、二〇一七年度に前倒しを二万人しましょうという方針が急遽決まった部分もあったんですが、二〇一八年度、その前倒し分も含めて四万人という計画を出しています。このうち一万人分は、前の年、二〇一七年度、前倒しで実際整備をされたんだと思います。ところが、二〇一八年度の予算上は、最初、二万人の募集から始まりました。
本来であれば、四万人で、前に一万人前倒し、結果としてされたのであれば、募集から三万人募集してよかったんじゃないかと私は思うんですね。さらに、もっと前倒しが可能であれば、二〇一七年度だけ前倒しして、次の年からもとに戻しますというような考えはちょっとおかしいんじゃないかと思うんです。
実際、ここはプラスして三万人分の募集に変えましたけれども、五万人、募集して、採択に至らないところは切られて当然ですが、非常に良質なところも、残念ながら予算上の関係で涙をのんだと思われる事例を幾つも聞いております。
なので、ここの計画自体もちょっと、余りにも甘いというか、本来、しっかり前倒しで整備するべきだったら、二〇一八年度で四万人分を、一万人前倒ししたとして四万人分まで整備する予算立てで臨むべきだったのではないかと思いますが、この目標の人数が動いたという点についてはいかがお考えか。これは担当の方にお願いします。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
平成三十年度予算におきましては、平成二十九年度の、今委員御指摘の前倒し二万人分を予定しつつ、約二万人分の受皿確保のための費用を予算計上させていただいたところでございます。このため、三十年度の保育事業の募集につきましても、募集枠を二万人分程度とし新規募集を行ったところでございまして、その結果、五万人分を超える応募がございました。
こうした企業からのニーズの高さに鑑みまして、平成三十年度より三年間、子育て安心プランを進めていく中で、経済団体の御了解をいただいた上で、当初予算の範囲内で二万人分程度としていた三十年度の整備量を三万人分程度に上積みさせていただいたところでございます。
なお、平成二十九年度の前倒しが結果として九千人台となったというのが最終的に確定いたしましたのは、平成三十年度の予算の計上後でございますので、その予算計上の段階で、九千人を前提としてプラスにするのはなかなか、予算上はちょっと困難だったという状況でございます。
○岡本(あ)委員 前の年に二万人前倒しして、結果とすると九千人しかといいますか、半分の整備に終わった、それの精査ができたのが予算立てした後だったという御説明でしたけれども、既に二〇一六年度でも、五百九十億円ですか、積立てに戻しているお金がある。官邸のもとに、少しでも前倒しにしろという思いが非常に強く動いているという中でいくと、二〇一八年度が通常の二万人の予算組みをしたという時点で、前倒しが損なわれたと言わざるを得ません。ちょっと、こういう意味でいくと、企業主導型保育事業、あらゆる面で、非常に、ちょっと甘いというか、揺れ動いているというか、その場その場で対応してきた事業だと言わざるを得ません。
もう一つ指摘をしますけれども、この企業主導型保育事業、事業主がみずから自分の社員の子供を預かるために単独で設置できる、それから、中小企業の皆さんが共同で保育所を設置できる、あるいは、保育事業者がみずから設置して、お預かりしたお子さんの企業に契約書を持っていって企業主導型の扱いにすることができるという、三つのパターンがございます。
私は、この保育事業者設置型というのが、二〇一七年度、ふえてきたんじゃないかと思っているんですけれども、残念ながら、どの類型がふえたのかというところはまだ数値が出ていないと言われています。
保育事業者設置型というところが、私は、責任の所在が非常に曖昧になると思います。検討委員会でも、宮腰大臣がみずから事業者さんに質問をされていらっしゃったと思います。
そういう意味でいくと、事業者がみずから設置すると、事業者の責任をよりきちっと明確にする必要があるということと、もう一つ、保育事業者が設置する場合、私はこれは極力、企業主導型としては減らしていただきたいと思いますが、もしそれを認めるのであれば、保育事業者に対しては、少なくとも、認可をとるかとらないかは別としても、認可基準をクリアするぐらいの安全な保育施設じゃなければ認められない、そのぐらいの毅然とした対応で臨むべきだと思いますけれども、これは、大臣、いかがお考えでしょうか。お答えください。
○宮腰国務大臣 今の御質問にお答えする前に、先ほど、中小企業が設置している企業主導型保育事業の割合でありますが、ちょっと間違えておりまして、中小企業設置というのが五四・三%ということになっております。
それから、今ほどの御質問の関係でもあるんですが、この数字は平成三十年三月三十一日現在でありますので、二〇一七年度末の数字でありますが、運営形態といたしまして、企業の単独設置が四五・五%、それから共同設置・共同利用型、これが三九・五%、それで、今ほど御指摘の保育事業者設置型、これが一六%という割合になっております。
まずは、企業主導型保育事業は、従業員の仕事と子育ての両立支援の推進を図る観点から、企業が主体となり、また責任を持って実施しているものであります。しかしながら、単独設置型や共同設置型と違い、保育事業者設置型は、施設の設置企業と利用者との間に雇用関係がないなどの課題の指摘があったところであります。
三月十八日に取りまとめられた検討委員会報告におきまして、保育事業者設置型につきましては、今後、新規参入する場合は、一定の事業実績、五年以上、のある者に限る、それから、保育事業を専門に行う事業者であることも踏まえ、定員二十名以上の施設は、保育士割合を七五%以上に引き上げるべきなど、当面、早急に改善すべき今後の方向性が示されております。また、実施体制におきましては、国は、審査などの基本ルールを策定することとされておりまして、報告に沿いまして、できる限り速やかに、かつ着実に改善を図ってまいりたいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 事業者が設置する部分については、ぜひ、事業者の責任をしっかりと明確にすることと、あわせて、保育事業者設置型については、保育事業者の施設、それから保育士さん含めて、安全をしっかり担保する策を講じていただきたいと思います。
幼児教育無償化について、ちょっと話題を移らせていただきたいと思います。
まず、この法案、十月に実施しなければならないほど無償化が緊急なのかどうか、この点、大臣、いかがお考えですか。
○宮腰国務大臣 今般の幼児教育、保育の無償化は、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るといった少子化対策と、生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性の観点から実施するものであります。
この無償化につきましては、未来の世代に回すことなく安定財源を確保した上で進めるため、国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点で、社会保障の財源と位置づけられている消費税の増収分を活用することにいたしております。
実施時期につきましては、消費税率の引上げに合わせて本年十月から実施することといたしております。
○岡本(あ)委員 今の御答弁だと、消費税の引上げに合わせてという条件がついているということは、消費税が決まらなければこれは揺れる可能性があると私は受けとめました。なので、緊急に無償化をまず実施しなければいけないというよりは、私からすると、しっかり優先順位を踏まえてやるべきだと言わせていただきたいと思います。まずは待機児童解消が先でなければならないと思います。
ちょっと時間の関係で質問を飛ばしますけれども、質の高い幼児教育の重要性も御説明をされました。幼児教育を受けると人格形成にいい影響を及ぼすというのは御説明であったとおりですが、五歳児に関しては、もうほとんど幼稚園、保育園に行っています。あるいは、資料を後ろにつけていますけれども、三歳児で今、五万人のお子さんがまだ保育園にも幼稚園にも行っていないということになりますが、この質の高い幼児教育の重要性を考えると、五歳児の一・七万人ですか、あるいは三歳児の五万人にぜひこういうところに行ってほしいと願っているということになるものなのでしょうか。伺います。
○宮腰国務大臣 済みません。ごめんなさい。先ほどの数字でありますが、ちょっと見えにくかったので、恐縮ですが、保育事業者設置型は、一六%ではなくて一五%でありました。申しわけありません。
質の高い幼児教育ということでありますが、この無償化に当たりましては、待機児童問題により、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ないという方についても、負担軽減の観点から対象としたものであります。
原則、指導監督基準を満たす認可外保育所が対象でありますけれども、現に、基準を満たさない認可外保育施設にお子さんを預けていらっしゃる方々もおいでになることから、そうした施設が基準を満たすために五年間の猶予期間を設けているということであります。
この無償化を契機に認可外保育施設の質を確保することは重要でありまして、そういう点からも、五年間の猶予期間内に指導監督基準を最低限満たしていただくというためのいろいろな方策をしっかりやっていきたいというふうに考えております。
○岡本(あ)委員 ちょっと質問と食い違っているんですけれども、私からすると、やはり認可外あるいは指導監督基準以下のところも対象にするというのは論外です。そのためにも、まずは、質の高い認可園それから幼稚園、受皿をちゃんと整備をして、その上で、受皿がありますよ、だから質の高い教育を受けられますよ、ここに来てくださいという形で誘導のために無償化をする、そういう段階を踏まえるべきだと思っています。非常に残念な方向に流れていると思います。
五歳児でいくとほぼ質の高い教育を受けられる環境にもう既にありますので、無償化がそれの動機づけになるとは思えないということ。それから、例えば、三歳児に今、五万人くらいまだ幼稚園にも保育園にも行っていないお子さんがいらっしゃるんですが、この方々が、じゃ、せっかくだから行こうと思えば、三歳児の待機児童にまた拍車をかけかねないおそれもあります。
待機児童の受皿をきちんと整備をして、その上で段階的に取り組むべきだということを言わせていただきますし、経済的負担軽減でいきますと、ゼロから二歳は非課税世帯以外は有償のままです。この方々の方が三歳以上よりもより負担感が高いということを考えると、今申し上げた、質の高い教育を受ける、経済的負担軽減としても、順番とすると違うんじゃないんですかと言わせていただきます。それでも無償化を並行して行うべきなのかというところについては、大臣にお答えいただきたいと思います。
○宮腰国務大臣 今回の無償化につきましては、質の高い幼児教育の機会を保障することは保護者の所得にかかわらず重要であることから、三歳から五歳までの子供たちについては、所得制限を設けることなく、制度的に質の担保された幼稚園、保育園、保育所、認定こども園などを無償化することにしました。
ゼロ歳から二歳までの子供たちにつきましては、待機児童の問題もあることから、その解消に最優先で取り組むこととし、無償化につきましては、住民税非課税世帯を対象として進めることにいたしておりますが、家庭で子育てをされる方々も多くいらっしゃることから、さまざまな子育て家庭のニーズに応じ、きめ細かな施策の充実に努めてまいります。
さらに、ゼロ歳から二歳までの子供へのさらなる無償化につきましては、少子化対策や乳幼児期の生育の観点から、安定財源の確保とあわせて検討するということにいたしております。
今回、全世代型社会保障への転換を目標に、幼児教育、保育の無償化はその重要な一歩として行うものでありますが、消費税引上げ分の使い道を見直し、子育て世代、子供たちに大胆に投資をするということにさせていただきたいと思っております。
以上であります。
○牧原委員長 次に、森田俊和君。
○森田委員 国民民主党の森田でございます。
質問、二十分のお時間をいただいております。
宮腰大臣、引き続きよろしくお願いいたします。また、厚生労働副大臣、高階副大臣にもお越しをいただいておりますので、よろしくお願いいたします。
まず最初に確認でございますが、前回の委員会で、これは主に保育園、保育所のことについて、虐待の数の把握をどうされているかというお話を厚労の政務官にお伺いしたわけなんですけれども、今回、無償化をするに当たって、無償化の対象とする施設というのがかなり幅広くあるということで、その無償化対象の施設の虐待、例えば、これは一義的には都道府県が行うという話は聞いておりますが、少なくとも、重大な事故、死亡事故とかあるいは障害が残ったケースだとか、そういうものを把握し公表する必要性があるのではないかなと思いますが、この点、大臣からお答えいただければと思います。
○宮腰国務大臣 保育所、幼稚園、認定こども園などの教育、保育施設において、保育士等から子供への虐待はあってはならないものというふうに考えております。
こうした中で、これらの施設における虐待につきましては、保護者からの通報や都道府県等による指導監督によって都道府県等が把握し、必要に応じて立入検査や改善命令等を実施しているものと承知をいたしております。
虐待の件数について、国において網羅的に把握、公表することまでは現時点では考えておりませんが、質の高い教育、保育の提供を通じて全ての子供が健やかに成長するように支援するため、教育、保育施設に対する適切な指導監督のほか、幼稚園教諭、保育士等に対する研修の充実等による資質の向上や、処遇改善を始めとする労働環境への配慮などにより、保育士等による虐待がなくなるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○森田委員 公表することは考えていないという御発言でございましたけれども、やはり、質の担保という意味からは、数が上がる仕組みをとっていらっしゃるのであれば、それをぜひ公表していただいて、国民の皆様の目がきちんと届くように、そういった環境整備をお願いしたいと強く要望させていただきます。
それから、前々回の委員会になるんですけれども、引きこもりの方が、そのときの調査では、三十九歳までの調査で五十四万人いらっしゃるというお話が出てきまして、先日、今度は四十歳から六十四歳までの方の調査をしたということで、この方が六十一万人いらっしゃるよというお話が出てきました。これを単純に足すと、単純に足せないと思うんですけれども単純に足すと、十五歳から六十四歳までという年齢で見てみると百十五万人の方がいらっしゃるということで、女性に働いてもらうということももちろん必要だと思うんですけれども、引きこもりで主に家にいらっしゃる方、この中からは自営業、自由業は除いておるということですので、仕事しておらないんだと思いますが、こういった方に力を外の社会のために生かしていただくというのもすごく大事なことだろうなと思っております。
ここは厚労の方の副大臣にお答えいただきたいと思うんですけれども、その原因として出ておりましたのが、例えば、退職をきっかけに引きこもりになったとか、職場の人間関係のトラブルであったりだとか、そういう職業関係のところも大分上位の理由に挙がってきておりまして。
私は、ふだん思っているんですけれども、なかなか百点の人材というのはいないんじゃないかなと思っております。私のところなんかは介護の仕事をやっているんですけれども、ばっちりこの人でという人ばかりじゃない。それは別に能力という意味ではなくて、例えば、体の状況であったりだとか、御家族の状況であったりだとか。
例えば、普通だったら週五日働いてもらいたいんだけれども、介護をしながらだから週三日になるよとか、あるいは、今回のようにお子さんがいらっしゃるから週三日になるよ、二日になるよ、あるいは、八時間じゃなくて五時間になるよ、そういうケースもあると思います。そういった細かなその方の働く内容だとか能力だとか働き方であるとか、そういうものを把握して、きちんと、これができる方なんですというのを明確にした中で、企業にその人材をマッチングで売り込んでいくということが必要なのではないかなというふうに思っているわけなんですけれども。
こういう観点から、ぜひ、引きこもりの方を中心とした、今、職についていらっしゃらない方にどうやって社会に力を使っていただくかということ、このことについて厚労省のお考えを聞ければなと思っております。
○高階副大臣 お答え申し上げます。
委員の問題意識、私たちもしっかり受けとめたいと思います。
引きこもりの期間が長くなってくる、そうすると、社会との接点が薄くなる、あるいは仕事に戻っていくきっかけをなかなかつくりにくいという状況にあると思います。
今回の調査では、四十歳以上の比較的年齢の高い方についても幅広い調査をしていただきました関係で、私ども、かねて取り組んでおります引きこもり対策、より一層手を尽くしていかなければならないと考えております。
全国に六十七の自治体がひきこもり地域支援センターを持っておりまして、引きこもりに特化した対策を進めさせていただいておりますので、こういったところに従事する社会福祉士あるいは精神保健福祉士等の職員がハローワークに同行するとか、具体的に就労支援機関と連携をした取組を進めていくということ、あわせて、ハローワーク等において、支援対象者の特性も踏まえて、今先生からも御指摘ございましたけれども、個性や経験やそれぞれの状況をしっかり踏まえた企業とのマッチングを図るといった支援も取り組ませていただいているところではございますけれども、なお指導等も進めていきたいというふうに思います。
また、今回の調査結果も踏まえまして、もとより、高齢化を意識した対策はすべきと考えているところではございますけれども、更に対策を拡充していくことも考えてございます。
現在、生活困窮者自立支援制度に基づきます就労準備支援事業、ここの中におきまして、訪問によって、お部屋に入ってしまっている、あるいは家から出てこれないという方のお宅に伺って、そこでお話を聞きながら早期から個別支援を重点的に行うということも行ってまいりますし、また、平成三十一年度から新たに、地域の若者サポートステーション、いわゆるサポステと呼んでおりますけれども、こちらとのワンストップ型のモデル事業というのも開始していくことになっております。
市町村との取組、相談窓口との連携、そして具体的な就労につながるきめ細かな支援に一層取り組んでまいりたいと思います。
○森田委員 ありがとうございます。
保育の受皿五十万人、あるいは外国人労働の受入れを三十数万人という数字に比べても、百十五万人という数字のインパクトの大きさというのは、私は大きく受けとめてしかるべきではないかなと思っておりますので、ぜひ、無理に働けという意味ではなくて、やはり受け入れる社会の土壌というのも大事だと思っておりますので、こういう方にはこういうふうに力を生かしてもらおうというような、受けとめる側の理解も含めて進めていくべきことではないかなというふうに思っております。
また、同じく人材活用という面と、それから保育士不足等も含めてのことになると思うんですけれども、この前、委員会で参考人質疑をしていただいたときに、派遣会社あるいは紹介のお話が出ておりました。
私のところなんかも、派遣の方というのはそんなに使っていないんですけれども、紹介をして人材を、例えばうちだったら介護福祉士を持っているとかケアマネだよとか、そういう資格を持っていて仕事に入ってもらうと、紹介料が月収の何倍とか、あるいは年収の何割とかという計算で、要するに八十万円とか百万円とかそういう数字で紹介会社に払って人材を入れるということをやらざるを得ない、配置基準があるのでそういうこともやらざるを得ないような状況になっております。そうすると、介護なんかも処遇改善で出していただいていますけれども、処遇改善で幾らかというか、いただいたお金も、八十万とか百万とかというお金を紹介会社に払うと、ほかに出す余裕というのが非常に限られてしまうということもありまして。
ということは何を求めているかというと、ハローワークの機能強化、充実、人材紹介の機能強化というのをぜひお願いしたいなというふうに思っております。
うちに来た看護師で、何で紹介会社、派遣会社を経由してきたのと聞いたら、別に、何かスマホでクリックして、こういう職があります、看護師、月収幾ら以上みたいなものをぽっと押しておいて登録しておいたら、いつの間にやら紹介で、こういう勤務先があります、どうでしょうかみたいなことをやって。働く、求職者の側としては楽なんですよね。一回登録しておけば、いつ幾日この会社の面接があります、この条件はこうですということをかわりにやってくれる。ただ、ハローワークに行ったら、ハローワークにまず行かなきゃいけないし、紹介票を見てどうするこうするとやって、アポイントの電話をかけましょう、何しましょうとやっているのがかなり手間がかかる。それを紹介会社が代行してやってくれるので、これは楽ちんだなと。
職を探す立場の方からすればそうなんですけれども、企業の側としてはたまったものじゃないですね、それでもう八十万とか百万とかというお金がどかんと動くわけですから。
ハローワークに全部そこまでやってくださいということを言うのは酷かもしれません。ただ、紹介会社の費用を半分出してくださいとかというのは多分無理だと思いますので、であれば、公的なそういう職業紹介の枠組みの機能強化というものをしていただいて、丁寧なマッチングとか、あるいは、潜在的な求職者も含めてそういうやりとりをしていただけるような、ぜひそういう取組を進めていただきたいなと思いますが、このあたりについて御所見を伺えればと思います。
○高階副大臣 今、紹介手数料等への問題意識もお伺いしました。
