衆議院

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第22号 令和元年6月12日(水曜日)

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令和元年六月十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 牧原 秀樹君

   理事 平  将明君 理事 谷川 弥一君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 松本 剛明君 理事 山内 康一君

   理事 大島  敦君 理事 岡本 三成君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    上杉謙太郎君

      小倉 將信君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    金子 俊平君

      神谷  昇君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      中山 展宏君    長尾  敬君

      西田 昭二君    百武 公親君

      古田 圭一君    穂坂  泰君

      本田 太郎君    松野 博一君

      松本 洋平君    三谷 英弘君

      村井 英樹君    阿部 知子君

      今井 雅人君    大河原雅子君

      岡本あき子君    近藤 昭一君

      篠原  豪君    初鹿 明博君

      松平 浩一君    山尾志桜里君

      早稲田夕季君    小宮山泰子君

      森田 俊和君    山岡 達丸君

      太田 昌孝君    佐藤 茂樹君

      塩川 鉄也君    高橋千鶴子君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    宮腰 光寛君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   文部科学大臣政務官    中村 裕之君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   会計検査院事務総局第二局長            原田 祐平君

   最高裁判所事務総局刑事局長            安東  章君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        小野田 壮君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            池永 肇恵君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 田中 勝也君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           矢野 和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    橋本 泰宏君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     古田 圭一君

  金子 俊平君     上杉謙太郎君

  高木  啓君     百武 公親君

  三谷 英弘君     穂坂  泰君

  村井 英樹君     小倉 將信君

  今井 雅人君     早稲田夕季君

  近藤 昭一君     阿部 知子君

  初鹿 明博君     松平 浩一君

  森田 俊和君     小宮山泰子君

  塩川 鉄也君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     金子 俊平君

  小倉 將信君     村井 英樹君

  百武 公親君     高木  啓君

  古田 圭一君     大西 宏幸君

  穂坂  泰君     三谷 英弘君

  阿部 知子君     近藤 昭一君

  松平 浩一君     初鹿 明博君

  早稲田夕季君     今井 雅人君

  小宮山泰子君     森田 俊和君

  高橋千鶴子君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

六月十一日

 日本国憲法第八条の規定による議決案(内閣提出、憲議第一号)

同月四日

 幼児教育・保育の無償化に関する請願(日吉雄太君紹介)(第一三七七号)

 学童保育(放課後児童健全育成事業)の「従うべき基準」を堅持することが実現できる財政措置に関する請願(小川淳也君紹介)(第一四五九号)

 公務・公共サービス拡充に関する請願(黒岩宇洋君紹介)(第一四六〇号)

 慰安婦問題の解決に関する請願(近藤昭一君紹介)(第一四六一号)

同月七日

 学童保育(放課後児童健全育成事業)の「従うべき基準」を堅持することが実現できる財政措置に関する請願(岡本充功君紹介)(第一六二〇号)

 同(和田義明君紹介)(第一六八九号)

同月十一日

 レッド・パージ被害者の名誉回復と国家賠償に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七九五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七九六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七九七号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七九八号)

 同(清水忠史君紹介)(第一七九九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八〇〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一八〇一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八〇二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一八〇三号)

 同(藤野保史君紹介)(第一八〇四号)

 同(宮本徹君紹介)(第一八〇五号)

 同(本村伸子君紹介)(第一八〇六号)

 幼児教育・保育の無償化に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一八六二号)

 特定秘密の保護に関する法律の撤廃に関する請願(宮本徹君紹介)(第一八六三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国憲法第八条の規定による議決案(内閣提出、憲議第一号)

 内閣の重要政策に関する件(企業主導型保育・子どもの貧困対策)


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     ――――◇―――――

牧原委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、特に企業主導型保育・子どもの貧困対策について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府政策統括官、子ども・子育て本部統括官小野田壮君外九名の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第二局長原田祐平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局刑事局長安東章君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。牧島かれん君。

牧島委員 皆様、おはようございます。自民党の牧島かれんです。

 本日は、宮腰大臣にも御出席をいただきまして、企業主導型保育事業についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 まず、子育て安心プランという政府の方針があり、そのもとで企業主導型保育事業が進められてきたのだと理解をしています。企業主導型保育園の中には、従業員の方が安心して働くために設置をされた施設ももちろんありますし、また、地域の方々のお子様を受け入れて地域貢献をされている施設もあるというふうに理解をしております。

 女性に限ることではありませんが、妊娠、出産、子育てというライフステージと、そして働くというキャリアプラン、その両方を考えたときに、やはり保育園の存在というのは大変大きいものがあるというふうに思っております。

 その上で、この企業主導型保育事業の意義と効果について、まずは大臣にお伺いしてまいりたいと思います。

 これまでの実績と、そして今、質と量、両面で課題があるというふうに指摘を受けております。今後の方針を含めて、大臣から御答弁をお願い申し上げます。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業は、女性の活躍を推進していくため、保育の受皿を更に拡大する中、待機児童対策へ貢献すること、具体的には、令和二年度末までの約三十二万人分の整備のうち、これまで前倒し分も含めて約四万人が助成決定されており、また、税財源ではなく事業主拠出金を財源として、夜間や休日勤務、短時間勤務など、それぞれの企業における従業員の多様な働き方に対応した柔軟な保育を企業の創意工夫により提供できるようにして、人材確保を進めようとする企業を支援することといった点に意義があると認識をいたしております。

 他方、保育の質、事業の継続性、実施体制の確保、自治体との連携といった点で課題があるというふうに考えております。

 引き続き、経済団体と丁寧に協議を行いつつ、検討委員会報告を踏まえ、改善すべき点についてはしっかりと改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

牧島委員 ありがとうございます。

 今、大臣の御答弁の中で、待機児童の対策という点で貢献をしてきたということ、また多様な働き方にも対応してきたということ、お話がございました。改善すべきは改善するという大臣のお話でございましたので、進めていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 関係しまして、予算についてなんですが、決算によれば、執行されていない予算が多額で、計上が過大なのではないかという指摘も出ています。実績が予算を下回る状況になっていることを受けて、今後の予算の計上はどのように進められるのか、お願い申し上げます。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業については、待ったなしの課題である待機児童対策のため、子育て安心プランにおける令和二年度末までの約三十二万人分の整備のうち、六万人分を確保する予定としておりまして、前倒し分を含めて既に約四万人が助成決定されております。こうした待機児童対策に確実に対応していくため、必要な経費を計上したところであります。

 一方で、委員御指摘のとおり、これまでの実績が予算を下回る状況になっていることは真摯に受けとめなければならないと考えております。

 今後の予算編成に当たりましては、自治体との連携強化による定員充足率の改善等を図っていく中で、これまで以上に、施設数の増加、定員充足状況、積立金の推移などを注視しながら、経済団体とも一層丁寧に協議し、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

牧島委員 大臣からは、真摯に受けとめるというお話でございました。連携の強化ももちろん必要なことでございますし、また、定員の充足率の分析もしていただく必要があると思います。また、稼働している施設がどこにあるのか、新施設がどのような制度なのか、どのような思いでつくられていくのかという点もしっかりと見ていただきたいと思います。

 だからこそ、指導監査というものが大事になってくると思います。指導監査の仕組みについてお尋ねいたします。

 企業主導型保育事業には、都道府県への届出義務、都道府県による報告徴収、立入調査があります。立入調査の結果、改善が必要と認められる場合には、都道府県から改善指導、勧告が行われ、これに対して改善措置を講じる必要があります。事業停止、施設閉鎖命令などが出る場合もあります。

 また、児童育成協会による指導監査があります。毎年一回指導監査があり、これに加えて抜き打ち監査もあります。立入調査の結果、改善が必要と認められる場合には、児童育成協会による改善指導が行われ、改善が見られない場合など、助成決定が取り消される場合があります。

 ここでお伺いしたいのは、都道府県が行う指導、勧告と児童育成協会による指導監査の違いについてであります。どこに違いがあるのか。また、これから児童育成協会が外部へ監査を委託する際に、どのような点に留意するべきだと考えているのか。疑義を持たれないようにするべきという点が大切なことだと考えておりますので、その点をお答えいただきたいと思います。さらに、内閣府は監査にどのようにかかわっていく予定なのでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 まず、都道府県と協会の監査の違いでございます。

 企業主導型保育施設は、児童福祉法上の認可外保育施設でございまして、委員御指摘のとおり、児童福祉法に基づく都道府県による立入調査のほか、児童育成協会が原則年一回以上の立入調査等を実施してございます。

 この児童育成協会の指導監査でございますけれども、地方自治体が定める認可外保育施設指導監督基準や家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準などを参酌して協会が定める基準に基づき実施しているところでございます。

 三月の検討委員会報告に沿いまして、現在、実施機関と都道府県の間で、保育士有資格者の割合や財務監査の有無といった面で基準が異なっているという状況でございますので、こうした異なっていたことにつきまして整合性を図るとともに、指導監督の合同実施、結果の情報共有などにつきまして、監査費用への国による支援を含めて具体的な検討を進めているところでございます。

 次に、外部監査を委託する際に留意すべき点でございます。

 指導監査業務の一部を外部に委託する場合は、中立性、専門性を確保することが必要であると認識してございます。また、指導監査を行う者が施設のコンサルティングを務める、資本関係があるなどの一定の関係性を有する場合は、非営利法人への委託を含め、利益相反が生じないようにする必要な措置を講ずることが必要であり、現在、具体的な検討を進めているところでございます。

 最後に、内閣府が監査にどのようにかかわるかということでございます。

 国と実施機関が適切な役割分担をする体制を整備し、実施機関は、国の指示のもと指導監査の実務を担い、国は、実施機関の例えばたび重なる指摘によっても改善が見られない場合などにつきまして、必要な場合には直接指導監査を行うこととしてございます。

 既に、四月末に公表されました検証結果における事業譲渡等を対象としまして、補助金の返還につながるような事案の有無に関し、内閣府として、監査を進めるなどの取組を行っているところでございます。児童育成協会を指導しながら、厳正に対処してまいります。

牧島委員 ありがとうございます。

 今のお話で、地方自治体と協会の監査の整合性をとるようにしていくという点が確認されました。また、情報共有、これまで十分でなかった点も改めていくということだろうと理解をいたしました。

 また、外部委託についても多くの皆様が注視されているところだと思いますが、中立性、専門性が重要であるという点が改めて答弁で示されたのだと思っておりますが、具体的な検討はこれからということであります。利益相反がないようにしていくという点、もう一度私の方からも申し上げさせていただきつつ、コンサルティング業務についてもということが触れられておられましたので、各施設がコンサルティングを受けていることなどをしっかりと把握できるようにしなければならないということもお話をしておく必要があるだろうと思います。

 また、内閣府による体制整備についても御答弁がありましたが、直接指導監査するということを言っていただきましたので、その体制、しっかりととっていただけるようお願いを申し上げたいと思います。

 今もお触れになられました、企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会報告で示された課題は四点です。

 保育の量的拡充に重きを置く一方で、保育の質の視点が不足しているのではないか。保育施設の一部に事業の継続性、安定性の点で課題がある。事業運営に当たり透明性が不足している。地元自治体との間で指導監査などの連携が不足している。それぞれの課題への対応を具体的に決めていかなければならない時期にいると思っています。

 審査、指導監査のあり方を今後どのように見直すのか。施設が継続されなければ、子供たちも、そしてその御家族も困ってしまいます。安定的な保育環境の提供に向けてどのような対応を行っていくのか。立入調査の結果や、審査結果、決算情報など、何をどのように公開、情報開示することで透明性を確保するのか。財務内容をどのようにチェックをすれば破綻の可能性などを見きわめることができるのか。国、都道府県、市町村、実施機関の役割分担と連携をどのように構築していくのか。それぞれ方針をお答えください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 まず、審査、指導監査の見直し、安定的な保育環境の提供についてでございます。

 審査につきましては、保育の質の確保、事業の継続性、安定性を確保する観点から、審査委員会による審査体制や審査内容を充実させる。保育事業者設置型につきまして、新規参入は五年以上の事業実績のある者に限定し、また、定員二十名以上の施設は保育士割合を五〇%から七五%に引き上げる。現在、原則として書面により行われているものを、必要に応じヒアリング、現地調査を行うなど、審査の精度を向上させる。審査を二段階とし、まずは申請事業者の財務面など適格性を審査し、次にこの適格性を満たす事業者について、施設の構造面、事業計画等を審査するといった方向で改善を図ります。

 また、指導監査につきましては、安全かつ安定的な保育が可能となるよう、実施機関と、児童福祉法に基づく指導監督を行う都道府県の間で、先ほど少し触れさせていただきましたが、保育士資格者の割合や財務監査の有無といった面で指導監査基準が異なっていたことにつきまして整合性を図るとともに、実施機関と都道府県との指導監査の合同実施、結果の情報共有、指導監査の研修の合同実施を行う、各施設への巡回指導など事業者支援の充実を図るといった方向で改善を図ります。

 こうした方針のもと、子供の安全第一の観点から、保育の質の確保、向上を重視し、審査、指導監査のあり方を見直すことで、安定的な保育環境の提供に寄与していきたいと考えてございます。

 次に、情報公開、透明性の確保でございます。

 事業の透明性を確保するとともに、事業の運営規律の徹底に資するよう、各施設の決算情報を公開いたします。利用者の安定的な確保や事業運営の健全性を確保するため、各施設の定員充足状況等を公表いたします。取消しや休止施設の情報も一覧で公表します。こういった方向で現在検討を進めており、今年度中にも情報公開のルールについて取りまとめたいと考えてございます。

 最後に、国、実施機関、自治体との役割分担でございます。

 検討委員会報告を踏まえまして、国と実施機関が適切な役割分担を図っていくことが重要でございまして、国は、審査や指導監査、情報公開基準などの基本ルールを策定する、実施機関は、中立、専門的な体制とし、国の指示のもとで、審査、資金助成、指導監査等の実務を担う、また、毎年度国が外部評価等を行い、それを前提に複数年の事業実施を可能とするという形で、具体的要件を整理することとしてございます。

 また、事業を円滑に実施していくためには、これまで以上に自治体との連携が不可欠でございます。設置者が地域枠を設定しようとする場合、自治体と相談の上、地域の保育需給状況を踏まえたものとする、実施機関と自治体が相互に連携しながら、必要に応じて指導監査、巡回指導、研修の整合性の確保や合同実施に努めるといった方向で、現在具体的な検討を進めているところでございます。

牧島委員 まず、情報公開についてですが、決算情報は公開する、定足の状況も公開をする、取消しの状況についても公開するということであったんですが、今年度中にも情報公開のルールを取りまとめるということでありました。できるだけ早くルールは取りまとめていただいて、周知徹底する時間も必要だと思いますので、そこはお願いをしておきたいと思います。

 また、巡回指導も含めて審査精度を高めていく、子供の安全が第一なんだということであります。それを受けて、児童育成協会に私自身も伺ったときのことをお話ししたいと思うのですが、丁寧に施設を調査するというのは大変なことだと思っております。一日に何カ所も調査を行う、抜き打ち監査も含めて立入調査を行うというのは、現実的に大変難しい業務だろうと思っています。立入調査、抜き打ち調査の人的体制のあるべき姿については、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 現在、指導監査としまして、立入調査や、改善すべき指摘の多かった施設などに対し必要に応じて行う抜き打ち調査などを実施しておりますが、保育の質の確保、向上を図る観点から、その充実強化を図ることが重要であると認識してございます。

 このため、委員会報告に沿いまして、さまざまな法人種別に対応した専門人材を確保したり、監査ルールを充実する、指導監査体制の地域ブロック別又は業務別を整備する、指導監査の一部を外部に委託する場合には、先ほど申し上げました中立性、専門性を確保し、利益相反が生じないよう必要な措置を講ずる。

 また、実施機関と都道府県において指導監査基準が異なっていたことにつきまして整合性を図るとともに、指導監査の合同実施、結果の情報共有、研修の合同実施を進める、国が必要に応じて直接指導監査する体制を整備するといった方向で改善を図ることとし、現在、具体的な検討を進めているところでございます。

 実施機関につきましては、こうした改善の方向に沿って相応の体制を確保していただく必要があると認識してございます。

牧島委員 ありがとうございます。

 専門人材の確保というところが鍵だと思っています。これは、もちろん保育の内容をしっかりと理解をされる専門人材、さらには労務とか財務といったこともわかる方たち、それぞれ地域ブロックなどをきめ細かく皆様に見ていただく必要があると思っております。また、研修についても拡充を求めておきたいと思います。さらに、やはり国のかかわりというところも大事なものなのではないかというふうに考えております。

 会計検査院による指摘も出ています。一年以上定員充足率五〇%未満の施設が七十二施設ありました。この点、どのように対応されるつもりでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の今般の会計検査院の指摘によれば、利用定員や利用児童数を勘案し、利用が低調であると思われる二百十三施設を抽出して検査を行った結果、平成三十年十月時点の定員充足率及び平成二十九年十月から平成三十年九月までにおける平均定員充足率がいずれも五〇%未満となっていた施設が、六十七事業主体七十二施設であったとのことでございます。

 一方、内閣府が行った調査結果によれば、平成二十九年度一年間を通じて開所していた五百一施設の定員充足率は、全体で七二・八%となっており、定員充足率が八〇%以上の施設が全体の四六・七%、定員充足率が五〇%未満の施設が全体の一七・八%となってございました。

 いずれにいたしましても、利用が低調となってる事態をしっかりと改善していくことが重要だと認識してございます。審査時に、従業員枠については利用者の意向調査等のデータを求め、また、地域枠については自治体から地域の保育需要等の客観情報を求める。開設後においても、利用が低調な施設については、巡回指導、企業と施設とのマッチング支援など、相談支援を充実させる、各施設の定員充足状況等を定期的に公表するなどの対策を講じることとし、現在、必要な作業を進めているところでございます。

牧島委員 意向調査、客観調査、マッチングということであります。保育の質も担保していただかなければならない、と同時に、待機児童という問題、課題にも向き合わなければならないというふうに考えております。

 会計検査院からもう一点、開設がおくれている施設があるという指摘も出ています。二十八年度に整備費の助成を受けて三十一年三月末時点でも運営開始していないものは四事業者四施設になっています。対応はいかが進められるのでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の今般の会計検査院の指摘によれば、平成二十八年度に整備費の助成を受け、平成三十年四月までに開設する計画となっていた施設のうち、平成三十年四月時点で未開設の施設は十七事業主体十七施設でございます。このうち、設備基準等の適合状況の確認が不十分なまま整備を実施していた施設が九事業主体九施設あったということでございます。

 開設が遅延して児童を受け入れられていないなどの事態につきましては、本年三月三十一日時点の状況について内閣府で確認したところ、その時点でまだ運営を開始していない施設は四事業主体四施設でございました。これら四施設につきましては、一定の期限までに開所ができない場合は助成決定を取り消す旨の通知を行っているところでございます。

 さらに、今後、審査体制や審査内容の充実を図ることとし、具体的には、施設構造面の技術的審査について自治体と連携、必要に応じてヒアリングや現地調査を実施、審査項目のチェックシートを作成などの改善策について、現在、具体的な検討を進めているところでございます。

牧島委員 しっかりと期限を定めていただいて、その期限までに開所しない場合は助成決定を取り消すという姿勢を示していただくことが大事なのではないかと思います。

 助成決定後の状況についてもお伺いします。

 取りやめとなったのが二百三十七法人二百五十二施設、取消しが二法人二施設、事業譲渡が十六法人四十四施設、破産、民事再生などが三法人十施設、休止が十一法人十二施設となっています。

 このように数字を述べさせていただきますと、やはり、申請から助成決定までのプロセスで見直すべき項目があるのではないかという思いに駆られます。今後どのように見直される予定なのでしょうか。

宮腰国務大臣 今般の二カ年の検証において明らかとなった課題を真摯に受けとめ、必要な対応策を早急に講じていかなければなりません。委員御指摘のように、申請から助成決定までのプロセスの中で見直すべき項目があるのではないか、おっしゃるとおりだと思っております。

 三月の検討委員会報告に沿いまして、現在、審査基準、運営基準、指導監査などのあり方について検討を進めております。

 例えば、審査につきましては、審査委員会による審査体制や審査内容の充実を図るとともに、必要に応じてヒアリング、現地調査を行うなど、審査の精度の向上を図ることや、保育事業者設置型の新規参入には五年以上の事業実績を求めること、また、指導監査については、財務面や労務面を強化するための専門人材の確保などを行うことや、地域ブロック別又は業務別の体制を整備すること、さらには、情報公開については、透明性と運営規律の徹底性に資するよう施設の決算情報を公開していくことといった点について具体的な検討を進めております。

 また、二カ年検証に基づき、現在、事業譲渡等の事例について、補助金の返還につながるような事案の有無に関し、児童育成協会に対し、既に実施している調査も含めさらなる調査を指示するとともに、内閣府としても、必要な立入調査など監査を徹底的に行っているところであります。

 また、平成二十八年度に整備費の助成決定を受けたにもかかわらずいまだに開所できていない施設に対しては、一定の期限までに開所できない場合は助成決定を取り消す旨の通知を行っております。

 検討委員会報告等に沿いまして、速やかに事業の改善を図ってまいりたいというふうに考えております。

牧島委員 大臣のお言葉から、見直す項目があるのだという点、そして、内閣府としてもしっかりと監査をしていくという御答弁をいただきまして、大変その方向で進めていただきたいなというふうに感じているところであります。

 二カ年検証で明らかになった点の中に、助成金の返還を行っている、取消し二件及び取りやめ七件、これは債権回収をしていただく必要があると思いますが、この点は具体的にどのように進めていくのでしょうか。

宮腰国務大臣 助成金が確実に返還されることは大変重要であると考えております。

 今般の検証におきましては、取りやめ及び取消しの事案で、事業者から児童育成協会に助成金の返還がなされていないものについては、事業者に対し、引き続き児童育成協会から助成金の返還を求めるとともに、法的手段も含め、必要な措置を講ずることとしております。

 これを踏まえまして、助成金の返還を求めている七件のうち、これまで児童育成協会から事業者に数度にわたり返還請求を行ったにもかかわらず助成金の返還がない四件について、児童育成協会から事業者に対し返還請求訴訟を提起することとし、このうち一件については既に六月七日付で訴状を裁判所に発出いたしました。また、残りの三件についても速やかに同様の措置をとることとしております。

