衆議院

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第6号 令和元年11月29日(金曜日)

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令和元年十一月二十九日(金曜日)

    午前八時三十四分開議

 出席委員

   委員長 松本 文明君

   理事 井上 信治君 理事 関  芳弘君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 宮内 秀樹君 理事 今井 雅人君

   理事 大島  敦君 理事 太田 昌孝君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    金子 俊平君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      長尾  敬君    丹羽 秀樹君

      西田 昭二君    平井 卓也君

      藤原  崇君    本田 太郎君

      三谷 英弘君    村井 英樹君

      阿部 知子君    泉  健太君

      江田 憲司君    大河原雅子君

      中島 克仁君    中谷 一馬君

      森田 俊和君    吉田 統彦君

      早稲田夕季君    江田 康幸君

      佐藤 茂樹君    古屋 範子君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣         赤羽 一嘉君

   国務大臣

   (防災担当)       武田 良太君

   内閣府大臣政務官     神田 憲次君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局内閣審議官)        榎本健太郎君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局審議官)

   (観光庁審議官)     秡川 直也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房カジノ管理委員会設立準備室審議官)            徳永  崇君

   内閣委員会専門員     長谷田晃二君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  青山 大人君     阿部 知子君

  柚木 道義君     江田 憲司君

  江田 康幸君     古屋 範子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 知子君     青山 大人君

  江田 憲司君     柚木 道義君

  古屋 範子君     江田 康幸君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件(特定複合観光施設区域の整備について)


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム及び日本共産党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請していただきますので、しばらくお待ちをいただきたいと思います。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請していただいたところでありますが、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣の重要政策に関する件、特に特定複合観光施設区域の整備について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局内閣審議官榎本健太郎君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局審議官・観光庁審議官秡川直也君及び内閣府大臣官房カジノ管理委員会設立準備室審議官徳永崇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。三谷英弘君。

三谷委員 ありがとうございます。自由民主党、神奈川八区の衆議院議員の三谷英弘でございます。

 まずは、私にこういった質問の機会をいただきましたことにつきまして、理事の各位の皆様、そして委員の皆様に心から御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 そして、本日は、少し、この委員会室を振り返ってみますと、残念ながら、一部の野党の皆様の出席が得られておりません。本当に残念なことだろうと思います。特にIRの問題は本当に有権者の関心も高く、そして本当にさまざまな困難な課題というものがある中で、しっかりと正面からそういった課題に取り組み、それを一つ一つ乗り越えていくというのが政治家としてあるべき姿だろうと思っております。その責任に基づきまして、しっかりときょうは質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 それでは、このIRについての質問に移らせていただきます。

 今、私は自民党の衆議院議員として活動させていただいておりますけれども、少し振り返ってみますと、私ごとになりますが、実は、以前は、みんなの党という政党の一員として国会で議席をいただいておりました。そのときには、実は、みんなの党というのは、日本の既成政党の中で初めて選挙公約に日本版IRというものを掲げまして、二〇一二年の総選挙、そして二〇一三年の参議院選挙、これを戦わせていただきました。

 もちろん、IRに内在するさまざまな懸念というものがあるということは、そのときから十分に理解をしていたわけですけれども、それを進めていくということが日本の将来の経済成長にとって極めて重要である、そういう観点からこのIRを掲げさせていただいてきたわけでございます。このさまざまな懸念、そして今後必要なこと、そういった観点から質問をさせていただきたいと思います。

 実は、去年の内閣委員会の六月一日におきましても、この内閣委員会の場でIRの質問をさせていただきました。それから、IR整備法が成立し、そしてその後、一年余りの間に、IR整備法に基づきまして基本方針案が出され、今パブリックコメントが募集されております。また、カジノ管理委員会の人事案も公表されております。

 こういった、IR開業に向けたプロセスが粛々と進んでおりますけれども、今後のおよそのスケジュールがどうなっているか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

秡川政府参考人 現在、国土交通省におきまして、IR整備法に基づく基本方針の案を九月と十一月にパブリックコメントをさせていただいております。来年の一月七日、カジノ管理委員会が設置予定でございます。同委員会も含めまして関係行政機関との協議を行い、IR推進本部の決定を経まして、来年一月をめどに基本方針を確定して、公表してまいりたいと思っております。

 基本方針を公表した後には、今度は、自治体におきまして実施方針を策定していただき、民間事業者の選定、一緒になって区域整備計画を作成していただくという準備を進めていただきます。そして、再来年の一月から七月までの間、これも今パブリックコメント中でございますが、認定の申請を行っていただく予定でございます。

 その後は、国による認定を経まして、IR施設の建設工事等があります。二〇二〇年代の半ばから後半にかけて、我が国で最大三つのIRが開業することになるのではというふうに想定しております。

三谷委員 ありがとうございます。

 およそ今言ったスケジュールの中で粛々と進んでいくわけでございますけれども、その中で、各自治体がIRに向けて手を挙げていくというような時期があります。

 現時点で全国で八つの自治体が手を挙げるというふうに見込まれておりまして、その中で、私が住んでおります、そして選挙区としております横浜もそのうちの一つでございます。

 IRといいますのは、やはり全体像を知っていただけると、どれだけそれが魅力的なものかというのは感覚的に実感をしていただけるわけでございますけれども、現時点で、具体的にどうというのは、IR事業者からまだ提示されていないということもありまして、口頭だけでなかなかその魅力を理解していただくのは難しいというのは、それはもう認めざるを得ない点でございまして、逆に、そういう状況だからこそ、IRに対する懸念の方がさまざま強くなっているというのも、これもまた事実でございます。そういった懸念に対してしっかりと応えていかなければいけないというのが、政治を進める側では当然考えていかなきゃいけない。

 その中でも、懸念の中でギャンブル依存症というものに対して、ギャンブル依存症で苦しんでいる人をカジノを認めたらふやしてしまう、そんなことは許せない、そういった声があるのも事実でございます。そういったギャンブル依存症で苦しんでいる方々にどう寄り添っていくか、これは本当に重要な観点だろうと思いますので、その点について、まず質問させていただきたいと思います。

 まず、今回、IR管理委員会の人事案というものが公表されております。その中で、検察庁出身の方や警察庁出身の方、あるいは国税庁出身の方、この中に精神科医の方が一人入っておりますけれども、これはどういった趣旨に基づくかお答えいただきたいと思います。

徳永政府参考人 お答えいたします。

 今、カジノ管理委員の人事案の中でお示ししております渡路子氏でございますが、この方は平成十一年に医師免許を取得した後、日本医科大学付属病院、千葉県精神科医療センター等において、主に精神科の緊急医療現場において臨床勤務を重ねられるとともに、厚生労働省あるいは宮崎県の精神保健福祉センターにおきまして、精神保健あるいは精神医療の行政官としての経験も有しております。このように渡氏は、精神科医師として豊富な臨床経験、そして専門的な知見を有しますとともに、行政実務の経験を有していらっしゃいます。

 委員御指摘のとおり、カジノ管理委員会の重要な課題の一つとして、やはりカジノに対する依存の防止というのがございます。そういう意味で、今後、カジノ管理委員会におきまして、こうした知見の蓄積あるいは高度な行政判断をしていく上で、渡氏の知識あるいは経験、こうしたものが重要でありまして、委員としてふさわしい方と考えているところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 そして、このカジノ管理委員会のほかに、IR整備法というものが成立したのと同じタイミングで、実は去年、ギャンブル等依存症対策基本法という法律が制定されました。

 今まで、日本ではなかなかギャンブル依存症に対する対策が進んでこなかったということもありまして、諸外国に比べて、実はこのギャンブル依存症の割合が高い状況にあるわけです。

