衆議院

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第17号 令和元年5月17日(金曜日)

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令和元年五月十七日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 牧原 秀樹君

   理事 平  将明君 理事 谷川 弥一君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君

   理事 大島  敦君 理事 岡本 三成君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    小倉 將信君

      大西 宏幸君    金子 俊平君

      神谷  昇君    小寺 裕雄君

      繁本  護君    杉田 水脈君

      高木  啓君    谷川 とむ君

      中曽根康隆君    中山 展宏君

      長尾  敬君    西田 昭二君

      本田 太郎君    松野 博一君

      松本 洋平君    三谷 英弘君

      村井 英樹君    八木 哲也君

      今井 雅人君    尾辻かな子君

      大河原雅子君    岡本あき子君

      近藤 昭一君    篠原  豪君

      初鹿 明博君    山尾志桜里君

      森田 俊和君    山岡 達丸君

      太田 昌孝君    佐藤 茂樹君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (少子化対策担当)    宮腰 光寛君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   最高裁判所事務総局家庭局長            手嶋あさみ君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 三浦健太郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       西山 卓爾君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十七日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     八木 哲也君

  岡下 昌平君     繁本  護君

  小寺 裕雄君     中曽根康隆君

  松野 博一君     谷川 とむ君

  松本 洋平君     小倉 將信君

  初鹿 明博君     尾辻かな子君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     松本 洋平君

  繁本  護君     岡下 昌平君

  谷川 とむ君     松野 博一君

  中曽根康隆君     小寺 裕雄君

  八木 哲也君     池田 佳隆君

  尾辻かな子君     初鹿 明博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、第百九十六回国会閣法第五六号)


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     ――――◇―――――

牧原委員長 これより会議を開きます。

 第百九十六回国会、内閣提出、成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官三浦健太郎君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、法務省大臣官房政策立案総括審議官西山卓爾君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、厚生労働省大臣官房審議官迫井正深君、厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君、厚生労働省大臣官房審議官諏訪園健司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局家庭局長手嶋あさみ君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。太田昌孝君。

太田(昌)委員 公明党、太田昌孝でございます。

 本日は、成年被後見人の権利の制限に係る措置の適正化を図るための関係法律の整備に関する法律案、ずっと我が党におきましても一貫してかかわってまいりました法案でございます。質問の機会をいただきまして、委員長を始め理事の皆様方に感謝を申し上げる次第でございます。

 この成年後見制度につきましては、当時、我が党法務部会長でありました大口善徳部会長を中心としまして法務委員会で審議を重ねてまいりました。平成二十八年には、成年後見制度利用促進法として議員立法で成立をいたしました。以降、さまざまな利用促進策が進められ、多くの地方自治体でも、成年後見制度利用支援事業としてその利用促進を進めてまいったところであります。

 そして、その一環として、今回、欠格条項の見直しに取り組んでいるものと承知をしております。制度利用促進の観点から、成年被後見人等の欠格条項の現状の問題点につきまして、政府としてどのようにお考えになっているのか、まずもってお伺いをしたいと思います。

宮腰国務大臣 委員御指摘のとおり、御党の大口議員などが中心になって作成され、平成二十八年五月に施行された成年後見制度利用促進法におきまして、成年後見制度を利用している方々の人権が尊重され、不当に差別されないよう、いわゆる欠格条項について検討を加え、必要な見直しを行うこととされました。

 具体的な見直しのあり方等に関しましては、平成二十九年九月から十二月にかけ、有識者等で構成される成年後見制度利用促進委員会におきまして議論がなされ、欠格条項の問題点に関しましてもさまざまな御指摘があったところであります。

 例えば、ノーマライゼーション等を基本理念とする成年後見制度を利用することで、逆に資格等から排除される結果となるのは疑問である、成年後見制度は財産管理能力に着目した制度であり、各資格等に求められる能力と質的なずれがあるのではないか、同程度の判断能力であっても、成年後見制度を利用している者のみが資格等から一律に排除され、能力を発揮する機会が失われているのではないか、欠格条項が数多く存在していることが成年後見制度の利用をちゅうちょさせる要因の一つとなっているのではないかなどの御指摘があったところであります。

 今回の欠格条項の改正は、これらの問題点を踏まえ、欠格条項による資格等からの一律的な排除という扱いを改め、個別的、実質的な能力審査の仕組みへと見直しを行うものであります。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 まさにそのとおりでございまして、成年被後見人あるいは被保佐人であることを絶対的な欠格事由とする、こうした現行の規定を全て廃止をしまして、各資格、職務、業務等の遂行に適した能力の有無を個別的かつ実質的に審査する仕組みを設けることを内容とするこの法律が成立をするならば、障害ある人への不当な取扱いが是正をされ、障害者雇用促進政策を推し進め、障害のある人の社会参加の機会を確保することができる。また、障害者に対する実質的な差別を解消する方向に向かうとともに、成年後見制度の利用が必要な方が安心して制度を利用して成年後見人や保佐人の支援を受けられるようになると考えます。

 成年後見制度を、今おっしゃっていただきましたノーマライゼーションやソーシャルインクルージョンといった基本理念に立脚する権利の擁護の仕組みであるにもかかわらず、これまでこうした欠格条項があったために、結果として、成年後見制度を利用すると、判断能力が不十分な人の権利が制限され、資格等から排除されてしまっておりました。

 しかし、今法律案によりまして、この成年後見制度の利用をちゅうちょさせる要因が取り除かれ、成年後見制度が地域共生社会において必要かつ有用な制度として広く認知され、利用される環境が整備される方向に一歩進むことが期待される、大いに評価をしたい、そのように思っております。

 その上で、懸念がございます。

 個別審査規定の解釈、適用、運用に適正を期すこと、そして、個別審査規定によって実際に各資格、職務、業務等の遂行に適した能力があるかどうかを個別的かつ実質的に審査する際に、合理的配慮や意思決定支援の視点を確保することができないと、障害のある人の資格等からの排除が今よりも実質的に拡大してしまうおそれがあるのではないかということであります。

 確かに、この法律によりまして絶対的欠格事由の規定が廃止されるならば、成年被後見人、被保佐人であるという理由だけで資格、職務、業務等から排除されることはなくなりますが、具体的に考えますと、これまでは成年被後見人、被保佐人でなければ資格、職務、業務等から排除されなかったところが、個別審査規定が拡大して解釈され、非常に広く適用されて、個別審査規定のスクリーニング機能がきき過ぎてしまうと、これまでこうした対象となっていなかった被補助人や任意後見契約の委任者といった人たちも資格、職務、業務から排除されてしまう可能性もあります。

 そこで、お尋ねをいたします。

 これまで、成年後見制度の利用によって、こうした絶対的欠格事由の定めによって失職した例として、地方公務員や警備会社の警備員の例がありますが、公務員や警備員の業務の範囲は非常に幅が広いものでありまして、その幅広い職務、業務の全部を想定をいたしますと、実際に行う業務の一部業務を想定するのでは、心身の故障のため職務の遂行に支障があり、又はこれにたえない場合、心身の故障により職務を適正に行うことができない者の実際の解釈や運用が異なる可能性もあります。

 このような個別審査規定の解釈や適用、運用について、障害のある人の権利をできるだけ制限しないよう、省令等で何らかの基準を示し、あるいは、障害のある人の権利をできるだけ制限しない方向でのガイドラインのようなものを示す必要があると考えますが、どのようにお考えでしょうか、お尋ねをいたします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の見直しは、成年後見制度を利用している方々の人権が尊重され、不当に差別されないよう、いわゆる欠格条項を適正化することを目的としております。具体的な個別審査の方法につきましても、こうした改正の趣旨や、障害者権利条約、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、各資格等にふさわしい方法を、当該資格等を所管する各府省庁において検討を行っていただくことになります。

 一方で、今回の見直しは、百八十八本という多数の法律を改正するものであり、対象となる資格、職種等も幅広いものとなってございます。このため、個々の審査の方法に関してはさまざまな方法が考えられ、今先生がお示しになられました、一律に何らかの基準を省令やガイドラインでお示しするというのは、なかなか難しいのではないかと考えておりますが、法案の閣議決定時に、欠格条項の対象範囲が適正なものになるよう、内閣府から所管省庁等に対し依頼を行ったところでございまして、また今後、法成立後にも改めて各省庁等に対し、個別審査規定の適切な解釈、運用について依頼を行うこととしております。

 また、今後、必要に応じて、成年後見制度利用促進基本計画や障害者基本計画のフォローアップの一環として、厚生労働省に設置された成年後見制度利用促進専門家会議等において状況を注視していくこととなると考えておるところでございます。

 こうした取組を通じまして、個別審査規定の適切な解釈、運用がなされるものと考えてございます。

太田(昌)委員 一律はなかなか難しいけれども、個別審査規定の解釈、適用、運用について各省庁にしっかりとアドバイスをし、あるいはそのような形で運用をしていただくということで了解をしたいというふうに思います。どうか、それぞれで対応が異なるようなことがないように、しっかりと目配り、気配りをやっていただきたいというふうに思います。

 こうした個別審査規定を適正に運用するためには、能力の中で、合理的配慮の考え方をしっかりと取り入れていただかなければなりません。つまり、心身の故障のために職務の遂行に支障がある、あるいはこれにたえない場合、あるいは、心身の故障により職務を適正に行うことができない者に該当するか否かを判断する場合には、さまざま、単純に医学的な面や機能面だけで見るのではなくて、社会的な面からも見なければならないというふうに思います。

 支援がない状態ではできない可能性もあるけれども、支援を受ければできるのであれば、資格、職務、業務等から排除をせず、その資格の取得、業務ができるように支援をすることが必要じゃないか、このように思います。その支援を確保することがいわゆる合理的配慮の提供であり、障害のある人を雇用する事業者には合理的配慮の提供が求められますし、国、地方公共団体も、事業者のその合理的配慮の提供を促し、確保する仕組みを整備、構築する必要があります。

 そこで、伺います。

 例えば、現在、障害者の雇用の判断をする際に、官公署はどのような合理的配慮を提供しているのでありましょうか。

 あるいは、警備業法に基づく警備員の資格の喪失が訴訟で争われておりますけれども、警備員の採用に当たってどのような合理的配慮が提供されるべきだと考えますか。

 また、ある障害者の雇用、降任、免職等を検討する際に、その障害者が、心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれにたえない場合には、該当するかどうかを判断するに当たって国にはガイドラインというのが作成されているのかどうか。作成されている場合は、改定の必要はないのでしょうか。また、その改定版、これは民間の事業者にも普及をさせる必要があるのではないかと思いますが、そうした個別審査規定に基づいた降任、免職の場合にとるべきプロセス等の基準を示すべきではないかと考えますけれども、政府の考え方をお尋ねいたします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、個別審査規定に基づく障害者の雇用の場面においても、今回の法改正の趣旨等を踏まえると、合理的な配慮が提供されるべきであると考えております。

 この点につきましては、例えば御指摘の障害者雇用の分野におきましては、既に、障害者雇用促進法に基づき、厚生労働省におきまして、障害者差別禁止指針と合理的配慮指針が策定されておりまして、平成二十八年四月からこれらの指針による取組が実施されていると承知してございます。

 内閣府といたしましても、個別審査規定に基づき障害者の雇用の場面について合理的配慮がなされるよう、法成立後には、今回改正の趣旨等につきまして各省庁に周知するとともに、個別の分野におけるさらなる取組を図るよう働きかけてまいります。

太田(昌)委員 よろしくお願いします。

 障害のある人にはさまざまな症状がありまして、一くくりに知的障害といっても、実際には、障害の程度、日常生活における支障、困り事というんですかね、は一人一人異なってまいります。同じ精神障害といっても、統合失調症とうつ病では症状が異なってまいります。また、特に、精神障害のある人の症状、一般的に波があるとも言われております。診断名が同じであっても、人によって、日によって、症状はさまざまであろうというふうに思います。

 合理的配慮の提供を前提とするならば、雇用あるいは免職、解雇等の判断に当たっては、その人の障害あるいは症状が悪化した状態で判断すべきではなくて、その人の障害が最も軽微な状態であるところを基準として判断すべきであると考えますけれども、そうした判断を担保するような仕組みを整える必要があるんじゃないかなと考えますが、いかがでしょうか。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、障害を持つ方の症状は必ずしも固定的ではないということから、今回の改正の趣旨等や障害者の方の特性に配慮した判断を行う必要があると考えてございます。

 これにつきましては、例えば、現行の医師法施行規則などでも、個別審査規定におきまして、その人が現に受けている治療等により障害が補われ、別の、障害の程度が軽減している状況を考慮しなければならないといった規定を置くものがあると承知してございます。

 内閣府といたしましては、法案の閣議決定時に、今回の改正案の趣旨を踏まえれば、こうした規定をあわせて整備することが望ましい旨、所管省庁等にも依頼したところでございますが、仮に法案が成立した場合には、この点につきましても、各省庁等に改めて周知を図るとともに、個別の分野におけるさらなる取組を図るよう働きかけてまいりたいと存じます。

