衆議院

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第9号 令和2年5月8日(金曜日)

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令和二年五月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 松本 文明君

   理事 井上 信治君 理事 関  芳弘君

   理事 長坂 康正君 理事 牧島かれん君

   理事 宮内 秀樹君 理事 太田 昌孝君

      安藤  裕君    泉田 裕彦君

      今枝宗一郎君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    金子 俊平君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      長尾  敬君    丹羽 秀樹君

      西田 昭二君    平井 卓也君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      本田 太郎君    三谷 英弘君

      村井 英樹君    江田 康幸君

      佐藤 茂樹君    浦野 靖人君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)  武田 良太君

   内閣府大臣政務官     神田 憲次君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       山下 哲夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       堀江 宏之君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            松尾恵美子君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        藤原 朋子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 森  源二君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  岡  真臣君

   内閣委員会専門員     笠井 真一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月八日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     今枝宗一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     藤井比早之君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     池田 佳隆君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)


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     ――――◇―――――

松本委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム及び日本共産党所属委員に対し御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請させましたが、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官山下哲夫君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官堀江宏之君、人事院事務総局職員福祉局長合田秀樹君、人事院事務総局給与局長松尾恵美子君、内閣府子ども・子育て本部審議官藤原朋子君、総務省大臣官房審議官森源二君及び防衛省人事教育局長岡真臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

松本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、内閣委員会で質問の機会をいただきまして、ましてや、委員長また理事、委員の皆さんの御理解を得てトップで質問をさせていただくことに感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 きょうは、この大事な国家公務員法等の一部を改正する法律案の最初の質問でございますので、そもそもという観点から、大体大きな話を何点かお聞きをさせていただきたいと思います。

 まず、この法律案の提出の経緯について最初に御質問をさせていただきたいと思うんですが、今回の国家公務員法等の一部を改正する法律案は、人事院による平成三十年八月十日の意見の申出、すなわち、定年を段階的に六十五歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出を踏まえて提出をされたものでございます。

 過去の経緯を見ますと、平成二十年六月六日に成立をいたしました国家公務員制度改革基本法では、雇用と年金の接続の重要性に留意して、定年を段階的に六十五歳まで引き上げることについて、政府において検討することが規定され、今から九年前の平成二十三年九月三十日、人事院は、国会及び内閣に対し意見の申出を行われました。

 この人事院の平成二十三年の意見の申出と、そして、先ほど冒頭に申し上げました平成三十年の意見の申出は、内容において、平成二十三年の意見の申出が段階的に定年の引上げ方を明記していることが異なっておりますけれども、それ以外は、内容においてほとんど類似しているわけでございます。

 しかし、平成二十三年意見の申出等を踏まえた当時の政府の対応としては、「国家公務員の雇用と年金の接続について」を平成二十五年三月二十六日に閣議決定し、当面、定年退職する職員が公的年金の支給開始年齢に達するまでの間、再任用を希望する職員については再任用するものとするということと閣議決定でされてきたわけでございます。

 人事院が今から九年前に、平成二十三年に意見の申出で定年を六十五歳まで引き上げることを意見していたことが、当時は法改正に結びつかなかったわけでございますが、この結びつかなかったのはなぜなのか、当時の政府の判断も含め、理由を説明していただきたいと思います。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、平成二十三年九月に人事院から、定年を段階的に六十五歳まで引き上げるという意見の申出が出されたところでございます。これは、先ほど御指摘ありましたとおり、行政上の必要性といいますよりも、雇用と年金の接続という観点、すなわち、平成二十五年度以降、公的年金の支給開始年齢の引上げによって六十歳定年以降無収入期間が生ずることにどう対応するかという観点からのものでございました。

 しかしながら、当時においては、民間企業における高年齢者雇用の状況等を踏まえ、雇用と年金の接続、すなわち無収入期間をどうするかという観点からは、定年引上げではなく、再任用を義務づけるということで対応するということにしたところでございまして、先ほど御指摘ありましたとおり、任命権者は当該職員が年金の支給開始年齢に達するまで再任用することとする閣議決定を行ったところでございます。

 その際、その後の再任用の活用状況を検証するとともに、公務の運営状況、あるいは民間における高年齢者雇用確保措置の実施状況を勘案し、引き続き段階的な定年の引上げについて検討していくということをあわせて決定したところでございます。

 以上でございます。

佐藤(茂)委員 今答弁いただきましたように、雇用と年金の接続という観点で、無収入期間をどうするかという点で、再雇用を希望する者を再雇用する、そういう形にして再任用制度を導入したんだ、そういうお話でございました。

 そこで、今回一つの大きなポイントとして、私は、国家公務員の定年を六十五歳まで段階的に引き上げることが国民の理解が得られるのかどうかということが、一番やはりこの法改正では大きなポイントだと思うんですが、そういう観点で、次、御質問をさせていただきたいと思うんです。

 先ほど申し述べましたように、平成二十五年の閣議決定で、政府は、国家公務員の希望する職員について再任用で対応することとされたわけでございます。なぜ従来の再任用制度をそのまま継続せずに、今回、定年の引上げへと方針を転換されたのかということが、一つ大きな定年引上げの必要性について大事なポイントになるので、質問をしてまいりたいと思うんです。

 といいますのも、民間の方は、平成二十五年四月一日から改正高年齢者雇用安定法が施行されまして、六十五歳までの安定した雇用を確保するために、企業に、希望者全員に対して、一つは定年の廃止、二つ目には定年の引上げ、三つ目には継続雇用制度の導入、そういう三つの措置のいずれかの高年齢者雇用確保措置を講じるように義務づけられまして、毎年六月一日現在の高年齢者の雇用状況の報告を求めているわけでございます。

 その集計結果によりますと、民間の企業でとられた高年齢者の雇用確保措置というのは、定年の廃止というのが、平成二十五年が二・八%で令和元年が二・七%、定年の引上げというのが、平成二十五年が一六・〇%で令和元年が一九・四%、そして、三つ目の継続雇用制度の導入というのが、平成二十五年が八一・二%で令和元年が七七・九%、そういう推移でございます。

 つまり、継続雇用制度の導入という、いわゆる再雇用と言われているんですけれども、再雇用というこの措置ではなくて定年の引上げや定年の廃止を選択している民間企業というのは、いまだ、平成二十五年は合わせて一八・八%だったのが、令和元年では、少しふえましたけれども二二・一%と、微増はしているものの、全体の二〇%を超えたところなんですね。これが、最近の民間の企業の、高年齢者の雇用確保措置の状況の実態です。

 ところが、そういう民間の実態をどこまで考慮されたのかわかりませんが、今回の法改正では、国家公務員については、定年を六十五歳まで引き上げることを制度化されることとなるわけでございます。

 新型コロナウイルスが感染拡大しておりまして、その影響で緊急事態宣言が発せられまして、これまで経験したことのない、そういう経済情勢の悪化の中で、民間の方というのは、要するに、民間の雇用であるとか、あるいは給与水準の先行きというのを心配されておりまして、大変不安定な気持ちで今耐えておられるわけでございます。

 その中で、ただでさえ身分が安定している国家公務員が民間企業に先駆けて定年を引き上げなくてはならない理由と必要性を、特に、従来の再任用制度ではなぜだめなのかということも含めて、役所の論理ではなくて、やはり国民目線で、国民の理解が得られるような、ぜひ武田大臣にそういうわかりやすい御説明をお願いしたいと思います。

武田国務大臣 将来にわたって我が国の抱える大きな問題の一つに少子高齢化というものがございまして、それに準じて、生産年齢人口というものが減少するという状況が予想されます。

 そうした中で、活力ある社会や国家をいかにしてつくり上げるかということにかんがえますと、それぞれ現役そしてリタイア、線を引くのではなくて、総がかりで力を合わせて、ありとあらゆる知見を駆使してそうした国づくりを進めなければならないという、これは時代のニーズだと私は考えておるわけであります。これは、紛れもなく官民通じた課題であると思います。

 先ほど先生の御指摘にありましたように、民間においては、七十歳までの就業機会確保を努力義務とする法律が成立をいたしました。

 国家公務員については、今後、これまで行政を支えてきた多くの職員がいよいよ六十歳を迎える中において、高齢期職員の豊富な知識、そしてまた技術や経験を最大限に活用しつつ、複雑また高度化する行政課題に的確に対応していかなくてはならない、このように考えております。

 一方で、御指摘の再任用制度による対応、これについては、定年退職者というのは、一回退職金をもらい、一回終わったというか、区切りをつけた認識というものがどうしても芽生えがちであります。そうした中で、従事する職務や配置部局、官署の隔たりが見られるなど、高齢期職員の本格的な活用には一定の課題が存在するというふうに考えております。

 そのため、平成三十年八月の人事院によります意見の申出に鑑み、組織全体としての活力の維持等を図りつつ、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるものであります。

佐藤(茂)委員 それで、大臣、もう一度ポイントだけ。

 再任用制度ではやはり幾つか問題点が、この間、導入されてから、平成二十五年の閣議決定以降、何点か問題点がやはり顕著にあらわれていた、そういう認識があったんじゃないか、そういうふうに思うんですが、そういうことも一つの大きな要因ではないかと思うんです。

 先ほど、一旦終わる、そういうところだけじゃなくて、その後の職員の働くに当たってのモチベーションとか、そういうところの問題点があったがゆえに人事院もそういう意見の申出を出されて、そして今回、法改正をしてでも段階的に、ここは思い切って六十五歳まで引き上げよう、そういう決断をされたんじゃないかと思うんですけれども、そういうことについて、大臣じゃなくても結構なんですが、政府参考人でも結構なんですけれども、さらにもう一歩、こういうところがやはり限界があったので、どうしてもここは法改正に踏み切らないといけないんだということがありましたら、御答弁をいただきたいと思うんですが。

堀江政府参考人 先ほど大臣からも答弁申し上げ、また御指摘もいただきましたけれども、再任用によって対応してきたわけでございますけれども、現実には、やはり六十歳で一旦定年退職して退職手当も支給されるということで、一区切り感といいますか、そういったものが人事当局あるいは職場の方にも、あるいは職員本人の方にもどうしても生じてしまい、再任用は年金受給までの付加的な勤務だという意識がどうしても生じがちであったということ、個人差は当然あると思いますけれども、職員本人のモチベーションという意味でもその維持が難しく、人事当局や受け入れる職場においてもそういったことが大きく影響している、そういったような状況が生じていたというふうに認識しているところでございます。

 現実に再任用される場合も、例えば補佐級で退職した職員が三級、四級、いわゆる係長級ぐらいで再任用、さらには短時間で再任用されるというような場合も多くて、そういったこともあり、やはり能力を最大限活用していくという観点からは、必ずしも十分ではない面が生じてきているというふうに理解しているところでございます。