職場にとっては、定着していただきたいし、そして十分なサービス提供をできるような環境を維持するということ、そして、働き手にとってはキャリア形成ということも大事な視点だと思います。
お尋ねのとおり、人材不足分野にハローワークにおいて丁寧な就労支援を心がけるという取組、やっているところではあるんですけれども、実は、昨年から、保育士とか介護職、こういった人材不足の分野の方に関してきめ細かいマッチングの取組をしようということで、看板を立てまして、人材確保対策コーナーということを掲げて、ハローワークでの取組、これは全国の八十四カ所でやっているところなんですけれども。
例えば、資格や経験があるにもかかわらずその職を希望しない方がおられるとすると、免許を生かす就労先というのがありますよということを御紹介申し上げるとか、あるいは、小規模の事業者さんがいかにその職場をアピールしていいかがわからないといったようなことで、求人の際の求人票の書き方、こういったことや、自分の事業所のアピールをどうしたらいいかといったようなところでの相談、助言といったようなこと、つまり、求職者側への支援のみならず、求人する側の方にとっても比較的人材確保がしやすいような環境づくりに取り組むということを少しずつ始めさせていただいております。
いずれにしても、求人と求職、このミスマッチを解消するための取組ということを私どもハローワークでもしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えておりますし、また、事業所の行う説明会、見学会、面接、こういったようなところでの、より多くマッチングの機会が提供されるような取組についても支援を進めてまいりたいと思います。
今後とも、個々の事業所、そして求職する方々の状況を丁寧に把握し、確認の上、必要な人材確保を進めてまいりたく存じます。
○森田委員 ありがとうございました。
また、次ですけれども、産休、育休をよりとりやすい環境をつくりたいなと思っておりまして。
引継ぎの期間とか、例えば、ずっと働いてきた方が三月三十一日でやめて四月一日から産休に入るというときに、企業の側からしてみると、三十一日までやっている人と四月一日の人が切れ目があると、ちゃんとその仕事を任せられるかなという心配があります。また、復職のところも同じで、例えば、四月一日から仕事に復帰しますよといっても、時短で働くとか、あるいはフレックス制度を使いますよとか、あるいは日数が今度は五日じゃなくて三日ですよとかといったら、なかなかちゃんとした、いわば一人のカウントとして当てにできないような部分もあるのじゃないかなと思っておりまして。
これを、企業の側に、要するにダブルで人を置かなくちゃいけない期間というものをとれば、働く人からすれば、なるほど、いきなり復帰して、制度も変わったし、やり方も変わったし、いろいろなハードルが高いと思うんですけれども、ダブルで、前にやってきた人と二人三脚でやっていける期間がたとえ一カ月でも二カ月でもあれば、非常に働く側としてはハードルが低くなるし、それから、企業としてはダブルで人件費がかかるわけですから、そこが何とかクリアできれば、できればそうやってやってあげたいと思う企業も多いと思うので、その辺のところについてお考えをお聞かせいただければと思うんですが、いかがでしょうか。
○高階副大臣 確かに、安定したサービス提供のためのつなぎとか、それから人材確保の組合せ、勤務の組合せ、非常に現場では大事になることだと思いますし、企業の実情に応じたさまざまな引継ぎの手法というのが考えられるわけだと思いますけれども、いずれにしても、産前産後の十分なお休みがとれるといったような環境を労働者のために確保していくということと円滑な復職支援ということは、双方にとって重要なことだというふうに考えております。
特に、厚生労働省におきましては、中小企業において、個々の労働者の状況に応じて、育休の取得から育休後の円滑な職場復帰までを支援できるよう、業務の引継ぎの方法あるいは休職期間中の復職に向けた面談のタイミングなどを盛り込んだ育休復帰支援プランを作成する取組を促しておりまして、平成二十八年度から、この取組を強化しようということで進めさせていただいております。
例えば、あわせて、育児休業復帰のノウハウを持っている育児プランナー、この派遣をいたしまして、そして対応をしていくといったようなことも進めており、昨年実績ですと千百九十八件、これから更にこの利用件数も伸ばしていきたいなと思いますけれども、各事業者さんのニーズに応じたプランナー派遣あるいは活用を更に充実していけるように取組を進めてまいりたく存じます。
○森田委員 ありがとうございました。
時間の関係で指摘だけさせていただければと思うんですが、ぜひ、産休、育休をとった経験者の体験談を若い社員さんに伝える場というのも、あわせて、何らかの形で企業に、事業所にお願いできるような、そういう取組も進めていっていただきたいなというふうに考えております。なかなか、近くの部署に、身近なところに産休、育休をとった人がいないと、本当にとっていいのかな、そんな雰囲気じゃないよなというふうに思ってしまって、産休、育休をとるハードルがすごく高くなってしまうということもあろうかなと思いますので、ぜひそのあたりにも御配慮いただければと思っております。
最後に、大臣にお尋ねをしたいと思います。
この前の参考人質疑でも、一人目については、仕事と育児が両立できるかどうかというのが非常に大きなハードルになる、二人目以降については、父親の育児参加というのが、二人目以降を検討する連動の数値として非常に重要性を持っているというお話がございました。
ぜひ、宮腰大臣も経験者なのであれですけれども、父親としてかかわるときというのは、どっちかというと逃げる傾向にあると思うんですね。仕事があるから、忙しいから、俺がそんなことできるかといって逃げる傾向があって、でも、おじいちゃん、おばあちゃんぐらいになってくると、やはり孫にかかわっていたいというのがあると思うんですけれども、その両方を経験されている立場として、やはり父親のときからちゃんとかかわっておけよということを、社会として、企業として、地域として、あるいは親族も含めて、そうやって身近なところから支えられるようなそういう社会をつくっていかなくちゃいけないなと思うんですけれども、改めて、父親の子育てへの参加ということについて、どういうふうに、横串を刺すお立場として取り組んでいくお考えか、最後、決意をお聞かせいただければと思います。
○宮腰国務大臣 委員御指摘の父親の育児へのかかわりにつきましては、夫の休日の家事、育児時間が長いほど第二子以降の出生割合が高いという調査結果も出ております。これは二〇一五年の厚労省の調査でありますが、夫の休日の家事、育児時間別に見た第二子以降の出生の状況ということでありますけれども、夫の休日の家事、育児時間が長いほど第二子以降の出生割合が高いということになっております。
例えば、休日中に家事、育児時間なしといった場合には、わずか一〇%の出生割合。それから、六時間以上、家事、育児に夫がかかわっているといった場合には、何と八七・一%の出生割合。これほど明確に出ている調査はないのではないかなというふうに思っておりまして、ぜひ、休日あるいは育休における夫の家事、育児にかかわる時間、これをふやしていく必要があるのではないかなと思っております。
父親が育児にかかわることは、母親の子育て中の孤立感や負担感あるいは仕事と子育ての両立の難しさが軽減され、子供を産み育てたいという希望をかなえやすい環境につながるものと考えております。
委員御指摘のとおり、一人目の問題については、なかなか、いろんな経済的な負担の問題もあります。二人目も同じ問題はあるわけでありますけれども、二人目については、育児の負担というのがやはり大きな鍵を握っているのではないかなというふうに考えております。
現在、少子化社会対策大綱の見直しに向けた検討を進めているところでありまして、男性の育児休業の取得促進、男性の意識そして行動改革という観点からも、しっかりと大綱を検討してまいりたいというふうに考えております。
○森田委員 ありがとうございました。
私も、うちに帰って、偉そうなことばかり言ってんじゃねえよと言われないようにしっかり取り組んでまいりますけれども、国の省庁のことは、ぜひ、宮腰大臣、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、山岡達丸君。
○山岡委員 山岡達丸でございます。
本日は、質疑の時間をいただきました、委員長始め理事の皆様、委員の皆様に感謝を申し上げますとともに、大臣におかれましては、日々のまた国会対応に心から敬意を表しながら、きょうは、先週、委員長を筆頭に、東京都渋谷にある公益財団法人児童育成協会で行われている企業主導型保育事業の事務の現場の視察、私も会派を代表して行かせていただきまして、前回の委員会等も含めてこのメンバーの委員の皆様から関連する質問は出ているわけでありますけれども、私なりの視点から、少し大臣に質疑をさせていただければと思います。
今申し上げました児童育成協会というのは、いわゆる企業主導型保育事業の、国の事務の代行ということで委託を受けているということでありますが、それまでは、それまではといいますか、これも引き継いだわけでありますけれども、渋谷のこどもの城の経営というのが事業の柱であった。二十八年ぐらいから企業主導型保育事業の事務代行業務を受注しているということであります。
さまざま指摘はありますけれども、私が伺わせていただいた率直な感想としても、やはり国の大きなプロジェクト、この事業の規模に対して現場が非常に追いついていないということが、率直に受けとめさせていただいた感想でありました。そうした声もいろいろ意見交換の中でも出ていた。
執務している様子のさまも私たちも見させていただいたわけでありますが、現場では、一人一人オペレーターの方が、部屋の中に、恐らくは五十人ぐらいでありましたけれども、パソコンに向き合いながら懸命に電話対応などをして、さまざま問合せ、事務などを進めている様子は、一生懸命されているという状況であるのはかいま見させていただきましたし、協会側としてもそれなりに言い分がある、いろいろと世間で言われていることに対して言い分があるということも、率直な意見交換の中でわかるところでもあるところでありました。
しかし、その実態でいえば、二千六百もの事業所というものの認定、査定、監査、その部分を、人数でいえば百人足らずの、企業主導型保育事業担当というのは、いただいた資料によれば八十名余りということでありましたけれども、この中で、職員さんと、派遣の方プラス五十人ぐらいということでしょうか、派遣の方を合わせて八十七名ですね、そうした人数で、派遣の方がそのうち五十名を占める、そういうような状況で対応されているという状況であった。
この二千六百もの事業のいわゆる審査にかかわる部分は、三回で、外部の審査ではこの中身を、メーンとしては書類だけで確認しているということで、やはり世間一般で指摘されるような、チェックが甘くなっているのではないかという構造的状況があるのではないかという印象は拭えないという状況でありました。
こうした中で、三月十八日に、企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会の報告の中で、さまざま、内閣府も含めてでしょうけれども、児童育成協会に対して指摘といいますか、改善の勧告に近いものが、報告ですね、出されて、協会からはその改善の方向性みたいなものが出され、大臣も記者会見されたりはされているという状況であります。
これは、構造的に、やはり規模の大きさに対して実務が非常に繁忙、多忙であるという状況の中で、まず大臣に、この責任の所在について伺いたいと思うんです。
やはり、これだけ規模が大きいものを取り扱いますと、保育所であったりさまざまなところで、補助金のミスも起こり得るでしょうし、あるいは、具体的な認定の甘さによるそうした事故、具体的な事故、子供たちの生命にかかわることもさまざま出てくる可能性がある。
こうした中で、ちょっと質疑の順番が違うので、先にこの質問をさせていただければと思うんですけれども、私は、やはり、この事業として責任を持っている国、内閣府は、一定の責任を持って、事故が起こったときの対応に当たるべきだという思いでありますが、どうも今話を聞いていると、そのあたりも含めて、事務を代行している児童育成協会の責任のもとで行われているような、行われるような説明があるやに受けとめていますが、大臣にはっきりと伺いたいんですけれども、やはり国として、内閣府として、この事業推進に当たって、事故が起こったとき責任をしっかり持って対応する、責任をとっていくんだという姿勢であるということの認識をまずお伺いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○宮腰国務大臣 事故が起こった場合の責任ということで、まずお答えしたいと思いますけれども、企業主導型保育事業は、従業員の仕事と子育ての両立支援の推進を図る観点から、企業が主体となって実施しているものでありまして、第一義的には、設置者である実施企業が事故を起こさないよう責任を負っているというふうに考えております。
他方、企業主導型保育事業は、内閣府が制度を所管し、児童育成協会を実施機関として実施しているものでありまして、事故を起こさないよう、協会において、まず、認可外保育施設の指導監督権限を有する都道府県と連携し、しっかりと指導監督を行っていく必要があります。また、内閣府としても、今般の報告書を踏まえ、監査体制の改善を進めていくこととしております。
今回のこの検討委員会の報告におきましては、特に指導監査の問題、入り口の問題の審査については、やはり審査体制をしっかりやっていくということで、三段階に分けてやっていく。特に、設置基準なども明確化するという方向でやっていきたいと思っておりますが、その後の指導監査については、立入調査結果について公表した後、改善報告を求めフォローアップしておりますけれども、その改善に向けた相談支援や改善状況の適切な確認の充実を図るべきである、また、実施機関のたび重なる指摘によっても改善が見られない場合等については、必要に応じて国が直接的に指導監査する体制とすべきであるということが求められておりまして、今後、内閣府として直接的に指導監査するという体制もしっかりと整備をしていきたいというふうに考えております。
○山岡委員 今お話にもありましたけれども、検討委員会で国が直接かかわっていくべきだと指摘されて、そのことを受けて状況を強化していきたいというお話というのが非常に残念でありまして、場合によっては子供たちの命にかかわる、あるいは子育ての環境にもかかわる大きな話に対して、やはりそうした指摘があるということは非常に重く受けとめなきゃいけないと思います。
今、制度上の所管は内閣府が持っておられるということでありましたけれども、私、心配しますけれども、確かに児童育成協会に対する世間の風当たりはいろいろさまざまあろうかと思いますが、しかしこの後、また、児童育成協会も含めた中ででありましょうけれども、発注における各団体の、受注をお願いするに当たって、本当に引き受け手がいなくなってしまうことになればどうするのか。
やはり国が一定の責任を持って、これだけの大きなプロジェクトをやっていくという姿勢を明確に出して、その上で事務代行をしていくという形をしっかりつくっていかなければ、そうした、ボリュームに対して、今、国の姿勢というのがちょっと甘いものがあるんじゃないかということを感じるわけであります。
今お話にもありましたけれども、いわゆる入り口の審査は特にまた基準を明確化していかなきゃいけないというお話がありましたが、お話の中で、二千六百の事業者の認定作業のうち、現場に行った、本当にそれが妥当なのかどうか現場に行って、視察に行って確認したのは、二千六百のうちの六件であったということでありました。
六件という少なさ自体が非常に指摘もされているわけでありますが、私が思いますのは、これは、確認したところ、現場に行く指針もこの協会が自分たちで決めて、そして現場に行くべきかどうか判断している、ここの部分を内閣府として定めていないというようなお話も聞いたところであります。
今、検討会の指摘もあるわけでありますけれども、やはりこれはきちんと、国として、認定に当たっての現場に行く基準はしっかり定めるべきだと思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
審査につきましても、今回、報告書でいろいろ御指摘をいただいておりまして、書面審査に加えて、まさにヒアリングや現地調査を行うなど、審査の精度の向上を図るべき、まずは財務面など適格性を審査し、次に事業計画等を審査するなど、さまざまな内容となっておりまして、こうした指摘を踏まえまして、まさに今の現状を更に改善していくべく、内閣府として着実に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○山岡委員 きょうは質疑の時間も限られているので、まだまだしたいとは思うんですけれども、しかし、二十八年から走らせているこの事業に対して、このことを受けて今からしっかり考えますという答弁、私は大臣にお願いしたんですけれども、今政府の方からお話がありましたけれども、いかにも、やはり非常にぬるさを感じる、甘さを感じる、そうした中身であるということも強く指摘させていただきたいと思います。
平成三十年には内示は約千五百施設ということで、二千六百から更にプラス千五百の四千百になる、おおむねですね。まだこれは、具体的な認定の、かちっとした数字はこれからだと思いますが、急激に施設数の認定がふえるという中で、現場はしっかり対応できるとお考えなのでしょうか。今の実施機関のあり方、この現場の状況をどうお考えか、大臣にお伺いします。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
事業規模を拡大する中で、実施機関による指導監査、各種相談の実施体制が十分に整っていないのではないかといった課題が指摘されているところでございます。国と実施機関が適切に役割分担をする体制を整備し、国は、審査や、審査基準を始め基本的なルールをしっかりと策定、実施機関は、国の指導のもとで効率的、効果的な審査、指導監査を担当するという役割分担も指摘されているところでございます。
これを踏まえまして、まさに事業規模に見合ったしっかりとした監査指導ができる、審査ができるような実施体制を構築していきたいと考えてございます。
○山岡委員 私にしてみれば、今のお話は精神論に聞こえるわけでありまして、既に、二千六百から一・五倍以上の規模にボリュームをふやして、これからは、走っているところの管理監督もあり、そして新しいところの認定作業も含めてあると。
そうした中で、現場からは、きゅうきゅうと、八十数名の、しかも五十名の方は派遣の方で、残念ながら、長きにわたってその状況で勤められる状況かどうかわからないという環境の中で、安定的なそうした事業遂行ができるのかということは本当に強く懸念を持つところであります。
これは大臣に確認したいところですが、いわゆる子育て安心プランは三十二万人の目標ということになっているわけでありまして、それは達成するという前提で進んでいるわけであります。その上で、これが達成しますと、今、政府の答弁としては、いわゆる待機児童問題は解決するし、ニーズがふえても、このニーズに対しては十分対応できるということもおっしゃっておられるわけでありますが、そうすると、論理的に、この三十二万の目標を全体として達成された場合には、いわゆる企業主導型保育施設をふやす必要がなくなるという、この理解でよろしいんでしょうか。ふやす必要がなくなって、これは、もうあと数年でのいわゆる新規の認定事業にとどまるんだということでいいんでしょうか。
その上で、今、非常に人数的にも少数であるという印象は拭えないわけでありますけれども、千五百も急激にふえて大幅に事業内容が変動する中で、いわゆるこの事業そのものがどうなっていくのかということが予見ができないと、そこで働かれる方も含めて、非常に不幸な出来事になるんじゃないかということを懸念するわけであります。
大臣として、今後のいわゆる企業主導型保育施設の見通しも含めて、こうした業務の状況はどうなっていくとお考えなのか、そのことについて御見解を伺います。
○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業は、企業の創意工夫により、早朝、夜間、休日開所など、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供できる、あるいは、設置した施設を他の企業と共同で利用できるなどの特徴を持っております。
そのために、待機児童対策としての子育て安心プランに基づく三十二万人分の保育の受皿整備が完了した場合であっても、企業主導型保育事業の適正な運営の確保や指導監査、相談支援など、必要な業務を継続していくことになるものと考えております。
検討委員会の報告を踏まえ、まずは、国は基本的なルールを策定する、国と実施機関との役割分担を明確にしつつ、実施機関に求められる役割とその要件を整理することとし、その上で、一定の周知及び準備期間を考慮し、本年夏を目途に改めて実施機関を公募により適切に選定してまいりたいと思います。
なお、やはり派遣の方が多いということは、今の人材不足の中で、毎年毎年の更新というような働き方では当然この人材が確保できないというのは当たり前の話だと思っておりまして、今回の検討委員会の報告の中で、実施機関において複数年の事業実施が可能となるようにすべき、そういう報告をいただきましたので、複数年ということを今後前提に置いて、実施機関をしっかりと公募して進めていきたい、選定していきたいというふうに考えてございます。
