第3号 令和2年3月11日(水曜日)
令和二年三月十一日(水曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 松本 文明君
理事 井上 信治君 理事 関 芳弘君
理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君
理事 宮内 秀樹君 理事 今井 雅人君
理事 大島 敦君 理事 太田 昌孝君
安藤 裕君 井野 俊郎君
池田 佳隆君 泉田 裕彦君
大塚 高司君 大西 宏幸君
岡下 昌平君 金子 俊平君
神田 憲次君 熊田 裕通君
小寺 裕雄君 杉田 水脈君
高木 啓君 高橋ひなこ君
津島 淳君 中曽根康隆君
長尾 敬君 丹羽 秀樹君
西田 昭二君 百武 公親君
平井 卓也君 三谷 英弘君
村井 英樹君 山田 賢司君
泉 健太君 大河原雅子君
源馬謙太郎君 後藤 祐一君
重徳 和彦君 中川 正春君
中島 克仁君 中谷 一馬君
森田 俊和君 柚木 道義君
吉田 統彦君 早稲田夕季君
江田 康幸君 佐藤 茂樹君
塩川 鉄也君 浦野 靖人君
…………………………………
国務大臣 西村 康稔君
内閣府副大臣 宮下 一郎君
厚生労働副大臣 稲津 久君
内閣府大臣政務官 神田 憲次君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 近藤 正春君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 安居 徹君
政府参考人
(出入国在留管理庁出入国管理部長) 石岡 邦章君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房総括審議官) 佐原 康之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官) 浅沼 一成君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉永 和生君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岸本 武史君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 本多 則惠君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 奈須野 太君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 渡邉 政嘉君
内閣委員会専門員 笠井 真一君
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委員の異動
三月十一日
辞任 補欠選任
安藤 裕君 大塚 高司君
池田 佳隆君 熊田 裕通君
藤原 崇君 高橋ひなこ君
本田 太郎君 中曽根康隆君
泉 健太君 中川 正春君
中島 克仁君 後藤 祐一君
森田 俊和君 重徳 和彦君
同日
辞任 補欠選任
大塚 高司君 安藤 裕君
熊田 裕通君 山田 賢司君
高橋ひなこ君 井野 俊郎君
中曽根康隆君 百武 公親君
後藤 祐一君 中島 克仁君
重徳 和彦君 森田 俊和君
中川 正春君 泉 健太君
同日
辞任 補欠選任
井野 俊郎君 藤原 崇君
百武 公親君 本田 太郎君
山田 賢司君 津島 淳君
同日
辞任 補欠選任
津島 淳君 池田 佳隆君
―――――――――――――
三月十日
新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)
――――◇―――――
○松本委員長 これより会議を開きます。
議事に先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。
本日で東日本大震災から九年を迎えます。
改めて、お亡くなりになられた方々を悼み、深く哀悼の意を表しますとともに、被災地の一日も早い復興を祈念いたします。
これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。
御起立ください。――黙祷。
〔総員起立、黙祷〕
○松本委員長 黙祷を終わります。御着席ください。
――――◇―――――
○松本委員長 内閣提出、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。西村国務大臣。
―――――――――――――
新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○西村国務大臣 ただいま議題となりました新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
新型コロナウイルス感染症の発生及びその蔓延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えることが懸念される状況に鑑み、必要な法制を整え、国民生活や国民経済に及ぼされる重大な影響に対し総合的な対策を講じることができるようにすることが喫緊の課題であります。
本法律案は、政府行動計画等の策定、政府対策本部の設置等の措置及び新型インフルエンザ等緊急事態が発生したときにおける特別な措置等を定める新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用の対象に、新型コロナウイルス感染症を暫定的に位置づけることにより、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とするものであります。
以上が、この法律案の提案理由であります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
この法律の施行の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までの間、新型コロナウイルス感染症を新型インフルエンザ等対策特別措置法に規定する新型インフルエンザ等とみなして同法の規定を適用し、同法に基づく措置を実施することができるようにします。
このほか、所要の規定の整備を行います。
最後に、この法律案の施行期日は、公布の日の翌日としています。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。
御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。
○松本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○松本委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官安居徹君、出入国在留管理庁出入国管理部長石岡邦章君、厚生労働省大臣官房総括審議官佐原康之君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、厚生労働省大臣官房審議官岸本武史君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、中小企業庁事業環境部長奈須野太君及び中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○松本委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。長坂康正君。
○長坂委員 おはようございます。自由民主党の長坂康正でございます。
ただいま黙祷をさせていただきましたけれども、本日は、東日本大震災から九年目の三月十一日であります。復興政務官として一年半務めさせていただいた者といたしまして、被災地のさらなる一日も早い復興を心から願うとともに、ここに出席の皆様とともに復興の加速化を一層サポートしていくことをかたくお誓いをしたい。そして、審議に入らせていただきます。
新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
初めに、御不幸にも新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられました方々の御冥福をお祈りを申し上げますとともに、今治療中の皆様の一日も早い御回復をお祈りを申し上げます。
また、新型コロナ対策に連日御苦労をされている総理始め西村大臣など関係閣僚の皆さん、厚労省や内閣府、関係省庁の担当している事務方の皆さん、全国の自治体、保健所や医療機関等、現場で対応に当たられている全ての方々に、心から敬意を表します。
昨年末中国で発生した新型コロナウイルス感染症は瞬く間に世界各国に広がり、今、世界では感染者が十一万人、死亡者も四千人を超え、イタリアでは全土で移動制限が始まりました。このような中、日本政府は、いち早くチャーター便を飛ばし、邦人の帰国を支援しました。御協力をいただいた全日空やホテル三日月の皆さんに感謝をいたします。困難な状況の中でクルーズ船に対応した皆さんにも敬意を表します。
愛知県では、藤田医科大学が、岡崎医療センターのオープンを繰り上げてまで新型コロナ患者を受け入れてくれました。英断に敬意を表します。
各地で新型コロナウイルスの感染者の受入れ体制も整いつつあります。北海道など、自治体独自の判断で学校休業措置がとられ始めた中で、一、二週間が瀬戸際という専門家の意見を受け、何としても学校における子供たちの集団感染を防ぐ必要があるとして、二月末に安倍総理の決断で、政府の責任として、全国の小中学校や高等学校など、一斉に休業要請が出されました。自治体任せにするのではなく、影響するところは政府の責任で対処するとともに、事態の深刻な自治体に対しては全面的な支援を行うという毅然たる姿勢を示しました。
他方、新型コロナウイルス感染症が経済に与える影響も深刻であります。ニューヨーク市場、東京市場も大幅安を呈したり、反発もしたりしておりますが、今後も予断を許しません。経営体質の脆弱な中小企業は徐々に深刻な状況になりつつあります。こういった中小企業に対しても、融資制度や各種救済措置がとられつつありますが、昨日は、総額四千三百億円の第二弾の緊急対応策も講じられました。
我が党においては、新型コロナウイルス関連対策本部を設けるとともに、各部会等で関連団体等から各界の実情についてヒアリングを行い、地域や中小企業の声も反映させるべく政府に要望を続けてまいりました。経済対策は、コロナ対策同様、国民生活に影響が大きく、やるべき対策をちゅうちょなく進めていただきたいと要望し、質問に入ります。
まず、我が国の新型コロナウイルス感染症の陽性患者は、クルーズ船を除けば五百人を超えました。中国では八万人、韓国やイランでは七千人を超え、イタリアは一万人を超えている状況であります。日本はその地域とは一桁違いますが、それでも日々増加してきております。このような状況を政府としてどのように捉えているか、まずお答え願います。
○安居政府参考人 お答え申し上げます。
二月二十四日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、「これから一―二週間が急速な拡大に進むか、収束できるかの瀬戸際」との見解でありましたが、三月九日の同専門家会議では、現在の日本の状況は、「爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえている」という見解になっていると承知しております。
他方、感染者数は当面増加傾向が続くことが予想されることや、新規感染の把握には約二週間のタイムラグがあり、全ての感染状況が見えているわけではないことから、依然として警戒を緩めることはできないとの現状認識が示されているように、引き続き緊張感を持って状況を注視していく必要があると考えております。
○長坂委員 それでは、今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正の趣旨について伺いたいと思います。
○安居政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、日本の感染拡大は一定程度持ちこたえているという認識が示されておりますが、今後、一定の地域において急激な感染の拡大が見られた場合にどのような措置をとるべきか、常に最悪の事態を想定し、あらかじめ備えることが重要と考えております。
ついては、今般、新型インフルエンザ等特別措置法を改正し、新型コロナウイルス感染症を適用対象とすることによって、必要に応じて同法の仕組みを活用しようとするものでございます。
○長坂委員 伺いましたが、今回の新型コロナウイルスは、感染症法の新感染症に該当するため法律改正は不要だという議論もあるようであります。このことについて西村大臣はどのようにお考えか、お答え願います。
○西村国務大臣 お答えを申し上げます。
新型インフルエンザ等対策特別措置法、今後はインフル特措法と申し上げますけれども、この法律上対象となる新感染症は、新感染症のうち、全国的かつ急速な蔓延のおそれのあるものが対象となっております。新感染症のうち、そういうものは対象となるということですね。
そして、新感染症の要件の一つとして、これは感染症法上決められているんですけれども、「既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもの」ということになっております。つまり、よく言われる未知のものということであります。
他方、この新型コロナウイルス感染症については、病原体や病状等が既に知られているものでありまして、感染症法に規定する新感染症ではないという整理となります。
実際、その判断の根拠となるものは、今回の新型コロナウイルス感染症に関しては、日本時間の一月九日、この時点で、WHOが発表しておりますけれども、新しいコロナウイルスというものが原因であるということが確認をされておりますので、いわゆる未知のものではなく既知のもの、わかっているものということになります。
したがって、新感染症ということではなくて、その後、一月二十八日に指定感染症に指定をしたわけでございます。これによって、感染症法上、指定感染症に対しても多くの措置を講ずることができますので、さまざまな措置を講じてきているところであります。
以上が今回の整理なんですけれども、その上で申し上げれば、この感染症法あるいは今回改正をお願いしている新型インフルエンザ特別措置法、特措法、この措置については、私人の大きな権利制約を伴うものもたくさんございます。したがって、弾力的な解釈によって新感染症の、いわゆる未知のものの範囲に該当することについて、これは、やはり私権制約との関係上、慎重であるべきというふうに考えております。
したがって、基本的には、このインフル特措法のような更に強力な措置をお願いする場合には、今回の新型コロナウイルス感染症もそうでありますし、今回もそれに限ってやっておりますけれども、法改正でお願いするのが適切というふうに考えているところであります。
もう一点だけ申し上げると、仮に、ある感染症が指定感染症とされた後。つまり、未知であるということで新感染症に指定された後、やがてそれが病原体がわかってくるわけですね。そうすると、新感染症に該当しなくなって、指定感染症に今度指定されることになります。そうした場合、新感染症で全国に蔓延するおそれがあるものとしてインフル特措法の対象になっていたにもかかわらず、感染症法上、新感染症から指定感染症に移ることによってインフル特措法から抜けてしまう、対象から外れてしまうというようなことも起こり得るわけでありまして、新感染症に指定したとしても、そういう法的に不安定な状態に置かれるという印象も受けております。
ただ、今後、本当に未知なもので、わっと一斉に広がるようなものがあり得るかもしれませんので、この新感染症に該当してインフル特措法の対象とするという道はやはり残していくことが必要かというふうに考えておりますけれども、しかし、いずれにしましても、私人制約という観点からは慎重に判断すべきということでありまして、今回のように、法律改正によってこのインフル特措法の対象にするのが適切であるというふうに判断しているわけでございます。
○長坂委員 解釈解釈でやるよりは、しっかりと新特措法を、法の改正をするということは了とするところであります。
そういう中で、今大臣からもお話がございましたが、私権が制限されるとか、いろいろなお話がありました。新型インフルエンザ等特措法の改正によって緊急事態宣言が出せるようになるわけであります。改正法施行後にすぐ緊急事態宣言を出すことを想定されているのでしょうか、お尋ねいたします。
○西村国務大臣 まず、今回の法律改正の中でもお願いをしていますように、蔓延のおそれが高いと厚生労働大臣が報告をしてから政府対策本部が立ち上がります。まずそれが行われることに、蔓延のおそれが高いと報告された場合にはそうなります。
その上で要件がございまして、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある新型インフルエンザ等が国内で発生し、全国的かつ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある事態が発生したと認めるときに緊急事態宣言を発出することとされております。
この緊急事態宣言の発出に際しては、既に閣議決定をされております政府行動計画において、これらの要件に該当するかどうかの判断について、専門家で構成されております基本的対処方針等諮問委員会に諮問をすることとしておりますので、今後策定する基本的対処方針の中では、専門家の意見を聞いて慎重に判断することを明記をしたいと思いますし、いずれにしましても、その発出の判断に当たりましては、専門家の意見をしっかりと踏まえて適切に判断することとしたいというふうに思います。
○長坂委員 それはしっかり慎重に対応していただきたいと思います。
今回、法律改正が行われ、緊急事態宣言が出されるような状況になった場合に、今お話もございましたが、この緊急事態宣言が出されれば、各種活動の制限を行うという事態になるわけでありまして、さまざまな形で国民の経済生活や生活に少なからず影響を与えてくる可能性が出てきます。
大臣は経済再生担当大臣も担っていらっしゃるわけでありますが、そういうような事態のときにどのように対応されるお考えか、お尋ねをいたします。
○西村国務大臣 新型インフル特措法、この法律におきましては、緊急事態宣言がなされた後には、感染の蔓延の防止の観点から、御指摘のように、大規模施設の使用制限、停止、あるいはこれを使用したイベントの制限、停止について、都道府県知事が要請や指示を行う権限、これが付与されることとなります。
御指摘のように、これらについては、私権を制限するものであるため、そもそも、あくまで必要な範囲内にとどめておかなければならないということにされているわけでありますけれども、御指摘のように、こうしたことによってさまざまな損失が生じる可能性がございます。
そして、この特措法においては、損失補償について一定の整理がなされておりまして、その緊急措置の内容、それから強制力、それからその対象者がこうむる不利益、こうしたものを総合的に勘案して、整理し位置づけられております。
例えば、土地の使用であったり、停留を行うための施設の使用、あるいは物資の売渡しの要請、こうしたことに対しては損失補填の規定がございます。他方、それがないものもございます。
そういう意味で、この整理のもとで損失補償が行われることになるわけでありまして、全てのことに対して、全てに対して補償措置を法律上位置づけることは慎重に検討すべきであるというふうに考えております。
他方、今回の新型コロナウイルス感染症につきましても、昨日も第二弾の緊急対応策をまとめたところでありますけれども、第一弾、第二弾、発表しておりますけれども、昨日は、二兆円の規模の、これは金融と財政措置含めてですけれども、対応策を講じることとしております。
こうした中で、いろいろな形で被害をこうむるというか損失を生じる中小企業の方々あるいは実際事業を行っている方々に対しての資金繰りの支援、それから、雇用を維持するという観点で、そこで働いている方々への支援、雇用調整助成金などを使った支援、こうしたものをしっかりと対応しているところであります。
