衆議院

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第2号 令和2年3月6日(金曜日)

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令和二年三月六日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松本 文明君

   理事 井上 信治君 理事 関  芳弘君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 宮内 秀樹君 理事 今井 雅人君

   理事 大島  敦君 理事 太田 昌孝君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      泉田 裕彦君    今枝宗一郎君

      大西 宏幸君    岡下 昌平君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      小寺 裕雄君    杉田 水脈君

      高木  啓君    長尾  敬君

      丹羽 秀樹君    西田 昭二君

      平井 卓也君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      本田 太郎君    三谷 英弘君

      泉  健太君    大河原雅子君

      源馬謙太郎君    中島 克仁君

      中谷 一馬君    森田 俊和君

      柚木 道義君    吉田 統彦君

      早稲田夕季君    江田 康幸君

      佐藤 茂樹君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 武田 良太君

   国務大臣

   (クールジャパン戦略担当)            竹本 直一君

   国務大臣

   (経済再生担当)     西村 康稔君

   国務大臣

   (規制改革担当)     北村 誠吾君

   内閣府副大臣       大塚  拓君

   内閣府副大臣       宮下 一郎君

   外務副大臣        若宮 健嗣君

   厚生労働副大臣      稲津  久君

   内閣府大臣政務官     神田 憲次君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  安居  徹君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      佐藤 正之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  諸戸 修二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          森野 泰成君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山内 智生君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房総括審議官)           渡邉  清君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 高原  勇君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        三又 裕生君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局審議官)      行松 泰弘君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        嶋田 裕光君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  小田部耕治君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    北村 博文君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    大石 吉彦君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    高島 竜祐君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 赤澤 公省君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 小林 賢一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           大隅  洋君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           玉上  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         椿  泰文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           依田  泰君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小笠原陽一君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         江崎 禎英君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 青木 健至君

   内閣委員会専門員     笠井 真一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月六日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     今枝宗一郎君

  杉田 水脈君     古川  康君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     藤井比早之君

  古川  康君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     池田 佳隆君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官向井治紀君外三十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大島敦君。

大島(敦)委員 国民民主党の大島です。

 新型コロナウイルス感染症について、何点か御質問をさせてください。

 私、二月に、七日、十日、そして十七日と後援会の旅行を計画していまして、一月下旬の判断で、全部連絡をして中止をいたしました。ですから、今回の感染症について初期の段階から非常に危惧をしておりまして、新型インフルエンザ、一番最初に衆議院で質問したのが二〇〇六年の十月二十七日です。十四年前に新型インフルエンザ、これは病原性の強い新型インフルエンザについて、その危機感をお話をさせていただいて、当時としては、多分、一番早く取り上げさせていただいたと思います。

 ですから、その当時から、やはり鳥インフルエンザ、それから鳥から人に感染し、ヒト・ヒト感染、二〇〇九年の新型インフルエンザは、これは弱毒性でそんなに病原力が強くないインフルエンザでも、ようやく制圧できて、かつ、世界の中でも日本の致死率は一番低かったと承知をしております。

 ですから、今回の新型コロナウイルス感染症について、一月の下旬からの危機感と、当時思ったのは、一つの国としての管理目標として二つあるなと思いました。一つは、感染が広がり、病院の受入れが困難になる医療崩壊、これが一つです。もう一つは、米国が日本からの入国を制限したり禁止をした場合の経済に与える影響、この二点が我が国の国家管理の目標かなと考えて、一月、二月になってから、ずっとそれを考えていました。

 私、二月の十八日の私どもの部会で外務省に、二月十八日に、外務省の仕事としては、米国が我が国からの入国を制限したり禁止したりする事態がないようにしっかり取り組んでくれるんだなということをお話をさせていただいたので、その後の取組について聞かせていただければと思います。

若宮副大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員が御指摘いただきました新型コロナウイルスにつきまして、まず、全般的なお話し向きでございますが、クルーズ船への対応を含めまして、我が国の状況や取組に関する正確な情報、これを国内外に適時適切に説明、発信していく、このことは極めて重要だと考えてございます。

 外務省といたしましては、在京の外交団を対象といたします説明会を数次開催するとともに、日本からの渡航者に入国の制限などを行っている国、地域等に対しましては、日本人が不当な扱いを受けないよう、在外公館を通じて必要な申入れを行っているところでもございます。

 今御指摘いただきましたアメリカでございます。米国につきましては、現時点で、日本に対する入国制限措置を導入するとの具体的なお話はないというふうに承知をいたしているところでもございます。私ども日本政府といたしましても、米国政府に対しましては、今後とも日本の感染防止対策、そしてまた日本国内の現在の状況を丁寧に説明していく考えでございます。

 そういった形では、今、私ども、トランプ大統領がいろいろな御発言をされておられるのは委員も御承知のとおりかと思いますけれども、注視をしているということは一般的な立場を述べたものだというふうに理解いたしておりますので、現時点では、ないということでございますが、引き続き、さまざまなレベルでアメリカ政府に対しては連携をし、御説明を申し上げている、こういった状況でございます。

大島(敦)委員 米国は、二〇〇九年の新型インフルエンザの致死率が一番高い国です。だから、物すごく危機感を持って水際対策をやっているはずです。恐らく、我が国と違って公的医療制度が整っていませんから、水際で防げなくなったら防げないという、多分理解をされているのかなと思います。

 外国の方に説明するに当たって、今の理屈で私は納得するとは思わない。私は、新型インフルエンザ等特措法の範疇に最初から入れるべきだと考えていました。入れることによって、二月の初旬であれば、米国政府に対して、我が国としてはこういう法律にのっとって都道府県、市町村全て計画できているから、感染の広がりとそのグラデーションによってそれぞれこういう次元のことをやっているから安心してくださいということが論理的に述べられる。それを、定性的なことを言ったって聞かないと思いますよ。

 これは外務省としてはしっかりと、米国政府が日本国からの入国について、あるいはその制限、禁止について、そうならないようにしていただきたいと思いますので、手短に副大臣からのコミットメントをお願いします。

若宮副大臣 今委員からの御指摘というのは非常に重要なものだというふうに考えてございます。

 先ほどお話し申し上げさせていただきましたが、アメリカ側とは緊密に連携をしてきました。また、駐米の大使館を含め、さまざまな形で説明をいたしているところでございます。

 ただ、先方との関係もございますことで、これ以上の内容の詳細についてはちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、きちっとした形で、今委員が御指摘のような、正確な、相手が理解するような形での説明、そしてまた納得をしていただけるような形で、さまざまな形での工夫をしてまいりたい、このように思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 中国なんですけれども、おととし、シンセン、香港から入って、私も十本の指の指紋をとられて、顔認証をされて、そのことを通訳の女性の方に伝えたら、私は悪いことをしていませんから怖くないと言われて、完全に個人の情報を国が握ってもおかしくないというメンタリティーです、これは共産主義国家ですから。去年、ウズベキスタンに行っても同じでした。その国がこれだけ経営資源を投入してもまだおさまっていないというのが私には非常に不思議なんです。

 武漢は一千百万人、六千万人が湖北省です。もう完全にバスも電車も地下鉄もとまっていて、個人の自由は町内会ごとに管理されています。個人のQRコード、赤、青、黄色があって、それを全て、町内会から出るときにはしっかりと、多分、共産の方だと思うんですけれども、見せて移動をしていくというのが今の武漢ですよ。

 北京も同じです。北京も、多分一月から、二月からかな、ビルに入るには、全て体温チェックしてマンションに入るんです。そうやって、全部制限しながら、そのビルで会議は、そのビルの人しか入れないから会議はできないということになっております。

 これだけ個人の自由を制限してまだようやく北京あるいは上海、南京かな、おさまっているというような今の状況なのは、我が国、武漢は一千百万人ですけれども、武漢の都市部は八百六十万人、人口密度は一平方キロメートル一万五千人、東京二十三区は九百七十万人、一平方キロメートル当たりの人口密度は一万五千人、同じですよ。首都圏から流入人口がこれだけ多いと、僕は防ぎようがないと思っているわけです。

 ですから、今、副大臣じゃなくて政府参考人でもいいんだけれども、本当に手短に、中国の我が国からの入国制限について、何かきのうから入国制限をするという御発言があったんですけれども、逆に、彼らにとっても、北京とかあるいは上海とか、ここまで管理してやってきたんだから、日本からの入国を多分規制しているはずなので、手短に答弁をお願いします。

大隅政府参考人 お答えいたします。

 中国の北京市及び上海市を含む一部地方政府が、日本を含む一部の国、地域からの渡航者に対して、中国人又は外国人を問わず十四日間の自宅又は指定施設での隔離を求めているということを受け、日本政府として、中国関係当局に対して、我が国の考えや関心を丁寧に説明しつつ申入れを行っているという状況でございます。

大島(敦)委員 ということは、中国の方が日本よりも早く日本からの入国を制限しているわけでしょう、今。

 だから、日本が制限するんじゃなくて、中国の方が日本からの感染が広がることを恐れて制限しているというのは、多分、官房長官に情報を上げるのはNSCだったり内調だったりします、私も、個人的に聞いてみた情報をお話をさせていただいています、中国の武漢が今どうなっているのかしっかり見ておかないと、我が国の感染の計画は立てられないと思っているわけです。

 その点について、官房長官の御所見があれば、お聞かせください。

菅国務大臣 内閣情報調査室でありますけれども、新型コロナウイルス感染症に関するものを含めて、国内外の情勢について広く情報収集を行っているところであります。私自身も、定期的に情報収集は行っております。

 いずれにしろ、この新型コロナウイルス感染症に関する国内外の情報、特に、当初、武漢に外務省の駐在がなかったものですから、チャーター機も、返還を含める中で、外務省から多いときは十数人、武漢のホテルに滞在をして帰国に取り組んできたんですけれども、そういう中で、さまざまな情報について報告を受けています。特に、完全にITで管理しているというのは、私自身も驚きました。

大島(敦)委員 私は、多分、今の日本は、我が国は相当危機感を持っていると思います。

 ただ、一カ月前、あるいは、私が先ほど、後援会の旅行を判断した一月下旬ぐらいは、全く、二月二十三日、閉鎖する前の中国と同じような事態だと思っていまして、チャーター機を早く派遣したことは高く評価をしております。

 ただ、その後の判断として、今でも武漢でも日本人の方は何人か残っていらっしゃいます。イオンのショッピングモールはちゃんと開いて、日本人が六人、しっかりと今、食品関係のオペレーションをしているということもあります。

 ですから、何が起きているのかということについて私もよく承知をしないので、日本の感染が広がった場合、感染のリスクが非常に高い国なので、ですから、多分、新型インフルエンザ等特別措置法をどうして適用しなかったのかということについては、長々とした答弁が政府参考人からあるかと思うので、それはやめておいて。ただ、これは政治の判断ですから、やはり、国民の命が大切だという判断に立てば、そこは特措法をすんなりと適用した方がスマートで対応が早かったのかなと残念に思っています。

 また来週、当委員会でこの法改正案が議論されるということは、この議論だけでも相当の労力と役所の人たちの御苦労もあるものですから、早目に、もう今となっては遅いかもしれないけれども、初期の段階で新型インフルエンザ等特別措置法を、このためにつくった法律ですので、細かい役所の方は、ああじゃない、こうじゃない、いろいろな理屈を言いますけれども、そこは、野党の、全部じゃないですけれども、おおむねの野党の皆さんは最初から適用した方がいいんじゃないのと言っていたから、適用しても全然問題なかったのかなとは思います。

 それで、今、菅官房長官がおっしゃっていた我が国の今後の対応について。

 私としては、今、きょうはマスクはとっていますけれども、今週から事務所に対するちょっと徹底を改めまして、人にうつさない、自分がその菌を持っていたとしたら、マスクをして、人にうつさないというふうに変えてくれと。これまでは、多分、皆さんマスクをされているのは、うつらないようにのマスクを、うつさないようにのマスクと、行動パターンに変えていかないと、多分、我が国としては感染が広がるなと思っています。

 官房長官として、さまざまな情報が上がってくる中で、これはもう政治の統制以外の何物でもないと思います。役所というのは、それぞれの役所があって、なかなか横の連絡は悪いです。政治がしっかりとグリップして、それぞれの役所に総合的に判断をして指示していかないと動かない局面がもう一月以降ずっとで、今もそうだと思うんですけれども、その点について、官房長官の御所見をちょっと手短にいただければと思います。

菅国務大臣 まず、委員から御指摘をいただきました、なぜその法律を適用しなかったということでありますけれども、それは私も全く同じだったんです。何とかこの法律を適用できないかと。しかし、残念でしたけれども、まさに、新感染症、ここの部分が乗り越えられないということで正直判断できなかったんですけれども、当初はそうしたものを真剣に模索をいたしました。

 それと、今の国の状況でありますけれども、総理が、二十七日ですかね、判断をして、小中高、全休をいたしました。これについてもいろいろな御議論はあるんですけれども、何としてもこのコロナウイルスというものの拡大を防ぐためにこうした措置をとるなど、各省庁の責任者を集める中で情報収集をして、そこで指示をして今行っていることも、これは事実であります。

大島(敦)委員 きょうは、オリパラ事務局にも来ていただいておりまして、今、ホストタウンの自治体が実施する事前合宿が中止になっているという影響があるかと思うんだけれども、手短に事実関係だけ御説明ください。

諸戸政府参考人 お答えを申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の発生によりまして、事前合宿の受入れあるいは公開練習が中止されるなど、ホストタウン事業の実施に影響が生じていると認識をしております。準備してきたことを行えず、残念な思いをしておりますホストタウンの自治体が幾つもあるところでございます。

 以上でございます。

大島(敦)委員 官房長官、先ほどの二点の管理目標、医療崩壊と米国が日本からの入国を制限するというこの管理目標と、オリンピックに向けての管理目標を考えると、入国制限をする国が一カ国でもあったら、なかなかオリンピックの開催は難しいのかなという思いもあるんです。

 これは、外務省がそういう気づきでやっていたのかどうかというのはよく考えてほしいなと思うの。要は、入国制限をしている国が一カ国でもあったら、その国からの選手団の派遣が本当にできるかどうかというのはわからないじゃないですか。

 物事には管理目標があって、そういう管理目標で個々の役所がしっかり動くように目標設定してほしいなという気持ちがあります、官房長官には。そうしないと、役所は動かないものですから。

 その点について、官房長官から、そういう管理目標、私はそれが必要だと思うんですけれども、その点についての御示唆をいただければと思います。

菅国務大臣 冒頭、委員から二点ありました、医療崩壊と米国の制限。実は、医療崩壊については、さきの新型ウイルスですか、その経験を、これは厚生労働省の現場でしっかりと前回のことを受けて取り組んでおりますので、そこは、私は当初、なぜ一気にやらないんだという思いがあったんですけれども、もしやってしまったら、まさに医療崩壊につながって大変なことになる、そういう中で、制限を設けて診査等を今行って、そこはそのことでよかったなというふうに思っています。そして、次の段階、最悪の段階を、最悪のことを考えながら対応をさせていただいている、ここは事実であります。

 オリンピックにつきまして、今御指摘をいただきました。このオリンピックの目標というのは、正直、とにかく全部壊滅するまで取り組んでいくというのが、これが基本だというふうに思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 逐次投入か、初期の段階で圧倒的に投入するか。恐らく、中国は、武漢及び湖北省は最初は多分見逃して、次に圧倒的な投入をし、北京なりは最初から圧倒的な投入をし管理に置いているというところだと思いますので、今どこまで圧倒的な投入ができるかというところがあるものですから、その点についての危機感と、もう一つは、国民はここ一、二週間我慢すれば後はふえないんじゃないかと、誤解を招いている人が多いと思います。これは、ピークの五千メーターの高さを三千メーターまで落とすのか四千五百メーターで終わるのかという違いであって、これから感染が広がりますから、要は、四月以降の学校の開校についても本当にできるかどうかというのはわからないと思います。ですから、それは文科省に、文科大臣に、四月以降の体制についてもさまざま考えなければいけないなとも思いますので、その点もよろしくお願いします。

 厚生労働省から来ていただいている吉永さん、労働政策が担当なので、忙しくて、労働政策担当なんだけれども厚生の話をしに来ていただいているんですけれども、二点質問通告してあって、私どもの回答として、私は、高層マンションがクラスター、感染が広がるのかなというおそれがありまして、これは検証しなくちゃいけないなと思っています。一階で自宅待機、家族が感染する、エレベーターを使っている、違う階の家族が感染して、その高層マンション自体が、本当に自宅待機で正しいかどうかという判断があると思っていて、厚生労働省の御見解を手短にお願いします。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 三月二日に専門家会議の見解をお示ししておりますけれども、屋内の閉鎖的な空間で、人と人とが至近距離で一定時間以上交わることによってクラスターが発生する可能性が示唆されてございまして、クラスターが次のクラスターを生むことが感染の急速な拡大を招くと考えてございます。

 高層マンションにつきましても、一律に判断することは難しゅうございますけれども、いずれにいたしましても、こうした環境が生じないように、また、基本になりますのは、手洗い、せきエチケット等を徹底する、風邪症状があれば外出を控えていただく、外出する場合はマスクを着用していただくことにより感染防止につながるということだと思っておりますし、高層マンションにおきましても、共用部分におきまして感染防止を徹底していくということが重要だと思っておりますので、効果的に感染予防ができますように努めていきたいというふうに考えてございます。

大島(敦)委員 私の危惧に終わればいいんですけれども、これから感染はおさまるよりも、高い山を登り始めるわけですから、高層マンションとかマンションにおける防疫の体制について、厚労省の先週の判断ですと、専門家の意見がないから今のところは一般的な措置でいいというのが厚生労働省の現時点での判断だと思うんだけれども、本当にそれでいいかどうか。

 武漢、シンセンも、あるいは北京も、三十階建ての高層マンションがずっと続いている、ある一面、近代都市です。ですから、あの三十階建てのマンションの中で自宅待機といったときに、広がっているかどうかということは、私は確認したいと思っていても、なかなか現地まで行けないものですから。ですから、そこの所見については、自宅待機といっても、それはひょっとしたら患者は分けた方がいいかもしれないし、ただ、東京においては、マンションですから、難しいかもしれない。その点について、厚生労働省としてもしっかりと検討をし対策を練るように、官房長官にも、一言後で言っておいていただければと思います。

 もう一つは、新型インフルエンザ等特措法で、市町村なりが多分マスクの備蓄をしているはずなんですけれども、その点について、備蓄があるかどうか、その備蓄についての放出ができるかどうかについて、ちょっと聞かせてください。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 自治体におきまして、一定程度のマスクにつきまして備蓄をしておりまして、新型インフルエンザ等特別措置法におきましては、相互協力によりまして、努力義務はあるものの、他の自治体について備蓄の放出というところまで来てはございません。

 ただ、新型インフルエンザ等対策特別措置法におきまして緊急事態宣言がなされた場合につきましては、医療品、食品、医療機器等につきまして、当該物資につきまして自治体に売り渡すということができる、要請ができる規定がございますので、こうしたことも含めまして、最終的に緊急事態宣言が出た場合という形にはなりますけれども、そういうフレームはあるということでございます。

大島(敦)委員 官房長官、マスクは、新型インフルエンザ等特措法で、努力義務規定ですけれども、市町村は持っていらっしゃいます。ここは一つの判断かもしれない。ずっと私どもとしては、あるんだけれどもどうしてとめ置いているんだということを伺っていまして、その点についても、官房長官から、持ち帰っていただいて、マスクについてこれだけ皆さん困っていらっしゃるので、対応を。

 あと、こういう個々の細かい点なんですけれども、こういうことの積み上げで対策はできているんです、こういうことの積み上げで。役所は全て法律にのっとってやろうとしておりまして、それは彼らとしては法律にのっとってやるから、それを超えるにはある程度の改正は必要だと思うんだけれども、運用とかさまざまな手だてもあるかと思うので、その点について、官房長官から今後、今後なんですけれども、当たられることについての、今、二点について指示していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

菅国務大臣 委員御指摘いただきましたように、一人一人ができる一つ一つを積み重ねていくというのは、目に見えないウイルスとの戦いの中では極めて大事だというふうに思っています。

 それと同時に、今、この御指摘の中で、役所の運用の仕方、そうしたものの、常に安全に安全に考えて、マスクの例も多分そうだというふうに思っています。

 そうしたことも含めて、政治判断が必要なときはしっかり政治判断をして、一人でも防ぐことができる、そういう思いの中でしっかり政府を挙げて取り組んでいきたい、このように思います。

大島(敦)委員 国民が理解できる政治判断と国民が嫌がる政治判断があるものですから、そこのところは切り分けながら、このマスクの問題は命にかかわることですので、よく相談していただけたらと思います。

 官房長官、三十分になりましたので、ありがとうございました。

 続きまして、経済に対する影響について、西村さんに聞きたいの。

 今回の所信表明を見ると、何か経済は非常にいいと書いてあるんですけれども、多分、これから大変な事態になって、年内いっぱいは続くと思うんですよ。今、アジアでも、今回日本は中国からの渡航制限をしたし、多分、中国も日本からの渡航制限をし始めると、ちょうど四月ですから、ここは社内異動の時期なので、向こうに行けないということもあったりもして、そのことについて、西村大臣として、どういう手だて、六月の骨太方針もあったり、さまざまな経済運営に携わっていらっしゃいますから、その点についての現時点での危機感とか、御自身が考えていることについて御答弁ください。

西村国務大臣 御指摘のように、この新型コロナウイルス感染症の拡大が我が国経済に相当の影響を今もたらしてきているんだろうと思います。まさに、中国からのインバウンドを含めて、世界からのインバウンドが影響を受けておりますし、さらに、中国への輸出、それに伴う生産が滞っている、あるいは、中国からの部品が届かずに、サプライチェーンの一部が毀損をして生産におくれが見られる等々、さらには、世界経済全体が落ちることによって日本経済にも影響があるということで、かなりの影響が出てくるものというふうに思っております。

 その意味で、まずは国内の感染拡大の防止をしっかりと進めていくことが大事だということで、終息させるべく、政府一丸となって全力を挙げているところであります。

 当面、さまざまな資金繰り、中小企業に影響が出ておりますので、既に五千億の融資、保証枠を用意をいたしておりますし、あるいは雇用の維持という観点から雇用調整助成金の要件緩和などを行ってきておりますが、さらに、こうした中小企業の資金繰り、それから雇用の維持、これを更に強力に支援をするという観点から、三月十日を目途に、予備費の二千七百億円を活用して、緊急対応策の第二弾を今取りまとめているところでありますので、必要な対策をしっかりと講じていきたいと思っております。

 今、観光とか消費の喚起をやる段階ではないわけでありますので、終息した後には、昨日の未来投資会議でも議論がありましたように、こうした人の動きを活発化する、そうしたキャンペーンをやったらどうかという御指摘もいただきました。

 まずは、どの程度この感染が時間がかかるのか、いつ終息するのかということを、全力を挙げて取り組みながら見きわめていきたいというふうに考えておりますが、いずれにしても、臨機応変に、必要があればちゅうちょなくさまざまな政策を打っていく、そういう決意でございます。

大島(敦)委員 三月四日、これは鍾南山さん、二〇〇二年から二〇〇三年のSARSを中国でしっかり管理をしてこれを終息させたのがこの鍾南山さんで、これが三月十一日がピークで四月末までにおさまっていくと三月四日におっしゃっていらっしゃっていて、おさまらないかもしれないし、でも、ある程度めどが見えつつあるのかなと思います。

 中国の方が多分早目に終息する可能性がありますよね。そうすると、年の後半から中国が物すごく財政出動をしながら経済を軌道に乗せると、ちょうどそのときに、我が国を含めて西側諸国はまだ停滞しているわけですよ。私は、日本企業の買収を含めてさまざまなことが起き得ると思っている。そういう危機感を持ってほしいんですよ。

 他国との関係で、日本よりも中国の方が終息をし、一帯一路の戦略は正しいですから、私も宇宙を含めていろいろと向こうに行って意見を聞きながら、そういうことなんです。だから、中国が先に終息をし、そこから後ですから、私たちの国は。そのときに、多分、中国としては、さっき私が危惧しているような買収とかさまざまな手を打ってくる可能性もあるのかなと、おそれじゃなくて。

 だから、その点についてしっかり取り組むように一言言っていただけるといいかなと思うんですけれども。

西村国務大臣 中国は中国で感染拡大を防ぐために全力を挙げていると思いますし、我々も全力を挙げておりますし、さまざまな、情報交換をしながら、連携もしながら取り組んでいるというふうに認識をしております。

 そうした中で、経済について見れば、貿易や投資が活発化していくことは、何より我が国経済、そして世界経済はそれによって発展をしていくわけでありますので、基本的に、すぐれた人材、すぐれた技術、そして資金、こういったものが流れていくことが大事だというふうに思っております。

 その上で申し上げれば、我が国の安全を損なうようなそういう投資、技術や人材、こういったものを狙った投資、こういったものには適切に対応する必要があるというふうに考えております。

 先般改正した外為法で、こうした考えに基づいて、めり張りのある直接投資を目指す、そういった方向性を出しておりますので、私の立場からは、一般論で言えば貿易投資は活発化していくべきだ、しかし、日本の技術や人材を狙って、そうしたことにはしっかりと目くばせしながら、この外為法のもとでしっかりと監視をしていくということだというふうに考えております。

大島(敦)委員 西村大臣、済みません。そこまで、西村大臣まで質問しようかなと思っていたんですけれども、若干時間が足りなかったものですから、お許しください。

 昔は共産主義対資本主義でしたけれども、先ほど述べたように、今のは体制の違いですよね。個人の情報を国が持っていても当然だと思うこの国のあり方と、選挙を前提とした、選挙というのは、発展を目的としていないのが民主主義だと思っているので、できるだけ合意形成を丁寧にやる、この二つの体制の大きな競争が始まっていると思っている。だから、インドシナ半島は、ベトナムを含めて、カンボジアも中国モデルを、要は、ウズベキスタンもそうかな、この間行ってみたけれども。なかなか共産主義国家にはなじみやすい。