○山岡委員 質疑はまだまだしたいわけでありますが、ただ、時間が来てしまいましたので、今のお話も含めて、これがこれから始まる事業の検討状況だったらともかく、今既に何年も走らせている事業の状況だということは非常に問題であるということを感じたことも含めて、強く指摘させていただきまして、私の質疑をきょうは終わらせていただきます。ありがとうございます。
○牧原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
法案の審議を行いますが、先ほど委員会の冒頭で、厚労省から、答弁の間違い、それについての謝罪もあったところであります。
質疑において十二カ所も間違いがあったと。これ自身が、その質疑そのものが成り立たなくなるという点でも極めて重大で、発言の中にもありましたように、法律の制定や行政監視における立法府の判断を誤らせるおそれのある答弁という点でも極めて重大だ、こんなことが再びない、このことを強く求めておくわけですし、同時に、そういった誤りがそれにとどまっていないということも一言申し上げて、質問に入ります。
内閣府にお尋ねしますが、子育て安心プランの三十二万人分の受皿整備についてですが、二〇一七年の六月公表時には、企業主導型の受皿拡大量が含まれていませんでした。十二月の予算閣議決定時に六万人と定めたというんですが、この六万人としたという根拠は何なのかについて、説明をしてください。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
子育て安心プランに基づく三十二万人分の保育の受皿整備のうち、企業主導型保育事業による六万人分につきましては、平成二十八年度の助成決定の実績件数、八百七十一施設、二万余の定員でございますけれども、実績件数などを踏まえた上で、平成三十二年度までの三年間での整備量の見込みを勘案し、平成二十九年十二月の新しい経済政策パッケージに基づきまして、平成三十年度予算編成過程の中で、経済団体との調整を踏まえ、決定したものでございます。
○塩川委員 二〇一六年度の助成決定の実績二万余等々を踏まえてということなんですけれども、どれだけふやすかという規模について、いわば募集があったから受けたんだという話、応募が多かったといった話で裏づけになるような話にはならないわけで、そういった点でも、根拠が極めてある数字と言うことはできません。
それで、実際に企業主導型保育事業の受皿整備量についてなんですけれども、実績と今後の見込み、予算上の措置について確認したいんですが、私が承知しているところでは、二〇一六年度は約二万人で、一七年度が約四万人、一八年度の見込みが約三万人で、一九年度は予算上二万人ということで、合計すると十一万人の規模と承知しているんですが、それでよろしいですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
これまでの助成決定の実績といたしまして、平成二十八年度末約二万人、平成二十九年度末で約六万人、それから平成三十年度につきましては更に約三万人分の整備をすることとしてございます。平成三十一年度は約二万人分を整備する予定でございます。(塩川委員「十一万人でいいですね、足し上げると」と呼ぶ)そうでございます、はい。
○牧原委員長 もう一回、正確にお願いします。
○小野田政府参考人 二十九年度末の六万人といいますのは、二十八年度の二万人を加えての六万人でございますので、六足す三足す二ということでございます。(塩川委員「十一万人」と呼ぶ)はい。
○塩川委員 十一万人ということなんですが、要するに、パッケージの時点では、その二〇一六年度の二万の実績があって、それに六万を乗せるということだから、二〇二二年、それが、前倒しにさせて二〇二〇年度までに八万人の整備をするということなんですけれども、これは実際に、今年度を含めると、もう十一万人の規模になるんですよ。すごくふえているわけなんです。
企業主導型保育事業について、改めて確認ですけれども、二〇一七年においては、三万人の募集枠に対して公募が五万人あって、そのため、八月の時点で二万人分の募集前倒しを行ったと承知しています。結果は四万人になったわけですけれども。九月に、安心プランの二〇二二年度末達成を二〇二〇年度末への前倒しを行った。二〇一八年については、二万人の募集枠に対して公募が五万人以上あり、募集枠を三万人分に引き上げた。募集枠に関する経緯というのは、以上のとおりでよろしいでしょうか。
○小野田政府参考人 委員御指摘のとおりと承知しております。
○塩川委員 ですから、もともと二〇二〇年度までに二万プラス六万の八万人というのが政府としての目標だったのを、前倒し前倒しで十一万人まで積み上げているんですよ。ですから、大幅にこの企業主導型保育事業を拡大する、この姿勢で一貫しているというのが今の政府の対応だということであります。大変な勢いで企業主導型の受皿整備量をふやし、前倒しを行ってきたということなんです。
そこで、ちょっと確認で、先ほど山岡さんもやりとりしておりましたけれども、先週、企業主導型保育事業の審査、監査を行っている児童育成協会の視察に参加をしました。企業主導型保育事業の助成決定に当たって、施設の現地確認を行ったのは約二千六百施設に対してわずか六件と聞いたんですけれども、それは内閣府も承知しておられるんですか。
○小野田政府参考人 お答えします。
これまでの間で六件と承知してございます。
○塩川委員 二千六百施設に対して、現地確認を行ったのはわずか六件。それは、自治体が必ず現地確認する認可保育所などでは考えられない事態であります。
あともう一つ、助成決定を行う審査会は、経営とか会計とか保育などの専門家の方五人で構成されているということですが、実際には、この前のときは三回の審査会で二千六百施設の審査を行ったと聞いたんですが、そのとおりですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
審査会を開催したのは三回でございます。
○塩川委員 ですから、わずか三回で五人の委員が二千六百施設を審査するということは、到底、慎重な審査が行えるとは思えないわけです。
指導監査業務として、二〇一七年度の立入調査では、全施設のうち七五・八%が問題事例であったということも出ているわけです。
しかも、指導監査業務の大半を行っているのが委託先のパソナです。そのパソナは企業主導型保育施設のコンサル業務を行っているわけです。パソナがコンサル業務をしている施設に立入調査をしているのはおかしいんじゃないかとただしても、この児童育成協会では、パソナがコンサル業務をしている企業主導型保育施設について把握もしていないという回答でした。
企業主導型育成事業の急激な増加措置に対応できていないということが、こういうところでも、さまざまなほころびとなってあらわれてくるわけです。
実際には、入園に至らないような、閉鎖をするような施設、さまざまな不適切な対応というのがあった企業主導型保育事業において、こういったいろんな混乱を生み出したというのは、単に児童育成協会に責任を押しつけて済む話じゃないわけです。
大臣にお尋ねしますが、言いましたように、政府として、受皿整備量として、この企業主導型については、例えば二〇二〇年度までに積み上げでいえば八万ぐらいだったのを、実際には、今年度、二〇一九年度で十一万人という、大きく上積みをしているわけですよ。それは、前倒し前倒しということでやってきたわけですよね。こういった前倒しでの措置というのが、結果としてさまざまな問題、不祥事を起こすことになったんじゃないですか。こういう企業主導型をめぐるさまざまな混乱や問題や不祥事というのは、政府の前倒しによってもたらされたということじゃないですか。
○宮腰国務大臣 企業主導型保育事業は、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業等を支援するとともに、待機児童解消に貢献する重要な事業であると考えております。
しかしながら、これまで内閣府が事業を進めてきた中で、量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないか、ここは一度立ちどまり、これまでの取組を検証し、反省すべきは反省し、しっかりと改善を図っていくべきではないのか。私としては、そういう厳しい認識のもとに、昨年十二月に、実施体制を強化するための検討委員会を立ち上げさせていただきました。
三月十八日に公表されました、当面早急に改善すべき事項についての検討委員会報告において、「子供の安全第一の観点から、保育の質の確保・向上を重視し、審査、指導監査の在り方を検証し、見直す。」といった改善方策が示されております。今後、検討結果を踏まえ、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 量の拡充に偏っていた、質の確保が十分ではなかったのではないのか、そういう認識で、しっかりと調べ、対応策をとるということですけれども、もともと自治体が保育実施義務を持つ中で、認可保育所などによる保育所の整備を行っていく、実施計画をつくって行っていくわけですけれども、この企業主導型保育事業はそこに入らないわけですよ。だから、認可、自治体の保育実施義務の外にあるのがこの企業主導型保育事業であるわけで。
そういったときに、今確認をしたように、とにかく次から次へと、応募があればそれを前倒し前倒しで受け入れるといった整備のあり方そのものが、こういう事態をつくっているんじゃないのかということなんですよね。そういう認識はないのかということなんです。
○宮腰国務大臣 この前倒しの問題と質の問題、基本的に、直接の因果関係があるかといえば、必ずしも私はそうではないと思っております。
量の拡大といいますか、量の整備に重点が置かれ過ぎていた、一方で、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないか。これは、私もですけれども、検討委員会のメンバーの皆さん方も同じ認識を共有しているわけでありますけれども、前倒しをやってきたからいろんな問題が出たのではないかということとは、直接私は因果関係はないものというふうに思っております。
○塩川委員 でも、量の拡大に重点が置かれ過ぎていたといった指摘なわけですから、その量の拡大というのは、別に児童育成協会の責任じゃないわけですよ。前倒しをしている政府側の責任じゃないですか。量の拡大に重点を置かれ過ぎていたというのは、まさに前倒し前倒しでもたらされているんですよ。
そういう前倒しを行ってきた政府の責任については明らかにしないんですかということを聞いているんです。
○宮腰国務大臣 前倒しというのは、やはり待機児童の解消が極めて大きな問題、課題である、あるいは社会問題化までしているという状況の中で、できる限り、募集定員といいますか受皿を整備をしていくというのは、それは、社会全体で、国全体で見ても重要な課題であるということだと思っております。
その結果、ようやく初めて、初めてではありませんが、久しぶりに待機児童の数が二万人を割り込んだということもあります。この待機児童解消対策をやらなければ、更に待機児童が多くなっていたということが言えると思っておりまして、待機児童解消のために前倒しをしたこと自体に問題があるとは私どもは考えておりません。
○塩川委員 保護者の方の要求というのは、安心、安全な保育なわけですよ。そういったときに、量とともに質というのは当然のことであって、この間の企業主導型について言えば、実際には認可に届かないような、認可基準以下での施設や運営について、保育士の配置基準などが規定されているわけですから、そういうときに、制度的にもこういった問題がある。
加えて、量の拡充に偏るような措置において大きな問題が起こったわけですから、そこはやはり政府の責任として、前倒しをやった、そのことについてきちんとけじめをつける必要があるんじゃないのか。
改めて、いかがですか。
○宮腰国務大臣 待機児童解消というのが優先課題の一つであるということから、前倒しをしてきたものであります。
確かに、委員御指摘のように、企業主導型保育事業、大半は指導監督基準を満たして、その企業で働いておいでになる社員の方々、子供を預けながらでもきちっと働いていける、あるいは多様な働き方に対応していけるということでありますので、認可保育園、認可保育所とはまた全く違う形で子育てに対応できるのではないかな、できていると思います。
でありますので、認可でなければだめだということではなくて、やはりこれはまた別の考え方で、多様な働き方に応じて、また待機児童解消にも役に立つということでスタートをした事業でありまして、それは経済団体の方からも期待されているというふうに思っております。
でありますので、スタート地点でのこの制度の枠組みについては、やはり見直すべき点が多々あるとは思いますけれども、この事業そのものに問題がある、基本的な考え方に問題があるとは私どもは考えておりません。
○塩川委員 量とともに質、この質の問題について、安心、安全な保育の要望についての保護者のそういった願いに応えるといったときに、実際、では助成決定はどうだったかというと、こういう審査が本当にでたらめだったじゃないかということが問われているわけですし、指導監査のずさんさが問題になっているんですよ。まさに質の確保がされていないということが一番の問題となっているからこそ、量の整備についても見直すべきじゃないのかということを申し上げているわけであります。
ニーズに基づかないような受皿整備というのが、とにかく前倒し前倒しとやったのがこういった不祥事を生み出しているわけですから、二〇一八年度の三万人分、そして今年度の二万人分の受皿整備量について、やはり白紙で見直すべきだということを申し上げておきたい。
企業主導型保育施設というのはそもそも制度上どんなものかを幾つか確認したいんですが、この企業主導型保育施設は、仕組み上、認可施設にはならないというものだと思いますが、その点、いかがですか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
企業主導型保育事業は、事業主拠出金を財源といたしまして、企業が主体的に従業員のニーズに応じた柔軟な保育を提供することができるという特色を持った事業でございます。
こうした特色を生かすため、企業主導型保育事業は、事業主拠出金を財源としまして、例えば、市町村による利用調整がないこと、必ずしも地域枠を設定しなくてよいこと、利用料及び開所時間は施設が決定できることなどの仕組みを持ってございまして、したがって、認可保育施設と違った施設としまして引き続き展開していくべきものと考えてございます。
○塩川委員 認可施設とは違った施設、つまり、単純な、認可基準を満たさないというアンダーの認可外ではなくて、認可の外にあるというのが企業主導型保育事業、保育施設ということになります。
ですから、企業主導型保育施設は、市区町村に課せられている保育実施義務には関与しない施設ということでよろしいですか。
○小野田政府参考人 お答えします。
市町村による利用調整がないという意味では、関与はございません。
○塩川委員 そういった点でも、保育実施義務の外にあるということであります。
大臣にお尋ねいたします。
企業主導型保育事業というのは、市区町村の保育実施義務の外で、認可基準以下で整備、運営ができる仕組みになっているわけです。今回の無償化の制度というのは、認可外の施設であって自治体が設置、監査に関与しない企業主導型保育事業を更に拡大する仕組みになります。これは、これまでの認可施設による自治体の保育実施義務に支えられた公的保育制度を後退させることになるんじゃありませんか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
保育の受皿につきましては、保育の実施主体である市区町村が認可保育所等を中心とした整備を進めることが重要だと考えております。
一方、企業主導型保育事業につきましては、平成二十八年の子ども・子育て支援法改正によりまして、待機児童対策への貢献を一つの目的として制度化されたものでございまして、職員配置など、認可の小規模保育事業に準じた基準となっており、内閣府において認可保育所並みの整備費、運営費を補助していること、事業主拠出金を財源として企業の従業員の多様な働き方に対応できる保育施設であることから、重要な保育の受皿の一つと考えております。
現在、保育事業者設置型についてさまざまな課題が指摘されていると承知しておりますが、内閣府において、検討委員会報告を踏まえて必要な改善が図られるものと承知しております。
○塩川委員 自治体の保育実施義務というのは、やはり保育のニーズを踏まえてしっかりとした整備も行っていきましょう、運営についても、認可という基準を支えにしっかりとした質の確保も行っていく、量と質の両面で自治体の責任をしっかり果たすという制度のもとで今の認可保育所の仕組みがあるわけです。
その外にある企業主導型保育事業を前倒し前倒しでふやすということは、本来、この質と量について、まさにニーズを踏まえた自治体の対応、これを掘り崩す仕組みになっていくんじゃないのか。それが今言ったようにさまざまな問題を起こしているわけですから、これはやはり、改めて、こういう企業主導型保育事業のあり方をこのままというわけにいかないと思うわけですが、大臣、いかがですか。
○宮腰国務大臣 今回の検討委員会の報告書におきましては、自治体との連携を進めていくということが明記されております。
例えば、具体的には、地域枠について、市町村子ども・子育て支援事業計画の供給量に含められるよう国の基本指針が改正されたところであって、設置者が地域枠を設定しようとする場合、自治体と相談の上で地域の保育需給状況を踏まえたものとなるようにすべきであること、それから、施設の適切な運営や緊急時の円滑な対応に資するよう、各施設が自治体に対し、定員、利用者、従事者等の状況を定期報告する仕組みを検討するべきであること、そのほかにも自治体との連携についての記述があります。
我々としては、これまで自治体との連携が必ずしも十分ではなかった、一部には、例えば福岡市でありますとか大阪市でありますとか、そういうところで、しっかりと連携して、自治体としても企業主導型保育を進めていくという方向でやっていただいているところもありますけれども、これからも自治体との連携についてはしっかりと前に進めていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 現に存在は拡大しているわけですから、連携するということは当然必要になってくるわけですけれども、でも、ニーズを踏まえた質、量の確保を行うという自治体の保育実施義務に支えられた今の公的保育制度の外にある企業主導型保育事業をどんどん拡大するというのは、その方向は誤りだということを申し上げておきます。
次に、公立保育所についてお尋ねします。
公立保育所数の推移を確認したいんですが、公立保育所の施設数と定員数について、一九九七年、二〇〇七年、二〇一七年の数字を紹介してください。あわせて、保育士数について、常勤換算ということですが、数字のある二〇〇三年と二〇〇七年、二〇一七年についてお答えください。
○本多政府参考人 お答えいたします。
公立保育所の施設数でございますが、福祉行政報告例によりますと、各年四月一日現在で、平成九年は一万三千六十四施設、平成十九年は一万一千六百二施設、平成二十九年は八千六百三十七施設となっております。
公立保育所の定員数ですが、同じく福祉行政報告例によりますと、四月一日現在で、平成九年は百十一万三千人、平成十九年は百六万三千三百六十九人、平成二十九年は八十五万四千三百五十九人となっております。
また、保育士数でございますが、こちらは常勤換算した場合の公営保育所に勤務する保育士数につきまして、社会福祉施設等調査によりますと、平成十五年は十四万七千四百八十四人、平成十九年は十四万一千百五人、平成二十九年は十一万七千七百六十五人となっております。
○塩川委員 二十年間で公立保育所の施設数は三分の二、定員数は四分の三に減少しました。保育士は、過去十四年間で八割に減少しています。このように公立保育所が減少している理由というのは何なんですか。
○本多政府参考人 保育の受皿整備に当たりましては、保育の実施責任がある市町村が、公立、私立の役割分担も含めて地域の実情に応じて取り組まれているものと承知しております。
公立保育所につきましては、全国的に見れば減少傾向にございますが、各市町村がどのように公立、私立の役割分担を考えているかについては、地域事情を踏まえて、さまざまな理由が考えられますため、一概にお答えすることは困難かと考えております。
例えば、働き方が多様化する中で、夜間保育や休日保育といった多様な保育に対するニーズが高まっており、こうしたニーズに応えるために公立保育所の民営化を行い、私立保育所の整備を積極的に進めている自治体もあると承知しておりますが、これ以外にもさまざまな理由があるものと承知しております。
いずれにいたしましても、各市町村において、設置条例の廃止や予算等の審議等によって議会やそのほかの関係者に説明責任が果たされているものと考えております。国といたしましても、市町村が地域の実情に応じて取り組むことができるよう積極的に支援をしてまいります。
○塩川委員 地域事情と言いますけれども、地域事情もそれは全部排除されるわけじゃないですが、それ以上に、国の施策、国の政策によってもたらされているんじゃないのか。
この間、国は、指定管理者制度の導入や、公立保育所の運営費に関する国庫負担金の廃止、一般財源化、公立保育所整備費国庫補助の一般財源化、集中改革プランや行革推進法などによる地方公務員の定数削減の推進を行ってきました。これらの地方行革の推進政策によって、公立保育所が削減されてきたということじゃないですか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