 内閣府として、児童育成協会をしっかりと指導し、助成金が確実に返還されるよう努めてまいります。

牧島委員 今、大臣より、法的手段も含めてということで、訴訟提起についてもお触れをいただきました。こうした内閣府の姿勢が大事なのだというふうに多くの国民の皆様に伝わるよう思っております。

 審査業務や資金助成業務等を担う実施機関は、本年夏を目途に改めて公募、選定することにしているというふうに理解をしております。新たな実施機関の選定基準はどのようなものになるのか、体制の増強もしていただかなければならないかと思います。その点のお考えをお聞かせください。

宮腰国務大臣 検討委員会報告等において明らかとなった課題を真摯に受けとめ、実務を担う実施機関の体制を含め、実施体制を強化することが急務であると認識をいたしております。

 検討委員会報告では、国は、審査や指導監査、情報公開基準等の基本ルールを設定し、また、必要な場合には直接指導監査を行う、実施機関は、国の指示のもとで実務を担当することとされています。

 その上で、実施機関については、審査基準や運営基準、指導監査、相談支援、情報公開、自治体との連携に係る改善策について実施が可能となるよう中立、専門的な体制とすること、高い中立性、専門性のほか、継続的に担うことが求められるため、毎年度、国は、外部評価等を行い、透明性の高い事業運営が行われるようにし、それを前提に、実施機関において複数年の事業実施を可能とすることが示されております。

 これに沿いまして、現在、国と実施機関との役割分担を明確にしつつ、実施機関に求められる役割とその要件、またそれに必要な体制のあり方について整理をしているところであります。

 また、実施機関が複数年継続して業務を実施することを可能とすることによりまして、計画的な体制整備や人材育成を図ることも可能となり、事業の効果的な実施に寄与するものと考えております。

 このような方針に基づきまして、一定の周知、準備期間も考慮し、十分な実施体制を備えた実施機関を、可能な限り速やかに、公募により適切に選定する予定であります。

 実施体制の再構築、これは極めて重要な課題でありまして、その実施機関の選定に向けた作業をこれからしっかりと着実に進めてまいりたいと考えております。

牧島委員 ありがとうございます。

 検討委員会報告や二カ年検証を受けて課題が明らかになってきたということを御質問させていただきました。それは大臣がお受けとめいただいているものというふうに、私自身、今この場所では感じているところでございます。

 ぜひ、宮腰大臣のリーダーシップで、見直すべきは見直し、改善すべきは改善して進めていただきますようにお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧原委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時三十分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時二十一分開議

牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡本三成君。

岡本(三)委員 皆様、おはようございます。公明党、岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、宮腰大臣にお伺いをしたいと思います。

 きょう、質問の全般におきまして、子供の貧困対策について御質問をさせていただきたいと思っておりますけれども、たった今、参議院の本会議におきまして、子どもの貧困対策の推進に関する法律の改正案が可決をされたというふうに伺いました。

 この議員立法、まさしく牧原委員長が議連の中心者の一人としてリードしていらっしゃったものですし、我が党の古屋代表もその議連の中で大変大きな役割を担っていらっしゃいましたけれども、ここにいらっしゃる野党の先生方も始め、本当に議員全員で臨んで成立をさせた改正だというふうに理解をしております。

 たった今これが可決したばかりですので、この法律の改正に対して、今後実際に政府でどのように取り組んでいくかということの決意を大臣にお伺いしたいんですが、とりわけ、この法律の「目的」のところで、この法律は、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないようにというのが改正前だったわけですが、改正後には、「この法律は、子どもの現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、」ということで、現在という言葉が入っております。

 この現在という言葉が入った意義をどういうふうに捉えて、今後具体的にどのような施策を政府としてとっていかれるのかということに関しまして、御答弁をお願いしたいと思います。

宮腰国務大臣 岡本議員御指摘のとおり、たった今、この法案が参議院で全会一致で可決、成立をしたところであります。

 今般の子どもの貧困対策の推進に関する法律の改正につきましては、子供の貧困対策をより一層推進するため、超党派から成る子どもの貧困対策推進議員連盟を始め、各党各会派において精力的に御議論が行われたものと承知をしておりまして、関係された先生方に深く敬意を表したいというふうに存じます。

 改正によりまして、子供の将来だけでなく現在に向けた対策であること、対象を「貧困の状況にある子ども」だけでなく「全ての子ども」とすること、貧困解消に向けて、児童の権利条約の精神にのっとり推進することが「目的」に明記をされたところです。

 将来の貧困の連鎖を防ぎ、全ての子供たちが夢と希望を持って頑張ることのできる社会を実現するためには、今回明記されたように、将来だけではなく、現在の生活の支援もあわせて進めていくことが重要であると認識しております。

 政府といたしましては、昨年十一月に、子どもの貧困対策会議におきまして、今年度中を目途に子供の貧困対策に関する大綱を見直すことを決定しておりまして、現在、新たな大綱の作成に向けて、子供の貧困対策に関する有識者会議において御議論をいただいているところであります。

 新たな大綱に求められる視点として、例えば、乳幼児期からの切れ目のない支援が重要であること、既存の制度を知らない、知っていても利用しない、手続がわからないなどの事情によりまして、生活面の支援を含め、現在必要な支援が届いていない又は届きにくい子供、家庭への支援が重要等の御指摘をいただいております。いずれも、子供の現在に向けた対策を充実すべきであるという御提案であると受けとめております。

 今般の法改正の動きや有識者会議の御議論を踏まえまして、新たな大綱の作成に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

岡本(三)委員 今大臣御答弁いただいたように、現在ということが明記された重要の意味の一つは、やはり優先順位をトップに置いていただいて、すぐに行動をとっていただきたいという立法府の意思だというふうに私は思っておりますので、今御答弁いただいたとおりの決意で、具体的な行動をぜひお願いをしたいと思います。

 今大臣からも御答弁の中で言及のありました子供の貧困対策に対する大綱、閣議決定されましたのがちょうど五年前の平成二十六年でありまして、このときに、おおむね五年ごとに見直しを検討するということになっていて、現在、有識者の方にその内容を御議論いただいているんだと思うんです。

 実際、この大綱の改正されたものが新大綱として出てまいりますと、各地方自治体の方が具体的にその大綱に即してさまざまな対策を講じるための準備が必要となってまいりますので、どれぐらいのタイミングで新大綱が発表されるかというのは大変重要になってくるわけですけれども、現在の準備状況を考えたときに、新大綱の決定、大体何月ぐらい、又はどれぐらいの季節を考えていらっしゃるかということを御答弁いただければと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 新たな大綱の案につきましては、先ほど大臣からも答弁させていただきましたが、昨年十一月の子どもの貧困対策会議決定に基づきまして、今年度中をめどに作成することとしてございます。

 このため、現在、新たな大綱の作成に向けまして、外部有識者や関係者からのヒアリングを行うなど、子供の貧困対策に関する有識者会議において御議論をいただいているところでございます。

 今後も更に御議論を深めていただき、大体七月から八月ごろをめどに、有識者会議における基本的な方向性に関する議論をまとめていただく予定とさせていただいてございます。

 新たな大綱の策定につきましては、この基本的な方向性を踏まえながら、政府として、大綱に盛り込むべき基本的な方針、指標、指標の改善に向けた各省の施策などの具体的事項について早急に検討し、大綱の策定に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。

岡本(三)委員 要は、いつかということは今のところ言えないということなんだと思うんですけれども、早急にとおっしゃいましたので、やはり、実際に現場で対応していただく自治体の方を考えますと、それこそ一カ月でも早くということが望まれると思いますので、早急にと御答弁いただいたとおりの対応をお願いしたいと思います。

 続きまして、子供の貧困に対する国民的運動として起こりました、子供の未来応援基金について質問をさせていただきたいと思います。

 これは、平成二十七年に、この基金、今申し上げました子供の未来応援基金が創設をされました。これがそのパンフレットになります。

 創設時から日本財団がこの基金を管理してきたわけですけれども、平成二十九年の十月から独法福祉医療機構に基金管理が移管をされまして、さまざまな理由はあると思うんですけれども、移管をされた前後ぐらいから、基金に対する寄附金の伸びが著しく少なくなってきているような状況にあります。

 実は、子供・若者白書には、直近のこの基金の動きまで記載されることなく、平成二十九年度の数字が最後として載っているわけですけれども、聞きましたら、ちゃんと平成三十年終わりぐらいまでの数字はもう既に資料として成っているわけで、白書にもちゃんとこういうことは今後、言及していただきたいなというふうに思います。

 申し上げるまでもなく、この基金は民間の寄附で成り立っているわけでありまして、そういう意味では、どのように民間の方々が寄附しやすいような基金の体制をとっていくかというのはすごく重要だというふうに思います。

 今回、設置法人が変更されまして、幾つか、寄附者側から見ますと使い勝手が悪くなっているところがあります。例えば、税控除が、今までは税額控除がされていたわけですけれども、これが所得控除になっておりまして、設置法人がかわっただけで、基金の使い道、性格等が変わっていないのに、寄附者からすると控除の金額が変わってくるというのは、私はどうかなというふうに思っているんですね。

 確かに、財務省等の、表面上の、寄附の受ける側の顔からするとこういうふうな控除の対象だという決まりがあることはわかっていますけれども、団体がかわっただけで、先ほども申し上げましたように、寄附金の使い道、また寄附者の方々の思いというのは全く変わっていないわけですから、税額控除が受けられるような形に私は改正すべきではないかなというふうに個人的に思っています。

 それで、いろいろな方がさまざまなところに寄附行為をしていただいているわけですけれども、これは個人も企業もそうですけれども、どういうところにより多くの寄附が集まっているかということを分析をしてみますと、一言で言うと、寄附された方々にすると、寄附したことに対して感謝の気持ちが具体的な形としてあらわされているようなところには多く寄附が集まっています。寄附される方々は、そういうお気持ちで寄附することではないにしても、やはり人間ですから、自分がやった行為が感謝をされ、正当化をされ、評価をされると、次回はもっと寄附しようという気持ちになります。

 今までも、この子供未来応援基金に寄附をされたような団体の、例えば企業であれば、ロゴを張って、こういうふうなところに応援していただいていますというふうなことを表明をしていただいたり、個人の大きな寄附をされた方に関しては、感謝状を出されたり、叙勲の対象にもなっていますけれども、とにかく、どういうふうに寄附者の方々に感謝の気持ちをあらわすかというのを今まで以上に考えていただきたいということをお願いしたいんですね。

 私も会社員のときに、いろいろなところに寄附をしてきましたけれども、米国の寄附というのはすごくあからさまに、例えば美術館に寄附をしますと、その寄附の金額で、自分の名前が刻まれる場所が変わったりします。大学の寄附も同様です。大学に寄附をしますと、いい大学、寄附金が集まっている大学は、その寄附金から奨学金を受け取った学生が寄附者の方にお礼状を書いて、ことし、あなたの寄附でこんなことが勉強できましたみたいなことを、コミュニケーションがしっかりと成り立っているようなところにやはり大きな寄附が集まったりしているんですね。ということも、今もやっていただいていると思うんですけれども、ぜひ、更に強化していただきたいなと思っているんです。

 もう一つだけお願いしたいことがありまして、私が以前に勤めておりました会社が、この一月に、新宿にあるNPO法人に四億円寄附をいたしております。そのNPO法人は、学習支援プログラムをやっているところなんですけれども、何でここに四億円、ほかのところにもやっているんですが、最大の金額は、ことしは、このNPOに対する四億円なんですね。なぜこのNPOに決めたんですかというふうに聞きました。

 大きな理由は二つありまして、一つは、自治体との連携が進んでいると、企業としては正当化しやすいというふうな答えがありました。ですから、例えばNPO法人と自治体の連携、なかなか難しいみたいなんですけれども、そのことが寄附する側からすると寄附するハードルを下げることになりますので、そのようなことを推進するようなことをいろいろな方に問題提起をして、活動を起こしていただいたらどうかなというふうに思っているのが一つ。

 あと、これは改善していただきたいんですけれども、NPO法人の認定が内閣府から都道府県にかわっているわけですけれども、都道府県の方とぜひコミュニケーションをとっていただきたいんですが、さまざまに頑張っているNPO法人であればあるほど、やっている事業内容が多いので、税控除の対象になりにくいそうなんです。たった一つの事業だけやっていると、わかりやすいので、すぐ税控除の対象として認められるNPO法人になるみたいなんですが、あれもやりたい、これもやりたいというふうに、社会的問題に真っ向から取り組むと、やっている事業内容がどんどん膨らんでいくそうなんですね。そうすると、NPO法人に認定する自治体からしても、分析が難しいので、本来であればそこに一番初めに寄附金が集まるぐらいの優先順位で取り組んであげなければいけないのに、NPO法人に認定しにくい、税控除が受けにくいという悪循環も起こっているようです。

 いろいろなことを申し上げましたけれども、たった一つのメッセージは、このように民間の、法人も個人ももっと寄附しやすいような仕組みをしっかりとつくって、日本全体として子供の貧困に対して全力で立ち向かっていくというふうな体制を整えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 子供の未来応援基金につきましては、誰もが子供の貧困対策のために行動し、支援活動につながることができる仕組みとして平成二十七年十月に創設されたところでございます。これまでに十億円を超える御寄附をいただき、延べ二百三十六団体の子供食堂や学習支援などの活動を支援してきてございます。

 子供食堂、学習支援、居場所づくりなどのNPO等の民間団体が行う子供たち一人一人に寄り添った活動は重要なものであり、委員御指摘のとおり、こうした活動を支援する基金に対して寄附しやすい環境を整備することは大変重要だと認識してございます。

 このため、寄附者の方々がさまざまな方法で御協力いただけるよう、寄附や広報など基金の取組にさまざまな形での参加を呼びかけてございまして、例えば、企業とタイアップしてファミリーレストラン等身近な場所への募金箱の設置、古本や子供服等金銭以外で寄附につなげることができるシステム、飲料を購入することで寄附につなげることができる自動販売機の設置などの工夫を通じまして、子供の未来応援国民運動に対する理解の促進、各地域における子供たちを支援する活動を着実に広げてきているところでございます。

 また、議員お触れになられましたけれども、寄附者の方々には、毎年度、寄附額に応じて大臣などから感謝状の贈呈も行ってきているところでございます。

 子供の貧困対策に関する関心や理解を深めていくことは非常に重要でございまして、委員御指摘の、例えば、さまざまな事例をもう少し研究させていただくとか、あるいは、NPOと自治体の連携のあり方、こうしたものも少し研究させていただきながら、引き続き、寄附しやすい環境の整備に努めてまいりたいと考えてございます。

岡本(三)委員 これはお願いなんですけれども、例えば寄附件数、平成三十年度でいいますと八千八百件ぐらいなんですけれども、ある一定以上の金額の寄附をされた方は、年に一回首相官邸にお招きをして、夕方レセプションをやって総理が一言お礼を申し上げるぐらいのことをやって、とにかく、そういう方々に対する感謝の思いを伝え、裾野を広げるような努力をぜひお願いしたいと思います。

 ちょっと時間の関係で、質問ではなくお願いにさせていただきたいんですが、先般、平成三十年度版の子供・若者白書を党内で審議をいたしまして、今、国会で御議論いただいている最中だと思いますけれども、白書ですのでページ数も限られているのはよくわかりますけれども、国民的な今問題である子供の貧困に対処しようとしているときに、この子供の貧困に関して言及をされているページ数どころか行数がめちゃくちゃ少ないんですね。平成二十七年までは相対的貧困率の数字等もグラフつきで載っていましたけれども、二十八年からはそういうのも削られています。何の数字もなく、厳しいですと一言書いてあるんですね。

 私、二年前の予算委員会の分科会で、そのとき白書の中には子供の貧困は八行しか書いてありませんでした。もうちょっとしっかりと、これほどまでに政府が真剣に取り組もうとしているのであれば、しっかり書いて、少なくとも貧困にかかわる二十五の指標、目標がありますけれども、それぐらいは書いてほしいというふうにお願いをしておりますけれども、これはぜひ実現をしていただきたいと思いますので、お願いをしたいと思います。

 最後に大臣にちょっとお願いをしたいんですけれども、さまざまなやりとりも聞いていただいて、全体に対しての大臣の決意をお伺いしたいんですが、とりわけ私、問題意識を持っていますのは、離婚したいと思って自治体の窓口に離婚届を受け取りに行きますと、今、法務省が出している「子どもの健やかな成長のために」、こういうパンフレットを受け取ります。この中には、養育費を取り決めるようにしてくださいですとか、面会の交流、こういうふうにしてくださいとあるんですけれども、すごく義務的というか、こういう仕組みがありますという説明だけが書いてあるんですね。いざ離婚しようというふうになると、大変感情的になっていますから、こういうこともお考えになるような余裕もないと思います。

 実際、一昨年の数字ですと、離婚時で養育費の取決めをされている母子家庭は五〇%弱、その後実際に継続的にその養育費を受けていらっしゃる家庭は五〇%の中の二五%、一三%ぐらいしかいないんですね。要は、別れた御主人が、養育費を払えないならまだしも、払えるけれども自分はいい生活をして、別れた奥さんとお子さんは大変厳しい相対的貧困に陥っているという状況がたくさんあるんです。

 法務省がつくるとこういう資料になってしまいますが、内閣府がリードをして、もし養育費をしっかりと取るようなことをしないと、現実には母子家庭のお宅では二軒に一軒は貧困になっているんですよ、子供のためにもしっかり取る約束をしないと今後大変な生活が待っているんですよというふうに、ある意味危機感をあおるような資料をつくって、離婚届をとりに行ったときにそれをお母さん方に差し上げていただきたいんですね。ということをしながら、自助も共助も公助もやるといった形で子供の未来はしっかりと守っていくということを担保していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 養育費の履行確保に向けては、先生御指摘のとおり、法務省あるいは厚生労働省において、離婚する際の養育費の取決めの必要性や重要性についてのパンフレットを作成し、離婚届出書の交付時に配付する取組、あるいは自治体における弁護士による養育費相談を支援する事業、当事者からの相談に応じる養育費相談支援センター事業などが実施されていると承知しております。またさらに、今国会におきまして、養育費を含め、強制執行の申立てを容易にするための民事執行法等改正法が成立をいたしております。これらのことのPRも含め、また法務省あるいは厚生労働省ともよく相談をさせていただきたいというふうに思っております。

 今回の改正法の趣旨も踏まえ、子供の貧困対策が更に効果的に推進されるよう、関係省庁と連携し、さまざまな施策を総合的に実施してまいりたいと思います。

岡本(三)委員 ありがとうございます。

 子供の未来を守るために、言葉は悪いですけれども、離婚されるお母さんの将来に対する恐怖心をあおるぐらいのものをつくっていただき、いざとなれば別れた御主人の給料の半分でも押さえられる法律がありますので、しっかりと取りっぱぐれのないようなことをお母さん方に周知徹底していただければありがたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党・無所属フォーラムの阿部知子です。

 本日は、内閣委員会でこの間私ども立憲民主党各メンバーが問題にしてまいりました企業主導型保育所、並びに、超党派の皆さんの御尽力で本日成立をいたしました子どもの貧困対策基本法の改正について質疑をさせていただきます。

 まず冒頭は、企業主導型保育についてお尋ねをいたします。

 この間、内閣府では検討委員会等々を設けて、そして二月から中断しております企業主導型保育の新たな募集等に係る担い手あるいは事業者の選定などについて、七月以降から順次始めていきたいということを表明しておられますが、私は、今の段階で本当に内閣府がこの問題を把握しておられるのか、大変疑問に思います。そして、きょうお示しする事案を含めて、まだまだ内閣府として主体的に総括していただかなければならないと思うことがありますので、宮腰大臣にお尋ねをいたします。

 実は、きょうもまた資料の配付は理事会で認められませんでした。何の資料かと申しますと、昨年の十月に流出した、児童育成協会から応募している各事業者について九月の下旬から十月に至るまでの一連のメールが漏れ出てしまいまして、その中に述べられていた案件。ANELAと、こどもの杜という固有名詞が出ておりますが、その一方の当事者であるANELAの案件が、今般、お手元の資料の愛媛新聞、企業補助助成不正受給ということで、このANELAの代表というか、中心的な人物である坂口という女性が逮捕され、その他合わせて三名ということになっております。

 私が既に五月十五日の内閣委員会でも、先ほどもお話し申し上げました、昨年九月から十月にかかる児童育成協会が誤送信してしまって発覚したメールを取り上げさせていただきたいと思った理由は、それがまさにこのANELAの案件であったからです。

 このお示しできなかったメールの中には、東京都と児童育成協会が特別立入調査を実施しておること、並びに、民事再生法に係る審尋が入っていることなどが指摘され、極めて事態は非常に危機的であるというふうに児童育成協会から内閣府に対して指摘があったところであります。

 しかし、私が伺いたいのは、昨年九月の時点で内閣府は、今回、このような逮捕に至るような事態の深刻さは果たして自覚しておられたのかどうかであります。育成協会は、さまざまな自分たちの情報の中から、これは危機的だということをおっしゃっていました。そのメールを受けた内閣府は、何をされて、どんな自覚だったのでしょう。大臣にお願いいたします。

宮腰国務大臣 昨年十月のメール流出事案については、極めて遺憾であると考えております。

 流出したメールには、運営に課題を抱えた個別の事業者に関する内容が記載されていたことは認識をいたしております。

 内閣府は、児童育成協会と連携し、運営に課題を抱えた事業者については、例えば、補助金の返還につながるような事案の有無について調査を進めるとともに、状況に応じて、捜査当局に必要な協力を行いながら、慎重に対応してきたところであります。

 詳細につきましては、今後の対応に支障を来すおそれもあることから、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。

阿部委員 前回もほぼ同様な御答弁であったと思いますけれども、私は、これまで内閣府が本当に真剣にこの育成協会からの指摘にともに対応してきたのかどうかが本当に疑わしいと思っております。

 この事案、これから警察においても捜査が進むものと思います。

 そして、新聞報道等々によれば、このANELAというところの坂口元代表社員は、同時にオハナ生活倶楽部というところの取締役で、このオハナ生活倶楽部の方が、二〇一六年の秋ごろから財政的な問題を、財務状況悪化を抱えて、そして、二〇一八年の九月十四日に破産申立てをしておると。そして、ちょうど問題のメールが流れてしまったのもこの時期でありますが、二〇一六年末から財務状況が悪化して、その時期に逆に、大事な子供を預かる企業主導型保育事業が同じ坂口さんのもとに始められているというのが、この事件でございます。