佐藤(茂)委員 それで、今回の法案の中身にちょっと入っていきたいと思うんです。

 今回、定年の段階的引上げの仕組みの考え方と理由についてお聞かせいただきたいと思うんですが、先ほど、冒頭の御答弁でもありましたけれども、平成二十三年の意見の申出では、公的年金の支給開始年齢の引上げに合わせて、平成二十五年の六十歳定年から定年を六十一歳とし、三年に一度ずつ段階的に定年を引き上げ、最終的に、当時でいう平成三十七年、二〇二五年度に定年を六十五歳とすることを人事院の平成二十三年意見申出では明確に提起をされていたわけです。このときは、先ほどありましたように、雇用と年金の接続を図り、年金の支給開始年齢に沿ったスケジュールを示されていたわけでございます。引上げの考え方にしっかりとした根拠があったわけでございます。

 ところが、人事院の方の平成三十年の意見の申出では、定年の段階的引上げ方については触れておられなくて、具体的な引上げ方法については政府内で検討されまして、二年に一歳ずつ定年を引き上げる定年の見直し方法が提示されてきたわけです。

 そこで、まず人事院にお伺いをしたいと思うんですが、平成二十三年意見の申出では、今申し上げましたように、具体的に引上げ方法について明記されていたのに、平成三十年の意見の申出では六十五歳までの定年の段階的な引上げ方について意見で提起されなかったのは何ゆえなのか、御説明をいただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年の意見の申出におきまして、具体的なスケジュールについて言及いたしませんでした理由といたしましては、まず、平成二十三年の意見の申出の当時と異なりまして、報酬比例部分に係る年金支給開始年齢の段階的な引上げが既に行われている中で、これと合わせて定年を引き上げるということができないということ、さらに、政府におきまして、六十歳を超える職員がその能力及び経験を生かすことができる職務のさらなる整備や、定年の引上げ期間中も真に必要な規模の新規採用を計画的に継続していくことができるような措置など、公務全体で取り組むべき施策について検討を行う必要がございまして、これと一体で具体的なスケジュールについての検討が行われることが適当と判断したことによるものでございます。

佐藤(茂)委員 それで、内閣人事局にあわせてお尋ねをしたいと思うんですけれども、今回の法改正で、六十五歳までの定年の段階的引上げの具体的引上げ方について、平成二十三年の意見の申出のときには、今ありましたように雇用と年金の接続を図るという確固とした理由が感じられたんですけれども、いかなる考え方、理由によって、令和四年度、二〇二二年度から二年ごとに一歳ずつ引き上げることとされたのか、御答弁をいただきたいと思います。

堀江政府参考人 国家公務員につきましては、今後、これまで行政を支えてきた多くの職員が六十歳を迎えてくる状況にございます。

 そうした中、その知識、技術、経験等を最大限に活用して複雑高度化する行政課題に的確に対応していくため、定年の引上げについてはできる限り速やかに行うことが必要であるというふうに考えております。

 その一方で、まず、施行時期でございますけれども、定年引上げは、六十歳前の職員を含めた人事管理あるいは職員の職業生活設計に大きな影響がございます。各府省においては、六十歳を迎える職員の継続勤務の意思確認などを行った上で、六十歳以降の職員に担ってもらう業務の具体的な検討を行い、また、新規採用も含めた人事計画を立てていく必要があります。こういった準備には、法案成立から一定の準備期間が必要となりますことから、施行は令和四年の四月の一日としているところでございます。

 また、引上げのペースについてでございますけれども、なるべく早く引き上げたいということでございますけれども、例えば定年を六十五歳まで一度に引き上げる、あるいは一年に一歳ずつ引き上げる、こういったことをいたしますと、引上げ開始から五年間、定年退職者が生じないということになります。そういたしますと、定年退職による欠員の発生を前提としている新規採用職員の確保に大きな支障が生じ、長期的、計画的な人事配置、人材育成が困難になるということが想定されますので、できるだけ早くという観点から、二年に一度というペースということで提案させていただいているところでございます。

佐藤(茂)委員 そこで、次にお聞きをしたいのが、六十歳以降の職員の皆さんの士気の向上と能力を発揮させる取組ということについて、何点かお尋ねをしたいんです。

 先ほどの大臣の答弁や、あるいは平成三十年の人事院勧告でも、今回の定年の引上げの必要性ということをまとめますと、複雑高度化する行政課題に的確に対応し、質の高い行政サービスを維持していくためには、六十歳を超える職員の能力及び経験を本格的に活用することが不可欠で、従来の再任用制度のままでは、職員の士気の低下等により公務能率の低下が懸念される状況にあるため定年の引上げを行うこと、そういうことではないかというふうに考えているわけです。

 しかし、一つは、役職定年制というのが今回導入されて、六十歳になると、それまで管理監督職の職員をされていた方も管理監督職以外の官職、例えば非管理職の課長補佐級のポストであるとか、あるいは専門スタッフ職への降任又は降給を伴う転任をさせられ、給与も当分の間は六十歳時点の七割水準、そういうふうにされているわけでございます。

 そういう中で、どのように六十歳を超える職員のモチベーションを維持して、士気を向上させ、能力を発揮してもらい、公務能力の向上に結びつけていくかというのは、この定年の引上げの目的から照らしても極めて重要な課題だと思うわけでございます。

 そこで、まず給与のあり方についてお尋ねをしたいんです。

 人事院の平成三十年の意見の申出においては、六十歳を超える職員は、勤務成績が特に良好である場合を除き、昇給しないこととするとされていたんですけれども、今回の法改正では、附則の第十六条二項の検討条項において、一つは昇任及び昇格の基準、二つ目には昇給の基準、三つ目には俸給表に定める俸給月額について検討し、それを踏まえて、令和十二年三月三十一日までに所要の措置を順次講ずるということにされました。いわゆる給与カーブも含めた今後の国家公務員の給与のあり方について、今後の検討の方向性をどうされるつもりなのか。

 そして、六十五歳までの段階的引上げが完成形になるのはこれから十年後の令和十二年ですけれども、そのときまでに、十年間でも六十歳を超えられる方というのはどんどんふえていくことを考えますと、十年後までに検討結果に基づいて措置が講じられるのであれば、余りにも遅過ぎると思うんですね。

 給与カーブも含めた今後の国家公務員の給与のあり方の検討の方向性と、あわせて、検討のその結果に基づいてとられる措置のスケジュール感について、まず人事院に御答弁をいただきたいと思います。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 人事院といたしましては、今後、民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況等を踏まえた六十歳を超える職員の給与水準の見直しに加えまして、六十歳前の給与カーブも含めた給与カーブのあり方などについて検討を行ってまいりたいと考えております。

 具体的には、公務における人員構成の今後の変化及び内閣人事局において行われます人事評価の改善に向けての取組の状況も含む各府省における人事管理の状況等を踏まえながら、昇任、昇格の基準の見直し、昇給の基準の見直し、俸給表に定める俸給月額の見直しなどの手法を組み合わせることによって、能力、実績によるめり張りをつけつつ、六十歳前後の給与が連続的なものとなるよう速やかに検討し、成案を得られたものから順次お示しをしてまいりたいというふうに考えております。

佐藤(茂)委員 ぜひ、速やかな検討、言われていましたけれども、スピード感を持ってやっていただきたいと思うんです。

 もう一つお尋ねしたいのは、給与以外にも、六十歳を超える職員の士気を向上させ、能力を発揮させ、活躍を促すための環境の整備や制度の運用や改革も必要になってくると思うんですね。

 六十五歳までの雇用が今後一般的になるのであれば、若いときからの給与であるとか人事管理の見直しが必要になって、そういう年功的処遇ではなくて、より能力や実績による貢献度に応じた人材活用や処遇制度に変化していくことが求められますし、また、より長いスパンで人材育成を行って、中高年でも能力を開発する必要性というのは生じてくるし、また、働き方も、今、世間的にもそうなんですが、ワーク・ライフ・バランスへの配慮であるとか、あるいは柔軟な生き方の提供というのも課題になってくるのかと思います。

 定年を六十五歳まで引き上げることによりまして、職員の士気を向上させ、能力を開発させたり発揮させ、活躍を促すためのそういう取組として、政府はどのようなことを施策として考えておられるのか、御答弁いただきたいと思います。

堀江政府参考人 役職定年制を導入することにいたしておりますけれども、これ自体は、若手、中堅職員の管理職への昇任機会を確保して、組織全体としての活力を維持しようというものでございます。ただ、一方で、役職定年によって降任する職員も含めまして、六十歳を超える職員のモチベーションを確保する必要もございます。

 こういった観点からは、こういった職員を、その培ってきた専門的な知識、技術、経験等を十分活用できるような職務に従事させること、あるいは、人事評価の際の面談などの機会を通じまして、職員に対して期待する役割を明確にすること、あるいは、研修などの機会を通じまして、職員自身の役割、職責の変更に当たっての意識改革を促すこと、こういったことをしっかりやっていくことが大事だと思っております。

 それから、御指摘のとおり、六十歳以降に限らず、若手のころから能力・実績主義を徹底していくこと、それから、人材育成につきましても長期的に対応していくこと、これらも重要な課題であると考えております。

佐藤(茂)委員 そこで、今御答弁いただきました能力・実績主義に基づく人事管理の徹底というのは、言うのは簡単ですが、非常になかなか難しいのではないかと思うんですね。

 ただ、難しいけれども、私は、先ほど言いましたように、この中で、国家公務員制度、法改正して定年を六十五歳まで引き上げていくということを国民の皆さんに御理解いただくためには、相当の取組をいろいろな角度からしなければ、なかなか国民の理解を得るのは難しいだろう。その中の一つが、やはり、ありました、能力、実績に基づく人事管理、これが大事ではないかと思います。

 既に、ことしの三月三十一日に「令和二年度における人事管理運営方針について」と題する内閣総理大臣決定が発出されたところでございますが、その一番目に、能力及び実績に基づく人事管理の徹底というのが掲げられているわけでございます。

 私は、これを読ませていただいて特に大事だと思われるのは、職員の業績評価に係る目標の設定について、どの水準まで達成することを目標として定めるかということが極めて大事ではないかと思うんですね。達成の容易な水準に目標が設定されてしまうと、結果的に、全体的に評価が甘くなってしまうことも懸念されますし、能力・実績主義を徹底するのであれば、国民目線から期待される高い目標水準の設定が求められると思います。

 職員の業績評価に係る目標の設定について内閣としてどのように考えているのか、そして、具体的に国民目線から期待される適正な目標達成水準をどのように設定するのか、そして、それを制度上どのように担保するのかについて、内閣人事局の見解をお伺いしたいと思います。

堀江政府参考人 御指摘のとおり、能力・実績主義の徹底をしていくというときには、業績評価において適切な目標設定を行うということが不可欠だろうと考えております。

 各職員の業績目標は、その属する部局の組織目標の達成につながるものでなければならず、また、時にはチャレンジングな高い目標を設定して、それを達成した場合には高く評価するといったようなことも必要であると考えております。