政府全体として進めてまいりましたそういった方針も含めまして、また、さらに、地域の実情も含めて、市町村が御判断をされているものというふうに承知しております。
○塩川委員 こういった一連の政府の施策の責任こそ問われるわけです。
大臣に伺います。
今回の無償化というのが、公立保育所における自治体負担が十分の十となるということで、結果として、公立保育所減らしを加速させるんじゃないのか。そのことが、保育所増設による待機児童の解消や保育士の処遇改善に逆行するものとなるんじゃないのかと考えますが、大臣はいかがですか。
○宮腰国務大臣 今般の幼児教育、保育の無償化におきましては、国と地方で適切な役割分担をすることが基本と考えておりまして、国と地方へ配分される消費税の増収分を活用することにより、必要な地方財源をしっかりと確保した上で、国と地方がよく連携して進めてまいりたいと考えております。
財政負担のあり方につきましては、現行制度の保育所等に係る負担割合と同様とすることといたしまして、初年度に要する経費については、全額国費により負担をいたします。さらには、総務省と連携をいたしまして、必要な地方財政措置をしっかりと講じてまいります。
これらにつきましては、昨年、全国知事会、全国市長会、全国町村会と丁寧な協議を行いまして、それぞれの団体における所要の手続を経て、組織として御了解をいただいたところであります。
その上で、保育の実施責任は市町村にありまして、公立、私立の役割分担については、それぞれの市町村において判断すべきものであると考えております。
また、このことで待機児童の解消や保育士の処遇改善に影響が出るということではないものと考えております。
○塩川委員 必要な地方財政措置を行うというんですが、過去の三位一体改革のときの運営整備費に係る国庫負担金や整備費の廃止、一般財源化というのは、公立保育所減らしに大きくつながっていったわけです。今回の無償化も、それと同様に、公立保育所減らしを加速させることになる。これが待機児童の解消や保育士の処遇改善に逆行するということを言わざるを得ません。
今回の無償化が、認可保育所中心の自治体の保育実施義務に支えられた公的保育制度を後退させるものとなる、このことを申し上げて、質問を終わります。
○牧原委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。
一つ目に、川崎市の幼稚園、まあ幼稚園でもないということだったんですけれども、ニュースで流れました。四月を控えて突然閉園するということで、保護者の皆さんが大混乱をした。当初、無償化の影響で閉園せざるを得なくなったという報道がなされていましたけれども、それは事実とはちょっと違うということには今なっていますけれども、ただ、こういうところは今後出てくるんじゃないかなというふうに、あり得るんじゃないかなというふうに思うんです。
この川崎市の施設ですけれども、そもそも認可外の届出が必要なところだったのかどうかというのをまず確認したいと思います。
○本多政府参考人 保育の業務を目的とする施設であって認可保育所等の認可を受けていない施設につきましては、児童福祉法の規定によって、都道府県知事、指定都市又は中核市に対して、認可外保育施設としての届出を出すこととされております。
幼稚園など学校教育法に基づく施設を除き、幼児教育を目的とする施設はさまざまございますが、こうした施設のうち乳幼児が保育されている実態がある場合には、届出の対象となります。
御指摘の施設につきましては、現時点では、川崎市に対し認可外保育施設としての届出は出されていないと承知をしております。
○浦野委員 いや、そもそもこれは届出をしないといけないものだったのかどうかというのをちょっと聞きたかったんです。その点はどう判断されますか。必要なかったということでよろしいですか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
報道があって以降、川崎市や文部科学省と連携して情報把握等に努めておりますが、当該施設につきまして、現時点では詳細を把握できていないことから、厚生労働省として、当該施設で保育の実態があるか否か、また当該施設が認可外保育施設の届出を行う必要のある施設かどうかについて判断することは困難であると考えております。
○浦野委員 そういうところが子供を預かっているというのがなかなかまれなケースなのかもしれませんけれども、行政が実態を把握できていなかったというのは、もう今の答弁でおわかりだと思うんですね。
ただ、でも、これは、最終的に一番影響を受けるというか、かわいそうなのは子供たちなんですよね。保護者の中には、四月からどこに行けばいいのか、結果的には次の運営会社が決まったということでやっていますけれども、これは行政が全く把握をしていない。でも、これは四十年もたっている施設なんですよね。四十年間あり続ける中で、自治体自体もこれを把握する仕組みがない、必要がなかった、できなかった。
これは、私は非常に重要なことだと思うんですね。子供を預ける先で行政が把握できていないところが存在するということ自体が私は驚きですし、もしこういうところがほかにもあるのであれば、把握できるような仕組みを政府はつくらないといけないと思うんですね。これが無償化の対象になるならない、そういうレベルの話ではなくて、そういう日本の子供たちが通っているところで、行政すら把握できないようなところがあるということは問題だと思います。
これを把握できるように、何か例えば、自治体が把握しないといけないと思うんですけれども、川崎市にそういう指導をこれからしていくのか、それとももう完全に任せてほったらかしにするのか、その点はいかがですか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
御指摘の施設でございますが、先ほど申し上げましたように、現時点では認可外保育施設としての届出が出されていないことから、川崎市において実態を確認しているところと聞いております。
今後とも、川崎市から状況を伺いながら、文部科学省ともよく連携をして対応してまいりたいと考えております。
○浦野委員 少しパターンは違うんですけれども、浜松市で、きのう、NHKのニュースだったと思うんですけれども、日本に、工場に働きに来られているブラジル人の子供たちの保育園があって、その保育園に、保育園を卒業している年齢の小学生たちが残って、今でもその保育園に通っている。というのは、小学校に通うことが、文化の違いとかがあってなじめなくて、結局、保育園の方が居心地がいいということで保育園に残っている小学生がいてるというのがありました。
これも多分、ちょっとパターンは違いますけれども、その子供たちはブラジル人で、外国人の皆さんなので、日本の教育制度に当てはまらない部分かもしれません。でも、日本に来てくださいといって来てもらっている子供たちであることは変わりないわけですよね、家族について来ているわけですから。
そういった、日本の今ある制度のはざまで把握できていない子供たちがいてるというのは、これは非常に大きな問題なんです。児童虐待でも、把握ができずに虐待死に至った子供たちがいてる。その現状を踏まえると、国の制度で把握できていない子供たちがいてるという事実は、しっかりと向き合って、それに対応する策を国はつくっていくべきだと思います。
それで、日本の子供がひとしくさまざまな保育制度を、制度は多様化しています、今。そういった子供たちがどういうところでも無償化の恩恵を受けられるようにするということを考えれば、やはりバウチャー制度というのをしっかりと議論をしないといけないと思うんですけれども、その点について、どんな議論が今行われておりますか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
今般の幼児教育、保育の無償化におきましては、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない方がいることから、代替的な措置としまして無償化の対象としてございます。その際、多様な保育ニーズにも対応できるよう、病児保育事業など複数のサービスを組み合わせて利用する場合も、上限額の範囲内で無償化の対象とすることとしてございます。
バウチャー制度につきましては、メリットとしまして、まさに多様なサービスを保護者が選択できること、保護者にとって簡便な仕組みであることといったようなメリットがあると認識してございます。ただ一方で、例えばその発行、適正運営などの地方自治体の管理コストが少しかかるのではないか、あるいは第三者への提供が行われるのではないかといったような課題もあると考えてございます。
そういう中で、いずれにしましても、保護者の方々の無償化に係る手続の簡素化は非常に重要だと思ってございますので、認可保育所などに通われているお子様を対象としましては、これは現物給付が原則でございますけれども、それ以外の認可外保育施設におきましても、償還払いを原則としつつ、市町村が地域の実情に応じて現物給付を可能とし、必ずしも保護者の方が立てかえ払いをしなくてもよい方向で検討したいと考えてございます。
○浦野委員 マイナポータルで、たしか入所の申請とかもできるようになっていますよね。マイナポータルというのはマイナンバーカードの利用のサイトですけれども。私は、だからバウチャーもマイナンバーカードにひもづけたらいい話なんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○小野田政府参考人 委員の御指摘につきましては、先ほど申し上げました課題となる点をいかに克服していくかというような観点から、今後の検討課題であると認識してございます。
○浦野委員 ありがとうございました。
もう多分時間が来たと思いますので、これで質問を終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時七分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。
○初鹿委員 立憲民主党の初鹿明博です。
安倍総理に久しぶりに質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
なかなか総理に質問する機会がないので、総理がいるところで幾つか質問をしたいことがあるんですが、まず最初に、総理もいらっしゃるので、任命者としても聞いていただきたいと思いまして、きょうは塚田国土交通副大臣に来ていただきました。
既に報じられているので皆さん御存じだと思いますが、一日の日に、選挙の応援に行かれたんですよね。その後援会の席で、下関北九州道路という安倍総理の地元の下関と麻生副総理の地元を結んでいる道路の計画がある、この計画について、塚田副大臣が、そんたくをしたという発言をしたということであります。このことが報じられて、後に謝罪をして撤回をしたということですが、その謝罪、撤回の発言によると、事実と異なるのでということですが、事実と異なるというのはどこが異なっているのかをまず最初に説明をしていただきたいと思います。
○塚田副大臣 まずもって、私が四月一日の会合で発言をいたしました事実と異なる発言によりまして、多くの皆様に大変な御迷惑をおかけいたしました。また、そのことは事実ではありませんけれども、撤回をしまして、きょうは国民の皆様にもおわびを申し上げたいと存じます。まことに申しわけございませんでした。
私がその会合で発言をしました北九州下関道路に関する発言の内容について、それは事実とは異なっているということで撤回をさせていただきました。
○初鹿委員 済みません、事実と何が異なっているのかをきちんと説明してください。
○塚田副大臣 事実は、私がそんたくをしたということはございませんし、安倍総理、麻生副総理の地元の案件だから特別な配慮をしたということはございません。したがいまして、私が申し上げたことは事実と反しますので、撤回をさせていただきました。
○初鹿委員 事実じゃないことを選挙の応援に行って言ったと。有権者をばかにしているんですか。選挙の際に、皆さん方は、政権与党の役についているわけですよ、予算を決定する権限があるわけです。私に言えば予算がつくかもしれないということをにおわせて選挙の応援をした、こういうことが不適切だとは思わなかったんでしょうか。
○塚田副大臣 委員御指摘のとおり、私の発言は甚だ不適切であり、事実を欠いているものでありますし、真実ではございませんでしたので、大変に申しわけなく思っております。改めて、この場をかりておわびを申し上げたいと思います。
○初鹿委員 新聞報道で書かれていることを少し確認をさせていただきたいんですけれども、西日本新聞の報道によりますと、この発言をするに当たって、自民党の吉田博美参議院幹事長と面会をしたときに、この道路のことを言われた、これは総理と副総理の地元の事業だよと言われたことを明かした上で、私は物わかりがいい、すぐそんたくする、わかりましたと応じた、そういうふうに発言をされたということですね。
まず、この発言、このように言ったのかということと、吉田参議院幹事長からこのようなことを聞いたのかどうかをお答えください。
○塚田副大臣 吉田幹事長からは、私が会合で発言したような趣旨の発言はございませんでした。したがいまして、その部分についても、事実ではございませんので、撤回をさせていただきました。御要望等についてはお受けをした事実はございますが、吉田幹事長の御発言も含めて、事実とは異なっておりますので、私が撤回をさせていただきました。申しわけございません。
○初鹿委員 じゃ、吉田幹事長は全く言っていないのに名前を出したということですか。これも本当なのかなとちょっと疑問にも思うんですが、仮にそうだとしたら、吉田幹事長も御立腹なんでしょうね。
総理も、甚だいい迷惑ですよね。総理は、多分、このような道路のことについて指示なんか出していないと私は思っておりますし、そんなことを考える余裕も、日々の政務の中でなかったんだろうと思いますので、こんなことをされるのは迷惑なんだろうというふうに思います。
副大臣、この発言は、やはり、予算を決定する権限の者が、あたかも、自分の関係者又は自分に要望した者から強く要望があれば、自分の気持ちで、副大臣の気持ちで事業化ができる、予算をつけることができる、ある意味、手心を加えることができるということを示してしまったようなことなわけですよ。
実際にそんなことは行政がやるわけはないと私は思いたいですけれども、それを言ってしまったということで、国民の多くは、ああ、そういうことはもしかしたらできるのかな、ああ、そういえば、安倍総理もいろいろな、今、問題がずっと一連続いてきて、加計学園や森友学園の問題で、総理にそんたくをしていろいろなことが行われ、そのことが問題視されてきている、そういう中での発言ですから、やはりそういうことが行われているんだと思われてしまいかねない。非常に問題があると思うんですね。
ちょっと過去の例を調べてみたんですが、二〇〇〇年の二月十九日に、当時の金融再生委員長だった越智通雄委員長が、栃木県の金融機関の関係者の講演でこういう発言をしたんですよ。検査の仕方がきついところがあったらどんどんおっしゃってください、最大限考慮しますからと。これは、手心発言ということが当時言われて、国会でも追及され、問題となりました。結果としてどうなったかというと、二月の二十五日の日に越智大臣は辞任をいたしました。
今回の発言を受けて、塚田副大臣、副大臣を辞職するつもりはありませんでしょうか。
○塚田副大臣 私が誤った発言、事実と違う発言をしたことによって本当に御迷惑をおかけしたことについては、心より申しわけなく思っております。
昨日、菅官房長官また石井国土交通大臣に私が御説明を申し上げ、それぞれ厳重注意を頂戴いたしました。
しっかりと説明責任を果たすことにおいて職責を全うしていきたい、そのように考えております。
○初鹿委員 では、安倍総理、今、副大臣は、やめるつもりがないような発言をしておりますが、先ほども申し上げたとおり、この間、安倍政権のもとで森友学園の問題や加計学園の問題などが起こって、総理は指示を出していないのかもしれませんが、総理をそんたくしてさまざまな疑惑と言われるようなことが行われてきた。中には、文書が改ざんをされたり、また、隠蔽をされたりということが続いてきていたわけであります。その中で、あたかも、総理を、また麻生副総理をそんたくするかのような発言をしたというこの事実を、このまま謝って済ませてしまうのでいいのかなというのは、私は非常に疑問に思うわけです。やはり、行政の公正性、中立性をしっかり守っていくということを考えたら、任命責任者である、任命権者である安倍総理がここは決断をする必要があるのではないかと思います。
総理、このまま私は塚田副大臣をこの職につかせておくべきではないと思いますが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 私は、まだ発言の詳細については承知をしておりませんが、ただいま本人も事実と異なる発言と認めており、そうした発言をしたことは問題であると考えております。
既に本人から撤回し、謝罪をしたところと承知をしておりますが、まずは本人からしっかりと説明すべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たしてもらいたいと考えております。
○初鹿委員 総理、先ほども言いましたけれども、これは行政の信頼を大きく欠きましたし、選挙の応援に行ってこのような発言をしているということを考えると、選挙の公正性も欠くような事態になっているんじゃないかと思うわけですよ。そういう事態に陥っているということをもう一度考えていただいて、このまま続けさせるかどうか、改めて考え直していただきたいと思います。いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 この発言の中身の詳細については私もまだ承知をしていないところでございますが、今委員がおっしゃったように、副大臣としての公正性が疑われてはならないのは当然のことであろうと。行政に対する信頼を傷つけてはならないわけであります。
そうした観点から、本人が、事実と異なる発言をしたということを重大に受けとめ、ただいま撤回をし、謝罪をしたわけでございます。
今後また、本人もしっかりと説明をし、そして、このことを、ただいま初鹿委員からも厳しいお話をいただきました、そのことをしっかりと肝に銘じて職責を果たしてもらいたいと考えております。
○初鹿委員 なかなかこの場ですぐにやめさせるとは言えないと思いますが、これ以上もう申し上げませんが、総理、もう一度改めて考えていただきたいということをお願いさせていただきます。
では、本題に移りますので、塚田副大臣、ここで結構ですので、御退席していただければと思います。
○牧原委員長 塚田副大臣は御退室ください。
○初鹿委員 では、今回、幼児教育、保育の無償化と皆様方が称しております子ども・子育て法案について、質問に移りたいと思います。
我々立憲民主党は、この政府提出法案の問題点として、まず最初に、二つの問題があるということを指摘をさせていただきました。
一つは、待機児童問題が非常に深刻で、いまだに、なかなか保育園に入りたくても入れない、そういう方々がたくさんいる中で、この待機児童問題を解決せずに無償化を優先するのは優先順位が間違っているんじゃないか、まずは、待機児童の解消をもっともっと進めていく、そして、最終的に全入を果たす、そこまで行って無償化の議論に進む必要があるんじゃないか。これがまず一点です。
それともう一つは、今回、この財源が、消費税の財源を充てられるわけであります。消費税というのは、言うまでもなく逆進性が高い税金であります。つまり、所得の高い人ほど税の負担割合が軽くなる、そういう最大の問題点を持っている。その中で、今回、三歳から五歳までの、認可保育園、全員無償にするということは、今、低所得の人はもう保育料が、例えば生活保護世帯はゼロであったり、非課税世帯は月三千円というふうに軽減をされている。一方で、所得の高い人、一番高い世帯は十万以上の保育料を払っている。これが全部ゼロになるということは、所得の高い人により多くの税金が配分をされる。
逆進性の高い税金である消費税で集めたものを、より逆進性が高いやり方で配分をするということは、逆進性を解消するどころか、より大きく広げていってしまうことにつながる。これが不適切ではないかというふうに我々は考えて、この二点を問題だということをこれまで指摘をしてきました。
まず、この逆進性の問題ですけれども、このように高所得者に圧倒的に多く配分されるようなこの無償化が正しいのか。そして、逆進性を解消しなければいけないのに逆進性が広がるようなことをしてしまうことに、これは問題があるというふうに総理は思っていないのか。その点についてお聞かせください。
○安倍内閣総理大臣 今、二点御質問いただいたと思いますが、まず第一点目、逆進性についてでございますが、今般の幼児教育、保育の無償化は、生涯にわたる人格形成の基礎やその後の義務教育の基礎を培う幼児教育の重要性と、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るという少子化対策に鑑み、未来を担う子供たちに、子育て世代に大胆に投資をするものであります。
高所得者を優遇した政策であるとの御指摘については、もともと、所得の低い方の保育料は既に公費を投じて負担軽減を図っておりまして、さらに、安倍政権では、低所得世帯を中心に、先んじて段階的に無償化の範囲を拡大してきておりまして、今回の無償化による公費負担額のみをもって高所得者ほど大きな恩恵を受けるという御指摘は、我々は当たらないと考えておりますし、また、ゼロ歳―二歳児の無償化につきましては、住民税非課税世帯の皆さんに無償化を行うということになっているところでございます。