 ただ、そこで物すごく大切なのは、人民の国に対する支持なんです。これは人民が、要は、中国政府、習近平政権に対して非常にネガティブな報道が多いんですけれども、でも、一千万人旅行に日本に来て、一千万人帰っていくわけですよ。国に対する信頼があるからできるという統治機構なんです、これは。

 だから、やはり政治の信頼をしっかり我が国でもつくっておかないと、今回、これからこの特措法ができて緊急事態宣言をするときに、本当にそれを国民が納得してくれるかどうかというのは、政治に対する信頼以外の何物でもないと思っているので、その点をぜひ、政府に集う皆さんは丁寧な答弁に心がけていただいて、政治の信頼を取り戻すよう努力して、私も努力しますけれども、していただくことをお願いをし、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 衆議院の三谷英弘です。

 本日は、この質問の機会をいただきまして、理事の皆様、そして委員各位の皆様、本当にありがとうございます。

 きょうは、二つの点、まずは新型コロナウイルスの点、そして、続きまして規制改革の点についてお伺いをしたいというふうに思います。

 規制改革の点につきまして北村大臣にちょっと答弁をいただこうと思っている関係で、しばらくちょっとその場でお待ちいただくような形になりますので、どうぞ御容赦いただければと思います。

 きょうは、新型コロナウイルスということで、今ちょうど改正をしようというような話もありますけれども、新型インフルエンザ等対策特別措置法についてちょっとお伺いもしようかなというふうに思ったんですが、今、ちょうどそれについてさまざまな議論が行われているというところでもございますし、実際、改正が行われるということであれば来週ということでありますので、この点はちょっと飛ばさせていただきまして、それよりも、さまざまな、身の回りの諸問題といいますか、主にマスクの点についてお伺いをしていきたいなというふうに思っております。

 その質問に入る前に、本当に、今回の新型コロナウイルスに関するさまざまな対策を、厚生労働省さんを中心に、そして各省の皆様が鋭意取り組まれていることについて、心から敬意を表したいと思います。

 私の地元は横浜でございまして、ダイヤモンド・プリンセス号が停泊をしております大黒ふ頭というのがあるんですが、この前、本牧ふ頭の側からダイヤモンド・プリンセス号をちょっと眺めさせていただきました。本当に大きくて勇壮で美しい、そういったクルーズ船が今回のさまざまな本当につらい思いをされている方々の現場となったということについて、本当に悲しいような気持ちでいっぱいとなったわけですけれども、さまざまな問題提起がなされているということは十分承知をしております。

 しかしながら、ついこの前もニューズウィークで、国井修さん、専門家の一人だと思いますけれども、指摘をされております。検疫介入を始めた二月五日以降の発症者の多くは潜伏期を考慮すると介入前に感染したもののようで、感染者数の推移からは介入の効果は認められるんだというような評価もいただいております。

 よりよい対策をしていくためにどうしたらよいかということについては、落ちついてからしっかり事後的な検証を進めていけばいいかなというふうに思っておりますけれども、まずは現時点でできることはしっかりとやっていただいているということにつきまして、本当に心から感謝をしたいというふうに思います。

 また、地元では、実は、このダイヤモンド・プリンセス号に関して、地元の医師会の皆様もJMATというチームを編成して、実際乗船をされて健康管理に当たられたという話も伺っております。

 また、地元の薬剤師会の皆様も、本当に各国からお客さんがいらっしゃっている中で、必要な薬が何かというリストを提供されて、もちろん、その提供されているリストに書いてある薬というのは国内で処方されている薬ばかりではなかったというふうに聞いております。実際どういう薬があるか、いろいろな言語で書かれているわけですから、それをしっかりと医薬品を特定をして、その成分にさかのぼって調べて、一番それにふさわしいような、今在庫としてある薬を選んで、そしてそれを提供したというようなさまざまな努力があったというふうに聞いております。

 そして、最初はそのリストも、書かれた紙を示されたということもあったようなんですが、やはりそれでは危険だろうということで、ファクスで提供され、続いては電子メール等々のメッセージの形でそういう情報の伝達が行われたというようなことで、本当にそういうさまざまな努力をされたということにつきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 ダイヤモンド・プリンセス号については、事後的にということなので、あえてこの場では質問をいたしません。なので、きょうの本題でございますマスクについて、少しお伺いをしたいなというふうに思っております。

 そもそも今、こういう形で活動をさせていただいておりますと、医療従事者の皆様から本当にもうマスクがないというような声をよく聞きます。加えて、医療現場のみならず介護職、介護現場でも、多くの高齢者の方々と接する、そういった仕事でもありますので、ぜひともマスクをつけたいというような声が多く届けられております。そういった声にしっかりと対応していただくようにお願いをしたいわけでございます。

 加えて私の地元事情を申し上げれば、この私の地元横浜市の青葉区、緑区というところは、非常にベッドタウンなんですね。東京へ、あるいは横浜の中心地へ仕事で向かわれるという方々が、本当に満員電車に乗って仕事場に向かわなければいけないというような状況でもあります。

 御案内のとおり、テレワークですとか時差出勤ということが呼びかけられておりますし、加えて、三月に入りましてからは、学校が政府の要請によりまして休校になっていますから、非常に、朝の混雑という意味では大分緩和をされております。私も地元から国会に来る際に電車を使っておりますけれども、その中でぎゅうぎゅうに混雑するということはさすがになくなっています。しかしながら、肩をずっとぶつけるというところまでいかないかもしれないけれども、本当に混雑した電車の中で三十分、一時間過ごさなければいけないというような状況が実はまだまだ続いているわけであります。

 先日の厚生労働省が発表した内容によれば、感染場所として挙げられたのが、スポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントとされていて、共通するのは、換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間、不特定多数の人が接触するおそれが高い場所というふうにされておりまして、その上で、換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まることを避けてくださいというふうな要請まで厚生労働省の方で行っていただいております。

 それを聞くと、明示はされていないけれども、満員電車というのが本当にそういった場所に該当するのではないかということで心配される方は非常に多くいらっしゃるというのは当然なんだと思います。

 そのこともありまして、今、電車に乗っていただければわかりますけれども、大半の人がマスクをつけて通勤されているというような状況です。

 もちろん、この時期ですから、花粉症等々でくしゃみをされたり、何らかのタイミングでせきをされたりという方もおりますけれども、そういった方がいると、みんなどうするかというと、場所を避けるんですね。背中を向けるということもありますし、ちょっと乗る場所を移動するというような対応をされている方もいらっしゃいます。

 本当にぎりぎりのところで平静を保っているというのが正直なところだと思いますし、何とかマスクを供給してほしいというような思いは極めて高いわけです。

 なので、医学的にはマスクがどれぐらい効果があるのかというようなことについてさまざまな議論があるというふうに言われておりますけれども、少なくとも、もちろん、自分が人にうつすというようなことを防ぐために効果があるだけではなくて、ほかの人が発した唾、直接的に飛沫が口に入らないですとか、そういった限度では一定の効果があるだろうというふうに言われておりますので、その程度の認識であると思いますが。

 そういう意味で、今、政府が行っております新型コロナウイルス対策に向けての内容、マスクの安定供給を含めてという点ですけれども、まずは内閣官房としての覚悟を説明していただきたいと思います。お願いします。

安居政府参考人 お答え申し上げます。

 政府は、新型コロナウイルス感染症に関し、国内外の状況が刻々と変化する中で、対策本部を開催し、政府一丸となって感染拡大防止に全力で対応してきたところでございます。

 議員御指摘のマスクについても、昨日の対策本部会合におきまして、今月は、例年の需要を大きく上回る、月六億枚以上の供給を確保していること、また、現下の品薄状態を踏まえて、来週取りまとめる第二弾の緊急対応策に需給両面から総合的なマスク対策を盛り込むことなどについて、総理から御発言があったところでございます。

 政府といたしましては、対策本部長である総理の指示のもと、引き続き、何よりも国民の命と健康を守ることを最優先に、政府一丸となって対応していく所存でございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 マスクの供給量は、まず月産六億枚ということで、非常に大幅の増産をしていただいているということではあります。非常に心強いことではありますけれども、実は、確認をさせていただいたところによると、春節が始まったといいますか、その期間の二月の第一週には、一週間でマスクが九・五億枚販売されたというようなデータがございますというふうに聞いております。

 もちろん、その多くがその瞬間に使われたということではないと思っておりまして、今後のマスクの需要を含めて見込んで、それなりの方が実は買い占めて持っている、実際、在庫として抱えている方々が少なからずいるんじゃないかというような状況が見てとれるわけです。そういった方々は、自分で抱えてどうするかというと、当然ながら利益を得るために抱えているわけですから、今何をやっているかというと、インターネットを使って転売をしているというようなことであります。

 このマスクの転売というのは、例えば、よく例に挙げられるのがヤフーオークション、ヤフオクのようなものでありますし、それ以外にも、例えば、アマゾンとかメルカリ、又は楽天、そういったさまざまなところでマスクが販売をされているわけです。

 そういった、マスクが転売されているという状況の中で、どのような対策を行われているか、その点について、対策を教えてください。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 一部ネット上でマスクが高値で販売されている実態を踏まえまして、経済産業省におきましては、大手ネット販売サイトの運営企業と私自身が対話、調整を重ねまして、二月二十八日に、オークションや電子商取引での販売についての要請を行ったところでございます。

 具体的内容でございますけれども、まず、ネットオークションにつきましては、転売目的での買占めを防止するため、三月十四日以降当分の間、マスク及び消毒液の出品の自粛を要請したところでございます。また、電子商取引につきましては、より多くの消費者の手に渡りやすくなりますよう、三月十四日以降当分の間、小ロットの出品以外は認めないように要請したところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 経済産業省さんにおいては対応を行っていただいているというところでありますけれども、この要請の内容がちょっと気になるところでありまして、三月十四日以降、ネットオークション事業者においてということで、マスク等々の出品の自粛を要請しますということなんですが、先ほど申し上げたように、ネット事業者の中では、ネットオークションをやっている場合もあれば、ネットオークションというのは落札者が値段を決めるというものなんですが、ただ、それだけじゃなくて、例えばメルカリとかそのほかの転売サイトにおいては、自分が、販売をする人が値段を決めて、それをその価格で買いたいといえば買えるというようなことになる。それが一般的なネットの販売だと思いますけれども。

 今回のその要請というのは、ネットオークションだけを対象にしているというふうに理解すべきなのか、一般的なものを含めての要請なのか、ちょっとお答えいただきたいと思います。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 ただいま申し上げました二月二十八日の要請でございますけれども、オークション事業者に対しても、オークションに出さないという要請をしております。そして、今おっしゃったように、通常の、出品者が値段を決めるものについても要請をしております。

 これはどちらに対してでもございますけれども、以前に消費者庁さんが、高値でそもそも取引をしないようにという要請がありますので、これはさらに、同じく高値で取引をしないということを両者に対して要請したものでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 その要請が実はそれなりに功を奏しておりまして、高値でのそういった販売というのは非常に今、制限をされているというか、極めて出品数も限られているような状況です。もちろん、出品数が限られているというよりは、そういった各ネット事業者が各自の努力を進めていただいていて、そういった出品があったら次々とその出品を削除していくというような対応をしていただいておりまして、その意味では、政府とネット事業者との連携というのは非常にうまくいっているのかなというふうに思っております。

 しかしながら、実はその点で少し問題が生じていることがあります。

 きょうちょっとこちらでお持ちしたんですが、これは実は、マスクなんですが、五枚入りで大体千円ぐらいのマスクです。これは何かというと、実はジップロックに入っているマスクなんですよ。もともとの販売されている状態というのは、普通に箱に入っているなりしたんだと思うんですね。でも、今、ある程度の金額以上で出品すると削除されてしまうので、そうするとどうするかというと、小分けにして売るんです。小分けにするということは何を意味するかというと、袋をあけて、その中から手で出して、ジップロックなりなんなりに入れて販売をするという形になります。

 当然ながら、極めて不衛生です。衛生を維持するために買ったマスクが、そういう形で不衛生に小分けされている。だけではなくて、これは未使用かなというふうには見えるので、多分いいんだと思うんですけれども、誰かが使ってきれいに畳んで入れられたってわからないんですよ。

 そういう意味で、こういう形で今マスクが、ネットを見ていただければわかりますけれども、大体相場を調べたら一枚百円から二百円の間ぐらいで販売をされているというような状況です。

 だから、こういうようなやり方、今のその要請の中には、袋をあけて小分けをして販売をする、要は人の手が実際触れている形で転売するということも実は要請の中に入っていないんですけれども、そういったことを何らかの形でやめてくれというようなことを言いたい、今言うお考えがあるかどうか、お答えいただきたいと思います。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 実際、各社を回った段階で、小分けの要請についてはその議論をしております。したがって、出品されるものについては、中をあけて触れるようなことのないように、要するに包装された最小単位をベースとして考えてくださいということで各社要請しております。

三谷委員 今のところ、口頭での要請というのはあるのかもしれないんですけれども、こういう形で明確に明記をされていないということもあるのかわからないんですけれども、残念ながら、そういった小分けでの販売が非常に多数、現時点でも行われておりますので、しっかりとその辺についての対策を進めていただきたいというふうに思います。

 実は、今回、先ほどの最初の内閣官房の回答の中にもありましたけれども、来週以降、総合的な対策を行っていただけるということであります。恐らくは、そこで考えられているのが国民生活安定緊急措置法、この二十六条なんだというふうに一般的には言われておりますけれども、そこで、マスクの転売をするということを、その行為自体を規制していく、しかも罰則つきで禁止をするんだというような報道が今あります。

 きょうもNHKのニュースでも出ておりましたけれども、総理がこういった発表というか発言をしていただいたおかげで、インターネット上では非常に今値崩れが進んでおりまして、来週以降、もしかしたらマスクが転売できないかもしれないということを恐れた転売ヤーの皆さんが、慌てて持っている在庫を売りに走っているというような状況があるというふうに聞かれております。

 本当にこれは、アナウンス効果という意味では非常によかったなというふうに率直に思うわけでありますけれども、しかしながら、あとは、本当にこの規制をつくった後にそれがワークするか、効果があるかどうか。規制をつくると、必ずそれをすり抜けようとする事業者が出てくるということで、その戦いになってまいります。

 個人的にも、これは議員立法という形でつくらせていただいたんですけれども、チケットの高額転売禁止法というものがあります。これは、ここに理事でいらっしゃる宮内先生、そして山下先生を始め、自民党の中でもさまざま議論させていただいて、そしてこれは超党派の議連ということで、各党各会派、全ての賛同をいただきまして成立させていただいた、そういった法律でありますけれども、本当は、それをつくるときには、誰がどういうふうに販売することを規制するか、これは罪刑法定主義との関係も非常に大きな問題としてあります。これは単なる、そういったことはやめましょうねという理念法ではなくて、禁止をするという、刑罰を科すということであれば相当なつくり込みをしていかなければいけないなと考えられます。

 その意味では、事業者に限らず、一般の普通人に対してもそういった規制を行うのかですとか、じゃ、小売とは何ですか、あるいは小売と転売の違いは何ですか、あるいはその金額、どの程度の金額で売るとそれはいけないのか、そもそも本当の普通の値段でもいけないのかみたいな、そういったさまざまな要素を考えていかなければいけないということになりますが、その点について今検討が進んでいることがあれば、担当の方にお答えいただきたいと思います。

江崎政府参考人 お答えをいたします。

 議員御指摘のとおり、昨日の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、総理から、国民生活安定緊急措置法を適用し、マスクの転売を禁止するため、速やかな施行に向け、政令の決定に向けた手続を進めるよう指示があったところでございます。

 現在、この指示を受けまして、消費者庁、厚生労働省とともに、今内容についてまさに鋭意検討しているところでございます。

三谷委員 ぜひとも鋭意検討を進めていただければというふうに思います。

 本当に難しい問題が多々出てくるだろうと思いますので、そこはしっかりと、アナウンス効果という意味では、チケットの転売の禁止をつくった段階でそういった転売が大分少なくなったという過去の例もありますので、そういうアナウンス効果は大きいんですけれども、実際にそういったことをつくった上で、それが機能するような形で、すり抜けるような、そういった悪い業者が出てこないような対策を進めていただければということを心からお願いさせていただきます。

 それから、一点目について大分時間が押してしまいましたので、ちょっと進ませていただきます。

 テレワーク等の進め方を支援を今していただいているというような状況もあります。それはちょっと時間がないので飛ばさせていただきまして、申しわけありません。

 その後、実は今回、コンテンツ産業への非常に影響が多いという点もちょっと簡単に申し上げさせていただきたいと思います。

 今回のさまざまな自粛要請というようなことがあります。もちろん、観光業等々についてはそもそもお客さんがいなくなってしまっているということでの影響はあるわけですけれども、一方で、例えば音楽、ライブとかそういったライブエンターテインメントのようなものに関しては、お客さんは、見たいというニーズはもちろんあるわけです。ニーズがなくなっているから売上げが落ちたということでは決してありません。ニーズはあるんだけれども、それをすることで国民の健康、安全、それを害してしまう可能性があるからということで、やむを得ず中止をされているというような状況です。

 二月の末にはライブを行われた東京事変さんも、大阪公演以降五公演を見合わせるというような判断もされております。また、Jリーグですとかそういったところの開催も今延期をしている。それが、実は今回の状況がいつまで続くかわからないというような中で、いつまでそういう対応は進めていかなければいけないかわからない。今後の見通しが非常に不明確になっております。

 そういう意味で、そういったコンテンツ産業、特にそういった現場で楽しんでいただけるようなライブエンターテインメントへの影響、これをどのように緩和していくか、それについてのさまざまな手だてがあれば、それを教えていただきたいと思います。

小笠原政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のライブエンターテインメントの事業、こういった事業を含めまして、中小企業の方々の資金繰りの確保、何よりも重要というふうに認識をしております。

 先月中旬に取りまとめました緊急対応策におきましても、こうした事業者の資金繰りを徹底的に支援するということで、五千億円規模の融資枠、それから保証枠を確保したところでおります。

 具体的な支援、二点ほど申し上げます。

 まず、融資の点でございますが、日本政策金融公庫による貸付けの点でございます。

 業績が悪化している事業者さんに対して貸付けを行うセーフティーネットにつきまして、貸付要件の緩和を実施をしております。既に業績の悪化を来している事業者にとどまらず、今後影響が懸念される事業者まで対象を拡大することといたしました。

 それから、信用保証協会による保証であります。

 経営の安定に支障が生じている事業者に対しまして、通常の保証枠とは別の保証枠を設ける、これをセーフティーネット保証というふうに言っておりますが、これについて措置を実施をいたしました。すなわち、セーフティーネット四号、そういったところで、保証の対象地域として全ての都道府県を指定をするとともに、セーフティーネットの五号と呼ばれる措置におきまして、保証の対象とする指定業種に新たに、芸能プロダクションあるいはコンサートプロモーターなど、そういったところが該当する、劇団、そういったことを、ライブエンターテインメント関連の業種を追加させていただいたところでございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 当面の資金繰りという観点に関しては、そういったセーフティーネットを拡充していただくということでよろしいかと思いますけれども、それに加えて、本当に売上げが減ってしまったというようなことで、本当に莫大な損害を抱えていらっしゃる方々も少なからずいらっしゃるということで、先日、自民党の政務調査会が提言を出させていただいております。

 新型コロナウイルスによる経済への影響緩和策という中で、政府要請を受けての大規模イベントの中止に伴い損失をこうむる関係者への支援に努めることということを明記がされておりまして、その要請を政府の方にさせていただいているわけですけれども、そういったセーフティーネットの拡充に加えて、さまざまな損失を補填するような仕組みがつくれないかという点について、またお答えいただきたいと思います。

小笠原政府参考人 お答えをいたします。

 今先生改めて御指摘のライブエンターテインメント、これを始めとする日本のコンテンツ産業、このインバウンド需要ということにも、獲得にも貢献する非常に重要な産業というふうに認識をしております。

 こうした認識のもとに、令和元年度の補正予算におきましても、このライブエンターテインメントを含むコンテンツ産業の海外展開、こういったことを支援する補助金を措置し、日本のコンテンツ産業を後押しをさせていただこうとさせていただいているところでございます。

 委員から御指摘のありました現下の状況につきましては、刻一刻と変化しているというふうに認識しております。今後とも、事業者の皆様の状況を丁寧に把握し、必要な対策をスピードを持って打てるよう取り組んでまいりたいというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 もちろん、現時点でお答えできるのはそのところまでということは十分理解をしておりますので、さまざまな状況の変化に伴って各事業者の声というものにぜひ耳を丁寧に傾けていただいて、必要な対策を講じていただければということはぜひともお願いをさせていただきたいと思います。

 本当にさまざまな対策を今進めていただいているということであります。本当にテレワークも、総務省さん、経済産業省さん、そして厚生労働省さんにおきましてさまざまな対策を進めていただいているということについても心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 職住近接というものが進められればというふうに考えておりますし、そういった観点、家で仕事ができるというような環境をつくっていくということは、今回のことがあろうがなかろうが、実は必要なことだったんだろうというふうに思っております。ピンチをチャンスにではないですけれども、しっかりとそういった対策は各事業者において講じていけるように御支援を引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 それから、大きく二点目、あと残された時間で進めさせていただければと思います。

 規制改革の点についてなんですが、これはもう以前から、規制改革をしっかり進めていかなければいけないというのが私が政治を志した一番の思いでありまして、今、日本が抱えている問題点は少子高齢化ということです。

 日本のGDPを何とか上げなければいけないということではありますけれども、労働投入量、働く人とか時間をふやすというのは残念ながら限界があります。もちろん、一億総活躍ですとか女性活躍社会とか、そういったものを進めてはおりますけれども、限界がある中で、やはり労働生産性、G7の中で最下位の労働生産性を上げていくということは非常に一つ今後の展望があるところかなというふうに思っております。

 そのためには、今までのやり方に固執していても始まらないわけで、新しくできたイノベーションを取り入れていくというのが不可欠ではないかというふうに考えております。

 現在、私は自民党の行政改革推進本部の中の規制改革チームというものに加えていただいておりまして、そこで事務局長をやらせていただいております。昨年の十一月の末ですけれども、大臣に直接申入れに伺わせていただきました。提言を持ち込ませていただきました。AIですとか5Gなどの進展に伴ってビッグデータをリアルタイムで効率的に処理できるというような状況ができてきておりますので、そういった観点からさまざまな規制をある意味改革をしていくことができるんじゃないかというふうに考えております。

 ポイントは三点ありますが、ちょっと、その三点はもう既に説明をしたので、簡単に申し上げさせていただきますと、まずは、規制をざっくりとした規制から精緻化していく、本当に必要なものかどうかというような形で規制を見直していく。今、今国会でも割賦販売法の審査手法の高度化というような改正が検討されておりますけれども、まさにそれはそのうちの一つなんだろうというふうに思っております。

 二つ目はソフトウエア。規制を代替するようなソフトウエアが常にアップデートされていくということで、例えば自動運転におけるそういったシステム、ソフトウエアについては、随時バグが見つかったらアップデートしていくということを許容していくということが必要なんだろうというふうに思っております。

 それから、規制の内容についても、ゴールベースへの規制に変えていかなければいけないということで、要は、今までは行為態様について規制をしていたものを、行為態様ではなく目的、ゴールをちゃんと担保することが必要だという形で規制を変えていただいて、そのゴールがちゃんと達成できているかどうかというのは、その事業者が言っているだけではなくて第三者、中立的に第三者機関がそれを担保することができるような仕組みをつくっていく。そういった形にすることで、各事業者の自由度というのは飛躍的に高まるんじゃないかというふうに考えておりますが、この規制改革に向けた思いと意気込みというものをぜひとも北村大臣にお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。

北村国務大臣 ありがとうございます。

 昨年九月、私が大臣の任を頂戴しました際、総理から、規制改革をしっかり頼むと強い思いを託されました。その思いに応えなければならぬと覚悟いたしておるところであります。

 現在、デジタル化が進み、経済社会が急速に変化している中で、私も離島の出身の政治家として、少子高齢化が進む中でどのように島の学校教育、あるいは委員大変御関心をお持ちのテレワーク、あるいは医療サービスなどを維持していくか大変懸念しており、遠隔教育や遠隔医療などで、デジタル化の進展にはひときわ強い期待と関心を持っております。

 また、スマート水産業あるいはスマート農業など、デジタル技術を用いた生産性の向上も進めていかなければならないという強い意識を持っております。

 規制改革推進会議におきましては、デジタル社会に対応する規制のあり方や課題について御議論をいただいており、委員御指摘のとおり、ゴールや目的を定めてしっかりとした議論をしていただきたいと考えております。

 今後、規制改革推進会議が答申の取りまとめを予定をいたしておる本年夏ごろに向けて、どのような切り口で規制あるいは制度を見直していくか、方向性を整理し、実効性のある具体的な計画策定に向けていかなきゃならぬと考えております。私も担当大臣として、国会の許す限り参加をさせていただき、ともどもに議論をしながら、事務局としてもサポートしてまいりたいと考えております。

 以上です。

三谷委員 大臣、極めて力強いお答えをありがとうございます。しっかりと進めていただければと思っております。よろしくお願いします。

 その上で、きょうは少し具体的に一点だけ取り上げさせていただきたいと思いますけれども、さまざまな規制等々がある中で、一つ最近出てきたものが、電動キックボードというものがあります。いわゆるスマートモビリティーという中で、マイクロモビリティーですね。その中で、キックボードにある意味モーターがついて、乗っているだけで進めるというようなものがあるわけですけれども、そういったものを、これは実は世界では広くもう既に走っているような形になっていますけれども、日本でこれから導入させていこうという動きがありまして、なかなかそれが現行上進んでいないというようなところもあります。

 きょうは警察庁さんだけちょっとお越しいただいておりまして、警察庁さんの中のお考えをちょっと伺えればというふうに思っております。

 もちろん、安全性というものをしっかりと担保していかなければいけないというのは当然の大前提でありますので、そういった観点で、何でもいいよというようなことを言えないというのは、それはもちろんそうだと思います。

