衆議院

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第6号 令和3年3月5日(金曜日)

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令和三年三月五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原 誠二君

   理事 平  将明君 理事 冨岡  勉君

   理事 中山 展宏君 理事 藤原  崇君

   理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君

   理事 後藤 祐一君 理事 濱村  進君

      畦元 将吾君    安藤  裕君

      井出 庸生君    井上 貴博君

      池田 佳隆君    岡下 昌平君

      神田 憲次君    小寺 裕雄君

      佐々木 紀君    杉田 水脈君

      田中 英之君    高木  啓君

      永岡 桂子君    長尾  敬君

      西田 昭二君    本田 太郎君

      牧原 秀樹君    松本 洋平君

      宮崎 政久君    吉川  赳君

      和田 義明君    阿部 知子君

      大河原雅子君    大西 健介君

      玄葉光一郎君    斉木 武志君

      森田 俊和君    森山 浩行君

      柚木 道義君    吉田 統彦君

      江田 康幸君    古屋 範子君

      笠井  亮君    塩川 鉄也君

      足立 康史君    岸本 周平君

    …………………………………

   国務大臣

   (科学技術政策担当)   井上 信治君

   内閣府副大臣       三ッ林裕巳君

   文部科学副大臣      高橋ひなこ君

   経済産業副大臣      江島  潔君

   環境副大臣        堀内 詔子君

   内閣府大臣政務官     岡下 昌平君

   内閣府大臣政務官     和田 義明君

   内閣府大臣政務官     吉川  赳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 千原 由幸君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐藤  暁君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   柳   孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           堀内 義規君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小野 洋太君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      松山 泰浩君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 土居健太郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月五日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     佐々木 紀君

  金子 俊平君     畦元 将吾君

  長尾  敬君     田中 英之君

  牧島かれん君     井上 貴博君

  宮崎 政久君     井出 庸生君

  玄葉光一郎君     斉木 武志君

  塩川 鉄也君     笠井  亮君

同日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     金子 俊平君

  井出 庸生君     宮崎 政久君

  井上 貴博君     牧島かれん君

  佐々木 紀君     池田 佳隆君

  田中 英之君     長尾  敬君

  斉木 武志君     玄葉光一郎君

  笠井  亮君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

三月一日

 マイナンバー制度の中止・廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第四一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四二号)

 同(志位和夫君紹介)(第四三号)

 同(清水忠史君紹介)(第四四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四八号)

 同(藤野保史君紹介)(第四九号)

 同(宮本徹君紹介)(第五〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官千原由幸君、内閣府大臣官房審議官佐藤暁君、内閣府政策統括官柳孝君、文部科学省大臣官房審議官堀内義規君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官新川達也君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官小野洋太君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長松山泰浩君、環境省大臣官房審議官土居健太郎君及び原子力規制庁長官官房審議官金子修一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。斉木武志君。

斉木委員 立憲民主・無所属の斉木武志でございます。

 井上大臣、初めての質問ですけれども、よろしくお願いいたします。

 まず、私の地元なんですけれども、福井県でして、小選挙区に十五基の原子力発電所が所在をしております。日本でも最大の集中立地地域でございます。

 今日議題になっております原発特措法に関して、二月十五日の衆議院予算委員会集中審議におきまして、菅総理大臣と既に質疑をさせていただきました。その中で菅総理が、原発の新設、リプレースに関して、原発依存度を可能な限り低減し、新増設やリプレースは現時点で想定しないと二度にわたって繰り返し答弁されております。

 原子力の立地地域にとりましては、原子力産業というのは基幹産業です。昨日も敦賀市の担当者と話したんですが、豊田市におけるトヨタ自動車と同じだ、地域の稼ぎ頭であり税収源だと。これが、工場が古くなっても建て替えない、そして、工場を新しく造りたくても造らせないという総理の答弁は、立地地域にとっては非常に厳しい意見だと受け止めております。

 これから十年先を規定する法案を今日審議するに当たって、リプレースや新増設を想定するかしないか、これは町づくりにとっては本当に死命を決する重要な分岐点になるんですけれども、井上大臣も菅総理と同じく、新増設、リプレースは想定しないというお考えでよろしいんでしょうか。

井上国務大臣 まずもちまして、斉木委員がまさに原発の立地地域選出の議員として様々な御尽力をいただいていること、心から敬意を表したいと思っております。

 原子力発電所の新増設やリプレースにつきましては、これは私の直接の所管ではありません。ありませんけれども、当然のことながら、内閣の一員として、総理がおっしゃっている、現時点では原発の新増設、リプレースは考えていないというのは私も同様の考え方であります。

斉木委員 では、敦賀市も豊田市におけるトヨタ自動車と同じと位置づけている基幹産業ですので、その地域の稼ぎ頭が今後古くなっても建て替えられない、新設もまかりならぬということであれば、もちろん、得意な分野を生かして新しい稼ぐ道をつくっていくことを、是非、私は政府としても応援すべきではないかというふうに思うんですね。

 私も、その中で、今回、原発特措法、与党側に提案をさせていただきました。五条と十条のところに、固定資産税や事業税の優遇を与えて企業誘致を図っていく条文がございます。その中で、現行は製造業、道路貨物運送業、倉庫業、梱包業、卸売業に限って、事業税、不動産取得税、固定資産税の税の恩典を与えて企業誘致を図っていく、これにより立地地域の産業の複軸化を果たしていくというのが本法案の趣旨なんですね。

 これに対して、今、古くなっても建て替えは駄目ですよとおっしゃいましたので、じゃ、新しい稼ぎ頭、今立地地域が求めております新エネルギー、水素、そして再生可能エネルギー、これは政府としても、今、二兆円近い財源をつけて旗を振っております。国策として誘致をした原子力ですので、今まさに国策は転換しようとしている、国策として再生可能エネルギーや水素の旗を振る、そして、原子力の新設がまかりならぬというのであれば、当然、立地地域で、太い送電網を生かし、地域のアドバンテージを生かし、こうした新しい新エネルギーへの取組を応援すべきだと私は考えます。

 ですので、十条に新エネルギー産業、これを加えるということを御提案させていただいておるんですけれども、井上大臣のお考えはいかがでしょうか。

井上国務大臣 まず、特措法における地方税の不均一課税に伴う減収補填措置につきましては、平成十年に閣議決定された地方分権推進計画において、「従来から行われてきたものは適用期限が到来した際にその必要性、対象要件等を見直すとともに、新たな措置については必要最小限のものとする。」とされております。原子力立地地域特措法においても、この閣議決定の趣旨を踏まえ、不均一課税に伴う特例措置の対象として御指摘の新たな業種を追加することについて、再生可能エネルギー政策全体との関係等も含め検討する必要があると考えております。

 その上で、政府全体としては、立地地域の持続的な発展につながるよう、再生可能エネルギーを活用した地域振興策など、地域のエネルギー構造の高度化に向けた取組への支援や、専門家派遣を通じた地域産品の開発、販路開拓、観光誘致の取組に対する支援などを行っており、引き続き、立地地域の発展に向け、関係省庁とも協力をしながら、政府全体としてしっかり取り組んでいきたいと考えています。

斉木委員 非常に総花的な答弁をされたんですが、答えになっていないんですね。

 じゃ、なぜ、閣法として提出するのが、二〇〇〇年に提出されて、二〇一〇年に提出をされて、同じ条文、一言も変えずに、単純延長として出してきたのか。なぜ、じゃ、新エネルギーを加えなかったんですか。私は、地元敦賀市からも福井県からも、加えてくれという要望を非常に強く受けているんですよ、立地地域の代議士として。なぜ加えないんでしょうか。理由を答えてください、条文に加えない理由。

井上国務大臣 今回、この原発立地特措法、これを改正するに当たって、従来、議員立法で制定をして、そして、十年ごとの見直しということで、それをまた議員立法で改正をされてきました。今回は、閣法ということで、我々の方で提出をさせていただいております。その際にもいろいろな御議論がありました。その結果として、今回、期限の延長という、この項目のみを改正法の中身とするということを決定をさせていただいた、そういうことであります。

 もちろん、様々な検討ということは地元の要望なども踏まえてやっていかなければいけないというふうに思っておりますけれども、これは、原子力委員会の建議なども踏まえて、やはりまずはこの期限の延長ということが最重要であるということで、今回は、この期限の延長、これのみに絞らせていただいた、こういうことでございます。

斉木委員 全く答えていただいていないんですが。

 井上大臣、これは国会では二十年で二度しか議論されていないんですよ。二〇〇〇年に、まさに議員立法として当時の自民党、公明党から提出をされて成立をし、そして、我々旧民主党政権で、逆に自公も乗っていただいて、議員立法として二〇一〇年に単純延長されました。十年に一度しか議論できない法案なんですよ。

 今回、単純延長、取りあえずとおっしゃいましたけれども、取りあえず延長したら、十年間、二〇三一年までこの議論のタイミングは来ないんですが、そんな、取りあえずでよろしいんでしょうか。

井上国務大臣 取りあえずと言ったつもりはないんですけれども。まずはこの期限の延長というものが最優先、最重要であるというふうに考えております。

 そして、今でも、対象事業がしっかり明記をされておりまして、この法律に基づいて支援をしているわけであります。そういった事業についても地元の要望としてまだまだ多くありますので、やはり現行法に基づいて、まずは現在の対象事業についてしっかり地元自治体を支援していくということが重要だと思っています。

斉木委員 井上大臣、東京御選出であらっしゃいますけれども、やはり、ちょっと立地地域の構造というのを御理解いただいていないなと私は今思いました。

 当然、四十七の都道府県がこの地にはございます。本法案の恩恵を受けている立地地域は十四の道府県です。十四の道府県が全国の中で競っていかなければいけません。地域間競争を今も勝ち抜いていかなければいけない。地域のアドバンテージを生かした地域振興、これは当然だと思うんですよ。

 立地地域のアドバンテージとは何かということを考えれば、太い送電網なんですよ。この福井県でいえば、例えば一基百万キロワットの定時安定送電を関西地域や東京地方に対して送れるだけの太いハイウェー、太い送電線、高品位のものがもう完成をしております。これは十四の道府県についても言えることです。そうした既にあるアドバンテージ、国の財産とも言えますけれども、こうした送電網を生かしてほかの地域に勝っていく、それはやはり発電事業であり、エネルギー事業しかないんですよ。なので、当然、地域の優位性を生かした振興をしていかなければいけない。それは、私は、新エネルギー産業に向き合わなければいけないときを迎えていると思うんですね。まずこのことはよくよく御認識をいただきたい。

 それと、もう一つ、敦賀市の渕上隆信市長とお会いになったことはありますか。

井上国務大臣 あります。

斉木委員 敦賀市は何を要望されていましたか、渕上市長は。

井上国務大臣 市長にお会いになったことはありますけれども、それは過去の話でありまして、今回の法改正についてお会いしたということではありません。

斉木委員 過去でもよろしいんですが、何を井上議員には、当時大臣か議員か分かりませんけれども、御要望されておりましたでしょうか。

井上国務大臣 私も、今まで国会議員として、あるいは内閣府の原子力防災担当の副大臣などもやっておりましたので、そういった私の立場において、市長さんとも過去お会いをしております。

 もちろん様々な御要望などいただいておりますけれども、やはり立地地域の振興であったり、あるいは防災対策であったり、そういったことだと記憶しております。

斉木委員 私が渕上市長のことを言うのは、実は渕上市長は全国原子力発電所所在市町村協議会の会長でございまして、実はこの全国の首長さんの会議というのは、代々この敦賀市長が会長を、ポジションを取っております。「もんじゅ」「ふげん」、敦賀第一、第二、四つの原子力発電所がありますし、非常に日本の原子力を引っ張ってきた地域ですので、非常に影響力もある自治体でございます。

 この敦賀市の渕上市長から、今明言なさらなかったんですけれども、私は、ずっと水素を基軸にした町おこしというものを、この五年程度ずっと追求をされてきております。

 今、実は、これは日本経済新聞の記事にもなっておるんですが、昨年末になるんですけれども、東芝と敦賀市が組んで、水素マルチステーションの運用を敦賀市で始めました。

 この水素マルチステーションというのは何ぞやということなんですけれども、これは、原発が所在しております嶺南の六市町、ここと共同で、まず仮想発電所をつくりましょうと。バーチャルパワープラントといいます。これは何かといいますと、風力発電、太陽光発電、こういったものは各地域に分散をして、小規模ながら、ただ、束ねると大規模な仮想発電所として運用ができる。太陽光も風力も波があります。日中は発電するけれども夜間はゼロだ。そういったときに、発電した余剰電力を燃料電池にためて水素に変える。水素に変える利点は何かといいますと、ロスがないんですね。蓄電池ですと自然放電をしていって電力はどんどん減っていきます。ただ、水素だと減りませんので、これは非常に効率のいい運用ができる。このバーチャルパワープラントを、嶺南の六市町、まさに立地市町の核心です、ここでつくったんですよ。

 じゃ、原発が新設できないんだったら、こういった、東芝と組んだ、水素を基軸にした、バーチャルパワープラントで自然エネルギーをマネジメントしていく。

 昨日も敦賀市の担当者と話しました。これはもう既に国に要望してあると言うんですよ。水素を是非推してほしいし、バーチャルパワープラントも推してほしいし、そして、バーチャルパワープラントの鍵になるのはITなんですね、情報技術。まさにこれをマネジメントをして、どういうふうに平準化をし系統に流していくか、こういった情報技術も是非敦賀市で、エネルギーシステムの制御を、ここを研究開発拠点にしてほしい、ここまで具体的に国に要望していると言うんですが、お聞きではないですか。

井上国務大臣 この件につきましても、これは直接的にはエネ庁の方で対応をしておりますけれども、我が国の電力供給を支えてきた原子力立地地域においては、地域経済の持続的な発展につながる地域振興策などの課題を抱えており、政府としては、エネルギー基本計画にあるとおり、立地地域の様々なこうした課題に真摯に向き合い、その課題解決を図ることとしている。

 その一環として、再生可能エネルギーを活用した地域振興策など、地域のエネルギー構造の高度化に向けた取組への支援も行っております。例えば、敦賀市における調和型水素社会の形成を目指す取組に対しても計画策定の支援等を行っていると承知しております。

斉木委員 計画策定の支援なんという段階はとうに過ぎているんですよ。

 企業が四十七都道府県を見て、じゃ、東芝さんがどこにこのVPP、バーチャルパワープラントを置こうか考えたら、固定資産税が安くなるところじゃないですか、事業税が優遇されるところじゃないですか。税の恩恵がある地域に当然企業は行こうとすると思うんですが、なぜ税の恩恵を与えて誘致をやろうとしないんですか。本気じゃないということですか。

井上国務大臣 これは、再生可能エネルギー政策ということで、政府全体の中でどのような支援をしていくかといったことを考えていくということでありまして、それを経済産業省を中心に行っているというふうに理解しています。

斉木委員 昨日、敦賀市の担当者と二、三十分話したんですけれども、私はもう本当に恥ずかしくなりました。この法案、あした審議するんですよと申し上げたら、発想が古い、優遇業種が製造業、道路貨物運送業、倉庫業、梱包業、卸売業というのは、まさにこの法律が作られた二〇〇〇年の発想をそのまま引きずっていると言うんですよ。

 二〇〇〇年のときには、インターネットがやっと普及し始めた時期で、IT企業なんてほとんどありませんでした。自然エネルギーなんて全く普及していなかった。でも、二十年もたって、がらっと変わって、しかも、原発は新設できないんだったら、当然、これから十年先、将来性のありそうなものをチョイスするのが立地県の生き残り策として当然の判断だと私は思う。

 この法案、何て言われたと思いますか、カビの生えた法案だと言われたんですよ、昨日。二十年間全く対象業種が変わっていない、ちょっと、カビの生えた法案ですねというふうに敦賀市のエネルギー担当者から言われてしまいました。もう本当に申し訳ないなと思います。

 ですので、これは、立地地域としては強く井上大臣にも梶山経産大臣にも要望しているにもかかわらず、全く、立地地域がカビの生えた法案とやゆするにもかかわらず、そのまま出してくるというのは、余りにも立地地域の要望を無視した行動だと思うんですが、井上大臣、ここまでお聞きになって、条文を変えるつもりはありませんか。(発言する者あり)

井上国務大臣 よろしいですか。

 立地地域からの要望としては、この法律、非常に重要な法律だ、だから期限を延長してもらいたいというふうに私は聞いております。その上で、個別事業についても、地元自治体から様々な要望をいただいて、そして予算措置などを行っているところでありますから、そういう意味では、この法律に基づいてしっかり立地地域を支援していくのが我々の務めだと思っています。