こうしたことも、今回の対応も踏まえて、仮に緊急事態宣言が発出されればしっかりと対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○長坂委員 今は、専門家会議でも、何とか持ちこたえている状況という見解が出ているわけでありますけれども、やはり、常に最悪の事態も想定しながら先手先手でいろいろなことを対応していただきたいな、そんなふうに考えている次第であります。
今日のグローバルな人の移動の中、またサプライチェーンが複雑に絡み合う中で、新型コロナウイルス感染症の今後の推移は予断を許しません。
そして今、政府の自粛要請の中で、大型イベントの中止だけでなく、日本人は公共心、公徳心が高い国民性を反映して、本当にさまざまなところに影響が出ております。野球や相撲や、そういったものだけでなく、観光関連の産業は当然でありますし、ホテル、旅館、いろいろな飲食店もお客さんが減っている状況にございます。私の地元では、町内会の会合まで自粛をするというような現実もあります。飛行機も乗客減少で減便が発表されましたし、我々が地元と行き来に活用する新幹線も結構すいています。消費も冷え込んできております。
例えば、これは適当じゃないかもしれませんが、逐次投入、各個撃破という、そんな言葉があります。少しずつ兵力を派遣しても個別に撃破されてしまう、効果が得られないなんという言葉でありますが、やはり経済という、いろいろな、今二兆円というお話がありました。ぜひ集中的にそういったこと、経済的に悪影響を緩和するためには、本当に地域の中小企業や地域の疲弊を救済するためには、施策の小出しではなく、思い切った財政出動も含めて常に検討し、この苦境を乗り越えていただきたいと思います。
今後とも、国民の命と健康を守ることを最優先にして、やるべき対策をちゅうちょなく進めていただけるよう要望して、質問を終わります。
ありがとうございました。
○松本委員長 次に、江田康幸君。
○江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。
本日は、新型インフルエンザ等対策特別措置法について、特措法の改正案について質問をさせていただきます。
冒頭、新型コロナウイルスの感染でお亡くなりになられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、治療中の方々に一刻も早い回復をお祈りいたします。また、国民の皆様にも心からお見舞いを申し上げたいと思います。
この新型コロナウイルスの感染は世界全体に広がりつつあり、国内におきましても、大規模な拡大傾向にはないものの、感染は拡大しつつあり、国民の生命、健康や国民生活、日本経済に大きな影響を与えているところであります。現在は、国内の感染拡大を防止して、国内での健康被害を最小限に抑える上で極めて重要な時期であり、万全の感染防止対策で一日も早い終息を目指さなければなりません。
このような中で、今回の特別措置法改正案は、平成二十四年に成立した新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用対象に今回の新型コロナウイルス感染症を追加して、蔓延防止等の対策を強化することで、国民の生命及び健康を保護し、国民生活並びに国民経済に及ぼす影響が最小化するようにするものであり、一刻も早い成立を望むものでございます。
このような観点から質問をさせていただきます。さきの質問とも重なるところがあろうかと思いますが、法案審議でございますので、きちんと質問をさせていただきます。
まず、西村大臣に質問をさせていただきます。今般の特措法改正の必要性についてであります。
新型インフルエンザ等対策特別措置法には、同法の適用対象は、新型インフルエンザ、また再興性インフルエンザ、ないし新感染症とされております。本法案は、この新型コロナウイルス感染症に特措法を適用するための法改正を行うと承知しておりますが、新型コロナウイルス感染症を新感染症とすることで、法改正なしにこの特措法を適用できるとの指摘が国会でもなされておりました。
改めて、なぜ新型コロナウイルス感染症を新感染症として特措法を適用することができないのか、今回の改正案に至るのか、関係する事実や政府内での検討時期等を含めて、丁寧に説明をしていただきたい。
○西村国務大臣 お答えを申し上げます。
江田委員御指摘のとおり、新感染症、これのうち、全国的かつ急速な蔓延のおそれがあるものはこの新型インフル特措法の対象になり得ますので、新感染症であるかどうかというところがまず一つの考え方の整理の拠点になるわけでありますけれども、その新感染症の要件の一つとして、感染症法上、既に知られている感染症の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるものということでありますので、これはいわゆる未知のもの、既知ではない未知のものであるということであります。
翻って、この新型コロナウイルス感染症について時系列で見てみますと、十二月に中国で発生をしたというふうに言われておりますが、一月九日の時点で中国の発表があり、そしてWHOが発表したわけでありますけれども、今回の感染症は新しいコロナウイルスが原因であるということが確認をされたわけであります。一月九日の時点で、これがもう未知のものではなくて既知のものということになったわけでありまして、したがいまして、この感染症法上の整理だと、未知のものではなく既に知られたものであるということで、一月二十八日に指定感染症に、感染症法上、指定をしたところでございます。したがって、これを、新型コロナウイルス、特措法の対象にするには、やはり法改正が必要であるということであります。
その上で申し上げれば、もう御案内のとおり、感染症法もでありますし、さらに、感染症法よりも強い措置を持つ新型インフル特措法、これについては、私人の大きな権利制約を伴うものでありますので、基本的には、弾力的な解釈によるのではなくて、やはり法律改正によるのが適切であるという判断でございます。
○江田(康)委員 ありがとうございました。
それでは次に、緊急事態宣言の要件、客観性等について質問をさせていただきます。
特措法第三十二条及び特措法の施行令第六条において、緊急宣言は二つの要件を満たしたときになされる。一つの要件は、新型インフルエンザ等が国内で発生し、肺炎等の重篤である症例の発生頻度が相当程度高いこと、また、第二の要件としては、この新型インフルエンザ等が全国的かつ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあること、この両方に該当すると政府対策本部長である総理が認めるときになされることになります。
この二つの要件のうち、特に後段の、この全国的かつ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるとの要件については、客観性、定量性に欠けるところがございまして、私は不十分と思っております。恣意的な判断もされやすいのではないかとの懸念も、公明党の審議の中でもございました。専門家の意見をしっかりと聞いて、それに基づいて的確な判断がなされるべきと考えますが、政府の見解をお聞きいたします。この件については、公明党の、この法案の了承のときの要求事項でございましたので、改めてお聞きをいたします。
それに加えて、時間の制約上もう一つですが、法に基づく緊急事態宣言がなされると、例えば、外出自粛要請、さらには学校の休校要請、指示、さらにはイベント開催の中止の要請、指示など、強権力も行使ができるようになるわけでありまして、緊急事態宣言をするに当たっては、この手続の客観性、そして公平性が担保される必要があると考えております。
例えば、閣議決定や与党承認の、また国会の関与のプロセスなどを明確に位置づける必要があると考えますが、いかがでしょうか。
○西村国務大臣 お答えを申し上げます。
緊急事態宣言、緊急事態の宣言を行うに際しては、その要件に該当するかどうかの判断について、既に閣議決定されております政府行動計画において規定されておりますように、専門家、学識経験者で構成される基本的対処方針等諮問委員会、ここに諮問をし、判断することになります。御指摘のように、専門家の御意見をしっかりと聞いて、適切に判断をしていくということになります。
具体的な手続の流れは、政府対策本部長である総理から諮問委員会に対して、この要件に該当するかどうかを諮問し、そして、諮問委員会による審議の後に、要件に該当するとの専門的な評価があった場合、本部長が緊急事態宣言を行うということになりますし、行うと、その旨を国会に報告するということになっております。
そして、御指摘のように、要件、これは政令で定められておるんですけれども、政令を見ましてもなかなか難しいところがございまして、定量的に何か基準を示すのは、この政令を見ましてもなかなか難しいんですけれども、例えば、数値の比較においては、対象集団の年齢や地域の特性などに注意を払うことが必要であるというふうに考えております。
いずれにしても、専門家の意見を十分お聞きして、総合的に判断していくことが適切であるというふうに考えております。
また、緊急事態宣言は事態が進行していることの中で行われるわけでありますので、国会に報告することとされておりますけれども、できる限り丁寧に国会の先生方に対して説明してまいりたいと思いますし、いずれにしましても、御指摘のように、この特措法で新型コロナウイルスが対象になりますと、緊急事態宣言を行った後にはさまざまな強力な措置がとれるようになりますので、これはいわば万が一に備えて準備をするということで、まさに緊急事態宣言が伝家の宝刀として、使わずに済むならそうなるように、まずは終息に向けて全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。
○江田(康)委員 ありがとうございました。
次に、イベントの開催自粛等による損失補償等について、この特措法における位置づけをお聞きしたいと思います。
この特別措置の中には、金銭の債務の支払い猶予や政府系金融機関による融資が規定されております。さまざまな影響を受けた事業者に対する支援措置でありますが、今回実施される第二弾も含めてでございますけれども、雇用調整助成金の拡充や、また、休校による休業補償のための新たな助成金の創設等については、この特別措置の中に私はやはり加えていくべきことではないだろうかと思います。
平成二十四年につくったあの特別措置法の積み残しの課題が損失補償である、そのように認識をしておりますけれども、これらについてはどのように考えられるか、この特措法における位置づけについてお伺いをいたします。
○神田大臣政務官 お答え申し上げます。
新型インフルエンザ等対策特別措置法におきましては、法第四十五条の要請について、施設を管理する者又は催物を開催する者に対して行われるものでありますのですが、当該施設が感染の蔓延の原因となることから実施されるものでありまして、そもそも、危険な事業等は自粛されるべきものであり、使用制限等を要請する期間は、一般的に一時的であること、それから、事業主は要請により法的義務は負うものの、罰則による担保等により強制的に使用を中止されるものではないこととなっております。よって、法律上、補償については規定をしておりません。
その一方で、今回の新型コロナウイルス感染症対策全体といたしましては、景気変動等によりまして一時的に事業活動の停止、縮小等を余儀なくされた事業者に対しましては、支給する雇用調整助成金についても要件を緩和いたしまして、より使いやすく、手厚い内容のものとすることで、経済への影響を限りなく小さくするような対策を講じておるところでございます。
さらに、昨日取りまとめをいたしました緊急対応策の第二弾におきまして、保護者の休職に伴う所得の減少の補償につきましても、正規、非正規を問わず、新しい助成金制度を創設するなど、政府一丸となってしっかりと対応をしていくこととしております。
○江田(康)委員 それに関連して質問した方がわかりやすいと思いますので、この影響が出ている経済界や事業者に対する支援措置について、第二弾の経済対策も含めて質問をさせていただきます。
私は熊本選出なのでございますけれども、本年四月で熊本地震から四年が経過するわけでございます。さあ、これからいよいよというときに、新型コロナウイルス感染症が熊本県でも六件発生して、大変大きな影響、観光、イベント業界、また飲食店、小売業、また経済界に大きな影響を与えております。
熊本県内の多くの中小企業、また小規模事業者は、もともとの債務に加えて、熊本地震後の多大な債務が残っておりまして、それに加えて、今回の新型コロナウイルスの影響による経済環境の悪化で更に債務が加わると、三重の債務を強いられてくることになります。
熊本地震のような激甚災害指定を受けた地域においては、例えば、この雇用調整助成金の特例についても、熊本地震の発生に伴う特例措置と同程度の助成率の引上げをしてあげてはどうか、そのように強く熊本県や市からの要請も受けております。
さらには、公明党から第三次緊急提言もしましたけれども、政府系金融機関における、特に深刻な影響を受けている中小・小規模事業者に対する無利子、無担保の融資を創設することと公明党からも提言を既にさせていただいておりましたが、第二次緊急対策ではどのように実現しているのか、お聞きをいたします。
最後に、フリーランス、また自営業者の方々への支援が、ずっと要望をしてまいったわけでございますけれども、今般の休業、学校休校等による減収になってしまう、そういうフリーランスや自営業者の方々への支援策も、今回の第二弾の経済対策で、緊急対策で決まったとお聞きしておりますが、それについてお答えをしていただきたい、よろしくお願いします。
○岸本政府参考人 まず、雇用調整助成金についてお答え申し上げます。
北海道におきましては、新型コロナウイルス感染症患者が他の地域に比べて多数かつ集中的に発生し、感染拡大防止のため、知事から、三週間にわたって住民、企業の活動自粛を求める旨の宣言が発出されたところでございます。
こうした宣言を受けまして、他の地域にも増して事業活動が抑制されることが見込まれることから、雇用調整助成金のさらなる特例を設けまして、助成率の上乗せ等を実施することとしたところでございます。
上乗せに係る地域の指定でございますが、新型コロナウイルス感染症の患者の数が、他の地域と比べて一定数以上かつ集中的に発生している地域であること、感染拡大防止のために、指定に係る地域が所在する地方公共団体の長が、一定期間について住民、企業への活動自粛を要請する旨の宣言を発出していること等の要件を満たしているかを確認することとしております。
今後、このようなことがないために取り組んでいるわけではございますが、同じような地域があらわれました場合には、同様の取扱いを実施することを考えております。
また、今後とも、新型コロナウイルス感染症の雇用への影響については、十分に注視をしてまいりたいと考えております。
○渡邉政府参考人 お答えいたします。
昨日取りまとめられました第二弾の緊急対応策の中の資金繰り対策について、御説明をいたします。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響につきましては、各地域や各業種の企業や業界団体に随時ヒアリングを行うとともに、特に中小企業につきましては、全国千五十カ所に設置した経営相談窓口において情報収集を行っております。
これまで幅広い事業者から資金繰りに関する相談が寄せられており、こうした状況を踏まえ、二月十三日に取りまとめました第一弾の緊急対応策において、五千億円規模の融資、保証枠を確保し、事業者の資金繰りを徹底的に支援してまいりました。
さらに、昨日取りまとめられました第二弾の緊急対応策の中には、日本政策金融公庫等において特別貸付制度を創設し、売上げが急減した個人事業主を含む中小・小規模事業者に対して実質無利子、無担保の融資を行うこと、そして、これらを、第一弾の緊急対策で講じた五千億円規模の資金繰り支援にもさかのぼって適用をする等、御提言の無利子、無担保での融資を含む強力な資金繰り支援を盛り込んだところでございます。
引き続き、これら施策を通じて事業者の資金繰り支援に万全を期してまいります。
○本多政府参考人 お答え申し上げます。
昨日取りまとめられた第二弾の緊急対応策におきましては、委託を受けて個人で仕事をする方であって、小学校などの臨時休業等に伴って子供の世話を行うため、契約した仕事ができなくなっていらっしゃる子育て世代を支援し、子供たちの健康、安全を確保するための対策を講じることとしております。
具体的には、個人で就業する予定であった方について、業務委託契約等に基づく業務遂行等に対して報酬が支払われており、発注者から一定の指定を受けているなどの場合に、就業できなかった日数に応じて一日四千百円を定額で支給する予定としております。
支援対象とする子育て世代は、新型コロナウイルス感染症に関する対応として臨時休業等を行った小学校等に通う子供の世話を行うことが必要となった保護者の方、また、新型コロナウイルスに感染した又は風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある小学校等に通う子供の世話を行うことが必要となった保護者を予定しております。
この支援金の適用日は、本年二月二十七日から三月三十一日を予定しております。
申請先など支援策の詳細につきましては、決まり次第速やかに公表し、周知していきたいと考えております。
○江田(康)委員 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますが、この法案、国民の生命、健康を保護して、そして国民生活、国民経済に及ぼす影響を最小化していく必要不可欠な法案でございます。一刻も早い成立を望みます。
終わります。
○松本委員長 次に、中川正春君。
○中川委員 中川正春です。
こうして質問の機会を与えていただいたこと、感謝を申し上げたいと思います。
私は、きょうは、平成二十四年にこれは法律が成立をしたわけでありますが、その当時この立案に参画をした者の一人として、そういう立場から質問をしていきたいというふうに思います。
まず、感染症に対する対処を規定する法律には、感染症法、検疫法、そして今回テーマになっている新型インフルエンザ等対策特別措置法、重立ったものはこの三つだと思うんですが、それぞれの対処の役割分担とすみ分けについてどう整理をされているか、まず、そこから聞きたいと思います。
○西村国務大臣 中川議員御指摘のとおり、感染症に対応する主な法律として、感染症法、検疫法、そして今回改正をお願いしております新型インフルエンザ等対策特別措置法、この三つがございまして、これは、お互いに補完し合いながら、そして感染症の拡大を防いでいくという関係にあるというふうに理解をしております。
まず、感染症法は、感染症の予防及び感染症の患者さんに対する医療、ここに関して必要な措置を定めることによって、感染症の発生を予防し、及びその蔓延の防止を図り、もって公衆衛生の向上、増進を図るということを目的としております。患者さんの医療に着目して、そこにさまざまな規定を設けているということであります。
また、検疫法は、これは、国内にふだんはない、普通はない、常在しない感染症の病原体が船舶や航空機を介して国内に侵入することを防止するというとともに、その船舶や航空機に関して予防のために必要な措置を講ずるということを目的としております。
この検疫法に基づくいわゆる水際対策の徹底を通じて、病原体が国内に侵入することを防ぎ、国内では、感染症法に基づいて感染症の発生動向などを把握しながら、入院措置などを通じて感染症の蔓延防止を図るということであります。
今申し上げたように、感染症法と検疫法に基づく措置は、個々の感染者等を特定をして、そして、その患者さんに対する措置を前提としたものでございます。