 ただ、少しずつでもそれを認めていく方向に持っていけないかなということで、ちょっと一つ一つ御相談をさせていただきたいと思いますけれども、大きく三つの点があるかと思います。

 まずは走行場所。これは、今の電動キックボードも、原動機付自転車というような整理になりますので、ちゃんと車道を走ればいい。何とか、もちろん、そういったナンバーを得て車道を走ること自体は禁止をされていないわけですが、その場所を広げられないか。あと、現在、原付ですから免許が必要だという点。それから、当然ながらヘルメットが必要だ。

 この三点が大きく課題としてあり得るわけですけれども、ちょっと時間の関係もあるので簡単に申し上げますと、それぞれ広げることができるかどうかについて、そのためには何が必要かについて、お考えをお答えいただければと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 電動キックボードにつきましては、我が国におきましては原動機付自転車という位置づけでございますので、委員御指摘のとおり、免許を持ち、それから車道を通り、ヘルメットをかぶってという走行が認められているということでございます。

 現に、さいたま市などにおきましては、立ち乗り電動スクーターを原動機付自転車としてヘルメットとともに貸し出す方式でのシェアリング事業が行われております。

 他方、御指摘のように、事業者におきましては、歩道や自転車レーンを通りたい、あるいはヘルメットの着用を不要としたい、運転免許を不要としたいという要望がございます。

 こうした要望に対しましては、例えば、歩道などを通行しますと子供や高齢者を含みます歩行者の安全が図られるのかとか、ヘルメットを着用しないで転倒しますと頭部損傷しないのかとか、あるいは、原付免許程度の交通ルールも知らないで安全が確保できるのかというような懸念が一方では示されておるわけでございます。

 これらに対しまして、現在、生産性向上特別措置法に基づきまして、事業者による実証実験が大学構内において行われておりますが、実際に規制を見直すということになりますと、実際の道路上で相当規模の実証実験を行って、その上で、先ほど申し上げましたような懸念が払拭されるかということでありますとか、国民の皆様の幅広い御理解が得られるかということを検証していくことが必要と考えております。

 こうした考えのもと、内閣官房、国土交通省、経済産業省などの関係省庁とともに、さらなる実証実験の実施ということの可否についても検討を進めているところでございます。

三谷委員 時間となりましたので、これで終了させていただきたいと思いますけれども、あとはもろもろ個別の御相談をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

松本委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 おはようございます。

 きょうは、新型コロナウイルス対策についてお伺いしていきたいと思いますので、官房長官、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、きょう、中国、韓国から入国制限ということで、入ってこられる方は十四日間停留していただくという報道があったんですけれども、ちょっと私はとても違和感がありまして、もともと、やはり感染症の対策というのは、最初に水際対策をして、水際対策をした後に感染が広がったら、今度はフェーズが変わって、感染拡大を防ぐということであって、今回のこの十四日間の停留というのは、これは水際対策ですよね。

 これは、もっと早くやるべきだったんじゃないですか。もう国内で感染が広がり始めてから水際対策を強化するというのは、これはちょっと順序が私は違うんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

菅国務大臣 まさに空港で、検疫も含めて、そこはしっかり対応してきている、こういうふうに思っています。

今井委員 いや、ちょっとお答えいただきたいんですけれども、こういう措置はもっと早くするべきではなかったんでしょうか。

菅国務大臣 今までも、武漢だとかあるいは韓国等の一定のところからは対策を行ってきていますし、入り口でも、そこでしっかりチェックをしてきている、こういうふうに思っています。

今井委員 今回新たにこういう措置をする理由は何でしょうか。

菅国務大臣 まさに中国において、北京や上海等で、日本を含む国々に対してそうした措置をとっているということも事実でありますし、韓国においては、私どもの想像を絶するぐらいに陽性の方がふえてきて、そこはやはりそういう状況の中で今回このような措置をとらせてもらった、こういうふうに思っています。

今井委員 習近平国家主席の来日が延期になりました。私は、習近平主席を来賓でお招きするのは賛成の立場でございますけれども、ただ、この延期が決まったのと、今回のこの措置が余りに同じ時期、同じときに発表されておりまして、習近平主席の来日がこの判断に影響したんだとすれば、やはりそれは、これは別の話ですからね、国賓でお迎えするということと、国民の安心、安全を守るということは別の問題ですから、そこがやはり判断として、そのことが配慮されてここまで来てしまったんだとすれば、それは大きな問題だと思うんですよ。

 そういうことではなかったということですか。

菅国務大臣 全くそんな状況ではないです。これは完全に別で、私ども、行っております。

今井委員 もう一つ、ちょっと違和感がありますのは、私たちは、いわゆるダイヤモンド・プリンセス号、言ってみれば、あの中は本当に非常に危険な状態で、ミニ武漢みたいなものですよ、そういうような状態の中で、その方たちが日本に下船されて入るときには十四日間どこかに停留してもらう、隔離と言ってもいいかもしれませんけれども、そういうことをするべきだというふうにお願いをしてきたわけです。でも、それは、政府はそういう方法をとらなかった。しかし、今回は、中国や韓国から来られた方を、十四日間どこかに泊まってくださいとおっしゃっている。

 これは、私は対応が全然やはりちぐはぐだと思うんですよね。あのときは、なぜ、そういう非常に危険が高い方たちをお帰ししちゃって、今回はこういう方たちを十四日間、言ってみれば、武漢あるいは湖北省は非常に危険だと思いますけれども、最近、中国は、それ以外の省では一日の新しい感染者は数人です。大分おさまってきているところですよね。それを考えたら、クルーズ船の方がよほど危なかったんですよ。

 そこでそういう措置をとらないで、今回こういう措置をとるというのは、私は全くちぐはぐになっているとしか思えないと思うんですけれども、どうしてこういう違いが出てしまっているのかを教えていただきたいと思います。

菅国務大臣 クルーズ船の対応というのは、まさに三千七百人のクルーズ船でありました。そして、世界五十六カ国の方があの船で、乗組員やお客様でありました。そういう中で、日本において、当時この人たちを隔離する場所ということは不可能だったと思います。

 チャーター便で、三日月に協力をいただきましたけれども、全てと言っていいぐらいお願いをしましたけれども、引き受けていただいたのは三日月一つだったんです、これは残念なことでしたけれども。そういう中で、公務員の宿舎を始め、ありとあらゆるものを私ども探し出した中で、チャーター機の方には、皆さん、十四日いていただきました。

 ただ、クルーズ船というのはそれぞれ個室がありますから、個室の中で待機をしていただいて、そこで検査をしてきたわけであります。

 それと今回の措置というのは、全く私は違う状況だったというふうに思います。

今井委員 現実として、やはり下船された方で陰性だった方が、その後、陽性になったというケースが実際に起きてしまったわけですから、それを適切だったというのは、私はちょっと妥当ではないと思いますね。

 場所がなかなか確保できなかったので仕方ないということであれば、それは一つの理由なのかもしれませんが、本来であれば、やはり十四日間どこかで停留していただくということをとるべきだったと思います。

 今、場所がなかったというふうにおっしゃっておられましたけれども、今回、中国、韓国から入ってこられる方、十四日間、日本のどこかで停留していただかなきゃいけないわけですけれども、この場所は確保してあるんですか。

菅国務大臣 いわゆる厚労省の、まさに検疫所長等が、空港近辺のホテルは今非常にあいていますから、そうしたホテルなどを考えております。

今井委員 一般のホテルに泊まっていただくということですか。そうすると、そこにはほかの宿泊客はいらっしゃらないということでよろしいんですか。

菅国務大臣 来られる方は、検疫でもチェックしていますし、陽性の方でもないわけでありますから、空港近辺のホテル、これは要請になっています、そうしたお願いをする、ホテル等で考えております。また、御自宅のある方は、当然御自宅ということであります。

今井委員 済みません、もう一度確認します。

 一般の宿泊客と同じホテルに泊まっていただくということになるんですか。

菅国務大臣 全く誰もいないということは難しいと思っています。

今井委員 ちょっとそれは、大丈夫なんですかね。十四日間、念のために、陽性かもしれないということでお泊まりいただくところに一般のお客さんも一緒におられるという状態は、これはちょっと不十分というか、問題があるんじゃないでしょうか。

菅国務大臣 それは、十分隔離して、何階かフロアを分けるとか、いろいろなことで対応したい、こういうふうになってくるというふうに思っています。

今井委員 いや、もしそうされるんでしたら、私は、そこを借り切って、そこにはそういう方だけをお泊めするとか、それぐらいの措置をとらないと、それは階ごと分けるといっても、エレベーターには乗りますし、それは接触する機会はありますよ。それぐらいのことをやって、しっかり、やるならそれぐらい徹底してやるべきだと思いますけれども、いかがですか。

菅国務大臣 委員は、明らかにその人たちが全てそうした病原体を持っているという前提の上だというふうに思いますけれども。

 実は、今までも、これは今続いて来ているわけでありますから、何人来ているかというのも私どもは承知をしています。

 そういう中で、今回このような判断をし、空港周辺のホテルというのは今ほとんどあいているんですよね。そういう中で、しかるべき措置、先ほど申し上げましたけれども、そうした階段ごとにするとか、そういう中で対応をすることになるというふうに思っています。

今井委員 私は、そこの中の方たちが全員陽性だなんていう前提でお話をしていません。

 念のため、陽性の方がいらっしゃるかもしれないという理由で十四日間どこかにいていただくんですから、その間に国内の一般の方と接触をしてしまうような環境をつくるというのは本末転倒じゃないですか。それは、やはりおっしゃっていることは私はおかしいと思いますよ。

 ちょっと、ほかにもお伺いしたいことがあるので、じゃ、どうぞ。

菅国務大臣 いずれにしろ、厚労省の中で適切なしっかりとした対応をとるように、こうしたことになるというふうに思います。

今井委員 じゃ、提案にしておきますけれども、ぜひ、せっかく実施するのであれば、やはりぴちっとそういう接触を断つというような厳しいやり方をしないと、やってみたけれども、やはりそこから感染しましたなんてなったら、そんな状態になったら、本当に何のためにやったのかがわからなくなりますので、ぜひそういう厳しい管理というか対応をお願いしておきたいと思います。

 次に、来週出てくるとされております特措法についてお伺いをしたいんですけれども、まずちょっと、これも違和感があるんですが、二月の二十四日に専門家会議がありまして、ここで今後一、二週間が瀬戸際であるとおっしゃられ、二十五日に政府が基本方針を出しました。二十六日には、ちょっとそれでは十分じゃないということで、いろいろなところに行かない、イベントを自粛してくださいということをお願いし、そして、二十七日には学校の休校をお願いするという段階になりということですね。

 この日程を見れば、この特措法は早くても来週いっぱいということに恐らくなるんじゃないかなと思うんですけれども、そうすると、ここ一、二週間が瀬戸際と言ってから、もう三週間ぐらいたっちゃっているわけですよね。その段階で発効する特措法をつくる意味とは一体何なんでしょうか。

菅国務大臣 今の状況を委員も御存じで発言をしているんでしょうけれども、国内で今発症、陽性の方というのは三百事例ぐらいであります。ただ、今までイベントの中止だとか、あるいは学校の全休だとか、さまざまな対応をさせていただいています。そうした中で、今の状況であれば、そこはまさに瀬戸際と言われる中で、対応というのはしっかりさせていただいておるというふうに思っています。それと、そういう中で、最悪の事態を考えて、今回法律を出させていただくことにしました。

 ですから、そういう意味において、遅いという御指摘は、私は当たらないんだろうと思います。

今井委員 今のお話でちょっと確認いたしますが、今度の特措法には、非常事態宣言をする、そういうものが盛り込まれていると思うんですけれども、きょう、今この時点は、緊急事態宣言をするような事態にはまだなっていない、そういう御認識だということでよろしいですか。

菅国務大臣 専門家の意見も含めて、そんな状況だと思っています。

今井委員 今はそういう状況ではないということですね。

 そうすると、今後、来週以降ということになるんですか、政府が本当に努力して僕はこれは抑えてもらいたいですけれども、最悪の場合、感染が拡大してしまって、そういう事態がもしかしたら起きるかもしれないので、そのためにこの法律をつくっておきたい、こういうことでよろしいんですか。

菅国務大臣 そういう考え方であります。

今井委員 念のため申し上げておきますけれども、別にこれは答弁は要りませんし、もう既にいろいろなところで議論されていますけれども、私たちは、今回は従来の新型インフルエンザの特措法で十分読み込めると。当時、またどこかで質疑があるかもしれませんが、立法にかかわった、携わった方も、そういう趣旨で立法したというふうにおっしゃっておられますので、我々の解釈としては、今の現行法で十分対応できるということでございますので、来週、その法案が出てきたときには、そういう観点も踏まえてぜひ議論をさせていただきたいというふうに思っているところでございます。

 次に、きょう、これは一番聞きたいことなんですけれども、PCR検査の件なんですが、まず、ちょっと現状、きょうから実は保険が適用されるということで、保険が適用されると一体どうなっていくんだろうかということを確認をしていきたいと思うんです。

 まず、厚労省の方にきょう来ていただいていますので、現在のちょっと数字を教えていただきたいんですが、今、キャパシティー、能力としては一日四千件PCR検査ができるということだと思いますが、それの確認と、その上で、現在ウイルス検査がどれぐらい実施をされているかという数字。何か報道によりますと、急にふえたという報道も伺っていますので、その辺の経緯も含めて。

 それから、帰国者・接触者相談センターにまずは相談をしてくださいという仕組みになっていて、そこで、じゃ、受診をした方がいいですねという御指導があると受診をして、受診をした中で、今度はその中で、検査を受けた方がいいですねということで国立感染症研究所の方に依頼をする、こういう流れだと思うんですけれども。

 まず、相談センターに今どれぐらい相談が来ているかという件数、そして、それに対して受診をどれぐらいしているか、その受診をした中でどれぐらいの方が検査を受けているか、この数字がわかったら教えていただきたいんですけれども。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 PCR検査につきましては、その検査能力の向上につきまして、厚生労働省として対策を進めているところでございます。現在までに、国立感染症研究所、検疫所だけでなく、地方衛生研究所、民間検査機関や大学などの協力を得ながら、一日に最大四千件を上回る検査能力を維持、獲得したところでございます。

 また、現在のPCR検査の実施状況でございますけれども、一日当たり大体千件前後という状況でございます。このほとんどは、行政検査としての国立感染症研究所や地方衛生研究所で行われたものでございます。

 委員御指摘のとおり、本日からPCR検査が保険適用されたことによりまして、民間検査機関が大体現状で千四百件ぐらいキャパがございますので、こうした検査能力を活用しながら検査体制の充実を図っていきたいというふうに考えてございます。

 また、現在の国内の検査体制でございますけれども、帰国者・接触者相談センターに寄せられております相談件数は、二月三日から三月四日のトータルで十万六千百八十八件でございます。このうち、帰国者・接触者外来の受診者につきましては三千五百三十六件となってございます。(今井委員「その中で検査を受けた人は」と呼ぶ)

 済みません、失礼いたします。確認させていただきます。

松本委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こして。

吉永政府参考人 申しわけございません。

 接触者相談センターの相談を受けた方のうちのPCR検査の受診数については現在確認中で、現在判明してございません。

今井委員 数字を把握していないんですか。大丈夫ですかね、そんなことで。

 PCR検査を受けられる方はルートが二つありまして、今の私の説明したルートですね、相談センターから行って、行くルートと、それから、一般のお医者さんが診てこれは重症だというときに、保健所に連絡をして、保健所の方から、じゃ、これは検査してくださいねというのと、この二種類あるんですよ。そうですよね。この二種類の合計が今検査を受けている方の総数なんですね。

 私が持っている問題意識は、まず、重症の方が保健所へ行ってPCR検査を受けるというのはいいんですけれども、今聞いていただいたように、十万件以上の相談があるんですけれども、そこで受診をしているのはたったの三千五百件です。恐らく、ちょっとまた数字をちゃんと出していただきたいんですけれども、その後にPCR検査を受けている人は更に物すごい少ないということなんですね。

 もちろん、相談センターにはちょっとしたことでも相談してこられる方もおられると思いますから、総数がふえること自体は十分あり得るんですけれども、ここをよくちょっと私は確認してもらいたいのは、この相談センターのところが一つのボトルネックになっていたり、あるいはこれからなったりしないかということなんです。

 そこで相談して、本当はPCR検査をやってもらいたい、あるいはやる必要があるのに、入り口のところではじかれてしまって受けることができない、こういうことが生じないように、もちろん、おっしゃるように、一日四千件しかありませんので、全部を受けるというわけにいきませんけれども、でも、そういう方たちは出ないように、実際、保健所に断られている件が何十件かあったという、もう既に報道がありますよね。ああいうことが起きないようにするために、厚労大臣も、どこにボトルネックがあるかを調べてみるとおっしゃっておられましたよね。

 だから、ここの部分もそういうことが起きていないかをぜひちょっと確認していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 PCR検査の一日の対応件数と実際の件数というものに差がある状況がございます。また、委員御指摘のとおり、希望する方が受けられていないという状況もあるということは承知してございます。

 そういう中で、大臣からも御答弁しておりますけれども、どういう状況なのかということは確認しつつ、必要な方が適切に検査を受けられるような体制につきまして構築してまいりたいと考えてございます。

今井委員 ぜひよろしくお願いします。

 それで、今後、そのPCR検査のキャパをどれぐらい上げていくかという問題で、保険適用になったらどれぐらいふえるかという問題なんですけれども、現状はキャパが一日四千件、そのうち受診をされているのは千件ですから、三千件の余裕がありますけれども、まず、このキャパの方からお伺いしたいんですが、今後、このキャパはどれぐらいふえていくという見込みでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、関係機関等々、大学なども含めまして、対応可能数につきまして、増加につきまして協力を依頼しているところでございます。

 また、民間の検査機関につきまして、現在、一日当たり千四百件程度の検査能力という形で先ほども御答弁させていただきましたけれども、保険適用が進みますと、民間の実際の能力というものは更に大きいものというふうに考えてございますので、このあたりの精度管理を確認しつつ、こういったもので実際の対応可能数をふやしていきたいというふうに考えてございます。

今井委員 官房長官、ちょっとぜひ御理解いただきたいんですけれども、PCR検査をするには機械と試薬が、二つ必要なんです。

 今、試薬は、全世界何十社から、うちのやつを使ってくれといって物すごい売り込みが来ていまして、一社何万個、うちは提供できますよといって、来ているんですが、問題は機械なんですよ。機械が十分にないと、結局、幾ら試薬があっても広げられないんです。だから、今四千件なんです。六百件はふえるという答弁が既にあって、四千六百件なんですけれども、これ以上ふやせないんですよ。なぜかといったら、機械がないからです。

 ちょっと確認したいんですけれども、安倍総理が、今まで数時間かかったものが十五分でできるようになったとおっしゃっていますが、これはとても誤解を招くので確認したいんですけれども、まず、PCR検査をするには、遺伝子を抽出する、それぞれ検体ごとにこうやって入れていく、それを機械に入れて、その遺伝子を増殖させて、そこで変化を見て判定をする。

 最初の、九十六個まとめて前はやっていましたから、この九十六個、一個一個すごい手間がかかるんですね。これに二、三時間かかるんです。その後、機械に入れて、機械で判定するのに一時間半から二時間かかる。だから四時間から五時間かかるということなんですけれども、この後半の一時間半から二時間は、実は短縮できない。短縮できるのは何かというと、今まで九十六個まとめてやっていたので、九十六個そろえるまでにすごい手間がかかったんです。でも、それを今回、じゃ、三個か四個に分けて細かく検査しましょうというふうにしたので、この取り出す作業が九十六個じゃなくて四個だから、だから十五分でできる、こういうことですよね。

吉永政府参考人 委員御指摘のとおり、PCR検査につきましては、おおむね四つの工程がございます。一つが、検体から核酸を抽出する作業がございます。また、試薬を調製し、抽出した核酸を検査用の容器に入れる作業がございます。また、核酸を増幅させて新型コロナウイルスを検出するための作業がございます。また、判定を得るまでの作業がございます。

 このうち、新しい機械につきましては、検査全体の中で二時間程度を要しております核酸を増幅させ新型コロナウイルスを検出するための作業が十五分程度に短縮できるということでございます。

 委員御指摘のとおり、この新しい機器、簡易検査機器につきましては大量の検体を処理するものではございませんけれども、ただ、小規模な検査を行う機関などがフルに活用することによりまして、検査の能力を向上させることができるものと考えてございます。

今井委員 そういうことなんですね。ちょこっとずつやれるようにしていくということができるようになりますということであって、大量にやれるもの、大量の検査が迅速なスピードになるというものではないんです。ですから、実は、そちらの面からでもキャパはふえていかないんですね。ふえていかないんです。

 だから、本当に、今、厚労省さんでは、各検査機関あるいは民間から、おたくでどれぐらい受けられますかということをヒアリングして、それを積み重ねたのが四千という数字です。それには、機械だけではなくて、機械を使う人の技術があるかどうかもありますし、それから、その機械はPCR検査だけに使っているわけではありませんので、一日何時間使えますかというところまで確認して、それを合計したら一日四千件ですということなんですね。

 今、それとは別に、ほかのところに、もう少し、おたくでもできませんかというようなアンケートをとっているはずなんですけれども、そちらの方の結果はいかがですか、今のところ。

吉永政府参考人 現在、調査の途中でございまして、まだ取りまとまっている状態ではございません。

今井委員 そうですね。ですから、どれぐらいふえるか全くわからないわけです。

 となると、もう一度確認したいんですけれども、保険適用をしたとしても、現状の一日四千件、あるいはちょっとふえた四千六百件、これぐらいが、今のところ、保険適用になったからといって、最大やれる件数はこの程度だということですね。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 現在集計中でございまして、最終的なところまでは申し上げられる状況ではございませんが、現状の推計によりまして、現在回収しているところ、回答をいただいているところでございますと、今月末で六千件弱程度まではふえるものと見通しているところでございます。

今井委員 官房長官、きょう、僕は追及しているより、ぜひ理解をしていただきたいんです。

 保険適用になったとしても現在のキャパ以上はできませんし、現在の体制でやる限りは微増でしかないんです。ですから、韓国のように、一日一万件できるとか二万件できるとかというところにはとても及ばないんです、今のままだと。もしそこまで広げようとするのであれば、もう機械をとにかく国が補助をして、ばっとやれるところをふやすとか、キャパをふやさない限りできないんですね。それが今できていないんですよ。だから、このこともやはり頭に入れながら対策をしていただきたい。これは要望です。

 ちょっと、それについてぜひ御答弁いただきたいんです。

菅国務大臣 医師が必要と判断をしたときには確実に検査が受けることができる、そうした体制は政府としてはしっかり行っていきたいというふうに思います。

 それと、委員からいろいろな専門的なお話がありました、時間がなぜかかるかということも含めて。

 そういう中で、クルーズ船のときは、職員も、民間の方も含めて、徹夜で検査をしてもらったりして倍の結果を、倍処理していただくとか、そうしたこともいただいているんです。

 今まだ千少しの検査ということの報告ですが、とにかく、医師が必要だという判断をされた方については、そこは全員受けられるようにしたい、こういうふうに思います。

今井委員 ぜひそれをお願いしたいんですね。韓国も中国もあれだけできるようになったのは、やはり国が主導してやったからなんですよ。だから、民間の人たちに、皆さん、お願いしますと言ったって、こんなのはできませんから。国がちゃんと主導して、ふやすならふやすということをやっていただきたい、そのことをお願い申し上げておきたいと思います。

 ちょっとあと、最後に、済みません、経産省の方に一つだけ。

 五千億の例の五号の分ですけれども、これは、日本政策金融公庫でセーフティーネット四号、五号、それから、民間の金融機関で五号の信用保証協会、それからあと、商工中金もプロパーでやられるそうですけれども、保証協会の審査手続というのは、僕も、保証協会、担当していたこと、実務をやっていましたので、三週間ぐらいかかるんですよ。こんなに時間がかかっていたら、もう間に合わない事業者がたくさん出てきます。

 しかも、これは、五千億設定したら、どわっと来ますから、保証協会の方の事務がパンクするんじゃないかと思うんですけれども、この対応はちゃんと考えておられますか。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 日本政策金融公庫と都道府県の信用保証協会の相談窓口の実績を見ますと、二月十三日に緊急対応策を発表して以降、相談の実績が急増しております。三月四日時点での相談件数は、一万四千件ということになっております。

 この結果、非常に繁忙期に至ってきているということで、この対策が問題になるわけでございますけれども、審査手続、それから貸付け、保証手続を迅速化させ、いち早く融資、保証を実行することが何よりも重要でございます。年度末の金融繁忙期ということも踏まえまして、更に最大限迅速化、審査手続、貸付け、保証手続に努めるように配慮要請を実施しております。

 これによりまして、日本政策金融公庫では、状況に応じて、本部の人員などからの応援の派遣、それから支店の営業時間の延長、定期の人事異動の凍結、こういったことをやっております。

 また、各信用保証協会では、状況に応じて、柔軟な人員配置による相談、審査体制の強化、休日、平日の相談受け付け時間の延長ということで、必要な体制に取り組んでいるということでございます。

今井委員 ほかにもありましたが、時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、官房長官、官房長官は先手先手だという認識だとおっしゃっていますけれども、私は、全然、やはり後手後手に回っていると思うんですね。だから、やはりこれはもう与野党協力して、とにかく何としても防がないといけませんから、我々は先手先手でやっているんだというふうな、そういうふうに思わないで、ここから取り直すんだ、取り返すんだというつもりでぜひ頑張っていただきたい。そのことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

松本委員長 次に、泉健太君。

泉委員 国民民主党の泉健太でございます。

 立国社の会派として、また質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、官房長官、そして北村大臣にお越しをいただきました。

