衆議院

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第3号 令和2年11月13日(金曜日)

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令和二年十一月十三日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      岡下 昌平君    金子 俊平君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    高木  啓君

      永岡 桂子君    長尾  敬君

      西田 昭二君    福田 達夫君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      牧原 秀樹君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      吉川  赳君    和田 義明君

      大河原雅子君    大西 健介君

      玄葉光一郎君    森田 俊和君

      森山 浩行君    柚木 道義君

      吉田 統彦君    早稲田夕季君

      江田 康幸君    古屋 範子君

      塩川 鉄也君    足立 康史君

      岸本 周平君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     加藤 勝信君

   国務大臣         小此木八郎君

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (国家公務員制度担当)

   (規制改革担当)     河野 太郎君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    坂本 哲志君

   国務大臣

   (経済再生担当)     西村 康稔君

   国務大臣

   (マイナンバー制度担当) 平井 卓也君

   内閣府副大臣       岩井 茂樹君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    近藤 正春君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府参考人

   (内閣官房成長戦略会議事務局次長)        松浦 克巳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河村 直樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井上  肇君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       堀江 宏之君

   政府参考人

   (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  高田 陽介君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          合田 秀樹君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            柴崎 澄哉君

   政府参考人

   (人事院事務総局公平審査局長)          中山 隆志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   大塚 幸寛君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        嶋田 裕光君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 江島 一彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           志村 幸久君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           横幕 章人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 岩元 達弘君

   内閣委員会専門員     笠井 真一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十三日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     福田 達夫君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     池田 佳隆君

    ―――――――――――――

十一月十二日

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件(人事院勧告)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房成長戦略会議事務局次長松浦克巳君外十四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田統彦君。

吉田委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 官房長官の貴重な時間をいただいておりますので、質問に入らせていただきます。

 尊敬する加藤官房長官に、いろいろ聞きづらい話もあるんですが、少し事実関係を確認させてください。

 菅総理が官房長官であった昨年十二月の二日、アメリカの空母艦載機の着陸訓練、FCLPの移転候補地だった鹿児島県西之表市の馬毛島の地権者との間で買収の合意に至ったということを会見で明らかにされました。そこで、報道によりますところによりますと、十一月二十九日、地権者と買収価格約百六十億円で一定の合意に達したということでした。

 しかし、きのう発売の週刊誌の中で、この馬毛島の買収に関する疑惑というものが報じられておりまして、加藤官房長官のお名前も挙がっております。そこで、事実関係を加藤官房長官にお伺いいたします。

 記事によると、二〇一八年十月から十二月にかけて、議員会館で、リッチハーベスト社、リッチ社と面談をしたとありますが、これは事実でございますでしょうか。

加藤国務大臣 お尋ねのリッチハーベスト社は、私の知人、私の義理の父親のお世話になった方の知り合いの会社ということで、その方を介して面会の申入れがあり、お会いをしたということであります。

吉田委員 事実ということでございますが、そのときにリッチ社とこの馬毛島のお話はされましたでしょうか。

加藤国務大臣 馬毛島の話もありまして、自分たちとしてできる協力を国に対してしていきたい、こういうお話もあったというふうに承知をしております。

吉田委員 そうすると、この馬毛島の売買に関して、防衛省に加藤官房長官が当時何らかの口ききなどをしたこと、そういった事実はございますか。

加藤国務大臣 私から政府関係者に対して、こうしてくれとか要望とか要請とか、したことはございません。

吉田委員 それでは、過去にリッチ社あるいはリッチ社の関係者の方から献金を受けた、又はパーティー券の購入をしてもらったという事実はございますか。

加藤国務大臣 まず、献金を受けたという事実はございません。

 それから、パーティーについては、そうした関係がありましたので、その人が出席をしたときにはその方分の券は払っていただいていたというふうに思います。

吉田委員 ありがとうございました、しっかりとお答えいただきまして。

 パーティー券の御協力というか、御出席になられたということ、事実があったということですね。わかりました。

 この問題は、購入価格、いろいろ長い間の交渉がございましたですね。購入価格の評価が不当に高いのではないか、これは国の、もちろん国民の税金、血税でございますので、そういった疑問や疑義があるわけであります。こういった問題に関しても、今後も、立憲民主党としてもしっかりと究明をしてまいりたい、そのように思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、次の議題に入らせていただきます。

 私も、まだ今でも大学の教授などもさせていただいておりまして、研究者の末席におります。今、コロナでもよく名前が出るジョンズ・ホプキンス大学にも私は勤務しておりまして、ちょうど昨年度のノーベル医学・生理学賞を受賞されたドクター・セメンザと一緒に、私、共同研究を実はしておりまして、HIF―1というものでドクター・セメンザはノーベル賞をとっておりますが、実は私の書いた論文も受賞事由の中の業績の一つに入っております。

 そういった意味で、私も純粋に、一時期、学問の世界で生きておりました。今回のやはり学術会議の任命拒否、ゆゆしき事態と考えております。

 私が心配しているのは、例えば、サイエンス社、もう官房長官よく御存じだと思いますが、日本の新首相は日本学術会議との闘争を選んだという記事が掲載されています。学問の自由の侵害であるという研究者たちの主張を取り上げています。

 また、ネイチャー、これも一級誌でありますが、ここでは、ネイチャーが今こそ政治を取材しなければならない理由という記事を掲載しています。新型コロナのパンデミックという緊急事態の中で科学と政治の関係性がより重要になる一方、学術的な自治が脅かされていることを指摘されています。

 そこで、現状の学術会議の問題点の認識について伺いたいんですが、菅総理は、先月二十九日の衆参本会議で、学術会議の会員構成が旧帝大など一部の大学に偏っているなどと繰り返されました。しかし、任命拒否された六名に関しては、例えば、小沢教授の所属は東京慈恵会医科大学で、今回推薦された百五名のうちの一人だけでありました、この大学からは。既に我が党の今井委員や江田委員が予算委員会で実態を明らかにしたとおり、こうした指摘は当たらないと考えられます。

 また、別の角度から官房長官にお伺いしたいんですが、そもそも偏りがあることがなぜ問題なんでしょうか。

 ノーベル賞の受賞者も、アメリカだと、MITが多いですね、スタンフォードも多いです、そして、断トツでハーバードが実は歴史的に多いですね。日本国、我が国でもノーベル賞は、京都大学、東京大学、名古屋大学と、偏りが当然あります。当たり前じゃないかと思うんです、偏りがあることは。

 日本学術会議法第十一条によると、学術会議はすぐれた研究又は業績がある会員をもって組織するとされていますので、優秀な大学からより多くの会員が選ばれるのは当然だと思うんですが、偏りに関してそんなに問題になるんでしょうか、官房長官。

大塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 今その偏り云々というお話がございましたが、今回の個々人の任命の判断とは直結しないということを明らかにしながら、そうした偏りについての問題認識について、官房長官時代から持っていた懸念の一つとして説明をされたものというふうに承知をしております。

 一方で、あくまでも個々人の任命については、人事に関することであるため、お答えを差し控えるということも、総理、長官から累次答弁しておりまして、その上で……(吉田委員「そんなこと聞いていない。大体、官房長官に聞いているんだ」と呼ぶ)

木原委員長 御静粛にお願いいたします。

大塚政府参考人 総合的、俯瞰的からの活動を進めていただけるというところから、あくまでも専門分野の枠にとらわれない広い視野に立って活動を進めていただくという観点も持っておりまして、その観点に立って、任命権者である総理大臣が法律に基づいて……(吉田委員「ちょっと、委員長、私は指名していないし、約束と違う」と呼ぶ)

木原委員長 答弁中ですから、御静粛に願います。

大塚政府参考人 任命を行ったものでございます。

 以上でございます。

吉田委員 約束と違いますよ。官房長官に答えていただくとレクのときに約束しているじゃないですか、ちゃんと。絶対それはしないという約束であなたは参考人についているんだろう。約束違反ですよ、これは。さんざんそこは言ったじゃないですか。政府参考人からの答弁は求めない、官房長官の答えが聞きたいと言っている。

 偏りがあること、官房長官、問題ですか。官房長官がお答えください。二度と参考人は出ないでください。

加藤国務大臣 これは、これまでの、日本学術会議の今後の展望、有識者会議等々においても、例えば、会員、連携会員の構成に関して、性別、年齢、地域、所属等の観点におけるバランスを配慮し多様性を高めることも、組織全体としての柔軟性や普遍性を高める上で重要である、こうした意見も出されていたというふうには承知をしております。

吉田委員 わかりました。

 それでは、七日に共同通信が明らかにした話で、複数の政府関係者が、会員候補六名が安全保障政策などをめぐる政府方針への反対運動を先導する事態を懸念して任命を見送る判断をしたということを明らかにしていますが、官房長官、これが事実だとすると、任命拒否の理由は、大学の偏りではなくて、思想の偏りということになってしまいますが、いかがお考えになりますか。

加藤国務大臣 先日も申し上げましたけれども、マスコミ報道の一つ一つについて政府がコメントするのは差し控えたいと思いますが、本件に関しては、政府の方針への反対を理由として任命の判断を行ったものではないと、これまで総理もたびたび国会で答弁をされているところであります。

吉田委員 それでは、ちょっと視点を変えて、我が国の過去、学問に対して政治や軍事が強制的なかかわりを持つと、非常に不幸な出来事が起こっています。

 例えば、九州大学生体解剖事件。これは、当時の九州帝大、今の九州大学の医学部の外科において、アメリカ軍の捕虜に対して生体解剖を、被験者が生存状態で生体実験や解剖が行われた事実があります。これは九州帝国大学、組織としてかかわっていないという主張もありますが、ただ、B級戦犯裁判、主任教授、自分自身の責任だと言って自殺していますので。しかし、その後のB級戦犯の裁判等々で、やはり同大学医学部と軍部の両方による組織的な実行であったことを否定できないとする見解が有力であります。また、それは関係者の反倫理的行為の意図的な隠蔽、否認という事実からも裏づけられるとされています。

 また、軍部の主導ですが、七三一部隊。石井四郎軍医中将によって中心的に進められた。

 こういった、ちょっと時間がないので深くは申し上げませんが、このように、学問に対して政治、軍事がかかわることによって不幸な出来事が起こったという、過去の我が国の苦い経験がございます。だから、憲法上、殊さらに二十三条において、教育の自由と区別した学問の自由を定めて、学問、研究に対して国家からの自由を定めたわけであります。

 しかし、今回の学術会議の問題、このような我が国の苦い経験に逆行するおそれがあると考えます。このような歴史、重い歴史です、官房長官。顧みて、今回の措置が歴史に逆行する形になるとは思いませんでしょうか。官房長官の見解を伺います。

加藤国務大臣 今委員が挙げた事例については、課題はいろいろあったんだろうというふうに思いますけれども、一般論として、学問の自由ということでお話をさせていただきたいというふうに思います。

 旧憲法下において国家権力による学問の自由が圧迫されたことなどを踏まえ、現憲法においては、特に明文で、全ての国民に保障された基本的人権として学問の自由が規定されたものと承知をしております。この学問の自由の保障を含め、憲法の規定を遵守することは当然だというふうに考えております。

吉田委員 それはそうお答えになるんですが、私が聞きたいのは、この九州の生体解剖事件等々の過去の反省を踏まえて、今回の学術会議の問題をどうお考えになるか、学問の自由というものをどうお考えになるか。どう思われますか。過去、本当に大変なことが行われました。いっぱい列挙したいんですが、代表的なものだけ挙げましたが、それに関してどうお考えになりますか。

加藤国務大臣 ですから、今の九州帝大の件、これは学問の自由という側面もあると思いますが、多分それ以外の側面も当然あるんだというふうに思いますので、それ以外のところはちょっと学術問題とは直接絡まないので、学問の自由ということの観点からということで先ほど答弁をさせていただいたということであります。

吉田委員 わかりました。私の説明がちょっとわかりにくかったんだと思うんですが。

 つまり、学問と政治、学問と軍事、こういったもののかかわり方において戦前のようなことがあってはならないと考えるんですが、官房長官としてそれは同じ意見だと考えてよろしいですか。

加藤国務大臣 その戦前のというところをやはりきちっと整理をしないと、例えば、私ども政府はさまざまな助成を出させていただいております。これは文科省を通じてとか、これもかかわりといえばかかわりなんだろうと思いますけれども、それは、ある意味では、そうした学術研究を振興するというのが私どもの立場、そういう意味において、政治と学問というか、そういう関係もあるんだろうと思いますし、委員御指摘の、そうしたときにおいて、あるいはほかの事案もありますけれども、まさに学問の自由そのものと、今から思えばですね、今から振り返れば、その当時、学問の自由という観点からさまざまな課題があったということ、これも事実だというふうに思います。

吉田委員 学問の自由じゃなくて、私が戦前の問題と言ったのは、政治や軍部とのかかわり、つまり、政治や軍部が学問に強くかかわってしまうことによって方向性が悪い方にゆがめられたという話をしているんです。そういうことはあってはならないと官房長官もお考えですよねということを聞いているんです。

加藤国務大臣 ですから、そういうこととまとめられたところが、具体的にどういうことをおっしゃっておられるのか。かつての、我々が戦前における反省事項としていること、これはもう当然反省事項でありますから、当然我々はそれを踏まえて対応していく、これは当然のことだと思います。

吉田委員 また、ぜひこの議論は他の委員からもしていただきたいと思いますが、今回のような事例が引き起こす、そういったものがやはり戦前等の問題であったと私は思います。そこに関してはやはり慎重な御対応を今後もなさるべきであって、やはり国民の声や我々野党からの声も真摯にお受けとめいただいて、対応していただきたいと思います。

 それでは、少し消費税の話、時間がありませんので、させていただきたいと思います。

 自民党総裁選挙に先立って行われた立憲民主党の代表選挙においても、枝野代表は時限的な消費減税に言及しております。与党内でもそういう減税の話はあったと思いますが、菅総理のさまざまな発言から、そういった消費減税の熱が冷めているようにも見受けられます。

 対照的に、野党各党そして一般国民の中で、消費減税を熱望する声は高まっています。暫定的にでも消費税をゼロにするということによって、国民の消費には当然プラスになります。また、消費税は逆進性が大変強いので、所得の低い方々への支援にもなる。中小企業対策にももちろんなります。そして、以前から私がたびたび申し上げている、控除対象外消費税というのが医療機関にあります。ここに関して、やはり総合病院、今かなり病床稼働率が下がってしまって苦しいですよね、このままいくと潰れます。

 そういった意味でも、医療機関の支援にも当然なる中で、抜本的な景気対策として消費減税を検討するおつもりはございますか。

加藤国務大臣 これは国会で菅総理がたびたび答弁させていただいておりますように、消費税については、社会保障のために必要な財源である、そうしたことから、消費税率の引下げは考えていないということであります。

吉田委員 はっきり御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 では、次に、歳費に関してちょっとお話をさせていただきたいと思います。

 今、国会議員は二割返納させていただいていますし、大臣の皆さん、政務の皆さんはまた別途返納されているということは存じ上げておりますが、実際、国民の皆さんは相当厳しい状況に置かれています。

 私は、端的に申し上げれば、やはりもっと抜本的に、例えば、国会議員のことは国会でお決めくださいとおっしゃるでしょうから、まず政務につかれている皆さん、内閣総理大臣以下、大臣、副大臣、政務官の皆様が、まず率先して歳費半額程度を御返納いただいて、また、賞与全額、返納いただく。それを見て我々国会議員もしっかりと半分、同様のことをして、そうすると百億円ぐらい予算がとれますね。

 この百億円、やはり、コロナがしっかりとおさまっていくまでにコロナ対策としてしっかり充てていくというのは、非常に国民の皆さんからも理解されやすいし、やはり国会議員も、みずからの状況を、国民の皆様同様、苦しい状況に置きながら、貧すれば鈍するといいますので、困窮するような状態にしては当然いけませんが、この程度、やはり歳費半額そして賞与は全額返納して、コロナ対策、百億円を充てていくんだ、そういった姿勢が、私は国民の皆様に見せるべきものじゃないかと思うんです。

 その中で、どうでしょう、内閣として、さらなる歳費そして賞与の返納、私が申し上げたように、半分程度、賞与は全額、こういったことをするおつもりはありませんか。

加藤国務大臣 まず、菅内閣においては、前内閣と同様、行財政改革を引き続き着実に推進する観点から、月額給与と期末手当、これは全額、ですから、歳費としていただいているものも、それを全て対象としながら、内閣総理大臣については三割、国務大臣、副大臣に当たっては二割、大臣政務官にあっては一割、これは既に国庫に納付する措置をとり、更に加えて、国会議員については本年五月から歳費月額の減額が行われており、内閣総理大臣及び国務大臣も当然国会議員でありますから、そういう対応をされているということであります。