太田(昌)委員 ここまでの議論で、省庁等々にもしっかり働きかけ、あるいはそうしたプロセスあるいはガイドライン等々もしっかりと目配り、気配りを示すという話でございましたけれども、どうかこれは、省庁あるいは地方自治体のみならず、現実に雇用する民間にもしっかりと広げていただきたいということも、これもあわせてお願いをしておきたいというふうに思います。

 成年後見制度の利用を考えている人、これは、法テラスの民事法律扶助の事業のうち代理援助又は書類作成援助の制度を使って、後見開始の審判の申立てに係る司法書士の費用であったり弁護士費用の立てかえ払いを受けることができるほか、申立ての相談については、これは無料で弁護士による法律相談援助を受けることができます。

 また、法テラスでは、認知機能が十分でないために自己の権利の実現が妨げられているおそれがある方に対して、法的サービスの提供を自発的に求めることが期待できない者に対して、自立した日常生活及び社会生活を営むに当たり必要な法律相談を実施する事業、すなわち特定援助対象者法律相談援助事業を実施しております。

 支援機関や行政の職員がこの特定援助対象者法律相談援助事業の申込みをして、司法書士やまた弁護士の出張相談を受けることができるようになっているわけでございますが、この特定援助対象者法律相談援助事業は、認知機能に障害があるため独力で法律相談にアクセスできない人に合理的配慮を提供することになっているわけでございますが、相談の内容が成年後見制度の申立てに関する場合には、これは弁護士の出張相談は受けられるけれども、司法書士の出張相談は受けられないという仕組みになっています。これは法律の解釈ですから、やむを得ないと思います。

 しかし、今一番選任が多いのが実は司法書士でありまして、この点、少し考えるべきところがあるのかなと。この点については、指摘し、意見をしておくだけにとどめておきたいというふうに思います。

 障害のある人の支援においては、合理的配慮とともに、意思決定支援が必要であり重要であります。高齢者と障害者の特性に応じた意思決定支援のあり方について、平成二十九年の三月二十四日に閣議決定された成年後見制度利用促進基本計画は、意思決定の支援のあり方についての指針の策定に向けた検討等が進められるべきである、検討の結果が後見人の関係者に共有され、各生活場面での活用が促進されるべきであるというふうに規定をされております。意思決定支援のあり方についての指針の策定等の検討成果の共有が求められるところであります。

 厚労省は、これまでも、障害者福祉サービスを利用する障害者を対象とした障害者福祉サービスの提供に係る意思決定支援ガイドライン、認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドラインを策定して、後見人が本人の特性に応じた適切な配慮を行うことができるように、意思決定支援のあり方についての指針を策定しております。

 これらガイドライン、障害者が福祉サービスの提供を受けて、高齢者が日常生活や社会生活を送るに当たっての、関係者が本人の意思決定を支援する枠組み、支援に当たっての指針を示しておりまして、今後この成果を有効に活用することが望まれるところですが、他方で、各ガイドラインがそれぞれ想定している意思決定支援の場面、あるいは対象、さらに意思決定支援の定義自体が必ずしも同じではないこと等から、これらをそのまま形式的、機械的に成年後見の実務に落とし込んで活用することはなかなか難しいのではないかとも感じています。しかし、成年後見事務においても適切な意思決定支援ができる後見人が求められていることは言うまでもありません。

 そこで、そのような後見人の育成、あるいは後見人のための成年後見事務における意思決定支援ガイドラインというようなものが必要とされているのではないかと思いますが、この点について、これは厚労省にお伺いをしたいと思います。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 成年後見人事務の意思決定支援に関する取組につきましては、成年後見制度利用促進基本計画におきまして、「後見人が本人の特性に応じた適切な配慮を行うことができるよう、今後とも意思決定の支援の在り方についての指針の策定に向けた検討等が進められるべき」とされております。

 これを踏まえまして、最高裁判所の呼びかけにより、最高裁判所、厚生労働省、専門職団体におきまして、後見人等が本人の特性に応じた適切な配慮を行うことができるよう、後見人等による意思決定支援のあり方についての指針の策定に向けて協議を始めたところでございます。

 厚生労働省におきましては、これまで、今御紹介もございました、平成二十九年三月に、障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン、また、三十年六月には、認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援のガイドラインを策定してございます。さらに、最高裁判所等と連携をしまして、後見人等による意思決定支援のあり方についての指針の策定に努めるとともに、成年後見制度における意思決定支援の取組を研修などにより全国的に推進をしてまいりたい、このように考えてございます。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 成年後見事務における意思決定支援の指針をこれからしっかりと策定をしていただける、また、それを研修という形で広く周知徹底をしていただけるという御回答でございました。

 今回、この法律、今国会で何とか成立を期しているわけでございまして、速やかな策定と、そして研修の実施、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 成年後見制度利用促進基本計画には次のような記述があります。「全国どの地域に住んでいても成年後見制度の利用が必要な人が制度を利用できるようにする観点から、地域支援事業及び地域生活支援事業として各市町村で行われている成年後見制度利用支援事業の活用について、以下の視点から、各市町村において検討が行われることが望ましい。」として、「成年後見制度利用支援事業を実施していない市町村においては、その実施を検討すること。」「地域支援事業実施要綱において、成年後見制度利用支援事業が市町村長申立てに限らず、本人申立て、親族申立て等を契機とする場合をも対象とすることができること、及び後見類型のみならず保佐・補助類型についても助成対象とされることが明らかにされていることを踏まえた取扱いを検討すること。」などとなっているわけでございます。

 厚労省が昨年行ったアンケート調査の結果を拝見しました。成年後見制度の申立て費用、成年後見人等の報酬の助成制度を設けている自治体が、高齢者関係では全体の八五%、障害者関係では全体の八四・四%となっておりまして、多くの自治体で成年後見の申立て費用や成年後見人等の報酬の助成制度が実施をされている、一見そのように見える数値でもあります。

 しかし、実態は私は違っているんじゃないかなと思うわけです。

 例えば、ある市町村に成年後見人の報酬を助成する制度はあっても、その市町村の報酬助成の要綱上は、本人が法定後見の後見類型の利用者である場合に限るであったり、市町村長申立て案件に限るであったり、本人が生活保護上の被保護者である場合に限るといった、助成を受けることができるケースを著しく限定する報酬助成の要件の定めが置かれていることが少なくありません。そのために、例えば、身寄りもなくて実際に生活に困窮をしており、生活環境を整えるために成年後見制度を利用しようとしても、市町村による申立ての費用の助成、成年後見人の報酬助成の制度が利用できない、また、そのため、成年後見制度を必要とする人が成年後見制度を利用することができないということが少なくないように思われます。

 これは、同じアンケートの調査の詳細版によれば、平成二十九年度における成年後見制度の申立て費用の助成の実施率、市町村長申立てが九六・七%に対して、本人申立ては一・八%、親族申立ては一・〇%とされています。また、同じく二十九年度の実際に報酬を助成した件数の割合も、市区町村長申立てが七一・六%、本人申立て五・七%、親族申立て一一・七%となっておりまして、実際は、多くの自治体では市町村長申立ての事案に限って報酬助成が実施をされていることがわかります。

 これらのデータからわかるとおりに、成年後見制度支援事業、すなわち、成年後見人の報酬の助成の制度を利用したくても実際には利用できない市町村が現時点では非常に多く、アンケート上、八五%の自治体では、報酬助成のための要綱が設置済みという数字ではなくて、実態は成年後見人等の報酬の助成の制度が非常に利用しにくいものになっているのではないかなというふうに考えます。

 私は、全ての自治体において、成年後見制度利用支援事業のいわゆる報酬助成の仕組みが、後見類型に限るとか、市町村長申立て案件に限るとか、あるいは生活保護上の被保護者に限るといった利用条件なしに利用できるようにするために、さまざまな場面から自治体を支援していく必要があると思います。

 また、成年後見制度支援事業は、障害者に関する事業としては市町村の必須事業とされていますが、高齢者に関する事業は、これは例えば任意事業とされている。このことも、多くの市町村において、ほかの必須事業を優先せざるを得なくなって予算も確保することができず、事実上十分に利用できないというような実態になっていることではなかろうかなというふうに思うわけでございます。

 成年後見人等の報酬の助成の制度である成年後見制度利用支援事業、高齢者事業としても自治体の必須事業とし、更に拡大すべきでないかと思うわけでございますが、この点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険制度におきましては、成年後見制度の利用支援事業として、低所得者の高齢者等に対しまして成年後見制度の報酬や申立て費用に対する助成事業を実施しているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、全国どの地域に住んでいても成年後見制度の利用が必要な人が制度を利用できるようにすることが重要と考えておりまして、この助成事業について、未実施市町村に対しては当該事業を実施すること、本人、親族申立てを契機とする場合も対象とすることなどにつきまして、本年三月の全国課長会議の場で検討を依頼したところでございます。今後とも、機会を捉えて自治体に働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 また、この事業について必須事業とすべきではないか、高齢者に係る成年後見制度利用支援事業についても必須事業とすべきではないかという御質問をいただきました。

 全国どこに住んでいても成年後見制度の利用が必要な人が制度を利用できるようにするためには、利用計画に基づく中核機関の整備や市町村計画の策定を推進するとともに、議員御指摘の成年後見制度利用支援事業を全国的に進めていくことが重要と考えております。

 一方で、議員から御紹介いただきました厚生労働省で行いましたアンケート調査の結果によりますと、自治体における財政上の制約があることはもとより、地域によっては需要が少なかったり制度の担い手が不足しているといった実情もありますことから、現時点においては、全国一律にその実施を必須とすることは困難であると考えております。

 このため、厚生労働省では、直ちに必須事業化を図るのではなく、全国課長会議の場などを通じて事業実施の必要性等をお示しするなど、未実施自治体に対して事業の実施を丁寧に働きかけることで、地域の事情にも配慮しながら、今回の議員の御指摘も踏まえつつ、全国的な事業の実施を促進してまいりたい、このように考えておるところでございます。

太田(昌)委員 先ほど、厚労省がとりましたアンケートも御紹介をいたしました。全体の中で八五%が制度としては要綱が設置済みという認識ではないということを、ぜひこの場でお訴えをしておきたいというふうに思います。

 先ほど、課長会議でも徹底をしていただく、ただ、残念ながら、必須事業、一律にはなかなか難しいという話でございましたけれども、どうかこれが実態のあるようにしていただきたい。それぞれの地域で、この質問の冒頭申し上げましたとおり、全国どこにいても安心してこうした事業が利用できるようにすることが趣旨であろうというふうに思いますので、どうかこの点、よろしくお願いをしたいと思います。

 最後に、今回の法案は、法律において定められている欠格条項を見直すものであります。一方で、これらの法律以外にも、政省令や通知、自治体の条例などにおいて欠格条項が定められている例もあると承知をしています。こうした、法律以外で定められている欠格条項についてはどのような対応を行うものか、お伺いをいたします。

宮腰国務大臣 政省令、通知などに基づく欠格条項につきましては、今回の法改正の考え方を踏まえ、所管の各府省庁において見直すべきと考えておりまして、関係府省庁に対しまして、既に必要な対応を依頼させていただいております。

 さらに、自治体の条例などに基づく欠格条項につきましても、今回の法改正の考え方を踏まえまして、今後、自治体に対して必要な対応を依頼してまいりたいというふうに考えております。

 関係府省庁、自治体の御理解、御協力を得て、成年被後見人の権利が実質的に確保されるようにしっかりと努めてまいりたいと考えております。

太田(昌)委員 オレンジプランによりましても、大変に認知症の方が増加をしている中にありまして、この成年後見人制度、現場の中の最後のセーフティーネットであるというふうに認識をしております。

 きょう、さまざま御指摘申し上げましたが、少なくとも、今回の法律の整備によりまして、欠格条項の撤廃、そして被後見人にとって利用しやすい制度になることを御期待申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 まず最初に、質問に入る前に、宮腰大臣、ありがとうございました。

 十五日の日に、この委員会でギャンブル依存症の啓発週間の質問をさせていただきまして、ホームページの指摘をさせていただきました。JRAや競艇、競輪、オート、啓発週間なのに、わかるところにないという指摘をさせていただいて、大臣から、所管省庁を通じてしっかり対応するというお答えをいただいておりましたので、翌日、早速、全部のホームページを見てみたんですね。そうしたら、トップページの一番上のところにきちんと出てくるように変わりました。これは本当に、大臣、ありがとうございました。

 ただ、一つ指摘させていただきたいのは、答弁の中で若干気になるところがありましたので、きょうは成年後見の質問なのできょうはいたしませんけれども、また後ほど、このギャンブル依存症の問題については議論をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは、きょうの本題の成年後見制度についての質問に入ります。

 今回、もう二年待ったんでしたっけ、随分本当に時間がかかってしまったなというふうに思います。これは与野党誰も反対をするような内容でなかったのに、国会の審議日程の関係でなかなかこの審議に至らなかったというのは、非常に残念だなというように思います。これは与野党ともに、法案の審議の順番などについても、少し反省をして考えていかなければならないことではないかなということを、まず指摘をさせていただきます。

