衆議院

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第4号 令和3年2月19日(金曜日)

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令和三年二月十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      安藤  裕君    池田 佳隆君

      岡下 昌平君    神田 憲次君

      高木  啓君    出畑  実君

      永岡 桂子君    長尾  敬君

      西田 昭二君    牧原 秀樹君

      松本 洋平君    宮崎 政久君

      吉川  赳君    和田 義明君

      阿部 知子君    大河原雅子君

      大西 健介君    櫻井  周君

      松田  功君    森田 俊和君

      山本和嘉子君    柚木 道義君

      吉田 統彦君    江田 康幸君

      古屋 範子君    塩川 鉄也君

      足立 康史君    岸本 周平君

    …………………………………

   国務大臣         坂本 哲志君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   西村 康稔君

   国務大臣

   (女性活躍担当)

   (男女共同参画担当)   丸川 珠代君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   内閣府副大臣       三ッ林裕巳君

   総務副大臣        熊田 裕通君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   外務大臣政務官      國場幸之助君

   厚生労働大臣政務官    こやり隆史君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  松本 裕之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  川辺英一郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   籠宮 信雄君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部統括官)        嶋田 裕光君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 赤松 秀一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岩井 勝弘君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           岸本 武史君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            瀬口 良夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 大森 恵子君

   参考人

   (日本銀行企画局長)   清水 誠一君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     出畑  実君

  玄葉光一郎君     山本和嘉子君

  森山 浩行君     櫻井  周君

同日

 辞任         補欠選任

  出畑  実君     小寺 裕雄君

  櫻井  周君     松田  功君

  山本和嘉子君     玄葉光一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  松田  功君     森山 浩行君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 この際、丸川女性活躍担当大臣、内閣府特命担当大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丸川国務大臣。

丸川国務大臣 女性活躍担当大臣、サイバーセキュリティ戦略本部に関する事務を担当する国務大臣、また、男女共同参画を担当する内閣府特命担当大臣として、一言御挨拶を申し上げます。

 橋本前大臣の後を受け、担当する事務に全力で取り組んでまいります。

 東京大会におけるサイバーセキュリティーの確保については、運営に大きな影響を及ぼし得る事業者等を対象としたリスク評価の促進や、脅威、事案情報共有等のための対処体制の整備等に取り組んでまいります。

 サイバーセキュリティ協議会の充実強化やクラウドサービスのセキュリティー評価制度の整備を始め、サイバーセキュリティ戦略に掲げる施策を確実に実施するよう、関係大臣と連携をしてまいります。

 本年中に、今後三年間の諸施策の目標と実施方針を示す次期戦略を策定をいたします。デジタル庁創設を始め、デジタル社会形成への改革とサイバーセキュリティー対策は、一体的な推進が極めて重要との認識の下、関係大臣と緊密に連携し、検討を進めてまいります。

 女性は我が国の人口のおよそ五一%、有権者のおよそ五二%を占めています。政治、経済、社会などあらゆる分野において、政策、方針決定過程に男女が共に参画し、女性の活躍が進むことは、我が国の経済社会の持続的発展を確保するとともに、あらゆる人が暮らしやすい社会の実現につながります。

 近年、様々な取組を進めてきた結果、我が国の女性活躍は一定の前進が見られました。しかしながら、我が国のジェンダーギャップ指数の総合順位は百五十三か国中百二十一位と、大変残念な状況になっています。グローバル化が進む中、男女共同参画の取組は、世界的な人材獲得や投資をめぐる競争を通じて、日本経済の成長力にも関わる問題です。

 今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、女性に特に強く表れています。DVや性暴力の増加、深刻化の懸念や、女性の雇用、所得への影響等は、男女共同参画の重要性を改めて示すものです。

 女性が直面する課題を一つ一つ解決をしていくことは、全ての女性が輝く令和の社会の実現のために不可欠です。昨年末に策定された第五次男女共同参画基本計画に基づき、新型コロナの感染拡大による女性の雇用や生活への影響等にしっかりと対処をするとともに、あらゆる分野における女性の参画拡大、女性に対する暴力の根絶、男女共同参画の裾野を広げる地域における取組、固定的な性別役割分担意識の解消に向けた取組など、新たな計画を着実に実行してまいります。

 特に、女性に対する暴力は、被害者の心身に重大な影響を及ぼす深刻な問題であり、相談件数も増加する中で、その対応は喫緊の課題だと考えております。DVについては、相談支援体制の拡充や民間シェルター支援など、対策の更なる強化を図ります。性犯罪、性暴力については、令和四年度までを集中強化期間として、ワンストップ支援センターの充実、相談体制の整備などの被害者支援、教育、啓発の強化等を進めてまいります。

 木原委員長を始め理事、委員各位の皆様の御理解と御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

木原委員長 丸川国務大臣はどうぞ御退席ください。

     ――――◇―――――

木原委員長 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本銀行企画局長清水誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官松本裕之君外十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。安藤裕君。

安藤(裕)委員 おはようございます。自民党の安藤裕でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今、日本は、コロナショックで、まだまだ長い苦しみの中にあるわけであります。そんな中で、東北ではまた大きな地震があり、そしてまた大雪で大変な被害も起きている地域もございます。日本各地で様々な状況が起きている、本当に国難の時代を迎えていると思っております。

 そんな中で、我々は、かじ取りを誤らないように、政権与党としてもしっかりとした政策を打ち出して、国民の皆さんに安心していただく、そういう必要があると思います。今日は、その思いを乗せて質問させていただきたいと思います。

 先日、二月十五日に、二〇二〇年の十から十二月のGDPの速報値が公表をされました。私も非常に注目をしておりましたけれども、まず、この速報の内容について御説明をお願いいたします。

籠宮政府参考人 お答えいたします。

 二月十五日に、二〇二〇年十―十二月期のGDP速報を公表しております。実質成長率は、前期比でプラス三・〇%、年率でプラス一二・七%と、二期連続のプラスとなっております。

 内訳といたしましては、個人消費、設備投資、輸出などが増加しており、日本経済の潜在的な回復力を感じさせる内容となっているものと認識しております。

 しかしながら、経済は依然としてコロナ前の水準を下回っておりまして、回復は道半ばと考えております。足下では、緊急事態宣言を発出している影響も含め、感染拡大による経済の下振れリスクの高まりに十分注意する必要があると考えております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 今御説明のとおり、プラスという結果ではありましたけれども、しかし、前期比、つまり七―九と比べればプラス成長になるのは当然だと思うんですね。しかし、対前年同期比、二〇一九年十月から十二月の比較で比べると、実質でマイナス一・二%、名目でもマイナス一・〇%成長ということになっています。

 しかも、一昨年、二〇一九年十月から十二月のGDPは大きくマイナスでありました。これは、原因は消費税増税であったのか、あるいは天候不順であったのか、いろいろなことが言われております。駆け込み需要の反動減があったのではないか、そんなことも言われておりますけれども、改めて、おととし、二〇一九年十から十二月のGDPについての評価、それから消費税増税の影響についてお伺いをしたいと思います。

籠宮政府参考人 お答えいたします。

 二〇一九年十―十二月期は、御指摘のとおり、実質成長率は前期比マイナス一・八%、年率でマイナス七・一%でございました。

 内訳を見ますと、公的需要が経済を下支えしたわけでございますけれども、民間需要は弱い動きとなっており、内需全体としてマイナス寄与となっております。外需については、輸入が民間需要の弱さによって減少したことから、プラスの寄与をしております。

 民間需要の弱さの主因は個人消費でございます。個人消費は前期比マイナス三・一%です。その要因としましては、二〇一四年の、前々回の引上げ時ほどではないんですけれども、議員御指摘のとおり、消費税引上げに伴う駆け込み需要の反動減に加えまして、台風や暖冬の影響があったと認識しております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 今御説明いただいたとおり、既に日本経済は二〇一九年十月以降かなり厳しい状況にあった、そこにコロナショックが降りかかってきたという状況です。したがって、日本は世界の中でも、コロナから立ち直るためには、ほかの国、諸国以上に大胆な経済対策を打つ必要があるんだろうと思います。

 そこで、今、世界各国のコロナからの回復の見込み、とりわけ中国は一か国だけ二〇二〇年もプラス成長を保っているという報道もありますけれども、中国がどのようになっていくと予測しているか、政府の見解をお伺いしたいと思います。

籠宮政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、依然として厳しい状況にある、しかしながら、持ち直しの動きが見られているというふうに考えております。特に、先進国につきましては、総じて、依然として厳しい状況が続いていると見ております。

 アメリカ経済は持ち直しております。十―十二月期は前期比一%の成長でございました。欧州経済につきましては、感染の再拡大の影響により経済活動が抑制されております。ユーロ圏の十―十二月期の成長率は、前期比でマイナス〇・六%でございます。一方で、中国経済につきましては、インフラ投資を中心に持ち直す中で、景気は先進国より一足早く回復しております。中国の十―十二月、こちらは前年比でございますが、六・五%の成長でございます。

 このように、先進各国で感染症が拡大する前の水準からGDPがなお下回っているのに対して、中国は既にこれを上回っております。さらに、インフラ投資などによりまして、引き続き先進国より高めの成長が続いていくというふうに見ております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 今お話しいただいたとおり、世界各国はまだまだ経済からの立ち直りに苦しんでいる状況ですし、そこまでいい数字が出ていないというところもありますけれども、中国は、一か国だけこのコロナショックからいち早く立ち直って、高成長がこれからも見込まれるということになっております。ある試算によれば、いよいよ、中国のGDPが米国のGDPを追い越すのが二〇二八年になるという予想もされています。

 皆さんのお手元に今日資料をお配りをしておりますが、二枚目を見ていただきたいと思いますけれども、この二枚目の資料は、日本とアメリカ、それから中国の名目GDPの推移を表したものです。

 一九九五年までは日本もアメリカと同じように右肩上がりで成長していますが、一九九六年以降は横ばいになっております。アメリカはその後も順調に経済成長していますが、日本はずっと停滞をしてしまっています。これが失われた二十年から二十五年になろうとしている。中国の経済成長率は非常に大きいですけれども、日本はなかなかそこまで行かない。

 かつての、一九九五年までの世界第二位の経済大国であった日本と、今の、世界第三位の経済大国といいながら、アメリカとの差は、一九九五年までの状態と今の状態では圧倒的に差が開いてしまっていると言わざるを得ません。

 アメリカと日本との差の拡大を示すこの折れ線グラフこそが、我々が認識しなきゃいけないワニの口だと思うんですね。このワニの口をどう小さくしていくかというのが我々の大きな問題意識として持たなきゃいけないところであると思いますし、従来言われている財政赤字のワニの口ではなくて、我々が認識をすべきワニの口、閉じるべきワニの口とはこちらの方であるということを強く認識するべきだというふうに感じております。

 そして、IMFのゲオルギエバ専務理事は、今年の一月に、このように述べたと報道されています。「低迷している経済の再生を支援するために、世界の政策当局者は財政支出を増やすべきだと強調した。」そして、「「IMFとしては非常に珍しいことだが、現在の政策に関して三月から各国政府に対して支出を促す。最大限お金を使い、さらにもう一段支出を増やすように求める」と述べた。」そして、「「生産と消費双方を意図的に制限している時期だ。経済崩壊を防ぐための緩和的な金融政策と財政政策を引き続き主張する」と語った。」という報道がされています。

 ここで重要なのは、生産と消費双方を意図的に制限している時期には、経済崩壊を防ぐために金融政策と財政政策が必要だと言っているということです。

 日本を見てみると、金融緩和は十分に行われていると思いますが、財政出動がまだまだ足りないと私は思います。特に、国債の発行をちゅうちょしているように思えてなりません。巨額な財政支出が必要だと分かっていても、財源はどうするんだ、これ以上国債を発行するわけにはいかない、そんな論調が大きくて、日本の世論も、国債発行には否定的な、またあるいは不安な見方をする方々が非常に多いと思います。