 まず、今ほど今井委員も扱いましたけれども、コロナウイルス対策について御質問をしたいというふうに思います。

 今、政府の方からは、党首会談を踏まえて法案が出されるという状況ですけれども、既に、閣議決定前ですけれども、やはり、時間がなかなかない、緊急を要するということで、我々も、厚生労働省、そして内閣官房から今説明を受けているところであります。

 ただ、この国会の場でそのリアルタイムの状況を官房長官にお伝えするということ、多少自分の中でも違和感がないわけではないんですが、しかしながら、やはり事態は大変重要だということでお伝えしますと、現時点では、野党に対するというか、たまたま野党に対するということかもしれません、説明が非常に曖昧な部分が多くて、我々も真剣に政府案を理解したいというふうに思っておりますし、その中で、少しでもよいものをこの機会につくらねばならないという思いを持っているんですが、残念ながら、けさもヒアリングをいたしました、明確な答えがない。極めて残念であります。

 これでは、野党の議員の皆さんにおいても、非常に不満がたまるというか、本当にこのまま政府案を認めてよいのかという声すら実は出てきている状況にあるということで、改めてですが、官房長官、各省庁に指示をしていただいて、今回のこの異常事態についての新法については、ぜひ十二分な説明をするようにということを指示をしていただけないでしょうか。

菅国務大臣 そこは私の責任のもとにしっかり対応させていただきたいと思います。

泉委員 ありがとうございます。

 党首会談があって、そして官房長官のこの御答弁がありますので、至急、御指示をいただきたい。

 また、野党の方は、昼にもまた新型コロナウイルス対策の合同本部を開催いたしまして、そこでもまた改めて政府、役所の方から、朝の説明が余りに抽象的というかはっきりしないところがありましたので、昼にまたいただくことになっています。ぜひ、そのときにはしっかりとした説明がいただけるようにということを改めてお願いしたいと思います。

 さて、内閣官房には、国際感染症対策室というところがあると思うんですけれども、こちらの方がツイッターでも発信を始めております。

 今回、新法についての一つの論点というのは、我々は、やはりこういった新型インフルエンザのような新たな感染症というのは今後も起こり得る、今後も起こり得るからこそ、新型インフルエンザ等特別措置法、そういうものが我々の中では予定をされていたというふうに考えているわけですね。この新型インフルエンザ特別措置法の中における新感染症というところの中に、新型コロナウイルスを読み込めるではないかとずっと訴えてまいりました。それを読み込めば、いいとは言いませんが、非常事態宣言も含めてさまざまな措置に法的根拠を持って措置を講ずることができる。

 今、やはり、どうでしょう、多くの国民が感じているのは、政府も頑張っているかもしれない、目に見えない敵と一生懸命戦っているかもしれない、ただ、いつ何が出されるのかがわからない。ここは多くの国民にやはり混乱、不安、心配を与えてきたんだと私は思います。それが、ひいては、ああいうさまざまなものの買占め、デマ、そういうものにもつながりかねないわけですね。

 やはり、こういう事態には何が予定されるのかというものが国民自身が予見できるようにしておかなければ、いつ、どんな判断、指示が政府から出るかわからないというのでは、大きな混乱、今回の休校についてもそうだったと思います。

 その意味で、この感染症対策室が一つ見解をツイッターで出されました。それは、今回、なぜ新型インフルエンザ対策の特措法を使えなかったのかという問いに対して、新感染症については未知のウイルスしか対象にしていないからだというふうにツイッターで発信をしております。これは政府の公式見解でよろしいでしょうか。対策室が出していますからね、整理が必要だから。

菅国務大臣 事実関係を私は承知していませんけれども、ただ、その立場で出したということは、少なくともそういう意向の中で出たのだろうというふうに思います、確認をしていませんけれども。

泉委員 では、その未知のウイルスしか対象にしていないという見解は、法制局が判断をされたのか、あるいは厚生労働省が判断をされたのか、専門家会議が判断をされたのか、御存じですか。

菅国務大臣 今般のコロナウイルス感染症が新感染症に該当するかどうかについて、これは厚生労働省が検討したが、今回の感染症は原因となる病原体が特定されていることなどから、新感染症には該当しないという判断をされたということであります。

泉委員 官房長官、ありがとうございます。

 それは何月何日という理解でしょうか。

菅国務大臣 今、いつの日かというのは、これは調べさせたいと思いますけれども、今の時点においては持ち合わせておりません。

 ただ、これは私の記憶でありますけれども、かなり前から、そのままで、いわゆる新型インフルエンザのものについて今回も適用できないかということで、私、実は指示しましたので、結局、これは無理だという報告が来たわけでありますので、それはかなり前だったというふうに記憶をしています。

泉委員 私は、きょう実は官房長官と北村大臣だけにと思っていたんですが、非常に強い要求があって、厚労副大臣も呼んでほしいというふうに言われましたので、いいですよ、わかりましたと言いました。でも、それはもしかしたら、今よかったのかもしれません。

 では、厚生労働副大臣、今論点になっている、いつ厚生労働省が未知のウイルスにしか対象にしていないということを決めたのか。追加して、わかれば、官房長官にそれをいつ報告したか、あわせてお答えください。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 新型コロナウイルス感染症に係る政省令の改正の経緯というところで申し上げますと、一月の二十八日に指定感染症、検疫感染症に指定する政令を公布をしている、したがって、当該の時点では、二月七日に施行させていただく、そのように説明させていただいたところでございます。

泉委員 済みません、政令の発表がたしか一月二十八ですよね。

 改めてですけれども、厚生労働省として、新感染症という定義は未知のウイルスにしか対象にしていないというふうに決めたのはいつですか。

稲津副大臣 正確を期すために、そこは後ほどまた、日にちについては報告をさせていただきたいと思います。

泉委員 私、本当に委員会をとめたいつもりも何にもありませんが、これは無理だと思います。そのための厚生労働副大臣ですので、ちょっとやはりそれをお答えを今いただかなければ、これは審議にならないです。しかも、過去の経緯ですので、もう事実としてある話ですから、それは今すぐ言えなきゃおかしいんですよ。

 ということで、とめてください。

松本委員長 ちょっと速記をとめて。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 稲津副大臣。

稲津副大臣 もう一度説明をさせていただきたいと思います。

 先ほど、私、一月二十八日に指定感染症、検疫感染症に指定する政令を公布ということをお話し申し上げました。したがいまして、この二十八日に公布をさせていただく前に、本当に何日かと言われたらちょっとうまくあれですけれども、その直前、数日前にその対応をすることを整理させていただいたということでございます。

泉委員 副大臣、では、そのときに法制局とは協議いたしましたか。

稲津副大臣 相談させていただいております。

泉委員 これは会館内におけるヒアリングというか、そのときには、法制局は厚労省から相談はないと言っています。なかったと言っています。本当に、相談をした、相談をされているという見解でよろしいですね。それは、場合によっては、答弁が間違いになりますよ。

稲津副大臣 繰り返しのお答えになりますけれども、審査までさせていただいていますので、御相談はさせていただいております。

泉委員 続いては、いわゆる専門家、厚労省内の医官とかではなくて、専門家の皆さん、会議体なんかでこの見解は整理をされましたか。

稲津副大臣 専門家の方々に報告をさせていただいて、そしてその上でこの体制を整えさせていただいております。

泉委員 副大臣、もう少し丁寧に。今のだと、事前か事後かわかりませんので。

 政令を公布する前に、専門家会議等々で、当時は専門家会議なるものはなかったような気もするんですが、この政令を公布する前に、専門家の何らかの会議体、例えば、新型インフルエンザでいえば諮問会議のようなものがあったと認識しておりますけれども、そういった専門家の皆様にこの議論を付したということはありますでしょうか。

稲津副大臣 お答えさせていただきます。

 法律のいわゆる施行のところの話になりますので、そのことだけに限定すれば、専門家の方にこれを諮るというものではないというふうに思います。

泉委員 今のお話を伺っていても、未知のウイルスにしか対象にしていないということについて、どこまで本当に政府が議論した上で明確に統一の見解として出されているのかというところが、私は大変怪しいというふうに思っております。

 やはり医療の専門家でも見解が分かれると思いますし、官房長官、何より、二月二十九日、安倍総理大臣記者会見冒頭発言のペーパーをきょう持っておるんですが、こう言っております。今回のウイルスについては、いまだ未知の部分がたくさんあります、そういう発言をされております。苦笑ですよ。苦笑なんですよ。

 それは、コロナウイルスというのはわかっているかもしれない。しかし、コロナウイルスとわかっているから、対処できていますか。じゃ、MERSやSARSと全部同じですか。こういうことが問われているときに、我々は、それは分類としては同じかもしれないけれども、それを新たなものだとして、新感染症ではないというふうに、しかも、専門家からちゃんとした議論をしていただかないまま、それを政府の見解として、実は、一月の早い段階に指定感染症という方に行ってしまったから、もう新インフルエンザ特措法を除外して考えていかなければいけなくなってしまったということなんです。

 これは本当にもったいない話でありますし、ですから、そういった意味では、これはただ過去の議論ということではなくて、新法をこれから協議をし成立させていく上で、改めてですが、この新感染症ということの中に含めるということもやはり考えていただきながら、具体的には与野党協議だというふうに思いますけれども、ぜひそういうことも野党の側からの認識として十分あり得るんだということは御承知おきをいただきたいと思います。

 さて、続いてです。

 そういった形で、一月二十八日のときの政令のときには、余り専門家の皆さんの会議体で議論をしていただいたということがなかった。そして、二月二十七日の休校の措置についても、もうこれは、既に事実関係としては、専門家会議に諮ったというものではなかったということもありました。北海道における緊急事態宣言も、専門家会議で議論をしたわけではないですね。そういった意味では、何のための専門家会議なのかということが問われている。もちろん、政治のリーダーシップというものは必要かもしれませんけれども、専門家の意見なくしてリーダーシップというのは非常に危険をやはりもたらすというふうに思います。

 さて、これはもし新法が通ればの話ですが、いわゆる非常事態宣言というものが想定をされるわけです。

 官房長官、現時点、今、これから一、二週間が急速な拡大に進むか終息できるかの瀬戸際となるという総理の言葉があり、三月の十四日ぐらいにはもう、あるいは週明けそのものが二週間という局面になるわけですけれども、現在、今、きょうこの時点は緊急事態宣言を出すべきような状況であるかどうか、改めて御答弁ください。

菅国務大臣 そこは、ないという認識をしております。

泉委員 そうしますと、実は、政府から法案の資料としていただいているものの中に、新型インフルエンザ等緊急事態宣言の要件というものがあって、著しく重大な被害とか、重篤である症例の発生頻度が相当程度高いとか、要件二、全国的かつ急速な蔓延、あるいは経路が特定できない場合等々、いろいろな要件があります。

 ただ、これはいずれも抽象的なんですね。抽象的なんです。そういった意味では、やはり国民の側からすると、予見できない、いつ政府が発表するんじゃないのかという不安が広がっております。

 こういう抽象的な表現ではなく、客観的な表現が現在何か想定されているものがあるか、これがまず一つ。そして、この緊急事態宣言を出す場合には、総理も専門家の意見を聞くというふうに言っておりますが、これは具体的に専門家会議に付するということでよろしいか。この二点、お答えください。

菅国務大臣 まず、新型インフルエンザ等が国内で発生し、肺炎等の重篤である症例の発生頻度が相当程度高い場合、さらに、全国的かつ急速な蔓延により国民生活に甚大な影響を及ぼし、またそのおそれがある場合、そういう中でこの緊急事態宣言を出すことにいたしておりますけれども、ただ、この緊急事態宣言については、これから野党の皆さんの協議の中で法律を成立させていただくわけでありますので、そうしたことについては十分配慮するというのは当然のことだというふうに思っております。

 そして、遡及的なことも、野党の皆さんとの協議の中で私ども落とさせていただいたということも事実でありますし、専門的皆さんの知見というのがやはり当然必要だというふうに私は思っていますし、当然そういう方向になるだろう、こういうふうに思います。

泉委員 ありがとうございます。

 明確に、専門家会議を使っていただくこと、緊急事態宣言の前に専門家会議で必ず議論をしていただくことというのを求めたいというふうに思います。また、可能な限り客観的基準にしていただきたいと思います。

 実は、先ほどの要件二の、経路が特定できない場合ということについても役所と我々の側では見解が分かれていまして、そういうものが一例でもあれば、もうこれは、我々は緊急事態に当たるんじゃないかというふうに言うところもあります。一方では、それが相当数なければいけないという話もあります。

 その辺のやはり見解がわからないまま、いつ発動されるかわからないでは、国民にとっては全く予見できないという話になりますので、一つ一つのこの文言について、これは具体的に何を指す、どういうことを指すということをできる限り明確にしていただきたいというふうに思います。

 あと、先ほど官房長官からお話があったように、遡及の部分については落としたということ。

 そして、国会に対する報告、これも言われているところでありますが、私たちとしてはというか、国会に対して、ただ世間的に発表したことを、同じようなものを報告されるだけでは余り議論も深まりませんので、報告の後、意見を伺うというふうに、与野党間の今申合せではそういう文章になっているということも鑑みて、やはり週に一遍ずつぐらいの報告、あるいは国会における審議、そういったものもぜひ前向きにお考えをいただきたいということもあわせてお願いしたいと思います。

 さて、時間も余りありませんが、北海道、今、非常事態宣言、ただ、これは法的なものではないということになります。そういう中で、私は、ちょっとこれはやり過ぎではないのかなと。

 要は、新しい法律ができて緊急事態宣言がされ直したのであればまだわかるんですが、雇調金の引上げですとか融資の引上げ、これは北海道のみということでありますけれども、これは、官房長官、やはり今は法的な位置づけがない中での特別措置だということでよろしいですか。

菅国務大臣 非常事態宣言というのは北海道知事の判断でされているわけでありますけれども、北海道に政府から専門家を派遣してほしいという依頼を受けまして、派遣をさせていただいています。

 そして、当時、三点ありまして、集団対策に関する専門家の派遣、あるいは、感染者の広がりが見える地域の住民に対するマスクの供給、雇用調整助成金の特例措置の拡大等の措置を講じてきていますが、こうしたことについては、同じような条件の集団が発生した場所については当然行うということであります。

泉委員 ちょっとごにょごにょとした御答弁でしたけれども、ほかの自治体も緊急事態宣言を出さなければそういった特別なものは受けられないという理解でよろしいですか。

 しかも、今の現時点での各都道府県の緊急事態宣言というのは、何かしら法的なものではないですよね、自主的なものですよね。自主的なものの中で、官房長官は、もちろん北海道とのパイプはおありだと、強いパイプはおありだと思うんですが、自主的な非常事態宣言で、その特定地域にだけ特別な優遇をするということについて、全国から疑問の声も上がっております。それは、観光地であれば大きく経営的に、経済的に打撃を受けているところ、あるいは、マスクがなくて困っているところ、全国各地にあります。

 そういう中で、もちろん度合いをある程度強めたり弱めたりのところはあるかもしれませんが、緊急事態宣言を出した北海道にだけはそういうことをしているということは、他の自治体も緊急事態宣言を出せばよいということでしょうか。

菅国務大臣 北海道以外にも、他の自治体にもそうした専門的チームを派遣しているところがあります。そして、そうしたところについては、これからも、集団で発生をして、自治体から要請があれば、人員については対応するようなチームを今つくっているところであります。

 そして、その支援策でありますけれども、そこは同じように対応していきたい、こういうふうに思っています。北海道と同じように、そうした、必要があればチームを派遣して、自治体の要請に基づいて対策チームを派遣していますから。今でも……(泉委員「いやいや、今、私は、チームの話は一回もやっていませんから。私は、チームの話はしていませんから」と呼ぶ)いやいや、派遣している場所がそれだけ大変な状況……(泉委員「緊急事態の話をしている」と呼ぶ)緊急事態については、これは北海道の判断でされているわけでありますから。

泉委員 今の官房長官のお話でいくと、緊急事態宣言の有無よりも、むしろ、政府から支援チームの派遣があればそういう優遇措置を、かさ上げをしてもらえるというふうにとらざるを得ない答弁ですが、一方では、もう全国的に広がっているんだから全国でもこれはできますとおっしゃったような気もしますし、でも、そこには支援チームを派遣すればというふうにおっしゃったような気もします。

 改めて答弁をお願いしたいと思いますが、この雇調金の率だとか融資の率だとか、そういったことについて、あるいは雇調金の対象ですね、これを、国の一般会計で賄うわけですけれども、パートタイムにも広げる、こういった特別な措置は、支援チームを派遣したところには、そういう措置の要請があれば、するということですか。

菅国務大臣 ちょっと詳しく御説明をさせてください。

 現在の状況というのは、国内の複数地域で感染経路が明らかでない患者が散発的に発生しており、一部地域においては小規模な患者集団、いわゆる患者クラスターの発生が把握されています。

 そして、感染の流行を早期に終息するためには、クラスターが、集団が次の集団を生み出すことを防止する、このことが極めて重要だというふうに思っています。地域における感染状況を見ながら、感染拡大防止策を講じているところです。

 そこで、北海道でありますけれども、北海道では急激な患者の増加が見られています。たしか八十事例ぐらいだったと思います。ほかのところはたしか二十か……(泉委員「愛知はもう五十ぐらいいっております」と呼ぶ)五十いっていましたっけ。ここ数日間は半分ぐらいだったというふうに思っています。そういう急増する中で、緊急事態宣言によって外出の自粛要請などが行われております。

 そういう中で、専門家の派遣、また、広がりが見られる地域にマスクの供与、そして雇用調整助成金の特例措置の拡大、こうした措置を講じてきております。

 ですから、同じような状況であれば、政府としては対応させてもらうということです。

泉委員 今もう全国各地が大変な状況になっているということを改めてお伝えをして、全国的にもこういう要請が高まっているということも御認識をいただきたいと思います。

 大変時間がありませんので進めさせていただきますが、参議院の予算委員会でも蓮舫議員が質問した中で、やはり、今回の新型コロナウイルスの一件は歴史的緊急事態であろうと。公文書の関係ですね。北村大臣も御答弁された、緊急事態である認識はあるけれども、もう少し推移を見たいというような御答弁をされたと思います。

 これは、歴史的緊急事態となれば、公文書を幅広に保存しておかなければいけない。要は、打合せの類いのものまで、政策の決定又は了解を伴わない会議についても、歴史的緊急事態というふうに北村大臣が宣言をすれば、そういった保存が可能になる。

 日々、今重要な情報交換、打合せが行われております。これは、会議体の資料ということにとどまらず、そういった情報交換を行うような会議体、決定を行うような会議じゃなくてもです、情報交換を行うような会議であっても、そういった文書が保存されることが極めて国家として大事だという局面であります。

 北村大臣、検討しますとおっしゃった。そして、実は総理も、党首会談のときにもこの件には触れて、やはり検討しますと言っておりますが、現時点、大臣、これを適用するつもりは、宣言するつもりはありませんか。

北村国務大臣 行政文書の管理に関するガイドラインにおきましては、歴史的緊急事態に対応する会議については、将来の教訓とするため、議事の記録あるいは決定文書あるいは配付資料を作成することが定められております。

 他方、新型コロナウイルスについては、状況は刻一刻変化しておりますから、政府の総力を挙げて被害の防止に取り組んでいるところであります。ガイドラインの歴史的緊急事態に該当するかどうかにつきましても、事案の推移を注視いたしつつ、社会への影響や国家への教訓として明らかになった段階で適切に判断すべきものと考えるところであります。

 総理がおっしゃっているとおり、検討するということであり、今回の事案につきましては、担当省庁におきまして、公文書管理法等にのっとって適切に、また検証可能なように対応するものと承知しておるところであります。

 以上です。

泉委員 官房長官、手続的には、なお、個別の事態が歴史的緊急事態に該当するか否かについては、公文書を管理する大臣が閣議等の場で了解を得て判断する、こうなっています。ただ、だからといって、大臣に全権があるわけではないですよね。

 総理もおっしゃっている、日々会議が開かれている。今これだけ国を騒がせて、これだけみんなが総力を挙げてやっているときに、いまだに、何日かかるんですか、この判断に。おかしいと思いませんか。

 今回、党首会談まで呼びかけて、しかも、何日も前に委員会でも質問があって、検討すると答えていて、官房長官だって、これはどう考えたって歴史的緊急事態だと思っているはずですよ。それをずっと大臣任せにするんですか。宣言があるまで、ずっと誰も何も言わずに待つんですか。

 官房長官、これはもう総理と御相談をいただいて、もちろん、北村大臣と一緒に御相談をいただいて、もうきょうあすじゅうにこれはやはり決断をしていただくべきじゃないですか。官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 今、北村大臣が答弁したとおりだというふうに思っています。

 いずれにしろ、事案の推移を注視しつつ、社会の状況というお話がありましたし、それはやはり担当大臣の判断というものを注視したい、こう思います。

泉委員 担当大臣の判断を注視しているという総理と官房長官の姿勢であるならば、これは批判の対象になりますよ。申しわけないですが、これは批判の対象になりますよ。我々もそう言わざるを得ないですよ。だって、やればできるし、やって何が大変なんですか。

 歴史的緊急事態として、資料を後世に残すために今から措置をして、北村大臣、どんな不都合があるかお答えください。どんな不都合があるかですよ。

北村国務大臣 誤解のないように申し上げますと、歴史的緊急事態に該当するか否かにかかわらず、そもそも、国務大臣を構成員とする会議につきましては、会議の開催日時、場所、出席者、議題、発言者、発言内容が記載された議事の記録を作成することがルールとなっておることは御承知のとおりです。

 総理が出席される新型コロナウイルス感染症連絡会議につきましても、今は緊急対応にあるため、まだございませんけれども、今後、議事の記録を作成する予定であると聞いております。

 また、国務大臣が構成員でない会議につきましても、事態への対処を進めていく中で、担当部局におきまして活動の記録がなされると承知しております。

 なお、作成のタイミングについては明記がなく、出席者と発言の確認などの所要の手続を経て、事後に作成することが許されております。

 また、保存期間についても、各行政機関において適切に設定されることとなるわけでございます。

 以上です。

泉委員 大臣、官房長官、これは本当に私は早期にやっていただきたいと思いますよ。

 今、事後に作成できると言いましたが、原則三カ月以内というルールもあります。やはり、役人一人一人からしても、大臣が歴史的緊急事態というふうに宣言をするのとしないのでは、資料に対する扱いは違います。これは日弁連もそういう声明を既に出しています、過去に。

 やはりどうしても、うっかりだとか、従来の中で、これは残さなくてもいいやだとか、そういうことというのは日々役所の中で起こり得るんです。そういうものを、いや、しかし、今回は歴史的緊急事態だからということで厳格に注意喚起をするということも含めて、歴史的緊急事態の意味があるんです。その意味を、今のままの認識では持たれていないということになってしまいます。大変残念です。

 しかし、私はやはり一日も早く、これは別に与野党で争う話じゃない話でありますし、今、新法の中でも緊急事態の定義を、別な意味ですけれども、しようとしている中で、ぜひ、やはり歴史的緊急事態、これはもう早くやっていただきたいという要望をさせていただきたいと思います。

 そして、もう時間がありません。官房長官に戻りますが、日米地位協定を扱っておられる、米軍の負担軽減を扱っておられるということでありますが、実は、この日米地位協定の日米合意においては、検疫というものはアメリカが行うことになっているんですね。大変この日米地位協定がやはり不公平だと言われる。日米合同委員会の組織図には、出入国分科委員会あるいは検疫部会というものがあります。

 こういったものも含めて、このコロナウイルスが発生してから、在日米軍と日本政府は何らかの会議体で正式に協議をしたことはございますでしょうか。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍の施設・区域周辺における感染症の発生及び蔓延を防止するため、日米が相互に協力することは極めて重要と認識しております。

 かかる観点から、新型コロナウイルスの対応に当たりましては在日米軍と密接に連携してきており、日本政府としては、米側に対し、日本国内の状況や感染防止対策を説明してきており、米側からも、日本政府に対し、在日米軍の対策や措置について説明を受けてきております。

泉委員 こうやって、会議体を開いたことがあるでしょうかと聞いたら、説明をしてきておりますとか、何かわざわざ食い違うんですね、すれ違うというか、大変残念ですけれども。

 会議体としてはされていないというふうに事前に説明も受けておりますので、やはりこの辺はしっかりと、これもまた、情報交換をするということと、会議体を持って資料に残すということではやはり違います。将来の検証可能性ということも含めて、どういう動きをしたのかということは、やはり会議体でしっかりと整理をしていただきたいというふうに思います。

 実は、この新型コロナウイルスだけではなく、アメリカではインフルエンザの拡大もある。そして、動物の検疫ということでいえば、豚コレラの問題もあります。アメリカからの入ってくる人や物、動植物については、アメリカの検疫官がそれを審査するということになっていて、日本側には報告がもたらされるとなってはおりますが、非常に我々からいえば隔靴掻痒ということで、沖縄の皆さんも大変不安に思っております。

 この前、アメリカの在日米軍が韓国で訓練をして、日本に戻ってこられて、アメリカの方もそこは少し配慮をして、二週間とめ置いたか一斉検査をしたか、何かそういうこともありましたが、そのときにも、沖縄の謝花副知事からは、国内法を適用するよう、日米地位協定を改定してほしいという要望がありました。

 官房長官、改めて日米でこの検疫についての扱い、やはり、日本国内、日本の検疫をアメリカに受けていただくべき、これは各国も、米軍があるところはそうしているということも踏まえて、日米で改めて協議をするつもりがあるかどうか、そして沖縄県民の声にどう応えるか、お答えをいただきたいと思います。

菅国務大臣 日米協定は、合意議事録等を含んだ大きな法的枠組みであり、政府としては、事案に応じて効果的に、また機敏に対応できる最も適切な取組を通じ、一つ一つ具体的な問題に対応してきております。

 日米地位協定についてさまざまな意見があることは承知しておりますが、今後とも、目に見える取組を一つ一つ積み上げることによって、日米地位協定のあるべき姿というものを不断に追求していきたい、こういうふうに思います。