そしてまた、消費税につきましては、低所得者の方々、逆進性に配慮した形でポイント制等々を今回導入することとしているところでございます。
そして、もう一点、先に待機児童に対する対応をせよということでございますが、幼児教育、保育の無償化と待機児童の解消の重要性についてでありますが、待機児童の解消はまさに待ったなしの課題であり、幼児教育、保育の無償化と二者択一ではなくて、どちらも重要であるというふうに認識をしております。
二〇一八年四月時点の待機児童は、前年より約六千人の減少となり、十年ぶりに二万人を下回りました。
引き続き、幼児教育、保育の無償化とあわせて、待機児童の解消を図るため、子育て安心プランに基づく、二〇二〇年度までの三十二万人分の保育の受皿確保や保育士の処遇改善に取り組んでまいりたい、このように考えているところでございます。
また、こうした待機児童解消の裏打ちとなる子育て安心プランによる必要な保育の受皿三十二万人分については、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が二〇二〇年度末に他の先進国並みの八割まで上昇することを想定して必要な整備量を推計したものでありまして、しっかりと対応していきたい、このように考えております。
○初鹿委員 途中で紙を挟むのはやめてもらえませんか。多分、総理が発言しようとしていたところと若干答えがずれましたので、後で多分、議事録をきちんと読まないとわからないですけれども、ちょっと前後がおかしくなっていたんじゃないかと思いますので、そういうことはやらないでいただきたいと思います。総理もちゃんと答えようとしていたわけですから、ちゃんとつじつまが合わなくならないようにしていただきたいと思います。
今、もう既に先に所得の低い人には軽減をしているからこれは逆進性に当たらないというような言い方をしましたけれども、今のこの瞬間を考えて、ここから減税がされるわけですよね。そうなると、既に低所得の人は保育料を払っていないわけですよ。つまり、この無償化が行われても、可処分所得は一銭もふえないんですよね、生活保護世帯は。例えば、非課税世帯も、月三千円だとしても、三万六千円ぐらいしかふえないんですよ。ところが、一番所得の高い世帯は、月に十万ですからね、百万以上可処分所得がふえるんですよ。これで、逆進性にはならない、逆進性とは関係ないということは、私は全く当たらないと思うんですよ。
それで、さらに、今回の増税に対する対策として政府の皆さんが打ち出しているもの、例えば住宅ローン減税、マイカー減税もやりますね。これも、家を買える人、車を買える人は減税になるけれども、買えないで賃貸住宅で高い家賃をずっと支払っているような人たち、この人たちは全く恩恵ゼロじゃないですか。
クレジットカードのポイント還元の話も今総理は言いましたけれども、これがあたかも逆進性の解消になるようなことを言いましたけれども、所得の低い人、カード自体つくれない人はたくさんいますからね。カードをつくれない人は一銭もポイント還元なんかされないわけですよ。更に言えば、カードは、利用限度額というのが所得によって違うわけです。所得の高い人ほど限度枠は広いわけですから、カードをたくさん使える人の方がより還元額が大きくなる。
そういうことを考えると、今回皆さん方がやっているさまざまな対策は、逆進性を解消するどころか、より広げていくんですよ。
我々が問題だと言っているのは、消費税の財源で集めているものを、逆進性を解消するためだったら、所得の低い人により多く分配をする、そういう政策をとらなければいけないのに、やっているものが、所得の高い人により多く分配がされるようなことをやって、逆進性を更に広げるようなことになっているから、これは問題だと言っているんです。
格差が問題だということは、総理もわかっていますよね。この格差を縮めるということが、今この国の非常に重要な課題だと思います。
特に、少子化対策も、保育料を無料にすれば少子化が解消されるものではないですよ。子供を産む前の段階として、まず若い人たちが結婚できるようにしなければならない。そのためには、若い人たちのお給料が上がるような方法を考えなければならないんですが、残念ながら、若い独身の方々に対する支援策というのはほとんどないわけですよ。
私は、こんなやり方をするんだったら、若い人たちに対して、例えば賃貸住宅の家賃の一部補助を制度としてつくるとか、そうやって若い人たちが安心して暮らせる、働ける環境をつくっていって、じゃ結婚しよう、そういうことを進めるような政策をまず行う必要があるんじゃないかと思います。
その上で、さまざまな対策を行っていくわけですが、それが、我々からすると、全て、逆進性を広げる、そういう対策になっているというふうに思います。
総理は、逆進性を解消することが必要ないとでも思っているんでしょうか。必要があると考えているならば、その対策というのは今回何があるんですか。きちんと示してください。
○安倍内閣総理大臣 先ほど、消費税の対策として、ポイント制度等と言ったんですが、いわば、例えば、プレミアム商品券もそうでありますし、また、食料品等、飲食料品に対する軽減税率もそうでございます。そしてまた、低年金者に対する福祉的給付もございますし、また、介護保険料の軽減等もあるわけでございます。そうした対策をしっかりと打っていきながらということでございます。
そしてまた、この幼児教育、保育の無償化につきましては、これは、一つの大きな考え方として、最初に申し上げましたように、いわば、義務教育は小学校から始まるわけでございます、小学校、中学校は無償化としているわけでございますが、我々は、幼児教育の重要性もこの初等教育の重要性と同じ重要性がある、こう考えておりまして、従来から幼児教育の無償化を進めてきたところでございます。その中で、今回、まさに一気に幼児教育の無償化を行うということでございますが、同時に、その中におきましても、先ほども答弁をさせていただきましたが、ゼロ歳児から二歳児までについては、住民税非課税世帯のお子さんたちに対しての無償化を進めていくということでございます。
また、幼児教育、また保育の無償化につきましては、従前から既に低所得者に対する無償化を段階的に進めてきたということは、先ほど申し上げてきたとおりでございます。
○初鹿委員 まず、無償化という言葉をやはり正確に使いましょうよ。ただになるわけじゃないんだから。ゼロから一、二は認可外に補助を出すということで、ただになる人はほとんどいないので、これは保育料の補助制度だ、支援策だという言い方をきちんとしていただきたいと思います。
そこまで幼児教育が重要だと言うのであれば、三歳から五歳まで全員義務化をして、それで全員同じような環境で幼児教育を受けることができるようにするならば、私は、小学校と同じように無償化というのはあると思いますが、人によって入る施設も違うし、保育園で保育をされる人もいれば、幼稚園で、預けられて教育を受けるという人もいたりというように、それぞればらばらな状況ですから、必ずしも全員を無償化にすることは今の段階では必要ないのではないかな、それよりも、やはりきちんと全員希望しているところに入れることを優先するべきじゃないかなというふうに思います。
また、今回、質疑を繰り返していく中で我々が気づいたというか問題だなと思ってきたことは、この政策を進めることによって待機児童がむしろふえていくのではないかということと、もう一つ、保育の質が悪化をする、よくならないんじゃないか、むしろ悪化をしていくんじゃないかということについて質問させていただきます。
まず、今回、認可外施設もこの給付の対象にしました。特に、基準を満たしていないような認可外施設も、五年間の経過措置があるとはいえ、対象にするわけですね。こうなってくると、五年間、質の改善は進まないんじゃないんでしょうか。五年間は集まってくるわけですからね、子供が。
更に言うと、五年後、基準を満たしていないから、子供がいるけれどももう来年から打ち切りますよ、ゼロから一、二で四万二千円の支援を受けている人が、来年から四万二千円なくなりますよと言われたら、預けられなくなってしまうような方も出てくるんじゃないんでしょうか。そう考えると、五年間の経過措置も、五年後の議論になりますが、延長をせざるを得ないような状況になる。そう考えると、保育の質はよくならない。この点について、総理はどう思いますか。
○安倍内閣総理大臣 幼児教育、保育の無償化の財源については、消費税率引上げ……(初鹿委員「財源は聞いていない」と呼ぶ)いやいや、順番を追って説明しますので。引上げに伴い、国と地方へ配分をされます。そして、増収分を活用して、国の責任において必要な地方財源をしっかりと確保していくところでございます。
さらに、地方負担分については、公立、私立にかかわらず、地方財政計画の歳出に全額計上しまして、一般財源総額を増額確保した上で、個別団体の地方交付税の算定に当たっても……(初鹿委員「そんなこと聞いていません」と呼ぶ)いやいや、まずしっかりとやっていくということを説明させていただきたい。(初鹿委員「それは後で質問するところなんです」と呼ぶ)いや、これは順番を追って、その次に行くわけでありますから。個別団体の地方交付税の算定に当たっても、基準財政需要額に全額算定することとしておりまして、地域の実情に応じて取り組むことができるように、国としては市町村を積極的に支援をしていきます。
そして、今回の幼児教育……(初鹿委員「ちょっと、質問に答えていない」と呼ぶ)これから今その御質問の部分に入ってまいりますが、幼児教育、保育の無償化に当たっては、やむを得ず認可外保育施設を利用せざるを得ない人がおり、こうした方々についても、負担軽減の観点から無償化の対象とし、指導監督基準を満たさない施設が基準を満たすために、今おっしゃったように五年間の経過措置期間を設けることとしておりますが、この経過措置期間において、子供の安全が確保されるように、児童福祉法に基づく都道府県等の指導監督の充実を図るとともに、認可施設に移行するための運営費の支援を拡充し、そして移転費の支援等も行うこととしています。
無償化を契機に、認可外保育施設の質の確保、向上を図っていくわけでございますし、最初に御説明をしたように、そのために我々、市町村等に対しましてしっかりと国として支援をしていく、こういうことでございます。
○初鹿委員 何か、肝心なところを答えてもらっていないんですが。地方財政計画で云々と言いましたけれども、一番待機児童の多い二十三区はまず交付税措置がされませんからね、不交付団体だから。そういうところでどんどんどんどん自主財源を使って、認可保育園、公立の保育園の財源を自主財源でやらなければならなくなるということになると、新しい保育園の新設が進まなくなる、そういう面では待機児童の解消が滞ることになるということを指摘させていただいて、時間が来たので終わらせていただきます。
○牧原委員長 次に、大島敦君。
○大島(敦)委員 国民民主党の大島です。
二十五分間、何点か質問をさせてください。
冒頭、質問通告とは違うことなんですけれども、先ほどの、ちょっと副大臣の不適切な発言があって、そのことについて若干触れさせてください。
私も、公務員制度改革に携わったことがあって、今の内閣人事局よりももう少し強烈な政治主導を強調した法案を当内閣委員会に提出し、衆議院では通して、参議院に送ったことがあります。そのときの法案の私の答弁の中で、政治は、要は役所の人事には介入しない方がいい、あくまで伝家の宝刀であって、抜かない方がいいという発言をずっとしていまして、私も組織人として、人事というのは、使い方によっては組織が凍ることになります。
ですから、今回も、当委員会で、答弁の修正が結構多数あった案件がありまして、大分、官僚機構も弱っているなというのが私の感じです。ですから、組織は、特にサラリーマンは人事権者の方向を向きながら仕事をする癖がついているので、その人事権者の意向を極めて理解しながら物事を進めていくことになります。
民間企業の場合はまだ収益ということで結果が出るし、それはあくまで会社の営みですけれども、特に政府に入っていらっしゃる方、認証官の方は、それは国家権力そのものだと思っているものですから、そこの動作とか、あるいは一挙手一投足を多分周りの役所の方たちは見ながら、自分の立ち位置を決め、優先順位を決めているかと思いますので、そこの公私の区別なく国のために仕事をすることが必要であると私は思っているものですから、その点についての内閣総理大臣からの御答弁をお願いいたします。
○安倍内閣総理大臣 いわば選挙で選ばれた議員の代表が総理大臣となり内閣を組織する、そして、選挙で公約をした方針、基本理念に沿って政策を実現をしていくということであります。それにのっとって行政機構がその方向で政策を立案し、実行していくということでございます。その意味におきましては同じ方向を見ていく必要があるんだろう、それは選挙の結果であります。
他方、いわば政治的な中立性を行政機構は維持をする必要が当然あるわけでありまして、正しい政策かどうかということは、それは政党あるいは政権におもねることなく堂々と議論しなければならないんだろうな、こう思うわけでございます。
その上において、人事権につきましては、まさに政治主導を進めていく上において、いわば選挙で選ばれた政党、政権が人事権を持つということは政策を進めていく上においては大切でございますが、重要ではありますが、同時に、今、大島委員が指摘された点は極めて重要でございまして、それが恣意的な、あるいは思いつき的な人事になっては決してならないわけでございますし、おっしゃったように伝家の宝刀であり、これはいわば抜かずの宝刀であることが最も望ましいのであろう、こう思っているところでございます。
ですが、私自身が、事実上、この人事、役人の人事、例えば局長はこうだとかいう人事を行うということは、私自身が人事を行うということは、これはないわけでございまして、基本的には各省庁の大臣のもとに人事案を作成され、人事検討会議で検討され、それが基本的に了承されていくということになっていくのであろう、こう思っているところでございます。
人事というのは、その中で、職場で十分に吟味されたものでなければならないわけでありますから、例えば、我々が知り得る情報の中だけで人事をすれば間違うことも十分にあり得るという気持ちを常に持つ必要があるんだろう、こう思っております。
○大島(敦)委員 ありがとうございました。
特に人事に関しては、為政者として相当気をつけないと、周りはその顔を見ながら仕事をすることになるものですから、そこのところは私としては極めて重要であるかなと考えております。
それと、本題の、今回の子ども・子育ての法案の審議に入っていきたいんですけれども、哲学が必要だというお話を宮腰大臣にはさせていただいています。やはり、社会保障制度でありますので、一つの哲学があって完結することが望ましいと思っています。
私、当委員会で二回ほど強調させていただいた点がございまして、その点というのは、内閣府で出している年次経済財政報告、去年の最新版を読んでみますと、各国ごとに、二十年間、仕事を低スキル、中スキル、高スキルと分けると、中スキルが減って、低スキルと高スキルがふえている傾向にありまして、フタコブラクダになっていると話をさせていただいています。
ですから、今後の先進国を考えると、中所得者あるいは中間層というのがなかなかできにくくなるのかなと。更にこれが進むと思っています、二〇二〇年代は。ですから、そこでの、要は給付をどうするかというのが、一つ哲学があると思っていまして、私としては、これは所得に格差なく給付はすべしという考え方をとっています。所得制限を設けないという考え方です。
ですから、前に、高校の授業料無償化をいたしました。これは所得制限をかけていません。その後、所得制限をかけるように今現行なっていますので。なぜ所得制限をかけないかというと、これは一つの分断が入ると思っていまして、自分の優秀な子供は授業料を納めなければいけないんだけれども、こちらの子供は授業料を納めなくてもいいというふうになると、そこで一つの社会の断絶が入るものですから、やはりユニバーサルに、普遍的に給付をした方が、このフタコブラクダの、それが更に強調される今後の社会については、私はそちらの制度の方がいいと思っていまして、これが一つです。
ですから、まずは、一つの哲学で、所得格差の問題は、私どもとしては給付つき税額控除をうたっているんですけれども、それはさまざまあると思います、累進を強化するという考え方もあるでしょうし、さまざまな所得再分配は税で行って、まずは社会保障を組むべきだと考えております。
今回、これは全世代型の社会保障ですか、それを掲げて今回の制度が出てきているんですけれども、全世代型の社会保障についてのお考えを、まず総理から伺わせていただければと思います。
○安倍内閣総理大臣 全世代型の社会保障でございますが、今まで、いわば社会保障制度といえば、年金、介護、医療につきましても、これは高齢者に偏っていたのではないかという批判があったわけでございます。その中で、我々、今回、消費税率引上げ分の中で、二兆円相当ですが、思い切って、子供たち、子育て世代に振り向けたわけでございます。
ただ、これは誤解を受けないように言わなければならないのでございますが、これは高齢者の、いわば今までの給付を減らしてそちらへ持っていくということでは決してないわけでございまして、新たに消費税の引上げ分、今まで五分の四を借金を返していく方向に使っていたものを、これを半分半分にしましょう、そして今、新たなこの消費税の引上げによって得る税収を思い切って若者の世代に投入をしていくという判断をいたしました。
そのことによって、子供たちも、また子育て世代も現役世代も、そして高齢者の皆さんも安心できる社会をつくっていきたい。人生百年時代を迎える中において、そういう改革を進めていく必要がある、こう判断したところでございます。
○大島(敦)委員 その中で、全世代というのはよくわかるんです。ただ、私が申し上げているのは、税の問題は税の問題として考えて、この社会保障を考えた場合には、全世帯ですね、所得に応じて給付していくのか、これは、所得については、全員に給付するのかというこの哲学があるものですから、首相としてのその哲学を聞かせていただければと思います。
○安倍内閣総理大臣 いわば、社会はお互いの支え合いで成り立っているわけであります。この支え合いの中において、自助努力もあれば、共助、公助、公助は税金、共助としては保険料ということなんだろう、こう思います。
そこで、税金を集め、税収は広く薄く集める。あるいは、所得税につきましては、これは累進、いわば所得の多い人ほど多くの額を税金で納めていただくということであります。
保険料はお互いの助け合いでございますが、もちろん、保険料、これも率でいきますから、率は所得には基本的には応じませんけれども、しかし、額としては、収入の多い人ほど額は多く納めていただきますが、その分、これは例えば年金にしろ、もらう年金がふえていくということにもなっていくわけでございます。
そこで、今、哲学としてどうなんだ、こういうことでございますが、基本的には、所得の再分配機能を果たしていくべきであろう、社会保障においてはですね。いわば所得の低い方々、また、より困難な方々には給付がしっかりと行くようにしていくということであろう。それによって社会は成り立っていくわけでございますし、例えば、そのことによって、しっかりと豊かな社会をつくることによって、才能のある方、今頑張れる人たちがより頑張って経済を成長させ、そして新たな果実を生み出していくことにもつながっていく。そして、それを分配をしていく。その分配においては、今申し上げたような形でやっていくということだろうと思っています。
ただ、今回の幼児教育、保育の無償化につきましては、小学校、中学校の初等中等教育が義務教育となっておりますが、必要なことを、人間として生きていく上において必要な学問を学んでいくということ、身につけるべきことを学んでいくということでこれは無償化をしているわけでございますが、その中で、幼児教育、保育もそれに位置づけまして、その中において我々は無償化する、かつ所得制限とはかかわりなくということでありました。
今までは、財源の関係がありますから所得に応じて、所得の低い方から無償化を進めてきたわけでございますが、今回は安定財源である消費税を活用して一気にその無償化を進めた、こういうことでございます。
○大島(敦)委員 御確認をさせてください。
今回の幼児教育の無償化については、教育的な観点、あるいは少子化対策もあるのかもしれないというのが一つ。ですけれども、総理のお考えとしては、給付については、やはり所得格差は設けながら給付をしていった方がいいというふうに考えているのかどうかだけ、もう一回、もう一度御答弁いただければと思います。
○安倍内閣総理大臣 社会保障全般でざっくり言えば、給付においては、所得に応じて給付を行っていくことがまさに再分配機能に資するものだと考えております。
○大島(敦)委員 先ほど冒頭も述べましたとおり、今後、二〇二〇年から二〇三〇年を迎えて、中間層がそれほど多く伸びないとすれば、やはり低所得者の層と高所得者の層、特に、当委員会でも引きこもりの問題を質問させていただいたこともあります。これは、今の地域社会は、団塊の世代、特に厚生年金をいただいている方の団塊の世代のボランティアによって今の地域社会は成り立っているので、この団塊の世代が、あと十年たって、なかなかボランティアができなくなってくる。
私たちの世代になると、それほど年金額多くないです。特に、今引きこもりの方とか、非正規で働いている方は、老後を考えると、それほど豊かじゃない老後だと思います。
ですから、百年という単位で考えるとすれば、そこに対してしっかりと、要は、分断というところに僕はこだわるものですから、社会を統合していくためには、所得格差なく給付をし、それの方が行政コストは安いはずなので、ほかは税で補っていくという考え方もあるなという立場をとっているものですから、そこは、そういう立場での議論で、今回の無償化法案については所得格差を設けていないというところは理解はするところなんです。
