第20号 令和元年5月29日(水曜日)
令和元年五月二十九日(水曜日)午前九時三分開議
出席委員
委員長 牧原 秀樹君
理事 平 将明君 理事 谷川 弥一君
理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君
理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君
理事 大島 敦君 理事 岡本 三成君
安藤 裕君 池田 佳隆君
大隈 和英君 大西 宏幸君
金子 俊平君 神谷 昇君
木村 次郎君 木村 弥生君
小寺 裕雄君 佐々木 紀君
杉田 水脈君 高木 啓君
谷川 とむ君 中山 展宏君
長尾 敬君 西田 昭二君
本田 太郎君 松野 博一君
松本 洋平君 三谷 英弘君
宮路 拓馬君 村井 英樹君
大河原雅子君 岡本あき子君
近藤 昭一君 篠原 豪君
高井 崇志君 初鹿 明博君
山尾志桜里君 緑川 貴士君
森田 俊和君 谷田川 元君
山岡 達丸君 太田 昌孝君
佐藤 茂樹君 塩川 鉄也君
浦野 靖人君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 山本 順三君
国務大臣
(少子化対策担当) 宮腰 光寛君
国務大臣
(クールジャパン戦略担当) 平井 卓也君
国務大臣
(男女共同参画担当) 片山さつき君
厚生労働副大臣 大口 善徳君
内閣府大臣政務官 長尾 敬君
内閣府大臣政務官 安藤 裕君
文部科学大臣政務官 中村 裕之君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 横畠 裕介君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 阪本 克彦君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 八山 幸司君
政府参考人
(内閣官房デジタル市場競争評価体制準備室次長) 平井 裕秀君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 米澤 健君
政府参考人
(内閣府政策統括官)
(内閣府子ども・子育て本部統括官) 小野田 壮君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 池永 肇恵君
政府参考人
(内閣府知的財産戦略推進事務局次長) 川嶋 貴樹君
政府参考人
(宮内庁次長) 西村 泰彦君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 河野 真君
政府参考人
(警察庁交通局長) 北村 博文君
政府参考人
(外務省大臣官房儀典長) 岩間 公典君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 矢野 和彦君
政府参考人
(厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長) 藤原 朋子君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 橋本 泰宏君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 上田 洋二君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 海谷 厚志君
政府参考人
(国土交通省総合政策局公共交通政策部長) 城福 健陽君
政府参考人
(国土交通省水管理・国土保全局次長) 林 俊行君
政府参考人
(国土交通省道路局次長) 榊 真一君
政府参考人
(国土交通省道路局自転車活用推進本部事務局長代理) 田尻 直人君
政府参考人
(国土交通省自動車局次長) 島 雅之君
政府参考人
(国土交通省航空局安全部長) 高野 滋君
内閣委員会専門員 長谷田晃二君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十九日
辞任 補欠選任
安藤 裕君 木村 弥生君
池田 佳隆君 佐々木 紀君
大西 宏幸君 宮路 拓馬君
岡下 昌平君 谷川 とむ君
松野 博一君 木村 次郎君
今井 雅人君 高井 崇志君
森田 俊和君 緑川 貴士君
山岡 達丸君 谷田川 元君
同日
辞任 補欠選任
木村 次郎君 松野 博一君
木村 弥生君 安藤 裕君
佐々木 紀君 池田 佳隆君
谷川 とむ君 大隈 和英君
宮路 拓馬君 大西 宏幸君
高井 崇志君 今井 雅人君
緑川 貴士君 森田 俊和君
谷田川 元君 山岡 達丸君
同日
辞任 補欠選任
大隈 和英君 岡下 昌平君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○牧原委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官阪本克彦君、内閣官房内閣参事官八山幸司君、内閣官房デジタル市場競争評価体制準備室次長平井裕秀君、内閣府大臣官房審議官米澤健君、内閣府政策統括官、子ども・子育て本部統括官小野田壮君、内閣府男女共同参画局長池永肇恵君、内閣府知的財産戦略推進事務局次長川嶋貴樹君、宮内庁次長西村泰彦君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、警察庁長官官房審議官河野真君、警察庁交通局長北村博文君、外務省大臣官房儀典長岩間公典君、外務省大臣官房審議官大鷹正人君、外務省大臣官房参事官船越健裕君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君、国土交通省大臣官房審議官海谷厚志君、国土交通省総合政策局公共交通政策部長城福健陽君、国土交通省水管理・国土保全局次長林俊行君、国土交通省道路局次長榊真一君、国土交通省道路局自転車活用推進本部事務局長代理田尻直人君、国土交通省自動車局次長島雅之君、国土交通省航空局安全部長高野滋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。緑川貴士君。
○緑川委員 皆様、おはようございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。
冒頭、まず大臣からお言葉をいただきたいというふうに思いますけれども、きのう、川崎市で、通学途中の子供たちを含む十九人が一人の男に殺傷されました。小学生の女の子、そして男性、お二人の御無念、また御遺族の御心中をお察しするには余りある、悲しく、そして痛ましい、また憤りを覚える、さまざまな感情が湧いてまいります。
警察行政のトップとして、どのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
○山本国務大臣 お答えをいたします。
被害に遭われた方々、また御遺族の方々の気持ちを思うと、大変痛ましい事件であったと思います。また、子を持つ保護者の方や地域の方々の不安も大変大きいものがあるというふうに思います。
昨日、総理から指示がございまして、また、けさも関係閣僚会議で総理からの指示がございました。
現在、警察では、犯行の動機、背景等を含めて、全容解明に向けて鋭意捜査をしているところでございます。
また、昨年から登下校防犯プランを踏まえた取組を進めてきたところでございますけれども、今回の事件の発生を踏まえ、地域の方々の不安を取り除くため、学校や保護者等が行う見守り活動と連携した上で、地域の実情に応じて、集団登校の集合場所等における警察官による警戒、パトロール等を実施することとしたところでもございます。
本日の総理の朝の指示を踏まえまして、さらなる子供の安全対策について、関係機関と緊密に連携しつつ取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○緑川委員 お友達とのおしゃべりの本当に楽しい、明るい通学路のはずが、こうして一気に本当につらい場所になってしまいました。
こういう、政治が一体どういう使命を果たすことができるのか。再発防止に向けて、いま一度、大臣、御決意のほどを端的にお願いいたします。
○山本国務大臣 今回の事件、それから保育所の子供たちのところに車が突っ込む、そういうふうな痛ましい事件、事故が続いておるところでございまして、我々といたしましては、全力を挙げてその再発防止に今後とも取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○緑川委員 大臣、ありがとうございます。
本当に、子供たち、凶行からどのようにその命を守っていくのか、地域の目をどうふやし、そしてコミュニティーの中でのどのような協力関係を築いていくのか、重い課題が突きつけられているというふうに思います。また機会を改めて議論をさせていただきたいというふうに思います。
ここからは、道路交通法の先日の改正に盛り込まれていました自動運転の技術の実用化についてお尋ねをしたいというふうに思います。
政府は、道の駅を拠点とした自動運転サービスの実用化を目指して、全国十三の地域で実証実験がこれまで行われてまいりました。このうち、私の地元、秋田県では、中山間地域、そして豪雪地帯でもある上小阿仁村というところがありますが、冬道も走りながらの実験がこのほど行われております。
秋田県は、全人口に占める高齢世帯の割合が全国で最も高いところです。二〇四〇年にはその高齢化率が五七%を超えるというふうに言われております。上小阿仁村ではこの割合が、もちろん町や村ですから更に高くなりますけれども、この自動運転サービスが、将来の地域住民のお買物、また通院で不便にならないような対策として、また、農林県でもありますので、新鮮な農産物を届けるという物流支援策の一つとして、高齢化した地域の消費行動、また安心の生活を支えていく役割は、この自動運転が担う役割は大変大きいというふうに思っています。
ゴルフカートタイプの小型の電気自動車を今回使用して実験が行われておりますけれども、おととしから実験が、短期と長期、それぞれ行われてまいりましたけれども、この技術的な課題を含めて、今の現状をお知らせいただきたいと思います。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
国土交通省では、中山間地域における道の駅等を拠点とした自動運転サービスの実証実験を全国十八カ所で実施しております。
このうち、道の駅かみこあにでは、ゴルフカートタイプの車両を使って、平成二十九年度は、約一週間にわたり、積雪下における自動運転車両の走行性能など技術面の検証を行いますとともに、平成三十年度は、約二カ月にわたり、自動運転車を用いて農産物の出荷や道の駅からの商品配送を実施するなど、主にビジネスモデルの構築に向けた検証を行ってきたところであります。
これまでの実証実験では、積雪時の走行空間の確保や歩行者の安全確保など幾つかの技術的課題がありますことから、自動運転車の専用空間を設定することなどが必要と考えております。
さらに、社会実装に向けましては、経済的に収支が合うようにして、事業として継続できるビジネスモデルを構築することが課題であると認識しております。
このため、高齢者にも使いやすい予約システムの導入による利用の促進や、ボランティアの活用を含めた、地域による低コストでの運営体制構築などの検討を進めております。
国土交通省といたしましては、実証実験の結果も踏まえつつ、社会実装を目指し取組を進めてまいりたいと考えております。
○緑川委員 利用者の実情に応じたディマンド運行と言われているもの、そしてまたコストが、採算がとれるようなものにもちろんしていかなければならない。
そして、一番は、やはり安全性についても少し触れたいんですが、実用化に対する期待が大きい面で、自動運転されている間は、運転席に乗っている人は、安全確認や手動操作への切りかえができることを前提として、携帯電話を操作したり、またカーナビの画面のテレビを見るということができるというふうにしています。
スマホ操作やカーナビ操作になれている人、あるいはそうでない人、また、もともとそういう操作が器用な人、そうでない人、いろいろな方がいらっしゃる中で、この切りかえができるという基準、少し曖昧な気がするんですけれども、いかがでしょうか。
○山本国務大臣 自動車の運転者には、常に前方や周囲の状況を確認しハンドル等の操作を行うことにより、他人に危害を及ぼさないような方法で運転しなければならない、これは道路交通法第七十条でございますけれども、安全運転の義務が課せられているところでございます。
昨日成立した改正道路交通法におきましては、いわゆるレベル3の自動運転をしている運転者も、引き続き第七十条の安全運転の義務が課されているということを明らかにしたところでもございます。
したがいまして、レベル3の自動運転におきましては、国土交通大臣が付した走行環境条件外となる場合には運転者がシステムから運転操作を適切に引き継ぐことができる状態でいなければ、運転者はこの安全運転の義務に違反するというようなことになります。
国会審議におきましても、居眠りだけでなくて、読書やスマホに没頭して適切に運転操作を引き継ぐことができない状態でいることは、安全運転の義務に違反することとなり、道交法に違反するというふうにお答えをしているところでございまして、今後は、そのことを含めまして、自動運行装置の種類ごとの走行環境条件、性能や運転上の留意事項などについて、自動車メーカーや販売店、関係機関等と連携し、広報啓発を積極的に実施してまいりたいと思っております。
○緑川委員 衆議院での審議は区切りとなっておりますので、人による運転と同じかそれと同等以上のやはり安全性を確保することが大前提であるというふうに思います。
自動運転に直結する技術とは別に、やはり、事故を限りなくゼロに近づけるために、その安全性を確かにするための交通インフラ、また、責任所在を明確にする法規定、法整備、しっかり進めていただいて、数多くの課題を整理して対応することが求められているというふうに思います。
この自動運転、もちろん、地域だけでなくて、人手不足に悩まされている物流業界においても自動運転技術というのは注目が集まっております。
その中で、トラックの無人化、ドライバーを必要としない無人トラック、一般乗用車よりこれはおくれて実現すると言われていますけれども、これに並行して今研究が進められているのが、無人のトラックが隊列して走行するという技術であります。
二〇二二年までにこの技術を使った隊列走行技術の実用化を目指しているということですけれども、現在の取組の状況はいかがでしょうか。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
我が国のトラック物流業界におきましては、経営効率の改善やドライバー不足対応、安全性向上、省エネ等の観点から、自動運転システムを活用したトラック隊列走行に対する期待は高いものがございます。
このため、未来投資戦略二〇一八において、二〇二一年までに後続車有人システムの商業化、そして、早ければ二〇二二年に後続車無人システムの商業化、これを目指すことを目標に掲げ、関係省庁が連携した取組を進めております。
具体的には、経済産業省、国土交通省において、これまでに、車両技術の開発、そして事業成立性の検討、そして、異なる事業者により製造されたトラック四台による高速道路における実証実験等を進めております。
これらの取組の中で、各社のトラックごとの通信に基づく制御処理の差でありますとかエンジン制御性能の差による車両間の距離の拡大でありますとか、あるいは隊列に割り込みの車が入ってくるといったものへの対策など、技術的な課題が確認をされております。
引き続き、実証実験や車両技術開発を着実に積み重ねまして、隊列走行の制御精度の向上でありますとか車と車の間の通信の改良など、課題を一つ一つクリアして、官民一体となって、トラックの隊列走行の実用化、これを目指してまいりたいというぐあいに思っております。
○緑川委員 やはり、車間距離があることで、隊列を組んでいたとしても、おっしゃるような、割り込んだり、また渋滞時の合流なんかも課題があるというふうに言われております。
もう一つ、物流業界を支える上で重要な役割を担うかもしれないというふうに期待されているものにドローンがございます。
ドローンによる、つまり配送ということになりますが、これはもちろん、運べる荷物の大きさ、そして数にも制約がありますから、また、ドローン同士がたくさん飛んでいた場合に空中衝突する、荷物が落下したり、危険性もやはり増すことにもなりますが、確認のため伺いたいんですが、ドローン宅配の将来性についてはいかがでしょうか。
○海谷政府参考人 お答え申し上げます。
ドローン配送につきましては、積載重量等に制限がございますけれども、例えば、ネット通販の普及によります小口配送の増加、あるいは山間部の配送、それから恒常的なドライバー不足等の物流の問題の解決に向けまして、特に過疎地域におきましては有効な手段になるものと認識しております。
そのような認識に立ちまして、国土交通省といたしましては、昨年度、全国五地域で実験を行いまして、過疎地域におけるドローン物流と既存物流につきまして、CO2の排出量ですとかコストについて検証いたしました。
その結果を踏まえまして、本年三月より、関係者による検討会を開催いたしまして、過疎地域等におけるドローン物流に関するビジネスモデルの構築について検討を進めております。
また、都市を含む地域におけるドローン物流等の実現につきましては、現在、離島、山間部等以外では原則目視外飛行ができないということになってございますけれども、二〇二二年度を目途に、有人地帯での目視外飛行を可能とするよう、技術開発の状況も踏まえて、また、ドローン飛行のさらなる安全確保について検討いたしました上で、今年度中にこの有人地帯への目視外飛行について制度の基本方針を策定する予定でございます。
国土交通省としましては、こういったドローン宅配の、有効な手段になり得るという認識の上に立って、一つ一つ問題を解決しながら、引き続き、安全の確保を前提といたしまして、ドローン物流の展開をより一層推進してまいりたい、かように思っております。
○緑川委員 いずれ、無人トラックにしても、そしてドローンにしても、インターホンを押して、お客さんにもちろん荷物を最後まで届けなければならないわけですから、実際の配送先までのラストマイルというふうに言われておりますが、最後はやはり人の力というものが必要になってまいります。
暮らしを根底で支えているのがやはりこの物流でありますが、トラック業界の働き方改革を進める中で課題になっているのが、やはり駐車規制の問題です。
荷物を集配中のトラックの駐車規制に伴って、今、駐車場探しが難航する、これによってドライバーにストレスがかかって、集配の効率が悪くなったり、あるいは悪い場合には交通事故を起こすような、そういう深刻なケースが報告されております。
こういう問題を受けて、集配中の車両などの駐車規制の見直しの一環として、東京二十三区を中心に、駐車スペースを百カ所ほど新たに広げる措置をとっています。でも、一般車両のドライバーが自分の荷物を届ける理由でその駐車スペースを利用していたり、また、マナーを無視して、何時間もトラックを駐車して荷物の積みかえ作業にスペースを占領しているような事例も聞かれます。
駐車スペースの意義が十分に浸透していない現状がありますけれども、国家公安委員長、御見解そして今後の御対応を最後に伺いたいと思います。
○山本国務大臣 違法駐車を始めとする無秩序な駐車、これは、交通事故の原因となり、また円滑な物流の妨げとなり得るなど、社会経済活動等における大きな損失の発生や地域住民の生活環境の侵害につながり得るものであり、一定の駐車規制は必要不可欠だというふうに思っています。
他方で、近年、貨物集配中の車両のための短時間の駐車需要が認められるところであり、所要の駐車場の整備のみならず、円滑かつ安全に駐車できる道路上の場所における駐車規制の見直しも重要であるというふうに思っております。
警察庁といたしましては、昨年二月に都道府県警に対し、安全、円滑な交通を確保しつつ、集配中の宅配車両等を駐車させることができる場所については貨物集配中の車両の駐車を可能とする駐車規制の見直しを令和二年度末までに実施するように指示をしたところでございます。
こうした駐車規制の見直しを行った区間において、一般乗用車が駐車していたり、あるいはまた貨物車が長時間駐車しているなど、駐車違反となっている場合には、その取締りに努めているところでもございます。
また、貨物自動車運送事業者が物流業界等に対し、交通規制の周知や、他の道路利用者に配慮した利用に関する自主的な業界ルールの策定などについて働きかけを行っているものと承知しておりまして、引き続き、こうした取組を積極的かつ継続的に実施していくよう警察を指導してまいりたいと思います。
○緑川委員 御答弁、ありがとうございました。
時間が来ましたので、終わります。
○牧原委員長 次に、谷田川元君。
○谷田川委員 おはようございます。国民民主党・無所属クラブの谷田川元でございます。
きょうは、前回、決算委員会で衆議院の解散について官房長官と議論させていただきましたが、その続きをさせていただきますが、その前に、先日、令和になって初めての総理から陛下への内奏の様子の写真と映像が公表されました。私、あれを見て非常に驚きました。
恐らく、民主党政権、三人の総理大臣がいましたけれども、同じようなことをやったら自民党の皆さんから非難ごうごうの嵐を受けたんじゃないか、私はそう思っているんです。