 こうしたことから、各府省に対しまして、一つには、個人の業績目標は、組織として達成すべき目標をブレークダウンして設定するということ、二つ目に、目標設定に当たっては、先ほど御指摘ありましたけれども、何を、いつまでに、どの水準まで、どのように達成するのかということを明確に定めること、三つ目に、職員の能力を引き出し、更に向上させていくために、チャレンジングな目標、高い目標というものも積極的に設定していくこと、こういったことを、我々の方、通知、研修、マニュアル等において徹底してまいりたいと考えているところでございます。

佐藤(茂)委員 最後に、ぜひ武田大臣にお伺いしたいんですけれども、六十五歳までの段階的な定年延長によって、総定員というのは、移行期等を考えますと、一時的に大幅にふえていくことになります。ただ、それに伴う新規の採用の抑制などというのはあってはならないわけで、やはり新規採用というのは一定の水準を保たなければいけない。この中でどうやっていくのかということを考えたときに、私は、行政改革はやはり絶対していかないといけないだろうと、広い意味でのですね。

 厳しい財政事情にも鑑みまして、行政のニーズの変化に的確に対応しつつ、簡素で効率的な行政組織にするために、時代の変化により廃止すべき仕事や民間に任せられる業務を洗い出して、またICTの活用などの業務改革も推進して組織のスリム化を図る行政改革を徹底して、定員の合理化に強力に取り組む必要があると考えているわけですが、政府は、この六十五歳までの段階的な定年延長に伴う国家公務員の総定員の増加と、それを抑制するための行政改革の徹底について、具体的にどのように取り組まれるのか、政府の考え方について、大臣の見解を伺いたいと思います。

武田国務大臣 職場の活力というもの、これを維持していかなくてはならない。そのためには、延長、引上げの際にも安定的に若い人材というものを活用していく、採用していくことが必要だと思っております。

 そのためには、一時的な増員措置というものを検討していかなくてはならないわけですけれども、人事管理上の工夫でありますとか、また期限、そしてまた期間、規模ともに必要最低限としていかなくてはならぬと思っております。

 また、国家公務員の定員管理に当たりましては、とにかく、行政課題にしっかりと対応できる体制というものを維持していかにゃなりませんけれども、しっかりと効率化も図っていかなくてはならない。そのためには、業務の廃止、民間委託、ICTの活用、そうしたものをしっかりとしながら、しかも、人的資源というものを新しい行政需要にしっかりと振り分けていかなくてはならない。行政改革を今日までも行ってきたところであります。

 いずれにしましても、御指摘のような厳しい財政状況の中、効率的かつ効果的な体制を構築できるようにしてまいりたい、このように考えています。

佐藤(茂)委員 丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございました。

 時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございます。

松本委員長 次に、高木啓君。

高木(啓)委員 自由民主党の高木啓でございます。

 本日は、内閣委員会での質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず冒頭に、新型コロナウイルスによりお亡くなりになった方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、療養中の皆様に、一日も早い御回復を祈りつつ、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。

 また、昼夜分かたずその対策に取り組んでいらっしゃる医療従事者、関係者の皆様に、改めて敬意を表します。そうした中には、寝食を忘れて御尽力をいただいている国家公務員、地方公務員の方々も多くいらっしゃると思います。終息まで、政府一丸となって、さらに国民の皆様とともに、まさにワンチームで取り組んでいく必要があると思いますので、引き続き御尽力いただきますよう、この場をおかりしてお願いを申し上げたいと存じます。

 それでは、法案の質疑に入らせていただきます。

 本日は、国家公務員法等の一部を改正する法律案についての質疑でありますので、国家公務員の、まず定年の問題であります。

 現行六十歳から六十五歳に引き上げることとしているわけでありますが、この公務員の定年引上げについては、世の中では公務員優遇ではないのかというような指摘もありますが、我が国が高齢化に進んでいく中で、社会全体として高齢者を活用することは、当然これは必要なことでありまして、また、行政としても、培った経験を発揮してもらうということは有用であるものと考えるわけであります。

 そのため、公務員の定年引上げについては、その目的を明確にして、国民の合意が得られる形でしっかりと進めるべきであると考えますが、本法案の意義について、大臣の所見をまずお伺いさせていただきたいと思います。

武田国務大臣 国家にとって重要なことというのは、その社会情勢に的確に対応できる能力を持つことだと思っております。

 先ほどの答弁でも申し上げましたように、少子高齢化が社会問題となる中、生産年齢人口が減ってまいります。そうしたものを見据えながら、力強い活力ある社会や国家というものをつくり上げていくためには、やはりそれなりの対応を今のうちから手がけていかなくてはならないわけであります。

 六十歳でしっかりと現役そしてリタイアというものを線引きするのではなく、今の社会を見てみましても、六十歳、また六十五歳の方でも、やりがいもあり、また元気な方が本当に多くなってまいりました。しかも、そういった方々には、数々の経験に基づいた多くの知識や技術というものもお持ちです。そうした方々の力もしっかりと生かしながら、また、そうした方々がしっかりと社会の支え手となっていただきながら、総がかりの社会というものをつくり上げていかなければ、活力ある社会、そして力強い日本というものをつくり上げていくことはできない、このように我々は考えているわけであります。

 そうしたことを受けまして、平成三十年八月の人事院の意見の申出に鑑みまして、活力の維持等を図りながら、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるこの法案に臨んでいるところであります。

高木(啓)委員 答弁の中でも触れられたと思うんですが、民間においては、七十歳までの就業機会の確保を努力義務とする法律が成立したところでありまして、今後更に高齢化の進展、健康寿命の延伸が見込まれる中で、六十五歳以上の職員の活用についても、長期的な視点に立った検討課題であると思われます。民間の状況も踏まえつつ、行政機関に対する国民の信頼感が増すように、これからの制度のあり方をしっかりと検討していただきたいと思います。

 また、本法案においては、防衛省の事務官等についても、一般職の職員と同様に、現行六十歳の定年を六十五歳に引き上げることとしております。一方で、同じ防衛省の中でも、自衛官については本法案による定年の引上げの対象とはなっていないわけであります。

 この点につきまして、自衛官の定年の引上げについての考え方を防衛省にお伺いいたしたいと思います。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官の定年の引上げについての考え方でございますけれども、自衛官につきましては、自衛隊の任務の性格上、組織を常に精強な状態に維持する必要がございますので、一部を除きまして、いわゆる若年定年制をとっております。五十代半ばから後半にかけての定年となるわけでございますが、こうした定年が、階級ごとに、職務に必要とされる知識、経験、体力等を考慮して定年が定められているところでございます。

 人口減少と少子高齢化が急速に進展する中で、自衛隊に求められる多様な活動を適時適切に行っていくためには、装備品の高度化や任務の多様化等に対応できる知見等を備えた人材、まさにこうした人材の知識であるとか経験であるとか、そういったことを一層の有効活用を図る必要があると考えております。

 このため、一昨年に策定をされました防衛計画の大綱におきまして自衛官の定年を引き上げることとされ、具体的には、先ほど申し上げました五十代半ばで定年を迎える自衛官の定年年齢を、現行の中期防衛力整備計画の期間中に一歳、その後更に一歳、段階的に引き上げることとしておりまして、順次引上げを実施していくこととしております。

 防衛省・自衛隊としましては、こうした定年年齢の引上げということも含めまして、防衛力の中核をなす自衛隊員の人材確保と能力、士気の向上に向け、引き続きさまざまな取組を行ってまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 ぜひお願いしたいと思うんですが、私は、実は地元で既に十数年にわたって自衛官募集相談員を委嘱されておりまして、その活動をさせていただいています。防衛省職員全体はもとよりでありますが、自衛官のさまざまな処遇について、そういう意味でも日ごろより高い関心を持っております。事務官等のみならず、自衛官についても、知識、技能、経験を豊富に備えた人材の一層の活用が必要であると考えておりますので、しっかりと取り組んでいただきたい、このように思います。

 次に、給与と退職手当について質問いたします。

 定年の引上げに当たっては、その意義について十分に国民に説明するとともに、その内容について国民の納得を得ることが特に重要であると考えます。六十歳以降の職員の処遇をどうするかは重要な論点であり、本法案においては、六十歳以降の職員の給与をそれまでの七割水準とすることとしているわけであります。

 この水準について、民間に比べて高いのではないかといった議論や、逆に、同じ仕事をしているのに給与が七割になるというのは、最近よく言われるようになりました同一労働同一賃金という考え方に反するのではないかという議論もあると思うわけであります。

 そこで、給与を七割水準としたその根拠について、人事院にお伺いをさせていただきます。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員の給与は、社会一般の情勢に適応するように変更することとされております。

 人事院が平成三十年に行った意見の申出においては、定年引上げ後の六十歳を超える職員の給与水準について、多くの民間企業は再雇用制度により対応していることなどの高齢期雇用の実情を考慮いたしまして、厚生労働省の賃金構造基本統計調査及び人事院の職種別民間給与実態調査の結果を踏まえて設定をしております。

 具体的に申し上げますと、賃金構造基本統計調査におきましては、公務の行政職俸給表(一)の適用を受けます常勤職員と類似いたします管理・事務・技術労働者のフルタイム、正社員の六十歳代前半層の年間給与が五十歳代後半層の七割程度となっていたこと、さらに、職種別民間給与実態調査におきましては、定年を六十歳から引き上げ、かつ六十歳時点で従業員の給与の減額を行っている事業所における六十歳を超える従業員の年間給与というものが、六十歳前の七割程度の水準となっていたこと、こういったことを踏まえまして、定年引上げ後の六十歳を超える職員の給与は、当分の間、六十歳前の七割水準に設定することとしたところでございます。

高木(啓)委員 給与を七割とする根拠についてはわかりましたが、しかしながら、民間と比べて、七割水準が適切であるといたしましても、ある日を境に同じ仕事をしていても突然給与が七割になることは、職員の士気などの観点から本来望ましくないのではないかという考え方もあると思うわけであります。

 この点については、本法案の附則第十六条第二項において次のように記載をされておるんですが、国家公務員の給与水準が現行の定年の前後で連続的なものになるよう、国家公務員の給与制度について、人事院においてこの法律の公布後速やかに行われる昇任及び昇格の基準、昇給の基準、俸給表に定める俸給月額その他の事項についての検討の状況を踏まえ、令和十二年三月三十一日までに所要の措置を順次講ずるということとしているわけであります。

 つまり、激変緩和を行うと言っているわけでありまして、その見直しに当たっては、全体の給与水準を連続的なものとするだけでなく、優秀な職員がその能力や実績に見合った処遇を受けられるようにする、このことが本当は一番大事なんだろうと思いますので、処遇にめり張りをつけることというふうに私は理解をしているわけであります。