 場合によっては、この企業主導型保育が得た補助金で、もう一つの、破産宣告をしたオハナ生活倶楽部にも資金が流れていたかもしれないという深刻な事態であるということは十分内閣府も認識をしていただきたい。もちろん、これから捜査の中で明らかになるというふうに、また内閣府自身もお調べをされることとは思いますが、事態は、私は、このように広がり、さまざまな問題を波及させているということをまず大臣には指摘をしたいと思います。そして、こういう全貌がわかって初めて内閣府の役割というのが出てくると思いますが、その点については、大臣はどう考えておられますか。

宮腰国務大臣 企業主導型保育事業に係る事業者の中に問題のある事業者があるということについて、助成に至る審査が甘かったのではないかという御趣旨ではないかと思いますが、本事業は、実施機関が行う事前の審査等において保育の質の視点が不足しているとの指摘を受けてきたところでありまして、これまでの審査の仕組みについて、専ら書類審査が中心であったことなど、改善すべき点があるというふうに考えております。

 検討委員会報告におきまして、審査基準につきまして、審査委員会による審査体制や審査内容の充実を図ること、必要に応じ書類審査に加えてヒアリングや現地調査を行うなど審査の精度の向上を図ること、まずは財務面など適格性を審査し、次に事業計画等を審査するなどとされております。

 この仕組みが悪用されないような、そういうことをしっかりとやっていく必要があると思っております。逮捕案件まで出たということをしっかりと受けとめて、今後二度とこういうことが起きないように、しっかりとした体制を組んで取り組んでまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 私からは二点指摘させていただきたいですが、保育事業者が他の事業をやっていたりすることがあるわけです。この間の資金の流用という問題が、ここで可能性が指摘されておる。もちろん、これからいろいろな取調べが進むこととは思います。しかし、そうしたことも含めて認可されてきたのかもしれないという事例ですので、私は、内閣府は深刻に考えていただきたい。

 そして、特に、補助金適正化法という中で二十三条にある調査ということですね。適正に助成金が使われたのかどうかを補助金適正化法にのっとって内閣府としては行政として調査するということが求められておると思いますが、大臣はどうされますか。

宮腰国務大臣 御指摘の時点におきまして、内閣府は、児童育成協会と連携し、運営に課題を抱えた事業者につきましては慎重に対応してきたところでありますけれども、詳細につきましては、今後の対応に支障を来すおそれもあることから、これについてはお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

阿部委員 連携という言葉は便利ですが、時に無責任ということになります。私が一貫して問題にしたいのは、内閣府の無責任体制であります。そして、新たな事業者を選定しようとも、内閣府の体質が変わらない限り、事態は変わらないんだと思います。そのことはもう幾度となく指摘をしてまいりましたので、今の大臣の御答弁は、さまざまな捜査に差し支えるからということでありますが、きちんと法令にのっとって、補助金適正化法二十三条にものっとる調査をなさるべきであります。そうしたことをしないで連携、連携と言っても、意味がないと思います。

 同様な事態は、実は譲渡の問題でも生じております。

 この間、私は、譲渡案件が幾つありますかということをお尋ねして、三月十三日には、たしか小野田さんが二十八だとおっしゃいました。今回の調査で四十四施設に膨らんでおります。譲渡案件は、一カ月ちょっとで、この新たな報告が出たのは四月の下旬ですから、二十八から四十四へと膨らんでおりました。

 もっと早くきちんと調査すれば、特に検証会議にあってそういう情報を出すべきだし、私たちが求めて求めて、しかし、実は二十八、そして四十四とどんどん膨らんでいく譲渡という事態に関しても、これも補助金適正化法二十二条で、国と補助事業者との譲渡にかかわる関係は、各省各庁の長の承認を受けないで譲渡してはならないとなっております。

 児童育成協会は譲渡にかかわる取決めはつくっておりますが、私が指摘したいのは、補助金適正化法が求めるのは各省各庁の長の承認ということでございます。果たして、譲渡案件について児童育成協会が事業者と譲渡を取り扱ったということですが、内閣総理大臣の承認は得ないで譲渡ができるんでしょうか。この点は大臣に伺います。

宮腰国務大臣 補助金適正化法第二十二条は、補助事業者等、すなわち、企業主導型保育事業でいえば実施機関、児童育成協会に関する規定でありまして、間接補助事業者である各施設には適用されません。

 したがって、これまで事業譲渡の際に大臣承認をとっていないことをもって法令違反になるとは考えておりません。

 検討委員会報告で示された、厳格な審査手続を要件とすべきであるという方向に沿って、事業譲渡のあり方について具体的な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 大臣の御答弁はそうですが、お手元の資料二枚目を見ていただくと、企業主導型保育事業費補助金交付要綱、すなわち、内閣府と児童育成協会の間で取り交わされた要綱の中の下線の部分、「内閣総理大臣の承認を受けないで、」「譲渡し、交換し、貸し付け、又は担保に供してはならない。」となっております。

 これは、今大臣がおっしゃったのは、内閣府は育成協会に投げたんだと。育成協会がここに取り決めている交付金要綱の中では、内閣総理大臣の承認を受けないで譲渡してはならないとなっております。どこですりかわるんですか。どこで内閣総理大臣の責任は免れるんですか。教えてください。

宮腰国務大臣 補助金交付要綱第六条、今ほど御答弁を申し上げた実施機関について、内閣総理大臣の承認を受けないで、財産を処分することにより云々、国庫に納付させることができるというのは、今ほど申し上げた実施機関に関する規定であって、間接補助事業者である各施設との関係で規定されているものではありません。

 事業譲渡のルールについては、省庁ごとにそれぞれ財産処分に係る承認基準が定められているということでありまして、今回の企業主導型保育事業においては、これはこれまでも申し上げているとおり、事業実施機関、児童育成協会に関する規定であって、これが間接補助事業者である各施設に適用されるということではありません。

 したがいまして、これまで事業譲渡の際に大臣承認をとっていないということをもって法律違反になるということは考えていないということであります。

阿部委員 大臣、それじゃ答弁になっていないと言っているんです、私は。ここの要綱に取り決められたとおりにやったらどうですか。

 これは、間接事業者が譲渡等を、そこからまたもう一つ事業者、間接事業者、育成協会といたしましょうか、内閣府と児童育成協会との間で取り決めて、児童育成協会がもう一つの事業者と譲渡の取決めをしているわけです。しかし、全体として、この譲渡については内閣総理大臣の承認を受けないではやってはいけないよというのがこの交付要綱なんだと私は理解します。

 そして、この点、今大臣は、逆に言うと本当に明確にそう思っていられるのかどうか。私は、その認識が続いて、また新たな事業者を選定して、またぞろ譲渡がずさんに行われるということは絶対あってはならないから、譲渡のルールをどうするのか、今ここで大臣は明確にしていただきたいです。

 大体、児童育成協会と、もう一つの破産した、事業再生事業者としましょう、ここで譲渡が行われた書面のものは、内閣府としては見ているんですか。私は見ていないと思います。ノーチェックですよ。でも、補助金適正化法は、行政の長にその管理監督を求めているわけです。

 何度も申し上げます、大臣。譲渡に関して内閣がどなたか中間の児童育成協会にかわるものを決めて、しかしそこで行われる譲渡は内閣総理大臣の承認は得なくていいと、これからもするんでしょうか。

宮腰国務大臣 これまで、事業譲渡につきましては、御指摘の助成の要領において、事業により取得した不動産や器具等については協会の承認を受けないで譲渡をしてはならないことや、協会の承認を受けて財産を処分することにより収入があった場合には、その全部又は一部を協会に返還させることがあることとされておりまして、これに基づき児童育成協会が承認してまいりました。

 この点について、検討委員会報告において、「やむを得ず他に事業を譲渡したり、廃止しようとする場合の取扱は、事業の安定性と保育の質の確保を図るため、新設時と同様、審査会に諮るなど厳格な審査手続きを要件とすべきである。」こととされておりまして、これに沿いまして、現在、国と実施機関の役割分担を明確にしつつ、他の補助金における取扱いも踏まえ、事業譲渡のあり方について具体的な検討を進めております。

 なお、本年夏を目途に実施機関が選定されるまでの継続事務の執行機関におきまして、本年三月末に協会から内閣府に提出された継続事務に係る適正化策におきまして、事業譲渡案件については、内閣府に報告し、指示を仰ぐこととされていることを踏まえ、内閣府として必要な対応を行っているところであります。

 今後、事業譲渡の事案につきまして、これまでも国会等で厳しい御指摘もいただいているところでありますので、内閣府が確実に把握し、児童育成協会とともに適切に対応するため、内閣府への報告や連携を児童育成協会に徹底させるということにいたしました。

 以上であります。

阿部委員 徹底させるのは当然なことなんです。そして、これまで内閣総理大臣の承認も得ないで行われてきたということも問題なんです。そこをしっかり自覚していただかないと、これからこれからといって全部私はごまかされていくと思います。

 こんなことはなかったんです。こんなにころころ事業譲渡が行われるというのは恥ずかしい。なぜ起きたのかを主体的に分析し、考え直し、次に臨まなければ、内閣府はこの事業をやる資格がない。そして、四十四、譲渡された事業者について、きちんと、これまでですよ、調査なさいますか。大臣、明確な答弁をお願いします。

宮腰国務大臣 四月末に、過去二年間の助成決定分についての事業譲渡等の検証結果を取りまとめました。これは二年検証、全て調査をかけたということであります。

 現在、これに基づき、事業譲渡等の事例につきまして、補助金の返還につながるような事案の有無に関し、児童育成協会に対して既に実施している調査も含めさらなる調査を指示するとともに、内閣府としても、必要な立入調査など監査を徹底的に行っているところであります。その際、事業譲渡時の状況などについても調査を行っていくことにしております。

 二カ年検証を踏まえ、児童育成協会と連携し、厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 何度も申しますが、本来は、当初から丸投げしないで内閣府がそうすべきだし、この要綱にあるように、内閣総理大臣の承認というのは大きなことなんです。それは、補助金を大事に扱っていくということです。

 そして、私はもう一つ内閣府の主体的責任を問いたいと思いますが、三ページ目に、開いていただきますと、これは平成三十年度の行政事業レビューシート。内閣官房から要請されて、内閣府がこの企業主導型保育事業について行政レビューをいたしました。二十八年度、二十九年度、赤囲いをしてございますが、当初予算の執行が一〇〇%だというふうに行政レビューに書いてございます。

 でも、私がこれまで繰り返し繰り返し指摘してきたように、あけて、もう一枚の資料、企業主導型保育事業の執行状況は、二十八年度は二四%、二十九年度は六二%。

 何でこれで一〇〇%執行だという行政レビューが出せるんですか。大臣、こんなことを内閣府がしているから、こんなの行政レビューにも何にもなっていないじゃないですか。全く実態とかけ離れた行政レビューを出しておいて。内閣府のものですよ、これは。そういう態度だから、こういう事案が繰り返し起きるんだと思います。

 大臣、このこと、どこに責任があったんですか。そして、これから、これは三十年度の行政レビューですけれども、三十一年度のレビューはどう出すんですか。二点お願いします。

宮腰国務大臣 この平成三十年度レビューシートにつきましては、昨年九月時点で作成、公表したものでありまして、その後、平成二十九年度予算の返納額の状況が明らかになったところであります。そのため、作成時点での状況を踏まえたものとなっておりますが、御指摘を真摯に受けとめ、今後、実態を踏まえた内容となるよう事務方を指導してまいります。

 私、行政改革の担当も務めております。そういう面でいうと、やはりもっとしっかりと、きちっと実態を書き込むべきではないかということは、私も痛感をいたしております。

阿部委員 恥ずかしい限り。行政レビューで全く、真っ赤なうそ。何でこんな、今大臣おっしゃいましたが、二十九年度の決算が出ていなかった。しかし、二十八年度は出ておりましたでしょう、三十年の秋の時点で。なぜこんな作文ができるんですか。これを称して行政レビューというんなら、全く意味がない。その内閣の体質を問題に私はしております。

 大臣は誠実な方ですから、今後、今年度の行政レビューをしっかりと拝見させていただきますし、そこに書かれたこといかんによって、この事業が内閣府がやれるものなのかどうかを判断させていただきます。

 新たな事業者の選定などは、やるべきことが済んでからだと思います。内閣府の主体的責任が問われないで、みんな児童育成協会のせいにして、ほっかむりして済むものではないのです、大臣。

 大臣がしっかりやっていただくことを、繰り返しですが、期待し、また行政レビューが出たら取り上げさせていただきたいと思います。

 次に、子供の貧困問題について、きょうは厚生労働省に、政務官に来ていただいておりますので、御質問をいたします。

 お手元の最後の資料。このたびの、委員長もよく御存じですが、子どもの貧困対策の基本法の改正の中で、生活保護家庭の子供さんの大学進学率を一つのメルクマールにすることを法改正で明確にいたしました。

 と申しますのも、お手元の資料、現状では、大学、短大、専門学校進学率が、生活保護世帯では三三・一、一般世帯で七三・二、浪人も含めば八〇・六ということになって、明確な差があるということであります。

 では、原因は何だろうと考えてみますと、そもそも、生活保護の考え方の中に、高校を卒業したら就労能力があるんだから働くべきだ、稼ぐべきだというのがあって、子供は生活保護から外されて、自分でお金を稼いで大学に行きなさいという仕組み、生活保護からの分離ということが行われます。しかし、分離が行われると、住宅扶助も減り生活扶助も減る。残されたお母さんを思う子供は、とても自分が大学に行くなんて言えない。お母さんが貧困に陥ったらどうしようと、本当に子供は真剣に親を思っておりますから、そのように考えるでしょう。

 そして、幾つかの改正はありました。例えば、二〇一八年の四月から、入学一時金は、自宅であれば十万円、下宿であれば三十万円支給とか、世帯分離に伴う住宅扶助の減額をやめるとか。しかし、到底それでは間に合わないんだと思います。

 政務官に伺いたいですが、いわゆる社会保障制度審議会の中で、昨年になりますでしょうか、この世帯分離も含めた生活保護の問題を論じて、しかし、生活保護での世帯分離が妥当であるという結論を出しておられますが、今回の法改正に伴って、もう一度審議会を開いていただいて、子供の今を守るために、子供が今を生きていくために、これを見直していただきたい。分離されたら子供は進学できません。しようと思えなくなります。いかがでしょう。

新谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 生活保護世帯の子供の進学支援は非常に重要である、そのように認識をしておるところでございまして、政府としましても、これまでも、先ほど委員もおっしゃいましたが、進学準備のための一時金の給付制度の創設、あるいは自宅から大学等に進学する場合の住宅扶助減額を取りやめるなどの取組を実施してきているところでございます。

 また、ほかに、先日成立した大学等における修学の支援に関する法律、これに基づきまして、二〇二〇年四月より、授業料及び入学金の減免、あるいは給付型奨学金の支給の拡充、これらを実施する予定でございます。

 まずはこうした新たな支援策の施行状況を踏まえつつ、生活保護世帯の子供の大学等への進学のさらなる促進について考えてまいりたい、そのように思っております。

阿部委員 もとを断たなきゃだめということなんです。分離した中で子供がアルバイトをして、確かに返済義務のない奨学金がふえることはいいことです、しかし、親御さんの生活を思い、ぎりぎりまでアルバイトをして体を壊すかもしれない。なぜそんな過酷なことを強いるんですか。

 宮腰大臣、最後にお願いいたします。

 子供の貧困について記載が少ないと、先ほど公明党の委員から指摘がありました。私は、子供の今と未来を守るために、これは内閣府の方からも厚生労働省に働きかけて、根本見直しをしていただきたいが、いかがでしょう。

宮腰国務大臣 今、厚労大臣政務官の方から答弁があったわけでありますけれども、高校生と大学生ではやはりちょっと違うのではないかというふうに思っております。

 いろいろな意味で、生活保護の問題、制度にいろいろ御意見があるのはよく承知をいたしておりますけれども、今回の問題に関しては、いろいろな手だてもこれまで講じてきているということなども踏まえると、先生がおっしゃったような、今の大学進学後の教育費、生活費については、生活保護制度に限らず、国全体として支えていくべき課題であるとの意見も社会保障審議会の報告書であったなどを考慮して、厚労省において慎重に検討されると認識しております。

 大学への修学支援は重要ではありますが、どこまでということについては、これまでもいろいろな段階的に支援を行ってきているということでありますし、今回も、修学の支援に関する法律におきまして、生活保護世帯を含む真に支援が必要な低所得世帯の子供たちを対象として、授業料及び入学金の減免、給付型奨学金の支給の拡充などの修学支援の新制度が来年の四月から導入されるということになっております。

 内閣府といたしましても、現大綱の指標として、生活保護世帯に属する子供の大学等進学率を定めて、その推移も見てきているところでありますけれども、引き続き、こうした推移を把握するとともに、全ての子供が夢と希望を持って頑張ることができる社会の実現に向け、子供の貧困対策を進めてまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 子供がなぜ大学進学を選べないか。親を思うからですよ。残された家庭を思うからです。大臣、減っちゃうんだから、親の生きていくお金が。本当に子供は優しいんです。そういう中で子供の未来を、今を大事にするという法改正です。もう一度しっかりとお考えいただいて、政府として見識ある取組を望みます。

 終わらせていただきます。

牧原委員長 次に、早稲田夕季君。

早稲田委員 立憲民主党・無所属フォーラムの早稲田夕季でございます。

 本日は、質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 私からは、札幌の児童虐待死の事件について、それから、ずっとこの間議論をしてまいりました企業主導型保育事業についての二点、お尋ねをしてまいりたいと思います。明快な御答弁をいただきますよう、お願いを申し上げます。

 この通常国会の中で、児童虐待防止法それから児童福祉法、またDV防止対策法等の改正が、これは与野党を超えまして、修正案も入れ込む形で成立をしたことは私も評価をしております。そしてまた、関係の各位の皆様の御尽力に感謝を申し上げる次第であります。

 しかしながら、この法案が成立をいたしまして間もない日付の中で、大変また痛ましい事件が起こってしまいました。これはもう皆様御存じのとおりでございますけれども、六月六日、札幌市の二歳の女児が、ほとんど食事も与えられない、そして暴行も加えられる中で亡くなったという、衰弱死をするという大変痛ましい事件であります。心から御冥福をお祈りしたいと思います。

 この事件につきましては、近隣住民からたびたび通告があったと報道をされております。そして、児童相談所も、それから警察署もここに訪問に行っています。そうした対応をしているにもかかわらず、残念なことに一人の子供の命が守れなかったという大変痛ましい事件であります。

 そして、この児童相談所においては、これも報道ベースでありますけれども、記者会見等の中で、面会できなかったと。これは四月、五月と行っているわけですけれども、面会ができなかったということでありますが、平成三十年七月に閣議決定をされております児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策に基づいて、児童の安全確保を徹底する、安全確認を徹底するということがこの重点課題の一つとして盛り込まれ、四十八時間以内にとにかく安全確認を行う、これが、安全確認ができない場合は立入りという調査でもやるべきだということ、それからまた、警察への援助を頼むというようなことまで決めて、そして徹底をしていたはずなのに、なぜ守られなかったかということであります。

 今まさに、いろいろ検証されている最中ではありますけれども、今現在でおわかりになる範囲で、厚生労働省、副大臣にお越しをいただきましたので、御説明いただきたいと思います。

大口副大臣 委員御指摘のとおり、北海道札幌において二歳の詩梨ちゃんが死亡し、実母と交際相手が傷害の疑いで逮捕された事案で、このような形でお亡くなりになったことはまことに残念であり、心より御冥福を申し上げます。また、現在、死亡に至った具体的状況については警察が捜査中であり、札幌市においても事実確認を行っておるところであります。

 本件では、児童相談所、警察が訪問等を行っており、かかわりがある中でこのような結果になってしまったことは、痛恨のきわみであります。どこに問題があり、救うことができなかったのか、速やかに事実を確認し、必要な対策を講じる必要があると考えています。

 今回のケースでは、四月五日の虐待通告の後、母親に電話しても応答がなく、家庭訪問でも不在であったが、その後も、子供や母親に会えていない。本年二月八日の関係閣僚会議決定において、子供に会えないこと自体をリスクが高いものとすること等の新たなルールを示していたにもかかわらず、このルールに基づいたリスクの把握ができなかったものと考えております。

 いずれにしましても、子供の安全を守るためには、虐待通告時等の子供の安全確認に関する対応の徹底を図ることが必要である。このため、児童相談所においては、通告受理後原則四十八時間以内に子供の安全確認を行うこと、保護者が家庭訪問や子供に会うことを拒む場合など関係機関とのかかわりを避ける場合等はリスクが高いものと認識すること、この際、ちゅうちょなく一時保護、立入調査を行う等的確な対応をとること等について、六月七日、速やかに文書でルールの徹底を図ったところでございます。

 また、同じ六月七日に、通告受理後四十八時間以内の安全確認のルールの実施状況、これは六月七日までの状況を全国の児童相談所に緊急点検を行うよう通知を発出し、四十八時間原則については六月二十一日まで、そしてまた、それ以外の、例えばかかわりを避けるような場合はリスクが高いという認識、あるいは、進行管理等の徹底状況につきましては、十一日に国に報告するよう求めているところであります。

 また、六月の十四日に、全国の児童相談所長に対して、子供の安全確認について徹底を図るとともに、その状況について点検し、国に報告を求めることとしております。

 しっかり対応していきたい、こう思っております。

早稲田委員 御答弁をいただきましたが、参議院の石橋議員が六月十一日に厚生労働委員会で御質問されておりまして、この四十八時間ルールがなぜ守られなかったか、そのなぜのところですね。今、危機意識が薄かったとおっしゃいましたけれども、これを御存じなかったのか。例えば、そこに駆けつけた職員さん、ケースワーカーさんなのか、そういうことも考えられますが、そうしたなぜというところを、今おわかりになる範囲でお答えいただきたいと私は思うんですが、いかがでしょうか。四十八時間ルールを御存じだったのかどうかも含めてですね。

大口副大臣 今、札幌市の児童相談所にも問合せをしております。札幌市も、このことについては検証委員会を立ち上げて、死亡に至る経緯を振り返り、再発防止に向けた検討を行う予定になっておりまして、その事実確認等も含めまして、しっかり注視をしていきたいと思いますし、報告もできる限り受けるようにしていきたいと思います。