斉木委員 じゃ、もう一つお聞きします。

 国土交通省で昨年末に、カーボンニュートラル港湾というのを全国六港湾指定したんですね。小名浜港であるとか横浜・川崎港であるとか、新潟港、名古屋港等々でございます。これは、次世代エネルギーの大量輸入、貯蔵、輸送、活用を通じてカーボンニュートラルな港湾運用を目指すとしております。

 敦賀市は、昨日も聞いたんですが、是非このカーボンニュートラル港湾に敦賀港を加えてほしいと言っておるんですよ。これはなぜかといいますと、水素の輸入港になりたいからなんですね。

 実は、私、二年前、敦賀市長の渕上隆信さんとオーストラリアの大使館のエネルギー担当者と会っていただきました、私の議員会館事務所で。これは何かといいますと、今、まさに経産省もオーストラリア政府と組んで、川崎重工、Jパワー、岩谷産業、丸紅、NEDOなどと共同で進めております褐炭水素プロジェクトの件なんです。

 オーストラリアの南東部にビクトリア州という州がございまして、ブラウンコールと現地で言われますけれども、褐炭、茶色い水分を多く含んだ未利用炭がございます。これを川崎重工が出ていって、熱を加えて水素に変える。出てくるCO2、二酸化炭素は全部海底下地中に貯留をし、液体水素の形で日本に持ってくる。水素運搬船「ふろんてぃあ」というものが今動き出して、進水式が終わっております。

 この水素運搬船「ふろんてぃあ」が今年出航いたしまして、年内に神戸のポートアイランドに戻ってきて、水素の、輸入液化水素の一号発電が行われるんです。まさにこれは国策で進めているカーボンフリーの水素の輸入政策なんですけれども、これを、敦賀港というのは、三百メーター級の、パナマックス級のタンカーといいますけれども、喫水が深いですので入れるんですよ。ですので、原子力は今おっしゃったようにリプレースも新設もさせないというのであれば、国策で、まさに今年一号船が入ってくる水素の二号船は是非敦賀港に入れてくれ、若狭湾を指定してくれということをもう国に要望してあると明言しているんですよ、敦賀市としては。

 なぜ、ここまでやはり国策に乗りたいというふうに今必死に求めている立地地域の声に応えないんですか。今から計画を作るというより、現実はもう、多分、井上大臣の描いている、認識している現実よりも更に先に先に立地市町は、県は動いていると思うんですが、いかがですか。

井上国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がよく分からないのですが、国交省所管の港湾のことについてということであれば、これは国交省の方に聞いていただきたいと思います。

斉木委員 いや、びっくりしました。じゃ、お聞きじゃなかったということなんですね。

 これは、冒頭申し上げましたけれども、基幹産業ですよ、原子力立地地域にとっての原子力発電所というものは。その新設、リプレースをするなとこの十年間言ってきて、じゃ、水素をやらせてくれないか、VPP、バーチャルパワープラントをやらせてくれないかと地域で動き出しているのに、それすら法案に書き込まないというのでは、私は、立地地域の住民、そして産業、地方政府にどうやって飯の種をつくっていくのかという、本気度が全くうかがえない残念な答弁だなというふうに思います。

 もう一つ、じゃ、市町のことを言いましたので、県のこともちょっと言いますね。今、日本で稼働している、再稼働を果たした原子力発電所というのは九基です。そのうち四基は、高浜三、四、そして大飯三、四、この福井県、私の地元で動いている。全国の半数の稼働原発を受け入れているのが福井県です。その福井県が、じゃ、原発の未来をどういうふうに描いているのかということで、嶺南Eコースト計画というのは御存じでしょうか。

井上国務大臣 存じ上げておりません。

斉木委員 知らないということですね。じゃ、御説明申し上げます。

 嶺南Eコースト計画というのは、Eというのはエネルギーです、嶺南エネルギーコースト計画。なぜコースト、海岸かといいますと、若狭湾、福井県から京都にかけて広がっております日本海の若狭湾ですね、ここのコースト、海岸線沿いに十五基点在しているから。ここをエネルギーフロンティアとして地域の活性化をしていこうというのが福井県の、県としても描いているビジョンなんです。

 この中で何をうたっているかといいますと、当然、エネルギー産業の育成なんですが、デコミッショニング、原子炉の廃止措置ビジネスを福井県が地元産業化していくことやバーチャルパワープラントもうたっております。要するに、十五基あっても、どんどんどんどん、今、老朽化が進んでおりますので、廃炉措置に入っていっております。せっかくその廃炉措置を地元でやるんだったら、廃炉ビジネスを是非立地地域でやらせてほしい、こういった声を具体的に計画として上げている。これは、北海道から鹿児島まで、全国の自治体が上げているんです。

 四十を超える原発があって、これは六十年で全て廃炉を迎えますので、これを地場の産業化していくことというのは当然考えると思うんですよ、全国の首長さんは。ここまで福井県もうたっている。

 じゃ、新エネルギーを書かないんだったら、廃炉ビジネスを、立地地域に固定資産税の恩恵や事業税の恩恵を与えて、立地地域でやっていく、これぐらい応援してくれませんか。

井上国務大臣 先ほど来申し上げているように、この法律において支援する措置ということと、それから、政府において、経済産業省を始めとして様々なエネルギー政策を行っておりますので、この法律の枠外でいわばやっている措置と、それぞれあるんだと思います。そういう意味では、私、所管外でありますけれども、政府全体としては、委員おっしゃるような政策に対しても、いろいろなことを考え、対応しているんだと思います。

 ただ、この法律についてということであれば、やはり、現行の法文上は対象事業を絞っているということだと思っています。

斉木委員 御自分で出してきた割には随分人ごとのような答弁を、非常に残念に拝聴しております。

 私は、もう一つ、今回の政府案を見て懸念に思ったのが、東日本大震災と福島原発事故が起きたことが削除されてしまっている点です。

 私は、福井県越前市に住んでおりますが、UPZ三十キロ圏内の住人でもあります。

 福井県の地元の方々というのは、大飯三、四、高浜三、四は稼働しておりますし、既に稼働しているリアクター、原子炉と、そして動いている燃料プール、これと常に昼夜を共にしております。

 ですので、政府が今回の法案で全く東日本大震災が発生したこと及び福島原発事故が起きたことすら触れない、これでは、何のために規制委員会をつくったんだ、大いなる反省の下にということを政府は繰り返しているけれども、本当に、原発事故が起きたことを認めないような法案を出してきて、立地地域の住民の安心、安全、不安に思う気持ち、これに応えられるとお考えですか。

井上国務大臣 福島の原発事故ということで、様々な教訓ということがあるのだと思います。その中の重要な一つとして、やはり地域の防災というものは非常に重要だということだと思っております。

 この法律は、まさに、地域の防災に配慮しつつ立地地域の振興を図っていく、そういった目的の法律でありますから、この法律の目的に沿って、地域の振興を図っていく、防災に配慮していくということが、福島事故を受けての我々の責務だと考えています。

斉木委員 非常に残念を連発せざるを得ないんですが。

 福島事故で何が変わったかといえば、安全、安心への不安感、まず神話が崩れたという点と、もう一つ、原子力産業を取り巻く状況が変わってしまった点です。

 二〇〇〇年は自公政権、そして二〇一〇年は民主党政権でしたけれども、いずれも、原発はどんどん増やしていくんだ、五〇%以上は原発でやるんだということを言っていました。どんどん造れ、造れと言っていました。でも、これが前回成立して僅か三か月半後にあの福島の大事故が起きてしまった。

 これから、今、答弁が百八十度変わりましたね、新設、リプレースは想定しない、造らせないし、建て替えも許さない。百八十度変わってしまった原子力産業を取り巻く状況、それに翻弄されている原子力立地地域の現状、これは書き込むべきじゃないですか。

 これから造れないというのであれば、別の道を描く必要だってあるわけですよ。地域は今必死にもがいて、いろいろ動いているんです、今日御紹介したように。少なくとも、原子力産業を取り巻く状況があの事故で一変したぐらいは書き込まないと、立地地域の不安にも応えられないし、原子力産業の認識、その立地地域の将来も描けないと思うんですけれども、いかがですか。

井上国務大臣 そういう意味では、これは福島事故の前後にかかわらず、やはり立地地域の振興は重要であり、また防災にも配慮をしていかなければいけないということで、しっかりこの法律に書き込んでいるわけですから、この法律に基づいて立地地域への支援をしていくというのが我々の務めだと考えています。

斉木委員 いわゆるゼロ回答の答弁をこの九時からずっと続けていらっしゃいますけれども、私は、Eコースト計画も知らないし、バーチャルパワープラントも知らないということでしたので、これはちょっと余りにも。原子力立地地域振興担当大臣ですよね、として、今日、井上さんは答弁をされておる。原子力立地地域の実情を知らずして法案は書けないと思うんですよ。今日もEコースト計画も知らないというふうにおっしゃったので、これはもっと私は勉強して出し直していただく必要があると思います。

 私は、与党の先生からもいろいろ御意見をいただきました。本当は税率も上げたかったし、学校や道路に対する補助率もかさ上げしたかった、また、優遇対象業種も広げたかったけれども間に合わなかったんだみたいな声も聞いております。

 ですので、私は、もう閣法は撤回をしていただいて、経産委員会でずっと議論してきた議法ですから、三月末までに成立を我が党としても協力しますよ、ですので、閣法を撤回していただいて、やはりこれは議法、今日、新エネルギーもこれだけ強く要望が出ているわけですから、書き込もうじゃないかと。与党の先生も、これは書き込もうじゃないか……

木原委員長 斉木委員、時間が来ておりますので、おまとめいただきますようお願いいたします。

斉木委員 是非、閣法は撤回をして、我々、各立地地域の代議士が知恵を寄せ合って、三月末までに成立させる、そのことを一考していただくことを与党筆頭理事にも申し上げて、この質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 立憲民主党・無所属の会の阿部知子です。

 ただいまの斉木議員と井上大臣の質疑を聞きながら、申し訳ございませんが、井上大臣はこんなに冷たい答弁しかなさらない人なのかと、私、今日初めて機会をいただきますので、冒頭、もう本当に残念です。本当に、東日本大震災が起きたことをどのように受け止めて、私は、立地自治体の皆さんも更に困難を極めていると思いますので、そのことをしっかり受け止めて、必要な支援策あるいは安全対策を打つべきと思いますが、残念ながら、先ほどまでの御答弁だとそうなっておりません。

 一問目、伺います。

 これは元々、一九九九年のジェー・シー・オー事故の後、自民党の細田先生たちが中心になって、二〇〇〇年に立地自治体支援という形で提案され、十年後は民主党の皆さんも、当時民主党政権でしたから、これを引き継ぐ形で、ただ、その当時は、原子力はこれから増やしていこう、温暖化対策もあってということで、原子力に対しての構え方というのが少し違っていたと思います。それは、二〇一一年の三月の十一日の事故を受けて、やはり変わらざるを得なかったんだと思います。

 ところが、この法案には、先ほど来大臣るる御答弁でありますが、なぜ一言も、文言上に、東日本大震災のことが一言も触れられておらないのか。条文上になぜ触れられないのか。

 私は、法律の目的、第一条というのは、その法律の魂だと思います。立法背景があって、法が目指すところを国民に広く伝えるということで、一問目は、なぜ条文に触れられませんか。お願いいたします。

井上国務大臣 当然のことながら、福島での原発事故、この経験を生かして、そして反省をして、今回、この法律の改正も検討をしたということになります。

 具体的には、原子力委員会では、昨年十二月、原子力発電所立地地域の自治体や議会の関係者からのヒアリングも行いました。先ほどの渕上敦賀市長にもお越しをいただきました。

 原子力発電所立地地域の首長等からは、特措法は、地域の防災インフラ整備や企業誘致等を図る上で重要な制度であり、特措法の延長が必要である旨の要望があり、特措法の必要性を確認した上で、原子力委員会として原子力立地地域特措法を延長することが必要との見解を出したところです。

 こうした地元からの要望や原子力委員会の見解等を踏まえ、今回、有効期限を延長した上で、閣法として提出するものであります。

阿部委員 申し訳ありませんが、委員長、私の質問に答えていただいていないです。なぜ条文に触れられませんかとお尋ねしました。なぜですか。明確にお願いします。

 今おっしゃったことは、原子力委員会で立地自治体の皆さんの御意見を聞いた、私も拝読いたしました。重要な指摘が幾つもあります。それは共有します。

 でも、私の質問は、なぜ法文の第一条に触れられませんか。日本にとっても極めて大きいことです。なぜですか。

井上国務大臣 先ほど斉木委員の御質問に対してもお答えをいたしましたけれども、これは、福島事故、その前後を問わず、やはり地域の防災というものも非常に重要であり、また、立地地域の振興も重要であるというふうに考えています。

 そして、そのことはこの特措法の一条にもしっかり盛り込んであるということでありますから、福島事故の経験を踏まえた上で、この一条の目的に沿って、しっかり施策を行っていくということだと思っています。

 ちなみに、これは私の所管外ではありますけれども、原発関係の法令ということで申し上げれば、原子力災害の防止、災害賠償法とか、あるいは炉規法とか、これも、一条の目的を改正をして、福島原発事故の文言を入れ込んだといったようなことはしておりません。

阿部委員 じゃ、今の大臣の御答弁は、考えておるけれども、文言までは入れ込まなくてよいという認識というふうに承りました。

 そのこと自身が、私は、この事故を軽んじ、日本の将来を本当に、岐路に立っているときに必要なかじを切れないことだと思います。

 二点目の質問ですが、先ほど、これも斉木議員とのやり取りですが、菅総理も、私どもの立憲民主党の枝野代表の代表質問に対して、現時点では新増設は想定しておらないというお答えで、先ほど大臣も現時点では考えていないとおっしゃいましたが、現時点とはいつまでを指すのでしょう。

 それから、この法案の視野は十年でありますが、この十年以内は新設は考えておらないということでしょうか。

江島副大臣 原子力に関しましては、まず国民の信頼回復に努めまして、既存の原発の再稼働を進めるということが最重要だというふうに思っております。

 現時点では、新増設、リプレースは想定をしていないというのが、委員もおっしゃいましたが、政府の考え方でございます。

阿部委員 委員長、これも何で聞いたことに答えないんですか。この法律の十年というスパンと現時点はどんな関係があるんですかと聞いているんです。

 なぜ皆さん、政府はそんなに不誠実なんですか。十年という、法律を延長しようと、その中で、新増設はあるんですか、ないんですか、未定なんですか。お願いします。

江島副大臣 繰り返しになりますが、現時点では新増設は考えていないというのが今の考え方でございます。

阿部委員 委員長、止めてくれますか。だって、答弁じゃありません。

 十年の法律を出しておられるから聞いているんです、それと現時点というのの関係性を。だって、法律の中だって変わってくるんですよ。

 例えば、新増設をすれば固定資産税関係が生まれてきます。それの減免も含めて、立地自治体会議の中で要望が発言されていますよ。

 じゃ、この法案は、一体どこまで新増設をしない前提で進むんですか。そのことを伺っているんです。

 委員長、ちゃんと仕切ってください。申し訳ないが、新増設はしないというのと十年の関係性をおっしゃってください。この法案の射程と新増設です。

江島副大臣 政府の考え方としては、現時点では増設、リプレースは考えていないというのが、今の時点でお答え申し上げられるところでございます。

阿部委員 やはり、真剣な与野党の審議の場が国会だと私は思います。それは立地自治体にも影響するからです。

 私は今、固定資産税の例を挙げて具体的に問いました。この十年で新増設があるかないかが関わっているからです。なぜお答えになりませんか。

 そして、井上大臣もそうでした。なぜ法文に触れていないかと聞いても理由は言わず、ちょっとおっしゃいましたね、他の災害関係でも、そういう法文には東日本大震災という言葉がないからだと。

 そうであるとすると、特にこれはその後の立地自治体支援を考えたときに、本当に私は、中途半端で現状把握をしていない、おざなりな延長法案だと思います。

 引き続いて伺います。

 実は、この法文の三条には、一つ又は二つ以上の「原子力発電施設等(設置されることが確実であるものを含む。)」という条文がございます。

 この「設置されることが確実であるものを含む」とは、具体的に、井上大臣、どこを言うんですか。

井上国務大臣 第三条第一項にある「設置されることが確実である」とは、原子力発電施設等が建設に着工した段階が考えられますが、いずれにせよ、個々の事情を踏まえ、まずは都道府県知事が判断し、特措法に基づく申出を行っていただくということになります。