これは宮内庁の判断で行われたと聞いておりますけれども、まず、宮内庁に質問します。戦後、天皇陛下への内奏を行った政治家で、安倍総理以外でその写真や映像を撮ったことがありますか。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
歴代総理の内奏を撮影し、公開した事例についてでございますが、平成二十五年に、「天皇陛下 傘寿をお迎えになって」というDVDの中で、総理の内奏開始前の冒頭部分の映像を公開しているところでありますが、このときの総理は安倍総理でございます。
それ以前については、確認したところ、ございません。
○谷田川委員 そうなんですよ。これは重大問題だと私は思うんですね。
これは宮内庁の責任でやったというので、以下、質問していきますけれども、普通、一般常識として、お二人だけで写っている写真を公表するわけですから、当然、陛下と安倍総理の同意を取り付けましたね。いかがですか。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
総理官邸には事前に話をし、了解を得ております。
なお、天皇陛下につきましては、天皇陛下の御活動を広く国民に知っていただくことの重要性に鑑みまして、各種の儀式や行事について記録を残し、公表できるものは公表させていただくことにしておりますけれども、個別の事項について天皇陛下に御説明をしたかどうかについては、お答えを差し控えさせていただきます。
○谷田川委員 私は、安倍総理が政界から引退を表明されたのであれば問題にならないと思っているんです。ところが、ことしは参議院選挙もあるし、ましてや、令和解散だといって衆議院解散もあるかもしらぬという話ですよね。
官房長官、ちょっとお聞きしたいんですが、宮内庁から問合せがあった段階で、安倍総理が天皇陛下を政治利用しているとの批判が起こりかねないと言って写真や映像の公表を拒むべきじゃないですか。そう思いませんか、官房長官。
○菅国務大臣 私は事前には知っておりませんでした。
○谷田川委員 では、どなたが了承を取り付けたんですか、どなたの了承を取り付けたんですか。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
宮内庁の担当部局から総理官邸総理秘書室に確認をとったと承知しております。
○谷田川委員 総理秘書室というのは誰ですか、具体的におっしゃってください。
○西村政府参考人 具体的な職員名については公表を差し控えさせていただきます。
○谷田川委員 私は、宮内庁はやはり、皇室が政治的に利用されないように、それを守る立場でありますので、宮内庁の方から安倍総理と陛下の写真を撮ることを先に言い出したとは考えにくいんですよ。
二〇一三年十二月に公表したときは、山本宮内庁長官は当時、宮内庁の次長だったんですよ。ですから、そのときの経緯をよく御存じだと思いまして、きょう、私は、ぜひ出席いただきたいという要請をしたんですが、きょうは来られないということなので、ぜひ、この委員会に山本長官を呼ぶことを、委員長、お諮りいただきたいと思います。
○牧原委員長 理事会で協議をさせていただきます。
○谷田川委員 このときの官邸とのやりとりやその日時等を記録した、恐らく、書類あるいは稟議書等があると思いますので、ぜひこれを委員会に提出していただきたいと思いますが、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
○牧原委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。
○谷田川委員 それでは、衆議院解散について質問させていただきます。
前回、私は、衆議院の解散は総理の専権事項と言うこと自体、世論操作となり、その表現は使うべきじゃないと申し上げました。
資料一を見ていただきたいんですが、これは、衆議院解散は必ずしも総理の専権事項とはならなかった、その事例の一つを紹介いたします。これはいわゆる昭和五十一年の三木おろしと言われたやつですね。
これはまさに自民党派閥政治全盛の時代でして、このとき三木総理は、何とか自分の手で解散を打とうとしたんです。ところが、九月十日の閣議で、これはちょっと資料に一部訂正があります。行政管理庁長官松沢雄蔵さん、この方も署名が拒否されておると言われている人です。ですから、一人追加してください。全部で十五名の方が解散に反対だということで、結局、三木総理は、これだけ反対だということで、閣僚を罷免することを断念して、その結果、解散を断念したんですね。
そのころは、やはり、内閣の専権事項というような言葉は使われていましたけれども、総理の専権事項という言葉は使われていなかったんです。
宮沢喜一元総理は、二〇〇五年に、TBSのテレビ番組で次のように語っています。解散権は好き勝手に振り回してはいけない、あれは存在するが使わないことに意味がある権限で、めったなことに使ってはいけない、それをやったら自民党はいずれ滅びる、こうおっしゃったんですね。
この宮沢総理の考えに従えば、私は、衆議院解散権は、総理の伝家の宝刀という言葉が適切じゃないかなと思うんです。念のため辞書で引いてみますと、デジタル大辞泉、「家に代々伝わる大切な刀。転じて、いよいよという場合にのみ使用するもの。切り札。」権力は抑制的に使うものという宮沢総理の考えにぴったり一致する言葉だと思います。
官房長官、衆議院解散は、総理の専権事項と言うよりも、伝家の宝刀と言った方が適切じゃありませんか。どう思われますか。
○菅国務大臣 伝家の宝刀であり、専権事項であると思います。
○谷田川委員 わかりました。
資料二を見てください。この間の決算委員会に提出した資料でございますが、私、保利茂衆議院議長や水田三喜男当時の自民党政調会長が指摘していますように、衆議院解散は内閣の恣意によって行われるべきではないと質問いたしました。それに対して、官房長官からは答弁で、恣意的に解散することは考えられないと答弁されました。
しかし、私ども野党は、過去二回の解散は恣意的解散だと思っております。
まず、二〇一四年十一月の解散について振り返ってみますと、安倍総理は、アベノミクス解散と称して、消費税率の引上げを一年半延ばすから、国民に信を問う、そうおっしゃいました。
しかし、民主党政権下、社会保障と税の一体改革がなされまして、あのとき、民主、自民、公明の三党合意で成立したんですが、あのときの精神は、消費税の引上げは政争の具にしないということだったんですね。少なくとも、衆議院解散を決断する前に、当時の民主党の海江田代表、あるいは野田前総理に、消費税引上げ延期について事前に相談するのが筋ではなかったか、私はそう思います。残念ながら、それはありませんでした。そのことを野田前総理が一年ほど前の財務金融委員会で追及しますと、安倍総理は、選挙の争点にはしたが、政争の具にはしていない、そう支離滅裂な答弁をされたんですよ。
また、一昨年、すなわち二〇一七年九月の解散も、野党が憲法の規定に基づいて臨時国会開催を要求しても、三カ月余り国会を召集することなく、九月二十八日に召集して、何ら審議することなく、その日に解散。やっていることはむちゃくちゃですよね。
立場上、官房長官は、過去二回の解散は恣意的だったと認めることはできないと思いますけれども、先日、恣意的な解散は考えられないとおっしゃっていただきましたが、じゃ、一体誰が恣意的ではないと判断するんでしょうか。官房長官、お考えをお願いします。
○菅国務大臣 まず、内閣が衆議院の解散を決定することについては、憲政上、これを制約する規定はありません。いかなる場合に衆議院を解散するかは、内閣がその政治的責任で決すべきものであると考えます。
また、解散の当否については、最終的には、選挙等を通じて、国民の政治判断に委ねるものであるというふうに認識をいたしております。
いずれにしろ、衆議院の解散権というのは、立法府と行政府の均衡を保つ意味から、憲法が行政府に与えた国政上の重要な権能であり、恣意的に解散することは考えられず、私としては、平成二十六年、また二十九年の衆議院の解散については恣意的な解散ではなかった、このように考えています。
○谷田川委員 憲法が専門の木村草太首都大学東京教授が、解散をする場合には、内閣が衆議院で解散の理由を説明して、それについて国会審議を行うことを法律で定めることを提唱しているんですよ。そうすることで、不当な解散でないかどうかを議員が吟味でき、その議論が有権者の判断材料にもなります。
私は、この木村草太教授の考えは非常にいいと思うんですが、官房長官はどう思われますか。
○菅国務大臣 木村さんのその考え方について私が論評を差し上げることは、ここは政府の立場として控えたいというふうに思いますけれども、私どもとしては、解散については憲法に基づいて粛々と行わせていただいている、恣意的解散は行ったことはないというふうに思っています。
○谷田川委員 お立場上、恣意的解散を行ったことはないと言わなきゃならないのはわかりますが、非常に良識ある政治家だと私は菅長官のことを信じておりますので、ぜひ、これから先、恣意的な解散がないということを期待したいと思います。
そこで、資料三を見てください。現行憲法下で総選挙が全て任期満了で行われたとしますと幾ら節減できたかを国会図書館で試算してもらいました。一回当たりの衆議院選挙が六百六十八億円かかると計算して、七回分の額が節減できるので、何と四千六百七十六億円なんですね。
さて、今月二十二日から、白血病の新型治療薬キムリアが公的医療保険の適用となりました。投与は一回で済みますが、価格は三千三百四十九万円で、一回当たりの薬価としては過去最高だそうです。
これに関して、麻生財務大臣が二十一日に、次のように記者の皆さんに言い放っています。よく言われる費用対効果、高額の医療をやって存命された存命期間が何年です、大体数カ月、そのために数千万の金が必要なんですかとよく言われる話ですがとおっしゃったんですね。私はこれを聞いて唖然としました。命を費用対効果で語っていいんでしょうか。
このキムリアという薬は、対象患者数が最大で年間二百十六人で、販売額は年間七十二億円と予想されています。また、本庶佑教授がノーベル賞を受賞して有名になったあのオプジーボの一人当たりの年間薬剤費は約一千九十万円ですから、推定患者数が一万人としますと、年間一千九十億円かかります。
ということは、任期満了で衆議院選挙をやっていれば十分賄えることができ、お釣りが来るくらいなんですよ。
先日、二階幹事長が解散の大義は一日あったらつくると語ったようですけれども、そんな自分勝手な選挙をする国家予算があるなら、それよりも国民の命に直結する方に使うべきだと私は思います。
政治家にとって、自分の権力を維持することより人の命を救うことが大事だと私は思いますが、官房長官はいかがでしょうか。
○菅国務大臣 いずれにしろ、そうした新しい新薬によって命を続けることができる、そうしたことは極めて大事だというふうに思っています。
ただ、その薬も、効率的な中で、国民の皆さんに納得いくところで使用されなきゃならないというふうに思っています。
先ほどオプジーボのお話がありましたけれども、当初三千五百万だったんです。それで、二年に一回の薬価改定でした。総理と私自身、相談をさせていただきまして、そこは、最初は数百人だった、それが一万人になっても薬価が変わらないという、これは国民の皆さんに理解をされないという形で、現在は、薬価については年四回そうした見直しを行うことができる仕組みをつくらせていただきました。そこは、その点、物すごく大事なことだというふうに思っています。
○谷田川委員 恣意的な解散は考えられないとおっしゃり続けている官房長官に、私はあえて提言したいと思うんです。
令和の時代、この間、ちまたで、新しい時代には新しい民意でというのが解散の大義になるとおっしゃった方がいたという話をしましたが、私は令和の時代こそ新しい政治システムだと思うんですよ。やはりある程度、よっぽどのことがない限り、衆議院の任期は四年。
残念ながら、日本の政治は国家百年の計がない、長期的ビジョンがない、そう言われ続けています。この間、水田三喜男さんが衆議院本会議で自民党の代表質問をしたときの話を紹介させていただきましたが、やはり今、解散風が吹いているので、議員の方は落ちつかないんですよ。ですから、こういうときこそ、新しい時代は新しいシステム。
来年、オリンピックがあります。オリンピックは四年に一遍なんですよ。ワールドカップも、今四年に一遍のを二年に一遍にしようという話もあったらしいですね。だけれども、二年に一遍だと重みがなくなる、だから四年に一遍だというんですね。
ですから、令和の時代、私は、オリンピックも四年に一遍、衆議院総選挙も四年に一遍、そういうのを確立すべきじゃないか、そう思いますが、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 貴重な御意見として伺っております。
ただ、国会の中で改革しなきゃならない点というのは、これは与野党を問わず、たくさんあると思います。そうしたことについてはやはり一つずつ、これを一つの契機としてよい方向に進めていくということも大事だと思います。
○谷田川委員 一番最後の、過去二十四回、いつ、どういう時期に解散をやったというのをまとめましたが、この間、トランプ大統領と安倍総理が相撲を観覧されまして、それを見ながら、私もこの表を見ながら思ったんです。
自分の手で二回続けて解散して三回以上総理になった人を数えてみたんですよ。そうすると、吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎、安倍晋三、六人いるんですね。大関になって二場所続けて優勝すると横綱になりますよね。ですから、総理大臣になった段階で大関になった、そう考えれば、まさに今、安倍晋三さん、安倍晋三総理は横綱ですよ。残念ながら、民主党政権、一回政権をとりましたけれども、大関になりました、しかし、二回続けて総選挙で負けて大関陥落、そして、この間も負けたので三役からも陥落して、今、平幕ですよ、平幕。
ですから、私は安倍総理はやはり横綱相撲をとってほしいと思います。平幕相手に蹴手繰りだとかあるいは張り手だとか、そういうような奇襲はやめていただきたい。やはり、堂々と相手とがっぷり四つに組んで、お互いの力を出し切る選挙にしなくてはならないと思いますが、最後に官房長官の御感想をお聞きして、私の質問を終わります。
○菅国務大臣 野党の皆さんを私どもは平幕だとは全く思っておりません。まさに堂々と真っ正面から議論を交わしながら国の前進になれればいい、こういうふうに思っています。
○谷田川委員 どうもありがとうございました。
○牧原委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 岡山から参りました高井でございます。
きょうは、内閣委員会で質問に立たせていただき、ありがとうございます。
それでは、早速質問に入りますが、最初に、やはり先日のトランプ・アメリカ大統領の来日について少しお伺いしたいと思います。
おもてなし外交ということで、しかし、いろいろなメディアを見ていると、異例のおもてなし、破格のおもてなし、あるいは、朝日新聞は社説に、度が過ぎるとまで書いております。
いろいろ賛否は国民の皆さんにもあると思っていますけれども、まず、おもてなしによる成果がどれだけあったかということが一つ重要だと思いますが、ただ、その前に、やはりこれは、どのくらいそのおもてなしにかかったかということも国民の皆さんは大変関心がありますので、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
今回の国賓としてのトランプ大統領の来日に関してかかった経費、費用というのは幾らでしょうか。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
今回のトランプ大統領の国賓招待における所要額でございますけれども、ただいま精算中でございますので、所要額を申し上げるのは困難な状況でございますが、過去の国賓の実績ということで申し上げますれば、所要額は、これは代表団の規模ですとか滞在期間によって違ってきますけれども、外務省といたしましては、一件当たり二、三千万円程度をこれまで負担しております。
○高井委員 過去は私も調べました。大体、新聞にも二千五百万とか、あと、一昨年のトランプ大統領来日のときは二千八百万と聞いていますが、しかし、それと比べて今回どうかということですので、それは精査中というのは。
それでは、ちょっと全体は、確かにいろいろな、警備の経費とかも出せないのかもしれませんので、個別に通告していますので、二つの点を聞きたいと思います。
非常に大きく話題になった、一つはゴルフですね。ゴルフ場に行って、あれを見る限り貸切りだったような気がするんですが、これは貸切りだったのか、そして、それにかかる経費はどのくらいだったのか。それから大相撲ですね。大相撲も、あそこの升席をかなり関係者が占めていたということで、あそこにかかった費用が幾らで、それから、あそこにどういう方々が座っていたのか、そういう招待とかがあったのか。あわせて、この経費ですね、何か椅子だけでも、報道によれば、四脚で二百万円、特注でかかっているそうですけれども。この相撲にかかる経費とゴルフにかかる経費、今私がお尋ねしたことを、通告してありますのでお答えください。
○船越政府参考人 お答え申し上げます。
トランプ大統領訪日の際のゴルフの費用につきましては、現在精算中でございまして、所要額についてお答えすることは困難でございます。
大相撲観戦につきましては、日本相撲協会の協力により実現したものでございまして、日本相撲協会を始めとする諸団体との関係等からお答えを差し控えたいと存じますが、委員からの御指摘がございました、どういう方が随行していたのかにつきましては、例えば、アメリカ側の公式代表団、あるいは日本側の代表団という方々につきましては、ともに観戦をしておったところでございます。
○高井委員 相撲協会の協力によってという答えも何か釈然としないわけですけれども。これはぜひ、きょうの時点ではまだ答えられないということでしょうけれども、先ほど、過去の国賓の経費というのはちゃんと数字が出ているわけですから、やはりこれと今回どうだったのか、特にゴルフとか相撲の部分ですね。非常に、あれだけメディアにも取り上げられ、多くの国民の皆さんが知りたいところだと思いますので、ぜひ、いずれかのタイミングで、まとまったら出していただきたいというふうに思います。
こういった、きょうは経費の部分は明らかになりませんでしたけれども、やはり、先ほどから言っていますように、メディアでは本当に、破格とか異例とか、そういう言葉ばかりがどのメディアもついていました。それだけの成果が果たしてあったのかということを政府に問いたいと思いますけれども、いろいろ、もちろん、成果はあったんだろうと官房長官もお考えだと思いますが、しかし、その話はおいておいてというか。
一点だけ私がお聞きしたいのは、やはり、トランプ大統領がゴルフの後のツイッターで、貿易交渉で大きな進展を得つつある、これはしかし、七月の選挙まで待つと言われたわけですね。それを大統領から言われるのはちょっと想定外だったんじゃないかと推察しますが、あるいは、八月にはすばらしい発表をされるとか、TPPには縛られないというような言葉も出ています。
この部分だけを見る限り、これはどう考えても、国益に資するおもてなしだったのではなくて、安倍政権にとって、あるいは自民党にとってはそれは都合がいいのかもしれませんけれども、それをかち取るためにこれだけのおもてなしをしたということであれば、これは大変な問題だというふうに思いますけれども、官房長官、いかがですか。
○菅国務大臣 いわゆる日米間の貿易、それをかち取るためということじゃなくて、そうしたことも一つはあるんでしょうけれども、しかし、これから、日米同盟の大切さ、そして、対北朝鮮問題とかあるいはイラン問題とか、まさに国益にかなう、また世界から見ても極めて重要な問題について、率直な意見をトランプ大統領と安倍総理の間で交わした、このように思っております。
ですから、大統領のツイッター一つ一つに私どもが答えることは差し控えますけれども、ただ、いずれにしても、基本というのは、大統領と総理がかつてこの問題について会談した際の共同声明というのが出ていますよね、お互いにウイン・ウインの関係でここはまとめる、それが基本であります。
○高井委員 全体はいいんですよ。全体としていろいろな成果があったということは私も認めます。もちろん、いろいろな意見があります。
ただ、やはり、七月まで待つということは、これはどう考えても、参議院選挙の後まで待つということは、何ら我が国にとって利益はない、あるいは、待ってあげることによって更に追加の条件が向こうから出てくるということも推察されるわけで、この点については国益ではないということはお認めいただけますか。
○菅国務大臣 まず、八月とかそういうことが出たことを、そのとおりになるかならないというのは、これはお互いに交渉を進めるわけでありますから、結果としてウイン・ウインの結果にする、茂木大臣とライトハイザー特別代表との間でもそうしたことを進めておるわけでありますから、参議院選挙が終わるまで待つとかそういうことではない、こういうふうに思います。
○高井委員 いやいや、もう明確に言っていますよね。トランプ大統領は非常にはっきりした方で、ツイッターで言っているのは公式じゃないということは通らない方というか、もう世界的にツイッターでの発信を皆さん見ているわけで。ここはやはり、まあ、これ以上やっても水かけ論だと思いますが。