 したがって、かなりの割合は返済をされているということになります。それ以上の要否ということになると、まさに私どもの歳費の部分に係るものがかなりの部分でございます。今後の国会での御議論を踏まえて、適切に対応していきたいというふうに思います。

吉田委員 大臣おっしゃったことは、もちろん、当然わかって先ほど申し上げたように質問しております。なので、国会議員ではなくて、まず私は、それだとなかなか国民の皆さんの理解が得づらいんじゃないかなという話をしているんです。

 ですから、国会議員の身分に関しては国会で議論するんですが、内閣として、総理以下、今返納していただいている部分はわかりました。しかし、かなりの部分という官房長官のおっしゃりようが国民には響かない、国民はかなりとは思わないと思うんです。なので、もう一つ踏み込んで、しっかりと半分程度月々のものは返す、そして賞与は全額返納する、こういったことを内閣総理大臣以下政務三役全員で率先してやっていただきたいと私は申し上げているんですが、そこに関してお願いします。

加藤国務大臣 ですから、今までかなりやって減らしていただいている。それから、これから更におっしゃる点になると、まさに国会議員としての歳費部分ということにもかなりなってくるわけでありますから、そうなってくれば、これは国会議員全体としての歳費をどうするかということでありますから、国会において、国民の代表たる国会議員の方々の審議を通じて議論していただく、こういう課題だというふうに認識をしております。

吉田委員 それはもちろんおっしゃるとおりわかるんですが、なので、全国会議員がという議論にしたいので、そういうことを率先して提案していただきたいということもございます。

 官房長官、お忙しいと思いますので、ここで結構でございます。ありがとうございます。

 次に、郵便事故とかそういった理由によって特別給付金が不支給である場合に関して、ちょっとお伺いしたいんです。

 要は、コロナ対策とされた特別定額給付金ですが、これに関して、これは政府参考人にお伺いしますが、実際、手元に届いていない、希望して申し込んだけれども手元に届いていない方というのがまれにいらっしゃるんです。それは郵便事故か何かそういったものだと思うんですけれども、それに関して、今だと、現状全てシャットアウトされてしまうんですが、趣旨としては、希望される方全員にお届けするというのが多分今回の政策の趣旨だと思いますので、例えば二次的な、何らかの事由がある場合に関しては二次的な申立てができるとか、そういったことが必要じゃないかと思うんです。

 郵便事故、絶対ゼロとは言えないとやはり政府の方はおっしゃっていました。それに関して、ちょっと御意見を賜りたい。これは政府参考人の方で結構です。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 総務省及び給付事業の実施主体であります市区町村では、期限内の申請が必要であることなどにつきましてメディアを通じて広報を行うことはもとより、給付を希望する方に申請期限までに確実に申請を行っていただけるよう、未申請の方へ個別に申請勧奨のはがきを送付するなど、さまざまな手段で周知を図ってきたところでございます。

 御指摘の、申請書が市区町村に提出されていない場合につきまして、その原因はさまざまなものが考えられると思います。

 市区町村側としましては、今回の特別定額給付金の場合に限らず、申請書が実際に到達したか否かで申請の有無を判断し、給付手続を行わざるを得ないということでございます。

 その上で、提出した申請書が相手方に届いていないと考える場合には、一般的に、郵便局に調査を依頼するなどし、届かなかった原因が明らかになれば、その原因に応じて、民法などの法令に基づき、民事上の責任について原因者との間で協議していただくことになるというふうに考えております。

吉田委員 それは聞いているとおりなんですが、ただ、郵便局は対応できないという御返答でしたので、その答弁ではちょっと困るんです。

 ですから、やはり二次的な申立ての窓口をつくってあげないと、本当に必要な方のもとに届いていないということは絶対あるんですよ。何でも一〇〇%はないですから、郵便事故は絶対ありますし、何らかの手続上の瑕疵でお手元に振り込まれなかったということはありますので、ちょっと時間がないのできょうはこの程度にしますが、ここをしっかり、二次的な申立ての窓口をつくってください。

 それでは、西村大臣に来ていただいていますので、一問、簡潔に伺います。

 GoToトラベルで、先日、加藤官房長官が十一月十日午後の記者会見で、九日までに百三十一人、GoToトラベル利用者のコロナウイルス感染が見つかったと。

 GoToキャンペーンをやられるんだったら、やはり、旅行前に抗原とか抗体検査とか、一定程度、感染履歴やそういったものが把握できるようなものを義務づけて、それとセットでやられると、これはビッグデータにしたりすることもできるんですよね。

 感染履歴の確認や行動パターン、いろいろなことで非常に有益だと私は思うんですが、西村大臣、こういったことを第三波に備えて、今、第三波はもう来ておりますが、GoToキャンペーンを続けられるんだったら、こういうことは必要だと思いますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

西村国務大臣 お答えを申し上げます。

 GoToトラベル事業、参加をされる方は、事前に検温、体調の確認、それからあわせて、その後のツアーの中でも、換気、消毒、三密の回避など、事業者も旅行される方も、感染防止策を徹底した上で事業を実施しているということで、今、数字の御紹介がありましたけれども、十一月十日までで百三十七名の感染者が、報告があったと聞いております。利用された方は三千百三十八万人ということでありますので、この数字にとどまっているということと、こうした方から現地で、何か旅館やホテルあるいは観光施設で感染が拡大したという報告は受けておりません。

 ということで、こうした実情を踏まえれば、現時点でGoToトラベルを利用する旅行者に対して検査の受診を義務づけることは考えておりませんけれども、引き続き、マスク着用、三密回避など基本的な感染防止策を徹底していただくということと同時に、何より体調の悪い方は旅行への参加を控えていただいて、むしろ、そういう方は検査を受けてもらうということが大事だと考えております。

 いずれにしても、感染拡大防止と経済活動、社会活動との両立を図っていければと考えているところです。

吉田委員 ありがとうございます。

 ただ、無症候者、熱、大臣、本当に聡明な方なのでわかっていらっしゃると思いますけれども、無症候者が広げているんですよね、やはり感染を、今、明らかに若い方の。ですから、熱とか体調管理だけじゃ不十分だと私は申し上げているんです。ですから、そこは検討をぜひしていただいて。

 もうこれ以上、お忙しいので、御答弁は求めませんが、ぜひそういったことも考慮していただいて、またしっかりとした対応をやっていただければと思います。

 西村大臣、私はもうこれで質問は終わりですので、もしお忙しければ御退席いただければと思います。

 それでは、坂本大臣、少しお時間をいただいて、質問をさせていただきたいと思います。不妊治療ですね。

 菅総理は、十月二十六の所信表明演説でも、「所得制限を撤廃し、不妊治療への保険適用を早急に実現します。それまでの間、現在の助成措置を大幅に拡大してまいります。」と述べられています。

 不妊治療といってもさまざまなものなんです。現在検討されている不妊治療の保険適用というのは、体外受精の保険適用を含むものでしょうか。そうすると、ほとんど全ての不妊治療、医療が含まれることになります。また、男性不妊に関してもコメントされていますが、これに関しても含まれますか。端的にお答えください。

坂本国務大臣 子供の数に関する希望がかなわない理由として、欲しいけれどもできないからということを挙げられる方が二割に達しております。不妊に悩む方への支援を通じてこの希望をかなえていくことが重要だと考えております。

 少子化社会対策大綱では、不妊治療への支援につきまして、実態把握を行った上で、広く医療保険の適用を検討し、支援を拡充すること、それから、不妊治療と仕事の両立のための職場環境の整備を推進することなどを盛り込んでいるところでございますので、不妊治療への支援を求める切実な声が多くある中で、不妊治療に係る経済的負担を軽減するため、現在、厚生労働省におきまして、実態調査の実施を含め、早急な保険適用の実現に向けて検討が進められているものと承知をしております。

 その際、御指摘の体外受精、言葉には出てきませんでしたけれども、顕微授精、男性の不妊治療も検討の対象になっているものというふうに認識をしております。

 また、保険適用までの間も、現在の助成措置を大幅に拡大すべく検討が進められているものというふうに承知をしているところであります。

吉田委員 ありがとうございます。大臣、端的で結構ですので、最後のところだけで。

 じゃ、もう一つ聞きます。

 現在、与野党間で生殖補助医療についての議員立法の検討が進められています。その中で問題になるのは、代理懐胎、いわゆる代理母出産の問題です。この代理母出産についても、全部又は一部が保険適用の範囲に含まれるのか、見解をお伺いします。

坂本国務大臣 代理母を含む代理懐胎の問題は、生命倫理や家族のあり方などにかかわる難しい問題であるというふうに認識をしております。

 平成十三年から十五年にかけまして、厚生労働省におきまして、精子、卵子、胚の提供等による生殖補助医療制度の整備について検討が行われ、その中で、代理懐胎についてはこれを禁止すべきとの結論が示されていると承知をしております。

 現在、与野党間で、生殖補助医療に関する立法化の議論が行われているものというふうに承知をしており、国会における議論の動向を注視してまいりたいというふうに思っているところでもあります。

吉田委員 ありがとうございます。

 大臣、禁止はされていないですよ、今、別に、法的に。ドイツは禁止されていますけれども。そこもよく御議論を今回のところと含めてやっていただければ。

 もう終わりますけれども、最後にお願いだけ。

 出産育児一時金、四十二万では全く足りません。

 実は私、計算したんですが、二〇一五年は四十二万の支給でした。今、生まれてくる子供、二〇一九年は十四万人実は減ってしまっているので、仮に二〇一九年に五十万支給したとしても、当時の予算と百億円しか変わらないんです、残念ながら子供が減ってしまっておりますので。ですので、出産育児一時金、現実的に、当時と今の状況を比べるとそう大きな負担とならずに実行できる政策であると思いますので、ぜひ頑張っていただきたいとお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、藤原崇君。

藤原委員 自由民主党の衆議院議員の藤原崇でございます。

 本日は、私の方から二十分ということで御質問をさせていただきます。

 私の方からは、規制改革に関連して、特に法務省の関係の手続についてお尋ねをしていきたいと思います。

 我が国は、かつて、会社をつくるというのが非常に書面等の手続が大変であったわけですが、やはりそういう中で何とかしなければいけないということで、今から三年ほど前、二〇一七年の九月に、法人設立のしやすさをどう改善していくか、そういうような検討会でさまざまな議論がされました。

 その結果、法人代表者印の届出について、これについて、今般、印鑑、押印を廃止するというのは今非常に議論になっておりますが、令和三年の二月からこれは任意化するということとなりました。

 しかしながら、その一方で、本年の一月二十日からは、既に国税や地方税、年金、雇用保険などの手続は全てワンストップ化が図られております。なぜ、この法務省所管部分だけ令和三年二月、ここまで実施がずれ込むのか、この理由についてお伺いいたします。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 令和元年六月二十一日に閣議決定された成長戦略フォローアップにおきまして、二〇二一年二月目途で設立登記における印鑑届出の任意化を開始するとされたところでございまして、令和二年七月十七日に閣議決定された成長戦略フォローアップにおきましても同内容とされたところでございます。

 これらの閣議決定に基づきまして、印鑑届出の任意化を実現するためには、商業登記法とそれに関連する省令や、今までの印鑑を届け出ることを前提にした通達等の運用体制を抜本的に見直す必要があり、また、これとあわせて、商業登記電子証明書のオンライン請求を実現するためのシステム改修を行う必要があることから、これらの作業に要する期間を見込み、令和三年二月目途とされたものでございます。

 法務省民事局といたしましては、これまで、昨年十二月の商業登記法改正に引き続き、制度面の準備を行うとともに、必要な予算を確保した上で、システム面の準備を行っているところでございます。

 現在、商業登記法の改正を踏まえた省令の改正や通達の発出の準備を行っており、今後予定されているパブリックコメントの手続や改正内容の周知期間などを踏まえますと、現段階で施行日を前倒しすることは困難な状況でございますが、引き続き、法人設立の登記手続が申請人にとって利便性の高いものとなるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。

藤原委員 それぞれのロードマップにおいて令和三年二月というふうに決まったということなんですが、これは、いろいろなところから伺いますと、早くやってくれという声がいろいろあったんだけれども、法務省はシステムの関係でできないというような形で、最終的に令和三年二月ということで決まったということだと思っているんですね。

 今ちらっとお話しした、システムの改修というお話がありました。

 やはりこういうところが結局ネックになっていると思うんですが、法務省さん、伺いますと、システムの大幅更新を五年に一度やっていて、やはりそれに合わせてやろうということでこれくらい時間がおくれたというふうなことも聞いているんですが、今後、戸籍制度もそうですけれども、いろいろなところでシステム改修を求められることはふえてくると思うんですが、今みたいに、じゃ、五年に一度のときにやりましょうとか、ほかのシステム改修があるので、これは一年、二年、余裕でかかります、これではなかなかタイムリーにできないと思うんですが、適時に対応を行うためには、このシステム改修を迅速に行う、そういうような予算体制、そういう体制を組む必要があると考えるんですが、いかがでしょうか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、近時、民事基本法等の法令改正が頻繁に行われておりますので、それらの施行に必要となるシステムの改修につきましては、所要の予算を確保した上で遅滞なく行う必要があるものと考えております。

 今後も、昨年十二月に成立した改正会社法への対応を始めといたしまして、システム改修を行う必要がございますが、法務省といたしましては、所管法令の改正の立案に当たり、それに伴うシステムへの影響等の検討も並行して効率的に行うことなどにより、必要となるシステム改修がおくれることのないよう、予算面も含め、迅速な対応に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

藤原委員 これは意見として申し上げますけれども、まさしく二〇一七年から検討会で準備をして、本年の一月からは国税、地方税、年金、雇用保険、これはワンストップ化が図られているんですね。つまり、財務省、総務省、厚労省、こういうところは、もちろん、システムの改修の内容とかが違うわけですけれども、できているわけなんですよね。そういう中で、なぜ法務省だけ令和三年二月か。もちろん、法案改正が必要だということもありますけれども、法案を改正してからも一年以上かかっているわけなんですよね。

 やはりそういうところはこれからスピード感を持って対応していかないと、特に、戸籍なんかは、今、振り仮名を振るとかという話もありますけれども、それはまさしく全ての基幹になりますから、それが三年おくれます、四年おくれますでは全部おくれてしまう。そういう意味で、ぜひスピード感を持ってお願いをしたいと思っております。

 そして、次に、公証人制度についてお伺いをします。

 公証人というのは、全国にいらっしゃる、公証人役場にいらっしゃる方々で、定款の認証であるとか、さまざまな公証業務を行っております。公の認証ということになります。

 私、この後申し上げますが、そもそものこの公証の面前確認というところに問題があるというふうに思っているんですが、ただ、その一方で、現在、定款認証については、オンラインで面前で確認を行っているということになります。

 今後、民法改正により、第三者保証を行う場合についても公証人の関与が必要になるということになっております。

 さらに、今、コロナでこういう状況があります。そういう状況であれば、定款の認証以外の公証であっても、オンラインを活用して認証業務をやっていくということ、これは考えられるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 事業のために負担した貸金等債務を保証する保証契約につきまして、保証人となろうとする者が保証契約に係るリスクを十分に自覚せずに安易に保証人になることを防止するため、公的機関である公証人が保証意思を事前に確認した上で、保証意思宣明公正証書を作成することが要件とされているところでございます。

 このような保証意思宣明公正証書を含む公正証書の作成に関してオンラインを活用する方策につきましては、オンラインによって嘱託人の意思を十分に確認することができるかといった課題について、私的法律関係の明確化、安定化を図り、私的紛争を予防するという公証制度の趣旨を踏まえ、慎重に検討する必要があると考えているところでございます。

 いずれにしましても、オンラインの活用を含めた公証制度全体のIT化につきましては、社会におけるデジタル技術の進展や普及の状況等を踏まえつつ、必要な検討をしてまいりたいと考えているところでございます。

藤原委員 慎重にということで、なかなか難しいというお話でありました。

 これは、非常に私としては納得がいかないのは、なぜ定款の認証はオンラインでできて、私法上の行為ができないのかというところは、今、保証意思がどうこうとか、いろいろなお話をしましたけれども、じゃ、実際、今それを面前で見抜けているのかという問題にもなるわけなんですよね。二〇一八年に地面師の事件なんかがありまして、これは、公証人がしっかりと公証をして、元裁判所長の公証人が面前で書類をチェックしたけれども、結局、不正に気づかなかった、こういうこともあるわけなんですよね。もちろん、それはケース、ケースなんですけれども。