 しかし、国債発行とはどのような意義があるのか。そこで、国債発行の本当の意味、どういう意味を持つものなのかということを改めて確認をしたいと思います。

 皆さんのお手元に、イングランド銀行と、それから全国銀行協会の資料をお配りしました。

 この全国銀行協会の「図説 わが国の銀行」という書籍の中に、こういう説明があります。「銀行が貸出を行う際は、貸出先企業Xに現金を交付するのではなく、Xの預金口座に貸出金相当額を入金記帳する。つまり、銀行の貸出の段階で預金は創造される仕組みである。」これは信用の創造というところの説明ですけれども。

 つまり、銀行は、お金を貸すときに、例えば百万円を貸すとしたら、自分の金庫にある現金百万円を取引先に、融資先に渡して融資をするのではなくて、通帳に百万円と書き込むことによって融資を行うということを言っているわけですね。つまり、銀行は手元にお金がなくても融資を行うことができる、融資をした瞬間にお金が生まれてくるということを言っています。

 イングランド銀行、イギリスの中央銀行ですけれども、それはもっとストレートな説明をしていて、商業銀行は新規の融資を行うことで銀行預金の形式の貨幣を創造すると。これは信用の創造と日本語では言われますが、英語ではマネークリエーション、そのまんまの言葉ですけれども。

 日本銀行に伺いたいと思いますが、銀行が融資を行うことによって預金通貨が創造される、つまり日本国内に新しく預金という形の通貨が誕生するということですけれども、国債発行によっても同じことが起きる、つまり、国債を発行して政府が国民に対して支出をすると、新しい預金通貨が発行されて国民を豊かにすることができる、そういう理解でよろしいでしょうか。

清水参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、発行された国債を銀行が保有し、財政支出が行われれば、同額の預金通貨、いわゆるマネーが発生することになります。

 なお、この点は、先ほどの御指摘の民間銀行の信用創造のプロセスと同様でございますけれども、事後的に成り立つ関係でございます。

 財政の中長期的な持続可能性に対する信認の状況や将来の経済、インフレに対する見方などを背景に、国債に対する需要自体が変動する可能性には留意が必要と考えてございます。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 銀行が融資をするのと一緒で、国債を発行すると新しいお金が発行されて、誕生して、国民を豊かにすることができる。

 今回、このコロナで、お一人十万円ずつ配りましたけれども、これの財源は全額国債でありました。十二兆円の国債を発行すると日本国民に十万円ずつ配ることができる、まさに日本国民を豊かにすることができるわけですね。政府の財政赤字というものは国民の黒字です。誰かの赤字は誰かの黒字ですから、政府が財政赤字を拡大すると、国民に渡せば国民が黒字になるという、極めて当然のことが起きるということですね。

 そして、逆のことを少し伺いたいと思いますけれども、それでは、国債を発行するときにお金が誕生するのであれば、例えば、増税等をして国民から通貨を税の形で回収をして国債の償還を行った場合にはどういうことが起きるのか。国債の償還を行った場合には、国債を発行したときと逆の現象が起きる、つまり、国債発行により発行された通貨は、償還することによって消滅をしていくことになるんだろうと思いますけれども、日本銀行に伺いますが、そういう考え方でよろしいでしょうか。

清水参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、銀行が保有する国債が償還されて発行残高が減少する場合には、そのこと自体は、預金通貨、先ほど御説明しましたマネーの減少につながります。その際、国債残高が減少するような経済情勢では、民間の経済活動はより活発化し、貸出しが増加している可能性も高いとは考えてございます。すなわち、その場合、全体としてマネーが増加するか減少するかは様々であるというふうに考えてございます。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 民間企業がどういう行動を行っているかということはさておいて、国債を償還するという行為は、発行した通貨を消滅させる行為であるということは、これは自動的に成り立つ関係だと思いますので、そこは我々はきちんと正しく理解をする必要があると思います。

 そして、やはり、この預金通貨を消滅させるべき時期とさせてはならない時期というのがあると思うんですね。例えばバブルみたいな超好景気のときは、それは預金通貨が日本国内にあふれ過ぎていて、そういうときこそは、財政黒字を達成して預金通貨を消滅させるということが必要だと思いますけれども、不景気のときとかあるいはデフレのときには、そういうことはやるべきではなくて、きちんとマネーが国民経済の中に供給される状況をつくっていく。それをコントロールするのが本来の財政政策の役割であろうと思います。

 そして、コロナショックから日本経済を立ち直らせてV字回復をさせるためには、何といっても、民間企業の経営の維持が必要です。IMFも言っているとおり、生産と消費双方を意図的に制限している状態では経営を維持できなくなるのは当然で、経済の崩壊を防ぐための金融政策、財政政策が必要です。

 さらに、米国のイエレン新財務長官は、財務長官指名公聴会でこのように言っています。追加の対策で大きく行動するよう呼びかけ、債務拡大につながっても恩恵は代償を上回ると。追加措置を講じなければ足下のリセッションの長期化と深刻化を招くおそれがあり、今後の経済により長期的な傷痕を残しかねないと警鐘を鳴らした。

 私もそのとおりだと思います。今の日本の経済対策は、融資はするけれども補償は余りやらないという方向になっています。しかし、これだけ長期に及んで行動が制限され、多額の負債と欠損金を民間企業に背負わせれば、当然、民間企業は当分の間、負債の返済と欠損金の穴埋め、つまり財務体質の健全化に専念しなくてはなりません。

 欠損金がある間は、当然法人税も納税はされません。また、負債の返済をするまでの間は新しい投資をする余力はありません。コロナがなければ当然行われていたであろう投資計画も、コロナによる損失で財務の体力が奪われれば、投資をやらないという選択しかできなくなります。

 私は、前から、この粗利補償をするべきだということをお願いしておりますけれども、もし粗利補償のような大きな補償が実現できれば、民間企業には負債を背負わせることがなく、欠損金も背負わせることがなく、健全経営を維持してもらうことができます。当然、雇用は守られ、コロナ後の設備投資を行う余力も十分にある状態が温存できます。

 そして、やはり、コロナによって一社も倒産させない、一社も廃業させないということは当然ですけれども、なおかつ、損失を負担させないという意思表示を政府がする必要があるんだろうと思います。

 そして、今、飲食とかあるいは宿泊業、こういったところが損失の代表的なところというふうに言われておりますけれども、そこだけではないですよね。公共交通機関も大変な被害を被っている。あるいは福祉関係施設も、いろいろなイベントができなくて、収入が以前に比べたら本当に減ってしまって経営難になっている。あるいはエンターテインメント業界も、コンサートホールが使えない、仮にコンサートホールが全面的に解禁になったとしても、実際にそのような興行が行われるのは、準備を含めて、短くても半年、長ければ一年ぐらい先にしか興行が行えないというふうな状況になります。

 したがって、そういう企業の、事業者の救済をするためには、やはり粗利補償のような大きな救済策が必要だと思います。

 個人のことはまた後ほど聞きたいと思いますので、まず、この事業者に対する粗利補償について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

西村国務大臣 安藤議員始め、自民党内、若手の議員、様々こうした支援策について検討され、私も何度か提案もいただきまして、改めて敬意を表したいと思います。

 その上で、御指摘のように、特に今、緊急事態宣言を発出している中であります。非常に厳しい状況にある事業者の皆さんに対してしっかりと効果的な支援策を講じていきたいというふうに考えておりますし、何より、事業、雇用を支えていくことが大事だというふうに考えております。

 そうした中で、御指摘の補償、粗利補償についてでありますけれども、私ども、様々検討をこれまでも重ねてきているんですが、事業者、今回の影響、様々、千差万別であります。そして、一者一者ごとにその損失がどのぐらいあるかということの算定なり、これはなかなか、算定していくことは極めて困難でありますし、また時間を要するということもあります。

 そうした考えで、諸外国の例なども我々も参考にしておりますけれども、まさに、飲食店に対しては月額最大百八十万円、あるいは雇用調整助成金もございます。さらには、やや損失補償的に近いものとして、エンターテインメントのキャンセル料、これは最大二千五百万円まで補助をするということにしておりまして、これも規模に応じてでありますけれども、ということで、これがやや損失補償的なものに近いんじゃないかと思いますけれども。

 いずれにしましても、こうした様々な支援策によってかなりの部分をカバーできている。もちろん、規模が大きくなればとてもそれじゃ足らないということはありますけれども、大企業は大企業なりに経営体力がある、あるいは、それなりに資本力もあるということでもありますので、そういったことも加味しながら支援策を講じてきているところであります。

 いずれにしましても、経営への影響の度合いなども引き続き勘案しながら、また、諸外国の様々な仕組みも我々研究をしているところでありますので、引き続き必要な支援となるよう検討を進めていきたいというふうに考えております。

 予備費も、年度内、まだ二・七兆円ありますので、これも、必要な対策を機動的にやるということも頭に置きながら、引き続き検討も進めていきたいというふうに考えております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 もうコロナによる影響も一年になろうとしています。いよいよ三月決算の法人も、これから法人の申告の時期もやってまいります。十二月決算の会社も、今月には確定申告をしていくということになります。

 したがって、今、各者のそれぞれの損失の状況を算定しにくいとおっしゃいましたけれども、例えば確定申告のそれぞれの法人の課税所得をベースにして、以前の健全であった時代の課税所得と、今回の、この一年決算したときの課税所得との差額、これがコロナによるショックだというふうにみなして補償するということもあり得るのではないかというふうに思います。是非、そんなような提案もさせていただきたいと思いますので、これから御検討をお願いをしたいと思います。

 それから、個人に対する給付ですけれども、昨年は一律十万円の給付をしていただきました。これは、もう一度やってくれ、あるいは複数やってくれという要望も大変多くいただいています。一方で、収入が減っていない個人に対しても十万円給付する必要はないのではないか、そういう声もかなり強くあるということも非常に感じています。

 そんな中で、でも、やはり個人で生活に困窮している皆さんはいらっしゃいますので、何らかの形で個人に対しての給付をする必要があると思います。やはり、ボーナスが出ないとか、あるいは、残業がなくなってしまって残業代が激減してしまった、そういう個人の皆さんもいらっしゃいますし、そうすると、住宅ローンが払えないとか子供に対する学費が払えないというふうな皆さんも大勢いらっしゃるわけですね。

 そして、私、これから先心配しているのは、個人の給与所得が減ると、今年また人事院勧告が行われますけれども、人事院勧告でもマイナスの勧告が出ると思います。去年もマイナス勧告が出ましたけれども、そうすると公務員の給料も下げざるを得ない。そうなってくると、公務員も消費者ですから、個人消費をマイナスさせる結果になります。つまり、ここで個人に対する補助をちゃんとやっておかないと、公務員の給料もマイナスになり、そして個人消費が落ち込み、更にデフレスパイラルが加速をしていく、そういう心配が非常にあると思うんですね。

 したがって、ここは、まさにこれからの経済の失速を防ぐためにも、個人に対する補償、これも、一昨年の所得と昨年の所得との差額でもいいですから、何らかの形でこの減ってしまった所得を国から補償する、補填する、そんなような政策を考える必要があるのではないかと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

西村国務大臣 家計への支援という御提案でございます。

 家計の所得環境を見てみますと、家計調査、これは二人以上の勤労世帯で見てみますと、昨年、二〇二〇年の実収入は名目、実質共に前年比プラス四・〇%となっておりまして、貯蓄も二〇一九年に対して二〇二〇年は超過傾向にあって、累積で、先ほどの勤労世帯で、前年に比べ四十八万円程度増加をしております。これは、御指摘のような、昨年の一人十万円の特別定額給付金の効果が表れているものというふうに思います。いわば安心につながっているものというふうに思います。