 障害者団体の方々がこの前私の部屋に、親しくしている方が来て、どうも野党が積極的じゃなかったんじゃないかみたいなことを言われたんですが、全くそんなことはなくて、むしろ我々としては、本当に一日も早くやるべきだったというように思っておりますので、そういう誤解をないように与党の方々もしていただきたいなというように思います。あくまでも法案の審議の順番を決めているのは与党の側ですので、我々にその責任を押しつけないでいただきたいなというふうに思います。

 その上で、質問に入っていきますけれども、障害に関係する欠格条項というのは、もう二十年ぐらい前から議論が行われていて、二〇〇〇年、二〇〇一年前後に、そもそも障害があるということ自体で欠格条項があったものについて法改正が行われ、十三の制度で、障害を理由に一律に資格を認めないという絶対的な欠格条項というのは廃止をされました。例えば、医師だとか看護師や保健師だとか、そういうものがこの対象になっていたというふうに思います。

 しかし、そのときに、あくまでも、障害があるから絶対に免許を与えないよということはやめたんですけれども、心身の機能障害を理由に免許を与えないということはやめたんだけれども、心身の故障の状況により個別に審査をするというような条項は残っていたわけですね。今回、成年後見人をつけることによって一律に欠格条項があったものが、これは廃止をされる、削除をされるということになりましたが、それでもやはり、心身の故障の状況によって個別的に、また実質的に審査をするという相対的な欠格条項というのは幾つか残ったり、また新設をされたりしていくということになっているわけであります。

 今回、百八十四本の法律が改正されるということで、本当に、こんなにたくさんあったんだなと私も改めて驚いているところですが、全く心身の故障の状況云々ということが入らないものは、一〇%の十九本だけなんですね。それで、もともとあって、そのままそこに載っていくというかそういうものが四十一本なんです。新たに、心身の故障云々という文言が入るものが百二十四本とあるんですね。

 ここで懸念をしているのは、今までそういうものがなかったわけでありますが、今回、改めて、心身の故障の状況によって個別的に、実質的に審査をします、免許を与えるかどうか考えますよということになると、そもそも、成年後見人がつくかつかないかということではなくて、障害があるかどうかということで免許を与えたり業務ができるようにしたりということが個別に審査をされるようになって、結果として、権利侵害がより大きくなる結果になるんじゃないか、そういう懸念の声も聞こえてくるわけであります。

 必ずしも皆さん方の意図はそういうことではなくて、後見人をつけることで権利が制限をされてしまうということ、これを排除していこう、そういう趣旨でこの法案を提出しているわけですけれども、心身の故障の状況により個別に審査をするという文言が加わってしまうことによって、障害がある人がそれで審査をされるようになってしまうというのは、これはやはり方向性として逆行してしまうと思いますので、今後、どういう制限をかけるかということについて政省令で具体的なことを決めていくということでありますので、こういう、今までだったらちゃんと業務が行えていたような方々が、結果として排除されていくような方向にならないように、しっかり、政省令の検討に当たって配慮をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 今回の法案では、各法律の成年被後見人等に係る欠格条項を一律に見直すこととし、個別審査規定が整備されているものは欠格条項を削除し、個別審査規定が整備されていないものは、規定を整備した上、欠格条項を削除することにより、欠格条項の対象範囲の適正化を図ることといたしました。

 個別審査規定は、基本的に、心身の故障により業務を適正に行うことができない者としておりまして、心身の故障のある者を一律に排除するものではなく、個別的、実質的な審査を行った結果、業務を適正に行うことができない者と判断された場合に限り欠格とするという相対的な規定であります。したがいまして、心身の故障のある者全体に対象が広がるものではありません。

 業務を適正に行うことができない者の具体的な範囲について、省令へ委任しているものにつきましては、欠格条項の対象範囲が適正なものとなるように、個々の法律ごとに、その資格等の性質や業務の実態、今回の法改正の趣旨等を踏まえて、適切な対応がなされるものと考えております。

初鹿委員 適切な対応がなされるものと考えているということですが、本当に適切なものになるのかどうか、やはり、障害当事者の方々にもきちんと意見を聞いて判断していただきたいと思います。

 特に今、AIが進んでいったり、さまざまな技術が進んでいくことによって、今までだと業務がなかなか行うのが難しかったような方でも、そういう機器などテクノロジーを利用すれば、業務が行えるような時代になってきていると思いますので、そういうことをしっかり判断をしていただきたいと思います。

 また、その上で、そもそも業務を適正に行えるかどうかということで個別に判断をするということは、考え方としてそれは正しいと思うんですけれども、その頭言葉として、心身の故障という単語をあえてつける必要はあるのかなということを感じるんですよ。

 障害者の権利条約の四条などを照らしてみても、あえて心身の故障というように、障害者をターゲットにしているかのような文言ということは、私は、これは改めていく必要があるんじゃないかなというふうに思っておりますので、今回は、この法改正で私もよしとしますけれども、今後の検討課題として、この心身の故障という相対的な欠格条項自体を、必要かどうかということを含めて調査し、なくしてもいいものはなくすような方向でぜひ検討を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 今回の改正は、成年被後見人等であることを理由に一律に各資格、職種等から排除する規定を廃止するものでありますが、同時に、取引等に係る第三者を保護し、各資格、職種等の信頼性を確保する必要性もあります。そこで、各資格、職種等の業務を適正に行うことができない者を、個別的、実質的な審査の結果に基づき判断することができるよう、個別的な審査規定を置くことは必要であると考えております。

 具体的な個別審査規定の文言につきましては、心身の故障により業務を適正に行うことができない者などとしておりますが、こうした規定は、特定の障害者をあらわす規定は避けるという、これまでの障害者に係る欠格条項の見直しの経緯や前例も踏まえた表現であるというふうに考えております。

 加えて、個別審査規定に関する省令等の整備や具体的な運用につきましては、必要な環境整備や合理的配慮のあり方とあわせて、それぞれの法律を所管する府省庁において、本法案による改正の趣旨等も踏まえた適切な対応がなされるものと考えております。

 なお、本法案の施行後の状況につきましては、必要に応じ、成年後見制度利用促進基本計画のフォローアップの一環として、厚生労働省に設置されている成年後見制度利用促進専門家会議において注視をしていくということになるものと考えております。

初鹿委員 今、答弁の中で、特定の障害をあらわすものではないようにした、つまり、聴覚障害だとか視覚障害だとか、そういう特定の障害をあらわすものじゃないようにするために、心身の故障という文言にした、整理をした、そういう答弁だったと思うんですが、私が言いたいのは、この心身の故障ということをあえて言わないでも、業務が適正に行うことができない場合には、これは免許を与えないとか、業務が行えないようにするという、その規定で十分ではないのかなと思うわけですよ。あえて心身の故障というように、心身の故障というところから皆さんがイメージするのは、やはり障害のある人かな、その範囲の中だなということになってしまうと思うので、そこはちょっと改めて調査したり検討をしたりしていただきたいなということをお願いをさせていただきます。

 それでは、次に移りますけれども、今回の法改正のきっかけとなった一つに、大阪の吹田市の非常勤職員の方が、成年後見をつけたら失職をしてしまった、それで訴訟を起こしたということがあったと思います。この例を見ても、やはり、自治体の職員で働いていて失職をしてしまう、その判断というのは自治体の長が行うわけですよね。自治体の長が条例などをつくってやっているわけですけれども。

 今回、心配なのは、障害者雇用の水増し問題が国でも起こって、非常に不適切な対応がされていたということがわかりました。これは自治体においてどうなのかということを調べていったら、自治体でも同様なことが起こっていたわけですね。つまり、自治体の現場では、障害者自体を雇うこと自体、ある意味、面倒くさいとか手がかかってしまうだとか、そういう意識があったから、ああいうことが行われていたんだと思います。その意識が変わらないままに、心身の故障によって個別的に審査をするということになると、そういう規定が残っていると、結果として余り変わらないような状況になってしまうんじゃないかというように思うんですよ。

 この規定があるから、成年後見をつけたから一律にやるわけじゃないけれども、やはり失職してもらいますねみたいなことになりかねないので、これはやはり自治体の首長の皆さんにしっかりこの制度の趣旨を徹底をして、障害者の権利を侵害するような、そういう対応はしないようにということを本当に国から徹底してもらいたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 今回の法改正は、制度を利用していることを理由として一律に排除するのではなく、各資格、職種等にふさわしい能力の有無を個別的、実質的に審査し、判断する仕組みとすることで、誰もがその能力を発揮し、社会参加できるための第一歩になると考えております。

 こうしたこの法案の趣旨につきましては、仮に法案が成立した際には、内閣府から各都道府県に対して周知をし、その際、自治体の首長にも御理解をいただくとともに、現在、成年後見制度の利用促進を主に担当している厚生労働省ともしっかり連携をいたしまして、厚生労働省が実施する市町村セミナーあるいは市町村向けのニュースレター等において取り上げていただくことを想定いたしております。

 いずれにいたしましても、今回、制度を利用していることを理由として一律に排除をするということをしっかり改めるための法案でありますので、この点については自治体につきましてもしっかりと徹底をしてまいりたいというふうに考えております。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いします。障害者雇用の問題については、やはり国も地方自治体も今信頼を失っていますから、信頼を取り戻すチャンスだと思いますので、お願いをいたします。

 それでは次に、そもそもの成年後見制度について伺っていきますけれども、今、成年後見制度の利用促進法があるわけですが、参院の内閣委員会で成立したとき、採決のときに、成年後見制度と障害者権利条約十二条との関係について、「成年被後見人等の自己決定権が最大限尊重されるよう現状の問題点の把握に努め、それに基づき、必要な社会環境の整備等について検討を行うこと。」という附帯決議がつけられております。

 では、伺いますが、この附帯決議に基づいて問題点の把握をされたと思いますので、現状、どういう問題点があって、そして必要な社会環境の整備というのがどういうものであって、その整備が行われているのか、どういう対策がとられているのかということについて、まずはお答えいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 議員御指摘の附帯決議に基づく問題点の把握、あるいはそれに基づく社会環境の整備等については、成年後見制度を利用される当事者の方々などにも御参加をいただきまして、成年後見制度利用促進委員会において精力的な議論が行われました。

 こうした議論を踏まえまして、平成二十九年三月に閣議決定されました利用促進基本計画では、現状の問題点として、近年、後見人による本人の財産の不正利用を防ぐという観点から、親族よりも法律専門職等の第三者が後見人に選任されることが多くなっておりますが、第三者が後見人になるケースの中には、意思決定支援や身上保護等の福祉的な視点に乏しい運用がなされているものもある。また、制度の申立て動機を見ると、預貯金の解約や介護保険契約等が多く、また、後見類型の利用者の割合が全体の約八〇%を占めており、これらの状況からは、社会生活上の大きな支障が生じない限り制度が余り利用されていないことがうかがわれること、また、本人や親族、後見人への支援体制が十分に整備されておらず、事実上の相談対応等を行っている家庭裁判所では、福祉的な観点から本人の最善の利益を図るために必要な助言を行うことが難しいなどの問題点が指摘されました。

 こうした課題を踏まえまして、基本計画では、障害者権利条約第十二条の趣旨に鑑み、成年被後見人等の意思決定の支援が適切に行われるとともに、成年被後見人等の自発的意思が尊重されるべきという自己決定権の尊重等の理念に立ち返って、改めて制度の運用のあり方が検討されるべきとされました。

 現在、政府におきましては、この基本計画に基づき、必要な社会環境の整備等についての取組を進めているところでありまして、具体的には、財産管理の側面だけではなく、本人の意思をできるだけ丁寧に酌み取って、その生活を守り、権利を擁護していく意思決定支援、身上保護の側面も重視し、利用者がメリットを実感できる制度、運用への改善を進める、全国各地域において権利擁護支援の地域連携ネットワークの構築を図る、不正防止を徹底するとともに、利用しやすさとの調和を図る等の施策について、総合的、計画的に推進しているところであります。

初鹿委員 徐々にということなんだと思うんですね。先般、この質問をするに当たってヒアリングした際に、地域連携のネットワークを構築すると言っておりましたが、まだ数カ所ですよね。まだまだ一割にも満たないような状況ですので、やはり、こういうものをしっかり自治体、各地域で整備をしていくというのは非常に重要なんだというふうに思います。

 今、大臣が答弁されたとおり、この成年後見制度というのは、財産の管理だけではなくて、やはり身上監護、通常の生活の中での身上監護もしっかり支援をしていくということが重要で、その中では、やはり本人の自己決定権というものを、これをちゃんと尊重していかなければならないということが重要なわけであります。

 障害者権利条約の十二条との関係でいうと、権利委員会から指摘をされているのは、特に成年後見、後見類型の中の後見というのは、後見人に包括的代理権を与えてしまうわけですから、本人の自己決定権をやはり阻害をしているんじゃないか、そういう指摘がされていて、やはり、そもそもこの制度自体見直しが必要なんじゃないかというのが権利委員会の側の考え方なんだというふうに思います。

 障害者権利条約十二条では、他の者との平等ということがうたわれているわけですね。法的には、法律上には、みんなと同じようにしましょうということなんですよ。その上で、その中でも、権利能力だけではなくて行為能力についてもきちんと平等に保障していくということなので、権利もあります、そして、自己決定をして自分で行為をすることもきちんと認め、行為をするに当たって難しいときに支援をしましょうというたてつけになっておりますので、そういうことを考えると、この成年後見制度そのものがやはり十二条には抵触しているという指摘は、私はやはり反論しづらいのかなというふうに思います。

