第7号 令和3年3月10日(水曜日)
令和三年三月十日(水曜日)午前九時九分開議
出席委員
委員長 木原 誠二君
理事 平 将明君 理事 冨岡 勉君
理事 中山 展宏君 理事 藤原 崇君
理事 松本 剛明君 理事 今井 雅人君
理事 後藤 祐一君 理事 濱村 進君
安藤 裕君 岡下 昌平君
金子 俊平君 神田 憲次君
杉田 水脈君 高木 啓君
西田 昭二君 本田 太郎君
牧島かれん君 牧原 秀樹君
松本 洋平君 吉川 赳君
和田 義明君 阿部 知子君
大河原雅子君 大西 健介君
玄葉光一郎君 森田 俊和君
森山 浩行君 柚木 道義君
吉田 統彦君 江田 康幸君
古屋 範子君 塩川 鉄也君
足立 康史君 岸本 周平君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 加藤 勝信君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(海洋政策担当) 小此木八郎君
国務大臣
(規制改革担当) 河野 太郎君
国務大臣
(少子化対策担当) 坂本 哲志君
国務大臣
(経済財政政策担当) 西村 康稔君
国務大臣
(デジタル改革担当) 平井 卓也君
国務大臣
(男女共同参画担当) 丸川 珠代君
国務大臣
(クールジャパン戦略担当) 井上 信治君
内閣府副大臣 藤井比早之君
内閣府副大臣 三ッ林裕巳君
外務副大臣 鷲尾英一郎君
厚生労働副大臣 山本 博司君
農林水産副大臣 宮内 秀樹君
内閣府大臣政務官 岡下 昌平君
内閣府大臣政務官 和田 義明君
内閣府大臣政務官 吉川 赳君
経済産業大臣政務官 宗清 皇一君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 松田 浩樹君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 日向 彰君
政府参考人
(内閣官房拉致問題対策本部事務局内閣審議官) 岡本 宰君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 梶尾 雅宏君
政府参考人
(国家公務員倫理審査会事務局長) 荒井 仁志君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 千原 由幸君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 林 伴子君
政府参考人
(内閣府沖縄振興局長) 原 宏彰君
政府参考人
(内閣府民間資金等活用事業推進室長) 松本 貴久君
政府参考人
(内閣府知的財産戦略推進事務局長) 田中 茂明君
政府参考人
(内閣府子ども・子育て本部統括官) 嶋田 裕光君
政府参考人
(内閣府総合海洋政策推進事務局長) 一見 勝之君
政府参考人
(警察庁長官官房総括審議官) 櫻澤 健一君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 小田部耕治君
政府参考人
(総務省大臣官房政策立案総括審議官) 阪本 克彦君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君
政府参考人
(スポーツ庁スポーツ総括官) 牛尾 則文君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 岡崎 毅君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮崎 敦文君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岩井 勝弘君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 堀内 斉君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 松尾 浩則君
政府参考人
(林野庁林政部長) 前島 明成君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 松山 泰浩君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 村上 敬亮君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 大森 恵子君
内閣委員会専門員 近藤 博人君
―――――――――――――
三月九日
デジタル社会形成基本法案(内閣提出第二六号)
デジタル庁設置法案(内閣提出第二七号)
デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第二八号)
公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案(内閣提出第二九号)
預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案(内閣提出第三〇号)
は本委員会に付託された。
三月十日
特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律案(新藤義孝君外五名提出、第二百一回国会衆法第一九号)
は委員会の許可を得て撤回された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律案(新藤義孝君外五名提出、第二百一回国会衆法第一九号)の撤回許可に関する件
デジタル社会形成基本法案(内閣提出第二六号)
デジタル庁設置法案(内閣提出第二七号)
デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第二八号)
公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案(内閣提出第二九号)
預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案(内閣提出第三〇号)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○木原委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官松田浩樹君外二十五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。足立康史君。
○足立委員 おはようございます。日本維新の会の足立康史でございます。
デジタルはまたゆっくりやるとして、今日は一般質疑ですので、さきの予算委員会等も受けて、幾つか私なりに確認をさせていただきたいことを質問申し上げます。
まず、先日の予算委員会の締めくくり質疑で、菅総理に、菅政権の中期運営方針はないんでしょうかというふうに御質問しましたら、安倍総理の退陣を受けて急遽総理になられたので、安倍政権の中長期計画を、中長期運営方針を継承するのが自分の役割だ、こういう御答弁をされました。全く異論はありません。
じゃ、その安倍総理の中長期、安倍政権でも菅政権でも構わないんですが、自公政権のその中期運営方針ですね、私なりに申し上げると、骨太方針の中期版というのはないんでしょうかということです。
西村大臣、いろいろこれまでも似たような御質問をしていますので、いや、グリーンをやっているとか、二〇五〇年のグリーンだとか、デジタルだとか、縦割りの、縦割りはもう分かっています、そうじゃなくて、骨太みたいな、骨太は全部入っていますね。だって、あれは予算編成のために作っているわけですから全部入っているわけです。
そういう包括的な中期方針を文書にしたものはあるかないか。多分ないと思うので、ないならないと一言言っていただいたら簡潔でよろしいかと思うんですが、いかがでしょうか。
○西村国務大臣 足立委員とはこれまでも何度もやり取りをさせていただいていますけれども、御指摘のように、私ども、毎年定める骨太方針に、その中に、ある意味中長期的なことも、今御指摘があったカーボンニュートラルの話とか、あるいはデジタル化の話とか、あるいは社会保障の改革の話とか、こういったことを中長期的な視点も入れて作っているということが現実でございます。
○足立委員 そういうことだと思います。
それは、何か批判を申し入れるとか、そんな僭越なことではなくて、自民党、公明党、政府・与党は統治者ですから、私は当たり前だと思うんですね。統治しているんだから、今統治しているわけです。私たちはチャレンジャーだから、私たちが政権に就いたらどういう経済社会をつくるかということをちゃんと国民の皆様にお示しをする、これが私たちの野党の役割。それをちゃんとやっている人が余りいないのが今の日本政界の問題なわけでありますが、日本維新の会はそれをやりたいと思っています。
だから、繰り返しになりますが、問題だとは言いませんが、すると、我々は、選挙になれば、現状と、包括的な改革方針がセットされていないんだから、いろいろ個別にはあるけれども、だから、各論で議論するときは各論で議論したらいいけれども、総体として議論するときは、私たちのプランBに対して、政府・与党のプランAというのは現状なんだということだと思って、勝手に思ってやっていきたいと思っています。
官房長官にお越しいただいているのは、西村大臣は骨太等の御担当ですから、今御答弁いただいたとおりですが、もし官房長官のお立場で、いや、そうじゃないんだ、足立さん、俺のところで、私のところでそういうものをちょっと作るから、現状と比べるとかそういうことを言わずに、加藤官房長官のところで内閣の総合調整をして、骨太の中期版は作るから、ちょっとそれで対論しようじゃないかというお考えはないと思うんです。ないならないで結構です。全然構わない、当たり前、統治者ですから。ないとお答えいただければと思います。
○加藤国務大臣 まず、法律で、経済財政諮問会議においては、中長期の経済運営について調査審議することとされており、今委員がおまとめになったように、経済財政諮問会議においても中長期的な視点で検討して、そしてその上で具体的な方針が書かれているということでありますので、引き続き、そうしたことで。
そして特に、今年の夏は菅政権としては初めての骨太ということになるわけでありますから、経済財政諮問会議で、まさに、今回のグリーン、デジタルを含めて、中長期的な視点に立って議論をいただき、そしてその上で、来年度、翌年度の予算をどうしていくのか、その辺を西村大臣を中心にしっかり取りまとめていきたいと思います。
○足立委員 ありがとうございます。大変明快だと思います。
私たちはチャレンジャーですから、そういう意味では、今年の夏、六月か七月かな、の骨太方針をよく読ませていただいて、その骨太方針と私たちのプランBで、選挙がいつか分かりませんが、解散・総選挙、私は、正直、国民の皆様に、日本の未来を争う、その論戦をできる政党は、自民党、公明党のチームと維新の会だけだと思っています。それ以上言うと、また角が立ちますので、以上にさせていただきますが。
二つ目の質問ですが、実は、昨日の本会議で、菅総理に、原子力、ちょうど東日本大震災と、それに伴い発災した福島第一原発事故から十年ですので、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に規定されている、何が規定されているかというと、原子力政策における国の責任の在り方等に関する検討をするんだ、そして抜本的な見直しをするんだ、こう書いてあるわけです。これを、政府の各部局に、これは誰がやっているんだと言ったら、みんな、いや、俺じゃないと言うわけです。
井上大臣、結局、私、経産省とも話をしましたが、経産省は、いや、私たちは縦割りだと、そうですね。例えば、賠償責任は文科省、原子力委員会は井上大臣、いろいろあるんですが、経産省が縦割りであることはもう間違いありません。その中で、この条文は井上大臣が取りまとめるでいいですね。
○井上国務大臣 お尋ねの原子力損害賠償・廃炉等支援機構法附則六条三項に基づく検討について、これまで、電気供給等のエネルギー政策に関する情勢等を踏まえつつ、これを所掌している経済産業省を中心に、原子力規制庁、文部科学省、内閣府原子力防災担当等の原子力政策の関係府省庁がそれぞれの所掌に応じて必要な検討を行ってきたということであります。
私自身は、原子力利用の関係行政機関の事務の調整について、これは内閣府の原子力政策担当ということになっておりますので、これに基づいてしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○足立委員 加藤長官、またこれも加藤長官にお座りいただいているのは、こういう状況でして、みんな、いや、全体は違うんだ、みんな縦割りでやっているんだと。今の井上大臣の御答弁は、俺も縦割りだと。(発言する者あり)えっ、違う。
○井上国務大臣 そういう意味では、それぞれ関係省庁が担当ということになっておりますけれども、内閣府の原子力担当としてその調整をするということになっています。
○足立委員 だから、この条文がどうなっていますかと質問したら、それは、お一人に聞くとすれば井上大臣でいいということですね、すると。
井上大臣、この条文の検討は終わったか、まだ継続中か、いかがですか。
○井上国務大臣 そういう意味では、先ほど申し上げたように、関係省庁それぞれ、様々な原子力政策の改革、見直しというのを既にやってきております。
ただ、原子力行政というものに終わりはありませんので、そういう意味では、今後も不断の見直しをしっかりしていかなければいけないと思っています。
○足立委員 昨日も、本会議場で菅総理から、不断の見直しをしていくんだということがありました。エネルギー政策については白紙から見直してきたんだ、こういう御答弁、これは役人答弁としては分かりますが、この条文に込めた思いは、福島第一原発事故の教訓をしっかりと踏まえて原子力政策を見直すんだと。不断にやっていますというのは、それは答えじゃないでしょう。十年たつんです。
福島第一原発事故の教訓を踏まえた抜本的な原子力政策の見直しは、特に法制的な措置は、何%というか何点というか、私は、十年たつんだから、法制的な措置は、法律論はやり遂げたんだと言ってほしいんですよ。言えないんですか。
○井上国務大臣 そういう意味では、福島事故の教訓を生かして、これはもう抜本的に原子力の行政というものは見直しをしたというふうに理解をしております。例えば、当時の安全神話という話がありましたので、やはりそれではいけないということ。それから、推進と規制というものは分離すべきだということで、原子力規制委員会や規制庁もつくりました。
ただ、私が申し上げたいのは、抜本的な改革はやりましたけれども、それはゴールではなくて、これからも更にやっていかなければいけないというふうに考えています。
○足立委員 よく分からないですね。
総選挙になると、私たちは、原発改革推進法案というのを今日午後にも国会に提出をさせていただくことになっておりまして、私たちは、足りない、全く足りない、事故の教訓を踏まえた抜本改革法案を我が党は、原発ゼロ基本法案みたいなものじゃないですよ、私たちは本格的な法案を出します。それとこの十年の取組とを比べさせていただいて、国民に御判断いただきたい、こう思います。
時間がもう二分ぐらいしかないんですが、二問残っていまして、西村大臣にいわゆる蔓延防止等重点措置の問題、それから、河野大臣にシステムの問題を通告していますが、どっちかしかできないですね。どっちがいいでしょう。じゃ、強く西村大臣を指さされている河野大臣にちょっと。
システムが、これは河野さんの責任じゃないんです。河野さんは、一つ新たなシステムをつくると言っているだけですから、それも、一番大事な。私は、河野大臣がイニシアチブを取られている、小林史明さんも一緒にやっている、それは大賛成です。そやけど、結果的に、いろいろな仕組みで、何か自治体は六つぐらいコロナ関連の仕組みを、保健所とかいろいろあると思うんですけれども、使っている。ログインのIDとパスワードだけで大混線していると。何とかならないでしょうか。
○河野国務大臣 何とかしたいと思っております。最初からいきなりはできませんが、今委員がおっしゃったように、そこのところは何とかしなきゃいかぬという問題意識を持って開発しておりますし、スタートではできなくても、どこかの段階でそういうことができないかというのは常に頭に置いて開発しているところです。
○足立委員 是非お願いします。
例えば、私がいた経産省がGビズIDというのをやっていて、あれは、補助金申請とかで事業者がいろいろな役所に申請するときに、個別の何か入口に入らなくても、GビズIDを持っていれば政府のどの施策にも入れるという、なかなかアイデアとしては画期的というか、当たり前ですけれども、すばらしいものをつくられています。ただ、それはそれ。コンセプトはそういうことですね。
例えばそんなものを用意して、その一つのIDとパスワードがあればコロナ関連の入力はできるんだ、そんな現場に優しいシステムづくりに御努力をいただきたい、こう申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございます。
○木原委員長 次に、吉田統彦君。
○吉田(統)委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。
三十五分いただいております。早速質問に入らせていただきたいと思います。
まずは官房長官、よろしくお願いいたします。
前回、二月二十四日の内閣委員会で、私の感染研の充実を図るべきという趣旨の質問答弁の中で、官房長官は、国立感染症研究所が担うべきその役割が果たせるように、定員等の配置等もしっかり進めていきたいとおっしゃってくださったと思います。
その際にも申し上げたんですが、来年度の予算、ようやく感染研の定員、現在の三百六十二から七百十六に、ほぼ倍増することを決めていただきました。しかし、ワクチンの開発に精通した人材とか優秀な研究者を招聘したり、管理職を増やしたりする予算立てになっておりません。是非とも、官房長官、田村厚生労働大臣と一緒に感染研の機能強化に取り組んでいただきたい。まず冒頭、お願いをしておきます。
加えて、感染研以外の国産のワクチン開発力も強化していただきたいと思います。これは今回だけではなくて今後も踏まえて。
まず指摘したいのが、産学及び産学官の連携の重要性であります。
実際、我が国が使用しようとしているのは、ファイザーの以外はモデルナやアストラゼネカですが、このワクチンは産官ないしは産官学で進めています。
例えば、モデルナのCOVID―19のワクチンは、コードネーム、メッセンジャーRNA―一二七三、これはメッセンジャーRNAワクチンです、アメリカ国立アレルギー・感染症研究所、アメリカ生物医学先端研究開発局及びモデルナによって、これは産官学ですね、連携で開発されました。オックスフォード・アストラゼネカCOVID―19ワクチン、コードネーム、AZD一二二二、これはウイルスベクターのワクチンです、これはイギリスのオックスフォード大学と医薬品メーカーのアストラゼネカ社が共同で、つまり産学連携で開発しています。
アンサーズニュースによるWHOの三月二日時点のまとめでは、世界で現在、臨床試験に入っているCOVID―19ワクチン候補は七十六種類、このほかに百八十二種類が前臨床の研究段階にあるとされています。日本だと、大阪大学、アンジェスが共同開発するDNAプラスミドワクチンが国内の二相、三相試験を実施中、塩野義製薬の組み換えたんぱくワクチンも昨年十二月から一相、二相試験を始めておる、同社は今春、第三相試験を始めたいと。また、KMバイオロジクスの不活化ワクチンと第一三共のメッセンジャーRNAワクチン、IDファーマのウイルスベクターワクチンは今春の臨床試験開始を予定していると報道されています。
我が国は、以前から私はるる申し上げているように、アンジェスワクチンを含めて、このアンジェスのワクチンを含めてすら、臨床段階にあるのが僅かに二社、前臨床段階が僅かに二件であり、心もとない状況ですね、官房長官。
本当に、今回もそうですが、今後のパンデミック対策として、真に期待が持てるワクチン候補に対して、公正な手続の下、支援を実施すべきであります。平素からそういった素地を、官房長、育てていただかなければいけません。
今回の状況を踏まえて、ワクチン開発における産官学連携あるいは公正な予算づけでベンチャーを育てていくことというのは、これはもちろん雇用も生み出しますし、また、医薬品産業を本当に、大臣お詳しいんですが、底上げにつながると思います。ですので、ここから問いなんですが、官房長官、国家戦略として、こういったワクチン開発が可能となるような産官学連携戦略やベンチャーへの支援策、そういったものに関して御所見を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 吉田委員御指摘のように、今回、この新型コロナウイルスに対するワクチン、残念ながら日本国内で、今の時点で製造されるものはない、あるいは使えるものがない、まあ開発はされております。