 ちょっと、従前の質問の中を一部はしょりまして、結論だけ聞きたいんですけれども、このギャンブル等依存症対策基本法におけるギャンブル等の中にパチンコが含まれているかどうかについて、お答えいただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 ギャンブル等依存症対策基本法のギャンブル等といいます定義の中に、御指摘のパチンコは含まれております。

 以上でございます。

三谷委員 これは非常に大きいことだと思っています。

 今まで、パチンコというのは遊技ということで、賭博ではないというのが日本の昔からの刑法上の理解でございまして、当然ながら、ギャンブルというのは賭博を英語に言いかえたものでございますので、本来的には、パチンコというのはギャンブルではないはずなんですが、これはあくまでも建前のことでございまして、本当のことを考えますと、やはりこのパチンコで苦しんでいる人たちにどう寄り添っていくかということを考えていかなければ、ギャンブル依存症対策は成り立ちません。

 今、日本のギャンブルの全体の市場規模は、実は二十五兆円ぐらいございます。その中で競馬が占める割合は、わずか一〇%弱の二・三兆円。実は、二十五兆円のうちの二十兆円までがパチンコなんです。

 そのパチンコというものに対してしっかりと正面から依存症対策を進めていくということが、今回のIR整備法と同時に制定されたギャンブル依存症基本対策法というものの中で進められることになるわけですから、これはもうしっかりと、今まで寄り添ってくることができなかった方々に対して、ギャンブル依存症から抜け出す道を進めることになると思っております。

 IRを認めていくということで依存症がふえるという懸念の声もありますけれども、それに対してどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 ギャンブル等依存症対策につきましては、先生御指摘のギャンブル等依存症対策基本法に基づきまして、本年四月にギャンブル等依存症対策推進基本計画を閣議決定いたしたところでございます。

 この計画におきましては、例えば、相談、治療拠点の早期整備、あるいは各地域の包括的な連携協力体制の構築、あるいは家族に対する支援の強化やアクセス制限の強化などの関係事業者の取組などを盛り込みまして、政府一体となって、必要な取組を徹底的かつ包括的に進めているところでございます。

 ちょっと話がいきますが、シンガポール当局が発表しております数字によりますと、二〇〇八年におきましてはギャンブル等依存症の疑いのある者の割合が二・九%でございましたものが、ギャンブル等依存症対策に積極的に取り組んだ後の二〇一七年の結果報告によりますと〇・九%に減少したというふうに承知をしております。

 政府といたしましては、こういった取組も参考とさせていただきながら、今後とも、ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る方々をなくしまして健全な社会を構築していくために全力で取り組んでまいりたいと思います。

三谷委員 ありがとうございます。

 一方で、IRというものを成功させるためにさまざまな手を尽くしていかなければいけないということも別途あるわけですから、ちょっとそちらについて移らせていただきます。

 このIRというのは、IR事業者から本当に多くの予算をある意味投資として引っ張ってくる。そこで魅力ある施設をつくっていかなければ、当然ながら、IRが本来持っている魅力を出すことはできないということでございます。そのためにも、地域の住民との、地域との良好な関係を構築しなければいけないというのが基本方針の中にも含まれているわけでありますし、各地方自治体は地域の住民からの理解を得られるように努力を重ねていかなければいけないのは、改めて言うまでもありません。

 その中で、一点、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 どれだけそういった地域からの理解を得ても、その後、突然のさまざまな政治状況の変化によって首長が交代するというようなこともあり得るわけで、そういった政治リスクということで、突如、挙げていた手を下げるですとか、そういったさまざまなものを、やめたということで引くということもあり得る。そういった政治リスクを回避するために自治体としてはどういうふうな手が打ち得るのかという点について、一点、お答えいただきたいと思います。

秡川政府参考人 IR事業は、長期にわたって安定的、継続的に事業運営が行われるということが重要だというふうに考えております。そのため、IR事業者は、その地域の観光や雇用などの経済面とか、あと、カジノ施設の設置に伴う有害な影響を排除するとか、そういうことに取り組んでいただく必要があります。そういうことを通じて、地域における理解と協力が得られるように努めることは重要だというふうに考えます。

 国としても、区域整備計画の認定の審査に当たりましては、評価基準の一つとして、地域における良好な関係が構築されていることを審査させていただく予定です。

 政治リスクというお話がありましたけれども、自治体とIR事業者の間で締結される実施協定におきまして、IR事業が適切に運営されているにもかかわらず、自治体又はIR事業者が必要な手続を行わないことなどによりまして、認定の更新がなされないというような場合が想定されますが、そういう場合には、補償の規定を定めていただくということも可能になっております。

三谷委員 聞きたいのは、そういった補償の規定をどういうふうに、どちらがそのリスクを負うか、そういう取決めをすることができるんじゃないですかということが聞きたいんです。

秡川政府参考人 おっしゃるとおりで、認定された後に、当該事業者と自治体の間で実施協定とかさまざまな契約を結んでいただくんですけれども、そこに想定される事態とその対応方針というのを、結んでいただく中に今おっしゃっていただいたような内容を盛り込むということで対応していただければと思います。

三谷委員 つまり、自治体としては、協定を結びますと、その協定の中の契約の文言として、そういった不慮のリスク、政治リスクが顕在化した場合に今までの投資の損失をどちらが負うか。当然ながら、自治体の方が呼び込む側、そして、カジノ事業者としてなりたい側はそういったリスクを負ってでもやりたいというふうに考えるのが一般的でありますから、自治体においてそういったリスクを負わなくて済むという契約にすることすらできるということですよね。ということですので、しっかりとこれからの契約の中で考えていかなければいけないと思っております。

 さまざまな質問を考えているわけでありますけれども、ちょっと時間になってしまったので、本当にさまざまな、江原ランドとか、いろいろ失敗の例とか、いろいろあり得ますけれども、そういったことも含めまして、大臣に一点だけ最後に質問させてください。

 いろいろな懸念の声があろうと思います。その中で、よりよいIRをこれからもつくっていくという意味で、これからもさまざま不断の見直し等々が必要であればやっていくというその大臣の決意について伺いたいと思います。

赤羽国務大臣 質問ありがとうございます。

 まず、IRの施設というのは、我が国初めての施設であります。今、韓国の失敗例なんかもありますし、やり方によっては失敗してしまうということも教訓にしながら、ぜひ、この整備法の中にも書かれてあります法の目的に沿ういいものをつくろうと思っておりますし、先生の通告にありました制度の見直しにつきましても、法の中に定められてありますので、必要な場合があれば、しっかりと、いいものにつくるための制度見直しも行うべきだというふうに考えております。

 以上です。

三谷委員 以上です。ありがとうございました。

松本委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請したところでありますが、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 きょうは五分しかありませんので、質疑をさせていただきたいと思います。野党全体では一時間あったんですけれども、お見えになっていませんので、本当やったら欲しいですけれども、まあ仕方がないですね。

 今回の人事案、出ておりますけれども、この候補者の選定基準というものをまずお聞かせいただきたいと思います。

武田国務大臣 カジノ管理委員会の委員長及び委員につきましては、IR整備法第二百十七条第三項におきまして、人格が高潔であって、カジノ管理委員会の所掌事務の遂行につき公正な判断をすることができ、かつ、識見の高い者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が規定するとされております。

浦野委員 ありがとうございます。

 今回、候補になっておられる方々についてなんですけれども、この方々全員、当然ギャンブル依存症ではないという診断書なり誓約書みたいなものはいただいているのかをちょっと確認をしたいと思います。

徳永政府参考人 お答えいたします。

 今回、カジノ管理委員会の委員長及び委員の候補としてお示ししている方々、いずれの候補の方々も、ただいま武田国務大臣が申し上げましたように、IR整備法の要件を踏まえ、幅広く検討を行い、ふさわしい人物について選定を行ったところでございます。