 これは具体的にどのようなスケジュールでどのように見直しを行うのか、人事院にお伺いをいたします。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 人事院といたしましては、今後、民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況を踏まえた六十歳を超える職員の給与水準の見直しに加えまして、六十歳前の給与カーブも含めた給与カーブのあり方等について検討を行ってまいりたいと考えております。

 具体的に申し上げますと、公務における今後の人員構成の変化、それと、内閣人事局において行われます人事評価の改善に向けての取組の状況も含みます各府省における人事管理の状況、こういったものを踏まえながら、昇任、昇格の基準の見直し、昇給の基準の見直し、俸給表に定める俸給月額の見直しなどの手法を組み合わせることによりまして、委員御指摘のように、能力、実績によるめり張りをつけつつ、六十歳前後の給与が連続的なものとなるよう、速やかに検討して、成案が得られたものから順次お示ししてまいりたいというふうに考えております。

高木(啓)委員 また、定年を段階的に六十五歳に引き上げていく中で、組織の活力を維持して行政サービスの質を高く保つためには、役所でよく言われる年次順送り的な人事を改めて、優秀な職員に報いるいわゆる能力・実績主義に基づく人事管理、これを徹底することが重要であると思うわけであります。

 そのためには、人事評価を厳格に実施して、その結果が職員の昇進や給与にしっかり反映されることが重要であると考えます。

 こうした考えが附則第十六条第三項において次のように記載をされているんですが、職員の能力及び実績を職員の処遇に的確に反映するための人事評価の改善が重要であることに鑑み、この法律の公布後速やかに、人事評価に関し必要な事項について検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずる、こう規定をされているわけであります。

 そして、この人事評価の改善については、先ほど、人事院による給与の見直しの前提であるわけでありまして、このことが前提となって、今回の給与の見直し、そして制度の見直しというんですかね、これが行われるわけであります。

 そこで、この附則に規定をされている人事評価の改善については具体的にどのように取り組んでいくのか、スケジュールも示しながらお答えをいただきたいと思います。

堀江政府参考人 本法案が成立した場合には、御指摘の改正法の附則第十六条第三項の規定に基づきまして、能力・実績主義を徹底していくという観点から、人事評価の改善に取り組むことといたしております。

 具体的には、改正法の公布後、有識者による検討体制を設け、現状の評語の、評語といいますのは、人事評価の場合の、S、A、B、C、Dというような評語を使っておりますが、そういった評語の分布状況の把握、あるいは職員に対する意識調査なども行いつつ、今後、よりきめ細かくバランスのとれた評価を行って、それを給与や昇進などの処遇に的確に反映していけるよう見直しをするということを考えております。

 具体的には、評語区分、先ほど申し上げたS、A、B、C、Dの現行の五段階からより細分化していくというようなことや、あるいは評価結果、評語分布状況などの情報の管理、活用のあり方、こういったことについて検討いたしまして、定年引上げの施行日である令和四年の四月一日までに必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 これ、言うのは簡単ですけれども、物すごく難しいと思うんですね。どのような評価をして、能力や実績主義の人事にするのか。このことは、抵抗ももちろんあると思いますし、非常に基準が難しいと思いますから、ぜひ慎重に、そして、この改革が実を上げるようにぜひお願いをしておきたいと思います。

 そして、本法案においては、給与に関する措置に加えて、退職手当についても幾つかの措置を講じていると思います。

 そこで、内閣人事局に伺いますが、退職手当に関する改正内容の概要についてお答えいただきたいと思います。

堀江政府参考人 国家公務員の退職手当は、退職日の俸給月額に退職事由と勤続期間に応じた支給率を掛けまして算定することが基本となっております。

 退職手当につきましては、今回、二つの措置を講じているところでございます。

 一つ目は、六十歳以降に職員みずからが退職を選択した場合には、原則として、退職事由を自己都合ではなくて定年退職とみなして算定するということによりまして、六十歳以降、自主的に退職する場合に不利にならないようにしているところでございます。

 二つ目は、六十歳以降、原則として俸給月額は七割水準となるわけでございます。退職手当の算定に当たりましては、先ほど退職日の俸給月額をもとに算定すると申し上げましたけれども、既に、従来からいわゆるピーク時特例という一番高いときの俸給月額を用いて計算するという制度もございますので、それを使いますことによって、給与が七割水準になったことによって退職手当が下がらないという措置を講じているところでございます。

高木(啓)委員 今の答弁の中で、六十歳以降、定年前の退職を選択した職員についても、当分の間、定年を理由とする退職と同様に退職手当を算定するなどの措置を講ずるということだと思うんですが、定年延長によって、実際に職員に支払われる退職手当の額は、これはふえてしまうのでしょうか。これを内閣人事局にお伺いをさせていただきます。

堀江政府参考人 繰り返しになりますけれども、退職手当の算定につきましては、退職日の俸給月額、退職事由、勤続期間、この三つが基本的な算定要素となっております。

 このうち、二つの要素、退職日の俸給月額、それから退職事由につきましては、先ほど申し上げた二つの措置を講ずることによりまして、基本的にこれまでと退職手当は変わらないということになります。

 残ります、勤続年数に応じた支給率ということでございますけれども、ほとんどの職員は、定年退職となる六十歳時点で勤続三十五年を超えております。現在、勤続三十五年で、法律上、支給率が上限である四十七・七〇九月に達することになっておりますので、定年の引上げによって支給率が増加することはございません。

 以上によりまして、基本的に、定年の引上げに伴いまして職員に支払われる退職手当が増加することはないものでございます。

高木(啓)委員 今御答弁いただいたとおり、退職手当については基本的に現行と変わらない、そして、勤続期間の支給率についても、勤続三十五年で上限に達することになるため、基本的には職員に支給される退職手当がこの措置によりふえることはない、これが基本的な考え方だと思います。そのことは確認をさせていただきました。

 さて、続きまして、新規採用等について質問をいたしたいと思います。

 この定年の引上げによって、今公務に奉職をしている人に長く勤務をしてもらうことは重要でありますが、一方で、公務の活力を維持し、若者の就業機会を確保していくということも、この視点は大事なことだと思います。

 定年を引き上げる年度においては、そうしたことから、理論的には定年退職者が生じないということになるわけでありまして、そのために、定員が一定であるならば、その翌年度には新規の採用者数は大幅に減少させるというか、せざるを得ないということになると思います。しかしながら、これでは若者を確保するということができませんで、組織の年齢構成にもゆがみが生じてくると思いますし、将来的に適切な行政サービスが提供できなくなるのではないかというふうにも思うわけであります。

 また、若い人たちにとっても、国家公務員、地方公務員の採用数というんですかね、これが年によって大きく異なってくるというような形になりますと、公務という仕事を志望する学生の立場からも、これは望ましいことではないというふうに思うわけであります。

 そこで、定年引上げを行うに当たりまして、新規採用者数を維持するための定員措置というものが私は必要であると思うんですが、この問題にどのように対応していくのか、内閣人事局にお伺いをいたします。

山下政府参考人 国家公務員の定員は、国民に対して行政サービスを確実に提供するため、その業務量に応じて措置しているものでありまして、定年引上げそのものは業務量に直接影響を与えるものではございませんが、委員御指摘のとおり、定年を引き上げた年度は定年退職者が減りますので、その翌年度は新規採用が大きく抑制される可能性があるわけでございます。

 国の行政を今後とも確実に遂行していくためには、各省各部門のそれぞれにおいてコンスタントに若手を採用することも必要と考えております。また、これも御指摘のとおり、公務員を志望する側の立場から見ても、採用機会が年度ごとに大きく変動するということは望ましくないものと考えております。

 定年引上げ期間中には、計画的な採用を行うなど人事管理上の工夫も必要にはなってまいりますけれども、この間も一定程度安定的に若手を採用できるよう、一時的な調整のための定員措置を検討することとしております。ただ、その規模、期間ともに、必要最低限となるよう留意してまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 今、御答弁の中に、業務量に応じてというフレーズがありました。

 業務量に応じてこの公務員定数というものが決められていくとするならば、今の業務量は減っているんでしょうか。行政需要というのは私はどんどんどんどんふえてきていると思っていまして、これが、だから今の大きな問題の一つではないかというふうに思うんです。

 このゴールデンウイークの間、ここにいらっしゃる議員の先生方はみんなそうだと思いますけれども、コロナウイルス感染症の問題で、とにかく、給付金の相談から何から、あらゆる相談が私たちのところに持ち込まれてまいりました。毎日のように電話、メールそしてファクス、あるいはツイッターやフェイスブック、そうしたもののメッセンジャーやメッセージ、どんどんどんどんそういうものが来るわけであります。それは何でなんだというと、役所の窓口に電話がつながらないんですよ。みんな困って電話するんだけれども、電話がつながらない。そのために、ですから身近な議員のところに陳情といいますか相談に来るわけですよ。

 私は、困ったときに地元の住民の皆さんに私の顔を思い出していただけたというのは大変ありがたいと思うし、議員としてはそれはうれしいんですよ。ですから、そのことをいとうわけじゃないんですが、しかし、これは何をあらわしているのかといえば、国家公務員であれ地方公務員であれ、公務員の数が足りないということを如実にあらわしているんじゃないですか、これ。

 保健所の帰国・接触者電話相談センターの電話、つながらないですよ。何でつながらないんですか、これ。人が足りないからですよ。持続化給付金の窓口は何で予約制なんですか。何で聞きたいときに聞けないんですか。人が足りないからじゃないんですか、これ。緊急小口資金の申請はなぜオンラインのシステムすらつくれないんでしょうか。それも人手が足りないからなんじゃないですか。どんどんどんどん相談の方は押し寄せてきて、今、さばき切れないですよ。雇用調整助成金の申請は何でこんなに難しいのかということから始まって、支給まで何でこんな何カ月も待たされなきゃいけない。何でなんでしょうか。それだって、審査をする人たちの人手も足りないし、これは事ほどさように、先ほど統括官が御答弁されましたけれども、業務量に応じて公務員は配置されていませんよ、今。このことをやはりよく考えていただきたいと思います。

 こうした苦情は、実は枚挙にいとまがありません。なぜかといえば、それはいみじくも統括官がおっしゃられた、業務量に応じて配置されていないからです。これは単にコロナ感染症という大きな危機が、いみじくも公務員が足りないことをあぶり出したんですよ。それにすぎないんですよ、これ。一つのきっかけなんです。

 実は、この問題は今始まったことではなくて、この三十年ぐらい、国も地方も公務員を減らすことに大きな価値を見出してきたと言っても過言ではないと私は思います。行政改革という考え方は大事だと思いますけれども、それはイコール公務員を減らすことではなかったと、コロナ感染症の対応を真剣に考えている人ほど今そのことを私は痛感しているんじゃないかというふうに思います。このことをぜひ、今回の国家公務員法一部改正のこの機会によく考えていただきたいと思います。