泉委員 最後に、公文書の歴史的緊急事態、この宣言を早く行っていただくことをお願いをして、私の質問を終わります。

松本委員長 次に、早稲田夕季君。

早稲田委員 それでは、立国社の早稲田夕季でございます。

 順次質問を、新型コロナウイルス対策について伺ってまいりたいと思います。

 中国武漢に端を発しましたこの新型コロナウイルスの感染の拡大がとまっておりません。この間、政府も、昼夜を問わず、本当に不眠不休でいろいろ対策に当たられていることは、御尽力には感謝を申し上げる次第ですけれども、いろいろなこの間のプロセスがわからない中での突如の決定等については、私も大変疑問を抱いております。

 まずでございますが、政府の対策本部、総理をトップとしてやられておりますけれども、こちらで基本方針を決定をされました、二月二十五日ですね。これについても具体的な何か新しいものというのはほとんどなかったわけですけれども、その後、二日後ですけれども、休校、小中高そして特別支援学校も含めて、突然の休校ということが総理の方から打ち出されました。そしてまた、本日、中国、韓国からの入国規制という要請、これについても出されました。

 この二つについて、専門家の方からも非常に疑問の声が上がっているわけですけれども、改めて確認をいたしますが、この二つに関して、専門家会議、こうしたプロセスを経られたのか、そしてきちんと専門家の方から御意見をいただいたのか、官房長官に伺います。

菅国務大臣 まず、学校の方でありますけれども、この感染状況について、専門家の知見が、一、二週間が、急速な拡大に進むか終息できるか、そうした瀬戸際との見解が示されていました。そうしたことを参考にさせていただいたということであります。

 そして、きのうの外交の問題でありますけれども、中国で、北京、上海から、邦人を含む、中国に入国した場合、やはり十四日間の措置がとられています。そして、韓国においては急激にその患者がふえ始めてきました。そうしたことの中で、当然、そういう中で判断をさせていただいたということであります。

早稲田委員 私は、専門家会議を経られたのかということですが、結構でございます。経られていない、その議論をそこではやっていないということは……(菅国務大臣「ちょっとよろしいですか」と呼ぶ)じゃ、どうぞ。そこについてもう一度お答えください。

菅国務大臣 一つ一つ専門家会議の中でというよりも、専門家会議というのは何回もやっていただいていますし、そして、厚労大臣から総理も全部報告を受けています。そういう中で、判断材料の大きな部分になったということは、これは事実であります。

早稲田委員 でも、それは諮問されたことではないわけですよね。

 専門家会議の方々がおっしゃっているのは、とにかく八十歳以上の方のリスクが高いと、これは二〇%を超えているわけですから。それに対して、子供、若い人たちは、今回の新型コロナにおいては非常に低い数字であります。そのこともおっしゃっている中で、あえてこの学校をということについて、何かデータを示された、そういうことでもない中で、突然のこの発表というのには非常に違和感がありますし、社会的混乱、まだ続いております。

 そういう意味においても、私は、この方針の突如の、準備なくしての、それからまた、そこに当然、いろいろな不便をこうむる方々への支援というものもその時点ではなくて、そして出されることについては、これからのことも考えて、非常に疑問でございますので、しっかりとこれはやっていただきたいと思います。

 そして、今るる議論もございました新型インフルエンザ等対策特別措置法、このことについても議論が始まったわけですけれども、これをやるにしても、その緊急事態宣言というのがあります。

 そういうことにおいて、非常に国民が、こうやっていろいろな議論を、公開の場での議論を経ない中でどんどんやってしまう、突如決めてしまう、そういうことについての社会的混乱と、国民を不安に陥らせている状況を鑑みますと、この緊急事態宣言をやるに当たっても、私は大変ここを重要なポイントだと思っておりまして、これも専門家の方に会議で諮問をしていただくような、そういうことは絶対にやっていただかないと、とても国民の不安を解消することはできないんだろうと思いますので、これは申し上げさせていただきたいと思います。

 その上ででありますけれども、今回のコロナの対応について、ダイヤモンドクルーズの多くの方たちを、三千人もの方たちをとどめ置いたことがどうだったのかという議論もございます。その中で、厚生労働省任せになっていたのではないかということがあちこちでも議論をされております。枝野代表の方からも、政府を挙げてと。もちろん対策本部を立ててやってはいるけれども、本当に厚労大臣ばかりじゃないかという議論もありました。

 その中で、私は、もう少し横断的な組織として、内閣府、内閣官房、こうしたところも一緒になった新しい新組織というもので感染症対策についてもやっていく必要があるのではないかと思います。

 イタリアでは、市民保護局というのがあって、そこの長官が今回の感染症対策には調整官として当たられたと聞いています。そういうことも含めまして、今後、ぜひ、災害については内閣府の防災がやっていらっしゃって、非常にこれは功を奏しているのではないかなと私は思っておりますので、そこに感染症というものも、また別組織でも、いろいろで御検討いただいて、横断的な組織として、そして指揮命令系統をもっとしっかりとするということをしていただきたいと思いますが、官房長官の御見解を伺います。

菅国務大臣 今般の新型コロナウイルス感染症についても、関係省庁が連携をして対応することができるように、総理を本部長とする対策本部の開催によって、政府一丸となって対応しております。こうした総理大臣の指揮のもとに、内閣危機管理監を始め内閣官房が中心となって省庁横断的な取組を行っておりますが、組織を強化していくことは重要な視点であるというふうにも思っています。

 今般の事案対応を踏まえつつ、今後、感染症の危機管理体制の不断の見直しを進めて、危機管理への対応力を一層高めていきたい、こういうふうに思います。

    〔委員長退席、関(芳)委員長代理着席〕

早稲田委員 ぜひ、指揮命令系統の新しい組織ということも御検討をいただきたいと思います。

 それでは、もう一度先ほどの話題に戻りまして、一律の休校を要請したお話について戻りたいと思います。

 もう既に、全国では多くの小学校がまたこの休校をやめて授業をしているというところも出てきています。それだけ、この休校をすることによっての影響が余りに大き過ぎる。それからまた、休校をしても子供たちの居場所が、結局学校にいてもらわないとできないというようなこともあります。学童保育を延長させるとか、早くからやると言っているところもたくさんありますけれども、それにしても大変な混乱です、今の状況として。

 それでは、先ほど専門家会議の意見も踏まえながらとおっしゃっていましたけれども、データでお示しいただきたいんですね。全国一律の休校を要請した時点での国内の感染状況について、新規の方がどのくらいふえていたのか、それからまた、その数字がどのように変化して、今後休校の要請を取り下げるには、どの時点でどのように準備をされているのか、伺います。

吉永政府参考人 新型コロナウイルスの感染状況につきましては、専門家の知見によれば、これからの一、二週間が、急速な拡大に進むのか終息できるのか瀬戸際となるという見解が既に示されたところでございます。

 そして、大人のみならず子供たちへの感染事例も各地で発生し、北海道や千葉県市川市、大阪市や堺市など、各地域において学校休業を行うなど、子供たちへの感染拡大を防止する努力がなされており、判断に時間をかけるいとまがない中で、何よりも子供たちの健康、安全が第一である、学校における子供たちへの集団感染という事態は何としても防がなければならないとの状況にある中で、総理が三月二日から春休みまでの臨時休業を要請したものでございます。

 臨時休業後の対応につきまして、臨時休業を要請した段階の状況というものは取りまとめてございませんけれども、臨時休業後の対応につきましては、今後、感染の状況や専門的な知見を踏まえつつ、文部科学省において検討がなされるものと承知しているところでございます。

    〔関(芳)委員長代理退席、委員長着席〕

早稲田委員 ですから、どういうデータに基づいてこういうことを決めていかれるのかということを伺っているんですが、今の状況を申し上げますと、基本方針を策定した二月二十五日は、新しい方、クルーズ船は除きますけれども、国内で十六人の新規の方が感染をされたと確認をされています。そして、二十六には九人、二十七日、休校要請した日は二十四人となっておりまして、そのまた次の日は十八人と変化をしております。

 そういうことをしっかりとデータでとって、それでは、どこまで減ったから休校もこれをやめるというようなことまで考えておかないと、もう全てがその場しのぎ、場当たり的になるのではないかということを申し上げているわけなんです。

 それでは、もう一つ伺いますが、専門家の方からは、閉鎖空間、換気のできないところ、そこに長時間いる場合、そして、特に高齢者の方はリスクが高いということがもう繰り返し述べられているわけです。そうした中で、この休校。子供たち、リスクは低いですよという中での休校に踏み切った。片や若者たちからは、それでは、その高齢者の方たちが長時間いるパチンコ店はどうなんだ、こうしたところも、大変、このままあいていて長時間いらっしゃる、そういうような状況がどうなのか、休業についての働きかけなども考えるべきじゃないかという声も上がっております。

 これについてどのようにお考えでしょうか。武田大臣、私、官房長官にお願いを。(武田国務大臣「所管やから」と呼ぶ)所管ですけれども。

武田国務大臣 休業要請ということですけれども、やはりこの業界に限らず、今多くの業界は減収減益で大変なダメージをこうむっておるわけであって、民間企業の営業に我々が介入できるのも限界があるのは先生も御承知いただける、このように思っています。

 警察庁としては、やはり従業員の方々の感染拡大を防止する環境を各営業所の方に徹底してもらうということと、あと、不特定多数の方々が握るハンドル、こうしたものに消毒を徹底してもらって予防措置というものの充実を図ってもらうこと、こういったことを徹底してやっておりますし、また、業界をまとめる団体の方から各営業所等について、集客を目的とした広告とか宣伝とかの自粛を求めておるのと同時に、やはり営業所によっては、拡大を受けて休業を自主的にやってくださっているところもあるわけですね。

 関係機関と連携して、適切な拡大防止策がなされるように今後も警察庁を指導してまいりたい、このように考えております。

早稲田委員 いえ、私は、そのリスクの観点から申し上げれば、専門家会議で言われている、有識者の方たちがおっしゃっているその閉鎖空間ということであれば、非常に危険なのではないかというふうに思うわけなんです。それで、その中でリスクの低いと言われている学校の方は突如のこういう休業になったわけなので、その反対、ちょうど対極にあるところのパチンコ店はどうなんでしょうか、高齢者の方も多いしということで私は伺いました。

 非常にカジノの誘致ということに積極的であられる官房長官にも伺いたいと思いますが、いかがでしょう。

菅国務大臣 政府で、老人施設を始めそうしたところにしっかり対応させていただいていますことを、私はここで申し上げたいというふうに思います。

 ですから、パチンコにつきましては、今大臣が申し上げたとおりです。

早稲田委員 それでは、PCRの検査拡充法案を野党合同でも出させていただきましたので、これについても、PCRの拡充についても聞いてまいりたいと思います。

 これは、総理からの発言が誤解を招いているのではないかというような議論もずっと参議院でもされてまいりましたが、今、保険適用にはなりましても一遍にふえるわけではない。それはいろいろキャパシティーの問題とかいうことがずっと挙げられておりますけれども、私は、野党合同のこの対策本部会議でも、都道府県、自治体のPCRがどのくらいできているのかということを示してほしいということの中で、これは公表しないということを前提だから、自治体ごとのは出せないんだ、そういうお話がありました。ずっとそういうふうに来ていたと思います。

 その中で、この立国社の方で、会派として調べました中には、都道府県の調査が出ております。そして、その積み上がったものが全て出ているわけですけれども、この中では、自治体がこれを拒んだということはないということも出ておりますが、今までの御答弁の中と、それはそごが出てくるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県のPCR検査実施件数等につきましては、疑似症サーベイランスの枠組みの中で都道府県から報告があった検査実施人数は、今後の患者発生数の予測につながるものであり、地域における感染症対策を考える上で重要であることから、感染の状況分析や評価等に活用している状況でございますが、これにつきましては、お求めがあれば既に提供している状況でございます。

 また一方、地方衛生研究所ごとのPCR検査実施件数につきましては、県をまたいで検査が行われる場合がありますし、また、一人の方から複数の検体を採取して検査が行われる場合がある。また、新型コロナウイルス検査以外の検査も日常業務として多数実施されていることから、地方衛生研究所ごとの実施件数をどのように精査、評価して地域の感染症対策に生かしていくかを検討する必要がありますけれども、今後、一定の精査、検討を行った上で公表について検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

早稲田委員 いや、そうじゃなかったですよ。ずっと、公表はできない、これは公表を前提にしていないから自治体から聞き取っているけれども、これは公表できないんだという御答弁が厚生労働省の方からこの間ありました。今、お求めがあればとおっしゃったけれども、ずっと求めてきたと思います、野党は。これは答弁をきちんと考えてください。違います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 従前、都道府県との関係もありまして、提供につきまして慎重な対応をしていた面はございますが、現時点におきまして、都道府県のPCR検査実施件数等につきまして、お求めがあれば既に提供している状況でございます。

早稲田委員 いつから変わったんでしょうか。

吉永政府参考人 失礼いたしました。

 今後提供してまいりたいということでございます。

早稲田委員 ちょっと理解ができません。

 今後というのは、だって、きょうももう公表していらっしゃるわけですよね。公表していないんですか、きょうは。あすからということですか。

吉永政府参考人 お求めがあれば、本日にも公表をするということでございます。

早稲田委員 そういうふうに変えないでいただきたいんですね。今まで、自治体にこれは公表しないと言っていたから、しないんだということで一貫してこられたのに、求めがあればと。

 では、自治体の方は拒否をしていなかったということですね。厚労省の方で、これは自治体ごとに出したくない数字だから出さないというふうに判断をされていたということでよろしいですか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 PCR検査実施件数につきましては、先ほど御答弁もいたしましたとおり、県をまたいだ場合がある、複数検体の場合があるということでございますので、精査の必要があったということでございます。そういう中で、検討を行いながら、出せるものからちゃんと公表していくということでございます。

早稲田委員 県をまたぐものなんてわずかですよ。そういうふうに、日々のことでくぐり抜けていくような、そういう答弁をなさらないでいただきたい。

 なぜかというと、PCR検査は、受けたいといって、そして医師が総合的に判断をして保健所に言っても、それが断られているケースが多々あるんです、まだ。だから、どのくらい自治体でやっているのか、本当に四千件ということができているのかということを私たちは調べなくてはならない。だから伺っているんです。それを、そういうその場しのぎの言い逃れで変えていくという答弁は非常に不誠実だと思います。

 厚生労働省においてもそこはしっかりと受けとめていただいて、情報を正しいものを出していくというのは当たり前の基本中の基本じゃないですか。そして、こうやって不安が大変膨大になっているときには特にそういうことは大切なのですから、厚生労働省がしっかりとやっていただくように強く要望をしたいと思います。

 それで、次の帰国者・接触者外来です。

 これも、いつまでも帰国者・接触者外来ということでは本当にわかりにくい、せめて発熱外来とか、そういうものに変えていくべきだということも、ずっとこの間、野党の方からも申し上げてまいりましたが、今やっても、もうこれでずっとやっているからと厚生労働大臣もおっしゃっているんだけれども。

 それでは、新型インフルエンザ等特措法においては、病院が不足した場合、発熱外来の臨時の医療施設の開設が定められていると思います。そして、新型インフルエンザの流行のときに、これは各自治体でやっていたところが幾つもあったと思います。そういうことによりまして、今、一般病院を、患者の方、感染者の方がふえてきた場合、開放してくださいということの基本方針が示されましたけれども、しっかりそこはやはり分けて、発熱外来というものに私はすべきだと思うんですけれども、そこはどのようにお考えでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の発熱外来は、二〇〇九年の新型インフルエンザ発生時に設置されたものでございますが、現在設置が進められております帰国者・接触者外来は、この発熱外来と同様の機能を有するものでございます。(早稲田委員「聞こえなかった」と呼ぶ)発熱外来と同様の機能を有しております。

 帰国者・接触者外来につきましては、現在、四十七都道府県で八百四十四施設設置されておりますけれども、当初、おおむね二次医療圏に一カ所を念頭に進めておりましたが、その後、新型インフルエンザ時の約八百程度の設置を目指して拡充するよう都道府県に要請し、現在、それ以上の設置数となっているところでございます。

 引き続き、国民の皆様の命と健康を守るため、国内の感染状況の推移をしっかり見きわめながら、医学的、科学的な評価に基づきまして医療体制を整備して、機動的かつ柔軟に感染症対策を講じてまいりたいと考えてございます。

早稲田委員 よくわかりませんでした。

 それでは、帰国者・接触者外来イコール新型インフルエンザ特措法で言う発熱外来なんでしょうか。

 それでは、それ以外に、ふえた場合に、インフルエンザのときは、臨時的な医療施設というのを空き地、私有地などにつくってということができて、そして、それも国から予算措置がされてやりましたよね。そういうものが今あるんでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 発熱外来につきましては、先ほど申しましたとおり、現在の帰国者・接触者外来と同様の機能を有するものと考えてございます。

 緊急事態宣言等が出れば発熱外来というものを空き地に建てるという形になりますけれども、現時点でそういう事態でございませんので、いずれにしても、先ほど申しました帰国者・接触者外来というものを拡充しながら、きちんと医療体制を整備していきたいというふうに考えているところでございます。

早稲田委員 いえ、緊急事態じゃなくて、この発熱外来というのは新型インフルエンザ特措法の位置づけですけれども、そのようにきちんと分けておかないと、今後ふえた場合に一般病院でということが基本方針には書かれていますけれども、それではちょっと私は無理だと思います。あり得ないと思うんですね。もう医師会の先生方も、それではできないんだ、特定をしてもらいたい、特化をしてもらいたいと。

 だから、その特化をしたところをふやさなければならないという視点で、発熱外来の臨時的に設置をできるということをやった方がよろしいのではないかと申し上げているんです。

 それで、一般病院ですけれども、では、一般病院で受け入れますよと言った都道府県は四十七都道府県のうちどのぐらいありますか、現在で。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点におきまして、一般病院で受け入れるという都道府県はございません。

早稲田委員 申出がないということなんですか。

 そうすると、今、この一、二週間が大変だと言っている、そして、まだダイヤモンド・プリンセス号で感染をされた方もかなりの数が入っていらっしゃるはずなんですね。それで満床にならないという保証はありますか、感染症病院だけで、それから、今やっている帰国者、濃厚接触者の病院だけで。

 それでは、それは調べていらっしゃるんでしょうか、今これだけあいているから。そしてまた、五千床というお話もありますよね。それのめどというのはあるんでしょうか。

 一般病院でやると基本方針を政府が出したのに、一つも私のところではやりますというところがないというのはどういうことなんでしょうか。やれない事情があるからじゃないですか。それをどのように政府はお考えでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど都道府県から申出がないという形で申し上げましたけれども、外来の場合につきまして申出がないということで、入院につきましては、現状におきましても一般病床を活用している病院はございます。

 また、現時点におきまして、感染症病床の空き病床が今千三百ほどございます。それに加えまして、感染症指定の病院におきます一般病床の空き病床が四千以上ございますので、それを合わせまして五千以上の……(早稲田委員「ちょっとゆっくり言ってください、聞こえないので。千三百あって」と呼ぶ)失礼いたしました。

 感染症指定医療機関におきます感染症病床が現在千三百、空き病床がございます。緊急時には当該感染症医療機関におきます一般病床が現在四千、空き病床がございます。これを合わせまして五千以上の活用が可能になるものと考えてございます。

早稲田委員 四千もあるところは感染の方を受け入れていただけるんですね。

 先ほどおっしゃった、都道府県から申出はありませんというのは、それとはどう違うんでしょうか。入院はこの四千でオーケーだけれども、外来を受け付けることはできないと、病院の方でおっしゃっているという意味ですか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 外来につきましては、現在の帰国者・接触者外来で対応ができているということでございます。

 今後、蔓延期が仮に発生した場合につきまして、その後につきましてどのように対応するかということを検討する必要があるわけですが、その点につきまして、今、現時点でまだ蔓延しておりませんので都道府県からもそういう要請がないということで、外来についてはまだ都道府県の要請がないという形で考えているところでございます。

早稲田委員 蔓延を防止するために今考えているんですよね。蔓延してから都道府県に、さあ、お願いします、一般病院の方、皆さん受け入れてくださいと言って、はいと言うところがあるんでしょうか。それまでに対策を打って、一般病院で、私は受け入れるのはまずいと思っていますけれども、発熱外来をつくるんだったらしっかりとそこは分けて、入り口も分けて、何を分けてということをしないと、動線を分けるだけなんというのは、もうまさに病院がダイヤモンド・プリンセスになりかねない、その心配があるから申し上げているんです。

 今、蔓延期じゃないからこれは考えていないというのはどういうことなんでしょうか。それはあり得ない話です。今考えなかったら、今はまだ十何人とかいう単位だからだけれども、これが一挙になった場合どうするんですか。何にも考えていないということに等しいじゃないですか。いや、驚きました。全然都道府県で、ないということなんですね。

 これは、なぜ都道府県で受入れの申出がないかを、よく厚生労働省は、そしてまた対策本部としてもお考えをいただきたい。無理があるからなんです、一般病院でやるなんということは。だから、特措法の、前のときの発熱外来のような措置をしないと、蔓延期になっても足りなくなります、本当に。そこを心配しておりますし、今、PCR検査だって、これだけ待っている方がいるという話なんですね。実際に蔓延期になったら、その比ではないと思います。

 ですから、ぜひそこはしっかりとやっていただくように官房長官から指示をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

菅国務大臣 これは、大島委員から冒頭ありましたけれども、やはり医療機関がいろいろな問題が起きるようにしてはならない。その前の経験からして、今回は、今、検査についても対応をとらさせていただいているんです。

 そして、何よりも大事なのは、やはり、医師が必要だという判断をされた方は確実に検査をすることができる状況を私たちはつくることが一番大事だというふうに思っております。

早稲田委員 今、検査はもちろんなんです。でも、入院が蔓延期になったら足らないと困るから、外来も足らないでしょうということを申し上げているので、次の段階の話をしているんですね。

 ですから、一般病院という基本方針は出ているけれども、それだけ丸投げではだめですよということで、もっとこれを危機感を持って考えていただきたいし、指示を長官にしていただきたいということを強く要望させていただきます。

 時間もございますので、次の質問に移ります。

 大変経済も混迷をしておりますし、私の地元鎌倉は観光地でありますので、大体、体感でいうと七、八割減というふうに地元の方からは伺っております。

 そしてまた、これはリーマン・ショックと比べてもということも出ておりますし、また、自民党の政調会長であられる岸田政調会長も、リーマン・ショック級の対応をしてほしいと合同会議でも述べられたと報道にありました。

 まさに、私も、これはリーマン・ショックよりもひどいことになるのではないか、もう今既にそういう業種もあります。そのことを考えても、この消費増税というのが大変、これはもう経済指標でも出ておりますとおり、市民に非常にのしかかっている。その段階で、この消費増税が基礎となって、更にこのコロナの対応でもっと下がるのではないかということは、もう有識者の方も皆さんおっしゃっているところですから、ぜひここは、消費増税をやめて、もうしましたけれども、これを減税をする、リーマン・ショック前に減税をすべきだと私は思いますけれども、長官に伺います。そのお考えがどうかということを、今の時点でお答えいただきたいと思います。

菅国務大臣 意見として伺っておきます。

早稲田委員 ぜひ、与党からもそういうリーマン・ショック級の対応をということは、それに対応するには、小手先のいろいろなことで、もちろん、融資も拡大していただいている、雇用調整助成金も幅広になったとしても、そんなものでは足りないんです。

 アメリカは九千億円の予算をつけたわけですね、このために。これもいろいろあったようですけれども、非常に、三倍の大きな額になった。それが日本ではまだ二千七百億円の予備費だけということになっております。そして、新年度予算にこれが入っておりません。これからの補正ということなんでしょうか、非常に危機感が足りないと私は言わざるを得ないと思っております。

 それから、この間のマスクとそれから消毒アルコール液、これについても、生活二法を改正してもやるべきだと私も再三申し上げてきましたけれども、衛藤大臣、きょうはここにはいらっしゃれないということですが、衛藤大臣の御見解では、まだその段階ではないということでしたが、じゃ、いつだったのかということなんです。

 全然、一カ月間何も変わらなかったし、もっとひどくなりました。値段も高騰したし。それで、その一方で北海道にだけマスクをなさるということだけれども、これは北海道に配付していただくのが悪いと言っているのではありません。でも、医療、介護現場は、じゃ、どうするんですか。本当に何日も使っているというような医師のお話を聞きます。だから、それを含めても、やはり有識者の会議をしっかりとやっていただいて、そういうことも含めてお考えをいただく必要があります。

 マスクのことについては、生活二法について、私は質問主意書も出しているし、あれだったけれども、今まで全然お答えがなかったんです。やる気がない政府の御答弁しかありませんでしたが、今この時点でいかがでしょうか。しっかりと供給をしていただくために、国民の不安を取り除くためにやっていただきたいと思います。

大塚副大臣 マスクの転売については、消費者庁の担当として御答弁申し上げますけれども、経産省、厚労省とも連携をとりながら、これまでさまざまな取組をしてきているわけでございます。

 まず、主に高値で転売がされているのはデジタルプラットフォーマーでありますので、こちらには二月六日に文書で、その後も累次要請をさせていただきまして、プラットフォーマーの方では、かなり、規約を改正するとか、誠実に対応してきていただいていると思っております。

 ただ、その結果、送料を不当に高く設定するとか、そういう問題も出てきておりますので、こうした状況も受けまして、昨日、新型コロナウイルス感染症対策本部にて総理から、国民生活安定緊急措置法を適用してマスクの転売を禁止するよう指示があったところでございます。

 この指示も受けて、消費者庁としてもしっかり対応していきたい、このように思っております。

早稲田委員 ようやくですね、ようやく。今じゃないという御判断が一月続きました。そして、今回、今これをやっていただくということになっても、すぐさまマスクがふえるわけではありません。だからこそ、早くやっていただかないと、こういうことがどんどんどんどん、国民生活にしわ寄せが来ております。