 こうした所得環境を踏まえれば、御指摘のように、まさに厳しい環境にある、厳しい状況にある方々に対して重点的に、効果的に支援を行っていくことが大事ではないかというふうに考えております。

 そうした観点から、いわゆる緊急小口資金などがございます、その中の総合支援資金の最大三か月分六十万円を再貸付けを行うこととしておりまして、上限額が、二人以上世帯では二百万円、単身世帯では百五十五万円まで拡充をしたところであります。

 それから、これは貸付けでありますから返さなきゃいけないということでありますが、しかし、厳しい状況が続けば返済免除ということで、緊急小口資金については、令和三年度又は四年度に住民税非課税であれば、これは償還一括免除ということにしているところでございます。

 また、あわせて、住居確保給付金、これは住居を失うおそれのある方々に対して家賃相当額を支援するということで、東京都内でも五万円、六万円、この程度の支援を行っておりますけれども、これを最長十二か月まで延長しておりますけれども、一旦終了した方も、収入が減少した場合、三か月間再支給を可能としているところであります。

 こうした支援策を着実に実行し、厳しい状況にある方々をしっかり支援をしていきたいと考えておりますが、引き続き、経済の状況、感染状況もしっかり見ながら、予備費の活用も含めて、必要な対策を機動的に講じていければというふうに考えているところであります。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 今、個人の貯蓄が伸びているというデータがあったというお話がありましたけれども、もちろん全く影響のない皆さんもいらっしゃいますし、またあるいは、外食とか旅行とかが制限されているので、そういったところでいつもだったら使っているお金を使わないという皆さんもいらっしゃると思います。しかし、一方で、やはり、ボーナスが減ったりとか残業代が減ったりして、自分の貯蓄を取り崩している皆さんはいらっしゃると思うんですね。これは比率の問題なので、マクロで見ると貯蓄が増えているというふうなデータは出るかもしれないけれども、やはり一人一人の家計を見ていけば、ここは激減している、大変苦しんでいるというところがあるわけですよね。

 したがって、マクロのデータだけを見て、ここは増えているから支援しないというと、やはりすごく冷たい感じがするんですね。やはりそこをきちんと、所得が減ったというのは事実ということが、今年の確定申告、これから始まりますけれども、そこで明らかになってくると思いますし、そういったところに対する給付ということも是非改めて検討いただきたいというふうに思います。

 それから次に、消費税の減税の必要性について是非検討していただきたいと思います。

 消費税は、先ほどGDPの中でもお話をさせていただきましたけれども、今、消費税というのは預り金的税金であるから、事業者の損益には影響がないのだという説明がされていますけれども、実際はこれは違うと思います。

 私、税理士として申し上げますけれども、今、経済の状況が厳しい中で、各事業者の皆さん、飲食店の皆さんは、消費税なんか転嫁できるできないにかかわらず、売上げが欲しい、まさに手元の現金が欲しいので、取りあえず物を安い値段で売っていたりもします。そうすると、企業会計上赤字だけれども、手元に現金が入ってくるので取りあえず生活ができるという環境ですよね。

 しかし、消費税というのはいわば外形標準的な課税の部分があるので、消費税というのは、価格に転嫁できなければ自分の利益を削って納税しなきゃいけないという、存在するだけで赤字幅が拡大するという効果を持つ税金です。更に言えば、所得が減っている人に対して、食べ物にも課税をしているということですから、いわば生きていることに対しても課税をしているということに等しい。まさに、非常に今このコロナで日本経済全体が苦しんでいるときに、消費税というものをこのまま課税し続けるというのは、本当に私は大きな問題があると思います。

 したがって、当面、例えば、時限措置、三年間とかでもいいですから消費税をゼロにして、この際、日本の経済を立て直すために大胆な政策を打つ、このような判断をしていただけないでしょうか。是非お願いしたいと思います。

西村国務大臣 お答え申し上げます。

 もう委員もよく御存じのとおり、大前提として、消費税の税収は全額社会保障財源に充てられているということで、少子化対策あるいは社会保障の安定財源を確保するために必要であるという点、それから、幼児教育、保育の無償化など、負担軽減にも充てられておりますので、特に子育て世代には恩恵がございます。

 社会保障でいえば、医療保険で高齢者の自己負担割合を低所得者には低くしている、あるいは、この引上げ、八%から一〇%の増収分は、低所得の年金生活者への年最大六万円の支援金、あるいは低所得高齢者の介護保険料の軽減、それから高等教育無償化など、低所得者世帯への支援の財源となっているということもございます。

 そして、消費税減税の効果でありますけれども、これは高所得者ほど恩恵が大きいということであります。低所得者にはどうしても恩恵が小さくなり、消費額が小さいものですから、別の言い方をすれば、低所得者の人も消費をしないとその分の恩恵が受けられない。今まさに将来への不安もある中で、節約をしようとする意向が強ければ、このメリットは限定的になるということもあります。

 一方、昨年の一人十万円の特別定額給付金、これは、先ほどございましたけれども、約十三兆円を使っておりますので、消費税五%分の減税をすると、同じだけの財源を、ほぼ同じ財源を使っております。低所得者の人にとっては、消費税五%分の減税よりも十万円の方が、これは所得が低い人ほど恩恵が大きくなります。

 それから、確かに消費でなく貯蓄に回るということはあるんですけれども、これは将来の安心につながるということでありますし、やがては消費に回るという面もあります。

 ですので、同じお金の使い方であっても、低所得者の人により恩恵が大きい方が効果が大きいわけでありますので、こうしたことも頭に置きながら判断をしていかなきゃいけないというふうに考えております。

 いずれにしましても、先ほど申し上げたように、厳しい状況にある方々に重点的、効果的な支援となるよう引き続き考えていきたいと思いますし、予備費の活用も含めて、様々な支援策、必要な支援策を講じていきたいというふうに考えております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 よく高所得者の方が恩恵が大きいということを言われるんですけれども、食べるものに対しても課税しているというのは、やはりこれは過酷だと思います。それから、やはり赤字企業に対しても、外形標準的課税というのは、相当これは企業の継続にも大きな影響があります。

 社会保障の財源に充てるといいながら、人々が、生きている者から、必死のところで、財源をつくり出して社会保障の財源に充てているというのは、これはちょっと税制の仕組みとしては、あるべき姿なのだろうかということを改めて私は検討するべきだと思います。

 次の質問に行きたいと思いますけれども、対中国貿易の評価です。

 先ほど中国の話を少ししましたけれども、ちょっと大きな話で、中国との貿易が日本の経済に占める存在感と、それから、経済大国、軍事大国となって、今や日本の領土、領海を脅かす存在となった中国に対する安全保障の観点、この二つの観点から、中国に対する見方、お答えいただきたいと思います。

籠宮政府参考人 貿易についての御質問についてお答えしたいと思います。

 経済のグローバル化が進む中で、中国だけではなく様々な国との日本の結びつきは強くなっていると思いますが、中国の存在感につきまして、貿易の観点から見てまいりますと、日本の輸出に占める中国向け輸出金額の割合は、二〇〇〇年六・三%でございましたが、二〇二〇年には二二・〇%まで高まっております。輸入の側で見ますと、二〇〇〇年の一四・五%から、二〇二〇年には二五・八%まで上昇しております。

石月政府参考人 安全保障上の観点からお答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、中国の透明性を欠いた軍事力の急速な近代化、海空域における軍事活動等の急速な拡大、活発化などは、我が国を含む地域と国際社会の強い懸念となっております。

 これまでも、安全保障上の懸念につきましては、様々なレベルで中国側に申し入れてきております。力による一方的な現状変更の試みは、断じて認められません。

 尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船舶の活動は、そもそも国際法違反でございますし、これまで中国側に厳重に抗議してきているところでございます。また、先般施行されました中国海警法により東シナ海や南シナ海などの海域において緊張を高めることになることは、全く受け入れられません。

 我が国としては、米国や同志国とはこれまでも緊密に意思疎通を行ってきております。先般行われた日米外相電話会談、日英2プラス2、日豪外相電話会談、さらに、昨晩行われました日米豪印外相電話会談の中で中国についても取り上げ、中国海警法を含め、東シナ海や南シナ海における一方的な現状変更の試みについて問題提起し、懸念を共有し、引き続き連携していくことで一致したところでございます。

 また、南シナ海等における力による一方的な現状変更の試みにつきましては、ASEAN諸国ともしっかり意思疎通をしているところでございます。

 我が国としては、米国及び同志国との間で緊密な協力を進めつつ、中国に対しても、引き続き、大国としての責任を果たしていくよう働きかけていきたいと考えております。

 以上でございます。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 中国との経済的な関係はだんだん高まっているものの、警戒もしていかなきゃいけないということだと思います。

 そして、昨年の骨太の方針とか、あるいは十二月の総合経済対策において、対日投資促進の方針というものが示されています。例えば十二月の総合経済対策では、「対日直接投資は、海外の優れた技術やノウハウの取込みを通じ、我が国経済の生産性の向上に寄与し、雇用・所得の継続的な拡大にもつながる。経済安全保障に留意しながら、その更なる促進に向け」ということが書いてありますけれども、今、コロナで日本企業の経営体力が大変弱っています。こういうときに外資がどんどん入ってくると、逆に、日本企業が外資の草刈り場になってしまうのではないか。とりわけ、この中国に対する警戒というのは非常に必要だと思います。

 特に、中国では共産党員の皆さんが大体一九年末で九千二百万人いるということで、中国の人口の一割弱の方は中国の共産党員である。したがって、優秀な方がやはり共産党員の方々には非常に多いということが予想も当然されるわけですし、中国共産党の方は、当然、中国共産党のために仕事をするということになりますから、これを極めて我々は注意をしなきゃいけないことだというふうに思います。

 加えて、RCEPがこの度締結をされることになりましたけれども、これも、ますます、先ほど外務省の方がおっしゃっていただいたような安全保障の観点から考えると、かなり慎重に対応しなきゃいけない部分というのもあるのではないかというふうに思います。

 この問題意識について、政府の今の考え方を御説明いただきたいと思います。

西村国務大臣 まず、対日投資についての考え方を申し上げたいと思います。

 我が国は、自由貿易そして自由な投資環境ということを推進していくということでありますが、対内直接投資についても、海外の優れた人材、技術、ノウハウ、これを呼び込むことがイノベーションを促進していく、そして生産性を向上させる、あるいは雇用の創出をもたらす、我が国経済の成長につながるということから、原則自由としているところであります。

 他方、御指摘のように、国の安全等を損なうおそれのある投資に適切に対応する必要がございます。昨年五月に施行された改正外為法、これは、こうした考えに基づきまして、めり張りのある対内直接投資を目指すものであります。特定の国からの投資を何か前もって制限するというものではありませんけれども、引き続き、国の安全、経済安全保障、これにはしっかりと目配りをしていきたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、昨年策定しました骨太方針に基づいて、この春までに対日直接投資促進に向けた中長期戦略を取りまとめていくこととしております。当然、我が国の国益を確保する観点から、御指摘のような経済安全保障、これに留意しつつ、対日直接投資の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。

赤松政府参考人 委員御指摘のRCEP協定との関係についてお答え申し上げます。

 RCEP協定は、世界のGDP、貿易総額の約三割、我が国の貿易総額のうちの約五割をカバーしておりまして、地域の貿易・投資の自由化、活性化に資する経済連携協定であると考えております。