 私は、公務員の数についてはコロナ感染症の流行以前には、特に地方において技術系の職員が不足していると感じていましたし、また学校現場も職員不足であることはもう明らかであります。その窓口業務などについて、外注できる仕事というのは、ある一定、私は外注してもいいと思っているんですけれども、しかしながら、本当の現場は公務員が担うべきじゃないですか。そして今回、このようなコロナ感染症という緊急時に、公務員がやはり力を発揮していただかなければいけないというふうに思います。

 そこで、今回の新型コロナウイルス感染症対応のような緊急時に国家公務員が力を発揮できる体制を構築すべきと考えますが、どのように対応するのか内閣人事局にお伺いいたします。

山下政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員は、コロナ対策もそうでございますけれども、治安、徴税、公共事業、外交、防衛など大変多岐にわたる業務を担っておりまして、また、平時だけではなく緊急時への対応も含めて確実に遂行することが求められております。

 国家公務員の定員につきましては、現下の厳しい財政状況の中、業務の見直しを行うことで合理化に取り組み、同時に、その時々の新たな行政需要へ対応するための増員を行ってきたところであります。

 今後も、引き続き不断の業務の見直しを進める一方で、必要なところには定員を配置し、行政課題に的確に対応できる体制を整えてまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 現下の厳しい財政事情とおっしゃられましたけれども、財政事情が厳しくないときはないんですね。常に厳しいんですよ、財政事情は。

 しかしながら、そうした中でどういう工夫をしてしっかりとした体制を構築するのか、そのことを、考え方をぜひつくり上げていただきたいし、今までのように行政改革イコール職員を減らすことなんだ、そういう短絡的な考え方をぜひやめていただきたいと思うし、しっかりとした対応ができるようにぜひしていただきたい。

 コロナ感染症で先ほど事例を挙げましたけれども、今、国から地方までそういう意味では、行政が機能不全に陥りつつある。医療崩壊という話がありますけれども、医療崩壊はもちろん防がなきゃいけないことでありますけれども、行政が機能不全に陥ることも防がなきゃいけないと思いますよ。電話に出られないなんということが本来あっていいんでしょうか。こういうことをぜひ、一つ一つ私は改善をしていただきたい、このように思います。

 関連して、自衛官についても新規入隊者が十分に確保できていないという問題があります。その一因として、私は先ほど申し上げましたけれども、自衛官募集相談員という立場からも申し上げるとするならば、やはり給与の低さというものが、水準の低さというものがあると思います。

 もちろん、他の課題もたくさんあるんです。例えば、就職説明会に自衛隊が参加を希望しても門前払いの高等学校、大学、少なくありません。むしろ参加させていただけない学校の方が多数派なのかもしれない、私はそう実感をしています。そうしたことを一つずつ改善をしていく努力をしていくにいたしましても、最終的に給与の問題が出てくるわけであります。

 今、ちょっと事例に出しましたけれども、就職説明会に参加を希望しても門前払いの高等学校や大学があると申し上げましたが、これは公立にしろ私学にしろ、私はまたちょっと別なところで議論したいと思うんですけれども、地方行政の協力義務というのは、自衛官の募集については法律に規定をされているわけでありますが、私学においても公の支配に服するということで私学助成等を出しているという現状の中で、どこまで協力義務の問題というのは、この自衛官の募集に関してですよ、範囲が設定をされるのかというのは、ちょっと別なところで今度議論させていただきたいと思います。

 話は戻りますが、先ほど申し上げた最終的に給与の問題、このことが今、新規の自衛官の募集に対して一つのネックになっているわけであります。今年度から初任給については増額をしていただいたことを私は承知の上であえて申し上げているんですが、それでもまだ給与水準が低いと言わざるを得ないわけであります。

 充足率は今何%ですかね、自衛官の。私が調べた数年前の資料でいえば、およそ九〇%、九一%ぐらいだと思いますよ。定数に対して九割の充足率になっている。これは、自衛官の新規採用を確保するためにも、やはり私は、初任給を更に見直す必要があるのではないかと考えているわけでありますが、今後の方針を防衛省にお伺いをさせていただきたいと思います。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ございましたとおり、自衛官の採用をめぐる環境は大変厳しい状況にございまして、優秀な人材を将来にわたって安定的に確保するためには、初任給の改善も重要な要素であると考えているところでございます。

 こうした考え方に立って、一昨年策定された防衛計画の大綱におきましても、給与面の改善を含む処遇の向上ということが盛り込まれたところでございます。

 こうした考えを踏まえて、これはもう委員からも言及がございましたけれども、昨年、防衛省職員給与法の改正におきまして、特に現場部隊の中核を担う曹士の自衛官となるという一般曹候補生、あるいは士たる任期制自衛官となることが考えられている自衛官候補生、こうした者の初任給の引上げを行ったところでございます。

 また、自衛官候補生につきましては、入隊三カ月後、自衛官に任官する際に支給される自衛官任用一時金につきまして今後引き上げることとしておりまして、入隊初期の給与総額ということで見れば、募集の競合する警察官と比較しても遜色のない水準に改善しているのではないかとは考えております。

 いずれにいたしましても、防衛省におきましては、厳しい募集状況を踏まえて、給与を含む処遇の向上について不断に検討していかなければならないと考えておりますし、あわせて、生活、勤務環境の改善や、ワーク・ライフ・バランスの確保のための働き方改革の推進といった、防衛計画の大綱に盛り込まれている事項を着実に推進し、人的基盤の強化に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

高木(啓)委員 今、公共機関、公務員という言い方をしてもいいのかもしれませんが、一番国民に信頼感のあるのは自衛隊だと思うんですね。これはアンケート調査等でもよく出てくる話でありますが、だからこそ私は処遇改善をしっかりしていただきたいと思うし、そもそもの自衛隊の任務というのは何なのかということを考えたときに、やはり、我が国の安全保障、安心、安全を担保していく、あるいは災害に対してしっかりと対応していく。さまざま、そういうことがあるんですが、コロナ感染症も一つの危機管理の一環だと思っています。

 このコロナ感染症でステイホームだと言われて、今家から出られない、できるだけ出ないでくださいと言っている中で、ここ数日、東京では地震が多く起こっております。こういうときに災害がふくそうして起こってくる、あるいは、こういうときに大地震が起こらないとは言えないと言えると思うんですが、そういうことを考えても、やはり自衛隊の役割というのは決して少なくなることはないと思います。ですから、しっかりとその体制を整えていただきたいと思います。

 最後に武田大臣にお伺いをしていきたいと思うんですが、定年の引上げによって、技術、知識、経験等が豊富な職員に最大限活躍してもらうことが重要でありまして、さらに、あわせて、全ての国家公務員が働きやすい環境を整備することによって、公務全体をより充実したものとする、そして、全ての世代の公務員に、よりよい仕事をしてもらう必要があると思っています。

 そして、今般の新型コロナウイルス対策を踏まえて、今申し上げたように、有事の際も十分機能する体制を整える必要があると思います。そのためには、平時からのテレワークやリモート会議なども活用しながら効率よく高い成果を上げられるように、公務員の働き方の見直しも急務であると考えるわけであります。緊急時に公務員を適切に配置できる体制の構築など、国民との向き合い方を今改めて考えることが重要であると思います。

 そこで、最後に、今回の新型コロナウイルス対応を教訓といたしまして、国家公務員の働き方の見直しはもとより、国の行政機構全体の体制整備、すなわちそれは、必要な仕事のためには、誤解を恐れずに言うならば、公務員をふやすという選択肢も含めて体制整備が必要と考えますが、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

武田国務大臣 御指摘のように、ただいま、新コロナウイルス感染拡大防止に対しましては、政府総力を挙げて取り組んでいるところでありまして、公務員も、それぞれの与えられた任務、職責を全うするために、行政機能を維持しながら日々職務の遂行に努めているところであろうかと思います。

 非常時に的確に対応できる体制というものは、それぞれの職員がしっかりとその場において能力を発揮できる環境づくりというものが必要であり、委員の御指摘のように、しっかりとした効率化を進めたり、働き方の改革に取り組んでいかなくてはならないわけであります。現に、機動的かつ柔軟に対応していっておりますけれども、きょう閣議決定というか閣議の議論になるわけですけれども、行政機関職員定員令等の一部を改正する政令案というものが取り扱われました。

 そのとき、その局面に重要たるときに、柔軟かつ機動的に対応できる体制というものをしっかりと我々は心がけながら今後とも臨んでいきたい、このように考えております。

高木(啓)委員 我々は、国家公務員の皆様方、そして地方も含めてですけれども、そうした公務に奉職をされている方々を大変頼りにしているわけであります。国民の期待に応えていただきますようにぜひお願いを申し上げまして、質問を終わります。

松本委員長 次に、宮内秀樹君。

宮内委員 自由民主党の宮内秀樹でございます。ありがとうございます。

 与党三人目の質問ということでございまして、少し質問がかぶるということもあろうかと思いますけれども、お答えの中で、少し踏み込んだ議論をさせていただけたらありがたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 さて、我が国全体として高齢化が進んでおります。私の地元におきましても、先生方皆さんもお感じだと思いますけれども、地域の方々の中で、六十でもうお仕事をやめて、退職してゆっくりされている方は本当に少ないという実感だと思います。六十五、七十ぐらいまで、男性も女性も、働いたりとか、あるいは社会貢献をしている。生き生きとしているという状況に地域があるというふうに思います。そういう意味では、社会全体として、高齢者をいかに社会として活用していこうか、こういう流れになっているんだというふうに思います。また、先日は、民間企業には七十歳までの就業機会の確保を求める法律が成立したところでございます。

 こういう中においては、国家公務員においても高齢期の職員を積極的に活用していこうじゃないかという流れは、私は当然の流れだというふうに思いますし、その流れの中でどのような新しい公務員制度をつくるのか、あるいは、高齢化社会そして成熟社会の日本において国家公務員の果たしている役割、そもそもどうあるべきなのかということをこの際しっかり考えるときだというふうに思います。

 先ほど高木先生からもお話がありましたように、そもそも、我が国の国家公務員のあるべき姿、今のままでいいのか、社会の変化についていけているのか、こういうことも当然それぞれの皆さん方の思いの中にあるのではないかと思いますが、どうしても、行政改革という大きな流れの中で、あるいは財政が厳しい中で、一円でも税金を使わないということにトライしなければいけない、これも思うわけでありますけれども、国家公務員の皆さん方においては、なかなか社会のそういう反応に対して反応できない、答えがなかなか言えない、実はこんなことを思っているんだけれども、なかなか社会に対して発信できないというようなところが実際はあるんじゃないかなというふうに思ったりいたしております。

 そういうことも含めまして、制度の問題、あるいは今の国家公務員の姿について、きょうはこれから議論を深めさせていただけたらと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、今回の国家公務員の定年を引き上げるということにした理由につきまして、この基本的考え方についてお聞かせください。お願いします。

堀江政府参考人 少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少する我が国が将来にわたって活力ある社会を維持し、発展していくためには、社会全体として、働く意欲のある高齢者にその能力を十分に発揮して活躍していただき、社会を支えていただくことが重要であると考えておりまして、これは官民を通じた課題であると考えております。

