第14号 平成31年4月24日(水曜日)
平成三十一年四月二十四日(水曜日)午前九時二分開議
出席委員
委員長 牧原 秀樹君
理事 平 将明君 理事 谷川 弥一君
理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君
理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君
理事 大島 敦君 理事 岡本 三成君
安藤 裕君 池田 佳隆君
石崎 徹君 泉田 裕彦君
小田原 潔君 大西 宏幸君
岡下 昌平君 金子 俊平君
神谷 昇君 小寺 裕雄君
杉田 水脈君 高木 啓君
中山 展宏君 長尾 敬君
西田 昭二君 百武 公親君
本田 太郎君 松野 博一君
松本 洋平君 三谷 英弘君
今井 雅人君 大河原雅子君
岡本あき子君 近藤 昭一君
篠原 豪君 高井 崇志君
高木錬太郎君 中谷 一馬君
初鹿 明博君 山尾志桜里君
後藤 祐一君 森田 俊和君
山岡 達丸君 太田 昌孝君
佐藤 茂樹君 塩川 鉄也君
浦野 靖人君
…………………………………
国務大臣
(マイナンバー制度担当) 石田 真敏君
国務大臣
(情報通信技術(IT)政策担当) 平井 卓也君
国務大臣 鈴木 俊一君
内閣府副大臣 佐藤ゆかり君
厚生労働副大臣 大口 善徳君
内閣府大臣政務官 長尾 敬君
内閣府大臣政務官 舞立 昇治君
内閣府大臣政務官 安藤 裕君
総務大臣政務官 國重 徹君
外務大臣政務官 辻 清人君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 向井 治紀君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 時澤 忠君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 二宮 清治君
政府参考人
(内閣官房デジタル市場競争評価体制準備室次長) 平井 裕秀君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山内 智生君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 植田 浩君
政府参考人
(人事院事務総局人材局長) 鈴木 英司君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 佐藤 文一君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 米澤 健君
政府参考人
(内閣府規制改革推進室次長) 窪田 修君
政府参考人
(警察庁交通局長) 北村 博文君
政府参考人
(個人情報保護委員会事務局長) 其田 真理君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 宮地 毅君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 佐々木 浩君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 吉開正治郎君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 吉川 浩民君
政府参考人
(総務省自治行政局長) 北崎 秀一君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 大泉 淳一君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 高橋 克彦君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 住澤 整君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 鑓水 洋君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 田畑 一雄君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 山本 麻里君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 伊原 和人君
政府参考人
(厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長) 藤原 朋子君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 島田 勘資君
政府参考人
(国土交通省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 大野 秀敏君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 寺田 吉道君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 福田 守雄君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 榊 真一君
政府参考人
(国土交通省航空局交通管制部長) 飯嶋 康弘君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 鳥居 敏男君
政府参考人
(防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 小波 功君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 深澤 雅貴君
政府参考人
(防衛省地方協力局長) 中村 吉利君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
―――――――――――――
委員の異動
四月二十三日
辞任 補欠選任
加藤 鮎子君 本田 太郎君
同月二十四日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 小田原 潔君
本田 太郎君 百武 公親君
今井 雅人君 高井 崇志君
近藤 昭一君 中谷 一馬君
初鹿 明博君 高木錬太郎君
森田 俊和君 後藤 祐一君
同日
辞任 補欠選任
小田原 潔君 石崎 徹君
百武 公親君 本田 太郎君
高井 崇志君 今井 雅人君
高木錬太郎君 初鹿 明博君
中谷 一馬君 近藤 昭一君
後藤 祐一君 森田 俊和君
同日
辞任 補欠選任
石崎 徹君 池田 佳隆君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件(行政のデジタル化)
――――◇―――――
○牧原委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、特に行政のデジタル化について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官時澤忠君、内閣官房内閣審議官二宮清治君、内閣官房内閣審議官山内智生君、内閣官房デジタル市場競争評価体制準備室次長平井裕秀君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官植田浩君、人事院事務総局人材局長鈴木英司君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、内閣府大臣官房審議官佐藤文一君、内閣府大臣官房審議官米澤健君、内閣府規制改革推進室次長窪田修君、警察庁交通局長北村博文君、個人情報保護委員会事務局長其田真理君、総務省大臣官房総括審議官宮地毅君、総務省大臣官房地域力創造審議官佐々木浩君、総務省大臣官房審議官吉開正治郎君、総務省大臣官房審議官吉川浩民君、総務省自治行政局長北崎秀一君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、外務省大臣官房審議官高橋克彦君、財務省大臣官房審議官住澤整君、財務省大臣官房審議官鑓水洋君、厚生労働省大臣官房審議官田畑一雄君、厚生労働省大臣官房審議官山本麻里君、厚生労働省大臣官房審議官伊原和人君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君、国土交通省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官大野秀敏君、国土交通省大臣官房審議官寺田吉道君、国土交通省大臣官房審議官福田守雄君、国土交通省道路局次長榊真一君、国土交通省航空局交通管制部長飯嶋康弘君、環境省大臣官房審議官鳥居敏男君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛省大臣官房審議官深澤雅貴君、防衛省地方協力局長中村吉利君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本三成君。
○岡本(三)委員 皆様、おはようございます。公明党、岡本三成です。
きょうは、質疑の時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。
本日とともに今週の金曜日にもデジタル手続法に関する質疑がある予定だというふうに伺っておりまして、金曜日にも私、質疑に立たせていただく予定でおりますので、本日は、デジタル手続法に関する質問は大枠というかビッグピクチャー、頭出しの質問をさせていただきまして、主にはサイバーセキュリティーに関する質問をさせていただければと思います。
まず初めに、デジタル手続法に関しまして平井大臣にお伺いをしたいんですけれども。
行政サービスを一〇〇%デジタル化するという大きな目標を掲げていらっしゃいますが、昨年の六月に閣議決定した世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画の中で、行政のあらゆるサービスを最初から最後までデジタルで完成させる、行政サービスの一〇〇%デジタル化をうたっていらっしゃいます。
時間、手間、コストの削減を実現して、サービスの提供そして利用者のサービスの利便性向上両方に効率化が図られるすばらしい目標だとは思いますが、まず初めに、全体像を具体的に確認をしたいんですが、今回デジタル化を目標としている手続の種類、さまざまな手続が行政機関と利用者の間でなされていると思いますけれども、そのデジタル化をする目標にしている手続の種類は何種類あるのか。
その種類の中で、具体的に、デジタル化よりは対面の方がより効率性が高いというものもあるというふうに思っておりまして、その一部に関しては例外も設けるというふうなことが発表されておりますが、全体の種類の中で例外とする予定の種類というのは何種類ぐらいあるのか。
また、一〇〇%のデジタル化、大きな目標ですばらしいと思うんですけれども、最後の一つ残らずやるとなると大変なことだと思うんですが、一〇〇%達成するめど、ターゲットはいつに置いていらっしゃるのか、初めに御質問させていただきたいと思います。
○平井国務大臣 質問ありがとうございます。
まず、行政手続の種類でございますが、法令に基づく行政手続は約六万種類です。年間約数十億件あり、そのうち年間件数が一万件以上である約五千種類の手続が、実は全体の年間件数の九九%を占めているということです。このうち、本法案によりオンライン化が義務づけられる国の手続は約千三百種類あり、全体の年間件数の約半数を占めており、これらについて可能な限りオンライン化を図っていこうというふうに考えています。
オンライン化に当たっては、利用者の多い手続から優先的に進めていくべきであるというのは当然のことですが、本法案の情報システム整備計画において、システム整備に係る費用対効果も勘案しながら、オンライン申請の開始時期等を定めて、計画的に取り組んでいくつもりです。
一〇〇%デジタル化という言葉なんですけれども、結局、国民の利便性が高くて、国民側から見て、要するにこれはデジタルで非常にうれしいと思うものから優先的にやっていく。場合によっては、この一〇〇%というのは、時代の変化に伴って、もしその手続、本当に必要なのかというようなものは手続の廃止も含めて検討していくということなので、国民の側から見てデジタルで便利で利便性の向上を感じるものは一〇〇%できるだけ早くデジタル化していきたいということでございます。
そういう意味で、手続の数は多いんですが、やはり身近な手続で何度も国民がその手続をしなきゃいけないところ、そこでまずデジタルの利便性というものを感じてもらって、そういう共感があって、この政策を更に後押ししてくれるものだと考えております。
○岡本(三)委員 ありがとうございます。
何と、種類は六万種類もあるそうです。ただ、今大臣御答弁いただいたように、優先順位をしっかりつけて、種類はあるけれども、その手続の利用者の数、利用件数が少ないものに関してはデジタル化のターゲットにしないし。
ですから、今御答弁の中では、このうち約五千をデジタル化すれば、九九%のユーザーベースでのデジタル化が達成できる。そのうち千三百種類をデジタル化することができれば、全体の、ユーザー目線で見たときの約半数がデジタル化できるということですので、今御答弁いただいたように、優先順位をつけながら御対応いただくことが重要だと認識します。
加えて、五千種類、その中で特に約半数を占める千三百でも、普通の感覚からいいますと、仮に千三百を目標の種類としますと、千を達成するまでに使った時間と同じ時間を使ってあと幾つデジタル化できるかというと多分千百とか千二百ぐらいな気がするんですね。分散の一番最後のところまでやろうとなると多分膨大な時間がかかるのではないかなというふうに思いますので、費用対効果を考えた上で、今まさしく御答弁いただいた、目的はデジタル化をすることではなくてデジタル化によって利用者の利便性が向上するということですので、費用対効果をベースに考えたお取組をいただくということが御答弁のとおり重要だと思います。
その上で、よくこれは今回の法案の中で民間でも話題になっていることですけれども、義務化になっているのは国の行政機関だけでして、地方自治体に関してはあくまでも努力義務になっております。国の行政機関にさまざまな手続をするのは、一般論でざっくり言いますと企業であったり法人であったり団体でありますので、手続に対するなれもあると思いますし、準備をするだけの陣容も比較的多いのかもしれませんけれども、個人の方々が行政サービスを受けるために手続をするときに行く先というのは多くは地方自治体の行政機関でありまして、ここの行政サービスのデジタル化が進まないと、一般的な方からごらんになった、いわゆる市民目線、住民目線で見たときの利便性の向上には全くつながらないわけであります。その意味で、どのように地方自治体にインセンティブを与え、メリットを共有していただき、デジタル化に対して取り組んでいただくというのは重要だと思うんですが。
今、政府の中でとっております統計を見ますと、自治体の中で行政のデジタル対応ができている自治体、都道府県と、できていない都道府県というのを数字であらわしていらっしゃいまして、胸を張って、例えば二つの県、鹿児島県と富山県は一〇〇%達成していますというふうにおっしゃるんですが、それは何かというと、それぞれの都道府県の中でたった一つでも手続をデジタル化をしていると、達成している県になっているんですね。
ただ、今、国であっても六万種類あるわけですから、デジタル化をしている一つの脇にはデジタル化されていないその何倍、何十倍、何百倍もの手続があるわけで、目線をそんな下げずに、自治体の方が取り組む目線も高い目線にしていただきながら、企業の方、団体の方が国の行政機関に対してサービスの向上、利便性を実感できるように、地域住民の方が御自分の行政に対するサービスの請求をデジタル化することによって実生活の中で実感していただけるような、そういう国づくりをしていきたいと思っているんですが。
地方自治体が義務ではなく努力義務だということにおいて、政府が地方自治体に対してデジタル化を実現するための取組、情報の共有、インセンティブをどういうふうに考えていらっしゃるか、御答弁いただければと思います。
○平井国務大臣 私も先生と全く同じ問題意識を持っておりまして、やはり基礎自治体、特に。一番、住民といいますか国民にとっていろいろな手続をやっていただくことになります。ですから、住民と直接接する機会が多い地方公共団体のオンライン化というのは非常に重要だと思います。
また同時に、地方自治体に義務化はしていませんが、進んでいるところもあるし、そういうのはやはり、自治体職員のITに取り組む姿勢とかそういう人材がいるとか、ばらついていることは間違いないんですね。我々としては、先行する自治体をどんどんサポートしていって、その成果を広くいろいろな自治体で共有できるようにできたらいいなというふうに考えています。
ですから、それぞれの事情や能力を踏まえて、それぞれのスピード感を持って計画的にデジタル化を進めていけるようなインセンティブとしては、自治体クラウドの導入に対する交付税措置、自治体システムの共同利用化に対する補助金の交付等々を今やっています。今後とも、積極的に取り組む地方公共団体を厚く支援していこうというふうに思っています。
それと、自治体ごとにばらばらにやるのではなくて、自治体クラウドというのはできるだけ一緒にということですけれども、場合によっては都道府県レベルにおいてももっと広域で取り組んでいただいてということもあると思います。
いろいろなシステムに対する考え方もここ数年で大きく変わってきて、大体クラウド・バイ・デフォルトになってきたんですね。それはかつてはなかった考え方ですが、世界のいろいろな事例を見ても、その方が利便性が高くコストが安いというようなこともあるので、これも新しいいろいろなテクノロジーやシステムの考え方を自治体でも実現できるように国としても全面的に協力をしていきたい、そのように思っております。
○岡本(三)委員 ありがとうございます。
続きまして、サイバーセキュリティー問題について質問させてください。
近年、世界的なデジタル化の進展に伴いましてサイバー攻撃が日常的に起きて、我が国でも公的機関や企業が大きな被害を受けています。物と物がネットでつながるIoTの時代に入りまして、車の自動運転、AI技術が加速的に広がる中で、このサイバー攻撃をどう防ぐかが極めて重要です。
幾つかSF映画みたいな、現実に起きたことを共有させていただきたいと思うんですけれども。
アメリカのセキュリティー研究会社で、研究者の二人。ハッカーの中でもいいことをするハッカーをホワイトハッカーと呼ぶみたいですが、この中でもトップクオリティーの方々をトップガンと呼ぶそうです。昔の映画の「トップガン」ではなくて、今はトップガンというとホワイトハッカーのトップクオリティーの方みたいですが。このトップガンの二人が三年ほど前に、アメリカの三大自動車会社の一つの車で、ネットにつながって自動運転の試験をしている、その車に一人が乗って運転をして、もう一人が遠隔操作でこの車をハッキングしようとしたんですね。映像も出ています。
そうすると、その車のスピードを遠隔操作でハッキングした人が変えたりワイパーを動かしたり、いわゆる自動運転をオーバーライドしてハッキングすることが実際にできてしまって、それを自動車会社にデータを持ち込んで、自動車会社はそのトップガンの方々に、ありがとうございました、うちの自動運転、そしてネットにつながるシステムにはふぐあいがありましたということで、その上書きをするシステムを無償で提供したというようなことがありました。実際はもうそういう世界なんですね。
私、議員になる前にアメリカの投資銀行に勤めていまして、同期入社でシステムに入った人が数年前に転職をしました。転職をした先はアメリカの国防省です。何をやっているかというと、二十四時間、「24」というアメリカのドラマをごらんになったことはありましたでしょうか。主役はジャック・バウアーというんですけれども。
その中では何が行われているかというと、映画ですよ、例えばハッカーのテロリスト集団が飛行機の着陸システムを乗っ取って、着陸システムのうその情報をパイロットに流しながら、空中にいる飛行機を全部人質にとって、実際に着陸を失敗させてテロを起こす。原子力発電所の送電網を全部乗っ取って、送電網を切ってメルトダウンを起こして原子力発電所の被害を地域に振りまく。
最新の映画はどうなっているかというと、アメリカの無人戦闘機が、米軍がNATOに提供しておりまして、グローバルホークを乗っ取りまして、アメリカの無人戦闘機がNATOの旗をつけてロンドンを攻撃するんですね。
それで、国防省に転職した人間は、ザッツ・テクニカリー・ポッシブル、技術的には全く可能だと言うんです。要は、ハードを持っているどうというよりも、サイバーセキュリティーの世界でそれをコントロールできるような悪いやからがいてしまうと、普通の自動車であっても、ソフトターゲットにテロを起こすこともできるし、さまざまなリスクが、残念ながらIoTの世界の中で現実化するようなリスクをはらんでいるということがもう夢物語ではなくなっている現実を考えたときに、サイバー攻撃をどう防ぐかというのは、夢の中の話ではないというふうに思っています。
それで、昨年十二月にサイバーセキュリティ基本法が改正されまして、サイバーセキュリティー施策の一層の推進のために、サイバーセキュリティ協議会という新たな機関の設置が決まりました。ことしの四月一日にこの協議会が法的には発足したことになっておりまして、規約も決定されたというふうに認識しています。
この協議会は、国、地方行政の重要だと認識している十四のインフラ事業者、そして、サイバーセキュリティーの事業者、教育機関等々の方々に参加をしていただきまして、守秘義務を結んでいただいた上で情報を共有して、サイバー攻撃を未然に防止することを目的としているわけですけれども、今後、日本でも大きなイベントがたくさん予定されている中で、現状のこの協議会、まだ実質的にスタートしたということになっていないと思うんですけれども、準備状況がどうなっているか、教えてください。
○山内政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の臨時国会で成立をいたしましたサイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律に基づきまして、今、委員御指摘のサイバーセキュリティ協議会、これは官民の多様な主体から構成をされております。これが組織をされたところでございます。
現時点でございますが、四月の一日から十日まで、第一期の構成員の募集を行いました。現在、構成員の決定に向けて準備を進めております。この構成員を決定次第、速やかに試験的な運用を開始をする予定でございます。
○岡本(三)委員 ちょっと事前に教えていただきましたら、第一期の募集では、百を超える事業者の方々が応募してくださったというふうに伺っているんですけれども、要は、いろいろなところにサイバー攻撃が仕掛けられたときに、その情報を共有しながら未然に防いでいくということですから、十四の重要なインフラを中心とした分野のいろいろな業界の方が参加していただくことが重要だと思っているんですが、百以上、申込みをしていただいた事業者を分野に分けると、十四分野のうち幾つの分野から応募をいただいているんでしょうか。
○山内政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました第一期の構成員の募集を行ったところ、応募がございました重要インフラ事業者の方々、まず、主たる事業者で分類をいたしますと九分野ですが、一部、複数の分野にまたがる方がいらっしゃいます。この方を勘定に入れて、十分野から応募がございました。
逆に、十四分野の中で、航空、空港、医療、水道の四分野は、第一期、現時点では応募がございません。
ただ、サイバーセキュリティ協議会につきましては、今後、構成員の追加の募集を行う予定でございます。今年度も二回更に行う予定でございますので、ここの中で順次拡大をしていくことを予定しているところでございます。
○岡本(三)委員 済みません、ちょっと聞こえませんでした。
十分野で、ですから四分野からまだ応募をいただいていないんですが、応募をいただいていない四分野がどの分野か、教えてください。
○山内政府参考人 失礼いたしました。
航空、空港、医療、水道の四分野でございます。
○岡本(三)委員 ありがとうございます。
今、まだ応募をいただいていない航空、空港、医療、水道は、テロターゲットとしては格好の場所なんですよね。ですから、こういう方々にも十分に情報を共有していただくようこの協議会に入っていただきたいんですが、第二期の募集が六月以降に始まるというふうに聞いていますが、応募されていない方々にはそれなりの理由があって、実際にはインセンティブが少ないというふうに思っていらっしゃるんではないかなと。
又は、宣伝不足で、まだ応募をいただいていない分野の方々にこういう協議会の重要性等を共有できていないのかというふうにも思いますけれども、残りの四分野の方々も次の第二次の募集のタイミングで確実に応募をしていただけるように、これから六月まで、事前の根回し等が必要だと思いますけれども、どのように対応される御予定か、教えていただければと思います。
○鈴木国務大臣 先ほど政府委員から、この協議会については、今後追加の募集を行って順次拡大をしていく、そういう答弁をさせていただきましたが、私ども、さまざまな機会を捉えまして、まずは、この協議会の趣旨、内容を丁寧に御説明をしていくということが基本だと思ってございます。
重要インフラ十四分野、これは全て入っていただくということが必要であると思いますし、また、十四分野だけではなしに、より多くの主体が協議会に参加をしていただけますように、政府として適切に取り組んでまいりたいと思っております。
○岡本(三)委員 ありがとうございます。
もう一つ、ちょっと観点を変えまして、この協議会と鈴木大臣が所管をしていらっしゃいますインフラ専門調査会との関係について伺いたいんですけれども。
政府のサイバーセキュリティ戦略本部のインフラ専門調査会は、四月十八日に、情報通信や電力など十四分野の重要インフラ事業者の方々のサイバー防衛指針の改定案をまとめたというふうに報道されていました。このサイバーセキュリティ戦略本部のインフラ専門調査会と、今議論になっているサイバーセキュリティ協議会の関係、役割がすごくわかりづらいんです、私は。これはそれぞれトップは官房長官なんです。その下に鈴木大臣がいらっしゃって、協議会は、今議論をしたとおりのことを今後役割として担っていく。
この専門調査会も別枠で走りながら、重要インフラ分野でどういうふうにしたらインフラがとまらないように常に確保できるかということを議論していくということで、一緒にするというのは乱暴でも、この専門調査会の知見等を協議会の中に取り込みながら、よりよいインフラに対するサイバーセキュリティーの防御、体制をしっかりした方が効率的なんじゃないかなというふうに思うんですが、この関係や協力体制について、どういうふうにしていかれるおつもりなんでしょうか。
○山内政府参考人 お答え申し上げます。
サイバーセキュリティ戦略本部の重要インフラ専門調査会、これは、重要インフラ防護に資するサイバーセキュリティーに係る事項について、すぐれた見識を有する方々に委員になっていただいております。この方々によりまして、重要インフラ防護に関する基本的な計画、指針等の作成、いわゆる政策の議論を行う組織でございます。
一方、サイバーセキュリティ協議会に関しましては、先ほど大臣の答弁のところにも出てまいりました、重要インフラ事業者のみならず、行政機関、サイバー関連事業者など、官民の枠を超えた方々、こういう方々を構成員といたしまして、この多様な主体が日々の活動において対策の情報の共有を行う、いわばバーチャルな組織でございます。
今委員の方から御紹介ございましたが、この重要インフラ専門調査会、四月の十八日に会合がございました。この場では協議会についての紹介もさせていただきまして、どのように活用するかという議論もいただいております。
このような形でございますが、役割が異なりますので、それぞれ相互に補完をする形で活動するということを想定をしているところでございます。
○岡本(三)委員 役割が違うこともあるんでしょうけれども、共有できるような情報は共有をしたり、それぞれ有機的に機能できるような運用をぜひお願いしたいと思います。
続きまして、いわゆるサプライチェーンリスク問題についてお伺いしたいというふうに思います。
今回の改定で、災害による障害の発生を防止するために、データ管理のあり方や自前のサーバーへの保存の徹底など、データ管理に関して指針が示されています。一方で、今、米国等で話題になっている、特定の通信会社を名指しをしながら、その回線や端末から情報が漏れるサプライチェーンリスクの対応が世界じゅうで議論になっていますけれども、具体的に日本ではこのことは盛り込まれていません。
確認ですけれども、これから5Gの時代になっていく中で、5G、物すごいことになるんですが、5Gの特徴は三つありまして、一つは、高速で大容量を送れるんですね。例えば、今まで二時間の映画を4Gでダウンロードしようと思ったら五分だったんですが、5Gだったら三秒でダウンロードできます。あと、映像の遅延がないんです。データの遅延というのは十分の一になりますので、例えば、遠隔地で防犯カメラでその瞬間の動きを見て適切に警察に指示を出すとか、遠隔地で手術をやるとかということが可能になってきますし、端末の接続できる数も百倍になります。
ただ、5Gの電波の特徴というのは、すごい高周波数なので、電波が、物すごいボリュームを短時間で飛ばすことはできるんですが、遠くまで飛ばせないんですね。なので、物すごく多くの基地局をつくらなければいけなくて、それに初期投資がかかるので、中国で実績のあるようなある事業会社が割安に提供できるので、その事業会社を使おうというふうな流れが世界じゅうで起きてきて、それに対して、さまざまなリスクがあるということで、アメリカ政府は名指しをして同盟国にもその会社の基地局、サービスを余り使わないようにというふうにプレッシャーをかけています。
日本政府の調達及び重要インフラの事業者として、こういう世界じゅうの動きがある中でどのような対応をされるおつもりかということを、まず全体像としてお伺いしたいと思います。
○鈴木国務大臣 サプライチェーンリスクについて御質問をいただいたところでございますが、我が国の情報システムが情報の窃取、破壊、情報システムの停止等の悪意のある機能が組み込まれるおそれのある機器を使用しないように、サプライチェーンリスクに対応することは重要である、そのように考えております。
そのために、我が国の政府機関のIT調達につきましては、昨年十二月、各府省庁において、特に防御すべきシステムとその調達手順につきまして申合せを行ったところでございます。
この申合せは、総合評価落札方式や企画競争といった、価格面のみならず総合的な評価を行う契約方式を採用することによりまして、政府のIT調達においてサプライチェーンリスクの対策に取り組むものであります。なお、この申合せは、特定の企業や機器、あるいは特定の国を排除することを目的としたものではございません。
今は政府の方のお話をしたわけでありますが、一方、重要インフラ事業者におきましても、サプライチェーンリスク対策に積極的に取り組んでいただくことを期待をいたしております。
重要インフラにおける情報セキュリティ確保に係る安全基準等策定指針におきましても、既にサプライチェーンリスクへの留意を求めているところでありますが、政府調達の運用状況等も踏まえつつ、さらなる対策の必要性について検討を進めることといたしております。
○岡本(三)委員 きょうは総務省の國重政務官、おいでいただいているので、最後に質問させてください。
私も、政府はそういう答弁しかできないと思うんですけれども、アメリカが名指しで注意を払おうとしている中国のある会社がありまして、この会社は、二〇〇六年に日本に進出をして、あるデータサービスを提供して、そのデータサービスの会社を購入したのは、今回、日本政府が事業者として認定した四社のうちの一社がその会社を購入しています。
この一社は、もう既に去年からその中国の会社のサービスを利用しているわけですけれども、私、さまざま、この中国の会社がどうこう思っているということは思っていないんですけれども、実は、何を心配しているかというと、情報活動への協力を定めている国家情報法というものが中国の中にありまして。
それは、中国政府がいろいろな企業に、クラウドされた情報を全部共有しろとか決済情報を共有しろとか、いろいろな情報をデータとして、ビッグデータを筒抜けでとられてしまうようなリスクのある法律のもとで運用されている会社ということにすごく危険性を感じておりまして、もし日本の許可を与えた四つの会社がこういう中国の会社等と資本提携をするようなことがあったときに、今後の政府の方向性というか、戦略というのは変わっていくのかどうか、教えていただきたいと思います。
○國重大臣政務官 個別具体的な仮定の話についてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
その上で、一般論として申し上げれば、総務省は四月十日に四社に対し開設計画の認定を行ったところでありまして、その認定に際しては、各事業者に対して、サプライチェーンリスク対応を含む十分なサイバーセキュリティー対策を講ずることを条件として付したところであります。また、認定を受けた四社に対しては、四半期ごとに開設計画の進捗状況について報告することを義務づけております。
総務省としては、5Gを含む情報通信ネットワークの安全、信頼性を確保することが重要であると考えておりまして、割当て後の取組状況についても注視してまいりたいと考えております。
○岡本(三)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、申し上げたいことは、一つの国とか一つの企業に対して差別的な取扱いをするということでは全くなくて、機器が正常であっても、そのデータを後からどこかの国が企業から吸い上げられるような体制になっているような国との取引に関しては、重要なインフラに関して慎重な対応をお願いしたいということですので、その点をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
以上です。
○牧原委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 岡山から参りました高井でございます。
きょうは、内閣委員会で質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。
平井大臣とは、大臣御就任前から、さまざまな議員連盟や、議員立法も一緒につくらせていただき、二年前の官民データ活用推進基本法、そして先般の国会ではデジタルファースト法案、これは、我々の力不足もあり、きょう牧島先生もおいでで、大変御尽力をいただきましたけれども、時間切れで審議に至らずということでありますけれども、そのエッセンスを盛り込んでいただいた今回のデジタル手続法案ということで、私も、きょう、ぜひ質問に立たせていただきたいと率先して参りました。
きょうは政府参考人がたくさん今並んでおりますけれども、やはりデジタルの分野はいろいろな分野にわたりまして、事前に質問通告のときにいろいろ話を聞くと、なかなかやはり各省庁に任せていては進まないなというのが正直思います。きょうの議論の結論を先に申し上げると、やはりこれは、どこかにしっかりとしたデジタルの組織をつくって、平井大臣がその先頭に立って各省庁をしっかりやる気にさせていただかないと進まないと思っておりますので、ちょっときょうはそういう観点からぜひ御質問してまいりたいと思いますが。
まず、平井大臣に伺いますが、大臣就任以来、平井ピッチというのを精力的にされると。これは三月二十二日の新聞なんですけれども、面談した企業や研究機関は合計八十一に上る、研究者や企業家から吸い上げた現場の声がどう政策に反映されるのか注目されると。
業界では大変前向きな評価を得ているように聞こえますが、平井大臣として、この平井ピッチの成果というか、これまでの取組、それから成果についてお聞かせください。
○平井国務大臣 御質問ありがとうございます。
高井先生とは本当に、世の中のデジタル化にどのように向き合うかということで日ごろから意見交換もさせていただき、官民データ活用推進基本法などでは与野党を超えて議員立法をつくることができて本当によかったと思います。
今、私が担当しているのは、IT、科学技術、宇宙、健康・医療、知財、クールジャパン等なんですが、これをもう全部ひっくるめて、要するに、世の中のデジタル化にどのように対応するかというのが私のミッションです。
この政策のつくり方においてよく考えておかなきゃいけないのは、過去の延長線上ではもう限界がある。よく、未来からのバックキャストとかフューチャープルとかいろいろな言い方をしますけれども、つまり、政策のつくり方さえも変えていかなきゃいけないということがあります。
特に科学技術の分野は、全世界が物すごい競争を始めました。時代は常に変化するんですけれども、変化のスピードも変化するんですね。ここに来て、イノベーション、特に破壊的なイノベーションが起きる確率が上がっているというのは、やはりデジタルというものが社会に浸透したということが理由だと思います。