 投資につきましては、締約国間の投資活動の更なる促進を目的とするルールを規定しておりまして、同時に、日本がこれまで締結してきた他の経済連携協定と同様に必要な例外や留保に関する規定が設けられ、我が国が安全保障上必要な措置を講ずるための政策判断の裁量が確保されております。

 いずれにいたしましても、我が国といたしましては、引き続き、自由で公正なルールに基づく秩序の構築に主導的な役割を発揮していく中で、中国を含む各国との関係において、我が国の経済成長につながる貿易・投資を促進しながら、経済安全保障の観点にも十分に留意して、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。

 やはり外資頼みの経済成長というのは非常に危ういと思います。そして、例えばバイデン大統領は、中国に対抗してインフラ投資を行うということを言っていますし、追加の経済対策で一兆九千億ドル、約二百兆円のインフラ投資をアメリカ国内で行うということを言っています。中国も、対米摩擦の長期化をにらみ、二一年からの新五か年計画でも国内供給網の強化を狙うというようなことも言っています。

 例えばGoToトラベルの予算、補正予算も合わせて二兆円余りの予算がありますけれども、例えば中国からの訪日観光客の消費額、二〇一九年で一兆七千億円ですね。したがって、中国からのこういった消費額は予算措置によって十分賄うことができるんだろうと思います。

 したがって、私は、やはりここは、対外とか外資とかではなくて、国内の、やはり内需主導型によって、きちんと予算措置をすることによって、内需主導型の経済成長を取り戻すことが日本の経済の安定的な成長に結果的にはつながるのではないかというふうに思っておりますけれども、政府の見解をお願いしたいと思います。

西村国務大臣 御指摘のように、今は財政出動を行うべきときというふうに認識をしております。

 我が国において、御案内のGDPギャップ、これは七―九月期で約三十四兆円ございましたけれども、十―十二月期、これは少し成長が戻ってきておりますので縮小するとしても、二十兆円程度はまだあるわけであります。まさに今は財政出動をしなきゃいけないときだというふうに認識をしております。

 特に、決してデフレには戻さない、先ほどの名目成長率が低いのも、やはりデフレの影響が非常に大きいわけでありますので、もう絶対にデフレに戻さないという強い決意で、三次補正でも財政規模四十兆円、事業規模で七十三兆円を超える、これも含めれば、これまで、財政支出百五十二兆円、事業規模二百九十三兆円の対策を実行してきたところであります。内需をしっかりと下支えしていきたいと思います。

 特に、インフラ投資について、今後五年間で事業規模十五兆円を目途とする、いわゆる防災・減災、国土強靱化のための五か年計画、これを十二月に取りまとめたところであります。複数年度にわたって強力に実行していきたいと考えております。

 さらに、将来の成長に向けて、デジタル、グリーン、ヒューマン、この三つのニューディールで政府支出をしっかり行って、それによって民間への投資を呼び込み、民間の創意工夫を引き出して、まさに民需主導で、そして内需主導の持続的な成長を実現していきたいというふうに考えております。

安藤(裕)委員 ありがとうございます。是非、デフレには絶対戻さないという強い決意で大胆な経済対策を打っていただきたいと思います。

 もう時間がなくなってまいりましたので、少し質問を飛ばして、最後に少子化の問題を一問だけ聞きたいと思います。

 少子化の主要因ですけれども、私は、待機児童問題ではなくて、やはり若年層の貧困化ではないかと思っています。

 やはり低所得と不安定雇用のために、そもそも結婚ができない。五十歳の未婚率が、男性では今やもう二三%、女性は一四%になっています。結婚している御夫婦の中では、完結出生児数は一・九四人となっているので、ほぼ二人ぐらいのお子さんを持っていただいている。

 したがって、結婚できない理由のこの低所得と不安定雇用、これを何とか対策を打たなきゃいけないと思っておりますけれども、今の内閣府の考え方について最後に確認をしたいと思います。

木原委員長 三ッ林内閣副大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

三ッ林副大臣 少子化の原因としては、未婚化、晩婚化の進行、また夫婦の持つ子供の数の減少等がありますが、その背景には、個々の人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が絡み合っていると考えます。その要因の中には、男女の仕事と子育ての両立の難しさなどもあり、待機児童の解消も少子化対策における必要な施策の一つと考えております。

 そのような中で、夫婦の持つ子供の数は一九七〇年代以降おおむね二人前後で推移していることから、少子化の原因として、特に未婚化、晩婚化の影響が大きいとの見解もあるものと承知しております。

 若い世代の非正規雇用労働者の未婚率は、特に男性で正規雇用に比べて顕著に高くなっており、雇用の安定を図り、経済的基盤を確保することが重要であると考えております。

 このため、少子化社会対策大綱では、若い世代の経済的基盤の安定に向けて、若者の就労支援、非正規雇用労働者の正社員転換、待遇改善を進め、若い世代の雇用の安定を図ることとしております。

 厚生労働省と連携して、若い世代が将来に展望を持てるような雇用環境の整備を通じて、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるような環境整備に取り組んでまいりたいと思っております。

安藤(裕)委員 ありがとうございました。是非有効な少子化対策に取り組んでいただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、高木啓君。

高木(啓)委員 自由民主党、東京比例代表の高木啓でございます。

 本日は、質問の時間を頂戴いたしまして、誠にありがとうございます。

 早速でございますが、昨日、女性活躍、また内閣府特命担当大臣に御就任をされました丸川珠代先生、誠におめでとうございます。

 今後の御活躍に私たちは大変期待をいたしておるわけでありますが、橋本大臣の引継ぎということでございますので、改めまして、新大臣としての決意並びに抱負などがございましたら、是非教えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

丸川国務大臣 高木委員、御質問ありがとうございます。

 まず、男女共同参画ということについては、政府の重要かつ確固とした方針でございます。

 とりわけ、私が橋本大臣からこの職を引き継ぎました経緯を振り返りますと、非常に注目が高まっている議題でもございます。また一方で、この引き継がれた経緯を振り返りますと、まだまだ日本の男女共同参画は道半ばであるということが明らかになったのではないかと考えておりますので、しっかりとこの職責を全うしてまいりたいと思います。

 特に、新型コロナの影響を受けておられるのは、多くは女性に大変大きな影響が出ているという認識でございます。

 昨年末に策定されました第五次男女共同参画基本計画の推進、全力を挙げてまいりたいと思います。

 また、サイバーセキュリティーについてもお預かりをさせていただきました。

 東京大会の成功、これまでに二度、戦略を改定、私が前任のときからいたしましたけれども、まさに日進月歩で技術が進んでいる中でございます。サイバーセキュリティーの確保に万全を期すべく、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

 本年中に次期戦略を策定する予定でありまして、関係大臣と緊密に連携し、検討を進めてまいります。

 ありがとうございます。

高木(啓)委員 丸川大臣、ありがとうございました。

 どうぞ、お忙しいでしょうから、御退席ください。

木原委員長 どうぞ御退席いただいて結構です。

高木(啓)委員 それでは、本日の最初の質疑として、まず、領土、領海等についてお伺いをさせていただきたいと思っております。

 尖閣諸島周辺をめぐる情勢というのはもう御承知のとおりでありまして、私たちは、我が国の固有の領土である尖閣諸島、またその周辺海域、この領土、領海を大変心配をしている現状であります。

 そこで、是非、今日はまず政府の見解を伺いたいんですが、昨年で、尖閣周辺海域、接続水域に、一年三百六十五日のうちの三百三十三日、実は中国の船が入ってきている。そして、領海にも、二十数日でしょうか、領海侵犯をされている。この現状に対して政府はどのように今お考えになっているのか、まずお伺いします。

赤澤副大臣 改めて申し上げるまでもなく、尖閣諸島が日本固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も明らかでございます。現に我が国はこれを有効に支配しているということです。

 中国海警局の船舶による尖閣諸島の接続水域内での航行や領海侵入などの活動が、委員御指摘のとおり、相次いでいることについては極めて深刻である、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする中国海警船舶の活動は国際法違反であるというふうに考えてございます。

 中国が海警法を制定したことについても深刻な懸念がございます。それによって我が国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならないと考えておりまして、そのような我が国の強い懸念は、外交ルートで中国側に対し、しっかり伝えられていると承知をしております。

 政府としては、尖閣諸島周辺海域を含む我が国周辺海域の領海警備体制を強化するなど、国民の生命財産及び領土、領海、領空を断固として守り抜くという方針に揺るぎはございません。

 領土問題担当として、国内外において我が国の立場についての正確な理解が浸透するよう、関係機関と連携をしながら、内外発信の強化にこれまで以上に努めてまいりたいと考えてございます。

高木(啓)委員 政府見解についてはよく分かりました。

 ここで、ちょっと一点だけ確認をしておきたいんですが、かつて我が国と中国の間で、尖閣諸島の問題について棚上げをするということが議論になった、あるいは合意をしたというような中国側の見解、発表もあるんですが、私は、我が国政府としてこの棚上げに対して合意をしたという事実はないというふうに思っておりますが、このことを改めて確認をさせてください。

石月政府参考人 尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配しております。したがって、尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しません。

 このような我が国の立場は一貫しており、中国側との間で尖閣諸島について棚上げや現状維持を合意したという事実はございませんし、棚上げすべき問題も存在いたしません。

高木(啓)委員 赤澤副大臣の御答弁や今の政府委員の答弁にあるように、我が国は有効に支配、そして領土問題は存在しない、これはもう基本的な立場だというふうに思っています。

 しかしながら、中国は海警法を二月一日に施行した。そして、このことは、先ほども御答弁がありましたけれども、極めて我が国にとってはゆゆしき事態だというふうに思っています。

 我が国が尖閣諸島を領有した、あるいは閣議決定をしたという意味でいえば、編入をしたという意味でいえば、これは、一八九五年、明治二十八年の一月十四日にこのことをやっているわけですね。石垣市はこの日を記念して、尖閣開拓の日という記念日にしているわけでありますが、こういう事実関係からしても、我が国固有の領土であり、有効に支配をしているというこの政府見解は、これはこれで了とするわけでありますが、しかし、現実はどうもそのように、私たちが思っているようになっていないのではないか、あるいは、心配をすべき事態が起こっているのではないかというふうに私は非常に憂慮をしているわけでありまして、本日の質疑はそういう気持ちから行っているわけであります。

 さて、その中国海警法ですが、二月一日に施行されまして、このことに対して、我が国はいかなる措置を取られたんでしょうか。

國場大臣政務官 力による一方的な現状変更の試みは、断じて認められません。

 尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船舶の活動は、そもそも国際法違反であり、これまで中国側に厳重に抗議しております。また、先般施行された中国海警法により東シナ海や南シナ海などの海域において緊張を高めることになることは、全く受け入れられません。

 お尋ねの中国海警法については、曖昧な適用海域や武器使用権限等、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含むと考えております。

 そうした中で、我が国を含む関係国の正当な権益を損なうことはあってはならないと考えており、こうした我が国の強い懸念を中国側に対し、引き続きしっかり伝えていきます。

 また、先般行われました日米外相電話会談、日英2プラス2や日豪外相電話会談、さらに、昨晩行われました日米豪印外相電話会談の中で、中国についても取り上げ、茂木大臣からは、中国海警法を含め、東シナ海や南シナ海における一方的な現状変更の試みについての懸念も共有し、引き続き連携していくことで一致しました。

 また、南シナ海等における力による一方的な現状変更の試みの問題については、ASEAN諸国ともしっかり意思疎通をしております。

 我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、主張すべき点は主張しつつ、今後とも冷静かつ毅然と対処してまいります。