 このような考え方のもと、先ほど御指摘がありましたとおり、民間においては、七十歳までの就業機会確保を努力義務とする法律が成立したところでございます。

 国家公務員につきましては、今後、これまで行政を支えてきた多くの職員が六十歳を迎えるという状況にございます。高齢期職員の豊富な知識、技術、経験を最大限に活用して、複雑高度化する行政課題に的確に対応していかなければならないという状況にあるわけでございます。

 こういった状況を踏まえまして、平成三十年八月の人事院の意見の申出に鑑みまして、組織全体としての活力の維持、あるいは能力・実績主義の徹底、そういったことを図りつつ、国家公務員の定年を段階的に六十五歳に引き上げるというものでございます。

宮内委員 まさに同感でございまして、この制度を、制度として国民の方々に理解をしていただくということが大変重要なことだというふうに思っておるところでございます。

 先ほども高木先生の方からもお話がありましたけれども、総定数との関係性でございます。六十歳以上の職員を継続して勤務をしていただくということになれば、総定数の関係上、新しく、新規に入省を希望する方を絞り込まなければいけないのではないかという問題であります。

 公務員の方々は三十五年とか四十年とか働いていただくという前提で考えれば、やはり標準の人材をずっと維持して、確保していかなければ、行政サービスが崩れてしまう、あるいは、しっかりとしたことが次世代の公務員の方々に伝承していかないということがあるというふうに思います。

 そこで、この総定数を、基本的に、少し瞬間的にふやすこともあるんじゃないかというような御答弁が先ほどあったように思いますけれども、それは当然ありだというふうに思いますけれども、そこのことをしっかりと国民の方々に理解をしていただかなければいけないというふうに思いますけれども、改めまして、どういうふうな調整をすることをお考えであるかということをお聞かせください。

山下政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたけれども、国家公務員の定員はその業務量に応じて措置をするというのが基本的考え方ではございます。ただ、その場合、定年退職者が出ない年において、そのままでは新規採用が大きく抑制される可能性があるというのもそのとおりでございます。

 国家公務員は、例えば、税務署職員、刑務官、海上保安官など、各種専門家の職種が非常に多くございまして、そういう専門職種の集合体であります。今後とも国民に必要なサービスを提供し続けるためには、そのそれぞれにおいてコンスタントに若手を採用するということが、行政の機能発揮、サービス提供、さらには知見の継承という意味でも大変重要なことと考えております。

 定年引上げ期間中におきましては、計画的な採用など人事管理上の工夫も必要になってくるところではございますけれども、その間においても一定程度安定的に若手を採用できるよう、一時的な調整のための定員措置を検討することとしております。ただ、その規模、期間ともに必要最低限となるよう留意してまいりたいと考えております。

宮内委員 しっかり御答弁をいただいたと思います。

 国民の皆様方は、公務員に対するイメージなんですけれども、どうしても霞が関のお役人の方が公務員だ、国家公務員だというようなイメージが物すごく先行して行き渡っているようなところがあって、実は、公務員の数の圧倒的な割合は現場の方々でございまして、現場の事務、国民に対するサービス、このことを確実に、正確に、誠実にやっていただいているというのがまさに国家公務員の主たる方々だというふうに思いますので、まさにこの国家公務員の数を行政改革という切り口だけで、今回の国家公務員法改正における人事調整について、ここを行政改革だけということでやってしまった場合には、国民に対するサービスが低下するんだ、混乱をするんだ、このことを正確に伝えていただきたい。特に、大臣にもいろいろな場面でそういうことを発信していただきたいというふうに思ったりしているところでございます。

 さて、そもそもの我が国の国家公務員、このあるべき姿でございますけれども、我が国の国家公務員は、国民にいいサービスを提供するんだ、この国をいい国にしたいんだ、この国を新しい時代に合わせた形で、活力あるいい国にするんだ、こういう思いで、それぞれの役割で頑張りたいという人が公務員という立場になって、長い年月頑張っている人たちだというふうに思っております。

 ビジネスの世界とはちょっと違って、給料が高ければいいとか、あるいは、いわゆるもうけることが一番だという考え方とは全く違って、社会に対して貢献する、社会に尽くす、国民が喜んでくれるということに生きがいを感じる、価値観を持つというのが日本の国家公務員のそもそもの思いであるというふうに私は信じております。精力的に働いているというふうに思っております。

 一方で、行政改革の流れの中で、国家公務員の定員削減をずっと続けてきたわけでありますけれども、それぞれの現場で、安定して、いい人材を育てて、引き続き公のために力を尽くしてもらうということが大変に重要なことだというふうに思いますけれども、国家公務員の定員はこれまでどのように推移してきたのか。

 戦後、さまざまな時代背景があったと思いますけれども、国家公務員の、基本的に数ですかね、これはどういうふうに推移してきたかということを御答弁をお願いしたいと思います。

山下政府参考人 国家公務員の定員でございますが、昭和四十五年、五十年前でございますが、この時点で国家公務員の定員は約九十万人でございました。

 その後、厳しい財政状況の中、独立行政法人化などを含め、業務の見直しを行うことでその合理化に取り組み、同時に、その時々の新たな行政需要へ対応するための増員を行ってきたところでありまして、現在では、国家公務員の規模は三十万人という規模になっております。

 また、先ほども委員からも御指摘いただきましたけれども、その八割以上、大ざっぱに言いますと、三十万人のうちの、大体、霞が関にいるのが四万人程度でございます、残りの二十六万人は、先ほど申し上げましたような税務署ですとか、刑務所ですとか、管区海上保安本部ですとか、地方整備局ですとか、そういった現場で専門的な仕事を担っているという構造になってございます。

 五十年前に対しまして、九十万人から三十万人まで六十万人減っているわけでありますが、この中には、かつての郵政の公社化ですとか独立行政法人化といった、国家公務員から外の組織に切り出すといった部分もございます。そういう部分が数としては多いわけでございますけれども、その部分を除きますと、平成十三年、省庁再編以降の二十年間で見た場合、三万人の減少というのが近年の推移でございます。

宮内委員 昭和四十五年に九十万人いた国家公務員の数が三十万人になったということで、もちろん、郵政の公社化とか、さまざまな独法とか国立大学とか等々を公務員の数から外したということもあるわけでございますけれども、公務員の数をずっと減らしてきたということは一つの現実だったというふうに思います。

 そこで、今の国民の行政サービスに対するニーズに対して、しっかりとした数として対応できているかという先ほどの議論もありましたけれども、じゃ、そもそも、公務員の数の適正規模というのはどういうものだろうか。そもそも、公務員の数とそれから行政サービス、それからさまざまな財政事情や国民の考え方等々、総合的だというふうに思いますけれども、基本的な考え方としての適正規模というようなことの議論はしていらっしゃるのかどうか。その辺についてお聞かせいただけませんか。

山下政府参考人 先ほど申し上げました三十万人のうち約二十六万人が現場業務に従事しているわけでありますけれども、そういった現場業務におきましては、ある意味、職員数が多ければ多い分だけ、行政サービスの量や質が提供できるという部分がございます。

 なので、なかなか一概にどの辺が適正というのは申し上げにくいところがございまして、結局、どの行政分野にどれだけの定員を配分する必要があるかということについて、その時々の情勢の中で、分野ごとに、さまざまな分野がございますので、その分野ごとに、それぞれ国民からどれだけの水準のサービスの提供が求められているかといったニーズや、その優先順位とのバランスを個別に見きわめながら考えていく必要があるものと考えておりまして、あらかじめ総体として何らかの数が定まるものではないと考えております。

宮内委員 もちろん、難しい課題だと思いますし、そのことをどのような物差しではかるかというのは非常に難しいとは思うんですけれども、そういうそもそも論みたいなことも始めないと、国民の皆様方からの理解をいただけないということだというふうに思っております。

 その意味においては、我が国の公務員数、国際的に比較した場合どうなんだろうか、この視点で少し考えてみるのも方法かなというふうに思います。

 我が国は、国家公務員の数というのは余り国際的に多くないんじゃないかという話を聞いたりしておりますけれども、なかなか、国によって、国のガバナンスの形とか地方行政組織との関係性がさまざま違うものですから、一概には言えないと思いますけれども、大ざっぱに、多いか少ないか、どうしてこういうことになるのかということを少し検討してみる必要があると思いますが、国際比較について、どうでしょうか。

山下政府参考人 今までのところ、公務員に関しまして、内閣人事局の所管であります国家公務員について申し上げてまいりましたけれども、公務員数を国際比較する場合には、国によって、例えば連邦制かどうかということで国と地方政府の職員の配分は変わってまいりますので、比較する場合には、中央、地方政府、さらに政府企業といった、公的部門全体で比較することが必要になってくると考えております。

 公表されている数値に基づいて、フランス、イギリス、アメリカ、ドイツといった国々と比較をいたしますと、人口千人当たりの公的部門の職員数が、フランスで約九十人、イギリスで七十人弱、アメリカで六十人強、ドイツで六十人弱というように、大体六十人から九十人ぐらいとなっておりまして、これに対して我が国は三十七人ということでございますので、その意味では少ない方だと考えております。

宮内委員 そうなんですね。国際比較、先進国でございますけれども、フランスの九十人に対して日本が三十七人ということでありますから、かなり少ない。一概には言えないというお話がありましたから断定してはいけないとは思いますが、国際比較としても非常に少ないという状況なんですね。

 国際的に比較して、日本は国民一人当たりの国家公務員数が少ない状況の中でも、国民へのサービスというのが成立している。基本的に、そんなに他の国の政府と比べて見劣りしない政府であるというふうに私は思っておりますけれども、どうしてこんなに少ないのに成立しているのかということ、これをお聞かせいただきたいと思います。

 すごく頑張っているから成立しているのか。それとも、もっと、国としてそういうことが、サービスができるような、そういう国柄なのか。あるいは、ほかの国が行政改革をサボっているからなのか。さまざまな観点があると思いますけれども、客観的にどういうふうに受けとめているか、お聞かせいただきたいと思います。

山下政府参考人 今の点に関しましては、多分、さまざまな要因がございまして、特に、国によって公的サービスに求めるサービスの内容、水準というもの自体が変わっていたり、それから、地理的に広い、狭いとか、いろいろな要因があるところだろうとは思っております。

 なので、なかなかちょっと分析は難しいわけでございますけれども、例えばの例で申し上げますと、税の徴収において、我が国では源泉徴収というものがございますけれども、これは、いわば、公的部門が行う税の徴収の事務の一部を民間企業が担っているという格好になっているわけでございます。こういった仕組みは、正確には存じませんけれども、多分、余り外国にはないと思いますので、このように、民間企業ですとか、それからそういう民間の団体ですとか、そういうところに担っていただいている部分が多いということも一因としてあるのではないかと考えております。