早稲田委員 今ではお答えができないということなのだと思いますが、しっかりと検証をしていただくことはもちろんでありますし、それを次に、どのように不足の部分を生かしていくかということではないかと思います。

 それでは、次に、その職員の方、こちらの訪問をした職員の方がどのような立場で何を確認されたか、そして、本人に面会はできなかったにせよ、アセスメントシートをなぜつくらなかったのか、伺いたいと思います。

大口副大臣 これも、札幌市の児童相談所に確認をいたしました。個人の特定につながるため詳細なことは申し上げられない、こういうふうに言っておりましたけれども、今回の事案においては、児童福祉司を含む複数名で対応したとの報告を受けております。また、アセスメントシートが作成されていなかったと承知をしております。

 この児童相談所の対応、支援につきましては、その支援を行う全てのケースについて、援助方針会議において方針を決定すること、方針決定の際には、リスクアセスメントシート等による客観的に把握した根拠等を示し判断すること、判断した根拠を記録に残すことについて徹底が図られるよう自治体に周知をしておりますし、引き続き周知をしてまいりたいと思っているところでございます。

 なお、このリスクアセスメントシートは客観的リスクを把握する方法の一つであり、支援方針を定める場合には、リスクアセスメントシートのみならず、リスク判断の客観的な根拠を示す必要があると考えております。

 また、作成しなかった理由につきましては、先ほども申し上げましたように、札幌市が検証委員会を今後立ち上げるということでございます。再発防止に向けた検討を行うということでございますけれども、こういうものをしっかり見ながら、その理由等についても今後しっかり確認をしていきたいと思います。

早稲田委員 アセスメントシートがなぜつくられなかったかということもまだお答えはいただけないということはわかりますが、シートがつくられていないわけですから、援助会議等々にはかからない事案になっているわけだと思います。

 そうしますと、とにかく、最初に駆けつけた方の、介入をするかしないかも含めた緊急度の、これを判定する、判別する専門性というのが、いつもこうした痛ましい事件で言われておりますけれども、結局は、その専門性が育っていないのか、判別ができない何かがあるとしか思えないわけですね。これは児童相談所にも言えることですし、それから、きょうはお呼びしていませんけれども、警察にも同じことが言えるのではないかと思います。

 警察は最後は踏み切ろうとしたわけですけれども、そこのところ、大変私は、いつも、このことについてはどういうふうにしたら専門性が育つのか、緊急度の判別ができるような職員、ケースワーカーさんを育てることができるのかということを国でもっと真剣に考えていかないと、いつもいつも、最初の入り口で、もうこれは少しおいておいても大丈夫という判断がなされてしまうのは、大変残念だし、悔しいことだと思います。

 質問はこのくらいにいたしますが、また検証を通じていろいろお聞きをしてまいりたいと思いますし、私ども立憲民主党の子ども・子育てPTでも次の改善につながるように伺ってまいりたいと思いますが、一つ申し上げたいのは、この事件では、やはり、警察とそれから児童相談所との発言に大変食い違いが出ています。警察は臨検と言ったけれども、児童相談所はそれを聞いていないというようなこともあります。

 そのような中で、野田市の事件においては、児童相談所と学校、これの連携、情報共有不足、これが顕著でした。今度の事件におきましては、警察と児童相談所との情報共有が全くなされていない、意識の共通化も図られていない。この連携不足、これも従来からずっと国も県も市もわかっていながら、できていないのはなぜなのかということを、しっかりと国としては改善に向けてやっていただきたいと思います。

 これは通告しておりませんけれども、最後に副大臣、いかがでしょうか。

大口副大臣 もう委員御指摘のとおり、児童相談所と警察の連携、極めて大事でございます。まだ事実確認がはっきりしておりませんけれども、そういう御指摘の点もしっかり見させていただいてやっていきたいと思います。

 また、十四日には、大臣が、全国の児童相談所所長に来ていただいて、しっかりまた、これまでの累次にわたる決定事項について徹底をしていきたい、こう考えております。

早稲田委員 徹底検証と次につながる改善策に、国会を挙げて、そして政府を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 次の質問、企業主導型保育事業であります。

 今回、ANELAの事件で逮捕者が出ました。私は、三十年の十一月二十八日にこの問題を取り上げております。これは、助成の申請の段階でこのANELAという会社は法人格を有していなかったということを申し上げまして、そうしましたら、このときの御答弁が、助成決定までに法人格がなされれば、それでよいのではないかというような御答弁が統括官からございました。そして、そのあげくがこの事件であります。

 先ほど阿部議員の質疑の中でも明らかになりましたとおり、別件の事案で非常に資金繰りが苦しい中でこの保育事業を始めたのではないかということです。そんなことが、この保育事業で子供を食い物にするようなことが、公金の交付、支出ということによって行われている。そのことを内閣府はもう本当に重く受けとめていただかなければならないし、改善をしていただかなければならないと思います。

 それではまず、この逮捕事案について、大臣としてどのように受けとめていらっしゃるか、御所見を伺います。

宮腰国務大臣 今般、企業主導型保育事業に関する補助金適正化法違反の容疑で三名の関係者が逮捕された事案については、まことに遺憾であります。

 当該事案につきまして、これまで内閣府、児童育成協会として、捜査当局に必要な協力を行いながら、慎重に調査を進めてまいりました。

 今後の捜査にも協力するとともに、改めて関係者に対し必要な対応を行った上で、厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。

早稲田委員 それだけでしょうか。再三申し上げて、いろいろ報道もありました。その間、調べられていたんでしょうか、調査をかけられたんでしょうか。

 それから、先ほどのメールの話もありました。育成協会はかなり危機的状況だと認識していたにもかかわらず、内閣府は全くこれを危機的だと思っていなかったのではないかと。

 刑事事件となったことを受けて、この責任、補助金適正化法違反の逮捕者が出たことは、どこに責任があるのでしょうか。水増し、不正受給を見抜けなかった育成協会なのか、こうした企業拠出金ありきの予算ありきの制度をつくった内閣府なのか、どちらだと大臣は思われますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 このような事案はあってはならないものと認識してございます。現在、審査基準、運営基準、監督、指導監査などの改善をしっかりと進めておりますし、検証結果を踏まえまして、事業譲渡等の事例について補助金の返還につながるような事案の有無に関し、さらなる調査を協会に指示するとともに、内閣府としても、必要な立入調査など監査を徹底的に行っているところでございます。

 待機児童対策へ貢献すべく量的拡充に重きを置く一方、実施機関が行う事前の審査、開所後の指導監査等について必ずしも十分でなかった点につきましては、真摯に受けとめる必要があると認識してございます。

早稲田委員 いつもそういう御答弁なんですけれども、逮捕者が出ても変わらないんですね。これは起訴とかされないと、何か決定的な改善をしないんでしょうか。今までと御答弁が全く同じです。

 それでは、この不正受給を見抜けない、一割ではもう事業の取消しを行われている、それから事業譲渡もたくさん、四十とか五十とかある、そういうような補助金の交付をしていたこの児童育成協会を公募でわざわざ選んだその責任、これは、大臣、どのようにお考えでしょうか。

宮腰国務大臣 現在の実施機関である児童育成協会は、内閣府が策定した公募要領に基づき実施した公募におきまして、応募してきた六団体の中から、有識者から成る企業主導型保育事業評価検討委員会の意見を聞いた上で、内閣府の責任において選定をいたしました。

 そして、二十八年度、二十九年度については、公募要領に基づき児童育成協会が行った業務の評価や、翌年度においても国庫補助を継続することが適当であるかについて企業主導型保育事業評価検討委員会の意見を求め、その評価を受けた上で、内閣府の責任において翌年度の事業実施者として児童育成協会を継続させることを決定したものであります。

 内閣府としては、二カ年検証で明らかになった事案について、児童育成協会を指導し、厳正に対処するとともに、企業主導型保育事業の制度、仕組みの改善を徹底して行うことによって、その責任を果たしてまいりたいというふうに考えております。

早稲田委員 厳正にとおっしゃいますけれども、この児童育成協会、基本財産は三千万円です。そして、この補助事業は八百億円、最初は。これが千三百億円になり、千六百億円になっています。三千万円の資本金のところが、こういう大きな、巨額な補助金の担い手になれるんでしょうか。単純に私は、この数字を見たときにそのように思いました。

 公共事業で申し上げれば、これはランクづけというのがありますよね、資本金によって。そして、C、Dランクのところです。そうすると、多くても二、三億の仕事。それから数千万円。三千万円の資本金の会社であれば、そういう公共事業を請け負うということがもう決められているわけですけれども、内閣府の場合は、これでもここが最適だと思って、ここを選ばれたということですね。答弁は結構ですが、今、公募要領に基づいてと、そして、評価検討委員会がきちんとしたんだというお話がありました。

 では、評価検討委員会について申し上げたいと思います。

 お手元の資料に配付をさせていただいております事業実績報告書というのがございます。それからまた、他省の事業実績報告書というのもありますので、見比べていただきたいと思います。今、皆様のお手元にあるのは、多分、平成二十九年度でありますが、私のところに平成二十八年度のがあるんですけれども、これについても、間接事業者にどのように、つまり、保育事業者、どのような施設をつくって、何施設だったのかとか、そういうことさえも二十九年度は書かれていませんよね。二十八年度は、一応ですけれども、八百七十一施設、定員が二万二百八十四人と書かれています。二十九年度では、もうこれさえも書かれていない。

 そして、取組状況、何をやりましたかといったら、広報啓発、相談業務、リスクマネジメント等と。そんなのはどこの会社でも、どの事業でもやるべきことで、これに特化した話ではないわけです。

 そして、収支報告書がさらっと出ているけれども、では、積み上げた数字なのかということさえもわからない。

 そして、もっと申せば、この間の、この二年間、検証で出ましたけれども、取りやめたもの、中止になったもの、事業譲渡したもの、そういうものは一切書かれていないわけです。

 また、よくよくこの数字を見ればわかりますが、つまりは、補助金をどれだけ使って、どれだけ残ったかということさえも明確には出ていない。もう毎年、五百億円以上の返納金がありますよね、国庫に。それも書かれていない事業実績報告書、そういうもの、ほかと見比べていただければ、よくわかるんじゃないんでしょうか。ほかの場合は、間接事業者の施設名、その金額まで書かれています。

 これだけずさんなものを内閣総理大臣宛てに出していて、そして、それを、また、こういうふうに改善しなさいとも大臣はおっしゃっていない。その責任は重いと思います。

 そして、これが評価検討委員会に、では、この実績報告書を出されていますか、お聞きします。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の事業実績報告書につきましては、実施機関に対し、事業に要した経費、経費支出明細、事業実施状況等の報告を求めるものでございます。

 一方、企業主導型保育事業評価検討委員会は、平成二十八年度当初においては、内閣府が実施した公募において、児童育成協会の選定を行うとともに、公募要項に基づき、平成二十八年、平成二十九年度に児童育成協会が行った業務が適切かつ効果的に行われているかについて評価を行い、翌年度においても国庫補助を継続することが適当であるかについて意見を求める、平成三十年度は、当該年度の協会の実績見込みについて協会からヒアリングを行うために開催していたものでございます。

 このように、事業実績報告書は、当該年度の事業終了後に提出されるものであり、評価委員会の開催時点におきましては、事業実績報告書そのものは求めていない、これまでは求めてございません。

早稲田委員 なぜ求めないんでしょうか。補助金適正化法で、これが一番重要なものじゃないですか。これを見なければわからないですよね、内容が。

 それなのに、実のところ、この事業に関しては、ほかと大きく違うのは、この事業が完了してから一年もたってから、この報告書を提出しているんです。それについて、改善も内閣府は求めていない。だから、その年度末の評価検討委員会にこれを出すことはできないんですよ。おかしいじゃないですか、こんなの。何にも評価委員会で評価していないということです。もう育成協会ありきでやっている。

 だから、今度の公募もそういうふうになる可能性がありますよね。でも、きちんと返還金は公募の前に全額返してもらうようにしていただきたい。最後にそのことを伺います。

 そして、未返還の部分の総額、これはもう返された部分を外した総額、これから返してもらわなければいけない総額を私はこの間伺いましたが、答えが違っていたので、ぜひそこはお答えいただきたいと思います。あと件数、お願いします。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 まず、二十八年度、二十九年度の業務が適切に行われていたかどうかについての評価委員会の御意見を聞く場合には、実績報告書は求めてございませんけれども、助成決定など、事業の進捗状況、職員体制や事業推進の方策、事業計画などの資料によって、翌年度も継続することが適当であるか、意見を求めたところでございます。

 それから、児童育成協会以外が新たな実施機関となった場合、未返還の補助金を清算させるのかどうか、また、それはいつの時点かということでございますけれども、協会以外の機関が新たな実施機関となった場合には補助金の清算を行うこととなりますが、補助金の返還の時期につきましては、補助金の額を確定した後、しかるべき期限を定めて返還を命ずることとしてございますが、現時点で確たることをお答えすることは困難でございます。

 それと、最後に御指摘、御質問いただきました返還の額、件数でございますが、現在、助成金の返還を求めている件数は、取消し二件、取りやめ七件の合計九件になります。

 また、その九件に係る要返還額は、返還済みの額を含め、三億三千七百八十七万六千円となります。

 お尋ねの現在返還済みの額を除いた未返還額が幾らかにつきましては、現在、児童育成協会においては、個々の事業者等に対し、助成金の返還を求めるとともに、法的手段をとることも含め必要な措置を講じているところであり、また、児童育成協会と当該事業者との関係であることから、お答えは差し控えさせていただきます。

早稲田委員 いや、そんなことはあり得ないじゃないですか。個々の、幾ら返しているか、事業者にということを聞いているのでは全くありません。総額を聞いているんです。

 これは公金の補助金です。なぜお答えができないのか。きちんと答えてください。もうこれは通告しているんですから。何回も申し上げている。おかしいですよ、補助金なんだから、公金なんだから。お答えいただきたい。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、全体の要返還額につきましてはお答えさせていただいているところでございまして、まずはしっかりと協会が、個々の事業者に対して、法的手段をとることも含めまして必要な措置を講じているところでございまして、内閣府としてはそれを注視してまいりたいと考えてございます。(早稲田委員「だめですよ、おかしいです」と呼ぶ)

牧原委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

牧原委員長 速記を起こしてください。

 早稲田夕季君。

早稲田委員 いつもそうなんですけれども、なぜ委員会でお答えいただけないんでしょうか。理事会でこの件について要求をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

牧原委員長 後刻、理事会で協議をさせていただきます。

早稲田委員 以上です。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、岡本あき子君。

岡本(あ)委員 私からも、企業主導型保育事業について伺わせていただきたいと思います。

 阿部知子議員それから早稲田夕季議員、私もですけれども、企業主導型保育事業、保育の受皿として期待はされる一方で、制度がやはりもともとずさんだったのではないか。児童育成協会のせいだけではなく、内閣府として、この企業主導型保育事業の位置づけ自体が非常に甘かったと思います。その点をしっかり踏まえていただきたいということを言わせていただきたいと思います。

 この間、これから改善していきます、次の実施団体にはちゃんとさせますのような答弁が繰り返されますけれども、そもそも内閣府の認識自体にやはり反省がなければ、この制度は軌道修正できないと思いますので、そのことを念頭に置いていただきたいと思います。

 最後に、大臣は、この件も踏まえてお答えいただきたいと思います。

 会計検査院の指摘、それから今回の逮捕事件がございました。まさに、ほかに疑われる事例がないのか、あるいはこの間、整備費の上限いっぱいで申請をされていて、もしかしたら、これは水増しに近いような疑わしいことがないのか、そういうことが問われております。

 児童育成協会において監査を委託しておりますけれども、監査を昨年も行っております。三十年度の事業については、契約上は、委託をした監査事業者からは、多分、四月一日が納品になっていると思うんですね。その上で、内閣府がその中身を調べていると思うんですが、監査結果というのはいつ出るものなんでしょうか、お答えください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年度に児童育成協会が行った立入調査の結果につきましては、現在取りまとめを行っているところでございます。

 取りまとめが終わり次第、保育施設ごとの指摘事項を公表することとさせていただいておりますが、いつまでということは、恐縮でございますが、現時点ではちょっと申し上げられない状況でございます。

岡本(あ)委員 昨年度につきましては、二十九年度の事業については、昨年の春に上期分は公表されていらっしゃいますよね。そして、年度を通しては、年度を終えた翌の九月に公表されていますけれども、今回は上期においても公表していないというのは何か理由があるんでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 一つは、ちょっと施設が、二十九年度よりも三十年度がふえたということもございますし、確かに委員御指摘のとおり、二十九年度につきましては、上期という形でもさせていただいておりますけれども、今回は、年間を通じて、一覧性を持って指摘事項を公表させていただくべく、今取りまとめを進めさせていただいているところでございます。

岡本(あ)委員 会計検査院の指摘、それから逮捕事件もございましたので、今事業を行っているところについては、内閣府の責任において、監査の報告は委託事業者から出ると思いますけれども、その中身を踏まえて、再度、二十八年、九年、それから三十年に行った事業、本当に事業が適正に行われているのかどうか、この点はしっかりチェックをしていただきたいと思います。

 その上で、では、次、実施団体はどこにしたらいいのか。さらに、その先に、新しい募集をかける。まずは、今事業を行っている方々が、本当に間違っていないのかどうか、疑わしい点はないのか、万が一疑わしい点があれば、毅然としてそこは臨むということをしっかり踏まえた上で、次の実施団体を決める、それから実施団体のもとで新規の募集をする、これが筋ではないかと思います。夏に次の実施団体を決めるような考えがある一方で、この監査の結果はいつになるかわからないという御答弁でした。

 大臣はいかがお考えになりますか。今まで行っている事業体がちゃんとしているのかどうかをまず全部精査を終えて、その上で実施団体を募集する、そしてその上で、新規の整備費あるいは運営費を募集する、それが正当な流れではないでしょうか。お答えいただけますか。

宮腰国務大臣 監査結果の取りまとめということでありますが、これについては、委員御指摘のとおり、取りまとめと結果の公表については、しっかりと作業を急がせたいというふうに思っております。

岡本(あ)委員 今聞いたのは、監査結果を急いで、その結果が出て、ちゃんと対処してから実施団体を決めるべきじゃないかということを言わせていただいております。その位置関係は、私はこれは一連の流れだという指摘です。内閣府は、それは別件だという意味ですか、今の御答弁は。監査の結果が出て、今現在やっている企業の保育が正常だ、あるいは、是正するべきことを是正させた上で次に進むべきじゃないですかということです。

宮腰国務大臣 監査の結果も重要でありますけれども、実施団体に求められる役割、体制の強化、これについても並行して今検討をさせていただいているところでありまして、これまで国会の御議論でもいろいろな御指摘をいただいておりますけれども、逮捕者までこの事業に関係して出ているということでもありますので、ここは本当に真摯に受けとめて、二度とこういうことがないように仕組み全体を見直していく。

 ただし、緊急的な待機児童の対策という要請に応えるということと、多様な働き方に対応した仕組みというこの二つの重要な点について、その意義を踏まえつつも、基本的な考え方は押さえつつも、これまでなぜこういういろいろな問題が出てきたのかということを踏まえつつ、実施団体のあり方、国との役割分担ということも並行して作業を進めていく必要があるのではないかというふうに思っておりまして、順番どうのこうのということよりも、ほとんど並行して進めていく。とにかく、監査の結果の取りまとめ及び公表についても更に作業を急がせたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 私とすれば、納得はいかないものです。今現在の事業をされている方々あるいはそこにいらっしゃる子供たちが安全にいられるという担保、あるいは、ちゃんとした是正がされて後、次の新年度の取組が行われるものと思っております。

 もう一点、内閣府自体の課題、認識に反省があるべきではないかということを指摘をさせていただきます。

 資料一、これは一昨年の事業で監査をされた、立入検査を行った結果です。昨年の九月にこれは発表されています。児童育成協会が発表しておりますが、この監査結果は当然内閣府は承知していると思います。

 赤でくくっておりますが、秋田県の保育園、これは九月に公表しておりますが、その前の四月にもう既に取消しを行っております、助成の取消し決定を行っております。当然児童育成協会から報告が内閣府に上がっているにもかかわらず、九月に発表した中身とすれば、指摘事項を指摘して、改善計画も出されて改善もされたかのような評価になっています。これは、本来は内閣府が、監査した事実は児童育成協会が報告します、その上で内閣府が判断をして、取消しを行っているんですから、児童育成協会が取消しを行って、内閣府も把握しているんですから、こういう内閣府も知らなかったかのような公表の仕方になるというのは非常に残念ですし、内閣府自体にその自覚がないのではないかと思います。

 ちょっと、あわせて次々行きます。

 資料二の一、秋田市独自の補助制度も上乗せして、PRをしております。秋田市で、保育園で、定員四十名、一億二千万の整備費でまず提案をされています。この間不正で捕まっているところが大体一億円近い整備費を、しかも、水増し請求をして逮捕になっております。

 まず、内閣府が最初につくったパンフレットでも、一億円の基準で出しています。

 資料二の二、これは大阪府です。大阪府、これは内閣府の最初の例をとっていますが、これも一億円の事業です。まるで、一億円ぐらい補助金、整備費はそのうち四分の三ですが、一億円ぐらいの事業として一定程度もうかるかのような誤解を招くようなPRを、内閣府あるいは自治体がみずからやっているように受けとめられるおそれがあります。

 秋田市でいけば、そのうち二千五百万独自で用意しなきゃいけないところを秋田市が二千三百万補助します、本人に二百五十万手持ちがあれば一億二千万の事業ができるような宣伝をしています。検討会議で、これを内閣府が優良事例として秋田市さんに報告をさせています。

 こういう、もうかる事業だとPRをしていること自体、非常に問題があると思います。その内閣府としての責任はないですか。そこは、政府としてまずお答えください。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 まず、委員御指摘の立入調査の結果の関係でございますけれども、企業主導型、平成二十八年度に始まりまして、二十九年度一年間を通じてのこの立入調査の結果、どういうふうに扱うかということを内閣府の中でも検討しまして、ここはしっかりと透明性を確保する観点から公表していくべきだというようなことから公表させていただいておりますし、今後もその公表は続けていきたいと思ってございますが、委員御指摘のような点、改善すべき点がある部分につきましては、しっかりと改善を検討してまいりたいと考えてございます。