 例えば、先ほども答弁させていただきましたが、依存症対策についてしっかりと取り組むために、精神科医として臨床経験、あるいは行政実務経験のある渡氏を候補とするなど、候補者はそれぞれ、経歴あるいは、これまでの、現在の活動等々から、委員長又は委員の要件を満たす適切な方であると判断し、カジノに対する依存対策も含めまして、カジノ管理委員会の所掌事務の遂行に当たって公正な判断をいただける方々と考えて選定させていただいたところでございます。

浦野委員 今の御答弁ですと、確たるそういうものはとっていないということになると思うんですけれども、私は、ちょっと、それはしっかりととった方がよかったんじゃないかなと思っています。もちろん皆さん見識のある方ばかりで、そういうギャンブル依存症ではないという方々だとは思いますけれども、カジノ委員会の人事で、もし、ギャンブル依存症になっておられる方がいらっしゃるのであれば、それはそれで問題になるのではないかなという懸念をしていますので、そこは私は、専門家も中にいてますから、診断書をしっかりととるべきだったんじゃないかなというふうに思っています。

 この件についてはぜひ、今回の人事案、我が党はもう既に態度を決めておりますので、これ以上は言いませんけれども、そういったところも含めて、しっかりと次回検討していただけたらなと思っております。

 一分残りましたね。

 きょうは、この委員会は、そもそも、前回、ほかの野党がカジノについて質疑をしたいと言って、IRですけれども、それについて質疑をしたいと言って立てた委員会を、桜の質問のみに使ったあげく、カジノの質問ができていないからもう一回せいと言って開いたのがきょうだったわけですよね。そのために与党の皆さんも、与党筆頭理事なんかは御苦労されて委員会を立てたわけですけれども、その委員会を欠席するという、もう何か本当に、何がしたいのかよくわからない政党になってきていますよね。

 自分たちで質疑を、質疑時間を放棄したわけですから、これは多分また補充質疑させろとかもう一回開けとかと言ってくると思うんですけれども、僕はそれは応じる必要はないと思っていますので、与党の皆さんも凜とした態度で委員会を開いていただけたら、進めていただけたらと思います。

 以上です。

松本委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十分開議

松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部知子さん。

阿部委員 立国民の阿部知子です。

 本日は、私、神奈川県の選出ですが、横浜で突然に林市長がカジノの誘致ということを表明されて、市民も含めて大変な異論、そして不安などを抱えている中、カジノを管理する委員会の人事の任命があるということで、この内閣委員会で特別のお時間を頂戴いたしました。

 質問に先立って、そもそも、桜を見る会で、野党質問の通告後一時間半でシュレッダーにかけられてその名簿がなくなるというような、いわば情報隠し、国民に対して税金の使い方の説明責任のつかないようなことを内閣府がやっておられる。その元締めである官房長官には、きょう、ぜひお出ましをいただきたかったですし、また、カジノについても、任命の責任者、総理大臣ですが、総理にお伺いすることができない場合に、官房長官にしっかりと政府としてのお考えを伺いたいところであります。

 ところが、きょう御出席いただきましたお三方、きょうは私はお二人しか御質問いたしませんが、赤羽大臣と武田大臣ですが、このお二人プラス衛藤大臣がカジノ関係の担当者であるというふうに内閣府から伺いましたので、きょうおいでくださった方を中心に質疑はさせていただきます。

 まず、このカジノ関係、政府にあってはどのような体制で取り組んでおるのかということが国民から大変見えづらい形になっておりますので、私の方に、内閣府に求め、そしてさらに国土交通省関連の観光庁の方で提出していただいた資料が一枚目、お手元にございます。

 IR担当大臣赤羽大臣、そして、赤羽大臣にはもう一つの人格がおありで、国土交通大臣であられますが、このIR担当ということは、内閣府の中での仕事としてやっておられるということでありました。また、カジノ管理委員会担当大臣としては武田大臣ということでございました。

 では、果たして、政府の中のいろいろな役割分担を国民に向けてお知らせしたものの中にはどのようになっておるかということで、あけて二ページ目をごらんいただきたいと思います。これは、菅官房長官並びに内閣総理大臣をトップとする内閣府の中で、それぞれ役割をどのように大臣が担っておられるかということでございます。

 ここには、武田大臣が、線を引きましたが、カジノ管理委員会に関する事務をつかさどっておられると。カジノ管理委員会に関する事務の担当だそうでございます。一方、衛藤大臣がカジノ、ギャンブル依存症等々の役割、その責任を担っておられるということは、ここには一行たりとも書いてございません。もちろん、赤羽大臣の国土交通大臣としての役割やIR担当大臣であるということも、ここでは浮かんでまいりません。

 結局、どんな体制で何が進んでいるか、国民に、これはホームページにあるそうで、内閣府ウエブサイトを持ってきてくださいましたが、どうなっていますかと言ったら、これがありましたので、使わせていただきました。

 そもそも、武田大臣、申しわけないがお伺いいたしますが、どのような形で任命され、それは何らかの、例えば、武田大臣をIRの特にカジノ管理委員会担当大臣とするということは、何か書面で任命されたものなんでしょうか、あるいは。教えてください。

武田国務大臣 いずれにしましても、総理の方から、カジノ管理委員会に関する事務を担当するということの指示をいただいて、この任に当たらせている次第であります。

阿部委員 いずれにしてものいずれが大事なんですね。いずれというのは、私は書面かどうかを伺ったんですね。ただ総理が、ああ、君、これをやってくれたまえと言って、この大事なカジノ管理委員会の担当ができるのか。やはり私はおかしいと思うんです。

 まあ、書類をシュレッダーしちゃうのもおかしいけれども、書類を渡さない、辞令もない、内容もないというのもおかしいですが、大臣、何か書面はいただかれましたか。それとも、武田大臣、あなたにカジノ担当大臣、管理委員会担当大臣をお願いしますと総理がただ口頭でおっしゃっただけでしょうか。御答弁をお願いします。

武田国務大臣 ちょっと明確に、どのような文書だったか、どのような口頭だったかということは、私、今の段階でよく記憶にはないわけでありますけれども、いずれにせよ、明確に総理大臣の方から指示を受けたのは事実であります。

阿部委員 文書ももらったかどうかわからない、口頭で指示を受けたであろうことは今おっしゃいました。

 私は、国論を二分するカジノの問題、そして特に国民は、このカジノがもたらす負の側面に多大な不安を抱いております。だからこそ、カジノ管理委員会はとても重要な役割を担うんだと思います。

 でも、武田大臣のお仕事は、カジノ管理委員会に関する事務となっております。果たして、カジノ管理委員会というものは、事務だけの問題ではございません。カジノ管理委員会のあり方そのものも、例えば原子力委員会あるいは原子力規制庁、これなども全て担当大臣がおられて、そのあり方をしっかりとグリップしていくというものであろうと思います。いかにも軽い書き方、カジノ管理委員会に関する事務、そして書面が出たかどうかもわからない。

 これは、昨日、私は事務方に何度も聞きましたが、さあ、どうだったでしょうと。そんなことあり得ないですよね。大事な役割なのに文書もない。まあ、シュレッダーにかける時間、あったかどうかわかりません、きのうの夜ですから。もともとあるかないかわからない。

 私は、この体制自身がおかしいと思います。菅官房長官がおられたら、しっかりとこれをただしたいところですが、きょうはおいでになりません。まず冒頭、この指摘をさせていただきます。

 そして二点目。

 さて、カジノの問題で国民の不安、疑念は払拭されただろうかということで、開いて三枚目の資料をごらんいただきたいと思います。これは、さきにカジノ実施法と言われる区域整備計画法が国会で強引に成立させられた直後の世論調査でございますが、二〇一八年に行った調査、いずれも、大体、賛成と反対を比べますと一対二。反対、懸念の方が二倍大きい。