 政府としては、この十二条との関係についてどのように考えているのか、まずお聞かせいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 民法上、成年後見人は、その事務を行うに当たり、本人の意思を尊重し、心身の状態及び生活状況に配慮する義務を負うものとされているなど、本人の権利及び意思等を保護するための各種の措置が講じられていることから、現行の成年後見制度は同条約には抵触しないと考えております。

 今回の欠格条項の見直しは、成年後見制度利用促進法や成年後見制度利用促進基本計画に基づくものでありますが、利用促進法では、現行の成年後見制度を前提としつつ、その利用促進を図るため、第三条の基本理念におきまして、成年被後見人等の意思決定支援や自発的意思が尊重されるべきことを定め、第十一条の基本方針においては、利用者の権利利益に関する国際的動向を踏まえること、より制限が少ない保佐、補助類型の利用の促進、任意後見制度の積極的活用などが掲げられております。

 また、基本計画におきましても、本人の意思決定支援や身上保護に配慮した、本人にメリットがある制度の運用となるよう取り組んでいるところでありまして、障害者権利条約の趣旨も踏まえた運用面での改善を進めているところであると承知をいたしております。

初鹿委員 ちょっと時間がなくなってしまったので、今の答弁の中でもありましたけれども、保佐や補助をより多く進めていこうということで、私はこの方向でもっとやってもらいたいと思っているんですよね。

 やはり、完全に全部、さっき言ったように、包括的に代理権を与えてしまう後見じゃなくて、ある程度自己決定権が残っている保佐また補助は、私はこれから非常に重要だと思っているんですが、お手元にお配りしている資料のとおり、補助はほとんど伸びていないんですよ。それで、保佐が五%ぐらいふえているんですが、保佐というのは非常に手続的に面倒くさいところはあるのかもしれませんけれども、それがゆえに後見に移っているようなところもあるんじゃないかと思うので、後見と保佐が逆転するぐらいに、やはり、ある程度の自己決定権を残した保佐に切りかえていくようにする必要があるんじゃないかと思いますが、御見解を伺います。

大口副大臣 利用促進法の第一条に規定されているとおりでございます。先生の御指摘のとおりでありまして、そういう点では、判断能力がなくなって非常に厳しい状況になってから相談があるということなものですから、できるだけ早く対応する、その仕組みをつくらなきゃいけないというふうに思っているところです。

 だから、パンフレットで補助、保佐類型とか任意後見の周知を行ったり、早い段階から任意後見とか補助や保佐類型を利用する選択肢を、住民が身近な地域で相談できるような相談窓口、中核機関等でありますが、の整備、そして、後見、保佐、補助の適切に判断するための診断書の見直し、これは四月からになります。診断書では、福祉の機関の関係者が、本人情報シート、これも今回活用するようになりまして、本人の実態に合った形での判断を家裁の審判にもしてもらうような、そういう取組をしているところでございます。

 ただ、この診断書の見直しにしましても、また中核機関につきましても、まだ進んでおりません。三十一年度、本年度は基本計画の中間年度でございますので、今、専門家会議でしっかり議論しております。これは強力に進めていく必要がある、このように考えております。

初鹿委員 大口副大臣、非常に熱のこもった答弁で、ありがとうございます。

 本当におっしゃるとおりで、まだ途中段階だと思いますので、しっかり取組を進めていって、できる限り本人の自己決定権が尊重されるような制度にしていただきますようお願いをして、質問を終わらせていただきます。

牧原委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 おはようございます。立憲民主党の大河原雅子でございます。

 本日の法案審議、この成年後見制度自体がまだまだなかなか知られていないんじゃないか、現実に直面して、そのニーズに直面しないとわからないということがあって、私も理解をするのにちょっと時間がかかっております。

 しかし、成年後見制度は、いわゆる、昔、禁治産者とか準禁治産者、そういう、何だか本当に人権侵害甚だしいような言葉が法律の中で決められていて、そういう意味では、私たちが地域で本当に自分らしく暮らしていけるために、一つ一つ制度を変え、制度をつくってきたんだなということがこの審議を通じてわかってきております。

 十一年の民法改正によって、使いにくいと言われていた従来の禁治産、また準禁治産制度にかわって創設されたものですけれども、制度導入から今日に至るまで、判断が不十分な認知症高齢者、知的障害者、精神障害者の皆さん等に対する支援、これは大変期待されていたところだと思います。

 しかし、欠格条項の存在によって、今、初鹿議員が、障害者権利条約、またこの法に基づいて、あるからこそ、この条項を撤廃してもなお、そのことによって、まだまだ逆の差別、そういったものが起こってくるんじゃないかという懸念も表明をされましたし、障害者団体の皆様にも、そうした懸念はあるけれども、今回は、この欠格条項の撤廃、そして個別審査規定の整備ということで、一歩進もう、これには賛成して成立を早めてほしいというお声を私も受けさせていただきました。

 高齢社会の喫緊の課題というのは、こうした認知症や知的障害その他の精神上の障害によって財産の管理や日常生活に支障がある方々、この方々を、ともに地域で暮らし、そして社会全体で支え合うこと、その人らしく尊厳を持って暮らすための支援がその地域に本当に必要なんだということが目の前にもう迫っているわけです。

 当事者の支援を図りながら、年をとっても、そして障害があっても、持てる力を活用して、自己決定が尊重される社会、地域で暮らし続けることができる共生社会の実現、これが今の政府の目標でもありますし、私たち日本国民全体の目標だと思います。

 とりわけ、我が国の高齢化の状況、六十五歳以上の人口がどんどん増加しているわけでございますし、新オレンジプランなどによっても、認知症の人は、二〇一二年四百六十二万人から、団塊世代が七十五歳以上になる二〇二五年問題と言われますけれども、七百万人に増加します。そして、これは高齢者の五人に一人。現実を見ると本当に背中がぞわぞわっとします。これを何とかしていかなきゃならないということでございます。

 そして、人口問題研究所によっても、日本の世帯数の将来推計、これも、ちょっと先の話ですけれども、二〇四〇年には、男性が三百五十六万人、女性は五百四十万人というふうに予測されておりますし、一人世帯、ひとり暮らし、こういう方たちが本当に多くなるという現実からは、今、何をどう準備していけばいいのか、このことが政府の大きな責任です。そして、こうした今後の社会構造の変化に対応した支える仕組み、後見人の制度が求められていると私も切実に思う次第です。

 ところが、成年後見制度をつくられてから、また利用促進をしようという法律ができてから、まだまだ利用が進んでいないという現実があります。利用促進法は二十八年四月に公布されているわけですけれども、平成三十年、去年ですね、十二月末現在の成年後見制度の利用者は二十一万八千二百四十二人、総人口に対する対象割合は〇・一七%ということでございますので、ほとんど、社会的にというか、なかなかみんなの目にとまっていないことも確かなのではないでしょうか。

 そこで、まず伺いたいと思いますが、この制度を利用している方々、二十一万八千二百四十二人ということですけれども、利用している方々の内訳、認知症の方や知的障害の方や精神障害の方、どんなふうに把握をされているんでしょうか。これは、最高裁の方からおいでいただいたので、お願いします。

手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 利用者につきましては、平成三十年一月から十二月までの間に新たに制度の利用を開始した方を前提とする数値になりますけれども、合計が約三万四千五百人でございまして、このうち、認知症の方が約六三・四%と最も多く、次いで、知的障害の方が約九・九%、統合失調症の方が約八・九%という状況になってございます。

大河原委員 今、当事者の方の内訳を伺いましたけれども、認知症のふえ方、本当にすごいと思います。そして、この方々の利用の度合いというのも資料にありますけれども、成年後見が七七・七%、八割ですね。そして、先ほども出ましたが、保佐は一六・四%、補助は四・六%、任意後見は一・二%ということで、大変それぞれにばらつきがあります。

 利用の偏りというものがあって、そして、今高齢化に伴ってふえている認知症の方が利用なさるということが多くなってくると思うんですけれども、こういう状況の把握、分析というのは、今後の制度設計には大変重要な問題があるんじゃないかと思います。現在の内訳はわかりましたけれども、これから先のニーズ予測に合わせた、対応できる後見制度をつくっていくことは大変重要だと思っています。

 そしてまた、成年後見人と御本人との関係を見ますと、先ほどもお話が出ていましたけれども、専門家を含む第三者、親族以外の後見人が七三・八%で、親族後見が二六・二%。当初、昔からは、家族がそういう責任を持って当事者の方たちとやってきたということがあると思うんですが、専門的な第三者を活用するということは確かにふえました。その点で、不正がなくなったり、あるいは家族の問題なども起きますので、そういう意味では、費用はかかっても専門家の知恵を使っていくということが、そういう方々の活用というのは進んだというふうに思うんです。

 ところが、先ほどの、認知症の方がふえていく、そういったところから、もう一回親族後見がふえていく傾向はあるんじゃないかと私は思っておりまして、実は、新聞報道だったと思うんですが、国がそんなふうにシフトしているんじゃないかというような記事を見たわけなんです。それはちょっと誤報だということがわかりましたけれども、実際、成年後見人は、専門職から親族へのシフトという傾向はあるんじゃないか。その点についてはどんなふうに分析というか見ていらっしゃるのか、これをお答えいただけますでしょうか。

手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 成年後見制度利用促進基本計画では、成年後見制度において、後見人による財産管理の側面のみを重視するのではなく、身上監護や本人の意思決定支援の側面も重視し、家庭裁判所が後見等を開始する場合に、本人の利益保護のために最も適切な後見人を選任することができるようにするための方策を検討することとされております。

 最高裁判所といたしましても、基本計画の趣旨は非常に重要であると受けとめておりまして、これを踏まえ、成年後見制度の重要な担い手であります弁護士、司法書士及び社会福祉士が所属する各専門職団体と、基本計画を踏まえた後見人の選任のあり方などについて議論を行ってまいりました。

 その結果、専門職団体との間で、後見人の選任につきましては、事務処理上の課題の専門性ですとか不正防止の必要性なども考慮をした上で、後見人となるにふさわしい親族などの身近な支援者がいる場合はこれらの身近な支援者を後見人に選任することが望ましいこと、それからまた、後見人の交代に関しましては、本人のニーズや課題、状況の変化等に応じて柔軟に後見人の交代ですとか追加選任を行うことなどの基本的な考え方について、認識の共有に至ったところでございます。

 このことにつきましては、各家庭裁判所に対し、今後の運用の参考とするために情報提供を行ったところでございます。

 今後は、各家庭裁判所において、後見人の選任のあり方について、基本計画における御指摘でありますとか最高裁判所と専門職団体との間で共有された基本的な考え方を踏まえまして更に検討が進められた上で、各裁判官が、個別具体的な事案に応じ、本人の利益保護のために最も適切な後見人を選任していくことになるものと理解しております。

大河原委員 御丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございます。

 基本計画を踏まえた裁判所における後見人等の選任イメージというポンチ絵を見せていただきました。大変わかりやすくなっております。

 この中で、やはり今、親族後見人の能力や適性を補う仕組みというものも大事ですね、重要になってまいります。これについての計画というものは、厚生労働省、どんなふうに考えておられるんでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 親族後見人を支える仕組みということだと思います。

 市町村に権利擁護支援の地域連携ネットワークとその中核機関の整備といったものも私ども求めてございます。この地域連携ネットワーク及び中核機関、具体的には、親族後見人等の日常的な相談に応じるということ、それから、必要なケースにつきまして、親族後見人が福祉、医療、地域等の関係者とともにチームとなりまして、日常的に本人を見守り、本人の状況を継続的に把握し、適切に対応する体制をつくることができるように支援をするというものでございます。

 また、本人を身近で支えてきた親族後見人が制度に対する理解不足のために結果的に不適切な金銭管理などを行わないようにするというためにも、地域連携ネットワークの一翼を担う法律専門職団体といったところを支援機能の一環として、親族後見人に対して積極的に指導助言を行うといったことを期待しているところでございます。

大河原委員 家族でやはり一番知っているという、その当事者の方の生活状況、地域での環境も含めて、大変大事なことだと思うので、親族後見を引き受けたそういう方たちをしっかり支えていく専門職の方たちとか、地域の連携のネットワークは本当に大事だと思います。

 そういったこともありながら、先ほど申し上げましたように、例えば認知症の方々が利用する後見というようなものについては、専門職もそんなにたくさんの方たちがいらっしゃるわけではないので、もっともっと、将来的にふやしていかなきゃならない、支援の幅を広げなきゃいけないというふうにも思うわけですけれども、この後見人の候補者になれる中には、研修を受けた地域の市民や法人が後見人候補者となるということができるわけですね。

 この市民後見人というのは一般の市民なわけで、第三者ではありますけれども、研修を受け、それぞれ能力も、また感度も違うかもしれませんけれども、自治体がこうした市民後見人養成研修を開いて、それを修了して、市町村から家庭裁判所に対して、後見人候補者として推薦をする。そして、候補者の名簿に載せていただいて、登載をされて、家庭裁判所の方から後見人就任の要請が来る、そういう仕組みだということです。