阿部委員 申し訳ないけれども、新増設がなかったら着工もないんですよね。だから聞いているんです。法律とそごが出てくるから。

 この法律の視野がどこにあるのかを知りたくてお尋ねをしています。大臣、お分かりでしょう。答弁されるときに、官僚が用意したものじゃなくて、真剣にこの法律について見ながら論議していただきたいです。

 だって、ここの括弧内は、着工されたときから立地自治体会議にはまるんでしょうか。でも、今、現時点で着工は考えていないわけですよ。新増設がないんだから。だったらこの括弧、要らないじゃないですか。明らかにそごがありますよね。ここを落としていただけませんか。削除。

 大臣、どうですか。

井上国務大臣 現時点では考えていないということですので、確実になった場合にはこの法律の対象に含まれるということなんだと思っています。

阿部委員 そこを常にグレーゾーンにしてこの法律があることが、立地自治体に対しても私は非常に悩むことだと思います。新たにかじを切らなきゃいけないのなら、それなりの準備があろうかと思います。

 長年、私たちは原発の立地自治体にはお世話になってきているわけです。だからこそ、ここで新しいスタートを切るなら、この法律はもっとしっかりしたものでなくてはいけない。十年の間に着工があるのかないかも分からない。ただ、かぎ括弧の中には入っている。そういう曖昧なもので、果たして自治体にとって、前に進めるのかということであります。

 ところで、大臣、二回目の、延長後、そして二〇一一年の三月十一日の事故後に新たに指定されたところはありますか。この十年の延長で新たに指定されたところ。

井上国務大臣 東日本大震災後、またこの十年の延長の中でという御質問でありましたけれども、特措法第三条第一項に基づき新たに指定された地域はありません。

阿部委員 十年間、この法律で規定されるところの原子力立地会議は開催されておらないんですよ、現実に。

 そして、大臣のお手元に、私は、一回目の法律、平成十二年から二十二年までの法律で一体何回開かれたか、ここは資料として提出をさせていただきましたが、この会議の内容を見ようにも、議事録もないんですね。何が話されたかも国民には分からないわけです。

 原子力立地会議というのは、この法案の肝であります。だって、そこでどのような振興計画を認めて、何に減税して、何をこれから目指していくかが決まるのだから。この十年は一回もありません。

 その前は議事録はないんですが、大臣、御覧になったことはありますか、前の議事録。すなわち、平成十二年から二十二年までの議事録、大臣が御覧になったことはありますか。

井上国務大臣 ありません。

阿部委員 残念ながら、大臣、担当大臣なんです。私はアクセスできなかったんです、探したけれども。でも、大臣は、これを延長されようとする大臣です。だって、どんな会議だったのか、どのような、これからも必要性があるのかもしれない。

 私は不思議でならないんです。なぜ皆さんがこんないいかげんに、延長、延長だけを自己目的化しているのか。もっとよりよいものをというので、私たち野党が修正案をこれから出そうとするときには、本当によいものにしたいと思って、ずっと党内でも考えてきたところであります。ところが、肝である立地会議、十年間開かれず、その前についても大臣は読んだことがない。そういう法案を審議してくれという方が、本当に国会をばかにしていると思います。

 引き続いてお伺いいたしますが、繰り返し大臣がおっしゃったように、この法律は、地域の振興と防災ということ、両輪なんだというふうにおっしゃいました。私どもも、そう思えばこそ、地域の振興は、先ほど斉木さんが伺った、なぜ、再エネ、要望が高いのに、原子力委員会での定例会議でお呼びになった自治体からも再エネの声はたくさん出ていました、私もそれは拝見しました、でも、入れ込まない。

 そして、防災についてどうかというと、大臣、開いて二枚目を御覧いただけますか。東日本大震災後、いかなる事業に取り組んできましたかというので一覧を出していただきました。このうち、この二十年で取り組んだのが全体で、黄色く塗ってありますところがこの十年だそうですが、この十年というのは九十か所あるそうですが、一体なぜ、立地自治体会議も開かれず、こうした新たな着工ができるのか、新たな着工はどこで決めているんでしょうか。大臣、お願いします。

井上国務大臣 これは、振興計画がありますから、その振興計画に基づいてということで、具体的には、それぞれ、道路事業であれば国交省と、それぞれ関係所管省庁の方と調整をして、そして事業を盛り込んでいるということになります。

阿部委員 この法案のそもそもでは、地域の振興計画はこの立地自治体会議で承認されるものだと思いますが、新たな着工はしているのに会議は一回も開かれていない、それはおかしいんじゃないですか。

 だって、大臣、今、そこの会議でとおっしゃった、振興計画を作る。でも、それを承認する場はこの立地会議と細田さんはおっしゃっていますよ。

柳政府参考人 お答え申し上げます。

 この立地会議につきましては、この法律に基づきまして、立地地域の指定の際、それから振興計画の決定ですとか変更の際に開催されることとしております。

 先ほど委員御指摘の、個別の事業をスタートするに当たっては、法律上、立地会議の審議を経るものとされておりません。個別に、例えば先ほど大臣からお話ございましたように、道路であれば国土交通大臣の定める基準に従っているかどうか、これを踏まえて判断されるものでございます。

阿部委員 先ほど大臣が、地域の振興計画を立ててやっておるとおっしゃったので、私は、その計画は立地会議で承認されるものでしょうと申し上げました。

 そういうプロセスがないとすると、実は、この原子力立地会議というのは、先ほど申しました、議事録もない、会議もない、そういうものが十年開かれない。なぜ、またこの法律に出てくるんでしょうか。

 逆に言うと、大臣、伺いますが、この十年は、もちろん新たな立地指定もないし、新たな計画というものは、あれだけの事故を踏まえて、なかったんでしょうか。東日本大震災を踏まえて、新たな計画はなかったんでしょうか。お伺いいたします。大臣にお伺いいたします。

柳政府参考人 お答え申し上げます。

 立地会議につきましては、法律の規定に基づき、例えば立地地域の指定であれば、都道府県知事の申出に基づき、これを指定するときに開催するということでございます。振興計画につきましても、都道府県知事が案をまず作成し、これを内閣総理大臣に提出いただき、それに基づきまして、原子力立地会議の審議を経て計画を決定するということが法律上規定されてございます。

 ということで、各都道府県知事からの申請がなかったということで、この原子力立地会議、この十年間開催することがございませんでした。

阿部委員 ということは、十年間延長されたこの法律の肝は動いていない、働いていない、役立っていないということなんですよ。おかしいじゃないですか。せっかく法律を十年延長して作って、その一番コアな部分が動いていない。そして、私は、それゆえに防災についても極めて不十分な対応しかしていないんだと思いますので、幾つか指摘をさせていただきます。

 実は、この原子力事故の後、いわゆる、それまで半径八から十キロメートルであったEPZと呼ばれる避難の地域を半径五キロメートルと半径三十キロメートルのPAZとUPZに変えて、新たに避難の考え方を示したわけであります。ところが、この五キロ、三十キロと変えた考え方が果たしてこの立地自治体の防災に役立っているかどうかというと、これは極めておぼつかない。

 例えば、三十キロ圏内で屋内退避をしなきゃならない場合もあろうかと思います、遠くに逃げられなくて。その場合に、その屋内退避に当たる場所が土砂災害の地域にあったというのが、十七都道府県五十九市町村にある二百五十七施設のうち六十九施設に及びます。これは二〇一八年に私が質問主意書で挙げたものですが、三十キロ圏内に退避していても、土砂が来たら潰されちゃうというところにあって、これを早急に対応してくれと私は三年前に申し上げました。

 そして、この原子力会議の中でも、原子力の立地町村協議会の柏崎の議長がおっしゃっていると思いますが、三十キロ圏内で、今は小学校とかが避難所ですが、もっと避難所の必要性は高いんだ、このことに、大臣、果たしてどう応えているんでしょう。小学校の施設のためにこの立地の支援のお金は使える、立地地域の振興に関する。ただ、もっと、そうした三十キロ圏内の安全な場所に造りたいときにはどうなりましょうか。

井上国務大臣 UPZについてですけれども、UPZの圏内で既に立地地域として指定されている市町村も多いですし、それから、この法律に基づいて支援事業も既にしております。

 あと、加えまして、これは私の所管ではありませんが、内閣府の原子力防災の方でも防災事業などを様々やっているというふうに承知しています。

阿部委員 私は、やることを担保する法的、タグづけというんでしょうか、連関がなされていないと思うんです、この新たな法案でも。

 この法案の第五条二項では、いわゆる振興計画についてですけれども、地域の防災に配慮するとともに、で一回切れていて、他の法令の規定による地域振興に関する計画と調和が保たれるものでなければならない、私は、ここに、他の法令の振興計画だけでなく防災計画も含めて当然ながら調和が取れるというのか、実現されるものでなければならないとしなければ、本当の防災対応ではないと思いますが、いかがでしょう。それとも、これで読むんですか、防災を。

井上国務大臣 振興計画については都道府県から申出をしていただくということで、都道府県の方で案をつくってもらいます。その際に、他の計画との整合性を取っていただくということになります。

阿部委員 大臣、私は防災計画について聞いているんですね。

 それで、振興計画は、振興計画についてしか他の法令との、何というんでしょうか、調和を取ることが語られていないので、是非、今度の法案の中には、防災との、他の、だって、防災は大きく変わったわけですよ。

 皆様のお手元の三ページ目に、この事故の後、「地域防災計画・避難計画の策定と支援体制」と入れてございますが、様々にやはり、あの過酷事故を経験して防災の在り方も変わっているんですね。それに対応したものになっていないということなんです。

 五条の二項は、振興計画についてのみ他の法令との調和なんです。なぜ防災についてそういう記載がなされないのか、このことは実は深刻でありまして、引き続いてお尋ねいたしますが、三十キロ圏外に逃れる場合もあるわけです。これは広域の避難と申しますか、あるいは緊急時対応という形で、単に三十キロ圏内に、そこで道路が終わっちゃって、そこで放射能が止まるわけじゃないですから、もっと遠くに逃げるという場合に、広域の避難ということに対応する道路の計画になっているのかどうかなんです。そういうものは、私は当然、原発立地会議を経て、しっかりと合意されて作られていくべきなんだと思うのですが、この点についてはどうですか、大臣。

井上国務大臣 まず、ちょっと先ほどの質問ですけれども、これは、ですから、防災計画は、避難計画とか、これはむしろ内閣府の原子力防災の方で所管をして対応していると思います。

 我々の所管は、立地の特措法に基づいて振興計画を策定する。ですから、その振興計画を策定する際に、法律に基づいて、他の計画との整合性というものは、まずは都道府県の方でしっかり配慮されているというふうに理解をしている、そういう答弁です。

 それから、広域の話がありました。広域避難というのも、どこまでを広域というイメージで捉えているかちょっと分かりませんけれども、この法律に基づいて、やはり一体性があるということであれば、これは都道府県の申請に基づいて、我々、支援をしていくということになります。

阿部委員 本来は、都道府県の申請があって、立地会議が開かれて認められていくんですね。ところが、何度も申しますが、この法律には防災とのタグづけというか、関連づけがないんです。だって、この前のをそのまま持ってきているんですから、そこを申し上げているんです。本気で防災を考えるなら、そのようになさるべきだし、そして、それは立地会議できちんと承認されて広域の避難がかなうようにすべきですよ。

 そして、お手元の地図、最後のを見ていただきたいですが、広域避難の計画等々は、いまだこの六つの地域でしかなされておらない。これは大臣の所管ではないことですが。しかし、このまま、今のままで放置すると、例えば広域避難の道路が土砂で通れなくなったところ、十都道府県、三十七か所に及ぶんですね。今、温暖化によって、東日本大震災の後、豪雨災害や様々な自然災害が多発をしております。広域避難の道路を今造ったところも、まだ計画上は六か所、そして、あるところでも、三十七か所含めて、十都道府県含めて通行止めなどになってしまう。防災は本当に、その地域で暮らす皆さんにとって私は深刻な状況にあると思います。

 そして、大臣がさっきおっしゃった、原子力委員会に来られた各自治体の様々な、例えば全国原子力発電所所在市町村の協議会、あるいは議会の協議会、あるいは町村議会の議長会の皆さんなどのお話を聞くと、産業の振興は再エネ、そして防災については、広域避難や、あるいは避難所の、もっと身近なところにしっかりと置きたいこと、プラスもう一つ、コロナの問題があります。松江市とか人口の多い東海第二では、避難所は今でも足りません。プラスコロナになれば、もっと足りません。

 こういうことを、この法律は、大臣は振興だけだとおっしゃいましたが、防災をうたっておられるんだったら、しっかりとそこまでタグづけして関連づけさせてやらねば実効性がありませんが、いかがでしょう。

木原委員長 井上大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

井上国務大臣 コロナ禍において、避難所の確保であるとか整備ということも当然変わってくるんだというふうに思っています。

 ですから、その上で、都道府県知事の方でこの避難所の整備についても考えていただいて、我々は、申出があれば、この法律に基づいてそれを支援をしていくということです。

阿部委員 何度も申しますが、そういう法律になっていないということを指摘して、終わらせていただきます。

木原委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 立憲民主党の今井雅人でございます。

 三人目ということで、会派最後の質疑者でございますので、少し追加なり整理をしながら質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、先ほど、目的のところの話の中で、福島の事故、前も後も変わらず防災は必要だからということをおっしゃったんですけれども、それは一面正しいとは思うんですね、常にやはり防災は必要なわけでありますが。ただ、福島の原発事故を受けて変わったこともあると思うんですよね。

 大臣の御認識の中で、福島の原発事故があったことによって、何か認識とか政策とか、そういうもので変わったものというのはございませんか。

井上国務大臣 これはいろいろなことがあるというふうに思っておりまして、ただ、私の所管ということですと、非常に限られるというふうに先ほども申し上げました。

 所管外ということであれば、やはり安全に対する認識というものも大きく変わったと思っています。いわゆる安全神話と言われている中で、ああいった過酷事故が起きて、対応することができなかったということでありますから、それに対する安全の確保というものはやはりもっと非常に厳しいものをやっていかなければいけない。そういった考え方に基づいて、いわば推進と規制をしっかり分離をして、原子力規制委員会をつくって、そして、世界でも最高レベルと言われる安全基準、これをつくってきたわけであります。

 防災についても、私があの福島事故の前と後で防災の重要性は変わらないというふうに申し上げましたけれども、他方で、防災に完全はないわけです。ですから、常に防災はより高めていかなければいけないというふうに思っております。

 ですから、これは、別に一条の目的を変える必要は私はないと思っておりますけれども、この一条に基づいて、より地域の防災に配慮した支援というものをしっかりやっていくということが大切だと思っています。

今井委員 今おっしゃったように、原子力規制委員会ができて、そして、世界最高水準なのか、一番厳しいのか分かりませんが、基準が変わり、各電力会社は追加の費用、多額の費用をかけて原発の防災をやりということで、大きく変わったわけですね。それは、今、御認識があるということはよく分かりましたけれども。

 加えて、政府の原発政策というのも、我々はゼロにすべきという考えではありますが、やはりできる限り、原発を可能な限り低減していくという方向にかじを切ったというふうに私は理解しておるんですが、それもそういう御認識ですか。

井上国務大臣 それは、エネルギー基本計画の中でそのように記載をしております。

今井委員 そうなんですね。防災の観点でもそうですし、政府の政策としても、やはり福島の事故を受けて大きく政策を転換しているということなわけです。

 先ほども言及があったかもしれませんが、この法律が十年前にできたときは、実は福島の事故の直前だったわけで、あんな事故が起きるというのは誰も予想していなかったと思うんですけれども、今おっしゃられたように、非常に大きな環境が変わってきたということを、大臣は必要はないとおっしゃいますが、我々は、この一条にしっかりと書いて、ずっと福島のことを忘れない、福島の事故を忘れないということをメッセージとしてやはり出すべきだと思うんですね。

 そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、逆に、この一条に福島のものを入れるということ、福島に関しての言及を入れるということは、何か支障はありますか。

井上国務大臣 福島のことを入れるといっても、いろいろな入れ方があると思いますので、ちょっとその具体的なものを想定しないとお答えはしかねます。

今井委員 我々は、今、修正案を用意して、提出する予定にしておりますが、要するに、福島の事故を教訓にして、新しい原発との向き合い方というものを考え直すというような、そういう表現ぶりになっているんですけれども、そういう考え方を目的の中に入れるということはできない、何か支障があるでしょうかね。