 それから、二つ目の、委員御指摘の、例えば内閣府のパンフレットの件でございますけれども、内閣府が作成しましたパンフレットにつきましては、事業の意義、立ち上げや運営に関する好事例を紹介することによって、新たに事業を実施しようとしている事業者の参考となるよう作成したものでございまして、事業者向けの説明会などでも活用してきたのは事実でございます。

 そうした中で、委員御指摘の文言等につきましては、我々の本意としましては、誤解を生じるようなものは本意でございませんので、改むべきものは改めて、見直しを進めてまいりたいというふうに考えてございます。

岡本(あ)委員 大臣、この例もそうですけれども、内閣府が、結果として事業者さんに、今、企業主導型保育をやったらもうかるかのように伝わる、これを内閣府がある意味ちょっと扇動し過ぎているというところは御指摘させていただきます。

 ホームページは、これは行政ではないですが、企業主導型保育を検索していくと、MアンドAもできますよと、そんなPRまでされているコンサルタント会社もございます。

 子供を食い物にしないと、先ほど早稲田夕季議員が指摘しました。まさにそのとおりですし、それが結果として、この企業主導型保育、内閣府が主導したかのように誤解をされるということは全く本末転倒です。ぜひ、自省もできればしていただきたいですし、本来、保育の質こそ大事なんだということを前面に出すように、速やかに直していただきたいと思います。

 それから、次、もう一点、ここはお答えいただかなくて結構ですが、資料三の一と資料三の二、児童育成協会がみずから子育て支援員の研修を開いております。これは、子育て支援の方々を育てますよというのも、内閣府から委託した補助金の中に入っております。二十八年のとき、参加費八千六百四十八円です。このほかに保険が掛かっています。ほぼ同じ研修だと思いますが、翌年度、二千七百円になっています。このテキスト代の設定は、受託した企業が自分で設定できることになっています。こういう設定自体も自由にさせていることも非常に問題ではないかと私は思います。

 これを含めて、内閣府がやっている事業なんだという改めての認識、それから責任もしっかり問われなければいけないと思います。児童育成協会だけのせいではないということをしっかり踏まえて、これまでの責任のありか、あるいは内閣府としての課題認識、もう一度お答えいただきたいと思います。大臣、お願いします。

宮腰国務大臣 委員御指摘の子育て支援員研修のテキスト代、二十八年度と二十九年度で価格が変動したことは、内閣府としては把握しておりませんでした。なお、価格が変動した理由としては、テキストが変更になったからであると確認をいたしております。

 一方、委託事業の細部にわたる内容や再委託については、従前に把握する仕組みとはなっておりませんが、今般、指導監査の委託において利益相反が生じないような必要な見直しを行うこととしておりまして、委託先の細部にわたる内容や再委託先をどのように把握していくかについても改善を検討してまいりたいというふうに考えております。(岡本(あ)委員「内閣府の責任について、このもろもろで」と呼ぶ)

 もろもろということでありますが、企業主導型保育事業に関するさまざまな問題につきましては、児童育成協会だけではなく、内閣府が事業を進めてきた中で、量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかったのではないか。ここは一度立ちどまり、これまでの取組を検証し、反省すべきは反省し、しっかりと改善を図っていくべきではないのかという厳しい認識を持っております。

 私も、大臣就任の後、この企業主導型保育におけるさまざまな御議論、いろいろな報道等々がありまして、事はこれは子供の問題であるということから、これまでのやり方ではいけないのではないかと強い危機意識を持って進めてきているところでありまして、ずさんな部分が確かにいろいろな面であったというふうに思っておりますが、ここは反省すべきはしっかりと反省をして、ちゃんと質の確保も図られる、親御さんたちが安心して子供を預けられるようにしていくということを目指して、これからしっかり頑張ってまいりたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 内閣府にこそ責任があるんだということを共有させていただいたと思います。これからもしっかりとチェックをしていきたいと申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

牧原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

牧原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。本日はよろしくお願いいたします。

 子どもの貧困対策法は、二〇一三年、全会一致で成立をしました。当時、厚労委員会の所管でもあり、私も提出者の一人でしたけれども、当時は心から喜べませんでした。なぜなら、扶養義務が強化された生活保護法改悪とセットだったからです。しかも、この年、一般の低所得者に比べればまだ高いとして、過去最大規模の生活扶助基準の引下げもやられました。言ってみれば、貧困の連鎖を断ち切ろうと子供の貧困対策をうたったのに、一方では親の困窮度を高め、子供が自立しても今度は親の扶養という形で貧困の中にとめ置かれることになるからです。

 でも、この五年間、牧原委員長が事務局長を務める子どもの貧困議連の一員として、子供食堂や若者塾や各地に広がっているさまざまな運動、行政の取組、あすのばの学生たちの発信を聞くなど、さまざまに学ばせていただきました。

 だからこそ、今回、五年後の見直し改定で法律がバージョンアップされたことは素直に喜びたいと思います。また、さらに、貧困の大もとにある今言った生活保護制度や各種施策に波及していくことを強く望みたいと思います。

 資料の1を見ていただきたいのですが、これが本日の午前に参議院の本会議で可決された子どもの貧困対策推進法の新旧表であります。第一条の目的規定が大きく変わりました。その意義についてどのように受けとめているのか、宮腰大臣に伺いたいと思います。特に、「貧困の状況にある子ども」とされていたものが「全ての子ども」になった、この点についてもぜひ含めて評価をお願いします。

宮腰国務大臣 本日成立をいたしました子どもの貧困対策の推進に関する法律の改正案につきましては、超党派から成る子どもの貧困対策推進議員連盟を始め、各党各会派において精力的に御議論がなされ、子供の貧困対策を一層推進するための改正がなされたものと承知をいたしておりまして、関係の先生方に深く敬意を表したいというふうに考えております。

 御指摘の目的規定の改正におきましては、子供の将来だけではなく現在に向けた対策であること、対象を貧困の状況にある子供だけではなく全ての子供とすること、貧困解消に向けて、児童の権利条約の精神にのっとり推進することなどが明記されたところであります。

 このうち、子供の現在に向けた対策であることにつきましては、将来の貧困を防ぐこととなる重要な視点であると考えております。また、貧困の子供だけでなく、御指摘の全ての子供となった点につきましても、子供の貧困対策は、全ての子供に対する普遍的な政策も含めて将来の貧困の防止を目指すものであるとともに、我が国の将来を支える積極的な人材育成政策としての取組であるという観点から、非常に意義がある改正と認識しております。

 政府といたしましても、今般の法改正の意義も踏まえ、全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指し、引き続き、子供の貧困対策を総合的に推進してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 全ての子供が日本の将来を担っているわけですから、そうした立場で改正をしたということを非常に賛同したいと思います。

 それで、子供の貧困対策大綱も、五年後の見直しに向け有識者会議で検討していると聞いております。

 資料の2は現在の大綱に記載をした指標です。これは二十五あります。それで、ざっと皆さんも見ていただきたいと思うんですが、左上から、例えば、生活保護世帯に属する子供の進学率、高校中退率、大学進学率、次は児童養護施設の子供、一人親家庭の子供、右には生活保護世帯の子供となっていって、二十五ある指標のうち大体十五くらいが生保、一人親、児童養護施設の子供、つまり貧困の子供の典型例といった対象になっているわけです。

 それ自体をきちっと捉えることはもちろん必要なことです。ですが、やはりその対象が極めて狭いという気がいたします。そもそも、子供の貧困とは何かという定義がこの法律にはございません。そういう中で、指標がどういう姿をあらわしていくかということはとても問われていくわけです。

 大臣は今、全ての子供とおっしゃってくださいました。とすれば、この指標も当然不足をしている、全ての子供に合った形に見直していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 現在の二十五の指標は、子供の貧困対策に関する大綱策定時に、子どもの貧困対策に関する検討会における有識者の御意見等も踏まえて、子供の貧困対策を総合的に推進するに当たり、関係施策の実施状況や対策の効果を検証、評価することを目的に設定されたものであります。

 貧困の実態は見えにくく捉えづらいと言われておりまして、生活保護世帯、一人親世帯、児童養護施設の子供以外にも、さまざまな事情が重なって困り事を抱える子供がいることにつきましては子供の貧困対策に関する有識者会議でも御指摘をいただいておりまして、貧困の状況は多様であると認識いたしております。

 いずれにせよ、子供の貧困に関するさまざまな状況を踏まえた上で施策を推進することができるよう、新たな大綱の作成に向けて議論を行っている有識者会議の御意見、御議論も踏まえつつ、指標の改善充実に取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 改善を行うということでありました。

 最初の子どもの貧困対策法をつくったときは、やはり貧困の見える化ということがすごく大事なテーマでしたので、こうした指標になったというのも納得できるものがあるわけですね。ただ、それは、ある意味、今わかっている指標を一定きちっと整理したにすぎないというか、やはり、じゃ、どういうものをこれから調べていくのかという視点が今は問われているんだろうと思います。

 それで、資料の3を見ていただきたいと思います。

 これは、「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークが出版した「子どもの貧困ハンドブック」で学んだものでありますけれども、資料の出典は、ユニセフのイノチェンティ研究所、阿部彩さんや竹沢純子さんらの「イノチェンティ レポートカード11 先進国における子どもの幸福度」という指標であります。

 子供の剥奪率国際調査という考え方で、日本は、この左の表を見ていただくとわかるように、七・八で二十八カ国中十八位であります。これはどういうふうに見るかといいますと、右の点線の中にあるんですけれども、「各国における子ども(一〜十二歳)のうち、次の八品目のうち二つ以上が欠如している子どもたちの割合を示している。」と。例えば、年齢と知識水準に適した本、教科書ではなくてという意味です。屋外レジャー用品、自転車を持っているかとか、屋内ゲームとか、修学旅行や学校行事の参加費があるのかとか、宿題をするのに十分な広さと照明があるのかとか、インターネットへの接続ができているのか、洋服があるのか、こうしたことが列挙されているわけですね。これをやはり参考にする必要があると思うんです。

 それで、EUやOECD諸国においては、やはり物質的剥奪という指標を、今言ったような指標を使って、普通の家庭ならあるものがない、それがどのくらいないかということであらわす。このことは有識者会議の中でも指標にすべきという意見があって、ただ、そのまま日本に当てはめるのはどうかということでとどまったというふうに理解をしています。でも、それは日本版の指標をつくればいいと思うんです。そのための実態調査、何を持っているのか、どういう状態が当たり前なのかということを、調査を踏まえてつくっていけばいいと思うんです。

 そういう意味で、経済的困窮度を示す指標だけではなくて、健康だとか社会的生活においてどうなのかといった指標が必要と思います。いかがでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 物質的剥奪指標につきましては、その国で典型的に保持、享受するものとされている財・サービスの欠如を示す指標と承知してございます。所得だけでははかれない生活の質を把握する試みとして、欧州を中心に作成、公表されているものでございますが、社会的、文化的背景が大きく異なることから、EUなどで設定されている剥奪指標の項目をそのまま日本に適用することは難しく、中期的に検討していくべき課題であると考えてございます。

 現在、新たな大綱の策定に向け有識者会議において御議論をいただいてございまして、指標については、今後、委員御指摘のように、健康面や社会生活等の観点からも御議論をいただく予定としてございます。

 政府といたしましては、同会議での御議論も踏まえつつ、指標の改善充実に向けて取り組んでまいります。

高橋(千)委員 聞いていて気がついていると思いますけれども、そのまま当てはめろとは一言も言っておりませんので、日本版の指標が必要だということであります。

 内閣府も、平成二十九年に三月三十一日付で、見直しに当たっての方向性という中で、経済状況のみならず、教育や生育環境などの子供たちを取り巻く状況を多面的に把握するべきだということを指摘していまして、高校中退率を生保世帯だけでなく一般の子供も見るべきだということですとか、朝食を食べていないとか、相談相手がいないとか、あるいは一人親家庭の就労状況がどうなのかとか、そうしたことも提案をされておりますので、ぜひ、日本版の指標をつくって、より多面的にわかるようにしていただきたいと思います。

 それで、先ほど示した大綱の指標、ちょっともう一回戻るんですけれども、戻りますと、左の下の段に、就学援助に対して、周知状況というのがあります。何でこれは二つ並んでいるかといいますと、上の方は毎年度、つまり、ことしだめでも来年、事情があってという場合もあるわけですよね、毎年度周知しているという割合が今七五・三%である。入学時だけ書類を配付していますというのが七三・一%。

 でも、一〇〇%じゃないのかなというふうに思うのと、そもそも就学援助率がないということに気がつくと思うんです。

 それはなぜかというと、やはり就学援助の基準、具体的には、準要保護世帯については市町村に任せているために、かなりアンバラがある。必ずしも、援助率が高いことイコール貧困な世帯というふうには見えない。むしろ、基準を広目にして、よく支援している自治体ほど就学援助率が高いというふうになってしまうこともあって、単純比較ができないことが背景にあると思うんですね。

 それで、資料の4を見ていただきたいんですけれども、これは都道府県格差というのが出ております。

 これは、済みません、北から南と並べていなくて、順位で並べているので大変申しわけないんですけれども、一番右端を見ますと、就学援助の案内を毎学年に配付をしていますというのが、広島は一〇〇%だけれども、一番下の佐賀は二五%と、ここまで差があるわけなんです。そうすると、なかなか、そもそも権利を行使していない人がかなりいるじゃないかということがあって、比べられないという問題になりますよね。

 それから、その隣にFということで、認定に生活保護基準利用という指標がありまして、これも、滋賀の一〇〇%に対し、一番下は和歌山の一六・一%と、かなり差があるわけです。

 この生活保護基準利用というのは、文科省のポータルサイトに詳しく出ておりますけれども、生活保護基準に一定の係数を掛けるというやつで、一・一倍から一・五倍強まであるけれども、それを見ますと、一番多いのは一・三倍だと思っております。

 それで、これを見ますと、このまま周知状況だけを指標にしていても実態は見えてこないわけです。大綱に基づいて就学援助ポータルサイトを設けたことは大変評価します。だったら、これで貧困の指標として使えるように、周知はもう義務化しちゃって、そして、要保護基準を最大公約数に合わせるとか、何らかの工夫をして、この就学援助の率が見えるようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

中村大臣政務官 お答え申し上げます。

 経済的な理由により就学が困難な児童生徒に対して就学援助がなされるためには、児童生徒の保護者が制度を認知するということが重要であることから、子供の貧困に関する指標として、市町村における制度の周知状況が指標となっているところであります。

 この制度の認知状況の差が大きいということを先生御指摘でありますけれども、文部科学省としても制度が周知されることが重要だと考えておりまして、教育委員会への、担当者会議などを通じて、こうした周知を徹底するように、お願いというか、啓蒙しているところでありますけれども、少しずつ改善は図られているものの、まだ地域ごとに差があるという実情だというふうに思っております。

 今後も積極的に周知の充実を図ってまいりますけれども、一律に国が指示をして一〇〇%というふうには、なかなか必ずしもすぐにはできないのではないかというふうに思っているところであります。

 以上です。

高橋(千)委員 もう一歩踏み込めないでしょうか。

 やはり、一律に指示をしてという、そんな強い意味ではないと思いますよ。せめて、制度があることを知らせる。入学準備には、さまざまな書類が来たり、学校説明会がございます。そのときに、こういう資料があるんだということが、一枚入っている、それが大きな意味があると思いますし、それから、やはり事情が変わって、今までは就学援助に興味を持っていなかったけれども、必要になる方だって途中で出てくるわけですよね。そういうときに、やはりチャンスがまたちゃんと知らされているということも大事だと思いますので、もう一歩検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

中村大臣政務官 委員の御指摘はごもっともな面が非常にあると思っております。

 修学支援制度は、これは生徒の進路選択にも資するように、十分に知ってもらうことが重要だというふうに思っておりまして、具体的には、中学校三年生を対象とした高等学校等就学支援金や高校生等奨学給付金に関するリーフレットを配付しているところでありますし、高等学校においては、高等教育の修学支援という新しい制度について、進路指導を行う教師への説明等を充実させるなど、制度の周知に取り組んでいるところでありまして、あくまでも、修学支援について、自治体ごとに判断されて行うという面がありますので、今後、そうしたことを念頭に入れながら検討をさせていただきたいと思います。

高橋(千)委員 ぜひ積極的にお願いしたいと思います。

 最後に、大臣にぜひまた伺いたいと思うんですけれども、大綱の見直しに向けて協議をしてきた有識者会議の指摘事項には、子供の貧困に対する社会の理解の促進として、自己責任論ではないんだ、社会全体の問題として受けとめるという指摘があって、これは大変重要だと思います。大事なことは、子供たち自身が家にお金がないから進学なんて言い出せないと諦めたり、お母さんがそれは自分のせいだと思ってしまうのは違うんだということをしっかりと発信していかなきゃいけないと思うんですね。

 先日、夫のDV、子供に対しては虐待の被害から逃れて施設に入っている女性たちから話を聞く機会がありました。一人の方は、施設に勧められて自尊感情回復プログラムを受けている。これは非常に効果を上げていて、最初は全く前向きでなくても、とにかく受けさせるということが大事だよということを教えていただきました。そして、もう一人の方は、やはり子供に対してもっと学校教育の中で権利を教えてほしいということを言われました。これは、自分のせいではないんだということをちゃんと教育の中で知っていくこと、それから、今言った制度のことをしっかりと知っていくこと、それが本当に大事ではないかなと思っております。

 実は、虐待のときも文科省に同じような質問をしたんですけれども、改めて、今回、この子どもの貧困対策法にも、児童の権利条約にのっとりというふうに書いたわけなんです。今回も、子供の自尊感情を育てる教育、自分自身で進路を学び取れるように各種制度を教えていくことを教育の早い段階で教えてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

中村大臣政務官 では、私からお答え申し上げます。

 児童生徒が家庭の経済状況のいかんにかかわらず進路選択を含めてみずからの将来を切り開いていくためには、児童生徒が自分のよさや可能性に気づき、学びに向かっていくことが重要と考えておりまして、このために、新しい学習指導要領においては、一人一人の児童生徒が自分のよさや可能性を認識できる自己肯定感を育むことを重視しているところであります。

 具体的には、児童生徒が学ぶことの意義を実感しながら主体的に学べるよう授業を改善することや、児童生徒のよい点や進学の状況を積極的に評価することなどを通じて、学校教育のさまざまな場面で児童生徒の自己肯定感の育成を図ることとしているところであります。

 また、修学支援の制度の子供さんたちへの周知についても、具体的な生徒の進路選択に資するように、その内容を十分に知ってもらうことが重要と考えておりまして、学校段階に応じた周知に努めてきているところであります。

 先ほども答弁しましたけれども、中学校三年生を対象とした高等学校等就学支援金や高校生等奨学給付金に関するリーフレットを配付したり、また、大学等に進学するに当たっては、進路指導を行う教師への説明等を充実させ、進路指導の中でしっかりと子供たちにそういった制度があることを周知をしていく、そういったことに努めているところです。

 今後とも、児童生徒が自分の人生に可能性を持って肯定的な形で進路選択ができるように努めてまいります。

 以上です。

高橋(千)委員 終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 国民民主党の森田でございます。

 二十分間の時間をいただいておりますので、質問をさせていただきます。

 宮腰大臣には、また質問する機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず初めに、私、今回、貧困の問題について主にお尋ねをさせていただきたいと思いますが、せんだって、法務の関係でございますけれども、特別養子縁組の話をいろいろと調べていく中で、たまたま、私、地元が熊谷でございますけれども、熊谷の産院さんを調べていたら、特別養子縁組の取組を非常に熱心にされていらっしゃる産婦人科のお医者さんがいらっしゃった。さめじまボンディングクリニックというお医者さんなんですけれども、この方が、全国の産婦人科が特別養子縁組のあっせん機関をされていらっしゃる、そういうところと、それからそれをサポートする産婦人科の先生方とあわせてネットワークを組んでいらっしゃる、これは、あんしん母と子の産婦人科連絡協議会、略称であんさん協というふうに言っていらっしゃるらしいですけれども、これは全国で二十二の産婦人科の先生方がネットワークを組んで、特別養子縁組に取り組んでいらっしゃるということでございました。

 そこでいろいろなお話を聞かせていただいた中に、望まない妊娠ということがございまして、望まない妊娠をするとどうなるかというと、やはり、特に若い女性が妊娠をして、非常に孤立した中で、いろいろな困難を抱えた中で子供を産み育てていくということで、社会との断絶が発生してしまって、結局は貧困の中に入り込んでいってしまう。

 この連鎖を何とか断ち切りたいということで、この鮫島先生なんかも非常に熱心に取り組まれておられるわけなんですけれども、そこで数字を聞いて私もびっくりしたんですが、百四十七件の、この五年間の実績、相談件数がある中で、約四割の方が未成年の女性であった、さらに、三割が中高生の妊娠、出産に伴う相談であったということなんですね。

 やはり、こういう若い段階で、いろいろな情報だとかが、例えば、持っていてもその情報が偏っていたりする中で、なかなかこういうちゃんとした形での教育、教育というと何か大上段に構えてしまいますけれども、いろいろな正確な情報だとか、自分の体に対する知識だとか、妊娠だとか出産に関するいろいろなことを知らずに、そういう中にいや応なしに引きずり込まれていって、さらには孤立した中で生活せざるを得ないような状況になってしまう。これが非常に大きな、貧困ということを考えても大きな原因の一つになっているということがございました。

 この望まない妊娠を防ぐということを考えますと、やはり早い段階、早いといっても、私が調べた中でいきますと、十三歳、十四歳、こういう若い妊婦さんが特別養子縁組の枠組みの相談者になっておられたということで、うちの娘なんかで考えると、今、一番上が高二で、中三、中二なんですけれども、まさに人ごとではない、十三歳、十四歳の若い方がそういうふうに里親だとか特別養子縁組のことで悩んでいらっしゃるということを聞きますと、非常に心苦しく思った次第でございます。

 それで、まず、ここの大もとのところというわけじゃないんですけれども、学校での対応についてお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。なかなかデリケートな問題だけに、誰も彼もが情報を提供できるというわけではないと思うんですが、学校での教育の現状、どうなっておられるか、教えてください。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 学校における性に関する指導についてでございます。学習指導要領に基づき、児童生徒が性に関し正しく理解し、適切に行動がとれるようにすることを目的に実施されておりまして、体育科、保健体育科、特別活動を始めとして、学校教育全体を通じて指導することとしております。