ただ、一緒に出してくれるんでしたら、高校の授業料ももう一回戻して所得格差なく給付するという方が整合性は私はとれていると思うんですけれども、その点について一言いただければと思います。
○安倍内閣総理大臣 高校の授業料支援については、家庭の経済状況にかかわらず教育の機会均等を保障する観点から、所得制限を設け、依然として負担が大きかった低所得世帯の生徒に対する支援を充実させたものであります。
一方、幼児教育、保育の無償化は、少子高齢化という国難に正面から取り組むために、子育て世代、そして子供たちに大胆に政策資源を投入し、社会保障制度を全世代型へとかえていくものでありまして、特に、幼児教育の役割の観点から、先ほど申し上げましたように、生涯にわたる人格形成の基礎、その後の小中学校における義務教育の基礎を培うものであり、保護者の所得にかかわらず全ての子供たちにとって重要なもの、こう考えているところでございます。
確かに、今、大島委員の言われたことは、聞いておりますと非常に説得力のある議論であることは事実であろうと思いますが、今申し上げた観点から、高校の授業料の支援についてはこうした形にさせていただいているということでございます。
○大島(敦)委員 ありがとうございます。
それで、宮腰大臣に伺いたいんですけれども、今回、これは、子ども・子育て新制度によって、その延長上だと思います。今回の、これまでの幼稚園、保育所から、こども園に多くの幼稚園なり保育園が移行したんですけれども、その点についての大臣としての率直な感想、特に、この移行については更に進めていくかについて伺わせていただければと思います。
○宮腰国務大臣 子ども・子育て支援新制度、これは、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の給付や、幼稚園と保育所の機能をあわせ持つ認定こども園制度の改善によりまして、地域の実情に応じた幼児教育、保育、子ども・子育て支援を総合的に推進することにより、都市部においては待機児童解消に、また子供の数が減少傾向にある地域においては教育、保育の機会の確保にそれぞれ対応することを目的としたものであります。
こうした中で、私立幼稚園の子ども・子育て支援新制度への移行については、事業者自身が地域の実情を踏まえた経営判断などを総合的に勘案し、決めていく仕組みとしております。
国としては、これまでも、私立幼稚園が新制度への移行を希望する場合に円滑に移行することができるよう環境整備に努めてきたところでありまして、引き続き、関係省庁や自治体と協力しながら、事業者への丁寧な情報提供を行ってまいりたいというふうに考えております。
○大島(敦)委員 安倍総理、前に子ども・子育ての新制度を導入をして一番助かっているのは地方の幼稚園なり保育園だと思っています。
これは、地方では、人口減少に伴って経営がなかなか困難な中で、新制度をつくって、その附帯決議の中に、しっかりとした固定費も含めてという条文がありまして、それを守っていただいた。それによって、私は、地域の中での子育ての拠点がしっかりと根づくことができたと思っているんです。
なかなか合理化の観点からだと、小学校の廃校して統合というのが結構課題だとは思うんですけれども、日本の地方を見ていると、やはり小学校なり保育所、保育園が小さいながらも残っているということが、子育てという観点だと私は必要であると思っていて、ですから、その点について安倍総理から一つ答弁いただきたくて、この点を強調しながら、しっかりと今後も子育ての拠点としてこども園が継続できるような意思があるかどうかについての御判断をお願いします。
○安倍内閣総理大臣 平成二十七年四月から実施をされました子ども・子育て支援新制度については、認定こども園や保育園、幼稚園などを対象とした子ども・子育て給付という新たな仕組みを導入し、これまで、女性を中心に大幅な就業率増加が続く中で、教育、保育の質的、量的な改善を進めつつ、経済実態調査によれば、保育所等の収支差率がおおむねプラスになっているなど、円滑に施行されてきたと考えていますが、他方で、待機児童問題や保育士等の処遇改善といった課題が生じているものと考えています。
また、子ども・子育て関連三法案に対する附帯決議も踏まえまして、公定価格の設定に当たっては、当該施設の固定費への配慮などを行うため、規模別、類型別の価格を設定しておりまして、また、本制度へ移行しない私学の幼稚園に対する財政支援については、私学助成の充実を図ってきたところであります。
さらに、今回の消費税率引上げにより生み出される財源を思い切って投入し、本年十月から幼児教育、保育の無償化に加えまして、二〇二〇年度からは真に必要な子供たちの高等教育を無償化するなど、これまでとは次元の異なる政策を実行することにより、子育てや教育に係る負担を大幅に軽減し、日本を、子供たちを産み、そして育てやすい国へと転換をしていきたい、こう考えております。
○大島(敦)委員 安倍大臣から直接御発言していただくと極めてわかりやすいかなと思っていまして、答弁を読むと、役所が書いているものですからなかなか心がこもらないところがありまして、そこの、やはりこの幼児教育、特に、三月には卒園式が行われて、二歳、三歳で入ってきた子供たちが卒園していきます。この成長の過程というのは、物すごく成長していきます、一人一人の子供は。ですから、官僚答弁もあるんですけれども、やはり総理の方から、御自身の発言でもう一度いただければと思いますので。
今の子育ての拠点の話をもう一回答弁いただくのと、もう一つは保育士さん。
当委員会でも、私たちは、保育士さんに対する処遇改善をする法律案をどうしても審議したいということを求めてきました。保育士さんをしっかり確保すること。
幼稚園教諭は、三、四、五ですから、ここは午後の保育の時間も幼稚園教諭で十分対応可能だと思っています。ただ、ゼロ、一、二は、若干、幼稚園教育とは違う領域ですので、ここはしっかりとした、子供が好きな保育士さんを、しっかりとした教育機関で、処遇も含めて、育成していくことが必要だと思っています。
今の保育士さんを見ると、どうしても就職というところが強調される嫌いがあるものですから、その点について、保育士さんの処遇と育成、ちょっと時間がないものですから、前段の部分は先ほどの官僚答弁でいいですので、保育士さんの処遇の問題について、総理からの、官僚答弁じゃない答弁をお願いします。
○安倍内閣総理大臣 先ほど私が言わんとしたところは、おっしゃるように、認定こども園を含め、子育ての拠点はしっかりと政府として、また地方自治体とともに協力をして守っていきたい、このように考えております。
そして、当然、ここで今、保育士さんの処遇というのは極めて重要だ、こう考えております。企業型の保育園等もなかなか保育士を十分に確保できないという課題もあるというふうに承知をしております。
処遇改善につきましては、これは月額約三万八千円に加えまして、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施をしました。さらに、今年度から、新しい経済政策パッケージに基づいて、月額三千円相当の処遇改善を行うこととしておりまして、あわせて、保育士の勤務環境の改善を図るために、保育業務のICT化や保育士配置の改善、そして業務補助者の雇い上げの支援などに取り組んでいます。
高い使命感を持って保育士になられる方々が働きがいを感じるような、そういう環境をつくっていく、そしてまた、その処遇を図っていくべく努力をしていきたい、このように考えております。
○大島(敦)委員 ありがとうございました。
終わります。
○牧原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
私からも、塚田国交副大臣に関連して質問をいたします。
北九州市と山口県下関市を結ぶ下関北九州道路建設計画について、関門海峡には既に橋とトンネルがあり、二〇〇八年には不要との批判を受けて凍結をされたものです。それが一転して、石井国交大臣は、三月の十九日、二〇一九年度、今年度から国が直轄で建設に向け調査する考えを表明しました。
報道によると、塚田国交副大臣は、四月一日、北九州市で開かれた福岡県知事選の自民党推薦候補の集会で挨拶をした。下関北九州道路に関して、国による直轄調査への移行について、安倍総理や麻生副総理が言えないので私がそんたくしたと発言をしたということです。
事業を所管する塚田副大臣の発言は、福岡県知事選挙における利益誘導による選挙利用が問われる大問題であります。
この点で、安倍総理自身の立場も問われております。
北九州、下関に関連する与党議員の集まりであります関門会は、二〇一六年三月に、道路の早期実現を求める要望書を提出をしております。その要望書には、安倍総理の名前も記載をされています。
地元にかかわる大型公共事業である下関北九州道路建設計画については、これは安倍総理自身が直接指示されたんじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 そんなことはございません。
従来から、地元の要望があることは、地元選出の議員でありますから十分に承知をしておりますが、私が指示したということはございません。
○塩川委員 これとの関係で、塚田国交副大臣の発言ですけれども、西日本新聞では、塚田副大臣は、吉田博美参議院幹事長から、これは総理と副総理の地元の事業だよと言われたことを明かした上で、私は物わかりがいい、すぐそんたくする、わかりましたと応じたということです。先ほど塚田副大臣は事実と異なると言いましたけれども、本当にそうなのか。
これは、吉田博美参議院幹事長が会長となって、下関北九州道路の整備促進を図る参議院議員の会というのが設立をされているんです。昨年十一月二日には自民党本部で設立総会を行って、塚田副大臣や政務官、道路局長らが出席をしている。吉田会長は、道路局長、副大臣、政務官がいる、政治生命かけてという気持ちでやるので、よく肝に銘じてしっかりとやっていただくと発言をしている。
こういう動きを背景に今回の発言があったんじゃないのか。事実と異なるどころか、事業を所管する塚田副大臣の発言というのは、福岡県知事選挙における利益誘導による選挙利用が問われる大問題であります。きっぱりと罷免すべきではありませんか。
○安倍内閣総理大臣 発言の詳細は承知をしておりませんが、本人も事実と異なる発言と認めておりまして、そうした発言をしたことは問題であります。既に本人から撤回し、謝罪したところと承知をしておりますが、まずは本人からしっかりと説明すべきであり、そのことを肝に銘じて職責を果たしてもらいたいと考えております。
○塩川委員 選挙利用を図ろうとした点は、これは事実そのものですから、この点でも塚田副大臣はやはり罷免をすべきだし、本人は直ちに辞任すべきだ、このことを申し上げておくものです。
法案についてお尋ねをいたします。
幼児教育、保育の無償化は、消費税増税とセットで行われます。
保育料については、所得に応じて段階的に負担をすることとなっており、住民税非課税の一人親世帯などの低所得者層では免除をされています。このような、例えば住民税非課税の一人親世帯にとっては、今回の無償化というのは、消費税増税分だけが重くのしかかるということではありませんか。
○安倍内閣総理大臣 消費税引上げに当たっては、消費税に逆進性があることに鑑みまして、低所得者など真に支援を必要とする層にしっかりと支援の手が行き届くことが重要であります。
まず、所得の低い方々への配慮として、食料品等を対象に軽減税率制度を実施をします。
あわせて、所得の低い方々や小さな乳幼児のいる子育て世帯に対しては、税率引上げから一定期間使用できるプレミアムつき商品券を発行、販売をいたします。
さらに、ゼロ歳から二歳までの住民税非課税世帯の子供の幼児教育、保育を無償化するとともに、来年四月から、真に支援を必要とする低所得世帯の高等教育の無償化を実施することとしております。
低年金者への給付等の社会保障の充実策を実施することなどを総合的に勘案すれば、政策全体として、所得の低い世帯に手厚く、逆進性に対して十分な緩和策になるものと考えております。
○塩川委員 いや、政策全体を見ても、こういった住民税非課税世帯に対して負担増となるというのが、この現状の仕組みであります。
軽減税率は、総理も認めておられるように、逆進性のある消費税というのは八%なんですよ、八%だって逆進性があるんですから、それは何ら、これによって改善される話ではそもそもありません。
プレミアムつき商品券というのは半年間、これは半年間分の消費税増税の負担分をもとに戻すという趣旨での商品券の額であって、半年から先、未来永劫ずっと増税は続くんですから、これに対しての負担増というのは紛れもない話であります。
そういった点でも、この住民税非課税世帯、一人親世帯などの方については全く消費税増税分だけが重くのしかかる、この仕組みというのは変わらないじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 今回の、八%から一〇%へ引き上げることに対して、この逆進性対策のために、先ほど申し上げましたように、食料品に対する軽減税率を行うこととしているところでございますし、そしてまた、先ほど申し上げましたように、低年金の方への給付も行うわけでございます。
そして、そもそも、伸びていく社会保障費を支えるために今回消費税率を引上げをするわけでございまして、まさに、引き上げた消費税については全額、社会保障費そして子育てのために使わせていただくということになっているところでございます。
○塩川委員 低年金の話は、子育て世帯に直接かかわりがありません。ですが、住民税非課税の一人親世帯などにとっては、既に保育料は無料なんだから、負担軽減されているので、消費税増税の負担増しかかからないということには変わりがない。
住民税非課税世帯というのはそもそも所得税も非課税となるような世帯であるわけで、生計費非課税の原則からいっても、生活費には課税しないということが本来であって、そういう世帯に消費税増税を押しつけること自体が間違っていると言わざるを得ません。
切実な子育てへの願いを逆手にとって、消費税増税を国民に押しつけるのをやめるべきだと申し上げたい。
次に、企業主導型保育事業についてお尋ねをいたします。
この間、企業主導型保育施設の運営については、突然の閉園や助成金の不正受給など、さまざまな問題が起こっております。
二〇一七年度の立入調査では全施設のうち七五・八%で問題事例があった、企業主導型保育事業の助成決定に当たって現地確認を行った施設は二千六百施設に対してわずか六件とか、さまざまな案件でも、とても慎重な審査が行われているとは言えません。
指導監査においても、コンサル業務を行っているパソナがコンサル業務を行っている企業主導型保育施設に監査に入るような、そういう疑念についてきちっと晴らすような解明も何ら行われていないということで、総理にお尋ねしますが、こういう事態というのは、単に企業主導型保育事業について管轄をしている児童育成協会に責任を押しつけて済む話ではありません。この間、政府が行ってきたこの募集枠の前倒しの措置がこういう混乱を生み出し、不祥事を生み出した。まさに政府の責任が問われる問題じゃありませんか。
○安倍内閣総理大臣 企業主導型の保育事業は、従業員の多様な働き方に応じた保育を提供する企業等を支援するとともに、待機児童解消に貢献する重要な事業であると考えております。
しかしながら、制度創設から三年目を迎えて、さまざまな問題が指摘されていることはまことに遺憾であり、この制度が本来期待される役割を果たしていくためにも、運用の見直しが不可欠であると考えております。
こうした問題が生じた原因や背景については、内閣府に設置された検討委員会で先般取りまとめられた報告において指摘されているところでありまして、早速に改善を進めさせたい、こう考えております。
○塩川委員 ですから、立ちどまるんだったら、この間の整備そのものを見直すということを考えるべきだ。昨年度の三万人の受皿整備、今年度について二万人と予算上計上している受皿整備、こういうのを白紙に戻して見直すということこそ行うべきだと求めておくものです。
企業主導型保育施設というのは、入所の児童の九割以上が〇―二歳の子供たちになります。まさに安全対策が何よりも重要な施設であるわけです。
一方で、企業主導型は、多様なニーズの話もありましたけれども、夜間、休日勤務あるいは短時間勤務、一時預かりなど柔軟に対応できるとしているわけです。これは、多様なニーズに応えた保育を必要としており、子供にとっては非常に強いストレスをためるものになる。そのため、保育者には通常の保育以上に専門性が要求される問題です。また、夜間や短時間などは特殊な保育であるために、安全性が一層求められます。それなのに、保育士の割合は認可基準を満たさなくてもよいとしているわけです。
このような企業主導型保育施設も今回の無償化の対象となります。安心、安全の保育環境の拡充を願う保護者の願いと逆行することになるんじゃありませんか。
○安倍内閣総理大臣 この企業主導型保育への無償化の導入に先立ちまして、保育の質や子供の安全の観点から、特に審査、指導監督の強化を行うことが急務と考えています。
そのため、検討委員会報告で指摘をされたとおり、立入調査結果や審査結果の情報開示、また各施設の決算情報の公開等を進め、透明性の高い事業運営に改めるとともに、自治体との情報共有や指導監査等における連携の強化等について、今から順次具体的な改善策を実施することとしたい、こう考えております。
何よりも子供の育成を最重点にしっかりと対応していきたい、こう考えております。
○塩川委員 いや、私が聞いたのは、多様なニーズに応えるということでいえば、当然その多様なニーズに対応した保育を行わなくちゃいけない、それについては、保育者の専門性が一層求められるんじゃないのか、夜間ですとか短時間ですとか。当然のことながら、そういった際に子供たちのストレスもためることになる。そういった際に、通常以上に保育の専門性が求められるときに、企業主導型保育施設については保育士の配置は認可の基準以下でもいいとしているわけですから、これは容認できないんじゃないのかと。
総理、いかがですか。総理。
○宮腰国務大臣 先ほども委員の御質問にお答えをさせていただいた部分もありますが、今回の検討委員会の報告の中で、例えば保育事業者設置型において、保育士さんの設置、配置基準について二分の一でいいという部分があったわけですけれども、これを七五%まで引き上げるとかいうようなことで、保育士の配置についても充実を図っていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 それは五〇を七五にするだけで、一〇〇の話でもないわけですよ。実際に、認可外の施設においては、自治体としてのかさ上げ措置をとってやっているわけですよね。
それ以上に、子供たちにストレスがかかるような企業主導型保育施設のありようからいっても、認可の基準よりも保育士の配置を低くしていること自身がおかしいんじゃないのかと。その点についてお答えがない。
○宮腰国務大臣 保育士比率は、実際には一〇〇%満たしている施設が七六・七%あります。七五%という施設が九・四%、五〇%の施設が一三・九%でありまして、この部分についてはしっかりと充実を図っていくということにしております。
これからも、企業主導型、特に保育事業者設置型について、しっかりとこの基準を守っていただくように指導してまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 一〇〇%いっている施設が多いというんだったら、何で七五%にとどめるのか。
そういった点でも、認可の施設よりも設置の基準、運営の基準を緩めることによって企業主導型保育施設の整備を加速させるという趣旨になっているわけで、重大な懸念があるこういう企業主導型保育施設というのはきっぱりと見直すべきだということを申し上げて、質問を終わります。
○牧原委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。
まず一つ目を、総理に念を押したいのは、この制度をつくるときもそうでしたけれども、自治体の意見をやはり慎重に聞くべきだというふうに思います。
例えば給食の話ですね。これは自治体からというわけではないですけれども、現場では、やはり給食費をどうするのかという議論が現場では起こっています。
この保育園、幼稚園の給食費の話以前から、学校給食の無償化についても、自治体間ではさまざまな議論がありました。無償化を進めていく学校給食をやっているところもありますし、給食についてのあり方、議論がたくさん出ています。やはり世の中の流れ的には、これはもう給食費も無償化、小中学校も無償化をしていく、そして幼児教育でもしていくべきなんじゃないかという議論があります。
その点について、今回の法案には含まれませんけれども、今後、幼児教育でも給食費の無償化についても議論をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 今般の幼児教育、保育の無償化に当たりまして、保育所等を利用する子供の食材料費については、現行制度において、実費又は保育料の一部として保護者に御負担をいただいてきたところでありますが、在宅で子育てをする場合でも生じる費用であること、既に授業料を無償化されている義務教育においても実費相当の負担をいただいていることから、その考え方を維持をし、無償化に当たっても、通園送迎費等と同様に、原則として保護者に引き続き御負担をいただくこととしました。