宮内委員 やはり日本の国柄としてということも随分要素としてあるんじゃないかと思うんですけれども、私も、日本の場合は、どちらかというと、民間の方が協力をしていただいて、国の施策に対して一つの一体感を持って進めていくということが、一つの効率的に物事が運べているということになるんじゃないかなというふうに思います。

 いろいろな業界団体があって、業界団体が一つのまとまりを持って、そして政府の方針と一緒になって、その業界の中での自主ルールをつくったりとか、みずからがこういう公明正大にやろうじゃないかというようなグループをつくって、そことお役所がいい意味のコミュニケーションをとって進めていっているという非常に珍しい、私は国柄で成立していることだというふうに思いますので、そういうことはやはり維持していくんだと思います、恐らく我が国としてはですね。

 そういう中で、やはり重要なのは、公務員の方々がその辺の構図をしっかりと正確に理解をして、そして、その方々といいコミュニケーションをしていって行政を進めていくということが大切だというふうに私は思っているんですね。

 そういう意味では、六十まで国家公務員として働いてきて、ノウハウとかルールとか歴史とか、そういうわかっている人たちが行政の最前線にまだ残っていただいて、そこで行政を進めていくというのは、私は一つの大きないい考え方であるというふうに思っております。

 そういう意味からも、この国家公務員法の改正の中で、六十歳以上の方々にいい仕事をしていただく、今までの経験を生かして、この国柄のこともよくわかった上でいわゆる国民にサービスをするというのが、質の高いものであり続ける、もっと質の高いものにするという観点で、六十歳以上の方に働いていただくということが私は大事じゃないかな、国民の方々に理解をしていただくということに私はなるんじゃないかなというふうに思うところでございます。

 そこで、六十を過ぎた公務員の方々、例えば地方局などで仕事をしていかれて、役職定年になられた方、この方を職員として活用する方法なんですよね。ある程度の役職があって今まで仕事をしていました、役職定年ですよ、その方をどのように有効に使っていくのかということが非常に大事なことだというふうに思うんですね。

 例えば、国民の方々の中で、国家公務員っていいよな、六十五まで働けて、しかも、給料も七〇%ももらえて、どうせ、行って新聞を読んで、はい、終わりでしょうね、そんな楽な仕事なんでしょうというような短絡的なことをイメージしていらっしゃる方もいらっしゃると思うんですね。ですから、そういうことではないですよということを、この際、しっかり経験に基づくところの仕事をしていただくということを国民の方々に伝えなければいけないというふうに思います。

 具体的にどのような業務を考えているのか、どのような働くイメージでいらっしゃるのか、この辺について説明をいただきたいと思います。

堀江政府参考人 具体的な職務内容は、それぞれの組織の業務あるいは個々の職員の能力、適性に応じてということにはなりますが、例えば、役職定年で管理監督職以外の官職についた職員につきましても、公務で培った知識、技術、経験等を生かして活躍いただきたいと考えております。

 具体的には、専門性を生かして、六十歳前の職員と同様に現場の業務に従事する。あるいは、経験や人脈を生かした対外交渉、調整などを担う。また、人材の育成、指導、後輩の育成、指導ですね、そういった業務に従事する。さらには、政策企画立案の支援、調査研究、分析に携わるといったことが考えられるところでございます。

 特に、地方機関等におきましては、現在でも六十歳を超える職員がフルタイムの再任用で現場の業務に従事するという例も間々見られるところでございます。例えば、刑務所でありますとか、税関でありますとか、気象台などがそうでございます。

 そういったところも含めまして、役職定年後の職員も、公務で培った知識、技術、経験等を生かして活躍いただくことによって、行政サービスを維持向上していく、そういうふうに運んでまいりたいと考えているところでございます。

宮内委員 まさにそういった観点からしっかり働いてもらいたいというふうに思っておりますが、しっかりと勤務をしていない職員ももしかしたら出てくるかもしれない。そのためには、何らかの制度上の、しっかりしていただきますよという制度を担保する必要があるというふうに思っております。

 六十歳以上の職員につきましても人事評価を実施するというふうに聞いておりますが、どのような人事評価を考えていらっしゃるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。

堀江政府参考人 定年の延長について国民の理解をいただくためにも、六十歳以降の職員についても能力や業績をしっかりと把握して、処遇等に反映させることが必要だと考えております。

 そういった観点から、六十歳前の職員と同様に、人事評価につきましては、年に一度、職位ごとに定められた客観的な評価基準に照らして、職務遂行に当たって発揮した能力を評価する能力評価、もう一つは、半年に一度、面談等の手続を経て設定した業績目標の達成状況を評価する業績評価、この能力評価と業績評価をしっかり行うことによって、能力、実績の把握を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

宮内委員 それでは、人事評価の結果がよくない職員、これは、ですから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、六十過ぎて、余り問題意識がなく、余り仕事をしていらっしゃらない、なのに、国家公務員はずっと雇ってくれるんですねみたいな考え方、そういう評価があるんだとすれば、そういう方々に対して、人事評価がよくない職員、これに対しては、こういうこともしっかりと制度として担保していますよということが必要だと思いますけれども、その辺の対応について考えていらっしゃいますか。

堀江政府参考人 六十歳の前後を問わず、人事評価の結果がよくない職員に対しては、まずは上司等による指導を徹底するということが重要でございます。そういった改善措置をしっかりと行った上で、それでもなお改善が見られない場合には、降任とか免職、そういった分限処分が行われることとなります。

 なお、分限処分につきましては、これまで対象としていましたのは人事評価の評語が最下位の場合、S、A、B、C、DのDの場合でございましたけれども、今後は、新たに、Cの評価が付された職員についても指導を徹底することといたしまして、それでもなお勤務成績の改善が見られない場合には、こういった職員につきましても降任処分の対象とすることとしております。

 こういったことを通じまして、能力や業績に応じた処遇を一層徹底してまいりたいと考えております。

宮内委員 よろしくお願いしたいと思います。国民から理解をしていただく、その上で、経験に基づいていい仕事をして、国民にサービスを提供する、これだというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 今までの人事評価は、S、A、B、C、D、これは、日本人というのはやはりAとBばかりに集中しちゃうんだと思うんですね、どう考えても。余り特別な評価を出さないというようなことがどうしても結果的に行われるということでありますから、そこをしっかり新しい人事評価制度をつくっていただきたい。

 新しい人事評価制度につきましては、この後また大臣にもちょっと御質問させていただきたいと思いますけれども、民間企業で定年延長を実現できている企業はまだまだ一部にとまっているじゃないか、実施している企業の多くがその前提として人事制度や賃金体系見直しを行っているようだけれども、公務員の定年延長を行うならば、民間企業の手本となるような能力主義に依拠した人事制度へ改革しなければ国民の納得は得られない、このような主張、意見、議論等々が自民党の行政改革推進本部を中心にあったというふうに聞いております。

 法案の了承と同時に、その法案の附則に公務員制度改革の具体的スケジュールを盛り込むということが武田大臣のリーダーシップで決まったというふうに聞いておるところでございます。

 そこで、若手時代から人事評価に基づく能力・実績主義を徹底して、意欲を持って公務員として働いていけるようにしていくべきというふうに私も考えているところでございます。十六条の三項に、新しく新設をして、「人事評価の結果を表示する記号の段階その他の人事評価に関し必要な事項について検討を行い、施行日までに、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」これを附則で書いていただいたというふうに聞いています。

 その人事評価制度をどのように見直していこうと考えていらっしゃるのか、その基本的な考え方と具体的な方向性、またスケジュールについてお伺いしたいと思います。

武田国務大臣 ここの問題というのは、経験豊富なベテランの活躍とそして若手の活力というものをどうミックスさせて両立させていくか。それを実現するためには、やはり、入省また入庁した若手のころから定年までの間のその期間に、しっかりとした能力・実績主義というものを充実させていくということがこれは重要になってくるわけであります。

 先生御指摘のように、今日に至るまで一番手厳しい御意見というものを寄せられたのが、自民党の塩崎本部長を始めとする自民党の皆さんでございました。いたずらに定年延長だけをすることによって、国民から、やはり公務員だけか、公務員優遇という非難を浴びる、定年延長というものは、社会の趨勢、将来の少子高齢化、生産年齢人口低下を見たときに必要かもしれないけれども、それならそれで、公務員に対してももっと民間の厳しさというものを導入すべきではないかという御指摘をいただきました。

 また、そればかりではなくて、それを提示するスローガンだけではなくて、その中身、方策やスケジュールについてもしっかりと国民の前に指し示すべきだ、国民に対する約束を果たすべきだ、みずからに責任を課すべきだ、目標を課すべきだということを、その必要性についても御指摘を受けました。

 それを受けまして、今回、具体的な方策とスケジュールというものを法律上にも明記することとして、この改正法案の検討条項としても盛り込ませていただいたわけであります。

 先ほど、この評価につきましては、答弁の中にありましたように、評語区分というもの、S、A、B、C等々、今まで言われてまいりましたけれども、細分化し、これを明確にする、そして、民間にある一部競争意識を持ってもらって、目標、仕事に対する自己責任をしっかりと負ってもらう、そして、しっかりとした行政機能というものを維持して、国家というものを全員でつくり上げていく、そうしたことをしていかなくてはなりません。

 今回の法案で、しっかりとそのスケジュール、そして責任所在、方策というものを明記しながら、充実したものにしてまいりたい、このように考えております。

宮内委員 力強い大臣の御答弁、ありがとうございました。

 この法案がこの国会で成立をし、そして、今御指摘のような人事評価制度、あるいは給与制度ももちろんそうでしょうけれども、それらのことがしっかりとこれから具体的に進んで決めていく、これを含めて国家公務員制度改革ということになろうかというふうに思いますので、国民に愛される国家公務員、そのための今回の制度改革だというふうに私は思っておりますので、引き続き、大臣始め関係の皆さん方の努力を、今回、国民が注目しているということでございますので、引き続きしっかり頑張っていただけたらありがたいと思います。

 ありがとうございました。

松本委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請させましたが、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム及び日本共産党所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 本当に久しぶりの内閣委員会になりました。これは本会議で登壇してからもう相当時間がたっておりますし、国会は新型コロナ感染症に対する対策の審議、議論がいろいろ急がれている中でこの法案をやるということなんですけれども、この法案が、今どうしても通さないと間に合わない法案なのかどうかというのを、まず大臣に聞きたいと思います。

武田国務大臣 新コロナウイルス感染対策については、政府を挙げて取り組んでいるところであります。また、公務員の皆さん方も、それぞれのセクションにおいてしっかりとその職責を全うしているもの、このように思っているわけでありますけれども、先ほどから申しますように、やはり将来をにらんで、日本の社会構造、国家構造というものを今変えていかなくてはならないと思っています。