井上国務大臣 向き直すという、いわば抽象的な表現ということになりますけれども、私が先ほど来申し上げているのは、一条の目的の中に、そういったことも踏まえた上で、地域の防災に配慮するとか、あるいは地域の振興、これを推進していくとか、こういった目的が入っているわけですから、そういう意味では、今の目的規定で特に不足はないというふうに認識しています。

今井委員 昨日、福島選出の議員の方がおっしゃっていたんですけれども、来週で、三月十一日でちょうど十年になりますが、私たちは十年を節目とは言わない、福島の事故は終わっていないので、これは節目ではなく、まだ続いているんだから節目とは言いませんという、つまり、風化させたくないということなんですね。皆さんにもそのことを覚えておいていただきたいということなので、やはり原子力に関わる法律の目的には、私は、全て福島のことについて言及をすべきだというふうに思いますけれども、政府はそういう見解じゃないということでございますので、そこはちょっと残念ですけれども、我々としては、やはりそこはメッセージとしてしっかり入れるべきだということを主張しておきたいと思います。

 次に、井上大臣に、大まかな話ですけれども、現在は、政府として、カーボンニュートラルを二〇五〇年という政策を菅総理も打ち出されているわけですけれども、その中で、再生可能エネルギーを含む新エネルギーと言われるもの、こういうものの政府としての位置づけは、これは重点政策である、そういう御認識でよろしいですか。

井上国務大臣 これは私の所管外ではありますけれども、エネルギー基本計画などにそういった再生可能エネルギーの位置づけというものをしっかり盛り込んで政策を進めているということだと思います。

 そういう意味では、重要な政策の一つと認識しております。

今井委員 確認させていただきました。

 その上で、もう一点、これも御認識だけで結構なんですが、そういう再生可能エネルギーですとかを含む新エネルギーと言われるものが今後地域の活性化に寄与するものであるかどうかということに関してはどういう御認識ですか。

井上国務大臣 そういう意味では、環境負荷の低減とか、あるいはレジリエンスの向上とか、いろいろな効果があるんだと思います。その一つには、地域の活性化にも資するというふうに考えます。

今井委員 確認させていただきました。地域活性化にも非常に寄与するということであります。であれば、今回の法案にやはりそういうものを入れるべきなんじゃないかなと思うんですけれども。

 今日、経産省の方に来ていただいていると思います、いらっしゃっていますか。これは経産省なのかな、今、福島の新エネ社会構想というのをやっておりますね。この概要と、なぜこういう構想を立てて今やっているかということをちょっと御説明いただけますか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 福島新エネ社会構想は、これは福島イノベーション・コーストの一部として、エネルギー分野で、再エネの普及ですとか、それから低炭素社会を実現するということで計画した事業でございまして、大きく柱は三つございまして、一つは、やはり再エネの推進というのが柱でございます。それからもう一つは、水素社会を目指すということで、これは浪江に水素の製造拠点をつくって研究をしておりますが、水素の導入を目指していく。加えて、地域の再エネなどを活用した分散エネルギーの普及ということを目指して設立したものでございます。

今井委員 ありがとうございます。

 もう一点お伺いしますが、そういう構想に福島が選ばれたという理由は、福島の原発の事故があったということが要因だということでよろしいですか。

茂木政府参考人 この福島新エネ社会構想を構想した時点において、福島でやはり新しいエネルギー資源を、再エネを活用して、再エネを最大限導入していくという大きな目標の中でこの構想が練られたと認識しています。

 福島県も、二〇四〇年までに再エネ一〇〇%というのを目指しておりますので、こうしたことと呼応する形で福島でこの新エネ社会構想ができ上がったものと承知しています。

今井委員 ちょっと言葉を濁されていますけれども、この起点となっているのは、やはり十年前の原発事故があって、福島の方は大変いろいろな御苦労をされて、今も御苦労されていますけれども、その福島を再生させるために、これから基幹産業になり得る新エネで地域活性をしていこうということでできた構想だと思うんですね。

 大臣、この福島でやっていることをまさに全国に展開する、全国の、特に、原発立地に関わる自治体に展開するということは、先ほどもおっしゃっていましたけれども、地域の活性化にもつながりますし、今まさにおっしゃいました分散、分散社会の構築ということにもつながりますし、様々なメッセージ性もあるし、とてもすばらしい構想なんじゃないかと思うんですね。

 だから、我々の提案としては、今、福島でやっているこの構想を原発立地自治体のところに全国展開をする、そういうことをしてみたらどうかということを御提案をしたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

井上国務大臣 それは一つのお考えだと思います。

 ただ、それをこの法律でやるのかということよりも、むしろ、やはり政府全体の再生可能エネルギーそしてエネルギー政策の中でどのように取り組んでいくかといったことがまずあってしかるべきだと思っています。

 そのことに基づいて、じゃ、それぞれ立地地域がどのように考えるかということだと理解しています。

今井委員 大臣、この法律でやることかということをおっしゃっていますが、この法律でやることなんですよ。

 なぜかというと、これは法律に書いてあるとおり、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特措法案でありますから、まさに今、地域振興の話をしているわけです。だから、この法律は、まさにそのど真ん中にある法律なわけですよ。そこに入れないというのは、やはり今の御説明は私は論理的じゃないと思うんですね。いかがですか。

井上国務大臣 もちろん、法律ですから、いろいろな可能性はあるとは思っています。

 ただ、地域の振興に寄与する事業といってもいろいろな事業があって、その中でどういった事業をこの法律の対象にしていくのか、あるいは振興計画に定めていくのか、そういった判断になっていくということだと思っています。

 今回のこの法律、改正案に関しましては、これも先ほど申し上げましたけれども、まずは、現在の対象事業、この事業に対する支援をしていくということが大切だと思っております。

 現在の事業に関しても、立地自治体から様々な支援の要請が来ておりまして、まだまだその支援をやっていかなければいけないという状況でありますから、まずは、この今の法律に基づいて、今の対象事業に対して支援をしていくということだと考えています。

今井委員 この法律、全部読んでいらっしゃらない方もいらっしゃると思うので、ちょっと御紹介しますけれども。

 第五条に、振興計画の内容というのがありまして、一から八項目までございます。三番目に、どういう産業を振興するかということで、農林水産業、商工業その他の産業の振興に関する事項ということなので、全産業を含んでいるわけなんですが、商工業と農林水産業だけ特出しになっているんですね、という法律のたてつけです。

 そして、第十条ですけれども、第十条に、地方税の不均一課税に伴う措置ということで、これは税額の補填をする措置ですけれども、そこのところにもやはり事業の指定がございまして、原子力発電施設等立地地域の区域内において製造の事業その他政令に定める事業という規定があって、製造業だけが特出しされています。

 さらに、この十条のところで、その他政令で定めるというふうにありますので、その政令で今指定されているものが道路貨物運送業、倉庫業、梱包業、卸売業、こういうふうになっているわけですね。

 それで、先ほど斉木委員もちょっと指摘していましたが、見ると、これは本当に日本の伝統的産業です。もちろん、こういう産業も大事なんですけれども、新しい成長戦略を考えるに当たっては、この産業だけではやはり不十分だと私は思うんですね。

 大臣、ちょっとこれは通告していないので、御覧になったかどうかだけ確認したいんですけれども、昨年の十二月二十二日に、全国原子力発電所立地市町村議会議長会というところから要望書が出ています。「「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」延長にかかわる要望」という要望が出ているんですけれども、これは御覧になられましたか。

井上国務大臣 拝見しました。

今井委員 よくある要望書の、最初にばっと文章が書いてありまして、その後、具体的な要望が書いてあります。

 先ほど私が御紹介をいたしました第十条、不均一課税に伴う対象業種の拡大というところなんですが、具体的事業及び業種というのがあります。四つ挙げてありますので、ちょっと読ませていただきますね。

 一、AI、RPAの研究、導入などの先端産業、それから、二、スマートシティー構想や次世代エネルギー関係事業及び新電力関係事業、それから、三、公共交通確保事業及び自動運転導入事業や実証実験事業等、四、地域におけるICTのインフラ整備事業やソフト事業。まさにこれから成長産業として期待されるものばかりがここに列挙されております。

 この中に新電力も当然入っているわけなんですけれども、先ほどの斉木委員からもありましたが、地元の方たちはこういうものを欲しているんですね、要望書にも書いてありますから。これにやはり応えてあげるということが政府の役割ではないかと私は思うんですけれども、これはいかがでしょうか。

井上国務大臣 私のところに、いろいろな地方団体あるいは地方自治体、そういった方々から様々な要望書をいただきました。確かに、おっしゃるように、様々な事業を対象に追加をしてほしいといった要望が多くありました。

 ただ、そうなると、いろいろな事業の要望があるんです、ですから、御紹介いただいたもののほかにもいろいろあるものですから、じゃ、その中で一体どの事業を追加対象事業にしていくかということに関しては、これは慎重に検討しなければいけないというふうに思っています。

今井委員 もう一点お伺いしているんですけれども、この新しい業種を私は加えることにすごくこだわりたいと思うんですが、今回この法案をもし通したとしても、今後、今回間に合わないとしても、業種として新しいものを、こういうものを追加するという検討をすることが可能なのか、もう少し、それを条文としてその中に入れるという選択もあります。それから、十条に関して言うと、政令で定める事業があるわけですから、その政令の中にどういうものを書き込むかということだって、これは検討できるわけですね。

 これを今後政府としてやっていく、そういうことは検討していただけないですか。

井上国務大臣 一つは、さっき申し上げましたけれども、これは、政府全体としては、不均一課税の減額補填措置について、地方分権推進計画の中で必要最小限の見直しをすべきだといったようなこと、これがいわば政府の方針、大前提になっているというのがあります。

 それから、あとは、やはり今の対象事業に対してしっかり支援を行うということが最優先だというのが私の考えです。考えですが、その上で、もちろん、これは何も未来永劫変える必要はないということはありませんので、そういう意味では、やはり様々な検討はしなければならないと思っています。

 先ほど申し上げたように、いろいろな要望がありますから、じゃ、実際どうするのかということになれば、そこは慎重な検討をしていくということです。

今井委員 ちょっとなかなか前向きに答えをいただけなかったので、是非そういう展開をしていただきたいと思うんですね。(発言する者あり)そうなんですよ、政令ぐらい何とかならないのかという気はしますので、よろしくお願いしたいと思います。

 その上で、もう少しちょっと観点を変えまして、再エネの件なんですけれども、再エネのコストについてなんですが、資源エネルギー庁の方からちょっとペーパーをいただいたんですけれども、欧州と日本の太陽光発電コストの推移というので、二〇一〇年に、欧州も日本も総コストは四十円でした。ところが、二〇一六年、六年後ですね、欧州は総コスト十円、日本は二十円、倍の差がついてしまっていて、様々な調査機関の方から、もう既に欧州では、原子力の発電コストよりも、こういう太陽光ですとか自然エネルギーの発電コストの方が低くなっているという論文がたくさん出ています。ところが、日本だけが取り残されていて、まだ再エネのコストが原子力発電に追いつかないんですね。

 どうしてこういうことが起きているのかということを、今、政府はどういう御認識でいらっしゃいますか。

茂木政府参考人 再生可能エネルギーのコストについてでございますが、世界的には、確かに御指摘のとおり、急速に太陽光発電のコストは低減がしてきております。ただ、この導入コストの評価については国による違いがございますし、また、自然条件による違いもありますので、こうした実態を踏まえて評価をしていく必要があるというふうに認識しています。

 ただ、具体的に、例えば先ほどの太陽光の例でございますが、日本の太陽光発電コストがなかなか下がらない要因として、一つはパネル、パネルと工事費とその他のコストに分かれますけれども、パネルの方は、確かにFIT導入当初に比べますと相応に下がってきていますが、近年、下げ幅がかなり小さくなってきていまして、下げ止まってきています。

 それからもう一つ、一方で、これは土地の造成費用ですとかその他もろもろの費用がかかりますが、こうした工事費が日本の場合にはなかなか下がってこないということで、ここがずっと横ばいになっておりまして、これはまた新しい太陽光のために土地を造成しなきゃいけない、こういった意味でコストも少し上がってきているという報告もあります。したがいまして、この工事費の高さが一つの要因ではないかと私どもは考えています。

 したがって、こうした事態を解消していくために、今、中長期的には価格目標を設定しています。それから、入札制などを入れて競争を高めることでコストを下げていく、それから低コストの新しい太陽光を開発していく、こうした取組を進めながら、コストの引下げを進めてまいりたいと考えています。

今井委員 コストが高いという問題意識は政府も共有していただいているということなんですよね。やはりここが一番の日本の課題なんですよ。自然エネルギーを、再生可能エネルギーを発展させていくためにはこのコストを下げていくということが本当に大事なことで、そのために資源を集中投資をするということが今政府がやらなきゃいけないことであって、全ての政策がやはりそこにちゃんとリンクしていなきゃいけないと思うんですよ。

 ですから、この法案の中にも、そういう再生可能エネルギーを含む新エネというものを振興していくということを、特に原発の立地自治体のところにメッセージとして出して支援をしていく、福島のように支援をしていく、こういうことをこれからの十年はやっていかなきゃいけないというふうに我々は考えておりますので、その部分の修正案も出させていただく予定ですので、是非、政府の皆様もこれに御賛同いただきたいというふうにここでお願いをしておきたいと思います。

 もう少し時間がありますので、最後、ちょっと避難計画についてなんですが、今回の対象地域というのは、都道府県から申請を受けて、それで政府側で認定するということなんですけれども、この避難計画と、ある意味、補助率が上がる避難道路、これはしっかりとリンクしているんでしょうか。避難計画に基づいた避難道路の整備というふうになっているのかどうかという問題意識なんです。

 というのは、よくある話ですけれども、予算を取るときに、何かほかに関係のないものを追加して予算を取るということは、残念ながら、日本の社会ではよく起きることですので、そういうことのチェックはしっかりと働いているんでしょうか。

柳政府参考人 お答え申し上げます。

 防災に必要な道路かどうかの判断につきましては、原子力立地地域特措法におきましては、支援対象の道路は、法第七条に基づき、住民生活の安全確保に資することから緊急に整備することが必要なものとございます。

 そして、同法の施行令七条に基づき、原子力災害が発生した場合において円滑な避難又は緊急輸送を確保するために必要な道路とされております。

 その上で、個別の判断に当たりましては、国土交通大臣が定める基準に基づきまして、原子力発電施設等と防災上重要な施設、これを相互に連絡する基幹的な道路であるかどうか、さらに、これらの施設と高速自動車国道又は一般国道を相互に連結する基幹的な道路であるか、これに該当するかどうかによって、この支援対象とするかどうか判断しているところでございます。

今井委員 もう一分しかないので、もう質問をやめまして、最後にちょっと意見だけ言っておきます。

 原発の再稼働に、立地自治体とか、自治体の同意が必要なんですけれども、この防災計画に載っているところというのは、まさに原発によって危ない地域なんですね。それを認めているわけです。

 そうしたら、その自治体の人たちにもやはり再稼働に当たっては同意をしてもらうということは、これはとても整合性のあることなんですよ。それをなぜか立地自治体だけというふうに限定していますけれども、この防災計画を認めているのであれば、再稼働するときはそこの周辺自治体の同意も当然必要になる、そういうことだと思いますので、そのことを是非検討していただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。

木原委員長 次に、西田昭二君。

西田委員 おはようございます。自由民主党の石川三区選出の西田昭二でございます。

 今日は、質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 限られた時間でございますので、早速ではありますが、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。

 私の地元石川県の能登半島の志賀町にも、北陸電力志賀原子力発電所があります。原発立地地域は、地域住民の理解の下、原子力政策に協力をし、国民生活の安定と社会経済の発展に貢献をしてまいりました。また同時に、国による支援制度を活用し、地域の発展と住民福祉の向上に取り組んでまいりました。まさに、原発立地地域の皆さん方の一つのよりどころとして、地域振興を図ってきたことも事実であります。

 福島第一原子力発電所の事故による原子力災害を踏まえて、真に実効性のある原子力防災対策の強化が喫緊の課題となっております。原子力発電所の廃炉が進められている中、立地地域が将来にわたり持続的な発展を遂げるためには、支援措置は大変重要でございます。

 この度の法改正に対しての大臣の決意を改めてお伺いをさせていただきます。

井上国務大臣 まず、西田委員におかれましては、原発立地地域選出の議員として、地域の振興、また防災対策の充実に御尽力いただいておりますことに感謝を申し上げたいと思っています。

 原子力立地地域特措法は、これまでも、避難道路や緊急輸送道路など、防災インフラ整備への支援に重要な役割を果たしてきております。

 例えば、御地元の石川県におきましても、当該措置を活用し、原子力災害発生時における避難経路の渋滞を防ぐための道路整備や、災害等が発生した際の緊急避難場所としても利用できる教育施設、七尾中学校を新築をいたしました。