高木(啓)委員 しっかりと冷静かつ毅然として対応していただきたい、これからもそのことは是非お願いをしたいと思います。

 中国海警法の施行を受けて、平時でも有事でもない、いわゆるグレーゾーン事態に対応する法律というものが必要だと私は思っておりますが、このことについて、政府はこの必要性を認めますか。いかがですか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 中国海警法につきましては、御指摘のとおり、本年二月一日に施行されたところでございますが、中国側の尖閣諸島周辺の活動に対しましては、政府が一体となって、現行の法制に則して冷静かつ毅然と対処しているところでございます。

 その上で、一般論として申し上げれば、武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するためには、警察機関と自衛隊との連携が極めて重要であり、政府といたしましては、平成二十七年五月十四日、武力攻撃に至らない侵害に対し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するため、海上警備行動等の発令手続の迅速化のための閣議決定を行ったところでございます。

 また、平素より、関係機関におきまして、対応能力の向上、情報共有、連携の強化、各種の訓練の充実など、必要な取組を推進しているところでございます。

 政府といたしましては、引き続き、国民の生命財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針の下、関係省庁間で連携し、冷静かつ毅然と対応してまいります。

高木(啓)委員 私は、今の答弁は非常に納得ができない部分がありまして、つまり、海上警備行動を発令できるようにするというのは、いきなり自衛隊が出ていくという話になるんだろうというふうに思っています。

 これは、実は中国海警法が巧妙なところは、中国海警局は平時も有事も対応しますよと、自らをそのグレーゾーンの中に置いたわけですよ。平時でも有事でも対応できるというこのグレーゾーンに、我が国は法律がないということなんですね。だから、このことに問題があるのではないかというふうに言っているわけです。

 つまり、何かあったときに海上保安庁がきちんと対処をする、これは第一義的にはそのとおりだと思います。しかし、いきなり自衛隊が出ていくんだというところで、これは、やはり国際的な状況から考えて、向こうにつけ入る口実を与えてしまうんじゃないでしょうかということを私は非常に懸念をいたしております。

 だからこそ、中国が海警法という法律を作って、自ら海警局をグレーゾーンの中に入れた。つまり、自分たちが、海警局自体グレーゾーンですから、だから、ここのところに対して我が国はきちっとした法体系をつくらなければいけないのではないかということを私は思います。そのことは是非これからも研究をしていただきたい、このように思っています。

 そして、尖閣諸島周辺の海上は海上保安庁、そして、空の場合は航空自衛隊なわけですね。海上と領空の警備体制というのは、一方は海上保安庁で、一方は自衛隊だ、この体制で本当にこれからもいいんでしょうかという気がしてなりません。

 つまり、要するに全く組織が違うわけですから、この現状のままで本当に我が国が、先ほど来ずっと答弁をされているように、この尖閣諸島周辺をしっかりと守っていくことができるのかということに懸念を私は持っております。

 現状のままで適切と考えていますか。

松本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、中国側の尖閣諸島周辺の活動に対しましては、政府が一体となって、現行の法制に則して冷静かつ毅然と対処しているところでございます。

 まず、海上保安庁におきましては、現場において、常に中国海警局に所属する船舶を上回る体制で対処に当たっているところでございます。

 また、自衛隊におきましては、尖閣諸島周辺を含む東シナ海において、海上自衛隊の哨戒機等による警戒監視、情報収集活動を実施いたしますとともに、得られた情報を、必要に応じて海上保安庁等、関係省庁に提供しているところでございます。

 さらに、あらゆる事態に対処するため、例えば、治安出動命令や海上警備行動命令が発令される事態を想定して、警察、海上保安庁及び自衛隊の間の共同訓練を含め、関係省庁間での連携を強化しているところでございます。

 また、我が国領空の警備という点に関しましては、自衛隊におきまして、国際法及び自衛隊法に従い、厳正な対領空侵犯措置を実施しているところでございます。

 政府といたしましては、武力攻撃に至らない侵害に際し、切れ目のない十分な対応を行うため、引き続き、大型巡視船の整備など、警察機関、自衛隊の体制強化と能力向上を図り、国民の生命財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針の下、冷静かつ毅然と対応してまいります。

高木(啓)委員 言っていることは理解をするし、分かるんですが、例えば、こういう事態が既に起こっていますが、尖閣周辺で展開をした中国の船からヘリコプターやドローンを発艦させて、我が国の領空を侵犯をする。これはもう既に起こっている事態です。

 こういうことに対処するためには、これは対処可能時間が極めて限定される、さらに、レーダー網での捕捉も極めて困難、そして、基地からの緊急発進機による対応では時機を逸するおそれが高いというのが、実は専門家から言われている話であります。

 こういうことも含めて、先ほど来言われている、冷静かつ毅然と対処する、そして断固として守り抜く、このことを本当に実現するために、もっと詳細に、それは手のうちを明かす必要はありませんが、きちんとした私はその対応策を考えていただきたい、このようにお願いをしておきたいと思います。

 さて、我が国の尖閣周辺の漁業者が、実は、今のこの状況の中で非常に困っていらっしゃるということを聞いております。

 先般、新聞報道でもありましたが、この漁業の操業情報、船がいつ出るかということに対して、これが中国側に漏れているのではないかという話が先般新聞に出ておりました。これは、実は数日前の新聞だけではなくて、昨年の十月も同じようなことが新聞記事になっております。

 これは、しっかり、私は、こういうことがないように、情報漏えいがないようにやはり調べていくべきだし、こういうことに対して毅然としてまさに対処していかなきゃいけないんじゃないかと思いますけれども、この指摘をした今のことに対しての見解をお伺いしたいと思います。

瀬口政府参考人 お答えします。

 海上保安庁では、日本漁船の操業情報を始め、情報の管理は徹底しているところではありますが、中国側がこの情報をあらかじめ入手しているか否かについては承知はしておりません。

 一方で、海上保安庁におきましては、日本漁船の安全を確保するために、様々な事態を想定して万全な領海警備体制を構築しており、仮に中国側があらかじめ日本漁船の操業予定を把握していたとしても、適切に対処できると考えております。

高木(啓)委員 実際、適切に対処できているかどうかというのはそれぞれ見解が違うんだろうと思いますが、少なくとも、先日出漁した漁業者の方は、これは、ユーチューブやいろいろなところで、ビデオや、テレビでも放映をされましたけれども、安全に操業できる環境ではないということをはっきりおっしゃっていらっしゃいました。

 安全に、要するに、漁業者の皆さんが尖閣周辺で操業することを担保するのは、これは我が国の責務なのではないかというふうに思います。守られていないという感覚を持っている漁業者のこの指摘に、我が国は、政府としてどう応えられるんですかということを是非お伺いしたいと思います。

 そして、こういうことを思わせてしまっているということに対して、私は、これは改善しなきゃいけないと思いますよ。漁業者の皆さんは、怖くて出漁できないかもしれない、こうおっしゃっていらっしゃる。そのことに対してどうお応えになられるか、今後の努力も含めて、是非見解を聞かせていただきたいと思います。

瀬口政府参考人 お答えします。

 海上保安庁では、中国海警局に所属する船舶が日本漁船へ接近しようとする動きを見せた場合には、日本漁船の周囲に巡視船を配備し、日本漁船の安全確保に万全を期しております。

 引き続き、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針の下、関係機関と緊密に連携し、事態をエスカレートさせないよう、冷静かつ毅然と対応を続けるとともに、一層厳しさを増す情勢に備えるため、今後とも、海上保安体制強化に関する方針に基づき、海上保安体制強化を着実に進め、領海警備に万全を期してまいります。

高木(啓)委員 何度も出ておりますが、断固として守るんだという言葉どおり、断固として是非守っていただきたいと思います。

 尖閣諸島周辺海域を従前から漁場としている沖縄の漁業者の今の不安の話は申し上げましたが、この不安に対して、私は、もう一方では、沖縄にとって大事な、この漁業というのは一つの産業だというふうに思っています。ですから、政府や、我が党もそうですけれども、沖縄の産業を守っていく、あるいは沖縄振興ということを、従前から、基地負担の軽減を含めて、私たちはずっと力を尽くしてきたというふうに思っています。

 しかし、こういう状況が続いて、沖縄にとって、先ほど言った重要な産業の一つである漁業が阻害されているということに対して、私は、沖縄振興という観点からもやはり見るべきだというふうに思っているんです。

 そして、この沖縄振興という観点から見た場合に、これはどのように考えますか、この漁業が阻害されているということに対して。見解を伺いたいと思います。

岡下大臣政務官 お答え申し上げます。

 沖縄においては、漁業は重要な産業の一つでございまして、離島におきましては特に重要な産業であると認識いたしております。

 先日、領土・主権展示館を訪問いたしまして、資料やあるいは写真などを拝見をさせていただきましたけれども、尖閣諸島周辺海域は、古くから、マグロあるいはカツオなどの豊かな漁場として、八重山諸島を始めとする我が国の漁業者の皆様方が漁業活動を行ってきているものと承知をいたしております。

 先ほど海上保安庁からも御答弁がございましたが、同海域における操業につきましては、安全は確保されているものと承知をしておりますが、漁業者が同海域における操業に懸念を感じていらっしゃることは、私といたしましても遺憾に思っているところでございます。

 内閣府におきましては、これまでも、沖縄における漁業振興を図るため、漁港、漁場など生産基盤の整備、あるいは農林水産物の流通コストの支援などによりまして、生産、流通体制の強化等を行ってきたところでございます。

 引き続き、関係省庁とも連携をいたしまして、また地元の御意見も丁寧にお伺いしつつ、沖縄振興に取り組んでまいる所存でございます。

高木(啓)委員 尖閣周辺の漁場というのは極めて好漁場だというふうに言われていまして、かつては魚釣島にかつおぶしを作る工場があったというところであります。したがいまして、好漁場であるというこの尖閣諸島周辺の海を、やはり私は調査をきちっとすべきだというふうに思います。漁業調査はしっかりすべきだと思います。

 岡下政務官、今お答えになられましたが、政務官は行かれたことはあるんですかね、あちらに。私は行くべきだと思いますよ。自らやはり御出馬いただいて、調査されたらいかがですか、答えはあえて求めませんけれども。

 私は、やはり我々政治家、議員は、いろいろな情報を収集することは今できますよ、ネットでもできるし、テレビや何かでも見られる、本も読める、だけれども、やはり行って、そこで感覚としてそれを獲得してくるということは大事なんじゃないでしょうか。聞くところによりますと、岡下政務官は水泳が非常に得意だとおっしゃっていらっしゃるので、海の温度を確かめたりすべきだと思いますよ。そのときは是非私も一緒におつき合いしますから、行ってくださいよ、是非。お願いしておきます。

 続きまして、同じ調査なんですが、私たちは、尖閣諸島の島に上陸、あるいは、今、漁業の話だけしましたけれども、海洋の全体の調査というものもすべきだということを従前から提言をさせていただいております。

 今回是非聞きたいのは、やはり調査活動全体の、尖閣周辺の調査活動全体にわたってすべきだと思うんですが、どうも環境省は何かこれからやられたいというようなことも聞かせていただいておりますので、この辺りの点について、環境省から是非答弁をしていただきたいと思います。

大森政府参考人 お答えいたします。

 環境省では、自然環境の把握を目的として、全国を対象にこれまで実施している各種調査の一環で、尖閣諸島におきましても調査を実施しております。

 具体的には、最新の人工衛星画像を用いて、過去に作成した植生図の更新や、希少な野生動物であるアホウドリの生息状況に関する調査を実施しております。

 引き続き、可能な限り、環境省として必要な情報収集と現状把握に努めたいと考えております。

高木(啓)委員 他の省庁は、なかなかこれは取り扱いづらいということも聞いていましたが、環境省も、人工衛星を使ってどうこうではなくて、物理的に行って、上陸して調査した方がいいと思いますよ。これは当然だと思います。