 私の周りにも、こうした市民後見をしていこう、大変志高く、地域を守っていきたい、地域で暮らし続ける、共生社会は本当に地元から、足元からつくるんだという方がおられますけれども、この市民後見を育成している市町村というのがまだまだ少ないんじゃないかと思うんですね。

 先ほども御紹介がありましたけれども、特に地方では少ないのではないかというふうに思います。そして、内容が、各市町村で以前はかなり任されていた部分があるんじゃないかと思いますが、統一的な講習内容とか、しっかりした市民後見人になる、そういう準備、支援、こういったことにも知恵を使わなければいけないと思います。

 政府は、地域で市民後見人が果たす役割についてどんなふうにお考えなのか。また、今後、どのようにしていくおつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 市民後見人の役割、また、今後についてということだったと思います。

 今後、認知症高齢者の増加や単身世帯の高齢者の増加が見込まれる中で、成年後見制度の利用の必要性が一段と高まっていくということで、全国どこに住んでいても、必要な人が成年後見制度を利用できるよう、成年後見人等の担い手を確保していくこと、これが重要な課題と考えてございます。

 こうした中で、市民後見人の方は、本人にとって身近で話しやすい、また、本人の生活全般を法律的に支援する後見人業務、これを経験された市民後見人は、今後の、先ほど御指摘にもありました地域共生社会におきましても重要な支え手になる、こういった特徴を有しておると考えています。

 市民後見人が果たす役割は、成年後見人の担い手としても、また地域共生社会の重要な支え手としても大きく、さらなる育成、活用が期待をされるところでございます。

 このため、厚生労働省としては、これまでも権利擁護人材育成事業により市民後見人の育成を図っているほか、平成二十九年三月に閣議決定されました成年後見制度利用促進基本計画に基づいて、各地域で市民後見人の積極的な活用が可能となるよう、都道府県や市町村と権利擁護支援の地域連携ネットワークが協力をして、市民後見人の育成、活用を行う、また、地域連携ネットワーク及びその中核となる機関により、市民後見人を含め選任後の成年後見人等の継続的なバックアップ支援を行う、こういった取組を支援してございます。

 引き続き、有識者等の御意見も伺いつつ、最高裁判所等と連携をして、市民後見人のさらなる育成、活用に取り組んでまいりたいと考えております。

大河原委員 中間年ということで、ことし三十一年、こういった市民後見人をふやしていく事業にも、これから先、まだ三十三年までありますけれども、ぜひ積極的に、今、最高裁との連携とおっしゃいましたけれども、ぜひ進めていただきたい。

 家庭裁判所が選任をするのに、なかなか選任されないんだという声も実は聞いているわけです。それにはやはり、今おっしゃったような基礎的な力とそして専門家との連携、こういったものも含めた信頼がまず生まれなきゃいけないというふうに思いますし、市民後見人に対して、地域の後見センターですね、社協とか地域包括支援センターとか、こういったところに相談機能とか、そうした専門家の体制をふやしていくこと、こういったことが大事だと思いますけれども、この機能の拡大については具体的に計画があるんでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 市民後見人の育成、活用のためには、地域の中核機関や権利擁護支援センター等において、例えば、市民後見人が後見活動を行う際に不明な点などを気軽に相談できるような、専門的な支援体制を整備をしていただくということが有効だというふうに考えてございます。

 一方、こうした取組を実施するため、例えば、専門職の雇い上げ等により、相談や申立て、家庭裁判所への報告の手続支援を実施している中核機関、権利擁護支援センター等がある市町村は、依然として少ない状況でございます。

 現在、政府の成年後見制度利用促進専門家会議で、成年後見制度利用促進基本計画に係るKPI、いわゆる成果目標について議論をしていただいているところでございます。こうした取組を実施する市町村をふやすことについて議論がされているという状況でございます。

 今年度予算におきまして市町村がこうした先進的取組を行う場合に予算補助を実施をしているところであり、市町村に対して先進事例も紹介しつつ、市民後見人のさらなる育成、活用が進むような体制整備を進めてまいりたいと考えております。

大河原委員 ありがとうございます。

 時間がもうなくなってしまうんですが、大臣、やはり、高齢社会で、この後見という仕組みをもっと地域で、当事者に寄り添った形でつくらなきゃならないと思いますけれども、その辺、どのような受けとめをしていらっしゃるのか、最後にお聞かせいただけないでしょうか。

宮腰国務大臣 議員御指摘のように、成年後見制度の利用促進においては、利用者がメリットを実感できる制度、運用の改善が求められており、その一つとして、専門職による後見人に加えて、本人に身近な存在である親族や市民による後見人の活用が重要であると考えています。

 そうした観点も踏まえ、成年後見制度利用促進基本計画等に基づき、親族後見人や市民後見人への支援を強化していくことが必要であるというふうに考えております。

大河原委員 ありがとうございます。

 市民後見人というのは報酬だけで生活ができるわけじゃございません。ですから、市民後見というのは社会貢献、ボランティアということでございますので、その点でも、その地域にきめ細やかな思いが伝わる、そういう仕組みだと思います。今の大臣の御答弁、積極的に受けとめさせていただきます。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 国民民主党の大島です。

 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、質問をさせていただきます。

 この質問に先立って、私、何人か、成年後見人をされている方のお話を伺いました。こんな大変な仕事と思いませんでした。結構な事務的な負荷がかかる仕事です、これは。ですから、成年後見人を、これから質問の中で、今二十二万人、高齢化に伴って、多分、恐らく今後はふえていくと思うし、五十万人とか百万人という数字を想定した場合には、なかなか道のりは険しいなというのが率直な感想です。

 厚生労働省の皆さんは常に苦労されていて、財源がないということを大分伺いましたので、結構、財源問題もあるのかなと思っています。

 まず、政府参考人に確認したいんですけれども、専門職後見人は、例示として挙げられているのが、弁護士、司法書士、社会福祉士なんですけれども、税理士あるいは行政書士も専門職後見人の範疇に入るのか。その点についてちょっと御確認したいんですけれども、教えてください。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省としましては、今後、認知症高齢者の増加や単身世帯の高齢者の増加が見込まれる中で、成年後見制度の利用の必要性が高まっていくことから、弁護士、司法書士、社会福祉士のみならず、行政書士やその他の士業の活用についても、本人の状況に応じた適切な後見人等の確保を図っていく観点から重要というふうに考えてございます。

 現在、成年後見制度利用促進基本計画に基づきまして、各地域におきまして、権利擁護支援の地域連携ネットワークを整備をしていくこととしております。地域の実情に応じて、弁護士会、司法書士会、社会福祉士会のほか、行政書士会等の士業団体との連携を図っている自治体もあるところでございます。

 厚生労働省としては、今後も、行政書士その他の士業からの意見聴取を行うなど、担い手の確保に向けた各種士業との連携について取り組んでまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 そうなんですね。ただ、行政書士会の先生と話をすると、個人的なんですけれども、行政書士会は総務省の管轄ですので、弁護士会あるいは司法書士会は法務省なので結構敷居が高いというお話がありましたので、士業を専門職後見人と位置づけるようでしたら、きょうは最高裁判所の政府参考人は呼んではいないんですけれども、その点についても、行政書士会あるいは税理士会についても、対応ぶりについては、同じような対応ぶりをしていただければなと思いますので、お願いいたします。

 今回、士業の方の話を伺うと、被成年後見人に発出される、受け取る公的な文書、銀行の書類等々は全部開封して読んで、それを処理しているわけですよ。年に一回、これは裁判所に報告義務があって、その報告書もざっと見せていただいたんですけれども、全ての収支をエクセルにまとめて、全部領収書が添付をされていて、細かくそれぞれ書いてあったものを年に一回提出するということなんです。

 ですから、これは、これから質問しますけれども、市民後見人に本当に要請できるかどうかの具体を聞かせてほしいんです。これは物すごく専門性が必要な仕事だなというのが私の認識でした、今回。

 その中で、そうすると、行政書士さん、あるいは税理士さん、司法書士さん、社会福祉士さん、そして弁護士さんにお願いするとして、ざっくり金額計算してみたんですよ。今二十二万人、これが仮に五十万人になったと。質問でも出ていますけれども、二五%が親族なので、そこは報酬を払っていないという前提に立つと、五十万人のうちの七五%が、これは東京の家庭裁判所が決めている報酬金額、標準的には月二万円だという書類がありましたので、二十四万円。それを全部掛けていくと、大体、本人から報酬を受け取るのか、あるいは公的に報酬を受け取るのかはともかくとして、これだけで九百億円ですよね。

 ですから、そういうボリュームの話だということなの、この成年後見人の話は。これが百万人になれば、更にそれがふえるという話になるものですから、そこのところをしっかり考えながら、要は、具体の対策をとる必要があるのかなと思っております。

 まず一問目なんですけれども、今回、介護保険法の施行と同時に成年後見制度が導入されたと思いますが、その背景について、まず冒頭、質問させてください。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 社会福祉基礎構造改革における措置から契約へという流れの中で、平成十二年に介護保険制度が創設をされました。行政が処分としてサービスを導入するのではなく、自己選択、自己決定の考え方により、契約によってサービスを利用する仕組みとなったものでございます。

 このため、認知症などにより判断能力が不十分な人への契約システムが必要だとされたことから、従来の民法上の禁治産、準禁治産制度を改正し、ノーマライゼーションや自己決定の理念も踏まえた成年後見制度を介護保険制度との車の両輪として創設をしたものというふうに認識をしております。

大島(敦)委員 考え方が大きく変わったということで、今回の改正案についてもその延長上だと思っています。

 大臣に一問、質問をしたいんですけれども、今回の改正の事項である欠格条項を削除することでどういう効果が生まれるのかについて御答弁いただければと思います。

宮腰国務大臣 今回の法案は、平成二十八年五月施行の成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づきまして成年後見制度を利用している方々の人権が尊重され、不当に差別をされないよう、いわゆる欠格条項を適正化することを目的としております。

 多くの欠格条項の存在によりまして、同程度の判断能力であっても成年後見制度を利用している方のみが各種の資格、職種等から一律に排除され、能力を発揮する機会が失われていることが問題になっております。

 今回の改正によりまして、成年後見制度を利用していることを理由として一律に排除するのではなく、各資格、職種等にふさわしい能力の有無を個別的、実質的に審査し判断する仕組みとすることで、誰もがその能力を発揮し、社会参加できるための第一歩になるものというふうに考えております。

大島(敦)委員 私もそうだと思います。

 あとは、今回、大部の法律なんですけれども、こんなに厚くて、ただ、内容的には個別審査規定を盛り込むというのが大体皆さん列記をされていて、その中で、心身の故障により業務を適切に行うことができないことといった個別的かつ実質的な審査の規定をそれぞれ整備することになると思うんですけれども、業務を適切に行うことができない、この判断基準というのはどのようなものか、その点についての御答弁をお願いいたします。

迫井政府参考人 失礼いたしました。

 医師の例で御説明させていただきますけれども、医師法におきましては、医師免許に係る絶対的欠格事由といたしまして、未成年者、それから成年被後見人又は被保佐人には免許を与えない旨規定されているところでございますけれども、本法律案によりましてこの絶対的欠格条項の対象から成年被後見人又は被保佐人を削除するという改正を行おうとするものでございます。

 同時に、医師法では、医師免許に係る相対的欠格事由といたしまして、心身障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの、それから二点目、麻薬、大麻又はアヘンの中毒者、三点目、罰金以上の刑に処せられた者、それから四点目、医事に関し犯罪又は不正の行為のあった者、これらに対しまして免許を与えないことがある旨が規定されておりまして、医師免許の付与に当たりましては、これらの者に該当するか否かについて確認を行っております。

 具体的に申し上げますと、一点目の心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの、それから二点目の麻薬、大麻又はアヘンの中毒者について、免許申請時に申請者により提出されます診断書の内容を踏まえまして、業務に必要な認知、判断、意思疎通を適切に行うことができるかを個別に判断いたしております。

 それから三点目の罰金以上の刑に処せられた者、四点目の医事に関する犯罪又は不正の行為のあった者については、司法処分の量刑それから執行猶予の有無といった裁判の判決内容等を踏まえまして、個別に判断をいたしております。

 それから、既に免許を与えた者に関しましても、医師免許の相対的欠格事由に該当する場合には、対象者に対して意見陳述の手続を行った上で、医道審議会の医道分科会に諮問いたしまして、当該分科会からの答申内容を踏まえ、免許の取消し、業務停止の処分等を行っております。

大島(敦)委員 せっかく御答弁いただいたので若干確認したいんですけれども、医師の方も歯科医師の方も薬剤師の方も、師業に携わっていらっしゃる方は定年退職がないものですから、八十歳を超えても九十歳を超えても元気であれば業務に従事できることになるかと思うの。その場合に、それぞれ認知症があらわれる度合いはそんなに大きく普通と変わらないと思うので、知っていたら教えてほしいんですけれども、医師の場合に、ある程度高齢になったときにそういう判断についてするような公的な仕組みというのはないと思うんだけれども、あるかないかだけ教えていただけますか。