他方、新型インフルエンザ等、これは国民の大部分がその免疫を持っていないということで、全国的かつ急速に広がる、蔓延するおそれがある、そしてまた、感染した場合の病状が重篤になるおそれがあるということで、蔓延によって国民生活、国民経済に重大な影響を及ぼすという特殊性がありますので、このような事態に備えて、まさに国民生活、国民経済の安定を図る法律が必要となるということで、この特殊性に鑑みて、感染症法等と相まってさまざまな措置を講ずることによって国民生活、国民経済に与える影響が最小とする、こういったことを目的としてこの法律があるというふうに理解をしております。
○中川委員 そういうことだと思うんですね。
従来、検疫法や感染症法では、いわゆる個別患者への対応を中心とした措置に限定をされていたということでありますが、一方、そんな中で、平成十五年に問題になったSARSあるいは鳥インフルなどの、感染力も強くて毒性も高く、あるいはパンデミック化する可能性のあるウイルスに対する危機対応というのが必要であるというふうに認識をされてきた。
その結果、これまでの検疫法や感染症法の限界とも言える個々の感染者等の特定を前提に個別対処という法律の枠組みを超えて、更にフェーズの高い、社会全体に働きかける緊急措置、これを可能にする法律が必要だと認識をされた。その上に立って、私たちも、危機対応を目的にした今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法、これを立法化していったということだと理解をしています。
特措法の基本なんですが、これは有識者の見解をもとにして総理大臣が緊急事態宣言を出すことで、一義的には政府が指定する特定区域内の知事に対して適切な対処権限を付与する、これは第四十五条でありますが、ここが肝だというふうに思うんですね。
それで、特措法を新型コロナウイルスに対応するのに適用することによってどういう結果が得られるか。一つは、専門家の意見をベースに政治判断をする基本というのが明記をされているということ、二番目には、総理大臣の緊急宣言の適否と、それから必要な対処要請に法的根拠を与えるということ、それから、その中身に第五条の人権配慮の要件を加えて権限を絞るということ、これも法的に可能になっていくということ、それから、措置の具体的運用というのは、特定地域に指定された住民にとって身近な知事の権限、国が直接ということではなくて知事の権限として一義的には実行されることで、地域の実情がより反映されるということを期待をしているということであります。
こういうことを前提にして、ここでちょっと、これまでの総理の、いわゆるこの特措法が適用されていない状況の中で、総理のこれまでの代表的な対応を考えてみたいと思うんです。
二月二十六日に総理が発出をしました全国的な文化、スポーツイベントの延期又は規模縮小要請、続いて二月二十八日、全国の小中高などにいわゆる三月二日から一斉休業を要請をした、これは危機対応措置としても非常に強い権限を伴う措置であるというふうに考えられます。
もし特措法が適用されていれば、これまでの総理の要請というのは、総理が緊急事態宣言を発したこと、これを前提にしてのみできるということになっているんですね。
コロナウイルスは新感染症ではないとする、私から言わせれば間違った厚生労働省の見解、これによって、現状、特措法も発動はさせることができなかったということですね。
総理は、どのような法律を根拠に、この強い権限を伴う、イベントの自粛や学校休業などの制限を国民に要請し得たのかということ、これが問題になると思うんですが、政府としては、どのようにこれは整理をされていますか。
○西村国務大臣 中川議員は当時、担当大臣であったかと思います。答弁もしておられた、私も拝読させていただきました。この法律の制定の経緯も御説明いただきまして、ありがとうございます。
御指摘のイベントの自粛要請あるいは臨時の一斉休校の要請、これについては、国として、あの時点で、ここ一、二週間が感染拡大のスピードを抑制するために極めて重要な時期であるとの認識のもとで行った要請であるというふうに理解をしております。
この要請は、当然のことでありますけれども、法的拘束力を有するものではなく、あくまで要請でありまして、最終的な判断は、イベントの主催者あるいは学校を設置する地方自治体、学校法人等において行われるものであるというふうに理解をしております。
多くの学校が休校していることと思いますけれども、一部の地域では、そうせずに、独自の対応で感染を防いでいるようなところもあるというふうに理解をしております。
ちなみに、議員もよく御承知のとおりだと思いますけれども、緊急事態宣言が出される前であっても、政府対策本部が立ち上がれば、その政府対策本部長である総理大臣には調整権限が付与されますので、その中で都道府県やさまざまな機関と調整をして、こういったことを要請することも可能であるかというふうに認識をしているところでございます。
○中川委員 いや、その調整権限というのは意味合いが違いますよ。これは知事だとかあるいは市町村長、あるいは関連の指定をしていく事業体に対して調整権限があるので、直接国民に対してこうした要請をするというような解釈は、これはできないんですね。それだけに、この問題というのは大きいと思うんです。
現状では、総理大臣の小中高等学校の休業要請やイベントなどの自粛について、基本的には、法的根拠のないまま、また専門家の意見を十分に聞くことなく唐突に出された単なる要請でしかないと言わざるを得ないんです。
今回、どのような形にしても、国民や地方自治体の長など関係機関に対して事前の理解を得るための努力や仕組みを活用することを度外視をして、唐突に、閣議決定だけの根拠で総理大臣の緊急要請がなされた。これだけ強い権力の行使は、幾ら危機対応とはいえ、法律にのっとり、その枠組みの中でなされるべきことでありまして、そういう意味からいって、この特措法の意義というのも一つはそこにあるということなんです。
だから、事がこれだけ緊急的に懸念される状況になった時点でこの法律が適用されるということではなくて、もっと先、要は、海外でウイルスが突然変異をして、それが人から人へ伝わって、ひょっとしたらパンデミックになる可能性があるというその時点でこの法律を適用するかどうかという判断をしていくということ、そこがこの法律に課された課題としてあるので、そのことを十分意識をして運用していただきたいというふうに思っております。
次に、コロナウイルスが新感染症指定になっていないということの問題を取り上げていきたいというふうに思うんです。
SARSの場合は、当初、新感染症分類、その後の状況によって、指定感染症から、現在は二類感染症というふうになっています。
今回のコロナウイルスが中国で初歩的に確認されたのが一月五日、一月二十日には習近平主席が情報の即時公開の指示を出した。このころに、日本としては、SARSのときのように、一旦は安全を見て新感染症の指定を考えるべきだったということだと思うんです。そのことによって、特措法が現状のままでコロナウイルスへの適用が可能となって、特措法の緊急事態宣言に至るまでの水際作戦などの、いわゆる法律の手続にのっとった形で実行ができたはずであります。
厚生労働省のコロナウイルスに関する初期の判断、特措法の対象になる新感染症ではなくて、そこから外れる結果になった指定感染症に分類したということは、これは間違っていたと私は思っています。その点について、厚労省はどうですか。
○稲津副大臣 お答えさせていただきます。
まず、政府として、一月の二十一日より、新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する関係閣僚会議を開催をいたしました。
そして、一月三十日には新型コロナウイルス感染症対策本部を設置いたしまして、ここから政府、関係省庁一丸となって必要な感染防止対策を実施をしてきたわけでございますけれども、今委員から御指摘のありました、一月二十日ですかね、習近平国家主席の対策公言のときから考えてみますと、既に二十一日に関係閣僚会議を開いたということを今申し上げました。
それから、新型コロナウイルス感染症について感染症法上の指定感染症等に位置づけることによりまして、感染者に対する入院の措置ですとか医療費の公費負担、そうした必要な感染拡大防止策を二月一日から実施してきたところでございます。
その上で、委員御指摘の新感染症について申し上げますと、新感染症に該当するのは未知の感染症であり、今回の新型コロナウイルス感染症とは、原因となる病原体が特定されていること等から、念頭に置かれている現行の新型インフルエンザ対策特別措置法の対象にならない、このように承知をしているところでございます。
○中川委員 例えば、コロナウイルスではなくて、ここで新型インフルエンザの場合というのを見ていくと、現在、感染症の二類に分類されている鳥インフルエンザ、H5N1などが突然変異を起こして、人から人への感染が確認をされて、重篤度が高く、伝染力もあって、パンデミックになる可能性があれば、それは病原体が確認できるものであっても当然特措法の対象になるという想定であったというふうに思うんですよ。そこに横展開をして、新感染症の場合も、同じようにこの特措法の対象としていこうというのが法律の趣旨であったんです。
コロナウイルスが病原体として特定されているかどうかということではなくて、既に既存のコロナウイルスが変異をして、人から人へ感染が確認をされて、重篤で、ワクチンのない中でその対応が模索されて、高い重篤度と蔓延の可能性があって、パンデミック化も考えられる、その状況が判断された場合にはこの特措法の対象となるということだと思っています。
もし、厚生労働省の言うように、病原体や病状等が既に明らかになっているから新感染症には当たらずに、したがって、そのままではこの特措法の対象にもならないとすれば、この特措法で緊急対処の対象とするほとんどの新感染症の類型を否定することになっていくんですよ。これは使えなくなっちゃうんですよ。
これを回避しようと思えば、感染症には分類できないために、逆に、今回がそうであるように、特措法の改正を苦肉の策としてとらなければならない。あるいは、政府がもしこれしかないと判断しているとすれば、パンデミックの可能性が出てくるたびに個々の病原体の名前を入れて特措法の修正をする必要が出てくるということであります。
今回、政府から出てきた修正案がその一つで、これからも事が起こるたびにこうした修正を繰り返していくということになるわけでありますが、それでいいのかということだと思います。
それで、私の方から改めて提案をしていきたいというふうに思うんです。これから先の対応として、二つのことを提案をしていきたいと思うんです。
厚生労働省の新感染症に関する定義を一つは見直して、既知のウイルスであっても、それが変異を起こして、人から人の感染、重篤度、伝染力などが高いという可能性や、あるいは開発されたワクチンがなくて、確立された治療法もないなどの条件がそろえば、これを新感染症と分類するか、これが一つの選択肢だと思うんですが、又は、必ずしも感染症の指定にこだわらずとも、特措法の中にある未知の感染症の定義を、ウイルスの変異後の形態、疾病情報と重篤度が明らかではなくて、既存のワクチンが存在しない、そういう中でこのまま進めば重篤なパンデミックを起こす可能性があるという分類で、新感染症の指定にこだわらずとも法の対象とする、この旨をこの特措法に普遍的に付加する、個別のコロナということじゃなくて、こうした類型をつくって、この特措法に指定していくという措置。
どちらかの措置をとっていかないと、この問題は何回も何回も繰り返されるということだと思うんです。将来そういうことをやっていくということ、それの確認をしたいと思うんです。
○西村国務大臣 先ほどもお答え申し上げたんですけれども、今の法体系、感染症法とこの新型インフル特措法の法体系では、新感染症の定義の中に未知のものというのがあって、そして、それが未知のもので、全国でわっと広がって、これはもうすごい影響を与えるものがあるというおそれのあるものはインフル特措法の対象になるという体系になっているわけですね。
ところが、既知のものは指定感染症の方にしなきゃいけない、新感染症はわからないものということですから、そうすると、どこかの段階でわかれば、これが病原体もわかれば指定感染症になって、その瞬間にインフル特措法の対象から落ちるということもあり得るわけで、そういったことを含めて、御指摘のように、新感染症というものの定義をどう考えるかということ、あるいはインフル特措法のこの体系にどういったものをきちんと対象とするのかということ。
今回は、緊急性を要する観点から、とにかくこの新型コロナウイルスへの対処が大事ですので、この対象とすることのお願いをしておりますけれども、今回の一連の事象が終息した後に検証を加えて、この特措法のあり方、感染症法との関係を整理していくことは私は必要なことだというふうに理解をしております。
○中川委員 ぜひやってください。
一つ申し上げたいのは、その未知のものという議論なんですけれども、これは、ウイルスそのものはすぐに特定できるんですよ、出てきたら。しかし、それが、従来のウイルスの形じゃなくて、変異をして新しい特性をその中に含有している、そこなんですよ。そこが出てきたときに、すぐにこの法が適用できるような形の工夫をしておかないと、初期の対応ができない。その部分についてしっかり目を向けて、それで法案の整理をしていただきたいということなんです。
○西村国務大臣 御指摘の御懸念も、私も共有をしております。
ただ、一方で、この感染症法も非常に強い権限がありますし、さらに、インフル特措法は強力な措置が都道府県知事に与えられますので、そういう意味で、御案内のとおり、第五条に、基本的人権をしっかり尊重する、私権の制約に対しては最小限とするものという規定がございます。
そうした非常に強い法律で、私権の制約を伴うものであるということを考えれば、裁量の余地は余り広くしない方がいい、恣意的な運用がなされないようにする方がいいということでもありますので、その要請とあわせて、しかし、万が一のときにはこのインフル特措法の措置を使わないと、国民生活、経済、何より生命に大きな影響を与えることになりますので、そういう道は残しておかなきゃいけないと思いますけれども、そうしたバランスを考えながら、今回、全て終わった後にしっかりと検証して、どういうやり方がいいのか考えていければというふうに思っております。
○中川委員 もう一つだけ、将来の法改正に向けて私の懸念事項をお話をしたいと思うんですが、一つは立法府との関係なんですね。
政府の対処措置は、国会への報告義務でこれはとどまっているんですね、法律の中では。これは、やはり立法府もこの緊急対応に対して一緒に参加をして、全国民的な危機対応をするということ、これが大前提だと思うので、そういう意味で、報告だけでなく、議論して承認していく過程というのが必要ではないかということだと思うんです。
立法府を軽んじることであってはならない、そういう意味合いもあるんですけれども、それ以上に、やはり全国民的に一つになって危機対応をしていくという体制をつくるには、立法府も参加をする、意思決定に参加をするということなんですね。
そこを加味して一つ考えていただきたいということと、それからもう一つは、人権についての問題なんですが、第五条には、人権への配慮規定というのがあります。しかし、それだけでなくて、ちょうど参議院の附帯決議十七項で指摘されているんですけれども、人権侵害に対する不服申立て又は訴訟その他権利利益の救済に関する制度、いわゆる不服申立ての制度ですね、これをこの中に入れ込んでおくべきだったと私は今思っているんです。
この二つの課題に対して、実は、この参議院の十七項というのは、三年後にはそれを見直すという、その附帯の中にその話も入っていまして、それが見直されていないという現実もありますので、そこのところ、この二つの課題に対して、ぜひこの機会に修正項目に追加することを求めていきたいというふうに思うんです。
そこのところ、大臣、御答弁をいただきます。
○西村国務大臣 御指摘の項目につきましては、この附帯決議十七番目に入っております項目でありますけれども、法の公布後、平成二十四年に開催されました新型インフルエンザ等対策有識者会議においても、行政不服審査法等で対応するという原則が示されておりまして、その後もその方針に変更はなかったというふうに理解をしているところでございます。
いずれにしても、新型インフルエンザ等への対応がこれまでなかったことによって、まだ未実施というふうに整理をしているというふうに伺っておりますが、附帯決議にあることは十分承知をしておりますので、それを踏まえて対応していきたいと考えております。(中川委員「もう一つの、国会について」と呼ぶ)
国会については、非常事態宣言を発出したときには国会に報告するというこの法の規定になっておりますが、そういう事態は非常に国民生活、経済に大きな影響を与えるものでありますので、丁寧に、できる限り丁寧にその状況、そうしたことについては国会に対して御説明をしていきたいというふうに考えております。
○中川委員 終わります。
○松本委員長 次に、後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの後藤祐一でございます。
本日で東日本大震災から九年となりますが、お亡くなりになった皆様の御冥福をお祈りするとともに、一日も早い復興をお祈りするとともに、全力を尽くして応援してまいりたいと思います。
また、今回の新型コロナウイルスの感染については、全国で治療に当たっておられる方ですとか、蔓延防止のために尽くされておられる皆様、政府の皆さんも含めて、あるいは自衛隊員なんかも含めて頑張っておられると思いますので、敬意を表したいと思います。
さて、本日は、我が会派から修正の提案を行ってまいりました、そして、与野党でこれについて協議を、きのう、かなり断続的に、五、六時間にわたって行わせていただきました。その結果、お手元の配付資料の附帯決議という形で与野党合意に至っているわけでございます。
これについて一つ一つ確認をさせていただきたいと思いますので、特段申し上げない場合は西村大臣にお答えいただきたいと思います。
まず、この法律が仮に成立して施行になった後どうなるのかというのをちょっと確認させていただきたいんですが、この政府案の一条の二第二項というのは、厚生労働大臣が新型コロナウイルス感染症の蔓延のおそれが高いと認めるときに動き出すとなっているんですけれども、今現在は蔓延のおそれが高いと認めるときには該当しないというお答えが、少なくともきのうありました。
この法律が施行になったら、しばらく空白期間があって、蔓延のおそれが高いと認められるまで空白期間が流れて、それから本部設置になるのか、あるいは、今はまだおそれが高いとまでは言えないけれども、法律が施行になったら直ちに、一日二日の間はあるのかもしれませんが、この蔓延のおそれが高いと認めて、十五条に基づいて新型インフルエンザ等対策本部が設置されるということでよいのか、大臣、お願いします。
○西村国務大臣 御指摘のように、新型コロナウイルス感染症の今の状況は、現在、国内の一部の地域で小規模患者クラスターが把握をされているが、まだ大規模な感染拡大が認められている地域があるわけではなく、今後の国内での流行を抑えるための重要な時期であると考えておるというのが現在の評価でございまして、この点は、三月九日に公表された専門家会議の見解でも変わっていない、そういう状況にあるというふうに認識をいたしております。
御指摘のように、今回の特措法の改正では、新型コロナウイルス感染症の蔓延のおそれが高いと認めるときに、法十五条第一項に基づいて政府対策本部を設置することとされております。これは、国内で相当数の都道府県で患者クラスターが確認されるなど、現状よりも更に感染が拡大して、今後の国内での流行が抑えられなくなった状況を指すものであると理解をしております。
厚生労働大臣において、この点について専門家の意見を聞いて適切に判断される。法にのっとって、その報告がなされて本部が立ち上がるとなっておりますので、厚生労働大臣において、専門家の意見を聞いて適切に判断されるというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 今の御答弁ですと、今の時点ではまだコロナウイルスの蔓延のおそれが高いという状況ではないと。
