衆議院

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第11号 平成31年4月10日(水曜日)

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平成三十一年四月十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧原 秀樹君

   理事 平  将明君 理事 谷川 弥一君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君

   理事 大島  敦君 理事 岡本 三成君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    大隈 和英君

      大西 宏幸君    加藤 鮎子君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      小寺 裕雄君    繁本  護君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      中山 展宏君    長尾  敬君

      西田 昭二君    松野 博一君

      松本 洋平君    三谷 英弘君

      今井 雅人君    岡本あき子君

      近藤 昭一君    篠原  豪君

      初鹿 明博君    堀越 啓仁君

      山尾志桜里君    森田 俊和君

      山岡 達丸君    太田 昌孝君

      佐藤 茂樹君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山本 順三君

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)

   (少子化対策担当)    宮腰 光寛君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   茂木 敏充君

   国務大臣

   (規制改革担当)     片山さつき君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   内閣府副大臣       中根 一幸君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   内閣府大臣政務官     舞立 昇治君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   外務大臣政務官      山田 賢司君

   国土交通大臣政務官    工藤 彰三君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      平井 裕秀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡本  宰君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  清水 茂夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       植田  浩君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 林  幸宏君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 河野  真君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          其田 真理君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   阪田  渉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     大隈 和英君

  岡下 昌平君     繁本  護君

  初鹿 明博君     堀越 啓仁君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     大西 宏幸君

  繁本  護君     岡下 昌平君

  堀越 啓仁君     初鹿 明博君

    ―――――――――――――

四月九日

 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

は本委員会に付託された。

四月九日

 公文書等の管理に関する法律の一部を改正する法律案(第百九十五回国会衆法第四号)の提出者「篠原豪君外十六名」は「篠原豪君外十五名」に訂正された。

同月八日

 学童保育(放課後児童健全育成事業)の「従うべき基準」を堅持することが実現できる財政措置に関する請願(穴見陽一君紹介)(第六五七号)

 同(池田真紀君紹介)(第六五八号)

 同(岡本あき子君紹介)(第六五九号)

 同(高井崇志君紹介)(第六六〇号)

 同(中谷真一君紹介)(第六六一号)

 同(堀越啓仁君紹介)(第六六二号)

 同(早稲田夕季君紹介)(第六六三号)

 同(阿部知子君紹介)(第七〇四号)

 同(小林茂樹君紹介)(第七〇五号)

 同(伊藤俊輔君紹介)(第七四九号)

 同(牧義夫君紹介)(第七五〇号)

 同(大島敦君紹介)(第七八八号)

 幼児教育・保育の無償化に関する請願(矢上雅義君紹介)(第六六四号)

 同(阿部知子君紹介)(第七〇六号)

 同(青山大人君紹介)(第七〇七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七〇八号)

 特定秘密保護法を即時廃止することに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第七八九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第七九〇号)

は本委員会に付託された。

四月九日

 学童保育(放課後児童健全育成事業)の「従うべき基準」を堅持することが実現できる財政措置に関する請願(第六二四号)及び幼児教育・保育の無償化に関する請願(第七〇八号)は「宮本岳志君紹介」を「穀田恵二君紹介」にそれぞれ訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

牧原委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房日本経済再生総合事務局次長平井裕秀君、内閣官房内閣審議官岡本宰君、内閣官房内閣審議官清水茂夫君、内閣官房内閣審議官山内智生君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官植田浩君、内閣府大臣官房審議官林幸宏君、内閣府子ども・子育て本部統括官小野田壮君、警察庁長官官房審議官河野真君、個人情報保護委員会事務局長其田真理君、外務省大臣官房審議官飯島俊郎君、財務省主計局次長阪田渉君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、厚生労働省大臣官房審議官諏訪園健司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。森田俊和君。

森田委員 おはようございます。国民民主党の森田でございます。

 早速、二十分のお時間をいただいておりますので、質問に入らせていただきます。茂木大臣それから大口厚生労働副大臣にお越しをいただいております。よろしくお願いをいたします。

 まず、経済、財政のことについてお伺いをさせていただきたいなというふうに思っております。

 財務省の方で財政の資料を出していただいております中に、財政を家計に例えたらという資料を出していただいておりますけれども、まず、この資料で、最新の例えでいうとどんなような感じになっているか、お答えいただければと思います。

阪田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の資料のとおりに、我が国の一般会計を手取りの給与収入三十万円の家計に例えた場合の家計の支出や収入について、平成三十一年度予算ベースで機械的に算出しますと、家計の支出の方でございますが、生活費が三十六万円、利息の支払いが四万円、元本返済が七万円でございます。そして、家計の収入の方は、給料収入が三十万円、その他収入が二万円、借金が十五万円となり、ローン残高は五千百六十六万円となります。

 よろしくお願いします。

森田委員 ありがとうございました。

 いろいろ、まず例え話の仕方についての議論があるということは私も承知をしておりまして、国と家計は違うというお話なんですけれども、今のお話でいうと、給料の収入というのが三十万円という、これを一つの基準にして、生活費が三十六万円で借金が十五万円ということでお話をいただいております。その中で、債務として残っているのは五千百六十六万円というような、そういうお話があったわけなんです。

 違うといえば確かに違うんだろうなと思いますが、どういうところが違うかというと、例えば、国には、通貨を発行して、要するに輪転機を回せばお札が刷れる。あるいは、税金をかけられるじゃないか、税金を上げようと思えば上げられるじゃないかというお話があったりとか、あとは、フローじゃなくてストック、資産がある、お金をつぎ込んで、借金をして、道路をつくったり橋をつくったり、あるいはいろいろな建物を建てたりということで、こういう資産があるので、一概にこれを家計と比べてどうのこうのとかということは言えないんじゃないかというような、そういうお話がありながらも、やはり、一つの見えやすい数字に例えて説明するということは、私はこれからも必要な視点ではないかなというふうに思っております。

 そこで、三十万円の収入というふうに例えたときの五千百六十六万円という借金がありますよというお話がございました。これについては、もうずっと、日本は大丈夫なんだ、借金しても大丈夫なんだというお話が聞かれます。

 その一つの根拠としては、やはり、身内の借金じゃないか、国民の皆さんの金融資産が一千七百兆円あるという中で、国、地方合わせても一千百兆円の借金だよということで、いわば、さっきの家計の話に例えてみれば、同居しているおじいさんから借金をして家計をやりくりしているんだから、おじいさんに返せばいいんだから、身内の中でやりとりをしているんだからこれは大丈夫じゃないかというお話であろうと思います。

 ただ、これもそんなに楽観はしていられないんじゃないかなという思いがございます。

 どういうことかといいますと、一千七百兆円ある国民の金融資産に借金の残高が追いついてしまうところがこの先出てきてしまうおそれがある。もちろん、それを防ぐために私たちはいろいろなことをやらなくちゃいけないわけなんですけれども、三十兆円ずつ国債を積み増していくと、さっきの例え話みたいに、毎年これだけ借金しながら生計をやりくりしていますということをやり続けると、これは単純計算ですけれども、十五年から二十年ぐらいの間で重なる点に到達してしまうだろう。そうすると、今度は家計の中でおさまらなくなって、いわば、家計でいえば銀行にお世話になったりとか、あるいは全く違う方に借金をお願いしに行かなければいけないというような、そういう状況にもなってくるんだろうなと思います。

 そこで、こういう借金が積み上がることのまずリスクを政府としてはどのように認識をしておられるかということを、確認の意味も含めまして、茂木大臣に伺えればと思います。

茂木国務大臣 我が国の財政状況につきましては、家計でいうローン残高に当たります債務残高がGDPの二倍程度にまで累積するなど、今、厳しい状況にあるわけであります。もちろん、他の国々も債務残高というのは抱えておりますが、このGDPの二倍程度というのはかなり高いレベルであるのは間違いないと考えております。

 そういった中でも、今までのところ、豊富な国内貯蓄等を背景にしまして、低い金利水準で、国内の資金、先生の言葉で言うと、身内のお金で安定的に国債を消化することができていると認識しておりまして、これは、例えば、一時財政危機に陥ったギリシャ、これは海外からお金を持ってきた、こういう状況とは違っているんだと思います。

 ただ、仮に、我が国の財政の持続可能性についてマーケットの信認、これが損なわれるといったリスクが顕在化した場合には、国債価格の下落であったりとか金利の上昇等による影響が生じる可能性があります。

 ただ、これは、金利の上昇がそのまますぐに国の借金の利払いにきいてくるかといいますと、長期金利につきましては、債務残高の多くは既発債である、何年間で、既にその時点の前の時点の金利ということになりますので、金利の上昇がそのまま全ての利払い費の増加に直結するわけではないわけでありますが、例えば、長期金利が仮に一%上昇しますと、一年目に必要となります国債の利払い費の増加というのは一兆円になる、このように試算をされております。

 ですから、大切なことは、我が国経済の健全性及び財政再建の取組についてマーケットから信認を維持し続けることであると考えておりまして、今後とも、経済再生なくして財政健全化なしという基本方針のもと、経済財政一体改革に着実に取り組みまして、フローでいいますと二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化、そしてストックでいいますと債務残高の対GDP比の安定的な引下げを目指して、財政健全化、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 例えでいうと、身内の借金でおさまっているうちは、まあよいでしょうということで、先ほど大臣のお話もあったように、外から借りなければいけなくなると、まずは信用が下がるということになると思いますので、金利が上がってきて、先ほどのお話ですと、一%で年間一兆円の利子の負担が出てくる、時間差はあってもそういった負担が高くなるということだろうと思います。

 先ほどギリシャのお話を出していただきましたけれども、資金繰りが厳しくなってほかに頼らざるを得なくなるということになりますと、家計でも、銀行にお金を借り出すとそうだと思うんですけれども、やはり、身内の意識だけ、要するに、国で例えれば、内々の民主主義のところだけではなかなかその国が運営できなくなるというリスクもあるんではないかなと思っております。

 要するに、お金の貸し手、借り手の関係が優先をされて、例えばギリシャなんかも、金融団の言うことを聞かざるを得なくなった。増税をするだとか社会保障を切り下げる、医療とか介護、年金のあたりをどうしても切り下げなければいけないというような、そういう事態になってくるんだろうなというふうに思っております。

 さっきの、ストックが日本にはあるから大丈夫だよということもあるんですけれども、なかなか簿価でちゃんと売れるかどうかということも、そもそも売れるものなのかどうなのかというのもわからないですし、そういうことを帳簿どおりにストックも考えていいのかどうなのかということもありますので、そういうことをかなり危機感を持って、危機感といっても十年とか二十年とかのこういう長いスパンでの危機感なわけですけれども、これをしっかりと私たちは共有して、政治に当たっていくことが必要なんだろうなと思っております。

 それで、今、アベノミクスの中では、ありとあらゆる政治的資源、あるいは、本当の金融的な、出資法だとか、いろいろと考えられるありとあらゆるものを使ってのこの今の経済状況が生まれているということで、それはそれですごいことではないかなと私は思っております。ただ一方で、家計の支出が伸びていなかったりだとか、あるいは成長戦略の分野を伸ばす、生産性を伸ばしていくということがなかなか当初の計画どおりには進んでいないというのもまた事実としてあるんだろうなと思っております。

 また、このところ、ことしの予算で、保育の無償化であったり増税の対策費用だったり、こういうのも出てきているところなんですけれども、このリスクをどのような形で伝えていくか。特に私たちは選挙をやらなくちゃいけない立場なので、厳しいことを言ったら本当に大変なんですけれども、このあたりについて、リスクをお伝えするということについてどうお考えか。大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 まず、財政について申し上げると、経済再生なくして財政健全化なしということでありまして、やはり経済がしっかりしなければ、それは財政を健全化するということも、これは家計であっても国であってもできないというところでありまして、もちろん経済指標というのはたくさんあるわけでありますが、国際的に大きく言いますと二つ。

 一つは、経済の規模、パイが大きくなっているかどうか。もう一つは、やはり雇用の情勢、仕事がふえているのか減っているのか。これがやはり一番重視される点でありまして、この点、名目GDP、これが経済のパイを示す一般的な指標でありますが、これは、この六年間で五十兆円ふえまして五百五十兆、過去最高を記録しております。

 一方、雇用の情勢につきましても、今、有効求人倍率は一・六三という数字ですから、一九七〇年代の前半以来、大体四十五年ぶりぐらいの高い水準にある。もちろん、今、中国経済の問題であったりとか、さまざまなリスクがありますが、基本的に、今の日本経済は改善傾向が続き、ファンダメンタルズはしっかりしている、このように考えております。

 また、では、財政がそこの中でいい方に向かっているのか、それとも悪い方に向かっているのか。これはやはり、ストックとフロー、両面で見る必要があると思っております。

 まず、フローについて申し上げますと、この六年間で国、地方を合わせた税収、これは二十八兆円増加しまして、来年度の国の税収は六十二・五兆円と過去最高になりました。一方で、借金に当たります新規国債の発行額も七年連続十二兆円減少しておりまして、こういったフロー面の状況は改善を見せている。

 一方、ストックにつきましても、債務残高の対GDP比二〇〇%近くになるなど増加傾向が続いてきたわけでありますが、毎年の国債発行額の減少を受けてその増加幅は小さくなってきておりまして、本年一月の中長期試算におきましては、二〇一八年度、つまり、昨年度をピークにつけた後、本年度、二〇一九年度からは低下する見込みとなっている。

 経済の状況がよくなりつつある。もちろん、細心の注意を払っていく必要はありますが、そこの中で、財政面、フロー、ストック、両側を見ても改善傾向は見えるわけでありまして、こういった流れをしっかり続けていく、それをフォローしていくことが重要だと考えております。

森田委員 わかりました。

 ただ、やはり、長期的な、中長期的な認識をまず私たちが共有した中で、こういう取組が必要だよということを、時には厳しく、丁寧に説明しなくてはいけない場面もあるんではないかなと思いますので、その点、ぜひ、私も自分で注意はしたいと思いますが、御留意をいただきたいなと思っております。

 いろいろなリスクもあるというお話がありましたけれども、最後に大臣にお伺いしたいのは、財政健全化の目標がありますけれども、これを、ことしの予算も踏まえた中で、あるいはいろいろな経済状況を踏まえた中で達成できるかどうか、そのことについてお聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 ことしの予算を考えたときに、一つは、人づくり革命、幼児教育の無償化等に思い切って投資をしていく。これは、将来に向けての資産になり、先生おっしゃったように、日本の成長力、生産性、こういったものを高めることにつながっていくと思っております。

 同時に、ことしは十月に消費税の引上げを予定しております。前回、二〇一四年の引上げ時は、大きな駆け込み需要、そしてまた反動減というのが起こって、それが経済の回復力を弱めてしまった。こういった経験も踏まえまして、今回は、この消費税引上げに伴います経済への影響をしっかりと抑える、こういう観点から、軽減税率の導入、さらには教育の無償化といった恒久的な措置の後に残る経済への影響、これが大体二兆円程度に抑制をされる。これに対して、今回、予算、税を含めますと、さまざまな対策、二・三兆円の対策、この経済への影響を上回る規模の対策、これをしっかり打つことによって、消費税に伴います経済への影響をしっかりと乗り越えていきたいと思っております。

 その上で、PBの黒字化、二〇二五年を目指しておりますが、ことし、そして来年行います臨時特別の措置、これは二年に限った措置でありまして、PBは単年度で見ていくわけでありますから、これが二〇二五年度のPB黒字化の目標達成に影響を与えることはない、このように考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 大臣に対する質問は以上でございますので、もしよろしければ。

牧原委員長 では、茂木大臣は御退室をしていただいて結構です。

森田委員 続けて質問させていただきますけれども、せんだっての内閣委員会で十連休のお話が出てまいりました。

 これから十連休を迎える中で、私がお話を聞いたのは、公立の学童保育の職員さんから聞いたんですけれども、何かトラブルがあったときに、市役所の本庁の担当課の人に連絡がとれないような事態があっては困るなと。特に十連休ですので、遠くに行ったり海外に行ったりということで、いろいろな大きな事件、事故があったときに処理できなくなっては困るななんという懸念があったんですけれども、このあたりについて政府としてどのように対応するか、お考えをお聞かせください。

本多政府参考人 お答えいたします。

 保育所や放課後児童クラブの現場で事故などが起きた場合、事案の緊急性に応じて、土曜日など行政の閉庁日でありましても、自治体の関係部署と連携しつつ対応することが適切だと考えております。

 例えば、保育所等で重大事故が起きた場合には、国への地方自治体からの第一報が、原則、事故発生当日に行われるよう、施設、事業者と地方自治体で認識を共有することが必要でございます。そのために、事故発生時の地方自治体の連絡窓口を施設、事業者に周知徹底することを求めているところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、各地方自治体では、土曜日など行政の閉庁日でありましても、施設、事業者が各地方自治体と必要な連絡をとれるよう、緊急連絡先の共有などを行っていると承知しておりまして、子供の安全を守るため適切に対応していただいているものと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 ぜひ、お困りになる方がいないように不測の事態に備えるということで、徹底をしていただければなと思っております。