野党の各党の代表もこの点は大変問題視していて、そして、どういう約束をしたのかということを明らかにして、それで参議院選挙を戦っていただくということがやはりフェアだと思います。そういう意味でいえば、この場でもいいですけれども、やはり予算委員会をしっかり開いていただいて、この件も含めてさまざまな課題、もう九十日近く予算委員会が開かれていない、これも非常に異常なことだと思いますので、ぜひその点は、政府からも、予算委員会を開いてくれと、むしろ積極的に説明するぐらいの姿勢で臨んでいただきたいと思います。
それでは、私も、先ほど谷田川さんが質問したことを質問しようと思っています。まず衆議院の解散の件ですけれども、これは、もう法制局長官が答えているのかもしれませんけれども、菅官房長官も、あるいはいろいろな方が、内閣総理大臣の専権事項なんだということをおっしゃるわけですけれども、法制局としても、解散は内閣総理大臣の専権事項という認識でしょうか。
○横畠政府特別補佐人 以前もお答えしたと思いますが、衆議院の解散に関する憲法上の根拠ということであれば、衆議院の解散は憲法第七条の規定により天皇の国事に関する行為としてされているところ、実質的に衆議院の解散を決定する権限を有するのは、天皇の国事に関する行為について助言と承認を行う職務を有する内閣そのものでございます。
お尋ねが、法的には内閣の権限であるものについて、なぜ総理の専権事項と言えるのかということであれば、それ自体は法律上の用語ではございませんけれども、衆議院の解散権というものについては、これまでもお答えしているとおり、内閣が、国政上の重要な局面等において主権者たる国民の意思を確かめる必要があるというような場合に、国民に訴えてその判定を求めることを狙いとし、また、立法府と行政府の均衡を保つ見地から、憲法が行政府に与えた国政上の重要な権能であると考えられるところ、そのまさに政治上の重要性から、憲法の規定により、国会の指名を受けて、国務大臣の任免権を有して内閣を組織している内閣総理大臣自身の判断こそが決定的に重要であるという一般的な共通理解があるということではないかと考えられます。
○高井委員 何かわかりにくくというか、済みません、専門的でというか。もう一度聞きます。内閣総理大臣の専権事項であるという言葉は、法制局としてもその認識ですか。
○横畠政府特別補佐人 それ自体は法令用語、法律用語ではございませんけれども、一般に、解散権の行使の政治上の重要性ということに鑑み、内閣総理大臣、内閣を現に組織している内閣総理大臣自身の判断こそが決定的に重要であるという一般的な共通理解があるというふうに考えられるところでございます。
○高井委員 まあ、法制局長官に法的用語じゃない一般的な話をこれ以上聞くのもあれですし、それを答弁されるのもどうかと思うんですけれどもね。法制的には、だから、法律的にはやはり違うということですよね。
ぜひ、先ほど谷田川さんが私と同じことをもうおっしゃっていただいていたので余り繰り返しませんけれども、解散は総理の専権事項というのが本当に当たり前のように使われてしまっていることが、国会の場でも、本会議でもこの間どなたか答弁されていたと思うんですけれども、やはりそこは、国会の場ではしっかりと正確に使うべきではないかなと思いますし、また、その言葉がひとり歩きすることによって、何か総理がとにかくフリーハンドで何でも決めていいんだ、人によってはうそをついてもいいなんていうことを言う、マスコミでそんなことを言う人もいて、そんなことはやはりおかしいし、国民の皆さんをミスリードしていますよね。
先ほど言ったように六百何十億の税金がかかるわけですし、国民の皆さんの民意を見て、そして総合的に判断するのは構いませんけれども、やはり、そういう解散の大義であるとか、こういったことも含めてきちんと議論をしていかなきゃいけない。そういうことを、政府が、特に官房長官がミスリードをするような言い方はやめていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
○菅国務大臣 私自身は、私の方から解散に言及したことはありません。それはマスコミから会見で聞かれたときに、私は、今のこの憲政、憲法上のことで話をさせていただいただけであります。
○高井委員 いえいえ、専権事項という言葉を使うのを私は控えるべきだと。国民の皆さんをミスリードするので、やはり政府を代表して記者会見などでする場合、あるいは本会議の答弁とかでそういうことを言うのは私はいかがかと思いますので、指摘しておきたいと思います。
それでは、もう一つ、法制局長官に伺いたいんですが、憲法五十三条というのがあります。これは、臨時国会を召集する、衆参いずれかの四分の一の要求でできるということで、二年前に我々野党で要求しましたけれども、結局、九十八日間も開かれなかったということであります。さらに、その日に解散して、その後の特別国会まで数えると実に合計百三十一日、国会が開かれなかったんですが。
これは、実は、このことについて横畠長官に二月十四日の予算委員会で、これは憲法上の義務なのかということの趣旨の質問をして、そのときに、合理的な期間を超えない期間内に臨時国会を召集しなければいけない、これは憲法上の義務だというような答弁だったんですけれども、改めて、その答弁、そのとおりでよろしいでしょうか。もう一度答弁をしてください。
○横畠政府特別補佐人 昨年二月のことかと思いますけれども、憲法第五十三条後段につきましては、まさに条文上、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と現に規定しているわけです。このことはまさに、すなわち、憲法に規定されている義務と言うことができるのではないかということをお答えしたところでございます。
その義務ということから、じゃ、どのような義務内容であるのかとか、あるいは、どのような場合にその義務に違反したことになるのかであるとか、さらには、その義務に違反した場合の法的効果でありますとか、その責任がどのようなものであるかというのは別の事柄でございますけれども、条文がそうなっておりますことから、そのようにお答えしたところであり、また、その憲法に規定されている義務の中身としましては、従前からお答えしているとおり、内閣は、臨時会で審議すべき事項等を勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に臨時会の召集を行うことを決定しなければならないものと理解しているところでございます。
○高井委員 実は、私、これを訴訟しているんです。憲法五十三条、憲法違反じゃないかということで訴訟しておりまして、そうすると、国の弁明は、これは法務省が担当していますけれども、これは法的義務じゃないと言っているんですね。政治的な責任を負うけれども、法的な責任を負わない、法的義務ではないと。これは今の長官の答弁と違う、閣内不一致じゃないですか。
○横畠政府特別補佐人 先ほどお答えしたとおり、憲法第五十三条後段の規定がまさに憲法に規定されている義務と言うことができるのではないかというふうにお答えしたわけで、私自身、法的義務であるという言い方をしたことはございません。過去、法制局においても、そのようなお答えをしたことはないと思います。
あえて申し上げれば、御指摘の答弁においては、それに違反した場合に何か法的責任が生ずると誤解されるおそれがある法的義務という言葉はあえて用いなかったということでございます。
○高井委員 それでは、長官も、これは法的義務ではないけれども、法的な責任ではない、法的責任はない、政治的責任を負うのみでいい、この憲法五十三条後段は政治的責任のみを負えばいいという法制局としてのお考えですか。
○横畠政府特別補佐人 先ほどお答えしましたけれども、憲法第五十三条後段は、「内閣は、その召集を決定しなければならない。」という義務的な文言で規定されていることから、それについて、憲法に規定されている義務と言うことはできるというふうに考えられるところでございますけれども、さらにその先、先ほども申し上げましたけれども、その義務内容がどのようなものであるのか、すなわち、どのような場合にこの義務に違反したことになるのか、さらには、これに違反した場合の責任、法的効果がどのようなものであるのかというのは別の事柄と考えられるところであり、法制局として答弁申し上げたところは、憲法第五十三条の規定に則したところと、さらには、その義務の内容としては先ほどお答えしたところであるというふうに考えているというところまでお答えしているところでございます。
その先につきましては、先生、裁判もされているということでございますれば、それは裁判所の判断というのもあろうかと思いますので、今ここで私どもの、法的責任か政治的責任か等々のことについて申し上げることは差し控えたいと思いますが、憲法自身には、その法的効果について何も規定がないということは事実でございます。
○高井委員 これは本当におかしいと思いますね。憲法上、召集しなければならないとはっきり書いている。一方、解散はそこまで書いていないので、この解散権については、統治行為論という裁判所の判断、これも非常に評判が悪くて、憲法学者や法学者の間では、最高裁、どうなっているんだ、こんな統治行為論を乱発するようでは最高裁判所の意味がないじゃないか、違憲審査の意味がないじゃないかという議論にまでなっています。
この五十三条まで、私は、法的義務はないとか法的責任はないといって政治的責任だといったら、本当に、もう憲法は成り立たないと思いますね。これは法務省と法制局、どこまで相談してやっているかわかりませんけれども、相当法務省も苦しい言いわけで、これはかなり、やはり法学界からは問題視されていますので、ぜひ政府として、もう一度しっかり検討していただきたいと思います。
それでは、もう大分時間がなくなってしまいまして、平井大臣もきょう来ていただいているので、ちょっと省庁再編の話と、あと巨大IT規制、いわゆるGAFAと言われるデジタルプラットフォーマー、これの新たな組織が内閣官房にできるということで聞いておりますけれども、私も、組織をつくるのはいいし、あと自民党ではデジタル市場競争本部なるものを立ち上げようと提言もされている、あるいはサイバーセキュリティー庁をつくろうという提言もされていると聞いていますけれども、こういった、私は、新組織を、ITは本当に重要ですから、束ねる組織というのはあった方がいいと思うんですね。
今回も、でも、IT総合戦略室という平井大臣が所掌しているところのほかに、巨大IT規制の組織をわざわざつくるということなんですけれども、ここは、官房長官と平井大臣、それぞれおられますけれども、こういったIT分野を統合した、経団連からも情報通信省という構想も出ておりますので、こういったものをつくっていくということを、IT政策全般の見地からもぜひ御検討いただきたいと思うんですが、平井大臣、来ていただいていますので、ちょっと御所見を。
○平井国務大臣 組織の検討に関しては、私、所管しているわけじゃないのでお答えできませんが、今、ITを担当する大臣として考えておりますのは、委員とも一緒につくりました官民データ活用推進基本法の中に、もうあの当時、既に、要するに情報のセルフコントロール権、情報銀行、パーソナルデータストアというのを頭出ししたのは、いずれ、やはりGAFAみたいなものが世界を席巻したときに、人間、国民中心に考えた情報の扱い方というものを議論すべきだと。それが今世の中に出てきて、既に情報銀行とかもスタート、始まりました、またデータ取引市場もスタートしました。これは日本発の、GAFAが席巻する今のデジタル市場の中で新しい考え方だと思うんですね。
また、先週、一緒にまた御協力させていただいて、正式名は長いですけれども、デジタル手続法案、この附則の中に、内閣官房へ予算の要求段階から一元化するということを明記していただいた意味は、やはり、全省庁に対するIT調達、これは、データの仕様とか、またセキュリティーであるとか、アーキテクチャーがやはり制度変更に耐え得るかとか、これも省庁横断で取り組まなきゃいけないことだと思います。
もうまさに令和の時代になったので、これから更にデジタル化が加速していく中で、当然、どのような体制でそれをやっていくのがいいのか、これはまた国会で議論をしていただくことだと思います。ただ、間違いなく変化が加速化しておりますので、我々も今持っている組織内で全力で仕事をさせていただきたい、そのように思っています。
○高井委員 平井大臣はこれだけITのことはお詳しいわけですけれども、この巨大IT規制の組織というのは茂木大臣のところになるとちょっと聞いたんですけれども、社会本部でしたっけ。こういうふうに、やはり、いろいろ所掌が分かれて、組織も分かれ、大臣も分かれているとなると、一貫的なITの政策というのができませんので、組織を担当するのは違うと平井大臣、それはそのとおりかもしれません、だからこそ、官房長官にも、ぜひ、きょうは聞いていただきたいと思ったわけです。
やはり官房長官もITの分野は造詣深いと思いますので、本当にばらばらにつくると、IT業界はみんな、どうなっているんだと。世界は、特に米中の戦いというのは、もう情報通信分野の戦争だと言われていて、そこに日本がやはりまだまだ乗りおくれているという感じがいたしますので、ぜひここは官房長官にもリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
もう時間が大分限られてきましたので、もう一つ、省庁再編の話で、これも申し上げておきたいんですけれども、菅長官には全般的な話しか聞けないということだったんですけれども、あえて私からぜひ長官に聞いていただきたいのは、本会議でも私取り上げましたけれども、防災省です。
これは、私、イタリアに行ってきました。イタリアというのは日本の人口の半分ですけれども、実は七百人の防災省という組織があって、そこにも行ってきましたけれども、立派な建物に、ちゃんと常駐で七百人職員がいて、かつ、ボランティア団体が五十幾つ、部屋が与えられて入っているんですね。すぐに、発災と同時に動き出す仕組みができている。そして、やはり、日本も、内閣府、九十人です。二、三年置きに人がかわります。これじゃ専門性も育たない。
災害大国日本、イタリアと同じですね、しかし人口は倍ですから、やはり、こういう組織をつくるべきときに来ていると思いますけれども、ぜひ菅長官にお考えをお聞きしたいと思います。
○菅国務大臣 日本は災害の極めて大きな国であります。この防災省という話、党内からもそうした話もあるわけですけれども、ただ、現実問題として、我が国、防災への対応を考えたときに、やはり、最初に出動してもらうのが、消防だとか警察とか、あるいは自衛隊だとか、そうした皆さんにとにかく現地に行っていただいて、さまざまな対応をしていただきます。当然、内閣官房の防災の担当者も行くわけでありますけれども。
ですから、あくまでも、この指揮というのは、これは総理大臣でなければ、自衛隊とか警察、各省庁にまたがりますので、そうしたことを考えて、一番機能的に対応することのできる組織というのは、ここは極めて大事だと思っていますので、そうした点、あるいは、各省庁に、常にそこの地域に土地カンのある人間がそういう災害が発生したら行ってもらうような、そうしたチーム等もつくりながら、国民の皆さんの安全、安心をしっかり守っていきたいと思います。
○高井委員 復興庁の後継組織の話もありますし、私は、省庁再編、そろそろやってもいい時期じゃないかと思います。ぜひ、これは官房長官がリーダーシップを発揮しないとできないと思いますので、ちょっと真剣に、今の点、検討してください。
では、もう時間がありません。最後にちょっと、どうしても聞いておきたい。
岡山県から実は提案が来ていまして、同じ災害の関係ですけれども、昨年、西日本豪雨災害で岡山は大変な水害に遭いました。そのときに、私も痛感したんですけれども、災害救助法の応急救助という制度がありますが、その制度だと、水につかった家の外壁とか床の補修はできるんですけれども、家の中の内壁とか畳については外壁とかとセットじゃないとできないというような、何か変なルールがあって、なかなか不便だったという実態があります。
あるいは、生活必需品が被災者に支給されるんですけれども、炊飯器とか日用品とかは出るんですけれども、やはり、炊飯器までいいんだったらエアコンとか冷蔵庫とか、あるいは学用品も出るんですけれども、ランドセルとか制服は対象外と、非常に使い勝手が悪いという話を私、現地でもたくさん聞きました。
あと、上限額五十八万四千円では、ほとんど、八三%が超えてしまった、つまり一七%しか対象にならなかったという実態があるんです。
ぜひ、この辺を見直していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 変なルールは即時改正するのは当然のことでありますし、また、現場の皆さんからのそういうお声に一つ一つ迅速に応えるのが政府の責任だと思いますので、しっかり受けとめ、そして実行させていただきます。
○高井委員 最後に大変貴重なお言葉、ありがとうございます。
質問を終わります。ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、佐藤茂樹君。
○佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。
きょうは、内閣委員会で質問をさせていただく機会をいただきまして、大変にありがとうございます。
まず初めに、昨日二十八日の午前七時四十五分ごろでございますが、川崎市多摩区登戸駅近くで、スクールバスを待っておられた児童を始め十九人の方が刃物を持った男に襲われて殺傷される、そういう痛ましい事件が起きたわけでございます。
亡くなられたお二人の方を始め、心から哀悼の意を表したいと思いますし、被害に遭われて負傷された方々に対しまして心からお見舞いを申し上げたいと思うわけでございますが、ぜひ、政府として、今後こうした事件が二度と起こらないように、小中学校だけじゃなくて、幼稚園又は保育園等も含めて、登下校時の安全確保、さらには事件の全容解明に万全を尽くしていただきたいと思いますし、さらに、今回対象となったこういう児童の皆さんの心のケアについても迅速に対応していただきたいとお願いを申し上げたいわけでございます。
きょうは、山本国家公安委員長また宮腰大臣を中心に、高齢運転者の事故防止対策を中心に、交通安全対策に絞りまして質問をさせていただきたいと思うんですが、昨今、大変痛ましい交通死亡事故が続いております。ゴールデンウイーク前の四月十九日には、豊島区東池袋で、八十七歳の高齢運転者が運転する車が暴走して、親子二人がお亡くなりになり、また十人が重軽傷を負うという事故が発生をいたしました。五月八日には、滋賀県の大津市で、県道交差点で車二台が衝突し、そのうち一台がはずみで保育園児の列に突っ込み、十六人が死傷する、そういう事故が発生をしたわけでございます。
改めて、お亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷された方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げたいと思います。
こうした痛ましい事故が絶たないわけでございますが、まず、交通安全対策、警察庁も含めて管轄をされておられる山本国家公安委員長に、昨今のこの痛ましい交通事故に対してどのように感じておられるのか、御所見を伺いたいと思います。
○山本国務大臣 お答えをいたします。
まず冒頭、昨日の事件のこと、佐藤委員からお話がございました。
けさ、関係閣僚会議を開催いたしまして、総理から、徹底した捜査による全容解明、関係省庁との情報の共有をしなさい、あるいはまた通学路の安全確保を徹底しなさい、さらには不審者情報の共有、迅速な対応の徹底をしなさいという御指示がございました。我々警察庁としても、全力を挙げて全容解明に取り組んでまいりたいと思っております。
さて、今ほどのお話でございますけれども、豊島区や大津市などで大変痛ましい事故が発生をいたしました。このような形で最愛の御家族を突然亡くされた御遺族のお気持ちを思うと、本当に言葉もない状況でございます。
警察におきましては、交通安全教育や広報啓発、指導取締り、交通安全施設の整備等を実施してきたところでございますけれども、依然として交差点や通学路において幼児や児童を含む歩行者が危険にさらされている現状、これを重く受けとめているところでございます。同時に、高齢運転者による交通事故防止対策は喫緊の課題であるというふうにも認識をいたしております。
こうした悲惨な交通事故が繰り返されることがないように、関係機関、団体と連携しつつ、交通事故防止に向けて一層の取組を行うよう、警察を指導してまいりたいというふうに思っております。
○佐藤(茂)委員 それで、高齢運転者の交通事故防止対策に入っていきたいと思うんですが、特に四月にありました池袋の事故、これは加害者が八十七歳の高齢運転者であったということでございます。
高齢運転者による事故に対する取組というのが求められる論調が非常にマスコミまた社会の中で高まってきているわけですが、しかし、そうした取組は実は今に始まったわけではないんですね。
具体的にもうちょっと、直近でいいますと、平成二十八年の十月二十八日に、横浜市港南区で認知症を患った八十八歳の高齢男性が運転する車が前方を走行中の車に衝突し横転して、そのまま登校中の十人の小学生の列に突っ込み、うち一人の男児が亡くなるという事故が発生いたしました。
この事故をきっかけとして、政府は、この二十八年の十一月に高齢運転者による交通事故防止対策に関する関係閣僚会議が開催をされました。その際、安倍総理から三点の指示があったわけであります。一点目は、改正道路交通法の円滑な施行。二点目は、社会全体で高齢者の生活を支える体制の整備。三点目は、さらなる対策の必要性の検討でございました。