この法律、それほど時間はかからず成立するでしょう。そして、その翌日に施行になるんですが、それからしばらくの間、蔓延のおそれが高いという状態にならなければ、何のためにこの法律を改正するんですか。この蔓延のおそれが高いと認めるときという書き方をしない方がよかったんじゃないんですか。この法律を適用したいから今出しているんじゃないんですか。
緊急事態宣言をするしないは、また次の段階の問題としてありますよ。その緊急事態宣言をする前の段階でできることもあるんですよ。それを適用するためには、この蔓延のおそれが高いと認めるときではなくて、もう今すぐ適用できるような要件にすべきだったんじゃないんですか。非常にそこは、何のためにこのタイミングで出しているのか危うい発言をされるので、非常に残念なんですよね。
とはいっても、この法律が施行になって、もうほとんど日を置かずに、それほどの日を置かずに本部が立ち上がる、そういう方向だと考えてよろしいですか、大臣。
○西村国務大臣 三月九日の専門家会議でもまさに指摘をされているとおり、諸外国でも患者数が急増しておりますし、そして国内においても、何とか持ちこたえてはいるけれども、油断してはならない、ここで手を緩めてはならないという状態でありますので、ここから先、今やっている措置がうまくいけば、うまく終息に向かえば、患者数が減って終息に向かえば、もちろんこれは立ち上げる必要はなくなってくるわけでありますけれども、しかし、今の状況はどちらに進むかわからない。感染が拡大していくのか終息していくのかわからない状況で、一定、持ちこたえているけれどもという評価をいただいておりますので、これが感染拡大に向かってくると、厚生労働大臣が適切に専門家の意見を聞いて判断をして、本部を立ち上げるということになっていくと思います。
○後藤(祐)委員 緊急事態宣言は少し間があってもいいですよ。それまでの間、例えば二十九条五項というのは、今、中国、韓国から入ってきたとき、二週間とめ置かなきゃいけないじゃないですか。場所はあるんですかといったときに、空港の近くのホテルは使えるかどうかといったときに、これ、使わせてもらいますよと二十九条五項はできるんですよ、緊急事態宣言をしなくても。これなんかは、この法律を施行して、でも本部を立ち上げないとできませんよ。本部を立ち上げればそれはできるようになるんですよ。まさに手をこまぬいているじゃないですか。
これは条文の書き方次第でできたんですよ。ちょっとそこは問題があるなということを、これから、この法律が施行になった後、本部が立ち上がるまで一体どれだけの空走期間があるのかは、ぜひ、国民、皆さんが見ていると思いますので、英断を下していただきたいなと思います。
それと、その本部が立ち上がった後の話ですけれども、今も新型コロナウイルス感染症対策本部があります。これは、新型インフルエンザ等対策本部という法律に基づくものに一元化されるということでよろしいでしょうか。
三つ、二重なものが生まれるんですね。
一つは本部。二つ目は、特措法に基づく基本的対処方針というのを定めなくてはならないはずなんですが、今までの、例えば二月二十五日の基本方針ですとか、今までいろいろな方針が定められていますけれども、これは、この法律に基づいて定められる基本的対処方針に全て一元化されるということでいいんでしょうか。それと、三つ目の二重は専門家会議ですけれども、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議というのが今ありますが、これがなくなって、特措法に基づく基本的対処方針等諮問委員会に一元化されるんでしょうか。
この三つの、本部、方針、専門家の会議、これが二つ併存しないで一つにまとめられるということでよろしいんでしょうか、大臣。
○西村国務大臣 先ほどお答えをしましたとおり、まさに蔓延のおそれが高いと厚生労働大臣が専門家の意見を聞いて判断をしたときに政府対策本部が、この改正がなされた後は、この法律に基づいて本部が立ち上がります。
それまでの間、これがどのぐらい期間があるかは現段階ではまだ申し上げられないんですけれども、今後の感染の拡大の状況によるわけですけれども、まさに今ある本部、今やっている、実際に法律に基づかずにやっている本部は、まさにこのインフル特措法に基づく政府対策本部と同様の機能を持つ。実質上、閣僚は全閣僚が入って、調整をしながら進めております。総理の指示のもとで進めておりますので、そういう意味で、同等の機能を持つもの。ですから、本法律に基づく政府対策本部が立ち上がれば、当然そちらに一元化をしていくということになります。
そして、その本部が設置された際には、政府行動計画に基づいて、第十八条に、基本的対処方針を定めることとなっておりますので、行動計画を踏まえながら、事態の推移を見きわめつつ行っていくことになりますけれども、まさに、今ある基本方針も参考にしながらですけれども、基本的対処方針等諮問委員会、これはもう今設置されておりますので、インフル特措法で設置をされている、そこに諮りながら、御意見を伺いながら基本的対処方針を定めていくということになりますので、本部が立ち上がった後はそちらに一本化していくということになります。
そして、最後の御指摘が専門家会議についてでありますけれども、委員御指摘の専門家会議は、今の、現在の法律に基づかない対策本部のもとに置かれた会議体でありまして、これまでさまざまな医学的な見地からの御意見をいただいているところでございます。
そして、この法律に基づいて政府対策本部が設立された後には、先ほど申し上げたように、基本的対処方針等諮問委員会というのがございますので、そこにいろいろ意見を聞きながら対処方針を決めたりしていくことになっていきます。緊急事態宣言を発するか発しないかというときにも、そこの基本的対処方針諮問委員会に諮ることになります。
そして、今ある専門家会議をどうするかということですけれども、本部が立ち上がるまでの間は今の専門家の皆さんにいろいろ御意見を聞きながら進めていくわけですけれども、本部が立ち上がりますと、実は、その諮問委員会とメンバーはかなり重複もございますので、どういう形にするか、状況も見ながらでありますけれども、何らかの一定の整理はしなきゃいけないのかな、考えていかなきゃいけないのかなというふうに思っているところでございます。
○後藤(祐)委員 最後の一点だけ、並立することがあるということなんですか。これ、ほとんどメンバーは重なっていますし、諮問委員会の方は尾身さんが会長ですし、そこは二つというのはやめましょうよ、大臣、混乱するから。ぜひ一つにしていただきますようお願いします。
それでは、我々の修正提案、配付資料の四ページ目にあります。残念ながら、条文修正という形ではなく、この修正提案も踏まえて、一、二、三ページにある附帯決議ということになっているわけでございますが、一つずつ確認したいと思います。
修正提案の骨子イメージの上の骨子の趣旨というところの1というところで、緊急事態宣言するときには学識経験者の意見を聞きましょうということを条文に書くべしと我々は言ったんですが、それは、一ページ目の附帯決議の二というところでこのように記述されています。
「政府対策本部長」、総理ですね、「は、新型インフルエンザ等緊急事態が発生したと認める判断をするに当たっては、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴取すること。」ということで与野党合意しておりますが、このことは約束いただけますでしょうか、大臣。
○西村国務大臣 既に政府が策定しております行動計画におきましても、先ほど申し上げた基本的対処方針等諮問委員会の専門家の皆さんにしっかりと聞いて、そして判断することになっておりますので、そのような形で行っていきたいというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 それについては、附帯決議の一でございますが、具体的に今大臣からありましたように、基本的対処方針等諮問委員会に対して、緊急事態の要件に該当するかどうかについての公示の案として諮問をして、意見を聞いて、この諮問委員会による緊急事態の要件に該当するとの専門的評価があった場合、政府対策本部長たる総理が緊急事態宣言を行うということを決定するということでよろしいでしょうか。
つまり、総理が、ううん、どうしようかな、えい、やりますとかじゃなくて、今言ったような手続に従って、この諮問委員会がやるべしとなったら、総理が自動的にやるという運びになるということでよろしいでしょうか。
○西村国務大臣 御案内のとおり、緊急事態措置は、期間を定めなきゃいけませんし、区域も定めなきゃいけませんし、その緊急事態の概要、これも公示をすることになっておりますので。そして、これを講じたときは国会への報告ということが法律上、決まっております。
したがいまして、こうした内容について、しっかりと専門家の意見を聞いて、そして判断をしていくということになると思います。
○後藤(祐)委員 専門家に諮問して。公示案を諮問するんですよ。そのとおり公示案でいいとなったら、やっぱりやめたとか、あるいはこの公示案じゃなくてこうしますとか、そういうことではなくて、公示案の意見というのが来たら、もう総理はそれに従って緊急事態宣言を出すということでいいんですよね。
○西村国務大臣 専門家の意見をもちろん聞いて、それを尊重して判断をしていくということですから、基本的にはそういうことでいいというふうに理解をしています。
○後藤(祐)委員 基本的にはとか、バッファーがつくられても困るんですよね。これはもう決まっているんですよ、手続が。諮問するかしないかのところは、いろいろな判断があり得ると思いますよ。ですが、公示案を諮問するんですよ。公示案を諮問して、この公示でいってくださいといって、諮問委員会から、まあ答申と言わないそうなんですけれども、意見の提示があったら、それはそのままやるんじゃないんですか。
どの段階で諮問をかけるかというのは、ちょっと裁量があるのかもしれませんが、意見があったけれどもどうしようかなとか、もう総理の自由裁量で行政をやるのをそろそろやめてほしいんですよ。手続が決まる、まさに今回の特措法というのは、法律に基づく行政に戻ってくださいという話なんです。それを政府側から提案されているから、我々はそれを受けて立っているんです。今まで法律に基づく行政をやっていないから。せめて今のところは、これは手続が決まっているんですから。大臣、ちゃんと諮問をして、意見が来たら、それは公示案を諮問するんですから、そのとおり緊急事態宣言を出すということでよろしいですね。
○西村国務大臣 安倍政権が法律に基づいてやっていないというところは同意しかねますけれども、御指摘の、まさに諮問をするところの手続ですけれども、行動計画の五十二ページに、きちっともう既に政府の閣議決定したものがございまして、まさに諮問委員会に対して、要件に該当するかについて、公示案として諮問ということになっております。
あわせて、先ほど申し上げました、その事態、緊急事態措置の実施の内容について重要な事項を定めるための、そうしたことについても諮問するということを書いておりますので、御指摘のとおり運用していくことになります。
○後藤(祐)委員 初めて法律による行政が実現しました。法律に基づかない本部でやっていたと、さっき答弁したじゃないですか。
まあ、冷静にいきましょう。次。
四ページ目の修正提案の2でございますが、緊急事態宣言をする前に国会に事前の承認をとるべきだという我々の意見を提出をしていた、修正案を提出していたところでございますが、これについては附帯決議の三というところで与野党の合意をしているところでございます。
そのまま読み上げますので、これでいいですかと聞きますので、答えてください。
「緊急事態宣言をするに当たっては、特に緊急の必要がありやむを得ない場合を除き、国会へその旨及び必要な事項について事前に報告すること。同宣言を延長する、区域を変更する、又は解除する場合も同様とすること。」でよろしいですか。
○西村国務大臣 そのように運用したいと思います。
○後藤(祐)委員 大変重要な進歩だと思います。事前承認でないところは野党側としては残念なことではありますが、事前に報告をいただくということで、一定の進展だと理解します。
中身を少し聞きたいと思いますが、この附帯決議三にある、「特に緊急の必要がありやむを得ない場合」とは、どのような場合ですか。
今回の新型コロナウイルスについては、もう既にこれまでいろいろなことが行われてきていて、これから緊急事態宣言をするということになれば、あらかじめ、今だって準備ができる状態になっていると思います。したがって、今回の新型コロナウイルスに関して言うと、「特に緊急の必要がありやむを得ない場合」には該当しないということでよろしいですか。
つまり、一般に緊急の必要というのは、感染症が急激に広がっているとか、重篤な患者が急速にふえているとか、そういったファクトがあって、対策がすごく緊急に必要だということであって、総理が、よし、あした宣言を出すぞというような緊急性ということではないと。つまり、ファクトがだんだん広がっているのは、今までだんだん広がってきているわけですから、今やこの新型コロナウイルスに関して言うと、一定の予測可能性の中にあるわけです。あした突然一万人ふえるとかいう状態ではないわけです。
なので、今回の新型コロナウイルスについては、「特に緊急の必要がありやむを得ない場合」には当たらないということでよろしいですか。
○西村国務大臣 現状の感染拡大のペースから考えると、そういう事態には当たらない、特に緊急の必要があるというふうには現時点では認識をしておりません。
ただ、今後どういう形の感染拡大になっていくのかどうか、そこは予見ができませんので何とも申し上げられませんけれども、基本的に、御指摘あったように、本当に急激に拡大をして、もう一刻も早くやらなきゃいけないというときには、まさに「やむを得ない場合」に当たるのかなというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 それはあらかじめわかるじゃないですか。今も限りなくそれに近い状態になっているんだったら、早く国会に事前報告してくださいよ。
例えば、何日に緊急事態宣言するかはちょっとまだ未定だけれども、近いうちにやりますから事前に報告しますとかいう言い方だっていいですよ。それはやりようがいろいろあると思うんです。
ですが、総理があした決断するから、急にきょうになったので、やむを得ない場合になっちゃいましたとかいうのは、これはだめですよ、大臣。
ぜひここは、今回についてはちゃんと事前に報告すると言っていただけませんか。
○西村国務大臣 もう御存じのとおり、緊急事態宣言を発出すると、都道府県知事にかなり強い権限、私権の制約に及ぶ強い権限が付与されますので、私どもも非常に慎重に、適切に専門家の意見を聞いて判断をしたいというふうに思っておりますし、国会の皆さんに対しても、時期を失することなく丁寧に説明をしていきたいというふうに思っております。
○後藤(祐)委員 今の、時期を失することなく丁寧にという言葉で、実態上は今回の新型コロナについては国会に事前に報告するということでお約束いただいたと理解します。
それでは、国会に事前報告する必要な事項とは何でしょうか。特に、何で緊急事態宣言を発するんですかというところについては、ぜひ、これは国民に対する説明責任があると思うんですね、人権制約する面もあるわけですから。
実際、特措法の三十二条一項で緊急事態宣言をするときは、期間と地域と、あとこの新型インフルエンザ等緊急事態の概要というその三つについては、今でも事後ですけれども報告する対象物になっているんですけれども、この概要というものの中に、感染症や重篤者というのがどのぐらい広がってしまっているかという、いわゆるファクトがどうなっているかということ、そして、このファクトからすると、施行令の六条二項の緊急事態の要件、これを満たしているという判断、つまり、これだけ広がってきちゃっているから要件に該当しますという説明であれば、それは理由そのものだと思うんですね。といったことは、この国会に事前報告する必要な事項に含まれるということでよろしいでしょうか。
○西村国務大臣 御指摘のように、緊急事態措置を発するときには、期間、地域、それから御指摘の緊急事態の概要がございます。そして、発する要件の政令には、定量的に示すのはなかなか難しいんですけれども、しかし、重篤な症状の方の発症率というか、どのぐらい発症しているかというようなことも逐条解説のコンメンタールに記載をされているところでありますので、そうしたことも含めて、できるだけそうしたデータも含めて、丁寧に国会には説明をしたいというふうに思っております。
それから、あわせて、緊急事態とされる理由ですね。したがって、そういうデータに基づいてこういう判断でやるというようなことも含めて、しっかりと報告をしていきたいというふうに思います。
○後藤(祐)委員 最後のところで、こういう判断でやる、理由も含めて国会に事前報告するというのは、大変前向きな姿勢として評価をいたしたいと思います。この理由という言葉を入れるのに、きのう相当時間がかかった与野党協議でございましたので、大臣の御決断として評価をしたいと思います。与野党共同してやっていくというのはこういうことだと思いますので。
続きまして、修正提案として我々が出した四ページ目の3、失礼、4ですね。3は延長する場合ですね、緊急事態宣言を延長する場合にも事前の承認を求めるべきではないかという提案を我々しておりますけれども、残念ながらこれは条文修正は難しいということで、先ほどの、事前に報告するということで、延長の場合についても同じような措置になるというふうに伺っております。
そこで、今度、四つ目でございますけれども、国会の議決による終了措置、つまり、一回緊急事態宣言をして、もうそろそろ終わりにすべきではないんですか、人権制約する面があるんですから、もうここまでおさまっているんだからそろそろ終わりにすべきなんじゃないんですかといっても、これは終わりにできるのは政府だけの権限に今の法律上なっています。ですが、この緊急事態宣言を続けることによって国民の命、健康を守るという意味合いと、一方で国民の人権を制約するというもののバランスは、政府ではなくて本来立法府が考えるべき話だと思うんですね。
ですから、この緊急事態宣言を終わりにできるということを国会で議決、すなわち、緊急事態措置の終了を国会で議決したら政府は終わりにしなきゃいけない、解除宣言を出さなきゃいけないというのが我々の修正提案なのでございますが、これも本来やるべきじゃないでしょうか、大臣。
○西村国務大臣 緊急事態宣言の終了に関してでありますけれども、これも、その手続について法三十二条の五項に規定がございます。この解除宣言を発することについては、既に閣議決定しております政府行動計画の中におきまして、先ほど来申し上げております基本的対処方針等諮問委員会、この専門家の意見を聞いて、政府対策本部長である総理大臣が速やかに決定、宣言した上で国会に報告ということにしております。
その際には、まさに緊急事態宣言を発するときと同様に、厚生労働省始め、さまざまなデータ、情報を踏まえて、国内外の流行、感染の状況、国民生活、国民経済への与える影響などを総合的に勘案して、想定して判断をするということになっておりますので、これはもう迅速かつ適切に決定を行う、専門家の意見をしっかり聞いてやるということですので、御懸念のように、不必要に緊急事態が残ることはないというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 データを精緻にとるですとか、そういったことは政府の方が得意ですよ。ですが、先ほど私が申し上げたように、緊急事態措置を続けることによって命を守るという大事さと、人権制約をしているという大事さのバランスをどう考えるかということは、これは政府は得意なことじゃないんです、本来。本来これは立法府が、国民の代表として、このバランス感は持っている。逆に言うと、そうでなかったら立法府なんというのは何のためにあるんだということになるわけですね。