 また、昨年十二月には、国の原子力委員会に私も出席をし、原子力立地地域における防災インフラの更なる整備が課題であり、原子力立地地域特措法の延長が必要との見解もいただきました。

 このような状況も踏まえ、原子力立地地域特措法の延長は不可欠であると考えており、立地地域における避難道路や避難所等の防災インフラ整備への支援、企業誘致、投資に資する減税への支援を引き続き進め、原子力立地地域の振興を図ってまいります。

西田委員 井上大臣、ありがとうございます。

 特措法の延長は、関係自治体にとって、本当に、今まで電力の安定供給のために大変協力をしていただいたわけでありますので、原発を地域振興のよりどころとして、この延長は必要不可欠であると思っておりますので、是非ともよろしくお願いしたいと思っております。

 原発立地振興法に基づいて防災インフラの支援を行うに当たっては、道府県の振興計画に基づき行うこととされていると承知をしております。

 この振興計画は、地元において基幹的な道路、港湾などの整備に関する事項などについて、地域の防災に配慮して案を作成することとなっていると承知をしているところでございます。

 個別の道路などの防災インフラ支援をどのように進めていくかについては毎年機動的に進めていくべきであり、その観点からは、振興計画は立地地域の必要性が生じない限り地元から変更案が提出されないのは、よく分かるところでございます。

 そのような中で、原発立地振興法の重要性を鑑み、振興計画については、公開をして、より一般への情報提供を進めるべきではないかと考えております。政府の考え方について伺いたいと思います。

柳政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力立地地域の道府県の振興計画につきましては、これまで公開していなかったところではございますけれども、委員の御指摘を踏まえまして、立地自治体の了解が得られれば、今後しっかり公開してまいりたいと考えております。

西田委員 是非ともよろしくお願いをいたします。

 次に、令和二年十二月の原子力委員会定例会議において立地地域からのヒアリングが行われた際に、原発立地振興法に基づく支援が防災インフラの整備及び企業誘致活動に大きく役立っていることから、期限の延長のほか、特定事業への国庫補助率の引上げ、特定事業の対象拡大などの要望が寄せられていると伺っているところでございます。

 特定事業の拡大として、地域住民の避難施設の整備についての考え方についてお聞きをさせていただきたいと思います。

 現在の新型コロナウイルス感染症や又は別の感染症が蔓延する中で、もちろん起きてはならない事案ではございますが、何らかの方法で住民に避難をお願いするような事態が発生した場合に、これまでのような避難所の在り方では対応できないではないかと考えているところでございます。

 昨年に引き続き、本年も大規模な自然災害が発生し、避難所が整備をされましたが、新型コロナウイルス感染症を恐れ、避難をちゅうちょされた方もおいでると伺っているところでございます。

 このような事案を踏まえて、今後、密を避ける避難所の設置の在り方についてどのような策を講じていくのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

柳政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力立地地域特措法におきましては、避難所としての活用も想定される小中学校の体育館などの整備につきまして、通常の国の負担割合が五〇%であるところ、これを五五%にかさ上げすることとしております。これに加えまして、地方負担分につきまして、地方債を起債した場合、その七割を交付税措置が講じられることとなります。これらを組み合わせることで地方の実質的な負担は一三・五%になる、このように手厚い支援を行っているところでございます。

 今回の法案によりまして、このような支援措置を延長することで、委員御指摘のように、今後とも、新型コロナウイルス感染症なども踏まえた立地自治体の避難所の整備にしっかり支援を行ってまいりたいと考えております。

西田委員 ありがとうございます。

 本当に、いざというときに、避難をされる方々が安全で安心して避難できるように、しっかりとこれからも対策を講じていただきたいと思います。

 次に、原発立地振興法では、原発周辺の地域振興のための道路や港湾などの設備の整備に当たり特例措置が講じられているところでございますが、道路整備に当たって、特例の対象となるには、集会所から避難所までを結ぶ国道、県道までの避難道路であること、拡張、拡幅が必要などが条件となっており、立地自治体にとっては少し高いハードルになっていると考えているところでございます。

 私の地元の自治体からも、過疎債の枠が制限されている中で、できるだけ道路の整備について原発立地振興法の適用を受けたい、地域振興のための道路整備の採択条件について緩和を望むという要望も出されているところでございます。本法律の地域防災への配慮という観点からも、立地地域への支援措置の拡充は大変重要なことだと考えているところでございます。

 特定事業の対象拡大は、例えば道路の整備においては、農道や林道、また、私の地元においては、海岸線を車で走ることができる、なぎさドライブウェイという道路がございます。高規格道路の迂回路としても利用が可能な道路でございますが、現在は浸食が進み、通行できない箇所が一部存在をしているところでございます。

 現在の条件では修繕については対応できないということは重々理解をしているところでございますが、立地地域の住民にとってしっかりと実情に即した、実効性のある柔軟な対応を講じる必要があると考えているところでございます。

 政府として、今後どのように立地地域や住民の実情に即した対策を原発立地振興法で講じていくのか、改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

柳政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力立地地域特措法は、防災に配慮しつつ地域の振興を図ることを目的としておりますから、この支援措置につきましても、立地自治体にとって分かりやすく活用しやすいものであることが重要と認識しております。

 他方、今回の法案につきましては、まずは現行の支援措置を延長することを優先するとの観点から提出させていただいている状況でございます。

 原子力立地地域特措法の今後の運用につきましては、委員御指摘の趣旨も踏まえつつ、立地自治体の御要望や御意見によく耳を傾け、一層の情報提供など、立地自治体に寄り添った対応に努めてまいりたいと考えております。

西田委員 地元の自治体の皆さん方も、この特措法の延長はまず大変重要である、そのことは重々承知をしているところでございます。是非とも、その後の立地自治体の実情をしっかりと踏まえていただき、実情に合った支援措置の拡充を改めて検討をお願いしたいところでございます。

 先ほども申し上げましたが、私の地元志賀町に北陸電力志賀原子力発電所がございます。

 北陸電力志賀原子力発電所は、現在、設置変更許可の審査中でありますが、審査は断層のフェーズで難航をしておりました。北陸電力は、これに対し、十年間で約二百三十本にも及ぶボーリング調査を実施し、昨年七月に断層の活動性を否定し得るデータを提示をしていることで審査は進展をいたしました。

 北陸電力のこれまでの並々ならぬ努力は、住民を始め経産省、資源エネルギー庁も十分に理解をしていただいているところだと思っております。従来の、地層の上層部を調査をする上載地層法ではなく、北陸電力が提示をさせていただいた、ボーリング調査によって地層の深くまで調査をする鉱物脈法によるデータの提示は、非常に画期的な方法であり、業界全体を大いに勇気づけ、非常に大きな追い風になると評価をされているところでございます。

 原子力規制委員会の委員からも、鉱物脈法によって新しいデータが幾つか提示をされまして、一部の断層については動いていないという証拠も幾つか出されたことについては、大きな進展だと評価をするとの専門家も、評価を受けていることを聞いております。

 二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現、エネルギーの安定供給の観点からも、安全性の確保が大前提として、安全性が確保された原子力は速やかに再稼働できることが必要だと考えております。政府としての考え方を改めてお伺いをさせていただきます。

松山政府参考人 お答え申し上げます。

 エネルギーは国民生活や経済活動を支える基盤でございます。これから二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指し、脱炭素社会を目指していく上でも、また、エネルギーの安定供給を確保していくという観点からも、原子力を含めまして、バランスが取れたエネルギー政策を検討し、これを実行していくことは大変重要なことだと考えてございます。

 このため、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けましては、再生可能エネルギーの導入拡大ということはもちろんでございますけれども、安全性が確認された原子力を含め、使えるものは最大限活用し、水素、アンモニアなど新しい選択肢も含め追求していくというのが政府の基本的な考え方でございます。

 また、足下で申し上げますと、まずは二〇三〇年のエネルギーミックスの実現ということが課題としてございます。委員御地元の北陸電力志賀原子力発電所を含めまして、この達成に向けて、安全性が確認された原子力発電所の再稼働をしっかりと進めていくことが大変重要であると考えてございます。

 このためには、御地元の御理解に向けて、事業者自らがしっかりと地域に向き合い、信頼を築くことが必要でございますし、これは、国も前面に立ちまして、エネルギー政策における原子力の意義も含め丁寧な説明を尽くしていきたいと考えてございます。

 また、避難計画につきましても、政府を挙げて策定を支援し、具体化、充実に取り組みたいと考えており、安全性の確保ということを大前提とした原子力発電所の再稼働をしっかりと進めていきたいと考えてございます。

西田委員 本当に、今の御答弁の中で、二〇三〇年のエネルギーミックスの達成、原子力が大体二〇%から二三%の稼働を目指しているということでもありますが、今現在は九基程度の稼働でございます。二〇%から二三%といいますと三十基程度稼働しなければならないということでもありますので、少しでも安全性が確認された原発については本当に速やかな再稼働を進めていただくことを求めさせていただきたいと思います。

 最後に、原発立地振興法の支援措置の拡充について、多くの重要な振興計画があるわけでございますが、立地地域にとって原子力に携わる人々の確保は極めて重要な課題でございます。

 現在、原子力事業の行き先が見通せず、原子力関係業務に従事する人材や原子力関連産業を志望する学生が大変少なくなっていると伺っているところでございます。このままでは、原子力に携わる人材の確保や技能継承に深刻な影響が出かねない現状であるということを聞いております。

 日本がこれまで培ってきた原子力の技術、人材、産業の基盤維持強化に向けて、この度の原子力立地振興法の改正において、人材の確保や教育についても対策を講じていただきたいと考えますが、政府の見解を伺いたいと思います。

井上国務大臣 原発政策を進めるに当たって、やはり立地地域に多大なる負担をかけているわけであります。そのことによって国民の生活あるいは経済が支えられているということでありますから、やはり立地地域に対する支援というものは非常に重要だというふうに思っております。あわせて、立地地域の防災、この強化というものもやっていかなければならないというふうに思っております。

 ですから、この法律に基づいて、しっかり立地地域の皆さんの御要望をいただきながら、支援を進めていきたいと考えています。

西田委員 ありがとうございます。

 本当に、地域の皆様方がこの延長について並々ならぬ期待、希望を持っておりますので、すべからく延長をしていただくことを心からお願いをいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

木原委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、引き続いて、この原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案、原子力立地地域特措法に関連して質問をさせていただきます。

 まず、本法律を延長する必要性について、井上大臣の方にお伺いをさせていただきたいと思います。

 原子力立地地域特措法は、御承知のとおり、一九九九年に発生した茨城県東海村のジェー・シー・オー臨界事故の経験を踏まえて、原子力発電施設の立地地域について防災に配慮しながら地域振興を図ることを目的とした法律でありまして、避難道路、避難所等の防災インフラ整備に当たっての国の負担率のかさ上げを、負担割合のかさ上げを行うとともに、立地地域が企業誘致、投資のために地方税の減税を行った場合、それによる減収額の一部について交付税措置を行うものであり、二〇〇〇年の制定、そして二〇一〇年の延長を経て、本年三月末に期限を迎えるものでございます。十年前の法改正により、この原子力立地地域特措法は十年間延長されたわけでございますが、本法律案により、更に十年間延長をすることとされております。

 大臣、改めて今回の延長の必要性について伺います。また、現在の支援対象の事業の整備完了までどの程度の時間を要するかということを踏まえながら、なぜこの延長期間を十年とすることになったのかについてもお伺いをさせていただきたい。

 そして、併せて特措法の目的達成へ向けての大臣の決意についてお伺いをさせていただきます。

井上国務大臣 原子力立地地域特措法は、これまで多くの立地地域で活用されており、現在も、令和元年度時点で、避難道路を始めとする約百三十件の防災インフラ整備への支援に重要な役割を果たしております。

 また、昨年十二月には、国の原子力委員会に私も出席をし、立地地域においては防災インフラの更なる整備は大きな課題であり、本年三月末に期限が切れる原子力立地地域特措法を延長することが必要との見解をいただいております。

 この延長法案はこれらを踏まえたものであり、特措法を延長し、防災インフラ整備に対する支援措置等を継続していくことが不可欠と考えております。

 また、令和元年度時点において、特措法の支援を受けて整備中である約百三十件の事業のうち、約六十件が十年後まで事業継続の見込みであることを踏まえると、少なくとも今後十年間は引き続き支援を実施することが重要であることから、今回の改正においても延長期間を十年としたところです。

 今般の法案によって、現行の支援措置を延長し、防災インフラ整備や企業誘致の支援等を通じて立地地域の振興を目指してまいります。

江田(康)委員 続いて、特措法に基づく国の支援額と特措法の支援による成果、これまでの成果についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、この原子力立地地域特措法に基づく国の支援額は年間でどのくらいになっているのか、また、過去の国の支援額については対外的に公表をしているのか、お伺いをします。

 あわせて、特措法に基づく支援が行われることで、実際に立地自治体で防災インフラの整備が進んで、安全な避難に貢献する状況になっていくことが何より大切だと思っております。この観点から、これまで原子力立地地域特措法に基づく支援によりどのような成果が得られてきたのか。例えば私の地元である九州における成果について、簡潔に、具体的に伺いたいと思います。

柳政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、支援額につきましては、原子力立地地域特措法に基づく防災インフラ整備支援を目的とした国の負担割合のかさ上げによる地方公共団体への支援額は、令和元年度で約十四億円となっております。

 また、地方負担分について地方債を起債した場合の交付税措置は、令和元年度で約百二十二億円となっております。

 また、地方公共団体が不均一課税を行った場合の減収補填額は、令和元年度で約八億円となってございます。

 また、お尋ねのございました対外公表につきましては、この令和元年度の実績を含めまして過去十年間の支援実績につきまして、十四道府県ごと、それぞれ、道路、港湾等の事業ごとの表の形態で、詳細にホームページにて公表させていただいているところでございます。

 次に、九州における成果でございますけれども、二点、例を挙げさせていただきたいと思います。

 まず一点目、鹿児島県におきましては、県道である川内串木野線が海に面しておりますけれども、豪雨による土砂崩れや高波で交通止めが度々発生していたところ、この特措法の支援を活用することで、黎明トンネルを含むバイパスが令和二年五月に完成し、これにより、薩摩川内市やいちき串木野市の住民千八百人の安全で円滑な交通が確保され、いちき串木野市の救急医療機関への搬送時間の大幅な短縮に貢献したと聞いております。

 また、佐賀県におきましては、唐津市の中学校の老朽化が進み耐震性に課題のあった校舎や体育館の改築工事を実施しまして、災害発生時の避難場所としても活用を見込んでいるとお伺いしております。

 このように、特措法による支援は、立地地域における避難道路、避難所等の整備に重要な役割を果たしてきたものと認識しております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 私の九州の川内原発また玄海原発の周辺区域におけるこの特措法の支援が、まさに避難道路、避難所等の整備に重要な役割を果たしてきているということを具体的に示していただきました。

 続いて、この特措法で指定される支援地域の範囲についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 東日本大震災を我々は経験したわけでございます。原子力災害対策の重要性が指摘されたわけでございますが、この原子力災害対策の区域が拡大をされました。東電福島第一原発の事故では、原発から三十キロ離れた地域まで計画的避難区域の範囲が広がったわけでございます。

 これらを踏まえると、原子力立地地域特別措置法に基づく支援を受ける地域も拡大すべきではないかと考えますが、政府の対応、そして考え方についてお伺いをさせていただきます。

三ッ林副大臣 お答えいたします。

 立地地域におきましては、東日本大震災を踏まえて、原子力立地地域特措法の支援も活用しながら、防災インフラ事業を実施してきたところでございます。

 令和元年度における約百三十件の防災インフラ事業のうち、震災以降に開始されたものは八十九件で、支援対象の防災インフラ事業の大半が震災を踏まえたものとなっております。

 特措法におきましては、支援対象となる立地地域の拡大を含めて立地地域の指定又は変更に当たっては、都道府県知事からの申出を受けた上で、原子力立地会議の審議を経て、内閣総理大臣が指定又は変更を行うスキームとなっております。

 今後、都道府県知事から立地地域の拡大に関する申出があった場合には、特措法に基づく手続に従って適切に対応してまいりたいと思います。

江田(康)委員 自治体からの申請があれば、原子力立地会議で審議されて、総理が指定することになるということを確認をさせていただいたところでございます。

 続きまして、この特措法の支援は、原子力発電所の周辺の地域が対象になると承知をしておりますが、現状を見ると、原子力発電所については、停止しているものもありますし、また廃炉が決定したものもあります。そうなりますと、このような場合において、特措法の支援対象になるのかといった懸念も生じるわけであります。