そこで、こういうときには、役所の現場から段階を踏んで上がってくる情報よりも、直接現場の意見をみんなで共有した方が政策を間違えないだろうということで、ちょっと異例ですけれども、大臣に直接ピッチをしてもらおう、それを担当部局を超えて一緒に聞いて意見交換をしていこうということを半年前に始めました。これが、これからの自分の担務に対する政策立案のエンジンにしたいという思いでございます。
これも、大臣室だけでやっているとやはりこれは間違うと思いまして、地方にも出向きまして、いろいろな方々、特にテーマはAI、IoT、バイオ、量子、宇宙等々の分野について意見交換をさせていただきました。
そして、もう一つ気づいたことは、それぞれの地域の取組はすばらしい、そしてすぐれた研究者もいる、しかし何かが足りないという認識にも至りました。
そこで、我々、これから日本がデジタル化の中で更に競争力を持ちながら若い人たちの潜在能力を解放するためにはどのような環境をつくったらいいのかということで、実は、ついこの間の統合イノベーション戦略会議において、私の今までピッチを積み重ねてきたことを取りまとめた政策、ビヨンド・リミッツ、アンロック・アワ・ポテンシャルと題して、世界に伍するスタートアップエコシステム拠点形成戦略を発表させていただきました。
これはやはり、これから日本がいろいろな社会問題に先行して直面をする中で、そういうことを解決していく、そして次の時代に多くの方々がやはり夢と希望を持てるような環境をつくるためにやらなきゃいけないということで、この話は、し出すとあと三十分しゃべらなきゃいけなくなるので、今はここでとどめておきますが。
つまり、我々が今考えておかなきゃいけないのは、全て、行政手続のデジタル化もそうですけれども、結局、次の世代がそれをどう使うかということを考えたときに、今ある政府をそのままデジタル化していいのか。当然、そこの問題意識を持っておかなきゃいけないと思います。研究開発の分野もそうですし、全ての分野がそうですので、その意味で、今こそ本当にこれからの時代を担っていく若い方々の意見を政策に取り込むタイミングだと思って進めさせていただいております。
○高井委員 ありがとうございます。
本当におっしゃるとおり、ITとか科学技術、イノベーションというのはもういろいろな省庁にまたがる横串機能であり、日本はやはり、私も霞が関の出身だから思うんですけれども、どうしてもやはり縦割りな行政の傾向が強い国でございます。そういう意味では、IT、デジタルというのはなかなか進んでこなかった。
そういった中で、まさに大臣、いろいろな意見を聞いて、これは聞きっ放しでは意味がない。それを実行する。実行するためには、恐らく各省庁の抵抗もあると思います。しかし、そこを突破してくれるのはやはり大臣の力、権限しかないと思っていますので、ぜひそこは期待をしたいと思います。
一方で、今回はデジタル手続、デジタルガバメント、電子政府でございますが、この取組については、私はやはりおくれてしまったと言わざるを得ないと思います。
私、去年エストニアに行ってまいりましたけれども、大臣ももう何度も行かれていると思いますが、もちろん国の規模が全然違うということもありますけれども、やはり見習うべき点は多々ありますし。あと、実は、近くではお隣の韓国ですね。韓国は、実は二〇〇二年に電子政府法という、まさにこれから議論されるデジタル手続法の原型のような法律は二〇〇二年に韓国はもうできていて。
実は二〇〇九年、政権交代があったときに、私も民主党で政権の一員でした。そのときの初代の総務大臣は原口大臣だったんですが、原口大臣のリーダーシップのもとに、二〇〇二年の韓国の電子政府法と同じような、あるいはそれを超える法律をつくろうと試みたんですが、残念ながら原口大臣も一年たたずに大臣をかわることになり、民主党政権、三人総理がかわり、三回大臣もかわっているということでできなかったわけですが、しかしその後も、自民党政権になっても、やはりなかなか遅々として進まなかった。
ようやく今回、この法律が提案されることは私は評価いたしますが、しかし、おくれて来たというのは否めないと思うんですが、その辺の原因を大臣はどのように分析されていますでしょうか。
○平井国務大臣 先生のおっしゃるとおりに、社会全体のデジタル化という話、デジタル化にどう向き合うかという話は、これはもう与野党超えた大きなテーマだと思います。ですから、マイナンバーにしても、今回の手続法にしても、与野党の対立ではなくて、連携の中で生まれてきているものだと私は理解をしています。
そこで、エストニアの例も言っていただきましたけれども、我々、小国ですがエストニアから学ぶ点もたくさんあると思います。そこで考えなきゃいけないというふうに思っているのは、日本という国は、先進国の中での人口サイズ、年齢構成、いろいろ考えると、この国のサイズで一気に電子化を進めている国はほかにはないんですね。エストニアにしても人口百三十万しかありません。ただし、面積は九州ぐらいあるんですよね。同じように、エストニアが電子政府に踏み切ったときも、高齢化と人口減少と、広い国土にどのように行政の利便性を届けるかというような問題意識だったと聞いております。
そういうことを考えたときに、日本の場合は、地方自治の本旨というものも重視しながらそれぞれ電子政府というものを進める中で、一気にトップダウンでやり切るというようなことがなかなか難しいのは委員も一番御存じのところだと思います。
それと、もう一つは、デジタル化のメリットというものを国民が感じる飛び抜けた例というものがまだないんですよね。そこらあたりが、デジタル化というものが国民の中で大きな期待を生んでいる状況になっていないということだと思います。
今回、法律で出していただいている意味が一番大きいのは、原則をデジタルにしましょう、その手続も変えていきましょうということですが、オセロのようにぽんと全部が変わるというふうな政策体系では日本はないので、ここはもう本当に丁寧に、一番いいところからちゃんと国民に実現して見せていかなければならないというふうに思います。
ただし、日本がこれをやり切ると、先進国の中で、本人確認も、マイナンバーカードがちゃんと浸透すれば一番安全で、安心で、高齢者に優しいデジタルガバメントを実現する可能性もあるので、これからが一番大事だと考えています。
我々考えているのは、次の時代の方々がすばらしい時代を迎えられるようにということと、デジタルの恩恵を全ての国民が享受できるためにはどうするか。これはもう与野党を超えて取り組んでいく問題だと思います。それをやり切れば、電子政府というか、デジタルガバメントがおくれているという問題を超えて、世界の中のトップランナーになれる可能性は十分にあると思っております。
○高井委員 何度か与野党を超えてという御発言がありましたが、全く私も同感でございまして、これは閣法ですからなかなか野党の意見をというのは難しかったかと思いますけれども、ただ、その前のデジタルファースト法案、議員立法はまさに与野党で一緒につくらせていただいた。そのエッセンスがこの法律の中にも盛り込まれているということでございますので、本当にこの分野はぜひ与野党しっかり連携して取り組んでいきたいと私は思っております。
そういう中で、これから政府参考人の皆さんにいろいろな分野を聞きますけれども、ぜひ大臣にも聞いていただいて、通告していませんけれども、大臣にもちょっと感想など、あるいは、大臣、ぜひこれをやってくださいよとお聞きするかもしれませんが、御理解いただきたいと思いますが。
大臣の思いとは裏腹に、なかなか各分野に行くと進んでいないというのも実態なので、これからは具体的にその話をしていきたいと思います。
まず、まさに一緒につくった官民データ活用推進基本法。
議員立法でつくりましたが、これは計画を、国は義務、それから地方自治体は努力義務なんですけれども、つくるということになっておりますが、その基本計画の策定状況はどのような状況でしょうか。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
議員立法により成立いたしました官民データ活用基本法に基づきまして、議員御指摘のとおり、都道府県は義務、市町村は努力義務とされております計画でございますが、この四月一日現在で、都道府県につきましては二十二団体、市町村につきましては七十四団体が計画の策定を終えております。
なお、二〇二〇年度末までに全ての都道府県において計画の策定を終える見込みとなっているものでございます。
○高井委員 都道府県は義務ということなんだそうですけれども、市町村はどうなんですかね。今後の見通しみたいなものはあるんでしょうか。
○時澤政府参考人 市町村にもアンケートをとっておりますけれども、現在のところ、計画策定の予定というのが例えば二〇一九年度中にというのが百四十七、あるいは二〇二〇年度中というのが百八十六ということで、まだまだ少ない状況でございますので、私どもといたしましては、市町村計画がまず都道府県の計画を勘案してということになっております。
したがいまして、都道府県が終わればそれをもとに市町村にも計画策定、都道府県にも協力していただいて策定を促していく、あるいは、私ども手引というものをつくっておりますので、そういったものも活用していただくということを更に徹底しながら取り組んでいって、市町村にもぜひ策定していただきたいというふうに思っております。
○高井委員 大臣、お聞きのとおりでございまして、なかなか、一緒につくった法律なわけですけれども、現状は芳しくありませんので、もう見解は求めませんけれども、ぜひ指導力を発揮して、お願いしたいと思います。
それでは関連して。
今回の法案にも情報システムを国、地方自治体が整備するということがありますけれども、コスト削減を私はずっとこれまでも訴えてまいりました。国、地方それぞれ相当なコストダウンが図れるんじゃないかと。国についてはもう計画がきちんとあります。ですから、この計画に基づいた現時点の進捗状況というか、実際の削減額をお聞きしたいと思います。
それから、これは何か目標なのかよくわからない曖昧な状態なんですけれども、地方自治体についてもそういったコスト削減の見通しというのはどのような状況なのか。
それぞれお聞きいたします。
○時澤政府参考人 政府の情報システムの運用コストでございます。
二〇一三年度、平成二十五年度におけます約四千億円を基準といたしまして、二〇二一年度、三割減という目標がございます。現時点におきまして、二一・九%、一千百十八億円の削減を見込んでいるところでございます。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
地方公共団体の情報システムについてですが、総務省では、情報システムに係るコストの削減効果が期待される地方公共団体におけるクラウドの導入を進めてきているところでございます。その導入団体数は着実に増加してきており、平成三十年四月現在では千団体余りの地方公共団体がクラウドサービスを利用し、基幹系業務を処理しているところでございます。
地方公共団体の情報システムに要するコストについては、総務省においては、昨年度、市区町村における情報システム経費に関する調査を新たに実施し、その結果を公表したところでございます。こうした調査を継続し、その結果を公表することにより、更に地方公共団体の情報システム関連コストの効率化を促してまいりたいと考えております。
○高井委員 その新たにやった調査の結果は何億で、これは何割削減とかいう目標はなかったでしたか。努力目標かもしれませんけれども。その目標も教えてください。
○佐々木政府参考人 今回新たに実施した調査ですが、平成二十九年度当初予算における全市区町村の情報システムの経費は四千七百八十六億円でございます。さまざまな分析をしているところでございますが、これを経年的に見ていかないと出ませんので、まずはその状況を把握する必要があるのかなと考えております。
地方公共団体はそれぞれのシステムが、大型計算機処理によるものとか、クラウドとかが見られております。運用コストという定義も難しくございます。運用コストだけで考えれば、クラウドサービスの方が見かけ上は高くなるという形になってしまいますので、その辺も含めてこれからやはり調査分析し、その中身を見ていくことが必要だと現時点では考えているところでございます。
○高井委員 私の記憶だと、地方も三割を、これは目標ではないけれども何か努力するみたいな、国も三割。先ほど国は二一・九%で千百十八億円と。まあ、千百十八億円のコスト削減は相当大きいですよね。これだけのコスト削減をできたらいろいろな政策ができますから。地方は今四千七百八十六億円と更に規模も大きいわけですから、私は地方の方が更にコストカットできるんじゃないかなと。
というのは、地方というのは、ベンダーロックインと言われますけれども、それぞれのベンダーが入っていて、あるいはクラウド化していない、共通化していないことによって重複もかなりあって、地方自治なのでそれぞれの首長さんの判断もあるからなかなか政府が強く言えないというのもわかりますけれども。
しかし、これだけのコスト削減が理屈上はできるわけですから、今総務省がお答えになりましたけれども、平井大臣もぜひリーダーシップを発揮していただいて。まさにこういうのがそれぞれの省庁がやっていることによって進まない一つの例かと思いますので、ぜひそこは取り組んでいただきたいと思います。
それでは、また更に具体的な話になりますが、今回のデジタル手続法、実は我々が与野党でつくってきたデジタルファースト法案とちょっと違う点がありまして、それはSNSを活用するということを議員立法のときは入れたんですけれども、この法律は基本的にはSNSは前提じゃないというふうに聞きました。
しかし、もう今、SNS、若い、特に二十代は、総務省の調査だと、ホームページ、ウエブを見る人は時間にすると三十六分だけれども、SNSは六十分見るということだそうです。もう圧倒的に若い人たちはSNSを活用するわけですけれども、例えば、千葉県の市川市では、SNSの大手のLINEでありますけれども、LINEでもう住民票をとる手続というのが全部できるそうです。
マイナンバーの普及率は今一三%ぐらいですよね。だけれども、このLINEは、七六%が、もうみんな使っているということで、もうやはり、LINEを始めとするSNSを活用すれば利便性が高まるということは明らかなわけですけれども、今回のこの法律ももっとSNSを活用するということを盛り込んでもいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○時澤政府参考人 先ほど、私、運用コストの三割減の御答弁のときに、二一・九%とお答えを申し上げましたが、二九・一%の誤りでございます。おわびして訂正させていただきたいと思います。
お尋ねのありましたSNSの活用でございます。
デジタルガバメントの目指すところは、国民や企業の利便性向上に重点を置いた上で、行政のあり方そのものをデジタルの前提で見直しをしまして、利用者中心の行政サービス改革を実現するというものでございます。
こうした利用者目線という観点に立ちますれば、多数の国民の方々がなれ親しんでおりますSNSを業務の特性等に応じてインターフェースとして活用することは、選択肢の一つになり得るというふうに考えております。
このため、今回提出しておりますデジタル手続法案では、SNSを含めた民間サービスとの連携等を推進するために、政府が作成します情報システム整備計画におきまして、APIの整備に関する事項について定めることとしているところでございます。
○高井委員 APIの項目が入っているということは一つのきっかけというか、いい方向だと思いますので、ぜひ今後のさまざまな運用であるとか、あるいは省令とかに出てくるのかわかりませんけれども、SNSがもう主流だという、ちょっと上の世代、私ぐらいでもなかなか実感しづらいんですけれども、やはり若い人と話をすると明らかにそうなっていますし、これからどんどんそういう時代になってくると思いますので、そこはぜひ意識をしていただきたいと思います。
あわせて、SNSの関連でいいますと、マイナポータルというのが、今マイナンバーの関係で、それぞれの利用者が自分の情報をいろいろ見られるというものがありますけれども、これは実は高市総務大臣のときに、マイナポータルをLINEでつくるという取組が始まっています。
これも、実際、利用状況を見ると六割がこのマイナポータルLINEという、SNSを活用したものになっているそうなんですが、ところが、実態を聞くと、これはワンスオンリーになっていないというんですね。つまり、今回の法案でワンスオンリーが大きなテーマですけれども、アクセスするたびに郵便番号を入れたり関心事項を入れたりということを毎回毎回やらなきゃいけない。これは、まさに今回の法案と同じようにワンスオンリー化すべきじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナポータルは、平成二十九年十一月にLINE、平成三十年十一月にマイデイズと連携を行いまして、子育て分野を中心に国民が必要な行政手続をSNSでも検索可能としておりまして、また、検索した手続を申請する場合には、SNSからマイナポータルの画面にジャンプして電子申請が可能となっております。
御指摘のとおり、以前は、電子申請を行う際、申請者情報入力の画面におきまして氏名、住所等を入力し、更に申請情報の入力画面におきまして改めて氏名及び住所等を入力する必要があったことから、平成二十九年十月に、マイナンバーカードの機能を用いまして申請者情報の入力画面に氏名及び住所等の自動入力を可能とする改善、平成三十年十月に、子育て分野の二手続におきまして申請者情報の入力画面に氏名及び住所等を自動入力する改善をそれぞれ行っております。
お恥ずかしい限りではございますけれども、更にワンスオンリーといいますか、できるだけ入力項目を減らすように努力してまいりたいというふうに思います。
○高井委員 恐らく私が指摘して初めて向井審議官も知ったんじゃないかと思いますので、ぜひこういったことにも気を配っていただきたいと思います。
それから、もう一つSNSの関係でいいますと、電話とかメールの相談というのを各役所やっていますけれども、これも進んでいる。例えば文科省はいじめの相談とか、厚労省は自殺の相談とか、あと東京都が児童虐待の相談なんかをもうSNSで受け付けているそうですけれども、これは何とメールや電話の二十六倍、全国平均で、相談はSNSからの方が圧倒的に多いそうでございます。
そういう意味では、ぜひこれはもう全省庁あるいはもう全自治体というか各自治体も、今、自治体だと三十自治体ぐらいがSNSの窓口を設けているということなんですけれども、これはぜひ全省、全自治体的にやるべきと考えますけれども、いかがでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、今の若い人たちというのは、隣に座っていてもSNSでやりとりしているというふうなこともあるぐらい、SNSを非常に活用されている。一方で、役所の手続というのは、対面が要るとか、特に子育て系については対面が要るとか、対面ということをよく現場では言うこともございます。
ただ、例えば虐待とかそういう場面におきましては実情を知ることが大事なので、やはり実情を知るには、本音がしゃべれるSNSというのは十分効果があるものだというふうに思っております。
したがいまして、SNSを使うことによって対面以上に効果が発揮できるようなこともあるということを踏まえつつ、全体としまして行政手続あるいは行政相談等に広げていく必要があるのではないかと考えておりまして、大臣とともに進めてまいりたいというふうに思います。
○高井委員 ぜひお願いいたしたいと思います。
それでは、今度、厚生労働省に来ていただいていますけれども。
実は、スマートフォンで、母子手帳のかわりになる電子母子手帳とか母子手帳アプリというのが今あります。結構普及していて、自治体の中でも四分の一ぐらいの自治体の方が何らかの形でこれを取り入れているということなんですが、これもまさに、最近のお母さん、若い世代は、スマートフォンをみんな使うわけですね。
そういった中で、もちろん、紙の母子手帳の必要性もわかりますけれども、ただ、メリットが幾つかあるんですね。
例えば、やはりリアルタイムでいろいろな情報を更新できますから。また、自治体とお母さんのいろいろな情報交換のやりとりに使えるというメリットがあります。
それから、実は、予防接種の事故というのが年間六千件ぐらいあるそうなんですけれども、予防接種なんかは、予防接種を受けたという情報が医療機関から自治体に届くまでタイムラグがあって、最短でも二カ月ぐらいかかるというんですね。その二カ月ぐらいかかる間にいろいろな事故が、予防接種をまた重ねて受けてしまったりとか、そういったこともある。
あるいは、妊婦健診とか乳幼児健診などの記録なんかもデジタルデータでずっと残りますので、何かなくしてしまったとか、あるいは災害とかでなってしまったなんてことにおいても、ちゃんとクラウド上にデータが保管されますので、私は大変いい取組だというふうに思うわけですが、なかなか、やはり自治体によっては、いやいや、紙じゃなきゃだめなんだとかたくななところもあると聞いておりますので。
ぜひ、このあたりは厚生労働省から、その有用性をもっと広めるなり、あるいは法的な支援も何かできる、あるいは公的な位置づけ、もう紙と同等の位置づけなんだというようにするとか、いろいろな工夫があるんじゃないかと思いますが、そのあたり、厚生労働省としてはいかがでしょう。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
母子健康手帳の電子化についてのお尋ねでございました。
さまざまな取組の現状を委員から今御紹介をいただいたところでございますが、民間企業において、御指摘のとおり、さまざまなサービスが提供されている、また、一部の自治体においては、これを取組として活用されているというところがあるというふうに聞いております。
具体的には、保護者の方が、母子保健の情報ですとか、御自分のお子さんの体重ですとか、成長の記録ですとか、そういったものを自分で入力するアプリですとか、あるいは、逆に市町村の側から子育て支援の情報とか予防接種の情報などをプッシュ型で通知をするような、そういうふうなアプリが一部の自治体では導入されているというふうに聞いております。
厚生労働省といたしましては、生涯を通じた健康管理や、あるいは災害等で母子手帳をなくしてしまった場合にも確認ができるといったことを可能にするといった観点から、母子健康手帳の項目のうち、妊婦健診とか乳幼児健診の情報については電子的記録閲覧を可能にする方法をこれまで検討してまいりました。
子供時代に受ける健診や予防接種の個人健康情報歴を一元的に確認できる仕組み、これは非常に個人の健康管理の観点から重要であるというふうに考えておりまして、こういった健診等の情報については、二〇二〇年度から、マイナンバー制度を活用いたしまして、マイナポータルを通じてみずからの端末で閲覧できるというふうなことができるように、現在準備を進めているところでございます。
引き続き、子供時代を通じた適切な健康管理に資するよう、電子的情報データの管理、活用の環境整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
○高井委員 厚生労働省とそれから自治体、やはりデジタル化、IT化という二つのハードルがあると思うんですね。まず平井大臣なり内閣官房なりがやろうと思っても、なかなか各省庁がまずは動かない。そして、更に自治体なんですね。自治体に行くと、いやいや、紙じゃないとだめなんだというずっとこだわりを持たれる課長さんとかがいて、あるいは首長さんがいて、なかなかやはり進まない。
そこはぜひ厚生労働省も、やはり何らかの、推奨するとかそういうアクションがないとなかなか自治体は取り組まないというのが本当に現場の実態です。それはもう平井大臣もよくおわかりじゃないかと思いますので、ぜひ、厚生労働省にもちろんお願いしたいんですけれども、平井大臣、あるいはITの担当の部署、後で取り上げたいと思いますけれども、私もITの部署をもっとやはり強化しなきゃいけないと。デジタル省なんというのを経団連は提唱していますけれども、私はそのくらいの必要があると思っていますので、ぜひ、そういった観点から、大臣のリーダーシップをお願いしたいと思います。
続いて、似たような話でもう一問。
今度はシェアリングエコノミー。ちょっときょうの議題から外れるかもしれませんけれども、これは以前大臣にも一度科学技術・イノベーション特別委員会でお聞きをしたことがあるので、これは後でまた大臣にもぜひ御答弁いただきたいと思うんですが。
済みません、マイナンバーの話を飛ばしました。大分時間が押してきまして、大臣がかなり熱弁を振るっていただいたので時間が押してまいりましたので、先にシェアリングエコノミーのことを聞きたいと思うんですが、具体例を出しますけれども、同じようなことがシェアリングエコノミーでは起こるんですね。
これは動物愛護法の話なんです。
ペットシッター、ペットを預かるというのを、ネット上で、やりますよという人と預かってほしいという人をマッチングするというサービスをやっている会社があります。これは、実はベビーシッターもあるんですね。ベビーシッターもそういう会社があって、ベビーシッターは別に何の規制もないんですよ。
シェアリングエコノミーを提供するサービスが、これは民泊とかでもそうですけれども、ちゃんと利用者が採点する仕組みがあって、悪質な人は排除していくというのがある。しかし、ベビーシッターは、昔、殺人事件まで起こったりしたので、そこは厳しくすべきだと思いますけれども、でも今ベビーシッターに何も規制はないんですね。
ところが、このペットシッターについては、今、ペット保管業、ペットホテルと同じに、登録を受けなさいというような指導が都道府県や自治体で行われている。それはもうまさに法律の条文をしゃくし定規に読めばそういうことかもしれませんけれども。
しかし、そんなことをしていたら、シェアリングエコノミーなんてどの分野だって進みません。では法律を変えればいいじゃないかと。今回も、動物愛護法、牧原さんのリーダーシップで改正するんですけれども、しかし、わざわざ法改正するほどのことかと思うわけです。
ですから、そういったことは私は運用で幾らでもできるんじゃないかと思いますが、これは環境省、いかがですか。
○鳥居政府参考人 お答え申し上げます。
シェアリングエコノミーに関しましては、経済活動の新たな選択肢として生活を豊かにするものとともに、環境面での効果も期待できるものと認識しております。昨年四月に閣議決定されました第五次環境基本計画においても、これを促進していくこととしておるところでございます。
一方、動物愛護管理法においては、営利を目的に継続、反復して不特定の者を対象として動物の販売、保管などを行う者に対し、都道府県知事等の登録を受けることを義務づけておりまして、登録事業者は、動物の健康や安全の保持等を図るため、動物の飼養、管理方法等に関する基準を遵守しなければならないこととされております。
このため、これらの動物取扱業の規制緩和につきましては、制度の趣旨を踏まえて慎重な対応を十分検討していく必要があるというふうに考えております。
○高井委員 法律を変えるのは相当日本は大変なんですよね。もちろん変えなきゃいけない法律は変えるんですけれども、私は、シェアリングエコノミーを推進する大臣の立場あるいは内閣官房の立場として、これはもうちょっと環境省と話し合って、何か解決策というか、見つけ出せないものでしょうか。ちょっと内閣官房の見解も。
○向井政府参考人 お答えいたします。
私どもIT室ではシェアリングエコノミーを進めていることは御承知のとおりだと思いますが、今の話は実は私は初めてお聞きしまして、ああ、こういうのがあるのか、なるほどというふうには今思いました。
それで、シェアリング業者がどういうふうになっているのかとか、実態もまだ特に把握しておりませんので、ちょっと勉強させていただきたいというふうに思います。
○高井委員 なかなか審議官までは行かないし、大臣の耳にも入らないと思うので、あえてきょうは時間をとって質問しましたので、大臣、こういうことをやはり一個一個やっていかないと本当にシェアリングエコノミーは進まないと思いますので、ちょっと大臣からも決意を。
○平井国務大臣 私も、ペット愛好家同士の預かりというような、シェアリングエコノミーの事業者のヒアリングをしたことがあります。
納得して預けられる場所、そういうのはなかなか出会えないですよね。そういう方々が出会うということは、本当に両者にとってはすごくいいことなんです。そういうものをマッチングさせていくという機能は、やはり時代の要請であり、シェアリングエコノミーという考え方の一つの機能だと思うので、私は、既存の事業者とそれが大きくぶつかって問題が起きるというふうには個人的には感じません。
したがいまして、安全性やそういうものがちゃんと担保されるのであれば、事業者の自主性に委ねていくべき、基本的な法律体系であるべきだと考えます。
○高井委員 ありがとうございます。
おっしゃるとおりなんです。既存事業者がいる場合は難しいのはわかりますよ。例えばライドシェア。これはもういろいろな議論があってなかなか進まない。あるいは民泊とかもそうですけれども。このケースは、そういう既存業者じゃないんですよね。安全が担保できる措置が法律にこうなっているからというだけなので。それは、本来なら、じゃ法律を変えましょうかという話なんですが、まずは運用でできるのであれば、そちらに委ねたいと思いますので、大臣の指示を受けて、向井審議官、ぜひこれは研究していただきたいと思います。
それでは続いて、今度は組織の問題です。
きょうは、ほかにももっといっぱい来ていただいて、済みません、答弁の機会がない方が出てしまったのは申しわけなく思います、あともう三分ぐらいなので。ほかにもいろいろ聞きたかったんですけれども。
やはり、こういういろいろな省庁、でも、事前のレクで、やはりそれは難しい、できませんということが多いんです。あるいは、いやこれはIT室に答えてもらいたいなと思っても、例えばGAFA、巨大ITの法規制、これは、自民党は法律を出しますと言っているわけですけれども、じゃ、その法律はどこが検討しているかといったら、今、総務省と経産省と公取が三省庁横並びでやっていて、どこが主担当かもわからないとか、それから、これから質問する、組織をつくるということなんですけれども、これも内閣官房の何かの部署で、IT室じゃないんですね。
巨大IT規制のための組織が平井大臣の直下じゃないというあたりが、私はどうもやはり、何かいろいろなところがいろいろやっていて、しかも責任の所在もはっきりしないようなこういう体制が我が国のデジタル化をおくらせている最大の原因だと、まさに今回、この質問通告をしているときに感じましたので、ぜひ、デジタル分野の新組織、これは経団連でも前からデジタル省を提言されていますし、あるいは自民党の岸田政調会長がそういう独立した新しい組織をつくるというふうな発言をしたという新聞記事も読みましたので、これはどういう組織をつくるのか、ちょっと検討状況をお聞かせください。
○平井政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のデジタル省というところのお話の前にあったところの御答弁になるかもしれませんけれども、GAFA等デジタルプラットフォーマーへの対応という点につきましては、御指摘のありました関連三省庁の有識者検討会の中間整理におきまして、府省横断的な政策立案に向けて専門組織をつくるべしといったような必要性を指摘されたことを皮切りにしまして、各方面からこうした御指摘をいただいているところでございます。
このような御指摘を踏まえまして、デジタル市場のルール整備につきましては、二月十三日の未来投資会議におきまして議論を行い、総理から、高い専門的知見が求められるとともに、加速度的な変化を遂げつつある中で、スピーディーな対応が可能となるよう、縦割り省庁的発想を脱した新しい体制の整備を進めたいという御指示があったところでございます。
こうした御指示を受けまして、新しい体制ということの検討を行うために、関係省庁の協力を得て、内閣官房に、先ほどお話がありました、デジタル市場競争評価体制準備室というのを三月二十九日に立ち上げたところでございます。この夏の目途での体制の立ち上げに向けて具体的な検討を進めているところでございまして、検討を加速化していくところでございますが、必ずしも先生御指摘のデジタル省というところにお答えしたということではなくて、デジタルプラットフォーマーへの、そうした対応のところの組織ということで御理解いただければと思います。
○高井委員 時間が来たので終わりますけれども、まさに、今回のこの巨大ITの法規制は連日新聞に出ていますよね。自民党は何か法案名までつくっているんですけれども、政府でどこが答弁するかもわからない、三省庁どこなんだろうと。準備室もできたばかりでよくわからない。何でわざわざつくるんですかね。
IT総合戦略室がやればいいんじゃないですかね。そのためにその室をつくったのに、また別の室をつくって屋上屋を重ねるのかというふうに思いますので、ぜひ本当に、組織も含めて、IT担当大臣の強力なリーダーシップがないと進まないと思っていますので、きょうは時間になってしまいましたけれども、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○牧原委員長 次に、中谷一馬君。
○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日もよろしくお願い申し上げます。
内閣委員会では初の質問をさせていただきます。私からも、デジタル行政の推進についてという観点からるる伺わせていただきたいと思っております。
少子化が進み、労働人口の減少による生産性の低下並びに医療、介護、福祉、教育などあらゆる分野での担い手不足が容易に想像できる中、デジタル化による効率化、自動化は必要不可欠な取組であります。テクノロジーの進化は、理想を突き詰めれば、人類が労働することなく自動的にあらゆるものの生産とサービスの提供がなされる社会の実現可能性につながり、人々の物心両面における豊かさを得るための一助を担うと考えております。
結果として、一般市民、社会的弱者など、あらゆる人々がその恩恵を受けられる社会をつくることが令和時代を担う政治家に課せられた使命であると私は考えております。
私は、政府・与党と野党は、政策を競い合うライバル同士であったとしても、嫌悪感を持つような対象であるべきではないと考えております。山の登り方は違えど、目標として、日本をよくしたい、国民生活を豊かにしたい、こうした思いは同様であると信じております。
こうした観点から、私は、否定論理ではなく、未来への展望を交えながら、現在政府が進めているデジタル行政の推進について、問題点に対する意見、提言を交えながらるる質問をさせていただきますので、大臣、そして政府参考人におかれましては、真摯かつ明快な御答弁をよろしくお願い申し上げます。
現在政府が進めているデジタル行政の方向性について、私は総論で賛成でありますが、各論でもろもろ課題があり、スピード感や利便性向上、透明性確保、格差対策、ユーザー目線からの乖離、オープンガバメント意識の欠如などに対して疑義がありますので、順次伺ってまいります。
まずは、オープンガバメントを目指したデジタル行政の推進について伺います。
世界では、ウエブを活用して市民からの意見を直接収集し、それらを政策の意思決定に生かしていこうという取組を進める国々があります。
アメリカでは、ホワイトハウスが、市民から政府への請願をより簡易的に広く利用してもらう目的で、WE the PEOPLEというサイトが立ち上がりました。十三歳以上で有効なメールアドレスを保有している者であれば誰でもアカウントを取得できて、提出した請願が三十日以内に十万筆の署名を集められた場合、政府は必ずその回答を返信することとなっており、検討した結果がWE the PEOPLE上に公開されるという仕組みになっております。
また、私もPnikaというオープン・イノベーション・プラットフォームをつくる団体の方々から教えていただいたのですが、台湾では、政府がJoinというプラットフォームを採用し、政府への提案や質問に対して、五千票以上集めると、管轄省庁がアクションし、回答する義務が発生するというサイトを運営しております。資料を配付しておりますのでぜひごらんをいただければと思いますが、このサイトでは、政策のモニタリング機能も搭載されており、設定されたKPIの進捗を公開し、達成度合いを確認できるというものです。
私は、こうしたウエブを活用したオープンプラットフォームを構築し、政策実行の透明性を確保するとともに、国民の意見に真摯に向き合い対話をしていくという姿勢は特に現政権には求められているように感じますので、WE the PEOPLE、Joinのような、国民からの請願、質問を受け付けて政府がそれに返答し、その後の達成度合いなど、政策のKPI進捗をモニタリングできるなどのウエブサービスをデジタル行政の一環として推進し、国民とのコミュニケーションを積極的に図っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。平井大臣の所見を伺います。
○平井国務大臣 委員と私は非常に感覚的に世の中の捉え方がよく似ているなというふうにお話を聞いておったわけですが、請願の受け付けとかそういうのは直接私が担当しているわけじゃないんですが、もしそういうものをもっとオープンなIT技術を使ってやれという政策決定があれば、それはいろいろな方法があるなというふうに思っています。