しっかり国内で開発、生産できる体制をつくっていくということは、まさにワクチンは危機管理あるいは安全保障からも非常に大事だと言われておりますから、そこは我々もしっかり基本に置いておきたいと思っております。
その上で、基本的にワクチンの製造について見ると、これは製薬メーカーが、いわゆる民間のメーカーがやっておられますけれども、そこに至るプロセスで、今お話があった大学や様々なベンチャーや、そういったものとのシーズをつくっていって最終的にメーカーが物を作っていく、こういう流れになっている。こういったことをしっかり踏まえて、やはり、産官学がそれぞれの役割をしっかり果たし連携をしていく中で、日本におけるワクチンの開発、製造能力を高めていくことが必要だと思っておりまして、令和二年度の補正予算でもいろいろ施策を入れさせていただいております、もう一つ一つ申し上げませんが。
そうしたものも、今、海外における、そういった形でワクチンの開発、製造が進んでいるんだ、そして日本の中でそれをどう具体化していくのか、そうした観点に立ちながら、今申し上げた予算等も執行していく、そういうふうにしていきたいというふうに思っています。
○吉田(統)委員 大臣、ありがとうございます。安全保障と言っていただきましたね。
アメリカのインディアン、北米大陸のインディアンが故地を奪われて非常に厳しい状況になったのもやはり天然痘ですし、インカ帝国が滅びたのも天然痘の影響がかなり大きい、為政者自体が天然痘で死んでおりますので。本当に、安全保障、感染症対策、やはり現在においてもそうお考えいただいてしっかりやっていただきたい。重ねてお願いを申し上げます。
では、大臣、以前も議論したことがあるんですが、日本の医薬品、医療機器産業は世界的なプレゼンスが低下しております。これは度々、委員会等でも私は指摘しております。こういったバックグラウンドが、国産のワクチン、感染研を含め、なかなか開発できない土壌をつくっていると思います。
日本の医薬品、医療機器は承認まで時間がかかった、これは、約十年以上前、自民党政権の末期そして民主党政権に移行する中で、既に極めて大きな問題として指摘されていました。
そんな中、民主党政権のときには、PMDAの抜本改革を行って、薬事法の大幅改正、大改正を進めていきました。
この薬事法は、医薬品と医療機器の特性に対応でき、また再生医療製品の到来にも備えた薬機法に改正しており、法案の成立は自民党政権に戻った後だったわけでありますが、章立ても別として、医療機器で独自の章を設けました。さらに、再生医療の規定を設けて、当時のデバイスラグ、ドラッグラグ自体は民主党政権下の改革でおおむね解消されたと言えるんですが、しかし、肝腎の企業やベンチャーが手を挙げてくれないと、医薬品、医療機器が承認されることは、当然、申請がなければ承認されることはないわけであります。
現実に、何度もこれは申し上げておりますが、国産ペースメーカー、厚生労働大臣にも問いましたが、ゼロですね、まだ。中国にも先を越されちゃいました。海外からの輸入に頼らざるを得ない状況です。世界的に市場を増している治療用の医療機器分野でのシェアは、日本は惨たんたる状況です。これは産業機会の喪失であり、また、大きな雇用獲得、税収増の機会を逃していると言えます。
また、別の視点からいえば、昨年五月に中医協において、希少疾患、難病治療薬であるゾルゲンスマの保険適用が承認されました。このゾルゲンスマは、国内で価格が一億円を超えた初の超高額医薬品として注目を集めました。一回の投与で高い効果が期待できるため、患者さんにとっては保険適用を待ち望んでいた新薬であります。
しかし、この新薬はノバルティスファーマがベンチャーを買収して製造している新薬で、結局、この新薬がもたらす雇用も税収も我が国には恩恵がないわけですが、新薬を我が国で使用すれば、当然、医療保険によって高額な支払いがなされるわけです。つまり、我が国の医薬品、医療機器の置かれた状況というのは、本当はプリウスに乗りたくてもベンツしか売っていない、そういった状況に等しいわけであります。官房長官、これは当然、医療費の高騰につながりますね。
特に、現下の新型コロナ感染症蔓延によるパンデミックによってマスクが極端に品薄になりましたね。十年前を思い起こすと、東日本大震災のときに福島で生産していた甲状腺のお薬、チラーヂンですね、生産が一か所のみであったために供給がストップしましたね。大臣もよく覚えていらっしゃると思います。これは命をつなぐ薬でした。これがストップした。これは大変な問題でありました。
こう考えると、革新的、イノベーティブな医薬品、医療機器を開発するだけでなくて、国内で必須な医薬品、医療機器もある程度国内で生産していかないといけない。さっき、いみじくも安全保障と言っていただきました。これは、さっき述べた雇用、税収といった経済的な側面だけでなく、安全保障、危機管理上、官房長官が言っていただいたとおりの問題です。
官房長官は、厚生労働大臣をかつてお務めでいらっしゃったので、この問題は熟知していらっしゃると思います。私とも何度か議論を闘わせたと記憶しておりますが、こういった状況を、大臣、どうお考えになるか。今回のワクチン開発も含めて、そして、こういったパンデミックが起こったときの安全保障、危機管理上の問題も含めて、どうお考えになっているか、大臣、お話しいただけますでしょうか。
○加藤国務大臣 厚生労働委員会でも吉田委員といろいろ議論させていただいたことを思い出しながら、今の御質問を聞かせていただきました。
日本は、世界的に見れば創薬能力がある国という位置づけではありますけれども、現下、医薬品については、日本最大の武田薬品工業は売上高世界第九位、それから医療機器に至っては、日本最大のオリンパス、これは売上高世界十九位ということで、やはり、かなり医薬品の開発、相当お金がかかる中で、欧米企業と比べると個社の規模が小さいといったことも指摘をされていますし、先ほど輸出輸入のお話がありましたけれども、我が国の貿易収支を見ると、医薬品で約二兆円、医療機器で約一兆円の残念ながら輸入超過になっているという現状にあります。
こうした中で、医薬品、医療機器産業の研究開発を支援をしていくということで、これまで研究開発は、基礎研究から実用化になかなか結びつかずに、その間、間にいわゆる死の谷が存在して、基礎研究はできたんだけれども応用研究にいかず、応用研究にいかず実用化できず、こういったことを解消すべく、基礎研究から治療法の開発等の実用化研究まで、いわゆる日本医療研究開発機構、AMEDを通じた支援を行い、また、研究開発税制、薬事規制の合理化等も含めた、こういった支援も今行ってはいるところであります。
また、国内供給能力の強化については、医薬品、医療機器、さらには原材料などについても国内生産拠点を整備するための支援を行っていく、それから、先ほど委員の御指摘にありましたけれども、医療上必須であり安定的な供給の確保が特に必要な医薬品については、それを特定し、順次、供給確保に向けた対策を講じていくということで、これについては、今、安定確保医薬品の案についてパブコメを実施させていただいているところであります。
こうした展開をする中で、さらには、国内での国産化を進めていくということは、国内人材の雇用にもつながっていくということでございます。さらに、今回のコロナの感染拡大、そういうような中でのワクチンの問題を踏まえる中で、医薬品、医療機器の研究開発、供給における課題が改めて再認識をされたところであります。
医薬品については、本年夏までに新たな医薬品産業ビジョンを策定すべく省庁横断的な検討が行われており、我が国の医薬品、医療機器産業が目指すべき方向性、施策の在り方を明らかにした取組も加速をしていきたいと思っております。
医療機器についても、医療機器基本計画の見直しに向けた議論を今後開始していきたいと考えています。
○吉田(統)委員 官房長官、その必須の部分を、しっかりとお応えいただいて、今後進めていただくということを大変期待をしております。
しかし、官房長官、一言だけ申し上げると、創薬の力が強かったのは、もうかつてです。第一三共が世界の一〇〇%のシェアを持っていた薬もかつてはあったんですよ。大昔の話です、大臣。脂質を抑えるお薬、名前は言いませんけれども、一〇〇%のシェアを持っていた、そういったこともあった。それがもう今はぼろぼろですよ、大臣。
AMED等々の話は、余りまだ効果は出ていないですよ。ですから、官房長官、国家の司令塔として、ここをしっかり、もう少し別のギアを入れていただいてやっていただければと思います。必須医薬品も重ねて頑張っていただいて、しっかりといいものを作っていただきたいと期待をして、また議論させていただきたいと思います。
官房長官、お忙しいでしょうから、これで結構でございます。ありがとうございました。
ここからは経産省等に聞いていきたいと思います。
今回、新型コロナウイルス感染症の産業への影響は様々に広く波及しています。旅行会社、イベント会社、旅行手段である航空、鉄道、バスなど、挙げれば切りがないですね。
特に、この二度目の緊急事態宣言によって、飲食店の営業は午後八時まで、酒類の提供は午後七時までということで、大きな影響、徐々に全国的に解消はされていっていますが、状況になっている。私も当然、そういう場へ、なるべく応援するためにテイクアウトを利用したり、一人で黙々と早い時間に食事をしたりということは地元等ではするわけでありますが、非常に厳しい状況です。
こういった飲食店は特に、小規模の個人事業主の方が多くいらっしゃって、もう閉めるしかないとか、ほかの仕事にこの際移ろうという話をよく聞くわけです。
その中で最近よく聞くのが、だらだら支援金をもらうよりも、一旦店を閉めて再度出店した方がよいのではないかという話を聞くことがあります。
一方で、例えば、補助金バブルとして、補助金をもらった方がもうかる、そういった報道もあるわけであります。
極めていびつな支援構造になっているということを考えると、国家の財政的な問題とか、個人のモチベーションの問題とか、そういったものも考えると、再チャレンジ支援をした方がよい局面もあるのではないかと思います。
そこで、経産省にお伺いしますが、こういった再チャレンジをしようとされる方、あるいはほかの業種に替わろうとする方、個人事業主を含む中小企業に対してどんな支援ができるのか、現在の状況を教えていただけますでしょうか。
○宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。
先ほど吉田先生から御指摘がありましたとおり、新型コロナウイルスの影響を受けた飲食店の皆様方が、ウィズコロナの時代に向けた経済社会の変化に対応するために事業を転換、こういったことにチャレンジをしていくということは、当該飲食店のみならず、地域経済や社会にとって極めて重要であるというように認識をしております。
そのために、令和二年度の第三次補正予算におきまして、総額約一・一兆円の事業再構築補助金を措置しているところでございます。
この補助金は、中小企業や中堅企業の皆様方が新分野への展開や業態変換に取り組む、こういったことを応援をしていくものでございまして、飲食店でございましたら、例えば、居酒屋は今大変厳しい状態ですけれども、こういったことを一旦廃止をして、オンライン専用のお弁当の宅配事業を始めるとか、また、レストランの一部を改修をいたしまして、新たにドライブイン形式で食事のテイクアウトの販売をする、こういった取組を、設備投資など最大一億円まで補助することとしております。
また、緊急事態宣言に伴いまして、飲食店を含む多くの事業者の皆様方が大きな困難に直面していると承知をしておりまして、そういった方々を念頭に、この補助金では緊急事態宣言特別枠というものをつくっております。
これは、事業規模に応じまして補助上限を段階的に最大千五百万円までと設定をいたしまして、補助率が、中小企業の場合は四分の三、中堅企業の場合は三分の二と、通常よりも補助率を引き上げる特別枠を設けておりまして、飲食店の皆様方に使いやすいものとなっております。
三月中の公募開始を予定をいたしておりますので、事業者の皆様方にできる限り早期に御活用いただけるように努力をしていきたいと思います。
○吉田(統)委員 宗清政務官、ありがとうございました。お忙しいと思いますので、もうこれで経産省は大丈夫ですので、ありがとうございました。
引き続き、じゃ、別の視点からまた聞いていきます。今度は、厚生労働、農水の皆さんに聞いていきたいんですが。
コロナに伴う休業は、会社自体はもちろんですが、働く方々が大きな影響を受けます。どちらかというと、そちらの方が重要ですね。
この新型コロナ感染症によって、新しい生活様式といったものが提唱されていますね。食事だと、「持ち帰りや出前、デリバリーも」「屋外空間で気持ちよく」「大皿は避けて、料理は個々に」「対面ではなく横並びで座ろう」「料理に集中、おしゃべりは控えめに」「お酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けて」といったことが書かれています。
今までの飲食店の在り方と大きく変わっていくわけであります。今後も、急に元に戻るかというと、戻らないと思います。そうすると、例えばシフト制で働いている飲食の方々なんかは、今後の働き方や報酬の獲得手段を考えなきゃいけないわけであります。本当に職種を替えなきゃいけないわけですよね。働き方という面では、勤務地が、都会、東京一極集中から地方へシフトさせるとか、勤務方法は、サテライトオフィス、テレワーク、リモートワークへシフトする、こういったことは省庁でも取組をしていただいています。
そういった中で、今まで必要とされていた職種の求人が減少していく中で、まず、例えば、以前から私は食料自給率の上昇や先ほど申し上げた医療機器の国産化の推進ということを言ってきています。仕事の、雇用機会の創出という意味ですよ。世界全体の人口が増えて、エネルギーと食料でかつて世界というのは戦争を起こしたりしてきているわけですから、食料危機が起こる可能性も否定できないわけです。それを考えると、食料自給率上昇のために、農業において、例えば新しい農業法人の仕組みなどをつくって、そういった部分にシフトしていくということが必要ではないかと考えます。
先日の予算委員会で重徳和彦議員が、私がアメリカ時代から抱いていた構想に近い、国立農業公社という概念を開陳していました。それは、国立農業公社などを設立して、特に若い人材を中心に農業へシフトしやすい環境をつくることであります。例えば、農業をやりたい人たちを時には一括採用して技術指導して、中山間地域を含む田畑のマッチングを行って、安定した所得を国が保証する、農業を将来見通しが利く職業に変えていくという構想であります。
同時に、株式会社による大型農業を実現することも必須であります。要件は必要だと思いますが、農地所有適格法人など、より規制を緩和して、より多くの株式会社に農地保有を認めるような新しい農業法人などが必要であると考えます。
農水省にお伺いいたしますが、こういった状況下で、農業で働く人を増やそう、呼び込もうとしているのか、また、そのための具体的な施策を教えていただきたいと思います。また、国立農業公社構想に関して賛同をどうかいただきたい、そう考えますが、いかがでしょうか。
○宮内副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
農業者の一層の高齢化と減少、新たに農業を始めるという方をつくっていくということは、本当に大切なことだと思います。我々農水省といたしましては、食料の安定供給、これを果たすためには、やはり人材が大切だということを強く強く認識しているところでございます。
一方で、大変難しい、職業選択についての政策でございますから、様々な取組をしておるわけであります。
例えば、新しく農業を始める方の参入ハードルを下げるために、就業準備段階や経営開始直後における資金の交付をするとか、あるいは農業法人等における実践的な研修への資金を交付するとか、そういう、スタート段階で設備投資が要ったりとか、なかなかすぐに採算に合わないというような特殊性がありますから、そこに対する支援をしっかり制度としてつくってやっているところでございます。
また、農業教育機関における社会人へのリカレント教育の充実、こんなこととか、あるいは農業高校に対する支援で、新しい、IT化についての勉強や、経営を勉強するとか、そんなことにも取り組んでおるところでございます。
また、地域の新規就業者の受入れや求人等の情報を一元的に提供するサイトも立ち上げたりして、情報発信の強化、こんなことも進めておるところでございますので、何とかやっていきたいという思いに充満をしております。
また、農業、農地に対する企業参入につきましては、平成二十一年の農地法改正でリース方式を完全に自由化をしているということで、そういうところも少しずつ進んでおりますので、前向きに取り組んでいきたいとは思っておりますけれども、やはり農業、農地現場においては、一旦取得したけれども、農業から撤退をしたりとか、あるいは農地をほかの用途に転売されたりするというような不安や心配する声もあるわけであります。そういう声を、しっかりとコミュニケーションを取りながら、どうやったら農業が稼げる産業になるのかということを追求してまいりたいというふうに思っています。
それと、特にコロナ禍における人手不足の問題については、外国人の技能実習の方々がなかなか入国できないというようなことで、緊急的に、農業労働力確保緊急支援事業、これも実施させていただいて、時給の上乗せ等々も行っております。
やはり、農業人材が重要であるという視点から、これからも育成、確保にしっかり取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○吉田(統)委員 ありがとうございました。
おっしゃる部分は分かるんですけれども、やはりリースだとなかなかやりづらい部分があるので、ちょっとその辺の規制緩和はやはりしていただきたいなと思います。
副大臣のお話を聞くと、国立農業公社構想には何か賛成というか、同じことを考えているように聞こえましたけれども、そういうことでよろしいですよね。
じゃ、林業をちょっと聞きたいと思います。
林業、本当に山林というのは、水資源、そして美しい山林、そういったものを保存する上でも非常に大事であります。しかし、現在、山の持ち主が森林組合の提案した管理計画に従って山を管理し、収穫したら森林組合を通して出荷する、このシステムだと、木材は森林組合、中間業者が管理するので、木材を出荷した林業の従事者は非常に低い収入になるということになります。
一方で、林業従事者の高齢化、山林の荒廃などにより、日本の林業は本当に衰えています。悪循環ですよね。
山林は水源でもあり、山林の保水力によって水害を防止するなど、これからの我が国にとっても欠くことは絶対できないわけです。そのために、はやりの林業の六次産業化によって、山林の所有主が山林を維持して、更に植樹をして、そして雇用を維持するということができると一番いいですよね。しかし、この林業というのは六次産業化が一番難しい分野だと思います。
この六次産業化、端的にで結構ですので、副大臣、ちょっと政府のお取組、目指すところを御説明をお願いできますでしょうか。
○宮内副大臣 お答えをさせていただきます。
吉田委員御指摘のように、林業の六次産業化は大変難しい。生産をし、製材等々を加工し、そして販売をするということを、どちらかというと集約的に山村で行うというところのことを、全国的に販売を展開するというのは非常に性格上難しいということはあると思いますけれども、効率的に、やはりもうかる林業にしなければいけないというのは委員と同じ考えでございます。
森林の経営管理の集積や集約化や、林業の生産性、安全性を飛躍的に向上させるような林業のいわゆるスマート化、林業イノベーション、これを推進しなければいけない。また、雇用者を増やすために、緑の雇用事業といいまして、御案内のように、新しく人材を確保するというための緑の雇用事業も目指しているところでございます。
まさに、林業の成長産業化を通じまして林業従事者の所得向上を図って、そして森林所有者に利益を還元する、そして再造林につなげるということでございまして、森林資源を適切に管理することによりまして、森林の公益的機能を十分に発揮させたいというふうに思っているところでございます。
それと、特にまた、森林空間の新しい付加価値をもっともっと利用したらいいじゃないかということで、健康とか観光とか教育とかという様々な分野で森林サービス産業による山村における所得確保を図る、こういう取組もどんどん進めてまいりたいというふうに思っております。
○吉田(統)委員 副大臣、おっしゃっていただいて、次の質問の分もお答えいただいたのであれですけれども。
本当に山林地主の取り分が我が国は少ないのを副大臣はよく分かっていますよね、欧米に比べて。山を持っている山林地主、昔は大金持ちですよ。江戸、明治、昭和ぐらいまで、平成序盤までは山林地主というのは大金持ちで、本当に地域の御名士だったわけですが、今本当に少ないんですよ、欧米と比べて、取り分が。
だから、やはり、産業を育てる人にちゃんと収益が行かない形ではこの国の林業は本当に滅びてしまいますので、副大臣、いろいろおっしゃっていただいたので、期待をしていますので、是非頑張って。先ほどの、飲食とか観光業から林業に移りたいと思うような魅力あるお仕事にしていただかないと、今、最悪の状況からは脱していますけれども、まだ本当に林業は厳しいですから、よろしくお願いします。