 また、指導に当たっては、今委員からも御指摘がございましたが、発達段階を踏まえる、学校全体で共通理解を図る、保護者の理解を図るなど、やはりデリケートな部分に配慮する必要がございます。ということで、集団で一律に指導する内容と、個々の児童生徒の抱える問題に応じ個別に指導する内容を区別して指導することといたしております。

 このことを踏まえ、小中学校におきまして発達段階を踏まえた適切な性に関する指導を実施するとともに、妊娠、出産に関し、学習指導要領に基づき、高等学校の保健体育科におきましては、生涯の各段階における健康の保持増進等の内容といたしまして、心身の発達や性的成熟に伴う身体面等の変化にかかわり健康課題が生じることがあることを理解できるようにする、その際、自分の行動への責任感や異性を理解したり尊重したりする態度が必要であること、また、受精、妊娠、出産とそれに伴う健康課題、さらに、家族計画の意義や人工妊娠中絶の心身への影響などについても取り扱うことといたしております。

 また、文部科学省におきましては、妊娠、出産等を含む児童生徒の健康問題を総合的に解説した教材の作成、配付等を実施してきたところでございまして、今後、指導の充実が図られるように努めてまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 例えば、先ほど申し上げた鮫島先生なんかは、非常に、性の問題はもちろんですけれども、妊娠だとか出産、子育ての部分にも通じていらっしゃる方でございまして、もちろん、先生本人だけじゃなくて、助産師さんだとか看護師さんだとか保健師さんだとか、いろいろと現場に携わっていらっしゃる方というのがたくさんいらっしゃると思います。ぜひ、こういった外部人材の活用等についても、赤裸々に語るというよりは、やはり、どれだけ重大なことに自分たちがかかわろうとしているのかということをぜひ認識してもらうような機会を持っていただきたいなというふうに思っております。

 またちょっと話題をかえますが、養子縁組の話とは離れますけれども、離婚後の、いわゆるシングルマザーの方のことでお伺いをさせていただきたいと思うんですが、私、先日会った方から、離婚後で、今、高校生のお子さんを育てていらっしゃる女性であられましたけれども、もちろん、サービス業での御勤務なので、土日だとか夜間も勤務をされていらっしゃる、こんなに大変な思いをするぐらいだったら養育費をもらっておけばよかった、こういうことをぽろっとお話をされたことがありました。

 例えば、ドイツ、フランス、イギリス、韓国などでは、裁判だとか、要するに離婚の手続を進める中で、子供のことをきちんと手続的にやっておく、これが求められているということでございますけれども、日本でも、いろいろと今、法改正などを伴って、ここら辺のところを少しずつ整備していただいているところだとは思いますけれども、とにかく、自助、共助、公助、この順番からいくと、やはり、自助の部分あるいは自助に限りなく近い部分をきちんとまず押さえておくということが、公助を考える上でも一番の基本になってくるだろうなというふうに思っております。

 まず、もとの配偶者が養育費を適切に支払うということを考えた上での、その法的な手続、これの現状について教えていただきたいと思います。

筒井政府参考人 お答え申し上げます。

 父母が離婚した場合に養育費の取決めをしておくということは、養育費の履行確保の観点から大変重要なことだと思います。

 法的な手続といたしましては、当事者間で養育費に関する取決めをしていただいて、それについて公正証書で強制執行に服する旨の陳述をしていただくと、それに基づいて直ちに、もし履行がされなかった場合に強制執行によって取立てをすることができますし、あるいは、取決めがされていなかった場合でありましても、養育費の支払いを求める訴訟あるいは審判の手続において判決あるいは審判が出ますと、それに基づいて強制執行の手続をとって、強制的な取立てを行うということは可能でございます。とはいえ、やはり、まずは当事者間で取決めをしっかりしていただくということが重要かと思います。

 そういった意味では、法務省では、養育費の取決めが適切に行われるように、平成二十八年十月から、養育費等に関する合意書のひな形及び記入例などを記載したパンフレットを作成し、全国の市町村で配付を行うなどの周知活動に取り組んでおります。

 また、法務省では、離婚届書の様式改正を行いまして、届け書に養育費の分担に関する取決めの有無をチェックする欄を加え、平成二十四年四月からその使用を開始しているところでございます。

 こういった点につきまして、今後とも、関係省庁と連携して、養育費の取決めを推進する施策を進めていきたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 法律だとか、手続だとか、弁護士だとか、書類とか、いろいろこういうのが出てくると、もうそれを聞いただけで嫌だという方もいらっしゃるんじゃないかなと思っておりますけれども、もうちょっとこう、ほんわかとした支援という意味で、どのような支援体制があるのか、お答えいただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 離婚した一人親家庭の生活の安定と子供の健やかな成長のために、養育費の確保は非常に重要であると考えております。

 厚生労働省におきましても、先ほど法務省からの御答弁もございましたけれども、私ども厚生労働省におきましても、養育費の取決めや支払いに関する法的手続の相談を含めまして、養育費確保の支援を行う施策を行っているところでございます。

 具体的には、自治体において弁護士による養育費相談の実施を支援をするといったことのほか、当事者からの相談に加えまして、実際に相談に対応する人材養成のための研修、こういったことにも応じていただくような養育費相談支援センター事業といった事業についても実施をしているところでございます。

 また、今年度からは、離婚協議開始前の父母に対しまして、養育費の取決めの重要性などについて講義を行うモデル事業についても実施をすることといたしております。

 厚生労働省といたしましては、養育費確保の支援に引き続き取り組みますとともに、今国会で成立をいたしました民事執行法の改正法に基づく財産開示手続の見直しなどの新たな制度の活用を含めまして、法務省とも十分連携を図りながら、引き続き支援の取組を進めていきたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 ぜひ、敷居をなるべく低くできるような支援をお願いできればと思います。

 あっせん機関ですね、先ほどの特別養子縁組の方に戻らせていただきますけれども、熊谷の産院さんの例でも、非常にデリケートな問題だけに、余り近くの方、関係者に会いたくないということで、かなり広い動きが必要になってくる、それが一つと、もう一つは、養親ですよね、育ての親の候補者になる人がやはりどうしても少ない。ふるいにかけていくとどうしても少なくなってしまうということで、いろいろな意味でのネットワークづくりというものが必要ではないか、あっせん機関同士のですね、こういったお声がありますけれども、これについていかがお考えでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、このあっせんにおきまして、あっせん機関同士のネットワークづくり、非常に重要であるというふうに考えております。

 養子縁組あっせん法でございますけれども、この法律の第四条におきまして、民間あっせん機関同士において、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならないというふうに規定をしてございます。

 そのため、養子縁組あっせん責任者を置いていただいているわけですけれども、この責任者に義務づけている研修を実施するに当たりまして、民間のあっせん機関同士で好事例などに関する情報交換の場を設けていこうというふうに予定をしてございます。

 こうした取組を通じまして、民間あっせん機関が業務の質を高めるために必要なネットワークが形成をされるようにしていきたいと考えているところでございます。

 また一方で、質の高い支援を確保するためには、民間あっせん機関間の連携に加えまして、児童相談所との連携といったことも重要だなというふうに考えております。民間あっせん機関同士の連携に加えまして、児童相談所との連携についてもより一層図られるように、民間あっせん機関への助成事業、この中でモデル事業なども実施をしますので、こういった助成事業を活用しながら取組をしっかりと進めていきたいと考えております。

森田委員 ありがとうございました。

 それから、さらに、育ての親、養親の方同士のネットワークづくり、交流の機会というのも必要になってくるかな。ただでさえ子育ての期間というのは、実の親であっても非常に困難が伴うことでございまして、こういった育ての親だからこその悩み、こういうものを共有する場というのもつくっていく必要があるのではないかなと思いますが、この交流の促進についてお考えをお聞かせいただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 養親子に対しましては、養子縁組成立後につきましても、民間あっせん機関が必要な支援を行うよう努めるべき旨を養子縁組あっせん法、それからこの法律に基づく指針におきまして明確化をしているところでございます。

 その上で、養子の育児に当たりましては、先ほど委員が御指摘いただきましたように、養親がみずからが養親であることなどについていつ養子に告知すべきか、いわゆる真実告知でございますけれども、このような特有の悩みが生じ得るということが指摘をされているわけでございます。

 これに対応するためには、民間あっせん機関で養子縁組成立後の養親子に対する必要な助言を行うという中で、御指摘いただきましたように、養親同士の悩みがわかる、養親同士の交流の場を提供するという取組はまさに有効だろうというふうに考えているところでございます。

 このため、厚生労働省におきまして実施をしております養子縁組民間あっせん機関助成事業の中で、養親同士の交流の場の提供を含めまして、民間あっせん機関による支援体制の構築をモデル的に支援をしていくということとしております。

 今後、好事例を収集いたしまして、横展開を進めていければというふうに考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 最後、二点ほど、話題をかえて質問させていただきます。

 子供食堂がよく話題として取り上げられますけれども、私も、熊谷で運営をされていらっしゃって、なないろ食堂ということをやっていらっしゃる方がいるんですけれども、月二回ほど今やっていらっしゃって、一回八千円ぐらいの会場費をかけて、いろいろ、調理だとかボランティアを、集いながらやっていらっしゃる。こういった地域の民間団体をどのように支えていくお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 子供の貧困対策におきまして、NPOなどの民間団体が行う子供食堂や学習支援のような、子供たち一人一人に寄り添ったきめ細やかな支援活動が発展し、地域に根づいていくことは、非常に重要であると認識してございます。

 子供食堂などに取り組む民間団体が、地域の実情を踏まえ、関係者とより一層連携して支援を充実させることができるよう、企業や個人の寄附金から成る子供の未来応援基金による草の根で活動しているNPOなどに対する支援、子供食堂の広域的なネットワークを有する団体にも参画いただいた協議会などを活用した、食材の供給や場所の確保などの支援を必要とする団体と支援を希望する企業とのマッチング、地域子供の未来応援交付金による地域ネットワークの形成に向けた自治体の取組支援、こうしたものに取り組んでまいります。

森田委員 ありがとうございました。

 最後に大臣にお尋ねをさせていただきたいと思いますが、さっきの貧困もそうですし、それから養子縁組のそもそもの、例えば若年層の妊娠の問題等もありますけれども、やはり、なかなか自分で相談したり自分で動こうと思ったりする動きをとりづらい方がいらっしゃる。そういうときに、やはり、地域のいろいろな関係者がネットワークを密にしながらこういう方に向き合って、いろいろな情報を共有しながら必要な手を差し伸べていくということが必要になってくるのではないかなというふうに思いますけれども、ぜひ、大臣として、このあたりの貧困の支援ということについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 子供の貧困の実態は見えにくく捉えづらいと言われておりまして、委員御指摘のとおり、支援が必要な子供や家庭に確実に支援を届けるためには、自治体、企業、NPOなどの団体が連携して子供たちを支えるネットワークを構築し、一人一人に寄り添ったきめ細かな支援を行うことが必要です。

 私自身も、子供食堂や学習支援の現場を視察し、そこにいる子供たちの様子に実際触れてみて、捉えにくく見えづらいと言われる実態を適切に把握した上で自治体、企業、NPOなどの関係者が一緒になって取り組むことの重要性を痛感いたしました。沖縄でもいろいろなところを回ってまいりましたし、東京における子供食堂や学習支援の取組の現場も見てまいりました。

 やはり、ここで一番キーポイントになるのは基礎自治体の取組だと思います。いろいろな情報を一番たくさん持っているのが自治体であります。所得の状況でありますとか、福祉的な支援の状況でありますとか、あるいは学校における教員の皆さん方の、いわば家庭の状況の把握ですとか、それから、一人一人の子供ということについては、やはり保育士さんとかそういう方々がいろいろな情報を持っておいでになる。そういうところを、情報共有できるところは共有をして、必要な対策あるいはメニューを行っていくということができるようにするためには、やはり、自治体が中心になってちゃんとしたネットワークをつくっていくということが大事だというふうに考えております。

 大綱見直しに向けた有識者会議におきましても、ネットワークづくりが重要であるという御指摘もいただいておりまして、こうした御議論も踏まえつつ、今後も歩みをとめることなく施策を充実させていきたいと考えております。

森田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

牧原委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸と申します。

 きょうは、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 宮腰大臣におかれましては、連日の御回答等も含めて、対応も含めて、本当に敬意を表しながら、きょうは、いわゆる企業主導型の保育事業と子供たちの貧困のことについてのテーマでありますが、先ほど森田委員からは子供たちのことについてお話がありましたので、私からは、企業主導型保育事業について、そこを中心にちょっとお伺いしたいと思っております。

 この保育事業の件については、委員長の御差配もあって、児童育成協会に、この委員会としても視察に行かせていただいて、私も参加させていただいたわけでありますが、その後、また質疑の機会をいただいたりして、それが四月の頭に私も質問させていただいたわけでありますけれども、この件の続きも含めてお伺いしたいと思っておるんです。

 まず、もう六月に入っているわけでありますけれども、国会での指摘もそうですけれども、いわゆる企業主導型保育事業の円滑な実施に向けた検討委員会等でも、三月の時点でさまざまな課題を指摘されている。四月の段階で、一応、政府は四月末には回答を、中間報告というのをしているようでありますが、ただ、その内容は、整理しているとか、今策定中であるとか、途中経過のみの報告になっているという状況であります。

 こうした中で、いわゆる水増し請求の補助金適正化法違反で逮捕される案件もあったり、あるいは、会計検査院の方から、充足率のことも含めてさまざまな指摘もあります。

 先ほど立憲の岡本委員からお話もありましたが、いわゆる監査結果を待つべきだというお話もあるわけでありますが、今、一応、政府の方針としては、昨年度中に改めて公募をかけるという方針だったものを、少なくともことしの夏までに、公募をちょっと後にずらしまして、そこで公募をかけるんだというお話をされましたが、これはさまざまな課題をやはり公募の前に整理する必要があると私は思います。

 これは、夏までに全部この状況というのは改善するという理解、改善させるという方針である、公募までにはしっかりやるということを、大臣からぜひちょっとお答えいただきたいんですが、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 検討委員会報告等において明らかとなった課題を真摯に受けとめ、実施体制を強化することが急務であると認識しております。

 検討委員会報告では、国は、審査や指導監査、情報公開基準等の基本ルールを設定し、また、必要な場合には直接、指導監査を行う、実施機関は、国の指示のもとで実務を担当することとされております。

 これに沿って、現在、国と実施機関との役割分担を明確にしつつ、実施機関に求められる役割とその要件、またそれに必要な体制のあり方について整理をしているところであります。

 このような方針に基づき、一定の周知、準備期間も考慮し、十分な実施体制を整えた実施機関を可能な限り速やかに、公募により適切に選定する予定です。

 検討委員会報告の提言の中には、新たな実施機関が選定された後に内閣府と実施機関が連携して取り組む事項もありますが、まずは、実施体制の再構築に向け、実施機関の選定に向けた作業を速やかに進めてまいりたいと考えております。

山岡委員 ちょっと繰り返しの質問で恐縮なんですけれども、夏までに公募をするという方針になっているわけでありますから、そこの要件として必要な部分を今整理していると。まあ、整理されていなかったことも、もう既に何回か、何年もやっている中で非常に問題がある状況でありますが、この状況は指摘を踏まえて夏までに改善するということでよろしいんでしょうか。公募までに改善するということでよろしいんでしょうか。

宮腰国務大臣 事業の実施のあり方について、いわば公募の前までには、実施要綱を定めるとか、そういうことの中身をしっかり詰めていく必要があるということでありまして、検討委員会の報告に沿った形で、どういうあり方にすればいいのかということで具体的な詰めを今行っている最中でありまして、できる限り早期に進めていきたいというふうに考えております。

山岡委員 公募をするに当たっては、今お話がありましたけれども、当然、要件を定めて詰めなければ、どういう内容や中身で、それをどういう事務経費で幾らでやりますよというのは提示できないわけであって、しかも、いろいろ指摘されているのが詰めなきゃいけないというのはもう当然のことで、お答えのとおりであろうと思うんですが、その公募を夏までに、少なくとも、昨年度からことしの夏にするというふうになったわけですから、理屈の上でいえば、夏までにそれを改善する、それをきちんと示せるようにするということでよろしいということでしょうか。

 お答え願います。

宮腰国務大臣 しっかりとした姿を示した上で公募に入るということであります。

山岡委員 しっかりとした体制を示した上で公募に入るということでありますが、政府に、済みません、質問通告していませんが聞きますが、これは夏までにやるという方針は変わらない、そして、夏というのは、行政上、例えば六月、現在も夏なわけでありますね、言うなれば。七月、八月を夏と思う人もいる。九月に入っても夏かもしれない、十月は違うかもしれない。今、これはどういう、夏までにというのはどれまでの期間であって、そして、ここにきちんと公募するという方針は変わっていないということでよろしいでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 改善に向けての報告書の中でも、今夏、改めて実施機関を募集するというふうになってございまして、まさに、先ほど大臣御答弁させていただきましたとおり、それまでに、実施機関に求めるべき姿、これをしっかりと整理、確定した上で募集をかけてまいりたいというふうに考えてございます。(山岡委員「夏の定義」と呼ぶ)夏までに、この夏に募集をかけてまいりたいと考えてございます。(山岡委員「この夏がいつかという話をしているんですよ」と呼ぶ)この夏、今六月でございますけれども、そういう意味では、七月、八月にはしっかりと募集をかけてまいりたいと思います。

山岡委員 七月、八月にはという話もあって、今、もっとはっきりすべきだという声も委員の中から上がっておりますけれども、今の検討状況で、今六月で、そしてお答えもまだ十分に示されていない中で、例えば八月なら八月で、本当にこれは間に合うのかということが極めて心配になる。

 それは何で心配になるかといえば、さまざまな問題があっても、制度としては既に走っている。その中に、この保育所に入所されている方もおられる、子供たちもいる。その安定性の中でどういう状況になっていくのかということが、今、夏といっても本当にそこになるのかという、これは非常に不安に思えるような状況であるということを心配するわけであります。

 そして、この後、質問の中身、時間の許す限り入っていきたいんですが、そもそも、大きな課題として、多くの委員の方からも指摘がありますけれども、この事務委託の中身が規模に見合ったところに委託されているのか、あるいは、それを本当に引き受けられる団体があるのか。

 児童育成協会は、いろいろな批判もあるでしょうし、ただ、私たちも視察に行った中で、いろいろな言い分があることもわかりました。これは、夏の公募で入札するところがないという事態が仮に発生したとしたときに、既に走っているわけです、制度は。この場合は、これも質問通告していませんが、政府としてどう対応するとお考えなんでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 報告書に基づきまして、しっかりと今後求めるべき実施機関のあり方を整理した上で、我々、この事業を展開していく上では実施機関が必要でございますので、我々が求める要件に対してしっかりと手をいただけるように、要件を具体化した中で公募をかけてまいりたいと思っております。

山岡委員 要件を具体化して公募をして、これが不調に終わったらどうかという質問をさせていただいたわけでありますが、非常に、児童育成協会の話によっても、当初の受けとめと大分違うぐらいの業務のボリュームがあったようでありまして、さまざま、きょうも指摘がありましたが、いろいろなことに対応して役割を明確化して、そして、監査等も膨らましていくと、更に業務が拡大していくということがあるわけであります。

 そして、この制度の性質上、引き受けてもらわなきゃ困るという中で、これはもし引き受けるところがなかったら、この児童育成協会がまた継続するということになるんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 今現在、児童育成協会につきましては暫定的な機関ということで、今年度も暫定的に保育事業の業務を担っていただいておりますけれども、今般、抜本的に制度を改善していく中で、改めて公募をかけさせていただくということでございまして、恐縮でございますが、繰り返しになりますけれども、我々としましては、手が挙がらないというような絵に描いた餅に終わることなく、しっかりと実行できる、まさに、これまでの検証を踏まえて実行できる、なおかつ改善していけるというような体制を整理しながら公募に臨んでいきたいというふうに考えてございます。

山岡委員 これは別の日に立憲の初鹿委員が指摘したことでありましたが、総理の桜を見る会というのがあって、事実上、結局一者入札がずっと続き、その後事務費が膨らんでいって、果たして、じゃ、その部分は適正だったのかどうか、最初からちゃんと考えられていたのかどうか。

 このお話も、やはりきちんとした、業務量に対してどの程度の委託をしなければならないのか、何が必要なのかというのが事前に整理されていない、しかも、既に走り出してしまっている。これは、大きな問題をはらんだ、そして、このことについては、国が本気で真剣に、責任を持って対応しなきゃいけない、団体に全て任せるという体制そのものを私は抜本的に見直すべきだという思いも持っています。

 そのことを指摘しながら具体的な質問にも入らせていただきたいと思いますが、前の質問のときに、政府からお答えいただいた話でしょうか、宮腰大臣からお答えいただいた話ですね、国が直接の指導監督をする体制をつくるということをおっしゃいました。これは具体的に、夏も近づいていますけれども、どういうことをもって直接的な指導をするということになるんでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 例えば、この四月に過去二カ年の助成決定分についての検証結果を取りまとめたところでございますが、現在、これに基づきまして、事業譲渡等の事例につきまして、補助金の返還につながるような事案の有無に関し児童育成協会に対してさらなる調査を指示するとともに、既に内閣府としましても、子ども・子育て本部の中で体制を整え、必要な監査を徹底的に行っているところでございます。

 引き続き、こうした体制の中で監査を行ってまいることとしてございますし、また、今般の改善の中で、実施機関のたび重なる指摘によっても改善が見られない場合等については、必要に応じて国が直接的に指導監査する体制とすべしというような報告もいただいてございます。さらに、子ども・子育て本部の中での体制の充実についても検討を加えているところでございます。

山岡委員 今、内部で体制を整えたというお話もございましたが、私、伺う限りにおいては、全体の中の百人ぐらい、皆様の部署におられるでしょうか。いわゆる子ども・子育ての幼保の無償化の話の方に相当部分の方が人員的には割かれていて、いわゆる企業主導型保育事業については本当に相当限られた人数でやっていると。こういう内閣府の体制も、それを本気でやるんであれば今の状況で十分なのか、そして、直接の指導を行っていくということをこれから更に検討していくという話がありましたけれども、これは本気でやるなら組織もしっかりと考えていただきたいという思いであります。

 ちょっと時間も限られてきていますので、実施体制の話で大臣に伺いますけれども、これは前々からもお話がありましたけれども、いわゆる二千六百もの企業、実施主体に対して、更に今回千三百ぐらいプラスして、四千近いところを今児童育成協会が見ている。その中にあって、この夏までに公募がされるということになれば、そこで児童育成協会が継続する可能性もあるし、ほかのところが入札する可能性もあるということになるわけであります。