ですから、WE the PEOPLEとかJoinとか、こういうものも非常によくできているなというふうに思いますし、もしそのような方向が決まれば、もっといいものをつくる必要があるなと感じました。
あと、地方自治体でもいろいろなところがありますが、例えば千葉市のちばレポなんかは、市民が写真を撮ってすぐ上げてそれに動くとか、いろいろなやり方、オープンガバメント、また政策決定のやり方があるというふうに思いますし、エストニアでは、政策手法の一つとして、ピッチ・ツー・ザ・ミニストリー、ミニスターじゃないですよ、ミニストリーというのがあるんです。
ですから、直接住民の意見を政府が聞くというようなこともやっているところもあり、やはりいろいろな政策の実現の仕方があるのかな、そのように思います。
○中谷(一)委員 御答弁いただきました。私も平井大臣とは非常に感覚が近いなと思っております。
実は、この紹介をさせていただいたJoinも、次に質問をさせていただこうと思っているvTaiwanも、台湾のオードリーさんというデジタル担当の大臣がリーダーシップをとってこういったプラットフォームをまとめたという経緯があります。平井大臣も平井ピッチという形でさまざまなイニシアチブをとられていると思うんですが、私は、こういったところを包括的にぜひ平井大臣に推進をしていただきたいなということを思っておりまして、そういった思いも込めて質問をさせていただいたんです。
台湾では、vTaiwanというプラットフォーム、これも資料を配付しておりますのでぜひごらんをいただければと思いますが、国民が立法プロセスにそのプラットフォームを通じて参加をしているんですね。オンライン、オフライン、両方の場を組み合わせて透明性が担保された場をつくって、官民共同で法に対する議論をして合意形成を目指すというものであります。
そして、この議論のプロセスで用いたデータやアウトプットを公開し、透明性を確保するとともに、参加を促進するためのマインドマッピングで意見が可視化され、意見収集なども多様なツールがその用途に応じて活用されるというものでありまして、お互いの現状を踏まえながら、どうすればステークホルダー同士が合意形成ができるのかということを情報を公開しながら立法プロセスを進めるというこの取組、私は画期的だなと思いました。
このように、国民と政府の距離を縮め、国民が直接的かつ共創的に立法プロセスに参加をするといった民主主義をアップデートさせるような取組が国民そして政府双方のリテラシーを高めて、その集合知の活用がよりよい日本の発展に寄与するものだと思いますので、vTaiwanのような、国民が立法プロセスに参加をできる、使いやすく、わかりやすい、オープンなプラットフォームを構築していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。
○平井国務大臣 いろいろなやり方があると思うんですが、日本は日本でどのようなやり方がいいのか、ぜひまた皆さんで検討していただければというふうに思います。
ただ、どのようなシステムをつくっても、それを使っていただくような環境をつくらなきゃいけないので、これを見ていますと、やはりどうしてもデジタルガバメントをきっちりやっておかないと、つくっても使われないというふうなことだと思います。
ですから、次の世代がそのような政策判断ができる環境等をつくるという意味においても、今回のデジタル手続法案を早く通して、できるだけそういう新しい考え方を導入できるような環境を整備すべきだなというふうに思いました。
○中谷(一)委員 ぜひ、平井大臣、デジタル手続法案の話に触れていただいたんですけれども、やはり次世代を見据えてムーンショット型で、必ずこういうプラットフォームが活用される時代は世界的にスタンダードになると思います。なので、そういったものを見据えて、今おっしゃっていただいた基盤整備という部分もあると思うんですけれども、ぜひ次の世代がそういった民主主義をまさにアップデートさせていくような土壌をつくっていただくような、そんな取組を進めていただきたいなということを、このプラットフォームの活用を含めて要望させていただきたいと思います。
次に、私からはデジタルデバイド対策について伺わせていただきたいと思います。
デロイトトーマツコンサルティングが、二〇三〇年までにG20の中で最大五・四億人のデジタル貧困、バーチャルスラムが生まれるという試算をなされました。今後、デジタルをうまく活用できる人とできない人では大きな格差が生まれることが容易に想像できることから、教育などと同様に機会の平等を担保する、こうした視点が非常に重要だと思っています。
そうした中、デジタル手続法案の第一条「目的」に、「国、地方公共団体、民間事業者、国民その他の者があらゆる活動において情報通信技術の便益を享受できる社会が実現されるよう、情報通信技術を活用した行政の推進について、その基本原則及び情報システムの整備、情報通信技術の利用のための能力又は利用の機会における格差の是正その他の情報通信技術を利用する方法により手続等を行うために必要となる事項を定める」と書かれております。
書かれているんですけれども、デジタルデバイドの話で、この法の具体的な進め方の概要などを見ておりますと、能力格差の是正、これについては触れられているものの、利用機会の格差是正、特に経済的な取組についての具体例が示されておりません。これは最近発表された人間中心のAI社会の原則においても同様の傾向でございまして、政府から提案されるデバイド対策には経済的な視点がすっぽりと抜け落ちているように感じます。
そうした中、例えば、韓国の放送通信委員会では、生活保護受給者世帯などの低所得者層や障害を持った方々に対して、通信の月額の基本料、通話料、データ通信料などの負担軽減、こうしたものを行ったり、ソウル市内の自治体ではPCの無償レンタルなど、こういった取組が行われているわけであります。
デジタルは、触れられる人とそうではない人では大きな格差が生じますので、経済的な格差を埋める観点から、デジタルツールやサービスを誰もが利用できる環境整備に向けた具体策が私は必要であると考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。
○平井国務大臣 今度御審議いただく法律において、第十二条において、「情報通信技術の利用のための能力又は利用の機会における格差の是正を図るために必要な施策を講じなければならない。」として、国の行政機関等に対してデジタルデバイドの是正を図るための施策を講ずる義務を課しています。
今後、政府においては幅広くデジタルデバイド対策をやっていくんですが、これには、年齢、身体的条件に基づく格差、地理的な制約に基づく格差だけではなくて、経済的な要因に基づく格差への対策も当然含まれます。例えば、経済的な理由によりスマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスを購入することができず、デジタル技術に触れる機会が少ない方に対する施策も今後行っていくこととしております。
現時点においても、例えば、デジタル機器を有しない方でも、職員に相談しながら行政機関の窓口のオンライン申請を行えるようにするといった施策などが行われているほか、デジタル技術に触れる機会の少ない方々にとってリテラシーを図るための政策、そのほかいろいろなことを進めていかなければならないと思います。デジタル化の恩恵を全ての国民に届けるということと、デジタル化によってとかく格差がつくというリスクもあるので、それをどこまで低減できるかということだと思います。
そこで、一番格差がついてはならないと思っているのが教育の現場でありまして、ついこの間のAI教育の我々の政府の指針の中でも、生徒一人一人が端末を持てる環境をつくろうということを決定させていただきました。これは四月十八日のCSTIの本会議。
そんな意味で、教育現場や社会全体でデジタル社会に対応する政策を急いでつくっていかなきゃいけないタイミングだと思っております。
○中谷(一)委員 御答弁いただきました。
大臣も多分、今、御答弁書を読まれていて思ったと思うんですけれども、今の日本のデジタルデバイドの特に経済的な観点、役所に行けばPCを使わせてもらえますよという対策は、韓国の事例と比べても二歩も三歩もおくれていると思うんですね。
なので、具体的にもっと踏み込んだ具体策を今後検討されるんだと思うんですけれども、教育の部分はいいと思うんです、そこはすごくいっぱい書いてあったので。経済的な格差の視点がすっぽり抜けているように感じましたので、ぜひ、みんながそういう環境を享受できる社会をつくっていただきたいな、格差をなくしていくような社会をしっかりつくっていただくことを要望させていただきたいと思います。
次に、デジタル手続法案の第六条、電子情報処理組織による申請等について伺います。
これも、第六条の一項によって、申請等の各種手続を電子情報処理組織を使用する方法により行うことができるとされまして、六条四項で電子署名が可能となって、六条五項で、収入印紙を買って張る以外にも、代金を別のシステムで支払えることとしているんですけれども、にもかかわらず、六条六項、七条五項、十条一項には、主務省令で定める場合については紙で手続をするなど、デジタルファーストの概念を適用せずに従前の方法でやるべきだという内容が書かれておりまして、前号の定めを含めてひっくり返す本末転倒なものになっているんじゃないかという危惧を持っています。
デジタル手続法案にわざわざ対面本人確認、原本確認を定めることはデジタル化に歯どめをかける原因となり、この項目があることで背骨がすっぽりと抜けた骨抜き法案になるのではないかという危惧を持っておりますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
デジタル手続法案におきましては、手続をオンラインにより行うことを原則としている一方で、手続の性質上、その全体又は一部が対面あるいは現物で行う必要がある場合など、オンライン化になじまないものがございます。そういったものにつきましては、御指摘のとおり例外規定を設けております。これは原則の一部のものについての例外という位置づけでございます。
現時点で確定した例ではございませんけれども、考えられる例として申し上げますと、例えば運転免許証の交付、これは、申請者が視力等の運転に必要な適性を有するか、そこを確認する必要がございますし、そもそも運転免許証を交付するという事務がございます。したがって、これは十条一項の規定そのもの、全体としてオンライン化になじまないということで例外的になるというものでございます。
また、例えば不動産登記の手続におきましては、申請者が本人かどうか疑いがある場合には、申請者に出頭を求めて対面で質問をするということが認められております。これは、その限りにおいて一部オンライン化の原則から外れるということで、六条六項の対象となるというものでございます。
ただ、先ほど申し上げましたように、こうした例外ケースというのは、真にオンライン化になじまないものに限定をするということでございまして、私どもといたしましては、行政手続のオンライン原則が可能な限り実現されるように、内閣官房がリーダーシップを発揮してデジタル化を進めてまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 私、大臣に伺いましたので、ぜひ次は大臣に御答弁をいただきたいなと思っているんですけれども。
今御答弁をいただいたとおり、申請等に対面で本人確認をすべき事象がある、こういうこともあると思います。しかしながら、例えば書面で原本確認をする必要がある場合、デジタル化が困難若しくは著しく不適当だと認められる部分がある場合、これをどのように判断していくのか。その透明性であったりプロセスをしっかりと公開していただきたいと思いますし、その判断をすることで国民の利便性が著しく阻害されることがないのか、行政の著しい不効率を生むことがないのか、そしてその改善を図る方法はないのか、その理由を丁寧に解きほぐして、安全性を最優先としつつも、便利なデジタル申請が可能となるように政策を推進する必要があると私は考えますので、紙で手続をする前提の従来どおりの方法でやれと決め打ちをするんじゃなくて、デジタルでも両方でできる余地、これを残すべきなんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。
○平井国務大臣 これを議員立法で検討していたころは私はまだ大臣ではございませんでしたので、皆さんと議論したんですが、対面、書面の原則を全て見直したらどうだろうかと。合理的なものもあれば、そうではないと感じるようなものもあって、なくした方が、国民の皆さんが役所に出向くというような労力もなくなりますし、役所に行って一日仕事みたいなこともなくなる。国民が喜びそうな制度改正というものが一番重要だと思っています。
ですから、そこは内閣官房IT室も現行の制度をゼロベースで見直すというのは当然のこととしておりますので、私もちゃんと監視していきますので、制度を残すために何かが犠牲になるというようなことがないようにさせていただきたいと思います。
○中谷(一)委員 大臣、御答弁いただきました。ぜひ、今いただいた御答弁のとおり、国民目線に立った改革を前に進めていただきたいということを思っております。
そうした中で、複数の業界団体から、本人確認の押印の見直し、法人設立における印鑑届出義務の廃止、一般的な取引におけるデジタル化推進について、政府に対して、その趣旨に反対をされるような要望書を提出されているという報道がありました。これは、本人確認には引き続き印鑑のみを使用するべきだし、一般的な取引をデジタル化して手続をオンライン化することには反対だという主張なんですけれども、この主張に対しては、ネット上などでは、余りにも時代錯誤なんじゃないかという、そういった声も圧倒的になっているということなんですけれども、私的には、行政のデジタル化の推進によって透明化、効率化を高めて、少子化による労働人口の減少、生産性の低下を克服すると同時に、国際競争力の向上をしっかりとやっていくことが結果として持続可能な社会を実現させると私は信じておりますので、主客転倒な骨抜きとなったフェーキングデジタルファーストでは困るなということを思っております。
そこで伺いますが、法人設立を含む行政事業における各種手続に関しては、物理的な押印ではなく、電子署名を活用したシステムを主とした改革を前に進めていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。
○牧原委員長 内閣官房時澤内閣審議官、まず技術的なことからお答えください。
○時澤政府参考人 お答え申し上げます。
この法案におきまして、利便性向上やコスト削減を図るための行政手続のオンライン化をこの法案は進めるものでございまして、行政手続をオンラインで完結するために、申請自体だけではなくて、それに伴う本人確認もオンラインで行うこととするものでございます。
具体的には、行政手続を書面で行う際に求められます署名押印につきまして、オンラインで手続を行う際には、電子署名等のデジタル的な手法で代替するというような規定を設けているところでございます。
○平井国務大臣 この法案の中には法人の手続は入っていないですよね、今回。ですから、それは法務省の方でこれから議論するということだと思います。
この電子署名を活用した手続というのは、なれていない方々にとるとちょっとハードルを最初感じるんですが、使えば間違いなくこっちが便利だというふうに思いますので、更に使える範囲が広がっていくというふうに思っておりまして、今回、先ほどの答弁にあったとおり、デジタル的な手法で代替するということを可能にしているということでございます。
○中谷(一)委員 世界銀行が行った百九十カ国のビジネス環境に関する調査というのがあるんですけれども、日本の起業のしやすさについては総合評定が百六位と非常に低い水準なんですね。
現在、日本で会社を登記しようとすると、非常に手間が面倒で、完了するまでに一週間から十日の時間がかかります。これを、今、日本としては二十四時間にしていこうと頑張っているということなんですけれども、エストニアでは最短で十八分で会社が設立できる状態がありまして、やはり、スピード感的には、目指しているものでも世界水準からはまだまだほど遠いのかなということを思います。
なので、日本の現状を改善をするためには、公証人の面前確認を含めて、対面の原則、書面交付の原則、押印の原則のあり方、これをしっかり再考した上でよりよい方向に再構築をするなど、作業工程をしっかりと見直し、ユーザー目線での行政事業を目指すべきであると考えます。これができなければ、政府が掲げておられる世界で一番ビジネスのしやすい国へというスローガンは、残念ながら空虚なものになるんじゃないかなということを思っておりますので、ぜひ改善を進めていただくことを要望をさせていただきます。
それに関連をして、エストニアでローンチされたe―レジデンシーの制度に対する見解、これについて伺いたいと思います。
e―レジデンシーは、約百ユーロを払えば、顔写真、指紋認証を行った後に審査を受けて、エストニアの電子居住者になれるという制度です。電子居住者になれば、エストニアで提供している電子プラットフォームの一部が開放され、オンラインで銀行口座の開設申請ができて、不動産、雇用契約を行うための電子署名機能が付与されて、安価かつ短時間で法人を設立できるといったメリットがあります。二〇一九年時点で世界の登録者が五万人を超え、日本からも約二千五百人のe―レジデント、電子国民が誕生をしています。
日本としても、ビジネスをしやすい環境を提供する国を目指し、世界じゅうからベンチャー、スタートアップ企業を誘致することで産業を活性化させ、税収をふやしていきたいという考えがあるのであれば、e―レジデンシーの取組はとても参考になる事例であると考えます。
そこで伺いますが、日本でも、安価かつ短時間での法人設立、銀行口座の開設申請、契約時に必要となる電子署名機能をオンライン上で世界じゅうの人々が世界じゅうから誰もが行うことのできる基盤整備を行うことが国家戦略上も有用であると考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。
○平井国務大臣 今の委員の質問といいますか御提案は、提案的質問ということだと思います。
実は、私もこのe―レジデンシーのカードを持っておりまして、ただ、このカードを取得するためには、マイナンバーカードと同じように、一度出向いて本人確認をする、その基盤をつくるというところは一緒です。
実はこういうものから結構学ぶところが多いなというふうに思っておりまして、海外から日本に入ってこられた方でも六カ月居住すればマイナンバーカードを持てるわけです。ところが、我々が見ていますと、なかなかそれを利便性を感じてもらっていないので、もっと理解してもらいたいなということがあります。
これも私が所管ではありませんが、海外に行くと今まで失効していたマイナンバーカードをまずは使えるようにしていくというようなことも必要だと思います。
今度はクールジャパン担当大臣として最近感じていることですけれども、海外から来る方々も、もう二周目、三周目、リピーターが多くなってきたんですね。そういう方々が日本に入国して毎回ゼロから同じことをするのはもったいないな、本当に日本が好きで来てくれるリピーターに関しては何らかの便宜が図れないだろうかなというようなことも感じています。
ですから、e―レジデンシーの制度というのは非常に便利だと思いますし、日本にいてエストニアで法人設立するのが十七分、八分と言われるのも、ただ、あれは銀行口座もつくっておかなきゃいけないので、そういうこともあって一〇〇%便利なわけではないんですが、学ぶ点が非常に多い。
そして、日本の法人登記に関しては、だんだんだんだん今要する時間は短くなっていますが、まだもう少し短くできるのではないかというふうに思っております。
ですから、小国に学ぶというのは非常に重要なことだと思いますし、彼らの持っている機能で一番大きいのはモバイルIDだと思います。あの機能があると数段いろいろなものが便利になるというふうに感じておりますので、さらなる政策も考えてみたいと思っております。
○中谷(一)委員 ぜひ、るる御検討をいただければと思います。
それでは、時間も短くなってまいりましたので、あと、石田マイナンバー担当大臣にお越しをいただいておりますので、こちらにも質問をしてまいりたいと思います。
今、マイナンバーカードの交付が始まって、現時点で一千六百七十三万枚、一三・一%程度の交付率ということなんですけれども、このカードについては八六・九%の方、一億一千百万人程度の方が持っていない現状があります。
ここは総務委員会ではないのでカードのことは伺いませんが、石田大臣にぜひ伺いたいと思うんですけれども、マイナンバーを活用したオンラインサービスであるマイナポータルについて、先々月伺ったときにはマイナポータルを使ったことがないという御答弁をいただきましたが、その後は利用していただいたことはありますでしょうか。教えてください。
○石田国務大臣 その後も国会で厳しい審議が続いておりまして、時間的余裕がございません。
ただ、マイナポータルを見たことは見せていただきました。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
あと、参考までに伺いたいんですが、平井大臣はマイナポータルを利用されたことはありますか。
○平井国務大臣 登録はしましたが、使っておりません。
○中谷(一)委員 多分、大体の方がそんな感じなんだと思います。
これは数値からも明らかになっておりまして、九九・九九%の人は多分マイナポータルを使ったことがないんじゃないかなと思っているんですけれども、先日、マイナポータルを利用した電子申請について内閣官房からいただいた資料がございますので、ぜひごらんをいただければと思うんです。
マイナポータルを運用開始をした二〇一七年十一月から二〇一九年三月までの十五カ月間において一番申請が少なかった月の件数が二〇一七年十二月の六十九件、一番申請が多かった月の件数が二〇一八年六月の四千百六十件、一カ月当たりの平均申請数が六百二十四件ということで、運用開始から十五カ月間における申請数合計が九千三百五十四件ということであります。
その他にも、私が配付した資料には、毎月の電子申請を試みた数、申請の成功率などを記載しておりますが、まず、これらの数値が正しいものであるのか、政府の見解を確認させてください。
○向井政府参考人 お答えいたします。
全て確認したわけではございませんけれども、私どもが御提出させていただいた資料をもとにおつくりいただいたということでございまして、例えば平成二十九年十一月から平成三十一年の合計数とか、そういうようなものにつきましてはおっしゃるとおりだというふうに思っておりますので、基本的には合っているというふうに思っております。
○中谷(一)委員 ありがとうございます。
では、この数値が正しいとすれば、マイナポータルで電子申請を行った合計数が九千三百五十四件、一人で二件、三件申請する人もいるかもしれないんですけれども、最大でも九千三百五十四人しかマイナポータルは使っていないということなんですね。ということは、日本人口の一億二千七百七十万人のうち九九・九九九九%の方はマイナポータルの電子申請を利用していないんですね。
政府が、二〇一三年から一八年までの間、マイナポータルの関連予算として三百四十六億五千万円を計上されておりますが、これを九千三百五十四件で割ると、一件当たりの単位コストが三百七十万四千二百九十七円となりまして、この現状はどう見ても非常に高コストなサービスになっているなということを思うんです。
私はデジタル行政推進派の超応援団だという自負を持っておりますが、この現状は余りにもお粗末なんじゃないかなという状況を指摘せざるを得ないなと思いましたので、大臣はこの現状をどのように捉えているのか、御所見を伺いたいと思います。
○石田国務大臣 御指摘のように、マイナポータルではさまざまなサービスを提供しておるんですけれども、今のところ十分に御利用いただいているとは言えないということは十分に認識をいたしておりまして、これから国民の皆さんにより利用していただき、その利便性を享受していただけるように取り組んでいきたいと思っております。
市区町村と連携した周知を図る、あるいはアクセス手段の拡大を図る、さらには電子申請が可能な分野や手続の拡大など、市町村と連携してこれからも取組を進めてまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 私も使ってみて感じましたが、やはりマイナンバーを活用する方法のマイナポータルはすごく使いづらいなと思うんですね。そもそもアイフォンユーザーが使えないので、スマホを持っている人の半分ぐらいは今スマートフォンアプリでマイナポータルを使えないわけですね。
こうした状況だと、やはり、一回サイトに行ってもUXが悪過ぎて、使おうと思わないと思うんですよね。なので、私的には、マイナンバーカードがなくてもマイナポータルにログインできる方法、これを検討していただいて、アイフォンでも利用可能にするなど、やはりもっと国民目線で利便性を高めて、みんなにとって使いやすくなる、ユーザーに寄り添った国民目線の改善が必要だと思いますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。
○石田国務大臣 マイナポータルのぴったりサービスはログインなしで利用が可能でございますけれども、電子申請については、受け付け主体である市町村が、記載内容にマイナンバーを含むか等、手続の性格に照らし、マイナンバーカードによる電子署名が必要かを決定されているところでございます。
また、マイナンバーカードによる電子署名ができるスマートフォンは、現在、アンドロイドOSの六十三機種まで拡大をしておりまして、アイフォンにつきましては、アップル社に対し、利用実現に向けた対応を行うよう総務省及び内閣府において連携して粘り強く働きかけているところでございまして、今後とも、マイナポータルを安全にかつ便利に国民が利用できるよう取組を進めてまいりたいと考えております。
○中谷(一)委員 私は、マイナンバーカードの電子署名にはこだわらない方がいいと思っているんです。本当に、マイナンバーカードだけに限らない本人確認方法を真剣に検討した方がいいと思います。
要するに、離脱率を見ても、申請成功率が平均でも一二%台しかないんです。ということは、八八%の人が失敗しているんですね。ということは、要するに、多分、そこの電子証明書を求められた時点で、何だ、できないんじゃないかと思って離脱していることがすごく多いと思うので、ウエブアナリストの方に離脱率をぜひ確認をしてみていただければと思うんです。
そして、個人情報を扱うので、もちろんセキュリティーレベルを上げる。一定理解をいたしますが、お金を扱うような銀行でインターネットバンキングだったとしても、今どき、指紋認証だったりとかフェイスID、あとは自分だけが持っているワンタイムパスワードとか、こういったものをしっかり活用して、ユーザーの利便性の向上とセキュリティーの担保、この両立の追求を目指しているわけですから、私たちもマイナンバーカード以外の本人確認方法を検討して誰もがいつでもしっかりとこのシステムが使えるような構築をしていかなければ、使った予算が無駄になってしまうと思うので、ぜひ改善を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣の所見を伺います。
○石田国務大臣 マイナポータルの自己情報閲覧サービス、あるいは自己情報やりとり履歴閲覧サービスなどは、先ほど申し上げましたぴったりサービスとは異なりまして、マイナンバーカードによるログインを必要としております。これは、御承知のように、個人情報の閲覧を可能とするものでありますから、マイナンバーカードによる厳格な利用者認証としているものでございます。
現在、総務省では、マイナンバーカードの利用者認証機能をスマートフォンに搭載する方法について検討を行っているところでございまして、これが実現すれば、手元にマイナンバーカードがなくても、スマートフォンでマイナポータルにログインし、安全にさまざまなサービスをご利用いただけるようになると考えておりまして、これからも国民にとってより利用しやすいものとなりますように取組を進めてまいりたいと思っております。
○中谷(一)委員 時間が来ましたので終了いたしますが、テクノロジーは本当に日に日に進化していくと思います。なので、やはりカードに固執するということがないように、テクノロジーに対応したログイン方法だったり使いやすさというのをしっかり求めていただきたいと思います。
あと、インターネット投票は質問できなくて済みませんでした。
これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、今井雅人君。
○今井委員 立憲民主党・無所属フォーラムの今井雅人でございます。
私の方からは基本的な質問をさせていただきたいと思います。
まず平井大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、今回、行政手続のデジタル化を推進するということで、方向性は大変賛同できると思うんですけれども、これまでの議論もあったように、ほかの諸外国ではこれがどんどん進んでいて、日本がおくれているのはもう否めないと思うんです。
今回の改正は、これはまだ途中段階のものなのか、最終的に自治体の事務というのをどういう形に持っていくというグランドビジョンがあって、その中の途中段階の改正なのか、何か今回のことでまだ課題が残っているのか、その辺についてのまず御見解をお伺いしたいと思います。
○平井国務大臣 今回の法律でやはり一番大きいところは、原則を紙からデジタルに移行したということだと思います。
そして、全ての手続を全部一気に紙をなくすとか、そういうことはなかなか現実的には難しいし、例えば、進んでいるエストニアでも、最終的な投票日は紙で投票できるようになっていたり、ですから、要するに、国民の理解とともに今後は進んでいくけれども、最終的には、次の世代はデジタル化の恩恵を皆さんが享受できるような状況を目指すということだと思います。
先ほども答弁しましたが、結局、デジタル化のメリットを感じてもらえるものからできるだけ先行して投資をしていきたいというふうに感じていて、そういうものを使っていただいて、国民の皆さんが利便性を本当に実感したら更に理解が進み、地方自治体においてもそういうデジタル化に対する共感が広がる、そうなると進めやすくなるのではないかなと考えています。
無理やりデジタルに全部変えるというのは、なかなかこれはできることではないし、やるべきではないとも考えております。
○今井委員 そうすると、お伺いしたいんですけれども、安倍政権は大体、何かの政策をやられるときには、何年度までに何をやるというKPIをつくって、それを進捗管理していくというやり方をされていますけれども、今回はそういう手法ではやらないということなんですか。
○平井国務大臣 それは、例えば、官民データ活用推進基本計画についても、都道府県においては二〇二〇年度までにやれよというようなことを求めておりますし、時々、実現可能性の非常にあるものに関して言えば、無理な設定をしても、かえって皆さんに御迷惑をおかけするといいますか、できないと思います。
ですから、実現可能な形に持っていかなきゃいけないというふうに感じておりまして、最終的には、二〇四〇年ごろになると団塊ジュニア世代が六十五歳以上になるわけです。最終的に、高齢化と人口減少というものはこれからも不可逆的に進んでいくとしたら、できるだけ早く、次の世代の負担を下げるためにも実現していかなければならないというふうに思います。
ですから、工程表といいますか、都道府県、市町村、そして国がそれぞれちゃんと説明責任を果たしながら、国民の理解を得ながら進んでいくということで、具体的な年限を切って進めるということに関して言えば、さらなる我々の計画の検証が必要だというふうに思います。
○今井委員 その上で、法的な整備をするわけですけれども、今後、事務に関しては各自治体が推進することになると思うんですが、ともすれば推進度が自治体によってすごく濃淡が出てしまうと思うんですね。そのことによって住民サービスに差が出てくるということも生じかねないと思うんですけれども、その辺に関しては国は何か対策を、もちろん地方の自治は重視はしなきゃいけませんけれども、そういう推進の何か対策というのは講じられるんでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
地方の事務のデジタル化というのは、もう先生既に御承知だとは思いますが、やはり自治体によって取組にかなり差が出ております。
そして、今、総務省の方でもそれらを進めるためのこともやっておりますけれども、だからといって強制もなかなかできないようなところで、議員立法でも、都道府県は計画は義務だけれども、市町村は努力義務になっている。
そういう中で、そうはいっても、デジタルというのはばらばらであったら非常に非効率でございまして、できるだけいろいろな面で、ハードでもソフトでも統一化していくというのはぜひ必要でございますので、いろいろな手法はあると思いますけれども、一つは、例えば、国でプラットフォームをつくったものを地方に広げていくとか、あるいは地方でいいものを横展開するとかというふうな手法もあると思います。
それらについて、総務省とともに、やはり国がもうぼちぼち一歩踏み越えて取り組むという姿勢を示していく時代になってくるのかなと思っておりますので、その辺、平井大臣、石田大臣とともに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○今井委員 次に、総務大臣がいらっしゃっておられますから、マイナンバーのことについてお伺いしたいと思うんですね。
このマイナンバーは、推進をしなきゃいけないという人と、個人情報の問題で懸念を持っておられる方、両方いらっしゃると思うんですけれども、私は、時代の流れはとめられないと思うので、安全な管理をしっかりした上で、このマイナンバーというのを使うのであればしっかり浸透させなきゃいけないし、問題があるなら廃止しなきゃいけないし、中途半端が一番いけないと思うんですね。やるなら徹底的にやらなきゃいけないし、やらないならもう廃止する。
現行、今こういう制度があるわけですから、では、このマイナンバーをどうやってしっかりと皆さんに使っていただくかということなんですけれども、正直、今、自分が生活していても、マイナンバーを使わなきゃいけないようなところは余りないんですね。金融口座なんかは本人確認でマイナンバーの提出を求められますけれども、でも、出さなくても取引がとまるわけじゃなくて、完全に義務規定にもなっていないので、知らぬ顔をしていればそのまま取引ができてしまったりとか、全てがみんな中途半端なんですよ。
ですからマイナンバーの活用というのは僕は普及していないんじゃないかなと思うんですけれども、総務大臣として、このマイナンバーを最終的にどういうふうにしていきたいか、これを社会にどう根づかせていきたいか、そういう目標も含めてグランドデザインがおありになるのでしたら教えていただきたいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
まず、マイナンバー制度自体は、マイナンバーの番号そのもの、名寄せをする番号そのものと、あと、電子的に本人を確認するマイナンバーカードとマイナポータルで成り立っていると思っております。
その中で、マイナンバーそのものにつきましては、もちろん、既に、住民票を有する方については全員、在留外国人の方も含めて付番されておりまして、そして、実際に、例えば年金機構とか国税、年金機構が多分一番だと思いますが、ほぼ九九%以上マイナンバーを取得しておりますし、国税の中でも相当部分、大半のマイナンバーを取得している。ゆえに、マイナンバーを使って、例えば、情報連携ということで、実際に、所得情報が要るものにつきまして、マイナンバーとともに申請することによりまして所得情報を省略するということが現に既に行われている。
これらにつきましては、そうはいっても、自治体によっては必ずしもきっちりできていないところもございますし、また、年金事務につきましてはまだこれからだということでございますので、これらの法律上可能なものについてはきっちりやっていくというのがまず一つだろう。
その上で、世の中でよくマイナンバーが普及されていないというのは、マイナンバーカードのこと、一三%というのはカードのことでございます。
カード自体は、ないと絶対困るというものではございませんけれども、一方で、マイナンバーカードに載っております公的個人認証、これは電子的に本人を確認する手段としては最もセキュリティーレベルの高いものでございますし、かつ、国際的に見ても、こういうものをこの人口規模で全国民に普及しようという国はまずございませんので、これが普及しますと社会のデジタル化が非常に強力に進むということで、実はアメリカの方からも非常に注目されているということもございます。
したがいまして、マイナンバーカードにつきましては、日本の電子的な社会を本当に完成させるためにぜひ進めてまいりたい。そういうふうな手段を持っているのは、例えば外国でいいますと韓国とかエストニアでございまして、日本の人口規模、日本の経済規模でやっている国はございませんので、これはぜひやってまいりたい、そういうふうなグランドデザインで進めてまいりたいと思っております。