 そこで、停止中の原子炉や廃炉が決定した原子炉の周辺の地域は、原子力立地地域特措法の支援対象になるのか、改めて政府の考えをお伺いいたします。

柳政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所が停止中や廃炉中であっても、原子力発電所がそこに存在し、そこに核燃料等がある状態であります。このため、原子力防災、これは必要と考えておりまして、こういったことから、周辺地域の安全確保のために、原子力立地地域特措法の支援対象になると考えております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 続いて、新型コロナウイルスの感染を受けての避難所の整備についても確認をさせていただきます。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、避難所におけるソーシャルディスタンスの確保の必要性が国の原子力委員会において指摘されております。原子力立地地域特措法における避難所の整備の在り方について、政府の考えをお伺いいたします。

三ッ林副大臣 お答えいたします。

 この点に関しましては、昨年十二月の原子力委員会において、立地地域の自治体からヒアリングをしており、当該自治体からも、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、今後は、ソーシャルディスタンスを踏まえて、避難所の拡大についても検討してまいりたい旨の意見があったところであります。

 このような自治体のニーズも踏まえて、今回の法案により、現行の支援措置を延長することで、新型コロナウイルスの感染拡大も踏まえた避難所への支援を継続してまいりたいと思います。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 先ほどの、停止中の、また廃炉が決定した原子炉についてもその対象になるということは、大変心強く感じるところでございます。

 続いて、今後の原子力政策の進め方についても、この時間内に確認をさせていただきたいと思っております。

 菅総理が、昨年の臨時国会の所信表明演説で、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする、二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言されたことは画期的なことであると思います。

 いかにしてそれを実現していくかが重要でありますが、政府は、その戦略として、二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を昨年十二月に策定をされました。

 そのグリーン成長戦略においては、「二〇五〇年の電力需要は、産業・運輸・家庭部門の電化によって、現状の三〇〜五〇%増加する」としております。そして、二〇五〇年の発電量に占める原子力とCO2回収前提の火力発電、これらを合わせて三〇から四〇%程度との参考値を示しておりますけれども、今後、どの程度の電力を原子力で賄うのか、今後の原子力政策の進め方についても質問をさせていただきます。

江島副大臣 まず、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けましては、そんなに簡単なものではないというのは御案内のとおりでございます。日本の総力を挙げての取組が必要となっております。

 そのためには、再生可能エネルギーはもちろんのことでありますが、安全性向上を図って、原子力を含めて、使えるものは最大限活用していきまして、水素やアンモニアなどの新たな選択肢も追求していくというのが政府の基本的な考え方でございます。

 もちろん、こうした検討を進めていくに当たりましては、島国という日本の位置上、適切にこの状況を把握をしまして、各エネルギー源の強みと弱みを十分に把握をしていくということが必要であります。

 原子力に関しましては、運転時に温室効果ガスを排出しない脱炭素電源であるということと同時に、もう一つ、天候にも左右されずに安定的に稼働できる準国産エネルギー源であるという、安定供給にとっての強みを有しております。このような原子力の特性をしっかりと認識しながら議論を進めていくということが必要ではないかと思います。

 その上で、御指摘の数値でありますが、これは議論を深めていくための参考値として示しているものでありまして、今後、審議会で様々な立場から多様な御議論をいただくことになっております。その中で、今回お示しした参考値以外のシナリオも含めまして検討を進めていきまして、最終的に、この原子力政策の方向性を含めて、結論を示していきたいと考えます。

江田(康)委員 今国会で、この二〇五〇年カーボンニュートラル、また関連してエネルギーミックスについては議論をしてまいりたいと思いますが、今日は、原子力政策の進め方について、確認にとどめたいと思います。

 そして、もう一つ、原子力政策における諸課題について、そのうちであと一つは、当面、原子力発電を利用する以上、使用済燃料への対策や放射性廃棄物の最終処分といったバックエンドに関する諸課題への対応についても着実に進める必要があるわけであります。

 足下では、六ケ所再処理工場の事業変更許可や北海道での文献調査の開始など、状況に変化が見られますが、政府として、今後、原子力発電所の再稼働を進めるに当たり、こうした課題にどのように対応していくつもりなのか、明確に答弁をお願いします。

江島副大臣 これまで、我が国は半世紀以上にわたりまして原子力発電を利用しました。結果、今、全国に約一・九万トンの使用済燃料が存在をしております。今後もこの原子力発電を利用していくという上では、核燃料サイクルの政策、この推進、あるいは高レベルの放射性廃棄物の最終処分を実現をしていくということが大変重要であります。

 このような中、昨年の七月でありますが、六ケ所再処理工場が事業変更許可を取得をいたしまして、また、昨年の十一月には、寿都町とそして神恵内村、この両自治体におきまして文献調査が開始をされるなど、バックエンドに関する諸課題の解決に向けた取組も前進をしているところでございます。

 引き続き、このバックエンドに関する様々な課題の解決に向けまして、例えば、六ケ所再処理工場の竣工、それから使用済核燃料対策の推進、北海道の二町村での丁寧な対話活動、それから全国の複数地域での文献調査の実施等にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

江田(康)委員 多少時間がございますので、あと一問、最後に。

 東日本大震災そして福島第一原発の発生から十年の節目を迎えることになるわけでございますが、この十年間の間に福島の復興や住民の帰還が進んでいることを踏まえれば、復興と廃炉の両立の原則の下、この福島第一原発の廃炉を進め、放射線リスクの早期低減に取り組むこと、これが必要でございます。

 この廃炉・汚染水対策は、燃料デブリや使用済燃料の取り出しなど、世界に類例を見ない困難な取組が続きますが、これまでの進捗状況と今後の展望についても簡単にお伺いをさせていただきます。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉は、福島の復興の大前提でございます。東京電力任せにするのではなく、国も前面に立って取り組んでいるところでございます。

 廃炉・汚染水対策は、中長期ロードマップに基づき、二〇四一年から二〇五一年までの廃止措置終了を目指し、安全かつ着実に進めていくこととしております。この目標に基づき、一部の工程に遅れはあるものの、全体として着実に進展しております。例えば、三号機の使用済燃料取り出しが、先月末、二月末に完了しております。

 使用済燃料につきましては、二〇三一年内に全ての号機で取り出しを完了できるよう、取組を継続中でございます。

 また、燃料デブリの取り出しについても、英国において、取り出しに使用するロボットアームの開発が進んでおります。新型コロナウイルスの感染拡大により開発作業に影響が出ておりますが、安全、着実に実施し、廃炉全体のスケジュールには影響が出ないよう、東京電力を指導してまいります。

 今後も、予測の難しい困難な取組が続くと予想されますが、国も前面に立ってしっかりと進めていく所存でございます。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 原子力立地地域における防災、安全のための避難道路、避難所等のインフラ整備は、原子力発電の推進、反対の立場にかかわりなく、また、稼働中、休止中そして廃炉作業中を問わず、今そこに原子力発電施設がある中で待ったなしの課題であり、防災インフラ整備を支援する特措法の延長は必要不可欠であることを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 原子力発電施設等立地地域振興特措法は、原発や再処理工場など核燃料サイクル施設の立地自治体に加えて隣接市町村も対象にして、道路整備やそれから港湾施設等の公共事業への国の補助率をかさ上げし、それらを自治体が借金、地方債で行った場合には元利償還分の七割を地方交付税で、そして企業立地等の減税で減収した場合には地方交付税でそれぞれ穴埋めするというものであります。

 そこで、井上大臣に伺いますが、今回の法改定で、法律の期限以外に見直した部分というのはあるんでしょうか。

井上国務大臣 今回の法改正は、原子力発電施設等の立地地域において、防災インフラ整備への支援及び企業投資、誘致に資する不均一課税への支援を引き続き実施していくため、令和三年三月末で期限を迎える特措法の有効期限を十年延長するものです。

 このほか、特措法に基づく制度を変更するものではありません。

笠井委員 期限以外に何の見直しも行っていない、これは本当に驚きであります。

 とりわけ、前回、二〇一〇年十二月に、十年間延長する法改正を行った直後には、衝撃的な東京電力福島第一原発事故が起こっております。

 来週三月十一日、十年を迎える事故は、終わったどころか、被害は一層拡大しております。今なお政府の原子力緊急事態宣言は解除されておらず、廃炉作業の将来が懸かっているデブリ、これを取り出す見通しも立っていない。いまだ、帰還困難区域など、ふるさとに戻れない福島県民が八万人を超えるとされております。汚染水の海洋排出問題もあります。

 原発は、過酷事故が起きるし、一たび起これば、取り返しのつかない被害と、長期にわたって先の見えない苦難を立地周辺地域に強いる。

 井上大臣、福島の本当に苦しいその思い、分かりますか。原発をめぐる情勢が前回の改正時とは根本的に変わったという認識はないんでしょうか。

井上国務大臣 東京電力福島第一原子力発電所事故の前は、政府及び原子力事業者は、いわゆる安全神話に陥り、十分な過酷事故への対応ができず、あのような悲惨な事態を防ぐことができなかったことは認めざるを得ません。

 その上で、事故後は、事故前に描いていたエネルギー政策はゼロから見直し、徹底した省エネや、再エネの最大限の導入等に取り組み、原発依存度は可能な限り低減することとしたものです。

 他方で、資源に乏しい我が国において、地球温暖化への対応等を考えると、原子力の利用は欠かせられません。特に、菅政権では二〇五〇年カーボンニュートラルを目指しており、原子力の利用はこの方向性とも合致しております。

 こうした中で、今後とも安全最優先で原子力の利用を進めていくことが重要であると認識しています。

笠井委員 こんな大変な事故があって、十年たってまだ大変なのに、本当に福島県民に寄り添っているのか、大臣の本当に思いが伝わってこないですね。

 特措法第一条の目的には、「原子力による発電が我が国の電気の安定供給に欠くことのできないものであることにかんがみ、」とあります。あくまで原発維持存続が前提になっています。あれだけの過酷事故がありながら、この目的のままの延長に問題がないのか。

 今、大臣は、安全神話に陥っていたとおっしゃいましたけれども、だったらば、なぜ目的規定について指一本触れないのか、変えないのか。いかがですか。

井上国務大臣 この法律は、原子力発電施設等立地地域の防災に配慮しつつ地域振興を図ることを目的とした法律であり、地方公共団体による避難道路などの整備や企業投資、誘致に資する地方税の減税について国の支援措置を講じるものです。

 現在、各地域の原子力防災体制の充実強化にしっかりと取り組む必要がある中で、引き続き防災インフラの整備を後押しするため、特措法の枠組みによる国の支援措置を継続する必要があるところ、特措法の枠組みの根本である目的規定を変更すべき特段の理由は認められません。現行の目的規定には防災への配慮が明記されており、内容的にも妥当なものと考えております。

笠井委員 あれだけの事故があっても、目的規定に指一本触れる必要がない、本当に驚きます。元々、二〇〇〇年の十二月に、福島原発事故前の安全神話にどっぷりつかっていた時代に作った法律の目的に指一本触れない。過酷事故が起きないという前提自体が新たな安全神話です。

 日本の発電量に占める原発の割合というのは、今、僅か六%にすぎません。再稼働に反対が賛成を上回って、既に十八基が廃炉になっている。事故の被害は甚大で、廃炉や再稼働のための追加安全対策の莫大な費用は電気料金、税金に転嫁される。原発は、安定供給に欠くことのできないものでも何でもないということが明らかになったと思うんです。

 そこで、井上大臣に伺います。

 この特措法延長が必要と結論づけた昨年十二月二十八日の原子力委員会で、大臣は、今回の延長は、原発そのものを推進していくか否かといった政策に関わるというよりも、むしろ立地地域の皆さんの安全を守るためと発言されていますけれども、果たしてそうか。

 菅政権は、昨年末に、原発を、確立した脱炭素技術として、持続的な原子力の利用システムを構築して最大限活用していくということで、新型原発開発も含むグリーン成長戦略を公表いたしました。

 今通常国会の施政方針演説でも、菅首相は、安全最優先で原子力政策を進めるとしておりますが、この方針の下に、原子力による発電が欠くことのできないと目的に規定する法律の延長を内閣提出法案にしたんですから、原発推進の法律でないなどという言い訳は通用しないということになるんじゃありませんか。

井上国務大臣 特措法による支援対象の防災インフラは、第七条に基づき、原子力発電施設立地地域の住民生活の安全の確保に資することから緊急に整備することが必要な道路等の整備に限られております。

 また、原発の増設や再稼働を行うと特措法の支援が手厚くなるものではないことから、必ずしも現状の原子力発電を増やしていくことを推進する措置とはなっておりません。

 これらを踏まえ、特措法は、現に今、原子力発電所が存在している立地地域を防災、安全や地域振興の観点から支援するものであると認識しており、本法案によるその延長は、原発推進か、そうでないかの立場によらず、重要であると考えております。

笠井委員 原発推進の政府の大方針の下にこれが出されているというところが問題であって、福島原発事故を見ても、一たび過酷事故が起きれば、立地地域の安全を守るどころか、最も脅かすのが原発であります。

 十二月二十二日の原子力委員会のヒアリングで、全国原子力発電所所在市町村協議会の渕上会長、先ほどから出ていますが、福井県の敦賀市長はこうも述べておられます。今後、廃炉を考えますと、廃炉に伴う使用済燃料や放射性廃棄物の問題といった新たな問題にも直面し、我々立地市町村は、廃止措置が終わるまでの長きにわたって、原子力をめぐる様々な課題に対して最前線で対応していかなければなりませんと。非常に大変な立場ということで、これは重要な指摘だと思います。

 そこで、使用済核燃料の保管場所、処分の問題、技術や場所ですね、それから、廃炉解体作業で生じる大量の放射性廃棄物の処分の問題、技術、場所、これらの費用負担等々について、じゃ、国は確たる回答を持っているんでしょうか。

井上国務大臣 今御指摘の課題につきましては、これは私の所管ではございません。むしろ、エネルギー政策に係る課題であるというふうに考えておりますが、その上で申し上げれば、これまで原発立地地域の御協力なくして日本の原子力エネルギー政策は成り立たなかったこと、また、立地地域が日本の電力供給を支えてきたことを踏まえれば、政府として、立地地域が抱える課題にしっかりと向き合うことは当然重要です。

 原発の廃炉に係る課題への対応として、エネルギー基本計画においては、廃炉などによる地域経済への影響の緩和や、地域経済の持続的な発展につながる地域資源の開発、観光客の誘致といった地域振興策への支援に加え、廃炉の工程において必要な技術開発や人材の確保などを推進することとしていると承知をしております。

 引き続き、立地地域の声を聞きながら、政府全体として立地地域の課題解決にしっかりと取り組んでまいります。

笠井委員 いろいろ言われましたけれども、原発、原子力政策に絡む多くの課題にもきちんと手をつけずに、現状では解決策もないのに、見直しの検討もせずに、原発の維持と推進だけを進めて特措法を延長するというのは、国としては無責任ではないかと言いたいと思います。

 そこで、立地市町村からの要望と言いますけれども、ならば伺います。

 本特措法による財政支援を受ける事業というのは、都道府県知事が作成し、内閣総理大臣が決定する原子力発電施設等立地地域の振興に関する計画、振興計画に基づく事業でありますが、対象となる道府県は十四ありますが、それぞれ振興計画の決定はいつでしょうか。端的にお答えをください。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 本特措法に基づきます原子力発電施設等立地地域の振興に関する計画につきましては、原子力発電施設等立地地域として指定を受けた都道府県の知事が案を作成し、原子力立地会議の審議を経て決定されるものでございます。

 各道府県の振興計画の策定状況でございますが、福井県、島根県につきましては平成十四年三月十二日、愛媛県につきましては平成十四年十月十八日、青森県、宮城県、茨城県、新潟県、鹿児島県、石川県、静岡県、大阪府、佐賀県につきましては平成十五年四月一日、北海道、福島県については平成十六年三月二十二日に決定されていると承知しております。

笠井委員 いずれも福島第一原発事故前に作成された振興計画でありますが、そもそも、この資料要求をいたしましても、振興計画すらいまだに提出されておらず、中身が分からないんですね。

 その振興計画に基づく財政支援でありますが、妥当なのかどうか。しかも、今年はエネルギー基本計画の改定もある。この点でも、十年間の単純延長ではなくて、きちんと見直しが必要なんじゃないでしょうか。いかがですか、大臣。