 最後に、介護の質問を一つさせていただきたいと思います。大口副大臣、お願いいたします。

 介護の現場で人手不足が深刻な状況になっておりまして、人材不足を、人材確保というところでやっていかなくちゃいけないというのが一つと、それから、いろいろな機器だとかICTを含めて、こういったものを活用していくということも一つ大事な視点かなと思うんですけれども、政府としてはこのあたりのことをどのようにこれから進めていくお考えか、お聞かせください。

大口副大臣 お答えいたします。

 介護職員の負担の軽減を図り、質の高いサービスを効率的に提供するためには、介護事業所のICT化の推進や介護ロボット等の新しい機器の活用は重要な課題であると考えています。

 このため、厚生労働省といたしましては、介護事業所がICT化や介護ロボットの活用に取り組みやすくするために、生産性向上のガイドラインの作成や事業者団体による活用の普及を行っています。また、経済産業省と連携した、介護現場のニーズを踏まえた介護ロボットの開発支援を行っています。さらに、都道府県に設置している地域医療介護総合確保基金を活用した、介護施設への介護ロボットの導入助成などに取り組んでおります。

 また、平成三十一年度には、これらの取組に加えて、新たに、総合確保基金を活用したICTの導入助成を開始することになっています。

 また、事業所の人員配置基準上や介護報酬上の評価については、ICTの導入等の効果を検証しつつ、関係審議会、介護給付費分科会において検討していきたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 例えば、血圧だとか脈拍、血糖値だとか、手につけるような装置で、一体で記録をとったものが自動的に転送されて、介護記録であったり、あるいは実績の入力であったり、そういうものと連動して、実績入力とケアマネへの連絡まで一貫して行くようにするようなことであったり、あるいは、転倒だとか徘回のリスクというのが非常に高いものですから、これは全然今はまだないですけれども、例えば転倒のときのエアバッグの仕組みを入れたりだとか、床が、ふだんはかたいけれども、転倒リスクを、センサーだとかITで危険だと感じたときには床がクッションになるとか、いろいろな今ないようなアイデアというのも含めて、これからどんどん導入をしていかなければいけないんじゃないかなと思っております。

 ぜひ、配置基準であったりだとか加算の考慮も含めて検討していただければなというふうに考えております。

 以上で、時間ですので質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、企業主導型保育事業について質問をいたします。

 最初に、子ども・子育て支援法案の議論の際、三月の二十二日の当委員会での質疑で、法案にかかわる企業主導型保育事業についての宮腰大臣の答弁に訂正があるということで事務方から話がありました。そのことについて、まず最初に大臣にお聞きしたいと思います。

宮腰国務大臣 三月二十二日の本委員会におきまして、塩川議員から企業主導型保育事業における保育士の配置基準について御質問いただきましたが、その際、私は事実と異なる答弁をいたしました。

 具体的には、「定員二十名以下の小規模な保育園、保育所、これまで保育士の充足率五〇%でよかったということでありますが、これを七五%に引き上げる」と答弁いたしましたが、正しくは定員二十名以上の保育園、保育所でありました。答弁を訂正するとともに、質疑者の塩川議員及び委員会の先生方におわびを申し上げたいというふうに思います。

塩川委員 御説明いただきました。

 厚労省の答弁が間違えたあの十二カ所のその後のということでもありまして、これは、内閣府の事務方の方からは議事録の修正ということでのお話があったんですけれども、私は、委員会の質疑というのは基本公開で行われるべきものだと思っておりますし、当然、インターネットでの動画でも流れているわけですから、文字での修正ではなくて、委員会の場で訂正についてはきちっととどめておくということが必要だということで、きょう、こういう形での対応をお願いしたところであります。

 そういう点でも、国会審議を本当に活性化させる上で、本当に委員会の場でちょうちょうはっしの議論を行うということが改めて重要だということで、対応方、今後とも求めていきたいと思っております。

 それで、企業主導型保育事業に関連してですけれども、今の引用の部分というのも、企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会の報告にあるものですけれども、この報告を踏まえて、宮腰大臣は、三月二十九日の記者会見で、今後、本年夏を目途とする新たな実施機関の公募選定に向け、新設に係る審査や指導監査、情報公開などの基本ルールの設定に取り組むと述べております。

 そこでお尋ねしますが、このような、今まで、新設に係る審査については、誰がどのように定めていたのかを確認したいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 まず、内閣府と厚生労働省が協議の上決定いたします企業主導型保育事業費補助金実施要綱、これにおきまして、単独設置型、保育事業者設置型などの事業類型、職員の配置基準や設備基準などの運営・設置基準などの基本ルールを定めているところでございます。

 また、児童育成協会におきましては、これに従いまして、内閣府子ども・子育て本部統括官及び厚生労働省担当局長と協議の上定めました企業主導型保育事業助成要領におきまして、助成の申込手続などについて定めているところであり、所要額調書や事業者の決算報告書など、必要な書類を添付した申請書に基づき、助成のための審査を行い、助成決定を行ってきているところでございます。

塩川委員 こういった新設に係る審査については、内閣府と協議するというのはありますけれども、これは児童育成協会が定めているものであります。

 続けて、企業主導型保育事業の指導監査基準については、誰がどのように定めているのか、この点を確認します。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 指導監査基準でございますけれども、平成二十九年度、平成三十年度におきまして、児童育成協会が、内閣府、厚生労働省に協議した上で、指導監査基準実施要領及び指導監査基準を定めているところでございます。

塩川委員 指導監査基準実施要領、指導監査基準を児童育成協会が定めているということであります。

 大臣にお尋ねしますが、企業主導型保育事業の助成決定のための審査ルールも、指導監査基準も、実際には児童育成協会が定めていると。そういう点で、国が児童育成協会に丸投げしている、こういう形でやってきたということ自身に問題がありはしないのかと考えるんですが、大臣、いかがですか。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業につきましては、実務を担う実施機関の体制を含め、実施体制の強化が急務となっていると考えております。

 三月十八日に公表されました企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会報告におきまして、「事業規模が拡大する中で、実施機関による指導監査、各種相談の実施体制が、十分に整っていないのではないか。」との課題が指摘され、平成三十一年度以降の実施体制については、国と実施機関が適切に役割分担する体制を整備し、国は、審査や審査基準を始め基本的なルールを策定をし、実施機関は、国の指導のもとで効率的かつ効果的な審査、指導監督等を担当することとされております。

 その上で、実施機関については、審査基準や運営基準、指導監査、相談支援、情報公開、自治体との連携に係る改善策について実施が可能となるよう中立、専門的な体制とすること、高い中立性、専門性のほか、継続的に担うことが求められるため、毎年度、国は、外部評価等を行い、透明性の高い事業運営が行われるようにすべきであること、それを前提に、実施機関において複数年の事業実施が可能となるようすべきであることとされておりまして、報告に沿った見直しが必要と考えております。

 委員御指摘のとおり、検討委員会報告を踏まえ、国は、基本的なルールを策定する。国と実施機関との役割分担を明確にしつつ、実施機関に求められる役割とその要件を整理をすることとし、その上で、一定の周知及び準備期間を考慮し、本年夏を目途に改めて実施機関を公募により適切に選定してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 企業主導型保育の急速な拡大で、実際には審査ですとか指導監査が十分整っていないという問題が露呈をした。だからこそ、検討委員会の報告で対策になっているわけです。

 その際に、今後の話として、国が基本的なルールを策定する、役割分担という話をされましたけれども、国が基本的ルールをこれまで定めていなかった、そこが問題ではないのかということを問うておるんですが、その点はいかがですか。

宮腰国務大臣 やはり、スタートのときにもう少し、質の確保を担保するための国の関与のあり方についてしっかりと検討しておくべきではなかったか、私もそう考えております。

塩川委員 ですから、いろいろな混乱が生まれた、さまざまな問題も起こったということであるときに、夏まで一応猶予期間を設けて、新しい実施機関の対応等々、基本ルールをつくることも含めながら行っていくわけですけれども、であれば、そもそも、この間、大きくふえている現状の企業主導型保育施設について、もうちょっと立ちどまって、これ以上ふやしていいのか、ということを見直す必要があるんじゃないのか、これ以上の企業主導型の拡大は、そういった対応方も含めて、一旦立ちどまる、凍結をするということの対応が必要じゃないかと思うんですが、そこはどうでしょうか。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業の平成三十一年度予算におきまして、子育て安心プランに基づき、新たに二万人分の保育の受皿を確保する費用を計上しておりますが、平成三十一年度以降の実施体制や募集のあり方につきましては、検討委員会報告につきまして今ほど申し上げたわけでありますが、まずは、国と実施機関との役割を明確にしつつ、実施機関に求められる役割とその要件を整理をし、その上で、本年夏を目途に改めて実施機関を公募し、選定することが適当であること、また、新規の実施施設の募集については、選定された実施機関のもとで実施されることとなるとされておりまして、この方向性に沿って実施体制を見直し、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

 今ほど、一度立ちどまってというのは、現在、一度立ちどまって考えている、検討させていただいている、検討委員会の御意見も踏まえた上で実施体制をしっかりと強化をしていく必要があるということで、これから、先ほどの答弁で申し上げた、国と実施機関の役割分担、これを明確にした上で、その上で、本年夏を目途に改めて実施機関を公募し、選定をしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 待機児童対策で受皿の拡大を図ってくる、でも、その受皿拡大を前倒しもするといった際に、その中心となっているのは企業主導型保育事業なんですよ。政府の施策で受皿整備で前倒しで、それが企業主導型でやっているということがこういう問題につながっているわけですから、この急拡大そのものについて見直す必要があるんじゃないのか。そういう点でも、今年度は二万人ふやすというのはそれでいいのかということを含めて、見直す必要がある。昨年度の三万についても同様に、拡大をすることについてやはり立ちどまって見直すべきだということを改めて申し上げておくものです。

 それで、検討委員会の報告では企業主導型の質の確保が問題となっています。企業主導型保育事業の課題として、「待機児童対策へ貢献すべく量的拡充に重きを置く一方、実施機関が行う事前の審査、開設後の指導監査等において、保育の質の視点が不足しているのではないか。」という指摘になっているんですが、これはどういう意味を持つものでしょうか。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業につきましては、これまで内閣府が事業を進めてきた中で、量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないか、ここは一度立ちどまり、これまでの取組を検証し、反省すべきは反省し、しっかりと改善を図っていくべきではないのか、私としては、そうした厳しい認識のもとに、昨年十二月に、実施体制を強化するための検討委員会を立ち上げたところであります。

 この報告におきましては、保育の質の視点が不足しているとの観点から、新設申請の審査における、必要に応じた現地調査やヒアリングの実施や、財務面及び事業計画案の審査の適正化の必要性、指導監査における財務面、労務面の監査強化の必要性や、改善に向けた相談支援の充実などが指摘されているものと考えております。

 これらを踏まえ、当面、早急に改善すべき方向性といたしまして、「子供の安全第一の観点から、保育の質の確保・向上を重視し、審査、指導監査の在り方を検証し、見直す。」と示されております。

 検討結果を踏まえまして、内閣府としてしっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 保育の質の視点が不足しているのではないのか、ですから今後こういうふうにやるというお話なんですけれども、そもそもこれまでが、何が問題だったのか。この保育の質の視点というのが不足しているというのは、質の点で何が問題だったかということをどう認識しているかをお聞きしているわけです。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業における指導監査の状況について、これは平成二十九年度の実施機関が行った立入調査結果でありますけれども、保育内容等に関する指摘事項のうち一番多かったのは、保育計画等を適切に整備をすることという指摘事項、これが一番多くて二百七十六件。それから、乳幼児の利用開始時に健康診断結果を確認すること、さらには、開所時間の全てにおいて必要な保育従事者数を配置すること、乳幼児の健康診断を適切に実施すること、嘱託医との契約を締結すること、職員の健康診断を適切に実施すること、児童相談所等の専門的機関の一覧表を整備すること、苦情処理規程を整備し職員へ周知すること等々が指摘をされております。

 これらの指摘をされた内容について、しっかりとやはり改善を図っていくということが必要なのではないかということで、特に、指導監査において、立入調査において指摘された事項についてしっかりと改善を図っていく必要があるというふうに考えております。

塩川委員 具体的な立入調査を踏まえた指摘事項の中身を御説明いただきました。

 報告では、では実際にどういう施設で問題があるのかといったときに、保育事業者設置型の問題点というのを指摘しているわけですね。報告で、「単独設置型や共同設置型と違い、保育事業者設置型は、施設の設置企業と利用者の間に雇用関係が無い。また、認可保育所の代替としての側面が強く、入所児童は空きが生じた付近の認可保育所へ移る傾向も見られること等から、実績の少ない事業者について、保育の質や事業継続性の面で課題がある」としています。

 保育事業者設置型は保育の質や事業継続性の面で課題があると指摘をしているのは、これはどういう根拠を踏まえて述べているものか教えてもらえますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 保育事業者設置型につきましては、単独設置型や共同設置型と違いまして、施設の設置企業と利用者の間に雇用関係がない等の指摘がされているところでございます。

 実際、検討委員会におけるヒアリングでも、例えば自治体からのヒアリングにおきましては、保育事業者が設置し複数の企業と契約する類型について、保育事業者の保育運営に対して各企業に当事者意識が希薄で、責任の所在は不明確となりやすい傾向がある、申込方法も、申込者が厚生年金に加入していれば企業枠、加入していなければ地域枠といった契約を締結しているなど、企業主導型の本来目指していた姿とは乖離している事例を聞いたというような指摘がございました。

 あるいは、保育園を考える親の会からのヒアリングにおきましても、企業主導型のうちで保育事業者設置型の場合は、「事業主は法人契約を結ぶだけで何ら責任を負わず、責任の所在が曖昧になっている。」との指摘もいただいているところでございます。

塩川委員 ですから、保育事業者設置型の問題点というのをそういう形で指摘をしているわけなんですよね。

 それで、では実際に保育事業者設置型というのが企業主導型保育施設のうちどのぐらいの割合を占めるのか、それを教えてほしいんですけれども、保育事業者設置型の施設数とその定員数、合計ですね、それぞれの企業主導型全体に占める割合はどうなっているのか、あと、従業員枠と地域枠の定員数というのはどうなっているのかを教えてもらえますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 協会に確認いたしましたところ、平成二十九年度助成決定を受けた二千五百九十七施設のうち、助成決定時点での保育事業者設置型の施設数は三百八十八施設、全体に占める割合は一五%でございます。それから、同じく二千五百九十七施設の定員五万九千七百三人のうち、保育事業者設置型の定員総数は一万四百六十五人となってございまして、その割合は一七・五%でございます。

 保育事業者設置型の従業員枠と地域枠の定員の割合を集計したものは現時点でございませんけれども、保育事業者設置型の施設、三百八十八施設のうち、地域枠を設定しているものが三百六十七施設、九四・六%となっておるところでございます。

塩川委員 従業員枠と地域枠の定員数の内訳については承知していないということです。ちょっと、実態をどう把握しているのかという点で懸念があるわけですけれども。

 先ほど大臣が紹介されました平成二十九年度の立入調査の対象施設、八百施設のうち、保育内容等に関する指摘事項があったのが六百六施設なんですが、そのうち保育事業者設置型は何施設になるか、わかりますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年度の立入調査八百施設のうち、保育事業者設置型の施設は百二十一施設、割合としては一五・一%でございます。また、指摘事項がありました六百六施設のうち、保育事業者設置型で指摘のあった施設は九十一施設、割合としては一五・〇%でございます。

塩川委員 そういった実態について、報告では、「保育事業者設置型については、保育事業を専門に行う事業者であることも踏まえ、定員二十名以上の施設は、保育士割合を七五%以上(現五〇%以上)に引上げるべきである。なお、本事業の既存施設には、三年程度の経過措置を設けることが適当である。」としています。

 この保育士割合、先ほど大臣が御答弁いただいた点ですけれども、これは、保育士割合を七五%以上とする理由というのは何なんでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 まず、平成二十九年度の助成決定を受けた二千五百九十七施設の定員二十名以上の保育事業者設置型の施設、百六十七施設ございますが、それの保育士割合でございますけれども、保育士割合一〇〇%の施設が百十四施設、全体で六八・三%でございます。一方、保育士割合五〇%の施設が三十施設、全体の一八・〇%となってございます。

 一方で、この二千五百九十七施設全体の保育士割合を見ますと、保育士割合一〇〇%の施設が七六・七%、それと、保育士割合五〇%の施設が一三・九%ということで、結果として、保育事業者設置型の保育士割合が低くなっておりますし、先ほど申し上げました、雇用主との雇用関係が希薄だという点からの質の確保というようなことを鑑みまして、今回、七五%に上げさせていただくこととしているところでございます。

塩川委員 そうしますと、今言ったように、全体において、一〇〇%のところが七六・七で五〇%以上のところが一三・九。それに対して保育事業者設置型が、それぞれ、一〇〇%が六八・三%、五〇%以上が一八・〇%と、保育事業者設置型の方が保育士の割合が低いということをもって七五%以上ということなんですが、そうはいっても、あれっ、六八・三と一八、足すと一〇〇にならないのは。

小野田政府参考人 一つ省きまして、真ん中に七五%の施設がございまして、恐縮です、それを申し上げますと、定員二十名以上の保育事業者設置型は二十三施設、一三・七%、全体の方が九・四%ということでございます。