ぜひ、大臣、附帯決議の五をごらんください。これも与野党で合意しているものですが、「政府は、課題の共有・解決に向け、与野党に対して必要な情報共有を適時、適切に行うとともに、与野党の意見を尊重して施策の実施にあたること。」ということで、与野党合意されています。
これに基づいて、もうそろそろ終わりにすべきでないかというような状況が出てきそうなとき、あるいは、これは我々、与党、野党も含めて、我々の方から提案することもあるでしょう。この附帯決議の五に基づいて、ぜひこの場で意見交換をして、実際に施策の実施、すなわち緊急事態宣言を解除するということもこの中でやっていただきたいというふうに思います。
さて、これができないとなると、すなわち国会議決による終了ということができないとなると、二年というのが長過ぎるのではないかという議論がございます。これは我々会派内でもたくさん議論がございました。
政府案では、「施行の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までの間」と。今回の新型コロナウイルスに関してですよ、一般論ではなくて。今回の新型コロナウイルスに関して二年を超えない範囲となっていますが、そんなに長くやるんですか、緊急事態宣言。今回の新型コロナウイルス感染症について、二年もの間、緊急事態宣言を続ける可能性があるということなんですか。これは長過ぎるんじゃないですか。とりあえず例えば半年ぐらいにしておいて、更に必要であったら延長をするということはできるわけですから。
これは二年なんて言っちゃうと、政府が公式に、今まだ緊急事態宣言をする状況ではないということは、今よりもひどい状況、緊急事態宣言をしなきゃいけないようなひどい状況になってから二年も続くということなのというのも、これは壮絶な話でありまして、もう少し短い、もう少しというか、せめて半年とかいうぐらいにしておいて、必要なら延長すればいいかと思いますが、いかがでしょうか、大臣。
○西村国務大臣 まず、先ほどの情報共有をしっかりやってほしいというお申出、御質問に対しては、御指摘のとおり、課題の解決に向けては与野党協力してやる部分が本当に必要だと思いますので、情報共有をしっかり行って、適時適切に行いながら、その御意見を尊重しながら実施に当たってまいりたいというふうに考えておりますし、念のためですけれども、政府対策本部が立ち上がれば、法律上、しっかりと都道府県知事とも総合調整できる権能がありますので、そこでも、もちろんそれぞれの地域の現状などもしっかり踏まえて対応をしていきたいというふうに考えております。
その上で、適用期日の件でありますけれども、まさに、さまざまな事態が考えられる中で、先般の専門家会合でも、何とか持ちこたえているけれども油断してはならない、これから拡大していくかどうかのまだ瀬戸際にあるというような認識が示されておりますし、専門家の中には、発言をしておられましたけれども、年をまたいでというようなことをおっしゃっておられる専門家もおられました。
もちろん、それぞれ個々に考え方も違うものもあるかと思いますけれども、そうしたこともしっかり踏まえながらですけれども、指定感染症の指定が一年なんですね。今、新型コロナウイルスを指定感染症に二月一日に指定してから一年間ということになっておりますので。一年間は延長できるという規定でありますけれども、現時点では一年、おっしゃるように、二年とは今のところ考えておらずに、一年ということを考えているということでございます。
○後藤(祐)委員 二年を考えておらず、一年を考えているというのは今までなかった新しい御発言だと思いますが、一年もちょっと長いと思いますけれどもね。延長規定があるわけですから、ぜひ半年というところも考えていただきたいというふうに思います。
次の修正提案ですが、四ページ目の修正提案の5ですね。緊急事態措置の実施状況についての国会への適時の報告の条文修正案を我々提案しておりましたが、これについては、附帯決議の四という形で、知事なんかが、この緊急事態措置を実施したときは、遅滞なく、その旨及びその理由、これも理由が入るんですね、理由を政府対策本部長たる総理に報告することと。そして、本部長は、報告を受けた事項を取りまとめ、この緊急事態宣言の実施状況について、適時に国会に報告することということで、与野党合意がなされておりますが、当然、大臣、各知事なんかから上がってくる理由もまとめて政府対策本部長から国会に報告されるということでよろしいんでしょうか。
そして、この適時とは、どんな場合、どんなときなんでしょうか。例えば、新しく、人権制約度の高いようなものをある県が始めたというようなケースですとか、あるいは、そういったことがなくても一定間隔で報告するですとか、この適時のイメージを教えてください。
○西村国務大臣 委員御指摘のとおり、都道府県知事から政府対策本部長への報告が上がってくるわけでありますけれども、そうしたことをしっかりと取りまとめて、御指摘のような理由、その内容についてしっかり取りまとめて、政府対策本部から国会への報告、これについては適時適切に行っていきたい、しっかりと対応していきたいというふうに考えておりますが、状況がさまざま変化した場合は、特にこれは、先ほど申し上げたように、時期を失することなく適切に行いたいと思いますし、状況がどうなっているのか、定期的に我々も都道府県知事とは意見交換を、緊急のときはもう毎日何回も何回もやらなきゃいけない場面も出てくると思いますけれども、状況が落ちついてくると、定期的にとるようなことにもなってくると思いますので、それぞれの状況に応じて、そのときの状況に応じて、これは本当に適時適切に国会の方に報告をしたいというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 先ほどの附帯決議の五のところで、課題の共有、解決に向け、必要な情報共有を適時適切に行うということとあわせて、与党もそうだと思いますが、国会側からその適時報告をぜひしてくださいと言ったときは、ぜひしてください。それが臨機応変な対応だと思いますので、それでこの問題は非常に共有しやすくなるのではないかというふうに思いますので、御提案申し上げます。
続きまして、附帯決議の十九でございますけれども、その間のところはこの後の同じ会派の重徳委員が一つ一つ確認をされると思いますが、十九の検証ですね。「今回の新型コロナウイルス感染症への政府がとった対応について、第三者的立場から、客観的、科学的に検証し、その結果を明らかにすること。」をお約束ください。これは西村大臣及び稲津厚生労働副大臣にもお願いしたいと思います。
○西村国務大臣 まさに新型コロナウイルス感染症の今回の対応については、さまざまな御指摘もいただいておりますし、我々、全力で取り組んできたところではありますけれども、ぜひ、この事態がある程度収束した後には、学識経験者、第三者のそうした御意見も伺いながら検証し、今後同様な事例が発生した場合にしっかりと対応できるように、この対応も深化させていければというふうに思いますし、先ほども答弁させていただきましたけれども、今回は非常に急を要するということもあってお願いをして、法改正をこのような形でお願いをしておりますけれども、インフル特措法全体の体系、感染症法との関係も含めて、今回終わった後でもう一度しっかりと見直して、検証して、必要な措置を、必要な検討を加えていければというふうに考えているところでございます。
○稲津副大臣 お答えさせていただきます。
この第十九ですけれども、「第三者的立場から、客観的、科学的に」ということで、ぜひ事後的に学識経験者等にもしっかり検証していただくこととさせていただきたいと思っています。
○後藤(祐)委員 西村大臣、第三者的立場からと。そして、今、稲津副大臣からも専門家というお話がございましたが、何らかの第三者委員会を設置して検証を行うということでよろしいでしょうか。
○西村国務大臣 ちょっと現時点で、どのような形にするかは、まだそこまで思いが及んでおりませんけれども、いずれにしても、第三者、有識者の目から見ていただいてしっかり検証し、今後の対応力を深化させていくようにしていきたいというふうに考えております。
○後藤(祐)委員 今既に、専門家の方にはいろいろな形で教えを請うていると思いますし、その方々が客観的でないとは言いません。ですが、もはや一心同体になってしまっている面があると思いますし、そこで下した判断についてはもはや責任を負っていらっしゃると思うんです、今の専門家委員会の皆さんなんかは。
ですから、ここでやる検証というのは、そういう方々が入っちゃいけないとは言いませんけれども、これまでのその決定にかかわっていた、あるいはお墨つきを与えたような立場の人ではなくて、そういうことにかかわっていないような専門家の方々、いっぱいいらっしゃると思うんです、ほかにも。そういった方を中心に第三者委員会を設置して、どうだったのかということを検証していただきたいと思います。それでないと、自分の下した判断について自分で検証すると、それは客観的とは言わないと思うんです。
今の巻き込まれておられる、巻き込まれてと言うとちょっと失礼ですけれども、いろいろな専門的な知見を発表されておられる先生方は客観的な方だと思うんですよ。ですが、検証における客観性ってそういうことじゃないと思いますので、そこを考えた第三者委員会をきちっと設置していただきますよう、今うなずいておられますけれども、ぜひそこはお願いしたいと思います。
そこで、何をやるかなんですけれども、五つほど挙げたいと思います。
一つは、PCR検査の拡大がなぜこのようなペースになってしまったのかということ。
二つ目に、ダイヤモンド・プリンセスにおける感染の拡大、あるいは下船を途中まで認めず、あるいは下船した後は電車で帰っちゃったというようなこと。
そして三つ目には、総理の全国一斉休校の要請ということの是非あるいはやり方についての検証。
そして四つ目は、中国からの入国について、まず湖北省縛りがあり、その後少し拡大しましたけれども、結局全土に拡大することなく今は二週間とめ置きという形に、時間をかけてだらだらとやりました、これについての検証。
そして五つ目に、そもそもなぜこの特措法の適用がおくれたのか、今出しているこの法改正案はもっと早く持ってくればよかったじゃないですか。
ということを含めたこの五つについては、少なくともそれぞれの理由、経緯、法的根拠などについて検証すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○稲津副大臣 まず、私の方からPCRについてお話をさせていただきたいと思います。(後藤(祐)委員「一個一個はいいですよ」と呼ぶ)よろしいですか。
○西村国務大臣 今御指摘あったことも含めて、全体しっかりと検証して、そして、よりよい対応ができるように、同様の事例が起きた場合に対応できるようにしていきたいと考えます。
○後藤(祐)委員 副大臣、大変失礼しました。ちょっと、たくさんのことを一つずつ確認しなきゃいけませんので、大変失礼しました。
この法律が、特に緊急事態宣言がなされた後、できることをちょっと確認したいと思いますが、まず、イタリア・ロンバルディア州で行われているような強制的な移動制限、少し広がっているようでございますけれども、これは、特措法で緊急事態宣言をした後でも行うことはできないということでいいんでしょうか、西村大臣。
○松本委員長 ちょっと時間をとめてください。
〔速記中止〕
○松本委員長 速記を起こしてください。
西村大臣。
○西村国務大臣 交通の制限とか遮断なんですけれども、これについては、感染症法三十三条で、一類感染症についてできる規定があるんですけれども、それ以外にはございませんので、そういう意味で、指定感染症、ちょっと待ってください。もう一回確認いたします。済みません。
○松本委員長 ちょっと時間をとめて。速記をとめてください。
〔速記中止〕
○松本委員長 速記を起こしてください。
西村大臣。
○西村国務大臣 済みません。
感染症法上三十三条で、一類感染症については交通の制限等ができることとなっております。今回、指定感染症にこの新型コロナウイルスを指定をしておりますので、指定感染症で何ができるかを定める政令を二月一日と二月十三日に出しているんですが、そこにはこの交通の遮断を入れていないんです。ですので、そこで政令を改正して入れれば、感染症法上の規定でできるようにはなります。
○後藤(祐)委員 やるつもりはあるんですか。
○西村国務大臣 現時点では考えておりませんが、専門家の意見を聞きながら、今後の感染の拡大の状況を見て適切に判断していきたいと考えております。
○後藤(祐)委員 今のは特措法ではないですよね。特措法を使わなくても政令指定でできるということですよね。
かつ今回、四十五条一項に基づいて知事が行う不要不急の外出自粛だとか、これは一部の都道府県でやっていたりしますし、四十五条二項に基づいて本来知事が行う学校の休校要請は、総理が法律に基づかないで全国でえいとやっちゃっていたりしますし、あるいは全国規模のイベントの中止、延期、規模縮小等の対応の要請なんというのもやっちゃっていまして、要するに、この法律でないとできないことって何なんですか。立法事実は何なのかが、いま一つよくわからないんです。
それは、今まで総理なんかが、えいとやってきてしまったものを、法律に基づいてやはりやるべきですよね、人権制約が伴うわけですから。ということに立法事実があるというふうに私は理解するんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
それとも、今まではできない措置を新たに、例えば四十五条三項で、休業要請に従わない場合の指示というのはさすがに今までいっていませんけれども、これなんかを新たにやるために今回の法律を出したんでしょうか。立法事実は何でしょうか。
○西村国務大臣 既に、この法律に基づかなくとも、例えば出入国管理法に基づいて出入国の管理をする、あるいは検疫法に基づいて一定の検疫措置をとる、あるいは感染症法に基づいて、指定感染症に指定をしておりますので、感染症法上の措置は、先ほど申し上げましたように、政令でいろいろなことができるかできないか定めることができますので、そういったことを通じてやっておりますし、さらには、法律に基づかずとも、いわゆる要請ベースでさまざまなことを要請も行ったり、これは、国民一般に自粛の要請を行ったり学校の設置者に対して学校の休校要請をしたりということで、そうしたことは現行法のもとで行えることは行ってきております。
そして今回、インフル特措法の対象とすることによって、まさに政府対策本部が立ち上がって、その後に緊急事態宣言が発出されれば、御指摘のように、例えば四十九条の土地の使用、これは所有者、占有者の同意を得ないで土地の使用はできるようになるとか、あるいは、物資の売渡しの要請、これは医薬品とかマスクとかも含めてですけれども、これについてそういうことを要請ができ、さらにはそれを保管をすることもできますし、その物資を収用することもできます。そして、この規定には罰則もございます。等々、幾つかの規定で相当強力な措置が、これは都道府県知事に与えられる権限でありますけれども、こうした規定が使えるようになるということであります。これに対しては、政府対策本部長たる総理大臣から都道府県知事に指示もできるようになるわけであります。
ただ、きょうも既に議論されていますとおり、相当強い私権の制約を伴うものでありますので、これは、緊急事態宣言の発出に当たっては専門家の意見も聞いて判断していかなきゃいけませんし、そうした意味で、現時点でこれが今必要だということではなくて、今後、拡大に向かっていくのか終息するのかというまさに分かれ目の中で、万が一のときに備えてこの法律の改正をお願いをしている。
私、もう既に申し上げていますけれども、まさに伝家の宝刀として、本当に必要なときにはこれを使って国民の生命を守らなきゃいけないということでありますが、できればそういったことはない方がいいわけでありますので、終息に向かって努力を続けているところでございます。
○後藤(祐)委員 幾つかの規定は、確かにこの特措法を使わなきゃできないものがありますので、今の答弁のとおりなのかもしれません。
感染症の範囲の話については、先ほど中川先生が御議論ありましたけれども、法制局長官、来ていただいておりますけれども、二〇一二年のこの法律が成立したときの法制局審査があったと思うんです。そのときに、新感染症として未知のものに限定していたんですか。この特措法で適用する新感染症というのは未知のものに限定していたんですか、法制局長官。今での判断じゃないですよ、当時の判断としてですよ。
○近藤政府特別補佐人 今回のこの特別措置法の一部改正法の審査に当たりましても、過去の審査録を参事官が見ておりますけれども、その審査録を私も再度拝見をしましたが、当時、あくまでも感染症法における分類を前提として、そのうちどれを対象にしますかというところから説明が始まっていまして、それで六条七項の新型インフルエンザ感染症と六条九項の新感染症、ただ、それは感染力の強いものに限らないとだめですというところから説明が始まっていますので、そもそも、新感染症とは何かとかいうのは、まさしく説明がないところから始まっておりますので、その時点ではそういう未知だ云々という議論はなくて、それは新感染症ではなく、感染症法の方の解釈を前提として始まっているということでございまして、特段のそれについての再度の説明はございませんでした。
○後藤(祐)委員 そうしましたら、新感染症を最初に定義したときの法制局審査録及び、今、二〇一二年に特措法をやったときの審査録をこの委員会に提出いただけますでしょうか。
○近藤政府特別補佐人 私どもの審査録の資料につきましては、基本的には各省庁から持ち込まれている資料でございますので、基本的には各省庁に相談の上で出さざるを得ないのですけれども、基本的には、審査録、まとめておりますので、情報公開とかはしておりますけれども、もちろん、中身について、どうしても原省庁が秘匿せざるを得ないような個人情報とか企業情報が入っている場合がございますので、そういうところがございますので、各省庁と相談しないと、ちょっと当局の一存では、そのままでは提出できないというふうに思います。
○後藤(祐)委員 特措法ができたときの二〇一二年のときの法制局の審査録及び感染症法に新感染症が定義されたときの同じく審査録をこの委員会に提出いただけますよう、理事会で協議願います。
○松本委員長 後ほど、理事会で協議いたします。
○後藤(祐)委員 時間が来たのでこれで終わりにしますが、先ほど中川先生の議論のときに、最後、この話になりましたけれども、これは、附帯決議二十番、もともと我々の修正提案の骨子の趣旨というところの下の丸の方ですが、そこの話が附帯決議として合意されておりまして、この二十番を読み上げます。「特措法の適用の対象となる感染症の範囲(当該感染症にかかる法令の規定の解釈により含まれるものの範囲を含む。)について、速やかに検討すること。」
この検討することを、先ほどほとんど約束いただいたと思いますけれども、もう一度確認をさせていただきたいと思います。西村大臣と稲津副大臣にお願いします。
○西村国務大臣 感染症法そのものは厚生労働省の所管でございますので、後ほど答弁もあるかと思いますが、今回、インフル特措法の方の改正をお願いするに当たって、感染症法を引っ張って、相互補完的に感染症を防いでいくという法体系になっている中で、私もいろいろ議論し、また自分なりに頭の整理を行ってきましたけれども、繰り返しになりますが、やはり強力な措置でありますので、裁量の余地が広くて、恣意的に、何かすぐにインフル特措法に行くようなことはやはりないようにしなきゃいけないという要請もあります。
他方、本当に緊急のときは、直ちに新感染症として、特に、未知のものが突然あらわれて、国民生活が物すごく脅かされ、急速に拡大しているというときには、新感染症として直ちにインフル特措法をやらなきゃいけない、そういう場面もあると思います。
そのバランスを考えながら、他方で、先ほど申し上げたように、新感染症では未知のものと整理をしながら、どこかでわかれば今度は指定感染症に行くわけで、そうなると、指定感染症になった途端にインフル特措法の対象から落ちるというふうな課題もあります。