さらに、その関係閣僚会議の後、同じ月に、交通対策本部のもとに高齢運転者交通事故防止対策に関するワーキングチームが設置をされたわけでございます。そして、平成二十九年一月には高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議が開催され、その年の、二十九年の六月には高齢運転者交通事故防止対策に関する提言が取りまとめられたという。
約二年半前のことを私は申し上げているんですけれども、このように、高齢運転者による交通事故防止対策というのは今回の池袋の事故がきっかけではないわけで、それからもう二年半の月日が経過をしているわけでございます。
さまざまに、関係省庁、議論をされてきているわけでございますし、取組もされてきております。しかし後を絶たないということであるならば、もうそろそろ、しっかりと、検討状況からもう一歩踏み込んで結論を出して、総合的な対策を本腰を入れて実行に移す、そういう段階に来ているのではないかと思うんですが、宮腰大臣の見解を伺いたいと思います。
○宮腰国務大臣 佐藤委員の方から、るる過去の経緯等について御説明がありましたが、平成二十八年十一月の高齢運転者による交通事故防止対策に関する関係閣僚会議における総理の指示を踏まえまして、同月、交通対策本部のもとに関係六省庁の局長級による高齢運転者交通事故防止対策ワーキングチームを設置し、事故防止のための対策を取りまとめ、推進してまいったところであります。
その後、毎年ワーキングチームの会合を開催し、毎年度のフォローアップを行うとともに、関係省庁と一層密に連携し、高齢運転者による事故対策を進めてきたところであります。
しかしながら、先月、豊島区で、八十七歳の男性が運転する車により横断歩道を渡っていた親子が亡くなる痛ましい事故が発生するなど、高齢運転者による事故が続いているのが実態であります。
このような状況を踏まえ、先週、五月二十一日に、昨今の事故情勢を踏まえた交通安全対策に関する関係閣僚会議が開催されまして、総理からは、高齢者の安全運転を支える対策のさらなる推進、高齢者の移動を伴う日常生活を支える施策の充実等について早急に対策を講じるよう指示がありました。
総理指示を踏まえまして、関係省庁において、新たな技術の進展なども考慮しつつ、さらなる対策を講じるため、同日、交通対策本部長として、関係省庁の局長級のワーキングチームを設置いたしまして、直ちに第一回の会議を開催したところであります。
関係省庁と連携して、今後、対策を早急に取りまとめまして、高齢運転者事故防止対策を始めとする交通安全対策に一層強力に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○佐藤(茂)委員 具体論について私も考えるところがあるので、後半で何点か、具体論について議論をさせていただきたいと思うんですが、その前に、五月八日の滋賀県の大津での保育園児が被害に遭った事故を踏まえまして、警察庁では五月十三日に警視庁交通部長と各都道府県警本部長宛てに通達を発信された、そういうふうに伺っております。その後に、今、宮腰大臣からもありましたように、五月二十一日には関係閣僚会議がありまして、総理から三点の指示も出されました。
その中で、従来の、平成二十八年のときの総理の指示に加えて、未就学児を中心に子供が日常的に集団で移動する経路の安全確保方策の早急な取りまとめということが新しい要素として入っているわけですが、きょうは他省も聞いている時間がありませんので、警察庁から、滋賀県大津市の保育園児が巻き込まれるというこの事故を受けて、どういう通知をどういう目的で出されて、具体的にどのような指示を出されたのか、警察庁に伺いたいと思います。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
本年五月八日に滋賀県大津市で発生した交通事故など、特に次代を担う子供のかけがえのない命を社会全体で交通事故から守ることが重要であるにもかかわらず、依然として交差点において子供が危険にさらされている現状を踏まえ、交差点における交通安全の確保に向けた道路交通環境の改善を目的といたしまして、五月十三日、警察庁から各都道府県警察に対して通達を発出いたしました。
その内容でございますが、具体的には、関係機関と連携して、一つには、これまでに子供を当事者とするような交通事故が発生した箇所、そうした箇所と同じような道路環境が存在しないか、さらにもう一つには、そのような場所がある場合、そのような場所についてとるべき安全対策はないかというようなことにつきまして、確認、点検を行うよう指示いたしております。
○佐藤(茂)委員 そこで、本題の高齢運転者の交通事故防止対策に入っていきたいと思うんです。
資料一を用意させていただきました。これは平成三十年に起こった高齢運転者の死亡事故を分析しているんですが、死亡事故を起こした運転者、七十五歳以上の内訳、円グラフ、ちょっと白黒で見にくいんですけれども、運転者数が四百十四人、合計でいらっしゃるわけですが、このうち、認知症のおそれがあるとされるいわゆる第一分類に該当する方が二十人、四・八%。認知機能低下のおそれがあるとされる第二分類に該当する方が百八十四人、四四・四%でございます。
実は、それ以外の、認知機能低下のおそれがないとされる第三分類の方が二百十人、五〇・七%となっておりまして、死亡事故を起こした方の約半数以上が第三分類に該当する方による死亡事故であったということでございます。
池袋の事故もそうだったんですが、池袋の事故の八十七歳の加害者男性というのは、直近の二〇一七年の免許更新時における認知機能検査で、問題なしとの判定がなされていたわけですね。
ですから、今までの改正道路交通法、これも極めて私は大事だと思います、認知機能に着目したこういう対応というのは着々とやってもらいたいと思うんですが、しかし、例えば、さきに触れました高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議が取りまとめた提言では、認知機能以外に着目した、それが運転機能にどういう影響を与えていくのかということに着目した検討を警察庁の有識者会議の中でもされております。
例えば、視野障害を伴う眼科疾患は加齢により増加し、自覚しないまま進行することが多い視野障害によって、信号を認識できなくなるなど、交通事故を起こすリスクがあるとの指摘がある、こういう点も挙げられております。
さらにもう一つは、加齢に伴う反射神経の鈍化や筋力の衰え等によって、ブレーキを踏みおくれたり、ブレーキの踏みが弱かったりするほか、高齢運転者は、運転中の視線方向変化数が少なく、頭部運動を伴う安全確認が不足しやすいなど、交通事故を起こすリスクが高まるとの指摘がある旨が、この有識者会議の中でも触れられているわけでございます。
平成三十年の、七十五歳以上の高齢運転者による死亡事故の人的要因別件数というのを、二枚目の資料二につけさせていただきました。この左側の棒グラフが七十五歳以上の高齢運転者なんですけれども、これによりますと、七十五歳未満の高齢運転者の右側と全く違う要因というのが、七十五歳以上の高齢運転者による死亡事故の人的要因として、一番上の操作不適によるものというものが三〇%と、最も大きな要因となっているわけでございます。
こうした現状を鑑みましたときに、平成二十九年三月の道交法の改正で導入した認知機能検査のみでは、高齢運転者による事故の防止というのは抜本的に防ぐことはなかなか難しくて、やはり、視野障害であるとか、あるいはその他加齢に伴う身体機能低下に着目した対策をとるということが急務ではないかと考えますが、警察庁の見解をお伺いしたいと思います。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
これまでの警察庁の高齢運転者対策でございますけれども、一つには、認知機能が低下した、その上で、認知症になった方が運転はできないということでございまして、全ての更新される高齢運転者の方に認知機能検査を受けていただいており、その中で、認知症の方に運転免許の取消しをすることのほか、認知機能の低下についても自覚していただくということを行っているところでございます。
さらに、その後に行われます高齢者講習におきましては、これは七十歳以上の高齢者の方になりますが、運転免許証の更新のときに、視野の検査、それから実車、実際に車に乗ってでの指導というものを行ってございまして、加齢に伴う身体機能低下について御自身で自覚していただくということを高齢者講習の中で行っているわけでございます。
しかしながら、現実問題といたしまして、先ほど委員からも御指摘のとおり、平成三十年中の、死亡事故を起こした七十五歳以上の高齢運転者を見ますと、約半数は認知機能低下にはおそれがないということになっているわけでございまして、高齢運転者の交通事故防止のためには、さらに、加齢に伴う身体機能の低下といった観点からも対策を講じていく必要があると考えてございます。
これも先ほど御指摘ありましたように、警察庁では有識者の検討会を開催して、実車試験の導入などにつきまして、高齢者の特性などに応じたきめ細かな対策について検討を進めておりますが、昨年度の検討会に続きまして本年も有識者の検討を行う中で、具体的な方策について取りまとめられるように努めてまいりたいと考えてございます。
○佐藤(茂)委員 ぜひ、後で時間があれば言いたいんですが、検討からもう一歩踏み込んでいただきたいな、それも私は、きょうは一貫して申し上げたいと思うんです。
高齢者の交通事故対策を考えましたときに、やはり一つは、今局長もおっしゃった、また、それぞれにお二人の大臣も言われたように、改正道路交通法の確実な施行によって、できれば運転に不安のある高齢運転者の運転免許の自主返納を推進していくということが対策として極めて大事だと思います。その前段階で交通安全教育も、しっかり教育していただきたいと思います。
その上で、運転免許の自主返納を推進するための環境整備として、二番目には高齢者の移動手段の確保をするということをしっかりとやっていただきたいと思います。
さらに三点目に、運転免許の自主返納をするといっても、地方に行けば、これはもう車がないと生活が成り立たない、生活の足として何ぼ高齢になっても自動車が必要だ、そういう方々、また地域もある実情があるわけでございますから、そうすると、高齢になっても安心なそういう車をしっかりとどう整備していくのか、それは事故防止に向けた対策のあり方の一つとして先進安全技術を搭載した安全運転サポート車のさらなる普及促進、これは後づけの装置も含めてですけれども、こういうことを三つ目にやはりしっかりやっていかないと。
さらには、高齢者の個々の特性に応じた、私は、海外の事例なども参考にしながら、限定条件付の免許の導入というものもやはりここで総合的にしっかりと取り組んでいく必要があるんではないか、こういう観点から、以下、時間の許す限り、具体論をお聞きしたいと思います。
一つは、運転免許証の自主返納推進と交通安全教育についてということで、実は池袋の事故の後、都内では特に急激に、自主返納者というのが非常にふえてきている、そういう情報もあります。警察庁としても、今まで広報活動であるとか、あるいは運転免許センター等に運転適性相談窓口を設置するなどして、運転免許証を返納しやすい環境の整備というものに取り組んでおられることはよく承知しているんですけれども、そこで更に各都道府県警察で先進的に取り組んでおられる事例をもう少し横展開していってもいいんじゃないかということで、一つ事例を挙げさせていただきたいのが、きょうの資料の三枚目に資料をつけさせていただいているんですけれども、実は福井県警察本部の取組について触れたいと思います。
これは、福井県警察本部では、自家用自動車を日常的に運転する原則七十歳以上の高齢者の方で運転を見直したい方、本人はそう意識していないんだけれども御家族が警察による安全運転指導を望まれる方、こういう方を対象に、運転する自家用車に貸し出したドライブレコーダーを設置してもらって一週間程度運転をして、記録された映像を見ながら交通安全指導を受けることができる、そういうことをされているんですね。この交通安全指導も、本人だけではなくて御家族も一緒に受講が可能、そういうふうにされているわけです。
こうした取組を行った受講者からは、九七・二%の方が受講してよかった、そして八〇%の方が運転の癖や悪いところがわかった、こういうことがアンケート結果から明らかになっているんです。
福井県警察本部の取組というのは、そういう意味では、高齢運転者本人の運転の癖や悪い部分を客観的に自覚して自主返納に向かうきっかけとなるのではないかというふうに考えるんですが、こうした好事例を多分警察庁としても把握されていると思うんですが、こうした事例については積極的に全国の各県警の警察本部に横展開することなども検討して、自主返納あるいは高齢者の交通安全教育につなげていくべきではないかと思いますが、警察庁の見解を伺いたいと思います。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
委員からただいま御紹介のございました福井県警察の場合でございますが、高齢運転者にドライブレコーダーを一定期間貸与いたしまして、その映像を活用しつつ、御本人やその御家族に対して安全指導を行うというものでございます。これは、御自身の身体機能の変化とともに、事故を起こしやすいみずからの運転行動を客観的に確認できるということで、有効な取組であると考えております。
最近では、他県、山形県、秋田県、山口県等におきましても、ドライブレコーダーの映像を高齢運転者への安全指導等に活用していると承知いたしております。
今後も、こうした効果的な取組につきまして、各都道府県警察間の情報の共有を図るなどしつつ、横展開と申しますか、高齢運転者による交通事故の防止対策を全国的に進めてまいりたいと考えてございます。
○佐藤(茂)委員 それとあわせて、安全運転サポート車の普及啓発というのがやはり急がれると思うんです。
この普及啓発については、政府・与党の中でも、たしか平成二十九年だったと思うんですが、副大臣会合なんかでも、このテーマに沿った中間取りまとめもされているんですけれども、交通事故の防止及び被害軽減のために、一つは衝突被害軽減ブレーキ、もう一つは自動ブレーキペダルの踏み間違い時加速抑制装置等の先進安全技術の活用も効果があるわけでございますので、政府としても、今、目標としては、二〇二七年までに九割以上、そういう目標を掲げて、新車乗用車販売における衝突軽減ブレーキ搭載率を高めていこう、そういう目標を掲げてされているというのを伺っております。
一方で、安全運転サポート車の普及に向けた地方自治体独自の取組があることにも注目をしたいと思います。
先週の道路交通法の改正の質疑では、自民党の金子委員の方から、御自身の岐阜県美濃加茂市の例を出されておりましたけれども、そういう自治体だけじゃなくて、例えば、きょう四枚目につけさせていただきましたけれども、わかりやすい資料だったのでこれを使わせていただきましたが、香川県、あるいは、東京檜原村、愛知県豊田市、刈谷市、鳥取県などにおいて、高齢者が先進安全自動車を購入する際に一定額の補助をする制度を導入している自治体があります。
これは香川県の例だけですけれども、ほか、年齢はそれぞれ都道府県で違ったりとかいろいろあるんですけれども、こうした補助制度は、高齢者の先進安全自動車への買いかえのインセンティブとなることが期待されるわけでございます。
実は、これは一般乗用車ではないんですが、国交省においては、平成三十年に、事業用車両を購入する等の場合に先進安全自動車導入に係る費用の二分の一の補助を実施していたというように承知しているんですけれども、まず、この補助制度の中身について、国土交通省から伺いたいと思います。
○島政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の、交通事故の削減や自動車の安全性向上には、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術の自動車への搭載が有効と考えてございます。
このため、国土交通省におきましては、自動車運送事業の安全総合対策事業の一つでございます先進安全自動車の導入に対する支援補助としまして、一たび事故が発生すれば甚大な事故につながるトラック、バス等に対しまして、衝突被害軽減ブレーキでございますとか車両安定性制御装置などの先進安全技術の装備を義務づけますとともに、平成十九年度から、トラック、バス等の運送事業者によるこれらの装置を搭載した車両の購入に対しまして、その装置価格の二分の一の補助を行ってございます。
これまで、衝突被害軽減ブレーキにつきましては、平成二十九年度までに計二万三千七百九十五台に支援補助したところでございまして、本年度におきましてもその補助申請の受け付けを行う予定でございます。
今後とも、このような制度を通じまして、事業自動車に対する先進安全技術の普及促進に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○佐藤(茂)委員 今、国交省から説明がありましたように、トラック、バスなどの事業車両についてはそういう補助制度の取組があるわけでございます。先ほど申し上げました資料の香川県を始め、先進的な自治体でもそれぞれ地方自治体独自の取組も行われているんですが、こうした制度を、高齢者が先進安全自動車に買いかえする場合の補助制度として、国としても制度の導入を、制度設計も含めて検討していくべきではないのかと思うんですが、経済産業省の見解を伺いたいと思います。
○上田政府参考人 お答え申し上げます。
サポカーにつきましては、これまで、官民連携でさまざまな普及啓発を行っているところでございます。
サポカーに対するユーザーニーズの高まりも相まって、新車乗用車の販売に対する被害軽減ブレーキ搭載率は、二〇一五年の約四五%から、二〇一七年は約七八%と大きく上昇している。
また、今回の税制改正においても、自動車の取得あるいは保有時の税負担、これを大幅に軽減することとしており、新車への代替を通じたサポカーのさらなる普及、これが期待できると考えております。
高齢運転者の事故防止、被害軽減のため、引き続きサポカーの普及に努めてまいりたいと考えてございます。
サポカーのさらなる普及に向けてどのような施策が効果的なのかということにつきましては、今申し上げたような普及啓発策の実施の状況でありますとか、被害軽減ブレーキの普及状況なども踏まえつつ、これは関係省庁とも十分に連携をして総合的に検討する必要性があるというぐあいに考えてございます。
○佐藤(茂)委員 済みません、時間がもう迫ってまいりました。
もう一つ、限定条件付免許の導入についてもきょうはぜひお伺いしたかったのは、警察庁の方でもこれは調査研究の分科会で検討されております。各国の諸条例を見ましても、九カ国、州、こういうものを見られたときに、そのうちのイギリス、カナダを除く重立った先進国の七カ国、州で何らかの限定条件付免許というものを既に導入されているんですね。
日本もぜひ、高齢者の特性に応じた、例えば時間帯、場所を限定する条件付免許、あるいは、今申し上げました先進安全技術のついた、そういう車に限っての限定つき免許を導入するというようなことも、ぜひ御検討を前向きに進めていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
先々週、先週と、当委員会で生活道路の交通安全対策について質問を行ってまいりました。
この間の質疑で、歩行中、自転車乗用中の死者数が欧米主要国は二割から三割台なのに、日本は五割を超えており極めて高い、歩行中、自転車乗用中の死亡事故の割合はG7で最下位だということも示しました。また、死亡事故件数は減少しているものの、生活道路で死亡事故が発生する割合は増加の傾向にある、さらに、生活道路の人口当たりの事故件数は、死傷事故件数では小学生、死亡事故件数では七十五歳以上が高いとなっているところであります。
そこで、大臣にお尋ねをいたします。
高齢者や子供たちの安全確保のために、生活道路の交通安全対策が極めて重要であります。対策として、車両の速度抑制や交通量の抑制、歩行空間の確保、歩車分離などが大きな課題ではないかと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。
○山本国務大臣 お答えをいたします。
昨今、東京都豊島区や滋賀県大津市などで大変痛ましい事故が発生をいたしました。こうした事故をなくすためには、主として地域住民の日常生活に利用される生活道路において交通の安全を確保すること、これは従来から塩川委員も力説をされておるところでございますけれども、大変重要であるというふうに思っております。
そのためには、速度規制その他の交通規制や道路管理者の歩道整備による歩行空間の確保により、車両速度の抑制や通過交通の排除を図ることが重要であると考えているところでございます。
また、歩行者が通行する時間と車両が通行する時間とを分離する歩車分離式信号も、歩行者等の安全確保に有効な手段であると考えており、その整備に努めているところでございます。
五月二十一日に開催されました交通安全対策に関する関係閣僚会議におきましても、総理から、未就学児を中心に子供が日常的に集団で移動する経路の安全を確保する方策について取りまとめ、政府一丸となって取り組むよう指示されているところであり、私といたしましても、総理の指示を踏まえ、関係省庁と連携して対策を取りまとめるよう、警察を指導してまいりたいと思っております。
○塩川委員 大臣御答弁ありましたように、生活道路の交通安全対策が極めて重要だ。その場合に、都道府県公安委員会の交通規制とともに、道路管理者による歩行空間の確保、歩車分離の取組や交通量抑制の対策等と連携しての取組が重要であります。