○石田国務大臣 もう今全て答えていただきましたけれども、先ほどから答弁がありましたけれども、やはりこれからの社会を考えたときに、デジタル化の問題もありますし、日本の高齢少子化の問題もありますし、さまざまな変化の中で私はこれは不可逆的な流れだというふうに思っておりまして、そういうことをきちっと対応していく、マイナンバー制度をきちっと確立していくということは本当にこれからの日本にとって非常に重要なことだというふうに思っております。
これによって、公平公正な社会の実現、あるいは国民の利便性の向上、あるいは行政の効率化、こういうことをしっかり図っていくということでありますから、こういうことについて国民の皆さん方にぜひ御理解を賜っていく、そのための周知等についてはこれからもしっかりやっていかないといけないと思っております。
その一つのあらわれとして、ぜひマイナンバーカードを皆さん方に取得をしていただく、そういうことが非常に重要だというふうに思っております。
この問題についても、平井大臣そして根本厚労大臣と協議をいたしまして、二〇二〇年から健康保険証に連携するような取組、これは菅官房長官のもとで今会議を立ち上げまして取組が始まっているわけでありまして、こういうことを通じて国民の皆さんの利便性を高める、そういうことが非常に重要だろうというふうに思っておりますので、しっかりした取組を進めてまいりたいと思っております。
○今井委員 私も通知カードは持っているんですけれども、マイナンバーカードは持っていないんです。というのは、これを持つとどんなメリットがあるかがわからないんですね。
ですから、持とうというインセンティブがないと、これを持ったらこういうことが便利なんですというものがないとみんなが使わないわけで、それを考えないとこの一三%というのが広がらないと思うんですね。だから、カードを持つメリットというのをつくっていくということがとても大事だと思います。
ちょっと時間が余りないので、もう一点なんですけれども、今回、マイナンバーの使用が、社会保障分野、税、災害対策、三分野ということですけれども、この対象を今後どれぐらいまで広げていくのかということと、それは大体ゴールがあるのかという問題と、それからもう一つは、各自治体同士のシステムの連携ですね。例えば、今、引っ越しをしたときに、転出届を出して、それをもらって、今度は転入届をしに行かなきゃいけない。二回行かなきゃいけないわけですね。こういうことが全部一回で済むようになれば、行政というのはよりスリムになるわけです。
そういうところまで措置をしていかなきゃいけないと思うんですけれども、その二点、ちょっとあわせてお答えいただきたいと思うんです。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバー制度自体は、当初、民主党政権時代に最初に法律が出され、それで、与野党合意をもとに、自民党政権時代に成立したものでございますから、その当時から、税、社会保障、災害、そういうスタイルでやってきております。
ただ一方で、このマイナンバーというのは個人を特定する手段としては比較的強力なものでございますので、一方でプライバシーの保護というふうな、そういう議論もございますし、現に八件の訴訟が起こっております。違憲訴訟が地裁レベルでございますけれども、八件起こっております。
これらを踏まえながら、まさに社会一般のマイナンバーに対する理解の進展を踏まえながら、どういうふうなところまでやるのかというのは、やはり社会とともに変わっていくような話ではないかというふうな感じがしております。
あと、先ほどの転出の話でいきますと、マイナンバーカードがございますと、転入届を出せば転出届は要らない、そういう制度になってございますけれども、マイナンバーカードを使ったらもっと便利になるようにしていくというのは非常に重要なことだと思っております。
○石田国務大臣 今答弁しておりますとおりでありますけれども、今、社会保障と税と災害対策分野についてということで、既に随分数多くの行政手続についての対応をしておるわけでありますけれども、今後、年金関係の千以上の行政手続も加えられるよう、今厚生省を中心に準備を進めておりますし、また、今回提出をさせていただいておりますデジタル手続法案においては、罹災証明書の交付に関する事務等についてマイナンバーの利用範囲を拡大、拡充しておりまして、徐々に拡充しております。
ただ、先ほど答弁がありましたように、違憲訴訟が係争中でございますので、こういう問題を十分に考慮する必要があるわけでございますが、ただ、先ほども申し上げましたけれども、社会一般のマイナンバーに対する理解の進展等を踏まえながら、引き続き拡大についてもしっかり対応できるように頑張ってまいりたいなと思っております。
○今井委員 カードの普及によって実は成功しているのはETCなんですけれども、ETCは今、九二%ぐらいの利用率になっていますが、ちょっと簡潔にお願いしたいんですけれども、ETCがこれだけ普及した理由は何だということをどういうふうに政府として見解を持っているか、まず教えてください。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
ETCにつきましては、平成十三年十二月より全国の高速道路での利用が始まり、平成三十一年二月時点で、高速道路利用者のうち約九二%がETCを利用しております。
これまでのETC普及促進の取組といたしましては、ETC車載器の購入、取付け費用の助成、あるいはサービスエリア等におけます即時取付け、ETC車載器リース制度の導入などによって、高速道路利用者のETCの導入を支援してまいりました。この普及によって、料金所で発生しておりました渋滞がほぼ解消するなど、高速道路利用者の利便性が大きく向上していると考えております。
今後とも、引き続き、高速道路会社と連携し、ETC利用者の利便性の向上を図る取組を進めるなど、一層の普及に努めてまいります。
○今井委員 そういうことなんですね。政策誘導しているんですよ。補助を出したりとか料金を変えたりとか、こういう政策誘導をするから普及するわけでありまして、マイナンバーカードもまさに同じ問題を抱えていて、これを持つとどういうメリットがあるかというものをやっていかないと、政策誘導としてそちらが普及していかないということだと思いますから、ぜひETCのカードがどうして普及したかということも参考にして考えていただきたいということです。
あわせまして、僕がとても今問題意識を持っているのはキャッシュレスの問題なんですけれども、御存じのとおり、日本はまだキャッシュレス化が二〇%ぐらいです。もう韓国は九割、中国でも七割近くになっていますし、ほかのヨーロッパでも五割を超えているところがたくさんあります。
今、キャッシュレス・ビジョンというのを経産省が出していますが、これは未来投資戦略二〇一七に沿っているんですけれども、十年後にキャッシュレス決済比率四割という目標なんですね。四割というのは今現状の先進国よりも低いんです。こんな低い目標で本当によろしいんでしょうか。
○島田政府参考人 委員今御指摘のとおり、日本のキャッシュレス化の取組は他の先進国に比べておくれているという状況にあると認識してございます。
生産性の向上や利便性の確保など、事業者や消費者にメリットをもたらすキャッシュレスの推進は喫緊の課題であると考えてございます。
先ほど委員の御指摘がありましたとおり、政府全体としましては、二〇二〇年代の半ばまでにキャッシュレスの比率を四割程度にふやしていくということを目指しているところでございますけれども、経済産業省におきましては、昨年の四月にキャッシュレス・ビジョンを取りまとめたところでございますけれども、この中では、将来的には世界の先進国の水準に匹敵する八〇%を目指していきたいというふうに考えているところでございます。
○今井委員 もっと本当にスピードを持ってやっていただきたいんですけれども、きょう、新聞に、ようやく金融機関も動き始めて、バンクペイというのをみんなでつくるという報道が出ていましたけれども、ようやく動き出したなという感じがしています。
これは、さっきのETCのまさに効果でおっしゃっておられたとおり、キャッシュレス化というのは劇的に生産性を上げます。特に、買物をするときでもそうですし、いろいろな取引の中でこれほど効果があるものはないと思うんですね。ですから、これをぜひ目玉に挙げてやっていただきたいと思いますので、きょうは時間がありませんからさわりだけで、また経産委員会や財務金融委員会でやらせていただきたいと思うんですけれども。
それで、その上で、キャッシュレス化を進めるに当たって僕が一つ考えていることなんですけれども、紙幣なんです。今回、五年後に紙幣をまた新しくするという発表がされました。それはそれでいいことなのかもしれませんが、紙幣の一万円札とか五千円札を廃止することですよ。
例えば、アメリカに僕は住んでいましたけれども、せいぜい使っているのは二十ドル紙幣ですね、十ドルから二十ドル。一万円札単位のお金を流通している国なんかほぼありません。
我々だって、例えば小さい買物をしに行ったとき、一万円札で払ったら嫌がられますよね。こういう大きい単位の紙幣をなくすことによってキャッシュレスに向かっていくんですね。僕はこれが政策誘導じゃないかなと思っているんです。
これは一つの例ですけれども、そういうことをやっていって社会を変えていくということをしないと、なかなか日本のような国民性の中ではこういうのは進んでいかないと思うんですね。
ぜひそれぐらいの、紙幣は一つの私のアイデアですけれども、政府としても、本当にキャッシュレス化をブレークスルーするような新しい政策を何か打っていただきたいんですね。
例えば今のような発想について、財務省はいらっしゃっていますよね、御見解をいただきたいと思います。
○鑓水政府参考人 お答えいたします。
現状、現金の需要について見ますと、日本銀行券は約百四十九億枚、うち一万円札が百億枚で、五千円札が七億枚発行されておりまして、皆様にお使いいただいている状況にございます。
経済取引の安定の観点からは、国民の需要に応じて信頼性の高い通貨の供給を行うことが重要であろうと考えております。
今申し上げましたとおり、日本において、一万円券や五千円券が日常の支払いにおいて頻繁に用いられております。また、発行高の相当な割合を占めているということを踏まえますと、高額紙幣の廃止は国民経済取引に不便を招くということが予想されるところでございます。
こうした点に鑑みますと、現時点におきまして、一万円券、五千円券を廃止するといった対応を行うことについては慎重に考える必要があると考えております。
他国で発行されている高額券を見ますと、足元のレートで換算いたしますと、アメリカでは百ドルでございますが、約一万一千二百九十九円、EUでは二百ユーロでございますが、約二万五千四百七十六円、それからイギリスでは五十ポンドでございますが、七千四百七十円となっておりまして、一万円券や五千円券はこれらの券に比べまして著しく高いという状況にはないと思います。
○今井委員 質問時間が来ましたので、これで終わります。佐藤副大臣、済みません、答弁の機会がなくて申しわけなかったんですけれども。
私が申し上げたかったことは、やはり日本はIT化、デジタル化に本当に後塵を拝していますから、徐々に徐々にとやっていったらどんどんほかの国に劣後していきます。ですから、やはりブレークスルーをするような大胆な政策を打ってこれを推進することをぜひやっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○牧原委員長 次に、山岡達丸君。
○山岡委員 山岡達丸でございます。
本日は、質疑の機会をいただきまして、委員長始め皆様に感謝申し上げますとともに、きょうは平井大臣を中心に御質問させていただきますが、日々の公務に敬意を表しながら。
きょうは、内閣の重要政策にかかわる件ということで、主に行政のデジタル化。法案も提出されていますが、壮大なお話から足元の話まで、限られた時間ではありますが、質疑をさせていただければと思います。
今さまざま各委員からお話があるわけでありますが、いわゆる行政全体のデジタル化ということを進めていくという考え方に基づいて、平井大臣はこれまでもいろいろなメディア等でもお話に答えておられて、いわゆるデジタル手続法案という表現もあるわけでありますが、報道機関によってはデジタルファースト法案というふうに書いていたり、政府が大きくデジタル化が進むのではないかということを期待するような動きになっている。そして、デジタル・ガバメント閣僚会議というのも開かれたりとかして、そうしたさまざまな動きがあられるわけでありますが。
そして、お話にもありましたけれども、先進国とされているエストニア。エストニアにも大臣は足を運ばれ、さっきお話もありましたけれども、e―レジデンスカードも所有されておられる。すごく研究もされておられるんだろうと思いますが。
まず、基本的な質問としてお伺いしたいんですけれども、政府全体としてデジタル化というのはどの方向を目指しているのかという政府の御見解もあると思うんです。そのライン等を含めて、大臣御自身もエストニアに行かれて、さまざまな感想とさまざまな思いを持っておられると思うんですね。そこの部分を踏まえた中で、日本はどういうビジョンを持ってやっていきたい、エストニアのどういうところに学んでやっていくのかということを含めて、まず大臣に見解をお伺いします。
○平井国務大臣 私、エストニアにたびたび訪問する御縁もあって、現在、日本エストニア友好議員連盟の会長を務めさせていただいております。ぜひ入会していただければ、更に、一緒にエストニアと交流しながら学べると思いますが。
昨年十月に、大臣に就任してすぐにエストニアに行きました。エストニアに行った理由は、エストニア政府主催のデジタルサミットがあったんですね、各国のデジタル担当の皆さんと顔合わせができるということで。EUの中でもエストニアというのはデジタル担当の大臣といいますか責任者をずっと採っておったり、そういう意味で、エストニアというのは、ここ数年でデジタル化の一つの先進国という地位が確立されているというふうに思います。
エストニアがもともとデジタル化というものを目指した理由というのは、若い人たちのためにデジタル化を進めるというようなことではなく、実は高齢化と人口減少。エストニアは、九州の面積に大分県ぐらいの人口ですから、実は冬なんかは非常に寒いし、条件不利地域の問題等々もあるものをデジタルで解決していこうというふうに踏み切った。そこの踏み切り方がもう思い切っていて、つまり、デジタル化によって、インターネットの利活用とデジタル化でしたかね、利便性の向上を図り、よって国民を幸せにして、国家を発展させるというものを閣議決定して、全面的に進んでいくということになりました。
彼らがやはり同じような状況もあったんです。最初は、やはりデジタル化の理解が進まずに、カードも一気に普及したわけではないんです。しかしながら、実際使えるサービスが物すごくふえて、本当に便利だということを感じ始めたら、一気にそういうものが社会の中で実装されていったということでございます。
そして、唯一、エストニアという国は、携帯電話から全ての選挙に投票できる、世界じゅうどこに行っても投票を実行できるという国です。これをちゃんと実装しているというのはすばらしいことだと思いますが、その選挙制度にしても、携帯で投票できるのは最後の投票日の前日まで、つまり日本で言うところの期日前投票のときまでなんですね。最後の一日、紙で投票すれば、それまでの投票をオーバーシードしていく、変わるというような制度なんです。
ですから、紙が完全になくなっているというわけではなく、紙を完全になくすということを目標にしたわけではなく、徹底的に国民の理解を得ながら利便性を上げていったという意味では、学ぶ面が非常に多いと思います。ですから、我々は、次の時代、次の若い世代がデジタル化社会の中で利便性を享受するというのもあるし、これからやはり高齢者の皆さんがデジタルというもので取り残されないように、デジタルの利便性というものを享受できるようにする社会全体のシステムをつくっていくべきではないかなというふうに思います。
デジタル技術の恩恵というのは、一般の国民の方々が日々感じているかどうかというと、まだですよね。知らず知らずということなんだと思いますが、まさにこれからの我々の政策の進め方によって、国民の皆さんの理解が一段と進むのではないかと考えております。
○山岡委員 大臣からお誘いもいただいて、本当に光栄なお話でもありました。
エストニアのお話がございましたが、少子高齢化解決のために、冬は寒い、人口に対して非常に広い国土を持っておられる。私、北海道選出なのでありますけれども、北海道みたいな地域も、まさにそうした課題解決に向けて、これは非常に重要な、今後の社会にとってこの部分がデジタル化というのが鍵になるんだろうということを感じるお話もあるわけでありました。
私は、個人的には、これからちょっと自治体のお話もありますけれども、モデルのような自治体をつくっていただいて、それを大きく広げていただきたい。できますれば、それが北海道であってほしいということを思うわけでありますけれども。
電子投票というお話もございましたが、国民民主党という政党の中で、先日の代表選で、政党としては日本で恐らく初めて電子投票ということで、一般の方が投票できる仕組みを試験的に導入したわけでありますが、その導入に当たっての検討チームに私も入らせていただいて、もちろん結果としてトラブルも少しあったんですが、やってみたら割とすんなりいったじゃないかということもあったものですから、そうしたところに学ぶべきことというのは非常に多いんだろうということを感じるわけであります。
ただ、エストニアという国は、御存じのとおりですが、人口百三十万人ぐらい。人口ベースでいえば、さいたま市ぐらいになるんでしょうか。北海道は札幌市が百九十五万人ぐらいでありますから、非常に行政規模としては小さい。人口的には小さい。日本はざっとその百倍の人口がいるわけであります。自治体ももちろん千七百以上あるわけでありまして、市町村それぞれ全て、ばらばらの文化の中で地方自治ということがあるわけでありますけれども、こういう状況で進んできた。
少し政府に法案の中身も伺いますけれども、課題解決のための大きなビジョンに対して、現実の地方自治体というのは、非常にそこがきちんと浸透できるのかという課題があります。法案には、努力義務として、そうした対応をしてくださいということをやっているわけでありますけれども、先ほどの質問の中で、官民データ活用推進基本法の計画の策定状況も余り芳しくない。
やはり具体的にどうやって地方自治体に浸透させていくのか、そこの部分をどう考えておられるのか。これは政府に確認します。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
デジタル手続法案におきましては、議員御指摘のとおり、地方公共団体につきましては、それぞれの事情、能力を踏まえまして、努力義務というふうにいたしております。
他方で、地方公共団体は、行政手続に際しまして、住民と直接接する機会が多い。地方公共団体に対する手続も多数存在するということで、住民の利便性向上の観点から、地方公共団体に対する手続のオンライン化というのは急務だと考えております。
今回の法案によりまして、国のオンライン化を進めるとともに、積極的に取り組む地方公共団体を手厚く支援していきたいと思っておりまして、地方公共団体のオンライン化の取組を大きく前進させていきたいと考えております。
具体的には、現在、電子申請、この四月一日で都道府県は全ての団体が電子申請を行えるようになっておりますが、市町村では、まだ未整備が二百六十団体ございます。まずはこの未整備の団体につきまして、基盤の整備を目標にしていきたいと思っておりますが、その際に、自治体単独ということではなくて、現在でも、県と市町村、市町村同士の共同でやっている場合が多うございますので、そういう共同申請を重点に置いて、システムの基盤整備を図る。
あわせまして、マイナポータルも積極的に活用していただきたい。現在、マイナポータルは、介護、子育て以外にもさまざま使えますので、そういったことを大いに利用していただくということで、自治体にも頑張っていただきたいと思っております。
〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○山岡委員 手厚い支援とさまざまな工夫はしていくということをお話があるわけでありますが、ただ、私が地方自治体の勤務の様子、状況を見ますと、極めて旧態依然の状況の中で行政全体があるわけであります。
例えば、今の国民の皆様に対する話だけではなくて、中の職場環境ですね。いまだに出勤簿は判こを押して、みんなでやっている。あるいは、休暇届を出すには、手書きで文書を書いて、そして上司の判こをとらなきゃいけない。WiFiなんて、まだ全然そんな環境にもないですし、地方自治体というのは、基本的に働き方の状況も含めて、今は近代的ではないわけでありますけれども。
そこで、ちょっと確認しておきたいんですけれども、IT総合戦略室、今回、この法案を含めて、先頭に立っておられる政府の職場でありますが、この職場におきましては、出勤あるいは休暇届、こうした実態が地方自治体の今の事例とどのような違いがあって、どれほど進んでおられるのか、政府に確認します。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
IT室のデジタル化の状況についてでございますが、まずWiFiについて申し上げますが、現在、執務室及びIT室の会議室内で整備をされておりまして、随時の打合せの際にはパソコンを持ち寄って執務室内で打合せを行ったり、幹部職員の定時の会議におきましても、パソコンを持ち寄って会議室で会議が行われているような状況でございます。
また、近隣の合同庁舎で外部の有識者を交えて開催いたします会議におきましても、iPadを使用してペーパーレスの会議も既に実施をしているところでございます。
また、フリーアドレスについてでございます。こちらは今後の検討課題ということでもございますけれども、引き続き検討をしてまいりたい。
また、お尋ねの職員の勤怠管理についてでございますけれども、こちらも同じく検討課題であると認識をいたしておりますけれども、現状を申し上げると、出勤簿、休暇簿に記入、押印をするということで実施をしているところでございます。
ただ、これにつきましても、委員御指摘のとおり、今後のデジタル手続法案の基本原則を踏まえて、業務の遂行に用いる情報の紙からデータへの転換が進むように、所要の対応を行ってまいりたいと思っております。
○山岡委員 ちょっと短くはっきり答えていただきたいんですけれども、ここの勤務の実態は地方と変わりあるんですか、変わりないんですか。判こを押しているんですか。手書きの手続をやっているんですか。イエスかノーかで答えてください。
○平委員長代理 二宮内閣審議官。大きい声で。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
勤怠管理の実態につきましては、紙を使いまして、実際記入をし、印鑑を押すという形で実施をしておるところでございます。
○山岡委員 答弁が聞こえにくいし、はっきり言っていただきたいんですが、私がここで問題提起したい。
本当はほかのテーマをやろうと思ったんですけれども、さまざまお話を聞いてびっくりしたんですが、政府の一番先頭に立っているIT戦略室は、これから令和の時代を迎えようとしている中、平成も終わろうとしている中、昭和の古きよき時代から使われていたような、判こ、紙での提出、そしてそれによる上司のまた判こを押して、休暇届をとる。
今WiFiのお話がありましたけれども、WiFiが入ったのもこの四月からだというんですよ。自慢げに今お話しされていましたけれども。一番先頭に立っておられる部署、エストニアまで見て、壮大な計画を立てておられる中で、足元におられる職員の皆様の職場環境こそが、これから政府はデジタル化を目指すのであれば、学生さんも多く憧れる、見学してくる場所じゃなきゃいけないと思いますけれども。それが旧態依然とした、課長が一番奥にいて、室長がその隣ぐらいにいて、そこに机が全部並んでいて、その机は全部仕切られて、ペーパーが全部そこに積んであって、しかも判こと書類とやっているという環境というのは、いささか問題だと思うんですよね。
ちょっともう一個、これは確認するんですけれども、この法案説明については、大臣には紙で説明したんですか、それともiPadで説明したんですか。どちらですか。
〔平委員長代理退席、委員長着席〕
○平井国務大臣 この法案に至るまでは、私、党の方ではIT戦略特命委員長で、この法案の原型になるような法案の議論をしておりましたが、そのときは全てペーパーレスでやっておりました。今、大臣になって、こうしてここに立って答弁しておりますが、答弁書は今、紙でございます。法案説明を受ける経過も、ベースは紙でです。
さっきのお話、現場の話を聞いていて、職員の皆さんが入館、退館するときに使っているのはマイナンバーカードのチップなんですよね。ですから、そこまでやっておりながら紙の文化が残っているというのも、本当、何か全体の調和がとれていないな、そのように聞いていて思いました。
○山岡委員 大臣の所感はまさにそのとおりだと思うんですよ。民間企業、私のもともと勤めていたところですら、当然、出勤の関係はパソコンでそれぞれ入力しながら、さまざまな休暇の申請あるいは手当の申請等も含めてやっておったという状況の中で、何でこんな状況が残っていて、しかも、こうした先進的な取組をしようというIT戦略室までそのとおりなのかというのは、私は、まずこういう環境こそ直していただきたいと思いますし、このあたりをやはり大臣にリーダーシップをとってやっていただきたい。これは各省庁全部同じだと思いますよ。
大臣、いかがですか。そこでリーダーシップをとって、これを変えていく、職場環境を変えていくと。
○平井国務大臣 我々、本当に、霞が関全体をもっと生産性を上げたいと思いますし、できれば国会にもお願いして、デジタル化を進めていただきたいと思いますし。職場も、デジタル化によって働き方改革も更に進むというふうにも思いますし、それは合意をとりながら、できるだけ早く進めたい。
基本的には、この法案は、全てデジタル化でやろうという基本理念を持った法律ですから、手続だけではなくて、今後、やはり仕事のやり方等々も含めて、ぜひ進めてもらいたい。そのように私の方からも指示を出していきたいと思っております。
○山岡委員 今大臣から、指示を出していきたいというお話がございました。
もうぜひそうしていただきたいですし、今お聞きいただいた委員の皆様にも、ぜひ国会の方でも、政府を変えていく、どういうふうに取り組んでいくかということも……(発言する者あり)ええ、もちろん国会も含めてなんですけれども、やはり考えていかなきゃいけないですし。
やはり、一つモデルをつくって広げていっていただく中で、総務省の中でも、机を固定化しないフリーアドレスのオフィスをつくるとか、一部にはそういう取組もやっておられる。ただ、職場におられる、事務方の中では役職の大変高い方々は昔からの仕事を続けておられて、若い方々が恐らく声を上げようと思っても、昔ながらのやり方を変えるのは非常に難しいという環境がもしあるのであれば、やはり政治主導でこういう環境も変えていくべきだということを、私はこの質問の中でお伝えさせていただきながら、時間が来ましたので質疑を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 国民民主党の後藤祐一でございます。
きょうは、内閣委員会の委員ではないんですが、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。今は差しかえで委員になっているということですね。
五十分いただきましたが、質問数が多いので、簡潔な答弁をお願いしたいと思います。
平理事とも、あと牧島かれん理事とも、社会全体のデジタル化の議員立法の話を、さきの臨時国会でも合意していたにもかかわらず出せなかったのは大変残念でございますけれども、そのときの議論なんかもベースに、我が党は、この法案、全体としての趣旨はいいと思うんですが、若干、もう少し頑張れという意味での修正部分があると考えておりますので、そのあたりを中心に質疑をしたいと思います。
まず第一に、きょうは条文に則してやっていきたいと思いますが、ぜひ、事務方の方なんかも大臣も、条文の新旧ぐらいを見ながらお答えいただきたいと思いますが。
第二条、基本原則なんですけれども、通常、この手の情報の流通を盛んにするような法律の場合には、個人情報保護への配慮規定というのがあるのが通常です、マイナンバー法なんかもそうなんですが。なぜこれはないんでしょうか、加えるべきではないでしょうか。これは平井大臣にお願いします。
○平井国務大臣 行政機関が保有する個人情報の扱いについては、既に、行政機関等個人情報保護法等の個人情報保護法制に基づき、個人情報を保有するに当たっては、法令の定める所掌事務を遂行するために必要な場合に限り、かつ、個人情報の利用の目的をできる限り特定するとともに、保有個人情報の漏えいを防ぐために必要な措置を講ずるなど、個人情報の保護に関する規律が課せられているところであります。
本法案に基づくデジタル化の取組も、このような規律を前提とするもので、加えて、本法案においても、情報システムの整備に当たり、情報システムの安全性及び信頼性を確保するために必要な措置を講ずる義務を国の行政機関等に課しています。
このような規定に基づき、個人情報の保護に配慮しつつデジタル化を進めよということですが、一言で言えば、個人情報保護法というものを遵守しながら、きっちり守りながら進めるのは当然のことだという意味では、前回の官民データ活用推進基本法と同じような書きぶりになっていると理解しております。
○後藤(祐)委員 ほかに法律があるからいいんですというと、何にも書く必要がなくなってしまうんですが。
この法律に基づいて、いろいろなところで、地方公共団体も含めて、情報の流通が進むこと自体は私はいいことだと思うんですが、だからこそ配慮しなきゃいけないという意味で、我が党は、修正でこれは加えようと思っております。
情報通信技術を活用した行政の推進は、個人情報の保護に十分配慮するとともに、個人の権利利益が害されることのないように配慮して行わなければならないというのを、例えば二条二項あたりに加えるべきじゃないかと考えます。
続きまして、デジタルデバイドの十二条をお伺いしたいと思いますが、この十二条の一項は、国が直接相談とか助言をしましょうというお話が書いてあって、二項は地方公共団体です。
例えばハローワークといった国の行政機関に直接国民が接するようなところで、そこにアドバイザーみたいな方がいる、相談員がいる、これはわかるんです、そういったところは。実際それはやられているというふうに伺いました。ですが、国の行政機関に直接国民がかかるケースというのは非常にまれでありまして、むしろ、中心となるのは、地方公共団体における行政手続を行うときに、デジタルデバイドを配慮していろいろな相談員がいる。それは、役所にいる場合もあれば、ホームページで、こういうところに聞いてください、あるいはメールで対応しますとか、いろいろなやり方はあると思うんですけれども、地方公共団体がそういったことをやるのが主であって、それを国が財政面だとか技術面で支えるというのがむしろ本筋ではないかと思うんですね。
国が直接相談員と言われる十二条は若干違和感があるんですが、この十二条の一項と二項の成り立ちがむしろ逆ではないのかなという気がするんですが、これについてお答えいただきたいと思います。
○平井国務大臣 今回、社会全体のデジタル化を進めていくに当たって、高齢者なども含む全ての国民がその恩恵を受けることができるように、デジタルデバイド対策の取組もあわせてやっていくことが不可欠です。デジタルデバイドの是正を図るための施策を国の行政機関等の義務として新たに位置づけたんですが、実は、これはいろいろ考えたんですが、いや、議員立法のときにですよ、政府案というわけじゃなくて。
社会全体のデジタル化を進めるといったら、周りの人たち、私のおふくろがちょうど今八十七歳でiPadを使っているんですが、iPadの設定とかトラブルが起きたときのサポートは、実は私がしております。私のような立場の人間がいると、高齢者の方々にとっても機器を使うということのストレスが大分下がるのではないか。つまり、社会全体で助けられる人は隣の人を助けようというような、そんなイメージがもともと私にありました。
今回、日常生活も含めたさまざまな場面で高齢者や障害者の方々のIT機器の利活用や、NPOやIT企業の退職者等がデジタル活用支援員として地域と連携して支援する仕組みが現在総務省で検討されておりまして、そういう意味で、民間の方々を徹底的にお願いをして、それを地域でそれぞれ、また地域の自治体とも連携しながらやってほしいというコンセプトであるというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 国のやることを妨げるあれではないんですけれども、身近に相談、助言とかいうのは、やはり地方の方が大事になってくると思うので、ちょっと条文の書き方として残念だなと思うのは、十二条二項の地方公共団体の方は準じてと書いてあって、例えば身近に相談、助言とか割合わかりやすい感じで書いてある一項に準じるという形にしかなっていなくて、具体的に地方公共団体でこれをやってくれという形になっていないんですよね。
少しふわっとしちゃっているので、二項の方こそ身近に相談、助言といった表現が必要ではないかと思いますし、本当はここに三項を設けて、こういった地方公共団体が相談の体制なんかをつくるときにそれを国が応援するというのを、特に財政面ですよね、技術面も含めて、十二条三項なりを設けて国は地方公共団体を応援するということを書くべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○平井国務大臣 法案の修正等々については、また皆さん方で御議論をいただければというふうには思いますが。
我々は、社会全体がデジタル化が進むときに、民間の方々がやはり中心になるべきだというふうに考えています。その方々を、地方自治体とかそういう皆さんがやはり何らかのサポートをしていくという意味では、まずは国が法律で、国の義務としてそれを社会全体で進めていくということを明記した上で、あとはそのやり方ということですので、またいろいろ御議論をいただければと思います。
○後藤(祐)委員 財務省に合い議するとこういう条項がなくなっちゃうんですが、だからこそ、こういう議員のいる場で、ぜひ、与党の先生方も、地方公共団体にデジタルデバイドを解消するためのいろいろな相談の状態をつくりたい。だけれども、お金がないんですから、地方は。それを国が財政面で支えてあげるというのは非常に現実的だと思いますし、こういったところで修正すると本当にお金がつくという話になると思いますので、ぜひ前向きに御検討いただきたいと思います。
十二条のデジタルデバイドに限らず、この法案全体を通じての地方公共団体を支えてあげるべきではないかという条文はないのかと事務方に聞いたところ、五条五項に、国は、前項の施策を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。つまり、財政とか技術とは書いてないんですね。
あるいは、十三条二項に、地方が条例や規則に基づいてやる場合のITを使ってくださいということについて、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。十三条二項、ここも財政とか除かれちゃっているんですね。
相談の話以外も、やはり地方公共団体が、この法律に基づいていろいろな努力義務がかかっているわけですから、進めることについては、財政的あるいは技術的な国から地方公共団体への支援をするということを条文で明示すべきだと思いますが、平井大臣、いかがでしょうか。
○平井国務大臣 ぜひ、委員会の場でまた御議論をいただきたいというふうには思いますが、財政措置というものは、この法律の目的を達成するためには別途議論をしなければならないというふうに思います。民間の方々に協力していただくということにしたとしても、それを全く、ただボランティアでやれというわけにはいかず、やはり教育をしたりツールを使ったり、いろいろなことをこれから検討しなきゃいけないんだろうというふうに思います。
そういう意味で、まずは国が全体としての責任を持つというところをこの法案で明確にしておいて、あと、それは別途協議をするということではないかなと考えております。
○後藤(祐)委員 ぜひ、議場の与党の先生方、こういったところを、条文修正の提案を我々させていただきますので、御検討いただきたいなと思います。
それと、ちょっとこれは条文の問題だなと思うのは、十三条の条例又は規則に基づく手続、地方公共団体ですね、における情報通信技術の利用というところで、条例又は規則に基づく手続についてはできるだけ情報通信技術を利用しましょうという努力義務をかけているんですが、十三条一項で。例えば、地方公共団体には地方単独事業でいろいろな補助金を市民の皆様なんかに交付しているものがありますが、一々規則なんか定めてない場合が多いんです。
実際、私の地元のある市町村も、補助金交付要綱的なものはあるんですが、規則ではない。きょう確認しました。これは規則ですかと聞いたら、規則では多分ないでしょうと。規則では多分ない補助金交付要綱のみに基づいて地方公共団体が行っているような補助事業、多分、いっぱいあるんですね。そういったものがこの十三条だと除かれちゃうんです、条例又は規則に基づく手続と限定列挙しているので。ここは、等をせめて入れるとかすべきじゃないでしょうか、十三条。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