 そして、生活必需品のことについてはもっと真剣に、消費者庁としては、消費者を保護する立場なんですから。どっちを保護しているんですか。ネットの業者なのかと思わざるを得ないような御答弁でした、今まで。残念です、大変。

 ですから、このプラットフォーマーに対しても厳しく罰則規定を設けるとか、そういうことも考えていただいて、生活必需品を確保する、そしてまた物価が高騰しないようにしていくことをもっと強く打ち出していただきたいと要望をさせていただきます。

 それから、経済対策でありますけれども、特に中小零細企業の方々の御不安、そしてまた、もう既に資金繰りが厳しいということはたくさん伺っております。

 その中で、いろいろなお話もありますけれども、やはり、雇用調整助成金もありますが、これももっと、十割補償するとか、それから、八千三百三十円の上限をやめてもっと高くやるとか、そういうところまで踏み込んでいかないと、とてもとても、六割の補償、支給額ということだけではなかなか難しいと思います。その中で、これについてのお考え。

 それから、つなぎ融資についても、何とかこれも、セーフティーネットの保証四号、五号をやっていただきますけれども、事業規模五千億円です。三月分までということですけれども、余りにもそれにしても規模が小さい。リーマン・ショックのときの緊急総合対策は二十一兆円でした。それで、この五千億円の保証枠は三月分のみでありますけれども、これは十二倍しても、一年分としても六兆円ですから、もっとここを拡大をして、増額を検討していただくように思いますけれども、このことについて伺います。

奈須野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、先日取りまとめた緊急対応策では、事業者の方々からの御相談の状況を踏まえまして、当面の緊急的措置として、融資、信用保証の需要を最大限見積もった結果として、約五千億円という額を確保しております。まずはこの執行をしっかり加速化していくということが重要と考えております。

 なお、リーマン・ブラザーズの経営破綻などを背景とする世界的な金融経済危機のときでは、著しい信用収縮が全国レベルで生じたということから、中小企業の資金繰り支援についても相応の規模を実施したという経緯がございます。

 今回の対策におきましても、中小企業の皆様の資金繰りの状況、万全を期していくということで、引き続き、事態を丁寧に把握した上で、過去の対策も参考にしながら必要な対策を検討してまいりたいと考えております。

早稲田委員 ぜひ拡大を検討をしていただくように、これも要望を強くさせていただきたいと思います。

 竹本大臣にお越しをいただいておりますので、最後に一点、伺います。

 これは、医療分野の開発関連の調整費、これはAMEDのお話ですけれども、これも財務委員会でもやらせていただきましたし、予算の方でもやっておりますけれども、これが、大坪氏がイルミナ社と面談していたことは不適切ではないか、利益相反があったのではないか、これは末松理事長もおっしゃっているわけですけれども、議事録の中で。これについて、竹本大臣はどのようにお考えか。調査をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。国民の税金ですので、ぜひそこはやっていただきたい。

竹本国務大臣 お答えします。

 先生御承知のとおり、AMEDは、研究開発で各省間の壁があるといけないということで、特別、省庁、よく相補ってといいますか調整して、有効に調査費を活用すべき組織として五年前にできたわけでありまして、それの執行が、今年度は調整費百七十五億あったんですけれども、まず最初に約八十億、残りで二段目で八十九億、ほとんど残りがなかった状態の中でこのコロナ騒動になりました。

 昨年の暮れにコロナが発生しまして、当初、かき集めてやりました約四・六億円、それにほかの予備費を入れまして、トータルで二十億円、それで研究開発。だから、キットの開発と治療法と、そして予防という意味ではワクチン開発、この三つをメーンにやっているわけであります。

 先生お尋ねの第二回目の配分は、基本的にゲノムの解析にやっておったんですね。その八十九億の中で二十五億円を打ち出して、予算の振りかえをやりまして、そして、コロナ対策を打ち込もうとしたわけであります。

 そのときに、大坪さんがイルミナ社とですか、面談したというような話でございますけれども、この調整費の決定は、昨年九月の関係省の提案等を踏まえて、同年十月のゲノム医療協議会での議論等を経まして、十一月十四日に健康・医療戦略推進本部で決定したものであります。

 同日には、厚生労働省大坪審議官が、今申し上げましたように、特定の企業と面談したことは事実と聞いておりますけれども、調整費の決定プロセスとイルミナ社との面談とは関係がないことから、不適切との御指摘は当たらないと考えております。したがって、調査の必要はないと考えます。

早稲田委員 時間が来ましたので質問できませんけれども、イルミナ社と関係ないということではないと思います。全ゲノムはイルミナ社が全てやっておりますので、そこはもう一度お調べいただきたい。引き続き質問をさせていただきたいと思いますが、ありがとうございました。

松本委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

松本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。太田昌孝君。

太田(昌)委員 公明党の太田昌孝でございます。ありがとうございます。

 新型コロナウイルス感染症についての質問が続いておりますが、我が党といたしましては、今週四日、旅館、飲食業者の特別貸付枠の増額でありましたり、中小企業に対しましての融資、また学校の休校に応じた農産物の安定供給、またさらに、減収となるフリーランスの補償など、経済対策で第三次にわたる提言を行わせていただいたところでもございます。

 現在、政府におきまして御対応、御検討をいただいていると認識をしておるわけでございますが、各団体からの聞き取りを行った提言でもございます。早期の、格段の御対応をお願いをしておきたいと思います。

 また、新型コロナウイルス感染症につきまして、現在、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案が閣法として手続が行われているところと認識をしております。来週にも本委員会において審議が行われることになるわけでございますので、この流行を早期に終息をさせ、国民生活、経済、社会に重大な影響が出始めているこの状況の中で徹底した対策を講じるための根拠法ともなるものでありますので、早期の成立を強く念じるものであります。

 さて、少子化対策に歯どめがかからない状況となっております。衛藤大臣の所信表明の中でも、八十六万ショックという言葉について触れられておられましたけれども、こういう状況の中であればこそ、子供に寄り添い、保護者に寄り添うことが求められる、このように思うわけでございます。

 しかしながら、昨年六月に改正児童虐待防止法が成立をし、そしてこの四月から施行となるわけでございますけれども、そうした中で、二月の十日、神戸市のこども家庭センター、児童相談所でございますが、そこで当直業務を請け負う男性職員が、真夜中に小学校六年生の女児が助けを求めに駆け込んだところ、警察に相談するようにと告げて追い返したという事例がございました。

 また、警察庁が六日に公表した二〇一九年の犯罪情勢の暫定値においても、全国の警察が摘発した十八歳未満の子供に対する虐待事件が千九百五十七件と前年比五百七十七件増、虐待の疑いがあるとして児童相談所に通告し対応してもらった十八歳未満の子供の数が九万七千八百四十二人、これも一万七千五百九十人が前年度比でふえているという、いずれも過去最多の数字となっております。

 こうした事例や数字を見ますと、児童虐待の根絶に向けて昨年大変な議論をし、そして法律をつくったにもかかわらず、なかなか効果が見られないことに歯がゆさを覚えるところでございます。

 さて、改正のポイント、大きく三つございます、改正児童虐待防止法でございますが、一つは、被害者である子供たちの権利を守ること、そして児童相談所の体制を強化すること、そして関係機関の間の連携を強化することであるというふうに認識をしております。このうちの、とりわけ市町村になりますが、関係機関との連携強化についてちょっと伺いたいというふうに思います。

 厚生労働省の公表データでは、全国の児童相談所の相談対応件数、平成三十年で約十六万件、前年比で二〇%ふえている。そのうちの心理的虐待が八万八千件余り。その類型の一つであります、児童の前で保護者が配偶者に暴力や暴言を振るう、いわゆる面前DVが、とりわけ、これは警察からの通告が増加しているとの報告があります。

 通告を受けた児童相談所は、面接等によって子供の安全確認を行う初期対応を行わなければならないわけですが、虐待の対応件数、一九九九年当時は一万一千六百三十一件だったものが、これが二〇一七年には十三万三千七百七十八件と十二倍近くになっている。一方で、児童福祉司の数が同じ期間で千二百三十人から三千二百四十人と二・六倍にとどまっている。

 件数は十二倍、そして対応する人数は二・六倍というようなことで、体制が追いついておらず、職員の負担も急速に増加しているような状態でございます。

 その上でもう一つ申し上げますと、児童相談所の職員が対応している児童虐待全体の中で、例えば、警察から来ているものがおよそ四割、その半数が面前DVとなっているということ、また、児童相談所における面前DVの通告案件のうち、八割程度は後々軽度と判定されているとのこと。

 つまり、この通告のうち面前DVについて、市町村との連携強化の中で役割分担の見直し、連携を実現できるならば、面前DVへの効率的かつ効果的な対応が可能となって、児童相談所がより深刻な事態に対応する余裕が生まれる、このように考えます。現に、一機関当たりの対応件数も、市町村が六十三件に対して児童相談所六百五十九件と、九倍もの開きもあります。

 面前DVに対する対応について、市町村、関係機関との連携強化の対応についてお伺いをしたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、いわゆる面前DVなど、児童虐待相談対応件数が年々増加する中で虐待事案に的確に対応していくためには、児童相談所や市町村、また警察等の関係機関との連携をしっかりやっていく必要があるというふうに認識しております。

 関係機関との連携に当たりましては、各市町村に設置いただいております要保護児童対策地域協議会におきまして、警察、教育委員会でありますとか、また配偶者暴力相談支援センター等の関係機関と自治体が、児童虐待事案に関する情報また方針につきましてきっちり共有をいたしまして、適切な役割分担のもとに対応していくことが有効であると考えております。そうした観点から、こうした要対協における運用を更に活性化するガイドラインを今作成を進めているところでございます。

 また、特に警察との連携が重要になってまいると思います。そうした役割分担をしっかり進める上でも、令和二年度の予算案でございますけれども、児童相談所や市町村に警察OBを配置した場合における補助単価の拡充をしております。また、児童相談所と警察の連携状況につきまして自治体にヒアリングを実施しているところでございまして、本年度中に結果を取りまとめて、好事例を横展開をしていきたいというふうに考えております。

 こうした取組を通じまして、児童虐待対応における関係機関の連携を一層強化してまいりたいと存じます。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 横の連携、さらに、好事例を今つくっているということで、横展開をよろしくお願いしたいと思います。

 受皿の一つとして、児童福祉法の中で、市町村に対しまして、子ども家庭総合拠点の設置、これは努力義務でありますが、求めています。実態は、小規模な市町村にあっては一人の職員がさまざまな福祉業務を兼務していることや専門職員の確保も困難なことから、実際には、実効ある子ども家庭総合拠点の設置は困難な状況にあります。

 私の地元は七十七市町村あるんですけれども、十五の子ども家庭総合拠点があります。しかし、そんな中で、例えば、電話を設置していて、ほかの福祉任務についている人が電話は受けられるという状況にあっても、先ほどの面前DVがあるから対応できるというようなことはそのうちの二つにとどまっているというような状況も実際はあるわけですね。

 そういう意味では、地域の実態に即した子ども家庭総合拠点の設置、あるいは専門職を確保するというようなこと、そんなことも国が責任を持って実行することが望まれるわけですが、対応についてお伺いしたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 子ども家庭総合支援拠点につきましては、市町村におきまして、児童相談所等の連携のもとに子供や家庭に対する相談支援の拠点的な役割を果たすということでございまして、その設置を促進いたしまして市町村の体制を強化していくことは非常に重要であるというふうに考えております。

 こうした認識のもと、私どもといたしましても、人口規模に応じた多段階の補助制度を設けまして、地域の実情に応じた体制整備の支援を行うといったこと、また、今年度から、常勤職員を人口十万人当たり一名配置できるように地方交付税措置を講じさせていただいたところでございます。

 また、技術的な面でございますけれども、こうした支援拠点の立ち上げに向けたスタートアップマニュアルというものを作成いたしましてお示しをしておりますし、また、今年度から、こうした立ち上げのための助言を行うアドバイザーを派遣するような事業を開始しております。

 また、好事例の展開でありますとか、また、国の研修センターでの、市町村職員の、市町村におきまして指導的役割を担う職員の研修等もやっていきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、これは全市町村に設置をしていくという目標でございますので、この目標に向けまして、地域の実情に応じた設置が進むよう、引き続き必要な支援に努めてまいりたいと存じます。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 今いただいたとおり、支援は大変に、さまざまな市町村の規模に応じて柔軟に対応していただいていることは承知しております。

 ただ、問題はやはり人なんですね。ソーシャルワークの専門性の確立なんかが必要だと思っているんですが、児童虐待の対応、とりわけ発生予防、早期発見が必要なんですけれども、そうした共通基盤として、児童相談所の職員の支援技術、手法が実は確立されていないわけです。職員間、自治体間で支援力に差が出ている。本当に、言葉はあれですけれども、一子相伝のような、一人が一人を育てる。だから、逆に言うと、きちんとしたそういう訓練を受けていない職員は、もしかしたら、冒頭申し上げたような、少女に対してのああいう対応をとってしまうというようなこともあったのかなというふうにも思います。

 そういうことから、国においても、例えば、今アドバイザーというお話もございましたけれども、専門的手法の開発や人材養成の仕組みづくり、こんなものが望まれるわけですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 児童相談所等におきまして従事いたします児童福祉司のソーシャルワーク技術等の専門的技術の向上を図りまして、御指摘のように、均てん化を図っていくということは非常に重要であると考えております。

 こうしたことから、今年度におきまして、児童相談所の職員等の研修センターといたしまして、従来、全国一カ所でございましたけれども、新たに、西日本地域における研修拠点を明石市に設置をいたしまして、二カ所体制として研修を充実させていく。

 また、国が主催いたしまして、全国の児童相談所の中堅リーダーを対象といたします専門性向上に向けた研修を実施するとか、そういうことも実施しているところでございますし、また、こうしたことを引き続き進めていきたいと思います。

 さらに、先ほど申しましたようなアドバイザーを派遣するような事業で、個々の自治体の実情に応じた必要な支援を行うほか、また、これは昨年度の、成立いたしました児童福祉法改正法の附則の検討規定にもございますけれども、こうした児童福祉司等の資格のあり方を含めた資質の向上を図るための方策、これは検討することになっておりますけれども、昨年、有識者による検討の場を設置したところでございまして、こうした場におきまして、児童福祉司の専門性向上のための方策について、御指摘も踏まえて、しっかり検討してまいりたいと存じます。

太田(昌)委員 先ほども申し上げました、件数が十二倍になっていて、そして対応する人は二・六倍と大変に開きがあって、しかも、その職員の中で、今のようなアドバイザーあるいは研修センターで研修が受けられる人もやはり限られるわけでございますから、そういう意味では、一つのやはり仕組みであったりとかマニュアルであったり、さまざまな部分の中でサポートできること、こんなことが望ましいなというふうに思っております。

 そんな中で、この人材育成といいますか、児童相談所のサポートとして、人工知能、AIを活用して、虐待のおそれがある子供を早期に救おうとする試みをしているところがございます。

 三重県なんですが、児童相談所でタブレットを導入しまして、そして、訪問した子供の年齢や性別、そして傷の場所、重傷度、加害者の属性、それから虐待期間など十七項目をタブレット端末に入力すると、子供を保護する必要性や虐待の再発可能性を総合リスクという数値であらわすシステムを開発し、活用しているということでございます。

 実際に、平成三十年度においてですが、一時保護件数が平成二十四年度に比べて二倍に増加した。これはふえたということなんですけれども、これはふえたことが悪いわけじゃなくて、つまり、栗原心愛ちゃんの例でもあるとおり、そこで保護をやはりためらってしまう。自分自身に自信がないとか、さまざまな部分がある。だから、そういう意味では、これは保護をためらわないという、そのためのサポートになり、あるいはそういう意識が醸成できたというふうに考察されているんですね。

 それの証拠と言ったらおかしいですが、逆に、一時保護によって、今度は、虐待の再通告率はこれによって三分の一に低減したというデータもあわせてあります。そういう意味では、大変に有効なツールとなっております。

 先ほど来お話ししていますとおり、児童福祉司などの人手不足に悩む児童相談所にとってみれば、保護に至る判断をサポートしてくれる、ある意味、運営改善に役立つ有効なツールと考えますが、こうした活用についての横展開、活用についての御見解を伺いたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年三月に閣議決定いたしました児童虐待防止対策の抜本的強化におきましても、虐待事案に関するデータを収集をして、その結果をAIで解析していくといったような取組が盛り込まれているところでございまして、AI技術の活用は極めて重要であるというふうに認識しております。

 このため、AI技術の活用につきましては、今年度から三年度計画で私どもの厚生労働科学研究を行うことといたしまして、委員から御指摘ございました三重県における実証試験等を通じた児童虐待対応におけるリスクアセスメントのためのデータ収集基盤の構築と、それから、AIを活用したリスク評価の研究につきまして研究助成を行っているところでございます。

 こうしたAI技術の活用によりましてリスクアセスメントツールというものが定着してくれば、データに基づくリスクアセスメントの精度の向上でありますとか、また人材育成にも資するということが期待できると考えておりまして、こうした研究成果も踏まえ、児童虐待防止対策におけるAIの活用についてしっかり検討を進めてまいりたいと存じます。

太田(昌)委員 改めて申し上げますが、地元で、私、先ほど長野県と申し上げましたが、あの広大な七十七市町村を、これを担当している児童相談所はわずか五つでございます。

 先ほど言ったとおり、ふえ続ける相談件数に対して、しかも、それを全て対応しなければならないという中にあって、大変に、そういう中で、少し、先ほど来申し上げましたとおり、例えば、市町村の体制を強化をして、あるいは関係機関との連携を強化して、そして児童相談所の負担をできるだけ軽くして、そして、児童相談所の職員はよりやはり深刻な事態に対応できるだけの、ある意味、余力を少し残しておくような形、更に言うと、やはりそうした人材も育成をしっかりしてもらいたいと思いますし、更に言えば、今のようなAIも使いながら、職員のさまざまな判断あるいは行動のサポートを、ぜひとも後押しをしていただきたいというふうに思います。

 もう一つ伺いたいと思います。

 今、大きな長野県で五つの児童相談所と申し上げましたが、児童相談所の設置促進ということで、令和五年の四月一日をめどにしまして、児童相談所の管轄区域、これは、地理的条件であったり、人口、交通事情その他社会条件について、これは都道府県が定めるということで、今、検討をこれから始めることになっておりますが、始まっていないんですよ。何でかといいますと、この区域を定めるに当たって政令で定める基準を参酌することになっていて、この政令で定める基準がまだ出ていないわけでございます。

 そういう意味では、施設の建設も必要になることも考えられるわけで、早期に手をつけなければ令和五年に間に合わない。もっと言うと、確かに人手の問題もあるんですけれども、やはり、住民、あるいは保護者、あるいは子供たちにとってみれば、できるだけ近くに児童相談所があることが望ましいというようなことも考え合わせましたときに、早期の基準の開示が求められるわけですけれども、現状についてお伺いをしたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、政令の基準につきましては令和五年四月一日に施行するということでございます。

 こうした中、昨年八月でございますけれども、国と地方公共団体の参画によります児童虐待防止対策に係る体制強化の在り方に関する協議の場というものを設置をしております。このもとに児童相談所の設置の基準に関するワーキンググループを設けまして、委員御指摘のこの設置基準について協議を行っているところでございます。

 また、この協議を行うに当たりまして、さまざまな、児童相談所の体制でございますとか、また、それぞれが置かれております地理的状況等についての調査も私ども行っているところでございます。

 先ほど申しました施行に向けまして、自治体とも十分に意見交換を行わせていただく必要があると思っておりますし、また、委員御指摘のとおり、自治体に計画的に準備を進めていただける必要があるわけでございますので、来年度中の基準の策定を目指してしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

太田(昌)委員 来年度中ということですが、できるだけ早期の開示と、そこの見込みぐらいはせめて発出して、やっていただければというふうに思いますので、現場は困っておりますから、ぜひともよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 次に、ちょっと順番を変えまして、武田大臣にちょっとお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 昨年八月に起きた茨城県の事案、あるいはその前に、一七年六月に起きました、東名高速道路での乗用車のあおり運転によってワゴン車の家族四人が死傷した、こんな事件、こんなものが後を絶たない。いつ自分に降りかかるかわからない状況、車を運転する皆さんにおいては、我が身に置きかえるといたたまれない思いになる、こんなふうに思ってございます。それぞれの事件が連日報道されたことによりまして、ドライブレコーダーを装着された方も相当ふえたようでございます。

 昨年の十月には、警察庁が全国の運転免許試験場に免許更新手続時に訪れた十八歳から九十歳の男女にアンケートを行ったところ、三五%が過去一年間にあおり運転の被害経験があるとおっしゃっておられたそうでございます。その状況は、後方からの著しい接近が八二%と最も多くて、クラクションや後方からのハイビームが約二〇%、幅寄せが一七%ということであったということでございます。

 警察庁では、今国会で、あおり運転に対する罰則の創設も含めた道路交通法の一部を改正する法律案を用意していただいております。国民の不安を大きくさせているあおり運転被害に対し、今回の法改正でどこまで払拭ができるものか、国民の期待の声が聞こえてきそうですが、所管大臣として、武田大臣の御所見を伺いたいと思います。

武田国務大臣 御指摘のいわゆるあおり運転、これは、意図的に危険な行為というものを生じさせるものであって、大変悪質かつ危険なものである、このことに変わりはございません。

 先生御指摘のように、多くの国民から、この行為に対する厳しい対処というものが、声が強まってきておるわけでありまして、そうした多くの声も踏まえて我々は検討してまいりました。他の車の通行等を妨害するような違法行為、こうしたものについて、罰則の創設等を内容とする道路交通法の一部を改正する法律案というものを今国会に提出させていただいたわけであります。

 この改正案の中の規定というものも我々は十分活用させていただいて、こうしたあおり運転に対して一層厳しい対処、対応ができるようにやっていきたい、このように思っておりますので、この国会におきましても、速やかなる審議のほど、よろしくお願い申し上げたいと思います。

太田(昌)委員 大変に期待する声が地元でよく寄せられておりますので、早期に成立をさせて、あおり運転の根絶に資するものにしてまいりたいというふうに思っております。

 現行法の範囲の中でも、これを取り締まる状況、これは現状もあるわけでございますから、それもしっかりと広報をしていただいて、法が通る前でも安心できるような体制、こんなものもとっていただきたいというふうに思います。

 現行のあおり運転の規定はないわけですけれども、しかし、車間保持義務違反での摘発が高速道路上では九〇%というようなこともございまして、そういう中で、よく寄せられる声が、一般道での被害も含めて、あおり運転被害に遭ったときに、これは一一〇番通報するのがなかなか敷居が高いといいますか、ハードルが高いという声を聞くんですね。通報しやすい専門ダイヤルの設置など、こんなものがあればありがたいというようなお声を聞くわけでございますけれども、こうした対応についていかがか、御提案申し上げますが、御見解を伺いたいと思います。

北村政府参考人 お答えを申し上げます。

 速やかな事件化ということを考えますと、一一〇番通報をしていただきたいとは思いますが、他方で、御提案の専門ダイヤルということにつきましては、既に警察におきましても、全般的な警察相談窓口としてシャープ九一一〇というもの、また、安全運転相談窓口としてシャープ八〇八〇という専用ダイヤルも設置はしているところでございます。

 また、岡山県警察におきましては、ホームページにおきまして、あおり運転の動画、ドライブレコーダーで撮ったような動画を受け付けるサイトを開設しておりまして、既に検挙もされていると承知いたしております。

 委員御指摘のように、あおり運転を撲滅するためには、国民からの情報提供というものが極めて重要でありますことから、さまざまな受け付けの仕方についても検討してまいりまして、引き続き通報しやすい環境づくりに努めてまいりたいと存じます。

太田(昌)委員 ありがとうございます。

 これから審議される法案審議の中で更に深めてまいりたい、こんなふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、十月から始まった幼児教育、保育の無償化の対象外となっている、幼稚園のいわゆる類似施設というものがございます。そうしたものに対しての支援というものを求めるわけでございますが、今、参議院で審議されております新年度予算案において、文科省が関連経費に二億円を盛り込んだというふうに認識しております。

 地方自治体が現在独自に支援している幼稚園類似施設に対して補助金を充てるとのこと、対象となる施設の要件や支援の内容など、具体的な検討状況についてお伺いをしたいと思います。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の幼児教育、保育の無償化の対象とならない施設には、さまざまなものがございます。このことから、国が一律に支援することはなじまないと考えておりますけれども、これらの施設の中には、各地域に固有の、さまざまな歴史的な経緯を経て、現在も地域や地域の保護者のニーズに応えて重要な役割を果たしている、地域にとってかけがえのない施設がございます。こういった施設を大切にしていくことも重要だと考えてございます。

 このため、これらの施設に対しましては、まずは、自治体がどう考えているかというような判断を尊重した上で、認可施設とのバランスでありますとか、安全面を含めた一定の質の確保の観点も考慮しながら、その支援のあり方について検討していく必要があると考えてございまして、こうした観点から、令和二年度につきましては、先ほどお話がございましたとおり、地域にとって重要な役割を果たす施設への国と地方が協力をした支援のあり方についての調査を行うということで、関連の予算を政府予算案に計上いたしてございます。

 この事業の現在の検討状況ということでございます。

 この事業については、就学前の幼児を対象として、自然体験や、さまざまな遊びでありますとか生活体験などを通じた集団的な活動を行う施設等に対しまして、認証などの仕組みを通じて質の担保を図りながら、現に今支援を行っている自治体に対して、それらの施設等の支援の方策についての調査を委託をするという形をとることとしてございます。

 対象となる施設の要件など、いわゆる公募をこれから行うこととなりますけれども、公募要領等の詳細については現在検討を行っているところでございますけれども、この事業を契機として、地域にとって不可欠な施設等に対する支援の充実につなげていただけるよう、検討を急ぎたいというように考えてございます。