副大臣、もう大丈夫です。ありがとうございます。
時間がなくなってきました。大臣にせっかく来ていただいていますので。
済みません、坂本大臣、いつも駆け足の質問になっちゃって本当に申し訳ないんですが、先般、保育士さんの皆さんに対する支援のこと、力強い処遇改善のことを言っていただきました。
大臣が言っていたように、私は別に経営者ももうけてもらっていいと思っているんですよ。多分、役所の方が違うレクをしたと思うので。ウィン・ウィンになるようにしてほしいんです。経営者もちゃんと収益を得て、それで、新たな雇用をしっかりやっていく、魅力ある雇用条件、求人条件を出せるようにする。そして、何らかのシステムをやはり構築していって、そもそも人が足りないわけですから、そういったところでしっかり人を集められるようにする。そのためには、経営者もちゃんと利潤を得なければいけない。そして同時に、労働者がちゃんと、働く現場の人たちが収益を得られるようにしなければいけない。そのためには、透明性を確保することが僕は第一歩じゃないかと思うんです。
だから、保育を、医療法人ってすごく透明性が高いですよね、はっきり申し上げると。それぐらい透明性を高めた、保育に関しても、やはり公益性が高い部分で、特殊な法人をつくっていった方がお互いにいいと思います。経営者にもいいし、従業員の方にも結局いいわけです。
最終的に本当にいい形で回るためには透明性が非常に大事だと思うので、そこに関して、一歩進んで、そういう仕組みづくり、今のような、株式会社であったり、個人事業主であったり、様々な形態より、まとまった形になるんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか、大臣。
○坂本国務大臣 保育士の処遇改善につきましては、前回も御質問いただいて、本当に熱心に取り組まれていること、心から敬意を表したいと思います。私たちも、同じように、保育の現場で働く方々に適切に賃金が支払われるということは非常に大事なことであると思います。
御指摘がありました法人の類型化につきましては、私たちといたしましては、令和元年十二月の子ども・子育て会議の取りまとめにおきまして、更なる処遇改善について、改善努力の見える化と併せて引き続き検討するということとされているところでございます。
そこで、介護制度などにつきましてはホームページ等で見える化をしております。それから、東京都あたりは、保育士さんのモデル賃金、これをホームページで公表しております。
そういった、ほかの団体とか、ほかの制度とか、あるいは先行自治体、こういったものを参考にしながら、今後検討してまいりたいというふうに思っております。
○吉田(統)委員 是非、大臣、検討をしっかりしていただいて、本当にいい形、期待していますので。
大臣、大変お忙しいと思いますので。
済みません、山本副大臣、ちょっと時間がなくなってしまったので、今度。申し訳ありません、本当に。
河野大臣、せっかく来ていただいて、河野大臣に質問しなければいけないと思いますので。特にワクチンのことを少し大臣に、最後、許される時間の中で確認していきたいと思います。
立憲民主党も三月四日に、ワクチンPTの第一次提言というのを取りまとめて公表いたしました。そういった中で、たくさん聞いていきたいんですが、なるべく簡潔に聞いていきたいと思います。
まず、アナフィラキシーが起こりましたね。起こるんだとは思うんですけれども、ちょうど昨日、田村大臣が、アナフィラキシーの割合が非常に欧米より高いんじゃないかという御趣旨の発言をされました。それと併せて、現在の先行接種の状況、接種数、副反応、アナフィラキシーも含めて、そういったことに関して、大臣の知っている状況を御説明いただけますでしょうか。
○河野国務大臣 昨日の夕方五時の時点で、四百四十五の施設で十万七千五百五十八人、接種が終わりました。
御指摘いただきましたアナフィラキシーは、アナフィラキシーとして報告されている事例が現在のところ十七件ございまして、これは確かに、欧米のこれまでのファイザー製のワクチンに関するアナフィラキシーの状況と比べると、数が多いように思われます。
○吉田(統)委員 時間がないので端的に聞いてまいりますが、残ったものはまた次回ということで。
大臣のお考えで、供給の仕方、ワクチン、数が限られていますね。大分、全国的な感染状況は改善してきているとは思うんですが、そういった中で、やはり一都三県が非常に感染状況がまだ悪いわけであります。
そういった中で、現状で、限られたワクチンの数の中で、地域への供給の仕方に関して、そういった流行地域、そういったものを勘案して今後供給していくのかどうかということに関して、お教えいただけませんでしょうか。
○河野国務大臣 現時点で、高齢者の接種が始まる段階では、そうしたことは考えておりません。
○吉田(統)委員 考えていないということですね、大臣。分かりました。
現状の収まりつつある状況ではそれでもいいのかもしれませんけれども、やはりまた第四波が来る可能性は、普通に考えればあるわけです。ただ、波の高さはかなり低くなることは期待されますが。
そういった中で、やはり、もちろん全ての国民にひとしく行き渡らせなければいけないんですが、戦略的に、ある程度その供給の仕方を考えるということも私は必要ではないかと思うんですが、今のところそういった議論は、議論自体もされていないということで、大臣、よろしいですか。
○河野国務大臣 今の時点ではございません。
○吉田(統)委員 時間が来たので、もうまとめて終わろうと思いますが、私は、そういうことも、事前の議論ぐらいはやっておいた方がいいんじゃないかと思います。
先ほど申し上げたように、医療というのは、ある意味、危機管理、安全保障という部分がありますので、今の状況で落ち着いてくるようであればひとしくやっていくというパターンでもいいのかもしれませんが、やはり、極端に人口が多い、過密している地域にリスクがあるということはこのウイルスの特性で分かっているわけですから、そういった中で、事前準備として、そういった議論ぐらいはしておいた方がよろしいんじゃないかと私から提言をさせていただいて、時間ですので、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○木原委員長 次に、森山浩行君。
○森山(浩)委員 おはようございます。立憲民主党の森山浩行でございます。
私のライフワークの水問題としても課題となってきました、また、安全保障上の課題でもありました外資による土地利用規制法案、これは与党内でもめて、法案提出ができていないと報じられております。政権の政策の実行力にも疑問符がついてくるところでありますので、いいかげんなものではなくて、きちんと課題を整理した上で提案をしていただいて、大いに議論をさせていただければというふうに思います。
さて、質問でございますけれども、国会の場におきまして、総理、それから厚労大臣、総務大臣、ワクチン担当大臣など関係の大臣の皆さんは、順番が来たらワクチンを打つんだというふうに明確に答弁をされています。しかし、官房長官につきましては、順番が来たら考えるというところに一貫をされているように思いますけれども、これは打たないということですか。
○加藤国務大臣 私が申し上げてきているのは、まず、ワクチン接種について、有効性、安全性が確認されて、それが具体的に薬事承認等が行われ、既に今、医療関係者のワクチンが接種がされている。今後、高齢者等々になっていくわけでありますけれども、やはりその段階で、接種するかどうかについては最終的にお一人お一人の判断にお任せをするということでありまして、政府としては、そのための選択に資するような正確な情報を提供していくことが大事ということだと思っております。
したがって、私自身も、まずどの順番ということもありますけれども、私自身も当然そうした判断をした上で対応していきたいということを申し上げているわけであって、やらないなどということを申し上げているわけではなくて、そうしたプロセスを踏んできちんと対応していきたいということを申し上げているわけであります。
○森山(浩)委員 実は、今もインターネット上に残っているんですけれども、厚労大臣時代から、俺はワクチン打たねえよと漏らし、その姿勢は今に至るまで一貫しています、一部の高齢者を除けばインフルエンザより重症化リスクは低い、感染予防を徹底していれば大丈夫というのが理由ですと、昨年十一月に加藤官房長官について報じられているわけなんですね。
もちろん、これについて、当時のこと、これは本当かという部分と、厚生労働大臣それから官房長官を歴任をされている加藤さん御自身がもし打たないというようなことになると、これは影響は大きいと思います。誤った情報発信になってしまわないようにということで、もし個人的に何かこういう理由があるんだというようなことがあるのか、あるいは、みんなに共通するようなリスクがあるというようなことの情報があるんじゃないかというような疑念を持たれないようにしていただきたいと思いますけれども、特に打たない理由というのがあるわけではないんですね。
○加藤国務大臣 今引用されたのは、週刊誌等に書かれていたことで、私がそんなことを言ったわけではありません、まず。
そこで、常に申し上げているのは、安全性、あるいは打つメリット、それから行うデメリット、やはりそれぞれがしっかり判断して行っていくということが本件でも大事だということで、それに資する情報はしっかり提供していく。別にその情報についても、私だけが知っていて国民の皆様が知らないなんということは全くなくて、それはしっかり共有をしていくということであります。
私が申し上げたいのは、頭から打つということではなくて、やはりしっかり判断をしていただいて、そして国民の皆さんに打っていただきたいということを申し上げているわけですから、私自身もそのプロセスにのっとって適切に対応していきたいということを申し上げているということで、冒頭申し上げたように、打たないなどということを明言しているわけでは全くないということであります。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
ちょっと、今のワクチンの数の状況でいきますと、ここまで回ってくるのはもうちょっと先になるのかと思いますが、その際におきましては、閣僚の皆さんも含めて、今こんなことで判断したんだというようなことをまた発信をしていただくと国民の皆さんの安心にもつながっていくのかなと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
では、官房長官、結構です。
さて、中小企業に補助金の支援などをサポートする専門家を派遣を、紹介をするミラサポという事業がありまして、これの後継事業として次年度から中小企業一一九というのがスタートをすると。LINEしかできないということで、もうちょっと工夫した方がいいんじゃないかというようなこともありますが、この仕様が変わっていくわけなんですが、先日二日の説明会で明らかになったのが、専門家登録に際して、ミラサポではできていた通称それから旧姓の使用、これは駄目というような部分、こういう説明がなされております。
専門家の団体、弁護士会とか行政書士会とか、登録自体を旧姓でされている方というのもかなりの数いらっしゃるということで、もし戸籍名で書いたら、そんな弁護士はいませんというようなことも含めて、これは大混乱になるんではないかというような心配をされています。
登録自体を旧姓でしている女性専門家も多い中で、スタート前に見直すべきではないかと思いますが、中小企業庁、いかがでしょうか。
○村上政府参考人 お答え申し上げます。
御説明いただいたとおり、来年度から中小企業一一九に本システムは移行することとしており、現在、新システムへの登録の、来年度からが本格運用なものですから、先行登録中という作業をしております。
実は、従来のシステムの中では、これも御説明いただいたとおり、逆に本名以外の登録を自由に認めておりまして、その結果、実は不正をしていた専門家が別名で再度登録していることが疑われる事例がございました。このため、現在、先行登録期間中は、御説明いただいたとおり、不正防止の観点から本名のみでの登録をお願いしているところでございますが、来年度、本格運用に際しては、御説明をいただいた旧姓、通称等につきましても何らかの形で、例えば社員証で使っていただいているとか、何がしか明らかに不正別名というのを区別できるようなものを探しながら、基本的には登録を旧姓、通称等についても認めるということで、前提で考えております。そのように運用させていただきたい、このように考えているところでございます。
○森山(浩)委員 対応をいただけるということで、混乱の元をつくってしまったら元も子もありませんし、特に今、専門家については、コロナ禍において非常に大事な事業でありますので、よろしくお願いをしたいと思います。
丸川大臣、大臣も旧姓使用されているということで、世の中で旧姓使用されているというような方は結構多いと思うんですね。女性が働きやすくなる社会、男性で旧姓という方もいらっしゃいますけれども、男女共同参画の担当大臣としては、もちろん、政府全体の女性差別の解消ということが任務になるわけですけれども、既存の事業はもちろん、新規の事業についてもチェックしなきゃいけないと思いますけれども、いかがですか。
○丸川国務大臣 ありがとうございます。
済みません、新規の事業というのは、これから……(森山(浩)委員「今回ミラサポが一一九になりますよね」と呼ぶ)はい、新しく始めることについては、当然のことですが、改めて各省庁に徹底をしたいと思います。
士業は、先生御指摘のとおり、税理士さん、行政書士さん、司法書士さん、みんな旧姓使用を認めておられまして、私が調べた限りでは、不動産鑑定士と浄化槽管理士だけ、まだ主な士業の中で旧姓使用を認めていただいていないそうですので、既に一部働きかけを始めておるところでございます。
いずれにしても、第五次男女共同参画基本計画においても、婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じることのないように、引き続き旧姓の通称使用の拡大やその周知に取り組むこととしておりますので、政府内でより徹底をしてまいりたいと思います。
○森山(浩)委員 政府内でまず徹底と。ほかの業界の皆さんにお願いをするという立場の中で、政府内でそれができていないというのは、これはとんでもない話ですので、しっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
そして、先日からお話ししていますオンラインカジノの規制の問題でございます。
刑法の賭博罪に当たるんだという答弁、これはこれまで何度も出ているんですね。これは全くぶれがないということなんですけれども、しかし、IR、ランドカジノを三つ誘致するんだというようなことを方針として政府で決めているという部分を含めて、じゃ、オンラインでもいいのじゃないかという誤解が広がっているのではないかというふうに感じています。
アミューズメント・アンド・ゲーミング・リサーチという業界の報道によりますと、違法オンラインカジノへの参加者百万人超というような記事が出ております。コロナ禍でもありまして、なかなか外に出ることができないというようなことで、家でインターネットをいじっている中で、これは海外のサイトだから大丈夫なんじゃないか、あるいは、日本のサイトでも実はもう解禁されているんじゃないか、いろいろな思い込み、考え方、また、業界の方も、いやいや、日本は違法だと言っているけれども取締りしないから大丈夫だというようなことを言う向きもあるようでございます。
このような状況に対して、やはりちゃんと検挙するんだよというような事例を含めて、国家公安委員長としての姿勢をお尋ねをしたいと思います。
○小此木国務大臣 まず、先日も森山委員には、このことについて厳正な取締りという意味でいただいたと思いますが、改めて、オンラインカジノに係る賭博事犯については、引き続き、関連情報の収集に努めるとともに、厳正な取締りを実施するよう警察を指導してまいります。
海外のオンラインカジノの、日本国内の自宅からアクセスした賭博の検挙事例としては、海外の会社が運営するオンラインカジノサイトに日本国内の自宅からアクセスをして、いわゆるブラックジャックですね、これを称する賭博をした者を単純賭博罪で検挙した例や、あるいは、日本国内の客の自宅等のパソコンから海外に設置されたサーバー上のオンラインカジノサイトにアクセスさせて、スロットと称する賭博を行ったことに関し、日本国内で客から振り込み送金をさせるなどして金銭を賭けさせていた者を常習賭博罪、客を単純賭博罪で検挙した事件がございます。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
事例の上で、海外の業者であっても、日本からアクセスをすることで検挙に至るというようなこと、これはきちんと広報してもらわなきゃいけませんね。何か業界の方から、これは大丈夫だから、安心だからというようなことが振りまかれているような向きもありますので、ちょっと警察としても、こういうのは違法で検挙するんだよというようなことを全国に向けて発信をきちんとしていただいて、改めて、このコロナ禍で非常に伸びているということですから、百万人というのはゆゆしき事態です、しっかり広報もしていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いします。
小此木大臣、続いてなんですけれども、海洋政策も担当されているということで、海洋政策につきましては、私、地元の漁師さんから、プラスチックのごみが太平洋の真ん中に浮いている、たくさん浮いている中に日本語のパッケージのついたものがいっぱいあって恥ずかしい思いをしているというようなお話であるとか、あるいは、それがマイクロプラスチックになっていく。
若しくは、メタンハイドレート。日本は海洋国家であります。海洋までの面積を含めると世界第六位というような状況にあるという中で、非常に豊富な資源というものが海底にもあるんだということで、そのような議論もしてまいりました。
今日は、北極域の研究船の建造というものを来年度の予算案に盛り込まれております、これについて、気候変動で北極の氷が解けてきているので航路の開拓だという話でもありますから、手放しで喜べる話ではないのですが、実態としてそこの北極海の航路というのが開拓をされてきつつあるという部分についてはきちんと押さえていただくということとともに、北極については、基地を持ってこれまでもいろいろな研究をされているということです。探査、検査をきちんとやっていくということで、世界に後れを取らないようにしていただきたいと思うんですけれども、政府全体でどのように取り組まれますか。
○小此木国務大臣 手放しで喜べないというのは同感でございまして、まさに気候変動の影響です。
一方で、例えば東アジアと欧州を結ぶ海上輸送ルート、スエズ運河経由よりも北極航路の方が約四割距離が短くなるという中で、北極域の利活用の機運は高まっております。
気候変動などの地球規模課題の解決や北極域の利活用のためには更なる観測、研究が必要であり、我が国においても、文部科学省の予算ですけれども、砕氷機能を有する北極域研究船の建造に着手するための経費を計上しております。
また、我が国は、平成三年にノルウェーのニーオルスンに北極域の観測拠点を設置するなど、長年、国際連携による北極域の観測、研究を続けてきたところであります。
このような日本の強みを生かしつつ、北極をめぐる我が国のプレゼンスの強化を図る必要があると考えています。
ちょっと長くなりますけれども、こうした考えの下、我が国の北極政策は平成二十七年に総合海洋政策本部で決定されました。我が国の北極政策及び平成三十年に閣議決定されました第三期海洋基本計画に基づいて、北極域に関する観測、研究体制の強化等の研究開発、国際ルール形成への積極的な参画等の国際協力、北極海航路の利活用等の持続的な利用の三つの分野を柱としており、関係府省と連携しつつ、海洋政策の中でも重要な位置づけを占める北極域研究に継続的に取り組んでまいりたいと存じます。
○森山(浩)委員 技術とかあるいは科学とかという分野については、子供たちが子供の頃から、ああ、ああいうことをやりたいなと言ってもらえるような、思いの最初の核の部分があって研究者というのが育つのだと思います。
そういった意味で、北極というのは新たな分野、これは非常にこれから開けていく分野ということでありますので、北極の御研究についても、象徴的なものをきちんと子供たちにも伝えていく、あるいは国民みんなにお知らせをしていくというようなところも意識をしながら研究開発に取り組んでいただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
さて、eスポーツです。