 一年たちまして、今日、果たしてこれが変わったろうかというのが下に書いてございます。時事通信の世論調査で、カジノに反対五八%、賛成二六・六。すなわち、一年たっても、もっと言えば、そもそもカジノの推進法ができて、平成二十八年ですから三年近くたってもここは動いておらない、不安の方が大きい、相変わらず懸念がある。

 もっと私は考えるべきこととして、右側に、横浜で行った四回の説明会の前後でとったアンケートがございます。これは、ことしの六月に横浜が四回にわたって行った市民向けの説明会の、前が上段です、後が下段です。説明会を四回聞いても全く疑念は取れない。依存症になる心配、前後で約四分の一。二五%から四%。治安が悪くなるも同様。すなわち、この二つの大きな不安が過半数を占めているというのが説明会の後も現実なのであります。

 こういう事実について、まず赤羽大臣、そして武田大臣、おのおのどのようにお考えですか。私は、国民に対して、国民が持つ不安とか、そのことをきちんと受けとめて政治はなければならないと思いますが、不安は一切解決していません。武田大臣と赤羽大臣、どっちでも結構です、順次。

赤羽国務大臣 今の御質問につきましてお答えさせていただきたいと思います。

 私も、最初のIR推進法のときは、今、阿部先生言われたように、当然、社会的政策の側面の懸念と経済的政策のメリットの、なかなかはかりがたいものがあったので、私は、本会議、賛否は保留して棄権をしました。

 その後、シンガポールのIRの施設に足を運んで説明を聞いたりしておりまして、私が持っていたイメージのカジノ施設とシンガポールで展開されているIR施設というのは相当違ったものがあるなというふうに認識を私自身新たにし、その間、さまざまな対策を盛り込まれたIR整備法が提案をされたので、このIR法の国会の審議、さまざまなこの種の審議を経た上で、採決では私は賛成をしたわけでございます。

 そうした意味で、今、国土交通省としましては、このIR整備法の国会審議における議論や附帯決議を踏まえまして、区域整備計画の認定の審査基準など、必要な事項を定めた案を作成して、本年九月と十一月にパブリックコメントを実施し、基本方針の案の全体像を国民の皆様にお示しをしているところでございますが、多分、先生言われているように、書いたものの、基本方針案を見ても、なかなかイメージができないというふうなのは事実だと思います。

 ですから、私どもが思っているのは、今、手を挙げている地方自治体は、これを最終的に認定をとるためには、当然、議会の議決もとらなければいけないわけですし、地元の皆さんの御理解を得るというプロセスがあるわけでありますので、国がというより、手を挙げている地方自治体が地元の皆様にしっかりとした説明責任を果たしていくということが大事だというふうに考えております。

 そうしたやりとりの中で、横浜市からは、御承知だと思いますが、十二月から全ての十八区でIR市民説明会が開催されるということで伺っておりますので、こうした説明会で市民の皆様の理解を得る努力をすることが大事なのではないかなというふうに思っております。

 私からは以上です。

武田国務大臣 世論調査、さまざまな意見があることは承知いたしております。何せ我が国で初めて取り組む事業でありますので、その中身、そしてまた、これから進めようとする事業のあり方等についてまだまだ周知が徹底していない理由もその要因に一つあらわれているんじゃないかと思いますけれども、いずれにせよ、国民の皆さんから理解を求めて健全なものにしていかなくてはならない。そのためには、しっかりとした管理委員会というものを設置していかなければならない、そのように思っているところであります。

 依存症、そして、マネーロンダリング、青少年への影響等々も指摘されております。依存症防止対策始め事業者の廉潔性の確保、勧誘広告規制、暴力団員等の入場禁止等々、かなり強い縛りをかけながら、国民の信頼を得るべく、しっかりとした管理を続けていける委員会を立ち上げたい、このように思っているところであります。

阿部委員 赤羽大臣は大変誠実に経緯を、御自身の気持ちに沿った経緯をお話しいただきましたが、私がさっきお伝えしたように、横浜で既に、六月に四回説明会をやった結果が、変わらない。これからも説明会をなさるけれども、実は、賛否は問わない、住民の意見を集約はしない形で行われます。私は、こういうのは一方的説明でしかないと思います。国民の疑念も晴れません。

 また、武田大臣に申し上げたいのは、そうした反社会的勢力がこれにかかわらないということは当然なのですが、では、なぜ桜を見る会で、ああした事態が起こるんでしょうか。一方で桜を見る会の疑念を晴らさないで、きょう、ここで幾らカジノ管理委員会がそうした反社会勢力を除外すると言ったって、国民の誰が信頼しますか。そして、きょう、本会議で午後、これを採決。手順が違うでしょう。国民に一番信任を得なければ、うまく運ぶわけもないし、今、多くの国民の疑念は桜を見る会に集中しておりますが、私は今回のカジノ管理委員会の人事そのものにも大きな疑念があります。

 一つ一つお話ししたいところですが、限られた時間ですので、幾つか、国民から見て、これは到底信頼を得られまいということについて御質問をさせていただきます。

 まず、カジノ管理委員会の委員長人事でございますが、北村さんが委員長になっておられますが、御承知のように、北村さんは、防衛省の、自衛隊の南スーダン派遣における日報隠しの問題で、防衛監察ということのトップを務められましたが、この防衛監察が不十分で、稲田大臣が、戦闘という言葉があれば憲法違反だと言ったけれども、その戦闘という言葉が日誌にあって、それを御存じだったのかどうかということも解明されていない。また、二〇一八年の四月には、監察対象外のところからまた日誌が出てきた。こういう方であります。国民に信頼せよと言ったって、無理だと思います。

 五人のうち四人が省庁出身者。手ごろな人事とも言えると思います。こうやって、省庁の経験者、そんたくがきく人を集める。

 あるいは、きょう菅さんがおられたら聞きたかったです、菅さんと関係が深いと言われる樋口さん、警視総監だったそうですが、この方についても多く疑念が指摘されております。

 医師は、依存症対策の専門家でも何でもない方がここに入っております。どうやって依存症への不安を解き、また、反社会勢力との関係の、きちんと遮断されるようなこととして、信任を得られるか。

 おまけに、もう一つございます。遠藤さんという方は、政府の委員を六つも七つも兼ねて、既に平成十一年の閣議決定に違反しております。その方を、八条委員会関係の決定だからといって、今度、三条委員会のこのカジノ管理委員会に持ってきていいわけもありません。

 どれから答えていただいても結構ですが、まず北村さんの問題、いかがですか。

武田国務大臣 当委員会の委員長候補である北村道夫氏、防衛監察監として、当時、防衛大臣の命により、関係法令に基づいて職務を遂行したものと承知をいたしております。

 なお、同氏は、仙台高等検察庁検事長、福岡高等検察庁検事長等の要職を歴任し、法執行、秩序、規範維持の分野において深い知見と高い専門性を有するとともに、組織を指揮する経験も豊富であります。

 カジノ施設に関する秩序の維持及び安全の確保を図ることを任務とするカジノ管理委員会において、高い中立性、公正性が求められる委員長としてふさわしい人物である、このように考えております。

阿部委員 なぜ私の聞いた防衛監察について言及されないんですか。ずるいじゃないですか。

 私は、わざわざこの短い時間を使って、あの防衛監察が何であったかをお尋ねしたんです。国民の疑念が晴れなかった。稲田大臣の関与についても、捜したけれども、ほかからまた日報が見つかった。こんな方が何で委員長として国民の信を得られますか。今、武田大臣は、要職を歴任、こんなのうたい文句ですよ。中身が問題、実績が問題、結果が問題。これ、いずれも果たしておられません。そういう方を、今おっしゃったような、ただただ表書き、能書きだけで認めていくようなカジノ管理委員会は、決して国民の信を得ることがない。