太田(昌)委員 長野県には、信州型自然保育といいまして、子供が屋外で自由に遊ぶというような施設があって、これは認定を設けております。県でしっかり認定をして、今、実は支援をしているわけでございますけれども、そうしたところも、今のお話、自然体験なども含めて、ぜひ対象にしていただければというふうに思っております。

 もう一つ伺いたいのは、ただ、子供たちにとってみれば、単年度の支援であっては、やはり将来に向けて、保護者あるいは子供たちも安心してそこで学べないというような事情もございますので、次年度以降の方針についてもお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 また、最終的に、将来にわたって、こうした自然保育も今の幼児教育の一類と位置づけて、この無償化の対象に本当は加えていただきたい、こんなふうに期待をしているわけでございますけれども、このたびの予算による調査には、さまざま検討、検証と言われますが、こうした検討も含まれているのか、あわせて伺いたいと思います。

蝦名政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど、令和二年度予算案に現在計上してございます関連事業についてお話をさせていただきました。それ以降につきましては、これは、地方団体がどのような形でこうした施設に対しての支援を行うお考えをお持ちなのかといったようなことなどもございます。

 関連の地方団体とも協議や調整などを行いながら、この事業を通じて、全国のどういったところで、どういった役割を、どういった取組が果たしているのかといったことについての知見も得ていきながら、新たな支援策の実施を目指して検討をしてまいりたいというように考えているところでございます。

太田(昌)委員 少子化における子育て支援についてということで、一貫してお伺いをさせていただきました。武田大臣もありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

松本委員長 次に、関芳弘君。

関(芳)委員 ありがとうございます。自民党の関芳弘でございます。

 本日は、この内閣委員会の方で質問させていただきます内容が、私が常々、自分の政治課題として受けとめてしっかりと対応していきたいなと思っている項目について、いろいろ質問させていただきたいと思うんです。

 まず、日本の世界の中における国家的なパワー、立ち位置なんですが、それがいわゆる低下していっているというふうなことを、よく新聞を見たりいろいろな本を読んだり文献を読んだりするときに書かれているところで、気になっております。

 私が社会人になりましたのは平成の元年、一九八九年でございますけれども、そのころはバブルの絶頂期だったとかよく言われるんですけれども、そのころの日本を見ておりますと、非常に世界の中でも注目され、また、国のパワーを感じる項目がたくさんありました。

 日本の世界の中における立ち位置をはかる基準として国際競争力という指針がよく扱われたりいたしておりますけれども、この国際競争力、日本が今どのような立ち位置なのかというのを、年代ごとに大体どういうふうな順位で推移してきたかというのを伺いたいと思いまして、それをまず一番目に聞きたいと思うんですが、バブルの絶頂期のころでありました一九九〇年、十年後の二〇〇〇年、また十年後の二〇一〇年、そして現在と、十年置きぐらいに、日本の国際競争力の順位をまず伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘がございました、国の国際的な競争力をはかる代表的な指標の一つとしまして、スイスにございますビジネススクールのIMDが各種統計やアンケート結果に基づきましてこの三十年来作成しております、世界各国の世界競争力ランキングがございます。

 この世界競争力ランキングによりますれば、日本の国際競争力は、一九九〇年は第一位でございました。ただ、その後、日本の経済の不況等を背景に、二〇〇〇年には第二十一位にまで急落しました。その後、二十一世紀に入りましてからは、基本的には二十位台半ばで推移しまして、二〇一〇年に第二十七位になりまして、以後、直近の二〇一九年には第三十位と、過去最低の水準まで落ちているという状況でございます。

関(芳)委員 一九九〇年、今から三十年前は、日本は世界の国際競争力第一位だった。現在は三十位まで来ている。

 この状況に対して、やはり私は、政治的な、自分の活躍する課題を、頑張っていきたいと思うところの課題を見出すわけなんですが、まず、政府としましては、なぜ日本の国際競争力が一九九〇年一位から現在の三十位まで落ちたか、どのような分析をされていますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 世界競争力ランキングにつきましては、四つの分野、すなわち、一番目に各国の経済状況、二番目に政府の政策の効率性、三番目にはビジネスを担う企業の効率性、四番目には企業経営を取り巻くインフラ環境、以上四つの分野のそれぞれにつきまして各国の優劣を評価しまして、その上でこれを集計しましてランキングを算出するという手法をとっております。

 この四分野でそれぞれ見た場合に、直近の二〇一九年におきます日本の順位は、経済状況は十六位、インフラ環境は十五位と比較的上位であるという状況にございますが、その一方で、政府の効率性は三十八位、ビジネスの効率性は四十六位と相当低迷しておるという状況でございます。

 とりわけ、足元の二〇一九年では、企業のビジネスの効率性、これが前年の二〇一八年から相当程度ランクダウンしまして、これが、恐らくは、先ほど申し上げました過去最低の三十位という総合順位につながった主な要因ではないかというふうに見ております。

関(芳)委員 四つの項目につきまして詳しく教えていただきまして、ありがとうございました。

 やはりこれは、我々、このような立場にある者としまして、何とかこの順位を上げていきたい、そのように目標を持って日々取り組んでいかないといけないと思うわけでございます。

 そういうふうなときに、今もお伺いしましたけれども、政策的には三十八位であり、企業行動、企業のパワーについては四十六位ですか、こういうふうな状況を見て、今政府は、これから、この一位から三十位になった状況を何とか挽回しないといけない中におきまして、どのようなお考えを持っていらっしゃいますか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明したように、日本の国際競争力ランキングの順位が近年低迷している主な要因は、企業のビジネスの効率性が低いという点にあると考えられまして、日本の順位を上げるためにはこれを改善する必要があるという認識でございます。そのためには、日本の大企業が内部資金として有する多くの現預金を有効に利活用しながら、イノベーションを積極果敢に進めていくということがポイントになるのではないかというふうに考えております。

 その具体的な手法としましては、規制緩和、事業環境の改善やコーポレートガバナンスの推進等の従前からの施策に加えまして、新たに先般設けましたオープンイノベーション税制といった税制上の優遇措置等を通じまして、大企業とスタートアップ企業との間でのオープンイノベーション、すなわち、スタートアップ企業は往々にして有望な新技術等を持つケースがございますけれども、これらスタートアップ企業と協業する形で、大企業が積極的にイノベーションの創出に取り組むように後押ししていくということを政府は考えております。

 更に申し上げれば、同様に、ビジネスの効率性を高める観点からは、ビジネスが高度化、複雑化する昨今の時流の中にありまして、イノベーションを支える人材の高度化も同様に重要であるというふうに認識しております。このため、AIやビッグデータの分析といった第四次産業革命の新たなスキルを活用できる人材の育成や、あるいは社会人の学び直しのためのリカレント教育も進めてまいります。

 これらの施策を重点的に推進していくということによりまして、我が国の国際競争力の強化に、より一層注力してまいります。

関(芳)委員 本当に、今、大切な項目を挙げていただいたと思います。

 ただ、私がいつも心配するのは、この項目は頭ではよくわかっているんですが、これを本当に実行するところがいかに難しいのか、これが世界の中で日本が勝っていくための本当に要諦だと思いますので、その点、しっかりとまた議論を重ねて、この日本の順位を三十位から下がるのを食いとめ、今度はまた、逆にまたトップクラスに持っていくように頑張っていければと思います。

 こういうふうな中において、今、よく新聞紙上で言われますのが、世界の巨大な企業のパワーのすごさなんですね。今、その企業のパワーのすごさを、略語でよく言われるんですが、アメリカであればGAFA、中国であればBATHとかいって、このようにデジタルインフラを使った通信事業なんかが、いろいろな経済面また軍事面等のパワーの源になっているということがよく言われます。

 ここで、よく、今、米中貿易摩擦とかいう言葉が世の中で聞かれますが、アメリカと中国における経済競争の激しさ、それを牽引するようなデジタル分野の企業の競争、これを見てみますと、GAFAとBATHについて見てみます。

 ネット検索のエンジン企業のところでは、GAFAの方はグーグルであり、中国のBATHの方はバイドゥと言われますね。ネット通販企業は、GAFAの方はアマゾン・ドット・コム、BATHの方はアリババグループ。SNS企業では、GAFAの方はフェイスブックであり、BATHの方はテンセント。スマートフォン企業では、GAFAの方はアップルで、BATHの方はファーウェイ、このように言われます。

 このような、すごいアメリカと中国の企業パワーなんですが、この企業が、じゃ、どれほどの企業パワーを持っているのかというのを、一つの方策というか、一つの柱のところで見てみました。株式の時価総額というところで見てみたわけですが、現在、これは去年の数字ですが、二〇一九年三月と二〇一〇年六月の株式の時価総額で見てみました。

 何と、二〇一九年、先ほど、GAFA、BATHといったところの企業ででは、世界のトップ十社のうち、アメリカ、中国の、先ほどの八つの企業が何と六つほど入っているんですね。まあ、すごいです。十年前、二〇一〇年の六月に、そのGAFAそしてBATHの中で入っていた企業は、たった一社、アップルだけなんですね。ほかの企業は、ここ十年でばさっと大きく成長してきた。

 このような企業がアメリカ、中国にはあるにもかかわらず、日本にはない。

 では、日本で一番大きな企業と言われているトヨタ自動車、トヨタ。二〇一九年三月の時価総額は、何と世界で四十三位なんですね。

 一位のマイクロソフトは、十年前も頑張っていて、五位でした。そのときの時価総額、二千十八億ドル。去年が、マイクロソフト、九千四十七億ドルということで、四・五倍にもマイクロソフトは伸ばしています。

 アップルは、二千二百八十九億ドルから八千九百五十七億ドル、これも四倍ぐらいですね。アマゾン、八千七百四十七億ドル。アルファベットはあっちの部分でしょうけれども、これは八千百六十九億ドル。フェイスブックは四千七百五十七億ドルということなんですね。すごいです。

 中国の中では、アリババが四千五百九十二億ドルで、テンセントは四千四百十二億ドルということで、先ほど申し上げた、アメリカのGAFA、BATHという企業がいかに急激に大きくお金を集めて、しかも企業価値をつくっていったかということだと思います。

 こういうふうな中におきまして、アメリカの方からよく言われる企業の名前でファーウェイがありますが、このファーウェイを見てみますと、5G、スマートフォンですね、このスマートフォンで、ファーウェイの本当の底力というのはすごいなと思うのが、スマートフォン自身の世界のシェアは、二〇一八年の数字でございますが、サムスン電子が二〇・八%、アップルが一四・九%、ファーウェイは一四・七%を世界で占めていて第三位なんですが、何と、スマートフォンを動かさないといけないための基地局、ベンダーですね、これは、エリクソンが二九%、ファーウェイは第二位で二六%、スマートフォンの世界ナンバーワンシェアのサムスン電子は、世界の基地局は五%しか持っていない。

 だから、スマートフォンのシェアも基地局のシェアも、両方ともそろって初めて本当のパワーなんですが、それはやはりファーウェイが飛び抜けて強いということなんですね。

 加えて、世界の大空港の半分以上では、統合ITシステムにファーウェイの製品を使っています。パリのシャルル・ドゴール空港でさえファーウェイなんですね。すごいです。

 じゃ、どれだけ、そのようなすごい企業ができる中において研究開発費を使っているのかと考えますと、ファーウェイは、日本円にすると、毎年毎年、心臓部分の半導体部分のハイシリコンのお金まで含めますと三兆円。すごいですね。毎年毎年、三兆円の研究開発費。日本トップのトヨタ自動車の研究開発費、毎年、三分の一の一兆円。ファーウェイと同じような業種の日本電気、富士通におきましては、二千億円ぐらいですね、毎年、研究開発費に。毎年、ファーウェイの十五分の一。これが毎年毎年続いていくんですね、この十五分の一の状況が。

 さあ、このような中において、世界の中における日本の国際競争力をいかに上げていくのか。なかなか難しいところだと思います。

 このようなところが非常に国際パワーの、国家パワーの中で反映して表立って出てくるところが、私は、一つには宇宙であり、一つにはデジタル通信のその技術分野と思うんですが、その項目について、続いて質問していきたいと思います。

 一つは、宇宙、これは安全保障とも直結するんですけれども、今、安全保障問題につきましては、それぞれの兵器の技術開発も進むことながら、そのエリアが非常に広がっていって、安全保障で考えないといけないエリアが、海洋にまで広がって、今やもう宇宙まで広がっていっているような、そんなような時代なんですね。宇宙まで安全保障を考えないといけない。

 そのような中において、その宇宙での安全保障を考えるときに、技術開発というのを抜きには語れません。そういう中において、やはり、今よく注目される、アメリカと中国との技術開発競争は物すごく新聞紙上もにぎわせておりますが、これについて、現状どのようなものなのか、お聞かせ願いたいと思います。

行松政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、アメリカ、それから欧州、ロシア、中国など、各国は多種多様な衛星を宇宙空間に配備をし、先進的な軍事作戦が可能な状況をつくり出しておりまして、現代の安全保障は宇宙システムの利用なしには成り立たなくなっていると認識をしております。

 この中でも、米国は、早くから通信衛星やGPS衛星等の宇宙システムを整備をし、宇宙開発をリードしておりまして、また軍事利用も進展をしております。

 御指摘の中国につきましては、近年、宇宙活動が急速に活発化をしております。北斗あるいはベイドウと呼ばれる測位衛星の開発や、ASATと言われる衛星破壊実験の成功に加えまして、二〇一八年には、年間の打ち上げ回数が米ロを抜いて世界第一位となっておりまして、さらに、二〇一九年には、世界初の月の裏側への着陸にも成功をさせている。そういった宇宙分野においてのプレゼンスを拡大をさせているところでございます。

 このような情勢変化を踏まえまして、米国におきましても、宇宙空間は戦闘領域であるという認識を表明をしておりまして、昨年末に宇宙軍を創設をし、さらに、数百基の小型衛星の一体的運用に関する研究開発を進めるなど、宇宙安全保障に係る活動を一層強化をしていると承知をしております。

関(芳)委員 ありがとうございます。

 もうどんどんどんどんアメリカも中国も新技術を使いながら、どんどんどんどん宇宙の方に進んでいっているのがよくわかりました。

 こういう中におきまして、ちょっと時間が押していますので質問二つを一つにしたいんですが、宇宙の安全保障なんかを考えるときに、技術開発は当然、今のお話のように避けて通れないわけなんですが、一国だけでもなかなか自国の安全保障というのは確立し切れないと思いますので、いわゆる国家的に手を結び合って、お互いに共同で安全保障を確立していかないといけないと思いますので、二つの質問を一つにさせていただいて、そういうふうなことを考える際に、日本という我々の国が、宇宙の安全保障、そして技術開発の中でどのような立ち位置にあり、今どのような課題があり、どのような対応をしていこうとしているのか、それについてまとめてお答えいただきたいと思います。

行松政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、衛星の開発から製造、打ち上げ、運用に至るまでの一貫した能力を有するとともに、宇宙科学や宇宙探査においても顕著な成果を上げるなど、国際的なプレゼンスを有する宇宙先進国の一つであると認識をしております。

 各国の宇宙活動が活発化しておりまして、宇宙空間の持続的かつ安定的な利用に対するリスクが増大をしているということでありまして、我が国としては、日米の宇宙協力を一層強化をするとともに、米国以外の友好国との間においても、国際的なルールづくりを含む幅広い協力を追求することが重要であると考えております。

 このような観点に立ちまして、我が国としましては、一つは、自律的な宇宙輸送能力の確保に向けた基幹ロケットの開発でありますとか、また、持続的な測位を可能とする準天頂衛星システム、さらに、国際宇宙ステーションにおける有人宇宙活動などの先進的な宇宙システムの開発に継続して取り組むことが必要と考えております。

 さらに、米国が、今申し上げましたように、宇宙空間を戦闘領域として認識をしているということで、宇宙分野におきます国際競争が激化をしております。

 我が国におきましても、宇宙状況把握、SSAを始めとした必要な体制の構築、あるいは、ミッションアシュアランスと呼ばれる宇宙システムの機能保証のための能力強化の取組、そういった機能を強化をしてまいりたいというふうに考えております。

関(芳)委員 今、宇宙における日本の役割、また技術改革、革新の状況を教えていただきましたけれども、いろいろな項目がやはり挙がっていました。輸送分野、準天頂衛星とか、また、いろいろな、技術開発の人材を育てていくこととか、もう非常に多くの項目をやらないといけないわけですね。

 その中において私が危惧するのは、それぞれ本当に重要なんですが、どれだけのこの予算が本当にとれていって、それを応援していけるか。実際に大切だとはわかっているんですけれども、その限られた資源をいかに配分していくのかというところは非常に難しいところだと思いますので、それぞれが非常に重要であるのはよくわかるんですが、非常に、優先順位をつけながら一番効率のいい対応にて頑張っていただきたい、そのように思います。我々は応援団として、しっかり私も取り組んでいきたいと思います。

 そして、大きな項目の二つ目ですが、先ほど、世界の国際競争力、日本の国際競争力の順位、三十位とかいうお話を聞かせていただいたわけですが、その中における、いわゆる技術面の世界各国の進みぐあいを、いろいろ私も、GAFAとかBATHの話をさせていただきましたけれども、ここのところにつきまして、いろいろな企業に私も、実際に、アメリカにしろ中国にしろ、各それぞれの大きな企業のパワーというのはどれぐらいなのか、どう評価、どれぐらいの力と考えたらいいのか。また、そこと比べたときに日本の企業の実力というのはどれぐらいなのか。そして、どのように、じゃ、今後我々日本は対応していかないといけないのか。将来それが続いたときはどうなっていくのか。というふうなところが、私は、非常に戦略的にやっていかないといけないと思いますし、戦略さえ間違えなければ、まだまだ日本は頑張れると思っているところでございます。

 ちょっと時間が押しておりますので、先ほどの経済面のところにつきましてまとめて質問させていただきますので、初めは質問を四項目ぐらいに分けていたんですが、まとめてお答えをいただけたらと思います。

野原政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘あったように、各社のIR資料や報道などによりますと、研究開発投資に関してでございますけれども、ある海外ベンダー、中国のベンダーでございますが、日本のベンダーの十倍以上の研究開発投資を実施しているという状況にございます。

 また、これまでのモバイル用途の移動通信インフラ機器市場、4Gの基地局の市場でございますが、世界で上位三社、ファーウェイ、エリクソン、ノキアという、中国、ヨーロッパの上位三社で世界シェアの約八割を占めている状況にございます。一方、日本の主要なベンダーは、富士通、NEC、それぞれ、世界シェアで見ますと一%弱しかないという状況でございまして、このように、日本企業は厳しい状況に置かれていると承知をしております。

 これまでの市場におきましては、単独のサプライヤーがシステムの主要部分全てを受注することが多かった。ある種、ベンダーロックインになるようにして、パッケージで全てを受注するというふうな慣行になっていたものですから、日本のサプライヤーが入り込む余地が少なかったという状況にございました。

 これからインフラ整備が本格化する5Gの分野では、各国の主要携帯キャリアを中心に、システム構築について複数のサプライヤーにオープンに調達していくという方向というふうに認識をしております。海外企業と連携することで日本企業が国内外の市場を獲得できるチャンスが広がっている、このように認識をしております。

 こうした状況を踏まえまして、今国会に提出している5Gの関連法案では、税制等で支援する事業計画の要件の一つとして、オープン性に注目をするという方針にしております。国内外の企業がそれぞれ強みを持ち寄って連携していくことを後押ししてまいりたいと考えております。

 また、5Gのインフラの高度化が進んでまいりますことを踏まえまして、日本企業の技術力を高めていくということも重要でございまして、成立いたしました補正予算の中で一千百億円の研究開発の予算を計上してございますが、情報通信システムに関する技術開発を支援していきたいと考えております。

 このように、新しい制度、税制、予算を総動員いたしまして、5G分野の民間の取組を後押しすることで、情報通信関連の日本企業の育成を進めてまいりたいというふうに考えております。

関(芳)委員 非常にいい示唆を今聞かせていただきました。

 強いところに非常に特化していこう。そのオープン的な部品の調達が、これから5Gの時代、なされていくでしょうから、そこのところを目指してしっかりと力を発揮していこう。私は、先ほど、一九九〇年に国際競争力ナンバーワンだった日本の地位というのが、やはりそれを回復するためには、昔のような戦略をそのままとっていてはいけないと思うんですね。

 ちなみに、一九九〇年、その一年前、一九八九年の一番日経平均が高かったとき、三万八千九百五十七円ですね。そのときの、先ほど世界の企業の時価総額を申し上げましたけれども、そのとき、世界の時価総額上位三十位のうちの二十一社が日本企業なんですね。それが今や、トヨタが四十三位で、世界の中で日本企業の第一位。一九八九年、時価総額世界ナンバーワンの一位はNTT、二位は日本興業銀行、三位は住友銀行、四位は富士銀行とずっと続くわけなんですが、トヨタは十一位ですね。今、トヨタは世界の四十三位。

 先般、韓国に対する、半導体の部品であります弗化水素、弗化ポリイミド、レジスト、この三品目につきまして、輸出に対してはホワイト国から外したということをやりましたときに、物すごく韓国との関係がいろいろあったわけなんですが、逆に言えば、それほど大きな問題として取り上げられるほど、その部品の日本のパワーが大きいということだと思うんですよね、逆に言えば。

 今、いろいろな高度な製品をつくるときに、やはり何百、何千もの部品が一つになって一つの製品ができていくわけですが、その中における、そのサプライチェーンの一個でもいいから、ここは絶対に外せないというところに非常にパワーを集中してとっておけば日本の地位というのは保たれるような一つの示唆じゃないかなと、私は思っています。

 ですから、先ほど、オープン的なマーケットになるところ、徹底的にそこにチャンスを見つけていこうというそのお考えは非常に私は賛成できますし、その戦略を徹底して、頑張って日本の地位向上をしていっていただけたらと思うところでございます。

 それで、このような技術が進む中におきまして、今よく問題となりますのが、デジタル技術が進むことで技術革新も進んでいっているわけですが、サイバーテロとかの問題がどうしても我々は避けて通れません。

 これについて、今どのような状況にあるのか、これを、政府とか民間とかいろいろな状況につきまして、全体像を教えていただきたいと思います。

大石政府参考人 令和元年中におきまして、警察庁がインターネット上に設置しておりますセンサーがございまして、そこで検知した不審なアクセスは、一日一IPアドレス当たり四千二百件になります。これは、平成二十七年と比べますと約五・七倍と、大きく増加をしております。

 また、標的型メールにつきましても、警察が先端技術を有する事業者等の皆様方との情報共有の中で把握した件数は約五千三百件ということで、これも引き続き高い水準となっており、その手口も極めて巧妙化をしております。

 サイバー攻撃の具体例といたしましては、国際的ハッカー集団の攻撃によるものと見られる、地方自治体、民間企業等のウエブサイトの閲覧障害、あるいは、大手電機会社が、不正アクセスを受けて情報が流出した可能性がある旨を公表しておりまして、サイバー攻撃をめぐる深刻な状況、脅威は非常に、そういった状況が続いているというふうに認識をしております。

関(芳)委員 ありがとうございました。

 何秒で一件とかいうふうな形を超え、一秒にもう何件、何十件のような時代が本当に来るんだろうなと思います。

 こういうふうなやはりデジタル通信の技術をもって、経済にしろ宇宙にしろ、開発そして発展が進む中におきまして、今よく言われるのが量子の技術でございまして、コンピューターにしろ暗号にしろ、いろいろな量子の技術につきまして、非常にもっともっと私は日本は力を入れないといけないのではないかと思っております。この分野におきましても、またアメリカと中国の争いがすごく激しいというようなことを聞いております。

 ちょっと時間も押しておりますので、この量子の技術の世界的な開発そして進捗、それを、米中とか日本はどうなのか、それでは日本は今後どうするのか、そこら辺をまとめて、政府のお考え、状況を聞かせていただきたいと思います。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 量子技術については、経済社会の発展や安全保障に大変大きな影響を与える重要技術との認識から、米欧中を始めとする諸外国において、国を挙げての取組が大変加速しております。

 米国では、トランプ政権のもとで、二〇一八年十二月、量子情報科学に関する法案を制定し、十カ所程度の拠点形成など、五年間で十三億ドル、日本円にして約千四百億円の投資を行うことが盛り込まれています。グーグルやIBMなど巨大IT企業や関連するベンチャー企業などにおいても、積極的な研究開発と投資拡大を進めていると承知しております。

 また、中国においては、特に量子通信や量子コンピューターを中心とする研究開発を急速に拡大しております。中国政府は、量子情報科学国家実験室の整備に約七十億元、日本円にして千二百億円の投資を決定し、アリババなど巨大企業が量子コンピューターなどの研究開発に特に力を入れていることを承知しております。

 我が国においては、一九九九年、当時NECに在籍していた中村、蔡両氏が超電導量子コンピューターの基礎となる回路を発見するなど、これまで量子分野をリードする基礎理論を生み出してまいりました。一方で、実用化、事業化では、IBMやカナダのベンチャー企業であるD―Waveなどの海外企業が先行しております。

 我が国においては、東芝が量子通信を実用化するなど新たな動きが出始めているものの、技術の事業化に向けた取組では大変多くの課題があるものと承知しております。また、政府としても、これまで各省庁が個別に研究開発を推進し、政府として必ずしも整合性のある十分な取組が行われてこなかったと認識しております。

 このため、政府においては、官民を挙げた取組を加速する観点から、本年一月に、国家戦略となる量子技術イノベーション戦略を取りまとめ、統合イノベーション戦略推進会議にて決定いたしました。本戦略では、量子コンピューターや量子計測・センシング、量子通信、これらの重点領域の設定や、国内外からの人材や投資を呼び込む量子拠点の形成、そして、日米欧の三極を中心とする国際連携協力の拡大、こういった取組を網羅的に取りまとめたところであります。

 最後になりますが、今後、本戦略に基づいて、企業などからの積極的な投資を呼び込み、関係府省等が一体となり、積極的な取組を加速、推進してまいります。

 引き続き御指導をお願い申し上げます。

関(芳)委員 時間となりましたので、最後に一言。

 政府支出、もう百倍ぐらい出して応援を民間企業にしていきたいところですが、一方、財政再建もあります。この財政再建と成長戦略、政府支出、その関係について、最後に一言、宮下副大臣からお願いいたします。