オリンピック・パラリンピックの、今年ということであるんですけれども、オリンピック・パラリンピックと並んで、eスポーツというものを世界の大会またオリンピックの中に入れるなどというような話も持ち上がってきているという状況であるんですけれども、世界の、IOCで、一部eスポーツを種目に入れるのはどうかという議論がなされていたり、あるいはアジア大会というようなことも議論に上がっているところでもございます。また、国内でもこれは法的な整理が進んできているというような状況だと聞いておりますけれども、スポーツにおけるeスポーツの位置づけというものは現在どうなっておりますか。
○牛尾政府参考人 お答え申し上げます。
eスポーツにつきましては、二〇二二年、中国・杭州で開催予定のアジア競技大会におきまして大会種目となることが既に決定しておるところでございます。
また、スポーツ団体の中にはeスポーツと共同でイベントを開催するところもあるなど、それぞれ連携した取組が進められているところでもございます。
他方、eスポーツとスポーツの関係をめぐりましては、国際オリンピック委員会において、その意義や在り方について、二〇一八年以降、議論が積み重ねられているところでもございます。
スポーツ庁といたしましては、こうした国際的な議論や各スポーツ団体の取組の動向を注視しつつ、引き続き、関係省庁と連携して、政府としての取組を検討してまいりたいと考えているところでございます。
○森山(浩)委員 あっさり言っていただきましたけれども、IOC、これは二月十七日の報道ですかね、身体運動を伴うオンラインの競技について、何とか入れられないかという議論が進んでいるということでございます。まあ、eスポーツの一部ということですね。
アジア大会については、しっかりとeスポーツ全体としてやって、あとは種目を何にするのかというようなことだと聞いておりますし、また、これは競技人口という部分でいいますと、我々、もう子供の頃からファミコンの世代であったりしまして、家でゲームをやるんだというようなことについては、人口の半分、もしかしてそれを超えるんじゃないかというような人たちがゲームの経験者だというような状況の中で、非常に大きな流れになり得るというようなことで、何か団体が立ち上がっているんですね。競技団体が立ち上がるというような状況にもなっているということで、そういった状況を踏まえて、来年の三月に、スポーツ基本計画、これは改定の時期だと思いますけれども、当然これはその中にも、議論に入ってくるということになりますよね。
○牛尾政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、スポーツ庁では、令和三年度末を目途に第三期スポーツ基本計画の策定を行うべく、検討の準備を進めているところでございます。
繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたように、eスポーツをめぐりまして様々な議論が、取組が行われているところでございますので、こうした動向を見ながら検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
○森山(浩)委員 ありがとうございます。
ということで、そういう時期に当たっているというようなことでございます。
その中で、国でも検討をされているということなんですけれども、これは政府全体でどうしていくのかというところで、競技人口が多くて、お隣の韓国は随分もうかっているそうでありますけれども、もうかればいいのだということと、あるいは、子供のゲーム依存症の問題はどうだというような話での議論だけではなくて、社会的な意義というもの、これがなければなかなか、eスポーツ、ゲームをスポーツにというような話、あるいは、社会的にはこれはマイナスがあるんだからどうなんだというような話を乗り越えられるものではないというふうに感じます。
そういった意味で、今、政府全体として社会的意義についてはどのようにお考えになっていますか。
○井上国務大臣 eスポーツは、日本の魅力を生かすクールジャパンの一環としても、市場の成長のみならず、地域創生、社会福祉などの社会的意義が注目されております。
知的財産推進計画二〇二〇においても、eスポーツ・コンテンツ市場の成長にとどまらず、周辺関連産業への市場の裾野の拡大や、地域活性化を始めとする多方面への貢献が見込まれることから、関連する政策分野においてもeスポーツを適切に位置づけることに関して、関係府省において検討を進めることとしております。
また、我々内閣府としても、eスポーツの正しい理解を啓発するための子供向けイベントを開催するなどしているところ、他省庁の普及啓発の取組も注視しつつ、今後も、関係省庁と連携して、eスポーツの健全かつ多面的な発展のための環境整備に努めてまいります。
○森山(浩)委員 社会的意義を踏まえて、そしてまた教育も含めてきちんと政府全体で取り組んでいっていただくということでございますけれども、やはり依存症の問題などが大きな課題になるかと思います。まだ十分なサンプル数を持った研究なども途上だというような形も聞いておりますので、依存症についての部分、これは、乗り越えるためには大規模な研究をきちんとしていただいて、その上でルールをつくっていっていただきたいと思います。
このスポーツという概念を広げていくという部分については、おととしですか、「いだてん」という大河ドラマがありまして、陸上競技に日本が参加するかどうかというようなことで、ただ走るのはスポーツなんかじゃないと当時言われていたものを嘉納治五郎さんが、これは参加するんだというふうにやられたこと。あるいは、女性がスポーツに参加をするという部分についても随分遅れてスタートをしたというようなことがあります。スポーツという概念が何なのかという部分につきましてもしっかり議論をしていただいた上でつなげていっていただければというふうに思います。
というのも、オリンピック種目の中に既にチェスやコントラクトブリッジですか、マインドゲームというような種目もありますので、体を動かさなきゃいけないというものばかりではない。だからこそ、ハンディキャップを持った皆さんも参加できる、あるいはジェンダーや年齢にも関係なく同じ土俵で戦える、また国を越えてできるというようなことで、このeスポーツというものの可能性という部分はあるわけですので、弊害をいかに除いて、そして振興していくかというような観点でしっかり議論を進めていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
さて、このコロナ禍において、水道事業、大変なことになっておりまして、水道とPFIということについてお伺いをしたいというふうに思います。
自粛による企業からの利用料の減、また、消毒などの経費の増大、そういったものに加えて、水道料金を安くしましょう、いわゆる減免をする、間々支払い猶予をする、こういうことも含めて、非常に今、経営を圧迫するような状況が続いているかと思います。これが、管路の更新、いわゆる管を新しくしていく、あるいは補修をしていくということに影響したり、あるいは、人件費の削減というような形で人材確保ができなくなったりというようなことにつながっていかないようにということでありますけれども、今、国としてはどのように対応されておりますか。
○宮崎政府参考人 お答え申し上げます。
地方公営企業として運営される水道事業につきましては、独立採算が原則でございまして、委員御指摘のように、将来にわたって、例えば管路の更新など、将来的な投資も含めまして、安定的かつ持続的に運営をされて、その健全な運営が確保されることが大変重要でございます。
御指摘の減免等の状況につきましては、厚生労働省におきまして二月に調査を行った時点で申しますと、まず、支払い猶予に関しましては、回答のありました千二百八十の事業者の中で、実施中あるいは実施済みの事業者が合わせまして八五・八%という実施状況でございました。また、減免につきましては、五百十の事業者、全体で、実施予定も含めまして、約四割の事業者が減免を行った、あるいは実施中ということでございました。
こうした、特に減免の場合につきましては、水道事業の経営に影響を及ぼす可能性がある、これにつきましてそのような報道あるいは指摘等もあるところでございまして、こういったところを各水道事業者が御判断されるときには、住民の方々の状況を踏まえた必要性と経営への影響を踏まえた上で、苦慮をされながら対応されているものだと思います。
平成三十年の水道法改正によりまして、水道事業者に対する水道事業の収支見通しの作成、公表を努力義務として求めておりますので、厚生労働省としては、今回の減免の影響も含めまして、その収支の動向をしっかり見てまいりたいというふうに考えているところでございます。
○森山(浩)委員 厚生労働省からは支払い猶予はやってくれという通達を出していただいたと思いますが、減免については各市町村、事業体の意思だということなんですけれども、私も地方議員をやっておりましたので、市長においては、水道料金を下げますよというのは人気が出るために非常に政治的にプラスに働きますが、じゃ、管路の更新をその分遅らせたからといって人気が落ちることはない。こういう部分で、政治的にプラスマイナス、インセンティブという面でいうと、市の、あるいは市民の利益と市長の利益というものが相反する分野でもあります。
ですので、やるならば、隣の町は水道料金を丸ごと払っているけれども、うちの町は減免されているというようなことにならないように、というのは、水はほかの財で代替することができませんので、そこの部分については、ちょっとやはり、国全体としてこの水についてコロナ禍においてはどうするんだというようなことをきちんとやっていただきたかったと思いますし、もしこれからでも間に合うのであればやっていただければというふうに思います。
じゃ、特に、お金の裏づけがあるのかという話をすると、交付税という形で、何でも使えるお金は水道に使ってもいいよというような部分にとどまっております。ですので、これはほかで代替することができないということを前提とすると、そういうことではなくて、水については安心してくださいねというふうに言えるような形、これは、地方それぞれの事業体で考えることと、そして国全体で考えることというものをきちんと分けていただきたいというふうに思います。
PFIで水道事業をやるんだという話、これについては、二〇二二年度までの十年間で二十一兆円の規模のPPP、PFIを、アクションプランとして、水道事業へのコンセッションの導入を進めるというような形で取り組んでおられます。
しかし、今回、七月の七日にPFI事業における新型コロナウイルス感染症に伴う影響に対する対応等についてという、これは内閣府からの通知ですけれども、感染症拡大に伴う事業の支障というのは不可抗力であるというふうに言われて、PFI事業者への支援を要請をしておられます。
PFIのメリットは何かということで、これは導入のときに随分議論いたしましたが、最初に決めた額でちゃんとできるんだというようなことをおっしゃっております。最初に決めた額でやるんだというところにおいて、今回、不可抗力という通達を出すということになりますと、じゃ、地震が起こったら、あるいは大きな災害が起こったら、感染症の拡大、どのぐらいの拡大だったら不可抗力なのかというような部分について議論になると思うんですね。これを自治体任せでいいのかという部分もありますので、この不可抗力についてどのようにお考えか、河野大臣、お願いします。
○河野国務大臣 今回のコロナで様々なことが起きて、学校が臨時休校になったり、PFIのいろいろな事業にも様々な影響が出ておりますが、これは管理者が悪いのか、あるいは事業者が悪いのかといっても、これはなかなかいずれの責めに帰し難い、不可抗力と言わざるを得ないという状況なんだろうと思います。そういうことで、そういう扱いをしてくださいと。
その背景には、やはり自治体が誠意を持って事業者と話合いをして、どうするのかということをしっかり相談をしてくださいということで、何かあったらすぐ支援を出しますということではなくて、どのようにこういう状況が起きたときに解決するのか、まず誠意を持ってお互い話合いをしてくださいということがあるんだろうと思います。
おっしゃるとおり、何か起きたらすぐ不可抗力ですと言うのでは、これはなかなか事業そのものも安定しませんし、何のためにこれをやるんだ、それならもう自治体がやればいいじゃないかということになってしまいかねませんので、そこのところは気をつけながら、しかし、今回のコロナというのは天災と同じようなことでございますので、しっかりと管理者、事業者、話合いをしていただきたいというふうに思っております。
○森山(浩)委員 天災とおっしゃいました。天災のときには、破損したところの修理する費用が出たりします。ですから、コロナにおいては話合いをしてくれというような形だと、ちょっとやはり安定性という部分では欠けるんじゃないかなというふうにも思いますので、もう既にこれで結んじゃっているところもありますので、不可抗力というものはどういうものなのかというような部分も、政府としても整理をしていただいて、発信をしていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○木原委員長 次に、玄葉光一郎君。
○玄葉委員 玄葉光一郎です。
順番を変えまして、最初に丸川大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。
丸川さんの答弁拒否が気になっています。
かつて、いわゆる選択的夫婦別氏、別姓制度に、いわば反対の署名をしたということであります。私は、かつて一人の議員として反対の署名をしたことをもって、すなわち大臣に不適任であるというふうに思いません。かつて一議員として行ったことなんだから、そのときに、どういう思いでそのような署名をされたのかということは、私はきちっと説明すべきだと思うんです。
今は大臣として、現在の考えについてならまだ答弁拒否は分からないでもないんだけれども、かつて行ったことについて説明できないというのは、私、全く意味が分からないんですね。かつてなぜそういった反対の署名をしたのかということは、議論を深めるためにも、あなたがおっしゃるように、丸川さんが言われるように、自分事としてそれぞれ日本国民が考えるためにも、必要なことなんですよ。
ですから、かつて何であのような反対署名をしたのか。私だって実は変遷があります、この問題に対しての自分の考え。だから、いいと思う。みんなそうだと思うんですよ。だから、かつて私はこういう思いだったんだということは、やはり素直に披瀝すべきだと思います。それがむしろ閣僚としてのあなたの今の役割だと思いますけれども、どうですか。
○丸川国務大臣 御質問、誠にありがとうございます。
私のかつての考えというものは、もちろん一議員として国会に立って述べるということはあろうかと思います。一方、今、私、大臣としてこの場に立たせていただいておりまして、この夫婦の氏の制度に関して、私が就任する直前、まさに橋本大臣のとき、十二月に大変な議論がございました。これは、第五次男女共同参画基本計画に、夫婦の氏について、どのような制度であるべきかということを踏まえて、大変な議論があったということは私も承知しております。
その議論を踏まえた上で政府の方針が決まったものですから、私は、今は、この政府の方針というものを、大変な国会での議論を踏まえてでき上がったものという意味で、非常に尊重しております。
そういう意味でいうと、この議論をずっと、それぞれの立場の意見を聞きながら作ってこられた職員の皆様方に、これ以上、私はこうですということを申し上げることによって無用な忖度をしていただきたくないというのが私の正直な考えでございまして、もしかしたら、もう過去の意見はほかで出ているじゃないかという御指摘はあるかもしれませんが、私は、今もってなお、職員の皆様には私がこの点についてどのような意見かということは申し上げておりません。
また、これはどういうふうに決まっているかはもう既に委員御承知だと思いますけれども、更に加えて言うと、今、最高裁の方に別氏の婚姻届の受理を求めた家事裁判の特別抗告審というものが三件大法廷に回付されておりまして、この司法の判断というものも待たれるところでございます。
こうしたことから、是非、御自分のこととしての議論を国民の皆様一人一人に深めていただくためのお支えをするのが政府の立場だということで、今皆様と議論しているところでございます。
○玄葉委員 全く逆だと思います。真逆の態度だと思います。
私、今の考えを聞いているんじゃないですよ。かつての態度、かつての姿勢を聞いているんです。そのことによって議論が深まるじゃないですかと言っています。
○丸川国務大臣 恐縮ですが、私は私の考えで大臣を務めさせていただいておりまして、大臣として、今私は、私のかつての、個人の、あるいは議員としての意見を申し上げるべきではないという考えで臨んでおります。
○玄葉委員 私、そうなると、大臣失格だなと思います。
私も、二年半、答弁席にいましたけれども、あなたはかつてこういうことを言っていましたよねというふうに聞かれたときに、きちっと説明しましたよ。逃げたりしませんでした。そのことで何か問題になったか。別に何の問題にもなりませんよ。意見が変わったって全然おかしくないし、変わらなかったら変わらなかったで、別にそれはそれで一つの見識ですから。定見だったり、又は信念だったりするかもしれません。
かつてこういうことをされたんだけれども、このことについてきちっと説明してください、そのことが国民の議論に資するからそうしてくださいと言っています。
○丸川国務大臣 私は何も逃げているわけではございませんで、私は政府の立場として答弁をするためにここに立っておりまして、政府の立場は、もう何度も答弁しているところでございますけれども、選択的夫婦別氏制度を含めて、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方に関しては、国民の様々な意見、各層の意見や、国会における議論の動向を注視しながらと。
これは、平成二十七年の最高裁の判決の付言に、この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄であるということを示されているわけでございますので、国会の議論の動向を注視しながらとなるわけですが、加えて、司法の判断を踏まえというのは、先ほどの三件の特別抗告審でございますけれども、こうした司法の判断も踏まえて、更なる検討を進めるということでございます。
○玄葉委員 私、二十八年国会議員をやっていますけれども、こんな不誠実な答弁はないと思います。これは答弁拒否だと思います。
○木原委員長 時間を止めてください。
〔速記中止〕
○木原委員長 それでは、速記を起こしてください。
では、玄葉委員、どうぞ簡潔に御質問いただいて、丸川大臣からお願いいたします。
○玄葉委員 ですから、今の考えじゃなくて、かつて、私、一議員として行動したことをもって大臣不適格なんて本当に思わないんですよ。その理由を説明したからどうだこうだなんて言うつもりはないんですよ。ただ、そのことを説明することで、国民的な、まさに丸川さんが言う議論の後押しになるんじゃないですかと。
私、この問題は深いと思いますから。それぞれ、いろいろなことを考えているわけですよ。丸川さんが考えた結果、反対署名をやったのではないかと私は思っているので、どういう考えでされたかということは披瀝して全然おかしくないし、むしろそうすべきだということを申し上げているんです。
○丸川国務大臣 私が私個人の考えを持って意見を出すということに賛同したという、これは事実でございます。
ただ、予断を持ってこの議論に臨むということは、私は大臣の立場ではしたくありませんし、また、私たちの、今帰られましたけれども、林局長いらっしゃいましたけれども、こうした男女局の職員の皆さんにもそれはしてほしくないので、私がかつてどのような意見だったかも含めて、意見は今申し述べないということにさせていただいております、大臣としては。(玄葉委員「大臣としては」と呼ぶ)はい。申し述べないということにさせていただいております。
○玄葉委員 本当に、私、きちっと説明してもらった方が議論は深まると思うんです。
実は私も、すごく短期間なんですけれども、男女共同参画担当をやっていたことがあって。私はすごく保守的な家庭で生まれ育ったので、率直に言って、この夫婦別姓選択肢というのは、どちらかといえば私はむしろ慎重だったんです。それで、議論していくうちに、今、どちらかというとポジティブな方に変わっていっているんですけれども。
変わって全然おかしくないし、むしろ、相当いろいろなことをそれぞれが深く考えていると思うんですね。ですから、むしろ披瀝していただいた方が本当にいいと思います。今は、予断を持って、余り皆さんに予断を与えたくないという気持ちは分からないではないです。
ちなみに、そうすると、かつての考えというのは、少なくとも自分の考えというのは、それはいわゆる単なる見解で、今後変わり得る見解ということなのか。むしろ、何かどこかで信念だとおっしゃったという話なんだけれども、信念のようなものなんですか、本当に。それとも定見なんですか。どういうことなんですか。
○丸川国務大臣 いろいろな言いようがあると思いますけれども、これは私の考えでございました。