なお、一部の自治体においては小学校や中学校の給食費を無償化していることは承知をしております。こうした自治体独自の取組は尊重しますが、国としては、所得の低い方々を対象に保育所等の副食費を免除する保護者の範囲を拡充することとしておりまして、低所得世帯にも十分配慮をしつつ、幼児教育、保育の無償化を実施してまいりたいと考えております。
○浦野委員 ぜひ検討をこれからまたしていただけたらと思っています。
この幼児教育の無償化は、少子化対策の一環という位置づけもあります。この委員会でも、参考人の方から、この無償化については、収入の高低の差がなく子供を産む意欲が上がる効果がある、そういったエビデンスもしっかりと説明がございました。
私は、少子化対策はなるべくいろいろなことを手を打っていただきたいと思いますけれども、これ以外に、政府として、そういうエビデンスがしっかりとある少子化対策、これをすればこれだけの意欲が、子供を産みたいという意欲が上がるんだというようなものがある政策というのは、ほかにあるんでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 もう一度、ポイントをちょっと、済みません。
○浦野委員 要は、子供を産みたくなる意欲が湧く政策というのが、ほかに政府として考えていることがあるのかということです。
○安倍内閣総理大臣 我が国の最大の課題は少子高齢化でございまして、この課題に正面から向き合うために、希望出生率一・八というのは、条件が整っていれば子供を産みたいという方の出生率としては一・八あるわけでございまして、ですから、それを実現していくために、その条件を政府として整えていこうということでございまして、総合的な少子化対策を網羅的に推進してきたところでございます。
特に子育てと仕事の両立や、あるいは子育てや教育に係る費用の負担が重いことが子育て世代への負担となって、我が国の少子化問題の一因となっております。
こうした認識のもと、消費税の使い道を見直しまして、二兆円規模の恒久財源を子供たち、子育て世代に大胆に投資をして、教育無償化や待機児童の解消に取り組んでいくこととしているわけでございます。また、このほかにも、子育ての負担軽減や長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現等の働き方改革など、着実に進めてきているところでございます。
なお、諸外国、例えばフランスやスウェーデンでは、子育て支援の充実や仕事との両立支援策など、長期間にわたる少子化対策により、一旦は低下した出生率が二・〇近くまで回復した、回復に成功しております。こうした例をよく検討しながら、希望出生率の実現に力を尽くしていきたいと考えております。
○浦野委員 時間がもうなくなってきましたので、質問をしようと思ったんですけれども、午前中の審議でも、バウチャー制度、多様な保育ニーズに対応するには、最終的にはバウチャー制度を検討するべきなんじゃないか、マイナンバーカードを利用したバウチャー制度を検討すべきだということを言ったんです。
今回の法案審議の中で、結局、保育の質が下がる下がるというふうによく言われるんですけれども、既存の保育園の質までどんどんどんどん下がっていくかのような印象をすごく与えられて、私は大変残念だなと思うんですね。総理は私が保育士の資格を持っていることは知っていただいていると思うんですけれども、この委員会ではどよめきが起きましたけれども、保育園の現場は、現場の保育士はみんな頑張っています。だから、今の、既存の保育園の質はそんな簡単に下がらないですし、日々上がる努力を続けていますので、そんなに簡単に質が下がることはないです。
ただ、きょうの午前中の質疑でもやったんですけれども、制度に乗らない、結局、はざまにある子供たちというのが実はいてて、そういった子供たちにもしっかりと手を差し伸べる、光を当てるのが政治の仕事だと思っていますので、この幼児教育の無償化に終わらず、さまざまな政策を総動員して、子供、日本を支える未来の子供たちのためにしっかりと政策をつくっていただけたらと思います。
時間が参りましたので、これで質問を終わります。
○牧原委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。
内閣総理大臣は御退席をいただいて結構でございます。
この際、暫時休憩いたします。
午後二時十八分休憩
――――◇―――――
午後二時三十二分開議
○牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。牧島かれん君。
○牧島委員 自由民主党の牧島かれんです。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案につき、大分論点も整理をされてきたのかなというふうに思っておりますので、端的に数点、質問をさせていただきたいと思います。
まず、公定価格の地域区分についてであります。
参考人の方からも、市町村ごとに公定価格の地域区分を変えるのではなくて、もう少し大きな枠組みで捉えてもいいのではないかといった御意見がございました。
この公定価格は、処遇改善にも大変重要な意味合いを持っております。勤続年数、経験年数に応じて処遇改善を行うときにも公定価格、また、保育士の方が研修を受けられるときに代替職員の方が来られる、そのときの雇い上げも公定価格で決まってきております。隣同士の市町村で公定価格の地域区分が違う、そうした自治体にとっては大きな悩みになっているということを申し上げなければならないと思います。
神奈川県の実情について少し御紹介をさせていただきたいんですが、東京都特別区は一級地であります。神奈川県の中では横浜市、川崎市が二級地でして、私の地元小田原市は五級地、また、その他という地域がございます。横浜市の隣にあります横須賀市、こちらは、二級地の横浜の隣であるにもかかわらず、区分としては五級地となっております。このように、隣同士大きな差が出てしまっているという実態があります。
神奈川県にとっては、東京都に保育士さんが流出してしまうという悩みがある。それにプラスして、神奈川県内の市町村の公定価格の地域区分が違うことで自治体間の競争も大変激しいものになってしまっているという二重の課題が私たちの目の前にはあるということを大臣にお伝えをしたいと思います。
既に神奈川県では、平成三十年七月に、子ども・子育て支援新制度に関しての要望ということで、円滑な運用を求めて、公定価格については、私立幼稚園や認定こども園の経営実態や、また地域の状況を踏まえた設定にしてほしいということを子ども・子育て本部に提出をさせていただいています。また、県議会でも再三にわたり、この点、審議を行ってまいりまして、自治体間のさらなる格差を生まないためにも国全体の制度設計において取り組むべきものとして要望すると、知事も答弁をしています。
大臣、これまでの審議の御答弁の中で、公定価格、何らかの基準は必要なんだということはお話がございました。そうであるとしても、市町村で違いをつくらなければならないものなのかというところを問題提起したいというのが私の思いであります。
比較として、県の最低賃金というものがあります。これは各県で一つです。神奈川県は九百八十三円なんですが、私の地元は神奈川県の一番西側にありますので、川を越えると静岡県、山を越えると山梨県です。隣の県との最低賃金の差は、百二十五円、百七十三円と大変大きな差があります。
そういったことから、物価は静岡県に近いんだというふうにおっしゃる方もいらっしゃるんですけれども、県境で経営をなさっている中小企業の経営者の方は、御苦労されながらも、二級地の横浜と同じ最低賃金を支払っています。
その実態を踏まえて、この公定価格について調査研究をなさるということでございますので、ぜひ丁寧なヒアリング、調査をお願い申し上げたいと思います。大臣、いかがでしょうか。
○宮腰国務大臣 公定価格の地域区分につきましては、自治体の皆様にさまざまな御意見があることは承知をしておりまして、有識者や関係団体から成る子ども・子育て会議においても、課題の一つとして指摘されております。
委員御指摘の公定価格に関する調査研究におきましても、現場の御意見をより詳細にお伺いするため、地域区分について自治体にヒアリングを行いました。具体的には埼玉県と東京の三鷹市からヒアリングを行ったわけであります。
今後、子ども・子育て会議におきまして、今年度に実施する予定の経営実態調査の結果を踏まえ公定価格の議論を行うこととしておりまして、その中で、地域区分のあり方についても統一的かつ客観的なルールが必要であることに留意しつつ、検討課題の一つとして丁寧に議論していただきたいというふうに考えております。
○牧島委員 ぜひ、宮腰大臣、お願い申し上げたいと思います。
今回の審議の中で、保育士さんの確保と同時に大きな課題となったのが、保育士さんの処遇改善というテーマであります。
神奈川県でも、平成二十五年、二十六年にかけて保育士さんの実態調査というものが行われています。なぜ離職をしてしまうのかという調査の中で出てきた理由は、結婚、妊娠、出産、子育て、そして職場の人間関係、仕事の、働き方の、その職場の環境整備ということが課題として挙げられてまいりました。
業務負担を改善していくという観点から、例えばお昼寝のときにお布団を敷くといった保育に直接かかわらない保育補助の業務のところも存在として大変重要になってくると思いますが、その点、いかが進められるでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
議員御指摘のとおり、保育士の業務負担を軽減することは、保育の質を確保する上で、また人材を確保する上で非常に重要であると認識しております。このため、保育補助者雇い上げ強化事業といたしまして、保育士の補助を行うため、保育士資格を持たない方を雇い上げる事業を行っております。
この事業につきまして、平成三十年度予算では、定員百二十一人以上の定員の多い施設では二名の保育補助者の雇い上げができるよう補助額を引き上げることや、また、雇い上げる者の要件について、子育て支援員研修だけでなく、保育園での実習を修了した方も認めることとする要件の緩和といった拡充を行い、保育補助者のさらなる活用を促しているところでございます。
当該事業のほか、清掃等の業務を行う方の雇い上げに必要な費用を補助する保育体制強化事業や、ICT化による業務省力化などについても補助を実施しているところでございます。
これらの事業も活用して、保育士の業務負担の軽減に努めてまいりたいと考えております。
○牧島委員 ありがとうございます。
研修や実習も行っていくということでございますので、そちらもあわせてお願いしたいと思います。
また、ICT化につきましても質問を用意しておりましたが、時間の関係で要望とさせていただきますが、やはり保育園、活用していきたい、本来業務に割く時間をしっかりと確保していきたいというところも多いと思いますので、あわせてお願いを申し上げたいと思います。
また、参考人の方から、認可外保育施設での死亡事故、この点、検証委員会報告書についての御説明がありました。そこでなぜ事故が起きてしまったのか、御飯を食べてからお昼寝まで、ここで人手が不足してしまったことが要因なのではないかといった分析の御説明がありました。
認可外保育施設における質の向上というものをしっかりと進めていただきたいと思いますが、その点、いかがでしょうか。
○本多政府参考人 お答えいたします。
認可外保育施設の質の向上につきましては、この五年間の猶予期間の間に、まずは、認可外保育施設が指導監督基準を満たしていただくことが必要であり、さらに、認可の保育所などへの移行を目指していただくことが必要だと考えております。
このため、現行の児童福祉法に基づく都道府県等による指導監督の徹底を図ることに加えまして、指導監督基準の内容の説明や、事故防止に向けた助言などを行う巡回支援指導員の配置の拡充や、指導監督基準を満たさない認可外保育施設が基準を満たし、さらに認可施設に移行するための運営費の補助等の支援などの取組を行います。
また、市町村の役割も極めて重要でございますので、改正法案において、市町村に対して、対象となる施設を特定する確認や、都道府県知事に対する必要な協力要請などの権限を与えるための規定も設けております。
以上のような取組をやってまいります。
○牧島委員 ありがとうございます。
質の確保というのは、この法案の中で幾度となく委員から指摘も受けていたところでございますので、お願いを申し上げておきたいと思います。
また、給食費についても論点となっております。これまでも保護者の負担を行ってきたということで、その方針を継続されるわけでありますが、一方で、アレルギー対応へのニーズというものが高まっている、そして、食育という点も重視しなければならないのではないかといった指摘もありました。お子さんが、きょうの給食はおいしかったということで、メニューをおうちに持って帰って、その食事の様子を保護者に伝える、そんな場面もあるというふうに聞いております。
栄養の専門家の存在というのも重要になってくると思いますが、その点、いかがでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
保育所等におけるアレルギー対応など、個々の子供の状況に合わせた食事の提供や食育の推進は重要であると考えており、公定価格におきましても、栄養士による食事の献立や、アレルギー、アトピー等への助言や、食育に関する継続的な指導を行う施設に対しまして、栄養管理加算として、栄養士を配置するための費用の支援を行ってございます。
栄養管理加算につきましては、保育所等の体制充実のため、本年十月から、更に加算額の引上げ、これまでの、栄養士を嘱託する場合のほか、非常勤栄養士を週三日程度配置する場合の費用を措置する予定でございますが、この加算を行うこととしておりまして、引き続き、栄養士を配置するなどする施設の支援に取り組んでまいりたいと考えております。
○牧島委員 ぜひ、施設の皆様に私たちの思いが伝わりますように、広報、周知の方もお願いをしてまいりたいと思います。
そして、保護者の立場に立って一点質問させていただきたいと思います。申請の手続の利便性向上についてであります。
役所に行くのではなくて、幼稚園や保育園の申請の手続をインターネット上で、オンラインで完結をさせたいという保護者の声は大きいというふうに受けとめております。既にマイナポータルという制度、国のシステムとして存在をしておりますので活用していただきたいと思いますが、現状、どのように使われているでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナポータルを活用した市区町村の子育て関連施策の検索、申請サービス、いわゆる子育てワンストップにつきましては、平成二十九年十一月より本格運用を開始してございます。
平成二十九年度と平成三十年度には、対応団体のシステム整備等に係る費用につきまして特別交付税の措置を講じるなど、あるいは、担当大臣からも、自治体の首長宛ての対応依頼のお手紙を差し上げるなど、順次、対応自治体数を拡充させておるところでございます。
平成三十一年一月時点におきまして、マイナポータル保育関係のサービス登録を行っている自治体は千五百四団体、人口カバー率で九四・七%であるのに対し、マイナポータルから保育所の入所申請をオンラインで可能な自治体は五百五十七団体、人口カバー率で三八・三%にとどまっております。これは、オンライン申請を受ける自治体の数がまだまだなかなかふえてこないということでございますけれども。
一方で、対面が必要だというふうな声もあるわけでございますが、対面が必要だというのと電子申請というのは両立すると思っておりまして、電子申請を行いつつ、どうしても対面が必要だったら対面をするというふうなことも考えられると思っております。
私どもとしましては、自治体の申請手続を電子化するというのが利用者の利便性からも非常に重要である、特に子育ての場合、その対象者がいわゆるデジタルネーティブ世代であるということも十分考えながら、まさに申請者の立場に立って、業務の見直し、それから電子化を進めていきたいと思っております。
○牧島委員 人口三八・三%のカバー率ということです。子ども・子育て本部、そして厚生労働省、各自治体との関係、総務省、連携して、ぜひ、このフォーマット、用意ができておりますので、手続を進めてもらいたいとお願いを申し上げたいと思います。
最後に、大臣、この法案の意義、そして、やはり、幼児教育無償化、何よりも幼児教育が重要であるからこそであるという点、最後にもう一度御決意をお伺いしておきたいと思います。
○宮腰国務大臣 人工知能などの技術革新が進み、新しい産業や雇用が生まれ、社会においてコミュニケーション能力や問題解決能力の重要性が高まっている中、知識、IQだけの認知能力だけではなくて、根気強さ、注意深さ、意欲などの非認知能力を子供たちが身につけるということが極めて大事な時代になってきていると思います。
幼児期は、生活や遊びといった直接的、具体的な体験を通して、情緒的、知的な発達、あるいは社会性を涵養し、人間として、社会の一員としてよりよく生きていくための基礎を獲得していく重要な時期でありまして、この時期に、今回、全世代型社会保障制度の、一環というよりも重要な部分として幼児教育無償化を実現するということになったわけでありまして、これらの施策を通じて、小さな子供たちがしっかりと基礎的な生きる力を身につけていただくように期待をいたしております。
○牧島委員 幼児教育無償化と待機児童解消は、どちらか一方ではなく、両方とも進めていかなければならないことであると改めて申し上げておきたいと思います。
本法案の早期成立を求めて、質問を終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、太田昌孝君。
○太田(昌)委員 質問の機会をいただき、ありがとうございます。
数次にわたって質問をさせていただき、また、論点も随分とおさまってきたのかなというふうに思っております。
本日は、待機児童対策、さらに保育士の処遇の改善、さらに認可外保育の質の確保ということについて、数点、確認的に質問をさせていただければと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
さきの質問におきましても、女性の就業率も勘案して、子育て安心プランの三十二万人分は推計をしておりますと、これからこの無償化によって更に待機児童がふえるのではないですかという質問に対してこのような回答をいただいております。
もう少し確認させていただきたいのですが、そもそも、待機児童は今二万人弱でありますけれども、三十二万人の受皿整備、この必要性についてもう一度確認しておきたいと思います。
○本多政府参考人 お答えいたします。
待機児童数につきましては、保育の利用申込者数から保育園等を実際に利用している方の数を除したものを用いております。
女性の就業率の上昇に伴いまして、保育の利用申込者数は、近年、約九万人のペースで増加をいたしております。このため、待機児童を解消するためには、現在待機児童が生じ不足している二万人分の受皿に加えまして、女性の就業率の上昇による潜在的ニーズに対応する分の受皿を含めた受皿の整備が必要でございます。
具体的には、子育て安心プランにおきまして、二十五歳から四十四歳までの女性の就業率が二〇二二年度末に他の先進国並みの八割まで上昇することを想定して、待機児童の解消を図るために必要な整備量を三十二万人と推計しているところでございます。
○太田(昌)委員 ありがとうございます。
待機児童、やはりこれから増加するというふうにも見込まれます。さきに私は、地元では待機児童はいないと言ってしまったのですが、三十年になったら五十人出てしまった。大変、地元でお叱りを受けてしまいまして。
そういう中で、この子育て安心プランによって保育の受皿拡大、これは市区町村の計画の積み上げということで、二〇一七年度末の前倒し分までも含めた中で、二〇二〇年までに達成という中で目標が、積み上げると二十九・三万人の拡大が見込まれているというふうにも伺っております。これは、今、市区町村の一つの目標ですから、これに対して、この受皿拡大に向けてしっかりとこれは国においても支援をし、取り組んでいただかなければならないと思いますが、これについて伺いたいと思います。
また、定員と利用児童数の関係なども、利用児童数、オール・ジャパンで見れば二百八十万人である一方で、利用数二百六十一万人、十九万人近い差があって、しかし待機児童は今ふえ続けている。こうした差が生まれることについてどのような対応をされるのか、これについてもあわせて伺いたいと思います。
○本多政府参考人 お答えいたします。
まず、子育て安心プランの達成に向けた取組でございます。
三十二万人分を整備することとしている子育て安心プランに基づいて、各市区町村が二〇二〇年度末までに待機児童を解消する計画を策定しております。その結果を積み上げた受皿拡大の見込みが、昨年九月の公表時点で約二十九・三万人となっております。
これまでの経緯に照らしますと、今後、市町村が毎年度、計画を見直す中で、潜在的ニーズが具体化し、整備量が更に増加するものと考えております。
国といたしましては、平成三十年度第二次補正予算及び平成三十一年度予算におきまして、平成三十一年度中の市町村の整備量七万人に対応する合計千二百六十億円を計上しており、施設整備費補助のかさ上げなどによって、引き続き市町村による受皿整備を積極的に支援してまいりたいと考えております。
また、利用定員数と利用児童数の乖離についてのお尋ねでございます。
平成三十年四月時点の保育所等の定員は約二百八十万人分である一方、利用児童数は約二百六十一万人で、全国ベースで見ますと、保育所等の定員が利用児童数を上回っております。