 やはりこれから時代が変わってくる中で、本当にできないのか、それは工夫してできるんじゃないのかということは、どんどんどんどん考えていくことが必要であろうというふうに思っております。

 そして、オンラインで定款以外の公証という話は別にして、そもそもの定款の認証制度、これは、会社をつくるときには定款を定めなければいけない。これは会社法上だったと思いますが、その定款については、公証人のところに行って面前で認証してもらわなければいけない、今はオンラインも一部できますけれども。これが、費用は大体五万円ぐらい、一律でかかるということになっております。

 これについては、二〇一七年九月の、先ほど言った内閣府の検討会において、簡素的にできるんじゃないかということで大分検討されたんですが、この面前確認制度自体は維持をされました。これについては、新聞報道等によりますと、八人の委員全員が面前確認の廃止で一致したが、同省は、負の側面が懸念されると譲らなかったということでございます。

 この面前確認によって不正な起業を防止できた事例、こういう事例というのは法務省は把握しているんでしょうか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 株式会社などの法人の設立に際して、公証人が設立の適法性を審査する定款認証手続の意義は、成り済ましや違法な目的での法人設立を予防するところにあるところでございますが、事柄の性質上、予防することができた事例を網羅的に把握することは困難であると考えております。

 他方で、法務省としては、実務に当たっている公証人からのヒアリングを行うことなどにより、定款認証時に不正が疑われた事例があったことは承知しており、定款認証手続の意義は一定程度機能しているものと認識しておりますが、引き続き、このような事例の集積や分析など、定款認証手続の実効性向上の参考となる情報の収集に努めてまいりたいと考えているところでございます。

藤原委員 事柄の性質上、把握はしていない、困難という言い方だったんですが、結局、データとしてはないということなんですよね。ただ何となく、ヒアリングをしたら、そういう事例は聞いたことがあるということであります。やはり、これではなかなか厳しいんだと思うところがあります。正直、そういうようなお話だったから、内閣府の検討会でも、八人全員一致で、これはちょっと変えた方がいいんじゃないのということになったんだろうというふうに思います。

 実際、この定款認証の手続自体は、企業の発起人というか代表者になる方ではなくて、その代理人の方でもいいわけですので、そもそも、代理人に確認をしたとしても本当にわかるのかというのは、これはずっと言われているところでありました。

 そういう中で、負の側面が懸念されると言いつつも、じゃ、それはエビデンスがあるのかというと、これはエビデンスがないわけなんですよね。これは、事柄の性質上、数字にするのが難しいという御説明でしたけれども。だけれども、やはりこれは、全国の会社をつくるときに全部かかってくるんですよね。

 やはりそういう障害を一つ一つスムーズに、もし必要がない規制であればスムーズにしていかなければいけないので、そういうのをなかなか、抽象的な、負の側面が懸念されるとか、何か公証人が疑われたケースがあったということは聞いているとか、それくらいの理由では、なかなかこの制度を維持するのは厳しくなってきているというふうに思います。

 特に、定款認証につきましては、日商などの経済団体から、費用の低廉化についても申入れが、要望が出されております。北海道でつくっても、東京でつくっても、沖縄でつくっても五万円、これはやはりちょっと、本当にコスト的にそうなのかなということもあります。そして、この定款認証制度自体が時代に合わない、そういう側面も出てきていると思います。

 その大幅な簡素化と費用の低廉化が必要ではないかと考えておりますが、法務省としてはいかがでしょうか。

堂薗政府参考人 お答えいたします。

 定款認証は、株式会社の設立手続の適正さを担保し、我が国における経済活動を支える法的インフラとしての株式会社制度の信用力を維持するという重要な機能を果たしていると考えているところでございますが、御指摘のとおり、時代に合わせて、定款認証制度がよりよい制度となるよう検討することは重要であるというふうに認識しております。

 このような観点から、例えば、近時、マネーロンダリングやテロ資金対策の国際基準を策定している政府間会合であるFATFの勧告を踏まえまして、平成三十年十一月から、定款認証を行う際に、株式会社等の実質的支配者となるべき者を申告させる制度を導入するなど、現代的な課題にも対応する取組を行っているところでございます。

 また、定款認証手続の利便性向上及び事業者コストの削減の観点から、平成三十一年三月からは、テレビ電話による定款認証が可能となる措置を講じたほか、令和三年二月を目途に、定款認証及び設立登記のオンライン同時申請を対象として二十四時間以内に設立登記が完了することを目指す取組を進めているところでございます。

 法務省としては、今後も、定款認証制度について、時代に合わせた必要な見直しに努めてまいりたいと考えているところでございます。

藤原委員 いろいろなことをやっております、そしてFATFでも一定の評価を得ていますということなんですが、大事なことは、適時に正確な企業情報にしっかりアクセスできるということだと思うんですよね。

 公証制度というのは、入り口のその最初だけ。じゃ、一年後はどうなっているかというのは、これはもう公証制度とは全く関係がないことになってくるので、果たして本当にそれでしっかりマネロン対策等で役立つのかというのもあります。

 あるいは、昨年の六月の読売新聞の記事によれば、確かに実質的経営者が暴力団関係者かどうかを公証人が審査する仕組みを導入するということで規則の改正をしたんですが、東京都内で公証人につく元検事正は、暴力団が起業したとしても組員を経営者に置くわけがなく、見抜くのは難しいということで、そこはなかなか、形としては実効性があるような形をとっているところもあるんですが、じゃ、実際、それで本当に見抜けるのというと、厳しい。

 更に言うと、北海道で五万、東京で五万、沖縄で五万、コストは絶対違うはずなんですよ。なぜ全部一律なんだ、全国。やはりこういうところに、むしろ負担軽減というのであれば、取り組んでいかなければいけない。

 これは、法務省として、非常に、今まで長年続けていた制度です。そこを大きく変えていくというのは、法務省としてはなかなか難しいかもしれないんですが、やはりそれは時代に合わせて変えていかないと、これは、国民の皆さんの支持を失えば、大きく、また違う変革が来るんだろうというふうに思っております。ただ、やはり今お話があったとおり、前向きなお話ではなかったと思っております。

 そこで、本日、規制改革の担当大臣ということで、河野大臣にわざわざお越しをいただきました。本当にありがとうございます。

 公証人の制度全般もそうですが、この定款認証制度に関して改革が必要であるというふうに考えておりますが、規制改革を所管する河野大臣の見解をお聞かせいただければと思います。

河野国務大臣 今お話がありましたこの定款の認証制度につきましては、縦割り一一〇番にも多数の意見が寄せられておりますので、規制改革部門として、これはしっかり取り上げて、見ていかなければいかぬというふうに思っているところでございます。

藤原委員 ありがとうございます。

 縦割り一一〇番で多数ということで、やはり多くの国民の皆様からそういう声が出ているということは非常に大事なことだろうというふうに思っております。

 内輪でどういう制度とするかということではなくて、国民の皆さんにとって使いやすい、ああ、いいね、この制度、やはりそういう制度にしていくということが本当に必要であるというふうに思っております。そういう意味で、法務省さんには、内閣府、規制改革部局としっかり協力をして、ぜひともいい制度をつくっていただきたいというふうに思っております。

 法務省の皆さんのお仕事というのは、地味なんですが、さまざまな社会インフラ、あるいは、企業で活動していく中でも、実は、縁の下の力持ちということで非常に重要な役割を果たしております。ぜひスピード感を持った対応をお願いを申し上げまして、また、河野大臣にも、この分野を含め、さまざまな分野で御活躍をいただくことをお願いを申し上げまして、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、早稲田夕季君。

早稲田委員 おはようございます。立憲民主党の早稲田夕季でございます。

 それでは、通告に従いまして、順次質問させていただきます。

 まず、カジノを含むIRについてであります。

 私たちも、立憲民主党神奈川県連として全面的に協力をし、そして、カジノの是非を決めるのは市民だ、市長が決めるのでも国が決めるのでもないということで、住民投票を求める署名活動を行ってまいりました。そして、十一月四日が最終日でありまして、実は、本日、横浜市内全区で選管にこの署名簿を提出をさせていただく運びとなっています。

 その中で、昨日の二十三時時点でございますが、カジノの是非を決める横浜市民の会の方から御連絡をいただきました数字で二十万五千七百二筆、そして更に上積みがされるだろうという署名の数字をいただきました。これは大変大きな、市民の方々が、勝手に決めるな、自分たちの町のことは自分たちで決めたいんだというあらわれだと思います。

 その中で、これだけ多くの、カジノについて市民の方々が異論を申し上げている、勝手に決めないでくれということですけれども、ほとんどが反対です。私も署名活動で町に立ち、これだけはやめてほしいと、これは自民党、公明党の支持層の方でもそうおっしゃっています。これだけはだめなんですと。それだけ思いが強い、カジノの誘致反対という思いを私は実感をしてまいりました。

 そこで、カジノを推進する立場の担当副大臣から伺いたいと思います。これについて、この市民の民意についてどのような見解をお持ちか、お聞かせください。

岩井副大臣 早稲田委員にお答えをいたします。

 まず、IRに関する個別の自治体の状況につきまして、国としてはコメントすることは差し控えさせていただきますが、IR整備法に基づきまして区域整備計画の認定を申請されるかどうかは地方自治体が決めるべきことでございまして、国は、申請された計画について、まずは審査をしていくという立場でございます。

 ちなみに、その区域整備計画でございますが、IR整備法におきましては、区域整備計画の認定を申請しようとする自治体は、地域における合意を形成するために、例えば公聴会の開催や議会の議決など、さまざまな手続を行うことがまずは義務づけられておりまして、このような手続を通しまして、地域における理解の上で計画が提出されるものと私どもは認識しているところでございます。

早稲田委員 それでは、横浜市生まれで、そして横浜市の選出大臣として、また、カジノ管理委員会を所管する小此木大臣にも、このことについて、民意はカジノ誘致には反対ですということが非常に大きいんだということについての所見をお伺いいたします。

小此木国務大臣 早稲田委員の今のお話は、私も横浜選出の議員として認識をしております。

 しかし、今、私はカジノ管理委員会を担当する大臣としてでありますが、衆議院議員としては国会で賛成の表明をして携わってまいりましたが、今、カジノ管理委員会、これを担当する大臣としての仕事がございますので、直接的なお話がありませんけれども、その委員会の担当をしっかりとさせていただきたいと思います。

早稲田委員 残念な御答弁ですね。

 林文子市長も、もしこの住民投票でIR反対が多数であれば、尊重し、誘致を撤回する意向を示しておられます。私ども立憲民主党では、野党としてカジノ廃止法案も出しております。

 また、更に申し上げれば、コロナ禍以前の事業なんですね、このカジノ、IRの整備計画の事業は。そして、今はまさにコロナの真っ最中でありまして、昨日も最大の感染者となりました。その中でこのカジノ事業自体が、インバウンドを見込んでの事業でありますから、もう成り立たないのではないかということはずっと言われております。

 また、実際に、横浜市それから大阪の方で名乗りを上げていた米国の事業者も撤退をいたしました。そして、世界じゅうで今、カジノができないということで、事業が撤退をしているところが大変多くなっています。さらに、担当副大臣であられた議員が逮捕をされ、起訴をされるという問題もあり、基本方針をおくらせてまでこの修正案を出さなければならない状態でした。

 つまり、ポストコロナ、そしてウイズコロナの時代にカジノは要らないということです。ポストカジノです。このことは、神奈川選出の小此木大臣はどなたよりも御存じであろうと思います。これだけの民意を皆さんがおっしゃっていますから。

 そして、カジノ管理委員会、四十億円の予算でことし運営をされてまいりましたけれども、事務局の方々も仕事はあったんでしょうかね。大変そこを私は心配しています。

 しかも、コロナ対策本部は人が足りなくてしようがないんです。百人もの事務局の方をここに張りつけておく必要があったのかどうか、またこれはこれからも検証していかなければならないと思っていますけれども、とにかく、小此木大臣には、このカジノ管理委員会を所管する立場ではありますけれども、予算としても、カジノ管理委員会に人を張りつけておく必要があるのかどうか。そして、これを進める立場といっても、もう進めても十年後が読めない時代なのに、こんなことをしていては非常に予算の無駄遣いだと私は思います。

 コロナの対策本部にきちんと異動させて、そちらでみんなで、コロナの終息のために、経済回復のために一丸となってやっていくべきではないでしょうか。

 大臣にもう一度御答弁願います。

小此木国務大臣 早稲田委員のお話はきちんと理解をしておりますけれども、コロナ対策は私の所管ではありませんが、しかし、内閣一体として、この対策、終息に向けての活動、これは思いと一緒に進めております。

 今後も、それはそれとして、皆さんの御意見や、あるいは批判もあるかもしれませんが、そういったことを受けとめながらこの対策は進めていくべきものと思っています。

 一方で、その状況の中でも、カジノ管理委員会そのものは本年一月七日に設置をされたものでありまして、今のお話はそれ以降の、このコロナという困難を迎えての話の中でのお話だと思いますが、九月の十六日に新しい内閣が発足をいたしまして、その内閣でも、IRは我が国が観光先進国となる上で重要な取組であると考えており、今後もIR整備法などに基づき必要な手続を進めていく方針であるということが確認され、このことから、カジノ管理委員会の運営に必要な予算を委員御指摘のように振りかえるべきではない、こういうふうに思っています。

 健全なカジノ事業の運営の確保を図るとの責務を負う行政機関として、カジノ事業の規制、監督を実施をするという責務を果たしてまいりたいと存じます。

早稲田委員 いえ、設置をされたのが一月七日ということで、コロナ前だったとおっしゃっても、もうそこは社会が変わりましたから。とにかく、エンタメそれから全てのイベントができなくなるような状況で、箱物、カジノは要らないんです。今、オンラインゲーム、そしてオンラインカジノもすごい急増しております。

 こうしたことも含めて見れば、わざわざ箱物をつくって、そしてカジノをやる、しかも賭博ですから、賭博の、人の負けたお金で経済再生とか経済活性化とか、私はあり得ないと思っています。そういう強い思いを持っている方がこれだけ、二十万人もいらっしゃるということも大臣としてはしっかり受けとめていただいて、民意を尊重をしていただけるように強くお願いをいたしまして、次の質問に移りたいと思います。

 子ども・子育て政策を先にやらせていただきます。

 規制改革担当大臣として、河野大臣に伺いたいと思います。

 判こ廃止ではないんですけれども、押印廃止、これについてのツイッターを河野大臣が上げられました。これはいろいろ記者会見でも述べておられるのを私も承知をしておりますが、河野大臣の地元である神奈川県で、印章業の方がこのツイッターをどのような思いで見られたか、そしてその影響はどうか、河野大臣の御認識を伺います。

河野国務大臣 先日、鎌倉の判こ屋さんからも判こを頂戴をいたしましたが、認め印が要らないという改革には御賛同いただいております。

 皆さん、判こ文化を引き続き伝承するために頑張っていらっしゃると認識しております。

早稲田委員 押印をなくしていく、行政でたくさん印鑑ばかりをついている行政文書をなるべく簡略化するんだというその気持ちは、私も方針は理解をいたしますし、印章業の方もそのことはわかっていらっしゃいます。でも、実際今その河野大臣のツイートでどのようなことが起こったかといいますと、実は、国が判こ廃止と言っているだろう、何でおまえは店をやっているんだ、それから、判こ屋さんかわいそうね、そういうふうに言われているそうです。

 やはり私は、規制改革、行政改革をする場合にでも、そこでなりわいとしている、業としている方がいらっしゃる限り、そこは最大限の配慮をすべきだと思います。そして、その方たちが苦しい状況に置かれないように、最大限の配慮をして支援をしていただきたいと思います。そして、いろいろ押印を廃止する場面が出てくるのかもしれませんが、やはり人生の節目、婚姻であるとか出生であるとか、そういうようなときに判こを押すということの行為を国民の方が望むのであれば、排除をしないでいただきたい、そのことを強く申し上げたいと思いますが、このような風評被害をなくすためにも、河野大臣にはしっかりとやっていただきたいと思いますが、最後にもう一度お願いいたします。

河野国務大臣 一万五千ありました国の行政手続の中で、八十三を除いて全て、認め印でございますが、廃止をいたします。残された八十三につきましては、印鑑証明が必要なもの、あるいは銀行への登録印、そうしたものに限ることになります。

早稲田委員 もう少し、なりわいとしている方に配慮をしていただくように、これからもツイート等々をしっかりと御自身でお考えをいただきたいと私からは申し上げておきたいと思います。