 結局、みんな腰が引けているんですよ、この問題に対して我が国の政府が。だから、調査すらできないんじゃないですか。こういうことをしっかりやらないで、断固として守る、毅然として対応すると言うのは、私は国民にとって極めて不安感の高いことだと思います。ですから、まずは調査、しっかり調査をするということを是非やっていただきたい、このように思います。

 そして、もう一つ、この尖閣諸島については、領土・主権展示館の巡回展示が先日行われました。私は、石垣市は、しっかりした展示館をつくってほしいということを前から言われていると思いますし、そして、自分たちでもそれをつくりたいということをおっしゃっていらっしゃいます。ふるさと納税を活用してとか、いろいろな方法を模索をされていると思っています。

 このことはやはり政府としてもしっかりと対応していくべきだと思いますが、御見解をお伺いいたします。

赤澤副大臣 尖閣諸島については、領有権の問題は存在しないが、周辺海域の情勢が複雑化する中で、地元石垣市に尖閣諸島に関する常設の展示施設を設置することを求める声があることは承知をしております。

 内閣官房においては、本年一月に領土・主権展示館の地方巡回展を石垣市と共催で開催したところでございまして、常設の展示施設についても、石垣市のお考えをよく伺いながら、どのような支援が可能か、前向きに検討してまいりたいと考えております。

高木(啓)委員 いろいろな形での支援の仕方があると思いますから、赤澤副大臣、是非前向きに、まさに前向きに検討していただきたい。

 そして、石垣島、一番尖閣諸島に、所管をしているところでありますから、石垣市ですから、そこにやはり分館のようなものができることは私は望ましいと思いますので、是非前向きに検討していただきたいと思います。

 続いて、竹島のことについて伺いたいと思います。

 我が国固有の領土であるこの竹島の現状は、私は本当に憂慮に堪えない状況になっていると思います。

 二月二十二日、次の月曜日でありますが、これは竹島の日でございます。式典には今年も政務官が派遣をされるというふうに聞いているんですが、これは、政務官派遣は九年連続、誰も行かないよりはそれはいいんでしょう。だけれども、私たちは、やはり我が国固有の領土、そしてこの竹島には様々な問題があるという中にあって、なぜ大臣が出席しないのかということは前々から言われていると思います。

 私は、この問題も含めて、我が国の領土、領海を守っていく、あるいはしっかりとした主張をしていく、そのことの意思表示はやはりこういうところに表れてくるんだろうなと思いますが、何で大臣が出席しないのか、是非教えていただきたいと思います。

赤澤副大臣 日韓関係について、お互いに重要な隣国であり、北朝鮮への対応を始め、日韓、日米韓の連携が不可欠であると考えていることはまず申し上げておきたいと思います。

 一方で、最近の日韓関係は、旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題など、非常に厳しい状況にあるというふうに認識をしております。

 また、改めて申し上げるまでもなく、竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上、明らかに日本固有の領土でございます。

 そうした中で、島根県等が主催する、二月二十二日、竹島の日記念式典については、政府内で諸般の情勢を踏まえて検討した結果、今日、この委員室におられますけれども、政府から和田内閣府大臣政務官が出席することになったところでございます。

高木(啓)委員 九年連続で政務官が出席をされる、私は、このことはどういう評価をしたらいいかなというふうに、実は非常に悩ましいと思います。

 つまり、ここ最近の日韓関係というのは劇的に変化をしてきたんだと思います。それを、毎年同じことをやっているというのは、我が国はそのことに対して反応していないという間違ったメッセージを送ってしまうのではないかという懸念が実はあるからなのであります。この日韓関係が劇的に変化をしているということが政府部内で共有をされているのかな、こう思います。

 つまり、例えば、つい最近の出来事でありますが、駐日韓国大使の姜昌一氏が着任をされたということであります。私のところにも御挨拶状なども送られてまいりました。

 しかし、この姜昌一氏の問題は、我が国が合意をする前に勝手に韓国で発表してしまって、これは外交儀礼に著しく反する話じゃないですか。しかも、御本人の問題も含めて、我が国に対して極めて反日的な言説を今までずっと取ってきた人が、勝手に向こうが日本の大使にする。我が国は何も、要するに、そのことに対してお答えをしていないにもかかわらずですよ。

 こういうことをやられて、そして竹島の日を迎えたときに、毎年同じことをやっていて、今年も同じだといったら、向こうは、ああ、これでいいのかなと思うんじゃないですか。

 私は、日韓関係が劇的に変化をしているというこの時期にあって、二月二十二日の竹島の日にどう政府が対応するのかということは、みんなが注目しているし、世界も注目していると思いますよ。

 この認識をしっかり政府の中で持っていただきたいので、今日改めてこの話をさせていただきました。日韓関係が今非常に変化をしている、険悪なムードになっている、それをどう解決をしていくのかということを考えた上で、いつもいつも同じことをやっていればいいということではなくて、是非いろいろな意味でのその動きを見せていただきたいと思います。

 そして、竹島問題は、これが問題になっている、あるいは、我が国固有の領土であるにもかかわらず、ここはいろいろな問題を抱えているということを内外に私は明確化していくべきだと思います。国際社会もそうですし、あるいは我が国の国内もそうですし、そういうことをしっかりやっていくべきだと思います。

 それには、やはり私は、戦後のいわゆる李承晩ラインのこの歴史のところまで遡らないといけないと思いますし、国連海洋法条約にのっとってこの日韓の境界を明確にしていく、この作業をしなければいけないと思いますが、政府はどのように思っていらっしゃいますか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のいわゆる李承晩ラインは、一九五二年一月に、当時の李承晩韓国大統領が国際法に反して一方的に設定し、このラインの内側の広大な水域への漁業管轄権を一方的に主張するとともに、そのライン内に竹島を取り込んだものでございます。このラインの設定は、公海上における違法な線引きであるとともに、韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠でございます。

 竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も、明らかに日本固有の領土でございます。

 委員御指摘のとおり、竹島問題については、国民世論を啓発し、国際社会の正しい理解を得るべく、国内外の広報が重要と考えており、政府としてこれを強化しております。

 例えば、世界各国における日本大使館による対外発信に加え、有識者や報道関係者の招聘及び派遣、竹島に関する動画やパンフレット等の作成、配布、並びに竹島問題を啓発するスマートフォンアプリの作成、配布といった取組を行っており、引き続き効果的な広報に努めていく考えでございます。

 日韓間の海洋境界の画定につきましては、一九九六年、我が国として国連海洋法条約締結のための作業を進める中、同年三月の日韓首脳会談において、領有権問題と切り離して排他的経済水域の境界画定を促進することで合意いたしました。このことを受けて、日韓間の排他的経済水域の境界画定交渉が開始され、これまでに十一回の協議を実施しているところでございます。

 我が国の国益を守るとの観点から、国連海洋法条約を始めとする国際法に従い、合意により境界を画定すべく、引き続き適切に対応していく考えでございます。

高木(啓)委員 竹島は不法占拠である、不当に韓国に支配されているというのを明確にしていただいて、これを本当に内外にきちっと発信していただきたい、このように思います。

 さて、日韓の間には、この竹島の問題だけではなくて、東シナ海の海洋問題もあるんですね。この日韓の海洋問題は、ちょっと時間がないので、はしょって一問だけ質問しますが、韓国の意図というのは明確なんですよね。恐らく、日韓大陸棚協定というのがあって、これが二〇二八年までの有効期間、この有効期間中に東シナ海の既得権益を確保するためにいろいろな形で動いている。こうした事実をやはり国民にしっかり知らしめるべきだと思いますよ。

 東シナ海、韓国との東シナ海というのはなかなか見えづらい課題なんですね。ですから、国民によくこういうことを知らしめると同時に、この海洋外交の統一的戦略というものを、東シナ海においてですね、これはやはりしっかりつくっていくべきだと思いますが、その点ちょっと、短くでいいですから、御答弁ください。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の日韓大陸棚南部共同開発協定は、一九七八年六月に発効したものでございまして、五十年間の効力を有し、二〇二八年六月に有効期限を満了いたします。その後は、三年前に他方の締約国に対して書面による予告を与えることにより、協定を終了させることができます。

 これまで日韓間で同協定に基づき議論をしてきた経緯はございますが、現時点において、共同開発区域における共同開発は行われておりません。

 また、我が国としては、二〇一八年五月に策定した海洋基本計画において、総合的な海洋の安全保障として必要な政策を実施することとしております。

 この方針の下で、外務省としては、関係省庁と連携しつつ、韓国を含め、周辺国等との間で排他的経済水域、大陸棚等の境界の一部が未画定である中、我が国の法的立場や海洋権益が損なわれることのないよう、外交努力を積み重ねていく考えでございます。

高木(啓)委員 是非、やはり統一的な海洋政策の戦略を私はつくっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 さて、話題は全く変わりますが、今、菅政権の一つの目玉でありますデジタル社会をつくっていくためのデジタル推進についてお伺いさせていただきたいと思います。

 このコロナ感染症が発生をして、コロナは弱いところをつく、こう言われていると思います。私は、これはなかなか名言というか、非常に正鵠を射ているなというふうに思っているんですが、コロナ感染症で明らかになったことの一つは、私は、我が国の政府が国民一人一人に正確にアクセスをするすべを持っていないということだったというふうに思うんです。

 例えば、定額給付金の問題、あるいは、こうした様々な、例えば台湾では、マスクを配れたのはやはりしっかりと国民と政府がつながっているからというふうに思っているんですが、こうしたことをこれから改善をしていくためには、やはり私はマイナンバーカードだというふうに思います。

 このマイナンバーカードの取得こそがその解決につながると思うんですが、なかなか取得率が上がらない。そこで、その意義や必要性について、私は、政府は強い決意で国民に再度訴えるべきだというふうに思います。このことについて、是非御見解を伺いたいと思います。

熊田副大臣 マイナンバーカードは、住民誰もが無料で取得できる公的な顔写真付本人確認書類であると同時に、オンラインでの安全確実に本人確認を行える、極めて高い認証強度を持ったデジタル社会の基盤となるツールとなっております。

 政府といたしましては、令和四年度末にはほとんどの住民がカードを保有することを目指しており、関係府省が連携して取り組んでいるところでございます。

 現在、未取得者に対する申請書の個別送付を行っているほか、マイナポイント事業の対象者、期間の拡大、三月からは健康保険証としての利用を考えており、進めております。また、デジタル・ガバメント実行計画に基づく様々な利活用シーンの拡大などについても取組を進めておるところでございます。

 御指摘のように、新型コロナウイルス対策の経験や、今後の我が国の成長力、国際競争力を維持するためにも、行政はもとより、社会全体のデジタル化を進めていくことの重要性が改めて認識されたと考えており、マイナンバーカードはそのための基盤になるものと思っております。

 引き続き、地方公共団体とも連携しながら、更に普及の取組を加速してまいりたいと思っております。

高木(啓)委員 今日の質疑の一つの流れは安全保障なんですけれども、これもやはり国民に対する私は安全保障の一つだと思っています。

 定額給付金は、全国民に一人十万円ずつと言っていますが、実は配れていないですよ、本当のことを言うとね。それはもう副大臣御案内のとおりで、在外の邦人には定額給付金は配れていない。なぜならば、確認ができないからというふうに私は聞きました。

 ですから、国民一人一人にアクセスするすべを持っていない我が国政府は、やはりここの部分を、弱いところをコロナにつかれたわけですよ。ここはやはり改善しなきゃいけないんじゃないでしょうか。安全保障という観点からも、やはり是非このことを更に推進をしていただきたい、このように思います。