 最後に、赤羽大臣にお伺いいたします。

 今回、北海道がこのカジノについて断念ということを出されました。多くの道会議員が、アンケートをとった結果、必ずしも賛成が多くなかった、自民党の中からも反対が出たということであります。

 確かに、各都道府県、住民や議会の意見を聞くということは重要です。でも、果たして、今回のこの整備法の中に、住民の合意や住民の意見を聞くというプロセスはどう担保されているでしょう。これは、議会や市長が、あるいは知事が代弁できるものでもありません。何せ、不安を抱いているのは住民そのものなのです。ここについて、大臣のお考えを伺います。

赤羽国務大臣 ちょっと、お言葉ですけれども、一応、法案では地元の議会の議決というのが書かれております。

 例えば、横浜市議会が、私の理解では、横浜市民の皆さんの代弁者として議会というのは成り立っているので、そこを否定すると、話が立ち行かなくなってしまうのではないかなというふうに、ちょっと率直に申し上げて、思います。

阿部委員 決して議会を否定してはおりません。しかし、議会に集約されない。だって、そのことで選挙をやっているわけではありませんから。

 大体、選挙のときにはカジノは白紙と言った市長が、次はカジノ誘致だと言うんですから、市長も議会も、その意味で、民意をあらゆる面で代弁しているわけではないのです。

 そして、特にカジノで大事なのは、何よりも、被害は住民、国民に行くんです。その直接の不安や思いを受けとめずして、政治など一歩も進めることはできない。

赤羽国務大臣 私は、今阿部先生の言われた意見はしっかり受けとめて、例えば、横浜市だけじゃありませんけれども、手を挙げた地方自治体が今、幾つもありますので、そこのことは、そういう意見が国会で厳しく示された、地元の住民の理解を得るような努力をしてほしいということは申し上げたいと思います。

阿部委員 ぜひぜひその点をお願いして、質問を終わらせていただきます。

松本委員長 次に、江田憲司君。

江田(憲)委員 江田憲司でございます。

 まず冒頭、委員長を始め理事の皆様には、こうした質疑の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 さて、私は、八月二十二日に突然市長がカジノ誘致表明をした、その横浜市民の一人なんですね。よく推進派の方は、カジノというのはIR面積の三%にすぎないんだ、IRなんだとおっしゃるわけですけれども、お二人の大臣御承知のように、そのIRが成り立つのは、カジノから八割、九割の収益が上がるからなのであって、かつ、IRの推進法であれ整備法であれ、百条以上になんなんとする大法律ですけれども、その百条以上はカジノ関連ですから。それはもう言うまでもなく、賭博罪を解禁するという関係でいろいろ法律も整備したということなので、私は、もうIRイコールカジノだという前提で、いろいろこれから質疑をさせていただきます。

 ずっと議論をさせていただいてきたんですけれども、このカジノというのは、安倍政権に比較的優しい全国紙の社説でも、人の不幸を踏み台にして経済成長するのかとか、人の不幸を踏み台にして観光立国なのかという社説を載せるほど、私に言わせれば、日本の悠久の歴史、さかのぼれば持統天皇のすごろく禁止令から始まると言う人もいるんですけれども、賭博は御法度だという、ある意味で闇の世界、地下の世界、そういうところでひそかに生き長らえてきたのかもしれませんけれども、そういうものをぱっと表に出して解禁するという。これがどうして、大変大切な経済成長だ観光立国だの肝なのか、まあ安倍総理もそんな感じの話をされておられましたけれども、シンガポールのカジノをごらんになってですね、私には全く理解をできないんですね。

 とにかく、そういう観点から、経済成長なのか観光立国なのかというところについて若干質問させていただきますけれども、赤羽大臣、カニバリゼーションという、英語なので恐縮なんですが、お言葉は御存じですか。

赤羽国務大臣 済みません。ちょっとよく承知しておりません。

江田(憲)委員 昨日、事務方には同じ言葉を出してレクしたんですけれども、カニバリゼーションというのは共食い現象というんですよ。全く聞いたことないですか。

 カジノにはそういうカニバリゼーション、共食い現象があるんだということが海外で実証されているんですよ。例えば、ニューハンプシャーの州政府の正式な統計ですけれども、ニューハンプシャーというのは周りの州が結構カジノを導入しているものですから、それを解禁すべきかの議論というのをこの数年ずっとやってきたんですよ。最終的に否決した、導入しないと決定した最大の要因がカニバリゼーションなんですよ。

 というのはどういうことかというと、皆さん方は、推進派はですよ、カジノ、IRを誘致すれば地元の経済が潤うんだ、地域振興なんだとおっしゃるんだけれども、逆に地域衰退の道だというのを結論づけているんですよ。

 ニューハンプシャーの統計によると、IRが来ることによって周りの、周辺の地域から四割から六割の消費を吸い上げるんだ、こういうことですよ。

 だから、逆に、横浜でいえば、御承知のように元町商店街があります、中華街があります。それまで元町商店街で買物をしたり中華街で食事されている方がIRに吸収されて、そこで結果的には中華街の飲食する方が減る、元町商店街で買物される方が減るということなので。ニューハンプシャーは四割から六割吸収されると言っているんですね。

 その点について、皆さん、経済成長、これだけ効果があるんだ、税収はこんなに上がるんだとおっしゃってプラス面ばかり強調されるんですけれども、こういうカニバリゼーションを含めた、そういうマイナスの評価というのはされているんでしょうか。

赤羽国務大臣 まず、江田先生、推進派って、私も含めているのかどうかよくわかりませんが、私、別に推進派という立場でこの役職についているわけではございません。基本的には中立な立場で、いいものをつくらなければいけないなというふうな思いでやっております。

 今、先生言われたように、来られたお客さんが、これまで元町で食事に使ったところが、もし横浜にIRの施設ができて、そこで消費額がとられる、結局プラスのアルファがないというようなお話で、そういう現象はあるんだと思うんですが、私の持論は、IRで何か観光立国を全てやりくりしようということは全く思っておりませんし、答弁の機会でもそういうふうなことは伝えております。

 やはり、一つは、例えば夜のエンターテインメントがないというようなことも指摘をされる中で、私は選択肢の一つとしてIRということが提示を、国会の審議を経て提示をされたものだというふうに思っておりますし、そもそも、江田先生と、多分私、考えはよく似ていると思うんですけれども、観光というと経済成長云々ということだけ話しますが、本来はそういうものじゃなくて、やはり地域の文化とか伝統といったものがカルチャーされるということの方が大事だというふうなことは、私も個人の見解としては持っております。

江田(憲)委員 じゃ、設置派と言いましょう。それはいいんですけれども、要は、この基本方針案を見ても、このカジノ、IRを設置して、将来、六千万人、外国からインバウンドに資するようにするんだという基準もあるじゃないですか。

 だから、結局、経済成長でいえば、例えばこう考えればわかる、昔、大規模小売店舗が来たでしょう。特に自民党の皆さん、苦労されたと思うんですよ。大規模小売店舗が来て、地元商店街がシャッター街になった、これと同じなんですよ。

 それから、皆さん、ディズニーランドに行かれるでしょう。ディズニーランド、にぎわっていますよ。しかし、ディズニーランドに行ったお客さんがわざわざ浦安市におりて、その商店街で買物したり食事しますか。私だって、ディズニーランドに行ったら、そこで全部ショッピングして、食事して、それで帰りますよ、実家に。