○玄葉委員 考え。何か会見では信念とおっしゃったということなんですけれども、それは言い過ぎだったということですか。
○丸川国務大臣 いろいろな言葉遣いがございますけれども、私の考えでございます。
○玄葉委員 いや、これは、私、かつてのことをどうだこうだ言うつもりは本当に元々なかったんです。ただ、余り答えないからちょっとそういう話になっているんですけれども、変わり得る見解なのか、定見なのか、信念なのかでまたちょっと違ってくるな、今現在がどうなのかでちょっと違ってくるなという感じは正直しなくはないなと思っています。
もう一つだけちょっとお聞きすると、男女共同参画担当大臣、私はすごくM字カーブに集中して短期間頑張っていたつもりだったんですけれども、男女共同参画を推進するに当たって、この選択的夫婦別姓、夫婦別氏制度というのは、もしこれが導入されていくということになると、男女共同参画にとっては、これはポジティブ、プラスだというふうにお考えになられるのか、もしかしたら、いや、むしろネガティブだ、マイナスだ、少なくとも私はマイナスではないのではないかというふうには思いますけれども、あるいはニュートラルなんだと。それはどうお考えですか。
○丸川国務大臣 まず、別氏と通称使用という選択肢がございますけれども、その前に、選択的夫婦別姓あるいは別氏制度というものに賛成されている方の御意見というのを今まで国会で聞いてまいりました。その中で最も多かったのは、不便である、特にキャリアパスを連続的なものにしていく上で支障があるというお話でございました。また、多かった意見としては、日本以外で別氏を認めているからというものもございました。恐らく、国際的な証明を、一個人の同一性を証明する上で支障を来すということであろうかと思います。
そのいずれも、今、通称使用の拡大ということでかなりの部分が克服をされてきておりまして、ことしの四月から、フォーマーサーネームということがパスポートにも書かれます。これがどのくらい海外で認められるかというのはまた見ていかなければいけないと思いますけれども、そういう形で、課題を細かく見ていきますと、不便という部分についてはかなり解消されてきているのではないかと思います。
一方、アイデンティティーの喪失ということについては、これは憲法二十何条でしたか、済みません、平成二十七年の判決でも、これは微妙な触れ方なんですが、婚姻によって氏を改める者にとって、アイデンティティーの喪失感を抱くなどの不利益を受ける場合があることは否定できずということで、人格権に対して配慮する議論というものについても触れているわけでありまして、これはまさに、ここからもう一つ判決が出るかどうかということも踏まえてよく考えなければいけない部分だろうと思います。
これは実態として、つまり、男女どちらの氏を選んでもいい、夫、妻どちらを選んでもいいので、形式的には男女平等であるけれども、結局、女性の側が男性の側を選ばなければならない、これは氏の問題ですね、という実態があることについて課題があるということでありますので、制度の導入があっても、やはり御家族が反対をするということがあると結局同じことになりますので、これは、制度の在り方もさることながら、社会全体でこれをどう捉えていくかという深い議論が必要だというふうに受け止めております。
○玄葉委員 そうすると、私が質問した男女共同参画を推進するという立場に立った場合、まあ私も立つんですけれども、その場合、選択的な夫婦別姓制度というものは、これはどういうインパクトになるんでしょう。今申し上げたように、ポジティブなのか、ネガティブなのか、ニュートラルなのか。
○丸川国務大臣 たとえ制度を導入したとしても、社会全体の理解やあるいは考え方がより男女平等なものになっていかなければならないということで、まだ課題が残るということだと思います。
○玄葉委員 すなわち、そういう選択肢ができて導入されたとしても、それが必ずしもプラスになるとは限らない、つまり、社会全体が男女共同参画にもっとなっていかないと、考え方が変わっていかないと、必ずしもプラスになるとは限らない、こういうことですか。
○丸川国務大臣 単純なプラスマイナスではなかなか評価が難しいところだと思います。
現在でも、法律の上では夫の姓を選んでも妻の姓を選んでもいいことになっておりますが、実態として、親から反対される、周りから反対されるということが起きているわけでして、これは仮に選択ができるような制度ができたとしても反対を受ける可能性はあるわけです。
これは、社会全体が氏というものに対して、あるいは親の世代が氏というものに対してどのような概念を持っているか、あるいは氏と戸籍の結びつきにどういう理解を得ているかということとの相関関係にありますので、制度の導入が全てを解決するかというと、まだ更に、私たちの社会全体でこれをどう受け止めるかという、全体での男女共同参画が必要だということでございます。
○玄葉委員 もちろん、全てを解決するのがこの選択肢では私もないと思うんです。ただ、基本的にネガティブインパクトではないのではないかというふうに思うんですけれども、そこはいいですね。
○丸川国務大臣 選択的夫婦別氏制度なのか、あるいは、いろいろな夫婦の氏の制度が今実はいろいろな党から議論されているので、どれがいいのかというのは分かりませんが、少なくとも、通称の使用も含めてですけれども、自分を何と呼んでもらいたいか、何と呼ばれたいかということが選択できるというのはこれからの多様な社会の中で重要なことであろうと思います。
○玄葉委員 もうそろそろ、西村大臣にもお願いしましたので、もうこの辺りでやめますけれども、少なくともネガティブインパクトではないだろうというふうに私は思うんですけれども、そのことについても明言しないということでいうと、何となく丸川大臣のお考えは類推できるかなというふうに思います。
ただ、おっしゃるように、制度のつくり方にもよると思うんですよ。例えば、一人っ子同士が結婚して二人の子供が生まれて、その子供に、例えば元々の名字、姓をそれぞれに名のらせるような選択肢ができるのかできないのかで、むしろ、保守的な人が、家を守りたいがために、そういう制度があったらいいねと考えるかもしれないですね。だから、本当に制度のつくり方だとも思います、私も。ただ、全体としてどうなのかということで、これは是非議論を深めてもらいたいので、私は、今の考えはいいから、かつてのことはきちっと披瀝して、それで議論を深めてもらいたいと思います。
丸川大臣は今日はこれで終わりです。
それで、西村大臣、済みません、お待たせしました。
一都三県で再延長が決定をされたわけであります。残念ながら、新規の東京都の感染者等がなかなか下がっていかないという状況が生まれているように思います。
私、西村大臣にこの種の話を申し上げるのは三回目なんですけれども、やはり戦略と方針が大事じゃないかと思っていて、今回であれば、二週間延長するということであれば、二週間でどうやって基本的な収束を行うのかという戦略と方針を体系的にやはりリーダーが分かりやすく語らなければならないのではないかというふうに思いますが、そのことを御説明いただきたいのと、なぜ二週間なのか。例えば、私が仮に西村さんの立場だったら、一か月ぐらい延長して、むしろ前倒しに向けて頑張りましょうという方がよいのではないかというふうに私なんかは考えたのですけれども、そういったことも含めて、なぜ二週間なのか、その合理的な根拠は何なのか、お尋ねをしたいと思います。
○西村国務大臣 お答え申し上げます。
御指摘のように、この間、八時までの営業時間短縮を飲食店の皆さんに御協力をいただいて、国民の皆様にも、様々な御不便をおかけしましたけれども御協力をいただいて、新規陽性者の数は八割方下がってきています。ここに来て、少し人出も増えて感染の減少が鈍化し、横ばいのような状況になってきているということでありますけれども。
私ども、解除の基準については、専門家の皆さんからお示しをいただいたステージ3の指標、ステージ4が緊急事態宣言が視野に入るというところですので、ステージ3になれば解除。これが幾つかの指標があって、一つは、十万人当たりの、一週間で五百人を切ることというのが東京の一つの基準ですけれども、これはもう切ってきているわけです。
他方、病床を見ますと、東京は三〇%前後で、改善が続いていますけれども、千葉と埼玉、特に千葉が、解除を判断する数日前にようやく五〇ぎりぎりになってきた、切ってきた状況の中で、感染者の状況も鈍化をして、横ばいになってきたところでありますので、下手をすると、また五〇%を超えてステージ4の指標になりかねないという状況だったものですから、これを確実にステージ3にしていく、五〇%をもう超えないということを見極めていく、そのために二週間延長させていただきました。
東京、神奈川などは、指標だけ見ると解除できないことはないんですが、首都圏一体で考えていく、当然、経済圏、生活圏が一緒ですので、一体となっていますので、いわばウイルスのキャッチボールのようなことも起こり得るわけでありますので、一体的に見て、それぞれの一都三県がステージ3を確実なものとしていくということを見極めるための二週間。
二週間の根拠は、私ども、これまでもデータ分析を行って、感染者が増えるときは遅れて病床は悪化していきます、減るときは感染者の減り具合より遅れて減っていきます、病床の使用率はですね。ですので、対策を徹底して順調に下がってくれれば、二週間で病床が五〇%を確実に切って、後戻りすることはないという状況を見極められるということで、二週間と判断をさせていただいたわけであります。
ただ、御指摘のように、ここに来てちょっと鈍化をしてきておりますので、改めて、八時までの時短の御協力、不要不急の外出自粛、少し天候、気候もよくなってきていますので、あるいは自粛が長引いていますので人出が少し増えていますけれども、徹底した対策を行っていただいて、感染者が増えていくと、また遅れて病床が悪化していくことになりかねませんので、そのことの徹底と、併せて病床の確保を、この間、厚労省とそれぞれの都県で連携をして、病床も確保していこうということで取り組んでいるところであります。
○玄葉委員 結局、病床を重視したがゆえの二週間という説明なのかなというふうに思いました。
私なんかは、新規感染者は、もう言うまでもないことですけれども、結局、増えたかどうかというのは二週間後に分かるということなので、二週間で大丈夫なのかなという思いが強いんです、今でもそうなんですけれども。ただ、病床を重視したということでの二週間というのは、まだ分からないでもないなと。ただ、私は、念には念を入れて、もう少し長い期間を確保して、前倒していくというのが本来だったんじゃないかなという感じがします。
あと、俗に言う蔓防、ここでも議論になったことはありましたけれども、蔓延防止措置なんですけれども、この蔓防での、いわゆる改正特措法の活用なんですけれども、これは、ちなみに、関西の三府県、あるいは今回の首都圏の一都三県の解除を検討するに当たって蔓防の適用ということを考えたかどうか、もっと言うと、これから一都三県をいずれどこかで解除していくに当たって、この蔓防、上げ蔓防とか下げ蔓防とか最近言っているようですけれども、この蔓防、蔓延防止措置の適用ということは考えられるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○西村国務大臣 基本的な考え方は基本的対処方針にお示しをしておるんですけれども、緊急事態宣言が解除された後も、つまり、先ほど申し上げたステージ3の段階に、それぞれの、全体の状況、県全体、都全体の状況はそうなって、解除できる状況だけれども、しかし、どこか一部に火種が残っていて、そこがまだ感染の水準が高いとか、これを放置をしておくとまた広がるおそれがあるとかというときに、そうしたエリアを対象として、業種も限って蔓延防止等重点措置を使うことはあり得ます。
他方、大阪、愛知を解除するときも、それぞれの知事とも議論をさせていただいたんですが、やはり緊急事態宣言というのは最も強いカードで、これは様々な分析でも、やはり、緊急事態宣言というものが出されている間、自粛をしようという行動変容にもつながるという研究もあります。
したがって、やはり基本は、この緊急事態宣言の下で感染状況をしっかり下げて確実なものとして、病床も、もう後戻りしないように確保していく、それで解除するというのが基本だということであります。
その後、蔓延防止措置があるからといって、何か安易に、早めに解除していいんじゃないかという議論は、私ども、そういった考え方は採用はしないで、緊急事態宣言が解除されると緊張感が途切れることもあると思いますので、緊急事態宣言の下でしっかり下げるということを基本としていきたい。したがって、蔓延防止等重点措置があるからそれを使おうという考え方は取っておりません。
ただ、もちろん、先ほど申し上げたように、状況によっては、引き続き残っている場合とか、解除した後も何かまた火種が出てきた場合に、もう二度と大きな波は起こさない、再拡大させないという観点から、そこに焦点を絞って蔓延防止等重点措置を使うことはあり得るということであります。
○玄葉委員 ちょっと確認ですけれども、基本的に、宣言で下げ切るというのがまず基本だ、それはよく分かりました。他方で、しかし、さはさりながら、解除直後に、まだやはり何らかの措置が必要だなと思えばこの適用もあり得る、つまり、蔓延防止重点措置の適用もあり得る、一都三県についても。そういうことですか。
○西村国務大臣 基本は、今おっしゃったように、緊急事態宣言措置でしっかりと感染の状況を抑え、そして病床も確保していく、これを基本としております。もちろん、基本的対処方針にもお示ししているとおり、様々な感染状況、日々変化をしていきますので、そういったことを見ながら、全く排除しているというわけではございません。
○玄葉委員 最後に、多くの方が提案をしているのですけれども、こういった緊急事態宣言に伴って行う事業者支援についての規模別の支援ということなんですけれども、何か政府としては本格的な検討に入ったという報道も一部ございました。また、菅総理も、私の質問に対しての答弁で、一か月を経てちょっと検証してみたい、例えば一時金の額であるとか、あるいは何回かやるとか、そういうことについて、そうおっしゃっていました。あるいは、必要性については承知しているというようなこともおっしゃっているようでありますけれども。
私、こうして延長あるいは再延長となってきたときに、やはり本当に公平性の問題というのはすごく出てきているなというふうに思っていて、前も申し上げましたけれども、ある方にはすごく多いんだけれども、ある方にはスズメの涙という状況なので、特に今、飲食店もそうなんですけれども、私、飲食店に出入りする関連の業界がそうだと思うんですよね。六十万円って、ほとんどにとってはスズメの涙です。ですから、こういった延長に伴って、例えば一時金を二回渡す、三回渡すとか、いろいろな手法が考えられると思うんですけれども、大臣としていかがお考えですか。
○西村国務大臣 この間、国会でも様々な御提案、御質疑もいただいて、私ども、附帯決議もいただいておりますので、これは真剣に受け止めて、御指摘のように、影響の度合いに応じて、いわば規模に応じた支援ということも検討を続けておりますし、真剣に検討しているところであります。
特に、飲食店の協力金に対しては、今般解除された愛知県や大阪府など、二十一時までの時短ということで四万円を基本としていますが、その……(玄葉委員「それは飲食店ですね」と呼ぶ)解除されたところですね。そこの、私ども国が支援する総額の範囲内で上に上げてもらっても下に下げてもらってもいいということで、例えば小規模なものは二万円とするとか、大規模なところはむしろ六万円とか八万円とするとかいうことも柔軟に設定できる仕組みといたしました。
しかしながら、それぞれの府県では、支援の迅速性という観点から、今のところ、一律四万円、二十一時までの時短で四万円とされていますが、大阪府においては大阪市が独自の上乗せ措置で、二十一時までの時短ですけれども、最大二百十万円の支援措置とされています。
そして、今、首都圏については、緊急事態宣言の最中ですので、途中で変更するとまたいろいろ混乱もありますので、私ども、様々な御提案も踏まえて、引き続き、影響の度合いに応じた、それも配慮した対応はできないかということで、検討を続けているところであります。
○玄葉委員 もう終わりますけれども、是非、飲食店のみならず、飲食店にいわゆる出入りしている業者も含めて、同様に検討してもらいたいと思います。
どうもありがとうございます。終わります。
○木原委員長 次に、杉田水脈君。
○杉田委員 自由民主党の杉田水脈です。
本日はどうぞよろしくお願いをいたします。
二月の十九日に内閣官房に孤独・孤立担当対策室が設置され、坂本大臣が担当大臣に就任されました。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの人が他者との接触の機会の減少を実感していることと思います。近年、社会全体のつながりが希薄化している中、生活の様々な場面で望まない孤独や孤立に直面し、不安を抱える人も少なくありません。
明日で東日本大震災から十年目となります。改めて、犠牲になられた方々に哀悼の意を表します。
震災によって、愛する人を失った方々、それまでのコミュニティーから離れることを余儀なくされた方々、多くの方々が孤独、孤立と闘っていらっしゃいます。
思い返せば、私自身も、初めて孤独、孤立を自分自身が強く意識したのは阪神・淡路大震災のときでした。自然災害の多い日本で孤独、孤立対策大臣が担う役割は非常に重大であると、大いに期待しております。
まずは、孤独・孤立対策室でどのような取組を行っていくのか、お聞かせください。大臣は、どのような課題があり、最終的な目標はどこにあるとお考えでしょうか。
〔委員長退席、平委員長代理着席〕
○坂本国務大臣 私も、杉田委員と同じように、五年前の熊本地震のときに、大変な孤独感、そういったものを感じました。やはり、災害は、人を孤独に陥れる、あるいはそれぞれが孤立する、そういう状況を生み出すのであろうというふうに思います。
そういうこともあって、菅総理から大臣を命ぜられました。先般の二月十九日に孤独・孤立対策担当室を設置をいたしました。まず私が一種の司令塔になりまして、各省庁、今それぞればらばらな政策が行われております、自殺やあるいは高齢者対策は厚生労働省で、学生や子供たちは文部科学省で、それから子供の貧困に対しては私ども内閣府の方で、さらには独り住まいの住宅支援あたりにつきましては国土交通省でということでありますので、総合的にしっかりとそういったものを結びつけてまいりたいというふうに思います。
続きまして、二月二十五日には、NPOの方々にお集まりいただきまして、孤独、孤立を防ぎ、不安に寄り添うための緊急フォーラムというものをやりました。孤独に悩まれている方々に対して様々な支援をされているNPOの方々ばかりでしたので、本当に貴重な御意見を賜ることができました。
そして、今週金曜日、あさってですけれども、全省庁、副大臣にお集まりいただきまして、私の方から、今回の孤独、孤立の担当室の趣旨とこれからの政策というものを報告したいと思います。連絡調整会議というふうになっておりますけれども、単なる連絡調整だけではなくて、全省庁が一体となって、民間も含めて政策をつくり上げる、そういうものにしてまいりたいと思っております。海外でも広くこれは報道されておりまして、複数の海外のメディアから問合せがあっておるところでございます。
最後に言われました、これからの課題としては、やはり、孤独、孤立に陥った方々に、必要なときに必要なつながり、いわゆるタッチポイント、そういったものがどれだけ設けられるか、そして、どれだけ孤独感に陥る人を救えるか、その辺が一番のこれからのやらなければならないことであろうというふうに思っております。
○杉田委員 大臣、ありがとうございます。
先ほどの御答弁にもありましたように、非常に多岐にわたった部署などで連携をしながらやっていかなければいけないということであるとは思うんですけれども、一点、私、気になっておりますのは、例えば今月、三月は自殺対策強化月間なんですけれども、自殺者数などの統計データを所管している警察庁とも連携などはされているんでしょうか。
○坂本国務大臣 非常にやはり多岐にわたる問題でありますので、全省庁それぞれが課題を出し合わなければいけないというふうに思います。
担当室は三府省から今のところ成っております。専従体制は内閣府、それから厚生労働省、文部科学省。これに、あと、兼務も含めますと三十一人になります。農林水産省、国土交通省、環境省の役所の方々が加わってまいります。
ただ、言われましたように、自殺に対して、警察庁の担当でもありますし、また、自衛隊の皆さん方は毎日の訓練やあるいは災害復旧で非常に孤独感に陥りやすいというようなことも言われております。それから、自殺の原因の上位に勤務体制、勤務に関することでお悩みの方が挙がっておりますので、これは厚労省プラス経済産業省、こういったところになっておりますので、非常に幅広い省庁とこれから連絡を取ってまいりたいと思います。