塩川委員 そうしますと、現状でも七五%以上というのが八二%あるわけでしょう。ですから、五〇を引き上げるのはわかるんだけれども、全体としての施設の改善を図るのであれば、基本は一〇〇にするというのが本来なんじゃないですか。

 実際には、認可保育所などでは、加配も含めて、いわば一〇〇%以上で置いているわけです。それを、企業主導型の場合については小規模B相当という格好で五〇%以上、まあそれについても今回七五というのを入れるんだけれども、本来は、認可並みの保育士割合を設置をするという点で、五〇を七五じゃなくて、実態とすればそのほとんどがもう七五以上なんですよ、それを、何で一〇〇にしないで七五%にとどめているのか。問題があるというんだったら改善すべきなのに、何で、ほとんどのところが七五以上なのに、わざわざ七五という基準を、あたかも改善かのように言うんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたとおり、助成決定時点での数字ではございますけれども、保育事業者設置型、二十名以上の施設、百六十七施設のうち、保育士割合五〇%の施設が三十施設、一八%ございます。保育の質の確保のために保育士比率の全体の底上げが必要と認識しているところでございます。

 また、保育士比率一〇〇%は、委員御指摘の認可保育所と同等であるということでございますが、企業が主体的に従業員の多様な働き方に応じた柔軟な保育を提供することができるという本事業の特色を生かす中で、保育事業者設置型につきましては、保育事業を専門に行う事業者であるという点も踏まえ、保育所の定員二十名以上の施設につきまして、今回は七五%に引き上げるべきという報告をいただいたものと承知してございます。

塩川委員 ですから、企業主導型保育事業そのものが多様な雇用形態にかみ合った形での保育、そういう意味では、子供たちにすれば、長時間だったり深夜だったり、逆に言えば短時間で、なかなかなじみにくい、そういった保育環境だからこそ保育士の専門性というのが必要で、保育士割合というのを、いわばより高める必要があるんじゃないのか。多様な雇用形態に対応するという保育と言う以上は、保育士の専門性をより高めるということが必要なのに、実際にはそれを低くしたままというのがこの企業主導型保育の一番の問題点だということで指摘をしてきているわけです。

 保育事業者設置型ももちろん改善すべきですけれども、それも含めて、改めて、五〇以上なんて言わずに、もう全体を引き上げて、少なくとも一〇〇にするといったことを、大臣、これは本当に、教訓を酌み取るのであれば、やるべき話じゃありませんか。

宮腰国務大臣 保育士の人材不足というようなことも、現状、現実問題としてあるわけであります。同時に、多様な働き方に対応した保育事業という点からすると、多様な働き方に対応するということは、今、委員御指摘の、例えば夜間の保育でありますとか交代制に対応した保育でありますとか、保育士さんもそれに対応するということになると、それなりのやはり人材確保の困難性も伴うということにもなってくるのではないかなというふうに考えております。

 今、事務方から御答弁申し上げましたけれども、この企業主導型保育については、企業が主体的に従業員の多様な働き方に応じた柔軟な保育を提供することができるという本事業の特色を生かす中で、とりわけ保育事業者設置型については、これまで少し緩い面があったということでありますが、定員二十名以上の施設について、今回、七五%に引き上げるべきであるという報告を踏まえて、着実に、この引上げ実施をしていきたいというふうに考えております。

塩川委員 柔軟な保育というのは、子供たちにとれば大きなストレスを抱えることになる。だからこそ、専門性が求められる保育士の配置というのが一番の根幹だ。そこを緩和した対応というのは、私は納得できるものではありません。そういう点でも、新規の開設をとめて、立ちどまって再検討すべきだということを改めて申し上げたい。

 それと、報告書の関係でもう一点確認したいんですが、指導監査の効率化を図るため、国、実施機関と、児童福祉法に基づき指導監督の責任を持つ自治体の間の指導監査基準の整合性の確保を図るとしています。でも、この児童福祉法に基づく指導監査基準と企業主導型に関する指導監査基準は違うんです。そもそもその違いは何なのか、整合性を図るとはどういう意味なのか、教えてもらえますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 第四回検討委員会におきまして、委員から、認可外保育所における指導監督については、その基準について各自治体で考え方が異なるため、企業主導型保育施設に対し、国、実施機関と自治体が合同で指導監督を行う場合は、その前段階として、どういった事項をどういう評価基準で見ていくか、企業主導型保育事業の指導監査基準を明らかにすべきとの御意見をいただいたところでございます。

 例えば、基準でございますけれども、保育士の割合をとってみましても、企業主導型保育事業は、現行五〇%以上、今後、保育事業者設置型七五%以上ということで取り組まさせていただきますけれども、これであるのに対しまして、認可保育施設は三分の一以上となっているといったような、基準の差が出てきているところでございます。

 こうしたことから、三月十八日の検討委員会報告におきましては、指導監査の効率化を図るため、国、実施機関と、児童福祉法に基づき指導監督の責任を持つ自治体の間の指導監査基準の整合性を確保することとされているところでございます。

 したがいまして、具体的には、この検討委員会報告における指摘は、例えば指導監査の合同実施に当たって、まずは、指導監査の評価項目や評価基準など、指導監査の方針について、国、実施機関と自治体の間であらかじめすり合わせをし、企業主導型保育事業の基準と差異があるような場合には、基準に適合しているかどうかという点で効果的に監査ができるようにしていく必要があるという趣旨の御報告と承ってございまして、そういう方向で取組を進めていきたいと考えております。

塩川委員 指導監査といっても、児童福祉法に基づく自治体の指導監査と児童育成協会が行う指導監査は違うわけですから、それが何か、効率的ということも含めて言われた際に、指導監査を、二つをそれぞれやるべきものを、何らか省略するかのような、そういう話ではないということで、それぞれしっかりやると。もちろん、施設側の負担軽減の措置は当然あるんだと思いますけれども、しっかりとした指導監査がそれぞれの観点で行われるものということで求めておくものです。

 それで、あと、宮腰大臣の三月二十九日の記者会見で、実施機関が選定されるまでの間、児童育成協会に対し、適切に指導監督を行い、継続事務の円滑な執行を図ってまいりたいと述べています。

 児童育成協会から内閣府に提出された「平成三十一年夏を目処に実施機関が公募されるまでの間、内閣府の指示の下で実施される継続事務に係る適正化策」について質問します。

 ここで、指導監査業務について、「包括的な外部委託は行わず、また、営利企業への委託は行わない。」とありますけれども、これはどういう意味でしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 その前に、まことに失礼しました。先ほどの整合性の確保のところで、保育士の割合、認可外保育施設三分の一以上と言うところを、済みません、ちょっと外を飛ばしてしまいまして、恐縮でございます。失礼いたしました。

 「包括的な外部委託は行わず、また、営利企業への委託は行わない。」の意味でございますが、三月十八日の検討委員会報告におきましては、指導監査業務の一部を外部に委託する場合は、中立性、専門性の確保が必要である、また、指導監査を行う者が一定の関係性を有する場合は、利益相反が生じないよう必要な措置を講ずるべきであるなどとされたところでございます。

 三月二十八日に児童育成協会から報告のあった適正化策におきましては、指導監査業務につきまして、包括的な外部委託は行わない、営利企業への委託は行わないとされてございます。

 例えば、保育面の監査に関しましては、前年度の指導監査で改善が見られないような施設を中心に原則として協会みずから対応する、財務面、労務面等監査業務を特定し、中立性、専門性を勘案して業務委託を行う、あるいは地域を限定して業務委託を行うという意味で、包括的な外部委託は行わないという趣旨であると承知してございます。

塩川委員 保育面の監査については原則協会が行う、財務面、労務面については部分的、地域的な外部委託も行う可能性があるということですか。

小野田政府参考人 済みません、ちょっと舌足らずでございました。

 保育面の監査で、特に前年度の指導監査で改善が見られていないような施設は、これらを中心に原則として協会が行う、それ以外の施設は、先ほど申し上げました、例えば地域を限定して保育面でも業務を委託を行っていくとか、そういう検討も加えていただきたいというふうに考えてございます。

塩川委員 パソナは委託先にはならないということですね。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 適正化策におきましては、指導監査業務につきまして、営利企業への委託は行わないこととしてございまして、継続事務においては、株式会社パソナを始め、営利企業への委託は行わないものと承知してございます。

塩川委員 最後に聞きますけれども、この指導監査の対象となる企業主導型保育事業の施設数というのは、結局全部で幾つになるんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 企業主導型保育施設における適正な保育内容及び保育環境の確保のため、原則として年一回、運営開始をしている施設に対して立入調査を実施しているところでございます。

 したがいまして、平成三十年度までに助成決定された施設につきましては、整備が完了していない施設や運営開始間もないような施設も含まれているため、現時点で正確な数をお答えするのは困難でございますが、その上で申し上げますと、平成二十九年度に助成決定された施設は二千五百九十七施設ございますし、平成三十年度の内示数は一千五百三十九施設でございます。

 これらの施設から、運営開始後一定の期間経過しているような施設に対して監査を実施していくことになりますので、相応の施設規模になると認識してございます。

塩川委員 ですから、四千を超える施設が対象になる、指導監査の対象というぐらいで。保育について、やはり児童育成協会がみずから行うといった場合でも、もちろん、前年度の改善が見られない施設とかということですけれども、対象そのものが大きく拡大するわけですから、そういったことがそもそも可能なのかということも問われますし、やはり対象施設をふやすということ自身を見直すべきじゃないのかということを申し上げ、この問題についていろいろな議論も広がってきているところです。ぜひ、この企業主導型保育事業について、児童育成協会からの参考人の出席も求めた、必要な当委員会での質疑、集中質疑などを実現をいただきたい。

 そのことを申し上げて、質問を終わります。

牧原委員長 次に、高木啓君。

高木(啓)委員 自由民主党の高木啓でございます。

 きょうは、質問の時間を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。また、関係閣僚、副大臣そして政務官の皆様方には、大変お忙しい中、ありがとうございました。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 最初に、北朝鮮による拉致及び拉致の疑いを排除できない特定失踪者の問題からと思いましたが、片山大臣がお座りになっていらっしゃるので、順序として、特定失踪者問題からということでよろしいでしょうか。それでは、済みません、よろしくお願いいたしたいと思います。

 昨年の十一月十二日、特定失踪者家族会と特定失踪者問題調査会が連名で菅官房長官兼拉致問題担当大臣に要請文書を提出をして、そして、その要請文書の回答として、十二月十日に、家族会、調査会にこの文書に対する回答が送付されたと聞いているわけであります。

 第二次安倍内閣発足以来、既に六年数カ月が経過をいたしているんですが、この間、拉致問題には進展が見られない、そして、拉致認定というものも行われておりませんので新たな情報も実は提供されていないということになるわけでありまして、これが私また私たちの基本認識だという前提で質疑をさせていただくわけであります。

 最初に、政府認定拉致被害者でございますが、松本京子さんが平成十八年に拉致認定をされて以来、それから十二年間、実は一人も拉致被害者の認定というのは行われておりませんで、十七人のままで推移をしているわけであります。そして、高きょうだいと言われておりますが、お姉さんと弟ですけれども、この二人のように、警視庁が拉致被害者と断定をしているにもかかわらず、朝鮮籍であり特別永住者であったということで認定に含まれていないというケースもあるわけであります。

 その十二月十日の回答書には、政府としては、拉致問題の全面解決に向けて、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くす、こういうことを述べられているわけでありまして、私は、その決意は常に安倍総理を始め皆さんがおっしゃられていますから、決意は理解をするんですけれども、ぜひここで伺いたいのは、では、全力を尽くすべき対象者というのは、全ての拉致被害者と言っていますけれども、それは一体何人なんですかということだと思います。ぜひ政府の見解をお伺いしたいと思います。

左藤副大臣 お答え申し上げます。

 政府は、これまでに、警察当局などの地道な長年の捜査、調査の結果、拉致容疑事案であると判断するに至った十七名の方々を北朝鮮による拉致被害者として認定しております。

 このうち、五名の方々については平成十四年に帰国されましたが、残る十二名の方々についてはいまだに帰国が実現をしておらず、大変申しわけなく思っているところでございます。

 政府といたしましては、この十二名はもとより、拉致被害者として認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしてまいりたいと思っております。

高木(啓)委員 つまり、人数というのはなかなか言いづらいということはあるんだろうと思いますが、この回答書の中に幾つかそういう人数も書かれておりまして、今私が申し上げたように、政府認定拉致被害者は十七人、そして、拉致と断定されているけれども、日本国籍でなかったために認定されていない方が二人、そして、平成三十年十一月一日現在、北朝鮮による拉致の可能性が排除できない特定失踪者を含む捜査、調査の対象者が八百八十三人というふうにこの回答書には書いてあるんですが、これが現在の、広い意味での北朝鮮による拉致事件及び特定失踪者等に関する全体像としての政府見解というふうに理解をしてよろしいんでしょうか。

左藤副大臣 今先生の御指摘どおり、これまで拉致被害者と判断している方々以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方が存在しているという認識のもと、現在、八百八十三名の方について捜査、調査を進めているところでございます。

 いずれにしても、拉致被害者の認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即刻帰国のため、引き続き全力で頑張っていきたいと思います。

高木(啓)委員 この問題は、ですから一番幅広に考えて今の八百八十三人ということに、ちょっとグラフというか図面で示すと円のような形になって、その中に包含をされていく。全体としては、ですから八百八十三人ということをまず確認させていただきたいと思います。

 認定ということについてなんですが、その認定については、この回答書にも書いてあるんですけれども、北朝鮮に反論する材料を与えることがないように慎重に対応しているということを政府はおっしゃっているわけであります。しかしながら、私自身、一国民として、政府や捜査機関が国内外からの情報収集あるいは捜査、調査を一生懸命頑張っていらっしゃるというふうに思っているんですが、しかし、先ほど申し上げたように、平成十八年以来、拉致認定というのは一人も行われていないわけですから、ある意味で結果が出ていないと言っても、これはもう言われても仕方がないと思うわけであります。

 しっかり証拠固めをするということは前提であると思いますし、さらに、反論をされないようにするのは当然のことだというふうに思うんですが、この問題の進展が見られないというふうな印象を与えてしまう、それは国民に対しても、あるいは北朝鮮に対しても、そういう印象を与えてしまうということが私は一番いけないことだと思っております。

 日本人拉致というのは、北朝鮮によって一方的に行われた許されざる国家犯罪なんですよ。ですから、こういう認識のもとで、この十二年間、政府が新たな拉致被害者を一人も認定できていないというこの事実に対して、私は、国民に対してもしっかりと丁寧に、この事実と、なぜそうなんだということの理由を、この際ぜひ説明をしていただきたいと思うんですが、政府の見解をお伺いします。

左藤副大臣 先ほど申し上げましたけれども、政府は、警察当局の捜査、調査の結果、これまで、十七名の方々について北朝鮮当局による拉致行為があったとして、拉致容疑事案であると判断の上、拉致被害者と認定をしております。

 政府としては、この十七名のほかにも拉致の可能性の排除できない事案が存在しているという認識のもと、捜査、調査を全力で取り組んでおります。今後、捜査、調査の結果、北朝鮮による拉致行為があったと認定された場合については、法令に基づき速やかに拉致認定をしていく所存でございます。

 いずれにしても、先ほど申し上げた、認定の有無にかかわらず、拉致被害者の一日も早い帰国のため、全力で頑張っていきたい、このように思っておるところでございます。

高木(啓)委員 後ほどまた決意のほどは聞かせていただきますが、全力でとにかく頑張っていただくということ以外に今のところは言えないのかなと思います。

 さて、この回答書でも言われておりますように、拉致及び特定失踪者問題については、今、再三左藤副大臣がおっしゃられているように、認定の有無にかかわらずというところが大事なんだとまずは思うんですね。全ての拉致被害者のために全力を尽くしていくんだ、これは政府の一貫した基本方針であり、それはもう間違いないことだと思っています。

 それが一貫した基本方針であるとするならば、つまり、拉致被害者という方々には、当然、被害を受けたわけですから、その拉致の実行犯というのが必ずいるわけであって、これが単数なのか複数なのかということはそれぞれの案件によって違うんだと思いますが、しかし、拉致の実行犯というのは必ずいるわけでありますから、全ての拉致被害者に対して全力を尽くすのであれば、全ての拉致事件にかかわった実行犯に対して、政府としてはさまざまな取組が行われているというふうに思いますし、その認識と、今までどういう取組をして、これからもどうするんだということをぜひ教えていただきたいと思います。

左藤副大臣 先ほど高木先生からもお話ありましたように、現在、警察においては、日本人が被害者である拉致容疑事案及び朝鮮籍の姉、妹が日本国内から拉致された事案、合計十三件十九人を拉致容疑事案と判断するとともに、拉致の実行犯等として、北朝鮮工作員等合計十一名について、逮捕状の発付を得て国際手配をしているところと承知をしております。

 また、これらの事案以外にも、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案があるとの認識のもと、関係機関において鋭意捜査、調査を進めているところでございます。