 続いて、経済安全保障について伺いたいと思います。

 コロナ感染症によって、サプライチェーンの国内回帰を促進する政策、例えば、経済産業省では、国内投資促進事業費の補助制度というのをつくっていただいて、大変多くの企業がこれを御利用されたというふうに聞いております。

 マスクや防護服などは、これは戦略的な物資というふうに呼ばれるわけでありまして、国内生産を増やす努力を続けるべきだというふうに思っています。そういう考え方でこの補助制度もできたんだろうと思いますので、これからもそれをやっていくべきだ。いつ何どき、またこうした感染症が起こるか分からない。そのための対策を取っておくべきだ。

 しかし、一方では、これは今どういうことが行われているかというと、物資が豊かになってくると、安いものがどんどんどんどん入ってくるものだから、安ければいいだろうみたいな話になってくるわけですよ。

 特に、先般も入札が行われたんですが、政府とか自治体がアイソレーションガウンやあるいはマスクなどを調達をするときに、安い方を調達しちゃうと、国内じゃないものとかが出てくるわけですね。国内生産限定だといっても、例えば、先般行われたこの厚生労働省の入札においては、これは国内生産だといいながら、裁断や生地の調達は外国でいいですよ、日本で縫うところだけやってくれればいいですよみたいな感じになっている。

 これでは本当の意味での国内調達にならないんじゃないでしょうかと私は思うんですが、入札制度を含めた、政府あるいは自治体はやはり国内物資の優先調達をできるというその仕組みを私はつくるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

こやり大臣政務官 高木委員御指摘の個人防護具につきましては、昨年来、医療現場での需給の逼迫した状況に鑑みまして、これまで国が直接調達をし、必要な医療機関に無償で配付を行うとともに、国内企業への増産要請や、補助金による増産支援といった国内生産体制の強化を図ってきたところでございます。

 具体的なその調達方法につきましては、昨年五月頃では、緊急の必要性により国が事業者と個別交渉をして行う随意契約、先ほど先生御指摘の、昨年十二月、直近の募集方法でございますけれども、これは、輸出途絶リスクを回避する観点から全て国産という形で公募を行ったところでございます。

 今後の調達におきましても、国民の生命、健康を守るために不可欠な個人防護具につきましては、輸入の激減あるいは国際的な調達競争の再発に備えた安定供給の観点、同時に、我が国は貿易立国でございます、自由貿易の礎である国際的なルールとの整合性、これも確保する観点から具体的な調達方法を検討してまいりたいというふうに考えております。

高木(啓)委員 これからも是非この制度をしっかり守っていただきたいし、国内でサプライチェーンを回帰させるという政策をもう打ち出したんですから、そのためにはやはり発注がちゃんとできていないと回帰してきませんよ。したとしても、それで終わっちゃう、続きませんので、是非その点に気を遣っていただきたいと思います。

 最後に、子ども・子育ての問題だけ、一言だけ言わせていただきたいと思います。

 児童手当の特例給付が……

木原委員長 委員に申し上げます。時間が来ておりますので、質疑をまとめていただきますようお願いします。

高木(啓)委員 はい。

 一千二百万円以上が支給対象から外れると報道されたんですが、必ずしもそうではないということが分かりました。一千二百万円を超えても支給をされるという制度設計もありますので、このことについてはしっかりと広報を充実をしていただいて、国民に対する誤解をなくしていただきたい、このように要望だけしておきたいと思います。

 本日は、様々な面にわたって質疑をさせていただきましたが、大変真摯な御答弁をいただきました。誠にありがとうございました。

 以上で終わります。

木原委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑を行ってまいります。

 まず冒頭、コロナ禍におきまして、医療、介護を始め最前線で奮闘されている方々、また、生活の窮状に至った方々への支援を行っている方々、エッセンシャルワーカー、全ての皆様に感謝を申し上げ、質問に入りたいと思います。

 順番を変えまして、まず二問目から質問させていただきたいと思います。一人親家庭の課題について質問をしてまいります。

 今回のコロナ禍で、非正規で働く方々、女性、また一人親家庭、こうした日頃から経済的な基盤、生活の基盤が脆弱な方々を直撃をしております。離職に追い込まれるようなケースも増えておりまして、生活が一層今後困窮することも懸念をされております。

 こうした現状を踏まえまして、年末年始に向けて、予備費を活用して給付金が支給をされることとなりました。私も、当委員会におきまして、是非とも年内支給をしていただきたいということを申し上げ、実施をしていただいたわけでございます。

 先日、ひとり親支援協会という方々から御要望いただきました。ここは、三十三歳で、大阪の商工会議所に勤めている今井智洋さんという方が代表を務めていらっしゃいます。彼自身はシングルファーザーではないんですが、いわば本当にボランティアでこういう方々への支援の活動をされています。

 本年、このひとり親支援協会で、一月の二十三日から二月の一日まで、一人親家庭を対象とした調査を行っております。ここは、シングルマザーが二割でシングルファーザーが八割、こちらの方が多い団体です。コロナ禍の影響で七三・二%が収入減、あるいは収入減の見込みである。また、コロナの影響で八〇・一%が支出増となっている。回答者のうち八二・〇%の方が、昨年末、この一人親家庭の臨時特別給付金の再支給を受給しています。この一人親世帯の臨時特別給付金の使い道は、生活費、また返済、年末の出費として充てたという方が九一・九%であったということでございます。

 年末、年内に支給していただいて大変よかったというふうに思っております。しんぐるまざあず・ふぉーらむの方々からも、何とか年を越すことができたとか、あるいは、雪が降るのにスニーカーしかなくて足に霜焼けができていたんだけれども、冬のブーツを買ってあげられたとか、あるいは、一人五百円のお年玉を子供に上げることができたとか、本当に切実な声を伺っております。確かに、光熱費などを払うことができた、このような声を伺っているところであります。こうした、振り込まれたらすぐに使わなければいけないというような家計の逼迫した状況が続いております。

 これから新学期を迎えます。非常事態宣言が延びているところもあり、入学の、新学期シーズンを迎えて、制服、かばん、また靴、教科書など、出費がかさむとの不安の声が寄せられております。実は、一人親に限らず、コロナ禍で家計が急変をした世帯についても同様のことが言えるというふうに思います。

 更なる給付金の支給を求める声が届いているわけでありますけれども、まずは、この児童扶養手当受給世帯はもう支給がなされておりますけれども、まだ申請をしていない方々もいらっしゃるわけです。ですので、改めて、家計が激変をした、対象となっている方々、申請期間、多くの自治体で二月末となっているわけなんですね。この方々が支給対象であるということをまずは周知を徹底していただきたいし、この申請期間の延長ということも考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 ひとり親世帯臨時特別給付金の申請期限につきましては、申請受付から給付金の振り込みまでの事務処理に一か月程度の期間を要するものと想定されております。

 今年度中に給付金の支給を完了する必要がありますので、地方自治体に対しましては、可能な限り二月末日を申請期限とし、十分な申請期間を確保することを依頼しております。また、申請期限を過ぎて申請がなされた場合等につきましても、給付金の支給が年度内に完了することが確実である限りにおいては申請を受け付けていただくなど、柔軟な対応も地方自治体に依頼したところでございます。

 支給要件に該当しているにもかかわらず申請されていない方につきましては、SNSや地方自治体を通じて申請勧奨を重点的に行っておりまして、引き続き、地方自治体と連携して、必要とされる方にきちんとお届けできるよう取り組んでまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 ありがとうございます。

 年度内支給をするために一定の事務処理期間が必要だということは承知をしておりますけれども、その辺は、自治体によって事務処理能力にも差があったり申請者の数にも差があると思いますので、今、柔軟な対応をしてよいということでございましたので、そのことも自治体に徹底をしていただいて、皆様に是非とも支給を受けていただけるように、今後とも努力をお願いしたいと思っております。

 次に、緊急小口資金、また総合支援資金についてお伺いをしてまいります。

 先ほど言った団体のアンケートによりますと、家計が急変した方のうち、生活福祉金を受けた方というのが一九・五%にとどまっているんですね。これは、そもそも制度を知らないとか、あるいは制度が分かりにくいとか、基本的にはこれは借入れということになりますのでハードルが高いといった理由が挙げられております。こうした必要な制度があるにもかかわらず、非課税世帯に返済免除の案内がないということで、こうした制度自体を知らないということも大きな原因だと思います。

 こうした返済免除制度、これを周知していただくとともに、この返済免除の対象拡大についても検討すべきではないかというふうに思います。

 また、申請をするときに、社会福祉協議会の担当者の方、本当に申請が多くて御苦労されていると思います。中には、政府の方針と異なる案内をしたために、対象となるべき方が断られた事実が複数あるということが報告をされております。こうした公的支援というのは申請者にとっては本当に最後の頼みの綱なんですね。命綱になっているわけです。こうした、窓口によってそのようなことが起こらないよう、担当の方々に制度の徹底をすべきであると思います。

 今後の対応についてお伺いしたいと思います。

 この緊急小口資金、また総合支援資金の特例貸付申請期間、本年三月末までとなっておりますけれども、コロナの感染状況を見ながら、特例貸付けの再延長ということも検討すべきではないかと思いますが、この点についてお伺いしたいと思います。

岩井政府参考人 お答え申し上げます。

 生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金、総合支援資金に関しましては、新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少等により当面の生活費が必要な方について、従来の低所得者世帯の要件等を緩和するとともに、償還免除の特例を設けて、必要な貸付けを進めてきております。償還免除の対象については、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯としているところでございますが、様々な御意見があることは承知しております。

 いずれにせよ、生活に困窮される方にきめ細かに配慮するよう、早急に検討を進め、詳細が決まり次第広く周知してまいります。

 特例貸付けの具体的な運用につきましては、QアンドAの発出等により、全国一律の取扱いの徹底を図っております。引き続き必要な対応を行ってまいります。

 特例貸付けの申請受付期限につきましては、本年三月末までとしているところでございます。四月以降の取扱いについては、感染症の状況や貸付けの動向等を踏まえる必要があると考えております。

 引き続き必要な対応を行うことで、お困りの方々の生活を支えてまいります。

古屋(範)委員 政府の方は、新型コロナウイルス禍で生活に困窮する人向けのこの支援、最大二百万まで拡充をする方針を示されておりますけれども、二百万というのは庶民にとってとても大きな額であると思います。ですので、ただ借りればよいというふうに私自身も思っておりません。こうした、当面生活することができないという方々が、そこを乗り越えて、いわば生活や命をつないでいくためのものであって、その先には、仕事を見つけ、就労に就いていただいて、自立をしていくということが大事なんだと思います。そこへつなげていくということが最も必要なことではないかなというふうに思っております。

 ひとり親支援協会の方々と話しましたけれども、自分たちも、公助へ本当に窮状にある方々をつなげていく、この共助の活動をすることが自分たちの主眼であるということをおっしゃっていました。

 是非とも、こうした小口資金などの制度を徹底をしつつも、就労に向けてつないでいくということもよろしくお願いしたいというふうに思っております。

 続けて、児童扶養手当についてお伺いをしてまいります。

 私も児童扶養手当の拡充については取り組んでまいりました。また、回数を増やすということも取り組んでまいりました。

 この児童扶養手当、前年の所得で決まるんですね。ですので、現在生活が厳しい一人親世帯、これはもう、制度上致し方ないことなんですけれども、なかなか届かないわけなんですね。コロナによって年収が下がって、児童扶養手当をもらう範囲となったんだけれども、収入審査が八月のために児童扶養手当をもらえない、すぐに収入審査をしてほしいというようなシングルマザーがいます。

 また、手当の支給は十八歳までなんだけれども、十八歳以上の子を扶養する一人親家庭でも教育費がかさんで影響を受けている。夜間高校は十九歳までですので、こういう意見も届いております。