その点でも、車両の速度規制というのはその入り口としても極めて重要だということで、衝突時の自動車の走行速度が三十キロを超えると歩行者が致命傷を負う確率が急激に高まるということは、以前の質疑でも取り上げたところです。歩行者が重大な傷害を負う事故を防止するためには、自動車の走行速度を三十キロ以下に抑える必要があります。車道の幅員、幅が五・五メートル未満の道路を生活道路としているわけですけれども、このような生活道路においては車両の最高速度は三十キロ以下に抑制をする、こういう対策が必要ではないかと考えますが、その点についてお答えをください。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
先日の委員会におきましても、委員から御指摘のありました平成二十三年の報告書におきましては、二つの理由、一つは、自動車と歩行者とが衝突を回避するためには自動車の走行速度を時速三十キロメートル以下に抑える必要があるというのが一つ。もう一つには、先ほども御指摘のありました、自動車の走行速度が時速三十キロメートルを超えますと歩行者が致命傷を負う確率が急激に高まるという二つが記述されております。
これを踏まえて、この報告書では、生活道路におけるゾーン規制を行う場合、その指定する最高速度は時速三十キロメートル以下であることが望ましいとされているところでございますが、この考え方は、ゾーン規制の場合にもちろん限らないわけでございまして、警察庁におきまして示しております交通規制基準というものがございますが、その中におきましては、主として、地域住民の日常生活に利用される生活道路につきまして、最高速度が必要だということで、その規制を実施する場合には、原則として時速三十キロメートルというものにするというようにしているところでございます。
○塩川委員 この交通規制基準では、もう生活道路は、五・五メートル未満の幅員の道路については三十キロ規制、そういうふうに措置しているということでよろしいですか。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
通達の内容を、やや詳しくなってしまいますが申し上げますと、生活道路における速度規制につきましては、歩行者、また車両の通行の実態、それから交通事故の発生状況などについても勘案して、また、地域の住民の方、地方公共団体、道路管理者などの意見を十分に踏まえた上で、どこに速度規制を行うか、速度を抑えるべき道路をまず選定するとしております。
その上で、そうする場合のその道路の最高速度は三十キロメートル毎時を原則とすると書いてございますので、全ての道路について一律に標識を立てて三十キロとするとしているわけではございませんが、速度規制をやる必要があるということで関係者の理解も得られている、あるいは、交通実態から必要がある道路につきまして、行う場合には三十キロメートルとしようということでございます。
○塩川委員 やはり、住宅街ですとか、あるいは学校の周辺の生活道路においては、三十キロ規制が当然必要だと考えます。その点で、それがきちっと行われているかどうかということが問われてくるんだと思いますけれども、そういう意味でも、単に道路の速度規制だけではなくて、車両の進入抑制を図るということもあわせて重要という点では、今答弁でも話がありましたゾーンの規制ですよね、エリアとしての規制というのも重要になってくるわけです。
その点で、警察庁が取り組んでいるこのゾーン30というエリアにおける規制の概要及び整備状況について説明をしていただきたい。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
お尋ねのゾーン30でございますけれども、生活道路における歩行者等の安全な通行を確保するということを目的といたしまして、区域を定めて、時速三十キロメートルの最高速度規制を実施することとあわせまして、ハンプなどの物理的デバイスの設置等を必要に応じて組み合わせることによりまして、ゾーン内における速度抑制や、ゾーン内を抜け道として通行する行為、これを抑制しようというものでございます。
平成二十三年から整備を開始いたしておりまして、平成三十年度末までに、全国で三千六百四十九カ所整備されているところでございます。
○塩川委員 資料をお配りさせていただきました。一枚目がゾーン30の整備状況、平成三十年度末ということで、全国で三千六百四十九ということであります。都道府県ごとでの整備状況の違いはありますけれども、これが全部、生活道路をカバーしているわけではないわけです。
要するに、ゾーン30というのは、速度規制として最高時速三十キロに規制をするということをもって、まずはゾーン30たり得るということでよろしいんでしょうか。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、平成二十三年以降、整備するに当たりまして、そのやり方、考え方等につきまして警察庁の方で基準を示しまして、全国で五年間で約三千カ所を目標に整備していこうと決めたところでございますので、そこに定めております考え方、手続、関係者との合意の取付け等に適合しているというものがゾーン30という形で計上させていただいております。
○塩川委員 「ゾーン30の推進について」という通達を見ると、ゾーン内の三十キロ規制と、路側帯の設置、拡幅と車道中央線の抹消、これがいわばゾーン30の最低限の要件というふうに示していると思うんですが、そういうことでよろしいですか。
○北村政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○塩川委員 ですから、三十キロの速度規制を行うということがゾーン30の最低限の要件なんですよ。その上に、物理的なデバイスを整備、設置をしていくということを伴っていくということで、最低限の要件として速度規制があるということです。
こういったゾーン30について、今後の整備目標というのは持っているんでしょうか。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
ゾーン30につきましては、平成二十三年九月に整備を開始する時点におきまして、当時、平成二十八年度末までに全国で約三千カ所整備するということを目標といたしました。
各都道府県警察で整備を推進いたしました結果、その平成二十八年度末で、全国で三千百五カ所が整備されたところでございました。
平成二十九年度以降でございますけれども、そちらにつきましては、引き続き、適切な箇所へのゾーン30の推進に努めますとともに、一方で、既に形としては整備されているゾーン30につきましても、道路管理者と連携して、更にその中に、視覚効果の高い法定外表示でありますとか、ハンプ、狭窄といいました物理的デバイスの設置を推進するということが大事であろうという考え方のもと、単に全体の数を目標として新たに設置することはいたしてございません。
○塩川委員 両方あってしかるべきだと思うんです。
ですから、現状、設定をしているゾーン30について、今お話しのような物理的デバイスとか法定外の表示を行うとかいう格好で効果をより高める、これはこれでしっかりやる。同時に、でも、面的にはまだ、生活道路、生活エリアそのものをゾーン30でカバーしているわけではありませんので、しかるべきところ、住民の皆さんの御理解や合意などもいただきながら進めていくということは、これはこれとして目標を持っていていいんじゃないかと思うんですが、目標を持つという考えはないんですか。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
平成二十三年にこの制度を導入いたしました当初におきましては、全国の警察また関係者に対しまして、この制度の導入について積極的に取り組んでいただく、一定の数値目標を持って取り組んでいただくということが極めて大切であると考えて目標設定をしたところでございます。その結果、全国に三千カ所に上るゾーン30の整備が行われ、この事柄につきましては、かなり、地域それぞれにおいてそういうものがある、必要があればそういうものを設定していただけるということは周知されてきているものと思います。
委員御指摘のとおり、更にこの制度を数においても充実させていくということは極めて大切なことであると考えますけれども、それはそれぞれの地域ごとの要望あるいは事情に応じて自主的に判断して適切に対応していただくことがより望ましく、警察庁において全国一律に数字を当てはめるということは、この時点になりましてはもはや必要ないのではないかと考えているところでございます。
○塩川委員 何か上から数字で押しつけるという話ではなくて、本当に実態に即して整備が行われていくということが重要だと思いますので、そういう点でも、都道府県公安委員会や道路管理者が主体的に、地域住民の方の要望等々を踏まえながら対策エリア、ゾーンを広げていくということで取り組んでいただくとともに、既存のゾーンについてのさらなる安全対策が必要だということになります。
そこで、ゾーン30での物理的なデバイスの設置状況ですけれども、ハンプとか狭窄、スラローム、クランクといった、こういう物理的な手段による対策の設置状況はどうなっておりますか。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
最新のデータは持ち合わせてございません。
ゾーン30における物理的デバイスの設置状況につきましては、先ほど申し上げました整備目標の最終年度でありました平成二十八年度末の際に特別に調査を行ったところでございまして、そのときのトータルの数字は、先ほど申し上げました、全国で三千百五カ所のゾーン30があったわけでございますが、この中で、ハンプが設置されていた箇所は三十七カ所、狭窄、道路の幅を狭めてスピードを出しにくくするというものでございます、が設置されていた箇所は六十九カ所、また、スラローム、クランクが設置されていた箇所は三十二カ所であったと承知いたしております。
〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○塩川委員 資料の二枚目に、警察庁の作成した表を載せておきました。
このゾーン30における選択的対策ということで、左側の真ん中の特に物理的デバイスの設置、ハンプが一・二%、狭窄が二・二%、スラロームとかクランクとかが一・〇。ちょうど右側に写真があるように、ハンプはこぶ状のところですし、狭窄はポールを立てて狭くする、スラローム、クランクというのは、カーブをつくることによって速度抑制を図るといった対策ですけれども、こういうように、その他ゾーン入り口の明確化対策とか、交通規制の実施とか、路側帯の設置、拡幅及び中央線の抹消とか、具体的な対策というのがあるわけです。それが、でも、必ずしも実施率が高いわけでもありません。
そういう点で、こういった生活エリア内への通過車両を抑制するためにも、交通規制とともに物理的手段が必要だということで、これは都道府県別の数字が欲しいと言ったんですが、資料の三枚目に都道府県別の数字はあるんですが、物理的デバイスの設置という枠でしか把握していないということで、先ほど答えてもらったハンプとか狭窄とかが、じゃ、例えば都道府県のそれぞれで幾つあるのかという数字が出てこないんですよ。この辺もちょっとしっかり把握してほしいと思っているんですが、そこはどうですか。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほども答弁いたしましたが、いずれにせよ、この資料は平成二十八年度に、当時の五カ年の目標年次だったということがありまして集計した資料でございまして、最新の資料を持ち合わせていないということでございますので、よろしければ改めて、今現在全国にあるものについて、その内訳も含めて調べて、さらなる対策につなげるようにしてまいりたいと考えます。
○塩川委員 こういった物理的デバイスによる対策を進めようということですから、その都道府県ごとにおける実施状況の数字はぜひいただきたいと思っております。
その点で、こういった生活道路の安全、交通安全対策というのは、警察だけで済む話ではないわけです。何よりも地域の住民の方の御理解や協力があって行われるものですし、道路管理者との連携というのが重要になってまいります。
例えば、資料の二枚目に、左側の表にあるような具体的な選択的対策がありますよね。このそれぞれの選択的対策というのは、都道府県公安委員会が管轄するのはどこで、道路管理者が担当するのはどこでという、その辺の簡単な区分け、わかれば説明してもらえますか。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
資料にございます中で、下から二段目の、交通規制の実施というところは、標識も含めまして、警察、都道府県公安委員会あるいは警察署長でございますが、警察で実施しているものでございます。
それから、その下の、路側帯の設置、拡幅、中央線の抹消につきましては、警察、場合によっては、道路改良に合わせて行う場合などは道路管理者が行うという場合もございますので、一概には申し上げられません。
下から三段目の、物理的デバイスの設置でございますが、基本的にはこちらは道路管理者の事業であると理解しております。
一番上の、ゾーンの入り口の明確化対策でございますが、基本的には警察の方で設置しておりますが、先ほど申し上げましたように、道路の改良に合わせて行う場合でありますとか、これはまた道路管理者ではないのでございますが、入り口について、地域の、地元の自治体が時としては行う場合も、数字として持っておりませんが、あるかもしれませんので、基本的にはこちらは警察の事業でありますものの、道路改良等に合わせて道路管理者が行っている場合もあるということだと考えてございます。
○塩川委員 そのように、実際に対策において、こういった一応担当の区分があるわけですから、そういう点でも、道路管理者や自治体との連携というのが極めて重要になってくるわけ、不可欠な課題になってまいります。
そこで、国交省にお尋ねをします。
国交省が進めている生活道路対策エリアについて、その概要と整備状況を御説明ください。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
近年の交通事故による死者は、歩行中又は自転車乗車中の死者が全体の約半数を占め、また、その約半数が自宅から五百メートル以内の身近な道路で発生しているなど、生活道路における交通安全対策は喫緊の課題となってございます。
このため、国土交通省におきましては、生活道路において、速度抑制や通過交通の進入抑制等の対策を地域の道路管理者、警察、住民等が連携して行う生活道路対策エリアの設定を進めております。
平成二十八年度の制度開始以来、現在、全国四百十七の市町村で九百七のエリアが登録されており、自動車の速度抑制策、あるいは生活道路における歩行空間等の確保のための対策として、歩道や路側帯の設置、路肩のカラー舗装、速度規制等がエリアの特性に応じて実施をされております。
〔平委員長代理退席、委員長着席〕
○塩川委員 生活道路対策エリアということで、国交省が進めている対策の説明がありました。やはり、自動車の速度抑制ですとか歩行者の歩行空間を確保するという物理的な手段を伴った対策の重要性ということを道路管理者サイドからのアプローチということで考えているということがわかります。
これはスタートが平成二十八年からですので、まだ設置の状況というのは九百カ所余りということで、これからということですけれども、資料の四枚目には、この生活道路対策エリアの取組についてのフローの図を国交省の資料でつけてあります。もちろん、ビッグデータを活用してというものなんかは非常に有効だと思いますので、そういった対策などが取組にもつながっているんだと思うんです。
ただ、資料の五枚目で、これは埼玉の例を挙げているんですけれども、埼玉県内の生活道路対策エリアの登録地区は平成三十一年一月現在で五市の六エリアなんですね。下に都道府県別の登録数の比較がありますけれども、埼玉県は決して多くないというところもありまして、茨城県がこんなに多いのは何でなのかなというのもよくわからなかったんですが、こういった対策ということで、今後の普及というのが課題となっていると思います。
そこで、生活道路に係る交通安全対策としてゾーン30と生活道路対策エリアが行われているわけですが、それぞれがお互いにどういう関連があるのか。エリアとして重なっているのかどうか、連携がどうなっているのか、それをそれぞれ警察庁と国交省からお答えください。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
生活道路対策エリアにつきましては、平成二十八年度から取り組んでございます。生活道路における速度抑制や通過交通の進入抑制を図る取組という意味で、先ほど御答弁申し上げましたゾーン30と共通する部分があるわけでございます。
市町村が生活道路対策エリアを地方整備局等に登録するに当たっては、各都道府県警察において、道路管理者が行う物理的デバイス等の設置が、警察によって行われているところのゾーン30等の施策と整合的かつ効果的なものとなるよう、必要な意見を警察から道路管理者に述べるなど、道路管理者との連携協力に配慮して生活道路における安全対策を図るように指導したところでございます。
その前年になります平成二十七年の十二月に各市町村あるいは都道府県に対して通達された際に、警察の方でもあわせて都道府県警察に対してそういう趣旨の通知をしたところでございます。
いずれにいたしましても、ゾーン内における自動車の速度抑制、通過交通の抑制というものを図るためには、ハンプや狭窄といった物理的なデバイスの設置は有効でございますので、引き続き、道路管理者と連携して、ゾーン30内における物理的デバイス等の設置が推進されるよう対策を講じてまいりたいと考えてございます。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
生活道路対策エリアのうち、ゾーン30との連携でございますが、平成二十九年度末時点で四百八十七の生活道路対策エリアがあり、約四百のエリアでゾーン30との連携が図られております。
ゾーン30が指定されております区域と整合を図って定められました生活道路対策エリアにおきましては、速度抑制に資するハンプや狭窄といった物理的デバイスが設置されるなど、警察による交通規制と道路管理者の対策が連携して進められております。
国土交通省といたしましては、生活道路対策エリアのさらなる拡大を図るなど、都道府県警察と道路管理者との緊密な連携による交通安全対策を今後とも推進してまいりたいと考えております。
○塩川委員 今の国交省の答弁ですと、生活道路対策エリアとゾーン30が重なっていないところも一定数あるということになるんですよね。
これは、資料の六枚目に、草加市の清門地区における生活道路対策エリアの図を、国交省の大宮国道事務所の資料からとりました。これで、緑色で上の方にかかっているのがゾーン30、これは私の事務所の方でかぶせたんですが、こういうように、青の破線の生活道路対策エリアに対して、ゾーン30がかかっているのは半分なんですよ。
これで連携しているのかなと率直に思うんですが、こういう事例というのは少なくないということなんでしょうか。何でこんなふうになるのか、わかる範囲で答えてもらえませんか。
○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
個別具体の事例につきまして、なぜゾーン30のエリアとあのようなずれ方をしているのかというのは、ちょっと今持ち合わせておりませんけれども、生活道路対策エリアの候補地の抽出の際には、ゾーン対策として実施するケースのほかに、個別の抜け道など区間対策として実施したいという地域もございまして、そうしたお話がある場合には、地域の実情を踏まえて生活道路対策エリアの指定に取り組んでいるところでございます。
○塩川委員 通り抜け道路、そこを何か規制したいという動機というのは、それはよくわかる話なんですが、その辺が、生活道路対策エリアとこのゾーン30というのは本来重なっていてしかるべき、対策としても有効だと思うんですが、最後、大臣にお尋ねします。
このように、ゾーン30と生活道路対策エリアの連携がしっかりと行われているのか、その点での懸念もあるわけです。生活道路の交通安全対策において道路管理者と都道府県公安委員会の緊密な連携が必要ではないか、この点についてお答えください。
○山本国務大臣 先ほど交通局長の答弁にもございましたけれども、生活道路における自動車の速度抑制や通過交通の抑制を図るために、ハンプや狭窄といった物理的なデバイスの設置は極めて有効な対策というふうに認められます。
引き続き、適切な箇所へのゾーン30の推進に努めるとともに、既に整備済みのゾーンにおいても、生活道路対策エリアを進める道路管理者としっかり連携をし、物理的デバイス等の設置を推進するなど安全対策を講じるよう、都道府県警察を指導してまいりたいと思っております。
○塩川委員 そういう点では、例えば道路標示についても、これは都道府県公安委員会と道路管理者がそれぞれ担当のところがあるわけですよ、地面にさまざまな標示を行う場合でも。そういう点では、停止線とか横断歩道などは都道府県公安委員会が設置するけれども、とまれの標示は都道府県公安委員会が設置するが補修は道路管理者もできるとか、道路管理者は、路側帯の標示や、とまれがない交差点の停止線の標示などを行うという点では非常に分担もあるわけで、そういう点でも緊密な連携が必要ですし、ふさわしい予算措置の拡充も欠かせないと思っています。