 今後とも、北朝鮮による拉致容疑事案等の全容解明に向け、関係機関が緊密に連携を図りつつ、関連情報の収集と捜査、調査に全力を尽くしてまいりたいと思っております。

高木(啓)委員 私は、この問題の一つのキーポイントは、つまり、今副大臣がおっしゃられたように、十三件十九人という、この被害者の今の具体的な数ですね、あるいは、その実行犯に対しては十一名を国際手配をしている、こういう情報というのは、もっと広く国民に知らされるべきだし、国民はやはり知っておかなければいけないことだと思うんです。

 そういう意味では、毎日毎日というか、毎年毎年というか、おざなりになりがちな広報体制というものも、やはりきちんと、その都度その都度見直しもしていただいたり、あるいは充実をしていただいたりということをぜひ気にかけていただきたいと思うんですね。

 例えば、拉致の可能性を排除できない特定失踪者並びに捜査対象者あるいは調査対象者という方の多い地域とかというのもあるわけですよ。ですから、そういう地域に対しては、きちんと、例えば、警察の掲示板にそういうポスターやあるいは情報を張るとか、あるいは、今はもうネット社会ですから、その情報ツールを使って、そういうことを適時適切に、とにかく何かキャンペーンの期間を設けてやるとか、もっと何か広報を充実していただけないかなという気がしてならないわけであります。

 そこで、一つ要望しておきたいと思うんですが、政府が出しているパンフレットでございます。この政府が出しているパンフレットには、例えば、この拉致事件に対して、一九七〇年代から一九八〇年代にかけて、多くの日本人が不自然な形で行方不明になったという記述があるんですね。これはかなり不正確な記述だと私は思います。つまり、拉致は一九七〇年から八〇年代にかけてだけではありません。広く知られている話ですけれども、日本海で拉致をされた寺越さんの事件などは、これは一九六〇年代の事件ですから。

 ですから、年限を限定してこういうふうに書かれておりますけれども、この不正確な記述というのが世に出ていくことによって、北朝鮮につけ入るすきを与えてしまうと私は思うんです。ですから、もっと研究をして、政府広報や出す印刷物、パンフレットを含めて、しっかりこれは検証していただきたいと思います。

 また、認定の有無にかかわらずという方針であるにもかかわらず、広報物の記述はほとんどが認定被害者のことに終始しているわけですよ。それで、特定失踪者等については、「この他にも、」というような、いわゆる例外的な扱いになっていまして、これもやはり、もう少し別項目を立てるとか、あるいは、大きな意味で、先ほどおっしゃられた八百八十三人という一つの数字があるわけですから、そういうものをやはりきちっと、この広報を次に出すときにはきちんと見直していただきたいというふうに思いますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。

 次に伺いたいんですが、全ての拉致被害者を救出するために、北朝鮮の人権状況が抜本的に改善されることが不可欠だと私は思っています。そして、それは政府も同じスタンスで今まで取り組んできていただいたわけであります。

 そういうことで、我が国は、国連においてEUと共同で北朝鮮人権状況決議というものを人権理事会と国連総会の双方に今まで提出をしてきたわけであります。人権理事会では十一年連続十一回、そして国連総会では十三年連続十三回、採択をされているわけであります。しかし、我が国は、ことし、その決議案の提出を見送ったわけですね。このことは、平成十八年に成立をいたしましたいわゆる北朝鮮人権法、国際社会と連携しつつ北朝鮮当局による人権侵害問題の実態を解明し、その抑止を図ることを目的としたこの法律の趣旨に反するんではないかとすら私は思っているんですけれども、今回、決議の提出を見送ったことの意味を御披瀝をいただきたいと思います。

山田(賢)大臣政務官 お答えします。

 先般の第二回米朝首脳会談では、トランプ大統領から金正恩委員長に対し、一対一の会談及び少人数夕食会の双方の場において拉致問題を提起し、両首脳間で真剣な議論が行われました。

 我が国といたしましては、こうした第二回米朝首脳会談の結果や拉致問題等を取り巻く諸情勢を総合的に検討した結果、今回は北朝鮮人権状況決議を提出しないことといたしました。

 拉致問題について、安倍総理は、日本自身の問題であり、日本が主体的に取り組むことが重要である、次は自分自身が金正恩委員長と向き合わなければならないとの決意を述べております。

 御家族も高齢となる中、安倍政権の最重要課題である拉致問題の一日も早い解決に向けて、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動してまいります。今後も事態の推移を注視しつつ、あらゆる選択肢を勘案しながら、全力で対応してまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 提出を見送ったことによって局面を打開をしていくということなのだろうというふうに思います。

 これ以上は私は申し上げませんが、ぜひ関係省庁の皆様方には、今回の提出を見送ったということを重くやはり受けとめるというか、これはかなり重い話だと私は思います。ですから、これは成果を出さなければ、何で見送ったんだという話になりかねないので、そこはぜひ成果を出していただきたいし、見送ったことの意味をしっかりとやはり全員で共有をしていただきたいと思います。

 次に、北朝鮮向けの短波ラジオ「しおかぜ」について伺いたいと思います。

 別周波での二重放送がこの四月から始まったというふうに聞いております。今までは単数のというか、一チャンネルしかなかったという放送だったのが、同時に二重放送ができるようになりました。

 「しおかぜ」については、情報の流入を恐れる北朝鮮が再三にわたって妨害電波を発していることがわかっておりまして、つまり、それは、逆説的な話ですけれども、かなり効果があるのかなという気持ちがするわけであります。そうした状況下で二重放送が可能になったことは、今後、更に大きな効果が期待できるんではないかというふうに思うんですが、こうした動きを政府としてやはりしっかり支援していくべきだと思いますが、見解をお伺いしたいと思います。

左藤副大臣 御質問にお答えする前に、先ほどの答弁が、私、言い間違いまして、拉致容疑者事案及び朝鮮籍の姉、妹と言いましたけれども、姉、弟でございます。ごめんなさい。訂正をさせていただきたいと思います。

 今の二重放送の件でございますが、北朝鮮向けラジオ放送は北朝鮮に捕らわれたままとなっている方へ向けた情報発信の重要な手段でありまして、官民でこれを実施していることの意義は極めて大きいと思っております。

 特定失踪者問題調査会からの二重放送実施に伴う経費支援についての御要望については、今後、予算の執行状況を踏まえつつ、拉致問題対策本部事務局において、可能な限りお応えできるべく、現在検討をしているところでございます。

 いずれにしても、政府としては拉致問題の解決に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っております。

高木(啓)委員 ありがとうございます。経費の問題だけではなくて、ノウハウを含めて、人員を含めたトータルとしての支援をぜひお願いしたいと思っております。

 拉致及び特定失踪問題の最後になりますが、拉致問題と特定失踪者の課題というのは、ある意味では対になる問題で、セットだと私は思っています。拉致は拉致、特定失踪者は特定失踪者という話ではなくて、セットだと思います。だからこそ、拉致の疑いを排除できないというふうに言っているわけでありまして、特定失踪者家族会あるいは特定失踪者問題調査会という組織が、今、一生懸命頑張っていらっしゃる、民間団体としてこの問題に取り組んでいらっしゃる。

 ですから、昨年の十一月に出された要請書というのがあるわけですから、それを踏まえて政府として最大限の努力をぜひこれからもしていただきたいと思うわけであります。そして、最大限の努力というのは、やはり真相を究明していただくという結果を出していただかなければいけませんので、だからこそ、国民全体でやはり情報を共有して、そして、少しでも真相究明に役立つようなその道筋をつけていくということが大事なんだろうと私は思います。

 ですから、捜査、調査あるいは交渉、さまざまなことがありますが、国民に知らしめる必要のあることはどんどん出していただく。もちろん、交渉事もありますから、それは出せないこともたくさんあるでしょう。だけれども、国民も応援をしていくんだという意味では、やはり情報がなければ応援もできませんから、そういう意味でしっかりとそこの部分をお願いしたいと思うんです。

 そこで、北朝鮮による日本人拉致及び拉致の疑いを排除できない特定失踪者問題に関する、最後に、政府の認識とその決意というものをぜひお伺いしたいと思います。

左藤副大臣 二〇〇二年に五人の拉致被害者が帰国して以来、一人の拉致被害者の帰国も実現をしておりません。本当に、政府としては大変申しわけなく思っております。

 御家族への情報提供や国民向けの広報啓発については、引き続き丁寧に取り組んでまいりたいと思っております。

 一方、先ほど外務省さんからも御答弁がありましたけれども、ことしの二月、第二回米朝首脳会談が行われ、トランプ大統領から金正恩委員長に対し、改めて拉致問題が提起されました。政府といたしましても、引き続き米国を始めとする国際社会と緊密に連絡し、拉致問題の解決に向け全力を尽くす考えでございます。

 同時に、やはり日本国政府自身の主体的な取組もしっかり進めております。安倍総理も、次は自分が金正恩委員長と向き合う決意であると再三述べられております。

 まさに正念場であります。政府といたしましても、最重要課題である拉致問題について、一日も早い解決に向け、総理を中心に、あらゆるチャンスを逃すことなく、果断に行動してまいりたいと思っています。

 また、情報の問題ですが、提供について、御家族に対しては、丁寧な、さまざまな機会を通じて状況説明を行うとともに、御家族の声を直にお聞きしているところでございます。今後とも、情報提供や要望の聴取等、丁寧な対応に努めてまいります。

 また、国民への情報提供という観点では、拉致問題の解決のため、国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意思を示すことが肝心であるとの認識のもと、啓発運動にも力を入れて取り組んでいるところでございます。引き続き、広報啓発に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

高木(啓)委員 ありがとうございました。

 その決意をしっかりと実現をしていただきたいと思いますし、私たちも同じ気持ちで頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 次の質問の項目に移らせていただきたいと思います。

 経済財政政策についてお伺いをいたします。

 茂木担当大臣が、内閣委員会の大臣所信の中で述べられた、我が国が直面をする三つの壁という表現をされましたが、この三つの壁に対して、以下、順次質問させていただきたいと思います。

 最初に、一つ目の壁である少子高齢化、そして、全世代型社会保障についてお伺いをしたいと思います。

 この所信の中で、誰もがその能力を十分発揮できる社会をつくっていくんだ、こう表明されているんですが、誰もがその能力を十分発揮できる社会をつくるために、じゃ、どういう課題があるのかというのをまず聞かせていただきたいと思います。どこにその改善の余地があるのかということだと思います。ぜひ、そのことを答弁をお願いします。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 人生百年時代というこの時代に対応してまいりますためには、教育、就労、老後という三つのステージが一斉に進むというふうに考えられておるところでございます。

 これまでの単線型の社会を前提とするのではなく、人生の再設計が可能となる社会に対応した教育、雇用制度、そして社会保障制度に改革していくことが必要であるということを考えているわけでございまして、そうした観点から、これまで、幼児教育、高等教育の無償化ですとかリカレント教育の充実を進めてまいりました。

 その上で、七十歳までの就労機会の確保や中途採用、経験者採用の拡大など、雇用制度改革に向けた検討を開始しておるところでございます。

 具体的には、七十歳までの就業機会を確保するということになりますと、六十五歳までの状況とは異なりまして、それぞれの置かれた環境が随分と変わるということも踏まえて、それぞれの高齢者の希望、特性に応じた活躍ができるよう、とり得る選択肢を広げるということが必要ではないかというふうに考えているところでございまして、こうした選択肢を各企業や社会全体で許容するような、そんな仕組みを検討する必要があると考えているところでございます。

 さらに、健康でなければ働きたくても働けない、そうしたことでは人生の再設計もできないという観点から、健康維持、そして糖尿病を始めとする生活習慣病などの予防についても議論を進めているところでございます。

 このような人生の再設計を可能とする諸改革というところが、先生御指摘の全世代型社会保障、そして、誰もがその能力を十分発揮できる社会の基盤とすることができるのではないかというふうに考えているところでございます。

高木(啓)委員 大変失礼しました。質問に入る前に申し上げなきゃいけなかったんですけれども、左藤副大臣におかれては、質問が終わりましたので、どうぞ席を外していただいて結構でございます。済みません。ありがとうございました。

牧原委員長 左藤副大臣、御退室いただいて結構です。

高木(啓)委員 失礼いたしました。

 今、誰もがその能力を十分発揮できる社会をつくるための課題についてお話をいただいたんですが、私は、今の話の流れの中でいえば、やはり、大事なことというのは、ポイントが幾つかあると思っていまして、その中で、能力を発揮するという意味でいえば、しっかりとした、能力を発揮するだけの基盤を社会的につくっていかなければいけない。それはやはり、労働生産性の向上でありますとか、あるいはリカレント教育とかということがベースになって、やはり、働き方改革も含めた社会全体の仕組みというものが改善をされなければ、誰もが十分に能力を発揮できるという社会にならないと思っています。

 そこで、労働生産性の向上には、その社会をつくるためにどういうことが必要なのか。また、リカレント教育を進めていくためには、具体的にどのように進めていく仕組みをつくるのかということを、政府の考えを伺いたいんですが、もっと言うと、例えばリカレント教育は、目標値とか、例えば高等教育における学び直しに関する数値目標とか、そういうものというのは持たれているんでしょうか。ちょっと簡単に答弁をお願いしたいと思います。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のリカレント教育でございますけれども、こちらは労働生産性向上のための大変重要な手段だというふうに理解しております。

 このリカレント教育の拡充によって、AI、ITから専門訓練まで、最新のスキルを学び直すことで、転職、復職などの新たな活躍の場、キャリアアップの機会を見つけることに資することができるのではないかというふうに考えておりまして、人づくり革命、生産性革命として、教育訓練給付の講座の拡充ですとか、給付率の引上げ、大学、専修学校等における社会人向け短期プログラムの拡充、産学連携による新たなプログラム開発など、リカレント教育の抜本的な拡大、これを実現するためのさまざまな取組を進めてきているところでございます。

 あわせまして、御質問の件でございますけれども、二〇一七年度の未来投資戦略から、KPIといたしましては、大学、専門学校等での社会人受講者数を二〇二二年度までに百万人とすることを設定いたしまして、二〇一五年度の約四十万人から倍増させることを目標としているところでございます。

 このような取組ですとか目標設定を通じまして、大学、専修学校、民間企業などが連携し、リカレント教育を大幅に充実することで、職業能力の向上を通じた、さまざまな人々のキャリアアップ、キャリアチャレンジにつなげてまいりたいと考えているところでございます。

高木(啓)委員 人づくり革命はやはり生産性革命にとても大事な要素だと思いますから、今もおっしゃられたようなリカレント教育は、労働生産性向上に向けての一つの手段であって、大事な手段なんだ、全くそのとおりだと思います。

 おっしゃられることはそのとおりだと思いますし、二〇二二年に目標としては百万人にするんだというお話がありましたが、四十万人から百万人になって、では、いわゆる、言われているところのOECD諸国のリカレント教育あるいは社会人が高等教育に再入学をしている、あるいはそこで学んでいるという比率から考えると、そんなにふえないと思うんですね。つまり、四十万人が百万人になって、二・五倍ぐらいになると思うんですけれども、今現在が日本はかなり低いですから、ぜひ、何万人という単位じゃなくて、パーセンテージで示してもらいたいと思います。これは検討課題として要望しておきたいと思いますので。日本は何%ぐらいを目指しているのか、パーセンテージでぜひ示していただきたい、これは要望しておきたいと思います。

 次に、二つ目の壁とおっしゃられました、経済成長と財政健全化についてお伺いしたいと思います。これは一問だけお伺いします。

 少子高齢化に向かう我が国にとって、さらなる経済成長は最大の課題の一つだと私は思います。政府の目標は、二〇二〇年にGDP六百兆というものを掲げて今進めているわけでありますが、つまり、少子高齢化、いわゆる人口減少社会になっていく、そして年齢層も高くなっていく。これは、ある意味ではデフレ圧力に違いないと思いますので、そういう圧力がかかってくる中で、どういう対策をどのぐらいのスケジュールで行うと、我が国の経済成長はどう展開するのかというのが、この関連性が見えないんですね。

 ですから、政府として、例えば二〇三〇年はどうなんだ、二〇四〇年はどうなんだということを、これはぜひ示していただきたいと思うんです。つまり、高齢化比率や人口の動態、そして経済成長。そして、その経済成長はどういうレベルになるのか、そのためにはどういう政策、どういう仕組みが必要なのか。

 これは一言では多分言えないと思いますけれども、そういうことを具体的に考えないと、このデフレ圧力には対抗できないんじゃないでしょうか。ぜひ教えていただきたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 我が国経済の長期の展望について、経済財政諮問会議の専門調査会であります「選択する未来」委員会が平成二十六年十一月にまとめた報告書によりますと、このまま人口急減を放置して、経済が停滞する場合には、二〇四〇年代にはマイナス成長に陥り、そこから脱することが難しくなるおそれもあると。一方で、人口減少に歯どめをかける取組を進めて、二〇四〇年代に生産年齢人口比率が低下から緩やかな増加に転ずるなどの変化が生じてくれば、一・五%から二%程度の成長を維持していくことができるとされております。

 ただし、人口規模の安定化によって経済を押し上げる効果があらわれるまでには時間がかかるために、徹底的な改革に直ちに取り組み、二〇二〇年代初頭までの期間に集中的に改革を実行することにより、世界トップレベルの生産性に引き上げることが必要とされてございます。