御指摘の十三条でございますが、これは、趣旨は先ほど委員が御指摘のとおりでございまして、条例又は規則に基づくものについての努力義務でございますが、これは法律が法令に基づく手続を対象としている、これとのパラレルというふうに考えていただければと思います。
法令は、国民に対しまして義務づけを生じさせ得るものでございます。この法律の規定によりまして、例えば、オンライン以外で行うよう法令上義務づけられている手続につきましても、オンラインで行い得るようにするということでございます。
同様に、地方公共団体が定める手続につきましても、住民に対して義務づけを生じさせ得る条例と規則の規定においてオンライン以外でも行うよう義務づけられている手続でも、これは努力義務でございますけれども、そういうふうにしていただきたい。
ただ、委員御指摘のように、今回のデジタル化というのは非常に重要でございますので、今回の法案をきっかけとして、条例、規則に基づく手続以外の手続も含めて地方公共団体のオンライン化が進むということは、我々としても期待しているところでございます。
○後藤(祐)委員 最後に述べたところは十三条一項に含まれませんよね。確認。
○時澤政府参考人 十三条一項には含まれませんが、我々としてはそういうふうなことも期待をしているということでございます。
○後藤(祐)委員 条文を読むのが上手な松本筆頭、ぜひ、今のはやはり等を入れるべきではないかと思いますので、入れても問題がないと思いますし、まさに、法令という言葉を使われましたが、国でも法令に基づかない単なる予算措置はいっぱいあるじゃないですか。その単なる予算措置に基づくいろいろな申請行為はいっぱいあるじゃないですか。
まさに、おっしゃったように、法令だけではなくて、条例、規則だけではなくて、単なる予算措置、でも、単なる予算措置でも補助金交付要綱的なものは大体つくります。それを何で除外するんですか。ここは直すべきだと思いますよ。松本筆頭、ぜひ御検討いただきたいと思います。
続きまして、添付書面の省略、これは大変重要なところ、十一条でございますけれども、きょうは外務省にお越しいただいております。辻政務官、ありがとうございます。
パスポートの申請というのは、日本国民のかなり多くが国の行政機関で直接行政手続をするという代表的なものだと思いますが、現時点ではパスポートの申請には戸籍謄本若しくは戸籍抄本が必要ですが、これはなぜ必要なんでしょうか。
○辻大臣政務官 後藤委員の御質問にお答えします。
議員御指摘のように、今現在、旅券を、パスポートを発行する際には戸籍謄抄本の添付が必要でございます。
今国会で戸籍法が改正され、戸籍電子証明書を発行する制度が創設される見込みでありますが、それに伴って旅券発給審査に必要な戸籍情報の入手が可能となれば、原則として旅券発給申請時における戸籍謄抄本の提出を省略することを検討すべく、今関係省庁と協議している次第でございます。
○後藤(祐)委員 ぜひそれは実現してください。マイナンバーカードを取得する一つの大きな理由にもなると思いますので、今のは非常に大事な答弁だと思いますので、ぜひ実現をお願いしたいと思います。
今のは二つ聞いてしまった感じだと思いますが。
十一条の添付書面の省略の条文と今の外務省の取組みたいなものの関係をお聞きしたいんですけれども、十一条では、法令に基づく手続における添付書類の廃止というのは条件があるんですね。長ったらしい条文ですけれども、要するに役所が別途情報を入手し参照することができる場合には添付することを要しないと書いてあって、要するに役所がやる気にならないと添付書類はなくならないという。これだと、役所がやる気にならなかったらやらなくてもいいですという、義務づけになっていないんですね。つまり、マイナンバーカードを示したら、もう役所は書類は入手できるわけですから、およそあらゆる場合、限定された特定の何か理由があればともかく、それ以外はもう原則要らないということをはっきり十一条は書くべきだと思うんです。
もうちょっと具体的に言うと、マイナンバー法の別表第二というのがあって、そこの第四欄というところにマイナンバーで接続されている書類というのがだあっと網羅的に列挙されています。マイナンバー法別表第二の第四欄に掲げる特定個人情報が記載された書面、具体的に言うと住民票とかそういったものですが、これについては、特に国の行政機関の手続においては、マイナンバーを使用した場合にはもう無条件に添付不要というふうにすべきではないでしょうか。
十一条の参照できることができる場合にはと、場合で逃げちゃう。やる気がなかったら、面倒くさいからやりませんで逃げられちゃうんですよ、場合で。この条文、そういう意味では弱いと思うんですよね。
だから、今の外務省のはすごくいい答弁だと思うんですけれども、この十一条で場合というのを除けば、もうそうせざるを得ないんです、この十一条で。でも、十一条があっても、外務省がやる気になるからさっきの答弁ができるわけで、そうすると、この十一条は何のためにあるんですか。添付することを要しないという形の法律効果は非常に重要なんですけれども、ぜひ、この場合というところを各省の裁量にするべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
○時澤政府参考人 添付書類の省略につきましては、情報連携等によりまして行政機関等が本人確認情報などを確認ができるということでございまして、ただ、場合というふうに規定をしておりますが、添付省略ができない場合というのが想定されるということで、こういう書きぶりをしております。
例えば、一つは災害時でございます。システムの構築がされていたとしましても、通常はできるわけですけれども、災害により、情報連携システムを経由して情報を入手できない場合、これは添付書類の省略を行うことはできないことになりますので、こういう場合には意味があるということでございます。
また、情報連携をする際の情報の提供側がシステムの整備を行った場合でありましても、受け手の側が情報連携システムの接続をしない、こういった場合もありますので、そういう場合にも備えまして、個別の事情に応じたきめ細かな対応が必要になってくるということで、こういった書きぶりになっておるところでございます。
○後藤(祐)委員 もうここまで数千億円をかけてマイナンバー制度をつくってきたわけですから、対応しないなんていうことは許されないんですよ、そもそも。
ただ、一つあるのは、今答弁で何でなかったのかなと思うんですが、事務方から聞いたときには、ある行政手続がすごく件数が少なくて、だけれども、それに対応するためのシステム構築にはすごいコストがかかる、それは費用対効果の面からどうなのか、これはわかりますよ。この費用対効果の面と、あとは、災害時というのは、災害時こそマイナンバーでできるようにしろと私は逆に思いますが、災害時だとか特殊なケースだとか何か限定列挙をして、そういう場合を除いてはやらなきゃいけないというような条文にこの十一条はすべきではないかなと。
特に費用対効果のところはわかるんですけれども、そういった理由がないようなものについてはやらなきゃいけないという形にすべきだと思いますが、平井大臣、いかがでしょうか。
○平井国務大臣 かねてより、大臣になる前から添付書類の撤廃というのを言い続けてきた私としては、できるだけ進めたいと思います。
これは、システム改修にある程度のお金が要ります。そういうことを含めて、一番やはり効果のありそうなところから適宜進めていきたい、そのように思っております。
○後藤(祐)委員 ぜひ、これは大臣の前向きなこれまでの姿勢を府省内に、内閣官房も含めて徹底していただいて、本当は十一条を改正していただきたいところですが、もしそうならない場合にも、これの運用の仕方として、今言ったような特殊なケース以外は認めないというような運用にすることは可能なはずですから、ぜひ、大臣、督励してやっていただきたいなというふうに思います。
今の関連でいいますと、一般国民が添付書類で一番多いのは住民票だと思うんですね。住民票というのは、国の行政手続、地方公共団体の行政手続ともにですが、一体何のために求めるんでしょうか。これは、本人確認と住所の確認、この二つだけだと思うんですが、それ以外にありますか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、ほとんどの場合はそうでございますけれども、社会保障なんかの関係で同居というのがありまして、そういう場合には、AさんとBさんが同居しているかとか、そういう要件が必要な場合もございます。
○後藤(祐)委員 同居かどうかも含めてマイナンバーカードでわかると思うんですよ。わからないんですかね。マイナンバーカードを示して、接続していればわかりますよね。
少なくとも、本人確認と住所の確認はマイナンバーカードでわかりますよね。その二つの理由のものについては、住民票の添付はおよそ一律に禁止すべきだと私は思うんですね。それでどれだけの国民が住民票をとることが減るか。何となく求めているのがすごく多いと思うんですよ。
独居かどうかとか、どうしても別の理由というものが、ちょっと例外的に除くところがあってもいいと思いますが、少なくとも、本人確認と住所の確認を理由とする住民票の添付はしてはならないということを、運用上なのかもしれませんが、国として地方公共団体に対して、これはぜひ、どういうやり方をするかはともかく。
これはぜひ石田大臣にお伺いしたいと思うんですが、このマイナンバー制度の最大の効果だと思うんですよ。これだけお金をかけて添付書類が要らなくなった。特に住民票は、よほど特殊なケースを除いては要りません、だからマイナンバーカードを取得しませんかと言ったら、ちょっときょう、医療機関の話は時間がなくなったのでやりませんが、これはマイナンバーカードを取得する結構理由になると思うんですね。なぜならば、住民票は取得するのに何百円か取られるから。マイナンバーカードを取得するのに金はかかりませんから。だったら取得しようという国民はふえると思うんですよ。
石田大臣、これはぜひ督励していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○北崎政府参考人 お答えいたします。
後藤先生御存じのとおり、マイナンバーの使用は税と社会保障と災害でございまして、これを法律上きちっと書いてあるものでございます。したがいまして、住民票のかわりにマイナンバーを使えるようにするということであれば、まさに法改正の世界の中でこれを一つずつふやしていっていく、そういう努力が必要なんだろうと考えております。
以上であります。
○石田国務大臣 今お答えをいたしましたけれども、今回のデジタル手続法案による行政手続オンライン化法の改正には、行政機関等の情報連携によりまして添付書類の省略を可能とする規定が盛り込まれており、この規定は法令により住民票の写し等の添付が規定されている手続についても適用されます。
これによりまして、住所地市町村に対する行政手続において当該市町村の住民基本台帳システム等を活用して必要な情報を入手できる場合には、各種法令に規定がある場合でも、住民票の写しの添付を省略することが可能となるものと考えられるわけであります。
ただ、市町村のシステムの整備は電子化されている手続の範囲や件数もさまざまでありまして、それぞれの団体においてコストや利便性の向上等を勘案して進められてきていることから、住民票の写しの添付省略を全ての市町村に義務づけることは考えておりません。
しかし、総務省としても、改正法の趣旨を踏まえ、添付省略が進むよう市町村に働きかけてまいりたいと考えております。
○後藤(祐)委員 ぜひ働きかけてください。
先ほどの局長の答弁は、私は十一条がまさに法改正を必要としなくなるための条文だと理解していますけれども、ちょっと、さっきの答弁はいかがなものかというような気がいたしますが。
十一条の解釈でほとんどの場合は住民票は要らないという運用をすればいいわけであって、今、石田大臣からも前向きな答弁をいただいたわけですから、十一条の解釈の中で住民票を不要とするような運用にどんどんしていくという形にしていけばいいのではないのかなという気がしますが、ちょっと、局長の答弁の方が違和感があって、大臣の方が前向きな御答弁をいただいたので、ぜひ、よほど特殊な理由がない限りは住民票はもう添付は要らない、必要な場合はこれとこれとこれだけです、なぜならば理由はこうですというような説明責任をむしろ課して、やめていくというぐらいのことをぜひ石田大臣にお願いしたいと思います。
石田大臣は何かこの後に御予定がいろいろ詰まっているということで、もしあれでしたら、こちらで結構です。
○牧原委員長 石田大臣は御退室ください。
○後藤(祐)委員 それでは、引き続きまして、戸籍の関係、一点だけ確認したいと思います。
法務省からお越しいただいておりますが、筒井審議官、これはもう単なる確認です。この国会に提出されている戸籍法改正案が成立するとマイナンバーに接続されるということだと思いますが、これは戸籍謄本とか戸籍抄本なんかがこの法案の十一条の添付書面省略の対象になるという理解でよろしいのでしょうか。戸籍法改正案とこの法案の関係について聞いています。
○筒井政府参考人 お答えいたします。
現在国会に提出されております戸籍法の一部を改正する法律案によりますと、法務大臣は、行政手続において戸籍の情報の確認が必要な行政機関に対し、マイナンバー法に基づく情報連携のために作成される戸籍関係情報を提供することができるようになります。
これによりまして、行政手続において戸籍関係情報の提供を受けた行政機関は戸籍に記載されている情報の確認が可能となり、当該行政手続については戸籍証明書の添付が省略されることとなります。
○後藤(祐)委員 ですから、十一条の対象になるということでよろしいんですか。
○筒井政府参考人 ただいま御指摘がありました十一条とは別に、マイナンバー法の二十二条に規定されております関係で添付が省略されるということでございます。
○後藤(祐)委員 そうなると、この十一条は一体何なんだという話に、さっきの外務省の話のようになってくるんですよね。ほかのところでやる気になったらできますよというだけで、この十一条の効力というのは一体どこにあるのかということが、二つにわたって証明されてしまってきている気がするんです。
外務政務官、済みませんでした。辻政務官に対しての質問は先ほどで終わりでございますので、御退室いただいて結構でございます。
○牧原委員長 辻外務大臣政務官は御退室ください。
○後藤(祐)委員 そうなんです。十一条が空規定になりかねないことが二つ、わかってきたなという感じがいたしますが、もう一つ具体的な例を挙げたいと思います。
国民が国の行政機関に直接申請なんかをするのでパスポートに次いで多いのは、恐らく自動車登録ではないのかなというふうに思うんですが、自動車登録の際は印鑑証明が必要となっておりますが、これはなぜでしょうか、国交省。
○福田政府参考人 自動車登録手続におきましては、本人の意思に基づいた登録の申請であること、手続の代理申請を依頼する場合に必要な委任状が真正なものであることを確認するため、印鑑登録証明書の添付を求めているところでございます。
○後藤(祐)委員 今、自動車保有関係手続のワンストップサービス、OSSというのを使うと、オンラインで自動車登録ができるというふうに伺っておりますが、その場合は、マイナンバーカードをカードリーダーで読み取れば、印鑑証明は不要となるんでしょうか。
○福田政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○後藤(祐)委員 本人の意思を確認するのに、何で印鑑証明が必要なんですか。しかも、マイナンバーカードで代替できるわけですよ。しかも、自動車登録の申請書類という本体があるわけですよね。それに名前が書いてあって、かつ本人である証明がなされれば、本人が自動車を登録する意思があるのは明確じゃないですか。
それ以上に印鑑証明が必要な理由をお答えください。
○福田政府参考人 先ほど、最初の御質問にお答え申し上げましたとおり、本人の意思に基づいた登録の申請であること、それから、手続の代理申請を依頼する場合に必要な委任状が真正なものであることを確認するためにということでございますけれども、ほとんどの場合、委員も御存じかと存じますが、ディーラーの方に自動車登録手続の際に委任を消費者の方はなさっているという中で、それが本人の方の意思に基づいた申請であるかどうかということは、必要な委任状が真正なものであることを確認していくものとして印鑑登録証明書の添付を求めているところでございますのと、先ほど二問目にお尋ねいただいた点は、お答え申し上げたとおりですが、その場合にも、電子委任状によりまして、委任がしっかりなされたものであるかどうかを確認させていただいているところでございます。
○後藤(祐)委員 であれば、本人が陸運局へ行ってマイナンバーカードを提示したら、さすがに印鑑証明は要らないんじゃないですか。
○福田政府参考人 本人の申請の場合でございましても、自動車登録というのは、自動車について所有権をお持ちの方であるということを公証するための根幹となる制度でありまして、また、もろもろの手続の、例えば車庫証明をとっているのかとか、自賠責保険に入っているのかとか、そういったものについて確認するものになっているものでございまして、そうしたものにつきましては、本人のものであることを確認するという手段がどうしても必要であるところでございます。
○後藤(祐)委員 たくさんの与党の先生方、笑っていらっしゃいますけれども、本人であることを確認するのがマイナンバーカードじゃないですか。写真つきで、しかも。しかも、本人が来てマイナンバーカードを示して、自動車登録の申請書を書いて、本人が自動車登録をしたいという意思は明確じゃないですか。何でこれで印鑑証明が必要なんですか。与党の先生方、いかがですか。これはおかしいですよね。かなりおかしな答弁だなと。
ちょっともう時間がないので、次に行きます。
続きまして、オンライン手続について行きたいと思いますが、特に地方公共団体のオンライン手続は、小さい、特に町とか村なんかは、そんなシステムをつくり上げるのは大変なんですよね。
例えば東京都なんかは、小笠原村とか、離島の方に小さい町や村があって、そういったところのものは、ホームページへ行くと、こっちへ行ってやってくださいとなって、それは事実上、東京都がお金を出しているのかもしれませんが、そこなんかがつくってくださっています。これは非常に現実的だと思うんですが、これは国単位でやるべきじゃないでしょうか。
つまり、お金のない、あるいは人がいない町とか村で、ホームページでオンライン手続できるようにしなさいと今回の法律でも努力義務がかかるんですが、そんなことを言ったって、うちの村には職員七十人しかいない。うちの選挙区にもそういう村があるんですけれども。
これは国が、あるいはJ―LISとかそういったところでもいいですけれども、典型的などこの市町村でも発生するような手続については、クラウド的というんでしょうかね、それはマイナポータルでやっている面も少しあると思うんですが、まとめてつくってあげて、各市町村がそれを利用できるようにしてあげて、ほとんどコストゼロでこういったオンライン手続を可能にしてあげることがオンライン手続を進める一番簡単な方法だと思うんですが、マイナポータルで子育てについてはある程度できていると思いますが、これを、平井大臣、ぜひ進めるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○平井国務大臣 正直申し上げて、各自治体、特に小さいところを考えると、人もいない、金もない、要するに住民のリテラシーも低いとか、いろんな条件もあると思います。
結局、電子行政の場合は、そのエリアに閉じたら意味が全くないので、できるだけ広げて、効率も上がりますし、小笠原の事例であれば東京都がやるというのも理解できることですし、そういう意味で、やはり、クラウドの世界でいくとエリアの概念が外れますので、そこらあたりで、利便性、予算の問題とか、あとは人がいないというような問題を解決できるような政策誘導をしていきたい、そのように思います。
○後藤(祐)委員 ぜひお願いしたいんですが、事務方から聞いたときは、今の例として、子育てワンストップサービスというのがマイナポータルにあって、マイナポータルで各市町村の手続が、児童手当の申請だとかというのはまとめて用意されているというのはこの典型ではないかという御説明がありました。
ところが、大臣、このマイナポータルへ行くと何が起きるかというと、何とアイフォンではできないんですよ。アンドロイドの人はアプリがダウンロードできるんですけれども、アップルストアにはアプリがなくて、アイフォンの人にはできないとなっているんですけれども、これは事実でしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
残念ながら、アップルにつきましては、仕様を公開しておりませんので、アプリをつくることはできませんので、アイフォンでは使用できません。
○後藤(祐)委員 マイナポータルはアイフォンではできない。だとしたら、ちょっと別の方法を考える必要があると思うんですが。大臣、こういったことで、せっかくすごいお金をかけて、そして、マイナポータル利用しましょう、きょうもいろんな質疑の中でマイナポータルで頑張ってやっていますよという答弁が、アイフォンだとできないということで半分どぼんになっちゃうわけですよ。大臣、これはちょっと何か解決すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○平井国務大臣 私はマイナンバーの担当ではないんですが、IT担当ということで答弁させていただきますと、日本はやはりアイフォンの比率が特異的に高い中で、アイフォンを使えない状態を放置することはできないというふうに思います。ですから、ここは、政府を挙げて、強い働きかけをして、何とか使えるようにしていただくというのが一番かと思います。
○後藤(祐)委員 非常に力強い答弁をいただきました。平井大臣のおかげで、マイナポータル、すごく使いやすくなると思いますので、今のかなり断定的な非常にすばらしい答弁だったと思いますので、ぜひ実現をいただきたいというふうに思います。
その上で、今、マイナポータルでは、児童手当の申請ですとか子育て関係のところはできるんですが、介護ですとか、数多くの国民が市町村の手続なんかで電子申請できるようにするために、ぜひ、それに続く、介護にも限りません、たくさんの申請者がいるようなものを片っ端からつくってあげるべきだと思いますので、今の平井大臣の御答弁からすれば、どんどんできるんじゃないのかなと思いますし、これは、ある意味、二重投資、二重投資どころか千八百重投資を防ぐためにも大変重要な点だと思いますので、業務の効率化という面でも進めていただきたいなというふうに思います。
法律のチェックに戻りたいんですが、ちょっと今の話とは飛ぶんですけれども、第十条というのがありまして、この法律の適用除外という、要は余り進めちゃいけない手続というのがあるんですと。ここがやたら広がってしまうとこの法律は台なしになってしまうんですが、この十条の一号、二号で何か物すごい限定されたものが適用除外されているんだったらいいんですが、みんなここに逃げ込んじゃっていろいろな義務がかからなくなってしまうと問題なんですが、この十条は極めて限定的な、このケースのことですというような御説明をいただけますでしょうか。
○時澤政府参考人 お尋ねの十条でございますが、私どもとしましては、真にオンライン化になじまないものであるか否か、これは前提としてDPRも含めてやりたいと思いますが、そういった真にオンライン化になじまないものであるか否かをきちっと精査した上でやりたいと思っています。
今、具体的にまだ確定してはおりませんが、例えば運転免許証などは運転免許証そのものを渡さないといけませんのでということ、それから、例えば処分通知に係る書面、例えば自動車運転代行業者の許可、これを掲示しなさいとか備え付けなさいとかというのがあります。有料の職業紹介あるいは警備業法、そういったものがあります。そういった備付けの部分につきましては、これはオンラインでできませんので、そういったものが含まれます。
また、申請者の生活状況、就労あるいは求職活動の状況で、窓口での対面のやりとりでその状況を把握するような生活保護の申請、そういったものもこの第一号の対象となると思っています。我々として、先ほど言いましたように、これは極めて限定的に扱いたいと思っています。
あと二号でございますが、これは、行政手続オンライン化法の既にオンライン化に関する規定が存在するものにつきまして、重ねて適用する必要がありませんので適用除外とするものでございます。
例えば、特許の出願でありますとか、国の会計手続でありますとか、市町村民税に係る扶養親族等の申告手続、そういったものは既に規定されておりますので、そこは重複適用を避けるために除くというものでございます。
○後藤(祐)委員 ぜひここは限定的に運用をしていただきたいなと思います。
次に、電子的な手続をした場合の優先的取扱いについてお伺いしたいと思いますが。
e―Taxというのは多くの方が御存じだと思いますが、e―Taxで確定申告をするとお金が早く返ってきます。これは電子的なので早く返ってくる面があると思うんですが、これは、優先的取扱いと呼ぶかどうかは別として、コストも下がるし、国民にとっても非常にいいことですよね。
あと、これは事務方の皆様から教えていただいたんですが、住民票を窓口で申請する手数料よりも機械で申請する方が安いということをやっている市町村もあると聞きましたが、これは事実でしょうか。
○北崎政府参考人 お答えいたします。
例えば、住民票の交付をコンビニエンスストアでできることがございます。その際は、例えば、通常ですと三百円でありますものが、それより安くコンビニ交付の場合の手数料として設定されているところがございます。
以上であります。
○後藤(祐)委員 これは重要だと思うんですよね。マイナンバーカードをだったら取得しようという人が出てくると思うんです。住民票をとるのに、直接行くより安いんですから。このように、やはり、より安いとかより早いというメリットがあるのでマイナンバーカードをとりましょうというのは、一番わかりやすい周知の仕方だと思います。
ただ、ちょっと気をつけなきゃいけないのは、そういうのは難しくてわからないという、デジタルデバイドを配慮した場合にこういうのはいいのかみたいな、気にし出すと、もとの窓口でやるものを値上げしちゃいけないような気がしますが、もともとの値段を置いておいて電子的にやると安いとかいうのは全く問題ないと思うんですが。
だから、まさにそういうことをこの法律に書くべきだと思うんです。つまり、電子的な取扱いをした場合は早く処理されるとか手数料が安いとかということはぜひ推奨されるべきことであるということを条文に一応置いておけば、地方公共団体なんかが今みたいなことをやるときに法律のお墨つきを得て堂々とできると思うんですが、これは法令上明らかにすべきではないでしょうか、平井大臣。
○平井国務大臣 法案の中身についてはぜひ与野党で御議論いただければと思うんですが、確かに、オンラインでやったら手数料が安いというケースがある。先ほど、どなたかETCの話もされていましたが、今、キャッシュで乗るととんでもなく高いんですね、例えば瀬戸大橋なんかは。
結局、行政コストが下がるというのは間違いなくて、システム投資をしながら、最終的には手数料みたいなものは下がっていくと思います。紙ベースでやるよりは絶対に下がるんですが、下がる、だからそこにインセンティブを働かせるというふうにするか、どのようにするかはまた御検討いただければと思うんですが、何らかのメリットがあるということは間違いないと思うので、手数料のオンライン化や、手数料のオンライン納付等による行政事務の効率化というものが達成されていくべきだと考えております。
○後藤(祐)委員 ぜひ、こういう法律に、そういう基本的なスタンスみたいなものを、今ので、安くしたり優先的に取り扱うことはそれは問題ないという御趣意だと思いますので、我々は、この部分も文書で出してはどうかと。牧島先生おられますけれども、議員立法のときに、この話、議論させていただいたと思います。ぜひ、これも修正を提案させていただきたいと思いますので、御検討いただきたいと思います。
それでは、最後に、公文書管理の関係を少しお伺いしたいと思いますが、今は公文書の作成はほとんど電子的に行われていると思います。外から申請されたようなものが手書きになっているようなものが若干あるかもしれませんが、役所の中でつくる文書は、ほぼ、ほとんど電子的なものだと思いますが、電子的につくられたものは、あえて削除しない限り、サーバーにそのまま残っているんですね。紙媒体は、どんどんどんどんふえていくと、置いておくスペースがなくなるので、だから、一年未満文書、すなわち、保存期間を一年未満としていいという規定があるのは、紙媒体の場合は私はわからなくはないんです。
ただ、公文書管理法上は、この一年未満というのは、行政文書ファイル管理簿をつくる必要がなくて、情報公開の観点からも請求のしようがありませんし、大体、いつでも捨てていいわけです。いつでも捨ててよくなっちゃうので、内閣府への八条二項の協議も必要ないので、これは、一年未満文書というのはやはり問題であると思います。ただ、紙媒体には限界があると思いますので、電子的につくられた行政文書については一年未満という保存期間を付してはならない、こういう形にすべきだと思いますし、私はそういう法案を提出しています。
これについて、これは所管が違うそうなので、内閣府の舞立政務官にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○舞立大臣政務官 お答えいたします。
公文書管理法、先生も御存じだと思いますけれども、行政文書を国の諸活動や歴史的事実の記録と位置づけまして、行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、行政機関の諸活動について現在及び将来の国民に対する説明責任を全うするという同法の理念を充足するため、行政文書の管理に関する基本的な事項を規定しているところでございます。このことは、行政文書の媒体が紙であれ電子媒体であれ、変わるものではございません。
その中で、具体的に、公文書管理法の運用におきまして、意思決定過程や事務事業の実績の合理的な跡づけ、検証に必要なものについては、一年以上の保存期間を設定し、行政文書ファイル管理簿に記載するとともに、確実に保存する、そして、保存期間満了後には、将来への説明責任を果たす観点から、歴史公文書については国立公文書館に移管し、そうでない文書は廃棄するということにしているところでございます。
この一年未満の保存期間を設定可能な文書につきましては、行政文書管理ガイドラインにおきまして、意思決定過程や事務事業の実績の合理的な跡づけや検証に必要でない行政文書として範囲を限定するとともに、定型的、日常的な業務連絡等類型を例示いたしまして、一年未満の保存期間満了後に廃棄することを許容しているところでございます。
こうした行政文書についてまで一年以上の保存を義務づけることは、適正に閲覧可能な状態で整理し、保存管理するためのコストが発生いたします。行政を適正かつ効率的に運営という公文書管理法の目的に照らしても、慎重に検討する必要があると考えております。
いずれにいたしましても、保存期間一年未満の行政文書の扱いにつきましては、行政文書管理の電子化を進める中におきましても、研修の充実やチェックの強化等の公文書管理の質を高める不断の取組を行い、一昨年、そのガイドラインを改定いたしましたが、まずはそのルールの徹底と確実な運用を図ってまいりたいと考えております。
○後藤(祐)委員 紙媒体についてはわかるんです、さっき言ったように。スペースが必要だから。
電子媒体の場合、サーバーのコスト以外に何がコストなんですか。
○舞立大臣政務官 永久保存なり一定期間保存をする以上におきましては、やはり体系的に整理を行った上で適正に閲覧可能な状態で整理し、保存管理する必要がある。完全性、見読性、機密性の確保、そして、管理簿の作成の事務負担等、やはりそこは一定の行政コストがかかるものと考えているところでございます。
○後藤(祐)委員 行政ファイル管理簿の作成コストをその理由にされては困りますね。松本筆頭、今のはちょっと問題のある答弁じゃないでしょうか。
行政ファイル管理簿をつくるコストがかかるから、一年未満を認めてくださいというのは、これはやや聞き捨てられない答弁だなと思いますが、時間が来たので終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時三十六分休憩
――――◇―――――
午後一時三十分開議
○牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。平将明君。
○平委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。
それでは早速質問に入ってまいりたいと思いますが、まず、デジタルガバメント法案の意義について大臣にお伺いしたいと思います。
世の中全体がデジタル化、ダボス会議でも安倍総理からデータ・ドリブン・エコノミーという言葉が出てきているわけであります。民間部門とパブリック、両方あると思うんですが、そういうような背景にあって、今回提出しているデジタル手続法案の意義また背景について、大臣の認識をお伺いいたします。
○平井国務大臣 世界でデジタル化とグローバル化がとまらない中で、明らかにデジタル化のメリットというものがここまで顕在化している状況で、我々がデジタルガバメントを実現しないということはあり得ないというふうに思います。
特に、少子高齢化、人口減少が深刻化しているし、生産性の低下とか、地方消滅が危惧されるというような日本特有の問題、これを解決するにもこのデジタル化は絶対に必要です。
そして、ソサエティー五・〇、これはまさにデジタルとアナログの融合による社会ですけれども、そういうものを実現する中で、この法律は、その基本原則、要するに、今までの紙からデジタルに移行させるという大きな方向転換、新しい方向を決める法律だと思います。
この法律によっていろいろな社会全体のデジタル化をうまく進めれば、世界で高齢化の先頭にいる我々が、デジタル化による先行事例として歴史に大きな第一歩を踏み出すと考えております。
○平委員 いろいろなテクノロジーが出てくるわけでありますので、そのテクノロジーを導入して、まず利用者の利便性を上げる、あわせて行革も進めていくということだと思います。日本全体は労働者不足がずっと続くわけでありますから、パブリックの部門が抱え込むんじゃなくて、できるだけそういう人たちはいろいろな場面で活用できるというのが国の役割だろうというふうに思っています。
そんな中で、きょう、中谷議員とか今井議員とか、さまざま意見がありましたが、ばらばらにやっているとちょっと対応が遅いんじゃないかという問題意識があります。特に情報システムに関しては、まずセキュリティーの対応もありますし、あと、緊急時は全省庁横断的に対応しなければいけないわけであります。現行の仕組みで予算の要求、調達、執行をやっていると、やはりこれは限界があるだろうというふうに思っております。
マイナポータルについても、先ほども話がありましたけれども、マイナポータルに来たものの、手続をやっているうちに途中で断念してやめてしまうという指摘がありました。こういうことも含めて、機能の拡充とか、各種APIの提供とか、ユーザーインターフェースとか、ユーザーエクスペリエンスの改良みたいなものを柔軟にやっていく必要があって、アマゾンが何であんなに伸びているかというと、極力ワンクリックで何でもできるようにするというのを常に意識をしてやっているわけでありますので、そういう対応が必要なんだろうと思います。
そこで、IT室の政府参考人にお伺いしたいと思いますが、まずは、マイナポータルみたいな性格のもの、こういったものは、IT室で必要な予算をとって即時柔軟にさまざまな対応ができるようにすべきだと思います。また一方で、各省縦割りでいろいろないわゆるハード、ソフトを調達をすると、さまざまな重複投資にもなりますし、政府全体のスケールメリットも発揮できないということでもありますので、政府全体でIT調達経費をコントロール、抑制するためにも、情報システムの予算の調達は一元化をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
政府情報システムの予算、調達につきましては、各府省が個別に要求をし、各府省単位で計上され、執行も各府省の判断で行う、いわゆる縦割りの仕組みとなっているところでございます。政府横断的な柔軟な対応は難しいというのが現状でございます。
今後のデジタル化の進展に適切に対応するためには、委員御指摘のとおり、マイナポータルのように、国民と政府のインターフェースでは、利用者の声を踏まえた使い勝手の改善に向けた改修も随時可能とする。さらには、セキュリティーインシデントなど、政府全体として緊急的な事案に即時かつ柔軟に対応する。さらに、政府全体でクラウド等を活用した生産性の向上、投資の最適化を図りまして、重複投資を防止するといったような取組が必要となってくるものと考えてございます。