迫井政府参考人 お答え申し上げます。

 公的な仕組みという意味では、ないというふうに承知をいたしております。

大島(敦)委員 今後の課題として、その点を結構危惧されている御子息の方がいらっしゃるものですから、その点、個別審査規定としてはこういうのがあるんですよと提示したとしても、それをどうやって担保するかということも必要なので、それを、具体を担保するような制度設計を、厚生労働省としてしていただけると助かります。

 また大臣に質問したいんですけれども、個別審査規定の多くが、心身の故障により業務を適正に行うことができない者として府省令で定めるものという趣旨のものになっているが、府省令で定めることにより行政の裁量が拡大し、かえって特定の資格等から排除される者の範囲が広がるのではないかという危惧があるものですから、その点についての御答弁をお願いします。

宮腰国務大臣 個別審査規定に関しまして、法律から委任を受けた省令におきましてどのような規定を設けるかにつきましては、個々の法律ごとに、その資格等の性質や業務の実態、今回の法改正の趣旨等を踏まえ、所管省庁において適切な対応がなされるものと考えております。

 省令においては、あくまで今回の改正による各法律の規定である、心身の故障により業務を適正に行うことができない者の範囲内で具体化を図るものでありまして、全て行政の裁量として幅広く決められるものではありません。

 こうした点を踏まえ、内閣府としても、法案の閣議決定の後に、関係省令が適正なものになるよう所管省庁等に対して既に依頼を行ったところでありまして、各所管省庁等におきましては、これに基づいて適切な対応がなされるものというふうに考えております。

大島(敦)委員 続きまして、これは政府参考人なんですけれども、個別審査規定を設け、個別的、実質的な審査によって各資格、職種、業務等の特性に応じて必要となる能力の有無を判断することにより、これも危惧なんですけれども、行政コストが拡大するおそれがあると言われているものですから、その点について御答弁をお願いします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の見直しを御議論いただいた成年後見制度利用促進委員会では、個別的、実質的な審査によって事務量が大幅に増加する場合にはどのように考えるかといった論点も検討されました。

 この点については、今回の改正の趣旨が成年被後見人等の職業選択の自由に係る基本的人権に関するものであること等を踏まえ、各法律の所管省庁等における実務の実態に照らし、成年被後見人制度を利用しているか否かといった画一的、形式的な審査が引き続き必要であるかどうかということについて、より厳格に判断することとされております。

 ちょっと言葉遣いを改めますと、平成十一年の民法改正時に行った欠格条項の見直しでは、大量の書面審査を要するなど、欠格条項による画一的な審査を必要とする場合には欠格条項を存置ということでございましたが、その点、今回は、基本的人権に係るものでございますので、より厳格に判断することとされておるところでございました。

 こうした考え方を踏まえまして、内閣府と各法律の所管省庁等におきまして御指摘の行政コストの観点も含め調整を行った結果、会社法など別途検討をしているものを除き、百八十八本の法律の全てを改正するということとしたものでございます。

 各所管省庁等においては、類似の法分野における既存の個別審査を参考にするなどの対応により、適正な個別的、実質的な審査に向けての検討が行われているものと承知しておりまして、直ちに行政コストの増大につながるものではないのかなと考えてございます。

大島(敦)委員 続きまして、個別審査規定を設けても、成年被後見人等が排除されることになると、実質的に現行の欠格条項の運用と変わらないのではないかという危惧があります。このことは、個別審査規定に起因する人権侵害、不当な差別を招くことにならないかという危惧があるかとは思うんですけれども、その点についての御答弁をお願いします。

三浦政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案は、成年後見制度を利用していることを理由として各資格等から形式的、一律に排除するという仕組みを改めるものでございます。今後は、成年被後見人等についても、制度を利用していない人と同様、各資格等にふさわしい能力の有無等が個別的、実質的に審査、判断されることとなります。

 先生御指摘のとおり、こうした個別的、実質的審査のあり方や具体的運用については、成年後見制度を利用する人が不当に排除されることのないよう、各制度を所管する府省庁において、今回の改正の趣旨を踏まえた適切な対応がなされるものと考えてございます。

大島(敦)委員 宮腰大臣に御答弁をお願いします。

 本法律案により、成年被後見人等であっても、公務員、士業、法人役員等につくこと、営業許可を受けること等が可能となる場合がありますけれども、行政の客体、顧客、取引先に対して十分なサービスの提供又は維持することができるのかについての御答弁をお願いします。

宮腰国務大臣 今回の見直しは、成年被後見人等が各資格、職種、業務等から一律的に排除される現行法の仕組みを改め、個別的、実質的な審査により本人の能力を適正に評価し、各資格、職種、業務等の特性に応じて、できる限り本人の残存能力を生かして仕事ができるようにするものであります。

 他方で、各資格等の信頼性を維持するとともに、さまざまな依頼、取引等を行う第三者に対して十分なサービスが提供、維持されるよう担保することも重要であると考えられます。

 そこで、引き続き、各資格等を得る際の能力審査を適正に行うとともに、その後も各資格等にふさわしい能力が確保されるよう、必要な対応が求められると考えております。

 具体的な能力審査の方法につきましては、例えば、現在でも、公務員の場合のように、採用試験、採用面接や、上司による業績、能力評価等を行う、士業の免許において資格試験を課したり、医師の診断書の提出を求めるなどの方法により確認する、法人役員については、役員の選任を担う機関、例えば社員総会、評議員会、経営管理委員会などでありますが、その機関が判断をする、営業許可におきましては、許可の際の行政機関による審査のほか、定期的な事業報告書の提出や、必要に応じて行政機関が報告徴収、立入調査等を行うなどとしているところでありまして、引き続き、各資格、職種、業務等の特性に応じて、適切に対応していくこととしております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 ちょっと具体的に伺いたいんですけれども、生活保護を受けられていて認知症になった方がいらっしゃっておりまして、その方の成年後見人の方とお話をすると、その場合の、要は、生活保護ですから、限られた保護費の中での生活ですから、どうやってその報酬を、士業についている場合いただくか、報酬を受けるかというのがあります。

 報酬については裁判所が決めることは、どのくらいの報酬か、一年間幾らだぞということは家庭裁判所が審判で決めるということは承知をしております。その場合、政府参考人に伺いたいんですけれども、生活保護費の中からこの報酬を支払っていいものだろうか。

 なかなかこれは想定していないと思うの。生活保護費の中にその後見人の報酬を支払うということは想定しないで多分生活保護の金額が決まっているとすれば、生活保護の受け取っているその金額の中から報酬を受け取っている事例もあるかと思うんですけれども、その点について、ちょっと認識、多分、答弁できなければ答弁できないでもいいんですけれども、そういう認識があるかどうかについて伺わせていただければと思います。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘の点でございますが、生活保護の受給者にかかわらず、経済的な問題で成年後見制度が利用できないということのないようにするためにはどうしていくべきか、こういう課題であろうかと認識をしてございます。

 生活保護受給者に限らず、成年後見制度の利用が必要な低所得の高齢者や障害者の方に対しては、成年後見制度の申立てに要する費用や後見人等の報酬を助成する事業、これを高齢者施策、障害者施策の一環として実施をしているところでございます。

 生活保護を受給されている方であって、認知症や障害があり成年後見制度の利用が必要と認められる場合には、まずこうした事業を活用し、福祉事務所が御本人のこうした制度の利用支援を行っていただくということが基本かというふうに考えてございます。

大島(敦)委員 今、政府参考人が御答弁いただいたのは、成年後見制度利用支援事業だと思います。これについては、各市町村には、多分、やらなければいけない事業、地域生活支援事業は市町村及び都道府県が行う事業であり、それぞれ法律上実施しなければならない具体的な事業と定められておりますので、ここの事業から、要は、生活保護の方を含めて経済的に困難な方については支援を仰ぎなさい、そういう理解でよろしいでしょうか。

八神政府参考人 私が申し上げたのは、そういう趣旨でございます。

大島(敦)委員 確認させていただきまして、ありがとうございます。

 そうすると、今後、多分、利用される方、この制度の対象となる方がふえることが想定されるので、要は、今の二十二万人から、どのくらいの方が被後見人になるか具体の数字は言えないにしても、ふえるとすれば、この制度を利用する方もふえるかと思うので、その点についての周知をしていただけるとありがたいと思います。

 まだこの制度が整っていない市町村もあるやに聞いているので、その点についての厚労省の取組について手短に答弁いただければと思います。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 全国どの地域に住んでいても、成年後見制度の利用が必要な人が制度を利用できるようにするということが重要だと考えてございます。

 今申し上げた助成事業について、成年後見制度利用促進計画を踏まえまして、未実施の市町村に対しては、この事業を実施すること、また、助成対象を本人や親族からの申立てなども対象であることといったことを、市町村に対して周知をしてまいりたいと考えてございます。

大島(敦)委員 最後のところを確認させてほしいんですけれども、後見人には親族の後見人と専門職後見人がいて、親族の後見人でも、この今私が申し上げた制度を利用できる、そういう理解でよろしいのでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。対象になります。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 そうすると、後見人としてどうやって報酬を受け取るか、それはもちろん裁判所の審判に基づいた報酬金額があって、それは二つ考えられるということが確認されました。一つは、今の成年後見制度利用支援事業で、各市町村、都道府県が必置の事業としてやってほしいというこの事業と、もう一つは、生活保護の受給されている金額の中から報酬を受け取るという、この二つのことが考えられるんですけれども、この場合、私、両方とも否定はしません。否定はしないんだけれども、今後の政府のあり方として、伺っていると、生活保護ですから、結構、預金額が減ってきて後見人の方が立てかえる事態も生じたという話も具体的に聞いていて。

 ですから、要は、生活保護費の中から受け取れるということが、若干、どうかな、生活保護費の中から受け取れるんだけれども、その分の金額は生活保護の受け取る金額からふやした方がいいのではないかなと私は思うんですけれども。まあ、答弁できないとは思うんですけれども、その点についての今後の認識等について伺わせていただければ幸いと存じます。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護の中で、例えば加算のようなものというような御提案なのかと思いますが、現時点で生活保護制度において加算を設けるというようなことは考えてございません。

 生活保護制度において保障すべき範囲というのは、一般世帯との均衡を考慮して判断をされるものであり、成年後見制度の利用に係る費用についても、一般世帯における利用実態も踏まえつつ、慎重に検討すべきものというふうに考えてございます。

大島(敦)委員 恐らく、厚労省の中での予算の科目が違うのかなと思うんですね。一つはこちらの生活保護費の科目と、もう一つは多分介護保険の科目かなとは思うんですけれども。そこのところの整理は、多分、今後しなければいけない領域だと思うので、その点についても今後検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。

 もう一つは、家庭裁判所が申立人から申し立てられて審判して選任する成年後見人なんですけれども、今後のあるべき姿として、今、地域包括ケアシステムを各都道府県、市町村が具体的に今やろうとしているし、やっているところもあります。結構この制度は大変な制度でして、余り予算措置がそんなにふんだんになく、各市町村のやる気に任されて、独自にやってくださいという制度だと私は理解をしていて、結構皆さん苦労されて、一生懸命やっていらっしゃる実態があります。

 その中で、地域包括支援センターですか、ここが中学校区ごとに一つ一つ設けられていて、地域のことは全部一括して事情を把握しているということがあります。

 今後なんですけれども、要は、申立人、家庭裁判所としてもなかなか難しいと思うんですよ、この人が正しいとか、こちらの人がいいとか。その点について、今後のあるべき姿についてどのように考えているのかについて、手短に答弁をお願いします。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度におきましては、身上保護や意思決定支援、あるいは本人らしい生活を送るための財産活用といった観点で利用者がメリットを実感できないような後見人等の選任が起こってしまうというケースが指摘をされているところでございます。

 したがいまして、成年後見制度利用促進基本計画では、本人を身近で支えている地域包括支援センター等の医療福祉関係者、家族、親族、専門職団体等と連携をしている地域連携ネットワークの中核機関が、本人を始めとする利用者にとってメリットを実感できる後見人を推薦できるというふうに考えられ、この地域連携ネットワークの構築及びその中核機関の整備を進めているところでございます。

大島(敦)委員 この中核機関は結構大切だと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 最後の質問になるかと思うんですけれども、市民後見人ですね、まだそれほど数は多くなくて、今後、市民後見人をふやしていきたいという意思を皆さんお持ちでいらっしゃると思うんですけれども、先ほど申し上げましたとおり、士業でも結構大変な成年後見人です。結構負荷がかかってきます、この後見人は。特に、御承知だと思いますけれども、さまざまな相続の問題とかも発生したりもしますから、結構負荷がかかるのがこの後見人制度だと思っていまして、その場合、市民後見人は、これは完全にボランティアでやっていただくんですから報酬については受け取れないよというのか、いや、とはいっても実費ぐらいは持つというのか、その点について、わかる範囲で御答弁いただければと思います。

八神政府参考人 失礼いたしました。

 市民後見人の報酬につきましては、地域の実情によるというふうに承知しておりますが、実費については出しているところが多いというふうに承知をしております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 宮腰大臣に、今回、後見人制度ですが、保佐人あるいは補助人の方をふやしていかなければいけない、市民後見人の方をどの程度までふやせるのかの問題。ただ、まだ過程だと思います、これは。今回は、今後予想される高齢化社会の中での一つのまだ過程、通過点だと思っていまして、ですから、成年後見人制度を利用をするためにはさまざまな工夫が必要だと思っています。例えば、法人でもそれぞれ後見人をされているやにも聞いておりますので、そういうところの充実も含めて、前向きな検討をしていただければと思います。