 それに加えまして、いわゆる人口の方の話ですけれども、一億総活躍社会の実現に向けて、希望出生率が一・八というのが目標の一つに掲げられまして、子育て支援などの各般の施策が進められているものと承知しております。

高木(啓)委員 今、ざっと言っていただいたんですけれども、この問題、きょうはちょっと深追いしません。それで時間が終わってしまいますので、きょうはその程度にしておきますが、これはアベノミクスの出口論と同じことだと私は思っていまして、しっかり考えていただかないといけないと思います。

 次の課題ですが、三つ目の壁というのが言われておりまして、保護主義と通商問題についてでございます。

 TPP11あるいは日・EU・EPAが発効して数カ月がたちました。きょうの時点で、現在どのような効果が出ているのか。二カ月ぐらいしかたっていませんけれども、もういろいろな効果が多分出ていると思いますが、その効果をぜひ教えていただきたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 TPP11の経済効果は、GDP押し上げ効果が一・五%増、四十六万人の雇用増と試算されているところでございます。本年二月に発効した日・EU・EPAと合算すると、二・五%のGDP押し上げ効果、七十五万人の雇用増と、TPP12の経済効果に匹敵する大きな効果が期待されているところでございます。まさに、日本経済の新たな成長エンジンになると考えております。

 また、TPP11及び日・EU・EPAは、単にGDPを拡大するのみならず、国民一人一人にとっても、域内のさまざまな商品を安く、手軽に入手することが可能となり、商品の選択肢がふえることによって、消費の満足度も高まると考えられます。

 さらに、これまで国内市場が中心だった中小・小規模事業者にも、そのすぐれた技術、サービス力を活用した海外でのビジネスチャンスを広げることになります。

 いずれにいたしましても、政府といたしましては、TPP及び日・EU・EPAの経済効果ができる限り早期に実現されるよう、品質の高い農水産品を生産する農林漁業者や、高い技術やノウハウを有する中小・小規模事業者の海外での販路開拓や商品開発などの支援に全力を挙げていく所存でございます。

高木(啓)委員 私たち消費者的な目線でいうと、スーパーマーケットがEPAセールをやっていただいたりとか、こういうのも、非常に精神的な効果というのはもう出ていると思いますので、ぜひこれからも頑張っていただきたいと思います。

 次に、RCEPのことについて幾つか伺いたかったんですが、時間がなくなってきましたので、一つだけ伺いたいと思います。

 RCEPにおいては、RCEPは中国が入ってきますので、電子商取引について、これはしっかりと協議をしていただきたいと思うんです。このことは、妥協することなく、最も先進的な仕組みをこの電子商取引についてはRCEPの中にぜひつくっていただきたい。我が国が主導的な役割をやはりしなければいけないと思うんですが、このRCEPにおける電子商取引について、政府の見解を伺いたいと思います。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 我が国は、WTO改革の柱の一つとして、データ流通を含む電子商取引に関する貿易ルールの構築に向けた議論を積極的に主導しているところでございまして、本年のG20議長国としても、これを後押しすることとしております。

 こういった状況を踏まえまして、政府としましては、RCEP交渉におきましても、可能な限り質の高い電子商取引に係る規律を設けることができるよう、鋭意交渉を進めてまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 ぜひ、この電子商取引については大変重要なテーマなので、引き続き頑張っていただきたいと思っています。

 さて、保護主義と通商問題の取組というのは、私は、経済的な側面だけではないと思っておりまして、今、政権で進めている、自由で開かれたインド太平洋戦略とまさに密接に関係をして、自由民主主義、法の支配という価値観を共有する国々のネットワークが我が国を中心に拡大されることが極めて意義深い。つまり、経済も拡大をされる、そして、政治的にも自由で開かれたインド太平洋戦略が拡大をされていくということが極めて意義深いことだと思うわけであります。

 そこで、今後の展開について、政府の展望というのをぜひお聞かせいただきたいと思います。

山田(賢)大臣政務官 お答えします。

 インド洋と太平洋という二つの大きな海で、法の支配に基づき、自由で開かれた秩序を維持し、地域や世界の繁栄のためにこれらの広い海を国際公共財として活用していくことは死活的に重要であります。

 具体的には、一つ、航行の自由、法の支配などの基本的価値の普及、定着。二つ目に、インフラ整備等を通じた連結性の強化などによる経済的繁栄の追求。三つ目に、海洋法執行能力の向上支援や防災等を含む平和と安定のための協力を進めてまいります。

 我が国は、このビジョンを共有できる全ての国々と力を合わせ、自由で開かれたインド太平洋を築き上げていくためにリーダーシップを発揮してまいります。

高木(啓)委員 ぜひ、これは希望にあふれるインド太平洋戦略であり、希望にあふれる経済連携協定にしていただきたい、このように思います。

 次に、世界には、自由民主主義、法の支配という基本的な価値観を共有できない国もあるわけですね。一方で、価値観は共有できるんだけれども政治的な状況が政治的に連携を許さないと言われる国も、あえて国と言いますけれども、あるわけであります。そうした場合、それぞれの場合に対応する際に、だから政治的に連携ができないというときに経済連携というのはとてもいい手段だと私は思っておりまして、いい手段であり有効な手段だと思っていまして、その枠組みを活用することによって我が国がイニシアチブを発揮するべきだ、そして我が国主導でさまざまなそういうネットワークをつくっていくべきだ、こう思うんですが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

田中副大臣 今委員の御指摘のとおりだと思います。

 今、世界で、保護主義、これが台頭する中で、我が国の役割、二十一世紀型の自由で公正な共通ルールを世界に広げていく動き、これを主導していくという役割はやはり極めて重要であります。

 こうした中で、今、タイやインドネシア、英国など、さまざまな国、地域がTPP参加に関心を示しているという状況にあります。ことしの一月には、茂木大臣が議長となりまして、第一回目のTPP委員会、これを日本で開催をいたしました。各国の閣僚を集めて、新規加盟国、地域への対応方針なども決定をしたところであります。参加国、地域に対しても、情報提供ですとか、参加に必要な調整について我が国が主導的な役割を果たしていきたいと思っております。

 我が国の役割でありますが、TPP11、この交渉を経て変化をしてきている、これまで自由貿易体制の参加者の一人でありましたが、今、二十一世紀型の新たな共通ルールづくりのリード役としての役割を果たすように変わってきたということであります。

 我が国が有する自由民主主義、法の支配という基本的な価値観を、これからも各国、地域とも連携して、引き続いて、自由で公正なルールに基づく経済秩序づくり、これを主導していきたい、そのように考えております。

高木(啓)委員 今、田中副大臣おっしゃられたとおりだと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思いますし、国の名前を明示をされたタイ、英国、インドネシア、それ以外にも入っていただくべき国があると思いますので、粛々と、価値観の共有できる国、これをしっかりとセレクトをしていただいて進めていただきたい、このように思います。

 それでは最後になりますが、片山大臣、大変お待たせをいたしました。

 最後に、規制改革について一問お伺いをさせていただきたいと思います。

 今、片山大臣主導のもとに、規制改革は我が国を成長させるメーンエンジンだということで進められているわけだと思います。私も大変期待をしているんですが、規制のサンドボックスという制度がとても有効なのではないかと思っております。

 そこで、規制のサンドボックスは、国がこれをやっているわけでありますけれども、地方自治体もこの規制のサンドボックスのようなものがあると、これはとてもいろいろな形で、国もやる、地方もやっていくということで、メーンエンジンがもっと大きくなっていくんじゃないかというふうに思うんですが、地方版の規制のサンドボックス制度というのもやはりつくっていくべきじゃないかなという気もするんですけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 おっしゃるとおり、規制改革は経済成長戦略のかなめ中のかなめでございまして、既に規制改革会議の方でも、年内そしてこの夏に向けて、さまざまな玉を出しているところです。

 御指摘の規制のサンドボックス制度につきましては、期間や参加者を限定するということによって既存の規制の適用を受けることなく新しい技術などの実証を行うことができる環境を整えるということで、迅速な実証を可能とするとともに、この実証で得られました情報や資料を活用できるようにして、更にその規制改革が推進される、こういう制度でございます。

 技術革新の進展がもう非常に速いので、地域のニーズに対応して新技術の導入を進めるような規制改革を進めるために、地方公共団体におきましても、委員御指摘のように、この制度を参考に独自に規制改革の取組を推進していくことは非常に意味があると思います。

 これまででは、国の方で地方版規制改革会議の設置や、国の方で定めております事業者の行政手続コストを二〇二〇年までに二割削減するという目標にのっとったいろいろな政策を地方においてつくってくださいという取組を促すことは進めてきておりますが、規制改革を所管する担当大臣としても、今後とも引き続き地方の取組を応援させていただきたい。委員におかれましては、東京都においてそういうことをずっと主導しておられた方ですから、そういった御意見も参考にして、後押しをしてまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

牧原委員長 次に、山尾志桜里君。

山尾委員 立憲民主の山尾志桜里です。

 私、引き続き、デジタル社会の中で、公的部門による個人情報へのアクセスと、あるいは民間による個人情報へのアクセスや流通を、それぞれどうルール化し、そしてルールが守られているかどうかチェック体制を構築するかという問題意識で御質問をします。

 きょうは、公的部門による個人情報へのアクセスが問題となる事例として、引き続き、スマホゲーム業者が持つ個人の位置情報を令状なしに取得しているのではないかと疑問が呈されている事案について取り上げます。

 もう一つ、民間企業による個人情報のアクセスが問題となる事例として、ジャパンタクシーという配車アプリ会社と日本交通というタクシー会社に、報道もされましたけれども、要するに、お客さんが乗ると、目の前にあるタブレットのカメラの目から顔写真が撮られていて、その顔写真から性別が推定をされていて、それをもとに、その人に合った最適な広告がそのタブレットに映し出されていた、あるいはいる。場合によっては、その後も、車をおりた後、そのお客さんがそのお店に行ったかどうかなどというところまでそのアプリを通じて位置情報を把握をして、広告効果の計測に使われていた、あるいはいたようだ。ちょっとびっくりしますよね。

 この事例について、皆さんとちょっと、まあ、誰かを責めるとかいうことよりは、こういう事案があるとしたら、どういうルールで私たちはこのデータとおつき合いをしていけばいいのか。ちゃんとルールをつくったおつき合いをしないと、むしろ、上手に調和できないと、デジタル社会も実現できませんよね。こういう話でやっていきたいなというふうに思っております。

 最初なんですけれども、きょうはまた國重総務政務官にも来ていただいております。まず、おさらい、一個一個蓄積をしていかないといけないので、ちょっとおさらいなんですけれども、前回の内閣委員会で、質問要旨をかなり細かく書きましたのでそこを見ていただいて、前回の総務省の答弁でこのように御答弁をいただいたと理解しておりますので、それで正しいか確認をします。

 スマホゲーム業者には電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの適用があり、捜査機関がこういった業者からユーザーの位置情報を取得するに当たっては原則令状を必要とすることという解釈が望ましい、こういう趣旨の御答弁をいただいたと理解しておりますが、これで間違いありませんでしょうか。

國重大臣政務官 お答えいたします。

 スマホゲーム事業者が電気通信事業者や電気通信事業を営む者に該当する場合は、同事業者ガイドラインに従った取扱いが求められることになります。

 同ガイドラインにおいては、通信の秘密に該当する位置情報については、電気通信事業者又は電気通信事業を営む者は、あらかじめ利用者の同意を得ている場合や裁判官の発付した令状に従う場合その他の違法性阻却事由がある場合に限り、第三者に提供できる旨を定めております。

 したがいまして、原則令状を必要とする理解で構いません。

山尾委員 それでは、公安委員長にお伺いをいたします。

 こういった場合については原則令状を必要とすると今明示をしていただきました。

 そこで、お伺いをいたします。無令状での取得はやっておられますか。

山本国務大臣 お答えをいたします。

 警察におきましては、前回も申し上げましたとおりでございまして、刑事法制のあり方に関するものである場合に、この場で国家公安委員長としてお答えする立場にはございませんけれども、実際に、刑事訴訟法第百九十七条、これにのっとって公正に対応しているというところでございます。

山尾委員 百九十七条、刑事訴訟法の中身を聞いているわけですね。全て百九十七条の一般論で答えられると全く議論が進まないわけでありまして、私も無令状で行われることが一切だめだという立場に立っているわけではないんですよ。前回の國重政務官とのやりとりでもあったように、例えば自殺のおそれがある場合だとか誘拐だとか、そういった緊急の要素がある場合には、当然、無令状で許されるべき場合があるということも踏まえて、では、そういう場合において、それこそ無令状での取得はやっておられますか、あるいはそれを超えてやっていることがあるんですかということを伺っているわけです。

 それでもそれについてはお答えできないということで、残念ですけれども、そういう答弁になられるんですか。

山本国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、今まで私ども申し上げてきたとおりの答弁以上のものでもございませんし、以下のものでもございません。

 我々といたしましては、刑事訴訟法に基づいて捜査を行っているという前提の中で、令状が必要な場合、あるいは必要じゃない場合、適宜判断しながら対応しているところでございます。

山尾委員 その適宜の中身を国民に伝える必要はないというお立場になるんだと思います。

 もちろん、捜査の必要性とかはあるんですよ。だけれども、皆さんわかるように、私が聞いているのは、何か個別の捜査、あるいは何か捜査の手法について、犯罪集団等に何かやりやすいような手口を与えるような質問をしていないと思うんですよね。

 法務省にお伺いをいたしますが、今度は法の解釈をお伺いします。先ほど公安委員長には、やっているかやっていないかという質問をしましたので。

 法務省ですけれども、ただいま総務政務官の御答弁を聞いていただいたように、総務省の見解はそのような見解です。法務省も同じ見解に立っておりますか、違う見解に立っておりますか。

門山大臣政務官 総務省はそのような見解だということは今聞きましたけれども、捜査の適法性についてでございますけれども、刑事訴訟法における捜査の適法については、ガイドラインによって定まっているものではなく、あくまで刑事訴訟法の規定の解釈によって定まるものであると承知しております。

 その上で、刑事訴訟法上、位置情報を取得する捜査が強制処分に該当するか否かについては、これは、GPS車両に対する判例とか、もう山尾先生よく御承知だと思いますが、一連の最高裁の判決を踏まえつつ、当該情報の性質や情報を入手する態様、事業者の対応など、個別具体的な事案に応じて判断されるべき事柄であるというふうに考えております。

山尾委員 そうしますと、先ほどガイドラインと言ったのは、私の手元にありますけれども、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインということで、これは刑事捜査も含む公的機関の個人情報アクセスについてのルールを定めているガイドラインなんですけれども、法務省は、このガイドラインについては解釈の根拠とはされないという御答弁でよろしいんですか。

門山大臣政務官 お答えいたします。

 捜査の適法性というのは、やはりあくまで刑事訴訟法に基づいて判断されるべきものでございますので、あくまでも刑訴法上の解釈によって定まるものであると考えております。

山尾委員 私の理解では、刑事訴訟法というのが、当然、強制捜査、任意捜査、要するに令状主義の分水嶺で大原則としてありまして、でも、それについて、令状の要否に関して、こういった電気通信事業について、このガイドラインも、この類いの事案における刑事訴訟法の解釈に極めて大きな影響を与えるというか、一つの指針となるべきものだと思うんですけれども、法務省としては、刑事訴訟法の解釈においても、このガイドラインというのは、関知をしない、解釈には無関係だ、こういうお立場ですか。

門山大臣政務官 総務省の方の、電気通信事業者に対して告示の形式で個人情報の取扱いの具体的指針を示しているものがガイドラインでありますけれども、あくまで、捜査の適法性については、ガイドラインによって定まるものではなく、刑訴法の解釈によって定まるものであると承知しております。

山尾委員 二つ、誤り、ないし、ちょっと不適切だと思うので言いたいんですけれども、このガイドラインというのは、何も事業者に対して告知の方式だけをガイドしているのではなくて、それこそ、こういう場合は令状じゃないと出してはいけませんよというような、開示のルールについても当然ガイドしているガイドラインだから、今ここで話をしているわけですね。

 告知のやり方の話は、後段の話には、ジャパンタクシーの件には関係しますけれども、今そんな話はしていないということと、あくまで刑事訴訟法の解釈だというのはいいんですけれども、私がさっきから明確に質問しているのは、刑事訴訟法を解釈するに当たって、時代の変化、デジタル社会の、さまざまな到来とともに、こういった、およそ同じ政府がつくっているガイドラインというのも出てきて、こういったものもきちっと参考にしながら、刑事訴訟法の解釈というのも個別具体に進めていくべきものだし、これは、その一資料、一参考資料、あるいは政府としての一つの解釈として、本当は共有すべき重たい資料なのではないですかという質問なんですけれども。

 質問を明確にしますね。刑事訴訟法の解釈に基づくというのはわかりました。刑事訴訟法の解釈をするに当たって、このガイドラインの解釈も当然重要な参考要素になるんじゃないんですか。ならないんですか、どっちですか。

門山大臣政務官 お答えします。

 先ほどの私の答弁で、私、告示と言ったつもりだったんだけれども、告知じゃなくて告示、法形式としての告示ですよね。(山尾委員「告示ね、はい」と呼ぶ)済みません、ちょっと発音、私は告示と言ったつもりだったんですけれども、告知と聞こえてしまったようですので、告示だということで、改めて説明させていただきます。