あさっての副大臣全省庁会議では、官房長官にも出席をしていただくよう要請をしているところでございますので、一体となった孤独、孤立対策を全省庁を網羅しながら進めてまいりたいというふうに思っております。
○杉田委員 ありがとうございます。しっかりと成果が出るように私も応援してまいりたいと思います。
先ほどの大臣のお話の中にもありましたように、例えば職場の中であるとか、一見して集団の中にいても、孤独、孤立は非常に見えにくいもので、そういうふうにたくさんの方々と一緒にいる中でありましても孤独、孤立を感じている方がたくさんいらっしゃる、そういった目に見えない孤独にもきめ細やかに対応していただければと思います。
どうも、大臣、今日はありがとうございました。
さて、海の向こうでは、北朝鮮による拉致被害者の方々が長年孤独と闘っているということを忘れてはなりません。拉致問題は、絶対に取り戻すという日本政府の強いメッセージと、日本国民が関心を持ち続けるということが重要ではないかと考えております。
まずは、菅内閣の拉致問題解決に対する意気込みをお伺いしたいと思います。
〔平委員長代理退席、委員長着席〕
○三ッ林副大臣 お答えいたします。
拉致問題は菅内閣の最重要課題であります。拉致被害者の御家族も御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もありません。菅総理自身、条件をつけずに金正恩委員長と向き合う決意を累次の機会に表明しているところでございます。
引き続き、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、菅総理、加藤官房長官兼拉致問題担当大臣の下、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で行動していく所存でございます。
○杉田委員 ありがとうございます。
先月、北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさんをテーマにした映画「めぐみへの誓い」が公開されました。民間のクラウドファンディングで七千三百万円が集まって公開にたどり着きました。映画の公開によって多くの方々が関心を持っていただくとともに、このクラウドファンディングに自分自身が参加したということによって、より身近に拉致問題を考えていただく非常にすばらしい機会になったのではないかと考えております。
四十年以上にわたり、日々の恐怖におびえながら、日本からの救出を今か今かと待ちわびる被害者の方々、そしてその御家族の方々の心に寄り添うために、私たち一人一人が、日本は拉致問題を忘れていないんだというメッセージを発し続けることが非常に重要です。そういった意味で、このブルーリボンバッジが非常に重要な役割を果たしております。
家族会の方々も過去に国会でおっしゃっておるんですけれども、二〇〇六年二月の日朝交渉を行った際に、北朝鮮の実務者と話し合った中で、北朝鮮が何を一番気にしているか。一つが日本の国内世論、拉致問題に関する関心度です。二つ目は拉致問題が国際社会に広がること。この二つが北朝鮮に非常に関心を持たせていることであるそうです。
私もこれを毎日着用しておるんですけれども、例えば毎年十二月十日から十六日までの間は北朝鮮人権侵害問題啓発週間で、閣僚の皆さんも着用していることと思います。もちろん、それ以外の機会にも、今日お越しの方々も着用している方は少なくないかと思います。
さて、平成三十年五月の大阪地裁における審理で、裁判官の法廷警察権に基づいて、職員がブルーリボンバッジをメッセージ性のあるバッジとして外すように指示し、昨年七月の判決までブルーリボンバッジの着用が認められなかったという事案が発生しました。現在、これは違憲だとして裁判が行われておりますので、違憲か否かについては判決を待とうと思いますけれども、政府はブルーリボンバッジをどのように認識していらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
このブルーリボンバッジは人権問題の啓発なのでしょうか。それとも、政治的主張なのでしょうか。日本政府としてお答えください。
○三ッ林副大臣 お答えいたします。
ブルーリボンは拉致被害者の救出を求める国民運動のシンボルであると認識しております。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するため、北朝鮮人権侵害問題啓発週間においては、日本国民が一体となって拉致被害者を取り戻す強い意思を示す機会にしたいと考え、全閣僚、副大臣、大臣政務官等に着用の協力を呼びかけております。ブルーリボンはあくまでも、重ねて申しますが、国民運動のシンボルであると認識しております。
そして、いわゆるブルーリボン訴訟についてでございますけれども、この件につきましては、係争中のため、コメントは差し控えたいと思います。
○杉田委員 ありがとうございます。
国民運動のシンボルであるというお答えをいただきました。
昨年の二月三日、娘、有本恵子さんの帰国を祈り続けた有本嘉代子さんがお亡くなりになりました。北朝鮮の食料事情を知り、向こうでは十分に食べられていないのではないかと非常に心配なさって、長年、恵子さんの無事を祈って、留守中の食事を用意する陰膳を毎食続けておられたそうです。
同年の六月五日には、十三歳の横田めぐみさんの姿を胸に焼き付けたまま、父の滋さんがお亡くなりになりました。病室にはめぐみさんの写真が飾られていたそうです。
一日でも早く被害者の方々を日本に帰し、御家族に会わせたい、これは日本国民共通の願いであり、そこに政治的なイデオロギーや党派の壁は存在しないはずです。日本政府におかれても、被害者の救出に向けて、国民への啓発について更に力を入れていただきたいとお願いを申し上げます。
さて、次に、新型コロナウイルスの感染症について、まずは、今この瞬間も最前線で戦っていらっしゃる皆様に感謝を申し上げます。国民の皆様の努力のかいがあって、国内における感染者数は減少傾向が見られますし、ワクチンの接種も始まりました。
一方で、日本国内において、海外で確認された変異株の感染が相次いでおります。従来株よりも感染力が強いとされている変異株について、これまでと違う対策が求められるかと思いますけれども、どのように対応していくのでしょうか。
○山本副大臣 変異株につきましては、国内で複数のクラスターが報告されておりまして、海外とのつながりがない事例も継続して確認されていることから、状況を注視しつつ、十分な対策を講じていく必要がございます。
このため、二月二十六日に、政府の対策本部で変異株の対策パッケージ、これを取りまとめておりまして、これに基づき、水際措置の強化の継続、また、民間検査機関とも連携した国内の変異株スクリーニング検査の体制の整備、また、変異株疑い事例への積極的疫学調査の強化、広域事例に対する自治体への支援、国民への啓発等の対策を講じてまいりたいと思います。
このうち、水際措置の強化につきましては、変異株が流行している国や地域からの入国者につきましては、出国前と入国時の検査に加えまして、検疫所が確保した宿泊施設での待機も求めておりまして、入国後三日目には追加の検査を行うとともに、入国後十四日間の公共交通機関の不使用と自宅等での待機を求めることとしております。
また、国内の変異株スクリーニング検査体制の整備につきましては、保健所等に対しまして、地方衛生研究所だけでなく民間検査機関や大学とも連携し、変異株のPCR検査を実施すること等をお願いをしている次第でございます。
引き続き、様々な情報を収集しながら、変異株への対策に取り組んでまいります。
○杉田委員 先ほどの答弁にもございましたが、水際対策なんですね、これに対して、非常に国民が不安を抱いているというふうに思っております。
緊急事態宣言下におきましては、ビジネストラック、レジデンストラック、共に運用を停止されておりますけれども、緊急事態宣言が解除されても、是非、水際対策は引き続きしっかりとやっていただきたい。特に、ビジネストラック、レジデンストラックにつきましては、その再開は是非とも慎重に御判断いただきますよう強く要望を申し上げます。
さて、ここからは尖閣諸島の調査についてお伺いしたいと思います。
沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺の海域において、中国海警の武装船など不当な航行を続けております。言うまでもなく、尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も日本国固有の領土であります。同時に、尖閣諸島は、日本として守るべき自然の宝庫でもあります。
かつては自然環境の学術調査が十五回にわたって行われ、センカクモグラ、セスジネズミなどの固有の小型哺乳類や、センカクオトギリ、センカクツツジなど約五百六十種の植物、また、センカクコギセル、アツマイマイなどの固有の陸産貝類が確認されています。このように尖閣諸島には独自の生物が生息しており、その中には絶滅危惧種、準絶滅危惧種、希少種も多く含まれます。
また、魚釣島ではヤギの食害が深刻な状態にある、そのような報告を受けてから久しく、自然環境の保護の面から上陸による調査は不可欠であると考えておりますけれども、いかがでしょうか。
○大森政府参考人 お答えいたします。
環境省では、自然環境の把握を目的として、全国を対象にこれまで実施している各種調査の一環で、尖閣諸島においても調査を実施しております。具体的には、最新の人工衛星画像を用いて、過去に作成した植生図の更新や、希少な野生動物であるアホウドリなどの生息状況に関する調査を実施しております。
尖閣諸島における自然環境につきましては、人工衛星画像を使用した調査により必要な情報を収集できると考えておりまして、現時点では上陸調査を行う予定はございません。
引き続き、可能な限り、環境省として必要な情報収集と現状把握に努めたい、このように考えております。
○杉田委員 上陸調査の必要がないという御答弁だったんですけれども、日本は生物多様性条約の十八番目の締約国であり、条約の発効以来、日本は最大の拠出国で、条約の実施のために多大な財政的支援を行っています。尖閣諸島の多様な生き物の保護のために、上陸調査によって生態系の調査を行うことやヤギの食害に対する被害を食い止めることは、この生物多様性条約締約国として当然の責務であると思います。是非、上陸調査をお願いしたいと思います。
二月十九日の内閣委員会でも、高木啓委員から、沖縄振興という観点から漁業が阻害されていることについての質問がありました。私も全く同じ問題意識を持っております。石垣を始めとする尖閣諸島周辺海域で操業を行う漁業者の皆さんは今までにない不安や危険を感じており、安心して操業できる体制の強化は喫緊の課題です。
その中で、漁業に関する実態調査を行うべきとの御要望がありましたが、私からも改めて、内閣府として、尖閣諸島周辺海域の漁業に関する実態調査についてどのようにお考えか、お尋ねいたします。
○岡下大臣政務官 お答えいたします。
尖閣諸島における調査等に関しましては、尖閣諸島及び周辺海域を安定的に維持管理するために、具体的方策について様々な選択肢があり得るところでございまして、政府として、戦略的な観点から判断していく必要があるものと認識しております。
他方、先生御指摘のとおり、沖縄におきましては漁業は重要な産業の一つでございます。特に離島におきましては重要でございます。
先日、私も、領土・主権展示館を訪問いたしまして資料やパネルなどを拝見いたしましたけれども、尖閣諸島周辺海域は、古くから、マグロやカツオなどの豊かな漁場として、我が国の漁業者の皆様方が漁業活動を行ってきているものと承知をいたしております。
内閣府といたしましては、これまでも、沖縄における漁業振興を図るため、漁港、漁場など生産基盤の整備や、農林水産物の流通コストの支援などにより、生産、流通体制の強化などに取り組んできたところでございます。
本日いただきました杉田先生からの思いも真摯に受け止めながら、引き続き、地元の御意見も丁寧にお伺いしつつ、担当政務官として沖縄振興に努めてまいりたいと考えております。
○杉田委員 是非、岡下政務官におかれましては、沖縄総合事務局が船を持っているということなので、現地に調査に行っていただきたいと強く要望いたしますと同時に、先ほども申し上げましたとおり、脅威にさらされながら漁業を行っている漁業者や漁協に対して、通信機材や撮影機材といった、万が一の不測の事態に備えるために、そういったものに対する予算措置を是非内閣府でお願いしたいと思います。
三月五日の読売新聞の報道によりますと、在日米軍が今年の二月、尖閣諸島での有事を想定し、周辺海域で物資補給に関する訓練の実施を計画していたそうです。これは悪天候のために見送られたそうなんですけれども、アメリカは有事に備えることができるのに、日本は一九七九年以降調査すらままならないというのは、非常に違和感を感じます。
私のところにも、公務員を常駐させてほしいとか灯台の修理を行ってほしいといった声がたくさん寄せられているんですけれども、まずは上陸して調査を行わないためには前に進まないと思うんです。できるだけ早い時期に上陸調査を実施していただきますよう強く要望申し上げます。
次に、ウイグルやチベット、そして南モンゴルの問題など、国際社会において、中国による人権弾圧に対する非難の声が高まっております。自民党においても、人権外交プロジェクトチームが立ち上がり、中国による人権弾圧問題についての議論が行われているところです。
新疆ウイグル自治区強制収容所でウイグル人に対する暴行や虐待、拷問などが組織的に行われているとする人権問題に対し、アメリカではウイグル人権法案が成立し、国連においても、昨年十月、国連総会第三委員会で取り上げられ、日本を始めスイス、オーストリア、フランス、スウェーデンなど三十九か国が署名した共同声明も読み上げられました。声明では、百万人以上が不法に施設に収容されたとして、ウイグル人やその他の少数民族を過度に標的にした広範な監視が続いている、また、強制労働や不妊手術などの強制的な出生管理を明らかにする報告が次々に上がっているなどと指摘しています。
日本政府としては、これらの人権問題に対してどのような対応を行っていくのでしょうか。
○鷲尾副大臣 我が国として、国際社会における普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配が、新疆ウイグル自治区やチベット自治区を含め、中国においても保障されることが重要であると考えております。
特に、国際社会からの関心、懸念が高まっている新疆ウイグル自治区に関しては、重大な人権侵害が行われているとの報告が数多く出されているところでありまして、我が国としても、同自治区の人権状況については深刻に懸念をしており、中国政府が透明性のある説明をするよう働きかけているところであります。
また、昨年十月には、御指摘ありましたが、国連総会第三委員会におきまして、我が国は、香港、新疆ウイグルに関する共同ステートメントにアジアから唯一の参加国として参加し、新疆の人権状況及び香港情勢に関する深刻な懸念を表明をいたしました。さらに、二月二十三日には、人権理事会においても、茂木大臣から深刻な懸念を表明するとともに、中国に対して具体的行動を強く求めたところであります。
引き続き、国際社会が緊密に連携をして中国側に強く働きかけていくことが重要であると考えております。
○杉田委員 ありがとうございます。
たとえ国外の事案であっても、非人道的な行為を看過するということは、人権弾圧に加担している、人権弾圧を容認しているといった間違ったメッセージを発することになりかねません。是非、他国からも情報をしっかり共有して、しっかりと対応、発信をしていくことが必要であると思います。よろしくお願いをいたします。
さて、先日、皇宮警察本部京都護衛署の署長が、交際相手である民間の女性を手続なく赤坂御用地に出入りさせたという問題が報じられました。報道によると、平成二十九年二月に、赤坂護衛署副署長を務めていた際に、女性を赤坂御用地の内部に招き入れたそうです。女性は、園遊会の会場で池の写真を撮り、途中、ジョギング中の当時皇太子殿下でいらっしゃった今上陛下にも遭遇したそうです。
皇室の安全は、あらゆる可能性を想定して確保されなければなりません。本来、御用地内にいるはずのない人物が、厳重であるはずのセキュリティーやチェックを経ずに存在し、中の様子を撮影し、天皇陛下の近くにまで接近できるなどということは、あってはならないゆゆしき問題です。このような問題をどのように認識し、いかに再発を防ぐのかを教えてください。
○櫻澤政府参考人 お答えいたします。
警察庁では、赤坂御用地内の立入り制限区域に知人女性を出入りさせたほか、既婚者であるにもかかわらず二名の女性と不適切な交際を行った皇宮警視正に対し、先日懲戒処分を行い、同職員は辞職したところでございます。
皇宮警察本部の幹部がこのような事案を発生させたことは誠に遺憾でありまして、調査を尽くして厳正に対処いたしました。引き続き、職員の規律違反行為には厳正に対処するとともに、綱紀粛正や職員に対する指導、教育を徹底してまいる所存です。
また、御用地への入門手続を厳格に実施するなどして、このような事案の再発防止に万全を期すとともに、皇宮警察の任務の重みに対応した組織運営を行えるよう努めてまいります。
○杉田委員 繰り返しになりますが、皇室の安全は、あらゆる可能性を想定して確保されなければなりません。まさか皇宮警察がそんなことをしないだろうという、そのようなまさかの先まで想定して、皇室の安全をお守りいただきたいと思います。
それでは、最後の質問になります。
内閣府では、性犯罪、性暴力対策強化のための様々な取組が行われていると認識しております。一方、法務省の統計では、平成三十年度に検察庁が送付を受けた、被害者に障害のある強制性交等罪、四十三件あるんですけれども、この四十三件は全て不起訴になっています。
このように、障害に乗じた性犯罪は非常に深刻であり、よりきめ細やかな対応がなされるべきだと思いますが、この障害に乗じた性犯罪の防止のためにどのような取組が行われているのでしょうか。
○保坂政府参考人 御指摘のように、障害者を被害者とする性犯罪につきまして、その実態を踏まえて、その特性に配慮した規定を設ける必要があるという御指摘があることはよく承知をいたしております。
法務省では、現在、性犯罪に関する刑事法検討会というのを開催しております。その中で、準強制性交等罪の中の心神喪失あるいは抗拒不能の要件をどのようにするのか、あるいは、その地位とか関係性、これを利用した犯罪類型をどのようなものとするのかといったことについても検討すべき論点として挙げられておりまして、その中で、被害者が障害を有する場合の対処につきましても活発に御議論が行われているところでございます。
この問題といいますのは非常に喫緊の課題であるというふうに認識いたしておりまして、事務方といたしましても、充実した議論が行われるように、適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
○杉田委員 障害をお持ちの方は、なかなか自分の身に起こったことを説明できないとか、そういう問題を抱えているかと思います。
また、この障害に乗じた性犯罪というのは、非常に卑劣であり、あってはならないことであると考えております。是非、海外の事例なども研究しながら、障害のある方を性犯罪から守る立法を検討していく、そういう必要性を訴えて、私の質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○木原委員長 次に、岸本周平君。
○岸本委員 国民民主党の岸本周平です。
本日は、西村国務大臣に、経済財政担当として御質問をさせていただきたいと思います。
その前に、この間、コロナ対策で、日頃の御活動につきまして心から敬意を表しますとともに、御慰労を申し上げたいと思います。どうか、お体にお気をつけて、しっかりと国民のために働いていただきますことを祈念申し上げます。
それでは、早速なんですけれども、プライマリーバランスの目標の話をさせていただきたいと思います。
毎年一月になりますと、政府は、中長期の経済財政試算を発表されます。年に二回されるわけですけれども、一月に発表されました経済財政試算によれば、プライマリーバランスの黒字化の実現時期につきまして、成長実現ケース、名目三%の高い経済成長が続くケースでありますけれども、この場合で、二〇二九年度にPBが黒字化するということであります。
ここは、実は、新型コロナウイルス感染拡大によります景気悪化を踏まえて二年先延ばしをした昨年七月の前回試算から変わっておりません。感染症対策のために三次にわたる大型補正予算編成もありました。プライマリーバランスの赤字は、二〇年度に六十九兆四千億円、二一年度に四十兆一千億円の巨額に上るということであります。その後、景気回復とともに徐々に改善に向かうという見込みをした上で、なお、二五年度に七兆三千億円の赤字が残ると。
非常に現実的な、当然それが実現されるであろう名目一%台前半のベースラインケースでは、赤字額が三〇年度に十兆三千億円。今の目標である二五年度黒字化ということで、ベースラインケースで三〇年度ですね、三〇年度でも赤字額が十兆三千億円ということでありますから、余りにも政府の目標である二五年度黒字化との差が大き過ぎて、目標として国民の信頼を得ることがなかなかできないということだと思うんです。