ですので、今回、この一連の事態が収束をした後に、しっかりと検証し、インフル特措法は感染症法との関係でどうあるべきかということをしっかり検証して、必要なことを検討してまいりたいというふうに考えております。
○稲津副大臣 お答えさせていただきます。
事後的になりますけれども、関係省庁とも協議をして、検討させていただきます。
○後藤(祐)委員 終わります。ありがとうございました。
○松本委員長 次に、重徳和彦君。
○重徳委員 共同会派の重徳和彦です。
本日は三月十一日です。東日本大震災から丸九年が経過いたしました。お亡くなりになりました皆様方に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様、そして、今なお避難生活を余儀なくされている皆様方のために、一日も早い復興に向けて、ここのお部屋におられる委員の皆様方とともに力を尽くしてまいりたいと思います。
さて、本日は、新型コロナウイルス対策について、新型インフル特措法を適用する、そのための法改正の審議でございます。
これまでも、イベントの自粛とか学校の一斉臨時休業の要請によりまして、対策である一方、中小企業、小規模、個人事業主の皆さん方には大変な経済的影響が出てきておりまして、健康問題であると同時に、あるいはそれ以上に経済問題と化しているというのが現在の状況だと思います。
その一方で、前例なき国家的危機に対応するためには役所限りではなかなか十分な対策ができない、ここにはやはり法的根拠が必要である、そう考えてまいりました。その意味で、今回の法律改正というのはもう遅きに失すると感じつつも、こうなった以上は一刻も早く法律を成立させるべきだと考えております。
これまで、法的根拠がない状態で、任意の要請、時に非科学的根拠に基づき、そして関係機関との最低限の調整もないままに安倍政権によりましてさまざま対策が講じられてきたと言わざるを得ない状況なんですけれども、この法律を制定するに当たりまして、野党側は、緊急事態宣言をする場合にちゃんと国会に事前報告することなどを強く求めております。
何でそういったことを強く野党が求めているんだと大臣は認識されていますか。
○西村国務大臣 重徳委員もよく御案内のとおり、この緊急事態宣言が発出されれば、先ほど来御議論がありますように、都道府県知事に私権の制約を伴う強い権限、措置の権限が与えられますので、そういう意味で、私権の制約、制限をするということで野党の皆さんには御懸念があったものというふうに理解をしておりますが、我々、そういったことがないように、しっかりと専門家の意見も聞きながら適切な判断をして行っていきたいと考えているところでございます。
○重徳委員 私権の制限を伴う法律であるということで、やはりやり過ぎはだめだという意味でのチェックが必要だと思います。そして、その一方で、やはり遅過ぎたり、やらなさ過ぎてもまたこれはだめだと思うんですね。
ですから、政府としては、まずは一義的には政府が対応する責任があるわけでありますけれども、やはり立法府、我々は幅広い国民の声を踏まえた立法府でありますから、そこにきちんと報告を適時適切に行うべきであるというふうに考えています。
その意味で、ちょっとこの後、附帯決議案の一つ一つ確認をしていきたいと思っているんですが、先ほど、私の資料じゃなくて後藤委員の資料で恐縮なんですけれども、附帯決議案の五番で、与野党に対しまして、政府は、情報提供を適切に行うとともに、与野党の意見を尊重して施策の実施に当たることとなっております。
与党は、議院内閣制ですから、当然意見を踏まえていると思いますけれども、野党の意見をもっと尊重する、もっと言えば、今回の新型インフル特措法の適用の是非についても、野党の意見もありましたので、そういったことも踏まえるべきではなかったかと思いますし、今後の、特に経済対策については野党の意見もしっかりと尊重していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○西村国務大臣 まさにこの附帯決議案にございますように、施策の遂行に当たって、課題を共有し、与野党を超えてこうした事態に対処していくことは非常に大事だと思いますので、状況の変化も見ながら適時適切に情報共有を行っていきたいと思いますし、今回、安倍総理が、この法律の改正をお願いする法案の提出をするという前に各党の党首と会談を行いまして、そのことの要請をさせていただき、また、各党党首からさまざまな御意見をいただいたところでございます。
その中で、昨日、約二兆円の第二弾の緊急対応策をまとめたんですけれども、その前の日に、その骨子について、これは自民党の政調からと伺っていますが、各党の政調の方、代表の方が出られたところもあったかと思いますけれども、そうしたところにしっかりと説明をし、また、そこで御意見をいただき、その中で幾つか対応できているものもございます。
そういったこと、引き続き、そういう姿勢で臨みながら、丁寧に説明をし、情報共有をしながら対応していきたいというふうに考えているところでございます。
○重徳委員 今、国においてコロナウイルスが蔓延しつつある、この状態は、やはり私は初動に問題があったと思っております。ですが、とにかく、こういった対策の責任は、時の政権が全てしょうことになってまいります。その意味では、やはり政権として最善を尽くすための組織体制についてもしっかりと検討していく必要があると思っております。
附帯決議の十八番には、日本版CDC等の設置を検討することというふうに書かれておりますが、CDCの設置も含めた体制検討への考えを聞かせてください。
○西村国務大臣 今回の新型コロナウイルス感染症の対応に当たりましては、全閣僚をメンバーとする対策本部を設置しまして、同本部のもと、まさに政府一丸となって対応に当たってきたところでございます。内閣危機管理監を始め内閣官房が中心となって、省庁横断的な取組を行ってきております。また、御案内のとおり、医学的な見地を踏まえた対策の検討を進めていくために、その対策本部のもとに専門家会議が設置されているところでございます。
御指摘のように、危機管理体制を強化していくこと、これは大変重要な視点でございますので、事態が全て収束した後に今回の事案をしっかりと検証して、今後、危機管理体制の不断の見直しを進めていきたいと考えておりますが、御指摘のCDCも、数字を見ますと、予算は百倍以上あり、人員も、これは何倍ですかね、国立感染症研究所が三百六十二人に対して一万四千人以上あるということで、大変大きな組織でございます。そうしたCDCの取組、そうしたことも参考にしながら、ぜひ危機管理への対応能力を高めていきたいというふうに考えているところでございます。
○重徳委員 次に、医療体制についてですが、ちょっと、私の地元でもあります藤田医科大学岡崎医療センターに、開院前の病院だったんですけれども、ここに、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号からの乗員乗客を二月十九日から受入れを開始しまして、おととい、三月九日に全員退所したという経緯があります。百二十八人の方々で、この施設内における新たな感染の発生はなかったという意味では、受入れは成功したという認識を病院関係者の皆さん方が持っておられます。これは生かせるケースじゃないかというふうに考えるんです。
今後、この特措法に基づいて、他の施設に同様の対応を求めるなんということもあり得ると思います。今回のこの藤田医科大学岡崎医療センターへの受入れをどう評価して、今後にどう生かしていこうとお考えかをお聞きしたいと思います。
○西村国務大臣 まさに今回の急な対応を要する中、受入れを御決断いただいて、そして適切な体制を構築いただいた藤田医科大学岡崎医療センターには、そしてまた、そこで従事された皆様方には、改めて感謝を申し上げたい、敬意を表したいというふうに思います。
そして、今回の搬送は、クルーズ船で感染者が増加する中、無症状でありながら陽性であるという患者の皆様が一定の医学的管理のもとで生活することの必要性を踏まえたものであります。その趣旨について、まさに、病院開設前でありながら、岡崎医療センターの皆様に御理解をいただいて、御協力をいただいたわけであります。
センターにおいては、院内感染防止を徹底をしていただくとともに、患者の容体が急変した際の外部医療機関への搬送体制を構築するなど、適切な環境を用意いただいたということであります。搬送の中で一部容体が悪化する方もおられましたけれども、その他は大きな混乱もなく対応いただいて、三月九日の時点で、有症状になった方は入院をされ、無症状で二週間を経過された方は自宅へ戻りということで、全ての方が退所をされたというふうに伺っております。本当に改めて敬意を表したいと思います。
今回の対応は、当然、法律改正の前でありますので、特措法の枠組みを活用したものではありませんけれども、御指摘のように、特措法の二十九条で同様の規定がございますので、今後この規定を活用するような段になった場合には、今回のケースも大変参考になるケースだと思いますので、参照しながら、しっかりと、いざというときにまた対応できるようにしていきたいというふうに考えております。
○重徳委員 関連するような話にもなるんですが、附帯決議の八番には、これは感染確定者との濃厚接触者を想定しているんですが、そういった必要と認められる者については、早期にPCR検査を実施し、健康観察を行うための体制を確立することとあるんですが、とりわけ、やや義務づけというか、強制的に健康観察を行わせるとかという場合には、補償の検討もすべきだと考えます。
こういったことは特措法で対応可能なんでしょうか。あるいは、法整備を更に考えるとか、そういったことについてどうお考えでしょうか。
○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。
今回の事態で、飲食業、小売業、観光、宿泊、イベント、こういった広範な、自粛などの影響を受ける業界から、いつ、その収入が得られないかと……(重徳委員「違う質問じゃないですか。中小企業庁じゃないですよ」と呼ぶ)ごめんなさい、失礼しました。
○西村国務大臣 感染症法上の取扱いについては厚生労働省が所管をしておりますので答えていただければいいんですけれども、私の方で述べさせていただきますと、感染症法上では、十五条に積極的疫学調査があったり、十六条の三で検体の採取、あるいは十七条で健康診断、こういった規定がありまして、まさに個々の患者、感染者等を特定することを前提とした措置を実施可能としているところであります。
他方、インフル特措法の方は社会全体にわたる対策を施行していくものですから、この特措法の中で対応するというよりかは、法体系からいって、感染症法で何ができるかを検討すべき事柄ではないかというふうに認識をいたしております。
○重徳委員 それでは次に、経済対策の話に入ってまいります。
附帯決議でいうと九番なんですけれども、今回の事態によって大幅なマイナス成長となる可能性は極めて高いと認識せざるを得ないと思います。小売業、飲食業、観光、宿泊業、イベント関連業、こういった業界は、各種自粛の協力要請による直接的な影響が非常に大きいわけです。
無利子融資、きのうの政府の対応策第二弾でも融資については盛り込まれているんですけれども、やはり融資ですから、返済する当て、見込みがなければなかなか安心できないという状態であります。したがって、損失に対する補助金等の財政支援も求める声が非常に多いです、大きいです。
その意味で、この附帯決議には、一番末尾に「特に配慮すること。」と、金融財政政策を講ずることを前提として、特に配慮すべき業界があるんだ、こういう書き方になっておりますが、補助金等の財政支援についてどのようにお考えでしょうか。
○奈須野政府参考人 失礼しました。お答え申し上げます。
今回の事態で、先ほど御紹介のあった、観光、宿泊、イベント、こういった自粛の影響を受ける業界から、予定した収入が得られないということで、いつ終息するのか見通せないという声が上がっております。
こうしたことで、昨日取りまとめた第二弾の緊急対応策では、日本政策金融公庫などにおいて特別貸付制度を実施する、それから、売上げが急減した個人事業主を含む中小・小規模事業者に対して実質無利子、無担保の融資を行う、そして、こういった対策について、第一弾の緊急対応策で講じた五千億円規模の資金繰り支援についてもさかのぼって適用するというふうになっております。
この特別貸付制度でございますけれども、元金返済の据置期間というのがございまして、これまでの最長三年以内から、これを今回、最長五年以内に長期化するということで、新型コロナウイルスの影響はいつまで続くかわからない、こういう中で、じっくりまずは事業の再生に取り組んでもらうというようなことで、返済計画が立てやすくなるように工夫しております。
また、同じように、マル経融資につきましても、今回の新型コロナウイルスの影響を受けた方につきましては、運転資金については一年以内を三年以内に、それから設備資金については二年以内というものを四年以内にということで、それぞれ特別に据置期間を延長しております。
こうした資金繰り支援について、結局借りるものでしょうということで、どうして返済原資を確保したらいいのかということにつきましては、私どもとしては、まずは売上げを回復させるということによって賄っていくということが基本だろうと思っております。
そこで、今回、ものづくり・サービス補助金、それから持続化補助金などの生産性革命事業を活用して、設備投資や販路の拡大、こういった売上げの回復の取組を支援することといたしております。こちらについては、きのうから公募を開始しております。今回、コロナウイルスの影響を受けて売上げが減った、損失がふえたという事業者の方については、これらの補助金については優先的に採択するというような方針にしております。
こうした対応もあわせて、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業者がこの難局を乗り越えられるよう、万全な対策を講じてまいりたいと考えております。
○重徳委員 取組をしようとしている姿勢は感じられます。
やはり、金額、ロット、それから、もう一つ大事なのは申請、こういった融資にしても補助金にしても、申請をするのが大変だ、書類も物すごいたくさん準備しなきゃいけない、こういったこともあります。
そこで、附帯決議十二番になりますけれども、いろいろ経済支援の制度を実施しても、中小企業や小規模事業者などにはなかなか届かないということが間々ありますね。これは、やはり縦割りの支援策で、窓口がわかりにくいとか、何度も足を運ばなきゃいけないとか、こういうこともございます。
ですから、ワンストップで手続をとれる仕組みをちゃんと整えること、それから、申請書類も簡素化して、かなり審査を迅速、合理的にすべきだというふうに考えますが、これは検討という言葉もちょっと入っておりますが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○西村国務大臣 確かに、今回、新型コロナウイルス感染症によるさまざまな影響を受けられた方々、大変苦しい思いをしている事業者あるいは個々の皆さんもおられると思いますので、その方にできるだけ早くこうした支援を届けていきたいというふうに考えております。
その意味で、手続が煩雑であったり、あるいは、あちこち、何カ所も何カ所も回らなきゃいけなかったりというのは、これは一般論としても行政のあり方として望ましくないんですけれども、特に、今回、急を要することでありますので、手続を思い切って簡素化し、ワンストップ化していくことは非常に大事だと思っております。
そうした観点で、雇用関係については、都道府県の労働局に特別の窓口を設置をいたしております。この中で、休業手当、雇用調整助成金の話であるとか、あるいは新型の助成金の話、こういったことをワンストップで迅速、円滑に受け付けることで今進めておりますし、また、中小企業につきましても、詳細がもしあれば補足していただければと思いますけれども、各県に、よろず相談窓口など、一元化をした窓口もございますので、そうしたところを活用しながら、先ほど中小企業庁の方から説明のあったような施策を、ワンストップで、一カ所でしっかりと手続が終えて、早く終わるようにということで進めていきたいというふうに考えております。
○重徳委員 その上で、今度は十一番になりますけれども、貸付条件等について、柔軟な対応を要請することというのがございます。
特に、返済猶予、とりわけ元本返済を、元本ですね、利息じゃなくて、元本の返済を猶予する措置が有効だという声も多いんですけれども、どうお考えでしょうか。
○西村国務大臣 まさにこの新型インフルエンザ、今回はコロナウイルス感染症が発生をして、それぞれ苦しい立場に中小企業の皆さん方が置かれている、そういう方が多いんだろうというふうに思います。
既に、先般、麻生金融担当大臣から民間の金融機関などに対して、既存の債務について、その返済の条件を変更、柔軟に行うようにという趣旨の要請を行っておりまして、返済猶予を行うようにという、ある意味、そういう趣旨で要請を行っております。そして、それを銀行法に基づいて、どのぐらいの件数をそういう条件変更をしたかということを報告を求めることにしておりまして、そういう意味で、かなり強い措置に基づいて返済猶予をお願いをしているところでございます。
そして、御指摘のように、元本を猶予してもらって利息は払っていくよというケース、これは私も経産省時代からもよくそういう事例を聞いております。利息を払わないとどんどんどんどん膨らんでいってしまいますので、最小限の利息だけは払っていくというふうなことも大事な視点だというふうに思っております。
そして、あわせてさらに、今回、インフル特措法の規定もございますので、これは国会閉会中とか何か、緊急政令をやるときに、何かやる場合に、解散中であったりとかそういう場合を考えて、厳格な要件を満たす必要があるのではないかと思いますけれども、いずれにしても、実態上は、御指摘のようなケースも含めて返済猶予を要請をしているところでございます。
○重徳委員 それでは次に、先ほども触れました九番の中の、金融財政政策と書いてありますが、この財政政策の中には税制も入るのかどうかということの確認とともに、今、やはり消費や雇用への懸念が非常に強いですね。そういう中で、地元の良識ある中小企業や個人経営者の方々からも、家計減税、要するに、消費をふやすために所得税とか消費税、こういったものを減税すべきではないか、それも思い切った減税をすべきじゃないかという声も悲鳴のように上がっているわけであります。
とりわけ、消費税をどのぐらいの規模下げるかはいろいろあると思いますが、例えば、消費税を緊急事態宣言期間中はゼロにするとか、こういったメッセージ性も含めた非常に強いインパクトのある政策をとるということも考えられると思います。
そういった政策に対する経済効果、一体どのように捉えられておられますか。
○西村国務大臣 御指摘のように、新型コロナウイルス感染症の影響によって日本経済は相当厳しい状況になりつつある、こういう認識を持っております。
だからこそ、既に成立した補正予算を早く執行しようということで今進めております。先ほどありましたように、中小企業への補助金ももう公募が始まるということで、サプライチェーンが何か毀損したものを直していくようなことにも使えるんだというふうに思いますし、昨日は、金融措置も含めて二兆円規模の第二弾の支援策をまとめたところでございます。先ほど御指摘のあった返済猶予もそうですし、さらに、資金を貸し出すところ、無利子、無担保で貸し出す、手続も思い切って簡素化してやろう、特に、小口の、当座の資金が要るんだという人には、簡素化をして、すぐに出るようにしようということで進めているところであります。
現段階では、まずこれらを進めていって、さらに、今審議をお願いしております予算をまずは成立をさせていただいて、この中にも経済対策、地方の公共事業なども入っておりますので、地域の経済の傷んだところに、活性化につながっていくものというふうに考えております。