ぜひ、生活道路対策エリアの拡充を図る上でも、もちろんゾーン30を進める上でも、この物理的デバイスに係る費用をしっかりと手当てをしていく。国交省の方では防災・安全交付金の活用を挙げていますけれども、この効果的な、更に拡充につながるような予算措置を求めて、質問を終わります。
○牧原委員長 次に、杉田水脈君。
○杉田委員 自由民主党の杉田水脈です。どうぞよろしくお願いいたします。
平成から令和への御代がわりを迎え、今上陛下の御即位を心よりお祝い申し上げますとともに、上皇陛下、上皇后陛下に深い感謝の念を申し上げます。
憲政史上初めての譲位に日本じゅうが祝賀ムードに包まれました。NHKの世論調査によると、八〇%以上の方々が皇室に親しみを感じると回答したそうです。学校教育などでほぼ何も教えられていないにもかかわらず、多くの国民が皇室を身近に感じていることを大変うれしく思います。
御代がわりに際し、皇居を上空から撮影する映像も見られました。ドローン規制法では皇居周辺でのドローンの飛行が禁止されておりますが、皇居周辺のヘリコプターの飛行については何か規制がなされているのでしょうか。
○高野政府参考人 お答え申し上げます。
皇居上空の飛行制限についてのお尋ねですが、一つは、航空法第八十一条の規定によりまして、航空機は、離着陸時を除き、地上の人又は物件の安全及び航空機の安全を考慮した最低安全高度以下の飛行が禁止をされています。皇居周辺を含みます人家密集地域については、同条に基づく航空法施行規則の規定によりまして、最低安全高度は、航空機の周辺にある建築物の高さから三百メートルの高度とされております。
また、これに加えまして、警備当局から警備上の観点から要請があった場合には、航空法第九十九条に基づく航空情報を発出し、航空機の運航者に対して飛行自粛を要請することとしておりまして、先日の天皇陛下の御退位、御即位に伴う式典におきましても、警視庁からの要請を受けまして、皇居、赤坂御用地、その周辺の上空の飛行自粛を行ったところでございます。
○杉田委員 自粛は行われたということなんですけれども、特別な規制とかは特にないということでないかと思います。
では、そもそもドローン規制法で皇居周辺のドローンの飛行が禁止されている理由を教えていただけますでしょうか。
○山本国務大臣 小型無人機等飛行禁止法、これは、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、それから外国公館等及び原子力事業所の周辺の上空における小型無人機等の飛行を禁止することにより、これらの施設に対する危険を未然に防止して、もって国政の中枢機能等及び良好な国際関係の維持並びに公共の安全の確保、これに資することを目的としているところでございます。
同法におきましては、こうした目的を踏まえまして、例えば、国の重要な施設等として国会議事堂、内閣総理大臣官邸、そして何よりも皇居ということが決められておりまして、小型無人機等の飛行禁止の対象施設として定められているところであります。
なお、本年五月十七日には、我が国を防衛するための基盤の維持、あるいはラグビーワールドカップ大会、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の円滑な運営等を目的とする小型無人機等飛行禁止法等の一部を改正する法律案が成立をしたところでもございます。
○杉田委員 ヘリコプターやドローンについて、テロやいたずらなどの目的でなくても、万が一の事故が起こる可能性もゼロではありません。皇室に関する安全について、いま一度見直されるべきかと思います。
山本大臣、お忙しい中、どうもありがとうございました。
○牧原委員長 山本国家公安委員長は御退室ください。
○杉田委員 さて、四月十七日の内閣委員会において、立憲民主党の大河原雅子議員より、昨年三月九日の内閣委員会で私が行った質疑について言及がありました。
私の質疑の際に名前を挙げたNPO法人ヒューマンライツ・ナウから議事録の削除を求める抗議があったこと、また、その他の民間団体の名称を挙げたとして、私が国会議員の免責特権を悪用し、到底許されるものではない質疑を行ったというものでした。
質疑を行った昨年三月九日、立憲民主党は、審議に応じず、内閣委員会を欠席していました。また、議事録も先日まで未公開にされていたため、あたかもその場にいらっしゃったかのような御意見には事実誤認もあるようですので、質問に入る前に申し上げます。
日本国憲法では、国会議員が議院で行った演説、討論、表決について、院外で責任を問われないことが定められております。大河原議員は、何の根拠にも基づかずレッテル張りを行ったと言いますが、根拠があって質問をしておりますので、本日は、改めてその根拠を示してまいりたいと思います。
また、日本政府の見解と異なる、日本の国際的評価をおとしめるような見解を流布する民間団体の言論について、これも、憲法で保障されている言論の自由ですので、日本政府の公式見解はこうですよという指摘はいたしますけれども、彼らの言論を封殺するつもりは全く私はございません。
大河原議員にとっては到底許されない行為だという御認識であったとしても、私は、国内外における事実ではないプロパガンダによって過去と未来の日本国と日本人の名誉と人権がおとしめられることは国益を損ねる以外の何物でもないと深く憂慮しており、事実に基づいた正しい歴史認識を普及していくことは、日本の国会議員として当然の責務であると認識しております。
ですので、政府に対して、現状を認識し、政府一丸となって、また官民が連携して、正しい認識の普及に取り組んでいただきたいと国会の場でお願いをしているわけでございます。むしろ、議事録の削除を求める行為こそ、国会議員の自由な議論に対する言論の封殺ではないでしょうか。
また、大河原議員は、私が国会において民間団体を名指しして質疑を行ったことが到底許されない行為だと言いましたが、立憲民主党を始め野党の先生方も、特定の学園などを名指しして何度も質問を行っておられました。これも到底許されない行為なのでしょうか。
国会において、認可、認定を受けるなど一定の公的要素を持つ団体の行為を議論することが、議事録の削除を求められ、質疑の一年後に、到底許されないと非難される対象になるのであれば……(発言する者あり)これからそれを全部説明しますから、ちゃんと聞いてください。
与野党を問わず国会で自由な議論はできなくなるのではないでしょうか。
それでは、まず、外務省にお尋ねをいたします。元慰安婦の方々は性奴隷だったのでしょうか。
○大鷹政府参考人 お答え申し上げます。
性奴隷という表現でございますけれども、これにつきましては、日本政府としては、事実に反するので使用すべきではないという立場でございます。
○杉田委員 私は、昨年八月、ジュネーブの国連欧州本部で行われた人種差別撤廃委員会で大鷹審議官がそのようにおっしゃっていたことを現地で傍聴いたしておりました。
改めてお尋ねいたします。今の答弁は日本政府の公式見解で間違いありませんね。
○大鷹政府参考人 お答え申し上げます。
今申し上げた政府の立場はいろいろな場でも申し上げておりますけれども、それは政府の公式な立場と考えてよろしいかと思います。
○杉田委員 この見解は、二〇一六年二月、女子差別撤廃委員会の対日審査において当時の杉山審議官が発言した内容を踏襲されていると認識しております。
例えば、慰安婦問題に関する本格的な事実調査を行い、軍や官憲による強制連行は確認できるものではなかった、強制連行という見方が広く流布された原因は、吉田清治氏の本を朝日新聞が事実であるかのように大きく報じたことが原因であり、朝日新聞自身も、事実関係の誤りを認め、正式に読者に謝罪をしているということ、二十万人という数字は、具体的な裏づけがなく、女子挺身隊と混同して誤って広まってしまったということ、そして、性奴隷という表現は事実に反するということもはっきり述べられました。
昨年、外務委員会で、杉山審議官のこの発言は日本政府の正式な見解かと質問したところ、日本政府の正式見解だという御答弁でした。
昨年の質疑でも触れましたが、二〇一八年二月にソウルで開催された、韓中日、日本軍慰安婦国際カンファレンスで、慰安婦に対する日本軍による虐殺現場の映像であると公開された映像は、今回も前回と同じ資料をお配りしておるんですけれども、その資料をお配りしておりますとおり、実は、アメリカの国立文書記録管理局には、亡くなった日本軍兵士から靴下を脱がせる中国人兵士の映像として記録されているもので、この映像が日本軍の慰安婦虐殺の映像だというのは、虚偽、捏造です。
このカンファレンスに日本から参加していた団体の一つが、女たちの戦争と平和資料館、wamという団体です。wamは、日本軍性奴隷制を裁いた女性国際戦犯法廷を発案し、実現に奔走した故松井やよりさんの遺志を受け継ぎ開館した資料館です。
今申し上げた説明は、お配りしております二枚目の資料の方にありますように、wamのホームページにはっきりと明記してあります。みずからが連続性をうたっているわけですから、大河原議員の、wamは設立は二〇〇五年なので事実誤認であるとの御指摘は適切ではありません。
さらに、資料の三枚目をごらんください。
女性国際戦犯法廷とは、日本の慰安婦問題に関する責任追及のため、法廷を模し、昭和天皇及び日本国を、強姦及び性奴隷制度について人道に対する罪で有罪という判決を出したイベントです。また、wamの入り口の横に展示してある、責任者を処罰せよと題された絵、このような絵なんですが、これは疑似法廷の動機の一つとなったと解説が書かれておりまして、昭和天皇と見られる男性が目隠しをされて、木に縛りつけて幾つも銃口が向けられているのです。
私は、日本の国会議員として、いえ、一人の日本国民として、このような絵が日本国内で公開されていることに言葉では言いあらわせない怒りや悲しみを覚えます。
一部では、二〇一六年、ユネスコ世界の記憶遺産に登録申請された日本軍の慰安婦の声にはこのような絵も含まれるのではないかと報じられています。
今お配りしておりますwamのプレスリリース、これは四枚目の資料なんですけれども、これによりますと、ユネスコ記憶遺産共同登録日本委員会の構成団体の一つがwamであり、ホームページには、記憶遺産登録の国際シンポジウムの告知や、登録を実現するための寄附の呼びかけなども記載されています。
また、ユネスコのホームページで一時的に公開されていた登録申請書のサマリーによると、日本の推薦者はこの共同登録日本委員会であり、サマリー内に見られる資料の一部はwamの出典であることも明記されていました。
つまり、wamは、この資料の裏面の方を皆さんごらんいただきたいんですが、裏面に書かれているように、慰安婦を日本軍性奴隷制とし、それをユネスコの記憶遺産に登録申請した団体なのです。(発言する者あり)とんでもない。
このwamの代表である渡辺美奈氏がニューヨークで二〇一五年三月九日にパネリストとして参加した国連女性の地位委員会パラレルイベントのタイトルは、慰安婦問題の真実と正義、第二次世界大戦時の日本軍性奴隷であり、主催したのがヒューマンライツ・ナウというNPO法人です。
当法人の理事長であるシン・ヘボン氏は、先ほど紹介した女性国際戦犯法廷に検事として参加をしていました。
ヒューマンライツ・ナウは、平成二十八年三月にアダルトビデオ出演強要被害に関する調査報告書を公表しており、内閣府は、出演強要の状況等について、この報告書を参考にし、男女共同参画会議の調査会でもヒアリングを行っています。
私は、AVの出演強要は絶対にあってはならないと思っておりますし、一件でもあってはいけないというふうに思っております。大河原議員は、慰安婦問題とAV出演強要問題は何ら関係がございませんとおっしゃっておりましたが、私も全く同じ意見です。
大河原議員は、あたかも私が、関係のない慰安婦問題とAV出演強要問題を結びつけたかのように誤解されているようですが、現にそのようなイベントが開かれています。
二〇一七年十一月に渋谷で行われた催しのインターネット上に公開されている動画、「「「違約金を払え」「親にバラす」と言って、まさに性奴隷のように性を搾取する」 伊藤和子弁護士がAV出演強要問題について訴え」というタイトルがつけられています。
このリレートークには、ヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子弁護士ほか、日本軍「慰安婦」問題解決全国行動共同代表、wamの館長などが参加し、慰安婦問題とAV出演強要被害を結びつけてこのような催しを行っているのです。
また、昨年も紹介させていただいたように、主催者はヒューマンライツ・ナウやwamではありませんが、お配りしている五枚目の資料になります。平成二十八年八月に行われた「語り始めた被害者たち 日本軍「慰安婦」、AV出演強要、JKビジネス」というイベントのチラシによると、韓国の元慰安婦金学順さんが慰安婦だったことを告白した後、次々と慰安婦が名乗り出てきた状況と、AV出演強要やJKビジネスの被害者が次々と出てくる状況が酷似していると書かれています。
当日、委員会に御出席されていたならば、この資料も配付しておりましたので、勘違いされることはなかったのでしょうが、結びつけているのは私ではないということを改めてお伝えしたいと思います。
このことから、私は、AV出演強要被害者は現在の性奴隷制だ、日本軍は慰安婦を性奴隷にしていてもおかしくないんじゃないかというプロパガンダが行われることを懸念しております。
ここで、ヒューマンライツ・ナウが二〇一七年七月二十四日に、国連自由権規約委員会に英語で出した意見書を直訳して御紹介をいたします。
いわゆる慰安婦問題、日本は、第二次世界大戦中に日本軍によって性奴隷制を余儀なくされた慰安婦の問題に対処することができなかった。ここに慰安婦のことをはっきり、性奴隷制を余儀なくされた、英文では、ウイメン・フォースト・イントゥー・セクシュアル・スレーバリーと表現してあります。
外務省にお尋ねします。これは事実でしょうか。
○大鷹政府参考人 お答え申し上げます。
今、そういった指摘がある中で、政府としてきちんと対応しているのかという趣旨と理解してお答え申し上げますと、日本政府といたしましては、元慰安婦の方々の名誉回復、そして救済措置を積極的に講じてきたということも含めまして、慰安婦問題に関する日本の考え方それから取組に対して、国際社会から客観的な事実関係に基づく正当な評価を得られるよう努力してきておりますし、今後とも努力していかなければいけないというふうに思っているところでございます。
なお、その中で、性奴隷という表現について改めて申し上げますと、それは事実に反するものとして使用すべきでないという立場も、るる機会に応じて表明しているところでございます。
○杉田委員 日本政府がそのように努力いただいているにもかかわらず、また、杉山審議官が、先ほど御紹介した日本政府の見解を述べた約一年半後に、国連に事実とは異なる意見書を提出する。私は、これを、なかった事実をあったかのように偽ること、つまり捏造であり、日本の国際的評価をおとしめる行為であると認識しています。
大河原議員の質疑やヒューマンライツ・ナウの抗議及び要請書によると、慰安婦問題に関しての見解は、アジア女性基金のホームページや国連人権機関からの各種勧告に基づいているとのことです。
第一に、アジア女性基金については、先ほど紹介した昨年の外務委員会において私から質問をいたしましたところ、アジア女性基金は、そこに書いてあること全てが日本政府の公式見解ではございません、政府は、従来から一貫して、政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかったということ、答弁を申し上げておりますし、閣議決定した形で示すということもいたしておりますという御答弁をいただいております。閣議決定されているんですね。
次に、ヒューマンライツ・ナウや大河原議員が言う国連人権機関からの勧告というのは、条約に付随する各委員会が出す勧告を指します。
皆さん、最後の資料をごらんいただきたいのですが、慰安婦問題に関して勧告を出したと報じられた、例えば人種差別撤廃委員会や女子差別撤廃委員会は、国連から独立して調査を行い、勧告等の見解を出します。これらは、国連人権高等弁務官事務所が事務局を担っているためなのか、報道などでは国連の勧告と言われますし、私も先ほど国連に意見書を提出と申し上げましたが、正しくは、これは国連から独立した機関です。条約加盟国から複数の委員を選出し、委員が個人若しくは団体から申請を受け付け、勧告などの見解を出す機関で、勧告に法的拘束力はありません。また、委員は国連から任命されているわけでもありません。
例えば、人種差別撤廃委員会は、人種差別撤廃条約に基づいて設置されている独立機関で、現在は百七十九カ国が条約を締結しています。委員が独自に自国以外の百七十八カ国について詳しく調査をすることは困難なので、民間NGOやNPOから出される意見、例えば、先ほど紹介しましたヒューマンライツ・ナウが出した意見書のようなものを参考にします。虚偽にかかわらずです。委員は、これらをそのまま採択することも多く見受けられ、また政府は、みずからの意見を主張する場はなく、質問に答えられる機会しか与えられません。
つまり、大河原議員やヒューマンライツ・ナウが言う国連人権機関からの勧告とは、国連が公式な場で日本政府に是正を求めて出した勧告ではないということを明確にしておきたいと思います。
外務省にお尋ねいたします。国会議員が、私が昨年三月九日に行ったように、民間団体が行い又は公表している事実をもとに国会で質疑を行うことは、おどしや報復であり、国連とその代表者及びメカニズムとの人権分野における協力に関する決議に反しているとみなされ、非難や是正を勧告されるべき事案に該当するのでしょうか。
○大鷹政府参考人 お答え申し上げます。
国連人権理事会の第二十四回会期で採択されました、今御指摘のあった、国連とその代表者及びメカニズムとの人権分野における協力に関する決議におきましては、個人及び団体が、人権分野におきまして、国連を始めとする国際機関に妨げなく接触し連絡する権利を再確認しています。また、その決議は、加盟国に対しまして、人権分野での国連を始めとする国際機関との協力を理由としたおどし及び報復措置を予防し、かつ行わないことを求めているものと承知しております。御指摘のとおりでございます。
その上で申し上げますと、二〇一八年に公表されました、国連とその代表者及びメカニズムとの人権分野における協力と題します国連事務総長の報告書がございまして、その別添の巻末の方に、御指摘の件に関しまして、国連事務局が得た情報が記載されているという状況にございます。
ただ、その当該状況について、国連事務局が、おどし又は報復措置であると認定したという事実はございません。また、政府に対して、具体的な対応を求めている状況ではないというふうに認識しております。
以上です。
○杉田委員 ありがとうございました。
もう一点申し上げたいんですけれども、大河原議員は、報告書には、私が、昨年の質疑において、NGOの国際的な発言のあり方をコントロールするように要請したと述べておられましたが、私は、NGOの国際的な発言のあり方をコントロールするような要請はしておりません。あくまで、日本政府の見解や事実とは異なる情報が国際的に宣伝されていることに対し、政府は、政府見解と事実を正しく広報すべきだという意見を申し上げているのであって、事実誤認によるレッテル張りをしているのはどちらでしょうか。
また、NGOの発言が、先ほど申し上げたような勧告に反映されやすい現状を考えれば、日本政府とNGOとの関係はこれからも開発されていくべきであるという先日の大河原議員の意見には私も大いに賛成の立場であります。
例えば、間違った慰安婦に関する教育の防止、誤解を招く慰安婦像を未然に防止するための運動、慰安婦についての正しい知識を普及するための運動、こういったことを官民連携でしっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。また、そういったことをしっかりやっているNGOもございますので、ぜひ、外務省の方はそういうところと手を組んで国際発信を強めていっていただきたいというふうに思っております。
私のプロパガンダという発言についても、大河原議員に取り上げていただきました。
プロパガンダとは、特定の主義、思想に対する宣伝を指す用語であり、批判的な単語でも差別的な単語でもありません。日本政府の見解に反し、慰安婦は性奴隷であった、慰安婦は強制連行されたという思想を、日本の国内のみならず海外でも宣伝をするヒューマンライツ・ナウの行為をプロパガンダであると表現することは私の自由であり、慰安婦は性奴隷ではない、強制連行もないという日本政府の公式見解を宣伝する私の行為をプロパガンダだと表現していただいても大いに結構です。
私が挙げているヒューマンライツ・ナウやwamによる行為は、大河原議員が言うように、何の証拠にも基づかないどころか、調査せずとも公表されている事実です。レッテルも張っていませんし、誹謗中傷も行っていませんし、攻撃を行ったわけでもありません。また、彼らの言論を弾圧したことも、沈黙させようとしたこともありません。国会の場で事実を列挙されることや議事録が公開されることに何か不都合でもあるのでしょうか。
改めて申し上げますが、日本国憲法では、国会議員は、議院で行った演説、討論、表決について、院外では責任を問われないことが定められています。
レッテル張りを行ったという御指摘をいただきましたが、行ってもいないレッテル張りにより、言論封殺を行ったとのレッテルを張られ、そのレッテルにより、国連までも利用して、憲法上保障されている国会議員としての言論の封殺を試みられたのは私の方です。
私は、日ごろより尊敬している、当日その場にいなかった大河原議員が、事実誤認に基づいて委員会で質疑されたことを到底許されないと意見するような、憲法を軽視した不見識な行為を行うつもりは全くございません。