井上国務大臣 特措法による財政支援は、立地地域の地方公共団体が個別に必要と考える防災インフラ事業に対し適時適切に支援を実施するため、毎年、支援対象の見直しを図っております。

 このため、特措法に基づく現在の財政支援の枠組みを見直す必要があるとは考えておりません。

笠井委員 現行法が目的としている原発依存を前提にするんじゃなくて、私は、今日の状況に照らした立地地域への財政支援こそ検討すべきだ、ちゃんと見直しをやるべきだと思います。

 本特措法によって立地地域で行われた財政支援の実態はどうなっているか、法改正に当たって実態を検証することは不可欠であります。ところが、立法府での審議に当たって前提となる資料が著しく乏しい。

 そこで、まず確認しますが、特措法七条、八条、十条による財政支援の法施行から二〇一九年度までの総額というのはそれぞれ幾らになっていますか。

千原政府参考人 お答え申し上げます。

 特措法第七条に基づき、原子力発電施設等立地地域の住民生活の安全の確保に資することから緊急に整備することが必要なものとされております事業に対する国の補助率のかさ上げによる財政支援の法施行から二〇一九年度までの合計額は、約二百六十一億円でございます。

 また、これらの事業の経費に充てるための地方債の元利償還に要する経費に対する第八条に基づく地方交付税交付金による支援のこの期間の合計額は、約一千七百八十三億円であると承知しております。

 また、製造業等を対象とした地方税の不均一課税を行った場合におけます特措法第十条に基づくこの減収分に対する地方交付税交付金による支援は、約二百七億円であると承知しております。

笠井委員 今言われました、合わせて二千二百五十二億円に及ぶというものであります。

 我が党は、七条、八条、十条による財政支援について、特措法施行後の年度別、自治体別の額を五か月近く前から求めてまいりました。

 しかし、七条のかさ上げ、それから八条の交付税算入額について提出されたのは、二〇一〇年度から一九年度までの道府県別の一覧と、二〇〇三年度から一九年度までの件数と金額だけであります。それ以前がどうだったか、特措法の施行後、実際に事業が行われた市町村での事業の内容がどういうもので、事業費が幾らで、国の負担額がどうだったのか全く分からない。十条の地方税減税による減収分の交付税補填額について言うと、二〇〇三年度から一九年度までの件数と補填額が示されただけで、市町村別の件数と補填額は分からないんですね。これでは、二〇〇一年に法施行後の事業を検証できない。

 大臣、法案審議の前提を欠くんじゃないですか。

井上国務大臣 まず、特措法に基づく支援については、立地地域において、防災、安全確保の観点からの避難道路等の防災インフラ整備への支援、企業投資、誘致に資する減税への支援を実施するものであり、昨年十二月の原子力委員会において、立地地域からのヒアリングを行うとともに、法施行以来の支援額やその成果等について専門家による議論が行われ、原子力立地地域特措法を延長すべきとの見解がまとめられたものです。

 また、特措法に基づくこれらの支援は、それぞれの省庁が所管する防災インフラ事業に対する支援措置について国の補助率を上乗せするものであり、それぞれの省庁において各事業の検証が必要に応じてなされているものと承知しています。

笠井委員 それぞれの省庁がやるからということで出せないというのはおかしいですよ、国がやるんだから。そんな言い訳は通用しない。国民の税金、政府に説明責任があります。大臣は、立地地域の皆さんの安全を守るためなどと言いますが、これでは検証しようがないじゃないか。

 電源三法による電源立地地域の対策交付金や各種の補助金については、所管の経済産業省と文部科学省、交付先の地方自治体は、それぞれの使途や金額を、不十分ながらも公表しております。しかし、本特措法に基づく事業の実績というのは、今も言われたように、問うても出てこない、何の公表もない、ブラックボックスになっている。

 関電原発マネーの還流疑惑は、政府が国策として進めてきた原発再稼働、原発推進策と一体に原発マネーが還流するという構図でありました。原発を受け入れて、原発があることで特措法によってマネーが舞い込んで、しかも、使途の詳細は国民に明らかにされない。

 大臣に、この仕組みが原発マネー還流の温床になりかねないという懸念はないんですか。

井上国務大臣 全く情報公開がなされていないということではございません。

 特措法に基づく支援実績につきましては、令和元年度までの十年分につきましては、道路、義務教育施設等の事業別かつ十四の立地地域の道府県別の表の形で、既にホームページで公表を行っております。

 他方、法施行以来の詳細な実績については、立地自治体における確認に時間を要することから公表に至っておりませんが、今後、作業を進めて、順次公開していくこととしたいと考えています。

笠井委員 市町村別の詳細は出てこないんですよ。それでこれを十年間延長しちゃうというんでしょう。今後じゃないんですよ。

 財政支援の実態把握が大前提であります。そういうふうにしてブラックボックスになって、詳細が分からない。そういうところに、やはりそういういろいろな還流の温床が出てくる。そして、国民に見えないところで何をやっているかという問題になってくるわけですよ。

 委員長にお願いしたいと思いますが、十四道府県の振興計画の内容とともに、本特措法が施行されてから以降の特措法七条、八条、十条による財政支援について、年度別、市町村別の具体的な実績を示すことが必要だと思いますが、本委員会に全資料を提出することを求めたいと思います。理事会で協議をしていただきたい。

木原委員長 理事会にて協議をいたします。

笠井委員 時間ですので終わりますが、今回の特措法改正案は、旧態依然たる原発ありきだ、十年前の東電福島第一原発事故の痛苦の教訓を全く踏まえていない。

 三年前の二〇一八年三月九日に、原発ゼロ基本法案を野党共同で衆議院に提出いたしております。福島原発事故十年の今こそ、この法律実現と一体に原発依存を脱却して、廃炉、再生可能エネルギーの大規模普及のための、そうした普及のために立地地域自治体を支援する法律こそ作るべきだ、このことを強く求めて、質問を終わります。

木原委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 来週木曜日に、三・一一、東日本大震災と、それに伴い発災した福島第一原発事故から十年となります。私は、経産省に元々いまして、まさにこの東日本大震災を機に政治に転じた身でありますので、この問題については、十年、二十年、三十年たっても忘れることなく、自分の第一のライフワークとして取り組んでいく所存でございます。

 今日は原子力の立地地域振興特措法ということでありますが、我が党は賛成であります。

 この閣法に対して立憲民主党から修正案が理事会にも提出をされているところでありますが、これには反対をします。反対をする理由は明らかでありまして、適当だからですね。立憲民主党が出す法案というのは適当です。

 例えば、原発ゼロ法案……(発言する者あり)えっ、何で。法案が適当だと言うのは全然構いませんよね、委員長。

木原委員長 委員長から申し上げます。

 適切な言葉を選んで、そして、公党に対する言葉はしっかりと選んで発言をいただきたいと思います。

足立委員 私は、政策が適当だと言ったので、公党を侮辱したつもりはありません。

 例えば、じゃ……

木原委員長 適当という言葉について、適切な言葉を使うようにと申し上げております。

足立委員 じゃ、証拠を挙げましょう。

 原発ゼロ法案というのがありますね。立憲民主党が選挙になると高らかに掲げる法案です。その原発ゼロ法案には、高レベル放射性廃棄物の最終処分についても規定があります。何て書いてあるか。適切に処理すると書いてあるんです。これは政策ですか。

 だから、私は、維新以外の野党が原子力について語るときに、まあいいけれども、まず最終処分についてどうするのか言ってくれと申し上げています。原発ゼロ法案には適切に処理するとしか書いてないんです。私は、それは公党たるものが胸を張って言えるソリューションではないと思っていますので、それは申し上げておきたいと思います。

 何か野党をディスっているようでありますが、そうではありません。私は、自民党の原子力政策にも大変問題があると思っています。

 まず、経産副大臣、江島副大臣、処理水の海洋放出、ちゃんとできますか。

 私たちは、ずっと前から、海洋放出しかないよね、その際には、福島沿岸だけに押しつけるのは福島の方に申し訳ないと。だって、福島第一原発の電気は、東京がそれで生活していたんですよ。私たちは関西でありますが、松井代表は大阪湾を使ってくれということを申し上げ、地元ではさんざん酷評されましたが、その思いは、全国の国民が、日本の国民が、この福島の被災をした、特に福島第一原発の事故については、しっかりと支えていくべきだという観点から申し上げました。

 そう言うと、政府は運ぶのは難しいと言う。いや、運ぶのも難しいけれども、福島沿岸に海洋放出するのも難しいでしょう。どっちが難しいか、ちゃんと議論しましょうよ。どうですか。

江島副大臣 ALPSの処理水の取扱いでありますけれども、大変に時間をかけてこれまでも丁寧に議論してきているところであります。

 昨年十月には廃炉・汚染水対策チーム会合を開催をいたしまして、それまでにいただいた様々な御意見について改めて真摯に検討をしております。また、その整理を行いました。

 このような様々な議論を踏まえまして、今、関係省庁におきまして、風評対策、これが一番今、喫緊の重要な課題と思っておりますが、あるいは、国内外への情報発信の在り方などの論点におきまして、今、更に検討を深めているところであります。また、周辺自治体や消費者団体等の御意見も、継続して行っております。

 もう少しよろしいですか。

 ALPSの処理水の方針決定をするために、大変、こういう多面的な議論を行っているところでありますが、一方で、今、いわゆる保管している敷地がもう逼迫をしておりますので、いつまでも方針を決めずに先送りというのはもうできないというのが現実でございます。

 このような周辺環境から、政府としては、丁寧な議論というのを、もちろんバランスを取りながら、責任を持って早急に結論を出したいと考えております。

 また、委員が御指摘のありました大阪湾での放出でありますけれども……(足立委員「もういいよ、いいよ。いいです」と呼ぶ)いえ、これはちゃんと議論をしております。これは小委員会において検証しておりまして、もう御存じかもしれませんが、保管施設とか放出の施設を設置する自治体に加えまして、輸送ルートの自治体の理解も得なきゃいけないとか、あるいは放出計画等々もろもろが原子力規制委員会の許可が必要となることから、これはこれで相当な時間を要してしまうということで、改めて御理解をいただければと思います。

足立委員 もう時間がないので勘弁してください。

 全国でどういうふうにこれを負担するかの検討、これをしっかりとしているようには見えません。また場を改めてやります。

 堀内副大臣、お忙しい中、ありがとうございます。

 一点だけ。細かいことはいいんです。

 細野豪志元担当大臣が、除染土、除染廃棄物の三十年後県外処分は、これは現実的ではないとツイートされました。

 伺いたいのは、細野さんと話したことはありますか、本件について。私は、昨日早い時間に、細野議員に一回聞いてくれと。そういうことは、お願いしたんだけれども、されているかされていないかだけお願いします。

堀内副大臣 お尋ねの件に関しまして、環境省といたしましては、細野議員御自身のお考えや御発言の意図などについて代わってお答えする立場にはないと思っております。

足立委員 細野さんとツイッター上で議論しました。細野さんも認められました、三十年後県外は無理だと。彼はいろいろなところで、だから再生利用だと言うんですよ。再生利用も進みませんよ。無理ですよ、それは。誰が受け取るんですか。

 だから、私たちは、処理水の問題を全国で引き受け、そして、除染廃棄物は難しいですよ、県外は、というような総合的なソリューションを提案をしていることを申し上げておきたいと思います。

 通告の一問目に戻ります。

 今日は地域の振興法が議題でありますが、福島第一原発事故から十年。私は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の附則に書かれた課題、検討規定が法律に書いてあります、一つ一つ確認をしたいんですが、余り時間がありませんが、まず事故の検証。

 これは、規制庁の金子さん、お越しいただいていますが、金子さん、ちょっと時間がないんだ。同期でして、大変優秀で。この附則に書かれている諸課題、検討規定の中で、しっかりとやられている唯一最大の項目がこの検証ですよ。これは、金子さん、審議官かな、金子さん中心に、規制委員長中心にやっていただいている、これは感謝を申し上げたいと思います。

 高橋文科副大臣、原子力損害賠償に係る国の責任の明確化、原子力損害賠償法改正等の抜本的見直し、これは法律に書いてあります。十年たちました。やっていますか。

高橋副大臣 お答えいたします。

 原子力損害賠償法については、原子力委員会原子力損害賠償制度専門部会の報告書に基づき平成三十年に法改正を行い、東電福島原発事故における対応のうち、一般的に実施することが妥当なものなどについて所要の措置を講じております。専門部会の中で、原子力事業者の責任の範囲を有限とすることについても検討され、原子力事業者の予見可能性が確保できるなどの利点もある旨が指摘をされております。

 例えば、有限責任とか無限責任とか、いろいろなことの答弁を用意しておりましたが、文科省といたしましては、東電の福島原発事故の賠償に係る状況を注視しつつ、関係省庁と連携をして、引き続き必要な検討を進めていくということでよろしいでしょうか。

足立委員 結局、無限責任のままですよ。電力会社は無限責任で、原発、民間会社ですよ。私はあり得ないと思っている。だから、これも私からすれば零点です、零点。

 次に、国民負担の最小化。

 江島副大臣、これも江島さんだよね、三十秒以内でちょっと答えて。

江島副大臣 まず、今、二〇一六年に閣議決定されました福島復興指針におきまして、事故対応に係る所要資金の見通しを二十一・五兆円としております。

 そのうち、その内訳でありますけれども、まず八兆円、これは東電が経営改革によって自ら捻出をします。それから、除染と賠償と中間貯蔵のための残りの十三・五兆円でありますけれども、これは、原賠機構法に基づきまして、交付国債を原資とする資金交付によって対応します。

 この十三・五兆円も、少しブレークダウンしますと、まず賠償費用の七・九兆円ですけれども、これは全ての原子力事業者が納付する一般負担金と、それから事故事業者である東電が納付する特別負担金により回収をいたします。それから、中間貯蔵費用の一・六兆円、これは、福島復興指針に基づきまして、国の予算措置によってその費用を充てていきます。それから、除染費用の四兆円でありますけれども、これは、東電が特別事業計画に基づく根本的な経営改革を通じて企業価値を向上させた上で、現在機構が持っています東電株式の売却益により回収をします。

 このような方式をもって国民負担を最大限に抑制をしながら、電力の安定供給というものを両立して、そして福島の復興を図るということを取り組んでいきます。

足立委員 あと二つあります。

 原発事故の収束等に係る国の関与及び責任の明確化、これはいろいろ、中途半端ですが、努力は見受けられます。これはちょっと割愛します。

 一番最後に、原子力政策における国の責任の在り方等についての検討結果に基づく原子力に関する法律の抜本的な見直しということが法律に規定されているんです。十年たちました。

 まず、昨日の段階で、これは井上大臣の御所管なのか、あるいは経産省の問題なのか、決まりませんでした。どちらですか。決まりましたか。経産副大臣、この項目は経産省で担当する、いいですか。

木原委員長 どの項目ですか。もう一度御質問いただいていいですか。

足立委員 どちらでもいいですよ。じゃ、どちらがメインですか。メインの方が御答弁ください。

 もう一回ちゃんと説明すると、この機構法の附則にこう書いてあるんです。検討規定です。この検討は誰がやっているんですか、中心になって。

 これが現状ですよ。昨日も、もめた、もめた。結局、法律で、これは国が、政府が責任を持って検討すると言ったことについて、経産省が中心に、井上大臣、いいですよ、井上大臣のところが原子力委員会を担当されているのは分かっている。でも、原子力委員会の役割と経産省の役割がはっきりしないんですよ。少なくとも、この条文についてははっきりしないんです。だから、ほったらかしです。そして、維新以外の野党は、適切に処理すると書いてあるだけです。

 我が党は、今まで原発再稼働責任法案という法律を作ってきましたが、政府の電力政策も変わってきましたので、新しく、それを発展的に解消し、発電用原子炉の運転が政治主導により行われることの明確化のための改革の推進に関する法律案、これを来週、日本維新の会として提出し、これからも福島第一原発事故の教訓をしっかりと踏まえた原子力政策をつくっていく、この責任を果たしていくことをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

木原委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 国民民主党の岸本周平でございます。

 質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 質問に入ります前に、委員長及び与党の理事の皆さんに一言申し上げたいと思います。

 この法律審議、三時間でありますけれども、冒頭とそして採決前のこの時間には定足数は十二分に満たされておりますけれども、この三時間、私の観察しておりました時間で、与党の、理事も含めた委員の離席が目に余るものがございました。私が野党筆頭理事であれば、三、四人の野党の委員を退席させるだけで定足数は満たない瞬間が何度かございました。与党の皆さんは、この法案を通すおつもりがあるのか。本気度が全く感じられない、弛緩した審議であります。