 それでは、子ども・子育て政策の中で、児童手当の特例給付の縮減、廃止についての報道がございました。お手元の配付資料をごらんいただきたいと思います。

 坂本大臣、端的に伺いますが、来年の通常国会でこの廃止法案を出すおつもりでしょうか。

坂本国務大臣 児童手当につきましては、家庭等の生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的としていますが、その中で、いろいろな考え方がございます。

 多子世帯や子供の年齢に応じた給付を求める御意見、これは拡充でございます。一方で、社会状況が変化してきている中で、世帯合算の導入や特例給付のあり方の見直しを求める意見もございます。これが重点化でございます。

 それを踏まえまして、少子化社会対策大綱におきまして、給付のあり方というものを検討することにしております。

 いずれにいたしましても、財源確保の具体的な方策とあわせまして、子供の数や所得水準に応じた効果的な給付のあり方を検討すると大綱では明記されておりますので、総合的に検討を行ってまいりたいと思います。

 具体的な見直し内容や見直しの時期が決まっているものではありません。現時点ではお答えすることはできないということになります。

早稲田委員 見直しの時期は決まっていないということですけれども、今予算編成の段階ですから、これは大変大きな問題です。

 しかも、私がこの質問をするに当たり担当の方たちがいらっしゃいましたけれども、全く、まあ、検討はずっとしてきた、検討はずっとしてきたけれども、こんな記事のようなことはないんです、一切そういうことが会議体で話されていることはないとおっしゃいました。

 この特例給付は、お手元の配付資料の一枚目の裏、注書きにあるように、三党合意に基づくもので、民主党政権のときに世界の標準としてつくった所得制限なしの子ども手当の理念を曲がりなりにもこれまで継承してきた、いわば制度の肝であります。そして、子供たちは、次世代を担う子供たち、社会で育てるという大きな理念のもとでこれをやってきたはずではないでしょうか。

 廃止した場合、子育て世帯の四世帯に一世帯、つまり四分の一ですね、その方たちの家計収入が子供二人なら年間十二万円も減るという試算も言われています。それだけ非常に影響の大きいものです。

 会議体で話さないで、そして突然降って湧いたような事態をこうやって新聞に載せるというのは、非常にフェアじゃないと思います。コロナ禍で子育て世帯の負担をふやす廃止など論外ではないかと私は考えています。

 それでは、これまで会議体では会議をしていないと担当官僚の方はおっしゃいましたけれども、議論してきたんですか。伺います。

坂本国務大臣 先ほども言いましたけれども、児童手当のあり方の検討につきましては、少子化社会対策大綱におきまして、財源確保の具体的な方策とあわせて、子供の数や所得水準に応じた効果的な給付のあり方を検討することとしており、現在、総合的に検討しているということでございます。

 あり方の検討につきまして、少子化社会対策大綱におきまして今言いましたようなこととされているものですので、現在、総合的に検討を行っている、現時点では、具体的な案としてお示しするような試算もないということになります。

早稲田委員 おかしいですね、試算もないで議論するんですか。そんなことはあり得ない話じゃないでしょうか。

 私は、委員長にお願いしたいのは、これだけのものが新聞報道されているわけですから、試算をしているんだったら試算の、そして影響の、どのくらいかということを、今総合的にとおっしゃいましたから、どこかでは検討されているんだと思いますので、その資料を、提出をお取り計らいしていただきたいと思いますが、お願いします。

木原委員長 理事会にて協議いたします。

早稲田委員 五月に閣議決定されたこの大綱は、私も見させていただきました。重点化、効果的などという言葉は霞が関の言葉でありまして、いわゆる縮減、廃止を指しているものです。この閣議決定はどのような議論を経て決まったのか。

 また、昨年の十月の財政審で、財務省の提案にさかのぼるということでした、レクでは。お手元の資料の二枚目の裏にあります。

 財務省に言われたから、子育てを支援していく、社会で育てることの旗振り役をする大臣がこんなことでよいのでしょうか。財務省は、それは削りたいと言うでしょう、何でもかんでもそういうふうな議論で進めていくところですから。でも、子育ての担当の大臣が、なぜそんなことでぐるぐる変わっちゃうんでしょうか。

 菅政権は、そして菅総理は、少子化対策に真っ正面から取り組むとおっしゃいました。前安倍総理は、少子化は国難だとおっしゃいました。

 少子化対策というのは、待機児童対策だけではありません。このように困っている方たちも、もちろん一人親、それから子供の貧困も大切なことです。でも、やはり、育てている方々にバックアップをすることで、社会が一緒に応援しているんだよというメッセージは大切です。それなのに、このコロナ禍で、こういう頑張っている子育て世代に更に苦しみを覆いかぶせるというのは、子育ての担当大臣としてはあり得ないと思います。

 今、いろいろ決まっていないとおっしゃいました。じゃ、もし産経新聞の記事が事実でないのなら、これはフェイクニュースだと断言していただきたい。大臣、いかがでしょう。

坂本国務大臣 マスコミに報道されたようなことで決定はしておりません。

 そして一方で、財務省、財政審から指摘されていること、これは事実でございます。そういう中におきまして、財政審の方からは指摘はされておりますけれども、先ほど言いましたように、拡充を求める声、それから一方の方で、重点化を求める御意見、そういったものがありますので、それらを踏まえまして、現在、大綱に基づきまして給付のあり方を検討しているということでございます。

早稲田委員 検討しているんですね。時期が決まっていない、詳細が決まっていないということなんですね。じゃ、この新聞の報道どおりだということですね。

 拡充は結構です、もちろん。だって、日本の子育て予算は、OECD諸国でももう本当に低いんですから。だから、拡充はしていっていただきたいけれども、それを子育て予算の中でとり合いする必要は全くないと思います。ほかから考えていただくように、財務省にも言い返してください、突き返してください。

 そして、この……(発言する者あり)そうですね、縦割りは排除して、そして、財務省の言うがままにならない、子育て支援を一丁目一番地として、ぜひ菅内閣の大臣としてやっていただけますように、この給付の廃止というようなことがないように、撤回をしていただくように強く求めて、この質問を終わります。

 坂本大臣、ありがとうございました。

 それでは、最後でございますが、一番の重要な課題のコロナでございます。

 昨日、過去最多の千六百六十二人でありました。東京も三百九十三人、神奈川百四十七人、北海道二百三十六人で、八月の第二波よりも更にふえました。

 そして、先日のこの内閣委員会では、まだステージ3とは総合的に判断できないというような非常に後ろ向きの御答弁も、西村大臣、されておりましたけれども、昨日の分科会でいろいろ御議論された中には、尾身会長から、大規模イベント制限、二月末まで、また、急速に悪化すれば、GoToもGoToトラベルキャンペーンもやめた方がいいと提言をしたいということもありましたし、最大限の警戒、それから休業要請というようなことまで西村大臣もおっしゃっていました。

 その中で、私、緊急提言というのを見させていただきましたけれども、これが緊急提言なのかと。第三波はインフルエンザとコロナとダブルで来るかもしれないというようなことに備えたものなのに、申しわけありませんが、中身を見させていただけば、今までのものを少し深掘りしたぐらいです。そして、それも、政府が何をやる、GoToを、対象地域を、ここのステージに、この指標がこうなったら、申しわけないけれども一旦中止をしますというようなことを出すのかと思ったら、そんなことは一つも入っていないんですよ。とにかく皆さんでマスクをしてね、三密にならないでねという、今までのものを繰り返しただけです、残念ながら。

 そこで、私が申し上げたいのは、このGoToトラベルのことももちろんそうなんですけれども、もっと危機感を持って、国民が核心的な関心事については、政府が明確な指標で、いつまでにこういうふうにする、こういうふうな指標になったら、実効再生産数が一・幾つになったら、それはやはり危ないのでGoToは一回中止をします、休止をしますというようなメッセージをしっかりと出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、この何日間の間、非常に大きな数の陽性者の数が報告されておりまして、まさに夏の感染拡大に匹敵するような大きな流行になりつつあるということで、私ども、強い危機感を持っているところでありますし、その点について専門家の皆さんと分科会で共有したところであります。

 そうした中で、以前からもお示しをしておりますけれども、新規陽性者の報告者数であるとか、あるいは病床の逼迫ぐあい、あるいは陽性率、こういったもので目安となる指標が示されておりまして、ステージ3に当たるものが幾つかの県で出てきております。

 機械的に全てこれを当てはめて、機械的に判断してどうこうするということではありませんけれども、それぞれの地域の事情に応じて、この数値も目安にしながら施策については考えていくということでありますので、この指標、私も毎日会見でもお示しをしながら、状況について、特に都道府県知事と連携を緊密にしながら対応していければというふうに考えているところです。

早稲田委員 大変残念な御答弁です。

 医療逼迫とおっしゃいますけれども、もう二五%以上のところが六都道府県でしたけれども、きのうでもっとふえたかもしれません。そういうような状況ですから、これが幾つになったら、ここの二五%になったら、やはり移動はいろいろ制限をすることもあるというようなメッセージを国民にわかりやすく出していただきたいという意味ですので、これからも御検討ください。

 そうじゃないと、何が何だかわからない、たくさん数字が出ていて、だけれども総合的、俯瞰的に考えるというのでは、何も示していないのと同じです。私たちは毎日そういう指標を見られるけれども、国民の方は見ていないわけですから。そういうことをしっかりとやっていただいて、工程表もつくっていただきたいと思います。

 それから、ダブルの流行期に備えて体制整備を、かかりつけ医、このかかりつけ医の方々を指定医療機関として、相談と診察をしていただくということが今回のダブルに備えた目玉だと思いますけれども、これがどのくらい指定されたのか。そして、一番ひどいときの想定される検査の需要をどのくらい見込んでいて、二万数千軒だと思うんですけれども、これで足りるのかということを一度にお答えしていただきたいと思います。

こやり大臣政務官 委員にお答えいたします。

 委員御指摘のとおり、季節性インフルエンザの流行期に検査や医療の需要が急増することが見込まれております。

 このため、仕組みを改めまして、身近な医療機関に直接相談し、発熱患者等に対して診療や検査を行う医療機関を受診する仕組みを整備するよう取り組んでまいりました。十一月十日時点で、約二万四千の医療機関が指定をされたところでございます。

 また、委員御指摘の検査需要につきましては、全都道府県において検査体制整備計画を策定いたしまして、最も検査需要が集中するピーク週に一日約四万六千件程度の需要、これに対しまして、五十万件程度の検体採取能力の確保を見込んでいるところでございます。

 引き続き、検査体制整備計画に基づきまして、ピーク時に向けた体制整備にしっかりと取り組んでまいります。

早稲田委員 一日四万六千ですか。

こやり大臣政務官 大変失礼いたしました。一日四十六万件でございます。

早稲田委員 四十六万件で、今、二万四千軒の医療機関ということです。

 しかも、これはなるべくかかりつけ医で診てもらって、重病になるようなときには病院に行っていただくというようなすみ分けをしたいから、このかかりつけ医をなさったんだと思います。ここはいいと思いますけれども、このかかりつけ医の方々も大変財政的に逼迫をしています。そして、今回こういうことをやるに当たっては、お一人の医師が、また一人の看護婦さんで、一室でやっているようなところではできません。そういう意味でも、もっと支援をきちんと拡大していただく、そして、本当に実効性のあるものにしていただかないと、ダブルの四十六万件に備えられないと私は感じていますので、ぜひそこもしっかりとやっていただきたいと思います。

 そして、もう一つ、最後ですけれども、第一波のコロナの感染のときの教訓を生かすならば、私は、医療物資、マスク、防護服に代表される、そうしたものの生産体制、それから買取り、こういうことができるように、この特措法の改正をすべきではないかと提案をしたいと思います。

 そして、これは、具体的に五十五条の物資の売渡し、これはかなり強制的なものだというのはわかっておりますが、二十四条の都道府県対策本部長による必要な協力要請の部分だけでは私は弱いと思っています。

 今まで、実際のところ、経団連や何かに、マスクの増産、防護服、やられていましたけれども、これは法に基づくものじゃないですよね。ですから、それをきちんと法に基づいてやっていただくためには、都道府県の対策本部長だけではなくて、国が、政府がやるというようなそうしたスキームにこの法改正をすべきだと思います。

 これは、医療物資だけに限ったことではありませんし、台湾の方では早くからこうしたことをやって、もう一月二十四日の段階で医療マスクの輸出制限、輸出禁止措置を発動しています。こういうことを一遍にはできないと思いますけれども、そういうことが第一波の教訓ではないでしょうか。しっかりとこの特措法の改正ということを含めてやっていただきたい、御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣に伺います。

木原委員長 西村大臣、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

西村国務大臣 御指摘の医療物資の確保、そして供給していくこと、これはもう何より大事なことだと思っておりますので、これまでの経験を生かして対応してきているところであります。

 その上で、特措法との関係で申し上げますと、五十四条、五十五条の規定のことだと思いますが、緊急事態宣言のもとでさまざまな措置がとられることになっております。

 今もお話ございましたけれども、法五条で、私権の制限は必要最小限のものではならないとされておりますので、御指摘のような御提案でありますけれども、立法事実や必要性、そして、あわせて、私権の制限を伴うものであるということを踏まえて、あわせて検討を進めていければというふうに考えております。

早稲田委員 もう時間ですのであれですが、とにかく緊急事態の宣言のときにやっても遅いんです。

 それは一番西村大臣が御存じだと思いますので、ぜひ、そこも含めて、しっかりとこの特措法の改正の、今お考えでしょうし、私ども野党も考えておりますので、含めていただきたいと要望いたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、所信質疑ということでございますので、自衛隊員の殉職者に係る国家追悼のあり方、日本学術会議、コロナ、それからマイナンバーを始めとするデジタル、この四点について御質問をさせていただきます。

 まず、官房長官、お忙しい中、ありがとうございます。

 まず、十一月七日に、防衛省の慰霊碑地区とお呼びしたらいいのか、メモリアルゾーンというのがございまして、自衛隊員の殉職者の方々、二千一柱のみたまが祭られているこの地区で、菅総理も参加をされて、自衛隊殉職隊員追悼式が行われております。

 こういう取組を拝見して私がいつも思うのは、これでいいのかなと。しっかりやっていただいていることはしっかり拝見をしていますが、防衛省に伺うと、防衛省としてはこうやっているという以上でも以下でもない、それ以上のことはなかなか防衛省からは返ってきません。

 そういう中で、きょうは加藤大臣に、国家追悼のあり方、論点は防衛省なんですが、常日ごろから国民が、広く、国のために命をささげられた自衛隊員の皆様、二千一柱のみたまに追悼の思いをささげる、そういうことがなかなかできる体制ではないのではないかなと思って、不十分であると私は思っています。

 かねがね、靖国のあり方、千鳥ケ淵の位置づけ、私もこの第一委員会室で何度か議論してきましたが、この話をすると、大体、保守系の皆様から大変な非難を、そもそも話題にすること自体が非難の対象になって、私も票がどんどん減っていくということもありますが。

 ただ、問題意識は、例えば、防衛省のこのゾーンですね、こういう形での自衛隊員の、自衛隊の殉職者の方々への追悼のあり方、国家追悼のあり方、私は不十分だと思いますが、長官、どうお考えでしょうか。

加藤国務大臣 今御指摘のあった自衛隊殉職隊員の追悼については、任務遂行中に不幸にして職に殉じた隊員を追悼するため、防衛大臣主催により、御遺族の方々、総理大臣などの参列のもと、毎年とり行っております。

 実施の場所については、従前は防衛省の会議室や講堂などで実施をしておりましたが、平成十五年に市谷の防衛省内に慰霊碑地区、いわゆるメモリアルゾーンを整備をし、同年以降は同地区において追悼式が実施されているというふうに承知をしております。

 追悼式においては、殉職隊員の殉職年月日、階級及び氏名を刻印した銘板を慰霊碑に奉納するなど、とうとい命を国家にささげた隊員の功績を永久に顕彰し、深甚たる敬意と哀悼の意をささげる、こうした場所であり、式典になっているというふうに認識をしております。

足立委員 御丁寧に御紹介をいただきました。

 私は、やはりもう少し国民が広く追悼の思いを表することができるような形があり得るのではないか。もちろん、先ほど御紹介があった、会議室でやっていたとか、そういうことから考えれば、大変、前進というか、御配慮をいただいていることは敬意を表したいと思いますが。

 いずれにせよ、きょう申し上げたかったことは、我々日本維新の会が、例えば総選挙の公約等、追悼施設と四文字書いた途端に大変な非難を浴びる。しかし、私は、今御紹介をいただいた現状、前進はしているものの、それを考えると、やはりこれは国として国家追悼のあり方については引き続き議論をしなければならない、そういう思いを持っていることを申し上げておきたいと思います。