それにもかかわらず待機児童が解消されないのは、地域ごとに見た場合、都市部では定員以上の受入れを行っている場合もある状況である一方、地方では定員に余裕があるなど、保育ニーズと保育の受皿整備のミスマッチ等によるものと認識しております。
このため、保育の実施主体である市区町村が、地域の実情に応じて保育の受皿整備を行うことが肝要でございます。子育て安心プランに基づいて、直近の待機児童の状況等を踏まえつつ、潜在的ニーズも含めた保育の利用意向を適切に把握した上で、市区町村ごとに待機児童解消に向けた計画を策定し、公表することとしております。
引き続き、子育て安心プランに基づいて、二〇二〇年度末までの三十二万人分の保育の受皿確保に全力で取り組んでまいります。
○太田(昌)委員 ありがとうございます。
施設整備補助金等々、支援をしっかりとしていただきたいというふうに思います。現実、計画は計画として、実効性については、市区町村はやはり不安に思っている。まだ更に見直しもしていかなければならない、また、現実にこれを達成しなければならないという中で、やはり達成ができるかどうかとちょっと不安に思っているようなところも相当あるように伺っております。しっかりとした支援をしっかりと行わないと、現実、目標達成は苦しいと思いますので、国としてのさらなる支援を心からお願いをしておきたいというふうに思います。
さて、待機児童の解消に向けましては、先ほど来お話ありましたとおり、保育人材の確保が不可欠であります。その中でも特に重要なのが処遇改善であろうかというふうに思うわけですが、平成三十年度の賃金構造基本統計調査の結果が昨日発表されました。保育士についてはどのような結果となっているのか、処遇改善の効果が反映されているものかどうか、これについてお伺いをしたいと思います。
○本多政府参考人 お答えいたします。
三月二十九日に公表されました平成三十年賃金構造統計基本調査をもとに保育士の年収を算出いたしますと、平成二十九年の保育士の年収は三百四十二万円でありましたのに対し、平成三十年は三百五十八万円となっておりまして、約十六万円増加をいたしております。
保育士の賃金が伸びた要因といたしましては、平成二十九年度予算において実施した技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善のほか、平成二十九年人事院勧告に準拠した一・一%の処遇改善分が反映された結果、年収が増加しているものと考えられます。処遇改善の効果が着実に反映されているものと考えております。今月から更に一%の処遇改善を行っております。
保育士の処遇改善を進めることは重要と考えておりまして、引き続き、取組を進めてまいりたいと考えております。
○太田(昌)委員 ありがとうございます。
処遇改善が進んでいる、三十年にかけて、昨年に比べて約十六万円の上昇ということで、効果もあらわれてきていることかなというふうに思います。
一方で、さきの参考人質疑の際、我が党岡本議員が、当時、桑原参考人に質疑をした中で、桑原さんからも、これは保育士の方ですけれども、給料を上げることも必要だ、しかし、給料を上げながらも学びの場をつくり、そして、キャリアパス、自分がどういうふうなステージに行けばどのぐらいのお給料をもらえるのか、あるいは、そうした中でスキルアップをすること、そんなことの支援をしっかりしていかなければならないというようなお話もいただきました。
処遇改善の中には、当然のことながら、給料の上昇のみならず、そうしたスキルアップに向けても、あるいはやりがいという部分でも、しっかりと応援をしていかなければならないというふうにも思います。
また、先ほど来のお話の中でもありました、いわゆる児童に向き合う時間以外のところでやはり時間をとられるというようなことも、さきの私の質疑の中でも指摘をさせていただいたところでもございます。そういう中で、保育士の負担増という観点、事務作業の増加などについても、この保育士の処遇改善の中にしっかりと御検討をいただきたいこと、これはまた重ねてお願いをしておきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
あと、認可外保育施設の質の向上についてちょっと伺います。
現在でも、認可外保育施設に関しましては、児童福祉法に基づいて、年に一回以上立入りすることとされておりますが、幼児教育無償化の実施に伴いまして、認可外保育施設の立入検査の実効性を高めていく必要があるのではないかと思いますが、御見解をお伺いいたします。
○本多政府参考人 お答えいたします。
今回の無償化を契機に、認可外保育施設の質の確保、向上を図ることが重要でございます。まずは、現行の児童福祉法に基づく都道府県等の指導監督の徹底を図ることが重要でございます。
このため、地方自治体の意見を十分伺った上で、指導監督の手法やルールの明確化を行うことで、児童福祉法に基づく都道府県等による指導監督の徹底を図りますとともに、地方交付税措置の算定基礎において、今年度から、標準団体につき、担当職員一名を増員いたしまして、都道府県の児童福祉関連事務に従事する職員配置の充実を図るところでございます。
さらに、関連する取組といたしまして、巡回支援指導員の配置の拡充や、認可施設に移行するための運営費の補助等の支援を行ってまいります。
また、市町村の役割も極めて重要であると考えておりまして、市町村長に対して、対象となる施設を特定する確認、また、都道府県知事に対する必要な協力要請などの権限を与えるための規定を改正法案に設けているところでございます。
本年十月からの無償化の施行に向けて、地方自治体の意見を丁寧に伺いながら、準備を進めてまいります。
○太田(昌)委員 巡回指導員の増員でありましたり、現行の指導監督の徹底等を行っていただけると。とりわけ、認可外保育施設につきましては、現場、市区町村においても、大変に、その質の確保について心配をしているところでもございます。どうか、そのような人員の派遣等々も行って、現場で遺漏のないように行っていただければというふうに思います。
さて、これもさきの質問の中で、認可外保育の質の確保、向上を始めとする幼児教育の無償化に関する課題についてPDCAサイクルを行うための、内閣府、文科省及び厚労省並びに地方三団体を含めました幼児教育無償化に関する協議の場を開催するというような回答をいただいておるところでもございます。
今後の事業において、また、この事業展開の中で、この協議の場をどのようにこれから進めていくものか、宮腰大臣にお伺いしたいと思います。
○宮腰国務大臣 幼児教育、保育の無償化の実施に当たりましては、実務を担う地方自治体と国がよく連携して進めていくことが大変重要であると考えております。
今回の法案の内容につきましても、これまで、私自身、直接、全国市長会や全国町村会の代表の方々と情報共有や意見交換を行うなど、地方自治体の皆様と一緒になって検討を進めてまいったところであります。
今後とも、認可外保育施設の質の確保、向上を始めとするさまざまな課題につきまして、地方自治体との協議の場などにおいて、実務を担う地方自治体の皆様の御意見を伺いながら、しっかりとPDCAサイクルを行い、幼児教育、保育の無償化の円滑な施行に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○太田(昌)委員 ありがとうございました。
今回、さまざま、質疑の中でも、今回の幼児教育の、子ども・子育て支援法、とりわけ、生涯にわたる人格形成の基礎を培うものである、子供に質の高い教育の機会を保障することが極めて重要であるということ、また、いわゆる超少子高齢化の中で子供が安心して産み育てられないという理由の中で、やはり大きな経済的な負担の不安感の解消も必要であるというようなこともいただいたところでもございます。
年度の途中の事業になるわけで、そういう意味では、現場、市町村、大変に今、準備をしながらも法律の成立を今か今かと待っているというようなところでもございます。早期にこの法律が成立をし、そして、早くこれは市町村の支援が始まりますこと、これを願いまして、私自身の質問を終わらせていただきます。
本当にありがとうございました。
○牧原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○牧原委員長 この際、本案に対し、山内康一君外一名から、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブの共同提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山内康一君。
―――――――――――――
子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○山内委員 ただいま議題となりました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
政府原案は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性に鑑み、子育てを行う家庭の経済的負担の軽減を図る観点から、その無償化の取組を加速するとしています。しかし、待機児童が解消されないまま幼児教育及び保育の無償化をしても、子供が幼稚園や保育所に入れた家庭と入れなかった家庭との間の格差を拡大するだけです。幼児教育や保育が重要だ、負担軽減が必要だというのであれば、無償化を先行させるよりも、保育所に子供を入れることができずに困っている人をなくす、つまり、全入化を図ること、また、保育士の処遇改善を含め、幼児教育及び保育の質の向上を図ることこそが求められているのではないでしょうか。このような問題意識から、本修正案を提出した次第です。
以下、本修正案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、政府は、待機児童に関する問題の早急な解消、児童福祉施設の設備運営基準の見直しその他の子ども・子育て支援の量的拡充及び質の向上を図るために必要な措置を講ずるものとし、その際、これに必要な安定した財源の確保に努めるものとすることとする規定を追加しております。
第二に、保育の質の向上のためには、保育士の処遇改善が不可欠であることから、百九十六回国会において野党共同で提出しております保育等従業者の人材確保のための処遇の改善等に関する特別措置法を早期に成立させた上で、同法に基づき、保育士等の処遇の改善等のために必要な措置を講ずるものとする規定を追加しております。
第三に、このような措置が講ぜられた結果として、待機児童に関する問題が解消されるまでの間、無償化のための措置を講ずるとする本法律案の施行を延期することとしております。
第四に、保育士等の職業紹介を行う体制の整備及び充実その他の子ども・子育て支援に係る人材確保のための措置について本法律案の公布後速やかに検討することとするとともに、施行後五年を目途として、幼稚園類似施設を施設等利用給付に係る対象施設に加えることについても検討することとしております。
以上が、本修正案の趣旨です。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○牧原委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○牧原委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次これを許します。岡本あき子君。
○岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの岡本あき子です。会派を代表し、修正案に賛成、原案に反対の立場で討論をさせていただきます。
今回の無償化、本当に、ことしの十月、すぐにでもやらなければならないほど緊急なことでしょうか。
私たちは、負担軽減を図り、将来的に、給食も含めて幼児教育、保育の無償化は、まずは保育所全入、それから質の確保をした上で、将来にわたり段階的にこそ取り組むべきだと修正提案させていただいております。
原案については、問題点が幾つかあり、以下、指摘をさせていただきます。
一点目、無償化よりも保育所全入を優先させるべきです。
今なお、年度当初に二万人近くの方が、保育所落ちたと涙をのんでいます。同じ税金を使うのであれば、今は、保育所に入れない方をゼロにすることにこそ全力を投入するべきです。
二点目、保育、幼児教育の質は譲れません。
原案にある認可外どころか指導監督基準を満たさない保育も対象とするなど、全くもって論外です。企業主導型保育事業の問題も解決しておらず、改めて質の確保が問われています。
特に、保育の質の向上には、保育士の処遇改善は不可欠です。配置基準を是正するなど、認可基準はもちろん、安全と質の向上を図り、子供の利益を最優先に、質の高い幼児教育、保育環境こそ、人格形成にとって大切です。質を伴わない今回の対象拡大には賛同できません。
三点目、消費税の増税で賄おうという点です。
しかも、低所得の方から御負担いただく増税のうち、認可保育所では、再配分の五〇%以上が年収六百四十万円を超える世帯へと、高所得者ほど手厚く配分する仕組みであり、これは二重の意味で不公平です。
ほかにも、副食費の実費徴収、便乗値上げや対象外となる施設が倒産する報道も起きています。償還払いでかえって負担増感の可能性も否めません。
実体経済も実感も景気回復を伴わない状況で、増税を御負担いただき、高所得者層に手当てすることが、この十月にすぐにしなければならないことでしょうか。
私たちが修正提案したとおり、まずは保育の受皿整備で待機解消、保育士等の直接的な処遇改善と質の確保を整えた上で無償化に取り組むべきです。
ぜひ修正案に賛成していただく方がふえるようお願い申し上げ、修正案に賛成、原案に反対の討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○牧原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、子ども・子育て支援法改正案、いわゆる幼児教育無償化法案に反対の討論を行います。
第一に、本案は消費税増税を発端としたものです。安倍総理は、総選挙を前にした二〇一七年九月、消費税一〇%増税を前提に幼児教育の無償化を持ち出し、解散・総選挙の口実としました。
消費税は低所得者ほど負担が重くなる逆進性を持つ税であることは、総理自身認めています。保育料は既に所得に応じて段階的になっており、住民税非課税の一人親世帯などでは保育料は免除されています。このような層では無償化による恩恵はなく、消費税増税分が重くのしかかるだけです。消費税増税を財源にすることで、低所得者層へ重い負担を押しつけることは認められません。
第二に、この無償化によって何が引き起こされるか。
教育、子育ての切実な願いを逆手にとり、安倍総理が党略的に持ち出した無償化は、内閣府が、検討の場はなかったと答弁したように、総理の一言で決まったことがはっきりしています。検討もされずに打ち出された施策だから、経過措置期間の五年間は、保育士が一人もいないような保育施設も給付対象とする法案となっているのです。
認可外保育施設の立入調査は、現在でも六八%しか行われていないにもかかわらず、無償化によって調査対象は一・七倍にふえます。厚労省は、巡回支援指導員をふやすと言いますが、巡回支援指導員は児童福祉法に基づく指導監督を代替できるものではないと厚労省も認めたではありませんか。指導監督体制の強化なしに、安心、安全な保育を保障することはできません。
また、本案には、これまで保育料に含まれていた三から五歳児の給食おかず費を施設側に徴収させることも盛り込まれています。保育の一環である給食の費用は公費で負担すべきで、給食費の実費化は公的保育制度を後退させるものです。
経過措置の五年間、安全を置き去りにし、保育制度にゆがみを生じさせ、認可保育所による、自治体の保育実施義務に支えられた公的保育を更に掘り崩すことになります。
第三に、本案が、更に公立保育所を減らし、公的保育制度の枠外にある企業主導型保育事業を拡大させるという問題です。
公立保育所数は、地方行革の押しつけ、運営費、整備費の一般財源化によって、この二十年間で三割も減少しています。今回の無償化が、国から二分の一補助が出る私立保育所に比べ、公立保育所は市町村の十割負担のため、一層公立保育所の廃止、民営化を加速させることは明らかです。
対照的に、企業主導型保育は急拡大しています。しかし、突然の閉園や助成金の不正受給、七五%の施設で基準違反が見つかるなど、問題が相次いでいます。児童育成協会への視察で明らかになったのは、助成決定に当たっての現地確認は約二千六百施設のうちわずか六件、審査もたった五人が年三回の会議で行うというもので、とても慎重な審査が行われているとは言えません。
企業主導型保育も対象とする今回の無償化によって、市町村が設置、監査に関与せず、認可基準以下で整備、運営ができる企業主導型保育が拡大するのは目に見えています。
企業主導型保育は、仕組み上、認可施設にならない施設であると内閣府も認めました。一方で、政府は、子育て安心プランで、企業主導型保育を待機児童の受皿として組み込み、さらに三年間で二度の前倒しで推し進めています。このような企業主導型保育を前のめりで進め、公的保育制度を大きく後退させてきた政府の責任は重大です。
最後に、この法案には、肝心の待機児童対策がありません。緊急にやるべきは、公立を含む認可保育所の増設と保育士の処遇改善です。
宮腰大臣は、保育士の処遇改善を通じて受皿を確保しなければならないと答弁しましたが、政府は、保育士の低賃金、長時間過密労働の実態調査すら行っていないことも明らかとなりました。これでどうして保育士処遇改善ができるでしょうか。
保護者と保育関係者の安心、安全な保育をという願いに応えるためには、保育の質、量の確保をしながら、保護者の負担軽減を進めるべきだと申し述べ、討論を終わります。(拍手)
○牧原委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○牧原委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、山内康一君外一名提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○牧原委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
次に、原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○牧原委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○牧原委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平将明君外三名から、自由民主党、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本維新の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大島敦君。
○大島(敦)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
子ども・子育て支援法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切に対応すべきである。
一 待機児童に関する問題の早急な解消、保育士の配置基準の改善その他の児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の見直し等教育・保育その他の子ども・子育て支援の量的拡充及び質の向上を図るための措置を講ずるとともに、これに必要な安定した財源の確保に努めるものとすること。
二 保育等従業者の職務がその重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、保育等従業者の賃金その他の保育等従業者の処遇の改善について、速やかに、必要な措置を講ずるものとすること。
三 保育士及び保育士資格を有する者であって現に保育に関する業務に従事していないものについて職業紹介を行う体制の整備及び充実等教育・保育その他の子ども・子育て支援に係る人材確保のための措置について、速やかに、検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。
四 子どものための教育・保育給付及び子育てのための施設等利用給付について、安定した財源を確保しつつ、零歳から二歳までの保育の必要性がある子ども全てが対象となるよう検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。
五 本法の施行後五年を目途として行われる検討に際しては、幼稚園と類似の機能を有する施設・事業であって学校教育法第四条第一項の規定による都道府県知事の認可を受けていないものを子育てのための施設等利用給付の対象とすることを含め、検討を行うこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○牧原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○牧原委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。宮腰国務大臣。
○宮腰国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○牧原委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○牧原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時十七分散会