 委員長から厳重な注意をお願いしたいと思います。

木原委員長 まず、岸本委員に申し上げますが、理事会において、コロナ対策の観点から、委員の出席については適宜対応していくということを申し合わせております。

 その上で、注意をもって定足数を確保するというのは当然のことでありますので、与党、野党共に、是非、定足数については厳重にお守りいただくようお願いしたいと思います。

岸本委員 それでは、質問に入りたいと思います。

 井上国務大臣にお聞きしたいんですが、先ほど来の審議の中にもありましたけれども、この法律は、制定時も含め改正時も、議員立法で提出をされ審議をされてまいりました。今回初めて、閣法で改正案が提出されています。なぜでしょうか。

 これについて、先ほどの御答弁では、期限の延長だけだから、中身が変わっていないからと言わんばかりの御答弁でしたけれども、なぜ、この法案は今回閣法で改正案を御提出されたのか、理由を詳しく御説明ください。

井上国務大臣 私の先ほどの答弁、誤解があるようなら訂正したいというふうに思っております。別に、期限延長のみだから閣法で提出したというわけではございません。

 エネルギー基本計画におきまして、立地地域における避難道路等の充実について、特措法の活用を図っていくとの政府の方針が初めて示されました。これは平成三十年七月の閣議決定です。

 また、昨年十二月には、私も出席した国の原子力委員会において、原子力立地地域特措法を延長することが必要との見解、これも初めて出されました。

 これらを踏まえつつ検討を行い、立地地域における避難道路等の防災インフラ整備の支援等には政府が責任を持つことが重要であることから、延長に向けて内閣から法案を提出することとしたものです。

岸本委員 それは建前だろうと思います。

 この三時間の審議の中でも、この法律が本当に、今、どのような機能を発揮して、どれだけの、この原子力政策全体の中でどのような位置づけを占めるのか、これは改めて、与党も野党も関係なく議論をすべき段階に来ているのではないかということが分かったんだろうと思います。

 例えば、大臣、これはちょっとお答えいただきたいんですけれども、この法律は、第一条の「目的」が、「地域の振興を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与すること」なんです。しかし、前段に「地域の防災に配慮しつつ、」というのが入っているんですね。この「地域の防災に配慮しつつ、」というのは目的ではないですよね、文法的に言うと、日本語で言うと。

 ところが、この間、特にこの数年間、二〇一五年以降を見ますと、企業の投資や誘致のための減税支援が大体十億円を超えないんです、毎年トータルで、市町村のあれが出ないという御議論もありますけれども。むしろ防災インフラの整備のところ、地方債償還費用の地方交付税算入措置は、これも直近数年間を見ますと大体八十億円ぐらいで推移をしております、去年、二〇一九年はちょっと上がりましたけれども。金額が十倍ぐらいなんですね、防災の方が、件数はまた違いますけれども。

 実は、本当にこの法律が産業振興に寄与しているのか、むしろ、原子力政策の体系の中でいろいろな交付金があります、いろいろな施策もあります、その中で、本当に、今あるいはこれから十年、この施策が必要なのかどうか。

 あるいは、さっきもおっしゃいました、防災は私の所管じゃありませんと。日本政府の中でも、もちろん資源エネルギー庁が中心なのは結構ですけれども、それ以外の、もちろん原子力委員会含めた、政府の中で、担当の所管、まさに日本というのは分担原則ですから、憲法によって、分担原則の行政を、しようがないけれども、その中で、もう一度、原子力政策そのものの所管あるいは法律体系を見直すべき時期に実は来ているのではないかということが今回の法案審議でよく分かっただろうと思いますけれども、そのことについて、大臣の所見をお伺いいたします。

井上国務大臣 まず、本法案ですけれども、確かに一条の目的規定の書き方がちょっと変わっているのかもしれませんけれども、そういう意味では、防災インフラの整備と地域振興と、これは両方の目的を持っているというふうに考えておりまして、それぞれに措置をしているということであります。

 他方で、おっしゃるように、原子力に関する政策ということであると、いろいろと各省庁にまたがり、あるいは様々な法律があってということになっておりますので、そういったことに関しては、やはり不断の改革というのは当然必要だというふうには思います。

岸本委員 実際、先ほど来の大臣の御答弁も、苦しい答弁がたくさんあって、本当にお気の毒だと。所管じゃないことを質問されても困るじゃないですか。だから、そういう意味でいうと、まさに今日の審議自体が、これは国民の皆さんに見ていただいている中で、もう一度やはり原子力政策の所管をきちんと整理をするべきときに来ているのではないかということがよく分かっていただけたんだろうと思います。

 しかし、私どもはこの法案、賛成いたします。なぜならば、やはり防災、これは大事ですし、今までやってきた産業振興についても、予測可能性が必要ですから、これを急に止めるというわけにはいかないということですけれども、やはり、防災なら防災で一つ新しい法律を作るとか、産業振興なら産業振興で、その立地地域に対する産業振興については、ほかのいろいろな交付金なんかも含めた大きな体系をつくり直すという必要があるんじゃないかと。

 何か、二十年前にできた経緯は分かりますけれども、少し防災と産業振興というのは分けて考えていったらどうかと思いますが、大臣、いかがでしょう。

井上国務大臣 ですから、やはりいろいろな意味で、それは行政の体制とかあるいは法制度とか、不断の改革が必要だというのは当然のことだと思っております。

 菅政権においても縦割り行政の打破ということを大きな一つの重要課題というふうに掲げておりますので、そういったことも念頭に置きながら、やはりしっかり検討はしていかなければいけないとは思います。

岸本委員 あと、是非御検討いただきたいんですけれども、この法律によるいろいろな施策なんですけれども、例えば、これは本当にどれだけ真剣に、従来からやっていらっしゃるところはそうなんでしょうけれども、これが本当に魅力のある政策であれば、ほかの地域、今対象になっていないけれども是非にというところが出てきてもいいかと思うんですけれども。

 例えば、地域指定の要件なんですけれども、大臣もおっしゃるのは、一体として振興することが必要な地域なんですけれども、この「市町村の区域が隣接すること等により自然的経済的社会的条件からみて一体」要件があるんですが、この隣接することの「等」というのは何ですか、大臣。

井上国務大臣 ですから、様々な観点からの一体性ということを見ておりますから、隣接といういわば地理的に隣り合っていることに限らず、いわゆる隣々接といったものも認められるという趣旨です。

岸本委員 そうしますと、例えば福島原子力発電所の事故では、原発から四十キロ以上離れた地域まで計画的避難区域の範囲が広まったわけですけれども、例えば関西電力高浜発電所、これは福井県ですが、隣の舞鶴市、すごい近いですよね、物すごく近い。だけれども、京都府はこれは申請していないですよね。舞鶴市だって審議すれば入る蓋然性はあると考えていいんでしょうか。

井上国務大臣 この立地地域の指定に関しては、都道府県知事が申出を行って、そしてそれを指定するという手続になっておりますので、そういう意味では、手続にのっとって適切に運用していくということになります。

岸本委員 ということは、二十年たって京都府知事が申請しないということは、どうなんですかね、それほど魅力的な政策ではないというふうに考えたらいいんでしょうか。

井上国務大臣 それはそれぞれの地域の知事の判断なんだと思います。

 他方で、十四道府県の方からは申出があって、そして指定をしているということです。

岸本委員 しかし、その十四都府県の実績も、ちょっと凸凹はありますけれども、どんどんどんどん下がってきていますし、さっき立憲民主党の委員からは新しい産業を入れたらどうかという御提言もありましたけれども、これは本当に、もしやるなら魅力的なものに、使い勝手のいいものにしていかなければ意味がないと思います。

 私は元々抜本的に検討すべきだと思っていますけれども、少なくとも今後延長する場合は、できる限り、参加する方、使う都道府県が増えるようなことも含めて、使い勝手のいいものに運用上もしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

井上国務大臣 今回、こういう形で改正案を提出をさせていただいておりますので、是非成立をさせていただきたいと思っております。

 その上で、この改正法に基づいてしっかり運用していくわけですが、運用上、様々な工夫などもできると思いますし、それから、将来にかけては、当然、制度の更なる見直しということも検討していかなければいけないと考えております。

岸本委員 それでは、時間が参りましたので、もう一度、この原子力政策全体を日本政府として、枠組み全体、所管の問題、法律体系も含めて御検討いただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

木原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木原委員長 この際、本案に対し、今井雅人君外一名から、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。阿部知子君。

    ―――――――――――――

 原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

阿部委員 ただいま議題となりました原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本年は、東日本大震災の発生から十年目を迎えます。福島を除けばハード面での復旧復興は相当程度進みました。しかし、地域コミュニティーなどソフト面の復旧はむしろこれからであり、国を挙げての取組は現在進行形です。

 そのような中、福島では、先月、福島新エネ社会構想が改定され、再生可能エネルギー及び水素の更なる導入拡大、社会実装に向けて、未来の新エネルギー社会のモデルの創出拠点に向けた取組を加速させることとしております。

 このように、力強く前向きな未来への構想がある一方、政府原案は、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故やその影響について一切言及することなく、法律の期限の単純延長を行おうとするものであり、到底看過できるものではありません。

 立憲民主党は、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会の実現を目指しています。過酷事故の教訓を踏まえ、既にある原子力発電施設等に関して、立地地域の防災インフラ整備等を確実に進めると同時に、原発ゼロ社会を一日も早く実現するため、再生可能エネルギーを主軸とした新エネルギー社会への転換を後押しすることこそが真に求められている防災・安全対策であり、そのために必要な改正を行わなければならないとの観点から、本修正案を提出した次第であります。

 以下、本修正案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、本法律の目的の規定を修正することとし、原子力による発電が我が国の電気の安定供給に欠くことのできないものであることとの文言を削除し、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により、原子力による発電を取り巻く環境が大きく変化し、原子力発電施設等の周辺の地域にも様々な影響が生じていることを明記することとしております。

 第二に、振興計画において定めるものとされている産業の振興に、エネルギー源としての水素及び再生可能エネルギー源である新エネルギー源の利用に関連する産業を追加することとしております。

 第三に、地方税の不均一課税に伴う措置の対象となる事業に、新エネルギー源を利用する電気事業を追加することとしております。

 以上が、本修正案の趣旨であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

木原委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。今井雅人君。

今井委員 私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案に関しまして、修正案に賛成、政府原案に反対の立場で討論をいたします。

 来週三月十一日で、福島の原発事故からちょうど十年がたちます。我々は、命続く限り、いつまでもあの忌まわしい大事故を忘れてはいけません。そして、いまだふるさとに帰れない人たちに寄り添い続けなければなりません。

 あの事故によって、我が国においての原子力発電の位置づけは大きく変わりました。原発の安全神話は崩れ、多くの国民が原発のない社会を望むようになってきています。

 更に申し上げれば、原発のごみの最終処分をどうするかについても全くめどが立っていません。現実問題、どこの地域がそれを受け入れてくれるのでしょうか。将来にわたりこの問題が解決できる見通しが立たないのであれば、原子力発電を継続的に行っていくのは無理があることは自明の理です。

 そうした観点に立つと、本案第一条の目的にある、原子力による発電が我が国の電気の安定供給に欠くことができないものであることに鑑みという硬直的な考え方は、福島の事故の教訓が全く生かされていないものであると言わざるを得ず、我々は到底受け入れることができません。

 今すぐ原子力発電をなくすことができないとしても、欧州などの国を見習って、再生可能エネルギーに資源を集中的に投入し、他国に比べて高いコストを低減し、原子力に頼らなくても安価な電力の安定供給ができる体制を構築する方向性をしっかりと打ち出すべきです。

 法案の目的は、その法案の魂そのものです。それが変わらない以上、政府の原案には賛成できない、それがまず一番の理由です。

 二点目は、支援の対象とする業種です。不均一課税による税収減の補填対象となっている業種は、製造業、道路貨物運送業、倉庫業、梱包業、卸売業となっており、これらはまさに伝統的な産業ばかりです。

 政府は、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指して、再生可能エネルギーを新たな成長産業の一つと捉えているのではないでしょうか。実際、福島では、福島新エネ社会構想の下、再生可能エネルギーや水素の活用拠点として、地域再生に取り組んでいます。これを全国に大きく展開するチャンスです。

 もちろん我々も、現在原発を受け入れている自治体への支援を否定するものではありません。受け入れている以上、支援策は必要だと思います。しかしながら、本案は、さきに述べた二点で大きな問題を抱えています。

 こうした問題点を改善すべくして、我々は修正案を提出いたしました。これが受け入れられれば、本法案に賛成できます。しかし、それが受け入れられない以上、原案に反対せざるを得ないことを申し上げて、私の修正案賛成、原案反対の討論といたします。(拍手)

木原委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 私は、日本共産党を代表して、内閣提出の原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、東京電力福島第一原発事故前の安全神話をそのまま引き継ぎ、原発再稼働と核燃料サイクル政策を一層推進するものだからです。

 史上最悪の福島第一原発事故から十年。事故は終わったどころか、被害はなお深刻で、一層拡大しています。いまだに原子力緊急事態宣言は解除されておらず、事故炉のデブリ取り出しの見通しすら立っていません。一たび過酷事故を起こせば、環境だけでなく産業、文化、社会をも破壊し、先の見えない苦難を強いるのが原発です。

 今政治がなすべきは、原発事故の痛苦の反省と教訓を踏まえ、原発ゼロの道に踏み出すことです。これとは逆に、菅政権が、脱炭素の名の下、新型原発の開発を含むグリーン成長戦略を打ち出し、原発の永久活用を狙うなど、断じて容認できません。

 反対理由の第二は、政府が国策としてきた原発推進策と一体の財政支援の延長が、立地・周辺自治体の原発依存を温存し、いわゆる原発麻薬から抜け出す妨げとなっているからです。

 これまでも、電源立地交付金など、多額の原発推進財源が過大な公共事業や施設整備に投じられてきました。この維持管理費が逆に自治体財政を圧迫し、苦しめています。

 一昨年、福井県高浜町の元助役が、関西電力役職員に長年にわたり多額の金品を贈っていた、原発マネー還流疑惑が明らかになりました。政府が進めてきた原発再稼働、原発推進策と一体に原発マネーが還流する。こんな原発立地自治体にゆがみをもたらすようなやり方をこれ以上続けるべきではありません。

 野党共同で原発ゼロ基本法案を衆議院に提出して三年がたちました。この法案の実現と一体に、廃炉と再生可能エネルギーの普及を支援することで、原発立地自治体の内発的な自立と地域振興を図るべきことを強く指摘して、反対討論とします。

木原委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

木原委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、今井雅人君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平将明君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大河原雅子君。

大河原委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  立地地域における防災・安全のための避難道路、避難所等のインフラ整備は、原子力発電の推進、反対の立場に関わりなく、また、稼働中、休止中、廃炉作業中を問わず、今そこに原子力発電施設がある中で待ったなしの課題であり、政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

 一 福島第一原子力発電所事故の教訓を重く受け止め、運転を停止している原子力発電所を含めた原子力発電施設等の安全性を確保するため、万全の措置を講ずること。

 二 広域避難等を想定し、国が主導的に関係地方公共団体等と調整を行い、必要な財源を確保しつつ、複数の府省の所管にまたがる施策を総合的かつ実効的に推進することで、避難先の確保や災害時に住民が円滑に避難できる道路等、必要な防災インフラを適切に整備し、避難計画の実効性を担保するよう努めること。

 三 本法は、これまで地方税の不均一課税に伴う措置、国庫補助率の嵩上げ等を活用しながら、原子力発電施設等立地地域における振興を行ってきたところ、今後、振興計画の策定及び変更を行うに当たっては、原子力発電施設等立地地域における脱炭素社会の実現に向けた取組の在り方を踏まえ、新エネルギー源(エネルギー源としての水素及び再生可能エネルギー源(太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的利用することができると認められるものをいう。)をいう。)の利用に関連する産業の振興に関しても十分に配慮すること。

 四 政府は、温室効果ガスの大幅な削減に向けて、徹底した省エネルギーの取組を推進するとともに、新エネルギー源の主力電源化を実現するため、発電コストを低減する技術、高性能の燃料電池や蓄電池の開発支援など、実効性のある施策を講ずることとしているが、原子力発電施設等立地地域においても、脱炭素社会の実現に配慮しつつ、新エネルギー源の拡大に向けた施策の在り方を総合的に検討し、必要な措置を講ずること。

 五 必要な場合の法律の見直しや更なる補助の拡充の検討など、原子力発電施設等立地地域の振興を不断に推進すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

木原委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

木原委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。井上国務大臣。

井上国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいります。

    ―――――――――――――

木原委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

木原委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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