 もう一つ、きょう、長官、おいでいただいている、日本学術会議でございます。

 私は、日本学術会議について質問するのは初めてです。なぜかというと、もう大体私は理解をしております。どこまでが御説明をいただいて、どこからは御説明をいただけないか、これは見ていればすぐわかります。

 ところが、私は、国会の生産性という観点からいうと、今の国会、日本学術会議に席巻されているのは国家として不幸だと思っています。

 だから、ぜひきょうは、私がふだん質疑を見ていて、こういうことだなと理解していることを、改めて長官、あるいは内閣府、あるいは法制局長官から御紹介をいただいて、これをもってこの話はぜひ終わりにして、もっと生産的な議論に時間をかけていく。もし、この政府の取組、学術会議に係る取組について異論がある方は、やはり選挙でしっかりと国民の審判を仰ぐということが大事かなと私たちは思っています。

 さて、まず一つ目は、日本学術会議法七条二項の規定がございます。これは、基づいて任命するですね、これがもとになっているわけでありますが、この表現について、任命拒否が許されるのか許されないのか、見解が分かれています。

 私は、民主的統制の観点から、任命拒否が許されるのは当然であると考えていますが、大塚官房長からで結構ですので、政府の考え方を改めて御紹介ください。

大塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘のございましたこの学術会議の会員につきましては、法の十七条に基づきまして、まず、会議自身が候補者を選考し、内閣総理大臣に推薦を行い、総理は、これも御紹介のございました第七条第二項に基づいて、その学術会議による推薦に基づいて任命することとされているところでございます。

 そして、この総理による任命につきましては、憲法第十五条において公務員の選定が国民固有の権利であると規定をされてあり、そのもとに個別法において具体的な任命権が規定されているということからすれば、まさしくこの学術会議法、任命権者である内閣総理大臣が国民に対し責任を負えるものである必要がございます。

 したがいまして、学術会議による候補者の推薦を十分尊重しつつも、必ずしも推薦のとおりに任命しなければならないわけではないと考えているところでございまして、これは、内閣法制局の了解も経た政府としての一貫した考え方でございます。

足立委員 私はよく理解できます、いろいろ、わからないとおっしゃる方もいらっしゃるようですが。

 さて、その中で、今のような任命制になったのは昭和五十八年の法改正からであると承知をしていますが、平成三十年に学術会議事務局が作成したペーパー、これによって解釈変更がされたはずであるという、私は言いがかりだなと思います。

 なぜ言いがかりだと思うかというと、私も、二十年、役人をやっていました。自分が担当している事務について、いろいろ、ちょっとわからないということがあると、基本的にはその解釈とかを確認しながら、改めて紙にして確認しながら仕事をすることはよくあることで、紙があるからといって解釈変更というのは、少し維新以外の野党の皆様も言い過ぎじゃないかなと私は思っています。

 先ほど大塚官房長から御紹介があったような考え方、一貫した考え方、これを踏まえると、昭和五十八年当時も同じように任命拒否ができるという考え方であったと考えるのが私も自然であると考えていますが、改めてわかりやすく御紹介いただきたいと思います。

大塚政府参考人 お答えいたします。

 私も先ほどお答えいたしました、この憲法第十五条第一項の規定の趣旨からくる総理大臣による会員の任命は、必ず推薦のとおりに任命しなければならないわけではないというこの考え方でございますが、これは、昭和五十八年のその法改正によりまして、会員の選考の仕組みが選挙制から任命制となって、そこで総理が任命権者として位置づけられた、このときから一貫として前提となっているものでございます。

 御紹介いただきました平成三十年に日本学術会議事務局におきまして作成された文書は、あくまで従来からの法的な整理を確認するためのものでございまして、解釈変更を行ったものではございません。

足立委員 もう至極ごもっともな御答弁でありまして、少なくとも、政府というものがどういうふうに機能しているか、日常的にどういうふうに仕事をしているかという実態を理解していれば、何ら不自然な御答弁ではないと私は理解をしました。

 さて、その上で、よくこの国会で取り上げられています憲法十五条一項説の根拠とされる昭和四十四年の高辻長官答弁というものがございます。これは、文部大臣による国立大学の学長の任命について述べたものであって、もちろん、日本学術会議法に関するものではありません。しかし、その考え方がこの学術会議についても当てはまるとすれば、それはどういう理由かということを、もう一回しっかり御説明いただきたいと思います。

 単に、冒頭私が申し上げた、基づいて任命するという、何か条文が似ているよねというだけのことでもないような気もしますので、改めて御紹介をいただきたいと思います。

 済みません、近藤法制局長官、お願いします。

近藤政府特別補佐人 御指摘の高辻内閣法制局長官の答弁は、御指摘のとおり、国立大学の学長の任命に関して、当時の教育公務員特例法について述べたものでございますけれども、その具体的解釈のもととなっている基本的考え方というものは、憲法第十五条に規定する、公務員の選定が国民固有の権利であるという国民主権の原理との関係で、任命権者は公務員の任命について国民に対して責任を負わなければならない、個別の法律において、ある行政機関における公務員の人事について、当該行政機関の職務の独立性等に鑑みて、何らかの申出や推薦に基づいて任命するものと規定している場合でも、国民主権の原理との調整の見地から、任命権者が国民に対し責任を負えない場合には任命を拒否することができるというものでございます。

 このような基本的な考え方は、申出や推薦に基づいて公務員を任命する制度について、私どもとしては共通して当てはまるものと考えております。

 もちろん、それぞれどういう場合に申出や推薦を拒否することが許容されるかは、まさしく個々の法律ごとの制度に即して、それぞれ解釈に委ねられるものだと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 近藤長官、もう少し、もう一言いただきたいんですが、今おっしゃったように、まさに冒頭私が申し上げた民主的統制、私の言葉で言うと民主的統制という観点から、今、近藤長官がおっしゃったことは、そうだろうなと私も思うわけでありますが、いろいろ議論になっています。

 そういう中で、今、近藤長官がおっしゃったような考え方が日本学術会議法にも当てはまるということについて、もう少し何か根拠みたいなものを御紹介をいただければ、この議論、もう少し早く収束できるかなと思いますが、いかがでしょうか。

近藤政府特別補佐人 お答えいたします。

 確かに昭和五十八年当時の資料の中で、明確に、今、高辻答弁の中で示されたような基本的考え方にのっとっている、のっとっていないというような議論が全く資料上はっきりしておりませんけれども、私ども、そうした基本的な考えについては、昭和五十八年以前からある公務員の任命にかかわるまさしく基本的な考え方でありまして、仮に、昭和五十八年当時に、その考え方を変更する、あるいは、採用せずに、日本学術会議からの推薦のとおりに必ず任命する義務があるというふうに解するというふうにしようとするならば、まさしく、この基本的考え方を変更したこと、あるいは、採用しないことについての考え方の整理が当然法制局において行われておるはずでございまして、そのような資料等は全く残されておりません。

 こうしたことからも、昭和五十八年当時において、こうした基本的な考え方を前提にしていたと考えざるを得ず、日本学術会議の会員の任命についても、推薦を十分尊重しつつも、憲法第十五条第一項で明らかにされているところの公務員の終局的な任命権が国民にあるという国民主権の原理から、国民に対して責任を負えるものでなければならないという考え方を当然有していたと考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 ここまでの近藤長官の御答弁で、私は相当得心がいっております。

 きょう、官房長官、まだいていただいて、ありがとうございます。お忙しいと思いますが、ちょっともう一言おつき合いいただきたいと思いますが。

 今の理解で私は大体理解できたんですが、一方で、いろいろなこれまでの過去の答弁、これはいわゆる中曽根答弁ですね。例えば、例えばというか、中曽根答弁、昭和五十八年の改正時、昭和五十八年の文教委員会での中曽根答弁、いわゆる形式的任命論ですね、それから丹羽長官の、そのまま任命する論ですね、こういう答弁がなされています。それで議論がまた沸騰したわけでありますが。

 私も、今の近藤法制局長官の御答弁を聞くと、この二つの答弁はちょっと踏み込み過ぎているような印象を受けるんですが、これは、加藤長官、どう理解をすればよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 まず、御指摘の中曽根元総理あるいはその他の国会答弁は、約四十年前の場合もございます。その趣旨を今からこうだと把握することは、正直言って、なかなか難しいわけでありますが、ただ、当時は、選挙制を廃止して新たに各学会からの推薦に基づく任命制に移行しようとしているところでありました。当時の国会答弁にもあるように、新しい制度によって会員としてふさわしい者が推薦されるということになるとの期待がその背景にあったのではないかというふうに思います。

足立委員 まさに今の御答弁は、すごく私は大事だと思います。

 当時、やはり推薦する形になって、当時、五十八年ですね、そういう形になったので、しかるべき形での推薦があることを期待してこういう答弁になったということであれば、その期待が十分に実現しないような環境変化があれば、法の運用も変わると。

 私がきょうこの議論をあえて申し上げたのは、この法律だけじゃないんです、大体、国会で議論している話はほとんどこういう話。どういう話かというと、国会答弁がちょっとおもねり過ぎているんですよ、当時の質問者に。今御紹介をした中曽根答弁、あるいは丹羽長官答弁、いずれも質問者は野党です。国会で野党がかんかんかんかんやると、やはり政府は、とりあえずこの国会を乗り切りたいものだから、ちょっとわかりやす過ぎる、わかりやす過ぎるというのは正確には語弊がある、そういう答弁をやはりしちゃうんですね。

 平和安全法制でもそういうことが起こっていたと私は理解をしていまして、だからこそ、私は、かねがね、この八年、懲罰動議を六回受けながらも国会のあり方に疑義を呈してきたのは、野党に気を使い過ぎると政府・与党は間違えますよ、しっかりとあるべき姿を自信を持って、胸を張って言い続けていれば、そんなことにはならない。

 特に、安全保障関係の議論については、やはり自衛隊をめぐって、さまざまな野党の攻撃もありましたよ、いや、私も野党ですけれどもね。でも、私が目指しているのは、そういう国会の応酬が、国家の、日本国の進む道を、もし足を滑らせたり、障害になるようなことがあったら、それは本末転倒でありますので、政府・与党におかれましては、余り野党に気を使い過ぎず、憲法審査会もそうです、やるべきことをしっかりとやる、言うべきことをしっかりと言い続けていく、こういう政府であっていただきたい、こう思います。

 さて、もう一点、加藤長官、内閣法制局長官、近藤長官にも、加藤長官にも少し一言ずついただきたいのですが、その上で、じゃ、どういう場合に拒否できるんですかという議論が延々と続いているわけであります。

 近藤長官から、その点、補足的に御紹介をいただければと思います。

近藤政府特別補佐人 御指名をいただきましたけれども、個別の法律に基づく解釈ですので、当局として言えることに限度がございますけれども、あえて申し上げれば、いかなる場合に、日本学術会議法上、推薦のとおり任命しないことが許容されるかということについては、日本学術会議法の会員の任命の場合は、あくまでも、日本学術会議法上、法律によって認められている職務の独立性の問題と憲法上の国民主権の原理との調整的見地から判断されるものでありまして、そうした判断を前提に、任命権者である内閣総理大臣において、国民に対して責任を負い得ない場合には任命を拒否することができるものと考えられます。

 もっとも、具体的にどのような場合に推薦のとおり任命しないことが許容されるかについては、任命権者の内閣総理大臣が国民に対する責任において個別に判断すべき人事に関する事項でありまして、事柄の性質上、私どもから明確にお答えすることは困難でございます。

加藤国務大臣 どのような場合に推薦のとおり任命しないことが許されるのかについては、これまでも国会で答弁させていただいておりますが、日本学術会議法に規定する会議の設置目的及び職務などに照らし、任命権者において個別に判断すべき事柄であると考えております。

 任命権者において個別に判断すべきことということは、まさに人事に関する事柄でありますので、性質上、それを具体的にお示しすることはなかなか難しいということは、ぜひ御理解いただきたいと思います。

足立委員 先ほど申し上げたように、私は、これ以上のことは、あとは選挙で争えばいい、こう思いますが、一方で、もうこれで最後です、長官、大学学長の話と学術会議の会員の話が出てきているわけですね。そういう中で、私は、いわゆる学問の、大学の自治との調整という観点から拒否権を議論している学長の世界と、行政の一機関、諮問会議であるところの日本学術会議に係る会員の拒否の議論、これは、おのずとレベルが違うとも思うんですね。

 もうちょっと言うと、大学の学長の議論は、それは大学の自治は大事ですよ。学問の自由の根幹ですよ。だからこそ、そこに関する拒否権の領域と、それから、今回問題になっている日本学術会議に係る拒否権の領域を比べれば、後者の方が圧倒的に広い、拒否する余地が十分にある。これは当たり前だと思いますが、改めて、近藤長官、加藤長官から、御紹介、私が今申し上げた点について御見解を伺いたいと思います。

近藤政府特別補佐人 今先生御指摘のとおり、過去の高辻長官答弁の対象となりました当時の国立大学の学長の任命というものにつきましては、憲法で保障されている学問の自由を実効あらしめるために伝統的に認められている大学の自治、この中には、特に人事の自治というのもございますが、それと国民主権の原理との調整的見地が求められたということでございまして、おっしゃるとおりに、学術会議の場合には、そういった憲法上の価値のぶつかり合いということはございませんので、同視することはできず、同じように狭くなるというふうには考えておりません。

加藤国務大臣 日本学術会議は、委員からも御指摘がありましたように、日本学術会議法に規定された科学に関する重要事項の審議等の職務を行う、これは政府の機関であり、大学とはその性質を異にする組織であります。

 そのため、会員を任命しないことが許される場合について、大学の自治を背景とする大学の学長と同じように狭くなるわけではないというのは、これまで法制局からも答弁されているところであります。

足立委員 ありがとうございました。

 以上、両長官に御答弁をいただいた、私はこの議論に尽きるのかなと思っております。したがって、国会では以上として、ぜひコロナとかデジタルとか、大事な話に時間を割いていきたいと思います。

 長官、もう結構でございます。ありがとうございます。近藤長官も構いません。ありがとうございます。

 さて、もう時間がなくなってまいりましたが、済みません、お待たせをしまして。

 ごめんなさい、西村大臣、ちょっと平井大臣が先でもいいですか、大丈夫。西村大臣は結構御答弁が長いので、ちょっと時間がなくなる、平井大臣に先にちょっとさせていただきたいと思います。

 平井大臣、大変御期待を申し上げています。

 私も、入管法をやっていたころから、もっと前から、マイナンバーが日本の経済、社会、行政を変える、こういう思いで、国会の中でも最多の取上げ回数、マイナンバーで検索すると、私の名前ばかり出てきます。

 ようやく日の目を浴びる形になって、大変喜んでいるところでございますが、一つ心配しているのは、かつて私が、去年かな、高市総務大臣と総務委員会でこの話をしました。当時、マイナンバー担当大臣は高市大臣だったんです。今は平井大臣です。私が高市さんに御質問したら、全ての銀行口座のひもづけ義務化、私はそれをマイナンバーのフル活用と申し上げています、ここまで踏み込んでくださったんですよ。さすが高市さんと言ったら、数日後には、やはり無理ですといって、多分、党で議論された、あるいは中で怒られたんだと思うんですよね。腰砕けになりました。

 これをやらなければ、マイナンバーはやめた方がいいですよ。だって、これをやるためにマイナンバーをつくったんだから。

 ぜひ、平井大臣、全銀行口座のひもづけ義務化をやると御答弁いただきたいと思います。

平井国務大臣 委員とは超党派の議連でも随分議論をさせていただいておりますので、問題意識も全て十分に理解した上で答弁をさせていただきたいと思います。

 国民の皆様が金融機関に有している預貯金口座へのマイナンバーの付番については、公正な社会保障給付や税負担の実現に資する観点から、平成二十七年の法改正により、平成三十年一月から開始されていますが、預貯金者にマイナンバーの告知義務は課されておりません。

 同法の附則の検討規定により、政府は、法の施行後三年を目途として、金融機関が預金者等から、又は農水産業協同組合が預金者等から、適切に個人番号の提供を受ける方策について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、国民の理解を得つつ、所要の措置を講ずるものとされています。ちょうど、令和三年の一月に施行後三年ということになります。

 私が進めるデジタル改革は、徹底的に国民に寄り添い、誰一人取り残さないものにしたいと考えておりまして、行政が行う資力調査や税務調査の実効性が高まり、より公平公正な社会保障制度や税制が担保されることも大事ではありますが、それだけではなくて、今回の制度見直しに当たっては、これから多くの人が直面する相続の手続とか、誰もが直面する可能性がある災害時の預貯金の引き出しが簡単になり、金融機関の業務効率化や金融サービスの高度化を通じて国民の御理解を得られるようにしたいというふうに考えています。