 実施の事務委託がどこになるかどうかは別にして、ただ、少なくとも今、我々も現場に行って視察をさせていただきましたが、そこで働いている方々、多くは派遣の方でありましたけれども、しかし、この業務を継続的にやってきてスキルを培ってきた方がおられるわけであります。公募するところによって、団体がかわったからそうした人たちは全員一回解雇をして、そして新たに募集し直しだということが、今現実に走っている状況の中においてそれは現実的なのかどうかということを非常に心配するわけであります。

 あわせて、雇用の安定化という意味でもそうですし、スキルの継続化という意味もそうなんですけれども、この状況について、やはり公募の状況いかんにかかわらず、今この業務にかかわっている方々に対しては、さまざまな観点から十分な配慮をしていくべきだということを思いますけれども、大臣としていかがでしょうか。

宮腰国務大臣 委員御指摘のとおり、実施機関がかわった場合の児童育成協会の職員の雇用の問題は、これまでの経験の活用の面でも大変重要であると認識しております。

 一方で、新しい実施機関がどのような職員で構成されるかについて、あらかじめ公募の条件にするなどの配慮を国として行うことは難しいものと考えております。新たな実施機関の公募に応じようとする団体において、専門性を有する者の活用について工夫がなされることもあるのではないかというふうにも考えております。

 内閣府では、現在、検討委員会報告に沿って、国と実施機関との役割分担を明確にしつつ、実施機関に求められる役割とその要件について整理をしているところであります。その後、一定の周知、準備期間も考慮し、実施機関を可能な限り速やかに、公募により適切に選定する予定であります。

 実施体制の再構築に向け、実施機関の選定に向けた作業を着実に進めてまいりたいと考えております。

山岡委員 公募の要件に入れるのが難しいのはわかります。そして、今、公募を適切にやっていきたいというお話でありましたけれども、別に児童育成協会が継続するかどうかの話をしているわけじゃないんですけれども、スキルの継続と雇用の安定について配慮が必要ではないかというお話を私は伺っているんですが、大臣、いかがでしょうか。もう一度伺います。

宮腰国務大臣 今申し上げたとおりでありますが、新しい実施機関、これは決して児童育成協会を排除するということではありませんが、それも含めて、新しい実施機関がどのような職員で構成されるかについて、あらかじめ公募の条件にするなどの配慮を国として行うことは難しいというふうに考えております。

山岡委員 公募の条件に入れられないというのは本当に、繰り返し、わかっていることなんですけれども、ただ、本当にこれだけの規模が大きい話を、本来、私は、内閣府が責任を持って、内閣府といいますか、政府が責任を持って体制を組んでやるべきだったと思っています。

 ところが、この公募による事務委託と、そこにかかわる方がいらっしゃって、そして膨大な業務を扱うという中で、既に走り出しているという中で、現場の子供たちもそうですし、そこで事務の継続という観点もそうですし、そうしたさまざまな状況をどう勘案してうまくやっていかなきゃいけないのかという問題があるんだということを思うわけであります。そして、その公募団体は、当然、公募ですから、かわるということは、十分そのことを想定しなければならない。

 私は、今の状況というのは、やはり最初の組立てに大きな問題があったということを思うときに、やはり大きな反省とともに、ただ、今走っているこの制度について、できる限り十分な措置をしていただきたい。その思いもお伝えさせていただきまして、質問が幾つかあったんですけれども、きょうの質問はここで終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

牧原委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 ありがとうございます。国民民主党、小宮山泰子でございます。

 きょうは、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず最初ですけれども、超党派、子どもの貧困対策推進議員連盟で議論を重ねた後、本日、参議院におきまして法案が成立をいたしました。二〇一三年の六月にこの法案が成立のときに私自身もかかわらせていただきましたので、大変ありがたく、また、当事者の方々の現実に即して法改正がされたということに誇りも持ちますし、牧原委員長を始め理事、委員の皆様に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、質疑の方に入らせていただきたいと思います。

 まず、子供の虐待に関する情報共有について質問させていただきます。

 子供の貧困対策という中で考える中で、貧困と同時に表面化、事件化する場合もある児童虐待に関して伺います。

 近年、児童虐待の通報数は増加の一途をたどっております。埼玉県内のデータを見ますと、平成二十四年、四千八百件弱あったものが、平成二十九年には一万三千件を超えております。埼玉県では、児童相談所における児童福祉司の数を、平成二十四年、百三十二人であったところを、本年、令和元年には百九十七人まで六十五人増員をしております。

 児童福祉司の絶対数の増員をしているにもかかわらず、児童福祉司一人当たりの相談件数は、平成二十四年に二十九・四件から、平成二十九年には七十・五件へと大幅に増加をしております。児童福祉司の増員以上に、表面化する虐待事例数の増加が上回っていることが、これによってわかるかと思います。

 通報や相談などを通じて児童相談所で把握また対応を行っている児童、家庭について、都道府県を越えた転居などの際、転居先の児童相談所など関係機関への引継ぎが十分に行われないことなどが要因となって重大な事件が発生をし、またそれを防ぐことができなかったという事例が数多く最近明らかになっております。

 埼玉県では、本年度、児童虐待情報などの共有のため、児童相談所と警察署間の情報共有システムの運用を開始することとしております。埼玉県の本年度予算案では二千八百四十万円ほどをつけておりますが、同情報共有システムでは、児童相談所により児童虐待情報を随時入力、更新するとともに、警察署においても、対応予定など入力を反映することで、関係機関でのリアルタイムでの有効な情報共有を目指すものと伺っております。

 そこで、転居などの際も含めて、児童虐待への対応が迅速かつ適切にとり得るよう、全国で共通に使えるデータベースなどを国において構築する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 児童虐待の対応に当たりまして、関係機関が情報を共有して、連携して必要な支援を行うということが重要でございます。

 特に、支援の対象としている家庭が転居をする際、委員御指摘のとおり、自治体間のケースの引継ぎが非常に重要でございまして、これを効率的に行うために、ICTを活用したシステムを使用するということは非常に有効であるというふうに考えております。

 このため、今年度予算におきまして、まずは、同一の都道府県内での児童相談所とその県内の市町村の情報の集約、共有を可能とするシステム構築を支援するための必要な費用を計上しているところでございます。

 このシステムで扱う情報の項目も含めまして、国が標準的な仕様を示す予定でございます。これによりまして、今後、都道府県等で構築をされるシステムの標準化を図っていきたいというふうに考えております。

 さらに、委員御指摘いただきました、全国、都道府県間の情報共有につきましても非常に重要な課題であるというふうに考えておりまして、この三月十九日に関係閣僚会議で決定をいたしました児童虐待防止対策の抜本的強化の中でも、「全国の都道府県間の情報共有システム構築に向けた検討を進める。」というふうにされてございます。

 このため、今年度は、都道府県間にこの情報共有システムを拡大をしていった場合の課題の整理といったことをやっていきたいと思っておりますので、引き続き、より効率的に情報共有を行うことができるシステムの構築に向けて努めていきたいと考えております。

小宮山委員 これまでは紙でのやりとりが多かったということも、丁寧にやる場合は対面というふうに聞いておりますが、県内だけでなく、やはり、県をまたぐ、またブロックをまたぐみたいなときも対応できるように、早急にこれは予算づけもきちんと毎年つけていただいて、そして早くシステムを構築をしていただきたいと思いますし、また、そういった支援の方を、都道府県、地域においてもしていただけることを希望いたします。

 さて、保育士の処遇改善について伺います。

 保育士の給料は、市区町村が運営する公営の保育園と民間事業者の運営する保育園や保育室などの間、官民の処遇格差があるとともに、公営の保育園の中における正規採用の保育士の処遇と有期採用の臨時保育士の処遇の格差も大きくなっております。

 保育士の、保育について学び、保育資格を取得した後、一旦は保育サービスの現場に働いたものの、給与水準などから勤務継続を諦めて潜在保育士となっているという場合も多いと聞いております。子供が好きで、保育の仕事自体の魅力を感じ資格を保有していながら、現場で働くことを諦めなければならない埋もれた人材が数多くいらっしゃることはもったいないと思います。

 保育士の処遇改善が必要だと議論されますけれども、やはり、保育士の処遇を改善する、月に何円給料が上がるといった議論が行われることも多く、実際の施策や予算措置としてもそうした趣旨になったものではありますけれども、保育士の雇用形態の違いによる待遇差を解消する効果はなかなか難しいところかと思っておりますが、本来であれば、保育サービスは同一価値労働同一賃金の実現というものが見込まれる代表的な職場だと感じております。ぜひ、公営の臨時保育士、民間保育サービスで働く保育士同士も、賃金水準については同程度となることが必要であり、そのための議論がされ、実現を目指さなければならないと考えております。

 そこで、保育士として働く者の賃金が、採用形態、経験年数や勤務時間、日数などに対して大きな格差が生じないような基準を明示することなどにより、同一価値労働同一賃金を実現していく必要があると考えておりますが、大臣の御所見をお聞かせください。

宮腰国務大臣 保育士等の処遇改善は重要な課題であると認識しておりまして、二〇一三年度以降、月額約三万八千円に加え、二〇一七年度からは、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施しております。こうした処遇改善が反映された結果、保育士の賃金について、試算によると、二〇一三年からの五年間で年収ベースで約四十八万円増加しております。さらに、今年度からは、新しい経済政策パッケージに基づき月額三千円相当の処遇改善も行っています。

 保育所における保育士の月額給与につきましては、二〇一七年度の経営実態調査の結果を見ますと、常勤保育士と非常勤保育士の間で一定の差が見られるところでありますが、この差の要因については、職務における責任の度合いや経験年数の差といったものが考えられます。

 公定価格における処遇改善加算におきましては、非常勤職員も対象としているところでありまして、非常勤職員も含めた処遇改善に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 処遇が安定することが、ある意味保育の質の底上げにもなることでもありますので、ぜひこれからも研究そして対応していただけるように御努力いただければと思います。

 さて、性犯罪、性暴力をなくすための刑法改正について、質疑に入らせていただきたいと思います。

 きのう私、フラワーデモに行ってまいりました。この春あたりの司法の判断、性犯罪、性暴力に対して大変厳しい、被害者にとっては厳しい判断が続いております。

 百十年ぶりの大改正が二年前にあって、そして厳罰化を求めるところではありましたけれども、残念ながら明治時代の要件というものが残ってしまった、それがために、父親が娘を十二歳から暴行しても無罪になるという判決が出る、本当に理不尽なことが起きております。

 本日皆様方の方にお配りさせていただきました私の資料を、ぜひごらんいただきたいと思います。

 こちらの方、諸外国での性犯罪、性暴力に対しての対応について、また障害児の取扱いについての一覧を提示させていただいております。ぜひこれをごらんいただきながら質疑の方を聞いていただければと思います。

 平成二十九年六月の性犯罪、性暴力に対する厳罰を行う刑法の一部改正が成立してから二年経過いたしました。このときに衆参両院で刑法改正審議の際に付された附帯決議、そのときの対応について伺ってまいりたいと思います。

 参議院附帯決議八では、児童が被害者である性犯罪については、被害が特に深刻化しやすいことを踏まえ、被害児童に配慮した取組を一層推進するというようなことが書いてあります。被害児童への配慮した取組が具体的にどのように行われているのか、取組内容並びに関係予算について、できれば御説明ください。簡潔にお願いします。

保坂政府参考人 児童が被害者になりました場合の取組といたしましては、附帯決議にも例示されていますが、聴取方法についてでございます。

 検察におきましては、児童が被害者である事件につきましては、平成二十七年の十月に最高検から発出された通知、「警察及び児童相談所との更なる連携強化について」という通知等に基づきまして、それら機関との連携強化を進めてございます。

 その連携強化といたしまして、児童の負担の軽減と供述の信用性の確保の観点から、それぞれ警察及び児童相談所の担当者と検察官とが児童の聴取方法などについて協議を行った上で、その代表者が聴取をする、そういった代表者聴取の取組を進めてございます。

 数字を御紹介いたしますと、児童が性犯罪の被害者となった事案も含めまして、これまでのところ千八百件以上の代表者聴取が実施されていると承知をしております。

 関係予算についてもお尋ねでございますが、法務省の令和元年度の予算案におきましては、その代表者聴取に関する経費といたしまして、聴取方法を習得させるための研修経費、そして、聴取している様子をモニタリングして必要な聴取事項をリアルタイムで伝達するための設備の整備経費などといたしまして三千百万円を計上しておるところでございます。

田中政府参考人 警察庁におきましても、児童が被害者等である事案を認知した際には、児童の負担軽減や供述の信用性の確保のため、警察、検察及び児童相談所が連携し、児童の事情聴取に先立って協議を行い、関係機関の代表者が聴取を行う取組を推進しているところであります。

 また、被害児童からの聴取の方法につきましても、警察では、警察学校等において、被害児童からの聴取に当たる警察官等に対して、児童の負担軽減に配意しつつ、信用の高い供述を確保するための聴取方法について指導、教養を実施しているところであります。

小宮山委員 児童が被害者となる性犯罪事件では、司法面接を必ず行い、ビデオ証言を採用するなどの対応を行うべきとの意見も寄せられております。なお一層、具体的、積極的な取組をとっていただくように要請をいたします。

 衆議院附帯決議一で、法が成立するに至る経緯、本法の規定内容等について、関係機関及び裁判所の職員に対して周知をすることとされております。この点に関しまして、どのように周知をされているのか、よろしくお願いいたします。

保坂政府参考人 御指摘の改正法の趣旨、内容等につきましては、法務省といたしまして、その適切な運用を図るという観点から、平成二十九年六月に成立した後の六月二十六日付で、全国の検察庁宛てに「「刑法の一部を改正する法律」の施行について」という刑事局長依命通達を発出いたしまして、改正の趣旨、概要、御指摘の附帯決議等もあわせて周知を行ったところでございます。

 また、いわゆる立案担当者が改正法の趣旨、内容を解説する論考を各種の文献に執筆しておりますほかにも、検察官向けに説明会を開催いたしました。それ以外にも、各種研修とか会議におきましても、繰り返し改正法の趣旨あるいは附帯決議について周知を行っているところでございます。

 検察当局におきましては、改正法の趣旨を踏まえて適切に運用を行っているものと承知しておりますし、引き続き、事案に応じまして、厳正かつ適切な対処を行っていくものと承知をしております。

 以上です。

安東最高裁判所長官代理者 裁判所職員への周知についてお答え申し上げます。

 最高裁判所としましても、平成二十九年の刑法改正法の趣旨等の周知は重要と考えているところでございまして、御指摘の附帯決議を踏まえまして、各裁判所の裁判官を含む関係職員に対し、改正法の公布日に改正法及び附帯決議の内容を周知するとともに、施行直後に、改正法の成立に至る経緯やその趣旨、改正法の内容等を詳細に説明した立法担当者による解説を提供してございます。

 また、その後も、改正法の趣旨についての裁判官の理解を深めるべく、刑事事件を担当する裁判官の協議会、あるいは司法研修所における研究会において、繰り返し改正法の運用の問題を取り上げて議論しているところでございます。

小宮山委員 被害者の氏名について伺いたいと思います。

 氏名がさらされることは、被害者にとって重大な恐怖心を呼び起こすことにもなりまして、また、被害者が児童である場合は影響ははかり知れません。被害者の氏名の秘匿に係る措置について、これは参議院の附帯でありますけれども、どのように実施しているのか、簡潔にお聞かせください。

保坂政府参考人 附帯決議にございます、起訴状における被害者の氏名について秘匿する措置についてでございますが、現行法の刑事訴訟法におきましても、被害者の氏名、実名を起訴状の公訴事実に必ず記載しなければならないというふうになっているわけではございませんで、審判の対象を特定するとともに、被告人に防御の範囲を示すという趣旨、これを害しない範囲で、現行法のもとでも、被害者保護のためにその氏名を秘匿するということは可能でありまして、現にそういう運用があるということも承知をしております。

 他方で、御指摘の措置につきましては、平成二十八年五月に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律の附則におきまして検討が求められてございます。そこで、平成二十九年三月から、最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会、警察庁の担当者で構成する刑事手続に関する協議会を立ち上げまして、幹事会を設けて意見交換を行ってございます。

 それから、先ほど御指摘のあった性犯罪関係の刑法の改正法の際にも、附帯決議におきまして、その検討について行うということを更に指摘を受けたわけでございます。その刑法一部改正法施行後にも、先ほど申し上げた刑事手続に関する協議会の幹事会を開催いたしまして、先ほど申し上げた措置について意見交換を行っているところでございまして、今後とも、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

小宮山委員 時間となっていますので最後にさせていただきますが、全県においてワンストップ支援センターができました。しかし、その内容においては、全ての相談に対応ができているとは限りません。その中で、LGBTや男性、セクシュアルマイノリティーの相談を行っていること、それがあるということは、内閣府の方から伺わせていただきましたが、それでは、実際には、男性及びセクシュアルマイノリティー並びに障害をお持ちの方々、性犯罪者に対応されている相談窓口の状況並びに実際の、男性やセクシュアルマイノリティー、障害者の方々、相談に対してはどのような対応をされているのか、お聞かせください。

橋本政府参考人 私ども厚生労働省の方におきまして、障害者虐待防止法を所管しておりますので、その関係についてお答え申し上げます。

 この法につきましては、障害児者の虐待の状況、その内訳として性的虐待というのがあるわけでございます。

 この法律におきましては、養護者、障害福祉施設従事者等、それから使用者という類型に分けて把握をしておりまして、平成二十九年度におきましては、養護者による性的虐待が五十八件、障害者福祉施設従事者等による性的虐待が六十六件、使用者による性的虐待が七件、合計百三十一件というふうに承知しております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 障害者のことを性犯罪に関して聞こうと思いましたら、きのう、誰が所管なのかわからないということで、大変皆さん方、知恵は絞っていただいたんですけれども、この点に関しましては、障害児の方々、ヒアリングも難しい、自分の意思というもの、そこがわかりづらい。また、子供の貧困対策の方も、その環境というものになります。特に、未成年だったり、家庭の中で、密室の中では被害が表に出づらいというのも現実でもございます。

 実父や父母は、生活の基盤であり、母親のパートナーでもあり、子供が告発することは難しい。性的被害者は、誰かに伝えないと表面化しません。そして、この点に関しましてしっかりと伝えられるためにも、障害児者であることに乗じた性犯罪のこの罪というものをつくるべきでもありますし、性暴力というのは、本人が望まないこと、これは暴力であるということを明確にするべきだと思います。この点に関しましては、刑法の改正が間違いなく必要だと考えております。

 ぜひ、今回この質問をしようとしたときに、大臣は担当でないということを再三言われました。本当にそうなんでしょうか。閣内においてしっかりと、子供や、そして家庭内や、障害を持っている方々、今声を上げられない方々、そして支配下にあって声を上げられない方、薬物やそして泥酔をさせられて上司にレイプをされる人たち、さまざまな案件があります。

 来年は東京オリンピック・パラリンピック、ことしもラグビーがあります。少し、観客で来られた外国の方が仲よくなって飲んで、泥酔をさせてレイプを受けた、でも日本ではこれが無罪になる、こんなようなことが起きてはいけないんだと思います。

 早期にこの刑法を改正することが大切だと思いますので、大臣、通告はしておりませんし、ヒアリングを受けた方たちはないですけれども、しっかり閣内で、この点は早期に進めるべきだということをぜひ提案をしていただきたいんですが、その点、最後、ぜひお聞かせいただければと思います。

牧原委員長 既に経過をしておりますので、大臣、簡潔にお願いします。

宮腰国務大臣 障害のある女性は、そもそも障害によるさまざまな支援が必要であることに加え、女性であることにより、更に複合的な困難な状況に置かれていることなどを踏まえ、昨年三月に閣議決定した第四次障害者基本計画には、各分野に共通する横断的視点の一つとして、障害のある女性の複合的な困難に配慮したきめ細かい支援を盛り込んだところであります。

 刑法の分野については、私ども、所管外でありますから、それに触れることはありませんが、こういう視点が重要であるということを申し上げて、答弁とさせていただきたいと思います。

小宮山委員 以上です。

牧原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 企業主導型保育事業について質問をいたします。

 平成二十九年度の企業主導型保育事業指導・監査実施要領に基づき立入調査を行った結果について出されております。その内容について確認しますが、立入調査対象の八百施設中、保育内容等に関する指摘事項があった施設が六百六施設、七五・八%に上っているということも当委員会でも随分議論になってきたところです。

 その中で件数の多かった上位五項目がどんな事項なのか、その件数と、全体、八百に占める割合について簡単に紹介してもらえますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 文書によるさまざまな指摘、六百六施設でございましたが、指摘の多かった事項といたしましては、保育計画等を適切に整備すること、二百七十六施設、全体の三四・五%、乳幼児の利用開始時に健康診断結果を確認すること、百六十一施設、二〇・一%、開所時間の全てにおいて必要な保育従事者数を配置すること、百五十八施設、一九・八%、乳幼児の健康診断を適切に実施すること、百三十四施設、一六・八%、嘱託医との契約を締結すること、百二十六施設、一五・八%などが挙げられてございます。

塩川委員 資料をお配りしました。ここにありますように、保育計画という基本的なものが整備されていないという問題もそうですし、三番目に、必要な保育従事者数が確保されていないという実態というのは、まさに保育の安全にかかわる問題でも極めて重大な問題であります。それ以外でも、例えば、十六番目に、午睡時のうつ伏せ寝への対応を適切に行うことですとか、二十四番の、定期的なブレスチェックを適切に行うこととか、そういう基本的なことが、命と安全にかかわる基本的なことが行われていないという施設が一定数存在しているという点が極めて重大だと指摘をせざるを得ません。

 お聞きしたいんですが、こういう問題点が改善されたということは、きちんと現場で確認をされておられるんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 立入調査において文書による指摘を受けた施設に対しましては、改善状況を改善報告書として提出していただくこととしてございます。また、改善報告の受領にとどまることなく、指摘事項が改善しているかどうかを確認する観点から、改善すべき指摘の多かった施設などにつきましては、必要に応じ、抜き打ち調査を実施してきておるところでございます。