このため、内閣官房のリーダーシップのもと、政府の情報システムの予算、調達につきまして、その一元化を含めて、要求から執行までを一元的に管理する仕組みを検討しているところでございます。
○平委員 検討しているということなので、それを強力に進めて実現していただきたいというふうに思います。
一元管理だけでは足りなくて、デジタルガバメントをするということは、単に紙をデジタルにすればいい、若しくはシステムを入れればいいというだけではありません。仕事のやり方そのものを変えていく必要があると思っています。
私はデジタル行革という言葉をつくっていますが、最新のデジタルテクノロジーを入れて、デジタルガバメントを前提にしてDPRをしっかりやる、その上で政府のあり方を進めていく必要があると思いますので、今指摘をした情報システムの予算、調達の一元化は当然として、行政手続のオンライン化、添付書類の撤廃、電子決裁の推進、こういったことは不可欠であると思います。
一方で、政府全体、各府省庁をデジタル化していく、デジタル政府へ転換をしていくというのは、それぞれの府省庁にはそれほどインセンティブがないんですね。仕事のやり方を変えなきゃいけないから面倒くさいというのもあるし、今、既存のシステムもあるということでありますから、そこで、やはり強力な組織を新設すべきだと私は思います。
よく今、内閣府をスリム化しようとかいろいろな議論がありますが、デジタル行革を進めてデジタルガバメントをつくることが行革になるので、ここは新設してもいいと私は思っています。
そこで、内閣官房IT室を抜本的に強化し、予算、調達を一元化し、IT人材の採用、DPRの推進の権限を有するデジタルガバメント推進庁とか、デジタルガバメント庁でもいいですけれども、そういうものをつくるべきであろうというふうに思っております。
そこで、大臣にお伺いしたいんですが、現在の行政のデジタル化の司令塔は、御承知のとおり内閣官房のIT戦略室の皆さんであるわけでありますが、その実態は、各府省等からの出向者で構成をされておりますし、自前で職員の採用もできておりませんし、独自の裁量で適材適所の人事配置も難しいし、予算の要求から執行まで一貫して行うことも難しいというのが現状であります。デジタル人材を自前で確保し、政府の情報システムの予算から調達の一連のプロジェクトを一貫して担って、各省のシステム開発、管理等について指示、監督をする権限を有する恒常的な組織として、デジタルガバメント推進庁というようなものを設置すべきだと私は思います。
それと、質問通告にはありませんが、IT担当は平井さんみたいにITをわかっている人、パソコンをさわったことがない人がやるのは結構無理があると思っていて、そういう推進庁をつくった上で、ITのわかっている人が担当大臣になってしっかり推進すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○平井国務大臣 もともと霞が関にはIT関連のキャリアパスがないんですね。各省庁それぞれ、調達のときにはその部署の人間が期間限定で当たるというようなことで、調達に対する知見みたいなものがずっと積み上がってきたかということは、そういうことがありませんでした。
新しい組織の御提案という話ですが、その前に、今回のまず内閣官房に予算の要求段階からの一元化をするということをきっちりとやり上げると、多分その次のステップが見えてくるというふうに私は考えています。
予算要求の一元化というようなことが今回実現できるとすれば、それは画期的なことで、今まで絶対あり得なかったことです。
ただし、テクノロジーの進歩とIT調達の知見というようなものがそれを後押ししたと思います。今のままではさすがにやはり困ると。おまけに、データ連携しようと思っても、各省ばらばらのシステムでは何にもできません。
そんなことを考えると、今、IT室では、民間の方々の協力を得てずっと組織を維持して、今までも、行政コストの維持管理費の大幅な、三割削減など成果を上げてきているんですが、それを更に今回広げていくということですから、人的リソースというものを今後とも確保していく方策を考えなきゃいけないというふうに思います。
そういうことで、国会も、議員もそうですけれども、役所の方でも、ITの専門家、そしてそういうキャリアパスをつくっていかなければならぬ、そのように思っております。
○平委員 どういう人が担当大臣にふさわしいかという答弁はなかったと思いますが、与党なので余り突っ込まずにいきたいと思いますけれども、まさに情報システムの予算、調達の一元化をまずやり遂げて、その次に、私はデジタルガバメント推進庁というのを間なくやっていくべきだと思います。
ちなみに、この法律は、自民党内の党内手続は、私が内閣第二部会長を務めていますから、うちで審査をして、審査をした後は政調、総務会と私が答弁しているので、中身は大体わかっているので、その次の話が多いんですけれども、御容赦いただきたいと思います。
自治体ポイントの活用、発展形についてちょっと議論させていただきたいんです。
マイナポータルは議論になるんですけれども、意外とマイキープラットフォームの話が出てこないんです。マイキープラットフォームというのを使うと、いわゆる自治体ポイントみたいなのができて、例えば、高齢者が寝たきりにならないように一生懸命体操すると自治体から健康ポイントみたいなのをもらえて、それが商店街で使えたり、自治体でサービスを受けられたり、また、商店街の活性化策として、商店街のポイントにプレミアムをつけて活性化をするとかいうこともあります。
消費税増税時の対策としては、消費活性化策として、この自治体ポイントにプレミアムを付与するということを今政府は検討しているというふうに聞いております。
そこまではもう大体既定路線なので、私は、この自治体ポイントというものをもう一段格上げをしてナショナルポイントにすべきだと思っていて、そして、そのナショナルポイントは、自治体や商店街だけじゃなくて、コンビニやスーパーでも使える、全国どこでも使えるというナショナルポイントに格上げをすべきだと思っています。そのことによって、実質、そのポイント自体がデジタル通貨、デジタル円の役割も果たすというふうに思っております。
今、キャッシュレス化で各企業がいろんなキャンペーンをやっていますが、実は、自治体ポイントの機能、マイキープラットフォームの機能をつくれば、全国一律のデジタル通貨のインフラができるということになると思っています。
そういうときに、例えば政策も物すごい精緻な政策ができるようになりますよね。所得の低い人たちに何か給付するときにもポイントで給付をする、ポイントが使える。将来的には、マイナンバーカードとかマイナンバーの電子認証がスマホに入ってくれば、直接スマホにポイントが入り、直接スマホで決済をしということになります。これは将来の課題ですが、例えば消費税がまだこれから先上がっていったとしても、複数税率ではなくて、ポイントを給付することによって低所得者向けの対応もできるようになるというふうに思っています。
総務省の政府参考人にお伺いをいたしますが、今回の経済対策のみならず、将来的な利活用を考えれば、自治体ポイントといったもの、マイキープラットフォームみたいなものをナショナルポイントに格上げをして、いわゆる電子通貨、デジタル円としてのインフラを整備すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
現在の自治体ポイントの仕組みは、ポイントを発行する各地の地方公共団体の中から、利用者がどこに住んでいるかは関係なく、希望する地方公共団体を自由に選んで買うことができることとしております。したがって、現状においても全国的に利用可能な仕組みとはなっておりますが、自治体ポイントを発行する自治体の数が今少ないものですから、今後これをたくさんふやしていく必要があると考えております。
委員御指摘のように、全国どの地方公共団体でも共通して利用できる、自治体ポイントを特定せずに共通して利用できるようなポイントとする場合には、ポイントの発行主体が地方公共団体ではなく、国が事業主体となるようなことが想定され、このような場合には、マイナンバーカードの取得、マイキーIDの設定、事業広報等における地方公共団体からの協力をいかに担保を取り付けていくかという問題や、現在、各地方公共団体において行っている各地域の店舗との調整やポイント精算金の振り込みにどのように対応するかといった課題が考えられます。
まずは、消費税引上げに伴う反動減対策として、現在の自治体ポイントを活用した事業を実施することが現下の課題であると考えておりますが、マイキープラットフォーム自体の今後のあり方につきましては、御指摘をいただいた点も踏まえて、今後の課題として検討してまいりたいと考えております。
○平委員 これに関連して、ぜひ大臣からもコメントをいただきたいと思うんです。
例えば、キャッシュレス化が進んでいきますよね、その際に中国にベースを置いている企業のいわゆる電子決済が日本でもし普及してしまうと、その情報は全部中国に行きます。中国はルールとして、国外には個人情報は出さないことになっているわけですよね。
ですから、せっかくデジタルガバメントをつくったときに、いわゆるデジタルガバメントとキャッシュレス化という大きな二つの軸があって、マイキープラットフォームとか自治体ポイントというものがあって、そういった中で、それのポイントを実質デジタル円のような形にすることによって、国内でしっかりインフラをつくっていく。そして、効率のいい、例えば、本当に困っている人には手を差し伸べるけれども、そうでない人には手を差し伸べないというかなり精緻な政策の運営もできるようになります。
この後議論したいと思いますが、デジタル化といわゆるマイナンバーの機能がスマホに入るといろんなことができるんですね、パブリックでもプライベートの部門も。
ですから、自治体ポイントの次をしっかり構想していく必要があると思いますけれども、大臣、いかがでしょう。
○平井国務大臣 所管をしているわけではありませんが、マイキープラットフォームとマイナポータルの違いがわかっている方々はそんなに多くないと思うんです。そこにはそれぞれ、ウサギの妖精のキャラと犬のキャラクターもあり、実はこの両方で地域の皆さんにサービスをしようということだと思います。
マイキー、特に自治体ポイントというのは、まさに地域通貨に近い、いわば昔の藩札のようなものであり、うまく使えば本当に地域の活性化につながるんですが、ポイント交換が一方通行であるということと、横の交換ができない、そこに閉じるという意味では、全国一律とは違う設計でできておりますと聞いております。
したがいまして、そこらあたりは、本当に国民の利便性はそれでいいのかということを考えたときに、せっかくの自治体ポイントが国民に多くの利益をもたらすように、これはぜひ皆さんでまた御検討いただき、改修すべきだと考えています。
デジタルに変わっていくという意味では、ポイントというのはキャッシュレスのトリガーになる可能性は十分にあると思います。
○平委員 まさにマイキープラットフォームを考えた人はすごいなと思っていて、すごいポテンシャルを持っている政策の割には着目されないし、皆そこでイマジネーションを働かせていないということだと思います。
当然、自治体ポイントをナショナルポイントに格上げしたら、スマホ同士でそのポイントのやりとりもできるようにした上で活用するということだと思いますし、消費増税をしたときの消費が落ち込んだときの対策というのは必要なんですが、こういうプラットフォームがあれば、ポイント還元なんて面倒くさいことをやらないで、ポイント給付という形で消費の下支えもできますし、そのポイントはクラウド管理ですから、いついつまで使ってくださいねと給付をしてしまえば、いついつまで消費をどのぐらいかさ上げするかというのもわかるわけなので、ぜひ党でも検討していきたいと思いますので、また議論をさせていただければと思います。
それに関連して、今、規制改革会議で議論になっていると思うんですが、ペイロールの問題であります。
要は、今は、給料というのは現金で手渡しをするか銀行口座にしか入れてはいけないということで、スマホのウオレットに資金移動業者が入れるのはだめなんですね、規制されて。
ただ、これからは、もうフィンテックの時代であります。
実は、日本のペイロールの業者が今イギリスとかサウジアラビアとかで活躍して、今度インドで実装するそうなんですけれども、インドでうまくいくと、給料を払うところのビッグデータを押さえられるんですね。そうすると、GAFAは要は検索ワードだとか、何を買ったかとか、どこと誰がつながっているかということだけれども、給料を払うところのビッグデータのプラットフォーマーにもしインドでこの企業がなれば、私は、インドと日本のデータ流通が非常にスムースになっていれば、中国のいわゆるデータ保護主義と対抗できるというふうに思っているんですが、それはなぜ日本でやらないかというと、日本ではできないんです。日本では規制があってできないんです。
ですから、そういうこともできるようにすれば、さっきも言ったように、ナショナルポイント、いわゆる自治体ポイントを格上げしたナショナルポイントでいろいろな政策の提案もできるし、それが普通にそういうポイントとかデジタルを使って給与を支払われるようになれば、いろいろなビッグデータの活用もあるし、そこからいろいろなビジネスの芽が生まれてくると思っております。
内閣府規制改革担当室の政府参考人にお伺いしますが、いろいろな課題があるとは思いますけれども、私は、ペイロール、要は資金移動業者を通じたスマホのウオレットとかへの賃金の支払いですね、これはやるべきだというふうに思いますけれども、今の検討状況を教えてください。
○窪田政府参考人 お答えいたします。
政府におきましては、国家戦略特区諮問会議及び規制改革推進会議で資金移動業者の口座への賃金支払いについて審議を行っているところでございます。
近くでは、二月に開催いたしました規制改革推進会議において議論し、厚生労働省から、労働者保護の観点に十分留意しつつ、早期の制度改革を目指し、関係者との協議、検討を進めていくとの説明があったところでございます。出席した委員からは、できるだけ早期に検討を行うとともに、事業者にとって過度に厳しい要件が課されないよう、関係者と十分にコミュニケーションをとりながら制度設計を進めるよう指摘がなされたところでございます。
今後取りまとめられる答申に向けて、これらの議論を踏まえ、改革の方向性について検討されていくものと考えております。
○平委員 このペイロールの規制改革は、一部では、外国人労働者の新たな就労制度に伴って外国の人がたくさん入ってくる、そういう人たちは銀行口座を持ちにくいからペイロールの解禁だという文脈で捉えている人も多いんですが、それはそれとして、さっき私が言ったように世界戦略上必要なんですよね。
今、中国やアメリカやヨーロッパでそれぞれルールが違う中で、しかもプラットフォーマーはヨーロッパにも日本にもいない。そういった中で、我々がどうやって、特に中国的な、いわゆるITで統治能力を高めていく国とどう戦っていくのか。そういうところはまたイノベーションも今起きやすいことになっているので、国家戦略として必要だという認識でぜひ進めていただきたいと思います。
次に、国外転出者によるマイナンバーカードの利用の拡大についてお伺いしたいと思いますが、今回の法律ができることによって、初めて国外転出者にマイナンバーカードが配られることになると思います。今後、この制度を前提に、国外転出者の手続を幅広くオンライン化していくべきだと思います。
総務省の政府参考人にお伺いしたいと思いますが、国外転出者がマイナンバーカード、公的個人認証を利用し、将来的に在外インターネット投票なども実現できることを想定すれば、海外転出者にマイナンバーカードや公的個人認証の更新若しくは再発行が必要となる場面も当然ふえていくわけであります。
デジタル化の趣旨を考えれば、特にデジタル化というのは遠隔地にいる日本人の方に利便性を与えることになると思いますので、この辺は今回の改正案でどのような制度になっているか、説明をしてください。
○北崎政府参考人 お答えいたします。
現行法上、マイナンバーカードや公的個人認証は、住民票を基礎としておりますため、国外に転出し住民票が消除された方は利用できないことになってございます。
今般の改正は、国外転出者については海外に行っても消除されない戸籍の付票を基礎とすることでマイナンバーカード、公的個人認証の利用を可能とし、国外転出者のオンラインでの確実な本人確認や、それをもとにしたさまざまな行政手続を実現しようとするものでございます。
マイナンバーカード、公的個人認証を国外で利用するための手続については、国外転出時には最終住所地市町村で行っていただくことが可能としておりますが、国外転出後は、国内に住所を有する方と同等の厳格な本人確認が必要であるため、戸籍の付票を管理する本籍地市町村において厳格な本人確認を受けていただくこととしております。
以上であります。
○平委員 ちょっとこれはまた大臣に聞いておいていただきたいんですが、外国にいる日本人が、将来、投票も含めて、ネット上で本人認証していろいろなことがしやすくなるというのはすごく想像できますよね、ああ、便利になるんだと。今の答弁は、更新とか再発行のときはその都度日本に戻ってこなきゃいけないという答弁をしているんですよ、本人確認しなきゃいけないから。私はあり得ないと思うんですよね。
そこで、外務省の政府参考人にお伺いいたしますが、在外公館が窓口となってマイナンバーカードの交付や記載事項の変更などの維持管理などを行うべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平公正な社会を実現する社会基盤であるマイナンバーカードの普及に向けて、外務省としても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
その上で、在外公館においてマイナンバーカードの交付などの扱いをどのように行うかについては、マイナンバーカードの国外利用に係る制度づくりの進展を踏まえながら、関係省庁と協議しつつ、また、今委員御指摘ございました、在外公館の事務負担軽減に資するような形で適切なあり方を検討してまいりたいと考えております。
○平委員 今のままだと、何か変更があるときとか、また交付期限が切れたら、都度都度日本に戻ってこないといけない。多分、あり得ないですよね。だから検討しますということなんだと思いますけれども、河野外務大臣に言う前にやった方がいいと思うよ。あの人、怒ると大変だから。
では、平井大臣、どうぞ。
○平井国務大臣 せっかくマイナンバーカードを海外で使えるようにして、その都度日本に帰ってきて本人確認するという話は、これはあり得ません。こんなことをしていたら本当に政府は倒れます。
ですから、ここはそれをどういう形で実現するかというのを知恵を出すだけの話ですから、ここは、絶対にそういうことなく、何らかの方法を講じるということはコミットさせていただきたいと思います。
○平委員 大臣、大変突っ込んだ御発言をいただきまして本当にありがとうございます。全くそのとおりだと思います。
外務省だけじゃなくて総務省にも聞きたいんですが、やはり投票だと思います。外国にいながら国政選挙に投票ができる。これはまさに、今回マイナンバーを外国にいらっしゃる日本人、在外邦人に振っている、マイナンバーカードを交付している意味だというふうに思います。
私は、できるだけ早く海外からこの仕組みを使って電子投票ができるようにすべきだと思うし、まず海外にいる日本人から電子投票して、その後、国内電子投票ということだと思いますが、早ければ、今度の参議院選挙には間に合いませんけれども、次の衆議院選挙がいつだかわかりませんが、できるだけ早くやるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○吉川政府参考人 お答えいたします。
在外選挙におけるインターネット投票につきましては、昨年八月、総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会におきまして、一定の対応方策を講じることにより、実現に向けた技術面、運用面の大きなハードルはクリアできることなどが提言されております。
在外選挙インターネット投票につきましては、選挙人の利便性向上に資するものと考えておりますが、同時に、システムのセキュリティー確保や安定稼働のための対策に万全を期す必要がございます。
このため、総務省では、今年度、研究会において示された方式をベースとしたシステムのプロトタイプを構築した上で、その後、市町村選挙管理委員会とも連携して、選挙事務のフロー等の確認を含めた実証実験を行うこととしております。
導入に向けては、マイナンバーカードの海外利用の実現のみならず、各党各会派における御議論などを踏まえる必要がございますが、総務省としては、できるだけ早期に導入していけるよう、着実に検討を進めてまいりたいと考えております。
○平委員 多分、時間軸が我々と違うことがあるので、総務省のできるだけ早くというのは大体どのぐらいの感覚なのか、もう一回、総務省。
○吉川政府参考人 お答えいたします。
できるだけ早期に導入していけるように着実に検討を進めていきたいと考えておりますが、今年度の実証実験等の結果などを踏まえる必要もございますので、その導入時期を現段階で具体的に申し上げられないということは御理解をいただきたいと存じます。
○平委員 引き続き自民党の行革本部でお話を伺おうと思います。
続いて、マイナンバーカードの活用の拡大ですが、今回の法律で、マイナンバーカードを持っていると、保険証を持っていなくても、病院で本人確認をして保険証を持っているのと同じ扱いをしていただける、二〇二〇年からというふうに聞いております。
これは一歩前進だというふうに思いますが、一方で、医療分野は、日本はすごい情報の宝庫だ、ビッグデータがたくさんあると世界からいろいろ言われるわけでありますので、決して健康保険証とのひもづけだけで終わってもらっては困るわけで、本人認証とか本人同意とか職責の認証でも積極的に使っていただきたいと思いますし、また、健診情報とかレセプトの投薬情報、医療費情報等、さらには、一番ハードルが高いと思うんですけれども、カルテ情報などなど、これは匿名化が必要でありますけれども、いろいろな可能性が言われているわけでありますが、この保険証とのひもづけの次にどういったことができるのかといったところについて、厚生労働省の政府参考人にお伺いいたします。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
マイナンバーカードの公的個人認証の仕組みを活用しまして、医療機関、薬局において健康保険の被保険者資格情報を確認できるようにする、いわゆるオンライン資格確認につきまして、二〇二一年三月からの導入を目指して、健康保険法等の一部改正法案を国会に提出し、御審議をいただいているところでございます。
また、このオンライン資格確認の仕組みやマイナポータル等を活用しまして、二〇二〇年度から特定健診情報等を、それから二〇二一年度から薬剤情報と医療費情報を本人が確認できるようにするとともに、本人同意のもとで、医療機関において薬剤情報や特定健診情報を確認できる仕組みの導入を目指しているところでございます。
さらに、医療機関が保有するカルテ情報の共有のためには、カルテ情報が共通の規格等を用いて記録及び保存されていることが不可欠でございます。健康保険法等の一部改正法案では、こうした医療機関のシステム導入を支援するために、医療情報化支援基金を創設し、平成三十一年度予算において三百億円の補助を行うこととしており、できる限り多くの医療機関で情報化の対応が進むように支援していきたいと考えております。
○平委員 次に、防災についてお伺いしたいんですけれども、これもまたちょっと大臣にお話をぜひ聞いていただきたいと思うんですが、今度の法律ができると、罹災証明が添付が要らなくなる。どういうときに添付が要らなくなるかというと、被災をした同一市町村というか、自分が住んでいる市町村で何か給付申請をするときに、毎回毎回、罹災証明を今はつけなきゃいけないわけですよね、添付資料として。これが不要になるということで、これは一歩前進だと思うんです。
ただ、実際に被災をしている人たちを見ると、その被災をした、もともと住んでいた自治体に残る人もいれば、隣の町に避難する人もいるんです。今の話だと、もともと住んでいた自治体に避難をしている人は、罹災証明書がひもづけされているので、一々添付しなくていいんだけれども、隣の町に避難をしている人は毎回添付しなければいけない、そういう理解だと思うんですが、もし違っていたら役所の方で言っていただきたいと思います。
ですから、罹災証明の情報をやはり情報連携をちゃんとさせないとだめで、情報連携させることによって、どこに避難していようが、同一自治体と同じ扱い、要は罹災証明の添付を省略することができるようになるし、情報連携をしっかりしていれば、自分のマイナポータルから保険会社にAPIでデータ連携をすることも可能ですね。罹災証明を一々添付しなくてもできるようになります。ですから、保険会社に対しても請求もしやすくなります。
これも、さっきも言ったように、自治体ポイントがナショナルポイントになって、マイナンバーカードが、実質、個人認証なんかがスマホに入れば、スマホから請求してスマホに入金されるという世界も生まれてくるわけでありますが、こういったことを考えたときに、特に情報連携が防災分野で極めて重要だというふうに思います。
まずは内閣府の防災部局の政府参考人にお伺いをいたします。
○米澤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、防災分野におきましても、個人番号を利用し、情報の連携等を進めていくことは大変重要な課題であると認識しております。
このため、まずは、本法案におきまして、罹災証明書の交付事務を個人番号利用事務に位置づけることといたしまして、市区町村が個人番号の利用に係る庁内連携条例を定めた場合には、当該市区町村内におきまして、個人番号を用いて、罹災証明書の情報と税、社会保障の情報を連携させることを可能としたところでございます。
一方で、罹災証明書の情報を情報連携の対象とすることにつきましては、現在、全国の市区町村におきまして、罹災証明書の交付に関するシステムの整備を必要に応じて進めている途上にありますことから、現時点では慎重な意見を表明する自治体も見受けられているところでございます。
内閣府といたしましては、今後、罹災証明書の交付に係りますシステムの整備動向を見きわめつつ、被災自治体の事務負担の軽減の観点にも留意しながら、市区町村の御意見を十分に踏まえ、検討を進めてまいりたいと考えております。
○平委員 大臣、こういうことなんですよ。罹災証明は、同じ自治体の中で避難していればいろんな利便性は高いし、同じ役所であれば利便性は高いんだけれども、東日本大震災を見ても、いろんなところに避難しているわけですよね。ですから、今いろんな課題があると言ったけれども、ここはやはりひもづけをすべきだし、特にこのデジタルガバメントとか、いわゆるデジタルの申請、デジタルファーストであることの重要性は、通常のときよりも被災を受けたときこそ私は重要だというふうに思っています。
まず、もう一回内閣府防災部局に聞きたいと思いますけれども、だから前向きでやってよね、いろんな理由は自分たちじゃないよということだけれども、一応、内閣府の防災部局としては、情報連携も積極的に進めていくんだ、解決をしていくんだということでいいのかどうか、もう一回答弁をしてください。
○米澤政府参考人 内閣府といたしましては、被災者の方々の救援が適切に行われますよう、また、被災自治体の事務負担の軽減という観点も踏まえながら、デジタル化によりまして少しでも被災者の方々の負担が減りますように、積極的に進めてまいりたいと考えております。
○平委員 これも引き続き自民党の行革本部でお話を伺いたいと思いますが、防災のときのデジタルファーストを、ぜひ大臣、関心を持って見ておいていただきたいと思います。
次に警察庁にお伺いしますが、このマイナンバーカードの政策をいろいろ向井さんとかと議論しているとき、私は内閣府の副大臣でマイナンバーの政策を担当していました。そのときの政務官は小泉進次郎さんで、そのとき我々が言ったのは、財布の中を見るといっぱいカードがあるよね、だから極力このマイナンバーカードに集約しよう。これ一枚あれば何でもパブリックのやつはいけるよ。パブリックのやつのみならず、ICチップがあるんだからポイント系もいけるよね。最終的にはそれをスマホに入れて、カードすら持つことないよね。最後は生体認証にいって、スマホすら持つことないよねという議論をしていたんです。
そういったときに、財布を皆さん見ると、一番絶対あるのは免許証ですよね。免許証とマイナンバーカードがくっついていないというのは多分パブリックの方の事情だけであって、財布を持っている人から見ると、何でこれが一緒にならないのというふうになるんだと思います。
免許証をすぐになくせとは言いませんが、マイナンバーカードと免許証をひもづけして、警察にとめられたときに、免許証を持っていないけれどもマイナンバーカードなら持っているよということを言えば、免許の不携帯の罪には問われないぐらいのことはやってもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
運転免許証とは別にマイナンバーカードを通じて運転免許資格が確認できる仕組みを構築することによりまして、マイナンバーカードを携帯していれば免許証不携帯にはならないというような制度をすることができるのではないかということでございますが、この場合、交通違反あるいは交通事故の現場で警察官がどのようにして運転免許の有無や運転免許の条件を確認することができるかということが課題となります。
考えられる一つの方法といたしましては、マイナンバーカードから免許関係情報を警察官が確認するための端末等の整備に必要な予算を措置いたしましてその端末を整備し、現場活動を行う警察官に運用させるということが考えられるところでございますけれども、実際にそのような仕組みとすることが警察活動に与える影響でありますとかその費用対効果については、引き続き検討していくことが必要であろうと考えてございます。
○平委員 警察の予算も内閣第二部会で私は見ているんですけれども、結局こういうことが多いんですよね、一つ一つ見ると。だから、デジタルガバメントをやはりしっかり進めて、全体をデジタル化することによって、多分、組織の構成も大きく変わってくるんです。だから、これはその部局だけじゃなくて、人事院とかいろいろなところを含めて政府全体でデジタル化を進めて、あと調達コストも下げて、ランニングコストも下げて、必要なところにお金を配分していくという政府全体の取組が必要だろうというふうに思います。警察の答弁は大体想定の範囲なので、次に行きたいと思います。
何人かの質問者から出ていて、近い質問になると思いますが、今回、デジタル手続法案は、手続のオンライン化は国は義務化をされているわけでありますけれども、地方自治体は努力義務ということであります。それで、自治体クラウドみたいないけてるところに寄せていくのか、国がプラットフォームみたいなものをつくって、そこに自治体が参加をして使用料を払ってもらうというやり方もあると思うんですが、私は、一つ国が用意して、特に小さな自治体なんかはそこに乗っかれる仕組みを用意するのが親切で、また早いかなと思うんですが、そういった全国に国の側でプラットフォームを準備するという考え方について、IT室にお伺いをいたします。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
地方公共団体は、行政手続に際しまして住民と直接接する機会が多く、また、地方公共団体に対する手続は多数存在いたしますので、地方公共団体に対する手続のオンライン化は大変重要だと考えてございます。
一方、電子申請につきましては、平成三十一年四月時点で、都道府県では全ての団体、市町村では千四百八十一団体が電子申請に係るシステムを整備済みでございますけれども、未整備となっている団体が二百六十団体ほどございまして、今後、原則として全ての市町村について電子申請のための情報基盤を整備することを目標としたいと考えているところでございます。
その際、委員御指摘のとおり、自治体それぞれが単独でシステムを導入するのではなく、電子申請システムの共同利用に重点を置いて推進するとともに、国民と政府、地方自治体との間のインターフェースとなりますプラットフォームといたしまして、電子申請受け付け機能を有するマイナポータルを国が整備していることから、その積極的な活用を地方公共団体に促してまいりたいと存じます。
○平委員 最後、大臣にコメントいただいて終わりたいと思いますが、デジタルファースト、コネクテッド・ワンストップ、ワンスオンリーという大きな原則を示してこの法律をつくっていくんですが、個々に見ていくと、利用者の側から見ると全然そうなっていないじゃないかというのが起こりがちなので、ぜひ大臣、細かく目配りしていただいて、デジタルガバメント、デジタル手続法案を進めていただきたいと思いますけれども、最後、決意を述べていただいて終わりたいと思います。
○平井国務大臣 この法律を成立させていただいたら、それが一つのスタートだと考えておりますので、あらゆる政策を総動員して国民の利便性を高めていきたい、そのように思っております。
○平委員 終わります。
○牧原委員長 次に、森田俊和君。
○森田委員 国民民主党の森田でございます。
平井大臣、引き続きよろしくお願いいたします。また、厚労の方から大口副大臣にも御出席をいただいております。二十分のお時間をいただいております。よろしくお願いいたします。
まず、交通インフラのサイバー攻撃も含むテロに対する備えというような観点からお伺いをさせていただきたいと思っております。
先ほど、朝のところで、岡本委員の方からも無人航空機の乗っ取りというようなお話も出てまいりましたけれども、まず、空港とか航空のことでお伺いをさせていただきたいと思いますが。
私がインフラのテロ攻撃というのを考えたときに、真っ先に、遠い記憶なんですけれども思い出したのが、一九九〇年、平成二年の作品だったらしいですけれども、ブルース・ウィリスさんが出ている「ダイ・ハード2」という映画がありまして。
あの映画、ちょっと私もおぼろげな記憶だったのでもう一回見直してみたんですけれども、一番記憶に残っていたのは、ILSという計器飛行のシステムを乗っ取って、実際の滑走路より下に滑走路の面を設定して、そこに着陸を誘導して、実際はここにもう地面が来ちゃっているわけですから、二百メートル上で地面とぶつかって炎上してしまう。まあ映画ですからいろいろなフィクションを含んでいたとは思いますけれども。
そのときに、航空管制のシステムを乗っ取っていたという場面がありました。映画の中にも出てきますが、その当時は一九九〇年ですから、連絡はポケベルと公衆電話でとっているという、そういう時代ですから、今みたいにWiFiがあってどうのこうのとかということではないので、侵入経路とかといっても非常に限られていたと思うんですが、その空港の敷地内だったか敷地外だったかわからないですけれども、そこのケーブルに有線接続をして、そこから管制のシステムに接続をしてもう一つ管制塔みたいなものをつくって、そこでいろいろな、誘導したりなんなりということをやったということがありましたけれども。
いずれにしても、その中で出ていたのは、ILSを乗っ取ったというのもそうですし、それから、非常にアナログなことなんですけれども、滑走路の誘導灯を消したということがありました。そうすると、夜間ですから、計器誘導ができたとしても、例えば、計器誘導のレベルが高い空港だったら、もしかしたら明かりがなくてもおりられるのかもしれませんが、計器誘導のレベルが低い空港、地方空港だとか、あるいは、ILSもないような空港であれば、光を消しただけで非常に大きなリスクが出てきてしまうというようなこともあるんではないかなと思っております。
もちろん、閉じられたシステムの中で運用されているというふうには思いますし、ただ、一つのテーマとして、デジタルとアナログのはざまでというような、こういうテーマがあると思うんですけれども、やはり、ここまでは機械あるいは通信の中で制限がかけられるけれども、ある一点のところで人がかかわるようになってしまった段階で非常に脆弱性が出てくるというか不確実性が高まるというか、そういうことが出てくるんだろうなというふうに思っております。
そういったことも含めて、国交省の方からお聞かせいただきたいと思うんですが、空港の管制とか誘導に対するサイバー攻撃への備えということで、どのように今対応されているか、お考えをお聞かせください。
○飯嶋政府参考人 お答えを申し上げます。
空港の管制等に用いる航空管制システム及び空港の航空灯火の電源系システムにつきましては、インターネットから隔離されたクローズドネットワークのもと、常時監視を行いながら運用しているところでございます。
これによりまして、航空管制等のセキュリティー対策については万全を期した上で運用しているところでございます。
○森田委員 ありがとうございます。恐らくそういうことなんだろうと思います。
先ほど申し上げたように、管制のシステムそのものが隔離をされていたとしても、例えば滑走路の誘導灯に行く電源系統のものにアクセスできるようなことがあるかどうか、あるいは、何か保守管理のところで人の手が関与するような場面があるのかどうなのか、こういったところの視点も改めて持っていただけるといいんではないかなというふうに思っております。
さらに、引き続きインフラのことでもう一点なんですけれども、新幹線のことでお伺いをしたいなと思っております。