 この給付金、児童扶養手当を受給していない一人親家庭でも、家計は逼迫をしています。また、一人親家庭だけではなくて、二人親がいたとしても、病気であるとか様々な理由で苦境にある方々がたくさんいます。貧困率が極めて高い一人親世帯への児童扶養手当の増額、また支給要件の緩和、さらに、給付対象についても、一人親に限らず、生活困窮世帯への拡大をしてほしいという要望が寄せられておりますけれども、これらについて見解を聞きたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 一人親家庭に対する支援でございますが、就業支援を基本としつつ、子育て・生活支援や経済的支援などの施策を総合的に進めているところでございます。

 御指摘の児童扶養手当制度につきましても、多子加算の倍増、全部支給の所得制限限度額の引上げを行いましたほか、御指摘もございましたが、令和元年十一月分の手当から支給回数を年三回から年六回にするなど拡充を行ってまいりました。

 また、本年三月分からでございますが、一人親の障害基礎年金等受給者につきまして、児童扶養手当と障害年金の併給要件を緩和をいたしまして、新たに児童扶養手当の額と障害年金の子の加算部分の額との差額を受給できるようにする、こういった拡充を図っているところでございます。

 今後とも、子供の貧困対策に関する大綱に基づきまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 児童扶養手当につきましては、累次の拡充に取り組んできていただいていると思います。一人親家庭にとって大変重要な手当でございますので、また更に、この先への拡充を是非とも御検討をお願いしたいというふうに思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。

 坂本大臣、御到着になりまして、よろしくお願いします。

 今も一人親家庭について、るる質問をしてまいりましたけれども、大臣、今回、孤独また孤立問題を担当されることとなりました。

 コロナ禍において、非正規の方々、女性あるいは一人親家庭など、日頃からの経済的な基盤が弱い方々の生活というのは、更に逼迫度を増していると思います。日頃抱えている、虐待であるとか、また、DV、引きこもりであるとか、様々な問題を抱えた、困難を抱えた方々というのは、コロナにおいて困難の度合いが更に高まっている、深刻の度合いが深まっているというふうに思います。

 まず、女性の自殺が増加をしております。

 大臣も当然御存じのことと思いますけれども、昨年の女性の自殺者数というのは、前年より八百八十五人多いんですね。全体で六千九百七十六人ということで、二年ぶりに増加をいたしました。また、さらに、就業の機会が損なわれているということなど、社会的孤立が広がっているというふうに思います。こうした、積極的な女性への支援ということが必要だと思います。

 また、子供の自殺も最多となっております。

 これは、せんだって、十五日に、文部科学省、児童生徒の自殺予防について検討する有識者会議で示されたものでございます。ここにおきましては、昨年一年間に自殺をした小中学生また高校生を合わせまして四百七十九人となっております。前の年の一・四倍ということで、過去最多となっております。

 文部科学省が厚生労働省また警察庁の統計を基にまとめたところ、去年一年間に自殺した児童生徒の人数は前の年より百四十人増えているわけなんですね。ここ五年の厚生労働省などによる調査の中では最も多い、文科省が異なる方法で昭和六十三年度から実施している調査と比べても最多となっております。

 学校別の内訳なんですけれども、小学生が前の年より八人増えています、十四人。中学生が四十人増えて百三十六人。また、高校生が九十二人も増えておりまして全体で三百二十九人となっており、特に女子の増加率が高くなっています。また、小学生の女子は三人から十人に増えておりまして、高校生の女子は六十七人から百三十八人ということで約二倍に増えておりまして、大変大きな問題だと思います。

 日頃、新学期が始まる四月であったり、あるいは九月の始め、こういうところで自殺者が急増するということなんですが、昨年は、コロナの影響で一斉休校がございましたので、それがずれていることから、それも少し前倒しをした形で自殺者が増えております。

 また、これは国立成育医療研究センターが発表した数字なんですけれども、高校生の三割にうつ症状が表れているということです。本当に危機感を募らせているわけです。中でも、死んだ方がいい、又は自分を何らかの方法で傷つけようと思ったとの問いに、全体の六%が、ほとんど毎日であるということを回答しています。

 ですので、成人のみならず子供たちに対しても、このコロナうつというものの課題が深刻になっているということだと思います。

 私も、うつ対策に十年以上、党の中で取り組んでまいりました。しかし、昨年は各精神福祉センターに寄せられる相談数も増加をしておりますし、生活が困難になる、あるいは仕事がなくなる、また、人と会えなくなる、社会活動が低下をしてくる、様々な要因によってこのコロナうつが広がっているんだろうというふうに思います。

 また、これは昨日、NPOあなたのいばしょという、大空代表から活動について伺う機会がありました。

 ここは、令和二年三月にチャットによる相談を始めています。開設以来、一年ぐらいなんですが、相談者数が二万八千九百名、また、受信メッセージそのものはもう三十一万二千件を超えているんですね。二十四時間体制で取り組んでいらっしゃるので、日本時間の夜は、ヨーロッパとか北米等の相談の方にお願いして、それで、時差を活用して二十四時間の相談を行っているそうです。女性からの相談が全体の七割を占めている。年代別でも二十代、十代が最も多い。

 チャットによる相談がしやすいということなんだろうというふうに思いますけれども、こうした、孤独、孤立、でも、家族と一緒にいても非常に孤独であるという人たちが多いわけです。BONDプロジェクトという団体もあるんですけれども、親に虐待を受けて、行く場所がなくて夜の町をさまよう、こういう方々への支援を行っているところもありますけれども、こうした、社会的に孤立し、あるいは、家庭にいるんだけれども孤独な人たち、こうした方々に、孤立、孤独の担当室を立ち上げられるということで、大変期待しております。

 坂本大臣の御決意をまず伺いたいと思います。

坂本国務大臣 菅総理から一番最初に孤独、孤立対策の担当大臣を御指示いただきましたときに、今委員言われましたように、女性の自殺、それから子供さんの自殺も含めて、増えている、この長引くコロナ禍の中で、様々な問題が顕在化している、一つ一つ、それぞれ課題を洗い直して、そして、総合的な政策をやってほしいというようなことで、御下命をいただきました。今日、孤独・孤立対策担当室がスタートをいたしました。総勢三十名、兼務も兼ねますけれども、三十名のスタートでございます。夕方に看板かけを行います。

 そして、まずやるべきことは、今、令和三年度の予算におきましても、今言われました、若者あるいは高齢者、それぞれ対策が、文部科学省だったり、厚生労働省だったり、あるいは住まいの支援は国土交通省だったり、それぞれ各省庁が持っているわけでありますので、これを一種、私の方が司令塔になって、孤独、孤立対策として総合的に取りまとめながら政策を進めていくというふうにしたいというふうに思います。

 まずは、来週、現場でいろいろと御苦労いただいておりますが、NPOの皆さん方、十人近くに集まっていただいて、緊急フォーラムを行うことにしております。その中には、今委員の方から言われました慶応大学の大空幸星さんも来ていただくことにしております。

 また、御党の方からは、関係省庁連絡会議をつくりなさいというような御提言もいただきました。そういったことも参考にしてまいりたいと思いますし、それぞれの政党で、御党の方でも、孤独、孤立対策本部が立ち上がったというふうなことを聞いておりますので、各省庁と連絡を取りながら、そして、現場の意見を聞きながら、さらには、それぞれ、野党も含めました各政党の御意見も含めながら、総合的な対策をやってまいりたい、国民的な社会運動として少しでも前に進めるような政策、活動というものをやってまいりたいと思っておりますので、御指導もよろしくお願いいたしたいと思います。

古屋(範)委員 全省庁を是非、引っ張って、リーダーシップを発揮していただきたいと思っております。

 イギリスでは、この孤独対策、既に始まっておりまして、今、ダイアナ・バランさんという方が担当していらっしゃいます。我が国にとって最大の課題だというふうに思いますので、大臣の活躍を期待しております。よろしくお願いいたします。

 最後になります。赤澤副大臣に質問させていただきます。

 日本経済がコロナ禍で今足踏みを余儀なくされております。また、この先行き、更なる低迷ということも懸念をされているわけであります。当面、感染拡大を防止していくということが経済回復のまず最重要課題なんだろうというふうに思います。感染拡大防止に全力を挙げていくということがまず重要になってくると思います。国民の生命と暮らしを守る、また、強力なメッセージで国民に安心感を与えていただきたいというふうに思います。その上で、雇用対策であったり様々な支援を強化していくということにつなげていただきたいと思います。持続的な経済回復をしていく、これこそ国民の生命と暮らしを守ることに直結をしてまいります。

 この新型コロナウイルスは私たちが初めて直面をする感染症であります。ですので、どうしても試行錯誤にはならざるを得ないというふうに思います。だからこそ臨機応変な対応が重要なんだというふうに思います。

 コロナ禍で失業率が少し増加をしているんですけれども、この失業による生活苦で命を落とすというケースも増えているわけです。失業率が一%上がると自殺者が一千八百人増えるという分析もあります。感染症の拡大から国民の生命を守ること、また、それに伴って様々な困難を抱えた方々に支援をしていくこと、休業要請などを背景に経済の急激な縮小が続きますと、これがまた孤立、自殺の増加につながっていくケースもあります。

 今ワクチンの接種体制も各自治体で進んでいるところでありますけれども、供給体制の問題もあり、各自治体も大変苦労している現状だというふうに思います。ポストコロナの時代、今後の日本経済の活路を開かなければいけないということで、今非常に重要な局面にあると思っております。

 コロナ感染症を防止していく、そしてポストコロナ時代に政府が今取り組むべき政策課題、また展望についてお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

赤澤副大臣 御質問ありがとうございます。

 委員御指摘の、失業率が一%上がると千八百人自殺が増える、別の、ニューズウィークの日本版なんかだと二千三百人というような数字も紹介されたりしております。大変重要な問題だと思っています。

 そういった中ですので、やはり感染拡大防止と社会経済活動の両立をしっかり図っていかなきゃなりませんが、当面は感染拡大防止最優先ということで全力で取り組んでいきたい。ワクチンについても接種が始まりましたが、これはコロナの終わりの始まりになってほしいという思いで、思っております。

 委員の御指摘の点については、西村大臣の経済演説にもありますとおり、新型コロナウイルス感染症が浮き彫りにした長年の課題、これに是非正面から取り組んでいきたいと思っています。グリーン、デジタル、ヒューマンの三つのニューディールに全力で取り組んでいくということでございます。

 グリーンについては、昨年末にグリーン成長戦略を策定いたしました。二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、十年間で二兆円の基金の活用などを通じてイノベーションを創出する。当面、十年後の二〇三〇年に洋上風力や水素など十四の重要分野で年額九十兆円の経済効果を見込んでおります。

 また、デジタルについては、昨年末にデジタル・ガバメント実行計画を策定いたしました。行政のデジタル化を実現するため、今後五年で全国の自治体のシステムの統一化、標準化を目指すこととしております。

 また、昨年末の経済対策においても、二〇三〇年頃の導入が見込まれるポスト5Gの実現に向け開発を進めることとしております。

 最後にヒューマンでございますが、昨年末の経済対策において十兆円規模の大学ファンドにより若手研究人材育成の基盤整備を行うこととしたほか、今後五年かけて少人数学級の実現に取り組むなど、人材育成に努めてまいります。

 こうした政策に中長期で取り組むことにより、ポストコロナにおいて、成長と分配の好循環、そしてまた、生産性の向上と所得の向上の好循環を実現をして、我が国経済が再び成長して世界をリードし、世界の中でも安全、安心の魅力ある国づくりを進めてまいりたいと考えてございます。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

木原委員長 次回は、来る二十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時九分散会


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