 当然、付番の実効性を高めて、全てのアクティブな口座へのひもづけを目指すという点では議員と全く同じ問題意識でありますが、議員御指摘の預貯金口座に対するマイナンバーのひもづけの義務化といっても、金融機関に預金者のマイナンバーの収集、管理を義務づけるのか、又は預金者に金融機関へのマイナンバーの提供を義務づけるのか、また、預貯金口座へのマイナンバーの付番を、目的を達成するために本当にこの義務づけというのが一番効果があるのかといった論点も含めて、幅広く検討しています。

 現行制度上、特定口座などの証券口座については、平成二十八年一月のマイナンバー制度開始時から三年間の経過措置のもと、口座名義本人にマイナンバーの告知が義務づけられていたんですが、付番が進まなかったことから、ことしの四月、口座名義人本人からマイナンバーの提供がない場合であっても、証券保管、保振ですね、がJ―LISからマイナンバーを取得した上で証券会社等に提供できるように制度改正を行った経緯があるように、これは、必ずしも義務化をすれば付番が進むのかという点も留意する必要があると思います。

 これは、私はエストニアの例もずっと参考にしているんですが、例えば、マイナンバーの、向こうでいうところのIDカードの所持も、最初は日本と同じように義務化していなかった、途中から義務化したんですけれども、罰則のない義務化というのが、効果があるようで、ないんですね、実際は。

 やはり実質どのように振っていくかということと、振ることによるメリットというものが一気に進むということになるので、これは、総合的に、また委員の意見も十分に伺いながら、どうやればうまく振れるのかということについてまた検討させていただきたいと思っております。

足立委員 これは、平井大臣とはもう三時間ぐらいかけて議論したいテーマではありますが、ちょっと時間が限られています。

 ただ、大臣、ぜひお願いをしたいことは、どうしても今の菅政権のデジタル政策、一丁目一番地ということでございますが、手元からちょっとこれをやる、判こをやる、免許証をやる、それはいいんですけれども、どんどんやっていただいたら。政府・与党、自民党が、公明党もいらっしゃいますが、政府・与党が一体どういう経済社会をつくろうとしているのか、マイナンバーをフル活用するつもりがあるのかないのか、いろいろな検討課題はあると思いますが、その社会像が示されていないと思うんですね。それを早く示さなければ、さまざまな障害もある、反対もある中で、菅政権の一丁目一番地がしっかりとゴールに到達できることは私は難しいと思います。

 だから、ぜひ平井大臣のお力で、やはりこれから自民党が目指すデジタル社会というのはどういう社会なんだ……(発言する者あり)平先生含めていろいろ出されているのはわかりますが、いいんです、イメージを三分で語ってほしいんですよ。それが国民にまだ伝わっていません。

 だから、もうお聞きしませんというか、お聞きしたいんですが、一言だけ。マイナンバーのフル活用、いろいろ今おっしゃった、丁寧にやらないといけないが、マイナンバーのフル活用をやるんだと、細かいことはいいですよ、その一言をいただきたいと思うんですが。

平井国務大臣 要するに、公平で、公正で、誰一人取り残さないというのは、これから目指す社会像、恐らく皆さん共通だと思います。マイナンバー制度というものはそのためにつくったものですから、その制度自体をこれから理解をしていただいて、皆さんにその制度の本当の効果を早く届けたい、そのように思います。

足立委員 やはりフル活用とは言えないんですね。これは、高市大臣が一回フル活用と言われて腰砕けになったんです。その時点で、私は、これはやはり自民党を倒さなあかんなと、僣越ながら。小選挙区で負けているようではそんなことは言えませんけれども、そう思いました。

 だから、平井大臣がフル活用と言っていただければ、やはりこれは支えなあかんなと、野党ですけれどもね。やはりフル活用と言わないと、ニュースにならないんですよ。ちょっとお願いします。

平井国務大臣 私が話している話と、そのフル活用という言葉が何を意味するかはわかりませんが、多分、目指しているものは一緒だと思いますよ。

 言葉の定義、さっき委員も言っておりましたように、質問者におもねって答弁しない方がいいよというアドバイスもいただきました。そういう意味では、目指す社会像は一緒だというふうに改めて思いました。

足立委員 この平井大臣との私のきょうの質疑は、私の完敗ということで引き下がりたいと思います。お忙しければ、もう結構です。

 西村大臣、済みません、もう三分ほどしかありませんが、この週末、吉村洋文知事と、これは公表されているのかどうかわかりませんが、大阪に行っていただいて、意見交換していただくと聞いていますので、あとは吉村知事から聞いていただきたいということですが、吉村知事から、きょう質疑があるのであれば、自分が言いたいことを足立さんも言っておいてくれということがあった。

 その二点は、一点はやはり補償です。

 今、すすきの、大阪のミナミ、いろいろな議論をしていますが、細かいことはいいや、とにかく、ちゅうちょするんです、首長は、休業要請。休業要請するんだったら、やはり補償。その補償の考え方、財源、これは、もちろん、交付金とかいろいろあるのは承知していますが、政府が責任を持って示すべきだ、これが大阪府知事を始めとする日本維新の会の考え方でありまして、これは、西村大臣が、四月五日、もう昔ですね、四月五日の「日曜討論」で、そうだ、特措法には課題があるとおっしゃいました。七月の二十日、私が西村大臣に同じような質問をしたら、そうだ、課題がある、論点整理をすると。もう四カ月たって、八カ月たっています。そろそろ論点整理を終えていただいて、特措法の改正をやっていただきたい、それは補償を中心にですね。それが一点。済みません。

 もう一点は、水際です。

 水際で、いろいろな経済への配慮ということで、水際は開きつつあります、開いていますが、検査をせずに、でも、入国者については、保健所に、ちゃんと十四日間フォローしてねとやっている。もう保健所の皆様は徒労感にあふれていますよ。だって、検査して陽性をフォローするならいいですよ。検査せずに全部フォローしろと言われている、丸投げ。検疫は人員が足りないので、保健所に丸投げ。やはり検査をしっかりして、陰性なら、日本人だってそうなんだから、自由にある程度やって、そして、陽性であればしっかりフォローする。

 少し今の仕組み、水際の仕組みが、少しというか、徒労感に、現場が疲弊しつつある点を何か改善いただけないか、二点、お願いします。

西村国務大臣 まず、一点目の特措法の改正についてでありますけれども、これも何度も答弁をさせていただいて、御案内のとおりでありますが、何とかより実効性が上がる形にしたいということを私自身も日々考えておりまして、まさに論点整理、そして、法制局長官とも何度か私も議論をさせていただいております。全体の法体系が緩やかな中で、緊急事態宣言に至る前に、よりピンポイント、焦点を絞った強い措置がとれないか、こういったことを含めて議論しているところであります。

 その上で、補償については、私どもは実態上の補償を行っているという立場でありまして、持続化給付金、雇用調整助成金、そして、今般、最大六百万円の家賃支援の給付金もございます。さらには、上乗せで地方創生臨時交付金を活用して、それぞれの自治体でやっていただいているところであります。

 今回、北海道の鈴木知事との間でも、この家賃支援をしっかり使ってくださいということで、知事自身がそれもきちんと周知をして回るというふうにおっしゃっていましたけれども、それが出るまでの間、例えば、つなぎ資金として制度融資を使ってもらって、そして、家賃支援が出ればそれで返済するというような仕組みを含めて私どもは対応しているわけでありますけれども、しかし、このことをどういうふうに法制上整理するかということもあわせて検討はしているところでありますので、しっかりと議論を詰めていきたいと思います。

 それから、水際。御指摘のとおり、三月の経験、四月の経験を踏まえても、水際は物すごく大事でありますので、これは常に、国際の人の往来の再開と同時に、それをするためにも、しっかりと水際対策をやらなきゃいけないということで、行動管理を今お願いをしているところでありますけれども、さまざまな感染状況を踏まえながら、万全を期して対応していきたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございました。

 敬愛する木原委員長……

木原委員長 申合せの時間が過ぎております。

足立委員 この質疑時間が終了いたしましたと来て、これが来てからもう一問というのが何かふえています。これは公平じゃありません。ぜひそういうのはなしにして、私は、もうこれが来ましたから、これをもって質問を終わります。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

木原委員長 次に、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官堀江宏之君、人事院事務総局職員福祉局長合田秀樹君、人事院事務総局人材局長柴崎澄哉君、人事院事務総局公平審査局長中山隆志君及び厚生労働省大臣官房審議官志村幸久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行でございます。

 おとといの質疑でも委員長にお願いをいたしましたけれども、日本学術会議のこの間の答弁がころころ変わっているという部分について整理をして出していただくということと、また、きのう、梶田会長らが、候補者の事前提示は今後はしないということで会見をなされた中で、任命拒否の回答がないというふうにおっしゃっています。これもやはり、今後、信頼関係をしっかり築いていくためにも早く出していただきたいなということをお願いする。

 また、コロナの国内感染の状況、きのうついに、これまで最多の千六百六十人に至っております。五道県で過去最多ということでございまして、また、私の地元の大阪でも二百三十一名ということで、ちょうど住民投票が行われてからこの日曜日が二週間ということになります。この二週間でまたふえるんじゃないかと非常に心配をされております。この状況をしっかり踏まえた上で対応を政府にはいただきたいということ。

 特に、飲食店での感染などにつきましては、書いてあるんですね、いろいろなマニュアルに書いてあって、スイッチや手すりなど、よくさわるところはきちんと消毒しましょうと書いてあるんですが、真ん中に置いてあるアクリル板、これについては、しっかり拭きましょうなんというようなことは書いてないんだというようなことを現場から言われたりもしています。いろいろなお声を聞いていただいた上でしっかり対応いただくようにお願いをしまして、質問に入りたいというふうに思います。

 きょう、私の方からは、パワーハラスメントについてでございます。

 パワーハラスメント、二〇一九年に、民間の労働法制という形で、パワハラの防止に関する法律というのが通っています。それを受けて、二〇二〇年、ことしの六月一日から人事院規則が施行されています。一〇―一六というものであります。

 これは、しっかりと民間のものについていくというような形で、公務員の皆さんについても入れていったわけなんですけれども、現在の国家公務員の中におきまして、精神及び行動の障害による長期病休者、この現状について、人数それから割合、御報告をお願いします。

合田政府参考人 お答えいたします。

 行政執行法人の職員等を除きます一般職の国家公務員について申し上げますと、平成三十年度中に、精神及び行動の障害により一カ月以上の期間勤務しなかった長期病休者は三千八百十八人でございまして、全職員に占める割合である長期病休者率は一・三九%となっております。

 この長期病休者率は、平成二十八年度、二十九年度はそれぞれ前年度に比べて上昇しておりまして、平成三十年度はほぼ横ばいという状況になっております。

森山(浩)委員 その原因については分析をされていますか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 それぞれの長期の病休をとっていらっしゃる方について、どういうふうな状況であったかということについて私どもで細かく把握しているわけではございませんが、このような状況にあるということにつきましては、また、年代別等についてもこういう状況にあるということについて、それぞれ各府省の人事担当の人事課長等に対して、こういう状況にあるので、それぞれの府省においても現状を踏まえて対策を講じるようにということを指導しているというところでございます。

森山(浩)委員 職場職場によってもいろいろな背景があると思いますが、これは把握をしていく中でしっかりと分析をしていただいて、いかになくしていくのかというのが大事な部分だと思います。

 今回、パワハラ防止の人事院規則一〇―一六、これを制定した理由についてお答えください。

合田政府参考人 お答えいたします。

 パワーハラスメントの防止につきましては、人事院におきましても、従前より、関係通知の発出、それから啓発資料を作成して各府省に配付する、さらには講演会の実施、こういったさまざまな取組によりまして、国家公務員におけるパワーハラスメントの防止ということに取り組んできたところでございますけれども、人事院に寄せられております苦情相談の状況ですとか、それから、人事院が行いました職員の意識調査の結果等を見ると、さらなる防止策を検討する必要があるだろうということを認識しております。

 また、先ほど委員から御指摘もございましたように、民間労働法制におきましても、平成三十一年の三月にパワーハラスメントの防止に関する措置を含みました法律案が国会に提出され、成立している、このように、対策の法制化に向けての作業が進められたという状況がございました。

 このような状況を踏まえまして、人事院では、平成三十一年三月より検討会というものを開催いたしまして、本年の一月にこの検討会から報告書を取りまとめた。この報告書も踏まえまして、パワーハラスメントの防止等の措置を講ずるために新たに人事院規則を制定いたしまして、パワーハラスメント防止のために、各省各庁の長の責務、パワーハラスメントの禁止を職員に義務づける、また苦情相談への対応等を規定した、こういった規則を本年四月に制定しておりまして、委員御指摘のように本年六月から施行しているということでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 先ほどの長期病休者、この中で、パワーハラスメントによるものだというのはどのぐらいの割合あるものですか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えいたしました長期病休者につきまして、ちょっと原因のところまで細かく私どもで把握しているところではございません。

 また、別途、先ほど申し上げた人事院に寄せられています苦情相談の中におきましては、令和元年度におきます苦情相談の状況の中で、全体の二七・六%はパワーハラスメント、いじめ、嫌がらせによっているもので、相当数のものはパワーハラスメントを原因として苦情相談をしている、そういうような状況にあるというふうに認識しております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 全体の三割前後というようなことでありますので、非常に大きな問題、課題になっているのだなということなんですけれども、じゃ、このパワハラ防止に関する実効性をどう確保するのかという部分についてはどうお考えでしょうか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えいたしました人事院規則一〇―一六という、パワーハラスメントの防止等に関する人事院規則でございますが、この規則におきましては、まず、各省各庁の長、各大臣等でございますが、この責務として、パワーハラスメントの防止に関し必要な措置を講ずる、それから、パワーハラスメントが行われた場合には迅速かつ適切な措置を講じなければならない、こういう義務を課しております。

 また、職員の責務としての規定として、パワーハラスメントをしてはいけないという禁止規定を規定するとともに、管理監督職員に対しては、良好な勤務環境を確保するよう努めることや、苦情相談がなされた場合に迅速かつ適切に対処することを義務づけているということでございます。

 このほか、研修等に関しまして、職員の意識の啓発及び知識の向上を図ることや、職員に対する研修を実施すること、これを各省各庁の長に対して義務づけております。

 加えまして、苦情相談への対応といたしまして、パワーハラスメントに関する職員からの苦情相談を受ける体制の整備や、その体制が整備されているということを職員に明示することというのを各省各庁の長に対して義務づけております。

 また、職員は人事院に対しても苦情相談を行うことができるというのをこの規則の中で規定しているというものでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 苦情相談の窓口がある、そして研修もやるということで、人事院と各省でやっていただくわけなんですけれども、パワハラというのは、やっている方が意識としてなかなか難しいんだ、セクハラなんかに比べても線引きが難しいと言われていますけれども、例えばどんなふうな形で、パワハラはどんなものですかと聞かれたときにはお答えをされていますか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 パワーハラスメントの定義につきましては、人事院規則におきまして、「職務に関する優越的な関係を背景として行われる、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であって、職員に精神的若しくは身体的な苦痛を与え、職員の人格若しくは尊厳を害し、又は職員の勤務環境を害することとなるようなものをいう。」という定義がございます。

 このような定義規定があることについて、パワーハラスメントを行う側、一般には上司が多いかと思いますけれども、そのような人に対して、パワーハラスメントとはこういうものである、あとは、具体的には例えばこういうものがパワーハラスメントに該当する、ただ、列挙している例というのは、いろいろな状況に応じて、委員御指摘のように、パワーハラスメントと指導の間の線引きというのはなかなか難しいところがございますので、そういった点も注意しつつ、こういったものがパワーハラスメントに該当するのでそういうことはしてはいけない、他方、上司としては部下に対して必要な指導をしなきゃいけないということを規定しております。

森山(浩)委員 何かいただいた指針の資料の中には、暴力、傷害の中では、書類で頭をたたくとか、部下を殴ったり蹴ったりするなどのような具体的なこと、暴言、名誉毀損、侮辱、執拗な非難、威圧的な行為、実現不可能、無駄な業務の強要、仕事を与えない、隔離、仲間外し、無視、個の侵害というような形で割と細かく書いていただいているんですが、国家公務員法の第九十八条の一項で、「職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」とあります。