これも閉じたシステムだということはお伺いをしておりますけれども、来年、二〇二〇年のダイヤ改正の予定で、これは東海道・山陽新幹線ですけれども、東京―新大阪間の「のぞみ」を一時間当たり十本から十二本にふやすというようなことがJR東海の方から発表されているということで、これはN七〇〇Aというタイプに統一して、二百八十五キロに最高速度を上げて、最速で東京―新大阪間が二時間二十二分で行くということで、これは「のぞみ」が出てきた平成四年と比べますと、二百七十キロが当時の最高時速ですので、速度も上がっているし、もちろん到達時間も短縮されているということです。
今、一時間当たりのダイヤがどうなっているかというと、「のぞみ」が、来年の春の段階でいいますと十二本まずあって、そこに「ひかり」が二本入って、「こだま」が三本入ってくるということで、一時間当たりの運行本数が十七本という超過密ダイヤというふうになっております。計算しましたら、三分半に一本、新幹線が通過をしていくというようなことになっております。
これを統括しておりますのが、新幹線の総合指令所というのが東京にあるということなんですけれども、ただ、このバックアップをしているのが大阪に第二総合指令所というのがありまして、調べましたら、年に一度、ちゃんとその大阪の指令所が機能するのかどうなのかというものをチェックをしている。実際にそこで指令を出しているということがあるそうです。
日々、ダイヤグラム、運行のデータを大阪とのやりとりをしているということなんですけれども、やはりそういうことを聞きますと、もちろん恐らく新幹線の軌道内とかの敷地内にケーブルが埋め込んであって、専用の回線を組んでいるということだと思いますが。
改めてお伺いをさせていただきますが、この新幹線の運行管理についてはいかがでございますか。
○寺田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘ございました新幹線の運行管理システムにつきましても、原則として、インターネット等から切り離された、閉じた環境で運用されてございます。
ただ、外部事業者による、例えばメンテナンス時のウイルス感染、あるいは悪意ある関係者による不正アクセスなどの可能性もございますので、これらも念頭に置いた上で的確な対策を講じることが不可欠だと考えてございます。
具体的に申しますと、運行管理システムに係る機器や施設が所在をしております場所への立入りに際しまして、身分確認などを徹底するとともに、国土交通省において作成しております鉄道分野における情報セキュリティ確保に係る安全ガイドラインなどを踏まえまして、システムへのアクセスなどの厳格な管理、USBなどの利用制限、そして外部事業者によるメンテナンス時の職員の立会いなどの対策を講じてございます。
今後とも、関係者と連携をいたしまして、新幹線の運行管理システムに関するサイバーセキュリティー対策に万全を期してまいりたいと考えてございます。
○森田委員 ありがとうございます。
先ほど、空港の件でもそうなんですけれども、やはり、例えば、ケーブルで専用線で流していても、どこかで中継地点のような、ケーブルを中継させるようなところがもしかしたらあるんじゃないかとか、あるいは、途中の通過駅で、通過線と待避線とありますけれども、ポイントの切りかえを例えば何らかの形で無力化してしまうとか、センサーに異常を来して。新幹線そのものに載っているブレーキを少し狂わせて事故を誘発させるとか。
運行システムそのものの安全性を保つということは言うまでもないというのと同時に、周辺の電力の供給だとか、そういったことも含めての安全管理というものを更に進めていくべきではないかなというふうに考えております。ぜひ引き続きの管理をお願いできればというふうに考えております。
海外の事例を交通インフラのことで調べてみましたら、例えば、二〇一四年には韓国で地下鉄の運営会社のサーバーが五カ月間乗っ取られる。五カ月間乗っ取られていたのがどういうことかよくわかりませんけれども、こういうことがあったり、総合管制所のパソコンもウイルス感染をしていたような事例が二〇一四年にあった。
それから、二〇一五年、ポーランドでは航空地上システムに不正侵入があったということで、多数の欠航が発生する事態を招いた。二〇一六年には、ベトナムで空港システムに対する不正アクセスがあり、これは運航とか管制そのものではなかったんですけれども、搭乗手続におくれが出たとか、こういうことが出ているということでございます。
先ほど来お話をいただいておりますとおり、日本の仕組みは、専用のシステムを使っていたり、あるいは外部との接触がないような独立したシステム体系になっているということでございますので、非常に安全性が高いという御説明ではございますけれども。
先ほども御答弁の中でありましたが、保守点検等で人手が絡む以上はどこかに穴がないとも限らないということでございまして、これからいろいろIoTの導入が進んでくると、少しセキュリティーレベルの低い、汎用性の高いようなパソコンを使ったりだとか、遠隔地での保守管理なんかに何か通常の機器なんかを使いながらやっていくと、そこにすき間が生まれるようなこともあるのではないかなというふうに思っております。
交通インフラのサイバー対策ということで、改めて国交省のこれからの対応についてお聞かせいただければと思います。
○大野政府参考人 お答えいたします。
サイバー攻撃、さまざまな態様がございます。かつ複雑化、巧妙化をしていってございます。こうした中、交通分野におきましてもこのようなサイバー攻撃に対処する必要があるというふうに認識をしております。
このため、交通分野のうち、特に機能が停止等をした場合に国民生活への影響が大きい分野といたしまして、航空、空港、鉄道、物流の四分野を重要インフラということで指定をいたしまして、政府の計画であります重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第四次行動計画、これに基づきまして、情報セキュリティー対策を重点的に講じているところでございます。
主な対策といたしましては、事業者に実施を推奨いたします情報セキュリティー対策を分野ごとに取りまとめをいたしました安全ガイドラインを策定しているほか、事業者が情報の共有、分析や対策を連携して行う体制であります、交通ISACというふうに呼んでおりますが、こういった体制の創設に向けた支援、内閣官房が実施をする演習、訓練への協力等を行っているところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、重要インフラの四分野を含みます交通分野の情報セキュリティー対策の充実強化に努めてまいります。
○森田委員 ありがとうございます。
今までの事例というのは、どっちかというと個別的であり、あるいは愉快犯的なものも多かったかもしれませんが、これからいろんなところでサイバーのお話が社会の中に浸透していけば、やはりそれを悪用しようとする力というのも大きくなるのではないかな。組織的、専門的に攻撃を仕掛けてくるということもこれから十分想定をされますので、引き続きの備えをお願いできればなというふうに思っております。
続きまして、全く話をかえさせていただきますけれども、今度は医療の関係でお尋ねをさせていただければなというふうに思っております。
マイナンバーカードとそれから保険証の今ひもづけの話というのが出ておりますけれども、病院、医院に行ったときのことを考えてみますと、まず、保険証と診察券、あれを窓口に出してというところから始まって、今度は診察室でお医者さんに診ていただいて、それから検査をしたり何をしたりということで、最終的には少し待って会計がありということで、この一連の流れというのが出ているんだと思うんですけれども。
恐らく、患者の立場としても、利便性を高めていくというのもあるし、あるいは、病院、医院としても、なるべく事務的なものは手をかけないで済むというふうな仕組みができるといいんじゃないかなというふうに思っておりまして。
そういった意味では、例えば、最初の入り口のところも、今お話が出ているように、マイナンバーカードであるいはQRコードとかで受付が済んで、例えばそれが電子カルテのデータとリンクをしていて、検査のオーダーが出たりなんなりするのも一連の流れでいって、最後、簡単な決済で済むのであれば、お医者さんがやっているところで、じゃ、最後、この会計ボタンを押してくださいみたいな形で暗証番号を入れて終わり、会計する必要なく帰れるとか。そういういろんな仕組みの連携の中で、患者さんの側と医療機関の側と両方にメリットがあるような形ができればいいんじゃないかなと思いますけれども。
このあたりの、受付から会計に至るまでの一貫したシステムの連携とかそういう導入促進についてどのようにお考えか、お聞かせをいただければと思います。
○大口副大臣 森田委員にお答えいたしたいと思います。
まず、マイナンバーカードを保険証として利用できるオンライン資格確認については、二〇二一年三月からの導入を目指して、今、健康保険法の一部改正法案が国会に提出され、御審議をいただいているところでございます。引き続きこの成立を目指していきたいと思いますが、医療機関では、オンライン資格確認の導入により、失効した保険証の利用による過誤請求の事務コストが減少し、また、患者の資格情報の登録を手打ちではなくデジタルで効率的にできるようになるなど、医療保険事務の効率化につながることが期待されております。
このため、健康保険法等の一部改正法案では、医療機関等におけるシステムの導入への財政支援として、医療情報化支援基金を創設し、平成三十一年度の予算で三百億という形で決めていただいたところであります。
まず、オンラインによる資格確認のシステムの整備で百五十億ということでございまして、今、三十年十二月の診療分、三十一年の一月分の請求分ですと、レセプトオンライン請求の導入割合というのは、病院が九七%、診療所が六五%、歯科一七%、薬局九七%、医療機関全体で六〇%という状況でございます。
また、医療機関の電子カルテシステム等の導入ということでございますが、これについても補助を行うことになっているわけでありますけれども、これにつきましては、一般病院全体で四六・七%、四百床以上で八五・四%、一般診療所が四一・六%ということでございまして、この基金を活用していただいて、まずはこういうものの整備をしていくということが大事でございまして、できる限り多くの医療機関でシステムの導入が進むよう支援をしてまいりたいと思います。
○森田委員 ありがとうございます。
また金曜日も委員会が立つ予定でございまして、診療情報の不正取得の対策についてはちょっとそのときに、時間の関係もありますので、またお尋ねをさせていただきたいと思います。
最後に平井大臣にお尋ねをしたいと思いますけれども、今回の法案に出ておりますオンライン化というものを、行政とそれから民間のことも含めて進めていくというお話が出ております。こういう接続が出てきますと、当然外部との接触がふえてくるということもございまして、例えば今でも市町村の住民票をコンビニで取得できるとか、そういうふうに情報にアクセスできる端末という数では非常にふえてくることが予想されるということもございます。
民間のシステムとの連結をするのかしないのかということも含めてなんですけれども、外部のシステムと接続をすることについて、情報漏えいのリスクが高まるのではないかなと思いますけれども、そのあたりの対応について、最後、大臣から御答弁いただければと思います。
○平井国務大臣 各府省において、行政手続のオンライン化に当たりまして、適切なアクセス制御やログ管理等を行うことにより、外部システムとの接続による情報漏えいのリスクに対して必要な情報セキュリティー対策を講ずるとしています。
これは、官民両方がそれぞれ取り組まなきゃいけないし、アクセス制御、ログ管理、通信回線の暗号化とかウイルス対策みたいなものを当然やっていかなければなりません。
行政分野のデジタル化、また社会全体のデジタル化を進めていくには、民間事業者との連携が何よりも必要なので、情報セキュリティーに関しても連携してなし遂げたいと考えております。
○森田委員 ありがとうございました。また引き続き議論を重ねてまいりたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 一問目に平井大臣だったんですけれども、どうしても我慢ができないみたいなので行っていただいて。二問目から入りますので。
今回、調達の一元化をするという、これは平井大臣も答弁をされていましたけれども、その前提として、いろいろと質問をしたいことがあります。
この間、朝日新聞だったと思いますけれども、マイナンバー連携のハローワークサーバーの整備に八十億かかっていて、せやのに利用率が〇・一%しかないということで記事になっていました。それはもちろん、ピークのときのことを考えてそれだけのサーバーをつくらないといけないということは理解はできるんですけれども、ただ、やはり利用率が〇・一%といったら相当低いと思います。
国として、現在までに税金を使って導入してきたサーバーはたくさんあると思うんですけれども、その数と、各サーバーの現状というのを全て把握されていますか。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
政府の情報システムの状況につきましては、各府省におけるデジタルガバメントを推進するための取組事項を定めました中長期的な計画に基づいて把握をしております。
その数は約一千でございます。そのうち、予算規模の大きい情報システムを中心に、政府CIOのもとで、業務フロー、情報システムの構成、サーバーの稼働状況、運用管理者数等をチェックし、必要な助言を行っております。
この結果、政府情報システムの年間コストにつきまして、二〇二一年度に二〇一三年度比で三割削減の一千百十八億円の効果を見込んでおります。
今後、デジタル化の進展に伴いまして、政府情報システムの重要性が増すことを踏まえますと、御指摘のハロワの中間サーバーを含めまして、政府情報システムの実態をより詳細に把握することが重要になると考えております。
政府の情報システムの予算、調達につきまして、その一元化を含め、要求から執行までを一元的に管理する仕組みを現在検討しているところでございます。その実施に当たりましては、政府情報システムの棚卸しを行いまして、全体像をしっかり把握した上で取り組んでいきたいと考えております。
○浦野委員 今の答弁は中間サーバーの数ですか、中間サーバーの数。私が聞いたのは、例示に出したのは中間サーバーの話ですけれども、国が税金を投入して持っているサーバー全部の数を聞いたんですけれども、どっちですか。
○時澤政府参考人 ただいま申し上げましたのはシステムの数でございまして、中間サーバーの詳細な台数までは現在把握できておりません。
○浦野委員 非常に数が多いんですね。運用にももちろんお金がかかりますし、導入なんかにもお金がかかっていますよね。
例えば、会計検査院の報告とかででも、平成二十七年度政府情報システム投資計画の中に、マイナンバー制度に関する国のシステム投資額は二十六年度で千三百五十三億円、二十七年度で七百六億円、その他の年度を含めると二千六百五十六億円、システムの構築に投資しているわけですね。それ以外、国以外のシステムの整備、これは、例えば二十六年度に一千百四十九億円、二十七年度に四百八十七億円、その他の年度を含めて一千九百四十億円というように、国と国以外を合わせて相当な額のシステムの投資をしているわけですね。
これから調達の一元化を考えていく中で、こういった、中間サーバーも含めたありとあらゆるそういうシステムを、今つくっているものに対して、どれぐらいのお金がかかっていて、どれぐらい利用率があるのかというのはやはり戦略的に把握しておかないとだめだと思っているんですけれども、そういったことは内閣府としては考えていらっしゃいますか。
○時澤政府参考人 政府情報システムの重要性はますます増していくと考えられます。御指摘のように、中間サーバーを含めまして、政府情報システムの実態をより詳細に私ども把握していきたいと思っております。
システムの棚卸しをしっかりと行って全体像をしっかり把握した上で、システムの予算、調達の一元化、執行までの一元管理、そういったことに取り組んでいきたいというふうに考えております。
○浦野委員 今大臣がお戻りになったので、最初に聞きたかったこと、これはきょうの午前中でも同じ質問があったと思うんですけれども、確認の意味も込めて、もう一度聞いていきたいと思いますけれども。
今回の計画では、行政サービスの一〇〇%デジタル化を目指すということなんですけれども、要は、だからオンライン化を進めるための法案なのに、行政手続のオンライン原則については、地方自治体はなぜか努力義務だ。一〇〇%を目指すのであれば、やはり努力義務じゃだめだし、住民が行う行政手続というのは基本的に自治体が窓口になるのが一般的ですから、これは努力義務じゃなくて原則とすべきではなかったのかと思っているんですが、お考えはいかがでしょうか。
○平井国務大臣 原則としても、努力義務としても、結果は、やるかやらないかということでは一緒だと思うんです。
今回は、国が原則としてデジタル化をするということで、当然、地方自治体の方も同じように取り組んでいただかなきゃいけないんですが、さりとて、一〇〇%という意味は、要するに、今ある手続を全部一〇〇%デジタル化してしまうと、これはかえってコストがかかるだけで無駄遣いになる可能性があります。手続としては、もうそんな手続は必要ないんじゃないかというような手続も当然あり、使われる回数が少ない、そういうような手続もあるわけです。
そうなると、今からやらなきゃいけないのは、一番、国民が便利になったというふうに実感できるものから速やかにやっていく、それが基本的に一〇〇%の方向ではないかと考えているわけです。
これから政府調達の一元化もした理由というのは、先ほどの話も聞いていてやはり一番思うのは、今のシステムのコストは維持管理費にほとんどお金がかかっているわけです。物すごい高コスト構造になっているものをもう逆にしなきゃいけない。要するに、コストを下げて新しい価値を生むものに投資をしていかないと、いつまでたっても古いシステムのお守りの延長線上になってしまう。それが政府システム調達の一元化の私は一番大きな理由だと思うんです。
そういう中で、当然、自治体も古いレガシーから脱却していかなきゃいけないという時代が来るし、更新のタイミングとかを見ながら、自治体のトップの方々、首長さん方々と話しながら、当然、生産性の高いシステムに変えていただくよう要請もしながら、また、場合によってはまた協力もしながら進めていくということになると思います。
○浦野委員 今の大臣の、これは質問通告はしていないですけれども、であるならば、やはりクラウド化というのが絶対に重要になってくると思うんですね。
当然、きょう質問通告も何もしていませんから、政府のそういう今のサーバー関係でクラウド化をしていっている率というのはどれぐらいあるのかわからないですけれども、それは具体的にやはりこれから進めていこうという方向だということでよろしいですか。
○平井国務大臣 今、政府でクラウド化しているのはもうごく一部です。ただし、これからの要するに調達に関してはクラウド・バイ・デフォルトでやりたいというふうに思っていて、これからやはり維持管理コスト、そしてオーバースペックの投資をしないというようなことを考えると、今、クラウドがやはり一番正しいし、この流れはもう全世界的に同じだと思います。もう当たり前にやはりクラウドを使う時代になりました。その中で、セキュリティーとか、システムによってはクラウドのあり方にも工夫をするというようなことで、基本的には全部クラウドに向かうというふうに考えております。
○浦野委員 これは質問はしませんけれども、今、厚生労働省で、児童虐待に関連して児童相談所の全国ネットワークを、データベースを構築しようとしています。この間、どういうふうに考えているのか説明を受けたんですけれども、それはまた新たにサーバーを立ち上げて、それでみんなに接続してもらうんだという、今までと全く同じパターンのことをおっしゃっていました。
しかも、それも全部義務的に全国でデータベースをつなげるんじゃなくて手挙げ方式でやるということだったので、今どきまだそんなことをやるのというふうにちょっと思ったので、これは政府としても厚労省が考えているやり方を考え直させた方がいいんじゃないかと思ったので、今ここで一言チクっておきます。
では、続きの質問に入りますけれども、さっき言っていた、記事になっていたハローワークの中間サーバーの稼働率の話ですけれども、これは別にサーバーに問題があるというよりは、そもそも、やはりマイナンバーの利用環境が整っていないということだと思うんですね。であるならば、国としてこの問題をどのように捉えているのかということをお聞かせください。
○田畑政府参考人 ハローワークにおきましては、各種申請の添付書類の省略による国民の利便性の向上や公平公正な社会の実現などを目的として他の行政機関等とマイナンバー制度に基づく情報連携を行うためのサーバーなどを整備しており、このサーバーの設計上の月当たり最大件数は約三百八万件となっております。この件数はシステム上で安定的に処理できる上限数であって、情報連携件数の目標として設定した数値ではございませんが、いずれにしても、利用が低調となっている状況でございます。
このため、厚生労働省では、ハローワークでのマイナンバーの取得を進めることとしており、雇用保険関係の各種申請においてマイナンバーの記載がない場合に、マイナンバーを記載した上での再度の提出を求めることや、求職者給付関係手続においてマイナンバーを取得することができない場合に、ハローワークシステムにより住基ネットに照会を行い、マイナンバーを取得すること等の取組を行っているところでございます。
引き続き、他の行政機関等から情報照会があった際に情報提供できるよう、ハローワークの窓口においてマイナンバーの取得の徹底に努めてまいりたいと考えております。
○浦野委員 我々日本維新の会は、外国人労働者に対するマイナンバーカードの利用を政府に提案しています。ところが、政府は、法務省ですけれども、逃げの答弁に終始しています。
法務省のデジタル・ガバメント中長期計画で在留資格に関する手続のオンライン化を明記しているんだったら、マイナンバーカードの利用をしたらいいと思うんですね。そうすることによって、ハローワークシステムの利用率の向上にもつながっていくと思いますけれども、政府の考えはいかがでしょうか。
○田畑政府参考人 外国人労働者に対するマイナンバーカードの利用につきましては、在留カードとマイナンバーカードの一元化について、現在、法務省や他の関係省庁において検討を行っているものと承知しております。
現時点におきまして、在留カードとマイナンバーカードの一元化がハローワークの業務にどのような影響があるかが明らかでございませんので、議員御指摘のハローワークシステムの利用率向上に資するかどうかについてお答えすることは困難ではございますが、厚生労働省としては、マイナンバー制度に基づく情報連携により、国民の利便性の向上等を図っていくことは重要であると考えており、先ほど御答弁申し上げました、ハローワークの窓口においてマイナンバーの取得の徹底を行うなど、必要な施策を進めてまいりたいと考えております。
○浦野委員 次も、利用率を上げるための話ですけれども、国外転出者に対するマイナンバーカードの発行というのが実現されます。
将来的には在外投票にも活用されるんじゃないかということを期待しますけれども、在外投票に活用される可能性があるのであれば、国内におけるネット投票にもマイナンバーカードを活用することは十分可能だと私は考えているんですけれども、政府の考えはいかがでしょうか。
○吉川政府参考人 お答えいたします。
総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会において、昨年八月、在外選挙におけるインターネット投票について提言がなされましたが、その中では、本人確認手段としてマイナンバーカードの公的個人認証機能を活用することを含め、在外選挙インターネット投票において検討したシステムの基本的な仕組みは、国内におけるインターネット投票についても応用可能とされております。
一方で、十一歳以上の海外在留邦人が約百万人であるのに対しまして、国内の有権者数は約一億人で、桁が異なる規模となっております。一斉アクセス時の安定稼働対策、また、システム構築や維持に要するコストなどの論点も克服することが必要であることや、国内では、在外選挙と異なり、投票管理者や投票立会人のもとでの投票が原則である中、これらの者が不在となる投票を特段の要件なしに広く認めることの是非についての議論が必要であることなどから、こうした課題の検証を行うとともに、インターネット投票に関する幅広い関係者の理解などを着実に進める必要があると、同時に提言されているところでございます。
総務省といたしましては、こうした点も踏まえ、まずは、在外選挙のインターネット投票について着実に検討を進めてまいりたいと考えております。
○浦野委員 マイナンバー法で法定事務としてマイナンバーの利用が定められているものについては、情報提供ネットワークシステムを使用して、他の行政機関及び地方公共団体等が保有する特定の個人情報を取得する情報連携が可能になっていますね。
しかしながら、法定事務として定められているものは、費用徴収、資格認定等、非常に限定的になっています。その他の目的で利用する場合は各自治体において条例の制定が必要となっていますけれども、今回、情報連携の対象となる事務が乳児健診や予防接種等に拡大されていますね。
例えば、今、さっきもちょっと言いましたけれども、広域的な取組が必要とされている児童虐待対策として、厚労省において虐待防止情報共有システム構築事業、さっき言っていたものですけれども、予定されています。ところが、これは法定事務ではないため、マイナンバーを用いた情報連携を行うことができない。だから、別にサーバーを立てて、お金をかけてわざわざつくってやりましょうという話になっているわけですね。
でも、一〇〇%デジタル化で、かつ、ふえ続ける行政需要に対応するためには、マイナンバー法の法定事務について大幅に見直すことが必要なんじゃないかというふうに考えているんですけれども、いかがでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバー制度は、もともとは、いわゆる番号で本人を特定する手段としまして、住基ネットの最高裁判決を踏まえた上で、制度とシステム面での各種個人情報保護措置を講じつつ、一方で、個人を特定して行政事務を効率化するとともに異なる行政機関間の情報連携を行うということでございまして、現在も八カ所で係争中の違憲訴訟もございますので、そういう意味では、私どもとしては、やはりマイナンバー法で個別列挙しているというのを合憲である一つの根拠として出しておりますので、そこを崩すのは現状、難しいのかなと。
ただ一方で、条例上の利用事務につきましては、条例で定めればマイナンバーが使えるということもございますし、さらに、先生がおっしゃるデジタル化という点において、例えば今回の法案で添付書類の撤廃というのがございますけれども、この添付書類の撤廃をする場合の手段としまして、実はマイナンバーの情報連携が唯一の手段ではございません。いろいろなパターンがあり得ると思っております。
そういういろいろなパターンを使うことも可能だと思いますし、今回の先生が御指摘されましたこのシステム、私どもが聞いているのは、何か都道府県の児童相談所と市町村をつなぐようなシステムだというふうな話は聞いておりますけれども、いろいろなやり方はあるんだと思いますけれども、これは条例をつくらなくてもできるのかなというのは、ちょっといまいちよくわからないところもございまして、もう少し厚労省とともに勉強させていただきたいなというふうに思います。
ただ、いずれにしましても、マイナンバーあるいはマイナンバーカードというのは、非常に有用な手段でありますが手段でしかないので、デジタル化を進めるに当たってふさわしい手段が何かという観点から、デジタル化を必ずやる、そういう目的に向かっていろいろな手段を組み合わせてまいりたいというふうに思っております。
○浦野委員 ありがとうございます。
要は、各省庁、本当いろいろと、必要だからこそつくってきたシステムで、いろいろなところでそのたびに立ち上がってきたサーバーというのがあって、正直、その全体像を内閣府で一〇〇%把握できているかと言われたら、できていない。
そうであるならば、そこはやはり、これからこの法案を審議していく中で、最終的にはそれを内閣府がしっかりと全部把握していて、稼働率の低いところに関してはどんどんそれこそクラウド化を進めていく。そして、稼働率が高いところについても、季節、時期によって上下がそれはもちろんありますので、そういったピークに合わせて調整をすればいいでしょうし、そういったことをしようと思えば、やはり全体を把握しないとできないと思うんですね。
そういう意味では、今ちょっと一つ挙げた児童虐待の共有システムを、こんなところで言っても仕方がないですけれども、市町村と都道府県のデータも大事ですけれども、都道府県間のデータが実は重要だということのはずなのに、何で市町村と都道府県なんて、今、おっしゃったみたいな形になっているんだろうというのは、僕もちょっと、いまいち理解ができないし。しかも、物すごいお金をかけて今回これをやろうとしているわけです。
やるにしても、この法案が通った後に、多分これを実施していくことになりますので、今のスキームでそのまま進められるのか、それとも、この法案の内容にのっとって、新たなスキームで調達をしていくという話になるんだったら、ちょっと、また、やり方、変わるんじゃないかなというふうにも思っていますので。
要は、税金をかける以上、しっかりと、省ける部分を省いて、効率よく使っていただかないと、幾らでも、IT化だからといって、お金をかけられる、もちろんITというのは、そういうのを極力削減していくためにITを導入するわけですから、しっかりと、政府全体を把握していただいて、調達をしていっていただきたいなと思っていますので。きょうの質問はこれで終わります。
以上です。
○牧原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
きょうは行政のデジタル化の集中ということで、最初に、この前の質問のときに、平井大臣に政府CIOポータルの改善ということをお願いしまして、早速直しが入っていたということで、少しは見やすくなったなと思っておりますので、ありがとうございました。
それで、きょうはまず最初に、行政のデジタル化ということですので、防衛省・自衛隊のデジタル化ということに関連して、自衛隊の自動警戒管制システム、いわゆるジャッジシステムについてお尋ねをいたします。
航空自衛隊入間基地における日米地位協定に基づく米軍提供施設についてまずお聞きします。
入間基地内には、FAC三〇一三横田飛行場とFAC三〇五〇入間飛行場と二つの提供施設が置かれています。米軍の同じ提供施設なのに、同じ入間基地内に二つに分けて設置されている、提供されている。この使い分けをしている理由は何なのかについてまず教えてください。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
一般に、日米地位協定に基づきまして米軍に施設・区域を提供する際には、既に提供されている施設・区域内に新たな建物などを追加して提供する場合には、この施設・区域の一部として追加提供しているところでございます。また、米軍が自衛隊などの施設の一部を使用する場合に、それが機能的にほかの米軍施設・区域の付随施設と位置づけられる場合には、その本体となっている米軍施設・区域の一部として追加提供しているところでございます。委員御指摘の入間基地の中にございます横田飛行場がそれに該当してくるということになろうかと思います。
このような考え方を踏まえまして、航空自衛隊入間基地におきましては、横田飛行場の付随施設と位置づけられる施設について、横田飛行場の一部として追加提供を行っているところでございます。
〔委員長退席、松本(剛)委員長代理着席〕
○塩川委員 そうしますと、航空自衛隊入間基地なんだけれども、横田飛行場という名称がついている。その横田飛行場となっている施設・区域の提供については、横田基地に付随する施設、横田基地の機能の一部として提供しているという説明であったわけです。
それ以外に、入間飛行場という名称のついている提供施設・区域もあるわけですが、こっちの方は訓練想定とかそういうことになるんでしょうか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
入間基地においてFAC三〇五〇入間飛行場として提供しているものは、土地ですとか工作物ということで、訓練などに使用しているというところでございます。
○塩川委員 入間飛行場という名称で米軍に提供している施設・区域については、飛行場の災害復旧訓練施設として提供しているというふうに承知しているんですが、それでよろしいですか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおりで相違ございません。
○塩川委員 米軍に提供している施設・区域、日米地位協定に基づき提供している施設・区域については、入間基地内においては、入間基地内の施設を飛行場における災害復旧訓練施設として提供しているんだけれども、横田飛行場の方は、横田基地の一部として、付随施設として機能するものを提供しているということになるわけです。
提供施設の中でも区分があって、米軍による一時使用の扱いとなる二4(b)と、米軍が専用で使用する二1(a)が存在をします。この中で、横田飛行場の二1(a)で提供している施設・区域に七平米と言われる部分があるんですけれども、ここの使用目的というのは何になるんでしょうか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の施設につきましては、日米間において情報共有を図る目的で、米軍の通信機器を設置するために、地位協定第二条第一項(a)の規定に基づき米軍に提供しているものでございます。
○塩川委員 日米間において情報共有を図る目的で米側の通信機器を設置する、そのスペースとして提供しているということなんですけれども、この通信機器が設置をされている場所というのは、現状、自衛隊が何のために使用している場所になるんですか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の施設でございますけれども、入間基地の西側に所在をします庁舎の一部を提供しているものでございます。航空自衛隊は、この庁舎を主に、中部航空方面隊司令部ですとか中部防空管制群、こういった部隊が事務室などとして使用しているものでございます。
○塩川委員 その中には防空指令所、ディレクションセンターとかがあるんですけれども、その防空指令所の中に置かれているのではありませんか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の庁舎の一部の事務室につきましては、防空指揮所としての機能を有しているものでございます。
○塩川委員 防空指揮所。ディレクションセンターということでいいのかな。(中村政府参考人「さようでございます」と呼ぶ)はい。ディレクションセンター、防空指令所として使用している部分だということですけれども、そうしますと、入間基地の中に警戒管制のスペースがあって、そこに防空指令所という形で、弾道ミサイル防衛ですとか航空機対処ということでの情報を収集して、それに対しての対処を行うという場所になっているわけですけれども、そういった自衛隊の施設内に、七平米、米軍側に提供している、通信機器を設置をしている。その場所には米軍の要員というのは配置をされているんですか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
米側は、米軍の軍人軍属が常駐しているか否かを含めまして、個別の基地に所属する軍人軍属に関する情報を明らかにはしておりません。したがいまして、御質問に対しまして防衛省として回答することは差し控えさせていただきます。
○塩川委員 米軍基地内の話だったらまだしも、航空自衛隊の基地内なんですよ。航空自衛隊の基地の中に米軍のスタッフがいる、いないか、すぐ確認できるんじゃないですか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども御答弁したところで恐縮でございますけれども、米軍は、米軍の軍人軍属が常駐しているか否かを含めまして、個別の基地に所属する軍人軍属に関する情報を明らかにしてございませんので、防衛省としてそういった御質問に対して回答することは差し控えさせていただきます。
○塩川委員 米軍のやることは何でもかんでも運用にかかわることだからお答えを差し控えたい、そういう話では、何をやっているか実態がわからないわけですよ。
実際、自衛隊の基地の中で米軍が活動しているわけですから、そういった日米の軍事面での一体化というのはどういうふうになっているのかというのはやはりきちっと我々としてもただしていかなくちゃいけないわけで、そういったことについて、自衛隊基地内の話なのにわからないというのは答弁としては本当に納得できないところであるわけです。