その上で、事態が収束すれば、今は自粛をお願いしているときですけれども、収束すれば、観光振興を一段としなきゃいけません、地域の経済は落ち込んでおりますし、それから、消費の喚起もやっていかなきゃいけない。そうした中で、今回のこれがどれだけ長引くのか、どれだけ世界経済にもインパクトを与えるのか、これを十分見きわめていきたいというふうに考えておりますけれども、その見きわめ、インパクトに見合うだけの、それだけの経済対策をやらなきゃいけないというふうに考えて、将来、消費喚起策を含め、考えなきゃいけないというのを頭に置いているところでございます。
その際、所得税減税、消費税減税の今御指摘もいただきました。一般論として言えば、所得税については非課税世帯について、ここは恩典が及びにくいというところもございますし、消費税については全額社会保障に使うということで、今回、幼児教育、保育の無償化にも使わせていただいておりまして、これは子育て世代の負担軽減にもつながっているわけでございますので、そうしたことも頭へ置きながら、何をやるのがいいのかということを、これから頭の体操をしながら、まずは、今は終息をさせることが何より経済にとっても大事でありますので、終息させ、その後にそのインパクトに見合う経済政策を、これはもう十分な対策をやっていければなというふうに頭で考えているところでございます。(重徳委員「税制も含まれるという読み方でいいかという」と呼ぶ)
前例にとらわれることなく、これはさまざまな施策をしっかりと考えて対応していければというふうに考えているところでございます。
○重徳委員 経済の事態は深刻になってまいります。
次は十三番なんですけれども、過去の経験、とりわけバブル崩壊、金融機関の倒産が相次いだ九八年以降、自殺者が三万人を超えたんですね。そういう時期が続きました。その後も長引きました。以前に比べて、今は非正規労働者の比率も圧倒的にふえております。そういう意味での雇用不安もあります。こういう中で、健康問題、経済、生活問題、さらには自殺のリスクの高まり、こういったことにも発展しかねない状況になっている。
このことについて、附帯決議では、政府は一人の命も犠牲にしないという強い決意のもとに、全国の自治体と連携し、自殺対策、生きることの包括的支援を万全に講ずることというふうに書かれております。
附帯決議上、政府は、そういう強い決意のもとにと書いてありますが、その強い決意あるいは危機感というものを持っておられるかどうかを確認したいと思います。
○西村国務大臣 御指摘のとおりでございます。
今回のこの感染症の影響によって、さまざまな人、多くの人が影響を受けて、そして、特に厳しい経済環境にある方がよりその影響が大きいのではないかというふうに推察をしているところでございます。
そうしたさまざまな状況も踏まえ、今般、雇用調整助成金の対象にも、非正規の方も含めて、正規、非正規問わず対応する、あるいは、フリーランスの方に対してもしっかりと対応しようということで、きのうの第二弾の対応策の中に含めさせていただいておりますし、さらには、今回の影響を受けて収入が減少して非常に厳しい状況にある方に、これは返済免除ができる、返済免除要件つきの小口の資金をお渡しする、こうした制度も今回創設をしているところでございます。
こうしたさまざまな対応策を講じながら、まさに大事な命をお一人も失うことなく、ぜひ、これはもう政府一丸となってでありますし、国民一体となってこの危機を乗り越えていければなというふうに考えているところでございます。
○重徳委員 はい、わかりました。
次に、六番なんですけれども、特措法に基づく、特措法が成立しますと、今度は、政府も自治体も行動計画というのがありますから、そこに基づいた適切な措置がとれるようになるというのが特措法の適用の大きな利点であると考えます。
そこで、今までは、ともすれば場当たり的とも批判されるような取組、例えば全国一斉の休校、学校の休業の要請というのはやはり唐突感が否めなかったと思います。
そこで、これからは、行動計画が、既存のものがあります。そして、当然、今回の事態に合わせて、見直しといいましょうか、当てはめ方というのはいろいろバリエーションがあると思いますが、何せ国から、安倍総理がいきなり、突然言い始めるみたいなことはもう極力避けなきゃ、現場の混乱は、あるいは批判を浴びかねないということでありますので。
じゃ、今この時点において、行動計画を今既に持っている都道府県、市町村は、今後、何を想定して、どういう準備をしておけばいいか、何が次に来るという心構えをしておけばいいか、そのあたりを適切に、早目早目にメッセージを送ることも国と地方の連携において大事だと思うんですけれども、そのあたり、つまり、行動計画に基づいて適切、迅速に施策が実行できるように、どういったことを各自治体は備えておけばよろしいと考えておられますか。
○西村国務大臣 御指摘のように、今ある新型インフルエンザ特措法に基づいて、政府も行動計画をもう閣議決定しておりますし、各都道府県、市町村においても行動計画が策定されているものというふうに承知をしております。
そして、今回、新型コロナウイルス感染症をこの法律の対象とするという改正が行われた場合には、今ある新型インフルエンザ用の行動計画が、それぞれ、それが使える、基本的にはそのまま使えるということで現時点では考えております。
したがいまして、都道府県においては、それぞれの行動計画に基づいて、これは毎年訓練を政府も行っておりますし、都道府県においても行われているものというふうに思います。
その行動計画を踏まえて、感染拡大への備え、医療体制の整備などを行っていくことが考えられますけれども、政府対策本部が立ち上がれば、総合調整の機能がありますので、これは都道府県からさまざまな要請も上がってくる、要望も上がってくる、あるいはこちらから、こういうことはできないのかという、そういう調整を行う機能もこれはインフル特措法に基づいてできるようになりますので、そうしたことを通じて、都道府県側からの相談、要望にもしっかりと応えながら、しっかりと国、地方が連携をとって、この事態を収束に向けて全力を挙げていけるようにできればと思っているところでございます。
○重徳委員 時間が来たようですのでこれで終わりにしますが、今回、本来は法案の修正を私どもは求めてまいりましたが、それが実現できなかったという意味においては、逆に言うと、今回の附帯決議というものの重みをぜひ政府・与党の皆さんにも感じていただいて、しっかりと与野党一致して取り組まなきゃいけないと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○松本委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
新型インフル特措法の改正案について質問をいたします。
今回の法案は、この新型インフル特措法に新型コロナウイルス感染症対応を盛り込むものであります。
そこで、まず、新型インフル特措法における緊急事態宣言に関してお尋ねをいたします。
第三十二条に基づいて政府対策本部長が緊急事態宣言を行うときに、あらかじめ専門家の意見を聞くということを法定していない、それはなぜなんでしょうか。
○西村国務大臣 ちょっと、法制定時の話をもう一度よく吟味をしなきゃいけないかと思いますけれども、基本的に、この法律の体系の中で、基本的人権の尊重といいますか、第五条で、さまざまな措置をとるときには最小化しなきゃいけないという措置が盛り込まれておりますので、そういったことも含めて、しっかりとそこに縛りがかかっているということで私は理解をしているところでございます。
○塩川委員 いや、質問に答えていないんですが。
何で、専門家の意見をあらかじめ聞かなければならないということが緊急事態宣言の場合にあってそうなっていないのか、規定されていないのか。そこはどうですか。
○西村国務大臣 先ほど申し上げた緊急事態宣言というのは非常に重い措置で、都道府県知事に相当強い権限、私権を制約する権限が与えられるということで、法律全体の中で、第五条の規定で基本的人権の尊重があり、さらに、この緊急事態宣言を出すことも含めて、この法律体系上は、政府行動計画をつくり、そして基本的対処方針をそれに基づいてつくるという法体系になっております。
そして、その基本的対処方針を定めるときに、専門的な知識を有する者、学識経験者の意見を聞かなきゃならないということで、既に諮問委員会が設置をされているところでございます。
そういう意味で、この大きな方針を定める、基本的対処方針を定めるときに専門家の意見を聞き、そして、それに基づいてさまざまのこの法律に基づく措置がとられるという意味では、大きな意味ではそこで専門家に意見を聞いているということでありますし、全体として基本的人権の尊重を図っているという理解でございます。
○塩川委員 今答弁が一部あったんですけれども、確認ですけれども、政府対策本部長が緊急事態宣言を行うときに、あらかじめ専門家の意見を聞くことは法定されていない、行動計画あるいは基本的対処方針においては聞きますねと。
ですから、特措法では、政府行動計画を作成するときは、「あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない。」と規定をしています。また、特措法では、政府行動計画に基づき基本的対処方針を定めるときは、「あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない。」と規定をしています。
そういう意味では、今お話しになったように、大きな方針、政府行動計画や基本的対処方針をつくるときには、あらかじめ専門家の意見を聞くことを義務づけているわけですけれども、やはり、まさに私権の制限、強い私権の制限を伴うような緊急事態宣言を行うときの要件はどうなっているのかといったときに、一番やはり問われる問題じゃないですか。まさにそのときに、何で、あらかじめ専門家の意見を聞かなければならないという義務づけがないのか、おかしいんじゃないですか。
○西村国務大臣 正直申し上げて、私も、最初にこの法律を読んだときは、そういう印象を持ったわけでございます。
ただ、今申し上げたように、ちょっと法制局の資料をもう一度よく吟味しなきゃいけません、過去の立法者の意思を含めてですね。当時、民主党政権で、先ほど、中川大臣が担当大臣で法制を、制定されたわけでありますけれども、そのときのこともよく調べなきゃいけないと思いますが。
まずは、基本的対処方針を定めるときに、大きな方針を決めるときに専門家の意見を聞いて、そのもとで緊急事態宣言も出される、その方針にのっとって出されるという理解では、全体としては聞いているということでありますし、それを補完する形で、まさに政府行動計画では、きちんと諮問委員会の意見を聞いて緊急事態宣言を行うことが定められているところでありまして、そういう意味で、この法律に基づいて行動計画をつくり、そしてその中で、緊急事態宣言を出すときには専門家の意見を聞かなければならない、聞くこととしているということに、政府は閣議決定をいたしておりますので、ある意味で、この法律の全体の体系を受けて、具体的に、そのような形で専門家の意見を聞くことを担保しているという整理になっていると思います。
○塩川委員 いや、強い私権の制限を伴う緊急事態宣言を行うという際に、その要件が妥当かどうかというところが問われているわけですよね。重篤性、感染性、この問題について、まさにあらかじめ専門家の意見を聞かなければならない。
この特措法というのは緊急事態宣言を行うということが大きな柱の法律なんですから、その肝心なときに、あらかじめ専門家の意見を聞かなければいけないという義務づけが入っていないというのは、そもそもおかしいわけですよ。これはこのままでいいということでいいんですか。
○西村国務大臣 繰り返しになりますけれども、大きな体系としては、専門家の御意見をいただいて基本的対処方針をつくり、それに基づいて緊急事態宣言を出すという法体系になっております。
その基本的対処方針をつくるのは、政府行動計画に基づいてつくることになっておりまして、その政府行動計画というのはこの法律でつくることになっておりますが、その政府行動計画の中で、きちんと、緊急事態宣言を発するときには、その要件に該当するかどうかの判断について、この諮問委員会たる専門家の意見をしっかり聞いて判断をするということになっておりますので、そういう意味で、法体系上は、そういう形で専門家の意見を聞くことは担保されているということでございます。
○塩川委員 強い私権の制限を伴うような緊急事態宣言を行う際に、あらかじめ専門家の知見をしっかりと聞かなければならないというところが、一番の肝のはずなんですよ。そこのところがここに盛り込まれていないという点が極めて重大で、それは、まさに今の安倍総理は、科学的知見を示さないまま政治的に判断をして、全国一斉休校を要請し、現場は大きな混乱が生じたわけであります。
この緊急事態宣言を行う際に、あらかじめ専門家の意見を聞くことの義務づけがないということは、容認できないということを申し上げておきます。
次に、この緊急事態宣言に基づき、都道府県対策本部長は、外出自粛の要請や、学校、社会福祉施設、興行場等の使用制限、停止の要請や指示ができるとされています。
この要請の期間ですとか区域ですとか対象施設の範囲というのは、法文上の規定はもちろんないわけですけれども、どこでどのように定めるということなんでしょうか。
○西村国務大臣 御指摘は、本部が立ち上がった後、そして緊急事態宣言が出された後の四十五条の規定のことですね。
この規定については、使用制限、停止の要請あるいは指示、こうしたことができるわけですけれども、その期間とかそれから範囲について、それをどの範囲で行うかということでありますけれども、確かに、ここも、都道府県知事は専門家の意見を聞くことにはなっていないんですけれども、法文上はなっていないんですが、法体系でいいますと、先ほど申し上げたように、全体の基本的対処方針が専門家の意見を聞き設定されて、そのもとで、内閣総理大臣たる政府対策本部長が総合調整を行うということで、都道府県知事ともさまざまな調整を行っていく中で、そうした専門家の考え方なども都道府県知事にはしっかりとお示ししながら対応していくことになるというのが実態だと思いますけれども、しかし、実際のところ、どういう形で進むかという御懸念も確かにあるかと思います。
専門家の意見を伺いながら、私権の制限との関係も十分配慮して、適切に判断が行われるようにぜひしていきたいというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 ですから、緊急事態宣言、二年とか一年とか、この話はこれとしてあるわけですけれども、実際に私権の制限を伴うような要請を行う際に、それはいつまで続くんですか、どの範囲にかかるんですか、こういうところについて明示的に示されるものがないと、これは多くの方々に懸念が生じるのは当然のことと思うんですが、それはいかがですか。
○西村国務大臣 この四十五条の条文に書いておりますけれども、まさに、今回の場合は新型コロナウイルス感染症、これの潜伏期間とか治癒までの期間とか、今さまざま症例が出てきておりますので、今ある専門家会議の中でもいろいろ御議論があって一定の整理がなされつつありますけれども、そうしたものを考慮して一定の期間を定めて、利用の制限の要請なりを行っていくということでございます。
ですので、そういう意味で、政府対策本部においてしっかりと専門家の意見を聞きながら、それを都道府県知事と調整をしながら、そうした期間を設定をし、そして、施設については、一定面積以上ということで政令指定がなされておりますので、政令指定に基づいて、ある程度推測はつくわけでありますけれども、そうした運用になっていくものというふうに思いますが、現在、今回の新型コロナウイルス感染症の対象となる適用の期間を、現在のところ一年。二年以内となっておりますけれども、一年というふうに考えておりますので、その一年以内の間で、こうした潜伏期間とか治癒までの期間などを考慮して都道府県知事が定めていくということになるものと思います。
○塩川委員 外出自粛の要請とか、一年なんという想定というのは、それ自身が極めて深刻な問題ですから、そういうことではなくて、実際に具体に措置を行う際に、その期間はどれぐらいなんですか、どの対象で行うんですか、そういったところについて法文上の限定がないという点で、先ほど大臣の答弁にも、知事が行うような場合にも専門家の意見を聞くことにはなっていないということになれば、場合によると、その知事の判断で恣意的な運用が行われるのではないか、こういった点での歯どめがないということも指摘をせざるを得ません。必要以上の私権制限が行われる懸念が生じるということを申し上げておきます。
さらに、特措法では、緊急事態宣言の前であっても、第二十四条において、都道府県対策本部長の権限が規定をされております。
第二十四条の第九項では、公私の団体、個人に対し、必要な協力の要請をすることができるとあります。
この第二十四条第九項に基づく要請内容には、何らか限定というのはあるんですか。
○西村国務大臣 御指摘の法二十四条の九項、これにおきましては、御指摘のように、公私の団体、個人に対して協力の要請をすることができるということでありまして、具体的には、手洗い、うがいなど感染対策の広報活動においてボランティア団体への協力を要請すること、あるいは、学校、社会福祉施設での文化祭等のイベントを延期することなど感染対策を実施すること等への協力を要請すること、これを想定しているところでございます。
○塩川委員 手洗い、うがいですとか、それはよくわかる話なんですけれども、しかし、知事の判断でより踏み込んだ措置というのを要請というのも、行うことに何らかの歯どめがあるのかという問題なんですが。
都道府県知事は、この特措法第二十四条第九項に基づき、例えば、学校等に限らず、職場を含め、広く感染対策の徹底の要請を行う、こういうこともやれるということですか。
○西村国務大臣 まさに、法人格の有無を問わずに、ボランティア団体とか、集会を行う任意団体などに対して、文化祭等のイベントを延期すること、あるいは施設の使用を極力制限することなど、感染対策を実施することを協力を要請することを想定しているわけであります。
この法律を適用する段階というのは、まさに今回規定をさせていただいたように、蔓延のおそれが高いと認めるときでありますので、まさに、それをほっておくと、蔓延によって国民の生命、健康に重大な影響を及ぼし、そして国民生活、経済に大きな影響を及ぼすという事態が想定されるときでありますので、そういう、国民の命を守らなきゃいけないという要請と、それから、五条に書かれているように、私権の制約については最小限になるべき、基本的人権を尊重すべきという、この両方のバランスを適時適切に考えながら、どこまでの措置をやれば命を守れるのか、あるいはやり過ぎとならないのかということを常に考えながら判断をしていくということになると思います。
○塩川委員 そうしますと、緊急事態宣言の前の段階での、蔓延のおそれが高いと認められるとき、この新型コロナウイルス感染症対策が特措法で動き始めるという事態になった、そういうときには、第二十四条は、権限行使が知事は可能になるということであるわけだけれども、そうなりますと、蔓延のおそれが高いと認められるときといったことで、知事の権限行使は、外出の抑制とか、あるいは大規模イベントの中止といった要請というような、より踏み込んだ措置を行うということもあり得る。そこへの歯どめというのは何かあるんですか。
○西村国務大臣 まさに今回、法律改正をお願いして、新型コロナウイルス感染症をこの対象にするという上で、その次に、蔓延のおそれが高いと認められると厚労大臣が報告して、政府対策本部が立ち上がります。それによって幾つかの、先ほどおっしゃったような措置が適用できるようになります。
その上に、次に、緊急事態宣言が発出されれば、更に強い権限が与えられるということでありますけれども、まさに、緊急事態宣言のときは、全国的かつ急速な蔓延により国民生活、国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるという段階でありますので、当然、国民の命を守り、そして生活、経済を守っていく、特に生活を守っていくというところで、これは、やはり封じ込めるために必要な措置はとらなきゃいけないということでありますが、ただ、そのときも、五条にありますように、基本的人権の尊重がありますので、その措置は必要最小限ではならないということがかかってあるわけであります。