政府として、ここの見積りと目標を変えられない、この辺、国務大臣としてどのようにお考えなのか、お聞きをしたいと思います。
○西村国務大臣 御指摘の財政健全化目標でありますけれども、私どもも、この足下の経済の状況も踏まえ、また、累次にわたる補正予算などの効果、支出の量と効果も見極めながら検討を続けているところでありますけれども、御指摘のように、プライマリーバランス黒字化の姿は二〇二九年度、これは成長ケースですね、ですので、これは、実は、歳出改革は入っておりませんから、過去、例えば一五年から一八年にかけて三年間で三・九兆円の改革をやったような歳出改革を続ければ、三年程度は前倒しが可能ということで、二〇二六年度には黒字化できるわけですけれども、そうすると、二五年の黒字化というのはぎりぎりの状況であります。
しかも、御指摘のように、前提が楽観的過ぎるんじゃないかという御指摘もいただいておりまして、これも私ども、これまで何度も議論を重ねてきておりますけれども、過去の動向を見ますと、一九八一年から二〇一九年まで約四十年近い間のいわゆる生産性、TFPの上昇率は一・二%程度であったことを踏まえれば、この間、上がり下がりはありました、リーマン・ショックもありましたし、様々ありましたけれども、そうしたことからすると、この成長ケースは私は実現できるというふうに思っております。
そして、ここに来て、さらに、成長するためのデジタル、グリーンあるいはヒューマンといったところにいわばワイズスペンディングで、民間の投資を引き出すような、成長を促すような、そうした支出も行っているところでありますので、まずは、経済再生なくして財政健全化なしの考え方の下、経済再生をしっかり行って、この財政の健全化にもつなげていきたいというふうに考えております。
○岸本委員 経済財政担当の国務大臣として、そのような御答弁をせざるを得ない、苦しいお立場はよく理解します。
しかし、お互い、経済官庁で仕事をしてきた仲間として、ずっと繰り返されているんですね、それはどの政権の下でも、バラ色の試算があって、財政再建目標が逃げ水のように先へ先へと移っていく。
これは、何も日本だけの問題ではありません。アメリカだって、英国だって、ヨーロッパだって、結構、昔は、政府がバラ色の試算を前提に財政再建をして、やはりできませんでしたね、いろいろな理由があって景気が悪くなりましたねというのを繰り返してきた歴史があります。
それは、大臣、四十年間の統計を取って、日本の経済構造は大きく変わっていますから、四十年間で出た数値を前提にするというのも苦しい御答弁なんだろうと思います。
そこで、ちょっと質問の順番を変えますけれども、ほかの国々、先進国は、そういう結構失敗を繰り返した結果、何をしたかというと、政府とは独立の財政機関をつくるということをしています。これはやはり、政府、特に議院内閣制はそうですけれども、政府・与党一体でありますから、どうしても、政府といっても、時の政権と密接な関係にありますから、甘い想定をせざるを得ない。
特に、私も一員でしたけれども、大蔵省、財務省とか、経済企画庁、内閣府はどうしても非常に政治的な動きをする官庁でありました。したがって、これも、私どもが官僚のときに、随分政府見通しは甘かったですよね。大体、政府見通しよりも、平均すると結果は悪い。民間の経済シンクタンクの見通しよりかなり高めにやって、もちろん、その理由は、こういう政策をしますから上がるんですと言いながら、必ず外していくということですから。
やはり、これは知恵で、例えばイギリスですと財政責任庁、そんなに昔じゃありません、最近できましたOBRのようなものをつくって、政府から独立して、経済目標も現実的なものにする。財政再建のいろいろな、保守的に見積もって、それを政府に対して突きつけて、フォローもしていく。
こういうことで財政再建を現実化していくというのは、結構先進国では多いと思うんですけれども、この辺の独立財政機関についての御見解をお聞きしたいと思います。
○西村国務大臣 政府の様々な経済の見通しについては、御指摘のように、民間よりも高いことが多いんじゃないかという御指摘がまずありますが、これについても、最近は割と、別に勝ち負けをやっているわけじゃありませんけれども、我々の方が正しかったりすることもあって、政府の見通しは、ある意味、単なる計算に加えて政府の意欲というものも示さなきゃいけないということもありますので、様々な政策によってそれを実現していくということだと思いますが。
御指摘の英国の財政責任庁のような御提案でありますけれども、私ども、専門家の入った、御案内のとおり、経済財政諮問会議、ここで経済財政の運営に関する議論を行っておりまして、予算編成の基本方針とか財政健全化目標の在り方とか、あるいは進捗状況の評価などの議論も行っているところであります。
もちろん、様々な意見交換は専門家、委員の皆さんとも行っておりますけれども、ある意味で、政府とは違うその組織において、私ども、財政健全化の着実な推進に向けて主導的な役割を担っていただいているところでありますので、そういう意味で、財務省あるいは他の経済官庁、そして私どもの内閣府で、役所だけで議論するのではなく、そうした専門家の意見も聞きながら進めているというところを、よく御案内のとおりだと思いますけれども、そのような形で引き続き主導的な役割を経済財政諮問会議に担っていただきたいというふうに考えているところです。
○岸本委員 そういう答弁をせざるを得ないということだろうと思います。
それで、しかし、ちょっと今日は時間がないので、申し訳ありません。事務方の方にMMTの資料を用意していただいたんですけれども、それをやると時間がかかりますので。
MMTのような理論があって、これは理論的には正しいことだと私は理解していますけれども、少し、コロナもあって、世界的に財政をどんどん出すべきだ、これも私は賛成であります。こういうまさに有事の際にこそ財政出動をしていく。今、金融の方はぎりぎりまでやっていますから、金融、財政はできる限りのことをすると。
しかし、そのときに生まれた債務を本当にどうするのか。MMTは、理論的には正しいですけれども、なかなか現実的に、総需要を政府が完璧に管理して、適宜適切なタイミングで増税をし貨幣を吸収するというのは、これは難しいということなんだろうと思います。そうだとすると、やはりこの債務というものは将来の世代が負担しなきゃいけないということになっていきます。もちろん、大きなインフレを抑制できなければ、我々の世代が負担するわけでありますけれども。
そこで、コトリコフの世代間会計、世代会計ともいいますけれども、こういう推計があります。これは実は、内閣府の方でかなり前に、二〇〇三年の経済財政白書でオープンにして以来、推計はされていません、公式には。いろいろな学者がやっていますけれども。
この世代間会計を使いますと、一九四一年以前生まれ、これは白書によりますけれども、生涯で約六千五百万円の受益超過、これは推計ですからいろいろな前提を置くんですけれども。そして、一九九二年生まれ以降の将来世代は五千二百万円の負担超過ということが出ています。基本的には、当然、人が減っていって、年金なんかがかなり出ていって負担が増えていくということですから、トレンドは正しいんだろうと思います。その間も、一九六一年生まれ以降の世代は皆さん負担超過になるという推計があります。
コロナがなくてもそうなんですね、大きな制度改正を前提にしていませんけれども。今のまま、当時の制度のままいったときには後世代負担が非常に大きくなるということが指摘され、トレンドとしては正しいだろうと思います。
財政学の世界では、このような状態を財政的幼児虐待とまで呼ぶ学者もいるぐらいであります。つまり、親子三世代でファミレスへ行って、思い切り楽しんで御飯を食べて、おじいちゃんが請求書を三歳の孫に渡して、大人になったら払ってねと言っているのが今の状態でありますけれども、ともかくそこをどうやっていくのか。
さらに、このコロナで、昨年できた三次の補正の積み上がった分、さらに、今年度だってやらなきゃいけないと思います。そのイヤマークされた部分について、東日本大震災の復興特別税のようなスキームもあって、あれは二十五年です、所得税。一ジェネレーション、ワン世代三十年としたときに、そういうものを私たちの世代で、東日本大震災の復興特別税のような形で負担をするという考え方もあろうかと思いますけれども。
大臣、もう時間がありませんが、世代会計的な、将来の世代に負担を残すような、そのようなことについての改善策というか解決策について御見識があればお伺いしたいと思います。
○西村国務大臣 まず、コトリコフの世代会計というものでありますけれども、これは世代間の財政負担の分析をするものとして、研究の世界、学術的な世界では手法として確立したものであります。御指摘のように、内閣府においても、平成十七年の経済財政白書においてお示しをしております。
ただ、この試算は超長期で、永久にというか、一万年とか、こういったことの試算でありますので、金利とか成長率とか人口推計をどう置くかということによって大きな影響を受けるということで、こうした指標について、試算についてどう公表すべきかどうかについては、慎重な議論がある。これは民主党政権時代も、岸本当時政務官だったですかね、いろいろ試算もされて、議論されたようでありますけれども、公表には至らなかったというふうに承知をしております。
私どもとしては、先ほどお示しした中長期の財政に関する試算であったり、あるいは厚労省の年金財政検証、あるいは二〇四〇年を見据えた社会保障の将来見通し、こういったものを公表することによって、議論の透明性の確保をしてきておりますし、また、世代間の公平性の観点に立った様々な制度を分かりやすく説明をしてきたところであります。
その上で、御指摘の特別会計などの対応については、今、政府内で何かそういった議論があるわけではありませんけれども、御指摘として受け止めたいというふうに思います。
ただ、受益と負担の関係など、これはどういうふうに負担をしてもらうのか、そういったところも含めて、様々な視点から私は慎重な議論が必要なのかなというふうに考えております。
○岸本委員 ありがとうございます。
引き続き、経済財政の議論は西村国務大臣と続けたいと思います。
今日はこれで質問を終わります。ありがとうございました。
○木原委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
最初に、コロナ対策について西村大臣に何点かお伺いをいたします。
首都圏四都県の緊急事態宣言の二週間延長がありました。今、下げ止まりの心配があり、解除後のリバウンドの懸念等々もある中で、変異株の影響についての心配もあるわけです。厚労省のアドバイザリーボードや諮問委員会の場などでもそのことが指摘をされております。西村大臣御自身も、感染力が強い、変異株は非常に脅威、早晩全て変異株に置き換わるということを頭に置きながら対応しなければならないと述べておられました。
既存株から変異株に置き換わることを念頭に置いて対策を取ることが必要であります。その際に、その対策の目安となるステージの判断基準、このことも見直す必要があるのではないかと考えますが、その点、いかがでしょうか。
○西村国務大臣 御指摘ありましたように、イギリスではもうほとんど全て変異株に置き換わり、フランスでも六割を超えてきている、あるいはアメリカでももう一割を超えてきているというような報告を受けております。早晩、日本も全て置き換わる、これは私どもの専門家の皆さんもそうおっしゃっておられますので、そういったことを頭に置いて、特に変異株は感染力が強いという研究結果がありますので、そういったことを頭に置いて対応していかなきゃいけないというのは御指摘のとおりだというふうに思います。
その上で、この基準については、これまでも、感染状況などにおいて見直しをしてきております。
実は、昨年春の解除のときには、直近一週間の新規の陽性者の数が十万人当たり〇・五人とか一人とかということでありました。その後、様々な知見もあり、また検査体制の充実もあり、病床も確保してきたことも進み、現在では十万人当たり二十五人以下ということで、こうした変更を行ってきております。
これはステージの判断をしていく六つぐらいある指標のうちの一つですので、これを下回ったからといって直ちに解除するわけではありませんけれども、こういった形で指標も、見直しは様々な知見を踏まえて行ってきているところであります。
そして、現時点で、何か、今、このステージ判断の基準を、見直しの議論をしているわけではありませんけれども、御指摘のように、変異株の動向とか、あるいはワクチン接種の動向とか、病床の確保とか、様々な状況を見ながら、これは、必要に応じて専門家に今後御議論いただいて、また必要があれば見直しをするということはあり得るというふうに考えております。
○塩川委員 必要な対策として、基準の見直しということを視野に置いて取り組んでいただきたいと思います。
変異株の増加の懸念もありますし、リバウンドの心配などが今後想定されるような際に、やはり、高齢者施設や医療機関、また保育園での話もありましたので、定期的で頻回の社会的な検査が必要だと考えます。変異株の疑いを確認する検査を増やすことも必要だと思います。この点で、自治体の費用負担分を国がしっかりと措置することを改めて求めたいと思っております。
地方創生臨時交付金で自治体負担分についての手当てということでこの間の答弁もしていただいているところですけれども、やはり、自治体負担分に地方創生臨時交付金は直接充てることができない、迂回するような迂遠な措置となっているということでもありますので、そういう点でいいますと、震災復興特別交付税のような形で、地方交付税措置を使うことで自治体負担分に直接手当てをする、こういうことが、自治体における検査体制を更に進めていく、こういう後押しになるのではないかと思うんですが、この点はどうでしょうか。
○西村国務大臣 まさに、行政検査の費用負担については、感染症法の規定によって、都道府県等の自治体と国が二分の一ずつ負担をするということとなっていると承知をしております。そして、この二分の一の自治体側の負担については、御指摘の地方創生臨時交付金の算定対象とすることが可能となっておりまして、その分を自治体におけるコロナ対策の財源として活用することができます。この間、財政措置については、累次の補正予算、予備費などによって必要な対応をしてきたところであります。
そして、御指摘の震災の復興特別交付税のようなものについては、震災復興の特別交付税は法人税や今も続いております所得税の増税を財源として創設したものでありますので、類似のものを考えるとすれば増税を行わなきゃいけないということにもなります。私どもとして、政府内で何かそんな増税の議論をしているわけではございません。
いずれにしましても、この地方創生臨時交付金を活用いただき、必要な検査について積極的に対応いただきたいと考えておりますし、また、様々な状況を見ながら、予備費二・七兆円、また来年度予算が成立すれば五兆円ありますので、必要な対策は機動的に対応していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 そもそも、一連のコロナ対策でも実際には国債で対応しているわけですから、財源措置の在り方そのものをどうするかということは今後の議論であって、当時の民主党政権の対応がそうだったということはその限りの話でありますので、やはり自治体において、ふさわしく、こういった検査体制などがしっかり行えるような財源措置として、自主的な財源に当たる交付税措置を行うというのは一つの選択肢として考えるべきではないのかということを申し上げておきます。
関連して、緊急事態宣言により影響を受けた事業者の皆さん、大変な御苦労の中にあります。そういった際に、地方創生臨時交付金の増額ですとか特別枠の設定などを考えるときではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○西村国務大臣 地方創生臨時交付金につきましては、まず協力要請推進枠として、御案内のとおり、緊急事態宣言措置の地域では月額換算最大百八十万円、これは店舗ごとに、大企業であっても支援をするということで、そのための財源をしっかりと手当てをしているところでありますし、解除後の地域でも、二十一時までの時短の場合、一日当たり四万円、月額換算最大百二十万円を基本として、その総額の範囲内で、より大きな店には上限を上げて六万円とか七万円とすることも可能とする、そうした柔軟な仕組みを導入したところであります。
是非、柔軟に活用していただいて、要請に応じていただけるようにうまく対応していただければというふうに思います。
他方、地方単独事業分、これは、三次補正で手当てしました一兆円を活用して、それぞれの自治体において、例えば、国の一時支援金は五〇%以上売上げが減少した中小企業に対しての支援でありますけれども、三〇%以上減少した部分もカバーしようということで充てられる自治体もあれば、また、感染状況がすごく下がっていますので、県内の観光を振興しようということで、県民に対して県内の観光施設を利用するクーポンのようなものを発行するような形で支援をやっていこうという自治体もあります。
それぞれの自治体の地域の感染状況や経済の状況に応じて、地域のまさに実情をよく御存じの自治体が自由度高く支援策を行えるということで、もう既に行っていただいているところでありますので、そういった形で活用していただければと思いますが、いずれにしましても、予備費の活用も含めて、機動的に必要な対策を講じていければというふうに考えているところであります。
○塩川委員 柔軟な対応と言いますけれども、基本は事業規模に応じた支援をしっかり行うというところであって、それが今の財政措置では余りにも少な過ぎるというところを踏まえた対策こそ必要で、全国知事会が地方創生臨時交付金の増額などを要求しているのはそういったことが背景にある、こういうことをしっかり受け止めて、今後の対策を強く求めたいと思っております。
西村大臣についてはここまでで結構です。ありがとうございました。
続きまして、総務省接待問題をお尋ねをいたします。
総務省にお聞きしますが、三月八日、総務省は、NTT接待に関する倫理規程違反の疑いがある会食一覧を国会に提出をいたしました。その一覧表では、上記以外の会食についても確認中といいますけれども、調査範囲はどうなっているでしょうか。山田真貴子元内閣広報官はその調査対象に入っているのか、この点をお尋ねします。
○阪本政府参考人 お答え申し上げます。
三月八日に提出いたしました会食の一覧につきましては、国家公務員倫理規程に違反する疑いのある四件の会食について事実関係の特定を早急に行い、現時点で確認できたものを途中経過として御報告したものでございます。
これまでもコンプライアンス対応で相談させていただいております弁護士の方に加えまして、検事経験のある弁護士の方にも新たに参加していただきまして、御指摘ありました調査対象とか調査の手法まで御指導を仰ぎながら、ヒアリングにもできる限り御同席していただくなど、常に第三者のチェックをいただきながら、引き続き確認を進めてまいるつもりでございます。
また、山田真貴子前総務審議官につきましては、既に総務省を退職しておるところでございまして、総務省といたしまして、倫理法違反の疑いにつきまして調査を行う立場にはございません。
以上でございます。
○塩川委員 調査対象の範囲はまだはっきりしていないということですか。
○阪本政府参考人 お答えいたします。
先ほど申しました弁護士の方と相談して、現在精査しているところでございます。
○塩川委員 NTTとの関与というのは非常に重大な中身でありますので、その範囲をしっかりと広げていくということが必要だということを申し上げるとともに、山田真貴子元内閣広報官については、総務省在籍時に、利害関係者である東北新社から接待を受けていただけではなく、NTTからも接待を受けていたということになりました。しかし、今回の会食一覧では、参加者の一人として名前が挙がっているだけであります。
やはり、総務審議官時代の利害関係者との会食になっていく問題ですので、単に退職したからもう関係がないという話じゃないんですよ。総務省の仕事をしているときに起こった、こういう倫理規程違反が問われる問題について、総務行政への信頼が問われているわけです。総務行政への信頼、これを回復しようというのであれば、当然のことながら、その当時の関係者である山田さんについてもしっかりと総務省として調査する必要があるんじゃないですか。
○阪本政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど、倫理法違反の疑いについての調査について回答させていただきました。
御指摘のような、まさに総務省の行政についてということでございますが、今後立ち上げます第三者による検証委員会では、山田前総務審議官の在職期間中のものも含めまして、過去の衛星基幹放送の認定プロセスなどにつきまして検証が進められることになる、そう考えておるところでございます。