塩川委員 抜き打ち調査というのは具体的にどんなことを行うのか、どういう施設を対象にしているのかを説明してもらえますか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 児童育成協会が実施する指導監査でございますけれども、原則として全ての施設を対象とした、年一回実施する立入調査のほかに、ゼロ歳児が多い施設や定期的に実施する立入調査後の改善状況を確認する必要がある場合に行う午睡時抜き打ち調査、運営等に問題が発生、又は発生のおそれがある施設に対して事前通告を行わずに実施する特別立入調査がございます。

 平成二十九年度におきましては、立入調査で指摘事項が多かった施設など五百五十四施設に対しまして午睡時抜き打ち調査を実施し、また、運営等に問題があるなどの通報を受けた八施設に対しまして特別立入調査を実施したところでございます。

塩川委員 午睡時抜き打ち調査の選定基準というのが、過去五年間に重大事故が発生とか、ゼロ、一歳児の利用児童数が多い、保育士比率が一〇〇%でない、協会又は自治体の指導監査において指摘がある、第三者評価において指摘がある、利用者等から苦情がある、こういう問題を抱えている施設というのに対して午睡時抜き打ち調査をやっているんですよね。その数というのが八百施設のうち五百五十四施設に上っているということで、これは非常に懸念される状況にあるということを示しているのではないですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げました午睡時抜き打ち調査、五百五十四施設に上っておるところでございまして、我々としましても、数とともに質、どういう項目が守られていないかというのをしっかりと把握して、改善につなげていくことが非常に重要だと思ってございます。

塩川委員 いや、それで実際に指摘事項が改善されたというチェックがされているのかということなんですよ。それはどうなんですか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、一定の改善報告書を提出していただいた上での抜き打ち調査ということになるわけでございますけれども、これらの抜き打ち調査の結果につきましては個別公表は行っていないところでございますけれども、例えば午睡時抜き打ち調査については、午睡時の職員の配置状況やブレスチェックなどの安全対策などを中心とした確認、特別立入調査については、通報等の内容に応じた確認を行い、問題があれば改善を求めているところでございます。

 ただ、これまでに実施された午睡時抜き打ち調査や特別立入調査につきましては、主に口頭による指摘が行われており、必ずしも文書による改善の報告を求めていなかったと承知してございます。指摘事項の是正が確実に行われたかどうかを確認する視点から、これまでの午睡時抜き打ち調査や特別立入調査のこうした運用についてもしっかりと見直しを検討してまいりたいと考えてございます。

塩川委員 ですから、見直しをしなければいけないような調査の実態だったということになるわけです。

 ですから、立入調査をやりました、問題点を指摘しました、それは改善報告という文書でもらって、それが、結果とすると、その一年後の、次の立入調査のときに是正されているかどうかという話では、現状が改善されたのかどうかわからないわけで、だからこそ、特別立入調査ですとか抜き打ち調査を、午睡時抜き打ち調査もやろうという話のはずなんだけれども、この五百施設以上にやっている午睡時抜き打ち調査でも、じゃ、改善していますねというチェックまできちっと行われていないということ自身が極めて重大だと言わざるを得ません。

 大臣にお尋ねをいたします。

 こういった企業主導型保育事業というのは、保育の質が軽視されている、そういう実態にあったのではありませんか。

宮腰国務大臣 ただいま政府参考人の方から答弁をさせていただきましたが、平成二十九年度において立入調査を行った施設のうち、保育計画の不備など、さまざまな指摘が約七割強の施設でありました。文書による指摘を受けた施設からは改善報告書を提出させ、既に全ての施設において改善報告がなされております。また、改善すべき指摘の多かった施設などについては、必要に応じ抜き打ち調査を実施をいたしております。

 一方で、指導監査については、開設後の指導監査等において、保育の質の視点が不足していること、自治体と実施機関の間の指導監査の連携等が不足していることなどの課題が指摘されておりまして、三月の検討委員会報告に沿いまして、財務面、労務面を強化し、さまざまな法人種別に対応した専門人材を確保する、地域ブロック別又は保育内容、財務、労務の業務別の体制を整備する、国が必要に応じ直接的に指導監査する体制とする、実施機関と都道府県の間で指導監査基準の整合性を確保したり、指導監査の合同実施や結果の情報共有を行うといった方向で、現在具体的な検討を進めているところであります。

 まず何よりも子供の安全第一の観点から、保育の質の確保、向上を重視し、指導監査のあり方をしっかりと見直してまいりたいと考えております。

塩川委員 保育の質の視点が不足している、そういう話がありました。

 というより、要は、受皿拡大を目指す、つまり、質を棚上げして量を追求したということが、こういった現場の深刻な実態の大もとにあるんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。

宮腰国務大臣 この企業主導型保育事業の目的というのは、緊急的な待機児童対策ということが一つ、それから、多様な働き方ということが求められているわけでありますけれども、その多様な働き方に対応した保育事業ができるということで、企業にとってもいろいろな人材の確保が容易になる、そういう考え方がベースにあるわけであります。

 その上で、委員御指摘のとおり、量の拡大に重きを置き過ぎて質の確保がおろそかになっていたのではないかという反省の上に立って、今、検討委員会の報告に沿った形で見直しを進めているわけであります。

 事は子供のことに関することでありますので、まずは安全第一ということをしっかりと念頭に置いて、この見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 多様な働き方の話もあったんですけれども、多様な働き方に対応する保育であればあるほどしっかりとした体制が必要なわけですよね、命の安全にかかわるような体制。それが、保育従事者が確保されていないなんということが、じゃ実際にどう是正しているのかというのもしっかりつかまないで、どうして質の確保ができるのか、そもそも多様な働き方に対応するような保育ができるのかということにつながってくるわけであります。

 量の拡大に重きを置き過ぎてという話がありました。そういった点でいえば、定員の話にもその点があらわれているということで、会計検査院に来ていただきましたが、会計検査院の企業主導型保育施設の整備における利用定員の設定等についてお聞きします。

 会計検査院は、助成金の交付を受けて整備された企業主導型保育施設の利用が低調となっていたり、開設が助成の申込時の計画よりも遅延して児童を受け入れられていなかったりなどしている事態を指摘をし、このような事態が生じているのは、事業主体が利用定員設定を適切に行うことの必要性についての理解が不十分であり、補助事業者である児童育成協会が利用定員の設定に係る審査の必要性の認識を欠いていることなどを指摘をしています。

 ですから、企業主導型保育施設の事業者の問題、また児童育成協会の問題点を指摘をしているんですが、それでは、内閣府の問題点について、会計検査院はどのように指摘をしているのか。

原田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 今回の事態に係る発生原因といたしましては、内閣府におきまして、補助事業である公益財団法人児童育成協会に対して、利用定員の具体的な設定方法等について事業主体に周知させておらず、また、助成の申込みに対する審査に当たり利用定員の妥当性等について審査等を行わせていないこと、同協会に対して、企業主導型保育施設の利用状況を適切に把握させておらず、利用が低調となっている場合に、事業主体が定員充足率の向上等に向けた取組を適切に行うよう指導等を行わせていないこと、同協会が助成の申込みに対する審査を行うに当たり、企業主導型保育施設の設備基準等との適合性等について十分な審査等を行えるような仕組みを整備していないことなどによるものと考えております。

塩川委員 大臣にお尋ねします。

 内閣府の問題点について会計検査院の指摘があったわけですけれども、こういった事態が生じた原因、要因というのは何だったんでしょうか。政府の、内閣府の対応として、なぜこんなことになったのか、その原因について御説明いただきたい。

宮腰国務大臣 内閣府が行いました調査結果によりますと、平成二十九年度一年間を通じて開所していた五百一施設の定員充足率は全体で七二・八%となっており、定員充足率が八〇%以上の施設が全体の四六・七%、定員充足率が五〇%未満の施設は全体の一七・八%となっておりました。

 これらの原因に関して、三月の検討委員会報告では、実施機関が行う事前の審査や開設後の指導監査等において保育の質の視点が不足しているのではないか、その結果、設置者の財務基盤が脆弱であったり、経営見通しが甘いままに開設された施設があり、入所児童の確保や保育士の確保が円滑に行われず、定員割れ、休止等につながったのではないかといった指摘がなされています。

 この検討委員会報告を踏まえまして、審査時に、従業員枠については利用者の意向調査等のデータを求め、地域枠については自治体から地域の保育需要等の客観情報を求める、利用が低調な施設については巡回指導、企業と施設とのマッチング支援など相談支援を充実させる、各施設の定員充足状況等を定期的に公表するといった方向で、現在、具体的な作業を進めているところであります。

 定員充足の改善に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

塩川委員 内閣府のやはり責任の問題として、実施機関が行う事前の審査、開設後の指導監査等において保育の質の視点が不足していた、それはその量的拡充に重きを置いていたということなんですが、何で内閣府はそうなったのかという話なんですよ。保育の質の視点が不足していた、それは量的拡充に重きを置いていた、何で量的拡充に重きを置くことによってこういった質の面が軽視されるような事態を生み出したのかという政府の責任、原因究明について、もう一度きちっとお答えいただけますか。

宮腰国務大臣 この制度は、子育て安心プランに基づき企業主導型保育事業が検討され、そして、新たな待機児童対策として事業が組まれたものであります。ただ、やはり、先ほどから申し上げているように、量の拡大に重点が置かれ過ぎて質の確保に余り熱心でなかったということは、これは反省すべき、大いに反省すべき点ではないかというふうに思っております。

 ただ、全般的に、もちろん大きな問題を抱えている事業所もあるわけでありますが、例えば保育士さんの比率一〇〇%の施設は、ことしの三月三十一日現在、八四・一%であります。七五%の施設が八・四%、五〇%の施設が七・五%ということでありまして、必ずしも保育士の体制が不十分だというところばかりではありません。既に一〇〇%を満たしているところが八四%、八割以上あるということでありますので、多くの企業主導型保育施設事業者については、一定の水準は満たした上でこの事業を行っているのではないかというふうに考えております。

 問題のある施設も多いわけでありますから、改めて、そういうところについてはしっかりと指導監査できる、あるいは入り口でちゃんと審査ができる、そういう体制を組んで、子供さんのことでありますから、これまでのような問題が出てこないように努力をしてまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 企業主導型においては、不十分な指導監査であっても多くの問題点が指摘をされたし、定員充足率を満たしていないという点でも極めて問題があったという点で、量的拡充を追求してきた、その大もとに何があるかというと、答弁にもあったように、子育て安心プランに基づく新たな待機児童対策として企業主導型保育事業を行ったということにあるわけです。

 その企業主導型が出てくる背景というのも降って湧いたような話なんです、追いかけてみても。そういった点では、私は、こういう待機児童対策として量的拡大を追求する、そのためにしっかりと認可を中心とした保育施設を拡充するのではなくて、企業主導型で認可基準以下でも行える、そういう仕組みとして企業主導型保育事業を進めてきた、それが生み出したゆがみだと言わざるを得ません。

 ですから、企業主導型はもうやめるべきだ、公立保育園を中心に認可保育園の拡大で待機児童の解消を図るべきだということを申し上げて、質問を終わります。

牧原委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 早速ですけれども、質問に入りたいと思います。

 検証報告の十七ページにありますけれども、世田谷区の施設が、利用する児童がいないためということで休止をしています。これは一体どういう状況で休止しているのかというのをまずお聞かせいただきたいのと、また、先ほどの塩川委員の質問もかぶっていますけれども、会計検査院からも企業主導型保育施設の利用が低調であるという指摘も受けていますけれども、これについてどういうふうに対応していくのかをお聞かせいただきたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の当該施設につきましては、平成三十年四月から運営を開始してございましたが、ことし三月三十一日の時点で、利用する児童がいなくなったため、助成要領に基づき、事業の休止について児童育成協会に報告し、認められたものと承知してございます。

 具体的な休止理由につきましては、利用する児童がいないためとされているところで、これ以上の詳細につきましては、個別事業者に関することであり、差し控えさせていただきますが、いずれにしても、利用が低調となっている事態は解消していくことが非常に重要だと思ってございます。

 会計検査院の指摘、また三月の検討委員会の報告を踏まえまして、例えば、審査時に、従業員枠については利用者の意向調査等のデータを求め、地域枠については自治体から地域の保育需要等の客観情報を求める、また、開設後においても、利用が低調な施設については、巡回指導、企業と施設とのマッチング支援など相談支援を充実させる、また、各施設の定員充足状況等を定期的に公表するなどの改善策を講じてまいりたいと考えてございます。

浦野委員 先ほどの塩川委員の最後の言葉で、私も前半は同じ意見なんですね。後半は、だから公立保育所をという部分からは、ちょっと私はまた別の意見なんですけれども、ただ、やはり運営に苦労するケースとか、先ほどのように、親会社の破産というのがあったりとか、安定的な運営が担保されていないケースというのが結構見られるわけですね、この企業型保育所の。

 我々が知る限りでは、例えば、社会福祉法人の認可保育園なんかは、やはり安定的な運営をしっかりできるのかどうかということが認可の一番重要な基準ですし、何かあったときでも、問題が起きた保育園で、子供たちが違うところに行かなあかんとか、保育ができなくなるとか、そういうことを避けるために、できる限り現場に影響がないように対応するというのが認可保育園の根本的なやり方なんですけれども、そういう意味では、やはり経営に苦労することが多くて、非常に、安定的な運営ができていないというケースが多いんじゃないか。

 そういう意味では、保育の質の確保とか事業の継続性、安定性の確保というのをこれからどのようにして図っていくのかというのも重要なことになってくると思うんですけれども、いかがでしょうか。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、保育の質の確保や事業の継続性、安定性の確保は極めて重要であると認識してございます。

 委員会報告におきましても、申請時の審査につきまして、審査委員会による審査体制や審査内容を充実する、必要に応じたヒアリング、現地調査など、審査の精度を向上させる、まずは財務面など適格性を審査し、次に事業計画等を審査する、開設後の安定的な利用者の確保のため、審査時に、従業員枠については利用者の意向調査等のデータを求め、地域枠については自治体から地域の保育需要等の客観情報を求めることとされてございます。

 また、開設後の相談支援につきましても、開設後の保育業務、安全等についての継続的な相談支援を実施する、各施設への巡回指導、定員にあきが生じた施設と保育ニーズがある企業とのマッチング支援を行うことや、指導監査の充実なども求められているところでございます。

 報告を踏まえ、保育の質の確保、事業の継続性、安定性の確保のため、現在、国による審査などの基本ルールのあり方、実施機関による相談支援等の実務のあり方について、国と実施機関の役割分担を明確にする中で、検討を進めているところでございます。

浦野委員 やはり、安定的な運営をさせようとしたら、一番最初の審査で、親会社になるような企業がどれぐらいの、保育所に対して運営費をまず、始めてすぐに運営費が入ってこないですから、しばらくタイムラグがあって運営費が入ってくる。それで、キャッシュフローが回らなくなって、結局潰れてしまうところも多々出ました、最初の方に。

 そういうこともあるので、やはり、企業の方でも担保できる体力があるということをもうちょっとしっかり見た方がいいのではないかと私も思っていますので、これから新しく認可されていくところは、そこら辺のところをしっかりと見ていただけたらと思っています。

 次も、これもこれまでの委員会でも指摘をされていますけれども、やはり、指導監査、指導監督を、先ほども少し答弁いただいていましたけれども、指導監査はしっかりとしないとだめだと思うんですね。

 保育の質というのが、じゃ、イコール何を指して保育の質というかと言われると、非常に範囲も大きいですし、それが、保育士の質であるのか、それとも施設の質であるのか、それとも経営会社の質なのかという、それはいろいろな質があると思うんですけれども、やはり、そういうところを監査でしっかりと指摘をして、質の担保はもちろんですけれども、質の向上をしてもらわないといけないというふうに思っています。

 監査、指導の人的な余力というのは、私は、今回のこの騒動を受けていろいろと聞かせていただいた中で、とてもじゃないけれども、監査、指導の人的なそういう資源は足りていないんじゃないかというふうに思いますので、その点、政府としてどういうふうにしていくのか、改善していくのかをお聞かせいただきたいと思います。

小野田政府参考人 お答えいたします。

 指導監査につきましては、開設後の指導監査等において、委員御指摘の、保育の質の視点が不足している、自治体と実施機関の間の指導監査の連携等が不足しているなどの課題が指摘されてきているところでございます。

 このため、報告を受けまして、現在、財務面、労務面を強化し、さまざまな法人種別に対応した専門人材の確保、監査の専門的なルールをつくる、地域ブロック別又は保育内容、財務、労務の業務別の体制を整備する、国が必要に応じ直接的に指導監査する体制とする、実施機関と自治体との間の指導監査基準の整合性の確保、指導監査の合同実施や結果の情報共有を行う、こうした改善に取り組んでいるところでございます。

浦野委員 昔は、認可保育園なんかは、これは規制緩和されてなくなりましたけれども、近くに保育園があった場合、ある程度離してじゃないと認可をされなかった、そういう時代もありました。

 今はそれが規制緩和で廃止されて、さすがに隣同士とかそんなのはないですけれども、近く、すぐそこ、目と鼻の先に認可の保育園ができたりとか、企業型の保育所なんかだったらもうそんなのは全くお構いなしに、認可保育園の真ん前に企業型保育所ができたりとか、そういうのが当たり前になっています。

 私は、それ自体はやむを得ないことだとは思っているんですけれども、先ほどもちょっと触れましたけれども、保育の質という話になってくると、やはり、そういう近接した同じような保育園が、種別のものがあるというのは、ええのか悪いのか、ちょっと疑問が出てくるんですね。

 例えば、これも過去に質疑をしたことがありますけれども、園庭問題とかもそうですよね。都市部の、今は、最低基準で、園庭をつくらなくても、近くに公園があればそれで園庭とみなすということをやっていますけれども、その同じ公園に、三つも四つも保育園が園庭として使っていて、時間帯によっては、各保育園の子供でわんさか、公園がもういっぱいで、普通に遊びに来た親子が遊べないぐらい子供がいてるとか、そういう逆の社会問題も引き起こしているわけですね。

 大津の本当に痛ましい事故もありましたけれども、あの保育園も結局は園庭がないということで、子供の体の育ちのために頻繁に外に出て、公園に遊びに行ったりとか、子供の体を動かすためにそういうことをやっていた、その中で起こった事故だった。

 私は、この部分は先ほどの塩川委員と全く同じ意見で、やはり待機児童の解消というのを急ぐがために犠牲にしてしまったんじゃないかな、子供の安全とか保育のそういう部分の最低基準の質とか、そういうものを優先順位を少し間違ったのかなというふうにも思ったりはしているんですね。これから、じゃ、それをもとに戻すのかと言われると、それをすると、恐らくもっと、保育園に入れない子供たちをどうするのかということにもなってしまうので、そこはやむを得ないとは今は思うんですけれども。

 ただ、であるならば、そういう大津のような事故が起こらないように、今、市町村がしっかりと道路を点検していただいて、ここにはガードレールをつけた方がいいんじゃないかとか、そういうことをやっていただいている市町村もたくさんあると思います。

 ところが、これが実は、危険やとわかっても、予算の関係で、そこに例えば縁石はつけられるけれどもガードレールまではつけられないかもという自治体も出てくるわけですね。

 私は、それは、やはり優先順位をしっかりと上げていただいて、まあ予算の関係はあるかもしれないけれども、子供の安全のためにまずは最優先でそういうところを、今、順番はあるかもしれぬけれども飛ばして、先にそっちをやっていただきたいなと思うんですね。実際にやはり地元の方からも、予算の関係で、これは、やるというのは決めていただいているところとかもあるんですよ、ガードレールをつけましょうと。ただ、予算が足りないので今年度中にできるかどうかわかりませんとか、そういうことになっているんですね。

 それは、担当大臣として、予算は、恐らくこれは国交省とかそういう別の省庁になりますから、子供の安全のために、やはり政府間で、大臣の方からしっかりと、優先順位をちょっと変えてくれ、そういうところの予算をしっかりと先につけていただきたいということを申し入れていただけたらなと思っているんですけれども、大臣、いかがですか。

宮腰国務大臣 五月八日に発生した大津市での未就学児の死亡事故を始め、子供が犠牲となる痛ましい事故が後を絶ちません。

 このような状況を踏まえ、先月二十一日に、昨今の事故情勢を踏まえた交通安全対策に関する関係閣僚会議が開催され、総理から、未就学児を中心に子供が日常的に集団で移動する経路の安全確保等について対策を早急に講じるよう指示がありました。

 総理からの指示を踏まえまして、同日、関係省庁の局長級のワーキングチームを設置し、早速会合を持ち、関係省庁と連携協力して具体的な施策の取りまとめを今進めております。

 今回の事故を受けまして、大津市、滋賀県を始め多くの地方公共団体において、地域の関係者によって子供たちを交通事故から守るための緊急の取組が行われていると承知をいたしております。

 五月十六日には、私も、大津市長、それから五月二十二日には滋賀県知事からそれぞれ緊急提言、要請を受けたところでありまして、政府としては、こうした御要請等も踏まえながら、関係省庁が連携して対策の取りまとめを現在加速させておりまして、交通事故から子供たちの命をしっかり守っていくため、早急に実効ある対策を講じてまいる所存であります。

浦野委員 ぜひ、都道府県、自治体に、そういう、国の方もしっかり対応してやっているんだということをしっかりと伝えていただいて、予算の優先順位が下がらないように気をつけていただけたらと思います。

 以上で質問を終わります。

     ――――◇―――――

牧原委員長 次に、内閣提出、日本国憲法第八条の規定による議決案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。

    ―――――――――――――

 日本国憲法第八条の規定による議決案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

菅国務大臣 ただいま議題となりました日本国憲法第八条の規定による議決案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。

 皇室が財産を譲り受けるには、日本国憲法第八条の規定により国会の議決に基づかなければならないことになっておりますが、皇室経済法及び皇室経済法施行法の規定によりまして、通常の私的経済行為に係る場合等のほか、天皇、上皇及び内廷にある皇族について一年間にこれらの方を通じて、譲受けの価額の合計が六百万円に達するに至るまでの場合には、そのたびごとに国会の議決を要しないこととなっております。

 御承知のとおり、本年十月には即位の礼が挙行されることになっておりますが、さきに申し述べました場合のほか、皇室が、即位の礼を機に、本年十月十一日から十一月二十九日までの間において、内閣の定める基準により、天皇陛下の御即位を祝すために贈与される物品を譲り受けることができるようにする必要があります。

 以上が本案を提案する理由であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛成の議決あらんことをお願いをいたします。

牧原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

牧原委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、日本国憲法第八条の規定による議決案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

牧原委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

牧原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

牧原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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