冒頭申し上げたとおり、日本の国際的評価をおとしめるような見解を流布する民間団体のプロパガンダについても、憲法で保障されている言論の自由ですので、日本政府の公式見解をお伝えするだけで、彼らの言論を封殺するつもりもございませんが、日本の国会議員として、先ほども申し上げました、過去と未来の日本国と日本人の名誉と人権がおとしめられていることを憂い、阻止を試みることは当然の責務であります。
よって、日本政府は、このようなプロパガンダが現に行われていることを認識し、外務省だけではなく政府が一丸となって、またNGOやNPOと連携して、正しい歴史認識の普及に取り組んでいただきたいと思いますので、大河原議員に到底許されない行為だと御指摘をいただいたとしても、私はこの責務を放棄することはできません。
最後に、私が行った、憲法で保障されている国会質疑が到底許されない行為だというのであれば、立憲民主党さんにおかれましては、現行憲法の不備を正すため、憲法改正に向けて前向きに取り組んでいただけるということかと思います。ぜひ一緒に憲法改正を実現させましょうということを申し上げまして、私の質疑を終わります。
どうもありがとうございました。
○牧原委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野です。よろしくお願いいたします。
それでは、一問目に入ります。
この間、十連休がありました。非常に長い、これだけの長い連休というのは初めてだということで、それぞれ皆さん工夫して連休を過ごされたのかなと思います。長くてよかったと思ったのは、やはり、前半と後半に分かれて、観光地とかそういうところは結構効率よくお客さんを迎えることができたという声もあって、連休、長いのは長いので、皆さん工夫してしっかりと楽しんだのかなと思っています。
この連休中に保育園の開所をする、中には平日も含まれたりとかしていましたので、民間の保育園でも開園をされるところもありました。その開園した部分に関して、政府は大々的に予算をつけますよということも発表して、そういった保育園の開所を促すという意味もあったんだと思うんですけれども、予算をつけましたね。
ところが、その執行は、もちろん市町村次第になっているわけですね。実際、この連休中に開所した民間の保育園はたくさんあったと思います。ところが、市町村によって、予算はつけません、その補助金は出しませんという市町村があります。
でしたら、この予算、大々的にわざわざつけますよとやった予算なのに、市町村がつけませんと言ってしまったら、はいそれでおしまいということになってしまうんですね。この予算の意味がないと思うんですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
○小野田政府参考人 お答えいたします。
大型連休中は通常の休日等よりも多くの一時的なニーズが生じる可能性がございますことから、必要なニーズが充足できるよう、一時預かり事業における大型連休中の需要増に対応した場合の運営費補助の創設を行ったところでございます。
この点に関しましては、創設とともに、大型連休中における対応の考え方等についてということで、各自治体に対しまして必要な保育ニーズを充足できるよう通知でお示しし、追加の保育ニーズの把握、事業者への受入れ拡充要請、住民への情報提供について、しっかり対応していただくようお願いしたところでございます。
さらに、通知の内容につきましては、三月に開催されました全国児童福祉主管課長会議等の自治体向けの説明会の場などを通じまして、内閣府として重ねて周知を行ったところでございまして、地域の実情に応じて活用の御判断をいただいているものと承知してございます。
○浦野委員 要は、後からメニューとしてふやして、後からしたものだから、国の十分の十の予算をつけることもできなくて、市町村負担もあったから、二の足を踏んだ市町村も恐らく出たんだろうと思います。
私、この予算について、借金までしてつくっている予算であるということをやはりもう一度しっかりと考えるべきだと思うんですね。消化されることのない予算を借金してまでつくる必要があるのかということになりますので、私は、そのやり方についてはちょっと工夫が要ったんじゃないかなと思っていますので。
このような大型連休は恐らくまだしばらくは来ないんじゃないかというふうに言われていますので、そのときそのときにまた、こういうことにはならないように考えて、制度をしっかりやっていただけたらと思います。
二つ目の質問なんですけれども、自転車通勤、この間の道交法改正案で少し私も触れましたけれども、自転車についていろいろと省庁の方に来ていただいてヒアリングをしたときに、各省庁、そのときいらっしゃっていた、十人弱だったと思うんですけれども、周りに自転車通勤している人がいてないという話になったんですね。それで、そんなことないでしょうと思ったんですけれども。
これは、各省、じゃ一体どれぐらいの人数、自転車通勤をされている方がいらっしゃるのかということを聞こうとしたら、まあ、また内閣委員会の特殊な事情で、まとめて答弁できる人がいてないんですね、実は。それで、各省の答弁を求めるというのはすごい時間がかかってしまいますので、それもちょっと今回は諦めて、たまたま後の質問に絡んでくるということで、国土交通省がそこに、この間のときに座ってはったんで、とばっちりじゃないですけれども、国土交通省の方に代表して聞こうかなと思って、きょうは来ていただいています。
答弁をお願いいたします。
○田尻政府参考人 お答え申します。
各府省庁の職員が自転車で通勤することは一般的に認められているというふうには承知をしておりますが、自転車活用推進本部といたしまして、各府省庁における自転車通勤者の数を把握はしておりません。
国土交通省について申し上げれば、国土交通省本省の職員で、本年五月一日現在で自転車通勤をしている者は約四十名いるというふうに承知をしております。
○浦野委員 四十名ということなんですけれども、これは、まあ、多いのか少ないのかはちょっとよくわからないんですけれども、多分、めちゃ少ないような気がするんですね。
きのうヒアリングのために来ていただいた国交省の職員の皆さんも、えっ、どれぐらいいてるかなみたいな感じで、ほとんどいてないような感じなんですね。まあ、それは確かに、東京は都心とはいえアップダウンの割とある町ですから、しかも、官公庁に近いところに居を構えるというのはかなりやはりお金がかかることですから、皆さん大分遠いところから毎日満員電車に乗って出勤されてきているわけですよね。だから、自転車通勤ができる人ということになれば、その範囲はそれは狭まるとは思うんですけれども、ただ、じゃ、国交省は、今答弁された活用推進本部もあるぐらいの省庁が、四十人ぐらいしか自転車通勤をしていないと。活用推進本部がある省庁ですよ、ですらそうなんですよ。
自転車通勤をするための環境整備というのは、国交省はどういうふうなことをされているのかも答弁いただけますか。
○田尻政府参考人 お答え申します。
国土交通省本省、現在中央合同庁舎第三号館に入っておりますが、合同庁舎の第三号館におきましては、いわゆる自転車通勤のための環境整備としまして、まず、自動車駐車場の一部を自転車専用の駐輪施設として使用するという対応をとっています。
またあわせまして、屋上の運動施設がございますが、この屋上の運動施設の中にシャワー室を設置しているという状況がございます。
○浦野委員 駐輪場は何台ぐらいとめられるようになっているかわかりますか。
○田尻政府参考人 お答え申します。
現在、運用としまして自動車駐車場の一部を自転車専用に使っておりますが、この使用に当たりましては、事前に使用の許可を出してもらうことになっております。その使用の許可の数に応じまして弾力的にその駐車スペースを確保している、そういう状況でございますので、一律に何台というふうに限定されるものではございません。
○浦野委員 ありがとうございます。
ヒアリングに来られた職員の皆さんも、駐輪場はないんじゃないかといううわさをしていて、何か、とめられたとしても数台しか場所がないような気がするということで、結構、職員の皆さんも全然認識されていなかったんですね。
ここで最後の質問になるんですけれども、実は、自転車通勤の導入促進という、「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトというのを立ち上げて、官民共同で、要は、自転車通勤、みんなで頑張ろうねというのを来年、国交省が立ち上げるということらしいんですよね。それは、きのう初めて私もお聞きさせていただいたんですけれども。
その中で、それを導入するに当たって、いろいろやらないといけないんですけれども、環境整備というのももちろんやらないかぬ。移動経路や距離の設定方法等についてとか、日によって異なる交通手段の利用の取扱い、雨が降ったりした日とかどうするねんとか、そういうことも含まれるのかなと思うんですけれども。あと自転車通勤手当の設定とか。これは、私の保育園も自転車で通勤している人たちにはエコ手当というのを出しているんですけれども、そういう手当の創設とかですかね。駐輪場の確保と利用の徹底と、あと更衣室、ロッカー、シャワールーム等の整備というのも書かれているんですね。
これは、もちろん来年これをつくるのに向けて、いろいろと今、議論をされているとは思うんですけれども、それを民間企業、官民共同でと、官民連携協議会のホームページ等で紹介とか書いてあるんですけれども、もちろん官もやらないかぬと思うんですね。というのは、一般の民間企業にそういったことをやってもらうに当たって、自分たちはやらなくていいんですよというのではやはり納得できないし、ぜひ官公庁の職員の皆さんも健康増進のために自転車通勤を奨励するというのはありやと思っているんですね。
これは、各省どういう実態なのかというのを、国交省がもしこれをやるんだったら、推進本部がちゃんと取りまとめて、各省庁の状況も把握をされた方がいいと思っているんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○田尻政府参考人 自転車通勤でございますが、環境負荷の低減ですとか国民の健康維持、増進、あるいは渋滞の緩和などに資することから、昨年六月に閣議決定がされました自転車活用推進計画において、自転車通勤などを促進するということとしております。
自転車活用推進本部におきましては、本年四月に、今、委員御指摘いただきました自転車活用推進官民連携協議会、これが組織されましたが、こちらの協議会とも連携をいたしまして、企業などが、過度な負担がなく、適切かつ円滑に自転車通勤制度を導入できるように、自転車通勤導入に関する手引を今後作成をしまして、官公庁あるいは企業などに対して、広報啓発を図ることとしております。
先ほど先生御指摘いただきました点につきましても、こういった手引に盛り込みたいと思っております。
また、これも御指摘いただきましたが、「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクト、これは官公庁あるいは企業などに自転車通勤推進に関する取組を宣言していただきまして、その取組を自転車活用推進官民連携協議会のホームページなどで紹介していこう、こういう取組でございますが、この宣言プロジェクトを今年度中に創設する、こういったことを始めとしまして、官民が連携して、自転車通勤や業務における自転車利用を推進してまいります。
委員御指摘のように、他省庁を含めて、官公庁における自転車通勤の実態の把握、今後とも進めてまいりたいと思っておりますが、いずれにしましても、自転車活用推進本部としましては、官公庁における自転車通勤の促進のため、各府省庁に対して、広報啓発あるいは必要な環境整備の促進などを働きかけてまいりたいというふうに思っております。
○浦野委員 時間が参りましたので質問を終わりますけれども、自転車、これはぜひ前向きに進めていただけたらと私も思っていますので、しっかりと制度設計をしてもらったらいいと思います。
以上です。
○牧原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。大河原雅子君。
○大河原委員 立憲民主党の大河原雅子でございます。
冒頭、一言申し上げます。
昨日起こりました川崎市登戸の無差別殺人事件、小さな幼い命を奪い、未来を奪いました。断じてこのような暴力を許してはならない。強い決意でございます。無念の思いでおられる犠牲者の御家族、また傷を負われた方々、また御周辺の皆様の御心痛を思っても余りあります。ぜひ、私たち政治家として、あらゆる暴力を許さない、そうした社会をつくることに全力を挙げたいと思います。
そしてもう一つ、きょう午前中に、私が四月十七日の内閣委員会で質疑をさせていただいた自民党の杉田水脈議員からも質疑がございました。
私は、日本は、過去において国策を誤り、そして戦争の道を歩みました。国内だけでなく、海外で多大な犠牲を強いて、そして、大本営発表と呼ばれた真実に基づかない誇張や虚偽、そしてプロパガンダによって多くの国民が命を落としたことを決して忘れてはならないと思っています。
政府による隠蔽や、都合の悪い公文書の改ざんや廃棄、こうしたことが、今、二十一世紀の今日、ここで起こっていることについては、私たちは国会議員として、粘り強くそれを解明し、是正を図り、そして何が真実なのか、しっかりと明らかにしていかなければなりません。それが、過去を教訓として、私たち国会議員の役割だと思っております。
このことは、与野党議員、差があるわけではございません。政府を支える与党の議員の皆さんにも、こうしたチェックの機能、行政監視の機能はしっかりと持っていただかなければならない。ですから、政府が誤った方向に行くようなことがあれば、ぜひとも与党の皆さんからも、是正の声、批判の声をしっかり上げていただき、与野党で議論をさせていただきたいというふうに申し上げておきます。
それでは、質問に入らせていただきます。
昨日の本会議で、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法の一部を改正する法律案が、与野党の協議で、修正で、全会一致で可決をいたしました。このように、与野党できちんと協議をしていく、政府が出してきた法律でも直すべきところはしっかりと直して前に進む、このことが必要だと思います。
東京の目黒や千葉の野田市の痛ましい事件が契機となったことは本当に胸の痛むことですけれども、五月十日の本会議質疑でも、私、この法案が、本会議質疑をさせていただくときに修正を強く願った者としまして、一歩も二歩も進んだというふうに評価をしているものでございます。
児童虐待とDVは密接な関係にあります。今回、DVに関して幾つか盛り込まれた点がございますが、この点は評価をしております。しかし、DVに関しては、実はまだまだ不十分だと思っています。例えば、児童虐待の四類型の一つである子供への性虐待、性暴力被害者支援については、議論を広げることが今回できておりません。手つかずだというふうにも言えると思います。
ですから、今後私たちがやらなければならないこと、次々こうした委員会も通じて課題を出し、そして解決に向かうという方向を持っていかなければなりません。
昨年十一月二十八日の当委員会で、私は、DV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会について、何点か片山大臣に確認と要望をさせていただきました。その後も、片山大臣が精力的に、大変熱心に取り組まれているということをお聞きしております。
四回の意見交換が終了して、近々報告書が出されるということを聞いておりますけれども、この検討会、意見交換を通して、恐らく大臣は、改めて、DVまた女性への暴力、これについて更に見解を深められたのではないかと思いますが、この点、まず伺わせてください。
○片山国務大臣 お答えさせていただきます。
ことしの二月一日から具体的には公式な会合を始めさせていただいたんですが、昨年から、私のもとに設置させていただいた、DV等の被害者のための民間シェルター等に対する支援の在り方に関する検討会で、学識経験者のみならず、現場の最前線の方々、多分委員のところにもいろいろと今までお願いにも行かれていた本当に長い方々に御参加をいただきまして、会合自体は四回させていただいて、諸課題の洗い出し、支援の方向性についての議論を重ねてきております。
これに加えて、私も、担当の事務局も含めて民間シェルター等を訪問もさせていただいて、そこで現場の方々の声を伺い、実際にこのシェルターに救われ、サバイバーというんですか、そのことによって、今後、新たに被害に遭われて苦しんでおられる方をみずからも救おうとボランティアで動いていらっしゃる方のお声も伺い、本当に、実態をある意味赤裸々に聞かせていただきました。
この民間シェルターは、もちろんDV被害をきっかけに入っていく方が多いんですが、その後PTSD的な状況になる方も、半数以上がそうですし、いわゆる今の時代で言われている女性にとっての生きづらさ問題ですね、生きづらさや困難を抱える女性への支援のためには本当に重要な社会資源となってきているということを改めて認識をいたしました。
冒頭、委員の御指摘がありましたように、あらゆる暴力の根絶が我々政府一丸となって取り組む課題でございますが、今回の委員の御指摘、DVを始めとする女性に対する暴力は、本当にビジブルな重大な人権侵害でありまして、根絶せねばならないものでございますから、今回、検討会の結果を踏まえて、今月中といっても本当に近々でございますが、民間シェルターへの支援拡充の方向性をはっきりと新たなパッケージとして取りまとめて、女性活躍加速のための重点方針二〇一九、これは閣議で、この中にもしっかりと反映をさせていただきたいと思っております。
これは今まで、支援は、いわゆる特別交付税の形ですから、やらないところはやらないのでございます。実際、シェルターがない県もあります。つまり、それをある程度国の一般会計の支援にしていくということは、これはゼロ、一の議論ですから、今まで何十年かかっているわけですからそう簡単ではありませんが、かなりいいところまで今一生懸命頑張っておりますので、またいろいろと御示唆、御指導を賜りたいと思います。
以上です。
○大河原委員 今、財政支援というところで、これまでやったことがないことをやるということでは、本当にきめ細やかな、本当に具体的な、そうした財政支援が望まれておりますので、そこに専門家を欲しいと、足りない方たちの人材育成、そして、そういう方たちにやはり安定的な体制で働いていただくためにも、支援は大きく必要だと思っています。
財政支援のことを先に伺ってしまいましたけれども、まず、報告書はいつ出るんでしょうか。
○片山国務大臣 取りまとめはもう今月中ということになると、残りが……(大河原委員「今週中」と呼ぶ)今週中ということになりますと、もう残りは三日というのか二日というのかなんですけれども、週内にまとめさせていただくことで、既に、最後の会合で会の委員長の一任をとっておりますので、最終的な調整をしているところでございますが、その中身については、まさに、安定的な運営ということを委員がおっしゃいましたけれども、そういったことに資する、つながるような形で幾つかポイントがございます。
まず、現状認識として、公的シェルターにはない柔軟な対応ができる重要な社会資源として、DV被害その他の生きづらさを抱く女性の方々の支援に非常に重要な役割を担っていただくにもかかわらず、財政的に一般に非常に厳しいということ、それから、支援に携わる方々の、もともとの始めた方々が非常に高齢化してきているということになりますと、民間の自主的な取組のみでは立ち行かなくなるということを初めて政府の方としても現実的に認識をさせていただいたことがまず第一点。
それから、民間シェルター等に寄せられた相談がどういうものか、幅広く伺って、多少分析もさせていただく中で、メンタルの問題が圧倒的に多いんですね。機関によりますが、九五%はメンタル。昔はもちろん経済的な問題も多かったと思いますが、九五%がメンタルとか、八割はメンタルとか、七五%がメンタルとか。こういったところへのケアで、公認心理師はようやく法案が通ったわけでございますが、これに限ることはないですが、心理の専門家がきちっと心のケアをしていくということの重要性を認識させていただきました。
それから、まず諸外国との比較において、民間シェルターに対する財政支援、特に安定的な支援が手薄であり、これを強化しなければいけないという必要性、これもしっかりと認識させていただき、それから、当面すぐに手をつけさせていただきたいということで、心理師、専門職等によるメンタル面のケア、それから児童虐待対策との連携、一時保護をした後の切れ目ない総合的支援など、先進的な取組を行っていただく民間シェルター等に対する支援の強化、先進事例へのまず公的支援ということから、これにつなげていこう。
さらに、今般、児童虐待でも非常に検討されておりますが、加害者更生プログラムを被害者支援の一環と位置づけて、初めてきちっとした実施基準の作成等に向けて動いていこう。
こんなところが主な内容となっております。
○大河原委員 大臣が集められた、活動している団体の皆さんのリアルな声を受けとめられて、本当に、出てくる報告書を楽しみにというか、しっかりと見せていただいて、それがDVの、DVシェルターという、本当にまだまだ数が少なくて、そしてシェルターにいられる時間は限られておりますから、その方たちの、被害を受けた女性たちの自立というところへやはり道をつけていかなきゃならない。そのための、ステップハウスですとか、さまざまなことがあります。