 ですから、皆さん、ちょっと疑いの目を持ってほしいんですよ、赤羽大臣がそうおっしゃるなら、推進派じゃないとおっしゃるならね。だから、カニバリゼーションというのは具体的に実証、アメリカでも実証されているんだから、そういう評価をしないと不安を払拭できないでしょう。そういうことを言っているんですよ。

 それで、じゃ、されていないということだから、これは前回も、石井大臣にも同じ答弁をされました、私に対する。

 それじゃ、例えば、具体的に今、何か八都市ぐらい、IR検討中だ、招請を決めましたとあるんでしょう。こういう具体的なプロジェクトとして整備計画ができてきたときに、政府としてはそういうプラスマイナスの費用便益効果というか、フィージビリティースタディーというか、私も多くのそういうプロジェクトに携わってきましたけれども、そういうプラスマイナスの評価はしっかり政府として審査をされるんですね。

赤羽国務大臣 するべきだというふうに思います。

江田(憲)委員 それは当然だと思います。

 そこで、横浜市長は驚くべき発言をしているんですよ、市議会で、正式な答弁として。ある議員が問い詰めたんですよ、同じように、私のように。

 横浜市も同じなんですよ。税収が千二百億円上がりますよ、経済効果が何千億円といいことしか言わないから、じゃ、依存症対策もあるでしょうと。

 それから、私が見てきた韓国で唯一韓国人が入れる江原ランド、私は一昨年見てきたんですけれども、これはもう自殺率トップで、奇怪な風景の町として韓国じゅうに有名になりましたと嘆いておられました、地方自治体の職員が。

 奇怪とは何ぞやというと、ごらんになると、風俗店と質屋が建ち並んでいるんですよ。余りに風紀と治安の乱れで小学校ですら隣の町に移転してしまいました、炭鉱の町で閉山になって、日本にもありましたね、地域振興の目玉だといって誘致したはいいが、人口が十五万人だったのが今は三万八千まで落ち込んで、とてもじゃないけれども青少年に顔向けできませんというのが地方自治体の職員の皆さんの話でしたよ。

 そういうもろもろのマイナス、効果も含めて、プラス面も勘案して、それで費用便益効果をしっかりと審査するというのが当たり前だ、今、当然、そういう答弁でよろしいですよね。よろしいですよね。

 そうしたときに、横浜市長はある議員の問いに、そういう問いをされて、仮にプラス効果よりマイナス効果の方が上回った場合はあなたはどうされるんですかという質疑に対して、それでもやりますと答えているんですよ。

 これは、大臣、率直にどう思われますか。

赤羽国務大臣 私、横浜市長のその御発言の真意を了解しておりませんし、直接聞いておりませんので、ちょっとコメントする立場ではないと思っておりますが、午前中、江田先生はいらっしゃらなかったかもしれませんが、三谷委員の、同じような答弁があって、韓国の失敗例を言われて、それは全く、私もそのように聞いているので、そうしたIRの施設はつくらないように努力するというのが私の使命と責任だというふうに答えさせていただきました。

江田(憲)委員 それでは一般論として、今もお答えになったのと同然なんですけれども、一般論として、具体的にある都市から整備計画が出てきたときに、当然のことながら、そのプロジェクト、IRについて、費用便益効果というか、プラマイのしっかりとした審査はされて、仮にそのマイナスが上回るというような案であればそれはもう認可されないと。これも当然のことですけれども、確認します。

赤羽国務大臣 具体的な審査をどうするかということでありますが、一般論として、IRの整備により見込まれる国内外からの来訪者数や消費額などの経済的社会的効果について記載していただき審査を行うこととしておりますが、このような正の効果だけではなくて、今、江田先生言われたようなカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響についても、自治体及びIR事業者が講ずることとしている具体的な対策についても記載していただくことになり、それに要する費用の見込みについても記載していただいて審査を行うこととしております。

江田(憲)委員 ということは、そういう、それは鉄道でも道路でも、どういうプロジェクトでも、もう言うまでもなく、費用便益効果をしっかりと審査をして、それは当然、マイナスが上回るということであれば認可できないというのは当たり前のことなので、一般論としてそれで結構ですよね。もう一回、確認します。

赤羽国務大臣 今、答弁させていただいたとおりです。

江田(憲)委員 それでは、そういう審査がされて、しっかりと、プラスの方が上回って地域経済にも効果があるんだ、そういうものを審査されるということでしっかりお願いをしたいと思います。

 では次に、観光立国ということで、インバウンドとか最近おっしゃいますよね、総理も。さっき言った六千万人に向けて、カジノ、IRをしっかりと、効果ができるようにちゃんと整備計画をつくってねというのが基本方針案にはありますよね。そうしたときに、私、本当に不思議に思うんですけれども、どこの国の方がわざわざカジノをしに日本に来られるんですか。

赤羽国務大臣 基本方針案の中では、どこの国から来るということは想定されておりません。

江田(憲)委員 しかし、観光立国だ、外国人観光客をふやすんだというんだったら、ある程度めどを持っておっしゃられているんでしょう。(赤羽国務大臣「観光立国全体ですから」と呼ぶ)いやいや、このカジノ、IRで、観光立国に資する、要は、具体的にはインバウンド、外国人観光客がふえるようにしろと基本方針案に書いてあるんですから。

 ちょっと考えてください、皆さん。欧米にはもうカジノはあふれているんですよ、欧米には。過当競争とオンラインカジノ普及で、どんどん潰れているんですよ。アトランティックシティーなんて、半分以上潰れたんですよ。ミシシッピ州の最大のカジノも潰れているんですよね。それほどあふれ返っている飽和状態の欧米人がわざわざ来ますか、カジノをしに日本まで、遠く遠路はるばる。来ないですよ。

 では、誰が来るんだといったら、これは、韓国に行きました。韓国というのはカジノが十七ありまして、さっき言った江原以外、十六は外国人専用なんですよ。見てくると、ほとんど中国人の方ですよ、だって、国境を接して近いから。

 しかし、中国人の皆さんがわざわざ日本に来ますか。いや、中国人の方なら中国語が通じるマカオに行きますよ、カジノがいっぱいあるんだから。もっと言えば、この韓国、近いんだから韓国に行けば、わざわざ高い旅費を払って、じゃ、横浜だ大阪だに来ますか。来ないでしょう。だから、結局、日本人を入れるようにしたんでしょう、カジノ推進議連の皆さんも。だって、ペイしないんだから。少し考えればわかるんですよ。

 ですから、大臣、これは全体の責任を持たれているんだから、外国人観光客をふやすように資するようとちゃんと基本方針に書いてあるんだから、じゃ、どういうところの国から来られると思いますか、大臣。

赤羽国務大臣 先ほど申し上げましたように、観光立国を推進していく中で、私、先ほど、先ほどだけじゃなくて再三、カジノだけで、IR施設だけで呼び込もうということは考えていません。

 観光立国全体のインバウンドで、二〇二〇年四千万、二〇三〇年六千万人という大きなチャレンジについては、今言われているのは、今回のラグビーのワールドカップなんかも見たように、ヨーロッパから随分来ていただいて長期滞在をしていただき、全国でいろいろ回っていただいて、それのリバウンド効果は大いに期待もしておりますし、それを進めていかなければいけないということであって、できるだけ多くの人に来てもらった選択肢の一つにIRの施設もあるということで、私はそう考えております。

江田(憲)委員 もうわかり切ったことじゃないですか。今、観光客がふえているのは認めますし、評価していますよ。だって、大震災の前は八百万人ちょっとだった外国人観光客が、去年は三千万を超えているんですから。じゃ、カジノがあるから来ているんですか。パチンコがあるから来ているんですか。競輪、競馬があるから来ているんですか。違うでしょう。日本の食とか、温泉とか、悠久の歴史とか、町並みとか、そういう日本の伝統文化とか、そういうものに引かれてふえてきているじゃないですか。そんなことはわかっておられるでしょう。