 私の質問はここで終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 成年被後見人権利制限適正化法案について質問いたします。

 まず、宮腰大臣に質問をいたします。

 この法案は、成年被後見人等が成年被後見人等であることを理由に不当に差別され不利益をこうむらないようにする、そのための法案ということであります。この間も、被保佐人である元大阪府吹田市臨時職員の方や元警備員の方が職を失った件が係争中ですが、本案が成立をすると、被後見人等の職が失われる、こういうことが減っていく、このようなものになるんでしょうか。

宮腰国務大臣 今回の法案は、平成二十八年五月施行の成年後見制度の利用の促進に関する法律に基づき成年後見制度を利用している方々の人権が尊重され、不当な差別をされないよう、いわゆる欠格条項を適正化することを目的としております。

 議員御指摘の、地方公務員や警備員を始めとする多くの資格等に係る欠格条項の存在により、同程度の判断能力であっても、成年後見制度を利用している人のみが各種の資格、職種等から一律に排除され、能力を発揮する機会が失われていることが問題となっております。

 今回見直される資格等につきましては、成年後見制度を利用していることのみをもって、資格等の取得時に排除されることや職を失うことがなくなります。今回の改正により、成年後見制度を利用する方々が、そうでない方々と同じようにその能力を発揮し、社会に参画することが促進されることになるというふうに考えております。

塩川委員 入り口で排除されるようなことはない、また、成年後見を使った人が失職するようなこともないという中身だということであります。

 その点でも、今、この間、政府の障害者雇用の水増し問題が大問題となったわけであります。内閣人事局も担当し、公務員制度も担当している宮腰大臣ですので、障害者雇用促進法改正案が衆議院で可決をされ、参議院で審議が行われようとしております。こういうときにこの法案の審議が行われているという点でも、入り口で排除されていた障害者にとって雇用機会が拡大することになる。ぜひとも、今回の法改正を契機として、公務における障害者雇用がふえるという取組につなげていただきたいと思うんですが、大臣からぜひ御答弁をいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 今回、障害者雇用に関する法改正も進んでいるわけでありますけれども、また、政府における障害者雇用の達成に向けた取組もスタートしております。いろいろな意味で、障害者の方々、公務員ということに限らずでありますけれども、まずは、国あるいは地方自治体がしっかりとその責務を果たしていくということが大事であると思っております。

 今回のこの法律、一律に排除するということをやめるということでありますので、いろいろな意味で、公務員を志す方々が自分の能力によって、各種の資格、職種等からこれまで一律に排除されてきたものが、それがなくなるということでありますので、今ほど申し上げたように、能力を発揮し、社会に参画することが促進をされるということになろうかと思っております。

塩川委員 ぜひ、そういう方向で、国を始めとして、しっかりと雇用をふやす機会になっていく、社会参加を促進するものにしていくということを求めたいと思っております。

 それで、今回の法案は成年後見制度利用促進法に基づいてつくられているわけですが、この利用促進法の附帯決議に、障害者権利条約第十二条の趣旨に鑑み、成年被後見人等の自己決定権が最大限尊重されるよう現状の問題点の把握に努め、それに基づき、必要な社会環境の整備等について検討を行うこととあります。

 この附帯決議に基づき、政府はどのように措置をしてきたのか、大臣にお尋ねをいたします。

宮腰国務大臣 御指摘の附帯決議におきましては、「障害者の権利に関する条約第十二条の趣旨に鑑み、成年被後見人等の自己決定権が最大限尊重されるよう現状の問題点の把握に努め、それに基づき、必要な社会環境の整備等について検討を行うこと。」とされております。

 この成年後見制度利用促進法に基づきまして、平成二十九年三月に閣議決定されました成年後見制度利用促進基本計画におきましては、「第三者が後見人になるケースの中には、意思決定支援や身上保護等の福祉的な視点に乏しい運用がなされている」といった現状の問題点が指摘されております。

 こうした問題点につきまして、基本計画では、「後見人による財産管理の側面のみを重視するのではなく、認知症高齢者や障害者の意思をできるだけ丁寧にくみ取ってその生活を守り権利を擁護していく意思決定支援・身上保護の側面も重視し、利用者がメリットを実感できる制度・運用とすることを基本とする。」こととしておりまして、こうした考え方に基づき、制度の運用の改善が進められているものと承知をいたしております。

塩川委員 意思決定支援、身上保護、制度の運用改善を図っていくということでの答弁がありました。

 法務省でしょうか、お尋ねしますが、この利用促進法では、被後見人の権利制限、欠格条項に関する法律の見直しについては規定をしておりましたが、後見人の側の包括的かつ幅広い権限については見直しの対象とはなっておりませんでした。このような後見人の幅広い権限、裁量の見直しに係る制度改正を行う必要があるのではないかと考えますが、この点についてはどのような対応をされておられるのか。

筒井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘がありましたとおり、現行の成年後見制度に対しては、本人の行為能力を画一的、包括的に制限するのではなく、本人の能力に応じて必要最小限の範囲で制限すべきであるといった意見などがあることは承知しておるところでございます。

 個々人の能力に応じたきめ細やかな対応を可能とするといった観点や、可能な限り本人の意思決定を尊重し、これを支援するといった観点からは、成年後見制度のうち、現状では利用が少ない保佐及び補助についての利用を促進することが重要であり、平成二十九年三月に閣議決定されました成年後見制度利用促進基本計画におきましても、「認知症の症状が進行する高齢者等について、その時々の判断能力の状況に応じ、補助・保佐・後見の各類型間の移行を適切に行う。このため、その時々の心身の状況等に応じた見守り等、適切な権利擁護支援を強化する。」こととされているところでございます。

 法務省といたしましては、基本計画に基づく運用面における改善の状況などを踏まえつつ、成年後見制度のあり方について検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 保佐や補助の利用とか運用面の改善の話はありましたが、このあり方についての検討という点で、やはり、制度そのものを見直していく、こういうことが課題なんだという認識があるのかについて、もう一度お答えください。

筒井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘がありましたように、基本計画に基づく運用面における改善の状況などを踏まえた上で、成年後見制度のあり方についても検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 意思決定支援を主とし、代行決定は最後の手段とする、そういう制度となるよう、障害者権利条約第十二条を踏まえた制度改正を進めていくことを求めたいと思います。

 次に、士業後見人に対し幅広い裁量が与えられていることで、本人や親族の意向が実現しないといった声が上がっておりますが、この点についてはどのように対応をしておられるのか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年三月に閣議決定をされました成年後見制度利用促進基本計画では、今後の施策の目標として、後見人等が利用の意思をできるだけ丁寧に酌み取ってその生活を守り権利を擁護していく意思決定支援や身上保護を重視し、利用者がメリットを実感できる制度、運用とすることを掲げております。

 このため、厚生労働省では、平成二十九年三月に、障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン、また、平成三十年六月には、認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドラインを策定をしたところでございます。

 加えて、後見人等による意思決定支援のあり方に関しては、平成三十年三月に大阪意思決定支援研究会が、意思決定支援を踏まえた成年後見人等の事務に関するガイドラインを作成し公表しているなどといった、地域における独自の取組も始まっております。

 こうした取組も踏まえまして、最高裁判所の呼びかけにより、最高裁判所、厚生労働省、専門職団体において、後見人等が本人の特性に応じた適切な配慮を行うことができるよう、後見人等による意思決定支援のあり方についての指針の策定に向けて協議を行うこととしております。

 また、厚生労働省におきましては、本年度に国庫補助事業として、後見人等の意思決定支援の研修のあり方等に関する研究事業を実施することとしております。

塩川委員 大臣も答弁で触れられておりましたけれども、意思決定支援や身上保護等の福祉的な視点に乏しい運用がなされている、そういう指摘がある、こういうのもしっかりと受けとめた上での対応を求めていくものです。

 関連して、最高裁にお尋ねしますが、親族が後見人になれず、交代も難しいといった声も関係者の方から寄せられています。この点についてはいかがでしょうか。

手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 成年後見制度の利用者から、親族が必ずしも後見人に選任されるとは限らないことや、後見人に不正行為等がない限り、一旦選任された後見人は解任することができないことについて、利用者がメリットを実感できる制度、運用への改善を求める御意見があるということは承知しているところでございます。

 成年後見制度利用促進基本計画では、身上監護や本人の意思決定支援の側面も重視し、本人の利益保護のために最も適切な後見人を選任することができるようにするための方策を検討することとされております。

 この趣旨を踏まえまして、まず、最高裁判所において、後見制度の重要な担い手であります弁護士、司法書士及び社会福祉士が所属する各専門職団体と、基本計画を踏まえた後見人の選任のあり方などについて議論を行ってまいりました。

 専門職団体との間では、後見人の選任につきましては、事務処理上の課題の専門性や不正防止の必要性等も考慮した上で、後見人となるにふさわしい親族等の身近な支援者がおられる場合には、これらの身近な支援者を後見人に選任することが望ましいこと、それからまた、後見人の交代に関しましては、本人のニーズや課題、状況の変化などに応じて柔軟に後見人の交代や追加選任を行うことなどの基本的な考え方について、認識の共有に至ったところでございます。

 このことにつきましては、各家庭裁判所に対しまして、今後の運用の参考とするために情報提供を行いました。

 今後、各家庭裁判所におきまして、後見人の選任のあり方について、基本計画における指摘や最高裁判所と専門職団体との間で共有された基本的な考え方を踏まえ、更に検討が進められた上で、各裁判官が、個別具体的な事案に応じ、本人の利益保護のために最も適切な後見人を選任していくことになるものと理解しております。

塩川委員 今の答弁、また基本計画でも触れられていますけれども、本人のニーズ、課題や状況の変化等に応じて柔軟に後見人の交代や追加選任を行うということですが、この本人のニーズ、課題や状況の変化をどのように把握をするのか、この点についてはどうなんでしょうか。

手嶋最高裁判所長官代理者 その点につきましては、今、基本計画で提唱されておりますような中核機関とネットワークが完成されました暁には、親族後見人とそれを支えるネットワークにおいて適切にニーズ等を把握し、それを踏まえた適切なフィードバックが家庭裁判所の方にもいただけるものというふうに承知しておりますが、それまでの過渡期におきましては、さまざまな工夫で聴取をしていく、把握していくしかないかなというふうに考えているところでございます。

塩川委員 このネットワーク、その中核となる中核機関の果たす役割は大きいということで、そういう点でも、その担い手としての市町村、その中核機関の役割をどう発揮をしていくのかといったことの前向きの取組なしには、こういった対応も実際には困難ということでもあるわけです。

 それから、重ねて最高裁にお尋ねしますが、費用負担が大きいという声があります。後見人等の報酬について、専門職団体との議論ではどういうやりとりがされたのかについて示してください。

手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 後見人の報酬につきましては、個別の事案におきまして、当該事案における諸事情を考慮し、各裁判官が判断すべき事項でございますので、最高裁判所から何らかの基準や運用指針を示し、これに沿った一律の運用がされるという性質のものではございません。

 もっとも、後見人の報酬のあり方というのは、とりもなおさず、後見人の選任に当たりまして、後見人に何を期待し、後見人がその役割をどう果たしたのかの評価にかかわるものでございまして、後見人の選任のあり方とも密接に関連する重要な事項であるというふうに考えております。

 そのため、最高裁判所は、先ほど申し上げました、基本計画を踏まえた後見人の選任のあり方の協議とあわせて、各専門職団体と報酬のあり方についても議論を行ってまいりました。

 この議論の中で、専門職団体からは、まず、個別の事案における後見人の事務の負担を適切に評価し、それに見合う報酬を付与すべきであること、また他方で、その前提となる家庭裁判所への後見事務の報告につきまして過度に煩雑にならないようにすべきであること、また、本人の財産が少なく、本人の財産から報酬を支出することができない事案が現状において相当数に上っておりまして、成年後見制度利用支援事業における報酬助成制度の充実が不可欠であること、こういった意見が出されております。

塩川委員 専門職団体からは、報酬の見直しには利用支援事業の拡充が不可欠、報酬支援の観点が大事だという指摘があったということでよろしいですね、そこは。

手嶋最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。

塩川委員 政府の方に伺います。

 厚労省でしょうか、政府として、こういった費用負担が大きいという声にどう応えるのか、この点についてお聞きします。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 介護保険制度や障害福祉制度におきましては、成年後見制度利用支援事業として、成年後見制度の利用が必要と判断される低所得の高齢者や障害者に対して、申立て経費や成年後見人への報酬等を助成をしてございます。

 厚生労働省といたしましては、全国会議の場などで当該事業を周知するなど、成年後見制度利用支援事業の支援が必要な方が全国どこにお住まいでも支援を受けられるよう、引き続き市町村に働きかけてまいりたいと考えております。