 そういう法形式で指針を示しているガイドラインによって捜査の適法性というのは定まるものではなく、あくまで刑訴法の解釈で定まるものだというふうに認識しているものでございます。

山尾委員 ちょっと、もう一回だけ言いますね。

 あくまで刑事訴訟法の解釈だと私も思いますよ。ただ、あの刑事訴訟法百九十七条というのは非常に概括的な規定ですから、それを個別具体の事案についてどういうふうに解釈していくかということにおいては、当然、こういった今のガイドラインに関する総務省の解釈というものも、法務省として、同じ政府の間ですから、尊重すべきなんじゃないですかという質問なんですけれども、その刑事訴訟法の解釈において、尊重する、尊重しない、どちらなんですか。

門山大臣政務官 お答えいたします。

 尊重するか、尊重しないかというお問いですけれども、このガイドラインというのは、あくまで電気通信事業者に対してのものであるというふうに承知しております。

 私が今お答えしているのは、捜査の適法性については、これは刑訴法の解釈に定まって、それについては、もう先生よく御承知だと思いますけれども、判例等に、強制処分の意義についての判例は、それに基づいて個別具体的に判断される事柄だというふうに御回答させていただきます。

山尾委員 つまり、尊重しない。更に言うと、参考にしないということなんですか。

 要するに、今、どういうことかといいますと、実際、皆さんのお手元にあるように、こういったスマホゲーム業者が持っている位置情報が、警察によって無令状で取得されているのではないかという記事があった。それについて、今、総務省の見解としては、一般論としておっしゃっているわけですけれども、個別の事案じゃなくて、このゲーム会社の事案じゃなくて。でも、これは、原則令状が必要という解釈に立ちますよという話があった。その上で、私、今、公安委員長にお伺いをしたら、そういう無令状の取得をやっているか、やっていないかは言わないという。

 では、法務省に、せめてその解釈はどうなんですかと聞いたら、それについては、総務省の解釈というのは刑訴法の解釈には利用しないということでいいんですか。尊重する、しないで聞くからだめですか。

 では、総務省の現在の、今の解釈というのは、刑事訴訟法の個別具体の解釈において、利用するんですか、しないんですか。

門山大臣政務官 お答えいたします。

 刑事処分に、強制処分に該当して令状が必要かどうかというのは、あくまで刑訴法上の解釈の問題であって、何か利用するとか、しないとか、そういう問題とはちょっとレベルが違うんじゃないかというふうに理解しております。

山尾委員 かなり丁寧に言っていると思うんですけれども。

 刑事訴訟法の解釈に基づくというのはわかりました。その刑事訴訟法を解釈するに当たって、今、ガイドラインの解釈が出たわけですよね。この総務省の解釈というのは、判断要素に含むんですか、含まないんですか、どちらですか。

門山大臣政務官 繰り返して申しわけございませんが、令状の要否、強制処分の該当性については、別にこのガイドラインというものが直接判断になるということではございません。

山尾委員 判断の要素にならないということなんですね。

 これは、事業者に対しては、いわゆる政府は今はっきり言ったわけですよね、令状で原則応じるべきものではないよと。でも、それは表裏で、つまり、捜査機関は令状をとってやるべきだよということと表裏で、これは一体じゃないんですか。その整合性は欠いたままでいいんですか。

 つまり、要求される側は、総務省から無令状では応じちゃだめよと言われる。だけれども、法務省側は、それは必ずしもそういう解釈には立たないと。その不整合はどうやって、安倍政権としては、とるという立場に立つんですか。これは、誰が答えてくれるんですか。

 もう一回、政務官にお伺いします。この不整合はどのように整合させるんですか。

門山大臣政務官 お答えいたします。

 山尾委員は十分御承知かと思うんですけれども、一般的に、強制処分の意義については、これは五十一年の最高裁決定において、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加え、強制的に捜査の目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容することができない手段を意味すると判示されております。

 そして、通信の秘密のところでございますけれども、位置情報を取得する捜査が強制処分に該当するか否かについては、これは今申し上げた判例のほか、GPS捜査における最高裁判決を含む一連の最高裁決定の内容を踏まえつつ、当該情報の性質や情報を入手する態様、事業者の対応など、個別具体的な事案に応じて判断されるべき事柄である、そのように考えているところでございます。

山尾委員 ちょっと質問に答えていないんですけれども。この不整合を整合させる必要性はあるやなしや、どちらの認識に立つんですか、門山政務官。

門山大臣政務官 刑訴法に基づく捜査の適正性というのは、これはガイドラインによって定めるものではなく、あくまで刑訴法の解釈だ。電気通信事業者に対して、告示の形式で個人情報の取扱いを、具体的な方針を定めているものがガイドラインだと。

 ですから、不整合とは私は考えておりません。法務省としては考えておりません。

山尾委員 ちょっと、私、幾つも質問したいので、次に進みたいんですけれども。

 そうすると、今の政府は、法務省としては、捜査としては、これ、無令状でやるかもわからないよと。でも、事業者さんは、これ、無令状では受けないでねと。

 それはちょっと、余りにも公行政として無責任な立場ではないかというふうに私は思うんですよね。この問題は、ちょっと考えますわ、私も。これ以上、ここで時間を使ってももったいないので。法務の方でもやりたいと思いますし。

 今、不整合とは考えないということですね。非常に無責任な話だというふうに思います。

 ただ、これ、私、例えば、では、総務省と法務省と必ずきちっとそこをすり合わせてやってくださいよと言わないのは、すり合わせてやってくださいよと言うと、せっかく総務省が時代の変化に合わせて先取りの解釈を一生懸命しようとぎりぎり頑張ってくれているのに、すり合わせが必要となるとそれができなくなるから。あえてそこは私は今、すり合わせるべきだとまでは申し上げません。

 その上で、次に行きますけれども、ちょっと時間がもったいないので、個人情報保護委員会に次、お伺いをいたします。

 今言ったような事案も含めて、それこそ皆さんのお手元の資料を見ていただくと、ずっとめくっていただいて、この委員会で出した資料ですけれども、資料の三という青囲みの新聞記事です。

 要するに、やはりそういう、無令状で個人情報が捜査機関に流れるということをEUはずっと懸念していて、それがGDPRにおける十分性を認定する一つの阻害要因となっていたと。めでたくこの一月二十三日に認定はされたわけですけれども、これに関する記事として、この趣旨は前回も引用いたしました。

 プライバシー意識の高まりで、企業は余り照会に応じないとか、外部からの監督が十分に機能しているとか言っていますけれども、政府関係者は、その場しのぎの言いわけだったと批判されても仕方ないというふうに言っているという記事になっております。

 それで、これ、EU文書、EUに宛てた文書が本当に、ちょっと、風呂敷を広げ過ぎたんじゃないのという指摘なんですけれども、一方で、それを受けたEUからの文書、次の資料四なんですけれども、個人情報保護委員会の事務局長に来ていただいて、ありがとうございました。これについてちょっとお伺いをしたいんです。

 私も、これはかなり大部の資料なんですけれども、この決議文書を見ますと、私が見るに、これは、宍戸常寿先生の指摘も御教示いただいた上でなんですけれども、十分性を認定しますという決議のポイントを二つ挙げるとしたら、それこそ事業者自身の比較考量による自主的な判断というのがありますよということだとか、あるいは通信の秘密についてはしっかり保護されていますよだとか、やはり、その点についてかなり重点を置かれて判断、評価をされているんだなと。やはり、では、その点は中身をしっかり詰めていかないと、二年後の見直しで相当厳しい状態になるんじゃないかなという私は読み解きと懸念を抱いているんですけれども、事務局長の御認識をお伺いいたします。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘をいただきましたEUの決定文書でございますけれども、EUの判断については私どもでコメントする立場にはないのですけれども、その内容につきまして、捜査関係事項照会に係る規律につきまして、この文書におきましては、先生御指摘の点も含めまして、全般的な法的枠組み、法執行目的のための日本の公的機関によるアクセスと使用、法的根拠及び制限、セーフガード、独立した監督及び個人の救済の観点から規律されていると認識をしております。

 また、レビューについての懸念ということについては、これまで欧州委員会とやりとりをする中で、さまざまな部分についてお互いの理解を深めたというふうに思っておりまして、現時点で懸念というものは、個人情報保護委員会としては認識をしておりません。

山尾委員 私は、ちょっと、なるほどというのはなかなか今言えないんですね。今聞いていただいたように、無令状が許容されるかされないか、刑事訴訟法だけ法務省が持ち出して、本当にこれだけ個別具体の事案の状況が変わっているにもかかわらず、実質的な議論ができない状況というのは非常にゆゆしき事態だなというふうに思っております。

 一方、この点、総務省が十分かどうかは別として、時代の変化に合わせて対応していこうという姿勢は、一つ大事な姿勢だし、尊重もしております、私自身は。

 その上で、これはどなたにお伺いすればいいのか、まあ法務省になるんですけれども、通信の秘密とか、あるいはやはりその近接領域、位置情報というのはどちらにも当たり得るわけですけれども、そういうものを捜査で使うに当たっての令状の要否について、刑事訴訟法百九十七条というだけでなく、もう少しルールを明確化する時代の要請があると思うんですね。これは法務省だけでつくるというよりは、総務省や個人情報保護委員会も含めて、少しそういうルールづくりの土台を検討されたらいかがですかというふうに思うんですけれども、この点、政務官、いかがですか。

門山大臣政務官 お答えいたします。

 強制処分の意義については、先ほどの繰り返しになりますけれども、最高裁判例等で、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加え、強制的な捜査目的を実現する行為など、特別の規定がなければ許容することができない手段を意味すると判示されておりまして、例えば、位置情報を取得する捜査が強制処分に該当するか否かについては、先ほど申し述べたように、当該情報の性質や入手態様、事業者の対応など、個別具体的事案によって判断されるべき事柄であるとお答えさせていただきました。

 したがいまして、位置情報を取得する捜査については、常に強制処分に該当して、令状により実施すべきものとは言えませんし、また、強制処分に該当するか否かや令状の要否についても、明確かつ一義的なルールを設けることは困難であると考えております。

 もっとも、捜査機関においては、通信の秘密に該当する情報を取得するに当たっては、捜査関係事項照会によるのではなく、裁判所が発する令状により取得する運用が行われているものと承知しております。

山尾委員 私も、明確かつ一義的なルールを今すぐつくりましょうと言っているんじゃないんですよ。どの程度までルール化できるかということも、それこそ政務官が言及している五十一年の判例やGPSの最近の判例を含めて検討の俎上に上がるんでしょうし、あるいはやはり、総務省の蓄積してきたさまざまな事例についての判断というものも当然大事な資料になるでしょうし。

 少し、そういったものを持ち寄って、この点をどうやって捜査機関として一定の物差しをつくるのか。むしろ、照会を受けたり令状を提示されたりする国民の側も、どういったルールだったら応じてよいのか。そこをやはり少し、明確化する責任が政府にあると思うし、そういう議論をちゃんとこの国会の場で、必要だと思っているからやっているんですけれども、政府の中でもやるべきだというふうに私自身思いますので、引き続き検討していただきたいというふうに思います。

 最後に、この点について、こんな形で、なかなか、捜査機関が個人情報にアクセスするに対しての適否というのが極めて曖昧な状況にあります。総務省と法務省もフィットしておりません。フィットしていないということは、非常にそれを受ける国民の側に悩みを生じさせるわけですね、事業者の側に。

 その点、議論になっていることですけれども、個人情報保護委員会が民間部門に監督機能を働かせるだけではなくて、極めて近い将来的に公的部門への監督機能というのも、諸外国の例に倣ってやはり所掌に含めていくことを具体的に考えるべきだと思うんですけれども、その点いかがでしょうか、事務局長。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 公的部門が保有する個人情報につきましては、法令違反に関する情報などの権力的に収集される情報と、事業者が保有する個人情報と、そもそも性質が異なるものであるというふうに認識をしてございます。

 当委員会は個人情報保護法を所管しているところでございまして、現時点では、公的部門が保有する個人情報の取扱いについては、民間事業者を対象とする個人情報保護法とは別の法令に基づいて規定されております。その所管は、総務省や各地方公共団体になっているものと承知をしてございます。当委員会は個人情報保護法に基づいて与えられた職務を全うすることを務めというふうに認識をしてございます。

山尾委員 政治家の皆さん、検討してくれよというふうに受けとめましたけれども、これは意見にとどめますが。

 とはいえ、個人情報保護委員会も、それこそマイナンバーに関する、厚労省等を含めた行政からのアクセスについては、これは監督に含めていますよね。事務局長、うなずいていただきました。だから、スキルはあるわけです、これもいわゆる公的部門による個人情報へのアクセスを規律しているわけですから。

 ただ、その範囲をかなり広げていくに当たっての体制の問題だとか、あると思います。ただ、そこは、諸外国も実際所掌に含めているところもたくさんあるわけですから、そういうことを政府でもあるいは国会でもやはりきちっと検討していくべきだというふうに思います。

 次に、ジャパンタクシーの話をしたいと思うんです。

 皆さんのお手元の資料を見ていただいて、資料五ですね、朝日新聞。二個目のパラグラフを読みますと、同社というのは、これは日本交通のグループ会社でタクシー配車アプリを担うジャパンタクシーは、「車内後部座席につけた広告配信用タブレットのカメラで乗客全員の顔写真を撮影。性別を推定してタブレットでの広告配信を変えている。個人情報保護委は「カメラの存在や利用目的の通知・公表が不十分」として改善するよう指導した」、こういう記事であります。

 改めて、これは記事ですので、個人情報保護委員会にお伺いをしますけれども、行政指導の内容そして時期について、おおよそこの記事が正しいのかどうか、答えられる範囲でお答えください。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 ジャパンタクシーがタクシーの車内カメラで乗客の顔写真を撮影していることにつきましては、昨年の十一月三十日に、個人情報保護法第四十一条に基づいて二点の指導を行っております。

 一点目は、利用者との関係です。タクシーに設置しております広告配信用タブレットによりタクシー利用者から個人情報を取得する場合には、タクシーの利用者に対して、そのカメラの存在、これにより個人情報を取得することについて、わかりやすい説明を徹底し、適正に個人情報を取得するとともに、利用目的の通知や公表を適切に行うこと。

 二点目は、コンプライアンス体制です。個人情報の取扱いに関して、社内での部署間の連携を見直すなど取扱体制を抜本的に見直すとともに、取扱状況を関連事業者も含め正確に把握し、タクシー利用者へ取得に係る説明を正しく行う体制を構築すること。

 以上でございます。

山尾委員 ありがとうございます。

 では、一点目についてお伺いをしますけれども、利用者との関係では、そういうカメラの存在やその利用目的をきちっと通知、公表しなさいねということでした。それを十一月三十日に行政指導されたということですけれども、それ以降、その改善がされるまでの間、国交省に伺いますね、国交省、ありがとうございます、工藤政務官に来ていただきましたが、これだと、三月二十五日時点の記事なんですけれども、「同社は顔写真の撮影を現在も続けている」というふうに書いてあるんですが、実際続けているんでしょうか、行政指導後も。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 本年三月二十四日、日本経済新聞において、「日本交通系のジャパンタクシーがユーザーに十分に説明せずに位置情報などを利用したとし、個人情報保護委員会から行政指導を受けていたことが分かった。」という報道がありました。

 これを受け、国土交通省において、同社の広報担当者から三月二十五日に事実関係を聴取いたしました。

 具体的には、個人情報保護委員会から昨年十一月三十日に個人情報保護法に基づく指導を受けたこと。この指導の内容は、同社がタクシーに設置している広告配信用タブレットによりタクシー利用者から個人情報を取得する際は、タクシー利用者に対し、そのカメラと個人情報を取得することについて、わかりやすい説明を徹底し、適正に個人情報を取得するとともに、利用目的の通知や公表を適切に行うこと等の内容であったこと。カメラによる顔画像の取得は、広告提供のために性別を推定するものであり、位置情報や乗客の情報とひもつけていないこと、当該画像は、端末上で性別を推定した直後に破棄し、端末上にもネットワークやシステム上にも保存していないこと。個人情報保護委員会からの指導を受け、四月中に機能の改善を図ること等の説明がありました。

 国土交通省からは、個人情報保護委員会からの指導を受けとめて、適切に対応するよう求めたところです。

 なお、昨日付で、ジャパンタクシー社のホームページにおいて、本日以降、タブレット端末において、フロントカメラによる顔画像識別によって乗客の性別を推定し、適切なコンテンツを配信している旨を表示することについて公表されております。

 国土交通省としましては、同社の対応状況について引き続き注視しながら、個人情報保護委員会と連携し、適切に対応してまいります。

山尾委員 質問に答えてください。

 行政指導が十一月三十日で、知っています、私も。おととい質問通告してずっと気にしていましたら、きのう、ホームページが更新されて、そうやってタブレットに表示するようにしましたと出て、きょうから、ぽちっとやれば消すようにもできるようになっているというのは聞いてはおります。

 それはちょっとまた後で聞きますけれども、私の質問は、十一月三十日の行政指導以降、きょうの、少なくとも一定の改善措置があったこの間、改善措置が行われるまでのこの間は顔写真の撮影というのは行われ続けていたんですか、続けていないんですかという質問です。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 続けられておりました。