 だから、聞いているのは、基本方針の中にちゃんと、IRは外国人観光客をふやすように資するようと書いてあるから聞いているんですよ、あなた。私はそんな、全部が六千万なんて言っていませんよ。だから、そうおっしゃるけれども、これは破綻しているんじゃないですか、IRで、カジノでインバウンドがふえるって、とんでもない、誰が来るんですか、来ませんよと言っているんですよ。欧米人は来ませんよ、中国人はもっと近いところに行きますよ、じゃ、誰が来るんですかと言っているんですよ。答えてくださいよ。

赤羽国務大臣 IRのことは、IR整備法で国会で審議をされて決まった、マックス三つとかいろいろな制限の中でそれを実施しようとしているわけであります。

 実施する以上は、江田先生の懸念のようなことというのも、当然、私もそのような理解もありますので、それは一つ一つ成功させていかなければいけない。韓国のその失敗事例のようなものをつくってはいけないというふうに思っております。

江田(憲)委員 申し上げたいことは、IR、カジノで経済成長だ観光立国だというのは、絵に描いた餅だということなんですよ。

 結局、依存症対策や治安、風紀対策で、コストがかかる。韓国の正式な統計では、確かに韓国では、カジノを十七つくった、二兆円の効果があった、しかし、マイナスの負担が七・七兆円あったという推計が出ているわけですよ。マイナスなんですから。

 こんなものをわざわざ、さっき言ったように、日本の悠久の歴史に反するような、賭博は御法度だというのを解禁してまでやるようなことですか。もう廃れたビジネスモデルを、何で今さら日本に導入するんですか。結局、じゃ、収益が上がって、三割は公益に使うにしても、七割は外国に送金するんでしょう。そういうことですよ。

 アメリカの一部の報道では、二年前、安倍さんが訪米されたときの朝食会に某カジノ業者の有名な会長さんがいて、トランプ大統領から直接、頼むよと言われたという報道もありますけれども、結局、日本人からお金を巻き上げて、外国、特にアメリカに送金するシステムじゃありませんか、これは。本当にやめていただきたいと思いますけれども、まあ、これはここまでにして。

 それで、ちょっと基準について、僕はびっくりしたことがあるんですよ。これは、おっしゃるように、カジノだけじゃなくて、ホテルも会議場も展示場もなんですけれども、このホテルの要件が、客室総面積十万平米以上と書いてあるんですよ、十万平米以上。皆さん、相場観がわからないと思うけれども、この日本の名立たる帝国ホテルや、今を時めくニューオータニは、四万平米前後なんですよ、客室総面積は。その二・五倍以上の客室総面積のホテルを持たにゃいかぬと。

 これは、どこの都市が招致できるんですか。地方では、失礼ながら名前は出しませんけれども、地方でそんなホテルがぶっ建っちゃったら、幾らカジノの収益で賄うといったって、客室稼働率は幾らになるんですか。もう途端に、地域の重荷というか、負の遺産になるんじゃありませんか。

 何で十万平米なんですか。お答えください。

赤羽国務大臣 今、江田先生言われたように、今回、政令基準に、IR整備の公益性を担保する観点から、全国同一の基準として設定させていただいておりまして、御承知だと思いますが、例えば、MICEの施設については、三つの類型を設けることで地域の実情に応じて選択できるように設定しており、また、IR施設の規模に関する基準があることによって、IRが整備される場所が大都市に限定されることにはならないと考えております。

 そして、今、ホテルの規模について言われました。

 先生からの通告がありまして、どこと言ってはあれですけれども、地方の手を挙げているところからもそれを確認しましたが、このことは承知で手を挙げられているということでございますので、支障にはなっていないというふうに理解をしております。

江田(憲)委員 それは、今、招致したくてたまらないから、そういうことを言わざるを得ないんでしょうけれども、申しわけないけれども、国際会議場だって、六千人以上というんですよ。我が横浜のパシフィコ横浜ですら五千人です、最大で。しかも、展示場二万平米以上と。これは、探してみると、五、六カ所しかないよ、今の日本で。全部大都市ですよ。横浜もある、名古屋にもある、大阪にもある。これが、かつ、なんです。六千人以上の国際会議場だ、かつ二万平米以上の展示場と。こんなものをつくってペイするんですか、大臣。

 これだと、今手を挙げている中で、でも、まあ、多少可能なのは大都市、もう大阪と横浜だけしかないじゃないですか。これは、加計問題とは言わないけれども、こういうハードルを高く上げて、結局、横浜と大阪に落とすようにしているんじゃないですか、大臣。いかがですか。

赤羽国務大臣 だから、全くそういうふうな考えはございません。マックスで三つでありますし、そういうようなことは、責任者として、私は全く考えておりませんし、先ほど申し上げた、横浜、大阪以外の地方の自治体にもこれを確認しながら、それを御承知の上で手を挙げてこられているというふうに承知をしております。

江田(憲)委員 どう見てもこれは経済合理性に反するので、大都市でやっとこさできるかできないかのレベル。だから、結局、これが、どこかの昔の何とかリゾート構想でばたばた倒れたように、地方自治体の負の遺産になって、将来、重い財政的負担になると思います。それを私は懸念しているんですよ。

 最後に、具体的に横浜市の話でいうと、報道でも御存じか、要は、藤木幸夫さんという横浜港運協会の会長、この方はハマのドンと言われているような、山下埠頭に倉庫をいっぱい持っておられる。この方が、死んでも阻止すると言われているんですね。倉庫がいっぱい残っているんです、まだ。立ち退かないと言っているんですよ。

 そうしたときに、横浜からするするすると申請が上がってきたときに、そういう、土地利用について極めて不安定というか不確かな前提で、政府は認可をするんですか、しないんですか。

赤羽国務大臣 IRの整備に当たりましては、用地が一体的かつ確実に確保されているということが必要です。ですから、区画整備計画の認定の審査に当たりましては、要求基準の一つとして、IR区域の土地の使用の権限をIR事業者が既に有しているか、又はその権限をIR事業者が取得する見込みが明らかにされていることについて確認を行うこととしております。

江田(憲)委員 至極真っ当な答弁だと思います。

 したがって、藤木さんが最後まで立ち退かない、倉庫が残っているという状況では認可はされないということがはっきりしたと思います。

 今、私も含めて、横浜市全域でカジノ阻止運動が起こっているんですよ。具体的には署名運動。住民投票条例を制定して、住民の意見を聞けというのが六万人の署名。市長リコールまで視野に入れていますからね、解職までね。これは四十九万人の署名ですね。そういう署名運動がずっと延々と続くんですよ。

 それから、ちょうど、申請期間を決めましたよね、再来年の七月終わりまでと。再来年の七月といえば、横浜市長選があるんですよ。ここで必ず、私は、カジノ反対派の市長を立てて戦おうと思っているんですね。

 そういう、リコール運動だ住民投票だというような不安定な状況の中で申請が上がってきたときに、それは認可にはどのような影響があるんでしょうか、ないんでしょうか。

赤羽国務大臣 これは、個別のことについて今私がコメントするわけにはいきませんけれども、一般的には、先ほどから申し上げていますように、地元の皆様の御理解を得るということが肝要かと思っております。

江田(憲)委員 基本方針案を読みましても、IR事業運営の能力、体制というところに具体的に書いてありまして、「地域における十分な合意形成がなされており、IR事業が長期的かつ安定的に継続していくために不可欠な地域における良好な関係が構築されていることが求められる。」ということなので、当然、こういう、リコールだ住民投票条例だ、何だかんだ、そういう全市的な市民運動が起こっている中では私はぜひ認可をされないようにお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうも本当にありがとうございました。