 今回の規則制定によって、業務上、部下に対する指導が逆に萎縮をしてしまわないかということについてはどうお考えでしょうか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員法九十八条には、委員御指摘のような規定がございます。また、委員御指摘のように、パワーハラスメントを恐れる余り、上司の方が部下を指導すべき場面でも指導できていないということはパワーハラスメントの問題を考える際に一つの重要な問題点だということがございまして、この点は、人事院が実施しました職員の意識調査でも、上司の側からそのような答えが寄せられているというところでございます。

 また、検討会におきましても、公務職場において、部下を指導し育成することというのは上司の役割の一つであって、上司はパワーハラスメントになるかもしれないことを理由に指導を怠ることはあってはならず、自信を持って指導に当たるためにも、パワーハラスメントとは何かを深く理解することが求められるという御指摘を受けているところでございます。

 このような指摘等を考慮しまして、人事院規則制定に合わせて発出したパワーハラスメントの指針でございますが、この中で、部下の指導、育成は上司の役割であるということ、また、指導に当たっては、相手の性格や能力を十分見きわめた上で行うこと等を明記しておりまして、各省各庁に対して、この指針の周知を徹底するということを義務づけております。

 さらには、職員の研修というのを各省各庁の長は実施するという義務がありますけれども、上司となる職員に対しても、パワーハラスメントの概念を深く理解させるような研修、こういうのを受講させるということに努めておるところでございます。

森山(浩)委員 上司の側が、これじゃもう指導できないやというような形で、むしろ被害者意識を持ったりするのは非常に問題だと思いますし、また、職場の中で、部下の方も、これはパワハラでやってやったらこの上司を飛ばせるぞというような形になって、何か争いの道具になるというのも望ましいことではないのではないかなと思いますので、上司と部下もあわせてというか、職場におけるパワハラ防止の、あるいはそれに対する啓発の方法というのはどういうようなことが行われていますか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 人事院規則の一〇―一六では、パワーハラスメントの防止等のために職員の意識の啓発及び知識の向上を図ることを各省各庁の長に対して義務づけているところでございます。

 啓発の方法といたしましては、例えば、パンフレットそれからポスター等啓発資料の配付、掲示、イントラネットへの掲載、職員の意識調査の実施等が挙げられるところでございます。

 このほか、職員に対する研修の実施というのを各省各庁に対して義務づけているところでございます。

 人事院におきましては、各府省における研修等が円滑かつ効果的に実施されるよう、職員向けの周知用リーフレット、それから研修教材といったものを作成し、各府省に提供しております。

 さらには、毎年十二月の四日から十日までを国家公務員ハラスメント防止週間として設定しておりまして、ポスターを各府省に配付し、掲示等をしていただく、それから講演会等を開催するといったことに努めているところでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 やれることは全部やるんだというようなことで列挙をいただいております。

 これは実際、じゃ、どうワークするかという部分で、相談に対して適切に対応するための各省庁それから人事院の体制についてお答えください。

中山政府参考人 お答え申します。

 各省それから人事院にそれぞれ相談窓口のようなものを設けておりまして、例えば今年度で申しますと、年間六回にわたりまして各府省の相談員の方にお集まりいただいて、人事院の方からルールに関する御説明を差し上げ、ロールプレーのような形で、相談員同士で能力向上のための取組をさせていただくといったような取組をさせていただいているところでございます。

森山(浩)委員 ルールをつくるだけではなくて、体制をきちんとワークさせていくということをお願いをしたいと思います。

 人事異動などで被害者と行為者を引き離すというのが、いじめなんかのときもそうなんですけれども、こういうパワーハラスメントなんかでも有効だと言われていますけれども、こういうときにはこうするんだというような事例の共有というのはなされていますか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど公平審査局長から御答弁申し上げましたように、各府省それから人事院等に対して苦情相談が寄せられた際、その苦情相談を通じて、パワーハラスメントが生じたというように人事当局で認定した場合において各府省がとるべき対応についてでございますが、ハラスメント相談員向けのマニュアルというのを人事院が作成して各府省に配付しておりますけれども、この中で、対応の方策としては、行為者から被害者への謝罪、行為者への指導、教育、行為者への注意、処分、被害者への指導、助言、被害者の不利益回復、配置がえ等の人事上の措置、職場全体への啓発といった対応策を示しております。

 具体的にどのような方策をとるかということにつきましては、それぞれ個々の事案の内容、それからまた被害者の意向等を踏まえて、人事当局においてその事案に適切な方法というのを選んでいただくということになるということでございます。

森山(浩)委員 懲戒等のお話もいただきましたけれども、懲戒をすることでこれは解決になるのかという問題も非常に大きいかと思います。

 根本的な解決のためには、やはりまずどういうことが大事だと御認識でしょうか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 パワーハラスメントを行った職員に対しては、一番大事なのは、そのような言動を再度行うことがない、そういうふうな状況をつくり出すということが必要だというふうに認識しております。

 当該職員に対して懲戒処分等の処分を行う、厳正な対処を行うということもこの際の措置の一つでございますけれども、このような行動を行った職員に対して、パワーハラスメントに関する正しい知識を持たせる、それから、パワーハラスメントを生じさせた原因となっているような、ほかの職員とのコミュニケーションを適切に行うということが必要であるといったこと、そういったことについても指導、教育する、こういったことが肝要になるというふうに考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 そういう体制があるということを前提にですけれども、民間の法制では、都道府県の労働局長に訴えられるんだというようなことが担保をされています。完全に第三者に見てもらうということになるわけですけれども、それに対して、公務員の場合は苦情相談だということで、もしかして苦情相談というのは軽いんじゃないのかという不安もありますけれども、このあたりはどうでしょうか。

中山政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員には公平審査制度というものが用意をされております。具体的には、人事院みずからが御相談いただきました事案について調査を行いまして、その結果に基づいて、判定という形で私どもの判断をお示しさせていただき、必要に応じて、関係する府省に対して改善措置を講ずるよう求めていくというものでございますが、苦情相談の中ででも、そういった制度が用意されていますということを御紹介をさせていただくということを、事案の性格によって、あるいは相談者の御意向に沿いながら、そういった対応をさせていただいているところでございます。

 以上でございます。

森山(浩)委員 民間に劣らない制度があるということでありますので、公務員の皆さんそれぞれで問題があったときにはしっかりと御相談をいただきたいということをしっかり周知をいただきたいと思いますし、上司に当たる方々にも、これがパワハラに当たるんだというようなこと、事例も含めながらしっかり周知をしていっていただきたいというふうに思います。

 近畿財務局におきまして、森友学園事件に絡んで、公文書の改ざんというものが行われ、この指導を受けた、仕事として改ざんをしろと言われた職員が自死を選択をされるという事件がありました。

 犯罪をしろというような指示、命令、これはパワハラに当たりますか。

合田政府参考人 国家公務員の方が自殺された、そういう結末に至っているということにつきましては、極めて痛ましいことだというように私どもとしても受けとめておるというところでございます。

 個別の事案についてそれがどうであったかということにつきましては、私どもからお答えするということは差し控えさせていただきたいと存じます。

森山(浩)委員 それでは、一般論として、法に触れる、犯罪を犯すということを指示をされたということについては、パワハラに当たりますか。

合田政府参考人 一般論としてお答えを申し上げますと、国家公務員には、国家公務員法上、法令遵守義務というのが課されております。上司が部下に犯罪行為、違法行為を命ずるということは、パワーハラスメントに該当するかという以前に、国家公務員法に違反している行為でありまして、犯罪行為ということであれば、それは刑法の問題になる問題であるというふうに考えておるところでございます。

森山(浩)委員 パワーハラスメントというようなことで、このような法制をつくりながら、公務員の皆さんが国民全体に奉仕をするために働く環境をつくるということは非常に大事なことで、しっかりやっていただきたいと思いますが、この前の政権ではありますけれども、政権の中では、そのような事案も起こっているということで、公務員の皆さんが安心して働ける、国民のために働ける、誇りを持って働ける、こういう状況をつくらなきゃいけない。

 そういう意味では、パワハラはもちろんですけれども、犯罪を犯せというような指示がないようにということも含めて、ハラスメントのない勤務環境、これをつくっていくという部分に関して、担当大臣の河野大臣、決意をお願いします。

河野国務大臣 国家公務員がその能力を最大限に発揮するためには、パワーハラスメントというのはあってはならないことでございますので、人事院あるいは各府省庁、しっかり連携をしながら、いい勤務環境をつくれるように努力してまいりたいと思います。

森山(浩)委員 国家公務員が存在をするということ、わざわざ国家公務員になろうと思う方というのは、国民全体に奉仕をするためにやっているんだというところ、そしてまた、それを誇りに思って仕事に取り組んでいただいているということなんですけれども、先ほども、役所出身の議員の方から、国会では、おもねるような答弁をするであるとか、あるいは、ころころ答弁が変わっていく中で、これを何とかおさめなきゃいけないというような事例も散見されます。

 こういうことも含めて、やはり、胸を張って仕事をしていただけるような形、大臣、政府をそれぞれのところで指揮をしていただいているわけですから、ないようにお願いをしたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立憲民主党の森田でございます。

 二十分お時間をいただいておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。河野大臣、よろしくお願いいたします。

 せんだってのインタビューで、河野大臣が、長時間労働の、勤務時間、在庁時間の実態調査を指示されたというお話を聞きました。

 私も、大変すばらしいことだなというふうに思っておりまして、長時間労働を何でやめるのかというその根本的なところなんですけれども、私は、まず、これは別に国の職員さんだけではなくて、一般的に働いている方に言えることだと思うんですが、やはり、いい仕事をしてもらいたい、もう一つは、その方がよい人生、いい人生を送っていただきたい、大きくはこの二つなんだろうなというふうに思っております。

 やはり、時間に追われて、ぎちぎちで余裕がなくてという中でやっている仕事の環境では、どんなに優秀な人であっても、やはりもうその仕事を終えるだけで手いっぱいになってしまって、なかなかクリエーティブ、創造性の高い仕事をするというのは、これはなかなか難しいものだろうというふうに思っていますし、また、その方の人生を考えますと、やはり仕事以外の時間で、例えば、家族と食事に行ったり、公園に遊びに行ったり、あるいは地域の子供たちに野球を教えるとか、サッカーを教えるとか、あるいは地域の自治会の仕事に参加、作業に参加するとか、草刈りを一緒にやるとか、どぶさらいを一緒にやるとか、こういうことをやっていく中で地域との信頼関係というのもできていくと思っておりますし、そうすると、定年退職をした後も地域とのつながりがある中で円滑に定年後の第二の人生を迎えることができる。

 こういうことも含めて考えると、やはり大事な二十歳代ぐらいから五十代、六十代というこの長い人生をいかにして仕事とそうでない時間とをうまく切り分け、使い分けをしながら、その方がいい人生を送っていただくのか、幸せな人生を送っていただくのかということを考えても、これは、使用者というか、使う立場、雇用する立場の大臣始め国の、役所の管理職の方々も、そういうところも考えてやっていただくというのがしかるべき姿ではないかなというふうに考えております。

 そういうふうに思っているわけですけれども、ぜひ大臣にお聞かせいただきたいのは、この調査を命じたということのその背景でありますとか、あるいは、そこにある大臣のその思いについてお聞かせをいただきたいなと思っております。

河野国務大臣 正直、定年後の生活のところまで考えていたわけではないんですけれども。

 最近、特に若手の霞が関の職員の間で、辞職する意向を持っている職員が非常にふえているということがございます。

 また、国家公務員試験の希望者の数が、平成八年がピークでしたが、そこから比べても半分以下、激減しているという状況で、この霞が関にいい人材が集められなくなってきている。

 また、そういう中でも志を持って霞が関に来てくれた優秀な人材が、一つは長時間労働でプライベートライフと仕事が両立できない、あるいは家庭と仕事が両立できないということで、やめたい、こういう意向を持つようになってきたということで、非常に強い危機感を持っております。

 こういう話はいろいろございますが、実際どうなんだということをきちんとデータをとる必要があると思いましたので、まず、在庁時間というものをきちんと調べてみようということで、この十月、十一月、データを全省庁でとるようにということを指示したところでございます。

森田委員 ありがとうございます。調べていただくということについては大賛成でございます。

 一方で、ちょっとこれは人事院の方にお伺いしたいんですけれども、今まで、いわゆる在庁時間といいますか、時間外の勤務も含めて、勤務実態というのはどの程度把握していらっしゃったものなんでしょうか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 在庁時間についての把握ということでございますが、政府全体として計画的に在庁時間の削減に取り組むということを目的といたしまして、平成二十年の四月から、人事院と総務省の人事・恩給局、現在では内閣人事局になりますが、これらと共同して各府省の在庁実態の把握ということを行ってきております。

 この調査は、各府省の本府省のそれぞれの局のうちの一つの課について、各月の第一週における在庁状況をサンプル調査により把握しているというものでございます。こういった調査を行ってきているということでございます。

森田委員 それでは、ちょっと確認ですけれども、いわゆる全数調査というか、全ての職員さんの勤務時間を把握しているということはないという言い方でよろしいんでしょうか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 超過勤務を命じた時間については把握はしておりますけれども、別途、在庁時間については、このサンプル調査というものだけでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 在庁時間と超過勤務の時間がどの程度重なる意味なのか、ちょっと違うのかというのがあれですけれども、いずれにしても、全体の調査をあえてするという指示が出ないとそれがわからないというのが私は逆に驚いたところでございまして、私も、自分の個人的な仕事では介護の事業所に携わっておりますけれども、やはり常に社会保険労務士さんから言われるのは、とにかく、労働裁判になったら負けますから、そこはしっかりいろいろなものを管理してやっていくようにしてくださいということは常に言われていました。

 そういった意味では、先ほどのお話を聞くと、超過勤務の時間は把握していらっしゃるということでしたよね。超過勤務の時間は把握していたということなんですけれども、例えば、ここから先はまた給与法のときにも河野大臣にお話ししていきたいなと思っているところなんですけれども、ICTの勤務管理といいますか、ICカードを使って出勤と退勤を管理していくとか、あるいは、パソコンのログインの記録を使って勤務の管理をしていくなんということがこれからできたとすれば、もう一時に各省庁の全ての職員の勤務時間が把握できるということは可能になるわけで、民間の会社であれば、勤務管理を怠っていてというか、ちゃんとそれに見合った超過勤務分の手当がお支払いがなければ、直ちにそれはもう大きな問題になってきてということなので、どちらかというと、国家公務員にとっては、その辺のところが罰則もない中で曖昧になっているのではないかな、そういうことを感じております。

 ですから、この辺の勤務の管理の仕方も含めて、これはまた次の法案のときにも、給与法のときにも大臣とも議論していきたいと思いますけれども、その辺の、単なる技術を入れるということだけでなくて、ぜひ勤務管理の見える化も含めた一体的な活用ということで考えていただけるといいなというふうに思っております。

 それから、人事院の方に超過勤務のことで重ねて伺いたいんですけれども、平成三十一年の四月から、今まで目安であったものが人事院規則の中に明確に位置づけられてきた、超過勤務の制限というものが厳しく位置づけられるようになったということがあります。

 いただいている資料を見ますと、平均の超過勤務の時間数が、二〇一八年のときには二百二十六時間、本省に限っては三百六十五時間、二〇一九年の数字は、これが二百十九時間で、本省に限っては三百四十八時間、平均でこういう数字です。

 規則で上限で定められている数字というのが、三百六十時間、他律的業務が多い部署に限っては七百二十時間という数字がありますので、先ほどの本省に限ってという数字を見ると三百六十五時間とか三百四十八時間という数字ですから、ほぼこの上限いっぱいに近い時間が、二〇一九年であっても超過勤務というふうになっているという理解ができるんだろうなと思います。

 それで、今度のこの人事院の定めの中に、六カ月以内に、超過勤務、上限を定められたものを超えたところの把握をして、その要因の整理であったり、分析であったり、並びに内容の検証を行わなければならないということに規則上なっておりまして、ということは、これは平成三十一年の四月から令和二年の三月までの一年間ということでしょうから、そこから、三月末から六カ月ということになりますと、九月の末の段階では、この報告というか検証というか、これを行わなければいけないという期間になっていると思うんですが、各省庁からのこの報告というのは、今どのようになっておりますでしょうか。

合田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、平成三十一年の四月から、人事院規則におきまして、超過勤務命令を行うことができる上限を、原則一年について三百六十時間、それから、他律的業務の比重が高い部署においても七百二十時間などと設定しております。

 この他律的な部局につきましては、例えば、月当たりで百時間いかないとか、二月又は六月の平均で八十時間いかないとか、それから、四十五時間を超えるところにあって、年間、年度内に六回までとか、幾つかの上限が課されておりまして、これを超えたもの等については、委員御指摘のように、本年の九月末までにそれぞれの府省で検証を行うというふうなたてつけになっております。