 知ったということで、改善のことを伝えた、そういうことでございます。

山尾委員 ここ一点、やはり大問題だと思うんですよ。

 個人情報保護委員会にお伺いをいたします。

 行政指導した後、改善されるまではそういったことをやめろということをちゃんと指示したのか、それとも、その点はやめるだろうというふうに当て推量していたのか、その点は関知しないという立場なのか、その点はどういう御認識なんでしょうか。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 指導した後、改善を図る時期につきましては、四月よりというふうに伺っておりましたので、その間は撮影をされていたという事実が、認識が少し足りなかったと思いますが、されていたというふうに推測されます。

山尾委員 それを知ったのは、事務局長、いつですか。要するに、撮影され続けていたんだということを個人情報保護委員会が知ったのはいつということになるんですか。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 三月下旬の報道を通じて認識をいたしました。

山尾委員 これは、まず、報道を通じて知った後、個人情報保護委員会としては、それは本当なんですかという事実確認や、本当だとしたらそれはよくないですよ、改善措置されるまでやめなさいよというような相手方とのやりとりはあったんですか、なかったんですか。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 ジャパンタクシーに連絡をとりまして、どうなっておりますかということは報告を求めました。

山尾委員 そうすると、どういう報告になったんでしょうか。

其田政府参考人 先ほど国土交通省政務官からお答えのあったような内容について対応しますという報告を受けました。

山尾委員 まず、行政指導した後、改善するまでの間、続けていたということが、私は、言葉を選ばずに言えば、ちょっと余り態度がよくないというのもなんですけれども、極めて不誠実な状況ですよね。

 それについて、ちょっと国交省も、あるいは個人情報保護委員会もすごく姿勢が甘いというか、行政指導があったのにやめていないということをまず認識するのが、申しわけないけれども、両方とも遅いと思うんですね。

 その上で、認識しても、それについて、では、新たな何か行政指導をやるとか、改善の措置をするまで、すぐやめなさいよということは言っていないんですよね。言ったんですか。

 どちらにもお伺いしますけれども、行政指導があり、それでも写真撮影が続いているということがわかった、その時点で、やめてくださいということは指導なり指示なりをしたんでしょうか、しないんでしょうか。お二方にお伺いします。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 直ちに指導事項について対応するようにということについては申し上げております。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 私たち国交省といたしましては、事実を知って、この時点で対応したということでございます、三月二十四日の報道を受け。

 ですから、今御指摘のとおり、個人情報保護の事務局から、こういうことの報告があったということは、受けておりません。ジャパンタクシーに対して指導されましたということは、私どもはその報告は受けておりませんでした。

山尾委員 もう一回聞きますけれども、即座に対応してください、行政指導に従ってくださいと言ったということではなくて、対応に即した改善をするまでの間、この顔写真というのは不適切なので、きちっとそれまでは中止しなさいということは、言ったんですか、言わないんですか、どちらですか。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 指導した内容について直ちに対応してくださいということでありますので、顔写真の撮影を直ちにやめるようにといった指導はしておりません。

山尾委員 でも、そういうカメラの存在とか目的を通知せずに顔写真撮影して、広告最適化しちゃいかぬよと指導した立場なんだから、それに対応する措置がとられていない間は写真撮影をやめているということも含めなければ、これは適切な指導にならないと思うんですけれども、それはどうなんですか。それでいいと私は思わないんですけれども、認識を伺います。

其田政府参考人 少し言いぶりが不正確であったかもしれませんが、指導内容に従ってくださいという意味は、取得をする場合には通知をしろ、わかりやすく知らせてくださいというふうに申し上げましたので、それができないのであれば、撮影はしていけないということになるかと思います。

 取得する場合には通知をしてください、知らせてくださいという指導内容になっております。

山尾委員 ただ、少なくとも、結果として、行政指導したのが十一月三十日、そしてきょうが四月の十日ですか。そうだとすると、十二月、一月、二月、三月、四カ月と十日の間、何ら改善をしないまま、不適切だと指摘した状態が続いていたわけですよね。

 国交省にお伺いいたします。

 全国で走行するタクシーの台数と、今回の行政指導の対象となっていた行為を行っていたと考えられるタクシーですね、日本交通のタクシー、これ、台数はそれぞれわかりますか。要するに、私が知りたいのは、全体でどれぐらいの割合のものなのという、どれぐらいの国民に影響を与える出来事なのということを知りたくて、そういう趣旨で聞いていますので。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 平成二十九年度の実績において、全国で走行するタクシーの車両台数は十八万六千二百四十七台となっております。また、ジャパンタクシー社が展開する広告配信用タブレットを搭載したタクシー車両数は、同社によれば、先月時点で約一万台でございます。

山尾委員 その一万台の中に、恐らく日本交通ではないタクシーも含まれていると思うんですけれども、日本交通以外のタクシー会社も含まれているという理解でよろしいですか。

 というのは、きのう、私のスタッフが、別の、日本交通ではないタクシーに乗ったら、やはり、目の前のタブレットに顔写真撮影で広告の最適化をしていますという文字があらわれているんですね。

 だから、私は、ああ、ほかのタクシー会社でもやっているんだ、あるいは、やっていたんだ、やるんだというふうに推測をしたんですけれども、この一万台の中に日本交通以外のタクシーも入っているんでしょうか。

工藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、山尾議員のお尋ねの、こちらが把握しているのは、日本交通株式会社の車両数は約四千五百台であります。

山尾委員 そうだとすると、その他五千五百は、このアプリ会社を使っている別のタクシー会社ということになるわけですよね。

 それで、ちょっと時間が迫っていますので、少し次の質問の頭出しも含めてお話をしたいんですけれども、皆さんのお手元の最後の資料、資料七を見てください。これは、去年の十月三十一日付です。これは、こういうことをやっていたんだけれども、停止をしましたという記事になっております。

 これは、三段目のところを見ていただくと、要するに、さっき申し上げたように、タクシーに乗る、タブレットがある、顔写真が無断で撮影されている、性別で広告が変えられる。それにさらに、この資料によると、おりた後、その配車アプリを通じて取得した位置情報を使って、その広告の出た店舗に来店したかどうかも判断する。あるいは、ネット通販での購入履歴やアプリのダウンロードといった情報も組み合わせて広告効果を正確にはかれるというような記載があった。まあ売り込みの資料だと思うんですけれども、こういうものがあったよということなんですけれども、最後の質問にします。

 今回の行政指導とは恐らく別事実で、やめたというふうにこの社は言っていることについて、実際そういうことが行われていたのかどうかということについて調査をしたのか、その結果どうだったのかということを、保護委員会あるいは国交省にお伺いいたします。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 位置情報の事後追跡のようなことは行っていないというふうな、それは十月に停止する前から行っていないというふうに報告を受けております。(山尾委員「行っていないと、本当に」と呼ぶ)

 ジャパンタクシーからは聞いております。

山尾委員 ちょっと、最後にしますけれども、指摘にしますけれども、これは私の手元に去年十月三十日付のジャパンタクシーのホームページがあるんです。

 これに書いてあるのは、位置情報等の情報を第三者の広告配信、表示に利用することがある旨を記載の上、フリークアウトへの情報提供を行っておりました、しかし、説明、同意取得プロセスが不十分であると判断して停止をしましたというふうに書いてあるので、やっていたんじゃないかと思うんですけれども、済みません、私はこの指摘でいいですけれども。

其田政府参考人 失礼しました。二段に分けてちょっと御説明させていただきます。

 まず、広告の効果測定には使っております。ただ、配信には使っておりませんということです。

 それからあと、個人情報と位置情報のひもづけはしていないということでございます。(山尾委員「位置情報の追跡はしていたということですか」と呼ぶ)

 個人情報のひもづけは行っておりませんし……(発言する者あり)

牧原委員長 もう一回明確にお答えください。

其田政府参考人 はい。

 位置情報と個人情報のひもづけや事後追跡は行っていないというふうに聞いております。

山尾委員 今はここで、今回は終わりにします。ちょっと、引き続きしっかり調べていきたいと思います。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸と申します。

 質疑の機会をいただきました。きょうは一般質疑ということでありまして、機会を設けていただきました委員長を始め、皆様に感謝の思いをお伝えさせていただきますとともに、宮腰大臣におかれましては、先日の法案質疑に続きまして、きょうはちょっと別の担務も含めて御質疑させていただく、そして、残余の時間があれば、前回のちょっと積み残したお話も伺えればと思っております。

 宮腰大臣は、国家公務員のいわゆる働き方改革ということも御担務に持っておられ、所信においては、国家公務員制度については、少子高齢社会における公務部門の多様な人材の確保、育成、活用と、働き方改革を推進してまいりますということを述べられておられるわけであります。

 きょうは、とりわけ国家公務員の方にスポットを当てるわけでありますけれども、特に公務員の方に当てるわけでありますけれども、いわゆる公務員の方々の子育てとか介護、こうした状況との両立、それをしながらの働き方、この点についての、まず大臣としての基本的な認識といいますか、重要性についてお伺いをしたいと思います。

宮腰国務大臣 近年の共働き世帯の増加とともに、男性、女性を問わず、子育てなどのため時間制約のある職員が増加しております。

 このような中、職員がみずからの生活と仕事を両立させ、ワーク・ライフ・バランスを実現できるような環境を整えることが極めて重要であると認識をいたしております。

 このため、これまでに、長時間労働を前提とした働き方を改める意識改革や、業務の効率化等を通じた超過勤務の縮減、テレワークやフレックスタイム制などによる働く時間と場所の柔軟化、ペーパーレス化の推進、管理職を始めとしたマネジメント改革等に取り組んできたところであります。

 今後とも、これらを一層推進することによって、働き方改革に積極的に取り組み、全ての職員が存分に能力を発揮できる環境づくりに努めてまいりたいというふうに考えております。

山岡委員 今大臣から御答弁ありました。いわゆる共働き世帯、さまざま制約がある中でも、ワーク・ライフ・バランスを、これは国家公務員の皆様、公務員の皆様でも非常に重要なんだ、その方向を進めていくんだと。

 その中で、今回言及いただいた、今お話しいただきましたいわゆるテレワーク。場所の制限等をなくしていくんだという今お話ありましたけれども、いわゆる役所におらなくても、自分の自宅とか、そうした遠隔地でも働ける環境をつくっていく、この有用性、課題等について少し質疑をさせていただければと思うわけであります。

 このテレワークというのは、今は民間企業でもいろいろ導入の、まあ、実験的なところもまだまだ多くあるわけでありますけれども、事例もふえているわけでありまして、まさに今お話ありましたけれども、育児、介護等を含めて、制約ある環境の中でも離職を防ぐ。いわゆる柔軟にすることによって、すぐ近くにそういう、少し何かあれば世話をしなければならない方がいることによって、働くことを続けられる環境をやれるとか、あるいは、子供が生まれた後の復帰に当たっても、しばらくの間そういう環境でやることによって、かなり復職が柔軟に対応できる、あるいは、効率が上がるとか、モチベーションが上がるとか、さまざま効用というのは民間企業の間でも今いろいろ言われ始めている、進められているというのがこの数年の現状だと思います。

 一方で課題もありまして、労務管理をどうしていくのかとか、やはり職場で顔を合わせていた方がコミュニケーションできるのではないかとか、あるいは、セキュリティーの問題といいますか、情報の漏えい等も含めてさまざまな課題もありながら、しかし、やはり新時代に合わせた、あるいは、デジタル社会の中でこうした取組が進められているわけであります。

 まず、政府に伺いますけれども、国家公務員の皆様のいわゆるテレワークの導入状況、これはどうなっているのか、そのことを伺いたいと思います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 テレワークは、委員が御指摘のように、育児、介護を行っている方々を含め、職員が働く場所を柔軟に選択し、能力を発揮できる働き方の一つでございます。

 このテレワークにつきましては、既に、現在、全府省において利用が始まっているところでございまして、本省の実施者数で申しますと、平成二十九年度で六千六百三十五人となっております。これは前年度四千四百六十人でございましたが、これに比べて一・五倍、平成二十六年度の五百六十一人からは十倍以上の数字となっているところでございます。

山岡委員 今、およそ六年ぐらい前に始めて、その十倍以上になったと。一・五倍ぐらいになっているので、六千六百人だということをお話ありました。

 ちょっと具体的な数字で伺いたいんですけれども、これは人数を今伺ったわけでありますけれども、分母は、では、全体どれぐらいの中でのどの程度の割合の方がこういうような状況をやっているのか、そして、あわせて伺いますが、今テーマとして取り上げさせていただきました介護や育児、このことを理由にしたテレワークで働いておられる方というのが、今、その六千六百人余りの方の中のどれぐらいおられるのか、そのことを伺いたいと思います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 まず、母数でございますけれども、平成二十九年度の、先ほどの六千六百三十五人の母数につきましては、本省職員数五万三千五百四十名でございまして、比率で一二・四%となってございます。

 それから、介護、育児に係る比率ですけれども、大体、育児で申しますと一四%、介護で一%という割合になっているというふうに認識してございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 五万人余り人がいて、六千人ぐらいふえているんだというお話ありましたけれども、今お話ありましたように、育児についてはその六千六百人余りの中の一四%、そして、介護に当たっては一%と。

 では、六千六百人のうちの、これは昨日役所と話した中でのお話でありましたけれども、その大多数は何なのかといえば、試行期間としてやってみているという、まあ、導入期間でありますので、そういう答えをされる、返答もあるんだと思いますが、それがおよそ半分である。六千六百のうちの半分が、今、試行期間としてやっているのであって、実際に育児とか介護で生かしているというのは、五万の中の六千の中の一四%であり、一%であるというのが、今、国家公務員の皆様の現状であるということを改めて委員の皆様と確認をさせていただきたいと思うところであります。

 その上で、政府では、これについて方針を立てておられると思うんですよね。世界最先端デジタル国家創造宣言というのを、最近では、平成三十年六月十五日に閣議決定されているわけであります。国家公務員については、二〇二〇年、来年です、必要な者が必要なときにテレワーク勤務を本格的に活用できる、その環境を整えるということをここにうたわれているわけであります。あわせて、リモートアクセス機能、さまざまなそういう機材を全府省で導入する計画的な整備環境ということがあるわけでありますけれども。

 二〇二〇年に、必要な者が必要なときにテレワーク勤務を本格的に活用できる環境というのは整うんでしょうか。そして、これは、どういう状態をもってそういう状態だということを考えておられるのか。政府にお伺いしたいと思います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、平成三十年六月に閣議決定されました世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画において、平成三十二年度までに、必要な者が必要なときにテレワーク勤務を本格的に活用できるよう、計画的な環境整備を行うこととされているところでございます。

 この目標の達成のためには、テレワークに使うための端末などハード面の整備と、テレワーク関連規定などの制度面の整備を行う必要がございまして、現在、各府省においてその取組が進められているところでございます。

 内閣人事局といたしましても、各府省におけるテレワークの実施人数や関連規定の整備状況を確認するとともに、各府省職員へのアンケート調査結果なども活用しながら、政府目標の達成に向けて、各府省と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

山岡委員 済みません、もう一度伺いますが、今こういう取組を目指しているというお話は伺ったわけでありますけれども、何をもって必要な者が必要なときにテレワーク勤務を本格的に活用できる環境なのかということをちょっとお伺いしたものでありますから、こういう必要性があるというお話を伺ったわけでありますけれども、どういうことを具体的なゴールとしているのか、二〇二〇年ですね、そのことを伺いたいと思います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 今申しましたように、目標達成に向けては、規定などの制度面の整備とハード面の整備、両方が必要だというふうに考えております。

 まず、テレワーク関連規定などの制度面の整備につきましては、これはやはり、それがないと実効的に進まないということがございますので、これについては行われることが必要であるという認識でございます。

 他方、ハード面の整備につきましては、各府省ごとにそれぞれ職務の内容、状況なども異なりますし、また、テレワーク環境整備の手法と申しますか、一人一台でのパソコンで対応するのか、あるいはUSBポートのメモリーを使ってやるのか等々、状況が異なりますので、一義的には各府省において判断していただくべきものと考えているところでございます。

山岡委員 来年までには、必要な者が必要なときにできるようにするというお話でありましたけれども、各省で今状況が違うのでとか、何とも心もとないお話があるように受けとめるわけでありますが。

 では、来年には、各省の少なくともハード、例えば、持っておられるパソコンを自宅に持って帰って作業するということを、そういう進め方をしておられるようでありますけれども、全府省で例えばそれが浸透する、それが全部行き届くということをもってハード面での達成ということの理解でよろしいのかどうか、そのことをお伺いしたいと思います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 ハード面の整備につきましては、各府省ごとに毎年の調査を行っておりまして、これによって着実にその整備が進んでいるというふうに考えております。

 これにつきましては、全機関、すなわち本省だけではなく全機関において整備が進んでいるかどうかということは確認していきたいというふうに思っているところでございます。

山岡委員 着実に進んでいることはわかったんですが、少なくとも政府目標に、二〇二〇年には必要な者が必要なときにテレワークを本格的に活用できるとうたっているわけでありますので、これは本格的にきちんと腰を入れておられるという説明なんだと思いますが、何とも、そう受けとめられない状況であるという受けとめをしますので、これはぜひ、大臣の指導のもと、やはりきちんと進めていただきたいと思うんです。