したがいまして、基本的対処方針の中で、専門家の意見を聞きながら、そうした方針をしっかりと定めて、そして、それに基づいて適時適切に判断をしていくということでございます。
○塩川委員 要請内容に限定がないということであったわけですけれども、知事の判断でいわば私権制限を伴うような要請が行われることへの歯どめがないということになります。そういう点でも、このままの規定、条文でいいのかということが出てくるわけであります。
二〇一二年の新型インフル特措法の審議における参議院の附帯決議があります。先ほど中川委員も紹介されておられましたが、第十七項の、新型インフルエンザ対策に係る不服申立て又は訴訟その他国民の権利利益の救済に関する制度については、本法施行後三年を目途として検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとある。これについては政府はどのように対応したのかをお聞きします。
○西村国務大臣 第十七項の項目でありますけれども、御指摘の項目につきましては、法の公布後、平成二十四年に開催されています新型インフルエンザ等対策有識者会議におきましても、行政不服審査法等で対応するという原則を示しており、その後もその方針に変更はなかったというふうに承知をしておりますが、いずれにしましても、附帯決議に書かれていることでもございます。今回の新型感染症の終息後には、改めてその課題についても検討を行いたいというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 行政不服審査法という一般法での対応で済ます話ではない、まさに私権制限をもたらすような緊急事態宣言を行える、そういう特措法においての人権侵害に対する救済措置というのは、しっかりそこでとるべきだということであります。
この緊急事態宣言の決定過程の記録の作成、保存、公開といった透明性の確保や科学的な知見を踏まえた専門家の事前の関与などが、保障する規定が盛り込まれていない法律です。私権制限を行う場合における人権侵害の救済措置や経済的被害への補償措置も規定をされておりません。
法律の勝手な解釈を繰り返してきたのが安倍政権であり、安倍総理のもとで、国民の権利制限をもたらす特措法の改正は認められないということを申し上げて、質問を終わります。
○松本委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いをいたします。
まず初めに、東日本大震災から九年がたちました。改めまして、亡くなられた方々への哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
また、新型コロナウイルスによってお亡くなりになった方々の御冥福をお祈りするとともに、現在治療に当たられている方々の回復を願いまして、質疑に入りたいと思います。
私の地元の大阪でも、今回の新型コロナウイルスの感染拡大、一部ではクラスターが疑われる。これは、感染症対策本部の基本方針の中でも、恐らく小規模患者クラスターというふうな表現で言われているものだと思いますけれども、こういった感染拡大に対する対応というのが喫緊の課題となって、大阪府の吉村知事をトップに、府下の市町村が一体となって今対応をしているところです。情報の共有など体制を整えてやっているわけですけれども、この中で、大阪が得てきたさまざまな知見、そういったものも、もちろん国の方とも共有をさせていただいているでしょうし、ツイッターなどで吉村知事自身が積極的に発信をしてきたと思います。
我々日本維新の会も、こうした現場での知見、経験をもとに、二度にわたり政府に対して提言を行わせていただきました。一回目は二月三日、二回目は三月の四日です。
その提言で、主に我々が、二月の三日、二月の、一番最初の提言で行わせていただいた新型コロナウイルス感染者、罹患者に対する情報公開、これは、当時は、なかなか情報公開されなかったものを政府の方でいろいろと考えていただいて、情報を、もちろん風評被害や個人情報の保護に配慮しながら、公開をしていただけるように、前向きに対応していただきました。
そのときに、同時に、感染症への対応に関する政府権限の拡大、要は、今、きょう議題になっております新型インフルエンザ等と並びになるような対応を、政府の権限を拡大してほしいという提言も行わせていただいております。
また、出入国の管理、これも今、対応していただいておりますけれども、この時点で、指定した国、地域からの外国人の入国を拒否できるようにしてほしいという提言もさせていただいております。
一回目のときに我々がお願いをさせていただいた一番重要な項目は、緊急立法協議会の設置でした。これは我が党の遠藤国対委員長が議運で提案をさせていただいた。その中で、それはしないということで議運ではねられたという経緯はありますけれども、こういった、与野党関係なく、しっかりと新型コロナウイルスにこの二月の頭で対応していたら、もう少し解決できたこともあったんじゃないかというふうに我々は考えています。
三月の四日、二回目の提言で、我々、このときも、ある程度、入国禁止措置がまだできていなかった。このときは、中国全土から入国禁止措置をすべきだという提言をもう一度させていただきました。
そして、医療崩壊を阻止するための措置、これは医療機関と介護施設にマスク等を優先的に供給するというお願いです。
あと、休業補償。これはフリーランスの方にもということ。これはもう、我が党だけでなく、各党からも訴えがありましたし、それに対応するという方向で政府も考えていただいております。
我が党の提言を踏まえて、真摯に受けとめていただいて、何点か実行していただいたということは、手前みそかもしれませんけれども、率直に感謝をいたしたいと思います。
二回目の提言でも言わせていただいております大規模イベント等の中止に関する補償というのは、やはり考えないといけないと思いますが、現時点での政府の対応をお聞かせいただけたらと思います。
〔委員長退席、関(芳)委員長代理着席〕
○西村国務大臣 この新型インフルエンザ特措法が改正されて、新型コロナウイルス感染症がその適用対象となった場合には、四十五条に基づいて、まさに大規模施設の使用制限とかイベントの制限、停止、こうしたものが、都道府県知事が要請、指示を行うということをできる権限が付与されるわけであります。もちろん、私権を制限するものであるため、第五条がありますので、それは必要最小限でなきゃいけないということになりますけれども。
そして、そのときの損失補償についての考え方でありますけれども、これは、法体系全体で見ますと、幾つかそういう、要請なり指示をした場合にございます、土地の使用があったり、今の使用の利用制限があったり、いろいろございます。それを体系的には、緊急措置の内容と強制力、それから対象者がこうむる不利益、こうしたものを総合的に勘案して位置づけられているものというふうに考えております。
ですので、土地の使用とか、こういったものについては損失補償の規定がございますけれども、ないものもあるわけでありまして、したがって、全てのものの補償措置を法律上位置づけることについては、これは慎重に検討していかなきゃいけないというふうに考えております。
ただ、実態的にさまざまな影響が出ることになると思いますし、今この時点で、政府がさまざまな対応をお願いをしたりしている中で、中小企業の皆さんの資金繰りが苦しくなったりしているところはよく承知をしております。何とか踏ん張っていただきたい、そういう思いで、昨日も二兆円規模の対応策をまとめたところでありまして、無利子、無担保でお貸しをする、あるいは、小口の資金についてはもう、すぐに手続を簡素化して出せるようにしようじゃないか、こういったこと、あるいは、既存の債務についても、借金についても、返済を猶予してもらえるように、民間金融機関等に要請をしているところでございます。
あるいは、休みになって、休ませなきゃいけない従業員の方々の休業補償についても、雇用調整助成金で、これは非正規の方も含めて対応しているところでございまして、そうした対応で、何とか資金繰りと雇用、これを守れるように、中小企業の事業と雇用を守れるように対応しているところでありますけれども、このインフル特措法の対象となって、こうした事態に、四十五条が適用されるような事態になった場合にも、今回の、今対応していることも踏まえて、適切に対応していければというふうに考えているところでございます。
〔関(芳)委員長代理退席、委員長着席〕
○浦野委員 ぜひしっかりと対応していただきたいと思います。
もう一点、今、現在既に行われている選挙もございます。これから選挙を迎える地方の自治体はたくさんございます。この中で、今、例えば、選挙活動でいいますと、握手だとか、あとミニ集会だとか、そういうものがありますけれども、そういったものも一定これで制限をせざるを得ないことになると思います。そうなった場合、やはり、選挙の公平性といいますか、もちろん、現職がもう有利になってしまう可能性が出てきます。
こういった場合に、私は、選挙の公平性の観点から、期間を延期する、期日を延期するとか、そういったことも考えないといけないんじゃないかと思っているんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○西村国務大臣 今ちょうど、もう選挙をやっているところもございます。感染拡大防止をうまく、それをちゃんとやりながら、何とか、苦労して、工夫して活動されているんだろうと思いますけれども、選挙の公示日前にこういう緊急事態が発出されるようなケースもひょっとしたら出てくるかもしれません。ただ、今回は、この特措法の改正案にはそういうことは我々盛り込んでおりませんし、そもそもインフル特措法にもそういう規定はないわけであります。
選挙は、やはり、民主主義の最も根幹をなすものというか、意思表示をする大事な手段でありますので、仮に選挙を適正にとり行うことができないような事態が発生した場合には、これはやはり、個別法、法律をつくって対応するというのが基本だというふうに思います。私の地元の阪神・淡路大震災のときもそうですし、東日本の大震災のときもそうだと思いますので、基本は、個別に法律をしっかりと立法して行うというのが基本だというふうに考えております。
○浦野委員 それでは、時間が参りましたので、質問を終わります。
○松本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○松本委員長 これより討論に入ります。
討論の申出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
日本共産党を代表し、新型インフルエンザ特措法改正案に反対の討論を行います。
本改正案は、新型コロナウイルスを二年間、インフル特措法の対象に追加をするものです。
そもそも、特措法の最大の問題点は、外出の自粛要請や学校、社会福祉施設、興行場等に対し、使用等の制限、停止の要請、さらには指示、土地所有者の同意なしに臨時医療施設開設のための土地使用も可能とした私権制限が行えるようになることです。これらは、憲法に保障された移動の自由や集会の自由、表現の自由といった基本的人権を制約するものであり、経済活動にも大きな影響をもたらすものです。
当該都道府県知事がこれらの私権制限の要請、指示を行う出発となるのが、政府対策本部の本部長である内閣総理大臣が行う緊急事態宣言です。
緊急事態宣言を発動する要件は不明確です。政府は、重篤である症例の発生頻度が相当程度高い、全国的かつ急速な蔓延を挙げていますが、重篤、蔓延をいかなる基準で誰が判断するのか曖昧です。政府行動計画の作成や基本的対処方針を定める際にはあらかじめ専門家の意見を聞かなければならないとしながら、私権制限を伴う緊急事態宣言の決定には専門家の意見聴取を義務づけていないことは重大です。
外出の自粛は、どこの地域で、いつまでなのか、各種施設の使用制限は、どのような施設が対象で、いつまでなのかといった歯どめはなく、必要以上の私権の制限が行われる懸念が拭えません。特措法には、これらの制限がもたらす人権侵害に対する救済措置はなく、経済的措置に対する補償もありません。
緊急事態宣言のもとでは、指定公共機関のNHKも政府対策本部長の総理から必要な指示を受けることとなっており、NHKの自主性、独立性を確保できず、国民の知る権利を脅かしかねません。
さらに、特措法は、緊急事態宣言の前であっても、都道府県対策本部長である知事に、公私の団体、個人に対し、必要な協力の要請を可能とする権限が与えられています。この要請は、うがい、手洗いの奨励にとどまらず、外出の抑制や大規模イベントの開催検討などが含まれることを否定しておらず、歯どめがかかっていません。
特措法は、市民の自由と人権の幅広い制限をもたらし、その歯どめが極めて曖昧なもので、問題があります。そのような法案をわずか三時間で採決を行うなど、断じて許されません。
安倍総理が突如打ち出した全国の学校の一斉休校の決定は、専門家の意見も聞かず総理の独断で決定したことに、国民は強い不安を抱いています。本案によって安倍政権に緊急事態宣言の発動を可能とすることは、断じて認められません。
以上、反対の討論を終わります。
○松本委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○松本委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○松本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○松本委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、井上信治君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党、日本維新の会・無所属の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。今井雅人君。
○今井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。
一 新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」という。)に定める新型インフルエンザ等緊急事態宣言(以下「緊急事態宣言」という。)に係る各種の措置は国民生活に重大な影響を与える可能性のあることに鑑み、定められた要件への該当性については、多方面からの専門的な知見に基づき慎重に判断すること。
二 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等緊急事態が発生したと認める判断をするに当たっては、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴取すること。
三 緊急事態宣言をするに当たっては、特に緊急の必要がありやむを得ない場合を除き、国会へその旨及び必要な事項について事前に報告すること。緊急事態宣言を延長する、区域を変更する、又は解除する場合も同様とすること。
四 特定都道府県知事及び特定市町村長並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を政府対策本部長に報告すること。政府対策本部長は、報告を受けた事項を取りまとめ、緊急事態宣言の実施状況について、適時に国会に報告すること。
五 課題の共有・解決に向け、与野党に対して必要な情報共有を適時、適切に行うとともに、与野党の意見を尊重して施策の実施に当たること。
六 特措法に定める政府行動計画に基づき、必要な措置を迅速かつ組織的に幅広く実施すること。その際、都道府県・市町村等がそれぞれの行動計画等に基づき迅速・的確に施策を実行できるよう、政府が持つ情報や学識経験者の意見を提供し、最大限の支援を行うこと。
七 各種対策を実施する場合においては、国民の自由と権利の制限は必要最小限のものとすること。また、関係機関に対しても、その旨徹底すること。
八 必要と認められる者については、早期にPCR検査を実施するとともに、健康観察を行うための体制を確立すること。
九 今回の事態により、大幅なマイナス成長になる可能性が極めて高いことを前提に、消費と雇用に重点を置いた万全の金融・財政政策を講ずること。その際、サプライチェーンの寸断等や風評被害を含む顧客の大幅減少により大きな経済的影響を受けている中小・小規模企業、個人事業主・フリーランスのうち、新型コロナウイルス拡大に伴う減収が一定程度を超える事業者に対して、事業継続が可能となるよう特に配慮すること。
十 特措法第四十五条における施設利用等の制限要請等を行うに当たっては、その実効性の一層の確保を図るため、当該要請等によって経済的不利益を受ける者への配慮を十分に検討すること。
十一 企業及び個人(奨学金を含む。)に対する貸付条件等について、国から金融機関等に対して柔軟な対応を要請すること。
十二 生活や経済に支障が生ずる国民や企業が相談できる窓口を開設し、ワンストップで各種支援制度の申請手続が行えるよう早急に検討すること。その際、緊急的かつ深刻な経済情勢に鑑み、申請手続における提出書類や各種条件を極力簡素化するとともに、審査は迅速かつ合理的に行うようにすること。
十三 過去の経験に照らせば、新型コロナウイルス感染症の影響が、健康問題にとどまらず、経済・生活問題、さらには自殺リスクの高まりにも発展しかねない状況となっていることを踏まえ、政府は一人の命も犠牲にしないという強い決意のもとに、全国の自治体と連携し、自殺対策(生きることの包括的支援)を万全に講ずること。
十四 国民、企業などが、不必要な混乱を避け、冷静で的確な行動がとれるよう、科学的見地からも正確で必要十分な情報発信を適時、適切に行うこと。特に、医療従事者、高齢者、学校関係者、訪日・在留外国人、海外等への情報発信には最大限留意すること。また、ウイルスの肺以外の臓器や血液への影響、排泄物を通じた感染、動物への感染などについて、医学的に検証し、その結果についてもきめ細かく情報提供するよう努めること。
十五 農水産品の流通及び輸出入に支障が生じないよう努めるとともに、国産の輸出農水産品について科学的知見を踏まえて対応し、風評被害防止に努めること。
十六 中小企業金融の返済期限、雇用保険の給付期間の延長などについて、東日本大震災に伴って実施された期限延長措置にならい、その実施を検討すること。
十七 国が自治体等の事務に関し方針等を定めた場合には、国は自治体等からの質問に対して誠実に回答すること。
十八 専門的知見を活用し、感染症対策を一元的に担う危機管理組織の在り方(日本版CDC等の設置)を検討すること。
十九 今回の新型コロナウイルス感染症への政府がとった対応について、第三者的立場から、客観的、科学的に検証し、その結果を明らかにすること。
二十 特措法の適用の対象となる感染症の範囲(当該感染症に係る法令の規定の解釈により含まれるものの範囲を含む。)について、速やかに検討すること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
○松本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○松本委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。西村国務大臣。
○西村国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。
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○松本委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○松本委員長 次回は、来る十三日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二十一分散会