 少子高齢化により生産年齢人口が減っていく中で、世代別、現役とOB、退職組というものを六十歳でびしっと線を引くのではなくて、それぞれの世代が持てる力を発揮できる、その総合力で活力ある社会と国家というものをつくり上げていくことが今急務であろうか、このように考えておるわけであります。

 そうした中で、やはり定年引上げというのは、六十歳前の職員を含めた人事管理、そしてまた職業生活の中に大きな影響が出てまいります。そして、このために、各府省においては、施行の前に十分な時間の余裕を持って、六十歳を迎える職員の継続勤務の意思確認などを行った上で、六十歳以降の職員に担ってもらう業務の具体的検討を行い、新規採用も含めた人事計画を立てる必要があるほか、若手、中堅時代からの計画的な人材育成についても検討していく必要があるわけであります。

 また、このことによって、地方公務員についても、国家公務員と同様に所要の法律案を提出しているところでありますけれども、各地方自治体においても、条例制定などの準備を進める必要が出てまいります。

 こうしたことから、もちろん、審議のスケジュールにつきましては国会でお決めになることだ、このように思っておりますけれども、ぜひとも、この法案については、今国会で成立させていただきまして、令和四年度から施行することが必要と考えておりまして、協力のほどをよろしくお願いいたしたい次第であります。

浦野委員 ありがとうございます。

 答弁にもありましたように、これは地方にも影響を与えるものですから、まずはやはり国会でしっかりと議論して、ちゃんと法案審議をするというのが大前提になると思います。

 まさに大臣がおっしゃったとおりで、国会が今コロナ対策でいろいろと、もう本当にありとあらゆる議論をしている中で、じゃ、ほかの議論をとめるべきなのかどうかというのは、これは確かに賛否が分かれるかもしれません。ただ、我々はコロナ後のこともやはり考えていかなければなりませんし、そのために、我々は歳費をいただいて仕事をしているわけですから、自分たちの課されている職務はできる限り果たしていかないといけないと思っています。

 この国会、開会してからすぐにコロナ対策で、いろいろと本当に省庁の皆さんが大変な、特に厚生労働省なんかは大変な毎日を日々送られていると思いますけれども、私が今ちょっと気になっているのが、省庁の皆さんの働き方ですね。コロナ対策、当然、国会が開かれた時点で、毎度毎度、公務員の皆さん、特に各省庁の皆さんは大変な思いで毎日を過ごすわけですけれども、国会対応で。正直、皆さんの残業とかが今どういうふうになっているのかというのをちょっと、皆さんがどういうふうに働いているのかというのは心配になっています。

 それをちょっと、何かデータがあれば示していただきたいということを事前に言っていたんですけれども、これは、今現在、進行形で皆さんやられていますので、なかなかそのデータはないということなんですけれども。

 職員の皆さんは、僕は相当疲弊していると思うんですね。だからこそ、今、勤務実態をちゃんと把握して、やられているのか。負担軽減、コロナ対応でやはり大変な思いをされている職員の皆さんもいっぱいいてますので、負担軽減のための取組というのをどういうふうに行っているのかというのをお聞かせいただきたいと思います。

合田政府参考人 お答えいたします。

 一般職の国家公務員の超過勤務につきましては、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律によりまして、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合に命ずることができるとされているものでございまして、この勤務時間法、人事院規則の規定に従って各省各庁の長が命じて行わせているというものでございます。

 超過勤務を命ずるに当たりましては、人事院規則におきまして、職員の健康及び福祉を害しないように考慮しなければならない、また、必要最小限の超過勤務を命ずるものとするという規定がございまして、各省各庁の長、これに従って行っているところでございます。

 また、昨年四月から超過勤務命令の上限を定めるなどの措置は講じているところでございますが、超過勤務を命ずるに当たりましては、各省各庁の長は、先ほど申しましたように、職員の健康及び福祉を害しないように考慮しなければならないということを行っているとともに、あわせまして、一カ月につきまして百時間以上の超過勤務を行う職員等に対しては、職員からの申出がなくとも医師による面接指導を行う、また、八十時間を超える超過勤務を行う職員等に対しては、職員から申出があった場合面接指導を行うなど、健康に配慮しながら超過勤務を行わせる、そういう実態にあるというところでございます。

浦野委員 負担軽減の部分で、テレワークとかをしていただいて、かなり進んでいるということなんですけれども、この点は答弁は。

堀江政府参考人 国におきましては、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すことが何よりも重要であります。また、必要な行政機能を維持する必要がございます。

 そういった前提のもとで、緊急事態宣言を受けて、各府省においては、例えばテレワークや在宅勤務など業務実施体制の工夫を行いながら、例えばローテーション勤務を行う、あるいはテレビ会議、電話会議等に変えていく、あるいは幹部説明等をメールなどで行うなど、業務の実態を踏まえつつ、出勤回避について最大限の取組を進めているところでございます。

 また、出勤せざるを得ない職員につきましても、時差出勤などによりまして混雑時間帯の出勤回避に努めているところでございます。

浦野委員 やってみたら、結構テレワークでこなせたという感じで、何か、実は、みんな出勤をそんなにしなくてよかったんじゃないかという声も聞かれていますので、ぜひコロナの対策が一段落した後も、皆さんの働き方、これを機にテレワークが相当進んでいると思いますので、各省庁、聞くところによると、総務省はかなり早くから対策に取り組んで、そもそも取り組んでいたので、かなり進んでいるということですので、各省庁、ぜひ更に進めていただけたらと思っております。

 もう一つ、コロナの経済対策で、認可保育園も、今、医療従事者等の保護者のお子様をお預かりする、どうしても預けないとできないインフラの仕事をされている皆さんの子供たちは預かっておりますけれども、企業主導型保育所もあります。

 この企業主導型保育所、これは、先日繰上げ当選されてきた美延代議士も委員会で初質問のときに触れましたけれども、これは、そもそも待機児童解消のために企業主導型保育所というのをやったわけですけれども、その企業主導型保育所に、認可保育所と同じような仕組みで、最終的には補助金が出ないということで、お願いベースでしか、保護者の保育料を減免してあげてくださいねというお願いしかできない。結果的に、いろいろ話を聞いてみると、やはり減免されていない。保育料を払ってください、せやけれども、保育園には来ないでくださいと。

 要は、だから、保育料は払わされているのに企業型保育園は利用できないという保護者の皆さん、結構声が上がっています。企業型保育所をやっておられる皆さんも、保育料がないと自分たちの維持ができませんから、それも痛しかゆしで、どうしようもない。

 このままいけば、企業型保育所、潰れていく可能性が出てきます。そうなると、また待機児童解消の受皿がなくなってしまう可能性が出てくるんですね。そこをやはりもう少し柔軟的に国は制度を考えてあげるべきだと思っていますけれども、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 企業主導型保育施設に対する支援につきましては、まず第一は、運営費につきましては、休園等をした場合にも減額をせずに助成する措置を講じることとしてございます。

 また、一方、御指摘のありました利用料のところでございますけれども、事業実施者と利用者との私的契約によりこの利用料が決定をされるというふうな仕組みになっておりますので、国において、事業実施者に対して、利用料の減免を実施することを求めるということはしておりませんけれども、臨時休園している期間において、保育が行われていないため減免をするなど、利用者への配慮を行っていただくように要請を行っているところではございます。

 この場合、利用料の減免分に対する支援をすべきではないかという御指摘だと思いますけれども、本事業は、企業の福利厚生としての側面もございますし、利用料が私的契約で決定をされる仕組みであるということの中で、利用料の減免分を仮に支援するとした場合にどのように負担をするかといったさまざまな課題があるというふうに考えておりまして、こうした課題への対応も含めて、実施の可否について検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

浦野委員 これはぜひ検討していただけたらと思います。検討していただいた上で、なるべく早く結論を出していただけたらと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 最後の質問になりますけれども、一律十万円の給付金、これは世帯主が家族分全部申請するということで始まりましたけれども、DVを受けている方、既に避難をされている方は、これはマイナンバーカードのときと同じような対応で、住民票ともちゃんとすみ分けして、申請すれば、相手側に住所が知られることなく給付金を受けられるという取組をちゃんとやっています。これはもう解決済みしていますけれども、今現在、世帯主がDVをしている場合ですね。要は、その世帯の全員の分をその人が代表で受け取ってしまう。

 この一律十万円は、個人に対する十万円ですよね、権利的には。だから、便宜上世帯ごとに申請をしていただいていますけれども、本来は個々に対する十万円の支給ですから、これは何とか個人個人への給付をちゃんと担保できるような仕組みはないのかという質問なんですけれども、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 DVを理由に避難をされている方の中には、事情により、今お住まいの市区町村に住民票を移すことができない方々、世帯を分けておられない方々がおられます。

 このため、総務省といたしましては、DV被害者支援団体の御協力も得て、DVを理由に避難をされている被害者にその旨をお住まいの市区町村に申し出ていただく、そして、その方をお住まいの市区町村の支給候補者リストに追加して、その後は、通常と同様の方法により申請を行っていただく、こういうことで、実際の居住地である市区町村から給付金を支給をし、被害者分の給付金については加害者に対する支給を行わない、こういう取扱いとしたところでございます。

 対象者に対しましては、支援団体から情報提供を行っていただくほか、これらの団体から、DVを理由に避難していることの確認書の発行とか代理申請を行えるようにしておるところでございます。

 このように、DVを理由に避難をされている方々にも給付金を確実にお受け取りいただけるよう、手だてを講じておるところでございます。

 他方、DV被害を受けているにもかかわらず、同居を続けて、更にDVを受けておられる、こういうようなケースについては、単に特別定額給付金の受給の問題ではなく、DV被害を受けている方に、婦人相談所等に相談し、避難していただくといったようなことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。

浦野委員 今答弁がありましたように、なかなか難しい問題で、ただ、今現在、進行形でDV被害を受けておられる方が、こういう給付金を機に、これをきっかけに、DVから逃れるすべを得ることになればと思っておりますので、こういう制度があるということは、ぜひもっとしっかりと周知をしていただきたいと思います。

 こういうことの対応がなかなか難しくなる、時間がかかるというのは、やはりマイナンバーがちゃんと、制度があるにもかかわらず、しっかりと浸透していないというのが原因ですので、ぜひマイナンバーの活用を更に、これはもう必須になってきます、これからは絶対に必須になってきますから、しっかりとやっていけたらと。我々も、マイナンバーの活用、いろいろと足立さんが中心になってやっていますので、ぜひ国会でやっていきたいと思います。

 きょうは、最後に、ちょっと時間も過ぎてしまっていますけれども、日本維新の会以外の野党の皆さんは三密を避けるために委員会を欠席していただいていますけれども、そんなわけはないですけれども、本当に、この期に及んで審議拒否って、もう来なくていいと思います、私は。

 我々でできることは全部ちゃんとやっていこうと思っていますので、国民の方を向いた政治をしっかりとやっていきたいと思います。

 以上です。

松本委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

松本委員長 速記を起こしてください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時十七分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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