 これはやはり、二〇二〇年ということをうたっておられる、その宣言の中身、閣議決定した中身を見ても、いわゆるオリンピックに向けて、一つそれを大きなきっかけとしたいと考えておられるようでありまして、オリンピックのときには大変混雑も予想される、交通網ですね、民間企業も含めて一斉にこうしたテレワークを導入するんだというかなり意欲的な中身も記載されているわけでありまして、その中にあって、民間企業も進めるに当たっても、公務員の皆様の環境というのがやはり心もとないというのが、この一年前の状況というのは非常に残念な思いなので、私の受けとめですけれども、このことは強くちょっと御指導をしていただきたいということを要請と指摘をさせていただきたいと思います。

 あわせて、今、ハード面の整備についてのお話を中心に伺ったわけでありますが、いわゆる規定の話について少しお話を伺いたいと思うんです。

 政府に改めてまた伺いますが、このテレワーク、自宅で、例えば、今、いろいろなパターンがあると思いますが、私が想定するのは、介護であったり育児であったりとか、そうした環境と両立しながらやっていく環境をもってテレワークの有用性だと思うわけでありますが、国家公務員の、いわゆる公務員法に規定されております職務専念義務との関係性、これはどういうふうに整理されているんでしょうか。伺います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 テレワークと申しましても、国家公務員の勤務形態の一つであることには変わりがございません。したがいまして、国家公務員法第百一条の職務専念義務が課されるために、職場における勤務の場合と同様に、勤務時間中は職務に専念する必要があるところでございます。

 このために、テレワーク勤務を行うに当たっては、職務に専念することができるような環境を確保することが必要となるところでございます。

山岡委員 今お話ありました、職務に専念する義務がテレワークでもあるんだと。そして、その百一条等に書いてある中身は、国家公務員の方、まあ、地方公務員の方も、特別な定めは除くと言いながら準用されたことが書かれているわけでありますが、自衛隊法にも書かれているわけでありますけれども、その勤務時間においては職務上の注意力の全てをその職務遂行のために用いなければならないと。注意力の全てを用いなければならない、今のお話によれば、それと同じ環境をテレワークでつくる必要があるというお話でありました。

 個別に伺いますが、では、子供たちが周りにいる環境、あるいは部屋に介護するべき人がいる環境で、公務員の方がテレワークということは許されるんですか、今。伺います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたように、テレワークを行うに当たっては、職務に専念することができるような環境を確保することが必要となるところではございます。ただし、この場合であっても、例えば、子供の面倒を見るために、やむを得ない範囲で、ごく短時間の勤務の中断であれば、なお職務に専念しているものと考えられるところでございます。その個々の状況によって違ってくるというふうに思っております。

山岡委員 済みません、きのうのお話ではそれが全く許されないような話でありましたけれども、短時間であれば許されると。それは別に、その時間分だけ休みをとらなくても、短時間であれば、そういう部分の注意を払うことは、職務専念義務で全ての注意を払わなきゃいけないと書いてあっても、それは特別に認められることだという理解でよろしいんでしょうか、伺います。

植田政府参考人 お答えいたします。

 今申しましたように、例えば子供の面倒を見るために、やむを得ない範囲で、ごく短時間の執務の中断ということでありますれば、これも状況によりますけれども、なお職務に専念しているものと考えられる場合があるというふうに考えております。

山岡委員 かなり、法律には全てを注ぎ込めと書いてある中で、例外的な状況もあり得るんだというお話を政府からいただいたことは非常にありがたいと思うわけでありますが。

 大臣に伺いますけれども、今、実態として五万人の母数の方がおられて、六千人の方が、試験的にやっている方も半分ぐらいおられる中でやっていて、全体の中の一四%が子育ての環境の方、一%の方が介護の方と。

 民間企業においては、まさにこの環境の中で働けるからこそ、テレワークの優位性、通勤時間がなくなったり、会社側にもいわゆる交通費分の手当等をその分軽減できるとか、さまざま、いろいろなメリットも、いろいろな報告もされているところでありますけれども、されている中で、このいわゆる職務専念義務との関係性の中で、今、ごく例外的に短時間でというお話もありましたけれども、これはきちんと向き合って整理して、公務員の方がしっかり働ける環境とその専念義務の整理というのはいま一度やはりしっかりやって、この働ける環境を整えていくべきじゃないかということを考えるわけでありますが、今の議論も聞いていた中で、大臣の御所見を伺います。

宮腰国務大臣 今ほど統括官からも御説明をいたしましたけれども、テレワークを行うに当たっては、職務に専念することができるような執務環境をしっかり確保することが必要となります。ただし、この場合であっても、子供の面倒を見るため、やむを得ない範囲で、ごく短時間の執務の中断であれば職務に専念しているものと考えられますし、また、執務の中断が長時間に及ぶ場合には、テレワークと年次休暇を組み合わせるといった対応もあり得るというふうに考えております。

 実際に、育児中の職員によるテレワークは急速に浸透しつつありますが、育児を行う職員にとりましてより働きやすい環境となるよう、更にテレワークの環境整備に取り組んでまいりたいと考えております。

 ちなみに、内閣府では、ことしの一月からパソコンを家に持ち帰れるようになりました。総務省、経産省はもっと早くからやっているということでありますが、これは極めて大事なことではないかと思っております。

 例えば、この答弁も、職員が家庭で持ち帰り端末を使って作成をしたということを聞いておりますし、いろいろな面で、今までは、通告が出て、それから答弁も役所の中で作成をしていたということでありますが、これが持ち帰りパソコンの効用といいますか、例えば早目にうちへ帰って、子供をお風呂に入れて、それから通告が全部そろった段階で答弁を作成するということは、これは随分働き方改革にもなるのではないかなというふうに思っておりまして、ぜひ、テレワークをこれからもしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

山岡委員 ありがとうございます。

 ただ、仕事の持ち帰りを、結局、家でやることになるということであればまた目的が違ってくるかもしれないところもあって、全体の労務状況というのは考えなければならないということは一つあろうかと思いますし、結果としてきちんとしたものが出せればよいという環境、こういう評価の仕方も、これから公務員の方も判断として入れていかなきゃいけないのかもしれません。

 最後に私が、これは質問ではありませんが、なぜこの質問をさせていただいたのかということを申し上げますと、とあるキャリア官僚の、私は三十九ですけれども、私と年が近い女性の方が子育てを経験された中で、いや、実は子供がいて、その子供が周りにいながらテレワークというのが許されていないんですということをおっしゃっておられた、そのことが一つのきっかけでありました。

 ですので、今、それは、短時間、ごく例外的なものかもしれませんけれども、家で子育てしながら働いてくれることは職務専念義務には反しないんだというお話というのは、公務員の、女性だけではありません、男性も含めてでありますけれども、ぜひ宮腰大臣の指導のもとで広く皆様に伝えていただきながら、この働き方を広く進めてほしいということをお願い申し上げさせていただきまして、質問時間がもう終了になりますので、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 よろしくお願いいたします。

 きょうは、倫選特とかでもちょっと扱ったんですけれども、大阪市で、実は、「全国に影響を与えている対外的なシステムにWeb標準仕様への準拠を求める意見書」というものが全会一致で採択をされています。何かといいますと、この意見書というのは、電子入札システムなんですね。要は、インターネットエクスプローラー、ウィンドウズ7、ウィンドウズ8・1、ウィンドウズ10のインターネットエクスプローラー11という環境でしか動作しないというものなんですね。

 このインターネットエクスプローラーというのは、今、マイクロソフト自身が、もう使うのをやめてねと。要は、セキュリティー上の問題が、脆弱性があって、IEはもう使わんといてほしい、新しくエッジというブラウザーを今出していますので、そっちに早く移ってくださいと。サポートの期間はまだちゃんと残っているんですけれども、ただ、つくった会社自身がもう使うのをやめてねと言っているやつに、まだずっと依存し続けているシステムなんですね。

 この意見書というのは、その電子入札システムについての意見書なんですけれども、実際、倫選特でも質疑をしましたけれども、これは我が党の丸山穂高が最初に指摘したことですけれども、インターネットエクスプローラーじゃないと閲覧ができずに、さらに、それは印刷してはいけないということに法律でなっていますので、印刷をできないように加工した政治資金の報告書が、IEじゃないと、加工した上では見られない、閲覧できないということで、それに依存してしまっているんですね。でも、それはもうセキュリティー上の脆弱性が、つくっている会社すら認めているものなので、これはまずいんじゃないかな、セキュリティーの面で大分まずい話じゃないかと。

 今回、今言ったのは二点ですけれども、政府全体で、インターネットエクスプローラーじゃないと作動しない、使わざるを得ないというものが、ほかにもたくさんあると思うんですけれども、そのチェックはしておられるでしょうか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員御質問のセキュリティーの対策でございます。個々の一つ一つのソフトウエアがどうかというところのチェックという形ではございませんが、政府機関におきましては、政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群というものがございます。これに基づきまして、ソフトウエアに関する脆弱性対策を実施するという形になってございます。

 具体的には、利用するソフトウエア、ですので、今のお話ですとインターネットエクスプローラーということになりますが、における脆弱性の対策の状況を定期的に確認をすること、それから、脆弱性の情報を入手した場合には、ソフトウエアに関する脆弱性対策を策定いたしまして、措置を講ずるということを定めてございます。

 具体的に申し上げますと、今おっしゃったように、ウィンドウズ7はまだアップデートをされております。ですので、セキュリティー対策は一応されている。以前のウィンドウズXPというものになりますと、これはサポートがもう切れております。ですので、私どもの方は、このXPについては、サポートが切れました、使わないようにということを私どもの方からもう既に言っているところでございました。

 このように、引き続きの平素からの取組を行いまして、サイバーセキュリティー対策に取り組んでいるところでございます。

浦野委員 これは、その依存しているシステムを使おうとしたら、わざわざ自分たちのパソコンに、セキュリティー上脆弱性があると言っているブラウザーを自分たちのパソコンにもダウンロードしないと、それが使えなくなっちゃうんですよね。それは、政府自体のセキュリティーの問題もありますけれども、利用者にとってもセキュリティーの問題を広げてしまうことになるんですね。

 それで、このセキュリティー、インターネットセキュリティーの部分の質問をしようと思ったら、櫻田大臣が担当の大臣になりますので、余り質問したくない、したくないというか、しない方がいいかなと。

 私はそもそも大臣に答弁を求めるというのはほとんど、大臣じゃないとだめということは言わないので、別に大臣が答弁に出てくることはないんですけれども、でも、これは、セキュリティー上の問題と技術面での問題、IT技術の問題になると実はこれは担当の大臣が変わるんですよね、平井IT担当大臣になるんです。ところが、内閣委員会は平井担当大臣は答弁できません、委員会の仕切りで、今。これはおかしいと思うんですね、セキュリティー上の問題とITの技術の問題というのは表裏一体ですので。

 大臣が二つに分かれていて、片っ方の大臣には内閣委員会で質問ができないんですよ。それは、国会の冒頭でそういう仕切りで委員会をやりますよという決議をしているから、もちろん我々の責任でもあるんですけれども、要は、衆議院の議院側がこの問題についてちょっとしっかりと議論をしないとだめかなと。

 要は、科技特があります、そういう技術的な質問をしたいときは科技特でしてくださいと言うんですけれども、科技特なんてほとんど行われないじゃないですか。きょうやっています、きょうやりますよ、大臣所信。ほとんどの国会で大臣所信しかしないんですよ。それで、臨時国会なんかじゃ開かれなかったりするんですね。ほぼほぼ、やっていないです。

 それで、科技特では法案を審議はできないというふうに決まっているんですよ。法案の審議となると内閣委員会にかかって、平井大臣は法案の審議のときは来てはります、担当大臣ですから答弁もちゃんとします、でも、法案はこっちでやるんです。更におかしいと思うのが、参議院には科技特がないんですよね、科技特がないから、参議院は内閣委員会でその質問ができるわけですよ、技術的なことも。

 だから、衆議院と参議院でその扱いが違うことも納得できないし、そういった技術面の質問を一般質疑でやろうと思ってもここでできないというのは、これは、調べてもらったら、百五十一回国会で、確認事項ということで、内閣委員会のその所管大臣とかいろいろ話合いで決めているわけですね。それで、その後、百六十六国会、百六十六だから何年後かちょっとよくわからないですけれども、それを七大臣にしています。

 こういう確認事項というのは、要は、与野党で話合いをして決めているわけですけれども、これは、その当時、スマホもないような時代の話なんですね。だから、IT技術はその当時に比べても格段に向上しているし、全く変わっているんですね、世界が。その世界が変わっている中で、この委員会のそういった議論の場の扱いが全く変わっていないというのは、これはちょっと、与野党の筆頭間協議でいろいろと、今は私たちは筆頭間協議はどうかと言っていますけれども、やむを得ず筆頭間協議でこれを決めているわけですから、筆頭間でしっかりこの点について議論をしていただきたいなと。

 これは誰に質問をしても答弁できないので、僕がただただ文句を言っているだけの話になるんですけれども、じゃ、これは誰に聞いたらええのと言ったら誰も答えられませんと言って、最後、それならしゃあないから委員長に聞こうかと言ったら委員長も答えられませんと言うから、こうやって僕がひとり言を言っているわけですけれども。

 これは、でも、ゆゆしきことやと思うんですよ、その議論がでけへんというのが、内閣委員会で。

 ここはしっかりと、一度、与野党間協議をしっかりやっていただいて、次の国会では、冒頭で、まあ、科技特をなくすというのがまた、委員長ポストが一つ減るから、しかもその委員長ポストが野党ポストだから、なかなかそれがちょっと微妙やなと。野党の皆さんが、日本維新の会以外の野党がどう思うかというのがちょっとあるんですけれども、私はもう廃止してしまったらええと思いますよ、だって、何の議論もされていないですから。それがあることによって平井IT担当大臣は内閣委員会で答弁もできない。

 では、科技特をいっぱいやればいいじゃないかといいますけれども、特別委員会と常設の委員会は全く、多分、僕は違うもんやと思いますので、やはり、常設委員会でそういう質問が、議論を制限されるというのは、それはちょっとあってはならぬことちゃうかなと思っていますので。

 私の質問時間はもう終わっていますか。大丈夫ですか。まだありますか。質問しないですけれども。しないというか、できないんですけれども。

 これは、本当にちょっと、セキュリティーのことについては櫻田さんに聞けるけれども、それを裏づけする技術面のことは担当している平井大臣に聞けないという状況は改善すべきだと思っていますので、ぜひ筆頭間協議で合意をしていただいて、今国会は無理だと思うので、次の国会からはそういった……(発言する者あり)議運マターなんですかね。何か、これはどこで議論したらええのかすらわからないんですよ、実は。だから、よくわからないんですよ。

 どこでどうなってこうなったのかというのをちょっと一度整理していただいて、これは、でも、政治側の都合だけの話ですので、それが整理できたらできるようになると思いますので、よろしくお願いしまして、質問を終わります。

     ――――◇―――――

牧原委員長 次に、内閣提出、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。山本国務大臣。

    ―――――――――――――

 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本国務大臣 ただいま議題となりました国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 近年、小型無人機の急速な普及や機能向上が進展する一方、外国において小型無人機を用いたテロ事案等が発生するなど、その脅威が高まっております。

 本年九月に開催が迫っているラグビーワールドカップ大会並びに来年の東京オリンピック競技大会及び東京パラリンピック競技大会は大規模かつ国家的に重要なスポーツの競技会であり、これらの大会の円滑な準備及び運営の観点から、その安全確保が急務となっております。

 さらに、制定時の附則第二条において、「国は、速やかに、重要な施設に対する上空からの危険の未然の防止の在り方、小型無人機の安全な飛行の確保の在り方等について、小型無人機の多様な分野における利用の促進のための施策をも踏まえ、かつ、小型無人機に関連する技術の進歩を勘案しつつ、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるもの」とされております。

 これらを踏まえ、小型無人機等に係る必要な安全対策について検討を進めた結果、防衛関係施設並びにラグビーワールドカップ大会、東京オリンピック競技大会及び東京パラリンピック競技大会に係る大会関係施設及び関係者の輸送に際して使用される空港について、その周辺地域の上空において小型無人機等の飛行を制限する等の措置を講ずる必要があるとされたところです。

 このような趣旨から、本法律案を今国会に提出することとした次第です。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、防衛大臣が指定する対象防衛関係施設を、その周辺地域の上空において小型無人機等の飛行が禁止される対象施設に追加するとともに、自衛隊の施設を職務上警護する自衛官に、安全の確保のための措置を講ずる権限を付与することとしております。また、これらに伴い、題名を重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律に改めるほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 第二に、平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法について、文部科学大臣が期間を定めて指定する対象大会関係施設及び国土交通大臣が期間を定めて指定する対象空港を、その周辺地域の上空において小型無人機等の飛行が禁止される対象施設とみなし、関係規定を適用するほか所要の規定の整備を行うこととしております。また、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法についても、同様の規定を整備することとしております。

 第三に、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提出する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

牧原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十二日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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