○塩川委員 第三者検証委員会にしっかりやってもらって、関係者をしっかり呼んでもらうと同時に、やはり、倫理法違反、倫理規程が問われる、この問題について、必要な関係者の意見を聞く必要があるんじゃないですか。利害関係者の側だって民間の方であるわけで、総務省の人ではないけれども、そういう方にしっかり話を聞くということがあるわけですから。
当事者の中の山田さんについて、今のお立場であっても話を聞きに行くというのは当然必要なことなんじゃないですか。
○阪本政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになって恐縮でございますが、山田真貴子前総務審議官につきましては、既に総務省を退職しておりますので、総務省が倫理法違反の疑いについて調査を行ったり処分を行ったりという立場にはないという状況にございます。
○塩川委員 倫理法違反の全体像を明らかにする上でも、当事者の方の話を聞くということは必要なことであって、山田氏を始めとして徹底調査を行うことを改めて求めておきます。
次に、人事院にお尋ねします。
この国家公務員倫理法及び倫理規程は、もちろん倫理規程に関わる問題について対応するわけですけれども、贈収賄のような重大な汚職事件を回避するための未然防止策としての役割もあるんじゃないですか。
○荒井政府参考人 お答えいたします。
倫理法は公務に対する国民の信頼を確保することを目的とするものでございまして、贈収賄等を規定している刑法とは趣旨、目的が異なるものと承知をしております。
もっとも、倫理法令は贈収賄に問われないような行為も規制対象としており、職員はより厳格な対処が求められていることから、結果として、委員御指摘のような効果もあるものと考えております。
○塩川委員 過去、過剰接待、事務次官の贈収賄事件もあった、その教訓の上にこの倫理法ができているという経緯を考えても、公権力行使を律するという点で、その入口として、こういった倫理法、倫理規程というのが重大な汚職事件を回避するための未然防止策としての役割にもつながりますし、このこと自身が、利害関係者との対応について公務員の側を守るという、そういう側面にもつながってくるわけであります。
そういったときに、一般職の国家公務員は当然、倫理法、倫理規程があるわけですけれども、政治任用の特別職の国家公務員においてどうなのか。
人事院にお尋ねしますが、内閣広報官や総理秘書官、総理補佐官などの特別職のいわゆる官邸官僚に適用される倫理法、倫理規程はどうなっているのか。
○荒井政府参考人 お答えいたします。
倫理法は一般職の国家公務員に適用されるものでございまして、特別職の国家公務員については所管外となっているところでございます。
○塩川委員 それでいいのかという問題なんですけれども、人事院としては、その点についてはどうですか。
○荒井政府参考人 お答えいたします。
特別職の国家公務員といいましても、その性質は様々でありますことから、担当する府省等において必要と判断されれば、それぞれにおいて検討されるものと理解をいたしております。
○塩川委員 まあ、いろいろあるということですけれども、必要に応じてそれぞれの省庁で考えることということですが、そういう点では、官邸における官邸官僚、特別職についてどうするのかという問題になってまいります。
加藤官房長官にお尋ねをいたします。
政権中枢で政策の企画立案や総合調整を担う特別職の官邸官僚というのは、極めて重い仕事を行っていることになります。こういった特別職の官邸官僚への規律が求められている。特別職の官邸官僚に対する倫理法、倫理規程に相当するルールづくりが必要ではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 内閣官房に置かれている特別職については、内閣の長である総理を直接補佐し、内閣と一体となって行動する幹部職員であり、いわゆる政治任用の国家公務員という位置づけになるんだろうと思います。したがって、その服務等については一般職と異なった取扱いになっており、国家公務員倫理法についての規定がなく、それぞれの特別職ごとに、その根拠法において必要な措置が講じられるところと承知をしております。
倫理法の適用の有無にかかわらず、内閣官房に置かれる特別職の方々は、内閣の長である内閣総理大臣を直接補佐するという重責を担っていることを自覚し、国民全体の奉仕者として、一層高い倫理観を持って日々の職務に当たることは重要と考えております。
○塩川委員 自覚任せというわけにはいかないという話でありまして、まさに権力の中枢にいるわけですから、少なくとも最低限の倫理規程が必要なわけです。まさに、官邸で必要であればつくればいい話ですから、つくったらいいじゃないですか。
○加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、特別職については、まさにそれぞれの特別職ごとに、その根拠法において、服務、懲戒等によって必要な措置は講じられているところであります。
○塩川委員 倫理規程に相当するものをつくる必要があるんじゃないかというふうに聞いているんですが。
○加藤国務大臣 まず、服務の根本基準である国家公務員法の九十六条等については内閣広報官も適用されるわけであります。それ以外に、内閣官房職員の訓告等に対する規定が別途用意されているところであります。
○塩川委員 訓告は懲戒処分じゃありませんから。懲戒処分相当の措置を行う倫理規程に相当するものを、官邸官僚について、内閣官房、官邸として定めるべきじゃないのか。改めて。
○木原委員長 加藤長官、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○加藤国務大臣 ですから、現在において、特別職については、内閣官房について、あるいは今御指摘の内閣広報官については、国家公務員法等の準用等、もう既に規定がなされているわけでありますから、それにのっとって対応していく。
さらに、先ほど申し上げたその重責を踏まえて、国民全体の奉仕者として、高い倫理観を持って職務に当たっていただけるよう、これは励んでいただきたいというふうに考えております。
○塩川委員 官邸機能強化の下で官邸官僚の権限が強くなっているときに、それが恣意的な運用にならないようなしっかりとしたルールづくり、今つくるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
――――◇―――――
○木原委員長 この際、お諮りいたします。
第二百一回国会、新藤義孝君外五名提出、特定給付金等の迅速かつ確実な給付のための給付名簿等の作成等に関する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○木原委員長 次に、内閣提出、デジタル社会形成基本法案、デジタル庁設置法案、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案及び預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。平井国務大臣。
―――――――――――――
デジタル社会形成基本法案
デジタル庁設置法案
デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案
公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案
預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○平井国務大臣 この度、政府から提出をしたデジタル社会形成基本法につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
情報通信技術が急速に進展し、国民の生活が大きく変化する中、データの利活用が、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展の実現のために不可欠となっています。また、新型コロナウイルスへの対応において、国や地方公共団体のデジタル化の遅れや不十分なシステム連携を背景に煩雑な手続や給付の遅れが生じるなど、社会全体のデジタル化の推進が喫緊の課題となっています。
さらに、少子高齢化等の社会構造の変化により社会の多様性が増していく中、情報通信技術の活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を実現することが重要です。
この法律案は、こうした状況を踏まえ、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進し、もって我が国経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現に寄与することを目的とするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、デジタル社会を、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信するとともに、先端的な技術を始めとする情報通信技術を用いて電磁的記録として記録された多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会と定義することとしております。
第二に、デジタル社会の形成に関し、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現、国民が安全で安心して暮らせる社会の実現、利用の機会等の格差の是正、個人及び法人の権利利益の保護等の基本理念について定めることとしております。
第三に、デジタル社会の形成に関し、国、地方公共団体及び事業者の責務等について定めることとしております。
第四に、デジタル社会の形成に関する施策の策定に当たっては、多様な主体による情報の円滑な流通の確保、高度情報通信ネットワークの利用及び情報通信技術を用いた情報の活用の機会の確保、人材の育成、生産性や国民生活の利便性の向上、国民による国及び地方公共団体が保有する情報の活用、公的基礎情報データベースの整備、サイバーセキュリティーの確保、個人情報の保護等のために必要な措置が講じられるべき旨について定めることとしております。
第五に、別に法律で定めるところにより、内閣にデジタル庁を設置し、政府がデジタル社会の形成に関する重点計画を作成するとともに、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法を廃止することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
次に、デジタル庁設置法案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
この法律案は、デジタル社会形成基本法に基づき、デジタル社会の形成に関する司令塔として、強力な総合調整機能を有するデジタル庁を設置し、デジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進することを目的とするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、デジタル庁の設置、任務、所掌事務について定めております。
デジタル庁は、内閣により、デジタル社会の形成についての基本理念にのっとり、デジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房とともに助けること、デジタル社会の形成に関する行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ることを任務としております。
また、その任務を達成するため、デジタル社会の形成のための施策に関する基本的な方針に関する企画立案及び総合調整をつかさどるほか、デジタル社会の形成に関する重点計画の作成及び推進、行政手続における特定の個人又は法人その他団体を識別するための番号等の利用、情報通信技術を用いた本人確認に関する総合的かつ基本的な政策の企画立案及び推進、データの標準化、外部連携機能及び公的基礎情報データベースに関する総合的かつ基本的な政策の企画立案及び推進、国の行政機関、地方公共団体その他公共機関及び公共分野の民間事業者の情報システムの整備及び管理の基本的な方針の作成及び推進、国の行政機関が行う情報システムの整備及び管理に関する行政各部の事業の統括及び監理等をつかさどることとしております。
第二に、デジタル庁の組織について定めます。
デジタル庁は、内閣総理大臣を長とし、事務統括権、関係行政機関の長に対する勧告権等を有するデジタル大臣を置くとともに、副大臣一人、大臣政務官一人に加え、デジタル大臣に進言等を行い、かつ、庁務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する内閣任免の特別職であるデジタル監等を置くこととしております。
また、デジタル庁に、全ての国務大臣等をもって組織するデジタル社会推進会議を置くこととしております。
なお、この法律は、一部を除き、令和三年九月一日から施行することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
次に、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
情報通信技術が急速に進展し、国民の生活が大きく変化する中、データ利活用の重要性が高まっており、データの適正な利用のためのルール整備と併せ、マイナンバーの情報連携の促進やマイナンバーカードの利便性の向上及び普及の促進等を図る必要があります。また、新型コロナウイルス感染症への対応において、押印、書面を前提とした制度、慣行がテレワークの支障となるなど、社会全体のデジタル化の推進が喫緊の課題となっています。
この法律案は、こうした状況を踏まえ、デジタル社会形成基本法に基づきデジタル社会の形成に関する施策を実施するため、個人情報の保護に関する法律、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の関係法律について所要の整備を行うものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、個人情報の保護に関する法律、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律の三法を個人情報の保護に関する法律に統合するとともに、地方公共団体の個人情報保護制度についても改正後の個人情報の保護に関する法律において全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化する等の措置を講ずることとしております。
第二に、国家資格に関する事務等における個人番号の利用や情報連携を拡大するとともに、従業員本人の同意があった場合における転職時等の使用者間での特定個人情報の提供を可能とすることとしております。
第三に、地方公共団体が指定した郵便局におけるマイナンバーカードの電子証明書の発行、更新等、公的個人認証サービスにおける本人同意に基づく基本四情報の提供及び電子証明書の移動端末設備への搭載を可能とする等の措置を講ずることとしております。
第四に、地方公共団体情報システム機構の代表者会議に主務大臣又はその指名する者を加えるとともに、同機構の個人番号カード関係事務について、国が目標設定、計画認可、財源措置を行うこととするなど、国によるガバナンスを強化することとしております。
第五に、押印を求める手続についてその押印を不要とするとともに、書面の交付等を求める手続について電磁的方法により行うことを可能とすることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
次に、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
この法律案は、デジタル社会形成基本法案に定めるデジタル社会の形成についての基本理念にのっとり、デジタル化等による公的給付等の受取手続の簡素化、迅速化を進めるため、各行政機関等が行う公的給付の支給等に利用することができる預貯金口座を、内閣総理大臣にあらかじめ登録し、行政機関等が当該預貯金口座に関する情報の提供を求めることを可能とするものです。あわせて、緊急時等の公的給付の支給を実施するための情報について個人番号を利用して管理できることとする等により、公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施を図ることを目的とするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、預貯金者は、公的給付の支給等に係る金銭の授受に利用することができる一の預貯金口座について、オンラインにより、又は金融機関の窓口等を通じ、内閣総理大臣に申請をして、その登録を受けることを可能とすることとしております。
第二に、行政機関等は、公的給付の支給等に係る金銭の授受をするために必要があるときは、登録された預貯金口座に関する情報について、内閣総理大臣に対し提供を求めることを可能とすることとしております。
第三に、行政機関等は、個別の法律の規定によらない公的給付のうち、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある災害若しくは感染症が発生した場合に支給されるもの、経済事情の急激な変動による影響を緩和するために支給されるものとして内閣総理大臣が指定するものの支給を実施しようとするときは、当該支給を実施するための基礎とする情報を個人番号を利用して管理することを可能とすることとしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
次に、預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
この法律案は、デジタル社会形成基本法に定めるデジタル社会の形成についての基本理念にのっとり、預貯金者の意思に基づく預貯金口座への個人番号の付番を推進する仕組みや、災害時又は相続時に預貯金者又はその相続人の求めに応じ、預貯金口座に関する情報を提供する制度を創設すること等により、行政運営の効率化及び行政分野における公正な給付と負担の確保に資するとともに、預貯金者の利益の保護を図ることを目的とするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、預貯金者は、預貯金口座への個人番号の付番を希望する旨を申し出ることができるとともに、金融機関は、預貯金契約その他重要な取引を行う場合に、預貯金者に対し、付番の意思について確認しなければならないこととしております。
第二に、預貯金者本人の意思に基づき、預金保険機構を介して、一度の申出により、複数の金融機関の預貯金口座への個人番号の付番を可能とすることとしております。
第三に、災害又は相続の際に、預貯金者又はその相続人が、既に付番された預貯金口座の所在情報を金融機関窓口で確認するサービスを可能とすることとしております。
第四に、国は、預金保険機構及び金融機関と協力して、預貯金口座への個人番号の付番について必要な広報等を行うものとするほか、預金保険機構の業務の特例として、この法律に基づき預金保険機構が行う業務について預金保険法を適用することとする等、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いを申し上げます。
○木原委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。
この際、平井国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平井国務大臣。
○平井国務大臣 先ほど提案理由及び内容を御説明申し上げましたデジタル改革関連法案につきまして、参考資料である要綱、新旧対照条文及び参照条文において誤りが判明しましたので御報告しますとともに、さきに国会の御関係の方々にお配りした資料に誤りがあったこと、また誤りがあったことの御報告が遅くなったことについて、深くおわびを申し上げます。
御報告に至る経緯について申し上げます。
国会提出後の二月十二日に一部の誤りが判明したため、全ての関連資料の精査を行いましたところ、誤字や用字の誤りなどが合計四十五か所あったことが判明しました。二千ページにわたる資料の精査に二月末まで時間を要し、精査後、速やかに国会への御報告の準備を行い、三月四日から国会に御報告を始めたところであります。
このように、判明から御報告までの間に時間を要したこと、御報告についても行き届かぬところがあったことについて、重ねておわびを申し上げます。
今回の事案を受け、今後このようなことがないよう、しっかりと指導してまいります。
○木原委員長 次回は、来る十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十四分散会