そうすると、そういった通信機器設置のために七平米が提供されているというところなんですが、提供した時期というのが二〇〇九年六月十二日です。日米合同委員会が追加提供を承認しているんですが、これはちょうど自動警戒管制システム、ジャッジが運用を開始される時期にも当たるわけですけれども、米軍に提供している通信機器を設置しているスペースというのはジャッジシステムと連携、連接をしている、そういう場所ということでよろしいでしょうか。
○小波政府参考人 お答えいたします。
ただいま、入間基地内において日米地位協定第二条第一項(a)に基づき米側へ提供された施設には、日米間において情報共有を図る目的で米軍の通信機器を設置しています。この通信機器は防空に関する情報を日米間で交換するために空自の防空システムであるジャッジシステムと連接しているところでございまして、委員御指摘のとおりでございます。
○塩川委員 ジャッジシステムと連接しているということですけれども、この自動警戒管制システム、ジャッジというのはどういうものなのかについて簡単に説明していただけますか。
○小波政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のジャッジ、いわゆる自動警戒管制システムは、我が国の防空及び弾道ミサイル対処における一元的な指揮統制を行うに当たり中核となるシステムでございます。ネットワークを介しまして日本全国各地のレーダーサイト及び各自衛隊が有する各種システムと連接しており、その主要な機能といたしましては、警戒管制レーダー、早期警戒管制機等が捕捉した目標情報を集約し、航跡情報を作成し、追尾、探知した目標の敵味方を識別、データリンク等を介して兵器割当て、要撃管制に関する指示の伝達などを行うことが可能なものでございます。
○塩川委員 全国各地のレーダーが捉えた航空機などの情報を一元的に処理をして対領空侵犯措置や防空戦闘に必要な指示を戦闘機などに提供するほか、弾道ミサイル対処においてペトリオットやレーダーなどを統制し、指揮統制、通信機能の中核となるシステムだということで承知をしております。
先ほど言った入間基地内で提供している七平米については、防空に関する情報についてジャッジでの連接の話だったんですが、そうすると、弾道ミサイル対処の方は入っていないという整理なんでしょうかね。
○小波政府参考人 お答えいたします。
ただいまお答えいたしましたことの繰り返しになるんですけれども、いわゆるジャッジは、我が国の防空及び弾道ミサイル対処における一元的な指揮統制を行うに当たり中核となるシステムでございますので、特に区別をしているわけではございません。
〔松本(剛)委員長代理退席、委員長着席〕
○塩川委員 先ほど七平米の説明のときに防空に関する情報という言い方をしたからBMDが入っていないのかなと思ったんだけれども、そういうことじゃないということですね。
○小波政府参考人 ただいま委員御指摘のとおりでございまして、特に区別はしておりません。
○塩川委員 一元的に航空機対処と同時にBMD対処も行うという仕組みに米軍の通信機器のシステムが連接しているということです。
もともと米軍横田基地の中に、今、航空自衛隊の航空総隊司令部があって、こういったジャッジについてはそこで全国一本でやっているものですから、そのレベルでも横田で米軍との連携には当然なっているわけですけれども、それ以外に、外に出て、航空自衛隊の入間基地まで米軍の区域が置かれているという理由というのが、今までの説明でも納得のいく話というのは出ていないわけであります。
それで、このジャッジについてなんですが、我が国の航空作戦や弾道ミサイル防衛の中核となる全国規模の指揮統制システムになっているわけですけれども、航空作戦管制所及び四カ所の防空指令所、ディレクションセンターで二十四時間運用しているということです。
入間基地以外で防空指令所のある三沢、春日、那覇においては米側に通信機器の設置場所を提供しているんでしょうか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
委員お尋ねの米軍の通信機器というものが自衛隊のジャッジと連接をしている機器ということであれば、航空自衛隊三沢基地、春日基地及び那覇基地にはそのような機器はございません。
○塩川委員 それで、少し事前にお話を伺ったときには、今言ったように、ジャッジに連接をしている通信機器の設置ということを目的としての提供はないということは今お答えいただいたことなんですが、それとは別に、那覇基地において事務室として六十平米を提供しているというふうに聞いているんですけれども、そのとおりでよいか。提供しているということであれば、その理由は何かについて確認をしたいと思います。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、航空自衛隊那覇基地におきましては、地位協定第二条一項(a)に基づくものとしまして、事務所、事務室として使用する目的で、建物一棟、六十平米を提供しているところでございます。
○塩川委員 その事務室は何に使っているんですか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
使用目的としましては一般の事務所ということでございまして、それ以上の細部については承知をしておりません。
○塩川委員 二1(a)というのは常時使用ですから、一時借り上げとかそういう話じゃないので訓練とかではないわけです。そういった形で実際に自衛隊の基地の中でも米軍との軍事的な一体的な運用というのは行われているわけなんだけれども、そういうことについて明らかにしないといったところでも日米地位協定のあり方そのものが問われていると思っております。
それで、ジャッジについてなんですけれども、航空機対処とともに弾道ミサイル対処を行うということですから、当然イージス・アショアと連接をするということになりますね。
○小波政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、ジャッジは、防空のみならず、弾道ミサイル対処においても一元的な指揮統制を行うに当たり中核となるシステムであり、弾道ミサイル対処に当たるPAC3やイージス艦ともネットワークを介して連接することが可能でございます。
今後導入されますイージス・アショアに関しましても、弾道ミサイル対処の一元的な指揮統制を行う観点から、ジャッジと連接することを考えているところでございます。
○塩川委員 防衛省がイージス・アショア配備を予定している秋田県と山口県では、地元から配備反対の声が広がっています。
二月二十七日付の秋田魁新報は、日本が巨大イージス艦にという見出しの記事を書いています。アメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所は、昨年の五月に、日本の地上イージス導入に関するリポートを発表しているということで、表題は「太平洋の盾 巨大なイージス艦としての日本」。昔、不沈空母発言というのがありましたけれども、巨大なイージス艦としての日本という表題のリポートでは、米国本土を脅かすミサイルに対し、前方に配備されたレーダーの役割を果たし得る、太平洋の西端にある日本に地上イージスが配備されれば、米国主導の安全保障体制にとっての盾になるという意味合いだということです。
結局、このイージス・アショアというのはアメリカのためのものになるんじゃありませんか。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の弾道ミサイル防衛システムの性能、能力、配置等につきましては、あくまでも我が国領域を防護する観点から決定されているものでございます。
イージス・アショアの配備候補地につきましても、防護範囲を分析した結果、秋田県付近と山口県付近に配備した場合、最もバランスよく我が国全域を防護できると考えているところでございます。
このような分析を踏まえつつ、更に、遮蔽物の有無や地形、インフラといった条件も加味して自衛隊施設を対象とした検討をした結果といたしまして、秋田県の新屋演習場と山口県のむつみ演習場を配備候補地としているところでございまして、あくまでも我が国全域を防護する観点から選定したもので、アメリカを防護するといったこととは関係がございません。
○塩川委員 もともと秋田などでも随分議論になっているというのは、朝鮮半島、北朝鮮を想定して、そこからミサイルが出た場合に、秋田の上空を通り越してその先にあるのはハワイだ、山口の上空を飛び越してその先にあるのはグアム、こういったことが前提になっているという批判の声が上がっているわけです。こういった点での配備先の問題点というのが指摘をされている。
あと、アメリカ太平洋軍のハリス司令官は、昨年二月二十四日の下院軍事委員会の公聴会で、この日本のイージス・アショア導入による効果について問われて、アメリカ海軍や太平洋艦隊がBMDの任務において直面している負荷の一部を軽減することになるだろう、艦船を持ち場から離して他の場所に投入することができるだろうと証言をしています。
こういった発言を見ても、このようなアメリカの要望に応えるものになるイージス・アショア導入というのは、日本防衛ということでは説明がつかないんじゃないでしょうか。
○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
イージス・アショアを含みます我が国の弾道ミサイル防衛システムにつきましては、あくまでも我が国の領域を防護する観点から導入を決定しているものでございます。
また、我が国に対します弾道ミサイルの脅威に対しましては、米軍もイージス艦を我が国に展開するなど、日米間で緊密に連携して対処することといたしてございます。
このため、これまでも、発射された弾道ミサイルを探知、追尾した情報などは双方向で常時リアルタイムに共有することといたしておりまして、こうした情報共有のあり方につきましては、イージス・アショアの導入によっても変わるものではございません。
○塩川委員 アメリカの軍事戦略に日本が組み込まれるという形で米軍と自衛隊が一体化をしている。そういった点でもこの間の一連の動きというのは看過できないということを申し上げておきます。
それでは、IT戦略についてお尋ねをいたします。
世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画、IT戦略についてですが、このIT戦略の文章を見ていて、「抜本改革推進のための体制拡充と機能強化」の項目が挙がっている。これは、この前のときに平井大臣に冒頭のところでお尋ねをしたところの続きになるわけですけれども、IT総合戦略本部を支える事務局である内閣官房情報通信技術総合戦略室、IT総合戦略室の規模が不十分であり、外部人材登用に当たっての処遇にも課題があるとの指摘がされており、IT総合戦略室の機能と体制の強化に向け、平成三十年度から順次、関係省庁からの人的資源の貢献などの一層の協力を得るとともに、外部のすぐれた人材の活用のための所要の処遇改善などの環境整備について検討を行うとあります。
このIT総合戦略室の規模が不十分とはどういうことかという質問に対して、平井大臣は、ITやデータ、セキュリティーなどに関する最先端の知見を持つ人材の確保が必要だけれども、専門家は引く手あまただし、役所の給料が安いことが課題だという答弁でございました。
そこで、事務方にお尋ねしますが、IT総合戦略室の機能と体制の強化に向け、平成三十年度、つまり昨年度から順次、関係省庁からの人的資源の貢献などの一層の協力を得るとあるわけですが、これはどうするものだったのか、実際どうしたのか、その点についてお答えいただけますか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
IT総合戦略室は、昨年、平成三十年でございますが、六月に閣議決定されたIT戦略や未来投資戦略、骨太の方針に基づきまして、政府情報システム予算・調達の一元化を含めたプロジェクト管理の強化に向けた検討や、引っ越し等のワンストップ化加速など、我が国のデジタル化を大きく前進させるプロジェクトを実施することとなっております。
このように業務が質、量ともに増大する中、関係省庁による協力を要請いたしまして、昨年の夏の異動期には、室長代理、いわゆる副CIO、私もそうですが、ここで答弁しているIT室は皆、私以外の人間はそのときに来た人間でございますが、室長代理である幹部職員を含む計十三名の職員、また、平成三十一年に入ってからも、管理職を含む計六名の職員をIT総合戦略室に新たに入っていただいたところでございます。
○塩川委員 内閣官房が企画立案、総合調整を行うということで、各府省から人を集める。聞くところによると人狩りというそうですけれども、送り出す役所の方はなかなか大変な思いで送り出しているという点で、人を集めてやっているという話になるわけです。
もう一つ、これは役所の中の話ですけれども、外部人材登用に当たっての処遇にも課題があるという指摘で、この前の大臣の答弁でも給料の話があったわけですけれども、ここで言っている外部人材というのはどなたを指しているのか。政府のCIO補佐官もありますし、民間企業からの出向者ということでIT室の資料にもあるわけですけれども、この外部人材というのはどの範囲の方を指しているのか、その上で、処遇にも課題があるというその課題は何かについてお聞きします。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
先般の内閣委員会で大臣から御答弁申し上げましたとおり、IT総合戦略室の業務を遂行していくに当たりまして、社会全体のデジタル化に対応するありとあらゆる最先端の知見が必要となってきているところでございまして、省庁の出身者の知見だけでは対応が難しいという課題認識のもと、IT戦略におきまして、外部のすぐれた人材の活用について検討を行うとしたものでございます。
ここで申し上げますすぐれた外部人材と申しますのは、データやセキュリティーを含め、情報通信技術についての最先端の専門的な知見を有する人材を指しているところでございまして、現行制度のもとで申し上げますと、政府CIO補佐官が該当するものと考えているところでございます。
○塩川委員 最先端の専門知見を有する方ということで、政府のCIO補佐官を指しているという話ですけれども、そうしますと、民間企業からの出向者の方もかなりの人数いらっしゃるんですが、その方たちというのはどういう理由でいらっしゃっているんでしょうか。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
今申し上げましたとおり、ITの分野は非常に変化が激しゅうございまして、さまざまな民間の知見も含めて、ともに協働しながら作業を進めることでよりよい成果を上げていくということが重要でございまして、政府の職員のみでは必ずしも十分でないところを、それを補う意味で民間の方々の御協力を仰いでいるところでございます。
○塩川委員 そういう点では、政府の職員だけでは足りない、補う意味合いで、変化の激しいこういう分野での民間の知見が必要だということです。
それで、戻るんですけれども、外部人材という点で、政府CIO補佐官の話だということでお話があったわけですが、外部のすぐれた人材の活用のための所要の処遇改善などの環境整備について検討を行うとあるんですけれども、これはどうしているんでしょうか。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
政府CIO補佐官といたしましては、クラウドを始めとした最先端の情報システムの設計、開発、プロジェクトマネジメントといった専門性を有する人材が採用されているところでございます。
その給与体系には一定の幅がございますので、私どもの取組といたしましては、非常勤職員の給与の号俸を更に上げることなどにつきまして、関係機関と連携して検討を進め、よりよい人材が確保できるように努めているところでございます。
○塩川委員 ということは非常勤なんですよね。ですから、今の高度ITの専門家と言われる政府CIO補佐官の身分や待遇について確認したいんですけれども、政府CIO補佐官の身分は非常勤ということでよろしいか、報酬はどのように定めておられるのか、それを今回見直すということであればどうすることになっているのか、その点について説明していただけますか。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、政府CIO補佐官は非常勤の国家公務員でございます。その給与につきましては三段階ほどございまして、初任の政府CIO補佐官の給与は、一日当たりでは四万三百四十円。なお、年収につきましては、補佐官の勤務日数は個々人で異なりますが、一律には申し上げることが難しいところではございますけれども、仮に週五日勤務で年間の勤務日数を二百四十日というふうに単純の計算をいたしますと、約九百七十万円ほどでございます。
○塩川委員 これは、号俸を更に上げていく、何かそれはもう具体的にされているんですか。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
今申し上げましたとおり、号俸は三段階ございまして、その三段階ごとに一定数の補佐官が張りついているということでございますけれども、これは当然、裏側には予算が関係してございますので、それぞれの号俸の補佐官の数をふやすべく、関係機関と連携しながら検討を進めているというところでございます。
○塩川委員 最先端の知見をお持ちの方が九百七十万というのは、この妥当性はいかがかというのは率直に思うわけですけれども、政府CIO補佐官の方は、もともとの所属先の企業、役員の方なんかも当然いらっしゃると思うんですけれども、その身分を持って非常勤で働いているということになるんでしょうかね。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
非常勤と申しましても、企業若しくは事業体に属して業務を行っている方もいらっしゃれば、独立して若しくは単独で政府CIOとして御貢献いただいている方もいらっしゃいます。人によって異なります。
○塩川委員 人によって異なるけれども、企業に所属している方もいらっしゃるということです。
次に、民間企業からの出向者という方がいらっしゃるわけですけれども、その方の身分は非常勤ということでよろしいか、給与はどんな状況なのか、この点についてお答えいただけますか。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、民間出身の参事官補佐や主査につきましては、非常勤の国家公務員でございます。
その給与水準でございますけれども、参事官補佐の給与は一日当たり一万一千百五十円、主査の給与は一日当たり九千七百五十円、年収につきましては、仮に週五日勤務で年間の勤務日数を二百四十日ということで単純計算をさせていただきますと、参事官補佐で約二百七十万円、主査で約二百三十万円でございます。
○塩川委員 ですから、課長補佐、係長クラスということですけれども、単純に言って、年収ベースでいうと二百五十万円前後という話になるわけですね。
年収が二百三十万とか二百七十万という方なんですけれども、出向者ということですから、出向元企業に在籍をしているわけです。そうしますと、出身企業から給与の補填を受けているんでしょうか。出向元企業で勤務する、そういうことも行っているんでしょうか。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
民間出身者が出向元の企業から給与を受けているかどうかにつきましては、当室としては把握をしてございません。
また、勤務時間以外において出向元の企業で勤務をしているかどうかについても把握をしておりませんけれども、非常勤職員につきましては、制度上、兼業を行うことは可能と認識してございます。
なお、いずれにしましても、当室での勤務時間の前後など、勤務時間外につきましても、非常勤職員を含めた職員には、兼職の有無にかかわらず、公正な職務の遂行の維持、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定が適用されてございまして、その遵守を徹底することで適正な運用の確保を行っているところでございます。
○塩川委員 もう一回ちょっと戻るんですけれども、出向者ということなので、出向元企業に在籍をしているわけですね。
○二宮政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○塩川委員 そうしますと、出向元企業にすれば、大事な社員をIT室に送るということになるわけですよ。そういったときに、あんたの給料は向こうの非常勤職員の二百三十万円ですよというのは余りにもつれない話であって、そもそもそんなことで行くかという話は当然出るわけですね。ですから、当然それは、会社側にすれば、非常勤職員の給与ともともとの出向元企業における給与の差分を補填する措置というのは行っているのが普通ですよね。そう思いませんか。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、民間出身者が出向元の企業から給与を受けているかどうかにつきましては、私どもIT室としては把握してございません。
○塩川委員 これは、やはり誰からお給料をもらっているかは一番肝心なところなんですよ。この実態だと、公務、IT室、役所からもらっているものよりも、実際には企業側から補填を受けている方が大きいという実態というのが推測されるわけですね。その場合に公務の公正性がどうなのかということが問われてくるわけです。
そこで、非常勤の場合には兼業が可能だという説明でしたけれども、内閣人事局に聞きますが、非常勤で兼業が認められる理由というのは何なんでしょうか。
○植田政府参考人 お答えいたします。
常勤職員が報酬を得て兼業を行う場合には、国家公務員法第百四条に基づき、各省各庁の長及び内閣総理大臣の許可を要することとされておりますが、一方で、非常勤職員については、従事する職務や勤務条件も多様であるところでありますけれども、総じて勤務が臨時的であり、勤務時間の設定や職務の内容などから職務専念義務などに与える影響が比較的少ないと考えられることから、国家公務員法第百四条の適用がないこととしているところでございます。
○塩川委員 臨時的、職務専念義務の程度が低いという話ですけれども、実際には内閣官房の内閣官房副長官補のもとにある分室のまさに筆頭格になっているIT室なわけですよ。そのIT室というのは、まさに企画立案、総合調整なんです。単なる補助事務じゃないんですよ。補助事務じゃない。
そういう点でも、非常に基幹的な中枢の業務を担っている人たちなんですよね。そういう人たちが実際には出向元企業から受けている報酬の方が大きいといった場合に、公務の公正性が問われるんじゃないかという問題が出てくるわけです。
それで、人事院にお尋ねいたします。
このように、出向元企業の身分を持ちながら公務で働く、こういうスキームについては、官民人事交流制度の交流採用、雇用継続型というのがあるわけです。この制度における服務や給与に関する規制はどうなっているのか、そして、その理由は何なのかについて説明してください。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
官民人事交流法に基づきます交流採用でございますけれども、人材の育成と組織の活性化を目的として行われているものでございます。その公正性や透明性の確保を図りつつ、円滑な交流に資するような仕組みということでつくっておるところでございます。
具体的に申し上げますと、外部有識者で構成される交流審査会の意見を聞きまして、許認可関係のある企業との交流制限などを定めた交流基準を設けてございますほか、人事交流の実施に当たりましては、参加企業の公募などによる公正な手続、交流元企業と密接な関係にある官職への配置制限、給与補填の禁止などの制限を課すとともに、交流状況につきまして国会及び内閣に対する年次報告などを行っているところでございます。
こういった仕組みの理由につきましては、先ほど申し上げましたように、交流の公正性や透明性を確保するということでございます。
○塩川委員 今言ったように、出向元企業の身分を持ったまま公務で働く場合というのは、制度上は、官民人事交流制度の交流採用、雇用継続型となります。その場合に条件をつけている。もちろん許認可にかかわるような業務の官職につくことの禁止とかもあるんですが、出向元企業からの給与補填の禁止と言っているんですよね。そこが重要なポイントなんです。なぜそうかというと、公務の公正性の確保なんですよ。
あわせて、この官民人事交流制度の交流採用、雇用継続型の場合は、出向元企業で働くということはできるんですか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
交流採用職員については、国の職務に従事するということでございますので、交流元企業の仕事をするということはできません。
○塩川委員 ですから、ここのところはわかりませんけれども、非常勤職員は五時間四十五分なんです、一日。ですから、朝、出勤前とか出勤の後とかを含めて、出向元企業との関係はどうなのかという点というのはまだ疑念としてありますし、何よりも、出向元企業から給与の補填を受けないというのがそもそもの官民人事交流制度のスキームになっている。
大臣にお尋ねしますけれども、今言ったように、人事院が答弁しました官民人事交流制度と今回の非常勤職員の扱いの話ですけれども、民間企業に所属して国の機関で働いている点で同じなのに、一方の官民人事交流制度では、出身企業で勤務することや給与を受けることは禁止をされているわけですが、他方、政府の中枢である内閣官房で企画立案に参画をする非常勤職員の場合は、出身企業で働くことや給与を受け取ることについての制約がない。これはやはり制度上おかしいんじゃないか、公務の公正性に疑念が生じる事態ではないかと考えますが、大臣はいかがですか。
○平井国務大臣 まず、今のように最先端のプロジェクトに多くの人間が必要になる場合、各府省からの出向者だけでは足りず、政府CIOを含む民間出身の人材の参画を得ながら推進していくということだと思います。
御指摘のとおり、民間の非常勤職員を受け入れることは、公務の公平性に疑念を抱かれることがないように十分留意することがやはり重要だと思います。
そのため、IT総合戦略室においては、非常勤職員の採用に当たり、まず、国家公務員法の服務に関する規定に上乗せする形で、採用後、当該非常勤職員が現在又は過去二年間に属していた事業者については、当該非常勤職員が妥当性評価及び助言を行う調達案件には入札できない、政府情報システムの受注実績のある企業の出身者はその担当としないなどの厳格なルールを運用しております。
ですから、出す方の企業にしてみても、出したら自分の企業にとってはマイナスになるというケースも十分にあるわけです。ですから、そこらのところは、さりとて、若い人たちはこういう最先端の現場で新しいプロジェクトに参画したいという意欲を持っていただける方々もおり、そういう方々と今現場をつくっているというふうに私は認識をしております。
○塩川委員 いろいろなルールをつくりました、上乗せもしていますという話なんですけれども、一番根幹は給与の話なんですよ。給与が実際にはその大半が出向元企業からもらっているといった際に、官民人事交流制度の方では、それは公務の公正性の確保にとっては問題だから、出向元からもらうことはだめよとしているわけです。
それと対比をしても、まさに最先端の業務をやっているわけですから、そういった点で、出向元企業との実質的な官民癒着みたいな実態が起こり得るのではないのかといったことを懸念されるような給与の補填の仕組みを排除していないということ自身に、やはりこれは官民癒着の批判というのは免れないんじゃないでしょうか。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
大臣からの答弁の繰り返しになりますけれども、私どもIT総合戦略室におきましては、国家公務員法の服務にのっとるということは当然のことといたしまして、それに加える形で、調達案件に関連するような親元企業がある場合には、その出向者に対してはそういった業務につかせないというようなこと、さらには、受注実績のあるような企業の出身者にも政府情報システムの担当にはさせないというような、ある意味付加的な条件をつけて採用しているところでございますので、御懸念は当たらないものと考えてございます。
○塩川委員 一番の給与の話のところはお答えがないわけで、そこで疑念が生じるわけですから、そこのところをどうするのかといったことなしに、公務の公正性の確保ができたということにならない、癒着の批判というのは免れないということは申し上げておきます。
その関連で、情報システム関連予算について数字を確認したいんですが、情報システム関連予算の整備経費と運用等経費について、二〇一五年度から二〇一九年度の予算の推移を確認したいと思います。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
情報システム関係予算は整備経費、運用等経費などから構成されているところでございますが、これまでの経費の推移につきましては、平成二十七年度から三十一年度までの整備経費が千三百八十九億円、千二百九十三億円、千四百五十八億円、千八百七十一億円、千九百三十九億円でございます。運用等経費につきましては、三千九百七十六億円、四千九十七億円、四千百七十六億円、四千三百十一億円、四千五百八十五億円でございます。
○塩川委員 この四年間で整備経費は一・四倍、運用等経費は一・二倍にふえているわけです。情報システム関連予算はどんどんふえているということなんです。これはこの先も同じような感じになるんでしょうかね。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
今後につきましては、行政のデジタル化がより一層進められる一方で、既存の経費の圧縮に努めていくこととしておるところでございますので、経費全体の見通しについて現時点で明確にお答えをすることは困難でございますけれども、引き続き、適切な情報システム関係予算となるように政府全体として対応してまいりたいと存じます。
○塩川委員 見通しについては確たるものはないということですけれども、実際、内訳がどうかということを教えてほしいんですが、例えば二〇一七年度の運用等経費が十億円以上の情報システムにかかわる行政事業レビューの抽出調査がありますけれども、この抽出一覧に基づいて、受注実績の上位五社の企業名と、受注額の合計と、全体に占める割合を確認したいと思います。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
上位五社は、NTTデータ、九百二十億円、二二%。富士通、六百六十一億円、一六%。日立製作所、四百四十億円、一一%。三菱電機、三百三十七億円、八%。日本電気、三百三十五億円、八%となってございます。
○塩川委員 上位五社で全体の三分の二を占めるという規模になります。
これは企業グループでの数字というのは出せますかね。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
グループの帰属につきましては必ずしも明確でないところもございますけれども、前者の関係を整理するということではなく、支出額の合計の九〇%を占めます十七社について可能な範囲で整理したところを御紹介申し上げます。
NTTグループ、千四十四億円、二五%。富士通グループ、六百六十一億円、一六%。日立グループ、五百五十八億円、一四%。三菱グループ、三百三十七億円、八%。NECグループ、三百三十五億円、八%でございます。
○塩川委員 ですから、上位五社のグループで合計すると四分の三相当になるわけです。
先ほど言ったように、給与の補填を受けている。実態はどうかというのは検証が必要ですけれども、給与の補填を受けるという中での公務の公正性について疑念が生じるといった事態について考えたときに、情報システム関連事業の受注企業の出身者が出身企業から給与補填を受けてIT戦略室に勤務しているというのは、やはり率直に国民から見て官民癒着という批判は免れないのではないかと思いますが、大臣、改めてお答えいただけますか。
○平井国務大臣 公務の公平性に疑念を抱かれることのないようにしていくことが非常に今後とも重要だと思います。
ただし、この分野の人材というのはそんなにふんだんにいるわけではないので、その中で規律をつくっていくというのに我々は大変知恵を使っているところでございます。
そのあたりのことも今後とも疑念を抱かれないようにちゃんとやっていきたい、そのように思います。
○塩川委員 国民の不信を招くことがないような対応こそ求められているということを申し上げます。
それと、関連して、内閣人事局にお尋ねしますが、内閣官房と内閣府における民間企業から非常勤で受け入れている職員数について、二〇〇一年度と二〇一八年度の人数を教えていただけますか。
○植田政府参考人 お答えいたします。
内閣人事局などで調査いたしました民間から国への職員の受入れ状況におきましては、二〇〇一年八月十五日現在の非常勤職員は、内閣官房二十七人、内閣府五十六人でございまして、二〇一八年十月一日現在の非常勤職員は、内閣官房百七十五人、内閣府百六十七人となっているところでございます。
○塩川委員 省庁再編で新しい仕組みができた。当委員会でも内閣官房、内閣府の機能強化の問題を指摘をしましたけれども、二〇〇一年度から二〇一八年度の間で、内閣官房における民間企業から非常勤で受け入れている職員数は五倍にふえ、内閣府においては三倍という数字になっています。
この数字は内閣人事局のところでホームページ上も確認できるんですけれども、個人名が特定されるような企業名は公表、集計していないというふうにお聞きしたんですが、それはそういうことでいいんですかね。
○植田政府参考人 大変申しわけございません。手元に資料がございませんので、後ほど御報告させていただきたいと存じます。
○塩川委員 IT室における非常勤職員の方の確認をしたときに、非常勤職員の人数と出身元企業の一覧と、数が合わなかったんですよ。民間企業からの非常勤職員の方が七十六人だったかな、それに対して、出身企業を書いているんですけれども、サイト上にも載っているんですが、それをIT室で切り出してもらったら五十ぐらいだったんですよね。差があるんですよ。その差は何だと言ったら、いや、個人名が特定されるような企業名だともうこの人となっちゃうから、それは外しているんだという説明が、これは内閣官房内閣人事局の指示なのかな、そういう仕組みで行われていると聞いたんですけれども、その事実関係を確認したいんですが。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
IT室から御説明申し上げた事実関係でございますけれども、政府CIO補佐官につきましては、特に個人名に結びつきやすい企業等、個人の企業とかいうことだとすれば特定されることになるわけでございますので、そういったものは省かせて、除かせていただいてございます。
○塩川委員 個人名が特定されるような企業名は外しているから、その人が非常勤でいるということも外しているということになるわけですよね。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
数につきましてはカウントしてございます。
○塩川委員 それで、確認してほしいんですが、内閣人事局が民間からの受入れ状況の一覧表をつくっているじゃないですか。あの中で、官房副長官補のところには百二十二人となっているんですよ、昨年の十月の時点のは。それも、私は企業名も数えましたが、百二十二でした。複数来ている人は二とか三とか書いてあるんですよ。だから対応しているんです、企業名。
だから、個人名が推定されるような企業名のところを外しているとなったら、同じように非常勤の職員の数も外していないと合わないんですよ。そうじゃないんですか。
○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
内閣人事局の方の集計の仕方につきましては承知をしておりませんので、確認させていただいて回答させていただければと思います。
○塩川委員 確認して後で教えてください。
最後に一問、内閣人事局、内閣官房にお尋ねしますが、こういったように、政策の企画立案や総合調整機能を担う内閣の中枢機関である内閣官房と内閣府において、民間企業に籍を置く非常勤職員が急増しています。公務の公正性に疑念が生じる事態であって、こういった内閣官房などの企画立案に従事する非常勤職員について官民癒着防止の規制を設ける考えはありませんか。
○植田政府参考人 お答えいたします。
政府においては、複雑専門化する国の重要政策課題に対応するために、民間の専門的な知見を有する方の活用を進めてきておりまして、このため、内閣官房等においても、非常勤職員を含め、積極的にこれら職員の採用を行ってきているところでございます。
非常勤職員の採用に当たっては、公務の公正性を確保するために原則公募とするとともに、服務規律の遵守や当該職員の配置、業務などに配慮しつつ、適切な人事運用に努めることとしておりまして、引き続き公務の公正性が損なわれることのないように努めてまいりたいというふうに思います。
○塩川委員 給与の補填という根幹問題にきちっとメスを入れるということが必要だということを申し上げて、きょうのところは質問を終わります。
○牧原委員長 次回は、来る二十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時二分散会