 この検証結果について、私どもで、各府省から、どういうふうな事情で超えたのかというのは、一つは報告を求めておりまして、今これを取りまとめているというところでございますし、また、単なる調査票だけでは、具体的にどのような事情でそういった上限を超えてしまったことが発生したか、また、超えるに至る経緯でどのような対応を試みたとか、また今後どうしていくのかということについても、各府省から事情を伺い、また指導等をしていかなきゃいけませんので、現在、各府省の人事課長等とヒアリングを始めているところでございまして、これを今取りまとめをやっているという最中でございます。

森田委員 規則上は六カ月以内にということがあります。

 ことしは、コロナウイルスの関係もあったり、あるいは初めての制度の運用であったりということで、いろいろ事情があるということは承知をいたしておりますけれども、決まりは決まりという面もあると思います、今、もう十一月に入っておりますので。

 今、細かいお話というのは参考人の方からお伺いしたんですけれども、この辺の制度の根幹である、半年以内にきちんと、これは制度で定めた上限を更に超えた部分についての分析、検証でありますから、かなりそういった意味では重いところの話をしていると思っておりますので、ぜひ、この報告とか把握について人事院としてどのようにお考えか、総裁からその辺の方向性について御答弁いただきたいと思います。

一宮政府特別補佐人 先ほど局長の方から細かい点についてお話し申し上げたところでございますが、今、各府省の方から提出された資料に基づきまして、各府省における実情を聴取して、改善方策について指導、意見交換を行っているところでございますので、引き続き、制度の適切な運用が図られますよう、必要な指導等を行ってまいります。

森田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 民間の会社ですと、労働基準監督署のお世話にならないようにということで、日々いろいろな工夫をしたり、残業時間を切り詰めて、これは、民間ですと、当然それが人件費の上乗せになってくるものですから、その収支のバランスのことを考えても、かなりそこはシビアに民間企業はやっているんだろうと思います。

 いわゆるサービス残業というようなことをしないということも含めて、一定の時間の管理をきちんと線を引いてやっていくというのは、この制度の下敷きになっているような大事な思いだと思いますので、ぜひそのあたりの指導監督というものを人事院の方でしっかりとやっていただく。

 民間も、労働基準監督署の指導監督のもとでしっかりやろうということで、今、機運を高めてやっていこうというふうにやっていると思いますので、ぜひ国の方も、そこのところは、歩調を合わせるというよりは、どっちかというと、きちんと先を行くんだという気概でやっていければなというふうに思っております。

 それから、コロナ関係に関連してなんですけれども、テレワークのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 大体ことしの二月の下旬ぐらいから、民間企業に対しても、国の方から、テレワークだとか時短だとか時差通勤、そういうことも含めていろいろ推奨していった都合で、国の省庁でもそこに合わせるようなタイミングでテレワークを推進してきた。あるいは、緊急避難的にやらざるを得なかったという面もあったと思いますが、このあたりの状況について、緊急事態宣言の期間を中心に、どのような形で人事院の方で把握されているか、お答えいただきたいと思います。

合田政府参考人 お答えします。

 国家公務員のテレワークにつきましては、従来から、働き方改革の一環として、内閣人事局を中心に取組が進められておるところでございまして、その状況につきましても、取り組んでおられる内閣人事局の方で取りまとめられているというところでございます。

森田委員 ということは、人事院の方ではまだ詳細は把握していないということだと思うんですが、同じ問いなんですけれども、これは人事局の方ではどのような形で今把握していらっしゃいますか。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員のテレワークにつきましては、従来から、テレワーク・デイズなどの機会を通じて推進に取り組んでまいりました。

 本年でございますけれども、コロナ禍による緊急事態宣言下では、感染症対策に万全を期しつつ必要な行政機能を維持する、そういった観点から、特定都道府県に所在する官署においては、五割以上、できれば七割の出勤回避ということを目標にテレワーク、在宅勤務などを行ったところでございます。その結果、従来よりも多くの職員がテレワークを継続的に行うような状況になったというふうに考えております。

 一方で、こうした出勤回避についての課題を把握し、対応策を検討するため、私ども内閣人事局の方におきまして、国家公務員に対し、緊急事態宣言下でのテレワーク等の頻度とか生産性、利点、課題などについてアンケート調査を実施しております。

 結果につきましては、現在、集計、分析中でございますけれども、職員からは、テレワーク等の課題として、例えば、テレワーク可能な端末などハード面での不足の問題、あるいは、紙を前提とするテレワークしにくい業務プロセスの問題、また、出勤した職員に業務が偏るといったようなマネジメント面での問題、そういった課題が指摘されているところでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 またこの辺についても、引き続き、給与法の質疑の中でも大臣ともお話をしていきたいなと思っておりますけれども、これは、テレワークという、単なる技術的な問題というよりは、どちらかというと、仕事とは何かという、かなり本質的な問いかけを私たちに投げかけているのではないかなというふうに思っております。

 例えば、私が関係しているところでも、介護の事業所ですと、介護の現場そのものにいないと、テレワークというのはもちろん成り立たないわけで、例えば、介護も、緊急事態宣言のときには、一部時間を短くしたり、あるいは、自宅で療養できる方は自宅にいていただいてなんということもやりましたけれども、やはり長期に自宅にずっといていただくという方がふえてきますと、足腰がまた弱くなったり、あるいは認知症の程度が悪くなってしまったりなんということもありまして、結局、現場に出てこられるということもありましたので、現場にいないとできない、介護とか医療とか、そういう仕事もあります。

 それから、私の関係でいえば、例えば、地元の事務所、政治の方の事務所は、この期間中は、電話をいろいろ有権者の方にしたり、事業者の方にしたりとかというのはできたりとか、あるいは、玄関先ぐらいで資料を渡すぐらいだったら大丈夫かなとか、そんなこともあったりしながら、いろいろ工夫してやりましたけれども、基本的には、メールでやりとりしたり、あるいは、結構、東京の事務所もファクスがいろいろと来ることも多いので、ファクスを転送してメールに流せるようにしたりとか、こういう少しずつ工夫をしながら、何とかテレワークができるようにということで、私自身も工夫しながらその期間もやっておりましたけれども。

 本当にこれがうまくいくと、テレワークで切り出された、いわゆるジョブ型といいますか、この仕事とこの仕事とこの仕事をやってくださいというのがちゃんと明確になれば、かなり、例えば障害者の雇用の部分を見ても、この部分のこういう仕事だったら、障害者雇用のこういう方にお任せできるかなとか、そういういろいろな発展性というか可能性を含んでいる、テレワークという一言で言っても、可能性も持っているんだろうなと私は思っております。

 ぜひ、このあたりのことについても、また法案の審議のときに議論していきたいなというふうに思っております。

 あと、最後、人事院の方にまた伺いたいんですけれども、テレワークを推進するとかしないとか、あるいは、どういう形で技術的に進めていくかとかというのは人事局の方でやっていくんだと思いますが、テレワークによる、心身の不調であったりだとか、いろいろな、いわゆる労働環境に関係するところの問題というのも出てくるんだろうなと思います。

 このあたりについて人事院としてはどのような形で今後対応していくか、そのあたりについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

一宮政府特別補佐人 委員の方からお話がありましたように、テレワークにつきましては、時間と場所を有効に活用できる柔軟な働き方を可能とするものであって、職員のワーク・ライフ・バランスの増進や、通勤による疲労削減などの効果が期待できるとともに、生産性の向上が期待される場合もあると認識しております。

 一方で、先ほども御指摘いただいたような課題のほかに、職員の健康状態の把握、メンタルヘルスの確保などについての問題もあると承知しております。

 人事院としては、こうした課題があることを踏まえつつ、官民を問わず、テレワークによる働き方が広がっていくということを念頭に、柔軟な働き方に対応した執務環境の整備を進めるために、今後、研究、検討を行ってまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 私も、この期間中というか、コロナのことがいろいろ問題になってから、Zoomを使ってオンライン会議をやろうとか、そういう機会もありましたけれども、私がよく友人とやっていて目にした風景は、小さいお子さんがいるうちなんかは、Zoomの後ろにお子さんたちが走り回って出てきたりとか、うちはもう一番上は高校生で、一番下も中三なので、余り後ろでばたばたしているなんということはないんですけれども、そのかわり、猫がやってきて自分のパソコンの前を横切って、何か茶色いものが横切ったねみたいなことを言われたりなんということもありましたけれども。

 そういった意味では、自宅でやるということのいい面もあるし、それから、自分の生活と仕事がごちゃごちゃになってしまって、本当にこれで仕事をやっているのかなという、何か不安というか、いろいろなもどかしい思いというのもあったりだとか。

 あるいは、私の友人でいたのは、やはり精神をちょっと病んでしまったような友人なんかは、疎外感ですね、一人でやはり仕事をやらなくちゃいけないものですから、本当にこれで自分がやるべき仕事をやれているんだろうかというその疎外感みたいなものも感じてというようなこともありました。

 この辺を人事局とよく調整をしながらということになるんだと思いますが、ぜひ、いろいろと新しくまた課題になってきたこともありますので……

木原委員長 持ち時間が過ぎておりますので、おまとめください。

森田委員 今後も引き続きまた対応をしていただければと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、ハローワークの非常勤職員の問題についてお尋ねをいたします。

 資料を配らせていただきました。ハローワークの常勤の職員の数、それから、非常勤の職員、内訳として、一般相談員、求人者支援員、求職者専門相談員とありますけれども、平成二十三年度以降、十年間の数字であります。

 常勤職員の方は、継続的に削減をされて、十年間で一四%減少しています。その一方で、非常勤職員の相談員の方は、リーマン・ショックとか、東日本大震災とか、今回のコロナ禍などへの対応で増員となることはありますが、一万五千人以上が恒常的に業務に当たっているという状況を見ていただけると思います。

 全労連公務部会が作成しました非正規公務員酷書を拝見しますと、非正規のハローワーク相談員の仕事を紹介しておられます。

 障害を持った方などの就業を助けるため、民間事業者や医療機関、支援センター、御家族の方などと幅広く連携して、チームで専門的な援助を行っています、求職者の障害の状況、これまでの経験や職業能力などを的確に把握して、求職者に求人情報を提供するだけでなく、求人企業に対して配慮を必要とする内容を直接説明し、就職後も継続的に電話や訪問で職場に適応できるよう支援を行っています、高度な知識、スキル、人脈などを必要とする専門的、恒常的な仕事で、毎日誇りを持って働いています、こういった方が非常勤に置かれている。

 人事院総裁にお尋ねします。

 このような専門的、恒常的な仕事であれば、これは常勤職員を充てるというのが当然ではないでしょうか。

一宮政府特別補佐人 期間業務職員を始めとする非常勤職員は、臨時的又は短時間の業務に弾力的に対応するために任用されるものでございます。

 業務遂行に必要な人材確保をするに当たって、どのような勤務形態で職員を任用するかについては、業務の性質に応じて、業務遂行に責任を有する各府省において適切に判断されるべきものであると考えます。

塩川委員 短時間でもなく臨時的でもないというのが、今のこのハローワークにおける非常勤職員の実態であります。このことを踏まえた対応こそ求められているところであります。

 コロナ禍で景気の悪化の影響もあり、窓口業務がふえております。ハローワークの窓口業務の方の現場のお話を聞きました。

 相談業務は時間がかかるもの、新しく来た人に対する求職登録だけでも二十分はかかる。それに、就職支援の相談で四十分、雇用保険申請で更に時間がかかる。少しでも早く雇用保険を受け取りたいということで窓口に来る人は多い。また、窓口ならば、雇用保険の申請だけでなく、就職支援など、さまざまなことが相談できる。経済的にも精神的にも大変な状況の相談者が多いので、窓口業務は欠かせない。窓口の一般相談員の方も、このように、相談者の立場に立って、専門的な知見などを踏まえた丁寧な対応をされておられます。

 厚労省にお聞きします。

 このような非常勤職員が担っている専門的、恒常的業務であるハローワークの相談員の仕事というのは、まさに必要不可欠な仕事ではないでしょうか。

志村政府参考人 お尋ねの職業相談、職業紹介や求人開拓の仕事は、いずれもハローワークの重要な仕事と考えております。その仕事量は、景気動向や雇用情勢の変化による行政ニーズの変化等に左右されるものでございます。そうした仕事量の変動に機動的かつ的確に対応できるよう、常勤職員と非常勤職員との適切な役割分担のもと、適材適所に職員を配置することにより、必要な業務を遂行できる体制づくりをしているところでございます。

 非常勤職員に関しましては、その職務内容や人数は年度によって変わってくるものでございますが、引き続き必要な執行体制の確保に努めることとしております。

塩川委員 このような、景気動向など、行政需要に対応してというので、年度ごとに対応ということですけれども、この表を見てもらってわかるように、もちろん、景気動向に応じて、先ほど説明したように、リーマン・ショックのときとか、あるいは東日本大震災、こういうときには確かにふえている。また、今、コロナ禍で、雇用調整助成金等々、休業支援金等の支援でも、まさにハローワークの方々が本当に苦労しておられる。しかし、そういう時期でなくても、一万五千人という人数が常時、恒常的に専門的な仕事に当たっているわけであります。

 こういった専門的、恒常的な業務が一万五千人以上の規模で存在しているにもかかわらず、常勤職員を継続的に削減するというのはそもそもおかしい。常勤職員の削減をやめて、必要不可欠な仕事をしている非常勤の職員の常勤化こそ図るべきではありませんか。

志村政府参考人 国民の勤労権保障のため、雇用のセーフティーネットを提供し、労働行政の多様な課題に的確に対応できるよう、第一線であるハローワークの執行体制の確保が必要と認識しているところでございます。

 このため、雇用情勢の変化による行政ニーズ等に的確に対応できるよう、常勤職員と非常勤職員との適切な役割分担のもと、効率的かつ専門的な執行体制の確保に努めてきたところでございます。

 今後とも、求められる行政課題に対応できるよう、行財政改革の趣旨も踏まえつつ、必要な執行体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

塩川委員 答えていないんですよ。

 そもそも、一万五千人の人が恒常的に存在しているわけです。専門的、恒常的な業務に当たっているんだから、そういう方々の仕事を確保するためにも、常勤職員の削減をやめて、非常勤の常勤化こそ図るべきじゃないのか。そこをもう一回。

志村政府参考人 必要な執行体制の確保に努めるということで、いろいろ工夫してまいらなくちゃいけないということで、まさに常勤職員ですと、処分に係る業務とか失業認定とか、実質的な仕事であり、ただ、非常勤職員の方々でも、一般的な職業相談というのはやはりそれなりに業務量があるわけでございますので、そういったようなことの中で、各ハローワークにおいて、適切なミックスというか、人材の適切な配分に基づいて、しっかり執行体制の確保に努めているという状況でございます。

塩川委員 ハローワークにおける必要不可欠な仕事なんですよ。そういうのを、非常勤という身分のままで臨時的な扱いであるかのようにやっていること自身が問題だと。

 河野大臣にお尋ねいたします。

 常勤職員が継続的に減らされているというのは、この間の定員合理化計画があります。恒常的な仕事に見合う定員がそもそも措置をされていないということであって、こういった定員を削減する定員合理化計画そのものを撤回すべきではありませんか。

河野国務大臣 国家公務員の業務は非常に多岐な分野にわたっているわけでございますが、社会経済情勢の変化に伴い、それぞれの行政に対するニーズやその業務量も当然変化いたします。

 このため、いずれの分野であっても、一旦定員合理化に取り組んでいただいた上で、それを原資として、その時々の行政需要に対応できるよう、定員を再配分する必要があるわけでございます。

 全体の定員配置については、業務の効率化も進めながら、必要なところにしっかりと定員が配置されるよう、現場の実情や政策課題を的確に捉えて審査を行ってまいりたいと思います。

塩川委員 業務量が変化するというんですけれども、そもそも、一万五千人の規模で足りないわけですよ。そういうところにこそ、しっかりと手当てをすべきだ。

 こういった、恒常的な業務に見合った定員を措置すべきという点で、それを妨げるような定員合理化計画はやめるべきですし、今、非常勤の方々が一番訴えておられるのが、不本意な雇いどめが起きている三年ごとの一律公募制度、これはもうきっぱりとやめて、経験と能力で更新の判断を行う、こういう対応を直ちに行うことを求めて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

木原委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。河野国務大臣。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河野国務大臣 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 本年十月七日、一般職の職員の給与の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり、期末手当の支給割合について、年間〇・〇五月分を引き下げることが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。

 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定にあわせて、必要な改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣総理大臣等の特別職の職員の期末手当について、一般職の職員の給与改定に準じて引き下げることとしております。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

木原委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十八日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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