恐らく、DV法ができたときに想定していなかったというか、DV法自体が、今この時点からでも、またシェルターをつくられてきた女性の方たちから見れば、大変物足りないものであったんじゃないかというふうに思っています。
昨日の法律をみんなで成立をさせたという中にも、DVと児童虐待が、表裏一体とは言いませんけれども、本当に近いもの、両方くっついていることの方がよくある。だから、そういう意味では、展開をする場面がどんどん変わってくるんだというふうに思うんですね。
検討委員会の報告書、まだ表に出ていませんが、今大臣がおっしゃったシェルターに関してはそのようなことですけれども、基本的に私は、今回のことでDV法本体の見直しが必要だというふうに思っているんですけれども、この点については大臣はどう思われているでしょうか。
○片山国務大臣 御指摘のとおり、先般五月二十八日に、DV防止法の一部改正を含む児童虐待対策防止法案が衆議院で通りまして、いろいろと国会内での話合いで大変いい形になっているということで御指摘があったわけです。
このDV防止法につきましては、確かに、いろいろと御意見がありますし、経緯がいろいろとございまして、初めにつくるときから、超党派の議員の非常に意識の高い、関心をお持ちの先生方が真摯に議論を積み重ねて、全会一致という形で制定をされております。その後の改正も全部そういうことになっております。
ですから、我々政府の方としては、非常にそのあたりにきめ細かく、皆様の御意見も伺いながら、きちっと動向を見ながら、その改正の要否を検討するに当たっては、そういう経緯論も、それから今の議論、これまでの議論も十分に踏まえる必要がある、そういったものであるということは認識をさせていただいております。
現在の改正法案で、関係閣僚会議にて決定した方針に基づくものとして、被害者の保護のために連携協力を行うべき機関として児童相談所を明記するということ、さらに、被害者の保護のために連携協力を行うに際して、被害者の範囲にその同伴家族も含むことを明確化するもの等が入っておりますが、これから審議がまだ参議院の方でということでございます。
我々の方としては、内閣府として、今回のこともまさに気づきのきっかけとなったわけですが、大臣のもとの検討会の問題も内閣府、官邸の方にも御相談しつつ、きちっとそれが残るものとして生かしていこうという方向性で、DV被害の防止や被害者の適切な保護をきちっと考えていく。その上で、相談体制の整備、広報啓発、調査研究、それから、今申し上げました、シェルターも含めた民間団体に対する援助等の必要な対策というものをより一層きちっと充実をしてまいりたいと考えておりまして、今週発表させていただくその報告書の中にもその部分がもちろん入っているわけです。
これに必ずしも限られない部分でも、女性の生きづらさ対策、相談対策も、まだまだ人もいわゆる仕組みも足りません。それから、男女共同参画の担当大臣でも私はあるわけですが、相談体制を設けると、相談にあずかってみると、その中に多くのDV事例があり、その中に更に児童虐待事例があるというようなことも、有識者の皆様から報告をされております。
つまり、意識されていないわけですね。話をしてみたら、これは完全に行動を精神的に支配されている、コントロールされていて、客観的にはまともではないという形が発覚してようやく事前に制御される。そこでとまれば、今回の事例はもしかしたらお子さんがあそこまで追い込まれることはなかったのかもしれないと多くの専門家も言っておられますので、その重要性に鑑みながら、今の問題についても検討をしてまいりたいと思っております。
○大河原委員 DVの被害に遭って支援措置を受けている方は十三万人を超えますね。そして、子供の虐待というのも年々多い、十一万人を超えているということだったと思いますが、ちょっと数字がまだ小さかったかもしれませんけれども。
そこを、やはり親子が安心して暮らせるようにしていく。女性たちを守る、子供たちを守る、男性も被害を受けているということもあるかもしれませんけれども、あるでしょうが、そういうところで、今回中心となっていくのが児童相談所。児童虐待、この中心的な役割を担っていくということですけれども、どこのどんなルートからも、このDVと児童虐待との関連というものが判別できる、そういう専門家が必要なわけです。
次に、厚生労働省、今、この点ではどのような対応をしているのか、簡潔にお答えください。
○大口副大臣 お答えいたします。
まず、先生御指摘のとおり、児童虐待と配偶者からの暴力、DVには一定の関連性があるということが、児童相談所の実態に関する調査、三十年度においても、その調査結果からも一定の関連性がある。それから、児童虐待とDVの対応を連携して行っていくことが重要であると認識しています。
児童相談所においては、DVの問題があることに気づき、適切な支援につなげることが重要でありますが、このDV被害者の支援は、児童虐待の対応とは異なるところがあることから、児童虐待の支援を行う家庭にDVの問題が認められる場合、配偶者暴力相談支援センター、配暴センターや婦人相談所等に協力を求め、緊密な連携をとること、そして、これは要対協などを活用し、DV被害者と児童について積極的な情報共有を進めることなどについて、「子ども虐待対応の手引き」において地方自治体の職員向けに示しているところであります。
本年三月に決定しました「児童虐待防止対策の抜本的強化について」では、DV対策を行う機関と児童虐待への対応を行う機関から得た情報をもとに包括的にリスクの判断をする手法や、あるいは対応方法についてガイドラインを策定することとしており、児童相談所においても、虐待対応に加えて、DVの観点から事例のアセスメントを行い、DV対策を行う機関との連携ができるよう、体制の強化を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
そして、今国会において提出しております児童福祉法等の改正法案で、DV対策との連携強化のため、婦人相談所及び配偶者暴力相談支援センターの職員については、児童虐待の早期発見に努めることとし、児童相談所は、DV被害者の保護のために、配暴センターと連携協力するよう努めるものとする規定も盛り込んでいるところでございます。
そして、さらに、この法案では、児童相談所を始めとした自治体の体制強化の観点から、児童福祉司等の任用要件の見直しなどを行って、専門性を強化するための実効性ある対策を盛り込んでおり、これらを通じて、御指摘のDVや児童虐待にしっかり対応できる自治体、関係機関ともしっかりと協力をしながら、総力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
○大河原委員 大口副大臣、ありがとうございます。参議院でもまたたくさんの御答弁をなさらなければならないと思いますけれども、野田の事件も目黒の事件も、体制をとる、連携をしていくと言いながら、それがやはりできていなかったということが大変なショックなわけです。ですから、DVと児童虐待の関係はもちろんのこと、その専門職をつくっていくことは当たり前のことだと思いますが、これまでにない発想をきちんとするということが大事だと思います。
続いて、今、文科省もどういう対応をとられるのか、お答えください。
○中村大臣政務官 お答え申し上げます。
DVと児童虐待が密接に関連していますことから、学校において、児童虐待を含め、さまざまな課題を抱える児童生徒に対し、心理の専門家であるスクールカウンセラーや福祉の専門家であるソーシャルワーカー等と教職員が連携協力をして、個別の児童生徒の状況に応じて、チームで支援することが重要であると考えているところであります。
文部科学省におきましては、こうした認識のもと、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実に努めてまいりましたけれども、今年度予算において、スクールカウンセラーを全ての公立小中学校に配置する、スクールソーシャルワーカーを全ての中学校区に配置するための経費を計上したところであります。
引き続き、学校における相談体制の充実に努めてまいります。
○大河原委員 体制強化のために予算をしっかりつけるというのはまず第一歩です。そして、その予算を効率的に使うということももちろん必要なことでございますので、構えだけが立派でも、本当に救えない命があったということは心していただきたいと思います。
きょう、資料を配らせていただいておりますが、子供に対する性的な暴力の根絶、このことについて伺っていきたいと思います。
議論してきましたように、児童虐待防止対策の強化というのは図られつつあるというふうに思います。でも、虐待の四類型のうちの、身体や精神、心理やネグレクトじゃなくて性的な暴力被害、これに対する対策というのはまだまだ不十分だと。大変デリケートな問題ですから歩みが遅いのはわかります。しかし、私は、性的な暴力被害、これが見えにくいだけに、そして奥に奥にと沈み込んでしまうがゆえに、なおさらしっかり力を入れなければならないというふうに思います。
第四次男女共同参画基本計画においても、第七分野に女性に対する暴力根絶、このことが掲げられて進めてこられておりますけれども、その更に細分化された五のところに子供に対する性虐待、性暴力根絶、このことが掲げられておりまして、実はかなり丁寧に書き込んであります。
これを、実はもう本当に一つずつやってきたかということをチェックしたいぐらいなんですけれども、現在、政府は子供に対する性的な暴力根絶に対してどのような取組をしておられるのか、まずお答えください。
○小田部政府参考人 お答えいたします。
児童ポルノ等の子供の性被害に係る事犯は、子供の心身に有害な影響を及ぼし、その人権を著しく侵害する極めて悪質なものであると認識しているところでございます。
こうした子供の性被害を撲滅するため、平成二十九年四月の犯罪対策閣僚会議におきまして、子供の性被害防止プランが策定されまして、警察におきましては、同プランに基づいて、関係機関、関係団体と緊密に連携を図りながら、児童の性的搾取等の撲滅に向けた国民意識の向上、被害児童の迅速な保護及び適切な支援の推進、被害情勢に即した取締りの強化等の諸対策を推進しているところでございます。
また、毎年、子供の性被害防止対策に関する関係府省庁連絡会議を開催し、子供の性被害防止プランに基づく取組の進捗状況のフォローアップ等を実施しているところでございます。
引き続き、子供の性被害防止プランに基づきまして、関係機関、団体や民間事業者等との緊密な連携を図り、児童ポルノ等、子供の性被害の撲滅に向けた取組を推進してまいりたいと考えております。
○大河原委員 今、お答えで、児童ポルノとか買春とか、明らかにわかる性搾取、性暴力、こういったことはお答えがあったんですね。
今お話に出てきた犯罪対策閣僚会議の、二〇一七年四月十八日につくられた基本計画、これは、一年たって、平成三十年にフォローアップされておりますけれども、ここでも、私は欠けているものがあると思うんです。
これは、先ほど言っていましたように、DVの陰に子供虐待がある、子供虐待の中に性被害、性暴力があるんですね。野田の事件も、実はその娘さんが、女児が性被害を受けていたんじゃないか、そういうチェックをする目が本当になかったのか。あったけれども、それを見過ごしてきたんじゃないか、そういうことが非常に大事なわけです。
そのことをするためにも、今政府に、子供に対する性的な暴力根絶に対しての取組を伺いましたけれども、そこで、児童ポルノとか買春だけが出てくるんじゃなくて、全ての子供たちが、自分の体についてきちんと知って、安全を守れるようにする、そういう教育をちゃんとしていなきゃおかしいと思うんですが、大口大臣、どうでしょうか。伺っていいですか。
○大口副大臣 性被害を受けた子供やその家庭から、児童相談所に対して相談があった場合にどうするかと。まずは、医療機関において速やかな診察、必要な治療を行うとともに、被害状況について確認をした上で、警察と連携することが重要であると考えています。
その際の性被害という特性から、子供や被害者家族の意思も十分踏まえつつ、被害を受けた子供の心理面にも十分配慮しながら、具体的な事実の確認を行うことが重要であると考えます。
特に、被害を受けた子供がその被害について話すことには、強い心理的な苦痛や恐怖を伴うことがあります。だから、二次的な被害にならないように、こうした苦痛や恐れの感情に十分配慮する必要があります。
加えて、児童相談所では、児童相談所に配置している児童心理司などによるカウンセリング、また専門医療機関における治療へつなぎ、連携して対応するなど、子供に対する心理的なケアを行うほか、保護者に対して、子供の体や心理状況や、今後考えられる状況について説明をし、そうした状況を踏まえた今後の養育に関する相談を行うことをしてまいりたいと思います。
○大河原委員 本当に難しいんですね。子供の特性を捉えていないと、また、被害に遭った子供の特性を捉えていないと、それはわかりません。でも、身体的に、系統的、全身的な診察をきちんとするということが、子供が言いたくない隠している部分もきちんと受けとめてあげられる。そして、そこから子供の心と体の回復、それから、その先に夢を持てるか、希望を持てるか、そういうことがかかってくるわけです。
先日来そのことをやろうとしているというふうに思いたいですが、ここに掲げられている対策というのは子供たち一人一人のためのものではなくて、むしろ、先に子供たち一人一人に届くそうした安全教育、自分の体、大事で、親にもなかなか、さわっていいよ、さわっちゃだめ、そういうことまでわかるような、その年齢に合わせてどんどん課題が大きくなっていきますけれども、そうしたことを知るために、厚生労働省は、児童福祉法の改正に児童の権利条約ということの精神を入れました。
ここでもあるんですが、文科省は、この児童の権利条約についてパンフレットとかはおつくりになっていないですよね。子供に対して学習指導要領でちょっと触れた程度だと思うんですが、どうでしょう。おわかりになりますか。わからなければいいですが、多分やっていないから。やっていないということは御存じですか。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
突然のお尋ねでございますので、児童の権利条約にかかわる件につきましては知見はございませんが、学校におきましては、性的な暴力の被害を含む性にかかわる問題について、学習指導要領に基づき、児童生徒が性について正しく理解し、適切に行動をとれるようにすることを目的に、性に関する指導が行われているところでございます。
指導に当たっては、地域や学校の実情、そして、何よりも発達段階を踏まえるということ、学校全体で共通理解を図ること、保護者の理解を得ることなどに配慮するということとされております。
文部科学省といたしましては、学校における、性的な暴力の被害を含む性にかかわる問題について、指導の充実に努めてまいります。
○大河原委員 先日、厚生労働委員会で、この点、大臣に伺ったんですね。御存じなくて、子どもの権利条約において、子供の権利に関して政府の役割は啓発そして普及、広報なんですね。このことをやっていないんですよ、日本は。それは、犯罪対策閣僚会議、この基本計画の中に、やっているところは外務省のホームページに載っけてあります、そういうことだけなんです。それじゃ、子供たちが何をされたかわからない、自分の権利がどう損なわれたかがわからない。だから、そのことをやはりきちんと年に応じて教えていくということが今一番求められています。
これは、幾ら年々計画をつくり、そしてそれをフォローアップしても、その予防教育のところがない限り、やはり子供たちは被害に遭います。自分の性が売られるということ、自撮りの写真で、子供たちが自分の意に反してそうした性被害に巻き込まれる。年がいけば、それが商品化して更に大きな被害になって一生続く。AV強要などもやはりそうなんですね。
そして、そのDVや児童虐待の背後にあることをきちんと見るんだということがこの政府の方針の中に書き込まれているわけですから、ぜひこれはしっかりとやっていただき、参議院の方に移る児童虐待防止法案の審議の中でも、更にブラッシュアップするためにお答えをいただいたらいいんじゃないかなというふうに御提言申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○牧原委員長 次に、大島敦君。
○大島(敦)委員 片山大臣に一問質問をさせていただきます。
今週の金曜日には当委員会で子どもの貧困対策推進法案がかかる予定です。先日は児童虐待防止関連法改正案が衆議院で可決をして、児童虐待についても、子供の貧困についても、そして性暴力被害についても、我が社会が抱えている問題は同じだと思っています。
刑法の改正が平成二十九年に行われて、当時、性犯罪を厳罰化した刑法の改正案、そして令和二年、二〇二〇年をめどに状況を検討し、必要があれば見直されるということで、見直しの規定がついています。
最近の新聞報道を見ると、性暴力被害でも家庭内、特に父親から子供への性暴力被害の判例について疑義があるという報道が非常に多いです。無罪判決に対しておかしいのではないのかなという報道が多くて、私もこの報道を見ると、判決に対して違和感を感じることも確かです。ですから、立法府の役割としてしっかりと性暴力被害について私は議論すべきだと考えておりまして、今、当委員会には、野党各会派から性暴力被害の支援法案がかかっておりまして、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、共産党、維新の党、自由党、社民党、六党一会派で我が内閣委員会にかかっておりまして、この問題は与党も野党もないと思っております。
やはり立法府として、私もこれまで衆議院に籍を置きながら、ハンセン病の被害に対する、そのときは立法府としての不作為責任があったのかなという自覚を持っていまして、ですから、刑法改正が行われるのを待つことなく、しっかりとした議論を立法府、特に内閣委員会で積み重ねることが性暴力被害に対する抑止になる、抑止というか、理解を深めることになると思っていますし、内閣府の調査でも、性暴力被害に遭われている方が私の想像を超えて非常に多かったわけです。予算を聞いても二億一千万円で、もう半分は地方自治体に持ってほしいということで、地方自治体に半分持ってと言っても、地方自治体としてそこまで、重点的に対策を打つところもあるし、打たないところもあるかと思いますので、国の責任として性暴力被害についてはしっかりとした対応をとるべきだと考えております。
そして、特に医療機関との連携、被害に遭われた方がすぐ医療機関にかかることによって、御本人の健康もありますし、被害状況をしっかりと把握すること、そしてそのケアの問題、二十四時間三百六十五日、しっかりとした対応をとれることが必要だと思っておりますので、その点につきまして、今後、政府としての対応について強化してほしいと思っているものですから、そして、委員長については、ぜひ機会があれば、こういう法案についての議論も深めた方が立法府等の責任を果たせると思うものですから、その点についても御検討というよりも御関心を持っていただいて、まずは片山大臣からの御答弁をお願いします。
○片山国務大臣 御指摘の法案につきましては、ハウスの問題というか、院の問題でいらっしゃるので、私の立場では申し上げることではないんですけれども、性犯罪、性暴力というのが、いかに被害者にとって、身体面のみならず精神的に、しかも非常に長期にわたって支障を来すものであるかというのは、この数カ月、DV被害者等の立ち直り、また加害者の更生という問題を取り上げてきて、かなり共通するところがございますので、全く事実認識は同じだと思っております。
政府の方では、先ほども大河原委員からお話がありましたように、第四次男女共同参画基本計画、それから第三次犯罪被害者等基本計画等、いろいろきちっと書き込んではあるんですね。各関係府省連携の施策の推進ということもうたわれているので、あとはその実効性を上げていく。それから、これから政府の方では骨太の方針等、施策の方針を出していく時期になりますが、概算要求前にですね、こういったところでどこまでできるかということも非常に大きいと思っております。
私ども内閣府では、性犯罪・性暴力被害者支援交付金等によりまして、被害直後から医療面、心理面などの支援を可能な限り一カ所で提供するという意味でワンストップ支援センターの整備を促進しておりまして、DVシェルターの会の方で、先日我々もそちらの方も視察をしてまいりました。やはりそちらも、人も、スタッフも資金もまだまだ足りないということで、ただ、医療機関との連携をされているところで、そこの先生は本当にノウハウもあり、また地域医療、そしてこの問題に情熱を持って取り組んでいただいていて、ただ、そういうところが全四十七都道府県に、全部かというとそうはなっておりませんので、できるだけ医療機関と完全に連携して、安心、安全な運営が適切に、しかも二十四時間三百六十五日の体制でできるようにしなければならないということは強く思っております。
前年度からは確かに一割強はふやさせていただいたんですが、今般、私のもとに設けさせていただいたDVシェルター等の支援の会でまとめました報告書を演繹していって、これは同じところにつながるところが多いものですから、こういった問題により生きづらさを抱える女性に対する支援あるいは未然防止ということも含めて、ぜひ強化充実を図ってまいりたい、かように思っております。
○大島(敦)委員 御答弁ありがとうございました。終わります。
○牧原委員長 次回は、来る三十一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時四十二分散会