松本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 カジノ集中での質疑を行います。

 赤羽大臣に、区域整備計画と実施協定の関係について、まずお尋ねをいたします。

 都道府県等自治体が基本方針、実施方針に即して作成する区域整備計画についてですが、この区域整備計画の最初の認定の有効期間は、初回は十年、その後、五年ごとの更新になっています。その際、区域整備計画の申請に当たっては、議会の議決を経なければならないとなっております。

 このように議会の議決を経なければならないというのは、地域における合意形成を十分に図るという趣旨ではないかと思いますが、その点を確認したいと思います。

赤羽国務大臣 そのように理解をしております。

塩川委員 ですから、住民の意思というのが当然重要だということになるわけであります。

 都道府県が認定申請を行う場合には、立地市町村の同意を得ることも法定化もされております。立地市町村を含め、地域における合意形成を十分図ることが必要となっていることです。

 一方、カジノ事業者と自治体が結ぶ実施協定においては、この区域整備計画で言う最初の十年に限定されず、より長期の事業計画を設定することができるとされていると承知していますが、そのとおりでしょうか。

赤羽国務大臣 この趣旨は、もともと、基本方針案に書いていると思いますが、よりよい施設を長期間運営していただけるような、途中で投げ出すような運営者でないことがベターだという趣旨であるわけでございますが、いいですか、それで。

塩川委員 確認ですけれども、事業者と自治体が結ぶ実施協定においては、区域整備計画で言う、初度の、最初の有効期間の十年に限定されず、より長期の事業計画を設定することができるということは、そのとおりですね。

赤羽国務大臣 はい、そうです。

塩川委員 実際、カジノ実施法の審議の際の政府の答弁でも、実施協定の中では三十年、四十年という有効期間を定めることができるという話もありました。

 例えば、今、大阪府市の実施方針案、これも、基本方針も案の段階ですから、もちろんその実施方針の案の段階ですけれども、カジノの事業期間は三十五年としています。さらに、事業期間の延長期間は原則として三十年という記載もありますので、非常に超長期にカジノを運営するということを、事業者と都道府県・政令指定都市、自治体の間で実施協定を取り結ぶという案になっているということです。

 そうしますと、この区域整備計画の申請については議会の議決を必要としますが、その有効期間の十年を大幅に超えた事業期間を実施協定で結ぶというのは、議会の議決を形骸化させるものになるんじゃありませんか。

赤羽国務大臣 認定期間、最初は十年間で、次回以後五年ということであります。そのときに議会の議決を得られなければ、認定の延長はできないというのが原則です。

塩川委員 その点は本当にそうかという点ですけれども、基本方針案では、IR事業は長期間にわたる安定的で継続的な実施の確保が必要であることを踏まえ、都道府県等とIR事業者との合意により、区域整備計画の認定の有効期間を超えることも可能であると、まさに、政府のつくっている基本方針案の段階で、長期の期間での実施協定を取り結ぶことも可能なんだというふうに、まさにお墨つきを与えているという状況になっています。

 ですから、そうはいっても、知事や市長がかわる、あるいは議会の構成が変わって、IR、カジノは認めないとなったときに、その手を縛るということにはならないんですか。

赤羽国務大臣 そういったことも想定されるんだと思うんですが、我々は、実施協定の中に、立ち行かなくなった場合の決め事とか、議決がとれなかったときに損害賠償を起こさないとか、そうした項目を盛り込んでいただければというふうに思っております。

塩川委員 損害賠償を起こさないという話ですけれども、実際にスタートのときには、当時の首長や議会の構成によって、IR、カジノを進めましょうということになったとしても、その途中で、いや、それはおかしいというまさに住民の声があって、市長や知事がかわる、議会の構成が変わる、とめようとなったときに、本当にそういった損害賠償を求めないというスキームになるのか。

 というのは、最初の実施協定に何が書かれているかという話になるわけですよ。最初の実施協定で縛りがかかるんじゃないのかという問題であるわけです。

 基本方針案の中では、都道府県等とIR事業者との間の実施協定においては、都道府県等の申請により認定の取消しが行われた場合における補償について規定しておくことも可能としているわけです。ですから、何か問題があって認定の取消しを行うといったような場合に、その変更を行った自治体の側に補償の責務が生じるという規定を置くことも可能だということをわざわざ書いているんですよ。現に、大阪府市の実施方針案にもそのような内容が盛り込まれています。

 そうなると、実施協定の段階で、途中で変更したら補償もしますよといったことも含めて書かれているのだったら、途中で知事や市長、議会の構成が変わったとしても、もう後戻りができない、こういう仕組みにならざるを得ないんじゃないですか。それが実施協定の中身ということを皆さんおっしゃっているということじゃないですか。

赤羽国務大臣 済みません、大阪の具体的な案について、私、まだ承知をしておりませんし、言及できませんが、原則論は、先ほど申し上げました、認定期間は十年間、その後五年間でございまして、その間に議決を要するということが書かれるわけですから、そうした原則にのっとって。

 まだ、大阪云々ということじゃなくて、今八つから出ていて、それを最大三つまで絞り込む中でのプロセスで、そうしたことの支障が生じないように、塩川先生からの御提言もありましたので、参考にさせていただいて、対応を検討していきたいと思っております。

塩川委員 この点については、実施協定が縛りとなって、結果として民意を反映するということができなくなるんじゃないのかということが問われているわけです。こういうことを申し上げるというのも、その制度、スキームそのものがそういうことで設計されているということが問われているわけです。

 この点で、ことし八月の、日経新聞主催のIRフォーラム大阪というのが開かれました。そこに当時の萩生田光一自民党幹事長代行が出席をし、発言をしております。萩生田氏は、あえてこの場で申し上げるが、基本方針をつくる中できちんと解説を入れさせている、十年たったときに、知事や市長や議会の構成が変わって、やっぱりあんたたち出ていってくれと言っても訴訟になる、これはどうあっても自治体の側に非があるということになる。

 結局、議会の構成、知事や市長がかわって、あんたたち出てくれと言っても、訴訟という形で、自治体の方が悪いんだという形で、やめることができなくなるというのが実施協定の中身となるように、あるいは基本方針の中にしっかりと解説を入れるというふうに書いているわけで、まさにそのとおりの基本方針の案になっているわけです。

 ですから、知事や市長がかわっても議会の構成が変わっても、一度始めたカジノは後戻りできないということを、こういうスキームの中で盛り込んでいるということになるんじゃないですか。

赤羽国務大臣 済みません、私は萩生田さんのその発言を全く承知をしておりませんのであれですけれども、そのケース、ケース、いろいろなケースが考えられるんだと思います。

 今塩川先生が言われたようなことがないように、何か決まって、首長さんがかわることだけが原因でころっと変わるということじゃなくて、施設自体が最初のときと状況が違って、もう午前中の答弁でも答えさせていただきましたが、いろいろな障害が出てきたときにはやはり見直しが必要であるわけですし、そうしたことで認定期間も十年、五年、五年というふうにしているわけですから、そうした原則論は大事にしながら、一つ一つ対応していかなければいけないと思っております。

塩川委員 いや、要するに、事業者と自治体が結ぶ実施協定の中で、事業者に譲歩するような、おもねるような、そういう中身が盛り込まれていたら、それに拘束されるんじゃないのか。十年、五年先での見直しというのが実際にはできなくなるという点でも、こういったスキームで動かすようなカジノを進めるということは認められない。

 こういったカジノ推進のためのカジノ管理委員会を設置すべきではありませんし、カジノ法そのものを廃止せよということを申し上げて、質問を終わります。

松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十六分散会


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