 また、今御紹介ありましたが、最高裁においては、本人の利益保護のために最も適切な後見人を選任することができるようにするため、後見報酬の見直しも検討されていると聞いておりますので、見直しの考え方、具体的な報酬額及び対象者などについて情報共有をさせていただきながら、実施状況等を踏まえつつ、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

塩川委員 市町村における成年後見制度利用支援事業、こういう実施を促すということになってくるでしょうけれども、この成年後見制度利用支援事業は、障害者関係でも、また高齢者関係でも、実際の実績というのは非常に限られているわけですよね。それは何でなのかというのについて、説明いただけますか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、自治体における財政上の制約があることはもとより、また、地域によっては需要が少なかったり、制度の担い手が不足しているといった実情があるというふうに承知をしてございます。

塩川委員 利用実態の地域での差も当然あるんでしょうけれども、やはり財政上の制約というところはしっかり、ちょっと踏まえておく必要があるだろうと思います。

 そこで、先ほども出たネットワークの関連ですが、成年後見制度利用促進基本計画において権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりが位置づけられていますが、済みません、この地域連携ネットワークづくりの意義、役割について簡単に説明してもらえないでしょうかね。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 地域ネットワークの意義ということでございますが、成年後見制度の広報、相談、利用促進、家庭裁判所への後見人候補者の推薦や、担い手の確保、また、後見人の支援といった機能を担うというものでございます。

塩川委員 それは具体的に指すと機能のところですけれども、要は、従来の保健、医療、福祉の連携だけではなくて司法も含めた連携の仕組みを構築するというところが重要だと認識しているんですが、そういうことでよろしいですか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。

塩川委員 その担い手となるのがネットワークの中核となる中核機関で、市町村の直営や又は委託の形で行われるわけですが、なかなか市町村にすると司法との御縁が非常に少ないという点で、そういったネットワークづくりというのはポイントになるんだろうと考えます。

 そこで、成年後見制度利用促進基本計画において、中核機関の役割というのはどのように位置づけられているんでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 成年後見制度利用促進基本計画におきましては、今後の施策の目標として、全国どの地域においても、必要な人が制度を利用できるよう地域体制の構築を図るということにしております。各地域において、成年後見制度の広報、相談、親族後見人や市民後見人等の支援等を担う中核機関の整備を推進をしております。

 中核機関とは、基本計画におきまして、「専門職による専門的助言等の支援の確保や、協議会等の事務局など、地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関」とされており、成年後見制度利用促進の推進役でございます。具体的には、成年後見制度の広報、相談、利用促進、後見人支援といった機能を担うというところでございます。

塩川委員 地域連携ネットワークのコーディネート役、この成年後見制度の利用促進に当たっていく上での推進役という重要な役割ですが、実際のその中核機関の設置状況は極めて少ないわけで、この中核機関設置においての課題は何なのかについて御説明いただけませんか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 中核機関を未設置の千六百六十二自治体に対しまして、設置に向けた主な課題というのをお尋ねをしたところ、回答が多かった課題は、行政における予算確保、委託予定先機関との調整、行政内部における合意形成、専門職団体、家裁との調整、委託予定先機関における人員確保であり、主に予算、組織、人材が課題であるということがわかったところでございます。

塩川委員 最後に、大臣にお尋ねします。

 今言ったように課題が挙げられているわけです、予算、組織等の課題ということで。

 私も幾つかの自治体にお話を伺いました。数人のスタッフの方が、兼務の業務に新たに追加された仕事として、成年後見制度に取り組んでいると。人員体制の苦労というのをしっかり受けとめるべきだと思いました。業務に当たる十分な知識経験を有した職員を継続して確保することが課題だと訴えておられました。市内に専門家が少ない、家裁との連携にも課題があるというお話もありましたし、財政措置でいえば、交付税措置はあるけれども、中核機関となるようなセンターの運営費用に関する補助メニューがないんだと。こういった要望にしっかり応える必要がある。

 ぜひとも、成年後見制度の利用促進のための予算措置、人員配置、こういうことにどう取り組むのかについて、大臣のお考えをお聞かせください。

宮腰国務大臣 成年後見制度につきましては、成年後見制度利用促進法の施行及び基本計画の策定により、厚労省、法務省、最高裁を始めとして、各省庁等が連携して総合的、計画的にその利用促進に向けて取り組んでいるところであります。

 内閣府といたしましても、成年被後見人等に係る欠格条項について、今回の法改正によりまして、一律の排除ではなく、審査をした上でという形にさせていただくわけでありまして、利用促進の一環として欠格条項の適正化を行うということにいたしております。

 予算の問題については、いろいろなところで同じような問題がありまして、例えば消費者行政の問題、見守りネットワークの推進ということで今展開をしておりますけれども、例えば、県なり市町村なりに自主財源として交付税措置で、消費者庁ができる前に九十億であったものを二百七十億積んでいる、お渡しをしているということになっているわけでありますが、自主財源としてそれを活用していただけない自治体が数多いということで、実は、一月から三月にかけて全四十七都道府県をキャラバンで回ってまいりました。

 そういう中で、消費者行政の重要性について各都道府県の理解をいただき、また都道府県の方からも市町村に相談窓口の設置、相談員の配置を働きかけていただくなど、いろいろ努力をしていただくというお話を伺ってきたところでありますけれども、なかなか、例えばこれは二分の一の地方財政措置ということで、予算措置は講じられることになっていると思うんですけれども、やはり、都道府県なり市町村においての成年後見制度に対する理解、これをしっかりと深めていただくということが何よりも重要ではないかなというふうに考えております。

塩川委員 効果的な地方財政措置と同時に、やはり予算そのものをしっかりと手当てをしていくということが改めて重要だということを申し上げて、質問を終わります。

牧原委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 この法案、ここに来るまで大分時間がかかりましたね。三国会ですか、継続で、国会のたびに、審議をお願いしますということで、省庁の皆さんに足を運んでいただきました。私の質問があと十分ですから、それが終われば採決ということで、大変、皆さん、御苦労されたかなと思います。

 この法案の内容は朝から皆さんも質疑をされておりますし、私、一つ、この欠格条項という部分でちょっとお聞きしたいことがありまして。

 欠格条項というのは、この法案以外でもいろいろと、定められている法律はいっぱいありますよね、同じような状況にあるというのは。要は、本人のやる気とか本人の意思に関係なく、それがあるがゆえに制限をされてしまうというものがあるんです。

 例えば、たくさんある中で私が今ぱっと思いつくというか、すぐに頭に浮かぶのは警備業ですね。警備の方も、法律において欠格条項があります。結構厳しい縛りがあって、例えば、広域暴力団におられた方とかは、足を洗って再出発でやろうとしても、五年間は、これは警備業法だけじゃないですけれども、ありとあらゆる制限を受けますよね。

 同じように、例えば保護司さんの間でも少し話があったんですけれども、刑務所から出所されてきた方とかで、再出発で、協力業者というのがあって、例えば、一番よくそういう対応をしてくれはるのは建設業の皆さんですね。いいよ、うち、頑張るんやったら見てあげるよと、協力して、就職をさせていただくことがあります。

 ところが、同じように、警備会社なんかは、これは建築業もそうですけれども、今、非常に人手不足で困っている。皆さんも地元に帰られたらよく目にすると思うんですけれども、道路工事とかで警備についておられる皆さん、かなり高齢化されております。私の知っている方も、僕が子供のときから警備でずっとやってはる人、そのときも大分おっちゃんでしたけれども、もう今おじいちゃんになって、ほんまに大丈夫かなと、真夏なんかね、そういう人たちが今でも一生懸命そういう仕事についております。

 でも、やはり人手不足で、そういう人にやめてもらったら困るから、一生懸命やってもらっているわけですね。この欠格条項があるがゆえに、もちろん、しっかりと罪を償って出てきたりとか、再出発をしようと誓って社会に出ようとしても、そういう欠格条項があるがゆえに採用してもらえないとか、あるいは採用できないということがあるんですよね。そういったことについて、今、政府はどうお考えになるのかというのをお聞かせいただきたいと思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 警備業法におきましては、警備業務の実施の適正を図ることを目的として、警備業の認定制、警備員に係る一定の欠格条項、警備員教育といった所要の規制が設けられているところでございます。

 警備員の欠格条項につきましては、本法案で削除される成年被後見人等に係る欠格条項のほかにも、例えば、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者等が欠格条項として定められているところでございます。これは、警備員につきましては人の生命、身体及び財産を守る警備業務に直接携わる者であり、適正な業務の実施の確保の観点から、こうした欠格条項が規定されているものと承知しております。

 このため、こうした欠格条項の見直しにつきましては、欠格条項の意義を踏まえた上での慎重な検討が必要であると考えております。警備員の欠格条項につきましては、警備員業を取り巻く状況等に応じまして所要の見直しが行われてきたところでございまして、今後も警備業の状況等を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

浦野委員 特に恐らく厳し目なのが警備業法じゃないかなと思うんですけれども、今御答弁いただいたように、いろいろ理由があってそういうふうになっているというのは承知していますけれども、実際、ほかにも、こういったように欠格条項によって制限をされているというものは恐らくたくさんあります。

 最後に、時間ももうすぐ終わりますけれども、大臣にお聞きしたいのは、そういった今回のこの法案改正を機に、他にある欠格条項で制限されているものについて、恐らくかなりの範囲にわたるんじゃないかなと思うんですけれども、そういったものをしっかり一度まとめていただいて、過去にいろいろと理由があって欠格条項というのは、その当時は当然だったかもしれないですけれども、人権に対する意識もどんどん進んで状況も変わってくる中で、同じように欠格条項をそのまま残しておくということに対してやはり一度見直しをかけるべきだ。そのためには、やはり、まとめて一度精査をして、取りまとめて、内閣府でしっかりと議論をできる材料を用意しておくべきだと思っているんですけれども、大臣はいかがお考えですか。

宮腰国務大臣 今回の法案は、成年後見制度を利用していることを理由として一律に排除するのではなく、各資格、職種等にふさわしい能力の有無を個別的、実質的に審査し判断する仕組みとするものであります。そうした観点から、議員御指摘の警備業法を含め、公務員、士業、法人役員、営業許可などの幅広い分野で、百八十八の法律を見直しの対象としております。

 議員御指摘のように、成年被後見人等に係る欠格条項以外にも、例えば、未成年者や破産手続開始決定を受けて復権を得ない者、一定以上の刑に処せられた者等に係る欠格条項が存在しておりますが、それぞれに規定された背景や意義があることから、仮にこれらを見直すとすれば、慎重で丁寧な議論や検討が必要になるのではないかと考えております。

 今回の法案は、委員御指摘のような成年被後見人等に係る欠格条項以外の欠格条項につきましても、一石を投じるものになるものというふうに考えております。

浦野委員 どうもありがとうございました。

 時間なので、終わります。

牧原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 この際、本案に対し、平将明君外二名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、公明党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。平将明君。

    ―――――――――――――

 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平委員 ただいま議題となりました成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 政府原案は、昨年の三月十三日に提出されたものでありますが、想定していた施行期日を既に過ぎてしまった部分があるため、本修正案を提出した次第であります。

 本修正案の主な内容でございますが、建築基準法の改正規定の一部及び建築士法の改正規定の一部の施行期日を、平成三十年十二月一日から令和元年十二月一日に改めることとしております。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

牧原委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 第百九十六回国会、内閣提出、成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、平将明君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧原委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧原委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平将明君外三名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。山内康一君。

山内委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切に対応すべきである。

 一 障害者の権利に関する条約第十二条の趣旨に鑑み、成年被後見人等の自己決定権が最大限尊重されるよう、現状の問題点の把握を行い、それに基づき、必要な社会環境の整備等を図ること。

 二 障害者の権利に関する条約第三十九条による障害者の権利に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告が行われたときには、障害者を代表する団体の参画の下で、当該提案及び勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、必要な措置を講ずること。

 三 成年後見人等の事務の監督体制を強化し、成年後見人等による不正行為の防止をより実効的に行うため、家庭裁判所、関係行政機関及び地方公共団体における必要な人的体制の整備その他の必要な措置を十分に講ずること。

 四 成年後見制度利用促進専門家会議等を始めとして、障害者の権利に関する条約の実施及びその監視に当たっては、同条約第四条第三項及び第三十三条第三項の趣旨に鑑み、障害者を代表する団体の参画を一層推進していくこと。

 五 障害者を代表する団体からの聴き取り等を通じて成年被後見人、被保佐人及び被補助人の制度利用に関する実態把握を行い、保佐及び補助の制度の利用を促進するため、必要な措置を講ずること。

 六 本法による改正後の諸法において各資格等の欠格事由を省令で定めることとされている場合には、障害者の権利に関する条約や障害者差別解消法に抵触することのないようにするとともに、その制定に当たっては、障害者の意見が反映されるようにすること。

 七 障害者の社会参加におけるあらゆる社会的障壁の除去のための合理的配慮の提供について今後も検討を行うこと。

 八 本法成立後も「心身の故障」により資格取得等を認めないことがあることを規定している法律等について、当該規定の施行状況を勘案し今後も調査を行い、必要に応じて、当該規定の廃止等を含め検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

牧原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧原委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。宮腰国務大臣。

宮腰国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

牧原委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

牧原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十二分散会


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