宮下副大臣 お答えいたします。

 先生先ほど言及がありましたけれども、この七年間にわたるアベノミクスの推進によりまして、デフレでない状況はつくりつつあるということだと思いますけれども、GDPが名目、実質ともに過去最高規模に達しておりますし、また、生産年齢人口が五百四十万人減少する中で、それを乗り越えて就業者数も四百四十万人以上増加して過去最大になっている、こういう底力を発揮しているという面もございます。

 これは財政面から見ますと、当初予算ベースで国、地方を合わせた税収が三十兆円以上増加しておりますし、結果、足元では、令和二年度予算の国の税収は六十三兆五千億円と過去最高となる見込みにしております。新規国債発行額も八年連続で減少しておりますし、安倍政権発足前の四十四兆円台から三十二兆円台まで約十二兆円減少する見込みとなっております。

 この結果として、国、地方を合わせたプライマリーバランスは約十四兆円改善する見込みとなっておりまして、アベノミクスの成果がこの財政面でも着実に成果につながっているというふうに思います。

 このような成果はあるわけですけれども、今後についても、引き続き、経済成長なくして財政健全化なし、こういった基本方針のもとで、経済再生と財政健全化、一体的に取り組んでまいりたいと思っております。

 具体的には、先般取りまとめました総合経済対策、また成長戦略実行計画、こうした実行を通じまして、今先生御指摘のようなさまざまな成長分野、これを育てて、そして、我が国の生産性、潜在成長率の引上げに取り組んでまいります。

 同時に、成長だけでは財政再建というのにいま一歩届かない面もあります。二〇二五年度のプライマリーバランスの黒字化、債務残高対GDP比の安定的な引下げに向けましては、新経済・財政再生計画とその改定改革工程表に基づきまして、歳出改革等も力強く推進していこう、こういう方針であります。

 付言すれば、足元では、新型コロナウイルス感染症が世界全体に広がっておりまして、我が国経済にも相当な影響をもたらしてきております。こうした状況が長引かないように、感染拡大を防止して、その流行を早期に終息させることが経済の観点からも最大の課題だというふうに思っております。

 このため、三月十日をめどに、二千七百億円を超える今年度予備費を活用しました緊急対応策の第二弾を取りまとめまして、必要な対応策をしっかりと講じていくとともに、今後も、新型コロナウイルス感染症の内外経済への影響をしっかり見きわめて、必要かつ十分な経済財政政策をちゅうちょなく行っていく方針でございます。

関(芳)委員 ありがとうございました。

松本委員長 次に、西田昭二君。

西田委員 ありがとうございます。自由民主党の西田昭二でございます。

 きょうは、内閣委員会最後の質問の機会をいただいたということで、諸先輩方に感謝を申し上げますとともに、私の地元は石川県能登半島でございます、今回、本当に全世界で猛威を振るっており、日本じゅうにも大変な混乱を与えております新型コロナウイルスの関係についても、私の地元和倉温泉、温泉街でありますけれども、大変なキャンセルが相次ぎ、今月、そしてまた来月、そしてまた連休にも届くような状況で、大変厳しい状況のお話を伺っているところでございます。

 ぜひとも、政府におかれまして、そしてまた国民がしっかりと協力しながらその難局を乗り切って、しっかりと反転攻勢できる暁には、私ども、和倉温泉においてはしっかり、おいしいお酒、そしてまたおいしい食でおもてなしをさせていただきますので、委員の皆様方においては、後援会各位の旅行にはぜひとも和倉温泉に来ていただきますことを心からお願いを申し上げるところでございます。

 まずは、このたびの新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々、そしてまたその御家族に心からお悔やみを申し上げますとともに、そして、今なお新型コロナウイルスの感染症により治療されている方や関係の皆様方にお見舞いを申し上げ、そしてまた、未知の感染症に対して現在もなお立ち向かっていただいている皆様方に心から感謝を申し上げ、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず最初に、新型コロナウイルス国内発生以来、日本全国で深刻なマスク不足が問題となっております。午前中にもいろいろと質疑の話がありました。マスク不足に伴い、電車などでの客同士のトラブル、そしてまた、神奈川県や北海道では、マスクの購入のためにドラッグストアに並んでいた客同士が激しい暴力沙汰になったことがテレビとか報道等で出ておりました。

 先日、国民生活安定緊急措置法に基づき、厚生労働大臣から、一般家庭用マスクの製造販売事業者及び輸入事業者に対して売渡しの指示がなされたと伺っております。売渡しを受けたマスクは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、地方自治体からの要望等も踏まえて、まずは、人口に占める患者数の割合が特に多い地域として北海道の一部地域や、クラスター発生等による今後の潜在的患者数増加に留意が必要な地域に配付するとのことでございます。

 その点に関しては、患者数や今後の感染拡大にさまざまな状況や地域の事情を吟味した上での政府の決断だと思いますので、全く異論はございませんが、今回のこの発表により、北海道を除く四十六都府県での、住民にとっては、よりマスクの不足に対する心配がふえるのではないのかな。本当に心配をしているところでございます。

 午前中にも少しお話があったわけでありますけれども、国民に対して大きな不安が起きないよう政府や国会は努力をしていく必要があると思いますが、政府の考え方について伺いたいと思います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 北海道におきましては、新型コロナウイルス感染症の国内発生の件数が国内最多となっている状況の中、また道内の中に広がっている中で、知事より緊急事態宣言が出されるとともに、外出も控えるように呼びかけが行われておりまして、一般住民の感染予防のため、マスクの必要性が特に高まっているという状況でございます。

 また、マスクの需給状況が逼迫する中、鈴木北海道知事から国に対しまして、マスクを必要とする一般住民の方に十分な量が早期に行き渡るように取り組んでほしいとの御要望もいただいたところでございます。

 このような状況を踏まえまして、厚生労働省では、今月一日の総理指示に基づきまして、三日、マスクメーカーの業界団体に対しまして四百万枚の一般用マスクの売渡しを指示し、現在その配付を始めているところでございます。今回配付するマスクの量は、週当たりの供給量の四%程度でございまして、全国の供給量に大きな影響を与えない範囲というふうに理解しているところでございます。

 また一方で、御指摘のようにマスク不足に対する不安の声が上がっているところでございますが、これにつきましては、できるだけ早く品薄状態を解消できるように、週一億枚以上、月換算で四億枚程度増産することに加えまして、緊急対策において措置をいたしますマスクの生産にかかわる企業への設備導入補助等を通じたさらなる増産、中国を始めとする諸外国からの輸入の回復に官民連携して取り組むこと、その他、ガーゼマスクなど再利用できるマスクの増産などにより、今月から月間六億枚程度のマスクの供給が確保できるよう取組を進めているところでございます。

 この六億枚と申しますのは、例年のピーク時でございます二月の需要が大体五億八千万枚という状況でございますので、それを上回る程度の供給が可能になるよう取り組んでまいりたいと考えております。

西田委員 一日も早く国民の不安解消につながるように、ぜひとも取り組んでいただきたいと思います。

 次に、国民がみずからの安全、安心な生活を確保するための方法として、また感染防止対策としてのマスクや消毒薬などを購入したいと考えることは当然のことであると思っております。

 先ほど申し上げましたが、マスクや消毒液が不足する中で、開店前のドラッグストアの前に数時間も並び、決まった枚数や個数しか購入できない中、転売目的で保有しているものを、転売業者が対象品目を一定の期間にわたり販売できないような制度も必要ではないかと思っております。

 また、午前中にも三谷委員からも質問がございましたが、非常に高額なインターネットでの販売行為を行う悪質な転売ヤーと呼ばれる人たちに対しても、法律にのっとった取扱いをしっかりと実施すべきではないかと考えております。また、こういったことを国民の目線一つ一つで対処していくことが新たな騒動を防ぐことにもつながるものと思っております。

 先日のティッシュペーパーそしてまたトイレットペーパーの買占め問題や、花崗岩がコロナウイルスに有効だということでインターネットで販売しているような問題に関しても、いわゆるデマが発端となっております。このようなことが国民の生活に悪影響を及ぼしているのではないかと思っております。このような事態が減ることにより、昨今のようなトラブルも減らすことができ、治安の維持にもつながるものではないかと考えております。

 昨日、安倍総理からも、マスクの転売禁止の罰則規定の言及がなされておりましたが、政府として、このような事態に対して、今後の取締りや法整備について改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

江崎政府参考人 恐れ入ります。

 お答えを申し上げます。

 一部ネット上でマスクや消毒液が高値で販売されている実態を踏まえまして、経済産業省におきましては、大手のネット売買サイトの運営業者と対話、調整を重ねまして、二月二十八日に、マスク等のネットオークションへの出品や大ロットでの販売を三月十四日から当分の間自粛することを要請したところでございます。

 ちなみに、対応の開始日を三月十四日に設定いたしましたのは、直ちに出品の自粛を求めた場合、買いだめされたマスクが売り先を失うことで海外などに流出し、結果として消費者が手に入れられる商品が減ってしまうおそれがあること、そして、重要対応期間とされた二週間の途中でネットからマスクの出品が消えることで市場の不安をあおることがないようにすることなどを勘案したものでございます。

 こうした中、昨日の新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、総理から、国民生活安定緊急措置法を適用し、マスクの転売を禁止するため、速やかな施行に向け、政令の決定に向けた手続を進めるよう指示があったところでございます。

 現在、総理の指示を受けまして、消費者庁、厚生労働省など関係省庁と連携しながら、鋭意対応を行っているところでございます。

西田委員 政府にはぜひとも悪質な行為の取締りを、しっかりと尽力をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 次に、マスクとともに不足状況が続き、国民に大きな不安を与えていることになっているのが、アルコールなどの消毒液の不足でございます。

 消毒液の不足については、個人はもとより、医療機関にも大きな影響を与えております。私が話をお聞きしました北海道のある病院では、消毒液の在庫があと三週間分しかなく、それがなくなってしまえば手術ができなくなってしまう状況だそうでございます。また、都内の病院でも、在庫の消毒液がなくなってしまい、入荷のめどが立たない場合には、消毒液の確保が可能になるまでの間は患者さんの安全のためにも休院することを検討されているところでございます。地元石川県の医療関係者からはもちろんのことでありますが、さまざまな医療関係者から、ネットでもそのような窮状を呼びかけるツイートがなされております。

 そして、アルコールなどの消毒液の不足は、医療関係だけでなく、食品加工の現場に大きな影響を与えております。大手食品加工工場の経営者の話でも、消毒液の在庫がなくなってしまった場合には、安全性の確保ができず、総菜やお弁当の出荷を取りやめざるを得ないとのことでございます。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために、全国の学校を臨時休業期間とする措置をとり、児童や学生に不要な外出を極力避け自宅での学習を指示しておりますが、このような状態が続けば、自宅で待機している子供たちやその保護者の生活にも影響を与えるおそれがあると思っております。

 現在の家庭用、医療用、工業用の消毒液の不足は、マスク不足同様、社会に大きな不安と影響を与えることになるものでないかと考えておりますが、政府として今後どのような対策を講じていくのか、伺いたいと思います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 消毒用のエタノールにつきましては、先月十二日に厚生労働省から関係業界団体に増産要請を行いまして、これを受けて、国内主要メーカーでは、できる限りの増産に取り組んでいただいているところでございます。先月の実績で申しますと、一カ月間で昨年の月平均の約一・八倍に当たる約百七十万リットルの生産を行い、今後とも増産体制を継続する予定となっているところでございます。

 また、消毒用エタノールの効率的な生産と利用を図るため、医療機関や一般施設におきまして、手指消毒用のエタノールを大きな容器で購入し、それを小分けの容器に詰めかえて使用できることを明確化しているところでございます。

 引き続き、経済産業省と連携をいたしまして、定期的に生産、流通状態を把握しながら、できるだけ早期に品薄状態が緩和されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

西田委員 消毒液は、本当にウイルス感染拡大防止のために大変重要な品目であると思いますので、しっかりと対策をお願いしたいと思います。

 次に、新型コロナウイルス感染症による混乱に乗じたサイバー攻撃や詐欺についても、国民に大きな不安を与えているところでございます。

 現在、厚生労働省から国民に対してホームページ等で発信しておりますが、厚生労働省や自治体、国立感染研究所に類似した機関の名前をかたり、新型コロナウイルス感染症の注意喚起を装うメールも出回っているそうでございます。また、厚生労働省を装い、費用を肩がわりするので検査を受けるようにと個人情報を聞き出そうとしたり、地元石川県では、新型コロナウイルスに感染した方への見舞金を募集しているとの内容の不審電話の相談がふえているということを伺っております。

 このような混乱時に乗じたサイバー攻撃や詐欺などの犯罪について、政府としてどのように対策を講じていくのか、伺いたいと思います。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の発生に伴いまして、これに乗じた不審な電話やメール等に関して、国民の皆様からの相談が警察に寄せられているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、警察庁におきましては、不審な電話やメール等への注意を喚起し、犯罪被害を防止するため、都道府県警察に対しまして、地域の犯罪の発生状況等に応じて、各種広報媒体を活用した防犯情報の提供に努めるよう指示しているところでございます。

 また、関係機関との連携を図るなどして、混乱に乗じた犯罪に関する情報入手に努めるとともに、取締りを徹底するよう指示しているところでございます。

 国民の安全、安心の確保を図るため、引き続きこれらの取組を的確に推進してまいりたいと考えております。

椿政府参考人 厚生労働省におきましては、新型コロナウイルスを題材とした攻撃メールや詐欺につきまして、情報を把握し、速やかに厚労省のホームページに注意喚起の情報を掲載し、メールへの返信を行わないことなど、具体的な注意点をお知らせしているところであります。

 引き続き、こうした新型コロナウイルスを題材とした攻撃メールなどの情報を収集し、国民の皆様に必要な情報を発信してまいります。

 こうした事案は、詐欺などの犯罪行為につながるものであることから、内閣サイバーセキュリティセンターなど関係省庁と連携して、しっかりと対応してまいりたいと考えております。

西田委員 このような混乱に乗じたサイバー攻撃、そしてまた詐欺などについては、決して許されない行為でもありますし、人の弱みにつけ込むようなことでありますので、しっかりと国民を守るために十分な対策をお願いしたいと思います。

 次に、新型コロナウイルス感染症が全国に広がりを見せている中、各地方自治体や企業、イベント会社などは、新型コロナウイルス感染症のPCR検査で陽性を確認した際に、国民に対して真摯に情報提供をしております。ですが、それがかえって風評被害を招く結果となっております。

 感染拡大防止をするために情報を正直に発信している自治体や企業などをしっかりと支えるような措置を講じていく必要があると思いますが、政府の見解について伺いたいと思います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の皆様に感染症の基礎的な知識や予防策などを御理解いただくことは大変重要でございまして、その中で、患者の発生状況や感染症の予防策などの基本情報につきましてきちんと発信していくことが重要でございます。

 このため、厚生労働省のウエブサイト等によりまして情報発信に努めているところでございますし、また、これにつきましては地方自治体とも共有しております。また、自治体からの情報発信にも支援を行っているところでございます。

 また、グーグルやヤフーにおいては、これは政府からお願いしているものではございませんけれども、厚生労働省など公的機関が発信している情報などが一覧になって検索結果画面に表示されるように取り組んでいただいているというようなところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、政府といたしましても、個人情報の保護でありますとか、先生御指摘の風評被害の観点にも十分留意しながら、必要な情報の公表に努め、国民の皆様の不安に丁寧に対応してまいりたいと考えております。

西田委員 このような混乱している状況が続いている中で、事実確認も行わずにあえて風評や悪質なデマを発信し、敵対するような、企業や個人に対して攻撃している者も存在していると伺っております。

 そのような悪質な行為をとる人間に対して措置、又は、悪質なデマなどの情報発信により名誉が傷つけられたり営業を妨害されたりした方や企業に対して、名誉を回復するような機会や発信ができる環境を整備することなど、国や自治体などで協議するような措置も必要でないかと思っております。

 加えて、消毒が完了した施設などについてもしっかりと公表していく必要があると思いますが、このような事案に対して、政府の対応について伺いたいと思います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 国民の皆様に正確な情報を発信していくということが極めて重要でございます。そのために、大臣を始めといたしまして厚生労働省でも連日会見を行っておりますし、先日は総理みずから会見をいただいたという状況でございます。

 そうした中で、誤った情報が拡散することのないように、SNSへの主な投稿を確認したり分析したり、ウイルスや感染予防策などの誤った情報が広まっていれば、正しい情報でSNSを積極的に発信している状況でございます。

 消毒につきまして、厚生労働省におきましては、「感染症法に基づく消毒・滅菌の手引き」を作成しておりまして、こういった手引に基づきまして、各施設におきまして必要な消毒に取り組んでいただいているところでございますが、こうしたことが適切に行われますように、またそうした形で、問題が起きないような形で必要に応じて適切な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

西田委員 そのほかにも悪質な事例が見られますので、本当に正直者がばかを見ることはないように、政府としてしっかりと対策を講じていただきたいと思います。

 次に、風評被害による地方経済への打撃でありますが、冒頭にも私の地元のこともお話もさせていただきましたし、そしてまたさまざまな、全国の観光地や地域にとって大変厳しい状況であるのは間違いございません。

 現在、国や県では感染拡大防止対策に全力を注いでおりますが、風評被害の影響は大きく、地域に与えるダメージは徐々に大きくなってきております。石川県を代表する産業であります農林水産業、観光産業にも大きな影響を与えております。昨今の北海道産の農林水産物に対する風評被害と同様で、農林水産物の出荷に対して徐々に影響を与えてきております。また、観光産業に対しても、風評被害により交通機関や宿泊施設、飲食などのキャンセルが相次いでいると伺います。

 このような地域経済に与える影響に対して政府としてどのように対策を講じていくのか、伺いたいと思います。

宮下副大臣 御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症につきましては、観光関連産業を始めとしまして、地域のさまざまな経済に相当な影響をもたらしていると認識をしております。

 具体的には、訪日外国人観光客の減少、さらには国内旅行客の減少や宿泊のキャンセル、また、中国とのサプライチェーンを通じました生産の一部縮小、また出荷遅延、また、イベントや外出の自粛、テレワークの実施によりまして、鉄道客数の減少、百貨店や飲食店などの売上げの減少、レジャー関連事業の休業などが見られるところであります。

 こうした状況が長引かないように、感染拡大を防止し、その流行を早期に終息させることが経済の観点からも最大の課題であると認識しております。

 政府としましては、事業者の皆様をしっかり下支えするために、当面の措置としまして、緊急融資、保証枠五千億円の確保によって中小企業や小規模事業者の皆様の万全の資金繰り支援を行うこと、また、休業を行いました中小企業に休業手当の三分の二、大企業は二分の一でありますけれども、これを助成する雇用調整助成金の要件緩和、こうしたことを講じているところであります。

 また、三月十日をめどに、二千七百億円を超える今年度予備費を活用しました緊急対応策第二弾を速やかに取りまとめて、強力な資金繰り支援も含めて必要な対応策をしっかり講じていくことにしております。

 今後も、新型コロナウイルスの内外経済への影響をしっかりと見きわめて、必要かつ十分な経済財政政策をちゅうちょなく行っていく覚悟でございます。

西田委員 地方の中小企業や小規模事業者がしっかりと風評被害に耐えて、この厳しい状況を耐え抜けていけるように、政府としてしっかりと支援をお願いしたいと思います。

 次に、新型コロナウイルス感染症の風評被害による海外での影響についてでございますが、日本はこれまで、政府や自治体、企業努力によって、日本の文化やスポーツなどのコンテンツを海外に発信し、海外でのマーケットを展開してまいりました。これまでの海外を相手にしたセールスは大きな成果を上げており、訪日外国人の増加や、これまで日本国内で開催されてきたライブやスポーツ大会やイベント、エンターテインメントも海外で開催することが定着しつつあるところまで来ていると感じております。

 そのような状況の中で、今般の新型コロナウイルス感染症は全世界で大きな影響を与えていることは承知をしておりますが、今後、新型コロナウイルス感染症の鎮静化後にできるだけスムーズに回復できるように対策を立てておく必要があると思いますが、政府としてどのような対策を講じるのか、伺いたいと思います。

竹本国務大臣 先生おっしゃるとおりでありまして、ジャパン・エキスポというのをやりましたけれども、二〇一八年は二十四万人が入っておりますけれども、パリでも、昨年ですか、ジャパン・エキスポというか、日本の博覧会のような文化祭をずっとやりましたが、相当の人が来ておられました。

 このように、日本の、我々はクールジャパンと言っておりますが、魅力を海外に売ることが、非常に、外国にとっても非常に新鮮だし、多くのファンを引きつけているところなんです。

 ところが、そこに湧いて起こったのがこのコロナ騒ぎであります。したがって、いつになったらそれが大丈夫なのかということをみんなが気にしているところであります。

 政府におきましても、私は内閣府の特命担当大臣ですが、私を議長とする関係省庁の集まりがございまして、クールジャパン戦略会議と言っておりますが、ここでも、日本の魅力をどのようにして海外へ伝えていくかという議論をしておりますと同時に、そのセキュリティーといいますか安全性、信頼性、それを確保し続けるにはどういう工夫が必要かということを常に議論しておりますが、今回の事態に至りまして、やはり適時適切に正確な情報を海外に発信することが絶対に必要だと思います。

 大使館始め国際関係機関も通じていろいろな発信はしていきますけれども、同時に、全世界の人が見ておられるCNNとか、こういった媒体をも使って日本の安全性を、コロナ問題が解決すれば、しっかりと伝えていく必要があろうかと思います。それは、世界の人たちに対する、期待に応えるという意味でも必要なことだろうというふうに思っている次第であります。

西田委員 このような日本の、これは大きな財産だと思っておりますし、何とかコロナウイルス関係が終息した場合には、竹本大臣の強いリーダーシップでぜひとも推し進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、三月といえば、日本全国で四月から新生活がスタートし、さまざまな準備をする時期でございます。新社会人、新入生など、日本各地でたくさんの人が四月からの新しい生活に備え活動しているところでございます。

 このような状況の中、今回の新型コロナ感染症の蔓延により、中国を始め海外でも、工場の休止に伴い工業用製品などが日本に輸入しづらくなる状況が報道等で取り上げられておりました。

 例えば、自転車や自動車に使われている部品や家電の部品、新築の建物に使われるトイレの資材なども輸入が難しくなってきており、その結果、建物の完成時期が遅くなるのではないかという話も聞いております。

 国民に大きな不安を与えないためにも、生活必需品が不足するような事態を招くようなことはあってはなりません。そのようなことがないように、引き続き対策を講じていただきたいと思います。

 現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けて全力を注がなければいけないということはもちろん承知をしておりますが、同時に、あらゆる分野にも対処していくことが必要でありますが、政府としての決意をお伺いさせていただきたいと思います。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の新型コロナウイルス感染症につきましては、先般取りまとめられました第一弾の緊急対応策におきまして、感染拡大の防止に加えまして、事業者に対する五千億円の資金繰り支援や、雇用調整助成金を活用した雇用対策など、必要な対策を盛り込んだところでございます。

 また、来週取りまとめられます第二弾となる緊急対応策におきましては、今回の臨時休校により職場を休まざるを得なくなった保護者への新たな助成金の創設や、医療提供体制の構築、中小・小規模事業者などに対する資金繰り支援などが盛り込まれる予定でございます。

 厚生労働省といたしましても、感染拡大防止に全力を注ぐのみならず、今般の新型コロナウイルス感染症が景気全体に与える影響等につきましてもしっかりと注視しながら、関係省庁と情報を密にしながら、必要な対策を講じてまいりたいと考えてございます。

西田委員 政府としてあらゆる対策を講じていただき、日本の経済をしっかりとお支えいただきますようお願いを申し上げます。

 最後に、去る三月二日、新型コロナウイルス感染症の蔓延が世界じゅうで猛威を振るい、混乱を招いている中、北朝鮮が日本海に向けて短距離弾道ミサイルと推定される飛翔体を二発発射いたしました。

 私の地元石川県の能登半島は日本海沿岸に位置しており、我が国の排他的経済水域内の日本海中央部に位置する大和堆は、イカ釣り漁や底びき網漁船の好漁場として知られております。

 地元の漁業者は、近年の北朝鮮船籍、中国籍と思われる外国漁船の悪質な違法操業に毎年大変困らされておりますが、我々が漁業者の安全な操業をしっかりと支えた上、そしてまた、水揚げについても本当に大きく減少しておりイカ釣りの漁業の継続が大変危ぶまれている中、近年の水産庁、海上保安庁による取締りの強化により、安全な操業に期待を寄せているところでございます。

 違法操業の外国船籍の漁船の中には、銃器等で武装している船もあると聞いております。ただでさえこのような危険な環境の中で、そして世界じゅうが新型コロナウイルス感染症により混乱を招いている中で、北朝鮮によるミサイルの発射は到底許される事案ではありません。政府として北朝鮮のミサイル発射や違法操業に関してどのような対策を講じていくのか、見解を伺いたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、先日の三月二日の発射を含めまして、関連する国連の安全保障理事会決議に違反するものであり、極めて遺憾なものであると考えております。

 北朝鮮は、特に昨年五月以降、弾道ミサイルなどの発射を繰り返しており、こうした発射は、我が国のみならず国際社会に対する深刻な課題であると認識しております。北朝鮮に対しては、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議をしたところでございます。

 引き続き、アメリカ、それから韓国を始めとする関係国と緊密に連携し、関連する国連安全保障理事会決議の完全な履行のための協力を進めていくとともに、必要な情報の収集、分析に全力を挙げ、国民の安心、安全の確保に万全を期していく考えでございます。

西田委員 政府として北朝鮮に対してしっかりと、日本の国益を守るために対策強化を改めてお願いを申し上げ、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

松本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十二分散会


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